第162回国会 外交防衛委員会 第5号
平成十七年三月三十一日(木曜日)
   午前十時二分開会
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   委員の異動
 三月三十日
    辞任         補欠選任
     藤末 健三君     喜納 昌吉君
     浜田 昌良君     荒木 清寛君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         林  芳正君
    理 事
                浅野 勝人君
                三浦 一水君
                山本 一太君
                齋藤  勁君
                榛葉賀津也君
    委 員
                岡田 直樹君
                柏村 武昭君
                桜井  新君
                谷川 秀善君
                福島啓史郎君
                山谷えり子君
                犬塚 直史君
                喜納 昌吉君
                佐藤 道夫君
                田村 秀昭君
                白  眞勲君
                荒木 清寛君
                澤  雄二君
                緒方 靖夫君
                大田 昌秀君
   国務大臣
       外務大臣     町村 信孝君
   副大臣
       外務副大臣    谷川 秀善君
   大臣政務官
       外務大臣政務官  福島啓史郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        泊  秀行君
   参考人
       上智大学外国語
       学部教授     樋渡 由美君
       軍事アナリスト  小川 和久君
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  本日の会議に付した案件
○外交、防衛等に関する調査
 (平成十七年度以降に係る防衛計画の大綱及び
 中期防衛力整備計画等に関する件)
○専門機関の特権及び免除に関する条約の附属書
 XVの締結について承認を求めるの件(内閣提
 出)
○石綿の使用における安全に関する条約(第百六
 十二号)の締結について承認を求めるの件(内
 閣提出)
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○委員長(林芳正君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨三十日、藤末健三君及び浜田昌良君が委員を辞任され、その補欠として喜納昌吉君及び荒木清寛君がそれぞれ選任されました。
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○委員長(林芳正君) 外交、防衛等に関する調査のうち、平成十七年度以降に係る防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画等に関する件を議題といたします。
 本日は、参考人として、上智大学外国語学部教授樋渡由美君及び軍事アナリスト小川和久君に御出席いただいております。
 この際、参考人の方々に対し、本委員会を代表して一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。
 皆様から忌憚のない御意見をいただき、今後の調査の参考にしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 議事の進め方について申し上げます。
 まず、参考人からお一人二十分程度で順次御意見をお述べいただき、その後、午後零時三十分までをめどに質疑を行いますので、御協力をお願いいたします。
 また、御発言の際は、その都度委員長の許可を得ることになっておりますので、御承知おきください。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず樋渡参考人に御意見をお述べいただきます。樋渡参考人。
○参考人(樋渡由美君) まず、お手元の資料に即して話をしてまいりたいと思います。
 二枚目というか、一枚めくっていただいて「はじめに」のところからでございます。
 防衛計画大綱と中期防は、冷戦後、それから九・一一以後の国際環境の変化に日本がどのように対応するかということを明確にした点で、私は画期的であるというふうに考えております。日本の防衛にとっては、テロなどの新たな脅威のみならず、北朝鮮、中国といった伝統的な脅威にも備えることが極めて重要であります。特に、大綱では中国という国名を明記した点で非常に画期的だというふうに思われます。また、防衛を重視し、大綱策定を実現した小泉政権の姿勢について、私は個人的には非常に高く評価しております。
 しかし同時に、安全保障と防衛力に関する懇談会の委員の仕事を終えてからずっと考えてきた日本の防衛についての私なりの見解と照らし合わせて考えてみますと、不十分であると思われる点、あるいは非常に違和感を持つという点も幾つかございますので、その辺りについて(1)から(5)に掲げる幾つかの点について簡単に述べさせていただきたいと思います。
 三ページ目の、まず戦略というところでございます。
 御承知のように、安全保障と防衛力に関する懇談会の報告書、以下、懇談会報告書というふうに言わせていただきますが、ここでは統合的安全保障戦略と称して日本が持つべき戦略ということを明示してあります。しかし、報告書に書かれてある戦略が本当に戦略になっているかどうかについて、私は非常に疑問に思っています。達成すべき目的、これは日本の防衛あるいは日本の国益の実現ということになろうかと思いますが、これを明示し、そのための手段や具体的な政策課題を提示した点では、確かに画期的な文書です。
 しかし、反面で、本来戦略が意味するところの行動計画という観点から見たとき、余りにもいろいろな脅威や対応策が列挙され、それらの間の優先順位付けが非常に不明確となっています。どのような国家でもありとあらゆる脅威に対応することはできませんので、当然脅威を認定し、それに対する自国の脆弱性を測定し、その脅威が実際に及んだ場合の結果の重大さをあらかじめ考えた上で、どの脅威に対する対応策を優先させるかを考えなくてはなりません。そうしたリスクの計算と戦略目的の優先順位付けということが、懇談会報告書や大綱からはダイレクトには伝わってこないというのが私の正直な感想であります。
 何よりも最初から私が矛盾に感じていたことは、多機能弾力的防衛力として自衛隊に今まで以上の多くの任務を求めるにもかかわらず、防衛力は縮減方針を取るというふうにされていることです。戦略というのは、それに基づいて自衛隊が実際に行動できなければ何の意味も持ちません。統合的安全保障戦略が掲げている目的がそこで述べられている防衛力で本当に達成できるのかについて、私は十分な議論が懇談会でなされたとは決して思っておりません。この点については、後で防衛力の水準について述べるときにまた申し上げたいと思います。
 四ページ目の戦略その二というところでございますが、日本の安全保障戦略に欠けている点として、次のような点を指摘したいと思います。
 アメリカでは国家安全保障戦略、国防戦略、そしてそれらを基にした軍事戦略という三本柱で戦略が立てられております。当然、安全保障戦略は軍事力行使のみを念頭に置いて考えられるわけではないので、軍事力以外の国家の力というものと軍事力というものとをどうやって調和を保ちながらアメリカの安全確保をするかということが重要な課題となります。ホワイトハウスがこうした観点から国家安全保障戦略を打ち出し、それに基づいて国防総省としてどのような国防戦略を立てるかが決まり、それらを基に、各軍及び現場の指揮官を含めて軍事目的、軍事作戦のコンセプト、必要な軍事力というものを考え、リスクを計算することを可能にするような軍事戦略が作成されるわけです。こういうアメリカのような戦略の立て方というのは極めて合理的で、非常に明快であるということが言えます。
 これに反して、日本の戦略では、外交、防衛、軍事の要素が様々に入り交じっているために、自衛隊が一体どのような任務をどういう形で行い、そのためにどれくらいの防衛力が必要なのかということを各幕僚監部が考えることを極めて困難にしているというふうに私は考えております。これではミリタリープランニングというものができるわけがないというふうに思います。
 今回、随分自衛隊のことを勉強して、各幕僚監部防衛課がいかに優れたミリタリープランナーたちの集団であるかということを知りましたが、こういう人たちの仕事を極めてやりにくくしている要因として、こうしたいろんな要素が入り交じった不明瞭な戦略というものが挙げられるというふうに私は思っております。これは、防衛庁や自衛隊の位置付けが極めて中途半端なものであるという現実と決して無関係ではないというふうに考えています。
 もう一点、日本の戦略に欠けている要素ですが、それは少し先ほども触れたのですが、リスクの管理という観点です。
 国家は多様な脅威に直面しています。しかし、資源は限られているわけですから、あらゆる脅威、あらゆる事態に対応できる万全の体制を築きたくてもそれは不可能であります。そうなると、何らかの優先順位を付けることがどうしても必要となります。現時点での軍事的な要請と、将来起こり得る事態とが必要とする軍事力との間のバランスというものをどういうふうに取るかということが、実は非常に重要になります。
 アメリカでいえば、イラク戦争及び戦後の秩序安定に必要な軍事力と、将来アメリカが直面するかもしれない事態に対応できる即応態勢の構築ということをどういうバランスを取って考えるかということがこういった優先順位付け、リスクの管理ということに相当します。日本の戦略にはこうした発想がないように思えて仕方がありません。
 五ページ目の戦略のその三でありますけれども、ではなぜ戦略が重要かということについて簡単に触れてみたいと思います。
 その理由というのは、戦略が決まっていれば、何か事態が生じたときに場当たり的な対応、状況的な対応をしなくて済むという、この一点に尽きるかと思います。今回の大綱が出される直前に、中国の潜水艦の我が国領海侵犯事件というのがありました。私は、懇談会を通じて、中国の軍事力増強と、その中でもとりわけ海軍力、空軍力の増強を考えると、対潜戦能力を減らすという方針でありますとか戦闘機の数の削減という方針は非常に不適切であるということを随分述べたつもりでおりますけれども、こういう事態が起こって初めて政治の側は対応するということが分かりました。これではやはり戦略に基づいた防衛力整備を日本が行っているということにはならないというふうに思います。
 次に、(2)の、六ページ目の防衛力の水準について述べてみたいと思います。
 国家の国民に対する義務というのは、経済を良くすることと国防、この二点です。十分な国防を行うためには、可能な限りで十分な国防費を支出するということがどんな国家にとっても重要課題となります。しかしながら、冷戦期のソ連の脅威ではなく、多様な脅威に対抗するための防衛力というのが一体どれくらいの水準なのかということを判断することは、実は極めて難しいことであります。日本以外のどの国でもこうした問題に取り組んでおり、しかも財政の制約がある中で国防費を決めなければなりませんので、更に一層難しい決定を強いられることになっています。
 日本の場合は、財政事情が悪いので防衛力、防衛費を削減せよというかなり強い圧力が働き過ぎたのではないかというのが私の印象です。その結果、日本にとっての危険を十分に分析した上でどれくらいの防衛力の水準が必要であるかということが徹底的に考えられなかったのではないかというふうに思っております。
 さらに、合理化、効率化、コンパクト化という原則がありますが、これも民間企業に適用するのと同じ発想で自衛隊に適用しようとしている点で、私は不適切極まりないというふうに考えております。市場競争を通じて利潤の追求を行う企業と異なり、国防を担う軍事組織というものは利潤を追求する組織ではありません。国防についての責任を負うことができるのは国家だけであって、こうした国防に固有の問題を無視して、無駄を切り捨てる発想のみから防衛力の水準を議論することは大変危険なことであると思います。
 もう一点気になることは、防衛庁では二〇〇一年から、防衛力の在り方検討会議というのを発足させてかなり徹底した議論を進めてきたと聞いております。この在り方検討会議で議論された結果が一体どの程度懇談会の報告書や大綱に反映されているのか、私にはよく理解できなかったことであります。つまり、財政が厳しいことを十分承知の上で防衛庁・自衛隊が行ってきた防衛力についての非常にまじめな議論が本来、懇談会報告書や大綱に反映されなければならないにもかかわらず、私は少なくとも懇談会の議論の中でこうしたことが行われたというふうには思っておりません。財政が厳しいと一点張りであったという感想を持っております。
 このようにお話ししてきたからといって、私がむやみに防衛費を増やせというふうに言っているわけではもちろんありません。例えば、納税者の一人で私はあるわけですけれども、専守防衛という日本の基本的な防衛政策の基盤ですけれども、これには、これは日本の防衛力というものは攻撃的な側面を持たないという点で、言い換えるとかなり万全の防衛体制を要求する、そういう考え方であると思います。ですから、この専守防衛というのは非常にお金の掛かる、非常に高価な戦略であるというふうに言わざるを得ません。そうだとすれば、私は自分の払った税金が国防のために十分に支出されていることを願うのであります。もちろん、反面で国家財政を破綻させるわけにはまいりませんので、何とかしなければいけないということになります。
 そこで、私が小泉改革に大きな期待を持つのは、その改革が実を結べば十分な防衛力整備を可能にするというふうに考えるからです。ちまたでよく問題にされている郵政民営化でありますけれども、こうした郵政民営化に代表される小泉改革というのは、基本的には自由化の政策であります。これは単に郵政だけでなくて、一般に日本の経済をもっと自由経済の方向に向けて改革していくことを意味します。日本の市場を内外に広く開放して日本経済を発展させることによってのみ十分な防衛費を確保することが可能となります。財政が苦しいから防衛費を削減するというのは非常に本末転倒の議論であり、そこからは私は何も生産的なことは生まれてこないというふうに思います。そうではなくて、経済を良くして十分な国防を行うという、そういった前向きな姿勢こそが重要であり、私は小泉首相の政治、経済両面での改革こそこれを可能にすることにつながるというふうに思っております。
 さらに、こうした小泉政権の下で自民党も非常に大きく変わってきているわけですし、さらには日本の政党政治そのものも大きく変化しているということだと思いますので、これが結局は戦略環境の変化に対応して日本がきちんとした防衛戦略、防衛論議を行い、明確な防衛戦略を持つことを可能にするのであろうというふうに考えます。
 七ページ目の自衛隊に関する点ですけれども、これは二点、シビリアンコントロールと統合運用についてちょっとだけお話をさせていただきたいと思います。
 シビリアンコントロールに関しては、日本は非常に何か誤解があるような気がしてなりません。かつては自衛隊が何か非常に悪いものであるかのように考えられて、それが悪いことをしないようにコントロールするという考え方が極めて強かったように思います。しかし、シビリアンがミリタリーをコントロールするということは、極めて専門性の高い防衛、軍事に関するシビリアンの知識、洞察力、判断力、あるいは国際政治全般に関する知識なしにはもちろん成り立たないわけです。制服を着ている方たちが、これは経験から得た知見と鋭い洞察力、国際政治に関する深い理解を持っていらっしゃるということは、私は今回非常にいろんな方とお話をしてよく分かりました。彼らの知識というものが実は経験に基づいた知識あるいは見識であるだけに、これはシビリアンには得難いような能力であるというふうに私は理解しております。
 こういった軍事のプロフェッショナルたちの見識が適切に政策に反映されるような仕組み、あるいはそういう仕組みの適切な運用というものが非常に大事になるというふうに思います。防衛参事官制度等いろいろ改革の余地などあるのかもしれませんが、こうした軍事の実際のプロフェッショナルな方たちの見識というものが政策になるべく結び付くようなことを是非考えていただきたいと思っております。
 統合運用につきましては、自衛隊を将来的にどういうふうに本当に使うのかという、どういう任務まで果たすのかと。例えば海外に派遣した自衛隊が治安維持任務まで行うんでしょうかというようなことも含めて、自衛隊が実際どういうふうな任務まで果たすのかということが明確に定義されない限りは、統合運用の統合の中身というものは決まってこないというふうに考えております。
 八枚目の日米同盟に関してですけれども、日米同盟の重要性というのはもちろん言うまでもありませんが、私が非常に理解に苦しむ議論として、従来、日本はアメリカの言いなりになっているとか対米従属であるとか、それから、これは政府も使うようなんですけれども、世界の中の日米同盟というような議論です。これらはちょっと理解に苦しむ議論であります。
 例えば、世界の中の日米同盟ということについて、何で私がこれはちょっとよく理解できないと思うかといいますと、本来、同盟というのは同盟国同士の同盟に対する非常に強いコミットメントが必要であります。そして共通の敵なり共通の戦略目標に沿って、いざというときにはともに行動することを意味します。したがって、共通の敵に対する強い抑止効果を持つことも当然同盟には含まれます。にもかかわらず、同盟が何かこう世のため人のためになるというようなニュアンスのこうした世界の中の日米同盟というような言葉は、こうした本来の同盟が持っている、日米両国ですね、この場合は、この同盟国の安全保障上の利益になるという考え方とは異なる非常に理解し難い考え方であると思います。
 それから、アメリカの言いなりとか対米従属というようなことに関しては、日本はおよそ主権国家である以上、どこかの国に言いなりになるということは本来考えられません。日本がアメリカとの同盟関係を築いている理由というのは、日本の安全保障にとってアメリカが絶対に必要であるからであります。ミサイルの脅威でありますとか、中台危機が日本にとっての平和と安全に与える計り知れない不利益、東アジアから中東に至る海上の安定を脅かす危険などを考えると、日本にとってアメリカのプレゼンスというものは何よりも必要であり、そのためには米軍基地を提供することの重要性は不変であります。
 基地問題に関しては、地元と米軍との関係上様々な問題があることは承知しておりますが、日本の安全保障にとって米軍への基地提供というのは不可欠であり、政治の側が、米軍基地がどうして日本にとって重要であるのかということをきちんと国民に対して説明しなければいけないというふうに考えております。
 また、その同盟関係においては、両国間、日米両国間が緊密な協議を行うということ以上に、実際に日本が同盟国として非常に信頼できる相手であるということを行動によって示すことがどうしても必要となります。この点で、小泉内閣の下でのテロ特措法、イラク特措法を制定し自衛隊のイラク派遣を実際に行うというこの一連の行動を取ったということは、極めて同盟関係を緊密化する上で重要であるというふうに私は理解しております。
 それから、米軍と日本の自衛隊との間の相互運用性を高める努力というのはずっと行われてきたわけですけれども、こうしたミリタリー同士の関係がきちんと構築されていることこそ同盟関係を機能させ、日本の防衛を可能にするものであるというふうに考えております。
 それから最後の、防衛と外交について簡単に申し述べたいと思います。
 懇談会の報告書でも、大綱においても、安全保障が単に防衛庁や自衛隊だけにかかわるものではなくて、全政府的な取組が必要であるということが一貫して示されているというふうに思います。これについては、私は、全くそのとおりであると考えると同時に当たり前であるというふうに思います。しかし、もう少しよく考えてみますと、今必要なことは、これはもう当たり前であってその先に一歩行かなければいけないという点であります。つまり、より明確な防衛や軍事に関する戦略を立てることであるということだと考えております。
 したがって、防衛庁を省にする、あるいは自衛隊を軍として明確に位置付けるということがどうしても必要になります。こういうふうな明確な位置付けを与えて、防衛庁や自衛隊の責任というものを明確にすることによって初めて日本にとって明確な防衛政策というものが立てられるんだろうというふうに考えます。
 こういうふうにいろいろ考えてまいりますと、これまでの日本の外交というものも非常に不十分なものであったというふうに言えるのではないかと思います。日本の国益の実現のためには、防衛、軍事と並んで、一体どういった外交を行うべきであるかが徹底的に再検討されなければならないと思います。
 日米同盟は日本の安全保障のかなめでありますが、それとともに、アジア太平洋地域を見渡したときに、日本にとって好ましくない事態が生じたとき、一体、同盟国のアメリカ以外にどういう国が日本の味方になってくれるのかということを改めて考えなければいけないのではないかと思います。オーストラリアとかインドとかですね、こういった国が極めて重要であるというふうに私は常々考えておりますが、こういう国と例えば常日ごろからどういった外交関係を築いているのかについてもう一度再検討し、明確な外交戦略というものも打ち出していく必要があるかと思います。
 以上、いろいろ申し述べましたが、私は今回のような形で大綱、中期防が出されたことは非常に高く評価している人間であります。日本は、国際環境の激変とともに国内の政治体制の変化を同時に経験した非常にまれな国であると思います。したがって、様々な問題を内外に抱えながらもそれなりに変化にきちんと対応してきたのだろうと思います。小泉内閣までの間に行われた様々な政策対応というものが今後も受け継がれて、日本の安全保障、防衛政策の明確な方向付けにつながっていくことを私は国民の一人として期待したいというふうに考えております。
 以上です。
○委員長(林芳正君) ありがとうございました。
 次に、小川参考人にお願いいたします。小川参考人。
○参考人(小川和久君) 小川でございます。お招きいただきましてありがとうございます。どれほど御参考になるようなお話をすることができるか、大変緊張してこの場に座らせていただいております。
 私自身は、一応、自衛隊の末端にもおりましたし、ミリタリーバックグラウンドの人間として一貫して防衛庁・自衛隊の政策に直接かかわってきた立場として、今回の防衛計画大綱について若干の疑義を持っております。その点をお話を申し上げ、後ほど様々な御質問あるいは御指摘にお答えできればと思っております。
 私は、皆様方が大変お若いということを前提に、小さな文字で印刷した紙を二枚持ってまいりました。私も今年六十になりますけれども、まあ何とか見える。この二枚紙の一番最後の方に、今月十八日、この外交防衛委員会における大野防衛庁長官の発言のポイントを書いておきました。これを基に若干のコメントをしたいと思います。
 大野防衛庁長官は、新防衛大綱は今後の我が国の安全保障及び防衛力の在り方について新たな指針を示すものだと述べていらっしゃいます。また、これまでの防衛大綱は策定から十年近くが経過し、今日、我が国を取り巻く安全保障環境には大きな変化が生じているとも述べていらっしゃいます。そして、このような安全保障環境を踏まえということで、第一に、第二に、第三にと、ここに一、二、三とナンバーを振ったような内容のことを説明していらっしゃるわけであります。
 私は、揚げ足取りをするつもりはございませんが、このレジュメの一番目の、一枚目の冒頭に戻りまして、防衛計画大綱の議論に欠落しているものということでまず問題提起をさせていただきたいと思っております。
 安全保障環境の変化を前提とする状況対応型の議論から出発している、ここに大きな問題があるということなんです。もちろん、その後に続いている様々な議論というものの中身については、私は妥当性があるし評価もしております。ただ、出発点が間違っておるというところが第一点でございます。
 ここには書いておりませんが、もっと申し上げますと、今、樋渡参考人のお話の中にもかなり出ておりましたけれども、本来、一つの独立国家が安全と繁栄を実現していくために必要な外交安全保障に関する構想があって、その上にこの防衛計画大綱のようなものの位置付けが適正に行われなければいけないということも申し添えておいてよいのではないかと思います。
 やはり、私として疑問があるのは、なぜ我が国の防衛力の現状に関する認識を示し、そこからの選択肢に基づく大綱としないのか、その辺でございます。そうしなければ、先ほどの大野防衛庁長官の発言にもありましたような、このかぎ括弧の中でございますが、国際的な安全保障環境を改善する、あるいは、国際平和協力活動に主体的かつ積極的に取り組む、あるいは、新たな安全保障環境の下での戦略目標に関する日米の認識の共通性を高め、日米の役割分担や米国との戦略的対話に主体的に取り組む、そういったことはできないのではないか、そういったことを思わざるを得ないんですね。
 僕は、樋渡参考人もその委員のお一人であったので、懇談会の議論というものを高く評価しながら、やはり一つの点を申し上げたい。
 私は、今月七日から十四日まで、スペインの首都のマドリッドで列車爆破テロの一周年を記念する国際サミットに出てきた。まあ、問題は一杯あるんですよ。去年の十一月に招待状が発送されたにもかかわらず、我が日本国からのVIPの出席はゼロ。スピーカーはアナン国連事務総長ですよ。各国首脳クラスがずらっと来ている。私のホテルの同じフロアも、主役の一人であったアフガニスタンのカルザイ大統領が泊まっている。
 ところが、日本国から行ったのは、専門家として招待されていた私のチームが三人と、あと個人的に招待をされた外務省の駐仏大使の岡村善文さん、彼が休暇を取って自費でやってきた。我が日本国のスペインにある大使館からは情報収集要員も出てこない。岡村公使が注意したからでしょうが、閉幕間際に大使が駆け込んでくる。次の日の追悼式典にも日本の代表者はいないわけであります。これ、国会議員方々は国会の会期中だから出られなかったという問題は踏まえた上で申し上げているんです。
 これは、それに代わるやはり要人が出てきちんと発言しないと、世界で初めて大量破壊兵器であるサリンをテロで使われた国として、同時多発テロに見舞われたアメリカ、あるいは列車爆破テロに見舞われたスペインとともに、テロリズムを克服するための営みを日本はすべき立場じゃないかという点で非難を受けるわけでございます。だから、口先ばかりの日本の言うことは聞く必要はない、日本の安全保障理事会の常任理事国入りなどはとんでもない、それが共通した認識でございました。これはやはり肝に銘じておくべきだろうと私は思っております。
 そういう中で、パネルディスカッションで、ソラーナさんといって、以前NATOの事務総長をし、今はEUの外交安全保障問題担当の上級代表をしている方が発言をされたんですが、テロリズムの克服にとって学者の議論は必要がない、ばあんとかますわけです。それは学者を否定しているわけじゃない。ただ、ややもすると空論に終わってしまって現実に対応できないんじゃないかというところを彼は言いたいわけでありますね。ちゃんと効力のある議論をし、具体的な政策として進めようということがここでも提起をされた。私は、懇談会の議論を高く評価しながらも、その学者の議論にたぐいする部分がかなりあったような印象を受けております。だから、その部分を補うというものもこの参考人質疑の中で進められればいいかなと思っているわけであります。
 このレジュメのひし形の二番目に行きますが、なぜ我が国の防衛力の現状認識が必要なのかという点に入りたいと思います。
 大野防衛庁長官は、このかぎ括弧内にありますように、新防衛大綱は今後の我が国の安全保障及び防衛力の在り方について新たな指針を示すものと言っておられます。そういうことであれば、我が国の防衛力の現状に関する認識を明らかにし、そこから我が国が取り得る選択肢を示し、より現実的な選択をした結果として、日米安保体制を前提とする防衛力の在り方を追求するとの結論に達したことを明らかにしなければならないのではないか、そういうことを思うんです。
 それをやらなければ、例えば、これは一般的に国際的な印象があるわけでありますが、米国の従属国、そういう印象を振りまくのみならず、大野さんが発言をなさったような内容、つまり国際的な安全保障環境を改善すること、あるいは国際平和協力活動に主体的かつ積極的に取り組むことについても、周辺諸国の理解の下、最大限の活動に自衛隊を投入し、そのことによって国際的な信頼をかち取ることは難しいのではないかと思わざるを得ないわけであります。
 そこにおいては、やはり日米安保の現実に関する認識を日米の、それも朝野が、つまり国民を挙げて共有をし、それを受けた米軍の再編、トランスフォーメーションの議論を進める中で、大野さんが言っておられるような国際的な安全保障環境を改善すること、あるいは国際平和協力活動に主体的かつ積極的に取り組むこと、私自身がかねてから表現している言い方を申し上げますと、つまり日米安保の平和化というものが達成されるだろうと思うわけであります。
 そこで、御説明を申し上げなければならないのは、我が国の防衛力の現状に関してであります。
 我が国の防衛力の現状を特徴的にとらえると、まず軍事専門家であればあるほど、戦力投射能力の欠落が顕著だということが明らかになります。この場合、戦力投射能力は、英語で言いますとパワープロジェクションケーパビリティーと呼びますけれども、定義をしなければ議論がごちゃごちゃになる、だからあえて定義をしておきます。この場合、戦力投射能力とは、敵の国を壊滅させられるほどの軍事的能力、そのように定義をいたします。そのような定義に基づいて考えますと、核兵器を一定のレベルで維持した核戦力は紛れもなく戦力投射能力であります。また、核兵器を持たない場合でも、例えば五十万人、百万人規模の陸軍部隊を相手国に着上陸させ、相手国を占領することによって戦争目的を達成できるような構造に陸軍のみならず海軍、空軍の戦力が備わっていれば、それは戦力投射能力と言えるはずであります。
 しかし、我が日本国の場合はそのいずれでもございません。何でそのいずれでもないのか、何で戦力投射能力がないと言えるのか、これははっきりしています。その現状は防衛費の内訳と我が国の防衛力の突出した部分を見れば明らかになるんです。これは、中国の人民解放軍に対してもこの説明はきちんと通るような話なんです。政治的なニュアンスで外交が行われるという部分を除けば、専門家であれば認識を共有できる話でございます。
 例えば、平成十六年度予算、四兆九千三十億円の場合、使い道から見ますと四四・四%が人件・糧食費であります。つまり、給与と飯代でございます。ここにあるような内訳で構成されておる。ですから、防衛力整備に充てることができるのはこのうちの、パーセンテージでいいますと四三・四%、装備品等の購入費、研究開発費、施設整備費、営舎費・被服費等、訓練活動経費といったところでしょう。実際には全体の三〇%程度しか防衛力整備に充てることはできないんです。
 この限られた防衛費で整備できるのは中規模国家、中ぐらいの国の軍事力でしかない。しかしその一方、我が国の防衛力におきましては、突出した、つまり世界有数のレベルにまで高められた能力による役割分担を米国から求められてきたという現実があります。これははっきりした役割分担であります。その中で、例えば海上自衛隊のASW、アンタイサブマリンウオーフェア、これは対潜水艦戦でございますが、世界有数でございます。それから、例えば世界有数の航空自衛隊による防空能力、これも要撃密度という基準で測りますが、空から攻めてくる相手に対する防空戦闘能力をきちっと能力、数から評価していきますと、世界で第三番目、第四番目というランクに入ってくる。日本列島はその世界有数の航空自衛隊の防空能力の傘の下にあるということは間違いないんです。その防空能力の下に日本列島を足場とするアメリカ軍の能力が展開されているという役割分担も明確なわけであります。
 ただ、このような世界有数の海上自衛隊の能力あるいは航空自衛隊の能力を持とうといたしますと、大変高い兵器を導入せざるを得ない。高額兵器症候群という病気があるわけでございます。例えば海上自衛隊のイージス艦あるいは哨戒機もそうでございます。あるいはパトリオットの地対空ミサイルだってそうでございます。こういったものをどんどんどんどん更新していかざるを得ない。これ具体的に数字を出したら、もうほかの能力の整備に回せるお金はないんです。つまり、戦力投射能力が備わるはずがないという問題なんですね。
 何でこんなことになっているのかといいますと、これは日本側の主体性とか責任ということを前提にしなきゃいけないんですが、戦後一貫してアメリカが、ドイツと日本については自立できない軍事力を整備してほしい、敵に回ったら厄介な連中だからと。これはアメリカが、いい悪いじゃなくて当たり前の話でございますが、そういったことで、役割分担においては、やはり日本の場合、対潜水艦能力と有数の防空能力を求めてきた結果であるということを申し上げていいと思います。
 二枚目に参りますけれども、こういった防衛力の現状を受けた選択肢というのがあるんですね。戦力投射能力が全然ないよという現実です。これを踏まえてどっちに行くのかということを議論するのが防衛計画大綱に関する議論の出発点になるべきじゃないんでしょうか。それがなければ、これはソラーナさんの発言と一緒で、学者の議論は要らぬという話になるわけでございます。陸海空の幕僚長、あるいは統幕議長、その経験者の皆さん方とこの件について話し合ってきた結果を申し上げても、大体共通認識としてはその辺があるわけでございます。
 このような戦力投射能力を欠いた日本の防衛力の現状を受けて、大まかには二つの選択肢があると考えられます。
 一つは、戦力投射能力まで備える方向に行く。だから、これはもう自立した軍事力を目指す。そこにおいては、米国がそういう日本の動向は望まない、だから日米摩擦を覚悟でやるだけの勇気があるのかどうかという問題でもあります。最悪の場合は日米同盟解消ということもある、そこまで視野に入れてこの選択肢を取るのかどうかということも突き付けられてまいります。
 もう一つの選択肢としては、戦力投射能力を持たない現状を踏まえて、この軍事力の構造で進むんだ、そして足りない部分は日米同盟で補っていく、補完をする、そのことを公式に表明をするという方向でございます。この二つぐらいが選択肢としては大まかに考えられるだろう。
 もちろん、現実的なのはこの二番目の選択肢でございます。この選択をいたしますと、戦力投射能力がない日本について、まず政府が公式に表明をするということにもなるでしょう。また、その現実についても、各国も改めて再評価をすることになるでしょう。その中では軍事大国化などという言い掛かりを付けられなくなるということがはっきりあるわけでございます。周辺諸国も日本の現実を分かっているわけでありますけれども、今のところ、政府の外交安全保障構想の中での公式表明がないから言い掛かりを付けてくるという面がある。
 だから、これは一昨年の夏、日本にいる中国の外交官、軍人、学者、ジャーナリストを集めて、私自身、日本の軍事力の現状というスピーチを二時間ほどやらされた。でも、最後に彼らが言ったのは、我々が間違っていましたという話なんです。
 ただ、政府同士の間での議論は、やはりもうちょっと違うニュアンスがずっと続くだろうと。ただ、日本の軍事力を使ってどうやって中国大陸攻めるんだ、朝鮮半島に軍を進めることができるんだということを中国の軍人に常に私は突き付けてきている。できるとしたら、これは手品だよ。いや、それはもう向こうも分かるわけです。そういったことをきちっと日本として明らかにするということですね。そういったことになりますと、周辺諸国の懸念や反対が出ない環境において、国際平和協力活動などに自衛隊をフルに投入することもできるようになるだろうという話なんです。
 同時に、日米同盟の現状を直視する必要があるだろう。日本はアメリカの戦略的根拠地、英語で申しますとパワープロジェクションプラットホームであります、これを最初に明らかにする作業がたまたま私の手で行われた、これは一九八四年の夏でございます。それまでは、日本はアメリカに守られているんだから、アメリカに文句を言ったら安保を切られるという議論で外務省、防衛庁のかなりな部分までが来ていたわけであります。調査したことがなかった。それについて私は、アメリカ政府の正式な許可を得て全部基地を歩き、基地司令官の聞き取り調査を行い、国防総省の資料を基に国防総省にブリーフィングを求め、それをまとめたら、違うじゃないですか。
 アメリカの同盟国の中で、アメリカが世界のリーダーでい続けるためには、日本が最も重要なんです。日本なくして世界のリーダーでいられないということははっきり出てくる。日本ができないのは、アメリカが望んだ結果でありますが、米軍と一緒に自衛隊を戦場に出すことだけであります、日本の防衛以外の戦場にね。そこのところをきちっと押さえなきゃいけない。
 で、日本列島を足場にしているアメリカの軍事力は、非常に大まかに言いますと、地球の半分でございます。これは、ハワイから喜望峰までの範囲で、インド洋のすべてと太平洋の三分の二を含みます。もっと具体的に言うと、ハワイは西経百六十度、喜望峰は東経十七度。この範囲で行動する米軍は、全部日本列島に支えられていると言っても過言ではありません。昨今アメリカが言っておりますテロの温床にもなりかねない不安定の弧というものも、大部分ここに含まれてくるわけであります。そして、大事なのは、日本に代わってアメリカの戦略的根拠地になれる国はないということです。だから、日本が日米同盟を解消することをアメリカは一貫して恐れている。
 それはどういうことかといいますと、基地を造るとかなんとかという話じゃないんです。アメリカと同等の工業力や、失礼、これ「軍事力」と書いてありますが技術力でございます、技術力の間違い。工業力、技術力がなければ、最先端を行く米軍を支えられないわけであります。ほかにどんな国があるのと。全くない。そこを押さえなきゃいけない。
 ですから私は、日本の政府の方が日米同盟解消したらどうするんだという話をなかなかアメリカ側とできないから、私などが出席していい場所では、折に触れてアメリカ側に突き付け、いや、日本なしでは世界のリーダーでいられないという言葉をもらってきております。
 最近でいいますと、去年の三月にアメリカのジョージ・ワシントン大学で日米、特に沖縄問題に関するフォーラムをやったとき、アメリカ側の出席者に対して一人一人これは聞いていきました。もちろん国防総省の制服組も全部来ている。その中で、日本なしに世界のリーダーでいられるか、日米安保を日本が切ったらアメリカは世界のリーダーでいられるか。皆さん、いられないとはっきり答えている。これは、日米安保がなくなれば、日本が失うものも大きいけれども、アメリカが失うものはもっと大きいということです。それを共通認識として持ちながら、お互いの国益のために同盟関係を使っていくということが必要だということですね。
 やはり日本は、この現実に対して責任ある、しかも原理原則に基づく姿勢を示す必要がある。少なくとも、この地球の半分の範囲の安定のために日米安保を機能させる方向を示すことなど、非常に有効ではないかと思います。
 そういったことを考えますと、国際平和協力活動に自衛隊を投入できるための環境を整える、つまり周辺諸国から言い掛かりを付けられないなどの条件を整えていく営みはしなきゃいけないだろう。そして、そういう中で、アメリカをリードするほどのかかわりをして初めて、私が使っている言葉で申し上げますと、日米同盟の平和化というものが実現するんじゃないか。
 それは、一九九二年当時、私がこういった問題を提起したら、同じ時期、たまたまでありますが、当時国防総省の次官補であったジョセフ・ナイさん、彼も同じような内容の問題提起をしていて、考えることは似たようなことになるんだなという印象を持ったのを覚えております。
 とにかく、防衛計画の大綱なるものは防衛戦略でなきゃいけない、先ほど樋渡参考人もおっしゃったようなお話でございます。だから私は、今までお話しいたしましたような前提を抜きにして単にこのような安全保障関係を踏まえて言うのは、大綱の話じゃないということなんです。そこのところは欠け落ちている。
 防衛計画の大綱は、言葉を換えれば防衛戦略なんです。だから、どのような国を我々はつくろうとしているのか、どのような防衛力にしようとしているのか、これは避けられない議論なんですね。とにかく環境が変わっています、ファッション変わっています、流行が変わっています。そういう中で衣装や化粧品、つまり組織の改編や装備品の更新の話でごまかしてはならないテーマなんですよ。そこのところが欠けているんじゃないか。そういうところまで整理して初めて、防衛計画大綱と一連のものになっております中期防衛力整備計画の中身を明確な根拠を持ったものとして説明できるようになるんじゃないか、そういったことを私は防衛計画大綱、あるいはそれに至る議論について印象として持っていたというお話をさしていただきました。
 どうも御清聴ありがとうございました。
○委員長(林芳正君) ありがとうございました。
 以上で参考人の方々からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 本日は、理事会の合意により、まず大会派順に各会派一人一巡の質疑を行います。その際、発言時間は答弁も含めて十分以内でお願いいたします。その後、あらかじめ質疑者を定めず、自由に質疑を行うことといたします。
 なお、質疑及び答弁とも御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
○三浦一水君 自民党の三浦でございます。
 今日は、お二人の参考人には御出席ありがとうございました。また、参考の意見をいただきまして、本当に有り難いと思っております。
 今回、この防衛大綱あるいは中期防が設定をされまして、本来、大変やっぱりいら立ちも我々も共有する部分があるんじゃないかなというふうに思います。本来、国家戦略があり、外交戦略があり、そしてまた防衛戦略があるべきというものは、国民全体にもっと分かりやすく、そして共通の意識として一定のものを得られることが必要なんだ、そういう意味では、非常に今回のこの防衛計画大綱もそういう受け止め方がされにくいという我が国の構造があるんではないか、それはお二人の先生方の意見の端々にもあったんではないかと思います。そのことは本当にまだまだ我々が取り組まなければならない、国家として、余地が大きいんだなという印象を強く持ちました。
 そういう中で、中国の台頭ということが今回明記、明文化されたということは画期的だという御見解を樋渡参考人からいただきました。私もそう思います。ただ、それが、具体的なものが中国が目指すものが何なのかということが我々が国家戦略を考えていく中でも非常に重要になってくる、相手の分析という点で私はそう思います。
 そういうときに、中国はイラクで失ったものというのは、中国がこれまでしむけてきた努力、やっぱりオイル戦略というものが非常にその中に強くあったと、アメリカがそうであるように、私はそういうふうに感じております。そのことが南沙に対する中国の執念であったり、あるいは我々のEEZに対するもの、あるいは尖閣といったものに顕著に出てきているんではないかと思います。
 そういう意味で、まず樋渡参考人に、画期的と、この中国の台頭を我が国の防衛大綱でとらえたという点をどのように画期的と思われているか、その点、少し御説明いただければと思います。
○参考人(樋渡由美君) この大綱が出た直後ですか、中国の反応として非常に厳しい反応が出たのは皆様も御承知のとおりかと思います。
 私はシンガポール大使館の方なんかとよくお話をしていて、おまえは、中国はああいうふうに、日米安保を強化するとか中国を名指しで大綱の中に示したことについてどう思うかと、中国は非常に厳しい反応をしているではないかというふうに聞かれて、それはいいことだというふうに答えました。なぜならば、中国は、別に日本は中国と何もないのにけんかするわけではなくて、でも明らかに領土問題はあります。それから、中台問題で何かもし事態が起こったときに、日本には無関係ではありません。したがって、いずれにしても中国の行動、例えば武力行使、武力事態に発展するような何らかの事態が起こったときに、日本は無関係でございますというふうな顔をしているわけにはこれはいかないわけです。まずそれが第一点です。
 中国が今回そういうふうに厳しい反応をしたということについては、中国はよく分かっているわけです。日米はもし何かあったら必ず共同で、中国の現状を変革するという行動を中国がもし取った場合には、日米は一体になって必ずそれに対しては対抗するということが明確になったわけなので、だから中国は厳しい反応をしているわけです。ですから、本来同盟が持っている抑止効果というものが中国には非常によく伝わった結果、ああいう反応が出てきたんです。
 ですので、私は、日本として明確に、日本が日米同盟をどういうふうに運用していくつもりでいるのか、日本が、中国がもし現状変革をした場合にどういう行動を取るつもりなのであるかということを明確に伝えたという意味で、非常に画期的であるというふうに考えております。
○三浦一水君 全く同感で、私もこれは、歴史的な認識もまだまだ日中間においては、領土のみならず、率直に話をしていって、けんけんがくがくやり合う、その中からしか東アジア共同体なんというものも生まれてこないと、その関係が逆につくり出せなければという考えを持っています。非常に参考になりました。
 次にお伺いしたいんですが、今それぞれの国家、そして外交防衛、それぞれの我が国が抱える問題があると思うんですが、一つ、我が国のやっぱり民主的な国家の歩みというもの、特に戦後の歩みというものはそれに大きく影響しているものがあるんだろうと。我々がここで話しておりましても、いわゆる対外的な戦略という観点だけから見れば、国内が民主的な勢力が非常にたくさんあって統一した国内世論が形成しにくいというのは、その対外的な力という点ではそぐことになるんだろうと、マイナスに働くだろうと、そういうふうに思っております。さりとて、我々が覇権を求めるわけでもないし、帝国主義への道を歩くわけでもないし、やっぱり我々民主主義としての国家を今後も更に発展させなければならない。
 その際に、政治と行政、これが非常に乖離した形で、逆に見ると、中国はもう政治も行政もやっている人間が一緒なんですね。加えて経済行為まで、公務員の兼職、兼業、いわゆる兼業禁止という規定が明文化されたものがないというふうに聞いております。そういう状況の中で、人口もあれだけのものがあり、対外的に向けてくる戦略というものはそれなりの強さがあると。それに対抗していく、あるいは我が国がもっとより明確な各級の戦略を持つためには補完されなければならない社会システムというのが私はやっぱり要るんだなと、これから、というふうに思います。
 それは、政治と行政の関係の中でも、行政だけに情報が集まって、政治の方で独自の戦略を持つに至るまでの情報が持ち得ない状況があるわけで、議院内閣制の中ではそれにも一定の限界があるというふうに感じた。さりとて我々は、公選制でもないし大統領制を採用しているわけでもない。
 その辺、それぞれの先生方は、今後日本が取るべき方向というのは、ちょっと防衛の視点から離れるかもしれませんが、お考えを聞かしていただきたい。どうすればその辺を我が国が補完ができるのかという点について。
○委員長(林芳正君) どちらに。
○三浦一水君 小川先生からよろしゅうございますか。
○参考人(小川和久君) 大変大きなテーマに関するコメントと御質問でございまして、私がここで適切なお話をできるかどうか分かりません。
 ただ、外交安全保障問題だけじゃなくて、私が今政府とも一緒にやっている仕事というのは、国家の安全にかかわるすべての分野でございます。危機管理と言ってもいいかもしれない。ただ、はっきり申し上げますと、つかさつかさが相当努力をして能力を上げているということを認めた上で申し上げますが、やはり縦割りに陥って所期の目的を達成することができない場合がかなりある。幾ら物を買ってやっても、つまり装備品や何かを買ってやっても使えない、そういう現状があるわけであります。そこにおいては何が必要かというと、これは所期の目的を達成させるために政治が機能しなければいけないだろう。もっと大きく言いますと、日本の民主主義なるシステムが形式に流れている部分をどう克服するかという問題ではないかと思います。
 よく私は、うちの女房みたいにと言って、その部分は御内分に願いますと言うんですが、やりくりできない主婦みたいなところが実はあるわけでございます。主婦といっても婦は夫の方かもしれませんけれども。とにかく何ぼ税金をつぎ込んでも、それを節約して必要なところに回そうという発想になかなかならない。いったん決まった金はもう返却もできないというのが、この国会の謝金もそうですけれども、要らないと言ったら、困りますとか言われちゃって。まあとんでもないことです。税金何ぼあってもこれ足らないですよ、偽札でも刷らなきゃね。
 だから、民主主義をどう機能させ、より成熟させていくか。その中で国家の安全を図るのか、あるいは国家の安全を図る前提として、これは大野防衛庁長官の言葉にもありますが、国際的な環境を改善していくための営みをしなきゃいけない、世界平和を実現するということをやらなきゃいけないという話なんです。じゃ日本は、例えば軍事に関して、あるいは軍隊に関して民主主義的な営みを本当にしてきたと言えるのか。これは比較する国があるからやはりちょっと参考にすべきじゃないかと思うんですね。
 私は二月十九日、先月ですが、京都の同志社大学の神学部のチャペルですな、礼拝堂で公開討論会に出たんです。日本側は私です。私は神学部の出身者で、あの外務省の佐藤優主任分析官より十四年私の方が年長なんですけれども、まあ、ああいうことは私やっておりませんけれども、似たような情報にかかわる仕事をやっております。ただ、相手方の専門家というのは、ドイツ連邦軍の社会科学研究所の所長、ティーセンという教授でございます。彼は牧師なんです。
 やはり僕は、日本が取り組まなきゃいけない問題をドイツ側が相当話をするということを期待していたんですが、やはり国家と軍隊、あるいは市民社会と軍隊、民主主義と軍隊、宗教と軍隊、これについて徹底して研究をし、軍隊の教育訓練のカリキュラムに全部位置付けられて徹底してやっているんですよ。あるいは、今はNATOの域外に派遣されるという問題も出てまいりまして、異文化と、違う文化の人たちとどう接触するかというカリキュラムが必須科目で入っている。
 そういうドイツの連邦軍でありますが、旧西ドイツの時代、一九六〇年代においてもやはり既に兵士組合が認められている、兵隊さんの労働組合みたいなものです。そして、そこで画期的なのは、抗命権が認められてきた、つまり命令を拒否する権利。これは、そんな兵隊が出たらかなわぬだろうというのが僕らの発想でしょう。でも専門的に言ったらちょっと違うんです。つまり、合理的じゃない理不尽な命令が出にくくなれば、出しにくくなればなるほど軍隊の戦闘能力が高まる、無駄な損耗はなくなるという話なんです。そういったところにずっと取り組んできている。
 じゃ、翻って我が防衛庁・自衛隊はどういう取組をしているか。防衛局にいる我が友人は、恥ずかしいことにゼロでございますと。カリキュラムあったら教えてくれと言ったんですが、ゼロでございますと。陸海空の幕僚監部も、残念ながらゼロでございますと。僕は実際に教育に行くことがあるから分かっていますが。
 日本の民主主義なんというのは、シビリアンコントロールなんというのは、言葉があるし、まあこんなものだろうということでやってきて今のところ無事にやってきたけれども、本当にそれを成熟させ、機能させ、自分たちの安全と繁栄にそれを生かしていこうというところがあるのかどうかというところを考えざるを得ないわけであります。だから、やはり民主主義の機能不全に陥っている部分をどう乗り越えていくかということが御質問のテーマに関しては一つ重要なポイントかなと思います。
 どうもありがとうございました。
○榛葉賀津也君 民主党・新緑風会の榛葉でございます。
 両参考人、本日は大変貴重な御意見、ありがとうございます。
 端的にお伺いします。樋渡参考人に一問、小川参考人に二つの質問をさせていただきたいと思います。
 まず、樋渡参考人でございますが、私、昭和四十二年の生まれでございまして、小さいときから学校で、そして社会で、日本は小さな国であると、小さな島国であるということをずっと教えられてまいりました。確かに、日本の国土は三十八万平方キロで、世界の中で五十九位という比較的大きくない、小さな国かもしれません。しかし他方、海に目をやりますと、排他的経済水域を含むこの日本の領土、国土を考えますと、何と四百七十七万平方キロ、世界第六位の大国になるわけでございます。
 実は、日本は大変広い国、言い換えると日本は海洋国家である、しかしこの海洋政策という言葉が全く出てこないわけでございます。昨今の「韋駄天」の事件で若干海に目が向くようになりましたが、私は今度の防衛大綱を見ていまして、この海の守りというところに、この点に関する日本の防衛の気概が見えてこないわけでございますが、この点についてどう考えられるか。
 他方、我が国は貿易立国だということも申すわけでございますが、実は日本の輸出入の九九%が海上輸送でございます。額にして九億一千六百七十七万トン、我々の輸出入の九九%が海による輸送に頼っているにもかかわらず、海の守りという問題が大変薄い。この点について樋渡参考人はどのように防衛の観点からお考えか。
 小川参考人には二点でございます。
 まず一点目が、普天間が膠着状態にあるという問題、この問題を参考人はどうとらえて、問題は何に起因しているのかという問題。
 そして、もう一点がF2の問題でございます。どうして私がこのF2の問題を出すかといいますと、実はこのF2の問題が私はMDと同じ構想になるんではないかというような懸念がございます。つまりは、MDもF2と同様にその性能がきちっと実証されないうちに導入を決定したんではないかという疑問があるわけでございます。
 今回の防衛大綱の大きな目玉がこのミサイル防衛という問題でございますが、このF2の性能が一点。そしてもう一点は、それに関して、MDが本当に成功するのかどうか、以上についてお伺いしたいと思います。
○参考人(樋渡由美君) まず第一点の海の守りということですが、私は日本の防衛戦略というものの基盤があるとすれば、それは海洋戦略だと思っています。それはネーバルストラテジーというかマリタイムストラテジーというか、言葉はいろいろなんでしょうけれども、これは基盤であって、やはり日本を防衛するという意味で海上自衛隊がこれまで築いてきた防衛体制というものは、私は決して弱いとは思っておりません。
 先ほど対潜戦能力ということを申し上げましたけれども、これは小川委員の方からも御説明あったとおり、物すごく優秀なものであります。ですので、私は、目に見えないところでこれまで海上自衛隊が海上自衛隊発足後黙々とやってきたことというのは、何としても日本の海を守るということであり、この能力はもう世界有数であると。むしろ、米軍がその対潜戦能力を多少低下させているというふうなことも含めて考えますと、今後のアジア太平洋地域における海の防衛ということを考えると、日本が貢献できる、防衛力の点で貢献できることというのはますます大きくなっている。
 ただ、それがこの防衛大綱で定められた防衛力の下でどこまでするつもりなのか、できるのかということはまた別途考えなければいけないと思います。それが第一点です。
 それから第二点は、いわゆるシーレーン防衛といいますか、不安定の弧といって中東から東アジアまでの非常にいろいろな問題が起こる不安定なこの地域に関してですけれども、これは日本は今海上自衛隊が参加するはずですけれども、PSIという核拡散に関する構想がありますけれども、これは私は非常に軍事的な問題であると考えていて、やっぱり海上自衛隊がちゃんと参加して、核の拡散をどうやって、あるいは大量兵器の拡散をどういうふうに阻止するか。拡散を防ぐということは、実際に拡散って起こってきますから、それをどうやって実力で阻止するかということまで考えて、海上自衛隊の能力を含めた日本の海上防衛の戦略というものを立てないといけないと考えています。
 この点で、私、最近ちょっとインドの防衛研究所の研究員たちと交流する機会がありまして、私はアジア太平洋で日本の味方になってくれる国でさっきちょっとインドを申し上げましたけれども、インド海軍と日本の海上自衛隊の間のネーバルコーポレーションといいますか、海軍同士の協力体制というものがどうにかして築けるといいのではないかなというふうに考えていて、インドはかなり日本を念頭に置いて共通の防衛体制というものを考えていくことができるんではないかというふうに言っているようです。
 ですので、日本はかなりこれからはインドを念頭に置いて、これとどういうふうな協力関係を築き、しかもそれを単にアジア太平洋だけじゃなくて、日本が非常に中東の原油に依存しているですとか、貿易をそのシーレーンに依存しているということも含めて、日本全体の防衛、それから世界の安定、両面でやっぱりインドとの協力関係などを含めた新しい構想というものを作っていけないかなというふうに考えております。
 以上です。
○参考人(小川和久君) 二点でございますので、かなり舌足らずになるかと思いますが、まず沖縄普天間基地の移設が決まってから九年たちます。これが膠着状態に陥っているその原因は何かというお尋ねでございます。
 これは、結論から申し上げますと政治が不在だと、政治が機能していないと申し上げざるを得ない。
 九六年の三月のあれは三十日、ここにいらっしゃる大田委員が沖縄県知事でいらっしゃいまして、私は四月二日に予定されている日米首脳会談に向けての自民党としての取組をまとめる会合に向けて大田知事と沖縄の那覇のオーシャンビューホテル最上階のバーで二時間半話し合いました。大田知事はシーバスリーガルのソーダ割りを二杯飲まれたわけですが、非常にうまそうだったですが、私は飲めないものですからジュース飲んでいました。もちろん共通認識、ばっちりあるわけですよ。それを持って私は当時山崎拓政調会長の下で日米首脳会談に向けて自民党としてどうやるかという話をした。もちろん、経済問題については今の竹中大臣が専門家としていたわけであります。それから十日後に日本経済新聞にスクープされて表に出てくる。一応その返還を合意したということなんです。
 ただ、これから先が問題なんですね。何で普天間基地の返還、日米は合意したかというと、あれが住宅密集地などに墜落事故が起きたりすると日米関係にひびが入るという話なんですね、元々あるのは。アメリカだってそれはかなわぬ、日本だってかなわぬ、だったらこれをどこかどけようという話になる。これを受けて政府が、防衛庁中心にですが、あと外務省も加わって本格的な移設地を探す作業に入るというのは、これは当たり前の話で、一定の時間が掛かったってしゃあないんですね。ただ、政治がやんなきゃいけないことは別にあるよ、それが全然行われてこなかったから九年放置されたという問題なんです。危険だから返還に合意したと言ったら、仮の移設先を探して、例えば一週間後にヘリの部隊はここに移駐せよということはできるんです。これは、ミリタリーバックグランドの人間として、アメリカの海兵隊の中で唯一有事即応態勢にあって野戦部隊である普天間のヘリの部隊、動けなかったら指揮官、首ですからね、それを何でやらないんだよと、それが一つ。そして、この間の去年の夏の墜落事故でしょう。だから、僕は沖縄のテレビや新聞、あるいはラジオでも言ったんですが、第一義的に責任は日本政府にあると。ただ、これは沖縄の地元も何で八年余り平気でいられたんですかね、ちょっと反省せいよということをはっきり言ったわけであります。
 ただ同時に、政治がやんなきゃいけないことは、たまたま普天間基地の返還が合意されたということになった、それだけで終わっちゃいけないんですね。これはもう役所の仕事ですから、言われたことを一個一個やっていくというのが役所の仕事。それをやっぱり沖縄の米軍基地問題解決のための突破口にしていく。つまり、海兵隊の遊休基地が一杯ある、遊休施設が。それを整理、統合、縮小していくための突破口にするということはやっぱり政治がやんなきゃいけない。同時に、普天間基地の返還を突破口にして沖縄の未来を展望できるような、これは振興策という言葉ではちょっと小さ過ぎますが、そういったビジョンを描けなきゃいけない。そこまでやって初めて日本の政治は機能したと言えるんじゃないか。だから、その辺をもう一回考えてくださいよというのは出会うたびに政治家の方にお願いしているわけでございます。まあ、だから、政治の不在といったような言葉はきついですが、もう一回政治家の方々がその辺の原点を考えていただければ少し変わってくるかなという感じがいたします。
 第二点、これは航空自衛隊が導入を進めてまいりましたF2型の対地支援戦闘機、これが石破防衛庁長官の時代にもうこれ今後の調達はしないということが決まったわけであります。これは、まず大変な欠陥機であります。これはもうパイロットだれに聞いても、本音を言う人は、こんなもの欠陥機で困るよと。
 ただ、これ、日本の欠陥機というのはこれに始まるものじゃないんですね。私は、一九八五年に既に日本の国産兵器がなぜこんな欠陥兵器の山で死屍累々なのかというスタディーをやっているわけですよ。当時、航空機課長で、小川の言っているとおりだと言ったのは守屋事務次官だから、問題があるということは彼も分かっている。これは防衛庁が悪い、自衛隊が悪いとかそんな話じゃなくて、それはもう最後には、日米関係をきちっと整理しながら日本の国益を追求するという国家としての立場がないという問題でもあるわけであります。
 ただ、日本の研究開発の中で、例えばいろんな問題が出てくるというのは兵器だけじゃないんですが、リサーチマネジメントあるいはプロジェクトマネジメントがないんですよ。だから、例えばこれは宇宙の関係でHUロケットが立て続けに事故を起こした時期がありました。あのとき、当時の宇宙開発事業団に呼ばれてそのチームの方々と話し合った。東京大学工学部宇宙工学科を出た優秀な専門家がずらっといるんです。この人たちに任せておけばいいだろうとみんな思う。でも、プロジェクトマネジメントをだれがやるの、リサーチマネジメントをだれがやるのといったら、いないわけであります。これがもう日本の研究開発の一つの問題なんですね。
 研究開発というのは納期があるんですよ。いついつまでにこのレベルのものを納められなかったら、普通、商品だったらペナルティーがあって金払ってもらえないような話なんです。やっぱりそこに持っていくためのかじ取りをしなきゃいけない、羅針盤あるいは海図としての役割をする、できれば優秀な文系の人間がそこにがっちり入っていなきゃいけない。ところが、理系の人ばっかりだから自分たちの興味の方向にどうしても動いていく。そういう中で、お金一杯使ったけれども、部品の品質管理一つできていないなんて話になっちゃうわけであります。
 これはもう兵器の問題も全く一緒であります。それは国家機密を明らかにするから余り言うわけにはいかないけれども、一個一個何が欠陥かというのをここに持ってきて、ここに持ち込めるものであれば、指摘できるぐらい私知っていますよ。だから、やっぱり今議論されているミサイル防衛、MDの話もやはりこの辺の問題をきちっと日本国の側で乗り切るという覚悟をし、取組をしない限りはお金の無駄遣いになるだろう、そういう感じがしております。ですから、石破前長官がF2について大変厳しい判断を下されたというのは画期的なことだと私は思っております。
 どうもありがとうございました。
○荒木清寛君 公明党の荒木清寛です。
 まず、樋渡参考人にお尋ねをいたします。
 参考人のお話の中の一つが、この新大綱の多機能弾力的防衛力の整備と防衛力の縮減方針に矛盾があると感じるというお話でした。
 ただ、冷戦崩壊をしまして、ソ連の脅威がなくなり、例えば北海道における大規模な陸上部隊の配備も不要でありましょうし、また技術革新が省力化あるいは合理化を可能にするということは何も防衛力だけが例外ではないと思うんですね。だから、私は十分両立をするというふうに思うんです。しかも、参考人も資源は限定されているということはお話をされましたけれども、限定されているどころか、日本の財政状況は先進国中最悪なわけですね。
 そういう意味では、財政が破綻をしたらもう防衛力の整備もあり得ないわけでありますから、そういう厳しい財政状況の中で効率的な防衛力を整備していくということも大きな戦略の一つではないかと私は考えますが、いかがでしょうか。
○参考人(樋渡由美君) 全く私も今の御意見はそのとおりだと思っていて、何も、先ほどの説明の中でも申し上げましたとおり、むやみに増やせというふうに申し上げているわけではないわけです。
 ただ、私が嫌というほど聞かされたことは、情報機能の強化とか、そういう意味での非常にこれまで無駄とかオーバーラップする部分があったものをきちんと整理していけば、少しスリム化して、以前よりも少ない資源を投入することによってかなり十分な防衛力が整備できるはずであるということだと思うんですね。ですから、統合運用もそういう発想で進められているようですし、私はそれは十分承知しているわけなんですが。
 しかしながら、本当に、情報機能を強化したり統合運用を進めていって効率化し、無駄なところをなるべく切り裂いていったときに、本当にそれが安上がりというか、今までよりもお金を使わないで、しかし多様な脅威に対する十分な防衛力を整備することに本当につながるのかな、そこについての非常に突き詰めた議論というものが一体どれだけなされているのかなということについて非常に大きな疑問を持ちましたし、懇談会、私が経験した懇談会ではそこまでは議論がなされなかった。
 したがって、確かに聞こえはいいわけです、効率化しましょうと、いろいろできるはずであると。自衛隊は、各自衛隊はみんなそれでもう随分長い間やってきているわけですよね。しかし、更に減らせというような圧力が働いているとしか私には思えなくなって、このまま削減方向でいくと訓練もできない状況になるだとか、いろいろな問題も同時に出てきているわけです。
 ですから、そこら辺を本当にこれだけ、ですから、先ほど何回も出てきている話だと思うんですけれども、本当に日本が直面している脅威って何なんですかと。ソ連の脅威がなくなったから脅威が減ったわけでは必ずしもなくて、私は中国とか北朝鮮というのは非常に危険な国だと思っていますから、これに対する万全な防衛というのは何ですかと、そのためにはどれくらいの防衛力が必要なんですかということを考える必要がある。プラス、テロに対する対応、それから自然災害に対する対応ということを考えると、自衛隊の任務は増えていく一方で、いろんなことをやらなければいけなくなるでしょう。そのときに、必ずしも少ない防衛費で賄えるということが本当に突き詰めてどこまで議論されているのかなということについては不十分、不十分だなというふうに感じておりました。
○荒木清寛君 小川参考人にお尋ねいたします。
 参考人のレジュメの二ページ目で、日本の防衛力の在り方についての選択肢で二番目を選択をするのが現実的であると。私ももちろんそう思います。
 ただ、このことが、すなわち日米同盟で補完をするということが、すぐに参考人がおっしゃった地球の半分の繁栄の安定のために日米安保機能、安保を機能させる方向に進めるということとは結び付かないというふうに私は思うわけですね。あくまでも我が国の平和と安全のために補完をする機能として日米安保を用いるわけですから、地球の半分の安定のために機能させていくということとは直結をしないというふうに思うんですね。
 しかも、その場合に、いわゆる極東条項との関係ということも問題になってこようかと思いますけれども、この二番目の選択肢が地球の半分というところまで結び付くという参考人のお考えについてもう少しお聞かせ願いたいと思います。
○参考人(小川和久君) 大変重要な御指摘、ありがとうございます。この辺が舌足らずだったという話なんでしょうね。
 これは日本の構想力次第であります。特に、官僚機構に丸投げしていたら理論武装能力はありませんからこういう提案はできませんので、これは本当に国会が先頭に立ってやらなきゃ駄目でございます。
 とにかく地球の半分という範囲を示したのは、日米同盟に基づいてアメリカが現実的に活動している範囲ということで地球の半分ということを言ったわけであります。だから、少なくとも、じゃ日米同盟をその地球の半分の平和と安定の実現のために機能させるような構想を示し、できれば原理原則に基づいてということを先ほど申し上げましたが、例えばそれが国連中心主義ということであれば、国連に関する幻想や何かは持っていませんが、それを機能できるような国連に変えながら日本がリードしていくということがあってもいいんじゃないか。その辺の議論は、この辺を詳しく話す時間があれば、中国だって韓国だって北朝鮮だって、これは理解できるという経験的なところは持っております。
 そういう中で、極東条項のお話があったので、一つ、去年私が気が付いて外務省に指摘をしたことをお話ししておきます。
 これまでの政府統一見解は間違いでございます。というのは、矛盾があることに官僚機構が気が付いてない。つまり、在日米軍をこの地域の、まあ極東というのをフィリピン以北とかいろいろ言っていますけれども、この地域の安定を実現するために寄与させることができる云々って、どういう文言だったか分かりませんが、書かれているわけであります。ところが、在日米軍の中にアメリカ海軍第七艦隊を意図的に含めていない。第七艦隊が含まれなければ、どの地域が極東の範囲であるかにかかわらず、その地域の安全とか防衛には寄与できないんです。こんな矛盾があるのかと言ったら、外務省のトップたちが全部、お恥ずかしいという答えをしてまいりました。
 極東の範囲についても、しかもこの定義は明確じゃないなんというのがどんどんどんどん通ってきている。しかし、定義が明確であるかどうかはともかく、少なくとも世界の重立った百科事典が書いているような範囲で切れば、ミャンマーの辺りまでを含めるとか沿海州を含めるとか、そういったのははっきり出ているわけであります。ところが、全部政治的にすり抜けて、フィリピンから北であればいいのかな、しかし朝鮮半島は含めない方が刺激しなくていいのかなとか、そんな話で切っている。極めて非科学的な議論がまかり通ってきた、そんなものを発見してしまったということであります。
 だから、とにかく日本は平和国家として生きていきますということを戦後一貫して言ってきた。外交については、国連をば機能させながらやっていこうという原理原則も示してきた。そうであれば、日米安保についてもそういう原理原則の下にやはり日本に対する信頼が高まる方向に変化させていく、そういう構想を示すことができれば、先ほどの二番目の選択肢について一定の裏付けができるんじゃないか、そういう感じがしております。
 どうも重要な御質問をありがとうございました。
○荒木清寛君 ありがとうございました。
○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。
 大変興味あるお話、ありがとうございました。
 まず最初に、樋渡先生にお伺いしたいんですけれども、お話の中で、世界の中の日米同盟というのは本来の同盟論としては異なる、したがって理解に苦しむという大変興味深いお話がありました。私は、確かに本来と異なると思うんですね。しかし、今、実際、日本が進めようとしていることというのは、この新防衛大綱にもあるように、要するに国際協力活動ということになってくるわけですね。そうすると、その範囲を、この間防衛庁長官にもお尋ねしましたけれども、かなり広い範囲のものになっていく。そうすると、本来の抑止効果云々という同盟とは違う異質のものが今想定されているのではないかと思うんですが、その点をお伺いいたします。
○参考人(樋渡由美君) 全く御指摘のとおりだと思います。
 だけれども、それは同盟関係が世界の中の同盟関係という言葉で言われることなのかなと、やっぱりちょっと私には理解ができない。同盟というのはやっぱり何か共通の、軍事同盟ですから、同盟というのは。ですので、一方が攻撃されれば他方の同盟国はそれを自分に対する攻撃だと思って一緒になってそれに対抗するというのが同盟の基本なわけです。だけれども、それがそういった軍事力の行使とかそういうものとだんだん懸け離れたところで、何か日米の緊密な関係がいろんな、全世界で起こったいろんなことに日米が協力していろいろ対処していくということにちょっと読み替えられているのかなという気がいたします。
 ですから、それはもちろん同盟関係があればこそ、非常に緊密な協力関係の下に日本は、自分のためにあるいは日米同盟関係を利用した上で世界の安定、平和と安定に貢献するということになるんだろうと思います。
 だけれども、私はやっぱり忘れていけないのは、本来持っている同盟の軍事的な側面というのはこれからやっぱりますます重要になるのではないだろうかという、そういう点をちょっと申し上げたかったわけです。
○緒方靖夫君 小川先生にお尋ねいたします。
 自立できない軍事力をアメリカが日本に、この間、政策として進めてきたというお話がございました。そうすると、私、大変興味深いことを思ったのは、ファイス国防次官が今度のQDRは同盟国を含めて協議するんだと、策定に当たるんだと言っています。それには、イギリスはもちろんですけれども、日本とオーストラリアが想定されていると言われておりますけれども、日本を含めてそういうQDRを策定するというアメリカの考え方はどういうものなんでしょうか。
○参考人(小川和久君) QDRに日本を加えて議論をしていこうという考え方そのものは、日本が自立できない構造の軍事力を期待されている問題とは余り関係ないですね。どのぐらいの部分で日本は協力できるのか、あるいは日本の国益を前提にどういう主張をしてくるのか、そういったことを前提にQDRというものが検討されていくと思うんです。ですから、その辺は余りいわゆる日本の軍事力の構造ということで私は考えたことはないんですけれども。
○緒方靖夫君 樋渡先生にお伺いいたします。
 イラク戦争なんですけれども、この戦争を開始するときに当たって、大西洋同盟ではフランスとかドイツとかとアメリカとの間で大きな溝ができました。あるいはアメリカ大陸においても、リオ条約の中でいえば、そういう観点でいえば、当時安保理に入っていたメキシコとかチリが、大変みんなが驚くほど、アメリカも大変衝撃を受けるほどの不同意ということを最後まで貫いたということがありました。また、メキシコがリオ条約から離脱するということがあったと。
 そうすると、結局イラク戦争というものがアメリカにとっての世界の同盟関係にどういう影響をもたらしたのか、それから第二期ブッシュ政権がそれをどういう形でフォローしていくのか、その見通しについてお伺いします。
○参考人(樋渡由美君) 大変難しい御質問なんですけれども、私はやっぱり日本の立場から考えると、イラク戦争というのは、もちろんアメリカの同盟国の中で反対する国も多かったことはもちろんですが、日本が何でそれに加わったかというのは、それはやっぱり日本にとってそれに参加することが必要だったからということだと思います。
 この点でやっぱりアメリカと日本との間の利害が一致しているということで、今後もアメリカとしては、もちろんイラクの再建復興の問題がありますから、それに関しては多くの国の協力を当然必要とするわけでしょうし、そのために日本は今頑張ってやっているわけですので、これは今後も日本としては十分にイラクの復興に貢献すべきであって、一度始めたことを途中でやめるべきでは決してないと私は考えますし、何もアメリカのためにやっているわけではなくて、日本はあの地で民主主義的なイラクが再建されて確立していくことが日本にとって重要であると思っているからそういう行動を取っているわけですので、その点でやっぱりアメリカと協調して、あるいはアメリカに協調するような国が増えるような方向で日本もいろいろな貢献をしていくと。
 もちろん、広い意味でのコアリションみたいなものが今後も継続して構築されて、いろいろな事態が、別の事態が起こったときにも、別に同盟関係でなくても協力する国が広いコアリションを形成していくということが、やっぱりアメリカ中心ではあっても、そういう形で世界の安定とか平和に非常に大きな役割を果たしていき、ブッシュ政権はそれを目指しているはずですし、それから次に別の政権が出てきたときにそれが全くなくなってしまうとは私は見ておりませんので、将来的にも、日米協力関係というものはもうちょっと広いコアリションの形成ということと結び付けながらやっぱり発展していくということが今後のたどっていく道であろうというふうに考えております。
○緒方靖夫君 あと二問、時間の関係で続けて樋渡先生にお伺いしたいんですけれども、ライス米国務長官が先日訪問いたしまして、講演がありまして、その中で、自衛隊のイラクでの活動を評価しながら、同盟関係をアップデートしなきゃならないという、そのことを述べたんですね。そのアップデートというのはどういう意味なんでしょうか。つまり、どういう日米関係があり、そしてまたその中で日本がどういう役割をアメリカ側が期待しているか。その点が一点です。
 もう一つは、大変広い概念なんですけれども、安全保障体制あるいは政策と軍事同盟の関係なんですけれども、最近、韓国のウリ党のスポークスマンが盧武鉉大統領の演説を解説しながら、閉鎖的、一方的な同盟に閉じ込められていてはならない、多国間の安全保障体制をつくっていくという、そういうことを述べたんですね。
 つまり、日米韓のそういう軍事同盟とは違った形の構想をということを述べたというふうに解釈したんですけれども、ちょうど今、北東アジアの関係では六か国協議が行われている。これがどういうものになるかは全く分からないけれども、しかし一つの原型として安全保障体制の形になり得るかもしれないという、そんなことも言われている中で、将来の北東アジアの安全保障体制ということを考えたときにそれをどう見通すのかと、その点についてお伺いして、私の質問を終わります。
○参考人(樋渡由美君) 第一点目の日米同盟関係のアップデートの問題ですけれども、これは具体的な中身は多分いろいろ多岐にわたるんだろうと思います。恐らく、米軍と日本の自衛隊との間の相互の運用ですよね、英語で言うとインターオペラビリティーと言われていることですね。これは具体的に、口で言っていてもしようがないわけで、一体どの点が問題があって、何が乗り越えられなければいけない障害なのかというようなことも含めて、かなり具体的な話合いが進んでいくんだろうというふうに私は予測しております。
 その先にはもちろん、その先というか、そのベースには、もちろん日米の戦略目標がどの程度まで共通化できるのかと。日本もアメリカも違う国ですので、共通の部分もあれば違う部分もあるんでしょうから、割と日米同盟関係の中で違う点、相互にやっぱりここは違うよねという部分と、いや、この点までは一緒にかなり進んでできるよねということが、具体的な問題に即してかなり詰めて話し合われていくんだろうと思います。そのときに、実際に米軍と自衛隊が共同で行動できなければ仕方がないわけですから、それについては何をやらなければいけないのでしょうかということを、今のガイドラインをもう少しアップデートするような形で詰めた議論がなされていくんだろうなというのが私の思い付くことです。
 二点目の北東アジアの安全保障ですけれども、これは私も今いろいろ考えておりますが、例えば日米同盟関係とか米韓の同盟関係とかというのはありますけれども、同盟関係を築くということはこれは国家にとって物すごく大変なことであって、ある国とかなりの、ある国と一緒に行動すると、場合によっては。これはかなり強いコミットメントをすることになりますから、今後新しい同盟関係がそんなに一杯できるというふうには私は見ておりません。むしろもう少し緩やかな、さっきコアリションと申しましたけれども、同盟関係にはなくても個別の問題について一緒に行動できると、利害を共通にして一緒に行動できるというような関係は、これからは日本も韓国も、オーストラリアも、いろんなアジア、東南アジアも含めていろいろな国がやっぱり考えていくことなんだろうなというふうに思っています。
 そこからどういう北東アジアの安全保障の枠組みみたいなのが出てくるのかというのは、これはASEANとかいろいろありますけれども、これがこのまま、例えばもう少し北東アジアも含めた形で何か地域の安全保障の枠組みになるとも思えないし、非常に流動的というか、今後の状況推移に応じて、日本としてはしかし、そういうものにどういう形でかかわることが利益になるのかということを常に考えて、どの国と手を結ぶというか、どの国と協力関係を結ぶことが重要かという、そういうことを考えながら外交防衛面で協力関係を追求していくんだろうなということかと思います。
○緒方靖夫君 終わります。ありがとうございました。
○大田昌秀君 社民党の大田でございます。
 両参考人とも本当に御苦労さまでございます。
 そして、最初に二点ばかり、ごく素朴な質問を樋渡参考人にお願いしたいと思います。
 先ほどのお話で、参考人は、自衛隊を軍に位置付け、そして防衛庁を省にするということが大事だという趣旨のことをおっしゃいました。また、シビリアンコントロールについて、専門家でもないシビリアンの方にそのコントロールをさせるというのはいかがなものかという趣旨の、私の理解が正しければそういう御発言がありましたが、そうなりますと、現平和憲法と言われる現憲法を日本の国会が容認したということをどのように御理解されるかという点が一点と、もう一点は、軍は国民の生命と財産を守るとお考えなのか。
 どうしてそういう質問をするかといいますと、第一次大戦から戦争の歴史をずっと振り返ってきますと、今日に至る過程を振り返ってみますと、職業軍人の犠牲者と民間人の犠牲者が、第一次大戦では職業軍人が九五%犠牲になって民間人がわずか五%程度犠牲になったのが、今では全く逆転しているわけなんですね。民間人が九五%くらい犠牲になるわけです。そういった状況を踏まえてみると、本当に軍が国民の生命、財産を守り得るのかという問題、これについてどうお考えか、伺いたいと思います。
○参考人(樋渡由美君) まず、シビリアンコントロールについて、ちょっと私が申し上げたことと違って御理解いただいてしまったようなので、その点から申し上げます。
 私は、シビリアンコントロールというのは、これは民主主義であれば軍に対するシビリアンコントロールというのはこれはもう動かし難い原則であって、日本は日本なりのシビリアンコントロールというものをつくり上げてきたし、これからもいくんだろうというふうに考えています。
 私が申し上げたかったことは、しかし、防衛とか軍事の問題というのは極めて専門性の高いことで、私も今回いろいろな勉強をしましたけれども、やっぱり相当勉強しないと、本当に自衛隊がどんなことをやっているのかとか、どんなものなのかというのは分からないということを素朴な感想として持っております。
 先ほどの三浦議員の御質問ともちょっと関連するんですけれども、民主主義においては、したがってその軍をどういうふうにコントロールするかというのは、もちろんこれは日本の場合だったら内閣総理大臣が一番のトップなわけですから、それの命令によって自衛隊はいろいろに動くわけです。ただし、その場合にシビリアンの方は、もちろん専門家ではありませんが、相当のことをきちんと理解した上で、じゃ自衛隊をどういう場合にどういうふうに使うのかというふうなことを判断しなければいけないわけですので、したがって、それなりのやはり知識とか見識をやっぱり持っていなければ、シビリアンコントロールというのはやっぱり成り立たないでしょうということを申し上げたかったわけです。
 それから、自衛隊を軍に、防衛庁を省にというのは、これは私はもう以前からそう思っておりまして、つまり、こういう位置付けにして、防衛庁は今のままではなくてもっと独立の省としての機能をしっかり果たして、その下でやらなければいけないことはこういうことですと。自衛隊は軍として位置付けて、それであるならば、どういう法律の下にどういう制約を受けつつ義務、任務を果たすのかということを明確にして初めて、その多機能弾力的な機能をする実効的な力として用いることができるんだというのが私の基本的な主張です。
 それから、軍は国民の生命、財産を守るものであるというのは、そのとおりだと思います。私はそう思っています。今の自衛隊、つまり戦前の日本の軍と今の自衛隊を連続的に考えるというのは、私はやっぱり違うのではないかなと思います。戦前の日本は民主主義ではありません。今の日本は六十年間の間、戦争が終わってから六十年間の間、やっぱり民主主義という、つくり上げてきたわけですので、ここで何を私たちが民主主義的な制度として構築して、戦前の日本とは違う民主主義としての防衛というのが考えられるかということが今問われているわけなので、そういう点からすると、今の自衛隊はもちろん国民の財産、安全を守るために日夜励んでいるわけなので、その点については一点の疑いもないことだというふうに考えております。
 以上です。
○大田昌秀君 いや、今お答えいただけなかったわけですが、戦争が、歴史振り返ってみますと、今日に至る過程で、民間人の方の犠牲が多くなってくるというのはどういうふうにお考えですか。
○参考人(樋渡由美君) 民間人の犠牲が多くなってくるというのは、例えばもう少し具体的にどういうデータとか、どういう場合のこういう、こういうケースというふうにちょっと御指摘いただけると分かりやすいんですけれども。
○大田昌秀君 これはいろいろな資料に出ておりまして、第一次大戦から朝鮮戦争を経てイラク戦争に至る過程で、職業軍人よりも民間人の犠牲者の数が圧倒的に増えているというのはいろんな資料に出ております。
 今ここで具体的に申し上げませんが、時間がないので、次に小川参考人にお伺いします。
 小川参考人は大変沖縄の基地問題について詳しい方でございますので端的に伺いますが、今日のトランスフォーメーションと沖縄基地については、どういう削減の仕方をするかということで今いろんなニュースがマスコミを通して報じられていますが、小川さんとしてはどういう点に落ち着くと分析していらっしゃいますか。
○参考人(小川和久君) どういう点に落ち着くかどうかという予測は私は余り得意じゃないんですね。自分が当事者であればこの辺に落ち着かせるということは申し上げられると思います。
 ただ、その中で、これまでトランスフォーメーションをめぐる日本国内の議論をちょっと振り返ってみたいと思うんですが、昨年八月に当時の石破防衛庁長官と大臣室で一時間半、秘書官もだれもいなくて二人でこちょこちょと話をいろんなことをしたんです。ただ、その中で、トランスフォーメーションの話というのはやっぱり一つテーマでして、そこで石破長官と僕の考えが一致したのは、やっぱり日米の認識のすり合わせを徹底してやらないとこれはまずいよという話だったんですね。
 例えば、当時の新聞報道を見ても、米軍再編という見出しを掲げているところもあれば、在日米軍再編という見出し書かれていることもある、掲げているところもある。これは、米軍がどのようにアメリカの国益に沿ってグローバルに行動できるかどうかということを問うのがトランスフォーメーションの基本であります。その中で日本にかかわる部分をどうやっていくかというのは次の段階、さらに個別の基地問題などを議論するという話にきちんと切り分けなきゃいけないだろうと。
 その中で、戦略的なテーマなどについてアメリカ側は、国防総省あるいは米軍も含めて、日本の防衛庁・自衛隊はこの程度は理解しているだろうと勝手に思い込んでいるところがある。ところが、日本側は全然分かっていなかったりする。あるいは日本側も、アメリカの考え方について、こんなことを質問したらばかにされるんじゃないかというのでやってこなかった部分も実はユニフォームの中でも時々あるんですね。それを徹底して議論をしよう、極端に言うとアメリカ側と一週間ぐらい合宿やって、何言ってもばかにしない、されないというルールの下にその辺を整理しなきゃ駄目なんじゃないかという話をしたぐらいであります。そういう流れの中で審議官級の協議を行うことになり、そういうすり合わせがだんだん行われてきたわけであります。
 私自身はどの辺に落ち着かせていくかということでいいますと、やっぱり日本側から徹底的に主張する中で、やはり日米同盟の重要性に基づき、やはり、地球の半分という言い方は誤解を招くのでなかなか難しいんですが、少なくとも日本を根拠地としている米軍が活動する範囲の平和と安定に向けて日本も日米同盟を変容させていく用意がある、どういうかかわりをするかといったような話をしなきゃいけない。その中で、やはり具体的に例えば国連の平和維持機能、これはPKOとか何か今決まっているものだけじゃありませんが、そのための拠点として日本列島を変えていき、そのための有効なツールとして日米同盟を変えていくということが提案をされる。そういう中で、具体的な話としては、普天間基地の移設問題を突破口として、やはりアメリカ側、特に海兵隊と具体的な話をし、遊休施設を含む沖縄の海兵隊基地については削減、縮小、整理、統合を行う。そういったところにまず第一段階落ち着かせていくということは、私自身は自信があるという話でお答えにさせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○大田昌秀君 ありがとうございました。
 終わります。
○委員長(林芳正君) これより自由質疑に入ります。
 質疑を希望される方は、挙手の上、委員長の指名を待って御発言いただきたいと存じます。
 また、多くの委員が発言の機会を得られますよう、委員の一回の質疑時間は二分以内といたしまして、答弁を含めてもおおむね五分以内となるようお願いいたします。
 なお、質疑及び答弁とも御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。
○犬塚直史君 小川参考人にお伺いをいたします。
 日米関係の平和化というキーワードを今日はいただいたような気がします。日米関係をどういう形で発展あるいは平和的に持っていくのかという一つの大きなお話だと思うんですが、私は、昨年オランダに行ったとき、オランダやフィンランドやカナダなんかはすごく国連の平和維持活動に熱心な、御存じのとおり、国なんですが、お話を聞いていると、どうも国民の間に非常に大きな理解があって、言わばセンス・オブ・ミッションといいますか、そういうものがあるということを聞いたんですけれども、いや、普通は国益で動くのがこういう世界であって、センス・オブ・ミッションなんていうことは本当にそうなんだろうかと。
 考えてみれば、私、田舎は奈留島というところなんですけれども、人口三千人でお巡りさん一人しかいないんですね。ミサイルはまず飛んでこないだろうなと。そういう方たちのサポートと理解がなければ、きっと国連の平和維持活動にどんどん持っていくことはできない。しかも、国防ということも最終的にはそういうところの人たちが、自衛隊お任せじゃないんですよね、自分たちで守るという気持ちがなければ国防なんていうのは語れないと思うんですけれども。その辺、どうですかね、諸外国はセンス・オブ・ミッションというのはあるように感じておられますか。
○参考人(小川和久君) 大変重要な御質問ありがとうございました。
 まず言葉の話で言いますと、僕が使った言葉は日米同盟の平和化です。日米関係の平和化というより、もうちょっと同盟にこだわった言い方であります。
 今、国連の平和維持活動などについて北欧諸国などは国民的理解がある、そういうお話がありました。これは先進国の中ではかなりそういう言い方をしても構わない部分があると思います。ただ、その国民的理解はどういうところから生まれてきているか。それを先ほどちょっと御紹介申し上げましたドイツのケースで申し上げます。
 先月、二月十九日に同志社大学のチャペルで行った公開討論会で私とドイツ連邦軍社会科学研究所の所長のティーセン教授と一致したのは、本当のシビリアンコントロール、それが貫かれるためには、つまり民主主義が軍隊の中でも機能するためには国民皆兵以外にはないという認識を西ドイツの半分以上の国民は持っていると。だから、例えば緑の党というとすごく過激なイメージがあるけれども、緑の党の大部分がこういった議論については全然ネガティブでないのは、緑の党の議員の大部分が予備役の軍人だからだ、そういう説明があったぐらいであります。
 日本では、国民皆兵もいわゆる徴兵制も、定義も実態を踏まえた議論も全くないままに行われている。だから国民皆兵イコール悪みたいな話になっちゃうんですね。日本で語られる徴兵制というのは、帝国陸軍の野間宏さんの小説の「真空地帯」みたいな、国民皆兵とはほど遠い懲役みたいな状況であります。
 ただ、近代の軍隊の中で最も国民の平均的な意識あるいは良識が軍隊の中で貫かれていたのは第二次大戦前後のアメリカ軍だったと言ってもいいかもしれません。これはもう現場に行きますと残虐行為も犯罪行為もあるんですが、比較をすれば最もモラルでそれを律することができていたというのがアメリカなんですね。それはやはり国民皆兵の一つのモデルだろうと。やはりその軍事組織にかかわり、そこにおいて戦争と平和を自分の問題として考え、人間の生と死をきちんと考える。そういった営みをした人々がまた軍隊から一般社会に戻ってきて、世界の平和あるいは自国の安全を考える土壌があって初めて民主主義は機能するし、国連の平和維持機能に関する国民的理解も生まれてくるだろうと。そういったところが日本とそういった国民的理解のある国々の違いではないかと。
 その辺の議論も、私たちは単に徴兵制だから悪だとか、そういうステレオタイプの議論をすることから一歩抜けていくことが重要だろう。本当に今ミリタリーを国民として、これは軍事組織の構成員も含めてですが、コントロールしていくということができなきゃいけない。その辺を突き付けられているような、そういう御質問だと思いました。どうもありがとうございました。
○山本一太君 小川参考人に一問だけお伺いしたいと思います。
 小川先生が日米同盟の分析の中で、日本しかアメリカの戦略的根拠地ですか、プロジェクションプラットホームになれる国はないと、パワープロジェクションプラットホームになれる国はないとおっしゃいました。しかも、日本なしにはアメリカは世界のリーダーでいられないともおっしゃいました。さらに、日米同盟が万一解消されたときには、もちろん日本にもダメージがあるけれども、実はアメリカの方が失うものが大きいとおっしゃいました。
 これについてその理由を、地球の半分をカバーするとかアメリカの最先端技術に付いていくのは日本しかないとかいうお話はちょっとありましたが、この理由についてちょっと、具体的にもうちょっと聞かせていただきたいと思います。
○参考人(小川和久君) どうも重要な御質問ありがとうございました。
 在日米軍基地という言い方だと非常に狭い極東の範囲といったような議論の中に収まってしまうような印象がありますが、実はアメリカは極東の範囲なんて考えていないわけでありまして、日本列島に足場を置きながら、先ほど申し上げました地球の半分、アフリカ最南端の喜望峰まで含む範囲で軍事行動を行っている。その中で部隊の任務区域についてはそのときそのとき若干違ってきますが、大ざっぱにいくと今のお話の地球の半分、インド洋のすべてと太平洋の三分の二、その範囲で行動する米軍を支えている。
 日本列島の位置付けは、戦略的根拠地と私、訳しておりますが、パワープロジェクションプラットホームと英語では言います、戦力投射根拠地であります。これは自国と、自国の本土と同じ条件が備わらないと無理なんですね。単に賃貸させてくださいというような格好の基地機能じゃ無理だということです。そこにおいては軍事力について三位一体の高度な能力がなきゃいけない。一つは、これは展開能力であり攻撃能力である、それからもう一つはそれを支えるロジスティックスの能力、補給、兵たんの能力、それからもう一個はインテリジェンスの能力、どこを取ってもアメリカ本土と引けを取らないほどのものが日本列島に置かれている。ほかの国には出先の基地はあってもそんなものはどこにもないんですね。その理由をずっと分析し、アメリカ側と議論をしていったら、幾つかの条件が整理されてきた。
 その第一が、やはり地球の半分で行動するほどの大変巨大なアメリカの軍事力、しかもそれは世界の最先端を行くハイテク兵器で固められている。それを維持するということになりますと、アメリカと同じレベルの工業力や技術力のある国じゃないとまず無理だ。例えばメンテナンス一つできないわけであります。
 横須賀にあるアメリカ海軍の海軍工廠は、これはアメリカ本土にあるものも含めて最高レベルであります。できないのは原子力に関するメンテナンスだけであります。佐世保の基地のその能力は佐世保重工業が担ってきた。当時、私がリサーチした当時は、佐世保の基地司令官などにその辺を聞きますと、フィリピンのスービックでは油漏れ一つ直せない。ところが、ここまで何とかやってくると一発でアメリカ本土じゃ直せないような修理をやってくれる。そんな国はどこにもないと。これはもうチェックしていけば、ないということが消去法で消えていくんです。そういったことで日本が、例えば同盟関係を解消するということを何らかの理由で行った場合には、地球の半分で行動する米軍の能力の八割ぐらいが喪失しちゃうんですね。そうなってしまったアメリカは、もうスーパーパワーではあり得ない。そういうアメリカの言うことを中国やインドは聞かなくなるということです。それをアメリカは恐れております。
 同時に、やはり戦略的根拠地の条件として幾つかアメリカ側と協議をして整理をしたのは、やはり大きな資金力を持っている国は重要だろうということですね。日本というのはやはり世界で二番目の経済力を持っている国ですから、それはそこにおいても条件を満たしている。
 それから、いま一つ、割と話題にならないんですが、やはり先進国、しかも民主主義を掲げている国の中で反米運動が存在しない国というのは、これはまれな例である。これはアメリカにとっては極めて安定的に戦略的根拠地を置く条件になってくるということですね。
 だから、そういう日本の位置付けを考えると、アメリカの同盟国において米軍が事故を起こしたり犯罪を犯したりしていろんな問題が起きるんですが、そこにおけるアメリカの対応も日本に対するものとほかの国に対するものが全然違っているという、その温度差を僕らは敏感に感じ取らなきゃいけないんじゃないか。
 例えば、沖縄で大変痛ましい少女の暴行事件が起きたり、えひめ丸がハワイの沖で沈められる。アメリカはどういう対応をしたかというと、非常に大ざっぱに言いますと、大統領以下、関係する部門のオールスターキャストとも言っていいような人たちが出てきて直ちに謝罪をするという行動を取る、日本に対して。
 ところが、イタリアで海兵隊の電子戦用の飛行機がスキー場の中で超低空飛行をやってロープウエーのケーブルを切ってゴンドラが落ちて二十人亡くなる、そういうオールスターキャストが出ていって謝るようなことがあったか、そこまではやっていない。あるいは、韓国で女子中学生が二人、アメリカ陸軍の装甲車にひかれて亡くなる、それに対しては抗議運動が起きて初めて大使が謝罪をする。ただ、大使の謝罪で済むかというので火に油を注ぐような感じが出てきて、星条旗燃やすような感じになる。ところが、アメリカはそこで、じゃ遺憾の意を更に表すかといえば違った。だったら撤退してやるとまで言ったわけですね。脅すわけです。
 ところが、日本に対しては初めからオールスターキャストで謝罪する。それは、事故や事件がきっかけで反米の火の手が上がったら、最悪の場合、日米同盟解消ということを考えなきゃいけない。それはアメリカにとってはもう絶対起きてはいけないことであります。だから、とにかく早く火が起きないようにしてしまうというのは、危機管理としても基本であります。
 そういう位置付けの違いの中に日本の日米同盟、重要性というものが浮かび上がっているということも、お話を実はさっきも申し上げたかったけれども時間がなくて、御質問していただいて補足をさせていただくことができたわけでありますが、そういう考え方を持っております。
 どうもありがとうございました。
○澤雄二君 お二人から非常に根源的という意味でラジカルな御提案をいただいて、今日は大変有効であったというふうに思っておりますけれども、樋渡参考人にお伺いしますけれども、自衛隊独自の戦略考えたことないんじゃないかと、ないんではないかというお話がございました。
 それで、自衛隊独自の戦略というのはどういうものかというのを検証しなきゃいけないんですが、ある事態を想定した場合の戦略、戦術というのを詳細に詰めれば詰めるほど、多分補わなきゃいけないところ、足らざるものというのがどんどん見えてくると。これは先生おっしゃるとおりに、そういう戦略、戦術を詰めれば詰めるほど多分もっとお金、装備が必要だよねということは見えてくると思います。
 それからもう一つ、統合戦略、統合運用のことをおっしゃいましたが、私は、実は統合運用というのは、効率的に働かせようとすればするほど自衛隊の基盤整備から全部変えていかなければいけないと、場合によったら技術開発の研究テーマまで変えていかなきゃいけないということを考えると、逆に予算は非常に多く掛かるだろうというふうにむしろ思っています。
 それで、先生にお伺いしますけれども、先生がこういう御意見持たれる過程の中で、一体自衛隊の予算、防衛庁の予算というのはどれぐらいまで膨らませると効果的なのかということをお考えになったことありますかという、ちょっと意地悪な質問かもしれませんが、お聞きしたいと思います。
 それから、小川先生には……
○委員長(林芳正君) 一問でできればお願いいたします。
○澤雄二君 はい。
○参考人(樋渡由美君) 防衛庁の予算をどれくらいまで増やしたらということは、私には分かりません。もっとあればあるほどそれはいろいろできますから、多分いいのでしょうねということぐらいしか申し上げることはできません。
 もう一点、先ほどの御質問の中で、自衛隊としての軍事戦略を考えたことがないんじゃないかというつもりで私申し上げたのではなくて、日本はやっぱり大綱を読んでも、それから懇談会の報告書を読んでも、戦略ということを意識しながらも何かいろんなものがごちゃごちゃ入っているわけです。
 私はなぜアメリカの戦略の話をしたかというと、ああいうふうに、ちゃんと国家の戦略とそれから国防戦略と軍事戦略というのが何でああいうふうに分かれているかということには理由があるわけであって、本当に自衛隊として、どういう戦略でどれくらいの装備が必要でどういう作戦行動が必要かということを本当に考えていくためには、やっぱりああいうふうに明確な戦略の枠組みというものが作られない限りは、今の日本のままではやはり不十分ではないかなと、そういうつもりで申し上げたわけです。
 統合運用は、私は、突き詰めていったらお金が掛かるはずのものだろうという御意見には全く同感しております。
 以上です。
○福島啓史郎君 自由民主党の福島啓史郎でございます。
 小川参考人にお聞きしたいわけでございますが、最初にマドリード会議のことを言われて、私、今外務大臣政務官やっているわけでございますけれども、参考人言われましたように、このマドリード会議の重要性、認識しておりまして、その一週間前にスペインから、マドリード市会議員で、かつ今の与党の外交関係者が来られて是非出席してくれということで、私も随分根回しをしたんですが、結局国会が開会中でございますのでなかなか高官を派遣することはできなかったので、結局スペイン大使を出席させたという事情がありますので、御理解賜りたいと思います。
 私の質問は、日米関係の、日米同盟の平和化ということでございますが、私、その意味するところは、多分、日米同盟を今委員の言われました、参考人述べられました地球の半分の平和を維持する日米同盟システムを、そのシステムを平和の安定のために使おうということではないかと思うわけでございますが、私は、それは法理論的には極東という日米安保条約と、それから極東以外の地域におきます、私、日本の平和協力法といいますか、平和協力法制といいますか、それで対応すべきものだと思うわけでございます。
 それについての御意見と、またそれのためには自衛隊が治安対策を担うようなことにしなければならないと思うわけでございますが、そのことは憲法九条の問題と私は切り離して整理ができると思うわけでございますが、その点についての御意見をお伺いしたいと思います。
○参考人(小川和久君) 大変重要な御質問、ありがとうございました。
 日本の憲法論議の中でもう少し整理が行われた方がいいかなと私が思っているのは、武力行使という言葉使われますが、やはりその武力行使で、我々がやはり自ら誇り高く手を縛って構わないのは戦力投射だと思います。先ほど定義いたしましたように、相手国を壊滅させられるような軍事力を持たないあるいは行使しない。ところが、日本の議論においては、例えば、治安任務に陸上自衛隊の例えば一個普通科連隊を投入することができないとか、そんな話で海外における任務も縛ってしまっている。大変な大きな問題があると思います。だから、もう一番根っこのところで言葉の定義からちょっと整理をしなきゃいけないと思います。
 ただ、私が日米同盟の平和化と言ったのは、今もうはっきり、お話しになりましたように、とにかく世界の安定のために日米同盟という枠組みの中で日本の役割分担を明確にし、アメリカに対しても、やはり単独行動主義なんて言われるような動き方じゃなくてこっちの方がいいんじゃないのというようなリードができるような国になっていく、そういったことを考えております。
 ですから、本当に僕は世界の中の日米同盟という言葉、樋渡参考人はもう少し考えた方がいいという大変厳しいお考えなんですが、私は大変どんぶり勘定の人間なものですからもうちょっと幅広くとらえておりまして、軍事同盟といっても軍事力を行使しなければならない事態は最悪でございます、特に軍人にとっては。それを避けるためには外交力を駆使させなきゃいけない。そういったところまで視野に入れながら同盟関係を変容させていくことが重要だろう。その意味で日米同盟の平和化という言葉を使わせていただきました。
 どうもありがとうございました。
○喜納昌吉君 私にとっては、我が国にとって最大の脅威は米国と中国の敵対的な摩擦だと思うんですね。日米同盟の平和化で果たしてそれを解決できるかというと僕は疑問があるんですけれどもね。やっぱり半分の地球の平和化で解決できるか非常に疑問があるんですけれども、この辺、どうですか。
○参考人(小川和久君) 大変鋭い御質問でありまして、これに対しては私は的確なお答えをできるかどうか甚だ自信がございません。ただ、解決できるかどうかという考え方は私ども専門家はいたしません。解決するんだ、で、解決できるところまで持っていく、それがなければいけないということなんです。やはりアメリカとの同盟関係を、少なくとも国連を一定の関与の下に置きながら世界の平和あるいは安定のために機能させることができれば、これは大変大きな一歩になると思います。その意味で、やはりこのステップは私は日本として踏むべきじゃないかと思っています。
 これは単に一般的な戦争だけではなくて、アメリカにおいて起きた同時多発テロ以降、新たな脅威ということが言われるようになった。これについてのいろんな学者の議論はまたいいんですが、その中で、例えばテロの問題というのは、やはり今回のマドリード会議でもそれのための会議だったわけですけれども、一つ考え方を整理しなきゃいけないというのがあるのは、例えば日本がテロリズムと向き合う中で安全でいられるためには、大ざっぱに言うと二つのことを同時にしなきゃいけないという問題があるわけです。
 一つは、国内のテロ対策能力を世界に通用するレベルに上げていくこと。でも、これだけでは十分じゃない。やはりテロをやろうとする人々が拠点にしそうな国や地域は世界に一杯あるわけです。それをやはりどれから安定させるのがいいのかということで優先順位を決めて、世界各国と協力しながらそれに取り組んでいくということなんですね。だから、これはイラクの復興支援にかかわるとか、アフガニスタンにかかわるとかいう問題でもあるんでしょう。しかし、同時に地球全体の安定と平和を考えるときに、日米同盟が影を落としている範囲といいますか、アメリカが日米同盟に足場を置きながら活動している範囲を視野に入れて地球の半分の安定ということを考え、取り組んでいくということも重要だろうと。
 そういう感じでこういう言葉を使わせていただいております。だから、やっていくんだということで考えていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
○岡田直樹君 自由民主党の岡田直樹でございます。
 小川参考人のこの戦力投射能力という言葉の定義に、非核戦力でも大規模な陸軍部隊を上陸させて相手国を占領する、そして戦争目的を達成できる陸海軍の戦力、今日こうした能力を備えた国がアメリカ以外にどこがあるのかなということを考えますときに、私の感触なんですけれども、ロシアにはもうそういう力はないんではないか、中国が現在そうした力を持っておるか、あるいは将来において持つことがあるか、この辺りの中国の軍事力の評価、特に海空軍力の評価について教えていただきたいことと、そういう中国を脅威とするほかないのか。先ほど喜納委員もおっしゃったように、日本はアメリカと中国の中で、そのはざまの中で生きていくほかないわけでありますけれども、この両国の橋渡しとして日本が果たせる役割というものについて御示唆をいただきたいと思います。
○参考人(小川和久君) 大変重要な御質問ありがとうございました。
 戦力投射能力といっても、僕が一番目に挙げているのは核戦力です。通常戦力ばっかりでそれを実現しようと思ったら、これはもう大変なお金も掛かります。だから、効率的にしようということで核にシフトしていっている国が多いと。これは中国も例外ではないということなんですね。そういうことで、両方で御理解いただきたいと思います。日本に置き換えれば、非核国家だけれどもこのぐらいの軍事力を持たないと戦力投射能力とは言えないんだぞということを各国と話し合うべきだということなんですね。
 そういう中で、中国の軍事力、特に海空軍の能力について評価せよということなんですが、例えば中台関係の緊張というのがイメージとしては常にあるんですが、中国の海軍と空軍の戦力でいいますと、台湾に対する武力行使を行い得る条件というのは二つございます。
 一つは、現状とは全然違いますが、もっと圧倒的な軍事力を特に海空において備え、台湾を例えば一週間、十日の間に制圧できるような軍事力を持っていれば、これは世界から非難されようともやり得ですからやりますね、さすが中国だという評価になりますから。でも、それほどの能力はない。
 もう一個、中国が台湾に対して武力行使できる条件というのは、それは中国が再三警告しているように、独立を宣言したような場合でございます。それはもう、台湾問題は国内問題だからくちばしを挟むななんて言ってきた立場からいっても、国内問題を解決できない中国が何で国連の常任理事国かなんて話になりかねないから、これは国際的な信用を失おうとも、メンツの問題で、恐らく死に物狂いでやるだろう。それにアメリカの軍事介入という条件を加えますとかなり複雑になりますけれども、条件としてはそういうことであります。
 ただ、通常言われているような、台湾に対して渡洋上陸作戦、海を渡って五十万人、百万人単位ですね、これこそ。そういう陸軍戦力を上陸させるだけの能力は、まず輸送能力からして中国にはありません。もちろん、海軍の艦艇の戦闘能力、それから航空機の能力もありません。それから、空軍の台湾海峡上空における制空戦闘能力、これは航空優勢、制空権を取るんですが、これも相当劣ると考えたらいい。
 じゃ、福建省にどんどん配備が進んでいて、一説には五百発あるいは七百発と言われている短距離弾道ミサイルはどうかといいますが、これも、核弾頭型は一発でも脅威になります。ただ、自国の領土であると台湾のことを言っている、そして台湾の住民を自国民だという位置付けにしている中国が自国民に対して核弾頭型のミサイルを使う可能性というのは非常に限られてくる。通常ではあり得ない。
 その場合、通常弾頭型の弾道ミサイルがどれぐらい脅威になるかといったら、これはもう湾岸戦争のときイラクが改良型のスカッドミサイル、アル・フセインというのをイスラエルに三十九発落としたのを見ても分かるように、それを受ける側の国民が正確な情報と知識に基づいて冷静な行動をできる国であれば大した被害はないということです。三十九発改良型のスカッドが落ちて亡くなった方は二人だけです。だから、国民保護法制においても、消防庁が各自治体に、まずミサイルの脅威が言われたら家の中に入ってくれと言っているのは、そのイスラエルの教訓に学んだものなんですね。だから、台湾の国民、まあ国民皆兵だからある程度知識はあるわけですが、それだけでは台湾を屈服させることはできない、基本的に。
 今、アメリカも台湾も気にしているのは、断頭攻撃という攻撃なんです。つまり、ギロチンの断頭台の断頭、つまり台湾の政治、軍事、経済の中枢を弾道ミサイルと巡航ミサイルでたたきつぶす、そのことによって蛇の頭を切り落とすように機能麻痺に陥らせる。ただ、これに対しても、ソ連の断頭攻撃に対して一貫して備えてきたアメリカの考え方が台湾にも導入されており、政府存続計画の下に相当広く分散されているはずでありますから、どれぐらい有効であるかというのはまだ疑問でございます。
 そういうところの評価で、とにかく中台危機において中国がぶざまなことにならない方がいいよという今働き掛けを日本もしながら、軍事力が行使されないように持っていくというのが一つの外交だと思います。
 ただ、御質問の最後にありました中国に対する日本の取組、戦略と言っていいんですが、やっぱり明確なものがないわけであります。だから、そこにおいてはやはり、これがすべていいというわけでございませんが、アメリカがクリントン政権以来一貫してやっていると言っても過言ではないんですが、中国に対して行っている積極関与政策、エンゲージメント、こういったものが参考になるだろう。これは平たく言いますと、アメリカから見て、中国をおいしくて危なくない国にしていこうという戦略ですよ。日本なりにそういったことがあればいいだろうなと思っております。
 ちょっと長くなりますのでこのぐらいにしておきますが、どうもありがとうございました。
○岡田直樹君 ありがとうございました。
○白眞勲君 白眞勲でございます。
 小川先生、今日はまたいろいろと興味深い話、ありがとうございました。
 その中で、先ほどから、同僚委員から不安定の弧、いわゆる地球の半分というお話があったわけなんですけれども、アメリカと全く考えが一緒な場合はいいかもしれませんけれども、日本として、例えばこの前のイラクの戦争のように様々な意見、この先制攻撃に対する意見というのが各国であったわけですね。
 そういう意味で、日本における日本とアメリカとの考えが違った場合の対処方法といいますか、これはいわゆるがんがん話し合えばいいと小川先生もおっしゃっているわけで、そういう中でリード、逆に言うとアメリカは、日本がそういう基地のそういう非常に重要な部分を担っている以上、逆にリードするような考えを持って行動すればいいという考え方もあるんですけれども、逆に本当にアメリカは日本をそういう対等の立場と考えているんだろうかと、場合によっては単なる不沈空母ぐらいの程度のものしか考えていないんじゃないかという部分の議論もあるわけでして、その辺のバランスの取り方をどのように判断したらいいのかと。
 やはり、もう一つは、韓国とか周辺各国に対する理解、これは理解させることはできるとおっしゃっているんですけれども、その辺についての御見解を、お話、聞きたいと思います。
○参考人(小川和久君) またまた大変重要な御質問、ありがとうございました。
 日米の考え方、違うということを前提にアメリカも考えております。ただ、自分の国の都合のいいように同盟国を引っ張っていきたいというのは当たり前ですからね。それに対して一つの考え方があります。
 これは、アメリカの考え方というのは、こういう言い方は非常に大ざっぱですが、アングロサクソン的な考えなんですね。アングロサクソンの考え方というのは、これはイギリスの小説家のフレデリック・フォーサイスと私、雑誌で対談したときに、やっぱりフォーサイスが説明しておりましたけれども、アメリカの立場で言うと、同盟国が国益を前提にアメリカにノーと言った場合は真剣に耳を傾け、それに関する対案があれば、それがリーズナブルだと思えば必ず受け入れる、敵の場合にはいきなりぶん殴ってくる、それがアングロサクソンだ。日本ほどアメリカにとって重要な国だということがあるのに、日本人は五十年以上付き合ってきてアメリカとの付き合い方分かっていないねと、アメリカ研究が足りないんじゃないかとイギリス人に言われていたらしようがないんですけれどもね。それは私の考え方でもあります。
 だから、アメリカの政府の中枢の方で、小川はノーだと言う人は自民党議員に対して露骨に言う人がいるんですよ。だけどね、だけど、僕の言うことに対しては一応公式には耳傾けますよ、僕は日米同盟、大事だと言っているから。やっぱりその辺は、繰り返し繰り返しチャンバラやりながら、向こうが日本のことをやっぱり一目も二目も置く同盟国と扱うようにしていくというのが日本の営みだと思います。その辺がやはりないと、周りの国からやはりいろんな意味で不信感を持たれますよね。
 やっぱりまず僕は、周辺諸国で一番大事にしなきゃいけない距離的な問題もあって積極的にやっているんですが、韓国の政府の方々あるいは軍部の高級幹部に対しては、人事院から日本の安全保障政策を教えろと言われたこともあったんでずっとやっているのはやっぱり日本の防衛力の構造的な評価なんですよ。やっぱり戦力投射能力がないという話をきちっとしないと、事実とデータを基に、やっぱり日本というのはもうこれだけ大きな防衛費使っているから、いつかは朝鮮半島に攻め込んでくるんじゃないかというような、軍人が言うんだわ、将軍たちが。
 あるいは、私の友人の韓国陸軍の長官が、彼は横浜出身だから僕より日本語うまいんだけど、いや、小川ちゃん、日本はやっぱりすごいねって、最初の知り合ったころ言うわけですよ、これ中佐だったんだけれども。何かといったら、第一次大戦後のドイツと同じことやっているんじゃないかと。つまり、ドイツは将来一気に大きな軍事力をつくり上げることができるようにその核になる人材を温存した、あるいは中南米に軍事顧問という格好で散らばらした。それを集めて一気に大きな軍事力を持ち、これはナチスの台頭と重なってしまうわけでありますが、第二次大戦への道を歩んだ。日本も小さな自衛隊という軍事力持っているけれども、ドイツに学んでいるんじゃないのと言う。そんな能力がある国だったら、もうちょっとアメリカとの関係だって整理できているんですけれどもね。
 でも、そんなことをみんな思っているところはあるんですよ。やっぱりこれをきちっと事実とデータで説明をしながら、同時にアメリカとの関係において日本に対する信頼をかち取る営みというのはしなきゃいけないだろうと、それ以外にないだろうと私は思っております。
 どうも重要な御質問、ありがとうございました。
○山谷えり子君 自由民主党、山谷えり子でございます。
 参考人の先生方、ありがとうございます。
 小川参考人にお伺いしたいと思います。
 私は、イラク、インド洋、そしてゴラン高原、PKOや人道復興支援を見てまいりました。非常に日本の自衛官は優秀でいらっしゃいまして、世界の平和の維持に貢献しており、また国益にもかなう活動をしているということを感じております。
 しかしながら、テロ特措法で自己の管理下に入った者と、あるいはその現場性というような二項目が入って臨機応変に活動、対応できる部分が増えたことは増えたんですが、しかし本来持っている自衛隊の能力、あるいは国連の装備品すら守れないとか、武器の使用も国際スタンダードになっていないというような面から見て、本当に能力のある、そしてまた命を懸けて行っていらっしゃる方に対する感謝と敬意と、それからきちんと働いていただくための私たちのサポート態勢が余りにも足りないというふうに考えているものでございます。
 イラクに参りましたとき、奥克彦大使、亡くなられた奥克彦大使に私たちの安全を保障してもらっていたんですが、平成十五年の四月二十九日の奥克彦大使のホームページで、日本大使館はいつごろ機能を再開するのでしょうか、日本の場合、自国の兵士や警察官による警備を行いませんので、ちなみに、これは主要国では非常にまれなケースです、警備対策が最大の問題ですと書いていらっしゃいまして、自衛隊が在外公館を警備することすらできないという本当に非現実的な状況の中で自衛官にお働きいただいている。
 PKOの五原則の中の四番目と五番目ですね、中断と引揚げの問題、それから武器使用の問題、これを私は早急に見直すべきであり、また本来任務にきちんと位置付けるべきだと考えているんですけれども、先生はどのような意見をお持ちでしょうか。
○参考人(小川和久君) また、これだけで一時間半講演できそうな御質問でございます。
 ただ、私自身、カンボジアPKOのとき、九二年の段階から、今の森陸上幕僚長がまだ一佐だったんですが、彼らと一緒に宮澤内閣の仕事の下働きをしたという立場なんです。だから、PKO本体業務参加凍結などを陸上幕僚監部の班長たちのワープロで打ち込む、そういう作業も一緒にやった人間でございます。
 ただ、それから十三年目になりますが、いろんな実績を積む中で、日本国民の理解も進んだことは進んだんですが、一つ大きな問題があるなと思うのは、これは自衛隊にすべて任せようという話じゃないんですよ。ただ、その武器を使うことが求められるような任務、そういったことについてやはりもっともっと整理をし、知識を高め、自衛隊を有効に使えるようにはめ込んでいく、そのための法律や制度を整備しなきゃいけないだろうと思っています。
 日本のそういった議論の基本に置かれているのは何かといいますと、警察の持っている知識とか情報なんですね。そこで行きますと、もちろん個人的には優れた知識や情報を持った方もいらっしゃいますが、組織としては幼稚園。だから、警察が例えば銃器に関する知識を世界に通用するレベルで持っていれば、首相官邸をあんなところに造るわけないじゃないですか。何でこんなところに造ったのかと責任ある立場の官僚に聞いたら、警察に聞いたら、一番近くのビルから二百五十メートル離れているからライフルの狙撃には大丈夫だと聞いておりますと。あほう言うなと。今度自衛隊が導入する十二・七ミリの大型の狙撃銃の有効射程距離は二・四キロですよ。僕が昭和三十六年に十五歳で陸上自衛隊に入って最初に使ったアメリカ製のM1ライフルだって有効射程距離で五百メートルです。そのレベルの警察の知識を基にあらゆることが規定され、在外公館の警備にまでそれが影を落としているんです。
 だから、やっぱりこれは警察がいい悪いじゃなくて、情報を共有してその中で必要な営みができるようにしていこう。だから、自衛隊の方に、自衛隊出身者だから引っ張ろうなんて思っていませんよ、そんなけちなことは。
 でも、この間も、たまたま僕は海上保安庁の委員やっているんだけど、海上保安庁の長官からいろんなブリーフィングがある。これは大変勉強になる。ただ、一つだけ気が付いたことがあるんです。これは申し上げたから議事録に出ていますけどね。
 何かといったら、南西諸島周辺海域における中国の調査船の活動についてというのがあるんです。ばあっと出てくるわけです、地図上にね、説明がある。僕から見ると、ほかの偉い先生はふうんと聞いているわけですよ、でも少な過ぎるわけ。私が海上自衛隊から受けているブリーフィングから見ると数が少な過ぎると思いますがと言ったら、警備救難部長が、実は海上自衛隊のP3Cのような能力がないから我々がつかんでいるのはこれだけですという話ですよ。それは年間千七百億円の予算の海上保安庁だから、そんな能力を持てとは言えない。しかし、海上自衛隊と情報を共有しないでおまえら何やってんだということを言わざるを得ないんですよ。
 だから、そんな問題が、そこだけ見ていると、もうすべてだと思っちゃうじゃないですか。それでいろんな必要な活動の基準が決められていくということになると、樋渡先生がおっしゃったように様々な矛盾につながっていくんですね。だから、やっぱり安全とかいうことが前提になるようなお話については、もう少し国家のシステムを有機的に動かす、そのために政治がかかわりを持つことが重要だろうかなと思っております。
 ちょっとお答えにならないような話になりました。ありがとうございました。
○柏村武昭君 どうもお二人には今日は大変勉強になる御意見、ありがとうございました。
 私は、最後になると思うんですが、お二人に簡単な問題をちょっと。
 今、最後に樋渡委員がおっしゃったように、自衛隊がやっぱり省になるべきだし、軍にすること、これきちんとやらなきゃいけないとおっしゃったんですが、今、自衛隊の省昇格運動が盛り上がっているとは思うんですが、またしぼんじゃったんですね。私は、自衛隊を何とか省にしようと思って、今日は防衛庁を離れまして、自衛隊を省にしようという議連の事務局として頑張っておりますが、憲法にすら今国民は防衛の義務をどうのこうのというふうなことを書こうかという時代ですが、予算も五兆円を超えるという自衛隊の防衛庁の予算であります。農水省だって三兆を下回るわけでございますが。
 これは、自衛隊がなぜ防衛庁なのか、これが世界の僕は七不思議の一つだと思っているんですが、これどうして今省に上がらないんだ。これは戦争のトラウマなんでしょうか、あるいは各国に遠慮しているんでしょうか。そのお二人の先生の忌憚のない意見を一言ずつお願いしたいと思います。
○参考人(樋渡由美君) やっぱり歴史的な位置付けというのはあるかと思います。
 私は、先ほども申しましたけれども、戦前の日本は、これは民主主義でなかったわけなので、そこで起こした戦争については十分いろいろな反省もこれまでされてきたことですし、そこでの軍隊組織の在り方というのも、もちろん悪いところもあったでしょう。
 ただ、戦後ずっとそれなりに民主化を続けてきて、自衛隊再建もして、今では任務も多様にしていくのであると、日本防衛と国際社会の安定のために貢献するのであると言っている以上は、それができるための組織とか体制をつくっていかなければうそだろうと、必要な予算も付けなければうそであろうと。私が考えているのは、単純にそういうことです。なぜ防衛庁が省じゃないんですかと、自衛隊は軍じゃないんですかということは、常識で考えるともうおかしいというふうに思います。
 それから、先ほどのちょっと御質問があったのとの関連なんですけれども、じゃ、自衛隊・防衛庁の予算ってどれくらいがいいですかということなんですけれども、私分かりませんとお答えしたんですが、もう少し考え方を柔軟にして、じゃ、これだけのことをやるために一体お金幾ら掛かるんでしょうねということをもう一回やってみて、この結果これくらい掛かりますという、そういう作業というのはやっぱり必要じゃないかなと思います。
 今だと、予算が足りないし、いろいろ制約があるからこれだけのことしかできないという考え方になっていますので、そこを取っ払って、もう少し責任を明確にした組織が何ができるかということを考えていくべきだというふうに思います。
○参考人(小川和久君) 防衛庁を省にする、あるいは自衛隊を軍にすると、これはもう当然のこととして議論が進められるべきだと思っております。
 私も、昭和三十六年に十五歳で少年自衛官になって、今週月曜日に、当時一緒に入った同期生が、最後海将で航空集団司令官で海上自衛隊にかかわったのが辞めましてね、おい、勤続四十五年、退職金何ぼになるんだってこの間も厚木基地で話していたんですが。
 ただ、やはりこういった議論が時々出てはまたしぼんでいくというのは、やはり国民を挙げて科学的、論理的な議論をするというところが日本の場合、割とないんですよ。特に、そういった世論の形成について責任を持つべきジャーナリストにまずそれがない。だから、テレビなんか出てその辺突っ込むと黙っちゃって、もうキャスターがかわいそうになっちゃうのね。そういう話にならないときは平和の使者みたいな顔をしていてね。だから、これでは平和は実現できないわけであります。だからやはり、特に軍事は常識の科学と言われるぐらい、突拍子もないやつはおかしいんですよ。だから、とにかくその辺の議論ができるような下地を作っていくということが大事だと思います。
 ただ、自衛隊の出身者で、しかも現実に深く今もかかわっている立場でいいますと、軍人は、これは日本だけじゃなくてアメリカもそうなんですが、どちらかというと世間知らずの面もある。優秀で常識的な優れたバランス感覚のある人も一杯いますが、中には階級章から見てとんでもない、この人、下士官なんじゃないかという人が将軍の階級章を付けている場合もあるわけです。だんだんそういう人は少なくなっている。
 だから、その辺をちゃんと考えて国民の批判に耐えられるようにならないと軍になるなんて十年早いぞと、この間ある陸上幕僚長の出身者に言ったら、もうそれ以来パーティーで鋭い視線が来ると思ったら、向こうの方でにらんでいるわけですけれどもね。でも、そういう怖いところもあるんですよ、軍隊というのは。世間知らずの集団にしてしまうと怖いんですよ。だから、さっきのドイツの連邦軍のティーセンが言っていたような話ですよ。とにかく国民の平均的な意識や良識が、あるいは良心が貫かれるような形の在り方、これは国民皆兵だと。その中で初めて透明性も維持される。特殊な集団に丸投げすると暴走する可能性がある。
 日本の場合、自衛隊が国民が思っている以上にリベラルなんですね、すごく。それはやはり戦後の一つの流れもあったし、同時にアメリカというおもしがあるからですよ。そこのところはきちんと押さえて、より健全で国民から信頼される自衛隊になっていってもらうための営みも、またその議連の方でも進めていただきたいと思っております。
 どうもありがとうございました。
○委員長(林芳正君) ありがとうございました。
 予定の時刻が参りましたので、参考人に対する質疑はこの程度にとどめます。
 この際、一言御礼を申し上げます。
 参考人の方々には、長時間にわたり大変に有益な御意見をお述べいただきまして誠にありがとうございました。大変活発な御議論をいただいたと思っております。委員会を代表し、厚く御礼を申し上げます。(拍手)
○委員長(林芳正君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(林芳正君) 速記を起こしてください。
    ─────────────
○委員長(林芳正君) 専門機関の特権及び免除に関する条約の附属書]Xの締結について承認を求めるの件及び石綿の使用における安全に関する条約(第百六十二号)の締結について承認を求めるの件の両件を一括して議題といたします。
 政府から順次趣旨説明を聴取いたします。町村外務大臣。
○国務大臣(町村信孝君) ただいま議題となりました専門機関の特権及び免除に関する条約の附属書]Xの締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 この附属書は、昭和五十二年十月にジュネーブで開催された世界知的所有権機関の調整委員会第十一回会合において作成されたものであります。
 この附属書は、専門機関の特権及び免除に関する条約の規定を修正した上で世界知的所有権機関に適用することを内容とするものであります。
 我が国がこの附属書を締結することは、同機関及びその職員等の我が国における活動の円滑化に資するものであり、知的財産権の分野における国際協力を促進するとの見地から有意義であると認められます。
 よって、ここに、この附属書の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、石綿の使用における安全に関する条約(第百六十二号)の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 この条約は、昭和六十一年六月にジュネーブで開催された国際労働機関の総会において採択されたものであります。
 この条約は、石綿にさらされる労働者を保護するため、国内における関係当局、使用者等がとるべき措置について定めたものであります。
 我が国がこの条約を締結することは、我が国の石綿への曝露を防止するための対策を積極的に推進し、石綿の使用における安全を図る見地から有意義であると認められます。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。
 以上二件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いをいたします。
 どうぞよろしくお願いします。
○委員長(林芳正君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 両件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十一分散会