第164回国会 国土交通委員会 第20号
平成十八年五月三十日(火曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 五月二十四日
    辞任         補欠選任
     郡司  彰君     北澤 俊美君
     藤末 健三君     輿石  東君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         羽田雄一郎君
    理 事
                伊達 忠一君
                脇  雅史君
                大江 康弘君
                山下八洲夫君
                西田 実仁君
    委 員
                市川 一朗君
                太田 豊秋君
                小池 正勝君
                末松 信介君
                田村 公平君
                中島 眞人君
                藤野 公孝君
                松村 龍二君
                吉田 博美君
                加藤 敏幸君
                北澤 俊美君
                輿石  東君
                佐藤 雄平君
                田名部匡省君
                前田 武志君
                山本 香苗君
                小林美恵子君
                渕上 貞雄君
   国務大臣
       国土交通大臣   北側 一雄君
   副大臣
       国土交通副大臣  江崎 鐵磨君
       国土交通副大臣  松村 龍二君
   大臣政務官
       国土交通大臣政
       務官       吉田 博美君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊原江太郎君
   政府参考人
       国土交通省住宅
       局長       山本繁太郎君
   参考人
       独立行政法人都
       市再生機構理事  尾見 博武君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○住生活基本法案(内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(羽田雄一郎君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十四日、郡司彰君及び藤末健三君が委員を辞任され、その補欠として北澤俊美君及び輿石東君がそれぞれ選任されました。
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○委員長(羽田雄一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 住生活基本法案の審査のため、本日の委員会に国土交通省住宅局長山本繁太郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(羽田雄一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(羽田雄一郎君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 住生活基本法案の審査のため、本日の委員会に独立行政法人都市再生機構理事尾見博武君を参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(羽田雄一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(羽田雄一郎君) 住生活基本法案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○小池正勝君 おはようございます。自由民主党の小池正勝です。基本法の質問をさせていただきます。
 今、住宅をめぐる問題というと、姉歯事件をきっかけにしまして耐震問題というのが国民、市民、大変な関心を持っている、もう関心というより怒りといった方がいいんでしょうが、怒りが高まっている、それが今の状況だろうと思いますが、そんな中で基本法が提出されるわけであります。姉歯事件自身は、建築基準法なり建築士法の改正というのが引き続き行われる、それが議論されるようでございますから、そちらの方で中心は議論されることでございますから、今日はそんな状況の中での基本法の提出ということでの御質問をしたいと思っております。
 まず第一点目に、そもそも今回この基本法を提案された背景というのはどんなところにあるんでしょうか。
○政府参考人(山本繁太郎君) 今回、住生活基本法の制定をお願いしているわけでございますけれども、これまで住宅政策の基本的な枠組みを定める法律としては昭和四十一年に制定されました住宅建設計画法があるわけでございますけれども、今回それを廃止して、住生活基本法を制定していただこうということでございます。
 戦後の住宅政策を振り返りますと、終戦直後の圧倒的な住宅不足に対応するために、これまでの住宅政策の基本的な政策手段が昭和二十年代に相次いで整備されました。昭和二十五年の住宅金融公庫の制度、二十六年の公営住宅の制度、それから日本経済がいよいよ戦災から復興して高度成長に入ろうとする昭和三十年に、大都市の住宅不足に対応するために日本住宅公団の制度が昭和三十年にできました。
 この三つの制度を柱にして、戦後の圧倒的な住宅不足に対応するということを主眼として政策が行使されてきたわけですけれども、昭和四十一年というのは、そういう高度成長、都市集中、大都市における住宅不足にどう対応するかといったようなことを問題意識として昭和四十一年に住宅建設計画法ができました。五か年計画の下に政策を整合的にやってきたんですが、実は昭和四十年代の後半に住宅の量的な不足は解消されまして、住宅建設計画法でいえば、第三期の五か年計画に当たります昭和五十一年に策定されました五か年計画からいろいろ住宅の質的な向上についても床面積の目標を定めて努力してきたわけでございます。
 その後、いろいろな社会経済情勢の変化に伴いまして、住宅政策を量の確保から住環境を含めた質の向上へということをいろいろ努力をしてきたわけでございますけれども、特に、最終の五か年計画でございました第八期住宅建設五か年計画でございます。これは、平成十三年度に策定されて昨年度で終了する計画でございますけれども、ちょうど小泉内閣が発足したタイミングに当たりますけれども、この第八期住宅建設五か年計画が策定されるタイミングにおきましては、今までのこの住宅建設計画法による政策運用の枠組みを抜本的に変えたいと、五か年計画は第八期をもって最後にしたいという考え方でいろいろな問題状況の整理をしまして、平成十五年には社会資本整備審議会から新しい住宅政策の方向についても建議をいただいております。
 さらに、この三年間、先ほど御紹介しました住宅金融公庫、公営住宅、日本住宅公団の制度につきましても、民間にできることは民間にやっていただく、地方にできることも地方にやっていただくという観点から、抜本的な見直しを国会でも制度改正していただいたところでございまして、そういったことを踏まえて、今回、住宅建設計画法に代わる新しい制度的枠組みとして住生活基本法をお願いしようとしているところでございます。
○小池正勝君 今の御説明は、住宅金融公庫なり住宅公団なりという、今まで住宅政策を支えてきたものが今回廃止になったと、あるいは量から質へということで三期五計から変わってきたということを踏まえて今回基本法をするんだと、こういうお話でございました。
 今おっしゃられたように、量から質へという転換は三期五計の中でもう示されておる、年でいえば昭和四十八年にそもそも住宅戸数は世帯戸数を上回っておって、もう昭和四十八年の段階で量は解決している話なんですね。にもかかわらず、今は昭和に直したら昭和八十一年ですか、昭和四十年から八十一年、まあ約三十年以上になるわけですけれども、何で住宅基本法が三十年もできずに今日まで引っ張られたんだろうか。その間に住宅宅地審議会はもう何回も基本法を制定すべきだという答申をしています。昭和五十八年に始まって何回もしています。しかし、基本法が一度も提案されていない。何で三十年もたって、なぜこんな時期に今やられたのか、その点の御説明をお願いします。
○政府参考人(山本繁太郎君) まず、政策努力の側面から御説明する必要があると思いますのは、第三期住宅建設五か年計画が典型でございますけれども、これは要するに昭和五十一年から五十五年までの五か年間に、公的資金による住宅建設をどうするかということがもちろん骨格には計画の中にあるんですけれども、先ほど申し上げましたように、住宅の質も追求するんだという観点から、その五か年計画の範囲を超えまして、十年後に居住水準をこういうふうに持っていくんだという平均居住水準の目標と、これより小さい規模の床面積の住宅に住むというそういう居住は解消するんだという最低居住水準の目標を掲げまして、これは十年先ですので、本来五か年計画のターゲットを離れているんですが、先輩たちが用意したこの五か年計画では、そういう長期的な目標を用意をして必要な政策目標を達成していきたいと、そういう住宅建設の計画をするという枠組みではあるけれども、新しい政策のニーズにこたえる形でこれを運用したいということでやってきたと思います。
 これは、第三期が典型ですけれども、その後もそれぞれ、三本柱それぞれについて、例えば市場を前提にした政策運用をするということで、比較的最近になりますけれども、平成八年には公営住宅の供給方式の自由化ということで借り上げとか買上げとかというような制度も導入しました。マーケットの家賃を前提に応能応益の家賃制度を導入するというようなこともやりましたし、あるいはさらに、典型的には品確法ですね、住宅の品質の確保の促進に関する法律、住宅性能表示を用意するということで、マーケットの、市場のインフラを整備するというような努力もしてきたと思います。
 ですから、既存の枠組みを最大限に駆使して政策目標を達成するという努力は政策当局ではやってきたというのは一つあります。
 もう一点は、私から御説明するのもいかがかと思いますけれども、住宅基本法の制定が一つの政治的な対立軸になっていたという要素もあると思います。その意味は、要するに住宅基本法によって居住に関する権利を法定すると、具体的な権利として、包括的な権利として法定することが国民の皆様の居住を向上させるための手段だと考えるのか、これは元々具体的な権利として法定するところまで国民の皆様のコンセンサスがないんじゃないか、法定化にはなじまないんじゃないかという議論が非常に強く行われておりまして、それを基本法のターゲットにする限りはなかなか成案を得られないという時期が比較的長く続いたと思います。
 これは昭和四十年代から、元々四十一年に住宅建設計画法を制定するときにも基本法制定の議論はございました。それから五十年代、それから六十年、平成になりましてもまだそういう議論はあったと思います。それ非常に長い間そういう議論が続いてコンセンサスが得られなかったと、内閣として基本法を制定することができなかった非常に大きな理由だったというふうに認識しております。
○小池正勝君 今の御説明は、一つは、政策的には量から質という認識はあったんで、政策的にはもう基本法はなくてもやっておったと、それが具体的には居住水準という考え方が入っておったと。おっしゃるように、平均居住水準とか誘導居住水準なんという言葉は四期五計から出てくるわけですから、おっしゃるように前からやっておったというのはそれはもう事実なんだろうと思うんですね。一方で、住宅基本法というのは、先ほどおっしゃった権利というのを位置付けるかどうかというんで政治的な場でいろいろ議論があったと、これも確かにそうだろうと思います。
 しかし問題は、なぜ、昭和五十年に政府の住宅宅地審議会が基本法は必要だよという答申をし、昭和五十八年にも答申をし、何回にもわたって答申をしておるのに、それを受けて政府が動かなかったのかと、そこをお伺いしているんです。
○政府参考人(山本繁太郎君) 小池委員はかつて住宅局でこの仕事をしておられたこともありますんで、御理解していただいた上での御質問だと思いますんで非常に答弁がしにくいんですけれども、再度の御質問でございますんで御説明しますと、先ほど言いました二つの側面の理由のうち、やはり後者の部分ですね、政治的な対立が非常にあってその部分のコンセンサスが最終的に確保し切れなかったという部分が一番大きいと思います。
○小池正勝君 かつての上司に言われますと私もこれ以上なかなか言いにくいところがありますが、それでは発言を変えまして、今度は住生活基本法ということで提案をされております。なぜ住宅基本法でなかったのかということをお伺いしたいと思っております。
 まず、住宅について、今住宅の安全性であるとか耐震であるとか住宅本体について様々な関心あるいは怒りというのが起こっているわけですね。にもかかわらず、しかも累次の住宅宅地審議会の答申も住宅基本法ということで答申がありました。経済界でも住宅基本法、経団連なんかも住宅基本法と、こういうことでの提言でございました。およそみんなが、また建設省も住宅基本法という言い方をしてきているわけですから、なぜそれがあえて、しかも住宅自体のもの、耐震であるとか姉歯事件のようなもので住宅自体のものに大変関心が高まっているにもかかわらず住宅基本法としないで住生活基本法とされたんでしょうか。
○政府参考人(山本繁太郎君) 耐震偽装の事件が発覚して国民の皆様に大変な御心配を掛けている最中でございますんで、誠にごもっともな御指摘だと思います。住宅の質を追求するということでございますんで、住宅そのものの基本的な性能が確保されるということは最も大事なポイントだと思います。そういう意味で、御指摘はそのとおりだと思います。ですから、我が国のような自然条件の厳しい国土条件の下で住宅を追求するわけですから、耐震安全性とかその他の災害に対する安全性、防火といったベーシックな性能がきちんと確保されているというのはもう言うまでもない一番大事な性能だと思います。
 その上で答弁させていただきたいと思うんですが、住宅の質を向上させるというときに、やはり長い間社会資本整備審議会でも御論議いただいたんですけれども、目的はどこにあるかということに議論が行き着きまして、基本的な目的はやはり日本国民の住生活を豊かにするという点にあるんじゃないかと、掲げるべき目標ですね。国の経済は非常に、戦後格段に豊かになってきているけれども、西ヨーロッパとか北米の豊かな、経済的に豊かな国々と比べた場合、衣食住のうち、衣も食もそういった国々に決して引けは取らないけれども、事住生活に関する限りどうしても豊かさを実感できないと、なぜなのかという点に立脚して施策を講じていくべきだという議論でございます。そういうことで、今回の住生活基本法の「目的」のところにやはり住生活の安定と向上ということを掲げました。住生活を豊かにするという目的を掲げたということでございます。
 そのこととの関係で、住宅そのものを質のいいものにするというのは当然です。これはイの一番に理念でも掲げておりますけれども、しかし住宅そのものではなくて、みんなが暮らしていく限りは、一緒に住んでいるわけですから、町全体の住環境全体も良くする、住宅そのものを良くすることと併せて、第二に住環境全体にも目を配っていって、みんなで協力して努力をして住環境を良くすると。あわせて、そういう市街地であれ田園地域であれ、コミュニティーで暮らしているときに、暮らしのためのサービスですね、少子高齢化ということを考えれば、介護サービスももちろんですけれども、社会福祉施設にしても子供を育てる施設にしても、暮らしていくことのサービスがきちんと充実しているというところまで視野を広げて国民の住生活を豊かにするんだと、そういう議論が行われました。
 そういうことを踏まえて、審議会の御議論を踏まえた上で今回基本法を立案させていただいておりますので、それらを、国民の豊かな住生活を実現するという旗印を踏まえて、どういう領域の政策領域を視野に入れて施策を総合的に講じようとしているかという全体を端的に表すということになれば、住生活基本法だという結論になったわけでございます。
○小池正勝君 今の御説明でいきますと、従来から住宅宅地審議会の答申はそういうことも知った上であえて住宅基本法という答申だったんだと思うんですね。しかも、よく住宅、土地と、こういうふうに一括して言われますけれども、土地の方は土地基本法となっているんですね。土地生活基本法ではありません。土地基本法となっているんですね。しかも、土地基本法を見てみると、その第一条で「この法律は、土地についての基本理念を定め、」と、こう書いてありまして、具体的にはその土地自体に着目して様々な規定を置いています。例えば「土地は、投機的取引の対象とされてはならない。」ということとか、様々土地自体に着目して、土地自体に問題があったからですね。
 ところが、今回だって住宅問題は姉歯の事件に大変関心が高まっているわけですけれども、住宅それ自体について関心が高まっているのに、しかも、先ほど局長さんおっしゃったけれども、そのような認識は従来から審議会にあるにもかかわらずあえて、住宅基本法という提言がなされているにもかかわらず、にもかかわらずなぜ住生活基本法なんでしょうか。
○政府参考人(山本繁太郎君) 今御指摘のありました事柄は、法律の理念は三条から六条まで書いているわけで、そのイの一番に、第三条に住宅の質を確保すると、良質な住宅を供給するということをうたっております。だから、理念を掲げる中でイの一番に住宅単体の質を確保するんだということをうたっておりますから、その部分は基本法の中で一番重視していると思います。
 それから、これまでも住宅宅地審議会の御議論の中で、住宅という言葉で住生活も含めて御議論いただいたことは事実でございますけれども、今回、基本法を制定していただくという観点から、どちらがより国民の皆様に御理解していただきやすいかということで、分かりやすさを前提に、私自身も住宅基本法ということに言い慣れておりますんで、住宅基本法というとしっくりくる、住生活基本法というとなかなかしっくりこないところも当初はあったんですが、国民の皆様にこの法律の企図するところをきちんと的確に御理解いただくためには、法律の名前は住生活基本法の方が望ましいという判断を最終的にしたということでございます。
○小池正勝君 それでは、総論的なお話はこれぐらいにしまして、各論に入らせてもらおうかと思うんですが、姉歯の事件、今日の新聞にもイーホームズが取消しなんというのが新聞の報道に載っておりますけれども、姉歯事件自身は建築基準法であり、建築士法の改正の方ですから深く入ることはいたしませんが、姉歯事件についてその後、この場でも何回も議論されておるわけですが、その後、今どのような動きになっているんでしょうか。
○政府参考人(山本繁太郎君) 幾つかに分けて御説明したいと思います。
 まず、制度改正の問題でございますけれども、今回の事案を契機に、二度とこのような事件を起こしてはならないという観点から、建築確認検査制度の総点検を行いまして所要の改正をするという姿勢で社会資本整備審議会に御論議いただきまして、その結果、早急に講ずべき施策ということで御指摘をいただきました点、幾つか例えば申し上げますと、高度な構造計算を要する一定の規模以上の建築物については第三者機関による構造計算適合判定を義務付けるとか、それから特定行政庁による民間の確認検査機関に対する指導監督を強化するとか、あるいは危険な建築物を設計した建築士に対する罰則を大幅に強化するといったようなことを御指摘いただきまして、これを建築基準法等の改正案ということで今、国会にお願いしているところでございます。
 残された課題につきましては引き続き審議会で御検討していただきました上で、例えばの例は、建築士制度の中で専門的な建築士の制度を設ける、あるいはその建築士の団体に加入を義務付けると、そういったような課題でございますけれども、これについては夏までに方針を取りまとめていただいて、次の国会に所要の改正をいただくという方針で臨んでおります。
 それから、関係者の処分でございますけれども、昨年末から偽装を行ったことが明らかな姉歯建築士、これは刑事告発もしましたし、行政処分として資格の取消しを行いました。それから、姉歯建築士の偽装を見逃した元請の建築士につきましても資格の取消しなどの処分をいたしました。それから、指定確認検査機関で仕事をしておりました、確認の仕事をしておりました確認検査員につきましても資格の取消処分を行いました。それから、そういう仕事をしていた指定確認検査機関についてもイーホームズの指定を取り消しました。さらに、処分も行っております。確認された事実に即して厳正に処分を行ってきております。
 それから、今回事案で現実にでき上がってしまった危険な建築物、特に保有水平耐力が〇・五未満の危険な分譲マンションにつきましては、現に住んでおられる方々の安全、それから周辺の方々の安全も含めて、できるだけ早く退去していただいて除却してということが非常に大事でございますので、地域住宅交付金を活用いたしましていろんな相談に応じること、それから移転経費を応援すること、それで移転期間中の家賃も含めて応援をすると。
 それから除却、それから建て替えについて、これから出ていっていただいて、仮に住んで、建て替えてまた戻り入居をするというところまで総合的な支援策を昨年の十二月六日に提示をいたしまして、補正予算におきましても地域住宅交付金五十億円計上していただきました。今、公共団体が中心になって、それから都市再生機構も支援をしまして、いろいろな調整を進めているところでございますけれども、これまでに対象となるマンション十一棟ございますが、このうち十棟の方々の退去が完了いたしました。当初入居しておられた戸数の九七%に当たる三百戸の退去が済んだところでございます。今、一棟の九戸がまだ居住しておられるという状態です。
 建て替えに関しましては、都市再生機構が作成しました再建の計画案、これは粗々の案でございますけれども、これを基に居住者の方々と公共団体でいろいろ御相談をしておられます。十一棟のうち一棟は除却工事が始まりました。それから、七棟について居住者の方々の建て替え推進決議がなされているところでございます。
 これからでございますけれども、居住者の方々が可能な限り早期に建て替えを決議していただいて、建物の取壊し、建て替えを円滑に進められますように、公共団体と十分連携を図って取り組んでまいりたいと考えております。
 さらに、保有水平耐力が〇・五以上で一・〇未満のマンションも十五棟ございます。これにつきましては、耐震改修などによりまして基準法に適合させる、安全性を確保するということが大事でございます。これらにつきましても、いろいろな技術的支援を行うということと併せまして、必要に応じまして既存の制度を活用して、助成あるいはその住宅改良の融資をするといったようなことで支援をしたいと考えておりまして、去る五月二十五日に、関係する公共団体と国で構成されます構造計算書偽装問題対策連絡協議会におきまして、耐震改修に関する実施方針について申合せを行ったところでございます。これらの事柄につきまして、できるだけ早期に改修工事が実施されますように、公共団体と連携して取り組んでまいる所存でございます。
○小池正勝君 この姉歯事件が起こったのが、発覚したのが昨年の十月でしたでしょうか。もう約半年、半年以上が過ぎておるわけです。しかし、いまだにテレビ、新聞には毎日出てきて、建て替えが進まない、補強が進まないということが出ていまして、しかも入居者の皆さんは不安で不安でしようがないと、しかも二重ローンの恐怖といいますか、にまでさらされておって大変困っているんだと、こういうことまで再三テレビ等で訴えておられるわけであります。
 そんな中で、これはもう一日も早い建て替え、補強というのをしていかなければならないわけですけれども、そのときに、それは入居者の問題だとか、あるいは地方公共団体の問題だというんじゃなくて、金融界もひっくるめて、お金を貸したのは銀行なわけですから、ひっくるめて積極的に入居者の支援と、入居者は何も悪いことしているわけではないわけですから支援をしていかなければならないと思うんですが、先ほどのお話では、退去したのはしたけれども、まだ壊したのは一棟しか行われていないという話でした。この建て替えあるいは補強というのは、具体的にこれからどんなスケジュールで進むんでしょうか。
○政府参考人(山本繁太郎君) 建て替えの仕事と、それから改修の仕事と若干進み具合に違いがあると思うんですが、建て替えは何といっても除却を急がなきゃいかぬという要素もありますんで、ただ、分譲マンションにつきましては、住んでおられる方々がそれぞれ区分所有権持っておられて、それぞれお考えもございますんで、除却して建て替える、全体についての合意がなされないと除却自体もできないということでございますんで、今一生懸命やっているところです。
 目には見えておりませんけれども、現場の話を聞きますと着実に進んでいると思います。順次、今建て替え推進決議という形ですけれども、法律に基づく建て替え決議もこれから出てくる見通しでございます。ですから、非常に困難ですけれども、国が用意しました総合的な支援策をベースに、公共団体とそれから都市再生機構が支援をしながらきちんと前に進めていくということでございます。できるだけ早い時期に建て替え決議をしていただいて前に進んでいくことが大事だと思っております。
 それから、耐震改修の方は、先ほどちょっと全体の話をしましたけれども、耐震改修計画をどういうふうに作っていくかということがございます。まず、耐震改修計画の基本的な枠組みを、検査をしたり、どういう方向で改修をするかという基本計画を作るのは売った建築主ですね、分譲事業者です、にまずやっていただきたいというふうに考えております。
 実際、ヒューザー以外の分譲事業者が分譲したものについては売主がその耐震診断をし、どういう改修計画をしたらいいかというその基本計画を今樹立していただいております。それを基に、今度は居住者が実際の改修の実施計画を作っていただいて、それに基づいて、国と公共団体の助成も入れながら現実に改修工事をしていくということになります。タイミングについては、居住者の方々が改修実施計画を作っていただくのを年内に、十二月までに作っていただくということで今前に進めているところです。
 ただ、ヒューザーが分譲したものについては、もうヒューザー自体が破綻しておりますので、改修の基本計画の部分につきましても公共団体が前に出ていただく形で耐震診断をし、基本的な方向を整理していただいて前に進めていくように、これにつきましても、年内には現実の改修計画が樹立できますように努力していくと、そういう方針で臨んでおります。
○小池正勝君 姉歯事件自身は、建築基準法なり建築士法の改正ですから、もうこの話はこの辺でおきますけれども、ただ、この事件をきっかけにというか、元々地震に対して、耐震ということについては非常に国民、市民は関心が高かった。とりわけ、阪神・淡路大震災があって、その中で六千人もの人が亡くなられたわけですけれども、その一番大きな原因は、住宅倒壊による、建物の倒壊による圧死ということであったということを考えますと、この住宅の耐震化というのは、姉歯事件というのとは別の問題として、これは急がなければならないということが事実なんだろうと思うんです。
 とりわけ、日本は火山列島でありますから、どこで地震が起こるか分からないし、東海地震というようなことが言われたり、あるいは東南海・南海地震なんということが言われたりしています。しかしながら、まだまだ耐震化率というのはなかなか進んでいないというのが今の状況です。
 徳島県でも今六四%の耐震化率という状況ですから、三軒に一軒、五軒に二軒と言ったらいいんでしょうか、はいまだ地震の恐怖にさらされる中で生活している。で、大変関心が高まっていると。何としてもこの耐震を急がなければならない、命にかかわることですから急がなければならないというんで、今、県も市も挙げてやっているんですけれども、それについて国の方はどう考えているんでしょうか。
○政府参考人(山本繁太郎君) 御指摘のとおり、阪神・淡路大震災でも地震によって亡くなられた方の九割は建物が倒壊して即死されたということでございます。我が国の置かれている国土条件を前提にしますと地震は不可避でございますので、地震による災害から人の命を守るという観点から、建築物の耐震化が一番重要な対策だと認識しております。
 阪神だけではなくて、近年は新潟県の中越、それから福岡県の西方沖でも大規模地震が頻発しておりまして、いずれにしても、我が国の自然条件を前提にすれば、日本列島のどこで大きな地震が発生してもおかしくないということでございますんで、きちんとした対策を講じていくということが必要だという認識です。
 そういった状況を踏まえまして、昨年の三月、中央防災会議で、内閣府の、今後十年間、地震による死者を半減させるという減災の目標を掲げました地震防災戦略というものが決定されまして、そのための非常に大事な政策領域として建築物の耐震性を向上させると、確保するということが掲げられたわけでございます。
 この観点から、昨年の特別会で国土交通省がお願いしました耐震改修促進法の改正案、全会一致でお認めいただきましたけれども、これに基づきまして国が基本方針を定めまして、この基本方針の中で、住宅の耐震化につきましては、現在耐震基準を満たしている住宅は七五%ですけれども、平成二十七年までにこれを九割以上にすることを目標に取り組むということを掲げております。
 住宅の耐震化のためには、まず住宅に住んでおられる方といいますか、住宅の所有者自らがこれ大事だと認識してもらうこと。認識してもらうためには、町ぐるみといいますか、地域ぐるみで問題意識を持って取り組んでいただくということが非常に大事でございまして、そういう取組が可能になるように、この耐震改修促進法の枠組みの下で国と公共団体ができるだけ環境を整備する、あるいは耐震改修のための費用負担の軽減を図るということが大事だと考えております。
 そういう観点から、先ほど申し上げました改正後の耐震改修促進法では、公共団体が主体的にこの問題に取り組んでいただくために耐震改修促進計画を策定していただくことにしております。都道府県については策定を義務付けております。年内に耐震改修促進計画を策定してほしいということで取り組んでおります。
 この計画の中で、各公共団体ごとの、先ほど国全体の目標の例を一つ御紹介しましたけれども、公共団体ごとの耐震化の目標とか耐震改修に対する支援の制度、あるいはいろいろ相談する場合の相談窓口の設定、あるいは実際に住宅の所有者が問題意識を持ってもらうために地震防災マップの作成、こういう規模の地震が近くで起きた場合にそれぞれの敷地がどういう震度で揺れるかということを示した地図でございますけど、そういったものを公表して問題意識を持ってもらって公共団体が耐震診断をお手伝いし、所有者が耐震改修をしていただくという流れになってくるわけでございまして、そういったものを戦略的に定めていただくと、定めて進んでいただくことをお願いしているわけでございます。
 それから、所有者の負担軽減のための支援措置の拡充強化につきましては、今年度の予算、それから今年度の年次の税制改正におきまして、まず、予算では、補助事業として耐震改修事業のために百三十億円を確保しておりまして、緊急輸送道路の沿道の建築物に対する傾斜的な補助の制度とか、それからいろんな地域要件を緩和したりしております。
 それから、税制につきましては、持家を耐震改修される場合に、所得税額から耐震改修に要した費用の一定割合を税額控除する制度、あるいは固定資産税を減額すると、一定期間、というような耐震改修促進税制を創設していただきました。
 国土交通省としましては、今後、公共団体に対しまして、耐震改修促進法に基づく改修促進計画の早期の作成を促すということ、それから耐震診断とか改修についての、これ国の補助制度ですんで公共団体が受皿として助成制度をつくっていただかないとお金が流れませんので、是非この助成制度をきちんとつくって、しかるべく運用してくださいということをお願いしております。
 当初の目標であります十年間で少なくとも九〇%を上回るという目標を着実に実現できるように努力してまいる考えでございます。
○小池正勝君 この地震のお話は、徳島県の例を出しますと、先ほど申しましたように、六四%しか耐震化率が進んでいません。全国平均が七五ですから後れています。もちろん、それは何も国任せというつもりは更々ありませんで、地域住民が地方公共団体、県も市も挙げて、もちろん補助制度も用意しています。受皿も用意しています。一生懸命やろうとしているんですが、何せ今地方財政は非常に厳しい時期でございますから、やはり国の積極的な支援というのを財政面でも税制面でもしていただかないと、我々も受皿は用意していますし一生懸命重点投資もしていますけれども、何としても六四を、先ほど九割とおっしゃいましたが、全国平均七五から見れば更にうちは東南海・南海地震の対象地域であるにもかかわらず低いんです。
 しかも、そこへ持ってきて、三週間ほど前でしたか、地元の徳島新聞の一面トップにこういう記事が載ったんです。地震保険料の改定というのが載りまして、徳島県は地震保険料が三〇%もアップするという記事が一面トップで載りました。大変な関心が今県民、市民に高まっています。それだけ危険なんだなというようなことを肌身で感じているわけです。したがって、県も市も挙げてやろうとしているわけですが、是非国も積極的な支援をお願いしたいと思うんです。
 大臣にここでお伺いしたいんですが、大臣はこのお話、大変積極的に対応していただいておりまして、昨年は耐震促進税制をおつくりいただいたりしているわけですけれども、この耐震化の推進についてどのようにお考えになっていますか。
○国務大臣(北側一雄君) この住宅の耐震化を進めていくということが大きな地震があったときに一番の減災対策であるということはもう全くそのとおりでございまして、昨年来、耐震改修促進法を大幅に改正させていただいたり、また予算の拡充をさせていただいたり、税制の拡充をさせていただいたり、そうしたことをさせていただいておるところでございます。
 私は、防災というのは、自助、共助、公助とよく言われますが、やはり核となるのはやっぱり自助、ここがしっかりしていないと、幾ら共助、公助といっても、まず自らが自分の命を、自分の建物を守るんだという強い意識をやはり持っていただくことが第一でございまして、そうした啓発をしっかりしていかないといけないなというふうに思っております。
 先般も中央防災会議があったときに、非常に分かりやすく、あれはどこの大学の先生でしたかね、名古屋大学の先生なんですけれども、ちょっとここに、はすかいに建物に筋交いを入れるだけで全然違いますよというのを具体的に模型を作りまして、これ総理の前でやられたんですけれども、模型を作って揺らしまして、そうしたら、片方の方は簡単に崩れてしまったんですが、片方の方はしっかり残っていると。ちょっと筋交い入れるだけなんですという話を具体的に目を通して教えていただいたんですね。
 こうした啓発活動というのがやっぱり最も大事なことで、私は、制度をきっちりつくっていくということはもちろん大事なんですが、各地域地域でこうした住宅の耐震性というのはいかに重要なのか、そして具体的にこういうことをすればできるんですよと、住宅というのは強くなるんですよということを啓発活動をしていくということが、地道なんですけれども、私は非常に重要だというふうに認識をしておりまして、是非そういう活動を、地方公共団体ともよく連携取りながら、そういう専門家の先生方にも言っていただいて、住民の方々に分かりやすい形で啓発をしていく努力をしっかり取組をさせていただきたいというふうに思っております。
 ある意味では、制度としては私はそれなりに整ってきたというふうに思っているんです。あとは、住民の方々の意識をいかに強く持っていただき、それをいかにサポートしていくのかというところが大切でございますので、そういう意味では、昨年通していただいた耐震改修促進法に基づきまして国の基本方針も作り、地方もこれから計画を作らせていただきます。本格的に各地域地域でそうした運動というものを展開をさせていただきたいと考えております。
○小池正勝君 先ほど申しましたように、地震保険料が三〇%もアップするというのが一面のトップ記事に載ったところでございますから、大変関心高まっておりますし、大臣おっしゃるように、これはまず自助だと、これはもうおっしゃるとおりだと思うんですね。しかし、どうしても地方は財政的にも弱いですから、これはやはり積極的な御支援のほどをお願いしたいと思っております。
 そこで、今度は各論に入るんですが、こういった耐震は一つの例ですけれども、耐震に限らず、住宅政策を進めるに際して、財政上の措置、金融上の措置、様々な支援があると思うんですが、税制上の措置というのは住宅政策にとってどの程度有効なんでしょうか。
○政府参考人(山本繁太郎君) これまでの住宅政策が三本柱を中心に公的資金を使って、公的資金で住宅を直接供給するという点にかつては主眼があったわけですけれども、今回、住生活基本法を制定していただいて追求する住宅政策では、住宅市場を通じて住宅のストックの質を良くする、住宅全体を良くしていく、それをきちんと各御家庭が活用していただくということが中心になりますので、このためのインセンティブとして、市場で行動するためのインセンティブとして、税制の役割は、これまでももちろん大事でございましたけれども、これまで以上に非常に重要な役割を担うという認識でおります。
○小池正勝君 正に住宅税制、大事だということだと思うんですが、そういう目で今度はこの法案を見てみると、税制上の措置という言葉が一つも入っていません。この本法案の十条を見ると、「政府は、住生活の安定の確保及び向上の促進に関する施策を実施するために必要な法制上、財政上又は金融上の措置その他の措置を講じなければならない。」ものとすると書いてあって、税制という言葉は一つも入っていない。
 一方で、土地基本法を見てみると、土地基本法の十五条では、「国及び地方公共団体は、土地についての基本理念にのっとり、土地に関する施策を踏まえ、税負担の公平の確保を図りつつ、土地に関し、適正な税制上の措置を講ずるものとする。」と、土地基本法にははっきり「税制上の措置を講ずるものとする。」と書いてある。
 今回の住生活基本法は、先ほどおっしゃった税制が極めて大切な手段だとおっしゃるにもかかわらず、入っていない。これはどういうことでしょうか。
○政府参考人(山本繁太郎君) 土地基本法に御指摘いただいたような表現で税制が規定されているということは認識しております。
 住生活基本法の第十条でございますが、「必要な法制上、財政上又は金融上の措置その他の措置を講じなければならない。」とされております。この中で税制上の措置については特段明記されておりませんけれども、租税特別措置法などの改正による税制上の措置につきましては法制上の措置に含まれるという認識でございます。当然、法制上の措置に含まれているという認識でございます。そういうことで、先ほど申し上げましたように、新しい住宅政策の下で税制が果たすべき役割を追求していきたいと考えております。
○小池正勝君 法制上の措置に入っているんだと、こういう御説明ですが、土地基本法ではあえて「税制上の措置」と書いてあるんですよね。なぜ土地基本法に書いて、住生活基本法は書かないんでしょうか。
○政府参考人(山本繁太郎君) 非常に難しい御質問なんですが、法制的に、租税法定主義の下でこの法制上の措置に含まれる以上、それじゃ税制上の措置って書いちゃいかぬのかという議論にはもちろんならないとは思いますけれども、法制上の措置に含まれるということで、こういう規定で必要にして十分だというふうに内閣としては判断したということでございます。租税当局も含めてそういう結論になったということでございます。
○小池正勝君 そこで大臣にお伺いしますが、大臣は、耐震促進税制をおつくりいただいて正に住宅税制お詳しいし、住宅政策の手段として税制が有効だということは十分御認識だと思うんですが、にもかかわらず、正に今回入ってない。これについてどうお考えになりますか。
○国務大臣(北側一雄君) むしろ土地基本法の方が念のために私は多分書かれたんだというふうに理解をしております。
 明確にさせていただきたいと思いますが、委員のおっしゃっているとおり、税制上の措置というのは住宅政策にとって極めて有効な手段でございまして、この第十条の法制上の措置の中に当然税制上の措置は入っているというふうに考えております。
○小池正勝君 大臣がはっきりおっしゃられましたから、もうこれ以上は申しません。是非、この税制上の手段というのをこれからも適切に行使していっていただきたいと思っております。
 まだ少し時間をちょうだいしておりますから、幾つかの問題で各論を質問させてもらおうと思いますが、一つは住宅建材の問題です。
 アスベスト問題であるとかシックハウス症候群、これは別途法体系で処理するお話ですから、この住生活基本法で云々というお話ではありませんけれども、ただ、この基本法でどう扱われているんだろうかと思って見ると、この中に出てくるのは、住宅関連業者という表現が入っているんですね。ところが、住宅局に御説明を聞くと、住宅関連業者には建材は入らないと、こういう御説明をされました。そうしたら、このアスベスト問題、シックハウス症候群というのは、これは住生活基本法上どんな位置付けをされるんでしょうか。
○政府参考人(山本繁太郎君) 住宅において化学物質によって健康被害が生じると。これをきちんと対策を講じて安全な住宅を確保するのは非常に大きな課題でございます。最も基本的な性能でございます。
 シックハウスについても、これまでいろいろ建築行政においても取り組んできたところでございますけれども、この法案の中では、まず何よりも国それから地方公共団体が講ずべき基本的な施策としてその部分を掲げております。
 基本的な施策の一つといたしまして、安全性、快適性などの住宅の品質、性能の維持向上を掲げております。それから、建材からの化学物質による健康被害に対する安全性につきましても、この枠組みの中、この施策領域の中で的確に取り組んでまいりたいと考えております。
 それから、これまでの取組で、例えば新築住宅における室内空気中のホルムアルデヒド濃度の実態調査、厚生労働省が濃度の指針値を定めておりますけれども、その指針値を超えた割合というのが年々減ってきておりまして、対策は効果を奏しているという認識でございます。
 先ほど住宅関連事業者に入るかどうかという議論がありましたけれども、厳密にいろんな議論をするとあると思いますけれども、元々、今回住生活基本法で四つの理念を掲げていただいている考え方からしますと、この施策領域は、住生活基本法が関心を持つ施策領域は一住宅局とか国土交通省が所掌している範囲に収まり切りませんので、御指摘いただいた問題意識をきちんと受け止めて関係省庁と連携を図りながら取り組んでまいる考えでございます。
○小池正勝君 今回の住生活基本法案は、住宅建設計画法と違って住宅関連業者の責務ということをはっきり明記したということが大きいと思うんですよね。それは今回の姉歯の話もそうだろうと思いますし、これは積極的に評価しなければいけないことだと思っているんです。
 しかし、にもかかわらず、その住宅関連業者の中で、先ほど局長さんの御答弁では、住宅の安全ということを書いてあるよ、だからそれで読むんだと、こうおっしゃるけれども、住宅関連事業者という説明を見ると、デベロッパー、建築士、宅地建物取引業者、リフォーム業者、マンション業者等をいうと書いてある。等に入っていると言われたらこれ以上議論はしようがありませんが、恐らく入ってないというのがこの読み方からすれば素直な読み方だろうと思うんですね。
 しかし、アスベスト問題あるいはシックハウスの問題というのは、これは大変関心が深い問題でありまして、しかもあえて住宅関連業者の責務ということをこの法律で初めて規定したのに、しかも正に住宅にとって非常に大切な、これも正に命にかかわる、健康にかかわる問題であるわけですけれども、にもかかわらず入ってないという話で果たしていいんでしょうか。
○政府参考人(山本繁太郎君) 冒頭から住生活基本法の正面の目的なども説明させていただきました。そういうことからしますと、関係する関係者みんなその目的に協力していただくというのが一番大事なことでございます。
 今御指摘いただきました第八条で住宅関連事業者の責務というのを掲げておりますけれども、これは、マーケットで住宅をお客様と直接やり取りをする住宅関連事業者の責務ということで条を起こして書いていると思います。
 御指摘いただいている、例えば住宅関連事業者が住宅建設をするためにいろんな資材を調達したりする、そういう意味の関連事業者はもちろんおりますので、住生活基本法では第九条に、更に関係者相互の連携協力という条文を起こしております。この中で、住生活基本法の関心領域である住宅の供給等にかかわるものは基本理念にのっとって相互に連携を図りながら協力しなきゃいかぬということをうたっておりますので、いずれにしても、御指摘の問題意識を排除する考えは住生活基本法には全くありませんので、御指摘いただいたことを受け止めてしっかり取り組んでまいります。
○小池正勝君 終わります。
○佐藤雄平君 民主党の佐藤雄平でございます。
 今日は委員会室に本当にたくさんの傍聴者の皆さんお見えになっております。全国の三百四十三万戸公営住宅の代表の方がこうして傍聴なさっているということは、いかに住生活基本法が将来の公営住宅に住む皆さんにどういうふうな影響を及ぼす法案なのかと、そのような注視の中で、私は今日こうして皆さんが傍聴に来ているのかなと思っております。
 人の生活の三要素、衣食住、これが基本であります。戦後の荒廃した日本の中から、衣食住を中心に希求しながら今日までやってきている中で、衣は、これはほぼ満足、食については、これは飽食の時代と言われるぐらい、銀座のカラスと猫が糖尿病を患っているというぐらいの正に栄養過多の時代になっております。しかしその一方で、住宅についてはなかなか満足いく状況じゃない。これもまた全国的にはそれぞれ差異があるのかなと思います。
 私は福島県の会津出身でございます。一週間に三日間福島県をずっと歩いていると、農家の大きな空き家があったり、大きな家に行くと、農家に行くと、じいちゃん、ばあちゃんが、雄平さん、おれの家広くて困ったと。もっと小さい家にすればよかったと、そういうふうな一方、去年の都議会の選挙で東京の団地をずっと歩かせていただきました。そうしますと、一方では本当に、恐縮ですけれども、マッチ箱のようなところに住んで、極めて狭隘なところに住んでいる。これは全体で都市と地方ではこうも隔たりがあるのかなと、そういうふうな思いの中で、私は、基本的には国土政策の一極集中がそのような結果を生んでおるんであろうと。ですから、将来的にはそのような国土政策をも加味した中で住宅政策もきちっとしていかないと、私は大都市周辺の居住している皆さん方の不安はなかなか消えないんであろうと、そんな思いをしているところであります。
 さらにまた、今度の私は改革、住宅、住生活法の改正、これは基本的にはやっぱり小泉改革の一つであろうかなと。いろいろ法案を読んでみますと、量から質ということが非常に強調されております。それと同時に、民間の住宅のマーケットを整備しようということがまた強調されております。
 そういうふうな中で、官から民、この一つの例でもあるのかなと思いながらも、公営住宅に住んでいる方の皆さんからすれば、またそこに一つの不安というのが出てきやしないかなと、そんな思いをしているわけであります。
 先ほど小池委員の方からもそれぞれ質問がありました。私も、これは住宅基本法の改正になるのかなと思っておりましたら、住生活というのが入りました。過去に何回か審議会からも住宅基本法というふうなことでそれぞれ提案が、提言がされた。そしてまた、これについては北側大臣のお父さんが最も熱心でございまして、各政党の中からも公明党を代表して北側先生のお父さんが何度も住宅基本法のその改正を訴えてまいったというような、ある意味では大臣と因果がある法案でもあるかなと、そんな思いをしているわけでありますけれども、私はやっぱりその住宅基本法が何であれだけ提言、提案されながら成案を見なかったのか、この辺についてどうしてもやっぱり疑問を抱いてしようがありません。
 一つの、今日までの日本の住宅政策、そしてまた住宅基本法が成案できなかった、この辺の背景について大臣からお伺いしたいと思います。
○国務大臣(北側一雄君) 私の父親について御紹介いただきましてありがとうございます。うちの父親は、渡部恒三先生と大親友でございました。たしか同じ時期の当選だったと思うんですけれども。で、たしか恒三先生も当時の建設省、建設政策については非常にお詳しい先生でいらっしゃいまして、うちの父親もずっと建設委員会に所属しておったようでございます。そういうことで、まあ非常に相性も良かったのかもしれませんが、恒三先生とは非常に親しく、今もだから私、恒三先生にお会いしますと、おやじは元気かというふうによく言われておるんですが。
 その当時から、おっしゃっているとおり、この住宅基本法制について国会で御議論がずっとあったということでございまして、ようやっと住生活基本法という形で今回基本法制の御審議をお願いをしているところでございます。
 なぜもっと早く出せなかったのかということでございますが、それは先ほど御議論があったところでございますけれども、一つはその居住の権利とかをどう位置付けていくのか、そこにどういう具体的な内容を盛り込んでいくのかということについてなかなか合意が形成できなかったというところが非常に現実的には大きかったというふうに思っております。
 昨年から人口減少時代に我が国も入りました。本格的な高齢社会もまさしくこれから到来します。こういう人口構造一つ取りましても、我が国の歴史の中でかつて経験したことがない社会経済情勢の大きな今転換期にあるという中で、私は、これまでももちろん住宅の質は大事だよということは施策として推進をしてきたわけでございますが、ここはより明確に住宅の量の確保から住環境も含めた住宅の質の向上へ本格的な政策転換、これをきちんと明確にさせていただくということで住生活基本法案を提出をさせていただいたところでございます。
 今後は、この住宅政策につきましては、この住生活基本法案がまさしく政策の基本になる法制になるわけでございまして、この法律に定められた基本理念等、それに従いましてしっかりと住宅政策を推進をさせていただきたいと考えております。
○佐藤雄平君 大臣の今答弁から、いみじくも居住権という話が出ました。私、この法律は、官から民となると、その公の役割は国民に対して住宅政策の中でどういうふうな役割をしなきゃいけないのかなと、そんなふうに思うんであります。
 この住生活基本法の提案理由の説明の中でも、「我が国の住宅政策は、住宅建設計画法の下、公的資金による住宅の新規供給の支援を通じて、」ということを書いてあります。これは、公的資金による建物を造っているわけでありますから、私はこの法案、先ほども、繰り返すようでありますけれども、民間住宅市場の整備、どうもそっちの方にずっと傾注されていくのかなと。そのとき、今公営住宅に住んでいる住民の皆さんは非常に不安を感ずるであろうと、そんな思いがしてなりませんけれども。
 これは通告しておりませんけれども、大臣、住宅政策について国土交通省、いわゆる公の立場から今後どのような方針を進めていくか、どのような公の立場から住宅に対するその政策を進めるか、この御所見についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(北側一雄君) 今回の法案で基本理念を定めさせていただき、そして国、地方公共団体の責務、そして住宅関連事業者の責務についても明記をさせていただきました。また、居住者の方の協力努力義務ということも明記をさせていただきまして、その上で、これからこの法律を通させていただきましたならば、住生活基本計画を策定をさせていただきます。全国計画とそして都道府県計画ができてくるわけでございますが、この全国計画や都道府県計画の中で、この住生活の安定の確保、向上のためにきちんとした具体的な目標というものを明確にさせていただきたいと思っています。
 アウトカム目標というふうに我々は言っているわけでございますが、その成果指標を、例えば耐震化率はどうするんだと、バリアフリー化率はどうするんだと、省エネ化率はどうするんだと、住宅性能表示実施率はどうするんだと、まあ例えばです。それから、当然地域によっては、雪国の方と南の方の地域の住宅ではやはりこうした目標も違ってくると思うんですね。こうしたそれぞれの地域ごとに、その地域の特性に応じた具体的な成果目標というものをこの都道府県計画の中で明記をしていただいて、それが実現しているのかどうかきちんと検証していくと、このような形で具体的な施策の推進を図らせていただきたいと考えております。
○佐藤雄平君 大臣、私、政治は、大きな役割というのは調整役だと思うんです。ですから、やっぱり民間の住宅、それから公営の住宅、それには所得の問題というのがどうしても出てくるわけでございますから、そういうふうな中での国土交通省の住宅政策としては、やっぱりそのある意味でははざまにある方、相当いらっしゃると思うんです。特に、今格差社会、所得の格差社会の拡大、そして光と影、それぞれ国民の七〇%から八〇%の皆さんがそれを認めるぐらいの世情になっているわけですから、私は役所としていわゆるどのような調整をしていくかというふうなことが極めて大事だと思っております。
 次に、居住権についてお伺いをさせていただきます。
 全国のこの公団自治協のいろいろ資料を見させていただきますと、やっぱり将来に対して公団住宅に長く住み続けたいという方が約七〇%おられるんですね。しかしながら、その中で一番やっぱり心配だというのは家賃の問題なんです。家賃がこれ払えなくなるんじゃないか。
 昨日、機構の皆さんと私もちょっとその説明を受けながら驚いたんですけれども、公団のときと機構の違いというのは、機構になってから周辺の家賃と同じ家賃までは認めるというようなことで、その法案が変わっているそうなんで私もびっくりしたんですけれども、そういうふうなことを考えると、私はいわゆる住民の皆さんが一番やっぱりこの不安を解消するには、いわゆる居住権の一つの担保ということがどうしてもこれお出になってくるんじゃないかなと思うんです。それが、まあ幸いにしてというか、かつての住宅基本法を作るときの大きな骨格となっていたはずなんです。
 ですから、憲法二十五条の話ではありませんけれども、当然のことながら今までもその居住権ということについて、これはむしろ貸手側から借り手側の立場に立った一つの権利だと思うんですけれども、居住権について様々な議論があったと思うんですけれども、この辺が、今までのいろんなそのことを踏まえながら、そしてまたこの居住権というのが今度の住生活基本法の中でどういうふうなところに担保されているのか、この件についてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(山本繁太郎君) 住宅は国民の住生活にとって欠くことのできない基盤でございます。すべての国民が一定水準の住居に居住する権利を有する、それを国が保障するという意味での居住権を法律で設定することにつきましては、例えば保障されるべき居住水準はどの程度なのか、何平米のどこにある住宅なのかと、あるいは必要となる負担を、その家賃の負担額を国、公共団体、それからその賃貸住宅を経営する事業者の間でどのように負担することになるのかといったようなことで、議論されるべきテーマが非常にたくさんございます。
 これは、社会資本整備審議会でもかなり稠密に議論されまして、昨年の九月に社会資本整備審議会から国土交通大臣に対しまして答申をされた、その答申の中ではこのように整理されております。ちょっと御紹介させていただきます。
 なお、従来の住宅政策基本法をめぐる議論においては、いわゆる憲法二十五条に基づく生存権を具体的に保障するため、すべての国民が一定水準の住居に一定の住居費で居住する権利を認め、それを国が保障する責務を負うべきとの議論があったが、居住に関する権利は、私法上の権利を含め、その内容も多岐にわたるものであり、包括的な権利として基本法制に定めることについての国民的コンセンサスがあるとは言えないと考えられる。今後とも、住宅困窮者の安定した居住の確保を住宅政策の基本理念の一つと位置付け、これを踏まえて、公営制度を始め必要な個別具体の施策を講ずることにより、住宅分野において憲法の趣旨の具体化に努めるべきであるとされておりまして、この考え方を踏まえて今回の住生活基本法を提案させていただいているところでございます。
○佐藤雄平君 法律を作るということは、権利と義務ということになって、権利ができると義務がおのずと生ずると。だから、そこがやっぱり司法当局のその問題点かなと思うんです。
 今局長から個別に担保しているというふうなことの答弁がありましたけど、じゃ具体的に個別にどういうふうなところが担保されていますか。
○政府参考人(山本繁太郎君) まず、住生活基本法三条以降、基本理念を掲げておりますけれども、三条は単体でいい住宅を供給する、四条は居住環境全体でいい居住環境を形成すると。で、五条は、そのための、居住のための住宅を購入する者などの利益の擁護あるいは増進ということで、住宅市場が円滑に機能するようにいろんな施策を、努力をするんだということをうたっておりまして、その上で第六条が御紹介したいポイントでございます。居住の安定の確保と言っております。
 これは、住生活の安定向上の施策の推進は、住宅が国民の健康で文化的な生活にとって不可欠な基盤であることにかんがみ、低額所得者、被災者、高齢者、子供を育成する家庭その他住宅の確保に特に配慮を要する者の居住の安定の確保が図られることを旨として、行われなければならないという、こういう基本的な考え方をまず六条でうたいました上で、七条に国と公共団体の責務を掲げております。この三条から前条、この六条を含めまして、この理念にのっとって施策を策定し実施する責務を有するとしております。
 その上で、第二章が基本的施策でございます。第二章の基本的な施策の中で、第十四条でございますが、居住の安定の確保のために必要な住宅供給の促進等ということで基本的施策を掲げておりまして、国及び地方公共団体は、国民の居住の安定が図られるよう、公営住宅及び災害を受けた地域の復興のために必要な住宅の供給等、高齢者向けの賃貸住宅及び子どもを育成する家庭向けの賃貸住宅の供給の促進その他必要な施策を講ずるものとしているところでございます。
○佐藤雄平君 いわゆる住宅の弱者、これについてどういうふうな政策を講じていくということが私はやっぱり国の大きな役割であろうと。今のそれぞれの条文を聞かせていただきましたが、これはもうきちっとやっていただいて、その法案の中にはセーフティーネット、いろいろ救助策というよりもケア策が出ておりますけれども、これはもう本当に遵守してというか敢行していただかないと、私はもう本当五年、十年後、民間マーケットになって公的なその住宅は何しているのかなというようなことになりはしないかなということで、もう心配でございます。
 そういうふうな中で、これはもう国連の話がこれ一つ参りました。国連の人権居住会議、これは国連人権規約、そしてその中の社会権委員会は、日本の政府に対して、二〇〇一年の委員会の所見に対して六月の今年の三十日まで報告書の提出をしてくれというようなことになっているそうでありますけれども、これについていろいろ、これは外務省だとかという話があったり、また外務省からは国交省の問題だからという話があるそうでありますけれども、局長の御所見をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(山本繁太郎君) 先ほど日本国憲法の二十五条について住生活基本法ではどういうふうに受け止めてやっていくのかという御指摘がありましたけれども、私どもの認識は、国連の人権規約の規定は日本国憲法の第三章にすべて受け止めているという認識でございます。これは、二十五条も含めまして、国連の人権規約が求めるいろいろな人権上の規定は憲法に掲げられていると、したがって憲法秩序の下でいろいろ法律をお願いし、これを執行していくということでございますので、それをクリアしているのは当然のことだという認識で仕事をしております。
○佐藤雄平君 それは、その国連の、こっちも批准しているわけですから、きちっと守っていただきたいと思います。
 次に、住宅の寿命についてお伺いいたします。
 住宅は、まあ男からすれば、かつて家を建てることが男子の本懐と、一世一代の大事業と言われるぐらいのことでございました。ですから、マンションを買ったり住宅に入るということも、これも本当にこれ孫までというふうなことで、いわゆる賃貸も含めてそういうふうな気持ちで思っていると思いますけれども。
 どうも日本の住宅の寿命が極めて短いと、ヨーロッパ、アメリカに比べると。木造住宅というふうなこともこれ一つ理由があるのかなと思いますけれども、しかしながら公団の中で、昭和三十五年、三十年代の住宅についてはもう全部一律改築しなきゃいけないというふうなことになっているみたいですけれども、構造的な問題も含めて、これはなぜ日本の住宅というのはこんなに寿命が短いのか。これはまた建築基準法とのかかわり合いなんというのもある、まあ昨日聞いたらないというふうなことをおっしゃいましたけれども、しかしながら、建築基準法というのは国民の住宅の安心、安全を前提としているわけですから、姉歯事件も含めて、これからきちっと何十年、まあ何百年までは行かないけれども、そういうふうなことも定めなきゃいけないのかなと思っておりますけれども、この住宅の寿命についての御所見をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(山本繁太郎君) 住宅の寿命が非常に短いために、建てて何年もしないのにこれを壊してまた新しいものを造ると、また壊してまた新しいものを造ると。このために、まあ住宅貧乏物語ではありませんけれども、大変な家計の支出を強いられてという問題意識があるわけです。ですから、この部分はどうしても改めなきゃいかぬと。もっともっといいものを造って長く使っていくと、私たちの世代だけじゃなくて次の世代も次の世代も使えるように使っていくということは、住生活基本法で追求する政策課題の一番大事な課題の一つだという認識です。
 それで、住宅統計調査という調査がありまして、住宅を除却した理由を聞くわけですけれども、古くなったから壊すんだというふうに答えている割合は基本的には少なくなってきているんです。元々除却した割合が下がってきているんです。特に木造住宅は、基本的には古くなったから壊すんだというのが大部分でして、しかもその除却率は少しずつですが下がってきています。
 問題意識持っていますのは、コンクリートの、鉄筋コンリートの耐火の建築物です。これは古くなったから壊すというよりも、例えば設備が陳腐化したと、ふろとか水回りとかいろんなものが陳腐化したんで、もうそんなことならいっそのこと鉄筋コンクリート建て替えようというような動機で建て替えているのがあるんですね。要するに、将来にわたって一番長く使わなきゃいかぬ耐火の建築物がそういうような使われ方もあるということは、要するに、建築して、それからメンテナンスして、次の世代、次の世代まで使うんだという問題意識で造られていないということが入口で一番大事な問題なんじゃないかというふうに考えております。
 ですから、今回の法案を制定いたしました暁には基本計画を作りますけれども、非常に大きな課題として長期に使うという目標を定めまして、具体的に何をどういうふうにしていくかということも具体的に設定して施策を追求していきたいと考えております。
○佐藤雄平君 建て替えをするということはまた家賃が上がることですから、その辺も十分踏まえながら、今の局長の答弁をそれぞれ聞いて、その寿命の長いというか、その辺も十分配慮してその政策を進めていただきたいなと思っております。
 先ほど大臣からも全国計画、都道府県の計画、それぞれ話がありました。全国計画というのは、今までの住宅建設計画法の中で、今まで国交省は全国の様々な住宅建設の数を中心にそれぞれ供給してきたわけでありますが、今度はその数の供給じゃなくて、全国計画ということでございますと、何かやっぱりただぼやっとして、全国計画というのは何を作るのかなと、何を計画するのかなと。都道府県の計画になると、都道府県はそれぞれの所管している市町村の実態というのがリアルタイムで分かるわけですから、そういうふうな中で、この法案で国土形成計画との調和という、これ書いてあるんです。国土形成計画、去年作ったわけでありまして、全国を七つか八つか、場合によっては六つか、様々なブロックを考えながら国土形成をしていく。その中での住生活基本法とどのようにこれマッチさしていくのか、そういうふうないわゆる都道府県計画と国土形成計画とどのような調和をしていくのか、この件についてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(山本繁太郎君) まず、住宅建設計画法に基づく五か年計画と今度の基本計画の相違といいますか、今度の基本計画でどういうことを定めようとするのか、どういう形でという点ですが、従来の五か年計画では、この法律の性格に基づいて、まず一番正面には住宅建設の目標を掲げています、新たに建設する住宅の目標。特に、公的資金による住宅建設の事業の量を定めておりました。今回の住生活基本法の目的が、量の確保から質の向上へと政策転換を図る趣旨でございますので、この事業の目標は最小限にとどめます。したがいまして、公営住宅の建設量、これは掲げます、依然として。掲げますけれども、それ以外のものは基本的に住宅の質についてどういう目標を掲げていくかということ、住宅そのもの、それから住環境について定めることになります。
 それから、住宅の質を向上させる大きな力が市場の力ですんで、市場の規模とか構造、例えば新築住宅の量だけじゃなくて中古住宅でどういうふうに市場に流出してくるのか、それがどういうふうに取引されるのか、その取引される住宅のいろんな種類はどういうものなのかという意味で、市場の規模と構造が正面に来ると。
 さらに、五か年計画は五か年間のタームでやっていますけれども、基本計画はもっと長期的な、基本計画が目標を定めて、方向を定めて進んでいこうとしていますんで、基本的には十年先を見通した基本計画としたいと考えております。その上で、質については、耐震基準適合率とかバリアフリー化率とか、そういったアウトカム目標を定めて施策の効果を測定しながら前に進んでいくということを考えております。
 なお、基本計画は十年ですけれども、五年たったら更に五年間前に延ばしていくというローリングシステムで計画を管理していきたいと考えております。
 それから都道府県計画ですが、基本的に住宅の安定と向上の施策のために枠組みをつくるという意味じゃ全国計画と同じなんですが、より都道府県の計画は即地的な施策とか事業について定めることになります。そういうこともありまして、それから冒頭の先生の御指摘にもありましたけれども、国土全体の利用をどういうふうに考えていくのかという意味での国土政策との調和が必要だという観点から、今回の法案の中で国土形成計画との調和規定を置かせていただいております。具体的に国土形成計画が国土の利用計画とかいろんな整備保全のいろんな基本的な考え方を整理いたしますので、都道府県計画は、その広域的な観点から定められた国土計画の考え方に即してそれと調和する形で住生活基本計画においてもいろいろな事業を計画の中に盛り込んでいく必要があるというふうに考えるわけです。
 例えばの例を言いますと、一番端的に考えられるのは、例えば住宅市街地の整備の方針を都道府県計画で書きます。その場合は、例えば地方都市の居住の在り方として、できるだけ中心市街地の中に市街地住宅を的確に整備して町中居住を進めるというような形で都道府県計画を定めるとすれば、全国的な土地利用についての国土計画の考え方を受け止める形で具体的に都道府県計画で書いていただくという形になると考えているわけでございます。
○佐藤雄平君 局長、国土形成計画と調和するというふうなことでございますので、そういうふうな中でやっぱり私は、これはまた繰り返すようですけれども、やっぱり一極集中が今日の大都市の住宅のいろんな問題を呈しているわけでありますから、そんなことも踏まえながら、やっぱりある程度快適な居住するには、人口というふうなその分布をも考えた中で、一つの住宅局から住宅というふうな政策の提言としても、そんな提言もしていただければ有り難いかなと思っております。
 国土形成計画の中で私が一番関心持っているのは、居住地を二つ持つということになって、二居住地を推進するということです。福島県とか長野県にもう一軒家持って、暑いときは長野の方に行ったり福島に行ったりすると、これ非常にいい政策だと思う。だから、今度の法案改正の中で民間住宅市場の整備ということが入っておりますけど、これに私は、これからお願いでございますけれども、地方のそういうふうな住宅状況、こんなことも一緒に書いてもらうとこれはまた有り難いかなと思っておりますんで、これひとつお願いをしておきます。地方の住宅が、要するに、農家の空き家がここありますよとか、会津若松の住宅団地が安くて空いておりますよとか、そんなこともそれぞれやっていただければ、これはバランスの取れた日本の全体の住宅政策ができていくんじゃないかなと思っております。
 次に、これ公営住宅、都道府県、それからまた持っている公社の住宅があるんです。県庁からそれぞれ国交省の方にも要請が上がっていると思いますけれども、住宅交付金についてなんです。
 住宅交付金について、いろいろその要望事項の基幹事業とそれから提案事業がある。今、先ほどの、日本は正に災害列島、地震大国というふうなことから、さらにまた姉歯事件から、耐震構造というのをどっかでこれ見なきゃいけないというふうなことで、一生懸命各都道府県は住宅の耐震診断とか改修、それから住情報の提供とか住宅の相談、様々ないわゆる提案事業をやっているわけでありますけれども、提案事業についてはこれ残念ながら交付金の対象となってないんですね。
 この交付金制度も、今まではいわゆる住宅に対する補助ということで二分の一補助だったんですけれども、交付金になってから四五%ということで、地方の自治体からすれば、残念ながら金目のものは少なくなったと、極めて困窮している状況であります。
 そういうふうなことを考えると、それぞれ都道府県の住宅政策の中で耐震構造、今様々な話をしましたけれども、そういうふうなことについても交付金の対象にしていただきたいということでありますが、この件についての局長の御所見はいかがでございますか。
○政府参考人(山本繁太郎君) 御指摘いただいた地域の住宅政策上のいろんな課題に的確にこたえていくということがこの地域住宅交付金の趣旨でございますんで、それに沿って制度を運用する、あるいは将来に向けて制度を改善していくということは非常に大事なことだと思います。
 これは、昨年の通常会で地域住宅特別措置法という法律で認めていただいた制度ですけども、制度のポイントは、従来補助制度で整備していた事業、これを基幹事業として位置付けるというものでございます。その典型が、公営住宅の整備でありますとか、あるいは居住環境の整備といったハードの仕事でございますが、例えば公営住宅の建設費補助金を投入をして例えば公営住宅を建て替えたりする仕事をやりますと、大変なまちづくり上の大事業ですんで、周辺の居住地域も含めて地域住宅政策上の課題がいろいろ出てくると。ところが、補助事業の補助対象になってないために、公共団体としてはこれを地方単独事業で同時にこなさざるを得ないと。その状況に着目して、地域住宅計画に入れていただければ、従来地方単独事業でやらざるを得なかったものも、この計画に入れていただければ提案事業ということで同じ地域住宅交付金の交付対象とするというものでございます。ですから、提案事業についても交付金が入るということがまずポイントでございます。
 ただ、今言いましたような成り立ちですんで、従来地方単独事業でやっていたものが提案事業、従来補助事業でやったものに限って基幹事業、で、提案事業についても交付するから交付率が従来の五〇%から四五%に落ちるという整理です。そのこともあって、提案事業の事業費の割合を最大で二割までという整理になっているというのが今現状です。これは、要するに、地域住宅交付金ができ上がった枠組みを御理解いただいて、この基幹事業と提案事業の区分を全然チャラにすると、何でもいいから国費を投入するというのはなかなか制度としては難しいと思います。
 ですから、私どもの考え方としては、地域の住宅政策上のニーズに応じてどんどん、ああもしたい、こうもしたいで提案事業が出てくれば、制度の在り方として提案事業の割合をもっと拡大すべきじゃないかとか、あるいは、もうどの公共団体も同じように取り組んでいるんであれば、提案事業から基幹事業に再整理をすべきじゃないかというような議論は政府の中では是非行いたいと思います。ただ、生い立ちがそういうふうになっているんで、基幹事業と提案事業の区分があるということは御理解いただきたいと思います。
○佐藤雄平君 耐震、その審査とか改良、これが何で対象になんないのか、提案事業の中で。
○政府参考人(山本繁太郎君) 個人の資産である住宅に国費を投入するということについてはなかなかコンセンサスが得られなくて、耐震改修に対する事業費はその公共性についていろいろな要件が付いております。だから、要件なしに一般的に耐震改修についてぼんと補助するという制度はありません。従来からなかったわけです。
 ただ、この地域住宅交付金の枠組みで、公共団体の判断で、従来地方単独事業としてやっていたものとして提案事業に位置付けると、位置付ければ四五%交付できます。対象になります。実際やっておられるところもございます。
○佐藤雄平君 はい、分かりました。
 次に、繰り返しますけれども、住宅の住民からすれば、これ最も関心のあるのが家賃のことであろうと、そんな思いをしております。今度の改正の中で、いわゆる質というふうなことになります。そうなると、どうしてもやっぱり私は家賃の関係で、質のいい住宅を求めるとおのずと高くなってしまう。そうなると、せっかくの今度の私は法改正をしても、量から質、質のいいところに入りたくても、現実問題としては家賃が高くなって入れないというような現実が出てくるんじゃないかなと思っております。
 このことについて、まず大臣から御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(北側一雄君) 公営住宅であれ、また機構住宅であれ、これからこの住生活基本法案の基本理念に従いまして、やはり質の向上を図っていかねばならないというふうに考えております。
 公営住宅につきまして今二百十九万戸あるわけでございますし、また機構住宅は七十六万戸、非常に貴重なストックでございまして、これをやはりきちんと維持管理を行っていって、できるだけ長く使えるようにしていかねばならない。そういう意味で、質の向上も図っていかねばならないというふうに考えているところでございます。
 委員の御質問は、それで家賃が上がってしまうのではないのかという御質問であると思いますけれども、公営住宅というのは、住宅に困窮する低額所得者に低廉な家賃で賃貸する住宅でございます。したがって、公営住宅法上は、これはあくまでその家賃というのは低額所得者の家賃負担能力に応じたものとなることが基本でございまして、応能応益の家賃制度でございます。
 例えば、建て替えによって便益が向上した場合に、じゃどうするんだということでございますが、これは、家賃は低額所得者が負担可能な範囲で上がることとなっておりまして、また居住の安定を図るため必要があると認めるときは、五年間の減額による激変緩和措置を行うものとしているなど、居住の安定にも配慮した制度となっているところでございます。
 一方、機構住宅の方は、これは中堅ファミリー層向けの賃貸住宅を中心として供給されているものでございまして、これは法律の定めによりまして近傍同種の住宅の家賃、市場家賃ですね、を基準として定めるというふうにされているところでございます。
 市場家賃との均衡を図るために家賃の引上げが必要となる場合には、これも激変緩和措置を講じる等、急激な家賃上昇とならないような算定方法とした上で、さらに低所得高齢者世帯に対しましては、家賃上昇を更に抑える特別措置が現在実施されているところでございまして、こちらの方につきましても居住の安定に配慮がなされているものと考えております。
○佐藤雄平君 かつて建設省で、エンゲル係数じゃありませんけれども、居住係数の計算というふうなことで試算をされたと、そんな話を聞いております。今大臣から答弁がありましたけれども、正に問題は低額所得者の私は問題であろうかなと、そんな思いをします。自らの所得に対して、どれぐらいの住宅に対しての家賃を払うのかと。そういうふうな私は一つの基準というか、目安というか、そういうふうなものがあれば、正に私は居住する人たちの一つの安全策にでもなるんじゃないかなと思うんです。
 次の二十一世紀、新しい時代を迎えているわけでありますけれども、高齢化の中で、少子化の中で、やっぱり一つのそのような基準を作ってみたらどうだろうと、そんな思いをしますけれども。この件について、局長のお考えをお伺いしたいと思います。
○政府参考人(山本繁太郎君) 豊かな住生活の実現に向けて、自分とか自分の家族の幸せのために努力する、国民の皆様が努力していただくわけですけれども、経済的な負担の面において、無理なく住宅を確保できるようにするための環境整備というものは誠に重要であると認識しております。その場合に、居住費支出のあるべき姿ですね、家計の中で居住支出のあるべき姿、住居費支出率といったような指数についてのお尋ねでございますけれども、これは国民の皆様の価値観、あるいはライフスタイル、家族形態がますます多様化しているということもありまして、国民の住まい方とか家計の消費行動が極めて多様でございますので、まず一般の国民について一律に、住居費の支出率はかくあるべしとか、こういうふうになるべきだというのはなかなか難しいと思います。
 当委員会でも、前田委員から、近畿には京都の着倒れ、大阪の食い倒れ、奈良の建て倒れというのがあるというのを御紹介いただきましたけれども、地域でも、住居費支出について圧倒的に支出しようというところと、今日おいしいもの食べて楽しく暮らそうということに差があるのにも見られるように、今日の社会で消費行動、家計の消費行動は極めて多様だということで、一般の国民の皆様について住居費支出率というのを定めるのは難しいと思います。
 ただ、持家、借家を問わず、国民の皆様が無理のない支出で住宅を確保していただけるように、実際の持家の市場とかあるいは賃貸住宅の市場で、それぞれ住んでおられる方が現実にどれだけの支出をしておられるのかといったような実態は的確に把握する必要があると思います。その結果を踏まえて、そのことを施策にきちんと反映させる必要があると思います。
 特に、セーフティーネットの中核でございます公営住宅の家賃につきましては、家賃の算定の基礎額というのを収入の分位ごとに定めておりますけれども、そのときの収入と設定した家賃算定の基礎額がどういう関係にあるのかということについて的確に政策判断をするためにも、現実の市場でどのような居住費支出率になっているかといったような実態を把握することは非常に大事だと思いますんで、そういったことはきちんと努力をしてまいりたいと考えております。
○佐藤雄平君 家賃のお話でありますんで、家賃補助というのが去年の社会資本審議会の中において出ておりますね。それで、その家賃補助というのは、私は本法案、繰り返すようですけれども、やっぱり民間住宅市場の整備というふうなことになると、場合によっては公営にいる住宅の人も民間に行こうかなと。そしてまた、公営住宅の今の状況というのは、これも都市と地方で違うんですけど、これも三十倍のところあったり、平均九倍というふうな話も聞いておりますと、ウエーティングサークルにいつも相当いらっしゃる。
 となってくると、ある意味ではヨーロッパ等でしている家賃の補助というのも一つの考えに値するのかなと思っておりますけれども、この件についての御所見はいかがでございましょうか。
○政府参考人(山本繁太郎君) 少子高齢化の進展あるいは住宅困窮者が多様化するといったような実態を踏まえまして、市場においては、自力では適正な水準の住宅を確保することができないような方々に対する住宅セーフティーネットの構築は重要であると認識しております。
 公営住宅等の公的賃貸住宅の供給でございますが、民間住宅が着実に充実してきていることを踏まえまして、供給方式の多様化の一環として、民間住宅を借り上げて公営住宅に活用するといったようなことに取り組んでおります。こういった方式はこれからも生かしていきたいと。で、住宅セーフティーネットの充実に努めていきたいと思います。
 ただ、民間賃貸住宅に入居しておられる方に一般的に家賃を補助することにつきましては、審議会でも非常に幅の広い議論があったんですが、一つは住宅の質の向上につながらないと。我が国の住宅ストックの中で持家系統の住宅と貸家系統の住宅のストックに非常に大きな質の差がありまして、賃貸住宅の質の向上につながらない、家賃の上昇を招くことだけに終わってしまうんじゃないかというような懸念が一つと。それからあとは、今のような厳しい状況で財政負担が際限なく広がってしまうんじゃないかとかですね。それから、特にこの家賃補助制度を適正に運営するための事務処理コストですね、といったようなことについていろんな懸念がありまして、これは更に慎重に検討をしていく必要があると考えているところでございます。
○佐藤雄平君 じゃ次、機構にお伺いいたします。
 協議会の皆さんからいろいろお話を聞いておりましたら、三鷹の駅前の団地の話が実は出てまいりました。私もずっと資料を見さしてもらっている中で、二〇〇〇年から二〇〇六年までそれぞれの値上げがあったわけですね。平成二年には七千八百円の値上げがあって、二〇〇三年には六千九百円の値上げがあって、二〇〇六年には六千百円、三回の値上げで二万八百円の値上げがあった。近傍の同種のいわゆる住家については九万六千二百円ということで、ずっとこれ同じなんです、この六年間。しかも私は、全体的な今景気の動静を見ると、消費者物価指数がずっと下がっておる中でこのような値上げに至ったその背景というのはどのようなことになっているか、御説明願いたいと思います。
○参考人(尾見博武君) お答え申します。
 ちょっと風邪を引いていまして声が悪いので、御了承いただきたいと思います。申し訳ございません。
 今先生が三鷹の例を引いて、物価等が上がっていないのに家賃改定、家賃値上げをしているじゃないか、こういうお尋ねでございました。
 現在、私どもが行っております家賃改定につきましては、少しく背景を御説明しないといけないと思いますが、先ほど来の先生のお話にもありましたが、実は平成十一年に都市公団になりましたときに、今まで、それまでは政策家賃というか原価家賃主義というのを取っておりました。例えば、補給金等をちょうだいして家賃を政策的に抑えるというような仕組みであったわけでありますが、平成十一年からはそれを近傍同種の家賃、まあ平たく言えば民間並みの家賃にするという方針が定められたわけであります。
 そうしますと、民間の家賃とそれから今までの政策的に抑えていた家賃との間には相当な開差がございますので、その開差を一遍に解消するわけにいかないだろうと、大幅な家賃増になってしまいますので。それを居住者の皆様の代表も入っていただいた懇談会の中で議論して、一般的なルールを決めさしていただきました。それで大体、基本的に、大体でなくて三年に一遍開差を大体三分の一程度ずつ上げていくということで開差の解消を図っていこうということであります。そういう要素と、もちろん物価とかそういうものの要素も一部加味しながらルールを決めておるわけであります。
 三鷹の、個別の案件のことを言うのが適当かどうか分かりませんが、この間そういうこともございまして、例えば、市場家賃化前の値段が五万円台の後半ぐらいでございましたが、それらにつきまして、後半から六万円台の水準であったものを過去二回の家賃改定によって七万円の水準まで上げてきた、こういうことがあります。まだ民間との間にはそういう意味での開差がございますので、この開差についての改定というものは今後とも考えていかなくちゃいけないと思います。
○佐藤雄平君 私は、いわゆる機構に変わったというのはそれは変わったんでしょう。公団のとき入居をした皆さんというのは、やっぱり一般の住宅よりも安いという、いわゆる低額所得というふうな背景もあるんでしょうけれども、そうして入っているわけですよね。それが機構になって近傍の家賃、賃貸料まで上げていいというふうなことになったら、だから、そこで私は大臣に私はお伺いしますけれども、やっぱり政治というのは何だろうというふうなことになると思うんです。
 やっぱり公的な機関の役割といわゆる民間機関の役割とおのずと違うわけでありますけれども、今それぞれ話を聞いていても、三段階に分けて、気が付いたら近傍の家賃と同じくなっていたというのは、その人は機構になって入ったのか、それから公団のときから入っているのか分かりませんけれども、ほとんどの方はやっぱり公団というふうなところから入っていると思うんですけれども、この点について将来的にやっぱり公的な機関で造っている住宅についての家賃についての御所見はどのようにお考えになりますか。大臣からちょっと、前もって申し上げておりませんけれども、御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(北側一雄君) 機構住宅のお話でございますけれども、先ほども少し答弁さしていただきましたが、今も答弁がございましたように、家賃の引上げが必要と、仮に市場価格よりも安いから家賃の引上げが必要という場合も、激変緩和措置をとりまして急激な家賃上昇とならないような仕組みにさしていただいておりますし、また低所得高齢者世帯の方々等に対しましては更にそれを抑えていく、家賃上昇を抑えていく特別措置が実施をされているところでございまして、そうした形で取組をさしていただいているということで是非御理解をお願いしたいと思っているところでございます。
○佐藤雄平君 ちょっと時間も迫ってきているんですけれども、大臣と公団側にお伺いします。
 私、公営住宅の重要性というのは本当にこれから大事だと思うんです。それは高齢化社会、それから我々の団塊の世代、ちょうど今、文芸春秋に団塊の世代の十年後というの載っているんですね。そうするとね、郊外に家を持った者が、じいちゃん、ばあちゃんになって広くて困ったから、もうちょっと狭いところへ行こうかと求めてくる。言葉は悪いですけれども、熟年離婚なんかいろいろ話題になっておりますが、そうなってくると別々に住もうかとどっかを求める。すると、どうしてもやっぱり安価なところというふうなことを求めるのかなと思いますし、またこれはちょうど去年でありますけれども、こういうふうな実は事案がありました。
 一つ、ライブドアのホリエモンがいわゆる自分の住む家賃が四百五十万と。一方では今度、NHKでずっと放映していたんですけれども、多摩ニュータウンの高齢者の人が水道料金払えなくて、そして公園に行ってバケツに水をくんできて、それでそれをお風呂の水にしていると。一つ空の下でそういうふうないわゆる住宅の差異があるなと思うときに、私は先ほどの話も含めて、いわゆる公営住宅、公団住宅、特に都市部の公団住宅、この役割というのは極めてやっぱり大きくなってくると思うんです。
 そういうふうなことも踏まえながら、やっぱり公団・公営住宅の重要性についての御所見をお伺いしたいと思います。
○参考人(尾見博武君) 先ほどは舌足らずの御説明で申し訳ございませんでした。
 私どもは、七十七万戸のストック、これ大変貴重な国民共有の財産であります。このストックをやっぱり適正に管理活用していくということが非常に重要なことだと思っておりまして、居住者の方々の居住の安定を図りながら、高齢者の方々や子育て環境の整備など、安全、安心な住環境の提供ということを目指してこれから仕事をやっていくのかなと思っております。
 先ほど来お話がありましたように、大臣の方からも御説明をいただきましたけれども、居住の安定という観点からは、例えば建て替えに当たっても、新しい住宅に入っていただく方の家賃も政策的に軽減をしていくとか、あるいは高齢者の方々についても手厚い軽減策を講ずる、そういうようなことを一体的に行いながら進めていきたいと、こういうふうに思っているところでございます。
○佐藤雄平君 最後、大臣に。
○国務大臣(北側一雄君) 冒頭、委員の方からお話ございましたように、我が国において衣食住の中の住がまだまだ問題、課題が多い。今回法案をお願いをしておりまして、住宅政策について、住宅の量から質へ根本的な転換をさしていただくわけでございますが、ただ、住宅のセーフティーネット、住宅困窮者のための住宅セーフティーネットの構築を図るということは、これは今後とも我が国の住宅政策の極めて重要な使命の一つであるというふうに認識をしているところでございます。
 そういう意味で、機構住宅にあっても、また公営住宅にあっても、これは極めて大事なストックでございまして、特に公営住宅につきましては、この居住の安定の確保のためにしっかりと活用をしていかねばならないというふうに考えているところでございます。このストックを最大限に活用して、住宅セーフティーネットとしての機能を維持することが重要と考えております。
○佐藤雄平君 じゃ、時間になりましたので、これで終わらしていただきます。
 ありがとうございました。
○委員長(羽田雄一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   正午休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開会
○委員長(羽田雄一郎君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、住生活基本法案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○加藤敏幸君 ありがとうございます。
 民主党・新緑風会の加藤敏幸でございます。
 午前中の佐藤先輩議員に引き続きまして、住生活基本法案について、住宅問題全般にわたる課題等具体的な質問を含めながら、本法案の持つ問題点、課題などについて順次触れていきたいと、このように思います。
 まず最初に、今回、住宅建設五か年計画から、豊かな住生活の実現を目的とする住生活基本法に切り替えようとする一種の政策の大転換と、こういうふうに受け止めておりますけれども、第一に、なぜ転換しなければならないのか、その動機は何なんだと、ここが一つ大切なポイントではないかというふうに思います。
 私がとらえている問題の背景を少し述べさしていただきますと、戦後我が国は一貫して持家政策を展開をしてきたと、このように理解をしております。各国の住宅政策を見てみますと、公的住宅に主軸を置いた、そういうふうな政策を取っている国も多々ございますけれども、我が国は、勤労者中心にそれぞれ持家を持つんだと、こういうふうな国全体の雰囲気も含めまして政策が行われたというふうに思います。私は、サラリーマンの立場、また団塊の世代、そういうふうな立場に立って、この持家政策というものが企業内福利厚生の重要な柱でもあったわけですけれども、うまくいったのかどうか、どうだったのかと、こういうようなことも一度考えてみたいと、そういうことでございます。
 多くの勤労者は、黙々と頭金を貯蓄し、融資制度を活用し、長期のローンを組み、膨大な金利を払いながら、家、マンションを取得してきました。この政策により、勤労者は財産形成を行うことができたし、当面の住生活を充足することができた。そして、マクロ経済的には国内に、多くの方が家を買うわけですから、借金をして買うということから、膨大な需要が創出され、それに向けて言わば経済全体が回ってきたと、これも戦後日本経済の発展の大きなエンジンであったんではないかと、このように思っています。
 しかし、一方で、経済が右肩の状況のときは、買ったときよりも多いときは二倍、三倍に不動産価格が上がっていく、おれもサラリーマンなのに資産も少しできたなと、借金して早いうちに買って良かった、苦労が報いられたと、そういうふうな時代もあったわけでありますけれども、今日、土地の値段はどちらかというと下がる傾向もあったり、バブル崩壊の後、状況が大きく変わってきた。勤労者が払った労力、コストとこれによって得た住宅ストックの資産価値というのは最終的にバランスをしてこなくなったんじゃないかと。特に、財産形成と思っていたのが、土地の値段はそれなりに残るけれども、上物については中古市場に出すと物があるだけ安くなるんだと、そんな中古の建物はもう除却するのに金が掛かるから百五十万安く見積もらしていただきますというような話も含めて私は新たなる状況に入ったのではないかと、このように思っております。
 また、昭和三十年代、私がやってきた労働組合の活動の中で、所有の価値を取るのか使用の価値を取るのか、いろんな場面で大論争をしてきました。家を持つという所有というところに軸足を置いて自分の生活設計、経済的な犠牲を強いながらやっていくのか、それとも、いいじゃないか、自分でなくても、人様のものでも十分使用できたらそれで幸せな生活を構築できればいいのではないかと、こういうふうな議論もあったわけです。最終的には、財産形成という魅力に引かれながら、やっぱり所有の価値、持家政策というふうなところに流れていったと、こういうふうなことであります。
 しかし、ここ十年来、賃貸が得か持家が得か考えてみようと、電車に乗ったら、余計なお世話だと言いたいんですけれども、ぱっと見るとそれはやっぱり考えなあかんなと、こういうふうな時代になってきたということであります。
 私は、戦後の持家政策を中心に展開された住宅政策は結果的にいろいろな課題も残したのではないかと思います。この点に関しまして国土交通省の見解をお伺いをしたい。加えて北側大臣には、政治家としてこれまでの我が国の勤労者に対する住宅政策をどのように見てこられたのか、あるいは本法律によって政策の方向転換はどのような方向に向かって展開されようとしておられるのか、こんな辺りについて、まず序章としてお伺いをしたいと思います。よろしくお願いします。
○政府参考人(山本繁太郎君) まず、我が国の住宅政策でございますけれども、戦後の深刻な住宅不足を背景にいたしまして、住宅金融公庫、公営住宅、それから日本住宅公団等による住宅及び住宅資金の直接供給の手法を柱としまして展開してまいりました。
 住宅金融公庫は、もちろん個人の戸建て持家融資に加えて、土地を担保とする賃貸住宅にも資金を直接供給しておりました。公営住宅は、地方公共団体と国が協力して低所得者のための低廉な賃貸住宅を供給するという制度でございます。日本住宅公団は、大都市の勤労者のために新しい市街地を開発して、賃貸住宅、それから分譲住宅、供給してまいりました。
 そういう意味では、戦後の我が国の住宅政策自体は、持家、借家を問わず住宅と住宅資金の直接供給を努力してきたということであろうと思います。特に昭和四十一年からは住宅建設計画法で、五か年計画の下でこの住宅の新規供給の支援を基本として展開してきたということでございます。
 しかしながら、その後の経済社会の変化に伴いまして住宅政策を抜本的に展開する必要があるということで、今回、第八期の住宅建設五か年計画が昨年度末で終了したことに伴いまして制度を抜本的に見直しまして、住生活基本法の制定をお願いしているところでございます。
○国務大臣(北側一雄君) 委員のおっしゃっていますとおり、九〇年ころまでは土地はもう上がるのは当然だというふうな中で、やはり住宅を持った方が得だと、資産としても得だというふうな観念が普通であったというふうに思います。そういう中でやはり持家志向というのが強かったと思います。
 九〇年代になってバブルが崩壊して以降はどうかというと、これまた非常に、バブルが崩壊して景気が長く低迷する中で、非常に先行き不透明、そういう先行き不透明の中でやっぱり自分自身の生活の安心ということを考えたときに、やはり持家を持った方がいいねというふうな志向が強かったのかなというふうに私は思います。我が国においては、そういう意味では、国民の方々がやはり一貫して持家志向が強いということがあるというふうに思っております。
 今、住宅局長が述べましたように、これまでの住宅政策というのは、住宅の新規の供給に対する支援、これは持家、賃貸問わず行ってきたわけでございますが、私は、加藤委員がおっしゃるとおり、これからはやはり既存のストックを有効に活用していくという観点からも、中古住宅、この中古住宅の市場をしっかりと育てていくことが大変重要であるというふうに思っております。ヨーロッパ等では中古の住宅の方が高いところもあるんですね。中古でも値段は全然安くならない。それは適切に維持管理がなされているからでございますけれども、私はこれからのやはり住宅政策の一つの柱として、そうした中古住宅においても適切に維持管理がなされて、そのことがきちんと履歴として残っておって中古住宅が流通をしていく、そういう市場というものをしっかりと育成をしていく必要があるというふうに思っております。
 また、これからはそれぞれのライフスタイル、またライフステージの中で、あるときは、やっぱり家族が多いときはそれなりの広さのある、高齢になって夫婦二人になったらむしろ便利で少々狭くてもいい、それぞれ多様なニーズがあると思います。そうしたニーズに対してきちんと選択できる、それが持家であろうと賃貸であろうと、選択ができるような住宅政策をしっかりと展開をしていかねばならないというふうに考えております。
○加藤敏幸君 大臣のお話の中で、もう持家政策よりも賃貸がいいんだと、そういうふうな推奨をこれは政府がそう軽々に私はなかなかできないと思いますよ。しかしながら、ライフスタイルとか、やっぱり合理的な住宅の問題、これはこの後でも質問でいろいろさせていただきますけれども、そういう総合的に考えた場合に、非常に質の高い賃貸住宅というものを国全体としてどのようにそれを造っていくかということも、六十年間、私ども、少しそこのところが、一生懸命やってきた政策はあるんですけれども、結果として非常に質の高い賃貸住宅のそういうマーケットもなかなかないという、それを新しく政策のターゲットにしていきたいんだという思いは、私はそれはそれとして是とすべき内容ではないか。ただ、そのことについて各論がいかにどう支えていけるのかということを含めて、順次ちょっと議論を展開をしていきたいと、このように思います。
 さて、住宅政策において量から質へと、これがキーワードということになっておりますし、本日も各同僚議員の御質問の中にもそういう趣旨がございました。しかし、私はあえてここで、じゃ果たして量の問題は解決されているのであろうかと、もう住宅について量の問題はとっくに終わってしまったのかと、こういうふうな問い掛けをしていきたいと思います。
 これは皆さん考えていただければ、首都圏、関西圏では依然として量的供給が十分でなく、そのため所得の低い世帯や個人あるいは若い単身者などは必然的に質的に劣る住宅を選ばざるを得ない。つまり、選択権といってももう入るところがないし、本人の経済状況からいって選択している場合ではないんではないかと、こういう状況があるということであります。
 そこで、量の問題を論ずる際に出てくる住宅ストックという概念、これについてお伺いをしたいということであります。
 資料によると、平成十五年度で我が国の総世帯数は約四千七百万世帯、これに対して住宅ストックは約五千四百万戸で、一四%も多く、充足されていると。入る人の数が少ないんだと、世帯の方が少ないんだと、こういう状態であります。つまり、ストックは十分で、あとは質だという議論の展開になってくるわけでありますけれども、しかし、ここで言われている住宅ストックのストックという言葉、概念は果たして正確なんだろうかと。私は、このストックも中身の点検が必要だと思います。五千四百万戸、この中身について、住宅の質、性能、耐用年数といったものが考慮されるべきでありますし、過疎地の空き家をカウントしても、利用需要がなければそれはストックの対象とすべきではないんではないかと。あるいは耐震性能といった、安全性というふうなことも含めたストックという考え方が必要ではないかということで、住宅ストックとは何なのかと、このことについてお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(山本繁太郎君) 御指摘のとおり、私どもが、きちんと質を高めていって、その価値を住生活の充実のために生かし切るという観点から住宅ストックを見ますと、単に数だけではなくて、どういうところに立地している、どういう性能を持った住宅なのかというのを的確に掌握しながら、その最大限の活用を図っていくという政策態度が必要だと思います。
 そういう観点から、今引いていただきました一番直近の平成十五年の住宅・土地統計調査で、ストックが五千四百万戸、世帯数が四千七百万戸なんで、居住者のいない住宅が七百万戸あるんですが、その内訳を見ますと、居住者のいない住宅七百三万戸のうち、一時使用に使う住宅とか、建築中、仕上げ工事中のものを除きますと、いわゆる空き家は六百六十万戸です。そのうち、流通在庫といいますか、賃貸とか売却用で流通在庫としてあるのが三百九十八万戸、これがほとんどですね。そのほか、二次的住宅、別荘などで今人が住んでいないというのが五十万戸。それから、長期不在でもうこれから取り壊す予定だというのが二百十二万戸あります。
 それで、この点で特に過去の住宅統計調査の関係を見てみますと、三十年前の昭和五十五年調査ですと、空き家のうち狭小な住宅ストックというのが整理してるんですが、十六平米に満たない狭い住宅というのが三七・三%ありました。それから、二十九平米ですね、三十平米に満たないのがそれに加えて三割あると。だから、三十平米、十坪よりもっと小さい住宅が七割近くあったというのが五十五年です。これは、高度成長期にとにかく大都市の勤労者が足りないんで狭いアパートを一杯造ったのがずっとこう来ているんですが、これが急激に減ってきてまして、平成十七年に調査しました空き家の実態調査ですと、十六平米未満が八・七%、二十九平米未満が一一・三%まで落ちてきています。
 ということは、先ほど、今住調の数字を見ていただきましたけれども、圧倒的に住宅が、住まい手が入れ替わる賃貸であれ、住宅の売却用であれ、入れ替わるための流通在庫が増えてきていると。これは、ストックを質に着目してきちんと維持管理して、その価値を使い切っていくという観点から非常に大事な項目ですので、これからもストックの議論をする際には注目して、データ整備していきたいと考えております。
○加藤敏幸君 局長の答弁によれば、それでも二十九平米以下のものが三割あるわけでしょう、三割近く。(発言する者あり)二割ね。十九平米以下が十何%ね……(発言する者あり)八・七と一一・三ですね、二割ぐらいあると。そういうふうなことでございまして、三十平米以下というものだけではなくて、やはり誘導基準だとかそういうふうなことを考えて、やはり住宅の基本的なものが三十平米とか、そういうようなことが基準ではないというふうに思いますので、もう少しレベルの高いストックの議論もしていきたいというふうに思います。
 次に、そういうふうな状況の中で、住宅ストックとして昭和五十年のときの比較をされたわけですけれども、増えていると、いわゆる質を含めてやや良くなっているということでございます。しかし、賃貸住宅が大量に供給されても、実際は家賃という本人の経済条件との関係があるということでございまして、住宅困窮者にとって朗報となるようなレベルにまで私は供給が改善されているというふうには思っておりません。依然多くの人々が、適正な価格あるいは適正な家賃で、ある程度の質が確保された住宅を求めているけれども、なかなか手に入らない状況というのは変わっていないと。
 先日の新聞報道では、都営住宅の申込みは倍率で三十から四十倍、東京都も入居の必要度の高い人たちを配慮するために居住権利の世襲を認めないという方針を決めるという記事が五月二十三日、産経新聞に掲載されていました。やはり首都圏など大都市圏では依然として住宅が足りない状況にあると、このように思うわけであります。
 今回の法案でも、第十五条第二項の五において、「東京都、大阪府その他の住宅に対する需要が著しく多い都道府県として政令で定める都道府県における住宅の供給等及び住宅地の供給の促進に関する事項」という記載がございますけれども、そこで、住宅供給の量的拡大ということに関しまして、政府として、これから更なる住宅供給が必要とされる都道府県にどのような役割、機能を期待して、国としてどのような支援措置をとられようとしているのか、簡潔にお答えをお願いをしたいというふうに思います。
○政府参考人(山本繁太郎君) 住生活基本法の条文のうち御指摘いただきました部分は、戦後人口が大都市圏に集中する中で、住宅問題が最も大都市圏において深刻に現れてきておったわけでございます。昭和三十年に日本住宅公団が設立されたのもこの問題に対処するためでございます。
 そういうことで、昭和三十年代、四十年代、五十年代を通じて、大都市圏においては、新市街地に新しい住宅供給を図ると、宅地と住宅供給を図るという観点からいろんな施策が講じられたわけですが、その観点から、大都市地域の住宅、住宅地の供給を促進するために大都市法が昭和五十年に制定されました。これは、要するに、大都市圏の勤労者は主として都心で働くわけですけれども、新市街地は郊外にこれを求めざるを得ないんですが、郊外の公共団体が団地お断りということで、というのは関連公共施設の整備、大変な財政負担を伴いますんで、そのための調整をする枠組みでございます。
 今回の住宅建設計画法の廃止と住生活基本法の制定に際しまして、この大都市法を廃止いたしまして、その計画の枠組みをこの基本法の中に入れると。で、全国計画と都道府県計画できちんと受け止めていくという形にしました。これ、従来は大都市法に基づいて国が方針を定めて、都道府県においてその重点供給地域を決めて、そこで区画整理をやったりということでやってきていたんです。実は、直近の十年前、平成七年、大都市においても都心居住が必要だということで、この重点供給地域を都心にも設定する、それからそのための事業手法も整理するということをやりました。
 今回の法律改正、そのことも踏まえておりまして、今御指摘いただきました十五条の第二項第五号で、全国計画で大都市地域において住宅供給、それから住宅地の供給についての考え方を設定をいたします。それを受ける形で、都道府県計画で住宅の供給、住宅地の供給を重点的に図るべきいわゆる重点供給地域を決めていただきます。その際に、従来から進めております新市街地の開発は引き続きやっていただきます。しかし、これからは重点的にやるのは、主として町の真ん中に近い工場跡地とか、大事な土地を将来にわたって使える居住地域として整備するための重点地域として設定していただいて、具体的な事業としては都心共同住宅供給事業とか、あるいは都市再生機構が民間の賃貸住宅経営を応援するための民間供給支援型の賃貸住宅事業といったようなこともやっておりますんで、こういったようなものを位置付けて具体的に進めていくということを考えているわけでございます。
○加藤敏幸君 そういうふうなことを考えるならば、やはり公的機関の役割というのは結構大きいというふうに考えるわけでありまして、官から民へ、官から民へと、こういうふうな一つの政策の展開において、しかし住宅という私たちの基本的なインフラ、ここを十年、二十年、三十年、五十年、あるいは百年後の国土利用計画という視野で見た場合には、そのこと自体を私は責任を持って継続をして、私は五十年、百年の視野で評価をするし、責任を持って対応していくという、そういうふうな立場でないと、まあ長くて三十年までの利益計画で、じゃ工場の跡地が空いたから、こっちにたくさんお金があるから再開発をして、まあ利回りで八%取れたらええだとかというそろばん勘定だけでこの住宅ストックを供給するという官から民へという、何でもかんでも官から民へという考え方では、私はこれちょっと耐えていけないと、こういうふうに思うわけでありまして、そこで、先ほど言われた、やっぱり公的ないわゆる都市再生機構だとか公社などの役割というのはやっぱり大きいということについては、私はやっぱりしっかりとこれは押さえておく必要があるのではないかと、このように思います。
 また、住宅の質という問題に関しまして、私は、この住宅というものがやっぱり高い。なぜ高いのかと、こういいますと、例えば私どもやっていた電気製品などはもう毎年毎年値段が下がっていくと、しかし性能は下がらない、むしろよくなっていくと。半値八掛け二割引きと。計算すると三二%になりますから、皆さん、三分の一ですよ。もう働いている方がたまらなくなるぐらい値段が下がっていくと。しかし、住宅の中も換気扇だとかそういうふうなところは下がっていくわけですけれども、躯体を含めた、あるいは工法を含めたそういうハードウエア、ハードについてはなかなか下がり切らないんです。そこのところを含めて、私はより質の高い住宅を提供するという視点からいえば、逆に言えば更なるいい意味でのコストダウンがしっかりとできていくということももう非常に大きな要素ではないかと、こういうふうな時点で何か取組、政府として考えておられるのか、あればお話をしていただきたいと思います。
○政府参考人(山本繁太郎君) 御指摘のとおりだと思います。住宅の質の向上を図る上で技術開発を進めると、技術革新によって質の高い住宅を低廉に供給できるようにすることは極めて重大な課題であります。この観点から、住生活基本法案におきましても、まず国の責務といたしまして、住宅の品質又は性能の維持及び向上に資する技術に関する研究開発を促進するため、これらの技術に関する情報の収集、提供その他必要な措置を講ずるというふうに位置付けております。
   〔委員長退席、理事大江康弘君着席〕
 従来からも国土技術政策総合研究所とか、あるいは独立行政法人建築研究所におきまして、民間企業と連携をいたしまして、例えば新耐震設計法の開発、これは昭和四十七年から五十一年度まで、それから建築物の耐久性を向上させるための技術開発、これは昭和五十五年から五十九年度まで、それからシックハウス対策の技術開発、平成十三年度から平成十五年度までといったような形で技術領域を定めまして、技術開発に努めてまいりまして、しかもその成果については建築基準に位置付けるといったような具体的な施策に反映させてきております。
 また、住宅の質の向上を図るために、民間事業者などが行う先導的な技術の開発、それからその実用化とか低廉化を後押しすると。できるだけ早く市場に新しい技術が導入される、普及されるということが大事でございます。
 この観点から、昨年度から、エネルギーの効率的利用とかあるいは省資源などの環境問題、これは耐久性のある住宅を造るという意味でございますけれども、それから耐震性の向上といった政策課題につきまして、民間事業者等による先導的な技術開発に対して国が補助を行う住宅・建築関連先導技術開発助成事業を創設しました。平成十七年度は五億四千万円の予算をいただきまして、二十三の課題について補助をしました。平成十八年度におきましては十億円の予算を確保しております。
 こういった形で、住宅の質の向上のための技術開発を進めるとともに、技術開発を行う事業者等に対する支援に努めてまいります。
○加藤敏幸君 住宅局長に宣伝の場を与えたような質問になってしまったんですけれども、そういう技術開発というふうなものがやっぱり質の、支えるという意味で非常に大きい役割だと、このようにも思っております。
 次に、住宅供給において国、自治体、事業者の責務というところが今回大きなポイントになっておるわけであります。先ほど申し上げましたように、住宅供給公社であるとか県、市、外郭団体や第三セクターを設置して、恐らくある意味で量的な充足を図るという意味で公的住宅の供給活動が過去行われてきまして、特に昭和三十年代、四十年代においては、民間よりは低廉で良質の住宅を供給するという、そういう意味では歴史的な役割を担ってきたことはもう間違いないというふうに思います。
 しかしながら、幾つかの自治体におきましては、開発用に取得した土地が不良資産化をしたり、賃貸住宅の部門では老築化対策を含めた管理コストが増大するなど、言ってみれば経営赤字が拡大し、財政負担となってきていると、そういう問題も発生しているということであります。歴史的に役割を果たしたことは認めますけれども、住宅の量的拡大政策の一つのツケがこういう形で回ってきているという現状もございますし、バブルの直撃を受けた後遺症がまだいえていないということもあります。
 こういった自治体が運営する住宅供給事業は、大きなウエートを占めているわけではございませんけれども、今後の住宅政策を展開する上でこれらの自治体の事業の現状についてはしっかりと把握をしておく必要があると、このように考えます。
 賃貸部門、分譲部門を含めて、全国の公的な住宅供給事業の実情、特に経営状況等について、概括的に説明をしていただきたいと思います。
○政府参考人(山本繁太郎君) 地方住宅供給公社は、地域の住宅事情に対応した分譲住宅、賃貸住宅の供給などを通じて、地方公共団体の住宅政策の一翼を担ってまいりました。平成十六年度までに、累計で分譲住宅五十六万戸、賃貸住宅十七万戸を供給してまいりましたほか、公営住宅約九十七万戸を含む百二十一万戸の賃貸住宅の管理の仕事をしております。
 一方、近年の地価の下落、バブル経済の崩壊に伴って、社会経済状況は大きく変化しました。この不動産開発事業につきましても非常に困難な状況になったわけでございます。債務超過、あるいは特定調停に至った公社もございます。
 平成十五年六月には、外部監査の導入、それから公社の経営状況等の透明性の確保に最大限留意するということを各設立団体にも要請したところでございますが、平成十七年度決算から公社会計において減損会計の導入を図ることにしました。こういう形で、公社の業務運営の透明性を一層高めることとしております。国としましても、設立団体である公共団体が公社の経営状況等の的確な把握、それから適切な指導監督を行うよう要請に努めております。
 公社の状況、概略申し上げますと、三公社で特定調停を申し立てておりまして、北海道住宅供給公社、長崎県住宅供給公社、千葉県住宅供給公社でございます。
 それから、昨年の法律改正で、住宅供給公社について、設立団体の判断で自主的にこれを解散することができるという規定を整備していただきましたけれども、今現在、設立団体で公社を解散したいという意思決定しているのが三公社ございます。青森県、岩手県、福島県。この三公社とも再来年、平成二十年度に解散することを予定しております。そのほか、時期は未定ですけれども、解散を検討しているのが何社かございます。
 今後の地方住宅供給公社の在り方でございますが、社会情勢の変化、各地域の実情に応じて設立団体がいろいろ考えていただくわけでございますけれども、新市街地を大胆に開発するというような事業はこれからの公社の事業ではないとは思いますけれども、それでも地域の住宅政策上の課題がございます。
 具体的には、中心市街地の活性化のために町中居住を進める、あるいは密集市街地を改善する。これは小さな規模の都市でもございます。それから、高齢者とかファミリー向けの住宅の供給を町中で努力をするという、そういう地方における住宅政策の具体的な仕事を担う機関として引き続き重要な役割があると考えておりまして、住生活基本法案の中でも、公社は、住宅供給等に当たり、住生活基本計画の目標達成に資するよう努めなければならないという規定を設けているところでございます。
○加藤敏幸君 なかなか厳しい状況に経営的にあるということでありますし、その後始末は地方自治体、国民全体が背負っていくということではないかというふうに思っています。
 少し視点を変えて、官と民との役割というふうなことを、ある意味でそういった過去の失敗の中から学んでいくということだというふうに思います。
 第七条では、国と地方公共団体の責務、八条には住宅関連事業者の責務が述べられ、九条には関係者相互の連携及び協力をうたっています。しかし、その前の第五条では、住生活の安定確保、向上促進に関する施策は、民間事業の能力の活用及び既存の住宅の有効利用を図りつつ、居住のために住宅を購入する者及び住宅の供給等に係るサービスの提供を受ける者の利益の擁護及び増進が図られることを旨とし行われなければならないと、こうしておるわけでありまして、法律の文面上の関係というのは丁寧に関係が把握されていると、それはそのように思うわけであります。
 しかし、今回の基本法を、住宅の供給、再利用に関して民間セクターに非常に大きな期待を掛けていると、そういうふうに受け止められる。ニュアンスとして、なかなかこれは言いにくいんですけれども、我が国の住宅政策は、国としては一歩身を引くというんでしょうか、ポジションを引いていくんではないかと、こういう懸念が出てくる。
 逆に言うと、民間に任せられるものも民間にとは、まあこれは現下の政策の流れでありますけれども、市場原理への過度な傾斜というふうなことは、住宅の安全性の面とか、あるいは独り暮らしの老人世帯や障害者世帯など公的にフォローしなければならない人々への施策において、やっぱり何らかの問題が出てくるのではないかと、このように思います。
 耐震偽装問題も現在、原因、責任の究明中でございますけれども、例えば民間事業者については、法案第八条の住宅の安全性と品質、性能の確保の責務とともに、事業遂行にかかわるコンプライアンス、法令遵守以上のものを求めるということだと思いますけれども、コンプライアンスをきちんとしなさい、あるいは住宅の持つ社会性を意識した公共性の追求をしなさいといった事項について責任と義務を負わせていく私は必要があるのではないかと。そういうふうな仕組みにしないと、やはり民間業者というのは利益があって何ぼのものだと、平たく言えば。そういう原理で動いていくし、利益が上げられない社長は三年後には交代をしていくと、そういうふうな仕組みで動いているものと、先ほど言った公的住宅が担うべきものというものは、私は世界がやっぱり違う面があると。そこを一緒くたにして民間活力の利用といったときに、本当にそれが達成できるのか。
 これは基本法ですから、大きな住生活に対する考え方をこれで示すんだといったときに、やっぱりそのことをしっかり議論をして検証しておかないと、私は、法案間の言葉遣いはしっかり関連取れているけれども、じゃ一体中身はどうなんだと。こういったときに、十年後に反省しますということになっちゃいかぬから言っておるわけでございますので、そこの辺、どうなんですか。
○政府参考人(山本繁太郎君) 今御指摘いただきました本法案の第五条でございますけれども、理念の三番目に掲げられておりますけれども、先ほど委員のお話の中に、私どもが持家を取得しようとする問題意識が、まあ持家が価値が下がらない、価値が向上していく、なかんずく土地については資産価値がずっと上がっていくということが、住宅公団がエンジンになったという御指摘をいただきましたけれども、実は住生活の向上を図るための力は、住宅市場がきちんと機能するかどうかにまず第一に懸かっているという考え方を整理をしたのが第五条でございます。
   〔理事大江康弘君退席、委員長着席〕
 自分あるいは自分の家族の住生活を高めるために各家計が精一杯の努力をする、その努力をしたことが現実に報われる、市場の力を使って効果として結果が出ると、そういうふうにする必要があるというのが第五条の精神でございます。その際に、消費者主権がきちんと確立できるように市場の制度について万全を期すようにという問題意識が整理されているわけでございます。
 実は、御指摘いただきました、市場ではきちんと的確な水準の居住を確保できない世帯に対して公がきちんと出番があると、その役割を忘れちゃいかぬという部分がその次の六条でございまして、そういう意味じゃ理念の五条と六条は表裏の関係にあるというふうに認識しております。同じコインの裏表でございます。ですから、これはどっちが先に突出しても問題があると、国民の住生活を豊かにするためには両方がきちんと並進しなきゃいかぬという認識でおります。
 さらに、第八条において、その第五条の理念を受ける形で市場関係者の、特に供給側の事業者の責務ということをうたっておりますけれども、住宅の品質、性能の確保についても考え方を整理しておりますが、個別具体の行動規範を法律で定めるということになりますと、これはやはり個別法で規定していくことになります。
 基本法の五条、それから今の八条の考え方を踏まえて、各個別法の改正に当たってはきちんと取り組んでいく必要があると考えているところでございます。
○加藤敏幸君 そういう局長の答弁を受け止めて、そういう意味で、マーケット、市場を適正化していくということのためには何が要るんですかということを、これ実は私、今からここで議論することは二十年も前から実はやっていたんです。
 私は、連合中央組織にいたときに経団連、日経連と一緒に勤労者のためのいわゆる住宅政策をどうするかということで、そのときに、やはり安かろう悪かろうという住宅供給というものも、状況によってやっぱり発生し得ると。そのときに、公的な機関が、ある一定の質の高いやっぱりこういうものが見本としてあるんですよと、二十一世紀の日本人たる者で住むとすれば、最低このぐらいな住宅、逆に言えば住生活のモデルとは言いませんけれども、最低基準とも言いませんけれども、そういうものをやっぱり提示をし、そのことが場合によっては質の悪い住宅供給を駆逐する、そういう仕組みというものを私はマーケットの入口につくらなければ、なかなか市場競争を理屈だけでいってもそうはならない。
 民間でやってきた私にしてみたらそんな甘いものじゃないぜと言いたくなることから、公的賃貸住宅の供給体制というものなり、そしてその住宅の質をいろんな形で保証して、あるいは新しい工法だとか設備を提示をしていく、こんなに使ったらいいじゃないかと、ディスプレールームとは言いませんけれども、そういう役割がこれからの公的機関に私は求められてくるし、またそれが逆に国が私はやっていける大きな仕事ではないかと、こういう議論、久しぶりにまた二十年前と同じことをしゃべっているわけですけれども、申し上げておきたいというふうに思います。
 御感想があれば。
○政府参考人(山本繁太郎君) 実は、せっかく発言するようにということだったんで申し上げますと、住宅公団が戦後の都市居住の在り方としていろいろなひな形を提供してきたことは事実だと思います。特に共同住宅について、都市の勤労者の共同住宅についていろいろなひな形を提示して、勤労者の一つの大都市で生活する場合の夢を提供してきたことは事実だと思います。
 ただ、十一年の住宅・都市整備公団から都市基盤整備公団への改革、それから十六年の都市再生機構への独立行政法人への改革を通じて、民間事業者の力が非常に伸びてきてレベルも高くなっているから、具体的な住宅の供給については民間事業者の力を活用しようと。しかし、大都市の大事な土地をきちんと使うという観点から、基盤を整備したり敷地をまとめたり、お手伝いをする仕事はあるので、都市再生の観点からその部分に特化しようということで集中してきていますんで。
 実は、住宅公団以来、都市再生機構で働いている職員が、自分たちが供給する宅地、そこで出る住宅について、これからをリードする居住のモデルをつくりたいという気持ちはあると思います。だけど、私どもがお願いをして、法律制度で、そこは抑制するようにという整理をしたばかりでございますんで、そこはそういう気持ちを持ちながらも、抑制的に振る舞うことをお願いするということなのかなと思っているところなんです。
○加藤敏幸君 ここはこの程度で収めまして、実は私も、この居住権、居住は基本的人権かというテーマで用意をしておったんですけれども、これは午前中にいろいろと論争をされたということでございますし、割愛をさせていただきたいんですね。勇気を持って割愛をさせていただきたいと。
 そこで、直ちに、高齢化と住み替え問題ということで、この住生活というテーマを考えるときに、我が国は当然のことながら高齢化という大変大きな課題とこれはセットで考えるべきだというふうに思っております。
 御承知のとおり、二〇一五年には高齢化率が二五%になるということが予測されておりまして、高齢化が一段と進む中で、住宅問題の大部分は高齢化に絡む問題であると、こういうことも言えるのではないでしょうか。
 国土交通省も、平成三年度からの第六期住宅建設五か年計画以降、高齢者向け住宅政策に本格的に取組を始められまして、さらに平成十三年には高齢者の居住の安定確保に関する法律が制定され、高齢者円滑入居賃貸住宅制度や高齢者向け優良賃貸住宅の制度などが創設されましてそれなりの施策が講じられてきたということであります。
 これらのことにつきましては一定の評価をしたいということでございますけれども、高齢者の住宅問題というのはもうますます深刻化していくというふうに考えられます。政府としてまだ何とか間に合う時期に、今が大切な時期だということで、十分な対策を取っていかなければならないというふうに考えます。
 世帯主の高齢化問題、老人だけの二人世帯あるいは独り暮らしの世帯が異常なスピードで増大していくと予測されているし、持家の広い一軒家に独りで住むという、これも問題が大きい。防犯、防災上の問題、あるいはバリアの問題を含め、非常にストレスの高い生活スタイルが強いられているという問題があります。
 もう一つが、賃貸住宅に住み続ける高齢者が今後経済的な側面や介護を必要とするという状況になったとき、そういうふうな問題、そういう窮地に追いやられていく可能性も非常に高いということでございました。
 そこで、ちょっとお手元に資料を用意させていただきました。高齢者の住み替えに関するアンケート調査ということで、社団法人国際経済労働研究所と生活文化研究所が共同で行いました。大阪千里ニュータウン、湘南地域、吹田市、豊中市、鎌倉市、藤沢市対象に行ったアンケートでございます。四百六十九世帯から回答いただきましたけれども、ポイントは、これからの暮らしについて心配なこと、これはもうこのとおりでございまして、あるいは加齢を考慮した現在の住宅、生活環境についての不満も大体予測されるような形で、当然身体機能との関係でありますとか、あるいは住宅維持費と税金負担と、こういう課題もあるということであります。また、要介護になる前に早めに安心できる住まいへ住み替える必要性については、約四割近い方々が必要と思うと、そのように答えておられますし、持家で終生居住したいと答えた人でも、どういう住宅対策を取りたいかというと、健康づくりやリハビリ訓練のスペースをつくるとかいう形で、まあそれぞれ自分の将来を心配されていると。
 そこで、住んでいる町の駅・周辺に立地する介護付き住宅への関心ということで、これが大いに関心がある、多少関心があるというのがおおよそ五〇%を超えているということでございまして、やはりこういうところが少し予想よりも多いのではないか。また、グループリビングへの関心も、これも予想よりも高いのではないかと、こういうふうに考えておるということであります。
 そこで、先ほどお話がございましたけれども、我が国では中古市場がなかなかうまく機能していない。アメリカのように家は天下の回りもの、自分のライフスタイルに変えて住み替えていくんだと、ヤドカリさんのように住み替えていくんだと、こういうふうな国もございますけれども、しかし我が国は残念ながらそういうふうな状況にはなっていない。なってはいないけれども、仕事と住宅、どこで仕事を見付けるか、今のように雇用情勢が厳しいときには家を連れて仕事場に行くことはできない。そうすると、どうしても職場に近い住宅、あるいは子供の数に合わせて住宅を替えたい、こういうふうなニーズもたくさん出てくるというふうに思います。
 そこで、我が国としてこの高齢世帯の住み替え問題について、ある意味で国民のライフスタイルの意識を変えていくような施策の必要があるのではないかと、このようにも思いますけれども、国土交通省としての基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(山本繁太郎君) 本格的な高齢化社会を迎えると、今のうちにできることはすべて十分な対策を講ずるべきだという御指摘でございます。御指摘のとおりだと考えております。
 人口はピークを打ってしまいましたけれども、これからまだ十年間、世帯数は伸びてまいります。五千万世帯を超えるところまで今の四千七百万世帯から十年間伸びてまいります。これは団塊の世代が完全に高齢者になるわけでございます、十年たつと。そうしますと、単身の高齢者あるいはカップルの高齢者の世帯が増えていくわけでございまして、十年後には世帯数の四割が高齢者を含む世帯になると。五千万であれば二千万世帯はそういう世帯になるということが見込まれるわけでして、時間的な余裕はないわけでございます。
 今の現状でございますけれども、高齢者が居住する住宅の中でいろいろなバリアフリーなどの措置が講じられているのは非常にまだ一部にとどまっております。それから、民間賃貸住宅についても、御指摘いただきましたように高齢者の入居を拒否するといったような事例も見られます。これを何とか改善をしていくということで、十三年に制定していただきました高齢者の居住の安定確保に関する法律を駆使していろいろな施策を講じております。
 基本的には、例えば高齢者の円滑な入居を促進するために、高齢者を拒否しませんということを宣言した住宅をきちんと登録をして御利用に供するとか、さらに、高齢者が郊外の広い持家に住んでおられて、子供たちが巣立って、その資産を賃貸住宅として活用して、上がる賃料をもって自分は介護の付いた、サービスの付いた住宅にカップルで移るというようなニーズが非常に高いわけでございます。そういうふうな住宅の、それは、だから結局、若者、子育ての世帯がそこに住めば住宅施策としては両方とも目的にかなうわけでございますので、そういった住宅の流通を進めるような試みも今年度から開始をしております。そういうふうな施策を通じまして、是非、これから急速にそういうニーズが高まるんで何をやっても足りないわけですけれども、努力したいと思います。
 それから、介護サービスとの関係につきましては、特に高齢者の専用の賃貸住宅を供給していただいて、これをきちんと位置付けることによって介護サービス、介護保険法の対象とするという取扱い、厚生労働省の方でも整理していただきましたんで、この部分についても、まだ数限られておりますけれども、これから民間事業者と協力して積極的に進めてまいりたいと考えております。
○加藤敏幸君 今回、住生活、住宅ではなくて住生活というところをタイトルにされて、よく分からないなと言いつつ、しかし生活に着目をするんだということでいけば高齢者生活に着目をしたいわゆる住宅政策と、これが私は今回のロジックだと、そういうふうな意味ではそれはそれでなかなか立派な視点だなと、こう思うわけであります。
 じゃ、本当に高齢者生活をサポートできるような政策を国土交通省として、じゃ、どこまでどれだけやっていけるのかということだというふうに思うわけであります。このアンケートは、これはもう民間がほぼボランティアに近いような状況で一生懸命やってきたと。この答えとしては、やはり高齢者住宅問題を、持家を持っている立場の人たちの場合にスムーズに合理的に、より高齢者の不安をなくする高齢者住生活を実現するためには何をやったらいいのかという政策をまあサーチ、リサーチをしているということだと思うんですね。だから、逆に言えば、国土交通省におかれましてもこういうふうな視点に立って、本当に、持家の四LDK、五LDKを持っている老夫婦二人住まいが本当にすばらしい人生最後を送ることができるようなやはり住生活のありよう、また、そのリフォームということだけじゃなくて、家の転換と、買換えと、あるいは買換え先が場合によってはグループホーム的なものであってもいいわけですから、そういうふうな政策のこのビジョンというんですか、ありようを私は国民の皆さん方に提起をしていくと、そういうふうな既に時代になっているんじゃないかなと。
 そういうふうな意味で、我が日本国の内閣の制度というのは、省が違えば国が違うと、局が違えば会社が違うと、縦割りと、やっぱりそういうふうなことが、十年前ですよ、言われました、今はどうなっているか分かりませんけれども。そういうふうなことから、私は高齢者介護はどこそこの省、建物はどこそこの省ということだけじゃなくて、横断的にプロジェクト的に、住んでいる高齢者にとって一番最適な政策の解をつくるというところに主眼を置いた政策の展開をやっぱりやっていくべきじゃないかな。
 私は、まあ民主党の議論は大体そうなっていきつつあるんですけれども、そういうふうなことを是非とも頭に置いていただきたいというふうに思いますし、高齢者問題というところが今後この住生活の中で大きなポイントではないかということでございまして、大臣が今うなずいていただきましたんで、質問通告はしていませんけれども、このタイミングで一言お願いしたいと思います。
○国務大臣(北側一雄君) 今後の住宅政策の非常に大きな視点、課題についておっしゃっていただいたと思います。
 これから本格的な高齢社会が到来するわけでございまして、高齢者の方々が本当に安心して住生活を営んでいただけるかどうか、そこのニーズをしっかりと見極めて政策立案をしていく必要があるというふうに考えております。
 この住生活基本法案でも、第九条のところで関係者相互の連携と協力をうたっているわけでございますが、その中に、地域において保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者その他の関係者との連携協力をうたっているわけですね。やっぱり高齢者の方々の一番の御心配は、やはり介護の問題であったり医療の問題であったり、そこが一番の御心配だと私は思います。そういう意味で、しっかりと今後の住生活における政策を立案また遂行していくに当たりまして、厚生労働省とやはり緊密な連携を図っていかにゃならないと私も考えているところでございまして、そういう趣旨もあってこの九条の規定も入れさせていただいているところでございます。
○加藤敏幸君 是非ともすばらしい連携関係を築いていただいて、有機的な私は働きをお願いをしたいというふうに思います。
 ところで、先ほど局長の答弁の中で、高齢者に対して民間賃貸住宅が入居拒否というようなお話がありましたけれども、実は居住権という権利はどう規定するのかという議論の中で、少しちょっと補足しますけれども、やはり子供連れは御遠慮くださいという賃貸住宅、ペットの場合はこれは議論があると思います。ペットがいなければ私は人生成立しませんと主張される方と、ペットはお断りということとの調整の問題もこれはあると思いますけれども、やはり民間活力をと言ったときのコンプライアンスと私が申し上げた中に、そういうふうなやはり賃貸住宅という事業を行う以上は公平に公正にやっぱりやっていくという、そういうふうなところを民間業者にやっぱり求めていかないと、私は本当の意味で憲法第二十五条の健康にして文化的な生活をという条項を支えていくということにはならないというふうに考えておるわけであります。
 さて、最後に、住宅の安全の確保について一言御質問をさせていただきたいと思います。
 常に住宅政策を運営していく上で、やはりこの安全確保ということは忘れてはならないということだと思います。
 昨年の秋の臨時国会で耐震改修促進法案を審議した際にも取り上げさせていただきました。住生活基本法という我が国の住宅政策の基本を指し示す法律の議論をしているわけでございます。その場に当たっても、既に昨年申し上げました違法・既存不適格建築物と。私、たしかヒューザーの問題、偽装耐震設計を含めて「前門の虎、後門の狼」と、そういう言葉を使わせていただきましたけれども、そういう状況の中で、私は、ここでやっぱりこの違法あるいは既存不適格建築物に対する基本的な政府の考え方なり現状認識を私はしっかりと説明をしていただきたいと、こういうふうに思います。
○政府参考人(山本繁太郎君) 御指摘いただきました問題意識の中で、やっぱり既存不適格の中で一番のしかも最大の課題は耐震安全性の問題です。旧耐震の基準でできました昭和五十六年より前の建築物について新耐震基準に適合するようにどういうふうに改修していくかというのが一番大きな課題でございます。
 住宅に限って御説明しますと、人が住んでいる四千七百万戸の住宅のうち千百五十万戸、四分の一が新しい耐震基準に適合していないというふうに推計をしておりまして、大規模地震に対して人命の被害を半減するという観点から十年間のうちに、平成十七年度までにこれを九割まで、九割を上回る水準まで持っていきたいという目標を掲げております。
 これを実現するためには、何といいましても所有者の方々が問題意識を持って取り組んでいただくということが非常に大事でございますんで、地震防災マップを公共団体に提示していただきながらまず耐震診断をすると。問題がある住宅については耐震改修をしようという気になっていただいて、これを国と公共団体が耐震改修を応援をするということで進めていきたいと考えているわけです。
 耐震改修促進法に基づきまして公共団体に改修促進計画を作っていただきます。公共団体ごとの目標を定めて、それから公共団体が国の制度を活用して耐震改修に対する支援制度、助成制度を定めていただいて、それで計画的に進めようということでございます。国としても、そういう公共団体の努力をきちんと支えることができますように十八年度の予算で百三十億の予算も用意しておりますし、税制も、耐震改修促進税制も創設していただきました。こういうような形でしっかり前に進んでいきたいと考えているところでございます。
○加藤敏幸君 質問は一応終わりましたけれども、私は電気器具を作っておったんですけれども、電気製品は不良品を出したらずっと追跡をして、その回収あるいは置き換えをやります。自動車にしてもそうです。食品についてもガラスのかけらが入っていると全部回収する。これが通常の製造物に対する責任なんです。
 ところが、建築物については、残念ながら、耐震偽装あり欠陥住宅あり悪質リフォームあり、賃貸の退去時、更新時のトラブルなど、私は日本人がつくり上げた商慣習というこのすばらしいレベルからいっても随分問題があるんじゃないかと。物づくり日本、職人日本のレベルからいって、相当私は課題の多い分野だと。それが私は、働く私たちあるいは国民全体が被害に遭うと、その被害は回復できないぐらい大変なことになるという状況の中で、国土交通省の役割も非常に大きなものがある。そのことも含めて努力をお願い申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。どうかよろしくお願い申し上げます。
 まず初めに大臣に、今法案につきまして、その位置付け並びに具体的に、基本法でございますので、住宅に関しまして、また住生活ということに関しまして、この法案が成立した場合にどういうことを国民は期待できるのか、具体的に住生活がどう変わるということを期待していいのか、そのことにつきましてまず概括的に大臣にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(北側一雄君) 今日午前中からの質疑で出ているところでございますけれども、今後の住宅政策につきましては、住宅の量の確保から住宅の質の向上というところに本格的に転換をさせていただきたいというふうに考えております。
 基本理念として、良質な住宅の供給、また良好な居住環境の形成、さらにはこれから市場を活用していこうとするわけでございますけれども、そうした市場の整備と、一方で消費者利益の保護と図っていくということ、さらには住宅のセーフティーネット、居住の安定を確保していく、こうしたことを今回の法案の基本理念として定めさせていただいたところでございます。
 そのために、国、地方公共団体はもちろんのこと、事業者、さらには居住者等の責務についても明示をさせていただきまして、今後、基本計画を作らせていただくわけでございますが、その中で住生活の質の向上に関する目標を具体的に定めまして、バリアフリー化等々そうした目標を定めまして、そうした指標によりましてその達成度合いを評価をしていく、そうした計画制度を創設をさせていただきたいというふうに考えているところでございます。
 これからは住宅というものを次の時代の人たちにもきちんと使っていただける、後世にちゃんと残していけれる、そうした魅力ある住宅ストックをやはり形成をしていく必要がありますし、また住環境の形成を図っていく必要があると考えているところでございまして、そうした目標に向けてしっかりとこれから具体的に進めさせていただきたいというふうに考えております。
○西田実仁君 今大臣からは、この住生活基本法におきまして、これが成立した暁には様々な具体的な、先ほどのお言葉でおかりすれば、アウトカム目標、具体的な成果目標というものを決めて、そしてそれを達成していく中で、言わばもっといい家に住みたいと、もっといい住生活を送りたいと、こういう国民の期待というものにこたえていけるんだというお話があったと思います。
 その中でバリアフリーというお話もございました。もっといい家に住みたい、もっと良い住生活を送りたいという場合のもっといい家というのは一体どういうものなのかというのは、それぞれ個々人で当然違ってくると思うんです。しかしながら、概括的に申し上げますと、バリアフリーのことに表れているように、バリアフリーで幾ら段差がなくなっても、そもそも、我が家もそうですけれども、車いすで通れないような狭い廊下だったりするわけでありまして、もっといい家といった場合には、もちろん安全ということももちろんあります、一方で、もっとやっぱり広い家に住みたいという期待、希望というものも大変根強いというふうに思うんですね。
 その意味でまいりますと、より質のいい住生活、住宅ということで考えたときに、住宅政策だけでそれが達成できるだろうかということを大変強く感じるわけでありまして、当然そこには土地政策も絡んでこなければならないというふうに思うわけであります。
 そこで、政府参考人にお聞きしたいと思いますけれども、この本基本法を受けまして、今後土地政策としてどういうことが考え得るのか、その絡みをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(山本繁太郎君) 住生活基本法の理念のところで、第三条では、住宅そのものが質がいい、良質の住宅をきちんと供給していくんだということをうたっております。第四条で、これを一つ一つの住宅だけではなくて、居住地全体、居住市街地全体の住環境を追求していくんだということをうたっております。
 これは実は土地基本法の基本的な理念で、土地が要するに単に財産として所有の対象になるだけではなくて、周辺全体にいろんな影響を及ぼす社会的な存在であるということをうたっているのと、それを居住環境という観点から特別に規定したものでございまして、住宅が土地に付着して、しかも一つ一つではなくて、特に都市の居住形態であればみんなと一緒に暮らすんだということに着目して、その観点から、質のいい住宅が供給されるようにあらゆる主体が同じ方向で努力をしていくということを明確に基本法で掲げて、これから努力をしていくということを明らかにしているところでございます。
○西田実仁君 最初、総論的なお話でございますけれども、今回のこの基本法の中には、十三条におきまして、住宅に関する適切な情報の提供ということがうたわれているわけでありまして、私はこれは大変に重要であるというふうに思っております。
 既にホームページでも拝見いたしましたけれども、国交省としましては、ホームページ上で不動産取引価格というものを、まだ限定的でございますけれども、国として提供なさっている。
 これは、例えばアメリカなどでは、これも私、ホームページを見ましたけれども、住宅の市場価格というものはすべてもう民間が無料で提供しておりまして、そのホームページに広告を打ったりして、そこでそういう一つのビジネスモデルが成り立っている。そのぐらい、ホームパーティーの大きな話題になるほど住宅価格ということに関しては、メンテナンスがいいとか中古市場が育っているということもありまして、アメリカの場合は大変に大きな話題になっている。ですから、民間がやっても成り立つという。
 今回、今国として、国交省としてこの不動産取引価格の公開というものを始めましたけれども、これはどうなんでしょうか、いつまで国がずっとやっていくんでしょうか。当面整備していくということなんでしょうけれども、その辺のお考え、もしありましたら、お聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(山本繁太郎君) 市場が整備をされて、価格情報というのは市場インフラの非常に大きな、最も重要な要素でございますので、価格情報についての提供が御指摘いただいたような形で民間のビジネスとして行われるようになれば、公が関与する余地ももう当然なくなるわけでございますけれども、なかなかマーケットの状況を的確に、公平に消費者の皆様に提供するというところが十分でないという点に着目しまして、今は公が特に不動産取引の登記の情報をベースにやっているわけですけれども、そういうものを導入として、究極の姿としては民間ベースによる市場インフラとして整備されると有り難いということで公の努力を重ねているところでございます。
○西田実仁君 この住宅に関する情報というのは、価格のみならず、むしろその価値ということがどれだけマーケット、市場におきまして共有されるかということが大変大事だと思っております。市場重視ということがこの一つの大きな柱にも今基本法ではなっているわけでございまして、私が特にここで申し上げたいのは、いわゆる家歴書と言われる、家の履歴情報をいかに整備していくのか、あるいはそれを公開していくのかということであります。
 これは、供給する側が住宅に関する、例えばどういう構成材を使っているのかとか、あるいは検査をどういうふうに行っているのとか、あるいは増改築の履歴、こうした住宅に関する情報、価格のみならず、今は価格だけが公開されていますけれども、もっとその価値のところまで踏み込んだ言わば家歴書というものがきちっとデータベースとしても構築されていく、そのことによって中古住宅の取引もより活発になっていく、このように思いますけれども、この点につきましてはいかがでございましょう。
○政府参考人(山本繁太郎君) 住宅市場を整備するという観点から非常に大事な点を指摘していただいたと思います。
 国民が多くの資産を不動産という形で保有する中で、市場重視、ストック重視の住宅政策への本格的な転換を図る上で、適切に維持管理された住宅の資産価値が市場で適正に評価されるようにするための中古住宅に関する情報提供を始めとした市場の環境整備は誠に重要であると思います。
 こうした観点から、まず中古住宅の質についての情報を既存住宅性能表示制度ということで取り組んでおります。まだまだ非常にプリミティブな段階ですけれども、これを更に拡充していく必要があると思います。
 それから、市場で宅地建物取引業者が価格査定をいたします。一番合理的な手法だということで価格査定マニュアルを作っているわけですけれども、その中で中古住宅の質とか管理の状況が適切に評価されるように査定項目を追加するといったようなことも行っております。
 中古住宅の質、価格が適正に評価される市場環境の整備に取り組む必要があると思っております。
 また、今御指摘がありました住宅の修繕などの履歴情報の提供でございます。
 これは、今そのための仕組みとして、まずマンションについて、マンションの修繕などの履歴情報を登録して、取引したい人がこれを閲覧できるというシステムをマンション履歴システムということで導入をいたしまして、今年度から本格的運用を開始する予定にしております。
 こういったことは非常に市場重視の政策にとってクリティカルな話でございますので、良質な住宅の資産価値を確保する努力が適正に評価されるということを通じまして住宅資産が最大限に活用されますように、市場の環境整備に取り組んでまいりたいと思います。
○西田実仁君 今、マンションにつきましてはそういった履歴情報のデータベース化構築というものが進んでいるということでございますけれども、これから順次戸建てにつきましても進んでいくというふうに期待したいと思います。
 第五条に関して、今の家歴情報に絡めてでございますけれども、第五条におきましては、この「居住のために住宅を購入する者等の利益の擁護及び増進」というところでございます。私はここで、特に持家あるいは分譲マンションでも、住宅にまつわるこれまでの数々の悲劇ということについて申し上げたいと思います。
 特にこの住宅ローンについてでございます。住宅ローンについては、先ほどもお話があったように記憶しておりますけれども、土地神話の下で、いわゆる住宅すごろくというような形で買い換えていく、それで上がっていくという、そういうハッピーなお話はもう過去のものでございます。土地を買って次々に買い換えていく、それは当然価格が上がっていくということが前提だったわけでありますが、今やそうではない。
 そこで起きている悲劇は、やはり失業あるいは仕事失ってしまう、収入が途絶えてしまうといったときに、家を売ってもなかなかその残債が返すことができない、そのまま残ったままだという問題がかねてより指摘されておりまして、これをどういうふうにしていくのかというところで、よく言われるのは、いわゆるノンリコース化ということであります。非遡及型のローンということでございまして、簡単に言えば、将来の収入のキャッシュフローを基にして銀行はそれを担保にして融資をするわけでありますが、そうではなくて、建物そのものの価値、それを担保にして、債務はそこの限りで及ばないと。つまり、収入のキャッシュフローということではなくて、建物の価値そのものに、換価価値に依存した融資あるいは住宅ローンの在り方、これが住宅のノンリコース化ということでございまして、そのためにはやはり今申し上げた、価格のみならず価値、家の価値情報ということもきちっと公開をされてないと、これはもう金融機関もそんな簡単にノンリコース化というのはできないわけであります。
 この第五条に絡めて申し上げさせていただければ、この住宅ローンのノンリコース化ということも、これはやはりすぐにはなかなか難しいかもしれませんが、そのための環境整備を、やはり住生活の基本法にこれだけうたっているわけですから、これ具体的に進めるべきだと思いますけれども、いかがでございましょう。
○政府参考人(山本繁太郎君) これも先ほど御指摘いただきました、市場環境を整備して住宅の価値がきちんと評価されるという環境を整備するという課題と実は表裏の関係にある課題でございますが、非常に大事な課題だと思います。
 ノンリコースローンというのは、借金をしたその借金を返済する責任を最終的には融資対象の財産に限定するという約束をあらかじめ貸手と債務者が結ぶというものでございます。財産を差し上げれば、あとそれ以上のことを追及されることはないというのがノンリコースローンのポイントでございますが、実は我が国において、伝統的にはこういうお金の貸し借りの契約というのは存在しなかったんですが、近時、ビルとか賃貸住宅などの不動産関連融資の分野でどんどん出てきております。これは、不動産開発して建物ができて、その床を賃貸に付しますので、その賃料をベースにそれで借金を返していくと、その収益に着目したローンでございます。返済不能となった場合は、その収益源である財産を渡す、債務者としては渡すと、それ以上は遡及されないというローンでございます。ただ、住宅ローンについては、このようなノンリコースローンになっているものは見当たらないのが現実でございます。
 それじゃ、西ヨーロッパとか北米について、住宅ローンについて、契約上そういうノンリコースの住宅ローンが存在しているかということで探してみるんですが、そういうふうなことが行われているのはまだ発見しておりません。ただ、米国なんかでも中古住宅市場が非常に発達しておりますので、住宅物件の売却で債権すべて回収して債務者に掛かっていくことはしないということが、結果として回収は行われないというふうに理解しております。
 我が国の住宅ローンについて、このようなノンリコースローンを直ちに導入するというふうに考えた場合は、先ほど正に御指摘いただきましたように、マーケットにおける、市場における住宅の価格の評価とかいろいろな制約条件がありますので、価格がどんどんどんどん下がってしまうと、だから物を渡しても債務が回収できないといったような事情がありますので、結果としてノンリコースローンを設定するときのローンの条件、具体的には金利とかそういった融資条件の低下につながるといったようなことになります。
 したがって、短期的にこれを検討、導入を検討するというのはなかなか難しいとは思いますけれども、住宅政策の観点から非常に大事な課題だと思いますので、しっかり検討してまいりたいと思います。
○西田実仁君 続きまして、今回の基本法の二つ目の大きな柱というか、私が特に取り上げたい別の柱としては、やはり住宅のセーフティーネットということがあろうかと思います。本日も公団の自治協の皆様方大勢傍聴に来ていただきました。
 これにつきまして、まず初めに、いわゆる住生活の安定の確保、この住生活の安定の確保のその意味につきましてお答えいただきたいと思います。
○委員長(羽田雄一郎君) だれに。
○西田実仁君 これは局長から、じゃお願いします。
○政府参考人(山本繁太郎君) 住生活基本法案の中で、理念の第五条でございますけれども、本当に住生活を豊かにするために、市場の力を使って消費者主権を確立してきちんと実現をしていくということを正面に掲げているわけでございますけれども、市場でなかなか適正な居住を確保できない世帯に対してどのような理念を持って取り組むかというのが第六条でございます。居住の安定の確保を図ると。
 これは、住生活の安定、向上に関する施策の推進は、住宅が国民の健康で文化的な生活にとって不可欠な基盤であるということに着目して、低額所得者、被災者、高齢者、子供を育成する家庭その他住宅の確保に特に配慮を要する者の居住の安定の確保を図られることを旨として行われなければならないとうたった上で、具体的な施策を第二章で掲げておりまして、第十四条に居住の安定の確保のために必要な住宅の供給の促進等という基本的施策をうたっております。
 この中で、国及び公共団体が公営住宅を中心に賃貸住宅の供給の促進その他の必要な施策を講ずるとうたっているわけでございまして、市場重視、ストック重視の考え方で進めるのであれば、なおさらこの六条の考え方に立って国と公共団体が協力をして配慮を要する世帯に対して的確なセーフティーネットの設定と運用を図っていく必要があるという考え方を示しているところでございます。
○西田実仁君 住宅困窮者に対する安全網を張っていくということであります。
 ここで、公団自治協の皆さんがアンケートを取られておられますけれども、その数値を若干紹介したいと思います。
 今現在お住まいの方々、二つの特徴があると。一つは高齢化、そしてもう一つは収入が低下している、この大きな二つの特徴があるわけであります。細かい数字はもう申し上げません。そして、今実際に公団にお住まいの皆さん、機構住宅にお住まいの皆さんの収入面でいきますと、そもそもは、私の理解では、公営層という公営住宅があって、そして機構住宅があって、そして公庫が対象とする持家等の層があってという、最初はそういう住宅政策でこれまで来たと思うんです。
 ところが、そういう意味でいきますと、公団にお住まいの方はいわゆる中堅所得層だということになっているわけですね。所得分位でいえば第三分位の中堅所得層というように本来はなっている。しかしながら、実際にはどうかというと、これはいただいたアンケート調査を見ても、いわゆる第三分位の方々、いわゆる中堅所得層の方々は八%ぐらいしかいない。これは現実はこうなっているという、まずここから議論を始めなければいけないと私は思います。
 その上でお聞きしたいと思っていることがございまして、機構の今日は理事もお越しいただきましてありがとうございます。お聞きしたいと思いますが、こういう現状の中で、年金生活を送っている方々、ここは収入の増加が見込めない、そういう住民の方々に対しまして、今市場家賃と公営家賃と、真ん中で中間家賃とを設けて、いろんな軽減措置を設けているということは承知しておりますが、三年ごとに家賃改定を行っている。そこで、どういう軽減措置がとられているのか、ちょっと概要、簡単で結構ですので、御説明いただけますか。
○参考人(尾見博武君) お答えを申し上げます。
 今先生がお話しになりましたように、市場家賃化に伴いまして、継続家賃の改定につきましては統一的なルールに従って三年に一遍改定をさせていただいているところでございます。これに伴いまして、やはり居住の安定という観点からは、高齢者の方あるいは母子世帯の方、障害者の方、生活保護世帯の方、そういう方々に関しては、やはり引上げが大幅にならないようにというようなことで抑制のための措置を講じているわけでありますが。
 今先生少しお話をいただきましたように、一つは特別措置というものがございます。これは、お話がございましたように、いわゆる市場家賃、近傍同種の家賃と公営並みの家賃の間に一つの線を引きまして、そこのところまで、中間水準を超えるような場合には中間水準まで家賃を据え置くというようなことであります。これについては国から補助をいただいてこういう措置を講じています。さらに、中間水準に達しないケースで上昇するケースもございますが、こういうことにつきましては機構の経営努力の結果として抑制措置を同じようにさせていただくという考え方を取っております。
○西田実仁君 こうした特別措置並びに特例措置の対象でございますけれども、これは先ほど私の分類でいきますと、いわゆる公営階層を対象とした激変緩和措置と考えてよろしいんでしょうか。
○参考人(尾見博武君) 一応、収入の要件として二五%以下ということですから、広い意味での公営階層に近い水準だと思います。それに、あとは年齢の要件でありますとか、例えば高齢者ですと六十五歳以上とか、そういう要件を加味しておるところでございます。
○西田実仁君 つまり、この激変緩和措置につきましては、そうした収入とか年齢とか、そういういわゆる公営階層を対象とした激変緩和措置的な色彩を非常に強めているということであります。
 公営住宅に関しましては、もう先ほど午前中もお話ございましたが、いわゆる応益応能家賃ということで両方の要素があるわけでございます。算出の仕方見れば一目瞭然でございますが、所得の一五から一八%を占める応能家賃、これに応益度を示す規模係数を掛けていく、これが公営の住宅の家賃の決め方。
 そして、今理事がおっしゃいました公団住宅に関する激変緩和措置も、実は公団の家賃そのものは市場家賃上がればいろんな激変緩和措置あるけれども、それに伴って基本的に上がるということの考え方でいえば応益家賃であるという多分考え方を取っているのかもしれません。
 しかし、実際にそこに住んでいる人は、先ほど私が申し上げたとおり、公営団地の階層の人たちがもうほとんどでありまして、そういう意味では、公団のそもそもねらいにしていた中堅所得層はもう一〇%を切っている、こういう現実、この現実を踏まえた上でそういう激変緩和措置をとられているんだろうというふうに私は理解しているわけでありまして、そうした現実を見た場合に、この家賃改定につきましては、必ずしも応益的な家賃だけではなくて、応能的な要素というものをもうちょっと考慮して検討していくという必要があるんではないかと思いますが、いかがでございましょう。
○参考人(尾見博武君) 先ほど申し上げました特別措置ないし特例措置は、公営並みに抑えるということではございませんで、先ほど言いましたように、公営並み家賃とそれから市場家賃の間に中間水準という線を設けまして、そこに収れんさせていこうと。上昇する場合の抑制幅というか、そういうものを一定の配慮を加えていこうと、こういう考え方であります。
 基本的には、私どもは、これは平成十一年以降、住宅宅地審議会の御議論をいただいた上で、機構法第二十五条において、近傍同種の住宅の家賃の額を基準とするということがきっちり定められておりますので、居住者の皆様からはやはり住宅の応益性に応じた家賃をちょうだいするという、こういう仕組みになっているものだというふうに認識しております。
○西田実仁君 そういう意味では、中間家賃ということは理解しておりますけれども、結局、年金生活者の方々のように、収入が増えていくのであればそれに応じて払うのはもちろんそれは構わないわけでありますが、増えていかない方々が、やはり居住の安定と考えたときに、激変緩和措置はあるけれども、やはり市場家賃上がれば当然、緩和されたとしても少しずつ上がっていくんじゃないかという、そういう不安感というものを持っているということは是非御理解いただき、そこに応益的な家賃のみならず応能的な家賃という要素も強めていくということが必要ではないかと訴えさせていただきたいと思いますが。
 ちょっとここで、補助金というか、これは国交省にお聞きしたいんですけれども、いわゆる今の公団家賃におきましては特別措置は二種類ございまして、この二種類とも、激変緩和措置を設ける場合には半分国からの出資金か財政的な支援があるというふうに理解しております。しかしながら、もう一つ、実は機構さんが独自にやっておられる激変緩和措置、特例措置の方でございますけれども、これについては取り立てて国からの財政的な支援がないようでございますが、これはどうしてこうなっているんでしょうか。
○政府参考人(山本繁太郎君) 特殊法人改革の基本的な考え方に従いまして、都市再生機構、独立行政法人になりまして、独立行政法人という法人の性格にのっとって、政策的に必要な部分については的確に公的資金を投入いたしますけれども、市場で自らの責任で政策目標を達成するという部分については、しっかりそういう形で仕事をしていくというその仕分がなされたということでございます。
 賃貸住宅の経営に関連しましては、特に建て替えの際に家賃の非常に大きな変化が生じるわけでございますけれども、しかし、過去の劣悪な賃貸住宅ストックをきちんと更新して将来にわたって使えるようにするという政策目的も非常に大事でございますので、特に機構の賃貸住宅の建て替えに当たりましては、公共団体ともきちんと連携をしていただいて、例えば土地利用を高度化することに伴って余剰が出てくる土地を的確に活用していくということなどと併せまして、公営住宅も併せて供給すると。さらに、機構が、高齢者向けの優良賃貸住宅制度を活用して、これには国からの助成も出ますので、そういうふうなことで的確にニーズに応じた住宅を供給することで対応を図っていくと。その際、政策目的に応じて必要な助成は国から講じていくと、そういう考え方で臨んでいるところでございます。
○西田実仁君 この住生活基本法というところに、大きな柱に居住の安定ということがうたわれている以上、この基本法を基にしてこれから個別法をその理念に沿って変えていくということになると思います。そこの意味では、居住の安定ということが強くうたわれている以上、やはりこの例えば公団住宅一つ取ってみても、居住の安定を期するための施策として、基本法ができてこういうふうに変わったというところがやはりないと、別に何の変わりもないと、今までと同じ枠組みだけでやっていくというのであれば、そもそもじゃ基本法の理念とは何かということになってしまうと思います。そこは是非、これからしっかりと個別法として検討していただきたいと思います。
 そこで、ちょっと具体的な話ですが、よく私のところに住民の方から御相談が来ます。高齢者、先ほど申し上げましたように、家賃が三か月滞納してしまいますと、この契約書の第十八条によりまして、催告によらず契約の解除ができるというふうに規定をされているわけであります。これは事実です。しかしながら、機構のいろんな文書等を読みますと、決して三か月たったから、はいさようなら、出ていけということではなくて、きめ細かく、分割払も含めて対応しているんだというような資料も随分といただいているわけであります。
 しかし、実際に住んでおられる方は、もう生活保護を申請しようと思って何とか分割でも払おうというようなお気持ちがあっても、もうやいのやいの言われているというようなこともございまして、機構本社の原則と、その実際の現場での窓口の対応がちょっとずれている面があるんではないかというふうに思っておりますが、この点もう一度確認をさせていただきたいと思います。
○参考人(尾見博武君) 家賃滞納の問題でございますが、今先生から御指摘いたされていましたように、契約上、三か月以上滞納いたしますと、それは契約の解除ができると。これは判例も学説も、三か月も滞納をすると賃貸人と賃借人との間の信頼関係が基本的に損なわれたというふうなことが言えるんじゃないかと、そういうことで、そういうことになっております。
 あるいは、解釈上は無催告でもできることになっておりますが、私どもはその三か月という時が至ります前に、電話とかはがきとかいろんな形で滞りました場合には御連絡をして、是非支払を滞らせないようにお願いしたいということをまず申し上げます。
 三か月以上経過した場合にも、いろいろお見えになって御相談を受けた場合に、実はいろんな家庭の事情があってということであれば、場合によってその公営住宅の方の窓口を御紹介をするとか、あるいは福祉事務所の方を御紹介をするとかいうふうなことで、生活保護の手当てというのをお考えになったらどうですかというようなことについても御相談に応ずるというようなことを徹底するようにと指導しているところであります。
 さらに、その後の段階になりました場合にも、その次は裁判の訴えを提起するとか、あるいは強制執行の手続に入るとかそういうことがあるわけですが、その段階でも、お話によって、やはりまとめてお払いいただけるとか、そういう形の一種の和解的なことがあれば、直ちに元に戻って継続的な居住をしていただくというようにしているところでございます。
○西田実仁君 是非きめ細かくお願い申し上げたいと思います。
 残りの時間、最後のテーマでございます。
 私は、この基本法の中でとりわけ大変に重要だと思っているのは、第四条のところにおきまして「地域の自然、歴史、文化」、こういうことがきちっとうたわれている、住生活という、住まいということに関して地域性ということを、地域特性ということをきちっとうたっているということが大事だと思っております。
 また、第七条第二項におきましては、一方で、この新しい技術の開発、「住宅の品質又は性能の維持及び向上に資する技術に関する研究開発」、これはいわゆる新技術の方ですね、こちらをうたって、それと全く並列をした上で「木材の使用に関する伝統的な技術の継承及び向上を図るため、」云々かんぬんと、こういうふうに二つの新しい技術と伝統的な技術というものを全く並列にして、ともに重要であるということをうたっているという点も大変に私は重要であると思っております。
 まず、大臣にお聞きしたいと思います。
 いわゆるこの伝統工法と言われるものにつきまして、実は私も埼玉の飯能の西川材とか、あるいはときがわ村とか秩父とか、様々な林業を抱えております。
 このいわゆる伝統工法、金物等は使わないで、そして筋交いも入れずに、逆に、清水の舞台もそうですし、また法隆寺等もそうでございますけれども、大変に長い寿命、また耐久性の高い建物、これには人類の、日本人の築いてきた大変に重要な、地震にも強いというお話もございまして、そのとおりでございまして、免震技術としても大変高い評価もされている。こうした伝統工法に対しまして大臣の御認識、またそこの支援に対する、この基本法に盛り込まれている精神、スタンスをまずお聞きさせていただきたいと思います。
○国務大臣(北側一雄君) 今委員のおっしゃったとおり、伝統的な木造住宅というのは、地域の木材等を生かしまして気候、風土に適した建て方がされております。床下の通気性がいいだとか、維持修繕が容易であるだとか、それから長寿命の木造住宅を実現する上でも非常に優れた特徴を有しているというふうに考えているところでございます。
 平成十二年の建築基準法の性能規定化によりまして伝統的な木造住宅でも構造計算を行うことにより建設することが可能となり、実際にそういう例も見られているところでございます。国におきましても、伝統的な木造住宅の再評価を進めるとともに、構造計算に必要なデータベースの整備だとか、それから、そもそも伝統的な木造住宅普及のための技術開発への支援だとか、担い手が不足しております、この担い手である大工技能者の育成等の取組を行っているところでございます。
 今回、先ほど委員の方から指摘がございました、住宅の建設における木材の使用に関する伝統的な技術の承継、向上を図るため必要な措置を講ずるというふうに明記をさせていただいたのもそういう趣旨からでございまして、引き続き、伝統的な木造住宅を建てやすい環境の整備等の取組を進めてまいりたいと考えております。
 木造住宅は、アンケートを取りましても、木造住宅に住みたいとおっしゃっているのがたしか八割ぐらいあったかと思うんですね。また、これからの地球環境の保全ということを考えても、我が国の木材をしっかり活用して木造住宅を供給していくということはそういう面からも非常に重要な課題であると思っておりまして、しっかりとこの木造住宅が供給されるように施策を充実をさせていただきたいと考えております。
○西田実仁君 この木造住宅、今大臣からは、いわゆる伝統工法ということにつきましてもきちっとした評価と、またそれを建てやすい環境をつくっていくという、そういう御答弁をいただきました。
 その上で、そういうことであれば、しかしながら今の現状がどうなっているかということをちょっと御紹介したいと思いますが、一つには、今おっしゃっていただいたように、いわゆる合法的に伝統工法を建てようと思うと多額の構造計算費用がまず掛かるという問題があります。普通の在来工法であれば告示等でもきちっと技術的な水準が定められておりますけれども、そうではなくて、自ら限界耐力計算等を行わなきゃいけないと、こういうことでまず多額な費用が掛かるという壁が一つあります。
 そしてまた、この計算をしようと思ったときのデータの収集、先ほど大臣からはデータベースの構築というお話もございましたけれども、これも今のところはまずそれぞれがやらなければいけないということで、大変に、はっきり言って、建てていいと言われても建てにくいという、そういう今問題があると思うんですね。
 この辺に対する支援というのはどう考えているんでしょうか。
○政府参考人(山本繁太郎君) 伝統的な技術をきちんと将来に向けて継承していくということを国の責務としてうたいましたので、そのために基準法の下で的確に伝統的な工法が使えると、スムーズに使えると、その大工さんがというふうにするための環境整備に力を尽くしていきたいと思います。
○西田実仁君 そういう意味では、その地域地域、正に生きている家、呼吸している家とかいう言い方もしますけれども、そういう伝統的な工法につきましては、正直言って、私も素人ですけれども、そう簡単に多分標準化できないんだと思うんですね。その地域の特性がございますし、そこに長くお仕事をされている大工の皆さん、そういう方々しか分からないようなこともあって、なかなか全国一律に画一化した工業生産できるものではない。
 そこで、私は、この第七条の第二項、今大臣も強調していただきました、木材の使用に関する伝統的な技術の継承及び向上を図るため研究開発等を行うという、ここのところは、是非ともその地域にいる、実際にいわゆる伝統工法を担っておられる大工の皆さん、こういう方々とともに研究開発をし、あるいはそうした方々の意見をきちっと聞いた上で、必ずしも簡単に画一化、標準化ができないこの伝統工法、これをもっと建てやすくしていくという、そういう現場の大工の皆さんの御意見がしっかりと通るようにしていかなきゃいけないと思いますけれども、国交省、いかがでございましょうか。
○政府参考人(山本繁太郎君) 非常に大事な点を御指摘いただいたと思います。技術は、先進的な技術であれ伝統的な地域技術であれ、それを使う技能者に化体しているわけでございます。大工技能者に技術は化体しているわけでございまして、御指摘のような地域に根差した大工技能者が地域の気候、風土、文化等に応じた木造住宅建築を担っていただいているという認識に立ってこの問題に取り組む必要があると思います。
 ただ、現場といいますか、現状を見ますと、木造住宅生産を支える大工技能者自体が、一九八〇年には九十四万人でございましたけれども、二〇〇〇年には六十五万人にまで減少し、なおかつ高齢化していると。六十歳以上が一九八〇年六・六%から二〇〇〇年には一九・一%ということで、もうどんどん高齢化が進んで、伝統のたくみの技術の継承が非常に危殆に瀕しているわけでございます。
 そういう状況を踏まえて、できるだけまず大工技能者をきちんと育成していかなきゃいかぬという観点から、地域の棟梁の下での実習を中心にした大工育成塾という事業に取り組んでおります。それからもう一つは、今御指摘いただきました地域の生産者と一緒に伝統的な技術継承の取組活動が行われるとき助成をするといったような取組も行ってきているところでございます。
 今後とも、こういった施策を積極的に展開しまして、御指摘いただきました問題意識を踏まえて、我が国の伝統的な木造軸組み住宅を支える技能者の育成、定着に努めてまいりたいと思います。
○西田実仁君 このいわゆる伝統工法につきましては、耐震性からいっても大変にユニークな技術であると。
 私もなかなか実感として分からなかったわけですけれども、例えばよく言われるのは、車の中でコップに水を入れてボルトできちっとつないだような水と手で持っているのとどっちがこぼれにくいかというと、それは明らかでありまして、手で持っている方が、まあいわゆるボルトできちっとくっ付けちゃうと逆に揺れに弱いというそういうこと、それはもう卑近な例ですけれども、そういう免震技術というものもこのいわゆる伝統工法には備わっている。だからもう長い風雪に耐えて、今も生き残っていると思うんですね。
 そしてまた、その地域の特性に応じている。今局長からもお話ございましたけれども、やはり地域や風土を熟知した力量ある大工の皆さん、この方々の意見を、何か中央の偉い先生がこうだというふうに言うんではなくて、その地域のそれぞれの特性をよく熟知した大工さんの意見をきちっと聞いてこの技術の継承を図っていかなきゃいけない。
 今局長からは、そういった大工の塾をつくっておられるというお話がございましたけれども、これはどのぐらいの予算が付いているんでしょうかね。たしか、記憶では年間で百人ぐらいとかそのぐらいの規模だったようにも思いますけれども、この予算がどのぐらい付いているのか、またそれを、なかなか減ってきているというお話もございましたけれども、私が聞くところでは、地方では決して減っているわけじゃなくて、仕事がないからなかなか出てこないけれども、そういう場があればまだまだ都会に比べれば地方にはそうした伝統的な技術を継承している人も随分多いというふうにも聞いておりまして、この予算、どのぐらい付いているのか、また今後そうした育成に力を入れていくということであれば、もうちょっとその予算の拡大も含めて支援していくおつもりあるのかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
○政府参考人(山本繁太郎君) これは平成十五年の秋から始めました。東京、大阪、名古屋、福岡の四か所で三年間棟梁に実習を積んでもらうというものでございます。
 平成十五年の十月に入塾した者は今年の秋に卒業するわけですけれども、これは五十二名でございます。一昨年の四月に入塾しましたのが九十七名、昨年の四月に入塾しましたのが百一名、今年の四月は八十一名となっております。非常に棟梁たちも意欲的に取り組んでいただいていますんで、今回、住生活基本法が成立した暁には是非更に大きな旗印を掲げて取り組んでもらいたいと思うんですが……(発言する者あり)予算でございますが、国土交通省の補助は十七年度で四億円、今年度も四億円いただいております。
○西田実仁君 是非この住生活基本法を作って、これだけ条文の中に新しい技術の開発と全く並列でこのいわゆる木材を使った伝統的な技術の継承ということをうたっているわけであります。
 そういう意味では、やはりこれも基本法を作った以上、何か事が変わっていかなければ、今までと全く同じだったら本当にそれは仕方ないわけでありまして、施策の上でしっかりと反映していただきまして、このアウトカム目標の一つにも恐らく長寿命化ということが入ってくるんだと思うんですね。そのときにはこうした、歴史に耐えてきた、もう実証済みのこういういわゆる伝統工法というものがもっと重視されて、またそういうことに対する支援も行われることを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。私は、まず居住の権利について質問させていただきます。
 住宅といいますのは、私は、あらゆる人にとって命、健康、生活の基盤であって、子供を育てて、家族が憩い合って、老後を過ごす場、たとえ独り暮らしの方にとっても生きていく上では欠かせない空間で、明日への活力を養う最も重要な生活の空間だと思います。これほど重要な住宅について、憲法では「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」とうたわれておりますけれども、住まいの基本法となるべき今回の住生活基本法案には国民の居住の権利が明記されていません。
 そこでお伺いしますけれども、居住に関する権利、それを保障する国の責務をアメリカやフランスでは住宅に関する法律でどのように規定しているか、簡潔にお答えいただけるでしょうか。
○政府参考人(山本繁太郎君) 米国におきましては、すべての米国民が快適な住宅と適切な居住環境を享受できるという目標の実現を目指す住宅法が一九四九年に制定されております。ちょっとその部分見ていただきますと、国家住宅政策の宣言という、第二条でございますが、全米国民に適正な住宅及び適切な生活環境を提供する目標を速やかに実現することが必要であり、としておりまして、そのような生産は、最大雇用、最大生産、最大購買力の経済の達成に向けて住宅産業に最大限の貢献をさせることを可能にするために必要であるという国家住宅政策の宣言をしております。
 それから、フランスでございます。住宅に居住する権利を国民の基本的な権利として掲げるベッソン法、一九九〇年でございます。その部分を見ていただきますと、第一条でございます。住宅への権利を保障することは、国民にとって連帯の義務の一つであると規定しております。
○小林美恵子君 御説明ありがとうございました。
 アメリカではもう一つ、全米アフォーダブル住宅法、百一条、議会はすべてのアメリカ人の家族がふさわしい環境の中で適切な住宅を取得できるようにするという国家目標を主張するとありますけれども、いずれにしても、私は、アメリカもフランスも国民への住宅への保障、国民への権利ということがやっぱり今御説明いただいた中にはしっかりと明記をされていると私は思います。
 さらに、一九九六年に百七十一か国の政府代表が参加をし開かれました国連人間居住会議、そこでは、我々は、我々に公約が国際文書に規定されている適切な住居に住む権利を完全、かつ前進的に実現するものであることを改めて宣言すると、いわゆるイスタンブール宣言を確認をしました。日本でもこれに参加をされて、日本もこの宣言を承認されてきたわけでございますけれども、今回の法案に居住の権利を明記しないのはこの宣言承認と矛盾するのではないでしょうか。
○国務大臣(北側一雄君) このイスタンブール宣言につきましては、適切な住居についての権利を十分かつ着実に実現することというふうに記載されているわけですね。これは、むしろ憲法二十五条の、すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有するという規定と同趣旨であるというふうに考えております。
 今回の法案では、憲法二十五条のこの規定を受けまして、まず第六条で、居住の安定の確保について基本理念として位置付けをさしていただき、そして第七条の一項で、国、地方公共団体がこの基本理念にのっとって、住生活の安定の確保及び向上の促進に関する施策を策定し、及び実施する責務を有するというふうに規定をさしていただき、そして第十四条で、国及び地方公共団体は、国民の居住の安定の確保が図られるよう、公営住宅及び災害を受けた地域の振興のために必要な住宅の供給等、高齢者向けの賃貸住宅及び子供を育成する家庭向けの賃貸住宅の供給の促進その他必要な施策を講ずるものとするというふうに規定をさしていただいているわけでございまして、これは、それぞれもう憲法二十五条の趣旨にのっとってこの法文があるというふうに考えております。
○小林美恵子君 大臣、住生活基本法六条等を御答弁いただきまして、憲法二十五条の趣旨がここに生かされているというふうにおっしゃいました。その六条でございますけれども、いわゆる住宅が国民の健康で文化的な生活にとって不可欠な基礎であることにかんがみ、低額所得者、被災者、高齢者、子供を育成する家族その他住宅の確保に特に配慮を要する者の居住の安定の確保が図られることを旨として行わなければならないとしております。
 私、先ほど答弁もあったんですが、改めてお聞きします。この旨として行わなければならないというふうになりますと、それが実現しない状況が存在した場合の責任や具体的対応というのは私はどこに明確にされているのか、これはあいまいではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。
○国務大臣(北側一雄君) これについても先ほど申し述べたつもりでございますが、この第六条の基本理念を受けまして、十四条に国及び地方公共団体が講ずべき基本的施策を規定をしているところでございます。この居住の安定の確保に関する施策を策定し実施する責務は国及び地方公共団体にあることとともに、当該責務に基づき基本的施策を講ずべきことについて、法律上、第七条の第一項で明確にしているというふうに考えているところでございます。
○小林美恵子君 国と自治体の責務を七条に規定しているとおっしゃいましたけれども、私、今のちょっと現状で申し上げたいことがございますけれども、職安局長が認めて入居ができる雇用促進住宅がございます。全国に千五百三十一住宅、約十四万戸、三十五万人の方が入居をされておられます。これを政府は昨年の閣議決定で、これまでのいわゆる三十年間掛けて譲渡、廃止するという、この譲渡、廃止ということ自体も私は賛成できませんけれども、そのことすらも方針の撤回をして、早期の譲渡、廃止を促す規制改革・民間開放推進会議の答申を昨年の閣議決定で尊重するというふうにしました。
 私は、ここには国民のいわゆる居住権を明記しない、明記しなければ、幾ら国と地方自治体の責務を書いても、やっぱりここがすとんと落ちてしまう、このことを物語っているというふうに言わざるを得ないというふうに思います。だから、居住権というのは法律上明記することはいかに大事かということを私は強調したいんですね。
 それで、ここで私は大臣にお伺いしたいと思います。こういうふうに考えますと、入居者の住む権利を保護することを趣旨とする、法律でいきますと、借地借家法がやっぱり重要な法律だというふうに私は思いますが、大臣はいかがでしょうか。
○国務大臣(北側一雄君) 借地人や借家人の保護を図るという観点で借地法、借家法というのが重要であるということは私もそのように考えております。
 ただ、それだけではなくて、公営住宅や、高齢者の居住の安定の確保に関する法律など、公営住宅法とか、こうした住生活にかかわる各種の法律があるわけでございまして、こうした法律に基づく施策により取組がなされているところでございます。
○小林美恵子君 私は、先ほどの第六条も、いわゆる低額所得者、被災者、高齢者、子供を育成する家族その他住宅の確保に特に配慮を要する者というふうにありますけれども、私はこれは当然のことだと思います。こういう皆さんに住宅を保障していくというのは、国としては当たり前のことだというふうに思うんですね。
 ただ、先ほど申し上げましたアメリカであれフランスであれ、そしてイスタンブール宣言であれ、すべての国民が対象になっているわけでございます。ですから私は、憲法二十五条のいわゆる生存権、国の社会保障義務に由来するその趣旨を持っている法案だとおっしゃるのであれば、ここの文言にはやっぱり配慮を要する者に限定することなく、すべての国民にかかわる理念とすべきではないでしょうか。
○国務大臣(北側一雄君) 今回の法律は、基本理念として第三条から今御議論いただいています第六条まで、四つの条文で基本理念を掲げさしていただいているわけですね。この三条、四条、五条というのは、これもう前提となる基本理念でございまして、現在及び将来における国民の住生活の基盤となる良質な住宅の供給、第四条では良好な居住環境の形成、第五条では居住のために住宅を購入する者等の利益の擁護及び増進、これはもう当然すべての国民を対象としたものでございます。
 それを受けて、第七条一項で、国、地方公共団体の責務を定めさしていただいているわけでございまして、そういう意味での、すべての国民について、第三条から第五条の基本理念に即した住宅政策というものを遂行していく責務が国、地方公共団体にあるということでございます。
○小林美恵子君 では、私、次に、居住水準と居住負担について質問をします。
 私は、国が国民の居住水準と居住費についての最低限度の基準を示して、その目標に向けて努力を行うことによって、それでもって国民生活の安定向上、社会福祉の増進を図る、第一条の目的、それで、理念にもあります国民の住生活の安定の確保と向上の促進、これがやっぱり図られていくというふうに思うわけでございますけれども、肝心の居住水準とか居住費の最低基準について規定がないこの法案が本当に住まいに関する基本法と言えるのでしょうか。
○政府参考人(山本繁太郎君) 居住水準の目標につきましては、昭和五十一年から第三期計画以降、住宅建設五か年計画の中で最低居住水準などを定めまして政策努力を続けてきたところでございます。
 豊かな住生活の実現の基礎的な条件として、世帯の人数に応じた住宅の規模の確保というこの点は引き続き重要であると認識しておりまして、住生活基本計画全国計画におきまして、最低居住水準をきちんと位置付けて、水準未満の世帯の早期解消を目指すという考えでおります。その場合に、家族形態の多様化あるいはライフスタイルが多様化しているといった社会経済情勢の変化を踏まえまして、居住水準の在り方についても検討を加えたいと思っております。
 それから、居住水準の内容とか目標の在り方については、社会経済情勢の変化に応じて見直しを進めるべきものでありますので、法律ではなくて住生活基本計画において位置付けることとしたところでございます。
 それから、一番のテーマであります居住費支出のあるべき姿、居住費支出率につきましては、国民の価値観、ライフスタイル、家族形態がますます多様化していることに伴いまして、国民の住まい方あるいは家計の消費行動、極めて多様となっておりますので、あるべき姿を一律に定めるのは難しいと考えております。
 ただ、持家世帯あるいは借家世帯であるのを問わず、国民の皆様が無理のない負担で住宅を確保できるということは非常に大事なことでございますので、市場において居住費支出の状況を的確に把握して、その結果を踏まえて税制の措置とかローンとか、そういったことを施策を総合的に進めてまいりたいと思います。
○小林美恵子君 ありがとうございます。
 ただ、居住費の水準につきましては、計画の中で今後入れ込むというふうなお話がございましたけれども、やっぱり私は、住んでいる皆さんからこういう水準でないと困るんだよという、こういう意見の反映をしっかりとできるように仕組みをつくらないといけないということを申し上げておきたいと思います。
 それで、居住費負担について具体的に質問させていただきますけれども、このいわゆる条文の中にでも「居住者の負担能力を考慮して、」というのがございます。これを現状どう認識されているのかということで幾つかお聞きしていきたいと思いますけど、お手元に資料を配付しております。
 これは総務省の勤労者標準世帯の平均年収と借家家賃地代の月額の推移を表にしたものでございます。年収は一九九四年の七百六万円をピークにしまして、〇五年度でいきますと六百六十八万円で、三十八万円の減収です。平たく言いますと、一か月三万円ぐらいの減収というんでしょうか。一方、一九九四年に、借家の家賃ですね、家賃と地代の平均額が四万八千七百二十六円が〇五年度には五万六千二百四十八円、七千五百二十二円上昇しています。つまり、三万円収入は減って、八千円弱家賃や地代で納めなくっちゃならない金額が増えているということです。
 私はここで聞きたいんですけれども、要するに収入は減っても家賃や地代が上がっている、この事実をお認めになりますか。
○政府参考人(山本繁太郎君) この家計調査、いろんな指標がありまして、これ今非常に激烈に平均年収が落ち込んだというのを勤労者標準世帯というので取っていただいております。
 これは家族二人、子供二人という四人家族をピックアップして、その収入を取られた。これは民営借家、公営借家をプラスしたものを取られたんですが、実はもう標準世帯は標準世帯じゃなくなっておりまして、世帯の少人数化というのは進んでおりますので、これを例えば二人世帯以上で見てみますと、結構フラクチュエートしていまして、例えば直近の二〇〇三年、二〇〇四年、二〇〇五年で収入、収入も平均年収というよりは家賃支出の割合を見るために実収入を見ますと、直近では三年間増えたりしておりますんで一概なことは言えないんですが、特にバブル崩壊以降、収入が減ったために家賃支出割合が高まっていると、趨勢的にということは事実として言えると思います。
○小林美恵子君 回りくどいことをおっしゃいましたけど、最後のところをはっきりとおっしゃったらよかったんじゃないでしょうか。要するに、収入は減って家賃は上がっている、これは事実ですね。
 私は公団住宅の場合をどうかというふうに見たいと思うんですけれども、国交省の資料でいきましても、二〇〇一年度のいわゆる管理開始平均継続家賃は十一万三千円です。市場家賃はこのとき十一万三千九百円です。変わらないんですね。すごく高い。もう本当に私びっくりしました。高家賃ですよ。しかも、二〇〇六年度の継続家賃改定でいきますと、七十六万七千戸のうち引き上げるというところが十六万九千戸あります。引き下げるというところも二万七千戸あるんですけど、二万七千戸です。
 ここに私、公団自治協の皆さんが、先ほどから随分引用されておられますけど、お取りになったアンケートがあります。二百二十三団地十万八千戸からの回答になっておりますけれども、二〇〇四年度の世帯収入で七九・一%が五百八十九万円未満、世帯主の年齢は六十歳以上が五五・三%です。そうした中で、長く住み続ける上で強く不安を感じるのは、家賃の値上げや高家賃では払えなくなるが五一・一%なんですね。実際に朝日新聞にも報道されましたけれども、月給が二十万円前後から増えなくって、家賃は値上がりして、やりくりのために引っ越ししたと。本当は公団住宅にいたかったんだと。
 私、この住生活基本法案の条文の中の負担能力を考慮して住生活の安定と言うなら、この実態にどのようにお答えになるんですか。
○政府参考人(山本繁太郎君) 機構の賃貸住宅の継続家賃の改定については、先ほど来、機構の理事からもルールは説明しましたとおりでございます。
 市場家賃との乖離がある場合に、市場家賃を超えている場合はもちろん直ちに市場家賃までに下げます。市場家賃より低い場合は三分の一ずつ引き上げるというルールでございますんで、ベースはそれでやっていると。その上で激変緩和措置を講じると。急激な家賃上昇とならないような算定方法とした上で、なおかつ、低所得高齢者世帯に対しては家賃上昇を更に抑えるという特別措置を実施しておりますので、今の御指摘の観点からは、居住の安定について配慮はなされているという認識でおります。
○小林美恵子君 家賃を抑えるようにしているとおっしゃいましたけれども、実際ですよ、実際それ払えなくなって公団を出ていかねばならなかったという方がいらっしゃるわけですよ。それで、四月から値上げをしているわけでしょう。激変緩和とか抑えるとか言いますけど、そういうことをするということは、いかに家賃が高いかということを示しているんですよ。だから、これは、そういう抑えるとか激変緩和というんじゃなくって、こういう高い家賃を私は引き下げるのが本当に負担能力に考慮した住生活の安定というものだということを申し上げたいと思うんです。
 もう一つ、公社の場合はどうかといいますと、大阪府住宅供給公社の建て替えに際しての新旧の家賃の資料がございました。A団地というところは、全部一階から四階の数字を言いますけれども、現行三万八千九百円、B団地が四万六百五十円と七万三千六百円ございます。C団地が四万一千九百五十円ございますけれども、これが建て替えになりますといわゆる家賃がどうなるかといいますと、すべて、低いのでも七万八千円、高いのは十二万六千三百円にぼんと跳ね上がるわけですね。建て替えによって入居されている方々の収入が飛躍的に上がることはこれはありません。先ほども局長お認めになりました、年収下がってるって。それで、建て替えによって家賃がぐんと上がると。
 これが本当に負担能力に考慮した住生活の安定と言えるんでしょうか、どうでしょうか。
○政府参考人(山本繁太郎君) 住宅供給公社の賃貸住宅につきましては、法律でも居住者の負担能力の議論をしておりますし、いろんな配慮をすることが大事だと思います。
 具体的に、今大阪府の供給公社の建て替えについて御指摘がありましたけれども、私どもが聞いておる限りでは、建て替えに当たって確かに家賃が上がりますので、一般的に傾斜の制度ですね、斜めに少しずつ上がっていくという家賃の制度を設けているほかに、低額所得者についてはさらにそれを特別の措置を講じているというふうに聞いております。各供給公社でそれぞれの実態に応じていろいろ努力してくれていると思いますので、さらに的確に対応するように要請していく考えでございます。
○小林美恵子君 的確にとおっしゃいますけれども、これがなかなか大変なんですよ。例えば、激変緩和となっておりますけれども、一年目五〇%、さらに緩和されておりますけれども、十一年以降になりますと減額なしで、公社の説明でいきますと、建て替え世帯の五割は六十歳以上、そのうち九割が控除月額の十二万三千円以下と。成長階層でもリストラなど低所得の世帯がありますと、これで転居を余儀なくされると、こういう実態なんですよ。だから、努力されているというもんじゃないですよ。住民の皆さんにとっては本当に大変な負担能力を強いている。私は住生活基本法案って、こういうふうに負担能力に考慮してというんだったらこういうところの高い家賃をやっぱり引き下げないと、この法案とは全然相反するということを言いたいと思うんですね。
 そもそも、公団であれ公社であれ、いわゆる市場家賃並み、近傍同種ということがこれが結局重大な問題なんですよ。何のための公共住宅なのか分からなくなっちゃう。私は、これが負担能力に考慮してというこの住生活基本法の理念からも相入れないというふうに思いますが、大臣はどうお考えなんですか。
○国務大臣(北側一雄君) 公営住宅とは違うわけですね。そこのところは委員もよく御承知なところであると思います。
 機構住宅にせよ、それから公社住宅にせよ、これは法律で近傍同種の住宅の家賃を基準として定めるというふうに規定をされているわけでございます。ただし、先ほど来御議論ありますように、仮に家賃の引上げが必要となる場合には激変緩和措置をとる。また、低所得高齢者世帯等に対しては、これはもう家賃上昇を更に抑える特別措置を実施すると。これは公社においても、公社住宅においても同様の対応をされているわけでございまして、そうした対応がなされているところでございます。
 委員のおっしゃっている、これは公社でも機構でも同様でございましたと思いますが、やっぱり高齢化が進んでいる、特にここ経済情勢が大変悪い状況が続いてきた中で、委員のおっしゃっている事情についてももちろん認識をいたしますけれども、そういう中で決して何もやっていないわけではなくて、今申し上げたような措置はとらせていただいているということでございます。
 どうしてもその公営住宅との違いというところだけは、これはやはり全く同じような扱いにすることはこれはできないわけでございまして、仮にそういうふうにした場合に、じゃその財政負担はどうするんだという話が当然出てくるわけでして、そこの議論をきちんと詰めていかないと、委員のおっしゃったことにはなかなか容易にはいかないんだと。ただ、今できる範囲のことはやっているし、これからもしっかりとやらせていただきたいと考えております。
○渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。
 現在、我が国の住宅政策は、公営住宅、公団住宅、それから公庫融資の三本柱を中心として、住宅建設計画法に基づいて住宅建設五か年計画に従って進められてきたと思います。
 もう既に各委員からいろんな指摘がされておられますが、今年度末で終了いたします第八期計画までの成果をどのように評価をされているのか、お伺いをいたします。
○国務大臣(北側一雄君) この住宅建設計画法というのは昭和四十一年に制定をされまして、以降、五年計画ごとに住宅の新規供給ということを中心として施策を計画的に推進をしてきたところでございます。
 当然のこととして、終戦直後は四百二十万戸という深刻な住宅不足がございました。また、昭和三十年代から四十年代、急速に都市化が進む中で、都市における住宅の確保をしなきゃならないというふうな要請もございました。そういう中で、住宅の量の確保というところを中心とした施策がなされていたところでございます。
 昭和四十年代後半からは、住宅床面積についての居住水準の目標等も掲げて住宅の質の向上にも努めてきたところではございますが、欧米諸国に比べますと、特に借家の床面積が低水準にとどまっているほか、耐震性だとか高齢化対応だとか、住宅の質の面で大きな課題がまだ残っているというふうに考えているところでございます。
 今後は、こうした少子高齢化の急速な進展や、また人口減少社会の到来を踏まえて、市場重視、ストック重視の方向で量から質へ本格的な政策転換を図って、この今現在審議されております住生活基本法案の枠組みの下で、本当に豊かさを感じられる住生活の実現に向けてしっかり取組をさせていただきたいと考えております。
○渕上貞雄君 では、提出法案とこれに基づく新たな計画体系を整備することによってどのようなことを実現しようとしているんでしょうか。また、これまでの枠組みでは実現できなかったのかどうなのか、お伺いいたします。
○政府参考人(山本繁太郎君) 今大臣から御説明がありましたように、今回のお願いしております法律によりまして、住宅政策を量の確保から質の向上へ本格的に転換していくということでございますので、法律で策定することが求められます住生活基本計画におきましても、良質な住宅あるいは良好な居住環境の形成を図るという観点から質に係る目標を定めることとしておりまして、しかも、その目標を定める際に、目標の達成度合いを具体的な数字で計測できるような成果指標を導入して基本計画を策定したいと考えております。
 例えば、基本計画は、これまでと違いまして十年程度先を見越して策定をいたします。その上で、指標としましては、耐震基準適合率あるいはバリアフリー化率といった住宅ストックの質の向上に係る成果指標を導入いたします。それから、計画とこれに基づく施策が常に世の中の情勢、ニーズに即したものとなりますように政策評価をきちんとやっていくと、これを義務付けることとしているわけでございます。
 また、全国計画の策定に当たりましては、国民の皆様の意見を的確に反映するためのパブリックコメントの実施あるいは関係行政機関の長への協議、それから社会資本整備審議会、それから都道府県の意見を聴く手続と、こういったことを踏まえることにしておりまして、住宅事情の実態、それから地域の特性を踏まえたきめ細やかな施策の推進に努めたいと考えております。
○渕上貞雄君 総務省住宅・土地統計調査、住宅ストック数の状況によりますと、一九七三年には住宅戸数が世帯数を上回って、以来既に三十余年が経過をしておりますが、この間、年間百万戸以上の住宅供給がなされており、二〇〇三年には住宅ストック数の約五千四百万戸に対して総世帯数が四千七百万戸と一四%多くと。これは先ほども質問があっておったようでございますが、量的には充足をしている状況にございます。
 二〇〇三年の空き家率は一〇%を超えていると言われておりますが、このような状況からしまして、量から質への転換と言われても、量的供給を追求するスキームを現在まで維持してきましたことを考えますと、今回の方針は遅きに失したと言えるのではないかと思うんですが、いかがでございましょうか。
 また、量より質に重点を置いた住宅政策体系は既に実質的に相当程度進んでいると考えられております。本来ならば、基本法を先行して制定をし、それに基づいて個別の法律や施策を整備していくことが望ましいし、あるべき姿と考えますが、今回、基本法の法案作成は遅過ぎたのではないかと考えるんですが、その点はいかがでございますか。
○政府参考人(山本繁太郎君) まず、政策転換をもっと早くから実施すべきではなかったかという御指摘ですけれども、御質問の中にもありましたけれども、昭和四十年代後半に住宅が量的に充足したということをベースにいたしまして、昭和五十年代以降は、住宅建設計画法の枠組みの中で住宅の床面積について居住水準の目標を掲げるといったようなことを中心に、主として住宅の広さでございますけれども、住宅の質の向上についての努力を進めてきたところでございます。そういう意味では、時代のニーズに対応して、施策もそういう形で、少しずつではありますけれども、改善努力を講じてきたということは言えると思います。
 今回、住生活基本法をお願いしておりますのは、住宅政策の三本柱の抜本的な見直しも踏まえて、きちんと政策の枠組みをこの際法律として確定していただいた上で、しっかり政策転換を進めていきたいということを企図したところでございますので、理想的に言えば、御指摘がありましたように、昭和五十年というのが一つの戦後の三十年、その後の三十年ということで非常に大きな時代を画しているタイミングではありますので、そのタイミングでしっかり基本法案が成立できていればそれがもちろん理想的ではあったんですけれども、なかなかそういうことができなかったと。ようやく今日、基本法案をお願いするところまでたどり着いたというふうな気持ちでございます。
○国務大臣(北側一雄君) やはり、昨年からいよいよ人口減少社会に我が国が入ってきて、そして来年から団塊世代がいよいよ六十歳定年退職時代に入ってくると、本格的な高齢社会がいよいよ到来すると、こういう本当に社会経済情勢の大きな変化のときに今我が国はあるというふうに考えております。
 この国会で、この委員会で委員の先生方に御審議いただいた中に、例えば都市計画法を始めまちづくり三法の見直し、そして新バリアフリー法の制定、さらには道路運送法の改正、これもうすべて共通する施策でございまして、この人口減少社会、そして本格的な高齢社会の到来を受けて、従来の既存のストックをできるだけリニューアル、再生をして活用していこう、そして高齢社会にふさわしいまちづくり、また住生活ができるように施策を進めていこうと、こういう方針の下での一貫した政策について、この国会、この国土交通委員会で御議論をいただいております。
 その重要な一つの柱が今回の住生活基本法案でございまして、そういう意味では、今までも質の向上ということは重要な施策として位置付けておりましたが、より明確に政策転換をこの法律でさせていただいて、これから住宅の質の向上に向けてしっかりと取組を具体的にさせていただきたいと考えております。
○渕上貞雄君 近年の住宅政策においては市場重視、ストック重視と言われ、公的主体中心による住宅の新規建設から民間主体中心による住宅の整備改善へとシフトされていますが、あくまでハードである住宅を主たる政策対象としながら、関連するソフト分野である住生活についても対象が広がっています。
 それに対しまして、この提出法案は、住宅ではなく住生活に焦点を当てており、最近の政策傾向とは異なる新たな観点によって構築された政策体系であるように思われますが、どのようにとらえていけばいいのかどうか、その点をお伺いいたします。
○政府参考人(山本繁太郎君) 少子高齢化の急速な進行といった社会経済情勢の変化に対応いたしまして、今現在だけでなく、将来、子々孫々にわたる国民の豊かな住生活を実現するという観点から、今御指摘にもありましたが、住宅そのものといいますか、住宅単体の質の向上だけでなく、第一に、住宅市街地における良好な町並みあるいはコミュニティーの形成といった良好な居住環境の形成が図られること、それから第二に、地域において保健医療サービス、福祉サービスなどの居住サービスが適切に提供されることと、さらに第三に、低額所得者あるいは高齢者、子育て世帯など、住宅の確保に特に配慮を要する者に対するセーフティーネットがきちんと確保されることといったような事柄が不可欠であるというふうに考えております。
 このため、今回お願いしております法律案では、従来の住宅政策の枠にとどまらないで、総合的かつ計画的な施策を展開するという観点から、住宅よりも広い概念として住生活の安定の確保及び向上の促進を政策対象として規定したところでございます。
○渕上貞雄君 提出法案において住宅建設計画法が政策対象としてきました住宅の建設の必要性と重要性はどのように位置付けられておられるのか、住生活の安定の確保及び向上の促進のための手段の一つにすぎなかったと理解していいのかどうか、その点はどうでしょうか。
○政府参考人(山本繁太郎君) 住宅建設計画法に基づく五か年計画では、住宅建設の目標として公的資金による住宅の建設の事業の量を定めておりました。住生活基本法におきましては、人口減少社会の到来あるいは国民の住宅に対するニーズの多様化、高度化といった事態を踏まえまして、住宅の量の確保を図る従来の計画から、耐震化とかバリアフリー化など、住宅の質に係る目標を設定しまして、住宅の質の向上を図る住生活基本計画の策定について規定しております。
 一方、住生活基本法におきましては、低額所得者、被災者、高齢者、子供を育成する家庭など、住宅困窮者に対する居住の安定の確保を図るべき旨を明記いたしまして、基本理念の一つとして住宅セーフティーネットの確保を位置付けるとともに、国及び地方公共団体が講ずべき基本的施策として公営住宅の供給等について規定しているところでございます。
 さらに、住生活基本計画におきまして、都道府県が全国計画に即して定める都道府県計画に公営住宅の供給の目標量を定めます。国土交通大臣と協議して、この公営住宅の供給の目標量については同意を得る仕組みとすることによって、国と地方公共団体が協力して住宅のセーフティーネットを全国にわたって確保すると、そういう課題に取り組んでいくこととしているところでございます。
○渕上貞雄君 国民の居住に関する権利を憲法第二十五条に基づく基本的人権、生存権の一つとして基本法に制定すべきとの議論が従来からあったように伺っておりますが、今回の提出法案に居住に関する権利規定がなされなかったのはどのような理由からなされなかったのか、御説明いただきます。
○政府参考人(山本繁太郎君) すべての国民が個別具体的な規模、立地、居住サービスなどを備えた居住のアクセシビリティーを請求する権利を有し、国などがその保障をするという意味での居住権につきましては、保障されるべき居住水準はどの程度であるべきなのか、必要となる費用を国、公共団体、事業者などの関係者がどのように負担する、分担するのかといった事柄など、議論されるべき大きな課題が残されております。この点につきまして、社会資本整備審議会においても議論をしていただいたところでございます。
 答申の中では、まず第一に、居住に関する権利は、私法上の権利も含め、その内容も多岐にわたるものであり、包括的な権利として基本法制に定めることについての国民的コンセンサスがあるとは言えない。それから第二に、今後とも、住宅困窮者の安定した居住の確保を住宅政策の基本理念の一つとして位置付け、これを踏まえて、公営住宅制度を始め必要な個別具体の施策を講ずることにより、住宅分野において憲法第二十五条の趣旨の具体化に努めるべきという考え方が示されたところでございます。
 この考え方を受けまして、本法案の中でも、住宅の確保に特に配慮を要する者の居住の安定の確保を施策の基本理念として明らかにするとともに、これを踏まえて、国及び地方公共団体が講ずべき基本的施策について規定しているところでございます。
 今後とも、これらの規定を踏まえまして、公営住宅制度を始め、必要な個別具体の施策を講ずることによりまして、住宅分野における憲法第二十五条の趣旨の具体化に努めてまいります。
○渕上貞雄君 住宅建設五か年計画の中でも、第三期計画からは居住水準の目標を掲げ、住宅政策の重点を住宅ストックの質の向上や良好な住環境の確保に移行してきたにもかかわらず、依然として低水準になっている原因をどのように分析されているのか、その原因は、新たに策定される住生活基本計画において解決されるかどうか、どのようにお思いでしょうか。
○政府参考人(山本繁太郎君) 御指摘いただきましたような計画努力を重ねることで、結果として、居住面積の水準については一定の、一定のですけれども、成果を上げてきたということは言えると思います。
 ただ、近年の地震等に備えた住宅の安全性への関心の高まり、環境問題あるいは少子高齢化への対応など、国民の住宅に対するニーズが多様化、高度化する中で、豊かさが実感できる住生活を実現するという観点に照らしますと、広さだけでなくて、住宅の性能、住環境、居住サービスと、そういったものを備えた住宅ストックを形成することが非常に大事だという認識に立っているわけでございます。
 このために、本法案の中で、基本理念として、国民の住生活の基盤となる良質な住宅の供給といったようなものを位置付けた上で、基本計画において住宅の質についての成果目標を定めて、国、公共団体協力して住宅の安全性、耐久性、快適性といった性能の維持向上のための施策を講ずることとしているところでございます。
○渕上貞雄君 提出法案では、住宅関連事業者の責務について規定をされております。
 昨年秋に発覚をいたしました構造計算書偽装問題により、事業者に対する国民の信頼は大きく揺らいでおりますし、この法律の趣旨に従って、事業者が住生活の安定確保及び向上の促進に寄与するためには、どのような対応が必要だと考えておられますか、御質問いたします。
○政府参考人(山本繁太郎君) 住宅の安全性ということは、国民の生命、財産に直接影響を与えるものでありますことから、住宅が備えるべき最も基本的な性能の一つである。したがって、豊かな住生活を実現するために必要不可欠なものという認識でございます。
 その観点から、お願いしております法案の中では、住宅関連事業者が事業活動を行うに当たっては、自らが住宅の安全性を始めとする品質又は性能の確保について最も重要な責任を有していることを自覚し、事業の各段階においてその確保のために必要な措置を講ずる責務を有する旨を規定いたしますとともに、国、公共団体は住宅の地震に対する安全性の向上を目的とした改築の促進など、住宅の安全性や耐久性など、住宅の品質性能の維持向上のために必要な施策を講ずる旨規定しているところでございます。
 この法案の趣旨に沿って、建築確認制度の抜本的な見直し、耐震診断、耐震改修の促進、防犯性の高い住宅の普及促進といった各種の施策を推進してまいります。
○渕上貞雄君 住宅政策は各地の事情に合わせて作り、実施していくべき地域政策的色彩が濃い分野であり、そのためには、極力、地方にその主体を移していくことが望ましいとする考え方がありますが、その場合に、住宅政策における都道府県と市町村の関係、役割分担をどのように考えているのでしょうか。また、その考え方は提出法案においてどのように反映されているのか、お伺いをいたします。
○政府参考人(山本繁太郎君) 御指摘のように、国民の豊かな住生活の実現を図るという目的でございますので、国が全国的な見地から課題についての施策を推進する一方で、都道府県、市町村が地域の住宅事情の実態、地域の特性を踏まえた課題を設定してきめ細やかな施策の推進を図るということは必要にして不可欠な事柄であると認識しております。
 このため、住生活基本法案におきましても、全国計画を国土交通大臣が定める場合には都道府県の意見を聴くことを義務付けております。それから、都道府県計画は全国計画に即して定めますけれども、都道府県が都道府県計画を定める場合は、市町村と協議しなければならないとしております。国、都道府県、市町村が連携して、一体となって住宅政策の推進が図られるよう枠組みを用意しているところでございます。
 さらに、お願いしております法案では、住生活の安定の確保及び向上の促進に関する施策を策定、実施すべき主体として公共団体を明確に位置付けております。
 このような位置付けの下に、地方公共団体が住宅政策の主役となって、地域の特性や住宅に対する多様な需要に的確に対応して地域の良好な居住関係の形成、セーフティーネットの確保など、この法律案でお願いしております基本理念の実現に向けた施策を展開していただくことを強く期待しているところでございます。
○渕上貞雄君 最後の質問になりますけれども、一九八七年から十年間程度、建設省は住宅基本法の制定を促す国会の質問に対して、国民のコンセンサスを主な理由に消極的な姿勢を示し続けました。住宅政策の基本法制制定に関する国民のコンセンサスは十分熟したと見ているのでしょうか。見ているとしたら何を根拠にしているのか、お伺いをいたしまして、質問を終わります。
○政府参考人(山本繁太郎君) 御指摘いただきましたように、基本法案関係の議員提案は、昭和四十四年に公明党から住宅基本法案が提出され、平成三年までに計八回、昭和五十二年に社会党から住宅保障法案が提出されまして、平成三年までに計六回、平成五年には社会党、公明党、民社党、民主改革連合の共同提案として住宅基本法案が提出されておりまして、いずれも審議未了、廃案とされたと承知しております。
 これらの法案については、それぞれ提出の背景等が異なるものでありまして、現在御審議いただいている住生活基本法案と一律に比較することは難しいんですが、その多くは、国民の住生活の安定、向上を図ることを目的としていると。法案に掲げられた施策の実現に向けて、国、公共団体、国民などが一定の責務を有して、そのために国が計画を策定してこれを推進するといったような枠組みについては共通点もあるという認識でございます。
 今回お願いしております法案が早期に成立するよう御審議をお願いいたしますとともに、法案を成立させていただいた暁には、法律に基づく施策の推進を通じて、国民の豊かな住生活が実現されますように一生懸命取り組んでまいる所存でございます。
○委員長(羽田雄一郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後三時五十一分散会