第164回国会 総務委員会 第8号
平成十八年三月二十七日(月曜日)
   午後四時二分開会
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  出席者は左のとおり。
    委員長         世耕 弘成君
    理 事
                景山俊太郎君
                森元 恒雄君
                山本 順三君
                高嶋 良充君
                内藤 正光君
    委 員
                小野 清子君
                尾辻 秀久君
                柏村 武昭君
                木村  仁君
                椎名 一保君
                二之湯 智君
                山崎  力君
                吉村剛太郎君
                伊藤 基隆君
                高橋 千秋君
                那谷屋正義君
                平田 健二君
                藤本 祐司君
                蓮   舫君
                魚住裕一郎君
                澤  雄二君
                吉川 春子君
                又市 征治君
                長谷川憲正君
   国務大臣
       総務大臣     竹中 平蔵君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        高山 達郎君
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  本日の会議に付した案件
○地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
○地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○行政制度、公務員制度、地方行財政、選挙、消
 防、情報通信及び郵政事業等に関する調査
 (地方分権を推進するための地方税財政基盤の
 確立に関する決議の件)
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○委員長(世耕弘成君) ただいまから総務委員会を開会いたします。
 地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 両案につきましては、去る十六日、質疑を終局しておりますので、これより直ちに討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○高橋千秋君 私は、民主党・新緑風会を代表し、地方税法等の一部を改正する法律案、地方交付税法等の一部を改正する法律案、平成十八年度地方財政計画について、反対の立場より討論を行います。
 以下、反対理由を申し述べます。
 議題となりました二法案と地方財政計画は、小泉総理のいわゆる三位一体改革を前提としたものであり、地方分権を進めるという点で極めて不十分であります。
 地方税法改正案は、所得税から個人住民税へ三兆円規模の税源移譲を行うとしています。税源移譲自体は地方が自由に使えるお金を増やすものであり、地方分権の観点から必要な施策であると言えます。しかし、その前提となる国庫補助負担金改革は、政府が国庫補助負担金の国の負担率を引き下げるという手法や交付金化を多用することで、地方を縛る霞が関の権限を温存し、地方の自由度が高まらない結果に終わりました。
 また、税源移譲に伴う財政力格差拡大の問題に対して、地方交付税法改正案は、税源移譲に伴う影響額を基準財政収入額に当面の間一〇〇%参入するという方策を打ち出しています。しかし、このような暫定措置では、財政力の乏しい自治体は税源移譲によって一層苦しくなるのではないかという不安を抱えながら財政運営に当たらざるを得ません。このように、取り繕いの策しか示すことができなかったのは、政府が三位一体改革で地方交付税改革を掲げながら、将来の財政調整制度の在り方に関する抜本的議論を怠ってきたためであります。
 このほかにも、定率減税の廃止という重大な問題があることを指摘しておかなければなりません。定率減税は、地方税法附則第四十条で所得課税の抜本的改革が行われるまでの間の暫定措置と規定されていますが、小泉総理は抜本的な改革を行うことなく定率減税を廃止しようとしており、断じて容認することはできません。
 中央省庁が地方を縛る旧来のシステムを温存するなど、地方分権とは名ばかりの三位一体改革を前提とし、さらには強引に国民に負担を掛けようとする本法案等には断固反対であることを申し上げ、私の討論を終わります。
○吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、地方交付税法等一部を改正する法律案、地方税法等の一部を改正する法律案の両案に対して、反対の討論を行います。
 初めに指摘したいのは、国民と地方公共団体に影響を及ぼすこの重要法案について、三月十六日に二本一括して審議したことは誠に遺憾であります。法案はすべて時間を十分取って、また別々に審議すべきものであることは当然のことで、ほかの委員会でも守られてきたことです。次回からは今回の轍を踏まないことを強く主張し、具体的内容に入ります。
 まず、地方交付税法等一部を改正する法律案についてです。
 反対の理由の第一は、法案が三位一体改革の名の下に地方の財源不足を圧縮して地方交付税の大幅削減を行っていることです。地方一般財源は確保されたとはいえ、交付税は三年間で五兆円を超えるマイナスです。地方財政圧縮の方針の下に作られた地方財政計画が、住民負担の強化と地方公務員のリストラ、人件費削減、地域格差の拡大と地方切捨てを招くことは必至です。
 さらに、政府は、不交付団体増加の目標まで掲げて、一層の歳出削減と交付税の圧縮を進めようとしています。これでは、住民の福祉の向上という地方自治体の役割を果たすことはできません。
 第二は、地方財政の巨額の財源不足が続いているにもかかわらず抜本的な改革を放棄して、今年も国の財源保障責任を半分放棄する折半方式を継続し、地方に赤字地方債の増発を強要しているからです。本来なら、地方交付税法第六条の三第二項の規定により、交付税率の引上げ等を行うべきです。このような措置を継続することは国の責任放棄であり、認められません。
 第三は、地方財政の危機を逆手に取り、経営努力に対応したことを指標にした交付税の算定方法を導入し、地方交付税を地方自治体に対する国の施策の誘導の手段として利用する方向を拡大していることです。これは地方団体の独立性を強化するという地方交付税法の趣旨に反するもので、容認できません。
 次に、地方税法等の一部を改正する法律案についてです。
 反対の最大の理由は、昨年の総選挙でサラリーマン増税を行うとの政府税調の考え方は取らないと政権公約に掲げながら、所得税、住民税の定率減税を廃止することです。
 定率減税の廃止は、二年間で三・四兆円の大増税になり、その八八%がサラリーマン増税であります。これは明白な公約違反であり、こうした国民を欺く行為は与党の政治姿勢そのものが問われる行為です。
 その一方で、三四・五%から三〇%に引き下げられた法人税減税を恒久措置として継続し、史上空前の利益を上げている大企業を応援することは、余りに極端な優遇政策ではありませんか。
 第二は、固定資産税の負担調整措置の見直しと称して、全国的には土地評価額が下がり続けているときに、従来の二倍以上の連続的増税を強いることであります。都市計画税の増税と併せて、地代、家賃の引上げに連動するもので、容認できません。
 第三は、担税力のある大企業への固定資産税等の優遇措置が温存、延長されていることです。PFI事業者、大手電気通信事業者などはこの間大きな利益を上げており、担税力も十分ある大企業への優遇措置の延長は容認できません。
 格差は悪いことではないと言い切る小泉内閣の下、庶民に大増税を課し、一層の格差拡大を構造的に広げるこのような政治を国民の良心が許すはずもありません。日本共産党は、定率減税の廃止の撤回を強く求め、国民とともに闘うことを表明して、反対討論を終わります。
○又市征治君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。
 反対する理由の第一は、地方財政の三位一体改革の第一段階なるものが、結局、地方交付税の大幅カットなど地方負担の拡大に終わったことです。懸念したように、政府の対地方負担義務の軽減こそが最初からのねらいであったと総括せざるを得ません。
 まず、ひも付き補助金を廃止し、これを同額の税源移譲で充てることこそが自治体の要求でした。しかし、児童手当や義務教育国庫負担金に見られるように、補助率だけを落としたため、地方の自由度を高めるどころか、政府がより安上がりで地方の自主性を縛る仕組みになりました。しかも、四兆円の補助金削減に対して税源移譲は三兆円と様々な口実で値切りが強行されました。
 他方で、所得税から地方に回るはずの地方交付税相当の九千六百億円が消滅するので、実質は二兆円でしかありません。そして、地方交付税に関して言えば、六年間で累計二十兆八千億円を削減し、政府はこれとほぼ同額の義務的負担を免れたのですが、それは主に基準財政需要額、つまり住民にとって欠かせないサービスの算定を圧縮したもので、これが削減額の大半、二十兆五千億円を占めています。強引な市町村合併、福祉などの一般的行政経費の抑制、これを支えるべき職員数の削減や給与切下げによって地域の福祉や教育は財政的自由度を失う一方です。
 反対する理由の第二は、税源移譲に名をかりて個人住民税のフラット化が行われ、五%の最低税率が一〇%に引き上げられることです。これにより、今後、自治体の課税自主権の発揮は困難となり、とりわけ住民税による所得再分配機能の発揮が不可能になりました。
 私たち社民党が警告した格差社会という言葉がこれだけ短期間に定着したのは、現に所得や資産の格差が拡大し、社会の二極分化が再生産されるほどになってきたからです。今こそ担税力のある者の負担で社会政策に充てるべきときなのに、定率減税のみ全廃し、高額所得者や法人に対する一九九七、九八年来の減税を元に復さないのは不公平税制の極みです。
 第三に、地方交付税の質的悪化です。臨時財政対策債の元利償還分を更に臨時財政対策債の発行で対応するなど、タコの足食い状態が拡大しています。また、行革努力の実績を反映すると称する算定の算入は、交付税を行革奨励補助金のように扱うことで法の趣旨に反しています。
 最後に、政府及び国会が改めて自治体と住民の自己決定権の保障に向け、今回は羊頭狗肉に終わった地方税財政の改革を真に実現することを求めて、討論を終わります。
○委員長(世耕弘成君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 まず、地方税法等の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(世耕弘成君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、内藤君から発言を求められておりますので、これを許します。内藤正光君。
○内藤正光君 私は、ただいま可決されました地方税法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    地方税法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、国民がゆとりと豊かさを実感できる個性と活力に満ちた地域主権型社会への転換を図ることができるよう、左記の事項についてその実現に努めるべきである。
 一、地方税は地方公共団体の重要な自主財源であることにかんがみ、地方分権改革の進展に対応し、課税自主権を尊重しつつ、地方が自らの判断と財源によって創意工夫に富んだ地域づくりを行えるよう、地方における歳出規模と地方税収入との乖離を縮小する観点から、税源移譲を含め国と地方の税源配分の在り方を抜本的に見直し、地方税源の拡充強化を図ること。
 二、地方への税源移譲については、三兆円の税源移譲に終わることなく、税源偏在の少ない安定的な地方税体系を確立する方向で今後も改革を進め、地方公共団体の裁量権・自主判断権を拡充すること。また、適正な徴収を確保するための体制整備に努めること。
 三、固定資産税は、自主財源としての市町村税の基幹税目であることを踏まえ、その安定的確保と課税の公平の観点から、負担水準の均衡化・適正化を推進するとともに、納税者の負担感にも配慮すること。
 四、税制の簡素化、税負担の公平化を図るため、非課税等特別措置について引き続き見直しを行い、一層の整理合理化等を推進すること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いを申し上げます。
○委員長(世耕弘成君) ただいま内藤君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(世耕弘成君) 多数と認めます。よって、内藤君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、竹中総務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。竹中総務大臣。
○国務大臣(竹中平蔵君) ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
○委員長(世耕弘成君) 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(世耕弘成君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(世耕弘成君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(世耕弘成君) 行政制度、公務員制度、地方行財政、選挙、消防、情報通信及び郵政事業等に関する調査を議題といたします。
 高嶋君から発言を求められておりますので、これを許します。高嶋良充君。
○高嶋良充君 私は、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による地方分権を推進するための地方税財政基盤の確立に関する決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    地方分権を推進するための地方税財政基盤の確立に関する決議(案)
  政府は、地方分権の推進に関する国会決議等を十分踏まえ、地域主権型社会にふさわしい税財政システムを確立するため、次の諸点について格段の努力をすべきである。
 一、地方分権改革の推進は、地域の実情や住民のニーズに適った個性的で多様な行政の展開に資するとの観点から、地方税財政改革を平成十九年度以降確実に実現することにより、地方公共団体の歳入・歳出両面にわたる自由度を一層高め、権限と責任を大幅に拡充するための具体的方針を早急に策定すること。
   また、具体的方針の策定に当たっては、国と地方の信頼関係の維持に一層の配慮を行いつつ、地方の参画を拡充するとともに、地方の総意を真摯に受け止め、地域の実情を十分反映したものとなるよう、特段の努力を行うこと。
 二、国庫補助負担金の廃止・縮減については、役割分担に応じた財源負担の原則に基づき、単なる地方への負担転嫁とならないよう、地方公共団体の意見を十分踏まえつつ、地方の自主性拡大に結びつく積極的改革に取り組むとともに、必要な一般財源の確保を図ること。
 三、地方交付税については、地方公共団体の自助努力による効率化も促しつつ、地方歳出の見直しを進めるとともに、財源保障機能及び財源調整機能を堅持しつつ、平成十九年度以降も引き続き地方公共団体の財政運営に必要な所要額の安定的・持続的確保を図ること。
   また、税源移譲に伴う地方公共団体間の財政力格差について万全の措置を講ずるとともに、財源の中長期的な安定確保を図るための抜本的な方策を検討すること。
 四、巨額の借入金残高が地方公共団体の財政運営を圧迫し、諸施策の実施を制約しかねない状況にあることにかんがみ、地方公共団体の安定的な財政運営に必要な一般財源総額を確保しつつ、地方財政の健全化を進めること。なお、累積する臨時財政対策債の元利償還については、万全の措置を講ずること。
 五、地方六団体が廃止を求めている国直轄事業に係る地方負担金は、今なお年額一兆円余に上っている。事業・積算内容の公開、事前協議のルール化をすべきは当然であるが、廃止の方向に向け、当面縮小に努めること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(世耕弘成君) ただいまの高嶋君提出の決議案の採決を行います。
 本決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(世耕弘成君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、竹中総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。竹中総務大臣。
○国務大臣(竹中平蔵君) ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
○委員長(世耕弘成君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十分散会