第159回国会 文教科学委員会 第11号
平成十六年四月十五日(木曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 四月十四日
    辞任         補欠選任
     松山 政司君     大仁田 厚君
     谷  博之君     小林  元君
     日笠 勝之君     草川 昭三君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         北岡 秀二君
    理 事
                亀井 郁夫君
                後藤 博子君
                鈴木  寛君
                山本 香苗君
                林  紀子君
    委 員
                阿南 一成君
                有馬 朗人君
                大野つや子君
                扇  千景君
                中曽根弘文君
                橋本 聖子君
                伊藤 基隆君
                小林  元君
                中島 章夫君
                西岡 武夫君
                草川 昭三君
                畑野 君枝君
                山本 正和君
   国務大臣
       文部科学大臣   河村 建夫君
   副大臣
       文部科学副大臣  稲葉 大和君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山口 俊史君
   参考人
       社団法人日本レ
       コード協会会長  依田  巽君
       漫画家
       貸与権連絡協議
       会幹事代理
       21世紀のコミッ
       ク作家の著作権
       を考える会理事  弘兼 憲史君
       日本コンパクト
       ディスク・ビデ
       オレンタル商業
       組合専務理事   若松  修君
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  本日の会議に付した案件
○著作権法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○参考人の出席要求に関する件
○教育、文化、スポーツ、学術及び科学技術に関
 する調査
 (知的財産に関する件)
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○委員長(北岡秀二君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨十四日、松山政司君、谷博之君及び日笠勝之君が委員を辞任され、その補欠として大仁田厚君、小林元君及び草川昭三君が選任されました。
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○委員長(北岡秀二君) 著作権法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。河村文部科学大臣。
○国務大臣(河村建夫君) おはようございます。
 このたび、政府から提出いたしました著作権法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 我が国の著作権制度については、情報化等に対応してこれまでも逐次整備を進め、その充実を図ってまいりましたが、知的財産基本法に基づき昨年七月に策定された知的財産の創造、保護及び活用に関する推進計画を着実に実施し、知的財産戦略を推進するため、その一層の充実が必要となっております。
 この法律案は、著作権の分野について知的財産戦略を推進し、著作物の適切な保護と活用を図るために必要となる改正を行うものであります。
 次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。
 第一は、アジア諸国など物価水準の異なる国において許諾を受けて生産された商業用レコードが我が国に還流してくることを防止する措置を講ずることであります。
 近年、アジア諸国において我が国の音楽の人気は年々高まっております。ところが、これらの国において我が国の権利者から許諾を受けて生産された商業用レコードが、我が国に還流し、安価に販売されることにより、権利者の経済的利益に大きな影響を与えるという事態が生じております。
 今回の改正は、このような事態を解消し、我が国の音楽文化の海外普及を促進するため、専ら国外において頒布することを目的とする商業用レコードを、情を知って、国内において頒布する目的をもって輸入する行為等を、著作権又は著作隣接権を侵害する行為とみなすこととするものであります。ただし、国内において最初に発行された日から七年を超えない範囲内において政令で定める期間を経過した商業用レコードについては適用除外としております。
 第二は、書籍又は雑誌の貸与について貸与権が及ぶこととすることであります。
 著作者等に貸与権が認められた昭和五十九年の著作権法の改正においては、貸本業が長年自由に行われていた経緯等にかんがみ、所要の経過措置を設け、書籍又は雑誌の貸与による場合には、当分の間、貸与権の規定は適用しないこととしておりました。ところが、近年、事業を大規模に展開する貸本業が出現しつつあり、漫画家、小説家などの著作者の経済的利益に大きな影響を与えるという事態が生じております。
 このため、この経過措置を廃止し、書籍又は雑誌の貸与による公衆への提供について貸与権が及ぶこととするものであります。
 第三は、著作権等を侵害した者に対する罰則を強化することであります。
 具体的には、基本的に、懲役刑は三年以下、罰金刑は、個人は三百万円以下、法人は一億円以下とされているものを、特許権侵害又は商標権侵害と同様に、それぞれ、五年以下、五百万円以下、一億五千万円以下に引き上げる等の改正を行うとともに、懲役刑及び罰金刑を併科できることとするものであります。
 なお、この法律は、平成十七年一月一日から施行することとし、所要の経過措置を講ずることとしております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようにお願い申し上げます。
 以上であります。ありがとうございました。
○委員長(北岡秀二君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
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○委員長(北岡秀二君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 教育、文化、スポーツ、学術及び科学技術に関する調査のうち、知的財産に関する件の調査のため、本日の委員会に参考人として社団法人日本レコード協会会長依田巽君、漫画家・貸与権連絡協議会幹事代理・21世紀のコミック作家の著作権を考える会理事弘兼憲史君及び日本コンパクトディスク・ビデオレンタル商業組合専務理事若松修君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(北岡秀二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(北岡秀二君) 教育、文化、スポーツ、学術及び科学技術に関する調査のうち、知的財産に関する件を議題といたします。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、大変お忙しいところ、当委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 参考人の皆様方から忌憚のない御意見をお述べいただきまして、調査の参考にさせていただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 次に、議事の進め方でございますが、まず依田参考人、弘兼参考人、若松参考人の順でそれぞれ十五分程度御意見をお述べいただいた後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございますので、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、まず依田参考人から御意見をお述べいただきます。どうぞ。
○参考人(依田巽君) ただいま御紹介いただきました日本レコード協会会長の依田でございます。
 本日は、私どもの意見や要望をこの場で申し述べる機会を作っていただきまして、誠にありがとうございます。まず厚く御礼申し上げます。
 日本レコード協会は昭和十七年に設立されました社団法人でございまして、その目的といたしますところは、レコード界全般の融和協調を図り、優良なレコードの普及並びにレコードの適正利用の円滑化に努め、もって国民文化の進展、向上に寄与することでございまして、その目的に向かって日夜努力しているところであります。
 なお、加盟レコード会社は現在四十一社、賛助会員を含んでおりますが、四十一社でございます。
 また、日本レコード協会は、レコード製作者の国際団体であります国際レコード産業連盟、IFPIの日本支部でもございまして、全世界的な規模で海賊版対策等の活動を行っているところであります。
 次に、要望趣旨の御説明をさせていただきますが、音楽レコードの還流防止措置でございます。
 これは、レコード会社だけではなく、作詞家、作曲家などの著作権者、歌手などの実演家、更にはレコード販売店など、音楽関係者の総意として導入を要望しているものであります。
 近年、中国、韓国、台湾、香港などの東アジアの国々では、日本と文化の面で共通するところが多いこともありまして、日本語の歌が広く受け入れられてきておりまして、もちろんこれらの国でも最初から日本の音楽が受け入れられたわけではございません。日本レコード協会を始め、音楽関係団体が中心になりまして、アジア諸国に日本の音楽を普及させるため、平成五年に財団法人音楽産業・文化振興財団、略称PROMICと申しておりますが、設立いたしました。
 このPROMICは、日本音楽情報センターを北京、ソウル、上海及び済州島の四か所に設置いたしまして、現地の人々が気軽に日本の音楽を試聴できる環境を提供してまいりました。また、これらの国々では今なお海賊版が多く流通しておりますので、著作権セミナーや啓発コンサートなども開催してまいりました。その結果が今の日本音楽の人気につながっているものと考えております。
 さて、このようなアジア諸国での日本音楽に対する需要にこたえるためには、現地のレコード会社に対して日本の音楽の積極的なライセンスを行うことが必要でありますが、還流防止措置がないままライセンスを行えば、日本より圧倒的に低価格の音楽レコードが国内に還流し、国内で流通しているレコードの販売と競合することになるわけでございます。
 アジアへのライセンスレコードと国内で発売されるレコードは全く同じものでありますので、同じであれば消費者は格安の安いライセンスレコードを購入する可能性が極めて高いことであることは自明の理であります。しかし、そのようなことになればレコード製作者にとってレコード製作への投資を回収することができなくなるわけでありまして、日本のレコード価格を基準に収入を得ている日本の作詞家、作曲家などの著作権者や、また歌手などの実演家は極めて少ない収入しか得ることができなくなりますので、活動の基盤が脅かされ、その結果として、新たな音楽作品を世に送り出す上では大きな打撃となるわけであります。
 還流を防止すると安いものを購入するという消費者の選択肢を奪うとの御意見もございますが、当該レコードはアジア地域での販売に限定してライセンスされたレコードでありまして、本来、日本で流通することを予定していないものであります。このようなレコードの還流を放置すれば、日本より物価水準が大幅に低い国で圧倒的な価格差のレコードによって国内市場が壊滅的な打撃を受けることは明白であります。その結果、日本音楽そのものを生み出す力が失われ、日本の音楽文化そのものが衰退につながるということを是非御理解いただきたいと思っております。
 また、ライセンス契約で還流を防止できないのかとの御指摘も多々ありますが、契約によっていかに厳しい条件を付したとしましても、いったん当該市場に出た、出回った商品をコントロールすることは私たちにはできません。これは世界六十五か国で還流防止措置を設けていることからも明らかではないかと思っております。
 還流防止措置が創設された場合には、日本の音楽文化の海外への普及が促進され、音楽を通してアジア諸国等の日本及び日本国民に対する理解が非常に深まると考えております。また、音楽産業の活性化はもとより、その効果は関連産業にも波及し、日本経済全体に好影響をもたらすこととなりますので、その結果、国民はより一層多様な価格と幅広いジャンルの音楽作品を享受することが可能となると考えております。
 ちなみに、二〇〇三年の通関実績を見ますと、我が国レコードの輸出はたったの二十七億円であるのに対して、我が国へのレコード輸入は三百五億円と完全に輸入超過の状況にあります。還流防止措置が導入されれば、アジア諸国からの日本音楽に対する需要の拡大にこたえ、輸出の大幅な増加を図ることもできるわけであります。
 以上のとおり、還流防止措置は、著作権者、実演家及びレコード製作者の権利を守り、日本の音楽文化の海外普及を促進するために必要不可欠な制度であります。
 次に、消費者の懸念等についての我々の考え方を述べさせていただきたいと思います。
 音楽レコードの還流防止措置に関連しまして、新聞紙上などで取り上げられている懸念や意見に対して、日本レコード協会長として明確に考え方を申し述べたいと思います。
 まず一番目でございますが、今回の還流防止措置を利用して欧米からの輸入盤が止められるのではないかとの懸念がございます。この法律ができた場合に、欧米のレコード会社は、その発売するレコードに販売地域限定表示を付して権利行使をするのではないか、いわゆる今一般的に市場に出回っている輸入盤が止まるのではないか、それを販売地域限定表示を付して止めるのではないかという根強い不安がございます。
 それにつきましては、欧米諸国で圧倒的なシェアを持つ五大メジャー、すなわちソニー、ワーナー、ユニバーサル、BMG、EMIにつきましてはその可能性はございません。その理由は、ファイブメジャーの日本における関連会社五社はいずれも日本レコード協会会員でありまして、既に次の三点を明確に表明しているからであります。
 まず一番目でございますが、著作権法が改正された場合でも、欧米諸国で製造、販売されたいわゆる洋楽レコードの直輸入を還流防止によって禁止するようなライセンサーに対して働きを行う考え方は日本にはありません。日本の五社はそういう意向はございません。
 二番目でございますが、ライセンサーであるファイブメジャー各社にも欧米諸国で製造されたいわゆる洋楽レコードの直輸入を還流防止措置によって禁止する考えのない旨を日本から本国に確認をしておるところであります。
 三番目でございますが、したがいまして、ファイブメジャー各社が欧米で発売するレコードに日本での販売禁止の表示をして権利行使をする考えはないことを明確に確認をいたしております。
 以上のとおり、欧米からの輸入盤が止まるのではないかとの懸念は現実的にはあり得ないことであります。
 次に、我が国のレコードについては、価格の多様化、低価格化が進んでおり、昨年一月から十一月までに日本レコード協会会員レコード会社が発売した邦楽アルバム四千四百四十五タイトルの価格を分析しますと、二千五百円未満の価格のものが四一・五%と最も多く、平均価格も二千三百十五円、税込みで二千四百三十円となっております。
 この問題につきましては、我が国のレコードが国際比較で見ると非常に高いのではないか、高過ぎるという御指摘が多々ございますが、その日本のレコードは高過ぎるという価格についての私どもの見解でございます。したがいまして、大体平均二千五百円未満の価格のものが四一%の市場でシェアを持っておるということでございます。
 これを先進国の中で比較した場合、日本はイギリス、フランスとほぼ同水準でありまして、アメリカは日本より二割ないし三割程度安いという認識はしております。しかし、レコードは、収録された音楽、すなわち音だけではなくパッケージ、すなわち装丁を含めて一つの芸術商品であります。日本の国民は欧米に比べて豪華な仕様を好む国民性があります。それはお店で見比べていただければ御理解いただけると思います。また、世界六十二億人をマーケットとするアメリカと一億二千万人をマーケットとする日本とでは市場規模に格段の差がある以上、相応の価格差が生ずるものと思われますし、これについては難しい問題がございます。
 したがって、日本のレコードの価格は欧米諸国と比較して決して高くないと考えております。もちろん、より良い音楽をより安い価格で国民に提供することがレコード会社の責務であると考えておりますので、今後も不断に経営努力を続けてまいりたいと考えております。
 具体的には、価格のほか、収録曲の数の増加や、CDとDVD複合商品の発売など、消費者ニーズに応じた様々な還元策を実施してまいります。最近では、CDとDVDが一体になった作品を従来の価格とほぼ変わらない価格で販売しているという事実が市場では非常に多くなっております。これもすべて消費者還元あるいは競争力の観点から基づく、市場原理に基づく価格戦略であります。
 三番目に、レコードの再販制度は世界に類を見ない制度であり、この際廃止すべきではないかとの声がこれもたくさんございます。しかし、これにつきましては、レコードの再販価格は、全国津々浦々でどこでも同じ価格で購入できること、売れ筋商品にこだわることなく邦楽のJポップ、純邦楽、童謡から洋楽のポピュラーソング、ジャズ、クラシックまで、世界有数の幅広いジャンルカタログが日本で発売可能となっていることだと思っております。
 日本のレコード業界は、二〇〇一年三月の再販存置の結論以降も、消費者利益の確保のために制度の弾力運用を積極的に進めております。例えば再販期間については、当初の二年間から一年、更には六か月への短縮に向けて取り組んでおります。実際の価格についても、多様化、低価格が進んでいることは先ほど述べたとおりでございます。もちろん、再販制度については、公正取引委員会において著作物再販協議会など検討の場がありますので、その場で消費者も入れた形で検討を行うことになっておりますので、当方からも積極的に説明申し上げるところでございます。
 最後に、還流防止措置の導入に関して改めて次の二点を申し上げまして、私からの意見陳述を終わらせていただきたいと存じます。
 一番目でございますが、還流防止措置が導入された際には、アジア諸国からの日本音楽に対する需要の拡大にこたえて、積極的に海外進出を図り、音楽文化の海外普及の促進に努めます。
 二番目でございますが、日本の音楽のアジア諸国のマーケット拡大によって得られた利益は、権利者だけでなく消費者にも多様な形で還元してまいります。
 以上、何とぞ制度導入について御理解をいただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。
 ありがとうございました。
○委員長(北岡秀二君) ありがとうございました。
 次に、弘兼参考人にお願いいたします。弘兼参考人。
○参考人(弘兼憲史君) 漫画家の弘兼憲史です。貸与権連絡協議会の幹事代理をしております。
 貸与権連絡協議会は昨年八月、著作者十一団体、業界関係四団体で結成し、書籍、雑誌への貸与権の適用を除外している著作権法附則四条の二の廃止を求めて活動してまいりました。組織の構成につきましては、お手元の資料の一ページ目をごらんください。
 続きまして、コミック業界の現在の状況をお伝えいたします。
 最近の五、六年ですね、コミック業界は大変厳しい状態が続いております。資料の二ページ目に示しましたとおり、一九九六年を境に売上高は減少しています。ピークは八年前ということですね。これは、不況に加えて、新古書店、漫画喫茶などというコミックを利用した新しい業態が進出したことの影響が大きいと考えています。そこに、今般さらに、一昨年秋ごろからレンタルコミック店と言われる業態が参加してきました。これが私たち貸与権獲得を目指して活動し始めたきっかけでした。
 実は、韓国、お隣の国韓国は、貸与権のないままレンタルコミック店がどんどん増えてきまして、その結果、漫画業界が壊滅状態にあるという状況です。レンタルコミック店は現在、韓国四千七百万人のうち一万店あると言われています。日本は一億三千万人のうちまだ三百店ぐらいの段階なので、この段階で何らかの法規制を講じないと韓国と同じ状態になるのではないかと懸念しております。つまり、韓国では、コミックは買って読むものではなくて、借りて読むものという意識が約九割ぐらいの子供たちに浸透しているということですね。日本も韓国と同じ状況に陥らないように、対岸の火事を見る感じではなくて、もう本当に我々危機感を持って今回臨んでおります。
 では、そのレンタルコミック店、いかなるものか、その特徴を申し上げます。
 資料三ページ以降にレンタルコミック店のことが書いてありますけれども、旧来の貸本屋さんとは異なりまして、レンタルビデオ店のノウハウを用いて大規模に売れ筋のコミックを貸し出しているという店が多いですね。四ページから六ページにその写真その他があります。六ページ目にはその写真の中に新刊という表示がありますけれども、店内写真や広告を載せていますので、是非ちょっとこの状況を見て、レンタルコミック店がいかなるものであるかというのをちょっと御参考ください。
 この中の写真にもあるように、時には一冊十円で何冊でもコミックを貸し出しているというところもあるようです。また、多くのチェーン店を持つ大手レンタル業者の方々がレンタルコミックに参入を予定していると聞いていますので、今後レンタルコミック店が更に更に全国に増えていく可能性が高いと危惧しております。
 日本のコンテンツ産業におけるコミックの位置付けはいかなるところにあるかということに関してちょっと申し上げたいと思うんですが、私たちは、決してもっとお金をよこせという運動をしているのではありません。日本のこれからの外貨獲得に大きな位置を占めるコンテンツ産業というものを衰退させるなと言いたいんですね。
 このコンテンツ産業というのは、漫画、ゲーム、それからアニメ、そしてレコード、映画その他、そういういわゆる娯楽産業を示すんですけれども、これからはちょっとやや陰りぎみの製造業にやはり取って代わるという勢いもあるコンテンツ産業なので、そのコンテンツ産業の核となるコミックの文化が衰退するということは、大変これは危険なことだと思います。
 資料七ページにコンテンツ産業におけるコミックの位置、つまりコミックがどれだけコンテンツ産業に関与しているか、影響を与えているかということについてちょっと書いておりますけれども、単にコミックだけじゃなくて、アニメーション、ゲーム、それからテレビドラマなど様々なコンテンツに複合的に転換されまして、正にコンテンツ・オブ・コンテンツと呼ぶにふさわしい位置を占めていると思います。一つの統計によりますと、アメリカへの日本のアニメーションの輸出額は日本からの鉄鋼製品の輸出額の三・二倍に当たると。もうここまで来ております。
 世界に誇り得ると言ってよい日本のコミックが作家にリターンのないままに読み捨てられる状態を放置すれば、韓国のように必ずコミック文化は衰退してしまいます。リターンのないところに人材は入ってきません。優秀な才能はその才能の発揮場所を求めて違う業界に行ってしまうということは、これはやっぱりコンテンツ産業全体にとっても大変不幸なことだと思います。
 では、貸与権を獲得した後のシステムはどういうふうにして運営するかということについてお話しします。
 貸与権獲得後に円滑に権利行使ができるように、今年三月一日に出版物管理センター準備会なるものを立ち上げました。準備会には、レンタル業者さんとの交渉に当たったり、契約内容、物流など、調査研究する四つの部会を設けました。改正著作権法が施行される予定の平成十七年一月までに、レンタルコミック店との間で契約、それから商品の物流、許諾料の作家への分配をスムーズに行う体制を整えるために現在着々と準備を進めております。
 貸与権獲得後の許諾条件なんですけれども、我々がもし貸与権を獲得できたらどういう条件をレンタルコミックさんに出していきたいかと申しますと、まず許諾料と貸与禁止期間、この二つを大きな柱として交渉してまいりたいと思います。
 その中で特に貸与禁止期間、つまり新刊の発売日から一定の間はレンタルをしない期間を設けることが重要だと考えております。新刊が出た明くる日にやっぱりレンタルコミック店に新刊が並ぶということは、我々の業界にとって大変手痛いところでありますので、これは話合いによりますけれども、コミックの次の巻が発売されるまでの間、例えば現在十八巻が発売されておりますと、十九巻が出るまでは待っていただきたいというような交渉をしていきたいと思います。大体これが三か月ぐらいではないかと思いますが、この辺の具体的な数字についてはこれからの交渉という形になると思います。
 また、作家としてレンタルしか、レンタルしてしか読んでくださらない読者の方よりも、買ってくれるファンの方にまず読んでいただきたい、サービスを優先させたいというのが正直な気持ちです。まして、私たちは決してもっと金をよこせと言っているのではありません、先ほども言いました。我が国が知的財産立国として国際競争社会を生き抜こうとしているときに、コンテンツの源泉であるコミックが廃れるようなことは絶対に防がなければならないと思っております。
 そのためには、作家が安心して創作活動を行えるように法的権利確立が不可欠だと考えております。それによって、手前みそになりますが、世界に誇る日本のコミック文化がますます豊かになると信じております。そのために、今回、皆様のお力添えをお願いする次第でございます。
 ありがとうございました。
○委員長(北岡秀二君) ありがとうございました。
 次に、若松参考人にお願いいたします。若松参考人。
○参考人(若松修君) ただいま御紹介いただきました、私は、日本コンパクトディスク・ビデオレンタル商業組合、通称CDV―JAPANと申しますが、そこで専務理事を務めます若松と申します。
 CDV―Jは、CDレンタル及びビデオレンタル店を代表する団体といたしまして、ちょうど二十年前に貸与権が制定された際に当時の通産大臣の認可をもって設立されました。
 CD、ビデオ、書籍、ゲームなどのソフトを総称して最近はコンテンツと言っておりますが、九〇年代半ばからの傾向として、コンテンツを扱う店舗は大型化、複合化が進展しており、相対的に書店やCDショップといった専門店の数が減少しております。大規模なレンタル店を軸に、CD、DVD、書籍、ゲームの新品の販売を取り入れた複合ショップが増えてきております。
 そこで、今国会で審議されます著作権法改正のテーマ、すなわち音楽レコードの還流防止措置と書籍、雑誌への貸与権付与、双方に私どもが深くかかわっておりますことから、本日、私が参考人として出席させていただくことになった次第でございます。
 まず初めに、私たちは、この二つの法案につきまして、その趣旨に原則として賛同いたします。その上で、しかし運営面で重大な懸念がありますので、審議に当たりましては消費者利益に配慮いただきまして、この懸念を何とか払拭していただきたいと強く希望するものであります。
 初めに、いわゆる還流防止措置につきまして、その趣旨が我が国の音楽文化の海外普及を促進するために必要な措置であるという点において、これを支持するものであります。しかし、法案がその目的を日本語CD、いわゆる邦楽に絞っているにもかかわらず、条約上の内外平等の原則により、法文上、洋楽についても同じ規制が生じ得るのは明らかであります。この点、法改正の概要及び表記において、還流防止としてあたかも邦楽だけが対象であるかの錯覚を与えたことが消費者や有識者の間に大きな誤解と疑惑を植え付けてしまったことを指摘しておきたいと思います。
 さて、大きなCDショップの店頭をごらんいただきますと、同じタイトルなのに価格が異なる洋楽CDが並んでいます。
 例えば、今週最も売れている洋楽は、ロックの王者と言われるグループ、エアロスミスですが、日本のレコード会社が海外からライセンスを取得して生産し再販価格制度の下に売っているいわゆる国内プレス盤、今日お持ちしておりますが、昨日のHMVの店頭に置いてありました国内プレス盤、これが二千九百四十円であります。これは業界でいいますところのボーナストラックといいまして、コマーシャルソング一曲がプラスされておりまして、更にこういうキーホルダーのようなおまけが付いておりまして、これが国内では二千九百四十円で売られております。全く同じバージョンで、大手CDショップが輸入業者を通じて海外で発売されたCDを仕入れて売っているいわゆる輸入盤でございますが、これは全く同じおまけを付けたものが二千三百九十円で売られています。さらに、こういったおまけとかそれからボーナストラックのような一曲余分に付いていない通常の輸入盤になりますと、これが千七百九十円で売られているわけです。つまり、国内盤に比較いたしますと、約、価格差が、この同じバージョンのもので一九%、普通のおまけのないものでありますと二九%の価格差が生じておるわけであります。
 これが、今回の法案にございます「利益が不当に害されること」ということに該当をするのではないかということが洋楽の輸入盤を扱っている大型CDショップの間に不安として募ってきておるわけでございます。
 平成十四年の通関統計によりますと、我が国に輸入されたCDの総額は約二百四十億円であります。そのうち、邦楽の還流が十億円程度と見られておりますので、九五%を超す洋楽の輸入盤が本法案によっていかなる影響を受けるのか、洋楽ファンや販売店の懸念はこの一点にあります。
 この点につき、私たち販売店は、昨年来、日本レコード協会と度々意見交換の場を持ち、その都度洋楽の輸入盤への適用は想定していないとの説明を受け、その誠意ある姿勢を高く評価するものであります。
 本日も依田会長から再三その旨の発言がございましたが、私どもとしては、そこでそういった姿勢を今回の立法の過程で再確認していただきまして、さらにその趣旨を具体的に担保していただきたく、重ねてお願い申し上げる次第でございます。
 次に、書籍、雑誌の貸与権について申し述べます。
 そもそも貸与権は、ちょうど二十年前の一九八四年、貸しレコード問題を契機に、世界に先駆けて制定された権利でした。貸しレコード問題は、著作権団体やレコード会社との間で激しい論争を展開し、国内でも活発な議論が繰り広げられた結果、新しい権利として誕生したわけですが、その際、貸与権の行使に当たっては公正な使用料をもって許諾するようにとの附帯決議が付与され、今日まで私たちレンタル事業者と依田さんが代表を務められます日本レコード協会との間で円滑な運用を図ってまいることができました。
 そして、今般、書籍、雑誌の貸与権が審議されるに至った背景には、旧来の貸本業とは異なる、いわゆるコミックのレンタルを大手のビデオレンタル店が行う傾向が出てきたことが挙げられ、その店舗の多くが私どものCDV―JAPANに加盟していることから、私たちが現在作家の先生方との協議に入っているところであります。
 私たちは、これまで二十年間に及ぶ貸与権の円滑な運用の実績を有していますことから、公正な使用料を支払うことによって作家の先生方との間で共存共栄の道を構築することにつきましては容易に合意に達するものと考えております。ただ、懸念されますのは、貸与権の運用に当たってのスキームがいまだ不明であるため、このまま施行日を迎えますと、すべての書籍、雑誌のレンタルが実質的に禁止状態に陥る点であります。
 その点につきましては、去る四月五日、今回の法改正の推進力となりました21世紀のコミック作家の著作権を考える会の作家の先生方との間でシンポジウムを開催いたしました。席上、作家の皆様は、後に続く後輩のためにも貸与による対価を得る仕組みを確立したいのだという趣旨の発言をなされ、必ずしも禁止にこだわらないとのお立場でありました。その意味において、私たちレンタル店との間の合意形成は十分に可能だと思います。
 したがいまして、二十年前の附帯決議に示されました立法趣旨、すなわち公正な使用料をもって許諾することとの原則を再度確認いただきますことをお願い申し上げる次第でございます。
 以上をもちまして、私の意見といたします。ありがとうございました。
○委員長(北岡秀二君) ありがとうございました。
 以上で参考人の方々からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 なお、各参考人にお願いを申し上げます。
 御答弁の際は、委員長の指名を受けてから御発言いただくようお願いを申し上げます。
 また、時間が限られておりますので、できるだけ簡潔におまとめをいただきたいと思います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○阿南一成君 自由民主党の阿南一成であります。
 参考人の皆様には、貴重な御意見を拝聴させていただきまして、感謝を申し上げる次第であります。
 日本から発信されるコンテンツは、アニメーションなどを始めとして、文化発信として重要であるとともに、これから我が国の経済を支え、重要な産業として発展をしていくものと考えております。
 そこで、まず音楽CDの還流防止措置についてお伺いをしておきたいと思います。
 還流防止措置は、日本の音楽の海外発信のための環境を整備するためのものと理解をさせていただきました。その背景には、ただいま参考人からの御説明からありましたように、アジア諸国における物価水準に合わせて音楽CDの価格も極めて低く抑えざるを得ないという状況があろうかと思います。アジア諸国で生産された安価なレコードの還流を防止するために、日本の音楽関係者としても手をこまねいておるわけにはいかないということで、様々な努力をこれまで重ねてこられたと伺いました。
 そこで、還流防止措置の制度の導入に先立ちまして、国外におけるライセンスや流通段階における契約、また現地調査など、これまでの具体的な取組とその成果について依田参考人にお伺いをいたしたいと思います。
○参考人(依田巽君) お答えいたします。
 還流防止のための契約での対応として、今まで三つの対策を講じてまいりました。
 まず第一番目でございますが、販売地域の限定とパッケージ上への表示、これを繰り返し繰り返し強化してまいりました。すなわち、指定許諾地域限定の商品であること、そしてその事実をCDのパッケージに表示することということで、一べつして分かるような、そういう表示を実行してまいっております。
 また、生産数量等の件につきましても、過剰生産が還流の原因となるために、現地での需要に応じた生産数量に限定して、日本あるいは現地での当該メーカーの拠点でモニターしながら生産数量をコントロールしているという事実がございます。
 また、発売日も、日本での新譜発売をベースにしまして、同一商品の還流を防ぐために、日本より二週間から一か月、あるいはもっと遅らせて、日本に全く同一の商品が還流してこないような、そういう発売日の限定、設定等もしております。
 ところで、日本で還流商品が販売されている場合、契約によってライセンシー、すなわち当該国、第三国、当該国の現地でのライセンシーは調査義務を負っていますので、ライセンシーが流通ルートをまず調査するように我々は働き掛けるわけでございますが、その結果、ライセンシーが日本向け輸出業者への商品を販売していた卸店への商品供給を停止したり、あるいは減らす、大幅に減らすというような事例もございます。
 しかし、このような例はすべてには対応できないということもございまして、レコードの流通経路が複雑多岐にわたることもありますので還流ルートを解明することが難しいんでございますが、我々産業界としては、できるだけクリーンな市場の環境を作ろうということで、以上申し上げましたような対策を講じてまいっております。
 以上でございます。
○阿南一成君 ありがとうございました。
 続きまして、書籍等への貸与権についてお伺いをいたしたいと思います。
 書籍等については、暫定措置として、今日まで貸与権の規定が適用除外とされておったわけであります。しかし、ここ数年、書籍等のレンタル事業が盛んになりまして、権利者の経済的利益に大きな影響を与えるという事態が生じているとのことであります。漫画家の方などに貸与権を認めるということについては意義のあることと私は考えます。しかし、レンタル業者の方の中には、レンタルそのものが全面的に禁止されてしまうのではないかという不安を感じておられる方もあるようであります。
 そこで、レンタル業者の方の不安に対し、権利者としてはどのようにこたえていこうとお考えなのか、弘兼参考人にお伺いをいたしたいと思います。
 また、レンタル業者としてはどのような取組が必要だとお考えなのか、若松参考人にお伺いをいたします。
○参考人(弘兼憲史君) お答えします。
 レンタル業者の方々に対しては、我々から言えば、正直言って、消費者のためには確かにレンタルで読んだ方が安く読める、その利益は十分知っております。したがって、レンタル業者は禁止したいという意向は持っておりません。
 しかしながら、これがどんどん出てきますと、やはりこちらの売上げにも影響するというのがありますので、レンタル業者の方々とは、貸与権を確立した後でしかるべき話合いをしまして、共存共栄でやっていきたいという、こういうスタンスでおりますので、全面禁止ということは全く考えておりません。
○参考人(若松修君) 私の方もただいま弘兼先生がおっしゃったことに全く同意しております。今後、誠意を持って話合いを進めてまいりたいと思います。
 ただ一点、この書籍の貸与権につきましてはレコードの貸与権と一点違う点がございます。それは、レコードのレンタルといいますのは、レコード会社に著作隣接権があるものですから、つまりレコードの流通を管理することでレンタルもコントロールできるというメリットがございますが、書籍の場合は作家の先生方にしか権利がございませんので、流通を通してレンタルをコントロールするということが事実上無理になります。したがって、この禁止ということを、まあ言うはやすしということでございまして、なかなか運用面で考えますと、そこが非常に実効性が、難しいということが懸念されますので、そこが今後、作家の先生方と話し合って解決していきたいというふうに考えております。
○阿南一成君 ありがとうございました。
 最後になりますが、再度音楽CDの還流防止措置に関しまして、再販制度との関係についてお伺いをいたしておきたいと思います。
 音楽CDの還流防止措置は権利者を再販制度と併せて二重に保護することになるのではないかとの指摘があります。私は、再販制度は著作物を全国どこにいても同じ価格で入手できるようにすることにより文化水準を維持する観点から設けられたものであると理解をいたしておりまして、今回の還流防止措置とは趣旨が異なるものであろうというふうに理解はいたしておりますが、こうした指摘に対して音楽関係団体はどのように考えておられるか、御見解を賜りたい。消費者の利益還元に向けて、日本レコード協会としては具体的にどのような取組をされるのか、依田参考人にお伺いをいたしたいと思います。
 また、若松参考人からも、ユーザーに近い立場から、この間の問題について見解をお聞かせいただければ有り難いと思います。
○参考人(依田巽君) お答えいたします。
 まず、阿南先生の非常に高度な御理解をいただきまして、感謝いたします。
 先生御指摘のとおり、再販制度と還流防止措置とは全く趣旨を異にする制度であると考えております。この点につきましては先ほど趣旨説明で申し上げましたが、再販制度によって消費者は全国津々浦々、北は網走、南は沖縄の沖縄群島まで、全国津々浦々どこでも同一の価格でレコードを購入することができるわけでございます。また、先ほど申し上げましたように、売れ筋商品だけに余りこだわらずに、邦楽の上では、今非常に売れておりますJポップはもとより、古典楽器等の純邦楽あるいは童謡、あるいはあらゆる種類の音源を取り入れた、もう本当に五百枚、千枚しか売れないようなそういうCDも含めまして、本当に作家あるいは実演家の利益のために、レコード製作者としては、利益に余りこだわらずに、一生懸命複雑多岐にわたるジャンルを作り上げております。また、洋楽のポピュラー、ジャズ、クラシック等は当然でございます。再販制度は、日本の音楽文化を維持すると同時に、今まで申し上げましたように、我々の音楽という大事な文化遺産を今後も維持するためには必要不可欠なものであるということでございます。
 また、レコード業界としましては、二〇〇一年の三月の再販存置の結論が出た以降も、消費者利益の確保のために制度の弾力運用を積極的に進めてまいっております。例えば、再販期間につきましては二年から一年に、更には六か月へと短縮に向けて一生懸命取り組んでおるところでございます。今年末には市場に供給されるレコードの約八〇%は再販期間が六か月に短縮された形で提供できるようになるというふうに思っております。
 さらにまた、日本の音楽のアジアへのマーケット拡大によって得られた利益がもしもあるとすれば、もちろんレコード価格の引下げあるいは特殊装丁、CDとDVDとの複合作品のより一層積極的な商品展開、多様な形での消費者に還元をしていきたいと考えております。
 以上でございます。
○参考人(若松修君) 再販制度につきましては、私は、還流防止が邦楽に限定される限りにおきましては、ただいま依田会長がおっしゃったことに同意いたします。ただ、やはり、その還流防止が仮に洋楽に及んだといたしますと、これは間違いなく再販制度の根幹が問われるだろうというふうに考えております。
 先ほども説明いたしましたけれども、日本のレコード会社が、例えば洋楽についてこのようなボーナストラックを付ける、おまけを付けるというこういった努力をする背景には、輸入盤のこういった安いものが、存在があるからだというふうに考えております。つまり、輸入盤の存在が日本において価格競争を促しているという現実もございますので、仮に今回の還流防止措置が洋楽に及ぶようでございますと、この再販問題というものがもう一度再燃するおそれがあるんではないかなというふうに考えております。
○阿南一成君 本日は、参考人の皆様には、大変お忙しい中を貴重な御意見を本当にありがとうございました。
 これで私の質問を終わります。
○鈴木寛君 民主党・新緑風会の鈴木寛でございます。
 本日は、三人の参考人の方、本当にお忙しいところをありがとうございました。
 今回、正に知的財産、特に日本のコンテンツの極めて重要な要素を占めますコミックそしてレコード、CDのことについて、広範な観点から知的財産権に関する調査をさせていただきまして、三人の御参考人から、極めて、知的財産権の法律の持つ本質的な意味合いをきちっと理解した上での適切な運営についての方針がそれぞれの立場から述べていただきましたことは大変に多としたいと思います。
 私たちも、先ほど若松参考人からお話がございました今回の還流防止措置、そして書籍、雑誌に関する貸与権の、何といいますか、運用開始ということについての御見解、すなわち、趣旨は理解をできるけれども消費者の不利益にならないような措置をしてほしいと。
 恐らく、これは弘兼参考人も依田参考人も同じ思いだというふうに認識をさせていただいております。すなわち、消費者あっての作家でありますし、また作家あっての消費者でありますので、これは正に、コラボレーションという言葉がございますが、双方が双方の存在というものを尊重して、そしてお互いによりよい解を探っていくと、その仲立ちに今日のお三方がお立ちいただいているという意味で大変に大事なお仕事をしていただいているというふうに思います。
 その観点から、まず還流防止措置についてお話を伺いたいと思いますが、もう既に今日の陳述の中で、先ほど若松参考人からも、立法過程の中でこの法律ができた際に、いわゆる消費者の不利益にならないような運用がなされないことをきちっと立法府としても確認をしてほしいという御要望がございました。
 正に今日の場は国会でございまして、正に、さらに文教科学委員会でございます。日本国続く限り今日の議事録は永遠に残るわけでありますが、その席で依田会長から先ほど、いわゆる輸入盤をめぐる法運用の在り方について明確に五大メジャーの意向が示されたと。今までもいろいろな席での情報表明はございましたけれども、国会というフォーマルな場でそのことが再度確認をされたということは、是非私としては意味のある、極めて意味のあることではないかなというふうに思っております。
 そして、その上で依田参考人にお伺いをしたいわけでありますが、仮に今日は国会でのこういうことが御紹介をされたわけで、そのこと自体極めて重いことでありますが、仮にこの五大メジャーのこうした表明が履行をされないという事態は、それは全くあり得ないということではないと思います。
 その場合には、先ほど来、阿南先生もお話がございましたが、知的財産権法で認められた権利であっても、その権利行使の在り方、態様いかんによってはいわゆる競争法制、独禁法を始めとする競争法制に違反をする、あるいは違反の懸念があるということは当然にあるわけでございまして、でありますから、今回の立法、還流防止措置を立法化をするということによっても、当然にその権利の行使あるいは濫用の場合には独禁法上の責めを受ける可能性があるということについて、是非五大メジャーの方々にもきちっと意識共有をしていただくということが大事ではないかということが一点でございます。
 それから二点目は、さらに、著しく、そういうことはないと思いますが、万々々が一輸入盤をめぐる日本の消費者利益が損なわれた場合には、私たちは今日の依田参考人の意見陳述というものを極めて重要な立法作業上の重要な要素として、我々審議に火曜日から入るわけでありますけれども、でありますので、その審議の大前提が崩れた場合には、当然立法府としても、改めて新しい事実に対応した立法措置あるいは立法の見直しと、著作権法制の見直しということを取らざるを得ないということになるんだと思いますが、この二点について依田参考人の御意見を承りたいというふうに、こういうことで意識共有ができるかどうかということについて御理解を、御発言をいただきたいと思います。
○参考人(依田巽君) お答えいたします。
 先ほど若松参考人からも立法の段階で担保してほしいという御発言がございましたが、制度設計につきましては、これは専門の法曹家あるいは法制局等できちんと対処していただくつもりでおりますので、私の口からそれについて申し上げるのはちょっと行き過ぎかと思います。
 ただ、社団法人日本レコード協会が、六十三年の歴史を持つ社団法人日本レコード協会の理事会で、きちんとした議事録でその確認をいたしておるという事実がございます。その理事会の報告は、もちろん独禁法上のいろいろな制約もございますので、実は、私どもは昨年の七月以降からそれについてはかなり神経質に考えてまいりましたが、ここに至りまして機は熟したかなということで、一応、独禁法上あるいはまた不正競争防止法、あるいはまた優先的地位濫用に関するようなその辺の問題につきまして考慮した上で、差し障りのないところで理事会を開きまして、五大メジャー、そしてまたそこに参加している理事全員の意見を取りまとめた結果、そういうことは起こらないということの確認をさせていただいたというその資料が国会にも提出されていただいておりますので、それについての御理解をいただきたいと思います。
 それから二番目でございますが、著しく消費者利益を害した場合という問題でございます。
 これにつきましては、私どもが事前に論評するのではなく、裁判所あるいはまた国会、あるいは所管庁の皆様方がこの問題についてはモニターをされるはずでございますし、結論を申し上げますと、私どもは、この法案が成立して法律が施行された後に、私ども産業界のビヘービアとして、行為として消費者利益を害するというような事実があったとすれば、その時点におきましては、本日まで行われたこの審議の大前提といたしまして、この法案の見直し、存廃にかかわる見直しをしていただくことは何ら我々はちゅうちょするものでございませんので、その辺につきましてはこの場をかりましてはっきりと申し上げたいと思います。
 以上であります。
○鈴木寛君 はい、ありがとうございました。
 それでは、貸与権の件について弘兼参考人に御質問をさせていただきたいと思います。
 私どもも懸念をいたしておりました、貸与権というのは禁止も含みますものですね、貸与権を行使の範囲の中には禁止も含むと。これも正に、権利は設定をするけれども、それをどのように運用されるのかという問題だと思いますが、その点については、先ほど来、禁止をするということではないということが表明がございましたので、そのことを改めて確認をさせていただきたいということと、それから、一九八四年の著作権法の附帯決議でも、公正な使用料をもって許諾するということがこの貸与権運用に当たって附帯決議をされているわけでありますが、公正な使用権をもって許諾するというこの附帯決議、立法府の意思でありますが、このことについて尊重をしていただけるかどうかということについてお答えをいただきたいと思います。
○参考人(弘兼憲史君) お答えします。
 まずは、こういう業務を円滑にするために、本来なら著作権者とそれからレンタルコミックが直接やるということになるわけですけれども、これは大変な手続その他不可能に近い作業が行われることになりますので、出版物貸与権管理センター、仮称なんですけれども、その今立ち上げの準備をしておりまして、ここを通してそういう、許諾料が幾らになるかとか、そういうものを、この権利をここに委託する、委任するという形で運営したいと思います。
 著作権者は、許諾料の徴収及びその禁止事項、例えば、これは決まっておりませんけれども、新刊が出てどれぐらいの期間猶予をして出していただくかというその取決めなども含めまして出版社を通しまして管理センターに委任をしていただきます、します。そして、その委任された管理センターがレンタルコミック業者と交渉するという形になると思いますので、我々はそのシステムを信用しております。
○鈴木寛君 最後にお三方にお願いを申し上げたいと思います。お答えをしていただく時間はないかもしれませんので、お願いをさせていただきたいと思いますが。
 正に知的財産法制というのは私は発展途上にあるというふうに理解をいたしております。すなわち、二十一世紀、情報文化の時代になったときに、これは正に、今日弘兼参考人からお話がありましたように、基幹的な正に産業にもなり得ますし、更に申し上げると、社会全体の、正に教育とかあるいはメディアとか、いろんなものの構成要素がコンテンツであります。それに対して、今のところは正に財産権というものを取りあえず付与をして、そしてその流通を、排他的独占をする権利をいわゆる著作者側にいったんまず権利を確立をして、そしてその流通をある程度コントロールすると、こういうことになって、そういう仕組みを取らざるを得ないわけでありますが、今日お三方からお話がありましたように、しかしながら、この権利をいかに作家とそして消費者と、このウエルバランスといいますか、フェアユースといいますか、適切な権利行使というものが行われるという前提でこの著作権あるいは知的財産権法制というのは成り立つと、こういうことであります。
 何が申し上げたいかというと、権利は確かにあるかもしれませんけれども、しかし、それをどちらかに偏った利益行使、権利行使がなされた場合には知的財産法制全体のフレームワークというものにひびが入ってしまうという可能性がございます。そのことについては今日の三人の参考人の方は私以上に十二分に御理解をしていただいて、そして関係者の中で極めて合理的で適切な話合い、あるいはこうした、何といいますか、著作権秩序の形成に御尽力をいただいていることに大変に敬意を払いたいと思いますが、是非このことを皆様方の御関係の団体の関係者のお一人お一人にきちっとそれぞれに周知徹底をしていただいて、そしてお互いに、この私どもも含めて、日本の知的財産文化というものがきちっと繁栄をするように協力をしていかなきゃいけないんだと。この精神についてはいろいろな機会をとらまえて周知徹底をしていただきますようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わらさせていただきたいと思います。
 本日は、今日はありがとうございました。
○山本香苗君 公明党の山本香苗でございます。
 本日は大変貴重な御意見をありがとうございます。もう阿南先生、また鈴木先生と二人御質問続きましたので、重ならないように質問させていただきたいと思うわけでございますが、まずレコードの還流防止措置の方について依田参考人の方にお伺いをさせていただきたいと思っております。
 今お話ございましたとおり、今意見陳述の中でも確認させていただきましたとおり、今、大変、新聞、報道上でも危惧されておりますそうした洋楽盤の関連の、言ってみたら今回の法改正によって起こり得るような副作用みたいなところはないんだということ、大丈夫なんだということをおっしゃっていただいたわけでございますけれども、なかなかこの危惧が払拭されない。このことにつきまして、なぜこういった危惧がなかなか払拭されていないのか、何かメッセージがきちんと届いていないのか、そういうところがあるんじゃないかと思いますけれども、この点についてどういう御認識を持っていらっしゃるのか、まず一点お伺いしたいと思います。
 と同時に、先ほど若松参考人の方からお話ございました、運用上でこうした具体的に、実質的にこういうところを、例えば中国から入ってくるのを防止するだとか、そういった形で、ある規制する行為、また規制するレコード、そうしたものを明確にしていくということは可能だとお考えなのかどうか。
 この二点について、まず最初にお伺いいたします。
○参考人(依田巽君) お答えします。
 洋楽ですね、特に並行輸入盤あるいは日本の洋楽系のレコード会社が販売する洋盤についてのその疑念でございますが、私どもは、もう先ほどから申し上げますとおり、邦楽、邦盤の輸入の件についてはずっと申し上げてきていますが、一点だけもう少し分かりやすく申し上げますと、私どもは今中国で展開しようとしますと、約九〇%が海賊版市場でありまして、その市場価格は日本円で約百三十円から百五十円であります。一方、私どもが現地経済水準に合わせた価格設定が現状では七百五十円から八百円ということでありまして、それが日本に還流してまいりますと日本の現在の価格の三分の一とか四分の一になる。したがいまして、積極的な展開はできないというのが現状であります。
 もしも海賊版を、我々のフレンドリーな、我々自身の努力で減らしながら健全な音楽市場を中国等で展開しようとしますれば、海賊版に競争できる価格帯ということになりますから、現状よりももっと、二分の一の価格、三分の一になるわけでございますが、そういう邦盤の輸入についての問題を指摘してまいりました。
 その段階におきまして、消費者の皆様あるいはまた一部洋楽の大手の輸入盤店等からは、その問題がいわゆる通常、現在販売されている洋楽輸入盤に適用されるのではないかという疑念が起こったわけで、その背景を私どもは苦慮しております。どうしてそういう質問が出てくるのか。我々は過去数十年にわたって、日本の音楽ファンは、いずれにしても、パッケージはプアであっても、中身の情報は圧倒的に少なくても、アメリカ、イギリス、ドイツ等で販売される洋楽を生のそのままで買いたいという客はいるわけです、消費者は多く存在するわけですから。そういう客層に向かって並行輸入等で入ってきたレコードを、日本のレコード、メジャーファイブ、私どもも含めまして、その価格等についての制約を加えたりしたことは一切ございませんし、今後もその問題については起こり得ないということを申し上げているわけで、これ以上は私はもう説明のしようがないというのが現状でございます。
 ですから、この法制度が施行された後に法制度の何かポイントをついて、いわゆる今まで行われている、正常に行われている輸入盤の販売がそれによって止められたり価格が上がったり、いわゆる消費者利益を阻害するようなことがあったとすれば、そのときにはこの法律を、我々は存廃の危機に瀕するんだということを今日この場で担保したわけでございまして、その辺については、とにかくまず法制度を実行していただいて、日本の今の私どもの業界が、日本の産業界が消費者を不在にしてビジネスをできることはあり得ない、それを是非考慮いただいて、余り制度設計上のことについて私どもいろいろと言われましても非常に難しい問題がございます。
 是非、私どもの誠意ある対応をごらんいただきたい。これについては私も非常なリスクをしょった発言をしていることをこの際申し上げますが、しかしそれはレコード業界としては一応確認をしたということでございます。
 以上でございますが。
○山本香苗君 ありがとうございます。
 今、海賊版という話もちらっと出ましたけれども、今回こういった還流防止措置も取るわけでございますが、レコード業界として今低迷してきている、いろんな形で低迷している状況であるわけなんですけれども、これから海外に打って出ると、そういったときにこの還流措置以外に取らなくちゃいけない、対応しなくちゃいけないとお考えになっているようなことはほかにございますでしょうか。
○参考人(依田巽君) まず、海外について私どもは善隣友好という立場で、実は今、先ほど申し上げましたように、北京、上海、ソウル、済州島に日本音楽情報センターを設けて、現地での若い人たちに日本のJポップ情報を流しております。その結果は非常に日本に対する好感度が上がっています。そして、その子弟は家庭に帰って両親あるいは祖父母にその状況を非常にいい形で伝える。結果として、今そういう人たちは非常に日本に対していい印象を持っています。
 そういうことで、東南アジアをまず善隣友好、まず一衣帯水の中国、韓国、台湾、その辺からまず我々は海外進出をしたいと、こういうふうに思っているわけでありまして、そのためにはやはり現状は還流を止めていただければかなり積極的な現地でのマーケティング活動ができるという点でございますので、還流ということに、海外展開という意味からいいますと、現状はまずそこでドアを開けたいというふうに考えております。
 ほかにもございますが、取りあえずそういうことで。
○山本香苗君 ありがとうございました。
 次に、貸与権の関連でお伺いしたいと思っております。
 今回、この貸与権が付与されることによりまして、今、先ほどは韓国の例を意見陳述の中でお伺いさせていただきましたけれども、現在におきます我が国において、いわゆる大型のレンタル店等々が出てきている現状の中で被害というもの、どういった打撃を実際受けているかという点につきまして、まず弘兼参考人の方からお伺いをさせていただきたいと思います。
○参考人(弘兼憲史君) お答えします。
 資料の、お配りしました資料の二ページにも表しておりますけれども、コミック、雑誌の売上げが徐々に落ちている。これは単に、確かにレンタルコミック店だけではなくて、新古書店とか漫画喫茶、あるいはひょっとしたら図書館の副本もその原因かもしれませんけれども、そういう一連の中でこういう形で数字的に表れているということなんですね。
 したがって、明らかにレンタルコミック店ができたからどんどんこれが、売上げが落ちたという明らかな数字ではないですけれども、全体的に見たらそういうこと。ということと、あとそれから、書店のやはり倒産件数もかなり増えてきている。これは、直接これに関連するかどうか分かりませんけれども、間接的には関連していることは間違いないと思っております。
○山本香苗君 次に、若松参考人の方にお伺いしたいわけなんですけれども、レンタル利用されている方というのは若い人たちが多いと思うんです。非常にこの点、この貸与権が付与されたことに、どうなるかということで私のところにたくさんメールが来たりしているわけなんですけれども、実際こういった形で貸与権が付与されると。今、作家の皆さん方とそのレンタルの間、いろんな形で話合いがなされて、公正な形でというお話でございましたが、具体的に、例えばこうした点が変わるんではないかと、今後話合いの中でそれを解決していきたいと、そういった検討課題というものをどう認識していらっしゃるか、お伺いさせていただきたいと思います。
○参考人(若松修君) 現在、コミックレンタル店は全国で約三百店ほどというふうに見られております。その多くが先生御指摘のように小中学生などが主なユーザーになろうかと思います。
 それで、今後の当然話合いによりますけれども、作家の先生たちとの協議によって一定の使用料、著作権使用料というものが発生することが当然予想されます。その結果、いわゆるレンタル料、料金というものが若干プラスされるだろうというふうに想定されます。
 これは私どもの貸しレコードの例で申しますと、やはり二十年前にちょうどこれと同じような場面に遭遇したわけでございますけれども、その際にユーザーのアンケート調査を取りましたところ、八五%のユーザーが、つまり著作権を保護するためにその使用料を支払うことに理解を示したということがございまして大変心強く思った記憶がございますが、今回もそうやってもし何がしかの条件が定まれば、私たちはまずユーザーに対する啓発活動をまず進めて理解を得ようというふうに考えております。
○山本香苗君 ありがとうございます。
 最後に一点。今、事務局を立ち上げてこの貸与権の管理センターを準備されていらっしゃるという話、もうちょっと詳しくお伺いできればなと思うんです。
 というのは、レコードの場合と違って、また作家の方々との間でいろいろやらなくちゃいけない、これがうまく起動しなくちゃいけないわけでございまして、弘兼先生の方にまずこの進捗状況についてお伺いし、また若松参考人の方から望むべき姿みたいなものをお伺いできればと思います。
○参考人(弘兼憲史君) お答えします。
 現在、着々ともう出版物管理センターというものを作り上げる方向に向かっておりまして、一月、来年の一月までにはある程度形を整えていきたいというふうに考えております。
 これは、著作権者がこの出版物管理センターに、貸与権管理センターに実はどれぐらい入ってくれるかは、大体予期しておるところではやっぱり八割、九割ぐらいは入っていただけると思いますけれども、これに入らない方は違法にレンタルされたときにでもその権利を行使できないという形なので、そういうマイナス面から考えれば、これに入らないというふうに意思表示をされる方は大変少ないと思います。したがいまして、ほとんどの方がここに入っていただくと。
 それによって、その権利を管理センターに委任しまして、というのは、一々、我々の職業柄、そういうことにかかわっておる時間がないので、委任という形で、自分の本がどれぐらい売れたかという度数ではなくて、割とアバウトな形で許諾料をいただくということに我々は同意しております。
○参考人(若松修君) 実は、今、弘兼先生が御説明なさいました貸与権管理センター構想でございます。これは、コミックレンタルを想定したスキームなんでございますが、実は今回の貸与権が付与されますと、一般書籍にまで当然貸与権が及ぶわけでございまして、ここは実は私もまだ不案内なんでございますけれども、一部レンタル店の中には一般文芸書をレンタルしているお店がございます。それから、営利を目的とした民間図書館というものがどうやらあるようでございまして、ここにほとんど網がかぶってしまうということを想定しますと、コミック作家の先生以外の、つまり一般文芸作家となりますと、これは数千人の規模になろうかと思うんですけれども、こういった方々の許諾をどのような形で取得していくかということが今後相当大きな問題になろうかと思いますし、幸い、この件につきましては作家の皆様も一応認識いただいているようでございますので、何とか話合いで解決できればなというふうに考えております。
○山本香苗君 どうもありがとうございました。
○林紀子君 日本共産党の林紀子でございます。今日は三人の皆様、ありがとうございました。
 まず私は依田参考人にお聞きしたいのですが、消費者の間から大変、これは実は日本人音楽家に限らず、輸入を禁止することが可能になる法案ではないかなどというようなメールが大分たくさん寄せられておりまして、まずそのことをお聞きしようと思いましたが、最初のお話の中で大変分かりやすく依田参考人から御説明がございました。今ももうこれ以上言いようがないというお話もありましたけれども。
 一つ、どうして消費者がなかなかこういうことの疑念を持っているのかということに対しては、一つは、先ほど若松参考人の方から、エアロスミスのCDの例を引きまして、日本の国内盤のプレスでは二千九百四十円だけれども、同じような仕様であっても一九%海外輸入盤は安い、もっとシンプルにすると二九%も安いんだというお話ありましたけれども、今回の還流防止ということに対しましては利益が不当に害される場合というふうになっているので、この約二〇%、三〇%安いということがやはりこの利益が不当に害されるというところに引っ掛かって、それじゃやっぱり輸入盤も禁止になってしまうのではないかという思いがあるんじゃないかというふうに思っているわけですが、この辺についてはどのように御説明をいただけますでしょうか。
○参考人(依田巽君) お答えします。
 価格につきましては、そのアーティストあるいはそのジャンル、あるいはそのアーティストのそのときそのときのヒット状況等によりまして、価格的には強含みの場合もありますし、あるいはまた価格的には戦略を取る場合もあります。その結果として、今、日本のレコードの市中流通の平均販売価格が二千三百十五円、大体二千五百円以下のものが四一・五%のリリース料になっているということです。
 しかし、そうはいいましても、宇多田ヒカルさんであるとか浜崎あゆみさんであるとかGLAYであるとか、そういう作品は確かに三千円で売られますが、しかしそれはトータルのビジネスでございますから、あれもこれも全部安くしろといったら、我々日本では生活できないわけでございますよ。
 ですから、そういう意味でずっと申し上げていますのは、日本という国が持っている高コスト構造、これは決してCDだけではございません。すべての産業がそうでございますから、それが物によってはアメリカから比べれば三割高いかもしれませんが、しかしそれを下げようとする努力をどうするかということで、我々は今、映像ビジネスに入って、映像であるDVDの抱き合わせ、あるいは近い将来DVDとCDの複合化とか、いろんな動きございます。結果的には、レコード産業としては、いかにパイを広げるかという努力をする上においては価格戦略は一つの戦略ですから、そういう意味で、決して価格高止まりを望むんではなくて市場メカニズムで決めておりますので、そういう意味で、ちょっとこの論議になりますと、特定のそういうCD等を参考にして二千九百円と千七百九十円と言われても、それでは、じゃ千九百九十円で売っているアルバムもある、二千三百円のアルバムもあるわけでございまして、そこのところはトータルとして産業界として見ていただきたい。
 それで、日本のレコード業界は、過去十年で大幅な人員削減を行い、企業努力をして、本当にもう利益はほとんど出ない状態の中で何とかビジネスを続けているという状況でございますので、その辺は是非御理解いただきたいと思います。
○林紀子君 それから、もう一つ消費者の方たちがおっしゃっているのは、再販制度との関係ですね。
 私たちは、この再販制度というのは、先ほど御説明がありましたように、北は北海道から南は沖縄までどこでも同じように文化が享受できる、これはどうしても必要な制度だというふうに思っているわけですね。しかし、消費者の方の中には、再販制度があるじゃないかと、それにまた還流防止が二重に規制として掛かるというのはほかの外国にも例を見ないというような言い分の方がいらっしゃるわけですが、その辺についてはどのようにお答えになるのでしょうか。
○参考人(依田巽君) お答えします。
 先ほども御説明申し上げたと思いますが、重複は避けますが、要するに、再販制度というものは価格を高止まりするためにあるものではなくて、作家、実演家が作った作品をきちんと、価格あるいは価格帯あるいは数量にこだわらずにきちんとした創作活動の結果として作品が世の中に出ていく、それを、企業のいわゆる合理性、企業の価格を追い求めるいわゆるそういう価格政策で、売れないから扱わないとか、そういう意味での、一般的な工業製品と違いますから、ですから日本の文化を考えますと、世界で最も広いジャンルの音楽文化を我々は維持しておるわけでございます。
 これはもう本当に再販がなかりせばということでございまして、例えば、先ほど申し上げましたが、五百枚、千枚、二千枚のCDでも、我々はその音楽文化にとって必要なものは作り続けているわけでございます。その結果は確かに採算性は悪いんですが、しかしやめてしまったら日本から音楽文化はなくなるんですね。そういう意味で、いったん出した商品は一定期間はきちんとした価格で販売してください、その価格に基づいて権利者には分配をしますということであります。今日売った商品があした三割引きになってしまっては、権利者に支払う価格の根拠はどこに行くのかという問題がございます。
 そういう意味では、これはCDのみならず、新聞あるいは書籍物もそうでございますが、我々はそういう意味で、一定の期間、それまで二年だったものが一年になり、六か月に縮まってきています。一定期間、販売価格、維持をされたその価格に基づいて権利者に、国内に、海外に、すべての権利者にきちんとした対価としての報酬を払う、ロイヤリティーを払うという意味が、それが再販制度でございます。
 ですから、レコード輸入権、要するに再販問題とレコード還流防止措置とは全く次元の違うものであるという御理解をいただきたいのは、その辺のポイントであります。
○林紀子君 今度は若松参考人とそれから依田参考人にもお伺いしたいのですが、日本経済団体連合会が「「知的財産推進計画」の改訂に向けて」ということで、前提条件が変化した場合や消費者に与える影響が予想と異なった場合には、輸入権は役割を終えるべきであるというふうに言っておりますけれども、そして、音楽CDの還流防止措置について、法施行後一定期間経過後に見直すことを明らかにするべきだということを表明しております。こういう方向についてはどのようにそれぞれお考えになりますでしょうか。
○参考人(若松修君) 私は、基本的には経団連が出されましたあの指針については全面的に賛成いたします。
○参考人(依田巽君) 賛成でございます。
 その方法につきましては、制度設計につきましては専門の方あるいは国会の機関で決めていただければと思います。
○林紀子君 それでは、今度は弘兼参考人にお伺いしたいと思います。
 今、最初に御説明くださいまして、資料もいただきましたけれども、これを見ますと、コンテンツ産業におけるコミックの占める位置というのは本当に随分大きなものがあるんだなということを感じました。世界に誇るコミック界というふうなお話もございましたし、リターンのないところに優秀な人材は集まらないというお話でした。
 私たちの周りを見ましても、漫画家になりたいという若者たちというのは結構たくさんいるわけですね。だけど、なかなかそう皆さんが漫画家になって成功するというのは難しいのかとも思うわけですけれども、しかし、今大変広い底辺があると思うわけですので、今回のこの法改正とは直接関係がないかもしれませんけれども、そのトップに立っていらっしゃる方、それからその底辺の方たち、それぞれ大変なところはあると思いますが、その一番底辺のところというか、これから育っていく若者といいますか、漫画家の人たちの今の状況がどういうふうになっていて、そして、この貸与権というのが実際に実行され始めましたら、そういう方たちにも還元をしていくものというのはどういうことになっていくのか。なかなか統計的などというものはないかもしれませんが、ふだん身近に接していらっしゃるところで何かありましたら、状況をお聞かせいただけたらと思います。
○参考人(弘兼憲史君) お答えいたします。
 現在、実は若年層のコミックの売上げは減少しております。といいますのは、若年層には新しいエンターテイメント分野と申しますか、ゲームとか、それからアニメーションもありますけれども、あと携帯電話とか、そういう形でお金をそちらの方に消費してしまうということで、コミックそのものの売上げが少し少なくなっているということと、これは我々出版業界も少し考えなければいけないことだと私個人は思っておりますけれども、若年層のコミックの内容が、ゲーム業者とのコラボレーションという形で、ほとんどゲームを主体にした漫画になっている。かつての少年漫画にあったような、「野球少年」とか元気な「いなかっぺ大将」のような、ああいう形のコミックがだんだん少なくなっているというのは、残念ながらこれが現状でございます。
 とは逆に、コミックを読む年齢層が高くなっているというのもこれまた事実でございまして、実は我々団塊の世代、私は昭和二十二年生まれなんですけれども、子供のころずっと漫画で育ってきた世代で、この世代が二〇〇七年には定年を迎えます。その定年した後にもう一回漫画に返ることは可能であろうということで、六十歳以上の人間、人たちが読むに足り得る内容の漫画があれば、それはまたそれで新しくシルバーコミック市場ということも期待できるので、実はこちらの方を私は少し、つまり日本の漫画の読者人口を引き上げていくというのが一つの大きな流れになるべきではないかと思っておりますが、現在は、なかなか難しくて、いろいろ試行錯誤している状況でございます。
○林紀子君 どうもありがとうございました。
 そうですね、シルバーコミック世代とおっしゃいましたけれども、もう若いときからやはりコミックに親しんで育ってきた方がもうシルバー世代になっているという状況なのかと思いました。
 どうもありがとうございました。
○山本正和君 十分に勉強させていただきましたので、ありがとうございました。
○委員長(北岡秀二君) よろしいですか。よろしいですか。
○山本正和君 はい。
○委員長(北岡秀二君) じゃ、以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、参考人の皆様方に一言お礼のごあいさつを申し上げます。
 大変お忙しいところ、長時間にわたりまして貴重な御意見いただきました。
 先ほどからいろいろ御意見がございますとおり、私どもも、知的財産、これから国の中でどう取り扱うかということには非常に関心がございますし、なおかつ、日本の国がこれから大きく発展をしていく過程の中でも大変重要な位置付けのものだということを我々は認識をしております。そういう観点で、最前線の現場でのいろいろな課題を、忌憚のない御意見をいただきまして、私どもも大変参考になりました。今後の議論の上で生かさせていただきたいというふうに感じております。
 本当にお忙しい中、長時間にわたりましてお付き合いをいただきましたこと、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして、心から御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。(拍手)
 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午前十一時三十六分散会