第159回国会 農林水産委員会 第15号
平成十六年五月十三日(木曜日)
   午後一時開会
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   委員の異動
 五月十二日
    辞任         補欠選任
     小川 勝也君     福山 哲郎君
 五月十三日
    辞任         補欠選任
     市田 忠義君     池田 幹幸君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         岩永 浩美君
    理 事
                加治屋義人君
                段本 幸男君
                常田 享詳君
                和田ひろ子君
                紙  智子君
    委 員
                市川 一朗君
                太田 豊秋君
                小斉平敏文君
                三浦 一水君
                羽田雄一郎君
                千葉 国男君
                福本 潤一君
                池田 幹幸君
                岩本 荘太君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        高野 浩臣君
   参考人
       東京大学大学院
       農学生命科学研
       究科教授     八木 宏典君
       鹿児島県喜入町
       農業委員会会長  中釜 靖子君
       全国改良普及職
       員協議会会長   種本  博君
       全国新規就農相
       談センター所長  中園 良行君
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  本日の会議に付した案件
○農業委員会等に関する法律の一部を改正する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
○農業改良助長法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○青年等の就農促進のための資金の貸付け等に関
 する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ─────────────
○委員長(岩永浩美君) ただいまから農林水産委員会を開会をいたします。
 委員の異動について御報告をいたします。
 昨十二日、小川勝也君が委員を辞任され、その補欠として福山哲郎君が選任をされました。
 また、本日、市田忠義君が委員を辞任され、その補欠として池田幹幸君が選任をされました。
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○委員長(岩永浩美君) 農業委員会等に関する法律の一部を改正する法律案、農業改良助長法の一部を改正する法律案、青年等の就農促進のための資金の貸付け等に関する特別措置法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。
 本日は、参考人として東京大学大学院農学生命科学研究科教授八木宏典君、鹿児島県喜入町農業委員会会長中釜靖子君、全国改良普及職員協議会会長種本博君及び全国新規就農相談センター所長中園良行君に御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、大変お忙しい中、本委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。
 ただいま議題となっております法律案について、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜りたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。
 本日の議事の進め方について御説明をいたします。
 まず、八木参考人、中釜参考人、種本参考人、中園参考人の順序でお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答え願いたいと存じます。
 それでは、八木参考人からお願いをいたします。八木参考人。
○参考人(八木宏典君) ただいま御紹介いただきました東京大学の八木でございます。
 私は、大学におきまして農業経済学、その中でも特に農業経営学にかかわる学問分野の研究教育に従事し、我が国の農業並びに海外の農業の在り方について論じてまいりました。現在は、農林水産省の食料・農業・農村政策審議会の会長を仰せ付かり、また、平成十四年十月から十五年四月にかけて設置されました農業委員会に関する懇談会の座長も務めさせていただきました。そのような立場から、今回の経営支援三法の一部を改正する法律案について、賛成の立場から意見を述べさせていただきたいと思います。
 現在、農林水産省の食料・農業・農村政策審議会企画部会では、平成十七年三月に向けた食料・農業・農村基本計画の見直しを進めております。その趣旨は、安全な食料の安定した供給、そして国土・環境の保全など、農業に対する国民の多様な期待にこたえ、また、国際的規律の変化にも対応した競争力の高い農業経営を育成し、このような農業経営が生産の相当部分を担う農業構造とするための施策の集中、そして環境や農地、水などの保全のための政策の確立という構造改革の実行であります。
 今回の経営支援三法の改正は、このような農政改革の流れに沿ったものであり、また、地方分権改革推進会議や経済財政諮問会議などで指摘されている地方分権の推進や、都道府県、市町村など地域の実情に合わせた選択肢の拡大という方向にも合致したものであり、以下に申し述べますように、それぞれに評価できるものと考えております。
 まず、農業委員会法の一部改正についてでありますが、農業委員会は、御存じのように、農業者の中から公選で選出された委員を中心に構成されている市町村の行政委員会であります。農業委員会は、農地法その他の関係法令に基づく農地の利用、管理に係る法令業務のほかに、担い手の育成や耕作放棄地の防止に当たるなど、極めて多様な農業全般にわたる業務を行っております。
 我が国の農地は、御承知のように、所有形態が分散して小規模であり、個々人の権利関係は地域内で錯綜しております。また、その一方で、農業水利や農業用施設の維持管理などには一定の地縁的、面的広がりを必要としているという、こうした特徴を持っています。
 また、世界の主要国の国民当たりに見た農地面積を計算してみますと、アメリカでは国民百人当たりにいたしまして六十五ヘクタール、フランスでは三十三ヘクタール、またアジアの中でもタイでは三十ヘクタール、中国では十一ヘクタールでありますが、我が国はわずか四ヘクタールであります。山地や急傾斜地の多い我が国は、絶対的にも、国民当たりで見ても、世界で有数の農地資源小国であります。
 このような、国民や地域にとって希少な資源であり、また公共的な財産としての性格をも持つ農地の確保とその適正な利用を進めることは、今日の極めて重要な政策課題であります。しかし、農地の利用と管理のためには、権利調整を含む専門的できめ細かな対応が必要とされ、また、公平、客観的で統一の取れた取組が必要であります。地域の実情を把握し、農業者や農地所有者間の利害の調整を図りつつ、地域の合理的、効率的な農地利用を推進するためには、農業委員会の必置規制は必要であると考えています。
 しかし、農業委員会はその五十年近い活動の中で、活動が総花的でマンネリ化している、高齢化していて活動が見えないといった批判が出ており、委員定数につきましても、農家数がこの間に大きく減少した割合に比べますとその減少割合が少なく、また、近年は委員の高齢化が進んでおります。このため、委員定数や年齢構成なども含めた組織の適正化と運営の効率化が求められ、またその活動におきましても農地行政、経営支援施策の役割の強化が求められています。
 今回の改正点であります必置基準面積算定に係る農地要件の見直しや選挙委員の下限定数の見直しは、地方分権を推進し、可能な限り市町村の実情に応じて選択肢を広げるという観点や、現在の農業委員会の現状を踏まえ、更に運営の効率化を図るという点からも評価できると考えています。
 また、農業委員会の業務はこれまで極めて多岐にわたっており、また他の組織と重複する業務もありました。今回、農地に関する業務並びに農業経営の合理化に関する業務に重点化することは、農業委員会の機能を強化し、その役割を明確にするという観点からも評価できます。
 さらに、委員の選出方法についても、推薦母体に土地改良区を加えることは、地域農業にかかわる関係機関の参画による、より連携の取れた業務を強化することになると考えます。更に申し上げるといたしますと、これを機会に、農業経営に関する専門家や青年農業者、女性農業者、認定農業者など、多様な人材の農業委員会への参画を更に進める取組に努力していただきたいと考えております。
 市町村合併の進展によって農業委員会の活動の広域化や業務量の増大が懸念されますが、農地部会など部会制度の見直しによって、地域の実情に即した重点的な取組がやりやすくなると思われます。地域協力員などの活動と併せた足腰の強い効率的な活動を強化することを期待しております。
 農業改良助長法の一部改正についてでありますが、これまで農業普及事業は国と都道府県が協同して行う協同農業普及事業として運営されてきました。また、平成十一年の食料・農業・農村基本法でも、その第二十九条におきまして地域の特性に応じた農業に関する普及事業の推進が明記され、農政上の重要な支援事業であることが位置付けられております。
 しかし、近年、普及事業は食料・農業・農村という多分野にかかわる課題の多様化とともに、その活動領域も拡散しており、本来の普及事業の役割が見えにくくなっている、またその一方で、農業法人化の進展や新しい技術革新など、ますます高度な技術や経営管理が必要とされている中で、先進的な農業者等に対する指導が十分に行われていないなどという指摘もなされております。
 このような状況を踏まえて、平成十五年三月に普及事業の在り方に関する検討会報告書が出されましたが、この中で、これからの普及職員が担うべき機能として、第一に、高度先進的な専門化した技術を指導する機能、第二に、地域農業の実態に幅広い知見を併せ持ち、産地作りや地域リーダーの育成等のために、スペシャリストや関係機関等との連携の下に推進する地域農業のコーディネート機能という二つの重点化すべき機能が指摘されております。このような高度に重点化した機能をこれからの普及職員が担っていくためには、従来の普及職員の能力水準を引き上げる必要があるということでもあります。
 今回の改正点の一つに普及職員の一元化があります。これまでは、御承知のように、専門事項等について調査研究を行い改良普及員を指導する専門技術員と、直接農業者に接して農業経営の改善等に関する技術の普及指導を行う改良普及員の二段構えの職員によって普及事業が担われていたわけであります。しかし、専門技術員による現場の動向や課題の把握が不十分ではないか、また、改良普及員の専門的な技術、知識の水準もあって、新しい革新的な技術の要請に必ずしもこたえられていないのではないかという指摘もあり、今回の改正はこのような問題を改善するための普及体制の再編であると理解しております。
 また、普及センターの必置規制の廃止や普及手当の弾力化につきましては、現在、地域によって多様な農業と産地作りが展開しており、また、普及の組織体制も都道府県によって同じではないという現状を考えますと、組織と運営の在り方については都道府県の自主性を尊重することが大事であると考えます。また、これは都道府県行政のスリム化や効率化、あるいは地方分権の方向にも合致するものであります。しかし、普及事業の根幹となる普及職員についてはこれからも必置とすることが必要であると考えています。
 なお、新しい体制に移行するまでの普及職員の身分やこれからの普及組織の再編に当たっては慎重な対応が必要ではないかと思います。また、この法律改正の趣旨をよく理解し、都道府県の普及事業に対する自主的、積極的な取組を期待しております。
 青年等就農促進法の一部改正についてでありますが、我が国の農業への新規就農者の数は、平成二年ごろをボトムとして、底にいたしまして、その後は増加する傾向にあります。このうち三十九歳以下の新規就農青年者の数も増えております。しかし、農林水産省が「農業構造の展望」で見込んでいる平成二十二年の効率的、安定的な農業経営の数から逆算した毎年必要とされる新規就農青年者数に比べますと、現状ではまだこの目標数字には達しておりません。非農家子弟を含む幅広い若い人材を更に確保することが必要とされております。
 一方、農業法人等の数もその雇用需要も増大しており、農業法人等の常時雇用者の数はこの五年間を見ても九万一千人から十一万四千人へと増加しています。また、青年農業者等育成センターにおける農業法人等への就農相談件数も増加しています。
 近年の就農希望者の中には、初めから直ちに農業を始めるよりも、農業法人等へ就職し、そこで学んだ知識や技術、経営管理のノウハウを生かし、しかも農業法人等の地域社会の中での信用や人的ネットワークに後押しされながら、のれん分けや分社化、あるいは独立という方法によって自立していく者の数が増えています。しかも、このようなルートを使った新規就農の方がリスクも少なく、ハードルも低いというメリットがあります。
 今回の青年等就農促進法の改正点は、農業法人等が作成する就農計画の認定制度の新設、農業法人等に対する就農支援資金の貸付け、農業改良資金の償還期間等の特例の新設、そして青年農業者等育成センターの無料の職業紹介事業の追加でありますが、農業法人等が若い人材を育てるためには、経営内研修、いわゆるOJTです、オン・ザ・ジョブ・トレーニングでありますが、このOJTに加えて先進経営への派遣研修などが必要であります。また、農業経営者としての育成のためにはそれなりの年限も必要とされます。これまで、これらの経費は農業法人自らが直接負担をしてきたわけですが、今回の改正はこれらの経費について無利子融資による支援をするものであり、その効果を大いに期待したいと思っております。
 また、青年農業者等育成センターによる無料の職業紹介にしましても、就農希望者に対するより具体的で有用な情報提供も含めて、就農の可能性を大きく推進するものであり、この点の改正についても大いに期待しております。
 これらの改正により、若い有能な人材が農業の分野でも数多く確保され、将来は彼らの創意工夫による国際競争力の高い農業に発展することを切に望んでおります。
 以上、参考人としての意見を申し上げました。今回の経営支援三法の一部改正につきまして、十分な御審議をいただき、原案どおり可決されることを期待しております。
 以上でございます。
○委員長(岩永浩美君) ありがとうございました。
 次に、中釜参考人にお願いをいたします。中釜参考人。
○参考人(中釜靖子君) ただいま御紹介いただきました喜入町農業委員会の中釜と申します。
 初めに、本日は参議院の農林水産委員会にお招きをいただき、意見陳述の機会を与えていただきましてありがとうございます。
 委員の皆様方には、日ごろから、農業、農村の振興に格別の御尽力をいただいております。心より感謝申し上げます。
 私は、このような国会審議の場に立つのは初めてで、大変緊張しております。しかし、委員の皆様方の中に女性の先生もいらっしゃいますし、また、鹿児島県選出の加治屋先生のお顔を拝見でき、少し安心いたしました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 今、このような場に立たせていただきますと、私の脳裏に亡き父の姿がよみがえってまいります。私の父も、以前、皆様方と同じように参議院議員でありました。町を愛し、農業振興に命を尽くした私の父は、国政の場に進出してからも、自分の使命は農家の代表として我が国の農業と農村を守ることだといつも申しておりました。
 また、参議員になる前は喜入町農業委員会の会長も務めておりました。農業委員として農家の皆様方の相談活動をしながら、休日には、自らくわを取り、土とともに生きた父でした。このような父の姿が私の現在の活動の原点にあります。
 さて、私の町、喜入町について少し御紹介させていただきます。
 喜入町は、鹿児島市と指宿市の中間にあり、薩摩半島の玄関口に当たります。人口は一万三千七十五人、そのうち農家人口は二千二百三十九人でありますが、鹿児島市に隣接していることから、そのほとんどが兼業農家であります。しかしながら、認定農業者を中心に、温暖な気象条件の下、葉たばこ、畜産、野菜などの生産振興を図っているところであります。私の家も夫と二人で花木や野菜の生産を行っております。
 次に、私が農業委員になった経緯について少しお話ししたいと思います。
 私は、長年、JAの女性組織で活動してまいりました。その中で、男女共同参画社会作りについて学習する機会が数多くあり、女性のJA理事や農業委員を始め、各審議会等への参画の必要性を言い続けてまいりました。そして、平成十一年七月、議会推薦をいただき、農業委員となりました。平成十二年五月にJAいぶすきの理事に地域代表として就任し、現在二期目です。
 また、農業委員も、平成十四年七月に公選で二期目となりました。まだ任期も浅いと思いましたが、男性委員からの後押しも受けることができ、平成十四年七月二十三日に農業委員会会長に選出されました。
 鹿児島県においては、現在、百二十一人の女性農業委員が誕生しておりますが、平成九年九月には全国に先駆けて鹿児島県女性農業委員の会を結成して、相互研さんによる資質向上を図っているところであります。
 それでは、今回の農業委員会制度の改正法案についてでありますが、地域の農業を守り、発展させていく立場から、私は今回の改正案については賛成であります。このような観点から、農業委員として、また一人の女性農業者として意見を述べさせていただきます。
 まず、改正法案における農業委員会業務の重点化のことでありますが、特に法律の六条二項に、農地の確保を図るとともに農地の利用集積等有効利用を促進する事項が盛り込まれておりますが、大変すばらしいことであると考えます。
 現在、私どもの喜入町農業委員会では、優良農地を守り、有効利用を促進する活動の一環として、農業委員による農地パトロールを実施しております。毎年九月から十一月をパトロールの実施期間として定めまして、農業委員と職員を五班に編成して取り組んでいます。
 このパトロールで農地の一筆ごとの利用状況を点検していますが、この結果、私ども喜入町内に存在する遊休農地も全部把握できました。これらの遊休農地については、一筆ごとに農地としての利用が可能か不可能かについて分析、分類して、可能と判断されたものについて、地権者に対して農地の利活用を図るよう文書による指導を行っております。また、パトロールを通じて、建築資材置場や駐車場などの農地の無断転用も見受けられます。これら無断転用につきましては、法的に適正に処理するよう関係者に是正指導も行っています。
 なお、農地を守り、有効利用を促進するための農地パトロールは、私どもの喜入町のみならず、鹿児島県では九十五のすべての農業委員会で実施されていることを申し添えさせていただきます。
 次に、農業委員会の大事な業務に認定農業者等に対する農地の利用集積の推進活動があります。
 喜入町では、このような農地流動化により一層の推進に資するため、平成八年度に町単独事業を作り、認定農業者が農業委員のあっせんにより農地を借りた場合、標準小作料の八〇%を助成しております。もちろん活動の主役は各農業委員であります。農業委員が地域の世話役として農地のあっせん活動を積極的に行っているところであります。この場合、基盤整備事業等を行う土地改良区との連絡を密にしていくことが重要です。
 また、地域農業の担い手である認定農業者の育成確保も農業委員会の重要な業務であります。
 農業委員会では、町の農業経営改善支援センターと一体となって、認定農業者の掘り起こしや支援活動を行っているところであります。喜入町では、認定農業者と農業委員との意見交換会を開催して、認定農業者から出された意見や要望を基に支援活動を行っております。
 以上のような行動する農業委員会活動を通じて、農業委員会は、農地の転用に係る許認可を行う機関から、農地や農業経営についての信頼できる相談者へと地域の方々のイメージも大きく変わってきました。
 今回の法律改正による農業委員会の活動の重点化については、それを後押しするものであり、地域農業の振興における農業委員会の役割と存在をより鮮明にするものと思います。
 続きまして、農業委員会の組織の在り方について意見を述べさせていただきます。
 現在、地方における最大の課題は市町村合併のことであると思います。喜入町も今年の十一月に近隣の四町とともに鹿児島市に編入合併することになっています。この合併に伴い、現在の喜入町管内の農業委員数は十四人から五人に減少することが既に決まっています。現在、喜入町の農業委員会では、地区担当制により一人の農業委員が約二集落を受け持ち、農地の確保や有効利用に関する活動を行っていますが、合併による農業委員の減少は、委員一人当たりの守備範囲の農地面積を大幅に拡大することになります。
 認定農業者への農地の利用集積などの農業委員の活動は、農地の権利調整に係る相談やあっせん活動が主であり、大変根気の要る仕事であります。農業委員が減少することにより、農業の構造改革の柱である農地の確保と有効利用は停滞することが予測され、非常に心配をいたしているところであります。今後は、農業委員会をサポートする協力員の設置など、新しい農業委員会の体制整備を図ることが重要ではないかと考えております。
 さらに、農業委員が減少することにより、必然的に女性の農業委員も少なくなることが予想されます。現在、鹿児島県では、関係機関の協力により百二十一人の女性農業委員が誕生しております。女性の農業委員が増えて農業委員会が変わったとの声をよく聞くようになりました。また、女性農業委員は、地域における女性リーダーとして、男女がともに豊かに暮らす男女共同参画社会の形成を目指して活動を展開しています。その中でも、農家の近代的な経営と生活を営むための家族経営協定の締結推進活動は女性農業委員が特に重点的に取り組んでおり、現在、喜入町では四戸でございますが、県全体では八百三十五戸の協定の締結がなされております。女性農業委員が減少しますと、そうした動きにブレーキが掛かることが心配されます。
 議会推薦枠で女性委員を積極的に登用すべきと思いますが、議会推薦というと議員でないといけないとの誤解もあるようですので、もっと啓発をする必要があります。こうした点についても、どうか心に留めていただき、御対応をお願いできればと思います。
 それ以上に私が不安に感じていますのは、地方分権改革推進会議で農業委員会の必置規制の廃止を検討すべきと言っていることです。これは大変な問題であります。現場の農業委員会の活動についての認識不足も甚だしい限りです。少なくとも喜入町では、町長を始めとする役場関係者や町議会でも、農業委員会がなくてもよいというような意見はありません。農業委員として、また一人の農業者としてもこのような考え方には断固反対であり、認めることはできません。
 衆議院の農林水産委員会の附帯決議において、農業委員会の必置規制の堅持が決定されたことは大変心強い限りですが、参議院においても必置規制の堅持について確固たる姿勢を貫いていただくようお願いいたします。
 農業者の公的な代表で組織する農業委員会は、地域の農業、農業者にとって欠かせない存在であります。その農業委員会がなくなるようなことになれば、地域の農地や農政は大変なことになります。国としてのしっかりとした対応をお願いしたいと思います。
 以上、現場の農業委員として、また農業者としての意見を述べさせていただきました。どうもありがとうございました。
○委員長(岩永浩美君) ありがとうございました。
 次に、種本参考人にお願いをいたします。種本参考人。
○参考人(種本博君) ただいま御紹介をいただきました全国改良普及職員協議会の種本でございます。全国一万人の普及職員の仲間を代表し、農林水産委員会で意見を述べる機会を与えていただきまして、どうもありがとうございます。
 私は、県へ入って三十四年になります。そのうち普及員、それから専門技術員として二十七年間普及事業に携わってまいりました。今回は、経営支援三法のうち農業改良助長法改正案に限定し、意見を述べさせていただきたいと思います。
 お手元のA3資料をごらんください。
 まず最初に、協同農業普及事業の意義と理念ということで、私どもの考える協同普及事業とは何なのか、普及事業とはどういうものなのかということにつきまして、冒頭に簡単にその見解を明らかにしたいというふうに思います。
 まず、意義でございますけれども、食料自給率が低下している状況の中で自給率を確保する、あるいは国土の保全、環境の保全等につきましては我が国農政の重要課題でありまして、全国で実施しないと効果が低い業務だと言うことができると思います。そういう面で、国と県で実施することによって効果が上がる、そういう事業であるというふうに私どもは考えております。そういう意味で、今後とも協同としての普及事業は是非とも必要というふうに考えております。
 また、普及員とは何なんだというようなことがよく聞かれるわけでございますけれども、一言で言えば、普及事業とは人づくりということが言えるかと思います。現場主義に徹して直接農業者に接した地域密着型が基本となっております。その性格は、技術実証等の科学的組立てという研究者的な側面と、それから農業者の自主性に働き掛ける、いわゆる考える農業者を育てるという教育的側面を併せ持っております。そういった面では、補助事業等を行います一般行政とは性格が異なるものでございます。
 そういった私どもの普及事業ではございますが、平成十四年、地方分権改革推進会議等からいろいろな指摘がなされているわけでございます。国から地方へといういわゆる地方分権の流れの中で、私どもの改良普及事業につきましては、特に弾力的な事業運営という観点から、普及員の必置規制あるいは普及員手当に関する規定の在り方、交付金の在り方、これらについて検討すべしというような指摘でございます。
 私たち改良普及職員協議会といたしましては、新たな時代に即応した普及事業を明らかにするということで、ここの下のところに出ておりますが、調査研究委員会というのを、平成十四年六月から十月の間に四回に分けまして学識経験者等を交えながら検討してまいりました。その内容がここに書いてあるようなものでございますが、特に地方分権で指摘がございました交付金については今後とも堅持すべしとの見解であります。普及指導水準の維持のために、必要経費として国は交付金というものを払うべきだというような考え方でございます。
 本県の実態によりますと、交付金の九二%までが私ども改良普及員の人件費等に充てられております。全国的にも九割以上が給料等になっているという状況から考えていきますと、交付金が削減されるということになってきますと、今、地方財政非常に厳しいという状況の中では普及員数そのものが削減されると、そういうおそれがございます。是非とも交付金制度の堅持について御配慮のほどお願いしたいと思います。
 そういった中で、今回の助長法の改正案が出されたわけでございます。大きくポイント的には三点に整理できるかと思います。一点目については、これからの普及事業の在り方を示したものだというふうに思いますし、また二点目、三点目については、地方分権の流れの中に対応したと、そういうようなことだというふうに理解しております。
 私ども、時間の関係もありますので、助長法の中身については割愛させていただきますが、右の方に改正案に対する意見ということでそれぞれのポイントごとに意見を述べさせていただきたいというふうに思います。
 今、普及現場で問題になっていることですが、本県の例を基に考えてみたいと思います。
 石川県には、天皇杯を取ったとかあるいは農林水産大臣賞を授与されたというような、例えばぶった農産とかあるいは六星生産組合など、全国に誇れる経営体が育ってきておりますが、このような経営体が今普及に求めているものは何だということで見たときに、一つは迅速な問題解決が求められているということでございます。また、高度で多様なニーズが非常に多くなってきているということでございます。
 先般、こちらの方にも行きまして、今、課題は何かということでお聞きしてきたわけでございますが、消費者に合った有機農産物等をそれぞれ違った角度で栽培したいというのが今彼らの共通したような意識であったように思います。そのように、それぞれ違いますけれども、かなりニーズとして高度なものを要求するようになってきているというのが実態でございます。
 また、石川県能登半島等の中山間地域等では、地域の合意形成作りというのが非常に重要になってきている。また、普及の内部におきましては、普及員数が非常に減少してきている。私どもが入りました昭和四十五年当時から見ましても約三分の二ぐらいに普及員の数が減っている。また、最近では、普及業務に専念できないといいますか、非常に仕事が幅が広がっている、そういうような実態もございます。
 そういった中におきまして、まず普及員と専門技術員の一元化の問題でございますが、普及員の必置規制はまず基本的には必要であるという前提の中で、今後普及員と専門技術員が一応一元化することによりまして、先ほど言っておりました迅速化、いわゆるスピードアップが必要である、そしてまたハイレベルな普及員が必要になってくる、そういうふうに思っております。そして、そのことにより、高度技術支援の強化ができるんではないかというふうに思っております。
 先ほどの六星生産組合の例でありますと、最近六十ヘクタールを超えた水田農地を栽培どうするかということで、いかに稲作の低コスト化を図るかということが課題になっておりますが、試験研究との連携の中で現在直播栽培に二年前から取り組み、その結果、現在約三分の一で直播栽培が定着するようになってきた、そういうことを見ましても、これから高度技術支援というのは非常に大きな柱になっていくというふうに思っております。
 また、最近、御承知のとおり、新たな米政策等が大きな俎上にあるわけでございますが、これらをやるために、昨年来、私ども改良普及員としましては、集落座談会ということで夜な夜な現地に出ましてその意義等について語り掛け、そして地域に合った形の水田農業の確立ということで推進をしてまいりました。
 その結果、普及の結果もありまして、集落営農というのが非常に最近増えてきているわけですけれども、更に今回の米政策の中ではもう一歩ステップアップする、いわゆる集落型の経営体へ持っていくということが必要になってくるわけでございますが、市町村であるとか、あるいは土地改良区の、農業委員会の皆さん方、そしてJAの皆さん巻き込んだそういう中でそれらをやっていく必要があるわけでございますが、私ども改良普及員としては、そのコーディネート役としてその機能がますます重要になってくるのではないかというふうに考えているところでございます。
 また、普及指導対象の重点化の問題でございますが、仕事が非常に拡散しているというようなことでございます、効率的、効果的な活動をするためにも今後とも必要であろうというふうに考えております。
 それから、二番目の普及センターの必置規制の問題でございます。
 この問題につきましては、法律上必置規制がなくなるというのは地方分権の流れの中ではやむを得ないというふうに考えるわけでございますが、今後とも、この趣旨に基づき、活動の拠点が明確になるよう十分な御指導をお願いしたいというふうに思っておるところでございます。
 そして、三点目の農業改良普及手当の上限規定の廃止の問題でございます。
 普及員と専技が一元化される過程で、法律上、上限規定がなくなることはやむを得ないというふうに考えるわけでございますが、新しい普及指導員は、高度専門家集団としての資質の確保、そしてまた、先ほど述べましたように、教育的、研究的側面を兼ね備えた性格から優秀な人材が求められておりまして、意欲的な人材を確保するためにも一定の普及手当の支給が不可欠と考えているところでございます。
 私ども、改良普及職員協議会の調査結果によりますと、大学卒業で受験資格ができる五年目の給料、これを行政職と研究職、そして教育職と比較してみますと、一三%程度行政職が低いという差が生じてきております。したがいまして、普及指導員の確保の必要性を踏まえて、普及指導員手当の目安とすべきと考えております。普及指導員手当の確保の必要性を踏まえて、国の適切な御指導と御配慮を切にお願いするところでございます。
 今回の助長法改正を契機といたしまして、農業者の高度で多様なニーズ並びに地域農業活性化への対応にこたえるため、これまで以上に頼りにされ、そして意欲的な農業者の周りには元気な普及員がいる、このような普及活動が推進できるよう、今後とも普及事業の根幹であります普及員手当については維持していただきたいというふうに思っております。
 普及事業に対する一層の御理解と御支援を賜ることをお願いしまして、終わりといたしたいと思います。どうもありがとうございました。
○委員長(岩永浩美君) ありがとうございました。
 次に、中園参考人にお願いをいたします。中園参考人。
○参考人(中園良行君) 御紹介をいただきました全国農業会議所において新規就農相談センターの所長をしております中園でございます。委員の先生方には日ごろから御支援、御指導をいただき、ありがとうございます。また、本日はこのような機会を与えていただきまして、御礼を申し上げます。
 私は、現在、今審議いただいております青年等就農促進法の一部を改正する法律案について、賛成という立場から意見を述べさせていただきます。
 まず、私ども新規就農相談センターの取組について簡単に御紹介をさせていただきます。
 私どもが新規就農相談に取り組み始めたのは今から十五年ほど前でございまして、昭和六十二年度からでございます。新規就農をしたいという方のために必要な農地等の情報を都道府県農業会議あるいは市町村農業委員会を通じまして集めさせていただいて提供するということと同時に、日常的な就農相談活動ということを事業としてスタートしております。
 当初、昭和六十二年当時でございますが、三百件ほどの相談件数であったわけですけれども、今現在は年間三千件、今、東京の虎ノ門の方に全国センターございますけれども、三千件の相談が寄せられておりまして、大幅に増えてきております。また、都道府県段階、四十七都道府県段階にも相談窓口ございますけれども、合わせますと年間一万四千件以上の就農相談を行っているところであります。
 この間、相談活動や情報提供というだけにとどまりませず、東京や大阪、あるいは地方の中核都市におきまして、都会のサラリーマンなどを対象に新規就農のセミナーとか移動の相談会とかということも行ってまいりまして、新規就農についてのPR、あるいは相談窓口の存在を広くアピールするというような取組も進めておるところでございます。
 また、私どものホームページ、開設してございますけれども、そのホームページには年間三十五万件ものアクセスがございまして、同時に、私どもの事務所に二名の常勤の相談員も配置して、このような需要に、相談に対応してきておるところでございます。
 以上のように、相談活動を通じまして新規就農者の夢を実現するお手伝いをしておるわけですけれども、それとともに、イベントや相談活動を通しまして、農業、農村に関心を寄せていただいている国民の皆さんに対しまして幅広く農業、農村の実態を理解していただくための役割も同時に果たさせていただいているのかなというふうに考えておるところであります。
 この十五年間の相談活動を通じまして、新規就農という視点で見た場合、大きく変わってきた点が四つほどあろうかというふうに考えてございます。
 第一点は、若者を中心にでございますけれども、農業に対するイメージが相談者の中で変わってきているなというのを感じます。
 具体的に申し上げますと、昭和六十二年当初は、農業をやりたいというふうに相談に来られる方は、どちらかというと夢とかロマン等を持っておられまして、何といいますか、個性のある方が多かったわけでございますけれども、最近では、農業にはビジネスチャンスがあると、そういうことを感じるとか、あるいは農業には定年がないんで魅力だとかと言う若者が増えておりまして、農業が職業の選択肢の一つとして確実なものになってきているんだということを実感しておるところでございます。このように、農業を職業としてとらえる意識というのは今後も強まるというふうに思ってございます。大変良い傾向だろうというふうに思っております。
 第二点目は、今回の法律改正の背景の一つでもあります農業法人等への就職という形態での新規就農、新規の農業就職というふうに申し上げた方がよいと思いますけれども、この農業への就職を希望する相談者が増えているということであります。
 有限会社や農事組合法人など、いわゆる農業法人を中心に有能な人材を求める動きが農業の業界でも出始めております。一方で、自ら農業技術を取得し、農地や機械、施設なども購入して農業を始めるということよりも、働きながら農業のノウハウが身に付けられるという新規就農希望者の希望も出始めております。農業への就職希望が増えているのは、このような就農希望者と受け入れる農業法人の双方の要望が相まっての動きであろうかというふうに考えております。
 一つ成功例を御紹介申し上げますと、鉢花などを生産している農業法人にレンタル業界で働いていた方が従業員として採用をされております。その従業員が周辺の温泉宿に鉢花をレンタルする事業をやったらどうかという提案を社長にいたしまして、現在ではその会社の事業の一つの柱となっているという事例もございます。雇用する農業法人にとっても、そういう多様な経験を持った新規就農の方を従業員として雇うということはメリットも大きいというふうに考えてございます。
 この農業への就農、就職希望に対しまして、私ども全国農業会議所では、ハローワークと同じように無料の職業紹介事業の認可を昨年五月に取得をいたしましたので、今後とも、有能な人材を求める農業法人等の農業経営と農業への就職を希望する新規就農希望者との仲立ちとしての仕事を進めてまいりたいというふうに考えている次第であります。
 第三点は、地方自治体の方でございますが、地方自治体を中心に新たに農業を始めたい人を受け入れたいという自治体が増えてきているということでございます。
 全国すべての市町村というわけにはまいりませんけれども、独自の農業研修の仕組みや独自の支援の措置を準備して積極的に受入れを進めている市町村あるいは地域が増えてきております。これも大変喜ばしいことですし、私どもでも受入れ意向を持っている市町村からの情報を毎年収集させていただきまして、相談活動、相談者に提供をしているところでございます。やはり、このことは農業、農村の現場でも新規就農への理解が進みつつあるということの現れだろうというふうに喜んでおるところでございます。
 第四点目は、新たに農業を始めたいという人と受け入れたいという地域とのミスマッチの問題でございます。
 この点につきましては、新規就農や農業への就職に結び付けるための農地あるいは農場あるいは求人の情報を、この具体的な情報をいかに提供できるかということに尽きるわけであります。
 また、新規就農を希望する方々に対して、農業というものを身をもって体感、体験してもらえる場を提供することも大事なことではないかというふうに考えております。新規就農を希望する方々のニーズも多様化をしております。そういう意味では、新規就農の前段階において農業の実態、厳しさも含めてきちんと体験、体感できるような場の確保ということと、農業現場での受入れのための受入れ情報の確保、この二つの方向からの条件整備と情報の収集が今後とも努力していかなければならない重要な課題だろうというふうに考えております。
 次に、就農促進法の改正内容に沿いまして意見を申し上げたいと思います。
 第一点は、就農支援資金の対象に新規就農者を受け入れる農業法人等を追加する措置についてでございます。
 農業を始めるということは経営者になる、社長になるということでございますが、すぐに独立就農ということは大変ハードルが高いことであります。
 私どもも、新規就農相談を受ける中で、その相談に来た方に対して申し上げますのは、金銭的な蓄えもなくて農業の経験も少なくて、比較的若い人に対しましては、まず農業法人に就職して自己資金を蓄えて、あるいは経営ノウハウを身に付けた上で独立したらどうですかという形でお勧めをしております。毎月、給与という形で収入を得ながら、仕事を通じて技術も身に付け、貯金をして自己資金も蓄えて、ある程度蓄えられた段階で、あるいは自信ができた段階で独立するというのが新規就農において失敗をしにくい方法だと私どもとしては考えているからであります。
 しかしながら、農業法人そのものの実態をお聞きしますと、他産業の大きな企業のように経営規模や体力が大きいわけではございませんし、基本的に一年一作という中で、就農者が経験不足によって例えば作物を枯らしてしまうとか、そういう収益低下のリスクも農業法人自身が抱えなければならないという農業の特殊性もございます。
 今回、農業法人等を就農支援資金の貸付対象とする措置は、新規就農希望者の農業への就職希望にこたえるとともに、農業法人の経営の確立、発展にとってもその課題を解決する一つの手法となるものだというふうに考えてございまして、賛成でございます。
 第二点は、都道府県青年農業者等育成センターにおける無料職業紹介事業の実施についてでございます。
 先ほど申し上げましたように、全国農業会議所では昨年の五月一日から無料職業紹介事業を実施をしてございます。現在、私どもの方で、求人票については、インターネット等を通じまして全国の農業法人から求人票を受け付けておりますが、その農業法人に紹介する求職者は東京近辺の方に限られておりまして、全国農業会議所に来訪いただいた方に対してあっせんをするというような形を取っております。
 なぜかと申し上げますと、電話だけでやり取りをさせていただいて農業法人を紹介するというのはいかにも自信がないというんですか、そういう意味では、ちゃんと会ってお話をさせていただいてその方を紹介するということが最善ではないかというふうに考えておるところであります。
 東京段階だけではなくて、都道府県段階におきましても農業への就職を希望する方も多いわけでございますけれども、現段階では東京段階の来訪者しか対応できないという実態にございます。
 今回の法改正によりまして都道府県段階での無料紹介職業事業の実施体制が整備されるということで、農業への就職を勧めるに当たって一層の効果も期待できると思っておるところでございます。
 都道府県段階では、現在、農地や農業法人等の情報を保有する都道府県農業会議と就農資金等の貸付けを行う青年農業者育成センターが役割分担をいたしまして、それぞれの特徴を生かしながら、都道府県段階での新規就農相談センターとして窓口を一元化して相談活動を行っておるところでございますが、この四月からは、その都道府県農業会議において順次職業紹介事業を行うための体制作りが進められておりますし、今回の法改正が成立した暁には、私どもとしても都道府県段階での農業への就職あっせんの取組をより強めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
 なお、新規就農・就業対策を進めるためには、現場段階での受入れの体制が大変重要でございます。それぞれの地区の農業委員さんや農協の役員さん、あるいは改良普及員さんが新規就農者の世話役なり後見人という形でサポートいただいている事例も数多くお聞きしております。新規就農者が地域に溶け込むためにも大変大事な役割を担っていただいているというふうに考えてございますし、今後も農業委員さんや改良普及員さんに期待するところが大きいというふうに考えております。
 以上、今回の経営支援三法の今国会での早期成立と、新規就農相談センターへの一層の御理解と御支援をお願い申し上げまして、意見とさせていただきます。どうもありがとうございました。
○委員長(岩永浩美君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○段本幸男君 自民党の段本でございます。
 四人の参考人の方々、それぞれの立場で今回の経営支援三法について御意見いただきまして、私どもに大変参考になりました。いろんな形でこれからの審議に生かしていきたいというふうに思っておりますが、今聞かせてもらった中で、それぞれの参考人に二、三問ずつちょっとお教え願いたい点があるんでお聞かせ願いたいと思うんですが、まず八木参考人に対して。
 農地流動化の問題なんですけれども、先生は御専門でいろいろずっとやられて、資料なんか読ませてもらうとやっておられるんですが、今までいろんな諸施策を講じてきた、あるいは農業委員会でもそういうものについて重点的にやってきたけれども、必ずしも十分流動化が進んできたというふうには言い難いような状況にある、思っていた以上になかなか土地を売ってくれないとかいろんなことがあるんだと思うんですが、その辺についてどう分析されて、これからどういうふうに持っていけばよいのか、その辺をお教え願いたいというふうに思います。
○参考人(八木宏典君) 当初予定されているよりは農地流動化は少ないという現状がございます。それぞれ農地の所有権というものがございまして、その所有権と、それからその利用、その関係について個々の農業者の方々の御判断があるということだと思います。現在、かなり全体の、農業者の全体的な平均年齢は高齢化してきておりますが、まだまだ十分働けるという方がいらっしゃるということがあるだろうと思います。そういったことも含めて、流動化がそれほど進んでいないということもあろうかと思います。農業委員会あるいは農水省にしても様々な施策を組んでまいりましたけれども、現実はそういうことだろうと思います。
 ただ、農地というものは個人の財産ということだけではなくて、その利用に当たっては様々な周辺地域との関係がございまして、その点から、より効率的な、あるいは合理的な農地の利用、こうしたことをひとつ基本理念として考えていく、こういう施策が必要ではないかというふうに考えております。
 農地は耕作者が耕作をするという、そのことについては異論はないわけですけれども、合理的、効率的な農地利用について、さらに社会的なコンセンサスを得られるような施策がこれからは必要ではないかというふうに考えております。
○段本幸男君 ありがとうございました。
 それからもう一点、八木参考人にお伺いしたいんですが、先生は、都市と農村の交流みたいなものがこれからの農村の活性化の一つのかぎだというのをたしか何かのレポートで書いておられるのをちょっと読ませていただきましたけれども、そういう都市と農村、私自身も非常に大事なことではないかと思うんですね。そういうようなものに対して農業委員会も積極的にかかわっていって地域の活力が出ればいい、こんなふうに思うんですが、今回、改正法では、業務が絞られている中で、業務の重点化が図られている中で、なかなかそういうものが取り組みにくくなっているんじゃないか、そういうことを懸念するんですが、先生のお考えを少しお聞かせ願いたいと思います。
○参考人(八木宏典君) 農地の利用、管理に係る側面に重点化するということは、逆に言いますと、いろいろ多面的な農地の利用ということも考えるわけですね。ですから、例えば市民農園とかあるいは棚田地域の保全に係る都市住民の参画といいますか、そうしたことも含めて、様々な創意工夫がある活動をむしろ農業委員会ができるようになるのではないかというふうに考えております。
○段本幸男君 ありがとうございました。
 次に、中釜参考人にお伺いしたいと思います。
 実は、この前、ここの隣におられる太田農業会議会長の御推薦で福島県の飯舘村というところに行ってきて、佐野ハツノさんという女性農業会長にお会いしてきました。同じ立場でおられて、今日の話を聞いていて、ああ、非常に御苦労なさっているところとかいい点とかいろいろ感じるところありました。そのハツノさんがおっしゃっていたのが、最初はどうしても周りにやっかみがあって、女だてらにとかでいろんなのあったけれども、自分が動いている中でやっぱりいろんな活動が女性にも励みになって、今ごろは村でも非常に動くようになってきて、やっぱり女性が活動することっていい面が出ているなというのを自分自身もやっと分かってきたとおっしゃったんですね。恐らくそういう状況ではないかと思うんですね。
 ただ、おっしゃった中では、やっぱり選挙委員を本当は出せればいいんだけれども、なかなか難しくて、やっぱり増やしたいんだけれどもジレンマがあるんだとおっしゃった。その辺を、先ほどもちょっと触れられていたと思うんですが、もう少し詳しく御意見をお聞かせ願いたいと思います。
○参考人(中釜靖子君) 本当に女性農業委員が増えてきたことで非常に委員会とか地域の意識も認識も変わってきましたので、まだまだ増やしたいんですけれども、なかなか公選での委員というのは、小さな集落に行けば行くほど、やっぱり今までの成り行きからなかなか女性もまだ、出ようという意識の中で、女性参画の必要性は分かっていてもやっぱり遠慮がちになって出にくいというようなことがありますので、先ほどもちょっと触れましたけれども、議会推薦枠の中ででもできるだけ女性を一人でも多く委員に登用していただけたら有り難いなというような思いで思っております。
○段本幸男君 ありがとうございます。是非、我々も意識しながら積極的に支援していきたい。
 特に、感じておられると思いますけれども、これだけ食の安全、安心とか問題になって、消費者サイド、特に消費者は子供なんかおる、命の問題になると女性が出てくるケースが多いですね。農村側からいつも男性だけ出ていくよりも女性の方が感性的に合うとか、そういう部分も多いんだろうと思うんですね。
 もう一つ、中釜参考人にお伺いしたいんですけれども、市町村合併のことを少し心配されておられました。確かに市町村合併すると大きい区域になりますから、目の届きにくい、行政自身も届きにくくなる。それから、農業委員会は、仮に同じ形で合併すれば、目の届かない、要するに分からないところを、例えば農地転用の審査であるとかということをやっていかなきゃならなくなる。そういう点、大変心配されているんだろうと思いますが、そこで、地域活力を保つためどうすればいいんだろうかというような、その辺の中釜参考人としてのお考えがあれば、突っ込んでお聞かせ願いたいと思います。
○参考人(中釜靖子君) 先ほど触れましたけれども、大きく合併しまして、今度鹿児島市に入りますときに、五名という数字を言いましたけれども、これは鹿児島市の次の農業委員の任期までの特例の中で五名はいけますけれども、次からの、その次からの農業委員選挙の在り方というのが非常に問題になってきます。
 だから、その選挙の在り方を、鹿児島一区でするんじゃなくて、やっぱり今回合併する市町村を地区割り的な選出の仕方という方向も何か考えられるのであれば、その地域の農地というのもしっかり、人数は減ってきましてもやる気のある農業委員さんが頑張っていただければできるんじゃないかなと思っていますので、その公選の選挙の在り方というのも地区割り的なものを考えていただければ有り難いなと思いますし、どうしても、先ほども触れました、農業委員さんというのは、地域の農家、農地の地主さんたちとの関係で、顔見知りでないと流動化も非常に難しい部分がありますので、そういう選挙の在り方、そして、もし数が少なくなっていくんであれば協力員的な配置の仕方というところも考えていただければ非常に有り難いと思っております。
○段本幸男君 ありがとうございました。また、農業会議の会長さんもおられるから、恐らく参考になったんではないかというふうに思っております。
 次に、種本参考人にお伺いしたいと思うんですが、種本さんがおっしゃっているように、今、これだけIT化が進んだりする社会の中で、スピードというか、私もこの前、広島へ行って現地で聞いていると、普及とか農業委員会組織に求められているのは機動力だ。もう世の中の回転が速い分だけきちんとやらにゃいかぬけれども、なかなか普及、ややもすると、きちっとした技術をやらにゃいかぬからというそういう体質的なものもあって、正確を期する余り、ややもすると遅くて、農家からせっかく持っていっていても評価されてない面もあるんだというようなことをおっしゃったと思うんですね。
 そういうスピードが大切なこと、もう何よりも分かるんですけれども、しかし片っ方では、おっしゃっているように、専門家というんですかね、非常に、今までは薄く広くたくさんに伝えるかというようなことが目的だったと思うんですが、今はみんながそれぞれ専業化しちゃったものですから、非常に深く農家が知識を求める。そういう深い技術とスピードとがなかなか合いにくいんじゃないかというふうな感じがしているんですけれども、その辺について、どうすればその二つをカバーできるのか、お考えがあればお聞かせ願いたいと思います。
○参考人(種本博君) ただいまのスピード感と専門技術のところをどうするのかというような御質問だと思いますけれども、私は、スピードをまず上げるためには、今回の、専門技術員と従来おりました普及員が一体して、そして自らが調査研究と、一緒になって調査研究もやり、即それを現場に普及するという、こういう形になればその辺はある程度はできるんではないかなというふうに思いますし、もう少し、例えば研究が直接現場にも出ていただく、そういうようなことも今回の普及制度の中ではできるようになってくるだろうというふうに思っておりまして、そんなような中から、すぐできるかどうかは別としまして、徐々にそういう格好になっていくんじゃないかなというふうに思っております。
○段本幸男君 ありがとうございました。
 私も全くそんな感じがするんですね。普及というのは、現場へ出たときもおっしゃったのは、やっぱり技術者なんだからもう現場主義でやっている、誇りを持ってやっぱりやるような環境作りが非常に大切なんだとおっしゃった。その面では研究職と普及の現場とがもういかに連携、緊密、あるいは人も時々時々行き来していくようなシステムが必要じゃないかなと思うんですね。是非またそういう面で御尽力いただきたいと思います。
 もう一つ種本参考人にお伺いしたいんですが、これからはもうそうやって専門化していくと、ただ単に普及だけがやるんではなくて、民の力というんですかね、例えば水耕栽培なんかで、この前の委員会でも質問させていただいたんですけれども、民間の力をもっとかりていけばいい。種屋さんとかいろんなところで随分持っておられるんですね。その連携システムなんかについて、現場の第一線におられるところで感じておられるところをお聞かせ願いたいと思います。
○参考人(種本博君) 実態としても、民間と一緒に現場で、現地で組み立てる研究といいますか、普及の方法というのはたくさんやっております。
 そういう中で、民間だけでやりますと、どちらかといいますと、その地域の実態といいますか、気象も違いますし、その土地条件も違う。ましてや、経営の総合的に分かるかどうかというところがよく分からないんですね。そういうところに普及が入って、そして民間との役割と連携というものを取ってやることによって、初めてそこに現場で定着していく、そのように思っておりますので、今後ともどんどん新しい技術は、民間は入っていただけばいいというふうに思っておりますけれども、ただ、入ったときに、普及との連携というのはより一層大事になってくるんではないか、そのように考えております。
○段本幸男君 大変おっしゃるように難しい点、ただ一社のお先棒になってはいかぬし、まあ、いろいろ難しい点あるのだろうと思いますけれども、是非頑張ってやっていただきたいと思います。
 それから、中園参考人の方にお伺いしたいんですが、就農支援というのは、今回もいろんな形でやりましたけれども、しかし、最後は一番投資ででかい土地取得の支援という、そこのところに手届かなければ、小手先のちょろちょろしたのをやったってなかなか最後まで定着しないんじゃないかと思うんですが、その辺の組合せの支援というものについてどのようにお考えか、お聞かせ願いたいと思います。
○参考人(中園良行君) 新規就農、先生お話がございましたように、農業においては農地の確保というのは大変もう大きい課題の一つでございます。
 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、やっぱり受入れの現場で、農地情報なり、あるいはそこで体験できる、研修できる場というのをきちんとやっぱり体系的に準備をしておく必要があろうかというふうに考えてございます。私、今思いますのは、全市町村一律というわけにまいりませんので、市町村で、そういう受入れの意向ある市町村をモデル的に、先ほども申し上げましたような農地情報あるいは農場の情報を整備できるような仕組みが作り上げられれば進むんではないかというふうに思っております。
○段本幸男君 それから、もう一問だけ中園参考人にお伺いしたいんですが、今回の改正で法人に就農しようかという人に対しても支援出るようになりました。
 実は、この前、現地出て伺ったら、どうも就農しようかという人には大体二通り、まあどの世界でもそういうふうなのかもしれませんが、二通りあると言っていました。一人は、要は雇われてやった方がうまくいく、要するに、自分はトップに立つよりも、言われたことをきちっとしてやって、それがやっぱり農業、地域農業に、非常に自分の生き方と合っている、そういう人間と、いや、もうそんな、人に使われるのは嫌です、自分が考えてどんどんやっていくタイプと、二通りある。そこのところをうまく使っていかないと成功しないんじゃないかというふうなことをおっしゃっていました。
 今回、正に自分でやるタイプも支援する、法人の人も支援する、形上はなった。しかし、自分の選択でたまたま法人に行っている、いや、たまたま自分は親がやっていたからそのままだという人と、適性が分からぬまま自分で判断されているのを、今度は外から見ていろんな指導をしながらやっていく必要があるんではないかと思いますが、現場におられてその辺をどういうふうにやっておられるのか、ちょっとお教え願いたいと思います。
○参考人(中園良行君) 先生御指摘のとおりでございまして、まさしく二通りの方がおられますし、相談の内容も大きく分ければおっしゃるような二つに分かれてまいります。新規就農をして、農業法人へ就職して大体五、六年が一つのめどだろうと思いますけれども、のれん分けをする、あるいは分社化をする、あるいは自分で法人の信用をバックに自立するという方もおられますし、就職してそのまま法人の今度は一つの役員になっていくという方もおられます。
 やっぱり、相談対応の中でその辺をじっくりお話をしながら対応させていただいているというのが今の実態でございます。
○段本幸男君 ありがとうございました。もう時間ですので。
 自民党では、今回、普及の方はセンターの必置規制取れましたけれども、普及組織そのものにしても、あるいは農業委員会組織にしても、やっぱりこれはもう是が非も必要で、それぞれ汗をかいて一番頑張っている先端にそういう方たちがおられる、そんな意識でもっておりますので、我々も頑張りたいと思いますが、是非皆さん方も最先端の現地で頑張ってやっていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
○羽田雄一郎君 民主党・新緑風会の羽田雄一郎でございます。
 本日は、いわゆる経営支援三法という形で参考人として四人の方に来ていただき、忌憚のない御意見をお伺いできたこと、また議論を深めるためにも現場の声を聞かせていただきましたこと、心から感謝を申し上げながら、数点についてお聞かせを願いたいなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 まず最初に、地方分権の推進ということが国を中心に言われておりますし、また我々も地域主権の国家をこれからは目指すんだというようなことを言っております。これには、やはり地域で決めたこと、地域の皆さんが決めたことがしっかりと実現できる、それには財政基盤が必要なわけですけれども、そういう意味では、今の三位一体の改革という中で、交付金は減らされる、また補助金は減らされる、そして一般財源化されていって、実際、地方に下りたときには微々たるものになって、実際これが守られていくのかという不安なんかもあると思うんですね。
 そういう率直な御意見、今の現場の皆さんの声というものをまた詳しくお聞かせをいただきたいと思いますので、まず最初に八木参考人から、地方分権の推進ということでお話がありました、そのことについてお答えをいただき、また、中釜参考人、そして種本参考人には現場の声というのを是非お聞かせをいただきたいと思います。
○参考人(八木宏典君) 今回の農業委員会法それから農業改良助長法の一部改正に関する論点は、それぞれ、都道府県あるいは市町村の裁量の範囲を拡大しようという、こういうこともございます。財政的な点につきましては交付金をどうするかという議論はございますけれども、今回は、より重点化する、あるいは効率化する、そうした組織を考えながら全体のスリム化を図るという、こういうことでございまして、それに対応する財政的な措置というのは当分は必要ではないかというふうに考えております。
 ただ、全体の地方分権の流れの中で、全体の流れの中でどうこれからしていくのかという点については、その後十分に検討する必要があろうかとは思います。
 以上です。
○参考人(中釜靖子君) 非常に難しい問題で、私の、現場の農業委員としては余り詳しく答弁できないと思いますけれども、先ほども言いましたように、農業委員会が必置の必要性がないんじゃないかという議論されているということだけは非常に私たちは危惧していますので、そういうところのないように、どうしてもこれからの農政、農業を守るためには、そこだけはしっかりしていただきたいということをお願いしておきます。
○参考人(種本博君) 現場の声といたしましては、交付金がなくなるというのは一番心配の一つでございます。
 ただ、先ほど申し上げましたように、今地方分権という大きな流れがございます。そういう中で、ただ協同事業として、最低、国としても必要だという、そういう食料なり、あるいは農地なり環境の問題、そういうものをやるときには、やはり全国的にやらないと効果が上がらないものがたくさんあると思います。そういう部分については、やはり交付金という形の中でしっかりとやっていただきたいというふうに思っております。
○羽田雄一郎君 ありがとうございます。
 やはり必要性というものを強く感じておりますし、やはり国の役割としてしっかりと守っていく必要があるなという現場の確認ができましたので、我々もしっかりとそのことを主張していきたいなと思っております。
 八木参考人からは、ずっと世界との、農業の、日本とのですね、研究をされてきておりまして、これから我が日本の農業、守っていくだけではなくて世界に打って出ていかなければならないという意味では、勝つためにこれから日本の農業をどうしていったらいいのかというお知恵を拝借したいなと思いますので、是非お聞かせをいただきたいと思います。
○参考人(八木宏典君) アメリカあるいはヨーロッパの各国の、私、農業経営が専門なものですから、それぞれ農業経営の実情を見てまいりますと、例えばアメリカの場合ですと、これ、レートとか物価の関係がありますので絶対的な基準というわけにはいかないと思いますが、日本円に換算いたしまして大体三千万円ぐらいの売上げのある農場、これがいわゆる日本でいう専業的な農場として存立していますし、それからアメリカでも農場の平均的な売上額というのは大体一千万から一千五百万円ぐらいです。それから、ヨーロッパにしても、大体一千万前後なんですね。
 ただし、日本の場合ですと、この金額は相当もう農家平均でいいますと下がります。しかし、現在、例えば売上額が一千万、二千万を超えている農業経営、我が国にもたくさんございます。私どもがちょっと仕事の関係で計算したものでございますけれども、農林水産省の統計資料を使いまして認定農業者の経営の分析をいたしましたが、平均の売上額が二千万円ぐらい、それから所得にして六百二十万円ぐらいという数字が出てまいります。
 このくらいの数字で十分かどうかって分かりませんけれども、若い、若手の農業を選択したいという方々がこうした数字を見て、将来自分も頑張りたいというふうなことになっていただけることを期待しておりますし、さらに、いろいろな創意工夫をしまして、日本の農産物は大変質が高い、価格的には非常に弱い点がございます、それからレートの関係もございますし、様々な国内の事情もございますけれども、ありますが、非常に質が高い。例えば果物、それから昨年、一昨年からはお米も輸出をされておりますけれども、それから花ですね、そうしたたぐいに関しては非常に質の高いいいものが生産されております。
 そういう意味で、農林水産省も昨年から対策室を作りまして農産物の輸出拡大というものに取り組んでおりますけれども、将来、アジアの国でもかなり経済成長に基づいて、高所得者層に一部限定されると思いますが、日本の農産物を購入したいということはあるかもしれません。そういうことを目指して、国内の構造改革を進めることが必要であると考えております。
○羽田雄一郎君 私も、今、日本の農業をしっかりと自給率を上げていくということも大切でありますし、中国の方からいろんな安い野菜やなんか入ってきておりますけれども、今、中国では砂漠化が進んで、あの巨大中国の人口の皆さんが飢餓や飢えに苦しむ可能性が叫ばれている中で、日本というのはこれからどんどん打って出るチャンスがあると思いますし、先日もテレビを拝見していたら、リンゴなんかが中国で高いにもかかわらず売れていくというような話を見させていただいて、やはり品質の向上とか、しっかりとした安全、安心基準というものを守っていくことによって日本の農業もまだまだ戦えるなと。そして、発展していく、そしてやはりビジネスチャンスにつながっていく、そして若い人たちが就農しようという意欲がこれによって出てくると思っておりまして、そういう意味では、地域、現場で普及員の皆さんやまた農業委員会の皆さん頑張っていただいて、そのところを守っていただきたいなという期待をしているところであります。
 今日は女性として代表で来ていただいて、まだまだ農業委員会、女性の割合が少ないと。しかし、やはり今の日本の農業を守っていただいている六割以上が女性であるという中で、もっともっと声を出して、アイデアを発出していただきたいと思っております。
 女性としての役割と、鹿児島県女性農業委員会というのを作られて行っているということで、その活動内容などを教えていただければと思います。
○参考人(中釜靖子君) 鹿児島県は、平成八年に女性団体、いろんな各種団体が一緒に連絡協議会を作りまして、女性の農業委員登用というのを関係機関にお願いして呼び掛けをした時期があります。それがきっかけで、平成九年に改選のときに非常に農業委員が一気に増えまして、女性というのは、自分たちがその役割を担うと、どうしても、じゃ勉強していかないとというのがまずありまして、すぐそういう勉強する会として結成されました。そして、全体で集まるのは年に一回ですけれども、今度はそれを下に下ろして、各地域でまた月に一回ずつ会議、勉強会している地区もあれば、二か月に一回とか、全体、県全体では年一回集まりまして、いろんな講師の先生呼んだり、農地法について勉強したりというのをしていますけれども、地域地域で、そのやっぱり農業も地域の特性もありますので、地域地域で勉強した方がいいだろうということで、月一回ずつ、月二回、二か月に一回とか、いろいろその形態は違いますけれども、そういう形で女性が集まって勉強会をしているというのが今の現状でございます。
○羽田雄一郎君 ありがとうございます。
 是非、日本の農業を守っていただいている女性の皆さんにはもっともっと元気よく活動をしていただきたいなと思っておりますので、御期待を申し上げさせていただきたいと思います。
○参考人(中釜靖子君) ありがとうございます。
○羽田雄一郎君 もう一つ、中釜参考人にお聞かせ願いたいと思っておりますのは、やはりニーズが多様化している、そういう中で、今回の改正の中で、農業・農村振興計画の樹立、実施推進というのが、これが削除されているということでありまして、ニーズが高まっているのに、そこで事業を集中化させるためにそういうことがなくなっていくという不安というか、これからそこのところで変わっていきそうだというようなことを感じることはございますか。
○参考人(中釜靖子君) 済みません、もう少し具体的に質問を。済みません、ちょっと理解し難い……。
○羽田雄一郎君 今、食の安全、安心とか、そういうものが望まれて、また遊休農地のいろいろな形での使い方の多様化なんかも考えられると。私は実は保育士の資格を持っていまして、農業体験学習、今、小中学校でも保育園や幼稚園でも農業の体験というものをすごく大切に感じているんですね。命の大切さ、物の大切さ。今、お金を出せば買える、そして飽食の時代の中で捨てていくと。高校生になってしまうと、コンビニエンスストアなんかは時間になると捨てなくちゃいけない、これはもう規則ですからしようがないわけですけれども、その前段階でしっかりと物の大切さや命の大切さ、これだけ農業をやっている人たちが苦労しているものを捨てる、そのときに、もったいないな、ああというふうに思うか、当たり前のように捨てるかというのは大きな違いがあると思うんですよね。
 そういう意味では、農業体験学習というのを僕は推進していまして、大臣が替わるごとに実は農業体験学習の必要性、どれぐらい今広がっているのかというようなことを言っておりまして、そのやはり遊休農地等しっかりと使っていく段階で農業委員会というのはすごい役割を担っていると思いますし、新聞なんか読むと、農業委員会が率先して農業体験学習の指導をしているというような話が聞かれるわけですけれども、そういうのをカットしていくんじゃないかというような危惧が実は僕はしていまして、そういうことは国の方として、やらなくていいよと、農業委員会には、というようなニュアンスがここに隠されているんじゃないかというような危惧をしておりまして、お聞きをさせていただいたと。
○参考人(中釜靖子君) 分かりました。
 私も体験の学習というのを非常に大事だと思っていますし、今までの組織活動の中でもいろんな、地域の人たちと子供たちの体験、田植えを一緒にしたりとか、そういう活動もしてきました。
 そして、今回、農業委員の私が会長になるという時期に、私は、もし会長に私がなるんであれば、一つの目標というのを、こういうことを私はやりたいというのを掲げました。それが何かというと、食育、食の体験学習を兼ねた食育教育をするために、まず我々農業委員会として、荒れ地の解消をするために、一つの策として子供たちに体験農業をさせまして、そして、その体験の農業の指導、教えてくれる先生は地域の元気な高齢者を先生にして、そしてその荒れ地の解消を図っていこうやという動きというのも考えて、その提案もみんな委員会、委員の皆さんにもしてきました。そして、行政の方にもしてきましたけれども、何しろ今、それがまだ、市町村合併で新規事業をストップという形の中では取組がなされてないんですけれども、提案は今しているところでありますし、これからもしていくべきだと思っています。
 で、農地をどう守っていくかというのと、やっぱり一方では食農教育、体験の教育というのは非常に今言われていますので、そういう部分はいろんな形で織り込めていけると私は思っていますし、それをまた削っていくようであれば、本当に農業というのもおかしくなりますし、子供たちの食育教育、そういうのもおかしくなっていくと思いますので、それは絶対にまた削除されるようなことがあっても困りますし、それはちゃんと織り込める方向を考えていって、もしそれがそうなるようであれば、逆に先生方に私の方から織り込んでいくようにお願いもしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○羽田雄一郎君 ありがとうございます。
 私もやはりこのことは本当に大切なことだと思っておりますし、もう今子供たちは、飽食の時代で、もう捨てるのは当たり前で、嫌いなものは食べないし、高校生になれば先ほど言ったように時間になったら捨てる、これはまあ規則ですからしようがないわけですけれども、その前段階で農家の方たちがこれだけ苦労して丹精込めて作ったものを大切に思う心というものをしっかりと育てていく必要があると思っておりますので、是非お力を賜りたいと思っております。
 これからも、私は、農水大臣替わるごとにこの大切さというのを訴えて、そして国から指導して広めていくような活動に広げていくということをお約束をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 中園参考人には、なかなか、お聞きする前に時間が来そうなんですけれども、先ほど、都道府県、一万四千件以上、都道府県を含めると一万四千件以上もう既にあるという話がございます。そういう中で、今回広がって都道府県でも無料でそういう相談ができるという中で、IT化というのがやはり求められていく。全国どこでもパソコンで引き出して情報が得られるということを考えていかなくちゃいけないと思うわけですけれども、ホームページでも三十五万件のアクセスがあると。そこに二名の方が担当しているということでは、ホームページ見るだけだったらいいですけれども、それにこたえていくという作業になってくるとなかなか厳しい状況なのかなと思っておりますが、そこのところで、IT化等も含めて、今どういうことを考えていらっしゃるのかをお答えいただければと思っています。
○参考人(中園良行君) まさしく、大体お一人の相談来られますと、二時間はもう最低掛けてやらせていただいて、むしろ予約を取らせていただいてやらせていただいておる状況でございます。
 御指摘のとおり、ITにつきましても、ハローワークの求人情報を見ましても、IT化されて、すぐ見れるようになっておりますので、ああいうものを参考に私どもも情報のIT化を進めてまいりたいというふうに考えております。
○羽田雄一郎君 ありがとうございます。
 時間になりましたので、これで終わります。
○千葉国男君 公明党の千葉国男でございます。
 本日は、経営三法の改正に当たりまして、参考人の方々には御多忙の中御出席を賜り、大変にありがとうございます。
 八木参考人にお伺いをしたいと思います。
 先生は農業経営の研究者として永年取り組まれておりますが、まず担い手等の農地の集積化につきましてそれなりに準備が必要である、こう思っております。今もちょっとお話が出ましたけれども、IT化とか情報化あるいはコミュニケーション、こういうことが非常に大事でありますが、まず第一として農地のデータベース化、それから地図、いわゆるマップのデータ化、そういうものがちゃんとでき上がって、この土地はだれそれさんのもので、それがどういうふうに経歴が変わってきているかと、それで次の段階で出し手と受け手の方々がいて、それでそこへ仲人役といいますか、そういう方々が農業委員会として現れて相談会が持たれると。こういう形になって初めて担い手に対して農地の集積が可能になってくる、こういうふうに考えておりますが、先生の御意見等をお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(八木宏典君) 各農業委員会では土地台帳みたいなものをお持ちで、それぞれ農地について把握をしていると思いますが、ただ相続等で農地が、特に不在村といいますか、の地権者に渡っている分について十分なフォローができておるかどうかということについてはこれからの課題ではないかと思います。
 農業委員会、市町村単位では農地のマッピングといいますか、それぞれ一筆ごと、きちっとGIS等を使いまして把握をして、それを基にそれぞれ農地の所有者の事情をよく把握して、それを農地の流動化に生かしている地域もたくさんございます。
 現在、基本計画の見直しの作業中でございますけれども、その議論の中にも農地の流動化の課題がございまして、将来的に、先ほど来話がありましたようなITの活用による農地一筆をそれぞれきちんと把握して、そのあっせんに生かしていくという、こういう活動をより強化する必要があるというふうに考えております。
○千葉国男君 中釜参考人にお伺いをしたいと思います。
 今回の改正では農業委員会の業務を農地・経営対策に重点化することになっております。農地対策では担い手への利用集積はもとより、近年増加しております遊休農地、耕作放棄地への対策が重要と考えております。
 現地におきまして優良農地を守るために農地パトロールなどの活動をしておられると聞きましたが、このような対策に当たりまして、現場で問題点などについてどのように対応されているのか、教えていただきたいと思います。
○参考人(中釜靖子君) 農地パトロールについては、先ほどどういう形でしているかというのは御報告いたしましたけれども、今回のパトロールの報告というか、それについて少し話しますけれども、パトロールして回った後で、農地に可能だ、再生できる可能性のあるところに、すべて地主さんに文書でまず農地にしてくださいという形で、文書でお手紙を出しました。
 それに、返ってきた答えが、大部分の方はそうだよねという形で、もうすぐ耕うんしましたとか、いろんな答えが返ってきましたけれども、たまに農地の地権者が県外とかにいらっしゃる方がいて、今までは身内が耕作していたけれども、もう高齢になっただの亡くなったで作り手なくなったという農地があって、その人たちからの県外からのお電話がありました、どうしたらいいのかという形で。そういうところは、今度はその地域の農業委員さんにお願いして、その隣を作っている農家さんへの相談とかいう形で、それもやっぱりその地域割の農業委員さんが出向いていって、その隣の方に耕作をお願いしたりして、農地を守るためにという形で地主さんからのあっせんの形でそういう形を取りました。
 中にはまた、自分の土地を、逆に自分の土地を何で、どうしておってもいいんじゃないかというような農業委員会への苦情も来ました。しかし、それに対しても、やっぱり知らない人が答えるのでは反感があるんです。それもやっぱり地元の農業委員さんに言って、相談に行ってもらうと納得してもらえて、やっぱり自分でできないんであれば、こういうあっせんの中で耕作してもらうような方向も取っていいですかって了解もらいながら取り組んでいるような形ですので、いろんな問題は少しずつは出てきますけれども、できるだけそういう形で農業委員会、地元の農業委員さんが、そういうときがやっぱり地元で農業委員さんがいないと、本当に顔の見える方だったら安心してそういう貸借の関係も快く結んでもらえますので、大事かなということを感じました。
○千葉国男君 現地では女性の農業委員が増え、また中釜さん御自身も農業委員会の会長として御活躍されているんですが、私たちもこの委員会の質疑の中で、これから農業委員にもっとたくさん女性の方々を登用されるように意見を述べさせていただいたところでありますが、その中の一つの委員の、地域の世話役活動としていろんな活動が考えられるんですが、私としていつも気にしているのは、農家の嫁不足に対して、例えば中釜会長等の委員会ではどのような対策を考えて活動を行っているのか、教えていただければと思うんですが。
○参考人(中釜靖子君) 私が議会推薦で最初農業委員になったときの認定農業者と語る会を開いたとき、認定農業者からの私たちや委員に対する要望の中で嫁問題を考えてくれというのが出てきました。そのときに、私は、その認定農業者が、今、喜入町では二十二名ですかね、いますけれども、その認定農業者の方に逆にまず私から質問させてくださいって言いました。そして、家庭持ちの認定農業者の方も独身の方もいましたので、今、家庭持っている認定農業者の皆さん方の中で家族協定を何人組んでいますかって逆に質問しました。一人もいませんでした。それで、あなた方が職業が農業という、職業で女性がすべて結婚を嫌と言うんじゃないと思いますよ、あなた方がやっぱり結婚したら家族協定でもして、女性の地位、立場、そういうのもはっきり認めていきますよというような家族協定でも組む意識がないとそれはできないんじゃないんですかって。若い認定農業者のためには今の結婚されている認定農業者の方々がそういうのを率先して組んでいただければ、私たちも嫁の問題も少しでも、嫁に行ってもこういうんですよという、嫁問題も、嫁さんも紹介できるんじゃないですかという提案しました。
 そして、その後は、農業委員会でやっぱり家族協定のことが余り委員さん方も分かっていませんでしたので、自分たち女性がまず取り組もうという形で取り組んで、今四戸の、先ほど報告しましたように四戸の認定農業者の方の中で家族協定を結んでいただきました。そして、私が農業委員になってから一人青年が結婚して、それも協定も結んでいただきましたけれども、その嫁は私の娘です。
 というのは、私は押し付けはしませんでしたけれども、やっぱりそういう形で農業というものを本当に分かってもらう、地域の方たちに分かってもらうためにも、役場の課長さんに、うちにも娘がいるから、あの青年たちがいいと言うか、気に入るか分からないけれども、会って、お互い会って、あんたなんかが、私がするわけいかぬから、役場の課長さんにあんたなんかが段取ってみたらどうですかっていう話をしまして、そういう方で本当に農家でいいのかという、課長さんでさえそういう意識の方がいましたけれども、私はそういう職業をどうも思わないという形で、娘も言っていますし、日ごろ言っている娘でしたので、そういう形でして、そして今、専業農家の認定農業者で家族協定もしっかり結ばせて、今、農業に頑張っている一人でございます。
○千葉国男君 ありがとうございます。
 種本参考人にお伺いをいたします。
 私は、先般、宮城県の古川農業試験場で技術開発には現場の感覚も大事であるとのお話を伺ってまいりました。専門分化している試験研究機関の技術を産地間競争力の必要な担い手や条件不利地域の小規模な農業など多様な条件を持つ農業現場に伝えていくために、こうした農業現場の多様なニーズを試験場に伝えていくために、日ごろ石川県における普及事業の担当者として様々な苦労をされてきたと思いますが、現場の実例も交えて教えていただけたらと思います。
○参考人(種本博君) それではお答えいたします。
 試験研究が現場のニーズを把握する、そしてまた試験研究で開発したものを現場に普及するというときのシステムのような形でございますけれども、石川県の場合ですと、石川県の試験場が出前講座みたいなのをまず一つ持っています。
 いわゆる専門技術員それから普及センターが間に入りまして、試験研究で開発したものをメニュー化してあるわけですね。それを、各現場で何をやりたいかというのを先にニーズを取ります。そして、実際にそのニーズがあったところに直接研究者が出向いて、そして普及するという、いわゆるそれが移動農業試験場という名前でやっておりますけれども、昨年の場合ですと、二十回、合計千二百名ぐらいの参加をいただいてやっておりまして、昨年の場合、特に石川県で開発しました稲の品種でゆめみづほというのがありますけれども、そういう関心が非常に高いということで、直接現場の生の声を聞けるということもございまして、非常に良かったということがあります。その結果、今年約二・五倍ぐらいに面積が拡大して、農家も安心して作れるようになった、これが一つは成果の普及の部分でございます。
 もう一つは、現場のニーズをどう研究の中に取り組むかという部分があると思いますけれども、そのためには、一つは、普及センターあるいは専門技術員を通じましてそれぞれの市町村なりあるいは農協なり農家の皆さん方の課題を吸い上げる、そういう仕組みが、持っておりまして、それを場合によっては試験研究の課題化する。これは既にどこかの県でやっているという部分については、やっているよという形でそれをまた返すという、そういうような中で、普及員と専門技術員、そしてまた試験研究が連携を取りながらやっていくというシステムができておりまして、それが非常にいい格好に動いているなというふうに思っております。
○千葉国男君 中園参考人にお伺いをいたします。
 先ほど、全国新規就農相談センターは昭和六十二年から就職相談活動を行って十六年たったと、当時から比べると今の新規就農のそういう青年たちの意向も随分変わってきたと、こういう御報告がありましたけれども、特にこの点が大きく違ってきたなということがありましたら教えていただきたいと思います。
○参考人(中園良行君) 御指摘のとおりでございまして、最近はもう積極的に農業をとらえている相談の方が以前と比べますと増えてきております。恐らく、先ほど申し上げましたように、地方の自治体でも就農支援というようなものが具体化してきておりますので、そういう全体の流れを踏まえたものだというふうに思っております。大体、産業としての経営をやりたいというか、農業法人に就職したいという方が七割ぐらいおられまして、大変いい傾向だろうというふうに思っております。
○千葉国男君 その中で、他産業からの新規就農を定着させるためには、就農前のサポートはもちろんのことといたしまして、就農後の地域におけるサポートも大変重要なことだと思っております。
 地域における関係団体の連携体制の在り方についてはどういうふうにお考えになっているんでしょうか。
○参考人(中園良行君) 受入れ現場においてどういう受入れ体制を仕組むかというのは大変重要なことだというふうに思っております。新規就農となると、ともすれば孤立しがちな部分がございます。また、経営的にも不安定な部分でございますので、地域の関係機関のサポート体制だという、大変重要だというふうに思っております。
 私どもが承知しております事例によりますと、何か市町村が中心になりまして、農業委員会あるいは普及センターさん、農協さん、協議会的な受入れの組織を作って、新規就農をしたいという方に対して就農前の研修だとか資金の融資あるいは農地の取得、技術指導のサポートをしているというようなことが事例としてございます。
 こういうことです。
○千葉国男君 ありがとうございました。
 以上で終わります。
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 今日は、四人の参考人の皆さん、本当にありがとうございます。ちょっと風邪を引きまして、声が聞きづらいかもしれませんけれども、よろしくお願いいたします。
 それで、最初に、ちょっと順番を変えまして、種本博参考人にまずお聞きしたいと思うんです。
 それで、先ほど、こういうA3の資料を出していただいてお話を伺いましたし、それから、その前にヒアリングをされたときの資料を見ていまして、それに基づいてお聞きしたいと思うんですけれども、種本参考人は協同農業普及事業に対しての国の交付金削減の影響について、先ほどの発言の中でも、交付金の九二%を人件費で、やっぱり配慮がほしいという話されていました。それで、農水省は三年間で交付金を二割削減していくことを約束しているわけですね。それで、種本参考人は普及事業の在り方に関する検討会のヒアリングの中でも、普及員の人員について、現有の人員は最低限の人数だと、もう既に三分の二、減っているという話、おっしゃっておりました。
 交付金が削減されますと人員削減というのは避けられないんじゃないかという懸念をするわけなんですけれども、まず、この影響についてどのようにお考えでしょうか。
○参考人(種本博君) おっしゃるとおりでございまして、交付金の削減というのがそのまま普及員の削減につながるのではないかと。これは実際にやってみない段階でございますのでそうはっきりしたことは分かりませんけれども、そういうおそれは非常に、多分にあるなというふうに考えております。
 ただ、私どもとしてはその中でも、一つは、ある程度のところは重点化なり、対象の重点化ですね、そういう中で明確にしながらやっていけばある程度はできるだろうけれども、それが大幅になってきますと、これは恐らくそれだけでは対応できなくなってくるんじゃないかというような心配をしております。
○紙智子君 今回の改正でこの普及事業を、国の交付金の対象となる協同農業普及事業とそれから都道府県が自主的に行う普及事業と、この二本立てにするというふうになっているわけですね。それで、交付金の削減に、都道府県財政が厳しい状況の中で都道府県の自主的普及事業がどれだけ確保できるのかと。普及事業全体が縮小するということにならないかどうかというのもまたこれ心配なんですけれども、この点どうでしょう。
○参考人(種本博君) これにつきましてもそのとおりだというふうに思っておりまして、そうならないようにしていただければというふうに思っておるところでございます。
○紙智子君 ならないようにということなわけですよね。
 それから、同じくヒアリングの中で、必置規制の在り方の問題で述べられていますけれども、ここ数年で都道府県によりばらつきが生じていると。それで、これ以上の格差が生じると基本的な農政推進に影響が出てくると。普及センターの必置の問題でも各県の格差の問題を指摘されていますよね。
 この点で、実態や考えられる影響というのが一体どういうことがあるのかということを少し詳しくお聞きしたいのと、加えて、この必置規制がなくなってしまうと、拠点となる普及センター、北海道の場合は基幹センターという言い方しています。基幹というのは基幹産業の基幹ですけれども、と言っていますけれども、その他の地域というのは地域センターということなんですけれども、合併が進んでいきますと吸収されたりいなくなっていく、減少していくんじゃないかと。そうなると、回る範囲というのがすごく広大なんです。北海道なんか物すごい広い範囲なんですね。そうすると、本当に事細かにやって、例外だけれども、そういう中でも深水管理だとかいうことを含めて、もう足しげく通って、そういう中で収入を上げさせるということで努力してきた役割があるんですけれども、そういったことなんかがきめ細かくできなくなってしまうんじゃないかというふうに思うんですけれども、この点も併せてお願いしたいと思います。
○参考人(種本博君) まず、センターの形態でございますけれども、もう既に御承知だと思いますけれども、いわゆる普及センターとして単独でやっている県と、それから農林事務所的な形で、土地改良関係とか林業関係と一緒な事務所の中で部なり課という形でやっているところと、それからもう一つは、今ほどのおっしゃられたように、拠点的なセンターと、それから地方のセンターといいますか、二つのものを持ってやっている。いわゆるそういう面からしますと、もう既にかなりその辺の事務所の、センターとしての拠点というのがかなりばらついてきている、そういう現状にあるんではないかなというふうに思っています。
 その影響でございますけれども、地方分権の流れにもありますように、いわゆるそれが地域で機能するような、いわゆる活動拠点としての場としてある程度明確に位置付けされれば、それはある程度の融通性は出てもそう影響はないだろうというふうに思っております。特にそれは、一律的にやることがいいのかどうなのかというようなところにもございますので、今回もできる規定としてそれは残ったということでございますので、私はそう影響的にはないんではないかなというふうに思っております。
○紙智子君 新規就農者が地域の農業の担い手として定着するためには地域全体で育てていく体制というのはとても大事だと思うんですね。その点で、地域の普及所や普及員の果たす役割というのは大きいと思うんですけれども、その点についても一言どうでしょう。
○参考人(種本博君) 新規就農者の育成という場面でございます。これも先ほど言いましたように、私どもの機能としてはこれが非常に重要であるというふうに思っておりまして、実は私、昨年まで金沢の普及センターにおりまして、特に、最近の相談に来る人というのは新規参入される方が非常に多いです。土地もなければお金もないし機械もない、そういうような人がよく来ます。実際にいろいろ相談にも乗ります。その中で、単なる夢だけで来る人と、本当に一生懸命にやりたいんだと、土地がどこかにないかという、そういうところから来る人と、二通りおるんですね。
 私どもとしては実際に、一つは、そういう法人等への相談を掛けて、そこで働いて、それから自立するなり、そういう道も一つありますよと。もう一つは、ある程度お金があるという余裕のある方には農地もあっせんといいますか、それは農業委員会の方とも相談しながらやっていくというような形の中であるんですけれども、一番大事なのは、やっぱり技術力というのがそう簡単に身に付かないということなんですね。それをするというのはやっぱり普及員がやらないと、なかなかそう簡単ではない。いわゆる農地なりお金だけの問題ならやるんですけれども、継続的に営農をやるということは、まず技術がないとできないんですね。意外と簡単な感じで入ってきている人も多いので、その辺については地域でやっぱり応援してあげる、そういう体制がないとうまくいかないんではないかなというふうに思っております。
○紙智子君 どうもありがとうございました。
 じゃ、続きまして、中園良行参考人にお伺いしたいと思います。
 新規参入者にとってやっぱり資金問題というのは最大の課題だというふうに思うんですけれども、国が行う就農支援資金による無利子融資、これだけではやっぱり、融資だけではなかなかという、不十分だと。参入を進めるために現場では多くの自治体で独自に償還免除をしたり、あるいは助成措置を取っているというところもあるというように思うんですけれども、どの程度自治体で償還免除や独自の助成を行っているか、この点は掌握されておりますでしょうか。もしされていれば、どのくらいあるのかということと、それからどういう効果が出ているのかということをお聞きしたいと思います。
○参考人(中園良行君) 具体的な数字についてはちょっと私、今手持ちございません。確かに資金の問題は大切な問題であるし、おっしゃるように、単に資金だけではなくて、今度はリースという方式だとか、そういう意味で市町村の独自の支援措置が増えていることは事実でございます。
○紙智子君 就農支援資金は創設から約九年、今まで経過しているんですね。それで、貸付実績の推移を見ますと増加傾向にあるわけですけれども、貸付額を下回っていますよね。それで、非農家出身の新規参入者にとってはなかなか使いにくいんじゃないか、そういうこともあるんじゃないかということなんですけれども。
 例えば、就農計画を承認してもらわなきゃいけないだとか、それから保証人がないといけないとか返済の問題とか、ちょっとそういういろいろ相談なんかも受けているかと思うんですけれども、実態や出されている意見なんかあれば御紹介いただきたいと思うんですけれども、あと改善点も含めて。
○参考人(中園良行君) お話を伺っていますと、先生今御指摘がありましたような保証人の問題だとかいうお話はよく現場で聞きます。それとともに、やっぱり現場は地域でございますので、地域にいかに溶け込むかという相談が一番多うございまして、私どももう既に就農された先輩の方々ともお付き合いもあるものですから、その話をお聞きしましたら、熊本の木之内農園の社長さんなんですけれども、五か条あるんだと、地域ときっちりやるためには。道で出会ったときには必ずだれでもいいからあいさつしなさい、それから三年間は村の酒飲みには最後まで残れ、それから三点目は契約書だとか言うな、人と人との口約束を大事にせい、それから四点目は村の役職を回ってきたらいろいろあるけれども必ず引き受けろというようなことをおっしゃっておりまして、地域との関係が大変大事だというふうに思っておるところでございます。
○紙智子君 ありがとうございました。
 それでは次に、中釜靖子参考人にお聞きしたいと思います。
 先ほどからいろんな方から質問もされているんでちょっと重なる部分もあるんですけれども、二〇〇二年の九月の全国農業新聞で女性農業委員会会長の座談会されていますよね。そのやり取りを見ていたんですけれども、今後の活動目標の中で、荒れ地の解消をどう実現するかということが課題だということをおっしゃっておられまして、それで、私、実は地元北海道なんですけれども、北海道も女性の農業委員が最近増えてきているんですけれども、お話聞きますと、確かに優良農地は受け手がすぐあると、だけれども問題は受け手のない土地、割と荒れているとか牧草地のようなところだとか、なかなか受け手がないところをどうするかというのが非常に悩ましいということを、苦労しているという話をされていまして、いろいろ先ほどの話の中にもあったんですけれども、やはり今農業情勢が厳しい中で、この受け手のいない農地をどうするかというところで、会長さんとしてその点で苦労されている点、努力されている点、どういうことがあるのかということと、それと併せて行政に対する要望などあればお聞きしたいと思います。
○参考人(中釜靖子君) 先ほど羽田先生の方からも質問がありまして、少し重なった答えになるかもしれませんけれども。
 私も、農業委員会としての大きな目的は農地を守るということが一つの大きな柱ですので、そこの荒れ地をどう守っていくかというのがもう一番の頭にありましたので、やっぱり集積というのは、優良農地は非常に、認定農業者とか、耕作をしやすい部分は先ほど先生言われるようにしてもらえて、使ってもらえるんですよ。でも、私たちが表現する言葉の中で虫食い状態の荒れ地と言うんですけれども、点々とあっちこっちにある荒れ地というのは、そういう大きな認定農業者の集積して耕作しない、経営条件が悪いところとなるとどうしても耕作してもらえないというのがあって、そういう虫食い状態の荒れ地をどう解消していくかというのが一つの大きな課題であります。
 今、私たちは、私がさっきも言いましたように、子供たちと食農教育、農業体験をさせるというのが一つの柱で、それは私たち農業委員会だけではどうしても難しい部分がありますので、教育委員会で子供たちの教育の柱の中に農業体験、食農教育を入れようという柱と、そして今度は高齢者対策、福祉の関係の部署のところに、高齢者対策の中で元気な地域の高齢者をそこの地域の子供たちを教える先生になってもらう、そうすると高齢者は先生と呼ばれて何か自分が生きがいを持つとなおさら元気になる、そういうことで地域活性化もなる。
 地域の高齢者対策、子供の教育の問題、そういうのを行政が横で連携取りながら、一緒にこれからやっていかないと、縦割りだけでは非常に難しいというのが私の農業委員会長をするときの考えでしたので、それを、先ほど言われたように、行政に、今、町長さんの方に、そういう形で町長さんからそういう各部署に連携取るような会議、推進会議みたいな会議を作って取り組もうじゃないですかという提案を再三しているんですけれども、新規事業は合併で先ほど言われたようにストップが掛かっていまして、今できない状態でありますけれども、これはどうしても取り組んでいかなければ、荒れ地一つの問題じゃないと思います。本当にこれから農業というのを考えたときに、子供たちの教育もそこからやっていかないと大変だと思いますし、高齢者問題も、いかに元気で一日でも長生きしてもらうかっていうのが一番の柱なんです。そこをするための行政が横の連携というのを非常に取るべきだと思っていますので。
 それと、やっぱり子供たちの教育にかかわれるのは、高齢者でありますけれども、地域の女性なんですよね。子供たちと一緒に、PTA活動で一緒に消費者と連携取れるのも女性ですので、その地域の女性がまたいろいろ参画していくことで地域活性化もつながるんじゃないか、そういうことで荒れ地も少しずつでも解消できるんじゃないかなという思いで、今まだ取組が実際できていませんけれども、そういう思いでこれからも言い続けていくべきだと思っております。
○紙智子君 本当に今のお話聞いても、すごく大事なことをお話しされているというふうに思いまして、やっぱり、この後本当は聞こうと思っていて、それと重なったので続けてお聞きしたいわけですけれども。
 やっぱり食農教育といいますか、しかも活性化、地域の活性化とか、とにかくさっきのいろいろなやり取りから聞いているんですけれども、やっぱり地域の農業委員の活動の中身というのが非常に多面的で、いろんな相互にかかわり合ってされてきているということを思うんです。
 それで、本来そうなんだというふうに思うんですね。とってもそういう意味では幅広い多様な役割を果たしているというふうに思うんですけれども、今回の改正の中で、農業委員会の業務について、農地の利用集積や法人化の推進など、農業構造改革の推進に重点化するというふうに言っているものですから、これは実はこの前、前提のところの質問の中でも私狭めちゃうんじゃないかと、逆にね。せっかくそうやって多面的にいろいろやってきて、それが実態に合ったやり方なんだから、狭めないで、やっぱりそこを本当に生かしていく農業委員会の活動の在り方が大事なんじゃないかというふうに思っているわけなんですけれども、そういう本来の農業委員会の活動の在り方というところから、今回の改正で、やっぱり重点化という中身ももちろん大事な中身はあるけれども、しかし、やっぱり今の現状に照らしてどうかというところでまた一言ちょっとお聞きしたいと思うんですけれどもね。
○参考人(中釜靖子君) 先ほどから言っていますけれども、そういう言葉の中で狭められるんじゃないかなという不安はあるかもしれませんけれども、私たちはそのとらえの中で逆に利用集積を図れないか、有効利用しようという言葉もありますし、そういうのを利用する中では、農業委員会の仕事が余りにも多過ぎたから重点化しようという形でできていると思うんですけれども、そういう中で私たちはそれはできないことじゃないですよね、農地をどう守るかということの中は柱に大きくあるわけですので。そういう形の中でとらえていけば、必ずそれはしてはいけないことじゃないと思っていますので、そこは法律の中でまたしっかり考えていっていただければ。私たちは、余りにも農業委員会の仕事が幅広く、それと行政の担当のところと重なる部分のあった部分を少し明確にしようやというのもうたっているんじゃないかなと。私はまだそこの中身まで、済みません、勉強不足ではっきり分かりませんけれども、そういう役割分担というのをはっきりしていくという中での重点化という言葉を使っているのではないかなと思いますし、農地を守るということに変わりはないと思いますので、そういう本当に多面的な機能をいろんな形まで広くとらえて、農業委員会の役割は大きいと思いますので、そういう中でできるんじゃないかなととらえていますので、是非頑張って私たちもいきたいと思いますので、法の中でもそれを十分できるような法をまた考えていただければ有り難いと思います。
○紙智子君 時間ですか。
○委員長(岩永浩美君) 紙智子君、時間です。
○紙智子君 もう本当は八木先生に一問聞こうと思ったんですけれども、時間になりましたので。──いいですか、ちょっと一言。
○委員長(岩永浩美君) じゃ、簡単に。
○紙智子君 じゃ、最後、一言だけ八木先生に。済みません。
 法案では生産緑地以外の市街化区域内の農地を農業委員会の必置基準面積から除外することになっていて、都市部の農業委員会から批判の声が上がっているんですね。それで、この市街化区域内の農地を除外するという問題は検討会の報告には触れられていないんですけれども、検討会で議論と検討というのはされているんでしょうか。
○参考人(八木宏典君) 懇談会の中で特に明示的には議論をしておりませんけれども、農業委員会の全体の業務量の中で、業務量ですね、その中でどうするかという議論はいたしました。
○紙智子君 ありがとうございました。
○岩本荘太君 無所属の会の岩本荘太でございます。最後ですので、よろしく最後までお付き合いをお願いいたしたいと思います。
 今日は、八木先生が学問の府といいますか、そういう関係のお話を伺い、更に久しぶりに現場の声といいますか、そういうことをいろいろお聞かせいただきまして大変うれしい限りでございます。適宜、思い付くままに質問させていただきますが。
 まず、種本参考人にお願いいたしたいんですが、この三法の審議、先日第一回の委員会があったんですが、その中で私取り上げたのは、最近非常に新規就農者が増えているという事実を見付けまして大変うれしい限りなんですけれども。
 私もそういう方面に携わっておりましたが、当時の新規就農者といいますと全国でも千人単位ですね。一つの県ですともう何十人単位ということで、よくそういう人たちを奨励、奨励といいますか、励まそうということで会議を、会議といいますか、会を開きましても、新規就農者の方が多いのか関係者の方が多いのか分からないようなそういう状態で、ゆゆしき状態であったわけでございますが、当時、種本参考人とともにやった記憶も思いまして、じくじたる思いがあったんですが、数字で見ましても、平成二年で四千三百人、これ農林省からいただいたんですけれども、それが今、平成十四年で一万一千九百人と、一万二千人ぐらいですか、要するに三倍ぐらいに上がっているわけでございまして、これは非常に大変な御努力各方面の方がやられたと思うんですが。特に、これ先日申し上げましたけれども、一番農業の現場と直接携わっている農業普及員の方々の御努力が相当あったんじゃないかというような感じを持ちますし、これからもそういうことを続けて日本の農業を支えてもらいたいなという気持ちでおるわけですが、今までのこの辺の御苦労と、それから更にこれを発展させていくのには何か要望がないか、その辺をひとつお話しを願いたいと思います。
○参考人(種本博君) ただいま先生の方からいろいろ御質問ございました。
 当時、岩本先生とは、私は部下でございまして、その当時のことも思い出すわけでございますけれども、当時は非常に人が少なかったという、そういう時期でございます。なかなか医者の卵か農業後継者か分からないという、そういうようなところでございましたけれども、最近はそういう面では非常に増えたなというのが実態でございます。それも、農業の子弟からの後継者もそうなんですけれども、先ほど言いましたように新規参入される方が非常に多くなってきた。
 そのためには、努力の一つとしては、県としてもシステムをある程度作ってきたというのもございます。私の県でいえば、アグリ塾というような形の中で、就農をするための準備校みたいなものを作りまして、まず最初に土曜日とか日曜日に体験をしてみる、それがうまくいったら今度は一年間試験研究機関等で研修してみる、まず実際にやってみる、それから自分で農地もいろいろな資金等も借りながら就農すると、そういう仕組み作りがある程度できております。それが非常に、逆に言うとそれで成功した人も何名か出てきているというのが実態でございますが、先ほど言いましたように、直接私どものところにいろんな相談に来るわけですけれども、とにかく一番大変なのは、資金もそうなんですけれども、技術をどう教えるかというところが非常に大事なんですね。一人の人を育てるってそう簡単じゃないんです。実際にしょっちゅう行かないと、これはもう単なる口だけで学校の生徒を教えるようなわけにはいかないというのが実態でございます。
 そういう面からしますと、何らかの、地域がうまくそういう新しく入ってきた、参入してきた人たちに対して、機械等も貸してあげる、それも大事なことでございますし、技術も一緒にその人らから習う。普及員もその間には入りますけれども、付いてやるというのは実際にはなかなか人数の関係もありますし、それだけに構っているというわけにもいかない、そういう実態でございますので、そういう仕組み作りというのは、もう少し就農した後の仕組み作りの中で、技術力を磨く、もっと自由にできるような、そんな仕組みがもっとあってもいいんじゃないかなというふうに思っているところでございます。
○岩本荘太君 いろんな課題があるようでございますが、先ほど言いました数字にしても、昨今、国の財政の問題からいきますと縮小ぎみですから、その風が、風といいますか、影響というのが普及員の人数なり交付金の額になんか影響していると思います。
 正直言いまして、ここ二、三年、県の、地元からのそういう方々のもう悲痛な声といいますか、私のところへずっと参っておりまして、ずっと聞いてきたわけですが、今回の法改正が是非ともそういうことをはね返す大きな力になって普及員を評価するものになっていただければと思っているわけでございますが、そういうような中でこういうふうに実績を上げてきたということは、これ大変なことじゃないのかなというような気がいたします。
 しかし、縮小されている、縮小傾向にあるということはだれが見てもこれは一般的にはやっぱり軽視されているんじゃないかなというような気持ちがあるわけですが、それはそれ、種本参考人の立場上は、これは管理職的な立場にもおられたでしょうからなかなか言いづらい面があるでしょうけれども、総体的に見て、やはり私は一言だけ、これは質問じゃないんですけれども、お願いをしておきたいんですが、要するに昨今何か農業というのが隅に追いやられるような、機構とか県の組織とか、国の組織はよく知りませんけれども、国の組織をそこまで分析していませんが、そういうような傾向があるような気がしてならないんですが、そういうことがあるときにはこれは非常に問題があると。そういうことに対する反発は、単に全体として合理化で済むんであればいいけれども、その中で更に輪を掛けて農業に重みが掛かるというときがあればこれは大いに反発していただきたい、そういうことは立場上全国的な声として是非広げていただきたいと、こう思っている次第でございます。
 それと、新規就農といいますか、これに関連して中園参考人にちょっとお伺いしたいんですが、先ほど新規就農を申し上げたんですが、一万二千人と。もう一つ離職就農者というのがあるんですね。これは実はこっちがかなり大きいんですね。四十歳以上で、平成二年で一万一千四百。これが平成十四年で六万八千というふうに相当広がっているんですが、こちらの方は参考人の方の組織ではどういうふうに考えておられるのか。どういうふうに取扱いといいますか、やっておられますか。
○参考人(中園良行君) 最近の経済情勢というんですか、そういうのを背景に、今、会社でリストラという形になられた方が相談に来ることもございます。
 ただ、後ろ向きというふうに私どもは余りとらえていませんで、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、農業を一つの職業として選んでいただいて御相談いただいたんだというふうにとらえておりますし、むしろそういうことをおっしゃる相談の方が多うございますので、できるだけそういう方を区別するとかということではなくて、農業をやりたいという方、関心のある方という点で同じように相談活動をやらせていただいているというのが実態でございます。
○岩本荘太君 いや、僕はちょっと質問の前提でお答えするのをしなかったら申し訳ないですけれども、私はこれは全面的に賛成なんですよ、この離職農業者というのは。むしろ、例えば一般の会社などにいて、六十歳になって定年になって、それからでもいいんじゃないかと。少なくとも十年以上、今の高齢化社会では十年以上働ける人は一杯いるわけですね。だから、そういう人が本気になってやっていただければ日本の農業というものも随分助かるんじゃないか、こういう気持ちでおりますので、その点は誤解のないようにお願いいたします。
 それと、ただ一つ、このときもまた質問申し上げたんですが、ちょっと、じゃ、どういうようなところに就いているか、就農者がどういう分野に就いているかというのを表で前回見せてもらったんですけれども、これは必ずしもうまく分析、言葉の上でしかいろいろ御議論できないんですけれども、私の懸念は、農業に就いていただく、これは農業所得、日本の農業生産量が上がる、これは非常にいい意味ですし、農地を無駄にせずにそれを使うことはいいんですけれども、農林省が今、大問題としている、一つの農政の柱としている自給率の維持、カロリー自給率の維持向上、そういう面から、こういう新規就農者が増えてくる、離職就農者が増えてくることとの整合性といいますか、その面から見ていかがなものかと。
 したがって、就農者が増えてくるということはいいことですけれども、次の段階として、やはりある意味で農政の方向に合ったといいますか、日本の国全体の農業のために資するような、そういう方向に向かっていくかどうかというのは、これは農林省の仕事だと私は思うんですけれども、その辺を農林省の仕事だといって質問させてもらったんですけれども、その辺、中園参考人の方から見て、現実に現場でごらんになって、この辺の実態はどんなものか、もしお分かりになったらお話を願いたいと思います。
○参考人(中園良行君) 大変大きい問題で、適切なお答えができるかは分かりませんけれども、やっぱり二つございまして、本当に農業で飯を食ってやっていこうという相談の方と、離職とおっしゃいましたけれども、定年間近になってちょっと田舎に住みたいということを中心にした方もおられます。どちらも農地利用だとか自給率という点からいうと、どっちが云々ということではないような気がいたしております。
 私どもとしても、ちょっとパターンは違いますですね、農業を職業として選ぶのと農村に住みたいという、いずれにしても大事な意向ですから、きちんと対応してまいらなきゃいかぬというふうに思っているところです。
○岩本荘太君 ありがとうございました。
 それと、この三法とは直接関係ないかもしれませんが、今申し上げました自給率の問題について八木参考人にちょっと教えていただきたいといいますか、御意見をお伺いしたいと思うんですが。
 農林省が、例えばカロリー自給率、これ、今の四〇%を四五%に上げたいと言っておりますが、現実としては、何年に計画ができましたか、数年前からもう大体四〇%、底は打ったかもしれませんけれども、それ定着しちゃった。全然上がってないですね。それは農林省の本意じゃないはずなんですよね。だから、これは何らかの格好で上げなきゃいけないんじゃないかと思うんですが、その上げるというのも簡単に、現状のままの生産構造なり、交易構造の、貿易構造の中で簡単にできることじゃないと思いますけれども。
 ただ、これは食料安保といいますか、日本の国の安全、安心の面から自給率というのは決まってくるはずですよね。そういう面からきちっと決めなきゃいけない。これはいろんな条件はあると思うんです、単純には言えないと思いますけれども、そういうものがあって、それを国民の皆さん、農業関係者だけじゃない、国民全体に知らしめて、じゃ、日本の国としてはこういう方向に行こうと。それで、その中で四五%が当面、十年先の目標であれば、それを設定するというのはいいと思うんですけれども、なかなかこの辺の目標をどうするか、これは非常に難しい問題だと思うんですけれども、難しくても決めないことには食料自給率を上げるという意味がなくなってくるんですね。どれが、どこに行くのかが分からなければ今のでいいじゃないかという話になっちゃうと思うんですよね。
 だから、この辺、学問的にといったらおかしいかもしれませんが、そういうことを決め得るような検討といいますか、そういうものを、何といいますか、できるのかあるいはすべきなのか。先生、いろいろと審議会の会長等をやっておられますので、その辺の御意見をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○参考人(八木宏典君) 平成十二年に農林水産省は食料・農業・農村基本計画を作りまして、そのときに四五%の目標という数値が書き込まれたわけですけれども、その前提は、一つは、米の需要があの当時計算した基準年のまま推移するという前提と、それから魚介類の自給率も同じであるという、そういう前提があったわけでございますが、この数年、四〇%のところでずっと推移しておりますが、一番大きな問題は、やっぱり米の消費量、需要量が年々低下をしていて、下げ止まっていないということがございます。
 これは、米離れというよりは、例えば高齢者の方も多分お米の消費量そのものが減るというようなこともあるんだろうと思いますけれども、いろいろと米の消費拡大、いろいろなことはされておりますけれども、現実的には、平均して年十三万トン程度ですかね、需要が減ってきて、この傾向は止まっていない。魚介類についても残念ながら自給率は上がらないという、こういうようなこともございます。麦、大豆につきましては、生産量はかなり進んで伸びているわけでございますけれども、なかなか実需者が満足するような質のものにはなっていないというような問題もございます。
 それが現実的な、現実の問題でございまして、そこからどうするかということになりますけれども、一方では、消費面で見ていきますと、食生活指針等々、農水省あるいは厚生省等で作成されているわけですけれども、残念ながら脂質の消費量が暫定的には伸びてきているというようなこともございます。そういう意味で、生産サイド、それから消費サイド、言ってみれば国民全体でこの問題を考えていかなきゃいけない課題だろうと思います。
 世論調査の結果ですと、大体七割の方々が食料の、日本の食料自給率は低いというふうに考えておるようですし、それから将来の食料供給に対してはかなり不安があるという、そういう答えが出てきているわけですが、具体的な消費の段階でそうした国産と輸入農産物という、そういうことについて意識されているかどうかということは一つあるかもしれません。
 これは原産地表示の問題で、加工食品も含めてきちっとした情報を消費者の方に提供して御判断をいただくという、こういうこともございますし、それから、現在、面積にいたしますと約百万ヘクタール程度の生産調整に取り組んでいるわけですけれども、将来の食料安全保障というものを考えた場合に、農地を確保する、それも水田として保全するというようなことも一部には考える必要もあるんだろうと思いますけれども、その場合に、例えば飼料用稲、特に穀物の自給率が非常に低いわけですから、そうしたものの生産拡大、まあ低コストということがありますのでなかなか難しい面があると思いますけれども、取組も必要ではなかろうかというふうに思います。
 それから、国産麦あるいは国産大豆、これについても、国産麦を使ったパンとかその他めん類とかの消費、その製品開発の工夫もいろいろされているわけですけれども、そういうことも含めて全体的に取り組む課題ではなかろうかと思います。
 それから、目標に関しては、やはりこれまでのトレンドをよく見極めながら現実的な方向で考えていく。上げるということについては、多分、国民の皆様全体、異論はないと思うんですけれども、どこまで上げるかという数値目標に関してはやっぱり現実的な問題として考えていく必要があるのではないかと思っております。
 以上です。
○岩本荘太君 現実的な問題と考えたときに、そういう数値がないと現実的な問題として上がらないという心配があるものですからね。これは先生言われた目標をできれば作ることと、それから、じゃ、それにどうアプローチしていくかという二つの方法、どっちも大変なことだと思うんですけれども、その二つがあると思うんですけれども、これは余り短時間でできる問題じゃないので。
 何か、あと一分ぐらいございますので、最後、中釜参考人にちょっと、お仕事とは直接関係ないんですけれども、今の自給率について、私は、自給率というのは地方と中央といいますか、東京と地方とではもう考え方全然違うんじゃないかなと。農林省は、国全体として考えたときはこれは上げなきゃいかぬということなんですけれども、地方で考えたときには、場合によってはもう一〇〇%近い自給率に達しているといいますか、そんなちょっと自給率の問題云々するのは関係ないよというような感じがあるような気がしてもいるんですよ、実際に自分のところで作っていますから。
 そういうようなところから、そういうところの人に自給率の話をしても始まらないなというような気もするんですが、私が考えているようなこういうことが実態的なのか、あるいはそうでなくて、もし何か自給率ということで農業委員会なり地元で取り組んでおられるようなことがありましたら、ひとつ御紹介をお願いしたいと思います。
○参考人(中釜靖子君) 農業委員会で特に自給率、目標に向かってというような取組というのは今のところはしていませんけれども、私が、地方と都市と違うんじゃないかという中で、定かではないんですけれども、たしか鹿児島県は八二%ぐらい、加治屋先生、違いますかね。私、そういう自給率だという、聞いているんですけれども、そういう生産の農業県と都市のところとは違いはあるかなと思いますけれども、私はいつも女性組織の中でいつもいろんな形で言っているのは、これから自給率を上げるためには生産者と消費者が一緒にその意識を持っていかないとなかなか、我々、どっちかというと、今までは農業者にいろんな国産のものを作ってくださいとかいろんな形でありましたけれども、そこをしっかり消費者も生産者も一緒にその目標に向かっていこうという考えを持っていかないと数字というのは上がっていかないんじゃないかなという、私たちはだから消費者と一緒にいろんな取組をしよう、これからはという思いを持っていますので、鹿児島県の場合は本当農業県ですのでそういう数字が出てきますけれども、消費地とはまた非常に違うかなという形で思っております。
○岩本荘太君 そのとおりだと思います。よろしく、鹿児島のことも頑張っていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○委員長(岩永浩美君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々に一言お礼を申し上げます。
 参考人の方々には、長時間にわたって御出席をいただき、貴重な御意見を拝聴させていただき、誠にありがとうございました。
 特に、第一線で御活躍をいただき、かつまた御指導をいただいている皆さん方の御意見、本当に感嘆する思いで拝聴をさせていただきました。どうか今後とも日本の農政の進展のためにますますの御活躍を心からお祈りを申し上げ、委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
 本日の審査はこの程度にとどめ、これにて散会をいたします。
   午後三時三十三分散会