第162回国会 農林水産委員会 第6号
平成十七年三月二十九日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         中川 義雄君
    理 事
                岩永 浩美君
                田中 直紀君
                羽田雄一郎君
                和田ひろ子君
    委 員
                加治屋義人君
                岸  信夫君
                小泉 昭男君
                小斉平敏文君
                常田 享詳君
                野村 哲郎君
                松山 政司君
                小川 勝也君
                小川 敏夫君
                主濱  了君
            ツルネン マルテイ君
                松下 新平君
                谷合 正明君
                福本 潤一君
                紙  智子君
   国務大臣
       農林水産大臣   島村 宜伸君
   副大臣
       農林水産副大臣  常田 享詳君
   大臣政務官
       農林水産大臣政
       務官       加治屋義人君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        高野 浩臣君
   政府参考人
       農林水産大臣官
       房長       小林 芳雄君
       農林水産省消費
       ・安全局長    中川  坦君
       農林水産省経営
       局長       須賀田菊仁君
       水産庁長官    田原 文夫君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○国の補助金等の整理及び合理化等に伴う農業近
 代化資金助成法等の一部を改正する等の法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(中川義雄君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う農業近代化資金助成法等の一部を改正する等の法律案の審査のため、本日の委員会に農林水産大臣官房長小林芳雄君、農林水産省消費・安全局長中川坦君、農林水産省経営局長須賀田菊仁君及び水産庁長官田原文夫君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(中川義雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(中川義雄君) 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う農業近代化資金助成法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○岩永浩美君 おはようございます。自由民主党の岩永浩美です。
 ただいま議題となりました農業近代化資金助成法についてお伺いをさしていただきたいと思いますが、まず、制度資金のこれまで果たしてきた役割と今後の農政上の制度資金の位置付けについてまずお伺いをしたいと思います。
 農業近代化資金等については、今までやっぱり農家の皆さん方が非常にこれを活用してやってこられました。利子補給に対して行っている補助金を廃止して税源を都道府県に今回移譲しようとする法案でございます。
 言うまでもなく、農業は天候に左右されて収益や価格が大変変動しやすいし、経営リスクが高いという性格が一面にあり、経営規模が非常に零細であるために収益性が低い。それを営みとしてやっていく上において、一般の金融機関ではどうしてもやっぱりなじまないという部分がございます。それを制度資金として公庫並びに農林水産省がその施策に当たってきていただいたわけでありますが、言うまでもなく、顧みて、農業近代化資金、昭和三十六年に制度が創立をされて、農業改良資金とともに農業分野における中心的な制度資金として国と都道府県が利子補給を行うということで今までやってまいりました。
 そこで、私はまず、制度資金はこれまで、今までの日本農業の中で果たしてきた、農家の皆さん方に対して制度資金がいろいろな面で活用をされました。その近代化資金として農家の皆さん方にどういう役割を果たしたと大臣は今お考えになっておられるのか、まずそこからお伺いをしておきたいと思います。
○国務大臣(島村宜伸君) お答えいたします。
 農業近代化資金は、昭和三十六年創設以降、今日に至るまで、農業者の経営に必要な施設資金などを円滑に融通し、経営改善を促進するための有効な手段として大きな役割を果たしてきたところであります。具体的には、トラクターとかあるいは田植機の所有台数等も大きく伸びましたし、またライスセンターなどの共同利用施設は大幅に増加をいたしまして、農業者の農業経営の改善に寄与するなど、いろいろ効果を現してまいりましたが、一通り行き渡ったという認識を実は持っているところであります。
 なお、今後とも、食料・農業・農村基本法の目指す効率的かつ安定的な経営体の育成などの農政の課題に対応する上で、農業近代化資金の役割は極めて重要であると考えておりまして、税源移譲後も国が農業近代化資金制度の運営に責任を持ち、的確な事業実施が行われるよう努めてまいりたい、そう考えておるところであります。
○岩永浩美君 それでは、政策誘導手段としての制度資金の位置付けなんですけれども、補助金と並ぶ有力な政策誘導手段であることはもう言うまでもありません。補助金については、もう既に御案内のとおりに、技術開発を除いた個人への対応ということではなくて、今、大臣からお話をいただいたように、機械とか施設整備、そういうようなものに対するものが対象であって、個人に対する支援は制度資金が今は中心に現在なっている。また、制度資金は補助金と比べて行政の介入度合いが低いという利点がございます。農林漁業者の自主性をより活かしながら政策誘導が図られるという利点、農業近代化資金など利子補給を行われる資金についても後年度まで財政負担が及ぶものの、補助金と比べて初期の財政負担が小さく、助成対象数を拡大できる点が優れた特徴とされて今までまいりました。
 そうしたことから、農業基本法は二十一条において、効率的かつ安定的な農業経営を育成し、これらの農業経営が農業生産の相当部分を担う農業構造を確立するため、農業経営基盤の強化の促進に必要な施策を講ずるものとすると規定しているし、その政策手段として、十三条において、金融上の措置を講じなければならないと今回明記してございます。
 今回、歳入、歳出両面での地方の自由度を高めると今回大臣は法案提案理由の説明の中で申し上げられました。これによって、今後、都道府県が従来の貸付金利を維持するために大変乏しい自らの財源、必要な財源を確保する必要が生じ、財政力の乏しい自治体にあっては、ややもすると利子補給を縮小又は廃止するところが現れることも考えられないのか。
 大臣に伺っておきたいんですが、国の農林水産施策を推進する上でこれは有力な政策誘導手段だと私は思っております。食料・農業・農村基本法で講じるべきと明記している金融上の措置の一つが今後地方の裁量に事実上ゆだねられてしまうという状況は、国の農業基本政策を展開する上において果たして本当にこれでいいんだろうかという心配を抱きます。少なくとも、過日来いろいろ御議論をいただいているように、食料の自給率を四五、限りなく四五に近づけていこうとする基本方針を定めてあるにもかかわらず、日本の場合に、土地利用型農業を一方において推し進めていき規模の拡大を図っていく上においては、機械の共同利用を図り、あるいは施設化を図っていくという、そういう一面を一方に持っている。その一つがやっぱり利子補給の制度、国が一括して管理するという形を取っておかなくて地方の裁量だけでやるということに甚だ私は不安な面持ちをいたしますが、大臣並びに農林水産省はその点にはどういうお考えをお持ちなのか、局長から答弁を願いたいと思う。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 先生おっしゃいますとおり、私どもこの制度資金、補助金と並ぶ有力な政策誘導手法というふうに考えております。特に、融資でございますのでコスト意識が高めることができる、そして農業者の自主性を活かした政策誘導を図ることができるということで、農政推進上、重要な役割を果たしてまいりましたし、今後とも果たしていくものというふうに考えております。特に、今後担い手の育成確保ということが課題になってまいりまして、そういう面で各種制度資金の役割というものは大変重要というふうに考えております。
 私ども、今般、農業近代化資金の利子補給補助金を税源移譲するに当たりまして、その辺のところに十分留意をいたしまして、今後とも税源移譲後もちゃんと対象事業が地方公共団体の適切な裁量というものを活かしながらも講じられると、確実に実行されるということが担保されるということを前提に移譲をしたものでございまして、引き続き国として有効な政策手段として活用をしていきたいというふうに考えているところでございます。
○岩永浩美君 これはよくずっと見ておいてもらいたいと思いますね。それとあわせて、今回の三位一体改革を経てもなお天災資金等、漁業等経営基盤強化事業などについて、国の補助が引き続き行われる制度資金もあるが、これらについて今回税源移譲を行わなかったのはなぜか、これをお聞きしたいと思う。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 私ども、今般、税源移譲をいたしました要件として三つ考えました。
 一つは、国税を財源とする補助金であって、国から見て税源移譲ということが可能であると、これは全部共通でございます。次に、その事業が地域的に偏在する、あるいは一時的な政策でない、常に行われている性格であるということ、これは事業の性格として地方に同化定着をしていると。それから、基準財政需要に参入するにふさわしい、これは地方から見ても所要の調整が可能ということでございます。さらに、税源移譲後、地方公共団体の裁量を活かしながらも確実に執行される。この三つの要件に該当するものを税源移譲の対象にしたわけでございます。
 お話の天災資金あるいは漁業の方に国際規制関連経営安定資金というのがございます。まあ性格として全国的視点から行わなければならないものというもののほかに、やはり天災資金あるいは国際協定がうまくいかなかった場合の資金ということで、常にあるものではないというような問題もございまして、こういう天災資金でございますとか国際規制関連の経営安定資金につきましては国がやはり引き続きやるのがふさわしいだろうということで税源移譲の対象にはしなかったわけでございます。
○岩永浩美君 それでは次に、去年の予算編成の時期に、今回の三位一体の改革において農林水産省の対応として制度資金に対する補助金の削減と税源移譲を決定した理由をちょっと私はお聞きしたいんですけれども。新たな基本計画に基づく農政の展開をしていこうと、担い手による規模の経営の拡大、農業者の経営改善に向けた積極的な取組を促していくという上において制度資金の重要性というのはますます私は、増えることはあっても減ることはないと私は思うんですね。
 そんな中で、最後の最後まで、農林水産省においても農業経営の改善に必要な資金は円滑に融通して望ましい農林漁業の構造を確立するために重要な施策であること、あるいは担い手の育成に当たって国が担い手に直接働き掛ける重要な支援策であり、全国的な視野に立った判断の下に実施される施策であること、財政的にも国が統一的に支援して国が責任を持って実施する必要があること、こういうことを含めて、制度資金に対する国の補助金については、随分地方団体と協議の場などにおいて廃止は困難というふうにずっと言っておられましたね。それが最後の最後になってこの税源移譲をするということになってきたその一つの背景、それは農林大臣にしてみても、一方において三位一体の改革はしなきゃいけない。
 今私が申し上げたように、担い手とか規模の拡大に向けて近代化資金の必要性は十分に認めておられる。にもかかわらず、補助金で担保することじゃなくて、交付金あるいは地方の裁量によって利子補給を地方にゆだねたという苦しいその胸中というのは大臣はあったと思うんですけれども、なぜこの制度資金にその税源移譲を加えられたのか、これをお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(島村宜伸君) 農林水産施策は、御承知のように、食料の安定供給の確保と国土と環境の保全など重要な役割を果たしておるわけでありますが、その効果は、食料の生産地や森林のある上流域のみならず、広く消費地や下流域にも及んでおるわけであります。したがいまして、農林水産施策としては、広域的な観点から国が責任を持って推進する必要がある、これが私たちの基本にありました。また、一方で、農林水産業は地域の自然条件等に左右されることから、施策の実施に当たっては地域の自主性、裁量性が発揮できる仕組みとする必要が一方にはあります。
 このため、今回の改革においては、国として必要な施策の実施を確保しつつ、地域の実情に即した施策の推進が可能となるよう、省庁間の連携強化や統合・交付金化などを行うなど、補助事業の仕組みの転換を基本としたところであります。
 なるほど、委員御指摘のとおり、この三位一体改革のいろいろ検討の過程では国と地方自治体との間に意見のそごを来した時期がありました。我々は例えば具体的にどういうことを憂慮したかといえば、今申しましたように、上流域から下流域に及ぶ中に県境があったような際に、仮に県境を越えてしまうとそれぞれの自治体が果たしてどういう担保をしてくれるのか、いわゆる責任ある行政というものをお互いに連携できるのか、むしろこれは国が言わば所管して、国がきちんと公平、公正に行政上の配慮を巡らすことの方が適当ではないのか、いろいろあったところであります。
 それらについて、我々の主張はいろいろ入れられまして、地方自治体においてもそれらについては十分連携を強化して、お互いにそれぞれに対応をするというようなことがだんだん担保されることが確認されてきましたので、我々も言わば地方分権の精神に立脚して、我々なりの譲歩を行ったというのがその審議の経過であります。
 例えば、治山の部分については国に残りましたけれども、これについても要するに山の上の方で起きた事件が川を伝わって下流域に及んで、港をどうしようもなくしてしまうというような事件がかつてはありました。こんなような問題についても、かつては言わば上流域の県はそれに対してどれほどの協力をしたのか、厳しい質疑等もあったわけでありますが、それらのいろんな事例に照らして、これからはもっと十分に連携をし、お互いがそういうことについて問題を起こさない、あるいは片方が大変な一方的な被害者にならない、こういうことについての言わば基本がそれぞれの中に確認をされた中で合意が得られたと、こういうふうに理解をしております。
○岩永浩美君 一方において地方分権の確立、これは当然分権の発言が高まっていくことは私は大変結構なことだと思うし、そうあるべきだと私自身も。ただ、やっぱり地方における財政力が非常にばらばらなんで、そのことを一番やっぱり憂慮をするんですね。
 それで、次の質問で、それぞれ都道府県に置く利子補給の財源の手当てなんですけれども、平成十七年度については、利子補給に使途が特定をされて、国の補助金は廃止はされるものの、利子補給を継続しようとする都道府県は十六年度の補助金予算に見合う財源が所得譲与税として交付されることに決まっていますね。それは基本的に現在と同じ対応を取るということができる。
 そこで確認ですけれども、十七年度において、来年度ですね、必要な融資状況の下で必要な融資枠を確保できていると考えておられるのか、それぞれ都道府県がですね。じゃ、それが確保できていると考えてよいとすれば、その根拠はどこからいいという根拠が出てくるのか、それをちょっとお示しをいただきたいと思います。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 先生御指摘のように、十七年度はこの税源移譲措置、所得譲与税を地方にということで、マクロとしての予算の計上はされているわけでございます。そして、私ども、ちゃんと都道府県が、地方が利子補給をきちんとするかという点につきましては、これはそれぞれの都道府県ごとの予算措置ということになろうかというふうに思っておりまして、実はずっとそのこと心配でございまして、各都道府県に監視をし、報告を求めてきたわけでございます。
 私どもが承知している範囲内では、四十七都道府県におきまして、私どもとして考えて、所要の融資枠の下の予算額が計上されているということでございまして、今後実行になるわけでございます。予算の計上だけではなくて、実行もきちっとしてほしいというふうに思っておりまして、それは引き続きまたモニター、実績につきましては監視をしていきたいというふうに思っております。
○岩永浩美君 これは継続の分ですか。新規の分も含めて予算を確保できていますか。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 両方入ってございます。
 近代化資金、先生も御存じのように、予算的には過去の分が相当な割合を占めるわけでございますけれども、新規につきましてもちゃんと融資枠を設定をいたしまして、しかるべき予算計上がされているということでございます。
○岩永浩美君 今後、財政が非常に逼迫して、近代化資金の借入れについて条件が厳しくなるようなことはございませんね。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 今のところは聞いてはないわけでございますけれども、十分その財政事情のしわ寄せというのが来る可能性を否定することはできないわけでございまして、その辺のところは私どもとしてきちんと予算措置がされるよう引き続き監視と指導といったものに努めていきたいというふうに考えております。
○岩永浩美君 心配するのは、そういう財政事情が逼迫したということのために、ばらまきは決して私はいいと思いません。あくまでも効率性を高めていくことは私は否定しませんし、効率性を求めて一定のやっぱり担い手あるいは地域の皆さん方が共同利用あるいはその地域振興のために近代化資金の活用を図っていくという、それがたまたま条件が厳しくなる、効率性を求めてもなおやっぱり枠がないからとか、そういうふうなことで活用ができないということになると意味がないんで、そこら辺は再度私は確認をしておきたいと思いますが。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 私どももこの税源移譲に当たりまして一番心配だった点はその点でございます。地方の財政事情次第でちゃんと措置されない場合があるのではないかということを最大の懸念事項にしておりました。
 ただ、今度、税源移譲の条件の、前提条件の一つにちゃんと確実に地方においても実施されるんだというのが入ってございます。また、地方団体というのは、地方交付税法の規定によりまして、交付税の額の算定に関して実態に合わない事情等がある場合には総務大臣に対して意見を申し出ることができる等の規定がございまして、今後必要に応じてそういうような規定に基づく意見の調整なども視野に置きながら、ちゃんと予算措置がされ、実行されるということを監視、指導をしていきたいというふうに思っております。
○岩永浩美君 委員会の場でちゃんと実行されることを担保するのは、ここで私たちは分かるんですけれども、現場ではそのことが十分にやっぱり伝わらないことがえてして多いので、そのことだけは運用の面の中で具体的にそういう指示をしておかないと、法案の中、規則、そういうことだけでは現場では理解してもらえないんですよ。総枠が何ぼだからおたくのところについてはこれだけの枠しかございませんという形で有効に活用されない近代化資金は無用の長物になってしまう。あるいは、繰越しになったり、不用残になってしまうということがえてして国の予算の中には出てくることが多いので、是非このことは注意をしておいてもらいたいと思っております。
 そこで、十七年度においては所得譲与税が交付されたので担保されました。それで、十八年以降の財源の手当てについて私は伺っておきたいと思います。
 それは、地方税改革によって地方税収の増加規模が補助金削減額と同じ三兆円と見込まれておりますね。国全体で見ると、地方の財源確保に大きな影響が生じないように見受けられます。しかし、住民の所得水準や人口規模によって自治体間の税収格差が発生することは、もう今の局長の答弁の中にもあるように、指摘されていますから、都道府県の中にはやっぱり利子補給水準を縮小するところや利子補給自体を廃止するところが現れる可能性は十分にあると思うんですよ。ないと私は言えないと思うんですね。
 十七年度の分については税源移譲の財源がちゃんとはっきり分かっていましたけれども、今後はそういうふうなことがちょっと難しくなるのではないのかなと。だから、今回新たに農林水産省ではガイドラインを定めて、都道府県の予算措置や農業近代化資金は融資状況をモニタリングをするというふうに私たちも聞いています。しかし、やっぱり財政状況は大変厳しいですから、公共事業などの投資的な経費に加えて人件費についての削減も取り組んで地方はおられますね。地方税収の落ち込みによって引き続き財源不足、本当にリストラもしておられます、合理化も努めてやっておられる。そういう中にあって、本当に補助率の縮小なんということがないのかどうかということが一点。
 それから、農林水産省がガイドラインを定めるとしているけれども、ガイドラインをどんなに定めても農林省のガイドラインであって、これは拘束力は私はないと思うんですね。その拘束力がないガイドラインに従って、都道府県の中に財政事情が切迫していると、そういうふうなことだから利子補給を廃止あるいは削減、そういうふうな自治体が現れると、そういうふうなことはもうあり得ることだと想定しなきゃ私はいけないと思う。
 仮にそうした事態が起こった場合、農林水産省はどういうふうに対応しますか。今は皆さん方は、ガイドラインを定めていますと、モニタリングもいたしますと、だから安全ですと、こう言うけれども、それぞれの都道府県の中ではそこまでは出せないよと、そういうふうに言われて廃止あるいは縮小されるということが出てきた場合にどうしますか。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 二つ御質問でございました。
 一つは、地方の財源問題でございます。十七年度は暫定措置として所得譲与税の移譲があったと、来年以降の問題でございます。
 私ども、この種々の閣議決定、政府・与党合意等において明らかにされております十八年度以降は個人住民税所得割の税率をフラット化することを基本として、要は国、地方を通ずる個人所得課税の在り方を見直すと、さらに、法人事業税の分割基準を見直してその税収帰属の適正化を図ると、こういう方針が定められておりまして、これを中心に税源移譲措置を講じていただくことによって何とか手当てができるんではないかというふうに考えております。
 次に、農林省がガイドラインを示すと、制度運営に関する基準、基本指針になるガイドラインを示して、ちゃんと貸付利率だとかそういうものが守られるようにすると、それを財源難ということを理由にして守らなかったときどうするかというお話でございまして、私ども、担い手の育成というのが国、地方を通ずる農政上の最大の課題であるということを地方にも御理解をいただきまして、仮にガイドラインが守られてないというような場合には、その融資に支障が生じている具体的事案を示しながら、都道府県に対して文書によって要請をしていきたいと。
 強制力は確かにないわけでございます。ただ、地方も公共団体でございますので、国からのそういう要請についてはちゃんと受け止めていただけるというふうに私ども確信をしております。
○岩永浩美君 それでは、現状の中における近代化資金の利子補給、その利子補給を四十七都道府県の中で全部一律に利子補給していますか、私は都道府県によっては利子補給の補助率が違うと思いますけれども。末端の農家の人に対する支援策。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 私ども、現在までのところ、基準になる金利、それから末端の金利がありまして、その差額を都道府県が利子補給する場合半分を助成すると、こういう予算措置を講じてきたわけでございます。
 私どもが聞いておりますのは、深掘りを、上乗せをしている自治体がある、こういう例は聞いたことございますけれども、その利子補給、国が定めているその幅を縮めている例というのは聞いたことがないわけでございます。
○岩永浩美君 質問をちょっと訂正させてもらいます。
 上乗せをしている部分、それぞれの都道府県で上乗せをしている部分です、縮小じゃなくて。上乗せをしている部分は、四十七都道府県の中で上乗せをしているところがあるでしょう。
○政府参考人(須賀田菊仁君) ございます。ちょっと今手元に資料はないわけでございますけれども、末端、例えば一・六%を更に下げているというところはございます。
○岩永浩美君 くどく言うようだけれども、現在まで国の補助金として近代化資金制度の中における一つの制度があって、そこに上乗せをしている都道府県、そのことを前提にして今までずっとやっぱり近代化資金を借りておられる皆さん方がおられるわけですね。今度は、財政事情が悪くなってきたから上乗せ部分は廃止しますよということになったりゼロになったりということは今後あり得るんじゃないのかと、ゼロになるともう本当に近代化資金の活用もできなくなりますよと。だから、私はそういうふうなことが出てくるということになると、一般財源化し、交付金化したことによって農家の負担増に結果的につながっていくことにつながりはしないのかという心配をしているんで、だからそこをどういうふうな形でクリアしますかと。
 それが私が言う、ガイドラインをした、モニタリングをやりますという、ガイドラインとモニタリングをどんなにしても、今の局長の御答弁は、それぞれの地方公共団体ですからそんなに勝手なことはいたしませんよと、こうおっしゃる気持ちは分かる。しかし、現状のままであっても、既にその分だけの上乗せ部分をして、優遇策を取って担い手の育成に供してきた部分というのがあるんです。
 今回、それが地方に移ることによってそういうことができなくなってしまったのでは、農家の皆さん方の収益性から考えて、これ以上の近代化資金の活用ができなくなるという心配が出てこないのかという危惧をしているんです。それはどうですか。
○政府参考人(須賀田菊仁君) おっしゃるように、農業近代化資金、地方独自で地方の実情に即して上乗せをされて地域の農業振興を図っておられるという例はこれまでもありました。そして、今後、税源移譲をして全体が都道府県に裁量に任された場合、財源が苦しくなってその上乗せ措置が削られることはないか、ひいてそれが、これまでの農家の、何というんですか、受益が多少後退するということがないかというお話でございまして、私どもも、そう尋ねられますと、大変困っているといいますか、確かにそういうことも今後のことを考えるとあるかなということも否定できないわけでございます。
 ただ、これまで上乗せ措置というのは、地方がその地方の独自の産地を形成したいということでやってこられたわけでございますので、その辺のところは、これからちょっと地方ともよく話しながら、できるだけこれまで築いてこられた措置を後退させないように、私どもこれについても強制する手法がないわけでございますので、よく話し合っていきたいというふうに思っております。
○岩永浩美君 今後の農業の一つ振興策として、産地ブランド化を図っていくということが一番大切なこと、それに伴って上乗せ部分があるということが農業振興の意欲をわかせていくということにつながっていくと思うんですね。今危惧されているような部分がないようにやっぱり担保しなければいけないと私は思っているんです。
 そこで、最後に大臣に御質問をさせていただいて結びとしたいと思いますけれども、今局長と議論をさせていただきました。そういう利子補給財源を都道府県に移譲して、やっぱり農業者が資金を借りる機会が、今申し上げたような一つの形の中で、上乗せ部分がなくなったり、あるいは税源が移譲されることによって利子補給部分が削減をされたりというようなことで、やっぱり農家の皆さん方が資金を借りる機会が少なくなるというようなことがないのかどうか、今後もしっかりやっぱり農業近代化資金を活用することによって地域振興あるいは地域の農業振興に供していくという、そのための近代化資金でなければいけないと思うんですが、今の議論の中から大臣はどういう所信をお持ちになったのか、お尋ねをして、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(島村宜伸君) お答え申し上げます。
 農業近代化資金につきましては、補助金廃止による税源移譲後も資金制度そのものは存続することとしております。
 新しい食料・農業・農村基本計画に基づきまして、意欲と能力のある担い手農業者の経営改善を支援するためには政策手段の一つとして農業制度金融が必要不可欠であると、この認識を持っているところでございます。その意味で、今後とも、農業近代化資金あるいは農林公庫資金などの農業制度資金を適切に機能させ、担い手農業者に対する資金の円滑な供給が図られるよう努めてまいりたいと、こう考えております。
○松下新平君 民主党・新緑風会の松下新平です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回議題の農業近代化資金助成法改正案について質問いたすわけですけれども、その前に、最近の諸課題について二、三お伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
   〔委員長退席、理事岩永浩美君着席〕
 まず、BSE、米国産牛肉輸入再開の問題についてですけれども、衆参予算委員会でもう度々取り上げられております。その後の状況あるいは今後の対応についてお伺いしたいと思っております。
 過日、ライス国務長官が来日されまして町村外相との会談がセットされました。その際、ライス長官は、米国産牛肉は安全であると信じている、米国は本件に関する国際基準を満たしていると述べられたとされています。しかし、米国内の基準はトレーサビリティーなどの面からも不十分でありますし、米国の月齢判別方法は肉質による判別方法であって、昨年十月に日米間で合意された二十か月齢以下の牛由来の牛肉の判別法であるA40という規格は米国内の牛肉流通のために作られた規格であるとも聞きます。また、彼らの言う国際基準とは、三十か月齢以下由来の牛肉を輸入するということでありますし、これで輸入再開した場合は本当に国民の安全を守ることができるのか、非常に危機感を覚えております。
 ライス長官の言う国際基準での解決とは、SPS協定やOIEの基準があると思います。多くの国はOIE基準よりも少し厳しい検疫措置を予防的な意味から採用していると言われております。我が国も独自の厳しい基準を措置するとして採用することは、食の安全上、国際的にも何ら問題はないと思われます。
 そこで、米国が我が国をWTOの定める国際基準よりも厳しい措置を講じていることを理由にWTOに提訴した場合に、科学的な措置をとっている我が国は逆にWTOに提訴すべきではないかと考えます。穏やかではありませんが、それぐらいの腹積もりが必要だと思っておりますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(中川坦君) 動物検疫措置の適用についてのお尋ねでございます。
 今、先生がおっしゃいましたように、WTOのSPS協定におきましてルールが定められておりますけれども、こういった国際基準がある場合には、原則としてそれに基づいて措置を講ずるというのが一般的なルールでございます。
 ただ、このSPS協定では、科学的に正当な理由がある場合には、OIE等の国際基準を超えて、言わば上回る厳しい検疫措置をとることができるというふうにされております。現に、各国の状況を見ますと、BSEに関しましては多くの国が予防的にOIE基準よりも厳しい検疫措置をとっているというのが実態でございます。
 そこで、仮に米国が我が国の輸入停止措置につきましてWTOに提訴をする、そういったことが仮に起こったとしましたその場合には、WTOのルール、先ほど言いましたように、科学的に正当な理由があればそういう措置はとれますので、日本の措置の科学的根拠についてきちっと主張し、米国の主張に反論していくというのが私どもの基本的な立場でございます。
○松下新平君 じゃ、さらに、我が国が輸入を停止しているということで、米国内では議会を中心に経済制裁をすべしという意見が台頭しているようですけれども、輸入を停止していることが国際協定、例えばWTOの法定違反になることがあるのでしょうか。もし我が国に非がないのであれば、経済制裁をされたというところで堂々とWTO等国際交渉の場で争えばよいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(中川坦君) 牛肉の輸入の禁止をしているというその状態について適切な理由があれば、そのこと自身は今申し上げましたように直ちにWTOのルールに違反をするということではないというふうに思います。
 それから、制裁云々という話がございましたけれども、これは基本的には、まずは、一国が単独でそういった措置をとるというのではなくて、二国間で、二十三条協議ということだったと思いますが、そういった形で協議をし、その協議が調わない場合には改めてWTOの方に提訴をするというのが今の協定上の定められた手続でございますから、そういった手続を取ることなく一方的な措置をとるというのは、国際的なルールにも照らしても疑義のあるところだというふうに思います。
○松下新平君 昨日、BSE国内対策の見直しを審議されております食品安全委員会プリオン専門調査会が開かれました。全頭検査から二十か月齢以下の牛を対象から外すという緩和策について、BSE感染のリスク変化は非常に低いレベルの増加にとどまるとの答申案を取りまとめたと報道されております。これは農林水産省と厚生労働省が諮問したものに対する答申であります。今後は、食品安全委員会で輸入再開の条件などについて改めて諮問し、審議されることになります。
 先日、OIEがBSEの安全基準について、特定危険部位を除去した骨なし牛肉などを検査なしの無条件で輸出入を認める安全品目に加えるとする技術改定案を総会に提出するとの報道がありました。これに対して島村大臣はよく言っていただきました。なぜここまで踏み込んだ考え方が出てくるのかいささか首をかしげると記者会見で発言をされていらっしゃいます。
 二月の日米の専門家会合で輸入条件を肉質判別法でもよいとしたのは、米国の強い要求を受けて譲歩したものであると言われております。我が国は、その判別法の精度を検証するためのデータを輸入開始前から輸入再開後まで求めているものに対し、米国は輸入を先行し、精度を確認しながら本格導入することを考えていたようであります。これについて、最近の報道では、米国は、輸入再開前だけではなくて、再開後の検証も含めてデータを提供することには応じられないと拒否する方向だと伝えられております。
 そこで、このようなOIE基準の動き、肉質判別法の精度検証に対する米国の非協力的な姿勢など、牛肉の輸入に関する動きが安全性に対して疑念を抱かせる方向に展開しつつあります。そうした状況を踏まえた上で、島村大臣は食品安全委員会に牛肉の輸入条件に関してどのように諮問をするおつもりなのでしょうか。さらに、当然、特定危険部位の除去が適正にされているのか、肉骨粉などえさによる交差汚染がないのか、肉質判別法の是非まで含めて厳正に審議を求めるという諮問内容であるべきだと考えますが、こうした内容を今回の諮問に盛り込むことは考えていらっしゃるのでしょうか、お願いします。
○政府参考人(中川坦君) まず、手続のことについて私の方から御説明申し上げます。
 国内措置については、先生御案内のように、今、プリオン専門調査会での議論が収れんをしたということでございますが、食品安全委員会の方では、この後パブリックコメントに付して、その後で正式の答申がなされるものというふうに思っております。
 国内措置についての正式の答申をいただいた後に、今度は外国からの、アメリカからの牛肉の輸入条件について、改めてその条件を消費者の方やあるいは関係者の方々との意見交換に付した上で、そして食品安全委員会の方に諮問をしたいというふうに思っております。その際の、諮問の、具体的なことはこれから詰めるということでございますけれども、基本的な考え方は、外国から入ってくる牛肉の安全性について食品安全委員会で審議をしていただく、そういう趣旨からの諮問をしたいというふうに思っております。
○国務大臣(島村宜伸君) 今、中川局長から御説明したとおりでございまして、具体的な諮問内容につきましては、現在食品安全委員会で最終的な審議が行われている国内措置見直しの答申を受けてから消費者等との意見交換を行い、その結果を踏まえて検討すると、こういうことでございますので、したがって、現段階で具体的な諮問内容が決定されたという事実はございません。
 その検討に当たっては、あくまで、従前から申し上げているように、科学的知見に基づき、食の安全、そして安心の確保を大前提に対処してまいりたいと、こう考えておるところであります。
○松下新平君 テレビでも特番を組まれて、ずっと放映されておりまして、国民の関心も高いと。アンケートはやはり慎重な意見が強いようでありますので、今後も引き続き対応の方をきちっとしていただきたいと思っております。
 次に参ります。
 FAO、国連食糧農業機関の報告書、マグロの乱獲についてお伺いいたします。
 先日の新聞報道で、FAOがまとめた報告書に関する記事がございました。その内容は、世界の主要漁場における正確な漁獲量データが得られる約百四十余りの漁業対象資源を海域と種類ごとに評価したもので、ミナミマグロなど二四%は乱獲で量が減っております。漁獲規制を進め、資源の回復を図る必要があるとされております。
 そこで、この報告書でこのような評価がされたことについて、農林水産省としての見解をお伺いいたします。
○政府参考人(田原文夫君) お答え申し上げます。
 先生が御指摘になられましたのは、FAOが出しております世界の漁業と養殖業の現状の二〇〇四年版ということでございまして、この資料によりますと、二〇〇三年の時点ということになりますけれども、マグロ類全体で約四割が過剰漁獲ないしは枯渇状態にあるというふうな指摘がされております。
 この状況の背景ということでございますけれども、基本的に高度回遊魚種でありますマグロ類につきましては、例えば大西洋でございますとICCATですとか、太平洋の東部ですとIATTCですとか、いろんなマグロの国際漁業管理委員会がございます。こういったところで国際的な資源管理の枠組みというのがあるわけですが、この枠組みを逃れて、いわゆるIUU漁業、すなわち違法かつ無報告・無規制の漁業、こういったことが行われているということが基本的に問題、こうした資源枯渇状態をもたらしているんではないかというのが私どもの基本的な認識でございまして、我々といたしましては、こうしたIUU漁業の絶滅といいますか根絶といいますか、そうしたことを目指しまして、資源の持続的に利用していく上での状況の改善を図っていく必要があると、かように考えている次第でございます。
○松下新平君 私としましては、二〇〇二年の環境開発サミット行動計画での、二〇一五年までに漁業資源を回復させるという目標の達成の必要性はもちろんですけれども、世界最大のマグロの消費国である我が国は、消費者、漁業者ともに考えなければならない重要な問題であります。持続可能な水産資源の確保、回復は、我が国としても他国に率先して取り組むべき命題だと考えております。
 そこで、農林水産大臣、この問題に今後どのように取り組まれていかれるのか、お伺いいたします。
○国務大臣(島村宜伸君) マグロは広く海洋を回遊するために、関係国が、大西洋とかインド洋とか海域ごとに設けられている言わば国際機関である地域漁業管理機関を通じてその資源を管理しておるのが現状であります。
 農林水産省といたしましては、これらの国際機関を通じて、関係国と協力しながら、資源状況に見合った漁獲量の設定や正規操業船の登録などの措置を講じ、マグロ資源の適切な保存管理を推進し、その言わば持続的な利用を図ってまいりたいと考えているところです。
 最近の漁業全般に言えることですが、やはり、ただ取るのではなくて、つくり育てるというのを基本に置きまして、先般、私どもの言わば調査によりましても、近畿大学で大変有力な養殖の言わば技術が開発されたように伺っておりまして、常田副大臣は現地へ赴いていろんな調査されたようですが、将来に向かっては大変内容のいい有望なものだというように報告を受けたところであります。
 しかしながら、マグロの資源の現状を考えますと、乱獲の結果と言えるんでしょうか、極めて資源が減少し、言わば枯渇と言っても決して言い過ぎでない、そういう状況すら予測できると、こういうことでありますから、正にこれからの管理を徹底して、正に最大の需要国である日本の国の責任を果たす、これが我々の考え方でございます。
○松下新平君 引き続きよろしくお願いいたします。
 次に、各市町村にございます農業委員会についてちょっとお伺いしたいと思っております。
 新基本計画の中心課題ともなっております担い手育成と農地の利用集積、耕作放棄地の解消などの業務は農業委員会が担うものとされております。しかし、農業委員会については、現場でいろいろお伺いしますと、その力量が弱いと指摘する声もございます。本来の力をきちんと行使できれば担い手育成、農地利用集積はもっと進むはずだということです。
 そこでまず、農業委員会の役割についてどのように認識されているのか、お伺いいたします。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 農業委員会、各市町村の行政委員会でございます。農地の一元的な管理主体、農地は農家の代表によって管理する、こういう基本的な考え方に基づきまして、担い手に対する農地の利用集積といったことを中心として、担い手の育成確保等について重要な役割を果たしていただくということになっているわけでございます。昨年も法律改正を行いまして、その業務をこの構造政策の推進という関係に重点化をして、ちゃんと役割を果たしていただきたいというふうにしたわけでございます。
 先生もおっしゃるように、確かに、私ども聞いておりますと、活発なところ、あるいはそうではないところあるようでございます。今般の基本計画におきましても、担い手への利用集積でございますとか、耕作放棄地の解消でございますとか、優良農地の確保でございますとか、いろいろな役割を担っていただくということにしておりまして、やはりこういう構造政策を進めていくというためには、待ちの姿勢ではなくて、やはり積極的に農業委員会がリードしていく。農業委員会だけで行けないところは、ほかの農業団体、例えば農協だとか、他の行政機関、例えば普及でございますとか、そういうところと一体となって構造政策に向けた活発な活動をお願いをしたいというふうに思っております。
○松下新平君 そのとおりだと思います。
 農業委員会の本来の役割を果たすためには一定の財政的な裏付けが必要であります。しかし、今回の三位一体改革で農業委員会交付金が補助金廃止及び税源移譲の対象となりました。税源移譲をするとしても、財政基盤の弱い中山間地域の市町村では、農業委員会の活動、必要な財源が確保できない可能性があるのではないかと心配の声も聞きます。
 そこで、農業委員会の活動に支障が生じるのではないか、また、あるとしたら、それを防ぐためにはどのような対応を取られるつもりか、お伺いいたします。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 今般の三位一体改革で税源移譲をいたしました各種事業、その前提といたしましては、やはり税源移譲をしても今後確実に執行されるということが担保されるということを前提としているわけでございます。農業委員会について考えますと、その事業経費は基準財政需要額に算入をされておりますし、長い間にわたりまして自治体の業務として定着しているという事情がございます。
 私どもとしては、農業委員会の業務は引き続き法律で必置ということでございまして、制度的には業務継続が担保されるようにしている。そして、税源移譲はいたしましたけれども一部にとどめまして、国として最低限必要な額については留保をしておるということでございまして、今後、こういうこと、そして適切な指導を通じて農業委員会がその業務を確実に実施をしていただける担保があるというふうに考えております。
 私ども、今後とも農業委員会の業務の実施状況を的確にモニターをいたしまして、必要に応じまして指導、助言といったものをしていきたいというふうに思っております。
○松下新平君 よろしくお願いいたします。
 市町村合併が進展して、また、政府の行政改革議論から、農業委員会の設置数は年々減少してきております。昭和二十六年に全国で一万一千を超えていたものが平成十四年には三千と減少しております。それと同時に、農業委員数も昭和六十三年に六万二千人だったものが平成十四年には五万八千名と減少しております。農業委員一人当たりの守備範囲は年々増加しているということになります。
 そこで、このような現状の中で、新たな基本計画が農地の利用集積と担い手育成を大きな目標に掲げている一方で、この末端の行政機関である農業委員会が本来の機能、役割を発揮するには厳しい状況であると思われております。新たな基本計画の策定という節目に、今後、農業委員会について、農地政策上あるいは担い手政策上どのように位置付けておられるのか、お伺いいたします。
○国務大臣(島村宜伸君) 農業委員会につきましては、農地を担い手へ利用集積するなど構造改革を進める上で、農村において極めて重要な役割を担っていると、こういう認識をいたしております。
   〔理事岩永浩美君退席、委員長着席〕
 このため、新しい基本計画におきましては、農業委員会の役割として、一、担い手に対して集団化、団地化した形で農地の利用集積を促進すること、二、耕作放棄地所有者などへ指導を強化し、耕作放棄地の発生防止、解消を図ること、第三に、不法投棄などの違反転用事案について、都道府県と連携して迅速な対応を図ることなどを位置付けたところであります。
 なお、食料・農業・農村に関する団体の一つとして農業委員会の系統組織についても、諸制度の在り方の見直しと併せて、効率的な再編整備や体制の見直しを行うことについて基本計画に定めたところであります。
○松下新平君 引き続きよろしくお願いいたします。
 本題の農業近代化資金助成法改正案についてお伺いいたします。
 まず、三位一体改革と総合交付金についてであります。先週閣議決定されました新しい食料・農業・農村基本計画では、その基本的視点の中で、「農業者や地域の主体性と創意工夫の発揮の促進」として、民間にできることは民間に、地方にできることは地方にとの考え方に基づき、規制改革や三位一体改革、市町村合併の動き、地域再生の取組の動向等も踏まえながら、民と官、地方と国の役割分担を明確にすると記述されています。これを見る限りでは、ある程度は地方の主体性に任せながら、国の役割はきちんと残すとも読めます。
 農林水産省は、今年度予算からこれまでの百七十五事業を七つの交付金に統合して、地方の自由度を高め、裁量に任せるとされていますが、実際にそうなるのでしょうか。これまでの補助金行政では各補助金メニューごとに採択条件、基準や用途などの細かい事業要件がありましたが、今回の交付金化での事業採択ではこれまでのような事業要件はどのようになるのでしょうか、お伺いいたします。
○政府参考人(小林芳雄君) 非公共事業の交付金化の関係でございます。
 今も先生御指摘ございましたように、国全体としての一つの政策目標、これをきちんと進めながら、やはり農政は現場の裁量といいますか、いろいろなやっぱり地域の特性を活かしていくと、このための補助制度の仕組みとして何がいいかという、そういう観点で整理したものでございまして、今のお尋ねの具体的な要件がどうなるかということについて申し上げますと、これまでの補助事業について見ますれば、やはり事業の重点化、効率化ということはこれ必要でございまして、非常に基本的な要件がございます。例えて言えば、受益面積が一定規模という形で一つのくくりにしていくとか、それから認定農業者の増加、こういうものも求めていくとか、こういったような基本的な要件につきましては今後ともいろんな交付金の中でも一つの方向として位置付けていきたいということがございますが、一方で、これまでの補助事業の実施に当たっての問題点は、特に採択時に個々の施設の設置の位置ですとか構造ですとか、こういった細かい細目を、非常に事業の具体的な内容まで含めて国が事前審査を行っていたということでございまして、これはなかなか先ほどのような趣旨からいってちょっと今後直すべきじゃないかということがポイントでございます。
 したがいまして、特に今回の交付金化では、言わばその入口重視という形からこれからは出口重視の考え方でいこうと、言わば事後評価を重視するということにしておりまして、その意味で、採択時にはこれまでのような事業内容の細部までの審査を行わずに、むしろ事後評価という形でその政策目標の達成を図っていくというところが大きな点でございまして、この点で地方における自由度が大幅に拡大するものというふうに期待しているところでございます。
○松下新平君 これら七つの交付金はそれぞれの補助金を統合したものであると思います。交付金化によって地方の自由度を高めているとされております。しかし、交付金の交付手続には、今後定めるということですが、交付金化するということは、地方がその実情に応じた使い方ができるように、ひも付きではない、いわゆるひも付きではないお金として、裁量性、自由度の向上です。その交付金の手続の中でどの程度地方の実情に合った自由な裁量が活かせるものなのかということが重要です。
 そこで、新しい七つの交付金の交付手続策定に関する考え方、方針についてお伺いいたします。
○政府参考人(小林芳雄君) 手続の関係についてまた少し具体的に御説明申し上げますが、まず各都道府県におきましてその管内の市町村でありますとか関係団体、皆さんの意向を踏まえて、どういう目的でどういう取組をするのか、そういうような正に成果目標含めて事業計画を作ってもらうわけですが、これは交付金ごとでございます、交付金ごとに都道府県一本の計画を作ってもらって私どもの方に提出していただくと。私どもそれを受けまして、その計画の中身を精査いたしますが、まずその成果目標、これが国として目指す政策方向に合致しているかどうか、また計画の概要がその成果目標達成にふさわしい内容かどうかということを中心に審査をしていきたいと思っております。
 したがいまして、これまでのやっぱり補助事業の手続と比べますと、統合によりまして都道府県から国に対して提出する計画数が、今までは端的に言えば百七十五ぐらい必要だったんですが、これが七つになるということで、この面の事務的な、何といいますか、簡素化が非常に大きいということでございますし、それから国の方、私どもの審査もその事細かな内容の審査ではなくて、目標が適正かどうかという成果目標ということにありますので、そういう意味での地方にとっての裁量、事務の簡素化というものは大きいと思っております。
 また、交付申請の回数なんかにつきましても、基本的にはこれまでの補助金と同様に、病害虫とか災害対策は別ですけれども、一般的な交付金の場合には原則として年度当初に一回ということでございますが、交付金化に伴いまして、その年度途中でいろいろな変更事由が生じた際ですが、これにつきましても基本的に地方の自由裁量でやっていただくということになりますので、この面でもこれまでと比べて大幅に地方の裁量の拡大に役立っていくんじゃないかというふうに期待しているところでございます。
○松下新平君 市町村の現場からは、多数の事業を束ねた交付金であるために交付申請手続の方法、交付時期に関して複雑になるのではないか、不安の声が聞かれております。
 例えば、キュウリの選果機械を導入したいと考える市町村があったときに、強い農業づくり交付金の申請を行おうと都道府県に上げても、その段階ではほかの複数のメニューと併せて申請する場合もあるため、交付決定までに時間が掛かる、その交付時期がキュウリの最盛期に間に合わないのではないかという具体的な不安の声を地元で聞いております。これに対して当方で問い合わせました。担当課からは、農林水産省に申請が上がってきたら決定までは早いと回答がありました。しかし、農林水産省に上げるのは都道府県でありますし、その各都道府県ごとに取りまとめの時期、申請時期にもばらつきがあるようであります。すべての交付対象事業が出そろうまで申請しないなどの県もあると聞きますし、こうした場合、時期がずれ込んで対象作物の最盛期に間に合わないということも出てくるのではないかと心配の声も聞きます。
 そこで、各都道府県に対しては地方農政局から交付金の説明を行っているということですけれども、現実に都道府県ごとに対応にばらつきがあります、先ほど申し上げたように。どのように申請するかは都道府県の判断であるとしても、各都道府県も初めてのことであります。不案内なところもあるのではないでしょうか。生産者の不安を取り除くためにも十分な周知徹底が必要であると考えております。どのように対応されるのでしょうか。
○国務大臣(島村宜伸君) 今回の交付金化につきましては、三位一体の議論の中で、言わば当省の主張として、様々な機会をとらえて、そのねらい、趣旨について、都道府県、市町村の方々に御説明をしてきたところであります。
 また、具体的な事務手続についても、これまでと大きく変わることになることから、都道府県の担当者などに対し、情報提供あるいは意見交換を行ってきたところであります。例えて申し上げるならば、強い農業づくり交付金では、一月中旬また二月中旬に、農政局担当者会議を開催した上で、農政局担当者から都道府県担当者に御説明をいたしたところであります。
 いずれにせよ、今回の補助金改革については、いかに現場の声を活かし地方の裁量性を高めていくかが最大の課題でありますので、今後の施行に当たっても、より良い運用に努めてまいりたいと考えております。
○松下新平君 今までの議論を踏まえまして、農業近代化資金助成法改正案についてお伺いいたします。
 先ほど岩永委員の方から質問がございまして、重複はなるべく避けたいと思っております。果たしてきた役割については大臣が答弁いただきました、様々な誘導策として重要な役割をそして一定の評価をされていると。私も同じであります。
 さて、島村大臣は、補助金の廃止と税源移譲に関する地方六団体の提案に対して当初は否定的な考えをされていらっしゃいました。昨年十月に農林水産省が示した代替案には補助金の廃止と税源移譲は盛り込まれていませんでした。特に大臣は、昨年十月の当委員会での私の質問に対して、農林水産行政の大目的である食料自給率の向上やあるいは国土環境の保全は、都道府県や市町村の領域を超える国の基本的な責務であり、国が責任を持って施策の実施を確保する必要があると答弁されています。その上で、農林水産関係の施策については、総じて財政力が弱い、そして農山漁村で行われている農林水産地域の推進に支障が生じることがないことを前提に我々はこれからの行政を進める必要がある、したがって、地方六団体の提案に沿って農林水産関係の補助金の廃止、税源移譲を行うということは言うべくしてなかなか困難であるともお答えになっています。
 また、農林水産省は、昨年十月の地方案への見解の中で、農林漁業金融関係補助金について、農林漁業の担い手の育成を図るため、国が担い手に直接働き掛ける重要な支援策で、全国的な視野に立って実施しているので、財政的にも国が統一的に支援し、国が責任を持って実施する必要があるとしていますし、その上で、仮に一般財源化しても、過年度貸付けに係る利子補給に要する義務的な経費が大部分で、地方の自由度は高まらないとまで書いています。
 そこで、このように農林水産大臣以下、一般財源化について否定的な発言をされていましたが、国と地方の調整を行って三位一体改革に政府として一体として取り組むとして、昨年十一月に全体像がまとめられました。その中で、農林水産省としては、今回の法改正につながる融資関係の五十億円を含む二百五十億円の税源移譲につながる改革が示されたのです。
 なぜ、これほどまでに補助金改革、税源移譲に突っ張っていた農林水産省が二百五十億円の補助金廃止、税源移譲を受け入れたのか、またそれを農林漁業金融関係補助金の五十億円を含むとした合理的な理由をお答えください。
○政府参考人(小林芳雄君) ちょっと昨年の経過がございますので、私の方から御説明申し上げたいと思います。
 私ども、今回の三位一体改革に当たりましては、今、先生御指摘のように、正に国の立場で食料の安定供給ですとかそれから多面的機能、これどうやって活かしていくかと。そのためには、やはり国の一定の考え方の下で各地方が、例えばいろんなばらつきがあっても、それを全体として国の政策に沿った形のものをやっていかなくちゃいかぬということで、その基本はずっと貫徹したと思っております。これは大臣の正に指示の基本でございました。
 それで、例えて言いますと、いろいろな三千億を超える地方の提案がございまして、治山事業でございますとか、これはもう正に上流下流の関係でやっぱり国が国の立場でやっていくということでございます。それからあとは、農道整備とか圃場整備でございましたけれども、農道整備なんかは、これはむしろ連携事業という形で地方の裁量も活かしていくと。それから先ほどの非公の交付金という形で整理したわけですが、そういった中でのだんだん議論が進んでいきますと、そうはいっても、国のそういった監視なり責任は果たしつつ、地方の方でも定型的な業務とかあるいは地財措置がちゃんと対応できると、そういうところは今、私ども、大臣が申し上げたそういう方針とも沿ってやれるわけで、そういうところは税源移譲を考えてはどうかと。
 具体的な条件としましては、一つは、対象事業が地域的に著しく偏在するとか、一時的な政策に基づくとか、言わば事業の性格として同化定着している、財政的には基準財政需要に参入できると、地方としてちゃんとやってもらえるという、そういった面ですね。これは私どもずっと、地方の財政力格差がありますから、国が単純に手放しただけでは地方が事業ができませんと、そういう懸念を払拭できる、そういった要件です。
 それからもう一つは、例えば税源移譲後、対象事業が地方公共団体の適切な裁量を活かしながら確実に執行される担保があると。これは経営局長が答弁しますが、例えば、法律、近代化資金助成法があって、それを基に県がやってもらえると。そういった要件を満たすものについては、これは繰り返しになりますけれども、国の方の要請と地方の要請、これを両方満たせるという形で、その二百五十億の税源移譲をしようという形で結論になったということで、当初から大臣の指示なり申し上げている方向に沿ってまとめてきたという結果でございます。
○松下新平君 限られた時間ですので、最後の質問に入ります。
 農業近代化資金の融資実績は、昭和三十六年の制度創設から平成十五年に二千九百九十四億円とピークを迎えました。その後、近年では急激に減り続けております。平成十五年には六百十億円と、ピーク時の二割程度まで落ち込んでおります。これは、全体の融資枠として三千五百億円のうち六百十億円でありまして、利用率でいえば二割を切っております。これは、ほかの要因もあるとは思いますが、平成十四年の制度改正において貸付対象が認定農業者等の担い手を対象とするようにシフトされたことが大きいのではないでしょうか。
 農林水産省の政策は、新しい食料・農業・農村基本計画を見ても、農業の担い手に対して施策を集中しようとしているとしか見えません。それに合うように、全体の融資実績の中に占める認定農業者の融資額は、平成十四年度、約百九億円が、翌年の平成十五年には約二百三億円と約二倍に増えております。これは、認定農業者に対して貸付利率や融資率等の特例措置が講じられていることが要因にあると思われます。今後もそうした傾向は続いて、融資先は、認定農業者等の担い手、大規模な農業法人などの意欲的な農業従事者に絞られていくのではないかと。
 そこで、このように今後大規模な農業法人に対する融資が増加することが考えられますけれども、これについて農林水産省はどのように考えていらっしゃるか、お伺いいたします。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 私ども農政が直面いたします最大の課題、効率的かつ安定的な農業経営、すなわち担い手を育成確保するということでございます。こういう経営が農業構造の相当部分を担うような構造を確立する、これが最大の農政上の課題というふうに考えております。その中でも、やはり安定的な経営体として農業経営の法人化というものも一層推進していく必要があろう、このように思っております。
 先生正におっしゃいましたように、平成十四年から近代化資金の経営改善関係の貸付対象者、法人を含めた担い手農業者に重点化をしてまいりました。それから、農林公庫資金の方、いわゆるスーパーL資金が貸し付けられておりますけれども、その貸付限度額、法人に対しては引き上げる等の措置を講じたところでございます。
 さらに、これ融資ではございませんけれども、平成十四年十月にアグリビジネス投資育成株式会社、系統関係の会社を設立をいたしました。農業法人に対する出資、自己資本の充実を促進する事業を開始したわけでございまして、やはり融資も、こういう措置もめり張りを付けて大規模な法人を含みます担い手のニーズにこたえていく、そういう方向に努めていきたいというふうに考えております。
○松下新平君 よろしくお願いいたします。
 財政基盤の弱い農林漁業でございます。その活性化のためには今後ともこの金融部門ですね、ここに大きな将来の役割もあると思っております。今後も必要に応じて助言、提言をして注視してまいりたいと思っております。
 私の要望も含めて質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
 三位一体の改革に伴う農業近代化資金助成法等の改正案の法案審議におきまして、今回の三位一体改革が我が国の農業や漁業の政策遂行に支障を及ぼすことがないのかどうかといったことを中心に、多少重複いたすところもありますが、基本的かつ大事な問題でございますので、何点か確認したいと思います。
 まず初めに、国と地方の役割分担について、大臣にお伺いいたします。
 三位一体の改革の中で、地方六団体からは、農林水産関係の分野では、農業委員会や普及事業の交付金、また今回の農業近代化資金などの補助金等の廃止、税源移譲が提案されました。国が責任を持って進める政策がある一方で、農政改革を実現していくためには地方との連携が不可欠な分野もたくさんございます。
 そこで、農政面での国と地方との役割分担について、これまでの取組、また今後の考え方について大臣にお伺いします。
○国務大臣(島村宜伸君) お答えいたします。
 食料・農業・農村基本法におきましては、言わば地域の実態に即し、国と地方公共団体が適切な役割分担の下で施策を実施するとの考え方が示されております。
 この考え方に沿って、例えば、国は国全体としての望ましい農業構造の姿を提示しつつ、地域の実情に即して担い手を明確にする法制度としての認定農業者制度を運用する一方、地方公共団体は、この制度に基づき、各地域の実態に即し、地域の担い手を認定農業者として認定し、経営改善の支援を行うといったように、相互に連携を取って施策の推進に努めてきたところであります。
 先般、閣議決定いたしました新たな基本計画にも示されておりますとおり、地方にできることは地方にとの考え方の下で、国が基本的枠組みを示しながら、地方公共団体の適切な役割分担により、農業者や地域の主体性と創意工夫の発揮が促進されるような施策を推進してまいる、これが私どもの考え方の基本であります。
○谷合正明君 引き続きまして、大臣に近代化資金改正の意義についてお伺いいたします。
 この制度の発足は既に四十年を超えておりまして、全国すべての都道府県において実施され、そういう意味で地方に定着していると言えるものでございます。そういう意味で、今回、地方の提案の中に近代化資金の税源移譲が入ったものでございますが、三位一体の改革の趣旨から見た場合に、今回の改正の意義はどういうものなのか、簡潔に大臣の方にお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(島村宜伸君) 三位一体の改革の趣旨は、地方の自主性と裁量を大幅に拡大するため、地方に権限と財源を移譲することにあります。本法案は、近代化資金の利子補給補助を廃止しまして、その財源を都道府県に移譲しようとするものであります。
 今回の改正によって、都道府県においては、まず第一に、補助金関係の事務がなくなり大幅な事務の簡素化が図られること、第二に、地域の実情に合わせ、より弾力的な運用、例えば金利の更なる引下げが可能になることとなります。言わば国の補助金の縛りがなくなると、こういうことでございます。
 こうしたことにより、本事業が、これまで以上に、地域農業の実情に即した地方の自主性、裁量性を活かしたものとなると考え、また期待しておるところであります。
○谷合正明君 そこで、度々委員の方、先ほどから質問が出ているように、農業近代化資金の今後の運営についてまず質問をさせていただきますが、今回の税源移譲によりまして地域の農業者の事業の実施に支障が生ずることがないようにする、そういう必要があるわけでございます。税源移譲後も、担い手の育成確保といった農政上の課題に対応し、農業近代化資金の農業者に対する融資に支障が生ずることがないよう都道府県が利子補給を行うことを担保する必要が、そういう措置を講ずる必要がございます。
 先ほどの答弁の中に、都道府県に対してガイドラインを示していく、地域によって貸付条件など融資対応にばらつきが生じないよう措置をするということがございましたが、そのガイドラインにつきましてどこまで具体的な内容を定めるのか、貸付金利や利子補給率などを定めるのか、お伺いいたします。
 また、加えまして、こうしたことがかえって、逆に国が関与し過ぎないかという、三位一体の所期の目的、地方の自主性を損なうというような懸念はないのかといったことについて、併せてお伺いいたします。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 税源移譲後の近代化資金の運用、先生がおっしゃいますように、一つは、地方の自主性、裁量を損なうようなことのないようにするというのが一点大事でございます。同時に、国として最低限していただきたいことはやっていただくという双方の観点が大事だろうということで、その後者の観点から私どもガイドラインを示したいというふうに思っております。
 具体的には、適正な貸付条件というものを設定するために、資金の種類、償還期限、こういう貸付条件に関する具体的な内容、これを定める。そして、金利は動くわけでございます。そういう金利動向に即した適正な水準が確保されるような貸付利率、あるいは利子補給率の基準、こういうものを示したいと、貸付利率は上限として示したいというふうに思っておりまして、その中で自治体が裁量を発揮するということを阻害するようなことのないようにしたいというふうに思っております。
○谷合正明君 次に、農業金融関係の質問をさせていただきます。
 国から地方へ、また民間にできることは民間にという改革の下に、私の方から民間主体の農業金融市場の育成について質問をさせていただきます。
 政策金融機関であります農林漁業金融公庫は、一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通することとされております。農業の特性上、不確実性、危険性、そういった特性上、民間金融だけでは十分な対応ができない、そういうことでこの公庫の役割があったと思います。その一方で、農業の構造変化、また担い手のニーズに対応して、農業金融市場の一層の活発化を図るためには、民間金融の機能が発揮できる金融市場の環境を整備していく必要がある、そういうふうに私も考えております。
 農水省が昨年二月に実施した農業法人アンケートからは、農業金融について、多様な担い手の出現や経営の多角化、農業の六次産業化といった新たな動き、取組に対して融資が十分対応できていない。また、担保不足等により、必要かつ十分な融資が受けられないなどの不満がありました。
 そういった中で、今後、民間金融の参入を促すという観点もあろうかと思います。効率の比較を行いつつ、民間金融に利子補給を行う仕組みの拡大についても検討する必要があるのではないかと。民間にできることは民間にゆだねるとの政策金融改革の中で、農林漁業金融公庫が今後の農業金融においてどのような役割を果たしていくべきなのか、政府の所見を伺いたいと思います。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 先生がおっしゃいましたように、農業融資、自然条件に左右されまして収益性が非常に低いということで、いろいろな金利リスク、あるいは価格変動リスク、それから生産量のリスク、いろんなリスクがございまして、どうしても民間ではそのリスクをしょい切れないといった部分をこれまで農林漁業金融公庫、要するに長期低利の融資、設備資金を中心とした融資を担当してきたわけでございます。
 現在、官から民へという大きな流れの中で政策金融機関の改革というのが叫ばれておりまして、民間金融機関がこういう農業の分野においても活躍しやすい環境を整えて、民間参入を促していくというのがその趣旨でございます。
 私ども、基本的には今後の全体の議論にゆだねる部分が多いというふうに思っておりますけれども、取りあえず農林漁業金融公庫の方に農業融資に関するいろいろなノウハウ、データがそろっております。例えば、担保の取り方、あるいは担保を重視せずに、その経営者の資質でございますとか、あるいは事業の将来性、こういうものをちゃんと見て融資をする、そういうノウハウが農林漁業金融公庫の中に蓄積をされておりまして、現在、農林漁業金融公庫は民間金融機関との業務提携、協調的な融資でございますけども、こういうものを通じてそのノウハウの移転というものに努めております。今後、更にそういう方向で民間金融機関の参入を促すにはどうしたらいいか、更に検討を進める必要があろうかと思っております。
 いずれにいたしましても、融資を欲する農家の需要にちゃんとこたえていくということを基本に今後の農業融資の在り方を考えていきたいというふうに思っております。
○谷合正明君 最後の言葉にあったとおり、本当に今融資を受けたい農家に行き渡る制度、そのための改革でございますので、そういう意味で農政改革、そして政策金融改革、その二つの改革の課題、これを踏まえてしっかりと環境整備を行っていただきたいと思います。
 次に、最後になるかもしれませんが、漁業金融制度についてお伺いをいたします。
 我が国の水産をめぐる環境というのは、もう御承知のとおり、周辺水域の水産資源の水準の悪化によりまして漁獲量が減少する一方で、漁業者が水揚げする魚価も低迷しております。漁業近代化資金や漁業経営維持安定資金の融資実績を見ても、年々減少の一途をたどっております。しかし、こういう厳しい環境の中でも、経営の改善に取り組む担い手もおります。そういう担い手に対しまして漁業金融制度はどのような対応を考えているのか、政府の方にお伺いいたします。
○政府参考人(田原文夫君) お答えいたします。
 ただいま先生が御指摘されましたように、魚価の低迷でございますとか我が国周辺水域の漁業資源状況の悪化ということで漁業経営が非常に厳しい状況にあるということは正に御指摘のとおりでありまして、そうした漁業者に対しまして必要な資金の供給を確保することは重要な政策課題であるというふうに思っております。
 このため、漁業近代化資金制度に基づきます設備資金ですとか、漁業経営維持安定資金制度に基づきます借換え資金、こういった融通をしてきたところでありますけども、今般のこの三位一体改革に伴う資金制度、まあ税源移譲をされたということで、都道府県へのモニタリングの実施、こういったことによりまして、こうした近代化資金あるいは漁業経営維持安定資金が引き続き漁業者に対しまして適切に融資されるよう、こういった円滑な融通に対しまして指導してまいりたいというふうに考えております。
 また、他方、いわゆる漁特法、漁業経営の改善及び再建整備に関する特別措置法に基づきまして、意欲的に漁業経営の改善に取り組む漁業者に対しまして、低利で漁船ですとかあるいは設備資金、短期資金の運転資金、こういった融通を受けられるように措置しているところでございまして、こうしたいろんな金融措置を通じまして担い手となるべき漁業経営の育成に寄与していきたいと、かように考えている次第でございます。
○谷合正明君 終わります。
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 昨年の農協法の改正で全中が農協への指導方針を定めることが決まって、三月四日に発表をされました。その基本方針について一、二伺いたいと思います。
 まず、合併の推進を挙げているんですが、その重点は小規模未合併農協となっています。これは経営が不振なJAの早期合併ということで、その経営状況を考慮しないで、とにかく小規模なら十把一からげに合併を指導するということではありませんね、確認をしたいと思います。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 全中が作りました基本方針、農協の合併推進ということでございます。
 四月一日からペイオフの全面解禁ということでございまして、基盤を強化しないといけない、それから何よりも組合員農家への便益、サービス供与に遺憾なきを期さなくてはいけないと、こういうことで、基本的には県域での農協合併構想の完遂と、こういうことを基本として、未合併農協の早期合併を実現することが基本でございます。その中で、特に小規模で未合併、経営不振農協の早期解消に取り組むと、重点的にそういう小規模経営不振農協の早期解消に取り組むという重点指導事項が示されているというふうに理解しております。
○紙智子君 機械的、強制的にやるものではないというふうに理解をしてよろしいと思います。
 それで、実施方法の項の中になお書きで、出資金五億円以上を原則とするとあります。現在、出資金五億円以下のところというのはかなりありますね、三分の一が五億円以下だと思います。これらに指導が掛かることになると。しかし、法律では一億円となっているわけですから、これはあくまでも指導であって強制ではないと。まして、このJAバンク基本方針で言っているペナルティーにつながるものではありませんよね、これも確認したいと思います。
○政府参考人(須賀田菊仁君) おっしゃるように、現在、法律では信用事業を行う農協の最低出資金は一億円となっております。全中のこの基本方針といいますのは、言わば備えあれば憂いなしという考え方に基づきまして自主的な目標基準として五億円というふうに定めまして、その目標基準未達の農協の解消を目指して財務基盤を強化したいというものでございます。
 おっしゃいますように、これに到達していない、五億円に到達していない農協の独自性とか自主性を損なうというようなものにはならないというふうに考えておりますけども、よく農協の方でも今後の厳しい情勢を考えていただいて、やはり自ら作った自主ルールに即した行動を取るということが望まれるものというふうに考えております。
○紙智子君 小規模ながら健全な経営を行っている多くの農協がこの出資金の積み増しを要求されると、これを心配する声が出ているんですね。
 静岡の例えば小規模農協の組合長さんがおっしゃっていますが、戦後開拓の苦しみをともにした同志的連帯感を大切に、顔の見えるつながりという小規模農協の利点を活かして組合員本意の運営に努力してきたと。で、正組合員で三百人弱、準組合員で四百二十人。経常利益でいうと毎年二千五百から三千万円、それから当期の利益で千七百万から二千万弱と計上しているわけです。販売では、契約栽培や産直、それから土の市とかトウモロコシ狩りとか、市民との連携も強めているわけです。購買事業の手数料は全国平均よりも三分の一安いわけです。信用部門では自己資本比率は三一・五%ということで、県下の平均の一七・五%をはるかに上回っていると。不良債権の比率も全国平均よりも低いわけです。農協が適正な規模で、人的なつながりが密接に保たれて、この民主的な運営に心を砕いているからこそ健全な経営ができるんだと。まあ、足腰が強いというのはそういうことじゃないかということですね。
 しかし、今度の出資金の五億円については、これクリアするというのはなかなか、まず難しいということも出されているわけです。
 大臣にお聞きしたいんですけれども、これらの小規模で健全な経営を維持して頑張っている農協の努力、これをどのように評価しておられるのでしょうか。そしてまた、このようなところに対して過大な出資金の積み増しなどを強要して逆に経営を窮地に追い込むことにならないように、今回の基本方針の運用がされるように留意することが大事じゃないかなと思うんですけれども、大臣の御意見をお願いします。
○国務大臣(島村宜伸君) お答えいたします。
 農協は農家の相互扶助を目的とする共同組織でありまして、農家に対する各種のサービスの提供を使命とするものであることは御高承のとおりであります。
 今後、農協がこの使命を全うしていくためには財務基盤をしっかり強化していく必要があることは、ペイオフを控えまして、御理解いただけると思いますが、このたびの全中の作成した基本方針はこのような考え方に立脚して、系統自らの自主ルールとして原則出資金五億円未満の農協の解消を進めようとするものと言わば理解しております。
 したがいまして、小規模ながら、言わば健全に事業を行っている農協の独自性や自主性に配慮しつつ、この基本方針の下で農家に対するサービス機能が強化されることが望ましいと考えております。
 いずれにいたしましても、これからやはり、農協に所属する言わば農家自身が安心してこれからの言わば経営が行えるということになれば、当然やはりこの財務基盤をしっかりするということは求められるところでございますので、私どもはそのように受け止めているところであります。
○紙智子君 それでは、漁業の問題ですけれども、漁業の金融問題について御質問いたします。
 昨年、これ質問した問題でもありますけれども、漁業の無担保無保証制度の問題で、今回の中小漁業関連資金融通円滑化事業について、大臣も改善の努力をするというふうに言われているわけですけれども、どのような改善策を打っているのか。それによる、来年度、各県にどれぐらい広がると見込んでいるのか。今実績は六県程度ですけれども、都道府県、市町村などの財政が厳しい中でこの制度の活用にどのような努力をするのかということについてお答え願います。
○政府参考人(田原文夫君) お答え申し上げます。
 漁業経営を取り巻く環境は厳しいということで、先ほど来申し上げておりますけれども、意欲を持って経営改善に取り組まれます漁業者の方々に対しまして、ただいま御指摘の中小漁業関連資金融通円滑化事業、いわゆる無担保無保証人保証制度ということで、平成十五年度からこの事業の実施をさせてもらっているところでございます。
 現在までの実績でございますが、六都道府県ということでございまして、保証引受け件数にしますと三百件強という状況でございまして、まだまだなかなか各県の取組状況が遅いということで、平成十七年度におきます改善点でございますが、これまでこの求償権の償却引当金、国それから都道府県それから基金協会、これが三分の一ずつ持つということになっておりましたけれども、県がなかなか対応できないということで、都道府県の負担の弾力化ということで、市町村ですとか漁業者団体、こういったところが都道府県の負担を一部肩代わりできるような仕組みにしたいということで改善をさせてもらっているところでございまして、私どもといたしましては、今まで、各都道府県あるいは漁業者の団体、こういったところへ説明会の開催等やっておりまして、まずは周知に努めているところでございます。
 これでどの程度の県に広がっていくかという点は、今そういったところに取り組んでいるばかりでございますし、私どもといたしましては、こうした実施件数が増えてまいりまして、本当に経営改善の意欲があるような漁業者の方々にこうした保証制度が行き渡るようにということで努力してまいりたいと、かように考えている次第でございます。
○紙智子君 県や市町村も財政状況厳しい中で、やはり国の補助率の引上げを是非入れるべきだということを最後に申し上げまして、質問を終わります。
○委員長(中川義雄君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○紙智子君 私は、日本共産党を代表して、国の補助金等の整理及び合理化等に伴う農業近代化資金助成法等の一部を改正する等の法律案に反対の討論をいたします。
 農業近代化資金及び漁業近代化資金は、ともに施設資金として農業者と漁業者の経営を直接支援する融資制度の柱であり、国が食料政策に責任を果たす上で重要な制度資金の一つです。この施設資金は、国が利子補給を行う低利資金と位置付けられ、機能してきたものであります。こうした制度資金の中核的機能である利子補給事業を事実上地方任せにするということは、国の食料供給に対する責任の後退につながるものと言わざるを得ません。現に、農業関係者や漁業関係者からは、新規融資抑制にならなければいいがと懸念が表明されております。
 以上の点から、賛成できないことを表明し、反対討論とします。
○委員長(中川義雄君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う農業近代化資金助成法等の一部を改正する等の法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(中川義雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(中川義雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時四十五分散会