第159回国会 イラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会 第13号
平成十六年六月一日(火曜日)
   午後三時開会
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   委員の異動
 五月二十八日
    辞任         補欠選任
     愛知 治郎君     藤野 公孝君
 五月三十一日
    辞任         補欠選任
     有村 治子君     松山 政司君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         清水 達雄君
    理 事
                田村 公平君
                常田 享詳君
                舛添 要一君
                齋藤  勁君
                若林 秀樹君
                高野 博師君
                小泉 親司君
    委 員
                大野つや子君
                小泉 顕雄君
                西銘順志郎君
                野上浩太郎君
                福島啓史郎君
                藤野 公孝君
                松村 龍二君
                松山 政司君
                三浦 一水君
                森田 次夫君
                山崎  力君
                池口 修次君
                岩本  司君
                神本美恵子君
                佐藤 道夫君
                榛葉賀津也君
            ツルネン マルテイ君
                平野 達男君
                森 ゆうこ君
                吉岡 吉典君
                吉川 春子君
                大田 昌秀君
   国務大臣
       外務大臣     川口 順子君
       国務大臣
       (防衛庁長官)  石破  茂君
       国務大臣     井上 喜一君
   副大臣
       外務副大臣    阿部 正俊君
   大臣政務官
       防衛庁長官政務
       官        中島 啓雄君
       外務大臣政務官  荒井 正吾君
   政府特別補佐人
       内閣法制局長官  秋山  收君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鴫谷  潤君
       常任委員会専門
       員        田中 信明君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官       増田 好平君
       内閣官房内閣審
       議官       大石 利雄君
       警察庁警備局長  瀬川 勝久君
       防衛庁運用局長  西川 徹矢君
       防衛施設庁業務
       部長       土屋 龍司君
       消防庁長官    林  省吾君
       外務省北米局長  海老原 紳君
       外務省条約局長  林  景一君
       文部科学省スポ
       ーツ・青少年局
       スポーツ・青少
       年総括官     高杉 重夫君
       海上保安庁長官  深谷 憲一君
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  本日の会議に付した案件
○武力攻撃事態等における国民の保護のための措
 置に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国の軍隊
 の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
○武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用
 に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○国際人道法の重大な違反行為の処罰に関する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
○武力攻撃事態における外国軍用品等の海上輸送
 の規制に関する法律案(内閣提出、衆議院送付
 )
○武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間に
 おける後方支援、物品又は役務の相互の提供に
 関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間
 の協定を改正する協定の締結について承認を求
 めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約
 の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追
 加議定書(議定書T)の締結について承認を求
 めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約
 の非国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する
 追加議定書(議定書U)の締結について承認を
 求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(清水達雄君) ただいまからイラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る五月二十八日、愛知治郎君が委員を辞任され、その補欠として藤野公孝君が選任されました。
 また、昨日、有村治子君が委員を辞任され、その補欠として松山政司君が選任されました。
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○委員長(清水達雄君) 武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律案外九案件を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○神本美恵子君 民主党・新緑風会の神本美恵子でございます。
 今日は有事関連の法案の質問に入ります前に、これは通告していなかったんですけれども、イラクにおける二人のジャーナリストの方がお亡くなりになった襲撃事件についてですが、このお二人の方がお亡くなりになったということで、まず心から御冥福をお祈りしますとともに、御家族の方には、御遺族の方には心から哀悼の意を表したいと思います。
 その上で、これは官房長官の記者発表で、まずは何よりも、小川功太郎さんは御遺体の確認ができたということですけれども、橋田さんの方はまだきちんと身元確認ができていないということで、一刻も早く政府としては身元を確認をしたいというふうなことが記者発表されているんですが、政府として、この襲撃がどのような状況で起こったのか、その犯人はだれなのか、また日本人と知ってねらわれたのかというような、この事件の背景というようなことを是非とももう全力を挙げて真相解明をしていくべきではないかと、そのことを官房長官お述べになっていらっしゃらないんですけれども、当然、余りにも当然だから述べていらっしゃらないのか、通告していなくて申し訳ないんですが、外務大臣、このことに関して、まず冒頭にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(川口順子君) このお二人の方がお亡くなりになったことにつきましては、橋田さんの方につきましてはまだ御遺体が御家族によって確認をされるという状況にはなっておりませんけれども、このお二人が亡くなられたことにつきましては私も心から哀悼の意を表させていただきたいと思っております。
 それで、その上で、状況について、事実関係、分かっていることもございます。これについてはかなり報道で出ておりますので既に委員もお聞きでいらっしゃるかと思いますけれども、必要でございましたら申し上げますし、時間がということであれば、これは省かせていただきたいと思いますが、いずれに……
○神本美恵子君 簡潔に。
○国務大臣(川口順子君) 簡潔に。はい。
 それでは、五月の二十七日の現地時間の八時半ごろにイラク大使館にイラクの方がいらして、これについての情報提供がございました。それで、それによりますと、バグダッドの南方の約三十キロのマフムーディーヤというところの近くで、日本人二名、イラク人運転手、イラク人通訳の乗る車両がバグダッドに向けて進行中に襲撃をされたということでございます。それで、爆発、炎上をしたということでございました。それで、イラク人の運転手及び日本人一名は脱出をした。残りの日本人一名、イラク人通訳は炎上した車の中に取り残された模様であるということでございまして、現実にそうであったということでございます。
 それで、犯人がその脱出をした日本人一名を連れ去って、翌日の二十八日に現場から十キロ離れたユーセフィーヤにおいて遺体で発見をされた、これは小川さんでいらっしゃいますけれども、発見をされたということでございます。翌日に、二十八日の午後でございますね、イラクの大使館員が病院に赴いてその御遺体と対面をしたということでございます。それで、御遺体はその後、クウェートに搬送されたということでございます。
 それで、日本政府といたしまして、委員がおっしゃられますように、今後、今なかなか、もう少し詳しく分かっておりますけれども、今ちょっと省きましたが、それについて分からないことも更にございます。現場の治安の関係でなかなか制約が、事実関係については制約があるということは確かでございますけれども、これはまず第一義的にイラク警察、CPAでございますが、CPA及びイラク警察がこれを担当しておりますので、こういったところと協力をしながら、制約はございますけれども、日本としてできるだけこの事情あるいは理由、犯人といいますか、その襲撃をした人間がどういう人間であった等々について確かめていきたいというふうに考えております。
○神本美恵子君 それでは、今日、私は国民保護法案を中心に御質問をさせていただきたいと思います。
 まず、井上大臣に、日本国憲法では、もう言うまでもなく平和主義、基本的人権の尊重、それから国民主権という大きな三つの柱を理念として持っているんですけれども、この国民保護法案を始めとする有事関連の法案、有事法制ですね、これと憲法とはどのような関係にあるのかということについて、まず、もう大枠のところで憲法とこの有事関連の法案についてのお考えをお示しいただきたいと思います。
○国務大臣(井上喜一君) 申すまでもなく、憲法というのは日本のこれは国内法規としては最高の法規でありまして、すべてのルールが憲法の範囲内の中じゃないといけないということでありますし、条約におきましても、条約というのは両説ありますけれども、これまでの運用におきましては条約を実行するための国内法規を作らないと実行できないような、そういうことでありまして、正に名実ともに憲法というのは最高法規だと、そんなふうに考えております。したがいまして、このたびのこの国民保護法制等七法案ですね、いずれも憲法の規定に沿うもの、その範囲内にあるものというふうに理解しております。
 特に問題になりますのは、自由でありますとか人権につきまして、この制約は正に公共の福祉に沿うような最小必要限度のものであるということでありまして、この点が今お触れになりました憲法との関係におきましては一番の問題になるところだろうと思いますけれども、これらにつきましても、私どもは憲法の範囲の中で最小必要限度の自由なり人権についての制約を設けたと、こういうことであります。
○神本美恵子君 憲法の枠内であるというお話だったと思いますけれども、この有事法制は、これはもう本当にあってはならないことですけれども、万々が一我が国が武力攻撃を受けたときにこれに対応するということで今審議されているんですけれども、憲法前文の平和主義と、それから九条の戦争放棄の規定を持つ我が国としては、まず第一に、こういった武力攻撃を受けることがないように外交努力その他で環境整備をしていくということがこの日本国憲法の精神であるというふうに思います。
 そこで、外務大臣にお伺いしたいんですが、憲法の前文ではそのことをはっきりと宣言しております。特に前文の後段の、二つ目のパラグラフですかね。「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」。
 正に、諸国民の公正と信義に信頼して、安全と生存を保持するということを決意したということから考えれば、この有事法案はもしかしたらどこかが攻めてくるかもしれないということを前提としたものでありますから、私はこの精神とは相入れない部分があるのではないか。あるいは、憲法の枠内と井上大臣はおっしゃいましたけれども、憲法のこの理念、精神を内側からどこかゆがめていく部分があるのではないかというようなことを、私はそういう疑念を持ちながら今日の質問に立っておりますが、この有事法制が特定の国によって武力攻撃が行われるということを念頭に置いたものではないというふうに政府はこれまでの審議の中で御説明なさっています。しかし、特に太平洋戦争において日本が侵略をした国々、アジア諸国を中心とする諸外国にそういうあらぬ誤解を与えぬようにする必要があるのではないかと思います。
 そういった意味で、政府としてはどのようにそういったアジア諸国を中心とする諸外国への説明なり、日本は憲法前文でうたっている諸国民の公正と信義に信頼したこれまでと同じように外交をやっていくんだということについて、外務大臣のお考えをお示しいただきたいと思います。
○国務大臣(川口順子君) 国の独立と主権、そして国民の安全を守るということは、我が国にとって非常に重要なことであると考えております。そういう意味では、平素から備えあれば憂いなしということを言葉で申し上げておりますけれども、そういった考え方に立って、我が国が武力攻撃を、我が国に対する武力攻撃、これに対応をする、対処をする体制を作っておくということは国としての責務であると考えております。それで、それがもちろん我が国の憲法の下で行われるということは当然のことでございます。
 外交ということですけれども、これは外交によって我が国の平和と安全、安定、これを守っていくということであります。したがいまして、外交を行うことによって我が国に対する武力攻撃を未然に防止をするということが重要であるというふうに考えております。
 そういう意味で、我が国としては、もちろん近隣の諸国との二国間ベースでの友好関係ということをもって維持していくということが大事でありますし、また広く国際社会全体が平和であって安全で繁栄をしていくような、そういった努力をしていくということも重要である。これは外交の役目であると私は思っています。
 そういったことに、考え方に基づいて外交というものに取り組んでおります、外交に取り組んでおりますけれども、このおっしゃった有事法制、これについて、おっしゃるように透明性を持った形で近隣の諸国に説明をしていくということは大変重要なことでございます。したがいまして、今までもそういった説明はしてまいってきております。理解をいただいていると考えております。今後ともそういった努力、説明をしていく努力、透明性を持って説明をしていく努力、これは引き続き継続をしていく所存でございます。
○神本美恵子君 次に、具体的に条文に沿って質問をしていきたいと思いますけれども、まず基本的人権の尊重ということについてでございます。
 これは第四条、「国民の協力等」というところの四条二項で、協力は国民の自発的な意思にゆだねられ、要請に当たり強制にわたることがあってはならないというふうになっております。第五条の「基本的人権の尊重」の二項では、国民の保護のための措置を実施する場合において、先ほど井上大臣おっしゃいましたが、国民の自由と権利に制限が加えられるときであっても、制限は必要最小限のものに限られというふうにされております。しかし、この強制があってはならないというところと、四条のその規定と、五条の制限は必要最小限、強制があってはならないけれども必要最小限の制限はあるということですよね。これは矛盾しないのかなというふうに私は思うんですね。
 それで、強制されないということをどのように担保していくのか。必要最小限というその基準はどこで決められるのか。公共の福祉に違反しない限りという、何かそことの関係があるんでしょうけれども。
 それから、五条の二項のところに、二項の後段には、「思想及び良心の自由並びに表現の自由を侵すものであってはならない。」というふうにあります。そのことをどう担保するのかというようなことについて井上大臣にお伺いします。
○国務大臣(井上喜一君) 原則的な考え方は、基本的人権あるいは自由を尊重するということでありますけれども、しかし、国民を保護するためにどうしても最低限そういった人権なりあるいは自由を制限せざるを得ない場合があるわけでありまして、そういう点に照らしまして、正に客観的に必要と認められる最小必要限度にとどめるということでございます。
 したがいまして、手続におきましても大変慎重な配慮をいたしておりまして、物資の収用、例えば医薬品が足りない、医薬品を調達しなきゃいけないというような場合に、医薬品を持っている人から買い上げる、そういう場合に、どうしても買上げのための措置を取らないといけないような場合がありまして、そういう場合には買上げを強制するというようなことがあるわけであります。その場合にも要請をいたしまして、その後、そのような措置を取るということでありますし、また土地等の収用につきましても、どうしてもその土地が必要だといいます場合にも、まず要請をいたしまして、それでもどうしてもこの話合いが成立しない場合にこの収用の手続を取るということでございます。
 それから、医療ですね、お医者さんにお願いいたします場合も、これも要請をいたしまして、どうしてもそういうお医者さんの協力が得られない場合には、これは強制をするということではなしに指示をいたしまして、その協力を求めると、こういうことにしているわけでありますが、このお医者さんなんかの場合にはその罰則で担保をするということじゃないわけですね。あくまで最終的にお医者さんの協力が得られるかどうかはお医者さん自身の意思によるということになろうと思うんです。
 そういった措置を取っているわけでございますし、さらにこの表現の自由なんかにつきましては、指定公共機関に放送ですね、機関を加えると。ひとつ協力をしていただきたいと考えておりますが、この場合にも必要なこと、つまり迅速に的確に一般の国民に知らせなくちゃいけないことがございます。
 例えば、対外的な武力攻撃があって避難をしないといけないというような場合等々ですね。そういう場合にはその協力を求めることになるわけでありますけれども、指定公共機関が業務計画を作ります場合にも、それはもう正に自主性に基づいて業務計画を作っていただくと。政府がお願いする部分、例えば警報だとか避難等につきまして、その部分については迅速に的確に放送していただきたいということでありまして、それ以上の規制を加えるということは考えていないわけでございます。
 恐らくは、その場合に必要な助言をすることがあります。指定公共機関、特に放送機関が業務計画を作ります場合に助言をすることがありますけれども、これは助言を行う、するということは中身を是正するということではなしに、いろんな情報の提起をするということでございまして、私どもとしましては、基本的にこの表現の自由につきまして、とかく規制をしていくという考えはございません。
 そういうことで各、そういう人権とか自由に関連する部分につきましても最大限、この何といいますか、自由とか人権を尊重していくことでございまして、規制の部分についてはもう最小必要限度にとどめているというふうに考えております。
○神本美恵子君 手続的に、その最初は要請をして、そしてそれでも拒否された、その要請に応じてもらえないときは、物資であれば、医薬品とかであれば押収するということもあるということですか。今の御説明でいくと必要最小限ではあるけれども、要請に応じない場合は強制的にそれを応じさせるという場合があるというお話だったというふうに私は受け止めたんですけれども、それでよろしいんですか。
○国務大臣(井上喜一君) 強制的に収用いたします場合も、今みたいに押収するというようなことじゃございませんで……
○神本美恵子君 言葉違ったんですか。
○国務大臣(井上喜一君) 正常な対価をもってそれはもう支払うわけであります。ですから、医薬品であれば医薬品を売っていただく、それを強制をするということでありまして、必要な対価はお支払をするということであります。
○神本美恵子君 それにしても、ここのところは二条、二条じゃない、ごめんなさい、四条で、国民の協力のところで、要請に当たり強制にわたることがあってはならないというふうになっているところは必ずしも全部が担保されるわけではないということですね。そういう、そこは一つ、私は疑念といいますか、四条と五条が矛盾するのではないかということを指摘しておきたいと思います。
 それから次に、六条のところで「国民の権利利益の迅速な救済」ということで書かれておりますけれども、これに関しては民主党も衆議院で修正案の中で、の附帯決議として盛り込んでおりますけれども、実際に国民の保護のために措置が実施される事態を考えたときに、累次の行政機関に対する不服申立て、訴訟などが相当数同時に提起されることが想定されるのではないかというふうに思います。そういった場合に、解決に十年、二十年というふうに掛かることも考えられて、それはとても迅速な救済とは言えないと思います。
 このような事態に対応するために何か具体的な方策というものが検討されているんでしょうか。
○国務大臣(井上喜一君) 今お触れになりましたように、衆議院の審議におきましてこういう不服等の申立てなり訴訟につきまして、迅速に対応するということで審議が行われ、あのような附帯決議になったわけでございますけれども、私どもとしましては、どういうような状況が起こるか分かりませんけれども、いずれにしましても、その不服の審査方法なりあるいは行政事件の訴訟法に基づいて、事件といいますか、事案がスムースに解決できるように対処しなくちゃいけないと思っています。
 したがいまして、いっときに非常に多くの事案が出てきた、出てくるような場合は、その事案を処理するような体制作りも必要だと思っておりまして、これらのことにつきましてはもう少し具体的に検討いたしまして、そういう対処の指針の中ではっきりさせていきたい、そんなふうに考えております。
 衆議院におきます附帯決議につきましては、私ども十分よく承知をいたしておりまして、そこは審議の中で明らかにされましたことにつきまして的確に対応できるようにいたしたい、そんなふうに考えております。
○神本美恵子君 戦争が起こると、最初の犠牲者は真実であるというような言葉を聞いたことがあります。正に思想、良心、表現の自由が真っ先に統制、弾圧の対象になるという、これは経験の中から出てきたのではないかと思います。
 先ほど、四条、五条で書かれていること、本当に強制にわたることがない、思想、良心の自由といったようなものにも強制、そこまで制限することにはならないということをお伺い、ならないの、矛盾しないのかということでお伺いしましたが、本当にそのことが担保されるのかどうかということについては、先ほどの御説明では私はまだ今ひとつ納得しかねております。
 今後、今の権利救済のこともですが、基本指針や計画や業務計画等で具体的にそこが明らかになっていくと思いますけれども、その基本指針や計画、あるいは業務計画を立てるときにも、この基本的人権の尊重ということが憲法で規定する侵すことのできない永久の権利としてきちっと担保される、保障されるようにということをしていかなければ、正に公共の名の福祉、公共の福祉の名の下にそのことが強制につながっていくようなことになれば、憲法の内実を崩していくことになる、その枠内であると言いながら、枠の中で憲法の内実が崩されていくということになるのではないかということを指摘をしておきたいと思います。
 次に、保護の対象ということについてお伺いをしたいと思います。
 政府は、この間の審議の中で、この国民というものについて、日本に居住し又は滞在する外国人の生命、身体及び財産についても武力攻撃から保護すべき対象というふうに御答弁をされていると思います。
 そうしますと、この国民の保護のための措置を実施するに当たって、外国人も当然含まれるわけですから、その外国人に対してはどのような配慮を行われるのか。特に、この保護法案の中で、警報の発令、避難の誘導というようなことが行われるようになっておりますが、外国人の方については、長く日本に住んでいらっしゃる方はそうではないかもしれませんけれども、日本語がまだ十分でないというような方については言葉を始めとして様々な問題が生ずることが考えられますが、これについてはどのように対応されるお考えか。大臣と、それから実際、具体的には市町村なり自治体が対応するでしょうから、総務省の方からもお伺いしたいと思います。基本的な考え方と、総務省とですね。
○政府参考人(大石利雄君) お答えいたします。
 国民保護法案におきましては、外国人もその保護の対象にいたしているわけでございます。武力攻撃事態等におきまして、いかに必要な情報を的確にこういった外国人の方に提供するか、その在り方につきましては、これから、法案成立後策定いたします基本指針の策定過程におきまして、関係省庁と十分相談しながら検討してまいりたいと考えておりますけれども、特に御指摘ございましたように、外国人の方に対する警報の伝達、それから避難誘導、これがスムーズに行われる必要があるわけでございまして、その際には、市町村が消防を中心として指揮を行いながら、警察と協力しながらきめ細かな配慮の下に円滑に行えるように十分基本指針策定過程で検討してまいりたいと考えております。
○委員長(清水達雄君) 井上国務大臣。
○神本美恵子君 次の質問と一緒に。
 じゃ、今のことと、次に、一口に外国人と言ってもいろんな方がいらっしゃいますので、どこから、どこの国が攻めてくるか分からないんですが、その攻めてきた国のいわゆる敵性外国人というんですか、敵国民というんですかね、そういう方も当然出てくると思うんですね、そういう存在にならざるを得ないというか。そういった方についての対応については、この法制の整備の中で政府内で特に検討、どのような検討がなされたのかということをお伺いしたいと思います。大臣に。
○政府参考人(大石利雄君) お答えいたします。
 外国人につきましては、いわゆる敵国、敵性外国人と申したらいいんでしょうか、そういう方でございましても外国人としては同様に国民保護の対象にするという考え方でございます。
○国務大臣(井上喜一君) 日本の法律は、特別に日本国民だけを対象にした規定につきましては、もとより日本人だけに対象になるわけでございますが、一般的にはそれらの外国人にも適用されるわけでございまして、特別に外国人であろうと、あるいは敵性の外国人であろうと一般の日本国民と区別をして考えるということは全体としてはしておりません。
○神本美恵子君 具体的には、先ほど総務省の方では、これから基本指針なり計画の中で詰めていくというお話ですが、基本的に区別をして取り扱うことはないと。
 ただ、関東大震災のときに外国人に対して、御承知のように、検問とか排除とか虐殺などで多くの方を死に追いやったというような経験を持っていると思うんですね。そんなことが起きないように、本来ならば、国民とはだれかということを、今大臣おっしゃったようなことをきちっとこの法案の中に明示して、在日外国人や一時滞在者も含むすべての日本国内居住者であるというようなことを明記すべきであると思いますし、また、外国人に対する不当な差別を禁止するというような条文もどこかに明記すべきではなかったかなと。これから基本指針なり計画の中ででもそういったことを明記すべきではないかというふうに私は思っております。
 それから次に、国民の協力ということについてお伺いしたいと思います。
 国民の協力は、先ほどもちょっと読みましたように、第四条で任意的なものというふうに規定されていますけれども、第四十二条「訓練」、七十条「避難住民の誘導への協力」、それから八十条「救援への協力」、百十五条「消火、負傷者の搬送、被災者の救助等への協力」、百二十三条「保健衛生の確保への協力」というふうに、具体個別的な協力についての規定がありますよね。この個別の協力の規定が置かれている理由は何なのか。
 百六十条の第一項では、四十二条の訓練を除いて、要請を受けて行った協力により生じた損害の補償について規定がされております。
 政府の考え方としては、この国民の協力というのは限定的なものであって、その限定された、要請された協力について損害、損失が出た場合にはその補償をしますよというような、そういうふうな考え方なんでしょうか。これ以上の協力というのは考えていらっしゃらないのか、いかがでしょうか。
○国務大臣(井上喜一君) 国民を保護をするということのためには、単に国とか地方公共団体とかあるいは指定公共機関だけではなしに、広く国民の、何といいますか協力が必要だと思うんでありますけれども、ここで言っております協力は、特に国民保護のために必要なものというのに限定をいたしまして書いているわけでございまして、これ以外に全く国民の協力が必要ではないのかといったら、そういうことではございません。保護の中心を成すものにつきましてここに記述をして特別に国民の協力を求めていると、こういうことでございます。
○神本美恵子君 ということは、そもそも協力の要請を受けた、限定された、そこについては損害の補償を受けるというふうになっているわけですよね。
 そうすると、第四条の三項で、自主防災組織やボランティアにより行われる国民の保護のための措置に資するための活動に必要な援助を与えるというふうに書かれておりますけれども、この規定と併せて読みますと、片方は、要請された協力について損害が出たときには補償しますよと、自主防災組織やボランティアは自主的なものでありますからこれについては損害の補償がない、しかし、四条の三項では必要な援助を与えるというふうに書かれていますが、ここの関係はどうなっているんでしょうか。
○国務大臣(井上喜一君) この自主防災組織とかボランティアといいますのは、正に国民の皆さん方に協力をしていただきます場合にこれは中心になる組織といいますかグループだと思うんでありまして、そういうことで、こういったグループに対する支援の措置あるいは情報の提供等を書いているわけでございますが、こういった人たちに対しても特別なことをお願いいたしまして、また特別の損失が生じた場合は、それはもう当然、一般の方と同じようなそういう措置を考えるのはもう当然のことでございます。
○神本美恵子君 だから、自主防災組織やボランティアの方に要請、協力の要請が行われた場合はそういう損害補償がある、しかし、要請がなくても自らそういう、避難誘導とかそういうものに自主的にかかわって、その場合にけがをしたり不幸にして亡くなったりというようなことがあった場合には、それはどうなるんですか。
○国務大臣(井上喜一君) その辺のところはもう少し検討をさせていただいて、いろいろと問題が出る場合もあろうと思うんでありまして、その上で最終的な取扱いは決めたいと思うんでありますけれども、原則的には、私どもが自主防災組織とかあるいはボランティアの人に特定のことをお願いすることになると思いますので、そのときは、負傷等がありました場合は、それはもうしかるべき対応があるわけでございますが、今のお話のように自発的にやられた場合は、もう少しこれから検討を、これはいろんな状況があると思います、させていただきたいと、こんなふうに思います。
○神本美恵子君 これはちょっともう時間がないので見送りまして。
 次に、四十二条で訓練についても協力の要請が規定されていますけれども、訓練ということで、その訓練の必要性ということは分かりますが、その訓練をするということが国民に、もしも武力攻撃事態があればと、その事態にはいろんなことが想定されているようですけれども、そういったことを想定しながら避難訓練等を行うと思うんですが、そのことが国民の不安を必要以上にあおったり、それから事実上の訓練が強制されたり、様々なことの強制の契機にならないような歯止めを掛ける必要があると思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
○国務大臣(井上喜一君) ごもっともな御質問だと思います。
 正に訓練は、国民保護のためにどういうような行動が必要なのか、その行動についての訓練でありまして、それ以上のものではございません。したがいまして、その必要以上に、何というか、不安をかき立てたり、あるいはまた他の目的を持って訓練をするということはありません。
○神本美恵子君 また、その訓練についてですけれども、これについては、私は以前小学校の教員をしておりましたけれども、学校現場では今でも、何というんですか、もし火事が起きたときはということで避難訓練とか、地震が起きたときはという、そういう避難訓練とか、そういう防災訓練を学校行事としてやってきているんですが、例えば訓練については、指定行政機関の長等は、それぞれ国民の保護に関する計画又は国民の保護に関する業務計画により、それぞれ又は他の指定行政機関の長などと共同して国民の保護のための措置の訓練を行うよう努めなければならないというふうに訓練の努力義務が規定されています。
 例えば、文部科学省は、地方公共団体の長と共同して学校における訓練をどうするのかというようなことが、これから考えなければいけないと思いますけれども、文部科学省として、学校での訓練の在り方についてどのように考えていらっしゃるのかということについてお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(高杉重夫君) 先生御指摘の学校での訓練、学校において、やはり児童生徒の生命、身体、その安全を守るということは極めて重要なことでございます。したがいまして、先生今御指摘のように、各学校においては、地震や火災などに備えた防災訓練でありますとか、それから学校への不審者、これが侵入した場合に対する防犯訓練、こういうものを多くの学校において定期的に実施をしております。
 具体的に各学校においてどのような訓練を実施をするのかということにつきましては、それをどのような状況を想定をしてどのような訓練をやるのか、それはそれぞれのやはり学校それから設置者、そこが学校や地域の状況を踏まえて判断をして適宜実施されるものであると、こう思っております。
 したがいまして、私ども、これから有事の際における対応につきましても、法案が成立した暁には、本法の趣旨を踏まえて、関係省庁と連携を取りつつ検討を進め、児童生徒がしっかりした安全意識を持つ、そして緊急時における安全確保が十分に図られるよう関係のところに指導してまいりたいと思っております。
○神本美恵子君 この学校での訓練ということについては、それぞれの学校なり自治体で判断をしてやっていくというような今御答弁だったと思いますけれども、これまでの防災訓練と違って、この有事事態の避難訓練というのは、どこかの国が攻めてきたときにはこう逃げるんですよというような、結局子供たちに何の訓練なのかというのをきちっと説明をして、そして、だからこういう避難をするんだというようなことを、もし学校でやるとすればそういう説明が必要なわけですよね。そういう訓練の在り方等はこれから協議をして決めていくというようなお話ですけれども、学校で行われるこの訓練も、国民、住民からは協力、訓練に協力をするということになっていますので、例えば教職員や児童生徒に対してそのことを強制するというようなことにはならないというふうに考えていいんでしょうか。
○政府参考人(高杉重夫君) どのような訓練を行うのかということ、それぞれの状況を想定をして、どのような訓練をいつどのような形で実施をする、また訓練をやるかどうかということについては設置者及び学校での判断ということになります。したがいまして、そこで学校行事として取り扱うということになれば、通常の学校行事と同じような取扱いがなされるものであると考えております。
○神本美恵子君 どのような訓練を行うのか行わないのか、学校行事の中でどうするかということは学校で決めて、通常の学校行事と同じ扱いであるというふうに受け止めていいですね。はい。
 ちょっとそれでは、次に国民の保護に関する基本指針などについてお伺いしたいと思いますけれども、この国の基本指針、指定行政機関や地方公共団体の計画、それから指定公共機関や地方公共機関の業務計画については、これは平時に策定されるものであるにもかかわらず、これは国会に報告するのみというふうになっておりますね。
 三十二条でそういうふうに書かれていますけれども、今までの質問、何点かさせていただいたのでも、ほとんどが基本指針でそれは明らかにするとか、基本計画、計画の中でそこはこれから詰めていくというような御答弁が多かったように思うんですけれども、となると、実際の基本指針がどのようなものになるのかということがこの国民保護法案の具体的な中身になってくると思うんですけれども、少なくともそのイメージというか、アウトラインというか、私はこの法案二百条を超す条文を読ませていただきましたけれども、イメージが浮かんでこないんですね、わいてこないんです。なぜかなと思ったら、やっぱり具体的なものはその基本指針なり計画で明らかになっていくんだなということを思いましたが、となると、そのことを国会に報告するのではなくて、国会の場できちっと政府が説明をし、そこで議論すべきではないかというふうに私は思いますけれども、大臣、それについてはいかがでしょうか。
○国務大臣(井上喜一君) この法律、なかなか大部なものでありまして、全体読んでいただくのも大変だと思うんでありますけれども、私の感じは、大部であるだけに非常に懇切丁寧にこれ書いてあるんです。規定しておりまして、眼光紙背に徹して読んでいただきますとおぼろげながらお分かりいただけるんじゃないかと私は思うんでありますが、したがいまして、この基本指針といいますのは、いわゆる法律の運用を書くわけですね。どういうように運用していくかということを指針の方で書くわけでございまして、これは通常、所管の行政官庁に任されていることだと思うんでありますけれども、事は国民の保護法制ということで、初めてのことでもありますし、いろんなことに関係しますので国会に報告をしたということでございます。もとより、国会の中でいろいろな御説明をしたり、あるいは御疑念の点についてはお答えをするということはあると思います。
 これと同様の規定が災害基本法にも書いてあるわけでありますけれども、災害基本法の場合はただもう作るだけでありまして、報告もする、そういう義務も置いていないわけでございます。
 私どもは、これはえらく粗末に、だからって、その基本指針を無責任に作って国会に知らせないなんてなことじゃなしに、これは法律の範囲の中で、しかも、運用につきまして割かし事細かく書こうと思っておりますので、報告をいたしますれば、もとよりも、そういう説明を求められれば説明をいたしますが、そこで十分御理解がいただけるものと考えている次第でございます。
○神本美恵子君 じっくり読めばもしかしたらおぼろげながら何か浮かんでくるのかもしれませんけれども、私はそのじっくり読む時間もなく必死で読んだんですけれども、おぼろげにも浮かんでこなくて、むしろ、最初にも言いましたけれども、憲法の枠内とおっしゃるけれども強制にわたることがやっぱりあるのではないかというような疑念、それは、基本的人権の保障している憲法のその原理を、このおぼろげながら見える国民保護法制の中で何か変質させられていくのではないかというような懸念とか、それから、今日はちょっと質問する時間はなかったんですが、市民の知る権利やメディアの報道の自由といったようなものも侵害されるのではないかとか、そういったものがここではよく分からないんですね。
 多分、基本指針で、その運用部分でもっと細かい具体的なことが示されてくると思うんですけれども、そういう問題がここの国会でやっぱり議論ができないということは、お聞きすればいいんでしょうけれども、逐条ずっと、今お聞きしただけでも幾つかしかないんですが、もう時間がこんなにたってしまいましたし、納得できるきちっとした説明に、説明といいますか応答になったというふうには私は思えませんでした。
 それで、まずおぼろげであっても、だれがじゃ避難誘導するのか、どこへ誘導するのかというようなこともいまいちリアリティーがない、この法案は、そういう感じがしました。むしろ、この中で私に浮かび上がってきたのは、内閣総理大臣が頂点にいて、総理大臣が各指定公共機関なり指定行政機関を通じて縦に国民を統制していくような法案ではないかなというようなことが私におぼろげながら分かったところでございます。
 今後また、残った質問についてはまた機会を見付けて質問させていただくということで、若林議員に交代したいと思います。
 ありがとうございました。
○若林秀樹君 残り十三分しか──いえ、そういうわけで言ったわけじゃないです。十三分の中でどこから質問をしたらいいのか分からないところもありますけれども、大枠のところでちょっといろいろお伺いしたいと思います。
 まず、やはり国民保護法制等を考えるにつけ、私は、過去から何を学んで、その反省の下にどうあるべきかということが一つの糸口ではないかなというふうに思いました。
 そういう意味では、戦後もう五十数年たっているわけですけれども、第二次世界大戦のころの国民保護はどうだったのか、本当に国民を保護する準備ができて突入したのかどうか。そのころと今と一番比べて違うのは、やはり非戦闘員の保護というものが根本的に概念としてやっぱり変わってきたんではないかというのが私の率直な印象であります。
 これは、御存じのように、ジュネーブ条約が制定された等がありまして、今ではイラク等で攻撃があれば、誤爆であればもう民間人殺傷だという大変な騒ぎになるわけで、そういうことからいえば、まあ長崎、広島の原爆は何だったのか、あるいは東京の大空襲は何だったのか、そういう問題にぶち当たるわけで、本当の意味で、そのときの反省は何だったのかということがやはり五十数年たっても今回のこの国民保護法制に生かされなきゃいけないんではないかという思いであります。
 そのときに、確かに無差別空襲があったと、そのときに防空はどうだったのかということで、過去の書物を見ますと、防空法の制定があって、もう二年ごとにあのころ変わっていて、本当に訓練なんかできるような状況じゃなかったですし、本当にきちっとした見積りがあったのかどうかというところもありました。あるいは警視庁と東京都の権力争いというものもあったように書物では出ているわけでありますので、いずれにしましても、まずはやっぱり井上大臣に、過去の反省の下に、今回どういうふうに、その反省を基に新しいこの国民保護法制の中に取り入れたかということについて伺いたいと思います。
○国務大臣(井上喜一君) この前の戦争といいますのは、日本が、何といいますか、攻め込まれて国民保護のための措置が必要だというような、そういう想定で戦争を始めたかどうかよく分からないと思うんでありまして、ともかくもう国家の人とか物資その他を総動員をして戦争目的を遂行するために前進していったと、そういうことだと思うんですよね。ですから、国民を保護するとかというような観念は全くなかったかといえばそうでもないと思いますけれども、どちらかといったら戦争に勝つんだと、戦争目的をやっぱり遂行していくという、そこに非常に主眼があったように思うんです。
 ただ、戦争の進展とともに爆撃をされるというような状況になってまいりまして、それに関連したような法律が制定されていったとは思うんだけれども、しかし全体として見ますと、やっぱり保護をしていくというような視点は大変弱かったと思いますし、こういう国民保護の思想というのは正に新しいこの憲法の下で出てくる考え方だと思うのでありまして、そういう点で私はもう全くこれ違った発想で今回の保護法制は立案をしたと、こういうことでございます。
 そういう意味におきまして、かつてのいろんな制度を、ここをだからこう直したらいいとか、ここは削除したらいいというような、そういう検討はしなかったように思うのであります。もう全く違った考え方で国民保護をいかにしていくかという、そういう視点に立ちまして検討をしたということでございます。
 ただ、沖縄戦なんかの場合、これ非常に被害が大きかったわけでありまして、私ども、これについては、やはり避難につきましてのいろんな問題がある、大きな問題があったんじゃないかと。それは、そういう反省の上に立ちまして、かなり避難につきましては詳細な規定を設けたと、こういうことでございます。
○若林秀樹君 率直な御意見、ありがとうございます。
 確かに無差別な爆撃であったにせよ、国民保護というきちっとした体制、訓練、そういうものができればまた被害は全く違った世界になっていたんではないかなということは、私は細かく検証はしていませんけれども、そんな印象を思うわけでありますし、長崎、広島の原爆にせよ、一回は空報を出して、一回解除しているんですよね。それがきちっとした訓練がされ、そういうところまで想定していればまた被害も全然違ったんではないかなというふうに思いますけれども。いずれにせよ、温故知新というんでしょうか、過去のものに、やっぱり常に反省を基に新しい考え方を入れていくことがやっぱり必要ではないかなと思います。
 その上で、今、現実の有事はどういうことが想定されるかといいますと、やはり今の各地で、世界で起こっていることを考えれば、かつてのような正規軍対正規軍の戦いというよりは、むしろ非正規軍が主流であり、何というんでしょうか、非対称型攻撃が主流になりつつあるという意味において、本当に我々の意識はそういうことに対応できるような意識になっているのかどうか、本当にそれが対応できるような体制になっているのかどうか、そのことを我々は今度真剣にやっぱり考えなきゃいけない。
 確かに紙では書いたものの、本当にかつてのような有事ということは全然関係ないような、本当、明日にでも起こる可能性があるときに、この法律との関係でやっぱりどうなのかということを考えますと、我々はまだまだ認識の現代化、あるいはそれに伴う本当の意味での現実的な対処能力がどこまであるのかということに対して我々は冷静に認識する必要があるんではないかというふうに思いますが、その辺の御認識について、もし大臣があれば、あるいは防衛庁長官でも結構ですけれども、発言いただければ有り難いと思います。
○国務大臣(井上喜一君) せんだっての、これ山本委員の御質問というよりも御発言にあったかと思うんでありますけれども、私はどうもこの法律を読んでいても臨場感がわかないんだというような、そういう趣旨の御発言だったと思うんでありまして、確かにこの法律に書いてありますのは、国民保護のための法律でありまして、その必要なところといいますか、どうしても書くべきところは書いてあると思うんでありますけれども、なかなか現実のものとして、どういう事態になって、したがってこういう措置が必要なのかという、そこまでの理解というのはなかなかいっていないと思うんですよね。率直に言って私はそう思うんでありますけれども、そういうことで、やはりこういう事態につきましての、今指摘されましたような事態につきましての認識あるいは啓蒙、そういったことも必要だろうと、こんなふうに思います。
 何かやっぱり長いこと平和に慣れてきましたんで、どうも現実の問題としてこの緊急事態が認識されないようなところがあるんじゃないかと思うんでありますけれども、それはこれからの私どもの努力によりまして、やはり備えるべきは備えるべきだというようなこと、こういう事態が起こるかも分からないというようなことをよく説明をして、国民の理解を求めていきたいと、こんなふうに考えます。
○若林秀樹君 確かに、その臨場感がわかないというのはそういうことでありまして、ありまして、個別具体的な状況を想定しないとなかなかイメージがわかないというところがあろうかと思います。
 その上で、あえてお伺いしますけれども、仮にこの参議院の第一委員会室が重武装のテロリストに今ここで占領されたと、我々国会議員を盾に、人質に取られてある行動を要求したというときに、具体的に、じゃ地方自治体である東京都は何をすべきなのか、あるいは警察はどういう対応をすべきなのか、警察で対応できないときには自衛隊としてどういう手順でやっていくのか。それは、今回の国民保護法制とこの関連法案において少しシミュレーションでお話をしていただけると、少し具体的にリアルでイメージがわくんではないかなと思いますが、その辺についてだれか一人全部すべてひっくるめて御説明できれば、いる方いますでしょうか。
○国務大臣(井上喜一君) ごくごく一般論として申し上げれば、まず警察、国会の場合を例に取りますと、これは国会の警備をするその警備員といいますか、そういう人たちが対応するということになりますし、それで、それでどうしても自分らで対応できない場合は、恐らく、これは国会でありますから簡単には物は申し上げられる、できませんが、恐らく警察当局との話合いというのがあると思いますし、あるいは、更に事態が進めば治安出動その他が自衛隊によってあるんじゃないかと思うんです。
 ただ、今例示して挙げられました、国会はどうも余り一般のこのケースと、一般のこの社会で起こりますことと同じようにはこれ論じられないところありまして、これらにつきましては国会の中でこれからひとつ議論を十分深めていただきたいと考えております。
 国会というのは正に国の中枢的な機能を担うところでありますので、是非そういった議論は国会の中で取り上げていただき、我々にも教えていただきたいと、こんなふうに思います。
○若林秀樹君 国会じゃなくてもいいんですけれども、ある例えば劇場で、人質に取って、本当に武装工作員が仮にテロ行為に走った場合にどうなのか。例えば、警察でいえばSATですかね、そういう特殊部隊が来て、それで手に負えない場合は今度自衛隊が、最初は治安出動という形になるんでしょうか、その辺の手順について、それから警察との共同対処というのはあるのかどうか、あるいはそれが、それでも手おけない場合には防衛出動という場合があるのかどうか、あるいは工作員が仮にいわゆる宣戦布告を自分たちの国でやった場合に米軍との協力はどうなるのかどうか、もう想像すれば一杯出てくるんですが、その辺について、何かイメージがあれば。
○国務大臣(石破茂君) 子細に御説明する時間がございませんが、モスクワの劇場占拠事件というのがございました。ああいうのがもし日本で起こったらどうするかという検討は当庁の中でもかなり子細にいたしております。
 治安出動という御指摘がありました。ですから、警察力をもって対処できなければ治安出動ということになるわけでございますが、一昨々年でしたか、国会でお認めをいただきました情報収集出動というのをどのように効果的に使うかということなのだろうと思っております。
 確かに、先生御指摘のようにSATが出るとか、そういうふうなことになるでしょう。しかしながら、そこと治安出動の間にすき間があるということになってはいかぬので、そこをどうやって間断なく行くかということだと思っています。
 そういう意味で、治安出動のための情報を収集するという意味で、武器使用権限は相当に制限をしてございますし、そんな簡単に、容易に下令できるようにはしてはありませんが、そこのすき間をどうやって埋めるか、情報収集出動というものを使ってどうやって効果的にそこを連接をさせていくかということについては、法制面の整備は私はこれで相当整ったと思っております。
 警察ともよく連携をしながら、どうやって間断なくやっていくか。もちろん警察権を使うわけでございますので、私ども治安出動でも。しかしながら、国際的に言う軍が動くということには違いがないわけでございます、これは海上警備行動においても一緒でありまして。その場合に、国際的にあらぬ誤解を与えぬようにもしなきゃいかぬ。今どき宣戦布告という制度は、これはもうないわけでありますが、戦争が違法化になっておりますので。しかしながら、他国がそのような行動を取った場合にどうやって我が国が防衛出動に移行するかということは、これはシビリアンコントロールの観点からもよく議論をしながらやっていかねばならぬということだと思っております。
 法の運用の面におきましても、あるいは装備の面におきましても、万全を期すのが政府の責任であると心得ておる次第でございます。
○若林秀樹君 時間が来ましたのでこの辺でやめておきたいと思いますけれども、治安出動における武器の使用権限というのはまた防衛出動とは全然違うわけで、本当にその重武装のテロリストのときにはまた違った対応が出てくるんではないかなというふうに思いますが、いずれにしましても、そういう緊急事態ということについては、対処事態になればそれは認定で閣議決定とか様々なことが同時並行で行われるわけですから、その辺のシミュレーションというんでしょうか、具体的な訓練等も日ごろ必要なんではないかなと思いますが、もう時間が来ましたので、また改めて質問させていただきます。
 ありがとうございました。
○小泉親司君 まず、イラクへの多国籍軍の問題について質問をいたします。
 午前中に、今日、外交防衛委員会でこの問題を取り上げてまいりました。法制局長官お見えでございますので、まず法制局長官にお尋ねしたいんですが、午前中の委員会で外務省は、現在のイラクに展開している多国籍軍、これを、現在は占領軍でございますけれども、その占領軍が衣替えして多国籍軍になっている、この多国籍軍には武力行使の任務を含んでいるというふうな答弁をされました。一五一一の、国連一五一一の決議を見ますと、この武力行使については、今度の多国籍軍は明確に武力行使を行うということが規定されているのは御承知のとおりでございます。
 こうした国連一五一一に、決議にあるような多国籍軍に参加する、これは、自衛隊が参加する、これは憲法上可能なのかどうか、改めて明確にしていただきたいと思います。
○政府特別補佐人(秋山收君) 具体的な判断と申しますよりは、私どもの立場として一般論をちょっと申し上げさせていただきますが、我が国の多国籍軍への参加につきまして従来政府が申し上げましたことを簡単にまとめてみますと、いわゆる多国籍軍については、個々の事例によりその目的、任務が異なるので我が国がこれに加わることの可否を一律に論ずることはできず、当該国連決議の内容、それから多国籍軍の目的、任務、編成など具体的な事実関係に沿って、我が国として武力の行使を行わず、また我が国の活動が他国の武力の行使と一体化しないことがいかに確保されるかということを基本にして検討されるべきものである。それから、当該多国籍軍の目的、任務が武力の行使を伴うものであれば、我が国としてこれに参加し当該多国籍軍の司令官の指揮を受けて活動することは憲法との関係で問題がある。それから一方、当該多国籍軍の目的、任務が武力の行使を伴うものでなければ、我が国としてこれに参加することは憲法上許されないわけではないということでございます。
 それで、私の本日の外交防衛委員会における答弁は、従前のいわゆる多国籍軍は、湾岸戦争時のように、のいわゆる湾岸多国籍軍のように、武力の行使をその基本的な目的、任務とするものでありましたが、多国籍軍にもいろいろな類型のものが考えられるということを踏まえまして、ただいま申し上げた一般論に従いながら個別の事案に即して検討する必要がある旨を申し上げたものでありまして、従来の政府見解を繰り返したものでございます。
 それで、今の武力、したがいまして、先ほどのお尋ねについてお答えすれば、それが武力の行使、湾岸多国籍軍型の武力の行使を、基本的にそれのみを任務とするようなものでありましたら、我が国としてこれに参加し当該多国籍軍の司令官の指揮を受けて活動することは憲法との関係で問題があると思います。
 他方、一般論として、多国籍軍の目的、任務に武力の行使を伴うものと伴わないものと両方があるというようなものについて考えてみますと、これは従来余り論じられておりませんでしたので、従来の考え方に沿ってそれを敷衍して申し上げるわけですが、我が国として、当該多国籍軍の業務のうち武力の行使を伴わない業務に限って、他国の武力の行使と一体化しないということが確保される形で行うことが認められると、かつ我が国としての活動の期間を通じてそのことが確保されるというような仕組みがある場合に、我が国としてこのような態様の下に多国籍軍の活動に加わることは否定されるものではないと考えます。
 将来の安保理決議に基づく多国籍軍の活動に我が国が加わることの可否についても、ただいま申し上げましたような点を考慮して検討されるべきものと考えます。
○小泉親司君 長官の言われていることをまとめてみますと、ということは、例えば国連決議一五一一で示される多国籍軍、これは、一つは統一の指揮の下にしかも武力行使を任務とする、これはもう午前中の外務大臣、外務省の答弁でも明白であります。同時に、この多国籍軍は人道復興支援や経済の復興ということも掲げていると。
 そうなりますと、武力行使という目的はあるけれども、このような人道支援を掲げていれば自衛隊は人道支援という理由で参加できるというようなことに一般論として法制局長官なるんですか。今、長官は新しい見解じゃないと、従来の見解繰り返しているとおっしゃっているけれども、明白にこれはこれまでの見解とは違うんです。そこを明確にしていただきたいと思います。
○政府特別補佐人(秋山收君) この多国籍軍の任務に武力の行使を伴うものと伴わないものがある場合については、従来十分には議論されてこなかったと思います。私どもは平成二、三年の事態を念頭に置いて、湾岸多国籍軍型のものを念頭に置いていろいろと議論してきたわけでございます。
 それで、今のお尋ねでございますが、やはり当該多国、国連決議の内容とか、それから多国籍軍の目的、任務、編成など具体的な事実関係に沿って、我が国として武力行使を行わず、また我が国の活動が他国の武力の行使と一体化しないことが確保されているかどうかということで判断されるべきものでありまして、そのようなことがきちんと確保されている場合には、そのような武力の行使を伴う任務と武力の行使を伴わない任務と両方が与えられる多国籍軍に参加することは憲法上問題ないものと考えております。
○小泉親司君 いや、これは重大ですよ。法制局長官、新しい見解なんでしょう、これは。今までの従来の答弁じゃないじゃないですか。これは何ですか、政府の公式見解なんですか、長官。
○政府特別補佐人(秋山收君) 繰り返しになりますが、今まで十分論議されていなかったところであると存じますが、ただ……
○小泉親司君 新しい見解なんでしょうとお聞きしているんです。
○政府特別補佐人(秋山收君) 新しい、今まで論議されていなかった事態について従来の論理を敷衍して申し上げたということでございまして、従来の見解を変えたとかそういうことではございません。
○小泉親司君 これは明確に変えていますよ。
 私ね、この問題については、政府の見解として、法制局長官の見解をこの、委員長お示しいただきたいと思います。この明確に私は今までの従来の見解と違うと。この点を委員長、お願いいたします。
○委員長(清水達雄君) 理事会で協議します。
○小泉親司君 これだけやっておるわけにはいかないので、次に私は、有事関連法案、主に米軍行動円滑化法案及び公共施設利用法案について幾つか質問をしたい。
 まず、米軍行動円滑化法案では、米軍を「日米安保条約に従って武力攻撃を排除するために必要な行動を実施しているアメリカ合衆国の軍隊」と、こう規定していると。同時に、武力攻撃予測事態において、「日米安保条約に従って武力攻撃を排除するために必要な準備のための同号に規定する行動」というふうになっている。
 これは井上大臣、お分かりかと思いますが、この規定というのは、日米安保条約に従ってと書いてありますが、日米安保条約にも書いていない、どこの法律にも私見たことありません。これは新しい規定なんです。
 そこでお尋ねしますが、日米安保条約に従って武力攻撃を排除するために行う米軍の準備のための行動というものは具体的に何を指すんですか。
○国務大臣(井上喜一君) 米軍が日本を守るために行動するというのは、これは正に日米安保条約に従って行動するわけでございますから、明文の規定といいますか、この法律の中で具体的な言及がない場合もあるかも分かりませんけれども、それは正に日米安保条約に従って米軍が行動するということでございます。
 今お尋ねの点でございますが、我が国に対する外部からの武力攻撃が発生した事態以外の武力攻撃事態等において、日米安保条約及び日米地位協定で認められる武力の行使には至らない武力攻撃を排除するために必要な準備のための行動と、こういうことでありますが、例えばこれを具体的に申しますと、日本国外から日本国内への又は日本国内での人員や物資の輸送を行うこと、あるいは施設及び区域内における人員の集結や物資の集積を行うこと、こういったことが想定されるところでございます。
○小泉親司君 そこで、ちょっとお尋ねしますが、この日本有事のための準備の活動と、それからいわゆる周辺事態、周辺事態法に基づく米軍の周辺事態、これは一般的にいえばアメリカの私は戦争だというふうに言っておりますけれども、この周辺事態、これが併存する場合というのはあるんですか。
○国務大臣(井上喜一君) この周辺事態と武力攻撃予想事態が併存するということは、これは前の武力攻撃事態法の法案の審議の段階から申し上げてきていることだと思います。
○小泉親司君 ということは、一方では米軍は周辺事態で戦い、一方では日本有事の準備をすると、こういうことになるわけですね。
 そうなりますと、具体的に米軍の準備行動というのは、例えば米軍がP3Cや艦船などによって情報収集活動や警戒監視活動をやるというようなことも、当然これは入るんじゃないんですか。例えば、空母で空母の艦載機が、空母が来て空母が展開すると、これが艦載機が情報収集や警戒監視活動をやる、こういうのも入るということになるわけですね。
○政府参考人(増田好平君) お答えいたします。
 先ほど大臣が御答弁になりましたように、私どもが基本的に念頭に置いておる、我が国に対する外部からの武力攻撃が発生した事態以外の武力攻撃事態におきます合衆国軍隊の我が国に対する武力攻撃を排除するために必要な準備のための行動というものにつきましては、基本的に先ほど大臣が申しました、正に日本国外から日本国内への人員や物資の輸送であるとか、また施設や区域内における人員の集結や物資の集積を行うことというものが基本的なものと想定しております。
○小泉親司君 何を念頭にそのようにおっしゃるんですか。
○政府参考人(増田好平君) 恐縮ですが、御質問の趣旨が……
○小泉親司君 何を理由にそうおっしゃるんですかとお聞きしているんです。
○政府参考人(増田好平君) 我が国に対しまして、例えば武力攻撃事態若しくは武力攻撃予測事態等において、正に今先生の御下問は、武力攻撃が発生する事態でない場合ということだろうと思います。
 その時点におきまして、その時点におきまして、合衆国軍隊も我が国に対する武力攻撃を排除するための準備のための行動を取るということは私ども当然のことと、こう思っております。その代表的な例が今申し上げた二例ではないかと、そういうことを前提に法案を立案したということを申し上げている次第でございます。
○小泉親司君 情報活動とか警戒監視活動は入らないということなんですか。
○政府参考人(増田好平君) その先生の御指摘の情報活動、警戒監視活動というものが具体的にどういうイメージのものであるかということが、私ども今、御下問を受けてつまびらかでございませんが、いずれにしても、それが法案に申します我が国に対する武力攻撃を排除するために必要な準備のための行動というものであるとすれば、それは入り得るということだろうと思います。
○小泉親司君 そんなおぼろげな話したって駄目なんですよ。
 これは、私は、日米ガイドラインの中にそのことは具体的に書いてあると。これは、例えば、日本有事のための準備のための共通基準の確立と、この点について、日米両政府は、日本の防衛のための準備に関し、共通の基準を平素から確立する。この基準は、各々の準備段階における情報活動、部隊の活動、移動、後方支援その他の事項を明らかにするものであると。日本に対する武力攻撃が差し迫っている場合については、日米両政府の合意により共通の準備段階が選択され、これが自衛隊、米軍その他の関係機関による日本の防衛のための準備のレベルに反映されると。これに基づいているんじゃないんですか。
○政府参考人(増田好平君) 今、先生がおっしゃりました、いわゆる新しいガイドラインに基づきます準備段階におけるいろんな活動というものが、この法案に言います武力攻撃を排除するために必要な準備行動に入り得る場合は当然あろうと思っております。
○小泉親司君 じゃ、防衛庁長官にお尋ねいたします。
 この準備行動の共通の基準というのはどうなっていますか。
○国務大臣(石破茂君) これは昨年の五月にも同じ御質問をいただきました。
 これは、じゃ具体的な基準とは何だということを尋ねられまして、かくかくしかじか、こういう基準でございますということを申し上げるわけにはこれはまいりません。
○小泉親司君 昨年の五月に質問いたしましたことをよく覚えておられるかと思いますが、今回は違います。法案の中に明確に準備行動というものが含まれております。問題は、先ほども答弁があったように、この準備行動の中には日米ガイドラインに基づく共通の基準、これが明白に反映される、私もそのとおりだと思います。これは、日米ガイドラインで合意しておきながら、全然違う準備行動の選択をするなんということは、あなた方の論理からしたって、整合性取れた行動をやると言っているんだから、これは明白に含まれる。
 これ、何でこれしゃべれないんですか。この法律の中には、米軍の行動について、日本有事に来援した米軍の行動については情報公開するとまで書いてあるんじゃないですか。しかも、それは、国民に対して政府がお知らせしますよということまで書いてあるんですよ。何で知らせないんですか。
○国務大臣(石破茂君) いや、ですから、具体的な基準の中身は何であるかという御下問でございますので、基準はかくかくしかじか、こういう基準でございますということはお答えをいたしかねるということを申し上げた。
 それが含まれるということは、今、増田審議官の方からも答弁をいたしましたけれども、そのことは当然条文上の条理上から出てくるものでございます。
 では、その基準は何かと御下問になりましたので、その基準はお答えできないと言っているのです。
○小泉親司君 できているんですか。
○国務大臣(石破茂君) 鋭意作成中でございます。
○小泉親司君 私、これはおかしいと思うんですよ。法案ができていて、準備段階は何もないと。つまり、法案の準備行動のいわゆる中身は何にも作られていないと、今、鋭意準備中とおっしゃったから。それは、以前、この前も鋭意準備中でしたよ。一年間もずっと鋭意準備中。しかも、法案だけ先へ先行すると。それは私は、これはあなた方の論理からしたっておかしいんです、これ。──何でおかしくないんですか。明白におかしいですよ、中身ないんだから。それで、それだったらアメリカから、アメリカと日本と一緒にこれ準備行動やっていて、お互いのレベルに反映されるんだって日米ガイドラインで言っている。そういうものを、私、公開しないというのはこの法案の趣旨からしてもおかしい。
 この法案には明白に、政府は、武力攻撃事態等において、国民に対しですよ、その他の合衆国軍隊の行動に関する状況及び行動関連措置の実施状況について、必要な情報の提供を適切に行うものとすると。全然適切じゃないじゃないですか。こんなおかしい議論は私はあり得ない。
 その意味で、この準備段階という問題について、この一体準備行動がどういう中身なのか。私は、これを具体的にこういうものだと、これ明確にしていただきたいと思います。答弁だって、私が言わないと、移動だとか何だとかかんだとか、これは訳の分からない、これは井上大臣、これだって余りにもおぼろげに分かるだけで、本当にこういう中からにじみ出てくるようなもので、全然具体的に分からないんですよ。その点を私は明確にすべきだと。この点、委員長にも御要望しておきますが、井上大臣、いかがですか。
○国務大臣(石破茂君) 済みません。委員長の御指名をいただきました。
 先生、これはガイドラインに書いてありますが、今先生御指摘のように、共通の基準を平素から確立をする、この基準は、各々の準備段階における情報活動、部隊の活動、移動、後方支援その他の事項を明らかにするものであると、こう書いております。それは、両方でそれを明らかにし、両方で認識を共有しなきゃいかぬという当たり前のことが書いておるわけでございます。
 しからば、その基準、すなわち移動の基準であるとか、後方支援の基準であるとか、部隊の活動の基準であるとか、そういうものを国民の皆様方に対してすべて明らかにするというものではございません。事柄の性質上、そういうことがふさわしいとも望ましいとも考えておりません。
 鋭意作業中であるがまだできないのかというおしかりをいただきました。それは、日米安保体制をきちんと動かすために、先生の御指摘も踏まえ、鋭意作業してまいりたいと思っております。
○小泉親司君 私は別に指摘はいたしません。それは御勝手にどうぞお作りください。そんなアメリカ言いなりの、私は、共通基準を幾ら作ったって、それは全く無意味なものだと私は思います。それはアメリカの戦争に協力させる以外の何物でもないと。だから、私は明確にしなさいと言っているんです。その点、委員長、よろしくお願いいたします。失礼、準備行動について具体的にどういうふうな範囲なのかということを明確にしていただきたい。井上大臣。
○国務大臣(井上喜一君) 今防衛庁長官が答弁いたしておりますように、どういうレベルで整理をするかということでありまして、事細かに詳細にといいましても、これはなかなか全部を網羅するというわけにはいかないと思うんでありまして、それは、ですから仮に問題になるような場合には、その問題の事項が果たして法律に適合しているのかどうかということを判断すればよろしいんじゃないかと思います。
○小泉親司君 次に、私は七五年の日米航空合意の問題。
 公共施設の法案では、飛行場、港湾、空域、海域、道路を米軍に優先使用できる仕組みが作られております。そこで、空域の問題についてお尋ねしますが、七五年六月、これ、外務省からいただいた資料ですが、この中で、日本政府は、米国政府の要請に応じ、防空任務に従事する航空機に対しては、航空管制上の便宜を図る。米国政府は、軍用機の行動のための空域の一時的保留を必要とするときは、日本側が所要の調整をなし得るよう、十分な時間的余裕を持って、その要請を日本側当局に対して行うという規定がございます。
 そこで、外務省に私お尋ねいたしますが、この七五年六月の合意にある航空管制上の便宜を図るというのはどういう内容ですか。簡潔に。
○政府参考人(海老原紳君) 御指摘の合同委員会合意におきまして、管制業務上便宜を図るとされている点につきましては、航空交通の安全と円滑性を確保しつつ、また日米安保体制の円滑かつ効率的な運用を通じまして我が国の平和と安全を確保するとの考慮に基づいて考えれば、我が国といたしましては、米軍の防空任務を尊重し、その所要等を勘案して、状況に即して米軍機に対して我が国の裁量の範囲内で優先的な取扱いを認めるよう対処すべきものと考えられるということで、このような考え方にのっとりまして管制の運用を行っているというふうに承知をいたしております。
○小泉親司君 これは、そうすると、米軍に優先権を与えるという意味なんですね。
○政府参考人(海老原紳君) 先ほど御答弁申し上げましたように、米軍の円滑な運用の必要性というものと、我が国の航空交通の安全というものを両方考慮いたしまして、あくまでも我が国の裁量の範囲内で必要な調整を行うということでございます。
○小泉親司君 いや、さっきの北米局長の答弁から優先という言葉がなくなっちゃったですよ。初め優先とおっしゃったんですよ。
○政府参考人(海老原紳君) 優先的な取扱いということを申し上げたわけでございますけれども、これは調整をした上でそのような取扱いをすることも我が国の裁量の範囲内であり得るという趣旨でございます。
○小泉親司君 おかしいですね。まあ結構です。じゃ、日米合意は、平和時に米軍を優先権を与える、空域に対して優先権を与える取扱いがあるというのが分かりました。
 そこでお尋ねしますが、これは日本有事じゃない、周辺事態のときにもこれは適用されるんですね。
○政府参考人(海老原紳君) この合同委員会合意は、いわゆる平時だけではなくて、今おっしゃいましたような周辺事態というような場合にも適用されるものであると理解しております。
○小泉親司君 私、この要するに米軍に優先権を空域に与えるという処置が現在もあるんです。それから、周辺事態のときにもこれが適用できる。その意味では日本有事のときだってこれは適用できるんですよ。いいですね。
 そうなりますと、この合意というのはどういう合意だったかというと、五九年の日米合意で、元々の合意というのは一九五九年、防空任務に従事する軍用機に対しては航空管制上の最優先権を与えるという規定だったんです。ところが、御承知の七〇年、ちょっと年代忘れましたが、雫石事故があって、これ自衛隊機とぶつかって、この防空任務は軍用機と民間機を分けようということになって、これで出てきたのがこの便宜を与えるというものなんです。
 そこで、ちょっと時間があるからもう一つだけ外務省にお尋ねしておきますが、この便宜を与えるというのは英語でどういうふうに規定しているんですか。
○政府参考人(海老原紳君) これは合同委員会合意の中身でございますので、本来英語で何て書いてあるかというようなことは御答弁しないということでございますけれども、これはいろいろと経緯がございまして、前に国会で御審議をいただいたときにこの点だけについては英語を紹介した経緯がございますので、そこにつきまして読ませていただきますと、プロバイド・プリファレンシャル・ハンドリングという言葉でございます。
○小泉親司君 さすが外務省でございました。前置きが長過ぎますが、八四年二月二十一日に、北村北米局長が井上一成議員の質問に対して、これは資料提出という形でやっている。
 このプロバイド・プリファレンシャル・ハンドリングという意味は、私は優先的取扱いだと。これは便宜を与えるというふうに、私は一生懸命辞書を引き引きやりましたが、外務大臣、この点、私は優先的な取扱いを与えるという意味の方が正確だと思いますが、なぜ日本語は便宜を与えるなんですか。
○政府参考人(海老原紳君) これは、先ほど小泉委員が御自分でおっしゃいましたけれども、この合意の前に合同委員会合意というのが実はありまして、同じ管制業務の。そのときには、正に米軍に最優先な取扱いをするということになっていたわけです。それを日米で相当な協議をいたしまして、先ほど私が我が国の裁量の中においてということを強調いたしましたけれども、必ずしも米軍に常に最優先を与えるということではないということをはっきりするという意味で最初の英語を変えまして、これは、最初の英語はファーストプライオリティーという言葉だったわけですが、これを変えまして、プリファレンシャルハンドリングという言葉に変えて、そこをはっきりさせるという意味におきまして便宜を図るという日本語にしたという経緯で、これもまた昔国会で相当御議論があった点でございます。
○小泉親司君 私、だから、こうなると日本有事に空域を全部米軍に提供するという前に、既に現在においても米軍のいわゆる空域を優先的に与える、そういうふうな権利が現在も存在するんです。しかも、周辺事態でもこれが使える。そうなってきたら、私は、これはこういうふうな形が大変、今、私はこの問題については大変主権、空の主権を侵害しているものだと。
 この点でいろいろ調べてみますと、例えば米軍の空域の一時留保、例えば私も何遍もこの問題長く調べてきたんですが、例えば七〇年代の後半に板門店事件があった。あの板門店事件のときにも、米軍が本土からアラスカを通って板門店に展開した。そのときには米軍の一時留保、アルトラブといいまして、実際に空域を空けまして、そこに優先権を与えて米軍を通したというようなことが現実問題としてある。
 私は、こういうふうな、周辺事態から米軍に優先権を与えるような日米合意があるということは、私、こういう意味で米軍の行動は野放しだと。同時に、これは日米安保条約の下で大変主権侵害の実態があるということが私は大問題だというふうに思います。
 その点で私は、まず井上長官、あっ、井上大臣、お尋ねしたいのは、こういうふうな私、主権侵害の実態というのは、これは正されるべきだというふうに思いますが、いかがでございますか。
○国務大臣(井上喜一君) 今度の米軍の行動の円滑化法の中では、空域の利用あるいは飛行場の利用につきましても、これは利用指針に基づきまして調整を行った上で一般の民間なり自衛隊なり米軍の空域利用が調整されると、このように理解をいたしております。
○小泉親司君 私、この法案は、いわゆる有事になると空域を飛行禁止区域にするんだ、米軍の一定の空域も取れるようにするんだと、こう言うけれども、現実に今も飛行禁止区域というのは存在するわけです。つまり、米軍の実弾射撃演習場は飛行禁止区域。それから、先ほど言いました一時留保というアルトラブというのもある。沖縄には嘉手納ラプコンという依然として戦後ずっと米軍が最優先権を持っているところがある。しかも、皆さん方が到着する那覇空港だって管制権は全部米軍に握られている。
 こういう状態を私は、こういう状態は国の、一国の独立の主権を侵害するものだと。こういうものを私はしっかりと是正するということが何よりも私はまず大事だと。こういう問題について私は明確な態度を取るということがまず私は一番肝心なことだと。
 そういう問題が片付かないで、主権が侵害される、独立が侵害される有事論なんというのは幾らぶっても私は問題にはならないということを申し上げて、最後に井上長官、いかがでございますか。井上大臣、失礼。
○国務大臣(井上喜一君) いずれにしても、この法律案を成立をさせていただきますと、その法律案の趣旨に基づいて適切に運用していくということでございます。
○小泉親司君 全く違うことでありますけれども、私はそれは賛同できませんので、私は廃案を要求いたしておりますが、その点で私はそういう主権侵害の実態は正すべきだということを要求して、質問を終わります。
○大田昌秀君 社民党の大田でございます。最後でございますので、よろしくお願いいたします。
 防衛庁は、二〇〇三年度防衛白書等で我が国への着上陸侵攻の可能性は低いとの情勢分析がなされておりますが、我が国の弾道ミサイル防衛をいう場合、どこか特定の国を仮想敵国として想定されておられるのですか。防衛庁長官、お願いします。
○国務大臣(石破茂君) 別に特定の国を念頭に置いて考えているわけではございませんが、これも累次答弁を申し上げていることですが、冷戦の真っただ中に弾道ミサイルというものを持っていたものは二か国であったと。冷戦が終わるころにはそれが十か国になっていて、今やそれが世界四十六か国に拡散をしているという事実には我々はきちんと留意をしなければならないということで、どの国も遊びや冗談で弾道ミサイルなぞという高価なものを持っているわけではない。弾道ミサイルの拡散というものは、私どもは冷静に認識をすべきものだと考えておる次第でございます。
○大田昌秀君 一般的に、北朝鮮のノドンとかそういうものが非常に不安がられておるわけなんですが、これは仮定の話で恐縮ですけれども、仮に北朝鮮からミサイル攻撃があるとした場合、防衛は可能ですか。
○国務大臣(石破茂君) それはあらゆる、先般の総理の再訪朝もそうでございますし、あらゆる外交努力等々を通じましてそのようなことがないようにということは私どもとして全力を尽くしておるところでございます。
 仮に北朝鮮からという仮定を置いてお答えをすることが適切だとは考えておりません。しかしながら、ミサイル防衛、失礼、弾道ミサイル攻撃というものについて何ら策がございませんというようなことはあるはずがないのであって、それは日米協調体制というものもございます。ガイドラインにおいて打撃力というものは米国にゆだねるという形にもなっておるわけでございます。
 また、今回御審議をいただいております法案におきましても、どうやって、にもかかわらず発射をされた場合に、どの国からとは申しませんが、どのようにして被害を極小化するかということも併せて常に考えておかねばならないことだというふうに思っておる次第でございます。
○大田昌秀君 なぜこういう質問をしたかと申しますと、我が国の弾道ミサイル防衛計画について、去る五月十五日付けの毎日新聞は、米国防総省の迎撃ミサイル発射実験の責任者であったフィリップ・コイル元国防次官補の発言を引用しております。それによりますと、コイル氏は、日本はミサイル防衛の導入を決定したが、実際に敵のミサイルを撃ち落とせるかどうかは分からないのだ。現在の脅威レベルは、巨額の費用を投じて拙速な導入を進める必要にまで達していないと指摘しておりますが、この考え方について長官はどうお考えですか。
○国務大臣(石破茂君) それは、どれだけの精度を持ったものかということにつきましては私ども米側と常に意見の交換をして、当たるも八卦当たらぬも八卦みたいなものを大変な国民の税金を投入して買うわけにもまいりません、導入をするわけにもまいりません。
 その精度につきましても常に検証を行っておるところでございますが、例えて申し上げますと、カーナビゲーションの技術みたいなものを考えてみましたときに、二十年前の技術と今の技術と比べてどれだけ長足の進歩を遂げたか、そしてまた精密誘導兵器の技術がどれだけ長足の進歩を遂げたかということを考えてみましたときに、私自身、この弾道ミサイル防衛というものにいろいろとかかわるようになってから十年近くになりますが、それはもう恐ろしい技術の進歩を遂げたという実感を一つは持っております。
 それからもう一点は、費用対効果というものに置き換えてもよろしい議論かと思いますが、今回の弾道ミサイル防衛に要します費用、大体約八千億というふうに国会でも申し上げておるところでございます。費用というものは計算できますが、それでは効果というものが納税者に対してきちんと御説明できるものなのかどうかという議論をしましたときに、まず抑止という効果は相当のものがあると思っております。弾道ミサイルを撃ったってそれが落とされるということになれば、撃ったって仕方がないねということになります。
 それが、あるいはそれがきちんと迎撃ができるシステムが確立されたときに、それが東京であれ北海道であれどこであれ、人の生命が守られ人の財産が守られるということになれば、私は弾道ミサイル防衛において費用対効果という議論をすることは余り意味がないことだ、つまり費用は計算できますが、効果というものは、抑止も含めまして、それは計り知れないものがあるというふうに考えております。私どもの防衛力整備の考え方から申し上げまして、この弾道ミサイル防衛というのは費用対効果という議論におきましても、きちんと納税者の方々にそれが効果はどれぐらいだということを申し上げるわけにはまいりません。しかしながら、これは十分納税者の利益に資するものであると、かように考えておる次第であります。
○大田昌秀君 平時と有事における民間航空機による米軍の弾薬の輸送について、防衛施設庁にお伺いいたします。
 ちょっと古くなって恐縮なことですが、二〇〇一年の一月二十九日付けの朝日新聞は、防衛施設庁が国内航空三社に対して米国防総省が定める輸送資格を取得するよう要請したと報じられておりました。
 それは事実でしょうか。もし事実とすれば、その要請を航空三社は受諾したのですか。受諾していないとすれば、防衛施設庁としては現在も同様の要請をし続けているのですか。
○政府参考人(土屋龍司君) お答え申し上げます。
 防衛施設庁は、沖縄県民の方々の負担を軽減するため、沖縄県道一〇四号線越え実弾射撃訓練を本土の演習場で分散実施するに当たり、在日米軍の依頼を受けて、民間企業と輸送に係る契約を結んで訓練に参加する人員等を輸送しております。
 この輸送に関して、防衛施設庁は、平成十二年八月から九月にかけまして、民間航空三社、ANA、JAL、JASでございますが、この三社に対しまして米軍人の輸送、チャーター輸送に必要な品質及び安全性に関する審査を受け、米国防省の資格を取得するよう依頼したところでございます。
 これは、国内の航空会社はいずれもこの資格を有しておらず、実弾射撃訓練の移転に伴う人員輸送には、輸送資格を有する米国の航空会社一社、コンチネンタル航空でございますが、この旅客機をチャーターしている状況にあることから、輸送手段の選択肢を広げ、輸送日程に柔軟性を持たせることにより、沖縄県民の方々の負担を軽減するための実弾射撃訓練の移転をより確実なものとするために行ったものでございます。
 現在の状況でございますが、現在までのところ、航空三社からの回答はいただいておりません。私どもとしましては、引き続きこの三社に検討していただきたいと思っております。
 以上でございます。
○大田昌秀君 今那覇のことが出ましたけれども、一九九八年一月六日のことですが、那覇空港から関西空港行き日本航空八九四便が那覇空港でいったん米軍の小火器類等、火薬四箱分、総量五十七キロを貨物室に搭載したのですが、運航管理者からその説明を受けた機長は、危険物貨物類が規定に定められた二十五キロを超えていたことや、米軍の弾薬等を民間機で輸送することは問題ではないかと考えて、日航の本社等と協議した結果、その弾薬等を降ろして同空港を出発したということがございました。航空法ではその第八十六条で、爆発物等は航空機で輸送してはならないというのをその原則として定めておりますが、もちろん若干の例外規定はありますけれども、それはあくまで例外であって、民間航空機を使ってそのような危険物を輸送するということは大変問題だと思います。
 有事になった場合、井上大臣にお伺いしますが、このような機長が平時において拒否できるようなことはもうできなくなるんですか。それとも、機長は、機長の権限は大幅に認められておりますから、機長によってはそれを拒否することも可能なんでしょうか、有事になった場合ですね。
○国務大臣(井上喜一君) これはいろんな協力の依頼はあろうと思うんでありますけれども、運送なんかにつきまして、それを強制するということは法案の中には規定しておりませんので、その運ぶか運ばないかはその運送会社による判断によるということでございます。
○大田昌秀君 先ほど、航空三社はまだ防衛施設庁の要請に対して受諾していないという趣旨のお話がございましたけれども、これからも要請し続けるお考えなんですか。もしそうだとすれば、その根拠は何ですか。
○政府参考人(土屋龍司君) お答えします。
 防衛施設庁としましては、先ほどお答えしましたように、平成十二年の八月から九月にかけて要請をしたわけでございまして、現在のところ、この回答をいただいていないという状況でございます。そして、私どもとしましてはこの回答を待っているという状況でございます。
○大田昌秀君 先ほどもちょっと他の議員からお話がございましたけれども、私も全く、国民保護法制を考える場合、全く同感でございまして、過去の戦争における有事、有事法制、例えば国民保護法制みたいな類似の法制があったとして、それが機能したか機能しなかったかということをちゃんとチェックするというのが極めて大事だと思うわけなんですが、私自身は戦争に参加したことがありまして、地上戦なんかになった場合に、とてもこの国民保護法制の大方は機能しないと考えております。例えば、その千二百万人の人口を持つ東京都で地上戦が起こった場合、その東京都知事に仮に避難、一般住民を避難させる責任が負わされたとして、どういう形でどこにどういうふうに避難させ得るとお考えですか。私は到底できないと考えるわけですが。
○国務大臣(井上喜一君) この避難というのは、正にこの地域の状況によりまして、いろんなこれ対応があると思います。特に今、東京都の場合なんかを例に出されましたけれども、なかなかやっぱり避難をスムースにやっていくというのは難しいことでありますので、やっぱりすぐには対応ができないことだと思います。
 そういったことで、この避難等につきましては、かなりの時間を掛けまして詳細な検討が必要でございます。是非、自治体ごとに状況が違いますのでそういう検討をして、していただきまして、一番安全と思われるような方法でもって避難をしていただくように、我々も努力をいたしますけれども、自治体の方にもそういった努力をお願いいたしたいと考えております。
○大田昌秀君 これは防衛庁長官にお伺いした方がいいかと思いますが、せんだってもちょっと指摘したことなんですが、今、井上長官、井上大臣は、より安全な場所に避難させることを具体的に考えていきたいという趣旨の御答弁でございましたけれども、御承知のように五十二か所に原子力発電所がありますね。この小さな島国ですから、ミサイル戦争になった場合、一体、その原子力発電所に三、四か所命中したとして、どこにどういうふうに避難が可能だとお考えですか。
○国務大臣(石破茂君) であらばこそミサイル防衛は必要なのだという議論も、それはあるんだろうと思います。
 それはさておきまして、では命中したらどこに避難をするのかということは、この法案が、今御審議をいただいておりますが、成立をいたしまして、それぞれの権限というものが明確になりまして、それぞれの都道府県において更に国民保護協議会のようなものを設け、市町村にも設け、どのような形でどこに避難できるか。そういう場合に、じゃNBCに対して、この場合に、もちろん原子力発電所にどの程度のミサイル攻撃があればどの程度の被害が生ずるかということは、これは経済産業省ともよく議論をしながらきちんとした、余りに不安をあおるようなことも決して適切だとは存じませんので、そういう場合に、じゃこの場合に、Nの被害からどのようにして一番そこの県民、市民を守ることができるかということは、それを詳細に検討していくことになるはずでございます。
 で、もうずらっと原子力発電所が日本海側に並んでおって、それを攻撃されたらどうにもならないのだからという議論に私どもは立つべきだとは考えておりません。日本の国として、原子力発電の有用性というものはこれはもう多くの方が御認識になっておることであって、またそこに被害が及ばないように、万々が一そういうことがあったときにどうやって被害を極小化するか、そういうことは重層的に政府の責任として地方自治体とも協議をしながら議論をしていくべきことだと考えております。
 しかしながら、まず、そういうことにならないように全力を尽くすというような外交努力がまず大事であることは申し上げるまでもございません。
○大田昌秀君 最後の一問、質問でございますけれども、ジュネーブ条約第一追加議定書の第五十九条では、紛争当事者の適当な当局は相手の攻撃が禁止される無防備地域を宣言できることがうたわれています。紛争当事者の適当な当局とは自治体も含まれると考えるべきだと思いますが、そこで、自治体が住民の生命を守るため無防備地区を宣言をした場合、国はその宣言を尊重しなければならないと理解してよろしいですか。井上大臣にお願いします。
○国務大臣(井上喜一君) 正に国としてどういう対処をするのかということだと思います。
 したがいまして、対処基本方針というのを有事の場合に作成することになっておりまして、これは閣議決定をしてなおかつこの国会の同意を得ないといけないようになっておりますけれども、こういう中でやっぱり規定するのが本筋だと思うんですね。そういうことで、勝手に市町村がやりましてそれでやるというわけにはまいらないと思う。国としてどのように判断をするのかと、そういうことだと思います。
○大田昌秀君 終わります。ありがとうございました。
○委員長(清水達雄君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後四時四十九分散会