第159回国会 文教科学委員会 第4号
平成十六年三月二十四日(水曜日)
   午前十時開会
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  出席者は左のとおり。
    委員長         北岡 秀二君
    理 事
                亀井 郁夫君
                後藤 博子君
                鈴木  寛君
                山本 香苗君
                林  紀子君
    委 員
                阿南 一成君
                有馬 朗人君
                大仁田 厚君
                大野つや子君
                扇  千景君
                橋本 聖子君
                伊藤 基隆君
                佐藤 泰介君
                谷  博之君
                中島 章夫君
                西岡 武夫君
                草川 昭三君
                畑野 君枝君
                山本 正和君
   国務大臣
       文部科学大臣   河村 建夫君
   副大臣
       総務副大臣    山口 俊一君
       文部科学副大臣  原田 義昭君
   大臣政務官
       文部科学大臣政
       務官       馳   浩君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山口 俊史君
   政府参考人
       総務省自治行政
       局公務員部長   須田 和博君
       文部科学大臣官
       房総括審議官   玉井日出夫君
       文部科学省生涯
       学習政策局長   銭谷 眞美君
       文部科学省初等
       中等教育局長   近藤 信司君
       文部科学省高等
       教育局長     遠藤純一郎君
       文部科学省科学
       技術・学術政策
       局長       有本 建男君
       文部科学省研究
       開発局長     坂田 東一君
       文部科学省スポ
       ーツ・青少年局
       長        田中壮一郎君
       文化庁次長    素川 富司君
       厚生労働省社会
       ・援護局障害保
       健福祉部長    塩田 幸雄君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○平成十六年度一般会計予算(内閣提出、衆議院
 送付)、平成十六年度特別会計予算(内閣提出
 、衆議院送付)、平成十六年度政府関係機関予
 算(内閣提出、衆議院送付)について
 (総務省所管(日本学術会議)及び文部科学省
 所管)
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○委員長(北岡秀二君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 平成十六年度一般会計予算外二案中、総務省所管のうち日本学術会議及び文部科学省所管についての委嘱審査のため、本日の委員会に総務省自治行政局公務員部長須田和博君、文部科学大臣官房総括審議官玉井日出夫君、文部科学省生涯学習政策局長銭谷眞美君、文部科学省初等中等教育局長近藤信司君、文部科学省高等教育局長遠藤純一郎君、文部科学省科学技術・学術政策局長有本建男君、文部科学省研究開発局長坂田東一君、文部科学省スポーツ・青少年局長田中壮一郎君、文化庁次長素川富司君及び厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長塩田幸雄君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(北岡秀二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(北岡秀二君) 去る二十二日、予算委員会から、三月二十四日の一日間、平成十六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総務省所管のうち日本学術会議及び文部科学省所管について審査の委嘱がありました。
 この際、本件を議題といたします。
 文部科学省関係予算の説明につきましては既に聴取しておりますので、総務省所管のうち日本学術会議関係予算の説明を山口総務副大臣から聴取いたします。山口総務副大臣。
○副大臣(山口俊一君) 平成十六年度日本学術会議歳出予算要求額の概要につきまして御説明を申し上げます。
 日本学術会議は、我が国の科学者の内外に対する代表機関として、科学の向上発展を図り、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させることを目的とし、科学に関する重要事項の審議、科学に関する研究の連絡を図ること等を職務といたしております。
 平成十六年度総務省所管一般会計歳出予算要求額のうち、日本学術会議の歳出予算要求額は十四億六百万円であり、これを前年度の当初予算額十四億六千二百万円と比較をいたしますと、五千六百万円の減額となっております。
 次に、その内訳について御説明申し上げます。
 第一に、科学に関する重要事項の審議等を行う総会、部会等のほか、百八十の各専門分野の研究連絡委員会の審議関係経費として三億五千六百万円を計上しております。
 第二に、学術関係国際会議の開催、国際学術団体への加入分担金、国際学術関係会議への代表派遣、アジア学術会議の開催等の国際学術交流関係経費として三億四千百万円を計上しております。
 第三に、新たな日本学術会議会員の選考を行うために日本学術会議会員候補者選考委員会を設置をして、会員候補者の選考を行うための会員推薦関係費として四千四百万円を計上しております。
 その他日本学術会議一般行政経費として六億六千五百万円を計上しております。
 以上が平成十六年度日本学術会議の歳出予算要求額についての概要でございます。
 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
 以上です。
○委員長(北岡秀二君) 以上で日本学術会議関係予算の説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○有馬朗人君 自民党の有馬朗人でございます。おはようございます。今日も一時間ほど質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。文科大臣始め大変お疲れだと思いますが、もう一頑張りお願いをいたします。
 まず、質問に入る前に繰り返しお願いをしておきたいことは、やはり日本の小学校、中学校、高等学校、そしてまた大学、大学院への財政的基盤が非常に弱い、これを何とか今世紀中にと言うと百年もお考えになるといけませんが、十年ぐらいの間、二十年の間には是非とも世界並みにしていただきたいということをお願いをいたしたいと思います。初中教育の予算も、比べますとやっぱり少ない。これを直さない限り日本の教育は良くならないと断言いたしたいと思います。
 そしてまた、科学技術の予算は大変な御努力で、科学技術基本法、そしてまた科学技術基本計画のおかげで随分伸びてまいりました。科学研究費補助金も大変伸びてきた。これは度々感謝申し上げるところでありますけれども、やはり競争的資金ということを考えますと、先週もお聞きしたように、アメリカに比べて一けた少ない。これを何とかしなければアメリカに勝てない、世界に勝てないと思いますので、是非ともこの財政基盤をしっかりするようお願いをいたして、私の質問に入らせていただきます。ちょっとつむじの曲がった議論を今日させていただきますので、よろしく。
 まず一問は、中央教育審議会で五日制を導入することを決めた際に、私は非常に心配したことがありました。会長として心配したことがあり、また審議会としても心配しました。すなわち、すべての学校が公平、平等に五日制を導入してくれるだろうかということでありました。会長といたしましても、文部省に、当時の文部省に様々な学校と、特に私学とよく話をして理解を求めてくださいということを要請いたしました。そして、当時の初中局長等々が大変御努力になって、公立のみならず私学ともよく話をしてまいりましたと、了承を受けたと、こういうふうな返事をいただきました。
 そこで、第一問は、今日、土曜に関して、高等学校、特に高等学校はいかに対処しているか、ひとつお教えいただきたいと思います。
○政府参考人(近藤信司君) お答えをいたします。
 完全学校週五日制につきましては、平成十四年度から国立、公立学校につきましては導入をされておるわけでございますが、私立学校につきましては、私どもが平成十四年二月に完全学校週五日制の実施予定について調査した結果によりますならば、その時点ではございますが、学校週五日制を採用する私立学校は全体の約七〇%にとどまっているということで、必ずしも私立学校の中ではまだ完全学校週五日制の実施に向けた取組が十分に進んでいない、そういう状況が見られるところでございます。
○有馬朗人君 特にその三〇%残っているところでは進学校が極めて多いと思う。
 そこで、土曜を休みにしていない学校の理由について、もしお分かりであればお聞かせください。
○政府参考人(近藤信司君) 必ずしもその理由まで把握をしていないわけでございますけれども、やはり学力の問題あるいは上級学校への入学試験への対応、いろんな理由があるんではないかと考えております。
○有馬朗人君 同じような問題は公立学校にもあるはずであります。しかし、一部がそういうふうなことを行っているということを私は非常に心配をしているわけであります。
 少しさかのぼって恐縮でありますが、私が東大の総長をしておりましたころの一つのエピソードを申し上げます。そして、質問したいと思います。
 一九九一年ごろ、当時の中央教育審議会で、大学入試が過熱することを恐れ、特定の大学に少数特定の高等学校の出身者が多数入学し、それらの大学生は大学で同窓会を毎日やっているというふうな批判がありました。そして、中教審として、特定高校よりの出身者の数を、一大学ごとの数を制限せよという方針を決めたと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 御指摘のように、一部の有力大学における特定高校出身者の寡占の現実が常識をはるかに超える域に達していると、こういう議論が中央教育審議会等でございました。ただ、結論としてそれをどうせよという提言にまではまだ至らなかったというふうに理解しております。
○有馬朗人君 中教審が議論をなさっているときに、東京大学に対して極めて強い要請がありました。東京大学で実行せよという御要請であったと思います。これが正式な要請であったか内々のものであったか、私、記憶がないんですが、東京大学といたしましても大変な議論をいたしました。
 そして、私は、総長を辞めるときに出しました「現状と課題」という、東京大学としての、内部というか自己評価及び自己点検の白書を出したのですが、その中に書いた文言を申し上げますので、よろしく。
 それは、ここでいわゆる寡占高校問題について一言しておこうというふうなことを言いまして、そしてその当時としては、私学は大変努力しているんだから、まだ全体が同じ指導要領の下で同じような授業数でやっていて、しかし努力しているんだから今回はそれを受け入れないという結論を出すわけでありますが、ただ、東大といたしましても、学生生活実態調査の結果から明らかであるように、本学学生の家計維持者の平均収入が高いことにより学生の質が変化をしているのではないか、貧困家庭の子弟が入学できるようにするにはどうしたらよいか等々の問題は、今後一層検討を深め、必要な対策を打ち出したいと考えている、なお寡占高校問題に関しては、今後具体的状況の変化が起こり次第再検討の要があると私は考えている、総長としてであります。例えば土曜日に休校するかしないかによって国立・公立高校と私立高校の間に明らかな差が生じた場合であるということを十年前に私は書きました。
 さて、先ほどお聞きいたしましたように、現在は土曜休校ということの点でこの平等性、公平性が大きく崩れていることを私は心配しているわけであります。
 そこで、大臣にお願いしたいことがあります。もう一度、国立、公立、私立を含め土曜日を休校にする、これがよいかどうか、全く各高等学校の自由なのかどうか、それでよいのかをはっきりさせていただきたいと思います。特に大臣にお願いは、学校五日制の在り方のもう一度検討、特に高等学校での土曜日の在り方、これにつきまして中央教育審議会でもう一度お諮りをいただけないかということであります。
 今日ここではっきりお返事いただければ幸いですが、御検討を賜れるかどうか、まず中央教育審議会に諮問する前にどうお考えになるか、この点について御意見を賜りたいと思います。
○国務大臣(河村建夫君) 有馬先生御指摘のように、この五日制の問題のときに、私学は大丈夫かという話があったことも私もよく覚えております。現実にそういうことがまだ起きているということでございます。
 しかし、基本的には、完全学校週五日制の考え方、これは公私共通のものであると、こういう認識に立っております。だから、私立学校においてもこの趣旨を理解をいただいて御協力いただきたいと、このように思っておりまして、これを中教審に正式な課題とするかどうか、この問題について私も内部的にももう一度考えなきゃいけない問題だと。
 かなりの学校がそういう状況である。しかし、一方では、成果を上げております私学、例えば灘高あるいは東海高校、女子学院等においても五日制を採用している例もあるわけでございますので、そういう観点からいえば、本当にやる気になればできるはずだと、私はそう考えております。
 有馬先生、元中教審の会長さんからのお話でもございます。検討させていただきたいというふうに思います。
○有馬朗人君 ありがとうございます。
 先週お願い申し上げましたように、総時間数が本当に少ないのはどう考えるか、改善するにはどうすればいいか、この辺なども兼ねてまた御検討賜ると有り難いと思っています。
 少し易しい問題に移ります。
 一九八五年ごろから、大学入試の科目を減らす、そして剣玉入学すら許す大学が出てまいりました。これは文部省が指導するんだと、指導したんだからという大学が多いのですが、もし指導なさったとすればなぜでありましたでしょうか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 大学入試の科目数の削減等についての経緯を御説明します。
 昭和五十四年に共通一次学力試験を導入した際には国立大学五教科七科目ということであったわけでございますけれども、その後、臨時教育審議会におきまして、受験競争を緩和して受験生の負担を軽減すると、こういう観点から大学入試の在り方についても様々な審議が行われたというふうに理解しております。
 この審議の状況を踏まえまして、昭和六十年に国立大学協会から提言が出されまして、それに基づいて、昭和六十二年以降、国立大学における共通第一次学力試験の受験科目が五教科五科目となったということでございます。
 また、各大学の個別試験につきましても、共通試験と同じ科目を課すことは受験生にとって過度の負担であると、こういう考え方に基づきまして、文部省で昭和六十二年以降、毎年、各大学に通知をいたします大学入学者選抜実施要項におきまして、大学入試センター試験利用大学につきましては個別試験の受験教科・科目数の削減を求めてきたと、こういう経緯でございます。
○有馬朗人君 確認しておきますが、文部省は指導しなかったと考えてよろしいですね。
○政府参考人(遠藤純一郎君) いえ、文部省で、先ほど申しましたように、各大学に出しております実施要項で受験教科・科目数の削減を、個別試験における受験教科・科目数の削減を求めてきたということはございます。
○有馬朗人君 各大学に、是非とも誤解のないように、今からでもおっしゃっていただいた方がいいと思います。
 ところで、私は、一九八九年、平成元年に入学試験科目を減らすなということを大アピールをいたしました。国立大学協会でもそう申しました。なぜか。それは、高校生が入学試験に出ない科目は勉強しなくなる、明らかに。医学部に来るのにも生物をやらないというようなことも起こってきたわけであります。
 入学試験の科目が減ったら、人情として当然高校の教育体制が崩れるのではないでしょうか。高等教育局長にお伺いいたします。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 現実問題として、やはり入試ということが目の前にありますと、どうしてもそちらの方に力が入るということは否めない現実かと思います。
○有馬朗人君 そこで、今度は高等教育局長じゃなくて初中局長にお願いすることでありますが、高校教育をきちんとするためには全主要科目の学生達成度を卒業時にしっかりと把握すべきだと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(近藤信司君) お答えをいたします。
 高等学校教育の充実を図るために生徒の各科目の学習の達成状況を適切に評価することは大変重要なことだと考えております。現在、高等学校では、一般的に各学年の修了時に、学習指導要領に示す教科・科目の目標に基づきまして各学校が設定した評価基準に基づき、生徒の学習の達成状況を評価をし、単位の修得を認定をしているわけでございますが、そういったことから、この評価を更に充実をしていくことが大事だろうと思っておりまして、国立教育政策研究所の教育課程研究センターが平成十五年の九月に高等学校における評価基準、評価方法等の研究開発、これはまだ中間整理の段階でございますが、これを公表し、各都道府県教育委員会に送付をしていると、こういうことでもございますから、こういったような取組、あるいはこういうものを参考にしていただきまして、各学校でしっかりと達成状況を評価をしていただくと、こういうことが大事だろうと思っておりますし、私どももその充実に努めてまいりたいと考えております。
○有馬朗人君 ありがとうございます。是非御努力を賜りたい。
 そこで、一案を提案をいたしますので、御審議賜り、お考えをお聞かせいただきたい。
 そのまず前に、海外の、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカ等では高等学校卒業資格をどのように認定しているか、もしお分かりでしたらお教えください。
○政府参考人(銭谷眞美君) まずイギリスでございますが、日本の高校に当たるシックスフォームと呼ばれる義務教育後の二年間の課程がございますけれども、ここでは、我が国のように各学校が卒業を認定する制度にはなっておりません。大学への入学資格につきましては、GCE―Aレベル試験の合格が基本的な要件となっておりまして、この試験は国の認可を得て民間の試験団体が実施をいたしております。
 次にフランスでございますが、国家試験であるバカロレア資格取得試験の合格によりまして高校卒業資格及び大学入学資格が付与されるということになっております。
 ドイツでは、高校の修了試験であるアビトゥア試験の合格者に高校卒業資格及び大学入学資格が授与されると。この資格試験は、全国共通水準によりまして各州で実施をいたしております。
 最後、アメリカでございますけれども、通常、州や学区で定める単位の取得をもって卒業が認定をされます。しかし、最近、単位の取得に加えまして、州の統一学力テスト合格を卒業要件とするところもございますし、これとは別に、卒業試験合格というものを卒業要件とする動きもございます。
 以上でございます。
○有馬朗人君 ありがとうございます。かなり外国は厳しくこの高校卒業資格を認定しているところが多いと思います。
 そこで、大学入試センターというものを高校卒業の認定に使われたらどうかということが私の提案でありますが、その辺についてお考えあるでしょうか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 高等学校教育の課程の修了を認定するということにつきましては、やはり各学校がそれぞれの教育理念を十分に踏まえまして自らの責任において適切な評価を行う、そして卒業を認定するということが重要であると、こう考えております。大学進学を希望しない者も含めてすべての高校生に大学入試センター試験を課して、その結果をもって卒業を認定するというところまではなかなか難しいのではないかと、こういうふうに考えております。
○有馬朗人君 難しいことはよく認識いたしますけれども、やはり高校での学力が去年の調査のように理科や数学がああ悪かったんではやっぱり心配でありますので、きちっと評価をなさるよう御努力を賜りたいと思います。
 さて、大学の入試の問題に更に戻りますが、この四、五年、大学の入試が極めて多様化した。その一半の責任は私もあるわけで、入学試験、三月の試験を前期と後期に分けるというふうなことをやった責任を持っているんですが、特に私学などを見ますと、余りにも多数回、様々な入試が行われるようになっています。ですから、多様化はいい、複層化は良かったんですが、少し行き過ぎているんじゃないか。そのために、入学試験の問題は間違える、採点は間違えるというていたらくがあっちこっちで起こっている。これは、後で申します教養学部をつぶしちゃった、教養部をつぶしたことも原因なのですが、それ、後にまた申します。
 ただ、今訴えておきたいことは、余りにも多数回入試が行われますので、そこの教職員が忙殺されてしまって、もう肝心かなめの教育どころではないという問題が、少なくとも一月、二月、三月はそういうことが起こってくるわけです。どうそこのところを解決なさろうとお考えであるか。私は、AO入試というものがせっかく導入されましたので、もっとAO入試などを使って一般教員を入試の桎梏から解放すべきではないかと考えておりますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 御指摘のように、受験機会を複数にする、多様化ということにつきましては、大学に進学を希望する人たちの受験機会がより多く提供されるという観点では望ましいというふうに考えているわけでございますが、一方で、御指摘のように、その分、入試業務が増加をしまして、学内の多くの教員が入試の業務に時間を取られていると、そういう実態も聞こえてくるわけでございます。入試専門組織を設置するなどの体制整備を図るということと同時に、業務を効果的、効率的に進めるということが必要ではないかと思います。
 それから、先生、アドミッションオフィスというような、AO入試という御指摘ございました。こういったそのための専門組織として近年アドミッションセンターを設置する大学が増えてきてございまして、そういうセンターでは、いわゆるアドミッションオフィス入試の企画、実施ということや、種々の入試の業務の中核、大学における中核的な機関として設置されているということでございまして、今後、その機能の充実を図るということによって全学の入試業務を一括して企画、実施する役割も期待され、負担の軽減ということにつながっていけばというふうにも考えておるわけでございます。
○有馬朗人君 ありがとうございます。大変現場の教職員が入試問題で悩んでおりますので、そしてまた質の良い入試を行うために、やはり専門家を養成していただきたいと私は思っています。
 入学試験の大好きな教員がたくさんいるんですよ。私も東大で入試やめようやと言ったら、大反対を受けましたね。やっぱり好きな人がいるんで、そういう人たちを是非御活用いただきたい。
 大体、私はアメリカの大学にいたころ、どんな試験がどうやって行われて学生が入ってきたか、全然知りませんでした。周りの教官も全然知りませんでした。要するに、大学の一部に専門家がいて、それが毎年の、これはハーバード辺りでも同じです、私ニューヨーク州立大学ですが、いつの間にか学生が入ってくる。
 そこで、ヨーロッパも同じでありますが、やはりもっと、先ほどの大学入試センターであるとか、ああいうところの入試専門家の教職員に入試を任せる方向に行ったらどうかと思いますが、高等教育局長、どうお考えでしょうか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 御指摘のように、アメリカの多くの大学では専門の職員から成りますアドミッションオフィスが学生の募集から選抜までの業務を実質的に遂行しておると、そしてその中で多面的な入試を行っているというふうに理解しておるわけでございます。
 我が国におきましても、先ほど申しましたように、一般教員の入試業務の負担を軽減するとともに、専門家による適切できめ細かい選抜を実施するという観点から、選抜に関する業務を集中的に行い、その結果を教授会に報告するような専門組織を学内に設けるということをこれから進めていく必要があると、こう考えております。国立大学で申しますと、こういったアドミッションセンター、十三の国立大学に既に整備をされておるわけでございます。
 それから、入試、それぞれの各大学の入試におきましても、センター試験の積極的な活用、あるいは個別試験では、面接、小論文を中心に実施するといったようなこと、あるいは入試センター試験で判定できる能力については再度試験を課さないと、あるいは入試業務の、そういったようなことで入試業務の効率化を図るということも考えられますし、さらには、TOEFLやTOEICといったような信頼性の高い外部の試験を積極的に活用するということも考えられるわけでございまして、そういったようなシステムを整備していくということによってそういう方向に向かっていけばというふうに思っております。
○有馬朗人君 日本の入試は、大学入試は難し過ぎるから、易しくしてみんな入れて、そして大学で教育を厳しくして卒業生は減らせという御意見、この中にもおられると思う。そういう人が非常に多いんですね。それが実行可能かということをちょっと考えてみたい。
 時間がございますので、私、結論的に申していきたいんです。二、三御質問いたします。
 入学金と授業料を取る以上それはできないということを申し上げておきたい。そこで、そのことの論拠として、ハーバード大学というのは非常に難しい大学とされていますね、入学試験がね。卒業生は入学者の何%か、東大が何%かということをお聞かせいただきたい。私がかつて東大にいたころ調べたのでは、ハーバードは九七、八%が卒業し、東大が九五%でありましたが、いかがでしょうか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 御指摘のとおりでございまして、ハーバード大学の近年の卒業率は九七%。ちなみに、他のそういうアメリカの大学でいいますと、イエール大学が九四%、プリンストンが九五%。東大でございますけれども、平成十五年三月で計算をしますと九九・九%と、こうなっております。
○有馬朗人君 これからお分かりのように、決してアメリカの一流大学、ヨーロッパの一流大学がところてん式にやっているわけではないのです。このことを十分、特に文科省は御認識賜りたい。
 一番そういう意味で難しいのはアメリカのコミュニティーカレッジであります。入学金がただで、入学金なんてないんですよ。授業料はほとんどただであります。そこは入った人の一〇%しか卒業していなかったはずであります。
 そこで、次に、諸外国の大学の入学金、授業料があるかないかについてもう一度お聞きいたします。一度高等教育局長にお伺いいたしましたが、いかがでしょうか。ごく簡単に御説明いただきたい。そして、韓国、中国はどうかということもお加えになってお教えください。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 時間の関係で入学金だけで申しますと、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、中国、いずれも入学金は取っておりません。韓国では入学金を、我が国と同じように入学金を取っておると、こういうことでございます。
○有馬朗人君 韓国は非常に日本に似ています。日本のやり方と非常に似たやり方をやっていますが、ほかのところは中国も含め全世界的に入学金を取っているところはないと思います。
 入学金というのはそもそも四年間に修了することを前提にして取っているわけですから、こういうお金を取っていれば、途中でもう出ていけと言ったらこれは詐欺ですよね。このごろPL法というのがあるわけで、お金を取ったからにはちゃんと産物をしっかりしなきゃいけない、この問題に引っ掛かるわけです。
 そして、今授業料のお話はいただけませんでしたけれども、ドイツ、フランスはほとんどゼロ。ドイツが少し取るようになったと思う。それから、イギリスはこのごろ取るようになりましたね。でも、長い間授業料も取っていません。そういうふうに授業料も取らない、入学金も取らなければ、たくさん学生を取って、どんどん厳しい講義をして、途中で退学することを許せばいい。
 私の知っているところでは、ドイツのケルン大学でありますが、そこで見ていたらば、初めの一年、最初のころは物理教室に四百人来ていましたけれども、二年目か三年目、物理が難しいって、物理易しいと思うんですがね、一番易しい学問だと思っていますけれども、二年、三年たつと百人になっていましたよ。だから、それで、ドイツの人たちは非常にむなしいかなと、そう言っていました。
 さて、本題へ戻りまして、要するに、授業を厳しくして卒業を難しくするために授業料や入学金を取らないようにするならいいけれども、そうじゃない場合のことを少し考えてみたいんですが、日本の場合、どうしても取る、そしてヨーロッパ先進国は取らないところが多い。これ、どこからこういう差が出てくるかと。やっぱりこれは、GDP当たりで見た限りでありますけれども、アメリカやヨーロッパの主要国というのは高等教育に非常に多くの金を使っているからだと思うんですね。
 そこで、一体、日本はこれからどうしたらいいのかという大問題に引っ掛かるんですが、まず、事実関係をもう一度確認さしていただきたい。何か所、全部おっしゃると大変でありますので、日本はGDP当たり高等教育費にどのくらい使っているか、アメリカそしてヨーロッパの一、二国についてお教えください。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 高等教育に対する公財政支出でございますけれども、GDPに対する公財政支出の割合、教育制度の相違など、国によっていろいろ条件が違いますので、単純比較は難しい面もありますけれども、OECDの調査によりますと、二〇〇〇年現在で、アメリカが〇・九%、イギリスが〇・七%、ドイツが一・〇%、フランス一・〇%、日本が〇・五%と、こういう数字になっております。
○有馬朗人君 やはり、日本が半分とは言いませんが、やっぱり非常に少ない。
 この点について、特にアメリカはGDPがそもそも日本よりはるかに大きい、そういうことも考えますと、やはり日本は少な過ぎる。GDPで見ますと、パーセンテージで見ますと二倍ぐらいでありますが、絶対額となりますと大変な差があるということを御認識賜りたいと思います。度々同じ問題を提起いたしまして恐縮であります。
 そこで、大臣にもお聞かせいただきたいことでありますが、国として、高等教育の財政強化、そして初中教育の財政を強化し、特に大学の入学金や授業料を低減するべきであると私は思うんですね、むしろ積極的に。今どんどん毎年のように国立大学も増えてきている、このことを何とか食い止めなきゃいけないと思う。
 国立大学の使命というものの一つは、やはり財政的に貧しい子供たちが来られる。私も大変な貧乏人でありましたけれども、かろうじて国立大学に入れました。それが一つの特徴であった。ところが、このごろの国立大学の入学金や授業料はもう私立とほとんど変わらないところまで来ていますよ。アメリカより高い。これ何とかならないのであろうか。この点について、ひとつ文科大臣にお覚悟のほどをお聞かせいただきたいと思うんです。
 それからまた、奨学金の充実がやっぱり日本は依然として弱い。この点につきまして、まず資料というか調査した結果をお聞かせいただきたいんですが、アメリカ、日本では一体、奨学金がどのくらい出されていて、恩恵を被っている人々は何%ぐらいか、その額はどのくらいか等について、高等教育局長よりまずお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 奨学金の実情につきまして御説明させていただきます。
 我が国での、平成十六年度予算案で見ますと、日本学生支援機構の奨学金貸与人員、これにつきましては、大学、大学院で今年度に比べまして約八万人の増で七十二万人、学生数に対する貸与率が約二四%となっております。事業全体で見ますと、近年では希望する人ほぼ全員に貸与できるという状況になっております。
 貸与額の方でいいますと、学部段階の貸与年額が、無利子奨学金で、通学形態等いろいろでございますので、五十三万円から七十六万円まで、有利子の奨学金では、本人の希望に応じまして三十六万から百二十万円までと、こうなっております。このほか、無利子と有利子の両方を同時に貸与を受けるという制度、あるいはその入学金に、入学時に有利子による三十万円の一時金の増額貸与ということも近時可能となってございます。
 一方、国立大学の授業料でございますけれども五十二万円、入学料約二十八万円、計八十万円。私立大学では、授業料の平均が八十一万円で、入学料の平均が二十八万円で、合計百九万円と、こういうことでございますので、奨学金全体で見れば、授業料等の支払に対応できるようになっているんじゃないかと考えております。
 アメリカでございますけれども、連邦政府が関与している奨学金の給付及び貸与の延べの人数は約一千五百万人、実数による貸与率は約六割と承知をしているわけでございます。金額でございますけれども、奨学金年額は六万円から四十六万円程度でございますが、複数の奨学金を受けることが可能でございまして、一人当たりの平均が約八十万円となっているということでございます。
 なお、州立総合大学の授業料でございますが、平均で約四十九万円、私立の総合大学の授業料が平均で二百三十万、ハーバードでいいますと三百二十九万と承知をしております。ただ、私立大学におきましては、連邦政府が関与している奨学金以外にも大学独自の奨学金制度が充実をしているというふうにも承知をしているわけでございます。
○有馬朗人君 ありがとうございました。
 今の数字をよくお聞きになっているとお分かりと思いますが、日本の奨学金はよくても、入学金と授業料を払ったらパア、その後は自分でやっぱりアルバイトをしなきゃいけないんですね。この点に関して、やはり文部科学省として人材育成の上でしっかりお考えになられて、様々な面で奨学金を充実なさっていただきたいと思います。
 そこで、大臣にお願いでありますが、繰り返し同じことを申し上げて申し訳ありませんけれども、やはり日本の政府、地方自治体等も含めて、高等教育だけではなく初中教育も含めてでありますが、より強く財政基盤をすべきである。特に高等教育が目立って少ないのでありますので、財政支援を徹底的に強化をしていただくべく御努力をお願いいたしたいと思いますが、文科大臣の御感想をお聞かせください。
○国務大臣(河村建夫君) 有馬先生がおっしゃるように、正に国づくりは人づくりでございますし、日本の今日、やっぱり教育力にあるということは間違いない、これを低下さしてはならぬ、これは国にとって最大の課題でございます。特に高等教育については正に人材づくりの総仕上げのところでございますから、この高等教育を充実するということは重要な課題でございますし、先ほど来御指摘のあの〇・五%という数字、いつも出てくる数字でございまして、これを何とか上げたいという気持ち、我々持っておりますので、これはこれで更に努力しなきゃいかぬと思いますが。
 ただ、日本には日本の考え方といいますか、その教育を受ける方々、あるいは進学をしない方々、あるいはそういう方々と同じ税金を使う、できるだけ応分の負担はしていただこうじゃないかという考え方もある。やっぱり、総じて財政不如意の方については、おっしゃるように今奨学金の問題、これがもっと充実する、しろというのは、これは当然のお考えだと思います。この点は、もうちょっと、それが対応できているかどうか、これは考えなきゃいけませんが、最近では、東京大学へ進学されている皆さんの家の収入が一番高いんだと言われているケースもございます。それは、そこまでの掛ける金が相当掛かっているという問題もございます。これは、今の予備校があり塾があり、こういうことにも原因があるわけでございますが、そういう観点からいうと、それなりの応分の負担はしていただく。
 また、一方では私立大学が、その授業料といいますか学生納付金、これによって大学教育を現実に実施している問題、一方では公私の格差是正という強い要請もいただいておる。こういうことと相まって、この厳しい経済状態の中で、御指摘のように高等教育にもっともっとお金をということ、これは公立のこともそうであり、国公立もそうでありますが、私学に対しても同じようなことが言えるわけでございます。そういう面で、今、日本では私学が非常にウエートが高いということもあって、私学は授業料を基にしてやりながらできるだけ、国費の負担が減っていると、少ない、こういうこともあって恐らく平均値的にこういう数字も出ているんだと思いますが、おっしゃるように、高等教育の役割を言えば、そこの重要性を踏まえれば、この点をもっと重視するというのは我々の大きな使命だと、こう思っておりますし、また、授業料の在り方の水準、これも適正でなければなりません。教育の機会均等という強い要請もございます。そういうことを踏まえながら適正に対応していかなきゃならぬと、こう思っておりまして、奨学金の面からの充実、あわせて授業料をできるだけ抑えながら、そして公私の格差是正ということも考えながら対応していく、これが文部科学省の重要な役割だと、このように思っております。
○有馬朗人君 ありがとうございます。
 やはり、今、大臣御指摘のように、私は私学の重要性を強調したいと思います。もちろん、国立のことをお願いいたしますが、同時に私学助成を徹底的に増やすという御努力を賜りたい。特に満遍なくどこにも平均的にいくというのでは駄目で、やはりしっかりした努力をしているところに対して競争的な資金を導入していただきたいと思うんです。その点で、私は感謝申し上げますけれども、教育COEを研究の上ではおやりになっておられましたが、さらにまたそこに大学教育に対する言わばCOEのような方針をお立てになって助成をしておられる、この点に対して私は感謝申し上げます。
 ここでは国立も公立も私学も差がありませんので、こういうところを是非、さらにトータルの金額をお聞きしてもいいんだが、私は二けたぐらい、少なくとも一けた違っているんじゃないかと思うんですね。もうあと一けたぐらいお上げいただきたいと私は思いますけれども、そういう御方針をひとつ今後重要視なさって、更にお進めいただきたいと思います。
 そこで、次に、また全く違う問題についてお聞きいたします。
 このごろ、大学生の学力が落ちた、落ちたというのは当たり前だと私は言うわけですね。そのことについて、当たり前だという証拠を今から出したいと思います。
 一つは、入学試験の科目が減ったから、やってこないものはできなくなったのは当然。だから、それに対しては補習授業をやりなさいって、東大では補習授業とは言いませんけれども、既習組と未習組に分けて、今相当時間を掛けて未習組の教育をしております。それが一つ。
 それからもう一つの重要な面、これが私はより深刻な問題だと思うんです。それについてお聞かせいただき、学力は落ちたのが当然なんだという認識の上で御対策をお考えいただきたいと思うんです。大学の学長それから教授等々に聞くと、落ちた、落ちた、落ちたって、いかにも初中教育が悪くなったから落ちたんだ、特にゆとり教育が悪いから落ちたんだとおっしゃるんだが、そうじゃないんだということを御認識賜りたい。その証拠を今からお聞きいたします。
 まず、十八歳人口がピークだった、最近のピーク、極大であったのは一九九二年であったと思います。そのときの人口、そして現在の十八歳の人口、さらに二〇〇八年の十八歳の人口は一体どうなっていくのか、数字だけ急いでお聞かせください。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 十八歳人口でございますけれども、ピークの平成四年、一九九二年で約二百五万人でございます。平成十五年、二〇〇三年で約百四十六万人、平成二十年、二〇〇八年では百二十四万人となる見込みでございます。
○有馬朗人君 学力が必ずしも学生数の数と比例するなんては思いませんけれども、そこで、一体学生がどうなったかを今からお聞かせいただくことにしましょう。
 ピーク時のときの、国立だけじゃない、全体でいいと思いますが、全体の学生数は何人であったか。そして、今年ぐらいで何人か。すなわち、百四十九万ぐらいになったところで何人取っているか。それから、二〇〇八年、まあ二〇〇八年はいいです。現在までのところの動き、一九九二、三年のころの学生総数、入学者定員でいいんですが、定員と、それから昨年の入学者定員は幾らでしたでしょうか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 平成四年の大学、短期大学の入学定員が約六十八万人でございます。昨年、平成十五年の入学定員は約六十五万人でございます。
○有馬朗人君 それは短期大学入れたからですね。四年制大学ではっきりおっしゃってください。
○政府参考人(遠藤純一郎君) ちょっと字が小さくて……。
 平成四年の大学の、これ定員じゃなくて実数でございますけれども、五十四万人でございます。平成十五年度の入学者の実数、大学だけの入学者の実数が六十万人でございます。
○有馬朗人君 私の調査と少し違うところがあるが、まあいいですね。
 臨時定員というのがあって、一九九四年ぐらいまでに各大学が非常に人数を増やしました。東大でも五百人か、三百人か五百人増やしました。国立大学はその臨時定員は返しました。したがって、臨時定員は現在五%弱、ピーク時の五%弱になっています。公立は一・五倍になっています。一五〇%。私学が一一二、三%だと思います。これは後でお調べ、失礼、一一八%ぐらいだと思います、後でお調べください。
 今のお聞かせいただいた数字だけを見てもお分かりのように、増えているんですよ。十八歳人口が二五%も減っているのに、増えているんですよ。同じにしといたっていいんだけれども、増えている。国立は五%が減る、二五%返すべきところを、減らすべきところを、五%しか減らしていない。
 大臣、これでは学力は低下するとお思いにならないでしょうか、平均学力は低下するとお考えになりませんでしょうか。
○副大臣(原田義昭君) 今、有馬先生から数字も挙げて御説明されました。論理的に言っても、総体的に大学に入ってくる数が多くなります、そうすると平均値が下がるというような意味では、学力が下がってきている一つの大きな理由ではないかなと、こんな感じもいたします。
 しかし、私どもからすれば、進学意欲のある者が大学にしっかり進み、また高等教育を受けたにふさわしい価値を身に付けて社会に出ていくことが大切だろうと思っておりますので、それぞれの個性や特色を発揮し、学部段階における教育機能の充実強化を図ることなどを通じて、学生の質を維持発展させるということが重要であると、こういうふうに考えておるところであります。
○有馬朗人君 私は、アメリカなんかは全入をさせろとすら言っていることを聞いておりますんで、私は大学生の数が増えることは構わぬと思うんですよ。だから、それなりの教育体制をしっかり整えてほしいと私は思うんですね。
 その際に、気になることを幾つか申し上げますけれども、まず大学の先生たちが、学長以下大学の先生たちがはっきりとこのことを認識するように御指導賜りたい。要するに、学生をこれだけ取っているんだから平均学力は落ちるのが当たり前だというしっかりした認識を持った上で教育に対して臨んでほしいと思うんですね。いまだにやっぱりエリート時代の教育の仕方をみんな信じ、いいと思っていますから、それに対して徹底的な啓蒙をしていかなきゃならないと思うんです。
 そのときに、実は私は今日少しくどい質問をしようと思ったんですが、時間がなくなってまいりましたのでこの辺でやめますけれども、教養教育、一般教育、どうなさるのか、各大学がどうなさるか、やっぱり一度、もう一度さかのぼって考え直していただかなきゃならないだろうと思うんです。アメリカがなぜあんなにリベラルアーツ・アンド・サイエンスを徹底的にやるかというと、各高等学校が地方地方でばらばらな学力を持った学生を出すものですから、それをそろえるために徹底的な教育を、私もいたしましたけれども、するわけです。宿題、宿題、宿題と、毎週宿題をたくさん出す、こういうふうなことをするんですが、教養教育がつぶれちまっているんです、今。大綱化のために教養部がゼロになった、ほとんどゼロになったと思います。
 高等教育局長、そうですよね。今、教育学部じゃない、失礼、教養学科を持っている大学が非常に少ないんじゃないですか、教養部を持っている大学は。
 質問二十ってとこかな、質問でいうと二十二番当たりの。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 御指摘のように、学部を横断するその教養教育を責任を持って実施をするということで、当時の反省に立って、教養部ということで、国立大学でいいますと三十大学ぐらいができたということでございましたけれども、それが……
○有馬朗人君 今できたのね。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 今で言いますと、その教養教育をどう実施していくかと。いろんな、教養教育の形骸化といいますか、あるいは専門とのつながりと、いろんなこれじゃ駄目だということがございまして、大学設置基準の上でも一般教育を単位数で縛るということをやめて、その辺のことについては大綱化をしたわけでございますけれども、じゃ大綱化した後、新しい形での教養教育をどうやっていくかという、そのことでの、その実施体制をどうするかということでその辺の組織の見直しが図られまして、やはり一度教養部というのは廃止をするという流れになりまして、現在では教養部という形で国立大学で残っておりますのは医科歯科大学の一校だけでございます。
○有馬朗人君 東大は教養学部でありましたので、断固として私はつぶさなかった。つぶせという意見もあったんですが、つぶしませんでした。その理由は、この事件が起こったのは、事件とあえて言っておきますが、一九九一年の大綱化に基づくものでありましたね、教養教育大綱化。これ自身は私は間違っていなかったと思うけれども、各大学がほとんどすべて今御報告のように教養部をつぶしてしまった。このために、私の見ているところでは、各大学の教養教育がなってなくなった、なってないと言っていいです。各先生たち、心配しながらも実際なかなかやれない。
 これは、だからやはり中教審辺りでもう一度しっかり検討し直して、大学の教養教育どうするのか。やらない大学があっていいと思うんですよ。徹底的に専門教育をやるというようなところはやらなくてもいいと思う、生涯学習でやっていけばいいですから。そういうことも考えて、もう一度教養教育をどうするのか、再建をすべきところは再建をしたらどうかということを申し上げておきたいと思います。
 そしてまた、教育のやり方についてでありますけれども、私がお願いをしていることは、もっとTA、大学院を持っている大学でありますと、大学院生にお金を出して、ティーチングアシスタントを活用すべきだと私は思うんです。
 私がアメリカの大学で教えていたときには、週に一回必ず宿題をうんと出しました。それを採点をするのが、教員が全部やるのは大変でありますのでTAに任せる。そのTAの人たちは五百ドルぐらい当時もらっていました。一月の生活ができるんですよ。言わば奨学金である。こういう意味で、日本でも一九九二年ごろ、文科省として、文部省としても、当時の文部省としても導入することをしてくださいましたけれども、一体どのくらいのお金を、質問二十四です、どのくらいちゃんと奨学金というか、TAに対するお金を出してくださっているか、お教えください。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 平成十五年度で申しますと、ティーチングアシスタントの経費でございますが、これで申しますと、五十四億八千三百万と、大学院学生の約一〇%分だということでございます。このうちの私学の経常費におきましては十四億円、この分ということで予算を計上させていただいておるということでございます。
○有馬朗人君 個々の人に聞いてみると、大変平等に分けてしまうので一人一人の学生へのお金は極めて少ない、何万円程度というふうなことを言っていまして、家庭教師の方がより能率良いという意見がありますので、ここでお願いをしたいのです。
 先ほど、奨学金を増やせというふうなお願いをいたしましたけれども、そしてまた、文科省としても大変御努力いただきまして、ポストドクトラル・フェロー一万人、等が付きますが、ポスドク等一万人計画で大変大学院の学生諸君の奨学金増えました。しかし、同じようにこのTAであるとかRA、こういうふうなものを積極的に更に導入していただくことによって、五十四億、随分増えたんですが、これを積極的に増やしていただくことによって奨学金の代わりをするであろう、大学生がアルバイト、大学院生がアルバイトばっかりしないで済むようになると思いますので、是非この点をよろしくお願いをいたします。
 そしてまた、先ほど申しましたようにエリート教育とは違うんだ、そういう時代ではないんだということを十分大学の方たちが認識をされて、教育をより良くする、そのためにやっぱりファカルティーディベロプメントと言われるようなものが必要でありますが、この辺についてどう御努力になっておられるか。
 また、学生による評価というものは私は絶対やるべきである。学生による評価は非常にいいんです。それを絶対やって、それを公表してほしい。やっているところがあるようですが、どうも公表してないと思うんですが、この点について高等教育局長にお伺いいたします。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 最初にファカルティーディベロプメントでございますけれども、御指摘のようにやはり大学の第一の使命は教育でございますし、これだけ進学率が上がっていろんな学生が来るということで、やはり先生方も昔のように分かる者だけ分かればいいということじゃやっぱり済まないわけでございまして、学生にきちんと理解してもらうという、そのためのやっぱり技術も必要だということでファカルティーディベロプメントということを進めておるわけでございますが、この点については、平成十一年に大学設置基準を改正をしまして、ファカルティーディベロプメント、これについて努力義務ということにさせていただいたわけでございまして、これによりまして、各大学の取組状況を数字で申しますと、この制度化する以前の平成九年でございますが、百九十三の大学で、これは大体三三%やっております、何らかの形で行われていたと。平成十四年度で見ますと四百五十八大学、全体の約六七%ということで、で行われるようになったというふうに理解をしてございます。
 それから、授業評価でございますけれども、これも学生による授業評価と、年々増えておりまして、平成十四年度では五百七十四大学、全体の八四%で実施をされていると。そのうち公表してございますのが四百三十七大学、全体の六四%というふうに理解しております。
○有馬朗人君 やっているという話はよく聞くんですけれども、それを公開しているか、学生食堂なんかにその結果をほうり出すくらい公開するか、こうしないと効果がありませんので、是非とも公開をして、同僚の間でちゃんとお互いに見られるようにしていただきたいと思います。
 さて、大きく話題を変えまして、私が心配しているのは日本の技術力の低下であります。最近の事故が非常に多いということを心配をしております。
 そこで、一つの心配はロケットの打ち上げの失敗でありますが、ロケットの打ち上げの失敗、よく見ますと非常に単純な間違い、配線の間違いというふうなことでうまくいかなかった場合もありますが、高度な、今回の私はあれは技術開発の途上でやむを得なかった事故だと思っているんですね。そういうふうに高度な、どうしても克服していかなきゃ、研究して克服していかなきゃならない事故とそうじゃないものがある。私が一番心配したのは、そうじゃないものが多過ぎると思うんです。
 例えば、私が科学技術庁の長官として最後に大変な批判を浴びたのはジェー・シー・オー事件でありました。あのときの私の言ったことは、直ちにバッジを持ってこいと。放射線を浴びていればバッジがすぐにどのぐらい浴びているかを示すはずだから、持ってこい。とうとう持ってこなかった。そしてまた、管理区域の中に何人いたのか、その報告もはっきりしたものがありませんでした。ただ、後で聞いたところによると、管理区域には二十数人かな、何か入っていて、その中でバッジを付けたのは八人か何かぐらいだった、そしてまた亡くなった人たちは全くバッジを付けていなかった。こういうモラルが非常に低下している。
 そこで、教育の問題、最後にお聞きして終わりたいと思うんですが、まず一つ、放射線に関して言うと、放射線管理の法律が少し今度変わると思いますが、ジェー・シー・オーのような事件は防げるんだろうか、これが第一問。第二問は、職業教育で、大学も含めてでありますが、もっと職業倫理や安全管理などの教育をしっかりすべきではないかと思います。この二点についてお聞きして、私の質問を終わります。
○政府参考人(有本建男君) 放射線障害防止法の今回御提出を申し上げております改正案でございます。この重要な柱といたしまして、今、有馬先生御指摘の現場での環境あるいはその従事者、これの放射線の測定あるいは教育訓練というものをきちっと現場で記録をし保存をしていただくというこの安全管理状況、ソフトと言っておりますけれども、こういったところをきちっと定期的に私どもで確認をさせていただくということを今度の法律の改正の中の重要な柱といたしてございます。もう一つは、現場で放射線取扱主任者という方が必ず選任されることになってございますけれども、この方々に最新の技術あるいはいろんな事故の事例というものを定期的に勉強していただくという講習を義務付けるということをやっております。
 そういう意味で、現場の緊張状態あるいはモラルの維持という、法律の制度改正のみならず、安全文化といいましょうか、こういった面でもいろんな講習等の機会を通じて徹底をしていきたいというふうに考えてございます。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 大学における職業倫理、安全管理の教育でございますけれども、例えば、技術者倫理関係科目を担当する教員、これを対象としまして、日本工学教育協会に頼んでやっていただいておるわけでございますけれども、技術者倫理ワークショップといったようなこともやっておりますし、あるいは工学部長会議等で、そういった職業倫理、安全管理に関する教育についてきちんとやってほしいということでお願いもしておるということでございます。
○有馬朗人君 どうもありがとうございました。
 これで質問を終わります。
○谷博之君 私は、民主党・新緑風会の谷博之でございます。
 初めての本委員会の質問でございますので、大臣始め答弁者の皆さんには御丁寧な誠意ある回答を心から期待をいたしております。また、今、有馬先生の格調の高い質問から急降下をするような俗っぽい質問になるかもしれませんが、お許しをいただきたいと思っております。
 まず最初に、今、厚生労働省の関係で年金保険料で建設されている保養施設とか病院など今二百六十五ございますけれども、それと同様に、文部科学分野においても同様の施設というものがある。そういうものの中で、特に公立学校共済組合の福祉事業について、特にそういう福利厚生施設の在り方の問題、現状について、自分の地元の具体的な事例も含めて御質問をいたしたいと、このように考えております。
 私どもで調べた数字では、〇三年度現在で全国にこの公立学校共済組合による宿泊施設が五十六あるというふうに示されております。この施設は、公立学校共済組合本部が土地、建物を所有をして、各都道府県の教育長が支部長になったその組織でこれを運営をすると、こういうふうに公立学校共済組合運営規則第六十条、これで示されております。これ、現実にこの施設は宿泊とか結婚式とか会議とかいろんなものに使われておりますけれども、どうもこの五十六の施設、大分経営が厳しくなってきていると、こういうことであります。
 そこで、具体的にこの施設の経営状況、どのような困難な状況になっているのかということ、それと直近の会計年度で赤字の施設は全体で幾つあるか、これをまずお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(近藤信司君) お答えをいたします。
 平成十五年度の宿泊施設数は先ほど先生御指摘のように五十六施設ございますが、そのうち継続して赤字を計上している施設はございます。ただ、現在、存続に向けて鋭意改善に取り組んでいるところでありますが、将来的に改善が見込まれないため、幾つかの施設は存廃についても検討中でございます。
 また、直近ということでございますが、平成十四年度決算におきまして、五十八施設のうち、これその後十四年度から十五年度にかけて二施設廃止をしておりますので先ほどのような数字になるんでございますが、十四年度決算におきましては、五十八施設のうち黒字施設が十三、赤字施設は四十五施設と、こういう状況でございます。
○谷博之君 現実はそういう状況があるということで、公立学校共済組合の方でも〇三年度に宿泊施設運営要綱というこういうものを作られて、そして今後どうするかということを新たに定めたと、こういうふうに聞いておりますが、これは私どもが仄聞するところは、それまでは対策委員会というようなものをその中に作って指導をしてくると、指導すると、こういうふうな形であったんですけれども、どうもそれが、この要綱で宿泊施設経営評価委員会、こういうものを設置して、廃止も含めた、閉鎖も含めたそういう措置が勧告できるような、そういうふうな仕組みになったというふうに聞いておりますが、これは間違いありませんか。
○政府参考人(近藤信司君) お答えいたします。
 平成十五年六月の二十七日に改正をいたしました宿泊施設運営要綱でございますが、改正の趣旨は、独立採算の原則をより徹底し、長期経理からの借入れ若しくは福祉財源からの資金の使途の条件を厳格にするとともに、今、先生御指摘になりましたように、各施設の改善計画の実施を監視、評価する機関を設けまして、この機関は、例えばこの運営要綱を見ますと、本部は宿泊施設経営評価委員会の意見を聞いた上で、必要に応じて支部に対し施設閉鎖の計画を策定するよう勧告するものとすると、こういった条文もあるわけでございますが、こういった評価機関を設けることによりまして宿泊事業の健全化と安定化を図ることにしたと、これが改正の趣旨でございます。
○谷博之君 この問題は後ほどまた掘り下げて質問をさせていただきたいと思いますが。
 そこで、そういうふうな流れを見ながら、ここで具体的に私の地元の話を質問させていただきたいと思いますが、今年の一月の二十日に、私の住まいのすぐ近くにあるこの施設、プラザイン・くろかみという施設でございますが、これは閉鎖を決定をいたしました。恐らく、三月下旬には組合本部の方にこの報告がされ、諮問がされるというふうに聞いておりますけれども、この決定に当たって当該の従業員とかあるいは県内の教職員の皆さん方の声というものが、意見というものがどこまで反映されたかということが若干疑念を感じているところでございますが、この点についてはどのように受け止めておられますでしょうか。
○政府参考人(近藤信司君) お答えをいたします。
 施設のこの経営状況につきましては、毎年二月に開催をいたします支部運営審議会において組合員代表の方々に次年度の事業計画と予算について説明をし、毎年六月に開催いたします支部運営審議会で決算について説明していると、これは一般的な話でございますが。また、施設の廃止につきましては、委員のうち半数が組合員の代表から成る支部運営審議会に諮りまして、支部としての方針を今回決定をしているところでございます。
 また、この宿泊施設の職員の方々がいらっしゃるわけでございますが、支部におきまして事前にこの職員の方々に対しましても説明会あるいは個人面談などを通して説明をしているところでございまして、この施設が廃止が正確に決まったならば、その職員の処遇につきましては支部の事務局あるいは鬼怒川保養所への人事異動ですとか再就職のあっせん等で調整をしていると、このように承知をいたしております。
○谷博之君 その問題については若干の、私の方で聞いている話としては、教職員の組合が実は二つございまして、そしてその一つの組合の方の代表が今申し上げた支部運営審議会、これに入ったのが、実は直近の今年に入っての運営審議会に入ったというふうなことが言われておりまして、その前から県の教育長が中心になっていわゆる存続に向けての、あるいは経営対策についての検討委員会というのが開かれておりますが、こういうふうなところの中にはその代表が入ってなかったわけですね。直近のそういう審議会の場に片一方の組合員の代表も入ってきたと、こういうことで、どうも流れ的にはどこまで教職員の代表が入って検討されたかということについては若干疑問も残ると思いますけれども、これは時間の関係で次に譲りたいと思っておりますけれども。
 そこでお伺いしたいのは、このプラザイン・くろかみの今後の方針ですね。これを売却するのか、あるいは民間の委託を含めたそういうふうな対応を取るのか、これについてはどのような方針を持っておられるでしょうか。
○政府参考人(近藤信司君) プラザイン・くろかみの取扱いでございますが、この問題につきましては、今後のいろんな状況も考えていかなきゃいかぬわけでございますが、まず一つは、施設の廃止後の処理につきましては運営要綱で別に定めると、こうなっているわけでございますが、現在、組合員の福利厚生事業の充実発展を図るために、新たな福祉施設の有効活用方法について検討中であるというのが現状でございます。
 プラザイン・くろかみの廃止後につきましては、やはり公立学校共済の福利厚生事業、ただ、宿泊施設としてはこれ難しいわけでございますから、それ以外の活用方法をまずは検討することになると思っておりますが、なおそれでもどうしても公立学校共済組合の福利厚生事業で活用ができないという場合には、国なり地方公共団体、その他の公共性のある機関に対して公立学校共済組合としては活用を働き掛けていきたいと、こんなことで今検討中と承知をいたしております。
○谷博之君 ここに公立学校共済組合が閉鎖施設の活用を検討するに当たっての基本的視点というようなことが資料として私、手元にありますが、これを見ますと、委託方式によって例えば老人施設の運営をしたり、あるいは民間が宿泊施設を継続して運営する、こういうふうな方式もあるようでありますからいろいろこれから検討されると思いますが、今申し上げましたように、運営要綱の中に別に定めるというふうに書いてありますので、当然これは要綱に従って早急にこれは定めなきゃいかぬ問題だと思うんですが、そこら辺も含めて、是非有効活用できるように検討していただきたいと思います。
 それから、今お話が出ましたけれども、鬼怒川の、栃木県内にはもう一か所、鬼怒川温泉に保養施設のホテルたかはらというのがあります。ここは存続をすることになりました。そして、いわゆる二者択一の、プラザイン・くろかみは閉鎖をされたということでありますが、この違いと、なぜたかはらが存続されたか、この辺についてもお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(近藤信司君) お答えをいたします。
 公立学校共済組合の栃木支部の検討委員会の決定に基づきまして本部においても検討したわけでございますが、鬼怒川保養所につきましては、組合員の利用率も比較的高く、経営も好転をしてきておりまして、今の見込みでございますと、平成十五年度収支の黒字が、これは現在のあれでございますが、見込まれる予定であると、こんなようなこともございまして、存続を図ることができると、こういった判断を下したわけでございます。
 一方、宇都宮宿泊所につきましては、ここの宿泊施設の収入の大きな部分を占めております結婚式、これがやはり昨今の民間との競争関係とかいろんなこともあるわけでございますが、大幅に減少してきている。あるいは、宇都宮市というこの立地条件とかいろんなことをかんがみまして、今後とも黒字転換がこれは困難であろうと、こういう判断の下に廃止をすると、このように承知をいたしております。
○谷博之君 先ほど冒頭、私、こうした施設の経営状況はどういう状況かということをお伺いしましたけれども、実は、今申し上げましたように、全国の五十六の宿泊施設、それから八つの直営の病院、こういうところの実は組合員の利用率というものを私調べてみました。病院がどうなっているかというと、組合員の利用率は一三%。入院が一三%、外来が一二%、こういうことですね。
 これは栃木県のいわゆる教育福祉振興会というところが県内の組合員にアンケート調査をしておりますけれども、この栃木県支部のアンケートでも、先ほど申し上げたくろかみ荘をほとんど利用していないという人が六七%。組合員のうちの三人に二人はこの施設を利用してないんですよ。こういうところに実はこの施設の私は何か大きな問題点があるような気がいたします。
 そこで、この利用率の低さについて、大臣はどういうふうに御認識されますか。
○国務大臣(河村建夫君) こういう施設は、組合員がしっかり使っていただきませんとこれは経営が成り立ちません。そういう意味で、いかに組合員のニーズに合った経営をやるかというこの経営改善、これを更に努力して検討を深めていただかなきゃならぬと思っております。
 最近、宿泊施設については大体七割は組合員の利用だと、こういう数字が出ておりますが、それが今だんだん落ちつつあるということで、やっぱり婚礼市場といいますか、結婚式等もだんだんホテルや何かがどんどん安売りをやったりしながら競争が激化しているという点もあると思います。それから、宿泊を伴う会議、宴会の数、少し減りつつある。景気も影響しているかも分かりません。こういうようなこともあって今厳しい状況にあると聞いておりますが、公立学校共済組合においては、組合員のニーズに合った経営改善に努力をする、その方に向けて今検討をいただいていると聞いておるところでございます。
 また、直営病院、確かに御指摘のように組合員の利用率が非常に低い。これは組合員以外の地域の住民の皆さんがかなり利用されている。ただ、健診事業は組合員の利用率が八〇%を超えていると、こういう数字もいただいておりまして、こういう点での役割は大きいし、組合員の皆さんの期待感もあると、このように考えております。
 平成十五年で見ますと、直営病院では、今メンタルヘルス相談事業、組合員の皆さんの、それから教職員ですね、教職員の皆さんのメンタルヘルスへの対応、これが職域病院といいますか、職域病院として期待されている。こういう機能が更に増えていく、こういう面で直営病院の活用といいますか、そういうものが増えてくるのではないか。全体として利用者が増えるように一層の経営改善を図っていかなきゃいかぬと、又はそれを大いに検討してもらわなきゃいかぬと、このように考えておるところであります。
○谷博之君 時間があればその問題に更に触れたいんですけれども、いろんな理由があると思いますけれども、施設の古さとか利用のしにくさとかいろいろあると思いますが、そういうものがあるにしても、この数字は若干低過ぎるなというふうな気がいたします。
 そういうことも含めて、ちょっと先ほどの質問に関連してお伺いしたいんでありますけれども、この組合員の年金保険料ですね、いわゆる福祉事業分として組合員が支払っているこの年金保険料、つまりこれ掛金ですね、これについてお伺いをしたいと思いますけれども、これは、いわゆる給料の千分の二・二の掛金率で組合員はこれを支払っております。月収四十万円の給料をもらっている先生の場合であれば八百八十円ということであります。年間にするとこれが一万五百六十円という金額になりますが、このうち、先ほどお話ありましたように、健康診断や人間ドック等に掛かることもできますので、そういうようなことも含めて差っ引きますと、大体年間一万五百六十円のうちの五分の二程度、金額でいえば四千二百円程度のお金がこの直営の病院とこの保養施設に使われていると、こういうふうに考えられるわけでありますけれども、先ほど申し上げましたように、四十を超える施設が赤字になっている。この赤字をどうするかということについて聞きましたところ、それは全体五十六の施設のうちの宿泊経理の全体の財源からこれを補てんをしていると、こういうふうな説明をしているわけでありますが、この赤字の穴埋め、補てんについては、そういうふうな解釈でいいんでしょうか。
○政府参考人(近藤信司君) そういうことでございます。
○谷博之君 そうしますと、私の手元に平成十五年三月三十一日現在の貸借対照表というのがございます。ちょっと数字を見ながら、正確を期す意味で読ましていただきたいと思いますが、こういう施設の建設資金あるいは土地の購入、これについては長期経理、つまり年金原資から約三百九十九億円の借入れをして取得をしております。約四百億ということですね。そして、積立金など余剰金が六百十八億円あるとこの数字は示しておりますけれども、一方では流動資産というのが二百十一億円しかありません。さらにまた、この剰余金の大半は土地や建物になっておりまして、特に土地は取得時の帳簿価額のままの金額、簿価ですね、ということであります。建物についても、減価償却費は積んでおりますけれども、売却すれば二束三文の建物もあるわけであります。
 こういうふうなことを考えてみますと、この年金原資から見れば、土地、建物の価値が下がって不良債権化している物件も多くて、借入金の約三百九十九億円の返済が今後このままでできるんだろうか、ますます滞るおそれがあるのではないかというふうに私たちは心配をしております。
 そこで、この借入金の三百九十九億円を減らしていくその対応ですね、今後のその見通しと具体的な取組、これについてどのように考えておられるか、お答えください。
○政府参考人(近藤信司君) お答えをいたします。
 今、数字を述べられたとおりでございますが、現時点におきまして借入金の返済は宿泊経理全体として引き続き返済をしておるわけでございまして、毎年長期経理からの借入残高は減少してきておるわけでございます。例えば、平成十二年度に長期経理からの借入残高は四百六十一億あったわけでございますが、平成十四年度では、これは三百九十八億円に減ってきておると。確かに一部の施設の財務状況の悪化ということは懸念をされるわけではございますけれども、長期経理全体から見ますと欠損を生じることはないんではないかと、このように考えております。
○谷博之君 いわゆる文部科学省所管の、と申しますか、この分野の公立学校共済組合の福利厚生施設について年金原資から四百億円近くのお金を借金している、これについて少しずつ返済をしてきていると、こういうふうな御答弁でありますけれども、しかし、今後この施設がだんだん赤字が増えて、廃止をしたり、あるいは他に委託をされ移管をされてくるということになると、当然全体のパイが小さくなってくるわけですから、今申し上げたようなことで、このいわゆる借入金が減らしていくことができるんだろうかということが私たちは大変心配しております。
 結果として、現場の学校の先生、教職員の人たちのその年金保険料でこうした無駄な施設を運営するためにその掛金が使われていくということになれば、これは私はどうも後ろ向きのおかしい議論になってくるんだろうと思いますが、その辺についての心配はないのかどうか。
○政府参考人(近藤信司君) お答えをいたします。
 土地、建物に係る資金につきましては、先ほど来申し上げていますように、長期経理から宿泊経理全体で借り入れて各施設に投資をするわけでございまして、個別の施設から元金と利息を合わせて宿泊経理に償還をし、したがいまして個別の施設が廃止された場合につきましてもその償還金は宿泊経理全体で負担をする、こういった仕組みになっているわけでございます。また、廃止後の施設、この維持管理費用につきましても宿泊経理全体で賄う、こういったようなことでございまして、いろいろのまた有効活用の方策も考えていかなきゃいかぬとは思っておりますけれども、是非そういうことがないように公立学校共済組合にまた努力を促してまいりたいと思っております。
○谷博之君 ちょっと視点を変えてお伺いしたいんですが、先ほど掛金の話をいたしましたけれども、いわゆる掛金の率がございますね、掛金率。これは今二・二と、千分の二・二というふうなことを申し上げましたけれども、これは平成四年の四月一日からこの掛金率が決められている、もう十年以上こういう掛金率で掛金を納めているということでありますけれども、これは今の説明を聞いておりますと、当然そういう心配がないのであればこの掛金率は下げていってもいいと思うんですけれども、その辺についての検討をされておられますか。
○政府参考人(近藤信司君) 先ほどから申し上げていますように、長期経理から宿泊経理全体で借り入れて、そしてそれをまた宿泊経理全体で返していく、こういう仕組みを取っているわけでございますが、確かに今後こういった赤字施設があり、また廃止をしていくものが出てくるということでございます。例えば、廃止後の施設の維持管理費用につきましても宿泊経理全体で賄うというようなことでございまして、いずれにいたしましても、ここは共済組合一本でやはり考えていかなければならない課題であろうかと思っております。
 ある施設が廃止になる、したがってその施設を管理する支部の組合員の、今回であればこれは宇都宮になるわけでございますけれども、掛金を引き下げる、これはなかなか共済組合のこの全体の仕組みから申し上げますならば難しいことではないんだろうかと、このように理解をいたしております。
○谷博之君 重ねてお伺いしたいんですが、結局、今年は五十六、来年度は五十四、こう減ってきますね。そういうふうな施設の数がどんどん減ってくる、そして当然経営の赤字のそういう施設というものが処分をされてくるということになれば、少なくともいわゆるこの掛金率についてもそれだけの費用が掛からなくなるような気がするんですけれども、その辺は今おっしゃったように残った施設全体の宿泊経理全体でそれが賄えるというふうに、こういうふうに考えておられるんでしょうか。
○政府参考人(近藤信司君) この資金の活用でございますけれども、いわゆる宿泊施設だけの問題ではないわけでございまして、福祉事業としてはその他いろんなものもやっておるわけでございまして、そういったことからかんがみまして、この宿泊経理あるいはこの福祉事業の更なる充実という視点からいたしますと、掛金を引き下げるということは少し難しいんではないんだろうかと考えております。
○谷博之君 じゃ、最後に確認をさせていただきます。
 先ほど私ちょっと質問をさせていただきましたけれども、先ほどの借入金の話ですけれども、年金原資から約四百億円の借入金をしていることについて、これは現状の状況の中で徐々に返済をしていくことができる、したがって学校の先生たちの年金保険料で無駄な施設を建てたということは指摘は当たらない、こういうことで、この辺はどうなんですか、はっきり答弁していただけますか。
○政府参考人(近藤信司君) 今、年金施設等がいろいろ問題になっているわけでございますが、これはほかの共済組合もそうであろうかと思っておりますが、私どもの公立学校共済組合の施設の経営に当たりましては、主に施設利用者からの収入と福祉事業に要する経費を財源としておりまして、長期給付事業、年金資金からの資金の繰入れは一切しておりません。そういう意味での問題はないものと承知をいたしております。
○谷博之君 いろいろと現場の声を聞いておりまして、この施設に対する、あるいはこういうふうな事業に対する組合員の中からももう一つ見えにくい部分があるというふうなことも指摘をされているわけでありますが、いずれにしましても、私どもの地元の二つの施設、大変古くて地域に大変いろんな意味で活用されてきた施設でございまして、そういうものの存続をめぐって大変地元でも議論が起きていることでございますので、今後ともこうした問題について機会あるたびに引き続いて質問もさせていただきたいと、このように考えております。
 それから、続きまして二番の問題に入りますけれども、文化体験プログラム支援事業、文化庁の委託事業でございますが、これについてお伺いをいたしたいと思います。
 この事業は〇二年度にスタートした事業でございますが、単刀直入に申し上げます。予算の関係でちょっと申し上げたいと思いますが、〇二年度には十八億六千万円の予算が全国の六十の市町村に、一か所三千万円のモデル事業として予算が組まれました。そして、次の年の〇三年度はこれが十億円、四十七市町村、一か所平均一千万円のモデル事業になり、そして〇四年度の予算ではこれがわずか四億二千五百万円、四十七市町村、五百万円から一千万円のモデル事業、こういうふうに金額や場所が推移しています。わずか三年間で大幅に減少してきているこの理由は何でしょう。
○政府参考人(素川富司君) 文化体験プログラム支援事業でございますけれども、この事業は子供たちが日常生活、日常の生活圏の中で、年間を通じて様々な文化に触れ体験できるプログラムを市町村が独自に作成されまして、これをモデル事業として文化庁と市町村の共催により実施するということを目的に、今御案内ありましたように平成十四年度より実施しているところであるわけでございます。
 今、先生御指摘ございましたように、十四年度に始まりましてから十五、十六と予算額が減少しているわけでございますけれども、これは十四年度、全国六十のモデル地区において一地区当たり三千百万を支援するということを想定して、その規模の事業を市町村におきまして独自に企画していただくということを予定していたわけでございますけれども、実際の実施されます申請の上がってきます単価というのはもう少し規模の小さい程度の事業であるというようなこともございまして、その具体的な執行状況を反映させるということで十五年度、十六年度と予算額を計上する中で減少してまいったということでございます。
○谷博之君 じゃ、実際、じゃ〇二年度の、初年度のスタート時点からその予算の消化状況、執行状況はどんなふうになっていますか。
○政府参考人(素川富司君) 十四年度につきましては、初年度であるということで、募集要項、実施要綱の策定ということに時間を要したということもあるわけでございまして、その周知徹底というものが十分に図れなかったということもあろうかと思いますけれども、これにつきましては六十のモデル地区を申請していただくということを予定しておりましたけれども、現実的には十三の地区に実施をしていただくということになったわけでございます。また、実際の事業につきましても、先ほど申しましたように、三千百万程度のプログラムが出てくることを予定したわけでございますけれども、一千万円強のプログラムが申請としてあったということで、一億五千三百万円という執行状況になったわけでございます。
 十五年度につきましては、少し市町村の方でも取組が、広報といいますか周知が図られてきたということでございまして、これにつきましては、モデル地区数としては四十七都道府県に原則一つという考え方で、四十七のモデル地区ということを予定いたしました。単価といたしましては二千二百万ということを、のぐらいの事業ということをお願いしたいなということで計画をしておったわけでございますけれども、それもやっぱり少し少のうございまして、三十六地域で三億五千万ほどの執行状況になったということでございます。
○谷博之君 実は、私、いろいろこれ調べてみたんですが、いろいろ原因があると思うんですよ。今の答弁の中には出ていない話だと思うんですが、まず、〇三年度は二年目ですから初年度という言い訳は利かないと思うんですけれども、実態を調べてみました。
 まず、国から地方自治体やあるいはNPOに対してこの公募案内が来たのが実施する四月以降の、新年度のその年の一月の末なんですよ。そして、その公募の受付を、手を挙げた市町村、自治体は慌てて手続をして、三月中にこれを間に合わせたんですよ。三月二十日ごろに応募に応じた。そして、その後、審査が、委員の持ち回りをした等々の理由で、最終的に内示が八月の中旬になっているんですよ。
 いいですか。こういうところまでこれ引っ張られている。しかも、八月中旬にその内示があって、これもう既に地域では夏休みですよ。そういう、一番この事業が取り組みやすいそういう時期にこれが使えない。しかも、市町村は、立替え予算を組むにしても、早くて九月議会、遅ければ十二月議会にならないとこれ予算組めないんですよ。こういうふうな状態の中でこの事業をやれといったって、それはすぐ受けられますか。
 と同時に、これは県を間に入れています。したがって、県が県内の市町村にそれを当然呼び掛ける、働き掛けをするんだと思いますけれども、その間に相当やっぱり時間的なものも掛かる。結果として、このすばらしい事業が実は、我々調べている中でも、〇三年度の実績を見ても、栃木県も足利市が入っていますけれども、先ほど四十七都道府県と言いましたけれども、実施されたのは二十六県の、二十六の都道府県しかやっていない、しかも三十六の市町村、こういうことになっているわけです。
 したがって、ここら辺の問題について、これ、この仕組み、この今までやってきたことについてどういうふうに考えておられますか。
○政府参考人(素川富司君) まず、この事業の募集の時期、決定の時期ということでございますけれども、先生今御指摘いただきましたように、十五年度、本年度につきましては三月の二十日までに、これ十四年度になるわけでございますけれども、前年度中に募集を締め切るといいますか、継続事業でございますので、していただきました。
 御指摘ありましたように八月に実施決定をしたわけでございますが、これにつきましては、企画委員会、学識経験者による企画委員会でその事業の内容というものを見させていただくわけでございます。それが実施要綱に合っているかというようなことでございますけれども、その中で、やはり、例えばプロの舞台芸術の鑑賞事業などがプログラムの内容に入っていたとか、あとは特定の子供たちを対象にした合唱とか演劇の発表会などがプログラムに入っているというようなものもあった。
 これは、この文化体験プログラム支援事業は、広く多様な体験を子供たちにしていただくということで、年間十五日、延べ十五日、いろんな活動を、多様な活動を提供していただくということがその趣旨でございますので、若干そういう意味でその募集の趣旨と照らし合わせていかがかなというようなものはあったりしたわけでございまして、そういうことにつきまして、それを採択しないということではなくて、できるだけ採択する、全部手を挙げてきていただいたものにつきましては採択するという観点から、市町村と協議しながら、その事業内容につきまして協議し、一定の変更をお願いするとかということをお願いしながら、すべて採択するという方向で調整をするというようなこともしたために夏の決定になったということでございますが、いずれにいたしましても、このような事業の決定が遅くなるということは、その事業の円滑な実施に支障を来すということは先生御指摘のとおりでございますので、十六年度の事業の決定につきましては、既に現段階で申請を予定している団体からのヒアリング等を事実上進めておるところでございまして、できるだけ早期に決定できるようにしてまいりたいと考えております。
 また、都道府県を介することということでございますけれども、この実施地域は、先生も御案内のように、四十七の都道府県原則一地域ということを原則にしておるということもございますし、また都道府県におきましてはその管内の市町村の文化芸術に関する情報を十分把握しておられるということから、都道府県を経由して、都道府県の調整を経て申請していただくというようなことから、都道府県を通じるという手続を取らさせていただいているところでございます。
○谷博之君 いろいろ御答弁ありましたけれども、先ほど私言いましたように、本来であれば四十七都道府県に一市町村ずつ選定をしてモデル事業としてやりたいという希望もあったんでしょうけれども、今申し上げましたように、全国で二十六都道府県、そして大阪府はそのうち三つも、三つもという言い方はおかしいですが、三か所やっていると。やっていないところは、四十七引く二十六ですから二十一県あったということですね。
 こういうふうなことを考えますと、この事業は、いわゆる市町村の教育委員会が事務局となって、地域のNPOなどを巻き込んで実行委員会を組織して、補助金ではなくて委託事業で行う、国が十分の十の負担をするという、こういう事業なんですね。非常にこれは地域にとって取り組みやすい大変いい事業だというふうに思っていますし、NPOは非常にこういうことについて関心も持っている。この事業を是非やりたいという、そういうふうな希望もあるわけなんですが、残念ながらそれは使えない今の状況というものがやっぱりあるということを是非これは御認識をいただきたい。そして、今答弁がありましたけれども、そういうふうな観点からやっぱり是非改善を図ってほしいと思います。
 これと同じように、今ちょっと触れられましたけれども、文化庁主催の本物の舞台芸術に触れる機会の確保事業というのがあります。これは同じ年度からスタートしましたけれども、やはりその予算を見ますと、〇二年度にはほぼ同額の、先ほどの文化体験プログラム支援事業と同じ、ほぼ同額の十九億円を計上して、〇三年度はこれが二十五億円に増えて、〇四年度は〇三年度と同じ予算額、これを計上しております。この違いは何なんでしょうか。先ほどの文化体験プログラム支援事業、片一方はこれ下がってきています。こっちは上がっています。この違いは何なんでしょう。
○政府参考人(素川富司君) 本物の舞台芸術体験事業でございますけれども、この事業は子供たちが本物のオーケストラや演劇、舞踊などの本物の舞台芸術に触れる機会を与えるということで、主に学校公演、そのほかに公立文化会館の公演もございますけれども、主に学校におきまして、小中高等学校の児童生徒、教職員及び保護者の方にそういったプロの舞台芸術を鑑賞する機会を提供しようという文化庁の事業でございます。これに関しましては、例えば十五年度におきまして五百公演ほど実施しておりますけれども、申請はその五倍程度要望があると、学校から来てほしいという要望があるというようなことでございます。
 そういうようなことで、これは十四年度も同じようなことでございまして、非常に数倍の要望が学校から来ているということでございまして、その分につきまして、私どもできるだけ増額若しくは予算の確保をしたいということでやっているところでございます。
○谷博之君 だから、要するに、結局結論から言うと、いわゆる本物の舞台芸術に触れる機会の確保事業は、要は出演料なり人件費が高いということなんですよ、ですよね。
 片一方の方の、この文化体験プログラム支援事業については、これはNPOの方々が中心になって、あるいは市町村がやって、やる事業ですから、そうは人件費等掛からない。こういうふうないろんな事情があるんだろうと思うんですが、実は、どちらもそれは大事な事業だと思うんですが、冒頭申し上げたような文化体験プログラム支援事業、ここにやはりもっともっと力を入れなきゃいけないと思うんですよ。余りにもこの予算が減ってきている。実施箇所数が少ないから減らす、そうすると更にまた箇所数が減ってくる、予算も減らす、この繰り返しですね。
 一方では、今おっしゃったような理由で、それは本物のいろんな芸術見たいですよ。結果として、そういうものに希望が行って、そこに予算がどんどんどんどんつぎ込まれる。この現象を、やっぱり私は、よくこの事業を見比べながらどうしていくべきかということをもう一回考え直してくださいよ。大臣、どうですか。
○国務大臣(河村建夫君) 谷先生から子供たちに対する文化啓蒙運動プログラムをしっかり実施する上で貴重な御提言といいますか、御指摘をいただいたと私も思います。
 私も、こんなに大幅に予算が減るということはよっぽどその事業が見込み違いといいますか、だんだん縮小していかなきゃいけない特別な理由があればともかくとして、現実にもっと子供たちに地域の伝統文化とか芸術とかそういうものをもっともっと学ばせる必要がある、そういう観点からいっても私はこれを広める必要がもっとあると思うんですね。ただ、最初の構えが三千万円という大きなもので構えたものですから、御指摘のように地元の対応というのが十分できなかったという面もありましょう。それから、正にそのPRが十分でなかったとか、いろんな点で取組が悪かった。しかし、現実に見ると、使い勝手のいいものにしようとすれば、もうちょっと規模を小さいものでもやれるようにしようということで、そういう点で金額は下がっていったと思うんですね。
 これを受けて今要望を待っているわけでありますが、私は、この事業の実態というものがもっと分かってくると、地域がまた、地域を、やっぱり地域の教育力といいますか文化力を高める意味でも非常に価値のあるこれは取組だと思いますので、しっかりこれもPRもしながら、とにかく取り組みやすいようにして、御指摘、いろいろ御指摘ありました、使い勝手の、やはり取り組みやすいものに考えながら、そういうもののもっと、もうちょっとパンフレットを作るとかいろんなことをやりながらPRもして、是非地域でそういうことを盛り上げていただくように、この予算が増えるような形で我々も頑張っていかなきゃいかぬと思います。
 それから、人気のいい舞台のやつは、これはやっぱり非常に人気がいいものでありますから、そうかといってこれどんどん増やすわけにいきませんから今この時点でいっておりますが、こういうものとうまく組み合って初めてこの文化事業というのはうまくいくと思いますので、谷先生御指摘いただいた点を十分受け止めながら、この子供たちの文化体験プログラム、これが更に増えるように努力いたしたいと、このように思います。
○谷博之君 是非、大臣の今の御答弁を踏まえて前向きなひとつ取組をいただきたいと、このように考えております。
 それから次に、子どもの居場所づくり、地域子ども教室推進事業の関係について若干お伺いしたいと思っております。
 昨年の国会で次世代育成支援の法案が成立をいたしました。そのときに私も本会議で質問もさせていただいたわけでありますけれども、今、小学校において学童保育というのがあります。これは放課後の子供たちがその教室に来るわけですけれども、大体この学童保育の開設されている場所、その全体の四六%は学校の敷地の中にあります。そして、これは厚生労働省の所管の事業として行われています。ところが、全国の市町村の実例を調べておりますと、現実にまだ一八%はそれぞれの市町村の教育委員会でこれを運営しています。
 つまり、国は厚生労働省としての事業をしていて、市町村はそれが教育委員会のそういう所管でしているというところがあるわけですね。このことを前提にしながら一つはお伺いしたいわけでありますが、いわゆる厚生労働省と文科省とのこのすみ分け、競合の問題なんです。
 例えば、具体的な話をしますと、放課後、学童保育の子供たちがその教室に帰ってきます。そして、校庭で遊んでいるとする。一方では、この子どもの居場所づくり、地域子ども教室推進事業、これに該当する子供たちが校庭で遊んでいると。それ以外の第三者の子供たち、児童がその場にいる。もしこれで何か事故があったときに、これだれが責任取るかということなんですね。それぞれ保険を掛けているわけです。第三者の子供は保険は掛かっていません。学童保育とこの事業の子供たちに対しては保険を掛けている。
 そうすると、これ現実の話なんですが、学校管理者の校長先生は、あるいは学童保育の責任者は、縄を張ってその中で自分たちの児童を遊ばせるという、こういうところに実は話が行っちゃっているんですね。これは当然、川崎とか世田谷区の具体的な事例があって、先進的な事例も全児童対策ということでやっているところもあるんですけれども、いずれこれ、大臣、この事業は、今申し上げたように、厚生労働省所管の学童保育、留守家庭事業とこの事業は、どこかの段階できちっと現場のそういうふうな実施要綱等を作って、やっぱり一つの調整をしなきゃいけないんだろうというふうに思うんですね。こういうことについて、大臣、どういうふうに思われますか。
○国務大臣(河村建夫君) この学童保育の事業と、そして今考えてこれから実施しようとする居場所づくり、これは考え方が違う部分もあるし共通部分もある面もありますので、確かに厚生労働省側ともしっかり協議をしなきゃいかぬ点があろうと私も思います。
 私もかねてから、学童保育の在り方、これがなかなか評価を得ている面があって、現実にしかし、あそこで宿題等もやっていて、これは学校現場的な意味もあって、文部科学省側がこれを黙っていていいのかという話もかねてからしていたわけです。しかし、せっかく軌道に乗っていることですから、これはこれでちゃんとやっていただく。特にここは低学年であります。それから今の、今度の居場所づくりというのはもう学年を問わず、むしろ今の低学年よりもその上の学年を対象にする面が、ねらいがありますので、これとうまく合い、うまくいく点もあるんではないかと。むしろその方へ焦点を当てて、学童保育は学童保育でやっていただきながら、さらに高学年に向けてこの居場所づくりをやっていこうと。
 特に、子供たちをほっておいて非行に走るというようなこともありますから、そういう子供たちを防ぐという意味もありますし、特にこれはボランティアの皆さん、大人の皆さんにしっかり地域の教育力を高めていただくという役割も持っておりまして、厚生省側のそういう保育といいますか、そういう観点だけじゃなくてもっと広い観点がございます。ただ、その辺がぶつかりそうな部分についてはしっかり協議をとおっしゃったように、話合いもしながら、お互いに責任の塗り付け合いというようなことにならぬようにしなきゃいかぬと思いますが、それぞれ地域の目的、地域の事情に応じて、それぞれの地域によってまた取組が違います。それから、市が単独でかなり進んだ取組をされているところもございます。そういうことの調整もしっかりやって、この居場所づくりというものが効果を発揮するように、地域全体で子供をはぐくむ環境作りができますように、今の御指摘も踏まえながら我々しっかり取り組んでまいりたいと、このように思います。
○谷博之君 どうもありがとうございました。
 今日は総務省からもちょっと来ていただいておりますので、一点お伺いしたいと思いますが、昨年の常会でも私質問をさせていただいたんですが、埼玉県の鴻巣市という市がございまして、これが昨年構造改革特区申請をいたしました。
 その申請の内容は、このいわゆる学童保育で臨時任用されている指導員の方々、これを三年、任用期間を三年に延ばしてほしいという申請をしたんですよ。これは御案内のとおり半年が原則でして、それを一回更新することができるということで一年間は採用できるわけですが、それ以降はできないと。そのことに対して、総務省が私のその質問に対して答えたのは、それは非常勤特別職で対応できるんじゃないですかと、市町村で、そういうようなことを言われたんですが、しかし、非常勤特別職というのはある意味では専門職の方々がそれに該当するということで、市町村では実質それはしていなかった。
 今回のその総務省の閣法で、任期付短時間勤務職員制度、これが制度を設ける地方公務員法の改正法案が今国会に提出されてきております。とするならば、この改正案によって、いわゆるフルタイム公務員の場所を奪うということではなくて、こうした臨時アルバイト的な立場の学童保育の指導員あるいは保育補助員などがこの制度を適用を受けて地方公務員としてそういう立場を安定させることができるんだろうかどうかということを私は考えております。これはどういう御見解を持っておられますでしょうか。
○政府参考人(須田和博君) お尋ねの任期付短時間勤務職員制度を始めとします今回の法案によります新たな制度につきましては、いずれも、導入するか否かを含めまして、詳細は当該地方公共団体の条例にゆだねられているところでございます。
 したがいまして、一般論という形でしかお答えできませんが、今回の法案におきましては、短時間勤務職員を採用することのできる場合としまして、一定の期間内に終了することが見込まれる業務に従事する場合、提供時間の延長など対住民サービスを向上させる場合、さらに、部分休業を取得した職員の代替職員として活用する場合などを定めておりますので、御指摘のようなケースにつきましても、このいずれかに該当するのであれば今回の短時間勤務職員を活用していただくことができるのではないかと思っております。
○谷博之君 ありがとうございました。
 それでは、時間が余りなくなりましたので、最後に簡潔にお伺いしたいと思います。
 大臣にお伺いしたいんですけれども、先ほど有馬先生からもちょっと質問があったことと直接関係ありませんが、いわゆる放射性廃棄物の問題についてなんですが、産業廃棄物処分場へ、最終処分場に搬入される放射性廃棄物の基準緩和の問題ということで、これは具体的には経済産業省とか内閣府の原子力安全委員会で、放射性廃棄物の国際免除レベルを日本でも導入すると、こういうふうな議論がされております。
 日本は世界唯一の被爆国でございまして、この原子力問題については相当やっぱり敏感である、そういうふうな国だと思っていますが、日本じゅうの廃棄物、産業廃棄物処分場に、例えば軽度とはいってもこうした放射性廃棄物を廃棄するということになると、これはいかがなものかなというふうに思います。
 今回、この放射性障害防止法改正案というものが提出をされておりますし、あるいは何といっても市町村の産業廃棄物の処分場の現場のそういう人たち、職員の方々からも不安の声が上がっているということを考えたときに、こういう動きについて大臣はどのような考え方を持っておられるんでしょうか。
○国務大臣(河村建夫君) 谷委員御指摘のように、放射線、これ、国民的な関心も非常に高いと。がんの診断治療とか害虫の駆除、半導体、ゴムの加工等、また天井に設置されている煙感知器、こういう部分にも応用されておりまして、非常に国民生活にとっても身近な、利用される、こういうものになっておりますので、この活用を図りながら、同時に、その放射性廃棄物が必然的に発生する、これをいかに管理するか、適切に処理、処分する、これはもう非常に大事なことになってきております。
 今国会で出しております放射線障害防止法、この改正法案では、放射性廃棄物を最終的に埋設する、処分するための規定を整備する、皆さんにその点についてきちっとお示しをして安心していただこうと、また国際標準値の取り入れに伴う規制の合理化も図ると、こういうねらいがあるわけでございます。
 放射性同位元素の利用等について更に科学的、合理的な規制体系を構築すると、こういうねらいで、引き続いて、この安全の確保、これについては文部科学省、全力を挙げて取り組んでいく所存でございます。
○谷博之君 最後に一点だけ質問させていただきますが、構造改革特区について、非常に教育関連の問題、課題が多いということであります。
 第四次までの特区の認定の中で、既に百を超えるそういう具体的な事例が出てきているということでありますね。したがって、まず、なぜこういうふうな、非常に多いというふうに認識されておられるか、これが一つ。
 それからもう一つは、英語教育とかあるいは学校経営に対する株式の参入とかいろいろありますけれども、そういうふうな、相当もう広範囲にこういう特区が認められてきているということになれば、むしろ全国的に緩和するような方向というものを検討してもいいんじゃないかというふうに思うんですが、この二点、お伺いいたします。
○国務大臣(河村建夫君) 教育の構造改革といいますか、規制緩和も含めて、教育がやっぱり住民に近いところで、また国民の皆さんに信頼される教育、これを進めていこうということ、これは教育の地方分権にもかかわってくる問題でございます。最近は、そういうことで、学校評議員制度等も導入しながら、あるいは今度コミュニティースクールというようなことも考えながら、学校がみんなに信頼されるようにということで進めておるわけでございますが、御指摘のように、確かに教育関係の提案が寄せられました。
 第一次のときも、文部科学省関係は厚生労働省と並んで非常に多かったわけですね。そういうことは、やっぱり教育に対する皆さんの関心、また地方自治体がもっと教育を充実したものにしようという皆さんの願いといいますか、そういう期待がある、これにやっぱり私ども、ちゃんと受けてこれに対応しなきゃいかぬと、こういう思いでこれまでも特区の問題についてかなり思い切って取り組んでまいりました。
 そういう点で、ただ、いろいろ御提案いただいた中で、例えば第一次のときは全体で九百三のうち文部科学省関係百三十四あったんですが、そのうち、現行でももう既にやれるのが五十七件もありまして、だからその点はまだ、せっかく文部科学省いろいろやったんですが、PRが不十分だった点もあるなと、こう思っておりまして、そんなことも含めながら、しかし、さはさりながら、いろんな提案をいただいておりますから、広報活動も行いながら更に制度を弾力化していこう、こういう思いで、教育を活性化するという観点でもやっぱり弾力的にこういう問題を取り組んでいかなきゃならぬと、こう思っております。
 話題になっておりますが、いよいよ株式会社で大学、中学校もやろうと、こういうふうになってきております。こういうことに対してもしっかり検証もしながら、本当に子供たちのために、また学生のためによりよい教育をしていただくということであれば、これは選択肢はいろいろあっていいと、私はそう思っております。
 そういう受け止め方をしながら、と同時に、これを早く、英語教育なんかはもっと早く、特区だけじゃなくてという御指摘もございます。実は、文部科学省も小学校の英語については研究開発校を持っておりまして進めております。この形を見て、ただ、例えばその株式会社で大学をやっていただくというというようなやつは、一年だけ見てすぐ分かるかという問題もございまして、やっぱりきちっと四年間の経過を見る点もあるのではないかと、こう思っております。
○委員長(北岡秀二君) 大臣、時間が経過しておりますので簡潔に答弁願います。
○国務大臣(河村建夫君) はい、分かりました。
 そういう点も含めながら、私は、特区で出てきたものは、いいものについては全国でやっていただくというのが前提だろうと、こう思っておりますので、こういうことを踏まえながら十分取り組んでまいりたいと、このように思います。
○谷博之君 以上で終わります。
○委員長(北岡秀二君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時十分まで休憩いたします。
   午後零時九分休憩
     ─────・─────
   午後一時十分開会
○委員長(北岡秀二君) ただいまから文教科学委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、平成十六年度一般会計予算外二案中、総務省所管のうち日本学術会議及び文部科学省所管を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○草川昭三君 公明の草川でございます。
 最初に、臨床心理士の問題についてお伺いをしたいと思います。
 ストレスの多い時代になってきたわけでございまして、いわゆる心の問題というのが非常に重要でございます。
 私、二〇〇二年の最初の予算の本会議で総理にもこの問題に対して質問をいたしました。それからまた厚生労働委員会でも問題提起をいたしましたが、いわゆる基本的な問題は残念ですけれどもまだ解決をいたしておりません。そればかりではなく、特に最近では、社会的な問題として学校あるいは通学途上の子供さんたちのもろもろの非常に悪質な事件も相次いでおりまして、青少年が被害者になっておる、あるいはまた時には加害者となっているような事件も目立ってきておるわけでございまして、直接間接にかかわりました児童生徒の心のケアということも大変重大な課題になってきておると思います。
 このような状況の中、心の専門家であるところの臨床心理士の仕事というものが非常に重要になってくると考えますが、基本的なことに立ち戻りますが、まず臨床心理士の資格というものはどのようなものなのか、改めてお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(河村建夫君) 草川先生御指摘のように、いわゆる心の専門家としてこれから臨床心理士の役割というのは非常に高くなってくる、ますます高くなってくると思います。文部科学省にとりましては、特にスクールカウンセラーとして大変御活躍をいただいているところでございます。
 御指摘の点、臨床心理学の知識、技術、これを用いて臨床心理査定とかあるいは面接等を行っていただく、そして、子供たちはもとよりでありますが、人々の抱える心の問題について相談に応じていただいたり助言、援助を行っていただくということでございまして、この職責については、そういう仕事でありますから非常に高度な専門性が必要でございまして、特に大学院において専門的な知識や技術を身に付けていただいた方が文部科学省所管の財団法人であります日本臨床心理士資格認定協会、ここによって認定を受けた方が資格をお取りになって臨床心理を行っていただくと、こういうことでございまして、社会全体でもこの臨床心理士の資格を取得する者だんだん増えてきておりまして、これからますます重要な資格として高い評価を得ていくものであろうと、このように思っております。
○草川昭三君 今、大臣から御答弁がありましたように、非常に高い地位にあるわけですね。それで、しかも資格を取得をしてから五年ごとに資格更新の審査がこの財団によって行われている、あるいは研修が行われている、こういうことが義務付けされているわけですから、なかなかこれは本当に高度な資格だと思うんですが、本日の基本的な問題にもなるんですが、実は法令に、法律ですね、法令に根拠がある資格でないという点が一番問題なんです。このことが、ずっと我々は何とかしていただきたいものだということを言っているんですが解決をしていないということを今日はまた改めて問題提起をしたいと思うわけであります。
 今お話がありましたように、心の健康というようなニーズというものは非常に高まってきておるわけですが、臨床心理士の数も増加をしている、希望が多いと、こういう答弁でございましたが、現在、臨床心理士の資格を有している方はどのくらいいるのか、あるいは臨床心理士というのはどのような形で養成をされてきているのか、お伺いをしたいと思います。
○政府参考人(田中壮一郎君) 臨床心理士の有資格者数についてのお尋ねでございますけれども、臨床心理士の資格を有している人は平成十五年六月三十日現在で全国で約九千六百人となっておるところでございまして、近年、この臨床心理士の受験者それから合格者ともに増加をしておりまして、本年度、平成十五年度の試験におきましても二千二百六十六人の方が受験をし、千四百五十人が合格をしておるというような状況にあるわけでございます。
 また、臨床心理士の養成につきましては、財団法人臨床心理士資格認定協会のその指定を受けた心理学系の大学院修士課程を修了した者、あるいは同じく同協会が指定いたしました心理学に隣接する大学院の修士課程を修了し臨床経験一年を経た者、これらの方々が臨床心理士資格試験に合格しまして臨床心理士として登録されるという仕組みになっておるわけでございまして、これらの指定された大学院におきましては、必修科目といたしまして臨床心理学や臨床療法、カウンセリング、さらには臨床心理についての実習が必修とされておるほか、発達心理学、社会病理学、精神医学といった選択科目として広い範囲から臨床心理士を学んでおるところでございます。
 なお、この臨床心理士資格認定協会の指定を受けました大学院も年々増加をしておるところでございまして、平成十五年度からは新たに七つの大学院が養成をスタートさせておるところでございまして、平成十五年度、平成十五年五月現在、百四の大学院においてこの臨床心理士の養成が行われているという状況にございます。
○草川昭三君 これも、今答弁をされましたように、認定大学院の数も毎年増えてくる、それから受講というんですか、受験資格者も非常に増えてくる、非常に社会的なニーズにこたえたいという学生さんも多いと思うんですよね。
 問題は、そういう方が約一万名近く資格を取って活躍をしてみえるわけですが、この高度な教育を受けた、しかも、これも後で質問をしますが、臨床の経験も兼ね備えなければいけない非常に高い専門性を有する人材は現在どのような分野で活躍をしているのか、分野別に分かれば答弁を願いたいと思います。
○政府参考人(田中壮一郎君) 臨床心理士は、御指摘のように、その高い専門性を生かしまして教育、医療、福祉、司法、産業といった幅広い分野において心理療法や相談指導といった業務に従事しているところでございますけれども、具体的には、同協会の調査でございますけれども、教育分野で活躍している人が最も多く、約四八%を占めておるところでございまして、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、スクールカウンセラーを始め、教育委員会の教育センター、教育相談所あるいは大学の学生相談室といった場で働いておられますし、また医療・保健分野、これが二八%でございますけれども、病院やデイケアセンター、あるいは福祉・更生分野、これは約一二%でございますが、児童相談所や心身障害者更生施設等で、また矯正保護・司法分野、これは約四%でございますけれども、少年鑑別所、少年院、家庭裁判所等で、その他、これが約八%でございますけれども、企業の相談室あるいは個人開業といった様々な分野、施設で活躍しておるところでございます。
○草川昭三君 最後のところは産業界にも大変ニーズが強くて、企業の中にもいろんな相談に出掛けてみえる方も多いというように私ども聞いているわけでございますが、また、お話がありましたように、いわゆる法務省関連の各施設で大変強い要望があるとも聞いております。また、教育の分野においても、今お話がありました教育相談所や教育センターあるいは学生の相談室など様々なところの活躍があるようでございますし、我々も簡単にスクールカウンセラーということをよく使うんですが、なかなかこのスクールカウンセラーの内容に立って考えてみますと、非常に重要な問題提起もあるようでございます。
 それで、今度は少し医療の分野との関係をちょっと私提起をしたいと思うんですが、医療の分野からは、お医者さんの、医師の指示により臨床心理業務を行う国家資格の創設というんですか、新しく作ろうというような動きもあるわけでございますし、事実、議員連盟もスタートをしているわけです、まだ結論は出ていませんけれども。このように、幅広い分野で確実に実績を積み重ねてきた臨床心理士の存在意義とその資格の在り方については、改めて我々も、原点に戻ってと言うとちょっと正確な言葉ではありませんけれども、もう一度国家資格ということを考えてみる必要があると思うんです。
 スクールカウンセラーについていえば、この役割を担ってまいりました中心的な位置付けというのは、先ほど来からの答弁にもありましたように、文科省が心の専門家と評価をしております臨床心理士だと思うんですね。この臨床心理士は、先ほどのいろんな分野に活躍をしておるという説明がございましたけれども、この医療現場などでも広範な活動領域を持った専門家として位置付けをされています。
 それで、六十三年の資格認定が始まったわけですが、約一万名を超える方々になったわけですね、認定を受けた方々が。それで、この資格というのは、一定の要件を備えた大学院の修士課程の修了者が、答弁にもありますように、財団法人日本臨床心理士資格認定協会の実施をする試験に合格をしなければならぬ。それで、先ほど一番最初に言いましたように、資格を取っても五年ごとに更新の試験がある、あるいは研修がある。だから、なかなか、同様な国家試験を持ったいろんな分野がありますけれども、これは相当グレードが高いというんですか、非常に厳しい立場なんですよね。にもかかわらず、それが法令に準拠をしていないがゆえに様々な問題があるわけでございますが、このスクールカウンセラーの、一回、平成十六年度なり十七年度に全国でどのような配置でこのスクールカウンセラーは配置をされているのか、お尋ねをしたいと思います。
○政府参考人(近藤信司君) お答えいたします。
 スクールカウンセラー、子供たちの悩みや不安を受け止めて相談に当たっている大変重要な役割を担っているわけでございます。もちろん、子供たちだけではなく教員、保護者への助言、援助もしているわけでございますが、私どもは、都道府県、指定都市におきましてスクールカウンセラーを中学校を中心に配置し活用する事業に対し、必要な経費の補助を実施をしているところでございまして、平成十六年度におきましては平成十五年度に比べまして千五百校増の八千五百校分の予算を計上しているところでございます。
 引き続き、この重要性にかんがみまして、その配置の拡充に努めてまいりたいと考えております。
○草川昭三君 今八千五百校というのが対象になっておるという答弁でございますが、これはまだ全体から考えればごく一部じゃないでしょうか。
 それから、問題が行われた学校等においても、常時配置をされているわけではありません。何か定期的な、パトロールと言うと言葉が正確ではありませんけれども、巡回で対応しておみえになるわけでございますから、この十七年度までにすべての公立中学校に配置をするというお話ではございますが、早急にこれは対応ができるようにしていただきたいと思うんです。
 それで、今の答弁のように、これからは拡充していくという答弁でございますが、今後様々な分野でこの臨床心理士の活躍の場面というものが期待をされているのではないかと思いますし、また優秀な臨床心理士を数多く養成をしていくということがますます求められていくわけですが、問題は、一つ欠けておるのに、臨床実験という言葉があるわけですが、これが後ほど旧厚生労働省の方と文科省との間の問題点にもなってくるわけですが、臨床実習の充実ということが非常に大切だと言われておるわけでございますが、なかなか充実をした実習を受けるということは難しいというようなお話もあるわけでございますが、その点はどのようなことか、お伺いしたいと思います。
○政府参考人(田中壮一郎君) 臨床実習についてのお尋ねでございますけれども、臨床心理士を養成する上で臨床心理実習は必修のカリキュラムとして位置付けられておるわけでございまして、各指定大学院におきましては、まずその臨床心理基礎実習といたしまして、当該大学院におきまして模擬面接実習やあるいは相談場面の観察実習等によりましてその面接の基礎的な知識や技術の修得を図った上で、さらに臨床心理実習として病院や教育センター、家庭裁判所、児童相談所等、外部施設において実習が行われているところでございます。このため、各大学といたしましても、これに必要な多様な実習施設の確保に努力していると承知しておるところでございます。
 また、大学によりましては、臨床心理相談室のような形で大学附属の相談室を設けまして、例えば不登校といった問題を抱える児童あるいはその保護者を対象に相談活動を行いながら、大学院生の実習の場として活用しているというような大学もあると聞いておるところでございますけれども、いずれにいたしましても、心の専門家として臨床実習は大変重要なわけでございまして、各大学におきましては、今後ともその臨床実習の場の確保を図りながら実習の充実に努めることが大切であると考えておるところでございます。
○草川昭三君 おっしゃるように、大学の附属する病院におけるいろいろな実習という訓練も受けながら養成をされるということですが、これも非常に難しい話があるわけですよ。それで、子供の心の悩みについて相談を受ける場合には、決して子供だけではなくて親も関係してくるわけでありますし、学校の現場の教師の問題を含めた総合的な私は対応ということも必要だと思うんですね。
 それで、今お話がありましたように、不登校だとか、これは前回私も取り上げたんですが、摂食障害、あるいは自閉症、それからアスペルガー症候群というんですか、あるいはLDだとかADHDなどの識別、あるいは的確な対応が不可欠であると思うんですが、ここら辺になってくるとどうしても医療分野と連携、協力をしながらケアが求められる場合も私は多くなってくると思うんです。
 そこで、ここら辺は厚生労働省にもお伺いをしたいところだと思うんですが、たまたま私はこういう相談を受けたんですが、ある学校で事件が起きた、それで子供さんに犠牲が起きたと。そうすると、マスコミは報道の場で、そこの学校へ行って、その犠牲になった子供の写真、遺影を、一年たちましてしかじかかくかくですよと美談として取り上げるんですね。
 これはある面では父兄もそれを了承する場合もあるし、学校としては非常にこれは二度と繰り返さないという意味ではいいんだが、本当に毎日毎日子供の立場に立って、もう亡くなった子供さんの遺影というのが飾られている。永久に忘れるなよということでしょう、それは。それをしかもマスコミはもう大々的に、何々学校において一年たってこのような事件が起きましたという、忘れるな、忘れちゃ駄目よ、忘れちゃ駄目よという、このことが本当の児童という子供の立場に立つケアになるのかならぬのかという話を私は受けたことがあるんです。だから、これは教育現場における児童心理というもの、あるいは臨床心理というものの難しさということが非常に私は分かったような気がするわけでございますが。
 このような、厚生省は臨床心理士と言わないわけですが、臨床心理技術者と、こう言うわけですが、精神科、心療内科あるいは神経内科、小児科、老年科というような高齢化社会に対応するいろんな医療分野があるわけでございますが、様々なそういう分野でこの臨床心理士の方々が活躍しておみえになると思うんでございますが、医療分野における臨床心理技術者の役割をどのように厚生労働省は認識をしておみえになるのか、お伺いをしたいと思います。
○政府参考人(塩田幸雄君) 厚生労働省の調査によりますと、二人に一人が過去一か月間の間にストレスを感じているというデータがございますように、心の健康問題はだれもが抱える問題として大変重要な問題であると考えております。
 このような中で臨床心理士の方とかあるいは臨床心理技術者の方々は、心の専門家として保健、医療、福祉などの幅広い分野において重要な役割を果たしているものと考えておりますし、今後ますます重要な役割を果たしていかれる方々であると考えております。
○草川昭三君 当然医療の現場からも非常に重要だというような御答弁があったわけでございますけれども。
 そこで、今度はまた文科省に戻りますけれども、これから医療現場での臨床実習を行うということについての答弁が先ほどありましたが、更に私は重要な問題になってくるのではないかと思うんですが、大学の附属病院における臨床実習をもっと幅広く、先ほどの答弁の数以上にこれを広げて受け入れることが必要だと思うんでございますが、その点はどんなようなお考えか、お伺いしたいと思います。
○政府参考人(田中壮一郎君) 委員御指摘のように、臨床心理士の活躍の場は幅広い分野にまたがっておるわけでございますけれども、今後、医療現場において、あるいは医療と連携しながら業務に従事することが増加していくことが予想されるわけでございまして、医療現場での臨床実習を行うことが今後ともますます重要になってきておると考えておるわけでございます。
 現在、指定されました大学院におきましては、それぞれ神経科病院と関連医療機関におきまして臨床心理実習を実施しておるところでございますけれども、このうち、現在のところは十五校の大学院におきまして、その大学附属病院において臨床心理実習を行っているというふうに協会の方から聞いておるところでございます。
 したがいまして、どのような機関で臨床心理実習を、あるいは医療現場での実習を実施するかということにつきましては、基本的には各大学院の御判断にゆだねられるところでございますけれども、文部科学省としても、臨床心理士の医療現場での実習の重要性にかんがみまして、必要に応じまして関係大学等と適宜相談してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○草川昭三君 積極的に、受け入れやすいというんですか、そういう臨床実験というんですか、体験ができるような受入れ体制を是非広げていただきたいと要望をしておきたいと思うんです。
 そこで、長々と前提を言ってまいりましたが、いわゆるこの資格の問題を少し、一番のポイントでございますから入っていきたいと思うんですが、臨床心理士の資格については、関係者が公的な資格化に向けて長い間いろんな要望を出されてきておるわけでございますが、医療関係の業務、実務に携わる方々の考え方と、あるいはまたスクールカウンセラーを始めとする他の分野で活躍しておみえになります臨床心理士の団体の思いが異なっておりまして、調整が長い間付いていないんですね。これはもう我々も十分承知をしておるわけでございますが、その調整を進めるためには、何といっても財団法人臨床心理の資格認定協会を、一番文部科学省が、系列に入っておるというと言葉が悪いんですが、一番近い役所におみえになるわけでございますので、その調整を進めていただきたいと要望したいんですが、その点はどのような答弁になりますか、お伺いしたいと思います。
○政府参考人(田中壮一郎君) 先生御指摘のように、臨床心理の専門家の資格につきましてはかねてからその検討の必要性が指摘されておりまして、その資格の在り方について関係者を中心として検討がなされてきておるところでございますけれども、臨床心理士の団体と医療現場で主に活躍している方々の団体ともに国家資格の創設を目指しておられるわけでございますけれども、その中で資格の在り方について幾つかの相違点があると承知しておるところでございます。
 具体的には、その資格が対象とする範囲、すなわち資格の対象を医療に限定するのか、あるいは教育、医療、福祉など多岐にわたる汎用的な資格とするのか。二つ目には、その受験の基礎資格を大学の学部修了に加えて臨床実習を行ったこととするのか、あるいは大学院修士課程の修了者とするのか。三つ目といたしましては、業務として行う心理業務と医師の行う医療行為との関係をどのように考えるのかといった点が異なっているというふうに承知をしておるわけでございまして、このように臨床心理士の専門家の資格の創設につきましては関係者の間で相違する点があるわけでございますので、今後、臨床心理士の活躍する多様な分野の実情等も踏まえながら、より幅広く議論し調整を図っていかなければならないと考えておるところでございます。
○草川昭三君 今お話がありましたように、臨床心理士の資格が、あるいは位置付けというんですか、この位置付けがはっきりしていないために、大変な高レベルの資格であるにもかかわらず、実際上の待遇というんですか、待遇なんでしょうね、所得の面から見ますと非常に私は気の毒な状況にあると思うんです。
 要するに、高度な専門の職業人と言うと大変失礼ですけれども、職業を持った方でございますけれども、我々が若干いろいろとお伺いをしていますと、例えば文部省が進めておみえになりますスクールカウンセラーの任用についてもほとんどが非常勤なんですね。ほとんどが非常勤なんです。それで、時給は大体五千五百円ですね、時給が。それで、週一回、八時間仕事をされればいい方でございまして、月に平均すると三十二時間ぐらいが標準的な勤務状況だとおっしゃっていますね。そうすると、二つの学校を例えば兼務をしたといたしましても年収は三百万になるかならぬかだと言うんです。
 これは、三百万がいいかどうかということは別として、私は明らかに、これだけ高度な資格を有しながら、しかも今日的には社会的に一番難しい問題に対応される心理学ですから、学校の中における子供さんたちにケアをされるには、いささかこれは放置をしていくわけにはいけないねと。もっと具体的に言うならば、食べていけぬじゃないですかと。まあそれぞれ皆さん理想を持って頑張っておみえになるわけでありますし、それから大学院の方も、臨床心理を新たに講座を設けますよと言えば非常にたくさんの受講者が集まるわけですから、それは必ず、これは国家資格として認定されて高度な専門職として位置付けされるという、そういう考え方がおみえだから、私、応募されると思うんでございますが、こういう実態について文科省としてどのような見解を持っておみえになるか、お伺いをしたいと思います。
○政府参考人(田中壮一郎君) 臨床心理士の待遇等の実情に関しましては、その詳細は把握しておらないところでございますけれども、それぞれの活躍している分野や職場の実情、あるいは先生御指摘になられましたように、勤務が常勤なのか非常勤なのか、そういったことによって異なっているものというふうに認識しておるわけでございます。例えば、国家公務員の場合でございますと、臨床心理士という職名での採用は現在行われていないわけでございますので、採用されたそれぞれの職種に応じましてそれぞれの俸給表なり、非常勤の場合では非常勤手当が支給されるというふうになっておるところでございます。
 文部科学省としては、臨床心理士の個々の勤務条件等について指導等をする立場にはないわけでございますけれども、臨床心理士というその資格を持った方々がその専門性を生かして安んじて相談業務等に携わることができるようにするためには、適切な待遇が講じられることが大変重要であると考えておるところでございます。文部科学省といたしましても、臨床心理士の活躍されておられますそれぞれの分野でどのような処遇がなされておるのか、関係団体を通じて具体的な状況の把握に努めてまいりたいと考えております。
○草川昭三君 それで、長い間そういう答弁をずっと文科省はやってきているわけですよ。同じようなことを厚生労働省の方もずっと言ってきておるわけでございますが、改めて厚生労働省の方から、この臨床心理あえて技術者という質問をいたしますけれども、この人の資格化の問題等について厚労省としてどのように今取り組んでおみえになるのか、お伺いしたいと思います。
○政府参考人(塩田幸雄君) 厚生労働省といたしましては、臨床心理士の方あるいは臨床心理技術者の方々は、保健、医療、福祉の分野において重要な役割を果たしていると認識をしております。
 国家資格化の問題につきましては、例えば医療分野で考えますと、他の医療関係職種との間での業務範囲等についての調整が不可欠と。例えば、医行為であれば医師法との関係で医師の業務範囲との調整が必要になるということでありまして、関係者間での意見の一致を見ることが必要と考えているところでございます。このようなことから、臨床心理士の方々あるいは臨床心理技術者の育成、資格化に関しては今後どのような対応が可能か、関係者の意見も聞きながら、文部科学省とも連携、情報交換いたしまして検討してまいりたいと思います。
○草川昭三君 これは、文部大臣も、今の答弁あるいは文部省の答弁も、これきちっと立派な答弁をしていただいておりますが、問題の解決にはなっていないというところなんですよね。
 それで、たまたま厚生労働省の方も研究班を作っていろいろと勉強会をやっておみえになることは十分我々も承知をしております。そのときに、臨床心理士の協会の方々がこういう要望書を出しているんですが、今の答弁にもあるんですが、医行為、お医者さんの行為ですね、医行為と心理学の専門性に基づいた行為は独立をしたものですと。ある同一の行為に対して、それが医行為としてなされる場合もあれば、心理学の専門性に基づいた行為としてなされる場合もあります。また、医行為と独立をして心理学の専門性に基づいた行為であることも事実ですと。こうした両、二つの行為の異なる点を明確にしておいてスタートをされたらどうでしょうかというような要望が厚労省の研究班の方に今出されているわけであります。
 それで、別にこのことについて厚労省から回答は求めません。私はそういう紹介をしておるわけでございますが、いずれにしても、両省とも十分連携を取りながら支援をする、関係者の団体の方々からの御意見も聞く、こういうことも言っておるわけでございますし、それから、いわゆる厚労省サイドに立つと言うとこれ語弊がありますけれども、臨床心理士の問題について議員立法をしようじゃないかというのが、一方、厚労省サイドではかなり今動いておるわけです。私もそのメンバーであり、大臣もかつてそういうメンバーで一生懸命仲介の労を取られておることは百も承知ですが、これは相当急がないと、急いで、いわゆる臨床心理士を養成する側だと、分かりやすく言えば文科省は養成をする側ですから、それで、ごく一部のところを医療の現場でやっておみえになるわけですが、医療の現場で従事をする方々は、早くとにかく国家資格が欲しいですよと、こう訴えてみえる。
 それで、その他のもろもろのところは、今、先ほど法務省関係のいろんな施設でも頑張っておみえになるというお話がありましたが、産業界に物すごく今これはニーズというのは、要望は強いんですよ。特にコンピューターをやっている会社、それからハイテクの研究所、こういうところにこの臨床心理士の要望というのは非常に多くて、週何回か出掛けておみえになる方々もおみえになるというお話を私自身も聞いておるわけでございますが、何らかの形でこの決着を速やかに付ける必要があると思うんでございまして、国家資格化への道筋をどのように進めていくのか。
 最後に、文部大臣の、これはもう専門家ですから、これは役所にとらわれずに思いの感じを答弁をしていただいて、この問題をちょうど時間が来ましたので私は終わりたいと思います。
 以上です。
○国務大臣(河村建夫君) 草川先生がこの問題に非常に御腐心いただいておりまして、私も早く、この国家資格といいますか、そういう形に持っていくのがやっぱり臨床心理士の皆さんにとっても、また医療現場にとっても、医療報酬の問題等々含めても、今のままでは十分な対応ができないということでございます。
 私も、国家資格にするにはどうしたらいいか心を砕きながら、かといって、今ここにもありますように、いわゆる協会の方の臨床心理士と、厚生省側から言わせますともう臨床心理技術者と、もう名前から、この辺からもう食い違いが出ておりまして、さっき提言を御披露になりましたように、医療行為の問題、それから、いわゆる心理学といいますか、臨床心理士の専門性から、心理学の専門性からくる、臨床の床という、ベッドということだけ取ってみても、医療の方からいくそこの見解と、それから心理学の方からいく、死の床と言われる、そこで脈を取りながらやったのが起源だとおっしゃる、その辺からもうかなり食い違い起きておりまして、これを今までずっといろいろ積み上げてきたんでありますが、なかなかそこにまだ到達いたしておりませんが、しかし、やっぱりこれは、これだけの高度職でございますし、もうここまで来ておることでございますから、これを一本化の道でいくのか、一方では臨床技術者として別の資格を取るのかという今まだ両論があるんでありますが、これを一本化する方向でもう一度心底の話合いをやっぱりする必要があろうと、こう思っております。
 これまで長い経緯がございまして、精神科医といいますかそっちの方々と、それから臨床心理、その方々だけで話したんではどうしてもなかなかその辺の溝が埋まらないということでございますから、これは正に議員同士が、正にこれからの臨床心理職といいますか、そういうものがどうあったらいいかという高い見地でお取りまとめをいただくしか私はないんではないかと、こう考えております。
 是非また草川先生にも御努力いただき、また、これはこの文教科学委員会だけではなくて厚生労働委員会とも関係、大きく関係することでございます。この連携をしっかり取り合って、お互いに代表者出していただいて、これもうかなりせっぱ詰まったところまで来ておると思いますから、真摯なお取り組みをいただければ有り難いと、このように思っておるところでございます。
○草川昭三君 以上で終わります。
○畑野君枝君 日本共産党の畑野君枝でございます。
 今日は、予算案に伴って障害児教育の問題について質問をいたします。
 障害児学校や障害児学級を始めとして、教育条件の整備が喫緊の課題になっております。一方、今後の特別支援教育の在り方についてという最終報告が昨年の三月に出されましたけれども、その中で、近年の国、地方公共団体の厳しい財政事情などを踏まえ、既存の特殊教育のための人的、物的資源の配分の在り方について見直しを行うというふうになっております。
 そうしますと、障害児教育の施策の推進のための教職員を増やしたり条件整備を進めるのではなくて、障害児学校や障害児学級の教員や施設整備がリストラされて進められるということになるのではないかと、こういう関係者の心配が出されているわけでございます。
 この今後の特別支援教育の在り方について、最終報告の中では、障害のある児童生徒の教育の基盤整備については、すべての子供の学習機会を保障するとの視点から、量的な面においておおむねナショナルミニマムは達成されていると見ることができると、こういうふうに書かれているんですね。私、これは違うんじゃないかということで今日質問をこれからさせていただくんですが、まず最初にお伺いをしたいのは、このような、量的な面においておおむねナショナルミニマムは達成されていると見ることはできると、このような立場について、文部科学省としてはどのような御認識なのか、まず河村文部科学大臣にお伺いします。
○国務大臣(河村建夫君) 今、畑野先生、報告書の、量的な面においておおむねナショナルミニマムは達成されていることが、みなすことができるという指摘、これに対して果たしてそうかという疑問を投げ掛けていただきました。
 種々、いろんな問題点、まだこれで完璧だと私も思っているわけでは決してございませんが、今、日本においては、障害の程度にかかわらず、ほとんどもうすべての、要するに就学猶予・免除されている以外の方々については児童生徒が就学できる状態にもうなっているという現状もございます。それから、障害の種類、程度、これに応じた施設整備の、設備の整備等も進めてきております。そういう意味で、私は、おおむねナショナルミニマムは達成されているとみなすことができるというふうに私は指摘をされているんだと思います。
 しかし、これは、むしろこれからは、量的な面もあります、障害者が今増えつつあるという現況もありますから、これで量的な面がすべて完備したとも思いませんが、むしろ今後は、児童生徒の障害の多様化に対応する、個々に応じた、やっぱり個々の障害者に対する教育的ニーズがある、これにやっぱり適切な支援を行っていく、これにもっと重視すべきだと。この観点が今回の報告書にかなり強く打ち出されていると、こう受け止めておりまして、そういう意味で、今、障害のある児童生徒、この教育、大変重要な今課題を、そうした一つの大きな課題を抱えておるわけでございますから、今後とも各都道府県の教育委員会とも密接な連携を取りながらその充実を図っていく、こう考えておるところであります。
○畑野君枝君 その点で、やはり量的な面も含めてきちっと施策を進めるということが私大事だというふうに思うんです。予算の面でも当然そのことが求められてくるというふうに思うんですね。
 まず、私、その点で施設の問題について質問をしたいんです。
 私、この間も地元神奈川県の養護学校を始め伺わせていただきまて、お話も伺ってまいりました。先日も、県立の、横浜にあります知的障害養護学校に伺ってまいりましたけれども、朝の登校から拝見をさせていただきました。知的障害を持つお子さんたちですから、いろんなお子さんいるんですね。中には、もう中に入れずに外でずっと立っている、そういうお子さんもいらっしゃいます。しかし、校長先生始め教職員の方たちが入口に立ちまして、そういう子たちに一人一人笑顔で声を掛けながら、本当に教室に入っていけるような援助をしているんですね。私は、本当に教育の原点というか学校の原点というか、それを見たような思いがしたんです。本当に熱心にやっていらっしゃる。保護者の皆さんも大変御苦労をされながらも、学校と一体となって子供たちの教育にかかわっているわけなんですけれども。
 しかし、その学校が、作られたときには百二十人の規模で作られているんですね。それが現在百八十人を超しているんです。高等学校も設立されておりますから、階段は本当に小さい子用の階段なんですね。だから、本当に成長に合わせてふさわしい設備になっているかということを一つ取っても、私は解決しなくてはならない問題があると思うんです。
 地元の神奈川新聞が社説にも書きまして、それから一月から三月まで長期的な連載を行ったんですけれども、これは本当に具体的に書かれているわけで、大きな評判を呼んだというふうに伺っているんですが、例えばある県立の養護学校では、この四年間で子供たちが一・六倍に増えて、百二十人を適正規模と想定された学校は現在百九十九人、パンク寸前、そのとおりだということです。クラスルームの確保もままならない。子供たちは緊張が高まるとパニックが起こる、校舎が過密化するほどパニックを起こす子供が増えると教師たちは言っている。連鎖も起きやすい。そういう点で、小学部は五年前に比べて三・三倍増というふうに記事に書かれているんです。
 私、実際伺ったその知的障害の養護学校でも、雨が降ると体育館は一杯で遊び場に使えないとか、大事なプレールームもプレールームとして使えないとか、保健室も本当に狭い状況になっている。いろんなお話を伺ってまいりました。これは私の地元だけではなくて、例えば知的障害養護学校では、二〇〇二年度、愛知の安城では四百二十三人の児童生徒、大阪の八尾では三百二十六人の児童生徒、神奈川伊勢原では三百二人の児童生徒、こういうことが、本当に四百人、三百人、こういう状況になっておりまして、マンモス校解消の要求は全国でも強くなっております。
 で、伺いたいんですが、障害者学校の目的を達成するために、その学校規模は何人、何学級が適正であると認識されているか、伺います。
○政府参考人(近藤信司君) お答えをいたします。
 文部科学省におきましては、盲学校、聾学校、養護学校の学級数、児童生徒数の基準は特に定めていないわけでございまして、適切な学校規模につきましては、各地方公共団体が障害のある児童生徒の状況でありますとか地域の実態等を考慮した上で判断すべきものと考えております。
 なお、私どもは、盲・聾・養護学校の施設でありますとか設備の整備に対する国庫補助、あるいは教職員定数の改善措置等を通じまして、各地方公共団体による適切な整備を支援をしているところでございます。
○畑野君枝君 神奈川県でも適正規模百二十人と言われておりますけれども、ここ数年間で六校分の児童生徒が増加しているというふうに言われております。
 今、最後に局長おっしゃいましたが、予算も是非国としても増やしていただきたいと、支援を進めていただきたいというふうに思いますが、もう一回確認をさせてください。
○政府参考人(近藤信司君) 予算の問題でございますが、一つは公立学校の施設整備費の予算、特殊教育諸学校の施設整備を含めたものでございますが、平成十六年度は、三位一体改革の一環として国庫補助金の縮減が行われ、総額としては千三百十一億円を計上しているところでございます。
 ただ、こういう厳しい財政状況の下ではございますけれども、各地方自治体の事業計画を十分に踏まえまして、特殊教育諸学校を含めた公立学校施設整備費の必要な予算を確保するとともに、適切な執行に努めてまいりたいと、かように考えております。
○畑野君枝君 神奈川県内でも国公私立養護学校、小中学部、高等部の児童生徒の数は五年ぐらい前から急激に増えているんですね。ですから、本当に全国も含めてよく調べていただいて対策をしてほしいんですが、この十年間で全国の国公立の養護学校、この増加の実態はどのようになっているか、お伺いいたします。
○政府参考人(近藤信司君) 平成五年度と平成十五年度の養護学校の学校数、児童生徒数の比較でございますが、ちょっと今手元に盲・聾・養護学校全体を足し込んだ数字を持っておりますので、それで申し上げますと、学校数は、平成五年度が九百四十七校でございましたのが九百八十校、三十三校の増でございます。児童生徒数は五万百七十四人が五万一千六百九十九人、千五百二十五人の増と、この多くは養護学校の児童生徒数の増と、こういうふうに承知をいたしております。
○畑野君枝君 知的障害の生徒さん、分かりますか。
○政府参考人(近藤信司君) 失礼をいたしました。
 知的障害の養護学校につきましては、平成五年度が学校数四百八十八校でございましたのが、十年後の平成十五年度では五百十三校と、二十五校増えておるわけでございまして、児童生徒数は二万八千四百十五人が三万二千四百二十一人、四千六人の増と、こういう状況でございます。
○畑野君枝君 資料を用意しましたので、お配りいただきたいというふうに思います。
   〔資料配付〕
○畑野君枝君 この資料は、一人当たりの公立障害児教育施設整備費と一校当たり在籍数の推移を十年間でグラフにしたものでございます。文科省の施設助成課の資料から作成をさせていただきました。
 一枚目をパネルにしてまいりましたけれども、(資料提示)折れ線グラフの赤いのが、今お話がありました知的障害の在籍されている人数の推移でございます。おっしゃったように急速に上がっている状況になっております。それから、中ほどにあります棒グラフ、これが一人当たりの公立障害児教育施設整備費でございます。これは知的障害の在籍数の推移が増えているのに対して減っていると、こういう一人当たりの予算の変化になっているところです。
 それから、二枚目の資料でございますが、これは一九七〇年のころからずっと少し長期的に、同じように一人当たり公立障害児教育施設整備費と一校当たり在籍数の推移でございます。
 これを見ますと、かつては施設整備費一人当たりが高かった時代、七八年をピークにございますけれども、それがどんどん減っている状況が見て取れると思います。当時作った、七八年、これはもう老朽化ということですから、そういう点でのまた設備の手だてが私は必要になってくるということもここで申し上げておきたいというふうに思うんですが、これも、知的障害の在籍数の推移というのは、ここ九八年以降ずっと伸びて、ここ七〇年以降でいえば最も多いという数になっているということでございます。
 つまり、このグラフでもお示ししましたように、急激に増えている知的障害児に対して、施設整備が遅れて過密状態になっているということであります。ですから、これは正に子供たちが学校にいる間に過密状態がそのままで放置されて、そしてその子供たちの発達を施設の面からも物理的に阻害するという要因に私はなっているんじゃないかというふうに思いますが、この点、どのように文科省はお考えになりますか。
○政府参考人(近藤信司君) 基本的に盲・聾・養護学校の管理運営につきましては、都道府県教育委員会等各設置者にその適切な判断がしていただくべき事柄であろうかと思っています。
 私どもは、設置者の要望に沿う形で養護学校等の施設整備について必要な補助を行っているわけでございまして、一例を申し上げますと、公立盲・聾・養護学校の施設に関しましては、例えば平成五年度におきます児童生徒一人当たりの保有面積は、これは全国平均でありますけれども、四十五平米であるのに対しまして、平成十五年度の児童生徒一人当たりの保有面積は四十八平米と、こういう、もちろん個々の学校にはそういういろんな状況があろうかと思いますが、全国的な状況からいけばそういう状況になっておるわけでございまして、私どもといたしましては、今後とも各設置者による適切な教育環境整備が進むように支援をしてまいりたいと、かように考えておるところでございます。
○畑野君枝君 こういう、物理的に施設の面からも阻害がされないように手だてを打たなくてはならないんではないかという点についてはどのようにお考えになりますか。
○政府参考人(近藤信司君) まずは各設置者におきまして児童生徒の実態等を踏まえて事業を計画をしていただくと、国はそれに基づき予算の範囲内で補助を行うと、こういう仕組みであるわけでございますけれども、私どもも、公立特殊教育諸学校に係る施設整備につきましては、近年の児童生徒の障害の状態でありますとか教育内容、指導方法の変化等に対応するために、平成十年度、これは小学部と中学部でございますが、平成十一年度は高等部と幼稚部につきまして、それぞれ校舎等の国庫補助基準面積を改定をしたわけでございます。そういったことの努力もしながら、設置者からの要望も踏まえまして、今後とも適切な執行に努めてまいりたいと考えております。
   〔委員長退席、理事亀井郁夫君着席〕
○畑野君枝君 局長、つまり、こういう実態を作ってきたわけですよね。そういう実態になっているんです。
 これは、国の予算の問題でグラフにしているんです。この点についてはどのように認識されるんですかと。その点はいかがですか。
○政府参考人(近藤信司君) 先ほど来申し上げておりますように、基本的には設置者である都道府県の教育委員会等が計画を立て、整備を進めていただくわけでございまして……
○畑野君枝君 今、予算の問題を聞いているんです。
○政府参考人(近藤信司君) 私どもも、厳しい財政状況の中ではございますけれども、必要な予算を確保しながら、そういった地方の声にできるだけこたえる形で執行を図ってきていると、そういう状況でございます。
○畑野君枝君 いろいろ地方のことおっしゃいましたけれども、国としてもこれは十分でなかったんだということを文部科学省自身が作られた資料から私はお示ししているわけですから、それきちっと認めた上で対策を図っていただきたいというふうに思うんです。
 その点では、正に大臣の方からは、おおむねナショナルミニマムは達成されているという点について、やっぱり本当にどうなのかということをきちっと実態も調査をしていただいて、その上で必要な条件整備、施設整備を図るべきだというふうに思いますが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(河村建夫君) 先ほど御答弁申し上げましたように、報告書によっては、これから障害のある子供たち個々人のやっぱりニーズに応じたきめ細かな教育をやっていく必要がある、これも大事なことだと思います。
 しかし、今御指摘のように、先ほど答弁、局長から申し上げましたが、特に知的障害者がこのところずっと増え方が非常に多いわけですね。この点をやっぱり加味しながら対策はやっぱり考えていく必要がある。現実に教育現場が対応し切れない状況がもしあるとするならば、これは設置者の方で、もちろん我々と相談をしながら対応していかなきゃいけない課題でありますけれども、対応をしていただく、これはもう私も当然のことだろうと、こう思っております。
   〔理事亀井郁夫君退席、委員長着席〕
 地域性もかなりあるようでございまして、都市部、それから地方、全体にこれは増えているからこういう数字だと思いますが、それぞれの県においてもそれについて対応していただけるものだと、こう思っておりまして、現実に今御指摘があった、かなり相当数知的障害者が今増加していると、この現況はやっぱりきちっととらえて今後の対策は考えていく必要がある、私はそう思います。
○畑野君枝君 やはり予算を障害児学校に対して施設整備減らしてきたということがあるわけですから、きちっと対応をして前進を図っていただきたいというふうに思いますし、これは全国盲、聾、知的障害、肢体不自由、病弱養護校長会からも、障害の重度・重複化、多様化に応じ、個に応じた教育内容、方法の充実改善及び施設整備の整備充実という要望も私もいただいているところでございますので、是非前進をさせるようにしていただきたいと思います。
 次に、障害児教育における教職員の配置の問題でございます。
 実態は教職員そのものが不足になっているにもかかわらず、今回の最終報告がこたえていないという点でございます。最終報告では、障害児学級は特別支援教室にするという報告が書かれているわけですが、これについてはもう多くの意見が出されております。
 まず確認をしたいのは、全国の障害児学級の教員の人数と、そして全国の小中学校は一体何校あるのか、この点について伺います。
○政府参考人(近藤信司君) お答えをいたします。
 平成十五年五月一日現在で、公立の小中学校の学校数は、小学校二万三千三百八十一校、中学校は一万三百五十八校でございますから、合計いたしますと三万三千七百三十九校でございまして、うち特殊学級を設置をしております学校数が小学校では一万三千三百八校、全学校数に占める割合にいたしますと五六・九%と。中学校は六千三百六校でございますから、同じく比率にいたしまして六〇・九。合計一万九千六百十四校で五八・一%と、こういう数字でございまして、この特殊学級を担当する教員数でございますが、小学校が二万二千六百四十七人、中学校が一万二百五人ということで、合計いたしますと三万二千八百五十二人と、こういう状況でございます。
○畑野君枝君 そうしますと、最終報告で言うような障害児学級を特別支援教室にするというふうになりますと、これは三万三千七百七十九校あって、今、障害児学級の教員は三万二千八百五十二人ということですから、一人もいかないと、こういうことになるんではありませんか。
○政府参考人(近藤信司君) この最終報告でございますが、若干いろいろと、この報告書が出たときにいろんな面で保護者の方々を含めて御心配の声も上がったと承知をいたしておりますが、この最終報告では、特別支援教室の運営形態につきましては非常に幅を持たせた表現になっておるわけでございます。
 障害の状態によりまして、従来の通級指導の対象となる児童生徒のように、週に数時間のみこの教室で指導を受ける場合でありますとか、従来の特殊学級における教育の対象となる児童生徒のように、週の相当の時間をこの教室で指導を受ける場合、あるいは小学校の低学年で集中的に特別の指導をこの教室で受け、高学年ではほとんどの時間をほかの児童生徒とともに学習する場合など様々なものが考えられると、こういうふうに提言をいたしておりまして、現在の特殊学級や通級による指導の機能を包含しながら弾力的な対応を可能とすると、こういう提言になっておるわけでございまして、実はこの提言を受けまして、私ども、昨年から教育委員会の関係者あるいは学校の関係者、PTAの関係者、いろんな方々の意見も聞きながら検討を進めてきているわけでございまして、この小中学校におきます特別支援教育の在り方、特に具体的な制度設計につきましては、先般、中央教育審議会に御検討をお願いをしたところでございまして、具体の制度設計は今後の検討課題であると、こういうふうに認識をいたしております。
○畑野君枝君 私が示した、また局長が最初にお答えになった数でいえばもう一人以下ということになるわけですけれども、しかし保護者の声というのは、朝の登校から自分の学級に行き、自分の机やロッカーがあり、自分の居場所があって、自分の先生がいることや安定した友達関係や集団があり、楽しく授業が受けられる学級だということを望んでいるわけですね。ですから、そういう点で、本当に安定という子供の居場所、それが障害を持った子供たちに非常に重要な教育条件です。
 更に伺いますが、教員の定数を定める義務標準法では学級数を基に計算をいたしますが、特別支援教室、それは計算の枠外になるということだと、教員定数が大幅に減るんではないかという懸念の声がありますが、この点はいかがですか。
○政府参考人(近藤信司君) 先ほどもお答えいたしましたように、まだこの最終報告の特別支援教室と、これ非常に特殊学級や通級指導の機能も包含した弾力的な対応を可能とするということで、今後、更にいろんな幅広く皆様方の御意見を聞きながら具体の制度設計をしていくわけでございまして、その検討の過程におきまして、この特別支援教育に係る教員定数の算定の在り方も一つの検討課題ではないんだろうかと、こういうふうに考えております。
○畑野君枝君 特別支援教室となると、学級とは違くなるんではないですか。それはどうなんですか。
○政府参考人(近藤信司君) 先ほどからお答えをいたしておりますように、まだこのいろんな形態が考えられるであろうということで、特殊学級あるいは通級指導も含めたそういう機能を包含した中身としての提言でございまして、具体の制度設計、それはまたそういった今の教員定数の在り方もそうでございますけれども、それをまさしく今後詰めていこうと、こういうことでございますので、いろんな御意見を聞きながら詳細な制度設計をやってまいりたいと思っております。
○畑野君枝君 つまり、本当にこの最終報告の大きな矛盾の一つなわけですよね。これが本当に不安をかき立て、あるいは地方によっては独り歩きをしかねないという事態なので、これはきちっとやっていただかなくてはならないというふうに思います。
 大事なのは、子どもの権利条約にもあるように、障害児は、精神的又は身体的な障害を有する児童がその尊厳を確保し、自立を促進し、及び社会への積極的な参加を容易にする条件の下で十分かつ相応な生活を享受すべきですということでございますから、本来、教員定数改善配置はもちろんのこと、必要に応じた柔軟な教員配置も予算を付けて配分をする、こういうことが私は必要だということを思います。
 現時点でこういう今の学校教育法による特殊学級、いわゆる障害児学級にまず人的な配置が必要ではないかというふうに思いますが、この点はいかがですか。
○国務大臣(河村建夫君) 障害児学級の人的な配置、図るべきではないかと、こういうことです。
 特殊学級の編制については、いわゆる義務標準法、八人標準という形になっております。具体的には、この学級編制は都道府県の教育委員会が定める基準によって、その同意を得て市町村の教育委員会が行うと、こういう形になっておりまして、この判断は地方の判断にゆだねられていると、こういうことでございます。この義務標準法においては、学級数に基づいて教員定数が算定される仕組みでありますから、これによって特殊学級においても必要な教員定数が確保されると、こういうことであります。
 なお、教職員の配置については、標準法に基づいて算定した教員総数の範囲内で弾力的な配置が可能になっておりまして、都道府県教育委員会の判断によって学校の実情等、これに応じて適切に運用されるべきものであると、このように思っておるところであります。
○畑野君枝君 今年一月三十日の国連の勧告で、子どもの権利委員会の最終所見で、障害を持つ子供について特別な教育及びサービスに割り当てられる人的及び財政的資源を増加させるように日本政府は言われているわけですね。是非この点で、教員の増加は必須条件だというふうに私申し上げておきたいというふうに思うんです。
 次に伺いたいのは、実際の障害児学校の教員なんですが、障害児学校一学級の編制基準、編制標準は六人、それから障害児学級の編制標準は八人なんですが、ぎりぎり一杯の学級は何学級、全体の何%あるのかということと、それから、これをそれぞれ一人ずつ減らして、障害児学校一学級を五人、障害児学級を七人にしたら、あと何人の教員が必要かというのは計算しておられますか。
○政府参考人(近藤信司君) お答えいたします。
 特殊学級及び特殊学校の学級編制につきましては、今、先生御指摘になりましたように、義務標準法によりまして特殊学級八人、特殊学校六人という形で学級編制の標準が定められているわけでございまして、この標準に基づきまして都道府県教育委員会が定める基準に従って市町村教育委員会が具体の学級編制を行っているわけでございますが、私どもはこの規模ごとの、今、先生がおっしゃいましたような規模ごとの学級数でありますとか、あるいは学級編制の標準を一人減らした場合に増加することとなる教員定数については承知をいたしていないところでございます。
○畑野君枝君 これは現場から本当に要望が出されているんですね。きちっと計算していないということは、それ自身は本当にこたえていくつもりがあるのかということが問われていると思うんですが、例えば単純に計算しても、障害児学校で二・六万人増、障害児学級で三・四万人増というふうになるというふうに思うんです。正に過密状態に加えて、見掛け以上の過重負担がぎりぎりであれば、今現場には押し寄せているということで、人を減らすのではなく、増やす方向に持っていくべきだということを申し上げたいと思うんです。
 さらに、通級指導教室について、これ学級編制の基準はどうなっているでしょうか。
○政府参考人(近藤信司君) 通級指導については特にないと承知をいたしております。
○畑野君枝君 これも障害種別に応じた通級指導教室を設けて、一教室八人以下に教員を配置してほしいという要望も出されているわけですね。本当にもう、具体的にもっと進めてくださいよ。数字ぐらい本当に計算することもできるし、それから、そういうないという問題も、本当に私は要望にこたえていくべきだというふうに思うんです。
 それで、あわせて、先ほども議論になっておりました通常学級に在籍をしているLD、ADHD、高機能自閉症などへの教育条件整備をしてほしいというのもあるんですね。実際、通級教室に通っていらっしゃるお子さんもいるけれども、それ以外に進めてほしいという声も、例えば教員の配置や循環指導や教室の設置をしてほしいという要望もあるんですが、この点はどのようにお考えになっていますか。
○政府参考人(近藤信司君) お答えをいたします。
 このLD児あるいはADHD等の児童生徒に対する教育的な対応でございますが、先ほど申し上げております、昨年の今後の特別支援教育の在り方についての最終報告を受けまして、平成十五年度からこういった児童生徒に対する、関係機関と連携した総合的な教育支援体制の整備を図るための言わばモデル事業を四十七都道府県に委嘱をして実施をしておるわけでございます。
 また、こういった子供さんへの対応に指導的な役割を果たす教員等に対する研修を実施をするとともに、今年の一月には小中学校におきますLD、ADHD等の児童生徒への教育支援体制の整備のためのガイドラインを作成をいたしまして、すべての教育委員会や小中学校に配付をしたところでございます。
 また、中央教育審議会におきまして、この特別支援教育の在り方について検討するわけでございますけれども、LDあるいはADHD等を含んだ児童生徒の障害の多様化の状況を踏まえまして、児童生徒一人一人の教育的なニーズに適切に対応していく、そのための特別支援教育の在り方、こういった問題についても真剣に検討していくと、こういう状況でございます。
○畑野君枝君 時間がそろそろなくなってまいりましたので、まとめて質問いたしますので、最後に大臣にお答えしていただきたいと思うんですが、その前に、先ほどの通級指導なんですが、現在でも二十人の児童を抱えているということなど、本当に大変なんですね、現場は。今回、教員加配の弾力化で九百八十人の教員が全国で減るんですが、当初、研修等加配から減らすというふうになっていたにもかかわらず、地域によっては通級指導の教員が減らされて更に大変な状況になっているんです。これを減らすべきではないというふうに思いますがどうかという点と、それから、やっぱり通常学級の教育条件、本当に改善するという点で、やはり国は責任持って三十人以下学級を行うということが必要だと思うんです。今現在、少人数学級を実施あるいは予定している県が何県あるのか、報道によれば四十三府県という報道もありますが、その点を伺いたいのが一点。
 それから、最後に大臣に、スクールバスなんです。これは一時間半とか二時間掛かって乗らなくちゃいけないということがありましてね、パニックを起こすような子あるいは寝たきりの子供たちに対しては大変な負担になっているんです。これ、是非、予算の増額含めて変えるような状況にしていただきたいということを質問いたします。
○政府参考人(近藤信司君) 私からは前半の二点についてお答えをいたしたいと思います。
 一つは、通級指導担当加配定数の件でございますが、これにつきましては、定数改善枠に配慮しながら各都道府県の通級指導の実態を考慮いたしまして、先般、各都道府県別に平成十六年度の予定数を内示をしたわけでございます。御指摘のとおり前年度に比べて減少はしておりますが、都道府県の要望をできる限り踏まえながら、定数改善枠を超えて配分をしているところでございます。御理解をいただきたいと思います。
 もう一点は、少人数学級の実施状況でございますが、学級編制につきましては、地方の自主性を尊重する観点から、平成十三年度以降、各都道府県の判断で少人数学級を実施することができるよう運用の弾力化を図ってきているところでございまして、平成十五年度におきましては三十の道府県において少人数学級が実施をされているところでございます。
 なお、新聞等で一部報道されておりますが、十六年度の状況につきましては、今後、四月以降調査を実施をしていくということでまだ確定をしていないわけでございます。そういう状況でございますが、増えていくと思っております。
○国務大臣(河村建夫君) スクールバスの問題、これは重要な通学手段でございまして、是非必要なことでございます。平成十年度以降、都道府県の要望に一〇〇%これは対応してきております。さらに、平成十六年度においても、厳しい財政、行財政状況の中で、スクールバス等のニーズが高いこういう設備については優先的に、重点的に対応すると、こういうことでやってまいります。
 また、登下校時のスクールバスについても、学校の設置者の判断によって障害のある児童生徒の乗り降りのときのサポート、サポーターですね、サポート、それから乗車中の安全管理を行う介助員、これも配置されております。これは交付税で国が対応すると、こういうことになっております。
○畑野君枝君 終わります。
○山本正和君 今日は質問を私は一つだけするつもりでおるんですが、ちょっとその前に、今の状況等についての大臣の感想もお聞きしたいと思いますので、少しお話をしたいんですが、私は実は、現在六十四歳になる人から七十三歳になるまでの年齢の人を高等学校で教員で教えた。六十三歳以上七十四歳までですね。そのときは生徒と一緒に十キロ遠泳やったりマラソンもやったりしました。それで、夜も昼もなしにわあわあ生徒がおるときには騒いだんですけれども、その当時は今みたいに何か、代々木ゼミナールだとか何とかいろいろ大変な予備校がない時代ですから、高校の生徒も自分で勉強しておった。私が教えた子の中には国家公務員として立派に成長された人もおる。本省の審議官で終わったのもおるし、大学の教授になったのもいます。
 しかし、そのときには今みたいにわあわあわあわあ言わなかった。国会でも教育の問題で教育が深刻だなんていう話はしなかった。ただ一つしたのは、日本の教育の条件整備が足りぬと、これは盛んにやったんですね、その当時でも。今みたいに先生の教え方が下手だとか上手だとか、学校がなっておらぬから子供がおかしいんだろうというようなばかな話は一切出なかった。まあ先生もそのときと随分、正直言って私も含めてだらしのないときもあれば一生懸命やったときもあるんですけれどもね。
 だけど、そういうふうになぜ、六十四歳から七十三歳までの世代は余り大きな問題が新聞等でも騒がれずに、国会でも議論されなかったのに、今なぜこんなに騒がれているんだろうかと。こういうことについて、ちょっとこれは答弁がしにくいと思うけれども、大臣の御感想はどうですか。
○国務大臣(河村建夫君) 六十四歳から七十三歳といいますと、私より、六十四歳の方、ちょっと先輩になられる方々のことを考えてみて、私どもその近いところにおったわけでありますけれども、これやっぱり、戦後のやっぱり日本のあの大変なときからこれは立ち上がらにゃいかぬという、これは家庭もそうだったし、先生方もそういう思いで、正に先生方も恐らく自己犠牲型といいますか、本当にそういう思いで一緒になってやっていこうと、これはもう日本の国が豊かになるためにみんなで頑張ればという思いがみんなあったと思いますね。そうした中でしたから、まだ子供も多かったですけれども、お互いに助け合ってという雰囲気が非常に高かった。
 それが、今の現状で、一定の豊かさを実現したときに、ある意味ではそれだけ皆さんいろんなことを言う余裕もできたということも言えると思うんでありますが、逆に、次なる目標といいますか、これやらなきゃいけないという目標が今なかなか見当たらない。そうした中で、豊かさの中で何とかやっていける。フリーター現象なんというのは正に、これ生活できなかったら何とかすると言うんですけれども、あれでやっていけるものですからという部分が非常に大きいと思いますね。
 ここの精神的な心の問題、よく言われる物の豊かさと心の豊かさのバランスをどう取るかということが今日話題になっているような課題になっている。そのことが今問われておるんだと、私はそういう、これは大ぐくりな話でありますが、そういう印象でございまして、この点をどうもう一度、原点に戻すって、昔に戻れといったってそうはいきませんが、これからどうやってみんなで生きていくんだということを、日本の国はどうあったらいいかということをやっぱりもうちょっと教育の中でも考えていく、そういうものが必要になってくるんではないかなと、こう思っておりまして、何も昔にそれで返るとかなんとかではなくて、これからの新しい時代に対応した教育の在り方をこれからやっぱり求めていく、これが今問われているんだと、こう思うんでありますが。
○山本正和君 その当時は子供を、習い屋と言ったらおかしいですけれども、なんかへやらないし、いわゆる今の塾ですね、ほとんどやっていませんし、親はどっちかといったら子供をほったらかして、働くのに精一杯だったですね。それから、子供たちも、そうはいっても、子供たち同士でぶつかり合って、例えば、私はよく、この話が忘れられないんで、大変、時々使わせてもらうんだけれども、加藤さんが、自民党の幹事長だった、彼が山形で小学校のときに、一年生から六年生まで一緒に山に登ったと。そうしたら、なかなかいろんなのが取れないと。何ですか、マツタケか何か取りに行ったんでしょうけれどもね。そしたら、お兄ちゃんがちゃんとくれたと、みんな一年生の子供にね。そういう時代があったという話を彼がされるんですね。
 私は、だからこの国が、今の私が言いました、別にこれはもうちょっと下かもしれませんよ、ある年齢以上の人たちには、そういう自然に年上の者は年下の者をかばうとか、お父さん、お母さんが忙しくてきりきり舞いしておったら自分たちでやっていくとか、そんな、親に甘えて塾へ行ったり予備校へやってくれなんというようなことを言わなかった時代があった。今はそれを親に甘えるのが当たり前になってしまっていますし、またお父さん、お母さんも、三十になってもフリーターだって喜んで、自分のうちにおってくれたらいいものですから、そんな人もおる、全部とは言いませんよ。
 こういう世相の中で大変な時代が今来ているんだろうと私は思うんですね。しかし、それだけに、本当からいいますと、政治の場で教育の問題を論議することの重要性はかつてないだろうと私は思う。人によっては、このままではこの国は滅びるんじゃないかというようなことも言っている人もおるわけですね。だから、政治の場で教育の問題を本当に心の底から議論しなきゃいけないと私は思うんですね。
 ところが、どうも心配で仕方ないのは、何ですか、経済財政諮問会議ですか、なんかが教育はこうすべきだと言って、ぱっといろいろなことを注文を付けてみたり、教育に対するお金はこうしなさいと言ってみたり、今度、学校を、義務教育にまで金もうけの手段として株式会社をほうり込んでもいいといったように議論が出たり、分かりませんけれども、必ずしも私は中身知りませんからね、詳しくは。しかし、要するに、教育という問題をそういうお金もうけとか、いわゆる経済の効率とかいうところから議論が加えられてきている。私は、それは後だと思うんですよ。教育の議論が先にあって、さらにそれを経済的にどうするかという議論はあってもいいんですよ。上から掛かってきてやられると、この前から私が言っている中教審に対するあの理念まで、名前が変わってしまったというふうなことも含めて、何か外からやってこられて教育の問題が議論されていると。これは私はおかしいような気がしてならないんですよ。
 だから、やっぱりここで、文部大臣、この前から本会議でもしっかりした決意を表明していただきましたけれども、私はやっぱり、この国が今置かれている状況からいったら、この文教委員会の役割は極めて重要だと思いますし、ですからその、どう言ったらいいんでしょうかね、大臣がひとつ、この前からいろいろ言っていただいておりますけれども、そういう意味で、大変苦しい時代ですけれども頑張っていただきたいと、ちょっとこれはお願いしておきますけれども。
 そこで、質問に入るんですが、教育は人なりとよく言われるんです。私どもも、考えてみたら自分が教えてもらった先生、何人か印象が残っております、教育は人なりという。ところが、その教えている先生たちは今どういう状況にあるんだろうと。
 今日、有馬先生が東大の教授の、いや学校の先生のお話ちょっとされておられたけれども、私も実は、これはちょっと息子から聞いたんですけれども、今は大学の教授になりましたけれども、前は、助教授時代ですね、入学試験の採点をずっとやらされると言うんですよ、明けても暮れても採点ばかり。そうしたら、どうも単にそこばっかりじゃなしに、ほとんど私学のかなりのところが大学の助教授といえば入学試験の採点、きりきり舞いさせられるらしいですね。国立大学もひょっとしたらそうじゃないかと思うんですけれども。また、事務的な処理、大学における、これを教授とか助教授とかいう名前の人がさんざんやっていると、こういうの。
 ちょっとその片りんを今日、有馬先生言っていただいておられたけれども、私は実は、そうしたら今度は高等学校、中学校、小学校にそれを下ろしていったらどうなるだろうかと。先生が子供と一緒におる時間よりも、PTAの事務やらされたり、計算やるんですよ、会費集めて云々とか。あるいは、物を売ったと、配ったと、お金取ると、その整理やらされたりして、ばたばたばたばた先生が事務をやっている。そして、おまけに今度は職員会議は物すごく大変、数が多いんですよね。そして、出張といったら、何かといったら、難しい何か、やれ中央から来たかくかくしかじかのことを伝達するだけ、伝達来る。子供を教えることについての悩みならいいんですけれどもね。だから、先生が本当に、先生というのは子供に教える、学生と触れる、研究をする、それが本来の本務なんですよね。本務から切り離されている状況が非常に多いということを私はこの前から心配でならないんですけれどもね。
 ところが、なぜ塾へ行ったら子供の成績上がるかと私も考えてみたんです、孫が塾行っておったですからね。私はこらって怒ったけれども、もう仕方ないんですけれども。それは、塾へ行ったり、それから例えば慶応幼稚舎ですか、名門の小中学校行ったら子供が良くなるという。なぜ良くなるのかと、ちょっと調べてみた。そういう塾の先生といわず予備校の先生といわず、名門私学の先生は雑務がないんですよ。子供を教えることに専念できる。子供を教えることだけに一生懸命専念しておる。一人一人の顔も覚えること一生懸命やるわけ。公立学校の先生はあっちひょろひょろこっちひょろひょろあいさつに行くんです。PTAが替わったらPTAにあいさつせにゃいかぬ。雑務がどんと来る。おまけに、採点しようと思ったらうちへ持って帰らなきゃいかぬ。先生はつらく暗い顔をしておるんですよ、正直言ってね。これはどうしてもおかしいような気がするんです。
 だから、学校の先生というのは本当の仕事は何なんだということをきちっとして、先生たち自信を持って、子供の方だけ向いておきなさいと、研究と学生の方だけ向いておきなさいと、こういうふうな条件を整備することをしなければ駄目になるだろうと。競争したら、それは塾がいいのに決まっていますよ。何にも雑務せずにひたすら教えるだけ教えるわけですからね。あるいは、受験勉強に勝つ手段だけ一生懸命教えるわけだからね。だれでもできます、それは。今の公立学校も全部そうしたら一遍に良くなりますよ、別に塾なんか要らぬくらい。
 それが実は教育の目的じゃないはずなんですね。大学入試が目的じゃないんですよ。手段にすぎないんですね。そこのところが、一番根っこのところが忘れられて、何か知らぬけれども学校が、そういう大学に、入学試験に通るためにはどうやったら効率的かと。どうやったらお金安く、いかに効率よく、三年じゃなしに二年で、浪人でも、できたら一年で行けないかと。こういうことになったら、それは公教育が破壊されるのは当たり前だと私は思うんですね。だから、教育とは何かという原点をもう一遍しっかりと考え直さなきゃいけないと。
 そういう意味で、これは大臣、お願いと質問兼ねるんですけれども、教職員の本務とは何かということについての諮問を、中教審なり、あるいは何らかの機関なり、あるいは役所の中に設置して、教育の仕事をする者、子供に接する者、学生に接する者の本来の任務は何かということについて、これはひとつ調査研究を是非お願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(河村建夫君) 山本先生御指摘のように、正に教育の成果、これはもう非常に教員の力といいますか、かかって大きいと思いますね。だから、優秀な立派な先生をいかに確保するかというのが、これは義務教育においては特に国が責任を持てと言われる一番大きな原因だと思います。
 そういう点からして、確かに先生言われるような話聞いてみれば、確かにそれは、塾の先生というのはそれだけに専念しておけばいいわけですから、それはPTAのこととか一切ありませんので、そこだけもう目掛ける。そういう点では、そこへ集中できるという点の有利さといいますか、それはあるだろうと私も思いますが。
 しかし、これ、私も総理から人間力向上の教育改革だと、こう言われておりますから、そういう点を考えたときに、単なるいわゆる入学試験用あるいは試験の点数だけ求めるのが教育でない。特に教員については、いわゆる、もちろん知識は伝達する機能もしっかり持ってもらわなきゃいかぬけれども、私はふるさとの松下村塾のことをいつも例に取るんですけれども、やっぱり教員というのは子供たちと人格と人格のぶつかり合いがそこに生まれてこなきゃいかぬと、こういう教員でなければいけないと思いますね。そういう意味では、教員の待遇の在り方とか時間の取り方とか、これはやっぱり一つの全体として配慮する条件整備の一環であろうと、こう思います。
 ただ、難しい話になるんですが、いつも、かつては教員は聖職者だという言い方をしておった時代もあった。しかし、それと相対で、じゃ教員は労働者かと、こう言われると、またこれ問題が多いわけですね。
 そういう意味で、教員の在り方というものを正にどうあるべきかということ、それから、さきにも西岡先生ともここで意見交換いたしましたが、教員の質をもっと高める、高度化する、こういうことも研究しなきゃいかぬだろうと、こういうことでございますから、そのことも含めて総括的に教員の在り方、これまでもつとにやってきておるわけでありますが、改めて、これは教員のそれの専門部会があるわけでございますので、そこでこういう問題をどういう形で提起するか、我々、省内、役所の中でも検討しながら、重要な問題として考えていきたいというふうに思います。
○山本正和君 是非ひとつ、今の大臣のお考えの線を進めていただきたいと思いますけれども。
 そこで、ちょっとこれは局長にお伺いしたいんですけれども、教職員の勤務の実態等について調査したのが大分前だと聞いたんですけれども、その後やっておられるのかどうか。教員、教職員の勤務ですね、勤務の態様について、文部省として取り組まれた調査についてちょっと御報告願いたい。
○政府参考人(近藤信司君) お答えをいたします。
 今、先生が御指摘になりましたように、文部科学省が行った調査といたしましては、昭和四十一年、当時、教員に係る時間外勤務とそれに対する給与上の措置が懸案となっていたと。こういったことから、教員の時間外勤務に関する制度を検討するために、当時、教員の勤務状況の調査を実施をしたことがございますが、その後、文部科学省として全国的な調査はいたしておりません。
○山本正和君 これはたしか、当時、西岡政務次官じゃなかったかと思うんですけれども、初めて義務教育の教職員の勤務の実態について調べられた。特に教職員ですね。それを、いわゆる教員という仕事の質は他の公務員とは違うだろうと。また、超過勤務手当を払うとか払わぬとかいっても、その制度はなじまないだろう、先生というのは。家庭訪問をしますし、何かあったらいつでも飛び出さなきゃいけない。それをそんな何時から何時までなかなかできぬだろうというふうなことをめぐって、教職員の仕事とは何だということについて調べていただいたのが四十一年だと私は思うんですね。
 そのときに、いわゆる他の一般公務員じゃなしに、これからの日本の国の教育に優秀な人を集めようと、学校の場で本当に喜んで働ける人材を集めようと、人材確保法と言いましたけれども、それと絡んでこの給特法の方も随分議論されたと私は思っている、記憶しているんですけれども、その中でやられたんです。だから、そのときにやっぱり文部省としても、公務員、いわゆる他の公務員と教員とどう違うかということを明確にせざるを得ない立場に立ったというところから、教育の仕事の質について検討がされたんです。私は、それ、すばらしかったと思うんですよ。そのときに、だから、いろいろ、いわゆる職員団体である日教組とも、中央の、日教組は任意団体ですけれども、各県でもいろいろな議論をされた。先生の仕事って何だろうというのを随分そのときいろいろ議論されたと私は記憶しているんですけれどもね。
 だから、何といいましょうか、先生とは何なんだと、先生の仕事とは何なんだということを文部省が本格的に取り組んだのは、その要するに人材確保法に伴って教員とは何かということを議論された、それが非常に大きな、大規模な調査をされた潮目だと思うんですよね。
 と同時に、実は私は国会議員になって、ちょうど十七年前でしたか、初めて外国で小学校の視察したことがあるんです。ドイツへ行きました。ボンの小学校を見たんです。ボンの小学校は、先生たちが午前中だけ授業をして、午後は生徒いないんですよ。先生もそうしたらいないんですよ。どうしているんですと言ったら、あそこは、何かそれぞれ自分の住居区に帰って、そこで一緒になって、子供と一緒になって、課外活動、野外活動、いろんなスポーツ活動がある、あるいは芸術鑑賞とかいろんなやつを含めてやるわけですよ、学校じゃなしに。運動場は日本みたいに広い運動場を持っていないんですけれども、堂々と、皆それぞれ地域にある、運動場が。そういう中で、先生と子供というのがもう一緒になって、親も一緒になって課外活動をしている姿見てびっくりしたんですけれどもね。
 だから、今、何か知らないけれども、日本全国に広まっているのは、日教組けしからぬ、たたけ、たたけと言ってきて、日教組は、先生は労働者だといってむちゃくちゃやわだと、それを締め付けようと、そうしたら良くなると、こういうような話ばかり出てしまって。先生というのは、そうしたら、朝八時から夜の五時過ぎまでみんな学校におるんですよ。子供は帰っているのに何しているんだと言ったら、とにかくもう学校におらぬことには校長先生にしかられると言っていましたけれどもね。校長はそうしたら教育委員会からにらまれるということだ。
 ところが、この前、私はここで初中局長にしっかりと質問したら、校長が学校における勤務の形態についてはすべて把握してもらって結構ですと、文部省はそういう見解なんです。校長は、本当に職員を信頼し、信頼関係の中でおったら、昨日は、例えばあんたは夜まで採点でえらかったねと、今日はもう午前中で帰ってもいいよということも校長は言えるというんです。校長の裁量でできるんです。校長と教員の信頼関係ができるんですよね。そういうことも何もかも全然、今はもう上からびゅうびゅうびゅうびゅう言われて怖がって、そして何か知らないけれどもきりきり舞いしてしまっている。学校に自由度がありませんから先生が深刻な顔をして上を向いている。子供はそれを見ているから先生をばかにするんです。だから、やっぱり、校長先生を信頼しなさいということを、地方教育委員会に文部科学省からやっぱりそれをきちっと指導していただきたいと私は思うんですよ。
 要するに、学校における教員の勤務については……
○委員長(北岡秀二君) 山本委員、もう時間が経過していますので、取りまとめをお願い申し上げます。
○山本正和君 あれっ、そうですか。ああ、五十二分ですね。はい、分かりました、はい。
 ひとつそういうことで、私は半までと思ったものでね、ごめんなさい、ちょっと時間、間違えました。
 そういうことで、ですから、あくまで校長先生に教職員の勤務については全責任がありますということを改めて文部大臣から各都道府県にひとつ御通知をいただきたいと思いますが、この点申し上げて終わりたいと思います。
○国務大臣(河村建夫君) 校長先生がそこの学校においては一番の責任者ですし、リーダーシップを発揮してもらわなきゃいけませんし、各先生方に過重な負担が掛かるとか、その辺については十分配慮していただく必要がありますので、おっしゃるように、今、学校が信頼されるものになるためにも私はそういうことが非常に大事だと、こう考えておりますし、また地域の参加型のこれから学校も作っていかなきゃいかぬ、こういう状況下にございます。是非、校長先生がそういう意味でリーダーシップを発揮できる体制、これをしっかり作っていく必要があると、このように私は思っております。
○山本正和君 はい、ありがとうございました。
 どうも済みませんでした。ちょっと三十分、間違えました。
○委員長(北岡秀二君) 以上をもちまして、平成十六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総務省所管のうち日本学術会議及び文部科学省所管についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(北岡秀二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 次回は明二十五日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十五分散会