第161回国会 法務委員会 第9号
平成十六年十一月二十五日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月二十四日
    辞任         補欠選任
     江田 五月君     櫻井  充君
     簗瀬  進君     白  眞勲君
 十一月二十五日
    辞任         補欠選任
     浜四津敏子君     鰐淵 洋子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         渡辺 孝男君
    理 事
                松村 龍二君
                吉田 博美君
                千葉 景子君
                木庭健太郎君
    委 員
                青木 幹雄君
                荒井 正吾君
                山東 昭子君
                陣内 孝雄君
                関谷 勝嗣君
                鶴保 庸介君
                櫻井  充君
                白  眞勲君
                前川 清成君
                松岡  徹君
                鰐淵 洋子君
                井上 哲士君
   国務大臣
       法務大臣     南野知惠子君
   副大臣
       法務副大臣    滝   実君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  富田 茂之君
       財務大臣政務官  段本 幸男君
       厚生労働大臣政
       務官       森岡 正宏君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   園尾 隆司君
       最高裁判所事務
       総局民事局長
       兼最高裁判所事
       務総局行政局長  高橋 利文君
       最高裁判所事務
       総局家庭局長   山崎  恒君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        加藤 一宇君
   政府参考人
       警察庁生活安全
       局長       伊藤 哲朗君
       法務大臣官房司
       法法制部長    寺田 逸郎君
       法務省民事局長  房村 精一君
       法務省刑事局長  大林  宏君
       法務省入国管理
       局長       三浦 正晴君
       厚生労働大臣官
       房審議官     北井久美子君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○民事関係手続の改善のための民事訴訟法等の一
 部を改正する法律案(第百五十九回国会内閣提
 出、第百六十一回国会衆議院送付)
○刑法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
    ─────────────
○委員長(渡辺孝男君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨二十四日、簗瀬進君及び江田五月君が委員を辞任され、その補欠として白眞勲君及び櫻井充君が選任されました。
    ─────────────
○委員長(渡辺孝男君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 民事関係手続の改善のための民事訴訟法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に警察庁生活安全局長伊藤哲朗君、法務大臣官房司法法制部長寺田逸郎君、法務省民事局長房村精一君、法務省刑事局長大林宏君、法務省入国管理局長三浦正晴君及び厚生労働大臣官房審議官北井久美子君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(渡辺孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(渡辺孝男君) 民事関係手続の改善のための民事訴訟法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○松村龍二君 自由民主党の松村委員でございます。
 本日は、民事関係手続の改善のための民事訴訟法等の一部を改正する法律案が既に提案されておりまして、この審議をするわけでございます。自由民主党を代表いたしまして質問をさせていただきたいと思います。
 平成十三年六月十二日に内閣に提出された司法制度改革審議会の意見書では、民事司法制度について、国民が利用者として容易に司法にアクセスすることができ、多様なニーズに応じた適正、迅速かつ実効的な救済が得られるような制度の改革が必要であると、こういうふうに提言されまして、これを受けまして、法務大臣が法制審議会に対して、民事訴訟法の改正要綱を示すように諮問されたわけでございます。
 その答申がありまして、まず昨年七月九日に民訴法の、民事訴訟法の一部を改正する法律案が可決、成立をいたしまして、既に本年四月一日から施行されております。その際に、民事訴訟手続等のオンライン化についてはなお時間を掛けて検討する必要があるということで、その検討が今日の法案になっておるものと思います。
 一方、民事執行手続につきましては、上記諮問の中で、民事執行制度の見直しを行う必要があると思われるので、要綱を示されたいという諮問に対しまして、これをやはり要綱として法務大臣に答申されまして、これも昨年七月二十五日に参議院で可決、成立しているわけでありますが、これでは不十分として、民事執行手続の一層の適正化、迅速化を図るため更に見直しが必要であるということで、法務大臣が諮問されまして、民訴及び民事執行法の改正に関する要綱案が答申されて、今日の、今回の法案になっておるというふうに思います。
 それから、公示催告手続につきましては、明治二十三年に制定された実質的改正は一度も行われておりません。公示催告をより合理的かつ迅速なものとして国民に利用しやすいものとするための検討ということで、今回の法案になったものというふうに承知するわけであります。
 我々も、この一年間、通常国会において二十本近い法律の制定、改正を行いまして、またさらに、この臨時国会で十本近い法律の処理を大車輪でやっておるわけでございます。今回の法案は、ただいま申しましたように非常にきめの細かい専門的な話になってくるわけですが、言わば落ち穂拾い的なものをまとめて法案にしたのかなというふうにも思うわけですが、まず大臣に本法律案の提出に至った経緯がどのようなものか、お伺いします。
○国務大臣(南野知惠子君) おはようございます。
 先生からただいまお話ございました。本当に多くの法案を手掛けていただいておりますことをまず感謝申し上げます。
 この法案を提出に至った経緯はどうかということでございます。第一番目には、先生もお話しになられましたが、民事訴訟法及び民事執行法は、昨年七月に司法制度改革の一環として改正されたところでございます。この改正は、法制審議会が昨年二月にした答申に基づくものでありましたが、民事訴訟法の改正につきましては法制審議会において引き続き審議が行われておりました。それ、先生もおっしゃいましたオンライン化の問題とか、などでございます。また、民事執行法につきましても、昨年三月には民事執行手続を一層適正かつ迅速なものにするという観点から、新たな法改正に関する諮問を行いました。
 そこで、法制審議会ではこれらの二つの法律について昨年四月から調査審議を行い、本年二月には民事訴訟法及び民事執行法の改正に関する要綱を決定し、答申に至りました。
 さらに、手形等を喪失した場合等に利用される公示催告手続、これに関しましては、現在、公示催告手続に関する法律に規定されておりますが、当省におきまして昨年の春からその規定を現代語化するとともに、この手続を現在の社会経済情勢に適合したものにするための検討を続けてまいりました。本法律案は、この法制審議会の要綱及び当省の検討の結果に基づいて立案され、提出に至ったものであります。
○松村龍二君 それでは、内容についてお伺いしていきますが、まず民事訴訟手続等における申立て等のオンライン化についてお伺いします。以下、民事局長からお答えいただければ幸いです。
 民事訴訟手続等のオンライン化のための改正の具体的内容はどのようなものか、お伺いします。また、本法律案ではオンライン化により他人に成り済ました申立て等がなされないようにするため、どのような手当てがなされているのか、お伺いします。
○政府参考人(房村精一君) この法律案では、御指摘のように民事訴訟手続についてのオンライン化を図っておりますが、その内容は大きく分けて二つございます。
 一つは、民事訴訟に関する手続における申立て等につきまして、法令上書面をもってするということとされているものにつきまして、これをオンラインでできるようにする。その内容といたしましては、最高裁判所の定める裁判所に対してするものについて、最高裁判所規則で定めるところにより電子情報処理組織を用いてこれをすることができる、これによりまして、民事訴訟一般について、申立てについてオンライン化の道が開けたと、こういうことになります。
 それからもう一つは、より具体的なオンライン化で督促手続について、これは手続が比較的構造が簡易である、簡便、ああ、簡易であるということを踏まえまして、申立てをオンラインでできるというにとどまりませんで、支払督促の申立てをした債権者に対する処分の告知をオンラインで行えることとする、あるいは支払督促を電磁的記録により作成することができる、その手続全体にわたって原則としてオンライン化をすると、こういうこととしております。
 このようなオンライン化をした場合には、御指摘のように他人に成り済まして申立てをするということが懸念されるわけでございます。この点につきましては、法律案では法令の規定により署名押印等をすることとしているものについては署名押印等に代わる措置を講ずることを義務付けております。
 具体的な措置の内容については、最高裁判所規則に委任をしておりますけれども、最高裁判所においてはこの署名押印等に代わる措置の具体的内容といたしまして、成り済ましの防止等の観点から、厳格な本人確認のためのいわゆる電子署名、これを要求するということで検討しているという具合に伺っております。
○松村龍二君 管轄裁判所についての合意を、書面のほか電磁的記録によってもすることができるようにしたのはなぜですか。
○政府参考人(房村精一君) 現在、電子商取引というのは非常に普及しております。特に、インターネットを利用していろいろな取引をするということが増大しているわけでございます。ただ、現在の法律の下では、争いに備えて管轄の合意をする場合にこれは書面でしなければならないとしておりますので、インターネットを利用して電子的に商取引を行った場合でありましても管轄の合意だけは別途書面を作らなければいけないと、こういう規定になっております。
 そもそもこの書面を要求したというのは、明確な形で記録が残っていないと困ると、こういうことから書面を要求しているわけでございますので、電子的な記録であっても、それがきちんと保存されて、事後そういう合意があったことがその電磁的な記録によって確認できるということであれば、書面を要求する場合と全く同じような確実性が期待できるわけでございます。
 そういう観点から検討いたしまして、現在のその利用状況、それからそのシステムを考えれば電磁的な記録についても書面と同様確実性が期待できるということで、取引等がインターネット等で行われている現状を踏まえまして、管轄の合意についても電磁的記録ですることを認めるということとしたものでございます。
○松村龍二君 次に、手形等の喪失者の権利保護の迅速化、効率化ということで改正することかと思いますが、公示催告手続に関する改正の概要と、また有価証券の無効の宣言のための公示催告手続における公示催告期間の下限を六か月から二か月に短縮したのはなぜでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 手形等を喪失した場合に、これを無効とすることによりまして喪失した人がその権利を行使できるようにすると、そのために公示催告手続を用意いたしておるわけでございます。
 今回の改正で、御指摘のように、この公示催告期間、これを、現在六か月を下限としておりますものを二か月まで短縮しております。これは、手形につきましては、一般に振出日から満期までの期間が三か月程度のものが多いと、こういうことが言われているわけでございます。正にその手形を持っている人を言わば救済するために公示催告制度があるわけでございますが、その公示催告期間が六か月ということになりますと、振出日までにその公示催告の効果を発生させるということが難しい事例が非常に増えてしまうわけでございます。そういうことから、その喪失者を迅速かつ実効的に救済をするということでこの六か月の催告期間を二か月に短縮するということとしたものでございます。
○松村龍二君 次に、最低売却価額制度の見直しについてお伺いするわけですが、不動産競売の手続における最低売却価額制度を売却基準価額制度に改めることとしたのはなぜでしょうか。
 また、ついでに伺いますが、買受け可能価額を売却基準価額からその十分の二を控除した価額としたのはなぜでしょうか。買受け可能価額を売却基準価額からその十分の二を控除した額とすることにより、不動産の所有者、債権者の利益が害されるおそれはないのか、お伺いします。
 この法改正に当たっては、いろいろパブリックオピニオンを求めて日弁連その他いろいろな団体からの意見等も聴取されておられるようでございますが、ただいまの質問に対してお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(房村精一君) その前に、ただいまの公示催告期間の点で、私、振出日まで三か月程度と申し上げたようでございますが、これは振出日から満期までの期間が三か月程度のものが多いという趣旨でございますので、ちょっと訂正をさせていただきます。
 それから、最低売却価額制度を基準価額制度に改めることとした理由でございます。
 これは、現在の最低売却価額制度というのは、鑑定人の評価に基づきましてその競売物件の買受けの申出額の下限を定めるものと。この目的としては、競売物件が不当に安く売却されることを防止して、所有者、債権者の利益を保護するという、そういうために設けられている制度でございます。そういう意味ではこの制度を今後も維持すべきであるという具合に考えておりますが、ただ、この最低売却価額が高く定められてしまいますと物が売れないという、そういうことになるわけでございまして、現在の競売の実情として、そういう売却価額が高いがために売れない物件も一定数あるのではないかという、こういう御指摘を受けているところでございます。
 それと、そもそも価額を定めるための評価というものも、事の性質上、一定の幅がある、絶対的な数値としてこの額だということが決まるわけではなくて、やはり一定の幅のある評価の中から額を決めていくと、こういう性質だろうと思います。それを踏まえまして、この売却の最低額を決める場合にも、その評価の額をそのまま最低の額とするのではなく、それから二割程度下回る額まで入札を認めると、こういうことによりましてより一層の売却率の向上を図ると、こういうことを考えたわけでございます。
 なぜ二割と定めたのかという点でございますが、これは、現在の競売の実務といたしまして、最低売却価額を定めて競売を実行いたしまして、例えば入札をする人がいないというようなことで売れない場合にはこの最低売却価額を二割減額をいたしまして再度売却を試みると、こういうことが一般に行われております。このような現在の実務も、評価がやはり一定の幅がある、二割程度の評価の幅の差というのは現実にあり得るということを踏まえてこのような運用がなされていると思われるわけでございます。そういうことから、今回、法律で最低売却価額を基準価額といたしまして、それを下回る額での入札を認めるに当たりまして、現在一般に実務の慣行としてなされている二割、こういう数字を用いてそこまで許すということとしたものでございます。
 このような制度を設けますことについて、売れる額が下がることによって債権者あるいは所有者が損害を被るのではないかと、あるいは競売妨害を助長するのではないかという、そういう懸念もあるところでございますが、これは、二割程度の額でありますと競売を積極的に妨害して不当に安く買い受けようという、そういうインセンティブを刺激するということは少なかろうと思いますし、現実の競売を見ておりましても、売却価額、最低売却価額を相当上回る額での売却も相当数ございます。
 そのようなことを考えますと、今後、競売についてより多くの方々に参加していただけるような努力をすることによりまして、そのような債権者あるいは所有者に損害が及ぶおそれはないものと考えております。
○松村龍二君 そこで、更に最低売却価額制度についてお伺いしますが、このように制度を改めましても、売却基準価額の決定の基礎となる評価人の評価が適切になされなければ競売物件の売却を促進することはできないと思われますが、評価の適正化を図るための措置は講じられておるのでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) これは御指摘のとおりでございまして、やはり何といっても評価人の評価が適正になされるということがその前提でございます。
 この法律案におきましては、この最低売却価額を基準価額に改めると同時に、この評価につきましても法律の中に規定を置きまして、評価の適正を図る観点から、評価人が売却基準価額の評価をするに当たり考慮すべき事情を法律に掲げるということとしております。
 このようなことによりましてより適正に行っていただくということを法律として期待しておりますが、実際に評価に当たる評価人の候補者の方々も、研究会、これを全国競売評価ネットワークと、こういう名称を付けているようでございますが、このようなものを組織いたしまして、物件の種類、態様ごとに評価の改善方法等について研究をするなど評価の適正化に向けた様々な取組をしているという実情にあると思いますので、そのような評価の適正化というのは今後着々と図られていくのではないかと、こう思っております。
○松村龍二君 次に、少額訴訟債権執行制度の創設についてお伺いしますが、法務大臣にお伺いしますけれども、簡易裁判所における少額訴訟債権執行制度を創設するのはなぜか、お伺いします。
○国務大臣(南野知惠子君) 少額訴訟は、これは六十万円以下の金銭の支払を求める訴えにつきまして、簡易裁判所において、原則として一回の期日で審理を終え、判決を言い渡す制度というものでございます。しかしながら、現在では、少額訴訟におきましては、判決を得た場合でも強制執行の申立ては簡易裁判所ではなく地方裁判所まで、地方裁判所にしなければならないと、そこまで行かなければならないというようなところがございます。
 そこで、この少額訴訟の制度をより便利なものにするために、本法律案では、少額訴訟で得られた債務名義については、少額訴訟が行われた簡易裁判所でも債権執行を行うことができる、そういう少額訴訟債権執行制度を創設したものでございます。
○松村龍二君 それでは、そもそも少額訴訟債権執行制度の概要について、ただいまの法務大臣の説明を更に敷衍しましてお伺いします。
 少額訴訟債権、併せて少額訴訟債権執行の手続について司法書士がこれを代理することができるということとしたのはなぜか、お伺いします。
○政府参考人(房村精一君) この平成十四年の司法書士法の改正によりまして、国民の司法へのニーズを充足させるために、簡易裁判所における民事訴訟手続等について司法書士が代理をするということが認められました。民事執行手続につきましては、これを代理するには相当高度な法律知識を要するということから、司法書士がこれを行うことは認められておりません。
 ただ、現在問題となっております少額訴訟債権執行制度の手続は、簡易裁判所で行われるものである上、その内容も金銭債権の差押えなど簡易な手続に限定されておりまして、これを行うために高度な法律知識を要するものではありません。また、その債務名義を成立させる少額訴訟の手続そのものについて司法書士の方の代理権が認められているということでありますので、その債権執行の手続についても代理権が認められますと、その司法書士に委任をした人にとっては、債務名義の成立の裁判からその執行まで同じ司法書士に代理してもらえると、こういう便宜な面もございます。
 そのようなことを考えまして、この法律案では、国民の司法へのニーズをより充足させるために、少額訴訟債権執行の手続について司法書士がこれを代理することができるということとしたものでございます。
○松村龍二君 この法案とちょっと離れますけれども、最近、少額訴訟制度を悪用したいわゆる架空請求と、その事例が見られるようになっていると聞きます。特に問題なのは、実際に裁判所に訴えの提起がされて、身に覚えのない市民の方に本物の呼出し状などが送られてきた際に、架空請求は無視せよと言われているために放置してしまい、欠席判決が出てしまうことである。地元に帰りましても、こういう、あなたこれだけの債務があるから払いなさいとはがきで、等で自分のところにも来ているというようなことで、無視していいものか無視していかぬもんか。
 これが、本物の訴訟が起こされていて、呼出し状が来て無視したところ、一遍の裁判で決まってしまったというようなことも一方であるわけでございまして、ちょっと市民が大変今戸惑っている面があると思うんですが、こうした事例が起きないように法務省として何らかの対応は考えているんでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、架空請求が非常に増えているわけでございます。一般の私人が勝手にする請求であれば、これはもう放置しておいても何の問題もないわけでございますが、この裁判所の督促手続等正式な手続を利用した請求ということになりますと、それについて、こちらから積極的に異議の申立てであるとかそういう行動を取りませんと、法律上確定して正式な債務名義になってしまう、それに基づいて強制執行をされると、そういうことになるおそれがあるわけでございます。
 したがいまして、私どもとしても、このような裁判所からの呼出し状等が来た場合には、これを放置することなく、きちんと自分の言い分を裁判所に対して言うということが重要であるということから、消費者保護問題を所管する内閣府などと協力をいたしまして、裁判所から呼出し状等の文書が届いた場合は、これを無視することなく、まずその連絡先が真実のものであるかを電話帳や消費生活センターなどで確認し、真実裁判所からのものであることが分かれば、直ちに弁護士や同センターに相談するなどの対応をする必要があるということを国民に周知するように努めているところでございます。
 今後もその努力を続けていきたいと、こう思っています。
○松村龍二君 最後に、扶養義務等に係る金銭債権の間接強制制度という、導入があるわけですけれども、本法律案で、養育費その他の扶養義務等に係る金銭債権に限って間接強制の方法による強制執行を認めることとしたのはなぜでしょうか。また、金銭債権一般ではなく、扶養義務等に係る金銭債権に限って間接強制の方法による強制執行を認めるとしても、資力のない債務者に過酷な結果をもたらすおそれはないのか、お伺いいたします。
 私も、パブリックコメントに対する回答その他いろいろな審議がされている結果、扶養義務等に限って行うということになったということは承知するわけですが、ただいまの御質問をいたします。
○政府参考人(房村精一君) 扶養義務等に係る給付、養育費等でございますが、これはその債権者の生計の維持に不可欠なものであるということから、これをどういう形で実現していくかということは非常に重要なものだろうと思っています。
 さきの強制執行法の改正によりまして、この養育費等につきましては、その都度差押え等の強制執行手続をするのは大変だということで、将来分も含めて一括して給与等の継続的な給付を差押えができるということにいたしまして、その強制執行を容易にできるようにということとしたわけでございますが、ただ、この問題につきましては、現実に養育費等の支払を受ける方々から、給料を差押えをしてしまうと、会社にそのことが知れて会社にいづらくなってしまうと、そのようなことから会社を辞めてしまって、結局最終的に払ってもらえなくなるんでなかなか強制執行がしにくいと、こういうような御指摘がございました。
 そういうことから、より容易に執行ができる方法はないかということで検討をいたしまして、この間接強制の方法によるということを考えたものでございます。
 間接強制でありますと、その債務を履行しない場合に裁判所が定めます制裁金を支払わなければならないという、こういう義務を課すことによって心理的にその履行を促すというものでございますので、会社等に知られるおそれはないと、そういうことからより容易に利用できるのではないか。また、現実に養育費等を支払わない場合について、その支払う能力はあるんだけれども、嫌がらせ等で払わない例が相当数あるということの指摘もございますので、そういう場合には、正にこの心理的な強制を加えることによって履行の確保を図ることが可能になるということが言えるだろうと思っております。
 そのようなことから、法制審議会で種々検討した結果、この扶養義務に係る金銭債権について、限って間接強制の方法による強制執行を認めることとしたものでございます。
 ただ、その間接強制の方法による場合、通常の定め方としては、履行しない場合にそれに応じて一定の制裁金を課するということになりますので、その額の定め方いかんによっては相当その債務者に対して酷な結果になるおそれが生ずるおそれがあるという、そういう指摘もございます。
 その点につきましては、扶養義務の具体的な額を定めるに当たりましては、これを支払う者の支払能力というものを十分考慮いたしまして、支払可能な範囲でその額が定められておりますので、一般的にはこの養育費等の扶養義務に係る支払義務というのは支払可能な範囲の額に収まっているはずでございます。
 また、その裁判所がその具体的な間接強制の額を定めるに当たりましても、債務者が支払能力を欠くためにその金銭債権に係る債務を弁済することができないときなどは間接強制の決定をすることができないと、こうしておりまして、この間接強制によって債務者にとって過酷な結果が生ずるというのを防ぐような仕組みになっております。
 また、間接強制の命令が出た後、事情が変更したような場合にはその取消しの申立てもできると、このような種々の手段を講ずることによりまして過酷な結果の生ずることを防ぐような仕組みになっております。
○松村龍二君 本委員会は弁護士出身の、あるいは現職の弁護士の方が多いんで、非常にこの問題については身をもって実情を御存じの方が多いと、また後ほど御質問もあろうかと思います。
 養育費は、法務大臣にお伺いしますが、養育費は子供を養育するために必要不可欠のものであるにもかかわらず、我が国では養育費の取決めがされても債務者が任意に支払わない場合も少なくないと聞いております。これから養育費の履行確保のため強制執行手続の一層の活用を図る必要があると考えますが、法務大臣はどのように認識を持っておられますか、お伺いします。
○国務大臣(南野知惠子君) 先生御指摘のとおりでありまして、養育費等につきましての権利が確実に実現されることは子供を養育するために極めて重要な事柄であろうと認識いたしております。
 本法律案によります間接強制は養育費などを支払う能力がありながら支払を怠っている債務者に対して行われるものでありますが、この制度が養育費についての権利を実現するため新たな選択肢として十分に活用されますように、この趣旨並びに内容につきまして周知を図っていきたいというふうに思っております。
○松村龍二君 次に、この法案をちょっと離れまして一つ質問をさしていただきたいというふうに思います。
 十月二十三日に新潟中越地震が起きまして一か月余たったわけであります。今もって六千三百人の方が避難生活をしておる。非常に寒いテントの中、あるいは体育館の中であればまだ暖かいかと思いますけれども、六千三百の多きにわたる方が避難生活をしておる。その間、死者も四十人に上っていると報道されております。直接地震で下敷きになったりされて負傷し、あるいは亡くなったという方もおられたわけですけれども、その後、今回の地震の特徴は十余名の方がその後突然死されるというようなことで、大変痛ましい災害でございます。
 そういう中で、十数名の方が後ほど亡くなったことについて、あのとき皆さん、自動車を持っておりますので、狭い自動車の中で夜を過ごすと。それで、ひざを屈し、曲げてそのままの姿勢で何日も生活していると。これはてっきり、飛行機に長時間乗ったときに太ももが圧迫されて、エコノミー症候群という言葉が知れ渡っているわけですけれども、エコノミー症候群で亡くなったというようなことが新聞に報道されます。そうしますと、エコノミー症候群を防ぐ体操をするにはどうすればいいかと、足の指を広げたらいいとかいろいろ対応する人も出てくるわけですけれども、しかしこのような死因というのはそれほど単純なものではないと。太ももが圧迫されているという場合もあるでしょうし、あるいは非常に寒さが原因になって筋肉が硬直してということもあるでしょうし、あるいは持病があったためにそれと重なってということもあろうかと思います。
 私も医師ではありませんのでそれ以上分析することは差し控えますけれども、事ほどさように、いろいろな、死に至ることあるいは治療をするということが非常に奥深い専門的な内容を伴うものである、こういうふうに思っております。
 幸い、法務大臣は厚生労働、看護師をしておられて、専門の方でございますので、ここで本当は話伺うとあれなんですが、最後にちょっと御感想を、この問題について、私が今から質問することについて御感想をいただきたいというふうに思います。
 我が国の近代的医療制度を規定する医療法は、「医療を提供する体制の確保を図り、もつて国民の健康の保持に寄与することを目的とする。」と規定しております。その担い手である医師、歯科医師、看護師等は、専門的知識や技術を有し、医療等をつかさどることによって公衆衛生の向上及び増進に寄与し、国民の健康な生活を確保するという公共的な任務を有しているわけであります。このように、健康上極めて重要な役割を担う医療従事者について、その資格をそれぞれ法律で厳格に定め、同時に、その業務に関し国民保健の見地から必要な規制が行われているところであります。
 一方、あんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師についても、医療従事者同様、法律によりそれらの資格が定められ、それら業務が適正に行われるよう規制されていたところでございます。考えてみますと、江戸時代には近代医学は限られたオランダ医学という以外はなかったわけでありまして、あんま、指圧、はり、そういうものが日本国民の医療そのものであったというふうにも指摘できるかと思います。
 そういう中で、先ほど申しました医師、歯科医師、看護師等が医療法で、またあんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、これは二つに法律は分かれておりますが、それぞれ法律が定められまして、医療類似行為として保護されているというか、特別の地位を与えられておる。また、これらの資格を取るについても、一定の学校、三年余の勉強をしなければならないと、こういうふうになっているわけです。
 これら規制の中に広告の制限というものがございます。本日は広告の制限についてちょっとお話ししたいわけですが、医療法第六十九条は、「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関しては、文書その他いかなる方法によるを問わず、何人も次に掲げる事項を除くほか、これを広告してはならない。」ということで、お医者さんでいえば、病院の名前とお医者さんの名前、それから何が、外科内科、担当なのか、何時から何時まで診療しているか、その病院の場所、そういうものについてしか広告してはならないというふうになっております。
 私のある親しい人が、大学の、ある町にあります、大学教授、助教授をしておりまして、その町で開業して、元何とか大学助教授、何とか大学卒業と書いたら、その歯科医師会から猛烈な牽制が掛かりまして慌てて取り下げた、広告をやめたという話もちょっと身近に聞いたことがあるんですけれども、かくほど厳しくやっております。
 そして、何でも広告してよいというわけ──近年は、一方、インターネットの普及など情報化社会と言われることで、我が国の医療の一層質の高い効率的なものとしていくことが重要であるというような観点から、医療に関する情報開示が進められ、患者自ら医療を選択できる時代に徐々に変わりつつあるということもこれまた事実であろうかと思います。こうした中では、医療分野における広告の制限が多少緩和の方向にあるのかなということも指摘されるわけでございます。
 しかし、何でも広告してよいというわけにはいかないので、例えば病気が治りますとか、広告する治療法について不当に患者を誘引するのを避けるため、疾病が完全に治癒される旨等その効果を推測的に述べることは禁止されております。このことは、あんまマッサージ指圧師等についても同様でございます。
 これら医療機関が広告内容について厳格に制限を受けている現状がある一方で、国家資格を持たない者、法律上は、あんま、マッサージ、指圧、はり、きゅう、柔道整復以外の医業類似行為者に対しましても、これら、先ほど申しましたように、国家資格を持たない者が行う広告については、患者を不当に誘引したり誇大な広告をして、あんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師の方にも厳しい、先ほどお医者さんの例で申し上げましたような広告規制が法律の中であるわけでございます。その類似行為を指圧、はり、きゅう、柔道整復以外の医業類似行為者が患者を不当に誘引したり誇大な広告をしていると思われる事例があるわけであります。
 新聞等の折り込み等でかなりむちゃくちゃな広告がされているということは論外といたしましても、私は指摘しなければならないのはNTTのタウンページでございます。
 お手元に資料を配っておりますが。(資料提示)このように、資格者につきましては先ほど申しましたような、病院、施療者の名前、それから院長の名前、受付時間、日・祝日休診、電話番号、住所、略図、それからその後、はり、きゅう、小児はり、これらは書いてもいいということが法律で決めてあるわけですね、あるいは政令で決めてあるわけですが、それ以上のことはやってはいけないと。さっき、最初に申しました趣旨からやってはよくないということになっているわけですが、現にタウンページがどういう広告をしているかと。
 これはもう全く任意にぱっと開いたページのものをコピーしてきたわけでありますが、私の地元でも、「いろいろ試してみて、よくならない方へ 緊急告知」、「改善しない場合は、一〇〇%返金制度を導入」、それから「北京針灸骨傷大学推奨整体」何とかと、それで院長は社会文化功労賞受賞とか、適応症は肩凝りから腰痛から神経痛から自律神経失調症、アトピー性皮膚炎とかですね、まあ書きたい放題書いているわけです。
 そういうことになりますと、NTTが非常に、かつて公社であったこともあります、また、こういう治療を受けようというときに、肩が凝るというときに電話帳を調べて、という意味で、非常に信用される媒体であって、もうただ一つこれにアプローチすると。こういうものに非常に不公平な内容があるということになりますとNTTの姿勢を疑わざるを得ないということにもなりますし、このような状態を厚生労働省がどのようにお考え、あるいはどのように指導しているのかということをまずお伺いしたいわけです。
 そこで、質問といたしましては、厚生労働省にお聞きいたしますが、NTTのタウンページに限らず、あんま、マッサージ、指圧、はり、きゅう、柔道整復以外の医業類似行為者が行う広告についてどのように認識しているか、お聞きいたしたいと思います。厚生労働省から森岡政務官お見えでございますので、よろしくお願いします。
○大臣政務官(森岡正宏君) お答えさせていただきます。
 松村委員には日ごろから厚生労働行政にも深い御理解をいただきまして、本当にありがとうございます。
 今お尋ねの件でございますが、先ほど来るる松村委員が御指摘のとおりでございまして、あんま、マッサージ、指圧、はり、きゅう等の広告については、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律、通称あはき法と称しておりますけれども、ここの第七条において規定されております。また、柔道整復の業務の広告につきましては、柔道整復師法第二十四条に規定されているところでございます。つまり、一定の事項以外の広告をしてはならないと、こういうふうに定められているわけでございまして、なおかつ、今申し上げましたあはき法そして柔道整復師法以外の医業類似行為、こういう医業類似行為者が行う誇大な広告につきましては、とりわけ治療等、今例を挙げて委員がおっしゃったように、医学的有効性等をうたった広告については、あはき法や医療法の規制の対象になるものであると私どもも認識しておる次第でございます。
○松村龍二君 町の広告を二、三集めてみましたわけですが、これNTTではありませんけれども、これはパネルにしておりませんが、カイロプラクティックの一種だと思うんですけれども、ベッドの上に人を寝かせて、その上から踏み付けておるわけですね。あるいは首をぐっとひねったり背骨を圧迫するというふうな広告、これ、知らぬ人が見たらこれは効くのかなというふうにも思うわけです。
 それから、これはチラシですけれども、「淋巴快源」と、こうありまして、先般、テレビ見ておりましたら、乳がんとか子宮がんの後に足がぶくぶくに膨れる何かリンパ液がたまるようなのがあって、これの治療に悩んでいるという、それを専門に診る西洋医学のお医者さんは一つしかないと、一軒しかないというようなことで報道しておりました。何か包帯ぐるぐる巻いて圧迫してリンパ液が来ないようにするというような内容でございましたけれども、こういうものはいったん間違えますと大変なことになるというふうなことで、このあんま、はり、マッサージ、きゅうが対象とするようなことを軽く考えてはいかぬと。
 それから、私どもも今、国会議員というのは一日じゅういすに座っていることが、乗り物に座っていることが多くて、肩凝りとか腰が痛くなるとか、そういうことに悩みがちですけれども、なかなか西洋医学では治していただけませんけれども、先ほどのあんま、はり、マッサージ、きゅう、こういうような東洋医学といいますか、日本古来のこのような術が非常に血液を良くしてくれて元気回復というふうな点で非常に奥深いものかなというふうに思うわけです。
 こういう町の極端なものは例外といたしましても、少なくともNTTがやはり一定の厳しい自律を持って不公平にならないように、せっかく今申しましたようなあんま、マッサージ、指圧、はり、きゅうの発展に水を差すばかりか、国民の健康の保持にも問題が出てくることをNTTがやるということになってはまずいと思うんですが、厚生労働省としてNTTに対し今後どのように対処していくのか、お答えいただきたいと思います。
○大臣政務官(森岡正宏君) 今委員御指摘のとおり、医療等医学的有効性等をうたった広告についてはその規制の対象になるということでございまして、先ほど来お話がございましたように、例を挙げられましたように、こういう、この治療を受けますと医学的に有効性がありますよというような広告をしてはいけないわけでございますけれども、先ほど例を挙げられましたように、「いろいろ試してみて、よくならない方へ」というような書き方をしておるものもあるわけでございまして、グレーゾーンと言われるような部分が非常に大きいわけでございまして、ところが、これまでこれらの者が行う不適切な広告につきまして個別事例に応じて厚生労働省を始め都道府県等でもいろいろと対応してきておるというのが実情でございます。
 今御指摘のありましたタウンページにつきましても、そのNTTの掲載に係る考え方を確認するとともに、厚生労働省として主張すべき点があれば主張して、こういう点を厳正に対応するように適正な処理を求めていきたいと、このように考えているところでございます。
○松村龍二君 今日はいわゆる政府参考人、お役人をお呼びしたんではなくて、政務官にお出ましいただいたということは、まあ政治の力がこのような困っている方に対して力を発揮していただけるんでないかと。
 それから、NTTも、これ公社の時代ですと当然に私もNTT呼ぶんですけれども、まあ民になりましたんで民の人、一人だけ呼んでやるのもどうかなと思いまして、厚生労働省が今後NTT、これもお話伺いますと、NTTはNTTBJという何か広告を専門に扱うまた子会社みたいなのがあってそちらにあれしているようですけれども、これらの方と厚生労働省薬事課の方とよく話していただいて、少しでもあんま、はり、マッサージ指圧師の方が納得いくように御努力をいただきたいと思います。
 それから、次に、あんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師以外の医業類似行為者を養成する学校があるやに聞いております。これらは法律に規定する資格者を養成する学校ではないので、民間資格を取得する学校と呼ぶことにいたします。
 一方、あんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師を養成する学校養成施設については、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律により文部科学大臣又は厚生労働大臣が認定することになっております。これらの資格者には、三年以上、文部科学省令、厚生労働省令で定める基準に適合するものとして、文部科学大臣の指定した学校又は厚生労働大臣の指定した養成施設において必要な知識及び技能を修得し、国家試験に合格しなければ免許は与えられません。
 一方、民間資格者の学校は両大臣が認定するものではありませんので、これらの学校が例えば厚生労働大臣認定などと掲げ、不当に入学希望者を募るようなことがあってはなりません。一般の心理として、厚生労働大臣認定などという表現を見れば、あたかも国家資格を取得できると誤認するおそれがあると思うのですが、このような一般の方があたかも国家資格を取得できると誤認するおそれがある広告を行っている民間学校について、厚生労働省としてどのように認識していますか、お伺いします。
○大臣政務官(森岡正宏君) 先ほど御指摘のあったNTTの広告につきましては、繰り返して申し上げますが、厚生労働省としても厳正に指導していきたいと考えております。
 また、今御指摘の点でございますが、今おっしゃいましたように、あはき、また柔道整復に関しては、文部科学大臣の認定した学校又は厚生労働大臣の認定した養成施設を卒業して国家試験に合格した者に対して免許が与えられる。一方、あはき、柔道整復以外の医業類似行為については、厚生労働大臣がこれらの学校を認定することはございません。厚生労働大臣が認定を行ったとか、またそのように誤認されるおそれのあるような広告を行っておるとすれば適当じゃないわけでございまして、御指摘のような不適切な広告があるとすればそれぞれ個別事例に応じて厳正に対処していきたいと、今後とも引き続き指導していきたいと、そのように考えております。
 どうぞよろしくお願いいたします。
○松村龍二君 最後に、厚生労働省の国家資格以外の医業類似行為者の対策が不十分ではないかと思われるので、今後これに対してどのような対策を講じていくかという御質問をいたしたいわけですが、ただいまのお話の中で既に厳しく対応していくというふうにお伺いしたと思いますので、これは省略いたします。
 最後に、最初に申しましたように、中越地震でも痛ましい被害を生んでいるこの震災被害者に対するケアの問題も含めまして、法務大臣としては答えにくい部分もあろうかと思いますが、政治家南野個人としても何かこの今のやり取りについて、何か御感想あればお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(南野知惠子君) 先生の御懇篤ないろいろなお話を今聞かせていただきました。特に、新潟中越地方に起きました災害からいまだに不自由な生活をしておられる方、大変お気の毒だなと思っております。さらにまた、先ほどおっしゃっておられたエコノミー症候群又は突然死で亡くなる、特に女性の方に多かったわけですが、そういう方々についてはもう本当、御冥福をお祈りしたいというふうに思っております。
 そういう意味から西洋医学と東洋医学のお話に先生お移りになられました。この災害に遭っておられる方、また今仮設住宅におられる方々にしても、本当に心がまず痛みを取っていかなければならないかなと、そういうPTSDの関係ということから心理療法士たちの役割というのも大きかろうと思いますが、今一番悩んでいるのは、おふろに入りたいとか、髪の毛を洗いたいとか、洗濯したいとか、いろいろな課題もございます。そういう意味では、真摯に、我々が何がその方たちにいいことでサジェスチョンできるのかということも大きな課題だと思います。
 そして、最後に、先生が国会議員の先生方も座りながらいろいろと大変な質問をしておられるということですので、テーブルの下はある程度隠れておりますので、足のマッサージとかいろいろなものをしながら血液の循環を良くしていくというのが一番大切なことであろう、それがエコノミー症候群の課題であろうと思いますが、そういう意味ではあんま、マッサージ、はり、きゅう、さらに今香料などを使いながらその人の感覚というものを優しくしていくということも厚生労働省の方の所管の中にございます。しっかりと資格を持った人がそれをやっていくというのが一つの大きなめり張りではないかなと思っておりますので、先生のお話、心に引き止めながら法務大臣と違う立場でのお話をさせていただきました。
 ありがとうございました。
○松村龍二君 法務大臣、ありがとうございました。また、森岡政務官、よろしくお願いします。
 どうもありがとうございます。
 以上で終わります。
○櫻井充君 民主党・新緑風会の櫻井でございます。
 本当に法務委員会で質問させていただくのは久しぶりでございまして、元々内科の医者でございますから、ど素人の質問でございまして、ちょっとピントが外れているところがあるかもしれませんが、御勘弁いただきたいと思います。
 現在、議運の理事を務めておりまして、ある理事さんから南野さんは大先輩だから優しく質問してきてねと今日は言われてまいりました。
 今日はまず、ちょっと質問に入る前に、昨日質問通告をした際に、私は、私はこの内容はこの法案に関係したことだと思ったために通告申し上げたときに、これは法律と関係ない事項だから質問しないでくれないかということを役所の方から言われました。これは国会議員に対してのその質問権を、剥奪とまでは言いませんが、侵害するものでして、これは役所の方々がやられる行為では私はないと、そう思っております。
 現に、今も松村委員が質問されておりましたが、これは法務委員会と関係のない厚生労働委員会マターのことも質問されておりまして、与党の方がこういうことを質問されることに関して何も話がなく、野党の人間が質問する際にそういうことをおっしゃられるのでは、これはアンフェアだと私は思いますが、大臣としてその点についていかがお考えでございましょう。
○国務大臣(南野知惠子君) 本当に、委員の御指摘のとおり、そのように受け止めさせられるような発言があったとするならば、大変に遺憾であろうかなと思っております。今後、このこと、このようなことがないように注意をしていきたいと思っております。
○櫻井充君 きちんと調査していただいて、その上できちんとした形で注意していただきたいと、そう思います。よろしくお願いいたします。
 今回この法律案を読ませていただきましたが、素人の私には大変難しい法律でございました。というのは、二つありまして、一つはその言葉の定義がはっきりしないということと、私が読んだ感想ですけれども、それから、一般的な日本語というのは主語と述語というのが極めて近い位置にあるはずなのに、この法律は主語と述語が極めて遠いんですね。
 まず一つ、その言葉の定義とかそれからその権限とか、その辺のところがはっきりしないので、まずその点についてお伺いしたいと思いますが、まず原点に立ち返って、この手の法律というのは憲法で定める司法権に基づいて全部作られているはずでございます。その中で、その司法権とは一体何で、それから、この裁判所法などに全部定められている裁判権との関係というふうなものはどういう位置付けになっているのか、まず御答弁いただけますでしょうか。
○政府参考人(寺田逸郎君) 御説明申し上げます。
 憲法七十六条の一項でございますが、私どもとして確定的に憲法解釈を申し上げるわけではございませんけれども、一般に司法権の意義については、具体的な争訟について、法を適用し、宣言することによってこれを裁定する国家の作用と、こういうように考えられております。争訟といいますのは、人とか会社ですとか、そういう法主体の間の権利義務をめぐる争いと、こういう御理解でよろしいかと思います。
 この司法権については、今申し上げましたのは通常取られている考え方でございまして、これを法律上明確に定義したものはもちろんございません、司法権とは何かという形で定義されたものはございません。しかし、一般にはこの裁判所法の三条の一項が、裁判所は、日本国憲法に特別の定めがある場合を除いて一切の法律上の争訟を裁判し云々と書いてございますこの一切の法律上の争訟の裁判、これが憲法で言うところの司法権ということを裏から定義しているというふうに考えられております。
 また、今申し上げた三条の一項は、裁判所は、その他法律において特に定める権限を有するということで、いわゆる司法権そのものである法律上の争訟でない部分の権限も別に法律によって与えることができるという立場が取られております。ここで言う一切の権限の中に様々なものもございます。本質的にはやや行政に近いような非訟事件手続のようなものがございます。こういったものも含めて裁判という理解でございまして、それが今委員のおっしゃった裁判権ということの内容ということになるわけでございます。
○櫻井充君 憲法の解釈権限がないというようなお話が、今御答弁ございましたけれども、憲法の解釈ができずして、なぜその法律がその憲法に、現憲法に合っているかどうかという判断をされるんでしょうか。
○政府参考人(寺田逸郎君) 今申し上げましたのは、私の方でお答えする権限がない、つまり法務省として憲法はこうであるということを政府の中で最終的にお答えする権限がないというふうに申し上げたわけで、最終的には、政府全体といたしましては、内閣法制局を始めとして憲法解釈をした上でこのような法律の規定を法案として提出するということになっているというふうに理解をいたしております。
○櫻井充君 そうすると、答弁が違うんじゃないでしょうか。
 つまり、法務省としてはきちんとした形で憲法の解釈をされていて、その上に、それにのっとって提案されているということであって、それはその役所、個人の方にその解釈権限がないかもしれませんが、少なくとも法務省なら法務省として権限を持ち得なければ、持ち得なければできない話ではないんでしょうか、違いますか。
 これは大臣にお伺いしましょうか、それでは。
○政府参考人(寺田逸郎君) もちろん、法律を提出する法務省あるいは部局といたしましては、それは一定の憲法解釈に立った上で、その憲法解釈を前提として法律を提出するということでございますから憲法解釈をしていないというわけではございませんが、それは政府全体として、先ほど申し上げましたような内閣法制局のような機能を持ったところも含めまして検討した上で内閣提出法案ということになっているわけでございますから、全体としてはそういうことでございますけれども、ただ、その憲法の特定のこの条項についてどういう解釈が取られるかということを法務省にお聞きになっても、それは法務省として制約があると、こういう趣旨で申し上げたわけでございます。
○櫻井充君 だとすれば、それは言葉が足りないのであって、きちんとした形で御答弁いただきたいと思います。
 つまり、ここは極めて大事なことだなと最近思うのは、小泉総理がやられていることが憲法違反ではないのかなとしょっちゅう思うことがあるわけです。そうすると、その行為に対して、憲法違反であるのかないのかということを判断されるのは一体だれなんだろうと、そういうことをずっと考えています。
 ですから、いろんな法律というのは、この日本の法律の体系はどうなっているかというと、まず憲法があって、その下に条約があって、その下に法律があるはずですけれども、そういうものに基づいて法律が作られてくるのであるとすれば、憲法の、憲法のことに関してだれがきちんと解釈して、それにのっとって法律が作られてくるんだということを前提に立たないと、様々な今の例えばイラクの問題にしたって何にしたって、果たして合っているのかどうかというのは分かんないんだと思うんですよ。ですから、これはここでとどめますが、個人的な見解を申し上げれば、ドイツのように、本当であれば憲法裁判所のような形で、これは憲法に合っているのか合っていないのかと、そういうようなものを判断するところがきちんとないといけないんじゃないのかなと、そう思います。
 ここは議論をしていてもしようがないので、次にもう一つ、裁判所法を読みながら感じたことがありますが、この裁判所法の中で裁判所の権限というのは全部規定されております。しかしながら、裁判官の権限というのは規定されていないんですね。しかし、一方で、裁判所の裁判官以外の職員の権限は全部規定されているわけですが、なぜここに裁判官の権限が明記されないんでしょうか。
○政府参考人(寺田逸郎君) 先ほども憲法七十六条に司法権の規定があることを御説明申し上げましたけれども、裁判においては本質的に裁判作用は裁判官が行うという前提でこの裁判所法もできております。したがいまして、裁判所法の中にもそれぞれの裁判所が裁判官によって構成されるというような規定ぶりもございますし、全体としては、裁判官が裁判を行うということについての理解というのは裁判所の法の枠内では徹底しているというふうに考えております。
○櫻井充君 今回、たしかこれは民事執行法のところなんだろうと思いますけれども、四十七条の三項に、裁判所の書記官が、裁判所の書記官がそのことを、一部を、要するに裁判官が持っている権限を委譲してもらって、その上で執行できるというような内容になっているんだろうと思うんですね。
 そうなってくると、裁判官の権限というものがきちんとしていなければその一部を委譲するという話にはならないんだろうと思うんですよ。いかがですか。
○政府参考人(寺田逸郎君) これは法案提出部局の方からお答えすることが適当かもしれませんが、私の今御説明申し上げた流れで申し上げれば、基本的に裁判というのは裁判官が行うということでございますから、裁判作用そのものを行うことを改めて裁判官が行うということを規定する必要はないんだろうというふうに考えておりまして、逆に、書記官の方は裁判所法の六十条で権限規定がございますので、その権限規定をここで体して、その権限規定の中の他の法律において定める事務を扱うということになっておりますので、その扱いで今回も法案が提出されているというふうに裁判所法の立場からは理解をいたしております。
○櫻井充君 先ほど前川さんと話をしていたら、やはり法律は読みにくいとおっしゃるんですね。分かりにくいんですよ。つまり、これも役所の方と話をしていると、この条項とこの条項から実は裁判官の権限が読み取れるんですというふうにおっしゃいますが、これは大きな間違いだと思うんですよ。つまり、これは、法律というのはだれのためにあるのかというと、これは国民の皆さんのためにあるのであって、プロが読んでこの条項とこの条項とこの条項からこういうふうに推測できるからこれが裁判官の権限だというふうにおっしゃるのは私は筋が違っていると思っています。ですから、今日、法文を大体読ませていただきましたけれども、本当に分かりにくかった。そして、分かりにくかったんで全部原点に返って裁判所法からいろんな法律を読ませていただきました。そこの中に不備があると私は考えているから申し上げているんです。
 ここのところは、法律の作り方の議論です。法律の作り方の議論がおかしいから私はその点について申し上げているんです。これはあとは見解の相違だと言われればそこまでですが、いいですか、裁判所法の中に裁判官という規定はあるんですよ、ここに。裁判官という規定があって、ここの中には、裁判官はどういう人がなるかということは書いてありますが、しかし、その権限は書かれていないんです。
 私はもう一つおかしいと思うのは、権限が発生すれば責務は発生するんです。ここの中に、例えばほかの職員のところに権限が明記されておりますが、その権限に対しての責務も書かれていないんです。医師法の場合には、医者でなければ医業ができないという権利が発生いたしますが、医者の責務というのは、医師の責務というのは皆書かれております。
 権限を有している人間に対して責務が書かれていないというまず法律自体が私はおかしいと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(寺田逸郎君) これはまた法律の大変難しいところだという御指摘を受けることを覚悟で申し上げるわけでございますけれども、この裁判所書記官の責務につきましては、これは一般の国家公務員でございますので、国家公務員に関する規定を裁判所の職員の臨時措置法で準用しておりまして、一般国家公務員と同様の責務を有していると、こういう理解でございます。
○櫻井充君 国家公務員の方とは、これは権限別なんですよ。
 例えば、行政官は行政権限しかないんです。裁判のところには行政官は介入しちゃいけないって最終的に書いてあるんですよ。つまり行政、行政の中に入っている国家公務員と司法の中に入っている国家公務員は違うんですよ。そんなことが、分かっていらっしゃると思いますけれども、今の答弁はひど過ぎるんじゃないですか。今のものが国家公務員法で全部準用されるんでしょうか。行政権限と司法権限は違いますよ。
○政府参考人(寺田逸郎君) その司法が行うこと、あるいは行政が行うこと、その作用は全く別でございまして、それぞれ、言うまでもないことでございますけれども、三権分立の枠内でそれぞれの活動が行われているわけでございます。しかし、活動を行う内部の者がだれに対してどういう責任を負うかは、これはそれぞれ同じ構造でございまして、一般職の国家公務員と同様、裁判所の書記官というのは裁判所に対して、一般の行政官がそれぞれの省庁あるいは内閣に対して負うのと同様の責務を負っていると、こういう関係にございます。
○櫻井充君 行政の中に入っている国家公務員の権限と、それから司法の中に入っている国家公務員の権限は、じゃ同じですか。
○政府参考人(寺田逸郎君) 権限が異なることは言うまでもないわけでございまして、それはそれぞれ作用が違うから権限が違うので、それは権限についてはきちっと書いてあるわけでございます。
 その権限を行使する際にどういう責任を負うか、どういう規律に服するかということは、それぞれ、もちろん責務を負う相手方あるいはその責務を負う具体的な内容は違いますけれども、責務を負う構造というのは一緒でございますのでこのような規定の仕方になっていると、こういうことを御説明申し上げているわけでございます。
○櫻井充君 私が申し上げているのは、こういう法律だからこれがいいんだということを議論しているわけではありません。こういう法律の書き方がおかしいんじゃないかと私は申し上げているんです。これでいいんでしょうか、本当に。これではっきり分かるんでしょうか。
 じゃ、別な形で聞けば、これを見たときに、素人から見たときにですよ、本当に、裁判官にどういう権限があって、どういうような責務を負っているのかというのはこれで分かると思いますか。
○政府参考人(寺田逸郎君) それは大変本質的な御質問です。つまり、今の法律の規定の仕方が、憲法の体系を前提といたしまして、憲法に書いてあることは法律には書かない、法律のここであることは別の法律では書かないという、言ってみれば一種のピラミッド式にできているわけでございまして、かつ、民法なんかが一番典型でございますが、原則例外、原則例外という形で書いてありますから、一か所を読んでもほかの箇所の理解がないと分からないという仕組みになっております。そのことがいいかどうかは、これは大変難しい問題で、様々な歴史の中で効率的な書き方というのはいろいろ工夫されて今日の形に至っているわけでございます。
 それで、一般の方がごらんになりますとこの法律というのは誠に分かりにくいということは、今申し上げた構造から当然のことでありまして、ほかのところの理解がなければここが理解できないということは御指摘のとおりでございます。これを改めるということになりますと、言わば今の憲法体系を全部、法律の規定の仕方としては見直さなきゃならないという問題でございますので、その意味で最初に本質的な問題というふうに申し上げたわけでございますが、大変に難しいということだけは申し上げておきます。
○櫻井充君 今の中で、その法律と、法律と憲法の内容が別だというお話がありましたが、私が知っている範囲では、財政法に関して言うと、割と憲法と財政法とほとんど同じようなことが書かれているんじゃないのかなと、そう思います。ですから、その法律によっては、全部が全部そのように規定されているようには私は思いません。
 もう一つ、裁判所法というのが恐らくはここ全体の法律、民事も刑事も含めた上での司法権の中で一番根幹となる法律だと私は認識しております。そこの中の法律の書き方に私は問題があると申し上げているんです。そこの根幹になる法律を読めば、読めばですね、読めば、裁判所の権限からそれから裁判官の権限から、そういったものがすぐに読み取れるような形になっているのであれば問題はないと思うんです。法律はピラミッドになっているはずです。ですから、いろんな法律の中で、ここのところに返れば全部が分かってくるような形になるんでしょう。そこの部分が書かれていないから、こういう法律を変えていく必要性があるんじゃないかと思って申し上げている。
 これは、もう一つ言えば、国民の皆さんにとって分かりやすい法文を作っていくことが特に大事です。なぜなら民事など、民事に関してだって、これはお互いが、民間人が二人で、あんたのやっていることが正しいとか正しくないとか言い合いするわけですから、そこの中で法律を読んでいって、自分たちが法律を学んで、その上で訴えを起こせるような形にしていかないといけないはずです。
 今の御答弁ですと、一般の人が分からないのはこれは当然ですよというようなことであれば、要するに、医者の私から言うと、医療のことはもう患者さん黙っていなさいと、医者の言うことを聞いていりゃいいんですよと。昔の医療と同じことじゃないですか。
 今回の民事訴訟法とかこの辺の改正というのは何かというと、民間の方々が使いやすくされるために法律を書き換えているんでしょう。その法律が分かりにくい、しかもその原点に返った裁判所法が特に。また、ここの中にどういうことなのかがよく分からないことがあるから検討されたらいかがかなと思ってこちら側が提案させていただいているわけです。
 是非、改めてこの法律が本当に、条文を改正するなどということは結構ですから、取りあえず、取りあえずこの法体系のこの書き方でいいのかどうかということを見直していただきたいと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(寺田逸郎君) ちょっと私の説明の仕方が悪かったかもしれませんで、誤解があるかもしれませんが、私は委員のおっしゃっていることは間違いだということは一つも申し上げておりません。
 つまり、今までの法律の書き方が一般の方から見て甚だ分かりにくいという部分があることは、それはそのとおりでございまして、ただ、これを直すということになりますとまた別の問題が生ずるということで、どちら側にもメリット、デメリットがあるということを申し上げているわけでございます。
 じゃ、どうすればいいかということで、今御提案がありましたように、裁判所はそれなりに、裁判所法の、失礼、裁判所法はそれなりに見直しをすることが必要だろうと、絶えず分かりやすく考えてみろという御指摘がありましたので、それは非常に重要なことだと思って受け止めてまいりたいと思います。
○櫻井充君 よろしく検討していただきたいと思いますね。
 大変だからやらないんだ、いろんな問題が起こるからやらないんだ、あとは不便で構わないという、今のは端的に言うとそういう答弁ですよ、これは。やはり、そうではなくて、その国民の皆さんに対して分かりやすくしていくというような努力をちゃんとするということが大事なことなんじゃないでしょうか。
 大臣、その点について、その点についていかがですか。やはり、法律を国民の皆さんに対して分かりやすく作っていくということが私は大事だと思いますが、その精神です、その精神についていかがお考えですか。
○国務大臣(南野知惠子君) 先生おっしゃるとおり、この法律について分かりやすくするということは、これは大切なことだというふうに思っておりますが、正確に、紛れ、間違いがないように、それをどのようにやっていくかということもこれまた大切なことであり、今までの歴史を踏まえて考えていくということもその中にあろうかと。
 ですから、難しい片仮名から平仮名に直していって易しくしようというのも一つの、我々のステップアップの一つではないかなと、そのようにも思っております。
○櫻井充君 法律の分かりにくさというのが問題なのは何かというと、解釈の仕方によっていかようにも取れるように書いてあることなんですよね。これは、特に行政側の作ってきているやつに対して多いのは、行政側の裁量権を広げたいがゆえに、割と法律は緩く書いておいて解釈は何でもできるようにしてあります。これが日本の法律の作り方のもう一つの問題点だと私は思っていますが、少なくとも、とにかく皆さんに分かりやすいような形で書いていただきたいと思っています。
 そこの中で、もう一点じゃ申し上げれば、執行官のところの、これは執行官が威力をもって、用いてと、民事執行法六条の第一項に威力を用いてやれると書いてあるんですけれども、執行官法を読みました。執行官法の中に威力という言葉は出てこなくて、そういうその威力という定義がないままここに勝手に出てくるわけですよ。
 こういう規定をされるから私はおかしいと思ってですね、言葉の定義はきちんとしていただいて、威力とは一体何なのかというところがどこかに書かれてあって、その威力を用いていいということになればよく分かるんですが、威力という言葉がどこにも出ずに、特に執行官法の中にはなくて、執行官の中の、そこの執行官は何々できるのところに「威力を用い、」と書いてあるわけです。こういう作り方になっているところにも問題がある。つまり、執行官はそうすると威力といえば何をやってもいいのかと。最後は裁判で決まるんだというふうにおっしゃるかもしれないけれども、その場で例えば録音もできない、例えばほかの第三者もいない中で、証明責任はどちら側にあるのかというと、恐らくはその執行官によってなされた本人に、本人にその立証責任が今の民法の中であるはずですから、そうなってくるとかなり難しいことになります。
 ですから、そういうことを止めるためにもこういう言葉の定義というのはきちんとすべきだと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、民事執行法六条で威力という言葉が出てまいりますが、特にこの法律の中にはこの威力の定義は置かれておりません。一般には威力とは人の意思を制圧するに足りる勢力をいうと、そういう理解でございます。この執行法以外に刑法等にも威力という言葉が用いられておりますが、これについてもやはり定義規定は置かれておりません。
 確かに、言葉についてはできるだけ定義を明確にした方が国民にとって分かりやすいということは御指摘のとおりだろうとは思っております。ただ問題は、例えばこの執行官が威力を用いることができるというこの条文でどの程度の威力を用いることができるかということが一番の問題なんだろうと思います。
 人の意思を制圧するに足りる勢力と一般にいってしまいますと、それじゃどんな程度でもいいのかということにもなりかねないわけでありますが、当然のことながら、これは執行官がその職務を執行するに際して必要最小限のものである必要があるということはこの法律の構造から言えるのだろうと思いますが、具体的な個々の場合にどの程度のものまでが許される威力であるかというのはやはりその事実関係によって様々でございますので、そういうものを含めて誤解の余地なく条文で書くというのはやはり困難ではないかと、そのようなこともありまして、ここでは単に威力を用いることができるということにとどまっておりますが、その解釈としては、やはり必要な限度で行う、そういう性質上、抵抗を排除するための必要最小限度でなければならないと、こういう具合に考えられているところでございます。
○櫻井充君 まあ、これ議論していてもしようがないんで、ただ一応考えていただきたいなと思います。
 それはなぜかというと、今回勉強していて意外だったのはこの裁判という文言でして、我々は口頭弁論から何から全部含めて裁判だと思っていました。ところが違うんですね、裁判というのは。これ裁判というのは、これは判決と命令と決定をいうんだそうでして、そうすると、裁判の項目のところに、ちゃんと頭に、裁判とは判決、命令、決定をいうんだと、指すんだと、これ言葉として書いてもらわないと法律読めないと思うんです。これは、僕らの元々の勉強不足というか、社会の中の勘違いなのか、それとも法律用語だけが置き去りにされているのか、そこはよく分かりませんが、こういうような言葉一つ一つのところをきちんとしていていただけないと、なかなか読み難いものがあります。
 済みません、ちょっとあと今日は肝心な話を一点させていただくと、この法律の中で、インターネットを使ってやっていく、簡素化されていくという、これはもう私は異論のないところですが、そこの社会の中で二点問題点があると思っています。一つはセキュリティーの問題です。これは衆議院で議論されました。もう一点は私は通信傍受法だと思っておりまして、通信傍受法によって何でも通信傍受されるような社会になってしまったときに大きな問題が出てくるんじゃないだろうかと、そう考えています。
 そこの中で、通信傍受法の、私はですよ、これは刑事訴訟法と比較して大きな問題点をはらんでいると考えています。
 それは何かというと、私が仮に被疑者だったとして、私が被疑者で、押収、差押えのときに、私の事務所から住宅から全部押収、差押えされたときには、きちんとした形で何を持っていったのかということの目録が提示されます。これは証拠として使われようが使われまいが、必ず全部持っていかれるわけ、全部書いていく、おかれます。
 ところが、通信傍受法の場合にはどうかというと、これは証拠書類として使われないような場合にはですよ、私のところで通信傍受をしましたということは一切、一切報告がないんですね。その代わり、証拠書類として使われるときには出すからそれで同じじゃないかというお話をされますが、僕は違うと思っているんです。
 通信傍受法の、まず電話のことを考えてみますと、電話というのは、これは通信傍受法でなければほとんどできません。なぜならば、押収、差押えしようと思っても、文言だけでしか流れていませんから、これを押収、差押えしようと思っても無理な話です。押収、差押えできるのは留守録のテープだけです。
 ところが、メールは違います。メールは通信傍受の対象になっております。そして、メールの場合にはパソコンならパソコンに残っています。つまりは、メールの取扱いは、押収、差押えの方でも通信傍受の方でもこれは可能なものなんですね。つまり、二つの法律案に両方またがっているというのは恐らく、まあこれ調べるといろいろあるのかもしれませんが、まず今日は典型的な例でメールのことを申し上げたい。それはインターネット社会になっていったときに大変問題になるからです。
 そうなってくると、メールの取扱いは、通信傍受の場合には、適用されている場合には被疑者に対して何の通告もなくその傍受ができる。そして、それが違っていれば後は消去するから同じじゃないかと言うけれども、押収、差押えの際にはきちんとした形で当事者に話をしてから持っていくから、自分が何を持っていかれているのかということがよく分かっているわけです。
 私は、通信傍受の場合も、使おうが使うまいが、もちろん傍受始めるときからこれから通信傍受しますよと言うわけにはいきませんから、終わった後で、終わった後で、使おうが使うまいが、その時点で通信傍受しましたということを言わないと、同じその法律の中での整合性が取れないんじゃないだろうかと、そういうふうに思います。その使い勝手、そうなると何かというと、国家権力側は使いやすい法律の方を使うようになってきますから、そうすると通信傍受法の方だけを使っていくような社会になっていくんじゃないのかなと、そういう危機感を持っているわけです。
 そこで、そこで私は、この法律は、この法律は、通信傍受と刑事訴訟法と、つまりメールというものに対しての取扱いが違うので、法律上の問題があると思いますけれども、大臣はいかがお考えですか。
○国務大臣(南野知惠子君) ではお答え申し上げます。
 捜査機関は、通信傍受をした場合には、犯罪に関連しない通信を消去して傍受記録を作ります。これは今先生がおっしゃったとおりでございますが、その傍受記録に記録された通信につきましては通信の両当事者に通知しなければならないのに対し、犯罪に関連しない通信として消去されたものにつきましては、御指摘のとおり、両当事者に通知されません。
 このような犯罪に関連しない通信についても通信の両当事者に対して傍受したことを通知すべきではないかというのが先生の御趣旨であろうかというふうに思いますが、通信傍受法を制定した国会議員の審議の、国会の審議の際にもございましたとおりであります。
 しかしながら、犯罪に関連しない通信、例えば単に被疑者が知人と雑談をしただけの通信についても傍受したことを相手方に通知するということになりますと、捜査の対象とされた被疑者の名誉や関係者のプライバシーを害することになるのではないか、そういったことなどを考えまして通信傍受では通知しないこととしたものであります。
○櫻井充君 教えない方がプライバシーの侵害じゃないですか。知らないうちに、知らないうちにまず持っていかれるんですよ。知らない、知らなきゃ何でもいいんですか、じゃ大臣。そういうことじゃないじゃないですか。
 じゃ、押収、差押えのときはどうなんですか。押収、差押えのときにはその被疑者に対して、被疑者に対して、証拠書類であろうがなかろうが、何か分からないけれども、全部その家にあるものみんな、子供のおもちゃから何から皆持っていかれるわけですよ、こんなものは。ですから、今、今の御答弁は全然違うと思いますよ。
○国務大臣(南野知惠子君) 例えば、電子メールが記録されたパソコンを押収した場合とか、それが証拠として使われようと使われまいと、押収目録がちゃんと渡されるということがいいのではないか、その方が整合性があるのではないかと……
○櫻井充君 いやいや、そうじゃないですよ。理解されていない。
○国務大臣(南野知惠子君) 渡されることになっていることが整合性があるという問いではないんですね。
○櫻井充君 ちょっと答弁になっていない。
○委員長(渡辺孝男君) じゃ、もう一回。
○櫻井充君 そうじゃないです。押収、差押えの場合には、いいですか、大臣、押収、差押えの場合には、使われようが使うまいが、全部ちゃんと告知するんですよ、持っていきましたと。メールの場合には、使おうと使うまいが、このときには、使わなかった場合にはやらないんですよ。つまり、そこに整合性がないと言っているんですよ、私は。
○国務大臣(南野知惠子君) では申し上げますが、刑事訴訟法に基づいて押収できるのは犯罪に関連すると認められる証拠であり、犯罪に関連しないものについては押収することができませんが、押収しなかったものについては対象者に知らせなければならないことにはなっておりません。通信傍受に、傍受法に基づく傍受につきましても、犯罪に関連しない通信として消去されたものにつきましては通信の当事者に通知しないことになっていますので、そういう意味では整合性があると、整合しないというものは、ことはないというふうに思っております。
○櫻井充君 それは、法務省の都合のいいところから先は、それは整合性あると言っているんですよ。そこのところ、その手前のところを言っているんですよ、こっち側は。いいですか、大臣、何にも言わないで持っていけるんですよ、メールは、何にも。
 で、それは、じゃだれが、だれが判断するんですか、だれが判断するのか。ここのところでその必要か必要でないかの判断する人間がいるわけですよ。判断する人間の前の話をしているんです、こっち側は。判断する前ですよ。
 押収、差押えだって同じでしょう。みんな分かんないってそのままそこら辺にあるのを、どれ怪しいからって、これ、これは怪しそうだとか怪しそうでなかったとか、そこの場でなんか判断しませんよ、大臣。私が聞いている範囲では皆持っていかれますよ、ごっそりと。ごっそり持っていった後に今度はそうなのかということをやるんだから。
 それは違いますよ、答弁が。
○国務大臣(南野知惠子君) 通信傍受が通信の秘密を制約するものであることから、これは通信傍受法は厳格な要件を定めており、これを裁判所が審査をして発付した令状に基づいて通信傍受を行うことができることとし、また、通信傍受を実施した場合、政府は毎年、犯罪に関連する通信が全く行われなかった場合も含めて、通信傍受を実施したことを国会に報告しなければならないこととしております。
 通信傍受法に基づく通信傍受につきましては、平成十五年までに四件の実施例がございまして国会に報告させていただいておりますけれども、捜査官としては適切に通信傍受を実施しているものというふうに承知しております。
○櫻井充君 大臣ね、運用の仕方のところでこうしていますからいいんですという議論じゃないんですよ、今。法律上の問題点をやっているんです。
 ちょっと駄目ですよ、これ。駄目、答弁になっていないですよ、これは。ちょっと一回止めてくださいよ。ちょっと止めてください、委員長。
○委員長(渡辺孝男君) はい。
○櫻井充君 速記を止めていただかないと。速記を止めてください、委員長。そうじゃないと、委員長、速記を止めてくださいと言ってください、そうじゃないと止まんないんだから。
○委員長(渡辺孝男君) はい。じゃ、速記を止めてください。
   〔午前十一時三十三分速記中止〕
   〔午前十一時四十三分速記開始〕
○委員長(渡辺孝男君) 速記を起こしてください。
 南野法務大臣、お答えを──先、先、じゃ、櫻井充君。
○櫻井充君 じゃ済みません。どうも堂々巡りしていることと、それからどうも私が申し上げていることが理解されているのかどうか、ちょっと済みません、そこのところは難しいところもございまして、是非、ここだけで議論していてもしようがないところがございますので、是非後で理事会の方で協議していただきたいと思いますが。
○委員長(渡辺孝男君) 分かりました。じゃ、理事会で後日協議をさしていただきます。
○櫻井充君 ありがとうございます。よろしくお願いします。(発言する者あり)
○委員長(渡辺孝男君) ただいまの件につきまして、後刻理事会にて協議をいたします。
○櫻井充君 ありがとうございました。
 済みません、何点か重要なことがあったんですけど、簡単に、もしかするとこちら側の意見だけになるのかもしれませんが、一つ、今回、簡易裁判所を有効に使おうという項目がございまして、そこのところで審議の促進を図っていこうと。これは極めて私はいいことだと思っております。
 そこの中の項目の中で、ただし簡易裁判所で手に負えないようなものに関していうと、幾つかの要件を付けて地方裁判所に対して債権執行の手続というものをいろんな形で明示して、添付っていうんでしょうか、そういうことができるようにしていますが、しかし最後のところに、要するに裁判官の方が、判事が、簡易裁判所がと言った方がいいんでしょうか、簡易裁判所がそれを、簡易裁判所でなかなかやり難いと思った場合には、それはもう地方裁判所に移していいというような条文も入っているわけです。
 そういう書き方をされるのであるとすれば、簡易裁判所にこのものを移していくことの役割を考えれば、条文の中に、むしろ例えば何日以内で、その、これは決定になるんでしょうか、命令になるんでしょうか、そういうものが下せないような場合には、これは地方裁判所に戻していいんだよというような一文だけ書いてしまえば、こんなに面倒くさいことをごちゃごちゃごちゃごちゃ書かなくても済んだんじゃないのかなと、まあそう思うんですけれども、それに対していかがでございましょう。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘の百六十七条の十二でございますが、これはそういった一定の事情のあるときに債権執行の手続を簡易裁判所から地裁の方へ移すということを決めております。これは、今回の債権執行の手続は、比較的容易に判断ができる種類のものについて簡易裁判所で書記官が行うと、こうしているわけでございますが、その申立ての中には相当複雑でより慎重な判断が必要というものもあるということから、そのようなものについては裁量によって地裁に移せるとしたものでございます。
 御指摘のように、一定期間、まあそういったものはある程度時間が掛かるでしょうから、一定期間経過したときに移せるというような規定の仕方をすることも一つの考え方かとは思いますけれども、やはりその事件を見たときにこれは相当慎重に判断しなければいけないということが分かれば、直ちに移送をする方がその執行の申立てをした者にとっても執行がより迅速に行えるわけでございますので、やはり、その受け付けた簡易裁判所の方でそういう判断が可能な場合には一定期間の経過を待たずに移送できるという規定にする方が、実質に即し、かつ当事者のためにもなるのではないかと、まあこういうことから今回このような規定ぶりにしているわけでございます。
○櫻井充君 いや、別に私は一定期間が過ぎたら回せと言っているわけではなくて、例えば一週間以内にできないと判断したらそれは回せというような条文でもいいと思っているんですよ。ただ、申し上げたいことは、簡易裁判所の役割を考えて、今回の法改正の趣旨を考えると、要するに短期間でできないものに関して言えば地方裁判所に回しなさいという趣旨ですから、その趣旨を代弁するとすればそういう区切り方もあるんじゃないのかなと思います。
 もう時間がないので、もう一つ、扶養義務に関してですけど、今回その間接強制を掛けていますが、間接強制は、その人が守らなかった際にその後から間接強制を掛けようという形になっています。これは、何というんでしょうか、日ごろお金をずっと支払わなかった人が急に金を払えと言われても、もう生活の中での金の使い方が決まっていますから、むしろその離婚調停している、した際に、そこの執行の部分のところまでもう少し立ち入って、こういうような場合にはむしろ罰金を科しますよとか、その時点で強制を掛けていく方が有効なんではないのかなと思いますけれども、その点についていかがですか。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、例えば調停でその養育料の支払を定める際に、その支払を怠った場合の違約金を決めておくと、こういうようなことは考えられるところでありますし、現になされているものもございます。それは、そういうことがあらかじめ定まっていますと、そういう意味では当事者にとっての心理的な強制としても十分機能するだろうと思います。
 ですから、ある意味で当事者の間で話が付いてそういうことが定められるということであれば、それは好ましいことではないかと思っておりますが、これはなかなかその当事者の合意が成立するかどうか。その養育料の支払についての合意を成立させるためにも相当の努力が要るわけでございまして、更にその不履行の場合の定めまできちんとしておくということになると、すべての事件についてそれを期待するのはなかなか難しいのではないか。そういたしますと、やはり当事者でそういった不履行の場合の制裁等についての取決めができないものも一定数は必ず出てくるわけでございますので、そういう場合に備えてこのような間接強制の制度を利用できるという法の規定を設けておくということは意義があるのではないかと、こう思っております。
○櫻井充君 いや、この今回のこれが意義がないと言っているわけじゃなくて、更にこういうこともやったらいかがですかという話です。
 これは、だれがかわいそうかというと子供がかわいそうなんですからね。ですから、その子供たちがきちんと守られるようにするためにどうするかということから考えてくると、現状今の約束事で守らない人たちがいる、守らないから今度は、守らない、後からやりましょうではなくて、守られるようにちゃんと合意させて、そしてそれを守らせるということを担保することの方が私はよほど大事なことではないのかなと、まあそう思います。
 あと、済みません、もう一点、今回の法律をこうずっと見ていて思うことは、要するに、簡素化簡素化とか、いろんな業務をだれかに委託しましょうということですが、元々の司法予算が少な過ぎて、例えば裁判所の数が足りないとか、裁判官の、判事の数が足りないとか、それからその他職員の数が足りないとか、そういうことが原因でこういうことをやらざるを得ないような状況になってきているんじゃないのかなと、そう思っています。
 ないって私が通告したときに言われたんですけれども、これはほかの国々と比較した、例えば裁判所の、裁判官、司法関係に対しての税金の、例えば対GDP比で何%使っているとか、そういう資料というのは本当にないものなんでしょうか。もし、(発言する者あり)いや、ないと言われたんですよ、通告のときに。もしあるのであれば、これは是非、どのぐらいほかの国々が使っているのか、それから裁判所の数、それから判事の数等を含めて出していただければ有り難いと。
 その上で、その上で、日本の司法関連予算は私は少ないんじゃないのかなと思っていますが、これを増やすべきと考えますが、法務省と財務省の考えをお伺いしたいと思います。
○政府参考人(寺田逸郎君) ただいま大変貴重な御指摘をいただきました。
 私どもの関係で申し上げれば、司法予算といいますのは、裁判所の予算のほかに法務省の予算もあるわけでございます。法執行に関係するもの、多数スタッフとしてはいただいておりますけれども、十分でないことは御指摘のとおりでございまして、この司法制度改革の中でも様々な形で、これをより充実したような形、スタッフが取れますような御努力を、国会の方々の御支援もいただきましていただいているわけでございます。
 間もなく司法制度改革は集中の整備期間というのは終わりますけれども、今後もこの点について私どもも努力をいたしますし、また国会の御支援もいただきたいというふうに考えております。
○大臣政務官(段本幸男君) 財務省の方からお答えさせていただきます。
 現在、小泉内閣で行政改革始めいろんな構造改革進められております。司法制度改革というのは、当然、二十一世紀の自由、公正な社会を作るという意味では大変重要な、その小泉改革の、構造改革の重要な柱であるというふうに考えております。そんな視点から、財務省の方でも、これまでシーリングなんかが掛かる状況下でしたけれども、法務関係予算、司法関係予算についてはそれなりの配慮、精一杯の配慮をさせてきていただいたと、かように考えております。
 ただ、一方で、二〇一〇年当初、プライマリーバランス均衡さすんだというふうな財政改革が進められる中、いたずらにとにかく一方に予算を増やすだけではなかなか解決しないんで、関係機関と十分協議しながら、効率的な使用をやはり含めて、そして櫻井先生おっしゃっているように、関係各国とも比較、いろんなさせていただきながら、日本に合った形をどういうふうに作っていくのか、めり張り利いた形で関係機関と協議してまいりたい、かように思っております。よろしくお願いいたします。
○国務大臣(南野知惠子君) 司法関連の予算につきましては、今後とも精一杯努力してまいりますが、櫻井議員のお話もいただきながら、櫻井議員の御協力もいただけるものと思っておりますので、どうぞ法務委員会の先生方、お力をかしていただきたいと思っております。
○櫻井充君 段本副大臣、政務官ですか、政務官、失礼いたしました。小泉改革の中で、小泉さん、米百俵だと言ったんですね。そう言っておきながら教育予算を減らしているんですよ。この国の、先ほど小泉改革の何とかでとおっしゃいますが、言っていることとやっていること全然違いますからね。
 ですから、今、凶悪犯罪が増えているとか、本当に様々な問題が起こってきているわけですよ。だって、今回の扶養義務等に関してだってこういう話が出てきて、ここまで本当に裁判所がかかわらなきゃいけないのかどうか分かんないような問題じゃないですか。そういうふうなものに関してまで裁判所が様々な格好でかかわらなきゃいけなくなってきている社会ですから、是非国民の皆さんのためにここら辺の予算は増やしていただきたいなと、そう思います。
 改めて最後に、これは法務省に改めてお願いしておきますが、できれば法文はもう少し分かりやすく書いていただきたい。それからもう一つは、権利と権限と責務とをちゃんとセットにしていただきたい。
 それから、今日は本当はもう一つ申し上げたかったんですが、過料の裁判のように当事者は異議申立てできるんです、過料の裁判がおかしいと言って。過料の裁判を起こさなかった場合に、一方の当事者はこれに対してそのときに異議を唱えることはできないんです。つまり、権利義務、権利と義務というものは一つ一つの事象のところで同じように発生させてこなければおかしなはずなのに、そういうことがまた実現されていないような法律の不備というものがあるんじゃないだろうか。今まで当たり前であったものと皆さん認識されているかもしれないけれども、ほかの人間が来て一つ一つ調べてみるとおかしな点がありますから、その辺も踏まえてきちんと見直しを考えていただきたいなと、そういうふうに思います。
 終わります。
○千葉景子君 櫻井議員に引き続きまして質問いたします。
 今、議論を私も改めて聞きながら、なるほど本当にこれまでそれなりに分かっていたつもりの法律も、考えてみると本当に分かりにくいなと、そういうことをしみじみ感ずるところでございます。
 そういう意味では、どうも法曹関係者というのは自分で分かったつもりになっている。本当の意味で利用者の立場になって法律というのを見直していくというのは大変重要な今日は指摘だったのではないかというふうに思いますので、今後も引き続きましてそれらの課題についてもお互い議論を続けていきたいものだというふうに思っております。
 さて、本来の法案の方に掛かって質問をさせていただきたいと思います。
 時間が限られておりますので、まず、今回のこの法案で裁判所内部の職務分担といいましょうか、先ほど御指摘もありましたけれども、書記官の権限、これが大分と増えてまいりました。拡大をされたということになります。そうなりますと、先ほどの、権限が増えて義務もということですけれども、それだけ責任も大変重くなるわけですね。
 ただ、私は、ちょっとそこで心配をするのは、大方の書記官の皆さん、職員の皆さんも一生懸命仕事をなさっているというふうに私は確信をいたしております。大変、先ほど司法予算もなかなか厳しい中で定員もなかなか増員もいかない、そういう多忙の中でも一生懸命やっているというのは承知の上ですが、ただ、ちょっとこのところ、裁判所職員の不祥事なども目に付くところがございます。
 割と最近の報道などされたものを見ますと、これは二〇〇四年三月ですけれども、大阪地裁ですが、差押えや破産事件の事務処理が違法、不適切だったということで執行官が停職三か月、書記官が停職一か月の懲戒処分になっています。これは執行官が同じ物件を二重に差し押さえたり、書記官は破産事件で書類に担当裁判官の押印を忘れるなどしたと、こういうものでございました。
 また、これは二〇〇四年の四月、今度は札幌ですけれども、これは作った、調書を作成した、残っていたメモに基づいて作成したけれども、メモが残っていなかった一通は、今年三月、再び調停を開いたということで、これも記録を自宅に持ち帰ってしまって失念をしてしまっていた、それによって調書の作成ができなかったということですね。
 それから、そういうことがあり、今度は書記官が、これは京都ですが、書記官が書類を偽造したということですが、これは、事件の処理がいろいろ遅れているので早く終わらせようということで偽造をしてしまったというようなこれは事件でございます。
 それから、これも、今度は六月ですけれども、これは長崎の地裁ですが、書記官が再生、小規模個人再生手続の際に、届出の期限を失念していたのでその期限を勝手に遅らせてしまったと。遅らせて書き換えたということですね。
 これは全部挙げているとちょっと時間もあれするんですけれども、こういう形で大分、忙しいということもあるでしょう、しかしやっぱりこれ権利義務にかかわることですし、こういう事件がやっぱり多発をしているということも考えてみますと、かなりこれ所内でその責任の重さというのをきちっと徹底をしてもらう、それから、それに対する研修とかあるいは研さんをさせるというようなプログラムも必要になっているのではないかというふうに思います。
 そこで、この点については、これ裁判所の方になろうかというふうに思うんですけれども、こういう形で権限が大変増えてくるということに伴う体制整備ですね、これについてはどのようになされようとしているのか。これまでもなさっている、いたと思うんですけれども、それでもやっぱりこういう不祥事などが起こっているとすれば、より一層のこれは充実が必要になってくるというふうに思いますが、その点についていかがでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) 御指摘の点については、私ども誠にそのとおりであるというふうに考えながら事務を行っておるところでございます。
 これまで裁判所書記官はどちらかというと少し堅過ぎるのではないかというように言われるくらいに正確で確実な事務処理に努力をしてまいりまして、相応の実績を上げてきたというふうに考えるわけですが、最近になりまして、ただいま御指摘のような、例えば書類の名あて人以外の第三者に書類を送付してしまったとか、やるべき事務処理を懈怠したというような過誤事例あるいは不祥事が目に付くようになっておりますことは、遺憾ながらそのとおりであるということでございます。
 この点につきましては、私どもといたしましても研修及び教育の体制を強化していく必要性を感じているところでございます。幸い、裁判所書記官を含め裁判所職員には意欲と能力の高い者が多数採用されておりますので、適切な研修、教育を実施していけばこの点は解決が可能であると考えておりまして、鋭意努力を重ねておるところでございます。
 具体的には、従来ありました裁判所書記官研修所と家庭裁判所調査官研修所の二つの研修所を統合いたしまして、本年四月に裁判所職員総合研修所をスタートさせておりまして、教育、研修体制を強化充実させてきております。
 その中で、書記官について言いますと、権限が広がることとなる新たな職務も増大しておりますので、これに対応した演習や共同討議を実施いたしますとともに、これと並行しまして、基礎的な事務を確実に行うというための各種の研修を行ってきておるところでございます。
 今後も、裁判所書記官、失礼、裁判所職員総合研修所を中心としました教育体制を更に充実させるように裁判所が一丸となって努力を続けていきたいというように考えておるところでございます。
○千葉景子君 是非ここは、今御認識は持っておられるようでございますので、きちっとした研修を今後も充実をしていただきたいというふうに思います。
 それにつけても、今お話がありましたように、やっぱり、何というんでしょうね、やっぱり繁忙、多忙を極めると、やっぱりどうしても処理の遅れが出る。それ、そうすると、ちょっとまずいなあ、やっぱりちょっと、どっかへもう書類隠しておこうかとか、そういうことにも本当につながりかねないわけですね。
 そういう意味で、これも繰り返しになりますけれども、先ほど出ておりました司法予算、そういうものも十分に確保していただいて、人的にも、きちっと自分の職務を見返しながら余裕を持って対応できるようなやっぱり人員体制と、これもやっぱり環境整備として必要なところだろうというふうに思います。
 どうしても人員は削減削減という方向が強いわけですけれども、この司法の部分はそういうことではなくして、むしろ更に厚くしていくという方向で考えていただき、そして研修を含めてその体制の整備に怠りないようにしていただきたいというふうに思います。
 さて、次ですけれども、今回の法案のもう一つに最低売却価額制度というのが入れられております。これについてちょっと何点かお尋ねをしたいというふうに思うんですけれども、今まで、今回の改正がなされる背景には、多分現在の不動産競売手続、これで競売物件の売却がやっぱり非常にスムーズにいっていないということがあるからこそこういう改正ということにもつながっているんだろうというふうに思います。
 そこでお聞きするんですけれども、現状、この競売物件の売却がスムーズにいっていないそういう要因ですね、そこはどういうふうに認識をなさっておられるんでしょうか。そして、今回のこの改正によりまして、この売却がやっぱりかなり円滑になっていくというその効果はどの程度考えておられるのでしょうか。その点についてお答えをお願いします。
○政府参考人(房村精一君) お尋ねの不動産競売手続についての売却の状況でございますが、平成十四年を例に取りますと、東京地裁では八三%、大阪地裁では七九%と、極めて高い数字になっております。地域別で見ましても、関東地方とか関西地方では大体七〇%近い数字になっておりますが、これが地方に行きますと大分下がりまして、場所によっては五〇%に達しないようなところもございます。
 このような主として地方部でこの不動産の売却がスムーズに進んでいない原因でございますが、これは一つには、やはりどうしても地方においては不動産市場が狭い、買受けを希望する者が少ないと、こういうことがあろうかと思います。また、物件といたしましても、なかなか売却が困難な農地であるとか山林と、こういったようなものが対象になることが多いと、そういうことも指摘されております。
 ただ、それらと並びましてやはり指摘を受けております一つは、最低売却価額の定め方が実勢価額を上回っているために売却できない。特に地価の下落傾向が続いているような場合にどうしてもその実勢価額より上回ることが多いというような指摘があるわけでございます。
 そういうことから、今回この競売物件の売却を促進させるために、この最低売却価額を見直しまして、これを基準価額として、その額の二割下回るところまで入札を認めるということとしたわけでございますが、これによりまして、従来ですと一回目の競売で入札がなくて売れずに再度売却を実施するという、その間、相当期間、どうしても数か月程度掛かりますので、そういったものが短縮できて売却率の向上が見込めるのではないかと、こういうことを考えております。
○千葉景子君 一定の効果というのは期待できるのかなというふうに思いますが、今地方でのばらつきがあると、なかなか農地であるとか山林であるとか、そういうことになると今回のこれだけではすべてカバーできるというわけではないとは思いますけれども、一定の効果が見込まれるのではないかと思います。ただ、これよく分からないのは、二割というのはこれ何か根拠というのがあるんでしょうか。この二割というのはどういう意味を持っているんですか。
○政府参考人(房村精一君) 実は現在の競売実務では、おおむね第一回目の売却で売却ができなかった場合に、再度評価をすることなく、最低売却価額を二割下げまして再度実施をするということが一般に行われております。
 これは基本的な考え方としては、もちろん評価人の評価に基づいてそれなりの根拠をもって最低売却価額を定めているわけでありますけれども、評価というのは、事の性質上どうしてもある程度の幅がある。したがって、その評価人の評価の額はこうだけれども、やはり幅を考えれば二割程度下回る実勢価額であることもあり得るだろうと、そういうことを踏まえて二割というところで再度の売却を実施しているんだろうと思います。私どもも、そのような現在の実務の考え方をベースにいたしまして、やはり評価はもちろん厳格に行っていただく必要がありますが、事の性質上ある程度の幅がある、その幅の許容範囲としてはやはり二割程度ではないかと。
 それから、そういった再度の売却あるいは三度目の売却というようなことを実施した例を調べてみますと、二度目の二割下がったところでの売却率というのは相当売れるものがあるんですね。ところが、それを更に下げた、その二割を更に上回って三割程度まで下げてしまうような場合も、再度評価をして下げることもあり得るわけでございますが、その再度下げて売れる物件の数というのはそう多くない。やはり実際の効果としても、やはり二割程度がある意味では売却率の向上にとって一番言わば効果が期待できる数字である。それから、やはり余り下げ幅を大きくいたしますと執行妨害を助長するおそれもあると、そのようなことを総合的に考えまして二割という数字にしたわけでございます。
○千葉景子君 今、いみじくも局長の言葉からも出ておりますが、今回のこの改正によりまして売却がスムーズにいくという、そういうことが期待される反面、やっぱり執行妨害が高まるおそれがあるのではないかということも指摘をされたり、私もちょっと懸念をしますが、その点については心配はないでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 日本の競売制度の最大の問題としては、やはり暴力団関係者等がこの競売に関与してくるということが間々見られるということだろうと思います。この最低売却制度にいたしましても、これがありませんと暴力団等が競売を妨害をいたしまして入札をさせない、それで自分で非常に低額で競落をして不当な利益を得ると、こういう執行妨害行為が行われるというおそれが非常に大きい、そういうことからこの制度が設けられているわけでございます。
 私どもとしても、やはり日本の現在の競売の状況を見ておりますと、この最低売却制度を廃止してしまった場合にはそのような執行妨害行為を助長されるおそれが非常に大きいと、こう思っておりますので、基本的にこの一定額以下での入札を認めないという制度は維持すべきである、こう考えてきたところであります。
 さはさりながら、先ほど申し上げたように、評価には一定の幅があるということと、現実に評価が高くて売れない物件も一定程度あると。そういうことを考えますと、現在の最低売却価額制度の水準をそのまま厳格に維持することが必ずしも妥当とは思えない、そういうような配慮から二割下げるところまで認めることにしたわけでございますが、この程度の額であれば、非常に危険を冒して執行妨害行為をして、それで得られる利益の額はそう大きくありませんので、これで特に助長をするということはないのではないかと。また、近時においては、警察等におきましてもそういう執行妨害行為に対する取締りを強化しておりますので、私どもとしては、今回の改正によってそういった執行妨害行為が助長される可能性は十分防げるだろうと思っております。
○千葉景子君 それじゃ次に、扶養義務にかかわる点についてお尋ねをしてまいりたいというふうに思っております。
 今回、間接強制という仕組みを入れることになったわけですけれども、昨年、ちょうど担保・執行法制の改正で、一回の差押えで将来にわたる、将来分も含めて差押えができるという改正がなされました。今回、今度は間接強制もできるという形になります。要するに私は、今回のこの改正、否定的に言っているわけじゃないんですけれども、何かまずは将来の差押えもできるようにした、今度は、次にはこの間接強制を入れると、もう少し全体、扶養義務、これをしっかりと実効力あらしめるために、トータルにもうちょっと法整備というか、制度の整備が本当はやられてしかるべきじゃないかと思うんですね。何かぽろんぽろんぽろんぽろんと、こういうやり方なんですけれども、これ、こういう形になったというのはどういうわけですか。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、昨年の通常国会で執行法を改正いたしまして、養育料などの扶養義務等に係る金銭債権については将来分も含めて定期的な給与を差し押さえること、給与等の定期的な収入を差し押さえることができると、こうしたわけでございます。再びまた、その同じ種類の債権についての間接強制ということで改正をお願いしているわけでございます。
 これはどうしてそういうことになりましたかということですが、御指摘のように、この扶養料等の債権というのは、これを受ける者にとっては生活の糧で非常に重要なものでございます。一方、その額というのは一般的には月数万程度の少ない額、これを支払が滞ったときに一回一回強制執行するのは大変だということが背景にあるわけでございます。
 前回の改正では、そういう意味で、将来分も含めての差押えに基づく取立てが可能なようにしたわけでございますが、実は法制審議会で検討をしている過程におきましても、そのような直接強制で取り立てることももちろん容易にしなければならないけれども、しかしながら、なかなか直接強制ということになると執行手続というのは負担が重いわけでございますので、当事者にとっての相当の負担になる。また、会社に給与を差し押さえられたということが知られることによって会社にいにくくなってしまうと。そういうことを心配する余り差押えまでなかなかできないんだという、そういう声もありまして、実は前回の法案提出前の審議においても間接強制をこの扶養義務等について使えないのかと、こういう御意見があったわけでございます。
 ただ、その間接強制を認めることとした場合に、その金銭債権のどの範囲に間接強制を認めるべきか。金銭債権としてはこの扶養義務等に限りません、いろんなものがあるわけでございますので、その場合、どこまで認めるかということについてなかなか意見がまとまりませんでした。そういうことから、前回の改正では取りあえず直接強制の部分について新たな強制執行の方法を改正内容としてお願いをするということにいたしまして、この扶養義務についての間接強制については更に引き続き法制審議会で検討しようと、そういうことになっていたわけでございます。
 その後、検討を重ねまして、金銭債権について間接強制を認めると、例えばお金がなくて払えない人に間接強制を課しますと、ますます払えない人は払えるわけがないものですから、間接強制の言わば制裁金の方もどんどんたまってしまうと、非常に過酷な結果になるおそれがある。そういう指摘を踏まえて、やはり金銭債権について間接強制を適用するのはこの扶養義務等の債権に限ろうと。
 この種の債権は、幾ら払うべきかということを支払う人の支払能力を踏まえた上で具体的な額が決まるという性質がありますので、基本的にその決まった額は支払能力はあるのが通常でございます。万一事情が変わって払えないような状態になった場合には、その変更ももちろん可能な仕組みになっておりますので、そういうことでいえば、この種の債権については間接強制を適用しても弊害が最小限にとどまるだろうと。その上で、さらに間接強制の要件として、支払能力のないときには間接強制ができないと、こういうような仕組みにすれば弊害を心配する必要はないだろうと、こういう結論に達しまして、今回この扶養義務等に係る金銭債権に限って間接強制の方法によるという改正をお願いしているわけでございます。
○千葉景子君 今の御説明をお聞きをすると、何となく入れたことは入れたんだけれども、本当に幅が広がる、利用できるいろんな仕組みができるということは私も歓迎すべきことだと思うんですけれども、何となくいろんな手だては講じておこうということで本当に実効性が上がるのかなという感じがします。今おっしゃったように、お金が払えなくなっている人にまた間接強制掛けて本当にそれで取れるのかと、こういうことも言えますので、この扶養義務については本当にもうちょっとこういう取立て、執行の関係ばかりではなくて、トータルにもう一度ちょっと考えていく必要があるんじゃないかなというふうに思います。
 その前提としてですが、お聞きをしておきますが、養育費の支払ですね、扶養義務に伴う養育費の支払の実情というのは大変これ厳しいところがございまして、これ厚生労働省が、これは平成十年ですからちょっと前になる、大分前、ちょっとじゃないね、大分前になりますけれども、この全国の母子世帯等調査結果というのがございます。これ厚生省のホームページに出ているんですけれども、これで見ますと、そもそも養育費の取決めをするというのですら三五%、それから養育費をもらっているというのが二〇%、養育費の支払を受けているというのが本当に少ないわけですね。額も平均すると五万円程度と、こういうあれが出ております。それから、最高裁の方でも平成十三年八月に実情調査をやっておられまして、この養育費の支払状況は、定められた額を期限どおり全額受け取っているというのが全体の約半分、五〇%、それから期限どおりではないが全額受け取っているというのが全体の二〇%、一部について受け取っているというのが二四%、全く受け取っていないというものも六%です。これは裁判所が関与して離婚した部分のあれですから、それですらこういう状態だということになります。こういう非常に厳しい養育費の支払状況なんですね。
 そうすると、今、今回例えば、前回で将来への向かった債権も差し押さえられるよ、今回は間接強制もできるようにしますよと、こういうことを入れても本当になかなか実効性がないという実情がある、こういうことについてどうでしょうか、大臣はどんなふうに御認識なさっているか、お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(南野知惠子君) 本当にこの養育費というものは、本当に子供のためにしっかりと担保されるべきであるというふうには思っておりますけれども、この養育費の支払の状況について、今先生もるる挙げられましたが、調査によりますと、そもそも養育費の取決めをしていない世帯が六割もあるということでございます。また、家庭裁判所の調停において養育費の取決めをした債権者に対するアンケート調査、先生もお触れになられましたが、その取決めをしても債務者が約束の期日に全額支払うケースは約半数にとどまっているということがございます。さらに、債務者がこれを支払わない理由ということにも様々なものがあります。お金があるにもかかわらず、債権者に対する嫌がらせからか、支払おうとしないと考えているケースも見られるということでございます。
 このような実情を踏まえますと、本法律案による間接強制制度、こういうものを作りますと養育費の円滑な支払の実現のために活用されるというふうに期待いたしておるところでございます。
○千葉景子君 私も、是非こういう制度が次々に整備をされてくることによりまして養育費の支払ができるだけ進んでいくように期待はしております。是非それを期待外れにならないようにやっぱり充実をしていく、あるいはそれをきちっと啓蒙していくということも併せてお願いをしたいというふうに思うんですね。
 で、そのためには、私は思うんですけれども、離婚調停等の中でやっぱりこの養育費、子供に対しては離婚をしてもどちらも親には変わりないと、そして扶養の責任があるんだぞと、だから養育費の支払というのは大変重いことなんだということなどをきちっとやっぱり説明をして、その上でやっぱり調停合意が図られるということも大事でしょうし、前回ちょっと指摘をさせていただきましたけれども、それと同じくらいやっぱり子供に対する面接交渉のようなものも、やっぱりこれお互いに理解をし合った上で十分に決めておいたりするということも大事なんだと。会うことによって子供にまた愛情も継続できると。養育費もやっぱりこれはきちっと払わなきゃいけないなという、そういう心理的なプレッシャーにもなっていく。そういうことも併せてやっぱりこの離婚調停の席上などで十分にこういうことを説明をする、大事だというふうに思うんですね。どうもこれ統計を見ると、忘れてしまったのか、こういうことを何か知らなかったのか、後から何だかあいまいになってしまっているということがあるようにも思うんです。
 どうでしょうか、そういうことについて裁判所の方でも十分にこの制度、それから合意を図る際の徹底、こういうことについてやっていただきたい、調停委員などにもそういうことを十分に知らしめるようにというようなことも研修等併せてやっていただきたいというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(山崎恒君) 家事調停の当事者が、委員御指摘のとおり、養育費や面接交渉について正確な理解を有することは誠に重要でございます。したがいまして、養育費や面接交渉の取決めが必要となるような当事者に対しましては、調停の場で家事調停委員から分かりやすく、かつ正しい説明ができるように各庁におきましてこれらの問題に関する研修を実施するなどしているところでございます。
 具体的には、新たに家事調停委員に任命された際に調停委員の役割と心構え、家事調停事件の処理につき必要な基礎的知識等につきまして研修を行っております。その中で、養育費や面接交渉等に関しましても基本的な知識を身に付けるようにしておりますし、その後も経験年数に応じた研修を実施しておりまして、その知識や技能を向上させるように努めております。
 その中身としましては、例えば養育費や面接交渉に関する法律上の問題について裁判官が講義を行ったり、具体的な事例に基づいて裁判官や家裁調査官とともに検討を行うケース研究の方式を取ったり、あるいは分科会方式やロールプレーイングなどの方法も取り入れて研究を行い、その結果について裁判官や家裁調査官から指導を受けるというようなことが各庁で工夫して実施されております。
 今後とも、家事調停委員がこれらの研修を通じて十分な理解をしつつ、当事者の方に正しい説明ができるように努めてまいりたいと思っております。
○千葉景子君 この養育費の支払確保につきましては、養育費の支払がなされないときに家事審判法では履行勧告をする、それから履行命令をする、そしてそれでも駄目なときには過料という制裁を加えるという制度が定められておりますけれども、これは一体どんなふうに今機能しているのでしょうか。ちょっと実情を教えていただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(山崎恒君) 養育費を含む金銭債務について履行勧告がされた件数はここ数年増加傾向にございまして、平成十一年には一万二千三百六十二件であったものが平成十五年には一万五千十四件となっております。
 また、金銭債務について履行命令が申し立てられた事件の既済件数はここ数年毎年四、五十件程度でございましたが、平成十五年には八十二件と増加しているというような状況でございます。
○千葉景子君 確かに増加傾向にはあるようですけれども、考えてみれば、数十件ということですので、なかなかやっぱりこういう制度があってもそれを活用して確保するというのも容易なこっちゃないなという感じがいたします。
 いずれにしても、本当に制度自体はこのようにいろいろとメニューはだんだんできてきているんですけれども、実が上がらないといいますか、難しいというところが悩ましいところだなという感じがいたします。
 そこで、これはこれまでも指摘をされておりますし、いろんなところで提言がされておりますけれども、やっぱり養育費とか面接交渉などもそうですけれども、家庭裁判所の手続あるいは協議の場合も含めて、もう少し何か実効性の上がるやり方というものがないのかということでございます。
 一つ考えられるのは、これは日弁連なんかでも提言がされておりますけれども、届け、要するに離婚届をするときに、まず併せて、特に協議の場合などはやっぱりなかなか養育費の問題などを取り決めることが難しい。だとすれば、その届け、協議離婚の届けをするときに、併せて養育費の支払あるいは面接交渉などについての合意文書を添付してといいますか、そうやって協議離婚の届出をするとか、そういう、これは運用ということになるんでしょうかね、そういう何か手だてを講じてみる。それによって、やっぱりそれは必ず履行しなければいけない、離婚ということになったら必ずそれが付いてくると、そういうくらいの意識改革をしなきゃいけないんではないかなという感じもいたしますし、それから、条文上でも意外とはっきりしていないのは、やっぱり親権の有無にかかわらず、養育費の義務というのが先ほど、いなくなっちゃいましたね、権利と義務という話がありましたけれども、養育費の義務があるということは明文上必ずしもはっきり記載はされていない。こういうことを明確にするとか、何かそういうやっぱり手だてもしていくことが必要なんじゃないかと。
 それから、最終的には、よく言われるように、立替え制度、立替払の制度などというのもよく指摘はされますけれども、そこまで行かずとも、幾つかちょっと工夫ができるような手だてもあるのではないかと、こんな気もいたします。
 今日すべてのお答えというわけにはいかないかというふうに思いますけれども、時間があともうなくなりますので、大臣に、こういう私の今指摘をさせていただいた提言等も含めて、この養育費の確保、そして実効性を上げるための手だてなどについて今後もいろいろと知恵をめぐらせていただきたい。大臣、こういう面については大変心配りをこれまでもしていただいてきたお一人でございますので、是非その点についてお考えをお聞かせをいただきまして、質問を終わりにしたいというふうに思います。
○国務大臣(南野知惠子君) 本当に子供の養育費を担保するということは大切なことであろうというふうに思っておりますが、離婚後の養育費の支払がきちんとされることは、これは子供さんにとって大切なことであろうと思っております。
 他方で、協議離婚の際の養育費の取決め、こういったものを義務付けするということにつきましては、離婚をするのが非常に難しくなる。もうDVなどでも、先生、御経験があると思いますが、離婚を早くしたいと思うときに、その書類との関係ということで、それよりまずは離婚が先と考えられる方々も一杯おられるだろうというふうに思いますが、もうどうしたら払っていただけるんだろうかと、そのことも真剣に考えていきたいというふうに思っております。
○委員長(渡辺孝男君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時三十五分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十分開会
○委員長(渡辺孝男君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、浜四津敏子君が委員を辞任され、その補欠として鰐淵洋子君が選任されました。
    ─────────────
○委員長(渡辺孝男君) 休憩前に引き続き、民事関係手続の改善のための民事訴訟法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○木庭健太郎君 公明党の木庭健太郎でございます。午後の質疑、お付き合いをいただきたいと思います。
 今回の民事関係手続のこの一連の法案、何か感じますのは、この民事関係手続というのは毎年審議しているような気がして、毎回改正、毎回改正というような気もしないでもないという思いはありますが、いずれにしても手続の一層の迅速化という問題、効率化の問題、取り組まなければいけない課題ですし、そういった意味で審議会で十分審議をしていただいた上で、練った上で毎年出てきているんだろうと、こう思っておりますし、是非成立を図りたいという思いで質問をさせていただきたいと思います。
 まず、今回の法案、幾つかポイントはございますが、申立て等のオンライン化の問題についてまず冒頭お伺いをしておきたいと思います。
 今回、インターネットを利用した訴状の提出等ができるようになりますが、その利用範囲というのが申立て等に限定されております。民事の手続といった場合は書面のやり取りがいろんな場面で行われており、例えば判決の送達というものも考えられます。利用しやすい裁判手続の実現を図るという観点からだけ見ていくならば、申立て等に限定することなくその対象を拡大していくのが望ましいと思うんですが、どのようにお考えか、まずお伺いしたいと思います。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、今回の民事訴訟手続のオンライン化は申立て等に限定をしているわけでございます。そうすることとした理由でございますが、これは、裁判手続というのは、申立てをする者、それからその相手方、そして裁判所と、この三者の間で手続が行われ、しかもそれが言わば累積的に積み重なって順次進んでいくという特色がございます。そうなりますと、勢いいろいろなものが複雑になってくるわけであります。
 オンライン化について申し上げますと、行政手続が既にオンライン化されておりますが、一般的に行政手続の場合には申立てをする者と行政庁、その二者の間でございます。したがって、この行政手続に関しましてオンライン化をする場合もその二者の間のことを規律すれば足りるということで比較的容易にオンライン化がしやすいと、そういう性質がございます。
 ところが、裁判手続のような三者構造になってまいりますと、例えば送達をどうするのかとか、様々な付随的な問題が生じます。これを技術的にどう解決するかということを踏まえませんと、やはり法律の形でそういった複雑な手続をオンライン化するということを決めるのはなかなか難しい問題がある。
 そういうことから、今回は、申立て等に限れば、その部面、その局面で見ますと行政におけるような二者の構造と同一でございますので、その点は技術的にも解決のめどが付いておりますので、その場面に限定をして取りあえずオンライン化をできることといたしております。
 今後、更に研究を進めまして、また手続等、IT技術も進歩しますでしょうから、そういったものを踏まえながら今後更に広い分野におけるオンライン化というのは検討していきたいと、こう思っているところでございます。
○木庭健太郎君 どの時点でそれをやるかという問題、今からいろんな形で御研究なさってやる問題だと思いますし、そう簡単にはできることでもないんだろうと思いますが、是非研究は続けていただいて、そういったことが可能なのかどうかと探ることは非常に大事な観点だと思いますので、それはよろしくお願いをしておきたいと思います。
 この訴状等を提出する際には、一般には登記簿の謄本や資格証明書等の書類が添付されますが、この添付書類、この取扱いについては今回どうなっていくんでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) これ、現在、添付書類については書面で提出をしていただいているわけでございますが、それは最高裁判所規則でそういう取扱いを定めておりますので、今後それをオンラインにするかあるいは書面でするかということは規則で定めるということにはなります。
 ただ、一般的に申し上げまして、例えば委任状のようなものであればオンラインで提出をするということも技術的に十分可能になってきておりますが、書証をオンラインで提出するということになりますと、これは技術的に相当大変だろうと思います。
 そういうことを踏まえてまた裁判所においても検討されるのではないかと思いますが、今申し上げたように、やはり書証一般についてオンラインで提出をするということはなかなか技術的にも当面困難ではないかと、こう思っております。
○木庭健太郎君 こういうインターネットの申立てが本当に普及していくかどうかというのは、申立て等をしようとする人たちに、どんなふうな手続になるのか、いろんな教える問題を含めて司法サービスの面が非常に重要になっていくと思うんです。法的知識は必ずしも、いつも議論していますが、十分とは言えない国民に対してどのような司法サービス、サポートを検討されているのか、あれば御答弁いただきたいと思います。
○政府参考人(房村精一君) 今回の法改正の内容等につきまして、法務省として広く広報するということはもう当然でございますが、それ以外に、さきの国会で成立いたしました総合法律支援法に基づきまして、日本司法支援センターの設立に向けて現在所要の準備作業を行っているところでございます。
 この支援センターにおきましては、法による紛争の迅速かつ適切な解決に資するよう、関係する情報資料を収集して整理した上で一般の利用に供し、あるいは個別の依頼に応じて提供することとしております。具体的には、裁判に関する情報であるとか、弁護士会その他の隣接法律専門職者団体による情報、あるいは地方公共団体や行政機関の相談窓口に関する情報など広く一般的に提供するほか、利用者の個別の相談内容に応じて必要な情報を取捨選択して提供するというようなことを考えておりますので、こういったものを活用することによって広く国民に司法サービスを提供していきたい、こう思っております。
○木庭健太郎君 逆に、今度は裁判所の方にお尋ねすることになると思うんですけれども、このインターネットの申立て、どこでできるか、どの裁判所でできるかについては、最高裁が定める特定の裁判所というふうにされているわけでございますが、どの裁判所が利用可能かについて利用する者が簡単に分からなければ、これ利用がしにくくなると思いますし、これについてもどのような周知方法を検討されているか。
○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) インターネットによる申立てにつきましては、申し立てられる内容につきましても、あるいは申立てを受け付ける裁判所につきましても、限定された内容及び場所において試験的に実施してみまして、その結果の分析に基づいて更なる拡張の可否を検討していくという慎重な進行方法を考えております。その結果、新たなシステムの運用を開始する段階では申し立てることができる手続や運用する裁判所が限定されますので、これをどう周知するかが御指摘のように特に重要な検討課題になってくるというように考えておるところでございます。
 現在、私どもが考えております周知の方法といたしましては、例えば新たなオンラインシステムの運用を開始する場合には、実施方法について告示を発しましてこれを官報に掲載するという方法を取りますほか、最高裁判所のホームページに利用方法を掲載してその内容を周知を図っていくということでございます。また、弁護士会に通知をいたしまして会員に周知をしていただくという方法も考えられるところでございます。
 いずれにしましても、有効と考えられる複数の周知の方法を採用することといたしまして、周知の方法について遺漏のないようにしていきたいというように考えております。
○木庭健太郎君 具体的に、そうすると、最初どの辺でできそうなんですか。見通し付いているようなところはどこから始めるということになりますかね。
○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) これは、手続の内容についてまずどこから始めるかということになりますが、別の条文で特則がございますような支払督促の手続につきましては、これは申立てに応じた裁判がされるということで、コンピューター化しやすいというようなことでございますので、そこから手続としては始めるというふうに考えておりますが、大変広範な内容を持ちます民事訴訟手続につきましては、まず期日の変更、延期申請というような大変限定されたところからテストをしてみて、その成果に基づいてまた研究をしていくというような、そんな計画を今練っておるところでございます。
○木庭健太郎君 さて、利用者の立場から考えた場合、インターネットによる申立て等の場合は、送信したものが裁判所に本当にきちんと届いたかどうかが非常に気になるところだと思いますし、インターネットによる申立て等の裁判所の到達時期というのは、普通考えれば、その裁判所のシステムに記録が登録されたり完了したというときだと思うんですが、その到達された時刻について、申し立てた側はどのようにして確認することがこれできるんですかね。
○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) 御指摘のとおり、裁判上の書面の到達の確認は申立人にとって重要でございますが、オンライン化が行われますと、その性質上、発送した書類の到達確認は人手による特段の操作をしなくても容易に行うことができるという見通しでございます。
 裁判所において開発を研究しております具体的な方法といたしましては、申立人が書面を送付いたしますと、その最後のディスプレー画面におきまして、いつどこの裁判所に何の書面が到達したかを表示するという方法を考えているところでございます。技術的にどのような方法を取るかは今後更に検討するということになりますが、いずれにしましても、送付書面の到達結果が申立人に容易に把握できるようなシステムを作っていきたいというように考えております。
○木庭健太郎君 是非、これは利用者にとってみてどう分かりやすくするかがポイントだと思うんで、そこの研究はやっていただきたいし、それから、今お話お聞きしていると、これ午前中も質疑になっていましたけれども、オンライン化というのは、一つは利用者にとってやりやすい面と、じゃ裁判所にとってはどうなるんだろうかという面だと思うんですよ。そのオンライン化って、作業はいろいろ複雑だし、コストも掛かるだろうし、一方では、その職員にこの仕事を知ってもらうという意味では、最初のこの周知徹底、職員の配置の問題からいうと職員も多く要るんじゃないかというような考え方も一方であると。
 ただ、オンライン化するんであれば、ある意味では仕事を、そこの部分を機械にやってもらうわけですから、逆に言えば、人員にとってみれば減らしてもいいような方向にもつながるんじゃないかと。どっちにどう転んでいくんだろうかと、よく見えません。どういうふうに予測をされ、どう考えていらっしゃるかを聞かしていただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) オンライン化につきましては、大きな目で見ますと、機械的な処理ということで合理化効果が出るということになっていくことにはなりますけれども、オンライン化を実行いたしますと、特にシステムの立ち上げの段階では様々な調整を要する事態が生じるというのがむしろ通例でございます。したがいまして、御指摘のような職員の仕事量の増加ということも十分にあり得るというように考えておるところでございます。
 したがいまして、徐々にシステムを開発していくということを考えておるわけでございまして、このような事態に対処する方法といたしましては、まず、オンラインシステムの導入当初においてシステム利用の範囲を限定いたしまして、システムの運用を行う庁も最初は少ないところから始めるということで、問題点を検討するための期間を経まして、しかるべくプログラムの修正なども行うという手順を踏みまして、その後徐々に拡大を図っていくというような工夫が必要であるというように考えております。
 このような方法で段階を踏んで慎重にテストを重ねながら進めていくつもりでございまして、予算につきましても人的体制につきましても、このように段階を踏む中で息の長い整備を図っていきたいというように考えておるところでございます。
○木庭健太郎君 是非そういう体制の整備というのを、もうこれ各与野党問わず一生懸命やっていこうという話になっておりましたんで、是非それも整えながら万全の体制で臨まなければならないと思います。
 そのオンライン化の中で、幾つか個別に、先ほどちょっとお話をされておりましたが、督促手続のオンライン化の問題について入ろうと思うんですけれども、インターネットを利用してのこの督促手続、これを取り扱う簡易裁判所が指定されることになりますね。指定された簡易裁判所には本来の管轄よりも広く申立てができるとされております。
 最高裁は対象となるこの簡易裁判所というのをどのようにこれ選定していく予定でいらっしゃるのか。例えば東京簡裁、大阪簡裁、この二つだけにするのか、地裁本庁の所在地まで広げられるのか。どんな考えを現時点で持っていらっしゃるか。
○最高裁判所長官代理者(高橋利文君) 裁判所といたしましては、今回の改正法の施行後、しかるべき時期にオンラインによる支払督促の申立てを取り扱うことが可能となるように現在システムを開発しているところでございまして、現段階ではこのシステムの導入庁等につきまして確定しているわけではございません。最も、まず最初の導入庁といたしましては、督促事件を最も多く取り扱っております東京簡易裁判所を指定する方向で検討を進めております。
 また、指定簡易裁判所に対してオンラインの申立てをすることができる範囲を本来の管轄よりもどの程度広げるかという点につきましても、まず東京簡易裁判所を導入庁として指定する場合には、現在行われておりますいわゆるOCR方式による督促手続の申立てにおきまして、東京簡易裁判所には多摩地区を含む東京地方裁判所管轄内の事件についての管轄が既にもう認められておりますことから、オンライン申立てにつきましても、これと同様又はこれよりも広い範囲とする方向で現在検討しております。
 具体的にいつの時点でどの範囲まで拡大するかにつきましては、現段階ではまだ決定に至っておりませんが、今後、現在開発中のシステムの処理能力、今後の事件の動向や利用者の意見などを踏まえながら決定していきたいと考えております。
○木庭健太郎君 今お話があったように、現実に利用されている方式としてOCRというお話をなさいました。このOCR方式を用いた申立てができると。これ、実際今、実務上定着しているともお聞きしているんですけれども、どんな人たちがどういうふうに利用されているのか。ちょっとイメージがわくように御説明もいただきたいし、今後これらのところにオンラインが導入されることによってこのOCRというのは一体どんなふうに、この方式が続いていくのか、なくなるのか、また併用になるのか。どんなふうに変化していくのかについても併せて御答弁をいただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(高橋利文君) 具体的にOCRを利用している人はどういう人たちなのかということでございますが、かなりの部分は業者関係事件、業者の関係の方が利用されているというように聞いております。
 また、オンラインによる支払督促の申立てが導入された場合に、現在行われているOCR方式による支払督促の申立てがどうなるのかという点でございますが、基本的には、オンライン化を導入した簡易裁判所につきましてはOCR方式が存続しないという方向で検討しております。
 具体的に申し上げますと、今回の改正法の施行後に東京簡易裁判所におきましてオンラインによる支払督促の申立てが開始された場合には、東京簡易裁判所におけるOCR方式による支払督促の申立ての受付を終了することを検討しております。
○木庭健太郎君 この指定簡易裁判所の裁判所書記官が行う処分の告知は、書面に代えてインターネットでもできるということにされているわけです、今回。
 さっきも、これ、さっきというのは午前中ちょっと議論になったんですけれどもね、きちんと送ってくれるのかどうかという問題があったんですけれども、その裁判所書記官が送信先を誤って別の債権者に送信するということは考えられないのかどうか。もしこういう問題、どうやって防止しようとされているのか、この点について御答弁をいただいておきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(高橋利文君) 債権者に対する電子情報処理組織を用いた処分の告知の方法につきましては、今後のシステムの開発作業を踏まえながら具体的に決めていくことになりますが、現時点におきましては、今回の法改正後の民事訴訟法の三百九十九条三項でお認めいただいた方法を利用することによる過誤防止を現在考えております。
 具体的に申し上げますと、あらかじめ処分の告知の方法について債権者の同意を得ました上で、まず書記官が、裁判所書記官が処分に係る情報を裁判所のシステムにまず記録いたします。次いで、債権者に対してその処分をしたという旨を電子メールで告知、通知いたします。これを受けまして債権者が処分に係る情報を裁判所のシステムにアプローチ、アクセスいたしまして直接ダウンロードするという方法を検討しております。
 したがいましてこの場合、したがいましてこの場合は、処分の内容自体を裁判所が債権者に送信するわけではございませんので、処分をした旨を電子メールで通知するだけでございますので、万一通知の送信先を誤ってもプライバシーに関する情報が他の債権者に伝わるというおそれはございません。
 また、処分をした旨のその電子メールの通知でございますが、これにつきましても、債権者が指定簡易裁判所のシステムにあらかじめ登録した電子メールアドレスにあててすることを検討しておりますので、電子メールによる通知が別の債権者に対してされるということは考えにくいと思われます。
 さらに、その裁判所のシステムに登録されている処分でございますが、そこを引き出す手続ですが、それは個別の債権者ごとに付与されたユーザーIDとパスワードを利用して、各債権者が自分のした申立てに関する処分の情報のみをダウンロードすることができるものとすることを検討しております。したがいまして、別の債権者が勝手にダウンロードを行うというおそれもございません。このような方法を取ることによりまして、誤送信等のおそれは回避することができるものと考えております。
 いずれにいたしましても、委員御指摘のとおり、これ大変重要な問題でございますので、裁判所といたしましては、誤って別の債権者に対して処分の告知をするようなことが万が一にもないように最善の注意を尽くしてまいりたいと思っております。
○木庭健太郎君 それで、民事局長、質問通告していないんだけれども、この督促手続のオンライン化とか申立てのオンライン化ってね、何かこう、条文読みながら、一体だれが利用して、本当にこの一般の国民に、利益にどれだけなるのかなという。ちょっと、例えば督促手続のオンライン化ですか、使うとしたら業者でしょう。何かその、ちょっとね、イメージからいうと余り、一般国民にとって本当にどうなのかなという感じがしないでもないんですよ、これ、やりながら。その辺はどんなふうにお感じですか。うまくしないとこれ業者を利すだけであって、簡単に大量に手続できるように、業者が楽にやれるようにと、こんな話になったら、これ国民の理解が得れないような内容になってしまう危険性があるような気がするんですけれども、ちょっとここだけは確認のために聞いておきたいんですよね。
○政府参考人(房村精一君) 基本的に、督促手続をオンライン化した場合には、現在督促手続を多く利用している方々はやはりオンライン手続も利用するであろうと。そういう意味では、現在やはり一番多く利用しているのは業者の人たちだと言われておりますので、そういう人が利用する可能性は高いという、それは否定できないと思います。
 ただ、そうはいいましても、やはり権利実現のための裁判制度を用意する以上は、それが効率的に運営できるということも考えていかなければなりませんし、もちろんその悪用を防ぐような意味での様々な対策も必要でございますが、そういった効率化ということも併せて実現していく必要があるだろうと思います。
 それと、そのオンラインのことについていいますと、インターネットにいたしましても、当初、立ち上げ当初はほとんど趣味の世界のような評価でございましたけれども、次第に普及するに従って非常に多くの方々が利用するようになっております。国民一般がそういったオンライン、インターネットの利用ということに慣れ親しんできますと、そういった裁判手続についてもオンラインの仕組みを用意しておくことによって国民にとって司法全体がアクセスしやすくなると、そういう効果は長期的に期待できるのではないか、そういう大きな観点からやはり司法の手続のオンライン化ということも考えていくべきではないかと、こういう具合に考えております。
○木庭健太郎君 大きな流れはそれで結構だと思っているんですけれども、やっぱり実際に始めたとき、そういう面、一体だれが利用し、どういうことになっているのかというのは、これは注意深くやっぱり見詰めておく必要がある問題だなということを強く感じておりますので、その点は、法施行され実際に運用が開始される、しかもいろんな問題について慎重に最高裁はおやりになろうとしている、その辺を見守りながら、万が一やっぱりそういう、ちょっとこれは一般国民にとってどうなのかという疑問があれば、それはそれで、そこでまた改正するようなことも法務省としては考えていただきたいなと、こんなことをちょっと感じましたので、質問通告しておりませんでしたが、済みません。
 次に、公示催告手続の問題について、先ほどこれも少しお話があっておりましたが、確認の意味でもう一回お尋ねをするわけですが、今回、この公示催告の公告期間、六か月から二か月に短縮されることになると。官報への公告は、その申込みから官報に掲載されるまでの期間もあるわけで、法改正後、申込みから除権判決まで実際にどのくらいの期間掛かることになるのか、御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(房村精一君) 有価証券無効、有価証券の無効宣言のための公示催告事件につきまして、現在の扱いといたしましては、公示催告の申立てからおおむね八か月から十か月程度掛かると言われております。
 今回の改正によりまして、この公示催告の公告期間の下限が六か月から二か月間に短縮されますので、それだけでも四か月の短縮ということは見込めるわけでございます。また、このお話にありました官報掲載、官報に掲載を依頼してから掲載されるまでの期間につきましても短縮の努力がなされているということを聞いておりますので、そういうことを考えますと相当程度短縮がされるのではないかと、こう思っております。
○木庭健太郎君 期間を短縮した一つの根拠及びどのような効果を期待しているか。
○政府参考人(房村精一君) 現行法におきましては、一般の公示催告手続における催告期間の下限は二か月となっておりますが、先ほども申し上げました、有価証券の無効宣言のための公示催告における催告期間の下限は六か月と長くなっております。これは、失権の対象となる権利者の保護の観点から長くしたと、こう言われております。
 ところが、その代表的な有価証券である約束手形について見ますと、振出日から満期までの期間が三か月程度と。この満期まで三か月程度の手形を例えば紛失した場合に、その救済のための無効宣言を求めると催告期間が最低でも六か月掛かってしまうと。こういうことでは喪失者の迅速かつ実効的な救済が図れないではないかと、こういう指摘があったわけでございます。
 それを踏まえまして、今回の法律案におきましては、有価証券の無効宣言のための公示催告手続における催告期間の下限も一般の公示催告と同様に二か月にするということをしたものでございます。これによりまして、手続に掛かる期間が短縮できると、こう考えております。
○木庭健太郎君 今度は、民事執行手続における裁判所内部の職務分担の合理化の問題なんですけれども、お聞きしたいのは、今回、この物件明細書の作成が裁判所書記官の権限事項となる一方で、売却基準価格の決定は裁判官の権限事項であると。双方にこの判断の食い違いが生じることも考えられると思うんです。
 物件明細書の記載が買取り希望者にとって重要な情報源というふうになっているということから考えるならば、今後も執行事件が、円滑に進めるためにはどうすればいいかというと、双方の判断が一致する必要があると。この点どんなふうに考えられているのかを。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、今回の改正によりまして物件明細書の作成を書記官の権限ということといたしておりますが、この物件明細書は、買受人が引き受けるべき権利の存否や、法定地上権の成否等について明示する機能を有し、手続的に重要な役割を担っております。したがいまして、この物件明細書の記載と、それから裁判所による売却基準価額の決定における判断とは一致をしているということが望ましいのはもう御指摘のとおりでございます。
 現在の実際の運用を見ますと、物件明細書の原案は裁判所書記官が作成をいたしまして、これを裁判官が審査をした上で決定をしているという実情にあるように聞いておりますが、この過程で書記官の判断と裁判官の判断が食い違うということはほとんどないように聞いております。書記官自身も、この物件明細書の作成に当たって、これを充実したものとするべく種々研さんを積んでいるところでございまして、書記官の書いたこの物件明細書の作成についての研究あるいは論文、こういうものが発表されておりますが、いずれも高い評価を受けております。
 そういうことを考えますと、この物件明細書の作成を書記官にゆだねるとしても十分書記官はそれに堪え得ると思いますし、今までの実績を踏まえますと、この物件明細書の作成する内容と基準価額を決めるに当たっての裁判所の判断が食い違うということはないであろうと、こういうことは言えるだろうと思っております。
○木庭健太郎君 もう一つ、これ最高裁にお尋ねしますが、売却物件についての情報提供の問題です。
 いわゆる物件の明細書、現状調査報告書、評価書の各写し、三点セットですか、いわゆる。これは常備、置いておくということが行われて、そういう、裁判所によっては、これについてインターネットを利用しての情報提供を行っているところがあると聞いております。これBITですか、こういうシステムを設けていらっしゃると。どのくらいのところでこれが実施されているのかと。このBITというのはどのような効果を生じているのかを教えていただきたいと思いますし、これ確かに買う人にとってみれば十分な情報という意味ではいいんですけれども、じゃ債務者や所有者や占有者のプライバシーの保護みたいな面は一体どうなっているんだろうかという心配も、どんな配慮がなされているかもちょっと聞きたいし、これは今後裁判所としては拡大していくつもりでいらっしゃるのかどうかも併せて御答弁願いたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(高橋利文君) BITシステムにつきましては、現在、東京、大阪、名古屋、福岡、仙台、札幌、水戸、和歌山、各地裁の合計八庁において実施されております。
 その効果でございますが、例えば東京地裁、大阪地裁で見てみますと、現在、不動産競売事件の申立てがそれぞれ月に三百件から四百件程度ございます。BITシステムにアクセスし、これはBIT、BITシステムと俗に呼んでおります、BITシステムにアクセスし、三点セットがダウンロードされている件数は、それぞれ月に四万件程度ございます。また、東京地裁、大阪地裁では、平成十四年の八月からBITシステムの運用を開始しておりますが、平成十四年から十五年にかけての売却率も向上しております。このような状況に照らしますと、確たることは申し上げられませんが、このシステムの導入が買受け希望者の増加や売却率向上の一翼を担っているのではないかとも考えられるところでございます。
 また、BITシステムにつきましては、委員御指摘のとおり、債務者、所有者、占有者等のプライバシーの保護が重要でございます。この点につきましては、自然人の氏名、住所、電話番号等の記載に仮名処理を施すことにより、具体的な個人情報が安易に流出することのないように十分な配慮をしているところでございます。
 また、BITシステムの今後の展開の点でございますが、今後、先ほど申し上げました八庁の運用状況等を見ながら前向きに検討していきたいと考えております。
○木庭健太郎君 今度は、最低売却価格制度についてお尋ねをしておきたいと思います。
 大臣にお聞きしておきたいと思うんですけれども、その最低売却価格制度については、ある意味では、一つは不当な安価での落札を防止するとか、買受け希望者にも最低売却価格を示すことで一種の安心感を与えるなど、それなりの機能はしていたと思うんですよ。ただ、機能していたけれども今回見直そうと、一つの新たな形を作ろうということになったわけですが、どうして、どういうことを理由にこの見直しに取り組もうと決意をされたのか、これだけ伺っておきたいと思います。
○国務大臣(南野知惠子君) お答え申し上げます。
 最低売却価格制度というのは、御指摘のとおり、競売物件を買い受けることができる価格の下限を定めるものであると、競売物件が不当に安く売られることを防止し、又は所有者、債権者の利害、利益を守る機能を担保しようというものでございます。
 しかしながら、この制度に対しましては、最低、最低売却価額、なかなか読みにくいわけでございますが、最低売却価額が実際の価値を上回っているために入札がなかなかされないという競売物件も存在しているという指摘がなされております。最低売却価格制度ということにつきましては、その基本的な機能を維持する必要はありますが、ただ、今申し上げましたような指摘を踏まえますと、これを見直して売却物件の売却を促進させるということも必要であろうと考えられます。
 そこで、本法律案では、不動産の評価には、事柄の性質上、当然に一定の幅を持っているというふうに我々考慮しておりまして、最低売却価額を売却基準価額というところに改めまして、この価額の八割以上の価額であれば入札することができるといたしました。結局二割のポイントのところでございます。
○木庭健太郎君 最後に、扶養義務関係にかかわることを局長に一問、大臣に一問お聞きしたいんですけれども、一つは、今回の最大の特徴は間接強制の新設でございます。
 一つ、先ほども議論になっていたんですけれども、養育費の支払がない場合には給料の差押えの強制執行以外にも、例えば先ほどの御指摘でいうと、履行勧告であるとか履行命令の制度があるにもかかわらず、なかなか養育費の支払がきちんと行われていないと。どんなことが原因と局長考えられているのかと。その一方で、今回、間接強制というものを導入しようとするんですけれども、一日当たり数千円の支払課せられたのに対して、それを何年も履行していなかった場合、養育費全体の何倍もの間接強制金というのが課せられることになるわけで、債務者の制裁としては過酷過ぎる結果にもなるんじゃないかという指摘もあると。この辺もどんなふうに考えられるのか、局長から御答弁をいただきたいと思います。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、履行勧告あるいは履行命令というような制度も用意されているところでございます。履行勧告につきましては、たしか年間一万五千件程度利用されていて、しかもそれによりまして大体約四分の一程度が全部を履行してもらい、残りの四分の一程度が一部を履行してもらえていると。そういう意味では、半数を超えるものが何らかの形で履行に結び付いているということで、それなりの機能は果たしているのではないかと思っております。
 ただ、この履行勧告は、あくまで勧告をするだけで強制力がありませんので、どうしても限界がございます。一方、強制力を持ったものとしては、御指摘の履行命令がございます。ただ、これは履行命令に違反したときは過料の制裁ということで、その過料は国に入ってしまう。言わば扶養料を払ってもらいたい人から見ますと、自分のところへ来るべき金が国に行ってしまうと、こういう関係にありますので、やはりどうしてもその利用には皆さんちゅうちょされるのではないか、そういうことが考えられるわけでございます。
 今回用意しております間接強制の場合には、裁判所がもちろん間接強制を課すわけでございますが、その課された言わば制裁としてのお金は債権者のところに最終的には入ってくる、そういうことがありますので、利用に当たってはやはり相当違いが出てくるのではないか。また、いわゆる支払を得られていない例として、相当程度嫌がらせ的に、お金があるのに払わない人がいるということも指摘されておりますので、そういう場合にはやはり裁判所の命令で間接強制まで進めば任意に支払うということは相当程度期待できるのではないか。
 そういう意味で、今回の間接強制を養育費等に適用するということは意義があると思っておりますが、ただ、御指摘のように、制裁金の定め方いかんによっては債務者にとって過酷な結果を生ずるおそれもあるわけでございます。そういうことから、今回の法律でも債務者の支払能力等を十分考慮して、支払えない場合には当然間接強制はできないということも明らかにしておりますし、また裁判所においてもそういったことを踏まえて、心理的な強制として効果のあるものでなければなりませんが、同時に結果が過酷にならないような、そういう配慮をして、なかなか難しい面はございますが、適切な間接強制の定め方をしていただけるのではないかと、こう思っております。
○木庭健太郎君 大臣に最後に今の間接強制の問題について御所見を伺っておきたいし、青少年担当大臣でもございますから、正に母子家庭、子供たちの問題、今御説明があったみたいに、なかなかこの養育費の問題というのは解決せずに難しい問題でもあったと。いろんな選択肢があった方がいいんだろうし、その一つとして導入すべきものだと、こういう話だろうとは思いますが、大臣からこの問題に対する御決意を伺って、質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(南野知惠子君) 本当に養育費というのは、先ほど度々御質問いただきましたけれども、子供にとっては本当に両親から愛されたいということもあり、その中の一つであり、離婚されるということにおいてもやっぱり見守ってもらいたいというのが子供の立場であろうというふうに思います。
 そういう意味からは、どちら側であってもこれは支払ってもらいたいものだというふうに思っておりますが、本法律案では、養育費その他の扶養義務等に係る金銭債権に限って間接強制の方法による強制執行を認めるということにいたしております。
 これらの債権はその実現が債権者の生計の維持に不可欠なものですが、例えば現行法の下で認められている給料などを差し押さえるというようなこの強制執行の方法では、やはり債務者が勤務先にいづらくなって仕事もできない、辞職してしまうというようなことになってしまうおそれがあると、そういうような申立てがためらわれるということも指摘されておりますのでございます。
 他方で、扶養義務に係る金銭債権の額につきましては、債務者の経済状況を十分に考慮して定められるものであります。これ、むやみに、少しのお給料しかもらっていない人からたくさん取り上げようというようなことではございませんわけで、このような債権は、基本的には債務者にこれを支払う資力があると言うことができ、間接強制が濫用されるおそれは少ないというふうに思われるわけであります。
 そこで、本法律案では、扶養義務等に係る金銭債権に限って間接強制の方法によることを認めるということにしたものでありますので、どうぞよろしくお願いしたいと思っております。
○木庭健太郎君 終わります。
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 今の質問に続きまして、養育費の間接強制についてまずお聞きをいたします。
 今もありましたように、間接強制金の額の基準ですけれども、債務者の資力等を考慮して、過酷にならず、かつ心理的強制力を持たせるという、なかなかバランスが難しいところだと思うんですね。
 具体的にどのぐらいを基準にするのかをお示しいただきたいんですが、例えば法定利息、それから利息制限法との関係、これなどはどう考えるんでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) この間接強制の額を具体的にどう定めるかということは、もちろん裁判所でお決めいただくことでありますが、一般的な考え方としては、もう委員の御指摘のとおり、債務者に心理的強制を加えるに足りるものであると同時に、他方で過酷な結果とならないようにと、こういうある意味では難しい判断が強いられるわけでございます。
 その基準として、例えば法定利息あるいは利息制限法所定の利息の定めというようなものがその基準になるかという点でございますが、これは、特段そういったものに制約はされませんので、そういった範囲で決めなければならないということはございません。やはり裁判所の方で、債務者の資力であるとかあるいは過去の支払を不払に至った経過であるとか、そういった事情を踏まえながら心理的強制を加えるに足りるというものであり、かつその不払が例えば長期間に及んだときであっても過酷な結果にならないようなとか、そういう配慮をしつつ決めていただけるのではないかと、こう思っております。
○井上哲士君 まあ、債務者の資力に照らして減額をするようなことがあるんだと思うんですが、一方で、資力はあるのに払わないというような悪質なケースなどは増額をすると、こういう考え方なんでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) これは、もちろん裁判所のお考えによるところですが、そもそも資力がなくて払えないような場合には間接強制そのものが適用できませんし、必ずしも十分でない場合にはその制裁金の定めについても当然それを考慮すると思います。
 また、非常に資産があってこの程度の額ではおよそ心理的強制にならないというような場合には、それはあるいは高めになるということもあり得ようかと思いますが、そこはやはり裁判所が具体的事情に応じて適切に判断していただけるのではないかと、こう思っています。
○井上哲士君 養育費が払われないケースで、一つに、親権を持つ親が約束たがえて子供に会わせないと、向こうが約束どおりやらないんならおれも払わないよと、こういうケースもかなりあろうかと思うんですが、こういう場合というのはこれはどうなるのか。例えば減額要素として考慮をされるのか、いかがでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 養育費の支払をめぐるトラブルの中には、それだけではなくて、今おっしゃったような様々な、例えば面接交渉が絡んだりとか、いろいろなものがあろうかと思います。そういうものはできる限り調停等の場で全体を含めて適切に解決されることが望ましいことだろうとは思っておりますが、しかし、一般的に申し上げれば、やはり調停等でその支払が義務付けられている養育費につきましては、これはやはり法律上は支払う義務がございますので、支払わない場合には強制執行ということも十分あり得るわけでございます。
 今回用意いたしております間接強制も、そういった意味で、法律上の権利があればこれは利用できるということになります。
○井上哲士君 ということは、子供に会わせないという事情があっても、それは、それは別の問題として、これは独自に考えることだと、こういうことで確認してよろしいですか。
○政府参考人(房村精一君) ええ、これは一応法律的には別個の問題。もちろん、間接強制のときには債務者の審尋等も行いますので、そういったことで不満が出てくるのをきっかけに当事者間で話合いが始まるとか、あるいは調停の申立てに至るとか、そういった意味で解決のきっかけになることはあろうかと思いますが、別個の、法律的にはあくまで別個の問題でございます。
○井上哲士君 昨年の法改正によるこの養育費についての給料の差押えができるということに続いての改正であり、前進だと思いますが、しかし、まだまだ養育費をきちっともらえるという点でいいますと、いろんな困難もありまして、私はやっぱり去年も質問したんですが、立替払制度というものを考えるべきだと思うんですね。
 去年の質問の際に、離婚の九割が協議離婚で、三五%はその養育費の取決めもないと、こういう状況では直ちに行政機関が強制的に徴収することは困難で、将来の検討課題にしたいと、こういう答弁があったんですが、逆に言いますと、一割は協議離婚でないわけですから、例えばそういう裁判所が関与したものについては立替払制度というものを導入をし、更に拡大をしていくということも考えられると思うんですけれども、その点、いかがでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) これは、立替払まで進みますといろいろなことを検討しなければならないので、そう簡単にお答えするわけにもいかないんですが、我々としては、いずれにしても、この養育費の支払を確保するというのは子供のためにとって絶対必要なことでありますし、また婚姻費用等についても、同じようにこの支払を受ける者の生活のためには必ず払ってもらわなければならない性質の債権だろうと思います。そういう意味で、その履行を確保するため、こういう執行法の改正を再々お願いしているわけでございます。
 これらの執行法の改正の施行状況等も十分踏まえながら、なお今後その扶養義務等に基づく金銭債権の履行確保のためにどのようなことが必要になるのか、これを十分注視しながら検討してまいりたいと、こう思っております。
○井上哲士君 多くの場合、母子家庭になるわけで、そういう人たちの暮らしの状況を見ますと、状況の改善まで待てというふうにはなかなかいかない状況も私はあると思うんですね。
 厚生労働省にも来ていただいているんですが、やはり昨年の質問の際には、まず養育費の支払が社会的常識になるようにして、そしてその結果、養育費が取り決められ、それが確実に履行されるという方向に進むことが重要だと、こういうことを言われました。
 私は、むしろ、部分的であっても、債務名義がはっきりしているものについては立替払制度を導入をして、それを広げるということで、やっぱり養育費を払わなくちゃいけないという社会的機運の醸成がむしろ進むんじゃないか、発想の逆転をしなくちゃいけないんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(北井久美子君) お答えを申し上げます。
 私どもといたしましても、直ちにその立替払制度のような養育費を徴収する仕組みにつきまして導入するということについては、既にお答えをいたしましたと思いますけれども、なかなか難しいと率直に申し上げまして思っておりまして、今回のお答えといたしましても、まずは、私どもとして、養育費の支払に関して、きちんと払うのだなと、取り決めて払うのだという社会的な啓発を促進をしていきたいというふうに考えております。
 こうしたことは、母子及び寡婦福祉法に基づきまして、母子家庭の児童の親については扶養義務の履行ということが努力義務で書いてあり、また、国及び地方公共団体に対しましてもそうした扶養義務履行のための環境整備について努力規定が課せられておるわけでございますから、こうしたことで私どもとしては環境整備ということに一層推進をしていきたいというふうに思っております。
○井上哲士君 この間、一定の環境整備が進んできましたけれども、やはり現状は厳しいわけですので、私は、やはり実態を見れば、もっと国が制度的なイニシアチブを取ってきちっと払われるようにするということで、更に踏み込んだ検討をお願いをしておきたいと思います。
 次に、刑事記録の取扱いについてお聞きをします。
 民事訴訟法の文書提出命令について議論されてきましたし、中間試案でも幾つかの案が示されておりましたけれども、結局今回の改正には盛り込まれなかったわけですが、その理由はどういうことなんでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、平成十三年六月に成立した民事訴訟法の一部を改正する法律によりまして、公文書も私文書と同様に一般的な文書提出義務の対象とされるに至ったわけでありますが、刑事事件関係書類等についてはこの義務の対象となる文書から除外をされました。
 その法律の附則におきまして、刑事事件関係書類等を始めとする公務文書を対象とする文書提出命令制度について施行後三年を目途に検討を加えるものとされておりました。これを受けまして、法制審議会の民事訴訟・民事執行法部会では、民事訴訟法の見直しの中で刑事事件関係書類についての文書提出の在り方について検討を加えたわけでございます。
 その結果でございますが、結局、刑事事件関係書類等には刑事関係の法令で独自の開示制度が設けられており、それらの制度において開示が求められた場合にはその大部分が認められているということ、また、今回の検討の結果を踏まえて、さらにその開示の範囲を運用上拡充することが具体的に検討されているということ、そういうことを考慮いたしまして、公務文書の文書提出命令制度に関しては今回の改正では新たな措置は講じないこととされたわけであります。
 ただいま申し上げた運用上の拡充につきましては、法務省の刑事局におきまして、供述調書の開示の基準や関係人の人定事項を知るための方策に関し、新たな指針が既に作成されたところでございます。
○井上哲士君 新しい指針が作られたということでありますが、不起訴記録の開示についての考え方の明確化とか目撃証言者情報の提供等については述べられているようですが、その内容は、あくまでも民事訴訟を提起したその後に、その立証に不可欠な場合、民事裁判所からの文書送付嘱託とか調査依頼が行われた場合と、こういうことになっているわけですね。
 しかし、訴訟を提起をするその前に、訴訟を提起するためにこの供述調書を見たいというニーズというのは非常に根強く存在をしておりますし、目撃者が分からないために訴訟提起さえできないというケースもあるということも指摘をされているわけで、いろんなプライバシーに配慮することは当然ですが、訴訟提起前に目撃者等の情報提供を行うような何らかの方策が必要だと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
○政府参考人(大林宏君) 実況見分調書等の客観的な証拠につきましては、平成十二年の刑事局長通知に基づき、弾力的な運用が行われているところでございます。
 今の御指摘は、民事訴訟を起こす前での閲覧の問題でございますが、できれば客観的証拠についてまずは、これは相当程度開示をいたしておりますので、これをまずごらんいただいて民事訴訟を起こすかどうかの判断をしていただければというふうに考えております。
○井上哲士君 大部分が開示されているということでありますけれども、実況見分調書とか死体検案書などについて出てこない場合がまだまだあるということが言われております。法制審の中でも議論されていますけれども、大規模庁は比較的きちんと対応しているけれども小規模庁についてはそうでもないというようなこともあるようでありまして、私は、やっぱり検察官が判断をするという今の制度の枠組みの中では、透明性とか実効性という点でいろんな問題が残ると思うんですね。
 ですから、やはり民事訴訟法にしっかり要件を書き込んで、インカメラ手続なんかも使いまして、裁判所に判断を仰いで、不服があれば上訴すると、こういうやり方の方がいいのではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) これは様々なお考えがあり得るところだろうと思います。ただ、基本的に刑事記録というのは、正にその刑事責任を追及するために、個人の秘密であるとかプライバシーであるとか、様々なところに踏み込んだものが作られているわけでございます。真実を発見するためには、やはりそれだけのものを証拠として集めなければならないということがあります。そういうことで、基本的にこの刑事記録というのは広く公開をするということを前提としていないものでございます。
 また、そういった刑事記録が公開をされた場合に、捜査、公判に支障を及ぼすおそれもあるわけでございますし、当事者の名誉、プライバシーを侵害する場合ももちろんあるわけでございます。特に、捜査、公判等への影響ということになりますと、刑事関係の記録全体を見ないとなかなか適切な判断ができない。そういうことからいたしますと、裁判所が、民事裁判所がそういった判断をするというのはなかなか困難な場合があるのではないか、そういうようなこともありまして、今回の法制審の議論では、当面運用を拡充されるということを見て、その上で更にということになりましたので、当面そういった意味での法改正は行わないこととしたわけでございます。
○政府参考人(大林宏君) 今委員からばらつきがあるという御指摘を受けました。これは私どもとしても、最近被害者対策の問題がありまして、私どもも重要視しているところでございます。そういうばらつきというものがないことが好ましいものでございますし、また、委員も御承知のとおり、できるだけ弾力的な運用をして、被害者のためになるようにという基本的な考え方は私どもも持っていますので、今御指摘のようなことがないように私たちも努力していきたいと考えております。
○井上哲士君 運用の改善を見守るということだそうですので、やはり現状の問題が解決しないようであれば、更に踏み込んだ制度の見直しを求めておきたいと思います。
 次に、人身取引の問題で幾つかお聞きをいたします。
 先日、ILOの駐日事務所が、日本における性的搾取を目的とした人身取引という報告書を作成をしておりまして、新聞の見出しは、「被害者を犯罪者扱い」という、こういう大きな見出しも出ておりました。パスポートを取り上げたり、暴力によって売春を強制するなど、人身取引の被害者というのはたとえ不法在留であっても被害者として扱われるべきだと思います。
 十二月には行動計画を政府としても決めるというような報道もあるわけですが、まず大臣、ちゃんとやっぱり被害者として保護されるべきだと、この点についての御見解をお願いいたします。
○国務大臣(南野知惠子君) 本当に人身売買というのは私も大変気にしているところでございます。人間にとって一番の尊厳というところがそこら辺にもあるのじゃないかなと、そのようにも思っております。
 人身取引の被害者は本当にお気の毒でありまして、政府としましても、人身取引対策に関する関係省庁連絡会議、それを設けるなどして、このような被害者の保護に向けた施策を検討しているところでもございます。
 また、検察当局におきましても、人身取引の加害者の厳正な処罰に努めるとともに、その被害者につきましては、事実を取り扱う過程で、関係機関と連携しつつ、その方が人身取引の被害者であるという事実に配慮した対応を行うよう努めていきたいとも思っております。
○井上哲士君 法務省として、二月それから七、八月に不法残留者についてのヒアリング調査を行ってこの人身売買の問題を調査しているかと思うんですが、その結果の概要、そしてこの被害者と思われる方にどのような措置を取ったのか、お願いします。
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のありましたとおり、入国管理局におきましては、本年二月及び八月に人身取引の被害者に関する調査を実施いたしたところでございます。
 まず、二月の調査でございますが、全国の地方入国管理官署におきまして行った入国警備官によります違反調査に当たりまして、容疑者とされる方々から人身取引被害の有無を聴取いたしました。その結果を法務省入国管理局において集計、分析したところによりますと、調査対象者は三千五百十七名でございました。このうち、人身取引の被害者に該当する可能性が高いと認められた方の数は五十三名でございました。その国籍別の内訳を申し上げますと、タイ人が三十四名、フィリピン人が十六名、韓国人一名、インドネシア人一名、コロンビア人一名でございます。性別で申しますと、全員が女性でございました。
 これらの五十三名の方に対しまして、当局が取りました措置について追跡調査をいたしましたところ、十一月十九日現在の状況でございますが、特別在留許可を与えた者が十七名でございます。それから、御本人の希望により送還、帰国をされた方が三十名でございました。手続中の方が六名と、こういう内訳になっております。手続中の六名の方につきましては、いずれも身柄を拘束しない状態で調査を進めているところでございます。
 次に、八月の調査の結果でございますが、七月から八月にかけて同様の調査を実施したわけでございますが、この際の調査対象者は二千七百八名でございました。このうち人身取引の被害者に該当する可能性が高いと認められた方は三十二名でございまして、国籍別内訳で申しますと、タイ人十四名、フィリピン人八名、インドネシア人及びコロンビア人が各三名、ペルー人、ミャンマー人、ロシア人及び中国人が各一名というふうになっております。性別の内訳でございますが、一名のみが男性でございまして、その余の方は全員女性でございます。これらの三十二名の方につきましては、当局の措置状況について現在これを集計中でございます。
 以上でございます。
○井上哲士君 二月調査で被害者と思われる五十三人のうち、三十人は本人の希望に基づいて送還をしたということなんですが、これ手続としては不法在留者ということで退去強制処分に基づいて行われるわけですね。ですから、結局これが被害者を犯罪者扱いしているんじゃないかという指摘にもなるわけですね。帰国費用などいろんな問題あるかもしれませんけれども、被害者の場合に、本人が帰国を希望する場合であっても、いったん在留資格を合法化をした上で帰国をしていただくと、こういう措置も必要だと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 人身取引の被害者と見られる外国人の方につきましては、委員御指摘のとおりの面があろうかと思います。退去強制手続になるわけでございますが、その過程におきましていろんな事情をしんしゃくいたしまして、被害者が帰国を希望されるという場合につきましても、関係機関等と連携を取った上で、帰国までの生活支援等が見込まれる案件等につきましては在留特別許可の付与等を考慮してまいりたいと考えておるところでございます。
○井上哲士君 警察にも来ていただいておるんですけれども、今、人身売買の被害者は結局一般的には入管法違反として逮捕、収監をされるということになっております。ILOの報告書でも、警察の対応が変化しているということは評価をされておるようですけれども、やはり人身取引の被害者については、それが分かった時点で収監をやめて、シェルターや婦人相談所に身柄を移していくと、こういう取扱いが必要だと思うんですが、この点、どうされ、徹底されておるんでしょうか。
○政府参考人(伊藤哲朗君) 人身取引事犯につきましては、被害者の心身をむしばむ著しい人権行為でありまして、警察といたしましても力を入れて取り組むべき重要な課題というふうに認識をしております。
 人身取引の被害者の保護につきましてですが、通常、入管法や売春防止法違反等の捜査を行う中で被疑者が実は人身取引の被害者であると判明することが多いわけでございますので、そうした被害者につきましては、捜査の状況を勘案しつつ、被害者の国籍国の大使館等に連絡することや、拘束した身柄を釈放して、自後、任意捜査にすること、あるいは婦人相談所等に保護依頼を行うことなど、被害者としての立場に十分配慮した措置を行うよう努めておるところでございますし、また、そうしたことにつきまして、各都道府県警察につきましても指導しているところでございます。
○井上哲士君 さらに、検察の方の問題になってくるわけですが、このILOの報告書を見ましても、脅されて自らも覚せい剤を使うし、ほかの人にも勧めるというようなケースも出ているわけですね。ですから、麻薬取締法とか刑法違反、売春防止法違反など、人身売買に起因してやむを得ず行ったものについてはやはり訴追しないというような柔軟な取扱いも必要だと思うんですが、この点、いかがでしょうか。
○政府参考人(大林宏君) 委員の御指摘は、人身取引に起因して被害者が売春、麻薬に係る犯罪を犯した場合訴追すべきではない、そういうふうな措置が取れないかという御趣旨だと思います。
 人身取引の被害者が犯した犯罪の経緯には様々な事情がありますので、一律に訴追をしないということは困難であるというふうに考えられます。ただし、事案によっては、強度の強制力を加えられると、そのために自らの意思で行ったものでないような行為も考えられるところでありますので、検察当局においてそのような諸事情を考慮して起訴、不起訴の処分がなされるものと、このように承知しております。
○井上哲士君 それは何らかの通知なり通達などで徹底をされている中身なんでしょうか。
○政府参考人(大林宏君) 個々の事案の刑事処分につきましては、これは検察官がその判断で行うことでございますのでそれにお任せするしかないんですが、ただ、このような被害者については、その立場にやっぱり重視しなければならぬということは検察庁においても認識しておりまして、このような人身売買を伴うものについて、捜査において厳格な科刑の実現に努めること、それから被害者に対する配慮を行うこと、これはそういうような指示がなされていると、このように承知しております。
○井上哲士君 さらに、被害者の保護の問題なんですが、婦人相談所や民間シェルターが非常に大きな役割を果たしておりますが、こういう婦人相談所での取組がどのように図られているのか。それから、民間シェルターはほとんど公的支援がない中で非常に奮闘されているわけですが、国としてこういう民間シェルターへの支援も必要だと思います。DV法ではいわゆる、と同じような枠組みでこの民間シェルターに一時保護を委託できるような、こんなことも必要かと思うんですが、この点、厚生労働省、いかがでしょうか。
○政府参考人(北井久美子君) 人身取引被害者に対する支援は大変重要な課題と認識をいたしておりまして、婦人相談所におきましてはこれまでも被害者の保護に努めてきたところでございますけれども、本年八月に各都道府県あてに改めて通知を出しまして、幾つかの点を要請をしております。一つは、被害者が保護を求めてきた場合には速やかに事情把握に努めて、一時保護等の適切な支援を行うこと。二つは、そうした被害者の方については、心身ともに過酷な状況に置かれていたことにも十分留意をして、心理的なケアも含めてきめ細かなケア、対応を行うこと。三つ目は、警察、それから被害者の出身国大使館、関係民間団体等との連携協力に努めること。主な点はこのようなことでございまして、こうした点を含めて、被害者への適切な保護、支援に努めるようお願いをしているところでございます。ほぼ同時期に全国の婦人相談所長会議も開催をいたしまして、同様の要請をいたしております。
 それから、この問題に当たりましては民間シェルターが大変重要な役割を果たしているわけでございまして、厚生労働省といたしましては、現在、DV被害者に対して行っております一時保護委託の制度、この制度を新たに人身取引被害者にも活用できないか、検討、前向きに検討いたしているところでございます。
○井上哲士君 最後に、いわゆる興行ビザ在留資格というのが人身売買の隠れみのになっているんじゃないかという指摘が従来からあったわけですが、最近、タイやフィリピンに調査団を政府が送っていると思います。フィリピンからの入国者についてはARBという芸能証明書に基づく資格が出されてきたわけですが、この証明書の発行が非常に緩和をされるというお話ですが、これに対応してどういうことを政府として考えているのか。やはり、人身売買の隠れみのになっているような場合には厳正な対応が必要かと思うんですが、その点、お願いします。
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 ただいま委員から御指摘がございましたとおり、本年九月に人身取引に関する政府調査団がフィリピン及びタイに訪れておりまして、相手国の政府機関等との協議などを行ったわけでございます。その際、フィリピン政府が海外で働く芸能人に対して発行する芸能人の証明書につきまして調査した結果といたしまして、発給基準が非常に緩やかであるということに加えまして、近時、発給手続が大幅に緩和されているといった問題点があることが判明したわけでございまして、フィリピン政府に対しましてもその旨の指摘をしてきたところでございます。
 このような調査結果も踏まえまして、入国管理局におきましては、興行に係る上陸許可基準のうち、外国の国などが認定した資格を有する場合について芸能人の入国を認めているという規定がございますが、これはこの際削除する方向で検討すべきではないかということで準備を進めているところでございます。
○井上哲士君 終わります。
○委員長(渡辺孝男君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 民事関係手続の改善のための民事訴訟法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(渡辺孝男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、千葉景子君から発言を求められておりますので、これを許します。千葉景子君。
○千葉景子君 私は、ただいま可決されました民事関係手続の改善のための民事訴訟法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党及び日本共産党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    民事関係手続の改善のための民事訴訟法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府及び最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
 一 民事訴訟手続等における申立て等のオンライン化については、その周知に努めるとともに、申立て等によって得られた電子情報の滅失、改ざん等がないよう万全のセキュリティ体制を構築すること。
 二 簡易裁判所における少額訴訟債権執行制度は、簡易迅速な手続である少額訴訟の利便性をより向上させるためのものであることにかんがみ、権利の実現が一層円滑に行われるよう、その趣旨及び内容等について周知徹底を図ること。
 三 売却基準価額制度の導入については、最低売却価額制度の見直しが行われた趣旨が尊重され、執行妨害が行われないよう注意しつつ、売却が迅速かつ適正に行われるよう、十分な配慮をすること。
 四 扶養義務等に係る金銭債権についての強制執行を間接強制の方法により行う場合に、債務者の支払能力等の申立て要件を明確に理解できるよう、その趣旨及び内容等について周知徹底を図ること。
 五 養育費については、十分な履行がなされていない現状にかんがみ、子の福祉の観点からも、履行の実効性が上がるよう、本法施行後の状況を注視しつつ、法整備も含めて引き続き検討すること。
 六 公示催告手続について公示催告期間の短縮等が行われた趣旨を踏まえ、手形等の喪失者等の権利保護がより円滑に行われるよう、その内容等について周知徹底を図ること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○委員長(渡辺孝男君) ただいま千葉君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(渡辺孝男君) 全会一致と認めます。よって、千葉君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、南野法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。南野法務大臣。
○国務大臣(南野知惠子君) ただいま可決されました民事関係手続の改善のための民事訴訟法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
 また、最高裁判所にも本附帯決議の趣旨を伝えたいと存じます。
○委員長(渡辺孝男君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任いただきたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(渡辺孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(渡辺孝男君) 刑法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。南野法務大臣。
○国務大臣(南野知惠子君) 刑法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 近年、我が国の治安水準や国民の体感治安が悪化しているとの指摘がなされていますが、その大きな要因の一つとして、人の身体に攻撃を加え、その生命や身体等の重要な個人的法益に重大な危害を及ぼす凶悪犯罪その他の重大犯罪の増加傾向が続いていることが挙げられます。
 こうした中で、平成十五年十二月、犯罪対策閣僚会議において犯罪に強い社会の実現のための行動計画が取りまとめられ、当面取り組むべき重点課題の一つとして挙げられました「治安回復のための基盤整備」の項目の中で凶悪犯罪等に関する罰則を整備することが求められましたが、特に凶悪犯罪等については、刑法や刑事訴訟法に定められている有期刑や公訴時効の期間の在り方等が現在の国民の正義観念に合致しているのかという問題がかねてから指摘されていたところでもあります。
 そこで、凶悪犯罪を中心とする重大犯罪に対し、最近の犯罪情勢及び国民の規範意識の動向等を踏まえた上で、事案の実態及び軽重に即した適正な対処が可能になるよう、刑法及び刑事訴訟法等を改正し、所要の法整備を行おうとするものです。
 この法律案の要点を申し上げます。
 第一は、刑法を改正して、有期の懲役及び禁錮を一月以上二十年以下とするとともに、有期の懲役及び禁錮を加重する場合においては、三十年にまで上げることができるものとしています。
 第二は、刑法等に規定された個々の凶悪犯罪等、すなわち、強制わいせつ、強姦、強姦致死傷、殺人、傷害、傷害致死及び強盗致傷等の各罪の法定刑の上限又は下限を見直すとともに、二人以上の者が現場において共同して強姦又は準強姦の罪を犯した場合等について、新たな処罰規定を設けるものです。
 第三は、刑事訴訟法を改正して、凶悪犯罪等についての公訴時効の期間を延長するものであり、死刑に当たる罪については二十五年、無期の懲役又は禁錮に当たる罪については十五年、長期十五年以上の懲役又は禁錮に当たる罪については十年とするものです。
 その他所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上が法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○委員長(渡辺孝男君) 以上で趣旨説明の聴取は終了いたしました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十分散会