第162回国会 法務委員会 第4号
平成十七年三月十七日(木曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 三月十六日
    辞任         補欠選任
 ツルネン マルテイ君     江田 五月君
     松岡  徹君     富岡由紀夫君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         渡辺 孝男君
    理 事
                松村 龍二君
                吉田 博美君
                千葉 景子君
                木庭健太郎君
    委 員
                青木 幹雄君
                荒井 正吾君
                山東 昭子君
                陣内 孝雄君
                関谷 勝嗣君
                鶴保 庸介君
                江田 五月君
                富岡由紀夫君
                前川 清成君
                簗瀬  進君
                浜四津敏子君
                井上 哲士君
   国務大臣
       法務大臣     南野知惠子君
   副大臣
       法務副大臣    滝   実君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  富田 茂之君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   園尾 隆司君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田中 英明君
   政府参考人
       内閣官房司法制
       度改革推進室長  本田 守弘君
       法務大臣官房司
       法法制部長    倉吉  敬君
       法務省民事局長  寺田 逸郎君
       法務省入国管理
       局長       三浦 正晴君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の
 一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付
 )
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○委員長(渡辺孝男君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨十六日、ツルネンマルテイ君及び松岡徹君が委員を辞任され、その補欠として江田五月君及び富岡由紀夫君が選任されました。
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○委員長(渡辺孝男君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に内閣官房司法制度改革推進室長本田守弘君、法務大臣官房司法法制部長倉吉敬君、法務省民事局長寺田逸郎君及び法務省入国管理局長三浦正晴君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(渡辺孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(渡辺孝男君) 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○吉田博美君 自由民主党の吉田博美でございます。
 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案についてお尋ねをいたします。
 現在、全国各地で市町村の合併が続いておりますが、この合併ラッシュと言われるような中で今月二十一日に新しい新潟市が誕生し、それに伴う簡易裁判所の管轄区域等を改めるとのことでございますが、昨年秋の臨時国会でも同様のケースによる法改正がありました。その際に、実態が変わらないのであれば法改正を必要としない方法を検討していただきたいと申し上げましたところ、早速に今回改正案として、合併しても自動的に従前の管轄区域の範囲を維持できる規定が盛り込まれました。短期間で実行されましたことに敬意を表しまして、幾つかの質問をさしていただきたいと思います。
 この改正案は、新潟県新津市が新潟市に編入合併されることに伴うものと承知をしておるところでございますが、新潟、新津、両簡易裁判所の管轄区域の定め方は編入合併の趣旨に合っているものかどうなんでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(倉吉敬君) ただいま御指摘のあったとおりでございまして、今回の管轄法の改正は新潟と新津の合併というところが大きなポイントになっております。
 編入合併の趣旨に合っているのかという御指摘でございました。言うまでもなく、新潟市とそれから新津市とその周辺の市町村の今回の合併でございますが、効果的、効率的な行政運営を行うという必要のためになされるものでありまして、特に、これから新潟市が政令指定都市に移行するということも視野に入れた合併であると、このように伺っております。
 一方、裁判所の管轄区域でございますが、これは若干観点を異にするところがございまして、司法サービスにおける利便性を図るという観点から、管轄区域内の人口であるとか、交通事情であるとか、それから事件数の動向、そして最も大事な地域住民の意向等を参考にして決めているものでございます。
 確かに、御指摘のとおり、合併後の新潟市については、新潟簡易裁判所の管轄区域と新津簡易裁判所の管轄区域に分かれるということになります。これがいかがなものかという趣旨かとは思いますが、今回の管轄区域の定め方については、先ほど申し上げましたように、地域住民の意向等も十分に踏まえておりまして、そういう観点からいたしましても編入合併の趣旨に反するということはないと、このように理解しております。
○吉田博美君 合併の趣旨と裁判所の状況とはある程度の違いはあるというような御答弁をいただいたわけでございますが。
 そこで、裁判所の管轄区域のように司法アクセスに影響を与えることを定める場合は、先ほど来お話ございましたように、利用者の利便性を第一に考慮すべきだと考えますが、今回の見直しに当たり、地元地域の意向をどのように確認されたのでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) 裁判所の管轄区域は、国民の裁判を受ける権利と直接かかわる事項でございますので、人口の動態、交通事情の変化、事件数の動向等に加えまして、管轄区域内の利用者である地域住民の意向を総合的に考慮して定めているところでございます。
 したがいまして、管轄区域をまたがる市町村合併が予定されております場合には、地元の地方裁判所から当該合併協議会に対して合併の管轄区域への影響について説明をいたしまして、管轄区域の変更に関する要望等を伺っております。
 また、今回の新津簡易裁判所のように、管轄法第三条の定めと異なる管轄区域の定めをする必要があります場合には、地元の地方裁判所を通じまして当該管轄区域内の市町村の意向を確認しておるという状況でございます。
○吉田博美君 確認をされたそうでございますが、この改正案によりまして、白根市の住民は新津簡易裁判所から新潟簡易裁判所の管轄になりますが、これも地元地域の意向でしょうか。また、この変わることによって利便性に問題はないのでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) 白根市は新潟市に編入合併されますので、管轄法第三条の規定によりまして、管轄する裁判所が新津簡易裁判所から新潟簡易裁判所に自動的に変更されることとなります。
 そこで、今回法案が提出されるということに先立ちまして、地元の新潟地方裁判所を通じて白根市の意向を確認いたしましたところ、新潟簡易裁判所の管轄区域になることを希望するという回答を得たものでございます。また、白根市の住民が新潟簡易裁判所に出向く交通手段等も調査いたしましたが、利便性に特に問題はないというように考えるに至りました。
○吉田博美君 ああ、そうですか。
 この改正案により影響を受ける利用者についてお聞きしますが、管轄区域の人口の推移はどうなっているのでしょうか。また、取扱事件数はどうなっているのでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) 今回の改正案によりますと、白根市が新津簡易裁判所の管轄区域から新潟簡易裁判所の管轄区域に移りますことから、新津簡易裁判所管内の人口は約十九万四千人から十五万三千人に減少いたします。一方、新潟簡易裁判所管内の人口は約六十六万八千人から七十五万九千人に増加いたします。
 また、取扱事件数を見てみますと、平成十六年における新津簡易裁判所の民事訴訟、支払督促、民事調停及び刑事訴訟の合計事件数は千四百九十四件でありまして、十年前の平成七年の千九百六十六件と比較すると若干減少しておるという状況にございます。
 一方、新潟簡易裁判所の平成十六年の取扱事件数は一万百七十四件でありまして、十年前の平成七年の一万四百七十四件と比較すると、ほぼ横ばいの状況にあるという状況にございます。
○吉田博美君 管轄の人口も新津裁判所の方はかなり減ってくるという、そして新潟の方は事件数はほぼ横ばいと、しかし新津の方は事件数も減ってくると。
 そこで、新津市は新潟市に編入合併されるわけですが、新津に引き続き簡易裁判所を設置しておく必要性が果たしてあるのかどうか、またその判断の根拠は何なんでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) 新津簡易裁判所の管轄区域には、新津市、小須戸町のほかに、五泉市、中蒲原郡村松町、東蒲原郡三川村、上川村、津川町、鹿瀬町が含まれております。裁判所の、廃止を含めた裁判所の配置につきましては、管轄区域内の一部の市町村が他の管轄区域内の市町村に合併される場合におきましても、当該地域内での裁判所のアクセス、提供する司法サービスの質等を総合した利便性を確保するという観点から検討を行うべきものというように認識しておりまして、その観点からいたしますと、これらの地域の住民への司法サービスのために新津に引き続き簡易裁判所を存置させることには合理性があるというように考えておるものでございます。
○吉田博美君 今の時点でのそういう合理性があるという御答弁をいただいたわけでございますが、いわゆる平成の大合併は平成十八年三月末で大体一段落すると仄聞をしておるところでございますが、その際には裁判所の管轄区域を全国的に見直すべきだと思いますが、その点についての御見解をお聞かせいただけますでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) 御指摘のとおり、市町村合併は現行の合併特例法の適用期限であります平成十八年三月末にはある程度の一段落をするということも予想されるところでございますが、他方、平成二十二年三月末を適用期限としました新合併特例法が制定されておりますことから、今後も一定程度の市町村合併が進められるのではないかとも考えられるところでございます。
 また、司法制度改革に関連しまして新たに設けられた裁判員制度を始めとする諸制度が順次実施に移されてまいりますので、事件数の動向についても研究をしておく必要があるというように考えております。さらに、市町村合併に伴う地域社会の人口や交通事情の変化などについても情報収集を続けていく必要があるというように考えておるところでございます。
 裁判所といたしましては、これらの諸事情を総合的に考慮した上で全国的な管轄区域の見直しについて検討していきたいというように考えておるところでございます。
○吉田博美君 いずれにしましても、国民の利便性、地域の皆さんの利便性、司法アクセスというものをしっかりと踏まえた中で御判断をいただきたいと思っているところでございます。
 先ほど来御答弁にもございましたが、司法制度改革審議会の意見書に「裁判所の配置については、人口、交通事情、事件数等を考慮し、不断の見直しを加えていくべきである。」とありますが、具体的にどのような検討を進めていかれるのでしょうか。できたんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) 御指摘の司法制度改革審議会の意見書にもございますとおり、裁判所の配置は、裁判所へのアクセス、提供する司法サービスの質等を総合した国民の利便性を確保する観点から、人口動態、交通事情の変化、裁判所で取り扱う事件数の動向等を考慮の上、IT技術の進展等も視野に入れながら、総合的な利便性の向上の見地から検討をする必要があるというように認識しておるところでございます。
 現在、裁判員制度を始めとする司法制度改革に関連して新たに設けられました制度について順次実施に向けた準備が進められておりまして、これらの新しい制度導入に伴う事件数の動向について現在研究を続けておるところでございます。また、市町村合併に伴う地域社会の人口や交通事情の変化などについても継続的に情報収集をしておるというところでございます。
 今後は、地域住民が充実した審理を受け、より良い司法サービスを受けることができるよう、このような事件数の動向予測や情報収集の結果を踏まえまして、関係機関との連携も図りながら、適宜裁判所の配置の見直しを検討してまいりたいというように考えておるところでございます。
○吉田博美君 ところで、さきの国会におきまして、閉会中等で法改正が間に合わない場合も考えられるので対応処置を講じるべきだと述べましたが、今回の改正案では従来の管轄法別表の見直し以外の措置が施されておりますが、対応処置と考えてよろしいのでしょうか。
○政府参考人(倉吉敬君) さきの国会で委員から御指摘をいただきました。
 もちろん、今回、管轄法の三条の一般規定の見直しをすることを内容とする改正案を提出させていただいているわけでございますが、これは、編入合併に伴いまして地元に簡易裁判所があるのに遠くの簡易裁判所に行かなければならなくなると、この不都合を回避しようという意図に基づくものでございまして、こういう一般規定を整備することはもちろん合理的であると、こういう判断に基づくものでございます。
 ただ、委員御指摘のとおり、これをやることによりまして今後同種のケースについて個別の法改正は要らなくなります。したがいまして、閉会中に今度ああいう合併がありそうだとやきもきするとか心配するというようなことはなくなったと、こういうことになります。
○吉田博美君 法務省の方はいつもやきもきされるような法案とかというのを出されますので、できるだけそういうことのないようにひとつお願いしたいと思います。
 市町村の合併等について、管轄法の一般規定である第三条を見直す、先ほどお話ございます今回の改正案はもっと早い時期に予見し提案できたのではないでしょうか。その点についてお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(倉吉敬君) 私、ただいま今回の改正は誠に合理的なものだと考えていると申し上げました。合理的なものであればもっと早くやればいいではないかという、こういう御趣旨だと思いますが、実は今回のケースのように裁判所の所在地である行政区画が他の裁判所の行政区画に編入されるというような事態は管轄法の立法当時ほとんど想定されておりませんでした。現にその後もそのような例はほとんどなかったわけでございます。ところが、さきの国会で審議いただきました山口県の楠町、ここに船木という簡易裁判所があったんですが、これが宇部市に編入されるという事態が生じました。そして、今度、新津市の事例が生じたわけでございます。
 このような事態が短期間に連続して発生したということにかんがみまして、これはそれなりの立法事実があるだろうと判断できますので、個別の法改正を行うことなく対処できるように今回の一般規定の整備をした次第でございます。
○吉田博美君 後先になったようでございますが、管轄法第三条の改正をすることとしておられますが、その趣旨と内容について、どのようなものでしょうか、ちょっとお聞かせいただけますか。
○政府参考人(倉吉敬君) 実は、行政区画の地理的な変更があったときには、それに伴ってほぼ自動的に管轄区域も変わるのだということを骨子とする管轄法の三条という規定がございまして、こういう地理的な対応は基本的にはそれでできるという体制になっております。
 そこで、その三条の中身を前提としてお話しいたしまして今度の改正の趣旨を申し上げたいと思いますが、まず管轄法三条の一項の本文で行政区画が拡張したときは管轄区域も自動的に拡張するということにしております。これに伴って基本的には全部対応できることになります。
 ただ、これには例外がございまして、これが三条一項のただし書に書かれているわけですが、一つは新設合併でございます。二つの簡易裁判所がありまして、その境界、管轄区域の境界地域にそれぞれ二つの町があると。この二つの町が合併して新しくXならXという市をつくったというようなケースを想定しますと、このX市をどっちの簡易裁判所に持っていけばいいのかというのは、新設合併だけに基準がないわけでございます。こういう場合には、このX市を今までの管轄区域のとおり二つに分けまして、二つの簡易裁判所に従前どおりに行っていいよと、こういうことにしております。
 それから、もう一つの例外というのが今回改正する内容でございますが、編入合併で本来なら遠くの簡易裁判所に行ってしまうんだけれども、その合併される地域の行政区画、ここに正に別の簡易裁判所があるという場合には現状のままでいいよという内容でございます。
○吉田博美君 この改正案により、今般の新津市のように裁判所所在地の市町村が別の裁判所の管轄区域へ編入合併される場合は法改正の必要はなくなると理解してよろしいのでしょうか。
○政府参考人(倉吉敬君) 基本的にはそのとおりでございます。
○吉田博美君 そこで、白根市のように新津から新潟に管轄裁判所が変更される場合がございますよね。改正、法改正前に係属していた事件などはどのように扱われるのか。何となく、今まで新津でやったのが今度は新潟へ変わったからそっちの方へ移すのか、それともそのままでそのケースにはやっていくのかどうかという、その辺についてお聞かせいただけますでしょうか。
○政府参考人(倉吉敬君) 裁判所の管轄につきましては、その標準時はどこかということがよく言われるわけですが、訴えの提起のときを基準として定められる、管轄が固定するということにされております。したがいまして、各裁判所に訴えの提起があった事件につきましては、その後に管轄原因の変動があっても最初の裁判所に係属したままでよいと、こういうことになります。訴え提起のときに定まった裁判所の管轄というのは、その後の管轄の変更で影響を受けることはないということでございます。
○吉田博美君 じゃ、そんなに、そんな心配はないわけですね。分かりました。
 裁判所へのアクセスについては、単に身近であるだけではなく、身近に法的な相談のできる環境が必要だと考えます。
 現在、日本司法支援センターの設立準備が進められていると思いますが、その事務所と裁判所の設置場所との配置関係はどのように考えているのでしょうか、関連するのでしょうか、お聞かせいただけますでしょうか。
○政府参考人(倉吉敬君) 現在、日本司法支援センターの事務所をどこに配置するかと検討しているところでございますが、これは全国あまねく司法サービスと情報を提供するということを仕事とするところでございますので、少なくとも全国の地方裁判所、その本庁所在地五十か所には事務所の設置をする必要があると考えておりまして、この前提で検討を進めているところでございます。
○吉田博美君 県庁所在地の方が人口すごく少なくて、かなりの都市のところがあります、格差がありますよね。やっぱり、その人口、もちろん県庁所在地には置かれるわけでありますから、そういったことの人口の多いところになんかそれなりのまた配慮がされるようになるわけですよね。どうなんですか。
○政府参考人(倉吉敬君) もちろん、都市の規模、それからそれに伴って司法ニーズの需要は大きくなります。だから、それに伴って相応のものを設置するということになろうかと思います。
 それから、ちょっと観点異なりますが、もう一つは、司法過疎対策ということがございまして、司法過疎地域にもそういう事務所の、まあミニ事務所になるかもしれませんが、置かなければいけないだろうということで、それも併せて検討しているところでございます。
○吉田博美君 全国あまねく司法が受けれるようなサービスが、体制を整えるということが大事なことじゃないかと思います。
 さて、この支援センターは地元の地方公共団体等の連携を図っていくことが重要だと考えますが、現場での意見や要望を情報としてどのように生かしていくつもりでしょうか、お聞かせください。
○政府参考人(倉吉敬君) 御指摘のとおりでございまして、全国の地方公共団体には様々な相談窓口がございます。こういった相談窓口と連携を取りながら日本司法支援センターを運営していかなければならないと、これがもう一番大事な課題でございますが、実は、さきの国会で成立させていただきました総合法律支援法、この三十二条というところにこの点に関する明文の規定がございまして、「支援センターは、地域における業務の運営に当たり、協議会の開催等により、広く利用者その他の関係者の意見を聴いて参考とし、当該地域の実情に応じた運営に努めなければならない。」と、こうされております。
 私どもとしてもこれが一番大事だと思っておりまして、この協議会を開くこと等を通じまして、適宜、自治体の意向、それから特に相談事務に当たっている方の悩みとか、どういうところが不都合なんだということ、そこをどう調整できるかという辺りを十分に意見をくみ上げて運営してまいりたいと思っております。
○吉田博美君 その支援センターにお伺いする方というのは、かなりやっぱり悩みを持って行かれる方が多いと思うんですよね。そうしたときに、やっぱり行ったときの一つの対応一つで、非常にここは相談しやすいなというのと、もう本当に木で鼻くくったような形の中で、法的なもので難しいような言葉をどんどんどんどん並べられて、おどおどして帰っていってしまうというようなケースもあろうと思うんですよね。
 そんな中で、支援センターを利用しやすいものとするために、窓口での親切、丁寧な対応が私は最も大切だと考えますが、窓口担当者にどのような人を充てる予定でしょうか。また、窓口相談業務の技術向上について何か考えていらっしゃるのでしょうか。
○政府参考人(倉吉敬君) この窓口担当者にどういう者を配置するかというのは本当に大事な問題でございます。基本的に、支援センターでは何か相談があったときに、これについて一番適したことをやってくれるところはどこかというのを紹介するとか、それから、自分のところでやれることはやると、こういうことになっているわけですが、この担当者には法曹資格を有しているとか、それから隣接法律専門職の資格を持っていると、こういう者を充てるというのが常に準備できるかというと、これは難しいかもしれませんが、少なくとも法律的な素養や実務経験を有している人、こういう人を充てるようにしたいと、こう考えております。
 また、この窓口業務を充実させるためにはこの担当者の教育というのは非常に大事なことでございまして、窓口担当者に対する研修は十分に徹底させていきたい。それから、どういう情報の提供の仕方をすればいいのかというノウハウ、これはもう地方自治体なんかにも随分蓄積されたものがございますが、こういうものについてマニュアルを作成して教育をしていくということをやっていきたいと思っております。
○吉田博美君 是非、対応していただきたいと思うところでございます。
 さて、司法アクセスの充実を図るためには利用しやすい環境を提供することが何よりだと考えますが、支援センターを始めとする総合法律支援体制の整備に向けた法務大臣の決意のほどをお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。
○国務大臣(南野知惠子君) 総合法律支援構想と申し上げますのは、司法を国民により身近なものにするために、民事、刑事を問わず、あまねく全国におきまして法による紛争の解決に必要な情報やサービスの提供が受けられるような総合的な支援の実施と体制整備を行おうとするものでございます。
 また、総合法律支援構想は、国民にとりまして身近で頼りがいのある司法制度の構築を目指す今般の司法制度改革の中でも極めて重要な意義を有するものでございますので、その実現に全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
○江田五月君 下級裁判所の管轄というのは大変技術的なことでございまして、だれが考えても質問することはほぼ同じなのかなと、吉田委員の質問で私の質問も大体尽きてしまったような感じはするんですが、それでも幾つか探して質問してみたいと、なるべく重複しないようにと考えております。
 今朝、実は私ども民主党の法務部門会議がありまして、お隣に座っております簗瀬進さんから、南野法務大臣、法務関係については大変失礼ですけれども素人でいらっしゃると、したがって、どうも我々、ちょっと南野さんの人柄にほれ込んで優しくし過ぎたんじゃないか、これからもうちょっと厳しくいかなきゃというそういう発言もあって、そのとおりだと私も思ったんですが、しかし法律専門家になり過ぎてもまたいけないんで、やはり南野大臣の持っておられる豊かな識見、コモンセンス、これを法務行政の中で生かしていただくということも大切なことなんで、その点は私どもは期待しているわけでございます。
 そこで、ちょっと質問通告をしていないんですが、冒頭、正にコモンセンスということを聞いてみたいんですけれども、これは通告をわざとしなかったんで、ごめんなさい。というのは、法務省のお役人の皆さんに模範解答を書いてもらったら困ると思って通告してないんですが、この法律の題名なんですよね、下級裁判所の設置及び管轄区域に関する法律云々という。
 下級裁判所というんです。最高裁だけが上級で、高等裁判所も、地方裁判所も、家庭裁判所も、簡易裁判所も全部下級だという。法律の世界の中にいると別に何とも思わないんですよ、全く何とも思わないんです。しかし、国民から見たら、下級というのはこれはどうなんだろうと思うと思うんですが、法務大臣、いかがですか。
○国務大臣(南野知惠子君) 表現方法というのは、もうこれ歴史的に使われてきている文言であろうかなと、そのように思いますが、下級という名称を使われているということは、本当に国民に身近なところにあるというような感覚をとらえて、簡易裁判所などですね、上の方の裁判所でないというようなところも考えられているのではないかなと思いますが、これはすべて憲法上の規定に従っているということでございますので、そのように思っております。
○江田五月君 いや、そうだとするとますます問題で、つまり、国民に身近だ、それを表現する言葉が下級だということになると、国民は正に下々となるじゃありませんか。これはやっぱりちょっと法務大臣になられてもうかなり時間たったので法務省の感覚になってしまっているのかもしれませんが、私は前から言っているんですよね。地方裁判所の裁判官がやっぱり最高裁判所の方ばっかり向いて、で、判断をしていくという、いわゆるヒラメ裁判官という悪口もあながち当たっていないとも言えないようなところもあるんです、現実に。
 ですから、これは確かに、いや、私自身も法曹の世界に長くいるものですから、下級裁判所と言われて別におかしいという、どういうのか、法曹の常識からいうと、おかしいとか何とかということじゃなくて、もうそう言うんだということなんですが、やっぱりそこはそうじゃなくて、国民から見たら違和感感ずるよという感覚は維持したいと、維持していただきたいと思うんですが、どうですか。
○国務大臣(南野知惠子君) おっしゃるとおり、私のコモンセンスを確かめられているということでございますが、私にいたしましては、今使われております憲法上の課題について一生懸命勉強している段階でございますので、それはそのように読むんだな、これはこのように展開していくんだな、それが法律で決まっており憲法で決まっているんだなというところを今解釈しているところでございます。
○江田五月君 いや、私も余り威張ったことを言えないので、細川内閣のときに科学技術庁長官をやって、何か先輩もおられますけれども、科技庁長官の。余計なことをごめんなさい。それは、ITERなんというと一体何だろうかと、国際熱核融合実験炉とか、SPring8というのは大型放射光なんといって、それも全然知らなかったですよ、本当に。
 ですから、それは一生懸命勉強というのはよく分かりますが、だけれども、やっぱり裁判所、第一線で本当に一生懸命努力している地裁あるいは簡裁、家裁、こういう皆さんは下級だという、これはちょっと頭の片隅に留めておいていただけませんか。
○国務大臣(南野知惠子君) この裁判所法の中の七十六条などにも規定、憲法の七十六条に、これは最高裁判所の下に定められているものであり、最高と下級というような形であろうと思いますけれども、国民との関係での上下という問題ではないというふうにも解釈されるというふうに思います。
 だけれども、先生がおっしゃるとおり、そのことについては、狭い頭の容量ではございますが、その中にインプットしておきたいというふうに思っております。
○江田五月君 是非ひとつそういう、そういう感覚は大切だと思うんですよね。お願いいたします。
 さて、この法案自体ですが、いろんなことをたくさん規定をしておりますが、今回やはり一番議論になるのは新潟市の編入合併、それに伴って正に下級裁判所、簡易裁判所の管轄をどうするかということでございます。
 これもちょっと通告していないんですが、この合併はいつ決まったんですか。
○政府参考人(倉吉敬君) 昨年の十一月の末ということでございます。
○江田五月君 昨年の十一月末に三月二十一日という日付も決まったんでしょう。そうですよね。それで、今日は三月の十七日ですから、もうちょっと早く、さっきもおっしゃっていましたが、法務省はいつもばたばた、ぎりぎりになってという、もう少し早く分かっていることですから手当てをするようにしていただきたいと、これも要望しておきます。
 さて、この改正で住民から見て何が変わるかというと、新津簡裁の管内に、いやいや、新津市に住んでいらっしゃる皆さんは新潟市になっても新津簡裁に行くわけですから、これは変わらない。白根市に住んでいらっしゃる皆さんは、新潟市になったらこれは新潟簡裁の方に行くわけですから、しかしその部分は法律改正は要らない。法律改正がなくて、白根市の皆さんは行く簡易裁判所が変わる。法律で変わらないというように規定することによって新津市に住んでいらっしゃった皆さんは変わらないようになると。何かこう法律と住民との感覚とがギャップがありますね。それはしようがないといえばしようがないんですが、この改正によって実現しようという事実は、別表第五表ですか、これを変えるだけで実現できる話なんですよね。そうじゃないですか。
○政府参考人(倉吉敬君) まず最初に、先ほど昨年の十一月末と言いましたが、誠に申し訳ありません、十月末の間違いでございました。なおおしかりをちょうだいすることになろうかと思いますが。
 それで、ただいまの御指摘ですが、今度の、今回の一般法の整備をしなくても、個別の別表の改正をしていくことによってそれは御指摘のとおり対応はできるということになります。
○江田五月君 しかし、第三条を変えられると。それはなぜですか。
○政府参考人(倉吉敬君) 実は、地元に簡易裁判所がある、その管轄区域が編入合併されると、そうすると遠くの簡易裁判所に行かなければならないというのは、これは一般的に不合理であろうというふうに考えまして、そこで、その不都合を是正するための一般的な規定を置く根拠があると十分に考えたわけでございます。
 ただ、先ほど来の御指摘のとおりでありまして、それだけ合理性があるのなら何でもっと早くやらないんだと、こういうことになろうかと思います。
 この点につきましては、実は、この管轄法を立法した当時、裁判所の所在地である行政区画が他の裁判所の管轄区域の行政区画に編入合併されるというような事態を想定しておりませんでした。しかも、現にその後もそのような例はほとんど生じなかったわけでございます。ところが、今回、先ほど御指摘いただいたとおり、さきの国会で楠町が宇部市に編入される、それから今度は新津市が新潟市に編入されるという事例が立て続けに連続して起こりましたので、この際、それだけを、そういう立法をするだけの必要性もあるという、立法事実もあるという判断をいたしまして今回の改正案に盛り込ませていただいた次第でございます。
○江田五月君 白根市の皆さんが新潟簡裁の方を選ばれたという判断をしておられると。どういう調査でそういうこの判断に至ったのかということを聞こうと思ったんですが、さっき吉田委員の質問がありましたので、それ以上詳しく、例えば議会についての意見、白根市議会の意見は聞いたのかとか、いろいろ聞いていけばいいんですが、まあ聞いてもだからどうだという話でもないので、これは聞きません。
 しかしですね、しかし、恐らく社会経済上、地域社会の状況というのがいろいろ変わったことによって白根市の皆さんは、まあ新潟になるなら新潟簡裁の方が、それはバスの便などなどでそっちの方がいいという判断をされたんでしょう。そうすると、新津市の皆さんも、まあ新津に簡裁はあるけれども、だけれども、地域社会の実情からすると、新潟との一体性がこれからどんどん強まっていって、新潟簡裁に行くことで何も不便はないよというようなことが今後起きることはあり得ると思うんですよね。そうしたことについて、これから先の展望というのはどういうふうにお持ちでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) 全般的な裁判所の配置の見直しということに関しましては、先ほど来、一般的に諸要素を考慮しながら継続的に検討していくというように考えたところでございますが、そのような総合的な検討のほかに、今回の作業といたしましては、新津市、小須戸町、白根市について意見照会をしたわけですが、同時に、新潟簡易裁判所、それから新津簡易裁判所の各管轄区域内の他の市町村についても、そのような管轄区域の定めについてどのように考えるかということも照会をしておるわけでございます。
 それから、合併協議会に対しましても照会をいたしまして、その結果、新津市と小須戸町は従前と同じ管轄区域にとどまりたいという意向で、白根市は新潟簡易裁判所管轄区域内に移りたいということでございましたが、それぞれについての合理性ということも更に併せて検討をいたしまして、周りの地方公共団体についても、あるいは合併協議会についても異存がないということの確認をしておるわけでございますが、そのような総合的な検討を加えながら今後も検討をしていくということであるというように考えております。
○江田五月君 合併がいろいろあって、そこへ従来から住んでいる人は経過を知っているから、ああ、こうなっているけど私の行く簡裁はあそこだなというようなことは分かる。しかし、後から引っ越してくる人は、法律見ただけじゃ自分が駆け込むべき簡裁はどこだか分からないというようなことが起きるんじゃないかと思うんですが、住民に対して、あなたの住んでいるところはこの簡裁が受け持っているんですよということを十分知っていただくような、そういう努力は必要だと思うし、やっていらっしゃるんではないかと思うんですが、どういう努力をされているかを説明してください。
○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) 御指摘のとおりに、市町村の廃置分合が生じました場合には、それに伴った法改正があるということになるまでは管轄法三条の規定によって管轄の解釈がされるということで運用されていくことになるものですから、管轄法の別表を見ましてもどこの裁判所に行けばよいかは直ちには分からないというような事態が生じるところでございます。
 私どももそれを認識しておりますが、そこで裁判所では、裁判所の利用者のために、裁判所のホームページに最新の市町村名を反映した管轄区域表を掲載いたしまして、これを見れば正しい管轄裁判所が分かるというような工夫をしてございます。それから、各裁判所の窓口や電話でも管轄区域に関する御質問にお答えしておるということで、そのような努力をしておるということでございます。
○江田五月君 そうですね。この間、何かでっかい看板の話ありましたね、そういえば。あれは何でしたかね。
○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) 知財高等裁判所に関しまして、知財高等裁判所というのは一つの目的としてということで議論がされまして、看板効果というように言われましたので、その看板について御説明を申し上げたということがございます。
○江田五月君 ホームページは、出しているからみんな分かるだろうというほど、それほど分かるものでもないんですよ。あれはクリックしていってよく分かんなくなっちゃうようなこともありますし、やっぱりでっかい看板というのはひとつ考えたらどうですかね、その管轄について。
 さて、新津簡裁、今のですね、今の新津簡裁、これはもうこれからも新津簡裁残るわけだし、新津市も新津簡裁の管内に残るわけですが、新津簡裁管内には弁護士は何人おられますか。──それは調べてもらっているよ。
○政府参考人(倉吉敬君) 申し訳ございません。
 新津簡易裁判所は一人でございます、管内には。
○江田五月君 弁護士過疎という話なんですがね、ゼロワンというのは、地裁の本庁とか支部の管轄区域内に弁護士がゼロとか一人とかということですが、しかし、地裁の本庁やら、それから支部やらの配置が住民サービスに適合するようにできているかどうかということもありますよね。だから、各全国の市町村ごとに弁護士がどういうふうにいるかという、それでは細か過ぎるということもあるかもしれませんが、簡裁の管内にどういうふうに弁護士が配置されているかというのも一つの弁護士過疎に当たって考えるべき視点ではないかという気もいたします。
 そうすると、今後、例えば町村合併とかあるいは簡易裁判所の管轄の変更によって、今のような意味でゼロワンというのを検討するとすれば、ゼロワン地域というのはだんだん数が減ってくるんですよね。それは、合併していきますから、どうしたってゼロワンの市町村というのは数は減るのはもう当然減るわけで、そうすると、これで司法過疎は大分なくなったなと、大分司法過疎も改善されたなというように言われても困ると思うんですよね。
 こういう合併や管轄の変更によって司法過疎対策というのをおろそかにするようなことがあってはいけないと思いますが、いかがですか。大臣、お答えできますか。
○国務大臣(南野知惠子君) 先生おっしゃいますように、今のような合併が起こり、そしてゼロワンの地域が本当に減少していくということがございましても、やはり我々としては、もっと国民がアクセスしやすいような形で、そういったところを配慮していかなきゃならないと思っています。
○江田五月君 これ法務大臣ね、管轄というのは確かに技術的な、大変技術的なややこしいことなんですが、でも本当はそんなにややこしくないんです。これは、要するに、国民がどこの、土地管轄とか事物管轄とかいろいろあるんで、今言っているのは土地管轄、つまり国民がどこの裁判所へ行ったら自分のこの事件については裁判所サービスというものが受けられるかというそういう話で、ところが管轄については、僕ら司法試験の勉強をするときにはもう大原則みたいなものがあって、それはもう管轄というのは被告住所地だと。まあ、それに対して、例外として、例えば不法行為が起こった土地とか、あるいは不動産の訴訟であれば不動産のあるところとか、こういうのは例外なんですよと、もう管轄は被告の住所地だと、こうなっていました。
 だけど、そう固い頭が必要ないものでして、どうやったら一番住民のサービス提供に便利がいいか、国民が要するに裁判所へ駆け込むのに、どういう区分けをしておくと一番便利がいいか。それともう一つは、そうはいっても、全国至る所に裁判所、地下鉄の駅降りればすぐ裁判所というわけにもいきませんから、それは司法サービスのリソース、資源、これが一番有効に使われるかという、その二つの兼ね合いで決めていけばいい話だと思うんですね。
 で、これはまたお願いなんですけれども、例えば情報公開法の改正のときに、情報公開法というのは行政庁が行う情報公開についての処分を裁判所で争うということですから、被告は行政庁になるんで、行政庁というのは法務大臣とかですね、法務省じゃありませんよ、法務大臣というのが行政庁なんですがね。そうすると、法務大臣はどこにいるかというと、東京にいるわけですよ。法務大臣南野知惠子という個人じゃなくて、法務大臣というものがいる場所というのは東京なんです。それでもう、だから、行政事件訴訟、行政を相手に訴訟を起こすときにはとにかく東京へみんないらっしゃいということになっていたんです。
 それを変えて、それを変えて、原告、つまり行政処分を争うその人が住んでいるところの裁判所に行けばよろしいと。ところが、住んでいるところの裁判所といったら、全部の地方裁判所、全部の地方裁判所に全部行政事件を扱える裁判官を配置するというのもこれもなかなか大変だと。そこで、原告が住んでいる土地を管轄する高等裁判所がある場所の地方裁判所へという。
 だから、理屈は余りないんですよ。余り理屈なくて、とにかくどうやるのが一番妥当かということなので、管轄についてはそのほかにも一杯あるんです、問題が。
 ついこの間も行政事件訴訟法の改正で管轄変えました。しかし、私は、今頭にすぐ来るのは沖縄の件なんですよ。沖縄は福岡までというのは大変ですよ。また、沖縄はいろんな特殊性もあります。歴史的な特殊性もあります。沖縄のその裁判管轄というものを是非もっと緩やかにしてほしいというのを我々ずっと言っているんですが、これも頭の中へちょっと置いておいてくださいというお願いですが、いかがですか。
○国務大臣(南野知惠子君) 先生のお言葉、大切にしておきたいと思っておりますけれども、国民が裁判を利用しようとする場合にはどこの裁判所に訴えを起こすことができるのかと、そのような重要な問題であるということは認識いたしておりますので、沖縄の方々の課題についてもしっかりと検討していきたいというふうに思っております。
○江田五月君 だんだん語尾が、声が小さくなっている。もっと大きな声で言ってください。
 司法ネットのことは今、先ほども吉田委員からお話がございましたが、最高裁が大きな看板立てて簡裁の場所を国民に知っていただくとかいろいろな努力は必要ですが、それでも今の総合司法支援センター、こういう、総合法律支援センターか、日本司法支援何とか法か、まあ要するに司法ネット、これはこれから本当に大切になってくると思うんですね。国民が裁判サービス、司法サービスというものを、司法サービスだけじゃありません、法律に基づいて紛争を解決する、ADRというようなこともあるでしょう。そういうものを十分活用できるように、とにかくどこかへ駆け込んだら、そこでどこへ行けばいいかすぐ分かるという、そういうものをつくろうというので司法ネットというのを今つくろうとしているわけですね。法律を去年つくりました。いよいよ来年の四月から設置を始めて、来年の秋にはこれが稼働する。したがって、来年度予算の中にはまだ準備段階ですが、再来年度の予算には相当のものを付けなきゃいけないと。
 私ども立法府でも、これはひとつ大いに頑張らなきゃということで、司法改革推進議員連盟というものをつくって、おとといも総会を行いました。また、今日は夕方から日弁連の主催で司法ネットのシンポジウムもあるというんで、私も来なさいと言われておるんですが。
 この司法ネットを本当に国民に役に立つようなものにするには相当の金が掛かる。どのくらいな予算が今頭の中に浮かんでいますか。そして、そういう予算を取るどれほどの決意を一体法務大臣はお持ちですか。すぐ数字の具体的な、細かな数字までは無理だと思いますが、ざっとイメージを、今法務大臣の頭の中にあるイメージをお話しください。
○国務大臣(南野知惠子君) ありがとうございます。
 今先生がおっしゃりましたいろいろな議連ができたりいたしております。そういう方々のお助けもおかりしながら、十八年の秋に向けてはしっかりと今度は運用、ランニングコストというものも考えていかなきゃならない、それはもう十分に覚悟いたしているところでございますが。
 ちょっと御報告させていただきますならば、日本司法支援センターが中核となって実現する総合法律支援制度というものは、法によります紛争解決に必要なこれは情報とサービスを国民に提供するものである、国民に身近で頼りがいのある司法を実現する上で極めて重要な制度であると認識しております。
 法務省といたしましては、平成十八年度に改正されます支援センターの業務を効果的かつ効率的に処理するために必要な予算の確保に努めてまいりたいということでございますので、その運用上等の問題とも併せて考えてみたいと思っておりますが、平成十七年度の政府予算におきましては、総合法律支援、これ、司法ネットの準備経費といたしまして五億三千万。その主な内訳といたしましては、支援センターの準備経費又は広報活動経費、これは司法過疎地域調査経費、それから情報提供システム開発経費等々がございます。また、民事法律扶助関係の予算といたしましては四十五億円、四十五億五百万円。さらにまた、これは裁判所の予算でございますが、国選刑事弁護関係の予算として八十五億八千万円ということを今御審議いただいている最中でございますので、それがまずは通過させていただきたい。
 その予算をいただきまして、それからランニングコストを考えますならば、これはもう江田先生のお力なくして取れないと思いますので、どうぞ皆様方のお力を、総力合わせていただきましてやっていただきたいと思っております。
○江田五月君 いや、私がというよりも、それはもう与野党本当に力を合わせて、与野党だけじゃありません、関係機関もみんな力を合わせて努力をしなきゃいけないんですが。私はやっぱりイメージとしては、今大臣おっしゃったその法律扶助、それから国選、それと今の準備経費、これ合わせて大体百三十五億、百四十億足らずですよね。二倍じゃ足りないと思うんですね。二・五倍ぐらいのものをこれ確保しなきゃいけないというイメージを持っております。お答えは要りません。
 さて、時間がもう少しありますので、入管行政について若干伺っておきます。
 先日、おとといでしたか、南野法務大臣が大変慈悲深い決定をされました。例の福岡高裁の判決、中国残留孤児とその家族が日本に帰ってきたけれども、その家族の何人かについて、これは駄目よといって送り返そうとしたら、地裁はそれでよろしいって言うんですが、高裁はそうじゃないと、日本に残してあげなさいよということで、法務大臣のその送り返すのは合理性を欠いていると、こういう判決が出て、まあ大臣もお悩みもあったと思いますが、しかしその判決は上告をしないと、今後特別在留許可を出す運びと聞いておりますが、どういう心境ですか、簡単ですが、簡単に。
○国務大臣(南野知惠子君) 簡単な心境と申しましては、やはり家族というものが一体となって本当に支え合っているということが一番ポイントであろうかと思いますが、この事案はそういうような人間関係、きずなを強められた家族の連帯であるというところが私、一番心に響いたということでございます。
○江田五月君 これもう一つ、国際人権規約とかあるいは子どもの人権条約とか、そういうものを、精神を酌んでという、これは非常に重要なことでありますが、しかしそうはいっても、原告のあの人この人ちょっと気になるなというようなこともなくはない。連れ子、実子と、ちょっとうそついてたんじゃないのというようなことがあるとか、家族といっても子供のころにどこかよその家に出されているとか、まあいろんなことがあった。あったけども、あったけども、まあしかし、まあ家族ですよという。
 それには、それにはもう一つ、やっぱり中国残留孤児だと。中国残留孤児がどういうことで生じたのか。それはやっぱり日本の国に大きな責任があるんじゃないか。その皆さんが大変な苦労をして、そしてそれでもやはり故国のことを忘れられずに、それは日本語も今は不便でしょう、日本の習慣も身に付いてないでしょう、それでもやっぱり祖国にといって帰ってくる。そういう境遇に彼ら、彼女らを置いたことについては国に大きな責任があるんだから、そして同時に、それは中国の皆さん、いろんな関係で、この人が日本に帰るんだったら何とかくっ付いて日本に行きたいというような人もあるいはいるかもしれないけど、それでも家族というものが一応あるとすれば、そこは大変お世話になった中国の皆さんへのある種の御恩返しのような気持ちもあってそういう慈悲にあふれた判断をされたんだと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(南野知惠子君) 今先生のお考えも、これも適切なことかなと思いますが、私自身満州から引き揚げてきております。今の中国残留の方々が一番多いのは黒竜江省でございます。そういう田舎に開拓団で行っておられた方は、やはり情報が行き届いていなかったのかなということが私、子供心に一番感じていたことでございます。そういう方々のことを、議員になりましてから一番最初に、これは議員立法改正したのも、サハリンまで入れながら、中国と、中国とサハリンの問題点を改正したのも、私が議員になって最初の法律の改正に手を出した分野でございます。
 そういうようなことから、やはり一番苦労しておられた方々ということもございますが、これまた中国だけよとなると、私の立場としてはこれはけしからぬことになるだろうと思います。あまねく対象者に対しては、やはり人道問題、そういったこと、また個別の案件に会いまして検討していくのが今の私の役割かなと思っております。
○江田五月君 この国会冒頭の本会議の代表質問でも私も申し上げました。私も、まあ満州じゃなかったんですが、華北から戦後引き揚げてきた。ちょっと間違うと同じような境遇だったもんですから特に思うんですが。情報の問題じゃないんですよ。情報があったって、とにかく軍が出ていって、そしてここは満州国ですと、さあいらっしゃいといって、開拓団をどんどん送り込んで、そして戦争に負けたと。北からはソ連の兵隊が入ってくる。日本の兵隊真っ先に逃げちゃったんですよね。そして、そこに言わば人身御供として置かれた格好になったのが実は残留孤児で、残留孤児じゃない、家族ですよね、皆。その皆さんが本当にもう必死の思いで故国へ帰ってくる。その途中で、いろんな不幸な、あるいは幸運だったかもしれませんよね、育ててくれる人のところへたどり着いた。こういう残留孤児だと。
 判決でも、ここへ判決理由の骨子があるけれども、本件の遠因には、遠因ですがね、日本国自身の過去の施策があり、また、それについての救済措置の遅れが結果的に控訴人らの日本国への入国を困難にしていることなどの諸事情、これが本件に特有の事情として考慮されなければならないと。もちろん、特別在留許可ですから個別の事案の判断ですが、しかし、そういう個別の事案の集積によっていろんな基準というものも出てくるし、そういう基準はやっぱりあった方がいいんで、是非、中国残留孤児というのは一つの要素だということを頭に置いていただきたいと思います。
 もう一つ。ボビー・フィッシャーという、これは先日、外交防衛委員会で私どもの榛葉委員が質問しておりまして、法務大臣、残念ながらそこはお出になっておらないのですが、しかし、事案としては御存じだと思います。
 ボビー・フィッシャーというのはアメリカ人、一九七二年でしたか、世界のチェスのチャンピオンになったと。これは大変にアメリカからすると拍手、大体今まではチェスというのはどうしても東欧に取られていたのが、アメリカ人がついにチャンピオンになったぞということで、大拍手の英雄なんですね。この人が、しかし、ユーゴスラビアへ行ってチェスの試合やって勝っちゃったと、賞金もらったと。それは、アメリカがユーゴスラビアについて経済制裁していたので、アメリカの国内法に反するということで逮捕状が出た。彼は、国外に出た以来アメリカに戻っていなかったなどなどという経過があって、しかし日本に来て、パスポート、アメリカ発給のパスポートがあってちゃんと上陸をしたんですが、その上陸の前にアメリカのパスポートが無効宣言されていたということで、今度、出国のときに入管に行ったらそのまま身柄を拘束されてしまったという事案でございます。
 この事案が、実はヨーロッパではこれ大変な注目を浴びているんです。榛葉議員の質問が、私もちょちょちょっと見たんですが、もう直ちに報道されて、AFPあるいはBBC、あるいはだあっとこう出ていて、そして一番の新しい報道だと、法務省はアメリカへ送り返すほか道はないと言いながら、アイスランドが手を差し伸べればそっちへ出ていく可能性はあるというようなことを言ったと。イフ・アイスランド・メークス・ヒム・シティズンというようなことも書いてあって、今アイスランドの出方注目されているところですが、私はこの入管法五十三条、本国又は市民権のある国に送り返すものとするという、ものとするという規定をどう思っているのか。
 これは、日本国にとってはとにかく国外に出てもらうことが関心事であって、どこに送り出すかというのは日本国として利害を持っている事柄じゃないじゃないですか。そうじゃなくて、これは送り返される人の利害の話じゃないですか。送り返される人が自分はあそこへ行きたいと言うのに、おまえはやっぱり本国でなきゃ駄目だなどとなぜ一体言うんですか。法律に書いてあることをしゃくし定規に運用するのもほどがあると思いますよ。
 私は、これは何か日本がアメリカに余りにも気兼ねをし過ぎていると。アメリカからの指示によって、あるいは要請によってそうしているんではないと言うけれども、要請がなくたって向こうの思惑ばっかりを気にするというのは要請よりもっと悪いじゃないですか。そう思われませんか、どうですか。法務大臣、何か。
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 ただいま委員御指摘の件につきましては、現在裁判中でもありますので、詳細な点は申し訳ございませんが控えさせていただきたいと思いますけれども、御指摘のございました入管法の五十三条は退去強制を受ける者についての送還先の規定でございまして、「退去強制を受ける者は、その者の国籍又は市民権の属する国に送還されるものとする。」と、こういう規定ぶりになっています。
 これは正に、記載ぶりからしますと、国籍のある国若しくは市民権の属する国に送還すべしと、こういうふうに読めるわけでございますが、これがどうしてこういう規定になったかということについて今詳細には私も承知していないわけでありますが、やはりある特定の方については、国籍のある国若しくは市民権のある国はその方を受け入れる責務があるわけでございまして、送還の場合にはやはりそういう受入れの責務のある国に送還するのが大原則という考え方からできているのだろうというふうに思っております。
 また、二項では、その……
○江田五月君 いい。
○政府参考人(三浦正晴君) よろしゅうございますか。
○江田五月君 もういい、もう時間来ましたので。
 この規定は、それは法務省の逐条解説によっても、これは送り返される者の利益のために規定しているんだとちゃんと書いてあるじゃないですか。
 法務大臣、私、この関係の人に会って、アイスランドから来られた人にも会いました。彼らは、これでもし本当にアメリカへこのまま送り返すというようなことになったら、私たちは日本を、日本が国連の常任理事国入りすることについては大いにひとつ異議を唱えるよというようなことまで言われているんですよ、別に脅しに屈することはないけれども。だけれども、やっぱりヨーロッパから見たら、日本は人権感覚あるのかと、こんな国が国連の安全保障理事国になることについてはやっぱり疑問だなというようなことを言われかねないですよ。法務大臣、法務大臣も日本は国連の常任理事国入りを目指すべきだとお考えなんだろうと思いますよ。私たちもそれはそうだと思っているんですよ。是非ひとつ、そういうことになるためには、やっぱり国際水準に従う行政しようじゃないですか。
 最後に一言お答え、覚悟だけで結構ですから、お答えください。
○国務大臣(南野知惠子君) 私もいろいろと悩んでおりますが、なるべく早い解決を見付けていきたいというふうに思っております。
○江田五月君 終わります。
○木庭健太郎君 今回の法改正は、簡易裁判所の管轄区域について利用者の利便に合致するように見直すものであって、その趣旨には賛成したいと考えております。
 すなわち、国民に身近で利用しやすい司法という観点から幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 簡易裁判所というのは国民に最も身近な裁判所でございます。特に、その役割を十分に果たすことが求められていると考えられますし、平成十六年でございますが、簡易裁判所の取り扱う事件、拡大がされました。いわゆる目的の価額が大幅に増えたわけでございまして、これによってある意味では簡易裁判所の役割が増えたのかどうか、簡易裁判所と地方裁判所の事件割合がどのように変化しているのか、まず御報告を願いたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) 昨年の四月に簡易裁判所の事物管轄が拡大されまして以降、十二月末までの九か月間の簡易裁判所の民事通常事件の事件数を見てみますと、全国総数は二十六万五千四百九十四件となっておりまして、これは昨年同期の事件数と比べますと三・八%の増加でございます。
 事物管轄が大幅に拡大されているのに比べますと事件数の増加は小幅なわけでございまして、事物管轄拡大後一年を経過していないところでもありますので、今後の事件数の推移を注意深く見守っていきたいと思っております。
 現在のこの事件数を見る限りは、今のように、簡易裁判所の事件数、あるいは地方裁判所と簡易裁判所の負担の状況というところも小幅な変化というようなところにとどまっております。
○木庭健太郎君 そういう意味では、より利用しやすいというか、国民が分かりやすい、使いやすいというためにどんな努力が簡易裁判所としてなされているのか、具体的な取組幾つかあるならば伺っておきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) 簡易裁判所は、少額軽微な事件を簡易迅速に解決するということを目的として設立されました国民に身近な裁判所でございます。
 そこで、国民の方々が簡易裁判所を利用しやすくするために、全国の簡易裁判所の受付には相談窓口を設けておりまして、各種手続案内のリーフレットや、あるいは訴状の定型書式、ひな形等を交付して、裁判所の手続内容に関する情報提供をするということをしております。それからさらに、裁判所まで足を運ばなくても裁判手続についての情報が入手できるというようにするために、ファクシミリサービスによりまして手続案内や書式の交付等を行うというようなこともやっております。
 今後も、裁判所の利用者の視点に立って、このようなサービスの更なる充実に努めていきたいというように考えております。
○木庭健太郎君 簡易裁判所が身近な存在であるためには、裁判所の配置も国民に利用しやすいということがあるんだろうと思います。
 現在、平成の大合併でございますが、先ほども御答弁あっておりましたが、一般論として、じゃ、市町村合併に伴って裁判所の管轄区域というのを見直す場合、どういう基準という、一つの全国的な基準があるのかないのか。ひとつ、今回の新津の場合はこうだという御答弁ありましたが、全国統一基準みたいな形で、何を物差しにしてやっていらっしゃるのかを御答弁お願いします。
○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) 市町村合併に伴う管轄法三条の定めと異なる管轄区域の定めの要否につきましては、管轄区域が国民の裁判を受ける権利と直接かかわる事項であるということから、裁判所へのアクセス、提供する司法サービスの質等を総合した国民の利便性を確保するという観点から裁判所の管轄区域の変更の必要性の有無を判断しておるところでございます。
 そのために、管轄区域の変更に当たりましては、地元住民の希望、人口やその動態、交通事情の変化、事件数及びその動向等を総合的に考慮しておりまして、管轄区域の変更の要否をこのような基準に基づいて検討するという体制を取っております。
○木庭健太郎君 是非、いろんな点を勘案しながらやっていくことが大事だろうと思いますが。
 今度は法務省の方にお伺いしておきますが、この平成の大合併、平成十八年の三月末まで特例措置が延長されたため、それまで全国規模のこの市町村合併が継続することになるんですけれども、それまでの間について、今回三条を改正するわけですが、更にこの管轄法というのが改正する必要があるのかないのか。
 つまり、先ほども御答弁いただいておりましたが、結局、今回三条を変えるわけですから、これによって、例えば国会閉会中ですか、にこういう問題が起きたときにどういう対処になっていくのかどうかというようなことも含めて、つまり、一つは、更なる管轄法の改正というのが必要になるのかどうかという点と、閉会中というようなことにこういう問題が発生した場合、どういうふうに対応することに、もうこの三条改正によってその必要はなくなったんだということなのかどうか、併せて御答弁をいただきたいと思います。
○政府参考人(倉吉敬君) 今回の管轄法の三条の改正によりまして、一般的に、地理的な行政区画の変更があった場合に個別の法改正を要することなく一般的に対応できる、自動的に変わるという場合が拡大したわけでございます。これに伴いまして、今後の法改正を要する場合というのは減ってくるというふうには思っておりますが、現に、現在、市町村合併進んでおります。それについても私ども情報を収集しておりますけれども、今進行している各合併協議会の合併の話の中には管轄法の改正を要するようなケースというのはないようでございます。
 ただ、そういう例外的な事態というのが常にないということは断言できないわけでして、もちろん、今委員の御指摘のような、閉会中にそういうことがあり得るということは十分覚悟はしております。事前に今情報収集をしておりますので、できるだけ、そういう事態が起こりそうだというときは、国会が開会中に何とか対処できるように十分準備したいと思いますが、万々が一これが間に合わないと、実は既に間に合わなかったじゃないかと、こう言われているわけですけれども、その場合には、行政区画の変更後、速やかに改正措置を講じて、できる限り地元の住民の方々には迷惑を掛けないようにしたいと、こういうふうに思っております。
○木庭健太郎君 例えば、あれですよね、今回の大合併の中では、長野と岐阜でしたか、四十六年ぶりですか、いわゆる県境を越えて合併が成立をするというようなことが報道されたんですけれども、例えば県越えたこんな問題が起きてきた場合ですよね、またこれ、新たな課題になるんじゃないかなというようなことがあるのかないのか。県越えたって、別に管轄の問題ですから、これは関係ないのかどうかというようなことにもなると思うんですが、こういう場合はどうなるんですかね。
○政府参考人(倉吉敬君) 今の県を越えた合併ということでございますが、実は管轄法の三条という規定は非常にうまくできておりまして、実はうまくいくということでございます。
 長野県の木曽郡の山口村ほか六つの町村が岐阜県の中津川市に編入合併されました。それで、長野県の木曽郡の山口村というところは実は木曽福島簡易裁判所の管轄区域内にあるわけですが、これが中津川簡易裁判所の管轄区域に自動的に動くということになります。これは中津川市全体が言わば行政区画が膨張する形になりますので、それに伴って三条の本文によって当然に変わるんだということで、少なくとも管轄法の上では何も問題はないということになります。
○木庭健太郎君 だから、なかなかうまくできている部分もあるなとは思いながらも、ただ、合併形態によっては本当に今おっしゃるようにいろんなケースということは起こり得ることもあるので、是非情報を収集しながら、国民に迷惑を掛けないような形のこの成り立ちというのをやっていただきたいなというようなことを思っている次第でございます。
 利用しやすい裁判所という点では、私は今回、新潟の中越地震によって、これ、今は雪で閉ざされておりますが、これ、雪解けになってしまうと、いろんないわゆる土地の境の問題であるとか法的紛争みたいなものが起こり得る可能性十分あると思っておりますし、ある意味では司法救済も受けやすいような仕組みもつくっていかなければならないんじゃないかなと思うんです。
 地震そのものについては、私たちの党も災害対策本部つくったり支援へ向けて取り組んでいるんですが、すなわち雪解け後、土地の境界とか借地借家関係など、地震による紛争の発生ということも想定もされるわけでございますから、法務省として是非こういう被災者の皆さんが裁判所の手続を使いやすいような措置を早急に講じる必要があるんではないかなと、今のうちにやっておく必要があるんではないかなと感じておるんですが、今回の地震被害によるこの法的被害、法的紛争の迅速な解決へ向けた法務省の取組について伺っておきたいと思います。
○副大臣(滝実君) 委員御指摘のとおり、大きな災害、なかんずく地震等あるいは大火災、そういうときには必ず出てまいりますのは借地借家関係ですね、あるいは境界が不明確になった、したがってその境界をめぐる民事上の法律関係の争い、これは付き物でございます。
 今委員仰せのとおり、新潟の場合にはまだ雪で埋もれていますから、余り、そういう具体的な動きはこれからだろうと思いますけれども、基本的には特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置法と、こういうような法律が現にあるわけでございますので、これを活用して、例えば法律関係について裁判所の調停を受けたいというときには調停の手数料を免除するとか、そういうようなことが既にうたわれておりますから、具体的に案件が出て対応できるようなことになっておりますので、そういうときには地域指定をしてやってまいりたいと。
 要するに、法律では著しくそういうような問題が出た地域と、こうなっておりますから、できるだけこれでもって救われるようなことを考えてまいりたいと思っておる次第でございます。
○木庭健太郎君 これは政令指定が要るんですかね、手続上。その辺をちょっと、どんなふうにされていくかという問題と手続の問題を。
○政府参考人(倉吉敬君) 御指摘のとおり、民事調停の申立て手数料を免除するというこの規定でございますが、これは政令の指定により、特定非常災害に起因する民事紛争について一定の範囲でと、こういう規定になっております。
 この政令による指定を行うかにつきましては、先ほども副大臣からもちょっと触れておられましたが、今回の地震に伴いどの地区にどの程度の民事紛争が発生したのかと、それについて調停事件というのはどれくらい起こり得るのかという、このニーズの測定といいますか検証というのは不可欠でございます。そういうことを見定めるために検討を進めておりまして、これは関係省庁等とも連携を図る必要がありますので、これを引き続き進めてまいりたいと思っているところでございます。
○木庭健太郎君 もう既に副大臣、決意を言っていただきましたんで、是非、ちょっと面倒くさいそういう部分があるようでございますので、各省庁との手続含めてリードする形でやっていただきたいと、このようにお願いをしておきたいと、こう思っております。
 そして、司法制度改革の問題、先ほども幾つか議論になりましたが、これも後ほど議論をさせていただきたいと思っておる一つの課題ですが、今日は一、二点だけちょっと聞かしていただきたいなと思っているんですけれども。
 すなわち、この司法制度改革の実現のため残された課題というのはまだまだいろんな形であると思うんでございます。ただ、昨年の十一月末にこの司法制度改革推進本部は解散をされておるわけでございまして、その後継組織としては、内閣に設置されたのは司法制度改革推進室ということになっているわけでございまして、この司法制度改革推進室、改革の実現へ向けてどのように取り組んでいらっしゃるのか、司法制度改革推進室長さんにこの際聞いておきたいと思います。
○政府参考人(本田守弘君) お答えいたします。
 今般の司法制度改革につきましては、今後、一連の改革の成果を国民が実感できるよう改革の本旨に沿った制度の実施を図ることが極めて重要でありまして、法務省を始めとする実施担当省庁がその具体的作業を進めているところでありますが、委員御指摘のように、政府が一体となって統一的にこれらの作業を進める必要があります。そのため、内閣官房に設置された司法制度改革推進室が関係省庁間の総合調整を図っているところであります。
 具体的には、国民が一定の重大刑事事件の裁判に参加する裁判員制度、それから国民に対し法による紛争の解決に必要な情報やサービスを提供するための総合法律支援、さらには裁判外紛争解決手続、いわゆるADRの拡充、活性化、さらに我が国の法令の外国語訳推進のための基盤整備などに関し、関係省庁間の連携が不可欠な事務についての総合調整を担当しているところでございます。
 これまでの取組状況といたしましては、まず法令の外国語訳につきましては、その推進の基本的方針、翻訳ルールの策定など基盤整備に向けた検討作業を、次に総合法律支援につきましては、日本司法支援センターの設立に向けまして主として相談窓口業務に関する関係機関の連携協力関係の構築を、さらにADRにつきましては、ADRの拡充・活性化関係省庁連絡会議が平成十五年四月に策定しておりますアクション・プランのフォローアップをそれぞれ行うことといたしまして、既に関係省庁連絡会議を開催いたしまして、今後、所要の検討作業を行うことといたしております。
 また、本日午後には、裁判員制度の広報啓発活動、国民の参加環境の整備、法教育など、裁判員制度の実施に向けた施策を効果的に推進するための関係省庁等連絡会議を開催いたしまして行動計画を策定するなどして、改革の本旨に従った制度の実施に向けた作業を行うこととしております。
 今後とも、これらの制度が円滑に実施されるよう、内閣官房として必要な総合調整を行ってまいりたいと思っております。
 以上です。
○木庭健太郎君 最後に、大臣にお伺いしておきます。
 つまり、推進本部がなくなって、今、室長ということで、室になったわけです。我々も、去年、おととしと、この本部の下に、山ほど法律を出していただきまして、山ほど審議させていただいて、山ほど通させていただきました。でも、実際本番はこれからだということなんですよね。役所が忙しくなるのは今からであって、正に大臣がその内閣の中で指導性を持ってやらなければ、これは法律通しても肝心の形ができ上がらないわけです。
 したがって、正にこの問題へ向けた、司法制度改革、もう形、骨格はつくらしていただきました。骨組みはつくらしていただいた。でもこれからが正に本番で、本番へ向けた大臣の決意を伺って、今日は質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(南野知惠子君) 先生方のお力をいただいて、この前の法案、本当にたくさん通していただきました。これからがそれを実行する段階に入ったというふうにも思っております。
 我が国の司法につきましては、これまで、国民のニーズにこたえるべく、司法関係において努力が重ねてこられたものと承知いたしております。我が国の現在の司法制度は、基本的には国民の信頼を得て機能してきたと認識しております。しかしながら、社会の複雑多様化、国際化等がより一層進展する中で、自由かつ公正な社会を実現していくためには、その基礎となる司法制度を新しい時代にふさわしく、国民にとって身近なものになるように改革していかなければならない、そういうことは不可欠であろうというふうに思っております。今般の司法制度改革が進めてきたことでございますので、司法制度改革の実現によりまして司法はよりその機能を高めていくものと考えております。
 今後は、一連の改革の成果を国民が実感できるよう、改革の本旨に従った制度の実施を図るべく最大限の努力をしてまいりたいと思っております。
○木庭健太郎君 終わります。
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 昨年の臨時国会の管轄法案の審議の際にも、簡裁等を舞台にした諸制度の悪用について取り上げまして、公証、公正証書の問題を質問をいたしました。
 商工ローン業者などによって、本人が知らずに、又は債務者や保証人の意思を反映をしない委任状が作られ、これにより公正証書が作られて強制執行がなされていると、このことを指摘をして、本人出頭の原則化、教示の義務化ということを求めたわけですが、その後、この問題はどのように改善をされているんでしょうか。
○政府参考人(寺田逸郎君) この問題は、公正証書の信用あるいは公証人の信用にかかわる問題でございますので、私どもも極めて深刻に受け止めているわけでございます。
 もちろん、一群の、ある特定のタイプの問題でございまして、公正証書全般にかかわるわけではございませんけれども、しかし、問題の性質からすると相当に深刻だというふうに受け止めているわけでございまして、そこで今年の二月に公証人の施行規則を改正いたしまして、代理人の嘱託により公正証書を作成する場合の事後的な本人への通知について改めて規定をいたしまして、その書式を法定いたしました。
 また、実際上これが問題になりますのは、執行証書、つまり執行受諾文言が付いているもの、公正証書でございますので、この書式中でこの執行を受諾するということはどういう意味があるのかということを一般の方々にも分かるように説明して、この通知を受け取られる債務者の方々の理解というものにプラスになるように計らったわけでございます。
 また、同時に、通達を民事局から発出いたしまして、この通知の励行を厳しく求めるとともに、具体的な事案において公証人が疑わしいと、例えば判こを、形式的には合っているけれども、実際にはどうも手書きの文言が同一人が書いたようなものがあると、そういう疑わしい具体的な事情が生ずる場合には、事案に応じまして公正証書の作成前に書面等によって債務者本人の意思を確認するように求めるということにいたしておりますし、併せまして印鑑証明を求めておりますが、その印鑑証明書の有効期間も三か月に短縮しております。
 そういう措置をとったわけでございます。
○井上哲士君 指摘をした問題で、通達等などで改善を求めておられるのは前進だと思います。
 ただ、悪徳業者の方はどんどん手口を進めているわけですね。通達の中では、例えば複写による委任状作成についても指摘をしているんですが、商工ローン大手のいわゆる旧商工ファンドですね、SFCGというのはこういう複写の方法は去年からもうやめております。問題になった社員を代理人にして公正証書を作るというのもやめておりまして、司法書士とか行政書士を代理人にして行うということもやっております。ですから、今の対策ではまだ十分とは言えませんし、日弁連も法改正も含めた改善を求めております。
 実際に問題も起こっているわけでありまして、最近この貸金業者の公正証書の作成について司法書士が処分をされたという例があると聞いておりますけれども、どういう事例でしょうか。
○政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるとおり、今までのように社員を代理人とするのではなく第三者が利用される場合があり、そのうちに司法書士がこれに関係しているという御指摘があることは私どもも承知しております。
 今お話しになられました例は、公正証書の作成の嘱託の代理人となった司法書士について、同じ事務所に所属する別の司法書士を債権者の代理人として債務者の意思を直接確認することなく債務者の代理人として大量の債務弁済契約の公正証書の作成を嘱託したということのようでございまして、その司法書士が所属する司法書士会が司法書士法の六十一条に基づきまして注意勧告をしたという報告を私ども受けております。
○井上哲士君 依頼した業者は問題になっている大手の商工ローン業者だと私どもは承知をしているんですが、この事案を見ましても、業者が司法書士を使って外面は繕っているけれども、実際は相変わらず本人の意思を反映をしない委任状の取り方をして、結局それをうのみにしたままの公正証書作成というのが、十分な審査もせずに作られたということを示しているわけですね。しかも、最近の報道でもありますように、公証役場の検閲報告書では公証人の六割に何らかのミスがあって、その中には委任状の中身と作成された公正証書が違うということも指摘もされております。
 問題は、同様の指摘が繰り返されていることなんですね。私は二十年前に出されました東京法務局作成の公正証書ハンドブックというのを見ましたけれども、このときも今回のこの検閲報告書で指摘されている事項と同じようなことが書かれているわけです。なぜこれが改善をされないのか。公正証書は確定判決と同様の効力を有するわけでありますから、ある意味、公証人はもう裁判官よりも厳格な事実認定も行わなくちゃいけないと思うんですけれども、なぜこういう事態が繰り返されているんでしょうか。
○政府参考人(寺田逸郎君) 今、公証人の六割に何らかの意味での過誤があったという御指摘をいただきまして、そのような事実が現にあるわけでございます。これは六割の公証人に何らかの意味での過誤があったということでございまして、公正証書の六割が間違っているということはございませんが、しかし、公証人の中に何らかの意味でのその過誤があったということは相当深刻に受け止めなきゃならないというふうに考えているわけでございます。
 で、私ども監督する立場でございますので、常々この公証人が任命する際、あるいは全国に公証人が一堂に会する機会、様々な機会をとらえまして、この公証人の信用というのは、基本的には正しい公正証書が、有効な公正証書が作成されると、紛争の予防に役立つということにあるのであるから、そういうミスがあってはならない。で、具体なミスの形態も御指摘申し上げて、それについての撲滅をお願いし、何らかの意味での改善というのを図っていただくように求めているわけでございます。
 しかし、今日までそれが根絶しないというのは大変残念なことでございまして、私どもとしてはなお一層の努力が必要だろうというように思っております。大半は運用上の、このレベルの方々であればきちっとやっていただけるはずのことでございますので、そういう意味での一層の励行というのが、どういうようなことでより一層効果的になるのか十分に検討してもらいたいというふうに考えております。
○井上哲士君 利息制限法に基づいたらもうほとんど残債がないとか、逆に過払いが生じているというケースでも、当初の契約どおりの違法な高金利を前提とした公正証書が作られて、それに基づいて差押えが行われるという場合もあるわけですね。中には、裁判所における特定調停によって十七条決定どおりに債務を完済したその直後に保証人に対して差押えを行ったと、こういう例もあるんです。報道などでも、最高裁は利息制限法遵守を厳しく求める判決を出したと。一部の高金利業者はこれに対して、訴訟を避け利息制限法超過金利を迅速に取り立てる事実上の脱法手段として乱用していると、こういうこともあるわけです。
 こういう問題は、やはり本人に面接して意思確認をきちんと行うということをやれば防げるわけですから、私はこの方向に更に足を踏み出すべきだと思いますけれども、この点で大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(南野知惠子君) お答えを申し上げますが、嘱託者本人の意思の確認につきましては、印鑑証明書付きの委任状による確認又は具体的な事案による個々の公証人による釈明、さらには代理人の委嘱により公正証書を作成した場合の本人に対する通知の制度を通じまして、債務者の意思に反する公正証書が作成されることがないような制度となっているものと考えております。
 公正証書の制度は国民の紛争の予防のための重要な制度であるとも考えております。したがいまして、法務省としましても、御指摘のようなことがないよう本人確認の重要性等について改めて公証人に啓発し、今後とも適正に公証事務が行われますよう厳正な指導監督に努めてまいりたいと思っております。
○井上哲士君 終わります。
○委員長(渡辺孝男君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(渡辺孝男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(渡辺孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十九分散会