第164回国会 本会議 第3号
平成十八年一月二十五日(水曜日)
   午前十時一分開議
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○議事日程 第三号
  平成十八年一月二十五日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 第二 国務大臣の報告に関する件(平成十六年
  度決算の概要について)
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○本日の会議に付した案件
 一、常任委員長辞任の件
 一、常任委員長の選挙
 以下 議事日程のとおり
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○議長(扇千景君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 財政金融委員長山本孝史君から委員長を辞任いたしたいとの申出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(扇千景君) 御異議ないと認めます。
 よって、許可することにいたしました。
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○議長(扇千景君) この際、欠員となりました財政金融委員長の選挙を行います。
 つきましては、本選挙は、その手続を省略し、議長において指名することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(扇千景君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、財政金融委員長に池口修次君を指名いたします。
   〔拍手〕
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○議長(扇千景君) 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。草川昭三君。
   〔草川昭三君登壇、拍手〕
○草川昭三君 公明党を代表して、小泉総理大臣の施政方針演説を始めとする政府四演説に対する質問を行いたいと思います。
 昨年十二月より記録的な大雪に見舞われ、全国で甚大な被害が発生しました。お亡くなりになられた方々の御冥福と被害に遭われた皆様に心よりお見舞いを申し上げる次第でございます。
 政府は、雪害から国民生活を守るため、除雪費支援を始めとするあらゆる手だてを講ずるとともに、今後の豪雪対策に全力で取り組まれんことを強く要望をいたします。
 我々公明党は、現場主義の旗を常に掲げ、改革の先頭に立ち続ける決意であることを申し上げ、質問に入りたいと思います。
 昨日の本会議において、自由民主党の青木参議院議員会長より、決算審査の充実のため、決算報告を国会の開会にこだわらず提出できるよう、財政法改正を行うべきであるとの質問がありました。私も全くこれは同感でございます。
 総理は、決算を国会の閉会中に提出することについては、制度面も含めどのような対応が可能かについて、国会両院ともよく相談の上検討してまいりたいと答弁をされました。政府は、閉会中であっても決算を提出できるよう積極的に取り組むべきであると考えますが、改めて見解を求めたいと思います。
 また、決算審査強化のため、昨年、会計検査院法を改正して、国が二分の一以上出資している法人の契約に関する会計についても検査ができるよう検査対象の拡大をしましたが、検査の一層の充実を図るために、会計検査院の予算、人員、組織の充実強化が必要と考えますが、いかがでしょうか。
 平成十八年度の予算は、歳出総額を七十兆円台に抑え、国債発行額も三十兆円を切るなど、小さくて効率的な政府を目指す小泉内閣の姿勢が示されております。国の一般会計の基礎的財政収支、プライマリーバランスの赤字は十一兆二千億円となり、最悪だった二〇〇三年度の二十兆四千億円から半減し、財政健全化が進んだものと率直に評価すべきと思います。イザナギ景気を超える長期の景気拡大が期待される中、長年にわたり我が国経済を苦しめてきたデフレについても、ようやくその脱却が展望されるに至っております。
 こうした好調な経済環境においてこそ、財政再建に向けた取組を具体化させていかなければなりませんが、その際、肝要なのは、明確な根拠に基づいた将来の見通しを立てることであります。
 政府においては、従来より、「改革と展望」の参考資料と位置付けされました内閣府試算と、財務省による後年度影響試算が示されていますが、昨年は更に財政制度等審議会においても長期の財政試算が行われております。
 これらの試算における基礎的財政収支の動向を見ると、「改革と展望」の試算では、二〇一〇年代初頭における国、地方を合わせた基礎的財政収支の黒字化の道筋が展望される一方で、財政制度等審議会の長期試算では、二〇一五年度の国の一般会計の基礎的財政収支が二十四・九兆円の赤字、二〇二五年度では三十三・六兆円の赤字となっており、むしろ悪化傾向が示されているのであります。これでは、財政は改善に向かっているのか、悪化していくのか、国民にとっては非常に分かりにくいことは否めません。
 もちろん、それぞれの試算は、その目的や推計手法が異なることから、結果として数字が異なることは理解できますけれども、この際、政府は、中長期にわたる将来試算の在り方を国民に分かりやすい形で整理をする必要があるのではないでしょうか。総理の御所見を伺います。
 また、基礎的財政収支の改善は、名目成長率と名目長期金利の動向によっては、その意味合いも大きく異なるものとなります。すなわち、政府の目標どおり基礎的財政収支が均衡したとしても、金利が成長率を上回る経済状況となれば、その分、財政収支の黒字を増やさなければ財政は破綻をしてしまいます。
 竹中総務大臣は、従来から、長期的には成長率が金利を上回るという前提で議論を展開されてきましたが、与謝野経済財政政策担当大臣は、それは例外的な状況と認識されており、両大臣の認識には大きな開きがあると見受けられます。財政見通しにおける成長率と金利の関係をどのように考えるかについて、総務大臣及び経済財政政策担当大臣に御所見を伺います。
 加えて、先週、内閣府から「改革と展望」の参考試算として基本ケースとリスクケースが示されました。マクロ経済が標準的に推移をする基本ケースで、二〇一一年に基礎的財政収支を黒字化するためには、既に決められた施策に加えて追加的な財政収支改善努力が必要であり、その追加的努力を仮に裁量的経費の削減のみで対応するとすれば、今後五年間で二五%程度の削減が必要という大変難しい姿が示されております。
 実際には、このような削減を裁量的経費のみで行うことは無理であると思われるので、義務的経費や歳入面での措置を含めた総合的な対応が必要になってくるのではないでしょうか。正に、歳出歳入一体改革の在り方が今後の日本の経済、財政にとって極めて重要であると考えます。少子高齢化社会を見据え、これをどう進めていくのか、総理の決意をお聞かせ願いたいと思います。
 また同時に、参考試算として示されましたリスクケースの場合、裁量的経費で三〇%程度という、より大きな削減が必要であるという結果になっております。このように成長率が低い場合には、財政再建にもそれだけ厳しいものとなってまいります。財政再建を進めること自体、経済にとっては需要面からマイナスの効果を持つものでありますけれども、経済の活力を高め、一定の経済成長率を確保していくことも重要であります。財政再建と経済成長とをどのように両立させていくのか、与謝野大臣のお考えをお尋ねいたします。
 特定財源について伺います。
 昨年末、財政制度等審議会は特別会計の見直しを提言しましたが、実は、一般会計の中にも原油等関税や電波利用料のように特定の目的に使用される特定財源と呼ばれるものが存在します。この際、こうした特定財源全般にわたってその在り方についても検証していくことが大切であると考えますが、いかがでしょうか。
 ゼロ金利政策について伺います。
 多くの家計では、依然として金融資産の中心は元本が保証されている預貯金であります。既に退職された高齢層にとっては、利子が非常に大きな、大事な収入源となっていました。ところが、あるシンクタンクの試算によれば、ゼロ金利政策により、家計の年間利子所得総額は、九〇年代初めに比べ三十兆円以上、一世帯当たり六十万円以上も減少しているとのことであります。大企業を中心としてバブル期をしのぐ高収益を上げている状況を見ると、そうした景気回復の恩恵を更に広く家計にも還元していくことが個人消費の持続につながり、息の長い景気回復を実現するものと考えます。
 そこで、ほぼゼロに張り付いている預貯金金利をそろそろ見直す時期に来ているのではないかと思われますが、総理の御見解を賜りたいと思います。
 昨年、内閣府は、「政府統計の構造改革に向けて」と題する報告書を策定しました。統計の見直しを提言したのです。かつて日本の国民経済計算や産業関連統計などは世界の模範と言われていましたが、今日では、経済社会実態の把握ができず、時代後れとの批判が出ています。特に、サービス分野などの新たな統計の整備、創設は急務であります。統計の組織的、制度的な見直しを急ぐべきと考えますが、いかがでしょうか。
 統計の改革には、複数の省庁が実施をする類似統計の統廃合や、統計関連職員の省庁をまたいだ配置転換が必要となってきます。一例を挙げれば、政府が目指す観光立国の実現に必要な調査は、国交省の旅行業者取扱額、法務省の出入国者数、厚生労働省の宿泊者名簿などがあり、政府全体として組み直しが求められています。現在、統計関連職員は、最も多い農水省の四千六百七十四人、次いで総務省の五百九十人、以下、厚生労働省三百五十一人、経産省三百四十三人など、合計六千二百七十二人が十一の省庁などに配置をされていますが、各省にまたがる職員の配置転換こそが政府の目指す行政改革等の実現の第一歩だと思いますけれども、御所見をお伺いをしたいと思います。
 次に、防衛庁の省移行について伺いたいと思います。
 政府内では、防衛庁の省移行について、与党内の協議を待って今国会に法案の提出を検討していると伺います。防衛庁職員や自衛隊員の士気の高揚という面はあるとしても、国民の中では、今なぜ防衛省なのか、まだ十分理解が得られていないように感ずるのであります。一部には、憲法改正の論議の高まりと相まって、日本が軍事大国への道を進もうとしているのではないかとの疑念さえ云々する向きもあります。
 そこで、まず、国民に対して、省に変更する必要性について明確かつ納得のいく説明をしていただきたいと思います。
 また、防衛大綱や防衛力整備計画、装備や配備の変更など、重要な防衛の意思決定の手続が従来と違ってくるのかどうか、併せて御答弁を願いたいと思います。
 防衛庁の省への移行の理由の一つに自衛隊任務の国際化を挙げています。確かに、冷戦後、日本の自衛隊を取り巻く内外の環境は大きく変化しました。
 自衛隊が初めて本格的に海外に派遣されるようになったのは、九二年のPKO協力法案の成立以降であります。当時、自民、公明、民社三党が、日本は金銭的に援助するだけではなく、人的な国際平和協力が絶対必要であるとの認識から、PKOへの自衛隊参加に道を開いたのであります。これをきっかけに、カンボジア、ルワンダなどのPKO参加、イラクへの復興支援活動、インドネシアの津波被害やパキスタン大地震への災害派遣等々、自衛隊の国際貢献活動は大きく広がり、大きな実績を残してきました。今振り返るとき、私は、当時の政策判断が正しいものであったと考えるものであります。
 果たして省への移行は、こうした経緯と実績を背景に、日本の憲法の重要な理念である平和主義を踏まえた上での再評価、見直しと考えてよろしいのでしょうか。
 そこで、今後、省移行の議論を進めていくに当たり、具体的に次の三点について伺いたいと思います。
 第一は、防衛庁が省になることで内閣府というおもしが外れて、組織的に肥大化するのではないかとの懸念があることは事実であります。国を挙げて行政改革を推進をしなければならない今日、もし防衛庁が省に移行するのであれば、昭和三十七年に調達庁が建設本部と統合して発足をした防衛施設庁は、同時は無理としても、近い将来、在日米軍に関する所掌を一本化するなど、防衛庁と統合して組織をスリム化すべきではないでしょうか。
 第二に、省への移行に合わせて自衛隊の国際協力活動を自衛隊法三条の本来任務に格上げをするよう検討されておりますけれども、自衛隊の海外派遣に当たっては、原則として安全保障会議の案件になるよう安全保障会議設置法の改正を検討すべきではないでしょうか。
 第三に、名称変更に当たっては、シビリアンコントロールを一層徹底させる必要があります。一昨年、防衛庁は、不審船事案の反省等から、長官の訓令により最高幹部による防衛会議を設置しました。省への変更に当たって、この防衛会議について、出席対象者、会議の性格、招集要件などを国民に広く知らしめて明確にすべきではないでしょうか。
 以上三点に対し、この際、総理並びに防衛庁長官の明確な御答弁を求めるものであります。
 次に、耐震強度偽装の問題は、国民生活の基盤である住宅の安全性について大きな不安を呼び起こすものであり、極めて遺憾であります。関係省庁におかれては、徹底的に事実関係を調査し、法令に違反する行為に対しては厳正な処分がなされますよう強く要望をいたします。
 平成十年の建築基準法改正で、公正で能力のある機関であれば、民間であっても建築確認検査業務ができることになりました。その際、確認を行う職員をみなし公務員とするなど、厳格な措置を講じてきたにもかかわらず、今回の問題の発生を防ぎ切れなかった理由はどこにあるのか、また偽装をチェックできなかった現行制度の見直しをどのように行っていくのか、御答弁をお願いいたします。
 さらに、今回の事案への対応の中で一番重要なことは、分譲住宅居住者等の安全の確保と居住の安定の確保であります。現在、国と地方公共団体との間に意見の相違があると聞いていますが、今後どのように対処されるのか、お答えをいただきたいと思います。
 一昨日、日本郵政株式会社が設立の運びとなり、郵政民営化への準備作業が本格的にスタートしました。しかし、具体的な姿は、準備企画会社である日本郵政株式会社が作成をする実施計画にゆだねられています。その意味で、同社の西川新社長、また日本郵政公社の生田総裁、さらには政府のトップたる小泉総理と実施の事務を担う竹中大臣に掛かる期待と責任は、非常に大きいものがあると思います。そこで、準備作業を円滑に進めるためには、政府、郵政公社、新会社の緊密な連携が極めて重要であると考えますが、いかがでしょうか。
 また、参議院においては、かかる観点から、さきの通常国会における議論も踏まえ、郵政民営化関連法について附帯決議を付しているところであり、郵政民営化の準備作業においてはこれを十分尊重していただきたいと考えます。総理の見解をお伺いいたします。
 昨年末、与党は社会・地域貢献基金について税制の特例措置を認めたところであります。郵便局会社と三事業会社の経営に当たっては、引き続き地域の郵便局がしっかり維持されるように配慮すべきであり、地域住民にいささかも不安を与えるようなことがあってはなりません。政府としては、そのような観点に立って民営化を推進すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 この正月、東京三菱とUFJが合併し、三菱東京UFJ銀行が誕生しましたが、報道によれば、完全なシステム統合は二〇〇八年十二月になるとあります。
 郵政民営化の審議の中でも、四分社化に伴うシステム整備議論がありました。二〇〇七年の十月の民営化スタート時に万一巨大な郵政事業のシステムに不具合が生ずれば、その影響は計り知れません。郵政のシステム整備にいささかでも不安な状況があれば、ちゅうちょすることなく民営化の時期をずらす措置をとる勇気を持つべきであると私は考えます。そして、このシステム整備が間に合うかどうかの判断は、現実に整備を進めている郵政公社生田総裁の判断を最大限に尊重すべきであると考えますが、竹中大臣の答弁をお願いしたいと思います。
 総理は、昨年五月の二十六日、衆議院本会議において、「郵政民営化を実現することにより、国の関与をできるだけ控え、民間企業と同一の条件で自由な経営を可能とすることにより、質の高い多様なサービスが提供されるようにしていく」と答弁されました。
 そこで、総理への要望でありますが、この答弁のとおり、できるだけ国の関与を控えて新会社に自由に経営を行わせ、郵政民営化の趣旨が十分に実現されるよう、政府内各部署及び郵政民営化委員会に対してしっかりと指導等をしていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
 言うまでもなく、郵政事業を支えるのはこれに携わる職員の皆さんであります。この職員が民営化に対して不安を持ったままであれば、期待をされるメリットも絵にかいたもちともなりかねません。職員が元気に民営化に取り組めるよう、この際、総理から一言激励の言葉をいただきたいと思います。
 資源に乏しい我が国にとって、科学技術振興による国際競争力の維持と基礎研究の推進による国際社会への貢献は重要であります。
 このようなことから、政府が、十八年度からの第三期科学技術基本計画において、厳しい財政事情の中、政府研究開発投資の総額規模を約二十五兆円とする目標を掲げたことは高く評価すべきと考えます。しかし、第二期計画では二十四兆円を標榜したにもかかわらず、二十一兆円にとどまったことは残念なことであります。そこで、まず第二期計画が二十四兆円に届かなかったことをどのように分析、評価をしているのか、併せて第三期計画二十五兆円達成に対する決意をお伺いします。
 私ども公明党は、施設等の箱物の増加や一部の有力研究者に研究費が集中するいわゆる研究費バブルといった弊害に配慮し、基礎研究の充実強化、科学技術人材の確保、養成を強く訴えておりますが、第三期基本計画の下、基礎研究の充実強化、人材育成についてどのように取り組むのか、見解をお伺いします。
 そのような中で特に私が懸念いたしますのは、大学、大学院における原子力教育の現状であります。最近、事故や不祥事によるイメージ低下や採用の減少等の影響もあってか、大学、大学院において原子力の名前が付いた学科、専攻が減ってきており、その学生数はここ十年でおよそ三分の一に減少しています。原子力が国民の理解を得るためには、安全の確保とともに、幅広い視点から原子力行政を客観的に見られる優れた人材を確保することが必要不可欠と考えますが、原子力のイメージ回復に向けた政府の取組についてお伺いをします。
 電波利用について伺います。
 現在、放送事業者はアナログ放送からデジタル放送に移行する準備を進めていますが、デジタル移行後、空いた電波をどのように活用していくのか。周波数ニーズの高い携帯電話等に使用させるべきだという意見がある一方、高速ブロードバンド無線などの新たな需要も予想されています。また、割当て方法としては入札方式を導入をしました海外での失敗の例もあるようですが、政府の周波数割当てに関する見解をこの際お願いをいたします。
 また、現在、全国で一億台以上使用されておりますアナログ方式の現在のテレビは、いずれ切り替えられます。見られなくなるわけです。廃棄物処理の対策が明確になっていません。不要テレビの処理対策を急ぐべきだと考えますが、現行の家電リサイクルの枠組みの中で適切な対応が可能なのかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
 私は、平成八年以来、政府に対し、年金受給手続の簡素化、効率化を求めてまいりました。当時、年金受給者には、毎年一回、居住地の市区町村に出向き、自らの生存、生きているかどうかの生存を証明する確認証明の発行を受けた上で社会保険庁長官に現況届を提出するという大変面倒な手続が要求されていました。
 そこで、私は、受給者の生存については、行政の各段階に導入されているコンピューターを活用して市区町村の住民基本台帳を社会保険庁が直接確認すれば、受給者の負担軽減のみならず、行政事務の効率化や過払いによるトラブルを防ぐことができると主張しました。
 その後、まず、平成十年になりまして市区町村による生存証明が廃止をされ、現況届は受給者本人が指定のはがきにサインをして返送する形式に改められました。これにより、受給者は市区町村にわざわざ出向く必要がなくなり、役所の証明事務も大幅に減少しました。ちなみに、ある三十万人都市では、毎年一万件以上あった証明発行件数が四分の一以下になりました。
 その後も一層のサービス向上と業務の効率化を求めてまいりましたが、現在、社会保険庁は、住民基本台帳ネットワークシステムを活用して受給者の生存を確認し、現況届の提出自体を省略する方法に切り替える準備を進めていると伺います。このことは、長年、社会保険庁による住民基本台帳の直接確認を求めてきた立場から評価をするものであります。
 そこで、この際、その概要及び実施時期、全年金受給者に占める対象者の割合、変更に伴いこれまでの経費がどれだけ節減できるのかを御説明願いたいと思います。
 最後に、少子化問題に関連して、具体的な例を挙げて提案をしたいと思います。東京都江戸川区の話です。
 東京都江戸川区ではすくすくスクールという事業が区内七十三校すべての小学校で行われています。これは、放課後から夕方まで、学校の教室や校庭、体育館などで一年生から六年生までの子供たちが一緒に遊んだり、様々な活動をするというものであります。この取組の特徴は、地域の大人たちが積極的にこの子供たちのために参加をしているという点です。協力者として登録されている大人は、多い学校では八十人ほどにもなっています。
 これは、文部科学省が平成十六年度から子どもの居場所づくりとして取り組んでいる地域子ども教室推進事業の一環として実施をされているもので、江戸川区以外でも全国的に行われつつあります。
 一方、厚生労働省は、放課後の児童対策として、いわゆる学童保育を実施しています。しかし、この対象は共働き家庭など留守家庭における十歳未満の児童に限られています。子供たちの相手は、地域の大人ではなくて役所の職員の方々であると聞きます。近年、仕事だけではなくて、祖父母の介護のために親が家を空けるケースも多く、すべての子供たちを対象としたすくすくスクールは大変に評判が良いわけですが、残念ながら、この事業に対する国からの支援は平成十八年度で終了することになっています。
 私は、少子化問題にとって、地域の人たちの協力を得て、すべての子供たちが地域社会の中で伸び伸びとはぐくまれるような環境を整えることが子供たちの安全、安心のためにも重要であり、これが時代の要請であると考えます。
 ちなみに、江戸川区では、厚生労働省の事業と文部科学省関連の事業が並行して行われています。そこで、概算ではありますが事業費用を比較したところ、学童保育は、対象児童三千百八十名、児童一人当たりの事業費用四十五万五千円、これに対してすくすくスクールは、対象児童数が学童保育の八・七倍の二万七千七百三十二名、一人当たりの事業費用は六分の一以下の六万八千円となっています。私は、行政改革の立場からも評価できる事業だと考えます。
 政府として、このような子どもの居場所づくりが全国的に展開され、定着が図られるよう、今後とも施策の継続と充実を図っていただきたいと思いますが、江戸川区のこの事業に対する評価を含めた見解をお伺いし、総理並びに関係閣僚の答弁を求め、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 草川議員に答弁いたします。
 決算の国会提出についてですが、決算を取りまとめた後、可能な限り速やかに国会において御審議いただくことは、国民への説明責任を果たし、決算審査を新たな予算に反映させるものであることから、重要なことだと認識しております。
 政府としては、決算の早期提出等により参議院における決算審査の充実のために引き続き最大限協力してまいりますが、御指摘のように決算を国会の閉会中に提出することにつきましては、制度面も含め、どのような対応が可能かについて、国会両院ともよく相談の上、検討してまいります。
 会計検査院の体制強化についてですが、政府としては、会計検査院の検査機能の重要性について十分認識しており、検査活動が円滑かつ厳正に行われ、その機能が十分発揮できるよう、検査体制の充実強化については今後も十分配慮していきたいと考えます。
 財政の中期展望でございますが、中長期にわたる将来試算の在り方についてですが、御指摘のとおり、財政の中長期にわたる将来試算については、位置付けや目的、前提や手法が異なる幾つかの試算がありますが、いずれも厳しい財政状況の下で財政健全化に向けて今後とも改革を続ける必要があることを示しているところであります。無用の混乱を招かないよう注意しつつも、それぞれの試算の特質に応じて、中長期的な経済財政運営の在り方を検討する上での参考として活用すべきものと考えております。
 歳出歳入一体改革の進め方でございますが、参考試算においては、二〇〇七年度以降の追加的財政収支改善努力として裁量的経費を機械的に削減するという便宜的な仮定を置いております。これは歳出歳入一体改革の具体的な在り方を示すものではなく、実際の財政収支改善努力については、義務的経費や歳入面も含めて歳出歳入一体改革の中で検討されるべきものと考えております。
 政府としては、世代間の公平性など中長期にわたる検討課題も踏まえつつ、政府の支出規模の目安や社会保障など主な歳出分野についての国、地方を通じた中期的目標の在り方、さらには歳入面の在り方を一体的に検討し、本年六月を目途に歳出歳入一体改革の選択肢及び工程を明らかにしてまいります。
 特定財源についてですが、受益者負担の合理性、安定的な財源確保などのメリットがある一方、財政の硬直化や余剰財源の浪費などのデメリットもあると指摘されております。現在、既に道路特定財源の見直しに着手しているところでありますが、現下の厳しい財政状況にかんがみれば、御指摘のように特定財源制度全般を見直していくことは重要であり、今後不断の検証を行ってまいります。
 ゼロ金利政策ですが、景気は、企業部門の好調さが雇用・所得環境の改善を通じて家計部門へ波及しており、民間需要中心の緩やかな回復が続いていると考えます。しかしながら、消費者物価指数やGDPデフレーター等、種々の物価関連統計を総合的に勘案すると、デフレは依然として継続しており、デフレの克服に向け、政府、日銀が一体となって取り組んでいくことが必要である状況には変わりないと認識しております。
 統計制度改革でございますが、経済社会が目まぐるしく変化する中で、今日、我が国の統計についても時代の変化に対応する必要があるというのは草川議員御指摘のとおりだと思っております。今後の統計整備に当たっては、こうした要請を機動的に取り込むため、個別の統計とそれを支える法制度の両面から改善を図ることが重要であると考えます。このため、現在、統計体系の整備、政府部内の統計に関連する人員、予算等の効率的活用も含めた司令塔機能の強化等を中心に検討を進めているところであり、統計制度の抜本的見直しに取り組んでまいります。
 防衛庁の省移行についてですが、防衛力の役割、主要な装備品の規模などを定める防衛計画の大綱や中期防衛力整備計画といった国防に関する重要事項は、これまで文民統制の確保の観点から安全保障会議における審議を経て閣議で決定しております。防衛庁の省移行について、国民の十分な理解が得られる形で議論が尽くされることが重要であると考えておりますが、引き続き、こうした文民統制の確保に努めるべきことは当然だと思います。
 安全保障会議設置法の改正でございますが、政府としては従来から、国防に関する重要事項等を審議するため内閣に安全保障会議を置くなど、文民統制の確保に努めてきております。防衛庁の組織の在り方を検討するに際しては、文民統制の確保の観点から、御指摘の点も踏まえて今後検討していく必要があると考えます。
 耐震強度偽装問題についてでありますが、阪神・淡路大震災を教訓として平成十年に建築確認検査の民間開放を行ったことについて、民間にできることは民間にという方向は間違っていないものと考えております。
 今回の事件では、民間検査機関のみならず地方公共団体においても書類の偽装を見抜くことができなかったことから、理由は民間開放にあるのではなく、建築確認検査制度そのものの見直しが必要と考えており、現在、制度の総点検を行い、再発の防止に向けた見直しに取り組んでいるところであります。
 公的支援に関する地方公共団体との調整ですが、危険な分譲マンションの居住者の安全と居住の安定を早急に確保することについて、国と地方公共団体との間で意見の相違はないものと認識しております。地方公共団体においても、既に相談窓口の設置、退去者のための公営住宅等の確保や家賃の減免、固定資産税等の減免などに取り組んでいるところであります。現在、既存の法律に基づく地域住宅交付金などの制度を活用することを前提に、関係地方公共団体の意見を踏まえながら調整を進めており、今後ともよく話し合って、十分に連携を図りながら支援策に取り組んでまいります。
 郵政民営化についてですが、平成十九年十月の民営化を円滑、確実に実施することが極めて重要であり、政府としては、私が本部長を務め、全閣僚で構成する郵政民営化推進本部の下、各府省が一体となって民営化を推進しております。一昨日には、民営化後の各事業会社の経営や財務の在り方の検討等、民営化の準備を行う準備企画会社である日本郵政株式会社を設立したところであり、郵政公社を含め関係者が緊密に連携して民営化の準備を進めてまいります。
 また、準備作業においては、国民の懸念や不安を払拭するという趣旨の参議院郵政民営化に関する特別委員会において決議された附帯決議を重く受け止め、十分尊重してまいります。
 地域の郵便局の維持についてですが、郵便局の設置については、あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置することを法律上義務付け、さらに省令における具体的な設置基準として、特に過疎地について、法施行の際、現に存する郵便局ネットワークの水準を維持することを旨とすることを規定することとしているところです。また、都市部についても、国民の利便性に支障の生じることのないよう配慮する考えであります。
 さらに、郵便局における貯金・保険サービスについては、郵便貯金銀行、郵便保険会社に対する代理店契約の義務付けや社会・地域貢献基金の設置等により、民営化後も郵便局においてしっかりとこれらのサービスの提供が続くよう、実効性のある仕組みをつくっております。このような措置により、国民の利便に万が一にも支障が生じないように十分配慮していきたいと考えます。
 郵政民営化の趣旨の実現でございますが、この民営化の趣旨は、御指摘のとおり、国の関与をできるだけ控えて、民間企業と同一の条件で自由な経営を可能とすることにより、質の高い多様なサービスが提供されるようにして国民の利便性の向上を図ろうとするものであります。郵政民営化関連法においては、こうした観点から、主務大臣や民営化委員会が適切な関与を行うよう制度設計しているところであり、関係各機関がこのような趣旨を踏まえて郵政民営化の実現を図るよう配慮してまいります。
 職員に対しての激励でありますが、郵政民営化に当たっては、これまで郵政事業の発展を支えてきた職員が今後とも自信と誇りを持って地域の方々に対し一層魅力ある多様なサービスを提供できるよう、今後とも熱意と使命感を持って職務に精励していただくことを期待しております。
 科学技術基本計画における問題でございますが、現在の第二期基本計画では、長期にわたる経済の停滞もあり、政府研究開発投資の総額規模として掲げた二十四兆円に達しませんでしたけれども、厳しい財政事情の中で、他の政策経費に比べ高い伸びを確保してきたところであります。
 第三期基本計画においても、第二期基本計画と同様に一定の前提を置いて二十五兆円という目標を掲げ、厳しさを増している財政事情を踏まえ、投資の選択と集中の一層の徹底や抜本的なシステム改革に取り組み、科学技術の一層の振興に努めていく考えであります。
 基礎研究の充実、科学技術人材の確保、養成についてですが、御指摘のとおり、我が国の科学技術の発展のためには、基礎研究の質の更なる向上とともに、科学技術にかかわる優れた人材を総合的に育成確保することが重要であります。御指摘の点については、第三期基本計画の下でも重点を置いて進めていく考えであります。
 原子力のイメージ回復についてですが、原子力については、安全確保に万全を期しつつ、その推進を図ってまいりますが、その際には、これを支える優れた人材の確保が重要であります。このため、広聴・広報活動の充実、学校教育における原子力とエネルギーに関する教育への支援等、学習機会の整備充実等を図り、原子力に関する人材の育成に取り組んでまいります。
 周波数の割当てでございますが、地上テレビ放送のデジタル移行後の空き周波数は、要望の高い携帯電話など移動通信を中心に割り当てることとしております。なお、入札方式については、落札額の高騰や免許の既得権益化など懸念事項が多く、慎重に扱うこととしております。
 アナログ方式のテレビの処理対策ですが、テレビについては、家電リサイクル法に基づいてリサイクルを進めているところですが、二〇一一年に予定されているアナログ放送の停止に対応して、デジタル方式テレビへの買換えが既に進みつつある中に、今後とも状況を見極めつつ、テレビのリサイクルが適切になされるよう対応してまいります。
 年金受給手続についてですが、御指摘のように、平成十八年度より住民基本台帳ネットワークを活用して確認を行うことにより現況届の提出を省略することとしており、本年秋より実施する予定であります。年金受給者の情報と住民基本台帳ネットワークの情報の整合性を高めることによって、将来的にはほぼすべての受給者の現況届を省略できるよう努めてまいります。また、一定の仮定の下に算出した場合、年間約九億円の経費の節減が見込まれるものと考えております。
 子どもの居場所づくりについてですが、子供は社会全体ではぐくむことが重要であります。このため、地域の多くの人たちの協力の下に、学校などを利用し、子供たちが安全で安心して活動できる居場所づくりを推進しております。御指摘の江戸川区のような地域に即した活動がそれぞれの地域に根付くよう、政府としても、平成十八年度予算案においては実施箇所数を増加するなどとともに、平成十九年度以降は地域独自の活動として普及していくよう推進してまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣竹中平蔵君登壇、拍手〕
○国務大臣(竹中平蔵君) 草川議員から二問御質問をいただきました。
 まず、名目成長率と名目金利の関係をどのように考えるかについてのお尋ねでございます。
 この問題については、経済財政諮問会議で今議論を尽くしている最中ではございますが、その時々の状況によって一方が他方を上回るないしは下回る、そうした形で、常に一方が他方を上回る関係であるということはないというふうに認識をしております。これは総理からの御答弁もあったとおりでございます。ちなみに、私自身は、元アメリカの大統領経済諮問委員会委員長でもあります経済学者マンキュー氏の研究やその他の研究から、海外の主要国においては長期的には成長率が金利よりも高かったことは歴史的事実ではないかと認識をしておりますが、これについてもいろんな見方があると承知をしております。
 いずれにしましても、今後、閣内でよく議論をしてまいりたいというふうに思っております。
 郵政民営化に伴うシステム対応についてのお尋ねがございました。
 システム対応については、郵政民営化情報システム検討会議における専門家の検討を経た結果としまして、平成十九年十月の民営化に特段の支障はないと考えております。
 しかしながら、システムの開発が大幅に遅延するおそれがあると認められる場合においては、特別な措置として危機対応条項を設けまして、閣議決定を経て、平成二十年四月一日にその施行期日を延期できることとされております。この危機対応条項の運用に当たりましては、前国会の参議院での御決議いただいた附帯決議の趣旨を十分に尊重し、万が一にもシステムリスクが顕在化して国民生活に支障が生じることのないように努めてまいります。
 いずれにしましても、その際、生田総裁始め日本郵政公社と協力をしつつ、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。(拍手)
   〔国務大臣与謝野馨君登壇、拍手〕
○国務大臣(与謝野馨君) 成長率と金利の関係にお尋ねがございました。
 名目成長率と名目長期金利の関係については、その時々の状況によって一方が他方を上回るないしは下回る状況が生ずるということは、総理、竹中大臣の御答弁のとおりだと思います。
 実際に過去の実績を調べますと、一九六六年から二〇〇四年までの平均で見ますと、名目長期金利の方が名目成長率を下回っております。これは戦後の混乱期及びバブルの発生等々、もろもろの事情が生じた結果でございますが、一九八〇年以降ここ二十五年を取ってみますと、その平均は明らかに名目長期金利の方が名目成長率を上回っております。
 また、「改革と展望」の参考試算では計量モデルを利用して客観的な推計を行っているところでございますが、今年の試算においても昨年の試算においても、ともに推計期間の途中で長期金利が名目成長率を追い抜く姿となっております。今年の推計、昨年の推計、いずれも全く同じモデルを使った同じ計算をしております。
 さて、財政再建と経済成長の両立についてのお尋ねがありました。
 財政の健全化は民間需要主導の経済成長の持続なくしては不可能であることは明らかであり、二つの目標を両立させていくことが必要不可欠であると思っております。このため、政府は、本年六月を目途に歳出歳入一体改革の選択肢及び改革工程を明らかにすることとしておりますが、その際、マクロ経済と財政との関係について十分注意を払いながら、財政収支改善の速度等の在り方についても検討をしております。
 同時に、我が国の成長力と競争力の強化に向けた戦略的対応について、グローバル戦略として議論を深め、本年の骨太方針に盛り込んでいく所存でありますし、また、経済産業省では新成長戦略を御検討いただいているところでございます。(拍手)
   〔国務大臣額賀福志郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(額賀福志郎君) 草川議員にお答えをいたします。小泉総理から御答弁があったわけでありますけれども、残余の問題について御説明、お答えをさしていただきたいと思います。
 まず、防衛庁の省移行の必要性についてでございます。
 近年、防衛庁・自衛隊の任務、役割というものは日ごとに拡大をしております。自衛隊は、我が国の防衛のみならず、国内外での災害対応あるいは国際平和のための活動が増加するなど、防衛庁・自衛隊の役割は国政の中で重要性を増しておるのでございます。また、自衛隊の海外における活動は、これまでの実績への評価に見られますように、国際社会からますます期待をされ、要望されているものでございます。この期待にこたえていくためにも、省移行が必要であるというふうに我々は考えております。
 このような中で、諸外国と同様に防衛庁を省と位置付けまして、専属の主任の大臣を置き、各種の事態に的確に対応していくことが必要であると考えるのでございます。
 今後、政治の場における議論をしっかりと受け止めまして、省への移行が一日でも早く実現するように努力をしてまいりたいと思いますので、よろしく与野党の先生方に心からお願いを申し上げる次第でございます。
 次に、省移行と平和主義に関するお尋ねがございました。
 御指摘のとおり、省への移行は、自衛隊の海外における活動の実績や評価をも背景といたしまして、国際社会からの期待に的確にこたえていこうとするものでございます。一方で、省移行によりまして、専守防衛などの防衛政策の基本を変更する考えはありません。省移行は、憲法の平和主義を踏まえた上で防衛庁の位置付けを見直していきたいということでございます。
 次に、防衛庁を省に移行した場合の施設庁との関連でございます。
 この草川議員の御提案につきましては、極めて示唆に富んだ重要な提案と受け止めております。
 御指摘のとおり、在日米軍基地などに関する施設行政と防衛政策とは一体として考えるべきものと考えます。このため、より一層の連携強化を図っていくため、まず今国会におきまして施設庁の一部所掌を内部部局に移管させる法案を提出し、組織面におきましても、内部部局に在日米軍基地などを所掌する防衛施設課を新設するなどの措置をとることを考えているのでございます。
 さらに、防衛庁といたしましては、省移行の早期実現を希望しているところでございますけれども、今後、その組織面におきましても、その時々の政策ニーズに的確に対応していくために、政策官庁としてよりふさわしいものにしていかなければならないというふうに考えております。
 御指摘の施設庁との一体化という御提案も重要なものと受け止めて、私は今後、防衛施設庁の在り方を含め組織の見直しを図っていく必要があると考えるのであります。
 最後に、防衛会議についてでございます。
 防衛庁に設置された防衛会議は、御承知のとおり、文民統制の強化の観点から、例えばパキスタンの地震災害への派遣など、自衛隊の行動等に関しまして必要に応じて開催をいたしております。その構成員は、長官の下で、副長官、事務次官、官房長、防衛局長、運用局長、各幕僚長、統合幕僚会議議長等により構成されているのであります。
 防衛庁の省移行に当たりましては、御指摘の防衛会議の性格、構成員等を含めまして、シビリアンコントロールの枠組み、あるいはまた私、長官の補佐体制の在り方について国民の皆さん方に分かりやすく説明ができるように、透明性を持った形にしてまいりたいというふうに思っております。
 草川議員の一連の防衛庁・自衛隊に対する考え、あるいはまた今後の安全保障政策等に対する鋭い御指摘は厳しいものがありましたけれども、その底流には温情があふれております。私も、省移行に向かって皆さん方の御協力を得て前進してまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 ありがとうございました。(拍手)
    ─────────────
○議長(扇千景君) ツルネンマルテイ君。
   〔ツルネンマルテイ君登壇、拍手〕
○ツルネンマルテイ君 民主党のツルネンマルテイでございます。
 私は、民主党・新緑風会を代表して、総理及び関係大臣に質問いたします。
 初めに、参議院の役割について伺います。
 参議院の役割を見直す必要性を参議院議員である我々は痛感していると思いますが、有り難いことに、いろいろな改革が既に始まっています。
 その一つには、言うまでもなく、予算と決算に対する役割分担があります。衆議院は国の予算を決める院であるのに対して、参議院には決算を厳しくチェックするという重要な役割があります。参議院では予算実行の無駄を見付け出し、それを次回から省くように政府に要求します。これだけでも二つの院にははっきりとした役割分担があります。しかし、残念ながら、この改革は国民にはまだ十分に知られていないことも事実です。
 本来、中立の立場でチェックするためには、参議院から政府の大臣や副大臣、政務官に入るべきでないという考えがあります。以前、参議院の院内会派、緑風会にはそのような決まりもあったと聞いています。これについて、小泉総理の考えを聞かせてください。個人としての意見で結構です。
 次に、日本のアジア外交について質問しますが、その前に少しばかり、日本とアジアとの外交関係を、外国で生まれ育ったフィンランド系日本人の見方として参考までに説明させていただきます。
 日本のアジア外交は、戦後、主に発展途上国への経済支援や国際機関への拠出金のような国際貢献に依存した外交であったと言えるのではないでしょうか。
 経済的な援助がODAを中心として行われてきたのです。ODAの使い道にはいろいろな問題があったとはいえ、アジアの国々のインフラに貢献できたことも事実です。それはまた、日本のアジア外交にとっても一定の役割を果たしました。つまり、日本から援助をもらっている国では、政府レベルでは日本の悪口をなかなか言えない関係ができたのです。悪く言えば、日本のアジア外交はお金の力に頼る外交であったと思います。
 しかし、最近は、中国と韓国などは、日本の援助に頼らなくてもやっていけるようになったためか、日本の政府を厳しく批判するようになってきています。それは、彼らから見れば、その背景には日本の戦争責任に対する問題ももちろんあると思いますが、今日はそれについて触れないことにします。
 いずれにしても、戦争に負けた国としての日本には、欧米の先進国のように政治力や軍事力に基づく外交は当然できなかったわけです。
 ここで小泉総理に質問ですが、このようなODAを中心とした外交戦略を日本が今後も続けていく方がよいと思われますか。それとも、今までとは異なった戦略、つまりODAのほかに新しい外交力を発揮すべきだと思われますか。そして、その新しいアジア外交として具体的にどのようなものを考えておられますか、お聞かせください。
 小泉総理は、マスコミからアジア外交について質問されると、いつもアメリカと日本との外交関係を親密にすることがアジア外交のためにも最も重要なことであると答弁していますが、それはアジア外交の戦略にはならないと思います。一つでもいいから具体策を聞かせてください。
 また、答弁の中で靖国問題に触れなくても結構です。小泉総理の靖国参拝に対する弁解を、私も国民の皆さんと同様、飽きるほど聞いていますから。つまり、中国や韓国の外交を非難するのではなく、日本のアジア外交を見直すためにどうすればよいのかについて答弁をお願いします。
 次に、農業について、中でも特に有機農業について中川農水大臣に質問します。
 御存じのように、有機農業とは、化学的に合成された肥料も農薬も使わない農業です。遺伝子組み換え技術も利用しないで、土地の性質に由来する農地の生産力を発揮させることによって安全な農産物を育てることとともに、環境への負荷をできる限り低減した栽培方法であります。
 以前は有機栽培の技術はまだ十分に発達していなかったこともあって、生産量や外形などにおいては慣行農業に劣ったところもありましたが、最近は有機栽培のノウハウの進歩に従って、有機農業に転換する専業農家も増えています。特に米作りでは、自然の循環機能を生かした有機栽培により、優れた成績を上げている農家が増えています。また、消費者の中でも、食の安全性を重んじる機運が高まっていることは事実です。こういうことから、有機農業は衰退している日本の農業を再生する切り札になる可能性を持っていると考えます。
 しかし、日本ではまだ有機農産物は全農産物のわずか一%です。EUや米国では有機農業が大幅に拡大しつつあります。また、途上国も、輸出による所得向上や輸入化学資材への依存度を低減させ、自立農業を構築するためには重要となっています。
 国内における有機食品の供給が伸びない中で国内需要が拡大すれば、有機食品の輸入が促進され、食料・農業・農村基本計画に掲げる食料自給率向上という目標に逆行する懸念があります。
 このような中で、有機農業を積極的に育成、振興していく必要があると思いますが、政府は、有機農業技術の向上、普及や有機JAS認証取得の促進のためにどのような支援を行う用意があるか、答弁をお願いします。
 また、超党派で組織する有機農業推進議員連盟では、有機農業の振興を図るための法律が必要と考え、法律案提出の準備を行っています。
 消費者の選択に資するように、有機作物と有機加工食品の表示が適正に行われていることを監視するのは国の責務であるが、一方、食料自給率向上の観点から、有機農産物や有機加工食品の生産振興を図ることも国の責務ではないかと考えます。
 政府は有機農業振興のための支援法の必要性についてどのような所見を持っているか、お聞かせください。
 次に、食の安全、BSE、米国産牛肉等輸入再開問題について伺います。
 我が国では、リスクコミュニケーションという概念は、これまで災害や危機管理、投資といった場面では使われることがあっても、食品の安全の分野ではまだなじみの薄いのが現状です。しかし、リスクコミュニケーションは、平成十三年の国内初のBSE発生を契機に、平成十五年に制定された食品安全基本法に明記され、食品安全対策が科学的根拠に基づいて適切に展開される上で欠かせないプロセスと位置付けられています。
 リスクコミュニケーションの目標は、リスク評価とリスク管理の過程において関係者が必要となる情報を共有の上で、関係者の意見が適切に反映されることであります。しかし、実態は、リスク評価機関とリスク管理機関の結論、方針を説明、説得する場になっており、消費者の理解を高め、消費者の意見を施策に反映することの目標が達成されていないのではないんでしょうか。その典型な例がBSE問題です。
 この問題をめぐっては、全国各地で意見交換やパブリックコメントが実施され、多くの消費者や各方面の専門家から政府方針に否定的な見解が寄せられてきましたが、それらは政府の最終決定にどのように反映されたのでしょうか。小泉総理、答弁を求めます。
 そして、先週、米国産牛肉で、多くの消費者や各方面の専門家が危惧していたことが起こりました。食品安全委員会が管理機関である政府に強く求めていた輸出プログラムの実効性及び遵守の担保について、政府が何ら実施しないまま輸入再開を行った結果、今度の事態が引き起こったことは明白です。政府の責任は極めて重大ではないんでしょうか。輸入の全面禁止は当然のことですが、今度の米国産牛肉の輸入再開はいつ、どのような条件で行うおつもりですか。明快な答弁を求めます。
 また、輸入牛肉についても日本と同様にトレーサビリティーを義務付ける原産地表示の義務化、又は輸入牛肉を含んだ加工食品についても、消費者がどこから輸入された牛肉を使用しているか明確に判明できるシステムの確立を行うべきと思われますが、この点についても併せて見解をお聞きします。
 民主党は、トレーサビリティー法案は前国会に提出しており、BSE検査済みの表示や加工食品の原材料原産地の表示の義務化を盛り込んだ法律案についても準備を進めています。
 次に、鳥インフルエンザについて伺います。
 西日本で発生から二年が経過しましたが、いまだ感染原因が分かっておらず、養鶏農家はいつ自分のところで発生するかが分からないとの不安を抱えながら生活しています。養鶏農家の不安を解消し、より効果的な予防対策を構築する上でも、感染原因の早期究明が必要であるが、今後の見通しについて伺います。
 また、茨城県の感染原因をめぐっては、海外のウイルス株から作られた未承認ワクチンの使用を指摘する声もあります。このことは、日々健全経営に取り組む養鶏農家にとっては非常に迷惑な話でありますが、仮にこうした事実があるとすれば重大な問題です。国は未承認ワクチンの使用実態をどこまで把握しているのか、併せて伺います。
 次に、アスベスト対策について伺います。
 政府は、今国会にアスベストによる健康被害の救済に関する法律案を提出することにしています。しかし、この法案の中で政府はアスベストによる健康被害の拡大を放置した行政責任を認めておらず、労災並みの補償及び遺族に対する補償の充実を求めている被害者側から見れば、全く不十分な内容です。より充実した補償を求め、市民の署名は百四十六万人にも上っており、こうした動きをどう受け止めているのか伺います。
 次に、教育問題について質問します。
 小泉総理は平成十三年五月七日の所信表明演説の中に、一躍有名になった米百俵という言葉がありました。その言葉に含まれているメッセージを再び思い起こさせるために簡単に説明します。
 それは、明治の初め、戊辰戦争で焼け野原となった長岡城下に救援米として送られてきた百俵の米にまつわるエピソードです。時の長岡藩の大参事小林虎三郎は、この百俵の米を藩士に配分せず売却し、その代金を学校の資金に注ぎ込んだのです。その出来事に含まれている教えは、国が興るのも町が栄えるのもことごとく人にある、食えないからこそ学校を建て、人物を養成するのだ、つまり目先のことばかりにとらわれず明日を良くしようというものです。
 初めは、小泉総理もこのような精神を込めてこの言葉を使ったと思いました。しかし、それからおよそ五年経過し分かってきたことは、このすばらしい精神が小泉総理にとって単なる掛け声にしかすぎなかったということでした。
 総理、小泉政権の下で日本の義務教育に対する公的支援は一貫して低調に推移しています。公教育の財政支出は対GDP比率二・七%、OECD諸国中最低の水準です。小泉総理は、教育改革の中身については全く関心を示していません。結果として、児童生徒をめぐって、いじめ、殺傷事件などが続発し、学力、体力など、子供たちの生きる力も急速に低下しています。
 小泉総理は、こうした教育現場の惨状を一切顧みることなく、全く教育論がないまま、一昨年来、三位一体改革の名をかりて義務教育費総額の削減を強引かつ巧妙に推進していると考えます。一方では、文部科学省も、教育現場に対する中央管理統制主義を改める意思を明確には打ち出しておりません。
 一体、政府としては、今後の教育についてどのような方向を目指そうとしているのか、全く不透明ではありませんか。まず、総理の義務教育に関する基本的な理念をお聞かせください。
 今回、政府は、十八年度予算案の中で、義務教育費国庫負担金国庫負担率を現行の二分の一から三分の一にするとしています。三位一体改革の方針に基づく措置とされていますが、なぜ二分の一から三分の一になったのでしょうか、総理から明確な説明をいただきたい。また、義務教育について国の果たす役割はどのようなものと考えるか、総理の答弁を求めます。
 最後に、私は、一昨年九月から始めた四国八十八か所歩き遍路、およそ一千二百キロメーターをこの今月の十五日に歩き終えました。そこには奉仕というすばらしい精神がありました。政界にもこのような愛に基づく奉仕の精神が強くなることを願って、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) ツルネンマルテイ氏にお答えいたします。
 同じ神奈川県民として、はるばるフィンランドから日本に永住されて、歴史や伝統、文化、習慣の違いがありながら、湯河原町議会議員に住民から信頼され当選された。その後、現在、参議院議員として、外国人として日本に永住され活躍されることに対して注目しておりましたし、敬意を表している次第でございます。
 参議院議員の在り方についてでございますが、閣僚や副大臣、政務官の任命権は原則として内閣総理大臣にあり、衆参両院の国会議員のみならず、民間からの登用も可能であります。当然ながら、閣僚等の候補者として打診されたからには、参議院だから閣僚にはなりたくない、副大臣になりたくないというのは自由であります。就任を辞退することもできますし、参議院の独自性を尊重するからという理由で拒否されることについて私は異議を唱えるものではございませんし、今後、独自性について各議員が、私はそれぞれがお考えになるべきことだと思っております。
 我が国のアジア外交についてのお尋ねでございますが、豊かで安定したアジアの実現は我が国の安全と繁栄に不可欠だと思っております。そのための重要な政策手段として、今後ともODAを活用してまいります。
 ツルネン氏は、私がアメリカと日本との外交関係を緊密にすることが、これはアジア外交の戦略にはならないと考えておられるようですが、その点は私と意見が違います。アジア外交を進める上においても、日米関係が緊密であるということはアジア外交を戦略的に進める上においても極めて重要なことであります。また、靖国問題についても、アジア諸国において中国、韓国以外に私の靖国参拝に批判する国はありません。
 今後、私は、アジアが将来の共同体形成に向け歴史的変化を遂げつつある中、自由と民主主義を尊重する開かれたアジアの実現など、将来の地域秩序の構想といった面においても積極的に貢献してまいります。
 我が国は、テロや感染症対策といった地球規模の課題あるいは経済連携、人的交流の促進など幅広い分野において、アジア諸国と実質的、具体的な協力を実現してまいりましたし、現在でも実施しております。先月の東アジア首脳会議の成果をも踏まえ、今後とも、アジアの一層の安定と繁栄のため、こうした協力関係を強化していく考えであります。
 BSEについてですが、米国産牛肉の輸入再開について、食品安全委員会で科学的な議論を尽くして、国民の意見も聴取した上で取りまとめられた答申を踏まえて決定されたものであります。
 日米間で合意した輸出プログラムについて、輸出国である米国政府の責任の下に確実に遵守されるべきものでありますが、先日、米国産輸入牛肉に危険部位の混入が確認されたため、すべての米国産牛肉の輸入手続を直ちに停止しているところであります。
 米国産牛肉の輸入手続を再開するためには、日米間で合意したルールの遵守が必要であり、二度とこうしたことが起こることのないよう、国民の食の安全、安心を大前提に米国に対し原因究明と再発防止を求めております。
 なお、輸入牛肉やその加工食品に原産地を明確にするためにトレーサビリティーを義務付けることは、国際協定との関係で問題となることも考えられて、慎重に検討する必要があると考えております。
 鳥インフルエンザについてですが、平成十六年に西日本で発生した高病原性鳥インフルエンザの感染経路については、専門家の報告により渡り鳥による可能性が示唆されており、これを踏まえた防疫措置が講じられております。
 昨年から、茨城県での発生につきましては、未承認ワクチンの持込み等人的な関与の可能性が考えられるとの専門家による中間報告がまとめられておりますが、現在までのところその事実は確認されておりません。
 アスベスト被害者救済についてですが、政府としては、アスベストによる健康被害の迅速な救済を図るため、既に救済法案を国会に提出したところであり、早急にその成立を図って今年度内に施行したいと考えております。
 また、本制度における給付金の支給水準は、個別的な因果関係を明確にすることが困難であるというアスベストによる健康被害の特殊性、他の救済制度とのバランスを勘案して対処していかなきゃならない問題だと思っております。
 義務教育の基本理念についてでございますが、米百俵について、長岡藩小林虎三郎のことについてもお触れになりましたけれども、私は、教育、国の発展にとって一番重要なものだと思っております。日本を支えていくのは人であります。資源のない日本にとっては、教育、幾ら重視し過ぎてもし過ぎることはないと思っております。また、教育について、私は、江戸時代からそれぞれの藩が地域として独自に教育活動を展開して多くの人材を輩出しております。
 義務教育について、国がその教育の重要性、その根幹を保障するということは極めて重要だと思っております。教育現場の権限と責任を拡大するということも必要ではないかと思っております。
 今後とも、国として義務教育の目標設定、費用負担などの基盤整備等、これはしっかり行っていかなきゃならないと思っております。また、地域の自主性、裁量権も拡大していくことも重要だと思っております。
 義務教育費国庫負担金については、政府・与党で国の責任を引き続き堅持するとの方針の下に、約八千五百億円の税源移譲を求めた地方六団体の案を生かす方策を検討した結果、負担割合を三分の一とした上で、約八千五百億円の税源移譲を確実に実現することとしたものであります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣中川昭一君登壇、拍手〕
○国務大臣(中川昭一君) ツルネンマルテイ議員にお答え申し上げます。
 有機農業につきましては、言うまでもなく、環境保全に大きな貢献をする農法でございますし、また消費者の皆さんにとっても、この有機農法で作られた農産品についてのニーズは強いわけでございますが、御存じのようにこの農法は、例えば手間が掛かるとか、あるいは病害虫に弱いとか、結果的にコストが少し掛かるとかいった問題がございまして、今御質問にございましたように、まだまだ全農産物の中でのシェアが非常に低いわけでございます。
 しかし、御質問にもありましたし、私も思っておりますけれども、この考え方は多くの国民に私は支持されていると思っておりますので、農林水産省といたしましても、これを一層進めていきたいということで、いろいろな諸策を考えているところでございます。
 例えば、病害虫に強い新しい品種の改良、あるいはまた天敵、例えばカルガモ農法なんというのもございますし、それからフェロモン剤というものを利用したというような農法も、現在いろいろな形で技術的に今研究あるいはまた開発をしているところでございます。
 それからまた、持続農業法に基づく土づくり、あるいはまた化学肥料、農薬を極力使わないような農業者に対する、いわゆるエコファーマーに対する金融・税制上の支援といったことも既に実施しているところでございます。
 さらにまた、JAS法に基づきましてこの農産物は有機農法で作られましたということを認証しているわけでございますけれども、これにつきましても一層支援、促進をしていきたいというふうに考えております。
 さらに、平成十九年度から新たに導入することを予定しております農地・水・環境保全向上対策におきましても、有機農業を含めまして、地域で相当程度のまとまりを持ってこれに取り組んでいる先進的な農業者あるいはまた農業の集団につきまして、いろいろな支援をする準備を平成十八年度からやる予定にしてございます。
 第二点の御質問でございますけれども、支援法についての御指摘でありますが、先ほど申し上げましたように、これについては、国民的な御理解、御支持というものがなお一層広がることが大事でございますけれども、既に農林水産省としては非常に重要な位置付けを持っておりまして、いろいろな支援体制、法制度を整備しております。JAS法あるいは持続農業法等でございまして、これを更に一層充実させていくということでございまして、現時点におきましては、この支援法というものをこれから制定に向かって作業を進めていくということについては考えておりませんが、御趣旨は十分我々も踏まえまして更に進めさせていただきたい、先ほど申し上げました平成十九年度からの新しい制度も含めましてやっていきたいと思っております。
 いずれにいたしましても、生産サイドだけではなくて、消費者、国民全体が環境保全のために有機農業に対して一層の御理解賜りますように、議員のお力も含めまして、ひとつ御指導賜りますことを心からお願いを申し上げます。(拍手)
○議長(扇千景君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時三十三分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開議
○議長(扇千景君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。山東昭子君。
   〔山東昭子君登壇、拍手〕
○山東昭子君 私は、自由民主党を代表して、施政方針演説について総理大臣に質問をいたします。
 昭和二十九年三月、緒方竹虎は、時局を案ずるに、政局の安定は爛頭の急務であって、内外庶政の刷新も自立経済の達成も国民生活の充実も、これなくしては到底考えられないと訴え、これに端を発して加速していった新党運動は、翌三十年十一月十五日、自由民主党の結成につながりました。
 以来五十年、我が党は、一時期を除き、長期にわたる国民の信託をいただき、国民とともに幾多の困難に立ち向かい、平和を築き、政治、経済、文化の発展に努めてまいりました。この間の先達の情熱と努力に敬意を表するとともに、我々もまた常に主導的な役割を果たしてきたと自負しております。
 しかし、いまだに今日、我が国が直面する数々の課題は山積しております。また、立党時からの悲願である自主憲法制定に向け草案も得ましたが、このような大きな課題に取り組んでいかなければならない使命が我々には課せられております。
 政治は、一〇〇%これでよしということはありません。いつも、国民に真実が伝わっているんだろうか、この政策はみんなに公平なんだろうかと自問自答しながら活動しております。
 折しも、政治家が決断すべき難題が出ております。BSE問題であります。国民生活に密着した問題である牛肉の輸入は、解禁した途端、米国側の不祥事発覚となりました。これには開いた口がふさがりません。政府も素早く対応しましたが、我々政治家も米国に対して厳しい態度で臨まなければならないと思います。
 さて、立党宣言では政治は国民のものとうたわれました。この宣言は我々政治家にとって原点であり、政権の一翼を担う責任の重さを新たにかみしめ、国政に全力を尽くすことを、次の五十年に向けスタートを切る今国会冒頭、国民の皆様にお誓い申し上げます。
 自由民主党が新しい一歩を踏み出すに当たり、総理・総裁としての所感と決意をお聞かせ願います。
 総理にとって、米百俵の感動から五年の月日が流れました。就任後初の所信表明演説で、改革なくして成長なし、恐れず、ひるまず、とらわれずの姿勢を貫き、二十一世紀にふさわしい経済・社会システムを確立していきたいと国民に語り掛けられました。この演説から、総理は国民の圧倒的支持を受け、長年の懸案であった政策課題に取り組まれ、既に道路公団を民営化、昨年は多くの犠牲を払いながら郵政を民営化する法律案を成立させ、三位一体改革も着々と進んでおります。
 これらの実績を積み重ねた小泉改造内閣の総仕上げが今国会であり、幾多の課題について伺います。
 本年は、久々に景気に明るさが見える中での新年を迎えました。不良債権処理も順調に成果を上げ、企業実績も軒並み上昇、株価も高い水準まで回復、このような良いムードの中で、東京証券取引所が昨年に続いての不手際で世界じゅうの投資家に冷水を浴びせたことは情けない限りです。
 こうした中、我が国経済は、昨年十一月の消費者物価指数が平成十年四月以来七年七か月ぶりにプラス基調に転じ、小泉構造改革四年半にしてようやく好循環に入ったようであります。総理は、年初の記者懇談会で、九月までの任期中にデフレ脱却を目指す考えを表明されました。
 しかし、世界を展望すると、米国の双子の赤字や、貿易、財政、長期金利の低下、二〇〇八年中国でのオリンピックや二〇一〇年の万博などがあり、デフレ脱却を確実にして日本経済を安定成長軌道に乗せるには、景気動向を的確に読んだ経済運営をしなければなりません。どう取り組まれるのか、お考えをお聞かせ願います。
 次に、小さくて効率的な政府について伺います。
 言うまでもなく、我が国財政は非常に厳しい状態にあります。二十年前、我が国の借金は国と地方合わせて一人当たり百万円でしたが、二〇〇五年の数字では六百七十万円に上っております。国債残高は来年度予算案で五百四十二兆円、これは国内総生産並み、地方も合わせた長期債務残高は七百七十五兆円で、国内総生産の一・五倍になっております。来年度予算案で減らしたとはいうものの、三十兆円の国債を新規発行しないと予算は組めない状況であり、公債依存度は四一・八%に及んでおります。
 政府は、この非常事態の下、今年六月に歳出歳入の一体改革の工程表をまとめることとしております。二〇一〇年代初頭の基礎的財政収支の黒字化へ向け、国を挙げて取り組むには、この際国民に、小さくて効率的な政府、例えば社会保障の面ではこうだという懇切丁寧な説明と激変緩和措置が必要です。国民的論議と合意形成のプロセスは欠かせません。お答えください。
 次に、行政改革について伺います。
 この道筋を確かなものとするため、行政改革法案を今国会三月に提出予定と聞いております。項目の幾つかについて伺います。
 総人件費改革では、国家公務員を五年間で五%以上純減するとしています。
 平成十三年の省庁再編では幾つかの巨大官庁が誕生しました。スリム化、効率化という点から考えると課題が残った再編であり、今回の純減は進めるべきでありますが、その達成のためには大掛かりな改革でなければなりません。しかしながら、人員を何でも切ればよいというわけにはいきません。それによって国民に不利益をもたらしたり国益を損なうことのないよう、国が果たすべき役割や、官が担うべき事務や事業とは何かを明確にした上で、必要な組織、人員はしっかりと確保するべきではないでしょうか。また、これらを実効あるものにするためには抜本的な公務員制度改革も急務です。
 さらに、社会保険庁の解体的出直しが掲げられておりますが、将来の高齢化社会に国民に不安を持たせないような改革が必要であります。どうお考えでしょうか。
 特別会計改革は、三十一の特別会計について、今後五年間で合計約二十兆円程度の財政健全化への貢献を目指すとしています。肥大化した特別会計の改革は財政再建には不可欠であります。しかしながら、個別の問題を精査する必要があります。
 空港整備特別会計などはその筆頭であります。我が国の空港整備は国際的に見て後れており、特にアジアにおいては顕著であります。これからは、観光と経済発展に必要な空港の建設は国家的プロジェクトとして取り組むべきで、そのためには特別会計をただ減らすというのには反対です。
 道路特定財源については、与党内でも検討しますが、道路建設は、全国を歩いているとまだまだ整備不十分なところもあります。加えて、現在、暫定税率を採用しております。一般財源に組み入れるなら、せめて基本税率に戻すべきではないでしょうか。この二件についてどう考えておられますか。
 以上、疑問の一端を述べましたが、広範囲の行政改革を進めていくには数々の壁を乗り越えていかなければなりません。与党内の意見も十分聞いていただきたいのです。今後、道筋を付ける法案を成立させ、どのように改革を継続していくのか、お聞かせ願います。
 後継問題について伺います。
 総理は記者との懇談で、衆議院選であれ参議院選であれ新しい総裁の下で選挙に勝てるかどうかが大きな要素になる、小泉内閣が進めてきた改革路線をしっかりと軌道に乗せてくれる人が望ましいと述べられております。
 この国会で、総理のリーダーシップの下、改革の総仕上げに掛かるのですが、道半ばであり、後継者は改革の旗を受け継ぎ、強力に推進する責務を負わなければなりません。また、税制の将来像や財政再建の道筋はもちろん、教育と外交の再構築を示す政権構想も明らかにしなければなりません。未来を託すに足る総理像はどのように描いておられるか、披瀝していただきたい。
 次に、自衛隊のイラク駐留問題について伺います。
 イラク特措法に基づく基本計画による自衛隊の派遣期限は本年十二月十四日までであります。この派遣は日米同盟の象徴であり、総理とブッシュ大統領とのみつ月関係も手伝い、かつてないほど良好と言われている日米関係を思えば、その撤退時期の判断は難題であります。
 我が国だけの都合で撤退というわけにはまいりません。ただ、陸上自衛隊が活動するサマワで治安を担当する英豪両軍が五月目途に撤退を検討していることから、彼らと同時に撤収するという観測もあります。米国からすれば、このように五月雨的に友軍が撤退することには慎重な対応を要請してくるのではないでしょうか。
 退くには用意周到な準備と時間が必要です。今日まで猛暑と砂あらしに耐えながら国のために頑張ってきた現地自衛隊員たちの安全を確保するためには、現地のイラク国民の理解が不可欠であり、例えば円借款の再開や雇用対策も検討する必要があるのではないかと考えます。十二月の期限切れまでにどのような対応をされるのか、お示し願います。
   〔議長退席、副議長着席〕
 次に、北朝鮮問題です。
 平成十四年九月、小泉総理は北朝鮮を訪問、金正日総書記が我が国邦人の拉致を認めて謝罪、両首脳による日朝平壌宣言に署名が行われました。以来、国交正常化を目指して、両国間あるいは国連やほかの国も参加して話合いが続けられているのは承知しておりますが、いまだ不明の拉致被害者について到底納得のいく回答が得られないのに憤りを感じます。
 経済制裁法たる外為法改正や特定船舶入港禁止法を制定し、いざとなればその発動も辞さぬ覚悟を国会も示しているのですが、何らの進展がないのが実情であります。被害者の御家族のみならず、我が国民こぞって怒りは沸点に達しているのです。
 歴代総理ができなかった交渉を始められたのは小泉総理でございます。退任される九月までに何とか決着を付けていただきたい。それには韓国や中国の協力も欠かせません。この二国との外交も、関係改善に向け真摯な態度で臨んでいただきたい。この課題を乗り越えてこそ拉致の解決につながり、これこそ小泉純一郎、男の花道にすべきであります。御決意を明らかに願います。
 明治の初め、我が国は、知育、徳育、体育とともに食育と才育がございましたが、置き去りになっておりました。しかし、今こそ私たちは原点に返って、食育を通じて、自然の恵みや生産者に感謝し、親子のコミュニケーションを図ること、また生活習慣病を減らすこと、食文化を大切に地産地消を心掛けるなど、昨年六月十日に我々が成立させた食育基本法を今年は国民運動として展開していかなければなりません。これは総理の肝いりで党として取り組んだものですが、この運動の先頭に立つ総理の意気込みを明らかにしてください。
 さて、昨年を振り返ってみますと、小さな子供たちを巻き込んだり、何の理由もない衝動的な殺人事件、JR西日本の過密ダイヤによる尼崎脱線事故、内外の投資ファンドをバックにしたIT企業などによる株の買占め騒動、死亡事故を誘発する可能性のある欠陥製品の回収、極め付けは耐震データ偽装問題でありました。私たちの社会が何か変わってきている。そんな兆しが幾つも見られる。振り返ってそういう一年であったと私は思います。
 今、勝ち組、負け組という言葉がはんらんしています。改革は競争。それは弱肉強食につながります。でも、そこに優しさやゆとりがあるのでしょうか。昨年、郵政解散選挙、総理は賛成か反対かを争点に戦われました。自民党は大勝しましたが、多くの仲間を失い、心にぽっかり穴が空いたような気もいたしました。勝つか負けるか、イエスかノーか、何かアメリカナイズされてしまって、儒教の精神が消えてしまい、寂しい限りでございます。感想はいかがでしょうか。
 さて、総理が未来に向かって行う最後の改革は一つ、それは心の改革だと思います。様々な分野での意識改革であります。
 現代の日本社会は、子供から大人まで心が病んでいます。少年少女や大人が勉強や人間関係がうまくいかないと、せっかくこの世に生をうけたのに自ら人生を捨ててしまう事件を見るにつけ、私は残念でなりません。これからはプラス思考で生きていく習慣を付けるべきではないでしょうか。
 子育てがつらいから子供をつくらないなどと考えず、子供は国の宝なんだと思い、子供を持つ喜びを大切にしてほしい。また、産んでくれてありがとう、できる限り手伝うよとの夫の優しい姿勢も必要です。少子化対策は、子供を育てやすい環境や不妊治療の在り方、職場復帰の整備などシステムの確立はもちろんですが、お金では代えられない女性への何かを重要視してもらいたいのです。いかがでしょうか。
 そして、世界へ目を向けると、障害を持つ人たちが叫んでいます。我々は人から与えられるだけの生活は御免だ、努力して少しでも社会に貢献して税金の払える人間になるんだ。人呼んでチャレンジド。厳しい壁を乗り越えて、音楽にスポーツに、経済人として生きている、いや、生きようとしている人はたくさんおられます。
 総理、正にあなたは大きな壁を壊し、乗り越えていくチャレンジャーです。ちょうど今は受験シーズンです。私たちの愛する国日本をこれから支えてくれるであろう若人に向けての総理のビジョンを聞かせていただき、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 山東議員に答弁いたします。
 自由民主党立党五十年を踏まえての感想はどうかと、決意はどうかというお尋ねであります。
 この五十年間、何度か危機に見舞われましたけれども、自由民主党は選挙のたびごとに、多くの批判もありましたけれども、国民の支持を得て政権を担当してまいりました。これからもこの国民の支持、期待を大切にして、政権政党の責任を自覚して、平和のうちに自由で豊かな社会を実現するために大きな責任を担っているということをしっかりと受け止めて、国民からも今後支持を受けれるような政党として発展していかなきゃならないと思っております。
 今後の経済運営でございますけれども、我が国経済、これは我が国だけの努力でなく世界的な好調な経済状況にも恵まれていると思いますが、ようやく企業部門の好調さが雇用・所得環境の改善を通じて家計部門にも及ぶなど、民間需要中心の緩やかな回復が続いております。しかし、消費者物価あるいはGDPデフレーター等の物価の基調や背景を総合的に見ると、依然として緩やかなデフレ状況にあり、このデフレ脱却に向けた取組は引き続き重要な政策課題だと考えております。政府としては、民間需要、雇用の拡大に力点を置きつつ、規制、金融、税制、歳出の分野を中心とした改革を進めて、日銀と一体となった取組を行ってまいりたいと思います。
 歳出歳入の改革でございますが、政府としては、簡素で効率的な政府、いわゆる小さな政府を目指して徹底した行財政改革を行うとともに、持続的な経済活性化を実現していく上で財政がその足かせとなってはならないようにするために、将来に向けた財政健全化の道筋を示していくことが大きな課題であると認識しております。本年六月を目途に歳出歳入を一体とした財政構造改革の方向についての選択肢及び工程を明らかにすることとしております。その際、改革の経済に与える影響を十分に検討するとともに、改革の選択肢や将来の見通し等を国民に提示しながら検討を進めてまいります。
 公務員制度改革等についてでございますが、総人件費改革については、小さな政府の実現を目指して、現在六十九万人の国家公務員を今後五年間で五%以上減らすために、業務の大胆かつ構造的な見直しなどに取り組んでまいります。その際、業務を国が行う必要性を見極める必要がある。めり張りを付けつつ、真に必要な分野への定員の再配置を進めてまいります。
 公務員制度改革につきましては、職員の意欲と仕事の成果を引き出していくような能力・実績主義の人事管理の徹底が必要であり、新たな人事評価の試行の取組状況も踏まえて、関係者との調整を精力的に進めて、できるだけ早期に具体化を図ってまいります。
 社会保険庁については、平成二十年十月を目途に廃止し、公的年金と政管健保の運営を分離の上、それぞれ新たな組織を設置する等の解体的出直しを行うこととしております。今後も、年金を守り、公的年金制度に対する信頼を回復することができる抜本的な改革を実現してまいります。
 空港整備特別会計ですが、今回の特別会計改革において、受益と負担の関係を明確にしつつ、事業間の連携を強化し、事業の効率性を高めることなどにより無駄を排除していくとの観点から、他の公共事業特別会計と統合することとしたものであります。空港整備に当たっては、国際競争力の強化等を図るための大都市圏拠点空港への重点化など、その必要性を見極めつつ、重点化、効率化を進めてまいります。
 道路特定財源については、昨年、私は財務、国土交通大臣に指示して、厳しい財政事情の下、環境面への影響にも配慮し、暫定税率による上乗せ分を含め、現行の税率水準を維持しつつ一般財源化を前提に見直しを行うことを内容とする基本方針を取りまとめたところであります。今後、道路特定財源については、この基本方針に基づき、歳出歳入一体改革の中で納税者の理解を得るよう努めつつ、見直しを進めてまいります。
 行政改革の進め方ですが、行政改革を強力に推進するためには、政府・与党が一体となって取り組むことが重要であります。昨年末の行政改革の重要方針の閣議決定に当たっても、与党における議論を十分に踏まえつつ取りまとめを行ったところであります。今後とも、行政改革推進法案の取りまとめに当たっては、引き続き与党の御理解と御協力をいただけるように努力してまいります。
 次の総理像に関するお尋ねでありますけれども、自民党には総裁候補がたくさんおられますし、多士済々であります。それぞれ能力のある方がたくさんおられますから、今後、そういう方たちが自らの抱負経綸を述べる機会もたくさんあると思います。改革に終わりはありません。今まで小泉内閣が進めてきた改革路線をしっかりと軌道に乗せて、改革を続行して新しい時代に対応できるような体制を日本が取れるような、そういう方が望ましいと思っております。
 自衛隊のイラク派遣についてでございますが、政府としては、自衛隊の活動について、イラクにおける政治プロセスの進展の状況と現地の治安に係る状況、多国籍軍の活動状況及び構成の変化など様々な事情をよく見極めつつ、現地の復興に資するため、適切に対応しております。
 また、自衛隊の派遣とともに、イラク当局が復興事業に主体的に取り組めるよう、治安情勢や現地の様々な要望というものを踏まえながら、円借款の今後の供与を含め、引き続きODAによる協力に取り組んで、UNDP等国際機関を通じた雇用創出支援も継続的に実施してまいります。
 自衛隊の諸君の献身的な活動によって、現地の住民からも自衛隊の諸君は高い評価と信頼を得ております。これからも、まずイラクはイラク人自身の力によって安定した民主的政府を築き上げるべきだと。そのための支援を日本としても国際社会の一員としての責任を果たしていって、イラクが立派な民主的な政府になるよう、日本として主体的な支援を行っていきたいと思っております。
 北朝鮮についてでございますが、日朝包括並行協議等を通じまして日朝関係の全般的な進展を図る中で、最優先課題である拉致問題に関しては、生存者の帰国、真相の究明、容疑者の引渡しを北朝鮮側に強く求め、問題解決に向けた具体的前進を得るべく最大限努力しております。
 また、拉致問題の解決のためには、中国、韓国を始めとする関係国との連携が重要であることは言うまでもありません。中国、韓国、我が国にとって大事な隣国であり、一部の問題で意見の相違や対立があっても、大局的な視点から協力を強化して、相互理解と信頼に基づいた未来志向の関係を築いていきたいと思っております。
 食育でございますが、今まで知育、徳育、体育というのはよく言われておりましたけれども、やはり食育、人間生活を支える上で、食べること、食生活、身体的にも精神的にもこの食生活は極めて重要であります。この点について、食育の重要性をよく国民に認識してもらいたいと、そういう観点から、今後、食育基本法に基づき、本年度末を目途に食育推進基本計画を策定し、家庭、学校、地域等、様々な分野において国民運動として食育を推進してまいりたいと考えております。
 社会から優しさやゆとり等伝統的な精神が消えているのではないかという御懸念でございますけれども、改革を進めるということは、そのような優しさやゆとりや伝統的な精神を消すものではございません。これからが大事な時期にあるということは多くの国民が認識していると思いますし、弱者を切り捨てるものではありませんし、また、勝ち組、負け組というような、そういう一律的な決め方をするものではございません。一度や二度や失敗しても、あるいは挫折をしてもまた立ち上がれるようないろいろなチャンスを提供する、そういうような社会を目指していくべきだと思っております。
 これまでも、雇用・中小企業のセーフティーネットの確保に万全を期すとともに、様々な支援を行っております。新規起業の促進策、構造改革特区や都市再生など、地方の意欲や挑戦を尊重した地域経済の活性化策、持続的な制度の構築に向けた社会保障制度改革などに取り組んでまいりましたけれども、このような不断の改革を今後も進めていく必要があると思っております。
 いずれにしても、引き続き改革を進め、地域や多くの国民が持っている潜在力を自由に発揮できるような、そういう社会を築いていくことが重要だと思っております。
 子育てについてでございますが、少子化が進行する中で、男性も女性も、ともに安心して子育てを喜びながら働くことができるような、そういう社会を実現することが重要課題であります。地域におけるきめ細かな子育て支援サービスの充実など、子育て家庭を社会全体で応援する環境の整備に努めるとともに、今後も、男性も女性も、家事、育児、仕事を分かち合いながら、お互い積極的に社会参加できるような環境をつくっていきたいと思っております。
 これからの若者に対して何か一言ということでございますが、いつの時代も大人からは、最近の若い者は駄目だと言われます。しかしながら、私は、若者は現在でもしっかりとした考えを持っている若者はたくさんおられます。社会に挑戦しよう、意欲を持ってこれから頑張ろうという若者は現在でもしっかりと頑張っております。
 たしか、チャップリンだと思いますけれども、人生に大事なことは、夢と希望とサムマネー。ビッグマネーは必要ないと、サムマネーでいいと、夢と希望が大事だと。いろいろな事態が起こっても、あるいは困難があっても、それを克服して、それに挑戦する勇気と志を持って、失敗を成功に変えるような努力が必要ではないかと思っております。これからも、そのような困難、難局に我々の先人たちが幾たびも挑戦して立ち向かって今日の日本を築いてきたわけであります。これからの若い人たちに対しても、ピンチはチャンスであると、危機は飛躍につながるものだというような勇気と志を持って頑張っていただきたいと思っております。
 人生で大切なことは、失敗しないことではなく、この失敗を生かして次の成功に生かすことだと私は思っております。どうか若い方々、高い志と勇気と希望を持ってこれからも頑張っていっていただきたいと思っております。(拍手)
    ─────────────
○副議長(角田義一君) 岩本司君。
   〔岩本司君登壇、拍手〕
○岩本司君 福岡県選出の岩本司でございます。
 私は、民主党・新緑風会を代表いたしまして、国民の皆様に分かりやすい質問をさせていただきますので、どうか分かりやすい御答弁、よろしくお願いを申し上げます。
 小泉政権の進める構造改革の本質は、言わば弱肉強食政策であり、強い者をより一層富ませ、弱者をないがしろにする、勝ち組と負け組との二重構造社会を構築していく政策でしかあり得ません。この結果、日本人が古来より培ってきたまじめに地道に働く国民性が無視され、日本の文化や伝統は忘却のかなたへと送り去られようとしております。小さな政府の経済性を追求する余り、国民の安全、安心が犠牲にされております。
 構造改革というにしきの御旗の下、国民の生活実態や生活習慣、そして我が国の歴史や文化を顧みることなく、すべてにおいてアメリカ型の競争原理という理論のみでの政策を行っていることの行き詰まりが、頻発する公共交通の事故やトラブル、耐震偽装問題、またライブドアショックなどによる東京証券取引所のコンピューターシステム障害として警鐘を鳴らしているものと感じざるを得ません。
 まず、総理にお伺いいたします。
 母屋でおかゆを食っているのに離れ座敷ではすき焼きを食っているという、当時の塩川財務大臣の発言で有名になった官僚たちの隠し財布ともいうべき特別会計についてお尋ねいたします。
 私たち民主党は、無駄遣いの温床となっています特別会計に根本的にメスを入れ、既得権を温存しようとする省庁の体質を是正すべきであると考えます。
 政府は、去年の十二月、行政改革の重要方針を閣議決定し、今後五年間を目途に特別会計の見直しを完了すると宣言いたしました。しかし、この方針において、個々の特別会計の中で民営化すべきだと明示したものは一つもなく、統合すべきだとしたものについても所属官庁単位の統合から踏み出せず、数合わせ的な統合にとどまっております。選挙の前だけ改革改革、民営化民営化と言って、選挙が終わったらやったふりをしているだけではないでしょうか。お答えください。
 また、この方針で一般会計化すべきとされた特別会計は若干あるものの、港湾整備や治水、農業共済再保険など、一般会計の繰入れが大きい特別会計はその対象とはなっておりません。国会がしっかりとチェックでき、しかも国民から見て分かりやすい財政制度にするために、これらを一般会計に統合すべきではないですか。御所見をお伺いします。
 特に大きな争点となっています道路整備特別会計の道路特定財源の見直しについても、去年十二月七日に自民党さんがまとめた見直し案では、一般財源化を図ることを前提とすると明記はしたものの、具体案は今年六月にまとめるという完全な腰砕け、先送りにとどまっております。我々が提出した天下り禁止法案を否決し続けるわけですから、改革を止めるなと言っておいて、裏では天下りを止めるな、談合を止めるなと指示されているのでしょうか。
 今年六月には本当に最終結論を得ることができるのか。その中身として、最も明快な現行の暫定税率のまま一般財源化ということを決定できるのか、答弁を求めます。
 昨年の衆議院総選挙のときの自民党のマニフェストには、郵政法案以外の税制改革、年金改革、地方分権、外交などの重要な国政課題について、数値目標や達成期限などほとんど具体的な記述はありませんでした。
 中でも、定率減税の廃止は与党の総選挙マニフェストで全く触れてないものであり、国民生活を圧迫する大衆増税の強行であります。ようやく回復の軌道に乗ってきた日本経済に冷水を浴びせるだけでなく、公約違反そのものであります。
 また、定率減税は所得税の抜本的な見直しを行うまでの間と法律に定められており、抜本改革なしにこれを廃止することは明らかな法律違反であります。マニフェストと法律を犯す二重の違反と言わざるを得ません。定率減税廃止は絶対にこれを行わないと、小泉総理よりお約束いただきたい。
 また、谷垣財務大臣においては増税を明言されており、定率減税を廃止し、更に消費税を上げることは、日本経済をどん底に落としてしまう愚策になるものと断言いたします。
 現在、家庭の主婦は工夫を凝らし、夕飯の買物の時間帯をずらすなどして、三割、五割引きのシールが張ってある食料品を買うなどして家計のやりくりをしている現状を総理は御存じでしょうか。
 我々民主党は、増税の前にしっかりと歳出削減を行うことが国民に対しての大義であると考えます。自民党が示唆する増税論議は、自民党政権特有の税金の垂れ流し構造の象徴であると言えるのではないでしょうか。総理の御見解をお伺いいたします。
 次に総理にただしたいのは、国民が強い関心を持ってその決着の行方を見守っております耐震強度偽装問題でございます。
 この問題の本質はどこにあるのか。まず指摘しなければならないのは、規制緩和の一環として、建築確認申請を民間の指定確認機関にゆだねたことが本当に正しかったのかどうかということであります。この背景には、日本建築業界への参入を目指したアメリカの強い要求がありました。これはまさしく郵政民営化と同じ構造であります。
 総理、あなたは官から民へと小泉改革のスローガンを連呼してきましたが、安全まで民間任せにすることが果たして国民にとってプラスなのでしょうか。建築基準法の抜本改正をすべきではないですか。小泉総理及び北側国土交通大臣の答弁を求めます。
 第二に、この耐震強度偽装問題に政治家、とりわけ小泉総理、あなたの出身派閥である清和会、森派が深く関与していることが次第に明らかになりつつあります。極めてゆゆしき問題ではありませんか。いずれ、これらの関与に絡む疑惑は司直の手によって解明されることと期待しておりますが、事は重大であります。
 かつて国土庁長官まで務めた政治家で、自他ともに総理側近と認める伊藤公介議員が、事件の主役である建築主の会社社長から継続的に政治献金を受け、子息の会社に利益を供与し、その上、わざわざ役所まで同行して世話焼きをしているのです。政治家としては明らかに逸脱した行為だと思いますが、小泉総理の見解をお伺いいたします。
 また、さきの衆議院における証人喚問では、安倍官房長官の政策秘書の名前が出されました。官房長官にも御答弁を求めます。
 次に、政府開発援助、ODAの問題についてお尋ねします。
 小泉総理は、昨年、今後五年間でODAを約一兆二千億円増額すること、特に、アフリカに対するODAを三年間で倍増することを表明されております。
 しかし、私も、当選直後より行政監視委員会において、ODAの無駄遣いをなくすよう全力で取り組んでまいりました。国民の目線から見ますと、景気は全体として明るさが増しているとはいえ、地域や業種によって大きなばらつきが生じ、国民の生活は依然として苦しいものがあります。事実、毎年自殺者が三万人を超える状況にあり、平成十七年七月十九日の参院厚生労働委員会の自殺に関する総合対策の緊急かつ効果的な推進を求める決議では、自殺未遂者だけで三十万人という数字が示されております。恐らく、予測を超えた数の人々が自殺を考え、今日も生死を分けた苦しみにあえいでおられると思われます。
 何よりも、我が国の財政は大変厳しい状況下にあります。ODAは国民の血税で賄われるものであり、より効果的、効率的に執行されることが何よりも大切であります。また、ODAはできる限り我が国の国益に資するよう実施されるべきです。
 昨年、我が国は国連安保理の常任理事国入りを目指し、大変な外交努力を費やしました。しかし、我が国がODAを多年供与した国々のうち、いわゆるG4の枠組み決議案の共同提案国に名を連ねてくれた国は極めて少数にすぎませんでした。ODAの効用とは一体何なのかということを我が国はこの教訓から学ばなければなりません。
 また、一昨年のスマトラ沖大地震に際して、被害を受けたインドネシアなどに緊急援助を進めておりますが、災害の発生から一年経過しても援助額の七割が執行されていない状況にあります。これは、援助実施体制の欠陥をさらけ出したものであります。
 小泉総理に、ODAの改革、国益に資する戦略的なODAの進め方、援助実施体制の在り方について御認識をお伺いいたします。
 次に、コンピューター問題についてお伺いします。
 中央省庁、地方自治体では、十数年前からコンピューター化の流れに沿う形で業務の効率化を目指し、コンピューター企業とともにシステム化を進めてきております。その資産規模は三千三百億円、地方自治体では三兆一千六百八十億円と言われ、合計三兆四千九百八十億円という巨額な資産であります。政府関連予算の経費削減は、我々国会議員を含め、政府としても真摯に取り組むべき課題であると考えます。
 また、コンピューター本体、いわゆるハードウエアに関して、自民党の調査によると、年間十億円以上の経費を要する中央省庁の情報システムのうち、件数ベースで約半数、予算ベースで約八割の四十一システムがレガシーシステムであることを発表しております。レガシーとは過去の遺物といった意味で、コンピューターの場合、旧来からの大型計算機を中心としたシステムのことです。最近極めて高性能になってきたパソコンなどを利用するオープンシステムに比べてコストが高いという欠点があり、さらに、随意契約が取られ、競争原理が十分働いていないと言われております。
 そのときの報告によれば、巨大なシステムが長年にわたり非競争環境に置かれてきたこと、またその支出の大半がシステムの維持運営に費やされ、効率性に関する十分な検証がなきまま拡充されてきたことにあり、その結果、システム予算が戦略的IT投資に回らず、現場における技術革新や業務改革にも支障を来すところに問題の本質があるとされております。
 今後どのようにレガシーシステムをオープンシステムに置き換えていくのか、経済産業大臣にお伺いいたします。
 去年の暮れのイラクの連邦議会選挙の最終結果がようやく発表されました。しかし、依然として自爆テロなどが多発しております。
 去る十二月八日、国会を閉会したまま、政府はイラクへの自衛隊派遣の再延長を閣議決定いたしました。国会での議論を避け、民主党が再提出したイラク特措法廃止法案は審議もされませんでした。正に国会軽視、国会や国民に対する説明責任を放棄するものではないでしょうか。何か反論はございますか。
 イラク戦争は、アメリカが大量破壊兵器の存在を主張し、それを日本も信じて全面的に支持した経緯があります。しかし、最近になってアメリカでは、ブッシュ大統領までが大量破壊兵器がイラクに存在しなかったことを認め、国民に謝罪されました。
 私自身、開戦一か月前に現地イラクに赴き、調査を行い、またフセイン大統領顧問や国民議会議長と会談を持った際に、大量破壊兵器の保持に疑念を抱き、帰国後、委員会において、調査の延長を主張いたしましたが、政府は全く耳を傾けるどころか、世界に先駆けイラク攻撃を支持しました。にもかかわらず、総理は、今に至ってもアメリカの誤った情報を信じたことについて自らの非を全く認めようとはしません。ここには、日本が独自の情報収集能力を持つことを放棄し、アメリカの言いなりになるしかないと初めからあきらめるという情けない姿勢が現れております。
 改めてお聞きします。全く誤ったアメリカの情報を信じて、それを前提に行動したことに一点の反省の余地もないのか、お答えください。
 自衛隊は人道復興支援を理由に派遣されましたが、現在、陸上自衛隊が行っていた給水活動も終了しております。さらに、現地で自衛隊を守るイギリスやオーストラリア軍の撤退も報じられている中、政府は、国会や国民に対して明確な自衛隊の撤退の道筋を示しておりません。政府は、イラクからの撤退の道筋を直ちに国民の前に明らかにし、自衛隊を速やかに撤退させるべきだと考えますが、総理のお考えをお聞かせいただきたい。
 次に、乗り物の安全についてお伺いします。
 昨年は、四月二十五日のJR西日本福知山線の事故、十二月二十五日のJR東日本羽越線の事故と、大きな列車事故が相次ぎました。不幸にも昨日、JR伯備線にて痛ましい事故も起こりました。犠牲者やけがをされた方々、そしてその御家族の皆様に対して、心からお悔やみとお見舞いをここで申し述べさせていただきます。
 不安なのは列車事故だけではありません。航空トラブルも相次ぎました。
 そこでお尋ねします。
 政府は、これまでより軽微なトラブルについても国に報告するよう航空会社に義務付けるための航空法改正案を準備していると伝えられております。しかし、こうした行政への報告義務があるトラブルや事故については、報告者自身の処分へのおそれから報告が滞るケースがあると思われます。むしろ、正直に報告した場合の処分は軽くし、その情報を会社はもとより業界や行政までもが共有するようにした方が事故防止にはつながるのではないかと思いますが、いかがでございますか。
 また、現在の事故調査委員会の調査は、技術的側面に力点が偏っているものと考えます。まずは、事故の背後にある組織的な問題点の調査など、事故の再発防止に資する調査を行う必要があると思いますが、我が党においては事故調査委員会の見直しを行っております。総理のお考えはいかがですか。
 最後に、小泉総理の政治姿勢について一言申し上げさせていただきます。
 さきの衆議院解散直後の記者会見の中で、総理は自らを、天動説を押し付けようとする法王庁の権威に屈せず、科学的に正しい地動説を抱き続けたガリレオ・ガリレイに例え、自賛されました。しかし、私の意見では総理はガリレオには似ても似つきません。ガリレオが説いたのは地動説、すなわち動いているのは地球、そしてその上に立っている自分なのです。これに対して、総理の場合はその逆で、天上天下唯我独尊、動いているのは天、すなわちあらゆるものが自分を中心に回っているという天動説を信じられているようですが、実はその天動説の中心はブッシュ大統領なのではないでしょうか。
 我々民主党は、天動説でも地動説でもなく、国民を中心とした真の改革に全力で取り組んでまいりますことをお誓い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 岩本議員に答弁いたします。
 特別会計についてですが、今回の特別会計改革におきましては、今後五年を目途に特別会計の数を現行の二分の一から三分の一程度に大幅に削減し、明治二十三年の制度発足以来最小とするとともに、今後五年間において合計約二十兆円程度の財政健全化への貢献を目指すこととした踏み込んだ改革案を策定したところであります。
 このうち、特別会計の統合案については、資金の流れの透明性の確保、業務の効率化等の効果を確実に出すことなどの観点から個別具体的に十分な検討を行った結果であり、単なる数合わせ、場当たり的な改革との批判は当たらないと考えております。
 また、御指摘の一般会計への統合についても、特別会計で経理する必要性の薄れたものについては一般会計へ統合するとの考えに基づき、例えば登記特別会計について平成二十二年度末をもって統合することとするなど明確な方針を示したところであります。他方で、御指摘の特別会計については、地方の負担金や再保険料などを区分けして経理する必要性はないかなどについても議論が必要であり、一般会計からの繰入れの大小のみで一律に結論付けることは困難であると考えております。
 道路特定財源ですが、昨年、私は、財務、国土交通大臣に指示して、現行の税率水準を維持する、特定財源制度については、一般財源化を図ることを前提とし、来年の歳出歳入一体改革の議論の中で納税者に対して十分な説明を行い、その理解を得つつ具体案を得ること等を内容とする基本方針を取りまとめたところであり、今後、この基本方針に基づき見直しを進めてまいります。
 定率減税でございますが、景気対策としての定率減税を経済状況等を踏まえ見直していくとの道筋については、これまでの与党税制改正大綱等に既に示されております。定率減税については、その方針に沿って平成十七年度税制改正において縮減し、更に今回廃止することとしたところであり、公約違反との指摘は当たらないと考えております。
 また、個人所得課税の抜本的見直しについては、近年の税制改正において個人所得課税の基本的枠組みである人的控除を見直すとともに、十八年度改正において個人住民税の税率を一〇%にフラット化するなどの税率構造の見直しを進めることとしており、これらを踏まえ、今般定率減税を廃止することは負担軽減法の趣旨に沿ったものであり、法律違反との指摘は当たらないと考えております。
 税制改革についてですが、私は、膨大な債務残高を抱え、また今後、少子高齢化が進み、社会保障に係る経費も増えてくることが見込まれるという厳しい財政事情の下では、歳出削減だけでは財政再建は困難であり、多くの方々に御負担をお願いしなければならないことも出てくると考えております。税制改正の議論は大いに今後も進めるべきであると考えております。
 しかし、税制の問題など経済財政政策を考える場合には、御指摘のような経済社会の実情をよく考慮すべきことは当然であります。何よりも、徹底して無駄を排除し、負担を軽くしていくような努力が必要だと思っております。
 今後とも徹底した行財政改革を行ってまいりますが、さらに、持続的な経済社会の活性化を実現していく上で財政がその足かせにならないようにするため、将来に向けた財政健全化の道筋を示していくことが大きな課題であると思います。
 政府としては、本年六月を目途に、歳出歳入を一体とした財政構造改革の方向についての選択肢及び改革工程を明らかにすることとしております。税制についても、公正で活力ある社会にふさわしい税制の実現に向け、消費税、所得税、法人税、資産税など、税体系全体の改革について国民的な議論を深めてまいりたいと思います。
 耐震強度偽装問題ですが、建築確認検査制度の民間開放については、阪神・淡路大震災を教訓として制度の充実、効率化を図るため、平成十年から地方公共団体が行ってきた確認検査事務について、必要な審査能力を有する公正中立な民間の機関においても行うことができることとしたものであります。
 民間開放の進展により違反建築物件数が大幅に減少するなど制度の実効性が確実に向上しており、民間にできることは民間にという方向は、私は間違っていないと思っております。
 しかし、今回、民間検査機関のみならず、地方公共団体でも書類の偽装を見抜くことができなかったことから、建築確認検査制度そのものの見直しが必要と考え、現在、その総点検を行うとともに、再発の防止に向けた制度改正を検討しているところであります。
 見直しに当たっては、民間検査機関に対する指導監督の強化など、早急に対応が必要なものについて、今国会において建築基準法等の改正を行うことといたします。
 伊藤議員についてですが、具体的に伊藤議員がどのような行為をしたのか等については私は承知しておりませんが、行政側がその判断等に当たって不当な影響を受けたことはないと聞いております。
 伊藤議員は既に自ら記者会見を開き、自らの行動について説明しているようでありますが、いずれにしても、政治家たる者、自らの政治活動については国民に自ら明らかにしていくことが大切であると考えております。
 ODAの改革ですが、ODAが効果的、効率的に執行されるべきことは当然であり、引き続きコスト削減やチェック体制の強化等のODA改革に取り組んでいく考えであります。
 ODAの効果は、短期的な視点のみならず、国際社会における我が国の高い信頼と評価といった中長期的視点も含め、総合的に考えられるべきものと思います。政府としては、今後、ODAの戦略性をこれまで以上に高め、国益に資するODAの供与に努めてまいります。
 なお、スマトラ沖地震被害への支援については、既に供与額全額の使途が確定しており、現在、成果を上げつつ着実に実施中であります。未曾有の損害を受けた被災国は復旧を行う上で多大な困難に直面しましたが、我が国の支援は現地においても高く評価されていると認識しております。
 イラクへの自衛隊派遣の再延長でありますが、国会閉会中に自衛隊の派遣期間を延長したのは、期限である昨年十二月十四日の直前まで情勢を見極めて判断を行った結果であります。
 米英等によるイラク武力行使への我が国の対応でございますが、イラクは、十二年間にわたり累次の国連安保理決議に違反し続け、国際社会が与えた平和的解決の機会を生かそうとせず、最後まで国際社会の真摯な努力にこたえようとしませんでした。このような認識の下で、我が国は、安保理決議に基づき取られた行動を支持したのであり、これは正しい決定であったと現在でも考えております。
 自衛隊の活動終了についてですが、イラクでは昨年十二月十五日に実施された国民議会選挙を受け、新政府樹立に向けて極めて重要な時期にあり、自衛隊の活動の終了について現在判断するというような状況にはありません。
 政府としては、今後の自衛隊の活動については、イラクにおける政治プロセスの進展の状況、現地の治安に係る状況、英国軍及びオーストラリア軍を始めとする多国籍軍の活動状況及び構成の変化など、様々な事情をよく見極めつつ、現地の復興の進展状況等を勘案して、適切かつ主体的に判断してまいります。
 航空トラブルの件でございますが、航空輸送の安全を確保するためには、トラブルを含む航空の安全に関する情報を行政、航空会社、また利用者において共有し、万が一にも事故に至ることのないよう有効に活用していくことが重要であります。そのために、こうした情報を広く収集し、共有するための仕組みについて、御指摘の点もよく参考にしながら検討してまいりたいと考えます。
 事故調査委員会の見直しでございますが、事故調査委員会の事故調査は、技術的側面や人的側面の両面から多角的に行うことがもとより重要であり、JR福知山線事故を始めとして、これまでも事故の背後にある要因を含めた総合的な観点から事故の再発防止に資する調査を進めているところであります。
 政府としては、引き続き事故調査体制の強化を図り、的確な事故調査を実施してまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣北側一雄君登壇、拍手〕
○国務大臣(北側一雄君) 建築基準法の改正についてお尋ねがございました。
 先ほど総理の方から答弁をしたとおりでございますが、平成十年の建築基準法改正は、地方公共団体が行ってきた建築確認検査事務について、新たに必要な審査能力を有する公正中立な民間機関も行うことができることとしたものでございます。
 民間開放が進展をいたしまして、現在、民間の指定確認検査機関は百二十三機関ございます。平成十六年の数値でございますが、建築確認数が約七十五万件ございますが、そのうち特定行政庁の建築主事が行ったものが約三十三万件、指定確認検査機関が行ったものが約四十二万件、全体の約六割を民間で実施をしているという状況でございます。
 こうした進展によりまして、建物完成後の完了検査率が平成十年当時は三八%でございましたが、平成十六年には七三%と倍増をいたしました。また、違反の建築物件数も平成十年当時に比べまして大幅に減少するなど、制度の実効性は上がっているというふうに考えておりまして、民間にできることは民間にという方向は間違っていないものと考えております。
 しかしながら、今回、一部の地方公共団体や指定確認検査機関において偽装が見過ごされたことは誠に遺憾でございます。建築確認検査制度そのものの見直しが必要と考えております。
 このため、国土交通省におきましては、指定確認検査機関等の点検結果や、省内に設置しました構造計算書偽装問題に関する緊急調査委員会での行政対応の検証等を踏まえ、社会資本整備審議会において制度の見直しについて現在審議をいただいておるところでございまして、二月の下旬までに中間報告を取りまとめていただくこととしております。この報告を踏まえまして、構造計算書等の審査の徹底、指定確認検査機関に対する指導監督の強化など、早急に対応が必要なものについては今国会において建築基準法等の改正を行う方針でございます。(拍手)
   〔国務大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○国務大臣(安倍晋三君) 岩本議員にお答えします。
 耐震強度偽装問題に関連してお尋ねがございました。
 私自身、小嶋氏との面識は全くなく、また私の秘書も、国土交通省への働き掛けを含め、問題となるような対応は一切しておりません。また、国土交通省においても、幹部からの聞き取りの結果、私の秘書からの働き掛けは一切なかった旨、既に明らかにしているというふうに承知をしております。
 このような、事実に反して、あたかも私の秘書が不正な行為を行った疑いがあるかのような扱いがなされることは極めて遺憾であります。(拍手)
   〔国務大臣二階俊博君登壇、拍手〕
○国務大臣(二階俊博君) 岩本議員にお答えをいたします。
 政府のレガシーシステムについてのお尋ねでありましたが、レガシーシステムは、多額の維持費、その改修や運用のために特定企業への依存等の問題が、議員御指摘のとおり、与党からも提言を受けておりました。したがいまして、この際、業務改革に合わせて、仕様が公開された汎用的なハードウエアやソフトウエアで構成されるオープンシステムへの改良に積極的に取り組んでまいります。
 具体的には、各省庁ごとにレガシーシステム見直しのための行動計画を策定し、業務の見直しやオープンシステムへの移行計画を定め、その調達に際しても随意契約から競争入札に移行させることとしております。
 経済産業省のレガシーシステムとしては、特許事務システムが該当いたします。平成十八年度から五か年掛けて、経費削減をもたらす新たなオープンシステムの開発を含め、改良に取り組んでまいります。(拍手)
    ─────────────
○副議長(角田義一君) 市田忠義君。
   〔市田忠義君登壇、拍手〕
○市田忠義君 私は、日本共産党を代表して、小泉総理に質問をいたします。
 小泉内閣が発足して四年九か月、自民党政治の危機と行き詰まりは、外交でも内政でもかつてない深刻な段階を迎えています。
 まず、外交の問題であります。靖国問題に絞ってお聞きします。
 小泉総理の下で、日本外交の孤立と破綻は一段と深刻になりました。その原因は、総理が靖国神社への参拝を五年連続強行したことにあります。内外からの批判に対してあなたは、心の問題であり、批判するのは理解できないと言いました。しかし、今問われているのは首相の心ではありません。参拝という行為そのものであり、それが客観的に持っている政治的意味であります。
 靖国神社の歴史観、戦争観、それは過去の日本の侵略戦争をアジア解放の正義の戦争として正当化するという立場であります。総理の靖国参拝は、これに日本政府が公認のお墨付きを与えることになる、そういう行動が今日の世界において許されるか、ここに問題の核心があります。
 戦後の国際秩序は、かつて日本、ドイツ、イタリアが行った戦争が犯罪的な侵略戦争であったという共通の認識に立ち、二度とこうした戦争を許さないという決意の上に成り立っています。だからこそ、中国や韓国だけでなく、小泉総理が頼みとするアメリカからも、総理の靖国参拝への懸念と批判が公然と寄せられたのであります。
 ブッシュ大統領は、対日戦勝六十周年の記念演説の中で、アジア解放のための戦争という侵略戦争正当化論を厳しく批判しました。首相の連続参拝に当たって、米下院の外交委員長からは、駐米日本大使あてに遺憾の意を伝える書簡が送られてきました。あなたがどう言い繕おうとも、これは明白な客観的事実であります。それが理解できないと言うのなら、国際政治に参加する資格すら問われることになるではありませんか。
 総理は、国会での我が党の追及に対して、靖国神社の考えと政府の考えは違うと答弁されました。それが本心なら、日本外交を立て直すためにも、そのことを行動で示すべきではありませんか。
 次に、内政についてであります。
 小泉内閣が推進してきた構造改革路線、規制緩和万能路線は日本社会をどう変えたか。総理が言う自信と誇りに満ちた社会どころか、不安に満ちたモラルなき社会、ルールなき社会になったというのが多くの国民の実感であります。そのことを象徴的に示したのが、最近起こったライブドア事件と耐震強度偽装事件であります。
 自らの著書で、人の心はお金で買える、人間を動かすのはお金と豪語し、その言葉どおりにルールを踏みにじってうその情報を流し、粉飾決算を行った疑いが持たれているライブドアの堀江氏。安倍官房長官が、堀江さんが仕事で成功してきたというのは小泉さんの改革の成果、規制緩和の成果と言い、竹中総務大臣は、自民党の要請で選挙の応援に行き、小泉首相、ホリエモン、私がスクラムを組みますとまで言いました。文字どおり弱肉強食の小泉政治の申し子でした。
 彼らが駆使した株式分割や株式交換などの金が金を生む手口は、商法改正などによって与えられました。モラルとルール破壊を促進するとともに、堀江氏を天まで持ち上げ、国政にまで関与させようとした責任を総理はどのように感じておられますか。何の責任も一切ないと考えておられるのか。堀江氏の問題と選挙での応援は別だなどとごまかさないで、はっきりとお答えください。
 次に、耐震強度偽装事件についてであります。
 事件に直接かかわったゼネコン、建築士、検査機関など関係者の責任が重大であることは言うまでもありません。しかし、問題の根底には、九八年の建築基準法改悪で、建築確認という国民の命にかかわる重大な仕事を民間任せにしてしまった規制緩和があったことは明白であります。そして、そのことが、客を増やすためには検査を甘く、ばれなければ何をやっても構わないというモラルの退廃まで引き起こしたのであります。民間でやれることは民間でという掛け声で、国民の命と安全までないがしろにしてきた小泉内閣の責任をあなたはどう考えておられますか。
 今、被害者救済と再発防止の対策が緊急に求められています。被害者救済のためには、ヒューザーなど関係者の第一義的責任は当然であります。同時に、住宅ローンを貸し付けた金融機関、ゼネコン、ディベロッパーなど不動産業界の負担と協力で被害者の負担を軽減する。その際、不足する費用については政府が補償する。耐震診断、改修への助成制度を改善、拡充し、希望するどのマンションでも耐震診断、改修が行えるようにする。再発防止のために、建築基準法の抜本的見直し、建築士が建築主や施工主の言いなりにならないよう建築士法などを改正する。民間任せの検査確認体制を見直し、行政が検査確認業務に実質的な責任を負えるよう体制を強化する。
 私は、少なくとも以上述べた措置は直ちに講じられるべきだと考えますが、総理、いかがですか。
 金の亡者がばっこする一方、法律で禁止されていた派遣や請負などを大幅に認めた労働法制の規制緩和がこの間相次いで強行されました。そのために正社員の道を奪われ、派遣や請負、パート、アルバイトという不安定で低賃金、極めて劣悪な労働条件を押し付けられている国民が激増しています。今や労働者派遣会社は一万六千八百社、二百三十六万人、非正規雇用は働く人の実に三人に一人、若者の二人に一人に達しています。その平均年収は、民間研究機関の調査によると、わずか百三十三万円という驚くべき低さであります。これでも総理は格差はないとおっしゃるのですか。
 労働の規制緩和による非正規雇用の増大は、今働く人々を苦しめているだけではありません。日本の将来をも危うくしています。それは、技能の継承を困難にしているとともに、少子化の大きな原因の一つにもなっているからであります。
 労働政策研究・研修機構の調査によると、結婚している男性の割合は、正社員の場合は三四・七%なのに、非正規雇用者は一四・八%と半分にも至りません。収入で見ると、二十五歳から二十九歳までの男性の場合、年収一千万円以上の人は七割に達していますが、四百万円台では四三・九%、非正規労働者の平均年収に近い百四十九万円以下では一五・三%でしかありません。子供を産み育てるどころか、経済的理由で結婚すらできないという異常な事態が広がっています。
 日本社会の前途を真剣に考えるなら、いっときも放置できない問題であります。規制緩和万能路線を脱して、大企業のわがまま勝手なリストラ、野放しの派遣や請負を厳しく規制し、すべての人が人間として正当に扱われる安定した雇用をつくり出すために、政府が先頭に立つ。これこそ緊急の、抜き差しならない課題だとは考えませんか。
 小泉内閣が推し進めてきた構造改革が日本社会をどれだけゆがんだものにしてきたか。今述べたのはその一端にすぎません。ルールなき資本主義、極端な大企業中心主義が、貧困と社会的格差の新たな広がり、庶民増税と社会保障の連続改悪、少子化の進行など、日本経済と国民生活の矛盾をあらゆる分野で深刻にしています。それは人間がともに支え合う社会のありようを否定し、弱肉強食の寒々とした社会をつくり出しつつあります。
 日本共産党は、人間らしい暮らしの基盤を破壊する攻撃に対して社会的連帯と社会的反撃をもってこたえる、その闘いの先頭に立って奮闘する決意を述べて、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 市田議員に答弁いたします。
 私の靖国参拝、また大戦に関する国際社会の認識についてでございますが、私は幾度も答弁しておりますように、靖国神社に参拝するのは、戦争の反省を踏まえて二度と戦争を起こしてはならないと、そして戦没者に対する哀悼の念を表すると、現在の社会というのは我々生きている人間だけで成り立っているものじゃないと、尊い先人の犠牲の上に成り立っているということを常に忘れてはならないということから靖国神社に参拝しているのであって、私の参拝が、靖国神社がどのような主張を持っているか、それと一致しているかということとは別の問題であります。
 この靖国神社参拝に対して国際社会がどう認識しているかということでありますが、私は、日本におきましても、他の人を、国会議員等を誘って靖国神社に参拝したことは一度もありません。これは、内閣総理大臣である小泉純一郎が参拝しておりますけれども、小泉純一郎も一人の人間であります。心の問題、精神の自由はこれを侵してはならないというのは日本国憲法でも認めております。
 こういうことから、国際社会が批判していると言っておりますけれども、批判しているのは中国と韓国だけです。どこの国の首相も私の靖国神社参拝に批判したことは一度もありません。現在でも批判しておりません。ブッシュ大統領が批判していると言っていますが、ブッシュ大統領も批判したことは一度もありません。
 戦後日本の歩みはどうかと、正にあの戦争を、敗戦を反省して今日平和のうちに発展してきた。二度と戦争を起こしてはならないという反省を踏まえて多くの人たちが、国民が努力したからこそ、今日豊かな社会を築くことができたんじゃないでしょうか。正に、戦争の反省を踏まえて行動で反省を示してきたのが戦後六十年間の日本社会の、日本国民の姿であると私は思っております。
 堀江氏の件でありますが、堀江氏については、現在、捜査当局による捜査が行われているところであり、その状況を見守っていきたいと思います。この件と昨年の衆議院選挙において自民党幹部などが堀江氏を応援したこととは別の問題であると考えます。新しい時代に様々な人がチャレンジすることは大事なことですが、いかなる場合であっても法律を守ることが大前提であります。違法行為があれば、これに厳正に対処すべきことは当然であります。
 九八年の建築基準法改正についてですが、建築確認検査制度の民間開放については、阪神・淡路大震災を教訓として制度の充実、効率化を図るため、平成十年から、地方公共団体が行ってきた確認検査事務について、必要な審査能力を有する公正中立な民間の機関においても行うことができるとしたものであります。
 民間開放の進展により違反建築物件数が大幅に減少するなど制度の実効性が確実に向上しており、民間にできることは民間にという方向が間違っているとは思っておりません。
 しかし、今回、民間検査機関のみならず、地方公共団体でも書類の偽装を見抜くことができなかったことから、建築確認検査制度そのものの見直しが必要と考え、現在、その総点検を行うとともに、再発の防止に向けた制度改正を検討しているところであります。
 偽装マンションの被害者に対する支援措置についてですが、危険な分譲マンションの居住者について、その安全と居住の安定を確保することは緊急に取り組むべき最優先の課題であります。
 売主である建築主が契約上の責任を誠実に履行する見通しが全く立っていない現状では、売主に対する徹底した責任追及を前提に、類似の財政措置との均衡にも配慮した上で、居住者に対する公的な支援を行う必要があるものと考えております。
 住宅ローンについては、住宅金融公庫が返済困難者に対する対策を講ずるとともに、全国銀行協会等において、債務者に対する真摯な対応に努める旨、申合せを行ったと聞いております。
 さらに、税負担の軽減策を講じるとともに、既存の法律に基づく地域住宅交付金を活用し、地方公共団体に対し国が助成を行って、相談、移転から除却、建て替えに至る総合的な支援措置を講ずることとしております。なお、この支援措置は補償として実施するものではありません。
 また、建築物の耐震診断及び耐震改修に対する支援措置を拡充して、地方公共団体が様々な要望に応じて耐震化を促進できるよう支援してまいります。
 再発防止策についてですが、再発防止に向けて、現在、民間検査機関や地方公共団体の確認検査事務について偽装を見抜けなかった実態の把握を早急に行っております。これに併せ、建築基準法や建築士法などの制度について、構造計算書等の審査の徹底や民間検査機関に対する指導監督の強化、危険な建築物の設計者等に対する罰則の強化などの観点から再発防止のための見直しを行っているところであり、早急に対応が必要なものについて今国会において法律の改正を行うこととしております。
 労働法制の規制緩和についてでございますが、パートや派遣などの増加については、経済産業構造の変化や価値観の多様化などにより、企業や労働者が多様な働き方を求めるようになっていることなどが背景にあると考えております。労働者派遣法など労働法制に関する規制改革は、労働者の保護にも留意しつつ、雇用機会の確保、派遣先での直接雇用の実現など、雇用面において一定の効果を上げてきております。
 一方で、御指摘の所得や資産の格差の問題については、予算、税制、規制改革などの検討に当たってはよく注視していく必要があると考えております。
 この点について、近年、ジニ係数の拡大に見られるように所得の格差が広がっているとの指摘がありますが、統計データからは、所得再分配の効果や高齢者世帯の増加、世帯人員の減少といった世帯構造の変化の影響を考慮すると所得格差の拡大は確認されない、また、資産の格差についても明確な格差の拡大は確認されないとの報告を受けております。
 他方で、将来の格差拡大につながるおそれがあるフリーター、ニート等、若年層の非正規化や未就業の増加などの動きには今後とも注意が必要だと思います。このため、ジョブカフェやハローワークによるきめ細かな就職支援などを行うフリーター二十万人常用雇用化プランについて、平成十八年度から目標を二十五万人に引き上げ、充実強化を図ってまいります。
 また、パートタイム労働者と正社員との均衡処遇を確保することは重要な課題であると認識しており、均衡処遇に取り組む事業主への支援の強化や、公正な処遇が確保される短時間正社員制度の普及など、だれもが安心して働くことができるような労働環境の整備を進めてまいります。(拍手)
    ─────────────
○副議長(角田義一君) 福島みずほ君。
   〔福島みずほ君登壇、拍手〕
○福島みずほ君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、小泉首相に対して質問をいたします。
 まずは、豪雪によって亡くなられた皆様に哀悼の意を表すとともに、今もなお雪の中で苦労されている皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 さて、政治は何のためにあるのか、だれのためにあるのか、今このことが問われています。
 ライブドアの堀江さんが逮捕されました。堀江さんは著書の中で、人の心はお金で買える、女はお金に付いてきますと書いていました。また、選挙のときには、公的年金はなくなってもいいと話しています。竹中大臣が、郵政民営化、小さな政府づくりは、小泉純一郎、ホリエモン、竹中平蔵でスクラムを組んでやり遂げると語ったように、堀江さんは、金持ちの金持ちによる金持ちのための政治である小泉政治の象徴でした。そして、自民党は衆議院選挙でその堀江さんを全面的にバックアップし、武部幹事長は彼を、堀江君は将来の日本を背負っていくリーダーになる方だ、私は大いに応援したいともてはやしたのです。
 社民党は、衆議院議員選挙のときも、勝ち組のための政治では人は生きられない、国民を見ずして改革なし、改革の方向が間違っていると批判してきました。
 私たちの暮らしは、保育、医療、介護、福祉、交通など様々な公共サービスによって支えられています。そして、これらの公共サービスは、小泉政権の官から民へ、小さな政府のスローガンの下、年金、介護、障害者福祉、医療と、どんどん切り捨てられていっています。小泉首相、武部幹事長は、今回の逮捕について、別の問題であるとしらを切っていますが、そうでしょうか。自民党があおり立てたものは何だったのか。道義的な責任があると考えますが、いかがですか。
 また、勝ち組のための政治は、私たちの暮らしの根本である働くことを壊しています。小泉首相は、労働者派遣事業法の改悪を行い、ほとんどの業種で派遣労働が可能となりました。首相は、格差は拡大していないとジニ係数を挙げていますが、平成十四年のデータで古いものです。ここ数年で格差は拡大をしているのです。小泉政権下で非正規雇用の労働者数は約五百万人増加し、年収二百万円以下の世帯が五世帯に一世帯、暮らしの実感からも格差は拡大をしています。この格差拡大社会は、天然現象、自然現象ではありません。小泉自民党政治は、チャップリンの言った夢と希望とサムマネーをたたき壊しています。格差拡大社会をつくっていることをどう考えますか。
 社民党は、働く人たちと非正規雇用フォーラムをつくり、同一価値労働同一賃金の立法化をしなければ労働条件の改善はあり得ないと取り組んできました。雇用の破壊を続ければ、暮らしは成り立たず、少子化はますます進んでいきます。ヨーロッパの多くの国々のように、パート・有期契約法など、労働法制の規制強化が不可欠だと考えますが、いかがですか。
 小泉改革が目指した利益がすべての市場万能主義、自由競争原理の強化が耐震構造偽装の問題やライブドアの問題を生み出してきたのです。私たちの危惧は的中をしました。その政治の対極にあるのが社民党の掲げる社会民主主義です。競争にあって公正を確保し、社会保障を充実させ、だれもが希望を持って生きられる社会、お互いに支え、大事にし合う社会をつくるためにこそ政治はあるのです。
 今、格差社会の是正、所得の再分配のためには、税制と社会保障が重要です。社民党は、税制について、消費税の値上げではなく、累進課税の最高税率と法人税を少なくとも一九九九年以前の段階に戻すことで二・三兆円増収になることを提案していますが、いかがですか。
 今国会では、医療の改悪法案が提出される予定です。改悪法案では、お金のない人は病院に来るなと言っているようなものではないですか。所得の格差は健康の格差につながっています。命の問題です。医療について国民の負担増は行うべきではないと考えますが、いかがですか。
 小泉首相、あなたは、日本の国民のための政治ではなく、アメリカだけを向いた政治を行っているのではありませんか。
 まず、命を大事にしないBSE問題です。
 米国産牛肉の輸入再開に当たって、政府は、輸入再開を決めた十二月十二日の後となる十三日から査察を行っています。しかも、特定危険部位除去の確認をしておりません。このようなずさんな政府の査察は全く意味がありません。日本政府がいかに輸入再開を優先させ、国民の命を無視したのかが問われます。私は愛国者です。日本人の命をアメリカに売り渡した政府の対応を許せません。
 首相、なぜ査察を輸入再開決定後に行ったんですか。また、この査察がずさんだったことを認めますか。輸入再開をすべきではないと考えますが、いかがですか。
 また、在日米軍基地の再編問題についてお聞きをします。
 三月末に最終報告を出す予定と言っていますが、すべての地元自治体が反対をしています。どうするつもりですか。
   〔副議長退席、議長着席〕
 そして、横須賀港がアメリカ原子力空母の母港になることにも反対です。東京湾にできの悪い原子力発電所がぷかぷか浮かんでいるようなものです。日本政府は、原子力空母の中を査察できるのですか。事故はないと言い切れるのですか。このような危険なものを母港化することはやめるべきです。いかがですか。
 また、米軍基地再編問題では、普天間飛行場の代替地のために特措法がまた作られるのではないかという不安が広がっています。このような特措法が作られたら、これまで作ってきた地方分権への流れは根こそぎ崩されてしまいます。首相、沖縄の問題で特措法は作らないと、ここで明言をしてください。
 基地周辺の人々は、これまで多くの負担を強いられてきました。基地周辺の爆音問題は解決されていません。また、神奈川横須賀での強盗殺人事件、八王子での小学生ひき逃げ事件、沖縄F15戦闘機の墜落と、米軍兵士の事件が多発をしています。米軍基地があるゆえの問題ではないですか。事件は減るどころか増えていることをどう考えますか。また、日米地位協定の改定が不可欠だと考えますが、いかがですか。
 さて、今の政治は女性を応援していません。育児も家事も働くことも、女性たちの肩に重くのし掛かっています。また、働く場でも、女性が一般職やパートの仕事に偏っているなど、間接差別を受けている環境も変わりません。女性差別撤廃委員会から勧告されているように、間接差別の撤廃やシングルマザーへの支援などを含め積極的に対処すべきだと考えますが、いかがですか。
 女性たちが生き生きと暮らすための改革として、選択的夫婦別姓の導入や国連子どもの権利委員会などから何度も廃止を勧告されている婚外子差別について民法改正を行うべきだと考えますが、いかがですか。
 次に、共謀罪です。犯罪の予備ですらなく共謀のみによって処罰をする法案が継続審議となっています。共謀が目くばせだけでも成立するというのが政府の答弁であり、このような法律は近代刑法を壊すもので大問題だと考えますが、いかがですか。
 最後に、この国の政治が変わり、憲法が変えられようとしています。小さな政府小さな政府と言いながら、なぜ大きな軍隊を持とうとするのですか。二度と戦争をしないと定めた憲法九条は、さきの大戦で亡くなった多くの尊い命の犠牲の上に得たものです。だからこそ憲法九条は、アジアに対する、世界に対する公約なのです。
 今、首相の靖国参拝のため、日中韓において首脳会談が開けない異常な状況が続いています。首相は、靖国参拝をやめ、憲法を守り、アジアの人たちとの共生をこそ進めるべきです。いかがですか。
 今こそ、政治を変えるべきときです。社民党は、平和を願う人たちとともにありたい。働く人たちとともにありたい。生活に困難を感じ、将来に希望を持てない人たちとともにありたい。人間を粗末にする政治ではなく、普通の人が働き続け、普通の人が生きられる社会をつくる政治、人間を大事にする政治を元祖格差社会是正の政党の社民党として全力でつくっていくことをお約束申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 福島議員にお答えいたします。
 堀江氏の件についてでございますが、現在捜査当局による捜査が行われているところであり、その状況を見守っていきたいと思います。この件と昨年の衆議院総選挙において自民党幹部などが応援したこととは別の問題であると考えております。新しい時代に様々な人がチャレンジすることは大事なことでありますが、いかなる場合であっても法律を守ることが大前提であります。違法行為があれば、これに厳正に対処すべきことは当然であります。
 格差拡大社会についてでありますが、所得や資産の格差の問題については、予算、税制、規制改革などの検討に当たってはよく注視していく必要があると考えます。
 この点について、近年、ジニ係数の拡大に見られるように所得の格差が広がっているとの指摘がありますが、統計データからは、所得再分配の効果や高齢者世帯の増加、世帯人員の減少といった世帯構造の変化の影響を考慮すると所得格差の拡大は確認されない、また、資産の格差についても明確な格差の拡大は確認されないとの報告を受けております。
 しかし、将来の格差拡大につながるおそれのあるフリーター、ニート等、若年層の非正規化や未就業の増加、生活保護受給者の増加、また東京などの都市と地方の格差といった最近の動きには注意が必要であります。このため、政府としては、これまでニート、フリーター、生活保護受給者の自立支援対策の充実や地方の再生を進めております。
 引き続き、景気の回復を図るとともに改革を進めて、地域や国民の多くが持っている潜在力が発揮されるように努力していきたいと思っております。
 労働法制の規制強化でございますが、パートタイム労働者の処遇については、正社員との均衡処遇に取り組む事業主への支援の強化や、公正な処遇が確保される短時間正社員制度の普及など、だれもが安心して働くことができる労働環境の整備を進めてまいります。なお、同一労働同一賃金を確保するために法規制を強化することについては、労使を含めた国民的な合意形成を図りつつ対応していくことが必要と考えます。
 また、労働契約の在り方については、就業形態の多様化、個別労働関係紛争の増加等の状況を踏まえつつ、労使双方の意見を参考にしながら検討を進めているところであります。
 税制による所得再分配でございますが、所得課税の最高税率の引下げ及び法人課税の実効税率の引下げは、勤労意欲への配慮や国際化の進展といった構造変化へ対応する観点から行われたものであります。今後、公正で活力ある社会にふさわしい税制の実現に向け、税体系全体の抜本改革を総合的に論議する中で、税制全体として国民にどのような税負担を求めることが適当かといった観点から、消費税、所得税、法人税、資産税など各税の果たすべき役割や構造についても幅広く議論していく必要があると考えます。
 医療に関してでございますが、高齢化に伴う医療費の増加が見込まれる中、国民皆保険の下、給付と負担の均衡を図り、将来にわたり持続可能な医療保険制度を構築していくことが必要であります。
 今般の改革におきましては、現役並みの所得を有する高齢者の患者負担について、負担の均衡の観点から、現役世代と同じ三割負担とするなどの見直しを行うとともに、国民負担の軽減を図り、医療提供側にも応分の負担をしていただく観点から、平成十八年度診療報酬改定についておおむね三・二%のマイナス改定を行うこととしております。低所得者につきましては、こうした見直し後も自己負担限度額を据え置くなど十分な配慮を行っていくこととしており、必要な医療まで抑制されることはないと考えています。
 米国産輸入牛肉についてですが、昨年末の米国産牛肉の輸入再開は、食品安全委員会において科学的な議論を尽くし、国民の意見も聴取した上で取りまとめられた答申を踏まえて決定されたものであります。日米間で合意したルールは、輸出国である米国政府の責任でその遵守が確保されるべきものであり、査察は、このルールが的確に機能しているのか確認するため輸入再開後に実施したものであります。
 米国産牛肉の輸入手続を再開するためには、日米間で合意したルールの遵守が必要であり、二度とこうしたことが起きることのないよう国民に食の安全、安心を大前提に米国に対し原因究明と再発防止を求めております。
 在日米軍の兵力態勢再編については、地元公共団体を含め、国民の理解なくして実行することは困難であります。このため、関係閣僚などが関係自治体を訪問し、その内容や方向性について誠心誠意御説明しているところであります。今後、三月の具体案の取りまとめに向けて、地元の御理解を得ながら、日米協議を加速してまいります。
 キャンプ座間の問題についてでございますが、昨年十月の在日米軍の兵力態勢再編についての共同発表では、キャンプ座間の在日米陸軍司令部は改編されることとされていますが、その中核的な任務は日本国の防衛及び極東の平和と安全の維持となります。これは、日米安保条約第六条の規定する施設・区域の使用目的に合致したものであります。
 原子力空母についてですが、軍艦については軍事機密の制約がありますが、いずれにせよ、政府としては、米国政府による安全性の保証や安全運航の実績を踏まえ、米国の原子力軍艦の安全性は確保されていると判断しております。
 普天間飛行場についてですが、在日米軍の兵力態勢再編について、関係閣僚以下が実際に現地を訪問し、その内容や方向性について誠心誠意説明しているところでありますし、特措法について現在の状況において、御指摘のような法案を検討しているということはありません。
 日米地位協定についてでございますが、米軍にかかわる事件の発生は極めて遺憾であり、政府としてアメリカ側に対して、綱紀粛正、再発防止措置を強く求めております。政府としては、今後ともアメリカ側に徹底した対応を求めてまいります。
 日米地位協定については、その時々の問題について運用の改善により機敏に対応していくことが合理的であるとの考えの下、運用の改善に努力しております。例えば、先日も、起訴前の容疑者の身柄引渡しが日本側要請後直ちに実現するなど、種々の分野で改善例を積み重ねております。
 シングルマザーについてでございますが、女性が性別により差別されることなく、また家庭を持ちながらでも働きやすい社会環境をつくることは極めて重要であります。政府としては、間接差別を含む性差別禁止の範囲の拡大などを内容とする男女雇用機会均等法の改正法案を今国会へ提出することとしています。また、一人親家庭に対する子育て・生活支援策や就業支援策などを進めることにより、男女がともに個性と能力を発揮できる社会の実現を目指してまいります。
 選択的夫婦別姓制度、婚外子差別についてですが、これらの民法改正の問題については、婚姻制度や家族の在り方と関連してこれまでも様々な議論が行われてきたと承知しております。国民の意識動向を踏まえつつ、与野党間でよく協議していただきたいと考えております。(拍手)
○議長(扇千景君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
○議長(扇千景君) 日程第二 国務大臣の報告に関する件(平成十六年度決算の概要について)
 財務大臣から発言を求められております。発言を許します。谷垣財務大臣。
   〔国務大臣谷垣禎一君登壇、拍手〕
○国務大臣(谷垣禎一君) 平成十六年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書、政府関係機関決算書、国の債権の現在額総報告並びに物品増減及び現在額総報告につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 まず、平成十六年度の一般会計の決算につきましては、歳入の決算額は八十八兆八千九百七十五億円余、歳出の決算額は八十四兆八千九百六十七億円余であり、差引き四兆七億円余の剰余を生じました。
 この剰余金は、財政法第四十一条の規定により、既に平成十七年度の一般会計の歳入に繰り入れております。
 なお、平成十六年度における財政法第六条の純剰余金は一兆千九百七十二億円余となります。
 以上の決算額を予算額と比較いたしますと、歳入につきましては、予算額八十六兆八千七百八十七億円余に比べて二兆百八十八億円余の増加となります。この増加額には、前年度剰余金受入れが予算額に比べて増加した額一兆七千百五十八億円余が含まれておりますので、これを差し引きますと、歳入の純増加額は三千二十九億円余となります。
 一方、歳出につきましては、予算額八十六兆八千七百八十七億円余に、平成十五年度からの繰越額一兆六千六百三十五億円余を加えました歳出予算現額八十八兆五千四百二十二億円余に対し、支出済歳出額は八十四兆八千九百六十七億円余であり、その差額は三兆六千四百五十四億円余となります。このうち平成十七年度への繰越額は二兆二千五百六十六億円余であり、不用額は一兆三千八百八十八億円余となっております。
 なお、歳出のうち、予備費につきましては、その予算額は三千億円であり、その使用額は千百七億円余であります。
 次に、平成十六年度の特別会計の決算でありますが、同年度における特別会計の数は三十一であり、これは平成十五年度に比べて一特別会計減少しております。これらの決算の内容につきましては、特別会計歳入歳出決算のとおりでございます。
 なお、歳入歳出決算に添付されている国の債務に関する計算書による債務額につきましては、平成十六年度末における債務額は八百五十兆四千百九十九億円余であります。
 このうち、公債につきましては、平成十六年度末における債務額は六百二十六兆四千七百四十六億円余であります。
 次に、平成十六年度における国税収納金整理資金の受入れ及び支払につきましては、同資金への収納済額は五十五兆七千七百三十一億円余であり、一般会計の歳入への組入額等は五十五兆千百三十九億円余であります。
 次に、平成十六年度の政府関係機関の決算でありますが、その内容につきましては、それぞれの決算書のとおりでございます。
 次に、国の債権の現在額につきましては、平成十六年度末における国の債権の総額は三百四十一兆二百三億円余であります。
 次に、物品の増減及び現在額につきましては、平成十六年度末における物品の総額は十兆四千九百三十三億円余であります。
 以上が平成十六年度の一般会計歳入歳出決算等の概要であります。
 何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。(拍手)
    ─────────────
○議長(扇千景君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。国井正幸君。
   〔国井正幸君登壇、拍手〕
○国井正幸君 私は、自由民主党を代表して、平成十六年度決算検査報告につき、総理に質問をいたします。
 まず、冒頭、昨年から続く豪雪により亡くなられました方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、今なお雪と闘い、耐えておられる皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 被害に遭っている地方自治体は、既に今年度の除雪費を使い切っておられるとのことであります。ただいまは決算審査の場でありますが、国民がこのような災害で苦しんでいるとき、厳しい財政事情にはありますが、それとは別の観点で救いの手を差し伸べる必要があると考えます。総理、内閣、政府を挙げて温かい救済の手を差し伸べられますよう、まず要請しておきたいと思います。
 昨年十二月、私の地元である栃木県今市市の小学校一年生の女子児童が誘拐、殺害されました。通学路での犯行であります。十一月には広島市の小学校一年生、十二月には京都宇治市の小学校六年生の殺害と、凶悪な事件が頻発いたしました。
 世界一安全な国と言われた我が国の安全は一体どこへ行ったのでしょうか。国民は安全、安心を強く望んでおります。政府におかれましては、再びこのような悲惨な事故が起きないよう、関係機関との連携を一層密にし、万全の対策を講じられるよう強く要請いたします。
 私は、決算審査において、予算の使途を精査し、数多くの無駄を省き、こういった必要かつ重要な施策に重点的に予算配分がなされるよう、我々国会議員が予算並びに決算の審査を十分に行う役目を担っていると考えます。我々自由民主党は、常にこの重責を念頭に決算審査に臨んでまいる所存であります。
 本論に入ります。
 今回の検査報告では、不適切な会計処理など三百八十六件、金額にして九百三十六億円の指摘がありました。中には、事実と異なる書類に基づく不適切な支出があったとのことであります。また、踏み込んで予算それ自体が適切だったかどうか、事前の費用対効果の分析が不適切であり、的確な分析をすれば採択されていないはずとの指摘もありました。
 今回、細目の検査に加え、政策そのものの有効性を含め、その是非について指摘をした報告が出されております。会計検査院が予算や政策を徹底的に点検した結果は、さきに述べたとおり、極めて残念な数字が出たところであります。今後、より広い視点から政策の分析、評価、有効性に比重を置いて、各省に対して予算の在り方を見直しさせるような会計検査制度の抜本的な改革を検討すべきと思います。
 各省も、ここ数年、改善努力をしておりますが、決算重視の参議院では決算委員会を中心に更なる改革を検討していく所存であります。
 総理、会計検査制度の在り方を含め、その改革についてどのようにお考えか、考え方をお聞かせ願います。
 先ごろ閣議決定されました中期的な経済財政運営の指針となる「改革と展望」によると、内閣府は平成二十三年度に基礎的財政収支を黒字化させるとの参考試算を示しております。しかし、これはかなり厳しい試算ではないかと率直のところ思います。例えば、今後の維持修繕に必要な経費を確保しておかなければならない公共事業関係費の削減などの前提条件は本当に担保されるのでしょうか。
 しかしながら、我が国財政の再建は喫緊の課題であります。だからこそ、決算審査は重要性を増し、可能な限り早期の国会提出と国会での慎重審査により、その結果を予算編成に十分反映することが要請されるのであります。
 昨年、参議院決算委員会は、十一月に十六年度決算の概要説明を受けたところでありますが、本格的な審査は今日を待たなければなりませんでした。それは、国会が閉会中であったため、国会に正式報告がなされなかったからであります。閉会中の受理を含め、今後、決算報告をどのように取り扱うのか、衆参両院での検討も必要かと思います。いずれにせよ、早期提出とより充実した早期の審査が必要であることは論をまたないところであります。
 しかし、従来の決算報告そのものは別にしても、個別案件については、会計検査院法の改正により、随時国会へ報告できるようになりました。一年間のスケジュールの中で、幅広い分野に一律に網を掛けるのも必要でありますが、何か問題があれば直ちに調査をして、その結果を国会に速やかに報告するというめり張りの利いた機動的な対応も可能になりました。これで、集中して重点的に取り上げることができるのではないかと思います。
 総理、早期提出、随時報告をどのように受け止め、どのように対応するのか、お答えをいただきたいと存じます。
 改正法では、各省庁は会計検査院の求めに応じて帳簿などを提出しなければならないことを明文化いたしました。今までは資料提出や事情聴取に応じる義務規定がなく、検査逃れとでもいうような意識がややもすればありました。検査権の強化により、一定の効果はあるだろうと思いますが、調査される側の協力も一方で必要なことは事実であります。そして、罰則規定がなく、実効性をどう持たせるかの課題がいまだ残っております。
 より鋭い監視のために、更なる議員立法も我々は辞さない覚悟であります。政府としてどのような取組をされるか、所存をお尋ねいたします。
 さて、会計検査院の人事について気になる点を指摘さしていただきます。
 会計検査院の最高意思決定者である検査官は三名でありますが、会計検査院の職員から上がってきた生え抜きはおりません。しかも、二名が検査される側の総務省、財務省出身の高官が任官しております。参議院も豊富な行政経験に期待してこれらの人事に同意した経緯があることは承知いたしておりますが、国民から見れば、国民に代わって税金の使途をチェックする役割の会計検査院の独立性は本当に保たれているのか、こんな素朴な疑問を持たれるのではないかと危惧するものであります。
 今日の検査は、施策の有効性や業績評価に重点が置かれるようになりました。だからこそ、行政機関での経験を生かすことも必要でしょうが、これまでの経過にとらわれない中立的な有識者を選ぶべきではないかと考えます。
 そして、決算の充実した審査と国会への早期提出を図るためには、会計検査院の体制を強化すべきとも考えます。その一方で、会計検査院のOBが検査対象機関に天下りするケースが少なくないとも伺っております。これでは再就職したOBが情報収集するという疑問も生じ、公正な検査が期待できません。
 国民の大切な税金の使い方を監視する会計検査院への国民の期待は大なるものがあります。総理、会計検査院の体制強化と人事制度の在り方についてどのようにお考えになるか、お伺いいたします。
 最後に、参議院は、会計検査院と連携して、税金の無駄遣いに果敢に切り込み、予算の使い方を正すため、より充実した決算審査に取り組むことを国民の皆さんにお約束し、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 国井議員に答弁いたします。
 会計検査制度の改革でございますが、会計検査院の検査は、違法、不当な事態の指摘のみならず、コストが掛かっている事態や投資効果が発生していない事態などについて幅広く指摘や問題提起をするなど、適正かつ効率的な行財政執行のため、極めて重要な役割を果たしていると認識しております。
 政府としては、検査機能の充実強化が図られたさきの会計検査院法の改正を踏まえ、検査機能が十分に発揮されるよう協力するとともに、検査結果に対応して予算への反映など適切に対応してまいりたいと考えております。
 国会提出及び早期審査についてですが、決算を取りまとめた後、可能な限り速やかに国会において御審議いただくことは、国民への説明責任を果たし、決算審査を新たな予算に反映させるものであることから、重要なことだと認識しております。これまでも、参議院の御要請を踏まえ、決算の早期提出に努めてきたところであります。
 御指摘のように、決算を国会の閉会中に提出することにつきましては、制度面も含め、どのような対応が可能かについて、国会両院ともよく相談の上、検討してまいりますが、今後とも政府としては、決算の早期提出等により参議院の決算審査の充実に引き続き協力してまいります。
 お尋ねの随時報告の趣旨は、会計検査院の検査において早期に国会の審議に付すべき問題となる事項が発見された場合に、これを適時に国会及び内閣に報告することにより、国会における審議に活用できるようにするなどのためであると理解しております。会計検査院において、早期に検査の結果が取りまとめられ、国会及び内閣に随時報告がなされた場合には、国会における審議の状況なども踏まえつつ、政府として適時適切に対応してまいります。
 検査への協力でございますが、政府としては、さきの会計検査院法の改正を踏まえ、会計検査院の検査活動が円滑かつ厳正に行われ、その機能が十分発揮できるよう配慮するとともに、その検査に最大限協力していきたいと考えております。
 人事についてでございますが、検査官の人事につきましては、法律、行財政、企業会計等に精通し、それぞれの分野において豊富な知識と経験に基づく公正な判断力が備わっていると認められる人を両議院の同意を経て適材適所で任命しているところであります。
 検査体制の強化については、政府としては、会計検査院の検査機能の重要性について十分認識しており、検査活動が円滑かつ厳正に行われ、その機能が十分発揮できるよう、検査体制の充実強化について今後も十分引き続き配慮していきたいと考えております。
 職員の再就職でございますが、会計検査院は内閣から独立した地位を有する機関として厳正かつ公正な会計検査を実施することが求められており、職員の再就職についても、こうした趣旨を踏まえて適切に行われるべきものと考えております。(拍手)
    ─────────────
○議長(扇千景君) 簗瀬進君。
   〔簗瀬進君登壇、拍手〕
○簗瀬進君 冒頭に、雪害で亡くなられた皆さんに心からお悔やみ申し上げるとともに、大雪と懸命に闘っている皆さんに心からエールを送りたいと思います。
 さて、私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました平成十六年度決算について、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 小泉総理、総理就任後、本日で一千七百三十八日でございます。在任期間一位の佐藤首相は二千七百九十八日、二位の吉田首相が二千六百十六日、三位の中曽根首相は一千八百六日、したがって、あと二か月で総理は歴代三位となります。中曽根さんを抜き、吉田、佐藤という歴史上の宰相と肩を並べることになる。歴史好きの総理御自身は定めしお喜びと思いますが、重要なのは五年間の小泉政治が国民にとってどうであったかであります。
 小泉改革は、社会を勝ち組と負け組に二分し、間違いなく日本をアメリカ型社会に近づけています。重要な外交問題を心の問題にすり替えての靖国参拝は、ますます日本を孤立化させています。効率優先の経済志向は、社会から優しさを奪い、虐待の連鎖反応を蔓延させています。恐らく、後世の歴史家は、小泉時代の五年間で日本は変わってしまったと評するでありましょう。
 まずは、総理御自身に、在任五年をどのように評価しているのか、反省したりする点は全く思い当たらないのか、御所見をお伺いしたいと思います。
 さて、総理、二十日の施政方針演説で、耐震偽装、ライブドアといった国民の重大関心事には一言も言及なさらなかったのはなぜですか。その後に起きたBSEの問題も含めて、この三つの大事件の共通項は一致いたしています。小泉改革の致命的欠陥。三事件が雄弁に語っているのはこのことに尽きると思います。そのことを総理御自身、実は意識しているからこそ、あえて演説では触れなかったと思いますが、なぜ施政方針演説でこれらの重大問題に触れなかったのか、その理由を総理から伺いたいと思います。
 ところで、小泉改革の本質は何かと、正に決算と同時に小泉政治を総決算をするこの時期に当たりまして、私は、だれもが思い当たるのが一九九三年の宮澤・クリントン会談以来現在まで日米間で継続をいたしておりますいわゆる年次改革要望書の存在だと思います。
 持ち株会社の解禁、時価会計、大規模小売店舗法廃止、確定拠出年金制度、法科大学院、これらの改革のほとんどはアメリカの要望項目に既に載せられたものであります。そういえば、株式交換制度も、法改正の二年前の九六年、前から要望項目に登場していたというではありませんか。もちろん大物の郵政民営化も十年前から要望項目に入っていました。
 総理、私は、ここで郵政民営化政策の元祖論争などといった、そんな議論をするつもりはありません。私が指摘したいのは二つです。まず、アメリカ側の年次改革要望書に一貫して流れている思想は何かということ、次に、要望項目の処理については、アメリカ政府に対しては毎年しっかりと報告しておきながら、同様の報告を日本の国会には全くしようともしない政府の属国的な態度であります。
 さて、アメリカの年次改革要望書に流れている一貫した思想こそ、私は小泉改革の本質に流れ込むものだと思います。年次改革要望書の中心にある考え方は、競争政策の推進であり、民営化政策であります。一九八〇年代以来、アメリカが外国向けの開発政策の基本に置いてきたワシントン・コンセンサスがここには色濃く流れております。ワシントン十五丁目にあるのが合衆国財務省、十九丁目にあるのがIMF、そのコンセンサスのワシントン・コンセンサス、簡単に言うと三つの柱から成っております。第一は国有企業の民営化、第二は市場の自由化、第三は小さな政府の三つであります。
 そこで、首相及び竹中大臣にお尋ねしたい。この三つの政策を今後も我が国の改革の基本指針として維持していくおつもりなのでしょうか。
 さらに、年次改革要望書の内容は、我が国の内政全般にわたる大変広範な内容を持っています。現在、在日アメリカ商工会議所のホームページに掲載されている二〇〇四年十月十四日の要望書を見てください。電気通信から始まって商法、流通あるいは法務制度改革、十一の分野に及んで何と四百十の項目がそこに列挙されている。そして、毎年それらについての実施状況を行政ベースで日米は報告し合っている。まるで、これは日本という国の心臓にうずめ込まれたペースメーカーじゃないですか。その関係は、双務的といいながら、私は究極の内政干渉システムだと言わざるを得ません。
 そこで、総理及び竹中大臣にお伺いしたい。年次改革要望書を介しての日米双方の相互改革システムを今後とも継続していくおつもりなのかどうか。そして、もし継続するなら、毎年の報告書をアメリカ政府に提出する前にしっかりと我が国の国会にきちんと報告をすべきではないでしょうか。総理の明快な御答弁をいただきたいと思います。
 ところで、クリントン政権の経済諮問委員会の委員長を務め、さらに二〇〇一年にノーベル経済学賞を受賞したジョゼフ・スティグリッツという経済学者がおられます。彼は、「人間が幸福になる経済とは何か」という著書の中で大変興味深い文章を残している。例えば、彼はこう書いています。我々が国外で推奨した枠組みは、正にアメリカの企業が国外で成功するのを助けるものだった。国内では消費者や労働者に配慮しなければならなかったから、そうした政策には歯止めが掛かった。しかし、国外ではそれがなかったと。学者というよりも、政権中枢にいた人の言葉として私は衝撃を受けました。
 総理、御質問したい。ここで彼の言っている国外で推奨した枠組みの一つに、正に日本に対する年次改革要望書が含まれているとはお考えになりませんか。
 また、彼はこのように書いている。アメリカは大きい政府が悪いという神話を完全に信じたことはない。大半のアメリカ人は、規制のみならず教育や社会保障やメディケアなど不可欠なサービスの提供においても政府の果たすべき役割があると考え続けている。アメリカは、国外では国家の役割を最小限に抑えた資本主義を説くが、それはアメリカ自身が拒絶している資本主義だ。
 総理及び竹中大臣は、このようなアメリカの海外政策の二面性についてどのような御所見をお持ちなのか、是非とも聞かせていただきたいと思います。
 特に、竹中大臣は、総務大臣というお立場よりも、小泉改革の中心として改革の旗を振るってきた責任者としてお答えをいただきたい。スティグリッツさんはクリントン改革の中心で活躍した人であります。その人がアメリカの本音を率直に語っているではありませんか。この言葉をどのように考えているか、小泉さん、竹中さんからしっかりとお答えを聞かせていただきたいと思います。
 次に、耐震偽装事件について伺います。
 私は、この事件は小泉民営化政策の致命的欠陥を示していると考えます。官から民へは小泉改革の合い言葉。しかし、民に任せれば何でも良くなると考えるのは余りにも短絡した考え方であります。
 さらに、効率化の点で官よりも民が優れているというのも一概に言えることではありません。官民の仕分はあくまで仕事の内容によって決まるのではないでしょうか。民の基本は私的利益を上げることにあるのは当然でありますけれども、こうした私益の追求と業務内容が調和しているときには民の良さが出てまいります。しかし、検査業務や監査業務のように、建築基準法の遵守とか会計基準、規則の遵守といった公的な色彩を持った場合には必ず私益と公益の衝突といった側面が出てくる。
 言わば、まないたの上のコイがお金を出して料理人を雇っているような状態です。金主元のコイに対して料理人が厳しい包丁を振るってコイを殺してしまうとお金は入ってこなくなる。コイと料理人のなれ合いの危険性、これは必ず出てくる。
 耐震偽装事件は、このような民営化政策がはらむ本質的な危うさを私たちに教えてくれていると思います。何でも民営化すればよいというものではありません。民営化に潜む様々な危険性を予測しつつ、安全、安心、これを確保すべき対策をしっかりと事前に用意した上で民営化に臨むべきではありませんか。
 しかし、小泉改革はまず民営化ありき。準備不足のまま民営化を強行する。こんなことでは我が国の経済社会をいたずらな危険に陥れてしまう。これでよいのでしょうか。総理の御所見を伺いたいと思います。
 次に、ライブドア事件であります。
 私は昨日の江田質問に対する総理の答弁にはいささか驚きました。反省の一言もない。冷たくホリエモンを切り捨てる。また、ぶら下がりでは、熱狂をあおったのは自分ではなくてマスコミだと責任転嫁の発言をなさった。その厚顔無恥さには畏敬の念すら覚えます。
 しかし、ここでは別のことを論じたいと思います。それは、民営化と一体の市場自由化政策との関係であります。民営化政策と市場自由化政策は普通は別物として論じられています。しかし、私は、これは実は表裏一体のものだと考えるべきだと思っています。
 例えば、郵政民営化政策でも明らかなように、民営化すると、それまで官が管理していた巨大な国民の資産は市場に流入する、これが民営化政策の本質です。だからこそ、アメリカのウォール街は舌なめずりをしながら民営化政策や小さな政府を推進をしている。その本質を忘れてはなりません。
 しかし、推進論者が信じている完全な市場など現実にはあり得ません。アダム・スミスは見えざる手が市場を最も良くすると説きましたが、それが成り立つためには大きな前提がある。それは、市場の情報が関係者に平等かつ完璧に与えられていることであります。しかし、現実には、企業と投資家の間で情報が平等であったことなど一度もない。
 情報開示義務のない投資事業組合を悪用し、株式分割を利用して意図的に株価をつり上げる、株式交換を悪用して自己資金を還流させて赤字を粉飾する今回のライブドア事件は、日本の証券市場がいかに不完全であり市場ルールが未整備であったか、そしてこれを悪用する人々に対して無防備であるかを世界に知らしめました。このような不完全な市場に国民の巨大な資産を無責任に投げ込もうとしている、それが小泉総理、あなたです。これでよいのでしょうか。正に、ライブドア事件は小泉改革の致命的な欠陥を浮き彫りにしてくれたと考えますが、総理及び金融担当大臣の御所見をお伺いします。
 さらに、不完全な市場のもう一方の責任は、市場設置者である証券取引所にあります。ネット取引の急増は、処理能力の急拡大を必要としていたはずであります。株式交換、株式分割、投資事業組合などの制度の落とし穴を東証は当然知っていた。にもかかわらず、常に後手後手に回る東証の体質的欠陥はどこにあるのでしょうか。
 東証の理事長は、一九六七年から実に三十七年間の長きにわたって大蔵省の高級官僚の天下りポストでした。民の仮面をかぶった天下り官僚が支配する企業風土、そんな雰囲気の中では、民間の厳しい経営感覚や機動的な対応力、そして果断な決断力は決して鍛えられません。
 政官財の癒着構造を温存したままでの民営化は偽りの改革でしかない。市場の自由化政策の究極の担い手であるはずの市場設置者に民の基本が欠落している。これこそ小泉改革の究極の欠陥だと思いますが、総理及び金融担当大臣の御所見をお伺いしたい。
 次に、平成十六年度決算に関する質問に入らせていただきます。
 自衛隊の海外活動については区分経理の導入をお願いしたい。
 自衛隊の海外活動が増えています。私は、財政民主主義、そしてシビリアンコントロールの観点に立って、海外活動の予算、決算面での更なる明確化を訴えたいと思います。
 現在までの防衛庁予算及び決算の仕組みは、他省庁と同様に省庁横断的かつ包括的であるため、結果として個々の活動の財政的規模は極めて分かりづらくなっている。自衛隊の海外活動についての予算、決算上の把握がもっと明確でないと、自衛隊に対する民主的統制が不安定になる。
 そこで、まずはイラク戦争関係についての現時点での自衛隊の作戦行動で国費が幾らぐらい使われたか、支出目的ごとにできるだけ正確な金額を明らかにしていただきたい。次に、今後の予算、決算の仕組みを個々の活動単位中心にして組み立て直すべきではないか。海外活動ごとの区分経理の導入など根本的の見直しをすべきであると考えますが、防衛庁長官の答弁を求めます。
 特別会計については、先ほど岩本議員が大変鋭い質問をいたしましたので省略をいたします。
 国民のためのITシステムのお話をさせていただきたい。
 さて、世界最高の情報サービスを目指して、政府もここ五年間で三兆円を超える国費を投入してきた。確かに、住民基本台帳ネットワークシステムや各種の電子申請手続などが実現をして、官公庁業務の電子化は進んでいるように見えますが、国民の利便性は増加したと言えるでしょうか。
 実態を見ると、申請手続の九六%は電子化していますが、しかし電子申請システムの利用率は一%を切っている。巨額の国費を投じながら、この超低い利用率はなぜなのでしょう。制度設計をどこかで間違えていやしませんか。また、相変わらずの霞が関発想の中でユーザーフレンドリーな視点が欠けているのではないでしょうか。担当大臣の所見を伺います。
 また、今回の決算報告によれば、現在、国関係のホームページは一応三十八省庁すべてそろっているとのことでありますが、例えば視覚障害者のための音声読み上げソフトの対応ができているのは三十八のうちたった三か所です。情報アクセシビリティーが低過ぎる、もっと向上させるべきです。その他の障害者への対策もしっかりと立てなければなりません。担当大臣の所見を伺います。
 さらに、政府関係の白書は三十三種類今出ています。しかし、そのうちデータベース化されているのはたった半分以下の十四、また検索機能が付いているのも十一といった低い状況にあります。せっかく作成した白書の数字を国民がパソコンを使用して活用していく、それは新しい市民活動の基盤としても、また政府の住民サービスとしても大変、極めて重要であります。そのためのデータベース化や検索機能の付加が行われている白書の数をもっともっと増やすべきであると思います。白書作成の基本仕様として、検索機能とデータベース化、これをしっかりと位置付けるべきだと考えますが、担当大臣の所見をお伺いいたします。
 過去の遺物と言うべきレガシーシステムの問題点については、既に我が党の岩本議員が先ほど明確な指摘を行いました。今回の決算報告では、社会保険庁の巨大システムが取り上げられています。私はこれを聞きたい。
 社会保険のオンラインシステムに掛かる費用は、平成十六年度で一千百八億円の大変巨額なお金が掛かっております。例えば、記録管理システムの被保険者記録数を数えてみると、約二億六千万件ある。膨大な情報を処理するためのシステムの維持は確かに重要だと思うし大変です。しかし、それにかまけてコストダウンの努力を怠ることは絶対に許されないと思います。
 特定の業者に随意契約で長期間システムを管理させた結果、どうしてもコスト削減の緊張感が失われていく。今回の検査でも、ソフトの開発やハードウエアの機種選定など、それぞれの項目ごとに努力不足が指摘されました。これを受けて、高コスト構造に更にどんなメスを加えたらよいのか、総理の御所見を伺います。
 次に、有料道路事業について聞かせていただきたいと思います。
 全国八十の有料道路の運営状況ですが、現時点では八千三百四十億円の国の貸付金について延滞の状況にはなっていないものの、将来ともに大変厳しい状況にあることが明らかとなりました。すなわち、全国八十の有料道路のうち、計画交通量を達成しているものは十四しかありません。残り六十六の有料道路は未達成となっています。さらに、交通量の見通しが二〇%以下という大変低い達成状況の有料道路が全国で三本もある。
 問題の根本は、交通量についての見通しの甘さにある。さらには、開通後、別の道路が造られるなどして連携が悪くなってしまった等の全体の見通しの欠如というようなこともございます。このような公共事業に付き物の問題点が全く改善されていない。
 そこで、国土交通大臣として、更に厳しい対策を立てる必要があると考えますが、御所見をお聞かせください。
 そして、最後に、地下鉄、モノレール、LRTなどの都市内交通機関の建設を考える際の需要予測も触れさせていただきたいと思います。
 例えば、一九九八年の仙台市の地下鉄南北線、最初の利用者の当初予測は一日当たり二十二万でした。しかし、二〇〇二年の実績は一日十六万、結果として三〇%の見込み違い、二〇〇四年度までには一千七十五億円に達しています。
 一方で、「ゆりかもめ」のように……
○議長(扇千景君) 簗瀬君、時間が超過しております。簡単に願います。
○簗瀬進君(続) 当初の需要予測以上の乗客数を達成した例もあります。
 最後に、そこで、建設時投入される国庫補助の在り方を含め、その需要予測の正確性を高め、補助対象の判断に誤りなきを期すために何をしたらいいのか、担当大臣の御所見を聞かせていただきたいと思います。
 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 簗瀬議員に答弁いたします。
 就任以来五年間の評価についてでございますが、私は、国民一人一人の持つ能力、個人においても企業においても地域においても創意工夫を発揮できるような、そういう社会をつくっていきたい、新しい時代に対応できる体制をつくっていかなきゃならない。個人においても一度や二度の失敗にくじけることなく、失敗を成功に生かすような機会を国としても提供していかなきゃならない、それが日本経済を活性化するという改革に取り組んでまいりました。
 また、国際社会の一員として日米同盟と国際協調を基本に世界の平和と安定に貢献できる、そういう国でありたいと、国際社会の責任ある一員でありたいと、そういう心掛けを持って今日まで内政、外交を展開してまいりました。今後とも、改革なくして成長なし、そして戦後六十年、戦争の反省を踏まえて二度と戦争を起こさない、そのような気持ちを持って、日本が世界から信頼される国家として発展されるよう努力していきたいと思っております。
 施政方針演説についてですが、施政方針演説は内閣総理大臣として基本的な方針を国民に分かりやすく述べるものであり、耐震偽装、投資サービス等の金融制度の在り方、BSE問題についてそれぞれ基本方針を述べたところであります。御指摘の問題については、この基本方針に沿って的確に対応しているところであります。
 いわゆる年次改革要望についてですが、平成十三年六月の日米首脳会談で設置された日米規制改革及び競争政策イニシアティブの下で、毎年、日米両国政府は規制改革に関する改善提案を交換しております。同イニシアティブは、日米両国が互いに重要な経済パートナーとして対等な関係で双方向の建設的な議論を行っているものであり、決してお互いが内政干渉するものではありません。このような対話は今後も継続していく考えであります。
 我が国の規制改革は、あくまでも我が国自身の主体的な取組として実施されているものであります。また、同イニシアティブの下で行われる対話の結果をまとめた報告書は、毎年、日米両首脳に対して提出されて公表されているものであります。日米各国それぞれが主体的に行った取組をまとめたものであり、提出、公表に先立って国会にお諮りする性格のものではございません。
 米国の経済学者スティグリッツの言葉についてでございますが、御指摘の経済学者スティグリッツの言う、国外で推奨した仕組みが具体的に何を意味するのかは必ずしも定かではなく、現在、私が論評を加えるつもりはございません。
 米国の国内政策と海外政策についてでありますが、他国の政策につき、この場で私は論評すべきとは思っておりません。いずれにせよ、米国は自由と民主主義、市場経済といった基本的価値観に基づき政策を遂行していると承知しており、このような基本的価値観については我が国としても共有しているところであります。
 耐震偽装と民営化についてでありますが、阪神・淡路大震災を教訓として平成十年に建築確認検査の民間開放を行ったことについて、民間にできることは民間にという方向は間違っているのではないかという御指摘でありますが、私はそうは思っておりません。
 今回の事件では、民間検査機関のみならず地方公共団体においても書類の偽装を見抜くことができなかったことから、民営化やその準備不足に伴う問題ではなくて、建築確認検査制度そのものの見直しが必要と考え、現在、制度の総点検を行い、再発の防止に向けた見直しに取り組んでいるところであります。
 証券市場ルールの整備でございますが、経済活動の重要な基盤である証券市場は、公正、透明で信頼されるものであることが必要であります。これまでも課徴金制度の導入や証券取引等監視委員会の体制強化等の改革を行ってまいりましたが、今国会では、金融サービスに関する包括的、横断的な法規制の枠組みを整備することとしており、この中で不正行為の防止にしっかりと取り組んでまいります。
 証券取引所については、証券市場の開設は高い公共性を有することから、取引所には、取引を公正かつ円滑ならしめ、投資者を保護するに十分な体制を備えることが求められております。株式会社となった取引所の役員については、国際的にも信頼される市場の実現に努めるべきものと考えております。
 IT政策ですが、IT国家戦略に基づく取組の結果、我が国は世界で最も低い料金で素早く多くの情報に接することができる世界最先端のIT国家となり、国民の利便性は大きく向上したと考えております。政府は、電子申請の利用拡大に向けた取組を進めるほか、視覚障害者への対応や、白書のデータベース化を含め、各府省がホームページを通じて利用者の視点に立った分かりやすい情報の提供に努めることなど、今後ともITの一層の利用、活用を推進し、国民一人一人がITの恩恵を実感できる社会をつくっていきたいと思います。
 レガシーシステムでございますが、いわゆるレガシーシステムについては、随意契約から競争入札への移行などの見直しを行ってきたところであり、今後も、機器とソフトウエアを分離して調達する等、業務、システムの最適化の取組を通じ、更なる改善を進めてまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣竹中平蔵君登壇、拍手〕
○国務大臣(竹中平蔵君) 簗瀬議員から三問御質問いただいております。
 まず、小泉改革とアメリカの年次改革要望書についてのお尋ねがございました。
 アメリカの年次改革要望書と小泉内閣が進める構造改革とは、言うまでもなく別のものでございます。小泉構造改革は、他国の要望によるものではなく、正に日本の国民のために進めるものであります。だからこそ、多くの国民に支持をされているというふうに考えております。
 その際、世界に先駆けて日本が人口減少社会に突入していきます。そして、高齢化が一段と進む中で将来の国民負担の最小化、そして経済活力の維持をしていかなければいけない。そのためには、やはり簡素で効率的な政府を実現することが必要であると考えます。また、経済の急速なグローバル化に対応していくこともこれは不可欠であります。その意味で、今後とも、官から民へ、国から地方へとの方針の下、改革を維持しなければいけないというふうに考えております。
 次に、年次改革要望の仕組みを今後とも継続するのか、継続するなら国会に報告すべきではないかというお尋ねがございました。
 この点につきましては、既に総理からお答えがあったとおりでありまして、私の立場で追加して申し上げることは特にございません。
 最後に、アメリカは、国内では政府の役割を認めつつ、外国には国家の役割を抑えた市場原理主義を説くといった二面性があることについてのお尋ねがございました。
 アメリカの政策について評価する立場にはございませんけれども、アメリカは市場主義、資本主義、自由主義を目指す国家であるというふうに承知をしております。しかしながら、それは教育や福祉といった国家として行わなければならない基本的な役割を放棄するものではないというふうに認識をしております。
 いずれにしても、日本としては、諸外国と共有できる価値は共有しながら、しかし、あくまで自国の利益等、国民のために必要な政策を続けていくことが必要であると考えているところでありまして、その方向で引き続き政策を続けてまいる所存でございます。(拍手)
   〔国務大臣与謝野馨君登壇、拍手〕
○国務大臣(与謝野馨君) まず、簗瀬議員からは証券市場のルールの整備についてのお尋ねがありました。
 御指摘の事件につきましては、証券取引法に基づいて捜査が行われているものと承知しております。総理からも御答弁がありましたとおり、これまでも証券市場の公正性、透明性を高めるため、連年にわたり改革を行ってまいりましたが、今国会では、金融サービスに関する包括的、横断的な法規制の枠組みを整備することとしており、この中で不正行為の防止にもしっかりと取り組んでまいります。
 次に、証券取引所についてお尋ねがございました。
 総理がこれもお答えしたとおりでございまして、証券取引所には公正かつ円滑な取引の実現及び投資家保護が求められております。最近、システム障害事例等を深く反省し、株主総会において選出された役員の下で、安定的かつ円滑な運営を確保し、国際的にも信頼される市場を実現するため、システム整備を始め早急に対応する必要があると考えております。
 以上です。(拍手)
   〔国務大臣額賀福志郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(額賀福志郎君) 簗瀬議員にお答えをいたします。
 イラクにおける自衛隊の活動経費についてお尋ねがありました。
 平成十五年十二月の部隊派遣以降、平成十七年九月三十日までに自衛隊の部隊がイラク特措法に基づく人道復興支援活動及び安全確保支援活動に係る経費として支出いたしました金額は、合計約六百九億円であります。
 そのうち、陸上自衛隊は、医療、給水、公共施設の復旧整備等の活動やサマワ宿営地の維持管理に係る経費として約五百十四億円、航空自衛隊は、人道復興関連物資等の輸送等の活動や基地内の施設の維持管理に係る経費等として約八十九億円、海上自衛隊は、陸上自衛隊の装備の輸送等に係る経費として約五億円等の支出をいたしております。
 次に、自衛隊の海外活動に関する予算、決算の作成と民主的コントロールについてのお尋ねがありました。
 国会審議のために提出されました予算書、決算書におきましては、防衛庁全体としての経費が、武器車両等の購入や装備品等の整備維持等の目的に従って区分をされて計上されております。他方、これまでも予算案の審議に際しまして、自衛隊の海外での活動ごとに経費の内訳をまとめた参考資料として提出をしておりまして、国会における御審議に資するために可能な限り努力を分かりやすくしております。今後とも、そのような取組を進めて審議に資してまいるようにしたいと思っております。
 以上です。(拍手)
   〔国務大臣北側一雄君登壇、拍手〕
○国務大臣(北側一雄君) 簗瀬議員にお答えいたします。
 まず、有料道路の計画交通量についてお尋ねがございました。
 有料道路事業は、長期にわたる需要見通しの下で借入金を償還していく必要があり、将来の交通需要予測をできる限り精度良く実施することは重要であると考えております。
 交通需要予測は、道路交通センサスを基に、人口やGDPの予測値等を踏まえた自動車交通需要の伸び、当該地域の開発計画、関連するネットワークの整備の見込み等を総合的に勘案をいたしまして、地方道路公社において行っているところでございます。しかしながら、地域開発計画の遅れや景気低迷の影響等により、実績交通量が計画交通量を下回る道路が存在しております。
 国土交通省といたしましては、地方道路公社の設立団体でございます地方公共団体と十分に連携を取りまして、より精度の高い交通需要予測が策定できるように取り組んでまいります。あわせて、地方道路公社の経営安定を図るため、建設費、管理費のコスト削減、利用促進及び設立団体である地方公共団体の支援等を指導してまいります。
 鉄軌道事業の需要予測についてお尋ねがございました。
 地下鉄、モノレール、LRT等の鉄軌道事業の需要予測につきましては、当該事業の必要性や収支採算性等を確認する上で重要なものであると考えております。この需要予測につきましては、当該事業の申請者が行うものでございますが、長年実績と改良が積み重ねられてまいりました推計法により需要予測がなされておるところでございます。
 国土交通省といたしましては、鉄軌道事業の採択に際し、申請者による需要予測について、その前提となっております人口動態、経済指標等に直近の社会経済情勢の変化等を的確に反映させることなどにより、一層正確性を期するべく努めてまいる所存でございます。(拍手)
    ─────────────
○議長(扇千景君) 浮島とも子君。
   〔浮島とも子君登壇、拍手〕
○浮島とも子君 私は、公明党を代表し、平成十六年度決算及び当面する重要課題につきまして、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 まず、冒頭、昨年末から豪雪で被害に遭われた方々に心よりお見舞いを申し上げます。
 また、この一月は私の政治家としての原点となった阪神・淡路大震災から十一年目に当たります。大震災の記憶を風化させず、今後の地震対策に生かしていくよう決意を新たにする次第です。
 初めに、建築物の耐震化について伺います。
 平成十六年度決算検査報告では、災害時に拠点となる官庁施設で耐震診断が行われていないことや、T類施設の改修率が低いこと、また堤防、護岸等の一部を調査したところ、耐震性があるのは一六%のみで、約八割は耐震性調査すらされていないことが指摘されております。これらの問題、また民間建築物も含めた総合的な耐震化の方針について北側国土交通大臣に伺います。
 次に、決算審査の充実について伺います。
 参議院では、昨年、決算審査の充実に向けた画期的な取組として、十二項目の政府に対する警告決議に加え、三十六項目の政府に対する措置要求決議、九項目の会計検査院に対する検査要求決議が実現いたしました。こうした参議院の取組に対し、歳出改革に命を懸ける小泉総理の御所見を併せて伺います。
 会計検査院の機能強化について伺います。
 公明党は、平成十六年十二月の決算委員会で、我が党の議員の質問を発端として、党内に会計検査院改革プロジェクトチームを設置し、会計検査院の機能強化に先駆的に取り組んでまいりました。その後、各党の議論が調い、昨年の会計検査院法の改正として結実いたしました。
 会計検査院は、独立機関であるがゆえに、政府内部の評価機関以上に厳格な評価を行うことができます。この独立性を実質的に担保するため、官庁出身者の検査官への登用や会計検査院OBの検査対象機関への天下りを厳しく制限する等の措置が必要であります。これらの具体的な会計検査院の機能強化策について総理はどのようにお考えか、お尋ねいたします。
 次に、事業仕分と行革のフォローアップについてお尋ねいたします。
 今国会は、小泉総理の構造改革路線を総仕上げとするとともに、改革続行を明確にする行革国会であります。もちろん、これは国民のための改革であることを決して忘れてはなりません。従来、行政改革の多くは一律削減型を中心に行われてきました。しかし、これらの手法では目先の目標達成が優先され、国の仕事をゼロベースで見直すことにならない傾向があります。
 公明党は、国のすべての事業の必要性を根本から見直す事業仕分による改革を主張してまいりました。この事業仕分こそ、あらゆる行政改革の切り札であります。この事業仕分がなければ、総人件費改革も特別会計改革も絵にかいたもちとなりかねません。行政改革の重要指針においてもこの事業仕分の考え方が盛り込まれましたが、構造改革路線における事業仕分の位置付け及びその推進体制について総理の考えを伺います。
 また、プラン・ドゥー・シーのマネジメントサイクルは行革それ自体についても必要であり、常設の専担組織あるいは専門の第三者機関によって行われるべきであります。今国会で提出されようとする行政改革推進法案を始め、あらゆる行政改革のチェックとフォローアップは政府のどの部署でどのように行っていくのか、総理の御所見をお尋ねいたします。
 次に、道路公団改革についてお尋ねします。
 四十兆円にも上る赤字、談合の問題、ファミリー企業等への天下りなどの解決を図るため、民営化が行われました。しかし、民営化は実現したものの、改革はこれからであります。
 特に、我が党の議員が繰り返し取り上げた約一千億円に上るファミリー企業の剰余金問題は進展しておりません。この一千億円のうち二百億円をユーザーに還元できるとの指摘がありましたが、現在決まっているのはたったの五%、十億円であります。巨額の血税を使いながらそのファミリー企業に滞留させた剰余金は、当然国庫に返納するかユーザーに還元すべきであります。この問題は、さきに述べた徹底した改革のフォローアップの必要性を象徴しております。この剰余金の問題の現状と展望についてどのようにお考えか、北側国土交通大臣の見解を伺います。
 次に、政府開発援助について伺います。
 参議院では、決算重視の立場から、昨年度よりODAの実地調査を行っております。今年度は私もエジプト、タンザニアのODA案件を視察いたしました。青年海外協力隊から派遣された女性は、現地タンザニアの村に住み込み、だれよりも村の人の心をつかみ、だれよりも現場に密着しておられました。そこで痛切に感じたのは、現場を知っている人は強い、援助をより効率的かつ効果的にする知恵があるということです。民間NGOや個人として援助に携わっている方々の中には、すばらしい成果を上げている方もおられます。
 政府機関では手の届きにくい大事な部分に携わるこうした方々の活動を支援し、その中で良いものは国の事業としても検討するべきではないかと考えます。ODAに現場の知恵、ニーズをより一層くみ上げていく体制について総理のお考えを伺います。
 最後に、文化芸術についてお尋ねします。
 総理の施政方針演説にもありましたように、子供たちに我が国の文化芸術を体験させる活動を充実すると述べていただきましたことを大変うれしく、高く評価させていただきます。フランスの大文豪ロマン・ロラン氏は、芸術は生命を百倍にし、強化し、より大きく、より良くすることであるとつづられています。これからは物の豊かさ以上に心の豊かさが求められる時代です。特に、子供たちの視点に立った予算配分が極めて重要であります。
 公明党は、文化芸術立国を目指し、文化芸術振興基本法の制定、新世紀アーツプランの創設などに積極的に取り組んできたところでございます。政府においても、厳しい財政の中で、文化庁予算を平成十八年度予算案でも一千億円を超える予算が計上されております。文化芸術に代表されるソフトパワーが国力を測る指標とさえなっている今日、この文化庁予算が持つ意味は非常に大きいと考えます。その意味で、更なる文化庁予算の拡充とともに、文化芸術立国の実現に向けた取組について総理の御見解を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 浮島議員に答弁いたします。
 参議院での決算審査についてですが、私は参議院の決算重視の取組に敬意を表しております。
 決算に係る国会での審議内容を予算に的確に反映させることが何より大切なことであります。このため、政府一丸となって平成十八年度予算への反映に取り組んできたところであり、この結果、警告決議、決算審査措置要求決議については、特別会計について約十三・八兆円の剰余金、積立金の活用を図り、会計検査院への検査要請項目については、公益法人の三十三資金等について廃止、縮減による国庫返納や歳出削減により一千二百十四億円を反映するなどの成果を上げてきたところであります。
 今後とも、国会での決算の審議内容を歳出改革に十分に活用させていただきたいと考えております。
 会計検査院の機能強化策、人事につきましては、法律、行財政、企業会計等に精通し、それぞれの分野において豊富な知識と経験に基づく公正な判断力が備わっていると認められる人を両議院の同意を経て適材適所で任命しているところであります。
 また、会計検査院は内閣から独立した地位を有する機関として厳正かつ公正な会計検査を実施することが求められており、職員の再就職についても、こうした趣旨を踏まえて適切に行われるべきものと考えております。
 事業仕分でございますが、現在、いわゆる小さな政府を実現することは政府にとって喫緊かつ最重要課題の一つであり、行政のスリム化、効率化のための改革を一層徹底することが必要であります。
 事業仕分に係る御提案は、不要な仕事や民間ができる仕事がないかどうかを厳しく検証し、歳出削減につなげようとするものとして、その趣旨については私も同感であります。政府としては、事業仕分の趣旨も踏まえ改革に取り組んでまいります。
 また、行政改革の着実な実施を図るため、毎年度、行政改革のフォローアップを行い、この結果を全閣僚から構成される行政改革推進本部に報告し、公表することとしております。今国会に提出を予定している行政改革推進法案にも同様の推進体制を盛り込むことを考えております。
 民間NGOについての活動でございますが、NGOによる国際協力活動は、現地の状況に応じたきめ細かい援助や、迅速かつ柔軟な緊急人道支援活動の実施という観点から極めて重要であります。このようなNGOの重要性にかんがみ、政府としては我が国NGOの援助活動に対して積極的な支援を推進しており、今後ともNGOとの連携の強化に努めていく考えであります。
 政府開発援助でございますが、現地の知恵や要請をくみ上げる体制づくりは重要であり、ODA大綱でも、現地関係者を通じて現地の経済社会状況などを十分把握する旨うたっております。このような考え方の下に、我が国は、これまで六十八か国の被援助国において、現地の大使館を中心に、国際協力機構と国際協力銀行の事務所等の参加も得、現地ODAタスクフォースを立ち上げてきており、今後とも現地の役割と体制の強化を図っていく考えであります。
 文化庁予算についてですが、文化芸術の振興は、御指摘のとおり、国民の心を豊かにして社会に活力を与えるとともに、世界に日本の魅力を発信し、我が国の地位の向上にも寄与するものであると思っております。このため、平成十八年度予算において、子供の文化芸術体験活動の充実を始め必要な予算の確保を図ったところであります。今後とも、このような考え方の下に予算の充実に努めてまいります。
 また、文化芸術立国の実現に向けては、文化芸術振興基本法を踏まえ、最高水準の文化芸術の創造と発信、地域の文化芸術活動の活性化、文化財の保存・活用や国際協力、文化基盤の整備に今後とも積極的に取り組んでまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣北側一雄君登壇、拍手〕
○国務大臣(北側一雄君) 浮島議員にお答えをいたします。
 まず、建築物等の耐震化の方針について御質問がございました。
 一昨年の十月には中越の地震、またこの一年間にも福岡、宮城、千葉などで地震が相次いでおります。建築物や公共施設の耐震化が大変重要な課題でございます。
 官庁施設の耐震化につきましては、災害対策の中枢機能を担う拠点的庁舎から重点的、計画的に耐震改修を推進してまいる所存でございます。
 民間建築物の耐震化につきましては、昨年秋の特別国会におきまして、全会一致で建築物の耐震改修の促進に関する法律の改正を認めていただきました。国と地方公共団体が計画的に建築物の耐震化を進めていく枠組みを整備したところでございますが、明日この改正の法律が施行になることになっております。
 また、本日、二十五日でございますが、この耐震診断、耐震改修の促進に向けての国の基本的な方針を策定をさせていただきまして、告示をいたす予定でございます。
 また、財政上、税制上の支援措置につきましても大きく拡充する案が取りまとめられたところでございます。これらの施策を積極的に活用しながら、平成二十七年において少なくとも九〇%を上回る率にまで建築物の耐震性を向上をさせてまいりたいと考えております。
 決算検査報告で指摘を受けました海岸堤防、護岸の耐震化につきましては、いまだ耐震性を十分有していない施設がある一方で、東海、東南海、南海など大規模地震の発生について懸念をされているところから、地震や津波による被害が予想されている地域を中心に、計画的また重点的に耐震化を進めていくこととしております。
 国土交通省といたしましては、その他の公共施設も含めまして、災害の予防、減災の観点から耐震化を強力に促進をすることにより、地震に強い国土づくりを推進してまいります。
 道路関係公団のファミリー企業の剰余金の還元について御質問がございました。
 道路公団のファミリー企業の剰余金の還元につきましては、平成十五年三月の政府・与党協議会の決定に基づき、関係公団より、ファミリー企業に対しまして働き掛けを行ってきたところでございます。これまで、障害者ドライバーのETC装着に対する助成として十億円を拠出するなどの還元策を講じてきたところでございます。
 また、昨年の八月には、剰余金による社会貢献事業として、交通事故対策、救急救命対策、お客様サービス向上への支援等の事業計画メニューが公表をされました。その事業規模として、今年度に約十億円、全体所要額をおおむね百億円程度と見込んでいるところでございます。この事業規模はあくまで出発点であると私は考えております。
 今後は、各会社の新経営陣の方針に基づいて、それぞれ可能な限り拠出を求めるよう努力をしていただきたいと考えておりまして、これまでも私から各社の会長、社長に要請をしてまいりました。国土交通省といたしましても、新会社ごとの還元額の推移についてしっかりと今後ともフォローをしてまいりたいと考えております。(拍手)
    ─────────────
○議長(扇千景君) 紙智子君。
   〔紙智子君登壇、拍手〕
○紙智子君 私は、日本共産党を代表して質問をいたします。
 まず初めに、今回の豪雪の大変大きな痛手を受け、御苦労されている皆さんに、私も雪国出身の一人として心からお見舞いと、そしてこの対策のために力を尽くすことを述べさせていただきたいと思います。
 国の予算が本当に国民のために使われているのか、税金の無駄遣いがないかチェックをすることは国会の重要な仕事です。決算の審査を一層充実する立場から質問いたします。
 第一に、米国産牛肉に危険部位が混入していた問題は、二〇〇四年以来の食の安全に対する小泉内閣の責任が厳しく問われる問題です。
 二〇〇三年に米国でBSEが発生して以来、圧倒的多数の国民がアメリカ産にも全頭検査を求めました。ところが、政府は、二〇〇四年十月に食品安全委員会に我が国で行っている全頭検査体制の見直しを諮問し、その直後に日米合意で米国産牛肉の輸入再開の道筋を決めたのです。その後も、食品安全委員会の審議に圧力を掛け、輸入再開を急がせたというのがこの間の経過です。
 総理は科学的な知見を踏まえ輸入を再開したと言いますけれども、初めに輸入再開ありきであったことは明らかです。総理、国民の食の安全より米国からの早期輸入再開の要求を優先したあなたの政治責任をどう認識していますか。明確にお答えください。
 米国では、三十か月齢以下の牛は危険部位の除去を義務付けられていません。しかも、米農務省自身が昨年の八月、米国内で特定危険部位の除去に関する違反が一年半で一千三十六件もあったことを明らかにしています。食品安全委員会プリオン専門調査会も、米国のBSE汚染は悲観的に見れば日本の十倍も高く、危険部位の除去は食の安全に直結するとしています。
 今回の問題は、危険部位を除去しなければならないという日本への輸出条件の根幹が守られていないというわけですから、アメリカ産牛肉の安全性確認を一からやり直すべきです。そもそも、二〇〇四年、この全頭検査体制の見直しの諮問そのものも誤りだったと言わなければなりません。食品安全委員会によるリスク評価を初めからやり直すべきではありませんか。
 政府は、全頭検査、全月齢の危険部位の除去といった日本国内と同様の安全基準をアメリカに要求すべきです。それが確実に保証されるまで米国産牛肉の輸入再開は行わないと国民にはっきりと約束すべきではありませんか。総理の答弁を求めます。
 次に、二〇〇四年度だけで二百七十七億円に上る自衛隊のイラク派兵経費の問題です。
 イラクでは、米軍が無法な侵略戦争と軍事占領に続いて、今なおアメリカの支配に抵抗する人々への武力弾圧を繰り返していることが事態を深刻化さしています。イラク派兵各国は相次いで撤退、削減の方向を進めています。イギリス、オーストラリア軍も本年五月にサマワから撤退すると伝えられています。
 にもかかわらず、小泉内閣は昨年十二月、撤退のめども方針も示さないまま自衛隊のイラク派兵再延長を決定しました。その際、政府は、航空自衛隊がイラク国内の二十四か所のすべての空港で米軍支援活動ができるように実施要項を変更していたことが明るみに出ています。
 一体、政府は、アメリカからいかなる新たな要請を受けているのですか。アメリカに言われればいつまでも派兵をし続けるというのですか。日本の主体的な判断などどこにもないではありませんか。総理の答弁を求めます。
 イラク国民が自らの国の再生へ努力を始めている今、日本が自衛隊を撤退することこそイラクの人々の願いにこたえる道であり、自立を助ける道です。撤退を強く求めて、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 紙議員に答弁をいたします。
 米国産輸入牛肉についてですが、昨年末の米国産牛肉の輸入再開は、食品安全委員会において科学的な議論を尽くし、国民の意見も聴取した上で取りまとめられた答申を踏まえて決定されたものであります。食の安全よりも米国からの早期輸入再開の要求を優先したとの批判は当たらないと考えております。
 また、今般の輸入手続の停止については、日米間で合意したルールが遵守されなかったことによるものであり、米国に対し二度とこうしたことが起こることのないようしっかりとした対応を求めております。
 輸入手続の再開には日米間で合意したルールの遵守が必要であり、国民の食の安全、安心を大前提に米国に対し原因究明と再発防止を求めております。
 イラクへの自衛隊派遣の再延長についてですが、我が国は、国連安保理決議一六三七を踏まえて、国際社会の責任ある一員として、我が国自体の判断に基づき自衛隊の派遣期間を本年十二月十四日まで延長したものであります。
 イラクにおける自衛隊の活動はイラクからも高く評価されて、イラク政府からも自衛隊の活動継続要請が来ております。このイラクの復興に対する我が国の人道支援は、イラク人の国づくりに対してのみならず、国際社会の安定と我が国の国益にもかなうものであると思っております。(拍手)
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○議長(扇千景君) 又市征治君。
   〔又市征治君登壇、拍手〕
○又市征治君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、内閣に対する警告決議に関する政府の対応について質問をいたしたいと思います。
 その前に、昨年末からの大雪で大変御苦労なさっている国民の皆さんに、私も雪国の一人として、お見舞いと激励を申し上げたいと思います。
 さて、参議院では、この三年、全会派一致して決算審議の充実を図り、これを来年度予算に反映させるべく努力されてまいりました。私も、この観点から、この三年間で三十五回決算に関する質疑に立ってまいりました。
 まず、財務大臣に伺いたいと思います。
 二〇〇三年度決算審査の結果として、昨年は十二項目にわたる内閣に対する警告決議が全会一致で採択をされました。その第二項では、特別会計について、透明性の欠如、不要不急の事業、多額の不用及び剰余金、予算と執行の乖離、政府出資法人等への支出に係る問題等は看過できないと警告されたところであります。
 まず、この警告が来年度予算などにどのように反映されたのか、政府を代表して財務大臣から国民に分かりやすく説明を求めます。
 第二に、財政制度審議会も、昨年十一月、特別会計について提言をいたしました。個々の会計ではなく制度全体を白紙から見直せ、また、官僚制内部にとどめず国民の立場に立て、こういう提言は傾聴に値をいたします。
 これをまつまでもなく、特別会計を口実とした各省庁による巨額の財源囲い込みは目に余るものがあり、私も委員会で何度も指摘をしてまいりました。財政再建と称して増税や老人医療の負担増や地方交付税の切下げを言う前に、このため込み財源を適正に一般会計に回収すべきでしょう。
 そこで、具体的に伺います。
 まず、年間四百十一兆円、純計で二百五兆円もの特別会計、それから除外されている積立金及び資金と呼ばれる財源が六百六十九兆円もあります。例えば、財務省所管の財政融資資金特別会計の三百八十九兆円や外国為替特別会計の百十兆円、原発偏重と濫用で問題となった電源開発特別会計で八百八十一億円などです。これらの縮減と一般会計への還元はどの程度行ったのか、まず伺います。
 また、道路整備特別会計など公共事業五つの特別会計は、税から多額の繰入れをしているにもかかわらず、いったん予算化をされると、執行残を出した場合でも一般会計に戻されずに特別会計で繰り越される。例えば二〇〇四年度の道路特別会計決算では、繰越額と不用額で一兆九百二十八億円、予算の二三%も繰り越されている。財政審の小委員長は、戦前の臨時軍事費みたいなものだと批判をしています。
 政府は、道路関係税源の一般財源化を探っているようですが、より根本的な改革として、これら五つの特別会計を廃止し、一般会計で透明な経理をし、繰越しではなく、その事業が本当に必要ならば翌年度に改めて計上すべきではありませんか。
 さらに、その他の特別会計も、会計や勘定の数と金額、とりわけ一般会計からの繰入れを減らし、できる限り一般会計で透明に経理すべきことは、説明責任の理念からも当然のことであります。こうした特別会計の正常化により、我が党の試算では、前述の件も含め、向こう十年間、毎年六・五兆円の財源を捻出でき、一般会計に繰り入れることが今すぐにでもできるとしております。これにより、一連の増税や福祉切下げを回避することができるはずです。それこそが政治というものだろうと私は思います。二〇〇六年度は、特別会計からどのくらいの金額を捻出する方針ですか。
 以上、財務大臣から考えを伺います。
 最後に、総理に伺います。
 私は、三回にわたってあなたに、本気で特別会計を改革するなら、ほかの分野で発言されていると同様、分かりやすい数値目標を示して改革すべきではないかと申し上げてまいりましたが、総理は官僚のペーパーどおり、特別会計はそれぞれ性格が違うから数値目標は言えない、こういう格好で逃げてこられました。
 しかし、総理、今回、財政審はこうしたあなたの逃げ腰を明確に批判をして、予算も含め数値目標を掲げて特別会計改革に取り組め、こういうふうに提言をし、具体的に二十八の特別会計から十七兆円を当面の検討範囲として挙げているではありませんか。もう先延べは許されません。
 総理、あなたの予算編成は今回が最後でしょう。先延べや偽装ではなくて、真に国民のために数値目標を掲げて特別会計の改革と大幅な縮減というものに取り組む決意のありやなしや、三度目の正直、お答えをいただきたいと思います。
 以上、明快な答弁を求め、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 又市議員に答弁いたします。
 特別会計の数値目標でございますが、私は、議員の御提案に対して、数値目標については、特別会計について財務大臣にきちんと見直すように指示しているので、私の口から言うべきことではないと申し上げているんです。その指示に基づいて、今般財務大臣を中心に検討を行い、政府、与党が連携した結果、今後五年間において合計約二十兆円程度の財政健全化への貢献を目指すとの数値目標を含んだ改革案を策定したところであります。政府としては、改革案に沿って、十八年度予算を第一歩として着実に改革を推進してまいりたいと考えております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣谷垣禎一君登壇、拍手〕
○国務大臣(谷垣禎一君) 又市議員にお答えいたします。
 最初に、警告決議の平成十八年度予算への反映についてのお尋ねでございました。
 決算審査については、歳出の無駄の排除を徹底する等の観点から極めて重要と考えておりまして、検査報告事項や国会での審議内容を平成十八年度予算に反映させるべきであるとの総理の御指示を受けまして、政府一丸となって取り組んできたところでございます。
 こういう方針の下、警告決議項目については、特別会計について約十三・八兆円の剰余金、積立金を財政健全化のため活用するほか、特殊法人等への財政支出を約千九百九十九億円削減し、産業再配置促進費補助金について、政策的効果が低下していることから平成十七年度限りで廃止するなど、適切に平成十八年度予算に反映したところでございます。
 それから、特別会計の剰余金、積立金についてでありますが、特別会計については多額の剰余金等が存在し財政資金の効率的な活用が図られていないといった問題の御指摘がございまして、行政改革の重要方針におきまして、資産、負債や剰余金等のスリム化を徹底するなどして今後五年間において約二十兆円程度の財政健全化への貢献を目指すと、今総理からも御答弁をいただいたところでございます。この方針を踏まえまして、平成十八年度予算におきましては、財政融資資金特別会計の積立金を始めとして、合計十三兆八千億円の剰余金、積立金を財政健全化のために活用しているところでございまして、今後とも着実に改革を推進してまいります。
 それから、公共事業関係の特別会計と繰越しについての御議論でございますが、特別会計、一般会計にかかわらず、必要な事業として予算計上されたものの、自然的社会的諸条件によって年度内に支出できない場合には、効率的な執行等を確保する観点から翌年度に使用できる繰越しが財政法で規定されており、あらかじめ国会の議決を経た範囲内で限定的に活用しているものでございます。いずれにしても、多額の繰越しや不用が生じた経費については執行実績を十分精査して、予算に反映するよう努めてまいります。
 なお、今般の特別会計改革におきましては、受益と負担の関係を明確にしつつ、事業間の連携を強化し、事業の効率性を高めることなどにより無駄を排除していくとの観点から、公共事業関係の五つの特別会計を平成二十年度までに統合することとしております。
 以上でございます。(拍手)
○議長(扇千景君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十八分散会