第159回国会 財政金融委員会 第4号
平成十六年三月十八日(木曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 三月十五日
    辞任         補欠選任
     大渕 絹子君     榛葉賀津也君
 三月十六日
    辞任         補欠選任
     榛葉賀津也君     大渕 絹子君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         平野 貞夫君
    理 事
                入澤  肇君
                野上浩太郎君
                森山  裕君
                大塚 耕平君
                続  訓弘君
    委 員
                上杉 光弘君
                清水 達雄君
                田村耕太郎君
                西田 吉宏君
                溝手 顕正君
                山下 英利君
                若林 正俊君
                大渕 絹子君
                平野 達男君
                円 より子君
                峰崎 直樹君
                山根 隆治君
                山口那津男君
                池田 幹幸君
                大門実紀史君
   国務大臣
       財務大臣     谷垣 禎一君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(金融、
       経済財政政策)
       )        竹中 平蔵君
   副大臣
       内閣府副大臣   伊藤 達也君
       財務副大臣    石井 啓一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        石田 祐幸君
   政府参考人
       内閣府政策統括
       官        小平 信因君
       金融庁監督局長  五味 廣文君
       総務大臣官房審
       議官       岡本  保君
       財務省主計局次
       長        杉本 和行君
       財務省主税局長  大武健一郎君
       財務省理財局長  牧野 治郎君
       国税庁次長    村上 喜堂君
       社会保険庁次長  小林 和弘君
       経済産業省製造
       産業局次長    福水 健文君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○財政及び金融等に関する調査
 (財政政策等の基本施策に関する件)
 (金融行政に関する件)
○平成十六年度における財政運営のための公債の
 発行の特例等に関する法律案(内閣提出、衆議
 院送付)
○所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
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○委員長(平野貞夫君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣府政策統括官小平信因君外七名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平野貞夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(平野貞夫君) 財政及び金融等に関する調査を議題とし、財政政策等の基本施策に関する件及び金融行政に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○野上浩太郎君 おはようございます。自由民主党の野上浩太郎でございます。
 今日は両大臣の所信に対する質疑ということでございますが、現在、参議院におきましても、連日、十六年度予算の成立に向けまして議論が闘わされておるところでございます。日本経済全体としてはようやく明るい兆しも見えてきたということでございまして、一日も早くこの十六年度予算成立をさせましてこの足取りをしっかりとしたものにしていくということは、本当に我々政治家に課せられた大きな責務の一つだろうというふうに思います。今日は、そういう思いの中で質疑をさせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。
 まず、谷垣大臣にお伺いをさせていただきたいというふうに思いますけれども、現在、我が国のこの財政状況、大変厳しいということはもうこれは周知のとおりでございます。このままの状況で推移をいたしますと、本当に将来世代にやっぱり大きな借金を残す、修復し難い禍根を残すということは、これは明白なわけでございまして、こうならないためにも、今、「改革と展望」ですとか、あるいは我が党の公約におきましても、この二〇一〇年代の初頭にプライマリーバランスを黒字化をしていく、こういう目標を立てているわけでございます。
 しかし同時に、現下のデフレをしっかりと克服をして自律的な経済成長を促す、こういう経済システムも作っていかなければならないわけでございます。これを両方同時に実現をしていかなければならないと。大変厳しい状況であるというふうに思いますが、しかしこれこそが改革であるというふうに思います。
 こういう状況の中で、これらの実現に向けまして、来年度予算はどのような視点に重点を置いて編成をされたのか、また、この両立に向けましてどのような道筋といいますか、プロセスを描いておられますのか、大局的な観点からまずお伺いをさせていただきたいというふうに思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、野上委員がおっしゃいましたように、一つは、持続可能な民間主導の経済、デフレを克服しながらそういうものを活性化させていかなきゃならないというのが一つの大きな目標でございますし、もう一つは、危機的な財政状況、御指摘のとおりでございますので、これが持続可能な安心な財政に持っていく、これがもう一つの、時によりますと相反する目標でございますけれども、この二つをやらなきゃいけない、こういうことだろうと思います。
 そこで、民間需要主導の持続的な経済成長につなげていくために各種の構造改革に取り組んでいる。それから、中長期的な財政運営に当たっては、委員が先ほど御指摘いただきましたように、この二〇一〇年代初頭にプライマリーバランスを回復して持続可能な財政構造にしていこう、こういう大きな枠組み、整理するとそういうことになると思うんです。
 こういう中で、平成十六年度予算においては、一般会計歳出それから一般歳出、これを実質的に前年度以下に抑え込んでいく、抑制する。けれども、それだけではなかなかうまくいきませんので、予算内容にめり張りを付けて、必要なところにはやはりお金が回っていくようにする、こういう方針で予算を作ったわけでございます。財政規律を維持しながら民間需要を引き出していこうというねらいで予算が作ってあるわけでございます。
 こういうことで、こういう努力をしまして、国、地方の基礎的財政収支は改善が見込まれているのではないかと考えておりまして、二〇一〇年代初頭のいわゆるプライマリーバランス回復に向けて今年度予算は一つの手掛かりを得ることができたのではないかと考えておりますけれども、今後とも手綱を緩めてはいけないんではないかと考えております。
 そして、規制、金融、税制の各分野にわたる構造改革も併せて進めていかなければならないわけですが、デフレの克服については、特に政府の努力と同時に日銀との、言うなれば車の両輪として平仄を合わせていくことが大事だと考えておりまして、もちろん個々の金融政策の決定に当たっては日銀は独立性を持って判断をしていただくわけでありますけれども、いろんな形を通じて大きな方向を合わせながらやっていかなければならない、こういう、こんなふうなことを考えております。
○野上浩太郎君 谷垣大臣の力強い決意と受け取らせていただきましたので、是非その方向で頑張っていただきたいと思いますが、予算をいわゆる重点化して、効率化していくという面においては、やはり予算のイノベーションといいますか、刷新ということがこれは大変重要であるというふうに思っております。例えば、複数年度にまたがるこういうプロジェクトですとか事業の場合は予算も複数年度化して、いわゆる単年度予算の使い切りの弊害をなくすとか、あるいは今日的な課題は本当にいろんな省庁にまたがる課題が多いわけでございますので、各府省庁に横断的な取組をして、いわゆる縦割り行政の弊害をなくしていく、こういう視点が大変重要であると。いわゆるニュー・パブリック・マネジメントの視点に立った予算の刷新ということが必要であるというふうに思います。
 今年度予算でも、十の政策群ですとか、いろんな取組がされておりまして、大きな第一歩を踏み出しているんではないかなというふうに思いますけれども、来年度予算におきましてどういうような取組をされたのか。そしてさらに、この取組を継続して、更に拡大していかなければならないと思いますが、どのように取組をしていくのか、お伺いさせていただきたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今おっしゃいましたように限られた予算でございますから、それをどう効率的に使っていくか、これはもう不断の検討が必要なことはもちろんでございます。大きく考えなければならないのは、限られた予算をどう効率的に、場合によっては柔軟に使うかという要請が一方でありますけれども、他方、国民の血税を使うわけでありますから、あくまできちんと目的、それから使い方は厳正と、こういうようなことでなければいけないと。この二つの要請をどう組み合わせていくかということが重要ではないかと思っております。
 そこで、今委員がお触れいただいた政策群というもの、これは基本方針の二〇〇三で、民間の潜在力を最大限引き出すための制度改革、規制改革等の施策と予算の組合せという手法を重視する、こういう位置付けで、十六年度予算編成でも各府省より提案された十のテーマを取り上げまして、財務省としては規制改革や制度改革の施策と予算措置とを組み合わせているかどうかといった要件に照らして良いものとするように取り組んだところでございます。よく省庁の縦割りで同じ目的を持っていながらいろんなものが並列していたり、必ずしもそれが効果的に組み合っていないじゃないかという御批判がございましたので、一つのテーマごとに担当主計官を置いて、そういう府省横断的な施策が実りあるものにできるように工夫をしたつもりでございます。
 それから、モデル事業につきましては、正に先ほど申しましたようにどうやったら予算を柔軟に使えるかと、毎年毎年単年度主義で国会で御審議をいただくわけですが、一方、物によっては複数年度で弾力的に考えていった方がお金も少なくて済むし、効果も出てくるということがありますから、それで、しかし、それが野方図になってはいかぬということでございますから、プラン・ドゥー・チェック・アクションと、こう難しいことを言っておりますけれども、まず定量的な、こういう国民に対する福祉を、国民に対する利便をこれだけ提供しようという定量的な目標をきちっと立てて、そして事後にその目標達成の状況を厳格に評価する、その上で、目標の効率的な達成のために事業の性格に応じて予算執行を弾力化していく。これはこの年度と次の年度ということもございますし、項と目の間の柔軟性ということもございますけれども、そういう形で十六年度予算では十の事業についてモデル事業として試行的に導入することとしております。
 今後とも、こういう手法の工夫は引き続き努力をしていかなければいけないことと考えております。
○野上浩太郎君 是非、この予算のイノベーション、刷新、大事な課題でございますので、積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。
 次に、三位一体の改革についての質問に移らさせていただきたいと思いますが、言うまでもなく、小泉改革の中でこの三位一体の改革は大きな柱でございまして、国から地方へという、こういう基本的な考えの下に進められなければなりませんし、その先には本当に真の地方分権の展開というものが見えてこなければならないというふうに思っております。
 しかしながら、今、地方の方からは、いわゆる補助金の削減ですとか交付税の縮減によりまして、大変予算編成が厳しかったというような声も聞こえてまいります。例えば、私の地元の富山県でも、一般会計予算、大体五千五百億円ぐらいなんですが、三百五十億円ぐらいの財源不足が生じたと。これは全国では一兆七千億円というふうにも聞いておりますし、市町村も同様の状況でございます。
 この改革というのは、当然、いたずらに地方に痛みだけを押し付けるというものであってはならない、これは当然でございますけれども、この地方の現状について、大臣、どのようにおとらえになっておられるのか。また、基幹税の税源移譲ですとか、しっかりと実態把握をしていくということ、このことについてどういうふうに今後改革を進めていくのか、これは十六年度の予算の取組も含めて、お伺いをさせていただきたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、野上委員の御議論にもございましたように、富山県で三百五十億とおっしゃいましたか、それぞれ県の予算規模によっても違いますけれども、かなりの削減と申しますか、スリム化をお願いする形になっているわけでございまして、各都道府県とも大変な御努力をいただいて来年度予算を作っていただいたというふうに感じております。その結果、かなり各都道府県ともスリムな、いろいろな、プライマリーバランスとか財政の赤字の度合いというようなものがかなり改善された、大変な御努力をいただいたというふうに思っているわけでございます。
 それで、確かに自治体によっては非常にやりくりが厳しいというところもあるように私の耳にも入っておりますが、そういった点は、むしろこれは総務大臣に御答弁をいただかなければいけないわけですが、総務省においてもいろいろと工夫をしていただくことになっていると承知をしているところでございます。
 これも、そもそも論を今更申し上げてもなんでございますが、一つは、地方にできることは地方で、そして権限も責任も持ってやっていただくというのがこの三位一体改革の目指す方向でございますけれども、現在の地方交付税の特別会計が五十兆を超す赤字を抱えている、地方全体の債務が二百兆を超えると、こういう状況の下では、併せてスリム化ということを行いませんと、これは国ももちろんそうでございます、国、地方も併せてスリム化を行うということでないとなかなかこの三位一体改革がいかない。こちらの方もやはり大きな目標になっているのではないか、目標であるというふうに私は考えております。
 補助金は今年度は一兆余りやらしていただいたわけでございますけれども、今後三兆円を、四兆円という総理の目標で、一兆円やりましたのであと三兆円をやらしていただかなければならないわけでございますが、それに関しての税源移譲については、これもまたいろんな御意見があることはよく承知しております。
 今年度は、削減された補助金の中でやはり、削減といいますか、スリム化、改革をした補助金の中で、やはり地方に引き続きやっていただく必要のあるものについては財源手当てをきちっとしなければならないということで、所得譲与税による税源移譲、これが四千二百億、それから義務教育費国庫負担金の退職手当等については税源移譲予定の特例交付金というのを作りまして、これが二千三百億程度、それから削減した公共事業関係の補助金に対してまちづくり交付金、千三百億円程度というものを創設いたしましたので、七千九百億程度の財源の手当てをいたしているわけでございます。
 それで、交付税につきましては、今の税源移譲につきましては今年はそういう所得税の中から所得譲与税という形でやらしていただく、あるいは税源移譲予定交付金という形で暫定的な措置を講じておりますけれども、これは補助金改革、これから進めまして、それをにらみながら、平成十八年度までに必ず所得税を中心としてこれを地方住民税に移していくという形で税源移譲をやっていかなければならないと考えておりまして、やはり地方に、自分たちはこういう施策をやっている、だからこういう負担をしてくれと、住民と対話しながらできるような形を持っていくことが必要ではないかなと考えております。
 それから、ちょっと答弁長くなってよろしゅうございますか。
 交付税に関しましては、これは私は、交付税の、それぞれの自治体によって財政力が違いますから、財源調整機能というのはこれはあくまで必要なものでございますけれども、それぞれの財源保障機能というものがございまして、これが場合によるとややルーズに使われたという過去があるわけでございます。そして、先ほど申し上げたような交付税特会も赤字を抱えておりますので、ここは相当なスリム化をお願いしなければならないんだろうというふうに考えておりまして、ここのところもいろいろ地方からはなかなか厳しいというお声が聞こえてくるのは事実でございます。
 ただ、十六年度の地財計画の規模は、対前年度、これは一・八%マイナス、一・五兆円マイナスになっておりますけれども、これは大体、一昨年、昨年と同程度のスリム化をお願いしたという形になっているわけでございまして、今後とも地方とも十分議論をしながら進めていかなければならないと、こういうふうに考えております。
○野上浩太郎君 大変力の入ったしっかりとした御答弁、ありがとうございました。
 金融庁の方に地方の経済についてお伺いさせていただきたいと思っておりましたが、もう時間となりましたので、大変申し訳ございませんが、次の機会にまた譲らさせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○平野達男君 民主党・新緑風会の平野達男でございます。
 昨日は予算委員会で、今、野上委員が挙げておられた三位一体改革をテーマにいろいろやり取りやらせていただきました。勝手に私が途中からちょっとエキサイトしたものですから、大臣答弁を引き出すんじゃなくて、最後は委員長答弁を引き出すという前代未聞の形になりましたけれども、今の野上委員と財務大臣とのやり取り聞いておりまして、非常に私はよく分かりました。分かりましたという意味は、賛成するという意味ではなくて、答弁の内容、よく分かりました。
 特に、三位一体の改革というのが本当につらい厳しい道だよということをしっかり伝えるという意味では、今のような答弁、いい答弁、いいと言ったら大変僣越ではございますけれども、しっかりとした答弁ではなかったかというふうに思います。
 ただ、これから、いずれにせよ三位一体の改革に伴って特に財政力の弱い地方というのは大変な思いしますので、その大変な思いというのをできるだけ和らげる政策というのを私はもう考えなくちゃならないと思っていますので、これからも引き続きいろんな機会をとらまえてこの問題についてはやっていきたいというふうに思っています。
 そこで、今日は、竹中大臣にまず先にお聞きしたいと思うんですが、まず、竹中大臣、国会の方に出てこられて大分期間が長くなったと思うんですが、国会というか、政府の方に入られて在任期間が随分長くなったと思うんですが、何年になられたでしょうか。
○国務大臣(竹中平蔵君) 経済財政政策担当大臣に就任させていただきましたのが平成十三年の四月二十六日でございます。三月十八日でちょうど二年十か月余りということになろうかと思います。来月の二十六日で小泉内閣三年ということになります。金融担当大臣に就任させていただいたのが十四年の九月三十日でありますので、約一年半ということになると思います。
○平野達男君 そうすると、通算四年ということですね。四年、三年ですか、失礼しました、三年ということですね。分かりました。
 就任前の、政府、政府といいますか、永田町での仕事、永田町と言ったらいいんでしょうか、政府の仕事ですね、政府というのはこういうものだろうという予想があったと思います、あるいは国会というのはこういうものだろうという予想があったと思いますけれども、就任前の予想と今の受けている感じというのは、何かギャップがありませんか。
○国務大臣(竹中平蔵君) マスコミからもそういう御質問時々受けるんですが、実はそれ以前から政府のお仕事を少しさせていただいていたということもこれあり、実は以前からいろいろ御一緒に勉強させていただいていた国会議員の先生方の御活動も踏まえて、以前の予想とそんなに大きく変わるものではないと。むしろ、改めて自分自身がこういうふうに思っていたことを確認したということの方が大きい。その意味で、そんなに大きく私自身の見方とか考え方が変わったということはないと思っております。
○平野達男君 それじゃ、政府全体の印象はというような問いもちょっと抽象的過ぎますから、ちょっとテーマを絞って、参議院の財政金融委員会の評価というのはどのように評価されていますか。
○国務大臣(竹中平蔵君) これはよく前財務大臣の塩川先生がおっしゃっていたことですけれども、この委員会は本当にしっかりと議論ができる委員会であると。大変厳しい質問もたくさんいただきますが、精一杯こちらの方で答えさせていただいたことについては、立場はいろいろございますけれども、しっかりと御理解もいただける。非常に、正に実りの多い、非常に深い議論をしてくださる大変すばらしい委員会であると、これは私、心からそう思っております。
○平野達男君 財政金融委員会の委員の一人として素直にそれを受け入れたいと思います。
 それでは、以下の質問は、かなり、多少おせっかいな質問になるかもしれませんが、その上でちょっと御答弁願いたいと思います。
 ミルトン・フリードマンという経済学者がおります。インフレーションは常に貨幣現象であるとう説を唱えた方でありまして、速水総裁、速水さんが日銀総裁のときに何度かこの件でも議論させていただきました。そのフリードマンが、これは孫引きなんですけれども、「バロー教授の経済学でここまでできる」というこの本の中に、孫引きでちょっと引用されておりまして、面白い引用があるんです。ちょっと読みますと、「「是非ともワシントンで数年間を過ごすべきであるが、その期間は、「数年間」にとどめるべきである。二、三年以上ワシントンで過ごすと、中毒にかかり、決して学問の世界に戻ることはできなくなるであろう」」と言っています。さらに、このバロー教授は親切なことに、「私がこのフリードマンのアドバイスに対して唯一同意しない点は、ワシントンにおける二、三年の経験でも最先端の学問についていくためには長すぎるということである。」ということで、二、三年でも長いということを言っておるんですね。
 竹中大臣、これからどういう身の振り方をされるか分かりませんが、学問の世界でもしずっと仕事をされていくということからすれば、このミルトン・フリードマンさんの言葉とバロー教授の言葉というのはどのように受け止めますか。おせっかいな質問で申し訳ございません。
○国務大臣(竹中平蔵君) 御親切な質問をいただきまして、大変ありがとうございます。
 バロー、フリードマン、それぞれの主張は承知しております。数年間というのも理解できるところがございまして、例えばアメリカでブッシュ政権に入ったリンゼー、ハバード、そうした経済専門家も二年でそれぞれ元のところに戻ると。二年ぐらいでリボルビングドア通ってどんどんどんどん動くのがアメリカのシステムという面はございますけれども、そういう生活パターンになっていると承知をしております。そこはいろんな事情があるんだと思います。
 あと、委員御指摘の後半の学問の進歩と実際の政策の場での経験ということでありますけれども、バローやフリードマンが議論している世界というのは極めて純粋なエコノミックスの世界のことを言っているんだと思います。その意味では、エコノミックスというのは非常に特殊な学問体系を持っておりまして、二年ではなくて、本当にひょっとしたら半年、三か月でもブランクがあるとこれは付いていくのが大変だという世界だと思います。
 ただ、一方で、今の、一九七〇年代、八〇年代以降の新しい潮流として、これは純粋なエコノミックスじゃなくて、政策科学という、ポリシーサイエンスというその分野では、むしろ非常に具体的なフィールドワークとか、そういうものに基づく政策決定プロセスの研究、そういう分野が大変今やはり重要になっておりまして、その意味ではフリードマンやバローが言っているのは少し、一面の話であるという面もあろうかと思います。
 これは私自身の話ということじゃなくて雑感でございますけれども、そのような思いで聞かせていただきました。
○平野達男君 多少意地悪な質問をさせていただきますと、そうすると、まだまだこの職に就いて、いろいろ政策決定プロセスというのを自分なりに研究するためにももう少し続けたいというような意向があるということでしょうか。
○国務大臣(竹中平蔵君) 研究のために今の仕事をしているわけではございません。これは、私がこの仕事を続けるかどうかというのは、これは私が決めることではございません。いろんなことを、考えに基づきながら総理が御判断されることでございますので。私自身は、小泉改革は是非とも必要であり是非とも成就させなければいけない、お手伝いできることがあるならば謹んでさせていただきたいと、そのような姿勢をずっと持っております。
○平野達男君 先ほどの答弁の中で、ハバード氏でしたか、あるいはミルトン・フリードマンもそうです、あるいは今のマンキュー氏もそうだと思うんですが、みんなノーベル経済学賞をもらっておるようですね。日本もお金はたくさんあって、結構金融という面から見れば大国なわけですけれども、どうも学問の世界から見ますとノーベル経済学賞というのはだれも出ていない。アメリカはたくさん出ています。ヨーロッパでどれだけ出ているかは分かりません。
 アメリカであれだけたくさん出ていて、日本でだれも出ていないというのは、これは何に差があるんでしょうか。
○国務大臣(竹中平蔵君) ハバードはノーベル賞は受賞していないと承知しておりますが、御指摘のとおり、かなりの方がアメリカ人であります。それに対しては実は専門家の間でも批判がないわけではないと思っております。
 つまり、今の経済学の体系というのは、インスティテューショナリゼーションという言葉がありますけれども、非常に制度化をしていると。一つの特殊な形、パターン、儀式に偏っている面がある。それは、十九世紀の終わりに言わば物理学者が中心になって作り出したものであって、今のだから経済学の体系そのものも物理学の応用という面が非常に強い。したがって、その業績の評価も、物理学の業績の評価と同じように、実際的な何か提言とかというよりは、非常に、どちらかというと本ではなくて論文なんだと、専門の論文で競うんだと、そういう一つのパターンを持っているということに原因があるのではないかと思っております。
 したがって、これは、アメリカで優秀な若手経済学者に与えられるジョン・ベイツ・クラーク賞というのがあるんですが、そのジョン・ベイツ・クラーク賞を取って、それで、そういう取った人が何年か取るとノーベル賞を取っている、ノーベル経済学賞を取っていると。そういう一つの、これは制度化の問題点のようなものが指摘されていると思います。
 そういうことがアメリカ、物理学的な土壌を基盤にしたアメリカの中でノーベル賞を取っている人が非常に増えているということの一因であろうかと思っております。ちょっと長くなりますけれども、要因はそういうところにかなりあると私は思っております。
○平野達男君 私は、金融というか、金融も含めて経済の理論のことは、もう本当にせいぜい分かっているのは需給曲線でそのX交点が価格を形成するぐらいの、そんなようなことしか大体分かっていない、知らないんですが、ただいろんな雑誌めくりますと、金融物理学とか、何かそういう言葉が出てきて、何か随分様相が変わってきているなという印象は私も受けていました。
 ところが、ちょっと今度は話題を変えますけれども、今、日本の経済の状況というのは、昨日も福井総裁が言っておられましたけれども、世界に例のないような金融緩和をずっと続けている。それから、ゼロ金利もこれはずっと続いていますし、デフレもずっと長いこと続いています。経済は循環をするものだというふうに、私も少なくとも中学校、高校のころはそういうふうに教えられてきました。しかし、どうもその循環ということは、循環するんじゃなくて、どうも一つの状態がずっと長く続いているという意味において、今までの経済の基本的な理論とは違うような状況が展開されていると思うんです。
 竹中大臣流に、竹中大臣の目から見て、今までの一般的な経済あるいは金融の理論と、今の日本の置かれている経済、金融の状況の違いというのはどこにあるかということをちょっと御説明いただけるでしょうか。
○国務大臣(竹中平蔵君) 経済というのは、本来、やはりある程度成長できる基盤、潜在成長力の経路というのがあって、その経路の回りで良いとき悪いとき、循環的に動く。そのような流れの中で通常は運営されてきて動いてくるものだと思っております。
 ところが、日本の場合、何が起こったかといいますと、一九八〇年代の平均成長率が四・五%、成長率は、成長力は経済の成熟とともに徐々に低下するものではありますけれども、九〇年代以降の成長率というのは一%なわけです。経済が悪くなることはあります。しかし、四%の成長率が、四・五%の成長率がいきなり一%になって、それが十年も続くということは、普通はこれはあり得ないことだと思います。
 本来の成長力、日本は二%から二・五%ぐらいの成長力がある。にもかかわらず、十年もそれが一%であると。ここはやはりその要因は何なのかということの議論を専門家も意外ときちっとしてこなかったと思います。
 その要因は、本来の成長力を発揮できないような特殊な状況に日本が置かれていたこと。それは正にデット・オーバーハングという問題がありますけれども、経済全体のバランスシートが傷んで、過剰な債務、不良な債権、不良債権と過剰債務は表裏一体でありますけれども、それを引きずってしまったことによって本来のリスク許容力が銀行にも企業にも家計にもなくなって、経済がこのように停滞をしてしまったと思っております。
 もちろん、そういう中でも循環は起こります。しかし、経済政策として重要なのは、日本が本来の成長力である二%―二・五%の成長力に復帰できるようにすること。そのためには不良債権という負の遺産を何としても取り除かなければいけない。さらには、IT革命でありますとかグローバリゼーションでありますとか、この間の変化に対応して本来の潜在的な力、二%―二・五%の成長力そのものを高めていくこと。アメリカはある程度それに成功しているわけでございます。そのことをやはりやっていく。これが、気が付いてみるとやはり、正に構造改革であるということになると考えております。
○平野達男君 今の御説明は何度か竹中大臣から聞いた御答弁だったと思うんですけれども、もうちょっと経済学的な観点からいったときに、経済の理論は普通はこうなんだけれども、今の日本の状況はこうなんだというようなちょっと御説明を聞かせていただければ有り難かったなと思っているんですが、どうでしょうか。
○国務大臣(竹中平蔵君) 今のは、デット・オーバーハングという考え方は経済学的な考え方だと思っております。
 その中で、これは経済産業研究所の小林慶一郎氏らが精力的にいろんな理論武装をしておりますけれども、実はリスクに対して、リスクが存在するときには一種の産業組織の連鎖が崩れてしまうと。その産業組織の連鎖が崩れることによって、例えば具体的に言いますと、これは部品メーカーがあって、今までメーカーのために、このメーカーのために長期的なRアンドD投資も行って、それで新しい生産性上昇を導いてきたんですけれども、不良債権を抱えている親会社の状況がどうか分からなくなると長期的な投資ができなくなる。そういう形で産業組織の連鎖が崩れてしまう。だから、マクロ的に見ますとデットのオーバーハングなんですけれども、債務を引きずっている状況なんですが、例えば産業組織とか、ミクロ的に見ると今申し上げたような変化が起こってきている。
 そういう中で、繰り返しになりますけれども、やはりリスクに対して非常に慎重になると。リスクが存在している場合のミクロの合理的な構造を積み重ねると、やはり九〇年代の日本のような経済になる。
 その意味ではきちっと説明させていただいているつもりでございます。
○平野達男君 今の御答弁の中での産業組織の、これは今……
○国務大臣(竹中平蔵君) 連鎖が崩れる。
○平野達男君 連鎖の破壊ということですね。ということがキーワード、キータームだったと思うんですが、これが今までのどちらかというと経済の理論あるいは金融の理論の中では抜けていたということなんでしょうか。
○国務大臣(竹中平蔵君) 余り一概に言うこと、一面的に言うこともできませんけれども、バランスシートが傷んだときに、それが経済のそれぞれの主体にどのような影響を、構造変化を与えるのかということについて議論が余りなされてこなかったし、もちろん今でもそんなに分かっているわけではないんですけれども、非常に大きなバランスシート変化を経験したときの経済調整のメカニズムというのがなかなか難しくて、それで各経済主体も大変努力、苦労をこの十年間続けているということだと思います。
○平野達男君 そうしますと、バランスシート不況という言葉も一時ささやかれましたけれども、そういったバランスシートからスタートして産業構造の、産業の、また言葉を忘れましたけれども、先ほどのキーワードですね、産業……
○国務大臣(竹中平蔵君) 産業組織の連鎖が破壊される。産業組織の破壊で結構だと思います。
○平野達男君 産業構造の、産業組織の破壊ですか、何か難しい言葉でちょっとなかなか付いていけないんですが。ということなんですが、今それを修正すべくいろんな対応を取っているということで、日銀と政府との一体的な対応とも言われています。
 そうしますと、これがうまく、この対策がうまくいって、また逆にうまくいってもらわないかぬわけですが、日本が先ほど竹中大臣の言われた二%から二・五%の成長を回復するというようなことがもしできたとすれば、このまず日本が陥った過去の経済のいろんな問題点、それを理論的に解明して、かつこういった理論で、こういった政策でもって日本は経済回復をしましたということを理論的にしっかりまとめれば、これはノーベル経済学賞をもらえますわ、これ。
○国務大臣(竹中平蔵君) もらえないと思います。
 学問とやはり政策というのはそういう形では直結、もちろんする場合もありますけれども、必ずしもそういうものではないと考えております。
○平野達男君 今やっている政策が私はすべてがすべて、すべてがいいとは思っていませんが、是非、日本の景気を元のいい回復に軌道修正をして、もし学問の世界に戻ったら、先ほど言ったように、日本の今までの経済の軌跡、なぜバランスシート不況に陥ったのか、経済構造が破壊されたのか、そういったものをまとめて、かつそこから脱却するときにどういう政策をやったのかということをまとめて、是非ノーベル経済学賞を取ってもらいたいというふうに思います。
 それで、一点だけ。ミルトン・フリードマンの話が出ましたので、デフレは、インフレではなくて、デフレは貨幣現象であるということを竹中大臣はかつて言っておられました。デフレはすぐれて貨幣現象であるということを言っておられましたけれども、この考え方はまだ変わっておられませんか。
○国務大臣(竹中平蔵君) 基本的には変わっておりません。
 すべて貨幣現象であるとは申しません。しかし、貨幣現象であるという側面は強いというふうに思っております。
○平野達男君 その貨幣現象であるというのは、一種の貨幣数量説とセットになっているというふうに私は理解をしているんですけれども、デフレが貨幣現象であるということからすれば、今の日本の状況というのはもう、デフレは貨幣現象である、すぐれて貨幣現象であるということとは全く違う状況になっているんじゃないかと思いますけれども、これはどのように思われますか。
○国務大臣(竹中平蔵君) 一九八〇年代、日本のマネーサプライは一〇%程度、ちょっと正確な数字ではありませんが、一〇%近く伸びていたのではないかと思います。
 それが九〇年代に入って数%になって、今、一・何%の伸びです。マネーサプライは伸びておりません。マネーが伸びないということと物価が上昇しないということはやはり、どの程度相関があるかというのは意見は分かれますが、少なくとも多くの専門家がある程度は認めることなのだと思っております。
○平野達男君 インフレは貨幣現象であるというのは、いわゆる物価指数、単純に言えば物価指数だと思うんですけれども、物価指数は貨幣の量の変数であると。つまり、従属変数であると。貨幣の数量が動けばインフレが、多くなればインフレが誘因されるという、こういう説だったと思います。
 ところが、デフレは確かにマネーサプライが増えないということはあるんですが、ベースマネーがどんどんどんどん増えています。貨幣数量にはもう関係なくて、デフレというのは貨幣の数量という問題ではなくて、ベースマネーが増えたとしても、それがマネーサプライにつながっていけないという、そこの自体に根本的な問題があるんじゃないかと思うんですが、そこはどうですか。
○国務大臣(竹中平蔵君) ベースマネーが増えてもマネーサプライが増えないと。別の言い方をすると、貨幣の流通速度が下がっていると。それは、インフレ、デフレというよりは、もっと別の構造的な問題であるというふうに理解すべきだと思います。
 具体的に何かというと、正に金融部門に金融仲介機能がなくなっているから、不良債権等々の存在によって金融に対して前向きな対応がなかなかできない状況にあるからと。ただ、日本の場合は貸出しに関してはやはりバブルのときにこれが膨れ過ぎて、これはある程度調整せざるを得ないという中期的な側面がありますので、一つの要因だけで貨幣乗数の低下というのは説明できないというふうに思います。
 ただ、いずれにしましても、インフレが貨幣現象であると、にもかかわらず、デフレは貨幣現象ではないという言い方をもしされる方があるとすれば、それは明らかに矛盾しているのではないでしょうか。
○平野達男君 私の理解では、インフレはつまり貨幣の通貨量によってかなり影響を受けるという、こういう理解をしています。デフレは、つまり貨幣の通貨量に変化を受けるというんじゃなくて、もうそこに行く以前に、ベースマネーが用意されたとしても、もう市場にお金が出ていきませんから、まずそちらの方に注目しないとデフレは解消できない。つまり、デフレはすぐれて貨幣現象ということになりますと、通貨の量、つまりマネタリストの話になってしまうわけですが、通貨の量にだけ着目していればいいんだという誤解が生じてくるんじゃないかなと思うんです。
 ですから、同じ、インフレは貨幣の数量、貨幣数量に従属する、貨幣現象である、デフレは貨幣現象であると、同じことを言ったとしても、本質的には全然違うことじゃないかということを言いたいんです。
○国務大臣(竹中平蔵君) 議論しなければいけないのは、価格を決める要因は何なのかということです。
 価格を決める要因はいろいろありますが、基本的には、例えばこれは内閣府のモデルでも、いろんな民間の金融機関のモデルでも価格関数というのがありますから、価格の決定要因は何かということも見ればその基本的な考え方が示されているわけですけれども、これは私はほぼ間違いなく実物経済としての要因、経済成長率や需給ギャップの要因とマネーサプライの要因というのが、これは私はほとんどの場合二つ入っているのではないかと思います。マネタリストというのはこれを理論として純化するわけですから、このマネーが重要だということをマネタリストは言うわけです。私はそういうことを言うつもりはありません。これは両方重要であって、マネーについても実物経済についても、やはり両方しっかりとした対応をしていかないと、政策としてはこれはデフレ克服にはつながらないと思います。
 もう一つは、マネーサプライとベースマネーがどうかかわっているかということ。今はベースマネーが増えてもマネーサプライが増えないわけでありますから、その要因は何なのかということと、マネーと価格の関係はどうなのかということは、これはやはり二つの経路で考えなければいけないと思います。
○平野達男君 私がもう一つ言いたいのは、インフレは貨幣現象であるというときには、通貨の量を、要するに政府の、日銀が、政府がこれ調整できるわけじゃないですね、中央銀行が操作できるという、その操作は手法としてきっちり作用するという前提だと思います。
 ところが、先ほど言いましたように、今デフレ下の中ではベースマネーを幾ら供給してもマネーサプライは増えない。つまり、通貨供給量が操作できないんですね、金融当局が。この状況の中で、インフレが貨幣現象である、デフレが貨幣現象であるというのは、もう状況が全然違っていると思うんです。
 これは、今私どもは政策の議論をしていますから、インフレが貨幣現象、デフレが貨幣現象となると、何となく同じような政策ができるのかなという推察ができてくる。しかし、実際には、取るべき政策というのは、あるいは取ることのできる政策というのは、インフレ下とデフレ下の中では明らかに違うということを言いたいんです。
○国務大臣(竹中平蔵君) 今の御議論も、是非御理解いただきたいですけれども、まず価格を決める要因としてマネーサプライが重要かどうか、これはある程度重要だということは認めてくださった。そうすると、日銀は今度マネーサプライをコントロールできるかという議論です。
 日銀はベースマネーをコントロールすることは明らかにできます。そうすると、ベースマネーからマネーサプライについてどのぐらいの影響力があるかどうなのか、そこはやはり極めて議論の当然のことながらあるところだと思います。日銀の専門家の実務的な話からいうと、いや、それほど簡単ではないのだという議論もこれは私なりに承知をしておりますし、とはいうものの、マネーサプライをコントロールできるのは日銀、中央銀行しかいない。中央銀行がそのことをやらないんであるならば、これは中央銀行としての役割を果たせなくなるのではないだろうかという議論もございます。
 その点でいうならば、例えば最近の状況をいっても、例えば日銀は当座預金を四兆、五兆から今三十何兆まで積み増した。五兆から三十何兆に積み増す伸び率が高いときにはマネーサプライは実は増えております。伸び率が止まるとマネーサプライが増えなくなります。これは、ベースマネーの伸び率とマネーサプライの伸び率はやはりある程度関係しているということを示している。これはある専門家の分析でありますけれども、そういう見方もやはりしていかなければいけないのではないかと思います。
○平野達男君 もしそれが正しいとすれば、ベースマネーをどんどんどんどん増やしていけば、いずれデフレは克服できるということになると思うんです。しかし、なかなかデフレは出口がまだ見えない。福井総裁は、長く厳しい険しい、長く厳しい道だというふうにおっしゃっていました。
 繰り返しになりますけれども、結局、今、竹中大臣は日銀はマネーサプライをコントロールできる、できなければ存在する意味がないというような、ということまで言わなかったかもしれませんが、そういう役割を与えられているんだというふうにおっしゃいましたけれども、現実は全然マネーサプライなんかコントロールできていませんよね。せいぜい、今、日銀がやっているのは、ベースマネーを供給して、末端にお金が行き渡らないから資産担保証券を買いましょうと、こういうことをやっています。しかし、資産担保証券は元々そこにニーズはあるんだけれども、リスク取る人がいないから日銀が代わってリスクを取りましょうとやっているだけなんですよ。これはマネーサプライのコントロールでも何でもないですよね。
 このベースマネーとマネーサプライの今の状況の中には、もう明らかに大きな、何というんですか、差といいますか、相関性というのは私は多少はあるといえども、期待されたほどの大きな相関性はないと。むしろ、これを縮めるのは何かといえば、構造政策であり、需要喚起政策であり、いろんな政策だと思うんです。
 だから、そういった意味では、かつて速水総裁が日銀総裁のときに議論しましたけれども、どうもあのときの議論の軍配は私は速水総裁に上がっているんじゃないかという、白黒をはっきりしたいがために言っているわけじゃありませんが、そういう感じを強く持ちますが、何かコメントがございますれば。
○国務大臣(竹中平蔵君) 私は日銀の御苦労というのは大変理解しているつもりであります。したがって、マネーサプライが、ベースマネーが増えてもマネーサプライが増えないその大きな要因は金融庁の我々の行政にあると思っております。
 そのためには、貨幣乗数が上がるようにするためには、まず不良債権処理をしっかりやらなければいけない、その役割は是非しっかりと果たしていきたい、そうすることによって日銀のベースマネーを増やすという努力がマネーサプライ増加につながるような環境を政府としてしっかり作っていかなければいけない、そこは十二分に理解しているつもりでございます。
 しかし、その上でマネーサプライがやはり増えるような状況を作っていかなければいけないわけです。そのことは私は日本銀行も理解をしてくださっていると思います。そのために、いわゆる波及のメカニズムを高めるというような努力をしてくださっていますし、様々な観点からいろんな努力をしておられる。
 ここは、ここから先は専門家の間でも極めて議論が分かれるところだと思いますけれども、マネーサプライについてのやはり管理をしっかり行えるのは日本銀行しかありません。だから、為替介入を行ったときも、不胎化するか不胎化しないかとか、どうするかというのは、これは日本銀行がマネーサプライ管理の観点からやっておりますというふうに自らおっしゃるわけですね。そこはやはり日本銀行の重要な仕事なのだと思っております。大変限界的なところでの仕事になります。これは、政府としてもやるべきことはやらなきゃいけないし、日本銀行にもやはり更なる工夫をしていただかなければいけない。政府、日銀一体だと思っております。
 私たちがこういう発言をすると、何かすべてを日銀にしょわせているというようなニュアンスのコメントもいただくわけですが、そういうつもりは全くありません。日本銀行が大変今よくやっておられるし、苦しい立場にあるというのも理解をしております。しかし、その上で、政府の財政も苦しい立場にある、政府、日銀がその上で更に知恵を絞らなければいけない状況であるというふうに考えているわけです。
○平野達男君 竹中大臣の答弁は答弁として理解します。
 ただ、今、今回、今の議題は非常にテーマを絞っています。要するに、インフレが貨幣現象、デフレが貨幣現象ということなんですが、同じ貨幣現象だといったとしても似て非なるものがあるということを言いたいということであります。
 それで、それともう一つは、一時、ベースマネー、インフレターゲットとかいろいろ、ベースマネーをもっと増やせとかインフレターゲットというような議論がございました。あれは要するに、日銀がベースマネーをどんどん増やせばインフレ期待が起こると、インフレ期待が起これば実質金利が下がるので、実質金利の下がるということとインフレ期待と名目金利が上がってくるというのに時間ずれが、たしかタイムラグがあると、その間に投資の意欲が起こって投資活動が活発になるんじゃないかという、たしか、こんなたしか理屈じゃなかったかと思うんですが、少なくてもそういう理屈は今の日本の中にはもう当てはまらないということは、これは一つはっきりしたんじゃないかと思うんですが、竹中大臣はどのように思われますか。
○国務大臣(竹中平蔵君) その理屈という意味は、インフレ期待を変えることによって実質金利が下がるというのは、これは、もしもインフレ期待が変われば、これ変えられるかどうか難しいと思いますけれども、インフレ期待が変われば実質金利が下がると、これは確かな問題ですね。そうすることによって実質経済が刺激されるというのも、これも間違いない事実であると思います。
 今の御質問の趣旨は、名目成長率の上昇と名目金利の上昇、どちらが追っ掛けっこのような形で高くなっていくのかと、そういうニュアンスであったかと思いますけれども、これはいろいろこの間も御議論をさせていただきましたけれども、非常に純粋な新古典派的な成長理論からいうと、名目金利と名目成長率というのは収れんしていくわけであります。したがって、ほぼ同じか、私が申し上げたのは、過去三十年取ると、ほぼ同じか名目成長率の方が名目金利より少し高いですよということを三十年の事実として申し上げて、いや、二十年取ると違うとか、いろんな御議論もいただいているわけでありますけれども、ほぼ収れんしていくわけですね。
 そういう形を考えるならば、今の状況というのは、やはり大変リスクを取り込んで名目金利の方が名目成長率より高くなっている、ないしは非常に特殊な状況で名目成長率が落ち込んでいるという状況より異常なのであって、これを正常化していくプロセスがなければ日本経済の再生とか財政の健全化はあり得ないということだと思います。
 ここはやはり、是非、私が申し上げたような形に長期的には収れんし得るということを念頭に、是非経済を正常化していきたいと思っているわけです。
○平野達男君 今の答弁は、どちらかというと後で大塚委員がやる質問に対する答弁ではなかったかと思うんですが。
 私の質問はもっと単純でありまして、日銀がとにかくベースマネーを供給、どんどんどんどん供給していけば、いずれ期待、成長期待が高まるということで、デフレからの脱却につながるんだということが一時ささやかれておりました。そういう単純なものではなくて、ベースマネーを供給するだけじゃなくて、先ほど言われたように、竹中大臣が言われたように、金融機関がリスクを取るようにするために不良債権の処理もしなくちゃならない、あるいは企業にとっては過剰債務の処理をどんどん進めなくちゃならない。そういった意味での需要を喚起するような、あるいは資金需要を喚起するような、そういう施策を、セットというよりは、むしろそちらの中心じゃないかというようなことを今、ではないかと私は思っていますし、現に今の小泉内閣の政策というのはそれをシフト、それを重点にやっているわけですね。
 そうしますと、先ほど冒頭言いましたように、日銀がベースマネーを増やせば、いずれそれを契機として、それをスタート地点としてデフレ脱却ができるということは、もはやこれは言えないんじゃないかということを、単純なことを確認したかっただけです。コメントもございますれば。
○国務大臣(竹中平蔵君) まず、需要が出てこなければいけないんだと、資金需要が出てくるような状況を作らなければいけないと、これはもう全くそのとおりであろうと思っております。そのために先行減税も行ったわけでありますし。かといって、財政の赤字が一方で非常に大きな制約条件としてあるわけですから、安易に財政の拡大をできないというような状況下で何ができるのかと、特区があるではないだろうかと、地域再生プログラムという形で地域の個性を発揮していただく中で需要喚起ができないだろうかと、そういうことを組み合わせて正に総合的にやっているわけでございます。
 ちょっと細かい御指摘になるかもしれませんが、基本的には、期待インフレ率を変えるということは、ベースマネーを増やせば期待インフレ率がそのまま影響を受けるということではないんだと思います。今ベースマネーを増やしているわけです。しかし、これは一部の論者の意見でありまして、必ずしも私の意見ではありませんですけれども、増やしても、その後、増えない。この間に関しては伸び率ゼロなんです。であるならば、インフレ目標を示して順番に少しずつ伸ばしていくことによって期待形成できるのではないだろうか。私はこの考え方に一〇〇%くみしているわけではありませんけれども、そういう考え方もあるというわけです。
 ベースマネーを増やせばインフレ期待が変わるというよりは、増やすという意思を示して、インフレ目標を立てるという意思を示して、それでその期待が形成されやすいようなやり方もあるのではないかと、そういうような議論が一方であるというふうに私は認識をしております。
○平野達男君 インフレターゲット論のことだと思うんですが、その議論も私も多少なりはあります。しかし、日本の今の経済の状況ではそういったことも私はやっぱり当てはまらないんじゃないかなということを私の感想として申し述べておきます。いずれ、この問題についてはまたいろいろ機会をとらまえて議論させていただきたいと思います。
 それで、今日は予算のモデル事業ということについてもお聞きしたかったんですが、ちょっと私の時間がもうなくなりました。また次回、また私の方、時間いただけると思いますので、この問題、この件についてはそのときにお聞きしたいと思いますので、私は取りあえずこれで終わりたいと思います。
○大塚耕平君 民主党の大塚でございます。
 竹中大臣から当委員会は大変有意義だという御発言をいただいて、私も委員会の一員として大変うれしく思います。私も、お世辞抜きで、三年前に当選させていただいて、国会でこういう議論ができるとは思っていませんでしたので、例えば今の話なんかをずっと伺っていても、日本で、日本の国会でこういう議論が行われているというのを、これを翻訳してグリーンスパンさんに教えてあげたら結構喜ぶと思いますね。ただ、そういう話を聞いて、お伺いしていて、何かうれしくなって眠気が覚めちゃう自分が寂しいんですけれども、大変面白い話を聞かせていただきました。
 谷垣大臣、塩川前大臣には私も随分怒られたりもしながらここで議論をさせていただいたんですが、やはり大変立派な大臣であられたなと思いますのは、私は何度も、やはりこれだけの大勢の人間が集まって議論をするわけですから、この中の議論でなるほどと思ったことに関して、いや、まあそれはしょせん野党の言うことだからということであれば全くこの委員会は生産性がないわけですので、なるほどと思ったことは少しは反映していただけると、それこそ国会本来の役割でありますということを何度も申し上げて、確かに塩川大臣はそういう御対応をしていただけたなと私自身は思っておりますので、引き続きそういうスタンスで、ここの議論を仕事の中身に御反映いただければ我々も時間を割いて審議をさせていただくかいがあろうというものですので、是非よろしくお願いしたいと思っております。
 そのことを申し上げた上で、先ほど成長率と長期金利の話がもう出てしまいましたので、今日は小平統括官にもおいでいただいていますが、ちょっと質問の順番を入れ替えまして、その話から伺いたいんですけれども、谷垣大臣、これは何かすごく、この間から衆議院でも岡田さんと池田さんが竹中大臣に聞かれて、この間は予算委員会で峰崎先生が聞かれて、何かすごくマニアックな形而上学的な話をしているんじゃないんです。これは物すごく重要な話なので、今日は重要な話を二つ、是非認識のすり合わせをさせていただきたいんですが。
 谷垣大臣にお伺いしますが、竹中大臣がおっしゃるように、長期金利の方が普通は成長率より低いという状態が一般的であるとすると、財政収支はどうなりますか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 私は、正にその観点から興味を持って、興味といいますか、興味と戦慄を持って聞かせていただいているわけでございまして、これは金利の方がどんどん高くなっていくということになりますと、どうしても私どもの、これだけ国債を発行している状況ですから、身動きが非常に苦しくなってくると。逆であれば改善の手法がいろいろ取り得ると、こういう御議論をしていただいているんだろうと思っております。
○大塚耕平君 おっしゃるとおりです。
 したがって、竹中大臣がおっしゃるように、経済においては一般に名目長期金利の方が名目成長率より低いという状態が普通だという御主張が正しいとするならば、なぜこんなに財政赤字がたまっているんですか。
○国務大臣(谷垣禎一君) これは、今の金利と成長率の関係だけとは必ずしも私はすぐ結び付いた議論ではないと思います。やはり、特にバブル崩壊後の累次の経済対策、こういうようなものには功もあり罪もあったと思いますが、そういうものの積み重ねが基本的に今日の財政状況を形作っているというふうに考えております。
○大塚耕平君 お隣に同僚大臣がおいでになられるお立場の御答弁としてはすばらしい御答弁だと思うんですが、そういうことをお伺いしているわけではなくて、竹中大臣がおっしゃる御主張が正しいとするならば、確かに谷垣大臣がおっしゃったような金利と成長率以外の要因もありますが、それを除けば、それを除いたピュアな議論をすれば、財政というのはこんなに赤字がたまるはずはないという、つまり考え方をお伺いしたわけであります。
 そのこと自身は、今私がもろもろの前提を付けましたので谷垣さんも竹中さんも御同意いただけると思うんですが、内閣府から昨日、金利と成長率のデータをいただきました。これを見ると、確かに過去三十年を平均すると、竹中大臣がおっしゃるように、日本の名目長期金利は五・五、名目成長率は六・七。しかし、八〇年以降、二十年間を取ったり十年間を取ったりすると、以降成長率下がっていますので、逆の現象が起きているわけです。それから、アメリカ、イギリス、フランス、これは一九七〇年代以降すべて、すべてですよ、長期金利の方が成長率より高いわけであります。そして、ドイツに至っては、私がお願いをした戦後のすべての期間を通じて長期金利の方が成長率より高いわけであります。
 で、まず実証的にいって、実証的にいって、データで見る限りは、残念ながら竹中大臣の言っておられることとはデータとしては逆の傾向の方が強いと。私は、だから竹中大臣のおっしゃっていることを否定しているつもりはないですよ。まず、データとしては残念ながら逆のことが起きているということを申し上げているわけであります。
 その上で、ちょっと、なぜこんな議論をしているかというと、先ほど平野先生と竹中大臣の間で政策科学とかそういう御議論があったわけですが、最近は学者の方でも政策形成過程により関与したいというお気持ちの方増えていますし、私、いいことだと思います。平野先生のおっしゃるように必ずしも三年で大臣辞めるべきだとも思わないですけれども、逆に、政治家や官僚の方も、多少政治的判断だけではない理屈を身に付けるべきだと思っておりまして、そういう意味で、私は、今まで日本のアカデミズムというのは全然政策や政治に役に立たなかったという意味で、政策なき理論は非常にむなしいと思う一方、逆に理論なき政策は極めて怪しいものだと思っています。
 そういう意味で、私の古巣の福井総裁がこの間の予算委員会でも、理論的に今やっていることはどういうメカニズムで寄与するのか分からないけれども、政策を担っている当局である以上やらざるを得ないというふうに、かなり踏み込んだ発言をされたのはすごいなと思う反面、そんなスーパープラグマティックなことで中央銀行たるものいいんだろうかという懸念をOBとして感じているわけであります。だからといって、しかし手をこまねいていていいわけではありませんので、やはり政策と理論がきちっと歩み寄って正しいマクロ経済政策や様々な経済政策をやらなければいけないと、そういう立場で僣越ながら意見を申し述べさせていただいているわけであります。
 そこで、長期金利と成長率の関係については、やはり日本の、これだけの財政危機を抱えた日本の政策当局として、実証的にも理論的にも、やはり谷垣大臣も含めてもう少しきちっとお立場を明確にされないと、この後の財政運営に大きくかかわる話だと思っているからこそこれだけ再三議論になっているわけであります。
 そこで、竹中大臣にお伺いしたいんですが、なぜプライマリーバランスを黒字化させないといけないんですか。ちょっと非常に雲をつかむような質問で恐縮なんですが。
○国務大臣(竹中平蔵君) 今、ちょっとたくさんの御指摘をいただきましたので、少しだけ申し述べさせていただきたいんでありますが、理論なき政策は必ず誤ると思います。経済は少なくともやはり中長期的にはかなり、理論とは言えないまでも、理屈どおりに動くところがございます。バブルが起きたのにも理屈があるし、バブルが崩壊したのにも理屈がある、経済が停滞いたしたのにも理屈があると私は常々思っております。その上で、そのデータはその理屈に基づいてやはり解釈しなければいけないんだと思います。
 御指摘のように、この二十年ぐらいを見ると、私が申し上げたことと逆転しているケースが多々見られるということはもちろん十分に承知しております。その場合、金利には将来に対するリスクプレミアムが入ってくると。それと、期待インフレ率が非常に高い場合、これはオイルショックの下等では期待インフレ率が高くて名目金利が跳ね上がったという状況、これは私はやはり正常の状況ではないと考えるべきだと思います。
 そういうことが実は次から次へと起こってきたのがこの八〇年代以降だというふうに思っておりますが、例えば財政赤字をしっかりとコントロールして、経済成長を復元して、経済を活性化させた例えばイギリスの例、このイギリスなどは、少なくとも最近の五年について見ますと、経済をきちっとした後の五年について見ると名目成長率の方がだから高くなっている。名目金利より名目成長率の方が高い。それが私はやはりノーマルな状況だと思っております。それを目指して経済運営をしていくということになります。
 私は、ひとつ、是非期待をしておりますのは、民主党の皆さんも大変御議論を重ねて、それで財政と経済の中期的な展望のようなものをお出しになるというふうに聞いております。その中で、名目金利と名目成長率の関係をどのように規定してお出しになるのかと、そこは私自身も是非注目をさせていただきますし、勉強をさせていただきたいというふうに思っております。
 その上で、プライマリーバランスの回復を目指すのは何か。これは、大塚委員、その先の答えを承知の上で聞いておられるわけですけれども、財政の議論を議論する場合によく使われるドーマーの定理という考え方がございます。とにかく、財政というのを発散させないために国債の、借金ですね、借金の残高とGDPの比率、GDPに対する借金の比率が無限大まで拡大していったならば、これはもう財政は発散であります。こういう状況は続かないから、どこかで大変な破綻が来るというふうに考える。これを高止まりでも、たとえ高止まりでも仕方ないから発散させないようにしようではないかと。それをする条件は何かということを示して、これは各国の財政当局がしっかりと認識しているのがこのドーマーの定理であるというふうに思っております。
 そのためにはどうなのかと。それはプライマリーバランスを回復させることである。プライマリーバランスを回復させた上で、かつ名目成長率が名目金利よりも高ければ、このドーマーの定理の下で財政の発散を防げるという考え方、私、これは繰り返し言いますが、非常に広く財政当局に、各国の財政当局に受け入れられた考え方なんであって、だから我々は早い時期からプライマリーバランスの回復を目指そうということを政策目標に掲げましたし、経済を正常化して、名目金利と名目成長率がせいぜい同じになる、ないしは名目成長率の方が少しは高いような状況に戻していきたい。その中で、財政の健全化と経済の再生を目指したいというふうに考えているわけでございます。
○大塚耕平君 谷垣大臣、今、竹中大臣は物すごく重要なことをおっしゃったのをお気付きでしょうか。もうドーマー条件を御説明いただいたので私は繰り返しませんけれども、財政を健全化するためにはプライマリーバランスを黒字化することと、成長率が長期金利よりも高い状態を作ることが必要なんです。つまり、これは目標なんです。そうなっていないからそうしなければいけないということを、過去営々と経済学者が理論的にそういう主張をしてきた結果、プライマリーバランスを均衡させることと、成長率より長期金利の方を低い状態を作ることは目標なんです、これは。だから、大臣がおっしゃっておられるように、いやいや、普通は長期金利の方が成長率より低いということであれば、もうこれは二番目の条件は満たされているわけですね。常時満たされているということなら、これはドーマー条件に入ってこないわけですよ。満たされていないから、それを満たしたいということを多くの経済学者がおっしゃったわけですね。
 今日は、前申し上げたように、私、竹中さんの著書のファンでしたからね、一杯持っているんですけれども、「経世済民」、「「経済戦略会議」の一八〇日」、これは小渕内閣のときに御協力をしておられたプロセスをお書きになった本で、その中にも、大臣御自身は、私が今申し上げた趣旨のことをもうはっきり、ちゃんと正確に書いておられるわけですよ。
 だから、いや、私が申し上げたいのは、今本当に日本の経済にとって重要な局面ですから、もう一度申し上げますが、国会での議論で、あっ、なるほど、ちょっと言っていたことが間違っていた、まあ間違っていたとまでは言いませんけれども、ちょっと表現の仕方が誤解を与えたかもしれないなという点があれば訂正された方がいいです。この中には、故小渕首相の下でまとめられた日本経済再生への戦略、平成十一年二月二十六日、経済戦略会議最終報告も載っています。これ、竹中さんが中心でまとめられたわけでありますが、この中にもはっきり名目成長率が名目金利を上回る状況を実現することは目標なんだって書かれているんです。
 だから、そこで、この間から非常に辛気臭い議論をさせていただいているのは、小平統括官の下で内閣府は経済財政モデルを一生懸命回しておられるんですけれども、間違った前提あるいはかなり恣意的な前提でモデルを回して、その数字を国民に対して開示をして、その下で予算の編成をするということは、これはあってはならないことなんです。本当に、高度成長期みたいなときはいいですよ、ほっといても税収も入ってくるし、別に予算編成は特に困らないというときならいいですけれども、谷垣大臣。
 今は、別に我々も議論をぐちゃぐちゃにしようとして申し上げているわけではなくて、財政再建したいんです、我々も。だからこそ、この間もきちっとお示ししたように、民主党の中期経済モデルの推計は私が、私のところでやっていますが、まだ党内でコンセンサスを得られていないので、この間は私的推計としてお示ししました。したがって、私は長期金利の方程式も全部公開しますよ。もう結果出ていますので、二〇一四年まで残念ながら長期金利の方が成長率より高い状態が続きます。その状態を均衡させるためには様々な工夫が必要だということをもう、この間は概要だけですけれども、お示ししています。来週、東洋経済にも書きますので、谷垣大臣もお読みいただきたいですけれども。
 そこで、経済財政モデルというものが一体どういう前提で、どういう方程式で、外生変数はどういうものを入れているかというのを、さっきも申し上げたように、学者もみんな政策形成過程に貢献したいと思い始めていますので、全部公開しましょうよ、この際。我々も公開しますから。この間は予算委員会で資料請求しましたけれども、私はこの場で、別に、分かっていますから、モデルで何かすべてが解決することでもないということも分かっていますし、モデルはあくまでモデルだということを分かっていますが、正しい財政状況についての認識を持ち、正しい、正しいと言うと語弊がありますね、より客観的な先行きの経済認識を持つためにも、改めてこの場でもお願いをしますので、今ここで即断即決していただければ、これはもう歴史に残る大臣ですよ。
 政府の推計の、今日は小平さんに聞こうと思っていたんですけれども、細かいことを聞いていると時間がなくなるので、モデルの方程式、定義式、外生変数、内生変数の数、外生変数としてどういうデータを入れているのか、全部公開していただけますか。
○国務大臣(竹中平蔵君) これは私の認識でありますけれども、それは第一回の「改革と展望」のときから既に公開をしていると思っております。それで、例えば外生変数が、一覧性がないかとか見にくいとか、そういう御要望があれば、これはすぐにでも対応させます。
 いずれにしても、これはもう私自身かねてから内閣府で、これは内閣府の諸君もそのように認識をしておりますけれども、これはオープンです。当然のことながらオープンにいたします。大塚モデルもオープンにしていただけるということであれば、これは大変有り難いことでございますし、そうすることによって本当に政策論議が進むと思いますので、我々は大塚委員が御指摘のような方向で対応しているつもりでもありますが、それは徹底いたします。
○大塚耕平君 大変前向きな御答弁をいただけたと思います。これは全部公開していただけることをお約束いただけたものだと私は思いますので、一つだけ役所ないしはパブリックセクターの人間の性癖を申し上げておきますと、まあ私もそれに近いようなところにいたので。小平さんも含めて、皆さん、すごい優秀な方なんですよ。だから、こういう結果を出してくれと言われたら、ちゃんとそれに合う結果を作るんですよ、皆さん。そういうことを仕事としていますから、役所の皆さんは。
 しかし、今、残念ながら財政の先行きの見通しとか経済の見通しについては、そういう初めに結論ありきではなくて、できましたら、これは野党議員も、それから野党の推薦する学者も入れてきちっとしたラウンドテーブルを設けていただきたいなと。だから、どっちが正しいとか間違っているということではなくて、少なくとも見通しに関しては、そこで双方のバイアスが掛かりますので、しかしバイアスをちゃんと議論して詰めて、じゃ、こういう見通しが最も中立的なものだということで財政政策や経済政策を立案していただければ国会の議論はもっと中身のあるものになります。
 ところが、今は残念ながら前提の段階から、竹中さんは全部公開しているとおっしゃいましたけれども、経済財政モデルも概要は確かに、概要といってもかなり詳しめの概要はお示しいただきましたが、詳細までは全部出ていないですね。それは多分公開しても分からないということもあったと思うんですけれども。しかし、この議論延々とやりません。今、お約束いただいたので、これはもう大変な前進だと思いますので、多分学界関係者も、済みません、創価学会さんではなくて、学術界ですね、学界関係者ももう本当に大喜びしていると思いますよ、今の御答弁は。多分あしたの社説にも出ると思います、どっかの社説にも。分かりませんけれども。
 さて、その上で、ちょっと違う質問に移らせていただきたいんですけれども、先般の補正予算の審議のときに、私は、この場で国庫債務負担行為が一杯あって、これは何ですかというお話を承ったんですが、改めてお伺いしますが、平成十五年度補正予算に計上されていた国庫債務負担行為の額は幾らで、それが今回の当初予算にはどのように計上されておりますでしょうか。
○政府参考人(杉本和行君) お答えさせていただきます。
 十五年度補正予算におきましては、国庫債務負担行為といたしまして、一般会計で六百八十四億円、特別会計で二千八百四十九億円、合計三千五百三十三億円を限度として計上しております。これらがおっしゃるようないわゆるゼロ国というものでございます。
 このゼロ国債は、公共事業の執行に当たりまして、契約後一定の準備期間が必要であることにかんがみまして、年度当初から公共事業の施行を行えるよう十五年度中に事業の契約を行うことを可能にするものでございまして、当該ゼロ国に係る実際の支払は十六年度予算において計上された歳出予算によって行うこととしておりますので、申し上げた金額が十六年度予算の歳出予算に計上さしていただいているところでございます。
○大塚耕平君 済みません、分かり切った質問で恐縮ですが、すべて当初予算に計上されたということですね。──はい。
 ということは、これ予算審議中ですが、しかし衆議院通っているわけですから、三月一杯では成立するわけですが、どうして補正予算でこれ計上する必要があったんでしょうか、谷垣大臣。国庫債務負担行為としてわざわざ計上する必要があったんでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) これは、寒冷地その他でやっぱり年度が明けたらすぐ執行しなきゃならない、しませんとうまくいかないというのがありますので、事前にその準備といいますか、手当てができるようにこういう形になっているんだと考えております。
○大塚耕平君 またすばらしい百点満点の御答弁だと思うんですが、これ塩川大臣だったら、そこまでは多分同じ答弁をされたと思いますが、ううん、ということですが、まあしかし確かになんですなと、当初予算がもう成立するわけですからそのときに計上してもよかったかもしれないし、補正予算のときに大塚から指摘があったように、慌てて補正予算作るとちゃんと査定もしていないかもしれないから、本当に補正予算で国庫債務負担行為を計上する必要があるのかどうか、よく検討してみますわというような、ちゃんと、ちょっと余計なことが付いたと思うんですね。しかしここが重要なんですよ。
 この間も申し上げましたように、補正回しなんというのは、これは予算編成やっておられる方々や財政に興味のある研究者の皆さんはみんな分かっている話なんです。特別会計、特会回し、財投回し、補正回し、これが日本の財政を肥大化させてきた。さっきまさしく大臣御自身がおっしゃった長期金利と成長率の関係以外の部分で財政を肥大化させる要因が様々あったんでしょうという、その要因です。これにメスを入れてくださいということをお願いをしているわけです。
 だから、いや、これはお世辞抜きで谷垣大臣は首相候補だと私は思っていますので。しかし、これ平時ならそういう御答弁でいいですけれども、この財政危機、経済危機に本当に一国のかじ取りを担おうというお気持ちがおありならば、これだけ明々白々に、長年研究者も実務関係者も指摘をしている問題に対して通り一遍の御答弁で済まされるということは、首相候補として尊敬をしております私としては残念極まりない。
 おまけにもう一つ申し上げますと、特会回し、財投回し、補正回し、これでも白發中の三暗刻かと思ったら、最近はこれに日銀回しというのが入っているわけです。四暗刻ですよ。ここで笑ってくれないと困っちゃうんですけれどもね。いや、本当にこれは大変なことです。財政赤字、財政破綻の役満ですよ、これは。だから、この間から介入と米国債の買入れの問題も随分話題になってきて、私も雑誌に書きましたけれども。
 そこで、ちょっと竹中大臣に確認をさせていただきたいんですが、さっき重要なことをおっしゃったんですね。介入において不胎化、非不胎化をするかというのは、これはマネーサプライ管理の観点から日銀が決定していることだとおっしゃいましたけれども、この発言、訂正しなくていいですか。
○国務大臣(竹中平蔵君) 基本的には、そのような御発言を日銀総裁御自身が諮問会議等々でもしておられたと認識しております。
○大塚耕平君 それでは、いずれ私ももう一度日銀に確認したいと思いますが、為替介入というのがマネーサプライコントロールの上でそういう操作手段として使われているという認識は今までなかったはずです。今現在は、現実にはそうしているかもしれないですけれども。もし総裁が諮問会議でそういう発言をしておられるということであるならば、もう一度いずれ私は国会の場で確認をしたいと思いますけれども、何かもし御発言があれば。
○国務大臣(竹中平蔵君) ちょっと不胎化、非不胎化という言い方が不適切であったかもしれませんが、介入に影響されないような形で独立してマネーサプライのコントロールを日本銀行が行っているんだと、そういう趣旨のことを日銀総裁はおっしゃっておられると。私が申し上げたのも実はそういうことなんでございます。正にその他の要因、それを非不胎化と言うということかもひょっとしたらしれませんけれども、マネーサプライのコントロールは、これは日銀がつまり介入を行おうが行わまいが、マネーサプライのコントロールはそれと独立して日本銀行が行うと、私が申し上げたかったのはそういう趣旨でございます。
○大塚耕平君 私は、竹中大臣は本当に答弁能力の優れた、日本の国会審議のレベルを上げた大臣だと、これはお世辞じゃないです、本当にそう思っています。ただ、今の御答弁のように、物すごく重要な問題で極めて巧みに百八十度答弁の内容を転換されることが時々あるんですね。これは、だからこれはすばらしいと思います、能力としては。ただし、ただし、今の前段でおっしゃったこと、そして私が問い掛けたこと、そして後段で、いや正確に申し上げるとと言って修正していただいたことは、随分内容が違うんです、これは。まあ、いいです、これはしょせん日銀の問題ですから、一度確認をしてみますけれども。
 いや、私はマネーサプライコントロールのために為替介入の胎化、不胎化を操作するということを否定するつもりはないですよ。もしそういうちゃんとした意思決定があって、そういう何らかの理論的裏付けがあってそれをやられるならいいですけれども、いや、そういうことはやっていませんと言いながら、事実上そうなっているというところに問題があるわけです。前も申し上げたような気がしますけれども。
 だから、前は、たしか補正予算の審議のときに、マネタイゼーションということを政府全体として、政府、日銀全体としてきちっと論理的に整理が付いた形でどなたかが指揮を取ってやっておられるなら、それはそれで一つの経済政策の選択としてはあり得るというふうにお伺いしたところ、竹中大臣は、谷垣さんのお顔をちらっとごらんになられて、それから、いや、そうではなくて、それぞれの部門がそれぞれの職責を果たしているにすぎませんというふうにおっしゃったんですが、それが危ないんです。それが危ない。
 だから、きちっと整合性が付いてやっておられるんでしたら別に、それは政権を担っておられる皆様方ですから、政権サイドの御判断ですからいいと思うんですけれども、いやいやマネタイゼーションなんてすごいことが起きているにもかかわらず、いや起きているかもしれないけれども、それは別にだれかがそうしろと言ったわけじゃないですねという状態だけは何とか避けたいなと思っていますので、この問題は引き続き議論をさせていただきたいと思います。
 さて、残り時間もあと十分ほどになりましたので、小平統括官におかれては細かい質問をさせていただこうと思っていたんですが、先ほどの展開になりましたので、御質問はいたしません。恐縮です。
 谷垣大臣にお伺いをしますが、谷垣大臣は国債管理政策の定義及び目的をどのようにお考えになっておられますでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 先ほどからるるこの国会の議論でいいところがあったら取り入れるようにと、こういう御趣旨でございましたけれども、私もそれは努めたいと思っております。実際、相当長い間国会で議論を参加させていただいているわけですから、それが何にも得るものがないと、またそういうところから何も学ばないんだというのでは、正に時間の無駄としか言いようがございませんので、なるほどと思ったことがあったら私も取り入れるということはしたいと思っております。
 それから、先ほどゼロ国債の私の答弁について物足りないという御指摘でございました。私もゼロ国債というものが今までどういう意味を果たしてきたかということはある程度問題意識を持っているつもりでございますが、他方、私の選挙区も相当雪が降るものですから、公共事業執行どうあるべきかという問題意識も持っております。ただ、これは、その辺りでどういう機能を果たしているかというのは今後ともよく見てまいりたいと思っております。
 済みません、ちょっと余分なことを申しまして。
 それで、国債管理政策の定義と目的ということでありますけれども、これは一義的な定義があるのかどうか分かりませんが、国債発行当局の立場からすれば、できるだけ財政負担の軽減を図りながら、国債が円滑かつ確実に市場に受け入れられるように、国債の発行とか消化、流通、それから償還、各方面にわたって行われる政策の総称ということになるのかなと思いますが、目的は中長期的な調達コストを抑制しながら国債の円滑かつ確実な消化を図ることであろうと思います。そして、実は今の定義と目的の中に入れませんでしたけれども、やはり国債に対する信認を維持していくということがその大前提として私はあるのではないかなと、こういうふうに考えております。
○大塚耕平君 景気対策という視点はないですか、国債管理政策を考えていく上で。
○国務大臣(谷垣禎一君) 景気対策ですか、まあ、今の現在の状況においてそれが最前面に出てくるというふうには考えておりません。
○大塚耕平君 これも塩川大臣の時代に申し上げたことですが、改めて私の認識も開陳をさせていただきますが、国債管理政策で満期構成、マチュリティーを考えるときに、短期債はこれ短期になればなるほど流動性が高いですから、通貨に近くなるわけですよ。だから、国債管理政策を考えるときに、単にコストを低くするということだけであるならば、今みたいに長期金利が低いときは長期債でばあっとやればいいわけですけれども。
 ところが、流動性という観点で言うと、短期債もある程度出さなきゃいけないということで、したがって景気対策に重きを置くなら、景気対策というと語弊がありますね、景気面に配慮した管理政策を行うなら短期債を中心に、しかし、より低コストでやりたいということであるならば、長期が安ければ長期でやるという、あくまでコスト重視で満期構成考えるというふうにやらなきゃいけないんですが、その両方の視点が必要でしょうということで、両方の視点を加味した最適満期構成という言葉があるわけです。
 だから、今後、国債管理政策という言葉も、これは三年前には実はこの委員会で国債管理政策と申し上げても余り反応良くなかったんですけれども、今や国債管理政策が非常に重要だということが一般的認識になったことは大前進だと思いますので、是非、通り一遍ではないんだということをまた大臣御自身よく御研究いただいて、またこれも事務方の皆さんにもちろん指示して、事務方の皆さんはすばらしい案を持ってくるでしょうけれども、しかし大臣御自身がどういう観点で国債管理政策をお考えになるのかということを是非更にこの場で議論を深めさせていただきたいと思いますので、あらかじめお願いをしておきます。
○国務大臣(谷垣禎一君) 私ももう少し勉強してみたいと思いますが、今委員がおっしゃった観点は、景気対策ということが主眼に、私どもの頭の中、現在の私の頭の中ですが、主眼にあるというよりも、市場のニーズがどこにあるのかという観点を考えますと、恐らく今委員がおっしゃったようなことも相当考慮しないと市場のニーズを把握して順調に消化していくということにはつながらないんだろうというふうに思いますので、直ちにそれを国債管理政策の目的に入れるかどうかは別として、幅広く考えていかなきゃならないことかなと思います。
○大塚耕平君 ありがとうございます。
 財政赤字の操作というのは、規模を少なくするだけではなくて、国債の市場価値を高めれば事実上の財政赤字の額というのは減りますから、だから極めて国債の流動性を高めたり市場性を高めるということは、本当に、当面二、三十年の間重要な政策になりますので、これはもう我々も知恵を出していきますので、是非御検討いただきたいと思います。
 それの延長線上の話として一つ重要なことがあるんですが、地方債、地方債でありますが、これは端的にお答えいただきたいんですが、地方債が償還できなくなったときに、これは財務省は地方債の償還を保証するんでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) これは保証という、法的な言葉で言うと政府保証が、もちろん政府保証が付いている地方債もございますけれども、それはごく限られたものでございますから、法的な意味では政府は保証しているわけでもありませんし、そのような債務を負うわけでもございません。
 ただ、地方財政計画に公債費として元利償還費ですね、計上しておりますので、地方交付税も含めて所要の財源を確保するということにしておりますので、そういう意味では保証という表現がいいかどうかは別といたしまして、政府がまあ背後におると、こういうことではないかと思います。
○大塚耕平君 その答弁は塩川大臣の答弁とは大きな方向転換ですから、多分あしたそれ報道されると思います。いや、塩川大臣は片山さんと並んで、この場ではなかったですけれども、あれは行政監視委員会とか予算委員会だったですけれども、片山さんが片方では、いや、それはもう財務省が面倒見てくれますよと言うと、塩川さんがこの辺ぴくぴくさせながら、いや、それはもうちゃんと自分たちで償還してもらわないと困ると言い張っていた問題ですから、今の御答弁だと、ちょっとこれは大きな、これは前進と言っていいのかどうか分かりませんが。
 そこで、今、三位一体改革の議論が昨日も予算委員会で行われましたが、私は四位一体改革が必要だと思っているんです。四番目は何だと思われますか。
○国務大臣(谷垣禎一君) ちょっとそこまでまだ頭が回転いたしません。
○大塚耕平君 地方債なんですよ。だから、もうあと一、二分ですからやめますけれども、結局、既に発行されているものを、これが償還できなくなったらそのときは、法的には根拠はないけれども、やはり面倒見なきゃいけないんじゃないかというような今の谷垣大臣の御答弁も分からないではないですが、更にもう一個問題があって、今の地財計画では元利償還ができそうもない自治体でも、とにかくこの地財計画で地方債の発行計画が総務省で盛り込まれちゃうと、どこが買ってくれるかという、買ってくれる相手先を自分たちで探さなくても発行できちゃうんですね。この部分をきっちりメスを入れていかないと、片や昨日平野さんが予算委員会でやっておられたように、事実上は三位一体改革で歳入歳出額、予算額は減ると、そういうことがだんだん明らかになってきたわけですが、じゃ苦しいからといって地方債発行すると。この地方債を発行して、この地方債に対してどういうスタンスで財務省があるいは政府が臨まれるかによって、これは、もう今日はこれ以上の議論やりませんが、竹中さんと私の議論、あるいはこれまで延々と続いてきた長期金利、成長率、それから財政赤字を解消できるかという問題の背後にある中立命題という、つまり財政赤字は個人消費に影響を与えるのかどうか、つまり財政赤字は将来世代に転嫁されるのかされないのかというこの問題と非常に密接にリンクしていて、今日はそのことの細かい議論はもうしませんけれども、地方債の問題も全部そこに行き着きますので、是非、三位一体改革まではレールが引かれたわけですので、その運営を間違わないでいただきたいということと同時に、地方債の改革に財務省として目を光らせていただきたいと。
 総務省におかれては、今日一つ質問する予定でしたが、後で私に数字をください。つまり、二年前のこの場で自社株買いや自転車操業のような融通手形を切るような地方債の発行をし始めているところがあるけれども、数字はどうだというふうにこの場と行政監視委員会で聞きましたら、そのときは数字を持ってなくて、今後は調査して継続的にフォローするとおっしゃっておられたわけですので、しかるべく私のところに数字を報告してください。この場での質問は時間がありませんのでやめさせていただきます。
 以上で終わらせていただきます。
○山口那津男君 公明党の山口那津男でございます。
 私は、東京選挙区の選出でありまして、東部の下町に住んでおります。その下町のおじさん、おばさんの間でよく話題になること、これを拾って今日は御質問させていただこうと思います。
 おじさん、おばさんたちは日本の平均的な人たち、代表する国民と思いますので、そういう人たちからすると余り難しい理論、あるいは片仮名、横文字の並んだような言葉、使われてもよく分からないんですね。ですから、そういう皆さんにも分かりやすい表現で御説明をいただきたいと思います。
 まず、そこで初め伺いますが、今年の国債発行額、これは百六十二兆円を超えると言われております。それをどこに使うかは別にして、借りて金利を付けて返すという意味で膨大な数字になっているわけですね。税収が四十二兆円程度しかなくて、さあ、この数字というのはいかがなものかと。我が家の財布あるいは我が社の金庫、このやりくりと比べて余りにも国は懸け離れたことをやっておるものですから、その類似として考えられないわけですね。さあ、これを果たして、プライマリーバランスということをよく言われますけれども、そこに到達できるのかどうか、今年の予算、十六年度予算というものがその達成へ向けての一つの手掛かりになり得るのかどうか、この点について根拠も示して分かりやすくお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) プライマリーバランスにつきましては先ほども大変掘り下げた御議論があったところですけれども、要は、その世代に必要な支出はその世代で、その年に入ってきたもので賄おうと。それで、まだ借金はたくさんあるわけですから、その借金は、借金の扱いまではなかなかいかないけれども、せめて今年やることは今年の入費でやろうと、これを目標にしているわけですね。
 それで、それを二〇一〇年代初頭というところに目標を掲げておりますけれども、一つ、今年、私が黒字化に向けた手掛かりが得られたというふうに申しておりますのは、これは一般会計の、一般会計で国債費と公債金収入で見ますと、平成十五年度の当初予算はマイナス十九・六兆円になっておりましたけれども、今年度の当初予算では十九兆円になって、六千億ぐらい改善をしていると。名目GDPでいきますと〇・一%改善をしていると。これを一つ手掛かりが得られたというふうに申し上げているわけでございます。
 ただ、まあこれもまだ非常に前途ほど遠し。先ほどからの御議論もございますけれども、また非常にいろんな前提を置いて今まで先を示しておりますので、具体的には相当地道な努力を歯を食いしばってやらなきゃいかぬだろうと思っております。
○山口那津男君 所与の前提でいろんな試算があるわけでありますけれども、その前提そのものが変わっていく場合もありますし、また大胆な歳入面での改善、改革ということもあり得るかと思いますので、是非この達成へ向けての引き続きの御努力をお願いしたいと思います。
 それからまた次に、よく話題になりますのは、若いお母さん方が、昔でしたら働くお母さんは子供を保育園へ、そして専業主婦の方は子供を幼稚園へというのが相場でありましたけれども、最近は自分のライフスタイルに応じていろいろ選ぶと。保育園であっても子供を預かり、幼稚園でやっているような教育面重視のこともあっていいだろうし、また幼稚園であっても預かり保育を入れてもらいたいと、こんな要望も強いわけですね。それが截然と厚生労働省系あるいは文部科学省系で所管も分かれ、やり方も違うというのはどうしても納得できないと、こういう思いもあるわけです。また、似たようなことをやるのに経費が重複しているんではないか、権限が重複しているんではないかと、こんな素朴な疑問もあるわけですね。
 こういったことを見直す一つの手法として、政策群あるいはモデル事業、先ほども御議論あったところでありますが、そんな試みがなされているわけで、私は大変いい試みだろうと思います。しかし、それがどういい効果を発揮しているのかということはやっぱり国民に分かるように説明をしていく必要がありますし、またその試行というものをもっと広げていく、こういう必要もあろうかと思います。
 こういう手法を取り始めたことに対する基本的なお考えと、これからのその拡充へ向けた展望といいますか、御決意といいますか、それをお聞かせいただきたいと思います。
○副大臣(石井啓一君) 今御指摘をいただいたとおり、十六年度予算におきましては政策群あるいはモデル事業といった予算手法のいわゆるイノベーションに取り組んだわけでございますけれども、このうち政策群につきましては、今御指摘いただきましたとおり、各府省間の施策の連携を強化して重複を排除すると、こういったことにより政策目標の達成に資する、あるいは規制改革やあるいは制度改革等の政策と予算手法とを組み合わせると、こういったもの、あるいはより少ない財政の負担で民間の需要や民間の資金を誘発するということで民間の活力を最大限に引き出すと、こういった要件の下に行いまして、十六年度予算につきましては十の政策につきまして実施を行ったところでございます。
 また、モデル事業につきましても、これ、限られた財政資金を効率的に使うといった観点からプラン・ドゥー・チェック・アクションという考え方の下で定量的な政策目標を立てまして、これは事後にきちんとチェックをすると、予算の執行調査を行って厳格に評価をすると、その上で予算の執行を弾力化するということで同じく十の事業について試行的に導入を図ったところでございますが、これらはそれぞれ予算を、より限られた予算の中で効率的、効果的に執行していこうという予算執行の一つの、先ほども申し上げましたイノベーションの一環として取り組んでいるものでございまして、今後も今回の経験を踏まえつつ引き続き積極的に取り組んでいきたいと、こういうふうに考えております。
○山口那津男君 そうした中で、例えばモデル事業で、従来の予算手法であります国庫債務負担行為とかあるいは繰越明許費とか、あるいは目を柔軟に利用を認めようとか、様々な手法を取り入れられる。これはこれで結構なんでありますけれども、例えば国庫債務負担行為、これもやりようによっては、防衛予算のように正面装備の調達のために広げ過ぎて余りに硬直化していると、そういうマイナス面も出る場合があるわけですね。ですから、その長短、それぞれの手法の長短、これをどう組み合わせるか、そして総合的な効果としてプラスになるというところ、これをやっぱり分かりやすく国民に示す必要があると思うんです。
 その評価の手法として、定量的な評価のポイント、これを幾つか出しておやりになるということでありますが、プラン・ドゥー・チェック・アクションなんて言うからますます難しくなっちゃうんで、おじさん、おばさんに分かるような、そういう公表の仕方あるいは評価の仕方、これを工夫していただいてやっていただきたいと思うんですが、何かその点でのお考えがありますか。
○副大臣(石井啓一君) 先ほど申し上げましたとおり、モデル事業につきましては定量的な政策目標を設定いたしまして、それをきちんと厳格な事後評価を行うと、こういう前提の下に予算執行の弾力化あるいは複数年度にわたる事業については国庫債務負担行為の活用等を行っているものでございますけれども、これにつきましては、今御指摘のあるように、後年度の支出がむしろ固定化していくんじゃないかという御指摘もございますので、そういったところに十分配慮をしつつ、こういった予算手法を使っていきたいと。
 この結果につきましては、先ほど申し上げましたように、きちんと評価をいたしまして、皆様方に、国民の皆様方に分かりやすく、こういうモデル事業をやった、その結果としてこういう効果がありましたということもきちんと御説明をさせていただきながら、積極的に取り組んでいきたいと思っております。
○山口那津男君 予算のシーズンになりますと、一般会計のところは報道もされますし、よく注目を浴びるわけでありますが、片や特別会計、これは数も多いし多種多様でありまして、それが個々に詳しく国民の目にさらされるということは余りないわけであります。しかし、子細に見ますと問題点はたくさんあります。
 財政審でもこの改善、改革につきまして具体的な提言、五十三項目ぐらいにわたって指摘をされたわけであります。しかし、これをだれが責任を持って、それをどう実現をして、そして変えていくかと、この辺が必ずしもはっきりしていない点があるわけですね。これは見逃しませんよという国民の声も強くなっていく中で、これにどう取り組んでいかれるか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○副大臣(石井啓一君) 特別会計につきましては、昨年からこれは見直しの議論が相当国会の審議等を端緒といたしまして進められました。今御指摘ございましたとおり、財政制度審議会におきまして、昨年の十一月、見直しに関する基本的な考え方と五十を上回る具体的な項目、方策をお示しをしていただいたところでございます。
 これにつきましては、十六年度の予算編成においても可能な限り、この具体的な五十を上回る項目についての中から可能な限りこれ実現を図るということで着手をさせていただいております。中には、具体的な方策の中には中長期的にその必要性について検討するという項目も入っておりますので、それは引き続き今後行うことといたしまして、まずはこの十六年度予算の中で可能な限りこれを着手をさせていただいたところでございます。
 これにつきましては、今後とも、毎年度の予算編成の中で、来年度の予算の中で着手した項目につきましても更に深掘りをして中身をしっかりとさせていきたいと思いますし、また中長期的な五項目につきましても引き続きしっかりと進めていくということで、また、なかなか一般会計と比べて分かりにくいという指摘もございますので分かりやすい説明にも努めてまいりたいと、このように考えているところでございます。
○山口那津男君 是非、その提言の進捗状況、これを公表しながら、次の課題を提示して、是非国民に可視的にこれを進めていただきたいと思います。
 次に、税金は無駄遣いが結構多いのではないかと、昨今家計も詰まり、企業会計も厳しく、国に対してもそういう目が向けられているわけですね。そこで、我が党神崎代表の提言もありまして、政府内に行政効率化関係省庁連絡会議というものも設置をされたと。行政府全体の無駄遣いチェックの連絡機関として設置をされたというふうにも伺っております。しかし、仏作って魂入れずでは困りますので、こういうものが設置されただけでは何にもなりません。
 具体的に、例えば公共工事、これについては、予算編成の基本方針で平成十五年度から五年間で一五%のコスト削減率達成、これを目指すということで、年々やろうとしているわけですね。やっぱり具体的な目標を掲げて、個々の分野、また総合、こういうことを進めていく必要があると思います。
 この点について、財務大臣のお立場から御決意を伺いたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、山口委員おっしゃいましたように、神崎代表と小泉総理の本会議でのやり取りが一つきっかけになりまして行政効率化関係省庁連絡会議というものができたわけですけれども、山口さんが今おっしゃったように、仏作って魂を入れないようじゃしようがないじゃないかということ、そのとおりだろうと思います。
 それで、公共事業のコストにつきましては、平成九年以後、政府の行動指針というものを作りまして取り組んでいるわけですが、その結果をちょっと申しますと、平成十四年度は平成八年度と比べまして工事コスト縮減が一二・九%、それから物価等の下落も含めた実際の工事コスト縮減は二〇・六%となっております。
 それから、引き続き、しかしながらコスト縮減を図ることが必要だというので、先ほど御指摘いただいたように、平成十五年度以降五年間で一五%の総合コスト縮減を達成する公共事業コスト構造改革プログラムというものを作って、それにのっとってやっていこうということでやっておりますが、平成十六年度ではコスト削減を進める観点から、特に中部国際空港などは、中部国際空港方式というんでしょうか、民間のやり方で非常にコスト縮減の成果を上げているというようなことがございますので、民間と特に取扱いが異なると指摘されるような積算と発注方式について、大口の取引価格の把握とか、それから交渉のやり方の導入等にも工夫を加えて一層のコスト縮減を図るというようなことを取り組んでおりますので、今後とも努力をしなきゃいけないと、こう思っております。
○山口那津男君 是非、厳格な御努力をお願いしたいと思います。
 さて、今年は年金の改革が大きなテーマになっておりますけれども、社会保険の事務費の取扱いについて、これについてちまたでは、私の払った保険料が公用車、あるいは庁舎の維持管理、あるいは職員の宿舎の維持管理、こういった部分にも使われているのかという報道に接してびっくりする声もあるわけですね。やっぱり上の世代に仕送りとして自分は納めた、あるいはそれを幾らか膨らませて将来自分に返ってくる、こういう期待で保険料を納めているわけであります。それがよもやというような使途に使われている。それを保険料から出すというやり方がいつまで妥当性を持つのかというのは大いに疑問でありまして、こういう素朴な疑問に対しては率直にやっぱり真摯に受け止めて対応していく必要があると思うんですね。ですから、本来税で賄うべきもの、あるいは保険で賄うべきもの、これを明確に分けてこれから財政運営をしていっていただきたいと思うんであります。
 そういった意味で、来年の予算編成において、この国民年金法の改革等の趣旨を踏まえて是非この社会保険事務費についての明快な在り方というものを打ち出していただきたいと、こう思うわけでありますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) まず、大前提として、年金の費用から出すか、それとも税金から払うか、どちらにせよ無駄な、事務費だという名の下に無駄な使い方をされている、乱脈に使われていると、こういうようなことは、これはもうどういうところから出すにせよいけないわけですから、まずそれをきちっとするということがとにかく大前提としてあると思います。
 その上で、今の委員の御指摘は、元々法律、国民年金法等の建前は、それは、年金を運用していくのにはどうしても事務経費が要るわけですから、それは国庫で負担するという原則が作られているわけですが、その国庫の方も大変手元が不如意になっている中で年金の方でお願いできないかということでやってきたのがこの六年、今年もお願いをしているので六、七年ということになります。
 それで、その背後にある考え方は、そもそも年金を運営していくのに必要な事務費はどう扱うべきかというやっぱり議論があるんだろうと思います。法律は先ほど申し上げたような整理になっているわけですが、他方の考え方として、年金を運営していく事務費だから年金の中で払うという考え方もあるんだろうと思います。それから、一義的にどっちが払うべきだというんじゃなくて、正しい解はどこかその中間辺りにあるんだという考え方も元々あったんだと思いますが、原則論として今のような法律で整理をしておりますが、実際苦しくなってきたからそういういろんな考え方に頼りながらお願いをするということになってきたわけだろうと思います。
 ただ、与党のいろいろ御議論の中でも、事務費で、年金で賄うべきもの、税で賄うべきものをきちっと整理ができるようにという御指摘もいただいているわけでございます。今年はこの一年間限りのやり方としてお願いをしているわけでありますが、十七年度にどうするかは坂口厚生大臣ともいろんな御指摘も踏まえながらよく検討をしてまいりたいと、こう思っております。
○山口那津男君 国民から見ると、義務的に取られるお金という意味では保険料も税金も同じなんですね。しかし、片や税の方はその使途についても厳格に監視されているというイメージがあるわけでありますが、保険料については今まで相当徴収も含めて甘かったと、こう思います。是非ともそこは厚生労働大臣と調整の上、分かりやすく、疑念を抱かれないように進めていただきたいと思います。
 さて、今年、画期的な試みがありました。所得税の申告についてインターネットを使って電子申告、これが名古屋国税局管内で行われたと。私も早く自分でやってみたいなと思っておりますが、ところが東京ではそもそも住基ネットの仕組みそのものがまだ導入されていない自治体もあるわけですね。そんな中で、やっぱり一部の懸念も、こういうシステムに対する懸念もないわけではありません。ですから、これらの懸念を払拭しつつ、こうやって適正に効率的に運用されますよ、簡単ですよ、便利ですよと、こういうことをPRしていく必要があると思います。
 確定申告終わった直後でまだ少し早いのかなとも思いますが、この開始に対する一定の運用状況や評価について、今の時点でのお答えをいただきたいと思います。
○政府参考人(村上喜堂君) お答えいたします。
 先ほどお話のございましたモデル事業に関係するんでございますが、国税の電子申告・納税システム、これはe―Taxと申しておりますが、これは十六年度の実はモデル事業に指定されております。名古屋の国税の電子申告につきましては、本年の二月二日から名古屋国税局管内の納税者を対象として運用を開始しております。現在のところ、さしたるトラブルもなく順調に推移しているところでございます。
 それで、先ほどちょっと、御質問の趣旨とちょっとずれるかもしれませんが、モデル事業ですので、一応定量的な目標が設定されておりまして、一つは利用可能地域を全国に拡大するということ、二番目は利用者の満足度を向上させること、三番目、これは一つの目安なんですが、十八年度の利用件数というのも挙がっております。
 そこで、このモデル事業を達成するために、本年六月一日から、システムの安定的な稼働を確認しつつ、全国に運用拡大したいと考えておりますし、また、利用者の満足度の向上のために、利用者の方々にアンケート調査を実施しまして、それをまたサービスの向上に努めていきたいと考えております。
 なお、このシステム、別に住基ネットとは直接関係はございませんので、念のために申し添えておきたいと思います
○山口那津男君 この電子申告をするためにはやっぱり個人認証制度というのが運用されてなきゃいけないわけですよね。ところが、住基ネットそのものの導入に反対している自治体もあるものですから、やっぱり個人認証ということができない国民が一部にいるということでありまして、住基ネットと直接の関係があると申し上げているわけではありません。そこで、この点については大いなる発展を御期待したいと思います。
 次に、FTAについて、先ごろメキシコとの協議がまとまったというふうにも言われているわけでありますが、メキシコに限らず、東南アジア諸国、日本に近い地域との、韓国も含めて、これらを大きく言えば発展させていくべきであると、こういう声が強いわけでありますが、しかし、個々の業種によってはそれによる競争力に懸念を持つという声も聞かれるわけですね。そんなことも含めながら、財務省の観点でこれからのFTAの東南アジアあるいは韓国との協議をどのように進めていくか、そしてそれの協議成立の見込み、どの程度見込んでおられるか、この点についてお答えいただきたいと思います。
○副大臣(石井啓一君) 今御指摘のございましたメキシコとの経済連携につきましては、三月十二日に主要な点につきまして大筋合意が得られたところでございまして、今後、協定の確定に向けて条文の詰め等の事務作業が残されておりますけれども、財務省としても早期に協定が締結できるよう引き続き最大限の努力をしていきたいと、こういうふうに考えております。
 今の問いでございますけれども、ほかの地域はどうなのかということでございますが、当面は我が国との政治、経済的な相互依存関係が強い東アジア地域を重視しているということで、具体的に申し上げますと、マレーシアとは本年の一月から、フィリピン及びタイとは本年の二月から各々交渉を開始したところでございまして、韓国とも昨年の十二月から交渉を開始しているところでございます。
 今後、おおむね二か月に一度の頻度で交渉を行っていく予定でございまして、いつまで、できるかというのはまだ、今交渉を始めた段階でございますので、なかなか具体的なめどを申し上げられませんけれども、これらのFTAを含む経済連携の実現に向けて財務省といたしましても最大限の努力をしていく所存でございます。
○山口那津男君 中国との貿易関係についてちょっと経済産業省に伺います。
 最近、特異な現象が起きてきております。対中貿易が飛躍的に拡大してきていると。これ自体は率直に認める、歓迎すべき方向であるかもしれませんが、従来の製品の貿易だけではなくて、素材、工業の素材についても、これが最近起きている現象というのは、例えば鉄くずでありますとかパルプでありますとか、あるいは繊維くずでありますとか非鉄、ニッケルだとか銅とか、こういったものの対中輸出というのは急激に増えているんですね。それと同時に価格も上がっていると、こういう現象があるように思います。
 代表的なそういう素材の対中輸出及び価格の変動、そしてそれが日本の経済に及ぼす影響、これらについてちょっと御答弁をいただきたいと思います。
○政府参考人(福水健文君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、最近、中国経済の活性化を背景といたしまして需要の増加が見られます。その関係で、鉄鋼、銅、ゴム、そういう素材製品の我が国から中国に対する輸出が急増しております。例えば、具体的には、鉄鋼製品で見ますと五年前に比べまして約二・六倍、銅地金で見ますと四・三倍というふうな状況になっています。量が増えますとともに価格も国際的に上昇いたしております。価格で見ますと、一年前と比べますと、例えば鉄くずでございますと約六三%増加しておりますし、銅地金でございますと七七%ぐらい上がっておるというふうな状況でございます。
 こういう我が国企業の輸出の増加につきましては、我が国経済に一定のメリットがあるというふうに考えています一方で、鉄、鉄鉱石でございますとか、そういう原材料、あるいは鋼材、銅、ゴム、そういう製品の価格の急激な上昇につきましては製造コストの増加に直結するものでありまして、我が国企業利益への影響、あるいは原材料調達、ひいては産業、経済への影響が懸念されるところでございます。
 私ども経済産業省といたしましては、省を挙げまして、各方面から情報収集を行う体制を整備しようということで、省内に原材料等連絡会議というふうなものを設置いたしまして、国内外からの情報収集を行いますとともに、中小企業も含めまして、我が国産業、経済への影響について的確な実態把握に努める、こういうことで現在の事態、注視してまいる所存でございます。
○山口那津男君 いただいた資料によりますと、例えば五年前と比べまして、ニッケルは十三倍、パルプは二十四倍、繊維くずは十二倍と、驚異的な伸びを示しているわけですね。そうしますと、下町の中小企業のおじさんは材料が手に入らない。そもそも手に入らない。手に入れようと思っても価格が高過ぎる。そして、でき上がった製品はなかなか、値段が抑えられている。いや、商売困ったと、これが率直な声なんですね。そういう点についての産業政策、経済政策の運営について是非万全を期していただきたいと思うわけでありますが。
 そこで、直接今のことと関連するわけではありませんけれども、中国の人民元の切上げをしてもらえないかと、またそうあるべきではないかと、かつて日本もそうだったはずじゃないかと、こういう声というのは多いわけであります。一方で、中国側の事情も考えれば、ドルとの、米ドルとの固定制度、これに固執しようとしているわけですね。
 そんな中で、例えば円やユーロといった、ドルも含めて、代表的な世界の通貨、これをまぜこぜにして、これとの固定制度というものも一つの考え方ではないかと、いきなり変動相場制へということではなくて、そういう考え方もあるんではないかと、こんな主張も見られるわけでありますが、財務省としてはこの中国元の切上げについてどのようにお考えになるんでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 中国経済の規模も相当大きなものになってきておりますから、中国の経済政策というだけでなく、今おっしゃった為替の在り方、こういう問題は、日本だけじゃなくてアジア諸国、これにとどまらず、欧米、つまり世界じゅうに非常に大きな影響を与えるものだと思っております。
 ただ、これは日本がこう考えるからこうしてくれるというわけのものではありませんで、やっぱり中国が主体的に自分の国の為替はどうあるべきかということをまず考えていただいて御判断をされるということなんだろうと思うんですが、それについては中国の閣僚も含めてこの当局の方といろんな形でのやっぱり意見交換なりそういうものが必要で、現にそういうものは行ってきて、いろんなレベルで行ってきております。バイの場合でもマルチの席でもいろんな議論が行われてきておりますし、中国側も今中国が置かれている問題状況というのをこれはきちっと把握しているというふうに考えております。
 いずれにせよ、我々としてはそういう問題意識を持って見守り、今後も中国の当局との対話を続けていきたいと、こう思っております。
○山口那津男君 時間も残り少なくなりましたので、竹中大臣に一問お伺いいたします。
 生命保険商品の銀行窓口での販売ということが話題になりました。しかし、これも最近は画一的な企画商品をただあてがわれるというのではなくて、やっぱり自分の年代といいますか、ライフスタイルといいますか、家族構成とか、様々な状況に応じて個別の設計をするということを消費者は好みつつあるわけですね。ですから、銀行の窓口でそういったことに本当に対応できるのかどうかとか、やっぱりいろいろクリアしていかなければならない前提というのがあるんではないかと、こうも思うわけであります。
 しかも、銀行の場合は与信業務も行っておりますから、かつて歩積み両建てだとか拘束性のある預金なんということも問題になりましたが、やっぱり力関係が違うという面もあるわけですね。それと、従来の生命保険の販売慣行と比べた場合のあるべき姿ということについても、やっぱり十分な検討を行わなければならないと思います。
 私は、これらの条件整備というものをもっと行った上で将来の在り方に結論を出すべきである、今にわかにやることについては慎重な検討を要すると、こう思うわけでありますが、大臣の基本的なお考え、そして今後の見通しについてお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(竹中平蔵君) 生保商品の銀行窓販につきましては、山口委員御指摘のように、非常に幅広く、いろんな観点から御議論をいただいているというふうに承知をしております。
 一般的な方向としては、やはり消費者から見ると総合的な金融サービスを受けたいと、したがって業態間の垣根を低くしていって消費者の利便を高めるというのが基本的な方向であるというふうには考えております。
 ただ、やはり生保の場合は二つの点においてしっかりと考えなければいけない問題があるということも認識しているつもりでございます。
 一つは、委員おっしゃいました、この保険商品のやはり特殊性ということだと思います。非常に長期の契約であって、かつ、一度購入した後、ああ、あれちょっと換えようかなというふうな形で商品を流動化して別のものに乗り換えるということは大変難しいものですから、そういった意味で、説明責任の御説明もありましたけれども、やはり大変特殊性があると思います。
 もう一つは、やはり銀行が優越的な地位をもって、それで販売してしまわないだろうかと、銀行の優越的地位に基づく不適切な販売が行われるということの懸念、この問題は是非しっかりと我々も考えていかなきゃいけないと思っております。
 いずれにしましても、この問題については、今、金融審議会の保険のワーキンググループで、これはもう幅広い、専門家にお集まりをいただいて議論をいただいております。ここでの議論の検討も踏まえて、我々としても是非適切に判断をしてまいりたいと思っているところでございます。
○山口那津男君 以上のやり取りで、おじさん、おばさんと気楽に話ができるようになりそうな気持ちになってまいりました。
 今日は御答弁ありがとうございました。
○委員長(平野貞夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時二十分まで休憩いたします。
   午後零時十三分休憩
     ─────・─────
   午後二時二十二分開会
○委員長(平野貞夫君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、財政及び金融等に関する調査を議題とし、財政政策等の基本施策に関する件及び金融行政に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸でございます。
 午前中は時ならぬ経済学講座が持たれたわけなんですけれども、私、今日は企業の社会的責任のことについて質問したいと思うんです。
 最近、企業の社会的責任ということが各方面で語られるようになってまいりました。私たち日本共産党も、ちょうど今から十年前の一九九四年に「新・日本経済への提言」というのを出しまして、その中で、大企業の社会的責任、大企業に社会的責任を果たさせようということを提言してまいりました。何もそのときに初めてこういったことを言われたわけじゃなしに、日本においても、六〇年代末から七〇年代初めにかけてのあの公害反対闘争ですね、あのときに社会的責任ということが生まれて、その後、発展されてきたわけですね。世界的にもそういう考え方が広がってきたわけですけれども、特に九〇年代に入ってから、この企業の社会的責任論というのは、もうその内容を深めながら世界的な広がりを見せております。
 私、今日は、当時、九四年に、私たちは企業の社会的責任というのはこういうものだということで具体的に七つの責任という形で提起したんですね。そこでは、簡単に申し上げますと、項目だけ申し上げますと、労働条件、雇用に対する責任。二番目が中小企業の経営安定に対する責任。三つ目、地域経済を守るための責任。四番目、消費者に対する責任。五が環境に対する責任。六、土地利用に対する責任。七番目に海外でよき協力者となる責任という、そういう分け方をしたんです。この企業の社会的責任についての定義とか対象、範囲、そういったものについては様々な意見があるわけなんですけれども、それにしましても、日本経済の再生、発展のために企業がその社会的責任を果たさなければならないということについては、これはだれも異論はないというふうに思います。
 そこで、ただ、日本でも盛んにこれ語られるようになったし、財界でも、企業の社会的責任(CSR)というふうに書いて盛んに言われております。ただ、経団連の出されたものを見ますと、日本ではかなり私は特異なCSR論になっているなというふうに思わざるを得ないんです。特に、一方で官から民へというキャッチフレーズで小泉構造改革がやられている。この小泉構造改革が、それによって日本におけるちょっと変わった、一風変わった財界の企業の社会的責任論を後押しするような、そういったことを私は危惧せざるを得ないわけで、今日はそういった立場から質問をしたいというふうに思います。
 まず、景気の回復や日本経済の再生ということについて企業の社会的責任を問うときに、その前提として、今の経済状況ですけれども、一度確認しておきたいと思うんです。
 時間が非常に、三十五分と限られた短い時間ですので、そこの点は簡単にしたいと思うんですけれども、ただ、やっぱり確認しておきたいのは、この国会、盛んに言われておりますのは、景気は回復してきた、この回復の芽が消費の増大に波及するということが期待されると。月例経済報告でも書かれているんですが、盛んにそれ言われるんですけれども、じゃ、どういった経路で、どういった形で消費の増大に結び付くのか、そこについての説明はないわけです。
 それについて簡単に、竹中大臣、お話しいただきたいと思うんです。
○国務大臣(竹中平蔵君) 難しい問題であり、簡単に一つのパターンだけではいかない問題だと思っておりますが、非常に単純に要約すれば、やはり企業が再生することによってしっかりとした賃金の支払能力を改めて確保する。賃金が増えることによって家計が消費をしやすいような環境を作っていく。ほかにもルートはございますが、やはりそういうような形で最終的には雇用者の所得が伸びていくということが私はやはり王道といいますか、メーンストリームであるというふうに思っております。
○池田幹幸君 そうだと思うんです。私も全くそのとおりだと思うんです。そのメーンストリームが我々が考えているような方向で機能しているのか、通っているのかというと、そうじゃないだろうと思うんですね。
 その点で、統計について谷垣大臣に伺っておきたいんですけれども、財務省の統計では法人企業統計と、それから民間企業の実態がございますね。その二つの統計についてちょっと教えていただきたいんですけれども、今、竹中大臣言われたように、ここ数年の経常利益、それから人件費、その二つを見ましたら、それが経常利益の上昇に見合って人件費が上昇してきているという、そういった数字は見られるでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 企業収益の動向を法人企業統計で見ますと、前年比ですが、平成十四年の七―九期ですね、それ以降六四半期連続で増益となっているわけですが、賃金の動向の方を同じく法人企業統計で見ますと、企業の人件費は前年比で約二年半、十四半期ぶりに増加に転じてきたというところでございまして、それから毎月の勤労統計によりますと、定期給与、これは所定内給与と所定外給与を足したものですが、これは基調として横ばいで推移しているという状況だろうと思います。
 所得はおおむね横ばいで推移している中で、消費者マインドは持ち直しの動きが見られて、個人消費では、家計調査では実質消費支出は三か月連続で前年に比べて増加している。それから、一月の小売業販売額も、百貨店などの好調があって、前年比プラスに転じているということがございますし、家電販売も、DVDとか薄型テレビなどの売行きが引き続き好調で、前年を上回っているというような持ち直しの動きが見られるわけでございます。
 総合して見ると、一年振り返ってみると、イラク問題とかSARSなどがありまして、去年の春ごろは何となく不透明感が強かったのが、ようやく夏ごろから景気回復がしっかりと感じられるようになった、そういうときじゃないかと思います。
 そういう意味で、景気回復はまだ緒に就いたばかりで、あちこちで厳しいリストラもまだ努力が行われておりますし、先行きに対して企業は完全に自信を回復したという形でもないわけでございますから楽観はなかなかできませんが、徐々に企業部門の回復が家計部門に及んできている、そういうことがまた期待できるということじゃないかと思います。
○池田幹幸君 つい最近の十―十二を見れば確かにそれは表れています。個人消費も、まあ伸びたとは言えないんでしょうね、下げ止まったというふうな感じでしょうかね。収入も、十―十二を見ると賃金も少しプラスに転じたということはありますけれども、しかし、この間の、ずっと七年間下がり続けてきて、一番最後のところだけちょこっと上がったんですね。これをもって、これから景気が一路回復していくというふうに、もしこれ判断するとすると、これはかなり甘いなと私は思うんです。現実に、下がり方という点でいえば大変なものでしょう。
 要するに、勤労者の収入にしてみても、九七年、九八年でピーク達したけれども、どうっと下がってきて、今九〇年の水準にまで落ち込んでしまっているんですね。その中でほんのちょこっと上がっただけですよ。それでもって今谷垣大臣がおっしゃるような形の消費の増大というのがそういった方向に結び付いていくというふうに見れるかというと、到底そんなことは考えられないんじゃないかと。
 私は詳しく言えないので、時間がないものですから、資料として提出させていただきまして、これは財務省並びに総務省の労働力調査年報等々から引き出し、示しております。それを見ましても、ともかく給与はずっと下がりっ放しになってきているんですよ、長期に見ますとね。そして、そういうふうな、収入は増えないわけですから、収入が増えないという実態見ましても、今日ちょっとこの資料にはお出ししませんでしたけれども、総務省の家計調査報告を見ますと、家計収入の落ち込みで見ますと六年連続で落ち込んでいるんですよね。そして、昨年の一人当たり現金給与総額が九七年から比べて三十六万円減っているんです、年間。それを示した家計の消費支出、一か月当たりの支出見てみますと、消費支出がずっと下がり続け、可処分所得も下がってきておりますですね。こういう状況ですよ。
 そうすると、収入が落ち込んで、それが、支出が落ち込んでということがこれ実際に現れている中で、これ本当に景気の回復ということが期待できるかというと、私はなかなかそうはいかぬだろうというふうに思っております。
 問題は、最後の十―十二は少し賃金上がったというんですけれども、この統計を見てみますと、企業がもうけたときに上がっている場合もあるし、企業はもうけたけれども賃金は下がっていると、労働者の収入は下がっているということもあります。特につい近年はそうですね。そういう傾向が現れています。
 そうしますと、一体この原因ですね、企業はもうかっているけれども労働者はもうかっていない。さっき、メーンストリームとおっしゃったけれども、正にそこのところがおかしくなっている。この原因は一体どこにあるんだというふうに見ておられますか。
○国務大臣(竹中平蔵君) 私自身も今の企業の収益、最終フローの増加が家計にどのように及ぶのかと、それがいつごろなのかというのは、これ非常に大きな重要な問題だと思って注視しております。
 池田委員、今日は資料をお出しいただいておりますけれども、その資料の例えばでありますが、給与総額というのを一番上に書いていただいております。これは、九五年に二百十三兆だったのが今は二百八兆に下がっているではないかと。
 実はこれ、この前をちょっと見てみますと、一九八五年、バブルが始まる時期の給与総額は実は百三十三兆円であります。百三十三兆円から十年間で日本の給与総額は一・六倍になりました。九〇年に総額は百七十六兆円ぐらいで、実はバブルが崩壊した後も九五年まで給与総額というのは二〇%増えているわけです。これはやはりすごいことだったんだと思います。バブルが崩壊して大変なことになっている中で、企業は給与を二〇%増やしたと。これはやっぱり続けられないということで、企業がやはりリストラをせざるを得ないようなやっぱり状況に追い込まれたんだと思います。その中で、給与総額は、もちろん上げられる状況ではありませんし、リストラもあった。それがいつまでその調整が続くのかという状況なんだと思っております。
 したがって、厳しい情勢でありますから私も楽観はしておりません。この今の企業の好況がすぐに給与所得に跳ね返ってもほしいですけれども、それはなかなか時間を要するところもまだあるんだと思っております。しかし、調整はかなりいいところまで来ているのではないかという感じは持っております。
 一つの事例として、これは非常に極端な例でありますから私がこのことだけを見ているというふうにまた誤解されては困るんですが、自動車産業におけるこの春闘での一時金の支払、史上最高で妥結しつつあるというニュースが今どんどん入ってきております。これは自動車で特殊なんだと、日本経済全部がこんなふうに行っているとはもちろん思っておりませんが、そういうところが現れてきたということは、これはやっぱり重視したいと思います。是非そういうような流れに全体がなっていくように、我々も注視して見ているところでございます。
○池田幹幸君 最後の自動車のところでいえば、確かに一時金のニュースありますが、これは月々の基本給を低い段階に抑えて一時金で調節するという仕組みを使っているということも一つ問題あるということは認めていただかなきゃいかぬなというふうに思いますが。
 ところで、この四半期、昨年度第四・四半期で下げ止まったということがありますけれども、確かにそれは記録で表れているんですね、統計で表れているんです。しかし、問題は、企業がもうかって、そしてそれが労働者の賃金に波及するという、これは自然に起こるものじゃなしに、正に経営者がどうその賃金を引き上げるという気持ちを持つかということによるわけですね、当然のことながら。つまり、今後どうなるかと。経営者が今後どのようにしようとしているかということが非常に重要な問題になってくると思うんです。
 そこで、財界なんですけれども、じゃ、これだけもうかりました、空前の利益を二期、三期ですか、連続して続けましたと。したがって、賃金を大幅に引き上げましょうという自動車の今おっしゃったような方向に行くのかというと、僕はそうじゃないと思うんですが、そこをどう認識しておられますか。今の日本の財界は賃金どうしようとしているか。
○国務大臣(竹中平蔵君) 基本的には大変厳しい国際競争にさらされていると思いますので、どこの企業も引き続き人件費を含むそれぞれのコストの抑制に当然のことながら努めていくというふうに思っております。
 しかしながら、一方で、やはり優秀な人材を確保して労働者のインセンティブを高めなければいけないということも、これは正に優れた経営者ならやはり考えていくことだとも思っております。ここはまあ、ある意味で、企業がそういうところで企業経営者が競争し始める段階なんだと思います。是非とも、しっかりと稼いでしっかりと給料を払うと、そういう経営者がたくさん出てきていただきたいというふうに思っているわけです。
○池田幹幸君 残念ながら、そういう方向には向かおうとしていないんですよね。
 経団連、日本経団連の二〇〇四年版経営労働政策委員会報告というのがあります。もちろんごらんになっておられると思うんですけれども。そこできちんと彼らが整理して言っていることはどういうことかというと、一言で言えば、賃金はもっと下げないかぬということなんですよ。賃金制度も変えていかなけりゃいかぬと。特に、私、ここで注目したいのは、その認識ですね、賃金水準についての。高止まりの賃金水準を国際競争力を保てるような適正な水準へということを言っているんです。
 そこで伺いたいんですけれども、じゃ今の賃金水準は国際競争力を保てないような高い水準にあるんだろうかと。竹中大臣はそういうふうに認識しておられますか。
○国務大臣(竹中平蔵君) これはちょっと一概にはやはり判断のできない問題なんだと思っております。
 賃金が高い安いかは、その人がどれだけの能力を持ってどれだけの仕事をするかということによるわけですから、ある意味で労働の質と労働の賃金、価格という、対価というのは表裏を成すものでございますから、一概にはちょっと高い低いということは申し上げかねるのかなと思います。
○池田幹幸君 ちょっと私の聞き方が悪かったのかも分かりませんが、要するに国際競争力の水準を保てないような高い水準だと言っているわけですね。
 そこで、私が今日お配りした資料の二枚目を見ていただきたいんですけれども、これは独立行政法人労働政策研究研修機構というのがありますが、そこで出されておるところから引かさせていただいたんですが、製造業の時間当たり賃金、これを国際比較してみました。
 日本を一〇〇として比べますと、青い方、青い方じゃない、左側が為替レート換算で、右側が購買力平価で換算したものです。当然のことながら、これ購買力平価で換算するのが正しいだろうと思うんですが、比較するのが。そうしますと、為替レート換算では確かに日本の賃金は諸外国と比べ、主要国と比べてほぼ同じです。しかし、購買力平価換算しますと、日本は、イギリスよりは高いけれども、アメリカ、ドイツ、フランスに比べてはるかに低いんですね。ですから、これどう見たって国際競争力を保つ上で高い水準にあるというふうにはこれ言えないと思うんですね。これも確かにそういうふうに言えると思います。
 さらに、問題になっておりますのが公的負担、これもまた高いんだということを財界は言うわけです。そのことについて、こう言っていますね、公的負担については。
 公的負担も国際的に見て高いと言っているんですけれども、これも私、表を用意しました。三枚目を見ていただきたいんですけれども、これは税調答申の、税調の資料と、それから社保審の資料から取らせていただいたんですね。
 それで見ますと、ここのとおりですよ。法人課税負担率とそれから社会保障財源の事業者負担率、これをGDP比で見たんです。そうしますと、法人課税の負担率は確かにずっと下がってきておるんです。おるのに比べて、社会保障の負担率は少し高い。日本では言えるんですけれども、諸外国と比較すると、これトータルすると日本はむしろ非常に低いんですね。税金でも、それから社会保障でも、これは本当に日本はむしろ低いんです。
 そうすると、この点をもって国際競争力を強化するために賃金を引き下げろだとか、あるいは企業の公的負担を下げろだとか、そういうことは成り立たぬのじゃないかと。よしんば、国際競争力、私は低いと思っていないけれども、よしんば低いとして、その原因はこの二つには求められないんじゃないですか。
○国務大臣(竹中平蔵君) 今、二つの統計、表について御指摘をいただきましたが、大変詳しく吟味をしなければいけないポイントばかりだと思います。
 ただ、これは解釈の問題ですから、あえて申し上げさせていただきますと、先ほどの市場レートで比べた場合の賃金指数と購買力平価で比べた場合の賃金指数、これは競争に直面している企業から見ると、市場レートで換算した賃金水準に意味があるということになると思います。生活者から見ると、これは、おっしゃったように、購買力平価から見た、正に購買力でありますから、指数に意味があるということになると思います。
 むしろ、その立場にもよると思いますし、購買力平価で見た場合にどうしてこんなに違っているのかということになると、むしろこれは国内の構造問題で、これは製造業でありますけれども、サービス業とか規制をされた産業の価格が高いことによってこういう問題が生じているんだというような理解をすべきではないのかなと思います。
 二つ目の負担率の表でございますけれども、これも、まずは一体どこと比べるのかという問題はあるんだと思います。総じて高福祉高負担を目指しているヨーロッパの国々、イギリスは少し違うのかもしれませんが、そういった国々と比べるのか、アメリカと比べるのか、ないしは日本が今最も競争をしているアジアの工業国と比べるのか、その比較の問題もあろうかと思います。
 そして、ここではGDPに対する比較でございますけれども、企業の所得、企業の利潤、所得に対する税負担の比較等々で比べると、実はかなりまた違った景色が出てまいります。こうしたことも含めて、やはり総合的に理解をすべき問題であると思います。
○池田幹幸君 企業の社会的責任という観点からとらえますと、今おっしゃったように、企業、やっぱり私は購買力平価という形で比べていかなければならない問題だろうというふうに思っております。
 そこで、本当に、ちょっと、今の問題だって少し論議したいんですけれども、あと十分少々しかないものですから、少し、まだ社会的責任のところまで行っていませんので、そっちの方にちょっと急いで行きたいと思うんです。
 そこで、要するに、企業の社会的責任を大義名分として、この賃金問題等々についても経団連は触れているんですね。その論をもう非常に簡潔に申しますと、経団連のとらえておるCSR、企業の社会的責任というのはこういうものなんですよ。まず、民主導・自律型経済社会の実現に向けた改革をやるんだということですね。そして、そのために優先政策事項を決定すると。これ決めました、十項目。この実現のためには、これを進める政党への政治献金が必要だと。それは企業の社会的責任だと。簡単につなげれば、大分詳しくいろいろ論じているんですが、そういう論法なんです。要するに、この政策を実現してください、それを政策に盛り込む政党には政治献金しますよということですから、言ってみれば政治の買収だというふうに私は言わざるを得ないというふうに思うんですけれども。
 奥田会長はこれまた非常に明確に説明しています。民間主導の改革を実現して成果を上げるためには、政治と経済が車の両輪となって突き進むことが不可欠だと、そのためには政党への寄附が必要だと我々日本経団連は考えるに至ったと言って説明しているんですね。もう本当に私は非常に奇異な感じをします。このように企業の政治献金を社会的責任だと言っているような、そんな国はどこにもありません。これ日本独特のものですね。
 そこでなんですが、このような政界と、財界と政党の関係をどう見るかということなんですが、竹中大臣は、正に日本経済の再生、発展のためにはこういった政界と財界の関係は必要だというふうにお考えですか。
○国務大臣(竹中平蔵君) この部屋の中でそういうことを語る最も資格のない立場にいると私は思っておりますが、基本的には、企業の社会的責任というのはいろんなとらえ方があると思います。委員がおっしゃった七つの考え方というのも大変理解できるというふうに思いますが、私は、やはりまず企業が市場の中でしっかりと自律をして雇った人にきちっとした給料を払う、雇用などを、解雇などしなくて済むようなしっかりとした事業活動を行う、そして利益も稼いで税金も払う、消費者に何よりいいものを届ける、これがまず企業の責任の最大のものであるというふうに思います。
 その上で、企業というのは、やはり一種の社会的な存在として大きな存在感を持っているわけですから、それなりの役割を果たしていかなければいけない。それは環境のNPOに対してしっかりお金を出すということも、そのこととして私は評価されると思いますし、恐らく、今議論になっているのは政党政治という一つの社会インフラに対してしかるべき資金を拠出していくということでございますから、これは、私は、一つのやはり社会的責任を図ると、果たすという意味での見識であろうかと思います。
 それが決して利益誘導とか、非常に個別の利益誘導に走るということであると問題だという指摘は、これは当然のことながら理解できるわけでございますけれども、例えば社会の、しっかりとした社会の進歩に合わせた法律の整備をやっぱりやってもらわないと家計も企業も活動できないんだと。その意味で政治と経済は両輪なんだと、そういう立場から社会のインフラとしての政党政治に対して資金を拠出するというのは、私はこれは一つの社会的責任であると、果たしている姿にはなろうというふうに思っております。
○池田幹幸君 その内容が問題なんですよね。法人税を引き下げろ、消費税増税せよ、企業の社会的負担を下げろという、こういう具体的なことを提案し、それを政策に盛り込む政党に献金をしようということですから、今までのような一般的な自由社会の発展に貢献するための献金、これだってきれい事にすぎなかったんだけれども、しかし、そういうふうに抽象的に言っていたのとは大違いで、具体的に、政策を実施、こういう政策を実施せよということでやっているわけですから、これは今言われたようなそんなきれい事じゃないということは申し上げておきたいというふうに思うんです。
 それで、問題はここからなんですけれども、そういうふうな今の財界が企業の社会的責任をそう考えてやっていくことについて、政府がむしろそういう考え方を推すといいますか、助けるといいますか、そういったことをやっているのが極めて問題だと思うんです。
 まず、雇用の問題についてちょっと考えていきたいと思うんですけれども、一昨年十二月ですから一年ちょっと前、産業再生・雇用対策戦略本部で企業・産業再生に関する基本指針というのを決められましたですね。これは竹中大臣が実際おやりになったことだというふうに思うんですが、そこではこう書いてあるんですよ。企業・産業再生に当たっての雇用面での対応ということについて、企業は、雇用の維持確保が社会的な使命であることを認識し、企業・産業再生の過程において、労働者の理解と協力を得るとともに、雇用する労働者の失業の予防、雇用の安定を図るために必要な措置を講ずるよう努め、云々かんぬんと、こうなっているわけです。最大限の努力せよと。それから、一方、政府としては、再生を図る企業における労働者の失業の予防、雇用の安定のために必要な措置を支援するための施策を講じると、こうなっているんです。非常に立派なことを言っているんです。この点でだれも文句言いません。そうだと思います。
 じゃ実際はどうだと、ここが問題なんですよね。実際は、これは、今言われたことはこれは建前、現実は全く逆になっているということを私、指摘せざるを得ないんですよ。何やったんだと、政府は。雇用の維持確保が社会的な使命であることを認識するように、企業に何らかの支援をやったのかと。あるいは、再生を図る企業における失業予防、雇用安定のためにどういう措置を取ったんだと。結局はやったのは産業活力再生法なんですけれども、この産業活力再生法というのはとんでもないことで、これは元々小渕内閣のときにできたものですけれども、私たちはこれはいわゆるリストラ支援法だというふうに名付けました、当時。その終了予定の昨年度末に改正されたわけですけれども、これまたリストラ支援が強化されただけだったと私は思います。
 これまで金融庁所管だけで四十件認定しているんです。そのうち、その四十件に対して総額約七百億円の減税が行われております。これ、時間ないので、そのほとんどが大手銀行グループに対するものだということに私、認識しておりますけれども、これ一言で、確認だけしていただけますか、金融庁。
○政府参考人(五味廣文君) 今おっしゃいました認定を受けた銀行各行合計で、平成十二年度以降、認定計画で公表されております資本金額からの推計で約六百八十億円という減税があったというように見込まれております。ほとんどが大手ということではないと思いますが、やはりみずほグループなどを中心とした大手金融機関が大きなウエートを占めております。
○池田幹幸君 銀行で六百八十兆ということですから、トータル七百兆弱ですからね、まあ大部分がそうだということが言えると思います。
 そこで、竹中大臣は覚えておられると思うんですが、去年、私、予算委員会だったかな、質問しました。この問題を取り上げましたですね、みずほ銀行。みずほに対して百四十二億の減税の恩恵を与えているんだけれども、このみずほグループは、産業再生法の生産性向上基準のROE、これはこの改善目標を達成できないんじゃないかということを指摘したところ、竹中大臣はまだ計画期間中だから決算しっかり見たいというふうにおっしゃった。
 その決算の結果がどうだったかといいますと、これ、もう時間ないから私申し上げるんですけれども、結局は赤字でした、逆で。当時二〇・六と言われていたけれども、結局ふた開けてみると二八・八%のマイナスでした。そして、その自己資本当期利益率、ROEについて更に見ていきますと、この十四年度は六・八%の目標を掲げられていたわけですけれども、何と一八三・七%のマイナスという形で、これはもう健全化計画の報告で出されていますからもう明確なんですが、これが実際だったんですね。
 あのときにも論議したんですけれども、目標は達成できなかったと。減税してやったと。大変な減税ですよ。みずほの場合には、昨年改正後、新たに一つのフィナンシャルグループの持ち株会社化で認定して、百十四億円の減税追加したんですね。さらに、七月には新たな再生専門会社の設立と増資計画があって、これも認定して十八億円。これ三つ合わせますと、二百七十四億円の減税の恩恵を与えたわけですよね。
 しかし、これ実際その目標を達成していない銀行に対して次々と新たな認定をして減税をしてやったと。結局、これまた達成できなかったと。減税してやったと。この減税、どうなるのか。去年も問題にしたけれども、これ、約束守らなかったけれども、減税は、この金は返さぬでいいわけですね。返さぬでいい。罰則もない。一体これで国民納得するのかと。
 もう終わりですけれども、この問題について一分だけで答えていただけますか。
○国務大臣(竹中平蔵君) 委員、みずほのことを御指摘になられましたですけれども、これまでに認定事業の再構築計画期間を終了したところは七行でありますけれども、七行のグループでありますけれども、大変遺憾なことながら各行グループとも、その期間が終了した十五年三月期においては、そのほとんどが赤字決算になっております。したがって、自己資本当期利益率の向上についての数値の目標は達成はできなかったということになります。
 ただ、この間、これまあ十二年に枠組みができておりますが、その後、金融再生プログラムを我々としても作って、不良債権の処理を加速したと。不良債権の処理を加速して、その費用を計上することによって、言わば利益を一気に先取りして出すことによってこの当期赤字になっていると。したがって、我々としては、これは再生に向けた、正に再構築、産活の趣旨に向けた新しい要因を取り込む中でこういうような事態になったんだというふうに認識をしております。そうすることによって実は初めて今後のV字型の回復も可能になるわけでありますので、我々としては、産活法のその趣旨が生かされるように、引き続き金融の検査・監督の当局としてはしっかりとこれをフォローして、是非とも全体的な活性化を実現させたいというふうに考えているところでございます。
○池田幹幸君 昨年も同じことを答えられたんですよ。それから一年たって、その減税した額は更に増えて、またまたマイナスになるという、自己資本利益率はマイナスになるという状況が生まれているということを私、指摘しておきたいと思います。
 それで、あと残された時間、二分だけあるんで、谷垣大臣に伺いたいんです。
 結局、財務省も、企業の社会的責任、これを、企業が社会的責任を放棄するような方向でそれを助ける、そういったことを、そんな環境作りをやっているというふうに私は思っているんですが、その典型が、この四月一日に実施されようとしておる、我々の言う、改正消費税、消費税改悪法なんですが、四月一日から消費税の総額表示方式ということが実施されるということになっています。で、これめぐって大変今混乱が起きています。
 どういうことかといいますと、大手スーパーが納入業者に消費税分持てと。つまり、今までと同じ値段で納入しなさいというんです。これ、もう私どもは予算委員会、衆議院予算委員会で質問をしたところ、公正取引委員長もこういった事実が起きているということを認めています。何でこんなことが起きるんだと。それは大企業がけしからぬからやるんですけれどもね。けしからぬからやるんですけれども、しかし、これ公正取引委員会に任しておいて、けしからぬことをやるやつは摘発すればよろしいということでは終わりません。
 こんなことが起きた原因は、そもそもは、大体こんな総額表示方式なんて変なことをやるからなんです。これ国民にとって何の得もないでしょう。消費者は総額を見てその物の値段なんかがすぐ分かるからよろしいなんて言っているけれども、実際は痛税感を弱めるためじゃありませんか。消費税を払っているということを忘れさせることじゃありませんか。そういったことをねらいとして将来の消費税の増税を、私はその増税のための下地作りをやっているというふうに思うんですけれども。そういったことでないとしても、この総額表示方式を盛り込んだために、それぞれの業界で大変な問題が起きている。多くの業界から大臣のところにも要請が行っているということを私、承知しています。一体、こういうことを放置していいのか。
 私はもう絶対これは、もうこの四月一日実施というのはいったん凍結する。多くの業界からそれやってくれと言ってきているわけです。混乱、目に見えているんです。ここはひとつ英断で、まず四月一日実施を凍結して、検討し直すということをやられるべきだと思います。
 そのことを最後にお伺いして、終わりたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) この総額表示方式は、委員はだれも得しないとおっしゃいましたけれども、やっぱり見て幾ら払えばよいかと、それから、いろんな、ばらばらでなくて、同じ製品が、同じ商品があの店とこの店でどう違うかと、こういうのが分かるのは消費者にとってメリットだと私は思います。
 それから、総額表示方式といいましても、一体その税抜き価格は幾らかというようなことを表示するのは決して差し支えないわけでございますから、全部その痛税感を和らげるためだというのは私はやや極端な御主張ではないかなと思うんです。
 それから、いろんな問題を御指摘になりまして、これも公取とも私どももいろいろ相談しておりますけれども、やはり優越的地位の濫用というのに当たる場合があるわけですから、それは断固としてきちっと取り締まらなきゃいけないというふうに私は思います。
 それで、その施行を延長せよと、こういう御主張ですが、これは法律が通りまして一年間猶予期間を設けてやってまいりましたので、もう既にかなり多くのお店、企業でこの準備に入って、実際にもうやっておられるところもたくさんございますので、今反対側にそのギアを入れ直すというのは、これは余計混乱を招くものじゃないかというふうに私は思います。
○池田幹幸君 終わります。
○委員長(平野貞夫君) 所信に対する質疑はこの程度にとどめます。
    ─────────────
○委員長(平野貞夫君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 平成十六年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として財務省主計局次長杉本和行君外二名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平野貞夫君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(平野貞夫君) 平成十六年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 政府から順次趣旨説明を聴取いたします。谷垣財務大臣。
○国務大臣(谷垣禎一君) ただいま議題となりました平成十六年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 まず、平成十六年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案につきまして御説明申し上げます。
 平成十六年度予算については、引き続き歳出改革路線を堅持し、一般会計歳出及び一般歳出について、実質的に前年度の水準以下に抑制しました。一方、予算の内容については、経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇三等を踏まえ、例えば科学技術や治安対策など、活力ある社会、経済の実現や国民の安心の確保に資する分野に重点的に配分したほか、各分野においても真に必要な施策への絞り込みを行い、めり張りのある予算の配分を実現しました。
 しかしながら、我が国の財政収支は引き続き厳しい状況となっており、特例公債の発行等の措置を講じることが必要であります。
 本法律案は、厳しい財政事情の下、平成十六年度の財政運営を適切に行うため、同年度における公債の発行の特例に関する措置及び年金事業等の事務費に係る国の負担の特例に関する措置を定めるものであります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、平成十六年度の一般会計歳出の財源に充てるため、財政法第四条第一項ただし書の規定による公債のほか、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で公債を発行することができること等としております。
 第二に、平成十六年度において、国民年金事業、厚生年金保険事業及び国家公務員共済組合の事務の執行に要する費用に係る国の負担を抑制するため、国民年金法、国民年金特別会計法、厚生保険特別会計法及び国家公務員共済組合法の特例を設けることとしております。
 次に、所得税法等の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 本法律案は、現下の経済財政状況等を踏まえつつ、持続的な経済社会の活性化を実現するためのあるべき税制の構築に向け、住宅・土地税制、中小企業関連税制、金融・証券税制、年金税制、法人税制、国際課税等につき所要の措置を講ずるものであります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、住宅・土地税制について、景気情勢を踏まえ、計画的な持家取得を支援する観点から住宅借入金等に係る所得税額控除制度を見直しの上、延長するとともに、住宅の住み替え等を支援する観点から居住用財産の譲渡損失の繰越控除制度を拡充、創設するほか、土地取引の活性化を後押しする観点から土地、建物等の長期譲渡所得の税率の引下げ等を行うこととしております。
 第二に、中小企業関連税制について、ベンチャー企業、中小企業の支援や事業承継の円滑化の観点から、非上場株式の譲渡益に対する税率の引下げ、いわゆるエンゼル税制の拡充、中小同族株に係る相続税の課税価格の軽減特例の拡充等を行うこととしております。
 第三に、金融・証券税制について、貯蓄から投資へという政策要請を踏まえ、公募株式投資信託の譲渡益に対する税率の引下げ等を行うこととしております。
 第四に、年金税制について、世代間及び高齢者間の負担の公平を確保するため、公的年金等控除の上乗せ措置及び老年者控除の廃止を行うとともに、標準的以下の年金だけで暮らしている高齢者の方々に十分に配慮する観点から、六十五歳以上の者については、公的年金等控除の最低保障額を通常の額に五十万円加算して百二十万円とする特例措置を講じることとしております。
 第五に、法人税制について、金融、産業の構造改革を促進し、企業の競争力強化を図る観点から、欠損金の繰越期間を延長するとともに、連結付加税の廃止等を行うこととしております。
 第六に、国際課税について、租税条約の相手国との間で課税の取扱いが異なる事業体に係る課税の特例の創設等を行うこととしております。
 その他、特定余暇利用施設の特別償却制度の廃止等既存の特別措置の整理合理化を図るとともに、特別国際金融取引勘定に係る利子の非課税制度等期限の到来する特別措置について、その適用期限を延長するなど所要の措置を講じることとしております。
 以上が、平成十六年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案の提案の理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(平野貞夫君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○田村耕太郎君 今朝ほどから議論になっていますように、今、日本経済は輸出と設備投資に牽引されて力強い回復基調にあると見られます。是非この回復基調を本格的な経済の再生、成長に結び付けていただきたい。私も評論家ではありませんので、そういう期待と決意を込めてこの二法案について質問させていただきたいと思います。
 総理がいろいろ言われるんですが、総理がよく言われる言葉の中で私が非常に胸に響いています言葉の中にこういうものがあります。これ、去年の委員会で質問したときにも引用させていただいたんですが、大事なことは失敗しないことではなく失敗を次の成功に生かすことです、人生で大切なことは挫折してもくじけず、また立ち上がることだと思います。私、これすばらしい言葉だと思いますし、こういう社会を築くことがこれから少子高齢化を迎えてほっておけば経済活力が停滞してしまう我が国にとって大切な将来像だと思うんです。
 失敗に寛容で再挑戦ができる社会。ただ、やはり再挑戦や失敗に寛容ということは大切なんですが、同じ失敗を二度三度繰り返すことはやはり許されないと思いますし、そういうものを許している社会は衰退していくと思うんです。
 この今の経済の回復基調に関しましても、失われたこの十数年、バブル崩壊以降失われた十数年と言われますが、その中で、このような環境というのは記憶にあるだけでも三回か四回あったと思うんです。それをことごとく本格的な回復に結び付けられなかったわけで、今回はその失敗から学んで是非本格的なものにしていただきたいと思います。
 直近のことを思い出しますと、ITバブルに沸いた平成十二年、十三年、このころ、この直前に、平成十一年の三月に早期健全化法が導入されまして、公的資金が銀行に入りました。そういうこともありまして日本経済が回復基調にあったわけですが、それがなぜ駄目になったか。そういう純粋な議論は専門家に任せたいと思いますが、私のつたない考えですが、これは銀行の姿勢にあったのではないかと私は考えています。銀行がそういう活力、償却余力といいますか、そういうものを事業の再生に生かすのではなく、残念ながら無責任といいますか、無節操といいますか、債権放棄、こういうものを乱発してしまって産業と金融の一体的な再生どころか両方を緩めてしまった。モラルハザードと言われます。そういうことがあったのではないかと思うんです。
 今回、そういうことではなくて、今、株価も企業や銀行の収益も回復基調にあります。この償却余力とこの活力を是非事業の再生に結び付けていただいて、金融と産業の一体的な再生、これを目指していただきたいと思うんです。
 まず、伊藤副大臣に質問させていただきます。
 金融検査体制ですね、いろいろ言われますが、金融検査を通じて、銀行がもう本当に本格的に誠意を持って事業再生、マーケットから評価されるような事業再生を行うような、そういう、それを担保するような仕組みについての取組と、金融庁と産業再生機構はもっと緊密に連携すべきではないかと思うんですが、その辺りについての取組に関してお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○副大臣(伊藤達也君) 私からお答えさせていただきたいと思います。
 今、田村委員から大変重要な指摘がなされたというふうに考えておりまして、今御指摘のように、景気が拡大をしていく、そうした背景にあるわけでありますから、こうした中で金融と産業の一体的再生の弾みを付けていかなければいけない。私どもは、気を緩めることなく、引き締めてこうした問題に正面から取り組んでいかなければいけないというふうに思っております。
 そのためには、まず、債務者たる企業において事業再生のためのしっかりとした内容ある再建計画というものを作って、それを着実に実施をしていくということがとても重要ではないかというふうに思っております。
 こうした観点から、私どもといたしましては、再建計画というものが問題の先送りにつながらないように、債務者の再建計画の妥当性というものを検証していかなければいけないというふうに思っているところでございまして、例えば金融再生プログラムにおいて再建計画検証チームというものを創設をさせていただいたわけでありますが、このチームにおいて、主要行の大口債務先につきましては、債務者区分の前提となる再建計画の妥当性やあるいは実現可能性に重点を置いて検証し、これを踏まえて検査を行っているところでございます。
 さらに、監督サイドにおいては、検査によって指摘された内容を受けて、報告徴求やヒアリングを通じてフォローアップを行っているところでございます。
 これを受けて、主要行におきましては、企業再生の専門の子会社を設立をしたり、あるいは企業再生ファンドというものを創設をしていくと、こういう動きが出てきている状況でございまして、事業再生に積極的に取り組んでいるものだと承知をいたしているところでございます。
 また、産業再生機構との関係についても御質問がございました。
 産業と金融の一体的再生というものを実現していくに当たっても、この産業再生機構が果たしていく役割というのは大変大きなものがあるというふうに考えております。
 今日までも新たな事業再生のモデルというものを提示をしてきた。具体的には、裁判所と連携をして、そして機構の手続と、そして事業再生の手続というものを併用し、その良好な仕入れ環境を作って営業基盤というものを維持していく、あるいは政府系機関の債権放棄というものを実現をしていく。これは、なかなか民間だけでは実現できない難しい案件についても積極的に取り組んできたところではないかというふうに思っております。
 これからも更に極めて重要な役割を産業再生機構が果たしていくものだというふうに考えておりますので、私どもといたしましては、連携を深めて、連絡会を開催するなど、できる限りの協力を行っていきたいというふうに思っております。
○田村耕太郎君 次に、谷垣大臣にお伺いします。
 今御説明をいただきましたが、こうした事業の再構築の支援の観点から、今回、所得税法改正の中で欠損金の繰越期間の延長、五年から七年、これが盛り込まれました。この背景にある考え方についてもう一度お伺いしたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 平成十三年度以降、金融機関が特別検査の実施なんかに対応しまして不良債権処理を加速してきたということがありますし、企業も不採算部門の整理なんかを含めまして事業の再構築を随分一生懸命やられたということがありまして、その結果、多額の欠損金が発生しているということがございます。それから、産業の構造転換が進んできておりますので、そういう中で新規事業の立ち上げというようなことで多額の欠損金が発生するというような例も生じているように思います。
 それで、こういう状況の下で我が国企業の競争力を強化するには、事業の再構築とか新規事業の立ち上げに取り組んでいる企業を支援する必要がある。そういうことによって、金融、産業の構造改革を進めていこうというような考え方に立って、この十六年度の改正では欠損金の繰越期間を今までの五年間から七年間に延長することにして、積極的に取り組んでいる企業の後押しをしようと、こういう考え方でございます。
○田村耕太郎君 欠損金の繰越期間の延長なんですが、これに加えまして、無税償却基準の緩和と欠損金の繰戻し還付、この三点セットが竹中大臣が提唱された金融再生プログラムの中であったんですが、現在、この三点セット、どのような検討状況にあるか、両大臣にちょっとお伺いしたいと思います。伊藤副大臣から、ちょっと。谷垣大臣からお願いします。
○副大臣(石井啓一君) 無税償却基準の緩和につきましては、そもそも論で申し上げますと、金融機関だけではなくて、すべての企業を対象にいたしまして、企業会計との取扱いの差異がなるべく小さくなるように進めたいというふうに基本的には考えているわけでございますけれども、今の金融機関が非常に多くの金融機関で赤字である現状の下でこれを行いますと、かえって金融機関の自己資本に悪影響を及ぼしかねないということがございまして、十六年度の税制改正では見送ることとさせていただきました。
 また、繰戻し還付につきましては、金融機関に対して十六年間の繰戻し還付ということが要求がされているわけでございますけれども、これはある意味で形を変えた金融機関に対する公的資金の提供ということになりますし、課税の公平性の観点からも極めて問題が大きいと考えておりまして、これについては私どもとしましては措置できないものというふうに考えております。
○田村耕太郎君 私も繰戻し還付に関しては同じようにやっぱりちょっとやり過ぎではないかと思うんですが、無税償却基準の緩和による損出しというのは必要性があるのではないかと思います。
 次に、財政法といいますか、特例公債法に関しての質問に変えさせていただきます。今日は、大変御多忙な中、政府参考人の方々お越しになっていますので、まずこの質問から片付けていきたいと思います。
 特例法、特例法という形になっているんですが、余りにも特例が常態化してしまうと特例ではなくなってしまうような気がします。今、どこの省庁でも、例えば農業基本法ですとか教育基本法、ひいては国全体の枠組みであります憲法、これに関しても改正を時代に合わせて行っていこうという流れにあるわけです。ですから、財政法自体も見直しが必要ではないかと、検討すべきではないかと私は勝手に考えるんですが、これに関していろいろちょっとお考えをお伺いしたいと思います。
 たくさん観点があるんですが、私が、ちょっと財政法をちらっと見ただけで、ちょっと幾つか私の私見を述べさせていただければと思います。
 例えば、財政法の一条、二条、十二条、今朝ほど野上先生からも御指摘がありました、予算の単年度主義の弊害ですか、年度末の無理な消化ですとか予算獲得主義の弊害ですとか、あと現金主義ですね。公会計制度の未整備と相まって、評価や民間との比較が困難で、さらに資産管理の観点が欠けているのではないかと見られる点があります。
 また、五条、これ国債の日銀引受けの禁止なんですが、これは、デフレ、インフレに関しましては今朝ほども学術的な議論があったんですが、ひとつデフレ払拭の切り札として改正してこういう武器を持つのも一つの考えではないかと思います。
 また、六条の剰余金の処理なんですが、特例法で歳入繰入れが常態化してきたように思います。これも言わば隠れ借金と言えるのではないかと思うんです、いっそもう明快に財源化してもいいんじゃないかと思うんですが。
 また、八条、九条に関しましては、国有財産の管理、処理の制限なんですが、今、地域再生本部で地域再生プログラムというのが行われているんですが、これと連携するような形で、一定面積以下の土地は一斉に市町村に払い下げて有効活用させてはどうかと。国がずっと管理することのコストや、処理、処分することの限界があるのではないかと思うんですが、この辺も含めましてちょっと考えをお聞かせいただきたいと思います。
○副大臣(石井啓一君) 私の方からまず財政法第五条の国債の日銀直接引受けについて申し上げたいと思いますけれども、これは委員も御承知かと思いますが、戦前、大恐慌から脱却する折に、高橋是清当時の蔵相がこれを実施したという歴史的な事実があるわけでございますけれども、ただ、このことによりまして、戦前戦中に多額の公債を日銀引受けにより発行したことによりまして、ある意味で公債発行が非常に容易になってしまったと。あるいは、戦前の軍事費の増発をこれで賄ったというようなことがございまして、結果としてどうなったかといいますと、戦後、大変急激なインフレを生じてしまったと。こういう反省に基づいて、この財政法第五条では公債の日銀直接引受けを禁止する規定を設けたところでございまして、財務省としては、そういった反省に立ちましてこうした原則は遵守していきたいというふうに考えております。
○政府参考人(杉本和行君) お答えさせていただきたいと思います。
 先生から財政法の幾つかの条文にわたりまして御指摘がございました。
 一つ御指摘ございましたのは、まず予算の単年度主義でございますが、財政法十二条では、予算の単年度主義、いわゆる会計年度独立の原則を定めているところでございます。これは、憲法に基づきまして、予算に対する国会のコントロールを確保するという観点からも設けられたものでございますが、この原則を厳格に貫きますとかえって予算の柔軟性を損なうという面もございますので、予算の執行の柔軟性を確保するという観点から、財政法におきましては、国庫債務負担行為とか繰越明許といった制度が設けられておりますので、運用上こういった制度を有効に活用することで効率的、効果的な予算及びその執行を図っていくことが重要であると考えております。
 さらに、十六年度予算におきましては、試行的にモデル事業というのを導入しておりまして、これによりまして、複数年度にわたる事業につきまして、国庫債務負担行為の活用によりまして複数年度にわたる予算の執行に支障のないようにこれからもいろいろ配慮していくことを考えていきたいと思っております。
 それから、現金主義の御指摘もございました。この現金主義というのは、国の支出等に対する財政統制を客観的かつ確実に行うために、現金の授受という事実をもって収入、支出の有無を判断するという意味の現金主義でございまして、いわゆる会計学上の現金主義とは観点を異にするものでございます。会計法上のその現金主義、発生主義という議論もございますので、国の財政に対する説明責任等を明らかにする、透明性を明らかにするという観点から、現在、私どもの方でも財政審議会で御議論いただいておりまして、公会計に関する御議論をいただいております。こうした企業会計における手法等も活用いたしまして、国の財政、国の貸借対照表、企業会計の考え方を活用した特別会計の財務処理、こういったものを作成、公表しているところでございます。
 財政のディスクロージャーを向上させるということは重要であると考えておりまして、今後ともこうした取組に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 それから、日銀の、五条の国債引受けの件は先ほど副大臣が御答弁されたとおりでございます。
 それから、国有財産の管理の問題がございますが、財政法九条は適正な対価なくしてこれを譲渡又は貸し付けてはならないと定めているものでございまして、これは、国の財産を保全する観点から、今後とも尊重していかなければいけない考え方だと思っております。
 財政法は、以上申しましたとおり、財政の基本を決めているところでございます。
 それから、さらに、先生、財政法六条の剰余金の処理の問題についても御指摘がございました。財政法六条は、各会計年度におきまして歳入歳出の決算の剰余金を生じた場合、その二分の一を下らない金額を剰余金の生じた翌々年度までに公債又は借入金の償還財源に充てることを定めてございます。本条の趣旨は、公債及び借入金の償還財源として決算上の剰余金の一部を確保しようとするものでございまして、公債及び借入金の償還を確実ならしめようとするものでございます。
 過去におきまして、それぞれの年の財政事情をかんがみまして財政法六条の特例を講じてきたところでございますが、剰余金の処理につきましては、基本的にはこの財政法六条に基づく対応が必要だと考えておりまして、こうしたことを基本に考えながら今後とも対応していくことが必要だと考えております。
○政府参考人(牧野治郎君) お答えいたします。
 先生から、国有財産の管理コストを考えれば一定面積以下の国有地はすべて市町村に無償又は廉価で払い下げるべきではないかという御質問をいただきました。
 主計局の今の答弁とも若干重なりますが、現在未利用となっております小規模な国有地につきましては、これは相続税の物納により収納された土地がその大宗を占めておりまして、これらは金銭に代えて納付されたものでございますから、速やかに売却を行って国の歳入に充てるという性格のものだというように考えております。したがいまして、その一定規模以下の未利用国有地を市町村に無償又は減額で譲渡するというのはいかがかというように考えておりますが、御指摘ございました管理コストにつきましては、可能な限り外部委託を活用する等努力を行いまして、コストの節減と事務の効率化に努めてまいりたいと考えております。
○田村耕太郎君 分かりました。
 それでは、御多忙の政府参考人の方々はこれでもう通常の業務に戻っていただいて結構ですので、ありがとうございました。
 それでは、また質問を所得税法改正の方に戻すんですが、今景気回復基調にあるというようなデータが一杯出ていますが、そういういいデータもあるんですが、厳しいデータの中でやはり顕著なのが、これはアメリカでもそうですが、雇用に関してだと思うんですね。アメリカではジョブロスリカバリーといって、雇用が減りながら経済が回復するとよく言われています。日本でもやっぱりいいデータのがあるんですが、雇用は依然として厳しいというような状況になっています。
 今の景気回復は言うまでもなく大企業中心なんですが、やはり日本の雇用や経済を支えている中小企業、こういう方々を支援することが今の経済政策にとって一番必要だと思うんですが、中でも雇用だと思うんですね。
 いろいろその中でもあるんですが、やはり中小企業の方々に直接意見を伺ってみますと、やはり職業訓練とかインターンシップとか、やっぱり人材の質を上げていくようなことに対して支援してほしいという意見をよく聞きます。このために多額のお金を使っている中小企業さん多いんですが、どうでしょう、こういうふうにインターンシップや職業訓練のために費用を使って損を出してしまった、そういう会社を支援するような税制というのは考えられないものでしょうか。海外の案件なんかも参考に、ちょっと御意見をお伺いしたいと思います。
○副大臣(石井啓一君) 企業の職員に対する職業訓練やインターンシップでございますけれども、まず海外の方の事例を調べてみますと、主要国の中で、フランスにおきまして、中小企業を対象にしましてインターンシップを含む職業訓練費の前年度からの増加分に対して税額控除制度が措置されております。ただ、そのほかの米国、英国、ドイツでは特段その税制上の優遇措置はないものというふうに承知をしております。
 そこで、我が国でございますけれども、まず事業主が実施いたします労働者に対する教育訓練につきましては、予算上の支援措置といたしまして、一定の教育訓練に要する費用の四分の一、中小企業の場合は三分の一を事業主に支給するキャリア形成促進助成金という制度が設けられているところでございます。また、インターンシップにつきましては、これは受け入れる個別企業に対する助成はございませんけれども、受入れ先の企業を開拓したり、あるいは企業と学生のマッチングなどを行う経済団体、そういったところに対する予算上の措置は講じておるところでございます。
 したがいまして、こういった予算の措置をやっている上に税制をやるかどうかということについては、政策的判断ではございますけれども、慎重に検討する必要があるんではないかなというふうに考えております。
○田村耕太郎君 是非検討いただければと思います。
 中小企業とともに、もう一つやっぱり支援しなきゃいけないのが新たなるチャレンジャーであるベンチャー企業だと思うんですね。今回、エンゼル税制、これが、見直しているようなんですが、これが本当にベンチャー企業の資金需要とか資金ニーズを満たすものになっているかどうか、これに関して、大臣、またこれからこういうことも検討していきますよみたいなことも、もしありましたらそれも含めて、改正についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(大武健一郎君) お答えさせていただきます。
 エンゼル税制は、十五年度、昨年の税制改正で、ベンチャー企業に対する投資額の全額をその年の株式譲渡益から控除できると、優遇措置を作らせていただきました。これ自体はある意味では抜本的な改正だったんですが、実はそのエンゼル税制の対象となるベンチャー企業が経済産業省が認定した特定の中小企業に限られていたということから、まあ言わばその利用がしにくいというお声がございました。そこで、実は今度の改正におきましては、そのエンゼル税制を多くの、できるだけ個人投資家の方に本格的に利用いただけるように、エンゼルとベンチャーの企業をつなぐ、言わば民間の目利きの方も活用するという観点で、新たに証券会社のグリーンシートあるいはベンチャーファンドといったようなものを通じた投資を適用対象に加えるというような大幅な見直しを実はやらさしていただいております。
 この両制度の改正相まちまして、それなりにかなり環境が整ってきたんだと思うんでございますが、ただ、まだ幅広い広報ができておりませんで、そういう意味ではこの利用を大いに広報していく必要があるのかなというふうに、法律が通りましたらやっていきたいというふうに思っているところであります。
○田村耕太郎君 是非、広報等引き続き、ベンチャーを取り巻く環境はどんどん変わっていますので、引き続きの御努力を期待申し上げます。
 それと、先ほど池田先生の方からも出ましたけれども、消費税の総額表示方式、これに関してちょっと御質問させていただきたいと思います。
 これ、これが賛成か反対かというところをいろんなメディアが調査していますが、朝日新聞の調査なんかによりますと、四四対三八で賛成という意見になっているんですが、拮抗しているわけですね。
 これが経済にどういう影響を及ぼすかということはいろんな見方がありまして、もう値上げと映って買い控えが起こるんじゃないかというようなこともありますし、安心感が出て更に消費意欲が増すんではないかというような意見があります。それともう一つ、私の周りで聞いてみても、総額表示方式、四月一日から、これ御存じない方がまだいらっしゃいまして、やっぱりもう少しPRがあってもいいのかなとも思うわけです。
 これの経済への影響も含めまして、これからのPR状況、今までの、そしてこれからのPR状況、こういうものに対する取組に関しましてお話をお伺いできればと思います。
○政府参考人(大武健一郎君) 御質問がございましたこの総額表示、やはり消費税というのは消費者が負担するという意味では、消費者が購入を判断するときに総額が分かるということがやはり重要だろうというふうに認識してこの改正に取り組ましていただいた、去年改正さしていただいたわけであります。
 そこで、総額表示の円滑な実施のために事業者への周知というのは当然なんですが、消費者への方の、今御質問があったように、周知が要るという意味で、事業者の方々が店頭で掲示できます消費者向けのポスターというのも、昨年あるいは今年通じましてそれぞれ百八十万部あるいは百十一万部というような形で掲載をさせていただいている。あるいは新聞広告による政府広報、それからさらにはテレビ、ラジオを利用した広報も将来予定さしていただいているところであります。
 今の総額表示の実施に対する消費者の御認識、民間団体の調査ではありますけれども、約七割近くの方は総額表示の実施について御認識になっているというふうには伺っております。さらにまた、最近の報道でも、今先生からお話があったように、朝日のみならず、毎日ですとか、いろんなところのいわゆる調査で、消費者の側からはやはり賛成する意見の方が多いというふうに承知しているところでございます。
 いずれにしても、やはりこれは引き続き広報を通じて事業者の方、消費者の方々にできるだけ御理解いただけるように努力をしていきたいというふうに思っているところであります。
○田村耕太郎君 引き続きの御努力をよろしくお願いします。
 少し話題を変えまして、今度はちょっと、この二法に関してこれはちょっとそれますが、介入と人材活用の話をさせていただきたいと思います。
 これ、一部報道なんかでも話題になっているんですが、ある劇画ですね、隔週の週刊誌に掲載されています劇画で、日銀と財務省とアメリカとの間で為替介入をめぐる、そういう劇画が大変財務省の中で話題になっていると、日銀の中でもなっていると。これがアメリカとの間を陰謀的にかいているものなんですが、もう劇画になるぐらい国民に対してある意味介入は関心を持たれていると思うんですね。
 介入限度額が、これよく聞かれている話だと思うんですが、介入限度額が補正で変更されていますが、この辺りのやり方に関して、「失敗の本質」という名著がありましたけれども、その中にあります戦力の逐次投入になってはいないか。ある元財務官の方は、介入というのは冷や酒のように後で利いてくるものだというふうに言われて、これから効果が出てくるのかもしれませんが、今までの介入のやり方と効果に関して大臣はどのように御分析されますか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、田村委員がおっしゃったのは、名前出していいのかどうか分かりませんが、ビッグコミックに連載されているゴルゴ13のことだろうと思います。それで、このことを質問で取り上げられると、こういうんで、私も二十年ぶりにゴルゴ13を読みましたけれども、なかなか今の立場を離れて読めば面白いストーリーにでき上がっているなと、こう思うわけでございます。
 それで、今委員がおっしゃいましたように、確かに、このところどういう介入をしてきたか、一つ一つは申し上げませんけれども、後からその介入、どれだけ言わば使っているかというのを発表しておりますので、それをごらんいただいたら、相当な介入をしているということはこれはもう否定すべくもないことでございます。
 それで、介入の効果とかやり方というのは私の立場で非常にしゃべりにくくて、どういう効果をねらっているかということになりますと、つまり、どういう水準を考えているんだとか、いろんな思惑を生んでしまうわけですので、効果、その効果については私は結局いろいろな方、識者の御判断に任せると言うしか言いようがございませんし、それから手法も、こういうふうに考えているとか、あるいは過去のを顧みてこういうところを反省点としているんだと言いますと、またすぐそれが響きますので、これも誠にお答えしにくい。
 ただ、これも繰り返し申し上げておりますけれども、我が国の介入は一定の水準を、例えば円安のある水準をねらうとか円高のある水準をねらうということを意図して行っているものではありませんで、ファンダメンタルズの動きを安定的に反映しているのではない投機的な思惑的な動きがあったときにそれに対応するという目的で行っておりますので、今後とも、必要なときはやりますけれども、必要でないときにはやらないと。
 何を答えているのか分からぬと言われてしまうとそうですが、そう言うしかお答えのしようがちょっとないんで、申し訳ございません。
○田村耕太郎君 この劇画の中にも出てくるんですが、今FTAなどの経済的な連携が強まる中で、将来的にはEUみたいな形で通貨統合を目指す選択肢も準備するべきではないかということがあるんですが、財務省としてはこれに関して何か準備とか研究とかしているというような事実はあるんでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 東アジア向けの輸出というのは今アメリカとEUを足したよりも大きくなっていると。非常にアジア諸国と我が国との、東アジア諸国と我が国のつながりは最近緊密化していると思いますし、したがってアジアの安定ということも我が国にとって極めて重要なことでございます。
 そこで、アジアと我が国の結び付きに関して財務省どう考えているかということでありますけれども、これは、その目的をどこに置くべきかというようなことについてはいろんな御議論があろうかと思います。EUのようにユーロみたいのを設けるべきだ、通貨統合しなきゃいかぬというようなお考えを持つ方もあるでしょうし、いろいろだと思いますが、財務省としてはまだそこまで固定的な考え方を持っているわけではありませんで、今やっておりますことは、大きく言うと、大きく言うとと言ってみますと、一つは、やはり私どもも関税局がございますから、いわゆるFTAみたいなものを推し進めていくことは、これはアジアにとっても、アジアとのFTAを進めていくということは極めて大事なことだろうというふうに考えているわけであります。
 それからもう一つ、金融面からいいますと、やはり私どもはあの九七年、九八年のアジア金融危機というものが強く頭にありまして、やはりあれを再び起こしてはいけないということだと思いますね。それで、チェンマイ・イニシアチブというのを二国間で組み合わせて全体のネットワークをする。昨年の後半でシンガポールに入っていただいて、この二国間通貨スワップの取決めのネットワークの構築ができたわけでございますので、これを今後またどのようにしていくかという議論はあると思いますが、それが一つであります。
 それからもう一つは、アジア債券市場育成イニシアチブというのを、これは日本が主、まあ一番中心になってやっておりまして、これはアジアの各国の間に、アジアではそれぞれの貯蓄というのは、域内の貯蓄というのは非常にあるわけですが、必ずしもそれがその域内の長期的な投資に向いていかない。そこで、海外から短期のものが入ってきて、それがぱっと動くとアジア危機が起こったというようなことでございますので、その域内の安定を図っていくためにも、このアジア債券市場の育成、それから現地通貨建ての債券の発行といったような、そういうアジア債券市場育成プロジェクトというのを今一生懸命推し進めていると。
 それから、通貨制度の協調の在り方ということに関しましては、関税・外国為替等審議会の専門部会においても報告がいただいておりますが、こういう報告の中にあります専門家や研究機関の知見も参考としながら、東アジアの政策当局者間で中長期的な課題として検討しなきゃならないことで、現に政策当局者間でのいろいろな意見交換は緊密に行っていると、こういうことでございます。
○田村耕太郎君 もう一つ戦略的なやり方として、重要な金融経済に関する国際機関に日本人を、そのポジションを獲得するということがあると思うんですが、タイムリーな話言いますと、IMFのケーラー専務理事が職を辞して大統領選挙に出るというような報道があるんですが、その後任に日本人を推していくというようなお考えがあるかどうか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) ケーラーさんがIMFの専務理事をお辞めになったわけですが、今まであそこの専務理事というのは大体ずっとヨーロッパから出ておられるわけです。それで、筆頭副専務理事というのはずっとアメリカから出ておられると。副専務理事が三人いるわけですけれども、そのうちの一人、今二代目、加藤さんが行っておられますが、その副専務理事の一人は日本から出すと、大体こういうことでやってきたわけですけれども、日本にももちろん人材がいないわけではありません。いろんな可能性は考える必要があると思いますが、今いろんな情勢を見ながら検討中と、こういうことでございます。
○田村耕太郎君 最後に、天下り批判に関して聞いて終わりにしようと思います。
 この劇画のモデルとなっている、財務事務次官を経験されて中央銀行の副総裁をされているということなんで武藤さんがモデルではないかと思うんですが、この武藤さん、日銀内、マーケットでは非常に評判がいいと聞いています。
 総理は、事務次官経験者の天下り云々について、次官であった者は云々というようなことを言われているんですが、私は、こういうことを見ても、次官であったか云々とか、そういうことよりも、適性だと思うんです。適性があればいいんではないかと思うんですね。次官OBは駄目だから、じゃ、今度は骨抜きにするために局長OBまでならいいとか、そういうことだったら余り意味がないと思うんですが、やっぱり適性を見て、その前職が何であろうが適性を見て、その適性に合った職に配置するということは必要ではないかと思うんですが、この辺り、所管の大臣であります谷垣大臣はどうお考えですか。
○国務大臣(谷垣禎一君) こういう人事は、政府系のいろいろな機関の人事というのは、具体的に例えばこの機関が次どなたが退職されるから、じゃ、後どうしようと、それぞれの適性というものをやっぱり一番見なきゃいけないんだろうと思います。せんじ詰めれば適材適所ということに尽きるんだと思いますが、ただ、総理のおっしゃっておられることは、要するに、じゃ、ここの機関のトップは何省の言わば指定席であると、言わば持ち株みたいなように考えるのは良くないぞと、こういうことだろうと思いますね。
 ただ、なかなかこの人事というのは難しくて、政府系のいろんな機関に、じゃ、どなたか、例えば、私はもう要するに官僚ばっかりで占めるのが必ずしもいいとも思いませんで、民間で適切な方があれば就いていただくという必要もあると思うんですが、やってみますとなかなか簡単ではございません。それで、ありていに言うと、一番簡単でない理由は、やっぱり民間でこれだけの経験と能力のおありの方なら政府系の機関に就いていただきたいと、そうすると、なかなか、政府系でお出ししている給与と民間でその方が取っておられる給与との相当差があったりするようなことが現実問題としてはかなりネックになる場合があったりして、なかなか、もう少しいろんな適材が自由にいろんなポジションに就くというにはまだ日本はそういうモビリティーといいますか、余りそういうことが今まで少ないものですから、相当いろんなことをにらんでやっていきませんとなかなか難しい面もあるなというふうに感じております。
○田村耕太郎君 逆の質問をして終わらせていただきます。
 今、次官の天下りの話があったんですが、逆に、イギリスの大蔵省、あそこも大蔵省が非常に幅を利かせているわけなんですが、イギリスの大蔵省の連中なんかに聞きますと、同期で年功序列というのはもうほとんど考えられないと。同期でも平であったり課長であったり、極端な例でいうと局長であったりと。あそこは難しい試験を経て入っていって、非常に基本的には皆さん優秀なんですが、入ってからのその実力によって大変大きな差が付くと。
 もう天下りだけでなくて、今度は抜てき人事ですね。是非、大臣、民間ではもうこれは当たり前の話ですので、本当に同期であっても、もう何段階か飛び越してでもその優秀な人材を配置するということも逆にあってはいいのではないかと思うわけです。この辺りに関して大臣のお考えをお聞きして、私の質問を終わりにしたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、私は財務省にいるわけですが、過去に経験した幾つかの閣僚ポストでは、場所によっては随分民間の方を任期付きの公務員で、あの例を利用してやっていただいたり、そしてかなりそういうことがいい刺激を与えた例がございます。
 ですから、財務省でも副財務官に伊藤先生や何かに来ていただいたこともございますので、今後ともそういう優秀な方に来ていただいて、何というんでしょうか、刺激を与え合うというようなことは工夫していかなきゃいけないと思います。
○田村耕太郎君 終わります。
○続訓弘君 私は公明党の続でございます。
 平成十六年度の税制改正に関して何点か御質問いたします。
 現在、我が国は、少子高齢化やグローバル化の進展など、急速な経済社会の構造変化にさらされております。本格的な少子高齢化の到来を目前に控え、国民が自信を持って将来に安心できる社会を作り上げていくには今日ほど重要な時期はありません。
 ここへ来て、我が国経済は、十年以上にもわたり続いた構造的な不況からようやく脱却する兆しを見せております。先ほど谷垣大臣がこのことについての認識を示されました。デフレは依然として問題があるんだ、また中小企業やあるいは地方にも問題点がたくさんある、しかし確かに経済の流れは変わったと、こんな認識を示されました。
 そこで、こういう景気の流れを、上向きの流れを逃さずに、政府・与党は一体となって税制を含めたあらゆる分野の構造改革を推し進め、ようやく出てきた芽を大きく育てていかなければならないと思います。
 このような認識に立って、平成十六年度改正では、私たち与党は、十五年度税制改正に引き続き経済の活性化に向けた措置を切れ目なく講ずるとともに、国民の皆様から将来にわたって安心していただける年金制度の構築に向けた税制改正を柱として取り組みました。
 そこで、まず財務大臣にお伺いいたします。
 十五年度税制改正では、研究開発、設備投資に対する大胆な支援措置や中小企業の方々への最大限の配慮、金融・証券税制の大幅な軽減簡素化など、経済活性化に向けて思い切った減税措置を講じたわけでありますけれども、平成十六年度の税制改正では経済活性化のためにどのような措置を講じようとされるのか、お考え方を御説明願います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、続先生おっしゃいましたように、平成十五年度では、研究開発税制等を始めとしまして、いろいろ工夫して、先行減税一・八兆円という形で切れ目ない持続的な成長への支援といいますか、あるべき税制を考えたわけでございますが、平成十六年度も、考え方は平成十五年度の考え方に引き続いてその考えを推し進めていこうということでございます。
 それで、具体的に申しますと、景気動向とそれから住宅政策の両方に意を用いまして、住宅ローン減税は見直した上で延長する、それから個人資産の活用を促進するために土地譲渡益課税の税率を引き下げる、それから公募株式投資信託の譲渡益課税を上場株式並みに軽減するというようなことをまず一つやっております。
 それから、創造的な企業活動と事業の再構築を支援していこうということで、田村議員からも御質問のありましたエンゼル税制の拡充を始めとした中小企業の関連税制、それから法人税制の見直しも一つの柱としたところでございます。
 それからもう一つ、国際的な投資交流を促進する必要があるということで、日米租税条約、昨年署名をしたわけでございますが、この全面改正に関連する国内法令の見直しを行って、これは日米だけではなくて、今後これをモデルとして更にいろんな国に広げていきたいと考えておりますが、国際的な投資交流を促進するというのももう一つの柱でございます。
 こういう措置が十五年度税制改正の効果と相まって民間需要主導の持続的な経済成長の実現に効果をもたらすのではないか、こんなふうに考えております。
○続訓弘君 ありがとうございました。
 今、大臣も触れられましたけれども、具体的な改正の内容についてお尋ねいたします。
 十六年度税制改正に当たっては、住宅ローン減税の取扱いが一つの重要な課題となっておりました。住宅ローン減税は、十年間にわたり住宅ローン残高の一%を所得税から税額控除することにより、厳しい景気の中でもマイホームを持ちたいという夢を、庶民の切実な夢をかなえるための一助となるとともに、住宅投資の牽引役として景気を支える役目を果たしてまいりました。このような制度が今年入居される方については大幅に縮減されることが既に法律上決まっておりましたために、私たちは延長の必要性を主張してまいりました。その結果、本法案に盛り込まれておりますとおり、減税対象となるローン残高の限度額が引き下げられるなどの見直しは行われましたものの、おかげさまで五年間の延長が決定されました。
 そこで、この改正の趣旨を、特に景気への配慮と国民のマイホーム取得への支援という観点から御説明願います。
○副大臣(石井啓一君) 住宅ローン減税につきましては、平成十一年度の改正以降、景気対策の観点から拡充がなされてきたところでございますが、今御指摘のとおり、平成十六年分につきましては、現行、平成十五年分より大幅に縮減されることが法律上予定されていたところでございます。平成十六年度の税制改正におきましては、現下の景気情勢への配慮、計画的な持家取得の支援の要請、財政構造改革の必要性、こういったことを総合的に勘案をいたしまして、見直しを行った上で延長することとしたところでございます。
 具体的に申し上げますと、平成十六年分につきましては、当面の景気に十分配慮するといったことから、平成十五年分と同じ制度とさせていただきました。次に、平成十七年分から平成二十年分までの四年間につきましては、税額の控除期間、この十年は維持をしつつ、対象となるローン残高を中堅層のローン水準を念頭に順次縮減をさせていただくといった上で延長させていただいておりまして、計画的な持家取得に対して十分な支援を確保できたものというふうに考えております。
 従来の改正と比べますと、今回の改正では五年間という比較的長い期間にわたる制度の全体像をお示しをいたしましたので、いつ住宅を取得すればどの程度の減税が受けられるのか、これがあらかじめ分かるということもさせていただきましたし、これは住宅をより早く取得していただければより多くの減税を受けられる、こういう制度にもなっているところでございます。
 私どもといたしましては、この十六年度の改正によりまして、十五年度の改正の効果と合わせまして住宅ローン減税などの住宅・土地税制において持続的な経済社会の活性化に寄与することができるものというふうに考えているところでございます。
○続訓弘君 確かに五年間の延長を受けられる方々にとっては大変な幸運だと私は思います。ありがとうございました。
 次に、住宅税制につきましてもう一つ忘れてはならない改正がございます。今日では、サラリーマンの方が転職して新天地で第二の人生に挑戦する場合や、子供さんが独立して夫婦二人になったときに郊外から生活の便利な都心に引っ越す場合など、人生の節目に当たって住み替えをする人が増えてまいりました。その一方で、十年以上の長きにわたる地価の下落により住宅の価値の目減りをもたらし、今住んでいる家を売りたくても売れないという状況にある人がたくさんございます。
 そのようなバブルの被害者ともいうべき気の毒な方々の再出発を支援することは政治の役目だと考えますが、今回の税制改正に盛り込まれた居住用財産の譲渡損失の繰越控除制度の拡充、創設について、その内容の趣旨を御説明願います。
○副大臣(石井啓一君) 居住用財産に係ります譲渡損失の特例につきましては、現在住んでおります住宅を譲渡した場合に発生した損失を、一定の要件の下で、住宅を譲渡した年及びその後三年間の総所得から控除できる制度でございますが、十六年度の税制改正におきましては、住宅価格が下落する中におきましてライフステージに応じた住み替えをきめ細かく支援をする、こういった観点から制度の拡充、創設を行うこととしたところでございます。
 具体的に申し上げますと、二点ございます。
 まず一点目は、従来の居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除につきまして、その要件を拡充をさせていただきました。これまでは譲渡資産に係る住宅ローンが残っていることが要件でございましたけれども、住宅ローンを早期返済した方も住み替えを支援をするという観点から、住宅ローンが残っているという要件を廃止いたしまして、その上で、適用期限を三年間延長させていただいたところでございます。
 それから二点目でございますが、これ、従来は買換えの場合といった要件がございましたが、これまで対象としてこなかった買換えをせずに借家等に住み替える場合につきましても、住宅の売却代金でローンを返し切れないような方には税負担を軽減して再出発を支援をする、こういう必要があるという観点から新たな制度を創設をさせていただきまして、譲渡資産に係るローンの残高が譲渡価格を超える場合、その差額を限度といたしまして譲渡損失の繰越控除を認める制度を創設をさせていただいたところでございます。
○続訓弘君 この新たな制度も大変該当者にとっては幸運だと思います。
 さて、次は、住宅税制のほかにも、十六年度税制改正では土地税制、中小企業関連税制について現下の経済情勢を踏まえたきめ細かな措置が講じられていると承知しておりますが、本日は、本格的な少子高齢化の到来に税制がどう対応していくべきかという視点に絞って質問をさせていただきます。
 まず、少子高齢化が急速に進展して支え手が減少する一方で、国の財政は大幅な財政赤字が続き、経済状況も持続的な成長軌道を回復できたかどうか定かではありません。こうした状況の中で、国民の多くは将来に不安を抱いております。自分はまじめに保険料を納めているけれども、将来は老後の生活に困らない程度の年金を本当に受けることができるだろうかという不安です。こんな不安を抱えていては財布のひもも固くなり、景気回復にもマイナスの影響があることは明らかでしょう。
 したがって、今すぐにでも私たちが取り組まなければならない最重要課題は、将来にわたって安定的な社会保障制度を作り、国民が将来に不安を抱くことなく安心して暮らしていける社会を築くことであると思います。そうした将来にわたって安定的な社会保障制度に必要な財源について、国民がひとしく公平に負担を分かち合うということが基本であると考えます。こうした考え方に立って十六年度税制改正において年金税制の見直しが行われています。
 そこで伺います。
 年金制度の見直しの趣旨はどのようなものか、また年金税制の見直しに当たって所得の少ないお年寄りにどのような配慮がなされているかを併せてお答え願います。
○副大臣(石井啓一君) 今回の年金税制の見直しにつきましては、世代間の税負担の公平を確保すると、また、同じ高齢者であっても高齢者間の税負担の公平性を確保すると、こういった観点から、年齢のみを基準といたしまして高齢者を優遇する措置となっております公的年金等控除の上乗せ措置及び老年者控除を廃止することとしたところでございます。その際、標準的な年金以下の年金だけで暮らしていらっしゃる高齢者世帯に十分な配慮を行うと、こういった観点から、六十五歳以上の高齢者につきましては公的年金等控除の最低保障額を加算する特例措置を講じることとしております。
 このため、六十五歳以上の年金受給者のうち今回の年金課税の見直しの影響を全く受けない方、これが約四分の三程度を占めると。具体的に申し上げますと、六十五歳以上の年金受給者約二千万人いらっしゃいますけれども、そのうち一千五百万人は影響を受けないと。影響を受けるのは五百万人程度ということでございます。例えて申し上げますれば、いわゆるモデル世帯、年金のモデル世帯がございますけれども、このモデル世帯が受けているモデル年金、夫で二百三万五千円、妻が七十九万七千円、合計年間二百八十三万二千円、これを受給している御夫婦については税負担は生じないと、こういうことになっております。
○続訓弘君 願わくば、今のような解説を関係者の方々にちゃんとPRをして、幾らか安心していただくような、そういう配慮をお願いを申し上げたいと存じます。
 次に、今回の年金制度改革に当たって、私たち与党は抜本的な改革案をまとめ上げました。その際、必要な財源がきちんと確保されていなければ国民の皆様から信頼される社会保障制度にはなり得ません。このため、平成十六年度においては年金税制の見直しによる増収分を財源として基礎年金の国庫負担割合の引上げを行いました。さらに、将来にわたっても税制改革による財源確保をきちんと図った上で国庫負担割合を二分の一に段階的に引き上げていくことを決定いたしました。
 そこで、財務大臣にお尋ね申し上げます。
 国民の皆様から信頼される年金制度の確立に向けて安定した税財源を確保するためには、景気の動向を踏まえた上で定率減税の縮減、廃止を行う必要があると考えますが、私たち与党が決定した今後の税制改革の道筋を踏まえ、財務大臣のお考えをお聞かせいただきたいと存じます。
○国務大臣(谷垣禎一君) 昨年暮れの与党税制改正大綱で今後数年間の税制改正の道筋を議論していただいて示していただいたと、こういうふうに思っております。
 それで、その中身は、今、続委員がおっしゃった、年金をどう持続可能な国民にとって安心できるものかという観点、それともう一つやはり大きなものとして、三位一体の改革をどう進めるかという視点も入っているというふうに思うわけでございますが、「平成十七年度及び平成十八年度において、わが国経済社会の動向を踏まえつつ、いわゆる恒久的減税(定率減税)の縮減、廃止とあわせ、三位一体改革の中で、国・地方を通じた個人所得課税の抜本的見直しを行う。」と、こういうふうに書かれておりまして、これを受けて政府、与党間の合意が昨年暮れなされたわけでございます。
 政府としては、総理の施政方針演説にもございましたし、また私の財政演説でも表明いたしましたけれども、この与党税制改正大綱を踏まえてこれから努力していかなきゃいかぬと、こういうことだろうと思います。
 そこで、今委員のおっしゃった定率減税をどうしていくかということになりますが、改正の大綱にも書かれておりますように、今後の我が国の経済社会、景気の動向等もよく見ていく必要があると思いますし、さらに、三位一体との絡みがございますと、小手先の所得税をいじるというわけでは、小手先でいじるというわけでは、これはなかなか進まないだろうと思います。先ほどからのお話のように、我が国の経済構造の在り方や、それからどうやって国民が所得を得ているか、就業形態の在り方とか、いろんなことを踏まえて本格的なものにしていかなければいけないのではないかなというふうに私は思っております。
 そこで、税制改革の具体的内容については、政府税制調査会におきまして、去年十月、総理から諮問をされたわけですが、その諮問も踏まえて、我が国社会の現状と将来を見据えながら、あるべき税制の具体化に向けた審議を今やっていただいておるところでございますが、私からも、一月十六日の総会で、税制改正、この与党税制改正大綱を踏まえまして、個人所得課税、それから消費税を中心に、あるべき税制の具体化に向けた審議を進めていただくようにお願いしたところでございまして、今後こういう御議論を踏まえながら、そして先ほどの与党税制改正大綱を踏まえて議論を進めていきたいと、こう思っております。
○続訓弘君 私たち与党と政府が真剣にこの問題について議論を深めて、そして国民の幸せのための立派な制度を構築したいと存じます。
 そこで、最後に質問申し上げます。
 少子高齢化を支える社会保障制度を構築していくためには消費税の議論は避けて通れないと思います。私たち与党が取りまとめました税制改革の道筋では、平成十九年度をめどに、社会保障給付全般に要する費用の見通しを踏まえつつ、消費税を含む抜本的税制改革を実現することとしております。小泉総理も消費税率の引上げについては大いに議論すべしとの立場であると承知しております。財務大臣は、持続可能な社会保障制度の確立という観点も踏まえて、今後の消費税の役割についてどのように考えておられるのか、お考え方を伺わせていただきます。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、委員もおっしゃいましたように、小泉総理は自分の任期中は消費税をいじらないとおっしゃっておられるけれども、議論はどんどんやってくれと、こうおっしゃっているわけです。
 そこで、先ほどお引きになりました与党税制改正大綱でも、平成十九年度をめどに消費税も視野に入れながらという表現になっているわけでございますけれども、これは少子高齢化が進んでいく中で、世代間の公平を確保しながらその持続的な社会保障を支える歳入構造を、社会保障制度を始めとするいろんな公的なサービス、サービスですね、これを支える財政構造を、歳入構造を作っていく上で消費税は私は非常に大事な避けて通れない課題ではないかなと、極めて重要な問題であるというふうに思っております。
 昨年の与党税制改正大綱でもお示しいただいたように、先ほど申しました所得税、それから消費税に向けてあるべき税制はどういうものか、私も政府税調で議論をしていただくようにお願いしたわけでございますから、そこの議論を踏まえて我々も議論を具体的に進めていきたいなと、こう思っております。
○続訓弘君 大変ありがとうございました。
○国務大臣(谷垣禎一君) ちょっと一つ付け加えます。
 ただ、そのためには徹底した行財政改革もともに進めていくという覚悟が必要であろうと、こう思っております。
○続訓弘君 今それを言おうと思ったわけで。
 私も行政マンだった。都庁の財政再建について私は一肌脱いだわけです。そんな意味では、やはり内なる改革が是非とも必要だ、それでないと国民の理解は得られないということを申し上げて、質問を終わります。
 ありがとうございました。
○委員長(平野貞夫君) 両案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時十一分散会