第164回国会 法務委員会 第15号
平成十八年五月九日(火曜日)
   午前十時開会
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  出席者は左のとおり。
    委員長         弘友 和夫君
    理 事
                荒井 正吾君
                谷川 秀善君
                簗瀬  進君
                木庭健太郎君
    委 員
                青木 幹雄君
                山東 昭子君
                関谷 勝嗣君
                南野知惠子君
                江田 五月君
                千葉 景子君
                前川 清成君
                松岡  徹君
                浜四津敏子君
                仁比 聡平君
                亀井 郁夫君
   国務大臣
       法務大臣     杉浦 正健君
   副大臣
       法務副大臣    河野 太郎君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  三ッ林隆志君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田中 英明君
   政府参考人
       法務省入国管理
       局長       三浦 正晴君
       公安調査庁長官  大泉 隆史君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(弘友和夫君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件につきましてお諮りいたします。
 出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に法務省入国管理局長三浦正晴君及び公安調査庁長官大泉隆史君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(弘友和夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(弘友和夫君) 出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○谷川秀善君 皆さん、おはようございます。自由民主党の谷川秀善でございます。
 今般、提出をされました出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案につきまして、質問をさせていただきたいと思います。
 国際テロをめぐる情勢は、皆さん方も御存じのように、いまだに大変厳しいものがございます。国民の安全、安心を守るためにも、またテロを未然に防止するためにも全力を挙げて取り組まなければならないというふうに考えております。
 政府におきましても、平成十六年十二月にテロの未然防止に関する行動計画を決定をされまして、それに伴う法案を今回国会に提出をされたわけでございます。
 しかしながら、このテロを防止するということも非常に重要でございますが、反面、入国管理行政の面から見ますと、問題のない特定の外国人の利便性を高めるためには出入国手続をできる限り簡素化、迅速化する必要がまたこれ重要でございます。また、強制退去手続も円滑化する必要があります。さらに、構造改革特区において講じられております外国人研究者の受入れ促進事業及び外国人情報処理技術者受入れ促進事業等を全国において実施するための措置を平成十七年度中に採用するということを決定しているわけであります。
 今回の改正には、これらの事柄を的確に実施するための法整備を図る必要があるということで改正をされたというふうに私は考えております。
 このテロの未然防止に関する行動計画の規定の整備につきまして、その趣旨と背景についてお伺いをいたしたいと思いますが、まず、二〇〇一年、平成十三年九月十一日、米国同時多発テロ事件以後、政府としてはテロに対しましてどのように取り組んできたのか、まずお伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(杉浦正健君) 谷川先生におかれましては、外務副大臣として外交の第一線として対応をしてきていただいておりますのでよく御案内のとおりと思いますが、政府としては、平成十六年の八月二十四日の閣議決定によりまして、国際組織犯罪等対策推進本部を国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部に改組いたしまして、国際テロの未然防止対策の検討をその正式な課題といたしました。この推進本部は、所要の検討を行った結果、同年、平成十六年十二月十日、テロの未然防止に関する行動計画を本部決定したところでございます。
 この行動計画では、今後速やかに講ずべきテロの未然防止対策といたしまして、政府が新たに対応を必要とする十六の項目が明らかとされており、その改善のための方向性と期限が示されております。今回の入管法の改正は、そのうち最初の三項目を実現するものであり、テロリストを入国させないための対策の強化と位置付けられております。行動計画にはそのほか、テロリストを自由に活動させないための対策の強化、テロ資金を封じるための対策の強化などが含まれております。
 政府は一体となって行動計画を着実に実行し、テロの脅威から国民の生命を守り、国民の負託にこたえていくことといたしております。
○谷川秀善君 今大臣おっしゃったように、いろんな対策を講じていただいておるわけでございまして、また、幸い日本においては今のところテロが発生をしていないということは非常にそれぞれの当局の皆さん方の大変な努力が実っているのだというふうに私は思っておりますが。
 平成十六年十二月のテロの未然防止に関する行動計画を決定をされ、それ以後現在まで海外ではいろいろとテロの報道に我々も接して心を痛めているところでございますけれども、海外での国際テロの発生状況はどういう状況になっているのか、お伺いをいたしたいと思います。
○政府参考人(大泉隆史君) お答え申し上げます。
 平成十六年十二月以降について見ますと、イラク、サウジアラビアなどの中東諸国、インドネシア等のアジア諸国及び英国等で国際テロ事件が続発している状況にございます。
 最近の国際テロの特徴として、英国及びヨルダンにおいてイスラム過激派によると見られる無差別大量殺りく型同時爆弾テロが初めて発生するなど、国際テロの脅威が拡散する傾向にあり、またアルカイダやジェマー・イスラミアなどの国際テロ組織などが依然世界各地でテロ実行能力を保持していると考えられ、国際テロに関する情勢は憂慮すべきものがあると認識しております。
○谷川秀善君 ただいま御説明のように、諸外国では国際テロが非常に頻繁に発生をし、しかも非常に凶暴化しているといいますか、非常に大変な被害が出ているということであります。
 そこで、諸外国でそういうテロがいろいろと行われるその状況から見まして、この日本の国の中でテロが発生する確率といいますかね、実際テロに遭う危険性というものもある程度ないとは言えないからいろんな施策を講じていただいているわけでございますが、そういう状況から見まして、まあ日本は島国ですから非常にちょっと入りにくいということもあるんだろうと思いますけれども、そのテロが発生する確率はなかなか予測しにくいと思いますけれども、どれぐらいの確率があると当局としてはお考えになっておられるのでしょうか。
○政府参考人(大泉隆史君) 今の点でございますが、我が国において現実にテロに遭う確率を具体的にお答えするということは誠に難しいところでございますが、それの判断にかかわるところといたしまして最近の情勢などを申し上げますと、我が国に関する国際テロの動向等を見ますと、まず第一に我が国がアルカイダやその関連組織などから米国の主要な同盟国として再三テロの対象に名指しされておりますところ、これまでに同様に名指しされておりましたスペイン、英国などにおいて現実にテロ攻撃が発生していること、第二に国際テロ組織関係者が繰り返し我が国に入国した事実が把握されておりますこと、第三に我が国にはテロの標的となり得る公共交通機関や施設等が多数存在していることなどの事情がございます。
 これらの事情を踏まえますと、国際テロの脅威が我が国及び日本国民にとって現実の脅威となっているものと認識し、これに対処すべき必要がある状況にあるものと考えております。
○谷川秀善君 まあいろいろ名指しをされているわけです、日本も。幸い、しかしまあ幸いテロが実行されていないということでございますが、いろんな情勢から見ますと、いろいろとそういう可能性のある人物も入ってきているということも報道されておるところでありますから、その辺のところ、幸い現在まで実行されていないということでありますが、是非この点についてはしっかりとその予防といいますか、テロを未然防止をするということで、それぞれ治安当局におかれましては対応を十分遺憾ないようにしていただきたいということをお願いをいたしておきたいと思います。
 それで、テロの未然防止のためには今回入管法を改正するということも私は必要ではなかろうかというふうに思っておりますけれども、個人の識別情報、いわゆる指紋及び顔写真等でございますが、の提供によりまして、政府の施策であります、片や別の施策でいわゆる観光立国をするということで、外国人をどんどん日本へ来ていただいてしっかり日本のいいところも見ていただきたいということで、片やそういうPRを兼ね政策を実施をいたしておるわけでありますが、この改正によりまして観光立国ということに対して私はある程度影響があるのではないかというふうに思っておるんですけれども、その辺について法務大臣はどうお考えでございましょうか。
○副大臣(河野太郎君) 飛行機に乗るときのことを考えていただきたいと思いますが、確かに飛行機に乗る際に手荷物のチェック、あるいは金属探知機をくぐる、非常に面倒な手続をしなければなりません。しかし、そういう手続なしに飛行機に乗せている航空会社があれば、それはハイジャックの対象によりなりやすいわけですから、常識的な旅行者はむしろきちっと検査をして安全が確保されることが分かっている飛行機に乗りたがる、そういう時代だと思っております。
 大分前にエジプトで日本人観光客も巻き込まれたテロ事件がありまして、それ以降エジプトへの日本人旅行客が激減をいたしました。あるいは、インドネシアのバリ島では何度かテロがありまして、バリ島も観光客が大いに減っております。そうしたことを考えますと、むしろ今回の法改正をやることによって、日本はテロリストの入国を未然にきちっと防止をしている、日本はテロリストの攻撃にさらされる可能性が非常に少ないんだ、そういう安全な場所にこそむしろ旅行に行きたい、そういう御時世だと思っております。
 今回の法改正が観光立国にどういう影響を与えるかと申しますと、むしろ日本の安全性をしっかりPRすることによって、日本に行こう、そう考えてくださる外国人の旅行者がむしろ増えるのではないか。同じように指紋を入国の際に取っているアメリカも、ナイン・イレブンのテロの後、一時は観光客が大いに減りましたが、その後着実に観光客の数は増えております。指紋を取ることが観光立国の妨げにはなるのではなく、むしろその逆に安全な日本をしっかりPRしてまいりたいと考えております。
○谷川秀善君 まあこれは、いろいろ物は考えようでございますから、だからそういう意味では反対をするグループもあると思いますが、その辺のところは、今副大臣がおっしゃったように、しっかりとしたそういう信念の下におやりをいただくということは私はいいことだというふうに思っております。
 しかし、この後、次が問題なんですね。その取得したいわゆる生体情報をデータベースとしてずっと保管をされると思いますが、これが何らかの犯罪捜査に利用されるのではないかと、これはちょっと人権にかかわる問題ではないかということで反対をしているグループもまたあるわけですね。
 そういう意味で私は、そういう指紋をちゃんと採取をすると、生体情報を取ると、入国に関してね、いうのは別にいいことだと私は思っておりますが、全員を対象にするということにも、ある程度手間も掛かるし大変だろうと思いますから、その辺のところを何か知恵が、何回か来ておられるということについてはその都度全員に指紋を取るのか取らないのかというようなこともあろうかと思いますが、その辺についてはどのようにお考えになっておられるんでしょうか。
○副大臣(河野太郎君) 今、日本に入ってきて退去強制の処分を受けている外国人の実に八人に一人はリピーターでございます。そういう方を未然に防止をするためには、その人が旅券が言っている人間と同一人物であるかどうか、あるいは一度退去強制をされた人間がほかの国の旅券を使って入ってきているということもございます。その際に、入ってきた人が過去退去強制の処分を受けた人間でないかどうかというのはやはり指紋のデータベースを使って確認をしなければなりません。
 そういうことでございますので、入ってこられるたびに都度、その人が旅券で言うその人物であることを確認すると同時に、その人間が過去問題を起こしていないことをやはり都度確認をするということは必要なことだと思っておりますので、安全確認の観点からいえば、すべての方にすべての入国に関して個人情報の提供を指紋の形でお願いをするということにせざるを得ないと思っております。
○谷川秀善君 まあ理屈から言うとおっしゃるとおりではないかと私は思いますが、しかし、そうするともう膨大な何というかデータになろうかと思いますし、それとそのデータを保管するのも非常に大変だろうと思いますのでね。
 ところが、この法案ではその保管期間が明記されておりませんね。だから、これはやっぱりある程度明記をする必要があるのではないかなという気はするんですけれども、その辺についてどういうふうにお考えでございましょうか。
○副大臣(河野太郎君) この法案になぜ保有期間を明記しないかということでございますが、例えば五年なら五年と明記をすれば、五年たてばテロリストなりあるいは強制退去処分を受けたような犯罪者が今度は日本に入るチャンスがあるということを相手に分からせてしまうわけで、これはこの入管法の改正の目的に反することになってしまいます。そういう意味で、対外的には何年この指紋情報を保有するかということを対外的に公表することはむしろ今回の法改正の目的に反することになってしまうと思いますので、対外的に公表することはいたさないつもりでございます。
 また、確かにデータベースの保管、データの保管ということは莫大な量になるわけでございますが、今この電子データを保管するためのシステムというのは飛躍的に進歩しております。そういう意味でコスト的にも将来は更に安くなると思っておりますし、大体どれぐらいの期間持つべきであるかということは、この法改正の後、実際に指紋を採取いたしまして、この指紋の保有をどれぐらいにするかということを運用しながらしっかり決めてまいりたい。当然コストとの比較で、これぐらいコストが掛かるときにここまで持つ必要性があるのだろうか、そうしたことを考えながら将来的に決めてまいりたいと思っております。
○谷川秀善君 それは法の運用でそういうことになっていくんだろうというふうに思いますが、だからその期間を決めると、例えば五年なら五年、十年なら十年ということになると、今副大臣がおっしゃったように、それを過ぎれば資料がないわけですから入りやすいというようなこともまた犯罪者は考えるかも分かりません。しかし、私はやっぱり決めるときは、ある程度こういう法律というものは具体的に決めておかないと、何か抽象的なことにすると運用する側にとっては非常にしやすいんですよ。ところが、される側から取ると非常に危険性がというか、包含されるという点もあろうかと思いますし、それとまた利用の範囲ですね、この範囲もちょっと今回の法案では決められていないということで、それもいろいろ今副大臣がおっしゃったようなことがやっぱりあるんだろうと思いますがね。そういうときに、やっぱりこれはあれなんですかね、政令か何か、内規か何か、政令か何かで決めようとお考えになっておられるんでしょうか。その辺はいかがでございましょうか。
○副大臣(河野太郎君) 行政機関個人情報保護法は、大原則として利用目的以外の個人情報の提供を禁止しております。ですから、例えば仮に今回入国に際していただきました指紋でございますが、例えば警察から犯罪捜査その他で提供を求められたときには、刑事訴訟法に基づいて特定の指紋を有する者についての照会を警察の方からしていただくことになります。法令に基づく場合として照会に応じることはそういう際にはございますが、例えば具体的な犯罪あるいはその嫌疑がある、その犯人及び証拠を捜査するためのものでなければなりませんし、そのいただいた、法務省が入管でいただいた指紋をそのままほかの政府機関に提供するのではなくて、ほかの機関から指紋を照会をしていただいて、もしそれが法務省が持っているデータベースにヒットすればその情報を提供をする、そういうことでございます。無差別に入管がいただいた指紋をほかの政府機関に提供するわけではございません。
 そういうことを考えますと、個人情報保護法制の中でいただきました個人情報はしっかり守られているというふうに思っておりますので、今回の入管法に特別な規定を置いたりする必要はないんだろうというふうに思っております。
○谷川秀善君 それはやっぱり私は管理する側のサイドだろうと思うんですね。される側のサイドということもやっぱりある程度お考えになっておいていただかないと、やっぱり公権力の行使は必ずしも正当に行われる、まあ行われるべきでありますが、往々にして行われていない場合も過去の事例から考えるとあるわけでございますので、その辺のところはしっかりと私はやっぱり管理運営については十分人権を守るということも考慮に入れてお考えをいただいておきたいというふうに思っておるところでございます。
 それで、現在、今政府は、大変、不法滞在者が相当おるということで、非常に不法滞在者を何とか退去させるということで大変力を入れていただいているわけでございますが、今回の改正でこの不法滞在者対策がどのようになるんでしょうか。ずっと進むんでしょうか。その辺のところをお伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(杉浦正健君) 御案内のとおり、政府は不法滞在者半減を目標として取り組んでおるところでございますが、今回の法改正でそれにかなり効果が期待できるんじゃないかというふうに思っております。
 平成十七年中に退去強制手続を受けた外国人は五万七千百人余りでございますが、そのうち一三%に当たります七千四百七十九名が過去に退去強制手続を受けた者であることが明らかになっております。言わばリピーターでありますが、これらの者の中には、最初に退去強制された当時の身分事項のままでは上陸を拒否されるというふうに考えまして、身分事項を偽った偽変造旅券、あるいは他人になりすましてその名義により不正に発給を受けた旅券、改名等によって身分事項を変更した上で新たに発給された旅券などを使用して入国した者も相当数含まれておるところでございます。
 今回の改正法が施行されまして指紋や顔の個人識別情報を使用した入国審査を行うことになりますと、仮に身分事項を変えた旅券を行使したといたしましてもその入国が確実に阻止されることとなりますほか、我が国では厳格な入国審査が行われているという情報が伝わりますと不正な方法による入国自体をあきらめることも期待されるというふうに考えておるところでございます。
○谷川秀善君 できるだけこの不法滞在者対策に効果があるようなことにしていただきたいというふうにお願いをいたしておきたいと思います。
 それで、今回の改正で強制退去事由に関する規定が大分整備をされているように思われますが、予備行為だとか容易にする行為を行うおそれがあるという、こういうものも退去の理由にするんだというふうに規定されているんですが、これは予備行為だとか容易にする行為というのは非常に抽象的で、何をもって予備行為とするのか、あるいはテロの容易にする行為というのは非常に私はこの法として規定するのには非常に抽象的ではないかと思います。これに基づいて法務大臣が関係省庁と協議をされて、その結果テロリストとして認定された者を強制退去の対象にすると、こうなっているわけですね。
 そういうことになりますと、非常に抽象的な規定ですから、これは皆テロリストにしてしまえと、極端な話ですよ、テロリストにしてしまえというて、される可能性が非常に高いと私は思います。そうなりますと、もうちょっとやっぱりこのテロリストとしてリストに挙げるという場合には、もうちょっとやっぱりしっかりとした何か確証というか、確信というか、ある程度客観的にもこれはもう間違いないというようなことでないと、なかなか権利を制限をするというのはやはり人権の問題、憲法上もちょっといろいろ疑義が生じるのではないかなというふうにちょっと心配をされるところであります。
 そういう意味で、この予備行為だとか容易にする行為というものをどう解釈をされて、それで関係省庁と協議をされるのか、これは広義に解釈をすると非常にどうにでもなるというような面があろうと思いますので、その辺のところ、狭義に解釈をするのか、広義に解釈をするのか、それも含めてお伺いをいたしたいというふうに思います。
○国務大臣(杉浦正健君) 先生の御懸念の向きはよく理解できるところでございますが、テロを未然に防止し、国民の生命と安全を守るという目的の達成に万全を期すためには、テロ行為、その予備行為、又はその実行を容易にする行為などを行うおそれがあると認められる外国人テロリストにつきまして、発見後直ちにその身柄を拘束し、上陸、通過後も在留もさせずに我が国からの退去を強制することが必要でございます。また、これに係る手続もしたがって適正なものでございます。
 したがって、外国人テロリストを退去強制の対象とすることは正当な目的を達成するための必要かつ合理的な手段であり、一定の外国人について法律の定める手続によりその退去を強制することに法的な問題があるとは考えておりませんし、憲法に違反するものでもないと思っております。
 法務大臣が、この法律成立後でございますが、関係省庁と協議を行う、手続、内容等も協議いたしてまいりますが、適正に実施いたしてまいる所存でございます。
○谷川秀善君 今大臣がお答えになりましたように、私も、テロを擁護するなんというのはもうとんでもないことですから、だから、ある意味で、危険性があるというのは今おっしゃったように広く解釈をするということで私はいいと思っているんです。ところが、中には全然そんなの関係ないじゃないのというのまで入る危険性もあるという意見もあるわけですよ。だから、これは私はやっぱりある程度意見として考えておく必要があるなと。しかし、テロを防止するという大前提があるわけですから、その辺のところはしっかりやっていただきたいというふうに私は思っておるわけです。だから、その辺の、何といいますか、めり張りをやっぱり大臣としてはしっかりやっていただいて、各省庁と協議をして、名簿を作るわけですからね、名簿を作るというのはもう特定するわけでございますんで、その辺のところはしっかりお願いをしておきたいというふうに思うところであります。
 それで、今回の改正案では、外国人テロリスト等に係る強制退去事由というのが追加されております。具体的に申し上げますと、同改正案第二十四条三号の二、外国人テロリストとして我が国が独自に決定する者と、同改正法第二十四条三号の三、外国人テロリストを含め国際約束により本邦への入国を防止すべきものとされる者となってますね。具体的には、入国、通過防止措置の対象として、国連安全保障理事会決議に基づいて名簿が作成、公表されることにより特定された個人を退去強制するとされております。
 そこで、この国際約束というのはあんまり私も聞いたことがないんですけれども、この国際約束という言葉がこの法案、いわゆる具体的な法案の中に使用されているわけであります。そこで、この国際約束というのはどういうものなのか、具体的に御説明いただければと思います。
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 一般に国際約束というものは、その具体的な名称のいかんを問わず国家間などにおきまして締結された国際法によって規律される国際的な合意をいうというふうに承知しておるところでございます。
 なお、国際約束であります国連憲章がございますが、この国連憲章の第二十五条には、国際連合加盟国は、安全保障理事会の決定をこの憲章に従って受諾し、かつ履行することに同意するという旨の規定がございます。安保理の決定が決議として採択された場合、我が国を含めた国連加盟国は、憲章の第二十五条に基づきまして、この決議に含まれる安保理の決定内容を履行する義務を負うことになるものと承知しております。
 今回の入管法の改正案の第二十四条第三号の三、今、委員御指摘のあった点でございますが、ここには、国際約束により本邦への入国を防止すべきものとされている者という規定ぶりがございますけれども、現時点でこの改正案の二十四条第三号の三に規定する国際約束に当たるものといたしましては、具体的には国連憲章第二十五条によりまして加盟国が履行の義務を負う国連安全保障理事会決議の規定がございます。なお、将来、条約などによりまして同様の義務が課されますと、その条約等につきましても同号に規定する国際約束に当たることになることが想定されるところでございます。
○谷川秀善君 ただいま御説明をいただきましたことだろうと思うんですけれども、そうすると、いろいろ追加されてくると、追加されるといいますか、いろいろ国連でいろんな決議がされるということになるとそういうことが国際約束になると。現在は今御説明のように入管法第二十四条三号の三に規定する国際約束に該当するというのは、加盟国に特定の個人の入国、通過防止措置を義務付けている一連の国連の安全保障理事会決議のみであると。しかし、将来、条約等によって同様の義務が課せられてくると、当該条約も国際約束になると。そうすると、この法律に書いていますね、国際約束と。そうすると、これはある程度流動、流動と言ったら語弊がございますが、流動性があるのかどうか。追加される可能性はこれは間違いなくありますね、追加される可能性がある。その辺、どの程度の範囲で追加されると考えられるか、もう一度、済みませんが、お願いをいたしたいと思います。
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 先ほど御説明いたしましたのは理論上の可能性ということで御説明したわけでございますが、今後、どの程度新たな条約や国連の安全保障理事会の決議が出てくるかということはなかなか予測が難しいわけでございますが、仮に我が国が国連とは別な形で特定の条約を結んで、その中でテロリストについて特に個別に指定をするというような事態があり得れば、それはこの条文に該当するということを先ほど申し上げたわけでございます。
 なお、国連の安全保障理事会の決議につきまして、現在、今回の改正法二十四条三号の三に該当するものが四つございます。これは一どきに制定されたというものではなく、順次決議がなされているわけでありまして、この状況を御紹介いたしますと若干御理解をいただけるのかなと思うわけでございますが、まず、入国、通過防止措置の対象となる特定個人の名簿が作成されておりまして、入管法改正案の二十四条三号の三の国際約束に当たる国連安全保障理事会の決議の規定といたしまして、一つ目に、国連安全保障理事会決議第千三百九十号二(b)というものがございます。これは、オサマ・ビンラディンやアルカイダ組織及びタリバンの構成員並びにそれらと関係を有するその他の個人三百五十余名が名簿に登載されているわけでございまして、これにつきまして、我が国に対しても拘束力を有しますので、これらの人間が我が国に入ろうとすることが判明した場合には、これは入国を阻止する義務がある、こういうことになるわけでございます。これは二〇〇二年の一月に決議されたものでございます。
 それから二つ目といたしまして、同じように個人を特定した形で入国、通過防止措置の義務を定めたものといたしまして、国連安全保障理事会決議の第千六百十七号の一の(b)というものがございます。これにつきましても、やはり個人の名称を特定した名簿が付いておりますが、その内容につきましては、先ほど申し上げました一番目の理事会決議と同じ個人が登載されているというものでございます。
 また、そのほかに現時点におきましては、国連において入国、通過防止措置の対象となる特定個人の名簿までは作成されておりませんが、将来名簿が作成、公表された時点で入管法の第二十四条第三号の三の国際約束に当たることとなるテロ対策を目的とする国連の決議といたしまして、安保理決議の千六百三十六号の(a)の前段、これはシリアの関係でございます。二〇〇五年の十月に決議されたものでありますが、これがございます。
 また、国連安全保障理事会決議の第千三百七十三号二(c)、(d)及び(g)、これは二〇〇一年の九月に決議されたものでありますが、これにつきましてはテロリストの移動を防止すること、移動の防止を行うことを加盟国に義務付けておるわけでございますが、移動の防止の対象となる者の認定につきましては各国の判断に任されているところでございます。
 このように、順次四つの決議がなされておりまして、これらについて個人が特定されている形のものについては、我が国としてもそれら個人の入国の防止を図る義務があるということでございます。
○谷川秀善君 個人が特定をされておりますとある程度理解ができるんですけれども、これからもそういう形で何らかの格好で個人がそれぞれ特定をされてくるということもあり得ようかと思いますので、その辺のところは今後十分国連の動向もお考えをいただいて、しっかり法の適用についてお考えをお願いをいたしたいというふうに思うわけであります。
 それで、この法律全般としては、私としては、一歩前へ進むというか、テロを防止をするということについては必要な法改正ではないかというふうに思っておりますが、この法律全般で、附則でいわゆる、何といいますか、施行期日がいろいろ決まっているわけですね。それで、この強制退去事由の整備等の事由の規定以外の規定については、特区法による特別措置等の全国化及び本国送還の原則の緩和については公布の日から六か月を経過をした日、船舶等の長の事前報告義務の導入が公布の日から一年を超えない範囲において政令で定める日、そして個人識別情報の提供義務の導入及び自動化ゲートの導入が公布の日から一年六か月を超えない範囲において政令で定める日と。
 それぞれ非常に、ある程度法施行までの猶予期間といいますか余裕があるんですが、この法本体の方は公布の日から起算して二十日を経過をした日、これ非常に早いですね。今までの法律の施行の概念から考えますと非常に早い。これはやっぱり即施行をして、そういうテロ防止に対して対応したいという省の決意だろうと思いますが、これはなぜこれだけいろんな施行日が違っておるのか、御説明をお願いをいたしたいと思います。
○政府参考人(三浦正晴君) 谷川委員御指摘のとおり、今回の改正案につきましては、規定によって施行期日がまちまちになっているわけでございます。これにはそれなりの事情がございますが、まず、基本的に今回の法改正の趣旨は、中心はテロ対策でございますので、テロ対策は早く実施するにこしたことはないわけでございますので、私どもとしてもあらゆる規定をできるだけ早く施行をしたいというふうには思っております。ただ、いろいろ準備に時間が掛かるものもございます。例えば指紋、顔情報の提供を受けるという点につきましては、これはかなり大量の機械を導入して、技術もそれなりのものをきちっとつくっていかなければいけないということでございますので、仮にこの法律をお認めいただいても、直後にすぐこれが準備できるという保証はないものですから、一年半の間にということにさせていただいております。
 また、そのほか六か月後の施行という部分がございますが、これらにつきましては、制度を作った後、これを実際に動かすために省令等を整備する必要があるものでございまして、これにつきましては、省令を作成するためには、その前提としてパブリックコメントなどもいたさなければなりません。どうしても六か月くらいは時間が掛かるということであります。
 今御指摘の退去強制事由の整備については二十日間ということでありますが、これにつきましては、今申し上げたような事情が、比較的時間が掛かるという観点が少ないということでありますので、できるだけ早く施行をすべきであるということで公布の日から二十日というふうにさせていただいておるわけであります。即という、公布即日ということもあり得るのかもしれませんけれども、これはテロの未然防止の観点からは一刻も早い施行が要請される一方で、退去強制という一種の不利益処分の範囲を拡大するという改正でございますので、最低限の周知期間は必要であろうということで二十日というふうにさせていただいております。これが施行されますと、直ちに関係省庁と協議を行いまして、外国人テロリストの認定のための手続を定めました上で、外国人テロリストとして認定できる者については随時認定をしてまいりたいというふうに考えております。
 また、既に国連安全保障理事会決議によりまして、先ほども申し上げましたように、入国、通過防止措置の対象とされている者がございます。これらにつきましては、法施行後は発見次第退去強制手続を取ることができるよう所要の準備をする予定でございます。
 以上であります。
○谷川秀善君 できるだけ法の適用につきましては遺憾のないようにお願いをいたしたいと思いますが、いわゆるこの法が成立、公布の日から二十日たてば施行されると。その場合に、現在いわゆるテロリストらしきと考えられる、テロリストと考えられる人が具体的に、なかなかお答えしにくいと思いますが、日本におるのでしょうか。この法を即適用してやれると、やる必要があるという該当者がおるとお考えなのでしょうか。いや、それはやってみなきゃ分からぬというふうにお考えなのでしょうか。その辺のところ、非常にお答えにくい面もあろうかと思いますけれども、お答えできる範囲で結構でございますから、お伺いをいたしたいと思います。
○政府参考人(三浦正晴君) なかなか難しい問題、御質問いただいたわけでございますが。
 先ほども公安調査庁長官の方から御答弁がございましたが、過去に我が国では、後から分かったわけでございますが、フランス国籍のテロリストと認められる者が偽造旅券を使って数次にわたり我が国に入ったり出たりということを繰り返していたという事案がございました。そういうことから考えますと、現時点におきまして、テロリストの要件に合致するような人物が日本国内に絶対いないとは言い切れないだろうと思います。
 ただ、私ども、特に入管、テロリストに対する調査権限を持っているところでもございませんので、直接的にそういう人物がいるかどうかということについては、これはなかなかはっきりしたことは申し上げられないわけでありますが、いずれにしても認定、法務大臣がテロリストとして認定をする際には、テロ、テロリストに関する調査を行い情報収集する権限を有する機関といたしまして、公安調査庁もございますし、警察庁ございます、海上保安庁ございます、あと外務省もございます。これらの機関の長と協議をした上で適正に認定をしていくという、こういう規定になっておりますので、これを早急に進めてまいりたいというふうに考えております。
○谷川秀善君 なかなかお答えしにくいだろうと思いますが、それは出てしまってから分かったっていいんですよ、別に日本でテロを実行してくれなきゃいいわけですから。そういう意味ではいろんなケースがあろうかというふうに思いますけれども、少なくともこの法案が可決をされて施行に至った段階では、是非厳正な運用をやっていただきたい。もう何でもかんでも疑わしきは皆いくんだということではちょっと日本の、観光立国を唱えている日本の姿勢としてはいかがなものかなというふうに思われるところもあろうと思いますので、しかし、それはそれとして、やっぱり取り締まるべきはしっかり取り締まって、国民の安全、安心を守るということを第一義にしていただきたいというふうに思います。是非よろしくお願いをいたしたいと思います。
 それで、構造改革特別区域法によります特別措置等を全国において実施をするための規定の整備についてお伺いをいたしたいと思います。
 この改正の趣旨及び内容について、概略御説明をお願いをいたしたいと思います。
○国務大臣(杉浦正健君) 構造改革特別区域において講じられている措置、いろいろございますが、その中で今回、全国展開この法律でいたしますのは、外国人研究者受入れ促進事業及び外国人情報処理技術者受入れ促進事業でございます。
 同事業において規制の特例措置を受けております外国人に関しまして、出入国管理上の問題が生じていないという運用状況を踏まえまして、それぞれ平成十六年九月十日及び平成十七年二月九日、構造改革特別区域推進本部が当該特例措置を弊害が生じないと、認められない場合に該当すると評価いたしまして、その結果、地域を限定することなく全国において実施することを決定いたしております。また、構造改革特別区域推進本部は、平成十七年十月二十一日、教授という資格によって在留いたしまして、大学等において研究、研究の指導又は教育活動を行う外国人教授の在留期間を最長三年から五年に伸長することといたしまして、平成十七年度中に措置する旨を決定いたしております。今回の入管法改正は、これらの決定を受けまして、構造改革特別区域法により規定されていた同事業に関する特別措置の内容等を全国において実施することとしたものでございます。
 具体的には、構造改革特別区域法において在留資格に関する特例措置として規定されております特定研究活動、特定研究事業活動、特定研究等家族滞在活動、特定情報処理活動及び特定情報処理家族滞在活動並びにこれに準ずる外国人教授の教育活動及び外国人教授の家族滞在活動をいずれも入管法の在留資格、特定活動として規定し、その在留期間の上限を五年にすることといたします。
 以上です。
○谷川秀善君 大阪にもこの特区があるんですけれども、今回の改正で外国人研究者やら外国人情報処理技術者等がどのように影響を受けるのか。現在おる外国人ですね、現在おる外国人、この特区制度の下で滞在している外国人がどういう立場に置かれるのか。その辺のところはちょっと私も理解しにくいんですけれども、御説明いただければと思いますが。
○政府参考人(三浦正晴君) 先ほど委員からの施行期日がかなりたくさんの種類があるという御指摘がございましたけれども、ただいま御質問の特区法による特例措置を全国化するための規定につきましては、公布の日から六月を経過した日から施行するというふうな附則になっているわけでございます。
 特区法によります特例措置等の全国化につきまして公布の日から六か月を経過した日から施行することとしているのは、行使の期間の要件を定めるための法務省令の規定の新設ですとか、入管法の別表に係る基準省令や入管法の施行規則、これは様式を定めておりますが、こういったものを改正する必要があるわけでございまして、六か月の時間が必要であるということによるわけでございます。
 それで、現在、特区法に基づいて在留している外国人が改正法の下ではどうなるかということでございますけれども、もう既に特区制度の下で在留している外国人の方につきましては、改正法の附則の第二条におきまして、改正後の入管法の別表第一の五の表の上欄の在留資格をもって在留する者とみなすというふうに規定しておりますとともに、改正後も現行の在留期間が満了するまでの間は現行の特区法において認められている活動を行うことができるというふうにされておるわけであります。したがいまして、従来どおりの生活をしていただくことができるわけであります。
 なお、その在留期間が満了後も本邦において在留の継続を希望する場合には、在留期間の更新又は在留資格の変更の許可の申請を行っていただきまして、これに基づいて審査を行い、問題がなければ許可になると、こういうことになるわけでございます。
○谷川秀善君 それでは、六か月ぐらいはこれはやっぱり手続等いろいろあり、準備等ございますから、私は別に六か月が余り長過ぎるんじゃないかというふうには思っておりません。
 同時に、現在の資格を持っておられる方が改正後もそのとおりいけると、従前どおりだということであれば外国の方々も不安もなかろうというふうに思いますので、その辺のところはやっぱり周知徹底をしてあげていただきたい。非常に不安も持っておられる方々もおられますので、私のところへもいろいろ御相談に来られますので、是非周知徹底をしていただいて、しっかり目的を達成していただきたいというふうに思っております。
 ちょっと時間がありますけれども、全体として私は、今回の改正というのは非常によく練っておられるというふうに思っております。ただ、ところどころ、やはりちょっと、もうちょっと詰めていただいた方がいいのではないかなという点もございますが、それはまた法を施行された段階でいろいろ支障があれば、また改正をしていただければなというふうに思います。
 そういう意味で、ちょっと時間余りますが残しまして、私の質問を終わらせていただきます。どうぞよろしく頑張っていただきますようお願いいたします。
 ありがとうございました。
○松岡徹君 民主党の松岡徹でございます。
 問題があるなら、できる限り改正する前に訂正した方がいいだろうという立場で質問もしていきたいというふうに思っております。
 今回の入管法改正の提案理由でございますが、改めて確認をさせていただきたいと思いますが、外国人の入国時における指紋提供義務というふうになっておりますが、その目的でございます。改めて大臣の方から手短にお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(杉浦正健君) 今回の法改正によりまして導入される上陸審査時の個人識別情報の提供義務は、先ほど詳しく御説明いたしました政府が決定いたしましたテロの未然防止に関する行動計画を踏まえましたテロの未然防止対策といたしまして、出入国の公正な管理を図り、ひいては国民の生命と安全を守ることを主たる目的とするものでございますが、同時に、政府として取り組んでおります不法滞在者対策及び外国人犯罪対策に資するものでもございます。
○松岡徹君 テロの水際で防止するということと、不法滞在といいますか、これはさきの衆議院の法務委員会での政府答弁でもあります、不法入国者対策に資するというふうにおっしゃっています。その不法入国者対策に資するというのは、具体にどんなことになるんですか。
○国務大臣(杉浦正健君) 不法入国者を水際で防止するという趣旨でございますが、先ほども御説明しましたとおり、平成十七年度中に退去強制手続を受けた外国人五万七千百人余りのうち、その一三%に当たります七千四百七十人余が過去に退去強制手続を受けた者であることが明らかになっております。
 先ほど御説明しましたように、これらの者の中には、前に退去強制された当時の身分事項のままでは上陸を拒否されると考えまして、身分事項を偽った偽変造旅券ですとか、他人に成り済ましてその名義により不正に発給を受けた旅券を使用して不法入国した者も相当数含まれておるところでございます。
 今回の改正法が施行されまして、指紋や顔の個人識別情報を使用した入国審査を行うこととなりますと、仮に身分事項を変えた旅券を行使して不法に入国を図ったといたしても、その入国が確実に阻止されることとなりますほかに、我が国で厳格な入国審査が行われているとの情報が伝わることによりまして、不正な方法による入国自体をあきらめることも期待されると考えているところでございます。
○松岡徹君 退去強制された者が改めて入ってくると、そういった者をチェックできるとか、不法入国というその不法入国者の対象者が退去強制者でもあったり、あるいは犯罪者といいますか、そういったことにもなってくると思うんですが、指紋を取ってそれを水際で確認できれば一番ええわけですね。
 例えば、聞きますけれども、例えばけがとか病気とか、あるいは先天性の欠損がある方の場合、これ指紋が取れない場合はどうされるんですか。
○国務大臣(杉浦正健君) 御指摘のような理由で指紋情報を提供していただくことが物理的に不可能である方もいらっしゃると思いますが、そのような場合におきましては、指紋提供の義務があるといたしましても、これを求めることなく上陸審査手続を進めることは法的に可能と解されるところでございますので、物理的に不能との解釈に際しましては人道上のできる限りの配慮を行ってまいりたいというふうに思っております。
○松岡徹君 人道上可能な限りの配慮というのをもうちょっと突っ込んで聞きたいわけですけれども、時間の関係でちょっと次回のところに回したいと思いますが。
 要するに、今聞いたように今回の改正目的はテロの未然防止と不法入国者の対策に資するということなんですね。そういう意味では、それが今回の法改正の目的であるし、指紋を採取するということはそれが利用目的であるということに間違いないですね。
○国務大臣(杉浦正健君) そのとおりでございます。
○松岡徹君 そうすると、先ほど谷川先生の質疑の中にもありましたけれども、利用目的を特定する必要があるのではないかというふうにも思うんですね。
 個人情報保護法の三条一項のところで、「行政機関は、個人情報を保有するに当たっては、法令の定める所掌事務を遂行するため必要な場合に限り、かつ、その利用の目的をできる限り特定しなければならない。」ということになります。
 そういう意味では、先ほどもありましたけれども、同時にその利用目的の特定というものをしようと考えておられるのかどうか、いかがですか。
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 今回の法改正によって個人識別情報の提供をいただくその利用目的でございますが、これは二種類あると思っておりますけれども、上陸審査の際に指紋と顔情報の提供を受けるという点につきまして、これは公正な出入国管理の実施のために必要とされるという形での利用目的になるわけでございます。
 一方、自動化ゲートを可能にする規定も一部今回の改正法案には盛り込んでおりますが、これにつきましては、これは日本を出国、入国をする方々、特定の方々の利便、利用上の利便を図るという目的で、同一人性の確認をするためだけに指紋、顔情報の提供をしていただくということでありますので、これはまた違った観点ですね。本人の利便、利用者の利便というものが利用目的ということになろうかと思います。
 これにつきまして、明確な形で法律では利用目的は何だということで書いてあるわけではございませんが、この規定の趣旨からその点は明らかで、特定されていると考えております。
○松岡徹君 要するに、この指紋の情報は、その利用目的は出入国のときの本人確認ということになるんですね。それ以外は使ってはならないということはどこにも書いてないんですよ。だから、そういう意味では、その利用目的の特定を、出入国の際の利用目的として特定すべきではないかというふうに思うんですね。
 個人情報保護法の四条一項でも、「行政機関は、本人から直接書面に記録された当該本人の個人情報を取得するときは、次に掲げる場合を除き、あらかじめ、本人に対し、その利用目的を明示しなければならない。」というふうにも規定されているんですね。
 この個人情報保護法の理念からいうと、やはり採取する本人に対して、これを、採取された指紋情報はこういうふうに使いますから採取義務に応じてくださいということを説明せにゃいかぬ。そのことから考えると、何のために使うのかということを明示することが必要だと思うんです。そのことは明示されていないんです。明示するつもりあるんですか。いかがですか。
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 先ほどお答え申し上げましたように、本法案の規定からして特定はされているというふうに考えておりますが、ただ、実際に空港、港を利用されるのは外国人、日本人含めた多くの方々でございますので、当然、特に外国人の方からは指紋の提供をいただくわけでありますので、この法律が成立いたしますと施行までに時間が若干ございますわけですので、その間に外国政府、ですから外国の国民について、きちんと広報をして御理解を求めていくつもりでございます。
○松岡徹君 そういうことは、施行まで一年半あるからそれをその間に各国に説明したいと、理解を求めるためにと。説明するためにも、これ以外には使いませんということを、ちゃんと特定目的をはっきりしなかったら駄目でしょうが。それを聞いているんです。明示するつもりあるんですか、特定するつもりはあるんですかということを聞いている。イエスかノーかで答えてください。
○政府参考人(三浦正晴君) 委員、先ほど行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律をお示しになって御質問あったわけでございますが、同法の四条に「利用目的の明示」という規定が確かにございます。この規定を見てみますと、第四号に、「取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められるとき。」というのが、まあ例外規定のような形になっておりまして、次に掲げる場合を除き、あらかじめ本人にその利用目的を明示しなければならないという規定がありまして、その例外として、先ほど申し上げましたように、「取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められるとき。」と、こういうふうになっております。
 ただ、私どもといたしましては、そうであるから本人に説明をしないということを申し上げておるわけではなくて、非常に広範囲の方が利用をされる制度になりますので、これはこうこうで、はっきりと認識をしていただくように努めてまいる所存であります。
○松岡徹君 ちょっと質問に答えてくださいよ。個人情報の例外規定もありますよ、確かに。しかし、今回は入管法の改正で、非常に大事な生体情報なんですから。そうでしょう。しかも、だから私はこの今回の法改正の目的は何なんですかということを確かめたんですよ。そうでしょう。そういう意味では、それをはっきりするべきということをこの今回の法案の中に、改正案の中にちゃんとあるんですか。それを聞いているんです。イエスかノーかですよ。明示するつもりはあるんですか、ないんですか、それだけ聞いているんです。
○政府参考人(三浦正晴君) 今回の改正法案の提案理由の中にもございますし、大臣の方からも御説明あったと思いますけれども、一つはテロ対策ということでございます。テロリストの発見をするために指紋、顔情報を提供していただいて、これをブラックリストと照合するというために設ける制度であります。もう一つは不法滞在者対策でございます。
 ですから、条文に明確にそういうことが確かに書いてあるわけではございませんが、趣旨はそういうことでございますということを申し上げております。
○松岡徹君 私は条文に書くべきだということを言っているんですよ。恣意的な解釈がされるというのは危険になってしまうということは、先ほどの谷川先生の議論にもありましたがな。だからこそ、こういうふうに使うんですということを、ちゃんと目的を特定すべきだと、利用目的を特定していくということは何のそごもないでしょう、テロ対策なんですから。そうでしょう。不法入国者の水際の防止なんですから。なぜそのために使うということを、なぜ明示しないんですか。
 これ、例えば、先ほどもありましたけども、要するに不法入国者対策に資するということになっておるんです。まあ結果的にはそうなるんですよ。これがだんだんこういうふうに資すると、結果的にこうなるということで、拡大解釈されていくおそれがあるということを私たちは指摘しているんですよ。
 そのことを改めてまた、時間余り取りたくないんですが、やっぱり指紋という生体情報ですから、我が国は二〇〇〇年に実は外登法による指紋押捺制度を廃止をいたしましたですね。その外登法における指紋押捺制度の廃止の趣旨とは一体何やったのか、改めて大臣にお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(杉浦正健君) 指紋の押捺制度でございますが、外国人登録制度発足後間もなく、二重登録等の不正を防止するなど登録の正確を期するために、同一人性確認の手段として指紋押捺制度が設けられたものでございましたが、様々な御議論があった、反対もございました。そういう経過を経て、指紋に代わり確実に同一人性を確認できる手段について検討を行った結果、写真、署名及び一定の家族事項の登録を複合的に組み合わせるという代替方法によりまして同一人性を確認することとして廃止されたものと承知しております。
○松岡徹君 経過はそうだと思いますね。平成七年の十二月に最高裁の判例が出ておるんですね。それまでに地方裁判所で様々、この指紋押捺制度については反対だと、やめてほしいという声を背景に様々訴訟が繰り返されてきました。そして、平成七年の十二月に最高裁の判例が出ました。
 その中で、指紋は指先の紋様であり、それ自体では個人の私生活や人格、思想、信条、良心等個人の内心に関する情報となるものではないが、性質上、万人不同性、終生不変性を持つので、採取された指紋の利用方法次第では、採取された指紋の利用方法次第では個人の私生活あるいはプライバシーが侵害される危険性があり、そして指紋の押捺制度は国民の私生活上の自由と密接な関連を持つ、まあそういうふうに結んでいる。
 これは憲法十三条に抵触するんではないかということについてもいろいろと議論されています。個人の私生活上の自由の一つとして、何人もみだりに指紋の押捺を強要されない自由を有するものというべきである。国家機関が正当な理由もなく指紋の押捺を強制することは、同条の趣旨に反して許されず、また、右の自由の保障は我が国に在留する外国人にも等しく及ぶと解される、こういった議論もされているんです。
 そういった議論を背景に、在日外国人の外登法制度の指紋押捺制度は、その人が本人であるかというのを確かめるのは違う方法を用いようということで指紋押捺制度をやめたんです。正に、指紋を押捺、何人にも押捺を強要されない、強制されない自由とかそういったものがあるんです。そういう議論をされてきて、二〇〇〇年に外登法による指紋押捺制度は廃止されていったんですね。
 今回、それからすると、幾らテロの未然防止だということを言っても、外登法のこの指紋押捺制度を廃止していったこの議論、趣旨、これは当然相入れないと思うんですけども、いかがですか。
○国務大臣(杉浦正健君) 先生が御指摘になられました最高裁判例、詳細御説明願いましたが、そういう裁判例があることは承知しております。そういったその最高裁判例にかんがみまして、指紋情報の提供の義務化については人権上の観点から慎重な検討を要する性質のものだということはよく承知いたしております。
 一方、最高裁の判例におきましては、同じ判例で、右の自由も、国家権力の行使に対して無制限に保護されるものではなく、公共の福祉のために必要がある場合には相当の制限を受けることは憲法十三条に定められるところであるとも判示しております。他の判例もございます。
 今回の入管法改正は、出入国の公正な管理を図ること、ひいては国民の生命と安全を守るためのテロの未然防止策を主たる目的といたしておりますし、不法滞在者対策及び外国人犯罪対策に資するものとして、外国人の上陸審査時に指紋等の個人識別情報の提供を義務付けるものでございます。その立法目的には十分な合理性があり、また必要性も肯定することができるものだと考えております。
 また、その義務付けも、我が国に上陸するためには指紋を提供しなければならないことをあらかじめ承知の上で自らの意思で来日される外国人が、それにもかかわらず提供されなかった場合に我が国への上陸を認めないというものにすぎません。さらに、電磁的方法による提供方法も一般的に許容される限度を超えない相当なものであると考えております。
 なお、外国人登録上の指紋押捺制度は、外国人登録制度発足後間もなく、二重登録等の不正を防止するなど登録の正確を期するため、同一人性確認の手段として設けられたものでございましたが、種々の御議論があったことから、先ほど御説明しましたとおり、指紋に代わって確実に同一人性を確認できる手段について検討を行った結果、写真、署名及び一定の家族事項の登録等を複合的に組み合わせるという代替方法によって同一人性を確認することとして廃止したものでございます。
 これに対し、今回の改正案における個人識別情報の提供は、テロの未然防止等という水際対策を立法目的とするものであること、指にインクを付けて押すというスタンプ方式ではなく、電磁的に指紋を読み取るという方式による提供であることにおきまして、かつての外国人登録法に基づく指紋押捺制度とは全く異なっており、外国人登録法上の指紋押捺制度を廃止した経緯があるといたしましても、さきに述べたような合理性、必要性を有する今回の指紋提供義務の導入が人権への配慮を欠くものとなるとは考えておりません。
○松岡徹君 長々とおっしゃってもらいましたけども、私は、指紋押捺制度を廃止していった趣旨というのは私は正しいと思うんですよ。今大臣もおっしゃったように、外国人の人権に配慮するという趣旨から、プライバシーの侵害、人権への配慮をして押捺制度を廃止していったという経過があります。先ほどあった最高裁の判例の中で、相当の理由がある場合、その条件で制約されるというのも確かにそのとおりです。
   〔委員長退席、理事谷川秀善君着席〕
 だからこそ、例えば、先ほど冒頭言いましたように、一方で、指紋を採取するということは、指紋を採取強制されないという自由とか、そのこと自身が、指紋自身が不変性があって個体の固有のものでありますから、正にプライバシーというものを配慮しなくてはならないということになるんです。だからこそ、これはどういうふうに利用されるのかという利用目的を特定しなかったら、相当に害するというのが単にテロの水際防止だけだということ、だれもがテロというのは反対しませんが、本当に指紋を採取義務をすることですべてのテロを防止できるのかと、もうこんなことになってくるんですね。
 そういう意味では、その効果だけではなくて、指紋を取るという生体情報を提供を義務付けるということ自身相当な理由があるという相当なところに、やはり人権やプライバシーというものを配慮したやり方としては、利用目的を特定していくとか、それ以外には利用しないとか、相手にちゃんと利用の目的を明示するとか、そういうことをしなかったら、これは人権、プライバシーに配慮したということにはならないんではないですか。今回の入管法改正案はその辺でプライバシーや人権の配慮に欠けているというふうに思うんですけれども、いかがですか。
○国務大臣(杉浦正健君) 先生の御意見は御意見として承りますが、私どもはそうは考えておりません。
 外登法の指紋押捺制度は、私の記憶では、あれ、墨にべったりやってやると。あれに対する拒否感応といいますか、国際的にも相当あったというふうに記憶しております。今度のは電磁的でして、指を乗せるだけと、それを電磁的に記録するということでございますので、そういう拒否反応、国際的な人権感覚からしてそんなに拒否反応があるとは思いません。
 利用目的も、先ほど来よく御説明しておりますように、テロの未然防止という水際対策を行うために適正な入国管理に利用するというふうにはっきり特定しているものと私どもは考えておるところでございます。
○松岡徹君 指紋をインクでこうやるとか、それが屈辱的だとかいうことではないんです。指紋という生体情報を第三者に取られるということです。そのことを言っているんです。すなわち、指紋という生体情報をどういうふうに我々は人権やプライバシーという視点で位置付けているのかということなんです。行為ではないんです。
 私も若いころ、交通違反をやったら切符を切られたときにぎゅうっとやられるの、あれ嫌でした、確かに。後でふかなあかんのね。そんなのが嫌とかいうんではなしに、その生体情報というものをどういうふうに位置付けているか。それが国際的には個人の情報であって、しかもそれは不変性であって特定できるわけですから、そういう意味ではプライバシーや人権というものが指紋の生体情報、生体情報としての指紋という位置付けがそういうふうにやっぱりなっていると思うんですね。その辺からやっぱりしっかりと見なくてはならない。
 だからこそ、最高裁判例の、大臣は、相当の理由がある限りはその自由は制約されるというのは分かりますけれども、その前に、憲法十三条の指紋を強制されない自由であるとか、あるいは採取された指紋がどういうふうに利用されるかによって危険が伴うということも指摘されているわけですから、だからこそ私は、人権やプライバシーを配慮した上で、なおかつ指紋採取を義務付けることにする場合は、やっぱりその指紋はこういう方法でしか使いません、こういう方法で使いますからというふうに事前に本人に明示していくというようなことは最低限やるべきだというふうに思うんですね。これが正に、少なくとも百歩譲った人権に配慮した今回の提供義務の改正だというふうに思うんですよ。インクでなくて電子だという問題じゃないと。
 大臣、もう一度いかがですか。
○国務大臣(杉浦正健君) 御懸念の向きは、一つにはこの個人情報、ちょうだいした個人情報を厳正に管理すると、利用目的に利用する以外には利用しないと、厳正に管理するということによって御信頼をいただけることになるんじゃないかと思います、一面においては。
 一方においては、先ほど入管局長が申しましたように、法が成立した後、施行までに一年半近い歳月ございますから、関係各国いろいろな機関を通じてよく周知徹底いたしまして、その趣旨を御理解いただくように努めるということが大事ではなかろうかというふうに思っております。
○松岡徹君 やっぱり私はそういう立場で、今回の法改正案についてはやっぱり足らずがたくさんあるというふうに思うんですね。そういう指摘をさしていただいておきたいと思いますが。
 もう一つ、次の質問をしたいと思いますが、今回の改正案の中、特別永住者等については除外をしているんですね。その除外理由というものと、それと私たちは、特別永住者について除外しているならば永住者とか定住外国人がその除外対象にならない理由は何なのか、お聞かせいただけますか。
○国務大臣(杉浦正健君) 詳細は必要ならば入管局長から説明させますが、個人識別情報の提供義務につきましては、危険性の程度が低いこと、配慮の必要性の程度が高いことの二つを基準といたしまして、一定の外国人について免除することとしているわけでございます。
 特別永住者につきましては、その歴史的経緯及び我が国における定住性にかんがみまして、その法的地位の一層の安定化を図るため入管特例法が制定されておるのは御案内のとおりでございまして、配慮の必要性が極めて高いことから、当該義務を免除することとした次第でございます。それに対して永住者につきましては、特別永住者の場合のような歴史的経緯がございませんし入管特例法の適用もないことから、個人識別情報提供義務を免除する対象としなかったものでございます。
 なお、残念なことでございますが、永住者等に成り済ました外国人が不法入国する事案が頻繁に発生しているところでございます。
   〔理事谷川秀善君退席、委員長着席〕
 我が国には永住者の方が三十万人以上在留しており、成り済ます対象者を見付けることが比較的容易であることなどを考えますと、テロリストや犯罪者が永住者の旅券を盗んだり偽造したりして当該旅券の名義人に成り済まして本邦に不法入国することを防止する必要性もあると考えているところでございます。
○松岡徹君 そのよく違いが分からないんですね。特例法がありますから、特別永住者についての除外規定はそれを適用していると思うんですが、永住者とか定住外国人、先ほど大臣がおっしゃったように永住者の成り済まし、まあ確かにあるかもしれませんが、極端に言うたら、外国人だけではなしに日本人がパスポートを偽造して海外へ出る場合もあるわけですね。そういう意味では、それが理由というのですべての説明をしてしまうというのは私はおかしいと思うんですね。
 ですから、この違いは何なのか。これでいったら、永住者とか定住外国人は要するに危険性の対象として見てしまうということになります。かつて指紋押捺制度を廃止するときの廃止してほしいという外国人の思いは、まるで犯罪者のような扱いにされているようだというふうになるんですね。そういうようなことがあるんです。やっぱりその辺を考えると、この定住者がなぜ対象外にならないのか、この辺も根拠が非常に不鮮明な今回の法改正であるということを、改正案であるということを指摘しておきたいというふうに思っております。
 次に、生体情報として指紋を採取するわけですけれども、いろいろと技術が発達していきますが、私は指紋は必ずしも一〇〇%ではないというふうに思っています。指紋自身がテロリストのあるいは本人確認の一〇〇%ということではないということは科学的にも言われています。そのうちの何%かは、やはりそれで本人確認をするということは漏れる場合がある、あるいは間違う場合があるということも言われているんですね。しかし、顔写真よりも確率性は高いということは事実であろうというふうに思いますが、個人の識別情報について、今回は指紋というふうに言われていますけれども、識別するための生体情報というのは今後どんなことを考えておられるんですか。
○国務大臣(杉浦正健君) 生体情報認証技術は日進月歩であると承知しておりますが、それに応じて今後検討していくことになると思いますけれども、現時点では指紋及び顔写真以外は想定いたしておりません。
○松岡徹君 想定していないということでありますけれども、いろいろと法務省の方からも資料をいただきましたけれども、要するに、やっぱり指紋以外の生体情報を開発研究するとかというふうなこと、極端に言えばDNAまで行くんではないかというふうなね、まあDNAで出入国のときにどうやって本人確認するのかといったら非常に難しい話ですけれども、極端に言ったら、例えば静脈、手のひらの静脈というものの採取の仕方とか、いろいろ検討されているようです。
 私は、そのことが法務省令で定めていくということになっているんですね、今回の法改正で。やっぱりこれはね、今大臣おっしゃったように、やっぱり生体情報でありますから、しかもプライバシーや人権の問題にかかわってくる問題でありますから、そういう意味では、それを法務省令で定めるんではなくてやはり法令でしっかりと定義付けるべきだと、定めるべきだというふうに思いますけれども、いかがですか。
○国務大臣(杉浦正健君) 国民の権利義務に関するような規定を設けることは法律の専属的所管事項でございますが、これは一般的に行われていることですが、ある法律の中で一定事項についてその内容の決定を省令等に委任することは可能でございます。改正入管法で規定する法務省令は、このような法律の委任に基づく省令でございます。
 先生の御趣旨は、今回の法律で指紋と写真を個人識別情報の例示として規定した上で、将来生体情報認証技術が進展した場合に、同一性の確認とか要注意人物との照合という目的を達成するために最も適切な個人識別情報を省令で定めることができるように法律に委任規定を置いておるわけでございますが、それはまずいと、法律本体に書けということでございましょうが、技術の進歩や状況の変化に迅速かつ的確に対応する上で必要ではなかろうかと思っておるところでございます。例示として指紋及び写真を規定した上で委任しているものでありますから、適切であるというふうに考えております。
○松岡徹君 全然適切じゃないと思うんですよ。最初の議論をずっとやってきたら、指紋というものをどういうふうにとらえるか、すなわち生体情報、生体情報というのは、公共性とかやむにやまれぬ政府利益によって是非とも提供してほしいというのはやっぱり特定目的をするということは大事ですけれども、同時に、人権やプライバシーの問題としていうならば、個人の尊厳の侵害性の問題であるとか、あるいは私事性、すなわちこの個人の生体情報はその個人のものであるということなんですね。それを公共の利益のため、公共性のためにやむにやまれぬという部分があるんです。
 そういう意味では、何が優先されるかといったら、個人の情報なんですよ。それは個人のものなんです。だから、それを法務省令で勝手に、これまでは指紋やったけれども、今度は新しい技術ができたから今度は静脈でしましょうとか、まるで人間を物かのように扱うということはやっぱりこれは余り良くないというふうに思うんですよ。だから、せめて、これはこういうふうな意味で必要なんだと、だから義務として協力してほしい、だからこういうふうにしか使いませんということをちゃんと明示すれば、公共性という意味で皆さんは協力してくれる人もおるかもしれません。
 しかし、一方で、この生体情報自身が持つ人権あるいはプライバシー性を考えると、同時にそのことも配慮するということになるわけですから、やっぱりそれを省令でぽこぽこぽこぽこ変えられるようではなくて、やっぱり立法府である議会でしっかりと議論をして法律で定めていくということが我々の責任だというふうに思うんですけれども、大臣いかがですか。
○国務大臣(杉浦正健君) 現時点で外国人に提供を義務付ける個人識別情報といたしましては、指紋及び写真の二つしか想定しておりません。仮に将来その他の個人識別情報の提供の義務付けをしようとする場合にも、諸制度の制定に当たってはパブリックコメントの手続を取りますし、その他所要の手続を行って意見を広く聴取した上で、提出された意見を十分踏まえて省令で定めることとなっておりますので、恣意的に決定するということではないと存じます。
○松岡徹君 私たちは、立法府の所属している、国民に負託された代表者として、こんな無責任な決め方は私はできないというふうに申し上げておきたい。やはり法律でしっかりと決めるべきだというふうに申し上げておきたいと思います。
 時間の関係ありますので、次の質問に、全部いけるかどうか分かりませんが、最後に、実はこの改正で、衆議院でも議論になりましたが、出入国管理システムの刷新に係る調査分析業務とか、あるいは出入国管理業務、こういったものが例えば電子化されると、年間七百万人を超える外国人が日本に入国します。そのうちの短期滞在者というのは約五百万人ですね。毎年、大体そういうだけの量を入管局は保管し、データベースとして保管していかなあかんと。
 私は、先ほど、冒頭申し上げたように、この入管のこの法改正の趣旨は、出入国時における本人確認と、テロかあるいは不法入国者の防止のためだということからすれば、その不法入国者の対象者というのは一体だれなのか。すなわち強制退去をされた人たち三十万人とか、あるいはブラックリストに載っている何万人とか。
 テロの定義というのはまた後ほどに譲るとしまして、そうすると、七百万人のうちのもう圧倒的に多くの人たちは全く関係ないんですね。その時点で終わる、出国した段階でその役割は終えるんです。そうすると、その時点で少なくともその人たちの指紋の情報は、生体情報は消去すべきだというふうに思うんです。ところが、衆議院の法務委員会で河野副大臣は、そうではなくて八十年間ぐらい保有する必要があるとおっしゃっています。私は、そういう今までの議論の趣旨からすれば、その目的は達したんだから出国の時点で当然のように私は生体情報は消去すべきだと。
 ましてや、アメリカが唯一、アメリカに入国する外国人に対してすべて指紋を取っています。その制度をやるときに、日本政府はアメリカに対して、日本人が指紋を取られても出国するときには消去してほしいというふうにアメリカに申し入れているんです。日本はアメリカに対しては、出国するときに自分のところの国の国民の指紋データは消去してほしいと申し入れておきながら、今度日本でこんな制度をつくろうとしたときに八十年間も保有するというのはどういうことですか。
○副大臣(河野太郎君) 衆議院の法務委員会で何度も外務省から答弁ございましたように、日本政府がアメリカ政府に対して指紋の消去を申し入れたということはございません。
 日本でも、現実に、フランス国籍だったと思いますが、アルカイダの関係者である人間が国内に出入国を繰り返していたということが事後になって分かったということがございます。具体的にはフランス国籍のリオネル・デュモンという人物が偽造旅券で我が国に出入国を繰り返し、四年以上前にさかのぼってその出入国の事実を確認する必要が生じたというケースがございます。出国に際して指紋の消去をしてしまうと、そうしたことの確認に問題が生じることにもなりかねません。
 また、強制退去の処分を受けた人間、一度出国をして、その名前あるいはその旅券では再入国を認められないわけでございますから、当然そうした人間が日本に身分を偽って次に入ってくる可能性は大でございます。現実に、先ほど申しましたとおり、退去強制処分を受けた人間の八人に一人はリピーターでございまして、これは本来、入管局が水際で止めなければならなかったわけでございますが、パスポートが別な国のものであったりという理由で入れてしまった、そういうケースがございます。
 そういうことを考えますと、一度入ってきた人間の指紋をきちんと保管をして、別なパスポート、別な身分を偽って入ってきたときに、その人間が過去退去強制処分を受けているかどうかの確認をやはり指紋でやらざるを得ないというのが現実でございます。現に、不法入国をしてきた外国人が、たしか総数の二、三%だと思いますが、そうした人間が日本で殺人その他重大な犯罪を起こしていることを考えると、やはりしっかり水際で止める体制というのをつくり上げるというのは大変大切なことだというふうに認識をしております。
 そうしたことを考えますと、出国した際にすべての指紋を消去してしまえば、次に別なパスポートで入ってこようとしたときにそれを止めるすべはないわけでございます。ですから、一度出国した人間の指紋であっても所要の期間それを保持することは非常に大切なことだと思っております。
 十六歳以上の人間から指紋の提供を受けるわけでございますから、人間の平均寿命ということを考えれば、理論的に七、八十年以上その指紋を保有する必要はないわけであります。どこまでの期間その指紋を保有をするかということはシステムをスタートさせてからしっかり議論をして決めてまいりたいというふうに考えております。
○松岡徹君 その理屈は私はちょっとおかしいなと思うんですね。要するに、強制退去者というものは当然のように情報として保管しているわけでしょう。その分だけを保管すればいいんですよ。それ以外に、それに掛からなかった人たちは出国した時点で消しゃいいんですよ。その人たちの分までなぜ八十年間も保管せなあかぬのかというのがちょっと理屈に合わないんですね。
 これはそういう方法を取り入れた場合の話でありますが、まあ時間もありませんので申し上げたいと思いますが、実はこういうシステムをやる場合、一体どれぐらいのお金が掛かるのかということが大変気になっています。しかし、それを算出するデータが全然出ていませんので、やっぱりこれはしっかりと議論しなくてはならないと思います。
 衆議院でも議論しましたけども、このシステム化するための委託業者にアクセンチュアという会社が幾つかのこれに関連する調査あるいは検討の業務を委託しています。昨年の段階では、このアクセンチュアはわずか十万円で、次世代の出入国審査プロトタイプシステムの実証実験・試行運用の運営というのを十万円で入札しているんですね。そういう意味では、このアクセンチュアという株式会社はどこの会社なのかということを申し上げておきたいというふうに思います。
 これ、実はアメリカでも大変な問題になっている業者でございまして、これはバミューダに本社を置いているところであります。バミューダというのはタックスヘーブン、すなわち法人税の掛からないところなんです。アメリカでも、アメリカの議会でも、アメリカがこういう指紋の入国管理システムを導入して、US―VISITですね、それを請け負ったのがこのアクセンチュアなんです。このアクセンチュアがそれで十年間で一兆円の仕事を請け負ったというふうに言われています。このアクセンチュアが実は日本のこのシステムについての検討、運用についての検討を調査する仕事を十万円で請け負ったり、調査事業を五千八百万とかで請け負ったりしています。
 私は、ここでアメリカの連邦議会の予算委員会でも議論がありまして、このアクセンチュアというのは、要するにバミューダに本拠を置いてアメリカに子会社をつくっていますけれども、アメリカへの納税額は二〇〇二年から二〇〇三年にかけて三億八千二百万ドルから一億四千三百万ドルに減少しているのに対して、アメリカからの売上げは二千四百七十三億ドルから五千六百六十九億ドルに増加しているとか、そういったことが問題なんですよ。最後には、こういった国土安全保障にかかわる問題をこういった外国会社に委託するのはおかしいんではないかということがアメリカの連邦議会の予算委員会等でも議論になっているんですね。
 私がもう一つ心配するのは、そういう意味では、私たちのこの入国のテロ防止とか不法入国者の水際の対策をするということは、正に日本の国土の安全、国民の命を守り、安全を確保するためと、こういった事業をこのような企業に委託するということはどうなのかということがありますが、まだ今本体事業は委託しているわけではありません。十万円で入札したということは、それの何か道筋を付けられたかのような気はするんですが、決してそうではないと思いますが。
 こういったことと同時に、この会社は、アクセンチュアがアメリカのUS―VISIT、同じやつですね、これについても請け負っています。十年間で一兆円というふうに言われています。これが、実はここにそのアクセンチュアに法務省が委託した出入国管理システム刷新可能性調査報告書というのがアクセンチュアの方から出てきている資料があります。このときに、わずか十万円でこのアクセンチュアがこの事業を入札したときに、本当に十万円でできるのかといえば、実は法務省はそのときにこういうふうに答えているんですね。
 契約業者は、海外機関での生体情報認証技術を利用したシステムの設計、開発、プロジェクト管理を行った際の成果及びノウハウを活用する、すなわち海外機関での生体情報認証技術、これを持っている海外の国はどこやといったらアメリカなんですね、アメリカしかないんです、アメリカしかやっていないからです。すなわち、US―VISITですよ。その技術のノウハウを持っているからそれを活用する。すなわち、アメリカのUS―VISITと同じようなやり方でこの報告書が上がっている。こういうことを、しかもその額は、それからいうと、アメリカでは十年間で一兆円、日本がこういったことからすると、一体このシステム化した場合、どれだけのお金が掛かるのかという資料が全く我々には届いていません。
 時間の関係でもう質疑は次に譲りたいと思いますが、それと同時にあわせて、法務省には法務省の情報化統括責任者、これは各省におるそうでありますから、CIOというのがあります。そこが次々とCIO決定という文書を出していっています。最近の新しいのでは今年の三月三十一日、「出入国管理業務の業務・システム最適化計画」というのが法務省情報化統括責任者、CIO決定というふうな文書、すごい文書が出ています。
 我々自身が、このシステム自身、先ほども申し上げたように指紋、生体情報の取得の仕方が本当に指紋だけなのか、あるいは静脈まで考えているんではないのかとか、その管理したものが出入国だけに使われるのか、そうではなくて在留外国人の管理のために使われるんではないかと、あるいは犯罪捜査のために活用されるんではないかと、あるいはアクセンチュアのようにアメリカのUS―VISITのシステムと統合されてアメリカにも情報が流れるんではないか、海外への情報の提供の在り方とかいうことも非常に心配するんです。このCIO決定の文書を見たら、そういうことも将来的には可能性をにおわすことが書かれています。本当にそういうところまで道を開くようなことになるということになるならば、もっとしっかりと議論をしなくてはならないと思うんですね。
 そういう意味では、私は、この今回の法改正についてはもっと慎重な議論と、もう一つ最後に申し上げておきますが、衆議院の我が党の方でそういった資料要求をしたときに、わずか三ページぐらいのペーパーしか来なくて、そして採決された後に、その後に法務省のホームページでこういう資料がばっとアップされていっているということがあります。そういう意味では、事前のこの入管法改正の議論をするための基礎資料といいますか、検討するべき資料が全部整っていないということからして慎重な資料要求を改めてさせていただきたい、委員長の方で取り計らいをお願いを申し上げたいと思います。
○委員長(弘友和夫君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をしたいと思います。
○松岡徹君 もう私の時間を過ぎてしまいましたので、一応これで終わりたいと思います。ありがとうございました。
○千葉景子君 松岡議員に引き続きまして、民主党・新緑風会の千葉景子でございます。限られた時間でございますので、少し論点を絞って質問をさせていただきたいというふうに思います。
 まず、今回改めて整備をされたといいますか、新しく手続が加わりました退去強制手続について、お尋ねをしたいというふうに思います。
 まず、この退去強制手続、二十四条三号の二、ここに新しい退去強制理由といいますかね、の規定が設けられました。これは、先ほどこれ既に谷川委員からも指摘がございましたように、非常に漠然とした、そして幅のある条文になっております。全部読みませんけれども、云々かんぬん、おそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者ということですから、これなかなか実際にどういう者がこれに該当するのかというのをなかなか予測しにくい、何でも当てはまるんでないかというふうにも思えてしまうわけで、少し具体的に、例えばこういうことが予測されるということがございますれば、御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 改正案の二十四条三号の二の関係でございますが、これはいわゆるテロ対策の資金法というのがございましてですね、テロ行為、テロリストに対して資金提供する者についてこれを罰則の対象にするという法律ございますが、これを今回の改正入管法では引用した形で規定を置いておるわけでございますが、ここに言います公衆等脅迫目的の犯罪行為というのは、公衆又は国若しくは地方公共団体若しくは外国政府等を脅迫する目的を持って行われる犯罪行為であって、殺傷行為ですとか誘拐行為など、また二つ目のパターンとしましては、航行中の航空機や船舶の航行に危険を生じさせる行為ですとか、これらの強取行為、航空機又は船舶の破壊行為など、それから三つ目のパターンといたしまして、電車等の公用又は公衆の利用に供する運送用の車両、道路等の公衆の利用に供する施設、燃料関連施設を含む基盤施設、その他の建造物の破壊行為をいうと、こういうふうになっておるわけであります。
 具体的に、じゃ、どんなケースがこういうものに当たり、その予備行為のおそれがあるのか、又はこれと認定できるのかということでありますが、もうこれは仮定の話でありますので、なかなか説明がちょっと難しいわけでありますが、まず、公衆等脅迫目的の犯罪行為の予備行為につきましては、公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行を目的としてなされる準備行為であります。例えば、当該実行の目的で、武器ですとか弾薬、車両、船舶の調達や資金の収集などをする行為がこれに該当するというふうに考えられるわけであります。それから、公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行を容易にする行為と申しますのは、他人による公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行を援助し容易にさせる行為でありまして、例えば、武器、弾薬、車両、船舶の調達や資金の提供等をする行為がこれに該当するというふうに考えるわけであります。
 この法案におきましては、公衆等脅迫目的の犯罪行為等を行うおそれということで、このおそれをもって認定ができるということとなりますが、このおそれの認定につきましては個々のケースに応じて慎重に当然行うことになるわけでありまして、なかなか具体的にこういうケースというのを現時点で申し上げるのはちょっとどうかと思うんです。
 まず一般論として想定されるケースで例を挙げてみますと、例えば国際テロ組織のメンバーが爆弾テロを起こそうとして我が国に入国するという情報があった場合、これに基づきまして認定をするというような場合でございますが、我が国で爆弾を仕掛けることとなっている者は、これは正に公衆等脅迫目的の犯罪行為を行うおそれがある者ということになるわけであります。これから行おうとしている計画を持っているという意味で行うおそれがある者と。我が国では爆弾の製造に必要な部品の調達のみを行い、出国後に海外で実行しようとしている者もあり得るわけであります。こういう者につきましては公衆等脅迫目的の犯罪行為の予備行為を行うおそれがある者と、こういう認定になろうかと思います。また、我が国で他のテロリストのために資金を収集しようとしている者は公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行を容易にする行為を行うおそれがある者と、こういう認定になろうかというふうに思います。
○千葉景子君 今説明をいただきましたけれども、本当に、何というんでしょうね、非常にあいまいというか、幅広と。例えば、武器の調達をしたとか資金の調達をしたということであれば、それはそれ、一つの兆候があるわけですけれども、今聞くと、それの更にまたおそれがあるということですから、まあ何かよく分かんないけれども、どうも計画を練っているらしいとか、何かそれで直ちにこの要件に該当しかねないということになるんではないかというふうに私は危惧いたします。
 そういう意味では、やっぱりここは、本来そういう実行の予備行為があったとか、おそれがあると認めるに足りる、相当というかおそれが明らかだとか、そういう絞りを掛けて、これ退去強制事由ですからね、やっぱり身分にかかわるわけですから、本来そういう明確化をもっとすべき条項ではないかというふうに思います。非常にこれだと幅広く行為を、あるいは場合によると行為そのものよりもまあ言わば内心ですね、そういうところまでをもやっぱり縛るということにもなりかねないのではないかというふうに思います。
 どうですか。この辺はもう少し明らかにそういうおそれがある、こういうような要件に本来すべきものではないかなというふうに思いますけれども、その点はどうお考えですか。
○政府参考人(三浦正晴君) 委員御指摘のようなお考えもあろうかと思いますが、我々といたしましてはテロの未然防止ということが最も重要でございます。そうしますと、正にその予備行為まで至っていくということになりますと、これはまあ形態にもよりますが、例えば爆弾の予備行為をすれば、これは正にそのもの自体が犯罪になるわけでございますので、当然それはもう刑事手続の範疇に入ってくるだろうというように思います。それを前段階でやはり何とか国の安全を守る措置を講ずる。そのためには入国はしてもらわない、もし日本国内にいることが分かれば国外に出ていっていただくということをやはりやらざるを得ないというふうに考えております。
 それで、今御指摘のように、行うおそれのある者と認めるに足りる相当の理由のある者というのが抽象的な規定ぶりであるという御指摘でございますが、実はこのような用例というのは入管法も含めて他の法令にもたくさんございまして、ある程度もう確立した書き方になっておるわけでございます。
 おそれがあるという言葉の解釈としては、望ましくない事実が生ずる可能性があると、こういう意味に解されるわけであります。また、相当の理由があるという文言は、社会通念上、客観的に見て合理的なふさわしい理由があると、こういうことでありまして、したがいまして、おそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者という要件は十分明確であるというわけでありまして、恣意的な運用のおそれはないというふうに考えております。また、そういう観点から、先ほど申し上げましたように、国民の生命と安全を守るためのテロの未然防止という本改正案の主な目的にも適合するものであろうと考えておる次第であります。
○千葉景子君 ここは議論になってしまうところだと思いますけれども、恣意的な運用がなされないようにするためにも、逆にここが、おそれがあると認めるに足りる明白な、明らかな理由というようなことにしておけば、より認定をするときにも基準が、まあ少しではありますけれどもきちっとしたものになるというふうに思いますが、そう申し上げておきたいというふうに思います。
 さらに、この問題点は、そういう理由がある者というだけではなくて、これを法務大臣がそういう者であるということを認定をするという仕組みになっております。さて、この認定、法務大臣がされるということになるわけですけれども、これ、実際に認定に当たっては、具体的にはどうやって認定するんですか。例えば、認定するにはいろんな調査をしたりしなければいけないというふうに思われますけれども、そういうことはどういう形で行われるのでしょうか。この認定の手続ですね、認定のやり方、これについて御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(三浦正晴君) お答えいたします。
 本改正法案の規定によりますと、法務大臣が外国人テロリストの認定を行う場合には、第二十四条の二第一項の規定によりまして、必ず外務大臣、警察庁長官、公安調査庁長官及び海上保安庁長官の意見を聴くことが義務付けられているわけであります。これらの機関、省庁はテロの未然防止に関する所掌事務を有するわけでありまして、テロリスト及びテロ行為に関し高度の専門性と独自の調査権限を有しているわけでございますから、外国人テロリストの認定をするために必要な知見、情報を法務大臣に提供していただくことができるものと考えております。
 なお、法務省はテロリスト及びテロ行為に関する高度の専門性や独自の調査権限を有していない、この場合の法務省は入管でございますが、入管としてはそういう調査権限を有しているものではございませんので、原則として関係省庁から必要な知見ですとか情報を提供していただきまして、そこで議論を尽くした上で認定作業を行うということになるわけでございます。
 認定に係る具体的な手続につきましては、今後この法案が成立したといたしますと、それに基づきまして関係省庁とも協議して決定をしていくことになるわけでありますけれども、これらの省庁から十分に意見を聴きまして、その根拠として提供される証拠や資料を十分踏まえまして、慎重に相当の判断をするような仕組みを構築していくこととしておるところでございます。
○千葉景子君 今、各関係省庁から意見を聴いて認定をするということですけれども、独自のその情報を得て独自に調査をするというようなことはなさらないということのようでございます。そういう調査権限はないということですけれども、それで本当に大臣としてきちっとした認定、適正な認定というのが本当にできるんでしょうか。私は、これ、新しくやっぱり法務大臣としてその認定をするという、そういう、まあこれがどういう行為に当たるかはちょっと後ほどお聞きをいたしますけれども、そういう決定を法務大臣がなされるということを導入するわけですね。それについて全く、法務大臣の下で調査をするとか、そういう権限も持たずしてこういう認定をされるというのは非常に不思議な感じもしますし、それから的確な本当に認定ができるのかということを大変私は疑問に思いますけれども、大臣、どうですか、これ、大臣がされることになるわけですけれども、こういう、自分の下で調査もできないと、こういう形で的確な認定ができるというふうに思われますか。大臣、いかがですか。
○国務大臣(杉浦正健君) 関係省庁の意見を聴いて処分することになるわけでありますが、法律制定後関係省庁とよく協議をいたしまして、適正な措置がとれるような手続を相談してまいりたいと、そう思っております。
○千葉景子君 これ法律で、その退去強制事由の要件なんですよね。しかも、それを法務大臣として認定をするという作業をしなきゃいけないと。これからそれをどうやってやるかというのを相談しようというのはこれ極めて非常に、大臣として大丈夫なのかなというふうに思います。むしろ大臣が、いやいや自分の下で調査をするような権限があれば的確な判断もできるのではないかというのであれば分かるんですけれども、いやこれから相談しますというのでは、私は本当にこれから先心配をいたします。
 そこで更にお聞きをするんですけれども、じゃこの認定というのは一体どういう行為に当たるんでしょうか。要するに行政処分というふうに考えればいいんですか、それともそうじゃない全く単なる事実的な行為ということになるんですか、そこは、法的な性格について明らかにしていただきたいと思います。
○政府参考人(三浦正晴君) 御質問の趣旨は法務大臣の認定が行政処分に当たるかどうかと、こういう御趣旨だろうというふうに思います。
 判例によりますと、行政庁の処分とは、行政庁の法令に基づく行為のすべてを意味するものではなく、公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち、その行為によって直接国民の権利義務を形成し、又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいうものであると、こういうふうに最高裁の判例は言っておるわけであります。
 今回の改正案に入っております法務大臣のテロリストの認定につきましては、退去強制手続、具体的に認定された者につきまして退去強制手続が取られて初めて退去強制が行われるという効果が生ずるわけでありまして、認定自体が外国人の権利ないし法律上の地位に直接影響を及ぼすというふうには認められませんので、認定それ自体は行政処分ではないというふうに考えております。
○千葉景子君 これが直接その身分にかかわるものではないから行政処分ではない、処分性がないということですけれども、しかし退去強制を受け得るそういう立場だという認定を受けるわけですよね。そういう意味では、やっぱりその権利義務に大きくかかわるわけでして、それが行政処分ではない、しかもその認定に当たっては特段に調査をする権限も持たないという、本当に何か極めておかしなこれ仕組みだなというふうに思うんですね。
 行政処分ではないということになりますと、例えば法務大臣が認定をしたということについて何か、いやそれは違うと不服を申し立てるとか、あるいはそもそもその認定されたぞということをきちっと告知されるとか、そういうことも全くないというふうに考えたらいいんですか。そこはどうでしょう。
○政府参考人(三浦正晴君) まず、後半の告知、本人に認定した場合に告知をするかどうかという点についてでございますけれども、今回の改正法案におけるテロリストの認定につきましては、被認定者個人ですね、その者、認定された外国人個人について退去を強制するための制度でございます。その認定によりまして、本人を介して第三者に何か法律上の効果を及ぼすというような性質のものではないわけでありますので、本人を特定して告示をするですとか、本人への通知が必要不可欠であるとは言えないと考えております。
 また、この認定につきましては関係省庁間の協議の結果で行われるわけでありますけれども、先ほど申し上げましたとおりでありますが、その内容につきましては、秘密保持の観点から、外部に開示しないことが望ましい場合が多いというふうに思われます。常に公表や通知を要するものとした場合には、被認定者たる外国人テロリストですとか、その者の関係するテロ組織を利するということにもなりかねないわけでありますので、ひいては我が国国民の利益にも国際社会の利益にも合致しないという事態を生じせしめる可能性があるわけであります。このような事情から、認定については法務大臣による告示その他の方法による公表や通知を義務付けるという規定は置いていないわけであります。
 ただ、公表をおよそ全くしないかと、こういうふうにお尋ねになられますと、これはやっぱり個別の判断というものがあり得るんだろうというふうに考えております。公表の可否に関する判断基準につきましては、個別の事案に応じて様々な利害得失が考えられるわけでありまして、現時点ですべてを申し上げることはなかなか難しいわけでありますけれども、これ、一般論として申し上げますと、認定の結果を公表することとしないことのどちらが公益に資するかという観点から検討をすべきであろうというふうに思っております。
 例えば、諸外国が既にテロリストであるというふうに認定して公表している外国人テロリストにつきまして、我が国としても、これが今回の改正法の規定の趣旨に従って同様の認定をした場合に、これは公表することによりまして、むしろ我が国としてもテロ対策を真剣に行っているということで国際的な連携を示すという意味が出てくるケースもあるんだろうというふうに思います。他方、ICPO、インターポールから非公表を前提に手配されているような外国人テロリストもあるわけでありまして、こういう者につきまして、我が国がこの者をテロリストとして認定したような場合を考えますと、これを公表することによりまして当該本人にインターポールの手配情報を提供するような結果になってしまうわけであります。これを利用されてどこかに雲隠れされるというケースもあり得るわけですので、公表は相当でないようなケースだろうというふうに思います。
 このように、個々に検討をしていくべきものだろうというふうに考えております。
○千葉景子君 私は、この問題は、個々に公益的な立場から取捨選択していくということではなくして、やっぱりその人の身分にかかわるということであるとすれば、やっぱり適正手続というものをきちっと考えなければいけないだろうというふうに思うんですね。
 もうそれは、認定をしたと、通知をしたらひょっとしたら逃げてしまうかもしれないと、通知をされたら、じゃこの際、もう言われたんだからテロ行為でも起こすかと、こういうことになってしまうかとか、いろんなことを恐れているのかもしれませんけれども、逆に言えば、一人一人の人間の身分にかかわるときにやっぱりきちっとした適正な手続を経ると。認定すること自体はそれはあり得ると思うんです。ただ、それに対してやっぱり告知をする、聴聞の機会を与える、こういうことがやっぱり本来の人権保障であり民主主義の原点だというふうに思うんです。
 今のお話ですと、今日ちょっと私の作らせていただいた資料をお配りしていますけれども、この法務大臣によるテロ関係者の認定手続、ここの段階では認定の通知というのが特段されるわけでもない。それから、これに対して、そういうことになれば何か物を申すというような機会はないということになるわけですね。そうすると、自分が知らない形で認定をされていると。いやいや、これについては異議がある、不服を申し立てたい、何でこんなことになっているんだというようなことはどこでどうやって申し立てればいいんですか。一切そういう不服の申立て、異議の申立てのようなことは、じゃできないというふうに考えられるんですか。
 先ほど、行政処分ではないというわけですから、行政不服審査とかいうことにもかからないわけですよね。そうすると、どうやって、自分の身分を明らかにしたい、あるいはその疑念を晴らしたいというその手だてというのは全然なくなってしまうんじゃないでしょうか。そこはどうですか。
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 その前に、先ほどの御質問の前半部分について私ちょっとお答えを失念したような気もしております。
 いわゆる認定されたことに対する不服の申立ての趣旨の御質問があったかというふうに記憶しておりますが、これは、先ほども申し上げましたように、処分性がないということからいたしますと、行政不服審査法上の不服申立てですとか認定に対する取消し訴訟の提起はできないというふうに私どもは理解しております。
 なお、行政不服審査法には、そもそも外国人の出入国又は帰化に関する処分は不服審査法の適用除外であるという規定がございます。
 それから、今の御質問でございますが、最終的には、当該認定された本人が日本に来たケースでこれが発見されますと退去強制手続が取られるわけでございます。これは正に行政処分そのものでございます。その手続の中で、本人は当然自己の主張ができるわけであります。
 まず、警備官、委員がお作りになった資料にも流れが、図が載っておりますが、警備官の方で摘発をして、その後、審査官の方で違反の調査をし、最終的には法務大臣に対して異議の申出までできるという現行の退去強制手続の不服申立ての制度がそのままテロリストと認定された人に対しても当てはまる。つまり、その手続については、テロリストと認定された者について特別のものを新たに設けるわけではございませんで、現行の一般の、オーバーステイの方々ですとか不法就労の方々で退去強制手続の対象になった人が取られる手続と同じことになるわけであります。
 その中で、言わば三審制のような形になるわけでありますが、当然に、本人が自分に対する認定は不当であるという主張はそこで十分可能であります。それに対して入管当局としては、いや、そうではない、認定は正しいんだということを証拠によって立証していくという、こういう流れになるんだろうと思っております。
○千葉景子君 今の御説明でいきますと、認定がされた、しかしそれは直接には通知はされない、そうすると、ある日突然かもしれませんけれども、退去強制手続の流れの上に乗せられると。突然、あなたは退去強制事由があるからといって収容をされるというようなことが起こるわけですよね。その退去強制手続の中で問題があれば、あるいは不服があれば申し立てられるということのようでございます。
 じゃ、現在の退去強制手続の中で本当にきちっとした理由が示され、それから、どういう根拠に基づいてその認定がされたんだというようなことについて十分に本当に弁明できるような機会が持てるだろうかと。
 それでは具体的に聞きますけれども、例えば認定理由、こういうことであなたはテロ関係者だと認定されたというようなことは、いつ、どの段階できちっと告知をされるんですか。それは書面で行われますか、口頭で示されるのですか。それはいつですか。
 もしこの図で御利用いただけるのであれば御活用いただきたいと思います。
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 委員のお作りになりました、非常に分かりやすい一枚目の図の方を利用させていただいて御説明したいと思いますが、入管法の規定によりますと、退去強制事由に該当する外国人につきましては、まず入国警備官が、これは違反であると、退去強制事由に当たると考えた場合には、警備官による違反調査、摘発が行われまして、身柄を収容する際には収容令書、これは主任審査官という立場の者がおりますが、これが発する収容令書によって警備官が身柄を収容すると、こういうシステムになっておるわけでございます。
 この収容令書には容疑事実の要旨を記載しなければならないことになっています。これは入管法の四十条に規定がございます。また、警備官が収容令書により容疑者を収容しますときには、収容令書を容疑者に示さなければならないという規定が入管法の四十二条一項にございます。これは、その収容が有効な収容令書に基づく適法なものであるということを示すと同時に、容疑者に速やかに収容の理由を知らしめて、弁解、防御を容易ならしめる趣旨に基づくものでございます。したがいまして、収容令書の容疑事実の要旨は、その趣旨を踏まえ、容疑事実をできる限り具体的に特定して記載すべきものでありまして、実務上もそのように運用がされているところであります。
 この点につきましては、今回の改正法に基づいて認定されるテロリストが退去強制の手続に乗った場合にも同様でございます。当該テロリストが行うおそれがあると認める行為をできる限り具体的に特定して記載することになるわけでございます。
 他方で、法務大臣が認める行為というのは、過去に実際に行われたものではございません。刑事事件の裁判と違いまして、言わばこれから行われるおそれがあるということで認定をするわけでございますので、将来において容疑者が行うおそれがある行為ということになります。
 したがいまして、事案によっては、将来例えば爆弾テロを行うおそれがあるといっても、具体的に何月何日にどこでどんな方法で行うかということを具体的に特定できないようなケースもあり得るんだろうと思います。例えば、容疑者が爆弾テロをやるというかなり疑いがあるというのでこれを認定をする必要があるということであっても、どうも実際にどこをねらっているのか分からないというようなケースが想定されるんだと思います。そのようなケースにつきましても、容疑者に速やかに収容の理由を知らしめまして、弁解や防御を容易ならしめるという趣旨を踏まえまして、容疑事実については事案に応じましてできる限り具体的に特定して記載すべきものであると考えます。実際の運用もそのようにしていく所存でございます。
 御指摘の認定の理由でありますけれども、理由というのは容疑事実そのものではないわけでありますので、入管法上これを収容令書の容疑事実として記載すべきものとはされてないわけでありますけれども、認定されたテロリストにつきましても、収容令書に認定の理由を記載することは義務付けられてはおりませんけれども、通常、先ほど申し上げましたように、容疑事実をできる限り特定して記載するということにいたしますので、それに基づいた容疑者の弁解、防御は可能であるというふうに考えております。
 なお、その容疑者の弁解、防御のための必要かつ相当な範囲で認定の根拠を容疑事実の要旨に記載することが望ましい場合もあり得るわけですので、事案によっては運用上このような配慮もしたいと考えておるところでございます。
 それから、実際にその退去強制手続の中で、当然一方的に入管側の認定を容疑者に押し付けるわけではございませんで、今申し上げましたように、本人の主張があれば当然これは聞くわけでありますし、それに対して入管としてはこういう理由であなたに容疑事実があると認めたんですよという説明をすることに実務上なっております。この委員のお作りいただいた表でいきますと、入国審査官による違反調査ですとか、それに対する異議申入れの、異議審の特別審理官による口頭審理と、こういう手続におきまして具体的に入国審査官や特別審理官が容疑者を調べる、インタビューする場合にどんな方法で手続を取るかということが、私どもの内部の大臣訓令でございますが、違反審判規定というものを作っておりまして、これで決めておる部分がございますので、若干御紹介したいと思います。
 これが当然テロリストと認定された……
○千葉景子君 時間ないから、また。
○政府参考人(三浦正晴君) よろしいですか。
○千葉景子君 もう時間なので、もう今日この程度にしかできませんけれども、この流れ見ると、本当に、新しい認定という行為を入れる、それによって、これ何しろテロリストのおそれがあるというふうに、そういうものだというふうにされるわけですからね。それにもかかわらず、それに対するきちっとしたやっぱり適正手続という部分が非常に私は欠けているというふうに思うんです。
 退去強制手続の流れの中でと言いますけれども、この退去強制手続そのものも現状ではなかなか具体的な理由あるいは証拠の開示、こういうものが十分にやっぱりされていないというのが現状なんですよ。
 それは、この退去強制手続の性格がそうなんだと、法的な性格がそうだといえばそうなんですけれども、やっぱり具体的にそれだけの非常に不安定な身分を強制されるということですから、それに対する実質的な告知、聴聞、そして適正な手続と、こういうところをもう一度私は考えていく必要があるのではないかというふうに思います。
 それについては、ちょっと時間になりましたので、また、この続き等々含めまして今後の議論にまた続けたいというふうに思いますので、御準備のほどをまたお願いをして、終わらせていただきたいと思います。
○委員長(弘友和夫君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時二十七分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十分開会
○委員長(弘友和夫君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○木庭健太郎君 それでは、午前に引き続いて、出入国管理及び難民認定法の一部改正案について質疑をいたしたいと思っております。
 午前中から議論があるように、今回の法律はテロ対策という意味で一つの方法として是非とも導入をするという趣旨での法改正だと思っております。ただ、これも議論があるところですが、人権、そういったものにどれだけ配慮しながらそういったことができるかということが大きな焦点になっていると私たちも認識しておりますが、ともかく、現状のような状況の中で、国際社会の中で必要な法律であろう、改正であろうと、こう認識した上で質問をいたしたいと思います。
 まず最初に、偽造旅券を使用したテロリストの入国事案そのものをお聞きしたいんですけれども、問題になっているのは、テロリストは本名では来日しないで、偽造旅券、変造旅券を使用することが多いというような指摘もございました。午前中、少し例が出されておりましたが、実際にこの偽造旅券を使って我が国に入国したテロリストの事案について、どんな事案があって、こんなことがあったんだよというような点がありましたらまず御紹介をしていただきたいと思います。
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 テロリストが偽変造旅券によりまして本邦を出入りしていたという事案の具体例といたしまして、午前中もちょっと議論で出てまいりましたが、フランス国籍でアルカイダ関係者であるリオネル・デュモンという男の例がございました。このデュモンは、二〇〇三年の十二月にドイツで爆弾テロ未遂容疑などで逮捕されたわけでありますが、その後の取調べで、一九九九年の九月以降二〇〇三年九月まで、四年間にわたりまして偽造旅券を行使して六回にわたり本邦への入国を繰り返していたことが事後に判明したわけであります。なお、デュモンの場合は使用した偽造旅券に関する情報が事後的に得られましたため、法務省の入管局といたしましてはその偽造旅券上の氏名などの情報を頼りに事後的に不正な出入国状況の解明に努めたものであります。
 以上でございます。
○木庭健太郎君 近年、そういった上陸検査において発見した偽造又は変造旅券、この数はどれくらいになるかをお伺いしておきたいし、また、入国管理局におけるこの偽造、変造文書というか、こういったものに対して現状はどうなっているのかと。一方の議論で、それがきちんとできれば今回のような法改正は要らないんじゃないかという議論もあるわけでございまして、その辺を含めて、数の問題、さらに対策の問題をお伺いしておきたいと思います。
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 上陸審査時に発見された偽変造旅券の数でございますが、暦年の統計で三年分を申し上げますと、平成十五年は千五百六十一件でございました。それが翌平成十六年になりますと千十一件、昨年、平成十七年は八百三十四件というふうに推移しておりまして、平成十五年以降減少傾向にございます。
 なお、偽変造旅券の手口でございますが、一番多いのが写真の張り替えでございます。二番目が成り済ましということで、他人の旅券を使いまして、顔とか年格好の似た人の旅券などを使ってその人物に成り済まして入ってくるというケース。それから、三番目に多いのが身分事項のページを差し替えて持ってくるといったケースになっております。
 当局におきます対策の現状についてでございますけれども、従来から配備をしておりました文書鑑識の機器がございます。これに加えまして、平成十六年度にはインクの性質等を分析する光学的な検査機器を成田、関西、中部、福岡の各空港に配備いたしまして、機器の充実を図ったところであります。また、成田、関西、中部の各空港には偽変造文書対策室を設けまして、専門的に文書鑑識業務に従事する職員を配置しております。さらに、この対策室の指導によりまして職員への文書鑑識研修を随時実施している状況にございます。
○木庭健太郎君 そこで、今回、こういったテロの未然防止対策の一つとして、是非とも、個人識別情報、特に指紋を提供させるという、上陸審査に際してこういうことを決めたわけでございますが、改めて大臣になぜこの指紋を提供させるのか、その効果ですね、テロの未然防止対策の中で正にこれが一つの決め手となるか、大きな効果があるという判断なんだろうと思いますが、その辺含めて、大臣からきちんと御答弁をいただいておきたいと思います。
○国務大臣(杉浦正健君) 今回の改正によりまして、成立させていただいた場合には、テロを未然に防止し、ひいては我が国国民の生命と財産、安全を守るために大きな効果が期待できるものと考えておる次第でございます。
 今回の改正は、この委員会でも先ほど来御説明申し上げましたように、平成十六年十二月に策定されました政府のテロの未然防止に関する行動計画を踏まえ、上陸審査において外国人に指紋等の個人識別情報の提供を義務付ける制度を導入するものでございます。
 特に指紋の提供を義務付けることによりまして、入国管理局が保有しております要注意人物リストの指紋情報との照合が可能となるために、より正確なチェックを行うことができることとなります。この要注意人物リストのデータベースには、外国人テロリストはもちろん、退去強制歴がある者、リピーターですとか、ICPO、インターポール手配者の指紋も登載されることになります。
 この新たな方策によりまして、外国人テロリスト等が偽変造旅券を不正に行使したような場合でも、その指紋があらかじめリストに掲載されていることで確実に発見することができるものと考えております。
○木庭健太郎君 そういう意味では、テロ防止対策という意味では何人たりともというような考え方になるんでしょうが、今回の法改正の中では万全を期すべきとおっしゃっている一方で、この個人識別情報の提供義務について一定の免除措置も設けていると。これはなぜこういった措置が設けられているか、この点についても御説明をいただいておきたいと思います。
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 今回の入管法の改正案によります個人識別情報の提供義務につきましては、テロの未然防止対策を主たる目的といたしまして、さらに、政府として取り組んでいる不法滞在者対策及び外国人犯罪対策にも資するものでありますことから、一切の例外なく、すべての外国人に対して情報の提供を義務付けるということが望ましいのではないかという考え方も理論上あるのかもしれません。しかしながら、新たな負担を強いるということでもありますので、必ずしも必要ない部分についてはある程度の除外事由を設けることもまた合理的であろうというふうに考えるわけであります。
 改正案では、テロリストの危険性の程度が非常に低いと思われる者ということと、それから配慮の必要性が高いというこの二つを基準といたしまして、一定の類型に属する外国人を指紋、顔情報の採取の義務免除者として規定しているところでございます。これは、テロ未然防止策の目的を踏まえつつ、規制の必要性及び相当性について総合的に考慮した結果でございまして、私どもとしましては、この改正案が妥当であるというふうに考えております。
 具体的な除外事由につきましては条文に記載されているとおりでございます。
○木庭健太郎君 そこで、これも議論が分かれたんですが、結局、特別永住者については、これは個人識別情報の提供義務が免除ですよね。これは、それこそ歴史的経過という意味で二つの歴史的経過の意味が私はあると思っています。もちろん、どういう立場でこの人たちが日本に永住しているかという、そういう歴史的経過の問題と、もう一つは指紋押捺の問題、この制度をめぐってこの方々とはいろんなことがございました。指紋押捺拒否闘争というのがあったのも事実でございます。そういったことも受け、また最高裁の判決も受けた中でこの指紋押捺という制度が日本においてはいったんは廃止されたという経過がある。これも極めて重要な歴史的経過なんだと思います。
 ただ、私が今回心配しているのは、これも議論ありましたが、特別永住者についてそうすることは私は当然のことだと思っておりますが、なぜ、だったら一方で特別永住者じゃない、でも永住を認めた方々とか、こういった方々についてなぜこちらの方は免除しないというふうにこの時点でまた差別化されるのかと。同じ永住者でありながら、歴史的経過の中だけで差別するということでは、これはとても納得ができるものではないような気もするんです。
 なおかつ申し上げたいのは、この永住者、特別永住者じゃない永住者の場合も、これは一定要件を満たして日本が永住者と認めた方々でございます。そういった意味では、先ほどおっしゃったテロの可能性が低いとか配慮の必要性という問題に関して言うならば、この方々をそこに含めても私は何らおかしくないような気もいたします。この辺、どんなふうになっているのか。特に、この永住者について免除しないということについて、もう少し具体的な説明が私は要ると思いますが、どうでしょうか。
○政府参考人(三浦正晴君) 特別永住者に係る事情については、今委員御指摘のとおりでございまして、私どももそのような観点を踏まえて識別情報提供義務の免除の対象としたわけでございます。特に、法的な地位といいますかその一層の安定化を図るために、平成三年に入管特例法が制定されまして、特別永住者の方々の在留資格その他について入管法の特例法が作られたわけでございます。
 その法律の中におきまして、特別永住者の方々につきましては、我が国に上陸をされる場合、これは普通、再入国許可を得て上陸をしてくるわけでありますが、上陸拒否事由への該当性の審査もする必要がないというふうに法律で規定されているわけでございますし、また退去強制の事由につきましても、例えば内乱罪でございますとか、内乱罪によって禁錮以上の刑に処せられた場合でございますとか、非常に重い刑罰を科されたような場合以外は退去強制の対象にならないというふうに極めて手厚くその地位が保障されているということであります。その背景は、先ほど委員御指摘のような状況があったという理解をしておるところでございます。
 ところが、一方で永住者につきましては、これは元々日本で生まれ育ったという方ではないわけでございまして、何らかの在留資格を持って外国から来られた方が一定期間、通常十年くらいでございますが、日本で平穏に暮らしていて永住の許可を得たというケースであるわけでございますので、言わば特別永住者の方々に比べますと歴史的な経緯というものはないわけでございまして、我が国との関係で。それから入管特例法の適用ももちろんないということでございます。そうしますと、確かに他の在留資格を持って日本に在留する方々に比べますと、在留期間の制限がないという意味では、永住者の方は長く日本に生活をするということが予定されているわけでありますが、特別永住者の方と比べるとやはり性質上、質が違うといいますか、かなり違った扱いになるんであろうというふうに私ども考えました。そうしますと、この免除をするかどうかという判断をする場合に、やはりそれ以外の在留資格の方々と同じような形で扱うのが合理的であろうという判断でございます。
 なお、これも先ほど、午前中にもちょっと御議論がありましたけれども、永住者に成り済まして外国人が不法に我が国に入ってくるというケースなどもかなりございますし、日本人の配偶者に成り済まして入ってくるというようなケースもかなり見られる状況になっておりますので、そういう観点からも、やはり永住者の方々についても指紋情報の提供を義務付ける必要があるんだろうというふうに考えておるところでございます。
○木庭健太郎君 それで、差別化されるというような一面をどう本当にきちんと解消できるのか。ある意味では、人権という意味でいくとこれがこれでよかったのかという疑問はやや残るところはやはりございます。そういう意味では、その辺はそういう方々に対する詳しい説明も要るでしょうし、また、やはり今後引き続き、今回はこの法律が通ったとしても、そういったものに対して要検討していく課題ではないかなという気が私はいたしておりますし、是非ともそこは、どういう考え方でもう一回整理をするか、本当にそれが実際に行った後差別化していくことにならないかといった視点も持って検討もし続けていただきたいなということを要望もしておきたいと思います。
 次は、国の行政機関という規定がございます。これは第六条第三項第四号の規定する国の行政機関というのがございますが、これは、規定しているこの国の行政機関というのはどこのことを指しているか、御説明ください。
○政府参考人(三浦正晴君) 今委員御質問の件は、国の行政機関の長が招聘する外国人については指紋等の情報の提供の義務を免除すると、こういう規定になっておるわけでありまして、その国の行政機関の意味でございますけれども、ここにあります国の行政機関と申しますのは、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律というものがございます。これも午前中に御議論があったところでございますが、この法律の第二条におきまして行政機関の定義が置かれております。この定義と同一のものでございます。
 この行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律の二条において定義されている行政機関というのは、我が国における行政機関を網羅しているというふうにされておりますので、すべての行政機関を網羅しているということになります。これは非常に数が多いわけでございますので、一々挙げていきますととても時間が足りないわけでございますが、例えば法律の規定に基づき内閣に置かれる機関ということで、例えば内閣法制局ですとか内閣官房がこれに当たるということになりましょうし、内閣府や宮内庁の設置法に規定する機関というようなことでいきますと、国家公安委員会ですとか公正取引委員会と、そういったものも入ると。あと国家行政組織法上の組織、これはいわゆる省庁でございます。そのほか、警察庁ですとか検察庁、会計検査院もこれに含まれるというふうに理解をされるわけでございます。
○木庭健太郎君 そのほか定めているのは、法務省令で、国の行政機関の長が招聘する者等に準ずる者として法務省令で定めるものについて指紋等の個人識別情報の提供義務を免除するということを言っておりますが、法務省令ではどのようなものを定めるのかということをお聞きしたい。
 つまり、これは何を言いたいかというと、結局、私たち、例えば国会、衆参ともにでございますが、よく議長が招待いたします。じゃ、これで招待して来日する外国議員団がいたとすると、議員外交のためにはそういったこともやるわけですよね。これは一体、来る議員、外国の議員、それから随行者、スタッフ、これは私はやっぱり、その準ずる者の規定がどうなるのか知りませんが、やはりそういった個人識別情報の提供義務をこういう人たちにも行うというのは、これはいささかどんなものかと考えますし、そういった意味ではこういった者は免除すべきだと考えておるんですが。
 ちょっと具体的な例も出しましたが、つまり法務省令でどのようなものを定めるのかというのをお聞きしたいし、さらに、こういった私が具体的に今申し上げたようなケースの場合どういう取扱いになるのか、御説明をいただいておきたいと思います。
○政府参考人(三浦正晴君) 委員の御指摘、誠にごもっともだというふうに思っております。
 要するに、国の行政機関の長が招聘する者に準ずる者として法務省令で定めるということでございますので、法律には書いていないけれども、これとほぼ同じような扱いをすべき方々というのがあり得るわけでして、そういうものについて規定を省令でする予定としております。
 現時点で想定しておりますものを申し上げますと、一つとしては、本邦において勤務する亜東関係協会の職員又は当該職員と同一の世帯に属する家族の構成員というものを一つ書くべきであろうと、こう考えております。それから二つ目として、駐日パレスチナ総代表部の職員又は当該職員と同一の世帯に属する家族の構成員というものをやはり規定すべきであろう。それから三つ目といたしまして、外交上の配慮を要するものとして外務大臣が身元保証を行う者というものを入れる予定としておるわけでございます。この三番目につきまして、委員先ほど御指摘がありました衆参の院の方で外国の方を招聘するというようなケースについては、外務大臣が身元保証するというところで担保をすることになると考えております。
 元々、このテロ対策という観点からいいますと、今回の入管法改正の趣旨にかんがみますと、究極的にはテロ対策は行政府が全責任を負うべきものであろうというふうに考えておりますので、そういった意味で、法律の本則では招聘の主体を国の行政機関の長という形で書かせていただいております。そういう観点からしますと、衆参の両院の議長や最高裁判所の長官がここに入っておりませんので、この方々が招聘する対象者というのが法律上は個人識別情報提供義務の免除事由というふうになっていないわけでございますが、実質としては、正に委員が御指摘のとおり、こういう方々についてはやはり義務の免除をすべきであろうということになります。
 ちなみに、米国におきましても、その免除事由には立法府又は司法府の長の関与というのが規定されておりませんで、行政府の責任において免除が決定されるという枠組みになっております。
 ただ、衆議院や参議院の議長が御招待されて来日される外国の議員団の方などや随行者の方々は、通常は入管法でいいますと外交ですとか公用の旅券でお見えになるんだろうと思いますので、もうその点で義務の免除はなされるわけでございますが、そうでない場合でありましても、正に来日目的が外交、公用以外でありましても、非常に国として賓客として扱うという立場の方であろうと思いますので、外交上の配慮を要するものとして外務大臣に身元保証を行っていただくということで対応をしたいというふうに考えております。
○木庭健太郎君 そこで、ちょっと別の角度からお伺いしたい。
 外国人がこの個人識別情報の提供をしなかった場合の対応というのはどうなるでしょうか。
○政府参考人(三浦正晴君) 改正法案の第六条の三項の各号に規定する免除事由に該当しない外国人につきまして、自分は指紋を採取されるのが嫌であるということでこれを拒否した場合につきましては、入国審査官がその者を、口頭審理という手続がございますが、ここに付するべく、特別審理官という役職がございますが、特別審理官にその外国人を引き渡すという手続になります。これは改正法案の第七条の第四項に規定がされております。
 ここで引渡しを受けました特別審理官は、口頭審理の結果、当該外国人が免除事由に該当しないにもかかわらず指紋の採取を拒否しているという認定をしたときには、当該外国人に対しまして本邦からの退去を命ずることになるわけでございます。この退去の命令は改正法案第十条第七項に規定がございます。
○木庭健太郎君 それともう一点、副大臣からお伺いしておきたいと思うんですけれども、この個人識別情報の保有期間の問題でございます。やはり衆議院でも指摘があり、また参議院でも指摘があったように、やはりこれを長く保存することはどうなんだということはいつまでも議論を引くような気が私もいたします。
 先ほど事例で挙げられたように、一回は外へ追い出されたような人がまた来る、そういったものをやるために、それを判断するためには前のものを残しておかなくちゃいけない。様々な指摘もあったんですけれども、そういった問題のある方たちというのは、別の角度で、ある意味では個人識別情報を採取されて、そのデータは残っていると。それと照合、入国するときに照合すればいい問題であって、いったん照合してしまった個人識別情報というのは、それを本当に保存する必要があるんだろうかと。逆に、やっぱり人権上それは問題が大きいんじゃないかということは私も少し感じるところでございます。ある意味では、人権上に本当にそこをまず第一に配慮するのであるならば、やはり入国審査後直ちにデータを廃棄すべきという声はいまだに小さくならないし、かえって大きくなっているような気もいたしますが、この点どうお考えなのか、もう一回お伺いしておきたいと思います。
○副大臣(河野太郎君) 先ほど御説明をいたしましたように、アルカイダに関係のある人間がそうと分からないまま別な名義で日本に何度も出入りをしたということが事後的に分かったということがございます。そういうことからも、出国後直ちに指紋を消去するのは賢明でないと思っておりますし、最初に委員からの質問に対して局長から答弁がありましたように、平成十五年以降、偽変造旅券の発見が著しく減少しております。リピーターの数が、リピーターというのは、入ってきてまた退去強制をされる、そういう意味でのリピーターの数が減らないにもかかわらず偽変造旅券の発見が減っているということは、成り済ましが非常に巧妙になってきているというふうに考えざるを得ません。確かに、一度退去強制をした人間はデータベースにその指紋を保存することになりますが、そうでなくて、同じ人間が別個の旅券で日本に出入国を繰り返しているケースというのは、先ほどのアンリ・デュモンに限らず、恐らく相当数あると思わなければならない状況にございます。
 そういう一人の人間が別の名義の旅券で出入りを繰り返していることを発見するためには、指紋を出国後必要期間保存をしてそれに当てる。それに当てるのは、残念ながら、入国の際に持っているデータベースすべてに当てるのには時間が掛かり過ぎますので、一定の時間の中で名寄せをして、一つの指紋で二つのパスポートで入ってきてないかどうかということを一定期間で確認をしつつ名寄せをしていくということが必要になってまいります。そういうことをやるためには、出国後ある程度の期間、指紋を保有しておく必要があるわけでございます。
 その期間をどれぐらいにするかというのは、システムの運用開始後、まあコストとの相談もございますし、テロあるいは密入国の状況その他勘案しながら、最低限この程度は欲しいということを決めることにならざるを得ないというふうに思っております。
○木庭健太郎君 ただ、先ほどのお話では、これはいったん採取したこの識別情報については、ある意味では長ければその人の一生分ですか、七、八十年という話がございましたね。その話と今の話はちょっと矛盾しておりませんかね。
○副大臣(河野太郎君) 十六歳以上の入国される外国の方から指紋を採取するわけでございます。人間の平均寿命が八十歳をちょっと超えるぐらいのところでございますから、十六歳の方が七十年を生きていれば八十六歳ということを考えると、七、八十年を超えて指紋を保有する必要はない、理論的にはそこが上限になるだろうということでございます。
 実際にどこまで持ったらいいのかということは別途決めなければなりません。
○木庭健太郎君 そういう意味では、先ほど副大臣お答えされたように、やはり人権上の問題、いろんなことを考えると、この保存という問題については極めて抑制的に限定的に考えなければならない。
 ただ、副大臣これもおっしゃっておりましたが、じゃそれを何年にするのかということを明らかにすることがどうなんだと。それはかえってテロリストたちを助長することになりはしないかという御指摘もされました。そういった意味では、今後の検討課題でしょうが、私はやはり、もう極端に言えば、本当はもう一回審査したらすぐ消していただくのが一番いいとは思うんですが、そうは先ほどの御説明でいくとならない部分があるということの御指摘でございますから、そういった意味では、よく検討していただいて、これは正にどれくらいが適切であるかと、公表する必要はないのかもしれませんが、なるべく短い期間で仕上げることが大事だと思いますが、御認識を再度伺っておきます。
○副大臣(河野太郎君) 当然に、テロが世界的にも終息の方向に向かえば期間は非常に短くて済むのかもしれませんし、日本の密入国がきちっと何らかの方法で管理できるということができれば短い時間で済むんだろうというふうに思います。コストを考えても、必要以上の期間大量のデータを持つことは妥当ではございませんし、人権上の配慮からいっても、必要のないものを持つということは抑制しなければならないというふうに考えております。ただ、その中で、どうそこを見切って検討するかということは、運用開始後、状況を見ながら決めさせていただきたいと思います。
○木庭健太郎君 是非検討をよろしくお願いしておきたいと思います。
 そして今度は、テロリストの退去強制の対象とする措置の効果の問題でございますが、これも副大臣から再度、まず、テロリストを退去強制の対象とする措置の効果について伺っておきたいと思います。
○副大臣(河野太郎君) 退去強制の対象とすることによりまして、まず、上陸審査において発見した外国人テロリストを国家として収容して退去を強制することができるようになります。上陸拒否の場合ですと航空会社ですとか船舶の長に行っていただかなければならないということで、テロリストであるということを考えると甚だ心もとない状況になるというふうに思います。
 もう一つは、上陸を許可した後にそうした対象者であることが判明した場合に、収容をした上で退去を強制することができるということがございますので、退去強制の対象とするようにいたしまして、テロリストに対しより厳格に対応できるようにいたしたいと思っております。
○木庭健太郎君 先ほどこのいわゆる二十四条三号二項の規定の問題、規定としてどうなんだと、あいまいな一面もあるんじゃないかという御指摘があっておりました。
 逆の角度から私はお伺いしたいんですけれども、テロに関する条約あるいは改正入管法にはテロとかテロリストの定義規定はあるのかどうかということをお伺いしたいし、逆にこの二十四条第三号二項に規定する公衆等脅迫目的の犯罪行為、この規定というのはいわゆるテロ行為すべてを網羅しているというふうにお考えなのか、これを伺っておきたいと思います。
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 テロですとかテロリストということにつきましては、国際的にもいまだ確立した定義があるわけではないというふうに承知しております。また、今回の改正入管法におきましても、テロやテロリストの定義そのものを法律で書いてあるわけではございません。
 どのような形でやっているかということにつきましては、これも今委員御指摘がありましたように、公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律というものがございまして、これは言わばテロリストを資金的に援助する者を独立犯罪として処罰しようという法律でございますが、ここにテロリストが通常行うと考えられる行為類型がすべて網羅されておりまして、この法律の行為をすべて援用いたしますと、テロリストの犯罪行為がすべてカバーできるというふうに私どもは考えております。
 したがいまして、この法律における行為を入管法で引用いたしまして、その行為に関するものについてこれを退去強制の対象という形にすることとしたわけでございます。
○木庭健太郎君 もう余り時間が少なくなったので、ちょっと午前中、多分議論になると思ったけれども出なかったものですから、これはちょっと聞いておきたいなというのが自動化ゲートの導入の問題なんです。
 この自動化ゲートについては、大臣の趣旨説明では円滑化のための措置というお話がございました。しかし、その一方で、一部にやはりこれは国民や外国人に対する規制強化の措置じゃないかという批判も非常にマスコミ含めてあっております。そういった意味では、そもそもこの自動化ゲートを導入する目的は何なのかという点について、副大臣から御説明をいただいておきたいと思います。
○副大臣(河野太郎君) 今回の自動化ゲートの導入の目的は、日本人及び問題のない外国人の利便性を高めるために出入国手続の簡素化、迅速化を図ることでございます。
 規制強化のような見方をされておりますのは、第三次出入国管理基本計画の中に強力な水際対策の推進及び不法滞在者の大幅な縮減を通じた我が国の治安を回復するための取組という中にバイオメトリックスを活用した出入国審査の導入という項がございます。その後段の部分にこの自動化ゲートのことが一緒になって記載をされているわけでございまして、これはバイオメトリックスを使うということから、同じ項目の中に自動化ゲートを入れてしまっております。
 そうした記載をしたがゆえに、何か規制を強化するかのような見方をされていることは承知をしておりまして、本来この自動化ゲートは国際交流の推進とか、あるいは利便性の向上という別な項目を立ててそちらにしっかり書くべきところを、バイオメトリックスという観点から一緒の欄に書いてしまったことから皆様の誤解を生んでしまったのではないかと思っておりまして、そこについてはおわびを申し上げたいと思っております。
○木庭健太郎君 何かお隣からそこに本質があるとか言って。まあ、ともかく今手続というものが日本においては非常になかなか時間が掛かるような問題があって、ある意味では自動化ゲートがもしきちんとした形でできるようになれば、こういった問題にも逆にいい面で作用するところもあるのかもしれないと私は思っております。
 この辺は是非、説明の仕方一つで変わってしまうものですから、是非用心をしながら、なおかつきちんとした御説明を続けていただきたいと思いますし、私ども法務委員会も、これについては是非視察もして、現場で実際に見さしていただいて、そういうこともやろうと思っておりますので、是非そういった視点を持っていろんな説明もしていただきたいと、このように思います。
 また、自動化ゲートについて一、二点だけ入管局長に確認をしておきますが、この自動化ゲートですけれども、利用者の旅券には上陸許可の証印が押されないということになるわけですね。そうすると、入国管理局としてはこの出入国履歴をどのように把握するのかという点をお聞きしておきたいのと、もう一点、この自動化ゲートの利用者本人も自分で出入国履歴を確認できるようにしたときに、旅券や再入国許可証ですか、可視的な記録というのがどこかに残るようにすべきではないかとも思うんですが、この二点、お答えをいただいておきたいと思います。
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 まず第一点目の、入管において出入国履歴をどのように把握するかという御質問でございます。
 現在の手続におきましては、審査官がブースにおりまして、そこで対面審査をいたしまして、その記録をコンピューターの端末機を審査官が操作いたしまして、入国、出国の記録が自動的にコンピューターに入るようになっております。今後、自動化ゲートを採用した場合でありますと、これは正に審査官との対面審査を省略するところに意義があるわけでございますが、当然、機械を使って旅券を読み込んだりしますので、その際にその方の帰国履歴ですとか出国履歴が自動的にコンピューターに登録されるようになりますので、入管の方ではこれを把握できることが可能になるというシステムを構築する予定でございます。
 また、本人が旅券に出国、帰国の履歴がないとなかなか寂しいということもあるのか、中には記念に取っておきたいという方もおりますし、場合によってはいろんな仕事の関係でどうしても記録が必要だという方がございます。これについては対応をすることを考えておりまして、自動化ゲートの付近に職員を配置しまして希望者にはスタンプを旅券に押すなり、場合によっては専用のIDを持っていただいて、コンピューター、インターネットでそのIDを使うと自分の出国、帰国履歴が見られるというようなシステムを開発していきたいと考えております。
○木庭健太郎君 最後に、大臣に。
 この法案については評判の悪い点もそういってあるわけで、それは何かというと、どちらかというとちょっとあいまいさが残っているんじゃないかというような御指摘でございます。
 これは、それこそ参議院の質疑の中で大臣からきちんと答弁していただきたいとも思っておりますが、ともかくこの法整備に当たっては、ともかくあいまいなところをできるだけ、そういった意味ではきちんとした形で御答弁もいただき、幅広く国民に対しても、なぜこんなことをやるのかという理解を求めていくことが重要だと思うんですが、その点について大臣の決意を伺っておいて、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(杉浦正健君) 先生の仰せのとおりであります。
 そもそもテロがなければ、このような法制は必要は全くないわけであります。テロ情勢がまだまだ緊迫の度を加えておるという状況の下で行うわけでございます。行う以上、諸外国、日本以外の国の御理解も得なきゃいけません。今のところ実施しているのはアメリカだけで、日本以外の国も何か国か検討しておるところがあるやに聞いておりますが、やるとなれば私は世界各国全体が協調してやることが大事だろうと思います。
 我々としては、こういうふうに対応するということもよく御説明申し上げ、各国とも協調してテロ対策を取っていただくことが望ましいと思いますし、そういう御理解を得る中で、我が国が行うことに対する十分な御理解をいただいて御協力をいただくということが大事であると思っております。国民の皆さんにもその趣旨を機会あるごとにお伝えをして、もし成立した場合には施行まで時間がありますので、十分な御理解をいただくようにきちっとした説明をする、あるいは広報を行うということは大事であると思っております。
 自動化ゲートについてもとんでもない誤解がございまして、希望しなければいいわけですから、それはまあ頻繁に利用される方にとっては便利だろうということで設けた制度でございますが、そういう点についてもよく誤解を解くようにしてもらわなきゃいけないというふうに思っております。
○木庭健太郎君 終わります。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 本法案は、午前中からも数々議論がありましたように、重大で看過できない数々の問題点を含んでいるわけです。私は、まず特別永住者を除くすべての外国人に入国時の指紋提供を一律に義務化するという点についてお伺いをしたいと思います。
 お手元に資料を配らせていただきましたけれども、一枚目は在留資格別の外国人登録者数の表でございます。ごらんいただきますように、平成十六年の数字で見ますと、総数で百九十七万三千七百四十七人の方が登録をしておられて、特に注目をしていただきたいのは、下段の方ですけれども、永住者約三十一万三千人、日本人の配偶者等二十五万七千人程度、永住者の配偶者等一万人近くです。そして、定住者二十五万人。この入管法の別表第二に規定をされている在留資格をお持ちの登録で約八十三万人の方々が日本にいらっしゃるわけですね。今回、一律の指紋提供から除外をされています特別永住者の方がその下に四十六万五千六百十九名いらっしゃいますが、これを総数から引いた数のうち、その別表第二に規定をされている在留資格をお持ちの八十三万人の方々の割合というのは、これ五五%に上ります。外国人登録をしていらっしゃる方々の半分以上は、この別表第二の在留資格をお持ちの方々なわけです。
 二枚目の資料は、新規に入国をされる、入国審査を受けられるという方々と、そして再入国の許可を得て再入国をされる外国人の方々の数を、これちょっと表に記載がありませんが、平成十六年の数字でお示しをしました。これ下の総数のところを足しますと、六百七十五万七千人が平成十六年、入国手続をされているわけですが、このうち再入国許可を得て再入国をされる別表第二に記載の方々ですね、ごらんのように永住者で二十五万四千人、あるいは定住者で七万八千六百九十四人などなど、合わせて五十三万四千人の方々がいらっしゃいます。特別永住者の方を除いた総数に占める割合というのは八%になります、再入国の方の中での割合というのは。この永住者あるいは定住者などの定住外国人と言われる方々は、もうこれは御案内のとおり、外国人登録法によって一定の規制をされているわけですね。この外国人登録法で、かつてあった指紋押捺の制度が廃止されたというのは、今日繰り返し指摘をされてきたところでございます。
 改めて、九二年、そして〇〇年の改正の趣旨、そして改正後、今どんな扱いになっているのか、これを端的に紹介をいただきたいと思います。
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 指紋押捺制度の改正、廃止の趣旨、経緯でございますが、指紋押捺制度は、外国人登録制度発足後間もなく、二重登録等の不正を防止するなど、登録の正確を期するため同一人性確認の手段として設けられたものでありましたけれども、種々の御議論がありまして、そのことから指紋に代わり確実に同一人性を確認できる手段について検討を行った結果、写真、署名及び一定の家族事項の登録を複合的に組み合わせるという代替方法により同一人性を確認することとしまして制度が廃止されたわけでございます。その廃止された法改正が、平成十一年の外国人登録法の一部を改正する法律によってのものでございました。
○仁比聡平君 種々の議論がございましてというふうに局長おっしゃるんですけれども、これは午前中大臣も御答弁ありましたが、これは闘いの結果ですよね。憲法十三条によって何人も個人の私生活上の自由の一つとしてみだりに指紋の押捺を強制されない自由を有する、最高裁も判決をした。自由権規約の七条に言う品位を傷付ける取扱い、これにも、指紋押捺を強要するというのはその人権規約にも抵触するんだという強い主張と裁判も含めた闘いがあって、その歴史的な経過の中でこの制度は廃止をされたわけです。
 私はそこの認識を今日ただそうと思いませんが、ここで大事なのは、といいますのは、つまり法改正との関係で大事なのは、指紋押捺にはよらない同一性確認の手段というのはちゃんとあるということなんですよ。先ほど早口でおっしゃいましたけれども、この改正後、より鮮明な顔写真、そして指紋押捺に代えて署名、サインですね、そして家族事項の登録、これを同一性を確認するその代替手段として導入をしているというわけです。この制度が何か重大な不備を持っているというような話はどこからも聞こえてこないんですね。
 だったらば、外国人登録をしておられるこの永住者や定住者などの方々を、そうでない、例えば初めて来日する外国人と同様、一律に扱う必要性というのはどこにあるんですか。私、外国人に一律に指紋提供義務を課すことは、先ほど申し上げた憲法やあるいは人権規約との関係で許されない権利侵害だと思っていますけれども、ですが、一律に扱うというこの理由はさっぱり分からない。どうしてなのか御説明ください。
○政府参考人(三浦正晴君) 委員、先ほど、外国人登録制度の中で指紋押捺制度が廃止されたということで、それに代わる手段があるという御説明でございますが、まさしく特別永住者等の人又は日本に長く住んでいる方については、その点は例えば、居住関係ですとか身分関係を明確にして、行政サービスを受けるというような基礎資料というような意味合いでの外国人登録としてはそういうことで事足りるんだろうと思います。
 ただ、今回私どもが考えておりますのは、それとは別の観点からの言わばテロ対策、不法滞在者対策という形で、外国人でテロを企図しているような者が我が国に入ってくることを阻止するということが最大の眼目でございますし、また不法滞在を企図した者を水際で阻止するということが眼目になるわけでございます。
 そういうことを考えますと、特別永住者の方は先ほど来申し上げておりますように歴史的な特別な経緯があるということ、日本で生まれ育っておられる方がほぼすべてであるということでありますから、特別な配慮ということを考えるべきだろうと思いますが、そうでない外国人の方につきましては、やはり外国人登録上の問題とは別に、その当該入国、上陸をしようとする外国人が問題のある人物であるかないかということを確認するという意味では、やはり指紋、顔写真、特に指紋の情報の照合が重要だというふうに考えております。これは速度という点でもそうでございますし、正確性という点につきましても、顔写真よりもやはり指紋の方がはるかに正確性が高いというふうに私ども認識しております。
 そういう意味で、一律、まあ一定の例外は設けてございますけれども、日本に上陸しようとする外国人に基本的には一律に個人識別情報の提供を義務付けるということには合理的な理由があるだろうと思っております。そういう理由がある中で一定の合目的的な目的の下で指紋を採取するということにつきましては、これは最高裁の判例から見ましても、憲法に抵触するものではないというふうに考えております。
○仁比聡平君 全然答えになってないですよ。今局長がおっしゃっているのは、テロ規制という規制目的を掲げさえすれば何でもやっていいのかというふうにしか聞こえないんですけれども、テロ規制というその目的との関係でどうして永住者や定住者など外国人登録をしておられる方々とそのほかの外国人とを一律、同一に扱う必要があるのかと私は尋ねているんです。
 午前中といいますか、これまでの議論の中で成り済ましの事案があるんだというお話がありました。そういう理由があるんですか。
○政府参考人(三浦正晴君) 永住者や日本人の配偶者に成り済まして入国を図って摘発されたという事案が相当数あるわけでございます。
 これちょっと今資料、数字についてはちょっと、探した上で後ほど御説明したいと思っております。
○仁比聡平君 その数字というのは私、昨日からずっと要求しているわけですね。なんだけれども、どうして、少なくとも質問の前にどういう数字があるのかというのは示すべきじゃありませんか。大体、質問のレクチャーを行うときにそういう質問に答えられないということ自体も、私は省の、この改正案の提出についての真摯さを疑わざるを得ないと思っているんですが、局長、いかがですか。
○政府参考人(三浦正晴君) まず、数字から御説明申し上げますが、平成十七年中に成田空港におきまして他人の再入国許可を受けた旅券を悪用して外国人が不法入国を行っていたことが発見された事案が五十三件ございました。そのうち、永住者の再入国許可及び旅券が悪用されていたことが確認された事案は八件というふうになっております。
○仁比聡平君 今のお話のケースであれば、つまり成り済ましということですよね。これは、私の理解で言うと、皆さんの言葉で言うと一対一対照なんじゃないんですか。入国しようとする人がそこの旅券なりに記載をされている人物と同一なのかどうかということが問題になるんじゃないんですか。入国しようとする人物がその人物が名のっている人物と同一人物であるかどうかというその一対一対照の問題は、これは外国人登録法で指紋押捺の改正後、廃止後行われている同一性確認でできることじゃないですか。
 だって、入国しようとする人が私はこのパスポートに書いている人物でございますということで入国しようとする。入管はそれを疑うということがあるかもしれない。だけれども、その人に、つまりそれは再入国であればということですよ、外国人登録の再入国であればということですけれども、そのときは同一性確認をする手段というのが顔写真や署名やあるいは家族事項の登録内容を確認するということでできるんじゃないんですか。
○政府参考人(三浦正晴君) 確かにおっしゃるとおり、どうも疑わしいと、成り済ましではないかと思う人がいた場合に、空港のブースで入国審査官が本人に質問をしまして疑義がある点を確認するということは可能ではありますが、今おっしゃったように、例えば家族関係がどうのこうのということにつきましては、空港の入国審査官は承知していない多分事情であろうと思いますから、なかなかそこでは分からないと思います。
 それに、このようなケースで他人に成り済まして入ってこようとする人間というのは、正面から来たのでは日本に上陸できないという人がこのような悪さをするわけでございまして、一つには、一番極端な例は、テロリストが日本にいる永住者や日本人配偶者の在留資格を持っている人に頼み込んで、パスポートなり再入国許可証を借り受けて入ろうということが理論上は考えられます。そうでなくとも、不法滞在を企図するような者が成り済まして入ってくるということはあり得ると思います。
 こういうケースにつきましては、なかなか窓口で、本人のインタビューだけで不正を行っているということが見抜くの難しいんですが、そういう人物については基本的に我が国で指紋の情報を持っているのが普通でありましょうから、指紋を空港で採取して、そのブラックリストに登載された指紋と対照してヒットすれば、そこで摘発ができると、こういうことになるんだろうと思います。
○仁比聡平君 時間短いんですから、端的に答えてください。
 今のお話は、つまり、入国審査のその場で一定の情報があれば、指紋提供によらなくても同一性を確認することは可能だということをお認めになったんじゃないですか。より人権制約的でない手段があるというときに、重大な権利侵害を伴うような制約手段をこれは回避するというのは、これは当然の政策選択じゃないですか。
 アメリカで、永住者は除外されていると、US―VISITではという報道がありまして、聞きましたら、永住者というのはちょっと正確ではなくて、アメリカでは移民が除外されているということなんですね。つまり、移民の方々は、これはUS―VISITで、再入国、日本でいえば再入国の際に指紋提供はしないでいいわけですね。除外されているわけです。
 尋ねようと思いましたけれども、時間がありませんから私の方でちょっと申し上げますと、局長御自身が衆議院の質疑の中でその趣旨を御答弁になって、アメリカでは移民の方が我が国の永住者に近い立場になるんだろうと思いますというふうに答弁をされています。つまり、アメリカのUS―VISITよりもより広い対象者をこの指紋の一律提供の対象にしようとしているというのが今回の法改正案なわけですね。
 私は、市民として永住を前提で暮らす、こういう人たちに、一対多の対照は、一対nの対照ですね、皆さんがおっしゃる、これはしないという選択をこれUS―VISITではしている、だけれども日本ではやるんだという根拠も明らかではないと思います。
 日本の永住者などの定住外国人がどんな方々かということを示すためにもう一枚資料をごらんいただきたいと思うんですけれども、三枚目の資料は今年の三月末付けで入管局が出しています永住許可に関するガイドライン。ここを見ますと、もうごらんのとおりですが、法律上の要件の一定の解釈として、解説として、法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいる、日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれる、原則として引き続き十年以上本邦に在留をしている、罰金刑や懲役刑などを受けていない、納税義務など公的義務を履行していることなどなど。
 つまり、国籍こそ違いますけれども、日本の社会で私たちと同様、市民として平穏に暮らし働いている、そういう方々を永住の許可をするということなんでしょう。別表第二に掲げられている方々は、その配偶者や子供であったり、あるいは定住者として、日系人として日本で暮らしている方だったりするわけですよ。そういう永住者、定住者と日本人、あるいは今回除外をされるとされています特別永住者、この間でテロ防止の規制目的について別に扱うという必要性がどこにあるんですか。この永住許可をして、永住をするということで暮らしていく方々が日本人とは違うという立法事実は何か示せますか。
○政府参考人(三浦正晴君) 今回の改正の眼目、趣旨は、テロリストを発見して上陸を拒否する、万が一上陸されてしまった場合には退去強制をするということであります。それと同時に、不法滞在を企図している者についての日本への上陸は認めないと、こういうことでございます。
 そういう観点からしますと、まずこの制度の対象になるのは外国人に限られるわけでございます。つまり、委員、日本人についてのコメントがございましたけれども、日本人は日本国民でございますので、もちろん仮に日本人のテロリストがいたとすれば、これは全く好ましくない、けしからぬ話でありますけれども、この人たちを上陸拒否をするということは制度上できないわけでございます。
○仁比聡平君 日本人とどう違うかを聞いてるんです。
○政府参考人(三浦正晴君) 永住の方は一定期間日本に居住はされていますけれども、やはり日本の国籍を有しない外国籍の方でございます。そこが違うと思います。
○仁比聡平君 重大な発言じゃありませんか。国籍が違って外国人だったらテロリストのおそれや、あるいは犯罪者のおそれというのが高いとでも言うんですか。
○政府参考人(三浦正晴君) 私はテロリストのおそれが高い低いで区別するというふうに説明しているつもりはございませんで、日本人につきましては、仮に指紋の調査をいたしましても入管制度の範囲内では何らの措置を取ることができないということを申し上げているわけであります。
 外国人につきましては、問題のある外国人は日本に入国させないというのは、これはそれぞれの主権国家の入国管理の在り方でありまして、どういう事情がある者については国への上陸、入国を認めないということを規定するかということはそれぞれの国家、主権国家の考え方であろうと思います。そこの違いを申し上げたつもりでございます。
○仁比聡平君 大臣にお伺いをしたいんですが、そういう扱いをすると、制度上で言えば、大臣御自身が永住の許可をする、その方々が一度出国して再入国をされる、これは実質的に、もう永住されるわけですから、生活の本拠は日本国内にあるわけですよ。これ再入国できるかできないかというのは、つまり帰国できるかできないのかと実質同じ話でしょう。そのときに、こういう別段の取扱いをするという立法事実が何か示せますか、大臣。
○国務大臣(杉浦正健君) 入管局長が繰り返し御答弁申し上げておりますけれども、今度の法律の目的はテロリストの水際で防止することでございます。すべての外国人に、例外は別といたしまして、指紋等の情報の提供を求めて、そこで、水際でテロリストを防衛しようという目的でございますので、永住者が特に疑われているとか、そういう趣旨ではございません。法律の目的からして適切な措置だというふうに思っております。
○仁比聡平君 別の角度でお伺いしますが、この指紋の一律提供というシステムは誤認の可能性があるということを法務省御自身も認めてらっしゃるんだと思うんですね。
 この資料も、資料といいますか、これを裏付ける話、資料を昨日からも要求したんですが、今の時点ではまだ御説明いただいてないんですけれども、法務省入管局が作成をされた生体情報の取得に関する調査研究にかかわる仕様書という文書がありますね。局長、うなずきもされないんだけれども、この中で、ありますか。──はい。昨年、内閣官房が主導して成田で実施をされたe―パスポート連携実証実験、ここでシステムの検証をやったけれども、この局の文書の中で、指紋による本人確認にかかわる照合率が約九割程度であるというふうに書かれてあるというお話を、私、文書見てないんですが、聞きました。それ事実ですか。イエスかノーか。
○政府参考人(三浦正晴君) 数字は今委員御指摘のとおりでございます。
○仁比聡平君 誤認の可能性というのはこれ否定できないわけですね。
 大臣に最後質問してちょっと今日は終わらざるを得ないんですが、先ほど申し上げたように、再入国の許可を得ていったん出国して、実質帰国をする、帰宅をする。例えば家族で旅行に行って、お母さんは特別永住者で指紋の提供はされないけれども、お父さんはその配偶者、娘さん、家族もいる。例えば誤認されて、お父さん、それ疑わしいということで入国を実質拒否されて、再入国を実質拒否されてですよ、長期間の拘束もあり得るという話になりませんか。あるいは、信念に基づいて指紋の提供は私はしないと思ったら、先ほども質疑ありましたけれども、六条三項の、改正案の、この適用除外にも当たらないということで、これ家族ばらばらにされちゃうんですか。
 こういう規制は、憲法上の人権制約の手段として必要最小限なんかとは到底言えない、過度に広範だと。私は、憲法訴訟になったときに、今日みたいな答弁だったらこれはとんでもない話だと思うんですが、大臣、いかがですか。
○委員長(弘友和夫君) 時間が過ぎておりますので、答弁は簡潔に願います。
○国務大臣(杉浦正健君) 再入国の許可とは関係ない事柄だと思います。この指紋情報等をいただくのはブラックリストとチェックするためですから、誤認の確率九割というのは私存じませんけれども、ほぼ間違いなくヒットされないんじゃないでしょうか、そういう方は。そういうふうに思いますが。
○仁比聡平君 いや、そんなことはありませんから。また質問します。
○亀井郁夫君 国民新党の亀井でございますが、朝から大変真摯な議論が続けられており、厳しい質問が随分飛んだんで大臣もお疲れだと思いますけれども、もう少しですので、ひとつ頑張ってほしいと思います。
 何点か質問させていただきたいと思います。
 この法律が施行されるわけでございますけども、外国人の観光客の誘致の問題が大きな課題でもあり、平成十五年一月には小泉総理が外国人の旅行者数を五百万人から一千万人にするんだということを掲げられたわけでもあり、観光立国行動計画も平成十五年七月には決められているということでございますので、この入管関連事項についての、入管手続の円滑化というのは非常に大事な問題だと思いますが、そういうことから平成十六年三月には中国や韓国人の修学旅行生に対しては査証の免除を実施されたということでございますが、こうした努力によってこういった諸国からの修学旅行の人たち、あるいはまた一般の外国人旅行者の方がどのように増加しているのか、説明願いたいと思います。
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 今委員の方から修学旅行の御指摘がございましたが、私どもの統計で実は修学旅行生だけを取り出した数字というのがちょっと出しておりませんので、修学旅行生を含む観光を目的とした十歳代の若い方の、韓国人の若年層の在留資格、短期滞在という形で日本に入国された方の数について御紹介をさせていただきたいというふうに思います。平成十五年は約九万人でございましたが、平成十六年は十万八千人、また平成十七年は十一万九千人、いずれも約でございますが、でありまして、前々年比で約三二%の増というふうになっております。
 同じようにいたしまして、中国本土からの修学旅行生を含む観光等を目的とした十歳代の中国人の若年層の在留資格、短期滞在での入国者数でございますが、平成十六年は約一万三千人、平成十七年は約一万五千人と増加しております。
 また、平成十七年におきます一般の外国人旅行者につきましては、観光ですとか商用、これは短期滞在で来るわけでありますが、あと親族訪問等を目的とした在留資格、短期滞在での入国者数は五百七十四万八千三百八十人でございます。新規入国者の九三・九%がこの短期滞在で占められておるわけでございまして、前の年に比べまして六十一万一千四百三十七人、約一一・九%の増加でございます。
 韓国及び台湾の短期滞在者に対する査証免除並びに中国に対する査証発給条件の緩和によりまして、韓国、台湾等の新規入国者が大幅に増加しておりまして、緩和措置の効果が表れたものと考えております。
○亀井郁夫君 十代の人たちの観光旅行というのはほとんどが修学旅行であろうと思うわけでありますけれども、そういう意味では十六歳未満だけじゃなくて高校生もたくさん来ていると思うんで、そういう意味ではむしろ十八歳未満の高校生に対する対応というものが、テロリストがおると言えばそれまでですが、観光目的で学校が中心で連れてくるわけですから、そういう者に対する特別扱いは全然考えてなかったのか。むしろその辺を考えていく必要があるのではないかと思うし、同時にまた引率の先生なんかもそういう意味では可能性は少ないわけですから、いろいろと考えていくべきだと思うんですが、そういうことをあえて入れなかった理由はどういうことでしょうか。
○政府参考人(三浦正晴君) 御指摘のとおり、年少者につきましては、相対的に言えばテロリストの可能性は低いということを言えると思います。これは乳飲み子を考えれば一目瞭然でございますが。問題は、ではどこで年齢を設定するかということになりますと、いろんな考え方、御意見があろうかと思います。
 我々といたしましては、十六歳というところで切るのが、他の法令との整合性でございますとか、あとは諸外国でテロリストとして認定されていた者の年齢構成などを見まして、十六歳というところが一番妥当であろうというふうに考えたわけでございますが、もちろん、十八歳という考え方もありましょうし、逆にもっと年齢を下げて十四歳という考え方もあろうかと思います。そういうところをいろいろ検討した結果、十六歳未満の者の免除という規定を作ったわけでございます。
 そうしますと、当然委員御指摘のとおり、高校生に当たる方については該当することになってしまいますので、これは指紋情報の提供をいただくことになるわけでございます。もちろん、修学旅行生については免除という考え方もあろうかと思いますが、なかなか実際にその現場で、同じ年代の方が来てこの人たちが修学旅行であるかどうかということをはっきり確定するということはなかなか困難な場合もございますので、一律に年齢で区切るという形を選択をいたした次第でございます。
○亀井郁夫君 今おっしゃったように、年齢区切るのは簡単だと思いますけれども、私が申し上げたいのは、そうじゃなくて、やはり中国や韓国から日本を見に来たいという修学旅行の学生については特別扱いしていいんじゃないかと。目的によって、しかも学校単位でやるわけですから、そういう意味では識別も簡単にできると思うわけですから、その辺は教育的観点からも十分配慮してほしかったと思って質問したわけでございますけれども、これからもそういう点を是非考えてほしいものだと思います。
 それから、永住者の問題ですけれども、非常に今まで厳しい話が随分出てまいりまして、確かにそうだと思います。特定永住者はオーケーだけれども永住者は駄目だということについてはなかなか理解しにくい問題あるわけで、先ほど指摘があったように、外国に行った人間が帰ってくるには、帰ってこれなくなったら困っちゃうわけですから、そういう意味でも考えるべきだと思います。
 それから、さっき話がありましたが、アメリカでも、移民についてはこれは特別扱いはしないという形で対象外にしているということですね。そういうことで、アメリカでそれだけのことをやっているのに、アメリカで特にこういったものについて問題があったから日本の場合にも永住者も対象にしたのかということについて聞きたいと思います。
 アメリカで、移民の方々についてやって余り問題なかったんなら日本でも同じだと私は思いますけれども、それについては何か調査されたんでしょうか。結果が分かれば教えてください。
○政府参考人(三浦正晴君) 米国のUS―VISITに関して、私どもで承知しているところを申し上げたいと思います。
 米国におきましては、移民として入国する場合に、そもそも事前の査証の申請に当たりまして指紋の提供を義務付けていると聞いております。その上で、米国にその本人が入国するときにおいて、指紋が登録された永住許可証、いわゆるグリーンカードと言われているものでございますが、これを作成、交付するという手続の際に再度指紋を登録させているというふうに承知しておるわけでございます。
 したがいまして、米国におきましても移民が指紋採取の対象から完全に除外されているというわけではないということでございます。ただし、その後の再入国時には現在のところ指紋採取は行われていないというふうに私ども聞いておりまして、この点をとらえますと、今回の入管法改正案における永住者の扱いと米国における移民の扱いについては異なるということにはなろうかと思います。
 しかしながら、先ほど来申し上げておりますように、我が国におきましては再入国許可を受けて出国した永住者に成り済ます事案等が見られるところでございます。こういうことを防ぐためには、やはり永住者についても御協力をいただいて指紋等の採取をする必要があるだろうというふうに思うわけでございます。
 なお、日本の永住者と米国の移民というのは、先ほどの仁比先生の方から私の衆議院での答弁の内容の御紹介ございましたが、似たようなところがあるということをお答えしましたが、若干違うのは、米国の移民は、私の理解するところでは、米国民になることを前提として言わば米国に移り住むという方たちでありましょうが、日本におられる永住者の方というのは、元々は別の在留資格で入ってこられていた方が一定の期間滞在されて永住の資格を取って在留期間の更新の手続が不要であると、こういう立場で日本で暮らしている方でございます。そこが違うんだろうというふうには理解しております。
○亀井郁夫君 生体情報を利用した出入国管理について、日本でもこれやろうとするわけですが、これについては、先ほど話がありましたようにアメリカだけだと。US―VISITでやっているのはアメリカだけで、その意味では、それ以上のことをまたある意味では日本でやろうとしているということで、よその国についてはどうだと、大臣はさっき何か国かやるんだという話ございましたけれども、よその国の情報ですね、よその国はどういうことを考えているのか、これについてもう少し詳しく国の名前も挙げて説明願いたいと思います。
○政府参考人(三浦正晴君) まず、米国でのUS―VISITの概略について御説明をさせていただきたいと思いますが、査証の申請時に指紋情報を申請者から取得するとともに、申請書に張り付けられた写真をスキャナーで読み取りまして、電子情報化してこれを保管するということをしておると聞いております。また、本人が米国に到着時の入国審査におきまして指紋情報を取得するとともに、デジタルカメラで顔を撮影してこれらを入管が保管する。いずれの場合にあっても、テロリスト、犯罪者等の要注意人物のデータベースとの照合を行いまして要注意人物に該当しているかどうかを確認しているというふうに承知しております。
 また、これは、先ほど来大臣がちょっと御説明がございましたが、EUでございますね、ヨーロッパのEUにおきましては、西暦二〇〇七年中の運用開始を予定している査証情報システムというものがあるわけでございますが、これに関する法案が現在審議されているところでございます。この中身を見ますと、EU加盟国の在外公館での査証申請時に申請者の顔及び指紋の情報を取得するというふうになっています。そして、顔及び指紋情報で構成される要注意人物データベースとの照合を行う、新たに査証発給を拒否した者について、その顔及び指紋に係る情報や拒否事由などを要注意人物のデータベースに登録する、こういった内容の法案の審査をしているというふうに承知しております。
○亀井郁夫君 アメリカに次いで、今、よその国ではEUだけだということですね。EU以外やってないというふうに、ほかにはないんですか、EUだけなんですか。
○政府参考人(三浦正晴君) いわゆるブラックリストとの照合という形でバイオメトリクス情報を使っているのは今御説明しました米国と予定しているEUでございますが、そのほかに東南アジア等ではいわゆる自動化ゲートを使った出入国システムを採用しているところが幾つかございます。これは、指紋情報を使っているところが多いというふうに承知しております。
○亀井郁夫君 いろいろ生体情報を使った管理というのはよその国でやっているということですが、日本の国はアメリカに次いでやろうということですから、そういう意味ではアメリカが言えば何でもやらなきゃいかぬということなのかもしれませんが、そうじゃなしに、やはりこれまでいろいろ指摘された問題を十分考えながら、万遺漏ないようにやっていかなきゃいけないと思うわけでありますけども、まずそういう意味で、なぜこんなに早くこれをやろうとしておられるのか、もうちょっとゆっくりやってもいいじゃないですか、EUがそうだった、それについてはどのようにお考えか、大臣からお考えを聞きたいと思います。
○国務大臣(杉浦正健君) アメリカがやったから日本もやるということではございませんで、今朝ほど来何度も御説明申し上げているとおり、一昨年、テロ防止計画を政府で策定いたしまして、それに沿いまして様々な対応策を講じておるわけですが、その一環としてこの法律の改正を御提案申し上げている次第でございます。
 我が国は、もう先生御案内のとおり、国際テロ組織アルカイダからテロの標的として名指しをされておりまして、国際テロ組織の攻撃対象とされる可能性がございます。国際テロをめぐる状況は依然として厳しいものがございまして、九・一一以降も世界各地で多くの事件が発生して、無辜の市民が犠牲となっておるところでございます。私、この連休、ヨルダンに行ってまいったばかりですが、ヨルダンでは昨年十一月にホテル三つが爆破されまして、五十人以上の方々がなくなったというような悲惨な事件も起こっておりました。
 こういうような状況の中で、我が国としては、国際テロの脅威を決して過小評価することなく、国民の生命と安全を守るためにテロの未然防止対策を不断に見直しながら実施していくと。このような法律もテロを水際で防止するということに有効であると考えられますので、アメリカでは現実に有効に機能しておるようであります、一日も早くより実効性のある未然防止策を講じていかなきゃならないというふうに考えておる次第でございます。
 加えまして、不法滞在者対策、それから外国人犯罪者対策に資するという面もございますので、この法律案を提案させていただいた次第でございます。このような判断は私ども我が国の政策として行うものでございます。国民の御理解も十分得られるというふうに考えておる次第でございます。
○亀井郁夫君 テロリストの入国の阻止の問題、ないしまた強制退去を命じられた人間の再入国をチェックしようということで非常に頑張っておられるということは多としますけれども、この前、昨年、広島であった事件がありました。小学校一年生の女の子が殺害された、容疑者はブラジルから来た人でした。この人は定住者の在留資格を取得した人間だったようですけども、向こうでごまかして来ているわけですから、入国は全然関係なしに入ってきているわけですね。そうすると、再入国する場合はいいですけども、そうじゃなくて、初めて来る人間が、ごまかして来た人間はなかなかチェックできないわけですね、この制度でもね。
 だから、そういう意味ではなかなか難しい問題だと思いますけれども、こうした事件の再発防止について、どう考えておられるか、地元の問題であるだけに関心がありますので、お尋ねしたいと思います。
○政府参考人(三浦正晴君) ただいま委員御指摘ありましたとおり、委員の御地元であります広島で大変痛ましい事件が起きたわけでございまして、心を痛めておるところでございます。小一の女の子が殺害されたという事案だったわけでございます。
 この容疑者、現在起訴されて裁判中のようでありますけれども、日系人として定住者の在留資格で我が国に入国しようとする者につきましては、その身分関係を慎重に審査しておるところでございます。これに加えまして、本年の三月二十九日に法務省告示、出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第二の定住者の項の下欄に掲げる地位を定める件と、こういうふうに非常に長い告示がございますが、要するに定住者として日本に上陸できる者についてどういう要件があれば認めるかと、こういうことを定めた告示でございます。この告示を一部改正いたしまして、従来はありませんでした素行が善良であるという要件を追加いたしまして、四月二十九日からこれを施行しておるところでございます。
 この改正に基づきます運用といたしまして、日系人及びその家族が定住者の在留資格を取得する要件に適合することの立証資料として、本国における犯罪歴がないことの証明書の提出を新たに求めることといたしました。そして、素行が善良であることが確認できた者についてのみ我が国への入国を認めることといたした次第でございます。
○亀井郁夫君 ありがとうございました。
 次に、ちょっと細かいことですけどお尋ねしたいのは、今回こうして上陸審査時にいろいろ個人識別情報を提供する、指紋を提供する、写真を提供するということが義務付けられるわけですけども、実際に指紋の採取や顔写真が難しい場合があるわけです。なぜならば、一つは、身体的な事由から、けがだとか病気だとか、あるいは先天性の欠損によって人さし指が出せない人の場合、あるいは車いすで手が届かない場合とか考えますと、あるいはまた宗教的な理由から人前で首、顔に巻いているスカーフを取ることができないというような人が入国する場合にはどうするんだろうかと思うんですが、それについてはどうするんでしょうか。
○政府参考人(三浦正晴君) 御指摘のとおり、確かにいろいろな身体の障害を持った方もおられるわけでございますので、これらの方に対して適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
 まず、最初に御指摘ございました人さし指に故障があるような方で人さし指の指紋の採取ができないというような方がいた場合においては、現在の法務省令で順番を定めまして、人さし指が欠けている方については次にどの指の指紋の採取をするということを省令で順番を決める予定にしておるところでございます。
 それから、まず、現状におきましても、例えば足が悪い方で車いすで移動をしなければならない方につきましては、まあこの中にはお年寄りの方も対象なんでございますけれども、入国、上陸審査の事務室に行っていただいて、ブースではなくて事務室に行っていただいて優先的に手続を行うということをやっておりますので、今後もこれを続けていくつもりでございます。
 それから、同じく現状におきまして、宗教上の理由などによりまして顔を余り表に出せないというような方につきましては、一律にこれを外してくださいという扱いはしておりません。顔の大半がスカーフで隠れているような場合でありますと、ただ、旅券の写真とそこにいる人が同一人かどうかという確認が難しいケースがありますので、そういう場合に、たくさんの人がいるところでは顔を隠していなければいけないけれども、別室で特定の限られた職員の前であれば可能だということであればそういう別のところに行っていただいて、そこで対応していただくというようなこともしておるところでございます。
 今後とも、こういう措置を続けてまいりたいと考えております。
○亀井郁夫君 次に、事前旅客情報システム、APISについてお尋ねしたいと思いますけども、平成十七年一月から、警察庁、法務省、財務省で、外国から出発便が出ますと日本に到着するまでの間に航空会社が搭乗手続のとき取った乗員乗客名簿を連絡してくるということになっている事前旅客情報システム、APISが行われておりますけども、これにつきましては、だけど全部の会社が協力してくれるとは限らないということでありますが、これが今度は義務化されるんだというふうに聞いておりますけれども、現在、APISに協力している会社数はどの程度あるのかということですね。
 それから、協力を得られなかった航空会社があるとすれば、その理由は何だろうかということ。それからもう一つは、APISを実施した後テロリストの発見がいろいろあったかどうかですね、去年から、実施している国についてですけれども。それからもう一つは、離陸後一時間程度で到着する近隣諸国の場合には大変難しいんじゃないかと思うし、航空会社に大変な負担を掛けることになるのじゃないかと思いますけれども、時間的に可能なのかどうか。その辺り含めてお話し願いたいと思います。
○政府参考人(三浦正晴君) 今回の改正法案におきましては、APIS、いわゆる事前旅客情報システムを義務化するという規定が盛り込まれておるわけでございます。
 現状を申しますと、航空会社、日本の国内に航空機で乗り入れている航空会社が国内の航空会社も含めまして約六十社ございます。このうちの約二十社から協力をいただきまして、任意で事前に乗員、乗客の名簿を電子情報化したものを我が入管当局、税関当局、警察当局に送っていただいておりまして、これをコンピューター画面で職員がチェックをいたしまして、以前退去強制などの対象になった人物がその名簿に登載されていないかどうかということをチェックします。発見しますと、ブースの方に事前に情報を入れておきまして、そこで適切に対処すると、こういうシステムでございます。
 六十社のうち二十社、約二十社から協力をいただいているわけでございます。逆に言うと、残りの社からは協力をいただけていないということにはなるわけでございますが、これはいろいろな事情があるわけでございますが、結局は航空会社の判断でございまして、例えば名簿を作成するための機器の整備がなかなか難しいというような事情の会社もあるようでございまして、協力を見合わせたケースがあるというふうに承知しておるところでございます。
 それから、この情報に基づきまして事前に要注意人物とのリストの照合を行った結果としてテロリストを発見できたことがあるかどうかと。これは、テロリストを理由とした退去命令処分をした案件はございませんので、そういう意味ではないというお答えになるかと思います。
 ただ、上陸審査の際に入管法の五条に該当する、すなわち上陸拒否事由に該当するということでこのAPIS情報に基づいて退去命令を行った者が平成十七年の一年間で三百五十件になっております。
○委員長(弘友和夫君) 時間が過ぎております。答弁は簡潔にお願いします。
○政府参考人(三浦正晴君) 済みません、あと一点だけ、御質問ございましたので。
 短時間でなかなか飛行機が、近い韓国などでは情報を送るのが時間が足りないのではないかという御指摘もございますけれども、これは電子情報で送っていただきますと比較的対応できるのかなというふうに思います。
 なるべく航空会社に負担にならないような方法を考えてまいりたいと考えております。
○亀井郁夫君 ありがとうございました。
○委員長(弘友和夫君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後三時三分散会