第164回国会 文教科学委員会 第5号
平成十八年三月二十八日(火曜日)
   午前十時四分開会
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   委員の異動
 三月二十八日
    辞任         補欠選任
     神本美恵子君     那谷屋正義君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         中島 啓雄君
    理 事
                大仁田 厚君
                北岡 秀二君
                佐藤 泰介君
                鈴木  寛君
    委 員
                有村 治子君
                荻原 健司君
                河合 常則君
                小泉 顕雄君
                後藤 博子君
                中川 義雄君
                山崎 正昭君
                神本美恵子君
                那谷屋正義君
                西岡 武夫君
                林 久美子君
                広中和歌子君
                水岡 俊一君
                浮島とも子君
                山下 栄一君
                井上 哲士君
   国務大臣
       文部科学大臣   小坂 憲次君
   副大臣
       文部科学副大臣  馳   浩君
   大臣政務官
       文部科学大臣政
       務官       有村 治子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山口 俊史君
   政府参考人
       総務省自治財政
       局長       瀧野 欣彌君
       消防庁次長    大石 利雄君
       文部科学大臣官
       房文教施設企画
       部長       大島  寛君
       文部科学省生涯
       学習政策局長   田中壮一郎君
       文部科学省初等
       中等教育局長   銭谷 眞美君
       文部科学省スポ
       ーツ・青少年局
       長        素川 富司君
   参考人
       京都大学大学院
       経済学研究科教
       授        吉田 和男君
       広島県尾道市立
       土堂小学校長   陰山 英男君
       NPO法人地方
       自立政策研究所
       理事長
       前志木市長    穂坂 邦夫君
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  本日の会議に付した案件
○国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教
 育費国庫負担法等の一部を改正する等の法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○政府参考人の出席要求に関する件
○独立行政法人に係る改革を推進するための文部
 科学省関係法律の整備に関する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
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○委員長(中島啓雄君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。
 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。
 本日は、本案の審査のため、参考人として京都大学大学院経済学研究科教授吉田和男君、広島県尾道市立土堂小学校長陰山英男君及びNPO法人地方自立政策研究所理事長・前志木市長穂坂邦夫君の三名の方に御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用のところ、本委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。
 参考人の皆様には忌憚のない御意見をお述べいただきまして、本案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
 本日の会議の進め方でございますが、まず吉田参考人、陰山参考人、穂坂参考人の順でお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、御発言は、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございます。
 それでは、まず吉田参考人から御意見をお述べいただきます。吉田参考人。
○参考人(吉田和男君) 京都大学の吉田でございます。よろしくお願いいたします。
 私は、小泉内閣が発足して、民のものは民へ、地方のものは地方へということで、そういうスローガンといいますか、それに従って地方分権改革推進会議というのが平成十三年につくられましたが、その三年間、委員をさせていただき、いろいろ議論させていただきました。
 基本的には、補助金を削減して税源移転をする、同時に交付税改革をするといういわゆる三位一体改革であります。義務教育国庫負担金に関しましても、交付税化あるいは一般財源化ということの方向で行うように、検討するようにという結論がこの地方分権改革推進会議の結論でありました。
 基本的に分権改革推進会議の考え方は、国の事業と地方の事業を切り分ける、そして地方の事業は独自の財源でやっていただこうというのが考えでありまして、いわゆるナショナルミニマムの発想からローカルオプティマム、地方でそれに適した行政を行うべきであるという考え方であります。
 ただ、教育問題だけを取り上げますとなかなか悩ましい問題があるわけです。それは、言うまでもなく、国が責任を持って全国民に教育というものを実施していこうという義務教育制度であるわけです。しかしながら、その教育の実施主体者は地方であって、地方政府、自治体であって、地域は地域で協力して教育していこうということになるわけで、それがまた重要な側面であるわけです。それはまた、その義務教育の生徒の親が強い関心を持っている中で、親の教育への関与が重要であるということになるわけで、また、一般の行政と違って、先生の人格的な問題という、人格的な関与という非常に人間的な行政サービスであるというところが違うところでありまして、そういう意味におきまして、地域でちゃんと教育ができる体制づくりというのが進められるべきではないかなと思うわけです。
 大きな問題は人口減少であるわけでして、二〇三〇年までに一千万人人口が減る、もう二〇〇五年から減り始めているということでありますが、その人口減少で子供の数が減っていく。一つには財政問題であるわけですね。教育サービスを受ける人が減っているのに費用が減らないということで、財政的な問題ということが一つあるわけですが、教育上も、クラス編制ができないと。昔はクラス対抗リレーなんというのがあったわけですが、なかなかクラス対抗リレーができるところがない。少人数教育だということになれば、少人数だったら何でもいいのかというと、クラスの中に一緒に勉強する相手もいないということになってきますと、これは非常な、教育上もいろんな問題を引き起こすかと思うわけです。京都でも五十一校ある小学校を十五校に再編するというふうなことを聞いておりますが、こういった再編問題も含めて、その教育効果、それから財政上の問題からも改革していく必要のある分野だということになるわけです。
 ということになりますと、教育サービスを行う主体としての地方自治体、これが財政的権限を持って行われなければならないのは、そういう意味では必然的だと思うわけです。
 もちろん、国は国の方針としての教育の在り方、ガイドラインですね、今教育基本法が議論されているところでありますが、義務教育の生徒に対してはしつけ、価値観の形成、それから社会性、学問に対する好奇心といったものを教えていかなければならないわけですので、そういったものに対するガイドラインというものをしっかり作る必要があるわけでありますが、しかし画一教育になってはならない。これからの時代というのがどういう状況になっていくかというのは不確実な要素が大きいわけでありますし、また教育というものの画一性というのは避けなければならない。基本は共通でなければならないけれど教育は画一であってはいけないという、まあやや矛盾した言い方になるわけですが。
 例えば、例を挙げて言いますと、私どもの世代はよく日教組教育と言われましたが、もう私どもの仲間はつい最近までソ連が理想国家だと思っていた人、本当に思っていた人が多いわけですね。これはもう、そういう画一性の中で教育が行われるというのは非常に問題が大きいということであります。
 いろんな教育というのも、まあ陰山さんは現場でやられておられるわけですが、常に進化させなきゃいけないんですね。一〇〇%分かってないわけですね。ですから、一〇〇%分かってないから常に何かをトライして進化させていかなきゃいけない。そういう進化を進めるというふうなことができる体制というのをつくっていく必要があるというふうに思うわけです。
 そういう意味で、地方分権改革推進会議の主張しました三位一体改革は、地方に行政サービスとして教育の機能を現場に近いところあるいは親に近いところで判断していくローカルオプティマムということにしていくべきだと思うわけです。
 元々国庫負担金というのは、一般論で申し上げて、このいただきました参考資料にも鳥居会長がお話しになっておりますが、明治時代に初等教育の義務教育化ということでスタートしたけれどなかなか進まない、これを、国庫補助制度を導入して国庫金を導入することによって確立したものになったんだという説明をされているわけです。
 正にそのとおりなんですね。何か新しいプロジェクトを立てようとしたときに、そこの地域の中にある制度というのはその既にある制度と合理的な関係にあるわけですから、制度を変えようとすると外から力がないと変えられないというのが現実の社会の仕組みなわけですね。したがって、その国庫金制度を導入して、中央政府が主導して、そして制度をつくり、教える先生を国が養成し、そして義務教育が発達してきたわけであります。
 しかしながら、今日の問題、これは随分違ってきているわけですね。少子化で人口が減少していく、教育の効率を上げていかなきゃいけない、そして質の向上を図っていかなきゃいけない。
 郡部での学校の統廃合というのはなかなか難しい問題があると思うんですけれど、先生三人生徒三人という教育が本当にいいのかということになるわけですね。スクールバスというのを導入すれば可能ではないかと思うんですが、できる限り多くの人と社会を形成するというトレーニングを小学校のときにする必要があるわけですので、そういった統合をしていかなきゃいけない。あるいは財政上も、既存のところを削減して新しい質的向上のために投入するといったようなことをして、先ほど言いました教育の進化をしていかなきゃいけないということがあるわけでありまして、それが地方自治ということに、地方の、地方政府への期待ということになってくるかと思うわけです。
 もちろんそこには、教師、それから親というものがつくっている、よく言うPTAですけれど、その関係を支えて、地域がいろいろ工夫して、先ほども申しましたローカルオプティマムというのはある意味地方間競争であるわけで、いろんなアイデアを、あるいは創意工夫を行政で実現さして、それを競争さすと。競争で、いいものは皆見習えばいいわけですから、地方で、現場でいろんな工夫ができるような仕組みというのが大事かと思うわけです。
 今回の義務教育国庫負担金の問題で批判がありますのは、六団体が中学の部分の国庫負担金の削減ということを提言したのに対して、最終的に決定したのは二分の一から三分の一への削減ということになるわけです。これでは国の関与が変わらないんじゃないかという批判もあるわけですが、それはかなり正しいことかと思うわけですが、しかしながら、二分の一が三分の一になるということで、例えばいろんな合理化をしたときに、補助金も同時に減るわけでありますから、この率が低いということは行革の方にインセンティブが掛かると。そこから生み出され、行革をして生み出す資金の額は大きくなるわけですから、補助率の引下げというのも決して意味がないことではない、非常に大きな意味があるというふうに思うわけです。
 また同時に、様々な教育に関する自由化が行われるということを聞いておりますが、それが今後の教育の、義務教育の、先ほど申しました進化の力になればと思うわけであります。
 昔、吉田松陰という人が松下村塾をつくったわけですが、たくさんの有能の士をつくったわけですが、あれには国庫補助金はゼロでしたし、公的負担もなかったわけです。最も重要な役割を果たしたのは先生の人格であったわけですが、先生の人格をつくっていく、立派な先生をつくっていくという、これもまた重要な仕事だと思うわけです。
 これは私は文部科学省通達で立派になるとは思えないわけですね。人格形成をするために立派になれという通達を出せば立派になるというものではないと。むしろ学校の生徒、それから親、そして地域と切磋琢磨して教育というものを開いていこうということが重要かと思うわけです。そのために、地方に分権される、地方に財源が移転されるということは大きな意味があるというふうに考えております。
 以上です。
○委員長(中島啓雄君) ありがとうございました。
 次に、陰山参考人にお願いをいたします。陰山参考人。
○参考人(陰山英男君) ありがとうございます。失礼します。
 中央教育審議会の義務教育特別部会で臨時委員をやらせていただいておりました土堂小学校長の陰山でございます。
 本日はこのような重要な場で参考人として意見を述べさせていただくことを大変うれしく思っております。といいますのは、今の日本の教師の信頼というのは現状以上に不当に低くなっており、それゆえに現場の声というのは大変発信しにくい状況になってきております。しかし、今の学校現場というのは時に戦場かと思いたくなるほど熾烈を極めることが増えています。それだけに、現場の声を聞いていただけるこうした場があるということを大変うれしく思うわけであります。
 では、本論に入ります。
 まず、結論から申し上げると、義務教育費の国庫負担の維持は絶対的に必要なことと考えております。なぜそうなのか。それは、今の学校には確かにいろいろな問題を抱えているのは事実ですけれども、まだ学校は、踏ん張っているからまだ持ちこたえているというふうに考えているからです。
 意外に思われるかもしれません。といいますのは、義務教育費の国庫負担、つまり日本の教職員の給与を安定的に確保するということなどひょっとすると税金の無駄遣いじゃないかというような不信が一方にあるからであります。しかし、繰り返しますが、私は全くそうは思っていません。逆に、教職員の給与を不安定にすることによって日本の教育は崩壊するかもしれないという強い危機感を持っています。
 その理由を今最も問題にされている学力低下問題を分析を基に説明したいと思います。制度の問題を教育実態から語るというのは少しニュアンスが違うかもしれませんが、是非ともお聞き届けいただきたいというふうに思っております。
 今、大学入試が一通り終わりましたので、様々な週刊誌等でその分析がなされております。その中で、とりわけ最近よく注目されておりますのが、「ドラゴン桜」から出てきました東大の入試の問題であります。
 一般的に、今、大学入試というのは、経済格差による、家計によって、豊かな家庭とそうでない家庭の二極化によって、貧しい家庭はもう勉強ができない、公立は教材が三割削減されているから駄目なんだというような風潮が言われています。しかし、これを事実を基にして考えていくと、若干それとはニュアンスの違う傾向が見えてまいります。(資料映写)
 ここに示しておりますのは、東京大学のホームページにございます、東京大学の合格者の所得階層の分析のグラフであります。これを見ていきますと、一九八四年から一九九五年にかけて、当初八四年には全体の四分の三を占めていた九百五十万円以下の家庭、つまり一般的な家庭からの合格者が大半を占めておりますが、九五年にかけて確かに高額所得者の東大合格者が急速に増えてまいります。これは、中高一貫校、私学が急速に東大合格者を伸ばした時期と一致をしております。そして、この八四年から九五年にかけては、年収四百五十万円以下の家庭からの東大合格者が減ってきています。
 ところが、九五年から今日に至るまで、この二極化とは全く正反対と思われる事象が起きてきています。それはどういうことかというと、その四百五十万以下の低所得者の階層からの東大合格者が増えてきているからであります。この低所得者の階層というのは、当然のことながら公立高校に行っていると思われていますから、実は公立高校からの出身者は近年増えてきていたということが言えるというわけでありまして、今年はその「ドラゴン桜」の影響もあって、週刊誌等を見てみますと地方の公立高校からの東大合格者が増えているという、当初、二〇〇二年の指導要領の改訂によって公立からの合格者が減ると言われたのと全く反対の現象が起きているわけであります。
 さらに、重要な問題は、そもそもこの学力低下問題の発端になりましたのは、この「分数ができない大学生」という一冊の本であります。この本をお書きになりましたのは、京都大学の西村和雄先生が中心になられた方々です。すると、ここの、西村先生の対談の冒頭にこう書かれています。
 「今から二〇年前に共通一次試験が始まって、それがセンター試験へと変わってきたわけですけれども、次第に大学生の学力低下が問題となって、最近はそれが加速したような気がします。東京大学や京都大学でも学生の基礎学力がかなり落ちている、それも理科系の学生でも落ちているという報告がなされていますし、その他の国立大学でも学生の基礎学力の低下は非常に深刻な問題となっています。」というように、本来その最高学府と言われているところの学力が落ちている。
 実は、そもそもこのところに、東大や京大に行っている学生たちというのは、今はそういう、小さいころからお受験をして、小学校のころから勉強して中高一貫校へ行って、恐らく日本の教育史上最も長く最も難しい問題をしてきた子供たちなんですけれども、その彼らの学力が低下しているという指摘があるわけであります。実はここに日本の教育問題の本質的な課題があり、なおかつそのことが語られていない、つまり分析の錯誤があるというところが日本の教育の私は最も深刻なところであろうというふうに考えています。
 もう一つ、不登校から見る教育政策の功罪について考えてみたいというふうに思っております。
 今、ゆとり教育がいろいろ批判をされていますけれども、実は十数年前には同じような形で詰め込み教育批判というものがなされていました。画一教育というものも批判されていました。
 実は私は、昭和五十六年、日本の教育は大きな転機を迎えていたというふうに思います。この昭和五十六年というのは爆発的な校内暴力が発生した時期であります。そして、全国の中学生が荒れて先生をぼこぼこにしてしまうというようなことがあって、これを静めるために管理教育というものが入ってきました。今となってはもう昔話になりますけれども、頭髪検査、持ち物検査、服装検査、学校の先生が朝校門に立って物差しを持って女性のスカートの長さを測るという、今から考えると本当ばかみたいなことがまじめになされていたわけですね。その結果、日本の公立学校は非常に息苦しいものになりました。それに符合するかのように、年間五十日以上の不登校児は急速な勢いで増えてまいりました。これではいけないということで、この詰め込み教育、管理教育が批判され、平成元年にゆとり教育というものが、ゆとりというものが概念されて新しい学力観が出てきて、確かにこの時期、不登校というものの増加というものが一時期抑えられるわけなんですね。
 ところが、ここでもう一つ大きな分析ミスが起きました。といいますのは、受験競争批判というものは確かにそのとおりだったろうと思うんですけれども、これと同時に、画一教育批判の中で読み書き計算といった基礎的な学力を形成するところまでが批判されるようになったことであります。私は百升計算というようなものを指導してきましたけれども、子供たちの計算力をタイムで計るというのは子供たちをいじめるものだというふうなことで大変厳しい批判を浴びたのもこの時期であります。しかし、その結果、小学校の段階での基礎学力の低下というものが著しく、当然中学校で方程式を解くようなことはかなり難しくなるだろうというふうに予測をしておりました。まさしく、その新しい学力観で育った子供たちが中学へ行き始めたころから、今度は再び中学校での不登校というものが急増していった。私はすべての根源はこの分析の間違いにあるというふうに考えているわけですけれども、その理由はここにあるわけであります。
 一つ不思議だったことがあります。それは、校内暴力の発生とか、それから当時新しい荒れというものが出てきました。それは、新しい荒れというのは平成の初期ごろから言われ始めたころなんですけれども、子供たちがとにかくがちゃがちゃがちゃがちゃ落ち着かない、勉強しろと言っても先生の言うことを聞かない、小学校一年生から教室の外へ逃げ出す、かつては考えられないようなことが起きてきました。現在は、それが学級崩壊でありますとか小一プロブレムだとかいう形で、問題が解消されないまま一層ひどくなってきています。ただ、当時受験競争批判ということがなされていたわけですけれども、不思議なことに、山奥でも、山間のところでもこういう問題は起きてきたわけであります。そして、現在はもうごく一般的にすらなってきております。
 一体その理由は何なのか。私は、様々なデータを調べていくうちに、生活習慣の崩れだということに思い至りました。
 いろんなデータを調べていくうちに、幾つか貴重なデータが出てきました。見ていただいておりますのは食育の重要性を論ずるものであります。
 これは一食当たりの摂取食品数と学習成績の相関関係を取ったものなんですけれども、要は、一食に使われるその食材の数と学習成績等の相関関係を取るという、まあ今どきの人権感覚からするとちょっと信じられないような人権無視の調査なんですけれども、そこから出てきたデータというのは非常に面白いといいますか深刻なものがあります。つまり、食事が貧しいと成績も貧しいということであります。いろんなものを食べさせると成績が上がってくるという、そういうふうなことがはっきり見て取れるわけであります。
 それからもう一つ、睡眠の問題です。
 上側にありますのは東京都の調査結果なんですけれども、青い部分が夜十時までに寝る子、黄色い部分が十時から十二時、それから赤い部分は十二時以降まで起きている子供なんですけれども、一九七九年と二〇〇二年の子供たちを比べて、小学校四年生から中学校三年生まで調べてあります。
 これを見ていきますと、小学校四年生、ほとんどの子供は、七九年、十時までに寝ていましたが、〇二年にはそれが半分近くまで減り、十二時以降まで起きている子供たちが登場してまいります。そして、中学校三年生を見ていただくと、東京はもう七九年でも十二時以降も起きている子供たちが大半以上で私はちょっとびっくりしたんですけれども、しかし、それでもわずかに中学校三年生でも十時までに寝る子供がいましたが、〇二年にはそういう子は全くいなくなり、そしてほとんどの子供が十二時以降も起きているというふうになっています。つまり、すべての子供たちの睡眠時間が減っているということが明らかになっているわけであります。
 そうなってきますと、このことが私は学習に影響しないはずはないというふうに考えました。ただ、大規模な睡眠と学力との相関関係を調べた調査データがありませんでした。なぜならば、子供が寝るというのは当たり前だったからだと思われます。
 そして、広島県の基礎・基本調査、これは学力テストなんですけれども、この集計結果が出てまいりまして、やはりということが分かりました。下にあります表です。これは広島県の小学校五年生、二万七千人を集めた調査の結果であります。上にあります横軸は睡眠時間です。中にあります数値は学力テストの平均点であります。そうすると、小学校五年生で睡眠時間が五時間未満、ここでは四時間と書いていますけれども、それ自体ちょっと、五時間も寝てない小学校四年生がいるということ自体異常なんですけれども、やっぱり平均点が五十点ぐらいしか取れません。それが五時間になると六十点、六時間になると六十六点というふうになって、七時間から九時間だと大体平均点が七十点ぐらいで安定をしてくるということです。ただ、笑えますのは、それ以上寝るとまた落ちてくるという、寝過ぎも良くないよなという落ちのあるデータなんですけれども。
 ですから、この睡眠と食事の問題が子供たちの頭脳に物すごい大きな消耗を与える危険性をはらんでいるということを私は考えるわけであります。
 そこで、子供たちの生活実態を考えますと、お受験をしている子供たちは夜遅くまで勉強しているのが当たり前になっています。私は尼崎という町で教員を始めましたけれども、当時、私立中学校を受験する子供たちで十二時よりも早く寝る子は一人もいませんでした。しかし、一生懸命勉強している彼らには申し訳ないんですけれども、彼らが伸びているというふうには私には感じられませんでした。ですから、そこのところが物すごく気になっていたんですけれども、一方、そうでない子供たちが普通に勉強して伸びていれば、ああ、そんなことをやっても駄目だよねということになるわけなんですけれども。
 ちょうど昭和五十六年、七年当時に、もう一つ子供たちの生活に大きな影響を与えるものが出てきます。テレビゲームです。昭和六十三年にもうほとんどの家庭にテレビゲームが入ったということが分かるような、ドラゴンクエストVの発売というのがあったわけなんですけれども、その結果、子供たちはテレビであるとかゲームであるとかというものによって夜更かしというものが続いてくると。つまり、すべての子供たちのその夜更かしというもの、あるいは食事の不足というものが見えてきた。ここに、バブルのいわゆる隆盛と崩壊に至る経済の破綻から、日本の社会が夜遅くまで働くことによってこの経済の苦境を乗り切ろうとしましたから、社会全体の夜型化が進んだわけであります。
 十数年前に始まったニュースステーションは、当時はあんな遅い時間帯にあんなニュースを見るやつがいるのかと言われたわけでありますけれども、今は我々ですらあの十一時からのニュース23ぐらいでちょうどいいなぐらいに夜型になってきておりますし、あの七九年に始まった金八先生は夜八時スタートでした。最終回は、昨年あったわけなんですけれども、夜十時スタートです。中学生が見るべきであろう番組が二時間遅くなっているわけですね。
 こうした社会の夜型化が子供たちの消耗を生んだ、これが私の結論であります。
 そうなってきますと、土堂小学校ではその逆をやることによって子供たちの学力を向上させ、これを社会にアピールすることによってこの誤解を解こうというのが私に与えられたミッションであったというふうに理解をしておりました。
 土堂小学校三年目の成果として申し上げたいと思います。
 一月に漢字検定に挑戦をいたしました。それぞれの担当学年の級に挑戦をしまして、合格率九七%であります。この数値は公立、私立を含めて全国一位であります。それから、標準学力検査、これは日本標準という会社のものを使っておりますけれども、正答率八〇%以上のAランクの子供、全国平均は五五%に対して、土堂小学校の子供たちは九二%という圧倒的な数値を出しております。
 では、なぜこの選抜された私学の子供たちとも対等に渡り合えるほどの学力を子供たちは身に付けることができたか。その秘密が三番にあります知能検査の結果に出ております。早寝早起き朝御飯を子供たちにやってもらって、そして学校においては読み書き計算によって脳力のトレーニングを行う。このことによって子供たちの脳は大変力強いものに成長していきます。それが知能指数という形で現れるわけであります。
 平成十六年、IQの平均は一一三でしたけれども、平成十七年には一一五とまた上がりました。さらにすごいのは、文句なく賢いと言われるIQ一二〇以上の子供たちが、平成十六年には二八%だったものが、今年度は四二%というふうに増えております。そして、標準以下の子供というのは、もはや土堂小学校では一割少々しかいません。こうなると、子供たちは勉強が楽になります。先生方も指導が楽になります。保護者は成績が上がりますから喜びます。みんなハッピーになるという話なんですね。
 しかし、長くその読み書き計算の反復学習は子供の心をゆがめるというようなことがありましたので、ここに持ってきておりますけれども、百升計算はこんなにも駄目なんだってこんな分厚い本が発行されるぐらい批判にさらされてきたわけであります。
 土堂小学校の子供たち、何と六時前に二割の子供が起きております。そして、学校へ行って、するのは勉強ではありません。学校の掃除と運動であります。心と体を鍛えることによって勉強もできるようになる。そして、そのためには、朝早ければ、当然ですけれども夜も早い。今どきの六年生、土堂小学校の子供たちは半数の子供が九時半までに寝ています。勉強時間も一時間から一時間半の子供がほとんどです。ですから、決してがり勉をしたわけではありません。
 このように、私は、この家庭との連携ということが今最も重要になってくる中で、ここにありますのは先ほどの国際学力調査の中で表された結果なんですけれども、現在、中学生の宿題をする時間は大変短くなっております。参加各国の中で最低であります。ところが、テレビを見る時間は二・七時間と世界で最高であります。これは、一日二・七時間見るということは、全学習時間をはるかに上回る時間テレビを見ているということになります。つまり、日本の子供たちは日本テレビ学院小学校通信教育部に入学しているようなものであるということになるわけであります。
 さらに、教育費の問題であります。
 ここが重要なんですけれども、これもよく話題にされていることでありますけれども、GDPの三・五%しか拠出をされておりません。しかし、この三・五%のほとんどは教職員の給与であります。だから、考えてみると話は合うわけですね。少ない教育費を教職員に集中的に投資をし、先生方が頑張ってどうにかこうにかその崩れた状況の中の子供たちを持ちこたえさせているんだということを私は申し上げたいわけであります。
 この教職員の給与を不安定化させるということ、あるいは子供がこのごろ減っているからということで教職員の数を減らしていくということは、何といっても教育改革の主体は教師でありますから、その教師のマンパワーを下げるということは学力崩壊につながり、そして家計への教育費の負担を増加させ、そして少子化を加速させることになり、ひいては日本の社会全体の不安定要因になるのではないか、私はそのことを憂えるものであります。
 これは、先ほど、行きました中国の学校の教卓であります。北京のすべての学校にこのようにコンピューターと実物投影機が配備をされております。しかし、日本の学校で毎年コンピューターを使える教職員の数はという調査が行われますけれども、実は教職員に一人一人にパソコンが配られたことはございません。つまり、日本の教職員はパソコン操作をすべて自前で習得をしております。ですから、教職員の給与というのは教職員の研修費でもあるわけであります。是非ともそこのところを御理解いただけたらと思います。
 さらに、最後、もう一点、競争原理の問題でありますけれども、これは五十メートル走の結果であります。横軸に年齢、縦軸に記録がありますけれども、赤いのが二十年前、緑が十年前、現在が青い線でありますけれども、十三、十四という具合に年齢とともに子供たちはタイムを上げていきますが、十年前や現在の子供たちは十五歳でタイムを一度下げます。そして、十八歳では決定的に下げます。最後に十九歳のとき、そうはいっても十年前は二十年前に追い付くんですが、現在の子供たちは追い付くことができません。この十五歳と十八歳のこのタイムの低下、そしてそのまま成人していくという事実を考えたときに、日本の教職員が受験というものに対して及び腰であるというのは、決して日教組が取ったイデオロギーのためではなく、現場に接している教師たちの勘といいましょうか、そういうものではないかというふうに私は理解しております。
 そして、教育の状況調査によって実は既に学力は上昇基調に転じておりますけれども、それと同時に、小学生の校内暴力が増え、それに対応するために日本の教職員が、精神疾患によって学校に来れなくなる教職員が三倍に増えております。子供たちの元気を回復しないままの学力向上策というのは非常に危険なものであるということを示しているというふうに私は考えております。
 そういう点で、文部科学省が今回提起をされております早寝早起き朝御飯を国民運動にするというのは、また指導要領で読み書き計算のいわゆる復権を果たすということは、私は教育改革の大本命であるというふうに考えております。
 私自身も、今後は、中教審の教育課程部会にもいてその責を負ったわけですから、今後はいろんな現場を回りながら、直接その責任を果たしていきたいというふうに考えております。
 どうもありがとうございました。
○委員長(中島啓雄君) ありがとうございました。
 次に、穂坂参考人にお願いいたします。穂坂参考人。
○参考人(穂坂邦夫君) おはようございます。
 地方自立政策研究所の代表の穂坂です。去年の六月末まで志木の市長を務めさせていただきました。私は専門家ではありません。ただ、県の職員として、あるいは市の職員として、市会議員として、県会議員として、最後は市長として、三十九年間という長い間地方の現場にいたという、そういうところからお話を申し上げたいと思います。
 今、今回いろいろ改正案に載っております二つの大きな点について所感を述べたいというふうに思います。
 一つは、義務教育費の国庫負担制度の問題でありますが、私は元から堅持をすべきという、そういう意見であります。三位一体改革がいろいろ言われておりますが、これは、国でやるべき仕事、都道府県でやるべき仕事、市町村でやるべき仕事、これらをおのずからきちっとやっぱり明確にすべきだというふうに思っています。それが何かごっちゃになっちゃって、何でもいいからという、そういう論理は私は賛成はしかねる、こういう意見でもあります。今回、二分の一から三分の一になりましたが、その骨格は残っておりますから、そう変わらないでしょう。そういう意味では私は歓迎をしたいというふうに思っております。
 やはり、中央政府の役割分担、広域地方政府としての都道府県の役割分担、市町村の役割分担を今後しっかりやるべきではないか、こんなふうに思っております。できれば国の役割を、無償制による機会の均等あるいは教育水準あるいは教育の中立性、こういうものをしっかりやっていただく。そしてまた、特に都道府県の立場、今道州制がいろいろ言われておりますが、これはさっき言ったように地方の広域機能、そういうものを持つ行政機構として、できれば市町村の自治事務、その辺について、もちろん当然の広域的な、その本来的な機能はありますが、加えて市町村の自治事務に対する補完業務、こういうものをしっかりやってもらうことがいいのではないか。そして、実施主体、市町村は、やはり一番大事なのは、自己決定あるいは自己責任、そういうものを明確にすることが私は大事だというふうに思っております。そういう意味では、やはりそういう見地から、義務教育の国庫負担、そういうものはきちっと堅持をすべきではないかと、こう思っております。
 もう一つの大きな改正案がありますが、それにつきましては大変歓迎をいたしております。
 一つは、実施主体における裁量権が大変拡大をされたということであります。
 私どもも、全国で初めて二十五人程度学級を導入いたしましたが、私も学習塾、幼稚園の園長等やっておりまして、とにかく小学校の一、二年生は何とかしてあの四十人を変えたいというそういう気持ちで、教育委員会ともよく連携を取って初めてやりました。一、二年生はどうやら、県費負担の先生をうまく組み合わせますと、市の負担、臨時の教職員を入れて補完をすればどうやらできたわけでありますが、少なくとも低学年ということで三年まで拡大をしよう、こういうことになりますとやりくりが付きません。と申しますのは、県費負担教職員でなければ担任を持ってはいけないという、そういうことがあるものですから、なかなかその壁を越えることができない。そういうことで特区の申請等をやったわけでありますが、おかげさまでそれが認められて、どうやら三年まで拡大をできました。これらが全国的に拡大をされますと多様な学級経営ができるのではないかと大変期待をしております。
 私どもは市費で、非常勤でありましたが教職員の先生方お願いをしました。当然、特区で認められましたから担任を持つこともできました。その採用についても非常にいろんな方々が参加をしてくれました。もちろん教育委員会の創意と工夫によるものでありますが、例えば地域の人たちあるいは自治会の人たちあるいはPTAの人たち、そういう人たちがいろいろ参加をして、おらが先生をどういうふうに、どんな方が一番いいのか、そういうことを一般の住民の視点からも参加をしていただきました。私どもは、自分たちの先生が誕生したんだな、そういう地域の皆さんのきらきら光る、そういう目を大変すてきなことだというふうに感じております。
 さらに、独自研修も随分やりました。いわゆる都道府県が一括で採りますから、なかなか個別の地域に合った研修というのは難しい。お金がそう市町村もないものですから、じゃ独自で研修をしますと、あと何年かたつか、あるいは来年か、広域人事でありますので、ぽこっとどこかへ行っちゃいますから、そんなに教職員の独自の研修費は掛けられない。しかし、自分たちで採った先生方は別でありますから、結構研修もいたしました。
 その意味では、独自の研修も推進もでき、さらには、教職員、いろいろ見方はあると思うんですが、待遇は違いますが、県費の負担の教職員と、私どもは、市町村の採った職員といろいろ切磋琢磨、そういうような関係になってきた。私どもも、いろんな先生方との市長としての一般的な懇談会等々にも出させていただきましたが、例えば、県費負担の教職員の先生方が、市費負担の先生方、非常勤とはいえ旅費を公平に付けてくれないと困るよとか、いろんな意味でお互いがかばい合ってもらう。お互いがというよりも、県費負担の方々がいろいろサジェスチョンを市費負担の先生方にしていただく、そういうこともありました。そういう意味では、切磋琢磨してお互いに緊張関係が生まれたのではないか、こう思っております。
 懸念をすることに、教員の固定化の問題もあると思うんです。しかし、いろいろ考えてみますと、私どもは小学校が八校あります。私学に比べますと、私学なんかそうありません。大体、八校も小学校を持っているなんて私学はそうありませんから、そういう意味では、固定化という形の懸念は私は違う形で払拭できるのではないか、こんなふうに思っております。それよりもむしろ、おらが学校の先生だという、そういう意識の方が、広域人事もプラスがありますから、両方併せますとプラス・マイナス、やっぱり地域で、いろんな地域の支援の中で採った先生というのはすてきだなというふうに、こんな思いがいたしております。これが大きな二つです。
 ですから、一つについては、多様な学級経営ができるということは非常に歓迎をしている。もう一つの義務教育の国庫負担につきましては、これが三分の一きちっとそれが残った、そういうことを今後もやはりもっともっと基本的な形の中で考えるべきではないか、こんな意味で申し上げた次第であります。
 さらに、二つ目として、更なる改革への期待でありますが、できれば今後やはり同じように義務教育の国庫負担は堅持をしていただきたいというふうに思っております。さらに、国でやるべき仕事、当然先ほどの中に教科書の国家検定の継続等々もあるでしょう。しかし同時に、実施主体における自主権、自己決定と自己責任の拡大を今後も続けていただきたい。そしてさらに、実施主体に対する自由度が増してくれば、国の当然役割ももっともっときちんとしなければならないというふうに思っております。これらについては、評価機能をどういうふうに、完結の結果をどう見るか、それはやっぱり国の私は仕事だというふうに思っているんです。その辺はしっかりやっていただく、こういう上で自主権を拡大をしていただきたいというふうに思っております。
 二つ目でありますが、やっぱり教育現場は、私は教育者ではありませんが、親族にはほとんど陰山先生と同じように校長先生も一般の教員もいます。本音でいろいろ聞きますと、やっぱり教育現場の一番大事なのは創造性の発揮だ、こういうふうによく言います。上から縦型で言われたものをそのとおりやる、それからはやっぱり子供の個性、そういうものは引き出せない。そういうことを考えると、やっぱり授業にしても何にしても、現場の創造性というのはこれから発揮できるような、そういう環境をつくっていかなければいけない。こういう意味で、自主権の拡大をお願いしたい、こう思っておりますので、御理解をいただきたいというふうに思っております。
 今、様々な規制があります。よく指導、助言といいますが、上の方は、指導、助言で、別にそんなに、命令ではないよ、こう言っていますが、受け取る方はそうではなくて、ほとんどそれは命令だというふうに受け取っているのが実態です。そういう意味からしますと、やっぱりそういう様々な規制を撤廃をする、もし必要であれば、自治体、実施主体がそれぞれ条例というのを持っておりますので、条例を義務化をしてそれらで明確に補完をする、そういうことも一つのやり方ではないか、こう思っております。
 さらに、県費負担教職員制度でありますが、私はこれは原則的に廃止をすべきだというふうに思っているんです。今はもう総額裁量制というのは行われていると思いますが、私は、埼玉県、私の同期がちょうど教育長でありましたが、いろんな意味で話をするときに、埼玉県が大変東京に近いわけでありますが、それでも秩父の方と東京の近くでは全く教育環境が違います。そういう意味では、やっぱり県が総額裁量制でやるといってもいろいろ市町村の個性が違いますから、ばらばらでやるというのは非常に難しいんですね。どうしても一括になってしまう、一つのやり方っきり取れない。九十市町村あれば九十市町村のやり方なんて土台無理です。
 そういう意味では、やっぱり創造性や創意を発揮するにも、原則的に県費負担の教職員制度を私は廃止すべきではないか、そして市町村に直接交付をすべきではないか、教職員任命権を市町村に移譲すべきではないかと、こんなふうに思っております。
 もちろん、経過措置も必要でしょう。やっぱりどこかで話しましたらみんな反対ですね。それは、市町村の身分保障よりもそれは都道府県の身分保障、だれでもいいんですよ。ですから、それはある程度の経過措置は必要だと思うんです。さらに離島でありますとか、規模の小さい、特に小さい、まだまだ合併が成ったとはいえ村等々もあろうかと思うんです。そういうときには広域教育団体、こういうのの設置なんかもいいと思うんですね。ただ、なかなか、小さいところに配慮するために頭からやっぱり広域団体じゃないと駄目だという、そういう県費負担教職員制度は考える時期にもう来ているんではないかと、こんなふうにも思っております。
 学習指導要領も、私どもの市の人たちは余り言いませんでしたけれども、やっぱり肉親に聞くと忙しくて忙しくて大変だと、結構小中学校の先生忙しいという、そういう実態も見ていただければよろしいかと思うんです。ある意味では、今の学習指導要領がもうぎっちり締まってしまって身動きが取れないという、そういうこともあるようです。弾力化等々もやっぱり考えなければならない一つの問題ではないか、こう思っております。
 さらに、私は、教育委員会制度、教育委員会の廃止を特区申請もしましたし、廃止論も書いておりますが、決して市長が全部市町村見るなんて気持ちは全くありません。そういう今あいまいなところを明確にすべきではないかと。責任者不在をどういうふうに、きちんと確認をすべきではないかと。校長先生ばっかり押し付けちゃって、それではなかなか全体的な改善ができないのではないかと。制度は制度、それから教育現場の実態は実態として、両方からやっぱり改革が必要ではないかと思っております。レーマンコントロール等々も完全に形骸化をしております。三人や五人で、教育長という専門の方がいて、レーマンコントロールが発揮できるわけがない、現場はなかなか難しい、こういうことも御理解をいただければ有り難いと思っております。
 私は今二十五人程度学級を全国で初めて実施させていただきましたが、まだ結果は出ておりません。中にはどれだけ良くなったと言われますが、ただ一つだけ言えることは、生徒と先生とのコミュニケーションが取れるようになった、これは大きな成果というふうに思っております。
 同時に、ホームスタディー制度もやりました。これは、決まったところに行くんではなくて、見放さない、あきらめない、押し付けない、そういう形で先生を家庭に派遣をするという、ボランティアでありますが、家庭学習の中でもそこで勉強をすればそれを単位として認めてもいいのではないか、学校否定論者とも言われたことがありますが、こういうこともやりました。
 学校魅力化推進事業、これは校長先生の裁量権を大きくしたい、どこでもやっていることでありますが、これらもやりましたし、あるいは、学校経営協議会、今の現状よりもむしろもっと進んで、地域の人に入っていただいて、地域がやっぱり育てるという、公立にはバックボーンがあるわけでありますから、それらをどういうふうに機能するかと、こんなふうに思いました。
 最後になりますが、住民自治を実施をするということは大変難しい。私はシティーマネジャー、オーナーは住民の皆さんだということでやってまいりましたが、やっぱりこれからはそういう住民自治を実施をすることによって、意外と無駄があちこち多いものをどういうふうにやっぱりそれらも排除していくかと、そういうことも大変ですし、やっぱり実施主体が自主権、そういうものをしっかり持つ、そういうことが今後問われているのではないか、問われていくのではないかと、こう思っております。
 大変ありがとうございました。
○委員長(中島啓雄君) ありがとうございました。
 以上で参考人の皆様からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑に入ります。
 各参考人にお願いを申し上げます。
 御答弁の際は、委員長の指名を受けてから御発言いただくようお願いいたします。
 また、時間が限られておりますので、できるだけ簡潔な御答弁をお願い申し上げます。
 それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
○北岡秀二君 自由民主党の北岡秀二でございます。
 今日は、三人の参考人の先生方、それぞれのお立場から大変我々にとりましては参考になるお話をいただきまして、誠にありがとうございます。
 私の方からは、発言をいただいた順番にお一人お一人質疑をさせていただきたいと思います。
 まず、吉田参考人にお伺いをしたいんですが、先ほどの説明、財政的な側面でいろいろ御説明をいただいた部分あろうかと思うんですが、その辺りは理解をさせていただくところもございます。しかし、我々、この場でいろいろ議論しておる中で一番大きな関心事の一つには、このたびの国庫負担、義務教育費の国庫負担、下がっていくこと、あるいは、当初の議論の中にはもうすべて一般財源化するというような話もございました。
 その過程の中で一番大きく懸念をしておったことが、これはもう一番よく言われることなんですが、地域間格差がどんどんどんどん起こってくるんじゃなかろうか、あるいは学校間格差が起こってくるんではなかろうか、そういう懸念というのが、私も一番心配いたしておりますし、これからこういう措置がどんどんどんどん進行していく過程の中で、三位一体全部そうなんですが、そういう状況が懸念されるところがたくさんございます。
 吉田参考人のお立場で、この教育の観点の中での地域間格差あるいは学校間格差が起こってくるんじゃなかろうかというような意見に対してはどういう御見解をお持ちなのか、まずお聞きしたいと思います。
○参考人(吉田和男君) 格差といったとき、先ほどもちょっと出ていましたけど、例えば離島とか山間部とか、そういうところの自治体に全部責任を持ってやれといってもこれは無理なわけですね。だから、大半の自治体に自ら律して財政責任を持ってやっていただくということになると思うんですね。
 したがって、離島とかそういうところはちょっと除いて申しますと、経済力の地域間格差というのはバブル崩壊後更に拡大してきているわけです。これを財政で補てんすることが地域にとって本当にいいのかどうかというのはやはり考える必要があると思うわけです。財政で補てんするというのは、均質に補てんするわけにいきませんから、偏りを持って、補助金というのは偏りを持って補てんすることになるわけですし、そして、重要なのは、地域間が競争して自分のところの経済力をいかに上げていくかということの自由度を高めることだと思うんですね。
 それを前提にして、教育の問題でございますが、ナショナルミニマムとして全国に一律の教育水準を保障するということで国庫補助金制度があるわけでありますが、しかし、これのネガティブな側面ということはお話しさせていただいたわけでありますが、ただ、財政力の弱いところが教育に対してその支出を減らしていくかというと、必ずしもストレートにはならないと。むしろ、先ほど申しましたように、地域の発展のためには、教育というのは重要な投資ですから、もちろん首長さんを選ぶのは住民であって、住民がどう判断するかの問題でありますが、地域が発展するように地域の財政運営をするということであれば、教育に対してネガティブになるということは考えにくいんじゃないかと。教育が投資であるというふうに、そう考えない住民もいるところも出てくるかもしれませんが、基本は、まあ米百俵じゃありませんけれども、教育に、何というんですか、教育をないがしろにするということはまあ考えにくいということですね。
 それから、もう一点加えておきますと、地域の格差といったときに、賃金が、特にバブル崩壊後ですけれども、賃金の格差が出ていますですね。それで、国家公務員、地方公務員もその賃金の地域実態に合わせるということでありますから、教育公務員もそれの例外になることはないと思うわけですね。ですから、地域に任したときにそれだけの人材が確保できるかどうかということになるわけですが、それは正に賃金自身が、全体の賃金が下がっている中でどう確保していくか、どういうふうな予算を立てていくかということでその水準自身が変わるということ自身がその教育の質を、直ちに格差を生じるというふうには理解しない方がいいと思っております。
○北岡秀二君 続いて、陰山参考人にお伺いしたいと思います。
 大変現場で御活躍をいただいて、私、NHKの放映でも拝見をさしていただいたことございますし、全国各地域の最前線の現場の先生方が陰山先生の指導方法を一生懸命参考にしながら、更に全国的に広がっていくと。その辺り、大変な御功績に対して私はもう敬意を表したいと思いますし、今日の話聞いて私はびっくりしました。もうちょっと違う観点のお話されるのかなと思うと、今日のいろんな資料、改めて私はもう大変参考に、有意義な参考にさしていただきました。ありがとうございます。
 で、最前線で先生いろいろなお考えをお持ちであるだけに、私どもこれから先、地方分権に当たって大きく懸念、懸念というか考えなければならないことの一つに、教育の現場に、あるいは地方の教育に対して国がどこまで関与をしたらいいのか、その辺りの基準というか、あるべき姿に大変悶々とするところがございます。
 先生、最前線で大変いろんな経験をお持ちで活動されながら、国の関与のあるべき姿、まあ非常に抽象的でございますが、先生のお立場でお話しいただけるところをお話しいただきたいと思います。
○参考人(陰山英男君) ありがとうございます。
 一言で申し上げて、学校におけるマネジメントというのは、教師の指導を地域、保護者に信頼させることだろうと、一言で言えばそういうことに尽きるのではないかなと思います。
 ところが、今、日本の教育がなぜ難しいかというと、信頼をさせない力が物すごく働いているからであります。先ほど申し上げたように、様々な誤解がその教職員の指導を誤解させてしまう。
 それから、人権上の配慮とか、あるいはその個人の自由も結構なんですけれども、本校におきましても、金曜日休ましてください、ディズニーランドへ行きますからというのが平気で入ってくるわけですね。で、土日過ぎて月曜日になりますと、済みません、ディズニーランドへ行って疲れましたんで休ましてくださいと。こういうことが平気でもうまかり通ってくるんですね。ところが、やっぱりそういう方というのは、先生に対する御批判はなかなか厳しいことをおっしゃる。ちょっと待ってくださいということになるわけですね。そうなってくると、やっぱり我々としては、当然のことながら、ちょっと待ってくださいということを保護者の方にお願いしなきゃいけないわけなんですけれども、こういう方というのはなかなか聞かないんですよね。そうすると時間が掛かっちゃうんで、そんなこと相手している暇があったら別のことをしようとつい私なんかでも思ってしまうんですね。
 そういう点で、教師の指導をいかに信頼させていただくかということを考えていただければ一つの方向性が出てくるのではないでしょうか。
 私自身がやったことは、まず先生方に子供たちが伸びる指導方法を教え、またいろいろと考えていただくことでした。それは先ほど見ていただいたデータに出てくるわけですね。それをつまりやったことによって、その結果を分かりやすくまとめて、そしてそれを発信させることです。
 日本の教師の一番いいところは謙虚なところなんですけれども、悪いところは謙虚過ぎることなんですよね。もう、すぐ何か、いいんです、私はこれだけ実績が出せればと言っちゃうんですよね。ばかやろうという話になるんですね。やった以上は評価をしていただかなきゃ、変な連中が評価されることになるよということを言ってきたわけであります。そして、その研究や発表の場を与えるということですね。こういうふうなことを国としてもやっていただくことが非常に有り難い。
 具体的に申し上げますと、例えば土堂小学校もこのように頑張りました。しかし、様々な困難を抱えております。例えば、八十年前の校舎を今もって使っております。耐震の問題があります。ところが、非常に、学校選択をやっている関係で、有り難いんですけれども、校舎のキャパシティーを超えて今希望されているという実態があります。
 じゃ、これをどのように受けていただいたらいいだろうかと。我々は、先生方の指導を高めることはできるけれども、それによって起きてきた様々な影響というのを解消することができない。これを何とか行政の力でお願いをしたいということであります。
 それから、やっぱり頑張った先生方をいろんな場面で評価をしてほしいということであります。今、日本の教育評価というのは、いい先生を評価するのではなくて悪い教師をいかに切るかという、もう北風ピープーの世界なんですよね。やっぱりそこに太陽の光を当てていただきたいなということを強く思います。
 例えばこういう問題行動があったとしますね。必ず教育委員会はそういう実態がないかという調査をします。で、先生方を集めて、どうだこうだというレポートを書いてもらって上げます。上がります。今度次に、じゃそれについてどう対策を打つのかというレポートを書けというんで、書いていきます。今度その後、それを出したら、実践して、はい、じゃどうなったと来ますね。先ほど志木市長さんもおっしゃられたように、現場がもう文書漬けになります。だから、子供に向き合うよりもパソコンに向き合う方が多くなってしまうんですよ。だから、そのことによって先生方は子供に関われないから、結局なかなかうまくいかない。やはりうまくいっている先生方を応援するという形になるとこの辺の方向性がちょっと変わってくるのかなということを思います。
 それから、これ私の立場ではちょっと言いにくいんですけれども、やっぱり教育委員会やそれから管理職にしっかりとした方々を付けていただくことですね。
 例えばある地域に講演に行きます。先生方の集まりで行きます。そうすると、読み書き計算は嫌いだというその教育長さんが、その日にわざわざ研修会を打って先生方をそこに行かせないようにするとかね、あるんですよ、今でも。中教審の委員が来てもそんなですからね。そういう点からいうと、私は文部科学省のコントロールが全国津々浦々まで縛っているとは実は思わない。
 これも本当に、本当に僕も意外だったんですけれど、一番最初私たちの実践が紹介されるのが西暦二〇〇〇年の十月三十一日、まだゆとり教育全盛だった時代にこの読み書き計算のあのごりごりの実践をテレビ放映するといったときに、事前にNHKの担当者の方が文部科学省に行ったら、文部科学省の方が何とおっしゃったかというと、ああ、いいことだね、やってくださいという話になったというんですね。私は絶対うそだと思いました、正直なところ。でも本当だったんですね。ですから、やはり私は、一部には文部科学省がこう言っているよということを隠れみのにして都合のいいことを言っている人たちも中にはいらっしゃるのかなという気がいたします。
 そういう点で、子供たちが伸びる方向性と、それからそれをはっきりさせ、先生方の実践を地域に信頼させるように様々な諸施策を持っていただくことが大変有り難いというふうに思います。
○北岡秀二君 続いて穂坂参考人にお伺いします。
 これまた市長として、あるいは地方議員の経験も含めて大変な実績を上げられたこと、大変敬意を表したいと思いますが、このたびの法案改正で市町村費負担の教員、まあ県費負担と、それと混在するというような形になろうかと思います。これが将来的に進行していけば、校長あるいは教頭への登用とか、まあまあ管理職への登用とか、そういうところでどういうふうな形で処遇していくんかというような問題も発生してくるだろうし、また研修の在り方も含めて問題も発生してこようかと思いますが、今まで実践してこられた経験を踏まえて、こういった問題がどういうふうに解消されるのか、改めてお伺いをしたいと思います。
○参考人(穂坂邦夫君) 管理職の登用は、当面、十年、十五年の間ではそういう問題は起きないと思います。
 なぜかといいますと、私ども、二十五人程度学級をやるとき採りますね。たしか一、二年生で二十人ぐらいだったと思うんです。物すごい財政負担になるわけですよ。ですから、もうありとあらゆるものをカットして自己財源つくらないと、大変、志木市というのは財政力指数は高いところでしたが、それでも年間何千万の自己負担を生み出すというのは大変なんですね。だから、そういう意味では、これだけ厳しい時代、財政環境になってきますと、それほど私は大きくは、管理職登用までにいくような数にはならないのではないかという見通しは持っています。ただ、これらがどんどん、もちろん教育というのは市町村にとっては命みたいなものですから、だからそういう意味で増えてくれば、そのときになった方がむしろ難しいのかなと、現実問題、そう思います。ただ、当面はないというふうに思っています。
 ただ、研修なんかについては、当然これはしっかりやるということになりますね。そうすると、かえって、県が大量に一括採用してそこでやる研修と、やっぱり市町村が責任持ってやるということになると、当然、その方だけというわけにいきませんよね。ですから、ある意味では県費負担の教職員の皆さんにも参加をしてもらうということになると思いますから、そういう意味では相乗作用が起きて、ある意味ではプラスになるのではないか、こう思っています。
○水岡俊一君 民主党の水岡俊一でございます。
 今日は三人の参考人の方々の御意見、拝聴いたしまして、大変参考になりました。ありがとうございました。
 私から幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 まず、陰山参考人にお伺いをしたいと思います。
 陰山参考人は、尼崎、そして生野で教壇に立たれて、その後、広島県に移られ、今は中教審の委員として全国の子供たちのために御尽力いただいていること、本当に感謝申し上げたいというふうに思っております。実は私も兵庫県で教員をしておりましたので、そういった意味では同じ仲間としてひとつよろしくお願いをしたいと、こういうふうに思っております。
 参考人のお話を聞く中で、食事、それからテレビ、そういったものを含めて、生活習慣を変えていくということが教育の上で非常に重要なんだと。これは百升計算ということの問題とはまた違った次元で、参考人が非常に重要だというふうにお考えになって、そのことを土堂小学校で現実的に多くの仲間の皆さんと実現をされたと。
 こういう中にあって、今、三年目の成果とおっしゃいました。一年目、赴任をされたときと今の三年目と随分その状況は違うと思いますが、恐らく最初の一年目は、教職員の皆さんが参考人のお考えを理解をし、そして子供たちにそういった生活習慣の転換を図るといったことに御努力をされたというふうに思うんですが、そのことにかかわって、先生方の御苦労を、また参考人としてごらんになった感想であるとか、あるいはそこにおける御苦労であるとかいったことについて、何かお考えがあればお教えをいただきたいというふうに思いますが。
○参考人(陰山英男君) ありがとうございます。
 確かに一年目は本当に大変でした。長く読み書き計算というのは子供の心を荒らすものだというふうに信じられていましたので、言ってみれば、一般の教職員にしますと、やっちゃいけないことをやらされる恐怖というものがあったと思います。それを進めるに当たって、やはり私自身が言いましたのは、責任は私が取ると、こうやって経緯も分かってのとおりでしたから。そのことで強硬に推進をしていきました。
 それから、一つ状況として厳しかったのは、もうはっきり申し上げれば、当時は民間の校長先生が隣の小学校で自殺をされるという、もうそのさなかでしたので、全く教育委員会というものが支援していただける体制にはならなかったわけですね。ですから、そういう点でも、とにかく一生懸命、もうここからはいい実践をするしかないんだということで頑張ったわけなんですけれども、逆にそのことが先生方のやる気に火を付けたといいますか、ここからやっぱりやるんだと、方向はどうも分かんないけれども、もう行くしかないだろうというようなある一種の腹のくくり方。
 それから、もっとついでに本音を言わしていただければ、もう同じ教師ということであったらお分かりだろうと思いますけれども、本音を言えば、ふざけるなという話ですよね。何でそこまで日本の教師が悪く言われなあかんねんと。万引き行ったときに何で親が引き取りに行かんと教師が行かなあかんねんとか、土曜日、日曜日、部活出て、何であんなもの無給やねんとか、それで何で文句言われなあかんねんという本音があるわけですよね。
 当時、うちの職員がこう言いましたね。そこまで我々が悪く言われなあかんのですかと。ちょうどその校長先生が自殺した事件がありましたからね。教師が悪い教師が悪いということを言われていましたから。で、私は言ったんですよ。もうそれは言うなと、信頼がないのは事実だと、信頼させる方法はちゃんとおれが提示するから、だからそれまでおれの言うことを信じてやってくれと、その代わり必ずそれはいい方向に持っていくからと。実ははったりだったんですけどね。まあうまくいくだろうということでやったら、それで結局うまくいきましたね。
 やはり、私、一番有り難かったのは中山前大臣が来られたということなんです。中山前大臣が、文科大臣が来られて、要するに約束を果たさなきゃいけないんですよ、信頼されるためだったらあとは好きに言っていいと言ったら、ほんまに言うわ言うわ。学校が忙しいの、教師が信頼されてないの、もっときちんと仕事さしてくれとか、いろいろ言ったんです。それに対して中山大臣はどうおっしゃったかというと、あなたたちのお気持ちは大変よく分かりました、健康とそれから家族を大切にされて今の実践を続けてくださいとおっしゃったんですね。私は救われましたね、あれで。やはりトップとそれから現場がこのようにストレートにつながる、これが物すごく大きかったと思いますね。
 そういう点で、スクールミーティングというのは物すごい地味な実践かもしれません、文科省からすれば。しかし、私としては非常に有り難かった。忙しいかもしれませんけれども、何年かに一回はああいうことをしていただくと大変有り難いなというふうに思います。
 そして、今、そうだ、やれば報われるんだということが分かった今、職員はもう喜々としてやってくれています。ですから、漢字検定挑戦するときには、合格率九〇%いこうねと言ったら、もうそれだけです。後はもう全部先生方で話合いをしておぜん立てをして、私は中教審の方に行くことが多かったので現場を見ることがなかなかできなかったんですけれども、本当に先生方頑張ってもらったということです。
 ついでにもう一つだけちょっとお願いするのならば、この実践を広げていくときに、各学校やっぱり平等にという考え方があるわけなんですよ、教育委員会からすると。そうすると、やっぱり土堂が目立っているからその土堂の実践を隣の学校に広げるというふうなことになった場合に、やはり今まで教師のやってきた実践に対するメンツというものがあるわけですね。だから、ここがなかなか難しいんですよ。私は隣の学校へ行くのも年休で行っていました。土日に講演会へ行く、これも、当然休みですから、結局休日が全くなしになっちゃって、ちょっと健康の方がもうデッドロックに乗り上げたような形で転職をするということになったわけなんですけれども、私はここは大胆に、実績のあったところはきちんと評価をするということに徹していただくということが最も今重要かなと思います。
○水岡俊一君 ありがとうございました。
 そういった指導をなされる中で、今、義務教育費国庫負担制度、非常に苦しい状況にありますよね。特に今年は、行政改革推進法案が出てくるという中において、教職員の数をもっと減らせという、こういった動きが出てくるわけですね。今、現場の学校を担当されていて、教職員の数を減らす方向がこれから出てくることにどういうふうな懸念を持たれているのか、先生のお立場からお聞かせをいただきたいと思います。
○参考人(陰山英男君) 公務員という立場ですから、法案等に対する賛成、反対という立場は保留させていただきますが、現場としては、今、より多くの教職員必要としています。
 なぜか。情報教育やります。そうすると、パソコンの今までやってこなかった人がパソコンを使うことになります。英語教育が始まるということが報道されました。英語の免許を取った人間は小学校現場にはほとんどいません。そうした新しい教育が提起される中で、それが重要とされるのならば、それに必要な人員が手配されるというのは自然なことだろうというふうに考えております。
○水岡俊一君 ありがとうございました。
 それでは、穂坂参考人にお伺いをしたいというふうに思います。
 参考人は、著書の中で、日本は人材が唯一の資源と言うぐらいであるならもっとお金を出せと、こういうふうにお書きになっている。今現在、教育予算全体を見れば、GDP比にして三・五%というOECD各国の中でも極めて低い数値を示している日本の実態だと私は思うんですね。まあGDP比がすべてだと私は思いませんが、しかしながら恐らくもっともっとお金をというふうにお考えをいただいている中で、参考人としてはどの分野に特にお金の、資本の投下をするべきだというふうにお考えをなさっているのか、お聞かせをいただきたいと思います。お願いします。
○参考人(穂坂邦夫君) たった一つだと思うんです。先生を増やすことが一番いいと思うんです。
 例えば、私どもが、校長先生の裁量権を高くするのに学校魅力化事業というのをやりました。うちはお金がありませんから、一校二百万とか三百万と。もうどこも全部、補助教員の先生を頼んじゃったり、人に全部使っちゃうわけです。やっぱり事務職だってもっと欲しいという声ありますね。でも、やっぱり先生方まじめですから、それでも事務の方は自分たちで何とかカバーして、我慢して、やっぱり子供たちと接する補助教員にみんな行っちゃうんです。
 ですから、私は、まあGDP比の比率というのはなかなか難しい、先生おっしゃるように難しいと思うんです。ただ、やっぱりこれからどこに重点的にやるかというと、私はもっともっと人を増やすべきだと。減らすところはやっぱり減らすべきだと思うんですよ。ただし、教育は、もうこれはやっぱり現場ですよ。ですから、むしろほかを減らしてもいいから学校はやっぱり先生方を増やすべきだ、もうそれ一点だというふうに思っています。
○水岡俊一君 穂坂さんは二十五人程度学級というのを主張されて、随分御苦労なさってその実現をされたわけですが、実は私、中学校でありましたが、新任で赴任をしたときに二十五人のクラスでした。新人で非常に緊張する中で、クラスの前に立って、二十五人というのは非常に有り難かったです。あれが四十人の子供たちがいたとしたら、私は目が行き届かなかったなというふうに振り返って思うところであります。
 今全国的には三十人学級であるとか三十五人学級であるとか、これを試験的にやりましょうとか、いろいろ特区の中で御苦労されているところもありますが、穂坂参考人のお立場として、全国に二十五人程度学級をどんどんと進めたいというふうなお立場の中で、特にアピールをしたいということがあれば、この場で一言聞かしていただきたいと思うんですが。
○参考人(穂坂邦夫君) お答えをするわけですが、うちでも二十五人程度学級やった後に、私は検証が絶対必要だと。ということで、大変有り難いことに、全国のたしか六十四ぐらいの大学で、八十人ぐらいの先生方が参加していただいて、ここで本が出るようです。東大の、たしか中教審のやっている小川先生とか、鳥取大学の渡部先生ですか、多分ここで新刊で出るようですが、志木市の検証という形で。そのときに、やっぱり低学年は二十五人程度がいいだろう。中学年、これは二十八人程度、小学校ですね。五、六年生は三十人ぐらいがいいのかなというような検証をしていただいているようです。
 ですから、もちろん成長度合いによってクラスサイズというのはある程度変化があると思います。ただ、いかにも頭から四十人は、これ、普通の国へ行ってみれば分かると思うんですが、科目によっちゃ別ですよ、例えば余り少な過ぎるために、もっとやっぱり多い方がいいという授業いろいろありますよね。でも、一般的にやっぱり低学年についてもう完全に、私は幼稚園の園長をやりましたけど、幼児から児童に変わったってそんなにころっと変わるわけはありませんので、ある意味では、小一、さっき先生からも出たプロブレムなんということがその延長として出るということもありますね。
 ですから、私は是非、ほかの部門は削っても、こんなこと言っちゃ失礼ですが、徹底的に合理化なり削減はもうやらざるを得ないと思うんですね。しかし、やっぱり教育というのは唯一もうマンパワーですよ。ですから、そういうものについてはやっぱりしっかり、将来の、十年、二十年、三十年の日本の将来を見たときに、是非そこにはたくさんお金を掛けていただいた方がいい、そう思います。是非お願いしたいと思います。
○水岡俊一君 ありがとうございました。
 それでは、吉田参考人にお伺いをしたいんですが、先ほどの質問とダブるわけですが、日本の教育予算を増やすべきだというふうに私は考えるところでありますが、吉田参考人はグローバルな視点から見て各国の事情も御存じだと思いますので、そういった意味からすると、教育予算を増やすとすればどういった点に重点を置くべきか、あるいはそれは世界のバランスからいってどうだというようなお考えがあればお聞かせをいただきたいんですが。お願いします。
○参考人(吉田和男君) 財政学をやっている立場と教育者としての立場というのとなかなか矛盾するわけでありまして、現在の財政状況、これはサステーナブルでないというのはもうほとんどの人が認めているところでありますし、日本の国民がどうぞ御自由に消費税上げてくださいという状況にもないというのも事実であるわけです。
 ですから、全体の歳出はカットしていかなきゃいけないと。日本二十一世紀ビジョンでも、今の小泉内閣の削減のペースを続けていって、なおかつ社会保障制度を維持しようとすれば消費税率を上げなきゃいけない、プライマリーバランス回復するためにも上げなきゃいけないと。あのビジョンの中で私の試算ということで書かれているわけですが、一〇%アルファというふうな消費税、これは小泉内閣という、その極めて予算削減の姿勢をずっと続けていっているということになるわけですね。
 ですから、その中で教育予算というのをどういうふうに考えていくかという必要があるかと思います。
 一つは、やはり効率化といいますか、小学校、中学校あるいは高校の教育現場でどの程度の効率化が可能かというのはちょっと見ておりませんので分かりませんが、可能な限り効率化。さらに、民間でよく行われているところの、まあ民間の協力、それから民間へのアウトソーシング等ですね、そういったものが可能なものがないか。給食なんかが典型例になってくると思うんですが、そういった効率化をどう進めていくかということを前提にして、教育の質とそれから量というものを確保、まあ量といいますか、質を確保していくことは不可欠だと思います。
 しかし、実態として、人口が減少していって、一人当たりの生徒に対する経費がやっぱり一・何倍かになっているわけですね、今ちょっと数字がないんであれですが。やはりそれは何とか改善していく必要があると思います。
 それから、高等教育に関しましては、今度、我田引水でありますが、高等教育はやはり投資であって、国際競争力を付ける基本でありますから、またよろしくお願いします。陳情になってしまいますが、よろしくお願いいたします。
○水岡俊一君 それでは、最後にもう一度陰山参考人にお願いをしたいと思います。
 教職員のモチベーションを高めるためにはどんなことが必要だと思われますか。そのことについて、一言だけお願いいたします。
○参考人(陰山英男君) 先ほど申し上げましたけれども、やはり周囲の人たちが教師を信頼するという方向に動いていってもらうということなんですね。その中で、今、先ほど申し上げましたように、教師の信頼を損なうような力が強いということを申し上げましたが、その最も主要な問題は、実はその事実が全然認識をされていないということです。
 例えば、今日はちょうど持ってまいりました、これは私の子供が昨年まで使っていました中学校の地理の教科書です。(資料提示)この地理の教科書で、今国際化の時代ですけれども、世界の国々は何か国扱ってあるか御存じでしょうか。何かこの参議院の文教常任委員会に来て、ここで変な答え出てきたら私もちょっと凍り付いてしまうんですけれども、実はこれ、三か国なんです。──えって、文教の委員の方々が知らないというんで、ちょっとそれも問題なような気もするんですけど、三か国です。それで、アメリカと、それからアジア代表で、中国でもインドでもなくてマレーシアが紹介されています。そして、ヨーロッパの代表でフランスです。
 フランスの文章がどのように始まっているか、読んでみますからお聞きください。
 国の特色を調べよう みきさんは、おいしいフランスパンとカマンベールチーズを食べたことがきっかけで、生産国のフランスに興味を持ちました。みきさんは、さっそく地図帳を開いて、フランスの位置や面積、人口を日本と比べながら見てみました。すると、面積は日本よりやや大きく、人口は日本の約二分の一で、首都のパリは、北海道より高緯度に位置していることなどがわかりました。
 これが説明ですね。次のページが「身近にあるフランス文化」。フランス文化の説明がどう書かれているか、聞いてくださいね。
  けんたさんは、フランスについて知るために、フランスの文化が世界に広まっていることに注目することにしました。そこで、身の回りにあるフランスの文化を百科事典などで調べてみることにしました。
 ここで何が出てくると思います。エッフェル塔でしょうか、凱旋門でしょうか、モンマルトルの丘でしょうか。違うんですよ。笑ってくださいね。
  フランスでは食文化が発達し、フランス料理は、世界中に広まりました。日本のレストランでもフランス語がよく使われています。「スープ」や「デザート」は、英語になったフランス語です。
 これがフランスの文化の説明です。これ、フランス人が見たら怒るんじゃないですかね、本当に。もちろんそれだけの説明です。あと、フランスを代表する人としてカトリーヌ・ドヌーブの写真があったりとか。私は思わずこの教科書を壁にぶつけましたね、本当に。というようなことがあるわけであります。
 昨年の三月ですか、イラン、イラクの国の位置を知らない高校生、大学生が半分もいるということで、これが学力低下の象徴のように言われました。あれは逆なんですね。全然教えてもいないのに半分も高校生、大学生が知っているという話なんです。だから、お利口ねという話なんですよ。ばかはだれだというんですね。そのことを知らずに報道しているあなたたちでしょうと実は私は言いたいわけですね。
 それからもう一つ、今、教育基本法の問題もありますけれども、実はこの中で、日本の都道府県名というのがほとんど教えられていません。今、小学校では都道府県、全然教えられていません。それから、中学校で三県やります。今は高校へ行くと地理はもう必修で外されていることになりますから、外国のことにしても日本の国のことにしても知らないわけであります。
 私、昨年の夏にある国立大学の教育学部へ行って、富士山の位置をきちんと説明する自信のない人って手を挙げてもらったんですね。百人ぐらいの中で十数名が手を挙げました。つまり、富士山の位置の分からない国立大学の教育学部生が十数%いるということなんです。これからは教員不足になりますから、彼らのほぼ全員が教壇に立ちます。私が教員養成を急げと言っているのはこういうところに理由があります。
 今、中教審の教育課程部会では、都道府県名ぐらいは基礎、基本として小学校段階で今きちんと教えるということをやっていますから。今度入ってくる新任教員というのは知らないんですね。しかも、もう一つ重要なのは、この指導要領の改訂というのは二〇〇二年の改訂からこうなったんじゃないんです。一九九二年の指導要領の改訂からそうなっているんですね。ですから、今後十年間、入ってくる新任教員はすべてこの地理の授業を受けていません。それらが全体の三分の一を十年後占めることになるわけなんですね。
 そういう点からも、その教員養成の問題は喫緊の課題になっているわけなんですけれども、こういうことがほとんど話題にされてないということ自体が、いわゆるみんなの心配していることと現場の実態とが余りにも極端に乖離をしてしまっているということなんです。これが我々学校現場の非常なる苦しみであるということを申し上げておきたいと思います。
○水岡俊一君 終わります。
○山下栄一君 今日は、三人の参考人の方の、限られた時間ではございましたけど、非常に参考になったと感じておりまして、感謝申し上げます。
 最初に吉田先生にお伺いいたしますが、教育というのは絶えざる進化、改革が必要だという意味のことをおっしゃったと思います。これはほかのお二人の先生も皆さんおっしゃったように思うんですけど、このことが私は物すごく大事なことだというふうに思います。人間同士の営みですので、教育は。生きた人間同士の学び合い、教え合いというか、決まった考え方で接するべきじゃないと、常に新しい発見がなければならないと思いますし、そういう意味では、絶えずこの革新、そこから学んでいくんだという、現場が極めて重要な作業だというふうに感じております。
 そういう意味で、この義務教育の在り方なんですけれども、先ほど費用、財政の観点からお話がございました。余り交付税とか、これは教育じゃないのかも分かりませんけど、交付税とか補助金で、地方の格差是正ということで一律的に担保していくというやり方がいいのかという、そういう問題意識持っておられると思うんですけど、教育についてはまた別のお考えかも分かりませんが、この全国における義務教育水準の維持、その教育水準の教育の中身も問題かも分かりませんが、その観点と、ローカルオプティマムという、現場にできるだけそこで使い勝手がいいようにしていくという、義務教育であればあるほど全国の、国民の共通教育なんですけど、そこの場所の教育というのはやっぱり現場感覚が物すごく大事だ、現場の創意工夫を生かすような形でやらないと駄目だという、それと、教育水準を維持するという、悩ましい話だというふうなこともおっしゃったと思いますが、その考え方を、お考えをちょっともう少しお聞きできたらと思います。
○参考人(吉田和男君) 先ほど申し上げましたけれど、地方自治体が自治事務として義務教育を行うということで、国庫補助金と、それから基準財政需要に入れられることで交付税で補てんされて、全国一律の教育水準ということになっているわけです。
 しかしながら、教育の在り方というのは、その教育水準、まあ水準というのが何を示すのかはちょっとよく分からないんですけれど、教育を維持する、維持向上させる、あるいは教育の中からいろんな進化、革新を引き起こしていくということの方法として、国庫補助金なり、差額補てんである交付税で運用するというのは必ずしも私は適当ではないと。
 ナショナルミニマムという建前から資金を提供し、資金を提供することによって、結局、地方における教育のアクティビティーですね、前に進もうとするアクティビティーですね、言われたことをやるためにお金をもらっているから言われたことだけやっていればよろしいという、そういう形の、もちろん現行でも陰山先生みたいにいろんなことができるわけでありますが、しかし全国的な見たところ、また私の経験しているところから見ると、どちらかといえばそういう感じであるわけです。
 ですから、地方分権改革推進会議でも、交付税は廃止して地方共同税にする、税収の少ないところに税を補てんしていくという提案をしていたわけでありますが、いずれにしろ、この予算を、地方での予算をつくってそれを執行していく際に、重要なのは教育の革新をどう導き出すかと、そういった予算というのが重要であって、両先生が御紹介されたようなのはその典型例だと思います。そういう意味で、地方分権になっていくことは必然的かなというふうに考えます。
○山下栄一君 もう一つ吉田先生にお伺いしたいと思いますけれども、京都でも吉田先生が、これは子供相手じゃないんでしょうけれども、吉田塾みたいなことの試みをたしかされておった時期があったような、今もされているのかどうか分かりませんけれども。
 この公教育、公教育の中に入るのか、これも今後大きな課題かも分かりませんけれども、NPO等による市民の立場に立った教育活動、啓発のし合いといいますか、こういうことがますますこれから大事になっていくのではないかなと。それは、公教育という観点からもNPOを活用していくということがこれから大事かなとも思うんですけれども、こういう市民が立ち上がって教育活動を行うということの評価を、ちょっとお考えをお聞きしたいと思います。
○参考人(吉田和男君) 私自身勉強会を、陽明学という儒学の勉強会を月一回一般の方と、一般の市民の方と一緒にやっていまして、こういう仕組み、かつてはみんな私塾でやっていたわけですね。それの利点というのは、正に先生と生徒の人格的融合ということで進めるフレームワークだったわけですね。役所がやるということは安定性がある、そして水準を維持できる、そのメリットは非常に大きいと思うんですが、しかしなかなか、人数の問題だけではなくて、そういう官の制度というものの持つ問題点というのは、これは避けられないわけですね。
 ですから、公教育は公教育として維持しなければならないので、公教育にいかに民間の力を導入するかと。現実に校長先生に民間の方が就任されたり、あるいは資格のある方が民間から入られて教えられたりすることもあるわけですし、そういった公教育における民間の活用、それからおっしゃったNPOのように団体をつくって地域で教えていくと。特にこれから二〇〇七年問題で大量の団塊世代が定年を迎えるわけですので、彼らは、彼らというか私らは、そういう意味で地域の活動というものに、周りからも期待されているし、これからそういうところで自分を発揮したいと思っている方非常に多いですから、しかも能力の、教育能力の高い人もおられるわけですので、是非そういうのを活用する枠組みというのをお考えいただいていって、単に教育の、何というんですか、量的確保というよりも、広がった、開放された質的確保というものに役立てていただきたいと思っています。
○山下栄一君 ありがとうございます。
 陰山先生にお伺いします。
 陰山先生は、校長先生としても学校組織を見事に先生方を味方にしながらリーダーシップを発揮されている、戦いをされていると。こういう校長の姿というのがこれからますます、校長の裁量権も拡大せよという、またそういう観点が公教育の蘇生のかぎを握っているんではないかとも思うんですけれども。
 独自の教材もいろいろお考えになって非常に反響を呼んでおるわけですけれども、陰山先生、中央にもちろん学習指導要領のための教育課程審議会等が、分科会ですか今は、あるわけですが、地域における教育課程のセンターといいますかカリキュラムセンターみたいなものを、こういうことはこれから、冒頭申し上げました現場の教育への取組が大事だという観点から、教材開発も、やっぱり地域に合った独自の教材開発もこれからますます大事になってくると。市町村合併が進むにつれてそういうことも重要ではないかなと思うんですけれども、こういう地域における教育課程のセンター的な機能を持たせる取組というのをどのようにお考えでしょうか。
○参考人(陰山英男君) 一つ申し上げたいのは、今現実に地方ごとの様々な教育改革が進む中で、独自の教育課程をされているところがあります。たまたま今日、朝方コンビニへ行ったらこのアエラが出てたんですけれども、それに対する報告ということで、成果の上がっているところ、そうでないところみたいな記述が出てきております。
 一つ心配をしておりますのは、独自にやるのもいいんですけれども、失敗する危険性も今後増えてくるということですね。そのことにおいて、じゃ、何ていうんでしょうか、セーフティーネットとでもいうんでしょうか、そこのところをどのように張るのかということが僕はあろうかと思うんですね。
 そういう点でいうと、やはり教育研究とそれから現場との交流が今後非常に必要になってくるだろうと思います。それは一方で、優秀な先生が例えば教育学部の教壇に立つとか、あるいは教育学で非常に理論的なものを出された方が実際教壇に立って、すぐにはうまくいかないにしてみても、その実践検証されるとかというようなことがあって、研究と現場の交流が進んでいく、これが一つ重要だろうと思います。そうした過程の中で、教育シンクタンクというものは私はあっていいんじゃないかなということを思っています。
 もう一つ、コミュニティ・スクールというのがありますね。土堂小学校はまさしくそうなんですけれども、地域の教育に対して地域学校運営協議会というものが責任を持つと。こことそれから教育シンクタンクというものが連携をすることによって長期間の一定の指導方針というものが担保されるということが可能になってくると思うんですね。
 ですから、例えば、この教育シンクタンクというのは、例えばどこかの企業がこういう教育プランを作りましたということでもいいと思うんです。あるいはNPO的なもの、そういう教育シンクタンクもあっていいと思うし、あるいは教育学部が独自に教育シンクタンクを持ってどこかの地域教育に責任を持つ、様々なパターンがあっていいのではないかなというふうに思っております。
 その過程の中で一つやっぱり重要なのは、先ほど御質問の中にもありましたNPOということなんですね。今後は教育というものが、実は、早寝早起き朝御飯というところにも出てきましたように、単に学校教育の中で特化されてしまうとかえってややこしい問題が起きてしまうと。まさしく教育は全社会的あるいは全国民的なものというふうになってくるということですから、学校の壁というものを薄くするというか低くするというか、やはり公開をして透明性のある運営が求められていきますし、やはりそこのところの風通しを良くする意味で、独自のNPOづくりみたいなものがあっていいのではないかなというふうに思っております。
 特に、ぶっちゃけた話をしますと、ここにいらっしゃる鈴木先生とも、私とNPOをつくろうかなというふうに今お話をさせていただいております。河村前文科大臣にも入っていただいてやっています。そうすると、もはやこんな声があります、政治家を入れるなというね。要するに、イデオロギーの問題がややこしくなると困るからって。
 僕はそうじゃなくて、先ほど申し上げましたように、期せずしてこの社会の地理の教科書を御存じないということがありました。やはり学校現場とそれから国会もつなぐということも必要じゃないかという気がするんですよ。やはりここのところで、国民の代表である皆さん方ですから、ここでちょうちょうはっし実態にのっとった議論をしていただくというのも我々としても大変有り難いことですし、そのために我々自身も開いて、そして多くの情報を国会に、あるいはその他様々な市民社会にも提供していくということが望まれていくであろうし、それらをコーディネートしていく今後教育シンクタンクみたいなものが様々な運営形態から提案されることが望ましいというふうに考えております。
○山下栄一君 ありがとうございます。
 穂坂参考人にお聞きしたいと思います。
 穂坂前市長の戦いは非常にこれも大きな教育改革の流れをつくったというふうに思いますし、今回の法律改正は正にそこに結び付いたというふうに思うわけですけど。
 教育委員会の形骸化の問題ですね。これは陰山先生にお聞きしたらよかったのかも分かりませんけど、要するに現場の創意工夫を生かす形で教育委員会は機能しとるのかという、反対の方向で走っているんじゃないかなということをよく言われるわけですけど、教育委員会を再生、蘇生させるかぎ、予算、人事権をある程度与えるというふうなことも市長さん提案されておりますが。
 私は、例えば教育長さんというのは教育事務局長さんだと私は思うんですね、本来は。だから、教育委員会なんやから委員長がもうちょっと権限、常勤にした方がいいのかどうかも分かりませんが、教育委員長さんのレーマンコントロール、要するに地域のみんなが認める、この人ならばという見識の高い、またリーダーシップも取れるような人を配置することがかぎ握っているのではないかと。教育公務員の事務局代表としての教育長、教育現場の御経験の教育長もいらっしゃるかも分かりませんけど、私は教育長制度そのものも問題点あるのかなとも思うんですけどね。教育委員長がもっと前に出るような形の方が本来の姿かなとも思うんですけど。
 予算、人事の権限も含めまして、教育委員会の蘇生の具体的な御提案等ございましたら、お願いしたいと思います。
○参考人(穂坂邦夫君) いろいろありますが、二つだと思うんですね。
 一つは、今出たように、合議制ですから責任者がだれだかはっきりしないというのがあります。
 例えば、志木市は小学校と社会教育施設が一緒の施設を造ったんですね。そうすると、あの池田小の事件があったようにより危険性というのは高くなるんですね。絶対入らないように金網でやった方が安全地帯なわけですからね。そのときに、だれがここで事件起きたときに責任を取るのかという話になった。そうすると、市長は予算を付けてそういうものを多分造ろうと言ったんでしょう。そういうことでできた。だけど市長は全然、教育委員会は独立していますから、責任はありませんよね。で、教育長はどうかと。今言ったように事務局長みたいなものですから、これも責任がない。教育委員長さんって、これ座長で、これも責任がない。教育委員会という、もちろん多分政治的中立性を担保するためにというのがあったんでしょうけど、そこが責任みたいなのになっちゃうんですね。最後に取るのは学校の先生だけなんですね。学校の先生は、校長先生、県の人事で来るでしょう。そうすると、その施設にわざわざ来たくて来たわけじゃないんですよね。要するに、融合施設に来ちゃっただけの話なんです。これはおかしいねと、それで教育長に、もしここで事故が起きたらあなたも辞めるようだし、私も即時責任取るんですよと、それは言ったんですがね。
 そういうふうにちょっとあいまいなので、そこのところは今、私が、教育委員長でもいい、教育長でもいい、やっぱりだれかきちっとした、もうあれだけの執行機関持っておるわけですから。議会なんかじゃいいんですがね。執行機関の持っているところというのはやっぱり余り合議制が、機能したときもあったでしょうけど、今は私はそこが阻害になっているのではないかと思っています。一点。
 それからもう一点は、さっき言ったレーマンコントロールです。そこが形骸化して出てこない。だから、例えば、私は地域では言っているんですが、今の教育委員というのは五人とか三人って決めていますよね。そうではなくて、例えば中教審みたいな形で二十人ぐらいとか、そういうことだって、教育、例えば審議会つくったっていいと思うんですね。今、福祉やなんかも必要なんですね、専門家が、教育委員の中に。でも、五人の中にはなかなか入れないんですよ。だから、そういう意味ではもうちょっとやっぱり、五人とか三人ではなくてレーマンコントロールがきちんと機能できるような、そういうものにすべきだというふうに思っています。
○山下栄一君 ありがとうございます。
 陰山先生に、関連して、教育委員会の現場にいらっしゃってお感じになっている、このようにしたらどうかという御提案がございましたら。
○参考人(陰山英男君) 一番言いにくい。
 そうですね、私は最も重要な問題は制度の問題ではなくて人だろうと思うんですよ。つまり、民間校長とかもいろいろ、まあいろいろあるんですけれども、要は学校とかそれから子供が伸びることがどういうことなのかと言う人がそういう責任あるところに来ればいい、これが一つですね。
 それから、もし変なことになったときに、それのブレーキを掛けられるようなシステムがあればいいと。例えば、政治の場合であれば選挙というシステムがありますね。ところが、教育委員会の場合にはその辺が何となく内々で行ってしまっているから、とにかく大過なく過ごすのがいいということになりがちだという傾向はあると思うんですよ。
 だから、そういう点からいうと、学校は学校評価制度であるとか、今度、教職員の評価制度も始まるみたいですけれども、そうなってくると、例えば教育委員会であるとかそういうところもそういうふうな、総合評価とでも言うんでしょうか、いうようなシステムは必要になってくるのかなという気はいたします。
○山下栄一君 ありがとうございました。
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 今日は三人の参考人の皆さん、本当にありがとうございます。
 まず、吉田参考人と穂坂参考人にお聞きをいたします。
 今回のいわゆる義務教育費の国庫負担金の削減問題というのは、当初、むしろ地方の声だということで進められました。地方案を尊重するということを総理はかなり強調してやってきたわけですが、実際上、議論の中でいいますと、地方議会の約六五%がむしろ堅持をすべきだという声を上げたということになりまして、一体何が地方の声だったんだろうかという議論もあったわけですが、それぞれのお立場から、この辺の経緯、特に穂坂参考人には、市長もされていたわけですから、現場の地方自治体のお立場からどうだったのかということをそれぞれお願いをしたいと思います。
○参考人(吉田和男君) 実際、詰めが行われた段階の話はちょっと聞いておりませんが、地方分権改革推進会議で三位一体の改革を行うべきだと、それから、その中で義務教育国庫負担金に関しては定額制、それから交付税化、それから一般財源化というふうな方向で検討すべきというふうな御提案をして、それを経済財政諮問会議で引き継いで、四兆円の補助金カットと三兆円の税源配分ということになったわけであります。そこで、具体的に中身ということで地方六団体が案をまとめられたと。
 今おっしゃられたように、地方の、地方全体の意思決定機関というのはないわけですね。したがって、その六団体の知事なり、まあこれは穂坂さんに聞いていただければいいと思うんですが、その首長たちが集まってある意味ぎりぎりの案を出されたと思うわけです。同時に、中央政府の、霞が関の方でもこれを受け止めてその対応をということになって、結局、最終的に二分の一から三分の一になったということであるわけです。
 したがって、我々、我々といいますか、私の立場からいいますと、この補助率が下げられたことは第一段階。第二段階で是非また次の議論をしていただきたいというふうに思うわけです。
○参考人(穂坂邦夫君) 全体的には、地方の声には二つあると思うんですね。都道府県の声と市町村の声が二つある。ですから、市町村の方は、直接税はありませんから余り今回の税源移譲はぴんと来ていないんですね。なぜかというと、県と国との関係になっちゃいますから、実施主体は余り関係ないんですね。ですから、そういうことで多少違うというふうに思います。これが一点です。
 それからもう一点は、税源移譲、要するに地方分権は絶対必要だと思っています。徹底してもっともっとやらなくちゃいけないと思います。ただ、どこが何をするべきかというあるべき論はきちっとしないと、何だか分からなくなっちゃって、それは困る。冒頭でさっきも言ったように、国がやるべき仕事、都道府県、市町村がやるべき仕事はこれはやっぱり明確にする上で、やっぱりしないと、あるべき姿論がなくなっちゃって、ごちゃごちゃになっちゃうと非常に困るなというふうに思います。
 税源移譲は、やっぱりどうしても財政民主主義の関係からいっても、払ったところからサービスを受けるというのが本来一番いいわけですよね。ですから、そういう意味では、教育なんかもそういうふうにも考えられがちですが、ある意味では、サービス、受けるというのは市町村なんですよ。ですから、そこの真ん中に今度は県が入ったり国が入りますからよく分からないんですよ、住民の皆さんが。
 だから、そういう意味では、財政民主主義のために税源移譲も地方分権も絶対必要だし、しかし、その政策ごとにどこがどういうふうに必要なのかということをやっぱり明確にすべきだというふうに思います。
○井上哲士君 ありがとうございました。
 陰山参考人にお聞きをいたします。
 現場のお話、本当によく分かりました。私も小学校五年生の娘がおるんですけれども、時々勉強を見てやっているつもりですが、地理などはどんなことを教わっているか知りませんでした。ただ、先ほど、今学校では都道府県の名前を教えないというお話でしたけれども、うちの子は何か全部学校で覚えておりまして、私も仕事柄全国回りますので、すらすらと北海道から沖縄まで挙げますと、大変びっくりしておりまして、久しぶりにおやじの権威が上がったというようなこともあったんですが、多分現場の先生がいろんな独自の取組をされたんだと思うんです。
 先生のところも大変いろんな創意あふれる取組もあるわけですが、よくお話聞きますと、そういうところのお話を聞きますと、だから財源もすべて地方へと、こういうお話になるわけですが、先生はやはりしっかり、給与部分ですね、これはやっぱり国が見るべきだということを先ほど強調されました。
 先ほど教育委員会のお話もあったわけですけれども、やはり教育ということから考えるときに、国、それから地方自治体なら教育委員会、そして現場、それぞれがどこに責任を持ち、どこを現場でもっと工夫できるようにするべきなのか、その辺のあるべき方向について御意見をお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(陰山英男君) 今、この義務教育の国庫負担の問題はお金であろうかと思います。ですから、その負担の部分について、まず日本の教職員のやはり士気を絶対に落としてはならない、むしろこれ上げていかなきゃいけないという点で、義務教育の国庫負担は絶対堅持しなければならないということは先ほど申し上げたとおりであります。
 それに付け加えて、そうはいっても、それこそ個人の実は持ち出し部分でやっていると。例えば、原田隆史先生という先生がいらして、陸上で全国大会に何度も全国優勝されたと。この間お話を聞きましたけれども、たまたま御夫婦で教師をされていますから、奥さんの給与で生活をする、自分の給与は全部仕事に使うということをされて、そして実は実績があるんですね。
 ですから、これは何でもそうだと思うんですけれども、必要なものはやはりお金なんです。ただ、これが今国全体の流れの中で非常に苦しくなってきているわけだから、その部分をどのような形で補うのかという、そういう工夫が僕は必要になっているんだろうなと思うわけですね。ですから、NPOなんかの活動というのも非常に重要になってくるだろうと思うわけです。
 ただ、私はもっとそれ以前に、もっとその前にやれることがあるだろうと。つまり、それぞれがそれぞれの立場でプロの仕事をしてほしい。先ほど申し上げたように、報道関係の方はまず本当に学校現場の実態がどうなのかということをきちんと理解をしてほしいと。土堂小学校へ来て百升計算ばっかり映して帰るのもいいんだけど、もうちょっとほかのこともちゃんと報道してよというようなことがありますし、それから保護者の方々にはやっぱり朝御飯ぐらいきちんと食べさせてくださいと。
 隣の小学校の校長先生が、朝御飯きちんと食べさせてくださいという話をされると、どういう答えが返ってきたかというと、土堂小学校のまねをするんですかと。何かい、朝御飯は土堂小学校が始めたんかいと。もうそれは信じられない話が返ってくるわけですね。で、次に何とおっしゃるかといったら、朝御飯を食べさせられない家庭はどうするんですかと。何かもう本当、頭が真っ白になりますね。朝御飯を食べさせられない家庭はどうするんですかって、朝御飯を食べさせられない家庭は朝御飯を食べさせるように努力する、それ以外の答えがあるはずはないわけですよね。朝御飯を食べさせない子育て、それは虐待というんですよ。
 ですから、そういうふうにある一種のそのスタンダードが狂ってきている。それぞれがそれぞれに、それぞれの立場で教育のために何ができるのかということを是非とも考えていただきたい。
 私は、あるテレビマンの方からこんなやり取りをしたことがあります。何か陰山先生、テレビマンに言うことがありますかって言ったときに、自分の出した情報がどのように子供たちに伝わり、それが子供たちが成長するようになるのかという、そのイメージだけ持っておいてくださいねということをお願いしたんです。で、そのテレビマンの方が何て答えられたかというと、考えたこともなかったと言われて、こっちの頭が真っ白になったんですけれどもね。
 やはり自分たちが、一人一人社会を良くする責務があると思うんですね、一人一人が。それは、一人一人が子供や教育に対して責任があると思うわけなんです。それを学校だとか家庭だとかということで、学校は家庭の責任にする、家庭が学校の責任にするということはいけないと思うんです。まず必要なのは、お互いが相手を批判することではなくて反省することだと。日本人の美徳はそうだったでしょうと。だから、きちんと親としてできているの、教師としてちゃんとできているの、そういうふうなことをそれぞれが反省し合うことによってできてくるのではないか。
 まさしく土堂小学校は、とにかくすばらしいなと思ったのは、まず、あの校長自殺事件があったときにPTA会長がこうおっしゃった。我が誇りに思う土堂小学校の子供たちと先生方、もう必ずそのことを呪文のように言われたんですね。そう言われたら教職員の方も背筋伸びますよ。やはり、そういうふうにしてPTA会長としての役割をきちっとなされる。やはりこういうことが必要ではないのかなと。
 ところが、日本の教育というのは、何か問題が起こるとすぐ批判から入るわけですよ。そこが問題だろうと思うんです。どこかでありましたよね、包丁で刺したり何やらしたり。もう例の宮崎勤事件以後、物すごい勢いで映像文化が子供たちに与える悪影響が出ているんだけれども、やはりそれについての規制がないと。規制が問題だというんだったら、せめて自主的にその辺何とかならないのという思いは正直あります。でも、問題が起きると、大体、子供がやったんだからということで校長さんや教育長さんが出てきて、取りあえず謝ればそれで事が済むみたいなところがあるわけですよ。で、重要な問題は次から次へと先送りにされてしまっている。そういうふうなことがあるわけですね。
 先ほども申し上げましたように、いかに子供が百升計算でつまずいたかという本ができると。これもう異常だろうと思うんですよね。この間は、昨年、一生懸命こっちやっているのに、陰山方式で学力は低下したなんていう本がオピニオン誌で書かれるんですよ、非常に、最も著名な教育学の大先生から。もうお願いだから背中の方で切り付けるのやめてくれというのが我々の思いで、要するに批判されても反論している余裕もないわけですよ。目の前の子供を良くするためにもう様々な問題を見て、起きているわけですからね。
 是非とも、批判はやめましょう、反省しましょうと。それぞれがそれぞれでプロの仕事をしましょうということを申し上げたいと思います。
○井上哲士君 ありがとうございました。
 再び吉田先生と穂坂参考人にお聞きをいたしますけれども、私、実は京大の経済学部と同じ御町内である左京区の吉田本町に住まいをしておりまして、正に京大の小学校区に子供は通っております。それで、五年ほど前に通学中に女の子が車で連れ去られそうになる事件がありまして、そこから非常に、地域でどう子供を守るかということで、最初はPTAの朝の見回りをしていたんですけれども、ちょっとできないということで、地域の皆さんにお願いをして、朝夕登下校時に水やりやったり庭掃除したりと、こういう取組が始まりました。今はかなりのところをやっておるんですけれども、これは実ははしりでありまして、NHKのあの「ご近所の底力」で御紹介をいただきまして大変有名にもなったんですが。非常にそういうことで言いますと、学校自身が地域に支えられているし、またそこを中心としていろんな地域づくりが広がっておりまして、一時期廃れていたあそこの吉田神社の伝統的な行事なんかを子供たちが引き継ぐというようなことも夢広がってきているということがあるわけですし、それがひいては地域の教育力の向上ということにも長い目で見るとつながっていく話だと思うんですね。
 そういう、言わば目先の財政合理主義だけでは測れないような役割をやっぱり学校というものが持っているんじゃないかということを思うわけですが、その辺の学校の位置付けという、地域の中における位置付けということをどうお考えか、吉田参考人、穂坂参考人にそれぞれお願いしたいと思います。
○参考人(吉田和男君) 先ほども申しましたけれども、学校をもっと地域に開いていく、地域が学校を支えていく、そういう仕組みをどうつくっていくかというのが今後の課題ということになるわけですが、これもまた悩ましい問題があるわけでして、先ほど申しましたように京都でも学校の統合が進んでいるわけでして、廃校になるということになるわけですね。これは小学生人口が減少している、特に町中ではその減り方が激しいということになるわけです。
 しかしながら、やっぱり町づくりの在り方と、それからこの少子化というのはある程度前提にせざるを得ない、子供の入ってくる、子供の流入を促進する政策を行うということはあり得ても、なかなかそう有効な手段はありませんので。今言った学校と地域の融合というのを、先ほども申しましたように悩ましい統合問題というのと一体として、やっぱり町づくりとして進められるように、そういう意味で学校の、義務教育の予算を、予算といいますか財政を地方で分権する、また、特に今特区で行われている、今度一般化されるということですが、市が財政負担して、市の域でやっていくというのは非常にそれを前進させる方法であるというふうに思います。
○参考人(穂坂邦夫君) 私は小中学校というのは地域コミュニティーの核になるんだというふうに思っているんですよ。ですから、やっぱりその辺を、特に公立の小中学校というのは私学とやっぱり対抗できるといいますか、まあ対抗というよりも、特徴は地域を持っているということなんですよね。ですから、どういうふうに地域と一緒にやっていくかということをもっともっとこれから考えるべきだと思います。その中に、例えばボランティアとかNPOとか地域だとか、そういうものが多様な形で学校に入ってくることもやっぱり必要ではないかと、こういうふうに思っています。
 ですから、その辺がやっぱり、国と市町村の本当の役割というのはやっぱり違うんですよね。どうもその辺が何かごちゃごちゃになっちゃうので困るなという気もするんですが、私は、学校というのは地域というバックグラウンドがあるものをもっともっとしっかり意識をして、融合して、また地域の役割と学校の役割をお互いがやっぱりしっかりする、そこに信頼関係とかそういうものが出てくる、こう思っています。
○井上哲士君 同趣旨のことを陰山先生にもお聞きをしたいんですが、早起きのお話もあったわけですけれども、なかなかうちも子供に言っても早寝早起きしないわけですが、地域ぐるみでこうなったということはいろんな地域との関係もあったんだろうと思うんですけれども、校長をお務めになる中で地域との関係というのをどのようにお考えでしょうか。
○参考人(陰山英男君) やはり地域のかかわりというのが決定的だったと思います。
 本校はコミュニティ・スクールに昇格をしましたけれども、別に指定されなくても元々コミュニティ・スクールであると。つまり、地域が最も学校を大切にしているという、そういう地域だったわけですね。
 先ほども申し上げましたように、校舎が八十年前の鉄筋コンクリートです。あの昭和恐慌の中、工事がストップするんですけれども、地域の方々が広島県庁まで押し掛けていって、おらが町の、村の校舎をきちんと造ってということで、工事が突貫で行われているわけなんですよね。
 やはり地域が本当に学校を大事に思っている、そういう風土がありますからこういうことができたというわけであって、土堂小学校、先ほど偉そうに申し上げましたけれども、ほかの学校で、いわゆるほかの地域でできたかというと難しかったかもしれません。
 実は私たちの実践をどんどん取り入れようというような動きも出てきました。山口県の山陽小野田市、ここでは市長さん、教育長さんが本当にとにかくやりたいと。それから、宮城県の栗原市。それから、もう既に実践が始まっておりますけど、高知県の室戸市。室戸の小学校ではもう半年間で全国平均を下回る子がいなくなったというぐらい劇的に上がったというような成果も出ております。それから、佐賀県というようなところで、やはり地域の方から動いて、そしてやろうというようなところが出てきておりますので、そういうふうなところが具体的にいい形が出てくると、その中でよりいいものが淘汰されて残ってくるのではないかなと。
 いよいよ、様々な教育デザインが数年前から出てきましたけれども、これからは本当にいいものは何だったのかということが問われる時代に入ってくるというふうに思います。
○井上哲士君 ありがとうございました。
 終わります。
○委員長(中島啓雄君) 以上で参考人に対する質疑は終わりました。
 参考人の皆様に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
 午後一時十分に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時十五分休憩
     ─────・─────
   午後一時十一分開会
○委員長(中島啓雄君) ただいまから文教科学委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告をいたします。
 本日、神本美恵子君が委員を辞任され、その補欠として那谷屋正義君が選任されました。
    ─────────────
○委員長(中島啓雄君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する等の法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、総務省自治財政局長瀧野欣彌君外五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(中島啓雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(中島啓雄君) 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する等の法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○中川義雄君 自民党の中川義雄でありますが、この委員会に入って初めての質問でありますから、どうぞよろしく御指導いただきたいと思います。
 最初に、今回は三位一体改革に伴う国庫負担金の改正案というような形で法案が出ているわけですから、どうも三位一体改革とは一体何なのかというのは、私も平成十六年十一月の政府・与党のこの文書も読んだり、また、最近のホームページに出ている各省庁の三位一体改革に対する考え方などを読んでみても、何が何だかさっぱり、何で三位一体改革という名前が付いているのか、頭が悪いせいかよく分からないんです。
 そこで、広辞苑で調べてみたんです。広辞苑によると、三位一体とは、まず一番最初に出てくるのは宗教的な解釈であります。キリスト教によれば、創造主たる父なる神と、贖罪者キリストとしての世に現れた子なる神と、信仰経験に顕示された聖霊なる神とが唯一なる神の三つの位格として現れたとする説。この三者に上下はないと書いてあるわけです。私、これ読んで、何のことだか全然分からないです、何のことだか。
 それで、ただ、第二義的に、ちょっと分かりやすい言葉がその後に続くわけです。三つの要素が互いに結び付いて、本質において一つであること。三者が協力して一体となること。そう言っているわけですから、ひょっとしたら、この三位一体改革というのはこの後ろの方の意味でやったとしたら若干は分からないわけでもありませんが、当局のこの三位一体改革に対する見解を分かりやすく説明していただきたいと思います。
○政府参考人(瀧野欣彌君) 三位一体改革について、広辞苑で、宗教的な側面での意味と、それから世俗的な意味といいますか、一般に言われている意味とあるという御指摘でございます。
 もちろん、我々、この三位一体改革というネーミングにつきましては、世俗的な意味といいますか、三つのものが相互に関連しているということで使ってきたわけでございまして、特に宗教的な意味合いがあるわけではございません。
 地方分権とのかかわりで申し上げますと、地方税、それから地方交付税、そして国庫補助負担金、これが地方団体の歳入の大宗を占めておるわけでございまして、この三つがそれぞれ非常に、相互連関といいますか、入り組んだ関係になっておるわけでございまして、一つのものを改革しようとすると当然ほかのものにも影響を与えるという意味で、最初この地方分権で地方財政を取り上げるときに、三元連立方程式を解くようなものだと、こういう言い方をされたときもあるわけでございます。
 そういうような過程を経る中で、三位一体という言葉遣いが世俗的な意味では若干流布しているところもございますものですから、そういうこともとらえて三位一体改革ということがこの改革のネーミングとして使われ出し、そういったことが定着してきたものというふうに考えているところでございます。
○中川義雄君 今の話を聞いて、分かったような分かんないような複雑な気持ちなんです、財政局長とは非常に親しくしておりますからですね。
 ただ、この要素、三つの要素というのは、私なりに、補助金の削減、それからそのための税源移譲、そして地方財政をしっかり支えるための地方交付税の役割の拡充と理解しているんですが、その理解でよろしいでしょうか。
○政府参考人(瀧野欣彌君) はい。正にそういうことで我々も考えておるところでございます。
○中川義雄君 はい、分かりました。
 それでは、補助金削減の中で、義務教育費国庫負担額の削減ということは、平成十八年度三兆円の補助金の削減の中で八千四百六十七億円と、極めて大きな率を占めているわけであります。
 このことによっていろんな問題が発生すると思いますが、財政力の弱い地域ではこれを交付税又は財源移譲、要するに、財源移譲といってもこの場合、平成十九年度、来年度からは地方税、要するに住民税で負担するということですから、住民税は非常に所得の格差や人口の集まりによっていろいろと税が偏在するわけですから、その穴を埋めるとしたら交付税がしっかりしなければならないわけですから、総務省当局の、地方財政をしっかり支えるという意味での、どのような考え方でやるのか、具体的に、できるだけ具体的に示していただきたいと思います。
○政府参考人(瀧野欣彌君) 御指摘のように、義務教育国庫負担金を始めといたしまして、今回、四兆円を超える補助金の見直しということの上で、三兆円を超える税源移譲と、こういうことを行ってきているわけでございます。
 補助金の中で、地方団体が引き続き執行していかなきゃいけない事務にかかわるもの、義務教育国庫補助負担金は正にその典型でございますけれども、こういったものにつきましてはきちんと税源移譲をしていこうということでございますので、オールジャパンとして見ますと、地方団体の補助金削減の中で必要となる地方の財源所要額は税源移譲という形で補てんされるということでございますので、その点では地方財政全体として見ますと過不足はないことになるはずでございます。
 しかしながら、御指摘のように、税源の付与ということを考えますと、地域間の格差が当然ございますので、補助金の、国庫補助負担金の配分と税源の移譲とは一致しないことになるわけでございます。
 そこのところの凸凹を埋めるのが正に交付税制度でございまして、我々としては、全体としての財源は税源移譲によって確保される中で、地方団体の中のその凸凹を交付税で調整していくということで地方団体の財政運営には支障のないようにできるものというふうに考えているわけでございます。
 具体的には、交付税におきましては、税源移譲されます額、これを一〇〇%交付税の収入の方にカウントいたしまして、それで必要な額を需要の方にカウントいたしますので、その差額についてきちんと交付税が増加するように計算をしていくということを考えておるわけでございます。
 税源移譲の場合には、ただ不交付団体がございますので、都道府県の場合でありますと現在は東京都だけでございますけれども、東京都の部分についての調整というのは交付税ではできない部分がございます。それは税制改正でお願いをしていくということにしておりまして、昨日、本会議で成立させていただきました地方税法の中で住民税を一〇%フラット化していくというようなこと、それから、昨年度の税制改正で事業税について分割基準の見直しをさせていただいておりますけれども、そういうような税制の手だての中で今回の三位一体改革の中の東京都の補助金削減と税源移譲の額というのはほぼ見合うというふうに考えておりますので、そういう面では、不交付団体についてもそれから交付団体についてもきちんと調整ができるというふうに考えております。
○中川義雄君 通告してありますからずっと前まで答えてもらいますと、通告に従って聞いているんですから、ちゃんと、通告したからといってずっと先回りして聞かないことまで答弁されると、これは本当にこの通告制が何のためにあるのか分かりませんから、委員長、これはちょっと、通告しない方がいいということであれば通告しないでやりますから、よろしくお願いいたします。ですから、順序を追ってやっていきますから、きちっとそのたびそのたび答えていただきたいわけであります。
 今回のおおむね三兆円の所得税を地方の住民税に置き換えるというのがその柱になっているわけです。そうすると、総務省当局から出している数字を見ても、約四十道府県において実際は財源が不足するというふうに書いてありますが、そうすると、その不足した分は交付税で見るということになっております。しかし、交付税は、これもちょっと矛盾していると思うのは、今回は所得税を三兆円減税すると、そして移譲するということになっているわけですけど、三兆円の三二%は交付税に自動的に振り替えられるようになっているわけですから、今回の三兆円の所得税の減額というものは交付税が一兆円減る、調整財源としての交付税が弱くなるとも見ていいんですが、それに対してどう対応していくのか、総務省当局の考え方を示していただきたいと思うんです。
○政府参考人(瀧野欣彌君) 御指摘のように、所得税の三二%は地方交付税の原資になるということでございますので、所得税から住民税に税源移譲いたしますと、実はその三二%分の地方交付税が減るではないかという御指摘でございます。
 我々も、この点については、地方団体からの御指摘もあり、問題意識を持って昨年年末の地方財政対策に当たったわけでございます。これについては、財政当局ともその影響を緩和する必要があるだろうという認識で一致をいたしまして、それの対応をいたしまして、十九年度から本格的な税源移譲が始まるという中で、十九年度からの三年間で交付税の総額に六千億円を上乗せするという措置をとることとしております。
 これは、三二%分といいますと単年度で九千六百億円程度になるわけでございますので、それと比べると少ないような感じもいたしますけれども、この三位一体改革が始まります前の所得税の税収規模、それから、今後三位一体改革が行われまして、税源移譲が行われる段階での所得税の税収規模、これは当然、経済成長に伴いまして変わってきておるわけでございます。
 そういう中で、実際に三二%分の影響というのは自然増収で埋め合わせられている部分もあるわけでございます。現在の国、地方の財政状況を見ますと、そういった自然増収で埋め合わせられている部分というものはそれなりに評価する必要があるのではないかと。それでもなおへこむような部分については一定の影響の緩和措置をとる必要があるということで、先ほど申し上げましたような六千億の上乗せをするという形で地方財政が支障のないようにしていこうと。なおそれでも足りない部分は、毎年毎年地方財政対策をやりますので、その中できちんと必要な財源を確保していきたいというふうに考えております。
○中川義雄君 交付税がしっかり確保されるという話ですから心強いんですけれども、しかし、実態はどうなっているかということになりますと、平成十年、平成十五年、平成十七年と、交付税が私はずっと下がってきているんではないかと思うんです。その下がって体力がなくなっている交付税なんですから、ずっと下がっていることを総務省としてはどのように受け取るか。
 これ、上がっているんですか。私が調べたのでは下がっているような気がしているんですが、その実態について明らかにしていただきたいと思います。
○政府参考人(瀧野欣彌君) 御指摘のように、最近の交付税総額については抑制基調が続いておるわけでございまして、全体としては減少傾向にあるわけでございます。
 平成十年度、十七兆五千億程度交付税がございましたけれども、平成十五年には若干増えまして十八兆になりましたけれども、十七年度は十六兆八千億程度、そして十八年度、今年の予算では十五兆九千億円程度という形で、十五年度から見ますと三兆円程度減ってきているという形でございます。主に歳出の見直しをする中で、それに対応して減ってきているというものでございます。
○中川義雄君 つらいからいろいろと言うのは分かるんですけれども、交付税の総額が減っていることは間違いない。その分調整財源としての力が弱まっているということだけは、そこでまた九千六百億、約一兆円交付税が少なくなる、減額される。これはやっぱり重要に考えて地方財政のことを考えていっていただきたいと、まずここだけは要望にさせておきますが。
 そこで次に移りますが、東京都の話先ほどされましたが、東京都は御承知のように不交付団体であります。今回の財源移譲によって東京都は住民税が三千億以上大幅に増額されます。しかし、これは御承知のように、一〇〇%基準財政収入額に見たとしても、不交付団体ですから、これで調整するということは不可能でありますから、このことも本当に、こういう強いところには有利だが弱いところには不利になる、こういう改革というのは本当に気を付けてやっていただかなければならないと思います。これは意見にとどめておきます。
 さて、文部当局にお聞きしたいと思いますが、たしか昭和六十年に大幅な義務教育費国庫負担の内容の変化がありました。その変化を具体的に聞きません。しかし、そこで一般財源化された教材費について私はびっくりしているので文部科学省の見解をお聞きしたいわけですが、東京から離れていれば離れているほど今経済格差が、地域格差が拡大していると言われております。
 教材費、約八百数億円の教材費の、地方交付税で見ている基準財政需要額が八百数億円になっていると思います。それを一〇〇として、北海道、それから青森県、岩手県、南端の沖縄県では、その基準に対して何%予算で計上されているのか明らかにしていただきたいと思います。
○政府参考人(銭谷眞美君) 御説明申し上げます。
 今先生からお話しのございました昭和六十年度の国庫負担制度の改正によりまして、教材費について一般財源化が図られたところでございます。この教材費を一般財源化した後、市町村における教材費の予算の措置状況を都道府県ごとに集計をした場合、平成八年度までは基準財政需要額を上回っていたわけでございますが、これは全国ベースでございますが、平成九年度以降は基準財政需要額を下回っております。平成十六年度における教材額の基準財政需要額に対する予算措置率は、全国ベースで七二・一%という状況でございます。
 お尋ねの自治体における教材費の基準財政需要額に対する予算措置率でございますけれども、東京が一八三・五%でございます。これに対しまして、北海道が四五・九%、青森県が三七・四%、岩手県が三二・二%、沖縄県が四一・三%という状況でございます。
○中川義雄君 これは、地方の厳しい財政事情がそうさせていると思うんです。どこの市町村長だって、教材費までけちってそれを他の財源に回す、そんなことをしたいと思っている市町村長はいないと思うんです。しかし、結果として、やはり財政事情の悪い地域は、身を削るような思いでこの教材費まで削って他の財源に回しているわけです。しかし、これは一般財源化して交付税で処置されておりますから、これには口は出せないと思うんです。いかがですか。
 これは総務省と文部科学省、両方に聞きたいんですが、これに口出せますか。
○大臣政務官(有村治子君) 北海道選出の中川先生、貴重な御意見、ありがとうございます。
 地方交付税法において、国は、地方自治の本旨を尊重し、交付税の使途を制限してはならない旨、第三条第二項で規定されております。このため、交付税の使用に当たっては各自治体の判断によることになっているのは御承知のとおりでございます。
 と同時に、文部科学省としては、地方教育行政の組織及び運営に関する法律によって、各地方公共団体の教育に関する事務の適正な処理を図るため、必要な指導、助言等の措置を講じることが可能です。これまでも、中川先生御懸念の教材については、同法律に基づいて、各市町村における教材の計画的な整備を促すよう、各都道府県教育委員会に対して通知、周知を図ってきたところではございます。
 地方分権の重要性については、地方自治の精神と実践を貴ぶことが重要であることをかんがみます。私としても十分に認識しておりますが、しかし、義務教育をしっかりと実施していくことは国家、社会の存立にかかわる正に礎であって、国家政策の最優先順位としてその発展、充実に取り組むべきものだという考えに寸分の変化はございません。このため、各自治体において、教材の確実な整備を含めた義務教育の質の向上についてしっかり取り組んでいただけるよう、指導、助言、援助、また経済的な支援も何とか踏ん張っていきたいというのが偽らざる本音であろうと思います。
○政府参考人(瀧野欣彌君) 交付税の性格については今政務官の方からお話がありましたとおり一般財源でございますので、その使途について我々の方から条件を付けたり、あるいは使途の制限をすることはできないわけでございますので、それぞれの団体で議論していただくことになるわけでございます。
 我々としては、一般財源化される中でその財源をどういうふうに使うか、正にそれぞれの議会の中で十分議論していただいて、住民の方々のニーズをつかまえて予算措置していただくべきものというふうに考えております。
○中川義雄君 今、有村政務官が言ったように、一八〇%、東京都は不交付団体で一八〇%以上処置されている。しかし、私の北海道も含めて北の端と南の端、非常に経済情勢が悪い、税収も悪いということもあって、子供たちの教材費まで、それをほかの財源に充てると、これは大変私は残念ですが、この厳しい地方財政の現状というものを私たちはよく見ていかないと、今回の三位一体改革というものは大変な禍根を残すと思いますので、これは意見として強く申し述べておきたいと思います。
 税の所得再配分機能というのは私は高く評価しているわけであります。中でも国庫補助金、地方交付税の持っている所得の再配分機能というものは、私は公平な日本を形成するためには非常に大切なものだと、こう思っているわけであります。ですから、過疎地における大変な財政事情でもありながら、経済事情でもありながら、過疎地が辛うじて今日まで生きてこられたのは、そういった貴重な税による所得の再分配方式があったからだと、そう思うんですが、これについて総務省の当局、そして文部科学省の考え方、それを示していただきたいと思います。
○政府参考人(銭谷眞美君) ただいま先生の方から国庫負担金についてお話がございました。国庫負担金は、地方公共団体が法令に基づいて実施しなければならず、国と地方公共団体の相互の利害に関係のある事務の円滑な運営のために国が進んで経費を負担をするというものでございまして、全国的な実施が必要な行政サービスの実施に大きな役割を果たしていると認識をいたしております。
 特に、義務教育費国庫負担金は、お話しのございました地方公共団体の財政力の差にかかわらず、山間、離島などの過疎地を含めまして、全国すべての地域において優れた教職員を必要数確保し、義務教育の機会均等と水準の維持を図るために極めて重要な役割を果たしていると認識をいたしております。
○政府参考人(瀧野欣彌君) 国庫補助金あるいは地方交付税、こういった制度の所得再配分機能、こういったものが財政力の弱い団体の財政を支えてきたではないかと、こういう御意見でございまして、我々もその点については全く同じような考え方でございます。
 地方の歳出、本来は地方税、そこにお住みになっている住民の方々から徴収する地方税で賄えれば一番いいわけでございますけれども、現実はその地域間の財政力の格差が税収に反映するわけでございますので、なかなか税収だけでは財政は回らないわけでございます。こういった中で、交付税は、本来地方税であるけれども、いろんなところに税源が偏在しているものをいったん国税という形で取って、それを財政力の弱いところにきちんとした一定の基準で再配分していくということでございますので、正にこういった財政調整機能が果たされることによって財政力の弱い団体でも一定の財政水準が確保できると、こういう形になるわけでございまして、正にそういった点で所得再配分機能が果たされてきて、現在の我が国の全国的な中での一定の行政水準を下支えしているというふうに考えております。また、国庫補助金につきましても、文科省からもお話がございましたけれども、一定の政策目的を実現するための手段ではありますけれども、事実上、所得再配分機能を備えているというふうに考えているところでございます。
○中川義雄君 その大事な義務教育費の国庫負担、それが二分の一から今回三分の一に大幅に低下する。私が一番心配するのは、そのことによって財政力の弱い地域と財政力の強い地域によって教育の機会均等という大原則が崩れるのではないかと、そのことが一番心配なんです。この点について、文部当局、こんなことはあり得ませんというんならいいんですが、自信持って言えるんだったらそう言っていただきたいんですがね。
 二分の一から三分の一に国の補助金が低下して、これを一般財源化するわけですけど、しかしさっき言ったように、いいですか、あの貴重な教材までけちる、けちらなければならない地方財政の実情を見たときに、八千数百億減額される。これが普通の交付税で処置するということになったとしても、これは交付税でしっかりと教育を支えていくかどうか、財政力の差によって格差が出てくるのではなかろうかと、こういうことを心配しているんですが、文部当局はそのことについてどう対処するつもりか、お示しいただきたいと思います。
○副大臣(馳浩君) 先生御指摘のとおり、今回の措置によって都道府県の教職員給与費の負担が、都道府県の負担額が約二・五兆円から三・三兆へと増加して、都道府県によっては地方交付税への依存度が高まるということは事実でございます。
 そうは言うものの、三分の一国庫負担と、残り三分の二は地方が負担という、その教職員給与費の全額は保障するというこの機能は堅持をするということも決めさせていただいておりますから、それは、あとは義務標準法によって適正な教職員数の確保、これはしっかりとして、予算も措置をしていただいて、それについて十分に税源移譲によって教職員給与費の全額の確保ということはしっかりと守りますし、また、その予算措置も今後しっかりと措置をしていくということはお約束できるというふうに考えております。
○中川義雄君 要するに、補助金から、国庫負担金から交付金化すると、そして財源は保障していると。これだけ聞くと本当に有り難いことかなと思うんです。しかし、交付税の性格からいって、この使途は、たとえ文部科学省でもこれを限定することはできないはずであります。そのことを心配しているんです。
 先ほど言った教材費、子供たちの教材費までけちってほかの財源に使わぬとならない厳しい地方の財政事情のところもあるわけであります。これを一般財源化することによって、厳しいところは、教職員給与といえども、これはその地方団体の意思に基づいて自由にできるはずですから、そうなったら教育の機会均等、日本じゅうどこへ行っても同じような条件で同じ教育を受けるという、日本にとって本当に基本的な問題に手が付く可能性がある。それがないというならば、どういうことでそれをないようにするのか、馳副大臣又は文部当局の考え方を示していただきたいと思うんです。
○副大臣(馳浩君) 先生御指摘の教材費等、これはもう一般財源化の中に入っておりますよね。ただ、今回の措置というのは教職員給与の、今までは二分の一でしたが、三分の一の国庫補助負担、負担金ですから、負担すべきものはちゃんと負担します。残り三分の二は地方の方で負担してくださいと。その三分の二の分はしっかりと、いわゆる義務標準法によって教職員の適正な配置をしていただきますけれども、これは税源移譲によってしっかりと残り三分の二の分は地方で負担をしていただくという、こういう役割分担をしたということで、十分に、教職員給与の全額はちゃんと保障しますと、ここはやっぱりしっかりと文部科学省としては厳しい三位一体の御指摘の中でも守り通したというふうに御理解をいただきたいというところです。
○中川義雄君 私は、そのことに馳副大臣が胸を張って言ってくださることは有り難いことなんですけど、それが本当に保障されるのかということになると疑問なんです。
 例えば、北海道は過疎地が物すごく多いんです。私の住んでいる、生まれ育った北海道の広尾町の豊似という地区なんですけど、昔はその地区に小学校が四つあったんです。それが統合されて一校になりました。一校になりましたから、十五キロ、遠い人は二十キロをその小学校へ通わぬとならないんです。そのために、その地方はいろんな、スクールバスを設定したり、今そのスクールバスもなくなってしまいました。地方財政が非常に困窮してバスの運行もできなくなってきている。
 そして、そういった地域は少数学校が多いんです。今ずんずんずんずん人口が、また子供が生まれなくなったものですから、五人とか十人の学校も私のふるさとには存在しているんです。そうすると、まず、苦しくなってきたらそういったところで教職員を削る。これはその地区の教育関係者は涙の出る思いだろうし、過疎地に住んでいる人たちも大変だと思うが、しかし一般財源化すると何にでも使えるお金ですから、少しでも無駄を削って、七人や十人の子供のために教職員を置くのは大変だということで減らす方向に行くと思うんです。私はそのことが心配で、それを減らさないで済むんだという何か法的な根拠か何かあったら教えていただきたいと思います。
○政府参考人(銭谷眞美君) 中川先生から、三分の一の国庫負担になった場合の地方負担の三分の二のきちんとした財政的な裏付け、これの保証はあるのかというお尋ねでございます。
 先ほど馳副大臣の方からもお答えを申し上げましたように、先ほどからお話しのございます教材費につきましては全額一般財源化ということになって、全額いわゆる地方財政措置ということになったわけでございます。
 これに対しまして、義務教育費国庫負担制度につきましては、教職員給与費につきまして国の負担割合は二分の一から三分の一に変更になったわけでございますけれども、国と地方の負担によりましてその義務教育費の教職員給与費の全額を保障するという、この制度の根幹というものは維持をされているわけでございます。したがいまして、国において三分の一を負担をした場合、その残りの三分の二につきましては、国からの税源移譲に伴います地方の税収と地方交付税措置によりまして優先的にそれは措置をしていただくということになっているわけでございます。
 また、その教職員の数につきましても、教職員の適正配置を定める義務標準法、それから教職員の給与につきましても、人材確保法という法律は引き続き維持をされるため、これまでどおり教職員配置や教職員給与に関するナショナルスタンダードを明確にしつつ、それに必要な財源を保障するというこの国庫負担制度の仕組みは残っているわけでございます、堅持されているわけでございます。したがいまして、今後とも義務標準法、人材確保法及び国庫負担法に基づきまして義務教育の条件整備に必要な措置を講ずるということは続いていくというふうに私ども考えております。
 なお、各都道府県における実際の予算措置の状況等につきましても、私どもしっかり把握をして、もし仮に必要な額を措置していない場合には指導を行っていくということになります。
○中川義雄君 この義務教育国庫補助制度というものがあることは知っていて、三分の一になるのは非常に大変なことになるかもしれないという質問をしています。
 例えば、私の友人で教員になった方がいたんです。子供が大学に入るころになったら過疎地に自ら赴任を希望して、それはなぜかというと、過疎地に行くと手当が厚く付くから希望して行って、過疎地で、もう本当に辺地で、教頭先生をやりながら子供を大学に入れたと。その実例を知っています。
 しかし、今、それは北海道だけの特殊事情に基づいてへき地手当をつくっているわけです、非常にへき地が多いものですから。しかし、この国庫負担金は一般的な話ですから、そういう特殊な手当その他には対応していないんです。これは道の自らの財源に基づいて、そういうへき地の教育を守るためにそういう手当をしているわけです。そうすると、今回三分の一になって、例えば北海道の場合だとしたら、北海道の交付税や税収でその後をやらなければなりません。財政事情が厳しくなればなるほどそんな過疎地における特殊勤務手当などというものは交付税で全然処置されないから一番先に削られると。そうすると、教育の機会均等という一番大切なことが失われる可能性があるんですが、このことについて今随分いろいろと理由を言っておりますが、このことについて局長、あなたの見解を聞かせていただきたいと思います。
○委員長(中島啓雄君) 銭谷局長、簡潔にお願いします。
○政府参考人(銭谷眞美君) 国庫負担の対象となります教職員給与につきましては、いわゆる本俸に加えて手当も含まれているわけでございます。
 それで、全国各県におきましては、いわゆるへき地の学校に勤務をする教職員についてはお話しのへき地手当というものを支給をしているわけでございますけれども、そのへき地手当等も国庫負担の対象にこれまでもなっておりましたし、今後もなるということでございますので、そういったいろいろな教育条件に応じた教職員給与及び手当には対応できる仕掛けになっているわけでございます。
○中川義雄君 私が心配するのは、そのへき地の手当についても二分の一から三分の一に減額されるわけです、国から出るお金は。その他は地方の一般財源の中から工夫しなきゃならぬ。私はそのことを言っているんですよ。そのことを考えないで、三分の二、今度は地方が考えなければならないんですよ。地方の自主財源でそれを補てんせんとならない。そうすると、そんな効率の悪いところではどうしても、北海道知事、すばらしい知事ですが、涙を出してもそれを削らなければならないというような、そんなことになっているということだけは私は、答弁要りません、これは、そういう厳しいものであるということを強く指摘させていただきたいと思っています。
 それから、そのことは学校の、先ほどへき地の学校も手厚い手当てをしていると言いますが、北海道の場合、昭和三十年から平成十七年にかけて、三千五百九十二校あった小中学校が二千百校に大幅に減少しております。一方で、政令都市の札幌市、人口の集中した札幌市は、その間六十九校の小中学校が三百九校に物すごく増えているんです。そうすると、過疎地での学校の減少というのは物すごかったと思うんです。そのことがへき地に住んでいる人たちの教育条件の悪化につながっているんです。
 いいですか。私の町で十六キロですよ。十六キロ歩いて子供を通わせるわけにいかない。スクールバスもなくなってしまった。だから、父兄が自分の車で送り迎えしている。しかし、ちょうどそういうところは酪農地帯なものですから、搾乳時間にダブるんです。ですから、大変な苦労をしながら、しかしいざというときは、子供たちに十六キロも歩かせるわけにいかないから、忙しいときは休めさせなければならないというような条件にある。これで教育の機会均等が図られていると思ったら大変な誤りであります。そのことをしっかりやっていかなければならないと思います。
 時間が来ましたから、最後に大臣の決意をお聞かせいただきたいと思いますが、憲法第二十六条において教育の機会均等、更に義務教育費の無償、高らかにうたっております。さらに、教育基本法第三条、そして第四条によってもこれが保障されております。
 最近、地域や産業によって経済格差が拡大している中で、義務教育の国庫負担率が二分の一から三分の一に低下しました。経済格差、それがまた地域の財政格差につながっていきます。三位一体改革によってこの大切な大切な子供たちの将来が、辺地に住んでいればなお厳しい状況になるということは私は許されないことだと思うんです。このことについての大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(小坂憲次君) 地方自治に精通をされております中川委員の御指摘でございますし、今それぞれの質問の中で明らかにされましたように、いろいろな現象が生じていることは私も認識をいたしております。そういった中で、三位一体の改革を進めることが小泉内閣としての命題であり、それを進めながらも、今憲法二十六条をお引きになりましたように、憲法の要請に基づいて教育の機会均等、無償制、そして水準の確保ということについては、これは根幹でありますから、これをしっかり守っていくことが必要だ。そのために義務教育の教育費国庫負担制度があるわけでございますし、また、学習指導要領により全国的な教育内容の基準を定めるとともに、授業料の無償、教科書の無償給与、そして就学援助などの措置を通じまして義務教育の機会均等、無償制の確保をしっかり守ってまいりたいと存じます。
 御質問賜りました趣旨をしっかり踏まえ、今後とも努力することを申し上げて、答弁にさせていただきます。
○中川義雄君 終わります。
○後藤博子君 自民党の後藤博子でございます。
 中川先生に続きまして、大臣、そして関係省庁に質問をしたいと思っております。
 私も義務教育費国庫負担制度についていろいろとお聞きをするつもりでございましたけれども、今、中川先生から鋭い御質問がありましたので、重複するところは避けていきたいと思っております。
 今、最後に中川先生も大臣の決意ということでお聞きいたしましたけれども、私も今や、今国の教育は国家戦略として取り組まなければならないというような時代を迎えました。私たちは子供をしつけをするときに、人には親切にしなさいよとか、大人の言うことを聞きなさいよとか、困っている人がいたら助けなさいよというようなことをしつけとして教えてきました。しかし、今のこの現在は、困った人を助けようものなら殺されてしまう、何か大人の言うことを聞こうものならとんでもない目に遭ってしまう、人をどう信じていったらいいんだろうかというような、そういう時代を迎えました。これは、この戦後六十年の教育の在り方の中にも問題があったのではないかと思っております。そういう点で、よく言われますが、親の子供に対する虐待とか家族の崩壊だとかモラルの欠如とか、規律も秩序もない、夢も希望もないという若者が増えているということでございますので、いつから日本はこういうことになったんだろうかと私も心を痛めております。
 そういう時代に、今、義務教育に取り組むということは非常に大事な時代を迎えていると思いますので、もう一度大臣に義務教育に対する取組の決意をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(小坂憲次君) 後藤委員には、これまでのいろいろな御経験の中から、国際協力事業団としてブラジルに赴任をされる、いろいろな形で日本を外から中からごらんになり、また、子育てを通じて教育に対しても強い関心をお持ちの上で御指摘をいただいたことと受け止めておるわけでございますが、そういった中から今日の義務教育に対する懸念を今表明をされました。
 やはり、ただいま中川委員の方にもお答えを申し上げたわけでございますけれども、憲法二十六条の要請に基づき、この資源のない我が国において、国家、社会の形成者としての国民の育成、人格の完成を目指して教育をしっかりと受けていただくということは、これは私どもに課せられた重大な責務でございます。国の立場から機会の均等、そして水準を維持し、そしてしっかりとした無償制の下で、全日本のどこに生まれても人間として必要な生きる力を、そして国際社会の中でたくましく活躍をできる日本人の育成のためにしっかりとこの義務教育に取り組んでまいりたいと存じます。中央教育審議会から答申もいただきまして、今、教育基本法の改正について多くの議論をいただいておるところでございます。
 こういったことも踏まえながら、義務教育の在り方について、先生の御意向も踏まえて今後ともしっかり取り組むことを申し上げて、私の熱意として酌んでいただければと思っております。
○後藤博子君 大臣、ありがとうございます。熱意が伝わってまいりました。
 次の質問の中に、今、中川先生が御指摘ありましたように、今回三分の一となったという税源の確保のことでございますので、それを質問しようと思っておりましたが、今、中川先生が質問されましたので重複は避けたいとは思っておりますけれども、国のその負担割合がやはり二分の一から三分の一になったということで、また都会と地方の差が生じるのではないかということも心配されております。そしてまた、先ほど中川先生も一般財源化のことも言われました。
 そういうことですので、私の質問といたしましては、国の責任が、二分の一から三分の一になったということで国の責任が果たせるのかということと、その一般財源化問題はこれで決着したと考えていいのかどうかということをお尋ねしたいと思います。
○政府参考人(銭谷眞美君) まず、私の方から、負担率が三分の一になるということで国の責任を果たせるのかという後藤先生のお尋ねにお答え申し上げたいと存じます。
 中川先生の御質問にも御説明を申し上げたところでございますけれども、今回、国の負担割合は二分の一から三分の一になったわけでございますけれども、国と地方の負担によりまして義務教育の教職員給与費の全額を保障するというこの仕組みは、これを堅持をいたしまして、今後ともこの国庫負担制度の下で国の責任を果たしていけるというふうに考えているところでございます。
 地方の負担が増えるわけでございますけれども、この点につきましても、いわゆる十八年度におきましては、所得譲与税という形で税源移譲した上に、各都道府県における国庫負担率二分の一の場合の負担金と比べての不足額につきましては地方交付税により措置をされるというふうに承知をいたしております。
 なお、文部科学省におきましては、今後とも義務教育の水準が維持されるように、各都道府県における必要な予算措置、それから標準法に基づく教職員配置につきまして周知、指導しているところでございまして、現在までのところ、来年度における各都道府県の必要予算は確保されているという状況にございます。
 負担制度に基づきまして国の責任はしっかり果たしていきたいと思っております。
○国務大臣(小坂憲次君) 今委員の御指摘になりました、それでは義務教育費の国庫負担金の一般財源化問題はこれで決着するのかという御質問についてお答えをしたいと思っておりますが、この点につきましては若干経緯も踏まえて御説明を申し上げた方がよろしいと思うわけでございますが、改めて確認をいたしますと、平成十四年末の総務、財務、文部の、文部科学の三大臣合意におきまして、「改革と展望」の期間中、すなわち十八年度末までに国庫負担金全額の一般財源化について所要の検討を行うとされて以来、この義務教育費の国庫負担制度をめぐる議論が行われてきたところでございます。その後、平成十六年の十一月二十六日に取り交わされました政府・与党の合意におきまして、平成十七年秋までに中央教育審議会において結論を得るとされておるわけでございます。また、そういった方針を踏まえる中で、昨年末の政府・与党合意におきましては、初めて義務教育費の国庫負担制度は堅持することが明記をされてまいりました。
 これによりまして、私どもとしましては、これまでの義務教育費の国庫負担金をめぐる議論はこの合意をもって終結をしたと、このように認識をいたしておりまして、三位一体の改革における義務教育費の国庫負担金をめぐる議論の中で学校現場や保護者の皆さんが大変不安定な状況に置かれたと、こう認識をして、昨年末、何としてもこれは十一月の三十日までに結論を出そうと思って、それぞれの関係の皆さんのお話をお聞きし、また答申を真摯に踏まえ、そして国民世論の動向等もしっかり把握をさせていただく中で、大変苦渋の決断ではございましたけれども、今回の決着をしたわけでございまして、負担率は二分の一ではなく三分の一と変わったわけでございますけれども、今回の決着によりまして恒久的な結論として今回の、今後現場においては安心して教育に取り組んでいただける環境が整備されたと、このように考えておりまして、今後とも教職員給与費の全額を地方と国の負担において負担するという義務教育費の国庫負担制度を堅持していくことが、こういった義務教育の先ほど申し上げたような水準の確保、そして機会の均等、そして無償制、とりわけこの中での無償制というものもしっかり担保していくということにつながっていくと、このように考えているわけでございまして、このような形で一般財源化の問題は決着したと、このように考えているところでございます。
○後藤博子君 大臣、ありがとうございます。一般財源化問題は決着したというお言葉でございました。国の総理よりも私は文部科学大臣というのは非常に重要なお役目があると思っております。今のお言葉を信じまして、私どもも文部科学委員としてしっかりと教育に取り組んでいきたいと思っておりますので、今後とも御指導をよろしくお願いいたします。
 またあわせまして、もう一つお尋ねしたいのが、義務教育費国庫負担法による国庫負担制度と公立養護学校整備特別措置法による国庫負担制度を一本化するということになっておりますが、このことによってどのような効果を期待しているのでしょうか。時間がありませんので、簡潔にお願いいたします。
○大臣政務官(有村治子君) 義務教育費国庫負担による国庫負担制度と、それから公立養護学校整備特別措置法による国庫負担を一本化するということなんですけれども、昨年の十月の中央教育審議会答申におきましても、義務教育費国庫負担制度は維持しつつも、地方の裁量を拡大するための総額裁量制については一層の改善をすることが求められております。このことを踏まえまして、現行制度では小・中・盲・聾学校と養護学校の二つに分かれている教職員給与費に係る国庫負担制度を統合することといたし、これによって学校の種別を超え、つまり小・中・盲・聾・養護学校の枠組みを超えて地域の実情に応じた教職員配置が可能になるものと考えております。
 時間の関係で活用例を二つだけ申し上げますが、教職員給与費全体を活用して、養護学校など特別支援教育の教職員の配置を補充、充実させるということ、あるいは今教育現場で大変関心が高い小中学校におけるADHD、学習障害等に対応する教職員配置を充実させるなどが考えられます。
 以上です。
○後藤博子君 有村政務官、ありがとうございました。
 次は、公立の文教施設の整備についての質問に入りたいと思います。
 公立小中学校の施設では、義務教育を支える大切な基盤でございます。きちんと整備することが大事であるということは言うまでもありません。今回、なぜ公立学校施設の整備のための財政支援の仕組みを変えることとしたのでしょうか。あわせまして、今回の法改正によりまして公立文教施設整備費の一部を交付金化することということですけれども、交付金化し、仕組みを変えることによってどのような効果を期待しているのでしょうか、お尋ねいたします。
○政府参考人(大島寛君) お答え申し上げます。
 今御指摘ございましたように、今回、制度を変えまして新たに交付金化ということを取り組むわけでございますが、これは、その理由はまず、昨年十月の中央教育審議会答申におきまして、地方の自由度を拡大しつつ公立学校施設の整備に目的を特定した財源を保障することが提言されたことがまず一つございます。それから、昨年十一月の三位一体改革における政府・与党合意におきまして、国庫補助負担金の改革の一環といたしまして交付金化が位置付けられていること。こういったことを踏まえまして、地方の裁量を高め、効率的な執行に資するため、耐震関連事業を中心に一部交付金化を図ることとしたところでございます。
 それから、どのような効果が期待できるかということでございますが、交付金化することによりまして、一つは地方公共団体が作成する施設整備計画の範囲内で自由な事業選択が可能になるということ。それから、設置者内における事業間の経費流用が可能になるということで、地方の裁量が高まり、効率的な執行に資するものと考えておるわけです。これによりまして、従来よりも地方公共団体による計画的、効率的な公立学校等の施設整備が進むことを期待しておるものでございます。
○後藤博子君 ありがとうございました。しっかり取り組んでいただきたいと思っております。
 昨日、私の大分県で震度五弱の地震がありました。そう大したことではなかったということなので安心を少しいたしましたけれども、いつ何どきどんな地震が起こるか分からない。今、日本列島は非常にそういうことでは地震が各地で起こっております。
 今回の制度改正におきまして、文部科学大臣が学校施設整備のための基本方針を定めることとなっています。この基本方針は耐震化を重視したものとするとお聞きしておりますけれども、これによって地方公共団体において学校施設の耐震化に具体的にどのように取り組むことになるのでしょうか。まだまだ耐震化の問題は解決しておりません。よろしくお願いいたします。
○国務大臣(小坂憲次君) 御指摘のように、私の方におきまして施設整備基本方針を定めるわけでございますが、現下の最大の課題であります耐震化の推進に重点を置くと、このように定めさせていただく予定でございます。
 地方公共団体が交付金の交付を受けるに当たっては、この施設整備基本方針に従いまして耐震化の目標等を記載した施設整備計画を作成することが必要となります。そのため、地方公共団体における計画的な耐震化の取組が一層促進されることになると、このように考えているわけでございます。
 また、地方公共団体に対して一括して交付金を交付することで地方の自主性、裁量度を高めることになるわけでございます。これによりまして、具体的には地方にとってより効率的に事業を執行するというインセンティブが働きまして、その結果、生み出された財源を例えば耐震化などの事業の前倒しに充てることが可能となるために、耐震化のスピードアップに資するものと考えております。
 また、更に申し上げるならば、今回私どもとしてはこの耐震化に当たって、新築という形よりも、改修という形でこの耐震化を促進していただくように、迅速に対応していただくことも併せてお願いをしてまいりたいと存じます。
 このことによりまして、耐震化を迅速に進めることを考えてまいりたいと存じます。
○後藤博子君 ありがとうございます。
 子供たちも先生たちもその学校にいて安心で安全な環境を整えるという意味では、学校の耐震化はもう早く進めていただかなければなりませんので、大臣の御決意のまま早急にお取り計らいをお願いをしたいと思っております。
 今回は、義務教育費国庫負担制度のことで、財政面のことの入口で今まで各委員の方々が質問をされました。今回、私の質問は、財政面も大事なことなんですけれども、質問の中心を少し教育改革の質についてということで質問に入っていきたいと思っております。
 最初に大臣に義務教育についての決意を伺いましたけれども、もう少し大臣に続きをお聞かせいただきたいと思っております。
 去る三月二十一日のお彼岸のお中日に、私は大分県で「建て直そう日本・大分女性塾」というものを立ち上げました。有村治子政務官からも電報をいただきましたし、前文部大臣の中山先生からもいただきましたし、いろんな方々の関心のある中での女性塾を立ち上げました。
 なぜ今女性塾なのか、なぜ今建て直そう日本なのかということなんでございますが、これを話し出すともう時間がありませんので短く申し上げます。
 いわゆる日本の心を心とする日本人というものがだんだんだんだん失われていっているように感じてなりません。そういう中で、やはりそういう心を持った、それは男性、女性関係ないんですけれども、私は一応女性の議員ですから、そういう良識ある女性をもっともっと国会の政策の決定の場に、その女性の声を上げていきたい、そういう思いがありましたので女性塾を立ち上げております。
 そういうところで大臣にお尋ねしたいんですけども、大臣のお考えの中にどのような日本人を育成されようとされているのか。また、大臣が考える日本人像というものをお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(小坂憲次君) 大変大きな質問でございます。
 私は、やはり日本が二十一世紀に世界の中にあって尊敬され、そしてまた産業面においても、また科学技術においても、あるいは文化芸術においても世界から尊敬され、リーダーとして認識されるようなそういう国づくりをしていくためには、先ほど最初に申し上げたように、資源のない我が国としては人づくりが大切でございます。そして、目指す国家というものは、最近、品格のある国家論というものがよく言われますけれども、そういった他の国々から仰がれ、また尊敬をされるような国であってほしい。
 グローバルな社会というものになってまいりますけれども、その中でコンプレックスを持たない、堂々と行動できる人間、そういう意味で私は、今日までの国づくりの中で、戦後の復興を果たす中での経済的な発展というものは日本は十分に成し遂げてきたと思いますけれども、これを持続的なものにする、そして尊敬されるためにはやはり文化芸術の力をしっかり付けていくこと、伝統文化を始めとしたこれからの新たな文化に対しても常にたくましく挑戦をしていく、そういった国民性。また、英語を駆使できるような、そういった中で、日本語、日本のみならず外国とのコミュニケーションが十分取れる国民、そういったたくましく生きていく国民というものを目指してまいりたい。
 総括して申し上げれば、日本人が、今日まで経済的な発展は得たけれども、生活において十分にそれをエンジョイできるような国民になっているかといえば、まだまだだと思っております。そういう意味で、自分の人生をしっかりと豊かに、そして生きがいのあるものにし、そしてまた世界の中で尊敬されるような、そういった、品格のあると言ったらよろしいんでしょうか、そういった人間性を発揮して活躍できるような日本人像、その下に日本という国が外国から尊敬されるように、そういうものになっていくことを目指したいと思っております。
○後藤博子君 大臣、ありがとうございます。
 たくさん大事なことをお答えしていただきましたが、身近なことでいえば、日本人は元々やっぱり勤勉で、正直で、人情味があふれておりましたし、人を大切にして、また我慢強く、伝統文化を継承して、家族を大切にしてきたという、そういう民族だと思っております。日本の先ほど心を心とするということを申し上げましたが、日本人のアイデンティティーをはぐくむ教育を今こそ私は行う必要があると思っております。
 それにはまず、大臣、英語ということをおっしゃいましたけれども、それには私は今、日本語の乱れを非常に憂いております。正しい日本語を正しいアクセントではっきりとしゃべることができません。自分の名前ですら相手に伝えることができないんです。元NHKのアナウンサーに日野直子さんという方がいらっしゃいますけれども、今若者たちと話をしていると何を言っているのかが分からない、だから、もう最初の基本のあいうえお、かきくけこっていうようなことを、しっかりと発音を教えなければならないというふうに嘆いておられました。
 昨日、中央教育審議会の外国語専門部会は、小学校から英語を必修にすべきだとする報告をまとめました。母国語を大切にするということは日本を愛する心を養って、また、自国を愛するということは他の国も愛することにつながるのではないかと思っております。そのためには、読むこと、書くこと、しっかりとしたきれいな発音で話をするという、それが自信につながり、人間力を養うと思っております。そういうことをしっかりと教えるべきだと思いますけれども、御見解をお伺いいたします。短くお願いします。
○国務大臣(小坂憲次君) 失礼しました。
 御指摘のように、やはり母国語をしっかりやるということは大切なことであります。したがって、読み書きなどの国語力は学習や生活の基盤でありまして、その育成は極めて重要なものと認識をいたしておりますし、これまでも国語力の向上のモデル事業などを実施いたしまして子供たちの国語力を高める取組を支援してまいりました。また、中央教育審議会でも、学習指導要領の改訂に当たっては、音読や、そして朗読、暗唱、古典や名作に親しむこと、そして自分の考えをまとめて書くといったような、読み書き、そして読解力というものを、これをしっかり身に付けていかなければならないと考えております。とりわけ読解力につきましては、PISAの調査で低下が指摘されておりますので、今後ともしっかり取り組んでまいりたい。こういった基盤の上に英語の力を付けていくということは、両立をさせることも可能だと思っておりますので、決して国語をおろそかにするということではないということをまず御理解いただきたいと思います。
○後藤博子君 ありがとうございます。
 大臣、そのとおりなんですね。読み、書く、自分の考えを文章に書く、それは今すごい子供たちは優れているんですよ。ですけど、人と話す、人と日本語で話すということのコミュニケーションが取れないんです。頭で考えて、相手が言っていることを頭でまず考えて、それから自分の言葉として出していくんですね。だから、即会話ができないんです。そういうことが今、日本語をしゃべるということに関して非常に心配をしております。
 私も一九八一年にブラジルに渡りました。現地の日系人は、新しい日本人が美しい日本語をしゃべるということで、私は日本語を教えました。美しい日本人がと言われなかったことはちょっとショックでございましたけれども、新しい日本人が美しい日本語をしゃべるということで、非常に日系の方々にとって、私はちょっと貢献できたかなと自分では思っております。そういうことなので、特に、日本に帰りまして二十年以上たちますけれども、美しい日本語が本当に聞けなくなったということを憂えております。
 あわせて、もちろん英語も大事ですけれども、日本語でしゃべることを英語でしゃべって、英語を日本語に訳せるということは、日本語をしっかりと学ばなければ訳せません。そういうことで、感情の表現も併せまして日本語教育をしっかりと取り組んでいただきたいと思っております。
 ありがとうございました。
 次に、言葉の乱れとともに、日本人の礼儀作法もなくしつつあります。そこで、お尋ねしたいことがありますが、言語とか日本語の大切さを今質問いたしましたけれども、ちょっと先に例題を申し上げますが、たくさんいろんな例題はあるんですけれども、日本の中学生が韓国へ修学旅行に行きました。両国の国歌斉唱の際に、日本の中学生が君が代を歌わず韓国の子供たちから指を指して笑われるというような事実があったそうです。各国共通に国歌や国旗を無視したり軽率に扱うことは大変無礼でありますし、人としては扱われません。とても恥ずかしいことです。WBCしかり、オリンピックしかり、荻原先生もいらっしゃいますけれども、日本の若者が日本代表という立場で世界のひのき舞台で活躍する機会が増えています。子供たちが学校教育において国旗・国歌をしっかりと学ぶことで初めて自分の国やよその国を愛する気持ちということをはぐくむことができるのではないかと思っておりますが、この件について大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○副大臣(馳浩君) 今ちょっと大臣が所用で席外しておりますので、申し訳ございません。
 当然、学習指導要領において、社会の時間、国について学ぶとき、国旗や国歌について学ぶとき、また音楽の時間などにおいてしっかりと口を開けて君が代を歌うと、こういう授業がしっかりと学習指導要領において位置付けられているのは事実でありますし、学校の行事においても、卒業式や入学式においても国旗に敬意を払い、国歌君が代をしっかり歌いましょうという指導をしているところは事実でございます。これは、国旗・国歌法に基づいて、また学習指導要領に基づいて現場で指導しているところでございますので、より一層取り組まれるようにまた指導してまいりたいと思います。
○後藤博子君 ありがとうございます。
 大臣にお願いをしていたんですけれども、大臣がお答えにならなかったということはさみしい限りですね。まあ所用があるということでございますので仕方ありません。
 今副大臣に答えていただきました。副大臣、現場は全く違います。今私は調べておりますので、この調べた結果、また数字が出てきましたらまた別の機会にお示しをしたいと思っておりますが、先ほどの「建て直そう日本・女性塾」という一環で、やはり国を愛する気持ちを何で表すかということは、子供のときから自然に自分の生活の中で、体験の中で日本というものを意識していくということが必要になるかと思うんですね。
 大臣、お帰りになりましたが、ちょっとあともう時間がありませんので残念ながら大臣のお答えがもらえませんでしたが。
 では、大臣、今国歌・国旗の話をいたしましたけれども、少し視点を変えます。ですから、現場をもう少し調べていただきたいと、副大臣、要請をしておきます。よろしくお願いいたします。
 突然ですが、大臣、全く話は変わりますけれども、大臣は子供を産んだことはないのはもちろんですけれども、赤ちゃん、赤ちゃんを産みますね。そして、今、有村政務官もかわいい女のお子さんがいらっしゃいますけれども、赤ちゃんは自分の母親をどうやって認識するのでしょうということなんですね。これはもう話を先に進めますけれども、最初に見た顔が自分の母親として認識するのでしょうかとか、では、最初に見た人が母親と認識すれば、看護師さんだったり助産師さんを自分の母親と思ってしまいますよね。ということは、違いますね。有村先生も子供を産んだときは、最初に見たのが有村先生ではなかったかもしれませんね。取り上げた病院の方だったかもしれません。
 そういうことで、じゃ本能なのかといいますと、そうではないそうなんですね。これは、脳科学の研究している脳科学博士の澤口俊之、北大の医学部の教授の先生とか、京都大学の大学院の文学研究科の助教授の板倉昭二先生とか、これは新赤ちゃん学とか脳の科学を研究している先生方の話によりますと、赤ちゃんは生後四か月でお母さんの顔を好んで見るようになるということですね。
 イギリスの心理学者のブッシュネル博士が調べているんですけれども、お母さんの顔を認識するまでに掛かる時間は、生後十一時間でお母さんの顔を認識するそうなんです。ということは、お母さんの認識は、何でそういうことが十一時間なのかというと、お母さんの顔を何回見たか、お母さんの顔を見た経験の多さで母親を認識するらしいですね。ということは、父親も、お父さんの顔を何回見たかということで赤ちゃんは、ああ、お父さんだということを認識するそうでございます。今大臣も家の中ではお父さんと呼ばれているということでございますから、お父さんと認識していただいてよかったんじゃないかなと思っております。
 このように、生まれて間もない赤ちゃんは、ただミルクを飲んでベッドに横たわっていることだけではなくて、周囲のことをすごく観察をし、じっと見詰めながら感じ取っていることが多いということでございますので、子供の心を豊かに育てることや感性豊かに育てること、また日本人の心を持った子供に育てるということは、もう既に赤ちゃんが、一歳、二歳、三歳、四歳ということでなくて、お母さんのお腹にいるとき、そして生まれ出たその瞬間からもうそういうことが始まっていると、感じているということでございますので、長々と申しましたけれども、大臣にはそういう赤ちゃんの状態を分かっていただきたいために前振りでこういうことを言わせていただきました。
 ですから、私は、人間の人間力を高めるということは、その人間力を培うという時期は、この乳幼児、その幼少時期だということを確信をしております。今、働くお母さんが増えまして、保育園や幼稚園の役割も多様化してきました。就学前の教育、五歳児の義務教育などを念頭に置きまして、義務教育の質の向上と幼児教育を充実させるための考え方についてお聞かせを願いたいと思っております。
 時間がなくなっておりますので、先ほど私は幼児教育小委員会に出ておりまして、副委員長をさせていただいておりますけれども、全国の公立、国立幼稚園の園長先生、会長さんの酒井先生が意見を言われておりました。義務教育に就学前教育を義務教育化するということは大賛成ですと。しかし、教育というものの中に組み込まれるんじゃなくて、就学前の五歳児という児童にはその五歳児にふさわしい教育の在り方があるのではないかということもおっしゃっておられました。
 義務教育は、幼稚園から始めるということも非常に大事なことでございますけれども、そういう幼稚園教育ということと併せて、これからの義務教育をどう持っていくのかということ、そして今私が一生懸命申し上げましたように、もう幼児期から教育を行っていかなければ、これからの国は、日本の国というものは何かもうなくなってしまうんじゃないかというような危機感を感じておりますので、あわせて、義務教育の充実のために質の向上にどう取り組んでいくのかということをお伺いしたいと思います。長々と申し訳ありません。
○副大臣(馳浩君) 二つの視点があったと思います。義務教育の水準の維持向上をどのように取り組むのかということと、幼児教育についてどう考えているのかという点。
 最初に指摘の多かった幼児教育に関しては、現在でも希望するすべてのいわゆる幼児教育を求める方に対しては、幼稚園就園奨励費や私学助成などで支援をしているところであります。ただ、昨年の選挙においても、与党のマニフェストに幼児教育の無償化という文言がございましたので、これはまあ与党の議論も見守りながら、非常に重要な課題として文部科学省としても検討しているということはお伝えしたいと存じます。
 義務教育に関しましても、とにかく今般のこの国庫補助負担が二分の一から三分の一になりましたが、基本的な条件整備、また教員の資質向上と、これに取り組むのは不断の取組が必要であるというふうに考えております。
○後藤博子君 ありがとうございます。
 どういうふうに取り組みますかとお聞きすると、必ず最初に出てくるのがお金の問題なんですね。施設整備費を充実させるとか、ちゃんとお金を充てますよということがまず先に来るんですけれども、私が期待している答えは、まあお金の問題も大切なんですけれども、もっともっと教育の質についてどういうふうに取り組むのかという、そこをお聞きしたいんです。
 もう一度、大臣、よろしいでしょうか。
○国務大臣(小坂憲次君) 後藤委員が御指摘なさいましたように、幼児、生まれて母と認識するのは十一時間と、そして日本には三つ子の魂百までということわざもございます。幼児期において人間の形成の基礎が形成されるわけでございますので、この時期に豊かな教育が提供されるということは極めて重要なことだと思っております。
 そういった意味で、希望するすべての幼児に対して質の高い幼児教育の機会が提供されるようにしっかりと取り組んでまいりたい。そしてまた、ただいま副大臣も申し上げましたけれども、無償化、義務教育化につきましては、与党内の議論をしっかり踏まえながら、しっかりと対処してまいりたいと存じます。
○後藤博子君 ありがとうございます。
 欠かせないのが、やはり現場に当たる先生の質だと思います。今、家庭が壊れ、家庭の中でなかなかお母さんも働くということでしつけもできておりませんし、家庭教育力も落ちております。このたびの教育基本法の中でも、また、家庭力という文言を入れようじゃないかというような話もしておりますけれども、やはり、そこで一日の大半を過ごす学校現場の中での先生の役割がこれからもっともっと大きくなってまいりますし、今日午前中の参考人の先生方のお話でも、逆に教師に圧力が掛かり過ぎるとか、もう教師が指導要領も物すごく過密過ぎてなかなかうまく指導ができないというようなこともおっしゃっておられました。
 まず、そういう先生方の、現場で働く先生方のためにはどういう環境を整えていったらいいのか、あるいは先生方も病んでいる先生方がたくさんおられますが、先生方のやはりケアの問題もあります。そして、やはり子供たちに教える教師の質ということが大事な問題になってまいりますので、教師の質に対してのお考えを短い時間でいただきたいと思います。
○副大臣(馳浩君) 実は私、一昨日、日曜日の午後に、ある民間団体がやっている教員の研修コースを聴講生として受講してまいりました。自らお金を払って、より分かりやすい授業、具体的に教科書を効率よく、そして、まあ効率よく教えるということは、できるだけ余裕のある時間を持って子供たちから意見を聞こうと、こういう姿勢を持っている教職員の皆さん、四、五十人ぐらいいらっしゃったですかね、いろいろお話を聞いてきて大変勉強になりましたし、同時に、やっぱり教職員たるもの、できるだけ一人一人の子供の様子を見てそれにこたえてあげたいという要望を持っているということもよく分かりました。
 それを考えると、余りにも多忙な教職員の事務的な処理、こういったこともより効率的にできないのかなということを指導するのも文部科学省の使命であると思います。
 教員の質の向上については、養成の段階と採用の段階と研修の段階、そして基本的には教職員の皆さん方に対する職務、現場での管理と、こういった段階においてより充実した取組が必要だと思っています。
 中教審の方からは、免許更新制とか教職大学院とか、あるいは養成課程をより実践的にすべきだとか、いろんな提言が上がっておりますので、中教審の答申も今年八月ぐらいかな、夏までには出てまいりますので、それを踏まえた上で具体的な取組に入りたいと考えております。
○委員長(中島啓雄君) 後藤君、時間も迫っておりますので、簡潔に。
○後藤博子君 ありがとうございます。あと二分ありますね。
 そういう教師の質ということになりますが、文部科学省では、教育の結果の検証が大事となってまいりますので、そういうことを十分に踏まえまして、例えば全国的な学力調査の実施をどうするのか、あるいは学校評価システムの整備はどうするのか、またそれを公表するのか否かということをお尋ねしたいと思います。
 時間がありませんので、今日の参考人の陰山校長先生も述べておられましたし、また穂坂参考人、先生方もおっしゃっておられました。良い教育というのは、このとおりの言葉はおっしゃいませんでしたけれども、その三人の先生方のお話を聞いておりまして、良い教育というのは、もうぎゅうぎゅう詰めにすることではなくて、生徒や教師や学校をもっともっと元気にすることだと思います。そういう教育が義務教育の中で行われることを期待しまして、先ほどの質問を私の最後にしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○政府参考人(銭谷眞美君) 教育の結果の検証という意味で、まず全国的な学力調査についてお尋ねがございましたが、全国的に児童生徒の学習到達度を検証、把握をいたしまして、国として一定水準以上の教育の確保を図り、また、各学校が広い視野で教育指導の改善充実を図るための機会を提供するという意味で、来年、全国的な学力調査を実施をしたいと思っております。
 結果の公表等につきましては、今、専門家の会議で詰めているところでございますが、いたずらな各学校間の競争といったようなことをあおることのないように十分配意をしながら、また、各学校、市町村にとって意味のある調査となるように設計をしていきたいというふうに思っております。
 それから、学校評価につきましては、文部科学省におきまして学校評価のガイドラインを作成をいたしまして、来年度、ガイドラインに基づく学校評価や、国が委嘱した専門家による第三者評価の実践研究を全国で行いまして、学校評価システムの整備に努めていく予定にしております。
 これらを通じまして、義務教育についての成果の検証をしっかりと行ってまいりたいと思っております。
○後藤博子君 では一言だけ。
 ありがとうございました。少し短い時間の質問だったので、いろいろと戸惑っていながら、言葉も足りませんでしたことをお許しくださいませ。
 そして、今、私は地方の議員ですので、少子化になりまして町も村も活性を、子供たちがいないということは、非常に町も村も沈んでおります。そして、農村に住む人たちはもう恐怖心さえ覚えておるような状況でございます。どうか少子化になっても機会均等が隅々まで、田舎の隅々までいかれるように、是非スクールバス等を踏まえまして、寄宿舎等も考えまして、田舎の子供たちが都会の子と同じように機会の均等を受けられますようによろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。
○水岡俊一君 民主党の水岡俊一でございます。
 長時間になって恐縮でありますが、引き続いて質問をさせていただきたいと思います。
 今回の義務教育費国庫負担二分の一から三分の一への削減、多くの方々が疑問を呈し、そして反対の意見を述べられてきたわけです。今回のこの法案が日本の義務教育の将来への不安、本当に大きな不安を抱かせるものになっているからだというふうに考えております。私たちが抱いている多くの不安の中の一部を私は質問の中に述べてまいりたいと、こういうふうに思っております。
 大臣、就学援助を受ける児童生徒というのは急激に増加をしているということはもう御存じのとおりだと思います。要保護児童生徒数は二〇〇四年度約十三万人、準要保護児童生徒は約百二十一万人に上っています。準要保護の児童生徒は全児童生徒の一一・五%に上る中で、都道府県によって大きなばらつきが、大きな差が出ているわけであります。大阪、東京ではおよそ四人に一人、そしてそのほかにも、北海道、兵庫、広島、山口、高知、福岡などは五、六人に一人という割合になっているところであります。また、最近の文科省の調査で、都道府県立高等学校で授業料の減免を受けている生徒が二〇〇四年で二十二万二千四百六十人、全体の約九%になっているということが明らかになってきております。就学援助、そして授業料減免を受けている児童生徒の数は同じような傾向を持ちながら都道府県のばらつきが出ているところであります。
 このように学校現場、子供たちを取り巻く状況は大変厳しいものがあります。準要保護の就学援助、そして授業料の減免措置は既に一般財源化をされておりまして、自治体への負担がどんどんと増加をしています。
 先ほど大臣が一般財源化問題は決着したというふうに述べられました。そこで、ちょっと大臣、御連絡をしておりませんが、ひとつ感想なり御意見をいただきたいと思うんですが、実は三月二十五日の朝日新聞にこういう記事が載っておりました。三位一体改革が市民に結局しわ寄せをさせるんだという内容の記事なんですが、ちょっと読んでみます。
 大阪府堺市は昨年四月から就学援助の対象基準を厳しくした。〇五年度の援助実績は前年度より四百四十四人、率にして三%減った。三位一体改革で〇五年度から準要保護児童生徒援助費百三十四億円が廃止されたのがきっかけだ。就学援助は貧困家庭の小中学生のために学用品や給食、修学旅行などの費用を支給する制度。堺市の担当者は従来どおり続けられるよう折衝したが駄目だったとこぼす。国庫補助の代わりに税源移譲と交付税があっても、セーフティーネットは縮んでしまった。他の予算が優先されたためだというふうに記事は書いております。
 このことについて、大臣の感想等があれば、是非お聞かせをいただきたいと思いますが。
○国務大臣(小坂憲次君) 三位一体改革の結果として準要保護者への国庫補助が一般財源化されたしわ寄せが出てくるといたしましたら、これは非常に問題であろうと思います。
 準要保護の認定基準は従来から各市町村が地域の実情に応じて定めているものでございます。認定基準に該当するにもかかわらず、その者からの申請に対して就学援助が行われなかった例は承知しておりませんけれども、各市町村が就学援助を必要と認める者について就学援助が行われないということになりますと非常に困るわけでございまして、それはやはり基準の設定、そして準要保護者に対する教育の機会均等の観点からの援助の在り方というものをやはり各市町村でしっかりと認識していただくことが必要だと思っております。
 今の大阪の事例、ちょっと私、今お読みいただいた部分だけしか分からないわけでございますけれども、全体的にはっきり把握をさせていただきまして、是正する必要があればそのような指導を行ってまいりたいと存じます。
○水岡俊一君 突然の質問にお答えをいただきましてありがとうございました。
 教育現場、本当に厳しい状況にあるということを前提に義務教育費の確保策について質問を続けてまいりたいというふうに思います。
 文部科学省の資料によりますと、二〇〇六年度において義務教育費国庫負担金を三分の一とした場合の影響額を所得譲与税で配分した場合の都道府県別の過不足額の試算結果として、三十九県でマイナスになるというふうにされております。ところが、総務省の答弁では、所得譲与税による配分額を基準財政収入額に全額計上し、地方交付税の算定に反映させるので問題ないとしています。
 問題は、こうした仕組みがいつまで実効性を持つかという点にあると私は思います。二〇〇七年度には所得譲与税から個人住民税へと税金、税額の性格が変わり、二〇〇六年度に比較して都道府県のその間には増減幅が一層拡大するということを私は予想をするところであります。例えば二〇〇六年、東京都は三百十四億円の増額になり、北海道では五十七億円の減額となる大きな増減の差が生じているところであります。
 国庫負担削減額八千四百六十七億円の全額を税源移譲見込額を用いた基準で各県に配分した場合、自治体の間の増減の幅というのはどれぐらいに広がっているのか、広がることが予想されるのか、お答えをいただきたいと思います。
○政府参考人(銭谷眞美君) 先生から今お話がございましたように、減額分の八千四百六十七億円につきましては、十八年度においては所得譲与税として地方に税源移譲されるわけでございます。
 この所得譲与税として各都道府県ごとに参ります金額と、三分の一の国庫負担金の額にこの額を加えた額と二分の一の国庫負担金の額を比べると、今お話がございましたように、三十九の道府県で二分の一の負担額に比べて不足額が生ずるということはお話しのとおりでございます。
 これはあくまでも試算でございますけれども、例えば、北海道ですと五十七億円の減額が生じますし、鹿児島県では三十七億円、沖縄県では三十億といった具合に二分の一に比べての不足額は生ずるわけでございます。
 ただ、この不足額につきましては、先ほど来るるお話もございましたけれども、地方交付税によってこれは措置をされて、各都道府県が負担すべき三分の二の額についてはこの地方交付税の措置と併せて財源措置がなされているということになるわけでございます。
 私どもとしては、国の負担が三分の一で県の負担が三分の二ということになったときに、各都道府県におきまして必要な教職員の給与費を確実に予算措置をするということと、その場合、義務標準法を踏まえた適正な教職員配置がなされるということが必要なわけでございますので、この点について周知、指導しているわけでございます。少なくとも、来年度における各都道府県のその必要予算というものは、これは確保される見込みであると私どもは把握をいたしております。
 十九年度以降につきましては、これが住民税によって措置されるわけでございますけれども、この住民税と地方交付税によりまして不足分が補われて、そして十九年度以降も各都道府県における予算措置が的確になされるように、引き続きこの予算の措置状況については私ども把握をし、必要に応じて指導もしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○水岡俊一君 お答えをいただいたことに関連してなんですが、総務省も主張されておりますとおり、すべて交付税の算定に際して影響額を吸収していくと、だから問題ないんだと、こういうことでありますが、地方交付税の調整機能がいつまで働くかという点においては甚だ心もとないということを申し上げているところなんですね。
 そこで、昨年六月の閣議決定、経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇五というのがございます。この中で、「三位一体の改革を進めることを通じて、不交付団体(市町村)の人口の割合を大幅に高めていく。」というふうに、こういう考え方がだんだんとエスカレートをしていっているという状態がこういうふうにあると思うんです。
 財政力格差に対する具体的な処方せんが見えないまま交付税縮減の議論が先行していく状況では、地方自治体にとってみれば不信と不安が増大をしていくと、こういうふうなことだと私は思っているわけです。現在、人件費以外の学校運営に関する経費というのは市町村が担っているわけです。今後、義務教育費が引き金になって人件費負担に耐え切れない市町村が生じることは、これは避けていかなきゃいけないと私は思うんですね。
 そこで、義務教育に要する経費全体を見ますと、その三割を担っている市町村の財政状況が交付税に依存している現状というのを文部科学省としてはどういうふうに認識をされているのか、お伺いをしたいと思います。
○政府参考人(銭谷眞美君) 市町村の一般財源に占めます地方交付税の割合というのは各市町村ごとにこれは異なるものと考えるわけでございますけれども、市町村を国全体で見た場合に、これは平成十五年度決算ベースでございますけれども、市町村収入に占める交付税の割合というものは約二八・六%というふうに試算できるわけでございます。
 交付税に対する依存度が高く、今日、市町村財政は、これもまた厳しいものがあるという認識は持っております。
○水岡俊一君 それでは、次の問題に移りたいというふうに思いますが、これまでの委員会の中でも、文部科学省の方から、教職員給与費の全額を保障するんだという力強いお言葉を聞かせていただいているところなんですね。問題は、一般財源化の下で、最終的にあるいは現実的にどれだけ守っていけるのかということが勝負だと私は思っています。
 それで、今日引用させていただきました新聞のように、準要保護の生徒の問題についても実際には現実的に削減をされていくというような実態があるように思われますし、また、先ほどの中川委員の質問でも教材費の問題が指摘をされておりました。この教材費の問題は、私たちももうずっとずっと主張し続けてきている問題で、大変ゆゆしきことだというふうに思うんであります。
 まあ、中川委員、余り厳しくはおっしゃいませんでしたが、基準財政需要額を一〇〇%保障するところから機会均等って始まるんですよね。それを、文科省で基準財政需要額を細かに計算をして、子供一人当たりにこれぐらい要るだろう、学校一校当たりこれぐらいは保障しなきゃいけないだろうという額を決めているにもかかわらず、それを地方自治体の苦しい財政事情の中で切り捨てていくという実態がそこにあるんだということですね。これを我々はどうとらえるか、文科省としてどうとらえていただくかということが大きな問題だと思うんですね。そういったことを私たちは強く主張してまいりたいと、こういうふうに思っております。
 そこで一つ。学校現場は、臨時採用教職員というのが少なからずおります。これは、私が調べてみたところ、やはり年々と増加をしております。義務教育の学校現場において臨時採用教職員が増加をしているという現状を文科省としてはどういうふうに認識をしておられるのか。そして、どういうふうに改善を考えておられるのか。あるいは、どうしてこういうことが起こりつつ、あるいは増えつつあるのか。その辺りについて文科省の見解をお聞かせいただきたいと思いますが、どうでしょう。
○国務大臣(小坂憲次君) 今委員の総括的なお話の中で、要保護、準要保護の話も出ましたけれども、先ほどの例に従って申し上げるならば、要保護というのは、生活保護の基準が変わらない限り変わらないはずでございますし、準要保護が厳しくされるということになりますと、生活保護に対して一・一とか一・二とか、それぞれの割合が余り悪化するようであればこれは市民が許さないはずでございます。ですから、そういった意味で、極端な準要保護の切捨てということは起こらないということを前提に私どもは考え、またそれが極端に行われるようであれば、我々、それは指導しなきゃいかぬと思っております。
 そういった観点から、また同時に、今御指摘の臨時採用教職員の問題につきましては、基本的には、教職員の任用については地方自治体がその権限と責任において判断すべきものでございますから、それぞれの臨時任用職員の数がどのように推移したかについて私どもは直接的にこれに指導を加えるものではございません。
 しかし、退職者の補充を臨時の職員で賄っていくというのは、一つは、今後、いわゆる二〇〇七年問題といいますか、団塊の世代を迎えての大量退職時代を迎えることになりますので、それを踏まえた中長期的な人事計画を見据えて正規採用と臨時的任用の割合をそれぞれの自治体が調整をしているということも考えられます。
 そういったことも踏まえながら、今までの平成十二年から十七年までの統計的なものを見ますと、十二年に全体の五%であったものが十七年には七・七%に増加しているという傾向は確かに見られますが、こういったその市町村の長期的な人事計画も踏まえた上で行われていることなのかどうなのかということは今後注目をしておきたいと思っております。
 仮に、学校運営に支障が生じているようなことが指摘をされるんであれば私どもは具体的に指導を行っていく必要があると思っておりますし、基本的には各都道府県の判断により適切な教職員の構成となる、こういうふうになるべきでありますので、そのようなことを注目をしながら経過を見守ってまいりたい、そして必要に応じて指導してまいりたいと存じます。
○水岡俊一君 大臣、ありがとうございました。
 学校基本調査という調査資料があると思います。その中で非常勤職員の数というのは出てくるように思いますので、何とぞ文科省としてもきっちりと追跡をし、そういったことについての指導ができるならば是非ともお願いをしたいというふうに思っております。
 今大臣は、二〇〇七年問題、大量退職時代を迎えるということをおっしゃいました。本当にそうなんですね、学校の現場。私の同僚あるいは先輩の年齢を見ておりますと、そういったところに集中をしております。これは、逆な面から見ますと、大量に退職をするから大量に採用していかなきゃいけない。ですから、いっときにはなかなかそれは無理だから、やはり臨時採用教職員ということではなくて、できるだけ本採用を、定員を確保していくということも一方必要なことではないかというふうに思っております。臨時採用教職員の方々が駄目だということを私は言っているわけじゃないんですが、臨採教職員の場合は非常に採用の期間であるとか辞令であるとか非常に厳しい中で勤務をされているというふうに私は理解をしておりますので、そういった形で仕事をされる中にも正採用できちっと教育に携わっていきたいという希望を持っておられる方はたくさんいらっしゃいますので、そういったことを確保するということで文科省も御努力をいただきたいと、こういうふうに思っているところであります。
 次は、学校の用務員それから給食調理員の配置について少しお尋ねをしたいというふうに思っております。
 学校の用務員それから給食調理員の配置というのは、これは児童生徒数に応じてというよりも、これは設置をされている学校数あるいは共同調理方式か自校方式など、そういった状況に応じて配置をされるという、そういうふうに決まってくるというふうに思っております。
 そこで、お聞きをしたいんでありますが、用務員と給食調理員の配置基準というのはどういうふうにお考えになっているのか、また用務員、給食調理員の必要性を文科省としてはどういうふうに認識をされているのか、お答えをいただきたいと思います。お願いします。
○政府参考人(銭谷眞美君) まず、配置基準でございますけれども、用務員については、特に配置基準というものは整備はされていないところでございます。給食調理員につきましては、昭和三十五年の体育局長通知におきまして一定の配置基準を示しているところでございますが、その後、昭和六十年の体育局長通知におきまして地域や調理場等の状況に応じて弾力的に運用するよう求めているところでございます。
 また、その必要性でございますけれども、学校用務員及び給食調理員は学校教育法の第二十八条第二項に定める必要に応じて学校に置かれる職員というものに該当をいたします。学校用務員につきましては、学校教育法施行規則の第四十九条におきまして「学校の環境の整備その他の用務に従事する。」とされておりまして、一般的には校舎等学校の施設設備の清掃や整とん等の環境整備などに従事をしているところでございます。給食調理員につきましては、特に法令においてその職務内容は規定はされていないわけでございますが、主として購入をした食材の研修、調理、配膳及び調理場の清掃などに従事をしているところと認識をいたしております。
 いずれの職員につきましても、各学校の状況に応じまして、学校を円滑に運営していくために必要な職務を担当しているものと考えているところでございます。
○水岡俊一君 ありがとうございます。
 これから公務員、学校の教職員の削減、定数の削減ということを論議をする中で大変不安に感じているところでもありますので、学校にとって非常に重要なポジションを持つ職員の中に入っているわけですから、是非とも確保をしていただきたい、こういうお願いをしておきたいというふうに思っております。
 少し学校給食の自校方式のことについて話を移してみたいというふうに思います。
 現在、民間委託あるいは共同調理ではなくて、自校調理方式の良さを指摘する動きが広まっているわけであります。食育推進の観点からも、自校給食は生きた食育の教材であるとして、共同調理場にいながら食育を担当する栄養職員から羨望のまなざしを受けているという現状がございます。
 内閣府が策定をしました食育推進基本計画案には、「望ましい食生活や食料の生産等に対する子どもの関心と理解を深めるとともに、地産地消を進めていくため、生産者団体等と連携し、学校給食における地場産物の活用の推進や米飯給食の一層の普及・定着を図りつつ、地域の生産者や生産に関する情報を子どもに伝達する取組を促進するほか、単独調理方式による教育上の効果等についての周知・普及を図る。」との一文がございます。栄養教諭や学校栄養職員の指導の下、自校調理による食育を推進しようとすれば、こうした専門職員の配置は不可欠だというふうに私は思うわけであります。
 そこで、大臣は、二〇〇五年五月十九日、参議院の内閣委員会で食育基本法の提案者としてこういうふうにお述べになっている。これ記録を見ますとありましたので、少し紹介をさせてください。中で、特に、地産地消という意味においては、学校の行き帰りの道の、道端に植わっているものがこの給食の現場に出てくるということであれば、またより一層そういう効果が出てくると思っておりますから、そういう意味では、センター方式よりも自校方式の方がよりそういった食育の理念に近い部分があるということは私どもも言えると思っておりますと、こういうふうにおっしゃっておられます。
 食育の重要性をだれよりも認識をし、自校方式による食育を推進する立場であられた小坂大臣としては、自校方式の給食の重要性、そして給食調理員の必要性についてどのようなお考えをお持ちなのか、お聞かせをいただきたいと思います。お願いします。
○国務大臣(小坂憲次君) いわゆる自校方式、すなわち単独調理場方式につきましては、これは財政負担が大きく、また作業上の合理化が図りにくいという面はあるものの、今紹介していただきましたように、児童生徒が学校周辺で見る農産物がその日の給食の食卓に出てくるというような意味で、学校行事と関連した献立の工夫が容易にできるという点において優れた利点を持っていると思っております。
 そういう意味で、食育の観点からすると自校方式というのは非常に優れた方法であろうと私は考えておりますが、しかし一方で、やはり今日的要請に従って、給食方式についても創意工夫、また効率化ということを追求しなければならない現場もございます。そういった場所においては、共同方式であってもそれぞれの地域の農家と契約をしていただく、あるいは農協等とのタイアップの中から次の農産物の生産メニューというものを先に入手をして、そういったものを計画的に地域の給食に取り入れていくということで、この食育の観点から、より自校方式に近い共同調理方式というものを開発する等のお願いを私どもいたしております。
 そういった観点から、理想的には単独調理場方式というのもあるわけですが、財政的な負担も大きいということもかんがみますと、食育の推進の観点から、自校方式の良さを共同調理方式に創意工夫によって取り入れていただく努力も併せてお願いすることが必要だと、このように考えているところでございます。具体的な実施方法とか、各学校、地域の実情等に応じて、学校の設置者がこれを判断していただくということが必要だと思っております。
 したがいまして、私としては、その学校の設置者の皆さんに今申し上げたような努力をしていただくことをお願いすると同時に、給食調理員が担うその調理業務について、学校の給食の質の低下を招くことがないように配慮しつつ、各学校の設置者が共同方式を選択するか、あるいは自校方式を導入するか、あるいは継続するか、そういった判断を適切にしていただくことが必要と考えております。
○水岡俊一君 大臣、同じ内閣委員会で神本美恵子委員がこういうふうに質問をしております。せめて学校栄養職員を、全校配置が理想ですが、養護教諭でさえ全校配置、今まだできていない状況の中で、しかし栄養職員なり栄養教諭を学校、すべての学校に、巡回でも何校か掛け持ちでもいいですから、配置できる、すべての学校を網羅できるような形に是非持っていっていただきたいと、こういうふうに述べております。それに小坂大臣がお答えになっていらっしゃって、この基本法が、国会がこの法律を制定することによって内閣が編成する予算に影響を与える、そして自校方式の推進だとか、あるいは栄養教員の配置、そしてまた学校全体の食育にかかわる施策の充実が行われると、こういうふうにお答えになっている。非常に力強く私たちは感じているわけであります。
 今のお答えの中で、創意工夫とか効率化とかいうお言葉を使われて、共同調理方式もあるよというふうにお答えをいただきましたが、是非とも、今までの提案者としてのお気持ちの中にあったように、自校方式を是非とも力強く推進をしていっていただきたいと、こういうふうに思うんですが。
 そこで、学校栄養職員、それから栄養教諭の学校教育における位置付けとその重要性について、大臣にもう一度お伺いをしたいというふうに思います。お願いします。
○国務大臣(小坂憲次君) 学校における食育の推進という観点からしますと、栄養教諭制度を活用した指導体制の整備を図ることが極めて重要であると考えております。また、学校栄養職員についても、学校給食の管理を担う重要な職であると認識をいたしております。
 そういった観点から、栄養教諭の配置促進のために、文部科学省では平成十七年度に全都道府県において栄養教諭の免許状取得のための講習会を開催するとともに、様々な機会をとらえて栄養教諭の配置に向けた働き掛けを進めてきたところでございます。平成十七年度においては、自治体では四道府県で配置、配置数は三十四名でございましたが、開始されておりまして、また平成十八年度からは、これらの四道府県を含めまして、半数を超える道府県において配置予定であると聞いております。
 今後とも、栄養教諭の重要性が理解されて、各地域でその配置が進むように積極的に努力してまいりたいと存じます。
○水岡俊一君 今大臣の方から御紹介がありました学校栄養職員、そして栄養教諭、この配置については是非ともお願いをしたいんですが、栄養教諭に限ってみますと、二〇〇五年は十三人というふうに非常に少ない状態があるわけですね。それで、栄養教諭の法制化を進めていっていただいた文科省としては、この数字では少し御不満ではないかというふうに思いますので、これから積極的に配置をお願いをしたい、そして各都道府県に強くおっしゃっていただきたいなと、こういうふうに思うところであります。
 そこで、今度は事務職員のことについてお伺いをしたいというふうに思っております。
 学校事務職員についても、学校の基幹的職員であり、国庫負担から外すつもりはないという答弁がこれまで歴代の文部科学大臣から繰り返しなされてきているわけであります。中山前文科大臣も、昨年の三月二十九日の参議院文教科学委員会で、これにかかわって、事務職員が御自分の部屋に来られたと、そのときに、「あなたたちは基幹的な職員で、学校運営にとってはもう必要欠くべからざる人たちなんだからしっかり守っていきたい」、こういうふうに私は答えたんだよと、こういうような御答弁をされているわけであります。
 幻と消えたのか消えるのか、第八次計画案ですね、第八次定数改善計画、この中には、きめ細やかな学習指導や教育の情報化の支援等のための事務部門の強化対応を行う学校への加配の拡充ということで、五年間で四百十五人の改善が計上されていたというふうに私は理解をしておるんですが、これが非常に残念であるというふうに思っております。
 実際には守備範囲がどんどんと広がっている学校事務職員、各学校を下支えする大変重要で不可欠なスタッフとなっているということが私は言えると思うんですが、学校事務全般はもちろんのこと、重要な学校安全の観点からも、施設であるとか設備に関するあらゆる事柄に深くかかわっている事務職員に対する認識というのを文部科学大臣も共有をしていただいているんではないかと私は思うところであります。
 ここで、学校事務職員の教育現場における役割とその重要性についてどう認識をしておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。お願いします。
○国務大臣(小坂憲次君) 基本的に申し上げますが、前中山大臣と認識は一致しております。
 学校の事務職員につきましては、学校教育法の二十八条の第九項によりまして学校の事務に従事する者とされておりまして、学校運営上必要欠くべからざる重要な職であると考えております。このことから、義務標準法によりまして国庫負担の対象とされる基幹的な職員とされていると考えております。
 これからの学校運営におきましては、学校の自主性あるいは自律性ということが求められます。そういったことから、学校への権限移譲を進めるためには、事務職員が担う学校の事務処理体制の整備が求められることでございます。このために、文部科学省といたしましては、平成十八年度において、各教育委員会における事務の共同実施や事務長の設置などの事務処理体制の整備に向けた取組を進めるために学校の組織運営に関する研究調査事業を実施するなど、その取組を支援してまいりたいと考えております。
○水岡俊一君 ありがとうございました。
 先ほどの臨時採用教職員の質問のときに申しておきたいことを忘れておりました。
 そもそも、なぜ臨時採用教職員が増えるのか。これは公には言われないと思いますが、一つには、やはり給与費全般の削減が一方期されているからだというふうに思うところがあります。やはり、正式採用教職員の平均的給与額からいえば臨採教職員の給与額は低うございますから、そういった意味ではそこをねらって少しずつ少しずつ結果的に増えていっているんではないかと、こういったことが非常に懸念をされるということを改めて駄弁を弄するようですが指摘をさしていただきたいと、こういうふうに思っております。
 そういった意味からいきますと、教育のナショナルミニマムをどう確保していくのか、そもそもナショナルミニマムとは何なのか、そういったことを我々は原点に返っていつも確認をして、文部行政に是非とも携わっていただきたい、こういうお願いをしたいと思っているところであります。
 しかし、最近は、この義務教育費国庫負担制度の問題が最も象徴的でありますが、どうしても財源論の方が先に来てしまうということが非常に残念で仕方ありません。結局はナショナルミニマムの引上げをだれが考えるのか、だれが進めていくのかということについて、分かり切ったことではありますが、是非とも文科省としての態度を聞かせていただきたいと思います。間違っても財務省が決めるなんていうことはないんだというふうに私たちは信ずるところでありますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(銭谷眞美君) 国は、全国的な観点から、教育の機会均等や全国的な教育水準の維持向上を図る責任を負っております。学習指導要領の設定や、全国どこの地域の学校においても一定水準以上の条件の下で教育が受けることができるように教育条件の整備を図っていくことが必要でございます。こういった国としてのナショナルスタンダードの維持については、文部科学省として責任を果たしていかなければならないと思っております。
○水岡俊一君 それでは次の問題ですが、特区における市町村費負担教職員任用事業というのがございますね。この中で、常時勤務の任期なし雇用、二百二十人中二人なんですね。任期付きが二十四名、臨時的任用が百四十八名、非常勤が四十六名と、こういうふうな実態になっていようかと思います。
 これは、特区を始めとする、一部で今現実的に出てきている事柄でありますが、この市町村費負担教員任用の問題については、全国化はされていくんではないか。あるいは、そうする中にあって、同じ学校の中で県費負担教職員と市町村費負担教職員とこう存在をする、そして多様化をしていくということが言えると思うんですけれども、それらに対して文部科学省はどのような立場で、どのようなお考えを持っていらっしゃるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○副大臣(馳浩君) 基本的な考え方ということからいえば、義務標準法に基づいて適正な教職員の配置をし、またその教職員給与については、国庫補助負担三分の一と都道府県負担三分の二という形で全額保障するという観点から基本的なナショナルスタンダードは守られると。その上で、プラスアルファとして市町村の負担において教職員を配置していただくと。より良い教育、よりきめ細かな教育の推進に当たって、設置者である市町村長、また議会等の判断によってなされるべきものと、こういうふうに考えております。
○水岡俊一君 市町村費教職員の給与水準というのも、これは、同じ学校に働いて、そして子供のために同じ努力をしていただくという職員でありますので、給与等の処遇がやはり同じように確保していただきたいし、それはナショナルスタンダード、スタンダードの上にプラスされるものだという認識を今いただいたので非常に力強く思っているところであります。是非お願いをしたいというふうに思っております。
 もう時間が残り少なくなりましたので最後の質問になろうかと思いますが、耐震診断と施設整備基本方針、施設費の交付金化の問題について最後お伺いをしたいというふうに思っております。これまでの当委員会の中でも、大臣が今年じゅうに学校の耐震診断は完了させるというふうにお答えをいただいているところであります。文部科学省の具体的な取組、特に耐震診断を行う自治体に対する財政支援について是非ともお伺いをしたいというふうに思っております。
 自治体が耐震診断経費を負担するのであれば、どの程度なんでしょう。そして、診断実施率一〇〇%にするには診断に当たる専門家が相当数必要になると、こう思われますが、このような耐震診断を進める上において文科省のお考えがあれば聞かしていただきたいと思います。
○政府参考人(大島寛君) お答え申し上げます。
 若干、専門的な部分のお話もございましたので、私の方から少しお答えさせていただきます。
 耐震診断の経費でございますけれども、まずは公立学校施設整備における耐震診断経費ということで、文部科学省においても、耐震化事業の補助申請があった際には実施した耐震診断経費を補助するということで、原則二分の一という補助がまずございます。
 それから、まずは耐震化の前提としては耐震診断が極めて重要だということで、その早期診断を今指導しているところでございますが、一方、今御懸念がございました、それじゃ、それぞれの自治体で十分な診断能力あるんだろうかというお話でございますけれども、これまでのところ、聞いている限りですと、まず各地方公共団体の設置者からは、耐震診断を実施する、いわゆる構造設計事務所を使う場合もあるわけですが、こういったものが不足していて早急な診断実施に支障が生じているというようなことは今の段階では聞いていないところでございます。
 それから、早急な建物の診断のためには、そういう詳細な耐震診断だけではなくて、また簡易に診断できるような方法も必要だろうということで、そういう診断方法を私どもで開発いたしまして、有識者によって協力を得て新たにつくった方法がございます。いわゆる耐震化優先度調査と、こういう調査がございまして、こういったものも活用しながら進めるということが有効であろうと、こういうふうに考えているところでございます。
○国務大臣(小坂憲次君) また、一〇〇%にする実施体制についてでございますけれども、当初の計画でございますと多少時間が掛かってしまうと考えまして、私、就任後、国土交通大臣と協議をさせていただきまして、国土交通省が持っております補助事業であります住宅建物耐震改修等事業の活用をさせていただくことに合意をいたしまして、これを自治体に対して通知をいたしまして、私ども文科省だけでなく国土交通省とも連絡を取る中で、早期に一〇〇%実施に向けた体制を組んでいただきたい、このようにお願いをしたところでございます。
 したがいまして、今回、十八年の四月、もうすぐでございますが、四月一日現在の公立学校施設の耐震改修状況調査を行ったその時点で、地方公共団体ごとの耐震診断や耐震化の進捗状況を公表する予定でございます。従来公表してまいりませんでしたけれども、公表することによってそれぞれの地域の認識を高めていただいて、そして迅速にこれに対応していただく、こういったことも併せて考える中で、この一〇〇%実施に向けた体制整備をしてまいりたいと存じます。
○水岡俊一君 最後に一言。
 最後におっしゃっていただいた公表の部分でありますが、私たちは、公表するというのは、ペーパーで公表するだけじゃなくて、学校の正門であるとか校舎にこの建物はどれぐらいの耐震強度があるんだということを掲げると、これは地域の方にもよく見えるし非常に安心できる材料だと思うので、是非ともその辺りは検討いただきたいということを再度のお願いをしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
○那谷屋正義君 民主党の那谷屋正義でございます。
 約十か月ぶりの本委員会への参加と、そして発言の機会をいただきましたことに、まず、委員長さんを始め各委員の皆様の御理解いただきましたことに感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございます。
 また、小坂文科大臣におかれましては、先日の本会議での質問に対しても丁寧に御答弁をいただいたわけでありますが、そのとき一つだけ気になったのが、予算委員会等々でのお疲れもあったのかもしれませんが、非常に文科大臣のいわゆるお顔が非常に、私だけかと思うんですが、ちょっと暗いというか、何か、そんなのを感想を持ったわけでありまして、やはり教育というのは子供たちに夢を与えるということでいうならば、やはりいつも心に笑顔を持って、それができれば表面にも表れてくるということが大変いいのかなというふうに思いまして、大変おせっかいかもしれませんけれども、是非今日もそのような観点でいろいろと御答弁をいただければ有り難いというふうに思います。
 今、水岡議員の方からもお話ございましたけれども、いわゆる施設費の交付金化ということ、また耐震化問題についてもいろいろ今ありましたけれども、施設費の交付金化ということで、交付金化するからには市町村にとってメリットがないと意味がないというふうに思うわけでありますけれども、具体的に市町村にとってどのような点がメリットというふうにお考えなのか、お答えください。
○政府参考人(大島寛君) お答え申し上げます。
 まず、交付金化の前に、現行制度について若干問題があるということを触れさせていただきたいと思います。
 現行制度は事業単位に補助金が交付されているわけでありますが、このために設置者である地方公共団体内におきまして事業間の経費の流用が不可能でありまして、その結果、効率的な執行が困難だと、こういった指摘が、この問題がこれまで指摘されていたところでございます。
 今回の交付金化のメリットといたしましては、一つは、地方公共団体が作成する施設整備計画の範囲内で自由な事業選択が可能になるということ。それからもう一つは、地方公共団体内における事業間の経費流用が可能となりまして、地方の裁量を高め、効率的な執行に資することが挙げられるわけでございます。こういったことによりまして、従来よりも地方公共団体による計画的、効率的な公立学校等の施設整備が進むものと考えております。
○那谷屋正義君 効率的な執行をねらってというお話だったというふうに思います。
 今回の交付金化において、文部科学大臣が施設整備基本方針とそれから基本計画を策定するというふうなことでありますけれども、その内容はどのようなものになっているのか、簡単に御説明いただければと思います。
○政府参考人(大島寛君) 今回の交付金化に伴いまして、まず施設整備基本方針でございますが、これは公立学校等の施設整備を地方公共団体が実施するに当たっての指針を国として示すものでございます。また、施設整備基本計画は、施設整備基本方針に基づいて交付金の交付に関連する事項等について定めたもので、ともに文部科学大臣が作成いたします。これら施設整備基本方針等におきまして、耐震化の目標の設定を求めるなど、まず現下の最大の課題でございます耐震化の推進に重点を置く予定でございます。
○那谷屋正義君 交付金を受けるために地方公共団体が策定する施設整備計画にはどのような内容が記載されることになるんでしょうか。
○政府参考人(大島寛君) 今お尋ねの施設整備計画でございますが、これは文部科学大臣が定める施設整備基本方針等を踏まえて策定されるものでございますが、その計画の実施に当たって交付金の交付を受けようとする地方公共団体が作成することとなります。
 この施設整備計画におきましては、主なものを申し上げますと、一つは施設整備計画の目標、それから目標を達成するために必要な事業に関する事項、それから計画期間、こういったものを記載することを予定しているところでございます。
○那谷屋正義君 それでは次に、総務省の方にお尋ねをしたいと思います。
 二〇〇二年の二月に消防庁がまとめた報告によりますと、防災拠点となる公共施設の大半、六割を超えるところの公立学校施設、中には耐震化が行われていないという、そういう防災拠点になっているような学校もあるというふうになっています。きちんと現状を把握するべきだというふうに思いますが、このことに関して最新の数字はどうなっているのか、お尋ねをしたいというふうに思います。
 また、我が民主党が本院に提出いたしましたいわゆる公立学校施設に係る耐震補強等促進特措法の特徴の一つには、耐震診断の結果、今、水岡委員の方からもお話ありましたけれども、結果公表等、その公表方式にかかわり、分かりやすい場所に掲示をする義務も課していることにあります。子供たちや住民の命に直結する問題でもありますから、自治体の責務の履行等を促すためにも有用な手段だと自負しているところであります。
 総務省が所管する消防庁に期待されている権能からしても、自治体に対する積極的な取組を考えるべきだと考えますが、以上の点について確たる答弁をお願いいたします。
○政府参考人(大石利雄君) 防災拠点としての避難所には、その収容能力、それから住民の避難距離等を考慮して公立学校が多く指定をされているわけでございます。しかし、その中には、御指摘のように、耐震化されていない施設が多くあるわけでございます。
 消防庁の調査では、平成十七年四月一日現在で地方公共団体が所有又は管理する公共施設のうち、防災拠点として指定されている文教施設は約十一万八千棟、そのうち耐震化されているものは約六万五千棟でございまして、約五五%ということで必ずしも耐震化は十分進んでいないと、こういうふうに状況を認識しております。消防庁としましては、これら施設の耐震化が十分に進むように地方公共団体に要請をしているところでございます。
 具体的には、地方債と交付税を組み合わせた財政支援措置を講ずることによりまして、耐震化の働き掛けをしているところでございます。
 それから、御指摘の診断結果の公表につきましては、これらの耐震化を促進することに大いに寄与するものと考えておりますので、関係省庁ともよく連携しながら、地方団体に対する働き掛けをしてまいりたいと思います。
○那谷屋正義君 なかなかパーセンテージの数字が上がっていかないというのは分母がやはり大きいということもあるからというふうに思うわけでありますけれども、是非これについては急を要する課題ではないかと思いますので、各省庁との連携をというお話をいただきましたので、是非よろしくお願いをしたいというふうに思います。
 先日の本会議において、小中学校校舎の地震補強工事に係る事業費について、東海地域だけではなく全国的に起債の元利償還費に対する交付税措置を行うべきという趣旨の私の発言に対して、竹中総務大臣は、審議中の地震防災対策特別措置法の改正も踏まえ、私としても適切に対処してまいりたいと、まあ概略的な答弁であったんでありますけれども、述べられました。
 この発言の意味するところは、当該法律は全国を対象としているものであり、全国化に向け前向きに御検討いただいていると受け止めてよろしいのでしょうか。お願いいたします。
○政府参考人(瀧野欣彌君) 現在の義務教育に係ります施設整備の地方財政措置につきましては、例えば建て替えなど改築事業につきましては事業費が多額になるということから、地方負担の九割を地方債に充てまして、その元利償還金の三分の二を事業費補正により交付税に算入する。一方、耐震補強等におきましては、事業規模が比較的小さいことから地方負担額の七五%に地方債を充てますが、元利償還金に対する事業費補正はないと、こういう体系になっているところでございます。その中で、御指摘ございましたように、特に東海地域につきましてはこういった中で交付税措置をしていると、こういう体系になってございます。
 現在、地震防災対策特別措置法の改正が俎上にのっているわけでございますけれども、我々といたしましては、こういった今回の法律の改正に合わせまして、東海地域以外についてどうかという考え方はもちろん前からあるわけでございますけれども、東海地域の特別の法律がある中でこういう措置をしていると、こういうことでございますので、特別措置が制定され、緊急に対策を行う必要があるとされております日本海溝・千島海溝周辺あるいは東南海、南海の各地震防災対策推進地域、こういったものについて拡張できないか検討をしている状況にございます。
○那谷屋正義君 とにかく昨日、先ほどもお話ありましたが、昨日も大分の南部の方で震度五弱の地震があるというような形で、もう本当に日本列島、いつどこで大きな地震が起こってもおかしくない、そういう状況にあるわけでありますので、何としても、特にやはり避難所になっている学校においての耐震化というものについては本当に早急に行っていかなければいけないことだというふうに思いますから、是非地防法の趣旨に沿って全国化に向けて前向きに進めていっていただきたいというふうに考えているところであります。
 次に、今回の法改正により新たに安全・安心な学校づくり交付金が創設されるわけであります。この交付金に対する起債並びに交付税措置についてお尋ねをいたします。
 まず、三月十五日の衆議院の文部科学委員会において、総務省の瀧野財政局長は、交付金化に際し基本的には今までの水準と比較して不利にならないように地方財政措置を講じてまいりたいと答弁されています。この答弁の意味は、交付金で行われる改築事業について、今後とも従前と同様の措置が取られるものと理解をしてよろしいでしょうか。
○政府参考人(瀧野欣彌君) 私の衆議院での答弁についての確認の御質問かと思いますけれども、基本的には今お述べになったような方向でございます。
 小中学校の施設整備に係る交付金につきまして、今回、改築や大規模改造等のメニューを一本化すると、こういう方向でございますけれども、その交付金の算定に当たりましては、基本的に従来の補助金の区分を残したままで現行の補助率を用いるという方向で検討しているというふうに文科省の方から聞いておるところでございます。
 したがいまして、地方財政措置につきましては、衆議院の方でも答弁したとおり、基本的に現在の水準と同等の措置となるように検討していきたいというふうに考えておるわけでございますけれども、ただ技術的な点につきまして、今後その全体が交付金になるものでございますので、補助対象事業という概念はなくなるわけでございます。
 したがいまして、具体的にどういうような形でこの事業費を補足するかというようなことについては、更に事務的によくお話をしていきたいというふうに考えております。
○那谷屋正義君 基本的には交付金化したからといって、改築事業について従前よりも後退することはないというふうに理解をしたところでありますが、なおやはり交付金化という問題の中でまだはっきりとしない部分がありますから、それについては今後いろいろと検討されるというお話ですので、是非これも前向きにお願いをしたいというふうに思うところであります。
   〔委員長退席、理事北岡秀二君着席〕
 交付金は、実態的にはその大半が耐震化対策に使われることとなるというふうに理解をするわけでありますけれども、今までは改築事業と補強事業では起債元利償還などの地方財政措置の仕組みが違っておりました。学校施設の耐震化の観点からは、交付金全体を改築並みの地方財政措置とするべきというふうに考えるところでありますが、これについて御所見をお願いいたします。
○政府参考人(瀧野欣彌君) 公立文教施設の整備事業のうち、今回創設されます安全・安心な学校づくり交付金の対象となります事業は、公立小中学校の校舎の改築事業、それから耐震補強事業から幼稚園や屋内プールあるいは総合運動公園の整備事業と、非常に多岐にわたることになるわけでございます。これらの交付金の対象事業の中でも、義務教育関係で市町村が実施主体となります基礎的な施設整備事業でございまして、かつ、多額の経費が必要となります公立小中学校等の改築事業に限りまして、御指摘のように従来から地方財政措置を講じておるわけでございます。
 したがいまして、現下の厳しい財政状況を勘案いたしますと、やはり今後もこういった考え方を維持していくということをまず優先していくべきかなということでございまして、全体に拡充していくということについては慎重であるべきかなというふうに考えております。
   〔理事北岡秀二君退席、委員長着席〕
 ただ、先ほど申し上げましたとおり、今回の地震防災対策特別措置法の改正に合わせまして、緊急に対策を行う必要がある特定の地域について、こういった改修事業について交付税措置を拡充するということは考えていかなきゃいけないかなというふうに考えているところでございます。
○那谷屋正義君 国民の生命、安全を守る観点から、今、最後の方に言われました観点から交付金全体に対して是非措置を講じていただけるよう、よろしくお願いしたいというふうに思います。
 実質的に地方交付税というのが、先ほどからお話ありましたけれども、縮減をされているわけでありますけれども、公立学校施設に関する地方財政措置は今後とも今までの水準を担保するというふうなことでよろしいのかどうか。そういう理解でよいかどうか、よろしくお願いします。
○政府参考人(瀧野欣彌君) 地方団体のいろんな仕事に対しまして、その自治体の事業量に応じまして交付税に元利償還金を算入していくというのが事業費補正ということで位置付けられているわけでございますが、こういった事業費補正につきましては、従来から地方団体が効果的な事業を選択し、効率的に行っていくという意欲を損なっている面があるのじゃないかという別途の面の指摘があるものでございます。こういったことについて、基本方針、骨太の方針等で触れられているわけでございます。
 こういった指摘とか、あるいは交付税算定の簡素化を図るべきじゃないかというような特別の観点から、平成十四年度以降、事業費補正の見直しを行ってきておるところでございます。そういった中で一部、特に都道府県の部分のこういった事業費補正についてはできるだけ縮減しようということで、全体としては都道府県の事業費補正については半減をするというような考え方で見直しをしてきておるところでございます。
 しかし、そういった中ではございますけれども、特に市町村については、財政状況が大小、規模、様々でございますので、市町村についてこういったことを同じようにするということは慎重でなければいけないというふうに我々考えてございまして、そこのところは県に対する財政措置と市町村に対する財政措置を別途区分けして現在対応しているところでございますので、今後とも全体の国庫補助負担金の動向とかあるいは交付税制度の趣旨を踏まえまして、また地方団体の意向も十分お伺いしながら、こういった事業費補正をどういうふうにしていくかということは考えていきたいというふうに考えております。
○那谷屋正義君 今市町村と都道府県とを少し考えてと、分けてというふうなことがございましたけれども、過去に、先ほどから交付金化に伴う懸念される例が幾つか出されているわけでありますが、補助金の一般財源化に際し創設された臨時高等学校整備事業債に対する交付税措置について、都道府県分が数年で廃止されたというようなこともあったように、交付税措置というのは非常に不安定な仕組みであるというのは総務省自身が一番理解をされているんではないかと思います。したがって、学校施設の耐震化のような喫緊の課題については、国と地方の役割分担の観点から、国が一部を補助し、残りの地方負担分についてはしっかりとした地方財政措置を講じるというのが適切な方法であるというふうに考えます。総務省自治財政局としても受け身の対応ではなく、耐震化の推進に積極的に取り組むべく前向きにお願いをしたいというふうに思います。
 子供たちの生命の犠牲の上に成り立った財政再建など何の価値もありません。ところが、小泉政権が強行しようとする財政再建の帳じりとは、到底許されざる人柱の可能性なくしては成立できない論理となっていることに瀧野局長であれば先刻御承知なはずだろうと思います。地方消費税創設に際しての旧自治省府県税課長時代の瀧野局長の情理を尽くしたタフネゴシエーターぶりは伝説的なものとして世に聞こえてきております。瀧野局長らしい見識等の発揮によって、せめて避難所に指定されている学校施設だけでも東海地域と同様の交付税措置を取り、耐震補強を早期に完了していただきたいと。この決断をしていただけるのならば、地財計画や地財対策を組むに当たっての財務省折衝においては、良識ある国会議員のみならず、国民の大多数が総務省を強力に支持、支援することは疑う余地もないというふうに考えているところでございます。要は総務省、なかんずく瀧野局長の腹構え一つだと、このことを切望するものであります。
 以上で総務省に関する質問は終わりますので、どうぞ御退席を。ありがとうございました。
 質問に戻ります。
 学校施設整備の問題に併せて、義務教育費国庫負担制度についてどうしても明らかにしておきたいことが一つございます。先ほど来からお話が出ておりますけれども、今回三分の一に国庫負担の割合を引き下げることとなって、小坂大臣始め文部科学省がどんなに全額保障の仕組みは整った、いわゆる国庫負担の制度は残ったと繰り返し答弁されていても、これはもう皆さんが述べられているように、死に瀕した交付税というふうなことであります。すなわち交付税自体が縮小されようとしているにもかかわらず交付税依存度が高まるという実態、このような実態において本当に裏負担分がきちんと確保されるかということが今回の法案審議の最大のポイントであります。地方交付税法第二十条の二の規定により、仮に都道府県が勝手に義務教育費を削減するなど本来の行政水準を満たさなくなった場合、地方交付税を減らすことができる旨規定されているわけであります。また、文部科学大臣はこれまでも適切に予算措置がなされるよう指導するとの決意を示されております。
 ここで改めて明らかにしておきたいわけでありますが、仮に都道府県が裏負担分を抑制しようとし、それによって義務教育水準に支障が生じ得ると判断されるような場合、文部科学大臣として何を根拠に何ができるのか、また、そのような事態に陥らないようどのように取り組もうとしているのか、確たる答弁をお願いいたします。
○政府参考人(銭谷眞美君) 今回の措置によりまして国の負担割合は変更になるわけでございますが、国と地方の負担によりまして義務教育の教職員給与費の全額を保障する仕組みである義務教育費国庫負担制度は堅持をするということになったわけでございます。
 このため、義務標準法、人材確保法、義務教育費国庫負担制度の三つの制度が相まって、義務教育水準の維持向上と機会均等を支える仕組みは今後とも維持されることなどから、大きな支障は生じないものと考えているところでございます。
 文部科学省におきましては、必要な教職員給与費を確実に予算措置すること、義務標準法を踏まえた適正な教職員配置を行うことにつきまして、各都道府県に対して周知、指導しているところでございます。この結果、十八年度における各都道府県の必要予算は確保される見込みでございます。
 今お尋ねがございましたが、今後仮に必要な予算措置がなされない場合などには、地方教育行政組織法第四十八条などの法令に基づきまして適切に指導等を行い、改善に努めることとなります。
 具体的には、各都道府県ごとの教職員給与費に係る予算の措置状況、義務標準法に基づく教職員の標準定数の充足状況、人材確保法に基づく給与の優遇措置の状況などについて把握をした上で、地教行法等に基づく指導を行うということになろうかと思っております。
○那谷屋正義君 交付金という性格の中で難しいところではありますけれども、是非今言われた中で指導をしっかりとしていっていただくことは必要だろうというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、昨年十月の、「新しい時代の義務教育を創造する」と題された中教審答申が、義務教育の成果は、一地方にとどまらず、国全体にかかわるものという観点から、本来は、義務教育費の全額保障のために、必要な経費の全額を国庫負担とすることが望ましいとまで言い切ったことは、これまでの答申の中でも傑出するものだというふうに私も評価をさせていただいているところであります。つまり、国の負担を更に充実させ、教育主体の市町村や学校が安定した財源の下で教育の実を確実なものにするために、不退転の意思を示されたものというふうに思うわけであります。
 しかしながら、その一方で、この中教審答申の中で、こうした優位性を打ち消しかねない夾雑物が散見できるのは一体どういうわけかというふうに思うところもございます。
 以下、看過し得ない考え方等について、文科省の理解はどうなっているのか、ただしてまいりたいというふうに思います。
 当然それは、私の読み違いであり、理解不足だと得心できる説明、解説をいただくにこしたことはありませんけれども、子供たちのための教育実現へお互いに汗を流す同士間の望ましいやり取りになるからでもあるというふうに御理解をいただきたいというふうに思います。
 教育行政の仕事は、教育諸条件の整備だというふうに考えております。このうち、基盤的な条件整備は国が行い、地方は上乗せ的な条件整備を行うことが基本。その意味で、国庫負担金の一層の拡充を図ると同時に、市町村の裁量拡大に向けた制度改革推進が当面求められることになると思います。
 ところが、この答申には、国に要請される教育行政の範囲から逸脱し、かつ、教育の地方自治の理念とは相入れない内容があるのではという疑念を払拭できないでいるところであります。ありていに言えば、国が明確な戦略に基づき目標を設定し、教育の結果を国が責任を持って検証する構造への転換を目指す意図が読み取れなくもないからであります。要は、国が設定した目標、数値目標に従って市町村が実施し、結果の良しあしについて国がチェックするという手法が透かし彫りになっているのではないかという問題であります。
 具体的には、学力だけでなく、体力や道徳性の育成なども含めて、地域性や教員の指導方法などとの関係も含めて結果を検証し、それを学校の指導や国の施策の改善に生かすとしているわけであります。これでは国の教育内容への関与強化ではないかというふうに思うわけでありますが、所見をお願いいたします。
○政府参考人(銭谷眞美君) これからの義務教育におきましては、きちんと国が義務教育の目標を設定をし、必要な基盤整備を行った上で教育現場の権限と責任を拡大をする分権改革を進めると、その結果を検証するシステムを国が責任を持って構築する、いわゆる義務教育システムにおけるPDCAサイクルの確立ということが必要であると考えております。
 その意味するところを少し申し上げたいわけでございますが、まず、義務教育システム全体のPに当たるプランにつきましては、国は大きな役割を持っていると考えております。学習指導要領など明確な目標を設定をするとともに、義務教育費国庫負担法などによる確実な財源確保、義務標準法などによる教職員配置の適正化など、目標を実現するための基盤整備を行う役割を国は担っていると思っております。言わば国としてのナショナルスタンダードというものを明確にする必要があろうかと思います。
 その上に、地方におきましては、特に学校やその設置者である市町村が、その上に立って、今後、その自主性、自律性を高め、様々な創意工夫によりまして、それぞれの地域の伝統や独自の文化を生かしつつ、地域に開かれた学校づくりを進め、地域住民や保護者の信頼と参画を得て特色ある教育活動を展開する、すなわちドゥーの部分を担うということになろうかと思います。国のスタンダードに加えて、いわゆるローカルオプティマムの実現を目指すということがあろうかと思っております。
 このような地方の自主性、自律性に基づく教育活動に関しましては、その結果についてきちんと検証、チェックを行い、それを踏まえて改善方策、アクションが重要であると思っております。そのためには、学校や市町村が自ら自己点検、自己評価をすることはもちろん必要でございますし、国も全国的な教育水準の維持向上や機会均等を確認する必要から、全国的な調査や学校評価など、教育の結果を検証するシステムを構築することが必要であると思っております。
 このように、国と地方が適切に役割分担をしながら義務教育の構造改革を進めることが重要でございまして、これを通じまして、義務教育の質の向上を国と地方の協力によりまして果たしていきたいと、このように考えている次第でございます。
○那谷屋正義君 地方の自主性、自律性は大事だということで、国は金も出すが口も出すということではやはり問題ではないかというふうに思いまして、これでは教育主体の市町村や学校の自主性は損なわれてしまうということであります。
 教育行政の本分は、支援すれども支配せずということ、サポート・バット・ノット・コントロールということだというふうに思いますので、是非その辺をしっかりと御理解いただいた上で、今お話しいただいた国と地方の役割というものについてしっかりとこれから進めていっていただきたいというふうに思います。
 戦前は、教育というのは、すべて国家のために奉仕すべきものとされ、教育が国家戦略の中核を担っていたわけであります。すなわち、国家にとって有用なものが真理とされ、そうでないものは排除されていた、この不幸な歴史を真実として真正面から受け止める、これが科学的態度だというふうに考えるわけであります。
 戦後は、教育基本法において、教育の目的を人格の完成と平和的な国家、社会の形成者の育成と規定し、教育の国家戦略との決別を明確にしています。つまり、教育は国家の計略の手段ではなく、それ自体として存在することになったというふうに思っております。それゆえに国は外的条件である教育諸条件の整備が責務とされた。ところが、戦後の一時期を除いて、国の教育内容への介入が続く一方で教育諸条件の整備は低調であるという、目的と実態の相克、逆転現象は激化するばかりというふうに言えています。
 この現状に、この上ない鈍感さでこの答申は「義務教育の質の向上に国家戦略として取り組む必要がある。」とうたっているわけであります。このことをどう受け止めたらよいのかというふうに思うわけであります。義務教育の充実を国は重要課題として取り組む必要があるという意味ならば理解はできます。ただし、それだけではないことは教育の役割を国家戦略と同列で扱う無神経さからしても推して知るべしであろうというふうに思います。
 国家戦略と言うからには、相手、他国が存在し、それに勝ち抜くための総合的、長期的な計略として義務教育の質の向上に取り組まねばならないという目的に収れんされるのではないでしょうか。私の浅薄な解釈、理解では、そこで目指されているのは、およそ経済の国際競争に勝利するためのもので、その道具立てとして義務教育の質の向上を図るという思考回路になるんではないかと。いつから教育行政は、産業界や経済産業省の下風の立場に自らをおとしめて恬淡とするようになったのか。どうせそこまでへりくだって恥じないのならば、子供たちの心の底にある声にならない悲鳴を受け入れるためにこそ全身全霊で打ち込むべきだと考えているところであります。
 国家戦略のための質向上という美名の下で、国際競争力強化に直結する教育内容等がひたすら重視されるようなことがあってはならないと考えております。一人の人間としての人格の完成、地球市民としての知識や知恵、平和的で民主的な人間関係の構築など、義務教育の本来の意義を考えた場合、義務教育を単なる国家戦略と位置付ける発想は義務教育の意義自体を矮小化するものであるというふうに思います。このような発想を前提とする限り、義務教育の真の発展が期待できるはずがありません。大臣の見解をお願いいたします。
○国務大臣(小坂憲次君) まず基本的に、義務教育というのは国家、社会の形成者たる人材の育成に資するものでございますから、極めてそういった意味で重要なものだという認識を持っているわけでございますが、現代は大変変化の激しい時代でございますし、またそういった意味で混迷の時代とも言われ、また国際化の時代でもございます。
 このような時代にありましては、世界的に水準の高い義務教育を実現することは国政の最重要課題であると、このように認識しているわけでございまして、産業云々というよりも、今日的な、生きる力というものをそれぞれの国家、社会の形成者たる人格完成に向けての教育の中で備えさせていくということが必要だと、このように考えるからでございます。このような最重要課題である義務教育の充実については、国として戦略的に取り組むことが必要であるという意味でこの国家と戦略という言葉が結び付いているわけでございます。
 今委員が御指摘なさいましたように、私も、これからの人材というのは、やはり持続的な発展、それはすなわち世界、地球といった意味での持続的な自然環境等に配慮した発展というものを築いていかなきゃいけない。そのような視点で、単なる国家的な視点ではなく、国際社会、そして地球的な規模の尺度というものを持ち合わせた人材を育成していかなきゃいけないと、このような認識は持っているわけでございまして、そういった意味で、教育の役割というものを決して矮小化するようなつもりではないことを御理解いただきたいと思います。
○那谷屋正義君 ありがとうございました。
 意識は同じだなというふうに思うわけでありますが、先ほど国語の難しさ、今の子供たちの言葉の云々というような話がありましたが、これは乱れている乱れていないじゃなくて、認識、その言葉一つの認識の違いかなというふうに思いますけれども、大臣の考え方は一応分かりました。
 次に、全国学力テスト問題についてちょっとお尋ねをしたいと思います。
 二〇〇三年の、先ほどもお話ありましたが、いわゆるPISAショックが全国学力テスト実施の動機付けになったと私自身は認識しております。やっつけ仕事ではなく、本腰を入れてPISA調査で首位に立ったフィンランドに学ぼうとするのであれば、その成果のより本質にわたる部分へと分け入る必要があったのだと考えます。
 具体的には、フィンランドは、欧州では一般的だった習熟度別クラス編成も八五年に完全に廃止されたこと。子供たちは、すべての教育段階でお互いに影響し合い、協同する活動を行う存在であること。この延長線上に、現在この国には学校や子供たちをテストによってランク付けするようなことは一切なく、高校進学に影響する中学校三年の成績以外は成績を付ける明確な基準も設けられていないこと。要するに、テストと序列付けをなくし、発達の視点に立った生徒評価をしているということであります。また、教育の地方分権も進められております。九四年に教育の目標や内容の決定権が国から自治体に移され、国の権限は施設整備や教員の給与など条件整備と大まかなカリキュラム策定などに限定されたことなどから、教育が果たすべき真の役割を酌み取るべきではなかったのかと考えているところであります。
 普通の構想力があれば、フィンランド教育の対極にあるこの全国学力テストという発想は生まれるはずがなかったのではないかというふうに思うわけでありますが、学力向上のためには、文部科学省として、まずはフィンランドのこのような取組を分析し、必要な部分は取り入れるよう努めるべきであり、そのような過程も経ずして短絡的に全国学力テストを行うということは問題だというふうに考えますが、見解をお願いいたします。
○政府参考人(銭谷眞美君) フィンランドがPISA調査で好成績を上げているということは私どもも承知をしておりまして、フィンランドの教育事情につきまして私どもなりにいろいろと調査も行っているところでございます。
 私どもが理解をしておりますフィンランドの状況としては、例えば、第一に、教員がすべて修士課程修了が要件となっているなど、教員の質が高く、社会からも尊敬をされていると。第二に、国が定めるカリキュラムにおきまして、例えばすべての学習の基本である母語、フィンランド語を重視をし、読解力を高めるプロセスや目標を明確にしていること。第三に、読解力を向上させるためのプロジェクトを実施することなどによりまして児童生徒の読書習慣というものが身に付いていること。第四に、教員一人当たりの児童生徒数が少ないこと等々が指摘をされるかと思っております。こういった点は私どもにおきましても参考にすべき点であろうかと思っております。
 フィンランドの例のように、教員の質の向上や子供の学習基盤の確立など、国が目標設定や基盤整備を行うということは重要でございまして、我が国においても、現在、教職大学院制度の創設等教員養成制度の充実、言葉や体験を重視した学習指導要領の見直し、朝の読書など読書活動の推進、学校図書館の充実などについて努力を行っているところでございます。
 先ほども申し上げましたけれども、現在、我が国におきまして進めておりますこの義務教育改革、義務教育の構造改革におきましては、国が目標設定や基盤整備を行うことに加えまして、教育の実施面では、できる限り教育現場の権限と責任を拡大する分権改革を進めるとともに、全国的な学力調査の実施や学校評価システムの構築など、教育の結果を検証するシステムを国が責任を持って構築するということで今進めているわけでございます。
 全国的な学力調査は目標設定や基盤整備を行った上できちんと結果の検証を行うために実施をするものでございまして、その実施は私どもは必要であると、こう考えている次第でございます。
○那谷屋正義君 全国学力テストの実施について、文科省の意図というか考え方は一応分かりましたけれども、しかし、これは、その有する弊害から過去にも取りやめた経緯があるということは周知の事実であるというふうに思います。すなわち、悉皆で行う全国学力調査には常に間違った成績主義が世にはびこるきっかけを与えるという懸念が付きまとっているわけであります。これは過去も今も何ら変わらないことではないでしょうか。
 学力調査は地方でもう既に進みつつあるところがあります。事の良しあしは別として、文科省としてはそのような取組を支援すれば済むはずであるというふうに思うわけであります。
 国主導による全国学力テストを悉皆で行うということは是非見直すべきだと考えますが、大臣の見解をよろしくお願いいたします。
○国務大臣(小坂憲次君) 御指摘のように、都道府県等が独自に実施している学力調査というものもあるわけでございますし、また、地域の特色や工夫を生かしつつ、全国的な学力調査とは異なった視点に立って実施されることを私どもも期待をしているわけでございます。
 私どもが行おうとしている全国的な学力調査につきましては、国として全国的に児童生徒の学習到達度を把握、検証いたしまして、一定水準以上の教育を確保するということ、また各教育委員会及び学校に対して広い視野で教育指導の改善充実を図るための機会を提供するということ、また対象学年の全児童生徒において調査を実施したいということで、この悉皆調査ということをさせていただくことにしたわけでございます。
 この本学力調査を通じまして、各地域において自らの位置付けを知り、そして教育の成果と課題についての正しい認識を持って自己評価を行い、そして教育指導の改善充実を図るとともに、その基盤の上で各地域が自主性、自律性を持って特色ある教育活動を行うことが重要であると考えている、そのことからこのような体制を取らせていただくことでございます。
○那谷屋正義君 前にもこうした質問がこの委員会で行われたということを記憶しておりますけれども、やはり全国悉皆でということになりますと、本当に注意を要する部分があるんではないかというふうに思いますし、先ほどその公表の仕方ですとか様々なことについて検討中だというふうにございましたけれども、今私が懸念をして質問させていただいた部分について十分なお答えをいただけなければ、やはりこの部分についてどうしても承服しかねる部分があるということを申し伝えさせていただきたいと思います。
 最後、時間がもうありませんので、一つだけ格差問題について御質問をします。
 先般の本会議質問でも触れましたけれども、小泉改革で顕在化する経済格差の痛みは学びの場にも暗い影を投げ掛けている。民主党がその実証的分析にほかならないと位置付ける就学援助受給者の急伸傾向を指し示す資料は、教育行政を担うにふさわしい文科省の努力のたまものではないかというふうに思っているところであります。
 今、義務教育の崩壊につながりかねない負の連鎖を最小の段階で防ぐ意味でも、この文科省作成資料から読み取らねばならない課題は決して少なくないわけであります。にもかかわらず、宝の持ち腐れとすることに、何の痛痒も感じないかのような姿勢をして、その無用論がはびこる土壌となっていることに、もうそろそろ文科省は気が付くべきではないかと思うわけであります。
 ともあれ文科省は、このトレンドは、市町村のきめ細やかな配慮による柔軟な認可要件の設定や権利者意識の高まりなどもあり、必ずしも所得格差拡大を実証するデータにはなり得ないと、小泉政権の失政を糊塗する役割に躍起であります。
 他方、当の自治体関係者の多くはこれらのファクターの作用を認めるとしながらも、生活苦等が大きな要因になっていることは否定できないというふうに逆に明快であります。笑って済ますことが許されるものではありません。この差を埋める取組こそが、国民の、教育主体の学校関係者の、何より学びの場の主人公である子供たちの信頼をつなぐためにも文科省が果たさなければならない最低限の責務ではないかというふうに思います。
 私自身、就学援助受給者の急伸傾向は国民所得における格差問題とは決して無関係ではないというふうに考えます。文科省として、就学援助受給者の実態についてどのように分析し、これを基に子供たちの就学環境の整備等にどのように取り組もうとされているのか、改めて確たる答弁をお願いいたします。
○委員長(中島啓雄君) 銭谷局長、簡潔に。
○政府参考人(銭谷眞美君) 就学援助に関しましては、文部科学省としても、実施者でございます各市町村に対しまして状況を調査をいたしてございます。まだ集計途上ではございますけれども、経済状況の変化、母子、父子家庭の増加、就学援助制度が知られるようになった、就学援助を受ける保護者の意識が変化してきたなど様々な回答を今いただいて、それを分析をしているところでございます。
 私ども、保護者の経済的な諸条件にかかわらず義務教育を均等に受けられるようにするということは極めて重要な課題だと思っておりますので、こういった結果、調査の分析、さらには各市町村における認定基準についても併せて今調査をしておりますので、その状況等も含めて、今後とも今申し上げました義務教育の機会均等というものがしっかりと図れるように努めてまいりたいと思っております。
○那谷屋正義君 ありがとうございました。
○浮島とも子君 公明党の浮島とも子です。
 本日は、義務教育費国庫負担法等改正案について質問をさせていただきます。幾つか重なってしまう質問があるかと思いますけれども、どうかよろしくお願いいたします。
 まず、市町村費負担教職員任用事業についてお伺いをさせていただきます。
 構造改革特区で実施されている市町村費負担教職員任用事業が本改正案により全国化されることとなります。まず、現在特区として認定されている市町村での実施内容、件数と市町村の規模、採用された教職員数と雇用形態、契約年数や給与などについて御説明をお願いいたします。
○政府参考人(銭谷眞美君) 現在、構造改革特区において市町村が教職員給与費を負担することによりまして独自に教職員を任用している事例は三十一の市町村でございます。
 その内訳でございますが、市が二十二、町が六、村が三というところで特区の認定を受けておりまして、二百二十二人の教職員が任用されているところでございます。
 これらの取組におきまして任用されている教職員の任用形態でございますけれども、任期なしの任用、いわゆる通常の任用が二名でございます。それから、任期付きの任用が二十四名、臨時的任用が百四十八名、非常勤が四十六名という状況になっております。
○浮島とも子君 ありがとうございます。
 全国標準となるナショナルスタンダードが確実に維持された上で、それに加えた地方の取組が行われることは歓迎したいと思っております。願わくば、地方のプラスアルファの取組が全国的に広まり、それが事実上ナショナルスタンダードとなることで義務教育の水準が上がってほしいと思っております。
 しかし、一方で、財政力の差により市町村における教職員配置の格差が生じるのではないかという不安の声があるのも事実でございます。本来なれば、義務標準法で定数改善を実施していくことがベストの選択と考えますけれども、市町村費負担教職員の任用が定着、そして普及することで生じる可能性がある市町村間格差についても、今後動向を見守りつつ、配慮が必要になると考えますので、御留意をお願いいただきたいと思います。
 また、この特区全国化により任命権の違う教職員が同じ学校に配置をされることとなります。仮に、同じ学校で働く市町村費負担教職員の人事、そして給与、研修などで県費負担の教職員に劣るようなことがあっては教職員の意欲にも影響するものと思いますが、そのような心配はないのでしょうか。
 例えば、採用された市町村費負担教職員が教頭や校長となり、学校の運営の中心を担うことができるのでしょうか。将来的な道筋が示されていれば、より熱心に取り組む教職員の採用にもつながり、全体として意欲の向上につながると考えておりますけれども、文部科学省の御認識をお伺いいたします。
○政府参考人(銭谷眞美君) ただいま先生の方からもお話がございましたけれども、市町村費負担教職員の任用は、国が標準的な規模の教職員数を定め、その給与費を国と都道府県が負担をするというこの基本的な制度を前提とした上で、市町村が実情に合わせて独自の取組を実施をし、教職員を任用していくというものでございますので、あくまでもプラスアルファという考え方に立っているわけでございます。
 そこで、お尋ねのまず市町村任用の教職員の給与でございますけれども、市町村条例に基づいて支給をされるわけでございますが、これまでの特区の例を見ますと、実際に支給をされている給与については、学歴や経験年数などが同一条件で比較をした場合、ほぼ同程度の給与が支給をされていると認識をいたしております。
 また、研修でございますけれども、市町村任用の教職員の研修につきましては、任命権者でございます市町村教育委員会により行われるわけでございますが、都道府県教育委員会との連携協力により教員研修を行うということも考えられますので、そういったことを進めていきたいというふうに思っております。
 それから、市町村費任用の教職員の人事でございますが、これはその任用する市町村にあるわけでございますけれども、校長など県費負担教職員の下で、都道府県の配置によることとしている職員への配置転換、あるいは都道府県と市町村の相互の人事交流に当たりましては、関係する都道府県と市町村において調整が図られるということになろうかと思っております。また、昇任等につきましても、校長になる場合には県費負担ということになろうかと思いますけれども、県と市町村の調整の下で昇任は可能であるというふうに思っているわけでございます。
 したがって、県費負担教職員と市町村費任用の教職員が同じ学校にいるという状況になりましても、学校の運営に支障は生じないと認識をしておりますが、今後とも、都道府県と市町村において適切な調整が行われ、事業が円滑に実施されますよう、文部科学省として必要な指導、助言を行ってまいりたいと思っております。
○浮島とも子君 是非、任命権者にかかわらず、優秀な意欲を持った人材が安心して働くことができるよう、制度の適切な運用をお願いいたします。
 先ほどの御答弁にもありましたけれども、この全国化に当たり、構造改革特区における実施状況を踏まえ、文部科学省ではどのような評価をし、また今後どのような取組を期待されているのか、お伺いをさせてください。
○副大臣(馳浩君) 基本的には高い評価をしておりますが、先ほどから浮島先生御指摘の点は非常に課題だと思っております。
 私も教員として職員室にいた経験ございますけれども、同じ職員室の中に非常勤と常勤がいる、常勤でも専任と臨時採用がいるということになると教職員同士の人間関係も何となく微妙になってくるのは事実です。
 しかしながら、例えば、そういった観点で例えれば体育の授業、小学校でちょっと高齢の先生方だとなかなか子供たちと一緒に遊べない、そこをフォローするという形で臨時採用でお願いをすると。それは子供たちにとっては良い場合もありますよね。あるいは、不登校児童への対応で、適応指導教室においてより専門的な方に臨時にやっていただくと。これもまたすばらしいことですし、また特区でやっている英語教育なども、こういった先生方の配置によってより効果を高めるというのもこれも事実ですが、ただ、臨時採用や非常勤で採用された先生の立場になってみれば、じゃ臨時が終わったらどうなる、次の私の仕事はどうなるんだろうという、こういう不安を抱えながら職務に励まなければならない。あるいは、この子供にいろんな課題があるから家庭訪問もしてあげたいけれども、専任の先生もいらっしゃるから、なかなかそこまでやっていいのかという、なかなか先生同士の連携というものは難しい点も課題としてあると思うんですよね。
 ですから、そういった点に関しては十分に調整をしながら進められるように、市町村費負担教職員が特区で進められていることは非常に高くは評価しておりますけれども、まだ課題もあるので、そういったことも踏まえてやらなければいけないですし、また一部のところで、市町村で条例をまだ作っていないところもありましたので、それは早急に改善をして、早く条例をもって給与負担というものにしっかりとした根拠を持って進めると、これもやっぱり指導してまいりたいと考えております。
○浮島とも子君 課題もたくさんあると思うんですけれども、是非ともきちんとした適正化を図っていくようにお願いを申し上げます。
 次に、公立文教施設費についてお伺いをさせていただきます。
 公立文教施設整備のために、目的を特定とした財源を確保した上で、一部の交付金化などで地方の自由度が拡大することはとても歓迎すべきことと思います。その上で幾つか質問をさせていただき、またあわせて、先ほど後藤委員の方からもございましたけれども、耐震化、そしてバリアフリー化の関係についても幾つかお伺いをさせていただきたいと思います。
 本法律案では、耐震化に関する補助負担金を施設整備計画に基づく安心・安全な学校づくり交付金へと変更することとされております。これは、国の公立学校施設についての市町村に対する補助を一部交付金化することを通じて、市町村の事業としての使い勝手を向上させることがメリットとして挙げられております。
 市町村が公立学校の施設整備をしやすくなるような制度であるべきと考えておりますけれども、交付金化に伴い、市町村の使い勝手はどのように向上することになるのでしょうか、お伺いをいたします。
○政府参考人(大島寛君) お答え申し上げます。
 まず、現行制度でございますが、事業単位に補助金が交付されておりまして、このため、設置者である地方公共団体における事業間の経費の流用が不可能であります。このため、効率的な執行が困難であるなどの問題がまず指摘されていたところでございます。
 今回の交付金化することによりまして、地方公共団体が作成する施設整備計画の範囲内で自由な事業選択が可能となります。また、地方公共団体内における事業間の経費流用が可能となりまして、地方の裁量を高め、効率的な執行に資することが挙げられるわけでございます。
 これによりまして、従来よりも地方公共団体による計画的、効率的な公立学校等の施設整備が進むものと考えているところでございます。
○浮島とも子君 自由な事業選択が可能となると今御答弁にもございましたけれども、ここで一点、後にも関係をいたしますけれども、交付金での改修と改築の関係についてお願いをしておきたいと思います。
 昨年三月、学校施設整備指針策定に関する調査研究協力者会議は、コストの掛かる改築から改修による耐震化へと重点を移すべきとの報告書をまとめておられます。文部科学大臣の策定する施設整備基本方針や基本計画は耐震化を重点に策定される予定と伺っておりますけれども、これも改修中心の考え方によるものと思います。
 しかし、耐震工事を行う際、改修で済むのか、あるいは改築が必要なのか、技術的な判断基準も尊重されるべきでございますけれども、地方自治体の施設整備計画上、改築を望む自治体もあるかと思います。この制度改正により自治体の計画的な改築事業がやりにくくならないよう、是非適切な運用をお願いいたします。
 次に、学校施設のバリアフリー化についてお伺いをさせていただきます。
 交付金化に当たり、新たに文部科学大臣が定める施設整備基本方針において耐震化を重視することは必要であると考えておりますけれども、一方で、公立学校施設のバリアフリー化も重要な課題であり、耐震化とバリアフリー化を同時に進めていくことが望ましいと考えます。
 このバリアフリー化等についても適切に配慮をするべきと考えますけれども、文部科学大臣が策定される予定の施設整備基本方針や基本計画上ではバリアフリー化はどのような位置付けになるのでしょうか、文部科学省の御見解をお伺いいたします。
○政府参考人(大島寛君) お答え申し上げます。
 文部科学大臣が定める施設整備基本方針におきましては、ただいま御指摘ございましたように、まずは耐震化に重点を置く予定でございます。この基本方針等に沿いまして、基本的には耐震化事業を優先しつつ、交付金の算定を行うということを考えているところでございます。
 基本方針等の詳細な内容につきましては現在検討中でございますけれども、現下の最大の課題であります耐震化に重点を置きつつも、ただいま委員御指摘のございましたように、もう一つ重要な課題でございますバリアフリー化といったものにつきましても、こういった耐震化以外の施設整備上の課題についても併せて配慮をする予定でございます。
○浮島とも子君 学校に対しては様々な役割が求められるようになってきております。役割の多様化にこたえるためにも、その役割に見合った施設を備えていくことが重要であると考えます。
 先日も当委員会でも申し上げましたけれども、耐震化と併せてバリアフリー化も重要な課題であります。しっかりと生かせる、使えるバリアフリーをしていただきたいとお願いを申し上げます。
 と申しますのは、先週質問させていただきましたけれども、国立劇場、新国立劇場、日本の国立と言われている劇場が、バリアフリー化がされているんですけれどもなかなかということで、実はその後視察に行かせていただきました。
 確かにエレベーターや動線とかはあることはあるんですけれども、物だけ、トイレを造ったりエレベーターを造ったり、それもエレベーターも後から設置をしたために一台しか車いすが入らない。また、一般の方と一緒のために、その人が使われたらほかの方が使われないという点もございました。
 どうか、造るに当たり、動線を考えて、使える、生かせるバリアフリー化を造っていただきたいとお願いを申し上げます。
 次に、交付金化に伴い、一点、確認をさせていただきたいことがございます。それは離島地域への配慮でございます。
 これまでの国庫補助制度では、離島地域など特殊事情を持つ地域については、その特殊事情にかんがみ、かさ上げなどの配慮がなされてきたところでございますけれども、交付金化後もきちんと措置をされるのでしょうか。交付金化に伴い必要なところが足りないなどということがないようにしなくてはならないと考えますけれども、大臣の御見解をお伺いいたします。
○国務大臣(小坂憲次君) これまでの国庫補助制度では、離島や豪雪地帯など特定の地域における小中学校の改築事業などについて、その特殊事情を踏まえまして従前より補助率のかさ上げ等の措置が講じられてまいりました。今回の交付金化に当たりましては、その算定に際しましてこれらの補助率のかさ上げ等を参酌するということになっておりまして、引き続きかさ上げ措置を行うことになるわけでございます。
 今後とも、文部科学省といたしましては、離島などの特定地域における学校施設の整備が円滑に進むように十分に配慮をしてまいりたいと存じます。
○浮島とも子君 しっかりとした配慮をよろしくお願いいたします。
 次に、学校施設の耐震化についてお伺いをいたします。
 改めて言うまでもなく、学校施設の耐震化は国としての最優先課題でなくてはなりません。今回の制度改正がすべての公立学校の設置者による計画的な耐震化への取組のきっかけとなることを切に望みます。公立学校施設の耐震診断については、先日、我が党の山下委員の質問に対し、大臣からも、国土交通省ととも連携をし、平成十八年中に終了するよう地方公共団体に強く要請していくとの旨の御答弁がございましたけれども、年内と言わず、是非ともできるだけ早く耐震診断の実施を促し、必要な改修を進めていただくよう強くお願いをいたします。
 公立学校施設は子供たちが一日の大半を過ごす大切な場であり、地域住民にとっては災害の際の避難場所でもあります。この公立学校施設における耐震診断と耐震化の現状について、御説明をお願いいたします。
○国務大臣(小坂憲次君) 御指摘のように避難場所にも指定される重要な場所でございますから、一日も早くという形で努力をさしていただきたいと思っております。
 現状でございますけれども、十七年四月に実施した公立小中学校施設の耐震改修状況によりますと、五十六年以前の旧耐震基準で建てられた建物の耐震診断の実施率は五六・三%、対前年度で一一%増という状況でございまして、まだまだのろいと、こういう認識でございまして、今年の四月に進捗状況につきまして自治体の進捗率を公表したいと、このように考え、一層の促進を図ってまいりたいと存じます。
○浮島とも子君 是非とも全力で、のろいと言われないようによろしくお願いをいたします。
 耐震診断の結果、耐震補強が必要という耐震診断の結果が出た場合、児童生徒はもとより、保護者の方、地域住民の方々は大きな不安を持つものと想定をされます。この不安を解消していく取組も診断の結果次第では必要になってくると思います。そこでは、耐震の診断結果がどうであったのか、その結果を受けて今後どのように耐震改修を行っていくのかについて、丁寧かつ迅速に地域の住民の方々や保護者の方々に説明をしていく必要が不可欠と考えております。
 文部科学省として、そのような場合の対応についての手順書やマニュアルの整備はされているのでしょうか、御見解をお伺いいたします。
○政府参考人(大島寛君) お答え申し上げます。
 御指摘ございましたように、学校施設の耐震化を推進するためには、その重要性や緊急性について、地方公共団体等の設置者はもとより、御指摘があった保護者や地域住民等の関係者の間で共通に理解をした上で具体的な対策を講じていくことが重要であると考えております。
 このため、文部科学省といたしましては、耐震化事業の緊急度の判定方法や耐震化を推進する計画策定の留意事項など、学校設置者が所管する各学校施設の耐震化を早急に図るための方策について取りまとめまして、平成十五年七月に学校施設耐震化推進指針というものを策定して公表したところでございます。
 この指針におきましては、具体的には、耐震補強等の必要がありと判断されたものについては、大きな被害が生じるおそれの高い耐震化事業を優先することを基本としつつ、個々の建物の診断結果の内容や当該施設の有する教育上の諸課題等を総合的に検討いたしまして優先順位を決定し、計画的に整備を図ることとしているところでございます。
 また、地域住民、保護者の不安解消等の観点から、地方公共団体と学校の設置者が耐震診断結果や耐震化の推進計画を策定した場合には、その内容や検討経緯等につきまして学校関係者に対して公表するなど、幅広い合意形成に努めることとしているところでございます。
 今後とも、各設置者におきまして、耐震化推進指針を活用しつつ、所管する学校施設の耐震化を着実かつ迅速に進められるよう、各教育委員会等に対して会議や研修会の機会を通じ指導してまいりたいと存じます。
○浮島とも子君 是非とも、子供たちはもちろん、保護者そして住民の方々に不安を与えないよう、マニュアルの整備をきちんとして、着実かつ迅速な対応をお願いいたします。
 次に、社会教育施設の耐震化についてお伺いをいたします。
 災害時は、学校施設だけではなく、公民館や図書館、都道府県・市町村立の体育館、美術館、博物館等の社会教育施設も避難所として使わざるを得ない状況になるかと思われます。また、学校教育と社会教育の施設が連携をして教育を行う場合もあると伺っております。その意味で、公立学校施設だけではなく、同じ公共施設である公民館など公立社会教育施設の耐震化も重要であると考えます。この社会教育施設の耐震化に向けての取組状況もお示しください。
○政府参考人(田中壮一郎君) 公民館等の耐震化についてのお尋ねでございますけれども、公民館などの公立社会教育施設も御指摘のように災害時には避難場所としての役割を担うことも期待されております施設でございまして、消防庁が取りまとめました平成十五年度の調査によりますと、防災拠点となっております県民会館や公民館等が全国で一万四千九百四十九棟ございまして、そのうち七千八百九十二棟が耐震性を有しており、その耐震化率は五二・八%となっておるところでございます。
 また、公立社会教育施設の耐震化につきましては、耐震診断につきましては国土交通省の住宅・建築物耐震改修等事業の補助対象となっておるところでございます。また、耐震補強事業につきましては、地域防災計画で避難所とされております公民館等につきましては公共施設等耐震化事業が活用できることになっておりまして、事業費の九〇%が起債対象となるなどの措置が講じられておるところでございます。
 文部科学省といたしましては、これらの事業の周知に努めながら、各自治体が計画的に公立社会教育施設の耐震化に取り組んでいかれるよう指導してまいりたいと考えておるところでございます。
○浮島とも子君 是非とも、住民が安心できるよう、全力で取り組んでいただけるようお願いを申し上げます。
 次に、耐震化予算についてお伺いをさせていただきます。
 耐震化を進めるためには莫大な予算が必要となります。文部科学省がこれから定めようとしている施設整備基本方針で改修を中心とした施設整備方針を検討しているということは、単価を下げ、限られた予算の中で耐震化を促進するために必要なことと考えております。
 しかし、耐震化を大きく進めるためには、何といっても予算を重点的に配分することが不可欠であります。学校施設、社会教育施設を含め耐震化を大きく進めていくため、予算の確保に向けて大臣の決意をお伺いいたします。
○国務大臣(小坂憲次君) 浮島委員が御指摘のように、学校施設等の耐震化は喫緊の課題でありまして、国の財政状況が極めて厳しい中にあっても耐震関連予算の確保に最優先で取り組む必要があると、このように認識し取り組んでまいりました。
 十七年度の補正予算におきまして二百七十七億円を獲得したところでございますが、平成十八年度の当初予算におきまして一千九億円の予算をいただきまして、この結果として耐震化を促進したいと思っておりますが、まず私どもとしては、耐震診断を実施することが重要でありまして、その耐震診断に基づいて計画的に耐震化の工事を進めていく、このように思っておりまして、まずこの耐震診断を迅速に実施するために、北側国土交通大臣とも連携を取り、国土省の御理解をいただく中で、国土省の補助事業を活用し、十八年、年内を目途に公立小中学校の耐震診断を完了するように強く現場に要請をしているところでございます。先ほど委員の御指摘もございました、年末まで待たずと、一日も早くということでございますので、そのことも踏まえ、更に努力をしてまいりたいと存じます。
 耐震化の実態を踏まえつつ、地方において緊急性に応じて計画的に耐震化を進めるように更に指導をして、国民の生命、安全を守ることは国の責務と考えて、必要な予算の確保に最大限努力する所存でございます。
○浮島とも子君 今おっしゃられたように、国民の生命、安全を守ることが国の責務と考えております。全力で取り組んでいただけるよう強くお願いを申し上げます。
 今国会で、学校教育法の一部を改正する法律案の審議において、特別支援教育について議論をすることになるかと思います。本法律案は、財政面から特別支援教育を支えるものであり、その理念を踏まえた運用が必要でございます。そこで、本法律案が特別支援教育にどのような影響を与えることになるのかについてお伺いをしたいと思います。
 本改正案により公立養護学校特別措置法が廃止され、同法で規定された養護学校の施設整備は施設費国庫負担法に、教職員給与費は義務教育費国庫負担法に統合をされます。小・中・盲・聾学校と養護学校とに分けられていた制度が一本化され、給与費の総額裁量制の対象が拡大することともなります。学校教育法の一部を改正する法律案では、盲・聾・養護学校を障害の種別を超えた特別支援学校とする、小中学校等でのLD、ADHD等の児童生徒に対して適切な教育を行うなどの規定が盛り込まれております。何らかの障害を持つ子供、重複障害を持つ子供の数は増加傾向にあると言われており、特別支援教育を推進、充実させるため必要な制度改正であると考えているところでございます。
 この特別支援教育の財政面での条件整備を定める法律が統合されることにより、地方の自由裁量が増し、義務教育諸学校の運営を実際に行う地方団体が、自治体がより使いやすい制度になることは理解をしております。しかし、自由裁量が増すということは、養護学校の教職員の配置を減らして小中学校等の教職員の配置を充実させることも裁量でできるようになるとも言えます。
 今回の措置により特別支援教育の充実の妨げになることがないのか、文部科学省の見解をお伺いいたします。
○政府参考人(銭谷眞美君) ただいま浮島先生からお話がございましたように、義務教育費国庫負担金につきましては、現行制度では、小中学校、盲学校、聾学校と養護学校とで別々に算定をされる二本立ての制度になっておりますが、総額裁量制の一層の改善を図るために、今回、小中学校、盲学校、聾学校の国庫負担制度と養護学校の国庫負担制度を統合するということにいたしました。これを受けまして、学校種を超え、地域の実情に応じた教職員配置が一層可能になるわけではございます。
 ただ、この場合にありましても、養護学校分の教職員給与費に係る国庫負担金は、これまでと同様に算定をすると。それから、教職員配置につきましても、これまでと同様、義務標準法に基づきまして特別支援教育に係る教職員配置を行う必要があるということから、国の保障する特別支援教育の充実のための枠組みは変わらないものと考えております。
 文部科学省としても、今回の国庫負担制度の統合によりまして、特別支援教育の充実に支障が生じないように、各都道府県に対しまして制度改正の趣旨について周知をするとともに、引き続き必要な指導、助言等を行いながら、特別支援教育の充実に努めてまいりたいと思っております。
○浮島とも子君 ありがとうございます。
 この特別支援教育につきましては、また法案審査の際に質問をさせていただきたいと思います。
 次に、今回の法案とは関係はございませんけれども、子供たちに命の大切さを教える、命の大切さ、命を大切にする心をはぐくむという観点から、動物飼育の問題について質問をさせていただきたいと思います。
 動物、学校で飼われている動物飼育ですけれども、文部科学省としては、子供たちに命の大切さを教えるためにという観点から飼われていると理解をしておりますけれども、昨年十月二十四日、行政監視委員会で私も質問をさせていただきましたけれども、土日、祭日、あるいは三日間の連休に、大阪では、犬を飼っているところもございました、その犬をつないだまま、だれも、土日、祭日、そしてお休みのときにはえさをやらない、三日間のえさをまとめていく、水をあげていくというのが現状でございました。私も現場を見てとても悲しい思いをしたんでございますけれども、これでは到底子供たちに命の大切さを教える教育にはならないという観点から質問をさせていただきましたけれども、そのときの銭谷局長の御答弁では、休日や長期休業中の世話に関して課題があると指摘を受けている、指導主事の連絡協議会などの場で手引書の周知徹底を図り、学校動物の飼育が適切に行われるように努めたいとございましたけれども、あれから約五か月がたちました。
 文部科学省として具体的にどのような取組をされたのか、また、それが現場で本当に生かされているのかをお伺いいたします。
○政府参考人(銭谷眞美君) 子供たちの豊かな人間性をはぐくむ観点から、特に命を大切にする観点から各学校で動物を飼育をしているわけでございますが、この動物飼育の在り方について、かねていろいろな課題があるということは、ただいま先生から御指摘のあったとおりでございます。
 特に、日曜日や祝日、長期休業日、災害時の対応等について、その在り方については私ども課題があると思っておりまして、実は、先般の浮島先生の質疑等を受けまして、今年の一月でございますが、二十六、二十七日に開催をされました小学校、中学校、高等学校の総合的な学習の時間を中心とした指導主事の先生方の研究協議会におきまして、資料を配り、本手引を参考にして学校における動物飼育の適切な推進に努めるよう周知を図ったところでございます。
 その後も、私ども、いろいろな会議で、学校における動物飼育の意義、休業日の対応などについて、引き続き、担当者への周知、また学校において適切な動物飼育が行われるよう努めているところでございますが、本当に各学校においてそこが周知徹底するように、引き続きしっかり努力をしてまいりたいと考えております。
○浮島とも子君 何よりも行動が大切であります。スピード感を持って対処をしていただくよう、対応していただくよう、強くお願いを申し上げます。担当者に周知徹底するのもとても重要ですけれども、周知徹底するだけではなく、現場で確実にそれが実行できているかというところまでフォローをお願いいたしたいと思います。
 学校においての適切な飼育を行っていく際、動物の健康管理、感染症による健康被害防止、適正な飼育などのための専門知識を持つ獣医師との連携が必要不可欠であると考えます。
 日本獣医師会は、文部科学省に協力を申し出られておりまして、全国的な取組の必要性を訴えられているとお伺いしております。また、実際に自治体の教育委員会と地域の獣医師会が連携をして飼育を行っている学校もあると伺っております。現場の先生が大変お忙しい中、頑張っていらっしゃることも重々承知をしております。
 その上で、心の教育、命を大切にする心の一環として適切な動物飼育が行われるよう体制の整備を図っていくべきと考えますが、このような体制の整備はどの程度進んでいるのでしょうか、お伺いをいたします。
○政府参考人(銭谷眞美君) 学校において動物を飼育するに当たりましては、保健衛生上の課題への対応や適切な飼育方法の指導などのため、専門家である獣医師等と十分な連携協力を図ることが大切であると思っております。
 現在、文部科学省として、学校における動物飼育の在り方については、教師用手引書として「学校における望ましい動物飼育のあり方」という手引書がございますけれども、これに加えまして、先般、日本獣医師会が作成をいたしました「学校飼育動物活動の推進について」という報告書がございます。これを平成十七年の六月に文部科学省として全国の都道府県の教育委員会に送付するなど、日本獣医師会とこの動物飼育の件につきまして緊密な今連絡を取っているところでございます。また、各学校におきましても、教育委員会と獣医師会との間で委託契約等を結びまして、獣医師と連携協力をしている、そういう地域もあると承知をいたしております。
 学校における動物飼育を進めるためには、文部科学省としては、日本獣医師会と連携を図るとともに、今後とも教育委員会等々を通じまして適切な情報提供を行うことによりまして、それぞれの地域における学校と獣医師との緊密な連携の推進にも努めてまいりたいと思っております。
○浮島とも子君 正しい飼育の仕方、この命の大切さを教えていくことにとても重要だと思うので、全力でお願いを申し上げます。
 また、先ほども申し上げましたけれども、えさを上げない学校があるのに対して、今回、学校飼育動物を考えるページというのをちょっと見たんですけれども、学校での事例ということで、この学校はとても動物飼育を大切にしているんですけれども、大切にし過ぎたというか、動物の世話をするのに消毒をし過ぎたらしいんです。
 そこで、これはウサギとチャボの話なんですけれども、学校がせっせとしていた飼育舎の消毒が原因でチャボが足が動かなくなって、また精神的にちょっとおかしくなったり、ウサギさんは重症になって死んでしまったんです。こういう学校もあるということで、この獣医師が、この学校は、教育委員会とそして獣医師さんとすごい連携を密にしていたもので、獣医師さんがすぐに学校に訪れて、ここまで清潔にしてはいけないという御指導もいただいたようなんですけれども。
 本当に飼育の仕方、ただ飼うだけではなくて病気、いろんなことに対しても、獣医師さんとの連携はとても重要だと思うんですけれども、最後に、この獣医師の活用も含め、大臣の御所見をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(小坂憲次君) やはり、動物飼育を学校で行うということの精神的な効果ということについては、委員が御指摘なさいましたとおりでございますし、やはり人間として優しさというものがなければいかぬ、私はそう思うわけで、そういう優しい心の涵養には動物飼育等を通じてこれを取り組んでいくことが必要だと考えております。その観点から、今御指摘をいただきましたように、今日の動物飼育にかかわる各学校現場における問題点を解決していくその一つの方法として、獣医師会との連携というものは非常に重要だと思っております。
 今後とも、そういった獣医師会の皆さんとの連携をしっかり取る中で、正しい飼育の仕方、そしてまたそこから衛生管理も適切に行われ、そして子供たちが動物に親しみ、そして健全に発育をする、そういう環境の醸成に私も積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
○浮島とも子君 ありがとうございました。
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 まず、教材費の問題で質問をいたします。
 今日も何人かの委員から問題点の指摘がありました。私も前回、既に教材費が一般財源化をされ、その下で基準財政需要額に対して七二%しか措置をされていないということも指摘をいたしました。また、その下で、水道代が掛かるために九月のプールをやめたとか、運動会のときに石灰の節約のために線を引くのを極力控えているとか、こういう実態も御紹介をいたしました。
 で、大臣、前回の質疑のときの答弁で、この問題について、私も懸念を持っているとされまして、実態調査を行い適切な指導を行いたいと、こう答弁をされました。これは大変大歓迎でありまして、まあ善は急げと申しますので、具体的にどういう調査をされ、いつからされ、どのような調査をし、そしてどういう指導をされようと考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(小坂憲次君) 教材費につきましては、毎年予算措置状況調査を行いまして、小中学校の設置者である市町村における教材費の措置状況を把握しているところでございますけれども、先日申し上げましたように、私としても、例えば、具体的に申し上げれば、学校現場において大きな世界地図があって、それをまだきれいだから使えるじゃないかといっても、実際に内容が、国名等が変わっていて陳腐化しているということがございます。そういった状況では困るわけでございまして、しっかりとした教材が整備できるように、迅速にそういった状況の把握をしてほしいということを事務方に指示をいたしました。
 そういったことから、平成十八年度においては、毎年行っている予算の措置状況調査に加えまして、新たに教材の実態についての現状を把握するための教材の整備状況についての調査を実施するようにいたしたいと思っております。調査の具体的な内容とスケジュールにつきましては現在事務方で検討中でございまして、私としては早急に実施したいと、このように考えております。
○井上哲士君 是非お願いをしたいと思います。
 住民の人はなかなか他の自治体とのこの比較をするということはできませんので、たまたま引っ越してみると、えらい違うやないかということになったりもします。それから、教科書などは無償で提供されますから、これは全国一律だと思っていても、まあ都会と比べてこの辺はある程度仕方がないのかなとあきらめる場合も出てくると思うんですね。実際にはきちっと本来は共通の水準が確保されるように措置をされているということが知られていないということもあろうかと思うんです。
 そういうことを含めて、やはり地域住民によく分かるように明らかにしていただきたいと思うんですけれども、その点、局長、いかがでしょうか。
○政府参考人(銭谷眞美君) ただいま大臣からも御答弁ございましたけれども、毎年度の調査に加えまして、私ども、教材の実態について調査をし、その結果をしっかりと把握をしていきたいと思っております。例えば、学校に整備されている教材は今どういう状況なのか、学校が必要とする教材はどういうものなのか、その数量はどうかとか、こういったようなことにつきまして調査をし、また市町村間においてどういう状況の違いがあるのか、こういったようなことも明らかにしていきたいと思っております。
 大臣の御指示を受けまして、今具体的な調査内容とスケジュールについて検討しているところでございます。
○井上哲士君 次に、今後の教職員人件費の見通しに関連してお聞きをいたします。
 中教審の答申の中では、平成十六年度の公立義務教育諸学校の教職員人件費は五兆八千九百億円と見込まれるが、今後、教職員の定期昇給や退職手当、共済費の負担の増大等のため、教職員配置基準を現状のまま改善しない場合でも、平成十八年度には六兆円を超え、平成二十六年度には六兆三千二百億円とピークを迎えることが推計をされると、こう言っております。これに公立学校の分、公立高等学校の分を加えますと、平成二十八年度には八兆八千六百億円でピークを迎えると。その結果、平成十六年度から平成三十年度までの負担増の累積は六兆四千三百億円に達することが推測されると、こういうふうに言っております。
 いわゆる二〇〇七年問題とか言われておりますけれども、これからこういう退職手当、共済費というものの急増が指摘をされているわけでありますが、これは既に一般財源化をされております。ですから、地方自治体にいたしますと、急速にこの点での人件費の確保が困難になるという事態が明らかだと思うんですね。これに二分の一から三分の一ということになりますと、いよいよこの必要最低限の標準法に基づく教職員の数も確保できないんじゃないかと、こういう懸念が出てくるわけですが、こういう退職手当、共済費などの急増ということなどは、今回のこの法案の中で、経過の中でどういうふうに考えられているんでしょうか。
○政府参考人(銭谷眞美君) 昨年の中央教育審議会の議論の中で、東京大学の苅谷教授の方から、公立義務教育諸学校の教職員人件費の将来推計というものが報告をされまして、中教審ではそれに基づいていろんな議論が行われたところでございます。
 今先生からお話しございましたように、教職員の給与費は平成十九年度にピークになりまして、また退職手当は平成二十八年度にピークになることが予想されております。人件費全体では、平成二十六年度がピークになるということが見込まれておりまして、当面、給与等を合わせました教職員の人件費は増加をするということが予想されております。こういった状況を踏まえますと、教職員の人件費を長期にわたり安定して確保していくということが不可欠でございます。
 そのために、まず国の負担率は三分の一ということになるわけでございますが、国と地方により給与費の全額を保障する義務教育費国庫負担制度を堅持をしていくということがまず何よりも必要かと存じます。また、地方の一般財源で措置をされております退職手当等において確実に財源が確保されるように地方を促していくということも必要でございます。
 今後とも、私ども、こういった将来推計等も踏まえながら、義務教育の水準の維持向上のために、各都道府県における予算状況等について把握をしつつ、必要に応じて予算措置等について必要な指導、助言を行ってまいりたいと考えているところでございます。
○井上哲士君 同じような答弁がいつも返ってくるわけでありますが、やはり中教審に出された資料で、日本の教育を考える十人委員会の方が地方自治体のアンケートについて出されております。
 自治体の教育予算についてはどのようにお感じかと、これに対して全国の教育長が、不足しているが六一・〇%、かなり不足しているが二五・九%となっております。そして、では、どのような方法が最も確実に財源を確保できると考えますかという質問には、全国の市区町村長さんが、国庫負担金、これが八二・五%と、こういうお答えなわけですね。現状でも九割近い市区町村が不足をしているという状況があり、そこに今後、退職金等の急増ということがあった場合にやはり相当の自治体の圧迫感があると思うんです。
 今日も朝からいろいろ与党の皆さんからもお声がありますけれども、例えば、そういう財政的な理由から教育的な観点や住民との合意よりも優先をさして学校の統廃合が行われるとか、こんなことの危険性も私は非常に感じるわけでありますけれども、こういう点はいかがお考えでしょうか。
○政府参考人(銭谷眞美君) 基本的に義務教育費国庫負担制度を堅持をすると、負担率は変えるわけでございますが、このことによりまして全国どの地域にいても教育の機会均等、水準の維持向上が図られる、このことがまず何よりも私ども基本だと思っております。
 学校の統廃合の問題につきましては、それぞれの地域の実情に応じまして設置者において判断をするわけでございますが、文部科学省といたしましては、学校規模に応じました教育的な効果、あるいは統合によります子供たちの通学の問題あるいは負担の問題、さらにはその地域における小学校、中学校の果たしてきた役割、こういったものをやはり総合的に判断をして考えていくことが大事だと思っておりまして、財政的な理由だけによりまして統廃合が進んでいくということはないようにきちんと教職員の定数につきましては標準法に基づいて確保をしていくということが大事であり、またそう努めてまいりたいと思っております。
○井上哲士君 地方自治体の財政力の格差が結果として子供たちにしわ寄せが行かないように強く求めておきたいと思います。
 次に、公立学校の施設整備費についてお聞きをいたします。
 先ほども御紹介ありましたけれども、昨年の三月に出されました「耐震化の推進など今後の学校施設整備の在り方について」という報告がありますが、この中で、特に耐震化の問題は非常に地域差が大きいということから、「一時的に多大な財政支出が伴い、設置者の財政負担の大きい公立小中学校施設の整備については、地域間の財政力格差がそのまま学校の安全性の格差につながらないよう、国が必要な財源を安定的に保障し、適切に学校施設の安全性の確保を図っていく必要がある。」と、こう述べているわけですが、この考え方は今回の制度の中ではどういうふうに生かされているんでしょうか。
○政府参考人(大島寛君) お答えを申し上げます。
 今先生御指摘がありましたように、昨年の三月の有識者会議におきまして、国が必要な財源を安定的に確保すると、こういうことが提言されているわけであります。
 まさしくそういった趣旨から、昨年の三位一体の改革におきましては、公立文教施設整備費について地方六団体から廃止、税源移譲が求められていたところでございますけれども、昨年十一月の政府・与党合意等を踏まえ、公立学校の施設整備に目的を特定した財源を保障しつつ、地方の自主性それから裁量度を高める観点から交付金化をすることとしたところでございまして、これらの点は有識者会議においても提言されているところでありまして、今回の改正はこの提言をも踏まえたものであるというふうに考えております。
○井上哲士君 さらに、この報告書は、地方の主体的判断ということを前提にした上で、全面的建て替えから改修への転換を促すよう財政の仕組みを改革する必要があるとしておりますけれども、この点は今回の法案ではどう反映しているんでしょうか。
○政府参考人(大島寛君) 今回の改正に当たりまして、国が定めることとなります施設整備基本方針におきましては、改築から改修への転換を求めることを予定しているところでございまして、また、従来、負担金として措置されていた改築事業を改修等の事業と併せて交付金化することとしているわけであります。
 この交付金の交付に際しましては、地方公共団体は、施設整備計画を作成し、計画期間を明示した上で耐震化等の目標を設定することになるため、その達成に向けて早急かつ効率的に耐震化を図ることが必要となり、改築から改修への転換が促進されるものと考えているところでございます。
○井上哲士君 今出ました国の施設整備基本方針、それから地方自治体が作る施設整備計画ですけれども、それぞれの関係と具体的中身ということはどうなるでしょうか。
○政府参考人(大島寛君) まず、施設整備の基本方針でございますけれども、文部科学大臣が作成する施設整備基本方針は、公立学校等の施設整備を地方公共団体が実施するに当たっての指針を国として示すものでございます。その具体的な内容といたしましては、公立学校等の施設整備を取り巻く状況を示した上で、まずは、一つは、地方公共団体において整備計画期間における耐震化の目標を設定するなど緊急に耐震性の確保を図ること、それから、バリアフリー化や防犯対策などの教育環境の向上を図ること、こういったことなどを、公立学校等の施設整備の目標に関する基本的な事項等を定める予定でございます。
 それから次に、施設整備基本計画でございますが、これも施設整備基本方針と同様に文部科学大臣が作成するわけでございますが、施設整備基本方針に基づいて交付金の交付に関する事項について定めるものでございまして、具体的な内容といたしましては、地方公共団体が作成する施設整備計画に記載すべき事項、例えば整備目標や対象事業といったことなどを定める予定でございます。
○井上哲士君 耐震化の整備目標はそれぞれ書かれるようですが、これは期日は明記をされるのか。耐震診断については国交省の補助も使って今年中に終えるということは何度もお聞きするわけですが、それを踏まえて、じゃ、耐震化はいつまでにやるのか、これが見えてこないんですが、これは明記されるんでしょうか。
○政府参考人(大島寛君) 施設整備基本方針等の詳細については現在検討中でございますけれども、まず、耐震化を進めるためには前提としての耐震性能を確認することが必要であることから、まずは地方公共団体に対して耐震診断の早期実施を強く要請しているところでございます。
 施設整備基本方針等において国として具体的な耐震化率の目標やその達成年を定めるかどうかについては、様々な状況を今踏まえつつ今後検討してまいりたいと、かように存じます。
○井上哲士君 今後の検討ということは、国として一定の目標を定めることもあると、こういうことでよろしいでしょうか。
○政府参考人(大島寛君) 現在検討を進めているところでございます。
○井上哲士君 是非、一刻も早くと言いながら期限がないということで、ずるずるということにならないように明確な期日を決めるべきだと思います。
 そもそも、耐震性がないといわれる建物、学校、教育施設の改修のための経費というのはおおむねどのぐらいを想定をされておるんでしょうか。
○政府参考人(大島寛君) まず、現在の耐震化に関する耐震診断率の状況が現在五六・三%にすぎないということから、耐震化すべき棟数の全体がまだ把握できていない状況にございます。また、耐震補強の実施方法などにつきましても、個々の学校の状況、それから地方公共団体の判断など様々でございます。そういったことから、耐震化を完了するための必要な総額の見積りについて具体的にお示しすることは困難であろうと考えております。
○井上哲士君 先ほど示した報告書の中で三兆円とか、こういう数も示されておりますけれども、これはどういうことなんでしょうか。
○政府参考人(大島寛君) 先生御指摘ございましたように、先ほどの有識者会議の報告書におきましては、特に倒壊、大破の危険性が極めて高いと考えられる建物の、これ出現率を三分の一と仮定ということでございまして、その上ですべての耐震補強及び質的整備を図るという、負担はそのための改修を実施するという前提で推計をしております。その推計値として事業費三兆円という試算がなされているということでございまして、文部科学省といたしましては、まず耐震診断を実施することが重要との観点から、先ほど何度か答弁もしてございますが、国土交通省所管の補助事業を活用するなど、十八年内を目途に公立小中学校の耐震診断を完了するようまず強く要請して、耐震診断の早期完了を目指しているところでございます。
○井上哲士君 専門家が一定の下に示された推計ですので、根拠のある数なんだと思うんです。先ほど示された予算でいいますと相当の年月が掛かってしまうということになりますので、一刻も早く診断を終えた上で、期日も決め、予算も確保して、本当に子供たちと地域の安全を図る上での耐震化を一刻も早く進めていただきたいと思います。
 以上、終わります。
○委員長(中島啓雄君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○林久美子君 私は、民主党・新緑風会を代表いたしまして、国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する等の法律案につきまして、反対の立場から討論を行わせていただきます。
 今日まで四年間に及ぶ政府・与党内での義務教育費国庫負担制度の見直し論議は、負担率引下げという、何の理念もない、だれもその理由を明確に説明できない形で決着が図られようとしております。当委員会におきましても、遠山、河村、中山の三代にわたる文部科学大臣が制度の堅持を繰り返し答弁し、昨年は中央教育審議会の検討結果を踏まえた結論が出されることを各党から幾度となく政府に確認をしてまいりました。しかし、政府・与党の出した結論は、どこでだれが検討したのかよく分からない負担率の引下げでございました。
 政府の三位一体改革実現のために教育論がないがしろにされ、文部科学省が義務教育の根幹を担う制度と位置付ける義務教育費国庫負担制度が税源移譲の取引材料に使われたことは、小泉内閣の大きな汚点として国民の記憶に残ることとなるでしょう。
 以下、本法案に反対の理由を三点挙げさせていただきます。
 まず第一は、教育環境の地域間格差を拡大し、教育の分権改革に逆行する改革であるという点でございます。
 義務教育費国庫負担率の二分の一から三分の一への引下げにより地方負担を増やしながら、一方で、国の関与を減らす措置は何ら講じておらず、税源移譲や地方交付税による財源調整が十分に期待できない中、地方交付税への依存度を高める法改正は教育費が減らされる要因を増やすだけの改革にすぎません。
 そして第二は、場当たり的な改革による教育現場の混乱が危惧される点でございます。
 義務教育の在り方について、政府・与党から検討を求められた中央教育審議会が昨年十月にまとめた答申では、現場により近いところに権限と責任を移していくとの観点から、市区町村への人事権委譲に伴う県費負担教職員制度の見直しを求めておりまして、市町村費負担教職員制度の全国化に際しましては県費負担制度の見直しについてもある程度具体的な方向性を示すべきでございます。
 中教審の指摘にもあるように、同じ学校に任命権者が異なる教職員が混在をすることで両者の違いが身分格差として扱われがちになり、都道府県と市町村の教育委員会による二重行政的な関係になりかねないといった課題に対する答えは何ら示されておらず、見切り発車の法律案と言わざるを得ません。
 そして第三には、施設費の交付金化が必ずしも地方の意向を反映した事業に結び付かないおそれがある点でございます。
 補助対象が大くくり化されることで一定の弾力的運用は可能となりますけれども、従来の事業ごとの補助率が見えにくくなり、公立文教施設整備費が先細り傾向にある中、文部科学省により自治体単位で事業の総額が管理され、政府の言う終わりなき改革の中で教育環境改善のための経費が十分に確保されない可能性が高いからであります。
 最後に、教育の機会均等と教育水準の維持向上を図りながら教育行政の真の分権改革を進めるためには、教育現場の実情を踏まえた上で、国が責任を持って教育費の総額を確保する仕組みが必要であることを改めて強調させていただきたいと思います。
 教育に対する明確な理念なしに一時しのぎの対応を重ねる小泉内閣の姿勢は、我が国における人材育成の将来を危うくする軽挙妄動であり、大きな禍根を残しかねないことに強い怒りと危惧の意を示しまして、私の反対討論を終わらせていただきます。
○井上哲士君 私は、日本共産党を代表して、国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する等の法律案に反対の討論を行います。
 反対の最大の理由は、義務教育費国庫負担制度の負担率を二分の一から三分の一へと引き下げるからであります。
 義務教育費国庫負担制度は、憲法と教育基本法に定められた教育の機会均等、水準維持、無償制の確保という教育条件の整備に対する国の役割を制度面から担保しているものであります。国の負担率を引き下げれば、国の財政上果たすべき責任を一層縮小し、地方にその責任を押し付けるもので、認められません。
 削減分は税源移譲が行われますが、二〇〇六年の所得譲与税による税源移譲では、文部科学省の試算によれば三十九の道府県で財源不足となり、二〇〇七年以降の住民税による税源移譲では地方格差は更に拡大することが審議の中で明らかになりました。不足分は地方交付税で措置されるとしていますが、地方交付税の総額が大きく減額されている今、多くの県で財政上困難な状態にならざるを得ません。既に一般財源化された教材費、旅費では、実際は国の算定よりも少ない金額しか措置されず、学校現場は必要な教材がそろえられない実情があります。
 今後、教職員の人件費は、退職手当の増大など、既に地方の負担とされる部分を中心に拡大することも審議の中で明らかになりました。この上更に負担率の削減を進めれば、現在多くの道府県が独自に取り組んでいる少人数学級の拡充が困難になるばかりか、将来的には、財政事情によっては標準法上必要な教職員数を下回ることも懸念されます。
 義務教育費の国庫負担を現行の二分の一の負担で堅持すべきだと、このことを主張し、反対討論といたします。
○委員長(中島啓雄君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する等の法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(中島啓雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(中島啓雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(中島啓雄君) 独立行政法人に係る改革を推進するための文部科学省関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。小坂文部科学大臣。
○国務大臣(小坂憲次君) このたび、政府から提出いたしました独立行政法人に係る改革を推進するための文部科学省関係法律の整備に関する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 政府においては、これまで小さくて効率的な政府の実現を図る観点から、行政改革を積極的に推進してきたところであります。この一環として、平成十七年度末に中期目標期間が終了する独立行政法人について、独立行政法人通則法第三十五条に基づく検討を行い、組織・業務全般の見直しについての結論を得たところであります。
 この法律案は、こうした政府の方針を受け、独立行政法人に係る改革を推進するため、平成十七年度末に中期目標期間が終了する文部科学省所管の独立行政法人について、一括して所要の措置を講ずるものであります。
 次に、この法律案の内容の概要について御説明いたします。
 第一に、役職員の身分が公務員である文部科学省所管の十二の独立行政法人について、その身分を非公務員へ移行するため、関係規定を整備するものであります。
 第二に、独立行政法人国立青年の家、独立行政法人国立少年自然の家及び独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センターの三法人を発展的に統合し、その名称を独立行政法人国立青少年教育振興機構とするものであります。
 第三に、独立行政法人国立美術館及び独立行政法人国立博物館に対して、国から土地、建物等の現物出資を行うことができるよう、追加出資の規定を整備するものであります。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願いいたします。
○委員長(中島啓雄君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十二分散会