第162回国会 本会議 第30号
平成十七年七月十一日(月曜日)
   午後一時一分開議
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○議事日程 第三十一号
  平成十七年七月十一日
   午後一時開議
 第一 国務大臣の報告に関する件(第三十一回
  主要国首脳会議出席に関する報告について)
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○本日の会議に付した案件
 一、特別委員会設置の件
 一、日程第一
 一、少子高齢社会に関する調査の中間報告
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○議長(扇千景君) これより会議を開きます。
 この際、特別委員会の設置についてお諮りいたします。
 郵政民営化に関連する諸法案を審査し、併せて郵政民営化に関する諸問題を調査するため、委員三十五名から成る郵政民営化に関する特別委員会を設置いたしたいと存じます。
 本特別委員会を設置することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(扇千景君) 過半数と認めます。
 よって、本特別委員会を設置することに決しました。
 特別委員は、追って議長において指名いたします。
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○議長(扇千景君) 日程第一 国務大臣の報告に関する件(第三十一回主要国首脳会議出席に関する報告について)
 内閣総理大臣から発言を求められておりますので、発言を許します。小泉内閣総理大臣。
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、七月六日から七月九日まで、英国のグレンイーグルズで行われた主要国首脳会議に出席するとともに、カナダ、ロシア及びG4の首脳と個別に会談いたしました。
 今回のサミットの会議当日、ロンドンにおいて連続爆発事件が発生しました。しかし、G8として、このような卑劣な行為に屈することなく会議を進め、より良い世界をつくるため、アフリカと気候変動という主要二議題のほか、世界経済、地域情勢などにつき、実り多い意見交換を行うことができました。
 世界経済については、堅調な成長が見込まれておりますが、世界的な不均衡に対処するため、G8として、構造改革の推進、財政健全化等各国の役割を果たすとともに、高騰する石油価格に対しては、エネルギー効率の向上、石油市場の透明性の向上などに取り組むことに合意いたしました。
 貿易については、二〇〇六年末までにWTOドーハ・ラウンド交渉を妥結する必要があり、本年十二月の香港閣僚会議がそのための重要な機会であるとの認識を共有いたしました。
 知的財産権について、私は、模倣品や海賊版をG8が協調して国際的に厳しく取り締まる必要性を指摘いたしました。知的財産権の侵害が経済成長ばかりでなく、人々の健康や安全を脅かすとの認識で一致し、今後、G8が他国や関係国際機関と連携して、その取締りに効果的に取り組むことで合意いたしました。
 気候変動については、省エネやクリーンエネルギーの活用などの具体的行動や、主要エネルギー需要国を交えた対話の設置を含む行動計画に合意しました。新興経済諸国との対話では、これら諸国が一層の責任を果たすよう求めるとともに、G8として協力していくことで一致いたしました。
 私は、京都議定書の実施の重要性、三R、もったいない精神の重要性を強調するとともに、違法伐採対策を始めとする我が国の具体的取組を説明し、これらがG8行動計画に反映されました。
 アフリカについては、G8が一層力強く支援していくことで一致いたしました。我が国としても、今後五年間のODA事業量について百億ドルの積み増しを目指すこと、対アフリカODAを今後三年間で倍増することなど、種々の新たな支援策を通じ、アフリカの自助努力を引き続き支援していくことを表明いたしました。
 地域情勢については、中東和平、イラク、スーダン、北朝鮮等について議論されました。中東和平については、G8として、両当事者の和平努力を引き続き積極的に支援していくとともに、国際社会の支援を呼び掛けていくことで一致いたしました。
 北朝鮮については、核兵器関連計画の完全、検証可能かつ不可逆的な廃棄とともに、六者会合への速やかな復帰を求める強いメッセージを発出しました。私は、北朝鮮の核、ミサイル、拉致問題の包括的解決の重要性を訴え、各国から理解を得ました。
 国連改革については、私は安保理改革を含め、平和と安全、開発、人権・人道という広範な範囲でも包括的な改革の必要性を強調いたしました。
 今回のサミットでは、ロンドンでの連続爆発事件という異例の事態が生じましたが、参加各国はテロには断固闘うとの点で一致団結し、中断することなく、サミットでの議論を続けました。
 日ロ首脳会談におきましては、プーチン大統領の訪日の日程について合意したほか、G4諸国の首脳とは、国連改革について一層緊密に協力していくことを確認するなど、有益な会談ができたと考えます。(拍手)
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○議長(扇千景君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。広野ただし君。
   〔広野ただし君登壇、拍手〕
○広野ただし君 民主党・新緑風会の広野ただしです。
 ただいま議題になりましたサミット報告等につきまして、民主党・新緑風会を代表して小泉総理に伺います。
 サミット開催中の初日、ロンドン同時多発テロが発生いたしましたが、私そして民主党・新緑風会は、この野蛮な残虐な攻撃を強く非難するとともに、犠牲者となられた方々、その御家族に衷心から哀悼の意を表し、被害者、関係者に心よりお見舞いを申し上げる次第でございます。
 ところで、同時多発テロの発生に伴い、日本国内の警戒態勢が強化されましたが、具体的にどのようになっているのか、簡潔に御説明ください。特に、警戒が広範にわたる新幹線、鉄道等はどうなっているか、お答えください。
 犯行はアルカイダ系の組織と伝えられますが、日本国内におけるアルカイダ、イスラム過激派等の組織はどういう状況にあるのか。また、水際対策、情報収集体制はどうなっているのか、お答えください。
 イラク・サマーワの自衛隊は、最近、車列わきでの爆発に見舞われたり、宿営地や周辺に砲弾が撃ち込まれる等緊迫した状態にありますが、ロンドン同時多発テロの後、警戒態勢の強化はどうなっているか、お答えください。
 本題に入る前に、七月五日、郵政民営化関連法案が衆議院で五票差の僅少差で可決されました。自民党内から反対三十七人、欠席十四人、計五十一人の造反者が出ましたが、このことについての総理の見解を伺います。
 郵政民営化関連法案等の賛否が自民党内では大きく割れています。これでは党のていを成していない。これをまとめることの方が先決ではないでしょうか。法案の出し直しをすべきと思いますが、総理の答弁を求めます。
 また、公明票を除けば、自民党の票は二百票を割り、否決されています。これは、すなわち事実上の不信任。総理はどう考えておられるのか、お答えください。
 採決に関し、四名の副大臣が罷免されましたが、この四名の任命権者は小泉総理御自身です。御自身の任命責任について総理はどうお考えか、お答えください。
 郵政民営化に反対の自民党議員に、選挙で公認しないなどの脅し、恫喝まがいの締め付けがなされたと伝えられています。このようなかつてなかったような脅し、恫喝の恐怖政治、そしてマスコミを使っての恣意的かつ強引な世論誘導、これが小泉政権の本質です。民主主義の立場からゆゆしきことです。総理の猛省を求めるとともに、総理の見解を伺います。
 本題である今回のサミットについて伺います。
 国連改革、そして国連安保理の常任理事国入りは、国連中心主義の日本にとって長年の重要外交課題です。サミット諸国には常任理事国問題で意見の差異があることが明らかになっていますが、サミット諸国の合意がないと、拒否権等に関係して日本の安保理常任理事国入りは実現不可能になってしまいます。なぜもっと真剣にサミットで国連安保理改革問題を議論しなかったのか、疑問に思います。日本の安保理常任理事国入りが実現できなかった場合の小泉総理の責任について答弁を求めます。
 次に、北朝鮮問題について伺います。
 平成十四年九月の小泉総理の訪朝から既に三年近くが経過しています。北朝鮮による日本人拉致という、我が国の主権と我が国国民の人権を侵害した忌まわしい国家的犯罪行為、このようなテロにも匹敵する拉致を北朝鮮が認めてから後、五人の拉致被害者とその家族が帰国されましたが、その他の案件はいまだ解決されず、膠着状態が続いています。
 昨年末には、横田めぐみさん、松木薫さんのものとして提出された遺骨が、日本の捜査機関の鑑定の結果、別人のものと判定されたことは記憶に新しいことです。このような北朝鮮の不誠実な対応は、我が国の威厳を著しく損なうとともに拉致被害者の心情をもてあそぶものであり、強い憤りを禁じ得ないところです。
 衆参両院の拉致問題等特別委員会では、昨年十二月、改正外為法や特定船舶入港禁止法等の積極的発動を検討する旨、決議案を採択しましたが、なぜ政府は経済制裁等の発動を段階的にでも行わないのか、総理の見解を伺います。
 制裁効果等の観点から発動を疑問視する見方もありますが、当事者の日本が毅然とした態度で問題に対処しないと、どの国も協力してくれません。
 毅然とした対応をしない政府に業を煮やし、先月六月二十四日から二十六日の三日間、気温が三十度を超える炎天下の中、被害者家族、救う会の人たちが、経済制裁の発動を求めて総理官邸付近で座込みをされました。これに対して総理は、経済制裁で解決するという状況では現在ないの一言で片付けました。郵政問題で頭が一杯なのでしょうが、日本国民としてこのような冷淡な対応は我慢なりません。拉致家族の中には年配の方々も大勢おられます。事前にコンタクトして、座込みをされないでも十分その意を酌んで対処しますからと、温かい対応も可能であったのではないかと思いますが、総理の答弁を求めます。
 六か国協議の再開が曲がりなりにも始まったとしても、それだけでは何の解決にもなりません。軍事独裁国家である北朝鮮は、核開発、ミサイル開発、そして武装工作船等を中断することなく、着々と軍事的切り札の開発を継続することは目に見えています。六か国協議にとらわれ過ぎると、北朝鮮の核やミサイルの開発に益する時間だけが過ぎていくのではないでしょうか。小泉総理はそろそろ目を覚ますべきです。北朝鮮に核開発やミサイル開発を停止させ、拉致被害者を奪還する有力な手段は、やはり経済制裁を圧力とし協議を進めることだと思います。
 北朝鮮は自らの体制存続が至上命題であり、体制存続に影響を与える状況をこちらからつくり出さない限り決して動きません。対話と圧力と総理は言いますが、私は圧力に力点を置いてこそ問題は解決するものと確信しています。
 六か国協議に丸投げする態度では、関係諸国も心の中では、日本の安全保障のことなのに、責任を持ってもっと真剣に臨めとあきれ返っています。小泉総理の日本の安全保障に対する切迫感のなさに心ある国民は憤慨しているのです。
 もっと真剣に経済制裁の発動を検討すべきと思います。今のままでは、小泉総理の北朝鮮外交は失敗すると断ぜざるを得ません。総理の見解を伺います。
 対ロシア、そして北方領土問題について伺います。
 ロシアは、二〇〇三年に完全なフルサミットメンバーになり、来年二〇〇六年にサミット議長国になることが予定され、そして今回、ロシアは来年のサミット開催国並びにサミット議長国となることが正式に決定しました。
 ロシアが議長国となれば、来年のサミットは北方領土問題を取り上げることは全く無理と言って過言ではありません。ロシアがサミットメンバー国でなかったときには、議長声明で北方領土問題に言及し、ロシアに一定の外交圧力を掛けることもできたのですが、今となってはこのような外交カードは全くなくなったと言っていいでしょう。
 今回、小泉総理はプーチン大統領との首脳会談を持たれましたが、北方領土問題解決のためにもっと突っ込むべきではなかったかと思います。今のままではプーチン大統領の十一月来日も単なるお祭り騒ぎ、そして、総理お得意のワイドショー的な外交行事になるのではないかと心配です。
 日本が、東シベリアにおけるパイプラインへの投資や自動車産業投資など、ロシアに対しいいところ取りだけをされ、北方領土問題は一向に進展しないとなることが、そういうおそれが極めて大きいと考えます。
 小泉総理の北方領土問題解決に関する具体的方策について答弁を求めます。
 対中国問題について伺います。
 今回のサミットの主要議題の気候変動問題、すなわち地球温暖化防止の問題について、新興経済諸国、ブラジル、中国、インド、メキシコ、南アフリカの首脳がG8との対話に招待されました。
 中国は、新興経済国の中でも最も注目される国の一つです。人口は十三億人、面積は日本の二十六倍、日本とも歴史的に極めて関係の深い、正にお隣の一衣帯水の国であります。日本経済が二〇〇三年の最悪期を脱した一因は、中国経済の好調に支えられた側面も大きく、日中経済関係は貿易投資を中心に一段と緊密度を深めています。
 ところが、経済関係は緊密度を増しているのに、政治・外交関係はかつてないくらいに悪化しています。反日デモのように中国政府による取締りが不十分な事件、責任をすべて日本に帰する傲慢な態度、春暁ガス田開発など、中国側にも多々問題があると思いますが、小泉総理の外交努力も全く不十分で、対中関係を殊更悪化させています。
 今回のイギリス・グレンイーグルズでも、胡錦濤中国国家主席に会える機会があったものの、会えていない。対中国関係改善について、靖国問題、尖閣諸島問題、歴史教科書問題、反日デモ等、具体的にどうするのか、総理の見解を伺います。
 対中関係の悪化により、日本の国連安保理入りに対し、批准時に中国は拒否権を発動するおそれがあります。そういう場合の小泉外交の責任は極めて重大と考えます。総理の答弁を求めます。
 対中国関係は、長期的かつ広い視野で総合的に、そして対等の立場で友好関係を樹立すべきと思います。この観点が小泉総理には欠けている。総理の答弁を求めます。
 中国は、新興経済諸国BRICsの中で最も発展スピードの速い国。国内総生産では日本の約四分の一だが、世界で第六位の経済大国。軍事的には核大国であり、更に軍事力を急拡大させており、日本の防衛費年間五兆円よりも大きく、軍事費は年間六兆円と言われます。物価水準、経済水準からいうと、実質的には日本の数層倍の軍事費を毎年投入していることになります。
 その中国へヨーロッパから武器を輸出することになれば、東アジアの軍事バランスを崩すおそれがあります。今年はヨーロッパからの対中国武器輸出禁止は解除されないこととなりましたが、今後とも対中国への武器輸出禁止は継続すべきと考えますが、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア各国等の約束取付けはどうなっているか、総理の答弁を求めます。
 ところで、中国のサミットメンバー正式加入問題はヨーロッパ諸国の間では余り抵抗感がないようですが、日本としては、ロシア加入時の際のように安易なやり方ではなく、日本の全体的利益を考え、かつ、中国の民主化の発展具合を見極めながら、慎重に総合的に判断すべきと思うが、総理の見解を伺います。
 今回のサミット主要議題に気候変動、すなわち地球温暖化防止の問題が取り上げられ、G8とブラジル、中国、インド、メキシコ、南アフリカの新興経済諸国首脳との対話が実現したのは大きな成果と考えます。日本としては、京都議定書の批准に伴い、更に地球温暖化防止の実効を上げるため、最大の炭酸ガス排出国であるアメリカに働き掛けるべきと思いますが、サミットではどうしたのか、総理の答弁を求めます。
 また、現在、削減義務のない新興経済国でも、特に優等生の韓国、中国、インド、ブラジル等には、炭酸ガス削減義務を緩くても課すようなフレームワークを考え、アメリカを含めて世界全体で温暖化防止に努めるべきと思いますが、総理の見解を求めます。
 今回、サミットの主要議題のアフリカと開発の問題についての議論には、G8及びアルジェリア、エチオピア、タンザニア、ナイジェリア等、七か国の首脳らが参加し、大きな成果が得られたようであります。貧困のため毎日五万人の人々が死亡しているとして、アフリカ支援を訴えたライブ8のコンサートにも見られるように、対アフリカ支援、感染症対策の拡大は世界的広がりを得つつあります。望ましい方向に一歩踏み出したと考えています。
 しかし、アフリカに注目することも重要ですが、一方で、日本国内でもアフリカに匹敵する悲劇がたくさんあるというのが残念ながら日本の実態です。ホームレスが二万五千人以上に達し、自殺者は年間三万人、自己破産者は年間二十三万人、自動車事故死年間七千人以上、殺人等凶悪犯罪の増大、生活保護世帯約百万世帯、災害被害者、JR事故被害者等も本当に多数に上ります。そして、その原因の多くは小泉経済政策の失敗に起因しています。経済は最悪期を脱しつつありますが、なおその底辺にはたくさんの人たちがアフリカの人たちと同様に救いを待っています。小泉総理はこれまでの経済政策の失敗をどうあがなうのか、見解を伺います。
 また、日本が世界に貢献できるのは、まずその経済力によってだと思いますが、小泉政権は日本経済の根本の中小企業や貴重な人材を痛め付けたり殺したりしています。経済政策の失敗により、小泉政権は発足以来四年間で借金百四十兆円、財投債を含めれば二百兆円以上増大させています。言わば世界一の借金王だ。取り返しの付かない大罪だと思います。国、地方を合わせた一千兆円の借金をどうやって返済するのか、具体的にお示しください。総理の答弁を求めます。
 ところで、小泉総理は郵政民営化関連法案が参院で否決した場合にも衆院解散を示唆していますが、これは全く筋が通らないむちゃくちゃな理屈で、言わば脅し、恫喝のたぐいです。憲法上も、参院が衆議院と異なった議決を行った場合、両院協議会を開くこととなっており、総理、小泉総理の解散論は極めて強引かつ脅しの恫喝政治と言わざるを得ません。参院否決の場合も衆院解散の発言は撤回すべきと考えますが、総理の答弁を求めます。
 小泉総理は郵政民営化関連法案の攻防の中で、法案が否決されれば私が不信任されたのも同じ、解散・総選挙になるなどと、解散・総選挙に度々言及しています。解散発言が余りにも多過ぎます。一般的に、解散は内閣不信任案が可決されたとき、憲法六十九条に基づくものであり、小泉総理の解散論は極めて恣意的であります。憲法七条に基づく解散は濫用、恣意的になりやすく、これは問題ではないかと思います。総理の見解を伺います。
 小泉政治は、内政、外交とも正に行き詰まっています。内政にあっては、年金でも介護でも国民負担が増加するばかりで、国民は正にあえいでいます。おまけに今後は、定率減税の縮小やサラリーマンに対する各種控除の廃止による大増税をするのが政府の方針のようです。これでは国民はやっていけません。
 日本の将来はお先真っ暗です。一方で政治腐敗はどんどん進んでいます。橋本派に対する日本歯科医師連盟の一億円やみ献金問題や鈴木宗男氏の各種の疑惑に対しても、小泉総理は全くリーダーシップを発揮せず、忘れ去られるのを待つかのごとき態度に終始しています。そして、すぐにでも抜本改革が必要な社会保障や社会保険庁の解体などの問題、教育改革の問題、近隣諸国との外交関係の改善の問題等から目をそらし、ただただ郵政民営化に血眼になっている小泉政治。言わば、大事なことから目をそらせるための目くらまし政治。解散の脅し、恫喝をやってもやっと五票差の死に体内閣。事実上、不信任を受けた非民主的反動政治の内閣と言えます。このような国民のためにならない悪代官的脅し、恫喝の小泉内閣、官僚べったりの小泉内閣には即刻退陣してもらわなければ、国民はどんどん不幸になります。
 早く我々民主党が自民党、公明党に代わって政権交代を果たし、日本を根本から立て直すことが正に国民のためになるということを強く訴えまして、私、広野ただしの質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 広野議員にお答えいたします。
 ロンドンの同時多発爆発事件に関連して、我が国における対応でございますが、公共交通機関におけるテロ対策につきましては、かねてより国土交通省において巡回等の自主警備などの徹底、必要な点検を指示するとともに、警察による警戒、警備などの措置をとってきたところであります。今回の事件を受け、国土交通省及び警察庁より、警戒強化等テロ対策の徹底及び緊急点検について関係者に指示したところであります。
 国内におけるテロ組織についてでございますが、現在のところ、日本国内において国際テロ組織による具体的テロ関連情報は把握しておりません。現下の厳しい情勢を踏まえ、関係省庁が緊密な連携の下、出入国管理等の水際対策の徹底を図っております。また、テロの発生につながるおそれのある情報を収集し、重要情報を迅速に内閣の下に集約する仕組みを構築しております。引き続き、国民の安全確保という観点から、関係各国とも連携しながらテロの未然防止に努めてまいります。
 サマワの自衛隊についてでございますが、自衛隊の活動に当たっては、地元治安当局や他の多国籍軍からの危険情報の収集と分析に努めるとともに、常に自主的な周囲の警戒を怠らず、また、状況に応じて適切な危険回避の措置をとるなど、隊員の安全確保には万全を期しております。
 郵政民営化法案に関連して多数の質問がございました。一括してお答え申し上げたいと思います。
 郵政民営化につきましては、平成十三年、平成十五年の二度の自民党総裁選において、私は民営化の実現を主張し、総裁に選出されてまいりました。また、衆議院選挙、参議院選挙におきましても、郵政民営化を公約として主張し、政権を引き続き担当することについて国民の信任を受けてまいりました。したがって、郵政民営化を実現することは、政治的にも国民に対する当然の責務であると考えております。
 こうした経緯を経て提出した郵政民営化関連六法案につきましては、その提出に当たり、政府と与党である自民党、公明党の間で十分な協議を行いました。さらに、衆議院において百時間を超える貴重な審議時間を確保していただき、その間、政府としては法案の内容を含め様々な御質問に対してよく説明申し上げ、最終的には衆議院における修正を経て整然と可決されたものと認識しております。
 小泉内閣の構造改革の本丸である郵政民営化関連法案の成立に向けて、内閣が統一的に行動できるよう、今般、やむを得ない措置として四名の副大臣、政務官を罷免する措置をとったところであります。今後、参議院での審議において、政府として、これまでの議論の経過や衆議院での修正等を真摯に受け止め、引き続き法案に対する理解を賜るよう誠実に対応してまいります。いずれにしても、法案について速やかに御審議いただき、成立することを期待しているところであり、否決されることは考えておりません。
 なお、衆議院の解散につきましては、衆議院議員の身分を失わせる重い行為であることを認識しつつ、新たに民意を問うことの要否も考慮して、内閣がその政治的責任において決すべきものであると考えております。
 国連安保理改革についてでございますが、今回のサミットにおいて、私は、国連安保理改革問題につき提起し、戦後六十年を経て、かつて敵国であった我が国やドイツも今や友好国となる等、状況が変化していることを指摘し、本件に関しG8諸国の立場はそれぞれ違うものの、安保理改革を含め、平和と安全、開発、人権・人道という広範な分野で成果を得られるよう国連改革を実現できることが重要だと考えている旨提起いたしました。
 国連安保理改革については、本十一日に枠組み決議案が国連総会に正式に上程され、審議が開始される予定であります。我が国としては、枠組み決議案の採択に向け、改革に向けた努力を一層強化していく考えであります。我が国がこのように安保理常任理事国入りに向けて全力を挙げて取り組むことが私の責任であると考えております。
 拉致被害者の御家族への対応及び拉致問題の解決に向けた政府の取組についてでございますが、政府としては、北朝鮮から迅速かつ納得のいく対応を得るため、いかなる段取り、方法で何をすることが最大の効果をもたらすか、対話と圧力の考えの下に、核問題をめぐる状況を含め、諸要素を総合的に勘案しつつ検討してまいります。その際、経済制裁は可能な一つの手段であると考えておりますが、まず経済制裁ありきというわけではございません。
 拉致被害者の御家族がつらい、しかも憤慨極まりない思いをされていることは私もよく承知しております。政府としては、今後とも、御家族の思いを胸に拉致問題の解決に全力で取り組んでまいります。
 七日の日ロ首脳会談と日ロ関係についてでございますが、七日の日ロ首脳会談におきましては、プーチン大統領が今年の十一月の二十日から二十二日に訪日することで合意するとともに、北方領土問題についてしっかりと取り組んでいくことを確認いたしました。
 日ロ関係における最大の課題は、我が国固有の領土である四島の帰属の問題を解決して平和条約を早期に締結することであります。政府としては、引き続き粘り強く平和条約交渉を進めるとともに、日ロ行動計画に基づき、日ロ双方の利益となるエネルギーや貿易経済分野の協力を含め、幅広い分野で両国間の協力を進め、プーチン大統領の訪日及びその後の交渉につなげていきたいと考えます。
 日中間の長期的視点及び個別の懸案についてでございますが、私は、四月のアジア・アフリカ首脳会議の際、胡錦濤国家主席と首脳会談を行い、日中関係は二国間のみならず国際社会全体にとっても極めて重要であるとの認識を共有し、未来志向の協力を発展させていくことで一致いたしております。意見が異なる個別の問題についても対話を深め、大局的な観点から幅広い分野における協力を強化していく考えであります。
 安保理改革と対中外交についてでございますが、安保理改革の実現には近隣国である中国の理解を得ていくことが重要であります。我が国としては、この問題も含め、中国との間で引き続き大局的な観点から幅広い分野における意見交換を進め、地域・国際関係全体に寄与する協力関係を一層強化していく考えであります。
 EUによる対中武器禁輸解除の問題でございますが、政府としては、本件が我が国を含む東アジアの安全保障に及ぼし得る影響について懸念しており、地域を不安定化するような高度な武器、機微な技術等がEUから歯止めなく中国に移転されないことを実質的に確保することが重要であると考えております。
 我が国は、従来よりEUに対し、解除には反対との立場を表明してきており、引き続き責任ある対応をEU各国に求めていく考えであります。
 サミットへの中国の参加についてでございますが、サミットは、世界経済を含め、国際社会の諸課題について、民主主義と自由主義経済を共有する主要先進国の首脳が話し合う場として有効に機能してきております。途上国とは、九州・沖縄サミット以来、有意義な対話が行われてきており、G8と中国等主要途上国との関係は、他のG8諸国ともよく協議していきたいと考えております。
 京都議定書に関する米国への働き掛けについてでございますが、米国に対しては、かねてより、日米首脳会談を始め、昨年十月の日米外相会談、昨年十二月の気候変動枠組条約締約国会議など、様々な場で京都議定書に関する我が国の考え方を申し入れてきております。今回のサミットでは京都議定書の批准自体については申し入れておりませんが、気候変動への対処についての働き掛けを今後とも継続してまいります。
 温暖化防止に努める必要についてでございますが、地球温暖化防止の実効性を確保するためには、新興経済諸国や米国を含むすべての国が参加する共通ルールの構築に努めることが重要であります。
 今回のサミットにおいては、G8と新興経済五か国が協力して温暖化防止に向けて更に努力する必要性について一致いたしました。こうした首脳レベルでの認識を踏まえ、我が国としてもブラジルと共同で実施してきております「気候変動に対する更なる行動」に関する非公式会合の開催を含め、そのような共通ルールの構築に貢献していく考えであります。
 小泉内閣の構造改革についてでございますが、私の内閣が進める構造改革は、決して弱者を切り捨てるものではありません。自助と自律の精神の下に、国民一人一人や企業、地域が主役となり、努力が報われ、安心して再挑戦できる自信と誇りに満ちた明るい社会の実現を目指したものであります。
 これまで、雇用・中小企業のセーフティーネットの確保に万全を期すとともに、新規起業の促進策、構造改革特区や都市再生など地方の意欲や挑戦を尊重した地域経済の活性化策、持続的な制度の構築に向けた社会保障制度改革などに取り組んでまいりました。この結果、不良債権処理目標の達成、倒産件数の減少、失業率の低下などの成果が着実に現れてきております。
 なお、今年六月に決定した基本方針二〇〇五においては、国民の安全と安心の確保が政府の基本的責務であるとともに、我が国の経済活性化の基盤であるとの考えの下、治安、防災、公共交通の安全確保などの対策の推進を盛り込んだところであり、引き続き全力で取り組んでまいります。
 財政健全化についてでございますが、小泉内閣は持続可能な財政の構築に向けて、二〇一〇年代初頭には、政策的な支出を新たな借金に頼らずに、その年度の税収等で賄えるようにすることを目指しております。
 このため、まずは歳出削減、行政改革を徹底して行うことを原則としつつ、国と地方が歩調を合わせて歳出歳入一体改革を進める必要があり、基礎的財政収支改善に向けた中期的取組については、その選択肢及び改革工程について経済財政諮問会議における議論等を通じておおむね今後一年以内をめどに明らかにし、平成十八年度内に結論を得る考えであります。(拍手)
○議長(扇千景君) ただいま理事が協議中でございます。しばらくお待ちください。
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○議長(扇千景君) 西田実仁君。
   〔西田実仁君登壇、拍手〕
○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
 私は、自由民主党並びに公明党を代表して、ただいま議題となりましたサミット報告につきまして、総理ほか関係大臣に質問をさせていただきます。
 まず、サミット開催中のイギリスを襲った地下鉄、バスの連続爆破テロの犠牲者に対して心から哀悼の意を表するとともに、被害に遭われた方々、御家族に心からお見舞い申し上げます。
 日本国内でも、こうした無差別テロ、とりわけ公共交通機関をねらったテロ行為に対する不安が広がっております。もちろん、不用意に不安心理をあおることは厳に慎まねばなりませんが、万が一への備えはこれまで以上に求められております。
 公共交通機関における爆破テロについて、いわゆる死角をなくすなど、その対策の総点検を改めてする必要があるのではないでしょうか。
 また、輸送機関側がどんなに対策を立てても、それだけではテロを防ぐには限界があるのも事実でございます。今や、都市生活者すべてが安全について注意すべき時代に入ったとの指摘もございます。都市生活者には具体的にどのような注意が必要なのでしょうか。危機管理の責任者である小泉総理にお伺いいたします。
 では、今回の首脳外交における成果と今後の課題についてお聞きいたします。
 サミットは、主要国のみならず、世界全体の調和と発展を目指すために設置されました。しかし、今回のサミットでも、主要国間、あるいは主要国と新興五か国との間で利害の相克が鮮明化しております。その結果、具体策の取りまとめが従来以上に困難な場面も少なくありませんでした。
 サミットの政策調整機能を回復していくためには、現在の主要八か国、G8では限界があるのではないでしょうか。特に、今回のサミットに参加した中国、インドなど新興五か国は世界経済の上に大きな影響を持つようになっております。これらを踏まえて、今回のサミットの成果並びに今後のサミットの在り方について、首脳外交の当事者である総理はどのように考えておられますでしょうか。
 次に、地球温暖化対策についてお聞きいたします。
 地球の温暖化対策では、アメリカが改めて京都議定書に反対の姿勢を鮮明にしました。中国やインドという高成長新興国が同議定書に参加していないことがその理由です。アメリカの言うように、代替エネルギーや省エネ技術の開発などにより経済成長と地球環境の調和を図ることは確かに可能であります。
 しかしながら、それは中長期的な対策にほかなりません。これまで石油危機に見舞われるたびに同じような対策が喧伝され、主要国ではある程度の省エネは進んできております。しかし、地球環境の改善にまでは結び付いておりません。
 二〇〇六年のサミット議長国であるロシアは、イギリス・ブレア首相の意向を受けて、次回サミットでも引き続き地球温暖化対策を重点議題とすることを表明いたしました。
 今後、先進国間はもちろん、先進国と新興国、例えばエネルギー需要の大きな中国やインドなどとの間で、気候変動、クリーンエネルギーと持続可能な開発に関する対話を積み重ね、二〇〇八年の日本におけるサミットで温暖化対策の総括がなされることとなりました。日本は、さきの京都議定書に続いて、この地球温暖化対策でも取りまとめ役を担おうとしております。
 今回のサミットの結論は、こうした今後の地球温暖化対策にどの程度効果があると考えているでしょうか。交渉当事者である総理にお伺いいたします。
 地球環境の重要性が強調される一方、石油などエネルギー資源をめぐる各国・地域間の対立はますます激しくなっております。東シベリアの石油パイプラインをめぐる日中間の導入競争、尖閣諸島における日本も含めたアジア各国の占有権主張、中国石油会社によるアメリカ石油会社の買収など、枚挙にいとまがございません。
 こうした資源紛争が各国間の協調を崩壊させない方策は考えられますでしょうか。総理にお聞きいたします。
 続いて、原油価格と世界経済についてお伺いいたします。
 第一に、原油価格と財政政策の在り方について財務大臣にお聞きいたします。
 これまで、日本経済が変調を来す背後には、必ずと言っていいほど二つの要因がございました。原油高と増税であります。第一次、二次石油危機における原油高はもちろん、湾岸戦争を契機とした増税論議や一九九七年の消費税引上げなどは日本経済に変調をもたらしました。目下の経済情勢は、原油価格の高騰という変調要因を抱えると同時に、中国などの新興国の大量生産の影響もあって、デフレ基調から脱し切れておりません。
 ゼロ金利、大量の国債残高により経済政策は身動きが取れなくなっております。こうしたときに、日本経済の変調要因の一つである増税、いわゆるサラリーマン増税を前提にすることの重大性がどれだけ認識されているのか、大いに疑問でございます。
 サミットコミュニケでは、確かに日本も財政再建の必要性を指摘されております。しかし、財政を再建しさえすれば日本経済の立ち直りが果たして確保されるのでしょうか。昨今の税収増が景気の立ち直りによる法人税や所得税の自然増収にあることを考えると、九七年の消費税の引上げに似た経済の変調が起こるのではないかと懸念されます。
 谷垣大臣は、かつて参議院の財政金融委員会の質疑で、増税一本で財政再建を考えているわけではないと答弁されておられます。力強い回復が国内のみならず世界的に期待され続けてきた日本経済の今後の財政政策の在り方について、谷垣財務大臣にお聞きいたします。
 第二に、原油価格の高騰と為替レートについてお聞きいたします。
 現在、原油価格の高騰を背景に、外国為替市場では石油に弱い円が売られております。従来の石油危機においては、一般的に円がドルに対して上昇しておりました。省エネと公害防止、省力化と海外進出などによって、石油危機及び既に進行しておりました少子高齢経済の影響を受容できる体質をつくり上げてきたからであります。
 ところが、今回は全く逆に円が売られております。これは、二十世紀の日本経済を悩ませてきた石油問題を解決したとの認識が、実は時期尚早であったということになるのではないでしょうか。
 少子高齢化経済においては、省エネ、省力化という資源小消費型経済によって高付加価値化を図ることが最も重要となります。もし仮に、日本が石油に弱い円に体質が劣化してしまったとなれば、ゆゆしき事態でございます。財務大臣の認識をお伺いいたします。
 第三に、今回のサミットにおける人民元の改革論議についてお聞きいたします。
 財務大臣は、さきの財務相会合において、人民元について中国に果断な対応を求めるとしておりましたが、今回のサミットでは、人民元の調整問題についてはほとんど進展が見られませんでした。これは、将来に通貨危機の火種を残すことになったのではないでしょうか。財務大臣の御認識をお伺いいたします。
 模倣品や著作権侵害などから知的財産権を保護することは、日本にとって高付加価値社会を生み出し、維持していくために重要不可欠なことでございます。今回のサミットでは、知的財産海賊・模倣行為の削減という特別声明が採択されました。これは日本外交の成果と素直に評価すべきと思われますが、知的財産権の保護対策はどの程度今回のサミットで前進したと言えるのでしょうか。総理にお伺いいたします。
 次に、北朝鮮問題についてお伺いいたします。
 北朝鮮問題では、核開発阻止については辛うじて足並みがそろったものの、日本の拉致被害者問題では一部の主要国においてやや後ろ向きの姿勢が目立ち、極めて遺憾なことでございます。
 総理は、サミットの席上、日本は北朝鮮の核問題と拉致問題との包括的な解決を求め、その解決がない以上、日本は北朝鮮と国交正常化はしないと宣言しておられます。このメッセージはどの程度主要国に届いたと思いますか。併せて、今月下旬にも再開される六か国協議に臨むに当たっての総理の決意をお伺いいたします。
 最後に、今回のサミットにおいて大きなテーマとされたアフリカ支援について、外務大臣にお伺いいたします。
 アフリカ支援においては、今後三年間にアフリカ開発援助を倍増するという発表済みの計画の上に、今後五年間で更に百億ドルの援助額を増額することを会議の土壇場において総理が表明しました。その結果、ブレア首相がアフリカ支援の倍増計画をまとめることができました。
 援助額増額分の百億ドルはどのように使われるのでしょうか。貧困の削減という今回のサミットの目的との関係はどのようになるのでしょうか。外務大臣に方針をお伺いいたします。
 今回のサミットを前に、日本やドイツの対アフリカ支援における積極姿勢が目立ちました。それはあたかも国連改革をめぐる票争いと錯覚しかねない状況でもありました。昨今の世界情勢から日本がアフリカ支援に協力することは当然ですが、世界平和に貢献するためには、隣国のアジア諸国との友好・信頼関係の確立が優先するのではないでしょうか。それとも、アフリカ支援にはやや消極的なアメリカの肩代わりとして、グローバルな安全保障を見据えた日米協力としてアフリカ支援に積極的に取り組むということでしょうか。外務大臣にお伺いいたします。
 今回のサミットは、卑劣なテロ行為にも屈することなく会議が続行されました。テロがいかに人々を恐怖と無力感に陥れようとも、私たちは希望を捨てるわけにはまいりません。今回、サミットに参加したナイジェリアのことわざに、希望こそ世界の柱であるとあります。今回のサミットがテロに打ちかつ希望の原点となるよう強く念願し、私の質問を終えます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 西田議員にお答えいたします。
 今回のロンドンにおけるテロに関連しまして、公共交通機関におけるテロ対策総点検についてでございますが、公共交通機関におけるテロ対策につきましては、かねてより、国土交通省において巡回等の自主警備などの徹底や必要な点検を指示するとともに、警察による警戒、警備などの措置をとってきたところであります。
 今回の事件を受け、国土交通省及び警察庁より、警戒強化等テロ対策の徹底及び緊急点検について関係者に指示したところであります。
 テロ対策に関して、都市生活者が注意すべき事項についてでございますが、人、物、資金及び情報のそれぞれの観点から、テロの発生を未然に防止する努力が必要となっております。その意味から、政府や関係機関のみならず、国民の理解と協力を得てテロを許さない社会づくりを進めなければならないと思っております。
 具体的には、関係当局及び施設やサービスの管理者が行う身元確認、本人確認や持ち物のセキュリティーチェックなどの措置に御協力いただくことのほか、不審な人、不審物等を発見した場合の速やかな通報等が重要であると考えております。
 サミットについてでございますが、今回のサミットでは、G8の議論に加え、新興経済諸国を交え気候変動問題や世界経済について対話を行い、これら諸国が一層の責任を果たすよう求めるとともに、G8として協力していくことで一致いたしました。
 これまでもサミットでは、議題に応じてG8以外の国々を招請し、有意義な対話を行ってまいりました。今後ともG8以外の国々との対話を適切な形で行っていくことは有意義と考えており、引き続きG8間で協議していく考えであります。
 地球温暖化対策に対するお尋ねでございますが、今回のサミットでは、地球温暖化は深刻かつ長期的課題であるとの認識で一致し、温室効果ガス削減に向け、省エネ、クリーンエネルギーの活用などを含む具体的行動や、主要エネルギー需要国との対話の設置を含むグレンイーグルズ行動計画に合意いたしました。また、G8と新興経済諸国との対話では、各国が協力して温暖化防止に向けて更に努力する必要性について一致しました。
 このように、今回のサミットで対策の基本的方向、具体的行動や対話について合意したことは、地球温暖化対策の推進に貢献するものと考えております。
 環境、エネルギー問題における各国間の協調についてのお尋ねでございますが、地球環境問題とエネルギー問題は相互に関連する問題であり、両者を一体的にとらえつつ秩序ある関係を構築していくことが重要であります。
 このような認識の下に、今回のサミットでは、G8以外の主要なエネルギー需要国との対話を含む関連の取組の強化につき合意しました。こうした取組は、各国間の協調を進める方策の一つと考えております。
 知的財産権でございますが、サミットでは、私は、模倣品や海賊版をG8が協調して国際的に厳しく取り締まる必要性を指摘いたしました。知的財産権の侵害が、経済成長ばかりではなく、人々の健康や安全を脅かすとの認識で一致し、今後、G8各国が他国や関係国際機関と連携してその取締りに効果的に取り組むことで合意した独立の文書が発出されました。このように、今次サミットにおいては、知的財産権の問題について有意義な前進があったと考えております。
 北朝鮮問題についてでございますが、私は、今般のサミットにおきまして、日朝平壌宣言に基づき、核、ミサイル、拉致といった北朝鮮をめぐる諸懸案を包括的に解決し日朝国交正常化を図るとの我が国の基本方針を説明の上、G8各国首脳に対し我が国の立場に対する理解と協力を求めました。これに対し、各国首脳より理解を得ることができたと考えております。また、今月下旬に再開される六者会合においては、北朝鮮に対し、核問題を始めとする諸懸案の解決を関係諸国と連携しつつ求めていく考えであります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣谷垣禎一君登壇、拍手〕
○国務大臣(谷垣禎一君) 西田議員にお答えいたします。
 まず、財政政策の在り方についてのお尋ねがございました。
 我が国の経済社会の活力を維持発展させていくため、これまでも様々な構造改革に取り組んできておりますが、私は、中でも主要先進国中最悪の状況にまで至った我が国の財政の構造改革を推進していくことは極めて重要な課題であると考えております。今回のサミットのコミュニケにおきましても、我が国が財政健全化を含めた更なる構造改革を推進していくことが、世界的な不均衡の秩序ある解消や我が国経済の持続可能な成長を促進するという認識が各国で共有されたところでございます。
 私としては、これまで申し上げてまいりましたとおり、厳しい状況にある我が国財政が経済成長の足かせとならぬよう、財政構造改革を強力に推進していくことが重要であると考えております。その際、社会保障制度を身の丈に合った持続可能なものにしていくための見直しや、国と地方のいわゆる三位一体の改革、持続的な経済社会の活性化を実現するためのあるべき税制の構築への取組、こういったことが重要であると考えております。
 いずれにせよ、今後とも聖域なき歳出改革を行っていくことは当然でありますが、高齢化の進展に伴い増大がやむを得ない社会保障給付費などにかんがみますと、歳出面のみならず歳入面も含めたバランスの取れた財政構造改革を引き続き推進していく必要があると考えております。
 次に、原油価格の高騰の為替市場への影響及び我が国経済の体質についてのお尋ねでございますが、為替相場は様々な要因によって変動するものでありまして、原油価格の動向によってのみ左右されるものではないと承知しております。
 我が国経済の体質については、一九七〇年代には七〇%程度でありました石油依存度が足下では五〇%程度にまで低下するなど、原油価格高騰に対して強いものとなってきております。また、最近では不良債権処理や産業再生等の構造改革も進展し、その面でも経済の体質強化が実現されつつあると認識しております。
 政府としては、高齢少子化社会の到来を迎え、新たな成長に向けた基盤の重点強化を図るべく、引き続き諸般の構造改革の取組を進めてまいります。
 それから、中国の為替制度についての御議論がございました。
 今回のサミットでは、中国の為替制度については、当初から議題として予定されておりませんでした。
 中国の為替制度につきましては、中国政府が柔軟性を与える方向で早期に果断な対応を取ることが重要であると考えております。また、こうした行動は、中国経済の安定的な発展、ひいてはアジア経済や世界経済にとっても有益であると考えておりまして、機会あるごとに中国政府等に対し、こうした考え方を伝えているところです。
 これらの点を踏まえまして、中国政府自身が責任感を持って、国内の諸経済事情を十分に踏まえた上で早期に適切に対応することを期待いたしております。(拍手)
   〔国務大臣町村信孝君登壇、拍手〕
○国務大臣(町村信孝君) 西田議員にお答えを申し上げます。
 まず、今回のサミットで表明したODAの増額の使途についてのお尋ねでございました。
 我が国は、今次サミットの機会をとらえまして、今後五年間のODAの事業量について百億ドルの積み増しを目指すことを表明をしたわけでございます。積み増しを目指す百億ドルについては、貧困削減や保健・医療水準の向上といったミレニアム開発目標達成への貢献を念頭に置きながら、借款、贈与、債務救済といった様々な形態を通じて、貧困削減を始めとする開発課題への取組に積極的に活用してまいりたいと考えております。
 次に、アフリカ支援について、アジア諸国との友好・信頼関係の確立を優先すべきではないか、また、アメリカの肩代わりなのではないかというお尋ねでございました。
 まず、日本としましては、ODA大綱で示してあるとおりでありまして、アジア地域をODAの重点地域と位置付け、アジア諸国との関係増進に取り組んでいく方針に今後とも変わりはございません。
 アフリカについては、ミレニアム開発目標達成の観点からアフリカ開発支援の重要性についての認識が国際的に高まりを見せている中にありまして、日本は、既に一九九〇年代より取り組んでまいりましたTICADプロセスというものがございますが、これを基軸として、今後三年間で対アフリカODAを倍増するなど、積極的に支援を進めていきたいと考えております。
 なお、アメリカについて申し上げますと、アメリカもまたアフリカ支援を積極的に進める方針を明らかにしているところであります。日本は、アフリカ支援を進めるに際して、アメリカを含む主要援助国、またアジア諸国との連携を図りつつ、アフリカ自らの力で立ち上げられるようにその自助努力を支援してまいる所存でございます。(拍手)
○議長(扇千景君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
○議長(扇千景君) この際、少子高齢社会に関する調査会長から、少子高齢社会に関する調査の中間報告を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(扇千景君) 御異議ないと認めます。少子高齢社会に関する調査会長清水嘉与子君。
    ─────────────
   〔調査報告書は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔清水嘉与子君登壇、拍手〕
○清水嘉与子君 少子高齢社会に関する調査会における中間報告の概要につきまして御報告申し上げます。
 本調査会は、第百六十一回国会の平成十六年十月に設置されました。
 調査テーマにつきましては、「少子高齢社会への対応の在り方について」と定めるとともに、少子化の要因及び社会・経済への影響に関する件を調査事項として取り上げ、調査を行ってまいりました。
 その結果、少子高齢社会への対応の在り方についての提言を含めた中間報告書を取りまとめ、去る七月八日、議長に提出いたしました。
 以下、その主な内容について御報告申し上げます。
 まず、第百六十一回国会におきましては、少子高齢社会への対応の在り方について、参考人から意見を、政府から説明を聴取し、質疑を行いました。さらに、今後の具体的な調査計画等策定の参考に資するため、調査会委員間の自由討議を行いました。
 調査会委員からは、少子高齢社会を活性化するためのマクロ的な政策の必要性、年金・医療・介護保険制度に係る経費負担の在り方、人口減少社会から人口均衡社会に転換させるための政策、子育てと仕事の両立支援策、高齢者が健康で心豊かに生活できる社会の構築等について意見が述べられました。
 第百六十二回国会におきましては、少子化の要因及び社会・経済への影響に関する件を調査事項として取り上げ、まず、子ども・子育て応援プランについて政府から説明を聴取し、質疑を行いました。さらに、六回にわたり参考人の出席を求め、意見を聴取し、質疑を行いました。
 参考人からは、少子化の要因としての未婚化・晩婚化、晩産化及び小児医療の現状、少子化の下での就業支援・経済的支援・地域子育て支援の在り方、少子化が教育及び家族に与える影響、少子高齢社会における税制、年金及び医療の在り方、女性の健康及び生命の大切さ等について意見が述べられました。
 これら参考人の意見及び政府からの説明聴取を踏まえ、本報告の取りまとめに向けて調査会委員間の自由討議を行いました。
 調査会委員からは、子どもが健全に育つ社会の構築、子育てを優先できる企業風土・社会風土の醸成、児童・家族関係給付費の拡充、不妊治療に対する総合的な支援、フリーター等の不安定な働き方への対策の必要性等が指摘されました。
 我が国においては、これまで少子化の流れを変えるための施策が進められてきましたが、少子化の進行を食い止めるには至っておりません。他方、人口減少社会の進捗状況を踏まえて、社会経済への影響をできるだけ少なくするための政策を考えていくべきであるとの指摘もなされており、これらの点を踏まえ、本調査会として意見を集約し、当面する課題について五本の柱から成る十四項目の提言を取りまとめました。
 提言の主な内容は、第一に、子どもにやさしい社会の構築として、子どもが健全に育つ社会・子育てに喜びを感じることができる社会への転換、子どもを不慮の事故や犯罪の被害から守る体制の強化、子育てしやすい生活環境の整備などであります。
 第二に、子育てと仕事の両立支援の推進として、男女の固定的役割分担を前提とした働き方・家族の在り方の見直し、多様な働き方が可能となる企業の積極的な取組、官民を問わず恒常的な長時間勤務の解消等の勤務体制の見直し、少子化対策の重要性に対する企業経営者の意識啓発・各種支援策の周知徹底、施設型保育への一層の支援及び在宅保育への支援の拡充、認可外保育施設に係る諸課題及び就学前の教育・保育を一体としてとらえた一貫した総合施設の在り方の十分な検討などであります。
 第三に、子育てに対する経済的負担の軽減として、次世代育成を支援していくための児童・家族関係給付費の拡充、児童手当の拡充、奨学金制度の一層の充実、子育て世代に対する良質な住宅確保のための各種助成措置の拡充などであります。
 第四に、女性の健康と生命の大切さとして、妊産婦の健康維持と満足できる出産のための環境づくりへの取組の一層の充実、出産・不妊治療に対する支援の拡充、不妊治療に関する実態把握・検証、若者の健康を守るための公的機関における性感染症検診の実施及び相談体制の整備、発達段階に応じた性に関する正しい知識の適切な普及・啓発、黙視に堪えない暴力や過剰な性の表現によって子どもに多大な影響を与える有害な図書や情報の規制の在り方の検討などであります。
 第五に、若者の自立の促進と教育として、雇用のミスマッチの解消・若年者の雇用確保のための各種施策の一層の拡充、職業体験等若者の自立に向けた教育の推進、地域・家庭の大切さについての教育の充実などであります。
 以上が本調査会の調査の経過及び結果でありますが、少子高齢化の進展は、我が国の社会経済に大きな影響をもたらしかねない問題であります。
 政府はもとより、企業におかれましても、本提言の趣旨を御理解いただき、これらの実現に努められることを要請するものであります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
○議長(扇千景君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時十二分散会