第164回国会 法務委員会 第12号
平成十八年四月二十日(木曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 四月十九日
    辞任         補欠選任
     江田 五月君     尾立 源幸君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         弘友 和夫君
    理 事
                荒井 正吾君
                谷川 秀善君
                簗瀬  進君
                木庭健太郎君
    委 員
                青木 幹雄君
                山東 昭子君
                陣内 孝雄君
                関谷 勝嗣君
                南野知惠子君
                尾立 源幸君
                千葉 景子君
                前川 清成君
                松岡  徹君
                浜四津敏子君
                仁比 聡平君
                亀井 郁夫君
   国務大臣
       法務大臣     杉浦 正健君
   副大臣
       法務副大臣    河野 太郎君
   大臣政務官
       内閣府大臣政務
       官        後藤田正純君
       法務大臣政務官  三ッ林隆志君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田中 英明君
   政府参考人
       金融庁総務企画
       局審議官     畑中龍太郎君
       法務省刑事局長  大林  宏君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関
 する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
○犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に
 関する法律案(内閣提出)
○参考人の出席要求に関する件
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○委員長(弘友和夫君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、江田五月君が委員を辞任され、その補欠として尾立源幸君が選任されました。
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○委員長(弘友和夫君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部を改正する法律案及び犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に関する法律案の審査のため、本日の委員会に金融庁総務企画局審議官畑中龍太郎君及び法務省刑事局長大林宏君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(弘友和夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(弘友和夫君) 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部を改正する法律案及び犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 両案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○荒井正吾君 自由民主党の荒井正吾でございます。二法について御質問をさせていただきます。
 今回の改正のきっかけは、犯罪被害者対策等基本法、平成十六年十二月八日、パールハーバー攻撃の日ですが、に成立した法律がきっかけと聞いております。同法二条三項では、犯罪被害者等のための施策という大事な項目がございまして、犯罪被害者等の受けた被害の回復又は軽減、平穏な生活への復帰の支援、犯罪被害者等の被害に係る刑事手続への適切な関与という三つの重要な項目が規定されているわけでございます。
 それを受けて、同四条で、国の犯罪被害者等の施策の策定、実施の責務ということで、国の責務が書かれ、また同十二条で、法務省に関係の深い条文がございますが、犯罪被害者等の行う損害賠償の請求についての援助、損害賠償請求についてのその被害に係る刑事に関する手続との有機的な連携を図るための制度の拡充と、二つの大きな項目が法務省に対する条文にあるように思います。
 このような流れの中で、法務大臣の基本的な考え方を伺いたいわけでございますが、体系といたしまして、犯罪被害の財産的損害の回復は、身体罪、財産罪を問わず、民事の損害賠償請求として犯罪被害者が自分自身の手で司法制度により裁判手続の中で一つ一つ行うのが原則で、国がそれを支援するということで十二条の規定もそのような書きぶりになっておるように思いますが、こういう方式は現実には難点もあるように思います。
 例えば、被害者は手続に慣れていない、コストが掛かる、不幸が襲ってくるわけでございますので、加害者は組織的なプロの場合もありますし、今度の耐震偽装のように、居直りがあったり、加害者としても資産が処分されたり、隠匿されたり、マネーロンダリングがあったりするわけでございます。
 各国とも、犯罪被害者等のための施策については、国の責務、役割を大きく拡大してきているのが最近の状況だと思います。我が国も、平成十六年、遅まきながらそのような基本法ができて、非常に素早い改正に至ったというふうに理解できますが、この犯罪被害者等の施策について、法務省の基本的な考え方について法務大臣にまずお伺いをさしていただきたいと思います。
○国務大臣(杉浦正健君) 委員御指摘のとおり、犯罪被害者等基本法が成立いたしました。そこでは、国が犯罪被害者等のための施策を総合的に策定し、実施する責務を有することをうたっております。画期的な立法であったと思います。そこで国が講ずべき種々の基本的施策を先生御指摘のとおり定めておりますけれども、法務省といたしましても、この法律の定めるところに従いまして、犯罪被害者等のための施策を策定し、実施する責務を有しているものと考えております。
 そして、同法に基づいて国が講ずべき施策につきましては、昨年十二月に閣議決定されました犯罪被害者等基本計画に具体化されているところでございます。今回御審議いただいている法案も、この基本計画が求める施策の一環として位置付けられるものでございますが、法務省において取り組んでいく施策はこれにとどまるものではなく、引き続きこの基本計画に従いまして犯罪被害者等のための施策の実現に努めてまいりたいと考えております。
○荒井正吾君 大臣から画期的な立法だというお話でございました。そのように印象を受けます。
 犯罪被害者等の施策は、まあいろんなものが考えられますが、その基本法の前文では、責任は一義的には加害者が負うというふうに原則を書いてあるわけでございます。ただ、現実には国の責任をどんどん充実させていっているという状態だと思います。
 例えば、中身は違いますが、交通事故の加害者に対しまして自動車賠償責任保険が強制保険で仕組みがあると。だれもが加害者になり得るということで、国家の強制する加害者の保険という非常に幅広い被害者保護の制度がありますし、また耐震偽装問題で詐欺罪が成立すれば、これまた犯罪被害者ということになりまして、国家関与をどうするかということが政治的にも問題になってきておるわけでございます。
 その基本法の前文にありますように、我が国では、損害賠償は民事で加害者に掛かっていきなさいよと、刑事はどこまでオンするかはまた別の話だと、その峻別が際立っているというふうな人もいるわけでございます。刑事事件の科罰というのは、被害者のためにやるというよりも、国家が制裁を加えるという意識が強いんじゃないかというふうに言う人もいるわけでございます。検察官、裁判官はもっと被害者に目を向けるべきじゃないかという流れがあるように思うわけでございます。
 その中で、犯罪収益とか犯罪被害財産というのは大変重要な区分であるように思います。詐欺によって獲得された財産でございますとか出資法違反の利子支払、窃盗による財産などは、犯罪被害財産として、加害者に請求に応じるべき財産として国庫への帰属を禁止してきたわけでございます。今回はその国庫への帰属、没収禁止を解除するというのが法案の大きな目玉になっているわけでございますが、一方、犯罪によって形成された利益というのは、殺人罪の例とか賭博の上がりとか贈収賄のお金、選挙買収のお金等々、国庫に帰属させるのは一方原則になっておるということでございます。
 犯罪収益は国庫への帰属、犯罪被害財産は国庫への帰属の禁止、今回はそれを解除ということでございますが、今回の改正の目玉のように思いますが、その基本的な仕組みの変更ということについての御説明をお願い申し上げたいと思います。
○政府参考人(大林宏君) お答え申し上げます。
 財産犯等の犯罪行為によりその被害を受けた者から犯人が得た財産等である犯罪被害財産については、これを没収、追徴してしまうと被害者の犯人に対する損害賠償請求権等の実現を妨げるおそれがあることから、組織的犯罪処罰法は犯罪被害財産の没収、追徴を禁止することとしております。しかし、被害者がそうした損害賠償請求権等を十分に行使することができないような事案においては、結果として犯人に不法な利益である犯罪収益を保有させかねない事態が生じているところでございます。
 新設する第十三条第三項及び第十六条第二項は、このような状況を踏まえ、犯罪収益の剥奪を徹底するとともに、被害者の救済を図る観点から、財産犯等の犯罪行為が組織的に行われた場合や犯罪被害財産が隠匿された場合など、一般的、類型的に被害者による損害賠償請求権等の行使が困難であると認められる場合には、犯罪被害財産の没収、追徴を可能にした上で、これを被害者に対する給付金として支給し、その被害の回復に充てることとするものでございます。
○荒井正吾君 原理の変更といいますか方式の変更というのはそのように理解できるんですが、ところが、そのように変更して現実に犯罪被害財産がより多く回復されるものかどうかということをお聞きしたいんですが、まだこれからの制度ですのでよく分からないところもあるんですが、具体的には今度の犯罪収益の規制に関する法律の第十三条三項にその没収禁止の解除できる規定が三つにわたって、三号にわたって書いてあるわけでございますが、その一つに、犯人に対する損害賠償請求権を行使することが困難であると認められるときなどに没収できるという規定があるわけでございます。これは今のお考えの具体的な適用のことを書いてあるわけでございますが、現実にはどのような場合にどのような仕組みで判断されるということになっているんでございましょうか。
○政府参考人(大林宏君) 御指摘のとおり、組織的犯罪処罰法第十三条第三項第一号後段の、犯罪の性質に照らし犯人に対する損害賠償請求権その他の請求権の行使が困難であると認められるときという、こういう規定が設けられておりますが、犯罪の罪の種類、犯罪行為の態様等の客観的事情から判断して、被害者が犯人に対する損害賠償請求権等を行使することが困難であると認められる場合でございまして、例えば組織的な態様で犯罪行為が行われたような事案のほか、暴力団員が殊更に自己が所属する暴力団組織の威力や組織による報復の可能性を示しつつ恐喝に及ぶ事案などもこれに該当し得るものと考えております。これに該当するかどうかは、個別具体的な事案において、まず検察官がその要件に該当すると判断して没収又は追徴を求刑し、最終的には裁判所においてこれを判断することとなると思われます。
○荒井正吾君 それで、仕組みはそうなんですが、現実にこの財産犯の被害財産、財産犯がどのぐらいあって、被害財産がどのぐらいあって、それがどのぐらい戻っているのか戻っていないのかという現実の姿はどうなのかということなんですが、我が国の財産犯の被害額というのはどの程度あるんでしょうか。この財産犯、産業の、産業規模という、どの程度の財産犯でお金が収奪されて、どの程度被害者に返っている現状になっているのか。そういう統計は特にないと思うんですが、類推できるところがあれば教えていただきたいというふうに思います。
○政府参考人(大林宏君) 警察庁の統計によりますと、平成十六年中に強盗、恐喝、窃盗、詐欺、横領等の財産犯について、その被害額は約三千二百五十八億円、警察が把握した被害の回復額は約二百四十億円とされているというふうに承知しております。
○荒井正吾君 三千二百億円の収奪で約二百億円が回復されているということでございましょうか、まあ数%の回復額と。いろんな事情があって回復できないということだと思いますが、加害者に求償するのが原則だということで、まあ言ってみりゃそういう世界余り見なかったわけですが、できるだけ求償されるように、国家が応援するようにというのが基本法の姿勢だというふうに思います。この回復の姿も現実に統計的にできれば追っていただきたいというふうに考えます。
 で、求償できない場合で、実はこれ国際的にあの五菱会の事件を発端にしてこれが随分できたということでございますが、五菱会の事件はマネーロンダリングがされたということで、今までの仕組みだと手が届かないお金が犯罪被害財産になっていたという面がありますが、そのマネーロンダリングの現状というのをどのように把握されているのかどうか。
 先ほど引用しました犯罪収益の規制法の十三条三項には、没収の禁止の解除をするときは、隠匿する行為が行われたときと情を知って収受する行為、まあ知人に隠してもらうといったようなことがあるときにも没収できるということが書いてございます。
 昔、OECDのマネーロンダリングの会議に参加したことがございます。OECDの会議でございますが、ロシアとか東ヨーロッパとか南米の一部の国とか、そんな国が、非加盟国が参加して議論されておりました。我が国は各省たくさん来ておられて所管の官庁がまだ定まらないような時期でございましたが、我が国はマネーロンダリングについて規制が緩いというか、しやすい国だという風評も一部では聞いたんですが、マネーロンダリングというのは見えない世界ですが、まず犯罪の実態を把握するということをどの程度この世界でしていただいているのか、マネーロンダリングの我が国の周辺の現状というものを御紹介願えたら有り難いと思います。
○政府参考人(大林宏君) いわゆるマネーロンダリング、資金洗浄とも訳されているわけでございますが、我が国におきましては、例えば組織的に行われた詐欺等の犯罪行為によって得た収益等を、架空の書類を捏造して正当な取引を装ったり、他人名義の銀行預金口座に入金するなどして隠すなどの行為を処罰しております。麻薬特例法、組織的犯罪処罰法というものにその規定がございます。
 検察当局においてこのような行為について起訴した人員は、平成十五年で百人、平成十六年で百十一人ということになっておりまして、必ずしも多いという状況にはないと思われます。
 今御指摘のマネーロンダリングされている財産の額はどの程度になるかということも、犯罪の性質上非常に秘密裏に行われているという現状もございまして、捜査当局において必ずしも把握することが容易でないという状況にございます。
 マネーロンダリング行為等の犯罪を定めた麻薬特例法違反、組織的犯罪処罰法違反において不正な収益を没収、追徴するという制度がございまして、これはマネーロンダリングだけではございませんけれども、統計上はそういう没収、追徴が言い渡された金額の合計が、平成十五年で十七億二千六百九十七万二千百七十四円、平成十六年では四十四億二千八百五十九万八千三百八円、八千三百八円、ごめんなさい、八百三十八円となっているというふうに承知しておりまして、その金額の合計は非常に伸びておりまして、これからもこのような犯罪に対して厳正なやっぱり対応をしていく必要があろうというふうに考えております。
○荒井正吾君 マネーロンダリングが成功すると把握できないわけでございますが、例えば北朝鮮に我が国の資金が行くと。これは所得、外為法か、所得を隠してそのまま行くということで所得税法なんかの違反になる、我が国の法令じゃなる可能性があるわけですが、あるいは、経験したことですが、ロシアの漁船がオホーツク海でカニを取って日本へ持ってくると。ところが、ロシアの方のカニの輸出証というのは汚職で発行された偽物なんですが、日本へ来るとそのカニの輸出許可証は一応正当なものですので受け付けると。だから、日本で輸入されたカニの額と向こうが正規に漁業許可証を発行したその差は、統計では千億円にも上がるんですね。十億ドルを超えるんですね。その千億円がどこかで表に出ない金で行っているということが現実にございました。ロシアの官憲と海上警備隊とうちの海上保安庁が協力してそういうなのを捕まえようということを協定して、いっときあふれていたカニがだんだん少なくなってきたと、こういう現状がございます。そのような千億円もの金はどこにどう流れているか分かんないわけですが、ただ、先ほどの十数億円とかいう検挙の実態からすれば、もっととてつもないお金がやみのお金として動いているんじゃないかというふうに想像できるわけでございます。
 まあどのように捕捉すればいいか、難しい点もあるんですが、この捕まえたことを言うんじゃなしに、捕まえないことを何か国民に示してほしいというふうにこの犯罪の世界では常に思いますので、改めてその実態の、捕まえない、捕まえられなかったことでも実態を知ってるよということをまた刑事局長が披瀝される機会をお待ちしたいと思っております。
 この制度の基本的な根拠、先ほどの基本法でございますが、それが十六年十二月八日でございますが、一年たった十七年十二月二十七日に犯罪被害者等基本計画は閣議決定されたわけでございます。今回の法律は、その中に記載されたことに基づいて迅速な立法化が図られたと。昨年の十二月の閣議決定が今この国会に出ているということでございます。閣議決定は、方向、内容が明確で、珍しくすばらしい閣議決定かなというふうに思います。法務省にとって、百年もほっておく法律もあるけれども、数か月で出される法律もあると、まあやればできる実力官庁かというふうに感激する法律であります。
 この中で、基本計画に規定されたその他の項目も重要な項目があるように思います。基本計画では、「法務省において、附帯私訴、損害賠償命令、没収・追徴を利用した損害回復等」、この「没収・追徴を利用した損害回復等」が今回の法律となっているように思いますが、それと「損害賠償の請求に関して刑事手続の成果を利用することにより、犯罪被害者等の労力を軽減し、簡易迅速な手続とすることのできる制度について、我が国にふさわしいものを新たに導入する方向で必要な検討」と、四項目あるわけでございます。その中で、附帯私訴、損害賠償命令というのも大変斬新なアイデアのように思うわけでございます。
 まず、損害賠償命令は、有罪となった被告人に対し刑罰として被害者に対する損害賠償を命ずる制度というふうに解釈されておるようでございますが、基本法十二条で刑事と民事の手続の有機的連携を図るというふうに基本法上記載されていることも関係するように思います。このような、まあ民事と刑事が日本では大変分かれているということを、有機的連携を図れば、例えば自由刑の執行猶予と罰金が併科できないということですが、併科、懲役刑の執行猶予に損害賠償命令を付け加えて執行猶予期間中にお金を稼いで被害額を弁償しなさいと、刑務所に入って労務に就くか、出て稼いで被害額を回復するかというようなことですが、それを弁償できなければ執行猶予を取り消して刑務所に戻りなさいというような制度もあるんじゃないかと言う人もいるわけでございます。実務上の難点もあるように思いますが、実現するともう被害財産の回復ということでは大変な前進じゃないかというふうに思うわけでございます。まあ三千億の被害財産で二百億しか返ってないというのを、もう少し返るんじゃないかというふうに思うわけでございます。
 アメリカ連邦法にも例があるということでございますが、これは基本計画で法務省の検討事項ということに、これも二年以内に検討しなさいということになっておりますので、そうでございますと次の国会かその次ぐらいに出てくる可能性もあるわけでございますが、今の検討状況はどうなっておりますでしょうか、お伺いいたします。
○政府参考人(大林宏君) 委員御指摘のとおり、犯罪被害者等基本計画においては、損害賠償の請求に関して刑事手続の成果を利用することにより、犯罪被害者の方々の労力を軽減し、簡易迅速な手続とすることのできる制度を新たに導入する方向で検討を行い、二年以内を目途に結論を出し、その結論に従った施策を実施することが定められております。今おっしゃられた損害賠償命令あるいは附帯私訴についても、現在法務省内において検討をしております。
 御指摘のとおり、諸外国にはいろいろな制度がございまして、損害賠償命令を採用しているところ、あるいは附帯私訴を採用しているところ、それから両方混在するような制度を採用しているところ、いろいろございます。
 我が国の今いろいろな、従来、長い刑事制度がある、刑事司法制度があるわけでございますが、この計画に従いまして、やはり何らかの形では刑事に民事的な損害賠償を導入して、刑事裁判においてある程度その問題の解決を図っていきたいという方向は私どもも重要な施策と考えておりまして、今具体的にどのような形でできるか、これは法務省とともに日弁連あるいは最高裁とも御相談しなきゃならない問題でありまして、今いろいろと検討しているところでありまして、今いつと言えるような段階ではございませんが、前向きにやりたいと、このように考えております。
○荒井正吾君 刑事局長が前向きにとおっしゃった。まあ法務省ですので必ずできるような気がいたしますが、基本計画でかなり明確に書いてございまして、二年以内に答え出しなさいということでございますし、三浦刑事局審議官がほかの座談会でしゃべっておられるのを見ると大変慎重な物言いなので、これは難しい制度かなという印象を受けたんですが、まあ国会の場でございますのでちょっとはいいこと言わないといかぬのかと、ちょっとリップサービスかもしれませんが、難しい面もあろうかと思いますが、是非、被害者救済という面については、やはり全体見ると後れているのかなという気がしますので、国家の威信というのもあると思いますが、被害者の誇りということをやはり回復にお手伝いするという精神で、是非このような新しい制度も検討していただきたいと思います。
 今回の法制も五菱会事件という大変派手な事件があったから急遽整備されたと。今、五菱会様々のような、法案の早期成立という面に限って言えば、いうような、何か附帯私訴なり損害賠償命令にも後押しするような差し障りのない事件が起これば、法務省もおしりに余計火が付くんじゃないかという変な期待もするわけでございます。
 今のような制度も、被害者保護を進めるという面がございますが、財産的被害の救済の考え方をもう少し進めたらどうかという面がもう一つございます。
 いわゆる犯給制度、犯罪被害者等給付金の支給に関する法律でございますが、これは基本計画で別途充実の方向が示されております。十三条でございます。基本計画十三条でございます。これは警察庁の方の所管ということでございますが、これは身体犯の救済が中心、殺人をされた方の遺族の方への支援措置ということでございますが、充実が示されていますが、現実に十六年度の犯罪被害者給付金の額は約十一億円というふうに聞いております。この充実が示されているわけですが、身体犯の救済と財産犯の救済というのは、法律の題は似ているんですけれども、もう別々にされているということで、これはまた所管の役所も違うということですが、考え方として一体化をして、身体犯についても財産犯についても犯罪被害財産の回復については一体化をして回復の仕組みをつくったらどうかという考えもあるようですが、これについては法務省としてはいかがでございましょうか。
○政府参考人(大林宏君) 被害者の方々から、今の損害賠償に関連して国がどのように関与できるかということについていろんな御要望があります。今の委員の御指摘でございますが、一つは、やはり一番大きな問題は財源の問題があろうかというふうに思います。今の警察の方で身体犯の被害者遺族に渡しておられるのは税金ということになるわけですけれども、今回は財産犯に限って、それで犯人から没収したもの、元々は被害者のものなんですけれども、それを分配するという仕組みでございまして、やはりその間にはまだ大きな問題、特に先ほど言いました財源の問題が、いわゆる被害者と言われる方は非常にいろんな多岐にわたっておりまして、その方々をどのような位置付けで救済していくかという問題が非常に大きな問題でございます。
 今回の救済するというのは、本当の財産犯的なもの、要するに財産の移転がなされた、犯人側になされたと、それを戻すという、そういう仕組みでございまして、被害者救済に対して見ればほんのある一部分にすぎないかもしれませんけれども、被害者対策が必要であるということを私たちも重々認識しておりまして、今回の法律をまず成立させていただきましたならば、これが円滑に動くことをまず最大限努力いたしまして、さらに先ほどから御指摘のように、被害者対策として定められたものがありますので、それについて私どもがどういうことができるのかということを更に検討していきたいと、このように考えております。
○荒井正吾君 最後はできれば大臣にお伺いしたいんですが、今刑事局長が、被害者保護、救済には財源が要るということでございますが、例えばアメリカでは、有罪となった被告人から一定額を徴収して犯罪被害者の補償費に充てる、補償に充てるという制度が各州にあるんだそうでございます。州によって徴収額は異なると言われておりますが、例えば飲酒運転では二十ドル、二千円強を徴収する、あるいは犯罪によって百ドルから千ドルの間、一万円から十万円ぐらいを徴収するというふうに制度があって、それを犯罪被害者の給付に充てている。アメリカ全体では十一万五千人以上に約二億六千五百万ドル、約三百億円の支払をそういう財源を元にして補償したという制度があると聞いております。アメリカは医療制度は余り行き渡っていないんですが、犯罪被害者補償制度は我が国に比べて比較的充実しているような、思います。我が国では、逆に言えば、国民皆保険だけれども、犯罪被害者はもう少し後れているんじゃないかというふうに彼我の比較では思うんですが、このような制度が導入できないものかということでございます。
 我が国では、罰金、科料をそのまま充てるというのは大変ちょっと離れた考えかもしれませんが、罰金、科料の歳入額は十五年度決算額では千二十三億円あるということでございます。先ほど申しましたように、十六年の犯罪被害者給付金は十一億円だということでございます。国の税金を充てるということなんですが、その元手と言えるのかどうかは分かりませんが、そのようなものもある。あるいは、これは人に対するものではございませんが、施設に対して、道路交通反則金を原資として道路交通安全施設整備に充てる制度がございますが、特別会計でありますが、反則金などの収入が八百九十六億円、平成十五年度で八百九十六億円、施設整備費が八百三十億円というレベルの額で反則金を施設整備に充てておると。交通の防止ということでございます。あるいは自賠責の保険でも、保険料で余ったものを交通遺児の支出に充てるとか交通安全施設に充てるというのは、これは別の体系でやっておるわけでございます。このような制度を国家の一元的な思想の下に統合といいますか、管理するという考え方があるように思います。
 そのような事実をちょっと調べてみますと、我が国では人よりも物に国の金が流れやすいんじゃないかなというふうにも感じるところでございます。犯罪収益あるいは犯罪被害財産を国家が没収するのを原則として、それを国家の管理する基金に入れておいて身体犯、財産犯を通じた犯罪被害者等のための施策に使用するということもあり得ない考えじゃないかというふうに思うわけでございますが、そのようなことを進められないかどうか、法務大臣に最後にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(杉浦正健君) 先生が御指摘なさったような様々な制度が諸外国にございます。この基本計画、閣議決定された基本計画におきましても、経済的支援については内閣府に経済的支援に関する検討会を設置してそこで検討することになっております。そこにおいて様々な角度から検討がされると思います。いろいろな先生から御指摘いただいた点を踏まえて検討してまいりたいと思います。
○荒井正吾君 犯罪被害財産の回復が、この制度によってこれだけ回復しましたというふうなことをまた実数を把握していただいて、機会を得て報告をいただける機会があればと思いますし、また、身体犯についても、十一億円ぐらいのレベルで、見舞金程度だと言われておりますが、もう少し遺族の方あるいはいろんな治療費のことについて、何十万とおられる被害者のために手を差し伸べる国家の仕事というふうに思いますので、そのような方向で、法務省にとっても大変大きな仕事の分野じゃないかと思いますので、その点よろしくお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。
○尾立源幸君 おはようございます。民主党・新緑風会の尾立でございます。
 今日、仲間の議員のお許しをいただきまして質問をさせていただきます。と申しますのも、私自身が、先ほど荒井先生のお話にもございましたように、五菱会の事件を機にこの消費者金融問題にかかわりまして、犯罪収益吐き出し法、また被害者救済法といったものを何とか早急に成立させることができないかという、こういうふうに取り組んでまいりましたもので、今日の質疑にそういった観点から立たせていただきたいと思います。
 まず、先ほど荒井先生もおっしゃいましたが、こういった犯罪がきっかけに早急に立法化されたということは好ましいことではございますが、ただただ、実態としてはこれまで相当同種の問題があったわけでございますので、もっともっと、後手後手に回らないように、まず立法化というものを、不作為と言われないように鋭意取り組んでいただきたいということをまず法務省の方に国民の代表としてお願いをさせていただきたいと思います。
 そして、この五菱会のやみ金事件でございますが、これ以前にも、二〇〇三年にやみ金対策のために貸金業法等の罰則強化が行われましたし、相談件数は少なくなっているというものの、やみ金被害者の予備軍とも言うべき多重債務者の数というのは、これまたはっきりした統計はございませんが、一説によりますと百五十万から二百万というふうにも言われております。そういった意味でも、引き続きこのやみ金業者の取締りをしっかりとやっていかなければならない、このことはまず申し上げたいと思いますし、また、国民生活センターに寄せられております多重債務に関する相談は、一九九五年で六千三百九十八件、二〇〇四年度には五万六千四百六十九件と、何と約九倍にも増えております。そういった意味で、これは本当に国民的な問題であるというふうに私もとらえておるところでございます。
 さらに、同センターの行った調査によりますと、多重債務者の借入先で最も多いのが消費者金融、その次が信販会社、次いで銀行、金融機関、やみ金融、このようになっておりますので、やはり多重債務の大きな大きな原因になっておりますのが消費者金融からの借入れであるということも、これも事実だと思います。
 そしてもう一方、これまたタイムリーな話題でございますが、この消費者金融については、グレーゾーンの解消ということで今鋭意様々な場面で取り組んでいただいておるところでございますが、消費者金融など貸金業の規制を検討している金融庁の有識者懇談会は、明日中間報告というものを発表されるというふうに聞いております。
 そこで御質問をさせていただきたいと思いますが、このグレーゾーンの取扱いについて、まず十八日の有識者懇談会に提出された中間報告の案ですね、これではグレーゾーンについてそのまま認めるという場合と廃止する場合との両論併記になっております。十八日の懇談会では、実は新聞報道等によりますとグレーゾーン金利を廃止することで一致したと、こういうふうに報道されておるんですが、なぜこの話が修正されて両論併記になったのか、まずその具体的な経緯をお聞きしたいと思います。
○大臣政務官(後藤田正純君) お答えをいたします。
 まず、金融庁といたしましては、この有識者懇談会というものを立ち上げる際には、正に社会問題化しております多重債務の問題、そして同時に、消費者基本計画の中にも、これは閣議決定されておりますが、消費者信用法制というもの、また貸金業についてのやはり三年置きの見直し等について、しっかりと消費者の立場に立った政策をやっていくんだということで、有識者懇談会に委員の方々にお集まりをいただきましてもう一年半にわたる議論をさせていただいておりまして、そういう意味におきまして、あした中間取りまとめの再取りまとめということでございますが、金融庁の立場として今の段階で申し上げることはできませんが、明日の中間取りまとめを受けまして、また、あくまで中間でございますので、その議論を見据えながら、行政府として何があるべき姿であるかということを検討していくということでございますので、明日、座長であられます吉野座長が、様々、委員の方々の意見、またオブザーバーはオブザーバーとしての御意見としてまとめをしていただくものと、現在のところではそう思っておりますので、あしたまたその懇談会の中身を是非ごらんになっていただきたい。
 今段階で我々が何かを言うということも、中立性、公平性の観点から、これは懇談会の委員の方に大変御迷惑を掛けるので、その点は御理解をいただきたいと思います。
○尾立源幸君 後藤田政務官、ありがとうございます。
 今、楽しみにしていただきたいというようなお話でございますが、もう少しこの点について議論をさせていただきたいと思います。
 これ、中間整理というのをもらっていただいておるんですが、その中に幾つか疑問点ございます。
 例えば、五〇%以上の金利でも借りたいというニーズがあるという、こういったくだりが、恐らくこれ業者の方から出ている意見だと思いますが、この中間報告の、中間整理ですか、というところでは、今まさしく政務官おっしゃった、委員の意見と業者の方の、オブザーバーという方たちでしょうか、意見が混在しておりまして、一体どれが正規の委員の方の意見なのか、だれがオブザーバー、いわゆる業者側の意見なのかが全くこれ分からないというような状況になっております。
 まさかこういったものがそのまま私も出てくるとは思いませんが、ただ、この状況を見ておりますと、この時点で整理されていないわけですから、これまた後付けで整理をされるのかというふうにも考えにくいので、その辺、もう一度答弁をお願いをしたいと思います。
○大臣政務官(後藤田正純君) 委員御指摘のとおり、その点については委員とオブザーバーの意見をはっきり分けるべきだという意見が、十八日の中でも意見がございましたし、我々金融庁としましても、その点についてはしっかりと分ける方向で座長の方にもお話もしながら、明日、繰り返しになりますが、その点、また委員の皆様、先生方にはごらんになっていただいてまた御指摘なりをいただきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
○尾立源幸君 じゃ、よろしくお願いをいたしたいと思います。
 それで、もう一点、先日発表されたアイフルの業務停止問題に見られるように、やみ金融と同様に支払能力の乏しい人また判断能力の十分でない人への貸出し、強引な取立てなどの実態が各地で明らかになっております。
 ちょっと古いデータでございますが、平成十一年の国民生活センターの多重債務者問題調査によると、多重債務者の約七割がこの違法な取立てに遭っていると、このように答えております。中には、事務所への監禁、車に乗せ親戚を回り現金を調達させられた、保証人を捜させられた、妻の職場に行って妻を保証人にした、家を占拠されたなど非常に悪質な例が報告されておるわけでございます。
 しかし、平成十六年の統計を見てみますと、約一万八千件の苦情が全国から寄せられておるわけですが、たった八件しか行政処分が行われておりません。
 アイフルだけに限らず、私はこれは氷山の一角であると思うわけでございますが、他の業者によっても、消費者金融業者によっても違法な取立てが私は行われていると思うわけでございますが、なぜこの行政処分が行われなかったのか、また苦情がどのように処理をされたのか。
 そういうところが、これは前川委員が財政金融委員会で与謝野金融大臣にもお聞きしたんですが、処分しなかった理由については答えられないと、いつもこのような後ろ向きな発言をされるわけですが、その辺をしっかり私は開示をしていただきたいと。なぜ行政処分に該当しないかと、そういうところをしっかりと明らかにしていただかないと、これは何かやっぱりなあなあで済んでいるんじゃないかと、このように疑われてもしようがないんだと私は思うわけでございます。
 そこで金融庁にお伺いしますが、他の大手消費者金融に検査に入ったことがあるのか、またそこでどのような結果が出たのか、検査の概要についてお聞きしたいと思います。
○大臣政務官(後藤田正純君) 我々金融庁といたしましては、十七日の長官会見でもございますが、従来からも利用者の皆様からの苦情、相談、これを受けた際に業者に事実確認あるいは報告といったようなものを求めまして、必要があれば検査を実施、違法事実を把握すれば厳正にかつ適切に対応するという姿勢は変わりないところでございまして、その中でも、先ほど委員もおっしゃったように一万八千件という苦情というものもございますし、同時に、その中でいわゆる登録業者数も大変な数がございます。その中で、我々行政府としましてもマンパワーも限られた中で何をどこまでするかというところも、委員もその点については御理解いただけると思いますが。
 その中でも、委員御質問ございました中では、アイフル以外については、御紹介をいたしますと、最近の例でございますが、事業者向けの金融業者でありますSFCGに対する検査、これにつきましても、これは保証債務の極度額等が記載されていない委任状を使用しまして、保証債務の極度額を超える貸付けの金額を保証額とする公正証書を作成した事例、保証人に対して裁判所から保証債務の極度額を超える金額の債権差押命令を得て強制執行を行った事例、また特定した不動産の記載のない根抵当権設定契約証書兼不動産仮登記承諾書を保証人から取得し、その後、同人が取得した不動産に対し根抵当権設定仮登記を行っているが、物的担保が特定された後においても同人に当該物的担保の内容を明らかにする書面を交付していない事例が認められまして、関東財務局は、全店につき十二日間の業務停止、二店舗につき二十二日間の業務停止処分を行ったというのが十七年の十一月二十五日でございます。
 もっとさかのぼりますと武富士の問題もございますが、そういった形で、我々も限られたマンパワーの中で今の現在の段階ではしっかりとやらせていただいておりますということも御理解をいただきたいと思っております。
○尾立源幸君 旧商工中金の話も出ましたが、その前にアイフルも、実は金融庁内部では、今回の処分を出す前に、実は行政処分に該当しないという結論付けを行っていたというふうに私は聞いております。
 そこで、最終的にはそれではいかぬということで行政処分になったわけでございますが、いずれにしましても、行政が調査を行い、その結果がどうなったのかがしっかり国民に分かるように、そういう制度をつくっていただきたいんですけれども、後藤田政務官、いかがでしょうか。
○大臣政務官(後藤田正純君) その制度論につきましては、やはり我々、今私も行政府におりますが、今後また党派を超えましてそういった制度論についての議論もさせていただければと思っております。
○尾立源幸君 是非、引き続き検討を早急にしていただきたいと思います。
 それともう一つ、処分された事例が少ないのというのと、もう一つほかの問題として、この処分の内容が軽いのではないかという質の問題がございます。
 正に先ほどお話しになった商工中金、現SFCGですか、これには二〇〇五年十二月に全店舗五日から営業停止。しかしながら、その後の、一か月後の二〇〇六年の一月決算では増収、増益になっているんですよ。これはSFCGのホームページでございますが、社長様が自慢げにこんなふうにおっしゃっています。
 今中間期の連結業績につきましては、昨年十二月の業務停止の影響がありましたものの、この影響を克服し、増収、増益を達成いたしましたと。連結営業収益で対前年比プラス一〇ポイントです。経常利益に至ってはプラス二〇ポイント。
 これでは全く処分の意味が、ペナルティーの意味がないんではないかと思います。アイフルについても三日間でございます。私は、処分が軽過ぎる、悪いことをしても金さえもうけりゃいいんだというのは、正にこういった処分の甘さのところから出てくる風潮ではないかと私は大変危惧しておるわけでございます。
 そういう意味で、今回、行政処分だけではなく、違法に稼いだ収益は逆に剥奪をしてしまう、これは行政で取ることになろうかと思いますが、そのぐらいのペナルティーをやらないと、談合事件もそうです、すべての、例えばライブドアの件でもそうです、やり得を許しちゃいかぬというのは私はこれは国民的な議論だと思いますが、政務官、いかがでしょうか。
○大臣政務官(後藤田正純君) 正に委員の御指摘、私は本当にごもっともと思いまして、実は官邸におきまして犯罪被害者基本計画を官房長官の下でやる会がございまして、その中に実は金融庁と経済産業省が入っておりませんでした。まあ、当初は自然犯の被害者を救うという中身でございました。それは非常に大切なことだし、最優先課題だと思いますが、今委員おっしゃられた経済犯につきましても、しっかりと私は議論をし、犯罪収益を吐き出させて、そしてまたその被害者にまたお返しするという、そういったやっぱり検討をすべきではないかということで、その会の、いわゆる犯罪被害者の検討会に金融庁も、今まで入っておりませんでしたが改めて入るようにさせていただきまして、そういう意味では、違法な行為に基づく金融経済取引の被害者の救済というものは重要な問題として我々金融庁もとらえておりまして、今、諸外国の取組につきましても、また法務省の方々も一度大臣を主宰とする勉強会でお越しをいただいて勉強会を重ねているところであることも御報告申し上げたいと思います。
○尾立源幸君 後藤田政務官におかれましては、この問題に本当に前向きに取り組んでいただいております。私たちと思いは同じだと思いますので、是非リーダーシップを取っていただいて本当に国民のためになる政策を実施をしていただきたいと、まず心からお願いを申し上げたいと思います。
 そこで、実際この多重者債務問題を地域といいますか地方できちっと解決しておる事例を御紹介をさせていただきたいと思います。お手元の配付資料の一ページ目でございます。大変私はこれはすばらしい取組だと思いますので、御紹介をさせていただきたいと思います。
 実は、岩手県の消費者信用生活協同組合というところの事例でございます。もう皆さん御承知かとは思いますが、ここで行われております多重債務者支援事業でございます。
 図は一応皆さんのこれを見ていただければ分かるようになっておるんですが、若干説明させていただきますと、正に多重債務者が本来は個人で対応しなけりゃいけない債務整理というものをこの信用生協というところが一緒になって考えていくという仕組みでございます。そこでまずヒアリングをいたしまして、綿密に返済計画を練って、まあ融資限度額は五百万という条件が付いておりますが、そして最長十年と、金利は九%ということでございますが、その範囲内で相談者の方に全部この肩代わりをしていただくというようなスキームでございます。
 その結果、結果が大事なわけでございますが、返済が滞る率は全体の三・五%、貸倒れ率は〇・四という大変低い割合になっております。優秀なこれは私はスキームだと思います。そしてまた、この借換えができないような場合であっても、ここのアドバイザーである弁護士や司法書士さんや税理士さんがこの相談者と密に連絡を取りながらこの多重債務問題を解決していくという、こういったスキームなわけでございます。
 私は、これは地域でやれる正にすばらしい取組だと思うんですが、政府としてもこういったところに支援を、後押しするように支援をしていただきたいわけでございますが、御見解をお聞きしたいと思います。
○大臣政務官(後藤田正純君) 私も、この岩手県の生協さんの取組、ある雑誌の切り抜きでございますが、以前から拝見をしておりまして、すばらしい事例だなということで、逆に金融庁内部で私がそれを、紙を配ったぐらいでございます。
 そういう意味では、懇談会におきましても、やはり多くの意見として、事業者における政策金融があると同様に、やはり個人金融におきましてもやはり低利だとかまた無利子等の公的支援制度というものが必要なんではないかという御議論もいただいておりまして、この点につきましては、やはり多重債務者の解決、またマクロ経済におきましても、これからフリーターが増加する中、またいわゆる派遣労働者が増える中、生活が不安定な中、やはり全体の経済の環境も変わっていく中で、こういった制度につきましても、この岩手県の生協さんの取組、本当に貸倒れ率が非常に低い、そして利制法内、利息制限法の本当に一〇%以下で貸していらっしゃるという、この事例というのは本当に参考になる事例だと思っておりますので、引き続き、中間取りまとめ、またそれを経て金融庁としても勉強してまいりたいと思います。
○尾立源幸君 今回の犯罪収益二法の前提となる消費者金融問題についての質問はこのぐらいにさせていただきたいと思いますので、もし予定があるようでしたらこれで結構でございます。ありがとうございました。
 さて、いよいよ本論の方に移らせていただきたいと思います。
 今回、組犯法十三条の三項の中で、没収、追徴できる範囲ということが定められております。この条文によりますと、没収できる財産を犯罪の性質に照らし請求権の行使が困難であると認められるときと定義をしておりますが、どのような場合に犯罪の性質に照らし請求権の行使が困難と判断されるのか、具体的な事例を挙げてお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(大林宏君) 一般的な形でいいますと、今の犯罪の罪の種類、犯罪行為の態様等の客観的事情から判断して、被害者が犯人に対する損害賠償請求権等を行使することが困難であると認められる場合というふうに考えておりまして、具体的な事例としては、例えば、その前の、同法の前段の中にいわゆる暴力団が行う犯罪のような例が書いてありますけれども、例えば、個々の事例としては、その構成員である暴力団員個人が例えば殊更に自己が所属する暴力団組織の威力や組織による報復の可能性を示しつつ恐喝に及ぶ事案とかいうことで、個々的な事案においてそのような被害者の損害賠償請求が困難であると認められる場合がこれに当たるというふうに考えております。
○尾立源幸君 お答えによりますと、一応暴力団がかかわったり、暴力団の威力を背景にして行われるような犯罪行為というようなくくりができるかと思いますが、それでは例えば暴力団が関与した犯罪すべてについて没収、徴収されるのか、そして被害者に分配されることが保障されているのでしょうか。この点をもう一度確認をしたいと思います。
 なぜならば、没収、追徴という判断は検察庁がされるわけでございます。たとえ暴力団が関与した犯罪であっても、例えば被害額が少額であったり、事務手続が、先ほどマンパワーのお話もおっしゃいました、行政内のマンパワー不足によってここまではちょっと手に負えないなといったような場合は、検察官の判断で没収、追徴、分配がされないおそれが私はあるんではないかと思いますが、その点をまずお答えいただきたいと思いますし、そのような事態を未然に防ぐ対策、何か考えていらっしゃるのか、検察官の判断に全部任せてしまうのかどうか、御意見をお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(大林宏君) 一般論で申し上げますと、暴力団が関与した犯罪については、その犯罪が組織的に行われると、殊更にその組織の威力や組織による報復の可能性を示しつつ行われることが多いということで、これに該当する場合が多いというふうに考えております。
 ただ、今御質問のように、例えば少額の場合という問題は、今回の法律でも、検察官も、もちろん検察官が主体となってやるわけですけれども、必要に応じて弁護士さんを事務管理人としてお手伝いをお願いする場合もあります。当然、弁護士さんに対して報酬の問題もあります。それから、各被害者に対していろんな通知等をする、そういう郵送料等の費用も掛かります。ですから、そういう費用等の問題において、それが没収したものを上回るという場合は、これはもう費用倒れになってしまうということで、これはこのようなシステムは使えない形になっております。
 ただ、そういう事例でなく、やはり残余があると、それに対してやはり被害者に対して分配する必要がある。これはもうケース、ケースで何とも言えませんけれども、少なくとも、今委員が御指摘になるような人員が足りないとか、あるいは手続が面倒だという形で非常にこのスキームの適用を消極になるというような形は、これはもう法の趣旨に反するものでございますので、そのようなことが行われないように私たちとしても努力していきたいと、このように考えております。
○尾立源幸君 そういたしますと、原則必ずやると、しかしながら、費用が没収財産上回るような場合は、これは当然できないわけでございますので、その範囲で最低限は保障すると、そんなような理解でよろしいでしょうか。
○政府参考人(大林宏君) 基本的には、今回の法律案は没収、追徴する、そういう対象をまず押さえなきゃならぬという問題があります。これは当然警察とも協力してやらなきゃならない問題だと思います。
 犯罪の性質等によって、例えば被害者、何といいますか、証拠物を取って捜査機関が押さえます。それを返す際にいろんな工夫がある場合があります、それは還付する場合に。本来は押さえたところから押さえた人にいったんは返さなきゃならぬという問題はありますけれども、それを被害者に渡るベターな方法をいろいろ考える。例えば、検察官において、もうこれは委員御承知だと思いますけれども、いろいろな、例えば処理の際に被害者に渡るような形でそういう弁護士さんとの話合いをするとか、そういう問題もあります。
 ただ、基本的にはやはり分配するものがないとこのスキームに乗ってきませんので、結局分配するものがどれだけ押さえられるかということで決まっていくのかなと。ですから、暴力団の犯罪だからすべてについてこのスキームが動くかといえば、それは必ずしもちょっと私の方でそれは難しいかなと。ただし、今回何度も例出されます、例えば五菱会みたいな、ある程度まとまったものがあると、それから被害者も広範囲にわたっているという形で、やはりそれなりの分配に、何といいますか、費用を掛けても分配できるものがあればこれは積極的にやっぱりやっていくべきだろうと、このように考えております。
○尾立源幸君 分かったような分かんないようなお話でございますが、私たちも分配できる財産がある場合は必ずやれと、やろうというふうな提案をさせていただいているわけでございまして、是非、そういう趣旨だと思いますので、しなかったときはしなかったきちっと理由が説明できるように、先ほどの例じゃございませんが、準備をしていただくような制度をつくってもらいたいと思います。
 次に、検察の没収保全と国税滞納処分が競合した場合についての事例でこの法案の問題点というんですか、指摘事項をちょっと挙げていきたいと思うんですが、例えば今回の五菱会事件では、東京地検が押収していた三億三千六百万、これを結局東京高裁では国庫に入れてはならないと、手元に残すということになりましたわけでございますが、この三億三千六百万円を被害者が民事訴訟を起こしてこれから取り戻すということができるわけでございますが、一方、東京国税局がもうその一部、一億七十万となっておりますが、税金の滞納を理由に差し押さえております、こういう事例でございました。
 被害者が本来取り戻すべきお金を、そのために追徴、没収してはならぬという判決を下したにもかかわらず、せっかくその残されたお金を国税がぽっと取っていくと、こういうことが今起こるわけでございます、この法律が通る以前の話でございますが。なぜこの国税というものが高裁の判決を無視するような形で、縦割り行政の弊害だとは思いますが、このように追徴、差押えをするという行為に出るのでしょうか。私は大変この今の在り方に不安を感じます。
 そこで、現在の組織犯罪処罰法でも同じようなことになっておりまして、検察の没収保全と国税の滞納処分による差押えというものが先に行われた方が優先するという規定になっております。すなわち早い者勝ち、先着主義というのでしょうか、これが現在の組織犯罪処罰法で規定されておりますが、今回の犯罪収益二法が施行されたとしても、この先着主義には変わらないと私は理解しておりますし、そういう条文立てになっていると思います。
 実際、この国税が検察の前に押さえるということはあり得るんでしょうか。私は、もしそれがあり得るのだったら、大変このスキームに不備があるというふうに思うわけでございますが、お答えいただけますでしょうか。
○政府参考人(大林宏君) 今回の改正法案の適用対象となる事案は、組織犯罪やマネーロンダリングなど通常捜査機関による事案の解明なくして犯人の所得や犯罪収益を特定することが極めて困難な事案であると、こういうふうに考えられます。したがいまして、検察官等の請求によって行われる没収保全に先んじて国税当局が犯罪被害財産の差押えをするという事態が生ずることは相当にまれなことであろうというふうに考えております。
 今御指摘の五菱会関係の事件につきましては、東京地検において押収した現金を保管していたと、それに対して国税当局から、保管していた場合に、これ裁判が終われば当然還付ということで被差押え、さっき言いました例えば暴力団の人たちに返す形になります。そういう還付請求権があるものですから、それに対して国税がまず差押えをしたと。それで、被害者の方々も仮差押えをその後にしたということで、先着手の形で結局は国税の方に持っていかれた形になっている、今の仕組みはそういうことでございます。
 今回の問題につきましては、今申し上げたとおり、基本的にはある程度、今のように分配しなきゃならないものというのはある程度捜査段階から、あるいは裁判の段階から分かっている話でございますので、基本的にはそれに向けた手続が行われるということで、実際問題としてそれを国税が検察官のところから持っていくということは、今、先ほど申し上げたとおり事実上は考えにくい。先ほど申し上げた五菱会の今回のやつは、返る時点において裁判所がそれを、没収を認めなかったものですから結局は暴力団の方に返ってしまうと、それに対して国税が被害者の方より先に押さえたという事案でございますけれども、今回のスキームは、基本的には没収という形を前提といたしまして検察が抱いている形で、それで没収の言渡しをもらってそれを分配するという形で、制度が相当変わりますので、前に問題となったような事例はちょっと生じにくいかなというふうに私たちは考えているところでございます。
○尾立源幸君 それでは、更にお聞きいたします。
 例えば、通常に、まあやみ金であっても企業といたしましょう、そこが収益を上げておりました、税金を滞納しておりました、そこで国税が押さえましたと、その後検察庁が今回の法律で財産を没収すると、こういった場合はどうなりますでしょうか。
○政府参考人(大林宏君) 今の事例であれば、これは国税の方が優先する形になろうかと思います。
○尾立源幸君 やはり私が懸念しているとおりのことが起こるわけでございます。正に違法収益に対して、本来は、私はこの検察の判断が下るというのはやはり時間が掛かるんじゃないかなと思っております。国税というのは、やっぱり毎年の決算を見たり、中には源泉徴収ということで毎月毎月納付税がありますから、こういったものは非常に税務署から、また国税からするといつ滞納したかすぐ分かってしまうわけですよね。しかしながら、この検察の判断が下るというのはあるとき突然ぼんと下るわけでございまして、どうしても私は国税の方が常に常に先に行ってしまうんじゃないかと、このように思うわけでございますが、そういう場合は、やっぱり被害者の方に分配されるべき額が国税に持っていかれた分、私は少なくなるんじゃないかと思うんですよね。いかがですか。
○政府参考人(大林宏君) 一つの方法といたしましては、没収保全あるいは追徴保全という制度がやはり定められております。ですから、先ほども私申し上げているとおり、これについてはやはり分配しなきゃならないというものが予想されるという事案があった場合に、一つのやり方としては、没収についての保全をすると、検察官において請求をして裁判所から決定を得るという方法もあります。その場合であれば、国税が差押えすることはできない、先着手は没収保全の方が勝つという形になります。
 今委員がおっしゃられることは私たち分かっていますので、やっぱり事案に応じては、もしそういう本当におそれがあるならば、今のような没収保全の手続を取る必要があろうかというふうに考えます。
○尾立源幸君 私は、検察の方でそういう決定をした場合には、国税に私は優先するぐらいの規定をきちっと盛り込んでいただかなければならないと、このように、私どもの意見はそういうふうに考えております。是非この点も今後の検討課題と、我々も提案をしていきますので、是非真摯に検討をしていただきたいと思います。
 そこで次は、給付法の方に行かせていただきますが、被害者の掘り起こし、つまり犯罪被害に遭った方に分配をしていくためには被害者の掘り起こしをしていかなきゃなりません。現在の条文ではその方法として官報公告を挙げていらっしゃいますが、官報公告というのは、私も今でもほとんど見ませんけれども、ほとんどの人こんなの見ないと思うんですが、それ以外の方法はないんでしょうか。これは、大臣お願いします。
○国務大臣(杉浦正健君) 確かに、被害者に知らせるということ、大変大切なことだと思います。官報は余り読みませんが、今はホームページがございまして、これは割合、法務省の場合ものぞく人が多うございます。
 そういうこともございますし、具体的な事件に応じていろいろと考えられると思いますけれども、例えば、記者会見を私もやっておりますし検察庁も定例にやっておりますから、そういうところで公表してマスコミの協力を仰ぐとか、大きい事件になればマスコミも興味を示して報道をしてくれる場合があると思うんですけれども、そういった面で協力を頼むとか、いろいろ考えられると思いますが、この法律が成立しました場合には、事件の大小いろいろあると思いますけれども、我々としても極力努力してまいりたいと思います。
○尾立源幸君 当然、この被害者の掘り起こしにはお金が掛かるわけでございまして、まあ官報はそんな掛からないと思いますが、今おっしゃったテレビやマスコミに使う場合には非常にお金が掛かると。そういった場合、そのお金はこの没収した犯罪財産から出ていくわけでございますので、費用対効果といいますか、大変ジレンマが起こってくるわけでございます。是非、効果的な方法というものを、この官報だけというのはちょっと頼りなくて余りにも心もとないものでございますので、是非、今法務大臣回答していただいたように、積極的な方法を考えていただきたいと思います。
 次、裁定表の閲覧についての質問に移らせていただきます。支給法十三条でございます。
 今回の条文では、例えば加害者側の暴力団ややみ金業者であっても被害者のリストを手に入れようと思えば入れられるという、大変な大きなこれまた欠陥が存在しております。これをやれば、これをそのまま残しておくとどういうことになるかということでございますが、この被害者の方は大変な恐ろしい思いをしておびえていらっしゃるというのが現状だと思います。やみ金にやられたと、暴力団関係のところにやられたと、こういう人たちが、私が被害者なんですよということで、いろんな先ほど大臣がおっしゃった方法で掘り起こしをされて、被害者と名のり出た途端にまた自分の名前が暴力団関係者ややみ金業者に知られてしまうという、こういう危険性があるわけでございます。
   〔委員長退席、理事谷川秀善君着席〕
 そういった意味で、私は、この裁定表の閲覧というのは、裁定資格を受けた、すなわち国から被害者であると認定された人だけに限るべきだと私は思うわけです。今のスキームですと、私は被害者ですよというふうに申請をした人ならだれでも見れるということになっております。法務大臣、いかがでしょうか。
○政府参考人(大林宏君) スキームだけのまずことを御説明いたします。
 被害回復給付金の支給の申請に対する裁定は、基本的には当該申請をした者に対して行われる処分でありますけれども、他の申請人にとっても、資格裁定を受けた者に被害回復給付金が支給されることによって給付資金が減少し、その結果、自己の支給額が減少する可能性があるという意味において、間接的にその利益に影響を及ぼし得るものであることから、本法案は他の申請人に対する資格裁定に対しても不服の申立てを行い得ることにしております。そして、拒否裁定を受けた申請人についても裁定表を閲覧することができることとしているのは、そのような申請人も、自己に対する拒否裁定に対して不服を申し立てつつ、当該不服が認容された場合のため、併せて他人の資格裁定に対しても不服を申し立てる利益が認められると考えることによるものでございます。
 資格裁定を受けた者に限って閲覧を認めることとすることは、拒否裁定を受けた者の不服申立ての利益を奪うことになるため困難だということで、このような規定を設けたところでございます。
○副大臣(河野太郎君) スキームについては今答弁をしたとおりでございますが、今回の法整備では、被害回復給付金の支給の申請をまず受け付ける際には本人確認をすることになっております。虚偽の申請をすれば、当然、詐欺又はその未遂ということが問われるわけでございますし、被害回復給付金支給法の中にも虚偽申請罪を設けることになっております。そういう罰則をあえて承知の上で被害者でない者が申請をするとは余り考えにくいというふうに思っておりますし、また裁定表の記載事項につきましても、資格裁定を受けた者の住所等についてはこれを記載しないようにしております。
 そういうようなことをしながら、他人の資格裁定に関する不服申立ての機会はきっちり確保していきたいと思っております。
   〔理事谷川秀善君退席、委員長着席〕
○尾立源幸君 やみ金業者や暴力団というのは、御承知のとおり、こういう法律があるから大丈夫だということのもっと向こうの世界で生きていらっしゃる方でございますから、詐欺罪等が適用されるというようなことをおっしゃいますが、そんなことは、成り済ましやいろんなことで代理を立てたりして幾らでも、私は、脱法行為と違法行為というのはやろうと思えばやれる人たちであるからこそ私は恐ろしいというふうに思っているわけでございます。
 ですから、通常はそういうお答えになろうとは思いますが、それをも超えてやろうとする人に対してはどういう防御をされるのか、もう少し見解を聞かせていただきたいと思います。
○副大臣(河野太郎君) そういうおそれがあるかもしれませんが、だからといってその裁定表の閲覧を制限することは、まず最初の段階で裁定を否定された方の不服申立て、ほかの方で当然入るべきでない方が入っているよという不服申立ての拒否をする申立てのチャンスも確保しておかなければいけないと思いますので、そこは比較考量の問題だと思います。
○尾立源幸君 もう既にこういうおそれがあるということを私申し上げております。
 それで、今副大臣おっしゃいましたように、不服申立ての機会もきちっとつくらなきゃいけないと、こういうふうにおっしゃっているわけでございますが、そこでもう一工夫、何か今までの制度にない仕掛けをつくることはできないんですかということを私はお聞きをしておるわけでございます。今の、こうだからこう、これは今の法律ではこうと決まっているというんじゃなくて、それでもおそれがあるんじゃないですかということでしつこくお聞きをしているわけでございます。何かいい解決策というのはございませんでしょうか。
○政府参考人(大林宏君) 委員がおっしゃられている懸念は私どもも理解できるところでございます。
 ですから、今副大臣が言われたとおり、まず当面の問題としては、住所等の、額等については先ほどの不満の問題、不服申立ての問題が出てくるものですからそれを隠すことはできませんけれども、本人に対して、分配を受けた人、他の人たちについてそういう懸念が生じないようにやはりしていく必要があるということは私どもも認識しております。
 ですから、一つは、裁定書自体がある程度、今のような審査を経た段階においてある程度そこが作られるものだということで、まずそこで、何といいますか、それなりの、事実把握はそれなりの検察官においてできるものだろうと思います。ですからそこは、先ほども申し上げたとおり、不服申立て権を奪わないという問題と、それから、今委員の御指摘のとおり、他の本当の被害者に対して例えば報復とかその他の嫌がらせがあるような事態を招かないということは、これはやはりそこは両方考えていかなきゃならないということでございますので、これからの施行に当たって私どもも何ができるか、ちょっと検討させていただきたいと思います。
○尾立源幸君 是非、被害者の萎縮ということでせっかくのいい法律が実効性がなくならないように、また二次被害が起こらないように、何かいい仕掛けをこれからの作業でつくっていただきたいなと思います。よろしくお願いいたします。
 大臣、決意をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(杉浦正健君) 法律は原則を決めるわけでございますので、御懸念の点が実際施行する場合にないように、様々な工夫をしてまいりたいと思います。
○尾立源幸君 大林局長から検討という言葉をいただきましたので、大臣も是非その方向の答弁をお願いいたしたいと思います。
○国務大臣(杉浦正健君) 様々な工夫を検討してまいりたいと思います。
○尾立源幸君 ありがとうございます。
 それでは最後に、残余財産の扱いについての質問に移らせていただきたいと思います。
 給付金支給法の三十四条辺りでございますが、今回の法律では非常に丁寧な分配をやっていただけるというふうには理解をしております。すなわち、一回目、給付金の支給をして、それでも残余財産があった場合はもう一度残余財産の分配について同じような手続をされるというふうに聞いておりますが、そのとおりでよろしいでしょうか。
○政府参考人(大林宏君) そのとおりでございます。
○尾立源幸君 ただし、その先が問題でございまして、それでも残った場合どうなるかという質問でございます。今の法律では最終的に二度の分配を経て残った財産については一般会計、国庫に入れるというふうに規定されております。
 私、ここで、この繰入れについての質問なんですけれども、犯罪によって得られたお金でございますし、また被害者の方からのお金でございます。それを単純に余ったからといってすぐ一般の国庫、一般会計に入れるなどというのはちょっと性急過ぎるんじゃないかと私は思います。私は被害者の救済のためにこのお金は生きたお金の使い道として使っていくべきだというふうに思うわけでございますが、まず、なぜこの一般会計に繰り入れるという決定、お考えをされたのか、御説明していただきたいと思います。法務大臣、よろしくお願いします。
○副大臣(河野太郎君) 給付資金は、没収、追徴の裁判及びその執行等の効果として既に国に帰属している財産であるところ、本来的にはそのような財産は一般会計の歳入に繰り入れることが原則ですが、被害者の救済のために支給するという特定の目的のために使用することを前提として、いわゆる保管金として取り扱うこととしております。しかし、犯罪被害者財産支給手続の終了後に残余がある場合には、もはや何らかの特定の使用目的があるものではないので、原則どおりこれを一般会計の歳入に繰り入れることとしたものであります。
○尾立源幸君 そうすると、元々は国のお金なんだけれども一時的に被害者の方にお返しする、それでまた残ったものは国に入れるという考えということですが、私はそれは違うんじゃないかと思うんです。元々は被害者の方のお金であるからこそ分配をすると、だから残ったものも極力その方たちのために使うという考え方が私は筋だと思うんでございますが、法務大臣、どうでしょうか。
○国務大臣(杉浦正健君) 法律の建前、原則を申し上げたわけでございます。没収、追徴の裁判及びその執行等の効果は、それを犯罪者に帰属せしめないで国に帰属させるというところにございます。本来そういうものをこの法律で犯罪被害者のために戻していこうという趣旨でこの法律をやるわけでございますので、被害者の救済のために支給して、残りが生じた場合には、その原則に立ち返ってそれは一般会計に納付するというのが法律の建前だというふうに思うわけです、残った場合はですね。
○尾立源幸君 元々のお金の出どころというのは、何度も申し上げますように、これは被害者の方、つまり国民のものでございまして、だからこそ税務署が差し押さえることについても私は異議を申し立てておるわけでございます。なぜ安易に、ここまで特別な法律手続をつくっていただいておるにもかかわらず、最後の最後でまたひゅっと原則論に戻るのかと。せっかく作っていただいた法律ですから筋を通していただいて、最後の最後までこれは被害者回復のために使うんだと、こういう法律であれば私は美しいなと思うわけでございますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(大林宏君) 委員がおっしゃられることは分かるんですが、ただ、今回の法律の規定にありますように、その被害者、恐らく、私どもの考えているのは、多分それを分配しても足りない事態が通常であろうと、基本的にはですよ。ですから、法律には案分比例の規定をいろいろ設けてあるわけです。
 それで、もう一つの申し方すれば、一応それで、仮にですよ、おっしゃられるように全部分配した、それで余剰分ができたということになりますと、理論的にはそれは分配した結果、仮にです、今の前提で全部分配して余剰金が出たような、私はそれほど多くないと思いますけれども、そういう事例についてどうなのかという議論でありまして、それは法律的には不当利得の問題が出てくる問題でありまして、それを例えばそういう団体なんかに使ったらどうかと、こういう御意見は法制審等でもいろいろ議論されたところでございます。ですから、それはもう政策的なマターだと思います。
 ただ、今のシステムは、裁判所において没収、追徴をするという裁判を、それを行うことによって、それは国庫に入るというのが今の我が国のシステムでございますから、今のやつで余剰金が出るということになると、その原則に戻って国庫に入ると、こういうのは一つの考え方といいますか、今回の私どもの考え方はそういうものでございます。
○尾立源幸君 局長の方からも、今、基本的には残余財産が最終的には生じないというふうなお話をされてますが、今回は三億、幾らですか、三千六百万というお金でございますが、その次に、これはまだ確定はしておりませんが、スイスにある五十億のその半分ぐらいじゃないかと言われている、そういうお金が返ってくるわけでございます。
 何を根拠に残余財産が生じないというふうに推定されているんでしょうか、何を根拠に。まあほとんど、案分比例の規定も入れている、つまり足らないだろうということが前提でこの制度をつくっていらっしゃる。余ることは余り想定してないとおっしゃいました。何を根拠にそうおっしゃっているんでしょうか。
○政府参考人(大林宏君) 今、具体的なスイスのお話もありました。それについても、私なんかが伝え聞いているところによりますと、その金額についてもそれ以上の被害者がいるように私どもは聞いております。
 ですから、それはケース、ケースでありますので、それは残余財産が出ないものが絶対ないのかというふうなお尋ねであれば、それは私どももそれはないとまでは言い切れませんけれども、今までの実態として被害者の方に回っていないと、組織的なものについて回っていないという現状があって、そして被害者がかなり残っているという、私どもの念頭に置いています今回のそういう犯罪を考えた場合には、やはり残余財産の問題もありますけれども、私どもとしてはやはり、委員がおっしゃったように掘り起こしといいますか、先ほどの前提、私が言ったのは本当にという、仮の仮でございまして、全部終わったらという前提が極めてまれなことを私前提にしているものですけれども、それはむしろ私たちとして努力すべきなのは、そういう被害者はほかにもいるんじゃないかという点において、それは努力しなきゃならない、そしてなるべく広い被害者に分配するということが必要なんではないかというのが私たち考えているところでございます。
○尾立源幸君 そもそも論に戻りますが、この法律ができたのは、国が追徴、没収できなかったという、ある意味で悔しい思いがあったんじゃないかと私は思うんですね。だから、何とか追徴、没収したいということがあり、さらには、もちろん被害者の方に分配をしなきゃいけないということがありますけれども、何かこの最後の部分を国に安易に戻すというふうに規定されてしまうと、ああ、結局は取り戻したいだけだったのかと、国庫に入れたいだけだったのかというふうに思われても仕方ないわけです。
 今委員からもお話がございますように、この一度目、二度目の被害者の掘り起こし、どこまで真剣にやるかということによって残余財産の額も私は変わってくると思います。そういう裁量的なものが権力側にあるということ、被害者の方にないということは、私はこれは大きな問題だと思います。
 そういう疑念を持たれないためにも是非その先の話、残余財産があった場合のもう少し建設的な話を検討していただきたいと思いますが、法務大臣、どうでしょう。
○国務大臣(杉浦正健君) 法制審でも様々議論があったようでございまして、立法論としてはいろいろあり得ると思うんですが、この法律は、民法の大原則、被害者は加害者に対して直接に違法行為に基づく損害賠償請求権を行使すると、国はちょっと外にいると、第三者的立場にいるという原則の例外としてこの特別立法を考えたわけでございます。
 局長がその残余が残ることはまずないだろうというふうに言ってますが、実際問題そうだと思います。それは、被害額が決まっておって、それを仮に全額押さえたといたしますと、その押さえたものを全額返れば残余はないというのが通常だと思いますが、まあまれに残るかもしれないと。残るかもしれない、そういう場合にも法律で規制しておかなきゃいけませんから、その場合には大原則に戻って国庫に納める。
 私も弁護士やりましたが、たまたま依頼を受けた場合には、警察庁が押収した金額の返還請求といいますか差押え、仮差押えからまず入るわけですが、何件もやりました。で、国税が入ってきて持っていかれるという悔しい思いもいたしました。これは立法論の問題でございますからやむを得なかったわけですが、今度はこの法律で仮保全をすると。すれば国税にも優先するという法体系ができるわけですから、裁判所が最終的に決めるわけですが、押さえたものについては優先的に被害者に返すと。
 まあ残る場合というのは、実際被害者がいるのに分からなくて申し出なかったとか、そういう場合はあり得ると思うんですが、しかしそういうことはまず実態的には考えられないということを前提にして、残余財産、残余のお金は一般原則に戻って国庫に納める。今までは文句なしに国税の方差押えがなければ全部国庫へ行っておったわけです、犯罪収益であろうと何であろうと。それをこの法律で犯罪被害者に戻そうということを、その大原則を変えたわけですから、これは画期的な制度だと私は思っております。
○委員長(弘友和夫君) 時間が過ぎておりますので、質疑をおまとめいただきたいと思います。
○尾立源幸君 はい。
 最後に。是非、こういった日本支援センター、またNPO等々、犯罪被害者の方を救済する取組をしておるところもございますので、こういうところに是非残余財産を使っていただけるようにしていただきたいと思いますし、また、アメリカではこの基金をつくっています。こういった基金の活用などもまた今後考えられることと思いますので、先ほど申し上げました裁定表の問題、そして先着主義の問題、こういった残余財産の扱いの問題、公告の問題等々、是非前向きなきっちりとした対応を取っていただきたいことをお願いしまして、私の質問とさせていただきます。
 ありがとうございました。
○木庭健太郎君 今日はこの犯罪収益規制法、被害回復給付法の審議でございます。今、様々な議論が行われておりましたが、私は、この法案というのはいわゆる犯罪被害者保護という観点から極めて重要な法案であり、画期的な法案でもあると思っております。様々な問題点も御指摘はございましたが、基本はそういうものだと思うし、正にやみ金融のこの五菱会の問題から始まった大事な法案だと思っております。
 今日はこの犯罪被害者の立場から何点かお伺いしようとは思っておるんですが、まず冒頭、今回の法整備に対する理由、一番の、最もの視点というのを改めて、今もいろいろ議論がありましたので、私は犯罪被害者保護の観点からの様々な法整備だと思っておりますが、大臣からまずその基本を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(杉浦正健君) ただいま議論になった部分にも関係してまいりますが、現行の組織的犯罪処罰法は、財産犯等の犯罪行為によりましてその被害を受けた者から犯人が得た財産、押収されるわけですが、そういう財産等でございます犯罪被害財産につきましては、その没収、追徴を禁止しております。これは被害者の犯人に対する損害賠償請求権等の実現を優先させるためでございます。民法の大原則であります。しかし、被害者がそうした請求権等を十分に行使することができないような事案におきましては、結果として犯人に不法な利益である犯罪収益を保有させかねない事態が現実に生じているところでございます。
 また、暴力団関係者らによるやみ金融事案の犯罪被害財産の一部が五菱会のようにスイスの銀行に隠匿され、これがスイスの当局によって没収されるという事案が発生いたしました。スイスは返していいと言っておりますので、スイスからその財産、向こうの国の財産ですが、その財産を譲り受けた上で、当該事案の被害者の被害の回復に充てることができるようにしなければなりません。
 今回の法整備は、以上のような状況を踏まえ、犯罪収益の剥奪はもとよりのこと、そのような犯罪被害者の保護を一層充実させると、被害者保護という見地から行うものでございます。
○木庭健太郎君 そこで、今回の組織的犯罪処罰法の改正案の十三条三項一号、これも今ずっと議論になっておりますが、ここには、犯罪の性質に照らし犯人に対する損害賠償請求権その他の請求権の行使が困難であると認められているときに犯罪被害財産を没収することができるとしております。
 これ、法制審においても随分議論になっておりますが、これまでのように被害者が自ら犯人に対して民事上の請求権を行使する場合、これは今後どのような、この法律との関係の対応はどうなるのか、伺っておきたいと思います。
○政府参考人(大林宏君) 改正法の組織的犯罪処罰法第十三条第三項第一号に規定する犯罪の性質とは、犯人が犯罪被害財産を得る原因となった犯罪の罪の種類や犯罪行為の態様など、刑事裁判において審理の対象とされるような犯罪の客観的事情をいい、実際に被害者が民事上の請求権を行使しているか否かといった事情によって同号に該当するか否かが左右されるものではないというふうに考えております。
 実際にも、たとえ一部の被害者が犯人に対する損害賠償請求権等を積極的に行使している場合であっても、同号に該当するような客観的事情が存在することにより大多数の被害者の権利行使が期待できず、仮に没収、追徴を控えれば犯人の手元に不正な利益が残る事態を招くこととなりかねないような場合もあると考えられるところでございまして、このような場合には、当該財産を没収、追徴し、被害回復給付金の支給を通じて被害者の救済を図ることとするのが相当であると考えております。
 もっとも、多くの被害者が積極的に権利行使をしているため犯人に不正な利益が残るおそれも認められず、逆に犯罪被害財産を没収、追徴することによりそのような被害者の権利行使の妨げにもなりかねないと認められる場合には、被害者の権利行使を優先させるため、犯罪被害財産の没収、追徴の求刑を控えるなどの対応が期待される場合もあるものと考えております。
○木庭健太郎君 今度は、逆に、犯人の方が自ら被害者に対して被害弁償をするというような事件もあると思うんですが、このような場合はこの没収、追徴の関係は行われるのかどうか。これも法制審で随分議論になったようですが、言わば犯人の弁償の意思というものと没収、追徴の関係、これがどうなっているのか伺っておきたいと思います。
○政府参考人(大林宏君) 犯罪被害財産の没収、追徴の可否については、犯罪の罪の種類や犯罪行為の態様など、刑事裁判において審理の対象とされるような客観的事情から定型的に判断されるものであり、犯人が被害者に被害弁償をしたことにより直ちにその没収、追徴が禁止されるものではないと考えられますが、当該犯罪被害財産の没収、追徴は任意的なものでございまして、犯人が被害者に被害弁償をした場合には、その限度で犯人の手元に犯罪収益が残存していないとともに、被害者に対する被害回復がなされて原状回復にも至っていることから、被害弁償がなされた限度で没収、追徴を差し控えることが相当であると考えております。
○木庭健太郎君 まあそうは言いながら、なかなか現実にはその被害者が請求権の行使というのを期待できない場合が現実であって、犯人が自ら被害弁償するような事件というのはなかなかケースとしては難しいだろうと思うんです。さっきも金額の問題、三千億に対して一割にも満たない二百億ぐらいですかね、そういう現状を考えると、やはり今後何が大切かというと、もちろんこの法律施行によって様々な面が変わっていくと思うんですが、当然のことながら、従来にも増して積極的に捜査を行って、この犯罪収益というのを言わば全部剥奪するような、そういう積極的な捜査も必要だと思うし、それが逆に言えば被害者への被害回復を図るべき、こういう流れにつながっていくと思うんですが、こういう努力を是非積極的にやっていただきたいと思いますし、せっかくこういう法律ができるわけですから。その点について法務大臣から所見を伺っておきたいと思うんです。
○国務大臣(杉浦正健君) 先生の御指摘のとおりでございます。
 この今回の法整備は先ほど御説明したとおりでやることになったわけでございますが、組織的な犯罪とかマネーロンダリング等の事件におきましては、犯人からもう確実に犯罪収益を剥奪するということが重要でございまして、検察を含む関係諸機関においても、今回の法整備を受けて組織的犯罪処罰法による犯罪収益規制のより一層の効果的な活用に努めていくものと考えております。
○木庭健太郎君 続いて、被害回復給付金支給法についてお伺いしますが、大規模な詐欺とか出資法違反の事件では、通常、刑事裁判で審理の対象になった事件の被害者以外に当然数多くの被害者がいるということが推定されるわけですが、この法律、確認の意味でお聞きしておきますが、いわゆるそういう審理の対象となった以外のいわゆる数多くの被害者、こういう被害者についても給付金の支給の対象となるのか、この点伺っておきたいと思います。
○副大臣(河野太郎君) 刑事手続におきましては、一連の犯行と見られている事件の中から証拠の内容などを踏まえまして絞り込みを行いまして検察官が起訴することがあるというふうに承知をしております。刑事裁判においては、認定されなかった事実の被害者も実態としては認定された被害者と同等の立場にあるというふうに評価することができますので、救済の対象とするのが合理的であると考えます。
 本法案につきましては、没収、追徴の理由とされた財産犯等の犯罪行為と一連の犯行として行われた財産犯等の犯罪行為の被害者についても給付金の支給の対象としているところであります。
○木庭健太郎君 でも、一般の人にとってみると、この一連の犯行として行われた対象犯罪行為と言われても、給付金の申請をする者にとってはなかなかこれちょっと、何のことなのかしらという分からない面もあるのではないかと思うんです。そういう意味では、被害者から見れば、自分がそれらの犯罪の被害者に該当するかどうかの判断、これどんなふうに、難しいんじゃないかなということも思うんですが、その辺はどんなふうにお考えでしょうか。
○政府参考人(大林宏君) 委員御指摘のとおり、一連の犯行として行われた対象犯罪行為といっても、当該没収又は追徴が言い渡された裁判の内容から一義的に明確になるものではなく、このような抽象的な基準のみをもって被害者が自分がそれらの犯罪の被害者であるかどうかを判断することは困難である場合が少なくないと思われます。
 そこで、被害回復法案の第五条第一項は、「検察官は、犯罪被害財産の没収又はその価額の追徴の裁判が確定したときは、支給対象犯罪行為の範囲を定めなければならない。」と規定し、あらかじめ当該手続において被害回復給付金の支給の対象となる犯罪行為の範囲を明確にするよう義務付けることとしております。そして、定められた支給対象犯罪行為の範囲は一般に公告するとともに、知れている被害者等に個別に通知することとされており、その際には、例えば対象となる店舗名や時期などが具体的に明示されることとなりますので、被害者において被害回復給付金の支給の申請をすることができるか否かを判断することは可能になるものと考えております。
 もう少し具体的に言いますと、当然そういう事件の中で先ほどおっしゃられた絞り込みの問題がありますけれども、その余罪といいますか、それの同種のものというのはかなり警察において集められております。ですから、記録を保管をしている検察官においてそこはある程度把握できるものが多いものでございまして、そういう人たちについては、その範囲に当たるということであれば個別に通知して本人にお知らせすると、こういうことになろうかと思います。
○木庭健太郎君 これもさっき官報の問題を含めてどう掘り起こすかという問題が議論をされたんですけれども、一つ、今おっしゃった中で通知の問題というのは極めて大事で、これをやることで随分いろんな意味での掘り起こしというか確認ができていくだろうと思うんです。
 ただ、今伺った公告、通知だけで足るのかというと、なかなかこれ、もっとより掘り起こすにはほかの方法はないのかなというのは、やはり私も先ほどの質問と同じような見解は持つところあるんです。大臣はホームページの問題とかマスコミの協力の問題おっしゃいましたが、刑事局長はどんなふうなお考えをお持ちか、現場の感覚としてお伺いしておきたいと思います。
○政府参考人(大林宏君) 先ほどのホームページの掲載も私ども考えておりますが、もう一つは、例えば被害者の人たちに付いている弁護士さん、あるいはいろいろな被害者団体の方々がその状況についてより詳しく知っておられるケースが多いと思います。ですから、そういう団体の方々に御協力を得る。あるいは関係機関でも、要するに被害者としてある程度把握されている、それなりの行政的に把握されているものもあると思います。ですから、そういういろいろなパイプといいますか、そういうものから被害者を特定していくと、こういう作業をしなければならないと考えております。
○木庭健太郎君 今度はその申請期間の方でございます。
 できるだけ多くの被害者を救済するためには、この給付金の支給の申請を行うことのできる期間というのをどれだけ確保するか、それによって十分なのかどうかという問題が大きくなってくると思うんですが、この本制度における申請期間がどのようになっているかをお伺いするとともに、例えば、具体的な事例ですけれども、五菱会事件のように大規模な事件で最大どの程度の申請期間を考えていらっしゃるのか。あわせて、本法案に基づく申請期間の問題と五菱会という具体的な例を挙げてどの程度の申請期間になるのか、当局に伺っておきたいと思います。
○政府参考人(大林宏君) 法案の第七条第二項は、支給申請期間については、犯罪被害財産支給手続を開始する旨の決定についての公告のあった日の翌日から起算して三十日以上の期間としなければならないとして、その下限を定めているところでございます。今おっしゃられたような大規模な事案については数か月程度の期間になるのではないかと、このように考えております。
○木庭健太郎君 数か月って、範囲広いですね。現時点ではそれくらいですかね。例えば半年程度なのか三か月程度なのかというような話でございますが。
○政府参考人(大林宏君) これは被害者の数とか、それから例えば全国的になっているかどうかとか、個別の事案によって違うと思いますが、それは、本当に大規模な事案についてはやはり半年ぐらいの期間を設けなきゃならぬ場合もあり得るのかなと考えております。
○木庭健太郎君 そして今度は、被害者が支給を受けられる額については本法案でどのような規定がなされておりますか、御説明いただきます。
○政府参考人(大林宏君) 本法案におきましては、被害回復給付金の支給の申請をした者について、その者が被害回復給付金の支給を受ける者に該当する旨の裁定、資格裁定を行うのに併せて、当該資格裁定を受けた者が支給を受け得る上限である犯罪被害額を定めることとしております。
 この犯罪被害額につきましては、基本的には、支給対象犯罪行為により失われた財産の価額から控除対象額、すなわち当該失われた財産につき既にてん補又は賠償がされた額を控除して検察官が定めるものとしておるところでございます。
○木庭健太郎君 そうなると、言わば支給を受けられる額というのは、まあ被害者の犯人に対する債権額であり、いわゆる犯罪被害額という形になっておるわけですが、私は、事案によっては言わば慰謝料等も含ませるようなことができるようなことも検討すべきではないかと思うんですが、この辺の考え方について伺っておきたいと思います。
○政府参考人(大林宏君) 本制度におきまして被害者が受けることのできる被害回復給付金の額は、支給対象犯罪行為により失われた財産の価額を基準として定めることとしております。
 これは、本制度が財産犯等によって被害者が失った財産である犯罪被害財産を財源にしてこれを被害者の被害回復に充てるものであるところ、支給すべき被害回復給付金の額についても財産犯等によって被害者が失った財産の価額を基準とすることが合理的であると考えられることによるものでございます。
 これにつきましては、委員がおっしゃられるように、もう少し広い、慰謝料等も含ませるべきではないかという御意見があることは私どもも承知しておりますけれども、民事上の損害賠償請求権として認められる損害の範囲は、今おっしゃられるような主観的要素も含めたものでありまして、個別具体性が非常に強いということで、今回のスキームは迅速に被害者に分配していくというスキームなものですから、失われた財産の価額を基準として定められた犯罪被害額という形を基準としているところでございます。
○木庭健太郎君 もう一つ、この法律の大きな特徴というか大事な点というのは、被害回復事務管理人という一つの制度を設けようとしたことだと思っておるんです。これ、こういう制度を設けることとした趣旨について、大臣なり副大臣から伺っておきたいと思います。
○国務大臣(杉浦正健君) 制度を設けることができることになったわけで、設けない場合もあるわけですが、この制度は支給手続全体を見ますと破産手続に似ている面もございます。もちろん破産手続は違いますが、似ている面もございます。
 例えば、給付金の支給を受けるべき者に支給を受けるべき額を申請させた上で当該申請の適否を調査する、まあ破産債権の届出に似ております。その結果、確定した犯罪被害額を前提に一定の限られた財産のみを原資として給付金を支給する点において、これは破産財団から配当するといいますか、ということをやるわけでございます。
 大きい事件のような場合に、例えば五菱会の、弁護士さんをお願いをして、法律の専門家お願いしてやることになると思いますが、そういった手続を適正かつ迅速に行うためには、法律の専門家であって法令、法律事務に精通して破産管財人等の経験のある弁護士に関与していただく方がより適切である場合もあり得ると思います。また、検察官は支給手続の前提となっています刑事手続にもかかわっておりますことから、支給手続は公平適正に行われているという信頼をより一層確保するためには、刑事事件とはかかわりのない第三者であり、かつ、一般的に高度の職業倫理を有しており、弁護士さんなんかそうですが、適切な職務の遂行を期待することができる弁護士を手続に関与させた方がより適切である場合もあるかと考えられます。
 そこで、本法案においては、弁護士の中から選任した被害回復事務管理人に裁定のための審査に関する事務その他一定の事務を行わせることができることとしたものでございます。
○木庭健太郎君 そこで、今お話があったように、この被害回復事務管理人、検察官との関係になるわけですが、検察官はこの管理人を監督することになるんだろうと思うんですが、監督するんであれば、具体的にその手段はどのように規定されておるのか、まず伺っておきたいと思います。
○政府参考人(大林宏君) 被害回復事務管理人は、検察官の選任に基づき、本来は検察官が行うものとされている被害回復給付金の支給申請に対する裁定のための審査に関する事務その他の被害回復事務を行うこととされておりますけれども、これらの事務は、国に帰属する財産の処分に影響を及ぼし得る重要なものである上、その事務に問題がある場合には、被害者の救済に支障を生ずるとともに、国にこれを賠償する責任が発生することにもなりかねない問題がございます。
 そこで、被害回復事務管理人によってなされる被害回復事務が公平かつ適正に遂行されることを担保するため、二十三条に検察官による被害回復事務管理人の監督に関する規定を置いております。
 二項において、検察官は、被害回復事務の適正かつ確実な事務を確保するための必要があると認めるときは、被害回復事務管理人に対し、その事務に関し報告をさせることができること、それから第三項において、検察官は、被害回復事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、又は適正を欠いていると認めるときは、被害回復事務管理人に対し、その事務の処理について違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを指示することができること、第四項において、検察官は、被害回復事務管理人が当該指示に係る措置を講じないとき、その他重要な事由があるときは、被害回復事務管理人を解任することができることをそれぞれ規定しているところでございます。
○木庭健太郎君 そういう、これは被害回復事務管理人、まあ弁護士さんだと。で、一方に検察官がいらっしゃると。検察官が弁護士に指示するなど、言わば監督するのは行き過ぎじゃないかという話が幾つかからちょっとお聞きしているんですけれども、この辺について、印象から見ると何か、犬猿の仲とは言いませんが、検察官と弁護士がいて、一方の側が管理人の問題では指示、監督みたいなことになったらこれどうなるのかなという心配もちょっとあるんですが、その辺について伺っておきたいと思います。
○政府参考人(大林宏君) もとより弁護士は高度な職業倫理を有しており、被害回復事務管理人の選任に当たってもそれにふさわしい方にお願いすることになりますので、検察官が過度に監督を行うこと自体余り想定されないことではないかというふうに考えております。
 しかしながら、先ほども申し上げましたとおり、被害回復事務管理人が行う事務は国に帰属する財産の処分に影響を及ぼし得る重要なものである上、その事務に問題がある場合には、被害者の救済に支障が生ずるとともに、国にこれを賠償する責任が発生することにもなりかねないものでございます。
 したがって、そのような被害回復管理人の事務が公平かつ適正に遂行されることを担保するために、必要な限りにおいて検察官がその事務を監督すべきことは不可欠であり、被害回復事務管理人の解任の前段階の監督処分として、その事務処理についての違反の是正又は改善のための必要な措置を講ずべきことを指示することができるとすることは、それなりの合理性を有しているというふうに考えております。
 基本的には、弁護士さんを信頼してお願いするということになろうかと思います。
○木庭健太郎君 もう私の時間は終わりですので。
 確かに今回の制度というのは、冒頭申し上げたように、被害回復というか、これまでどうしても犯罪利益というのがそのまま残っていく形をある意味じゃ没収できるような画期的な法律だと私は思っておりますし、ただ、御指摘も幾つかあって、その没収との関係をどうするかというような問題の指摘があってみたり、国庫に入る問題がどうだという指摘もあったりしております。その意味では、犯罪被害者のための施策がある意味では大きく前進した一歩であって、さらにこれは被害者、犯罪被害者の救済という問題について言わば一つの大きな足掛かりの一歩であり、さらに私どもとしてみれば、この救済についていろんな取組もしていただきたいと、このように思っております。
 言わば今後の犯罪被害者のための施策の更なる実現へ向けての大臣の決意を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(杉浦正健君) 犯罪被害者の問題は前々から問題になっておったんですが、遅々として国の対応は遅れておったんですが、私の弁護士会の同僚弁護士で岡村勲先生という方が山一事件の関係で奥様を殺されるという事件が起きまして、岡村弁護士がもう生涯を懸けて動き始めまして、被害者の方々と団体を、全国組織をつくって運動を始められる。専門家ですから、私ども当時、司法制度改革を党の方でやっておりましたが、何度も党の会議にお見えいただいて、公明党にも行かれたと思いますけれども、民主党も行かれたと思いますが、岡村先生の熱意で加速されたと思っております。基本計画、基本法ができましたが、そういう意味では岡村先生の御努力でここまで来たという感じがするわけでございます。
 基本計画もでき上がりました。まだいろいろとやるべきことはございます。先ほどお話に出ました附帯私訴、損害賠償命令とかいうこともございますし、それから当事者参加。岡村先生が一番言っておられるのは、当事者として刑事訴訟手続に参加させてくれと、証人とか本人がうそばかりついている、被害者として言いたいことがあるということ、この二つが中心ですが、経済的支援の問題もございます。被害者の心のケアとか様々ございますが、基本計画にございますことでなすべきことは様々あるわけでございます。
 今度発足する日本司法支援センターにおきましても犯罪被害者支援ということが大きな柱になっておりまして、これは法律扶助だとかいろいろな面で何ができるか、これから検討していただきますが、そういった様々なあれを通しまして、今後とも全力を挙げて頑張ってまいりたい。特に二年以内にやるということで約束した件については、二年にこだわらずにできるだけ早く結論を出して国会にお諮りするというふうにしてまいりたいと思っております。
○木庭健太郎君 終わります。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 やみ金ばっこの原因、あるいは社会的背景の一つに多重債務問題があるということは、先ほども尾立委員から指摘もされたわけでございます。
 我が国の多重債務問題について、私自身もこの委員会で今国会二度にわたって質疑をさせていただいたわけですけれども、自己破産件数だけで見ても八九年から毎年激増を続けておりまして、〇二年以降三年連続で二十万件を超えるという事態となっております。この予備軍、多重債務者は二百万人にも及ぶと言われておりまして、二〇〇四年の自殺者は約三万二千人、そのうち約八千人は経済苦、生活苦が理由だと言われております。
 私自身もこのような多重債務あるいは金融被害の問題について取り組んでまいりましたけれども、その原因というのは、異常な高金利、そして過剰融資、そして違法な取立て、この三つが極めて大事な、あるいは重大な問題だと思うわけです。
 その異常な高金利の法的な問題としてかねてから指摘をされてきたグレーゾーンの問題について、先ほどもお話がありましたけれども、十八日に金融庁の貸金業制度に関する懇談会が開かれまして、事務局からの両論併記の取りまとめに対して、委員からグレーゾーンは廃止すべきだという意見が続出した、あるいはその意見が圧倒していたというふうに伺っております。これは本当に当然のことだと思うわけです。
 後藤田政務官においでいただきました。
 私がお尋ねをしたい一点は、この十八日の議論で、オブザーバーである業者、具体的に資料も出されておられるようなのでお名前も申し上げますけれども、アコム株式会社、ここからの出席者がこの中間整理の事務局案に対してももういちゃもんと言っていいんじゃないかというようなことを言っているわけです。
 といいますのは、その案には、この懇談会において貸金業制度等の在り方を議論するに際しては、多重債務者の発生や増大をいかに防止するかという観点が重要であるとの認識を共有したという取りまとめになっておられるわけですね。これは私はもう国民的常識全くそのものだと思うわけです。ところが、このアコムの出席者は、この冒頭の基本認識に対して、多重債務者問題だけが積極的に取り上げられている、こういうふうに文章としても表現をしておられて、実際の懇談会の場ではかなり強いことをおっしゃったと。これに対して、委員各位から、そんな業界の議論がどうなのかと議論が出たかと思います。
 政務官は、この分野で責任を持たれてこの懇談会にも出席をされて、報道ベースでいいましても、消費者保護の規制強化が大事なんだと、委員の意見を忠実に取りまとめることが大事なんだと、そしてグレーゾーンを撤廃をして現行の利息制限法で合わせることで一致したと言っても過言でないというような取りまとめの方向の御発言をされたと伺っています。議事録はまだできていないということで私もそれは確認はしておらないのですが、報道ベースでも、あるいは参加をされた方のお話を伺っても、その後藤田政務官の発言に大変心強い思いをしたという方が大変多いわけですね。
 そこで、改めて、どんな思いであるいは所感でこのような発言をなされたか、取りまとめそのものは明日中間報告をということですから私も楽しみにお待ちしたいと思うんですけれども、政務官御自身の思いやあるいは決意をお伺いしたいと思います。
○大臣政務官(後藤田正純君) 仁比委員の御指摘また御質問、本当に大変見識の高いお話をいただきました。また同時に、弁護士さんとして一番末端の現場のお声を聞かれているという中での御指摘であるので、本当に説得力のあるお話でございました。
 まず事実関係から申し上げますと、私のいわゆる発言というのは事実でございます。改めてまた申し上げますと、先ほども尾立委員の御質問でも答えましたとおり、あしたの取りまとめに関しての私の個人的な意見というのは述べるべきではございませんし、座長案としての取りまとめを待つのみでございますし、それを楽しみにしていただきたいと思いますが、私は最後、会が終わる終了間際に座長から毎回、政務官意見といいますか感想を求められるわけであります。その中で私が、中立公正に、また忠実に懇談会の趣旨を公に示す、マスコミも含めてこれ公開でございますから、来ていただいている方やマスコミさんは全部その議論の中身を知っております。ですから、何の訂正なり修正を加えずに私が感じたことを述べたわけでございまして、その中では、グレーゾーン撤廃という意見がもうほぼ大勢といいますか、ほとんどもうそれに一致していると。金利を上げるという意見もございません。
 ですから、こういうことなのかなという感想を述べさせていただいたということでございますし、同時に、先ほど委員からお話ありましたオブザーバーの意見はあくまでオブザーバーの意見でございます。これは、与謝野大臣もその点は非常に厳しく、そして懇談会の意見を忠実に反映するようにという厳しい指示、御承知のとおり、大臣の発言を見ていましても、消費者保護の観点、最高裁の判断を重きを置くと、そういう流れでございますので、そのことは御理解をいただきたいし、しかし、懇談会というのは中立の会として我々は意見を求めているということでございますので、その我々の立場としては、その会の中立な運営と中立な報告を座長にお願いするという立場でございますので、その点について私が感想を述べたにすぎないということでございます。
 以上です。
○仁比聡平君 ありがとうございました。是非頑張っていただきたいと思うわけでございます。
 取りまとめがなされれば、これはもちろん立法府、各党やあるいは行政府の中での議論、検討が進められなければいけないということになると思いますし、実際、報道では、金融庁とそして我らが法務省のその協議が必要になってくるということだと思うんです。
 そこで、大臣にお尋ねをしたいと思うんですけれども、例えば小泉首相も十八日の夜に、これは記者団にということですが、今までの取立てのやり方を見ると悪質極まりないと、これは党派を超えて考えていかなきゃいけない問題だと思いますというふうに述べられたそうで、党派を超えて私も本当に考えていかなきゃいけないと思うんですね。
 与謝野大臣は、一月のこの問題の大きな契機になりました最高裁判決、つまり期限の利益喪失条項があって、この超過利息の支払を強制されるという状況の中でみなし弁済というのはこれは適用ないんだと、こういう判決ですね、これを取り上げて、最高裁が判例で一定の考え方を示した以上、行政府、立法府とも真剣に考える義務があるというふうに記者会見で述べていらっしゃいます。ここで言われています一定の考え方というのは、つまりグレーゾーンは廃止すべきだというこれ強いメッセージだと言っていいのではないかと私は思っているわけです。
 地方議会の決議や意見書も、今年に入りましてから全国で大変急速に広がっておりまして、その金融庁の懇談会の資料にも出されていますけれども、高金利の引下げあるいはみなし弁済規定の廃止あるいは日賦、電話担保金融の特例、この金利廃止というようなことを掲げた意見書が、ざっと数えまして数か月の間に、三か月ほどでしょうか、百八十五議会に上っているかと思うんですね。
 こういったメッセージやあるいは国民的な要求、これを法務大臣としてあるいは政治家としてどのように受け止めておられるか、大臣に是非お伺いをしたいと思います。
○副大臣(河野太郎君) 御指摘いただきましたように、最高裁が一連の判決を出されております。また、地方議会の意見書もたくさん受け取っておりますし、総理あるいは与謝野大臣の発言といったことも承っております。
 その一方で、上限金利というのは経済・金融情勢の中でどのように決めていかなければいけないかという側面もございますので、法務省は先ほどから話題になっております懇談会に出席をさせていただいております。明日中間整理がなされ、いずれ最終的な取りまとめが懇談会で行われ、それを基に金融庁が一定の結論を出すというふうに承知をしております。
 上限金利の在り方につきましては、法務省は、経済あるいは金融の情勢に一番詳しい金融庁が懇談会の結論を踏まえて出された結論に全面的に賛同してまいりたいというふうに考えております。
○仁比聡平君 この質問に対して、これまでも委員会で河野副大臣に御答弁を度々いただいてまいりました。今日、是非杉浦大臣のお考えを、御所見を聞かせていただきたいと思うんです。
 やはり最高裁が様々な事案について、この高金利とそれによる被害、あるいはこれを可能ならしめている現在の制度、これを徹底してその適用範囲を狭めていくという積み重ねを行ってきた。この背景には、たくさんの地方裁判所あるいは高等裁判所、下級審の判決が積み重なってきているわけでございます。
 裁判になる事案というのはごく限られているというのは、これはもう大臣よく御存じのとおりで、二千万人という方々が消費者金融、サラ金からお金借りていると言われて、二百万人が多重債務に陥っていると言われて、その中で破産者、あるいは自ら命を絶つ方が出ている。その中でやみ金がばっこし、今回の法案のようなこういうテーマが重大な政治課題になっているわけですね。
 是非、グレーゾーンを廃止して、現行の利息制限法に一致させるという立場で私は法務省もあるいは大臣としても協議に臨んでいただきたいと思うんですが、大臣御自身の御所見をお伺いします。
○国務大臣(杉浦正健君) 私の考えは河野副大臣と全く同じでございます。河野大臣がこの問題について非常に熱意を持って取り組むというお考えでございますので、河野副大臣にお取り組み賜っております。
○仁比聡平君 私も、河野副大臣が力を尽くしておられるということは、この間のこの委員会の質疑の中で実感をしております。あるいは金融庁、後藤田政務官も尽力をされているということは、先ほどお伺いをして改めて感じたわけでございますけれども、この問題についてやはり政治のイニシアチブ、ここは大変大事なのだろうと思うわけです。そういった意味で、大臣御自身の政治家としてのお気持ち、先ほどの御答弁でありますと、河野副大臣のおっしゃるとおりというふうにちょっと聞こえてしまうものですから、国民にとって大臣御自身の言葉として分かりやすいそういうメッセージをいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(杉浦正健君) 先ほど河野副大臣が申し上げましたとおりの状況があります。最高裁の判決、様々な地方議会の御要請等がございます。一方、上限金利の在り方につきましては、最高裁の御指摘、御意見もございますが、経済・金融状況とか貸金業者の業務の実態等も勘案して検討する必要があるものと考えております。
 河野副大臣が申したとおり、これは何といいますか、懇談会の議論、検討結果を承りまして、今後とも、これはやっぱり金融庁が主として対応されるべき問題でございますから、金融庁を始め関係省庁とも協力しながら法務省としても必要な検討は行ってまいりたいと思っております。
○仁比聡平君 少し分かりにくくて、ちょっと度々になって恐縮なんですが、先ほど河野副大臣は、金融庁の懇談会の取りまとめも踏まえて金融庁の方で判断をされたこと、判断をされる、これからということになるんでしょうが、これに全面的に賛同するというふうにおっしゃいました。与謝野金融担当大臣も先ほど御紹介のような認識を示しておられ、そして今日、後藤田政務官も先ほどのような御発言をされているわけですけれども、そういう意味では、金融庁が利息制限法に一致をさせるんだと、グレーゾーンを廃止するんだという方向での考え方ということであれば、これに賛同されるということでよろしいんでしょうか、大臣。
○副大臣(河野太郎君) 先ほどから何度も申し上げておりますように、金利というのは経済、金融の中で生きているものでございますし、金利というのは言わばお金の値段でございます。金利をどうするかを決めるのは現場に一番近いところが決めなければならないわけでございますので、何度も重ねて申し上げるようでございますが、金融庁が決めたことに、我々もこの懇談会に参加をしております、我々も法務省から参加者を出しております、懇談会の議論をフォローしているつもりでございますので、金融庁が決めたことに法務省は全面的に賛同する、そう度々申し上げております。
○仁比聡平君 時間もそうさほどはありませんので、今日の時点ではまだ、懇談会の取りまとめもあしたということですから、また次の機会に、さらに、協議も拝見をしながら、是非、このグレーゾーンを廃止して現行利息制限法に一致をさせる、そしてこれを始めとして様々なルール破りのやり方を許さないという政府の取組を求めてまいりたいと思うわけでございます。
 政務官、御退席いただいて結構でございます。
○委員長(弘友和夫君) 御退席、どうぞ。
○仁比聡平君 時間が少し限られてしまいましたので、あと一問お尋ねをしておきたいと思うんですけれども、今回の法改正の前提といいますか、元法であります組織犯罪処罰法、これについて、制定時に濫用の危険があるのではないかという指摘がございました。構成要件があいまいなのではないか、あるいは適用範囲が拡大されはしないかということが懸念をされていた、懸念の声が上がっていたわけでございます。その下で、実際に運用されて、どんな事案がこの法の対象として起訴をされているか。
 また、例えば労働組合が未払賃金の支払だとかあるいは賃上げなどの金銭的な要求で団体交渉を行う中で、経営者の側が例えば監禁をされたとかあるいは恐喝をされたとかというような申し出をしてくるようなケースというのは考えられないわけではございません。あるいは、住民団体が例えばマンション建設反対という中でディベロッパーや業者に対して強い要求をして、その中で解決金などが払われる、後になってそういう業者の側から犯罪に当たるのではないかというような申し出が出てくるというのもあり得ないわけじゃないわけですね。こういったことにこの法律というのは適用されるのか、とするなら濫用ではないかという話にもなるんじゃないかと思うんですけれども、刑事局長にお尋ねします。
○政府参考人(大林宏君) まず、組織的犯罪処罰法におきまして処罰された事例を御紹介いたしますと、例えば詐欺罪の例では、いわゆる紳士録への掲載料名下に金員を詐取するために集団を形成していた団体の構成員らが、その代表らの指揮命令に基づいて、任務分担に従い、一般人に対して電話を掛け、架空の団体を仮装し、新しい紳士録を出版するに当たり個人資料の管理料を徴収する旨のうその事実を申し向けて誤信させて、その現金を銀行口座に振り込ませてだまし取ったと、こういう事案があります。
 また、組織的な恐喝罪の適用としては、暴力団の組員らが、その組長の指揮命令に基づいて、役割分担に従い、マージャン店経営者から多数回にわたりみかじめ料名下に現金を脅し取ったと、こういうような事例がございます。
 今御指摘の労働組合の問題でございますが、組織的犯罪処罰法第三条第一項により加重して処罰されるためには、その犯罪が団体の活動として当該犯罪行為を実行するための組織により行われたと、こういう要件をすべて満たすことが必要でございます。また、団体の活動とは、団体の意思決定に基づく行為であって、その効果又はこれによる利益が当該団体に帰属するものをいい、また犯罪行為を実行するための組織とは、犯罪実行部隊のように、犯罪行為を実行することが構成員の結合関係の基礎になっている組織をいうと解されております。
 労働組合が通常の団体交渉を行う中で、仮に犯罪の構成要件に該当する行為が行われましても正当行為に当たるという場合が少なくないと思われますし、また犯罪が仮に成立するといたしましても、団体の一部の者のみによる意思決定に基づいて行われると、あるいは一部の者のみの利益に帰属すると、あるいは構成員の結合関係の基礎になっていると言えないというような場合もございまして、このような要件を満たさないことが多いというふうに考えておりますし、これまでの適用事例においてもそのような事例が処罰されたということはないと承知しております。
 また、住民運動の例を挙げられましたけれども、これも同様でございまして、そもそも団体要件が当たるのかどうかという問題がまずそういう場合には考えられなきゃならないように思いますし、先ほどの加重処罰の要件を満たす、通常の一般の住民団体の行動がそのような要件を満たすというふうには考えられませんし、これも適用事例があったということは聞いておりません。
○委員長(弘友和夫君) 時間が過ぎておりますので、質疑をおまとめいただきたいと思います。
○仁比聡平君 今の答弁、後ほどよく吟味をさせていただいて、あるいは犯罪収益の問題など制度設計も含めて、次回またお尋ねしたいと思います。
○亀井郁夫君 国民新党の亀井でございますが、今朝からずっと真剣な質問が続けられてきたわけでありますけれども、私もこの法律を最初は何だと思っていたんですが、よく勉強するにつれて、なかなか大変な法律だということが分かってきたわけでございます。
 これまでは、犯罪の場合、えてして犯罪者の人権が尊重されるという方向で、マスコミなんかもそうですけれども、そういう形で動いてきて、特に被害者の立場についてはなかなかなされないということだったんですけれども、泣き寝入りするというケースが多かったわけでありますけれども、この二、三年で随分変わってきたと。特に犯罪者等基本法が制定されることになりまして、犯罪被害者を守っていこうと、救済していこうという機運が出てきていることで非常にいいことだと思うわけでありますが。
 そういう意味では、これまでは犯罪者の更生改善が中心で、更生改善モデルというような格好で議論されてきたわけでございますけれども、今度は被害者の救済を優先するということで賠償モデルという方法に転換する声が強くなってきているということでございますし、そういう意味では一部には犯罪賠償刑務所を造ったらいいというような声さえあるわけでございますけれども、こうした状況の中で、犯罪被害者のこういった経済的救済について大臣の考え方をお伺いしたいと思います。国民の皆さん方に分かりやすく説明願いたいと思います。
○国務大臣(杉浦正健君) 犯罪の被害に遭われた方やその御家族というのは、被害で大変苦しまれると同時に、その後も様々な面で苦しんできておられるということは前々から言われておったわけですが、国の立場でそういう方々に支援の手を差し伸べる、被害者の立場に立った刑事訴訟手続を考えるということは非常に少なかったわけでございます。
 このたび基本法ができまして、先ほどちょっと御説明申し上げましたですが、被害者団体の方々の活発な活動を受け、基本法ができ、そういった方々のお気持ちを受け止めて保護、支援を図っていくことと相なりました。これは画期的なことだと思います。
 昨年末には犯罪被害者等基本計画も閣議決定され、今回のお諮りしている法案も財産犯等の犯罪収益を剥奪すると、それを被害回復の一部に充てるというものでございます。その基本計画に充てられているところでございます。また、経済的支援につきましても、内閣府に設けられた経済的支援に関する検討会において検討が進められているところでございます。
 犯罪被害者の方々が犯罪により受けた被害を回復して経済的負担を軽減することができるよう支援を行うことは、極めて重要なことであると考えております。その検討会における検討結果を受けまして、法務省としても検討しなきゃならないと思っております。
 法務省としては、基本計画に従いまして、様々な面で宿題をいただいておりますので、引き続き必要な検討を行ってまいりたいと思っております。
○亀井郁夫君 ありがとうございます。
 次にお尋ねしたいのは、これまでは民事と刑事が分けられておって、財産上の被害は被害者自ら加害者に対して損害賠償請求してそして補てんしていくというのが原則でございましたが、そのために犯罪被害財産の没収だとか追徴は禁止されておったわけでありますが、被害者の犯人に対する損害賠償請求権等の実現を請求するためにこうしてやったんだということであり、また、そしてそういう損害賠償請求等を十分に行使することができないような事案が生じてくるケースがあるんだということが説明されておりますけれども、どのようなケースを想定されているのか、お尋ねしたいと思います。
○国務大臣(杉浦正健君) 例えば暴力団の犯罪、組織的な犯罪が挙げられると思いますが、例えばその暴力団に行われた恐喝事件、組織的に行われたといたしますと、被害者はその暴力団からの嫌がらせですとか報復を恐れて、自分から損害賠償請求権を行使することをためらう可能性があると認められるケースもございます。
 それから、組織的に行われた例えば振り込め詐欺事件なんかにございますが、犯罪被害財産につきまして、その帰属や管理が変更されましたり隠匿されたりすることによって、だれを相手に請求権を行使すれば実際に賠償金を得ることができるのかの判断に困難を伴うような事案も生じてまいったとか、それから犯罪被害財産が第三者に収受されたことによりまして、今度のスイスの銀行、スイスが銀行から没収しちゃったというのも一つの例でございますが、司法上の請求権を行使してその返還を求めることについて困難が生じているような事案などを想定しております。
○亀井郁夫君 次にお尋ねしたいのは、昨年十二月に閣議決定された犯罪被害者等基本計画では、損害賠償や経済支援等の取組として、損害賠償請求に関し刑事手続の成果を利用する制度を新たに導入する方向での検討及び施策の実施が書いてあり、今後講じていく施策としては、具体的には附帯私訴や損害賠償命令、それから没収、追徴を利用した損害回復等が挙げられておりますけれども、そのうち、この没収、追徴を利用した損害賠償等が今回の二法案にという形で実現したんだろうと思いますけれども、その際、問題である附帯私訴や損害賠償命令、これは民事と刑事の関係からこれはやられてないわけですけれども、この二つの問題についてはどのような検討が行われたのか、今後はまたこの問題について法務大臣としてはどうお考えになるのか、これについてお尋ねしたいと思います。
○政府参考人(大林宏君) 今、附帯私訴や損害賠償命令について触れられましたけれども、法務省におきましては、現在この法案により導入することとしている制度とは別に、損害賠償の請求に関して刑事手続の成果を利用することにより、犯罪被害者等の方々の労力を軽減し、簡易迅速な手続とすることのできる制度として我が国にふさわしいものを新たに導入する方向で、被害者の方々の御意見、あるいは、先ほど申し上げましたけれども、最高裁あるいは日弁連等の御意見も伺いながら鋭意検討を進めているところでございまして、この問題も制度として前向きに変えられることができるならばそうしたいというふうに考えているところでございます。
○亀井郁夫君 前向きに検討するというお話でございますけれども、特にこの附帯私訴の問題ですけれども、これまでは民事事件という格好でやられておったわけでございますけれども、附帯私訴の場合には刑事事件の方での問題、証拠ですね、そのまま使うこともできて、そういうことから被害者は別個に民事裁判を提起する必要もなくて非常に便利がいいということだったわけですね、戦前は。そしてまた、刑事裁判の証拠認定を損害賠償請求にも転用できるというふうなことで、被害者にとっても便利だし裁判のスピードも速かったということで非常に良かったと思うんですけれども、これが認められなくなったわけでございますけれども、戦後、新刑事訴訟法ができてからそうなったわけだけれども、なぜそうなったのか、その辺についてお尋ねしたいと思います。
 今のお話だと前向きに検討したいということでございますけれども、この制度についても復活させる方向で検討しようとされておられるのか、また復活できないかどうか、できるかどうかということと、附帯私訴が行われているのはよその国にもたくさんあるわけでございますけれども、それについて教えてほしいと思います。
○副大臣(河野太郎君) 旧の刑事訴訟法では、裁判官が事実を探求するんだという職権主義という考え方で行われておりました。そういう中でこの附帯私訴という方法があったわけでございますが、現行の刑事訴訟法を作るときにこの制度が廃止されました。その理由は、一つは余り利用数がなかったということだそうでございます。それからもう一つは、刑事裁判と民事が並行して行われるようなことになるものですから、刑事裁判を迅速に終わらすということにやや障害になるということでございます。それから、民事の裁判官と刑事の裁判官が分かれて専門化してきておりますので、民事訴訟は民事手続でやはりやるべきではないか、そういう考え方からこの附帯私訴という制度はなくなったわけでございます。
 ただ一方で、委員おっしゃるように、損害賠償の請求に関して被害者の方々の労力を軽減をして迅速にその被害の回復を図るというのは必要でございます。損害賠償の請求に関して刑事手続の成果を利用することによってその被害者の方々の労力を軽減できるような方法を新たに導入をしていきたいと考えておりまして、その検討を続けているところでございます。
○亀井郁夫君 ありがとうございます。是非前向きに検討してほしいと思うわけであります。
 最後に、被害回復給付金の問題についてお尋ねしたいと思います。
 これについてもいろいろと議論がされたわけでございますけれども、非常に大事な問題だと思いますので、真剣に取り組んでほしいと思いますし、そういう意味では起訴されていない行為についても及ぶということですから、そういう意味では掘り起こしについてもいろいろ考えてしっかりやっていただきたいと思います。
 そして、これも尾立先生の質問にもございましたけれども、私はやはり残った金を全部国庫に入れるんではなしに、やはりアメリカのように基金をつくって、基金にためておいて被害者の救済に充てるというふうな格好で是非とも考えてほしいし、これからの新しい課題として考えていただくように心からお願いしたいと思いますけれども、この問題について、基金の問題についてどう考えられているか、大臣にお尋ねしたいと思います。
○副大臣(河野太郎君) 御指摘のような基金を設けて実際に国の資金を充てるためには、その体制や運営、実施される業務の内容などを具体的に特定し、その必要性を明確にした上で検討しなければならないと思っております。
 本制度は、没収、追徴の理由とされた財産犯等の犯罪行為と一連の犯行として行われた財産犯等の犯罪行為の被害者についても広く給付金の支給対象とするものであり、基本的には、給付金の支給後に残余財産を生じる可能性は低いと考えております。そのような財産によって実現すべき業務や支援の内容を具体化し、実効的な施策として構築することは相当困難だと思っております。
 残余財産を別途被害者救済の目的のために支出することについては、被害者保護、支援のための施策全体の中で検討していかなければならない問題であるところ、これらについては犯罪被害者等基本計画に基づき設置された経済的支援に関する検討会において議論されるべきだと考えております。
○亀井郁夫君 ありがとうございました。もうちょっと時間がありますけれども、もうお昼、大分過ぎておりますから、この辺でやめさせてもらいます。
 どうもありがとうございました。
○委員長(弘友和夫君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ─────────────
○委員長(弘友和夫君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部を改正する法律案及び犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に関する法律案の審査のため、来る二十五日午前十時に参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(弘友和夫君) 御異議ないと認めます。
 なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(弘友和夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十七分散会