第162回国会 農林水産委員会 第15号
平成十七年五月十七日(火曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 五月十六日
    辞任         補欠選任
     小川 勝也君     高橋 千秋君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         中川 義雄君
    理 事
                岩永 浩美君
                田中 直紀君
                羽田雄一郎君
                和田ひろ子君
    委 員
                加治屋義人君
                岸  信夫君
                小泉 昭男君
                小斉平敏文君
                常田 享詳君
                野村 哲郎君
                松山 政司君
                小川 敏夫君
                主濱  了君
                高橋 千秋君
            ツルネン マルテイ君
                松下 新平君
                谷合 正明君
                福本 潤一君
                紙  智子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        高野 浩臣君
   参考人
       農事組合法人酒
       人ふぁ〜む総務
       担当理事     福西 義幸君
       社団法人日本農
       業法人協会副会
       長
       有限会社神林カ
       ントリー農園代
       表取締役     忠   聡君
       東京大学大学院
       農学生命科学研
       究科教授     生源寺眞一君
       全国農業協同組
       合中央会専務理
       事        山田 俊男君
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  本日の会議に付した案件
○農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(中川義雄君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨十六日、小川勝也君が委員を辞任され、その補欠として高橋千秋君が選任されました。
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○委員長(中川義雄君) 農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、参考人として農事組合法人酒人ふぁ〜む総務担当理事福西義幸君、社団法人日本農業法人協会副会長・有限会社神林カントリー農園代表取締役忠聡君、東京大学大学院農学生命科学研究科教授生源寺眞一君及び全国農業協同組合中央会専務理事山田俊男君に御出席いただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。
 ただいま議題となっております法律案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜りたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 本日の議事の進め方について御説明いたします。
 まず、福西参考人、忠参考人、生源寺参考人、山田参考人の順序でお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答え願いたいと存じます。
 それでは、福西参考人からお願いいたします。福西参考人。
○参考人(福西義幸君) ただいま委員長の方から参考人としての意見陳述を求められましたので、それこそ自分たちのやっていること等々、すなわち身をはばかりもせずこうした場に寄せていただきまして参考人としての意見報告させていただくことになりました。私、農事組合法人酒人ふぁ〜むの総務を担当しています理事の福西義幸と申します。
 座らせてもらったままで意見陳述をさせていただきます。と申しますよりも、我々が現在取り組んでいます内容等々についての御報告等の方が多くなるやも分かりませんが、ひとつよろしくお願いを申し上げます。ずっと先生方のお顔を拝見させていただきますと、よくよくテレビの方にお出になる先生方等もおられますので先ほどから少々どきどきはしているんですが、ただいまから入らせていただきます。
 まず、紹介のプリントにもありましたとおり、私は、滋賀は甲賀郡水口という町です。御存じのとおり、東海道五十三次の五十番目の宿場町ということをまず御報告申し上げておきます。それから、皆さん方も当然御存じのとおり、滋賀というところですから、滋賀は近江ですね。近江というのは、かの戦国大名が、近江を制する者は天下を制すとまで言われました、すなわち過去から今日に至るまで戦乱の中にずっと巻き込まれてきた地にあります。すなわち、乱世に巻き込まれ続けたというところから、我々は我々なりに発揮をしてきた知恵等々もございますので、そういうものの大集結と申し上げた方が集落営農組織にとってはいいんじゃないかなと、こんな感じにも実は思っています。
 あわせまして、甲賀というところでございますから、これも先生方御存じのとおり、甲賀流忍術の発祥の地でございます。甲賀流忍術の発祥の地でございますから、忍者というのは、御存じのとおり、元々個々一人一人というのは非常に弱いものですから、何か大きな相手とぶつかる場合、大きな戦をする場合、大きなことに乗り出す場合には必ず徒党を組むんですね。そういった土地柄でございますから、今日私は、集落営農ということを中心にお話を申し上げようと、あるいは申し上げてくださいよというふうに御依頼等々受けていますから、基本的には、徒党を組んだ、すなわち組織立って今現在我々が活動しています集落営農組織等についての内容について御報告申し上げたいなと、こう思っています。
 あわせて、我々の先祖は今から百六十二年前に農民の一揆を企てました。近江天保の一揆と申しますと、唯一、一揆の中で成功した一揆です。十万日の検地の日延べをかち取りました。我々の祖先です。我々の祖先は命に代えて土を守ってくれたんです。近江の国の中でも甲賀の土というのは命に代わる土でございますから、後継者である我々も土は命ということは肝にたたき込んでいますから、少々のことでは農地を手放すことはやらないよという中から生まれてきましたのが集落営農組織です。
 今日は、私どもの集落営農組織農事組合法人酒人ふぁ〜むのPR用のパンフレット、あるいは私どもの業務内容等々を御報告できますパンフレット、それと併せて、コピー刷り資料なんですが、「平成の一揆」なんて大きなテーマ付けているんですが、ひとつ我々が集落挙げて農業に取り組んだ当初のきっかけを活字で残そうやないかという委員合意なり理事会合意がありましたもので、その当時のことを思い出しながら、まとまり切りませんでしたけれども、活字として残させていただきました「平成の一揆」というA4の一枚物の資料を付けさせていただきました。内容等につきましては、また先生方、時間がございましたら御一読いただければ非常に有り難いなと、こう思っています。
 元々我々が取り組みました集落営農というのは、先生方御存じのとおり、できるだけ手間暇掛けずに、しかも金も掛けずに何とか地域の農地守ろうやないかと、その方法何があるだろうということで、それこそ農民の英知を絞った結果が集落営農だった。元々、当初そういうことでございますから、私も含めて全員が作業集団だったんですね。いかにコストを掛けずに農産物の生産をやろうかということを目指した作業集団としてスタートをしました。したがいまして、元々は仲よしクラブです。
 ところが、最近、少々様相が変わってまいりました。といいますのは、一つ気付いたことに、我々農民というのはちょっとしたことでひっくり返ります。しんは強いように見えておるんですけれども、私どもが今日まで、特に滋賀はそうかも分かりません。
 ちょっと話元に戻りますが、滋賀の農地というのは、農地法上の農地の九五%強、もう大半が水田なんです。水田農業をやりながら、農業だけじゃ飯食えないから、私の父母なり私の先輩どもどもはみんな働きに出ました。それは一九八〇年代、昭和の終わりから平成の初めにかけましてそういう世代がどんどん定年を迎えました。定年を迎えますと農外収入が入ってこない。今日まで農外所得によって農地を守り、家を守ってきた収入の先が、口が途絶えたと、さあ、えらいことだという。これはもう農機が買えない、農地保全に事欠くと、こうなってきましたから、一気に経営破綻が進みました、私どもの集落では。
 私ども、九十戸の集落でそれまで七十軒の農家がございました。ちょうど平成の初めには半数以下に、米を生産し農業協同組合へ出荷するという農家は一気に減りました、加速度的に。農家が減るということ、あるいは集落の崩壊につながってきました。すなわち、田植前に水が来ない、農業資源が守れない。それは当たり前の話ですよ。他人が利益を上げる農地を、使って得る、その利用をする水を、農業に全く関係のなくなった、農地は持っているけれども、地権者がお手伝いするかというと、最近の若い世代ドライですから、非常に合理的に割り切りますから、おれんちの糧にならないもの、潤いにならないものには一切金出さない、手間も出さないよと、こうなりますから、農業破綻というよりも集落の経営破綻が一気に加速度的に進みます。それがちょうど昭和の終わりです。
 話元に戻しますが、平成の初めに、じゃ、こういうことじゃ農村崩壊につながるということから、当時の私どもの集落の長の呼び掛けで我々が集まって、じゃ今後の私どもの集落どうやっていこうということをそれこそ、日夜とまでは申しませんが、検討に次ぐ検討を重ねてきた結果、今日になった。
 我々は、後でパンフレットの説明をちょっとさせていただきますが、基本的には、地域を守る、地域の農地を守る、地域の景観を守る、地域の環境を保全する等々は、すべて合わせて、そこに住まいし、そこに暮らし、そこで農地を耕す農民の手によって守られてきたものと、こう考えています。
 基本的に我々は、地域におられます大規模農家さん、すなわち認定農業者と私どもの集落営農組織とは共存共栄の立場にあると、こう考えています。また、共存共栄の立場で事をやっていかないと農業資源が守れないんですよ。超大規模農家さんお一人じゃ農業資源を守り切ることはできません。集落内の情勢、集落に熟知した、あるいは集落が形成した集落営農組織と大規模農家さんとがうまく共存することによって日本の農業を守れ、農地が守れ、地域集落が守っていけるんじゃないかなと、こういう理念をずっと持ち続けて経営をやっています。
 そんなところから、今日はこんなパンフ並びにコピーペーパーの資料とさせていただきましたが、もう一つだけ、私どもの集落のPRをさせてください。酒の人と書きまして「さこうど」と読みます。これは、日本で初めて実はお神酒の発祥の地なんです。この文書の中にも若干触れていますが、私どもの祖先が、私どもの集落内でいい清水がわきますから、その水と、いい恐らく米が取れたんでしょう、良い米が取れたんでしょう、その米とで酒を醸じて今の伊勢神宮に献酒をした。これがお神酒の発祥と言われています。そんな発祥の地、酒人でございますから、特に今引き継いでいます我々、なら祖先の言い残したとおり米作ろうということになりました。農事組合法人酒人ふぁ〜むの発足のきっかけになりました。
 で、冒頭申し上げましたとおり、我々は最初は仲よしグループで生産組織だったんですが、最近ちょっと様子が変わってまいりました。正に、私ども酒人という集落の中の農事組合法人酒人ふぁ〜むは、酒人という集落の危機管理体制そのものなんですよ。すなわち、我々の地域、酒人という集落と農事組合法人酒人ふぁ〜むは不離一体のものです。ともにどちらがひっくり返っても破綻します。そんな関係の中から農業を続けています。
 また、我々がこういった農業体制を築くきっかけとなりましたのは、私どもは基本的にこう考えました。私どもの父母あるいは我々の先輩は、当然ながら農地の保全、保護ができないからということで農地を投げ出しました。すなわち、農地の地権者としての責任の放棄なんですよ。我々の親は我々の相続人に対して農地の地権者としての権利を放棄をして我々に託したわけなんです。
 我々は、じゃそこで再度考えようと。農地の地権者であるということを再度認識し、それを集落内でも顕在化さそうよということになりました。で、集落内のそういう認識等々が顕在化してまいりましたので、じゃどうして守ろうということから、みんなでやればいいということになって集落営農組織として発展してきたという経過と経緯があります。すなわち、我々は農業者ではありますけれども、農業者であるがゆえに農地の権利者であるという意識を再認識した結果がこれであるということなんです。
 じゃ、ちょっとパンフレットに移りますですが、このパンフレットです。農事組合法人酒人ふぁ〜む、表紙見ていただきましたら、どういう活動で何をやっておるのかもう一目瞭然お分かりをいただいたと思います。
 じゃ、ページ一枚見開いていただきまして、そこに赤い帽子かぶった若いオペレーターがおります。このオペレーターだって生業は違いますよ。ちゃんとした会社に勤めています。で、土曜日と日曜日、祭日についてはオペレーターとして出役してきてくれ、農作業に従事してくれます。我々集落民は、こういった若い世代、若いオペレーターに期待を掛けたんです。このオペレーターから言わせますと、下品な言葉になりますけれども、何でおれのけつから写真撮るのやと言うんですが、実はそうじゃないんですよ。我々集落民の思いは、こうした若いオペレーターが目的を持って前へ向いて進んでほしいと、決して逆向いて、こちらを向いて帰ってくんなよという意味が込められているんです。
 その右側が我々の集落の概要です。
 六十九名の今現在も農地の地権者がおります。六十九名全員で農用地利用改善団体を形成しています。農用地利用改善団体から担い手として位置付けられた条文によります我々農事組合法人が特定農業法人を形成しています。したがいまして、基盤整備をされたいい圃場だけじゃございません。集落内にあります一アール、二アールという畑あるいは水田も併せて管理をしています。
 我々は農地の地権者であるという自覚の下、それからもう一つ左下に書いています農事組合法人酒人ふぁ〜むの我々として、いついかなるどんな時代が来ようとも、我々が食料を生産するという生きがいに燃えるときは決して飢えて滅びることはないであろうという一つの我々の願いも合わせてやっています。
 その右側は農事組合法人酒人ふぁ〜むとしての経営内容なり、酒人ふぁ〜むの概況内容の説明でございます。
 それから、最後のページになりますが、最後のページには、私どもの今日までの沿革をここに記載をさせていただきました。この沿革をたどっていただきますことによって、ああ、農事組合法人酒人ふぁ〜むはこういう経路をたどってきたのかということをお分かりいただけると思います。
 ちょうど時間となりましたので、私ども酒人ふぁ〜むの説明を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○委員長(中川義雄君) ありがとうございました。
 次に、忠参考人にお願いいたします。忠参考人。
○参考人(忠聡君) 御紹介いただきました有限会社神林カントリー農園代表の忠と申します。本日は、農林水産委員会に参考人としてお招きいただき、誠にありがとうございます。
 現在、私のところでは田植作業の最盛期でございますけれども、農業経営基盤強化促進法の一部を改正する法律案の審議に関連しまして、私ども農業法人の立場から意見を述べる機会がいただけましたことを、大変緊張しておりますけれども、楽しみにして参りました。農業現場からの話が先生方の御参考になれば幸いと存じます。よろしくお願いいたします。
 今、農政改革の中で担い手の議論が大変注目を集めておりますけれども、中でも担い手への農地の利用集積などがポイントの一つになっていると注目をしております。
 本日は、最初に私が法人化をしたいきさつや経営の現状を中心に、そして残りの時間で今回の改正法案に関係する考え方をお話ししたいと思います。
 まず、当社の概要や法人化の動機についてであります。概要はお手元の資料にまとめてありますので、詳しくはそちらをごらんいただきたいと思います。資料の一枚目になってございます。
 当社の特徴は、安定的な収益を確保するため、農産加工事業、具体的には付加価値の高い切りもちの製造販売を取り入れていることや、近隣の農家の協力を得て野菜の直売施設を運営するなど、事業の多角化を実践していることであります。
 私が社会人となったころは、地域の若者のほとんどが農業以外の職業に就く状況で、将来の農業はだれが担うのだろうというふうに考えていました。農協を二年で退職し家業を手伝い始めた私は、地域の農業後継者活動に参加したことがきっかけで、気の合った仲間たちと楽しく続けられる若者に魅力ある農業を目指して、機械作業の請負組織を立ち上げました。そしてさらには、家計と経営を分離し経理の一元化を図り、収益性の高い安定した経営を実現するため、法人化について一年間を掛けて検討をしてきました。当時はまだ法人化した事例も少なく、農業会議を始めとする関係機関の指導と家族からの理解と励ましを受け法人経営を立ち上げましたが、経営が安定したのは十年ほどたってからでした。今日でも、我が国農業の複雑な条件下での大規模稲作は難しさを感じております。しかし、稲作農業の発展に向けた改革は是非実現していただきたい課題だと強く感じております。
 次に、農業経営の法人化のメリットについてであります。これもお手元の資料をごらんいただきますが、二枚目になっております。
 当社における具体例として挙げた七点について御説明申し上げます。
 第一は、個人事業にない対外的な信用力が得られることにあります。具体的には、農地の利用権設定や資金調達、あるいは百貨店や食品産業などの取引先との交渉においてです。農地について言えば、全体としては個別の認定農業者に委託されるケースが多いものの、地域の農家からは、中長期的に見て若い後継者がいて継続性が期待できるという当社のような農業法人が存在していることへの安心感があるという声を聞きます。
 第二は、経営内における責任・役割分担の明確化ですが、役員、従業員一人一人の役割が明確化され業務が進行することで、仕事に対する責任とコスト意識が向上することにより経営の成果となって表れ、構成員のやりがいにつながっています。
 第三として、法人は財務の透明性、公開性を原則とします。当社でも決算期ごと、あるいは必要に応じてなど、法人設立以来顧問をお願いしている公認会計士の先生からは他産業と比較しながら厳しい指摘やアドバイスをいただきますし、決算書は経営の指針ということになります。
 第四として、多様な人材を登用することで多角的な事業展開が可能となります。当社の構成員は全員が地元出身者ですが、建設業や農業機械販売会社、通信会社などの経験者がおり、様々な知恵を出し合っています。
 第五として、事業の多角化により新たな雇用の機会がつくり出されるということであります。後ほども触れますが、農業は人手に頼らざるを得ない作物の中間管理作業がどうしても発生しますが、その一部を関係する農家の方に再委託するなど連携を図っており、その方々には労賃を支払っております。また、農産加工では農家の女性や若手の後継者を季節雇用することのほか、野菜などを販売する直売所の開設は農業者と消費者との交流に一役買っております。お客様にはもちろんのことでありますけれども、農家のお母さん、おばあちゃんあるいはおじいちゃんたちにまでも大変喜ばれております。
 第六は、福利厚生の充実です。農業の会社が従業員を社会保険三種に加入させることは他の中小企業と同様に多額の負担となりますけれども、こうした制度が農業をやりたい若者や農業外からの参入にも道を開くきっかけにもなっております。
 第七は、消費者あるいは学生を対象とした農作業体験企画や研修生の受入れを通じて交流する、農業への理解促進に役立つことと考えます。当協会に加盟する多くの農業法人でも取り組まれております。
 次は、今回の改正法案の内容にも関連させながら話を進めていきたいと思います。
 仮に私が本日お話ししたいことを一言で申し上げるとすれば、農業政策の中で産業政策と地域政策とをはっきりと区別した上で、農地利用集積の加速や経営安定のための施策など万全な担い手対策を講じることが急務だということであります。
 私の地域は昔から借地料が高いのですが、農地の利用集積はなかなか進みません。しかし、農家の高齢化はどんどん進みつつあります。こうした中でも、高齢農家の方は農作業を生きがいとしており、国が言う効率的かつ安定的な経営とは言い難いのですけれども、それを奪ってしまうことには無理があると思います。また、同時に、小規模農家を含め農家の農地保有の考えは強いのですが、耕作を維持することは限界に来ております。自分の代だけで農業は終わりと考えている農家が相当数います。今何らかの手を打たない限り、本当の担い手がだれもいなくなってしまうということになります。
 さて、その担い手ですけれども、市町村の農業ビジョンの中で、総合的であり、なお具体的な地域農業の将来像をはっきりと示し、そこに育成する担い手と農地の流動化対策を一体化して示してほしいと思います。
 具体的に申しますと、例えば同じ農林水産省の制度である認定農業者と水田農業ビジョンの中で言う担い手が一致していないという状況があります。水田農業交付金の交付要件を確保するために、にわかづくりで集落営農組織が生まれ、農地の貸しはがしなどと呼ばれる現象が散見され、全国の農業法人の仲間は悲鳴を上げました。それまで長年の努力と信頼関係で利用集積を進めてきたにもかかわらず、経営面積の縮小を余儀なくされました。
 私は、集落営農が法人化を前提として推進されることはとても重要なことだと思います。現在、各地で取り組まれているような中高齢者だけの作業や機械の共同利用という形にとどまらない、未来を見据え、法人化メリットを最大限発揮できるような担い手の育成を希望します。
 次に、私ども大規模経営において規模拡大等の投資に対する考え方が変化してきていることについてであります。
 土地利用型農業では、農地が企業で言う生産工場に当たると考えられます。工場の全体あるいは一つ一つの規模や操業効率が生産規模や生産性を決定することになります。今の農業法人の多くは小さな工場をあちこちに抱え、しかもその多くが借り物か一時利用の状況にあります。工場の統合も設備投資もままならず、地域によっては借用料も高い状況です。また、いつ工場を返してくれと言われるか不安でたまりません。
 さらに、一般企業と違うのは、工場に当たる農地を資産として償却できないことであります。借金をして農地を購入しても、返済が終わり投資の効果が発揮されるのは相当の年月がたってからになるという点であります。当社では、過去に利用権を設定していた農家から農地を買ってほしいとの相談がありましたけれども、それに応じることができませんでした。したがって、自社所有農地を拡大し経営の安定を図ることが理想ではありますけれども、高い農地価格や長期の返済を考えますと、長期、低価格でのリースや公的機関その他による現物・金銭出資の方が有効だと思います。
 また、農地の利用集積においては、当社も地域の信頼は得ているとはいえ、自ら農地を集めるには限界があります。点在する農地や条件の悪い農地をすべて引き受けるわけにはいかなくなっているというのが実態です。できるだけ農業委員会や公社に勧誘をしていただきたいと考えます。こうした公的機関に活躍いただくことは、いわゆる農地の出し手農家にも抵抗なく受け入れられるのではないかなと考えます。そうした上で、同時に、しっかりとした受皿としての担い手も育成していただきたいと思います。
 先ほど産業政策、地域政策という話をしましたが、地域としての考え方がまとまっていれば、大規模経営と小規模・高齢農家あるいは集落営農等との連携、役割分担は十分図れるのではないかなと考えます。
 当社の例を申し上げますと、お預かりしている農地が多くの集落に点在しており、春、秋の機械作業は構成員で行いますが、特に日常的な水管理は構成員だけでは手が回りません。そこで、各地域の高齢農家の方に年間十アール当たり千五百円程度で管理をお願いしております。既に農業者年金を受給されているお年寄りが中心で、地域のことには詳しく、こちらも安心してお願いできます。また、そういった方々からは、いい小遣い稼ぎだと大変喜ばれています。
 こうした作物栽培の中間的管理、つまり経験を必要とする時間にこだわらない軽作業や共同作業に当たる部分については、今後国が自分で農業をする方にも支払っていくならば、産業政策として捻出するのではなく、地域政策として区分して手当てした方が地域の住民も国民にも理解されるんではないかなと思います。
 終わりになります。もう一つお話し申し上げたいことがございます。
 それは、農村は相互扶助の精神という良い面がありますけれども、その反面、排他的、現実主義という悪い面も持ち合わせております。これが今日の農業発展を遅らせてきたということを痛感しております。特に、新しいものやよそ者には非常に慎重で、このことにおいて農業法人は、農地をお預かりする場合、また他の地域に出作していく場合などは相当な神経を使ってきました。農村地域を良くするということは社会全体をより良い方向に発展させていく基礎だと思います。
 農業法人は、我が国農業において、新しい時代センスを備えた、農業内部から出た新しい萌芽であると思います。是非この芽を摘み取ることなく、そして多くの若者が農業を志す環境整備につながるような農政の展開をお願い申し上げたいと思います。
 本日は大変ありがとうございました。よろしくお願いします。
○委員長(中川義雄君) ありがとうございました。
 次に、生源寺参考人にお願いいたします。生源寺参考人。
○参考人(生源寺眞一君) 生源寺でございます。
 最初に、担い手政策を中心といたしまして、新たな食料・農業・農村基本計画に盛り込まれました農政改革の方向について若干の所感を述べさせていただき、続いて今回提案されております農地制度の改革について意見を述べさせていただきたいと思います。
 基本計画にはいろいろな側面があるわけでございますが、何よりも今回は農政改革の羅針盤となることが期待されており、新しく担い手政策の確立、経営安定対策、これは品目横断的政策を含むわけでございますけれども、この確立、農地制度の改革、農業環境保全政策の確立、資源保全政策の確立、これらの五つの柱が打ち出されているわけでございます。ここで強調しておきたいのは、この改革の五本の柱が相互に密接に関連している点でございます。したがいまして、全体を一つのパッケージとして実施することが極めて重要であるというふうに考えております。
 多少具体的に申し上げますと、新たな農地制度、提案されております農地制度には担い手政策を強力にバックアップする役割が期待されていると、こう言ってよろしいかと思います。それから、経営安定対策、品目横断的政策等でございますけれども、これは担い手政策の言うまでもなく重要なパーツでございます。さらに、農業環境政策や資源保全政策も、実は私は担い手政策あるいは経営安定対策とお互いに補いながら日本の農業を支える関係にあると、こう考えております。
 現代の日本の農業、このモンスーン・アジアの日本の農業は、もちろん高度に発達した市場経済に深く組み込まれているわけでございます。ただ、もう一面、環境問題と非常に深いかかわりを持っておりますし、あるいは農業用水ですとか農道、こういった農村の共有の資源をベースとしている点で言わば市場経済とはやや異質な側面を持っているわけでございます。
 このような二つの側面を持っている現代の農業、これは一方では市場に向き合い、まあいわゆる攻めの農業を展開する、こういう経営をバックアップする政策を必要としておりますが、同時に、環境あるいは資源という言わば非市場的な要素の保全のための政策も必要としていると、こういうことでございます。その意味で、お互いに補い合う関係にあると、こう申し上げたいと思います。
 担い手政策の対象でございますけれども、これは基本計画の表現等でございますけれども、「効率的かつ安定的な農業経営及びこれを目指して経営改善に取り組む農業経営」とされているわけでございます。つまり、既に効率的かつ安定的な農業経営に到達している農業者、それから効率的かつ安定的な農業経営を目指す農業者についてこれをバックアップする政策が打ち出されていると、こう考えているわけでございます。ただ、日本の農業、特に水田農業の場合には、現在の担い手の状況を考えますならば、すぐ後で申し上げますけれども、集落営農のレベルアップという点も含めて、地域の中から担い手を生み出し、これを盛り立てていくという発想が極めて重要であると、こう考えております。
 一枚簡単な資料を用意してまいりました。ちょっとごらんいただきたいと思います。
 まず、このうちの下の図でございます。これは農林水産省のお作りになっている資料をそのまま持ってきたものでございますけれども、基幹的農業従事者、まあ農業を仕事としていると、こういう方と言っていいかと思いますけれども、この年齢構成を示しております。御案内かと思いますけれども、年齢の高い層に著しく偏っているわけでございまして、このまま推移すれば地域の農業を支える農業者の急速な減少が見込まれると言ってよろしいかと思います。事実、上の表は、これは農林水産政策研究所の松久勉さんの推計によるものでございますけれども、これは、二〇二〇年の基幹的農業従事者の数は二〇〇〇年に比べて半数に減少すると、しかもそのうちの三分の二は六十五歳以上になるという推計でございます。
 これは実は日本農業全体についての数値でございます。日本農業の中には畜産ですとかあるいは施設園芸のように若い担い手のおられる分野もあるわけでございますので、水田農業に限って言いますと、事態はこの推計なりグラフ以上に深刻であると、こう考えていいのではないかと思います。したがいまして、地域農業の担い手を支え、また、担い手をつくり出すということが正に急務であると、こう言ってよろしいかと思います。
 新たな基本計画は、担い手の具体像につきまして二つの重要な点を指摘しているかと思います。一つは、これは文書そのものを引用する形で紹介いたしますけれども、地域の農業生産を中心的に担う経営、まあ担い手ですね、これと兼業農家、高齢農家等の役割分担についての合意形成を図りながら、担い手の育成確保や担い手への農地集積に向けた動きを加速化させていく必要があるとしているわけでございます。したがいまして、担い手の育成が急務であると、こうする一方で、言わばごく少数の担い手のみが残るような農村像についてはこれは非現実的であると、こういう理解に立つと言ってよろしいかと思います。日本には日本独自の農村像があっていいわけでございまして、アメリカあるいはオーストラリアのような新しく開発された国とは違う農村像を描き出していると、こう言ってよろしいかと思います。
 その上で担い手の確保の重要性を改めて強調したいわけでございます。もちろん、兼業農家あるいはホビーの農業を排除する必要はないと思います。しかしながら、農業経験豊かな昭和一けた世代のリタイアが急速に進む中で、昭和一けたといっても最もお若い方が既に七十という状況でございます。こういった方々のリタイアが進む中で、農業技術の継承ですとかあるいは大型機械の作業といった点で、実は兼業やホビーの農業も、地域の中心的な担い手ですとかあるいはしっかりした集落営農なしには存続できなくなる可能性が非常に高いと、こう思うわけでございます。
 基本計画のもう一つの重要な指摘は、いわゆる集落営農のうち、経営主体としての実体を持つ組織を担い手と位置付けた点でございます。
 これ、地域性がございます。また、忠さんのところのような立派な法人経営が展開しているところもございますので、どこでも集落営農ということにはならないかと思いますけれども、しかし集落営農には、個別経営が直面しがちな圃場の分散の問題を克服しているという、こういう非常に大きな強みがあるわけでございます。これを効率的な農業生産に結び付ける方向として評価したいわけでございます。ただ、人材の面で継続性に不安があるといったようなこういう組織も少なくないわけであります。今回の改革は、そこのところを、経営体として組織を再編する、これを契機に新しいリーダー層の出現を促す、そういう政策と理解したいと思うわけでございます。
 次に、農地制度の改革について所見を述べさせていただきたいと思います。時間の制約もございますので、三つの点に絞って意見を申し述べたいと思います。
 第一は、担い手への農地の利用集積についてでございます。
 今回、基本計画にも、集落を基礎とした営農組織の育成・法人化を図りつつ、担い手に対し農地を面的にまとまりのある形で利用集積をする、これを推進するということがうたわれたわけでございます。したがって、個別経営と集落営農、二つのタイプの担い手の育成というスタンスが農地制度上も貫かれていると、こう申し上げていいかと思います。問題は具体的な手段でありまして、農用地利用改善事業、またその下での農用地利用規程を充実するという、こういうことかと思います。
 ただ、農用地利用改善事業も農用地利用規程も決して新しい制度ではないわけであります。既存の仕組みを充実するということはもちろん大事なことでございますけれども、ただ、私の表現を許していただくならば、これらの制度の本領は、本分は農地の利用調整をめぐる地域の自治的、自主的な活動を側面から支援するところにあるわけであります。言い換えますと、地域に農地の集積を促す内発的なエネルギーが存在しないようであるとすれば、こういった制度的な側面支援はせっかく準備をしても出番がないという、こういうことになるわけでございます。この意味からも、担い手政策と農地制度というのは言わば車の両輪とでも言うべき関係に立つと考えるわけでございます。
 今回、経営安定対策あるいは担い手政策、これは一定の要件、ここはまだいろいろ議論ございますけれども、これを満たす担い手に集中的に講じていくということになっているわけでございます。ここは、私は、要件達成への取組を地域の一つの求心力として、意欲を持った農業者に農地を集中するそういう運動、あるいは集落営農を経営体にレベルアップしていくそういう運動、ダイナミズム、これを引き出していく、このてこといいますか、きっかけにしていくということが非常に大事だろうと思っております。
 幸い、全中あるいは農業会議所を中心に担い手を育成し守り立てていくための運動がスタートしているというふうに聞いております。こういった運動と農地制度が相まって、いい形の担い手づくりあるいは農地の集積ができると、こう考えております。
 次に、耕作放棄地の発生防止についてでございます。
 この点につきまして、私はかなり思い切った制度の改善が提案されているという意味で高く評価したいというふうに考えております。問題は実効性でありまして、言わば伝家の宝刀を整備したわけでありますけれども、どこまで耕作放棄地の解消を図ることができるかどうか、ここが問われるわけであります。
 いろんなことが考えられますけれども、例えばそれぞれの市町村の、まあ中山間はちょっと別として、耕作放棄の実態がどうなっているのかと、新しい制度の下でこの耕作放棄地に対してその地域の農地に関する組織、機関がきちんと対応しているかどうかということを調査し、これを言わば公表するというようなことぐらいやっても私は、それこそ自給率の向上をとにかく真剣に取り組むという以上、よろしいのではないかと、こんなふうに考えております。
 それから三番目でありますけれども、これはこれまで特区という形で行われてきたリース方式による法人の参入について事実上全国化するという、こういう方向が打ち出されているわけでございます。
 この論点は、言わば既に十年以上と言っていいかと思いますけれども、随分議論が重ねられ、またある意味では一歩ずつ、そろりそろりと制度の改善を進めてきたということもあり、現時点でリース方式で参入に道を開いたことは妥当であると、こう考えております。特区方式の下で、言わば参入する側も受け入れる側も言わば相当な緊張感を持って制度を運用あるいは利用してきているというふうに考えております。これを言わば全国化する、緊張感を全国化するということが、今後の農地制度全般にもかかわりますけれども、非常に大事だというふうに思っております。実際、食品産業ですとか建設業のような農業と比較的親和性の高い産業の分野から関心が集まっておりますし、これは農村に新しい動きを生む要素として評価したいと、こう考えております。
 この点に関連いたしまして、これが最後になりますけれども、農地について、特区で行われてきたこの文脈ででございますけれども、所有権まで取得を認めるべきだという、こういう議論があるということを承知しております。
 この議論の背景には恐らくいろんなことがあるんだろうとは思いますけれども、私自身は今回のリース方式という形で制度の改正としては妥当ではないかと、こう判断をしておりますけれども、所有権の取得も認めるべきだというこういう御議論の背景には、言わば借地の農業の不安定性に対する懸念といいますか、あるいは不満といったようなものがあるのも事実かと思います。ここは、むしろ法人経営のみならず、通常の農家の貸借による農業、あるいは農業生産法人の場合の貸借もそうでございますけれども、むしろ日本農業全体としてここは真摯に受け止めて考えるべき要素があるのではないかと、こう思っております。
 長年言わば土地を所有する側の権限をしっかりさせることを通じて貸しやすくするという流れが続いてきているわけで、これはこれで意味のあることではございますけれども、しかし借地経営の安定化ということに関しては、やはり農業をやる側のいろいろな見解、物の見方なりをきちんとお聞きし、これを受け止めて今後の制度の改善なりに生かしていく必要があるのではないかと、こんなふうに考えております。
 以上で私の意見陳述を終わらせていただきます。
○委員長(中川義雄君) ありがとうございました。
 次に、山田参考人にお願いいたします。山田参考人。
○参考人(山田俊男君) 委員長、大変ありがとうございます。本日は、我が国水田農業の改革にとりまして極めて重要な農地と担い手の育成に関して意見を述べさしていただく機会をいただいたこと、御礼を申し上げます。
 私は、まず農地を農地として利用する農地の問題と水田農業における担い手を確保するということは不離一体の課題であること、またJAグループとしても担い手育成に取り組むことはJAの存立意義にかかわる重要事であるという立場で意見を申し上げさしていただきます。
 お手元に「農地と担い手に関する考え方」を出さしてもらっております。
 まず、農地、担い手をめぐる現状についてであります。
 先生方御案内のとおりであります。我が国水田農業は、アジア・モンスーン下の環境において、歴史・経済的な経緯もあって、農地の零細分散所有という特徴を持っております。水田農業においては、とりわけ担い手の高齢化と圧倒的な減少という状況、さらに耕作放棄地が増加しているという状況は極めて重要な問題であります。これらの問題は、JAグループにとっても大きな問題でありまして、農地を農地として利用する仕組みをつくることと併せた担い手づくり対策が必要であると認識しているところであります。
 下の欄に、我が国は先進国でありますが農業はアジア各国の様子と全く同じであるということでありますし、一方、我が国の国土条件は土地利用型の農業にとって大きな制約を与えているという比較表を差し上げております。
 次に、新たな基本計画におきまして、効率的かつ安定的な農業経営と目される農家について、その動向でありますが、これまでの認定農業者育成政策の努力にもかかわらず、水田農業では認定農業者は五万九千戸程度にすぎないと見られています。これら認定農業者への農地利用の集積は十分とは言えませんでして、農地を集積した大規模農家も、農地の分散でコストがかさむなど大変苦労している実態にあるかというふうに思います。
 下に表がありますが、左の二つ下、大規模稲作農家も農地が分散している状況の表を載せておりまして、これは滋賀県T町の大規模稲作法人の例でありますが、八十五ヘクタールの経営面積に対しまして、関係農地の筆数は四百二十一筆、そして団地数は二百以上であります。新潟県S市の認定農業者であります、水田十五ヘクタールでありますが、水稲十一ヘクタールの作付けのうち八十九筆が点在しているという事情であります。この右側に表を載せております。この結果、作付面積五ヘクタール以上の生産費の水準はほとんど変わっていないということであります。
 また、下の表でありますが、これまでの政策努力にもかかわらず、認定農業者以外の育成すべき担い手を含めて農地利用集積は全農地の半分にすぎません。認定農業者は白い枠でありますが、黒い枠は今後育成すべき農業者、これは市町村の独自の基準で担い手とされている農業者、これをひっくるめて全体として半分だということでありますから、認定農業者だけでなくて、こうした市町村が定めております育成すべき農業者もどう全体として政策の中に取り込んでいくのかということが極めて重要というふうに考えております。
 次に、私たちは集落営農の育成を主張し、これが経営安定対策におきましても対象になることを意見として申し上げているところでありまして、今回の基本計画の中では一定の要件を定める集落営農が位置付けられたことについては評価しているところであります。
 なぜ集落営農なのかということでありますが、水田集落のうち主業農家が一戸もいない集落が半数に上る実態を踏まえたときに、意識的に集落で担い手をつくり上げること、さらに、意識的に集落の農地の利用をこれら担い手へ面的に、団地的に集めていく取組が必要だということであります。もちろん、当該水田集落にきちんとした担い手がいるということであれば、その担い手を対象に農地を集めていくという努力は当然のこと必要であります。担い手になるべき特定の農業者がいない場合は、集落の多数の農業者が参画した集落営農が有効な方策であると考えております。これまでも多様な集落営農が進んできております。米政策改革の取組と関連しまして、地域水田農業ビジョン作りの中でも多様な担い手が位置付けられているところであります。
 一番下の表であります。地域水田農業ビジョンでは、認定農業者以外にも多様な担い手が位置付けられていて、この多様な担い手をやはり政策の対象にしていくことが必要というのが考えであります。
 そこで、私たちは集落合意に基づく農地利用・農村整備計画を提案しているところであります。それは、我が国の特徴である水田農業の構造改革を目指すためには、農地を農地として利用することを基本に、農地の担い手の明確化や農地利用集積を地域合意の下に進めていく農地利用・農村整備計画作りが必要だと考えているからであります。また、適切な農地利用に向けて、集落、地域の合意の下に、地域の担い手に対する買入れ、それから借受け協議の実施や特定利用権の設定の強化が必要だというふうに考えています。
 下の表であるか図であるかでありますが、農地利用・農村整備計画の取組実践イメージであります。左にあるような多様な機関、一緒になりました取組の中で、農地利用・農村整備計画を作り上げていこうというものであります。右にそのイメージを書いておりますが、この右のイメージの半分、左側は、農地を農地として利用する農地利用計画であります。そして、一方で、この右側の方には、生きがい農園や、住宅地の近くにおきましては次三男の分家住宅を含む農村集落の整備計画を位置付けていく、これを集落全員の合意の下に作り上げていこうという考え方であります。
 続きまして、こうした集落合意の取組と関連しまして、今回、農業経営基盤強化促進法を改正し、集落を基礎とした農用地利用改善団体の農地利用調整機能を強化することは大変大事なことだというふうに考えております。正に集落内の農地を地域の合意の下に利用を調整する農地利用改善団体の仕組みは、農地利用・農村整備計画作りの基礎として機能していくと考えるからであります。
 なお、これらの課題とはまた別に、農地の公共的・社会的利用の意義を基本に、農業振興地域と都市計画区域の調整を含めまして、国土利用全体の利用計画の見直しによる制度の確立に向けて更に検討が必要だというふうに考えております。
 さて、一方では、一般の株式会社の農地取得を認めるべきだとの主張があるところであります。このことにつきましては、今回、耕作放棄地が多い地域に限って、一般の株式会社の農地のリース方式による参入を市町村の判断で実施することとなりました。これは地域との調和等の要件がきっちり守られるという要件がくっ付いているわけでありまして、これら要件が守られるということであれば我々としては一定の考え方として妥当な仕組みであるというふうに考えるところであります。
 一方、一般の株式会社について地域限定なしに、あるいはリース方式でなく所有権も認めるべきであるとの意見があるわけでありますが、これは絶対に認められないという考えであります。その根拠は、農業が自然相手の土地を使ってのものであり、土地当たりの収益率が他産業に比べてどうしても低くならざるを得ないわけであります。そんな中で、株式会社は最大限の利益を追求する中で農地を多用途に利用しかねないし、また、元々転用ねらいの農地所有を求めた動きと見ざるを得ない例が多いためでもあります。
 結局、農業経営は、人を雇って賃金を払って、株主に配当した上で経営していくというのはなかなか農業経営としては難しい事柄を抱えているんじゃないかと、やはり家族労働により営まれていくのが最も向いている産業であるというふうに考えるからであります。
 こういった農業の性格の下で、海外におきましても家族農業経営が中心でありまして、米国の穀物メジャーも生産ではなく流通を支配しているという実態にあります。持続的な家族農業経営には、国の在り方ともかかわる家族制度や地域社会を維持安定させているという大切な役割があることも認識していく必要があると考えているところであります。
 下の欄に、アメリカ、フランスにおきましても家族経営が中心であり、会社経営のシェアはごくわずかにすぎないという表を載せております。
 最後に、JAグループにおける担い手づくりに向けた取組であります。
 以上申し上げた認識の下に、JAグループは担い手づくりに向けた取組に全力を挙げることとしております。二月には、農水省のプロジェクトチームと行政、団体が一緒になりました担い手育成の取組を進めていくための共通方針を確認しているところでありますし、さらに、三月の全中総会におきまして、十七年度の全中の基本方針の柱の一つとして、水田農業における担い手づくり対策を決定しております。県の中央会等、JAとも一緒になりまして担い手づくり戦略を策定し、さらに体制整備を行って、具体的な目標数値を持った取組にしていきたいというふうに考えております。四月には、全中基本方針に基づくJAグループ担い手対策基本指針を策定しました。JAグループ挙げて取組に着手しているところであります。また、全国の農業団体一緒になりまして全国担い手育成総合支援協議会を設立したところでありまして、農業団体一体となった共通目標であるアクションプログラムに基づきまして活動を展開しようとしているところであります。
 以上申し上げて、終わります。大変ありがとうございました。
○委員長(中川義雄君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○小泉昭男君 大変、参考人の方々、今日はお忙しい中をお集まりをいただき、また貴重な体験、お考えを御教示いただきましたことに心から感謝と御礼申し上げたいと思います。
 特に、最初にお話をいただきました酒人ふぁ〜む福西参考人さん、それと神林カントリー農園忠参考人さん、実践の中で、大変な御苦労の中で成功例を収めたということで、心から敬意を表したいと思います。
 実は、私も以前農業をやっていましたので、農業に対しては思い入れは結構強いものがございまして、しかしなかなか農業は、先ほどの生源寺参考人さん、山田参考人さんのお話にもございましたとおり、極めて自然相手の仕事でありますから計画が計画どおりにいかない、天候にも左右される、また災害にも、風雨等にも大きな影響を受ける。こういう中で、種をまいたからあした収穫できるというそういう仕事じゃありませんから、極めて長期的な展望の中で御苦労をされているということに思います。
 その中で、まず酒人ふぁ〜むの福西参考人と神林カントリー農園の忠参考人にお伺い申し上げたいと思いますが、今お話を伺っておりまして、一番御苦労されている部分は、農作業の中での組立てはそれぞれの工夫の中で大分大きな前進が図られたように感じました。しかし、共通して感じましたことは、農地を集落的に管理をされていく、この御苦労の部分でありまして、農地が大変小規模なものと大規模なものとそれをうまく組み合わせていくこの過程の中で、国としてやらなきゃいけない部分、またJA含めて農業委員会等にどうしても中心的にやってもらわなくちゃいけない部分、これ極めて明確なものがあろうかと思いますので、この二点、農協、全中ですね、それと農業委員会等に期待する部分、この点についてお二方からまず御意見をお伺いしたいと思います。
○参考人(福西義幸君) ただいまの小泉先生のお問い合わせでございますんですが、私並びに私どもの法人の基本的な考え方としまして、集落営農組織というのは農地集積の実効性はあると、こう見ているんですよ。また、あるからこそ今日の我々並びに全国的な集落営農組織があるんですが、ただそこで一つ、JAグループさん並びに地域行政の皆さん方に機会がございましたらお願いを申し上げたいなと思っていましたことが常々ございますが、一つだけ申し上げておきます。
 当然、そういう立場の中で、農地保有合理化事業と併せて、私どもの地元のJAさんもそうなんですが、JAグループさんが努力をいただくということについては大いに歓迎なんです。これがまず一つです。ただ、集積された農地を委託を受けた、預かった今度は認定農業者なんですよ、大変なのは。ただ預かって、自分の経営を成り立たせぬ限りは、明日返さなくてはならないかも分かんないと。基本的には経営指導なんです。ただ農地を集めて貸すだけじゃ駄目です。借りていただいた、あるいは借りていただいた集落営農組織なり大規模農家、すなわち担い手に対しての経営指導がより求められるんじゃないかなと、私はこう見ています。
 それと、経営の成り立つ農業をやっていくにつきましては、これはJAグループさんと地域行政とがうまく密接に取り組む中で、これは私の提案なんですが、できましたら農業振興地域の用途指定やっていただいたらどうかなと。すなわち、市街化調整区域内での都市計画ですよ。ここの地域の農地ではこういうものを生産しなさい、すなわち適地適作の体制を取っていただきたいなと、こう考えています。あわせて、地域での共補償制度の復活です。これをやっていただくことによって地域農業再生可能と、こう考えていますので、JAグループさんが真剣に取り組んでいただくことにつきましては大いに賛成いたします、同意をいたします。
 以上です。
○参考人(忠聡君) 先ほどの先生からの御質問ですが、私どもの圃場も、他町村も含めて、大体半径十キロぐらいにやはり分散をしております。ただ、これは地域からのニーズがあってお引き受けしたというふうな経緯もございますので、これはこれで確かに効率的でないといえばまあそのとおりなんでありますが、経営の大事な基盤でもあるので、大切に管理をさせていただいております。
 ただ、先ほどの御意見でも申し上げましたけれども、今後新たに掘り起こす、あるいはそういった農地をどなたかに任せたいという部分については、農業委員会それからJAさんも含めた農地保有合理化法人のやはり機能充実というのが非常に大事なのではないかなというふうに思っております。特に私どもの場合、そういった形でお引き受けしているところもございますし、更に言うならば、分散している農地をいわゆる交換分合、利用調整をそういった公的な機関にしていただくということがあれば更にすみ分けができて効率的な農業経営、農地管理が可能になっていくのではないかなというふうに現在は考えております。
 以上であります。
○小泉昭男君 大変御苦労の中で、ポイントを幾つか御指摘をいただきました。
 まず福西参考人さんのお話の中では、農地は集めて貸すだけじゃ駄目だと、そこにしっかりとした経営指導が必要だ。これはもう本当に基本的なことだと思いますし、それとあと、大変すばらしい指摘があったなと思うのが、適地適作という、その地に合った作物をきちっと作らせるという、作れるような状況を環境整備していただきたい、こういう御指摘ありました。こういう部分については、これから農地の集積の実効性は大であるという観点から私どもも議論を深めてまいりたい、こういうふうに思います。
 それと、忠参考人の中では、半径十キロ以内に大小の農地が点在している、この中で農地保有合理化法人も含めて交換分合、これをもっと積極的にやるべきじゃないかというお話いただきました。
 これは極めて大きなポイントだと思うんですよね。これから、普通の私たちが感じる農業地帯というんじゃなくて、都市農業の中にも農業を一生懸命やっていこうという人大変おりますから、そういう方々は、小さい分散した土地の中にどういうことができるか。これは効率を上げるには、農地を集めるだけじゃなくて、使いやすさを追求するわけですから、耕地整理も含めて手を付けられるような交換分合、合筆ですね、そういうようなことも推し進めていく必要があるんじゃないかな、こういうふうに思いました。
 ここで、生源寺参考人さんと山田参考人さんにお伺いしたいと思いますが、極めて、今お二方からポイントを御指摘いただいたわけでありますけれども、この中で大事なことは、農地の権利についてこれから都道府県知事の裁量で進められる部分もあろうかというような流れになってまいったことは言うまでもないところでありますが、こういう中で、これからは、生源寺参考人には、お伺い申し上げたいのは、これから、耕作放棄地対策も含めてリース方式がよいのではないかという先ほどお話がありましたけれども、このリース方式と併せて、借りる側とすれば、土地の権利取得もしたい、これも将来的な展望だと思います。
 これは、先ほどのお話の中にございましたとおり、農業生産というのは土作りから始まるわけでありますから、土作りがほぼ自分の思ったような地力を回復して同一の地力を得るためには長年の時間が掛かる、作物によっては。果樹等についてはもう十五年、二十年たってからやっとそれらしいものが収穫できる。これだけ長期的なものでありますから、いつ返せと言われるか分からない、相続、それからそのほかの理由によって地権者の方がどうしても返してもらいたい、こうなりますと農業を継続できませんから、その辺の補完する何か手だてが必要ではないかな、こういうふうに思います。この辺のところを生源寺参考人にお伺いしておきたいと思います。
 それと、山田参考人には、当然、JAとして大きな今まで指導力を発揮されてきて今日の農業をお支えいただいたわけでありますので、JAとしてのこれからの役割ですね。先ほども御指摘いただきましたけれども、あえて、これから担い手の対策も含め、一般の不動産屋さんにこのことをお任せすることはできない部分がかなりあろうかと思います。そういう部分で、JAの役割としてはこれからどういうところに力点を置いていきたいのか、改めてお伺いしておきたいと思います。
 以上であります。
○参考人(生源寺眞一君) 大変難しい問題についてのお尋ねなんでございますけれども、一つは、今回、私はリース方式ということで妥当というふうに申し上げておりますけれども、経営基盤強化促進法でいえば最長二十年ということになるわけでございますけれども、その協定のところでどれほど長期的な、また安定的な営農を確保するような取決めを結ぶことができるかという、これがまず一つあるかと思います。
 それからもう一つは、貸していたものを返していただくという、今度も間に地方公共団体なんかが入るわけですので、そこはいろいろの調整があるかと思いますけれども、それがもっとすばらしい農業をやるために使うということであれば、これはある意味では容認できる面があるかと思いますけれども、返してもらってそのままほったらかしているというようなケースが実は結構あるわけでございまして、こういったことについては、やはりきちんと利用する方に使っていただくという観点から、ある種の制約を掛けるということも考えられていいのではないかと、こう思っております。
 それからもう一つは、これはややテクニカルになりますけれども、投資の回収ということになりますと、いわゆる有益費の償還請求ということで、これは民法と、それから一部、土地改良法にその規定があるわけでございますけれども、これが使い勝手がいいような形で、例えば協定の中にきちんとワークするような形で書き込むことができるようなものとして準備できているかどうか。ここは少し検討の余地があるように思います。借地を繰り返すというような形であっても、きちんと投資の、ある部分は投資者にきちんと戻ってくるような、こういう取決めがあれば安んじて投資を行うということも制度としては仕組むことができるはずでございます。この辺はかなり研究の余地があるというふうに思っております。
○参考人(山田俊男君) 先生御指摘のとおり、農業生産と食の供給におきましてJAとしての役割は大変大きいというふうに思っております。とりわけ、そうした形で地域に根差す、JAがそうしていることがJA存立意義そのものであるというふうに認識しております。
 こうした観点からすると、地域に担い手がもういなくなっちゃうぞと、地域農業を振興する対象がいないぞということは、これはもうJAの存立の基盤そのものを失うことであるということで、この担い手対策にともかく全力を挙げるぞというのが我々の基本方針であります。
 実は、これまでも農地保有合理化法人としましてJAは役割を果たしてきたというふうに思っております。実績もJAの取組は実は一番多いわけであります。しかし、振り返ってみますと、水田農業に応じて、こういう高齢者の実態、後継者がいないという実態があるわけでありまして、必ずしも十分でなかったというふうに認識しております。
 今回、合理化法人の機能の拡充があります。さらに、農用地利用改善団体の活動の拡充も盛り込まれております。そんな中で、地域の担い手に対して買入れや借受け協議を実施するとか、特定利用権をそうした担い手に集めていくとか、そういうことが大変今後もっとしやすくなるというふうに考えております。
 ともかく、JAグループとしては、地域に根差しているわけですから、それぞれの集落に担当制をしいて、これは市町村行政とも連携しながら担当制をしいて、そして集落に担い手のいないところは担い手をつくり上げていく、担い手のいるところは担い手に農地を集積していく取組をやっていきたいと、こんなふうに考えているところでありまして、同時に、そうした担い手に対しては、地域の実態に応じてちゃんと経営安定対策の対象になっていくんだぞということがしっかり裏付けられるべきだと、こんなふうに考えているところであります。
○小泉昭男君 大変将来に向けたお考えを御示唆いただきました。
 最後に山田参考人、WTOの合意があったわけでありますけれども、十品目別枠になったという経過がございます。こういう中で、今、高関税の中で何とか守られているのが現状かと思いますけれども、これから対外的な問題考えますと、その高関税を前提にした今の体制をこのまま進めていくというのはかなり外圧の中で厳しいものが出てくるんじゃないかなと、こういうふうに思いますので、日本の本当に安全で安心して口に入れられる食料をこれから逆に世界にまで発信していく、こういうことを考えますと、これからのこの制度に対する見直し等も当然必要に迫られてくるんじゃないかな。
 こういう中で、この日本農業を守る意味から、これらについてのお考えをひとつお伺いしたいと思います。
○参考人(山田俊男君) 先生御指摘のとおり、我が国におきましても、センシティブな品目については階層方式の別枠扱いをルール化するということでこの検討が今後進むというふうに見ております。
 そうはいいましても、そうした高関税のセンシティブ品目につきましても、一定のやはり関税引下げが何らかの形で生ずるわけでありまして、先生御指摘のとおりであります。
 これらについては、是非、今後担い手をちゃんとつくっていく、その担い手に対して経営安定対策をちゃんと打っていくという取組が政策として裏付けられて、そしてセンシティブな品目がちゃんと国内で、その地域で引き続き重要な作物として位置付けられるということであってほしいというふうに思っております。
 しかし、その一方で、どうしても、先ほども言いましたように、東アジアのそれぞれの国の農業経営見てみますと、極めて零細であります。これらの地域の農業がブラジルやオーストラリア、アメリカと競争しろといっても到底無理なわけであります。そうした国々の農業がやはりきちっと共存していけるというルールが引き続き確立されなければならないわけでありまして、WTOの中におきましても、是非是非、各国の多様な農業が共存していけるルール、これをやはりベースに作り上げて是非いただきたいと、こんなふうに思っております。
○小泉昭男君 大変難しいことを御質問申し上げて、失礼いたしました。
 実際に農業で大変努力され、成功されているお二人の参考人の方々、これから更に日本農業のために御尽力いただきたい、こういうふうに思います。
 それと、JA全中の関係では、これから日本全体の意見の集約をしっかりいただきまして、国に対する意見もどんどん具申していただいて、実際にWTOの関係の関税の、関税率の引下げ等については私はかなり慎重にやるべきだと思っておりますから、今の現状の中で簡単に議論できる問題じゃないと思っています。
 日本農業がしっかりと確立されて、食の自給率もある程度見通しが立って、そしてなおかつ、その先にあるものは何かというものが見えてきた段階でその議論をすべきだと、こういうふうに思っておりますので、皆さんのこれからの一層の御努力、御尽力に御期待申し上げまして、御質問とさせていただきます。
 本日はありがとうございました。
○松下新平君 私は、民主党・新緑風会の松下新平と申します。
 本日は、四名の参考人の皆様、それぞれ御経験あるいは研究の成果等を意見陳述していただきまして、ありがとうございます。重複を避けて、早速質問に移らせていただきます。
 お話がありましたとおり、日本の農業の様々な環境の中で、ただいままでも作物あるいは地域ごとにいろんな施策が盛り込まれているんですけれども、なかなか厳しい状況が続いてございます。お話にずっと出ていましたけれども、じゃ具体的に認定農業者をどう増やすか、集落営農の数を増やすかという観点から、皆さんのそれぞれの御経験、立場からお聞きしたいと思っております。
 兼業農家比率の高い中山間地域などの水田農業では担い手の集積が遅れております。また、こうした地域では認定農業者がいない、あるいは少ないという傾向にございます。そのような地域では集落営農を行っているところも割に多くあるようです。
 しかし、新基本計画における農業構造の展望では、平成二十七年度までに、十年後ですけれども、効率的、安定的な農業経営として、家族的農業経営は三十三万軒から三十七万軒、法人経営は一万軒、集落営農は二万軒から四万軒と見込んでおられます。実際には、全国でも集落営農は一万軒しかございません。これらすべてを特定農業法人になり得る集落営農にしたとしても、なお一万軒以上の集落営農の数が足りないという計算になります。
 認定農業者を増やすとともに、集落営農の数を増やすということも喫緊の課題であります。そのためにはどのような取組が必要であると思われるか、それぞれのお立場からお願いいたします。
○参考人(福西義幸君) じゃ、ただいまの松下先生の御質問の中で、今後これから集落営農をいかにして進めていけばいいか、あなたどう考えますかというような質問であったように思うんですが、私の立場から申し上げますと、いまだかつてまだ、私は個別経営体として農業やっているよという農家にとっては、非常に元が太い、あるいは特異な経営やっておられるからやっていけるんです。通常一般的に、例えば我々の地域のように、米しか作れないよ、祖先伝来からずっと米作ってきたよというようなところでは、もう既に経営破綻です。だから、経営破綻しました農家が何名かが集まって、じゃ農業やろうか、集落営農やろうかというのは、必然的にそこから出てきた課題なんです。それを農地の地権者が自分自らの責任として認識してもらうことによって、私は、今、先生御指摘の、できっこないかも分からないんですが、全国的な展開の中での集落営農組織と、それから、今、忠さんのところがやっておられるような大規模農家さんとがうまく共存した形ができるんじゃないか、あるいはできることに期待を私はしています。
 問題は、地権者の認識です。ただもうそれに尽きると、こう思っていますので、よろしく。
○参考人(忠聡君) 大変大事な部分かなというふうに思っております。
 新潟県では、昨年、中山間地の代表的な吉川町、もう合併して上越市になりましたけれども、ここでは十の集落営農法人が立ち上がっております。JAさんも含めて関係機関の熱心なやっぱり指導、努力のおかげで私は誕生したのではないかなというふうに思っております。
 期待したいのは、これまで特に法人化といえば何か特殊なものという、農村地域においては特殊なものというふうな受け止められ方をしがちであったわけですけれども、御案内のように、私が先ほど発言申し上げましたように、そのメリットというものを十分に御理解いただいて、それが、地域の関係機関がこぞって一体となって推し進めていくと、これは認定農業者も含めてですけれども、そういった努力がまずは何より大事なことなのかなというふうに思っております。
 それから、受け止める農業者の側としても、今取りあえずどうするのかという視点ではなくて、家族経営であっても、将来どうあればいいのか、自分の家はどうしていくんだというふうなことを今の段階でしっかりと考えていただくという、そういう場づくり、雰囲気づくりがやはり何よりも大事なことなんじゃないかなというふうに思っております。
 以上であります。
○参考人(生源寺眞一君) 個別経営と集落営農、どちらも難しいんでありますけれども、個別経営の場合には、主業農家という形でかなりの農家の方がしっかりした経営をやっておられるわけですので、ここをベースにいろいろ考えていくことができるかと思います。今御指摘のように、集落営農がかなり、現状とそれからあるべき姿といいますか、この間にギャップがあるわけでございます。
 一つ大前提といたしまして、これまではある意味で土地が百に人が百という、こういう状態であったのが、これからは土地が百に人が五十、三十という、こういう格好になっていくと。したがって、ある意味で地域で担いでいこうという人があればそのための資源はかなり現場にはあるという、こういう状況が前提になるかと思います。その上で、やはりこれ全中さんなんかも含めてでございますけれども、集落営農の良さなり、これをきちんと現場に伝えるということがまず大事かと思っています。また、その良さを生かすための制度としてどういうものが準備されているかと、こういうことを徹底するということかと思います。
 今回の改革、私の見るところ、依然としてまだ霞が関、大手町、永田町のレベルにとどまっていて、やはり市町村、集落の現場でしっかり理解をしていただくということが非常に大事で、またそこは遅れているというふうに思っております。これ、メッセージの伝え方にもよりますけれども、そこが非常に大事かと思っております。
 集落営農を経営体としてレベルアップしていくことは、私、集落営農が、単なる足し算ではなく、いったん経営として確保されるならば、多角化ですとか規模拡大ですとかいろいろなアイデアが出てくると思いますし、そういう経営としてのベースがあれば、じゃ新しく専従的にやってみようという人が出てくる。あるいは、忠さんのところなんかはそうでありますけれども、よそから若い人が入ってくるというような、随分違った動きが出てくるはずであります。そういったことをよく理解をしていただく。
 すぐ、来年というような話で無理なところもあると思います。多少時間を掛けるところは時間を掛けて育てていくということが非常に大事かと思っております。
○参考人(山田俊男君) 先生御指摘のとおりでありますが、率直に言いましてまだまだJAの取組は不十分というふうに認識しております。確かに、今日もお見えでありますが、滋賀県、それから富山県、福井県、それから広島県ですかね、島根県とか、そういうふうにかなりずっと集落営農も含めて進んでいるのはやはりどうしても限られているかというふうに思います。
 こんな中で我々もそれこそ全国を挙げた取組が必要になるわけでありますが、担い手がおればいいんですけれども、担い手がいないところは、例えば定年して帰ってきた農家、彼らを中心にした集落を中心にした営農組合をきちっとつくっていくと。さらに、営農組合でありましても直ちに法人化できないというような場合は、機械の共同利用から出発する場合もあるわけなんですね。それから、麦や大豆の転作の受け手ですね、受託としての場合もあります。そして、より進めば、それこそ農地の利用調整や交換分合までもその集落営農の中でできるという例もあるわけであります。
 それこそ多様な形があるというふうに思いますが、その多様な形であっても、地域の実態に応じてそれぞれ育てていくという準備期間や、ないしは政策の余裕がどうしても必要というふうに思っております。
 ともかく、リーダーシップが必要なので、地域のリーダーが必要であります。JAはもちろんでありますが、市町村行政の担当者、普及員の人、それから集落の区長さん、これらが本当に一緒になりまして、この水田農業の危機の中でできることは何かということを話し合っていただいた上で、できることから出発させていただく。そして、何らかの形で一定の方向ができたものについては、先ほども申し上げましたが、きちっと政策の対象にしていくんだぞということがないとやはり進まないというふうに思いますので、その点、是非具体化に当たりましては御配慮いただきたいというふうに思っています。
○松下新平君 それぞれありがとうございました。
 生源寺参考人さんに、ただいまのお話と、そして事前にいただいた資料の中から質問させていただきます。
 資料の中に、新規参入者がその地域になじみの薄い人間であるとすれば、そのこと自体が農地の権利取得に対する障壁として作用するが、その点を緩和する上で期待されるのが権利の移転を実質的に仲介する公的な機関、具体的には農地保有合理化法人の役割であると書かれていらっしゃいます。
 しかし、農地保有合理化法人の事業等に係る補助金の交付金などの原資となっております農業経営基盤強化措置特別会計は毎年度決算において多量の不用額を計上しております。歳入額に対して歳出額が二〇%から三〇%程度にとどまる状態が長い間続いていると指摘されております。また、その存在意義までも問われかねない、これが現状であります。平成十五年度の会計検査院の決算検査報告書によれば、不用額の主なものとして農地保有合理化促進対策費が九十七億四千万円となっているようです。
 このように、特別会計を見る限りでも、現状では農地保有合理化法人が期待されるほどの役割を果たしていないのではないかと思われます。制度はあっても有効に働いていない、そう指摘されるわけであります。
 そこで、今回の法改正によって農地保有合理化法人が十分にその役割を果たすことができるようになると参考人は考えていらっしゃるかどうか、お伺いしたいと思います。
○参考人(生源寺眞一君) 恐らく事前に私の方から参考になる著書として御紹介したものの中からの引用なり御発言だったというふうに思っております。
 私は、今引用していただいた部分につきましては、外からの参入の方と地域の調和という文脈でお話をしたわけでございまして、必ずしも保有合理化法人のみならず、むしろ農業委員会、市町村役場等も含めてその頭に置いていたつもりでございます。
 それから、今の予算の歳入歳出等についての実際がどうなっているかということを、私、必ずしも承知しておりませんけれども、私が最初の意見陳述の中でも申し上げましたけれども、農地の集積のための制度なりあるいは予算措置というものはあるわけでございます。あるわけでございます。
 ただ、それは実際に農地を集積しようという言わば内発的なエネルギーがその地域にない限りは結局使いようがないといいますか、使い道がないといいますか、場合によると、本来使えるところがあったにもかかわらず、十分その制度について周知されていなくて使われなかったということもあるかもしれませんけれども、むしろ農地を集積しようという動きがあって初めてその予算措置に意味が出てくるわけでございまして、今回、合理化法人の機能もそうでございますけれども、利用改善団体利用規程、すべてを含めて、その経営安定対策あるいは担い手政策をてこに農地を動かして集めていくんだと、こういう動きが出てくるならば大変忙しい状況を迎えることになるのではないかと、その合理化法人なり農業委員会なり、その農地にかかわる組織がですね。
 私の陳述の中で申し上げたことをやや繰り返すことになりましたけれども、そういうふうに思っております。
○松下新平君 ありがとうございました。
 先ほど小泉先生からもお話がありまして、山田参考人の方から、JAの置かれている立場、そして今後の取組についてかなり具体的に踏み込んだ決意も含めてお話をいただきまして、私も是非そちらの方に期待をするものであります。
 食料自給率、二十七年までに四五%ということで、これは計画したものが五年間先送りされたわけであります。ただ、また同じではないかと。結局、目標を具体的に数字を設定しても、今までの経緯から、かなり厳しいんじゃないかという声が既に出ております。そういう意味でも、JAの皆さんに対する期待、一番もう身近なところで様々な、先ほどありました、PRにしてもイメージにしても、その役割をしっかり担っていただきたいと思っております。
 もう繰り返しになりますけれども、また何かありましたら、一言お願いします。
○参考人(山田俊男君) 自給率の四五%の二十二年達成に向けまして我々としても相当努力してきた経緯があるわけでありますが、結果的には四〇%から全然動かなかったということがあります。
 我々は、少なくとも、もう食料ベースのカロリーベースで半分は国内で自給したいというふうに思っておるところでありますけれども、野菜等は、ちょっと油断して国内で不足しますと、もう中国からどんと入ってくるということになってしまっております。そういうやっぱり構図といいますか、それをどんなふうに変えていけるかというのが懸かっています。
 一つは、我々生産団体としては、耕作放棄地がやはり農地の真ん中にあるみたいようなことは絶対やめると。そのためにはどんな手だてがあるかということに努力しなければなりませんし、それから、耕地の利用率が九四%にしかなっていない、一回りもしていないということでは絶対駄目なんで、表と裏が作れるところは表と裏作るとか、そういう我々は努力もやります。しかし一方で、消費者の皆さんには、国産だといったら国産をやはり大事にしてもらうということが大事ですし、輸入業者も、不足したらもうすぐ中国から買い付けに行って契約生産しますよという話でない。
 もう本当に、我々も努力します、しかし国民全体が認識した取組に是非是非していただきたいと、こんなふうに思っております。
○松下新平君 ありがとうございました。私たちも様々なところでPR、また国民の関心を高めてまいりたいと思います。
 本日は、四名の参考人の皆様、大変ありがとうございました。今後の御活躍をお祈りするとともに、また今後ともいろいろ御指導賜りますようにお願いいたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
○福本潤一君 公明党の福本潤一でございます。
 四名の参考人の方々の貴重な御意見聞かしていただきまして、私の方からも、若干重複するところもあるかも分かりませんけれども、質問さしていただこうと思います。
 最初に、生源寺参考人の方に。
 参考人は、食料・農業・農村基本計画という今の大きな農政の改革の面でも大変な御尽力をいただいたり、様々な提言いただいてまとめていただいたようにお伺いしております。そのときに、私ども、農業、かかわる人かかわらない人も含めて、今農政は大変な転換期にあるという言い方をするわけでございますし、現実に農水省の方々も、各地へ行きますと正に田園荒れなんとすというような、そういう状況も来ているときの対応した転換策だという形で言われたりしております。
 それで、四本の柱とか先ほどの自給率の問題ございましたけれども、この新しい大きな転換というのを、農業を分からない人にもどういう転換なんだというのをどう伝えていただくのが一番いいのかというのが、例えば郵政の民営化というのは、まあそれとなく、ああ、そういうことがあるんだなと、賛否は問わず、言われて分かりやすいわけですけれども、この食料・農業・農村基本計画は、何が柱なのかということを含めて、短い言葉で言える言葉はないのかなというのをお伺いしておきたいと思います。
 それと、もう一個、先ほどから農地制度の改革ということで、土地、これがこの基本計画の中で大きな柱でありまして、担い手のまた問題、これが大きな変革だろうと思いますので、この土地、農地制度の改革とか具体的にやっていくに当たって、基本的に土地は所有地とは言われながらほかの人はなかなか入れない。水の問題でいきますと、土地の水は、水は占有、今権利でいうたら所有ではないけれども占有だと、で、水田に使う水だというような言い方されるわけですけれども、この土地はだれのものか、所有制がいいのか私有制がいいのかも含めて、大きな立場での御見解を伺いさせていただければと思います。
○参考人(生源寺眞一君) どちらも大変重い大きなテーマなんでございますけれども、今回の基本計画について私自身が説明を求められた場合に、一言でどうかということになった場合には、考える農業者、それから工夫する地域を応援する、こういう政策の体系を整えようとしていると、こういうふうに申し上げております。それから、そういう方を邪魔しない、そういう政策の体系に持っていくという、こういうことかと思います。
 それで、私は、大変危機的な状況、特に水田農業はあるわけでありますけれども、しかし、随分若い人あるいは都会から農業への強い関心を持った人というものが増えているということも事実であって、確かに転換期で危機的な状況ではあるわけでありますけれども、むしろこれまでは、農業、農村は日本の社会経済が変化するのにどうやって追随していくか、追い付いていくのかという、こういう状況を戦後ずっと続けてきたというふうに言っていいわけですけれども、これからはむしろ農業、農村の側からその良さを、日本の中にあって日本の農業あるいは日本の農村の良さをむしろ発信をしていくと、こういう時代に徐々にやはり転換をしていくんだろうと思っています。
 農業、農村の転換期というふうに言われますけれども、むしろ日本の社会そのものが転換をし、その中でやはり農業、農村の意味というのは大きく変わっていくというふうに私自身は考えておりますし、またそう願いたいというふうに思っております。
 それから、土地の問題でありますけれども、市場経済、私有財産制の国ではありますけれども、土地はやはり特殊な資源、財だというふうに思っております。私は、これは憲法の二十九条ということになるんでしょうか、財産権は財産権としてあるけれども、しかしそれは公共の福祉の観点からいろんな制約を受けると、その制約の度合いの、あんばいの問題だろうというふうに思っておりまして、私は相当程度強い制約を受けてしかるべき、そういうものが土地だというふうに思っております。
 今日もいろいろ議論になったわけでございますけれども、所有権を認めろとか、いやそれはけしからぬという議論も、少し一歩引いて考えてみますと、いかなる所有権を問題にしているかということが本来やはり議論されてしかるべきだろうと、こんなふうに思っております。持っていれば何でも勝手というような所有権もあれば、これはもう大変強い制約の下で、ある目的に沿った形であれば自由に使うけれどもそうでない場合にはそれは厳しく禁じるという、こういう所有権もあるわけでございます。
 まあ、どちらかといいますと私は、土地に関しては相当な強い制約を掛ける、これは何も日本だけではないかと思います。むしろ先進国では土地利用計画なり土地の使用なり建物の建築等についての制約というのは極めて厳しいわけでございます。この点、日本はようやく言わば開発途上国から先進国に移行する時期に来ているというぐらいに言っていいのかなと思っております。
 ちょっと長くなりましたが。
○福本潤一君 貴重な、なかなか難しい問題に丁寧に答えていただいてありがとうございました。
 先生の書かれた中にも、耕作放棄地に対して具体的に、調査と公表をして、具体的にそれに対策する必要があるというふうに言われておられましたので、私どもの方もそこの土地の私有を、また制限をどの程度考えるのかというのは非常に大きな問題でしたので、参考にさせていただきたいと思います。
 続いて、山田参考人にお伺いしたいんですけれども、やはり今農地は、所有とはいえ、具体的には制限が加わるものだという形でございますし、今回、リース方式で一般の会社が入ってくるということも具体的に起こってまいると思います。
 そうしますと、所有によって一般の会社が参入ということに対しては農民全般含めて農協も反対しておられるということでございますので、これは具体的に国全体のことを考えてのことだろうと思いますし、どういう背景の考えに基づいてリースにとどめて所有反対と言われるか、この点もお伺いしておきたいと思います。
○参考人(山田俊男君) 先生、でっかい話するつもりはありませんが、農地は地球に張り付いているわけでありまして、そういう面では動かないわけです。そのために、それこそ地域の自然や風土や、それから、細かくいいますと水の管理や、それらと根付いているわけでありまして、そんな中でもう営々と営農なり生活が具体的にこれまでなされてきたというふうに思っております。
 私は、一番大事なのは、そういう面ではきちっとその農地で地域と調和した農業生産が行われること、これが一番保障されるべき出来事だというふうに思っております。全国で随所に見られますけれども、産廃の山があったり、中古自動車の積み上げがあったり、建設廃土の山があったりしているわけですが、それらにつきましても、ともにあるのは、その地域の人がやっているんじゃなくて、よそから来た人なり会社がやっているという実態があるというふうに思っております。そういう面では、きちっと地域に根差して、地域に調和した営農がきちっと行われるということが一番保障されるべきだというふうに思っています。
 全国展開をした場合におきまして、まあ言うなれば善い会社と悪い会社というふうに区別していいんでしょうかね、だれでも株式会社つくれるわけですから。善い会社はちゃんとやってくれるかもしらぬ。しかし、もしかして悪い会社が一定の意図を持って農地をほかに利用したり、営農、きちっとした農業生産を行わなかったり、地域との調和が崩れたりすると絶対にこれは駄目なわけでありまして、そういう面ではきちっと原状に復することができるような形での、所有じゃなくてリース方式であって、さらに、地域との調和を前提にした市町村行政等との、何といいますか、協定、それらが維持されるべき、約束されるべき、こんなふうに考えておりまして、そういう面では、それがちゃんと担保されるんであれば今回の全国展開につきましてはまあ妥当かと、こんなふうに受け止めております。
○福本潤一君 今回、新たに特区ではなくて全国展開という形で進んでまいりますけれども、我々、私、団塊の世代ですけれども、の世代もそうですけれども、戦後生まれて農村地域で育ってないとこういう農業の問題というのはほとんど縁がない世代がたくさん増えてきている。三大都市圏でもう三十歳以下の方々というのはほとんど農業と縁しないで育ってきたんじゃないかというぐらいのところがございますし、さらに、例えば、私、今、愛媛県に、松山市に住んでいますけれども、全国見たら農業県だと思いますけれども、愛媛県の人たち聞きますと、もう大都会のつもりで松山市に住んでおるという形で、農業県とはさらさら思っていない世代がもう三十歳というような状況でございまして、そういう中でこういう大きな農地改革、さらには担い手問題に対応していくときに、この無縁の世代が増えてきていることが、今後の農業政策、また農業というもの、食料の問題に対して無理解のまま、政策、都市側から見た農業という形での対応が増えてきていると思うんですね。
 ですので、これを農業自体も割と農政の失敗だからこういうふうになったんだというふうに思っておる人も結構おりますけれども、現実にはそんなもんじゃないと。農業というのは生命産業だし、生ものだし、いろいろな問題、難しい産業だというのがありながら分かっていない。こういうことに対して、現場で現実に様々な形で取り組んでおられる四人の参考人に、こういう農業を分かってない世代が圧倒的に増えてきた、若い世代に対しても、どういうふうにこの農業政策、また食料政策、また農業の難しさというのを今後展開して分かってもらうようにするかというのを聞いておきたいと思いますので、御迷惑掛けますが、よろしくお願いします。
○参考人(福西義幸君) 先生の質問にそのまま合っているかどうかちょっと分からないんですが、私も先生と同じような団塊の世代です。私の息子たちがもうすぐ三十なんですが、まだ我々の世代までは、我々も集落、農家の長男坊ですから農業というのはおぼろげながらに分かっていまして今引き継いだ形になっているんですが、正に先生御指摘の、特に都会住民の、我々同世代なり我々の息子世代等々、あるいは娘世代については全く分からないんですね。
 実は一つ例を申し上げますと、あるとき、そんなばかな話があるのかと言われるんですが、実はある著名な大学の、しかも農学部の院生等々が私どもの集落営農地へ視察に来られました。そんな中で、実はある女子学生の方が質問されるんですね。福西さん、私は常々、日本農業、しかも国が補助金まで出して皆さん方に農業をやってもらわなくちゃならない理由というのはどこにあるのか疑問に思っていましたなんて言いますから、あれっ、なんて思って聞いていたんですけれども、じゃどう答えていいのか実は分からない、それがもう現実なんですよ。
 で、私は、じゃ、今の新しい食料・農業・農村問題、論じられていますが、あれは全く我々農業者の問題じゃないんですよと。考え方変えてくださいと。皆さん方消費者の問題ですよと。我々農業者から見ましたら、我々はどんな時代が来ましても、私の食べるもの、私の家族を養う部分だけは作り続けますわと。もし万が一、仮に、今、順風満帆だからいいですけれども、日本経済が破綻して、しかも農業ないですよと。すなわち、食なき国の農なき民ですか、農なき国の食なき民ですか、しかも買う金もないとなったとき、まず飢えるのはあなた方消費者ですよと。そういうふうにならないために今論じられているんじゃないですかということをやっぱりもっと知っていただきたいということは、我々よりも逆に先生方の方にもっと全国的に知らしめていただきたいなと、こんな感じに思いました。
 以上です。
○参考人(忠聡君) ささやかな取組ではあると思いますけれども、今度の土曜日、私どもは田んぼの一部を開放して、消費者の方を交えて農作業体験をさせます。ごくありきたりな取組ではありますけれども、割と小さいお子様を連れたいわゆるニューファミリーの参加が最近多くなってきています。これは大変うれしいことで、恐らく両親である立場も含めて、何か感ずるところが恐らくあっての参加かなというふうに思っています。秋にはそれを手刈りして、何と、はさに掛けまして、収穫したものをお送りするというような取組であります。
 また、野菜の直売施設には実は羊を飼っております。この春も七頭子羊が生まれたんですが、この間、ミルクをやるような、これも体験ですし、それをわざわざ見にお孫さんを連れたお年寄りが来るというふうなことで、生産現場でできるそういった環境をうまく活用していただくことの、これも雰囲気といいますか、そういったものを醸成していただくということが大事なのかなというふうに思っております。
 食育基本法というのも今回議論されたようでありますし、それも含めて農業教育というものの大切さを私はもう一度環境面と併せて是非学校教育現場でも活用するといいますか、御理解いただくためのそういった方法も是非取っていただければというふうに思っております。
 以上であります。
○参考人(生源寺眞一君) 今お二人のおっしゃったことと重ならないような形で申し上げたいと思います。
 一つ、やはり食の問題から入っていくということは非常に大事かなというふうに思っております。これは学校の教育の問題もございますし、例えば生活協同組合が産直という形でかなり農村と結び付いているということがあるかと思います。こういうチャンネルをやはり大事にしていくということが非常に大事かと思います。
 もう一つは、既に田舎との縁が切れてしまっている方もおられるわけですけれども、しかし、まだ出身地は田舎だという方がおられるわけですね。これは双方の努力かと思いますけれども、出身地の方でもう少し、今都会に出ている方との結び付きを組織するようなことはあっていいのかなと、こう思います。これはそういう事例もあるかと思います。
 それからもう一つは、同じようなことになるんですけれども、少し長期的な目で見てまいりますと、恐らく、農地を所有権だけを持っているという都会の住人がかなり増えていくと思います。これは相続ということがあれば数が増えていくと思います。これは農地の利用という点ではなかなか厄介な問題を持ちますけれども、しかし私は必ずしもマイナスではないというふうに思います。そういう形で農業、農村のステークホルダーといいますか、そこに利害、関心を持つ方が都会に増えるということ自体は私は決して悪いことではないというふうに思っております。
 それから、もうだんだん私は消えてきていると思いますけれども、農業に対する一種の悪いイメージというものがやはりあるわけですね。これはやはり一部のマスコミの報道の仕方なんかにも私は原因があると思いますし、農業、農村の方に全くそういうものがなかったかといえば、それもうそになるかと思いますけれども、農家とかあるいは農村というのは何か補助金が来るのを待って口を開けているような、こういうイメージがやはり今も完全に払拭されているというふうには思っておりません。この辺りはやはり都会で農業に接したことのない人が農業、農村に目を向ける場合の、場合によると心理的な障壁になるようなこともあるかと思いますので、そこは農業、農村の側が変わるべき点もありますけれども、農業、農村に対する見方というものをきちんとしたものにしていただきたいという、これは私の希望でございます。
○参考人(山田俊男君) 人間は食とは到底もう生涯無縁ではおれないわけでありますから、そういう面では、子供のころから食、それからそれをはぐくむ農に親しむという、この対策をもっと具体的に推進すべきであろうというふうに思っています。そういう面で言いますと、ゆとり教育の見直しというのは議論されておりますけれども、決してそうじゃなくて、むしろそういう面でのゆとり教育の充実こそが必要というふうに思っております。食農対策は極めて重要だというふうに思います。
 一方、我々農業者にとりますと、ともかく大事なことは美しい農村環境をつくり上げていくということであろうというふうに思っています。農業者自身が、何度も言いますが、耕作放棄地を置いていたりしたのでは駄目なわけでありまして、そういう面では、きれいな農村環境を地域の農業者、本当に努力して、これはもちろんJAもその責務を負うというふうに思っております。それをやる。
 そんな中で農村に帰農できる、そのための情報をもっと流す仕組みをつくり上げたい。これはふるさと回帰支援センターもJAも、それから連合も、それから経団連も、一杯集まってNPO法人をつくっている経緯があるわけでありますが、そうした活用をもっと進めるということがあろうかと思います。
 それから、一年のうち何日間は農業体験できるという仕組みも重要でありますし、それから、住んでおる近辺におきまして市民農園や学童農園をもっと借りやすくするといいますか、そういう対策もともに必要というふうに考えております。
 我が全中、小さな職場でありますが、しかし、多くの就職希望がありまして、その場合は環境問題や食料問題、それから生きがいでJA全中を選択しましたというのは何人もいるんですね。びっくりするような優秀なのが来てくれます。そういう面では私は、我が国はまだまだ希望があると、こんなふうに思っております。
○紙智子君 四人の参考人の皆さん、今日はありがとうございます。日本共産党の紙智子です。
 それで、最初に、酒人ふぁ〜むの福西参考人からお聞きしたいと思います。
 資料を出していただいて、これ読ませていただいて、今日の発言も聞きながら、何というのかな、改めて組織というのは人がつくるものだというか、人だなということをちょっと痛感もしましたし、学ぶところも大いにありました。
 面白いと思ったのは、語録集がいろいろ載っていまして、それで例えば、もうからずとも損をせず、先祖伝来の美田にて自らの食を生産し味わう、そんなぜいたくを集落民全体が享受するというようなことなど、集落を形成する上での言ってみれば原点となるような、そういう議論がうんとされたのかなというふうに思いながら読んだわけですけれども。
 いったん、担い手、このままではいなくなってしまうと、地域がやっぱりなくなってしまうんじゃないかというような行き詰まった状況の中で、集落営農ビジョンを発足させてこだわりの産物を作ると。それから、個性を生かしていけるような営農のシステムをつくるとか、あるいは、営農グループをいろいろ女性もお年寄りも入ってやれるような、みんなが参加していけるような仕組みもつくっているというのも共感するんですけれども、やっぱり簡単にここまで来たわけじゃないというように思うんですね。
 まず、法人化するまでの間、いろいろと集落での話合いがされたと思いますし、その合意形成するまでに一体どういう段階を踏んでまとまっていったのかなと、困難なところもあったんじゃないかなと思うんですけれども、そこのところをちょっと聞かせていただきたいと思います。
○参考人(福西義幸君) じゃ、お答え申し上げます。
 先生確かに御指摘のように、最初は我々のおやじ世代の地権者から猛反発食らいましたよ、食いました。当然ながら、平成の初めのころでございますから、まだ全国的に、おい、集落営農ってそれ何なのというようなことになりますから、何を考えとんねんというような感じでございました。
 ところが、我々は逆に問いただしたんですよ。じゃ、あなた方、農地持ちの地権者として何の責任を果たしてきたんだと、相続人である我々にただほうり投げただけじゃないと。それをきっかけに我々の集落は、すなわち相続人、後継者を集めての話合いに入ったんです。それまでには期間は掛かりましたけれども、最終合意形成の段階では、もう時の地権者はちょっとこちらへどいていただいて、相続人の皆さん方集まってください、あの方々に十年、二十年先の農業は語れないんだからということで、もう基本が、それが唯一の合意形成の手段でございました。
 それからもう一つ、農業者と、非農業者と言ったらいいんでしょうか、農業をやっていない方とが共存する集落でございますから、どうしても気候のいい今のシーズンにやはり子供を連れてだれしも遊びに行きたいですよ。そのときに、農作業をやらなくちゃならない農家の息子たちの苦悩を解消してあげたかったし、また農業に嫁いでこられた若いお嫁さんの思いを解消してあげたかったということと、もう一つは、農業を主としてやっておられます高齢者のいろんな苦労を解消してあげたかった。これが集落営農につながった一つのきっかけと、若者が結集してくれた、もう簡単に申し上げましたらそれに尽きるんですが。
 それともう一つは、我々の集落に脈々と流れ続いてきました、先ほど忠さんの話にもありましたように、結の精神ですよ。相互扶助の精神です。まだまだ有り難いことに農村集落というのはそれが一部残っているんですね。それに付け込んだということになります。
○紙智子君 しばらくは集落営農組織ということでやってこられて、法人化するまでに少し間があったと思うんですけれども、ずっと集落組織でやって実績も上げてきて、その中でどうして法人化しようというふうに思われたんですか。
○参考人(福西義幸君) 実は法人化しましたのは、一つは、今日まで我々がやってきたことを規範とするならば、これを制度化していこうじゃないかと、すなわち、かすがいを入れようと。役員間でもめ事が発生してトラブって、あしたから辞めたとならぬようにしようということと、もう一つは、今後、これからの先を読む中で当事者能力を付けておこう。
 それから、経営をやるんだよと、任意組織の仲よしグループじゃ経営やれないなと。お互いに、役員にとっても構成員にとっても機能分担しよう。役員は当然ながら、高効率の農業をやる役員、それから経営管理やる役員、営業を担当する役員、機能分化やろうと。それから、構成員にとっては、オペレーターとしても出役いただく代わりに全集落挙げての出役体制を取ろうよ、年齢と体力に合わせた作業を見付けますよ、これからの中心となる、我々の経営基盤となり得る野菜の研究をやろうよということで。
 あるいは、転作作物何がいいんだろうと。我々、生産調整を五〇%やっていますのはリスク分散とコスト分散なんですよ。経営をやらなくちゃならないから、一年に一回しか取れない米だけに集中するということはできなかった。
 そういうこと等々を考え併せて法人化したということになります。
○紙智子君 私も法人化したところを幾つか歩いたりもしていろいろ見てきたわけですけれども、法人化したとしても、例えば農産物の価格が下がったりとかということがあるわけで、そうすると、最初の立ち上げのときはある程度のいろいろ制度を使ってやるんだけれども、なかなかやっぱり困難な中で悩みながらやっているというところも多いわけですよね。
 それで、酒人ふぁ〜むの場合は、経営的にはどういう今状況にあるのか。そして、安定した経営をするために、例えば販売ルートの確立だとか直販での売行きだとか、実際に売れないと話になっていかないと思うんですけれども、そういう工夫なんかについてはどういうことをされているのか。それから、農業生産法人への支援ということでいうと、国への要望などあればお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(福西義幸君) まず、販売なんですが、我々は五十六名の組合員で構成をしています農事組合法人でございますから、五十六名の組合員全員が営業マンという考え方を持っています。それと、我々が持っています、我々の組合で持っています販売力イコールが生産力のマックス点と、こういうふうに考えていますから、それ以上のものは作らないよと。
 それともう一つ、経営につきましては、我々は今日まで安定経営に入るには面積拡大が第一というふうに考えていたんですが、最近は実は変わってきたんです。今日現在我々が考えています一番安定経営ができるまず面積を考えようと。
 だから、集落営農、みんなそうだと思うんですが、よくよく、ちょっと話ずれますが、集落営農組織と認定農業者とが集落内で衝突するなんという話を聞きますけれども、それはもう考え方が違うんですよ。お互いに同じパイを取り合いするからそういうことが言えるだけであって、経営感覚を変えれば幾らでもできるんですよ。だから、我々の集落営農組織だって、我々の集落営農組織が一番高効率な農業をやりながら一番付加価値の高い点で止めようよと、これが集落営農運営のきっかけとポイントじゃないかなと、こう実は考えているんですが、基本的にはそんなことをやりながら集落全員出役体制の組合法人形成を取っています。
 販売方法は、五十六名の営業マンが動いています。それともう一つ、我々は、我々の力以上のところへの販売は考えていません。できるだけ我々の目線、若しくは少し下がった場合の目線の相手しか取引をやらないということも決めていますので。それと併せて、経営状況は、今のところは何とか一年やりましたら少々の利益並びに組合員配当ができるという経営状況下になっています。したがいまして、米価には余り期待は置いていません。
 以上です。
○紙智子君 もう一つだけ聞きたいんですけれども、酒人ふぁ〜むの場合はみんなが二種兼業農家ですよね。いわゆる農水省で掲げている主たる農業者というか、所得六百万ですかね、というのを得ているような主業農家というか、そういう人が中に入っていないわけです。しかし、みんなで力を合わせて実態に合ったやり方でやってきているのかなと思うんですけれども、あえてそういう農家がなくてもいいのかというか、これからもこのままのスタイルでやっていくのかどうかということです。
○参考人(福西義幸君) 先生御指摘のとおり、その問題も随分議論してきたんですよ。まだ今もやっています。
 ただ、よくよく考えてみますと、じゃ、私どもの集落がそうして農地集積を図りましたよと。農地集積図った農地をある一定の特定の個人、すなわちA君ならA君に、あなた担い手となってくださいよって農地渡した、託しましたよと。それは、農業経営で彼が成功してくれれば良ですわ。ところが、今の米価情勢等々、農産物諸情勢かんがみてきて、託したのはいいけれども、彼がどんどんどんどん資材まで売り払いながら集落の農地を守らないということになってきたときに、その責任だれが取るのと、こうなってきましたから、そういった責任等々は、じゃ集落内全員で取ろうよということが一点。
 それからもう一つ。仮に集落の力でまとめ上げた農地を一人の担い手に託した、二人でもいいですが。彼らが軽トラックを乗って農村集落内走っているうちはいいんですよ。ベンツに乗ったら、今度集落内は逆にねたみが出ますわ。あのやろう、おれの農地で稼いでおると、こうなるでしょう。そうならないように、全員でそれも分散しようじゃないかという結果です。
○紙智子君 ありがとうございました。
 それじゃ次に、「かみはやし」というんですね、カントリーの忠参考人にお聞きします。
 今お聞きした質問と同じ質問にもなると思うんですけれども、法人化して、それで必ずしも、何というんでしょうか、うまくいくわけではないというか、やっぱり難しい問題もあるわけですけれども、これをやっていて、特にやっぱりもっとこういう点で支援を欲しいとかということがありましたら、最初にちょっとそれをお聞きしたいと思います。
○参考人(忠聡君) 二十一年目に入っておりまして、トータルしますと半分くらいが赤字のときがございました。最近は安定してきているんですけれども、何かないかと言われれば、私は経営安定のための準備金制度が欲しいなと思っております。
 いろんな意味で、何といいますか、いわゆるセキュリティー制度をつくってはいただいております。もう一方では、これが不足だから何かを下さいという時代でもないんだろうと。であれば、自分たち自らがそういった不測のときのためにある程度蓄えておけるというような、今申し上げたような、これは税制になると思いますけれども、そういった制度が必要かなと思います。特定農業法人にはそのような制度がもう既にあるわけでありますけれども、それをもう少し拡大、拡充するというふうな形で手当てしていただけると大変有り難いなと思います。
 以上です。
○紙智子君 この本ですね、「農業構造問題研究」ということで、この中に「神林カントリー農園の概要と青年農業者への期待」というのがあって、その中で参考人は、いろいろやり取りの中で、将来株式会社化される意向あるかというふうに聞かれていて、そのときに、興味はあるんだけれども、安易な株式会社というのはちょっとどうかと、協力者がどれだけ現れるのかと、地域ではまだまだ理解されていないところがあるのでというふうに答えているんですけれども、これは現時点ではどのようにお考えでしょうか。
○参考人(忠聡君) そのときとそれほど変化はしておりません。
 ただ、私、先ほど法人化ということについて農村は非常に慎重だというふうに発言申し上げましたが、それはその株式会社という、そういう言葉に対しても更にやはり敏感なのではないかなというふうに思っております。
 したがって、私は今のところ、融資による有限会社方式の、それ以上を求めようというところまでは正直至っておりません。
 ただ、基本的には、農業以外の出身者であっても、私は、本当に農業をやりたくて、農業が好きで、それで一緒にやれると、それがまた自分たちも地域の方もその人を受け入れてくれるというふうなやっぱり環境があれば、人は受け入れていきたいと思いますし、今後また更に資本の充実を図りながら経営を拡大していきたいということが出てくれば、それはまたそのときで考えたいなというふうに思いますが。
 関連しますけれども、私は、土地利用型農業がどんどんどんどん膨らんでいって、それが例えば欧米で言う数百ヘクタール、もう既にそういう私ども法人の仲間もいますけれども、更にそれが一千、二千というような経営はちょっと考えられないのではないかなという、そんな思いも実はしております。
 以上です。
○紙智子君 この同じ雑誌の討論の中で、新潟県の新規参入支援制度のことが書かれていました。法人に対して月額十万円出されていると。
 それで、忠さんはこれを活用して研修受入れで青年農業者を育てるという重要な役割を担っておられるんですけれども、研修受入れそのものもなかなかやっぱり大変だというか負担掛かっていると思うんです。本当は、やっぱり融資ということじゃなくてもうちょっと、何というんですか、そういう支援できるものというのはあっていいんじゃないかというふうにも思って見ていたんですけれども、今のそういう制度と、それからこの分野を発展させていくということでいうと、どういったことを国なりに要請したいですかね。
○参考人(忠聡君) 経営の中で人を育てるということについては、非常に時間と労力が掛かることは確かです。しかも、気持ちはあるんだけれども全く経験がない者を受け入れ、しかもその方をある程度経営にとってプラスになるようになるまで育成していくと、育てるということについては、私どもが以前に活用した、一定の期間をそういった助成という形でいただくことというのは非常に重要なことでありますし、私どもにとっても有り難いことだなと思っております。そのうち何人かは当社に就職をした者、研修期間を経てもう県内の法人あるいは家族経営の中で頑張っている若者がおります。
 そういった意味では、今後ともそういった施策があれば大いに活用したいと思いますし、私ども法人の仲間もそういった思いが相当あるのではないかなというふうに考えております。
 以上です。
○紙智子君 ありがとうございました。
 じゃ次に、全中の山田専務理事にお聞きしたいと思うんですけれども、出されている資料の中で、農地と担い手に対する考え方ということで、効率的かつ安定的な農業経営と目される農業の動向で、これまでの認定農業育成政策の努力にもかかわらず、水田農業では認定農業者は五万九千戸にすぎないと、これらの認定農業者への農地利用の集積は十分とは言えずと、農地を集積した大規模農家もコストがかさみ苦労しているというふうに言っていますけれども、この原因についてどのように分析をされておられるのか。
○参考人(山田俊男君) ひとえにやはり農地がちゃんと集まらないということにもう限るというふうに思っております。
 御案内のとおり、戦後、小規模機械化体系がちゃんと、これはそれなりにすばらしくできまして、小さな経営でもできるという体系ができちゃって、それにずっと来ました。ところが、ここへ来まして、もうそれでは所得を稼げないわけでありまして、規模拡大しようと思いましても農地の利用の問題が引っ掛かっているというふうに思っています。一番大事なのは農地の問題。ですから、担い手の問題と農地の問題は全く深く結び付いた課題だというふうに思っております。
○紙智子君 いろいろな声が出ている中で、例えばこれだけ耕作放棄地が増えているんだし、この際、その歯止め掛からないんだったら株式会社でも何でも、とにかくやってくれるんだったらいいじゃないかというような声が出ていたり、あるいは農業団体にとっては不利益だから参入に対して抵抗するんじゃないかと、農業団体のわがままじゃないかみたいな、そんな声も一部出たりしているわけですけれども、私はそういう問題じゃないというふうに思っているわけですけれども。
 山田参考人は、これらに対してはこの資料の中でも、地域農業の実態をもうちょっとよく把握して発言してほしいということですとか、もっとやっぱり根本の、そんなわがままということじゃないんだということを話されているんですけれども、これに対してちょっと詳しくお話しください。
○参考人(山田俊男君) やはり、JA、我々も含めまして、生産者に責任があるというふうに思います。耕作放棄地を出すんであれば、それをちゃんとよそに貸せばいいんです。しかし、よそに貸す努力をJAもちゃんときめ細かくやったのかどうかというやはり責任はあるというふうに思っております。しかし、一方で、一体借りても何を植えるのかと、うまく効率が上がらないぞという部分もありますので、そこはやはり、これを植えると安心だぞという政策のやはり裏付けも何としてでも必要というふうに思っています。
 我々も、株式会社が入ることに反対だぞというふうに、わがままだという、しょっちゅうあっちこっちで言われていまして、身がすくむ思いでありますけれども、しかしちょっと翻って考えてみますと、農地の所有を前提にしてどんどん会社が入ってくるということは、もう極めてこれは危険なことだというふうに思っておりまして、今回のリースを中心にして地域の調和の中でやっていく特区はもうぎりぎりの要件であろうかというふうに思っておりまして、所有の議論に入る前にもっと生産者、それから我々団体、それから市町村、これらに猶予を与えていただきまして、そしてちゃんと耕作しているという実情をやっぱりつくり上げていくことにいたしたいというふうに思っています。
○委員長(中川義雄君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々に一言御礼を申し上げます。
 参考人の方々には、長時間にわたり御出席をいただき、貴重な御意見を拝聴させていただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 本日の審査はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十二分散会