第162回国会 国土交通委員会 第22号
平成十七年六月十四日(火曜日)
   午前十時開会
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  出席者は左のとおり。
    委員長         田名部匡省君
    理 事
                田村 公平君
                脇  雅史君
                大江 康弘君
                佐藤 雄平君
                山本 香苗君
    委 員
                岩井 國臣君
                岩城 光英君
                太田 豊秋君
                岡田  広君
               北川イッセイ君
                小池 正勝君
                末松 信介君
                鈴木 政二君
                伊達 忠一君
                藤野 公孝君
                池口 修次君
                岩本  司君
                北澤 俊美君
                輿石  東君
                前田 武志君
                山下八洲夫君
                魚住裕一郎君
                仁比 聡平君
                渕上 貞雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊原江太郎君
   参考人
       東京大学空間情
       報科学研究セン
       ター教授     浅見 泰司君
       株式会社市浦ハ
       ウジング&プラ
       ンニング常務取
       締役       川崎 直宏君
       全国公団住宅自
       治会協議会代表
       幹事       多和田栄治君
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  本日の会議に付した案件
○公的資金による住宅及び宅地の供給体制の整備
 のための公営住宅法等の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○地域における多様な需要に応じた公的賃貸住宅
 等の整備等に関する特別措置法案(内閣提出、
 衆議院送付)
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○委員長(田名部匡省君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。
 公的資金による住宅及び宅地の供給体制の整備のための公営住宅法等の一部を改正する法律案及び地域における多様な需要に応じた公的賃貸住宅等の整備等に関する特別措置法案の両案を一括して議題といたします。
 本日は、東京大学空間情報科学研究センター教授浅見泰司君、株式会社市浦ハウジング&プランニング常務取締役川崎直宏君及び全国公団住宅自治会協議会代表幹事多和田栄治君の以上三名の参考人に出席をいただき、意見を拝聴し、質疑を行います。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、大変御多忙のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 参考人の方々から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、本日の議事の進め方について申し上げます。
 まず、浅見参考人、川崎参考人、多和田参考人の順序でお一人十五分ずつ御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。
 参考人の方々の御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず浅見参考人にお願いいたします。浅見参考人。
○参考人(浅見泰司君) 東京大学の浅見でございます。こういったところにお招きいただきまして、どうもありがとうございます。
 私のメモが渡っているかと思いますけれども、それに基づいてお話しさせていただきたいと思います。
 まず、住宅を取り巻く社会背景というのがございますけれども、地域における住宅政策のニーズというのはかなり多様化してきているという現状がございます。
 例えば、大都市の中心部等では密集市街地をいかに解消するかというのが大きな課題ですし、あるいは地方都市においては中心地の空洞化対策あるいはそこの中心部における居住推進ということが大きな課題になっております。また、場合によっては地方定住を促進する、場合によっては過疎化対策といったようなことも問題になっているわけです。さらに、都市施設の整備不足とか、あるいは団地とその周辺市街地との断絶などといった問題もございます。
 こういった様々なニーズがあるということになりますと、地方の状況に合わせた使い方ないしはその対策というのが必要になる。これがまず第一点だと思います。それからもう一つは、時代のかなり大きな転換点に現在来ているんではないかという認識がございます。
 御案内のように、人口・世帯増加という状況からむしろ減少という基調に入ってきました。このために、高齢者対応とか少子化対策、様々なことが問題になることがございます。
 あと、大きな政策の方向性としまして、公共投資をかなり重点的に行うような時代から民間活用型というのになってきたわけです。そういたしますと、政策というのも、資金をいかに使うかということではなくてむしろいかに工夫を出してそして政策に投じるかと、こういったことが問題になってくるわけです。また、市場環境、制度環境が大きく変化してきているという状況もございます。
 今回、二つの法律というのが出されているわけですけれども、まず地域住宅特別措置法に関しましては、自治体が作成した地域住宅計画に基づいて地域住宅交付金を支給するといった内容で、これによって地方の自主性とか工夫の余地が生まれると。また、これは一括交付ということもございます。そういった意味で、財政的な自由度というのもある程度確保されている。さらに、それを事後的に評価するという仕組みというふうに伺っております。
 こういった法律は、地方の自主性とか工夫の余地が拡大されるという意味で、先ほども申しました多様化とか時代変化に対応できる、そういった意味では評価できるんではないかというふうに考えます。また、自治体が公的な住宅について主体的、一体的に考える。一つ一つ公営住宅はどうというふうに縦割りにするんではなくて、一体的に考える契機になるという意味でも評価できるというふうに考えます。
 ただ、二つ注意点として述べさせていただきたいというふうに思います。
 一つは分権の問題ですけれども、一般的には地方分権化というのがかなり進められてきたわけですけれども、その中で、特に広域的に影響を与える事項、こういったものについては、場合によっては小域における決定ではなくて、もう少し横断的に調整する仕組みとか、あるいは広域に責任を持つ組織、場合によっては広域、国ということになるかもしれませんが、そういったところがある程度決定する仕組み、ないしは責任を持つ仕組みというのも必要だろうということで、特に福祉といったものはある程度広域的な観点も必要な事項の一つですので、こういったことも今後考えていく必要があるのではないかという感じがいたします。
 もう一つは、事後評価というのが実際に盛り込まれているわけですけれども、これが実質的にかつ適切に行える仕組み、こういったフォローアップというのも必要だろうというふうに考えます。
 もう一つの法律が公営住宅法等の改正でございますけれども、これは公営住宅の管理代行を可能にするということ、それから住宅金融公庫、都市再生機構の繰上償還を可能にする、そして地方住宅供給公社が自主的な解散を可能にするというような法律案というふうに理解しております。
 これらに関しましては、公営住宅の管理を効率化する可能性があるという意味で意義があると思いますし、また公庫、機構の財務体質、こういったものの健全化というのにも資するんではないか。さらに、自治体の意思による公社運営の自由度の向上というのにも資するという意味で、時宜を得た改正であるというふうに考えます。
 せっかくですので、今後の住宅関連制度の方向性みたいなことについて少しお話しさせていただきたい。これが四番に書かれているものでございます。
 一つは、住宅弱者というような言葉がございますけれども、実はその住宅弱者という言葉の内容というのはかなり多様化してきているという気がいたします。以前は、どちらかというと低所得者という形でくくられることが多かったように思いますけれども、実際にはそうではない方々というのも増えてきているわけですね。そういった方々というのは、もちろん何らかの対応というのが必要ですけれども、そのときに重要な点として、自助努力を促すセーフティーネットの在り方、単に与えるんではなくて、むしろ応援する福祉といいますか、自分で頑張ってステップアップする、ステップアップの土台となる形で住宅弱者対策がある、そういったことが必要ではないかというふうに考えます。そういった意味におきましては、例えば一時居住型をもう少し重視していく、一時居住型のセーフティーネットというのをもう少し重視していくと、そういったことも対象に入り得るんではないかと考えます。
 また、現在の公的賃貸住宅の在り方を見てみますと、実際にはまだ不公平というのがあるように思います。例えば、対象になった層と対象にならなかった層、そういったところの格差というのが存在し得る。というか、もう存在しているわけですね。あるいは、入居できた層と入居できなかった層、これはやはり対照的な扱いになってしまうということがございます。こういったものをいかに是正していくかという目から、この住宅関連制度というのを考えていく必要があるだろうと。
 私の意見といたしましては、やはり困窮度の高い人から救済できるような何らかの措置というのが必要だろうということで、その困窮度ということをもう少し深く考えて制度を今後つくっていく、ないしは自助努力というインセンティブを生かすような形で住宅弱者の対策を考えていく、こういった視点が一つ重要ではないかというふうに考えます。
 それから二つ目ですけれども、住宅市場の安定化というのがございます。例えば、バブルの時代にかなり地価ですとかあるいは住宅価格というのが大きく変動いたしました。これによって、かなりそのときに住宅取得をした世代というのは大変な思いをしているというふうによく聞きます。あるいは、そうではないとしても、税制等でかなり住宅負担というのが変わってきている事情にございます。こういった世代間不公平というのをできればなくして、なるべく安定化していく。住宅に関しては安定して考えてよいというような制度ないしは社会にしていった方が長期的にはいいんではないかというふうに考えます。
 例えばですけれども、そういった変動に対するある種のリスクヘッジとして保険的な措置を拡充するですとか、あるいは資産と利用の部分を分離して、利用の部分に関しては安定的になるような制度を考えていくとか、あるいはそういった、そうですね、住宅等が高くてしようがないというような時代があったとしたら、その間は賃貸住宅でしのげる。そのためには、賃貸住宅が現在のような比較的画一的な賃貸住宅ではなくて、より幅の広い賃貸住宅が市場に存在する、そういったようなことが必要ではないかというふうに考えます。
 さらに、合理的入居者限定要因施策と書いてありますが、これは、特に賃貸住宅に入居する際に、例えば高齢者であるということで入居者限定に遭ってしまうというようなことがあるわけです。これは、実際には家主の方からしてみますとある程度合理的な限定ということもあり得るわけです。実際、ある調査を見てみますと、家賃支払の不安があるとか、あるいは使用方法の不安があるとか、あるいはほかの居住者との協調性の不安があるといったことがございます。こういった不安というのもある意味ではもっともな不安ですので、こういったものに対して、むしろそういった不安がないんだということをうまく示していくことで家主の不安を取り除いて、そして実際にはこういう入居者限定というのはなるべくなくしていくという方向が一つ施策としてあり得るのかなという感じがいたします。
 さらに、中古住宅の適正評価と書いてございますけれども、日本はどちらかというと中古住宅が欧米に比べると流通が少ないというふうに言われておりますけれども、これは適正評価することによって適切な維持、そして市場での流通というのになっていくのかなという感じがいたします。
 さらに、住宅の良質化促進と書いてございますけれども、現在では例えば建物が高いと固定資産税等の保有税がむしろ上昇するわけですけれども、むしろ建物が良いということは将来の市街地における災害防止という意味ではプラスになっている可能性もあるわけです。ですから、良質になるからといって保有のコストが増えるのではなくて、むしろ場合によっては減るぐらいの気持ちでの制度というのも考える必要があるのかなというふうに思います。
 最後の点、三ですけれども、まちづくりの連動という点も興味がございます。
 住宅投資というのと住環境向上というのは必ずしも完全にベクトルが一致しているわけではございませんけれども、できれば住宅投資が住環境向上に向いていくような、そういった誘導という意味での政策というのが今後必要ではないかというふうに考えます。
 住宅というのは単体で存在しているのではなくて、住宅地の中で存在しているわけですから、集合的価値というのが非常に重要になると思います。ですから、一つ一つの価値もいいんですけれども、集合的な意味での価値、市街地全体としての住環境、こういったものの向上というのが必要だと思います。
 そういったことに関しましては、近隣影響、いろんな住宅を建てることによって影響がございますけれども、そういった影響のうちのマイナスの部分というのはなるべく減らすようなインセンティブを与えて、あるいは近隣に対して貢献するようなものというのは逆に促進するようなインセンティブを与える。こういった意味で、若干経済的な調整も含めた何らかの動機付けというのが必要ではないかと考えます。
 こういった方向性、方向感を持って、今後、住宅についての制度について考えていくことができればというふうに思っております。
 どうもありがとうございました。
○委員長(田名部匡省君) ありがとうございました。
 次に、川崎参考人にお願いいたします。川崎参考人。
○参考人(川崎直宏君) ただいま御紹介いただきました市浦ハウジング&プランニングの川崎と申します。本日は、このような場にお招きいただきまして、誠にありがとうございます。
 私は、コンサルという職業をしております。したがって、地方の公共団体の住宅政策のお手伝いを今までしてきております。その意味で、本日は、いろいろ地方の公共住宅政策を取り巻く悩みとか、あるいは地方の職員の方々との議論、そういったものを踏まえて、少し御意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、ペーパーが三枚ほど用意してございますが、これに基づいて御説明いたしますが、まず、これ皆さんもう御案内のことだと思いますけれども、公共住宅政策というのは地域ごとにかなり状況が違ってございます。まずそのことを書いてございます。
 地域の議論を見てみますと、もちろん都市部を中心に公共住宅が不足しているという、こういう状況の中で、先ほど浅見先生の方からお話ありましたような不公平性、少ないがゆえに不公平性ということが大きな議論になっていたり、あるいは対象となった、あるいは入居された方々の過剰優遇という、こういう議論もございます。それから、特に都市部では公共住宅と民間の賃貸住宅が非常に大きく乖離している、こういうような議論が行われております。一方、地方を見ますと逆の議論もあるんですね。そういう意味では、公共住宅が過剰に整備されている、こういう状況の中で、郊外部では空き家が発生するということも起こっております。それから、財政負担が増加する、特に古いものの修繕費を含めてそういう状況が起こっております。一方、民業圧迫ということも一つの議論として起こっています。
 このように、地方ごとの公共住宅政策の違いというのは、ここに少し列挙しましたが、住宅市場の状況とか今までの公共住宅の取組方あるいはストックの状況、さらには公共団体の体力といったものがその違いを醸し出しているように思います。
 したがって、公共住宅政策の議論というのはどうも全国一律の議論ではない、もうこれは皆さん御存じのことと思いますが、そういう地域ごとの状況を十分に踏まえた政策論議というものを行う必要があるというふうに思います。特に、その地域の状況、これは市場というのは当然地域ごとに違いますから、そういった分析把握を前提に考えるべきだというのがまず最初にお話をしたい内容です。
 その中で特に最も主張したい点は、二番目に書いてございます点ですが、要は公共政策の議論は賃貸住宅市場全体を視野に置いた議論でなくてはならないということを強く感じます。
 地域ごとの住宅市場、これを見ますと、先ほどの地域の公共住宅の論議の違い、この前提となるわけですけれども、都市部では、大きくは民間賃貸住宅のあえてこれ高止まりというふうに書きましたが、地価の問題、それから様々な需要、市場の中で家賃がかなり高い状況があります。したがって、公営住宅なんかがそうですが、そもそもの趣旨である住宅に困窮する低額所得者向けの住宅というようなことが公共住宅の意味としてうたわれるわけですが、片や地方に行きますと、実は民間賃貸住宅市場そのものがなかなか成立してないという状況がございます。これは、地方に行くと実は家賃体系はそれほど高くないわけですけれども、それがゆえに民間事業が成り立たないということが起こっております。したがって、民間の賃貸住宅供給を成り立たせる、それを代行する公共事業ということが一つ言われます。このように、賃貸住宅市場そのものが公共住宅の意味を左右するということになります。
 ただ、原則として、民間賃貸市場を整備することによって適正な賃貸住宅市場を育成するということを考えていくと、実は公共住宅政策から民間賃貸住宅の公共政策へというふうに転換しなければいけないというふうに思います。特に、都市部ではアフォーダブルな供給ということになりますが、むしろ地方では民間賃貸住宅事業者を育成するということが一つの大きな政策として展開されます。
 したがって、こうした展開によって直接供給である、これは直接供給であるということは財政投資の大きいという意味です、そうした公共住宅はスリム化し重点化するということが一つの方向として考えられます。ただし、これは公共住宅政策を縮小するという意味ではなくて、公共住宅政策から幅広い公共政策へ展開するということを志向すべきであるというふうに思います。これが強く主張したい一つの点でございます。
 そして、こうして考えた場合に、公共住宅は当然ながら真に困窮する世帯に対して限定的適正化の方向が志向されます。これについては高い政策投資を行うということがまず前提になりますが、このために、現在、入居条件の適正化徹底あるいは状況変化への対応、ここには資産の反映あるいは期限付入居あるいは住み替えの促進という、公共住宅を柔軟にかつそれを適正に運用するということがまず一つの大きな方向として考えられます。これは、今政策がこの方向を向いているように思っております。
 ただ、こうした適正化をした上で地方の住宅事情を考えると、さらに地方独特の市場逸脱状況というのがあります。これは、例えて言えば、そこに例示してございますが、中心市街地の問題、この活性化の問題、町中居住というのをどう考えるのか、あるいは若年ファミリー層に対して賃貸住宅をどう考えるか等々、様々な市場のずれがございます。そうしたことに対して、公共賃貸住宅を政策的に考えなきゃいけないという点がございます。
 一方、公共住宅を取り巻く状況は現存する公共住宅の問題を抜きにしては語れません。そういった意味で、四番目に書いてございますようなストック状況がまた一つ地方の公共住宅の状況の違いを醸し出しています。四十年代、五十年代に過度の集積、過度というのはちょっと言い過ぎかもしれません、非常に集積をして建てられました。これは高度成長期のものでございますが、これらのストックが半数近くを占めているというふうに言われておりますが、この更新時期を迎えてきているということで、この更新の時期をいかに平準化するかというのが今の公共住宅の抱えている一つの大きな課題、これは都市部を中心にこういう問題が起こっています。
 一方、地方では、実はその供給のピークが十年ほどずれ込んでおります。したがって、現在から計画的にその更新を進めていくということに対応できる面もありますが、一方で昭和四十年以前の木造、簡耐という非常に古い老朽化した住宅が耐用年数を経過しているにもかかわらず存しているという状況がございます。これをいかに適正に建て替え促進をするかということも大きな課題でございます。また、そのために、修繕のための費用の問題、さらには郊外の集積した大規模団地に対して、いわゆる住宅弱者と言われる公営住宅層の方々が集積する、そのためのコミュニティーの問題等々、様々な問題が地域ごとに起こっています。
 こうして考えた場合に、現存する、現在ある公共住宅ストックは、個別の団地住棟の建て替えということ以上に、現在では居住構造、都市構造が大きく違っています。そうしたポテンシャルを踏まえたドラスティックな再生というものが求められています。ここに少し書きましたけれども、そのポテンシャルあるいは居住者の偏在に関してソーシャルミックスをいかに果たしていくかという点もございます。また、今の厳しい財政事情の中では、政策のツールとしては、今ある公共住宅をいかにツールとして活用するかということが一つの大きなポイントです。したがって、今あるものはこれからの政策の手段としていかに活用していくかという視点を持たなければいけないというふうに思います。
 こうして政策論と実態論ということを併せて考えていくと、どうも今までのセーフティーネットあるいは公共住宅の考え方を少し変えていくべきじゃないかというふうに思います。
 それは、三ページ目に図が示してございますので、こちらの方で御説明しますが、今までの考え方は、セーフティーネットは公共住宅が担う、公共住宅はセーフティーネットを行うものだという一対一の関係になっています。したがって、セーフティーネット世帯が増える、減るということに対して、公共住宅を更に増加する、あるいは減少するということが一つの議論として行われてきたわけですが、実はセーフティーネットは、必ずしも今の時代、公共住宅が担うだけではなくて、民間も含めて多様な施策で対応すべきだというふうに思います。
 そういう意味で、公共住宅とセーフティーネットを少しずらしながら、より総合的に考えるべきだというのが私の一つの主張です。そういう意味で、民間を活用した借り上げ、さらには、実は民間にセーフティーネットを担ってもらう様々な政策的な工夫がこれから模索されるべきだというふうに思います。
 一方で、実態論からいくと、公共住宅は、特に地方が多いんですが、過度に郊外に集積している。そのための居住地としての問題が相当大きく顕在化しています。そうすると、そこは民間住宅を含めて様々なソーシャルミックスを果たしていくということが必要になります。当然、公共住宅は適正化ということが一方で志向されるというようなことで、政策全体が、セーフティーネット、公共住宅ということで全体がマネジメントされていくということが必要になってくるというふうに思います。
 そのときに、公共住宅は様々な政策をマネジメントすると同時に、やはり公共住宅政策あるいは公共住宅事業を行政経営という視点で見ていくことが重要になると思います。当然ながら、これはどこでも議論がありますが、本当に必要な公営住宅のストック量がどのぐらいかということは一つの議論になります。これは、公共投資量を明らかにするために、ある目安としては当然必要なことではありますけれども、それを基に財源の確保が必要になるし、一方で公共住宅がセーフティーネットあるいはそのほかの対応も含めてトータルに考えていくとすると、まず事業収支を明らかにしながら公共住宅事業を効率的に活用する、政策的に有効に活用するということを求めることになります。したがって、一つの方向としては特別会計化というのが志向されます。
 ただ、現実には特別会計化されている公共団体というのはそんなに多くありません。いわゆる一般会計の中に組み込まれています。特別会計化することによって公共住宅事業を経営的にあるいは計画的に運営するということがこれからの一つの方向であろうというふうに思います。
 その延長として、公共住宅を事業的にとらえる部分と、今回余り触れませんでしたけれども、高齢者、障害者、DV被害者、ホームレス、あるいは母子、父子、様々な社会的弱者、こうした居住福祉的な側面とどう関係して公共住宅を展開するかという辺りの議論が深まっていくものだろうというふうに思います。
 最後に、今回の法案につきましては、実は今まで述べましたことはどちらかというと地方公共団体が精力的に取り組む一つの方向としての御意見に近いものではありますが、今回の法案はその方向に対して入口の扉を開けたというふうにあえて書かせていただきました。実は、いろんな可能性がここから出てくるというふうに思います。実は、この法案自体、多分、地方の公共団体は様々なとらえ方をされているわけですけれども、これを契機に、地方が自ら地方を分析し、課題を明らかにし、地方で十分な議論をするということをしていく必要があると思います。
 ただ、残念なことに、地方の主体性というのは一九八三年のHOPE計画あるいはその後の住宅マスタープラン以後、様々な計画作りに取り組んでいるわけでありますけれども、必ずしも十分な主体性を持って議論を進めているとは言えない面もあります。もちろん、一部の自治体では精力的に取り組んでいるところもございますが、総じていくとまだまだ不十分だというふうに私は感じております。特に行政経営、事業経営という観点からするとまだまだそういう視点、意識が十分ではないというふうに思います。
 今回の法案を契機に、こうしたことが取り組まれていくことを期待したいと思います。逆に、その期待に際して、それなりの仕組み、それなりの支援というものも考えていただきたいというふうに思います。
 以上でございます。
○委員長(田名部匡省君) ありがとうございました。
 次に、多和田参考人、お願いいたします。
○参考人(多和田栄治君) 全国公団住宅自治会協議会代表幹事の多和田でございます。
 法案に関連して意見を述べる機会をいただき、ありがとうございます。
 今回の法案は、公営住宅のほか、私が住んでいる公団住宅も含め、公的賃貸住宅の今後にかかわっていますので、初めに居住者の生活実態と家賃や建て替え、空き家の現状、自治会活動の様子を私の例を、私の団地を例に紹介させていただきます。
 なお、初めに公団住宅と言いましたが、機構は今ではUR賃貸住宅という言い方をしております。いずれにしろ、正式の名称はないんですから、公団から引き継ぎ、また国民にもなじみのある公団住宅という言い方をさせていただきたいと思います。時々、公団と機構を間違えて私が言っちゃう場合もありますが、御容赦ください。
 私は、東京国立市に住んでおりますが、国立市の昭和四十年にできた築四十年、二千戸の団地です。どこの団地にも共通していますが、居住者の高齢化とともに小世帯化、収入低下が進んでいます。
 全国公団自治協は、三年ごとに生活実態のアンケート調査をしており、これは三年前の調査結果ですが、私の団地では世帯主六十五歳以上が四五%、五十歳以上だと八〇%を占めています。半数が年金生活者です。世帯数では、二人家族が四〇%、一人が二三%の順で、年々一人住まいが増えています。その上、目立つのが空き家の増大です。今、二百戸の空き家があります。全体で一〇%ですが、増築した住棟では、三百二十戸のうち八〇%、つまり二五%が空き家のままになっております。家賃が高いせいか、常時募集していますが、応募者は少なく、入居しても定住する人は減少傾向にある。また、ついの住みかとしていた人たちも最近では引っ越す方が目立つようになりました。団地に活気がなくなるのは理解できますが、住宅地らしい落ち着き、安定感がとみに失われていくように思われます。
 居住者の収入と家賃ですが、私の場合、当初から入居し、娘たちが巣立って、今は七十歳代の夫婦二人、三Kに一部屋増築した住戸に住んでいます。ライフアップと称する設備改良は全くせず、ほぼ昔のままです。家賃は高齢者の特別措置を受けて月額八万六千百円、ほかに共益費二千六百円を払っております。
 団地の状況は、さきの調査結果によりますと、年収では、所得五分位の第一分位、年収四百六十九万円未満が六四%、第二分位、六百二十五万円未満が一五%、合わせるとほとんどが公営住宅の入居階層と言えます。言い忘れましたが、私の月収は月二十六万円ですから、家賃負担率は三四%になっております。
 家賃は、一DKから四DKまで住戸によって違いますが、五、六万円台が四四%、それから七万から九万円台が四五%、十万円以上もあります。ちなみに、今年の募集家賃は、一DK、これは二十八平米未満ですが五万円台、二DK、約四十五平米で八万円前後、四DK、七十平米未満で十二万円となっております。
 私の団地に限らず、全国多くの団地の居住者は似たような生活実態にあります。家賃額は住宅の新旧、所在、立地によって多少開きがありますが、収入からいえば家賃負担がきついことに変わりがありません。ですから、またどこの団地でも空き家が増えています。建て替え団地では、戻り入居しても家賃が高くて払い切れず、また退去を余儀なくされ、そして建て替え前からの従前居住者は結局だれもいなくなるという例もあります。
 昨年九月の東京多摩公団住宅自治会協議会の空き家調査では、二十八団地の空き家率は平均六・三%、建て替え団地だけですと七・六%に上り、合計で多摩地区には、この二十八団地には約二千戸の空き家があります。居住者には高家賃と空き家損失のしわ寄せを強いながら、莫大な社会的損失が放置されている。
 公営住宅らしい適正な家賃なら入居希望者は多いはずですし、老いも若きも共生できるソーシャルミックスを実現してこそ公的賃貸住宅の姿と思います。特に若者、子育て世代に魅力のある団地にしていただきたいというふうにも思っております。高家賃をそのままに、空き家をセカンドハウスとして賃貸する都市機構の新方針は間違っていると思います。
 次に、団地自治会の活動と役割に触れておきます。
 団地ができて入居すると、すぐ居住者は自治会をつくり、新しいまちづくりに意欲を燃やし、多方面にわたる活動を重ねて着実にコミュニティーを築いてきました。家賃や修繕、環境整備のことは公団、機構、暮らしやごみ問題では行政と交渉し、防犯、防災、交通安全等の問題にも取り組み、役割を果たしてきました。それができたのも、居住者が自治会にまとまり、住民自治の力が育ってきているからです。そうした連帯感は、自治会を中心とする長年の日常活動や行事を通じて培われてきたものです。コミュニティーのこうしたきずなが生まれてこそ、住まいの安心も得られるのだと実感します。
 公団住宅の自治会はそれぞれに、桜祭り、夏祭り、月見の会、クリスマス会、バスハイク、コンサートなど多彩な親睦行事、あるいは住宅修繕相談会や防災訓練、環境美化運動を恒常化し、高齢者の安否気遣い活動や食事会、幼児教室を開いている団地もあります。近年では機構との連携活動も実績を上げてきています。こうして私たちは、安心して住み続けられる公団住宅を合い言葉に自治会活動を展開し、その願いは既に衆参両院国土交通委員会の機構法附帯決議としても書き留めていただいております。
 公団住宅居住者が置かれている状況と問題点に立って今回の法案を読んでまず気になるのは、公共住宅制度の根幹を成す公営住宅の将来です。
 公営住宅の現状には様々な問題点が指摘され、それはそれとして解決されなければなりません。しかし、見逃せないのは、供給実績が長年にわたって計画戸数の半数にも及ばず、応募倍率は全国で十倍、東京では三十倍と、入居希望者が今も非常に多いという事実です。住宅事情の最も劣悪な東京では、この六年間、新規建設ゼロが続いております。全国的にも、財政上の困窮を理由に、住宅行政が後回しにされてきているように思います。
 国の予算はといいますと、平成十四年度から公共住宅等あるいは住宅地区改良が住まいの安全確保と項目が変わり、その中に今回法案にもあります地域住宅交付金も新たに加えられていますが、予算規模は前年に比べて、国費で七・五%、事業費で二三%に縮減されています。これまで、住宅予算は年々縮小し、予算額と歳出総額に占める比率を見ても、平成十年以降、ほぼ半減しております。こういう今までの流れと現状の下で、公営住宅への国庫補助をやめて交付金に変えるとか、公的賃貸住宅等の整備を市町村の自主性、創意工夫にゆだねていくという法案の内容には違和感があり、不安を持ちます。
 法案審議を通じて、これからの住宅政策の基本は、市場中心のストック活用、市場に縁のない低所得者には住宅セーフティーネットの機能向上と説明されています。住宅セーフティーネットの構想の説明だけではなく、法律上にも確かな構築への裏付けを明記していただきたいと思っております。
 公営住宅法一条は、国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、これを住宅に困窮する低所得者に対して低廉な家賃で賃貸し、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とするとした上で、第三条では、地方公共団体は公営住宅の供給を行わなければならない、四条では、国は地方に対し、財政上、金融上及び技術上の援助を与えなければならないとしています。この憲法二十五条の生存権と国及び地方の保障義務に根差した公営住宅法の原則が、今回の地域における多様な需要に応じた公的賃貸住宅等の整備等に関する特別措置法案によって変わることはないのか。同特別措置法の三条は「必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」と、国及び地方とも努力義務に変わっているだけに、大いに危惧を持ちます。
 私たち公団住宅居住者も公営住宅法の行方を我が事として気にしているのは、何よりも、公団住宅居住者の大多数が公営住宅の人たちと変わらない生活実態にあり、共通の願いを持つからです。
 山本住宅局長は、四月二十二日の衆議院の委員会で、機構の賃貸住宅は、大都市地域の中堅勤労者、ファミリー層を対象にしており、公営住宅とは施策対象、役割が異なると言われました。都市基盤整備公団になって以降、そしてなお都市機構になって、公団家賃の市場家賃化を始め、この建前が私たちの生活の実態に反し、またこの居住を一層困難にし、矛盾を深めていると言わざるを得ません。新たな住宅政策が、そしてその前段としての今回の法改正が、セーフティーネットの機能向上を実現するものであってほしいと切に願っています。
 この立場から、機構法の一部改正に関しては、機構の賃貸住宅部門の収益は高家賃の引下げと住宅の修繕等に充当すべきですし、団地の民間売却をやめて社会資産として守り、公共活用を図ってほしい。旧公団、機構の土地開発事業の赤字の穴埋めに回すのは許し難いと思います。
 公的賃貸住宅整備の特別措置法に関しては、公営住宅を始めとする公共賃貸住宅の必要な整備にあくまで国が責任を持って、地方の実情に即した住宅政策を積極的に進めていっていただきたいという意見を述べさせていただきます。
 終わりにもう一度、住宅政策は、育ちつつあるコミュニティーをひとみのように大切にし、地域住民参加のまちづくりを支援する観点と用意が今強く求められていることを申し上げ、住宅政策がともすれば住宅、不動産市場の活性化、景気対策として扱われがちですが、居住福祉とコミュニティー形成を第一に掲げた政策論議をお願いして、私の意見陳述を終わります。
○委員長(田名部匡省君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑に入ります。
 なお、大変恐縮でございますが、時間が限られておりますので、簡潔に御発言くださるようお願い申し上げます。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○北川イッセイ君 自由民主党の北川イッセイでございます。
 三人の参考人の方々、大変御苦労さんでございました。大変参考になるいろんな御意見を聞かせていただきました。本当にありがとうございます。
 日本の住宅政策、それを見ておりますと、なかなか、住宅の関連法が非常に複雑多岐にわたっておりましてなかなか分かりにくいと、日本の住宅政策がどっちの方向に向いておるのかというようなことが非常に分かりにくいというようなことがあって、我々自由民主党におきまして住宅基本法の制定というようなことを提言をしておるわけでございます。この住宅基本法について浅見、川崎両先生にお伺いしたいと思うんですが、この住宅基本法の必要性についてお考えがあれば聞かせていただきたいというように思います。
 それから、今まで日本の住宅政策を見てみますと、やはり公共住宅というのが中心であったというように思います。この公共住宅というのは公営住宅法に基づいて運営されておると、こういうことなんですが、先ほど来浅見先生、また川崎先生からいろんなお話ございましたが、この公営住宅の在り方、例えば供給を受ける人と受けられない人との不公平の問題について、入居者選定について所得制限だけでいいのかとかいろんな問題提起があったわけですけれども、そういうようなことを考えますと、この住宅基本法の改正というようなことも含めて考えるに当たって、この公営住宅法の改正、抜本的な改正というようなことも視野に入れなければいけないんじゃないかというような思いがするわけですけれども、その点につきましても両先生のお考え聞かせていただきたい、そういうように思います。
 その場合に、先ほど来のお話聞いておりますと、公共と民間の役割分担というような話になるわけですけれども、どうもお二人の話聞いておりますと、ボーダーレスのような状態に向かうべきであると、その境が非常に分かりにくい。お互いに、公共は民間が仕事をしやすいように、また目的達成のためにやっていけるように助けなければいけない、また民間も国の政策に乗るようにちゃんとやっていかなければいけないというようなことで、非常にそのラインが分かりにくいと、こういうことなんですが、その場合に、公共がそれでもやはり守らなければいけない部分ということについて、これについてもお考えがあれば聞かせていただきたいなと、こういうように思います。
 それから、今地球の温暖化の問題なんかで、住宅産業の活性化とちょっと相入れない部分、相反する部分ですね、そういうようなものがあるかもしれません。また、文化というようなことを考えますと、古い町並み保存とかいうようなことを考えますと、そこらとの兼ね合いを一体どうしたらいいのか、ここらの点についてももしお考えあれば聞かせてください。
 最後に、イギリスのサッチャー政権で、公営住宅の払下げがどんどん進められたという、持家政策というのが進められたわけですね。その結果、持家率が五六%が六七%に、逆に公共の住宅のストックが三一%が二〇%にというようなことで、効果といえば効果なんですけれども、そういうような結果になっておるわけです。このサッチャー政権の公営住宅の払下げの問題、この政策に対する評価をどのように考えておられるのか、その点も聞かせていただきたいと、こういうように思います。
 以上でございます。よろしくお願いします。
○参考人(浅見泰司君) 御質問いただきました。
 まず第一に、住宅基本法の必要性についてというふうにお話しいただきました。住宅基本法というからには、やはり住宅のある特性からいわゆるこういったものが必要だということになると思うんですが、まず第一点強調したいのは、やはり必需財、必ず必要だと、衣食住というふうに言われるぐらいに住宅というのは非常に重要な財であって、人々の生活の基本であるということがございますので、そういった基本的な財についてやはり国としての方針みたいなものを定める、これは非常に重要なことではないかというふうに考えます。
 そういった場合に、どういった形で必需財である住宅を良質な形で確保していくかということが重要なわけです。これは先ほどの、例えば公的賃貸の住宅についてはセーフティーネットということでかなり議論をされましたけれども、それだけではなくて、実際にはそれ以外の広範に広がる市街地における住宅、こういったことも視野に入れてその法の在り方というのを考える必要があると思います。
 これは、先ほど私は自助努力を促すというような言い方をしましたが、これは、自助努力というのは別にセーフティーネットに限らず、実際に一般の市街地においても同様だというふうに考えます。つまり、住宅という非常に重要な財産をいかに向上していくか、それをいかに向上していくことによって最終的には国のより良い在り方を考えていくか、こういったものにつながるような誘導というのが必要だろう、そういう誘導策を考えるという基本的なスタンスを基本法で定めるべきではないかというふうに考えます。
 それからもう一つ、住宅というのは国民資産のかなり大きなシェアを占めるということがございます。ですから、ここの部分の財の価値が非常に下がってしまうということになりますと、これは国富が大きく下がるということになるわけですね。これは結局どういうことかといいますと、実際に住宅の資産が適切に形成されるということが必要なわけです。先ほど私は、住宅というのは一つであるわけではなくて住宅地として集団であるというふうに申し上げましたが、まず、そういった集団における住宅地をより良くしていくという観点から住宅に対する施策の在り方というのが求められるんではないかと思います。
 それから、先ほど私、住宅市場の安定化ということを述べましたけれども、やはりかなり必需財という個人にとって重要な財でございますから、そういったものを安定的に購入ないしは借りるということができるようにする、こういったことが必要だろう。そういったこともその基本法の意義として考えられるんではないかと思います。
 次に、入居者の選定についてのお話がございました。特にその不公平性があるのではないかということがございます。
 特に言われますのは、現在、入居者選定においては所得というものはかなりチェックしているんですけれども、例えば資産という面については現在チェックはしていないということになっておりますけれども、例えば住宅がほかにある、特に、遠くにあるんだったら別ですけれども、近くにあるということであればそれは入居できないというのが公営住宅では普通の考え方だと思いますけれども、その資産の面からも考えてより困窮している方々をより先に救済する、そういったことが必要ではないかというふうに考えます。
 それから、公民の役割分担のお話がございました。境がややあいまいになってきているのではないかというふうに言われたんですけれども、私は、特に公の部分に関しましては、福祉というものは、篤志家が何らかのことを措置するということは、慈善事業としてやるということはあるんですけれども、やはりかなり大きな公、比較的大きな、例えば国等の役割としてそういう負担というのがあるのかなと。逆に小さい、例えば自治体ですとかあるいはコミュニティーといったところはそれをきめ細かく、なるべくその人が一番望んでいることを望んでいるようにサービスをしていくということが重要なのではないかと。そういったきめ細かさみたいなものと、あるいは大きな意味での負担ということがある種の役割分担としてあるのかなという感じがいたします。
 それから、住宅産業の活性化、文化というお話がございましたけれども、町並み保存というのは極めて重要な私は話題ではないかと思います。これは、地域住宅というのを先ほど川崎参考人はおっしゃいましたけれども、実際にはかなりその地域特性に合わせた町並みというのも非常に重要な文化でして、これをやはり保存していくということがその地域の魅力を高めるのにつながるというふうに思います。そういった地域資産を保存していって地域活性化に資するようにする、これは非常に重要な経済政策でもあると考えますので、その一つとして、住宅政策としても町並みというものについて考えていくというのは重要ではないかと思います。
 最後に、イギリスの公営住宅の払下げについて御質問がございました。公営住宅、私は自分の目で確かめたわけではございませんけれども、伝え聞くところによりますと、払下げで良い物件は売れたんだけれども、むしろ悪い物件は残ってしまったというようなことを聞いております。ですから、もしもこういった払下げということを本当にするということがあり得るんであれば、そういった意味での資産の管理ということも含めて少し慎重にやった方がいいんではないかというのが私の意見です。
○参考人(川崎直宏君) ただいまの議員の御質問に対して、まず第一点ですが、住宅基本法の必要性ということでございますが、これは議員からも御発言がありましたように、日本の住宅政策というのは公共住宅を中心に確かに行われていました。公営、公団、公庫という三本柱を中心に行われてきておりましたが、そういった意味で、それなりの戦後の状況、状況といいますか背景がございまして、そういった三本柱を核にという選択をしてきたわけですけれども、もう今や民間の事業者もある程度育った段階で、これは一番最後にお話がありましたイギリスの例もそうですが、徐々に民に移行、シフトしていくということが一つの大きな世界的な流れであります。そういう意味で、私のこのメモで御発言しましたように、むしろ民間賃貸住宅を中心として民間市場というものを視野に入れて住宅政策を組み替えるべきだというふうに思います。
 そういう意味で、住宅基本法というのは、公共住宅政策だけではなくて、民間あるいは持家も含めて幅広く政策を展開するその根拠になる法として組み立てられていくという意味で、その必要性は高いものだというふうに理解しております。
 それから、第二点目の入居者、公営住宅、公共住宅の入居者の問題ですが、これはどちらかというと制度的な問題でございまして、制度をいかに柔軟に運用するか。これは、元々立ち返れば、公共住宅というのはセーフティーネットあるいは住宅に困窮する者に対応するものとしてこれをいかに適正に運用するかという問題だというふうに理解しています。したがって、ともすれば公共住宅の制度というのは硬直的な制度を引きずるところがございますが、ある意味では、もっと住み替え等も含めて柔軟に運用し、その柔軟に運用することが政策効果を生むということをもっと吟味するということが求められるんではないかというふうに思っています。
 そういう意味で、公営住宅制度の抜本的な改革というお話も出ましたけれども、その辺りも含めて十分議論していくべきものであるというふうには理解しております。
 それから、第三点目の公共と民間の役割分担ということでございましたが、これも私が意見陳述の中で触れましたように、実は民間賃貸住宅が先ほどある程度育ってきたというふうに申し上げましたが、実はそれも地域差が相当ございまして、まだまだ十分ではないところもあるということも含めて、公民という明快な役割分担が現時点で妥当かどうかということに対しては多少疑問を持っております。
 したがって、むしろボーダーレスになってくることが民間を育てる一つの契機になるということも含めて、官民あるいは公民共同事業というような形でより良い事業展開、より効率的な事業展開をしていくということが必要だろうというふうに思います。
 それからもう一つは、国の、じゃ、その中での役割ということの御質問もあったように思いますが、多分セーフティーネットというふうに一言で申し上げてもいろんな段階があるように思います。本当に真に困窮する、ナショナルミニマムと言ってよろしいんでしょうか、そういう意味のセーフティーネットから、地方ごとでそれぞれの市場の中でいろんなひずみが生ずる、そこを救うという意味のセーフティーネットとややレベルが違うように思います。
 そういう意味で、国が行うセーフティーネットというのは、やはりある程度国の責任として、国の役割として行う部分があり、地方のセーフティーネットという、ちょっと言い方が間違っているかもしれませんが、そこはむしろ地方の中で十分アカウンタビリティーの高い、説明責任のある、要するに地方の財政も含めてそれを行使するに堪え得る状況をいかに議論をしながらつくり上げていくかというところが一つのポイントだというふうに思います。
 同じように、古い文化あるいは伝統的な良さ、環境、これも同じように地方が地方の中で十分なアカウンタビリティーの高い、説得性のある、説明性のある状況の中で展開するということを基本に考えれば、一つの住宅政策の方向としては十分あり得る話であろうというふうに思います。
 それで、最後にイギリスの評価ということなんですが、これもまあ非常にストレート過ぎて難しいところがありますけれども、先ほどお話がありましたように、三十数%の公営住宅が現在二〇%になっている、これはどう評価するかということなんですが、実は民に移行するという方向を出し、ほぼ二十数年経過しているわけですが、それでもまだ二〇%の公共住宅があるということですね。それは、逆に言うと、民間賃貸住宅がその受皿として十分育っていない。逆に、民営化されたというふうに言いましても、ハウジングアソシエーションという公的、やや公的なセクター、あるいはその内容もコミュニティーベースのハウジングアソシエーションとかいろいろな形態が変わってきております。
 したがって、多分、当初の思いほど実現ができてないんじゃないかというふうに思います。それはそれぞれの状況の中で、いろんな条件、状況の中でそういう変容をしてきたというふうに理解しております。
○北川イッセイ君 どうもありがとうございました。
○前田武志君 民主党の前田武志でございます。
 三人の参考人の皆様方には、お忙しい中を御出席をいただき、非常に示唆に富んだ御指摘をいただきました。感謝を申し上げます。お三方のそれぞれの背景を持って、非常に私どもにとっては立体的なイメージが浮かぶようなそれぞれの立場でお話をしていただいたように思います。
 多和田さんは、小金井とおっしゃいましたか、団地にずっと住まわれて、多分、あの高度成長の時期にはしっかりと働かれ、随分とサラリーも取られて、娘さんを育てられてというような一つの団地のサイクルそのものを担ってこられたように思うんですね。私は奈良県でございますが、奈良県にも学園前という有名な公団住宅地がありまして、その公団住宅に住めるというのが当時の、私たちの親世代ぐらいになるんでしょうか、サラリーマンの夢であったというような時代もあったわけですが、それはそれとして。しかし、どんどんどんどん同じ年齢層で入っていた方々が大半でございましょうから、高齢化して、そして今高齢化対策というのが大変なことになっている。そういう中を、コミュニティーをしっかりと自治体を中心につくってこられたということに敬意を表する次第でございます。
 そしてまた、川崎参考人におかれましては地方自治、都会もそして地方も含めて、現場の住宅、公共住宅の政策を担う多分自治体の県であったり市であったり、住宅部門と連携しながらお仕事をされてきての非常に具体的な御報告であったように思うんですね。
 そしてまた、浅見先生におかれましては、その辺のところを包括してあるべき姿、この法律の考え方みたいなものについて御指摘があったように思います。
 そこで、お三方に御質問をさせていただきます。
 まず多和田さんでございますが、今高齢者特別、何かこの制度の、何というんですかね、家賃というふうに御紹介があったように思うんですが、六十五歳以上の特別の家賃になるんでしょうか。多分、現役のときにはもっと高い家賃を払っておられたんだろうと思うんですね。こういう制度というのは、私はきっちりとこれからの公団住宅等においてもやっていく必要があると思うんですね。
 御指摘に、もっと若い子育て世代に対する支援が必要だと言っておられました。多分、団地におかれる状況、多少御指摘はあったんですが、教えていただきたいのは、コミュニティーの中で子育ての若い世代がいないとコミュニティーも寂しくなりますよね。子供の声が聞こえなかったり夏祭りができなかったりというようなことではコミュニティーそのものが寂しくなっていくわけですから、そういうところにもっともっと子育て世代が安い家賃で、六十五歳以上については特別な配慮があるようでございますが、例えば何人かの、二人以上のお子さんを持っている、いやいやお子さんを持っている世代については割引家賃にするだとか、そういったことがあってしかるべきじゃないかとお聞きをしていたわけですが、その辺、御自分の団地の事情を含めてお話をいただきたいと思います。
 それから、川崎参考人にお伺いをいたします。
 いろいろ非常に示唆に富んだお話があったわけですが、大体川崎さんのお話を聞いていると、官から民に、もっと市場も生かせという、そのお話であったと思うんですね。ただ、それだけでは、川崎さん自身はもう日常ひしひし感じておられるんですが、必ずしも我々よく分からないところがあるんですね。多分、恐らく今、民のこの広がり、パワー、そして市場、そこに情報や人材やいろんなものが入ってくる、こういうものをうまく生かすことによって、官が公営住宅としてやってきていた時代と違って非常に大きな立体的なすごいパワーを持っているのにもかかわらず、それが住宅政策に使い切れていないから今のいろんな矛盾点が出てきているのではないかということを言いたかったのではないかと思うぐらいでございまして、その辺のところをもう少し分かりやすく御説明をいただきたいんです。
 例えば、そういう広がりからいうと、六十、いやいや六十歳以上ぐらいなんでしょうか、たしか一度この委員会で聞いたこともあるんですが、持家率というのは大変に高いわけですね。その高い持家というもののその資産、先ほど来浅見先生も川崎先生もその資産のお話に触れておられましたが、この持家というものの資産というものがきちっと評価されていない、せいぜい底地の担保値段ぐらいにしかすぎないという状況。しかし、片一方で定期借家権も導入されたわけですから、これを民の力でもっと活用すれば、それぞれのお持ちのこの持家というものがしっかりと資産価値を持ってくる。これをこの住宅政策の中に入れてくると、はしょって言えば、頭の中にあるのはリバースモーゲージなんですが、そういったものに入れてくればもっと多様な対応ができるのではないかということが一つですし、その逆に、子育て世代であったりあるいは高齢層であったり、そういった方々にも随分ともっといい、それにマッチングした住宅が多様にあるはずだと思うんですね。
 更に言えば、日本の住宅において、結婚して子育てをして、そして転勤等も含めて働く中で、随分と今は海外まで行く時代でございますから、ライフステージに応じてもっと簡単に借家をして住み替えていく、それを供給していく、そういうものが背景として大きな住宅政策の中に入ってくるならば、このセーフティーネットあるいは公営住宅の在り方というものもしっかり位置付けをされるのではないかと、こう思います。その辺のところについてお考えをお聞きしたいと思います。
 浅見参考人につきましては、先ほど来お聞きをしていて、川崎さんも御指摘でありましたが、国のセーフティーネットというような大きな観点から見ると、今私が指摘いたしましたようなことも含めて、単に住宅局の住宅政策の範囲にとどまらず、官から民だとか、それから既存ストックの活用だとか市場の活用と、こう言っているわけでございますから、それは住宅局の範囲にはとても収まらないわけですね。その辺のところをどういうふうにパッケージで考えたらいいのか、御指摘をいただきたいと思います。
 あわせてもう少し、先ほど同僚議員の指摘にもあったんですが、合理的入居者の限定要素、そこである程度分類をしてしっかりと、まあ資産なんかをもう少し考えろというお話があったようですが、そこの何といいますかね、クラシフィケーションというのか、そういう合理的な方向を示唆していただければ有り難いと思います。
 以上です。
○参考人(多和田栄治君) 高齢者の特に家賃問題にかかわっては、一つには、家賃値上げの際に六十五歳以上、低所得の方に対する特別措置というのがあるんです。
 これは、今公団家賃は市場家賃ですから、市場家賃と公営住宅家賃の上限の中間を高齢者の特別措置の基準とすると。で、このルールそのものがかなり家賃が右肩上がりの時代に作られたので、せめて家賃の値上げがないということが一つの抑制ということなんですが、その基準に比べて、その基準より高い家賃も払っていても、ただし現行家賃をその下限とするということなんです。したがいまして、民間借家がかなり下がっていっても公団家賃は現行家賃を下限とすると、これ以上上がるときには上げないよというだけで、そういう意味からいって、私の家賃が今でも八万六千百円と、これでも一応特別措置を受けて、もし受けていなければ九万円ぐらいになっているのかもしれないということで、やはり右肩上がりの時代に決めたルールについては見直していただきたいなというふうに思っております。
 それからもう一つ、高齢者向きには高齢者向け優良賃貸住宅制度というのがあります。これは六十歳からですか、入れるんですが、なかなかこれができないんですね。公団が空き家になったときにそこを高優賃、この高優賃というのは公団の制度じゃなしに国の制度ですから、公団、民間を問わず制度の適用はあるんですが、事実上民間側で供給するケースが極めて少ないということで、ほとんどがもう公団及び機構が建ててきた公営住宅。この国土交通省の資料を見ましても、全国で今たしか一万八千戸という数字が出ておりまして、制度が広く宣伝されている割に普及していないという状況が一つあります。
 これは大体、公団家賃、公営住宅家賃を基準にしておりまして、私の団地の例ですが、例えば五十平米の三DKだと普通の募集家賃は九万四千円ですが、高優賃の住宅は所得によって違いますが、例えば所得が、十二万三千円の所得の方で今は五万二千百円ということになっております。昨年の八月までは三万八千五百円、入居なさった方は三万八千五百円で、比較的前が良かったんです。
 これは、一つには公営住宅法の公営住宅家賃の算定方式が変わっていて、平たく言えば、昔は古い団地ほど家賃が安いというのをやめて、古くてもそんなに家賃は下がらないという方式になさったためにこの低所得者向けの高優賃の家賃が非常に大幅に上がった。私の団地では一万三千六百円と、この時期に低所得者に向けて一万六千八百円というふうな値上げが行われている。しかし、制度としては大変喜ばれておりますし、私どもはもっともっと高優賃という制度で高齢化に対する家賃の在り方を検討してほしいという要求は持っておりますが、なかなかこれが進んでいないという実態があります。
 それともう一つ、ついでに言いますと、今度、高齢者の年金が所得税から、高齢者控除ですか、これが五十万円なくなることによって、家賃計算の所得計算が非常に上がりますから、これがまた今後の家賃値上げの際の特別措置に影響してくるんじゃないかなという感じでおります。
 若年層の問題ですが、これは本当に今先生がおっしゃったように若者に、私たちも若者に魅力のあるというふうなことを考え、たしか昨年辺り国土交通省でも御検討いただいて、何かその後お話がないのでさたやみになったのかもしれませんが、これは是非やっていただきたいし、今私の団地、先ほど申しましたように非常に高齢化が進んでおりますが、幼児教室をやっております。そんなに幼児いるのかというと、ほとんど隣のマンションの子供たちが多くを占めております。つまり、団地は非常に子育てに都合のいい広場を持っておりますから、是非周りのマンションにお住まいのお子さんたちもこの団地の中の幼児教室で集団生活を慣れてほしいというふうなことで自治会としては努力しておりますが、もう少しこの辺のところは制度的に改善していただきたいと思っております。
 以上です。
○参考人(川崎直宏君) 御質問がありました公から民へという動きの件でございますが、確かにおっしゃるように、民の広がり、パワー、人材、これは今膨大なものがあるというふうに認識しております。ただそれは、逆の言い方をすれば、潜在的には非常に強いものがあるんですが、それを生かす仕組みがまだまだ十分ではないという認識でございます。
 それは、浅見先生の方からもお話ありましたように、要は既存住宅、中古住宅の流通の少なさ、これは実は情報とか、あるいはそれが的確に評価されるような仕組みがまだまだ十分整備されていない。実は、民間でそれがうまく回ることによって対応できる、政策的に対応できる、あるいは政策じゃなくても、その回ることによって対応していける部分というのは相当多くあるというふうに思っております。したがって、それを、回る仕組みというものをまず確立する、それがある意味では市場、住宅市場を適正に育成するということだというふうに理解しております。
 それからもう一点、もう一つは、賃貸住宅だけをとらえてみると、実は適正な賃貸住宅が市場の中で供給できる事業的な、あるいは事業環境、ビジネス環境といったらよろしいんでしょうか、それがまだまだ十分ではないというふうに思います。
 ちょっと時間の関係で、これだけにさせていただきます。
○参考人(浅見泰司君) まず、国のセーフティーネットの在り方、特に住宅局にとどまらないんではないかという御指摘がございました。
 現在、既に議論もございますけれども、例えば福祉的な対応、身障者の方ですとか、そういった福祉的な対応が必要な方というのがございますし、あるいはDV被害者というような緊急対応が必要な方というのがございます。こういった方というのは必ずしも住宅局の施策にとどまらず、場合によっては民間のケアをする方々とか、そういった方が必要ではないかというふうに考えます。
 また、ステップアップの在り方というふうに申し上げましたが、階段というのはその階段の一つ一つの一段が高過ぎると上れないわけで、つまりある程度順番に上がれるというような形での福祉的なシステムをつくる。そういう意味では、少しきめ細かさ、例えば家賃などもかなり階段的にするとか、そういったことも必要ではないかと思います。
 それから、合理的な入居者限定要因ということで、何かということで、もう少し具体的にというお話がありましたけれども、例えば不払という不安を解消するには、家賃補償のような保険機構を使うことによって実際には解消できる部分がございます。これは既に東京都がやっているというふうに聞いておりますけれども、そういったような家主を安心させることによってより借家人がいろいろな住宅に入りやすくする、こういった仕組みが必要ではないかということでこういったことを申し上げました。
○委員長(田名部匡省君) 時間が限られております。質問、答弁で十五分ということですので、御発言は簡潔にお願いいたします。
○魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。
 お三方の参考人の先生方、貴重な御意見ありがとうございます。それでは、早速でございますが質問させていただきます。
 まず、浅見参考人、お願いいたします。
 我が国の住宅政策というのは、どうしても今まで持家のための政策ということになっていたと思いますけれども、翻って、逆に言えば、賃貸住宅の政策というのが十分ではなかったのか、十分ではなく、また良質な民間賃貸住宅のストックあるいは市場というものも形成されてこなかったんではないかと思うんですが、最近、データによりますと、若干都市部、東京を中心に大型のマンションもできて持家比率上がってきたようでございますが、それでも国民の八割以上が持家を希望しているという状況もまた一方でございます。
 今までの持家政策と賃貸住宅政策、今までのバランスはいかが、どのように評価するのか、また、今後このバランスというものはどのようにあるべきかというその辺についてコメントいただければ有り難いんですが。
○参考人(浅見泰司君) 持家、今までどちらかというと、持家を促進する、持家化を促進するというのがどちらかというと大きな住宅政策の柱だったと思います。実際、住宅金融公庫の、現在議題に上がっていますけれども、に対する補給金等というのはかなりの予算を占めていたというようなことも伺っております。
 私としては、借家というのはある意味で、いろんな意味でのバッファーになり得るんではないか。例えば持家が、住宅市場が非常に高いという状況であれば、しばらくの間借家で住んでいて、その後で少し下がったところで持家を購入するというストラテジーを取れるわけです。ところが、現在、借家というのは、比較的狭い物件を中心として限られた、種類が限られたという意味ですけれども、種類が限られた供給というふうになっていると思うんですね。
 これは、民間の借家を供給されている方も、一番安全な建て方といいますか、一番安全な借家というのはどういうものかと考えると、例えばワンルームマンションとか、そういうふうにやや短絡的に画一的なものを供給しがちということがございますけれども、そういうことではなくて、もう少しバラエティーが、地域にバラエティーがあって、先ほど申し上げましたように、持家の代わりとして借家を使えるようなそういったものが必要だと思うんですね。ですから、そういったバランスを持つようにするというのが一つ重要だと思います。
 それから、持家と借家、これはある経済学者が、どちらの方が税制上得かというシミュレーションをされた方がいらっしゃいますけれども、その方によれば若干持家の方が有利というふうなことを出しておられましたけれども、できるならば、持家を選択しようが借家を選択しようが大体同じであるというような形に市場を誘導すべきではないかというふうに考えます。ですから、そういった意味では、借家の多様性というのを高めるというのが一つ重要な施策になり得るんではないかというふうに思います。
○魚住裕一郎君 ありがとうございました。
 続きまして、川崎参考人、よろしくお願いいたします。
 川崎参考人御自身、各自治体、今までの、深く関与されてきたなという御経歴のようでございますけれども、今回この地域住宅計画というのが出てきます。また、地域住宅交付金というのもあるわけでございますが、先ほどお話の中にもありましたけれども、マスタープランというのがありますね、住宅マスタープラン。今までの状況でいいますと十五年度末でも全国五割に満たないと、その策定率が。また、作成しても施策が実現できなかったり、また必要な改定ができていなかったりというようなことがあります。
 地域住宅計画も本当にできるのかななんというふうに危惧しちゃうわけでございますが、各自治体が地域の実情に合わせてこの地域住宅計画を作成して、また施策の効果を発揮させていくためには国としてどのような施策、先ほどこの地域の主体的な取組や議論を支援する仕組みをというふうにおっしゃいましたけれども、その辺はどのように考えていくべきなのか、また、その手段としてこの地域住宅交付金制度というものがうまく活用できるのか、その辺併せてコメントをいただきたいと思います。
○参考人(川崎直宏君) そうですね、今まで住宅マスタープランあるいはその前身に当たりますHOPE計画、実はこれは全国の横の連携を取りながら、ある程度情報交換をしながら進めてきたところがございます。それは、実はいい面と悪い面、両方あったように私は感じております。いい面というのは当然様々な施策の情報を交流しながら、より適切なその地域に合ったものを選んでいくという意味で、様々な議論をしながら、意見交換をしながら見極めていくということがあるんですが、一方で、それが逆に糧になって、片やメニューが多く並ぶ。そうすると、その地域にとって本当に有効かどうかという吟味が十分できないまま実は施策が並んでいるというところも、実は正直言って必ずしも少なくないというふうに感じています。
 そういう意味で、今回地域住宅計画ということで新たにこの法案に基づいて作ることになるんですが、やはり基本としてはまず地域の議論を十分にしていくということだと思います。端的に言えば、地域を分析し、地域の課題を明らかにし、実はそのためには地域の統計データも十分に整理されなきゃいけない。実は今の統計データも地域ごとに見る場合には、実はそれは十分なデータになり得ていないということもあって、それがゆえに地域の分析ができないという、こういう裏返しの状況もございます。
 そういう意味で、まず統計、統計ということは逆に言うとそれを評価するということにつながるわけですから、その仕組みをきちんとするということと、その計画策定に対して様々な人材、地域に様々なパワー、人材があるわけですから、それらの人たちが集まって議論をするということをうまく実現する、そのための支援ということをイメージしてございます。
○魚住裕一郎君 ありがとうございました。
 多和田参考人、御苦労さまでございます。
 先ほどソーシャルミックスという表現ございました。ソーシャルミックスという言葉が参考人からもあったわけでありますが、今後、いわゆる後期高齢者、七十五歳以上の方が更に一層増加するというふうに予想されるところでございますけれども、先ほど参考御意見の中で、この機構がやっているようなセカンドハウス的な施策では駄目よという言い方がございましたけれども、いろんな年齢階層とか職業の方が居住するというようなソーシャルミックスとしては、多和田さんとしてはどのような促進策が考えられるのか、ちょっとコメントをいただけますか。
○参考人(多和田栄治君) まず、そのセカンドハウスの活用の問題ですが、これはやっぱりそこに生活の根拠を置かない人たちに住宅を貸すということで、それでなくても今空き家の発生で隣は何をする人ぞと、いるのかいないのかという状況が生まれます。
 また、先ほど公営住宅の倍率からいいましても、本当に家賃を適正にするならば、まだまだ住宅を必要とする人たち、しかもそこに生活の根拠を置く人たちが大勢いる中で、これは明らかにそのバリアは、障害になっているのは高家賃ですから、この辺を考えて、文字どおり勤労者、元勤労者の方たちが安心して入れる住宅をまず考えると。そういうことの中で、またそういう努力をした後でこのセーフティーネットというふうな考え方も、これは頭から否定しませんが、非常に高家賃で空き家をつくっておきながら直ちにそれがセーフティーネットというふうな結び方そのものにやはり問題があるんじゃないかと思っております。
 それから、ソーシャルミックスの件ですが、ともすれば高齢者対応という形で、また建て替えにおいても、今までは団地の建て替えでたくさん住宅を造ったのを戻り入居者だけしか造らないと、残った用地は売却していくんだという方向が出ていきますと、当然そこにお住まいになる方は高齢者が多いというか、極端に言えば島になっちゃうわけですね。
 そういうふうなことで、このごろ余り言いませんが、やはり住まいにおけるノーマライゼーションと、いろんな人が、いろんな職業の方が、いろんな年齢の人が住んでいくと。率直に言って、団地でも夏祭り、やぐらを組むのはよそうかとか、年寄りけがしたら大変だという時代になってきておりますんで、そういう意味でも若い人にもどんどん入っていただくと。
 もっと怖いのはやっぱり災害時の問題なんです。災害のときにそこに若い者がいないと、別に若い人を頼り切るわけじゃないけれども、その辺のところで是非とも若い人が、家賃の優遇、いろんなことをして子育て世代をお迎えして空き家を解消していくという方向を御検討いただきたいと思っております。
○魚住裕一郎君 再度、浅見参考人にお願いをいたします。
 先生の参考意見の中で、最後の方で中古住宅の適正評価、流通促進というお話がございました。日本の住宅市場、統計を見てみますと、全体の中に占める割合というのは本当に中古市場というのが極端に少ないというか、成熟していないというか。しかし、アメリカみたいな場合見ますと、ヨーロッパは石造りがあるから中古住宅が多いのかなと思いますけれども、アメリカは逆に四分の三ぐらいが中古住宅市場だというふうに統計ありますけれども、一体何で日本はこんな中古住宅市場が出回らないのか。
 アメリカだとリフォームをすればするほど住宅価値が上がるといいますか、価格に反映されてきますよね。日本の場合にリフォームというと詐欺と同義みたいな、そういうイメージが最近来てしまって、非常に今後支障あるなと思っておるんですが、今後のこの住宅、中古住宅の流通の活性化に対してどういうことが本当に一番必要かと。ちょっとその辺、コメントをいただけますか。
○参考人(浅見泰司君) ただいま中古住宅の適正評価について御質問いただきましたけれども、なぜ日本で中古住宅が余り出回らなかったのかという一つは、やはり日本の住宅というのは木造で、なおかつ比較的細い柱を使った住宅というのが多かったと、そういったこともございます。あと、気候上木造の、木の部分が例えば腐るとか、そういったようなことがあったりしたのも一つあると思います。
 一方、アメリカでは比較的耐火建築的にも多かったわけですけれども、最近では日本でもかなり耐火建築的にも増えてきましたし、また木造においてもある程度長期に使用に耐えるようなものというのが供給されてきております。
 ですから、私は若干その辺りは楽観的に考えておりまして、今後は少し寿命が延びていくんではないか、少し長く使うようになっていくんではないかと思います。
 それからもう一つは、中古住宅において、そういった意味で市場は形成されてしまったので、どんなに物が良くてもやはり買いたたかれてしまうという状況がございます。そうであるとやはり更地で売るというような形になってしまうわけですが、そうではなくて、中古住宅で本当に適正なものはやはりそれなりの値段を付けて評価していただく、そういったことになればいいわけです。
 ですから、これは、その市場というのはすぐに形成されないので、情報をいかに適正なものとして評価していくか、そのためにはその効率的な安い、安価な評価というのが必要だろうというふうに思います。
○魚住裕一郎君 終わります。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。今日は、三人の参考人の皆さん、本当にありがとうございました。
 私、今後の住宅政策を考えていく上で、現実に住まいに暮らしている方々、あるいは住まいを求めていらっしゃる方々の実情を踏まえた住宅政策の論議というものが非常に大事なのではないかと思っております。
 今日、多和田参考人から、特にその中で公団住宅あるいは公営住宅の実態の一端が御紹介をされまして、本当に有り難いことだと思っておりますけれども、まず多和田参考人のお話の中で、先ほど市場家賃化と、もう一方で老年者控除の廃止の問題が少し触れられました。簡単に、老年者控除の廃止によってどんな影響が及んでいるのか、簡単に御紹介をいただければと思います。
   〔委員長退席、理事佐藤雄平君着席〕
○参考人(多和田栄治君) 公団居住者は低所得者が多いので所得税を払っていないというふうなことは大いにあります。したがって、高齢者控除がなくなっても支払う税金に関係があるという問題じゃなしに、公団家賃の福祉的な措置について、その基準になるのはいつも公営住宅法、その中で家賃の算定が、例えば年間五十万円の控除がなくなることによって年収が五十万円上がると。そうすると、やっとこの特別措置が受けられるかなと思っていたら受けられなくなってしまうというふうな現状が具体的に、これは来年から起こってくるんではないかということがあります。
 そのほか、家賃の計算については、いろんな福祉、いろんな控除が削られていくことによって家賃の名目が、いや、収入の名目が事実上増えるということがまた公的な家賃計算においては引上げの要因になるということは容易に想像できると思います。
○仁比聡平君 先ほど多和田参考人の御自身の実情でも家賃の負担率が現在でも三四%ということで、今お話しのような今後の負担増の中で、現実に暮らしていらっしゃる方々あるいは層の負担が大変重くなっていく方向が懸念をされるわけです。
 その中で、浅見参考人、それから川崎参考人にお尋ねをしたいと思うんですけれども、市場家賃やあるいは今のお話の負担増などについて居住が困難になるということがあり得て、前回の委員会の質疑の中で住宅局からは、公団もそうだけれども、公営住宅も含めた居住の在り方を考えなければならないという趣旨の答弁があったわけです。ですが、その公営住宅の現実を見ますと、先ほど多和田参考人からもございましたけれども、供給実績が計画戸数に及ばなくて、全国で競争倍率が十倍、東京では三十倍という実情にあると。あるいは、国土交通省の推計でも、新たに公営住宅を必要とする世帯は百七十六万世帯に上るとも言われております。
 今後の住宅政策の中での公共住宅の役割、これを考える上で、私、この実情というのは大変重要な問題ではないかと考えているんですけれども、浅見参考人から順番に御見解をお伺いしたいと思います。
○参考人(浅見泰司君) 現在、公的な賃貸住宅というのは公営住宅、機構住宅、それ以外の住宅もございますけれども、いろいろあるわけです。
 確かに、御質問にもございましたように、なかなか、公営住宅と機構住宅の家賃の在り方というのは全く違う体系でございますから全く違うわけですけれども、一方で、境遇がほとんど同じにもかかわらず扱いが大分違う、入口が違うことによって違うというのはいかがなものかという議論もございます。ですから、今後、公的な賃貸住宅についてはかなり一体的に考えていく。場合によっては、機構住宅の一部は福祉的な対応、公営住宅の一部は若干福祉的でないような対応というようなこともあり得るんではないかというふうに思います。
 それから、かなり高倍率であるということをおっしゃいました。私も東京都とか幾つかのところでデータを拝見しました。かなり高倍率のところもございます。一方で、非常に低倍率、一倍を切っているようなところもございます。
 これは、一つには、やはり本当に困窮している方に少し絞るというような工夫をもう少しするというのが一つあるのかなと。それからもう一つは、特に高倍率のところというのは、都心で極めて利便性のいいところなわけですけれども、そういった利便性みたいなものに関することをもうちょっと加味して家賃体系に反映していくという必要もあるのかなというふうな感じがいたします。
○参考人(川崎直宏君) そうですね、今御指摘ありました公的住宅、特に公営住宅が高倍率になるという御指摘についてですが、これは多分、今、浅見先生からお話ありましたように、地域ごとに随分状況が違うというふうに思います。かつ、今収入基準というのが二五%で公営住宅入居対象層として決められていますが、実は、これも私が述べている中にもございますが、市場の家賃というのは地域によって随分違いますから、当然それも地域ごとに違うというふうに考えるべきだというふうに思っています。したがって、真に困窮する世帯が何かということをもう少し吟味する中で考えなければいけないという点だと思います。
 かといいましても、現在の経済状況の中で公営住宅入居希望層が増えているという事実も確かにあるように思います。その場合に、当然、公共住宅というのは多大な公共投資を行うものですから、その見合いでどう考えていくかということになるんだろうと思いますが、一方で、じゃ、これは公共住宅だけで担うべきものかということも議論をしていく必要があるというふうに思います。
 我々、実は民間市場をもう少し調べるべきではないかというふうに思っています。実は、民間賃貸住宅の市場を的確に示すデータ関係、状況を把握するということが現状ではなかなか難しい状況にあります。我々、仕事の中でも多少それにチャレンジしておりますが、民間賃貸住宅がすべて家賃が高いかというと、必ずしもそうでもなくて、実は公営並みの家賃で供給されている部分も幾ばくかはあります。
 ですから、逆に言うと、そうしたものをうまく情報を流通する、あるいはそれをあっせんするとか、そういうことも含めて民間を活用する様々な手だてをこれから考えていく。それによって、まだ百七十六万世帯というふうに言われました、その世帯に対して、幾ばくかは対応できる部分があり、それも含めてトータルに政策展開を考えていくべきだというふうに考えております。
○仁比聡平君 私、実際に公営住宅に応募をされて、十回応募したけれども当たらない、二十回しても当たらないんじゃないだろうかという不安を持っていらっしゃる方々のお話などをこれまでよく聞いてきたんですけれども、そういう方々は、実際には民間で何とか自分の収入の範囲内で暮らせるところがないか、やっぱり本当に必死で探していらっしゃるのが現実で、なかなか難しい問題だなというふうに思っているんです。
 そこで、多和田参考人にお伺いをしたいと思うんですけれども、先ほど公営住宅法の一条の趣旨も含めて、セーフティーネットということをよく考えなきゃいけないというお話がありました。この住宅の足りないという状況ですね、公的な、公共住宅が足りないという状況について、浅見参考人あるいは川崎参考人の御意見も聞かれた上で、今後のことについて多和田参考人、御意見あれば伺いたいと思いますが。
○参考人(多和田栄治君) 先ほど冒頭に住宅基本法の問題が出ておりました。一体、公営住宅であろうと民間借家であろうとあるいは持家であろうと、国民の住まいあるいはまちづくりがどうあるべきかと、国民の権利は何なのかと、あるいは国や地方自治体はどうすべきかという点でのやっぱり基本的な合意が法律という形でつくられてないところから、非常に細かくふくそうしたこの法案の中で振り回され、不安が深まっていると。そういう点で、やっぱりきちっとその辺を確認するということが大事だろうと。
 幸い、一九九六年でしたか、トルコのイスタンブールで開かれたハビタットUの住宅憲章の中で、日本政府も調印しているその中身で、私たちは早く日本の国民が安心して住めるというふうな基本法を定めていただいた上で、ここの具体的な起こっている問題をどう調整するかと。
 今、民間にという話が出ておりますが、例えば、ちょっと古い資料ですけれども、公営住宅の家賃が二、三万円だとすれば、五十平米で二万三千円、これは九八年の資料ですが、木造の民間借家では四十六平米で四万九千円、非木造、マンション等では三十九平米で六万七千円と、非常に明らかに狭くなって高くなっているのが民間の住宅なんですね。
 民間でできることは民間でということは基本としてはあり得る話ですが、低所得者に対してはやっぱりその辺の部分をどう、これが、公共が直接供給した住宅じゃなく、民間が建てた住宅でも、この辺のところについてどういう目安を立てるかということをやはり基本法の中等で明記してもらう、はっきりしていただくということで、いろんな民間産業の入り方、民間活力の利用の仕方というのが出てくるんですが、その辺があいまいのまま、民間でできることは民間でということの中で私たちの不安が一層深まっているというのが私の考えです。
○仁比聡平君 その中での今後の公共住宅の役割というものが一体どのようになるかということを多和田参考人にもう一度お考え聞かせていただければと思います。
○参考人(多和田栄治君) やはり基本的な住まいの安心、そしてもう一つは、公共住宅が果たしてきた役割は、これは金融公庫も若干そうですが、住宅の質を高めるということもかなりこれやっぱり公共的な役割は今まで高かったと。それから、まちづくりをきちっとしていくという点でも、民間にはできないやはり公共団地の良さというのがあります。
 そういう点で、その比率はどれぐらいかということはいろいろ検討の余地がありますが、やはりどんな西欧諸国に限らず、やはり公共的なベースになるものは何なのかという点を、今方々にありますが、現在ある公共住宅がこれから壊されていくのか、それとも充実させていくのかというふうなことが問われているわけですが、私はやはり、基本的に公営住宅法を中心にした現在の公営住宅の問題点を国会で審議していただいて、その上で様々な公的な賃貸住宅の在り方を御検討いただきたいと。
   〔理事佐藤雄平君退席、委員長着席〕
 私たちは本当に公営住宅に住んで良かったと、十分子育てもできたと、また防災のときにも非常に安心して住んでられるというふうな点で、私たちは公共住宅、特に公営住宅、公団住宅等の役割に対して高い信頼と安心を抱いているというところです。
○仁比聡平君 あと一分しかないんですが、先ほど、これからの希望的な姿として、公団がどれだけ地域のコミュニティーの中で喜ばれているか、役立っているかというお話がありました。どうして公団住宅がそういった役割を果たし得てきたのかも含めて、お話を伺いたいと思います。
○参考人(多和田栄治君) やはり公共ということと、もう一つは、まちづくりの段階から住民参加が多少なりとも大きくその可能性が広げられているということで、やはり借家ではありながら、我が町、我が住宅としての自治会活動等を中心にした供給する側と住まい手の責任ということの両方が、やはり公共住宅だからこそ公団住宅は、まあ今後の問題は別として、今までは大変国民にも喜ばれてきましたし、これからもそうあってほしいと思っています。
○渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。
 三人の参考人の方々、大変御苦労さまでございますが、やはり私は、今回の法案をめぐって、一つはやはり住宅の質的な転換をどう求めていくのか、二つ目にはまちづくりをどうしていくのか、三つ目にはやはり、先ほどもお話ございましたように、災害時の扱いをどのように考えればいいのか、そしてやはり住宅の福祉的な役割をどう果たしていくのかということがやはり求められているのではないかというふうに思いますし、そのことが法案改正の一つの目的でもあろうと考えているところですが、したがって、やはり公団や公営住宅に対する国民の期待が大変大きいというのはなぜかといえば、やはり所得の、対する家賃の高さというものが、やはり公営住宅に対する国民の期待ではないかと。したがって、公営住宅や公団住宅に対する応募率の高さになって表れてきているのではないかと、このように思います。
 同時に、あわせて、少子化社会、核家族、そして労働力の移動というものが大体、安定してきたとはまだ言えませんけれども、都市型集中になってきておるのではないかと、このように思っておるところです。そして、経済が非常に発展をしてきて移動の自由というものを求められる、移動の自由と同時に併せて住居選択の自由というのも求められてきているところなんですが、そこで浅見参考人にお伺いをしたいんですが、四番目の住宅関連制度の今後の方向性の問題について、一時居住型の重視というのは、これから先の社会にあって最も重要視しなければならないところで、住宅問題というのはあると思う。また、今一般的に言われているように、住宅問題が関連をして、単身赴任、それが社会問題にまでなってきていることを考えると、やはりこういう一時居住型の重視という問題は、大変これから先の住宅政策にとって大事なことでありますが、そこら辺りはどのように先生お考えになっておられるのか。
 それから、その下にすぐ、困窮度の高い人の救済と、こうあります。ここのところはやはり住宅に対する福祉の政策をきちっとやはり入れていきなさいということではないかと思うんでありますが、そこら辺りについていま少しお教えをいただきたいと思います。
 次に、川崎参考人にお伺いをいたしますが、五番目の、先生問題提起されておる、セーフティーネットと公共住宅、公共政策の関係を再整理する必要があると。
 再整理する必要があるという中には、まあ公だけではなくて公の中にも民間を活用しなさいという言い方だろうと思うんでありますけれども、その次のページの図を見ますと、従来型と今後というふうに書かれております。その中で、やはり今公共住宅に住まわれている方々の生活の実態や状況というものが書かれておりますが、そういう人たちに対して、今後の、この図の中ではどのようにすればそういう方たちが安心して安全に暮らせるかと、そして、もちろん家賃もきちっと払わなきゃならないと思うんですが、払うことができるかどうか、そういうところのイメージはどのように考えられておるのか、お教え願いたいと思います。
 最後になりますけれども、多和田先生にお伺いをいたしますが、今盛んに住宅のセーフティーネットという言葉が使われております。
 本来、国の政策としてセーフティーネットというよりも福祉的な政策面というのを非常に私は重要視していかなくてはならないのではないかというふうに思っているところは、高齢化社会の中における現在の公営、公団住宅に住まわれている方の年齢構成や家族構成や収入状況などを考えてみますと、もう、そして一人住まいの方々が大変多くなってきていることなどを考えると、地域コミュニティーの崩壊と同時に、あわせて福祉的な役割部分というのは私は非常に重要になってきているのではないかというふうに思うんです。
 したがって、先ほど公団住宅の中のコミュニティーまで崩壊をしているという実態の報告がございました。では、それを再構築していくためにはどのように考えているのか。私は、少しはやはり福祉的な政策というものが、セーフティーネットというよりも福祉的な政策で安全、安心というものをどう与えていくか。そこの中で、先ほどお話あったような、空き家住宅が増加をしている。空き家住宅がなぜ増加しているかということが一つと、そこにやはり私はもう少し若者たちが住めるような環境というものをつくっていくべきではないかと考えているわけですが、先生、どのようにお考えなのか、お伺いをいたします。
 以上でございます。
○参考人(浅見泰司君) ただいま、一つは一時居住型について御質問いただきました。
 一時居住型というのは今まで余り取ってこなかったというふうに思いますけれども、一時居住型ではない公的な賃貸住宅を入れることによって、かなりまず居住層が固定化することの弊害というのが出てきました。一つには、ある特定の方々が入って別の方がなかなか入れないという意味での不公平性があるというような問題があったり、あるいは一度入ると同じような年齢層のままどんどんどんどん高齢化していくというような状況があるということがあるわけです。やはりある程度、公的な賃貸住宅が、居住層が回っていくことによってある程度バランスの取れたコミュニティーを維持するということも重要だろうというふうに思います。
 それからもう一つは、なるべく多くの方に機会を与えていく。そしてまた、一時居住型に入って数年で、例えば数年で次のステップアップをしていくということによって、結局その方々にとってもより良い暮らし方というものになっていく、そういったことが必要だろうということで、この一時居住型というのは、公平性の観点、それから有効に公的な資産を使う観点、そういった点から非常に重要だろう、あるいはコミュニティー形成の観点から重要だろうというふうに私は考えております。
 それから、困窮度の高い人の救済ということについても御質問いただきました。
 この困窮度というのはなかなかその定義が難しいわけですけれども、公営住宅法上は一応所得で捕捉することになっております。ただ、現在ではいろんな意味での困窮者がいるということが分かっておりますし、一方で、資産面等で不公平があるというような指摘もございます。ですから、やはり困窮度というのを正しく認識する、把握する方法というのがあって、それに基づいてより困窮度の高い方からなるべく救済されるというような仕組みが必要だろうと。そういった意味で、この困窮度の高い人の救済という言葉を書きました。
○参考人(川崎直宏君) まず、最初の御質問なんですが、セーフティーネットの再整理というのは、一つのイメージは、御指摘のように、セーフティーネットを公共賃貸住宅が担うだけではなくて、民間も含めて幅広く考えようということですね。今御質問がありましたのは、じゃ、現在住まわれている状況の中でこれをどう考えるかということだと思います。
 これはいろいろ御指摘がありますように、公営住宅が大規模に集積しているところというのは、正にソーシャルミックス、コミュニティーミックスというのが求められるということの中で、当然ながら、民間が入る、あるいは場合によっては住宅を活用するだけではなくて、そこは一つの公有地として施設なりサービスなりの拠点をつくるとか、様々な活用の仕方、そういったことを含めて全体に考えていく。
 これは、実は再生をする中で考えていく話であって、場合によってはその再生自体には、公営住宅が郊外に過度に集積しているものがむしろ町中に来るということも含めて、多分、町中ですと借り上げとか民間の活用の様々な手法になると思いますが、そういう意味で、住む場所を再編するということも含めて、もちろんこれは居住者の合意の下で進めるということは当然でありますけれども、むしろ、今必ずしも、現在のストックが必ずしも適正に配置されているとは思えない地区が実は多うございます。そうしたことを含めて、場合によっては機構とか公社とか様々な公的賃貸住宅をトータルに考えることによって効率的な再配置ができるだろうというのが一つでございます。
 それからもう一つは、セーフティーネットで居住福祉という観点を、正に住宅に困窮する者に対してどう考えていくかという視点だと思いますが、私は実は、公営住宅そのものはやはり公的な住宅事業として一つはとらえる。実は、事業そのものは決して私益であるとかということではなくて、事業そのものが政策になり得るということだと思います。そういう意味で、一面、これは税金を投入して家賃で回収するという一つの仕組みを持っているわけですから、ある程度の事業の健全性を保ちながらそれを政策にしていくということと、その部分に居住福祉の部分が入ってくる、これは当然のことでありますが、それを併せて議論をしていかなきゃいけない。
 正に居住福祉の部分になりますと、実は福祉行政との連携が非常に強うございます。ですから、実は住宅局の枠を超えて、先ほども申しましたように、ここを、公的な資産を、住宅としての資産ではなくて、むしろ公有地であって、行政としていかに有効に活用するかという視点から、福祉的な活用を含めてトータルに考えていくということによって居住福祉という部分を総合的に実現していくということが必要だろうというふうに思います。
○参考人(多和田栄治君) 私はよく、人は家に住んでいるようだけれども、実は家ではなしに地域に住んでいるんだと。どんなに家だけが安全で立派でも地域が壊れていたら、これは生活の場じゃないわけです。
 そういう意味で、そういうまた観点から、私たち公団住宅の自治会は、やはり住まいとともに地域と。特に、今高齢化の問題が出ておりまして、例えば具体的には、高齢者が集会所を使いやすいように公団に、機構にお願いして、集会所の食事会やあるいは喫茶会ができるような形に改造をしたり、もう一つは、高齢化と同時に、防災という点では、防災設備を設置していただくと同時に私たちの中で自主防災をつくって積極的に防災訓練をしていくというふうなことで、地域の安心と安全を守っているというのが現在の状況です。
 ちょっとこの際一言言わせていただきますと、私はセーフティーネットという言葉が大嫌いなんですよ。セーフティーネットというのは英語の辞書を引けば分かりますが、サーカスで綱渡りするときに失敗して落ちたら、そのときも安全網があるんだということで、セーフティーネットそのものは、例えば若い人が冒険しても、それを国の方で支えるよというふうなときは、これはセーフティーネットです。しかし、住むというこれほど安全、安心を基調としたところが、セーフティーネットと言わないで、なぜ今先生がおっしゃったような住宅福祉とか居住福祉という言葉で言っていただけないのかなというふうに思っておる思いの一部を述べさせていただきます。
 先ほどセーフティーネットと何かセカンドハウスを言い間違えたようですが、これは御理解いただいていると思います。
 そういう点で、やはり何といっても、今、国土交通省、公団はバリアフリーということを言われますが、私たちの中での最大のバリアフリーは家賃なんですよ。家賃というバリアがまず最大の問題として考えております。
 また、その家賃の上でのバリアフリーをなくしていく努力をすることによって、若者たちにも魅力ある、何か、魅力だけではなしに、実際に入居して、今まである公団の緑豊かな環境の中で子育てもしていく、またお年寄りと若者の交流をしていくというふうなことで、本当に、これは単に公団住宅や公営住宅団地だけではなしに、そういう雰囲気の発信地としての役割を私たちは担っているんじゃないかということで、私も最初の、冒頭の陳述で、特に今コミュニティーをどうつくっていくのかということで、商店街の皆さんとお話合いをしたりいろいろ頑張っている。そういう努力があってこそ、住宅政策も健全なというか、本当の意味での住宅政策が確立していくんじゃないかというふうなことで、戸数何戸造ったというふうなことだけでは済みませんし、もう一つ、一言言えば、私たちの機構は、都市再生機構と都市再生、この重点が、どうもこの再生すべき観点が違うんではないかと。もっともっと、やはりそういう非常に災害のことを考え、あるいは非常に劣悪な住宅環境の中から住宅エリアをどう改善して都市を再生していくかというふうな方向に機構も努力すべきではないかというふうに思っております。
○渕上貞雄君 終わります。
○委員長(田名部匡省君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々に一言御礼のごあいさつを申し上げます。
 参考人の方々には、長時間にわたり御出席をいただき、有意義な御意見を述べていただきまして、誠にありがとうございました。
 今後、皆様方の御意見を委員会の審議の中で十分活用していきたいと存じております。
 委員会を代表して厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時一分散会