第164回国会 本会議 第23号
平成十八年五月十二日(金曜日)
   午前十時一分開議
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○議事日程 第二十三号
  平成十八年五月十二日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の報告に関する件(日米安全保
  障協議委員会出席報告及び在日米軍再編に係
  る日米協議に関する報告について)
 第二 経済上の連携の強化に関する日本国とメ
  キシコ合衆国との間の協定に基づく特定原産
  地証明書の発給等に関する法律の一部を改正
  する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第三 道路運送法等の一部を改正する法律案(
  内閣提出、衆議院送付)
 第四 職業能力開発促進法及び中小企業におけ
  る労働力の確保及び良好な雇用の機会の創出
  のための雇用管理の改善の促進に関する法律
  の一部を改正する法律案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
 一、日程第一
 一、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部
  を改正する法律案(趣旨説明)
 一、消費者契約法の一部を改正する法律案(閣
  法第五四号)(趣旨説明)
 一、日程第二より第四まで
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○議長(扇千景君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の報告に関する件(日米安全保障協議委員会出席報告及び在日米軍再編に係る日米協議に関する報告について)
 外務大臣及び額賀国務大臣から発言を求められております。順次発言を許します。麻生外務大臣。
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(麻生太郎君) 去る五月一日に米国ワシントンDCにて開催された日米安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2につきまして御報告をさせていただきます。
 今般の2プラス2には、日本側より私と額賀防衛庁長官が、アメリカ側よりライス国務長官とラムズフェルド国防長官が出席をされました。
 会合では、日米同盟が日本及びアジア太平洋地域の平和と安定に不可欠な基礎を成しており、グローバルな問題に対処する上でますます重要になってくることを改めて確認をいたしました。
 世界及び地域の情勢に関しても意見交換を行いました。その中で、イラクの復興及び民主化、アフガニスタンにおけるテロとの闘いについて国際協力の重要性を確認いたしております。その際、アメリカ側より、自衛隊の派遣等の日本の支援に対する感謝の意が示されました。また、イランの核問題の外交的解決に向け、イランに対してウラン濃縮活動の停止を求めるなど、IAEA及び国連安保理を通じた国際協力の重要性を確認いたしております。
 北朝鮮につきましては、六者会合における共同声明の実施が重要であることを確認しております。アメリカ側より、拉致問題を始めとする北朝鮮の人権問題に高い関心を有しているとの発言がありました。なお、当方より、拉致被害者家族の訪米に当たり、ブッシュ大統領を始め米側関係者の対応に謝意を表明いたしております。
 中国につきましては、軍事費増大に係る透明性が重要であることや、国際社会における責任ある利害関係者としての役割が期待されるとの認識を確認しております。
 さらに、今般の2プラス2において、昨年十月の2プラス2で発表した在日米軍の兵力態勢再編案について、その実施のための具体的計画を閣僚レベルで承認をいたしております。この計画は、抑止力を維持しつつ、地元負担の軽減を実現する具体的道筋を描くものであり、今日の安全保障環境において日米安保体制を一層強化する上で、極めて大きな意義を有すると認識をいたしております。
 今回のいわゆる最終取りまとめによって、兵力態勢再編に関する日米間の協議自体は一つの区切りが付いた形になりますが、今回の会合後発表した共同発表文にあるとおり、今後、この再編の計画や、計画検討作業等の役割、任務、能力に係る取組を着実に実施していくことが極めて重要であると存じます。
 政府としては、今後とも、これらの取組の意義について、国会での審議等を通じ、国民の皆様にしっかりと御説明をしていくとともに、関係省庁間で連携しながら、着実な実施に努めてまいりたいと考えております。(拍手)
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○議長(扇千景君) 国務大臣額賀防衛庁長官。
   〔国務大臣額賀福志郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(額賀福志郎君) 私は、四月三十日から五月三日まで米国のワシントンを訪問をし、五月一日、日米安全保障協議委員会において、麻生外務大臣とともに、ラムズフェルド国防長官及びライス国務長官と協議を行いました。また、五月三日、ラムズフェルド国防長官と協議を行いました。
 日米安全保障協議委員会においては、国際情勢、日米同盟の変革と再編、イラク人道復興支援を議題として意見交換を行いました。私からは、在日米軍再編の確実な実現に向けまして、地元との調整を進め、しっかりと責任を果たしていく考えである旨表明をいたしました。また、イラクにおける自衛隊の活動につきまして、イラクが民主国家として自立することは中東の地域のみならず世界の安定に極めて重要であり、国際社会が協調してイラクを支援することが必要であることから、引き続き日米英豪の関係国間で緊密に連携を図っていきたい旨を発言いたしました。
 日米安全保障協議委員会の共同発表におきましては、安全保障環境が変化していく中で、日米両国間で、弾道ミサイル防衛、両国間の計画検討作業、情報協力や国際平和協力活動等の分野で、二国間の安全保障・防衛協力の実効性を強化し、改善することの必要性や、自衛隊と米軍の相互運用性を向上することの重要性を確認したところであります。
 また、在日米軍の再編につきまして、日米安全保障協議委員会として、再編実施のための日米のロードマップに記されております、二〇〇五年十月の日米安全保障協議委員会における再編案の実施の詳細について承認をいたしたところであります。
 本再編案は、二〇〇五年十月二十九日の「日米同盟 未来のための変革と再編」における在日米軍及び関連する自衛隊の再編に関する具体的な計画の作成が完了したため取りまとめられたものであります。個別の再編を実施することにより、同盟関係にとって死活的な重要な在日米軍のプレゼンスが確保されることとなるのであります。日米両国政府は、再編に関する費用を、地元の負担を軽減しつつ抑止力を維持するという、二〇〇五年十月二十九日の日米安全保障協議委員会文書におけるコミットメントに従って負担をしてまいりたいと思っております。
 実施に関する個別の合意事項といたしましては、第一に、沖縄における再編があります。普天間飛行場代替施設につきまして、二〇一四年までの完成を目標とし、辺野古崎とこれに隣接する大浦湾と辺野古湾の水域を結ぶ形で設置し、V字型に配置することで合意をいたしました。普天間飛行場の能力代替として、新田原、築城両飛行場が緊急時に使用されることとしております。また、在沖米海兵隊のグアム移転に関しましては、約八千名の第三海兵機動展開部隊の要員とその家族約九千名を二〇一四年までに沖縄からグアムに移転することにいたしました。第三海兵機動展開部隊のグアムへの移転のための施設及びインフラの整備費算定額百二・七億ドルのうち、日本はこれらの兵力の移転が早期に実現されることへの沖縄住民の強い希望を認識しながら、これらの兵力の移転が可能となるように、グアムにおける施設及びインフラ整備のために、二十八億ドルの直接的な財政支出を含め、六十・九億ドルを提供いたすことにしております。さらに、嘉手納飛行場以南の相当規模の土地の返還が可能となっております。日米両政府は、二〇〇七年三月までに統合のための詳細な計画を作成をし、本計画において、キャンプ桑江、普天間飛行場、牧港補給地区、那覇港湾施設、陸軍貯油施設第一桑江タンク・ファームについては全面返還が、キャンプ瑞慶覧については部分的な返還が検討されることになりました。また、キャンプ・ハンセンは陸上自衛隊の訓練に使用をされ、航空自衛隊は、地元への騒音の影響を考慮しつつ、米軍との共同訓練のために嘉手納飛行場を使用することにしております。
 第二といたしまして、米陸軍司令部能力の改善であります。キャンプ座間の米陸軍司令部は、二〇〇八年米会計年度までに改編をされ、その後、陸上自衛隊中央即応集団司令部が二〇一二年度までにキャンプ座間に移転をいたします。この改編に関連をいたしまして、キャンプ座間及び相模総合補給廠の一部が日本政府に返還されることになっております。
 第三は、横田飛行場及び空域に関してであります。航空自衛隊航空総隊司令部及び関連部隊は、二〇一〇年度、横田飛行場に移転をいたします。また、横田空域の一部管制業務の日本側への返還がなされる一方で、関連空域の再編成等の包括的検討の一環として、横田空域全体についてあり得べき返還に必要な条件の検討等の措置をとることが追求されることになりました。
 第四点目としては、厚木飛行場から岩国飛行場への空母艦載機の移駐であります。第五空母航空団の厚木飛行場から岩国飛行場への移駐は、二〇一四年度までに完了し、海上自衛隊EP3、OP3、UP3飛行隊等の岩国飛行場からの移駐を受け入れるための必要な施設を整備することにしております。
 また、普天間飛行場に所在するKC130飛行隊は岩国飛行場を拠点とすることとなりますけれども、訓練等は鹿屋基地及びグアムに定期的にローテーションで展開することとし、岩国飛行場に所在する海兵隊CH53Dヘリをグアムに移転することといたしております。
 第五点目は、ミサイル防衛に関してであります。ミサイル防衛に関しましては、それぞれの弾道ミサイル防衛能力を向上させることに応じまして、緊密な連携が継続されることになります。また、新たな米軍のXバンド・レーダー・システムの最適な展開地として航空自衛隊車力分屯基地を選定をし、本年夏までに、必要な措置や米側の資金負担による施設改修が行われることになっております。さらに、米軍のパトリオットPAC3能力が、日本における既存の米軍施設・区域に展開され、可能な限り早い時期に運用可能となることになります。
 最後の点は、訓練移転についてであります。当分の間、嘉手納飛行場、三沢飛行場及び岩国飛行場の三つの米軍施設からの航空機が、航空自衛隊千歳基地、三沢基地、百里基地、小松基地、築城基地、新田原基地を拠点として行われる移転訓練に参加をすることになります。また、日米両政府は、共同訓練に関する年間計画を作成してまいります。さらに、共同使用の条件が日米合同委員会合意で定められている自衛隊施設につきましては、共同訓練の回数に関する制限を撤廃をいたしますけれども、各自衛隊施設の共同使用の合計日数及び一回の訓練の期間に関する制限は維持されることになっております。
 以上が再編実施のための日米のロードマップに記されております在日米軍再編案の実施の詳細でございます。
 また、ラムズフェルド国防長官との協議におきましては、米軍再編、イラク人道復興支援等につき、率直に意見交換を行いました。
 米軍再編につきましては、日米安全保障協議委員会において、米軍再編について最終取りまとめがなされたことを受けまして、今後、着実に実施していくことにつき、ラムズフェルド長官と認識が一致し、また、私より、一九九六年の日米安保共同宣言発出後、当時予想していなかった事象が次々に起こっていることを指摘しながら、日米防衛・安全保障協力の大きな目的、理念を示すことが重要であることを指摘いたしました。
 イラクにおける今後の自衛隊の活動につきましては、イラク全般の政治プロセスの進展状況、治安権限委譲の状況等を踏まえて考えていく旨を発言をいたしました。
 今後、米軍再編につきましては、今般の日米安全保障協議委員会における合意を実現していくことが課題となります。また、日米安全保障協議委員会の共同発表に示されているように、変化する安全保障環境において、確固たる同盟関係を確保するとともに、様々な課題に対応する同盟の能力を向上するため、日米安全保障・防衛協力の在り方といった点を含め、政府全体としてしっかりと検討していくことが必要と考えておりますので、関係各位の御理解と御協力を心からお願い申し上げる次第であります。
 以上であります。(拍手)
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○議長(扇千景君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。福島啓史郎君。
   〔福島啓史郎君登壇、拍手〕
○福島啓史郎君 私は、自由民主党を代表して、ただいま報告のありました在日米軍再編に関しまして、総理に質問をいたします。
 このたび、外務・防衛担当閣僚によります日米安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2会合が行われ、在日米軍再編につきまして最終合意がなされました。再編日程を定めたロードマップのほか、今後の日本の安全保障について重要な事項が決定されています。
 まず最初に、最終報告に至るまで、在沖海兵隊グアム移転についての経費の負担、その方法、普天間飛行場の移設など、内外の難しい問題の調整に尽力された総理、麻生外務大臣、額賀防衛庁長官始め関係者の方々の努力に心から敬意を表したいと思います。
 最終合意では、ワシントン州にある米陸軍第一軍団司令部を改編し、キャンプ座間に在日米陸軍司令部として移設し、陸自中央即応集団司令部とともに日本の安全を守るほか、横田基地に空自航空総隊司令部が移転し、在日米軍司令部との連携を強めることになります。
 最終報告により、ミサイル防衛を始め、これまで以上に日本の我が国の防衛への主体的な取組が求められるとともに、アジア太平洋の平和と安定に向けて日米同盟の強化が進むと考えられますが、新たな段階に入る日米同盟の姿と新しい枠組みについて総理の見解をお伺いいたします。
 在沖海兵隊約八千人、その家族約九千人がグアムに移転することは、在日米軍基地の約七五%を占める沖縄の大きな負担軽減となります。一方で、外国の軍隊である在沖米海兵隊のグアムの移転費用をなぜ負担するのか、幾らの額をどう負担するのか、その根拠は納税者たる国民に十分説明して納得していただかなければなりませんし、金額が適正であるかの検証も必要であります。
 再編のロードマップによると、移転は二〇一四年までに行われ、支出は一遍に全額支出されるものではありません。また、総算定額百二・七億ドルのうち日本の分担額は約六十・九億ドルですが、そのうち直接の財政支出は二十八億ドルが上限であり、米国の財政支出額三十一・八億ドルを下回り、その他は融資など日本に返ってくるものであります。
 今まで日本は海外へ移転する米軍施設へ資金援助したことはありません。ドイツで旧ソ連軍が移転、撤退する場合、費用を負担した例がありますが、事情が異なります。日本が負担する理由につきまして、日米安全保障条約上の観点も含め、しっかりとした説明を総理からお願いしたいと思います。
 グアム移転経費のほか、国内移設も含めますと、二兆円とも三兆円とも言われております。年間約五兆円の防衛費から米軍再編の予算を捻出するのは実に困難であると言わざるを得ません。米軍再編の問題は、防衛庁の枠を超え、政府全体の問題という認識でSACOのように別枠で予算編成する必要があると考えますところ、総理のお考えを承りたいと思います。
 また、湾岸戦争時のように増税で賄ったらどうかという意見もありますが、景気がやっと上向いてきたこの時期、増税するのは賛成できません。この点も併せて確認いたします。
 ロードマップの合意により、その着実な実行が肝要となります。しかしながら、基地の移転にはまだ地元の同意が得られていないところもあります。現在、岩国市長は艦載機移駐に反対しております。
 昨日、沖縄県知事は、防衛庁長官、総理と相次いで会談し、政府案を基本として普天間飛行場代替施設について対応していくことで合意いたしました。一歩前進ですが、今後も更なる地元の理解を得るため、政府はその役割を果たしていただきたいと考えます。
 そのためにも、私の外務大臣政務官の経験からいたしましても、今回の最終合意の意味及び日本、アジア太平洋、世界の安全保障への貢献などしっかり説明するとともに、沖縄振興計画の見直しや岩国の軍民共用民間空港の早期再開への支援など抜本的な地元振興策を打ち出し、関係自治体の理解を得るよう、一層の御努力をお願いしたいと考えますが、総理の御決意をお願いいたします。
 以上でございます。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 福島議員に答弁いたします。
 新段階に入る日米同盟の姿と新しい枠組みについてですが、我が国外交の基軸であります日米同盟は新たな安全保障環境に協力して対応していく必要がありますが、このたびの再編案を着実に実施することにより、同盟の能力が向上していくこととなります。日米同盟における協力関係が新たな段階に入るということは、正にこのような趣旨を述べたものであります。
 テロや弾道ミサイル攻撃などの新たな脅威への対応、大規模災害時における人道救援活動、国際平和協力活動への参加など様々な課題がありますが、これらに対して日米両国が効果的に対応していかなければなりません。このため、確固たる日米間の同盟関係を確保していくことが重要と考えております。
 在沖縄アメリカ海兵隊のグアム移転経費の分担についてでありますが、我が国外交の基軸であります日米同盟の重要性にかんがみ、在日米軍の抑止力を維持しつつ沖縄の負担をなるべく早期に軽減するため、我が国も応分の分担をすることといたしたところであります。
 米軍再編に伴う予算でございますが、日本側の経費負担については、今後、所要の経費を精査していくことになりますが、厳しい財政事情を踏まえ政府部内で検討を進めてまいります。
 在日米軍再編に伴う増税についてでございますが、在日米軍再編に要する経費の財源として増税を行う考えはありません。
 関係自治体の理解を得る努力についてお尋ねでありますが、米軍再編は、抑止力の維持、地元の負担軽減の観点から是非とも実現すべき事案であります。政府としては、今後とも引き続き、地元の御理解と御協力を得るため誠心誠意努力し、振興策などについても十分協議してまいります。(拍手)
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○議長(扇千景君) 浅尾慶一郎君。
   〔浅尾慶一郎君登壇、拍手〕
○浅尾慶一郎君 民主党・新緑風会を代表して、ただいまの二報告に関して総理並びに関係大臣に対する質疑を行わしていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私事になりますが、連休中にヨルダンに行ってまいりました。そこで、インディー・ジョーンズの映画でも知られますペトラの遺跡を見る機会に恵まれました。ペトラを築いたナバタイ人は、一度はお金を払ってローマの侵攻を食い止めますが、やがてローマ人に滅ぼされたと聞きました。歴史を振り返れば、傭兵国家の多くが結局は滅亡しております。厳しい発言になりますが、今回の米軍再編で我が国が、結局お金だけ負担して、借金だけ増え、滅びてしまうことがないようにしたいと思っております。まずは、この傭兵国家観について、もし総理の御感想があれば伺います。
 さて、私は、今申し上げた認識に立つと、今回の米軍再編の議論の中で一つ欠けているものがあると思っております。
 政府は抑止力の維持と負担の軽減という言葉を合い言葉に今日の交渉に臨んだと聞いております。日本の立場としてそれは理解できる姿勢です。しかし、申すまでもなく、米軍再編は米国の国家戦略に基づく地球規模のものでありますから、米側の意図の理解も必要です。
 米国の意図は、できる限り少ない軍事費でテロ等の新たな脅威に対抗するというものではないでしょうか。だからこそ、ドイツ、韓国を含め、海外からグアムを含めた米本土へ米軍を戻しているのです。
 こうした米国の意図も踏まえると、米国の同盟国として日本には二つの選択肢があったのではないかと思います。すなわち、同盟国として真の意味で補完的な役割分担をする代わりに説明のできない金銭的な負担をしないという考え方と、補完的な役割分担をしない代わりに金銭的な負担をするという考え方です。
 そこで、まず総理にお尋ねします。
 総理は、日本が対等な同盟国としての役割分担をしていないから余計な金銭的な負担をしていると考えるのか、それとも、十分軍事的な負担を果たしているが、なお金銭的に負担をしていると考えるのか、端的にお答えください。もし、同盟国としての責務を十分に果たしているが更に金銭的な負担もするというなら、その理由もお答えください。
 そして、総理、もう少し具体的にお伺いします。
 我が国が負担する駐留米軍経費の金額は世界でも突出して多く、その上で、米軍再編に伴うグアム移転経費のような費用を移転してもらう国が支払うというのは世界でも例がありません。米国に対して我が国が負担する巨額の費用は何かの対価なんでしょうか。例えば、米軍が我が国国民を外敵から守ってくれることに対する対価と考えればよいのですか。総理のお考えをお聞かせください。
 また、総理、我が国が米軍再編に伴う巨額の経費を負担することは、我が国の抱える外交的課題の解決に役に立つのでしょうか。
 例えば、日中間の海洋権益の問題、日韓間の領土問題、あるいは北朝鮮による拉致問題の解決に役立つとお考えですか。若しくは、直接的な解決に役立たないとしても、保険としての役割を果たしているとお考えか。その点についてのお考えを伺いたいと思います。
 さて、総理、日米同盟の維持、発展には関係自治体と住民の皆様の御理解、御協力が不可欠です。沖縄、神奈川を始め関係地方自治体を説得の上、2プラス2の最終報告を実施するための閣議決定をするよう関係閣僚に指示を出されているとお伺いします。総理はいつまでに閣議決定をする必要があるとお考えですか。
 関係自治体には十分な情報提供と説明を行い、関係自治体が了承しない限り閣議決定を強行することはしないと約束していただけますか。明確な御答弁をお願いいたします。
 加えて、2プラス2最終報告を実施するための法案はいつまでに国会に提出しなければいけないとお考えですか。総理としてのプランをお答えください。
 なお、米軍再編とは直接関係ありませんが、総理の地元の原子力空母の横須賀母港化についても地元自治体の了承を求める努力を継続するよう関係閣僚に指示していただきたいと思いますが、いかがですか。
 そして、最後に総理、総理は現状の日米関係が対等なパートナーシップを築いているとお考えですか。米軍の再編は米軍の世界戦略に基づくものであり、我が国沖縄その他の負担軽減はその反射的利益にすぎません。にもかかわらず、それに掛かる莫大な経費を我が国が負担する、こうした関係は対等なパートナーシップと言えますか。総理は、連休中、英語をたくさん使われたでしょうから、イエスかノーかではっきりお答えください。
 次に、外務大臣にお伺いします。
 今回の2プラス2最終報告の実施に関し、条約その他国際約束の締結は必要になるのか、必要ではないのか、明確にお答えください。
 次いで、防衛庁長官に伺います。
 今回のいわゆる2プラス2最終報告をめぐっては、米国のローレス国防副次官の、最終報告を実施するにはグアム移転経費を含めると三兆円の経費を我が国が負担することになるという発言が物議を醸しています。この発言についてはその真偽をめぐって混乱が見られます。
 そこで、長官、外交ルートを通じてローレス国防副次官に発言の真意をきちんと確認していただけないでしょうか。ローレス氏は三兆円の根拠は日本側の試算によるというような発言もしていると伺います。その点も含めて、是非、正式に確認していただきたいと思いますが、いかがですか。
 また、長官、防衛庁の守屋事務次官が、やはり最終報告を実施するには、グアム移転経費を除いて、八年間で二兆円の経費が掛かるというような発言をされた事実があります。長官は、先日の外交防衛委員会でこの問題を取り上げた際、報道で聞いているが、全体的なイメージとして言われたんだろうというような御答弁をされています。この本会議の質疑の内容は、昨日既に政府側に通告してあります。長官は、本日までに、守屋次官に直接、発言の内容、金額の根拠を確認されましたか。確認されたのであれば、この本会議で御報告願います。確認されていないのであれば、その理由を御説明願います。
 そして、長官、2プラス2最終報告を実施するには、グアム移転経費を除いて、何年間でどのくらいの経費が掛かるのか、速やかに国会に報告すべきと考えますが、いつまでに経費の見積りをまとめるおつもりですか。いつまでにやりますと、この場でお約束願えないでしょうか。
 次に、グアム移転経費について伺います。
 長官は、いわゆる真水の財政支出の二十八億ドルは上限の金額だと国会に説明しています。その根拠は何ですか。2プラス2の最終報告の文書を見る限り、そのような記述はありません。ワシントンでの協議の際の口頭の約束なのでしょうか。もしそうであれば、だれが何と言ったのか御説明ください。
 また、家族住宅は、我が国が出資して特殊目的会社を設立し、その会社への融資によって建設した後、その家族住宅の家賃で融資及び出資金を回収するというふうに伺っております。家族住宅に関する融資は、六億三千万ドルは何年間で回収されるのでしょう。その場合の月々の家賃収入はどのくらいを想定しているのでしょうか。家族住宅三千五百戸の建設費の見積りはどのように行ったのでしょう。
 そして、その特殊目的会社への出資金は株の売却によって回収するのでしょうか。その株は、いつごろ、だれに売却されるおつもりでしょうか。
 さらに、基地内インフラに融資される七億四千万ドルはどのように回収されるのか、その点について明確なお答えをお願いいたします。
 加えて、これらの出資金や融資が家賃収入等で回収できない場合には多額の国民負担が生じますが、そうしたことにはならないとお約束できますか、はっきりとお答えください。
 最後に、財務大臣に伺います。
 まず、財務大臣、グアム移転経費等、2プラス2の最終報告の実施には莫大な金額の国費を投入しなければなりません。これらの国費については、後日、防衛庁の予算要求が財務省にされるものと思いますが、防衛庁が予算要求するものは防衛関係費としてカウントされるのではないでしょうか。その点のお考えを財務大臣にお伺いいたします。また、防衛関係費となるのであれば、中期防衛計画は見直し、圧縮がなされることになろうと思いますが、大臣のお考えをお聞かせください。
 さらに、財務大臣、2プラス2最終報告の実施に係る莫大な金額を工面するためには、消費税増税も必要になるのではないかと心配いたしております。財源の確保についてはどのようにお考えですか、明確にお答えください。
 以上、総理及び関係大臣に今次米軍再編と我が国の負担についてお伺いをしてまいりました。冒頭申し上げましたとおり、我が国が傭兵国家ではなく真の自立した独立国家として機能するためには、同盟関係における補完的な役割分担は必要です。しかし、国民の皆様には、対等なものに日米関係がなっていないのではというふうに見えていると思います。健全な日米関係のために我が国が本来負担すべきものは何かということは、まずは包み隠さず御答弁いただきますようお願い申し上げます。
 なお、関係大臣の御答弁が不十分な場合には再質問させていただきますことを申し添えまして、私の質問を終えさせていただきます。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 浅尾議員に答弁いたします。
 米軍再編と傭兵国家観についてでございますが、お尋ねの傭兵国家というものがどういうものであるか必ずしも明確ではございませんが、我が国外交の基軸である日米同盟は対等な関係を基本とするもので、その中で、米軍再編は沖縄を始めとする地元の負担軽減と抑止力の維持に資する重要な課題であります。したがって、我が国が負担するべき経費の内容を精査しつつ、適切に予算上の措置を講じていく必要があると考えております。
 我が国の同盟国としての役割分担、金銭的負担及び外交的課題の解決についてでございますが、我が国の安全を確保するためには、我が国自身の防衛力を保持するだけでなくて、日米安保体制を堅持することが必要であります。我が国による在日米軍駐留経費負担は、日米安保体制の円滑かつ効果的な運用の確保のために重要な役割を果たしていると思います。また、在日米軍再編に係る経費についても、沖縄を始めとする地元の負担軽減と抑止力の維持の観点から、我が国として負担すべき経費を精査しつつ、適切に負担すべきと考えております。
 在日米軍の兵力態勢の再編を着実に実施することは、日米安保体制、日米同盟関係の強化につながり、このような緊密な日米関係の基盤に立ちつつ、近隣諸国を含む国際社会との関係を強化するために外交努力を行っていく考えであります。
 再編に関する閣議決定でございますが、現在、必要な調整を行っているところでありまして、日程について確たることを申し上げられる段階にはありません。この閣議決定に当たっては、関係自治体の理解と協力が得られるよう努力し、必要な手続を踏んだ上で進めてまいります。
 最終報告を実施するための法案でございますが、先般の日米外務・防衛担当閣僚で発表されました再編に関する計画は、在日米軍の抑止力を維持しつつ地元負担の軽減を実現するものとして大きな意義を有するものであります。今後、本計画を着実に実施するための施策について、法整備の必要性も含め政府部内で検討を進めてまいります。
 原子力空母への交代でございますが、二〇〇八年の空母交代を通じて米海軍の能力を維持することは、我が国及び極東の平和と安全に寄与するものであります。政府としては、関係省庁間で協力しつつ、安全性の観点を含め地元の方々の理解を得るべく引き続き努力してまいります。
 日米関係の現状認識についてですが、日米双方は、従来より強固な信頼関係の下で、お互いに言うべきことは言い、やるべきことはやると、そういう関係であります。対等な協力関係を今後も形成してまいります。
 在日米軍の兵力態勢再編につき、我が国としては防衛計画の大綱を踏まえ、在日米軍の抑止力を維持しつつ、地元の負担を軽減するとの我が国の方針に立って検討してきたものであります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(麻生太郎君) 2プラス2最終報告の実施に係る条約等の締結の要否についてのお尋ねがあっております。
 在日米軍の今回の兵力態勢の見直しにつきましては、今般の最終取りまとめの実施に当たりましては、国際約束の締結を要するか否かを含めまして、今後、必要な整理を関係省庁と詰めた上で答弁させていただきます。
   〔国務大臣額賀福志郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(額賀福志郎君) 浅尾委員にお答えをいたします。
 まず、ローレス副次官の発言についてお尋ねがありました。
 政府といたしましては、ローレス副次官の発言の真意について承知をしておるわけではありませんけれども、米軍再編に伴い我が国が負担すべき経費につきまして最終的に見積もっていきますのは我が国自身であります。ローレス副次官の発言の真意について確認する必要があるとは思っておりません。我々がきっちりと積算根拠に基づいて国民の前にお示しをしていきたいというふうに思っております。
 次に、守屋次官の発言についてお尋ねがありました。
 守屋次官の発言は、これまでの専門的な知見を踏まえまして、米国とのグアム移転経費の交渉において、米国が我が国の大幅な負担を要求していることに対し、我が国はグアム移転経費だけではなく国内でも大きな負担をしていることを米国に伝えて交渉してきたことを分かりやすくイメージ的に話したものである旨を本人から聞いたところでございます。
 次に、米軍再編に伴う経費の見積りについてお尋ねがあります。
 米軍再編に伴う経費につきましては、今後、米国との間で細部を調整をし、我が国が負担すべき経費の内容の詳細をきちんと精査することが大事だと思っております。
 他方、米側から詳細なスペック等のデータの提供なくして正確に経費を見積もることは困難であります。また、統合のための詳細な計画を平成十九年三月までに作成することとされておりますので、嘉手納飛行場以南の土地の返還のような事業もあるために確定的な時期を申し上げることはできません。しかし、できるだけ早い時期に国会や国民の皆さん方にきちっとお示しができるように一生懸命努力をしたいと思っております。
 次に、二十八億ドルが上限である根拠についてお尋ねがありました。
 我が国の財政支出二十八億ドルが上限であることについては、先日の2プラス2において確認をされております。私が発言をし、米国側もこれを了承しております。関係者間できちっと合意をされていることをお伝えしたいと思います。
 次に、家族住宅についてのお尋ねがありました。
 家族住宅に関する融資が何年間で回収されるのか、また出資がどのように回収されるのかについては、今後、経済的、合理的な事業の実施の観点から、資金の流れを含む具体的な事業スキームなどを更に事務的に詰めていくことが必要であります。現時点ではまだ決まっておりません。
 家賃収入については、米軍人に支払われる手当や入居者数などが決まっていない現時点において確たることを申し上げることはできません。
 家族住宅の建設費は、米国が提供した資料や情報を基に見積りを行ってまいりたいと思っております。
 いずれにいたしましても、以上お答えした事項については、引き続き詳細をきちんと検討して国民の前にお示しをしていきたいというふうに思っております。
 次に、基地内のインフラについてお尋ねがありました。
 今後、経済的、合理的な事業の実施の観点から、資金の流れを含む具体的な事業スキーム等につきまして更に事務的に詰めていくことになるため、現時点で基地内インフラに関する融資がどのように回収されるかはまだ決まっていないのでございます。
 最後に、出資や融資の回収可能についてお尋ねがございました。
 出資や融資が回収不能となることがないように、今後、資金の流れを含む具体的な事業スキームを具体的に検討してまいりたいと考えるわけでございます。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣谷垣禎一君登壇、拍手〕
○国務大臣(谷垣禎一君) 浅尾議員から私に対し、米軍再編に伴う予算措置及びその財源並びに米軍再編と中期防衛力整備計画の関係についてお尋ねをいただいたところでございます。
 米軍再編の所要経費につきましては、今後、最終取りまとめの合意内容を踏まえて精査が進められることとなっておりまして、現段階では確定していないものと承知しております。
 このため、米軍再編に必要となる経費が具体的にどのような形で予算として計上されることになるのか、またその財源をどのように手当てするのかについて、現時点で予断を持って申し上げることは差し控えさせていただきますが、いずれにしても、今後、しかるべき予算上の措置及びその財源について関係省庁間で検討を進めていくこととなります。なお、米軍再編に要する経費の財源として増税を行う考えはありません。
 また、中期防衛力整備計画との関係についても、現段階で予断を持って申し上げることは差し控えさせていただきますが、現下の厳しい財政状況の下では、既存の防衛関係費についても一層の効率化、合理化を図り、米軍再編に要する経費がそのまま現在の中期防衛力整備計画に上乗せにならないようにする必要があると考えております。(拍手)
    ─────────────
○議長(扇千景君) 高野博師君。
   〔高野博師君登壇、拍手〕
○高野博師君 私は、公明党を代表して、ただいまの報告に対し、小泉総理始め関係大臣に質問いたします。
 世界的な米軍再編の総仕上げとしての在日米軍再編の最終取りまとめが先般の日米安保協議委員会、2プラス2で合意されました。小泉総理、麻生外務大臣、額賀防衛庁長官の政治的指導力の発揮を評価したいと思います。
 日米同盟は、我が国の平和と繁栄にとって死活的な重要性を持っております。民主主義と自由の価値観を共有する日米両国が、地域の軍事力拡大や核問題に対し実効性のある抑止力を維持しつつ、テロ等の新たな脅威にも即応できる同盟関係を強化することが要求されております。
 アーミテージ前米国務副長官が、日米同盟はお金ではなく、共通の価値や利益に置き換えられるべきものであり、厳粛な信頼関係だと述べておりますが、正に至言だと思います。
 そこで、今回の2プラス2の共同発表では、日米の同盟関係の協力は新たな段階に入るとうたっておりますが、新たな段階に入るとは具体的に何を意味するのか、小泉総理に伺います。
 また、額賀長官は記者会見で、日米防衛協力の指針、いわゆるガイドラインの見直しに取り組む意欲を示しております。六月の小泉総理訪米の際には、新たな安保共同宣言や世界の中の日米同盟の在り方について首脳会談で示される方向なのか、併せて小泉総理に伺います。
 今回の米軍再編のねらいは、主として、日米共通の戦略目標である地域に対する抑止力を強化すると同時に、地元基地の負担の軽減を図ることにあります。しかし、米軍再編による米軍と自衛隊の融合を危惧する声もあります。
 先般の内閣府の世論調査では、日本が戦争に巻き込まれる危険があると答えた人が四五%にも上っております。我が国の安保政策が世界の中の日米同盟の名の下に無原則に拡大しかねないとの意見もありますが、政府はこのような懸念を払拭するよう努力すべきだと思います。麻生外務大臣の認識を伺います。
 また、沖縄県や岩国市を始め、米軍基地の関係自治体では再編案に難色を示しているところもあります。基地を抱える地元の悩みを緩和し、基地との共存を図ることは大変な難題でありますが、日本全体で負担を分かち合うには関係自治体と住民の理解を得ることが肝要であり、政府は謙虚な姿勢で対応すべきと思いますが、額賀長官の決意を伺います。
 さらに、協議の最終段階で、在沖縄海兵隊のグアム島移転の経費負担問題を始め、米軍再編に係る経費負担について日米両政府関係者の予想外の発言が注目を浴びました。政府は、厳しい経済・財政状況の下で、経費負担の原則を明確にし、国民に対する説明責任を果たすべきであると思いますが、額賀長官の見解を求めます。
 ところで、2プラス2の協議の中で、中国の軍事力の透明化や、中国が責任あるステークホルダー、利害関係者として行動すべきとの意見が相次いだと報じられております。それらの意見は当然だと思いますが、我が国が隣国中国とどう向き合っていくかは、我が国の将来にとり、ひいてはアジアと世界の平和にとって極めて重要な意義を有していると思います。
 私は、日米同盟がすべてではないと思っております。我が国は、一方でASEAN諸国、インド、ロシア等との戦略的かつグローバルなパートナーシップを強化しつつ、他方で毅然とした姿勢で対中関係を打開し、新たな世界の中の日中友好関係を築き上げるべきであります。
 人間の安全保障という理念に基づいて、ソフトパワーを柔軟かつダイナミックに利用する平和戦略を練り上げ、実行すべきであると思います。その不断の外交努力があって初めて日米同盟は有効性と信頼性を増すことができると思いますが、小泉総理の見解を伺って、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 高野議員に答弁いたします。
 日米同盟の新たな段階に関するお尋ねでございますが、我が国の外交基軸である日米同盟は新たな安全保障環境に協力して対応していく必要がありますが、このたびの再編案を着実に実施することにより、同盟の能力が向上していくことになります。日米同盟における協力関係が新たな段階に入るとは、正にこのような趣旨を述べたものであります。
 首脳会談についてですが、日程については現時点で決定されておりません。世界の中の日米同盟の在り方を含め、両国の協力関係については日米首脳間で引き続き緊密に話し合っていく考えであります。
 平和外交戦略、日米同盟、これらについてのお尋ねでございますが、日米同盟は、現在、有効性と信頼性をもって機能しております。我が国は、こうした現状に甘んずることなく、安全保障、政治、経済の各分野で米国との協力関係を一層強化するため、不断の努力を行っております。
 こうした緊密な日米関係の基盤に立ちつつ、我が国の理念や文化の持つ魅力といったいわゆるソフトパワーを活用しながら、近隣諸国を始め世界各国との関係を強化していく考えであります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(麻生太郎君) 高野議員から、我が国の安保政策が無原則に拡大するとの懸念を払拭すべきとのお尋ねがあっております。
 日米安全保障体制は、日本及びアジア太平洋地域の平和と安定に重要な役割を果たしてまいりました。在日米軍の兵力態勢の再編というものは、このような日米安全保障体制の基盤を一層確固とするものであります。こうした意義について、国民の皆様に対して引き続き説明に努めてまいる考えであります。
 また、世界の中の日米同盟につきましては、日米両国は世界における様々な問題の解決に世界の国々と協力をしながら取り組んでまいります。この同盟関係は、日米安保条約に基づく協力に限られたものではなく、政治、経済、他の分野も含め、幅広い分野で日米双方が共通の価値観と利益に基づいて連帯をしていくものと存じます。
 個々の問題、課題に対処するに当たって具体的にいかなる協力を行うかにつきましては、日米両国がそれぞれの国益に基づき、また各々の法的、政策的枠組みの下で主体的に判断するものであるということは申すまでもないと存じます。(拍手)
   〔国務大臣額賀福志郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(額賀福志郎君) 高野議員にお答えをいたします。
 まず、米軍再編に伴う、今後の国民の皆さん方に御理解を得るために、政府の姿勢についてお尋ねがありました。
 高野議員御指摘のとおり、謙虚な姿勢で地元の皆さん方と対話をし、理解を得ていくことが一番大事だと思っております。国民の理解がなくしてこの問題の解決を図ることはできないというふうに思っております。真っすぐ向いて、逃げないで、しっかりと話合いをしていきたいというふうに思っております。昨日も小泉総理、麻生外務大臣、ともに、例えば沖縄知事と今後建設的に話合いをして解決を図っていくということで合意をいたしました。そういうことを積み重ねてまいりたいというふうに思っております。
 次に、米軍再編に伴う経費についてお尋ねがありました。
 米軍再編は、在日米軍の抑止力の維持と地元の負担軽減の観点から、政府として是非とも実現しなければならないことはこれまでも申し上げてきたことでございます。これに伴う経費につきましては、厳しい財政事情を十分に踏まえながら、今後、米国との間で細部を調整し、我が国が負担すべき経費の内容の詳細を精査した上で国民の皆さん方にお示しをし、国会でも御理解を得る努力をさしていただきたいというふうに思っております。
 これからしっかりと最終合意に基づいて詳細な具体的な設計を作り、その過程で具体的な経費の問題が明らかになってくると思いますので、何とぞよろしくお願いしたいと思っております。
 以上であります。(拍手)
○議長(扇千景君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
○議長(扇千景君) この際、日程に追加して、
 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(扇千景君) 御異議ないと認めます。小池環境大臣。
   〔国務大臣小池百合子君登壇、拍手〕
○国務大臣(小池百合子君) ただいま議題となりました地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 地球温暖化は、地球全体の環境に深刻な影響を及ぼし、その対策は人類共通の課題であります。このため、平成六年三月に発効した気候変動に関する国際連合枠組条約に基づき平成九年十二月に採択された、二酸化炭素等の温室効果ガスの削減についての法的拘束力のある約束等を定めた京都議定書が昨年二月十六日に発効し、世界の地球温暖化対策は新たな一歩を踏み出しました。
 我が国は、温室効果ガスの総排出量を平成二十年から平成二十四年までの期間に平成二年度と比較して六%削減するとの京都議定書に基づく約束を達成するため、昨年四月に京都議定書目標達成計画を閣議決定いたしております。同計画におきましては、国内の産業部門、運輸部門、民生部門その他の部門における温室効果ガスの排出削減対策及び森林管理等の国内の吸収源対策を徹底して行うことはもとより、これらに加え、国内対策を補完するものとして、他国における温室効果ガス排出削減量等を算定割当量として自国の約束達成に利用できる京都メカニズムを活用することとしております。諸外国におきましても、京都メカニズムの活用のための国内制度づくりが進められておりまして、平成十八年度中にはそれらの国が排出削減量を取得し始める見込みであります。
 このような状況を踏まえまして、京都議定書目標達成計画において京都メカニズムの活用に関する事項を定め、かつ、政府及び国内の法人が京都メカニズムを活用する際の基盤となる割当量口座簿を法制化する必要があることから、本法律案を提案した次第であります。
 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。
 第一に、国の責務として、京都メカニズムの活用のために必要な措置を講ずることを追加いたします。
 第二に、京都議定書目標達成計画の規定事項として、京都メカニズムの活用のために必要な措置に関する基本的事項を追加いたします。
 第三に、環境大臣及び経済産業大臣が割当量口座簿を作成し、当該口座簿上で政府及び国内の法人の算定割当量の取得、保有及び移転を行うこととするほか、算定割当量の移転について割当量口座簿上の記録をもって当該移転の効力発生の要件とするなど、算定割当量の取引の安全が確保されるよう規定を整備いたします。
 以上がこの法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────
○議長(扇千景君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。谷博之君。
   〔谷博之君登壇、拍手〕
○谷博之君 私は、民主党・新緑風会の谷博之でございます。
 民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案について質問をいたします。
 冒頭、一言申し上げます。
 小池環境大臣には、このたび元気で公務に復帰されましたこと、心からお喜び申し上げます。がしかし、小池大臣が第二次小泉改造内閣で環境大臣と沖縄及び北方対策担当国務大臣を兼務されたときから、ある意味では相矛盾する任務と激務になることが予想され、昨年の本院環境委員会でも私はこの点を指摘をさせていただきました。もし、そうした働き過ぎが今回の御病気の一因だとすれば、それはその任をお引き受けになられたその時点からある程度はお覚悟があったことと言わざるを得ません。
 いずれにしても、小池大臣、是非御自分のお体を大切にして、御自分でできる範囲の役割を演じることを心からお勧め申し上げます。環境大臣は、小池大臣、あなたお一人なのですから、あなたは今自分の置かれている立場を更に重大に受け止め、現職の大臣が長きにわたって公務から離れることのないように、十分に気を付けられるよう御忠告を申し上げ、早速質問に入りたいと思います。
 我が国は、京都議定書を取りまとめた議長国として、世界に約束した温室効果ガスの六%削減目標は確実に達成しなければならない立場にあります。しかるに、我が国の温室効果ガス排出量は、環境省の速報値によりますと、二〇〇四年度においては基準年の一九九〇年比で七・六%の増加となっており、六%削減目標を達成するためには、都合一三・六%もの削減が必要という現状にあります。そして、再来年には京都議定書の第一約束期間、二〇〇八年から二〇一二年が始まります。
 そこで、現状ではこのように約束達成は極めて厳しいと言わざるを得ないのでありますが、果たして政府は一体こうしたことについて本当に危機感を持っておられるでしょうか、お伺いいたします。
 政府は、昨年四月に閣議決定をした京都議定書目標達成計画において京都メカニズムを本格的に活用する方針を打ち出し、今国会でそのための法整備を図ろうとしています。しかし、この他国における温室効果ガス排出削減量等をクレジットとして自国の約束達成に利用できる京都メカニズムは、京都議定書上、国内対策に対してあくまで補足的でなければならないとされています。
 京都議定書目標達成計画でも、国内対策を基本として国民各界各層が最大限努力していくことが最も重要な課題となっていますが、国内対策を加速するためには、第一約束期間の前年である来年度に行おうとしている京都議定書目標達成計画の見直しは極めて重要な課題だと言わざるを得ません。
 そこで、その見直しについてどのような方針で臨まれようとしているのか、お伺いいたしたいと思います。
 京都議定書目標達成計画には、国内対策を講じてなお京都議定書の約束達成に不足する差分一・六%については、「補足性の原則を踏まえつつ、京都メカニズムの活用により対応することが必要」と記述されています。しかし、一九九八年の地球温暖化対策推進大綱策定以降、国内対策の見直しが行われてきているにもかかわらず、一・六%の数字だけは全く変わっていません。補足的と言いながら初めに一・六%ありきとする姿勢について、根本的矛盾はないのか、この点についての御説明をいただきたいと思います。
 環境税については、京都議定書目標達成計画において真摯に総合的な検討を進めていくべき課題と位置付けられ、環境省では昨年、一昨年と二年続けて具体的な提案を行っているものの、経済産業省などの反対によって導入は見送られていると承知しています。
 京都議定書の目標達成が極めて困難となっている中、環境税の導入は喫緊の課題であり、民主党としても具体的な環境税の提案を行っているところであります。今や、環境税の導入の是非を議論している段階ではなく、どのように導入すべきかを議論する段階と考えます。
 とりわけ、二階経済産業大臣は、環境大臣の臨時代理のときに環境省に赴き、経産省と環境省は一体となってこの問題を解決するために具体的に協力し合うべきだと国会答弁をされております。
 そこで、経済産業省と環境省は、協議の場を設けて、環境と経済の両立の観点から、産業界を説得しつつ環境税の制度づくりに積極的に取り組んでいくべきであると考えますが、国内排出量取引制度の早期導入と併せて、環境大臣並びに経済産業大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。
 京都メカニズムには、国際排出量取引、共同実施、クリーン開発メカニズム、CDMの三つがあり、これらの活用はある程度の大きな役割を示すものと考えられます。そこで、この活用はどのように考えておられ、進めようとしているのか、環境大臣にその方針をお伺いいたします。
 また、先進国間での排出枠のやり取りを行う国際排出量取引についても、旧ソ連、東欧諸国におけるいわゆるホットエアの問題もあり、その活用には極めて慎重でもあるべきと考えますが、この点についてもお伺いしたいと思います。
 そして、京都メカニズムの中では、クリーン開発メカニズム、CDMにウエートを置いた対応を考えているようでありますが、これに過度に依存するべきではないと私は考えます。CDMは先進国と途上国の間の共同プロジェクトで生じた削減量を当該先進国が獲得するものであり、しかも、それは結果として先進国の総排出枠を増やすことになりかねません。
 そこで、途上国の持続可能な開発への貢献を主張するものであれば、それは環境ODAの増額によって具体的に対応すべきものであると考えるのでありますが、この点についても政府の御見解をお伺いいたしたいと思います。
 京都議定書目標達成計画では、我が国として、基準年比一・六%相当分、五年間で約一億トンの二酸化炭素のクレジットを取得することを決定していますが、その確保の見通しとともに、取得のための費用総額は一体どのくらいになると予想しているのか、次にお伺いいたします。
 一方、温室効果ガスの削減に資するものであっても、例えば大規模なダムとか新規の石炭火力発電、あるいは発展途上国で住民の反対運動が起きているような、別の角度から見た場合、自然環境や地域社会を破壊するような事業からも安易にクレジットを取得するようなことになれば非常に問題だと言わざるを得ません。
 そこで、こうしたことが起きないようにするためにガイドラインを作成し、それに基づき取得を行うようにすべきではないかと考えるのでありますが、この点について環境大臣と経済産業大臣にお伺いいたします。
 経済産業省では、原油価格の高騰を始め世界の厳しいエネルギー情勢を踏まえ、エネルギー安全保障を核とした新・国家エネルギー戦略の策定を進めており、三月の中間報告を踏まえて、この五月を目途に最終取りまとめを行うこととしています。その中間報告によれば、戦略項目として省エネルギー推進、石油依存度低減、原子力推進などが挙げられており、地球温暖化対策とは不可分の関係にあります。
 一方、我が民主党のエネルギー政策では再生可能エネルギーの開発、導入を積極的に推進し、天然ガス利用の普及促進等により石油依存度の低減を図り、原子力政策は安全性を最優先に過渡的エネルギーとして慎重に推進するなどの主張をしています。そして、その上で、戦略的なエネルギー政策を推進するため、国民の意見を十分反映した国家エネルギー戦略を構築することとしています。
 そこで、今回、新・国家エネルギー戦略を策定するに当たっては、国民の意見を十分に聞き、これを十分反映したものにするべく強く求めたいのでありますが、経済産業大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。
 政府は、二〇〇六年度までに二〇〇一年実績値に比べて二酸化炭素などの排出量を七%減らす目標を決定していますが、二〇〇四年度の実績を見るとまだ〇・八%の削減にとどまっています。その原因の一端には、各省庁の電力購入に際し入札が行われるようになり、その結果、価格は安いが発電段階で排出される二酸化炭素がより多い電力が購入されるようになったことが挙げられております。そして、これにより一・七%も損をしているとの政府推計もあります。これでは、この一・七%分を相殺するために、電力料金が安くなった分以上の費用を掛けて省エネを進めなければなりません。
 現在、政府では、入札方式を環境に配慮したものに改善する方針と聞いておりますが、入札方式の改善となると行政府だけでは決められない問題でもあります。そこで、私は議員立法も視野に入れて検討すべきと考えておりますが、その前に、政府としてこの問題についてどのように具体的に検討がなされようとしているのか、その状況をお伺いいたしたいと思います。
 京都議定書の最大の課題は、世界最大の温室効果ガス排出国である米国を復帰、参加させることであります。そして、そもそも京都メカニズムは米国の主張により京都議定書に導入された経緯があり、その米国が参加を拒否していること自体は極めて遺憾なことであると言わざるを得ません。そして、政府としては引き続きあらゆる機会をとらえて米国を説得していくべきと考えるのでありますが、今後どのように米国に働き掛けていく方針なのか、お伺いいたしたいと思います。
 また、京都議定書後の二〇一三年以降のことについては、京都議定書の枠組みをベースとしつつ、批准していない米国はもとより、具体的削減義務のない中国や韓国、インドなど途上国も実効的な参加ができる枠組みの構築に向けて国際的なリーダーシップを発揮していくべきだと考えますが、政府の対処方針をお伺いいたしたいと思います。
 以上、結論を申し上げますと、京都議定書は温暖化対策の第一歩にすぎず、今後の温暖化に対しては、真の意味での究極の目標に向けての長期的戦略を打ち立てる必要に迫られており、またその実行が求められているものと思っております。したがって、この大きな課題についての政府の明確な姿勢と強力な取組の方針を承り、私の質問を終わりといたします。(拍手)
   〔国務大臣小池百合子君登壇、拍手〕
○国務大臣(小池百合子君) 谷議員からは、私へのお心遣いとともに、十問の御質問をちょうだいいたしました。
 まず、六%削減約束の達成見通しについてのお尋ねでございますが、御指摘のとおり、現在の排出状況から見ますと、約束達成というのは決して容易ではございません。そこで、環境省のみならず、政府全体が危機感を持って対策を推進しているところでございます。今後とも、省エネルギー、新エネルギーの推進、国民運動の展開、京都メカニズムの活用など、京都議定書目標達成計画に盛り込みました対策の確実な実施を図りまして、削減約束の達成に全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、京都議定書目標達成計画の見直し方針についてのお尋ねでございます。
 計画の評価、見直しは、第一約束期間の温室効果ガス排出量に直結します重要なプロセスでございます。今年の夏ごろに予定しております対策の進捗状況の点検を手始めにいたしまして、来年度には定量的な評価、見直しを行うことといたしております。その際には、排出量の見通しと対策の進捗状況を厳格に評価いたしまして、必要に応じて対策、施策を追加することで六%の削減約束の確実な達成を図ってまいりたいと考えております。
 次に、国内対策に対しましての京都メカニズムの補足性についてのお尋ねでございます。
 九八年の温暖化対策推進大綱策定以来、京都議定書に定められました補足性の原則に基づきまして、この京都メカニズムは、国内対策を最大限実施してもなお約束達成に不足する差分について活用していくことといたしております。この差分につきましては、九八年の大綱策定時には一・八%相当分でありましたものが、二〇〇二年の大綱改定時には一・六%相当分となっておりますが、今後も国内対策の実施に全力を挙げる所存でございます。
 次に、環境税と国内排出量取引制度についてのお尋ねでございます。
 まず、環境省及び経済産業省におきましては、環境と経済の両立の観点から、温暖化対策の強化につきまして、石油特別会計のグリーン化であるとか両省の局長級会議の設置などで連携を進めてまいったところでございます。
 また、御指摘の環境税につきましても、今回の経済産業大臣からの御提案をしっかりと受け止めまして、今後幅広い観点から議論、検討を深めていきたいと考えております。
 また、国内排出量取引制度でございますが、現在、自主参加型の取引制度を実施しております。これを義務型の制度を含めまして更に検討を進めてまいりたいと考えております。
 京都メカニズムの活用方針、それからいわゆるホットエアの活用についてのお尋ねでございます。
 京都メカニズムを活用するに当たりましては、クリーン開発メカニズム、CDM、共同実施、JI、また具体的な環境対策と関連付けされました排出量取引の仕組みでありますグリーン投資スキーム、GIS、これらを最大限活用することで温室効果ガス排出削減事業に裏打ちされました削減量を取得したいと、このように考えております。
 次に、環境ODAについてのお尋ねでございます。
 CDMは、地球規模での温暖化の防止と途上国の持続可能な開発のための有意義な仕組みでございます。国連のCDM理事会や第三者の検査機関によります厳格な審査によりまして、CDMの活用が地球全体での温室効果ガスの排出削減を損なわないように配慮していくこととなっております。
 政府といたしましては、途上国の持続可能な開発のために、引き続き途上国の援助需要を踏まえた環境ODAの実施に努めつつ、国際的なルールにのっとってCDMの適切な活用に努めてまいりたいと考えております。
 次に、認証排出削減量などの確保の見通し、その費用総額が幾らか、環境配慮に係るガイドライン、これらのお尋ねがございました。
 取得に要する費用につきましては、認証排出削減量などの単価が需要動向などによって変動することから、予測はなかなか難しゅうございます。また、調達量、調達のタイミングなどにつきましても不確定な要素が多いということから、現時点で明確に示すことはなかなか難しいと言わざるを得ません。
 いずれにいたしましても、我が国が必要といたします一億トンCO2の認証排出削減量を確実に取得するため、政府としての取得をまずは早急に開始し、新たなプロジェクトの形成支援などを通じまして世界全体の供給量が一層拡大するような、そのような努力をしてまいりたい。そしてまた、京都メカニズムの活用に当たりましては、国際的なルールを踏まえまして、可能な限り環境や周辺住民への配慮を確認するよう努めてまいりたいと考えております。
 それから、電力の入札方式の改善についてのお尋ねでございます。
 政府実行計画に電力入札の改善が盛り込まれたことを受けまして、既に環境省などの省庁で電力当たりのCO2排出量の最低条件を定める入札方式を導入いたしております。さらに、この最低条件を満たすだけでなく、より排出量の少ない電力を総合的に評価する手法について関係省庁とも検討を行ってまいりたいと思います。
 米国への働き掛けについてのお尋ねでございます。重要なお尋ねだと思います。
 温暖化対策を進める上で、アメリカ、米国の参加は重要な課題でありまして、これまでも我が国は米国の建設的な対応を働き掛けてきた次第でございます。また、昨年末の気候変動枠組条約第十一回締約国会議、いわゆるCOP11でございますが、こちらでの合意を踏まえまして開始されますすべての条約締約国が参加する長期的な行動に関する対話や、我が国独自のチャネルであります日米ワークショップの開催なども活用いたしまして、引き続き米国には粘り強く働き掛けてまいりたいと考えております。
 京都議定書の第一約束期間後の取組についてのお尋ねでございます。
 自然の生態系や人類に悪影響を及ぼさない水準で温室効果ガスの濃度を安定化するという気候変動枠組条約の究極の目的を実現するためには、その排出量の大幅な削減が不可欠でございます。二〇一三年以降も京都議定書の更なる充実発展が必要と、このように考えております。よって、我が国といたしましては、米国や、中国、インドなどの主要途上国を含みますすべての国が参加する実効ある枠組みの構築に向けて更に主導的な役割を果たしたいと、このように考えておりますし、また地球環境はもちろんですが、自らの環境を整えつつ、しっかりと覚悟を持って重責を担ってまいりたいと考えていることを最後に付け加えさせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣二階俊博君登壇、拍手〕
○国務大臣(二階俊博君) 谷議員にお答えをいたします。
 環境税と国内排出量取引制度の早期導入についてのお尋ねでありますが、政府は、京都議定書の目標達成計画に基づく施策実施について全力を挙げて今日取り組んでいるところであります。この目標達成計画では、これらの施策の進捗状況を見ながら、環境税や国内排出量取引制度などについても総合的に検討を行うこととしております。
 経済産業省としては、小泉内閣の大方針であります環境問題と経済成長の両立という面につきまして、私どもはあらゆる機会にこの方針に基づいて国際会議等でも対応しておるところであります。
 先ほどお尋ねの中にもありましたとおり、私も先般、環境省に参りまして、幹部の皆さんとともに、これからは経済産業省と環境省は、向かい合って議論しているだけではなくて、ともに共通の課題として国民の期待にこたえようということを申し上げてまいりましたが、その線に沿って今後一層協力をし合ってまいりたいと思っております。
 クレジットの取得における政府のガイドライン作成についてでありますが、京都メカニズムの活用に当たって、自然環境や地域社会への配慮は極めて重要であります。このため、途上国においてプロジェクトを実施する場合、周辺環境やあるいは地域住民への悪い影響が及ばないことを確認することが国連の手続としても定められておるところであります。
 我が国としては、こうした国際ルールを尊重し、これを踏まえて周辺環境や地域住民への影響について適切に配慮することは当然のことだと考えております。
 新・国家エネルギー戦略についてのお尋ねでありました。
 まず、民主党のエネルギー政策について御披露がありましたが、正に傾聴に値する大きなテーマであると思っております。是非、与野党の枠を乗り越えて、エネルギー問題について国会挙げて御協力をちょうだいできるようにお願いをしておきたいと思います。
 エネルギーは日本の経済産業の正に生命線であります。その安定供給確保こそ国家の重要な課題であると考えております。同時に、これは地球温暖化問題への対応とも表裏一体の課題であります。こうした課題の解決のために、御意見にもありましたように、広く国民の理解を得ながら取り組んでいく極めて重要なことであります。私は、このため、現在、省エネ対策、さらに新エネルギーの対策のために、次世代エネルギーパーク、これは仮称でありますが、こうしたものの実現について目下検討中であります。
 それはどういう意味か、詳しく申し上げるわけにもまいりませんが、太陽光発電や風力やバイオマス等その他、次々に海外の事例も踏まえて新エネルギーというものが登場しております。これらの問題について、我が国がやっぱり積極的にこれに取り組んでいく姿こそ、産油国に対しても、この交渉の際にも極めて重要なことでありますし、まずは国民の皆さんの御理解を得るということが大事であります。それがゆえに、省エネについても深い関心を寄せていただけるものと考えております。
 お尋ねの新エネルギー戦略の結論は、今月の末に取りまとめをしたいと思っておりますが、目下、審議会や、全国六都市で説明会などを催してまいりましたが、国民各層の御意見を尊重し、また、国会の場を通じまして御議論いただきましたことなどを参考にしてしっかりした新・国家エネルギー戦略を構築してまいりたいと思いますので、一層の御協力をお願いを申し上げます。
 以上です。(拍手)
○議長(扇千景君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
○議長(扇千景君) この際、日程に追加して、
 消費者契約法の一部を改正する法律案(閣法第五四号)について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(扇千景君) 御異議ないと認めます。猪口国務大臣。
   〔国務大臣猪口邦子君登壇、拍手〕
○国務大臣(猪口邦子君) 消費者契約法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差にかんがみ、消費者が契約の取消しや契約条項の無効を主張できる場合を類型的に定めた消費者契約法が平成十三年から施行されています。これにより、消費者の被害救済が個別的、事後的に図られていますが、同種の消費者被害の発生や拡大を防止するには限界があります。
 このため、消費者契約法の実効性を確保する方策として、内閣総理大臣の認定を受けた適格消費者団体が、事業者等に対し、消費者契約法に規定する不当行為の差止請求をすることができることとするとともに、この適格消費者団体の認定及び差止請求に係る訴訟手続等について所要の規定を整備することとし、この法律案を提出した次第でございます。
 次に、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、適格消費者団体は、事業者等が不特定かつ多数の消費者に対して消費者契約法に規定する不当勧誘行為又は不当条項を含む消費者契約の締結を現に行い又は行うおそれがあるときは、当該行為の差止請求をすることができることとしています。
 第二に、内閣総理大臣は、適格性の要件に適合している者を、その申請に基づき、適格消費者団体として認定することができることとしています。適格性の要件は、特定非営利活動法人又は公益法人であること、不特定かつ多数の消費者の利益の擁護を図るための活動を行うことを主たる目的とし、現にその活動を相当期間にわたり継続して適正に行っていることなどとしております。
 第三に、適格消費者団体は、差止請求に係る業務を行うに際しまして、不特定かつ多数の消費者の利益のために差止請求権を適切に行使しなければならないこと、所要の事項の情報開示をしなければならないこと等とするとともに、内閣総理大臣は、適格消費者団体に対して必要な監督上の措置を講ずることができることとしております。
 第四に、訴訟手続につき、訴額、管轄、移送・併合等に関する所要の規定を整備することとしています。
 以上がこの法律案の趣旨でございますが、衆議院におきまして、差止請求に係る訴えは、消費者契約法に規定する不当な行為があった地を管轄する裁判所にも提起することができることを内容とする修正が行われております。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
○議長(扇千景君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。芝博一君。
   〔芝博一君登壇、拍手〕
○芝博一君 民主党の芝博一です。
 私は、民主党・新緑風会を代表するとともに、全国各地で消費者保護運動に汗をかいて頑張っておられる方々、さらには契約や勧誘などをめぐる様々な消費者トラブルの被害者の方々の思いを我が思いといたし、ただいま提案されました消費者契約法の一部を改正する法律案について関係大臣に質問をいたします。
 折しも政府は、この五月を消費者月間と位置付け、「知恵と勇気で 消費者被害を防ごう」を統一テーマに様々な事業を行おうとしております。消費者の被害防止は重要かつ急がれるべきでありますが、果たして消費者に対し知恵と勇気を持ての一辺倒的な対応で被害を十分に防止することができるのでしょうか。
 国民生活センターや全国の消費生活センターに寄せられた消費生活に関する苦情相談件数は、平成六年度の約二十三万件から平成十六年度では百九十二万件と、この十年間でおよそ百七十万件、実に八・三倍にも増加し、とどまるところを知らないのが現実であるばかりか、被害に遭われた方々すべてがこうした機関に申し出るわけがないことを考えると、被害者の数は更に膨大なものとなることは火を見るよりも明らかであります。
 猪口大臣、消費者行政を担当する大臣として、被害者の声なき声を酌み取り、あらゆる策を講じていくことが今早急に必要なのではありませんか。消費者基本計画にのっとって消費者被害根絶に向けて一体的に取り組むといったようなお決まりの言葉ではなく、猪口大臣の国民に向けた明瞭な決意答弁をまず求めます。
 さて、本法案は、消費者と事業者との間の情報の質や量、交渉力の格差にかんがみて、事業者等の行為による消費者の被害の発生又は拡大を防止するために、適格消費者団体が事業者に対しその差止めを請求することができるものとするとあります。
 本法案に関しては、衆議院では、我が民主党の主張を受けて、消費者契約法に規定する不当な行為が行われた地域を管轄する裁判所も管轄裁判所として認めるという修正案が全会一致で可決されました。政府原案では、事業者の営業所の所在地でしか訴えが提起できず、消費者側に不利であった点が正され、より消費者の立場に立った法案とすることができました。しかし、依然看過できない幾つかの問題点が存在していますから、以下質問をいたします。
 まず第一の問題点は、消費者団体による損害賠償請求制度の導入がなされていない点であります。
 被害に遭った消費者は金銭的な損害を被り、その回復を求めています。しかし、消費者が損害賠償請求をする場合、選定当事者制度等が有効に機能しているとは言えない実情などから、訴訟には金銭的、時間的負担等の多くの困難が伴い、個々の消費者に請求権があったとしても、実際には請求権の行使ができないのが現状であります。多数の被害者は泣き寝入りを余儀なくされている現状を大臣は認識されているのでしょうか。
 本法案による消費者団体による差止請求は、被害に遭う前の消費者には有効と言えますが、被害に遭ってしまった消費者の救済を図るものとはなっていません。事前救済と事後救済は車の両輪であり、泣き寝入りを余儀なくされている被害者等に対し実効ある事後救済策が早急に必要であることに猪口大臣も異論がないはずです。にもかかわらず、本法案では何らの策も講じられておらず、被害者を置き去りにしていると言わざるを得ません。
 猪口大臣、あなたは、損害賠償請求制度を盛り込まない理由を、損害賠償は個人の請求権との関係や司法アクセスの改善の関係等を踏まえて考えていく必要があるとの答弁を繰り返していますが、では猪口大臣、今後、損害賠償請求制度の実現に向け具体的にどのような構想をお持ちなのでしょうか、答弁ください。
 あわせて、杉浦大臣、法務大臣として、司法制度改革における司法アクセスの改善への取組について明確な答弁と、犯罪収益剥奪や不当利得返還の仕組みの検討や必要性について考えをお聞かせください。
 第二は、適格消費者団体の認定についてであります。
 政府の認定要件基準は、厳し過ぎる上に不明確な規定が少なくありません。例えば、相当期間の継続的な活動実績という場合、相当期間とはどの程度の期間をいうのでしょうか。政府は、複数年であることを原則としつつ、専門性や実績を勘案し一定の幅を認めるとのことでありますが、これでは、政府によるかなりの裁量が入る余地を残しています。同様に、適格消費者団体の理事に関する規定においても、特定の事業者、同一の業種に属する事業を行う事業者の関係者等の数に制限が設けられていますが、不明確で非常に分かりにくくなっています。
 このように、認定要件基準に関して不明確な文言が多過ぎます。このままでは政府の恣意的な運用が危惧されかねません。このような懸念は思い過ごしでしょうか。猪口大臣の見解を求めます。
 果たして認定要件に見合う団体はどのぐらいあるのでしょう。政府が現在予想する適格消費者団体数は全国でわずかに九から十程度と言われており、認定要件に見合う団体の少なさが指摘されています。果たしてこれだけの適格消費者団体で北海道から沖縄まで全国の消費者の要望にこたえることができるのでしょうか。
 適格消費者団体は、差止請求権を行使する業務のほか、業務の遂行に必要な消費者の被害に関する情報の収集、差止請求権の行使の結果に関する情報の提供に関する業務も行わなければなりません。このように九から十程度のわずかな適格消費者団体で日本全国の消費者の被害に関する情報を収集し、全国の消費者が遺漏なく制度を利用できるとは到底思えません。本来は、より多くの消費者団体が認定を受け、差止請求権を適切に行使することができ、結果として、全国津々浦々すべての消費者がこの制度を利用できることが望ましい姿ではありませんか。
 このような観点からも、適格消費者団体の認定要件自体を再考すべきではないでしょうか。猪口大臣の見解を伺います。
 第三に、確定判決等があった場合の同一事件の取扱いの制限についてであります。
 政府案では、裁判の効力は裁判の当事者にしか及ばないという民事訴訟の原則の例外として、他の適格消費者団体による差止請求に係る訴訟等につき、既に確定判決等がある場合、その後は原則として同一事件についての差止請求はできないとする後訴の遮断を規定しています。この規定が適用された場合、訴訟にかかわっていない適格消費者団体が他の団体による確定判決等の後は一切差止請求ができなくなってしまいます。
 例えば、複数の適格消費者団体が同一の事業者の不当行為に対して差止訴訟を起こし、そのうちの一つの適格消費者団体が敗訴判決を受けた場合、後訴の遮断によって、敗訴判決を受けた団体が控訴しなければ、他の適格消費者団体の請求は一斉に棄却されることになるのです。こうした後訴の遮断の弊害に対し、政府は、適格消費者団体に、訴訟状況等を他の適格消費者団体に通知し、内閣総理大臣に報告する義務を課しており、また情報の共有化により、消費者団体の相互牽制が可能となり、訴訟の進行状況等に自己規律が働くことによって、訴訟は適切に行われると説明しています。
 しかし、仮に自己規律が働かず、他の適格消費者団体が不適切な訴訟遂行をした場合、適格消費者団体がその情報を得ることができたとしても、その団体の訴訟上の和解、請求の放棄、上訴の断念を止める法的な手だては用意されておりません。すなわち、望まない結果を避けるすべはないのです。これでは余りにも不合理ではないでしょうか。民事訴訟においては、判決の効力は訴訟の当事者にしか及ばないのが大原則であり、その例外を設けるのであるならば、その必要性と合理性について十分に吟味されなければなりません。
 猪口大臣、民事訴訟の原則を変えてまで後訴の遮断を設けたことについて、説得力のある答弁を求めます。
 第四に、適格消費者団体の活動資金の確保についてであります。
 適格消費者団体に大きな役割が期待される中で、差止請求権を適切に行使するためには、ある程度の財政基盤を備えていることや、財政支援によって活動資金を確保することが必要となってきます。
 適格消費者団体は、熱心に活動すればするほど、差止請求のほかにも様々な訴訟費用や弁護士費用等を負担せざるを得ず、仮に裁判において敗訴した場合、訴訟費用や損害賠償を含めた費用負担が莫大なものとなる可能性が懸念されています。このような負担のリスクが障害となって、適格消費者団体の適切な活動が萎縮することがあってはなりません。
 現在、民間においては、適格消費者団体の訴権行使に当たり、要した諸費用を支援しようとする基金の創設の動きが出てきておりますが、このような民間基金が更に整備されるように政府は支援を講ずべきではないでしょうか。衆議院における附帯決議でも、適格消費者団体の活動資金が円滑に確保されるよう環境整備に努めることとされましたが、消費者全体の利益の擁護という重要な任務だけを適格消費者団体に丸投げをし、後はほったらかしということであっては断じてなりません。
 猪口大臣、具体的にはどのように適格消費者団体の活動資金の確保を含めた環境整備を始めとする諸施策を講じるつもりでしょうか、お答えください。
 また、活動資金の確保のほかに、適格消費者団体自身への税財政的な優遇措置も当然なされるべきと考えます。そこで、国の税財政を担う谷垣大臣、そして地方税財政を担う竹中大臣に、それぞれ適格消費者団体に対する税財政の優遇措置を実行するおつもりがあるや否や、その認識についてもお聞かせをいただきます。
 最後に、本法案の見直しについてであります。
 本法案が成立し施行された後、実施の状況や社会情勢の変化に応じて、更に新たな検討課題が発生することは必至であります。そうした事態に速やかに必要な措置を講じるためにも、施行後五年以内に見直すとするなど、法にその時期を明文化することが必要ではないでしょうか。衆議院の附帯決議においては、五年をめどとして法の見直しを行うこととされておりますが、政府として五年間は見直しを行わないというのではなく、必要があれば五年よりも前に前倒しをして見直すべきではありませんか。
 猪口大臣、本法案中に見直し時期を明文化しなかった理由と、あわせて、必要があれば五年よりも前に前倒しして見直す必要があるや否やについて答弁を求めます。
 結びに、消費者団体訴訟制度は、二〇〇〇年に消費者契約法が成立したときから課題になっており、民主党は早くからこの制度の創設を主張してまいりました。今回、本法案により、適格消費者団体が差止請求権を行使できるようになったとしても、請求権の使い勝手が悪ければ絵にかいたもちにすぎず、消費者全体の利益を擁護することはできません。
○議長(扇千景君) 芝君、時間が経過しております。簡単に願います。
○芝博一君(続) 政府には、事業者側ばかりに気を取られ、消費者をないがしろにすることがないように、さらには、今述べた五つの問題点をかんがみた、真に消費者の立場に立った消費者団体訴訟制度の確立がなされることを強く求め、国民と生活者の視点に立って政治に取り組む民主党・新緑風会を代表しての質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣猪口邦子君登壇、拍手〕
○国務大臣(猪口邦子君) 芝議員から七問御質問いただきましたので、お答え申し上げます。
 消費者被害をなくしていくため、あらゆる策を講じていくことが必要との御指摘がまずございました。
 消費者トラブルが多様化、複雑化している今日、行政による対応の充実強化が重要であることは言うまでもございません。緊要な消費者トラブルへの機動的、集中的な対応等、消費者基本計画に掲げられた各施策を毎年検証、評価、監視し、強力に推進してまいります。
 消費者政策の充実強化とともに、日々巧妙化する消費者問題に対しては、社会全体で多面的に取り組んでいくことが重要です。本法律案は、消費者に身近な存在で市場の監視者としての役割を担う消費者団体に差止請求権を認めるものでございます。この消費者団体訴訟制度の導入によりまして、消費者被害の発生や拡大の防止が期待されます。政府といたしましては、本制度が社会に円滑に定着し、この法律の目的が着実に実現していくよう努力してまいります。
 次に、損害賠償請求制度についてでございます。
 この問題につきましては、少額多数被害に関する司法アクセスの改善との関係を踏まえる必要のほか、被害を受けた消費者個人が自ら有する損害賠償請求権との関係をどのように整理するか、また本人の知らない間に団体が提訴して敗訴した場合の本人の不利益をどう考えるかなど、解決すべき困難な課題もあり、今回の法制化の対象とはしなかったところでございます。
 損害賠償請求制度の検討につきましては、少額訴訟制度の拡大、簡易裁判所の機能の充実など、司法アクセスの改善のための制度の運用を踏まえる必要があります。また、消費者団体訴訟制度は我が国において初めて導入される制度であり、その見直しに当たって、社会における定着の度合いや評価等を的確に把握する必要がございます。
 損害賠償請求制度の検討につきましては、衆議院内閣委員会の附帯決議でも御指摘いただいているところであり、司法アクセスの改善手法の展開を踏まえつつ、その必要性等を検討してまいりたいと考えております。
 次に、適格団体の認定の運用についての御質問がございました。
 適格団体につきましては、活動状況や体制など多様なものが想定されますため、認定要件を数値基準等で一律に規定することは困難でございます。本法案では、そうした中におきまして、認定要件を法文上できる限り詳細に明記したところでございます。
 また、認定要件につきましては、より具体的な審査基準を策定することとしております。これにつきましては、内閣府令と併せてパブリックコメントを行う等、透明性を確保しつつ検討を進めてまいる考えでございます。
 さらに、認定事務の実施に当たりましても、申請内容を国民に公告縦覧した上で行うとともに、不認定とする場合には申請者に対し理由を示すなど、行政手続法にのっとりまして適切に実施することとしております。
 次に、認定要件自体の再考についてでございます。
 適格消費者団体は、消費者全体の利益擁護のために差止請求権を適切に行使することができる実質を備えた団体である必要がございます。このため、組織体制や専門性、活動実績など、法案で定める認定の要件を満たす必要があると考えております。
 こうした中、複数の消費者団体が連携して弁護士等の専門家も加わり新設されたNPO法人など、既に十程度の団体が適格団体の認定を目指して準備を進めていると聞いておりますが、今後、法案が成立し、制度の内容や施行日が確定すれば、こうした取組が一層広まり、新法の施行後は適格団体の数も徐々に増えていくものと考えております。
 行政としても、制度の周知徹底や情報面での支援措置などを通じまして、こうした取組を支援していきたいと考えております。
 次に、確定判決等があった場合の同一事件に関する取扱いについてでございました。
 消費者団体訴訟制度は、消費者全体の利益を擁護するという言わば公益的な目的のために、直接被害を受けていない第三者である特定の団体に政策的に差止請求権を付与するものであり、矛盾した判決の併存、過大な応訴負担、また訴訟不経済等の弊害を排除する観点から、できるだけ紛争の一回的解決を図る必要があります。
 確定判決等があった場合の同一事件の取扱いはこのような制度の特性に由来する制約であり、判決の効力は訴訟の当事者にしか及ばないという民事訴訟の原則の変更をするものではないと考えております。また、法定の適格要件を満たす適格団体である以上、適格団体間の相互牽制は通常は有効に機能し、一部の団体による消費者全体の利益に反する訴訟追行は抑止されるものと考えております。
 なお、仮に、適格団体間の相互牽制が機能せずに、ある適格団体が不適切な訴訟追行をして確定判決等が生ずるに至った場合でも、内閣総理大臣がその訴訟追行は消費者全体の利益に著しく反すると認めるときは、その適格団体の認定を取り消すことにより、他の適格団体が同一事件について差止請求権を行使することができる仕組みとしております。
 次に、適格消費者団体の活動資金の確保を含めた環境整備についてでございます。
 まず、本制度では、行政として国民生活センター等の有する消費生活相談情報の提供や、判決等の周知、公表などの情報面における支援を行うこととしており、これらにより適格消費者団体の負担の実質的な軽減が図られるものと考えております。
 また、適格団体の活動資金が広く消費者や適格団体を支援する団体等からの会費収入等を通じて円滑に確保されることが重要と考えており、本制度の意義や適格団体の活動が国民一般に広く理解されるよう、制度全般の周知、広報に努めていく所存でございます。
 最後に、本法案の見直しについて御質問がございました。
 本制度は、直接の被害者でない第三者たる団体に差止請求権を認めるという、我が国において画期的な新しい制度でございます。法案の見直し時期については、改正後の法の施行状況を踏まえまして判断すべきものと考えております。本制度は、適格団体の認定を要する上に、訴訟を中心とするものでありますから、見直しの判断材料となる実績、実務の積み重ねには相応の時間を要すると考えております。
 こうした観点から、衆議院内閣委員会の附帯決議にもありますように、施行後五年程度が見直し時期の目安になるものと考えてはおりますが、消費者被害の防止のために必要であれば、時期を失することなく所要の見直しを行う考えであります。(拍手)
   〔国務大臣杉浦正健君登壇、拍手〕
○国務大臣(杉浦正健君) 芝博一議員にお答えを申し上げます。
 司法制度改革における司法アクセス改善への取組及び犯罪収益剥奪や不当利得返還の仕組みの検討等についてお尋ねがございました。
 司法制度改革におきましては、少額訴訟制度、事物管轄の見直しなどによる簡易裁判所の機能強化を行っております。また、裁判外紛争解決手続、いわゆるADRの拡充を図っているほか、本年四月十日に設立され、十月の業務開始を予定しております日本司法支援センターにおきまして、各種の法的トラブルに関する相談窓口業務や民事法律扶助業務、司法過疎対策業務等の各種業務を幅広く行うこととしており、これらにより御指摘の司法アクセス改善の成果を期待しております。
 犯罪収益につきましては、組織的な犯罪など一定のものにつきまして、犯人から財産犯等の犯罪収益を剥奪し、これを当該事件の被害者の被害回復に充てるための法案を今国会に提出して御審議いただいているところでございます。まずはこの法案を早期に成立させていただき、その適正な運用に努めてまいりたいと考えております。
 その他の犯罪被害者等に対する経済的支援につきましては、政府の犯罪被害者等基本計画におきまして経済的支援に関する検討会を設置し、二年以内を目途に結論を出すこととされており、同検討会において、御指摘の点をも含め、種々の角度から検討がされるものと考えております。法務省としても適切に対応してまいる所存でございます。(拍手)
   〔国務大臣谷垣禎一君登壇、拍手〕
○国務大臣(谷垣禎一君) 芝議員にお答えいたします。
 適格消費者団体への税財政的な優遇措置ということでございますが、消費者団体訴訟制度は、消費者全体の利益を擁護するため、一定の消費者団体に対して差止請求権を認めることによってその自主的な活動に実効性を与えるものでございますが、こういう制度趣旨を踏まえまして、差止請求権を適切に行使するために十分な財政基盤等を備えている団体が適格消費者団体となるよう適格要件が定められておりますことから、更に当該団体への税財政上の優遇措置が必要とは考えておりません。
 なお、特定非営利活動法人や公益法人に対しては、既に収益事業から生ずる所得に対してのみ課税するなどの税制上の措置が講じられているところでございます。(拍手)
   〔国務大臣竹中平蔵君登壇、拍手〕
○国務大臣(竹中平蔵君) 芝議員から一問、適格消費者団体に対する地方税財政の優遇措置についてのお尋ねがございました。
 適格消費者団体については、その認定要件として、今財務大臣からもお話がありましたように、特定非営利活動法人又は公益法人であることとされているところでございます。そして、これらの法人につきましては、既に地方税の面で幾つかの措置を講じているところでございます。
 第一に、法人住民税均等割については、収益事業を行わない場合は最低税率とするというふうにしております。さらに、法人住民税法人税割及び法人事業税につきましては、収益事業により生じた所得に限り課税を行うことになっているところでございます。
 私としましては、こうした地方税に関する措置を是非とも適切に運用していきたいというふうに考えているところでございます。(拍手)
○議長(扇千景君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
○議長(扇千景君) 日程第二 経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定に基づく特定原産地証明書の発給等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。経済産業委員長加納時男君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔加納時男君登壇、拍手〕
○加納時男君 ただいま議題となりました法律案につきまして、経済産業委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、日本・マレーシア経済連携協定を始めとする経済連携協定の適確な実施を図るため、相手国に輸出される物品が特恵関税の適用を受ける際に必要となる特定原産地証明書の発給手続等を一般法化する等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、日韓EPA交渉が遅延している理由、特定原産地証明書発給機関への新規参入の必要性、統一的なFTA・EPA推進体制確立の必要性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終わり、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
○議長(扇千景君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十五  
  賛成           二百二十五  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
○議長(扇千景君) 日程第三 道路運送法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。国土交通委員長羽田雄一郎君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔羽田雄一郎君登壇、拍手〕
○羽田雄一郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、自動車交通における利便性及び安全性の向上を図るため、自家用自動車による有償旅客運送制度の創設、乗合旅客運送に係る規制の適正化、電子化に対応した自動車登録制度の見直し、二輪の小型自動車に係る自動車検査証の有効期間の延長、リコール制度の充実等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、コミュニティーバス、乗合タクシー等地域交通の充実、自家用有償旅客運送に係る運営協議会の設立、運営等の在り方、自家用有償旅客運送における対価基準の明確化、安全性の確保、福祉タクシーの普及促進、タクシー類似行為の取締り等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
○議長(扇千景君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十五  
  賛成           二百二十五  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
○議長(扇千景君) 日程第四 職業能力開発促進法及び中小企業における労働力の確保及び良好な雇用の機会の創出のための雇用管理の改善の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。厚生労働委員長山下英利君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔山下英利君登壇、拍手〕
○山下英利君 ただいま議題となりました法律案につきまして、厚生労働委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、青少年失業者の増加等の最近における社会経済情勢の変化に対応し、青少年の実践的な職業能力の開発及び向上を図るため、実習併用職業訓練の実施計画の認定制度を創設するとともに、中小企業者等における雇用管理の改善計画の認定制度について、青少年にとって良好な雇用の機会の創出に資する雇用管理の改善計画が含まれるよう見直す等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、実習併用職業訓練制度の位置付けと実効性の確保、若年者に対する職業能力開発施策の在り方、熟練した技術・技能を有する人材の評価と確保の必要性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
○議長(扇千景君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十五  
  賛成           二百二十五  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
○議長(扇千景君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十四分散会