第164回国会 厚生労働委員会 第7号
平成十八年三月二十九日(水曜日)
   午後一時開会
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   委員の異動
 三月二十九日
    辞任         補欠選任
     松村 祥史君     阿部 正俊君
     前川 清成君     家西  悟君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         山下 英利君
    理 事
                岸  宏一君
                中村 博彦君
                谷  博之君
                円 より子君
                渡辺 孝男君
    委 員
                阿部 正俊君
                岡田  広君
                坂本由紀子君
                清水嘉与子君
                武見 敬三君
                中原  爽君
                西島 英利君
                藤井 基之君
                水落 敏栄君
                朝日 俊弘君
                家西  悟君
                島田智哉子君
                下田 敦子君
                津田弥太郎君
                辻  泰弘君
                森 ゆうこ君
                山本  保君
                小池  晃君
                福島みずほ君
   委員以外の議員
       発議者      岡崎トミ子君
       発議者      和田ひろ子君
   国務大臣
       厚生労働大臣   川崎 二郎君
   副大臣
       厚生労働副大臣  中野  清君
       厚生労働副大臣  赤松 正雄君
   大臣政務官
       厚生労働大臣政
       務官       岡田  広君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        江口  勤君
   政府参考人
       総務大臣官房審
       議官       岡崎 浩巳君
       消防庁次長    大石 利雄君
       文部科学大臣官
       房審議官     泉 紳一郎君
       文部科学省スポ
       ーツ・青少年局
       スポーツ・青少
       年総括官     西阪  昇君
       厚生労働省医政
       局長       松谷有希雄君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局長       北井久美子君
       厚生労働省社会
       ・援護局長    中村 秀一君
       厚生労働省老健
       局長       磯部 文雄君
       厚生労働省保険
       局長       水田 邦雄君
       厚生労働省政策
       統括官      塩田 幸雄君
   参考人
       川崎医療福祉大
       学教授
       産経新聞客員論
       説委員      岩渕 勝好君
       宮城県社会福祉
       協議会会長
       前宮城県知事   浅野 史郎君
       高浜市長     森  貞述君
       高齢者運動連絡
       会事務局長    篠崎 次男君
       NPO法人しん
       ぐるまざあず・
       ふぉーらむ・関
       西理事      中野 冬美君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○国の補助金等の整理及び合理化等に伴う児童手
 当法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
○児童手当法の一部を改正する法律案(岡崎トミ
 子君外二名発議)
○参考人の出席要求に関する件
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○委員長(山下英利君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、松村祥史君及び前川清成君が委員を辞任され、その補欠として阿部正俊君及び家西悟君が選任されました。
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○委員長(山下英利君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う児童手当法等の一部を改正する法律案及び児童手当法の一部を改正する法律案の両案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長北井久美子外九名の政府参考人の出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山下英利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(山下英利君) 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う児童手当法等の一部を改正する法律案及び児童手当法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 まず、国の補助金等の整理及び合理化等に伴う児童手当法等の一部を改正する法律案について、政府から趣旨説明を聴取いたします。川崎厚生労働大臣。
○国務大臣(川崎二郎君) ただいま議題となりました国の補助金等の整理及び合理化等に伴う児童手当法等の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 政府においては、平成十八年度予算編成の基本方針を閣議決定し、国と地方に関する三位一体の改革を推進することにより、地方の権限と責任を大幅に拡大し、真に住民に必要な行政サービスを地方が自らの責任で自主的、効率的に選択できる幅を拡大するとともに、国、地方を通じた簡素で効率的な行財政システムの構築を図ることとしております。
 また、一昨年成立した年金制度改正法においては、平成二十一年度までに基礎年金の国庫負担割合を三分の一から二分の一に引き上げることとし、これに向けて平成十七年度及び平成十八年度において、所要の税制上の措置を講じた上で、国庫負担割合を適切な水準へ引き上げるものとされたところであります。
 この法律案は、かかる政府の方針等を受け、児童手当における国庫負担の割合の見直し及び支給対象年齢の引上げ、基礎年金の国庫負担割合の引上げ、国庫補助金等の廃止等の措置を講ずるものであります。
 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。
 第一は、児童手当及び児童扶養手当の支給に要する費用について、国、都道府県等の負担の割合を見直すとともに、児童手当においては、給付の支給対象年齢について、現行の小学校第三学年修了前までを小学校修了前までに引き上げることとしております。
 第二は、基礎年金の国庫負担割合について、平成十八年度以降は、三分の一に千分の十一を加えた割合から、三分の一に千分の二十五を加えた割合に引き上げることとしております。
 第三は、特別養護老人ホーム等の施設整備に充てる都道府県交付金の一般財源化を行うとともに、介護保険施設等における保険給付費について、国と都道府県の負担の割合を見直すこととしております。
 第四は、市町村又は都道府県による知的障害児施設等の施設整備に要する費用等について国庫負担の対象外とすることとしております。
 最後に、この法律は平成十八年四月一日から施行することとしております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(山下英利君) 次に、児童手当法の一部を改正する法律案について、発議者岡崎トミ子君から趣旨説明を聴取いたします。岡崎トミ子君。
○委員以外の議員(岡崎トミ子君) このたび、民主党・新緑風会から提出いたしました児童手当法の一部を改正する法律案、いわゆる子ども手当法案につきまして、提案者を代表し、趣旨及び内容の概要を御説明申し上げます。
 民主党は、子供第一の方針で、子供を中心に据えた様々な政策立案に取り組んでまいりました。昨年の衆議院議員選挙で掲げた政権公約、マニフェストでも、月額一万六千円の子ども手当創設を始め、子ども家庭省設置への着手、幼保一体化の推進、学童保育の拡充、小児医療体制の充実、仕事と家庭の両立支援策など、子供が安心して育ち、その可能性を実現することができる社会の実現を目指す政策を打ち出しています。そして今回、子供が安心して育つことができるよう、また、親が安心して子供を育てられるよう、子育てに係る費用を社会全体で負担すべきであるという考え方に立つ、この子ども手当法案を民主党の子育て応援政策の柱の一つとして法案化、政府提出の児童手当法等改正案への対案として提出したのです。
 昨今、少子化への対応が大きな課題となっていますが、私たちは、少子化の状況に対しても、産めよ増やせよ的な発想に立つのではなくて、子供を産み、育てたいと希望する、希望を持つ人々が安心して子供を持つことができるように、総合的な子育て応援政策を充実することで対応することが何より重要だと考えています。
 子供を産み、育てたいと思っている方たちが、その希望を実現できない最大の理由の一つが経済的な要因であることは、各種の世論調査でも明らかになっています。必ずしも収入に余裕のない子育て世代の家計にとって子育ては大きな負担になってしまうのです。もう一人子供が欲しいと思いながら、経済的事情から断念せざるを得ない方たちも少なくありません。子供たちは、未来の社会を担う大切な存在です。その子供たちを産み、育てたいと思っている人々を社会全体でしっかり支える仕組みが今こそ必要とされているのです。
 子ども手当の財源は、配偶者控除や子供の扶養控除などを解消することなどによって確保します。税の控除を解消する代わりに、現在、高齢者に比べて十七分の一しかサービス給付を受けていない子供に給付するという考え方です。現在の所得税の控除制度は、所得の高い層に相対的に有利な制度であって、本当に支援を必要としている方たちに対する適切な支援にはなっていません。控除を解消して手当に転換することによって、特に所得の低い層の子育てを応援することができるのです。
 すべての子供たちに安心して育ってほしい、すべての希望する人々に安心して子育てをしてほしい、そういう願いを込めて、同僚議員の御理解を願いながら、以下、法律案の概要を御説明いたします。
 第一に、題名を「児童手当法」から「子ども手当法」に改めるとともに、その目的を、児童を養育している者に子ども手当を支給することにより、児童の養育に係る経済的負担の軽減を図るとともに、次代の社会を担う児童の成長及び発達に資することとします。
 第二に、子ども手当は、義務教育修了前の児童を監護し、かつ、これと生計を同じくする父又は母等に対し支給するものとし、子ども手当の支給に関し、所得制限は設けないものとします。
 第三に、子ども手当は、月を単位として支給するものとし、その月額は支給の対象となる児童一人につき一万六千円としています。
 第四に、子ども手当の支給に要する費用は、その全額を国庫が負担するものとしますが、暫定措置として、当分の間、子ども手当の支給に要する費用は、その百分の九十二に相当する額を国庫が負担し、地方及び事業主については、これまでの負担額を踏まえ、その百分の二・五に相当する額を都道府県及び市町村がそれぞれ負担し、その百分の三に相当する額を事業主からの拠出金をもって充てるものとしています。
 第五に、国は、子ども手当の支給に要する費用を賄うための安定した財源を確保するため、所得税に係る扶養控除等の改廃その他の必要な措置を講ずるものとします。
 なお、この法律は平成十八年四月一日から施行するものとしています。
 以上が本法律案の趣旨及び内容の概要です。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いいたします。
○委員長(山下英利君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○阿部正俊君 短時間でございますが、今の法案につきまして、関連することも含めまして少し質疑をさせていただきたいと思います。
 どうぞ、私のお聞きすることは、正直、ある程度分かっている上での話でございますので、大臣、どうかひとつこれからの社会保障について、どういうふうな政治が行われても、やはりきちっと政策論として国民に明示して、言わば納得といいましょうか、負担が少ないからいいんだという発想じゃなくて、システムとして、やはりこれからの社会にとってそういうことなのかなというふうな合意形成に資するような相当率直な提案といいましょうか、というのをしていかないと、どんな政権であれ私はもたないと思います、ことがありますので、社会保障というのは増えればいいというものではございませんし、かつまた国民の税負担が増えればいいというものでもない。一方で、社会システムとしてやはり維持していかなければ社会全体が回転していかないということだけは事実ではないかと思うんですね。
 だから、負担と給付のバランスをどうかというのは言わば初歩の初歩でございまして、それだけにとどまるんじゃなくて、全体のシステムとしてこれから、まあ私は成熟社会と言っていますけれども、そういう中で、年金にしろ医療にしろ介護にしろ、あるいは子育ち、子育てにしろですね、というふうなシステムについてどういうふうに構成していくかというふうな観点で御発想をいただきまして、是非、将来展望を切り開いていってもらいたいと。
 従来の福祉というのはどっちかといいますと、負担は少ない方がいい、給付は多い方がいいというふうなことを、まあそれを、まあ当然のことと言ってはなんですけれども、言っていませんけれども、そういう傾向もないではなかった。これからはやはりそうはいかないと。
 私は、大きな意味で今や日本は、まあ昭和三十六年ごろに言わば第一ステージの社会保障の基本ができたんだと私は思います。つまり、国民皆保険の年でございます。だけど、そのときの発想といいますのはどうしてもやっぱり、まあ非常に極端な言い方しか、ちょっと知恵がないんで恐縮ですけれども、生きるか死ぬかのところのナショナルミニマムのレベルをどうするかという議論がどうしても中心だったような気がするんですけれども、今はちょっとそうじゃないんじゃないかなと、相当高いレベルに達している国だと思います。
 私は、第一ステージの社会保障論と第二ステージの社会保障論とは違うんではなかろうかというふうに思いますし、第二ステージとして改めてシステムとしてどんなふうなシステムがいいのかということについて接近できるような論議を展開していかなきゃいかぬのじゃないかなというふうに思いますので、どうか大臣、ひとつ御自分の率直な意見を御開陳いただければ有り難いなというふうに思います。
 正直言いまして、政府参考人の方、答弁が不十分だとか申し上げませんけれども、どうか社会保障についてそうした思い切った、国民に向かって本当に問える姿を勇気を持って提示していくということが今求められているんじゃないかなと思いますので、どうかひとつ、そういう意味での積極的な、ある種の意欲的な御答弁なり御意見なりをちょうだいできれば有り難いなと思っていますので、よろしくお願いします。
 まず一つは、三位一体改革について、十七年度のときに、国民健康保険制度について従来の国庫負担を都道府県負担に一部切り替えまして実行したはずでございますけれども、そのときの額は幾らだったのかということもお聞きしますが、同時に、大きなことは、仕組みの考え方として、県負担をするという限りは、全国一律の国の配分ではなくて、県単位にそれなりのまあ自主性といいましょうか、県単位について、A県とB県はやり方違うよというようなことを前提にしたやり方というのを、医療保険についても、国民健康保険については工夫していこうじゃないのというふうな思いがあったのではないかなと思いますんですけれども、その辺についてどんなふうに実施されようとしているのか、あるいは実施に着手したところもあるかと思いますけれども、金額と、それから各自治体ごとの言わば裁量というか自主性というのをどういうふうに発揮されようとしているのか。
 特に、国民健康保険の場合には、保険制度でございますので、保険者というのは各市町村なり、その他のところもあるわけでございますが、被用者保険も含めてですね、保険者というのはどうも今まできちっとした保険者機能を発揮していないような気がするんですけれども、この辺との関係についてお答えいただければ第一問として有り難いと思いますけれども、よろしくお願いします。
○政府参考人(水田邦雄君) お答えいたします。
 国民健康保険制度につきましては、委員御承知のとおり、高齢化の進展、それから低所得者層の増加がございまして、大変財政状況厳しいわけでございます。こうした状況を踏まえまして、私ども、保険運営の広域化を通じました財政の安定化、それから医療費の適正化を進めることによってその基盤、体力を強化する必要があろうかと考えてございます。
 この保険運営の広域化でありますとか医療費の適正化に当たりましては、ただいま委員から御指摘ありましたとおり、都道府県がそれぞれの置かれた状況におきまして主体的な取組が必要であるということから、昨年の国保制度改正におきまして、確実な財政措置が講じられる三位一体改革の中で、都道府県に市町村間の財政を調整する権限の一部を移譲するということによりまして、都道府県の役割の強化を図ることとしたところでございまして、具体的には都道府県調整交付金という仕組みを導入したものでございます。
 あわせまして、都道府県が保険料負担軽減の観点からも市町村を支援することといたしまして、低所得者の保険料負担を軽減する制度に係る都道府県の負担割合を引き上げたところでございます。これらの都道府県負担の導入に伴います税源移譲額は約六千八百五十億円と、このようになってございます。
○阿部正俊君 保険局長ね、申し訳ないけれども、説明したってしようがないんですよ。要するに、都道府県でどういうふうな違いが生じたのかと。実質的な評価を、その政策の評価をしたんですか。導入したと、額がどうだという話は分かっています。だけれども、都道府県の自主性を尊重するから地方自治に回したんでしょう。これ答えなきゃ。大臣、どうですか。
○国務大臣(川崎二郎君) 言われるとおり、都道府県が市町村の調整を行うという仕組みにしてまだ一年なものですから、多分彼らはデータを持ってないんで阿部委員に対する御回答ができないんだろうと思いますけれども、確かにそういう視点に立って、制度改正の結果として都道府県の果たす役割、役割が変わってきたならば、県単位によってかなり変化が来ているんじゃなかろうかと。そして、どこの県の運用がうまくいって、他の県にもこれをモデル事業としながら頑張りなさいよと言うのか、いや、私たちは独自性発揮しますと言うのか、そんなことをしっかりウオッチしながらやっていくのが私どもの行政の責任だろうと思います。
○阿部正俊君 分かりました。よろしくお願いいたします。
 同じような意味で、生活保護の問題をちょっと、今回の法律改正に入ってないんですけれども、お聞きしたいと思うんですが、昨年の十一月から暮れにかけて地方団体、政府・与党等で様々な論議が、生活保護について対象とするかどうか議論されたと思うんですけれども、結果的には法律案に入っておりません。これにつきまして、いきさつ、それから基本的な考え方、これからの展望等についてまずお尋ねしたいと思いますが、どうでしょうか。生活保護の問題について入っていないことについて、御説明なりこれからの考え方を、展望を聞かしてください。
○国務大臣(川崎二郎君) 阿部委員とこういう議論をし合うとは、私、夢にも思ってませんでして、私のグループのこの問題の正にオーソリティーでございますし、何でも分かっている人に質問されるというのは、学校の先生に生徒が質問を受けているようでございますので、失礼なこともあるかと思いますけれども、お許しを賜りたいと思います。
 先ほど、一つの切り口を阿部委員がお示しをいただきました。我が国は、そういう意味では欧米に追い付き追い越せ、こんな思いでやってきたと。特に、福祉の分野ということになれば、ヨーロッパ社会を見ながら歩んできたことは間違いないと思っております。そして、我が国はこれからどの方向へ行こうかというときに、例えば少子化対策にいたしましても、また介護にいたしましても、様々な先進国の例を見ながらいろいろなことを考えてきたことは事実だ。
 そういう意味で、今回、分権というものを進めていく中で、我が国はどの方向へ進むんですかということが大きな議論であろうと思います。実は生活保護の議論の中で、市長さん、知事さんとかみ合わなかったのはその点でございます。
 私から御提案申し上げたのは、フランスという中央集権国家ならば生活保護はすべて国が責任を持つことになりますと。一方で、ドイツのような分権国家ならば生活保護はすべて地方で行うことになりますと。我が国は、そういった意味では、生活保護は国が四分の三、地方が四分の一御負担をいただいておりますので、重層的に役割分担しながらやってきている。そういう意味ではアメリカに近い形になっておるのかなと、こう思っております。そして、より分権を進めろという形ならば、やはりどこの国をモデルとしながら、いや、日本独自のものをつくり上げていくのかと、こういう観点で議論したいと申し上げましたけれども、基本的にはやはりこれは国が担うべきだという知事さん、市長さんの御意見と、私どもは、それでは少し切り口を変えてみましょう、すなわち生活保護費を三つに分けてみました。一つは生活費、実態の生活費、それから住居費、それから医療費に分けてみました。
 生活費というお金の支給に関しては、御主張どおり、やはり国が責任を負うべきかなと、こう、まあ一つの切り口。そして、しかし住宅ということになると、正直申し上げて地方の方がいろいろな事情が分かっているんではなかろうかと、また地方自体も住宅というものをお持ちじゃないんでしょうかと、そういった意味では地方の裁量権に任した方がいい分野ではなかろうかと。したがって、税源移譲とともに全部地方へ移しましょうと、こういう提案をした。
 それから、医療につきましても、今、医療制度改革の中で入院から介護の方へと、こうしていく。したがって、この分野のリーダーシップもやはり県や市の方が取りやすいんじゃないですかということで、少し切り口を分けてみて御相談をさせていただきましたけれども、どうしても国と地方の役割という接点ができ上がらなかったもんですから、そこで私は、いろいろ与党の皆さん方からも御意見を伺ったし、いろいろ悩みましたけれども、結論として、話合いが付かないものを国の権力で押し付けるという話になると、これは後々のこの社会保障行政、やはり重層的な役割を担っていくもんですから、ここは一歩引きましょうということを知事さんに申し上げたところでございます。
 しかしながら、生活保護費の適正化ということについてはひとつ合意をしてくださいということで、知事さん、市長さん、私と官房長官が四人でサインをいたしまして、生活保護費の適正化に向けてやっていくということで既に話合いが始まり、そして我々に課せられた課題については一つ一つ解決しながら、今、特に大都市が問題でありますから、進めさせていただいているところでございます。
 いずれにせよ、私どもはやっぱり重層的な役割を担わなければならないということで、地方と国がしっかり話合いながらやっていきたいなと、こう思っております。
○阿部正俊君 それじゃ、ありがとうございました。正に、まあ特に福祉行政、生活保護を含めた、行政の地方と国の役割分担ということについて、非常にまじめにダイレクトに論議してきた時期というのは意外と少ないんじゃなかったかなというふうに思いますので、是非実りある論議の結論を得られるように努力をしていただきたいと思います。
 まあ、特に生活保護については、やはり結果論でございますが、いわゆる扶助率ということを考えますと、都道府県によって、大体、一番低いところと高いところでは七、八倍の差があるわけですよね。これが果たして国民一律ということを言えるのかどうなのかですね。
 率直に言いますと、これからの社会保障というのは、レベルの高さ云々というだけじゃなくて、公正な形で運営されているというところをやはり確保していくということが大事な視点じゃないのかなというふうに思うわけでございますので、どうか、そういう意味で、負担のおっ付け合いみたいな話ではなくて、まともな意味でのシステム論として展開してもらいたいということを御要望申し上げたいと思うんです。
 特に、あえて言いますと、厚生労働省、特に旧厚生省でやっていたような福祉行政、生活保護を含めて、老人の介護保険も含めて、医療保険もそうですが、やはり実際に国が直営で、直轄でやっている部分というのはほとんどないというふうに言っていいくらいではないかと思うんですね。ほとんど市町村ないし都道府県という、自治体のかかわってくる場面というのが非常に多いわけでございますので、生活保護だけではなくて、これからも出てまいりますが、都道府県、市町村との役割分担といいましょうか、いうふうなことをやっていかないといけないんではないのかなと思いますので、その辺の基本的な理念といいましょうか、三位一体の改革というのは、何かいかにも、まあ確かに財政面が中心になることはやむを得ないんでございますけれども、やっぱり第二ステージのこれからの福祉論にふさわしいシステムがどういうことなのか。
 特に、公正な形で世の中にシステムとしてつくっていくということを考えますと、旧厚生省でやってきたことのほとんど大多数が、やはり基礎自治体である、自治体との間の共同、あるいはそれ全部一律でいいのか、果たして公正さを考えた、AさんとBさんと違ってもいいんではないかという面も私は否定できないんじゃないかなと思いますので、その辺についてのこれからの厚生行政の地方との関係といいましょうか、自治体との関係ということについての整理の仕方の理念的な考え方について、再度大臣、ちょっとお聞きしておきたいなと思いますけれども、お願いします。
○国務大臣(川崎二郎君) 先日、ロシュの会長さんと議論する場がございました。今回の鳥インフルエンザ対策、すなわちタミフルの備蓄について諸外国の状況どうですかと、こう、教えてくださいと、どこの国が一番うまくいっていますかと言ったら、やっぱりフランスがうまくいっていると言うんですね。やっぱり中央集権国家というのは危機管理早い。じゃ、どこが遅いんだって言ったら、やっぱりドイツが遅いと。これはまだ予算も決まっておらぬと、こういうお話がございました。
 その中で、我が国は、市場備蓄別として、二千百万の備蓄、半分が国、国が千五十万、地方が千五十万、もちろん地方財政手当をいたしますけれども、そういう体制の中で、まず最初に我が国、国が七百五十万備蓄をして危機管理を整えますと。しかし、危機管理といえどもやっぱり地方の隅々まで手が回らなければならない。そういう見地からするとやはり地方も備蓄してほしいということで、一年目の終わりから二年目にかけて地方も備蓄をしていただいて、国、地方で一千五十万人ずつの備蓄すると、こういう計画になっています。私は、正直言ってこれが今の日本の姿だろうと思っているんです。
 フランスのように、国がもう既に備蓄終えています、フランスは、二五%分。確かに早いなという感じします。しかし、いや、ドイツは全然ですよと言われると、何となくああそうなのかなと思いながら、我が国の体制というのは、今申し上げたように、まず全体的な問題は国が基本的に持つ。しかし、やはりある程度、一、二年という年限の中では地方もきちっと完備してもらうということでお願いをして、御了解もいただいて進んでいる。
 そういう意味では、三位一体というものを考えましても、まず危機管理という仕事は我々の仕事なのかなと。実は参議院の予算委員会でも、難病予算を地方によこせといったことがあるのかという御下問をいただきまして、いや、地方からこういう要求出ていますよということでお示ししたことがございましたけれども、実はそんな議論がございまして、やっぱり危機管理については国がまず責任を負っていかなければならないと、こんな感じをいたします。
 それから、今委員のお話にありましたように、一体性を保つべきものと、そろそろ地方間で違ってもいいじゃないかというものを仕分しながら、ある意味では、今、一段階、二段階というお話もいただきました。一段階のレベル行くまではやっぱり国がきちっと予算配備をしながらやっていくと。しかし、もう二段階目を目指すならば、地方に財源をお渡しをして、権限をお渡ししてやっていっていいんではないかと。そういう意味では、今回、知事さんとの議論の中で、施設介護給付費、この給付と、それから施設整備費、合わせてセットでお渡しいたしました。これについては大変高い評価を知事さんからはいただきました。そこまで踏み込んでやってくれますかと。
 そういう意味では、そういう段階を迎えたものはそういう形で整理をしていったらいいんだろうと。そういう意味では、国がやっている施策も今みたいなような形で少し分けながら、国が絶対やらなきゃならないもの、いや、そろそろ成熟して地方に渡すべきものというものを議論していくことが根本的に大事なんだろうと思っています。
 どうも今回は野党の皆さん方からも御批判いただく、まず小泉さんの大号令がありまして、逆に言えば、なかなか各省庁、大号令がないと動かないというのも事実でございますから、大号令があった中でやってきたと。しかし、次にやるんだったら、やっぱりきちっと理念をもう少し整理してやっていくと。しかし、余り整理ばかりに時間掛けますとどうも遅くなるというのが公務員のややもすると癖でございますから、やはりスピード感を持った理念整理をしながら次の対応をしていかなければならないのかなと、こう思っています。
 で、最後に申し上げたいのは、我が国がどういう国家を目指すのか。ここはやっぱり国民合意を早くつくらなきゃならないと。随分差があるんだと思いますよね、随分差があると思います。
 少子化対策でも、フランス、スウェーデンの例をもってこれが一番いいんだって言われるけど、じゃ、我が国はそういう国を目指すんですかということになると、ちょっと違うような感もいたしておりますので、そういう意味では、どういう目標を持つべきかなということも国会の中でしっかり議論しながらやらせていただければ有り難い、こう思っております。
○阿部正俊君 ありがとうございました。どうぞ意欲的に、全体的な枠組みをきちっと踏まえていただきまして、オープンにかつ公正にやっていただくということが大事なのかなというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。
 さて、具体的な話で、今回、児童手当法の一部改正が盛り込まれておりますが、これは私の後に予定されております、特に児童手当につきましては渡辺先生からまた詳しくお取り上げいただけるんじゃないかと思いますので、それは私は少し離れますが、むしろ次世代支援政策と私は言いたいんです。少子化対策というのはどうも大人の現実に、我々の論理ではないかなと。我々の将来の年金が心配だから子供を多くつくっておこうやとか、あるいは生産力が落ちるからもっと子供多くないと困るよとか、これじゃないんじゃないかなと。
 本来、子供は自分で育つんですよ。確かに、産むのは大人です。生まれた子供は、それは乳飲み子はともかくとして、僕は中学生ぐらいからもう大人と同じ扱いにしていいんじゃないかなと。だからむしろ私は、言葉じりではございませんけれども、子育てではなくて子育ちではないかと。一字違うんです。「て」と「ち」の違いだけですけど、えらく違うんじゃないかなと。別な言い方しますと、我が国の状況を考えますと、自分に照らしても反省すべき点が少なくないんでございますが、やはり子の親離れと親の子離れができてないという面がないかなというふうに思うんです。
 子育てといいますと、いかにも何か母親の責任みたいになっちゃうような気がするんですね。小学校五、六年ぐらいになってもまだやっぱり何かそんな感じで、しかも三世代、世帯同居なんて減っているものですから、不安で不安でしようがなくなってくる、責任がある。だから、あとはもう子供産むのが面倒くさいことならば、それはむしろ子供なんかつくらないで優雅な生活した方がええという話になってしまう。ということじゃなくて、世帯として子供を産むか産まないかを決めるんじゃなくて、そうじゃないんです、私が言うのは。世代として、大人の世代がこれから育つ世代、あるいはまだ生まれてもこない世代に対して未来を持った社会と財政を用意するというのが我々の責任じゃないか。
 それからしますと、例えば悪いこと言いますと、今度も何とかテロ対策船とか、あるいは昔何とかエンゼルプランとかやってた、数千億円。一方で、三十兆円ぐらいの国債を発行してツケ回ししてる。これはどうなんだろうかと。まず、ツケを回さないこと、それからいい環境を用意すること、それさえまずやることが先決じゃないかなと思います。お金上げることだけで済む話じゃないだろうというふうに私は思います。したがって、子育てではなくて子育ちということで問題を考えてみてもらったら有り難いなと。
 児童家庭局長さん、あなたはその仕事ですよ。未来の子供たちから見て今の大人に対して発言していくこと、これがあなたの仕事だと僕は思うんです。でなかったら、児童家庭局というのは外しなさい。そう思います。大人の論理だけで今考えていないかということをむしろ反省してみてもらいたい。
 今回だったって、小泉さんの、三十兆円切ったのかもしれませんけれども、やっぱり先送りでしょう。六十年間の国債ですからね。六十年間の子供たちまで使うものを我々が使っているわけです。これは世代として間違いじゃないでしょうか。これは自民党が悪いとかなんとか言えるかもしれませんけれども、世代として考えたらやっぱり、私は世代として、大人の世代として落第だなと思います。だから、極端に言うと、教育基本法の改正も賛成ですが、その第一条には、私は、借りた金は返すと書いてください。プライマリーバランスなんという格好いいことを言ってて、どうも返さない人が多いんじゃないかなという気がするんだけど。どうもこれじゃ政治としては私は落第じゃないかなと思うんですね、経済的にはそれでバランス、しばらくしのげるかもしれませんけれども。そんなふうな感じいたしますが。まあ余り余計なことばっかりしてても駄目ですけど。
 それからすると、私は、少子化対策というよりも、児童手当のあれももちろん大切なことですが、同時に、社会システムとして次の世代に対して本当に子育ち、自分で育つ環境ができているのかねということを考えてみると、例えばよく言われる女性の就業形態、子供は女性からしか生まれませんので、子供がきちっと生まれて育つ環境ができているというようなことを考えると、就業のMカーブなんというのはもうとんでもない話なんじゃないかなと思うんですね。これ余り改善されたという話も聞きません。育児休業ということも、取得率もどの程度なのか、どの程度進んで、そのために経済界も含めてどう協力したのかということについては見えてきてない。
 これじゃやっぱり私は次世代支援政策にはならないんではないかというふうに思うんですね。少子化対策というような言葉はやめましょうよ。大人の論理じゃないですか、それは。次世代の、どういうふうに育てられる、育つ環境が用意できるかという発想で物事考えてもらいたい。
 したがって、例えば女性の就業のいわゆるMカーブ、妊娠・離職、あるいは就職・就業、出産・離職・就業、子育て・離職・就業というようなことがやっぱり直されないと本物の次世代支援政策にはならないんじゃないか、借金を増やさないことはもちろんのことでございますけれども。
 この辺について、ひとつ御所見をちょうだいしたいと思います。
○国務大臣(川崎二郎君) 確かに、一つ一つの対策、経済的支援、私自身は三つの柱と言っておりますけれども、経済的支援、それから保育の支援、それから雇用の問題、こういう問題を一つ一つ丁寧に解決していかなきゃならないということも大事でありますけれども、まず基本的な理念、将来にツケを回すようなことはしない、自分たちの時代のことは自分たちで解決していくと、こういうものをまず持たないといけないという阿部委員の高邁な思想であり、またしょっちゅう我々そういうお話をいただいているんですけれども、正に我が国の社会というものを、今日の社会をつくったのは我々の責任でございますので、その社会自体の問題点というのをもう少しお互いに指摘し合いながら、次の時代にはどうあってほしいという期待、こんなものを持ちながら政治全体が進んでいくべきだと、こういうお話であろうと思います。
 一方で、少子化の原因というものを考えますと、一つは結婚が遅れてきている、また結婚しない人が増えてきた、これが大体三分の二の理由。三分の一の理由が、どうも、我々の世代また次の世代までは結婚した夫婦が二人の子供を産んでいるけれども、今のままの推移でいくと二を切ることになるかもしれないなと。したがって、若い夫婦が、このままいくと、二人の子供を育てるには経済面や雇用の問題から達成できないんではなかろうかと、こんな課題も出てきているように思っております。
 したがって、もちろんまず理念をきちっと立てながら、しかし、一方で一つ一つの施策も急がれるということは事実でございますので、両方うまくいくように、いろいろな御意見を賜りながら何とか前進できるように努力をしてまいりたいと考えております。
○阿部正俊君 ありがとうございました。
 それじゃ、具体的な話でございますが、児童扶養手当の改正が盛り込まれておりますが、地方負担というのはなぜなのかという議論があるんだと思いますが、私、前から疑問に思っていますのは、児童扶養手当というのはだれに対する手当なのかと。一応大人が受け取るわけですから、その養育、扶養している者ということになりますけれども、願いは子育ちなんだと思うんです。女性であれ男性であれ、男性はないか、母子家庭のいわゆるお母さんへの支援じゃないんだと思うんです、端的に言えば。それじゃちょっと女性に気の毒ですから、子供が受け取るべき話なんではないかと。
 となると、今、生別母子というのは増えております。つまり、離婚による、子供ができた後離婚するときのケース。自由ではありますけれども、子供に対する責任はやっぱりきっちり果たしてもらわなきゃいかぬというのが、児童扶養手当という、他の大人が出すわけですから、税金で、その前に親御さんがちゃんと責任取っているかねということは、どうも日本は甘いんじゃないかと思えてしようがありません。
 第一義的には、やはり子供さんの育成ということについての扶養の責任というのは親が持つべき話なんで、それはどうも、どれぐらいの率が親の費用、仕送りといいましょうか、しているのかどうなのか、あるいはそれを実現するためにどんな工夫をしているのか、諸外国と比べてどうなのかということについてひとつお答えをいただきたいと思います。
○政府参考人(北井久美子君) 離婚母子世帯におきます父親からの養育費の状況でございますけれども、平成十五年の調査によりますと、離婚母子家庭のうち、養育費の取決めをしておりますのが三四%、そして、現在も養育費を受けておりますという回答の者が一七・七%ということでございまして、養育費は、御指摘のとおり、母子家庭の自立を図る上で重要であると思いますけれども、実際にはその支払は低調な現状にございます。
 こうしたことで、厚生労働省といたしましては、養育費の手引というものを作りまして、これは現役の裁判官の研究会での御研究などを踏まえて作ったものでございますが、養育費の額の相場や養育費の取得手続等を示した手引でございます。こうしたものを各都道府県に配付をしておりますほか、市町村窓口で離婚届を取りに来られる際にその養育費の取決めをしましょうということを訴えることが有効でありますことから、養育費の取決めに関するリーフレットを、市町村窓口で離婚届用紙を渡す際に手交していただくべくリーフレットを作りまして、各市町村に配付をいたしております。
 さらに、法改正の関係では、近年、二回にわたりまして民事執行法が改正をされまして、養育費の強制執行手続が改善されたところでございまして、こうした制度の活用が今後見込まれると考えております。
○阿部正俊君 北井局長さん、もうちょっと理念を持ってくださいよ。税金でやるということは、その親でない人が育てると、正に社会システムとして子育ちを応援するんですから、そのためには、まず親御さんとしてやることをきちっとやっているという状態をつくることによって初めて国民も納得するんじゃないですか。それもしないで、ただかわいそうだからやるという時代じゃないわけでございますので。
 三割から四割ぐらい、せいぜい三割から四割ぐらいですね。残りはどうなるんですか。それは、仮にね、じゃ子供中心ですから、どうしても出せなかったら出しても結構です。でも、将来出せるようになったらそこから取ってくるぐらいの気持ちで考えてもらいたいなというふうに思います。そういうふうな意味で初めて国民も、離婚もまあ別に自由ですけれども、ちゃんと果たしてほしいし、果たさなかったら、子供が気の毒だから子供には出しましょうと、だけど親からは取ってくれということが本来の、まあ言わば公正さと先ほど申し上げましたけれども、そういった物の考え方の一つじゃないかなと思いますけど、御決意のほどをもう一回お聞かせください。
○政府参考人(北井久美子君) 別れた父親から養育費を確保するということは、民法上も母子寡婦福祉法上も責務がありまして、当然のことでございますが、我が国の場合、協議離婚がほとんどで、なかなかそのときに必ずしも養育費の取決めをしていないということがやっぱり強制的に取立てをするとかということについての難点であろうと思っております。
 諸外国においては裁判による離婚がほとんどでございまして、そういうことになりますと立替払みたいな仕組みもできるかと思いますが、日本では現状の離婚制度においてはそうした強烈な仕組みづくりはなかなか難しいと思っておりますので、厚生労働省といたしましては、やはりきちんとこの扶養義務ということをわきまえて親御さんが責任を果たしていただくべく、その広報周知といったようなことで取り組んでいきたいというふうに思っております。
○阿部正俊君 是非、三年後ぐらいに、これぐらい向上しましたということを教えてください。三年後私いないと思いますけれども、是非そうしてください。
 それから、ちょっと話別になりますが、高齢者関係の施設整備についてお尋ねいたします。
 今回、交付金を廃止いたしまして、都道府県の裁量にゆだねるということになりましたが、ただ一方で、これはかなり細かい話かもしれませんけど、いわゆる施設整備費の参酌標準というのを国が作っているんですよね。これまだ生きているようにも聞いているんですけれども、任せた以上は任せっきりにするというのが本来ではないかなと思うけど、その関係はどうなんですか。
○政府参考人(磯部文雄君) 参酌標準は、各市町村が介護保険事業計画を策定する際に各種サービスの見込み量を定めるに当たって参酌すべき目安として定めておりまして、在宅と施設のサービス量が均衡の取れたものとなるよう厚生労働省からお示しするということでございまして、施設整備費に係る助成の在り方とはかかわりなく参酌標準は必要なものであると考えております。
○阿部正俊君 そういうのはやっぱり、何というかな、表向き自由だと言いながら裏方で要らざるおせっかいを出しているという姿じゃないですか。任せるならちゃんと任せるということだと思います。
 元々は十数年前、ゴールドプランというのが初めて登場しまして、市町村が何をやったらいいか分からぬというようなところで、参考にして参酌しましょうと、してくださいということでお示ししたのが始まりでしょう。それからもう介護保険も行われ、施設整備も数十万人の入所施設もでき、やっているわけですよ。という中で、今度は整備費も補助金やめて、廃止してやるというわけでしょう。ということは、参酌標準で何でやるのかね。
 一方で、これちょっと聞きにくい話かもしれませんけれども、じゃ、運営費はどうしているのというところについて参酌標準みたいなものは何もない。介護保険で、都道府県別の給付費の額というのは、高いところと低いところではえらく差がありますよ。何でそれを同じく国庫負担ないしはそれに加えて後代の一律補助金で賄うんですかね。これは本当に自治ですか。自治というならば、A県とB県を違うということを認め、自分たちの財源で自分たちの施設整備なり運営費もやると、上下差が付いてくるということをある程度加味していくというのは本来ではないでしょうか。
 つらいことですけれども、もらう方は全部もう必要性に応じてもらえ、何というかな、基準、施設整備も何か本当は自由だけれども参酌標準みたいなので縛り付けるというようなことは何だろうかと本当に思うんです。それこそ正に地方自治と厚生行政のこれからの展望の中の一つの試金石だと思うんですよ。
 医療についても言えることですけどね。病床規制なんてやっていながら、こういったところについてはどんどんどんどん医療保険で給付はしているわけですよ。新しく作るところには一生懸命抑えると。そういう発想というのはどうだろうか。新しいシステムとして国民に納得できる話かどうかということについて、もう一度御答弁ください。
○政府参考人(磯部文雄君) 先ほども申し上げましたけれども、参酌標準は市町村を縛っているということではございませんで、市町村がそれぞれの介護保険事業計画を作るに際しまして、参考としてそれを見ながら、それぞれの市町村が自分の介護計画を立てて、それに応じて施設入所数をコントロールしていくということでございまして、あくまでも参考としてのものでございます。
 それから、それぞれの施設の運営費についてお話がございましたが、一つには、施設の整備というのは介護給付全体に影響をいたしますので、第一号の保険料との見合いがございますから、それぞれの市町村はそれぞれの一号保険者の保険料の状況を見ながら、また、それから今回、移譲に伴いまして都道府県の負担割合を五%増やしたということでございますので、それによりますと、都道府県自身で見ますと一二・五%が一七・五%ということで四〇%近い増加ということでございまして、それに応じてやはり都道府県も施設整備について自分の判断でやっていくということになろうと思っておりまして、両々相まちまして、自治あるいは自分の介護保険について自分のところで決めていくということができるようになると考えております。
○阿部正俊君 これはやめます。
 最後に一つだけ、私の提案をちょっと申し上げます。
 これからのいろんな介護保険なんかも含めて、医療保険もそうですが、保険の範囲を限定するとか、あるいは自己負担を増やすとかということをせざるを得ない状況が生まれてくると思うんですね。
 ただ一方で、そういうときに、よく厚生省では低所得者に配慮するって表現を使うんですけれども、私はちょっと、余りにも一般的過ぎて、これから先の展望をどう持てばいいのか分からぬということになりかねませんので、私は、例えば保険から外すとかあるいは自己負担をするとかということについては一応することにして、下手に免除だとか補助だとかというのをまずやめて、それをいったん払ってもらって、どうしても払えない人については別の、代替支払制度と私は自分では名付けているんですけど、そこから代わりに払っておきますと、その代わり債権にしておきますと、ただし、あなたが、その方が仮にお亡くなりになったら、財産を残されたら、そこからお払いくださいと、まずこちらの方にね、御自分のお子さんに行く前にですね。というようなところも、これから先考えていかなきゃいけない公正な、高度なレベルの社会システムじゃないのかなというふうに思いますけれども、代替支払制度というようなことを言っているんですけれども。
 生活保護もそうですね、資産についてほとんど評価しないですね、フローだけ。それからあと、今度の老人の、お年寄りの介護保険の食費とか、衣食住は原則保険外にしましたけれども、一部助成するという格好になっていますね。これからの医療保険だって国保だって、こんな一部負担の免除とか、点数低くするとかやっていますね。
 そういうものは別の制度としてやって、代わりに債権化して払っておきますから後で返してくださいとしないと、社会的な公正さというのは保てないんじゃないかなと思うんですね。関係のない子供さんというのは、出すといったら税金で出すわけですから、その分をお亡くなりになった方が、お子さんに関係のないという言い方変ですけれども、お世話余りしなかったお子さんに引き継がれていくようじゃ社会的な公正というのは僕は言えないんじゃないかなと思うんですけれども、それもこれからの高齢社会と言われる社会の一つのシステムではないかなと思いますけれども、最後にそれについての感想なりを大臣なりにお聞きして、終わりにしたいと思います。
○国務大臣(川崎二郎君) 私も、厚生労働大臣に就任する前ですかね、その後でしょうか、厚生省の人たちとこの議論をしたこともありますし、また大臣になってからも、少し勉強してくれと言ってあります。
 そういう意味では、どうしてもフローというものに着目して御負担を願っている、したがってフローがない人たちについては社会が責任を持っていくと、こういう形になっている。しかし、結果としてストックがあって、そのストックについては、お亡くなりになった後、御遺族の方々に相続されてしまう、そこはお世話をさしていただいた社会というものが優先になる社会ではないだろうかと、こんな議論の中で、そのやり方の方法として一つ今御提言いただいたんだと思います。
 確かに、これからよりお年寄りが増えていく時代、そして今回、所得のあるお年寄りに三割負担ということで医療制度改革をお願いすることになりますけれども、それと同じようにストックのある人たちについては、やはり若者同様の御負担をお願いをしていくという社会にだんだん変わっていくんだろうと、変わらざるを得ないと思っております。しっかり勉強しながら次の制度に向けてやっていきたいと、このように思っております。
○阿部正俊君 終わります。
○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男です。
 まず最初に、民主党・新緑風会提出の児童手当法の一部を改正する法律案に関連しまして質問をさせていただきます。
 第一問は、児童手当は既に国民の間に普及している名称でありまして、長年の改正による充実の実績があります。この児童手当をあえて子ども手当に変更し、名称変更に伴う周知など、事務手続を増やすことの意味についてお伺いをしたいと思います。
○委員以外の議員(和田ひろ子君) お答えいたします。
 この法案は、子供第一という方針の下、子供に着目をして子供が安心して育つことができるように、また親が安心して子供を育てられるよう、子育てに係る経済的負担を社会全体で負担すべきとの考えに立ち、児童の養育に係る経済的負担の軽減を図ることを目的としております。
 現行の児童手当は、家庭における生活の安定を目的の一つとして、子供ではなく親に着目した制度となっており、子ども手当とは全く考えを異にするものであります。また、政府案が、当分の間の暫定措置としての特例給付を拡大するだけで児童手当制度の抜本的な改革を先送りしているのに対し、民主党案では、制度を一本化し抜本的な改革を行っております。したがいまして、現行の児童手当制度に代えて新たに子ども手当制度を創設するに当たり、手当の名称を子ども手当といたしました。
 子ども手当の創設については、国や自治体からその趣旨を的確に通知することにより国民に御理解をいただけるものと考えております。名称の変更による事務手続の増加があるとしても、それは一時的なものであり、膨大な負担になるとは考えておりません。
○渡辺孝男君 内容については、児童手当、今やっている児童手当でありますけれども、この法案では一人当たり一万五千円というような手当でありますけれども、その手当そのものの名称まで変える必要が本当にあるのかという疑念を私は思ってもおります。行政は特別な支障がない限りはやはり継続を重視すべきだと、国民に変更による、名称の変更による妙な混乱を与えるべきでないと、私はそのように思っておりますので、御意見を申し述べさせていただきました。
 次に、民主党・新緑風会提出の児童手当の一部を改正する法律案、いわゆる子ども手当法案とおっしゃっていますけれども、これでは、衆議院提出案と今回の参議院提出案で、第一条の「目的」の条文に関しまして、「児童の健全な育成及び資質の向上に資する」の文言が「児童の成長及び発達に資する」に変更をされております。この変更の理由についてお伺いをしたいと思います。
○委員以外の議員(和田ひろ子君) お答えをいたします。
 委員が御指摘されますように、議員提出法案においては、児童の養育に係る経済的負担の軽減を図るとともに、次代の社会を担う児童の成長及び発達に資することを目的といたしました。これは、端的に申し上げまして、衆院提出段階のものから表現を進化させたというふうに受け取っていただければと思います。
 衆院の質疑で我が党提案者が答弁したように、健全育成というのは、これが健全育成だという大人の視点で、それに合わせて子供をはめていくような考え方ともとらえることができますので、子供が安心して個性を生かして育つことができる、そのために子供を養育している家庭に子供のための手当を出すという考え方をより分かりやすい表現で表したものが、次代の社会を担う児童の成長及び発達に資すること、その目的として改めて提案をさせていただきました。
○渡辺孝男君 短期間のうちに法案の目的規定という重要な部分が変わってしまったということは、子ども手当法案そのものが十分に練られたものでなかったとの印象をぬぐえないわけでございます。
 また、これは邪推かもしれませんけれども、衆議院で子ども手当法案が否決されたので、参議院で同法案を再提出するために一部修正を加えて提出したというようなことであれば、これは党利党略であり、国民無視あるいは参議院の軽視となりますので、あえて私の懸念を申し上げさせていただきました。
 以上でこの法案に対する質疑は終わりますので、提出者の方々は退席されても結構でございます。
 次に、国の補助金等の整理及び合理化等に伴う児童手当法等の一部を改正する法律案に関連して質問をいたします。
 まず第一ですけれども、今回の改正について質問をさせていただきます。
 最初に、今回の改正に至った経緯と、結論としてこのような内容に落ち着いたことに関しまして、川崎厚生労働大臣の御所見をお伺いいたします。
○国務大臣(川崎二郎君) 地方六団体から、厚生労働省からこういう補助金を移譲してほしいという御要求があったことは事実でございます。しかし、一方で、その中に、この四月一日から始まります障害者自立支援法に基づく施策があります。正にこれからスタートしようとするときでありますので、こういうものを移譲するのはなかなか難しいですねと。難病治療とかSARS対策とか国が責任を持たなければならない分野も入っておりましたので、正直言ってこれも難航いたしました。
 そういう意味では、地方からの御要求を聞かしていただく中、果たして我々として何にこたえられるだろうかと、こういう議論が一つ。
 もう一つは、一昨年から地方と、生活保護、それから児童扶養手当の適正化についてずっと議論をしてまいりました。この議論がちょうど十一月ごろ、十二月にかけて煮詰まってまいりました。この問題を両者が話し合う中、最終的には、先ほど阿部委員にもるるお答えいたしましたけれども、生活保護については、我々の主張と地方の皆さん方の御主張、乖離がございました。その乖離を乗り越えて国から強引にやるということは、私ども、社会保障すべての施策が地方と国とが重層的な役割を負いながらやっているものだけに、これは避けた方がいいだろうという最終判断をいたしたところでございます。したがって、地方が特に要求されました施設整備費、これは介護関係の施設整備費、給付費、運営費と一緒に一体で移譲する、これは正直言って地方から二重丸付いたと思っています。よく踏み込んでくれたという御指摘もございました。一方で、生活保護費は今回は下げさせていただく、一方で、児童扶養手当については、就労支援という切り口が非常に大きいものですから、地方もそれではそれはやらしていただきましょうという話合いの中で児童手当との調整も含めて今回の合意に達したところでございます。
 そういった意味では、約一年間、尾辻前大臣からいろいろな議論をしながらやってきて、そして一つの結論に至ったと思っております。その結論に至る中で、先ほど申し上げたように、小泉さんの大号令があって、まあいろいろあったけれどもやっぱりお互いによく話をして税源移譲していこうと、権限移譲していこうというところに最終的に落ち着いたのかな。
 やり方の手法については、次の人も同じように何兆円だと言われるのかということになると、我々、まあ少し、もうちょっと理念を詰めてからやりたいなという気持ちをいたしておりますけれども、いずれにせよ、大号令の中で一つのものができ上がったということは間違いないと思っております。
○渡辺孝男君 次に、第二期の三位一体改革の要請が地方六団体から上がっておりますが、今後このような声にどのようにこたえていくのか、川崎大臣にお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(川崎二郎君) 制度的にある程度熟成してきたもの、先ほど阿部委員からもありましたけれども、第一段階、第二段階、我が国は基本的には第二段階に入っているだろうけれども、第一段階のときにきちっと地方にある程度できたものは、そろそろ国の権限から地方の権限へ移していく。ただし、そこは地方に格差が付いてもやむを得ないよと。
 随分、格差論が今回盛んになりましたけれども、やっぱり競争によって格差は付く。いや、この県はこちらに対して手厚くしている、この県はこちらに対して手厚く、手厚くする以上はどこかが減らされる、それはこういう形でやっていますよと。それは仕方ないというやっぱり理解を得た上で、どんどん地方へ下ろしていくということが必要なんだろうと思います。そういう意味では、地方の皆さん方も移譲されたことによって多少地域間格差は付くんですよということを御理解いただくことが大事なのかなと。実は、決めました後も随分、結果として県へ移譲した、地方に移譲したから、どうも我々やるはずだったけれどもうまくいかないという御陳情もいただきました。そこは、総務省を通じてどうにか回るようにさせていただくのが我々の仕事だし、やっていますけれども、現実はそういう声が上がっている。
   〔委員長退席、理事岸宏一君着席〕
 したがって、もう少し地方と国が理念をしっかり詰めて第二期に臨んでいくべきではなかろうかなと、このように思っております。
○渡辺孝男君 ありがとうございました。
 次に、関連でまた質問をさせていただきますが、今回の改正の一つとして、地域介護・福祉空間整備等交付金の見直しを行い、市町村交付金の対象事業の範囲を拡大することになっておりますが、この具体的な内容についてお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(磯部文雄君) 委員御指摘のとおり、新しく設けられます小規模多機能型の居宅介護など、地域密着型サービスの拠点を整備を支援します市町村交付金は、今回の改革でも存続することといたしております。
 具体的には、今申し上げました地域密着型サービス以外でも、全国的に見て先進的な事業につきましては交付金の対象とするということとともに、従来の施設整備を対象としました交付金に加えまして、設備整備に係る交付金も創設することと考えておりまして、例えば夜間対応型の訪問介護の事業のために不可欠な設備を整備する場合や、高齢者と障害者や子供との共生型のサービスの整備を行う場合等には助成することを検討しているところでございます。
○渡辺孝男君 地域密着型のサービスというのは大変期待が大きいわけですけれども、この地域密着型サービス拠点の設置目標と、その運営主体がどのようになっていくのか、その見通し等も分かっておられれば、その点をお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(磯部文雄君) 小規模多機能型の居宅介護あるいは認知症対応型の共同生活介護などの地域密着型サービスの拠点をどのように整備していくかという御質問でございますが、全国一律の基準というものがあるわけではございませんで、高齢者ができる限り住み慣れた地域において生活を継続できるように、各市町村がそれぞれ地域密着型サービス以外の状況なども踏まえながら判断していただくべきものと考えております。
   〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕
 また、地域密着型サービスの運営主体につきましては、法人である必要はありますけれども、法人類型を限定しているものではございませんので、地域の実情を踏まえまして最も適切な事業主体が地域密着型サービスを担っていくこととなると考えております。
○渡辺孝男君 次にテーマ移りまして、子育て支援について質問をさせていただきます。
 児童手当ですけれども、ドイツとかフランスなど児童手当の手厚い諸外国では、十六歳以上にも児童手当が支給をされておるということであります。このような国でのその十六歳以上の児童手当の目的及びその使われ方の現状についてお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(北井久美子君) 日本の高校生に相当する十六歳以上の児童に児童手当を支給している国の例としては、今御指摘のとおり、フランス、ドイツ、それからイギリスやノルウェー、デンマークなどが見られます。例えばフランスにおきましては、第二子からでございますが、二十歳未満まで対象としております。それから、ドイツにおきましては十八歳未満までを対象とし、さらに学生などは二十七歳未満、失業者は二十一歳未満までということになっておると承知しております。それから、イギリスにつきましては十六歳未満が原則でございますが、全日制教育を受けている場合は十九歳未満までというようなことになっております。さらに、ノルウェーやデンマークにおきましては、十八歳未満というのが対象になっていると承知をいたしております。
 これらの国では、いずれもこうした子供さんは言わば稼ぎがないといいますか、収入がないということで、家計にとってこの子を養育することが負担となっていることから、こうした子供を有する御家庭の経済的負担を軽減することを目的として支給されているものと承知をいたしております。
○渡辺孝男君 子育ての支援策としては教育費に対する支援も重要であろうというふうに思っておりますけれども、高校生とか大学生の直近の教育費用というものがどの程度掛かっているのか、文部科学省にお伺いをいたします。
○政府参考人(泉紳一郎君) お答え申し上げます。
 文部科学省において実施いたしました平成十六年度子どもの学習費調査の結果から、全日制の高等学校の入学から卒業までの三年間に掛かった経費を推定いたしますと、公立の場合は百五十五万円、私立の場合は三百十万円というふうになっております。
 同じく、文部科学省で実施いたしました、平成十四年度でございますけれども、学生生活調査などの結果を基にいたしまして、大学の学部の入学から卒業まで、四年間ということになりますけれども、この経費を推計いたしますと、国立の場合は二百八十二万円、私立の場合は五百七十九万円となっておるところでございます。
○渡辺孝男君 今お話をお聞きしても、なかなか教育費大変だなという思いがします。
 それで、高校生あるいは大学生に対する教育費の支援を考えた場合に、選択肢の一つとしては児童手当とかあるいは奨学金があるわけですけれども、この児童手当や奨学金の役割、あるいはその連携について文部科学省はどのようにお考えになっているか、あるいは厚生労働省はどのようにお考えになっているか、お聞きしたいと思います。
○政府参考人(泉紳一郎君) 文部科学省といたしましても、大学生や高校生の奨学金事業というものは保護者の教育費の負担の軽減に資するという意味で、子育て支援としても重要であるというふうに認識しているところでございまして、これまでも大学につきましては独立行政法人の日本学生支援機構によります奨学金事業の充実を図ってまいっているところでございまして、これには有利子のものと無利子のものとございますけれども、近年では、この有利子、無利子、両方合わせまして貸与基準を満たす貸与の希望者のほぼ全員にこの奨学金を貸与することができているという状況でございます。
 また、高等学校におきましても、すべての都道府県において、経済的理由によって就学困難な高校生に対して奨学金事業が行われているところでございまして、平成十八年度予算におきましては、これらの奨学金事業に充当いたします予算といたしまして、事業費として対前年度比四百八十九億円増の七千九百九十九億円、貸与人数枠といたしましては対前年五万七千人増の百九万二千人の大学生、高校生等に奨学金を貸与できるように措置しているところでございます。
 今後とも、意欲と能力のある学生あるいは高校生が教育を受けられる機会が確保できるように奨学金事業の充実に努めてまいりたいというふうに考えております。
○政府参考人(北井久美子君) 各種世論調査において子育ての負担感の中で教育費の負担感が大きいということは承知をしておりますが、ただ、児童手当制度というのは基本的に、今、諸外国の例でも申し上げましたように、我が国もそうでございますが、子育ての経済的負担の軽減を主たる目的とする制度であると思っております。一方で、奨学金は教育費についての負担の軽減を目的とする、つまり、逆に言えば児童手当は教育費、学費そのものの支援、負担の軽減を直接目的とするものではないと思っております。
 児童手当制度の今後の在り方につきましては、多岐にわたる次世代育成支援策、総合的な検討の中で、税制であるとか企業の年功序列的な賃金体系あるいは家族手当がどうなるのかといったようなことの関係も踏まえて総合的に検討を進めていくことが必要ではないかというふうに考えております。
○渡辺孝男君 いろんなやり方で高校生あるいは大学生まで支援、そういう子供さんを持っていらっしゃる家庭に支援が行われるように十分検討していただきたいと思います。
 次のテーマに移りますけれども、次に医療の現場等で働く女性の支援についてお伺いをしたいと思います。
 医療の現場では女性が多く働いているわけですけれども、医療の現場での子育て支援策ですけれども、大体どの程度の女性の方々がそういう医療等の現場でお働きになっているのか、その数についてお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(松谷有希雄君) 医療現場で働いている女性の従業者ですけれども、代表的な女性医師、女性看護師の数について見ますと、平成十六年十二月三十一日現在におけます全国の病院又は診療所に従事している医師数は全体で二十五万人強となってございますが、そのうち女性の医師は四万二千四十人となっておりまして、医師全体に占めます割合でいいますと一六・四%程度となってございます。この割合は、近年増加をする傾向となってございます。また、平成十六年十二月三十一日現在におきまして病院又は診療所に従事する看護師及び准看護師の数は全国で九十九万強となってございますが、そのうち女性の看護師及び准看護師は九十四万二千七百三十九人でございまして、九五%を占めるということでございます。
○渡辺孝男君 かなり多くの女性の方が頑張っておられるということでありますけれども、医療分野での保育所の設置の現状と保育所設置に関する厚生労働省としての取組について、あるいは方針について川崎厚生労働大臣にお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(川崎二郎君) 医師、看護師等女性職員が多く働いている医療施設において院内保育所を設置することは、職員の離職防止、再就業の支援という観点からも有効であると考えており、地域の実情や利用者のニーズにおいて院内保育体制の整備充実を図っていく必要があると考えております。
 なお、病院内保育所運営事業として、従来、看護職員の勤務の特殊性、三交代制勤務、二十四時間体制にかんがみ、看護職員の児童を対象として病院内の保育所の運営費の一部を補助してきたところでございます。平成十四年度からは、女性医師等の医療従事者の児童についても補助対象として追加し、制度の充実を図っております。今後とも、その事業の趣旨が反映されるよう積極的に周知してまいりたいと考えております。
○渡辺孝男君 医療従事者も、勤務時間内に終わってその後のまたいろいろな仕事があるということで、どうしても勤務時間以後もお働きになっている方が多いわけです。そういう場合に、そういう保育所があって、しかも柔軟に保育時間等調整がいただけるようであれば、より以上女性の方も医療現場で長く働いていただけるのではないかと、そのように期待しておりますので、この点の保育所等の設置、充実に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、十八年度予算に盛り込まれました女性医師バンクの設立に向けての今後の取組について川崎厚生労働大臣にお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(川崎二郎君) 先ほどのお答えの中で一つだけ抜けておりました。院内保育を実施している数、二千八百八十二か所でございます。
 医師国家試験の合格者に占める女性の割合、今、約三分の一でございます。医療全般において女性医師が大きな役割を果たしております。こうした女性医師が出産や育児といったライフステージに対応して診療を継続できるようにすることは、国民に十分な医療を確保する上で重要な課題となっております。そのため、平成十八年度予算において、女性医師のライフステージに応じた就労を支援するための女性医師バンクの設立や講習会の実施を内容とする関係予算、約一億円でございますけれども、組ましていただいております。
 今後は、実施主体となる公的団体、まあ日本医師会になると思いますけれども、に運営を委託し、できるだけ速やかに女性医師バンクを設立するとともに、効果的な就労支援となるような実施主体として具体的な検討を行い、取組を進めてまいりたいと考えております。
○渡辺孝男君 医師国家試験合格する方の三分の一が女性というようなお話もございました。片や、産婦人科あるいは小児科のお医者さんが足りないということで女性の医師に対する期待も大きいわけで、こういう女性医師バンク等が有効に早く機能して、女性医師としてもしっかり現場で働いて子育ても両立できると、そういうシステムを早く立ち上げていただきたいと思います。
 それでは次に、子供の安全、安心について質問をさせていただきます。
 まず最初に、小学校までの子供の死亡事故発生の現状について厚生労働省にお伺いをいたします。
○政府参考人(北井久美子君) 年齢別に見ました子供の死因順位でございますが、一歳から十九歳までのどの年代見ましても、不慮の事故が第一位を占めているところでございます。
○渡辺孝男君 子供の事故、そういう意味では事故防止大変重要なわけですけれども、私も前にもいろいろ委員会でも質問をさせていただいたんですが、子供の事故防止のためには、やはり子供事故防止センターと、とにかく実際にどういうところで子供さんが事故に遭いやすいのか、おふろ場で事故に遭う場合にどう対応したらいいのか、あるいは小さな物を飲み込んでしまって気管に詰まってしまうとか、そういうものを実際に、お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん等が実感として分からないとなかなか事故防止にはならないということでありまして、そういう具体的なことを学ぶ場がそういう子供事故防止センターであるというふうに私は考えておりまして、そういうものをやはり保健所等に設置してもらうことが大事だと。
 そして、子供さん、例えば幼稚園とか保育園にいらっしゃるような、今回また四月からお入りになる方もいらっしゃると思うんですけれども、そういう場合に保護者の方々にそういう事故防止センター等を見ていただいて、こういうところに気を付けていけば子供さんの事故、場合によっては死亡という大変悲しい出来事になるわけですが、そういうものが防げるんじゃないかというふうに思っておりまして、この子供事故防止センター等の設置状況がどのようになっているのか、お伺いをしたいと思います。
○政府参考人(北井久美子君) 事故防止センターについての、そのセンターそのものについての全国的な数値の把握はしてございませんけれども、例えば石川県や京都市や、あるいは豊島区におきましては、事故防止センターあるいはそういうような仕組みでもって子供の事故防止に向けた周知啓発、それから研修、事故防止のための相談などを総合的に行っておられる取組が見られるところでございます。また、そこまでは行きませんけれども、各保健所や保健センター内におきまして、家庭内での事故の起きやすい場所をパネルなどで展示をいたしましたりして啓発をしている、啓発コーナーを設置しておられる保健所あるいは保健センターがかなりございます。
 厚生労働省といたしましては、厚生労働科学研究で取りまとめられました子供の事故予防のための市町村活動マニュアルの開発研究報告書を各自治体に参考資料としてお送りをしたり御紹介をしておりまして、こうした資料を基に各保健所、保健センターにおきます乳幼児健診の際の取組あるいは恒常的なセンターやあるいは啓発コーナーの設置、それから児童館や育児サークルにおいての研修といったようなことにつながっているというふうに考えております。
○渡辺孝男君 三月に取りまとめられました健やか親子21中間評価報告書でも、まだまだお父さん、お母さん等が子供さんの事故防止に対してそういう対策を実施している率というのは大変低いわけでありまして、一〇〇%を目指すということでございましたけれども、そういう意味では早くそういういろんな事故防止について学ぶ場を広げて、推進を広げていただくことが大切かと、そのように思っております。
 次に、それと関連しまして、災害共済給付制度について質問をさせていただきます。学校、幼稚園、保育所における災害共済給付制度での給付状況について質問をさせていただきます。文部科学省の方、よろしくお願いします。
○政府参考人(西阪昇君) お答えいたします。
 お尋ねの災害共済給付制度でございますが、学校の管理下における児童生徒等の負傷、疾病、障害、死亡などの災害に対して、医療費、障害見舞金、死亡見舞金の給付を行うことにより、学校教育の円滑な運営を図るための国、学校の設置者及び保護者による共済制度でございます。
 それぞれの給付内容といたしましては、医療費につきましては療養に要する費用の十分の四、障害見舞金につきましては、障害の程度により八十二万円から三千七百七十万円、死亡見舞金につきましては二千八百万円が給付されております。
 平成十六年度の給付状況でございますが、医療費につきましては約二百万件に対して総額約百六十九億円、障害見舞金につきましては五百二十八件に対して総額約十七億円、死亡見舞金につきましては九十二件に対して総額約十八億円が支払われているところでございます。
○渡辺孝男君 この災害共済給付制度ですけれども、保育所の児童までは対象になっているんですけれども、いわゆる認証保育所あるいは認可外保育所の子供さんたちが対象になっているのかどうか、文部科学省にお伺いをいたします。
○政府参考人(西阪昇君) この災害共済給付制度につきましては独立行政法人日本スポーツ振興センターが行っておりますが、この制度、その支給に当たりましては、学校の種別に応じまして、保護者及び学校の設置者に応分の負担を求めるとともに、この事業に要する経費につきまして国が財政的な支援も行っているところでございます。
 このため、対象とする施設につきましては、当該施設において児童生徒等の一定の適切な管理がなされているということが前提でございます。負担をいただいている関係者の負担の公平という目的からも、一定の基準を満たす施設であることが必要であるというふうに考えております。
 お尋ねの保育所につきましては、認可基準を満たした認可保育所のみを対象としているところでございます。
○渡辺孝男君 保育所、やはり多くの保護者の方々が保育所に子供さんを預けたいと。なかなか、認可保育所ばかりでなくて、認可外の保育所あるいはある都市では認証保育所というようなところに子供さんを預けているわけですね。そういうものもやはり災害共済給付制度の対象にしていただきたいというのが私の願いでありますし、また現場の方々の願いであります。
 なぜかというと、障害とか災害時の保障は出るんですけれども、乳幼児突然死症候群とか、そういう疾患でお亡くなりに、たまたま学校とか保育園とかで亡くなったというようなときには給付が出ないわけですね。そういう意味では、この災害共済給付制度というのは非常にすばらしい制度で、こういうものを、そういう保育所の認可保育所だけではなくて、ほかのたぐいの保育所にも対象を拡充していただければ多くの方々が利用できるのではないかと、そのように思っているわけです。
 今、文部科学省の方でも、あるいは厚生労働省と連携しながら、多様な類型の認定こども園の認定など、幼保連携型施設の設置促進の流れの中にございますので、こういう災害共済給付制度の対象拡大について御検討いただければと思うんですけれども、この点に関しまして文部科学省及び厚生労働中野副大臣の方にお伺いをしたいと思います。
○副大臣(中野清君) 渡辺委員の御質問にお答えしたいと思いますが、御承知のように、今国会に関連の法案として提出しておりますところの認定こども園につきましては、地域の実情に応じて選択が可能となるような多様な類型を認めまして、幼稚園や保育所以外にも、いわゆる認定外保育施設も地方裁量型として都道府県知事が認定を行えるようになっていると、これは今委員がおっしゃるとおりでございます。
 そういう中で、委員の御指摘の学校災害共済給付制度などの関連する諸制度につきましては、この今の認定外保育施設を含めたところの地方裁量型を含めまして、認定こども園をどのように扱うかは、各制度の趣旨、性格に応じて適切に判断すべきものと考えておりますが、私といたしましては、地域における子育てを支援する観点、またすべての子供を大切にするという観点から、委員の御指摘の問題意識についてはある程度理解はできておりますが、現在時点でこれをどうかと申し上げにくいんですけど、いろいろな角度から研究をさせていただいて、委員の御支援を賜り、御指導を賜りたいということで御理解願いたいと思います。
○政府参考人(西阪昇君) 先ほどのお答えとダブるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、この災害共済給付の共済制度につきましては、関係者に負担を一定程度いただいているということもございます。そのような負担の公平を図るというような観点から、やはり一定の基準を満たした施設が対象とするということが必要ではないかというふうに考えております。
 現在のところ、保育所につきましては、認可基準を満たした認可保育所が対象としているところでございまして、認可を受けていない保育所を幼稚園や認可を受けた保育所と同等に取り扱うのは、この制度の趣旨から考えるとなかなか困難ではないかというふうに考えております。
○渡辺孝男君 まあ、先ほども私の考えを述べさせていただきましたが、できればこの災害共済給付制度をそういう認可外の保育所等にも拡充していただければと思います。
 あと、今、最後に、警察によって捜査が行われている医療・福祉関係の三つの事件、グループホームの火災、そして福島県立大野病院における医療過誤の問題で医師法の第二十一条の改正の関係、そしてまた、射水市民病院での人工呼吸器の取り外し事件に関しての尊厳死の問題と、今日質問する予定にしておりましたけれども、ちょっと時間がないようですので、また次回にさせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
○委員長(山下英利君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(山下英利君) 速記を起こしてください。
    ─────────────
○委員長(山下英利君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う児童手当法等の一部を改正する法律案及び児童手当法の一部を改正する法律案の両案の審査のため、本日の委員会に川崎医療福祉大学教授・産経新聞客員論説委員岩渕勝好君、宮城県社会福祉協議会会長・前宮城県知事浅野史郎君、高浜市長森貞述君、高齢者運動連絡会事務局長篠崎次男君及びNPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ・関西理事中野冬美君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議はございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山下英利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(山下英利君) 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う児童手当法等の一部を改正する法律案及び児童手当法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、参考人から意見を聴取いたします。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ、当委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。
 参考人の皆様から忌憚のない御意見をお述べをいただきまして、両案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 次に、議事の進め方でございますが、まず、参考人の皆様からお一人十五分以内で順次御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。
 なお、参考人、質疑者とも発言は着席のままで結構です。
 それでは、まず岩渕参考人にお願いをいたします。岩渕参考人。
○参考人(岩渕勝好君) 岩渕でございます。
 元々新聞記者でございますので、やや厳しい言葉になることをお許しいただきたいと思います。それから、時間が限られておりますので、少し早口になりますので、それもお許しいただきたいと思います。
 まず申し上げたいのは、日本は次世代育成支援の対策がヨーロッパ諸国に比べて大きく立ち後れたということでございます。元々日本は人口が多過ぎる人口圧力がございまして、戦前から、戦時中は産めよ増やせよの時代があって、戦後団塊の世代のベビーブームがありまして、この三つが重なりまして一つのトラウマになって、日本の人口政策あるいは人口対策が非常に遅れてしまったという、残念ながらそういう現実がございます。いまだに人口が減った方がいいと言っているいわゆる有識者もございまして、何をか言わんやという感じでございます。
 そういうことから、日本の団塊の世代のベビーブームというのはわずか三年、第二次ベビーブーム、団塊ジュニアの場合は四年、それで第三次ベビーブームはついに幻に終わってしまったというような状況でございます。
 日本は、少産少死の先進国型に人口転換をいたしまして、人口ボーナスという言葉がございますが、昭和三十年以降の高度成長、バブルの時代まで実は人口ボーナスが続きまして、その間は子供の養育負担が少なくて、しかも高齢者の扶養負担も少ないという、そういう大変に幸せな時期がありましたけれども、本来はその間にきちんとした対策を講じておくべきところを、政治及び行政の怠慢からそれを全くなしてこなかったということが今日の厳しい事態につながっているということをまずもって指摘しなければなりません。
 それで、初めてその危機が語られました一・五七ショックの際も、時の橋本龍太郎大蔵大臣が、女性の高学歴化と社会進出の影響を研究してほしいという趣旨の発言をなさいましたら、これに女性の方々が大変に反発なさいまして、国が出産に介入しようとするのかというような形でございました。一方では、周辺諸国は、もう外交カードとして当然ながら、日本は人口を増やしてまた侵略してくるのではないかというふうな牽制をいたします。それに対して、お先棒担ぎの一部マスコミが国を批判するような論調を展開した結果、大変に世論がおかしくなってきてしまったということが言えます。
 一方、例えば、財政当局の方は、社会保障制度が充実すれば少子化が進むのはこれは当たり前ということで、全く何をやっても無駄だという姿勢でございました。一方、またその中高年の皆様は、子供を育てるのは親の当然の責務だということで、お上に頼るということはとんでもないということもありまして、ほとんどこの子育てに対する理解というのはありませんでした。なお言えば、行政は予算の分捕り合戦をやりながら、しかも圧力がない分野については新たな施策はやりたがらない。一方、政治家は、選挙権のない子供及び投票に行かない子育て世代に対してはほとんどむとんちゃくでございました。
 そのようなことで、四面楚歌どころか六面楚歌か七面楚歌ぐらいの感じで、全く最初は理解が進まなかったというのが現実でございます。ただ、そうした中で、エンゼルプラン、新エンゼルプランと、細々と国が子育て支援を展開してきたということでございます。
 最近になりまして、その今までの国の政策が間違っていた、あるいはもう全く役に立たなかったという言い方をなさるいわゆる有識者の方も増えておりますけれども、こういったような人たちを私、長い間見ておりますけれども、ほとんどそれまでは、かつては子育て支援の足を引っ張ってきた人たちが多い、残念ながら、ということでございます。自分のこの間違いをごまかすためといいますか正当化するために、今、過去の行政を批判しているとしか言いようがありません。
 それから、少子化対策といいますのはありとあらゆる手段を導入しなければ、動員しなければならないということは言うまでもありません。まだまだメニューが足りません。最大のポイントは、若い世代の雇用を確保すること、これに尽きます。まずこれができない限り、少子化対策というのは実効性を上げられないと言っても過言ではないというふうに私は思っております。
 厚生労働省の調査、最近出た調査では、正社員とフリーターの結婚の確率は三倍の格差がございます。夫が家計を支えるという社会規範が今でも生きておりますので、本人も含めて経済力がないと結婚が難しいという先入観がございます。でありますので、是非その雇用の安定、なお言えば、私どもの世代というのは、給料が安い会社でもこつこつと努力していれば終身雇用、年功序列で、いずれは子供を大学までやれるという、そういう時代でございましたけれども、今の若い世代にとってみると、そういったような先行きの展望は全くありません。雇用不安とその経済力の弱体化というのは目を覆わんばかりでございます。
 でありますので、若者の雇用を促進する強力な措置法を作っていただきたい、立法措置を、これは是非お願いします。今、いろんな法律を寄せ集めながら一生懸命やっているようでございますけれども、もっと、なお言えば、高齢者の雇用については今まで様々な対策を講じてお金もつぎ込んできましたけれども、若者にもっとたくさんのお金をつぎ込まないと、これはどうにもならない。私どものような中高年世代をもう引退させても一向に構いませんので、若い世代をもう少し大事にしてやっていただきたいというふうに思います。
 それから、その関連で申し上げますと、地域における子育て支援の条件というのは、一に雇用、それから二に住宅、三に保育、四に医療、五に協力、協力というのは地域力と言ってもいいんですが、家族と友人、近所、こういった方々の協力が必要だということであります。
 私どもの研究班で取り上げました兵庫県淡路島の五色町というところは、昔の町長が偉かったので、この五つの条件を全部そろえました。その結果、出生率も上がって人口も増えました。ただし、問題もございまして、この五色町に周辺の町村からどんどん若い夫婦が集まってきたんですね。そうすると、周りの町村にとってみるとえらいはた迷惑な話でございまして、吸い取られてしまうという、そういう状況も残念ながら出てきます。
 でございますので、単独の市町村がいい政策をやれば済むという話では全くございません。でありますので、都道府県あるいは地方レベルの広域的な対応がもちろん必要になってくるということでございます。
 その意味で、九州地方知事会が来年度から共同で取り組む予定の子育て支援の店推進事業、これは大きな効果が期待できるというふうに思っております。取りあえず福岡、佐賀、長崎、熊本、大分で始めるようですが、子連れの客には料金を割引するという非常に単純なシステムでございまして、県は家庭に優しい企業とか店をPRしていくという、そういう仕組みでございます。既にもう奈良県がやっておりますし、石川県も始めております。それで地域の子育て支援のムードが非常に盛り上がっている。そういうことも含めていいますと、地域のムードづくりにはもう非常にうってつけでありますので、これを早く全国レベルに広げていきたいというふうに念願しております。
 それから、地域の子育て支援というのは、もう首長のやる気次第、もうこれに尽きます。奈良県とか福岡県では知事のリーダーシップで若い男女の出会いの場もつくっております。今までは一部の偏向した新聞にかみつかれるのではないかというふうにおびえていた行政が、知事の叱咤激励を受けて、やっと目が覚めていろいろな取組を始めているというところでございます。
 一方では、企業も様変わりしております。大手電機メーカーの労働組合がこの春闘で三歳までの育児休業を要求したら、経営側の回答は、それどころか小学校へ入るまでは認めてやるというような、要するに要求以上の回答というのが続出しております。つまり、仕事と生活のバランスを見直して、多様な働き方を容認する動きが非常に活発になっているということでありまして、このファミリー・フレンドリーな企業、その系譜を見ますと、第一世代がIBMなどの外資系企業、それからベネッセのような先進的なオーナー企業。それから第二世代として女性社員の多い資生堂、それから台所用品メーカーの花王、こういったようなところ。そして、今現在の第三世代。主婦が商品の選択権を握っている家庭電機メーカー、ソニー、東芝、松下が今年度のファミリー・フレンドリー企業の表彰を三社同時に受賞いたしました。これは決して偶然でも横並びでもありません。それだけの実績を上げているからでございます。それから、この後続いているのが第四世代の重厚長大産業、それから先進的な中小企業。それから、第五世代として落ちこぼれている大企業、それから中小企業という順番に、少しずつ日本の経営者の意識もどんどん変わってきておりますので、これから先かなり期待できるというふうに思います。でありますので、中小企業のいわゆる行動計画の策定ということもできるだけ早く義務化していく必要があるというふうに申し上げておきたいと思います。
 で、最後に残るのはやっぱり家庭における夫の意識でございまして、家事分担をする夫は先進国の中では日本が極端に少ないのは皆様御存じのとおりでございます。それでも最近は少しずつ増えてきたということでございますので、これから先、請う御期待というところでございます。
 これまでの政策が不十分だったということは言うまでもありません。その象徴が児童手当でございまして、小さく産んで大きく育てると言いながら、時々の財政事情に翻弄されて、改正、改正また改正で全く前に進まず、堂々めぐりを繰り返してまいりました。国会の堂々めぐりは多少前に進むんですが、こちらの方は単に目先を変えるだけでございまして、朝令暮改手当あるいは朝三暮四手当あるいはスズメの涙の縄のれん手当などとやゆしてまいりましたけれども、その意味でも近年のこの拡大というのは高く評価できるところでございます。
 児童手当は効果がないという批判もあります。それはスズメの涙、天井から目薬のような金額だからでございまして、出生率が回復するほど金も使いもせずに効果がないというのは一種の言い掛かりでございます。でありますので、効果はあります。効果はありますが、日本の場合のこの金額では下支え効果しかありません。つまり、出生率を回復させるのではなく、落ち方を緩和する下支え効果でございまして、手当があるから産もうとする人はおりませんけれども、手当がなかったらもう少し落ち方は激しかったかなというふうに思います。
 それから、日本より対策が非常に遅れた韓国、台湾が今や日本よりはるか下に突き抜けて底割れしておるというのも、これもやっぱり今までのその政策が多少なりとも効果があったということの証左ではないかなというふうに私は思っております。
 それから、現金給付はばらまき福祉だという批判もないわけではありませんけれども、お金の好きな人ほどお金を唾棄、表向き唾棄する傾向があるということも私は長い人生経験から学んでおります。でありますので、そういうことも余りとんちゃくせず、役人が現金給付を嫌うのも、大体現物給付でないとなかなか自分たちの仕事が少なくなってしまうという、そういった面もあるのではないかなというふうに私は思っております。
 で、申し上げておきたいのは、三十代の世帯というのは六十代の世帯よりも収入、所得が少のうございます。で、二十九歳以下は七十歳以上よりも更に所得が少ないという、この現実でございます。住宅ローンも教育費もかさんでいる子育て世代の所得が低いのですから、子供を産みたくても産めるはずがありません。初任給より年金の方が高いというのは世代間の一種の不公平ではないかなというふうに思います。もう一つは世代内の不公平でありまして、ディンクスが人生を楽しんで貯蓄して年金を二人分もらって、それも他人が育てた次世代が負担するわけでございますので、こうした世代間の不公平及び世代内の不公平というのをどういうふうに解決していくか。
 その解決する一つの手段がこの経済的な次世代育成支援でございます。ただし、どういう経済的な支援が効果があるかという、公平で公正かという問題はあります。検討中のそのN分N乗方式と言われるものは、税制の抜本的な改正を伴いますので時間が掛かります。税額控除方式については児童手当より効果があると言われていますけれども、逆進性を問題にする意見も強うございます。でありますので、現実的な選択としては、現行の児童手当と扶養控除の組合せで更に拡大して充実させていく方法が最も現実的な方法ではないかなというふうに思います。
 所得控除方式は、子供のいない人を含めて国民の抵抗が比較的少ないというメリットがございます。何しろ時間の勝負でございます。既に団塊ジュニア世代の一番下の若い人たちも三十二歳、今年は三十二歳に達しますので、もう少しピッチを上げて取り組んでいただきたいというふうにお願い申し上げたいと思います。
 その上で、育児保険の導入も推進すべきだというふうに思っております。世代間と世代内の不公平を是正する切り札になるのがこの育児保険ではないかなというふうに思っております。財源の問題につきましては、消費税も組み込んで、老いも若きも少しずつ負担して日本の将来、国の希望を育てていくことを訴えるべきだと思います。
 既に、ドイツ、イタリアは出生率の低下が底入れいたしました。いったん落ちたスウェーデンもどんどん上がっております。日本は夜明け前の今一番暗い時期でございますけれども、人口減少時代に入ったことで国民の意識も大きく変わってきております。子育て支援の足を引っ張る勢力、抵抗勢力は消えつつあります。というよりも、宗旨替えをしていると言っても過言ではありません。思い切った政策を打ち出してももう変な反対論は出てまいりませんので、ひとつ国会の皆様もどんどん打ち出していただきたいと思います。
 OECDは、日本が待機児童をゼロにして、子育て中の親とディンクスの負担格差をなくせば、合計特殊出生率は二・〇まで回復するというふうに指摘しております。こうした努力を地道に重ねていけば、多分五年後には日本も出生率が回復に向かうのではないかと私は思っております。
 以上です。
○委員長(山下英利君) ありがとうございました。
 次に、浅野参考人にお願いいたします。浅野参考人。
○参考人(浅野史郎君) 浅野史郎でございます。
 今日はこうやって参考人としてお呼びいただきまして、誠にありがとうございます。発言したいことがたくさんございまして、大してないんですけれども、厳しく言いたいということがあってそういう場を探していたんですが、ちょうど格好の場を得ることができました。
 今回のような改正は全く評価できません。こういうことをやっちゃいけません。罪深い改正だと思います。言っておりますのは、国庫負担率の引下げの問題ですね。
 で、私は宮城県知事、三期十二年やりまして、昨年十一月の二十日、無事卒業いたしましたが、その直後にこの案が出てきたんですね、政府案として。それは三位一体改革ということで、我々知事として心血を注いで期待をし、小泉内閣の構造改革の二つの柱のもう一つと、官から民へのもう一つで国から地方へと、これが実現するんだと。三兆円の税源移譲という三兆円という額、その数値目標も小泉総理自身が出したんですね。そして、それに伴う補助金、負担金の廃止のリストを出しなさいと、地方に出しなさいと。二年半前の新潟の知事会議、深夜に及ぶ知事会議で百五十項目に及ぶ三兆二千億の税源移譲、補助金、負担金の廃止。これは補助金、負担金を削るんじゃないんですよ。補助金、負担金付きの施策を施策ごと廃止をするということなんですが、ということをやりました。大いに期待していたわけですね。霞が関はどうせ反対するということは読み込み済みですが、当の御一人、小泉総理大臣がやるんだと言うならこれは夜明けが見えたという期待を持ちながら、我々も最大限の協力をし、そしてこの実現を夢見てやってきたわけです。その結果がこうですかということで、私、本当にがっくりきていますし、怒っております。で、私も厚生省出身でございまして、後輩の面々はここに、ちょっと後ろにしかいないんですけれども、言いたいこともたくさんございますが。
 これはやっぱり三位一体改革の趣旨からいって全く外れているということで、特に地方側の立場から大変厳しい見方をせざるを得ないと思います。さっき申し上げた新潟での知事会議、これで百五十項目の補助金、負担金の廃止リストを出しました。その際にまとめた地方案というのがありましたが、そこに明確に書かれているんですよ、単なる負担率の引下げというのはやるべきではないと。それは三位一体改革の趣旨に全く合わない、地方の裁量を増やすものでもありませんので負担率の引下げというのはこれは受け入れられませんということを明確に申し上げていたわけですね。それをやられてしまいました。義務教育の国庫負担も二分の一から三分の一に突然出てきたということもありますけれども、これもまた突然に出されてきたわけです。
 で、参考人ではございますけれども、むしろ質問をしたいんですね、三項目。
 一項目は負担率の問題です。児童手当、国が二で地方が一ですよね。国が二倍負担しているわけです。これはそれなりの理由があるはずですね。児童扶養手当についても国が三、地方が一ですね。半々じゃないんですね。これは多分制度をつくるときに財務省当局からもいろいろ言われるはずなんです、何でそんなに国が負担するんだと。それについてはこうこうこういう訳で児童手当は特別なんですと、これは半々じゃないんですと。児童扶養手当もしかり。口角泡を飛ばす議論の中でそういうふうに言ってきているはずなんですね、厚生労働省としては。審議会の審議も行われてきて、そしてこういうふうな負担率に決まったわけですよ。その理屈は一体どこに行ったんでしょうかということ、まあ今回のその理屈はどこに飛んでいったんでしょうかということがまず一点目あります。
 二点目は、同じことですけれども、こんなに大きく変えたんですね、負担率、その今のようにちゃんとした理屈があって。だとすれば、しかるべき議論がされていなければならないと思います。審議会における議論をされたんでしょうか、有識者の意見は聴取されたんでしょうか、今回の改正をするに当たって。それは三位一体改革に引きずられてというのは理由にならないと思います。その児童手当なら児童手当、児童扶養手当なら児童扶養手当の制度の在り方という問題の中で制度が積み上げられてきて、実績もあるわけですから、それを大きく変えるという際には当然そういった検討がなされてしかるべきで、普通はこれ審議会ものですね。で、大いに議論されてやられるわけですが、そういった議論の跡付けというのは一体どこにあるんでしょうかということ、私、分からないのでちょっと聞きたいなというふうに思います。
 で、三点目は、これちょっと置いときます。
 で、質問ではなくて、児童手当法と児童扶養手当法、両方一緒に出ていますね、負担率の改正ということで。これは議論を分かりやすくするためにあえて申しますと、児童手当法の改正が何倍か罪深いです。どういうことかというと、まず一つには、児童扶養手当については実は三位一体改革を進めているときに政府側のカウンター案として生活保護の問題と児童扶養手当というのは議論に上がっていました。まあ我々も地方側としては来るな来るなという思いはあったんですけれども、児童手当についてはそういった痕跡も認められません。正に唐突に出てきたということ、これが罪深さの一つですね。
 二つ目は、これは百歩譲ってということになる、百二十歩ぐらい譲ってということになるんですが、児童扶養手当について、児童扶養手当の負担率の改正。つまり、地方側に多く持たせるというのは多分こういう論理でしょう。生活保護と同じように、児童扶養手当ということを認定をするということについて、実施側の地方側でちゃんと正確にやらなきゃ駄目だよと、甘くしちゃ駄目だよというために負担を多く持たせるというのは、こんな論理は本当は認めないんですけれども、百二十歩譲ったらそういうことがありますよね。
 それから、児童扶養手当の受給対象から脱皮するために、例えば再婚をするとか、また収入を多く得るようにするとか、いろいろそういう方策について地方が努力する余地はありますので、そういう意味ではその負担率を上げることによってというのもまあ分からないことはない。
 児童手当にはそういうものあるでしょうか。児童手当を、その認定もらえるかもらえないかというのは、子供何人いるか、何歳かということで、これは外形的にもう判断の余地なく決まってきます。ですから、例えば言われたように、地方が少し甘く認定したり、それからそういう受給者に対する措置を十分にやらないがためにその支給が増えてしまうとかという事情は児童手当においては全くありません。むしろ、今お話があったように、子供を産めばむしろ増えていくと。それが児童手当の目的なんですから、児童扶養手当とはちょっと逆方向に動いていきますね。したがって、そういったものについて負担率を上げるというのは一体、全く理屈にならないと思います。
 三点目は、これは最も罪深いと思うんですが、今回の児童手当の改正と同時に支給の改善が行われていますよね。支給の改善に何で文句言うんだと言うけれども、やっぱり文句言いますよ。なぜかといえば負担率が変わったからです。今までは二対一で国の方が多く持っていましたね。だから、言わばイニシアチブというか主導権は国にあってもしようがないんですよ。今度逆転して、国が一、地方が二になりましたね。それで、その瞬間に改善をするというんですよ。
 例えて言えば、食事に行こうと、割り勘というか、その負担割合はおれが誘うんだから国が二倍持つよというふうに言ったと。しかし、今度は改善ですから、もうちょっといいランクの店に行こうと。誘っておいて払いのときだけ、いや、地方は二倍だよと。これはないでしょうということなので、児童手当の方が罪深いというのは、ちょっと誤解されると困りますけれども、改正はいいんですよ、だけど、それと地方の負担を倍にするというのがセットだったら地方は黙っていられないんですよ、これ。
 最後の点について言えば、児童手当も児童扶養手当も同じです。同じですが、それは今度は、今までもそうなんですけれども、負担率は地方の方が高いんだとすれば、高いんですから、どういうふうにその制度をいじくるかということについて少なくとも地方の意見を聞かなければならないと。今回聞かれましたでしょうか、こういう改善をするということについて、金を倍持つところに。
 実は、この国会の審議権の問題というか、立法権の問題にもかかわってくると思います。宮城県議会と国会とどっちがこの問題について優位に立つのかということです。だって、こっち負担二倍しているんですから。その制度について、改善にしろ改悪にしろ、制度の内容をいじるというときに、国会の立法だけでこれぽんと決まってしまうというのはいかがなものだろうかという、これは制度の内容そのものというよりは国と地方との関係一点に尽きますけれども、そういう経過から言うと、今回の改正については三位一体改革の名に値しないということが一つと、またそれと同根でありますが、今回の改正について地方は相談にあずかっておりません。これはやっぱり相当にひどいことではないかと思っております。
 こうやって法律改正できてしまうんでしょう。できてしまうんでしょうが、次について、先にこれ要望ということで申し上げておけば、次からはこういうことはやめてくださいと。つまり、こういう、今度こういう負担率になっているんですから、当然ながら地方とぎりぎりの、御意見を聞くなんというんじゃなくて、地方とぎりぎりに相談ずくでなければ法案も出せないはずです。これは意見を聞くようにしますという紳士協定の問題ではなくて、ルールの問題ですね。ルールの問題としてそういう手続というのをしっかりとやらなければ、一体地方というのは何でしょうか、国に対して。こういった制度の改正について、何度も言うようですけれども、負担は二倍にしておいて制度は国会で一方的に決められてしまうということになったらば、これはもう三位一体改革で実現しようとしていたことの百八十度違う方向で決まってしまう。
 これは、私は最初からちょっとボルテージ高く反対ですと申し上げたのは、悪例をつくります、これは。だから、こんな法律は本当にやめてもらいたいと、こんな改正はということを、今ごろになってでございますけれども、何しろ私が知事辞めてから出てきた案でございますのでちょっと申し上げたいと。
 最初にも申し上げましたが、そういった悪態をつく機会をここで得ることができたことを心から感謝をしながら、今後ともの皆様の良識に期待をしつつ発言を終わります。
 ありがとうございました。
○委員長(山下英利君) ありがとうございました。
 次に、森参考人にお願いいたします。森参考人。
○参考人(森貞述君) 愛知県の高浜市長の森でございます。
 今日、このような機会を与えていただきまして誠にありがとうございました。
 私の方から、三位一体改革の問題と、そして高齢者介護あるいは障害者自立支援ということ、そして併せて、今皆様方の問題になっております少子化対策、次世代育成支援のことにつきまして、現場を預かります首長の立場から皆様方にお話をさせていただきたいというふうに思います。
 まずもって、愛知県高浜市という町がどういう町であるか、委員の皆様方には御想像が付かないと思いますが、皆様方のおうちの屋根がわらの全国のシェアの六〇%を持っている、いわゆるかわらの町でございます。あわせて、私どもの周辺、輸送用機器関連を含めたそういうような産業の盛んな町でございまして、たまたま全国的な今、何と申しますか、有効求人倍率、ようやく一・〇を超したと言っておりますときに、私ども刈谷ハローワークの管内では二・四五という大変高いいわゆる有効求人倍率を持っております。
 そういう中で、私ども、おかげさまで平成十二年、二〇〇〇年の国調と昨年、二〇〇五年の国調、この間で人口が八・五%の増ということで、しかも輸送用機器関連の若い世代の方たちがいわゆる工場間の、いろんな意味で通勤等を含めたそういうことで居を構えていただく。そんなようなことで若年の方たちが増え、合計特殊出生率と申しますか、これは私ども愛知県の中で三番目から四番目、一・六見当を推移をいたしております。大変そういう意味では恵まれた地域でございます。
 今回のこの三位一体改革につきまして、私ども、お預かりする現場からでございますけれども、いろんな意味で私どもがこの十八年度、つい先日議会が終了いたしまして、百十四億円のうちで、一般会計予算規模百十四億円のうちで八千万、これが減収になりました。百分率で申し上げますと〇・七%の影響額。
 確かにいろんな意味できついことはきついんですけれども、ではこれをどのように吸収をしていくか。これはある面では、先ほどどなたかの御発言にもございましたように、それぞれお預かりする自治体にとっていかにして自治体経営をやっていくか、この手腕が私どもに試されておると。ある面では、地方分権という大きな流れの中で、私どもは自立した基礎自治体としてどのようにやはり市政を経営していくかと。そういう視点の中で、私どもはいかにして知恵を出して汗を流していくか、これに、私どもはある面では力量を問われておるというふうに感じております。
 そこで、私どもは、どのように今まで町づくりを進めてきたか。それは私どもは、皆様方も御案内だと思いますけれども、二〇〇〇年の四月に介護保険法が施行されました。その前段階を含めまして、いかにして地域の中で人材をつくっていくかということでございます。これはもちろんホームヘルパーの問題もそうでございますし、あるいはそれぞれの子育て支援のサポーターをつくるとか、いろんなような地域に人材をつくっていくこと、これによって将来を見据えた町づくりをしていこうという考え方でやってまいりました。
 そういう中で、大きな私どもにとってのいわゆるターニングポイントというものは地域福祉計画でございます。
 地域福祉計画というものは、いわゆる地域の高齢、障害、子供を含めたいろんなものを総合的にどのようにして町づくりという観点の中でこれを進めていくかというようなことで、この平成十三年度、十四年度、二か年にわたりましてこの地域福祉計画を策定に、小学校一年生から八十五歳までの百四十六人の市民の皆様方が御参加をいただきました。ある面では、これからの子供たちがこの地域を担っていくという視点の中でそこまで拡大をして、いろいろと議論をしていただきました。
 そういう中で一つ分かってきたことは、いわゆる制度的なサービス、これはフォーマルサービスと言ってもいいと思います。それ以外にやはりインフォーマルなサービス、これは、例えばNPOもそうでしょうし、あるいはまた地域住民もそうでしょう、いわゆる互助型の。こういうものを含めて、地域の中でインフォーマルなサービスをどのように生み出していくか。これによって私は、フォーマルサービスだけでは見えない、あるいは担えない、こういう地域社会の新たな役割がそこで見えてきたんではないかというふうに思います。
 ある面では、これは、この地域福祉計画は私どもにとりまして、地域が見えたというふうに私は表現をしておりますけれども、このようなことを通じまして、地域におけるある面では昔からあった互助的な助け合い文化の再生、地域共生、助け合いを含めた、こういうことが、ある面では厳しい時代の中での基礎自治体がこれから担わなければいけない、そういう考え方だというふうに思っております。
 昨年ですか、第二十七次地方制度調査会の答申にもございましたように、分権型社会において、自己決定と自己責任の原則が実現されるという観点から、団体自治ばかりではなく、住民自治が重視されなければなりませんという文言がございます。私どもは、地域共生と住民自治という、それを同様のものととらえまして町づくりの基本とし、これを各種施策に展開をしてまいりました。とりわけ、今から申し上げます高齢者介護、障害者自立支援、少子化、次世代育成支援と、こういう分野について申し上げたいと思います。
 まず、私どもの高齢者介護でございますが、二〇〇〇年四月のスタートのときに、恐らく全国でも珍しい、いわゆる条例を作りました。普通でいきますと、何々市何々町介護保険条例というのが通説だと思います。私どもは、高浜市介護保険・介護予防の総合的な推進に関する条例ということで、そのときから介護予防という視点を入れました。今回、昨年の介護保険法の改正の中に、いわゆる介護予防に積極的に取り組む、重視のそういう施策が打ち出されました。あるいは、私ども市町村にとって、保険者を重視した地域密着型、こういうようなサービスを地域でということは、地域で担っていく、そういうサービスが求められているというふうな考え方でございます。
 そういう意味で、私どもが当初から取り組んでまいりました介護予防、それには介護予防の拠点施設でございます宅老所、こういうところではヘルパーの養成研修をされた方たちを含めた、今三十グループ、約四百三十人のボランティアの方たちが直接的に、行政が決めたんではなく、自分たちで決めたルールに基づいて宅老所の運営をしておっていただきます。
 とかく私ども自治体は、養成をしました、それで終わってしまいます。しかし、養成をした人たちがどのように地域の中で、それが活動する場を設けるか、あるいは活動していただくか、こういうことがあって初めて私は成果が得られるんではないかというふうに思っております。
 ちなみに、このように、例えば宅老所を含めた、積極的にかかわっていただく、そういう方たちで介護予防等の事業の利用者、これは平成十五年度の国民健康保険のデータベースで申し上げますと、利用者六百十一人の医療費の分析をいたしますと、利用者の平均が七十一・六歳、その医療費三十五万四千五百六円。これに対して、同年齢の市全体の平均の医療費は四十八万二千六百二円という状況でございます。約七割ということで、いかに介護予防が大事であるかということが、私どもはある面ではこれは実際の検証の中で分かりました。
 そういう点で、これからもこの介護保険法は予防重視型のシステムとして、そしていろんな意味で地域の高齢者、これを支えていくそういうシステムとして大きな役割を果たすんではないかというふうに思います。
 そういう中で、私どもは国に期待をさせていただくこと、特にお願いをしたいことは、高齢者介護において介護保険制度の国庫補助金である調整交付金の五%、このことにつきましては、確かに後期高齢者の人数的な問題、いろいろそれによって全国的な調整をされておりますけれども、全国市長会を始め各団体におきまして、このことについて是非とも御理解をいただきたいということでかねてからお願いをしております。
 次に、障害者自立支援のことにつきまして申し上げさしていただきます。
 とりわけ、この問題につきましては、今回の私は法律の制定の中で、支援費から制度から新たに変わるということの中で、私ども現場として一番大事にしておりますことは、いわゆる就労とそして住まいだというふうに考えております。
 そこで、私どもこの三月議会に商工会、市の商工会の方から、障害者雇用について積極的に取り組もうと、あるいは自分たちと一緒になって取り組んでいきたいというそういう陳情が出されまして、採択をされました。いろんな意味で、やはり地域の商工業団体がそういう意識を持っていただくこと、これが私は障害者の雇用を一歩進めていく上で、残念ながら私どもは市内の事業者のいわゆる障害者の雇用の率は一・二六ということでまだまだ少のうございます。しかし、やはりこのような法律の制定のきっかけによって、地域のいろいろな団体の方たちがそのように意欲を持って、同時にまたこれは、私どももこの新年度の中で企業体験実習手当金制度という市の単独事業を創設をしました。ある面ではこのようにして就労をいかにして促していくか。それは、ある面では地域の中で障害者の方が自立して生活していく大きな一歩であると。それなくして、やはり施設から地域へということはなかなか難しいと。
 そしてあわせて、やはりもう一つは住宅のことでございます。そういう中で、一つには、今私どもは愛知県の県の住宅の空いているところに対して、これに対して是非いわゆる空き家をこのようなグループホームに、障害者のグループホームに活用できないか。あるいは、私どもかつて産炭地から、いわゆる炭鉱離職者の方たちが私どもにいわゆる雇用促進住宅として制度を設けまして、そういう中でも空いておる住宅がございます。こういう、ある面では地域にある社会的資源、こういうものを活用することによって障害者の方たちが自立をしていく一歩、いわゆる住まいというものがいろんな意味で大きな役割を果たすんだと。それと同時に就労があれば、私はかつてのいわゆる収容型から地域の中でともに、あるいは時には高齢者と、あるいは子供と一緒に共生できる、そういう地域社会ができるんではないかというふうに考えております。
 そういう中で、是非とも雇用促進住宅等を含めたいろんな意味で国の制度のお持ちのそういう住宅に対しても、いろんな意味で御理解をいただく、そういうことが地域へということにつながるんではないかというふうに思います。
 そしてあわせて、その就労に関しましては、やはり私ども身近にございますハローワークというものがやはり大きな意味合いを持っております。そういう中でのネットワーク、こういうものがあって初めて安心していわゆる相談、そしてあるときにはいわゆる見習的なことを含めた、いわゆるジョブトレーニングを含めた、そういうことができるんだというふうに考えております。
 最後に、少子化対策次世代育成支援のことにつきましてお話を申し上げていきます。
 先ほども地域福祉計画のお話をさせていただきました。その中で、子供たちのグループが自分たちで子供の権利について考え、実際に行動しますというテーマの下に、私ども、たかはま子ども市民憲章を策定をし、子供たち自分自身の言葉でそれを作りました。その中に、一つの言葉の事例を申し上げます。むかつくという言葉をこの憲章の中で使っております。普通でいきますと、このような憲章というのはもっときれいな言葉でと。しかし、やはり子供たちが自分たちで考えた。それを私は子供たちが地域社会の中で自立をしていく大きな一歩であるというふうに思います。
 そういう点で、そしてまた彼らは、やはり今、中学、高校生の居場所づくりというのは大変大きな問題でございます。そういう中で、国の地域再生の計画の認定を受けまして、勤労青少年ホーム、ここの活用をどうにかできないかと。彼らが将来の有意な社会人、就労人になるという、職業人になるという観点の中で、この認定をいただきまして、勤労青少年ホームの一部を改装して、バンドができる防音室とインターネットの環境を整備したハウス、バコハという自分たちでネーミングをしました。そういうようなものをつくって、今、自分たち、当事者の自己責任において運営をしております。昨今、そこに、いわゆる退職を迎える大人の方たちが、かつてのグループサウンズじゃございませんが、そんなようなことで御利用される。ともに、そこにもやはり共生という、そういう考え方が出ておるというふうに思います。
 最後になりましたが、私ども、人口が急増しております。そういう中で、特にやはり就労をするそういう女性の方たち、この支援の問題というのは大変大きな問題でございます。そういう中で、やはり保育所の整備というものが、特にハード的な事業として求められております。
 そういう中で、私どもは、保育所の民間委託あるいは民間保育所の誘致など実施をしてまいっておりますが、保育所の施設整備補助に係るハード交付金というものが現行では二か年の継続補助となっております。そうしますと、二年目の交付金というものが大丈夫だろうかというような心配というのは当然現場サイドでは起こっております。そういう点で、いろいろとまた工夫をしていただくような手だてがあればと。
 そして、もう一つこれは、実は、特に児童クラブの問題でございますが、これは、まだいわゆる特別会計の事業でございますので、県費補助事業ということに児童クラブはなっております。そうしますと、県の予算が付かなければ国からの補助対象にはならないということでございます。
 私ども、先ほど申しましたように、働く女性の方たち、そうすると子供の安全、安心のために児童クラブというのは大変大きな意味合いを持っております。そういう中で、これは、せっかく交付金ということの制度ができました。確かに、私どもこれは、地方にとりましては使い勝手のいい、そういうものでございます。しかし、別の補助事業というものがそこにかみ合わされますと、段階を踏んでいきますと、それは県を通らなければここまで、国まで上がってきません。こういう問題というのは、ある面ではもっと使いやすい、そういうことにしていただくようなことができれば、ある面では、たまたま私どもは人口急増地域というようなこともあるかもしれません。しかし、それによって就労をしていく、そして子供たちが安心して地域の中で生活する、そういうことが大事ではないかと。
 いよいよ二〇〇七年問題が到来いたします。そういう中で、私どもは、この皆さん方の大きな知恵と能力を地域の中でということで、今現在、私どもは、地域内分権と申しまして、各小学校区にまちづくり協議会の設置に向けて努力をさせていただいております。二〇〇三年、試行的に進めました。今一つ立ち上がりました。
 そして、私どもは、そこに権限と財源を下ろして、そして地域の問題は自分たちの地域で解決をしていく。そういう中で、例えば公園管理あるいは子育てあるいは介護予防、こういういろんな事業を今地域で取り組んでいただいています。こういうことによって、これから地域はともに共生をする、そういう町づくりができればというようなことを思いました。
 今日、このような機会を与えていただきましたことで、日ごろ私どもが取り組んでいる一端と併せて、是非とも議員の皆様方に、今地方は、それぞれ苦しい中でも一生懸命知恵と汗を流しながら地域の住民の皆様方の福祉向上に取り組んでおるということの一端を述べさせていただきまして、終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○委員長(山下英利君) ありがとうございました。
 次に、篠崎参考人にお願いをいたします。篠崎参考人。
○参考人(篠崎次男君) 篠崎です。
 私は、長い間、日本生活協同組合連合会というところで医療や福祉の事業の事務局を担当してきておりますが、現在、七十二歳で無職で、いわゆる年金生活を送っております。ただ、日本高齢者大会の実行委員会ですとか、国連に登録されているNGO組織の事務局をボランティアで担っております。そんな立場から今回の法案に意見を述べさせていただこうと思います。
 一番最初に、率直に申しまして、内容が複雑で庶民には理解しにくい内容です。特に、年金問題が他の問題と何で一括してここで審議されるのか、三位一体の構造改革とも余り関係ないような問題も感じて、すごく不思議に思っております。やはり、法案というのは国民に分かりやすい形にということは必要ではないかなと、これはまず率直な感想です。
 それから二つ目に、この厚生労働委員会の調査室が出されている参考資料を目を通しておりましたら、国と地方自治体との間で大きな意見の隔たりがあるように思います。その一端は先ほど浅野さんから鋭く指摘がありましたけれども、この中で、地方自治体への交付金その他の削減額に比して税財源の移譲というものが極端に少ないと。そういうところからいろいろな意見の乖離が起こってきているのかなと、こう思います。
 特に私が注目したのは、昨年の十一月に、国と地方の歩み寄りのない状況の打破を目指して、何か官房長官の関係七省庁に対する補助金の個別削減額の提示がなされていて、厚生労働省関係ではその削減額の八割に及ぶ五千四十億円が割り当てられたと、その中のうち、生活保護費で三千億円の削減を含む五千億円の削減額を示されたと。これに対して地方団体は、生活保護事務の返上であるとか生活保護世帯に関するデータの提示を拒否すると、こういうような、言ってみれば労働者がストライキするようなそういう鋭い反発を政府に対して示しているという、これは一庶民としてどう理解していいか非常に戸惑います。
 そういう深刻な対立を背景にしながら、今回のこの法案がやはりこの委員会で淡々と、淡々かどうか分かりませんけど、議論されて、やがて通ろうとしているということについて、私たちは、自治体の市長さんや知事さんにも私たちの切実な民意を託しております。そういう民意がないがしろにされているようでいて、非常にこれは理解に苦しむということがあります。その辺がこの委員会でどんな議論をなされたのか、そんなふうな思いが一杯であります。
 それから二つ目に、この法案は、個々のこういう制度について国の交付金なり補助金なりを減額するというそういう法案になっておりますけれども、庶民の立場から自治体の行政を見ますと、自治体に対する国の交付金その他が減らされるということが満遍なく福祉に跳ね返ってくる、それで全体の生活にかかわる費用が切り詰められると、こういう傾向があるように思います。
 私は、幾つかの特養ホームその他を運営している福祉法人に、中に設けられている苦情と所内で発生した事故の調査委員会に参加しております。それで、毎月、冷やり事故まで含めて詳細に施設内のヘルパーたちの報告を聞く、あるいは利用者やその家族からの苦情を聞くと。一つ一つその背景を探っていきますけど、率直に言って、今の介護費用で事故が起きないと、これはもう起きて当たり前という、そういう非常に福祉の現場では切実な労働環境であくせく働いております。もうほとんどの問題が、それは、事故はあってはいけませんけれども、その事故が個人の責任にのみ押し付けていいのかどうか、もう毎月悩みながらその苦情と事故の報告書を読んでおります。
 それで、その中で、もう既に実施されている特養ホームへの運営費等の補助金の減額が現場の福祉施設でどういう影響を与えているかということです。
 確かに、介護保険というのは混合保険で、規定の介護報酬で不足が生じたらば利用者から徴収してよいということにはなっております。しかし、例えば受診の付添い料を幾らいただきます、外出の付添い料を幾らいただきます、それで小遣いの管理費を幾らいただきますと、ひげをそったら幾ら、洗濯をしたら幾ら、もうありとあらゆるものをちょびちょびちょびちょび上乗せしてきております。それに、昨年の十月からは食費と部屋代の一部負担がそれに付け加わるという形、もうだんだんと福祉の事業とは縁遠くなっていきます。
 したがって、特養ホーム等の運営費等の補助金の削減がやっぱり最終的には福祉施設の運営費の削減につながります。運営費といったらその大半が人件費ですから、サービス残業をあうんの呼吸で強要するとか、それから数少ない常勤職員を時間雇いに切り替えるとか、もうこれはそのままサービスの質に、低下につながるだろうと思います。
 それから、もう介護保険がスタートしてから大分たちますから、厨房の設備であるとか電気設備であるとか、あるいは防火、避難の設備であるとか、そういう建物の機械類の設備更新の時期を迎えております。これをいろんな形で引き延ばしを始めているという相当悲惨な状況が今福祉事業所の現場に起こっていると。その上で、これからいろんな補助率が下がるということについては非常に大きな問題があるんではないかと思います。
 国保の事務費の削減についても、これを契機に自治体では資格証明書の発行が急増していると思います。特に高齢者、これは、高血圧は恐ろしいですから治療に行くと、だけど、二週間分の投薬を三週間分ぐらいに飲み延ばして受領の機会を節約すると。慢性疾患ではこういう自己調節ができますけど、血圧の薬をもらいに行きたいんだけれども今日は風邪を引いたから通院しないという、こういう年寄りが随分増えてきております。やはり、一割負担がいろんな形でしわ寄せされると。しかも、高齢者の多くが国保ですから、国保の保険料滞納、そういうところからくる初期医療がないがしろにされている傾向というのは非常に大きな問題があろうかと思います。
 保育園です。補助金の削減によってどんどん民間に公的保育園が移し替えられていっております。地域によっては、もう民間の保育園は教会かお寺さんの経営するものしかなくなってくると、自分の信仰する宗教との関係で入園をちゅうちょせざるを得ないと、こんな事態が起こりつつあるという。これまたいろんな意味で深刻だろうと、こんなふうに思います。
 最後に、今度の法案で直接出されてきている問題に児童手当法の一部改正と児童福祉手当法、この問題ではまさしく自治体の負担が増えるわけですね。これは恐らくいろんな形で自治体の母子福祉に影響を与えてくるんではないかなと、こんなふうに思います。この委員会の調査室で作った参考資料の中にも、保育サービスの拡充などを中心にいろいろやってきたけれども少子化に歯止めが掛からないというふうに、こう言われております。こういう状況を打破するために、多くの市町村では多様な独自事業を展開していると思います。特に子供の医療費の無料化、これは子育て中の若い世帯の大きな励ましになっております。こういうものに制限が加えられないかどうか、非常に気になるところであります。
 それから、負担金と補助金の廃止の問題では、やはり公的介護施設、これが強行されると恐らくもう市町村や都道府県立の公的な介護施設というのは皆無に近くなるんではないかなと、こう思います。公的施設に対しては、低年金者がまだ圧倒的に多い後期高齢者の中では一番頼りになる施設であります。さらに、今回の医療構造改革の中では、介護保険用の病床が全面的に廃止されるということも出てきております。確かに在宅というのは一番人間らしい生活が保障されるところで理屈としては分かりますけれども、独り暮らし、二人暮らしが年々増えていくということ、それから若者世代も核家族が定着している、家庭の介護力には限界があります。そういう点でも最後のよりどころとなる公的介護施設が絶無に近いような状況になるということについては私はうなずくことができません。
 いずれにしましても、国の負担を減らして市町村の負担を重くすることは、結果として市民への市町村による社会サービスの後退につながるんではないかと。市民の生活福祉はやっぱり後退していくと思います。
 このことを強く申し述べて、私の意見陳述を終わります。
 ありがとうございました。
○委員長(山下英利君) ありがとうございました。
 次に、中野参考人にお願いいたします。中野参考人。
○参考人(中野冬美君) 私は、母子家庭の当事者団体の理事をしております。私自身も母子家庭の当事者で、また当事者団体として母子家庭の様々な相談に当たってきた経験から、児童扶養手当をめぐる母子家庭の状況について少しお話し申し上げたいと思います。
   〔委員長退席、理事岸宏一君着席〕
 母子家庭の平均年収は二百十二万円です。同じ子育て中の一般世帯の三分の一にも足りません。そのうちの就労収入は百六十二万円です。母子家庭の約八〇%が児童扶養手当を受給して、また別れた夫からの養育費の受給率は一七%そこそこということを考えまして、その年収との差額五十万円はほとんど児童扶養手当でないかと思われます。
 就労収入が低い母子家庭にとって児童扶養手当は正に頼みの綱です。しかし、二〇〇〇年の改定により母子家庭の半数近くが手当の削減をされることになりました。また、原則、受給後五年で半額に満たない額が減額されるということも既に決まっております。その第一陣が二〇〇八年に迫っています。手当削減の代わりに就労支援をするということだったのですが、既に三年が経過しておりますが、有効な就労支援策は示されておりません。このまま減額が実行されますと、二〇〇八年以降、母子家庭は次々と路頭に迷うということになってしまいます。
 百六十二万円という低収入の最大の原因は、その就労形態にあります。母子家庭の五三・四%が臨時、パート、派遣等の非正規雇用です。常用雇用は三九・二%しかありません。五年前とその数値はほぼきれいに逆転しております。母子家庭の主たる就労形態が非常勤に移ったということになります。また、母子家庭になった平均年齢が三十三・五歳、これは常勤で働こうと、就職しようとするときの年齢制限に引っ掛かる年齢になります。そして、女性が働き続ける社会的な環境というものはまだまだ整備されておりませんので、結婚や出産で退職を余儀なくされ、いざ母子家庭になったとき、そのブランクから結局非常勤、パート等になってしまうということになります。しかも、日本の場合、パートと常勤との差は、賃金あるいは労働条件で非常に大きな隔たりがあります。これが母子家庭の低収入の大きな要因となっています。
 母子家庭に対する就労支援の目玉の一つに、母子就業・自立支援センターというのがありますが、その先駆的取組をしている大阪市のセンターなんですけれども、その昨年の実績で、就業相談の二六%しか実際に就業できておりません。しかも、その七〇%は非常勤、パートです。
 また、少しでも収入を増やすため資格を取ってもらおうという制度、いわゆる自立支援給付金制度はどうかといいますと、その受給者は、大阪府内でやはり一番の実績を持つ大阪市でさえ、昨年、教育訓練給付金、これは各種学校に通う費用の四割の助成がされるという制度なんですけれども、それで百七名、そのうち就労できたと回答してきたのは四十二名です。半数弱しかありません。しかも、そのうちの非常勤が三十四名です。
 何度も言いますけれども、母子家庭の就労の最大の問題は低賃金で、非常勤雇用にあります。教育訓練の助成は四割ですので、六割は自腹を切っているということになります。それだけのお金を払っても非常勤にしかなれない支援策というのは、果たして有効でしょうか。
   〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕
 また、もう一つ、自立支援給付金制度の大きな目玉、高等技能訓練促進費というのがあるんですけれども、これについては二十七名しか受給者、これは訓練修了者なんですけれども、いません。就労は、まあ就労できたと回答してきたのは十五名です。このうち常勤が十一名ということですので、これは常勤率はある程度高いかと思われますが、何にしても受給者数が非常に少ない。
 なぜなら、この制度は、専門的な資格を得るための学校に二年以上行った場合、最後の三分の一に月々十万三千円の手当を支給するという制度なんです。だから、最初の三分の二は自力で生活し、あるいは働き、あるいは学校の費用を払わなければいけないということです。お金に余裕のない母子家庭にとっては、正に高ねの花にしかすぎません。
 ただ、こういった雇用に関しては、当事者の努力やセンターの努力、あるいは自治体の努力を超えたところになるのではないかと感じています。例えば、労働法制の整備、それから母子家庭の優先雇用等、国として進めていっていただきたい母子家庭の就労支援というのは多々あります。その辺のところを是非お願いしたいところです。
 それから、母子家庭にとって、ただただ就労させることだけでは就労支援とは言えないんです。なぜかといいますと、母子家庭は仕事と子育ての両立というのが大きなネックになっております。保育が充実していなければ働けないんです。常勤で働きたいのに保育所の空きがなく、仕方なくパートや内職で働いているという母子家庭の母親はたくさんいます。
 要するに、母子家庭にとっての就労支援というのは、生活できる賃金と労働条件、つまり、例えばパートでしたらパート労働者の均等待遇ということが必要になってきますが、それと安心して子育てできる保育所の提供、それがセットでなければならないということです。今のような就労支援の状況で、半数近い母子家庭が手当を削減された、その救済措置になっているかどうかということは、非常に疑わしいと言わざるを得ません。
 さて、その非常勤、パートで働く母子家庭の母の労働条件、生活実態が、ではどのようなものかということなんですけれども、二つ事例をお話しします。
 一つは、資料として配付させていただきました読売新聞の記事ですけれども、これは私たちの関係団体に相談に見えた方です。大学進学を控えた息子と、高校一年生と小学校二年生の娘がいる母子家庭のお母さんなんですけれども、非常勤の給食調理員で、月手取り十三万円。三年前に子供さんが命にかかわる重病になって、看護で一週間休んだために解雇され掛けて、非正規労働者の組合の尽力でやっと再雇用になりました。
 で、今に至っているんですけれども、この春、息子さんが大学進学をされるということで、まあ昇給、非常勤ですので昇給の保護性もなく、その学費をどうやって工面すればいいかということで非常に悩んでおられます。母子寡婦福祉貸付金というのが、二〇〇三年より、子供が借りる場合には母親の連帯保証だけで借りられるようになったんですけれども、結局は子供の借金になるということで、お母さん自身に非常に重荷になっております。
 また、もう一つの母子家庭の母は、これも相談に見えた方なんですけれども、午前零時から五時までパン工場で働いて、十時から十六時は自動車部品工場で働いて、知的障害を持つ高校生と中学生の家族三人で暮らしておられます。お母さんが九度五分の熱でパン工場を休んだらシフトを減らすと脅かされて、働く時間が減ると生活できないということで相談に見えられました。しかし、本当は、睡眠時間が一日二、三時間しか取れないような働き方、それをしないと生活できない、そのことが一番問題なんじゃないかと思います。そこまでパートの賃金が低い、時間給が低い、母子家庭が生活できる時間給じゃないということが問題なんだと思います。資格を取ろうにも、この方の場合などは時間も体力もないし、そのための資金もありません。
 私たち、しんぐるまざあず・ふぉーらむの二〇〇二年度の調査でも、二五%の方が二つ以上の仕事を掛け持ちして、資格を取るどころか、子供と話す時間もなく、自分の休む時間もない状況です。少子化対策といいながら、せっかく今育っているこのような母子家庭の子供たちが生き生き生きるための支援、生活の不安を感じることなく母親とともに豊かな時間を持てるような巣立ちを支援することなくて少子化対策はあり得ないと感じています。この子供たちが大人になったときに、自分の幸せな子供時代を思い出して自分も子供を育てようと思えるような対策、それが少子化対策ではないかと思います。
 それから、非常勤であることの問題というのは賃金の低さだけではありません。その多くは社会保険がなくて国民年金に入っております。大阪市の二〇〇三年の調査では、母子家庭の三二・七%が国民年金の免除申請をしております。月々一万三千何がしが払えないわけです。自分の将来のことよりも現在の子供との生活を取る、取らざるを得ないというのが母子家庭の現状です。そういう人たちは、二〇〇八年の児童扶養手当の削減以降どんどん増えてくるのではないかと思われます。その人たちが老後働けなくなったときに受け取る年金は通常の三分の一です。二万そこそこでどうやって生活できるのか。そういうところから、最近は、子供が巣立った後の母子家庭の母自身の生活不安の相談も多くなっております。
 一方、子供が大きくなるにつれて必要なお金も増えてまいります。それなのに、五年で収入が増えるとは、先ほども申しましたように、今の母子家庭の状況あるいは就労支援の状況からは考えられません。就労支援が本当に有効なのか、そのような調査もないまま、児童扶養手当の二〇〇八年の更なる削減が迫っています。せめてその削減率を下げてほしいというのが母子家庭のぎりぎりの思いです。
 また、DVを始めとした様々な切迫した事情から母子家庭になった当事者にとって、児童扶養手当は正に命綱です。児童扶養手当がこれ以上削減されると、DVで命にかかわるかもしれない状況にあっても離婚をちゅうちょし、取り返しの付かない事態になることが増えてくるのではないかと思われます。
 三位一体改革で児童扶養手当に対する国の負担率が三分の一になるということですが、これが窓口での対応の地域差に結び付くのではないかということが私たちは危惧しています。住んでいる地域の差が生と死の差になるのではないかということを私たちは非常に心配しております。児童扶養手当は、毎年夏に受給者が窓口に赴き現況届をします。私たちはこの時期に合わせて毎年ホットラインを開設しております。全国各地から相談の電話が掛かります。生活不安というのが一番多いのですけれども、その次に多いのが実は窓口でのプライバシー侵害、人権侵害の問題です。収入や実家からの米などの仕送り明細、食費や光熱費などの支出明細をしつこく聞いて、あからさまに不正受給であるかのような対応をされる場合もあります。家の賃貸契約書を持ってこいという市もあります。契約者が男性名だったら事実婚を疑うのですが、そもそも母子家庭に対してはいまだに貸し渋りをする大家さんも多いんです。ですから、離婚時に、別れる前に、別れるときに夫に契約しておいてもらって、そういう形で夫の名義、夫の名前になっているという賃貸契約書も多いんですけれども、それをもって偽装離婚だと疑われたりもするわけです。事実婚でもないのに、窓口の判断だけで事実婚扱いされていったん手当を打ち切られた人もいます。
 母子家庭の母は仕事と子育てで心身ともに大変疲れています。そんな中でひどい対応をされると、もう受給をあきらめてしまう人もいます。今でさえこういう状況ですので、国の補助が三分の一になったとき、自治体によって手当を出し渋るところが出てくるのではないか。出し渋る中で、母子家庭の当事者に対する人権侵害、プライバシー侵害が多発し、せっかく児童扶養手当を始めとした支援策を使って自立に向けて進もうとしている当事者の足を引っ張ることになるのではないかというふうに危惧しております。
 最後になりましたが、母子家庭施策の転換の中で自立支援という言葉が頻繁に使われていますが、自立が何の援助も得ずに一人で働いて生活していくことなら、現状では母子家庭には不可能です。今の母子家庭には何もありません。十分生活できる賃金、働きながら子育てできる社会、子供が夢を持てる将来、老後の安心、何もありません。あるのは、体と心を酷使して何とか息をしている生活だけです。
 母子家庭にとって自立とは生きる希望を持つことです。様々な支援を使って将来に希望を持って生活していくこと、これが母子家庭にとっての自立です。自立支援とは、母子家庭が生きる希望を持てる支援です。どうか母子家庭の母と子が生きる希望を持てる制度と支援を国として責任を持って進めてくださるよう切にお願いいたします。
 ありがとうございます。
○委員長(山下英利君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 なお、質疑の時間が限られておりますので、参考人の方々には簡潔な御答弁をよろしくお願い申し上げます。
 また、委員長の指名を受けてから御発言いただきますようお願い申し上げます。
 それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
○山本保君 公明党の山本でございます。山本保です。
 お許しをいただきましたので、最初に発言をさせていただきます。ありがとうございます。
 時間が限られておりますので、すべての参考人の方に御質問できないかと思いますが、その辺の御無礼はお許しください。
 最初に、私の地元の森市長、おいでいただきましたので、ふだんからいつも本当にお話も伺っていますし、実際見せていただいておりますので、こういう場をおかりして、こういう場でお話ができるというのは本当に私も有り難く思っておりますけれども。
 そうですね、たくさんお話しいただきました。正に今、この今回の法案が一つの象徴だと思いますけれども、中央から地方へということでいろんな形が変わっている。その自治体で、正に地方の市で頑張っておられる市長さんの奮闘というのが、短い時間でありましたけれどもお聞きできたと思っております。
 それで、例えば、これは以前にも私も見させていただいてるんですが、例えば今日のお話にもありました介護でありますとか障害者の支援というのが、今大きな形で法律の形が変わっておりますね。そして、今まで国とか、もっと言えば県が実際の仕事であったのが、いろんな形で市の、市長さんの仕事というふうに振り替わってきております。
 それを、森市長はそうなる前からいろいろ努力されていたというふうに伺っておりますので、今回のこの法律だけではありませんけれども、今の中央また県から市の方へいろんな形で動いてきていることについての何かお願い、この中で感じられているようなこと、若しくは、加えてまだまだこの辺が足りないと、こういう点をもっと進めていきたいという点がございましたら、その辺お話を伺いたいと思います。
○参考人(森貞述君) ある面ではいろんな制度が大きく変わるということというのは、基礎自治体にとっては大変大きな、いわゆる精神的な負担、あるいはまた金銭的な面もあるかもしれません。しかし、私は別の見方をしております。こういう時代だからこそ、私どもは、地方自治体の力量を問われているということを含めて、自分たちの工夫をすることによっていろいろな施策ができると。
 それは、先ほども少し触れましたけれども、いわゆる制度的なサービスというもの、これはある面では、いろんな意味で世の中の仕組みが変わってくれば制度も変わっていくかもしれません。しかし、地域の中で自分たちがどのようなサービス体系をつくったらいいか、こういうことをやれば、私は、一番住民に身近な私どもとして市民の皆様方から信頼を受けるに足る、そういうサービスの提供ができれば、私はこれは、私ども自治体に奉職する、私もそうですけれども、職員にとってもすごく大きな励みになる。
 制度の変わり目とか新しい制度の創設というのは、恐らく職員にとって、役所に入ったある期間の中で恐らく一度か二度あればいいところだと思います。そういう制度に直面した職員というのはすごく苦労もしますけれども、私は力を付けると。これから私は、基礎自治体は、まさしく職員の能力、これの勝負だと思っています。そしてそこに、もう一つは地域の住民の皆様方とどのようにかかわっていくか。
 ですから私は、確かに国に対して、たしか不具合なことは先ほども少し申し上げましたけれども、それよりも、それを言うことよりも、自分たちでそれをどういうふうに考えたらいいか。で、ここはどうしても制度的に直していただきたいということがあれば、それは、本当に今日このような機会もございましたけれども、そういうところでお話をさせていただく機会が得られたらというふうに思っています。
○山本保君 それでは、ちょっと具体的にお聞きします。
 今日のお話にも一言出て、今もお話ありました自治体経営という、そういう経営感覚ということで仕事をされているというふうに考えますけれども、言わば市の財政とかその経営、管理経営といいますか、そのことで何か特に工夫されているようなところがございましたら少し御紹介いただけませんか。
○参考人(森貞述君) 私ども、当然これは国の方から行革指針を含めていろんなものが出てまいります。そういう中で、ある面では将来を見越して、いわゆる公、公共のサービスというのは行政が全部担うことが果たしてということも含めて、私どもは早くから、平成七年度からずっとスタートして今日まで来ていますけれども、高浜市総合サービス株式会社という資本金五千万の会社をつくりまして、そしていろいろないわゆる仕事を地域の雇用も含めてそこで担っておっていただきます。
 ですから、私どもは、いわゆる退職者の不補充とかいろんなような工夫をしながら、そしてそこに新たな雇用を生み出していくということをして、これはそういうことを、財源を生み出しながら、そしてそれによって新たな政策的な事業の資金源、まあ資源とするというような考え方で今進めております。
 ですから、たまたまそういう点で早くそこに着眼をしてきた。ですから、財政的に厳しいけれども、しかしそこで学んだいろんな知恵が今生きているというふうに私どもは考えております。
○山本保君 それではもう一つ、せっかくの機会なので。
 合併が今進んでおります。いろいろ賛否両論ということがあるわけですが、一般論でも結構ですし、御自身のところに即したお考えでもいいんですけれども、まあ一応一つの段階が過ぎたわけですけれども、今後、この合併を進める、若しくは地域をもっと逆に強くするというようなことについて、何か国としてこういう方式を示すべきであるとか、県がこういう形を示すべきだとか、何かそういうことについて御意見ございますでしょうか。森さんにお聞きします。森市長にお願いします。
○参考人(森貞述君) 恐らく、知事に勧告権ができましたので、相当次のまた展開があるというふうに私は想像しております。
 そういう中で、私どもは、少し先ほども触れさせていただきましたけれども、住民に一番身近な、私どもは小学校区、ここが、仮に将来合併ということが起こっても、例えば役所が遠くなったとか、そうではなくて、小学校区、顔の見える、そういうところで自分たちの課題を自分たちで解決していくという地域内分権という、そういう考え方を各、私どもは五小学校ございますので、これを進めていきますというふうに考えております。
 そういう中で私は、仮に合併ということが起こっても、地域住民はそういうことに対して、自分たちの町は自分たちでという、そういう気概を持ってやはりやっていただけるというふうに思っています。ただし、私は、いわゆる財源論で合併ということに対しては私は反対です。やはりそれぞれの合併というのは、住民の思いがそこに結集しない限りは、ただいわゆる金銭的にえらくなったから、だから合併という考え方は私は持っておりませんし、またそうしていただきたくはありません。
○山本保君 ありがとうございました。もしまたあるようでしたら、時間がありましたらお聞きするということにしまして。
 では、岩渕参考人に刺激的なお話を伺いまして、ありがとうございました。大変興味深くお聞きしました。
 その中で一つ、私自身が非常に興味を持っておりますことに少し触れられましたので教えていただきたいと思っておりますが、その若い人の雇用を伸ばすことが一番今重要なんだということで、何か立法措置を大至急とるべきだというお話がありました。何か具体的にこういうような手を打つ、打ったらどうだというものがお持ちだと思うんですが、是非お聞かせください。
○参考人(岩渕勝好君) 具体的な構想とかそういったようなものを持っているわけではございません。
 ただ、今のような状況で今のような対策ではなかなかもって改善が難しいという、そういうことが言えると思いますので、ある程度の企業に対する強制力、金銭的な誘導だけじゃなくて、ある種の強制力を持たせるような形での雇用対策の立法措置が必要であるということだけは是非お願い申し上げておきたいというふうに思っております。
○山本保君 こういう、先生は多分いろんな最近の状況についてはお詳しいと思いますが、フランスの今政策がいろいろ出ていまして、批判といいますか大変なことになっておりますけれども、もしそれについて御存じであれば、今のことと絡めてどうでしょうか。
○参考人(岩渕勝好君) 意見を、そこまで感想を持つに至ってはおりませんけれども、ただ、やはりフランスにしてもかなり過激な制度改革をしたなというふうな感じはいたしまして、あれではやっぱり若い人たちが納得できないというのもまあよく分かるという感じがいたします。その背景についてはまだ深く考えておりません。
○山本保君 ありがとうございました。
 それでは、浅野史郎参考人さんに、まあ先輩にちょっとしかられるかもしれませんが、大分今日は厳しく御批判をいただいたなと思っておりますけれども、ただ、今日ちょっとお聞きしておりまして、知事を辞められましたですよね、そして見ましたら社会福祉協議会の会長であると。
 先ほどは、まだ法律がもちろんこれから審議するわけですので、大変厳しい御批判をいただいたわけですけれども、今後こういう形で今の状況は進んでいくであろうと。この中でどうも秘策をいろいろ持っておられるんではないかというような気がするんです。福祉協議会の会長になられて、この地域の中で、地域、正に地方が責任を持たされたというような言い方をされたわけですが、ということは当然今度は浅野先生の力を出すところが増えてくるんではないかと思うんですけれども、何か今こういうことを私は考えているんだというのがございましたら、是非教えていただきたいと思うんですけれども。
○参考人(浅野史郎君) 今日は文句を言いに来たんで、余りそういう、今の御質問のようなことは考えてはいますけどね、この場でお話しするようなことはないんですが、若干関連して申し上げますと、さっきこの法律の改正は罪深いと申し上げましたが、罪深いといっている対象はこの皆さんじゃなくて、実は違うところなんですね。まあ若干関係あるのかな。罪深さのもう一つは、今回の児童扶養手当で四分の三から三分の一に国の負担率を下げたということで千八百五億円浮きました、税源移譲と言われているやつですね。児童手当では、三分の二から三分の一で千五百七十八億円、合計して三千三百八十三億円です。これは当委員会からいただいた資料にある数字ですね。
 で、これ、もう一回問題を、この審議の状況というのを改めて私から申し上げると、これ三位一体改革ということがきっかけでこういう改正になっているんですよ。児童の育て方というのはもちろんありますよ、児童手当法の少し改善ありますけれども。しかし、児童扶養手当の改正は、三位一体改革というのがなければ今回こんな法案として出てくるはずもありません。児童手当の費用負担の改定もそうです。ですから、それが今回のこの審議のメジャーですので、ちょっと感じが違うなと申し上げたのはそういうことなんですが。
 若干関連して言えば、関連して言えばこういうことです。罪深いというのは、三千三百八十三億円ということの金額のボリュームですよ。つまり、これは税源移譲をしますと言っていて、一応二兆四千億まで進んできて、あと六千億最後残っていたわけですね、御存じのとおり。六千億のうち幾ら各省出すんだといったら、みんなゼロ回答になってきたということなんで、そこから召し出されたんです、これ、三千三百八十三億円。
 ということは、実は、さっきから言っているように、地方側の案ではこれ全く出てません、こんな削減というのは全く出てません。ということは、地方側の案で、この施策はもう補助金付きでやめましょうと、この施策はやめましょうという何十の、厚生労働省関係だけでも何十のその施策が廃止を免れたということなんですよ。
 これが罪深いと言って、今の御質問でいえば、これからの地方のいろんな施策というのは別に国から補助を半分もらうからやる、もらわないからやらないということではありませんと。住民と差しで、住民が税金を払っているところの自治体が、これがその住民にとって必要かどうかということを緊張関係の中で、緊張関係というのは金が足らないという部分もありますよ。それでどうしてもこれやるんだということで、やるかやらないかを決めると。
 それを、国庫補助半分出しているから、まあやりたくなくてもやるとか、逆にこういうようなやり方でやるということというのは、これは私は、自治体という問題よりも、住民を劣化させます。というか、私は本物の民主主義ということを育てるということを言っていますけれども、ある施策を住民が本気になって、納税者の立場で、有権者の立場で、こういうのをやってくれと、こういうふうにやってくれということをその自分の属している自治体にがんと言う、この過程を民主主義と言うわけですけれども、それが実ははっきり言っておせっかい的な国の補助ということで薄められてしまって、お任せ民主主義、国にやっておけばまあ間違いないと、国が必要な施策をやってくれるでしょう、だから自治体なんか別にそれの実施機関だけでいいんだというふうになってしまうのは、住民にとって、民主主義の育成にとって非常に大きな問題と。
 社会福祉協議会の会長としてそこにどういうふうにかかわるのかというのはあれですけれども、ただ、宮城らしい福祉の在り方というのを、今度は私は行政離れましたけれども、社会福祉協議会を預かるという立場でやっていくことによって、住民との、一緒につくり上げていく福祉なら福祉の施策ということをやっていきたいと思っています。
○山本保君 浅野さん、ありがとうございました。
 今日実は私も午前中本会議で少し、微妙な言い方だったんですが、今後の福祉改革の理念についてお伺いし、この始まります前にも阿部委員の方からも大臣に対して相当その辺は踏み込んだ厳しい指摘があったと思っております。
 見送ってしまってもうなくなってしまったというふうにお話があったかもしれませんが、決してそうは思っておりませんで、これはもう御存じの上でお話しされていると思いますが、進んだ中でどうしても最後の詰めが付かなかったところについてこういう手が出されてしまったということは、私も余りよくなかったなと思っているんです。ただ、これは、こういう時間がある中での話でしたけれども、これ以後もっともっと進めていきたいと思っておりますので、また是非御指導いただきたいと思っております。
 少し時間がありますのでもう一つ、一言だけ。では、中野参考人にお伺いいたします。
 実は私、前、厚生省の児童福祉の専門官担当をしておりましたので、今日母子家庭のことについて、この後多分円先生からもきっと、もっと専門家ですからいろいろお話があると思いますが、一言だけ。
 大変厳しい状況にあると、それに対してもっと対応策を考えろということであります。何かこういう手が一つ、持ったらどうだと、今まで欠けているぞというようなものがないでしょうか。つまり、お分かりのように、お金をたくさん出せばいいという話ではないというふうに思っているわけなんです。もちろん、ないところについて出すということ、これはもうこれからもやっていきますが、いかに社会的な自立というものを進めるために、どこが欠けているのか、どういう観点が必要なのかということについてもし、まあ短時間でございますが、お話しいただければと思いますが、どうでしょうか。
○参考人(中野冬美君) 先ほども申し上げましたように、一番必要なのは有効な就労支援であろうと思います。それさえあれば、本当のところ児童扶養手当は必要ありません。
 その有効な就労支援をどういうふうに確保するかということですが、それは、本当に民間の一団体でどうこうというふうなことは実際のところ非常に難しいところではあるんですけれども、それも先ほど触れましたように、もう雇用に関しては、例えばパートの均等待遇でありますとか、それから、今自治体の方にもよく非常勤の雇用はしていただけるんですね、母子家庭を。どうして常勤にしていただけないんですかと言ったら、地方公務員法ですか、人事院法ですか、あれの関係でやれないんだというふうにおっしゃっていましたので、そういうところも根本的に変えていただけたら本当に有り難いかなというふうに考えております。
 あと、もう少し民間の力をかりるという方法、民間のNPOなりいろんな母子家庭の当事者団体もたくさんありますので、限られたところだけではなくて多数の地域の、実際に母子家庭の当事者と対峙している人たちと一緒につくっていく雇用というふうなものを考えていくことも一つ可能性があるかなというふうに思っております。
○山本保君 ありがとうございました。
 時間が参りました。終わります。
○円より子君 民主党・新緑風会の円より子でございます。
 本日は五人の参考人の方々、大変御多用の中、出席してくださいまして本当にありがとうございます。私の方も時間の制限がございまして全員の方に御質問できないことをお許しください。
 まず、浅野史郎参考人にお伺いしたいんですが、先ほど、罪深い改正だということの一番のあれは、補助金付きの事業を補助金ごと廃止することが必要なのにそれができなかったというふうにおっしゃいました。地方側としては廃止を要請していた補助金が軒並み廃止を免れました。
 山本さんの質問にもちょっと重なりますので違う方向から言いますと、そもそも三位一体改革という言葉が、本来は大変国民に直接関係のある本当に大事な改革なのに、その言葉によって何だかよく分からないような、目くらましのような、私は、言葉を使って三位一体改革という形でやっているんじゃないかと。浅野さんは地方財政自立改革と言った方がいいとおっしゃっていますけれども、今回のこうした改革が、先ほど一刀両断に切り捨てられておりましたから、とても本当に地方財政の自立にはつながらないときっとおっしゃるんでしょうけれども、もう一つ、納税者の視点、住民がかかわることもとても大事なんですが、この辺りが全く欠けていると思えるんですね。
 本来、本当に地方財政が自立していくにはどうすべきなのか。それなのに、それが地方では分かっていて補助金付きの事業を補助金ごと廃止したいと言っているのに、それができない一番の最大の国の側の抵抗の理由というのは一体何なんでしょうか。
○参考人(浅野史郎君) 三位一体改革というのは確かに分かりにくいし、また罪深いという言い方からすれば、これが一般の方の関心を呼ばないことになってしまったという原因の一つだろうと思っています。
 今、地方財政自立改革という代替の言い方、これ私が言い出してきたんですけれども、これも余り市民権持たなかったんですが、そのことよりも、今、私、地方財政自立改革と言ってしまったのも若干ミスリードかなというふうに思いつつあるんですね。というと、どういうことかというと、地方財政の自立というと、反対概念として国の締め付けということ。そうすると、何か地方と国が財源めぐって、その自由度くれ、やらないとかという綱引き合戦をしているかのように思える。これもまた余り本意じゃないんですね。
 先ほどちょっと山本委員の御質問にお答えいたしましたように、これはやっぱり、今回の改革で一番欠けていたと責める側からいっても思っているのは住民です。住民をやっぱり前面に出すべきだったというか、その住民も、住民と言ってしまうとかえって分からないんですが、有権者又は納税者としての住民ですね。この人たちがちゃんとお金の使い方にかかわっていくというシステムをつくらないと、大げさに言いますけれども、この国は危ういというのが私の出発点です。
 で、何が拒んでいるのかというと、それは霞が関が、私も元いたところですけれども、阻んでいるんですが、それは霞が関の役人たちが既得権にしがみついているとか、補助金を分配する権限に酔っていてこれを放したくないということでは私ないと思います。そうではなくて、ここがかえって問題なんですけれども、大まじめに補助金というのは必要だと思っているんですよ。
 その際に、分かりやすく言うと、森さんを横に置いてですが、森さんでないような、駄目自治体というのがあるという認識があります、霞が関には。駄目自治体がある。これは、一般的に言って駄目自治体というんじゃなくて、ある事業について、例えば福祉について言ったらあそこの自治体は駄目だな、あの町長の顔見てみろとか、住民だって議会だって全然理解がないというような駄目自治体というのが念頭にあるんですね、霞が関には。そうすると、例えば福祉なら福祉。補助金を持っている側からいうと、やっぱり国が半分こういう事業を持ってやらないと、その駄目自治体はその事業をサボるというふうに思い込んでいます。それも多分本当なんですね。
 そうすると、ちょっと反論は、じゃその駄目自治体はいつ、どういう過程を経て駄目自治体でなくなるんですかということを聞きたいんですね。そうでないと、結局、ずっと永遠に補助金出していかないと、その駄目自治体はずっと駄目自治体でいるでしょうと。やめてみればいいんです、補助金出すのを。それで、いや、それじゃ困るといって住民が、困るというか、補助金やめたらその自治体がその事業をやめてしまうとなったら住民が騒ぎ出す。それに対してせめぎ合いがあって、その施策が継続されるとかいうこと。
 この過程を私は本物の民主主義というふうに言っているんですけれども、そこが今回の実は三位一体改革でもないし地方財政自立改革でもない、何といったらいいんですかね、住民自治目覚め改革みたいなものです、これ、お金の使い方目覚め改革ということをがんがん言っているゆえんです。そういうことには今回のこれは、もう何度も言いましたけれども、全くつながりません、これは。全くつながりません。
 若干、参考人の方の中で誤解かなと思ったんで私もちょっと申し上げたいのは、これは、地方に負担を持たせるということによって何か悪くなるというんですけれども、財政的にはこれ中立ですから、財政的には中立ですから、損得の問題とか、これによってその施策が、そのことによって悪くなるとかいうことはありません。
 ただ、それに自治体なりがどうかかわっていくのかという、かかわりの問題としては大きなことがあるというふうに考えております。
○円より子君 ありがとうございます。
 もう一つ伺います。
 そうしますと、括弧付きの駄目自治体があると思っている人たちもいて、そして補助金が絶対必要だと思っていらっしゃる方もいるというのが一つのあれなんですが、例えば今回の児童扶養手当や、今回は外されましたが生活保護のような、生存にかかわるナショナルミニマムを確保するための、全国一律に公平平等に行う給付金の支給等に該当する事務という、法定受託事務などは例えばこれは自治体に任せずに、国が経費を児童扶養手当などは法制定時は一〇〇%国が持っていたわけですが、こういうものは一〇〇%持つべきなのか、それとも、今回すごく負担率が変わりましたが、どの程度がいいというふうに、こういうことはどのように考えられますでしょうか。
○参考人(浅野史郎君) そのことは、つまり負担率が今まで四分の三と四分の一というふうに決まってきたには、その深い理由があるはずなんですよ、それは。この児童扶養手当というのを構成する際に、国と地方との関係、そしてまたそれの受給者との関係においてどの程度がいいのかというのは、相当議論されてきて、その上で決まってきています。ですから、それは、国のかかわりの部分とそれから地方のかかわりの部分と、大体この辺がいいところだろうといって長く続いてきていますね。
 これを変えるというわけです、今回。物すごくドラスチックに変えていますよね、これ。めちゃくちゃにドラスチックに。ですから、私はこれに正解が、私はこれが正解ですと言うわけにはいきませんけれども、しかし、この委員会も含め、この議論されましたでしょうか、それは。そこはやっぱり問われなければならないので、こんな大事なことをさっと、四分の三が三分の二になるなんという話じゃないんです。四分の三が三分の一になるんです、児童扶養手当は。これは、制度の在り方自体をもう根本から変えると言わざるを得ないと思います。それがいいか悪いかというのは別ですよ。
 だから、私は、そこは一応ニュートラルにしても、だったら、それだけの議論というのがなければ、御都合的な改革と言われてもだれも反論できないんじゃないですかということをまず大きな声で言いたいと。
 今の御質問についてはよく分かりませんが、まあ今まであったことを何となく私も是とします。この児童扶養手当の支給に関しては、国の役割、責任、地方の役割、責任というところがまあ四分の三と四分の一だよねというのは、そんなにこれおかしいってこぶし振り上げて言った人もいないし、奇異でもありませんので、まあこんなところかなというふうに思っています。だからこそ、今回の改正は、それが議論なしで行ったということは極めておかしいんですね。
○円より子君 ありがとうございます。
 明日、大臣としっかり、遅きに失するかもしれませんが、その辺り議論をしたいと思いますが、ちょっと視点を変えて、この地方分権は土光臨調のころからの課題でした。当時は英国病に日本も陥るという懸念が強かったことから小さな政府が必要だということだったんですが、土光臨調では、市場原理を尊重して、内需振興、消費拡大を図って、そして、効率的で小さな政府にするということは当然ですが、そのときに、必ず市場原理を尊重すれば社会的弱者も生まれますから、その人たちに対するセーフティーネットが必要だということも含めてしっかり議論をされてきたんですね。
 今回の三位一体は、もちろん機関委任事務も廃止されて地方分権は想像以上に進んだとは思いますが、そして今財源の問題になっているんですが、所得格差が広がったり社会的弱者がますます以前よりも生まれているような状況の中で、そのセーフティーネットということがどうも捨象されているような気がするんですね。
 この辺りを、今回の改革、それが地方にとってそうしたセーフティーネットを張れるような状況になっていくのかどうか、その辺りはいかがでしょうか。
○参考人(浅野史郎君) 何となく、今、円委員からあったこと、私、期待されている答えでないという答えをこれからいたしますけれども。
 というのは、そのセーフティーネットという言い方をされると、先ほどどなたか参考人の方がおっしゃった、児童扶養手当が地方に負担が大きくなるとというか、その窓口ごとに違ってきて、正にこういう児童扶養手当みたいな母子家庭にとってのセーフティーネットというような施策が地域ごとに変わってくるということが大きな問題だという言い方されました。これは、すべてに当てはめるわけにいきませんけれども、私は実はそこが勝負だと思っているわけですよ。
 つまり、じゃ、セーフティーネットということでがんがんさらされるのはだれかといったら、私は、国よりも先端自治体、森さんのような市長さんのところの方が一番圧力が強くて、次に県。国というのは抽象的な人間しか見えないという、いい悪いの問題じゃありません、であって、多分地方分権というのはそうやって一番大変な圧力を受けるところに権限も財源も持たせようと、責任ごと、ということだと思っています。
 だから、さっき駄目自治体とかちょっと分かりやすい言い方しましたけれども、今回の改革は、私にとっては、やっぱりすべての自治体が住民に鍛えられて、鍛えられて立派な自治体になっていくという、ある意味では革命みたいなものですね。そのためには、どうしてもこういうような、補助金で施策がされているということから脱却しなければならないというふうに思っています。余り今回の三位一体改革、この財源の地方分権を、補助金の使い勝手を良くする運動というふうにおとしめたくないという思いもあって私はさっきから住民とか自治体が鍛えられるという言い方をしてますけれども。
 ですから、セーフティーネットという問題にした場合に、下手したら確かにある自治体ではそのセーフティーネットが崩れてしまうという状況があるかもしれません。しかし、思い切って言えば、そういう不幸を乗り越えてこそ住民と一緒になって自治体はまともな自治体になっていくのではないかというふうに思っております。
 つまり、それが国が嫌で、嫌でというか、非常に家父長的な立場から、そうなっては困るでしょうと、だから国が面倒を見るのよというところとの実はぶつかり合いという部分もあるのではないかというふうに疑っております。
○円より子君 ありがとうございました。
 次に、高浜市長の森さんにちょっとお伺いしたいんですが、今、浅野さんからは、住民と自治体が鍛えられて、どんどん住民にとってもいい形になっていくというような話もありましたけれども、実際に三位一体改革はどうも歳出削減の視点が強くて、本来の地方の裁量の拡大、そうした鍛えられながらいい雇用も生み出し、そして住民の幸福につながっていくというふうになっているのかどうか。先ほど中野さんからのお話にもありましたような、現実に児童扶養手当の国の負担がこれだけ議論もされずに減ってしまったという中で、市としてはどのようなことを考えていらっしゃるかというようなことを具体的にお話しいただければと思います。
○参考人(森貞述君) 今、円委員のおっしゃいましたように、私ども自治体をお預かりする立場の中で、今回の三位一体改革そのものにつきましてはいろいろな御意見あるかもしれませんけれども、私はいわゆる一歩前進したんだと。
 確かに、いわゆる補助金から交付金になった、地方の裁量が増えたことを含めて、あるいは地方と国との協議の場もできたとか、いろんなような今までになかったこと、これは私ども自治体にとって、ある面では、この次の段階はどういう段階が来るだろうか、当然第二期のまたいろんなこの三位一体改革が進行をするというふうに思います。そういうときに、私どもは恐らく自治体に、この自治体ならば権限、財源を与えてもきちっとやれるんじゃないかというような期待感を持って私はきっと霞が関のお考えはなってくださるんではないかというふうな期待をいたしております。
 逆に言うと、私どもはそれだけ力量を試されるんだと。常にそういう緊張感を私どもこれから持っていくことの方が、今までは、俗に言いますと、国、県があって市町村と。そうではなくて、本当の意味のいわゆる対等という、そういう立場になれるように、これはある面では私どもに努力しろよというふうに、私はそういうふうに感じて、この三位一体改革を含めた今回のいろんな、大変厳しい内容も結構あります。しかし、それは私どもが試されているんだというふうに今思っています。
○円より子君 ありがとうございました。
 では、中野参考人にお伺いしたいんですが、あと二年ほどで、改正になった離婚後児童扶養手当の受給が五年で削減されてしまうということが出てきます。おっしゃったとおり、五年間で決して就労状況が良くなっていないことはもう明白なんですね。
 ただ、あのときの坂口厚生労働大臣に私たちが取った答弁は、五年間で本当に就労状況が良くなっていない限り、五年で切るとか、その削減率をもう一度考え直さなきゃいけないということも取っております。それから、そのときの現況届でお米や野菜まで送られてきているのを書けなんということが出てきましたので、急遽それは白紙撤回させたことがございます。ですから、是非、母子家庭のお母さんたちにそういうことは書かなくていいんだということも言っていただきたいし、ほかにも様々やって苦しい状況をよく分かっておりますので、本当に実のある就労支援につながるようなことをやっていきたいと思うんですが。
 今の状況の中では、どんどんどんどん非正規社員になっていく人の方が多くて、二十年ほど前は、一生懸命頑張ればパートから年齢制限があっても何とか正規社員になれるよというのが私たちの合い言葉みたいなところがあったんですが、逆なんですよね、今。そうしますと、収入を増やして自立するためにはどんな、本当に具体的に仕事があれば、先ほどおっしゃったような最初から、高等教育を受けるときに終わってから補助が出るというような形じゃないような、そういうことも必要だと思いますが。
 もう本当、隔靴掻痒の感があると思うんですが、支援策としてこんなことをしてほしいというのを、先ほども質問あったかと思うんですが、あったら教えていただきたいんですが。
○参考人(中野冬美君) 何か非常に先の見えない気持ちになっていますので、難しい御質問だと思います。
○円より子君 ちょっと補足します。
 例えば、二つも三つも掛け持ちしていらっしゃる方が多いんですね、一つの仕事ではとても子供を育てられなくて。そうすると、子供たちにとっては母親が近くにいることが大変重要ですから、九時から五時の仕事だけでは食べていけないときに、夜もまた子供を寝かせて働きに行くとか、土日も働いていらっしゃる方がいる。そういうときには、せめて在宅就労ができるとか、在宅で訓練が受けられるとか、新たなことをいろいろ考えられると思うんですが、そういったことについてはいかがでしょうか。
○参考人(中野冬美君) 在宅就労で食べていければ本当にいいことだと思っているんですが、現在の在宅就労のほとんどはそれだけではまず食べていけないのではないかと思います。
 で、在宅訓練というのは、それなりにメリットがあると思います。ただ、その時間とお金を費やして、その後にその分が、まあ返ってくるかというとおかしいですけれども、それだけのメリットといいますか、があるものがあるのかという、それはこれからつくっていくということも可能だと思うんですけれども、なかなか厳しい。
 大阪の方なんかでは、システムとして、いろんな在宅就労の形を統合して、その中心になる人たちが動かしていく、そのシステムを動かしていくというふうな形も考えられるんではないかというふうなことを方向性として出していますが、競争も非常に厳しいですので、まあIT業界なんかはね。これがという形では、私自身は提示することは全くできないです。
 それから、ごめんなさい、ちょっと御質問とあれ関係ないです。先ほど、就労支援さえあれば児童扶養手当は必要ないと、私、非常に乱暴な言い方をしてしまいました。これは本当にまずかったなというふうに思っているんですけれども、実際、本当に有効な就労支援でさえあれば、それと本当に有効なセーフティーネットがちゃんとあれば、児童扶養手当はもしかしたら考えなくてもいいんではないかというふうに訂正させてください。
 で、今の状態では、本当に働け働けって、もう先ほど円先生がおっしゃいましたように、二重、三重の労働をしながら、それでもなおかつ働けと。働かなければ児童扶養手当は切るぞという形のことですので、これ以上働けない、十分働いている、十分働いて、それで食べていけるような雇用、仕事というものが必要で、本当に在宅でそれができればとは思いますが、それだけではちょっと難しいかなと思います。
○円より子君 ありがとうございます。
 終わります。
○坂本由紀子君 自由民主党、坂本由紀子です。
 五人の参考人の皆様、貴重な御意見をありがとうございました。
 まず、岩渕参考人にお伺いをいたします。
 第一に、先ほど全体の御意見、私も全くそのとおりでありまして、今の置かれた状況を考えますと、特に次世代育成支援については、あらゆる政策を総動員してスピーディーにやらなきゃいけないと思います。それで、若年雇用についてですが、強制力のある法的な措置が必要だという御意見も誠にもっともだと思います。で、一面、若者の場合には、すぐに辞めてしまう者がいたりとか、やや強制力のある立法措置だけでは解決しない課題もあると思いまして、この点についてどのような対策があるとお考えかというのが一点です。
 それからもう一点ですが、先ほど第一世代、第二世代、第三世代等、企業のお取組をお話になりました。そういう子育て、次世代育成支援等についての取組が整いつつある中で、三十代の特に男性の長時間労働が多いというような課題もありまして、働き過ぎという企業における働き方の見直しの問題が大きいと思うのであります。
 厚生労働省がファミリー・フレンドリー企業の表彰というようなことをすごく地味にやっていますが、もっと、例えばマスコミが、あのような偽メールのような事件を大きく取り上げるのではなくて、むしろ社会にこれだけ貢献している企業を、どういうものかというようなことを取り上げていただくというような形でやっていただくと、私は、国民の企業に対する見方も随分違うんではないかと思いまして、マスコミにいらした経験から、この点について御意見をいただけたらと思います。
○参考人(岩渕勝好君) 最初の、要するに若年雇用につきましては、ポジティブアクションというわけじゃありませんけれども、例えばその雇用のうち何%以上というような形が可能かどうかというのがまだ私よく分かってないんですが、一つ考えられる方策ではないかなというふうに思います。
 それと、御質問にありました、今の若い人はすぐ辞めたり、そういう傾向があるということにつきましては、どうもそこのところは私自身もよく分かってないところがありますが、私、学生を教えていまして、学生の側でそのようなそぶり、傾向のある者というのは余り見当たらないんです。
 実は、就職につきましては、もちろん正社員できちんとした就職をしたいという子が多くて、学生が多くて、実際本人が、その就職といいますか、そういういい加減な気持ちの学生というのは最初から結構スピンアウトをしているといいますか、ニート化しているという傾向が最近かなり見られるというふうに思います。でありますので、そこのところは最初の段階でかなり見極めが付くんじゃないかなというふうに私は思っているんですが、一般に言われているのは、とにかく近ごろの若い者はすぐ何か言うとほうり出して辞めてしまうというふうな言われ方をいたします。
 ただ、今の若い人たちも、大分苦労をといいますか、自分たちの置かれている状況というのはだんだん認識が深まってきつつあるとは思いますので、そこの辺りのところは、そうですね、学校の教師なんかも、もう少し厳しいといいますか、もっと現実にフィットできるような教育というのは必要になってくるなというふうに、ある種の責任を感じているところでございます。
 それから、先ほどのファミリー・フレンドリー企業のプレゼンテーションの仕方ということでございますけれども、マスコミというのは非常に浮気者でございまして、興味のあるもの、おいしいものには飛び付きますけれども、それはもちろん、その読者あるいは視聴者の興味に即して行動するわけでございます。でありますので、そこのところでどういうふうな、いわゆる一般の国民の興味を引けるような企画が立てられるかというところが勝負どころであるというふうに思います。
 でありますので、政府広報でやればいいんじゃないかというふうな言い方もあるかもしれませんけれども、それだけじゃなくて、興味を持たせられるような形での、例えば人寄せパンダというわけじゃありませんけれども、大臣がもう少し本気でPRに乗り出すとか、それで本当にマスコミが付いてくるかどうか分かりませんけれども、そのほかにもいろんな工夫が必要だなということだけは申し上げておきたいなと今思います。
 どうも、不十分で恐縮でございますが。
○坂本由紀子君 ありがとうございます。
 次に、森参考人にお伺いしたいのであります。
 先ほど御説明の中で、地域内分権の取組をしていらっしゃるというお話がありました。住民が地域づくりに積極的にかかわって、主体的にその地域の問題を解決していくというのは、私はこれからの時代、大変大事なことだろうと思っております。ただ、現実にはなかなかそういう動きがそう起きてないように思います。
 これを行うに当たりまして御苦労された点でありますとか、そもそも具体的にどんなことでやっていらっしゃるかというのをもう少し詳しく教えていただけますでしょうか。
○参考人(森貞述君) これは、実は厚生労働省で未来志向研究プロジェクトという、そういう事業がございました。そのときに私どもは、これから地域というものが大きな、ある面では地域力がこれからの私ども自治体の大きな担い手になるという考え方の中で、ではどんなことがいわゆる議論をしてできるかということを約一年余やってまいりました。で、それは、やはり一番いいのは小学校区だということが分かりました、私どもでは。
 そこで、ではどういうことがいいのかなということの中で、いわゆる介護の予防事業とか、あるいは公園の維持管理事業とか、あるいは私どもは東海地震、東南海地震の強化地域になっておりますので防災、こういうようなことを議論をしました。
 それで、もっと大きな引き金は、実は、これは全国的に小学生のいろんな事件がございました。やはり地域の住民の皆さん方が、確かに今デジタル社会でございます、しかし、やはり人間の目あるいは人間の感覚で地域を守るということ、これはある面では大事なことではないかということで、地域の住民の皆様方が青色回転灯という、これもやはり一つの特区を含めたことで全国的に普及できるようになりました。こういうものを使って、そして地域の中をパトロールする。そこには当然リタイアした人もいらっしゃいますし、あるいは地域のいろんな団体、こういう方たちにお呼び掛けをして、そして、まちづくり協議会をおつくりいただいて、それが今NPOとして認証していただきました。それで実際に動いております。
 ですから、例えば一つの例を申し上げますと、私どもが区画整理で公園を造りました。その公園をそのメンバーの方たちは、自分たちの公園だ、だったら自分たちで将来とも維持管理をしていく。そういう中で、当初造ったいわゆる樹木を植えた公園から、防犯上、じゃもっと低くしよう、もっと潤いがあるから花にしようというようなことを含めて、自分たちで企画をされて、自分たちで汗を流してその防ぎをやっております。この四月から実は一公園だけではなくて、あと二つの公園も自分たちで維持管理をする。
 そういう意味で、地域の問題を、課題を自分たちで発掘する。そして、発掘したらどのように解決していくか、こういうことを今いろいろ取り組んでいただいておりまして、たまたま先ほど申しました防犯のことで、ほかの今小学校区に飛び火をして、やはり自分たちの地域の子供たちは自分たちで守ろうよというような動きがだんだんだんだん浸透してきました。
○坂本由紀子君 ありがとうございます。
 あともう一点、森参考人にお伺いしたいんですが、市長のところでは総合評価型の入札をやっていると伺ったんですが、つまり入札に際して価格の安さだけではなくて様々な他の側面も加えてやっているということで、私も昔から、国、地方自治体が様々な契約をする際には、障害者の雇用の問題であるとか、あるいは企業の中における、良き企業体であるかどうかという、様々な要素も加味してやることが、とても企業の社会的責任をやっていただくことを評価するという意味でも大事なことではないかと思っているんですが、具体的にどのような点を評価していらっしゃるのかということと、これをやるに当たって何か障害のようなものがあったのかどうかということを教えてください。
○参考人(森貞述君) 入札ということではございませんですけれども、実は私どもPFI方式によって新型ケアハウスを造りました。そのときにいわゆる公募をさせていただいて、その中で総合評価方式というものを取らさせていただいた。例えば今、もう一つは指定管理者制度が、いわゆる公の施設、これが出てまいりました。そういうところに対して、いわゆるやはりプレゼンテーションを含めた総合的な評価によって、その中に、今委員がおっしゃいましたように、例えば障害者の雇用を、例えば地域の人たちを、例えば地域の方たちを雇用する、あるいは障害者を雇用されるとかというようなことを含めて、いろんなやっぱり評価の基準というもの、これを私どもが作りまして、そしてその中で評点を付けてそしてやるという、そういうことを今進めております。ですから、これは私どもがPFIという方式を取らせていただいたところで身に付けた。
 ただし、そこの中で一つの大きな、私どもにはやはりまだまだ、極端なことを言いますと、今度の指定管理者制度の問題もそうなんですけれども、ボリュームのあるそういう事業がありませんので、なかなかいわゆる新規参入を含めた、そういう参入によって競争が起こるとか、あるいはそこの中でよりいい提案が出てくるとかという、そういう点がまだまだ私どもには欠けているんだなと。そういう点で、これがどのように解決できるかということを含めて考えていきたいなというふうに思っています。
○坂本由紀子君 ありがとうございます。
 あと岩渕参考人に重ねてもう一点伺いたいんですが、先ほどN分N乗方式、フランスの方式については時間が掛かるので、より具体、現実的な方策をという御意見でした。
 私は、政治が決断してどこまでやるかということであると思いますのと、やはり今の次世代育成は、小手先でやるよりは抜本的なところでやらなくてはいけないのではないか。そうすると、N分N乗というのは家族の構成が税の面で評価される、もちろん、累進構造を変えるというようなことはありますが、非常に優れた方策だと思っておるんですが。時間が掛かるかもしれないという点を除いての岩渕参考人の評価をお伺いしたいのですが。
○参考人(岩渕勝好君) 全くおっしゃるとおり、賛成、大賛成でございまして、しかもフランスのように一子、二子、二分の一じゃなくて、第一子から一人ときちんとカウントするような形でのN分N乗方式、日本がこれから立ち上げるんだったら、それぐらい徹底しないと余り大きな意味はないというふうに思うぐらいでございまして、理論的、理屈的、あるいは国民的な合意を得られるという大前提でございますけれども、この方式がもし導入できれば、これほどすばらしいものはないというふうに思います。
○坂本由紀子君 ありがとうございます。
 それでは、浅野参考人にお伺いします。
 先ほどの参考人の御意見を伺っていますと、今般の児童手当の負担割合を削減するくらいなら、まだ生活保護の点を対象とする方が浅野参考人のお考えからすればよりましだということになるのではないかと思うんですが、地方団体の判断はそれとは逆だったわけですけれども、この点についていかがお考えでしょうか。
○参考人(浅野史郎君) これはいわゆる丙丁付け難いという問題なんですね。甲乙付け難いというんじゃなくて、下の部分でどっちがより悪いかという話でございますので、だから今のように、じゃ生活保護を切った方がまだよかったのかと言われれば、これはどちらも駄目なんですよ。
 駄目の程度は、質問されたのを幸いにですけれども、やっぱり児童手当はどう考えても罪深いですよね。だって、議論されていなかったんですよ。生活保護の問題を今出されましたよね。生活保護については大反対とさっき言ったように、どなたかおっしゃったように、もうストライキを起こすぐらいにやったと。これは、それが前面に出たから一応議論できたわけです。児童扶養手当も少し陰に隠れていましたけれども、一応盤面にはさらされていました。児童手当は全然なかったんですね。それに加えてこういう改善をここに入れてきたじゃないですか、違う法律、形式上は違うんだけれども、同時に。
 それで、ツケの方は地方の側が多く持つというふうに今回なったにもかかわらず、そこで国のイニシアティブで、しかもイニシアティブだけじゃなくて、地方にはこれ相談なかったでしょう。あったんでしょうか、児童手当、こういうふうに改善するけれどもどうだと。なかったと思いますよ。それはもうはっきり言えば、話にもならないぐらいにひどい話だということなんで、それより生活保護の方がましだったでしょうというのはちょっと違うので、どちらも駄目なんですね。
○坂本由紀子君 私は、ましだったでしょうというか、地方自治体の最終的な判断として、生活保護ではなくて。
 地方自治体で、地方団体との間でですね、様々話合いが行われてきたわけです。今日も先ほどの委員会の質疑において、生活保護を行うことについては、それは様々福祉について地方自治体で重層的にいろいろやっていただいているという関係から、あえてそれは取らなかったという大臣の御発言でした。
 ということは、逆に言えば、それは国がいきなり提案して何だと浅野参考人はそういうふうにおっしゃいますけれども、それは最終的には生活保護とは違う判断を地方団体の側がなさったということでもあるわけです。
 ですから、私、今は知事をお離れになっていますけれども、そういう点では十分な議論が、どこをもって十分と言うかというところはありますけれども、その点についての地方団体としての判断についてどのような御感想をお持ちかということを聞きたかったんです。
○参考人(浅野史郎君) 本当に率直に言えば、私、タイミングとして知事辞めちゃったんでできなかったんです。あれはやっぱりちゃぶ台ひっくり返すべきでした。つまり、これで生活保護がいいのか児童手当がいいのか、どっちか取れと言ったという話ではなくて、こういうような本当に数字合わせだったらこれやってられませんと。これ離れちゃってあれなんだけど、そういう問題なんですよ。
 ですから、いやもうあんた方じゃ僕なかったわけですけれども、当時は、ほんの瞬間的には。生活保護の方をやめてくれればこっちでもよかったんじゃないかというのは、私から言えば全く的外れだと思います。そういう問題提起というふうにとらえるんだとすれば、もう限られた選択肢の中で、しかも時間的にもぎりぎりで、生活保護の負担率変えるよりはまだ児童手当ましでしょうといってそちらを選んだんでしょうというのは、私の感覚からいうと全く合いません。
 これは、もし改めて言わせれば、これちゃぶ台ひっくり返すべき話でした。そもそも根っこからなしと、これは。こういう政府案はゼロ、受け入れられませんと、もう一回最初からやりましょうと言うべき話だったと思います。つまり、最後六千億というのがあって、残ったやつ。これ何かとにかく入れ込んでいこうと。で、生活保護駄目だというんだったらちょろっとこれ入れられたという話ですから。そうするとイエスかノーしかないということで、ちゃぶ台ひっくり返さないとすれば、これを結果的にはのんじゃったという話だと思いますよ。
○坂本由紀子君 もう時間がありませんのであれですが、都道府県知事として様々なお取組、宮城県知事としてお取組をなさっていたわけですが、都道府県と市町村との役割分担、特に次世代育成支援については様々あるかと思います。
 それで、特に都道府県によって合計特殊出生率の差が大きく差がありますですね。そういうことについて、都道府県としてより積極的な役割を果たす余地がまだあるのかどうか。つまり、比較的裕福な自治体において合計特殊出生率が低いというのが現実ではあるかと思うのですが、そういう裕福な自治体が低いという状況における都道府県の役割について御感想があれば一言、時間もありませんので。
○参考人(浅野史郎君) 感想は、難しいということですね。つまり、今言ったようなことがどういう因果関係でそういう結果になっているのかというのは、多分定説はないと思います。だとすると、出生率を上げるためにこういう手を打てばというのがなかなかびたりとものとして出てこないというのは、ずっと私もやっていてありました。問題、出生率上げなくちゃいけないというのはあっても、どうしてそういうふうに低くなっているのかというのが必ずしも明確になっていないという意味でのちょっと悩ましさというのはあったというのは率直なところです。
○坂本由紀子君 終わります。
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 浅野参考人にお伺いしたいんですけど、参考人のお話を伺って、事前に何の相談もなく、前触れもなくやられたことの問題点、大変よく分かりましたし、我々国会の側もちゃぶ台をひっくり返さないといけないのかなと、ちょっとそういう気分にもなってきたわけですが、今回の問題点については先ほどの御指摘で大変よく分かったんですが、この三年間の三位一体ということを総体としてどう評価されているか、まあ点数付けるとしたらどのくらいのことになるのか、お聞かせ願えますか。
○参考人(浅野史郎君) 点数を付ければ私の場合は極めて低いです。六十点が合格点とすれば、少なくとも合格点は行っていません。何点かは分かりませんが、二十点とか三十点ということなんでしょうか。
 ふざけて言っているように聞こえるかもしれませんけれども、さっきもちょっと言ったように、地方側からすると期待していました。で、その気になってやったんです。何か誘惑されて捨てられてという文句が浮かんでくるんですけれども、それとも泣いた女がばかなのか、だました男が悪いのかというようなこともいろいろ浮かんでくるんですが。
 この動きは、やはり最終的には政治の場というか国会の場で決められるということになります。ですから、霞が関と闘っているのかというお話があって、どの点が問題なんだと。この問題はもちろんありますけれども、これは今回の流れの中でどうしても乗り越えられる筋の問題ではないんですね。したがって、内閣総理大臣が政治的な指導力を持って、あの郵政民営化で果たしたようなああいったようなやり方で、もしその方針に従わない大臣があったら罷免するというようなことも懐に持ってやらないとできなかったと。
 そういう意味では、その誘惑されてと言った部分は、最終的には小泉内閣総理大臣の覚悟、ひょっとしたら理解ですね、この三位一体改革は何のためにやるのかということについての本当の本質的な理解、また覚悟、これがやっぱり我々から見ると不足していたということでこういう結果になったと思っています。
○小池晃君 今日のお話を聞いて、これだけその地方団体との間に問題を抱えていることを本当に短時間でこの国会が通してしまうということが許されるのだろうかという思いを非常に強くしているところです。
 ちょっと浅野参考人に一つお聞きしたいことがあるんですが、先ほど国庫負担金をなくしても財政中立だからそれが即後退ということにならないんだという御指摘があって、それは即後退にならないのはそれはそうだと思うんですが、一つは、その財政中立といっても、例えば地域介護・福祉空間整備交付金とか、社会福祉施設の負担金などは、これは見合いの税源移譲はなされておりません。しかも、やっぱり現場に行きますと実態としては、福祉に熱心な自治体であれば別なんですけれども、やはりどうしても社会保障分野にしわ寄せが行くという傾向が実態としてはあるという中で、やはり今回のやり方の中で、そういう結果としてやはり社会保障分野での施設整備などにしわ寄せが来ているということはあるんじゃないかと思うんですが、その点はいかがでしょう。
○参考人(浅野史郎君) ここはやっぱり明確に分けて考えるべきだと思います。つまり一つ、今おっしゃったように、その補助金は廃止され、それに見合う税源移譲をされてないというのは、これは駄目なんですよ。これは財政ニュートラルでありませんから、これは駄目と。駄目というか、駄目ですね。
 で、一方において、今ちょっとおっしゃったこと、私は気に掛かる発言ではあるんですね、私の立場からいうと。つまり、補助金をやめたら熱心でない自治体はサボるでしょうと。さっき私そのことを言いましたけども、もしそれをおっしゃるんだったらこんなのやめたらいいんですよ、三位一体改革なんてのは。あくまでも、国が最低水準を決めて、それの下支えのための補助金は永遠に出し尽くすというのが善なんですね。そうではないでしょうと。高浜市長のように、ずっとおっしゃっているように、こうやって自分たちで緊張感を持ちながら住民を巻き込んで、どうするどうすると。どこかからお金が突然降ってくるわけじゃありませんから、こういう財源の中でどうするどうするということをやっていく。その中で、実はうまくやっていける自治体とそうでないところ出てきます。だけど、それを認めないというんだったら、これやめた方がいいんですね、三位一体改革なんて、言い出す方が間違ってます。
 というので、二つ分けて考えるべきで、税源移譲がちゃんとなされるんであれば、これはさっきから言っている住民によって鍛えられる自治体というのを早く持たないと、我が日本国は危ういということを考えております。
○小池晃君 分かりました。
 ただ、そのやはり見合いになってないということがかなりの分野で、厚生労働分野でもありますんで、やっぱりそういう問題点はそれはあるんだろうと思うんです。
 その上で篠崎参考人にお伺いしたいんですが、こういう中で、医療、介護の分野で公的な施設が持っている役割というのはやはり非常に大きいものがあると思うんですが、この間の三位一体改革の中でかなり後退させられているという現実があるというふうに思うんですが、その点についてどう見ていらっしゃいますか。
○参考人(篠崎次男君) 今のやり取りともかかわってくると思うんですが、先ほどから地域分権ですとか地域づくりですとか、住民参加が強調されていますけれども、私は住民参加というのは、やっぱり自治体がきちっと公的な責任を明確にするというところに住民が参加していくんだというふうに思います。
 福祉法人といえども昨今の状況では、先ほども申し上げましたように、私のかかわっている特養ホームですらいろんな名目を付けて利用料を徴収しているわけですね。ですから、純粋に社会福祉法人が非営利で公的性格が強いとばかりは言えなくて、そういうところに住民の力が、知恵が集まるかどうか。具体的に、今回の介護保険制度の見直しで地域密着型サービスというのが新設されました。あれは使いようによっては物すごく家族と高齢者のためになると思うんですけれども、これが成功するかどうかというのは、やっぱり地域住民のボランティア活動がどこまで生かせるかということだろうと思うんですね。ところが、包括支援センターの直営というのは、民間が受けにくい地方では多少あるようですけれども、もう大都市部分ではほとんどストレートに民間委託ということが出てきております。
 したがって、地域密着型サービスが本当に実のあるサービスをつくり出せるかどうか、住民のボランティア活動が発揮できるかどうか、そういう点は物すごく不安に思っております。
 当初、この問題で議論されたときに、地域見守りサービスというのが出ていたんですね。あれは住民が主体的に取り組まなかったらできないことだし、それから年寄りにとって一番大切なサービスのはずなんだけれども、あれが影も形も今なくなっちゃっていると。そういうことも含めて公的な責任のある施設を、特に福祉の場合には不可欠だと思います。それが存在して呼び掛けるからこそ住民参加が進んでいくんではないかなと、ここがまず第一点です。
 あと第二点は、やはり混合型の保険の下で行われますから、個人負担がどんどん増えていきます。それから、人的体制も不備になりがちです。そういう点では、公営の施設がそういう従事者の働く基準であるとかサービスの基準を具体的に示していく、基準になっていくんだろうと思います。これがなくなってしまうとサービスの質の低下というのは防げないんではないかな、いろんな意味で公営の施設はきちんと充実させていくべきではないかなと、そんなふうに思っております。
○小池晃君 それと、今回の法案の中に一くくりにされている年金の法案が入っております。この基礎年金に対する国庫負担の引上げという法案で、全く三位一体とほとんど何の関係もない、便宜上三月中にということで一体の法案にしたんだと思うんですが、この中で、やはり問題としては基礎年金国庫負担の引上げの財源として年金課税の強化ということをこの間やってきました。この実態についてどう思われているかということと、定率減税の縮小、廃止ということもこの財源になっていくという仕組みが盛り込まれているわけですが、その点について御意見をお聞かせください。
○参考人(篠崎次男君) これは、もう少し調査しないと分からない面があるんですけれども、今年の確定申告の決定額の通知が高齢者の世帯にも届き始めております。その中で昨年と今年で違うのは、最高で七十万円ほどの課税額が引き上げられたと。そういうところから、年金で二百万前後の保障を受けている人たちで、大体年金生活者というのは病気でもしない限り控除がそれ以上増えませんから、だから元気で暮らした百八十万、二百万台の年金生活者が源泉徴収された税金だけでは不足が生じてきているんではないかなと思います。三、四万の追徴課税がこの層に起こってきております。そういう形で、これから起きるんではなくて既に今年の段階で高齢者にとってそういう大きな影響が出始めてきております。
 年金百八十万から二百万というとほぼ厚生年金満額受給で、それでほぼ生活している人たちのところで数万円の追徴課税というのは非常に大きいし、それが地方税と介護保険料と国民健康保険料の増額につながるということですと、心理的な負担も含めて高齢者にはかなり耐え難い状況をつくり出しつつあるんではないかなと。だから、これ以上の課税強化やめてほしいと、それが率直な意見です。
○小池晃君 さらに、法案の中には基礎年金に対する国庫負担二分の一の引上げの問題が入っていて、川崎厚生労働大臣は、再来年にも消費税増税の法案を出す必要があるというような発言もされているようなんですが、基礎年金財源に消費税を充てるということについてどうお考えでしょう。
○参考人(篠崎次男君) 年金生活者の支出の大半が、率直に言って食費と。食費と言うけど、そんな、年寄りは外食の傾向が増えると言われておりますけど、外食というのはコンビニの弁当を買うんではなくておにぎりを買うという、その程度の外食ですけれども。ですから、非常に質素な食生活ですけど、その食費と、率直に言って公共料金でもって、ガス、水道、光熱費ですね、それでもって支出の大半を占めるというのが実態だろうと思います。
 したがって、聞くところによると一〇%とか一五%とか、かなり大幅な税率の引上げが議論されているようですけれども、それはもう年金課税の強化以上に高齢者の生活を逼迫させるんではないかなと、そんなふうに思っております。消費税というのは上げてはならないんではないかと、これが切実な要求です。
○小池晃君 それから、高齢者に対する社会保障の問題と子供に対する社会保障の施策がしばしば対比されて、日本は非常に子育てに対する支援が少ないんだと、それは事実はもうそのとおりだというふうに思いますし、そこは引き上げなければいけないと私も思うんですけれども、これを対立させて見る、ともすればその財源を高齢者に対する社会保障から持ってくるかのような、そういう議論も出始めているように思うんですが、この点についてちょっとどうお考えかお聞かせ願いたい。
○参考人(篠崎次男君) おっしゃるとおり、少子化が言われるとき、必ず少子化・高齢化社会と、こういう形で少子化と高齢化がセットになって使われているように思います。これの意図というのは、年寄りが保険料も税金もろくに納めずに医療費は若者の五倍を使うと、今度の医療構造改革でも言われておりますけど、そういう形でことごとく高齢者が悪者にされるという、それを言っている限りにおいては子育て支援の予算が少ないことについては余り注目を浴びずに済むからかなと、そんな勘ぐりさえ出るように思います。
 くれぐれも考えてほしいのは、年寄りというのは今の子供たちのごく近い未来の姿が年寄りなんですね。その年寄りが増えたということで灰色社会のように言いくるめるというのは、子供たちの未来を灰色だというふうに言うのと僕は同じだろうというように思います。そういう点で、子育て支援と高齢者に対する支援をともに両立するような方向で考えていただかないと困るなと、そんな思いがしております。
 それから、小学校や中学校の統廃合なんかが出るときに、一番敏感な反応をするのが年寄りです。やっぱり学校が少なくなるということは町が寂れるという形で、それで子供たちがどうなるんだろうかということを一番気にしているのは年寄りです。やはり高齢者と若者と赤ちゃんが本当に庶民のレベルでは仲良く暮らしているわけですから、それを意図的に離反させるような世論操作に近い言葉遣いは私は改めてほしいと、そう思っております。
○小池晃君 ありがとうございました。
 中野参考人にお伺いしたいんですけれども、児童扶養手当の問題で、先ほどもお話ありましたけれども、この国庫負担比率が減らされた場合に、今の窓口対応でさえ非常にいろいろ問題がある中で今後の対応が心配だというお話がありました。この辺ちょっと、実態としてそういう心配を持たれる背景みたいなことをちょっとお聞かせ願えますか。
○参考人(中野冬美君) 先ほども申し上げましたように、私たちは毎年夏にホットラインをしております。そのときの相談内容が、いつも大変多いのが、そういう窓口でのトラブルといいますか、プライバシー侵害、人権侵害のようなものです。
 母子家庭の母親にとってはやはりこの児童扶養手当というのは、なくてはならない、なくては生きていけないものですので、できるだけ、ある意味、何といいますか、卑屈にならざるを得ない、卑屈と言うと言葉があれですけれども、卑屈になってしまわざるを得ないんですね、その窓口に行くときに。その上で、そのこと自体の精神的なプレッシャーもある上で、様々な言葉掛けの足りなさなり対応の乱暴さなりの中で、減らされて、受け取れないんじゃないか、受給できないんじゃないかという不安がいつもいつも、毎回毎回あるんですね。
 だから、それは本当に身近な窓口の対職員なんですよ。だから、国とかそういうことではなくって、身近な窓口の職員から受けるそういうプレッシャーの積み重ねの中であることですので、それが今度そういう自治体によって差がもし出てくるなら、それは絶対にこちらに返ってくるだろうと。それはもう既に去年の、去年じゃないけど、最近の相談の中でもありました。今度、児童扶養手当の現況届をしたときにどういう形、それは大丈夫なんだろうかという、そういうふうな問い掛けも受けましたので、当事者にとっては非常に身近な不安としてあります。
○小池晃君 ありがとうございました。
 就労支援も全く進んでいない、その中で、児童扶養手当の削減も進行している中で国の責任も後退すると。生活保護の母子加算の見直しもあって、あのときに、保護を受けている母子家庭と一般母子家庭を比べると一般母子家庭の生活水準の方が低いから、だから加算を削るんだというとんでもない議論があって、一般母子家庭が生活保護以下で暮らさざるを得ないような実態を放置している行政にこそ責任があると私は思うんですけど。
 今回の法案の中に、こういう児童扶養手当の問題、母子家庭に不安を与えるような中身が盛り込まれているということも大きな問題点として、ちょっと委員会では議論をしたいというふうに思います。
 ありがとうございました。
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 今日は本当にありがとうございます。
 三位一体のことについて、浅野参考人がずばずばずばっと、こう言っていただきました。私自身も、厚生労働委員会で議論しているから特に痛感するのかもしれませんが、出てきたテーマが、例えば児童虐待等DVの予算、これは一般財源化をしないという方向になりましたが、こうするためにかなり頑張らなくちゃいけなかった。今回出てきたのが、生活保護あるいは児童手当、児童扶養手当、どっちだということが最後になったわけです。
 弱い部分というと何を弱いと見るかは別として、なかなか声が上げにくい人たちの部分から一般財源化をしたり、あるいは地方の方に負担を多くする、そうすると必然的にどうしても削られていくんじゃないかという不安をとても思います。もっと違うところから削減をすべきなのに、あるいはもっと違う形でやるべきなのになぜかというふうに思います。
 そこのところ、特に浅野参考人には、今回の三位一体が地方の自立性を高めるという方向であったのかどうかという点について一言。
 そして、中野参考人に、弱いというと何をもって弱いかというのは議論あるかもしれませんが、そういう部分に実はターゲットを絞っているんじゃないか、声を上げないと自分のところがそのターゲットになってしまうというような部分についてというか、私はそう思いますが、どうお考えかをお聞きします。
○参考人(浅野史郎君) 今回の三位一体改革というのが今の、ここまでのところの結論として、地方の自立を促したことになったのかといえば、こちらはもちろん否です、ノーです。このままで終わってしまったら、こんなことを言わなきゃよかったと、やらなきゃよかったというぐらいにまでなってしまうというぐらいにひどい、今の状況では決着だと思います。
 我々は、第二幕これから開くと思っていますけれども、どうでしょうか。霞が関の受け止め方は、もういい加減にしてくれと、ここまで苦しめられてこれでもう一回幕を開けるなんてやめてほしいということで、これからは、第二幕を開けるかどうかということの攻防から始めなければならないというぐらいまで今追い込まれているんではないかというふうに思っています。
 我々という言い方をすれば、まだ地方側と思っていますから、地方側から言えば、今回のここまでの総括の中で、今言ったような敗北感と同時に、こんなんだったらやんなきゃ良かったというのが広がるのを大変心配をしています。したがって、やっぱり今回のようなことにまたなりますけど、これが三位一体改革ということを契機に出てきたんだよというふうに言われるのは大変迷惑なんですね。ということも含めて、私は全くに近く評価できないということを繰り返したいと思います。
○参考人(中野冬美君) 確かにおっしゃるとおりだと思います。母子家庭の多くは死別、離婚を問わず、非常にその支援の場に行くまでにもう力を尽きている場合があるんですね。ようやく行った支援の場で、例えば心ない言葉掛けをされたり、心ない対応をされたりすることによって、先ほど申し上げた児童扶養手当の窓口での対応でもそうなんですけど、生活保護の対応でもそうなんですけれども、そういうふうに対応されると、本当にもう力尽きている上に完全に力尽きてしまうということになってしまうし、その上で、なお声を上げろ、発言をしろ、そのことによって自治体を変えていくことになるのだというふうに、それは確かに理想的ではあるんですけれども、そのことができるだけの力、パワーを付けるだけの支援がそうしたらあるかというと、今の時点では全くない状態であると。
 だから、少なくとも母子家庭に発言できる力を、発言できるという、少なくとも発言できる力を、そういうふうな支援をいただきたいというふうに思っております。
○福島みずほ君 先ほど中野参考人は、二〇〇八年には、五年後の受給後には半分を限度として減額されることになっていて、この児童扶養手当制度改正の施行については母子家庭の不安が非常に強くなっているというふうにおっしゃいましたけれど、その点についてもう少し言っていただけますか。
○参考人(中野冬美君) これは去年のホットラインでも何人もの方から質問を受けました。一体どうなるのかということです。児童扶養手当は、前回の改悪のときにも非常に問題だと思ったんですけれども、十八歳までとにかく何とか何万円かのお金が月々いただけるということで、母子家庭の将来設計にとって非常に重要なものだったんですね。それが、少しその収入が増えたらもう減らされるということで、その点でもう既に大きなダメージを受けました。
 今回のその二〇〇八年というのは、本当に受給後五年ですから、子供に掛かるお金というのは子供が小さいうちは余り掛からないわけですよね。子供が大きくなるごとに掛かっていくということですので、五年たった後に就労収入は増えないわ、子供が大きくなって例えば高校生になったらお下がりの服は着られないようになるわ、食べ物だってたくさん食べるようになるわ、制服だって必要になるわということになって、必要経費はどんどん増えていくのにそこで削られるということで、将来設計が全く立たなくなっているというところの不安があります。
 そうしたら、生活保護は受けられるのかというと、もちろんそういう形ではなかなか受けられない。窓口でシャットアウトされてしまったりする例も幾つも聞いておりますので、将来の不安という形ではもう本当に多くの方から聞いておりますし、また逆に知らない方も多いんですね、この二〇〇八年からというか、受給後五年で半額になるかもしれないというふうなことが。
 それをどういう形で減額になるか、あるいは減額がストップできるのかということ、ストップできるとしたら本当に有り難いことなんですけれども、そういう情報さえ手に入らない。なぜかといいますと、新聞を取るのをやめておられる方が随分多いわけです、児童扶養手当減額の中でね。そうすると情報が全く入らないわけです。ですから、本当に必要な、情報を必要としている人に情報が入らないような状態になってきて、声は上げられない、情報は入らないという、ないない尽くしの中に母子家庭が置かれているということです。
○福島みずほ君 中野参考人にまたお聞きをいたします。
 しんぐるまざあず・ふぉーらむなどのシングルマザーのことを扱っているNPOなどのアンケート結果を見させていただくと、元夫が、やはり収入が少ない人はなかなか養育費を払っていないと。払わないのはもちろん問題なんですが、元夫の年収そのものもやはり正直低くなっている。まあ高い人は払うけれども、本当に年収が二百万、三百万だとなかなか元夫が払えないという現状も非常にこうアンケートの中から出てきております。
 ですから、どうやって養育費を払ってもらうか、払わせるか、それを社会のコンセンサスにするのかということも重要ですけれども、やはり反面、そのアンケート結果から出てきたのは、児童扶養手当などの重要性だというふうにも思うんですが、そういう実態から踏まえて、そこはどうお思いでしょうか。
○参考人(中野冬美君) おっしゃるとおりだと思います。確かに、別れた父親も養育費を払うべきだというふうな社会的なコンセンサスが日本では余り取れていないのが現実です。
 それと、もう一つは、その養育費についても諸外国の中ではその養育費を先払いして、後から国なり自治体なり、何かセンターなりが取り立てるというふうな方式も考えているところが、実行しているところが多いんですけれども、そういう形がまだまだ日本では考えられていないということ。で、養育費に関しては、本当にいろんな別れるときの事情なり、それからDVなりいろんなことがありますので、その母親自身が個別に養育費を父親に対して取り立てるということ自体が非常に難しい場合も多いわけです。そのときに、やはりそういうふうな形の代替払いをして後から行政なりが取り立ててくれるという制度があれば本当に一番有り難いんですが、それがない。それがない状態では本当に、養育費は入らない、就労収入が増えないという中では、本当に児童扶養手当の重要性はますます増すばかりだというふうに感じております。
○福島みずほ君 今回、市町村又は都道府県による知的障害児施設等の施設整備に要する費用について国庫負担の対象外としているのですが、この点について、浅野参考人、どう評価をされますか。
○参考人(浅野史郎君) 評価します。前向きに評価します。前向きに評価します。
○福島みずほ君 理由を簡単に教えてください。
○参考人(浅野史郎君) これは、この問題だけではなくて、いわゆる施設整備費の補助について地方側は基本的に、全面的にもうやめなさいと、そういう補助は、全部地方側の負担でやりますと、その代わりその見合う分の税源を移譲してくださいと。それに対して財務省、それから関係省は、いや、これは財源になっているのは建設国債なんだからそれはできませんということでぶつかり合っていたんですけども、若干こういうふうに風穴が空いたわけです。
 ですから、まあこの事業自体が選ばれたのがどうかということは別ですよ。ですけども、基本的な地方側の主張から言えば、そういうふうなところに、ゼロ回答じゃなくて、この部分が、国庫補助がなくなったというのは、これからの展望ということでいけばいい方向だということで評価をするという意味です。
○福島みずほ君 三位一体改革が第二幕が上がるのか上がらないのかという問題もありますが、生活保護のことについてちょっとお聞きをします。
 今回は対象には入っておりませんが、地方が担う生活保護事務などについて、地方財政にとって大きな負担になっているとか、いろんな意見が聞かれます。
 浅野参考人に、生活保護制度の改革について、あるいは今の問題点などについて、あるいはもしこれが、国庫負担率の引下げなどが将来行われるとしたらどう思われるかについて教えてください。
○参考人(浅野史郎君) 生活保護の制度の中身、運用についていろいろ問題があるというのは、これは国も地方も共通問題として持っているんですね。それについてはやっぱり今のままで全く問題ないということではないんですが、三位一体改革で国庫負担を減らすとかなんとかという議論の中に入れ込まれてやるというのは甚だ迷惑な話だと思います、制度にとっても。もっと地に足が付いた、生活保護制度をどうするかということでじっくりやっていかなければ、どうせまたどっかで変えなくちゃいけないという話になるんで、今回の流れは、まあ結果的には生活保護については手付かずになりましたけども、ちょっと途中段階では大きな問題だと思います。
 ただ、生活保護の場合、今回の提案でも、あれ、二分の一以下にするという話じゃなかったと思うんですけどね。今回、ちょっと聞かれていませんけども、児童扶養手当、児童手当、三分の一になりましたよね。これ、たしか法定受託事務ですよね、昔の機関委任事務です。だから、首長は国の機関としてやっていた。もしこれに、ちゃんとやらなければ高等裁判所に訴えられて施行を促されるという事務なんですね、昔の。その法定受託事務で国の負担が地方の半分だというのは、これ法制上許されるのかどうかということもちょっと大きな問題なんですけども、ちょっと今聞かれなかったんですが。
 というふうに、やっぱり制度は、その制度の成り立ちからしっかりとその範囲で考えていかなければならないと。生活保護も同じです。ですから、三位一体改革ということを奇貨としてみたいな形でこうやって見直しされるのは、本当に制度にとっては迷惑な話、制度に人格があるとすれば迷惑な話だと思います。
○福島みずほ君 中野参考人にお聞きをします。
 ちょっと変な質問かもしれませんが、児童扶養手当って父子家庭はもらえないんですよね。一般的に男の人の方が賃金は高いのですが、でも、もちろん貧困の問題も出てきていると。ちょっと変な質問かもしれませんが、父子家庭で苦労している人も今出てきていると思うんですが、児童扶養手当を、例えばある程度、年収のことは問題ですが、父子家庭というのがどうもいつも落ちてしまうんではないかというふうに思うんですが、それについての御意見をお聞かせください。
○参考人(中野冬美君) 最近では自治体の方も、母子家庭等支援という形ではなくて、一人親家庭等支援という形に名前を変えまして、その中に幾つかは父子家庭対象の支援を入れています。ただ、その児童扶養手当に準じるような支援をしている自治体は非常に少ないのは事実です。
 私たちの中にも父子家庭が何家族かいるんですけれども、確かに就労収入という意味では母子家庭よりかはまだましではありますが、子供を育てる中でそれなりに出ていくお金も増えてきますので、裕福ではないということは事実です。児童扶養手当のようなものがあれば、少なくとも収入に応じた手当制度があれば有り難いというふうな話も聞いておりますし、ただ、それよりも、父子家庭の場合は家事援助なり子育て援助なりというふうなことを非常に必要としています。だけど、それをやっているところは本当に少ない、その声を吸い上げる場というのもまだまだ全然ないというところですので、多分これからどんどん父子家庭は増えていくだろうと思いますので、その必要性というのは重要になってくるんじゃないかと思います。
○福島みずほ君 就労支援というのがどうしたらうまくいくのだろうかとおっしゃった、均等待遇という、そもそも雇用における安定性や同一価値労働同一賃金というのをやらなければどうしようもないというふうに思うのですが、ちょっとほかの委員も質問されましたが、どういう就労支援を本当のところ望むかというか、どういうのがあればもっと改善されるかについて、中野参考人、御意見をお聞かせください。
○参考人(中野冬美君) 先ほども申し上げましたように、本当に就労に入るまでの差のない、就労、仕事が得られる時点で、何というか、切られない形の、差別のない形の就労支援といいますか、就労の場の保障、それはやっぱり一番大きいと思います。それと、均等待遇あるいは男女の賃金格差、これは本当に日本では物すごく大きいですので、男女の賃金格差さえなければ本当にもっと安定した生活ができるのにという声は随分聞きますので、そういうふうなことですね。
 それと、あとは、今は就労支援として自治体なりセンターなりが行っている支援は、例えばパソコンの講習でありますとかヘルパーの講習でありますとか、それから調理師の講習なんかも若干行っていたりするんですが、そういういわゆる事務系の仕事あるいは介助系の仕事といいますか、いわゆる女性向けの仕事というふうな形だけではなくって、もっとジェンダーを外したといいますか、いろんな、運転手でありますとかクレーンでありますとか、そういうふうな訓練の職種の開拓というふうなものも必要ではないかと思います。
○福島みずほ君 森参考人にお聞きをします。
 具体的に、首長さんとして仕事をしていらして、言いにくいかもしれない、三位一体改革の評価をお聞かせください。
○参考人(森貞述君) 私は、ある面で一歩前進をしたと先ほど申し上げました。今まで、いわゆる国、県、市町村というそういう中で、私どもは、俗に言いますと補助金を取ってくるというようなそういう考え方であったものが、そうではなくて、私どもがこういうようなふうにすればという工夫をすること、そういうことを一つずつやっていく、その一つの私は一里塚が今回の三位一体改革であったと。
 そういう点と併せて、先ほど申し上げましたけれども、やはり国と地方が対等であって、協議の場を、そこでこれから、いろんな意味でまだ摩擦はあると思います、しかしそういうことをいわゆる経験をしていくこと、それは私は、ある面で私どもも住民と対峙をして緊張関係の下でやっていく、同じことがこれから、ある面では地方と国、地方六団体と国とがそういう意味で切磋琢磨できれば私はいいというふうに考えております。
○福島みずほ君 終わります。
 どうもありがとうございました。
○委員長(山下英利君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々には、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただきました。誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 本日はこれにて散会をいたします。
   午後五時三十二分散会