第165回国会 本会議 第5号
平成十八年十月四日(水曜日)
   午前十時一分開議
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○議事日程 第五号
  平成十八年十月四日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
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○本日の会議に付した案件
 一、新議員の紹介
 以下 議事日程のとおり
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○議長(扇千景君) これより会議を開きます。
 この際、新たに議席に着かれました議員を御紹介いたします。
 議席第百二十七番、比例代表選出議員、神取忍君。
   〔神取忍君起立、拍手〕
○議長(扇千景君) 議長は、本院規則第三十条の規定により、神取忍君を環境委員に指名いたします。
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○議長(扇千景君) 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。浜四津敏子君。
   〔浜四津敏子君登壇、拍手〕
○浜四津敏子君 私は、公明党を代表し、総理の所信表明演説に対し、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 初めに、去る九月六日、秋篠宮様御夫妻に悠仁様が御誕生されましたことを、国民の皆様とともに心からお喜び申し上げます。
 紀子様は、御出産に際し、白血病治療に有効な臍帯血を東京臍帯血バンクに提供されました。臍帯血移植を推し進めてきた私たちにとって大きな応援となり、心から感謝申し上げたいと思います。
 欧米に比べ大きく後れていた日本の臍帯血移植は、ボランティアの皆様と公明党の運動で、ついに八年前に移植治療への健康保険の適用及び公的バンクの設立を実現し、それによりこの八年間で三千名以上の方が臍帯血移植を受け、多くの患者さんの命が救われました。その結果、日本では白血病はもはや不治の病ではないと言われるまでになりました。
 しかし、まだ課題は残されています。
 一つには、骨髄と臍帯血移植は白血病治療の車の両輪ですが、それらの安定供給のために骨髄及び臍帯血そのものへの保険の適用が必要です。二点目に、臍帯血の品質を確保するために、薬品に準じる形で臍帯血を法的に位置付けるべきです。三点目として、臍帯血移植の成績を上げるため、将来的にセンター化を視野に入れて取り組むことです。四点目ですが、臍帯血移植の画期的な有効性について、医療関係者の間でもまだ十分理解が広まっていない現状があります。助かるはずの命が失われていくことのないよう、臍帯血移植の更なる普及を改めて求めたいと思います。
 安倍総理に、初めに右四点についてお伺いします。
 安倍総理、改めまして内閣総理大臣御就任、誠におめでとうございます。山積する課題に敢然と挑戦し、更なる日本の構造改革に邁進していかれることを心より期待しております。
 くしくも、本日十月四日は、七年前に自民党と公明党が連立政権合意を交わした正にその日であります。それから満七年、公明党は仕事をする党として多くの法律を作り、政策を実現してきました。その中で、与党として公明党が果たしてきた役割は大きく三つあります。
 一つは、日本の経済を救ったことです。七年前の日本は、金融機関が次々と破綻し、日本発世界恐慌が起きるとまで言われていました。その金融危機を回避し、大倒産、大失業時代が来ると言われていた日本経済を、次々と間髪入れず強力な中小企業支援策を実施したことにより回復させました。私たちは、これからも力強い経済活性化への支援策に取り組みます。
 二つ目は、あっせん利得処罰法の制定などクリーンな政治実現のための政策を次々実現し、さらに児童手当の拡充、奨学金の拡充、バリアフリーの町づくり等々、生活者の目線からの政策を数多く実現したことです。そして、それまでの政治では優先順位が低かった福祉や環境、人権、教育、文化といった分野を政治の表舞台に押し上げて、政治の質を変えてきました。
 三つ目は、急激に少子高齢化が進む中、これまで先送りされて崩壊の危機にあった年金、介護、医療、福祉の制度を再構築し、将来にわたり制度を維持できるよう社会保障制度を立て直したことです。年金も介護も医療も、今後とも改革を進め、すべての人にとって人生のセーフティーネットである社会保障制度を更に安心できるものにするためにきめ細かく手を打ってまいりたいと思います。
 この七年を一つの区切りとするならば、八年目は正に新たな連立の船出、連立第二期の時代を迎えたと言えます。
 冒頭、安倍総理に対し、基本的な政治姿勢及び認識に関し、何点かお伺いしたいと存じます。
 初めに、経済政策について伺います。
 総理の御著書「美しい国へ」については、一部に経済政策の裏打ちがいま一つ明らかでないとの批判もあります。私は決してそうは思いませんが、この際、日本の経済成長につきどの程度の見通しを持っておられるのか、二〇一一年度にプライマリーバランスの黒字化をどのように達成していかれるのか、その場合の日本の金利動向をどうお考えかを明らかにしていただきたいと思います。
 次に、格差是正について伺います。
 今、様々な要因で生じている格差社会への懸念は大きく広がってきており、この問題に適切に取り組んでいくことが安倍政権における重要な課題の一つと考えます。世代間格差及びニートやフリーター並びに非正社員の増加などの世代内格差、中央と地方の格差、業種間格差、また格差の固定化などが指摘されています。これらの格差問題解決に向けどう取り組まれるのか、総理に伺います。
 次に、東アジア外交、中でも関係が冷えている日中、日韓関係について伺います。
 報道によれば今月八日、九日に訪問予定と伺っておりますが、中国、韓国の両国との信頼関係を回復するためには、まずは首脳間での胸襟を開いた対話を定期的に重ねることです。そして、相互理解を深めるため、文化、教育など幅広い分野での交流を進め、特に次の時代を担う若い世代の交流を促進するための留学制度の充実や、歴史共同研究を通した歴史認識の共有化を更に強力に推進することも必要と考えます。
 北朝鮮による拉致問題については、総理のリーダーシップの下、必ず解決してくださるものと期待しております。総理は具体的に東アジア外交をどう進められるのか、お伺いします。
 次に、行政改革の結果もたらされたひずみについて伺います。
 安倍政権は小泉内閣の改革路線を継承することとしており、私も基本的にはその路線を支持いたしますが、同時に、現実を直視して、ひずみがあれば必要に応じて修正していくことが求められます。
 例えば、国が国家戦略として取り組むがん、アレルギー、小児医療などのいわゆる国の政策医療を担うナショナルセンター及び準ナショナルセンターが、官から民へとの行政改革の一環として独立行政法人化されることによるひずみです。
 先日、国立成育医療センターの医師から次のようなお話を伺いました。それは、成育医療センターは、本来、総合的に診療できる小児科医や指導医の養成など教育、研修を担うセンターです。しかし、現状は、採算性の必要から目の前の診療に追われてその余裕がありません。増え続けるアトピーや発達障害、心の病気に対応できる専門の医師も余りに少な過ぎますとの指摘でした。また、成育医療センターでの研修を希望する若い医師が多数おり、センターとして受入れは可能であるのに、国が決めた受入れ枠が極端に少ないため希望に応じることができないとのことです。深刻な小児科医不足が問題とされている中で、このような不都合を放置するのは怠慢です。
 私は、準ナショナルセンターである相模原病院の臨床研究センターを先日訪ね、実情を伺いました。このセンターは、日本のアレルギー研究をリードしてきた歴史と実績のあるセンターです。それが独立行政法人化によりどういう事態になっているかというと、研究費は捻出できても人件費などの運営費は多額の赤字になっており、それを病院全体の診療収入で賄っている状況です。センターは今後存続していけるのかさえ危ぶまれ、国民病と言われるアレルギーの臨床研究が風前のともしびの状態になっているのです。国立がんセンターについても同様の危惧の声が上がっています。
 アレルギー対策もがん対策も小児医療も、国が国家戦略として取り組むことを決めたはずではないでしょうか。ともかく、このまま手をこまねいてはいられません。早急に国として支援する必要があります。
 ナショナルセンター及び準ナショナルセンターを独立行政法人化すると、それぞれのセンターは、国の政策医療の推進と独立採算制の二つが同時に求められることとなります。しかし、この二つは本来両立できないものです。臨床研究、情報収集と発信、そして専門家の養成などの政策医療の分野に、費用は自分たちで稼げとの採算性を求めるのは不可能だからです。だからこそ、これまでは国が責任を持って支援してきたはずです。独立行政法人化により、国は無関係、あとは勝手に運営せよということにならないよう、政策医療を国としてどのように支えていくのか、総理にお考えを伺います。
 公明党は四年前から、毎年夏に、全国各地で現場のお声を伺う列島縦断フォーラムを開催してまいりました。地元の知事や市町村長さん、商工会、障害者団体、子育てや高齢者、町づくりなどのNPOの方々など、多くの皆様に御出席いただき、ひざ詰めの対話を行ってまいりました。
 今年も全国十二か所で開催いたしました。公明党は結党以来、一貫して現場第一主義を貫いてきました。現場にこそ難問を解決する知恵があると思うからです。まずはそこで伺ったお声を紹介しながら質問をいたします。
 初めに、地方分権の推進について伺います。
 多くの知事さんの発言で共通することの一つが、仕事量に合わせた税財源配分の問題です。現在、国と地方自治体との間の仕事量は四対六、これに対し税財源配分は六対四と逆転しています。この逆転を是正すること、及び、地元のニーズに合った仕事を国の規制に縛られず自由にできることが地方分権には必要不可欠との御指摘です。今後の地方分権をどのように進めていかれるのか、総理のお考えを伺います。
 次に、自治体の財政破綻回避について伺います。
 北海道夕張市の財政破綻は決して特殊なケースではありません。実は多くの地方自治体が膨大な借金の返済や過大な人件費などの経費に苦しみ、それに加えて、国からの地方交付税の削減などで財政破綻の懸念を抱えています。自治体は人件費を削ったり、公共事業の見直しなど必死のリストラに取り組んでいますが、それだけではもはや限界というところも数多く見られます。自治体が破綻すれば、下水道料金や公営住宅の家賃、公共交通費などの公共料金の大幅値上げが必至で、一番ツケを払わされるのは住民の皆様です。もちろん自治体の財政再建努力がまず必要ですが、国としても自治体破綻を防ぐ何らかの施策を講じる必要があると思います。いかがお考えか、総理に伺います。
 私たちが訪ねた各地方で、農漁村の疲弊の訴えが相次ぎました。農林水産業の活性化なくして地域の発展もなく、また国の食料安全保障もあり得ません。国として本腰を入れて、実効性ある力強い施策に大きく踏み込むべきときだと思いますが、具体的にどう取り組まれるのか、総理に御決意を伺います。
 次に、医療制度について伺います。
 多くの首長の皆様が抱えておられる課題の中で最も緊急を要するものが医療、中でも医師不足及び看護師や助産師など医療専門家不足の問題です。
 本年七月、私は、沖縄県立中部病院、南部医療センター及び併設されているこども医療センターを視察いたしました。お話を伺うと、沖縄県もかつては医師の数が極端に少なく、劣悪な医療事情でした。そこで、約四十年前から県を挙げて医師の育成に取り組み始めたのです。医師の確保並びにどのような患者さんをも扱える総合的な力を持った医師を養成するため、琉球大学と中部病院が中心になって総合的な研修制度を導入しました。研修医の住居費なども含め、そのための費用、年三億円余りはすべて沖縄県が捻出しています。それが今大きな効果を上げております。医師の数も質も十分で、さらに、研修医のマンパワーを活用して、二十四時間いつでも救急患者を受け入れ、迅速に治療できる体制を構築しています。また、研修を希望する人が全国から殺到しています。
 沖縄県で実現できたことを国としてできないわけがありません。沖縄県の取組を参考に、医師不足や医師の地域偏在解決のために、是非、臨床研修制度の充実、改革に取り組んでいただきたいと思います。厚生労働大臣に伺います。
 また、医師不足の解消のためにもどうしても取り組まなければならない課題が女性医師への強力な支援です。
 重要なことは次の二点です。一つは女性医師の働く環境の整備です。二点目は、一度退職した女性医師が現場に復帰するための研修制度です。
 今、女性医師の働く環境の整備も研修制度も医療機関任せになっていて立ち後れています。国が医療機関に対し女性医師の支援に取り組むようリードするとともに、これらに積極的に取り組む医療機関をしっかりサポートする必要があります。
 医師の不足が目立つ産科、小児科は特に女性医師が多く従事しておられる分野でもあります。女性医師の支援のためにどのように取り組まれるのか、厚生労働大臣に伺います。
 あわせて、看護師、助産師などの働く環境整備及び復帰のための研修制度の充実にどう取り組まれるのかについてもお伺いします。
 次に、がん対策の更なる推進についてお伺いします。
 公明党は三年前から、最前線で治療に当たっておられる医師や研究者、患者さん団体などから御意見を伺い、また、国立がんセンターや聖路加病院を始め、がんの先進的治療を行っている医療施設やホスピスを多数視察し、現場を見、幾度も意見交換を行ってまいりました。
 それらを踏まえて、本年五月、与党案を作り、さきの国会でがん対策基本法を成立させることができました。日本ががん治療先進国へと大きな一歩を踏み出したものと大変うれしく思っております。
 しかし、具体的推進はこれからです。
 先日、日本で最初に設立された、歴史と実績を誇るがん治療専門病院である癌研有明病院を視察してまいりました。ここでは、治療に必要なすべての分野の専門医師やスタッフが、チーム医療で患者さんのため、病気の最初から最後まで責任を持って最善の治療を行っています。がん治療におけるチーム医療の有効性、必要性を痛感しました。このチーム医療を全国の医療機関に広める必要があると考えますが、厚生労働大臣にどう取り組まれるのかお伺いします。
 また、この病院の医師から、日本ではなぜ多くの方ががん難民になっているのか、その大きな原因の一つは、再発がんなどの完治が難しい難治がんの研究及び対応が遅れていることであるとの厳しい指摘がありました。多くの医療機関では、これ以上治療方法がないという段階になるとがん患者さんが病院から追い出されてしまうので、多くの人ががん難民になってしまうのです。
 こうした事態を防ぐため、難治がんの研究及び対応を国として強力に推進することが求められますが、厚生労働大臣のお考えを伺います。
 有明病院では緩和ケアも進んでおり、専門の医師の育成にも積極的に取り組んでいます。
 緩和ケアといえば、日本ではがん末期の医療と見られていますが、欧米の医療先進国では治療の早い段階から痛みを取る治療がなされています。欧米ではがんになっても痛みに苦しまないのが当たり前、ところが、日本では激痛を我慢するのが当たり前になっています。このおかしな常識を変えねばなりません。
 現在、我が国では大学医学部に緩和ケアを学ぶ講座さえ十分に設置されていません。各大学医学部への講座設置を推進するとともに、医師や看護師など医療従事者の研修、教育を急がねばなりません。厚生労働大臣にその取組につき伺います。
 また、がん情報センターについて危惧の声が上がっております。先日、NPO法人がん患者団体支援機構の会合に出席し、御意見を伺いました。多くの患者さんから次のような声が上がりました。がん情報センターができるのを楽しみにしていました、しかし情報センターの予算を見ると、患者向けの情報ネットワーク構築のための予算はわずかで、いつの間にか医療関係者のための情報センターになってしまっているようで心配していますと。
 がん患者さんの立場に立ったがん医療を実現するためには、医療関係者のための情報センターだけではなく、患者さんのための情報センター、相談センターが不可欠です。厚生労働大臣にお考えを伺います。
 さらに、がん登録制度が必要です。がん対策には正確な情報を収集することが不可欠だからです。厚生労働大臣、どのようにお考えでしょうか。
 次に、障害者自立支援法について伺います。
 障害者の自立を後押しし、福祉サービスをより安定させ、拡大することを目的に、障害者自立支援法が制定され、十月一日に全面施行されました。この法律により、障害者福祉サービスは一元化され、これまでサービスを受けることができなかった精神障害の方々も、身体・知的障害者の方々と同じようにサービスを受けることができるようになりました。しかし一方で、当事者の利用料負担などが増えて苦しんでいるとのお声や、報酬体系の見直しなどにより事業主が御苦労されているなど、現場では様々な課題が指摘されております。
 これらの声を受け、公明党は去る八月十四日に厚生労働大臣への申入れをいたしました。それにより、まず第一歩として、就学前の乳幼児障害児の通所及び入所施設利用料が大幅に軽減されることになりました。また、施設に支払われる報酬が日額化されたことによる影響を最小限にするための支援策も拡大されることが決定しております。
 今後も見直すべき点は迅速に見直して、より良い制度に変えていく必要があります。特に、施設利用料については、その額が大きいと福祉作業所等で働く意味を奪うことにもなりかねません。施設利用料などの負担を更に軽減させること、殊に重度心身障害者にとっての重い負担を軽減させること、及び安定した事業への支援を行う必要があります。
 また、重度心身障害者施設も療養介護事業に移行可能になりましたが、現時点ではほとんどの施設が移行していない状況と聞いています。希望する施設が円滑に移行できるよう支援する必要があります。
 さらに、公明党の主張で、授産施設で働く障害者の工賃倍増計画支援事業が来年度概算要求に盛り込まれておりますが、障害者の方が自立して生活できる所得を確保できるよう、具体的にどのような取組をされるのか、厚生労働大臣に伺います。
 日本は昨年、人口減少社会に突入しました。子供を持ちたいと願いながら、働く環境や育児費用の増大などでやむを得ずあきらめているとの声もたくさん聞こえています。
 そこで、公明党は議論を重ね、本年四月、少子社会トータルプランを発表しました。同プランでは、具体的に、一、生活を犠牲にしない働き方への転換、二、子育ての負担を過重にしない支え方の確立という二つを改革の柱として示しています。このプランは、さきに発表された政府・与党による新たな少子化対策にも反映されました。
 また、公明党は、妊産婦に優しい社会づくりを目指して全国共通のマタニティマークに長年取り組み、このたび無料配布が実現しました。
 公明党は、働き方の見直しを進めるために、仕事と生活の調和推進基本法制定を目指しています。国を挙げて働き方改革を推進し、仕事と生活、子育てが両立できる環境整備を進めるため、是非ともこの法律を制定すべきです。国の最重要課題である少子化対策、子育て支援、働き方の見直しについて、また仕事と生活の調和推進基本法についてどのように取り組まれるのか、総理の御決意をお伺いします。
 次に、国土交通大臣に伺います。
 安倍政権が掲げる「美しい国、日本」の創生に向け、極めて大きな責任を有する国土交通省の新大臣である冬柴大臣にまずは抱負をお聞きしたいと思います。
 子育て支援の関係では、住居が狭いことや住居費が高いことが子供を持てない原因の一つになっています。住居費が高額な都市部において、新婚世帯や子育て世帯に対する家賃補助や、公営住宅、特定優良賃貸住宅への入居要件の緩和、三世代住居など子育てしやすい住まいを確保できるよう多面的な施策が望まれます。どのように取り組まれるのか、国土交通大臣に伺います。
 次に、教育について伺います。
 不登校や校内暴力、学級崩壊、切れる子供など、子供たちの心をめぐる数々の問題が指摘されています。公明党はこれまで、子供たちの心を豊かにし、生きる力をはぐくむための政策を数多く提案し、実現してまいりました。
 その一つが、子ども読書活動の推進です。公明党は、一、小中学校での朝の十分間読書活動の推進、二、読み聞かせ運動、及び三、ブックスタート事業を全国で推進、拡大してきました。不登校、いじめ、荒れる学級が少なくなり、学習意欲が向上したとの大きな成果が報告されています。
 二つ目は、自然体験、職業体験、ボランティア体験など様々な体験学習の推進です。八年前、兵庫県で、中学生が一週間、希望する仕事を地域で体験するトライやる・ウイークを始めました。子供たちは職業体験を通じ、仕事の大切さを学び、自らの将来の仕事への希望を見いだしています。同時に、中学生を受け入れた企業、地域も活性化しています。また、武蔵野市では、小学生、中学生が約一週間、豊かな自然の中で生活をともにするセカンドスクールを実施しています。私も長野でのセカンドスクールを視察いたしましたが、自然体験を学習した後の子供たちは、見違えるほどたくましく成長し、命の大切さを学び、人への思いやりもはぐくまれているとの報告があります。
 三つ目は、子供たちが本物の舞台芸術に触れたり伝統文化を学ぶことができる機会の提供です。
 さらに四点目として、食育の推進です。先日、東京都内のある小学校の学校給食を視察してまいりました。そこでは地元の野菜を使った地産地消の給食に二十年以上も前から取り組んでいます。また、農家と一緒になって全児童が一年を通じて野菜や米を育てています。種まきから収穫して食べるまでを自らの手で体験することで、野菜嫌いや給食の食べ残しがなくなっています。食育により生涯を通じた健康づくり、体づくりの基礎をつくり、また家族団らんの食事の中で、子供たちは社会のルール、人としての正しい生き方などを学んでいきます。
 これからも公明党は、地方議員と協力しながら、多様な角度から体験学習及び食育を推進してまいりたいと思います。国としてこれらの推進を更に支援していただきたいと思いますが、総理はいかがお考えでしょうか。
 さらに、教育改革で大事な視点は、学校や地域、家庭など教育の最前線で教員、保護者、子供たちが実際に抱えている悩みを直視し、それらの問題解決に具体的な有効な手をきめ細かく打っていくこと、すなわち現場からの教育改革を目指すということです。一例ですが、滋賀県では五年前から不登校児童に大学生を派遣する取組により、児童が心を開き、自信を回復するなど、大きな効果を上げていることが報告されています。各地でのこうした取組の成功例を全国に紹介しながら、広く展開していっていただきたいと思います。現場からの教育改革についてのお考えを総理に伺います。
 国といい、社会といっても、その質を決めるのは構成員一人一人の人間にほかなりません。豊かな心や人への思いやりを持ち、生きるたくましさを培い、他の人々や社会に貢献しゆく子供たちを育てる真の人間教育を実現することにより、その結果として、日本を平和国家、人道・人権国家にできることは間違いないと確信しています。私たちの世代には、未来の世代への責任として良い教育を実現していく義務があります。
 かつての日本の教育は、まず国ありきとの視点から行われてきたと言っても過言ではありません。戦前は軍国主義教育、戦後は経済大国に資する人材を育成するための教育でした。しかし、本来、教育は国にとって都合の良い人材を育成するためにあるわけではありません。子供たちが一人の人間として、人間性豊かで、力強く、幸福な人生を送り、人々や社会にも貢献できる真の人間力をはぐくむことこそが教育の目的です。三年間議論の末まとめた与党の教育基本法改正案も、そうした目的、理念に立っています。
 子供のための教育との視点に立って、教育の再構築に国を挙げて取り組む必要があると考えます。教育改革に懸ける総理の御決意とお考えを伺います。
 ある有識者の有名な言葉に、政治とは何か、それは闘いである、人々の幸せな生活のため、より良き平和な社会をつくるための闘いであるとあります。
 公明党は、去る九月三十日、大衆とともにという創立の原点を改めて胸に刻み、新たなるスタートを切らせていただきました。理念なき政治、哲学なき政治や、政権交代を叫ぶだけの権力闘争の政治は、必ず腐敗、堕落し、国を混乱と衰退に追いやります。公明党は、人間主義の深き理念と哲学の基盤に立って、国会議員及び全国三千二百人に上る地方議員がしっかり連携し、幸福と平和を切実に願っておられる多くの人々の思いが反映される政治の実現を目指し、地道にまじめに真剣に仕事をする党、公明党として、これからも全力を尽くすことをお誓いし、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 浜四津敏子議員にお答えをいたします。
 臍帯血移植についてのお尋ねがありました。
 骨髄及び臍帯血移植は、善意により提供された骨髄液、臍帯血を移植することにより白血病等の血液疾患を根本から治す、極めて有効な治療法であります。従来より骨髄液、臍帯血等の費用を包括的に評価して医療保険の適用を行い、患者負担の軽減を図ってきたところであります。
 また、臍帯血については、これが製品として流通しないこと等を踏まえ、薬事法上の医薬品としては取り扱っていませんが、臍帯血の効果的な品質確保の方法について、引き続き調査研究に取り組んでまいります。
 臍帯血バンクについては、全国で十一か所が運営されておりますが、業務効率を高め運営の安定を図るため、関係者間で統合や業務提携について更に議論を深めていただきたいと考えております。
 今後とも、医療現場において臍帯血移植がますます活用されるよう、政府として積極的に支援をしてまいります。
 日本の経済成長についてお尋ねがありました。
 小泉内閣の下で本年一月に閣議決定された「改革と展望―二〇〇五年度改定」においては、二〇〇六年度以降の実質成長率を一・五%程度あるいはそれ以上と見込んでおり、経済成長戦略大綱においては二・二%以上の実質経済成長を視野に入れております。
 石油価格の動向などの様々なリスク要因に十分な注意を払いつつ、引き続き各般にわたる構造改革を推進するとともに、より高めの経済成長を視野に、経済成長戦略大綱などの政策を着実に実行してまいります。
 いずれにせよ、イノベーションの力とオープンな姿勢により日本経済に新たな活力を取り入れ、安定した経済成長の実現に全力を尽くします。
 プライマリーバランスの黒字化についてのお尋ねがありました。
 我が国財政は極めて厳しい状況にあり、基本方針二〇〇六に沿って歳出歳入一体改革に正面から取り組み、まずは二〇一一年度のプライマリーバランスを確実に黒字化いたします。成長なくして財政再建なしの理念の下、引き続き経済成長を維持しつつ、国民負担の最小化を第一の目標に、今後五年間に歳出改革を計画的に実施をしてまいります。
 このような歳出削減等を徹底して実施した上で、それでも対応し切れない社会保障や少子化などに伴う負担増に対しては、安定的な財源を確保するため、抜本的、一体的な税制改革を推進し、将来世代への負担の先送りを行わないようにいたします。
 金利動向についてお尋ねがありました。
 金利の動向は、利払い費の変動を通じて財政状況に大きな影響をもたらすため、注意深く見ていく必要があります。しかしながら、金利は経済情勢や市場における期待にも大きく左右されることから、正確にその動向を見通すことは困難であります。
 いずれにせよ、基本方針二〇〇六に沿って、歳出歳入一体改革に正面から取り組むことにより、財政健全化を着実に進め、それにより市場の信認をより高め、国債金利が急激に上昇することのないようにしてまいりたいと考えております。
 格差問題解消に向け、どのように取り組むのかについてお尋ねがありました。
 私は、日本が目指すべきは、努力した人が報われ、勝ち組と負け組が固定化せず、働き方、学び方、暮らし方が多様で複線化している社会、すなわちチャンスにあふれ、だれでも再チャレンジが可能な社会だと考えております。格差を感じる人がいれば、その人に光を当ててまいります。このため私は、内閣の重要課題として総合的な再チャレンジ支援策を推進してまいります。
 具体的には、フリーター二十五万人常用雇用化プラン等を推進し、二〇一〇年までにフリーターをピーク時の八割に減らすとともに、だれもが意欲と能力を生かして働ける全員参加型社会の構築を図るため、七十歳まで働ける企業の実現に向けた取組を推進し、正規・非正規労働者間の均衡処遇の実現に向け法的整備を含めた検討を進めるなど、実効性のある再チャレンジ支援策を推進してまいります。
 また、地方の活力なくして国の活力はありません。やる気のある地方が魅力のある地方に生まれ変わるよう、地方独自のプロジェクトを自ら考え前向きに取り組む自治体に対しては、地方交付税の支援措置を新たに講じます。
 日中、日韓の首脳会談についてお尋ねがありました。
 大事な隣国である中国、韓国とは、あらゆるレベルと分野で対話と協力を積み重ね、双方の努力を通じて未来志向の関係を築いていきます。両国との首脳会談については、常に扉をオープンにしてきております。その実現に向けて双方で努力をしてまいります。国が違えば認識が違うこともあります。そういうときこそ、首脳同士がお互いに会い、胸襟を開いて話をしていくことが大切であると、このように考えております。
 中国、韓国との幅広い分野での交流の促進についてお尋ねがありました。
 中国、韓国とは、文化、教育など幅広い分野において、いまだかつてないほど緊密な関係となっております。我が国としては、特に将来の日中、日韓関係を担う青少年間の交流を重視していきます。また、韓国との間では、従来より、歴史事実と歴史認識の相互理解を促進すべく歴史共同研究を実施しており、中国との間でも検討を進めているところであります。
 引き続き、両国との間で相互理解と信頼に基づいた未来志向の関係を築いていくため、幅広い分野で交流を進めていきたいと考えております。
 拉致問題の解決についてお尋ねがありました。
 拉致問題の解決なくして北朝鮮との国交正常化はあり得ません。政府としては、対話と圧力の方針の下に、引き続き、拉致被害者が全員生存しているとの前提の下に立ってすべての拉致被害者の生還を強く求めてまいります。そのため、今般、私を本部長として設置された拉致問題対策本部を中心として、政府一体となって拉致問題解決に向けた総合的な対策を推進してまいります。
 国立成育医療センター等の独立行政法人化についてのお尋ねがありました。
 相模原病院等の国立病院については既に平成十六年度に独立行政法人化しており、また、国立成育医療センター等のナショナルセンターについては平成二十二年度に独立行政法人化することとしております。
 独立行政法人化に当たり、国として推進することが必要な医療については、運営費交付金として適切に財政的措置を講ずるとともに、先駆的な臨床研究や教育研修の充実等には十分配慮するなど、国としての政策医療に対する責任を放棄することなく、効率的な経営との両立に努めてまいります。
 専門医の確保についてお尋ねがありました。
 議員御指摘のアトピー、発達障害、心の病気に対応する専門医師の育成は重要な課題と認識をしており、小児科医そのものの育成を国が責任を持って計画的に進めるとともに、発達障害に係る診療体制の強化など、専門医師の育成にも力を入れてまいります。
 国立成育医療センターにおける研修についてのお尋ねがありました。
 国立成育医療センターは、国が行う唯一の小児科医研修の専門機関であり、現在百二十二名の医師が研修を受けております。先ほど申し上げましたとおり、小児科医の育成確保は喫緊の課題であり、御指摘を踏まえ、今後更に研修医受入れ人員の拡大を検討し、国が責任を持って小児科医の育成確保に努めてまいります。
 地方分権についてのお尋ねがありました。
 地方の活力なくして国の活力はありません。やる気のある地方が自由に独自の施策を展開し魅力ある地方に生まれ変わるよう、必要となる体制の整備を含め地方分権を進めます。政府としては、そのための推進法案を今国会に提出するべく準備をしていきます。そして、地方分権に向けて、関係法令の一括した見直し等により国と地方の役割分担の見直しを進めるとともに、国の関与、国庫補助負担金の廃止、縮小等を図ってまいります。
 地方税については、国、地方の財政状況を踏まえつつ、交付税、補助金の見直しと併せ、税源移譲を含めた税源配分の見直しを行うなど、一体的な検討を図ります。
 地方公共団体の財政破綻回避についてのお尋ねがありました。
 多くの地方公共団体が、厳しい財政状況の下で改革に真剣に取り組んでいるものと認識しております。地方公共団体の財政再建については、当該団体の自主的かつ主体的な努力が必要でありますが、地方公共団体の財政情報の開示の徹底を図るとともに、財政悪化を早期に防止する措置を講じるなど、地方公共団体の再建努力を促していくことが必要と考えております。こうした視点から、地方公共団体の再建法制の整備に向けた検討を進めてまいります。
 農林水産業活性化についてお尋ねがありました。
 農山漁村の発展にとって、地域の基幹的な産業である農林水産業の活性化が極めて重要であります。また、こうした農林水産業の活性化は、新鮮で良質な食料の安定供給にも寄与します。このため、意欲と能力のある担い手の育成確保のための改革を進めるとともに、農林水産物の輸出の拡大やバイオマス利用の加速化などに攻めの姿勢で取り組むなど、戦略的に施策を推進してまいります。
 仕事と生活の調和推進基本法の制定などについてのお尋ねがありました。
 少子化対策については、子育てのすばらしさ、家族の価値を社会全体で共有できるような意識改革も進めるとともに、こうした価値観に立って、子供の成長や様々な家庭のニーズに応じた総合的な子育て支援を進めてまいります。
 また、少子化が進む我が国においては、働き方を見直し、だれもが仕事と生活、子育てが両立できる環境を整備することは重要な課題となっております。長時間労働の是正、出産や子育てをしながら安心して働くことができる職場環境の整備などに取り組んでまいります。
 なお、仕事と生活の調和の推進に関し立法の御提案がありましたが、その趣旨を重く受け止め、子育てを応援する観点から働き方の改革を更に進め、子育てフレンドリーな社会の実現に向けて全力を尽くしてまいります。
 子供の読書活動や様々な体験学習、食育の推進などについてお尋ねがありました。
 次代を背負って立つ子供や若者を育成する上で、読書活動や自然体験、文化芸術体験などの様々な体験活動を推進するとともに、望ましい食習慣の確立など食育の推進を図ることは重要であります。子供たちが豊かな人間性を備えた規律ある人間として成長するため、これからの取組を一層推進してまいります。
 現場からの教育改革についてお尋ねがございました。
 私の目指す「美しい国、日本」を実現するためには、次代を背負って立つ子供や若者の育成が不可欠であり、教育再生を国政上の最重要課題の一つとして位置付け、取り組んでまいります。まずは、教育基本法の早期成立を期すとともに、すべての子供に高い学力と規範意識を身に付ける機会を保障するため、公教育を再生します。
 その際、御指摘のように、学校、家庭、地域社会といった教育現場の目線に立ち、例えば保護者や地域住民が学校運営に参画する学校運営協議会の設置の促進や、やる気と能力のある教員が教育に専念できる環境の整備など、教育現場の創意工夫が十分に生かされる環境を整えることが重要であると考えております。
 教育の目的についてお尋ねがございました。
 教育の本質は、教える者と学ぶ者との人格的触れ合いの中で、一人一人の能力を最大限に伸ばし、その可能性を開花させ、自立した個人として、それぞれが夢と希望を持って掛け替えのない豊かな人生を送ることができるようにするものであると考えております。教育の目的は、このような人格の完成と同時に、志ある国民を育て、ひいては品格ある国家、社会をつくることにあるものと考えております。こうしたことを踏まえ、豊かな人間性と創造力を備えた規律ある人間の育成に向け、教育の再生に取り組んでまいります。
 教育改革への決意についてお尋ねがありました。
 私の目指す「美しい国、日本」を実現するためには、次代を背負って立つ子供や若者の育成が不可欠であります。近年、子供のモラルや学ぶ意欲が低下をしており、子供を取り巻く家庭や地域の教育力の低下も指摘されています。このため、家族、地域、国、そして命を大切にする豊かな人間性と創造性を備えた規律ある人間の育成に向け、教育再生を国政の最重要課題の一つとして位置付け、取り組んでまいります。まずは、今国会における教育基本法案の成立を期して、しっかりと取り組んでまいります。
 また、このような理念の下、すべての子供が高い学力と規範意識を身に付けられる機会を保障するため、公教育を再生します。このため、内閣に教育再生会議を早急に発足させ、その推進を図ります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣柳澤伯夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(柳澤伯夫君) 公明党の代表代行でもあられる浜四津議員から、私にかなり多数の御質問をいただきました。福祉の党ということが背景にあろうかと、このように理解をいたしております。
 しかし、大きく分けまして三つのグループでございまして、一つは医師の確保の問題、それからがん対策の問題、それから障害者自立支援の問題、この三つのグループに分けられると思います。順次簡潔にお答えを申し上げます。
 第一に、臨床研修制度でございます。
 この制度は、昭和四十三年まではいわゆる義務制ということではなくて運用されてきた、努力義務で運用されてきたわけですけれども、御指摘のように平成十六年度から義務化をされたということで、大きな制度の変化があったものでございます。そこで、この臨床研修制度が二年たちましたので、私ども厚労省におきましては、本年三月におきましてこの実態の調査を行ったところでございます。そういたしましたところ、満足している、研修内容が満足されているというような研修医の割合は比較的高いのでございますが、他方、地域医療あるいは小児科、産科というようなところの研修医につきましてはなお理解を更に深める必要があると、こういうようなことが判明しております。
 そのため、今後は、へき地、離島の診療所における研修や、小児科、産婦人科や、あるいは医師不足地域の病院における宿日直研修の内容の充実を図るなどによって、よりこの研修制度の下で医師の更なる資質の向上を図ってまいりたいと、このように考えております。
 次に、女性医師の問題について、看護師や助産師の問題とともに御指摘がございました。
 近年、医師国家試験の合格者におきましても女性の割合は三分の一にまで高まっております。他方、女性であるがゆえに医療現場におきまして医療機関を休職、退職するというような女性医師の割合も当然のことながら多いという指摘もあるわけでございます。
 このため、私どもといたしましては、まず第一に、病院内の保育所、これは従来は看護職員対象でございましたけれども、平成十四年度以降は女性医師の児童につきましても同じくここでお預かりするというような制度の充実を図っているところでございます。
 それから第二番目に、一時退職した女性医師に対する支援でございますけれども、今年度から女性医師のライフステージに応じた就労を支援しようということで女性医師バンクというものを設けまして、キャッチアップのための研修をするということに努めておるところでございます。
 三番目以降でございますが、がんの問題でございます。がん医療について、チーム医療が大事だという御指摘の考え方からの御質疑でございます。
 このチーム医療、各分野の専門医が一人の患者の治療のために各専門的な視野からいろんな衆知を集めるということの体制の整備は極めて重要であると、このように考えております。
 私ども厚労省におきましては、したがいまして、まず第一のこの問題への着手といたしまして、がん診療連携拠点病院ということを指定、整備いたしまして、連携の拠点としてここでまずそのような複数の診療科の専門医師による協力に基づく治療体制を整備しようと、こういうことで手始めをしているところでございます。このような取組を更に全国的に広げてまいりたい、このように考えております。
 次に、難治がんというものに対する取組についてどのように考えるかという御質疑がございました。
 がんの治療につきましては、私も個人的にもよく覚えておるんですけれども、中曽根内閣がスタートをするときに、中曽根総理がこのがん対策総合の戦略を練ろうということを始めまして、それ以来がん対策は随分推進をされてきたのでございますけれども、膵臓がんなど難治のがんが依然として残っておりまして、ここに確立された治療法というものを見いだし得ていないという状況でございます。したがいまして、治療法の開発というものが引き続いて重要な課題になっているというふうに考えております。
 特に、総理の先般の所信表明演説におきましても、イノベーションのトップに医薬と、医薬のイノベーションというものを掲げておられますことから、私といたしましてもこのような分野の治療法の開発には特に力を入れてまいらなければならない、このように考えております。
 難治がんの取組につきましては、もう一つ、高水準の治療への均てん、地域的な均てんの問題がございます。この問題につきましても、私ども総合的ながん対策の中でしっかりした取組をしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
 次に、緩和ケアの問題が指摘をされました。
 緩和ケアは、がんの患者の身体的な苦しみや精神的な苦しみを治療と並行的に施療していくということでございますけれども、日本では、従来、末期がん患者だけにこういうケア治療を行うということでございましたが、今、浜四津議員の指摘のように本来並行して行うべきであると、このようなことでございます。
 したがいまして、厚労省といたしましては、研修を実施する、あるいはマニュアルの普及を図るというようなことで、この問題に対する医療従事者の知識、技術の向上に取り組んでまいりたい、このように考えます。
 なお、大学の講座にもこうしたものを設置すべきだという御指摘については、ただいま文科大臣も質問をお聞きしているところでありまして、私からも働き掛けをいたしたい、このように考えます。
 次に、このがん患者に対する情報あるいは相談のセンターでございます。
 がんにかかった場合に、分かりやすい言葉でがんに関する情報を教えてもらい、また身近な相談を行うということの体制が極めて重要でございます。このため、本年十月から、国立がんセンターの中にがん対策情報センターを設置いたしまして、そういうがん患者のみならずその家族も参加すると、医療関係者だけではなくて患者あるいは家族も参加してこのセンターの運営について万全を期していくということを考えております。また、実行もいたしております。
 全国の連携拠点病院にこのがんセンターにおける情報センターとほぼ類似の相談支援センターも設けようということで、その体制の充実を図ってまいりたい、かように考えております。
 がんの登録制度につきましては、先般のがん対策基本法の際にも議員の間であまたの議論があったことを私もよく承知をいたしております。私もよく承知をいたしておりますが、結局、議員の皆さん方の結論というのは、取りあえず三十四道府県一市におきまして限定的にこれをスタートさせよう、全国一律にスタートさせるということについては他方プライバシーの問題等があって困難が認められると、こういうようなことで、限局的にこれをスタートすることにいたしたわけであります。
 今後におきましては、個人情報の取扱いに関する課題等について更に検討を深めまして、この取組を更に深化させ、強化させていこうと、このように考えております。
 次が障害者自立支援法の問題であります。
 障害者自立支援法につきましては、特に重症の心身障害児などに対する自己負担、こういうものについて十分な配慮をすべきであると、こういう御指摘でございましたけれども、私どもこの十月からさらにこの障害児、重症心身障害児に対する負担の軽減措置についてはきめ細やかに措置をしているところでございまして、こうした措置が確実に適用されるよう努めまして、引き続き制度の周知徹底を図ってまいりたいと思っております。
 事業所への報酬につきましては、一番の問題は月ごとの支払から日ごとの支払になったというところが事業所の方々から問題にされたところでございますが、これらにつきましても、日ごととは言い条、この施設の、事業所の管理の下で自宅に帰っているというような場合にはこれを日数に算入するというようなきめ細かな措置をとって、できるだけ実態に合った報酬の支払が実現されるように私ども努めているところでございます。
 それから、重症心身障害者の療養介護事業への移行でございますけれども、これは施行後三年間は選択制でございます。したがいまして、この施行後三年をめどに更に検討を加えて、この移行がスムーズに行われる、そしてこの障害児等に対する手当てが十分に行われるということを実現してまいりたい、このように考えております。
 最後でございますが、工賃の倍増計画支援事業を具体的にどのように行うかという点でございます。
 これは、障害者が社会的な参加で自分の生きがい感を満足させると、また所得の稼得を得る機会を与えるということから、就労を奨励し、工賃を払い、その工賃ができるだけ高い水準になるというようなことに努めているわけでございますが、これを現実にどのように行うかということは、この仕事自身の質が向上しないことには工賃の水準の向上ということはないわけでありまして、そこで、私どもとしては工賃水準ステップアップ事業というものを仕組みまして、この仕事についてのOBを言わばコーチ役として配置をいたしまして、そして障害者の方にその技術を習得してもらおう、こういうようなことでこの工賃倍増計画支援事業に取り組んでいるところでございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣冬柴鐵三君登壇、拍手〕
○国務大臣(冬柴鐵三君) 浜四津議員からは私に対して、「美しい国、日本」を創生するために国土交通省の役割はどういうものなのかということと、もう一つは、これから結婚をしようとする人たちに対する巣づくり、ネストプラン、どのようなものがあるのか、このようなお尋ねでございました。
 二十一世紀を生きる我々の子供や孫たちが誇りと自信を持って、そして「美しい国、日本」、こういうものを誇れるような国をつくっていくのが国土交通省の仕事である、使命である、このように思っております。その意味で三つの方向から考えたいと思います。
 一つは、国民生活に密着をした安全、安心な国土の形成であります。二つ目は、激しさを増す国際競争力の中で生き抜いていくためのインフラの整備でございます。そして三つ目には、我々はやはり地方、地域が自信あるいはその活性力を増すための支援をしていく。このような三つの方向から国土交通省は、わずかな、削られた予算の中ではありますけれども、知恵を絞りながら頑張っていきたい、このように思っております。
 さて、少子化社会が非常に進んでおります。そのような中で、新婚の人がこれから家庭を持とうとしているときに非常に住居費が高い。特に、今東京では、アパートを借りるにしても若い人たちの資力では到底借り得ない、そういうことから合計特殊出生率も一を切るというような恐ろしい事態になっております。
 私どもは、鳥が、つがいが巣づくりをするように、まず、我々の、若い人たちが結婚するためにも住居、いわゆるネストというものを支援をしてあげなければならない、このような考えから、今までも公的賃貸住宅の的確な供給、あるいは新婚世帯などの子供が産み育てやすい住まいの確保の支援に取り組んできたところでございます。
 住生活基本法を通していただきました。それに基づき、去る九月十九日に閣議決定されました住生活基本計画におきましても、ファミリー向け賃貸住宅の供給や子育て支援施設を併設した住宅の供給支援、あるいは三世代同居できる住宅の支援や近くに三世代が住むことができるような住居の支援を図っていくということにしております。
 今後ともこれらの施策を通じて、巣づくり支援の観点から、これから結婚しようとする世帯や新婚世帯などが子供を産み育てることができるような、そのような積極的な施策を進めてまいりますので、よろしくお願いいたします。(拍手)
    ─────────────
○議長(扇千景君) 平田健二君。
   〔平田健二君登壇、拍手〕
○平田健二君 民主党の平田健二です。昨日の伊藤基隆議員の質問に続き、民主党・新緑風会を代表して、安倍総理の所信表明演説に対し、質問をいたします。
 最初に、昨日、北朝鮮が今後核実験を行うことになると声明を出したことについてお伺いをいたします。
 北朝鮮の核実験は、東アジアはもとより、核の不拡散を望んでいるすべての国際社会にとって脅威であり、とりわけ近隣の日本にとっては深刻な危機と受け止めざるを得ず、何としても阻止しなければなりません。
 そこで、総理にお尋ねします。この声明を日本政府としてどのように受け止めているのか、北朝鮮の核実験について現実にどのような動きを把握しているのか、今後日本政府としてどのような対応を取るのか、近く総理が訪問される中国や韓国とどのように連携を図っていくのか、以上お尋ねをいたします。
 安倍総理、あなたは所信表明の冒頭で、日本が厳しい時期を乗り越え、新世紀の出発点に立ったと述べられましたが、総理が前内閣の要職を務めたこの五年間で国民の痛みは増したのではないでしょうか。
 小泉政権による構造改革は、道路公団や郵政の民営化、そして三位一体改革や規制緩和など耳触りの良いスローガンを打ち出しましたが、結果は看板の掛け替えと格差を拡大させたにすぎません。また、社会保障制度の改革や定率減税の廃止は、国民負担を増大させたばかりでなく、未曾有の財政赤字と相まって国民の将来に大きな不安をもたらしております。
 さらに、企業リストラは高い失業率と臨時、パート、アルバイト等の非正規雇用者の増加を生み、所得格差は拡大し、外国資本の会社や一部の大企業の勝ち組が空前の利益を上げる一方、負け組は自己責任として切り捨てられ、社会不安を招く一因にもなっています。一部の大企業で新卒への雇用が拡大しているものの、いまだ二百七十二万人の方々が職に就けておりません。そして、生活困窮を動機とした刑法犯の検挙人員は年々増加をし、残念ながら自ら命を絶つ方々は毎年三万人を超え、そのうち、平成十六年では七千九百四十七名、昨年は七千七百五十六名の方々の自殺の動機が経済生活問題であると警察庁が公表しております。正に痛切の極みであります。
 総理、あなたの所信表明には庶民の視点が全く感じられません。この厳しい現実を一体どのように認識されて厳しい時期を乗り越えたと言われるのか、最初にお伺いをいたします。
 次に、雇用政策について伺います。
 厚生労働省の調査では、この五年間で正社員は三百万人減少し、逆に臨時、パート、アルバイト等が三百万人増え、雇用者の三人に一人は非正規社員であると報告をしております。また、完全失業率がやや改善したとはいえ、そのほとんどは非正規社員の雇用であり、例えば今年の一―三月の雇用者数七十八万人のうち、七十一万人が非正規社員で占められています。とりわけ若年層の臨時やアルバイトの率は高まり、精一杯働いても生活に困窮するワーキングプアという問題も起こっております。そして、民間企業の平均給与は八年連続して減少をしております。
 総理、再チャレンジ、格差是正と言う前に、再チャレンジしなければならない状況を招いたことに対してまず反省すべきではないでしょうか。
 政府は様々な労働分野の規制緩和を行ってきましたが、例えば、二〇〇四年には製造業への派遣を可能にする労働者派遣法の改正を行い、二〇〇三年には労働基準法改正で有期雇用延長を認めています。結果として、契約社員が増加し正社員が減少したのではありませんか。深刻な雇用状況を招いた従来の方針は間違っていたと思いますが、総理の明快な答弁を求めます。
 我が国には、終身雇用という海外でも評価された雇用慣行があります。こうした日本型の雇用スタイルこそが戦後の高度成長を生み出した要因の一つでもあります。
 民主党は、働く意欲、働く能力のある人が年齢に関係なく生涯雇用を目指し、きめ細かい就労支援策を打ち出すとともに、臨時、パート、アルバイト等を正社員に転換することを推進しています。
 そこで総理に伺いますが、総理は、内閣の重要政策として再チャレンジ支援策を掲げ、女性や高齢者、ニート、フリーターの積極的な活用を表明されました。総理大臣による表彰制度まで新設されるようですが、総理、具体的にどのような雇用対策を講じるおつもりなのか、明快にお示しください。
 次に、労働契約法制についてお伺いします。
 雇用や就業形態が多様化する中で、一律的規制だけでは労働者の権利を確保することが困難になってきています。そこで、個別に労働条件を決める必要があるわけですが、その決定に際しては、公正かつ透明なルールの制定が欠かせません。
 民主党は、個別の労働条件の決定は、使用者と労働者が対等な立場で両者の合意に基づくこと、そして、同一価値労働同一賃金という原則の下に均等待遇を保障するものでなければならないと考えますが、労働契約法制の整備に対する総理の見解をお聞かせください。
 あわせて、労働時間法制についてもお伺いをいたします。
 長時間労働によるストレスや過労死、過労自殺などが問題になっています。また、仕事、育児、介護、家事あるいは地域活動などの時間を確保する、いわゆるワーク・ライフ・バランスも求められています。
 しかし、政府は、こうした社会の要請に逆行するような残業代支払要件を大幅に緩和する自律的労働制度の導入を検討していますが、ますます長時間のサービス残業を招く危険があると考えられませんか。残業したら、総理、きっちり支払うのが当然ではありませんか。また、ワーク・ライフ・バランスを推進するためにどのような制度を整備するつもりなのか、総理の見解を伺います。
 次に、年金について伺います。
 私は、一生懸命に働いたら報われる社会であり、年を取ったら安心して暮らしていけるだけの社会保障が受けられる社会でなければならないと考えております。
 総理、あなたの著書「美しい国へ」の中で、加入しているみんなが破綻させないという意思さえ持てば年金は破綻しないのだ、日本人の過半数がもう年金はやめようと言わない限り年金のシステムは継続すると語られております。しかし、世論調査によりますと、国民の四八%が年金、福祉の充実を望んでいる一方、残念ながら五九%の国民は近い将来、年金制度は破綻すると答えています。幾ら政府が百年続く制度だと力説しても、年金加入者の半分以上が破綻すると答えているわけですから、深刻な事態です。
 総理、加入者の過半数の信頼を失った現行制度が維持できると本気でお考えなのか、伺います。また、負担と給付、さらには財源は今の制度のままでよいとお考えなのか、明快な答弁を求めます。
 民主党は、全国民が加入する一元化された年金制度を主張してきました。前総理も、すべての年金を一元化することが望ましいと発言をしております。しかし、総理は所信で、厚生年金と共済年金の一元化を早急に実現し、官民の公平性を確保すると述べられております。これは、官が得だから民間並みにという損得論だけの被用者年金の一元化であり、年金制度そのものが危機的状況にあるという認識が欠如しているとしか思えません。
 それでは、一元化から取り残された国民年金をどのようにしようと考えておられるのか。加入者の半分程度しか保険料が納付されていない、実質破綻状態にある国民年金をどのように再生させるのか、明快な答弁を求めます。また、民主党の一元化案に対してどのように考えておられるのか、総理の見解を求めます。
 次に、社会保険庁改革について伺いますが、その前に、一昨日の衆議院の本会議で、自民党議員から、社会保険庁の体質問題の根底は自治労に加盟している労働組合だとの発言がありました。社会保険庁の年金の無駄遣いや天下りを容認してきたのは政府・自民党ではありませんか。自らの責任を棚に上げ、他人を批判する姿勢は美しいとは言えません。総理の目指す美しい国をともにつくっていく資格はないのではありませんか。指摘をしておきます。
 さて、社会保険庁をめぐる様々な不祥事は、社会保険庁への信頼を失墜させただけでなく、年金制度に対する公平性や公正性までも破壊しています。年金資金の無駄遣いや年金情報の不正な閲覧に始まり、全国規模の年金保険料の不正免除、また保険料を納付しているにもかかわらず未納扱いされた問題など、数え上げれば切りがありません。さらに、総務省の調査によると、厚生年金への加入漏れが七十万事業所に上り、将来、年金を受け取れない勤労者は約二百六十七万人と推計されています。
 総理は、所信で社会保険庁は解体的出直しと明言されましたが、ずばり解体とはっきりさせた方がよいのではありませんか。民主党もさきの通常国会で、社会保険庁の看板の掛け替えにすぎないねんきん事業機構法案の廃案、再提出を求めました。総理の発言を率直に受け取れば、ここは法案をいったん取り下げ、出し直すのが当然であると考えますが、本法案の取扱いをどのようにするつもりなのか、総理、はっきりとお答えください。
 そして、その上で、社会保険庁は廃止し、国民の利便性を高め、効率的かつ適切な徴収を行うために年金保険料と税金の徴収を一元化すべきだと考えますが、総理の見解を求めます。
 次に、障害者自立支援法について伺います。
 本年四月から一部施行され、十月から完全施行になりました。
 私は、昨年の通常国会で、この場で前総理に質問いたしました。そのとき、自立支援ではなく自立阻害だと指摘した危惧が正に現実のものになっております。
 応能負担から応益負担への転換は、政府のもくろみどおり財政的な成果は上げたでしょうが、元々収入を得る手段が少ない障害者にとっては非常に重い負担です。実際に、一部の施設から、四月以降一割以上の利用者が施設利用料や食費を滞納しているが、利用者の苦しい内情を知っているだけに督促もためらわれるとの悲鳴が上がっています。また、やむを得ず自らサービスの利用を制限するケースも目立っております。そして、利用率の低下はサービスを提供する施設の経営も圧迫しており、この窮状を見かねた自治体は独自に利用者負担の軽減策や施設への助成を決めていますが、自治体の財政事情によりばらつきがあるのも事実です。
 総理、障害者施策の充実度は社会の本当の豊かさを示すバロメーターです。幾ら物質的に豊かな経済大国になっても、それは心の貧しい、きずなのもろい、美しくない国となってしまいます。三年後の見直しでは遅過ぎます。障害者が地域で自立できるように早急に障害者の負担軽減策を講じるべきだと考えますが、総理の見解を伺います。
 次に、少子化問題について伺います。
 年々低下を続けていた出生率は二〇〇五年には一・二五まで下がりました。今年はやや改善の兆しが見られるものの、人口減少社会に歯止めは掛かっていません。
 民主党は、子育て世帯への経済的支援、働き方の見直し、子育て環境の整備を進め、子供の育ちを応援する政策を提案してきました。
 総理は、所信で子育てフレンドリーな社会を構築すると述べられておりますが、子育てフレンドリーな社会とは一体どのような社会なのか、お尋ねいたします。そして、その実現のために具体的にどのような支援策を進めていかれるのか、説明を求めます。
 次に、食料自給率の向上について伺います。
 世界的な食料不足が予測される中で、食料の自給率向上は国民に対する国家の重大な責務であります。ところが、政府が定めた食料自給率は四五%であり、六年前と同水準です。総理、最終的な食料自給率はどの程度必要とお考えなのか、見解を伺います。
 政府は、農業補助金による過保護農政を進め、生産調整や各種レジャー施設の建設、土木工事等を農業関連予算によって賄ってきました。その結果、後継者は育たず、耕作面積は減少し、農村は荒廃の危機にあります。
 そして、再び同じ過ちを繰り返そうとしているのが品目横断的経営安定対策です。役人が決めた要件で一部の農業者を担い手として峻別すれば、残されたやる気のある農家も営農を放棄せざるを得なくなります。農村に新たな格差を生むことになるのです。そして、自給率が大きく低下するだけでなく、国土の保全、水源の涵養、自然環境の保全、文化の伝承、いわゆる農業の多面的機能までも失うことになります。
 民主党は、食料自給率向上のため、今までの農業関連予算の範囲内で、意欲のある農家を幅広く対象とした個別所得補償制度を導入し、活気ある本来の農村を取り戻し、安全、安心な食料の供給基盤を確立しなければならないと考えておりますが、総理の見解を求めます。
 また、政府はアメリカ産牛肉の輸入再開決定をいたしましたが、安全性確保が疑問視される中での輸入再開は国民の安全と安心を無視するものであります。消費者の健康、安全を守るためには、食品がどこで生産され、どのような流通経路を通り、どのような加工がなされたかを証明するトレーサビリティーを義務化し、食の安全、安心を確立させることが急務であると考えますが、総理の見解を伺います。
 次に、環境問題ですが、政府は、夏の間、クールビズを提唱いたしました。温暖化対策を国民に意識させた意義は認めますが、政治がやらなければならないことはこの程度では不十分であることは言うまでもありません。日本が京都議定書の目標を達成するためには、温室効果ガスを今より一三・四%削減しなければならず、小手先の対策では到底達成し得ない数字なのです。
 総理は、所信で京都議定書目標達成計画を着実に推進すると述べられておりますが、どのような方法で着実に進めるおつもりなのか、説明を求めます。そして、この達成計画の内容で二〇一〇年までに目標を達成できるとお思いなのか、見解を伺います。
 さらに、国の庁舎に対する太陽光発電や緑化、またバイオマスの利用の加速を唱えられておりますが、これらの対策でどの程度温室効果ガスが削減されると予測されているのか、お示しください。
 また、京都議定書はロシアが批准したことで発効しましたが、排出大国のアメリカは、モントリオール行動計画には合意したものの、京都議定書からは離脱したままです。総理は京都議定書へのアメリカの復帰を働き掛けるおつもりがあるか、お尋ねをいたします。
 耐震偽装について伺います。
 建築確認制度に対する国民の信頼を一挙に失わせたのが耐震強度偽装事件でした。現在、関係者の裁判が行われていますが、この事件に政治家が関与したのではないかという疑惑は完全に払拭されておりません。とりわけ、総理、あなた自身にも口利きや政治献金に絡む疑惑が一部のメディア等で指摘されました。さきの国会で取り上げられ、あなたは事実無根と否定されました。その後もあなたの後援会とされる安晋会との関連で偽装事件とのかかわり合いがあるやに報じられています。
 前国会で、我が党の参考人や証人喚問の要求に対し、与党は極めて消極的でした。この事件についていまだ十分に解明されていない政治家の関与を徹底的に解明することが国民に対する責務であると考えますが、総理の決意を伺います。
 終わりに当たって、戦後生まれの初めての総理大臣ですから、その若さを十二分に発揮され、逃げず逃げ込まず、国民に対して率直に、明快に、具体的に答弁されることを期待いたしまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 平田健二議員にお答えをいたします。
 北朝鮮による核実験についてお尋ねがありました。
 本件声明は極めて遺憾であります。仮に北朝鮮が核実験を行うようなことがあれば、断じて容認できないのは当然であります。
 北朝鮮による核開発に関連する活動を含め、平素より情報の収集、分析を行っておりますが、個々の具体的な情報の内容に関しては、今後の情報収集活動に与える影響にかんがみ、お答えすることは差し控えさせていただきます。
 我が国としては、北朝鮮が先般の国連安保理決議を履行することを改めて強く求めます。国際社会としても本件を懸念しており、既に三日、国連安保理の非公式協議においても取り上げられました。我が国としては、本件に関し、米国を始め中国や韓国等関係国との連携をしつつ、適切に対応していく考えであります。
 国民生活の現状についてお尋ねがありました。
 これまでの構造改革の取組と国民の絶えざる努力の結果、不良債権比率は正常化し、主要行の不良債権比率はピーク時の八・四%から一・八%に低下し、今回の景気回復は五年目を迎えており、いわゆるイザナギ景気に迫る息の長い回復を持続しています。完全失業率は、厳しさが残るものの、ピーク時の五・五%から四・一%に低下し、長い停滞のトンネルを抜け出し、デフレからの脱却が視野に入るなど、改革の成果が現れております。
 一方で、勝ち組と負け組が固定化することの懸念、また家族の価値観、地域の温かさが失われたことによる痛ましい事件の発生、さらには高水準の自殺者数など、我が国の発展にとって解決すべき課題が存在をしております。
 政府としては、再チャレンジ支援策、国民の安全の確保、総合的な自殺対策の実施等によってこうした課題にしっかりと対処してまいります。
 雇用対策についてお尋ねがありました。
 最近の非正規雇用の増加傾向は、経済・産業構造の変化や価値観の多様化などにより、企業や労働者が多様な働き方を求めるようになってきていることが背景と認識しております。なお、労働者派遣法等労働分野の規制改革も、こうした多様な働き方を可能にするための必要な改革であったと考えております。
 政府としては、いわゆる勝ち組と負け組が固定化せず、だれでもチャレンジ可能な社会を構築するため、団塊世代などベテラン人材を始めとする高齢者や女性、ニート、フリーターの積極的な雇用を促進することとしております。
 具体的には、フリーター二十五万人常用雇用化プラン等を推進し、二〇一〇年までにフリーターをピーク時の八割に減らすとともに、だれもが意欲と能力を生かして働ける全員参加型社会の構築を図るため、七十歳まで働ける企業の実現に向けた取組を推進し、正規・非正規労働者間の均衡処遇の実現に向け法的整備を含めた検討を進めるなど、実効性のある再チャレンジ支援策を推進してまいります。
 労働契約法制、労働時間法制についてのお尋ねがありました。
 労働契約法制については、就業形態等が多様化する中で、使用者と労働者との対等な立場での合意の在り方や労働者の処遇の在り方について議論を深め、労働契約のルールを整備していくことが必要と考えております。
 また、労働時間法制については、長時間労働を抑制するとともに、労働者が健康を確保しながら能力を十分に発揮できる働き方を可能とすることが重要であると考えております。
 今後、こうした基本的な考え方に立って法的整備を含めた検討を進め、安心、納得した上で多様な働き方を実現し、仕事と生活の調和を図ることのできる労働環境を実現するための制度を整備してまいりたいと考えております。
 年金制度についてのお尋ねがありました。
 年金制度については、平成十六年の制度改正において、上限を固定した上での保険料の引上げ、保険料水準の範囲内で給付水準を自動的に調整する仕組みの導入、基礎年金国庫負担の二分の一への引上げ、積立金の活用等により制度を持続可能なものにするための見直しを行ったところであります。その意義や考え方について国民の方々に御理解いただけるよう、引き続き意を尽くして説明してまいりたいと思います。
 また、年金制度の財源の在り方については、今後とも自立自助を基本とする我が国の経済社会にふさわしい社会保険方式を堅持すべきと考えております。
 国民年金改革と年金の一元化についてのお尋ねがありました。
 国民年金制度については、平成十六年の年金制度改正により持続可能な仕組みとすることができたと考えておりますが、引き続き国民年金の未納・未加入対策の強化に取り組んでいるところであります。
 なお、被用者やその被扶養配偶者も含めた国民年金制度の加入者全体で見れば未納・未加入者は六%弱であることから、破綻状態にあるとの御指摘は当たらないと考えております。
 また、公的年金の一元化については、民間サラリーマン、公務員を通じて、将来に向け、同一の報酬であれば同一の保険料を負担し同一の公的年金給付を受けるという公平性の確保などの観点から、まずは厚生年金と共済年金の一元化を速やかに実現してまいりたいと考えております。
 民主党は、平成十六年の臨時国会に提出された法案や先月発表された小沢代表の案など様々な提案をされていますが、御指摘の国民年金を含めた一元化については、事業主負担をどうするか、所得の捕捉をどうするかといった様々な解決すべき課題があると考えています。また、民主党の各提案は、年金の給付水準や未納者の取扱い、財源に充てる消費税を含む財源の確保方策などが提案ごとに違っている面もあります。
 まずは、何が民主党の提案なのか、具体的な内容を明確にしていただきたいと考えております。その上で、年金制度は長期的な視野に立って改革を進める必要があることから、与野党が胸襟を開いて協議を行うことが重要であると考えております。
 社会保険庁改革についてのお尋ねがありました。
 社会保険庁については、業務改革、職員の意識改革及び組織改革を強力に推進し、国民の信頼回復を一日も早く図ることができるよう徹底した改革を行い、解体的出直しを実現しなければならないと考えております。
 現在、社会保険庁改革の関連法案を国会に提出をし、御審議をいただいているところであり、これが解体的出直しにふさわしいものであるかどうか、またすべて公務員でやらなければならないかどうかということも含めて国会で十分な御議論をいただいた上で、国民の信頼を得ることができる新組織を早期に実現してまいります。
 障害者自立支援法についてのお尋ねがありました。
 本制度は、障害者の方々に対するサービスの計画的な整備、就労支援の強化など、障害者の方々が安心して暮らすことができる地域社会の実現を目指すものであります。また、制度を皆で支えるため、国の負担を義務化する一方で利用者の方にも原則一割の負担をお願いしておりますが、その際、家計に与える影響を十分考慮した負担上限額の設定や個別の減免措置など既にきめ細やかな配慮を講じているところであり、引き続き制度の周知定着を図ってまいります。
 子育てフレンドリーな社会についてのお尋ねがありました。
 私の考える子育てフレンドリーな社会とは、子育てのすばらしさ、家族の価値が社会全体に共有される中で、子供を安心して産み、子供を育てやすい環境が整備され、また、子育てと仕事が両立できる社会であります。
 子育てフレンドリーな社会の実現に向けた支援策のお尋ねがありました。
 政府としては、出産前後や乳幼児期における経済的負担の軽減を含め、子育て家庭に対する子供の成長に応じた総合的な支援を行うとともに、子育てを応援する観点からの働き方の改革を進めてまいります。さらに、子育てのすばらしさ、家族の価値を社会全体で共有できるよう意識改革に取り組み、そうした価値を具現化する子育てフレンドリーな社会を構築してまいります。
 食料自給率についてお尋ねがありました。
 国民への食料を安定的に供給する観点から、食料自給率の向上を図ることは農政上重要な問題と認識しており、将来的には国民に供給される熱量の五割以上を国内生産で賄うことを目指すことが適当であると考えます。
 これを前提に、政府としては、実現可能性を考慮して、平成二十七年度における食料自給率目標を四五%と設定したものであり、消費者、生産者、食品産業事業者など関係者と一体となって食料自給率の向上を図ってまいりたいと考えております。
 品目横断的経営安定対策についてのお尋ねがありました。
 農業が秘めている新世紀にふさわしい戦略産業としての可能性を引き出すために、政府としては、意欲と能力のある担い手に対し支援を集中化、重点化することにより構造改革を進め、生産性や品質の向上などの課題の解決を図ることが必要であると考えております。
 このため、担い手に対象を絞った新たな経営安定対策を十九年度から導入すべく関係法律を整備したところであり、その他の施策と相まって食料の供給基盤の確立や農村の活性化が図られるものと考えております。なお、すべての農家を対象に所得を補償することは、現状の農業構造を固定化させる問題があると考えています。
 トレーサビリティーの義務化についてお尋ねがございました。
 トレーサビリティーは、食についての消費者の信頼確保を図る上で極めて重要な課題、取組であると考えております。国産牛肉に関しては、国内でのBSE発生を受けてトレーサビリティーを義務付けております。それ以外の食品については、食品事業者による自主的な取組を支援することを通じてその普及に努めてまいります。
 京都議定書目標達成計画の着実な推進方法についてお尋ねがございました。
 御指摘のとおり、目標を実現することは容易ではないと認識しております。このため、計画の確実な達成に向けて、施策の一層の強化など対策の加速化を図ってまいります。また、来年度に行う目標達成計画の定量的な評価、見直しにおいては、対策、施策の進捗状況を厳格に評価し、削減目標を確実に達成できる内容にいたします。
 京都議定書の目標を達成できるかどうかについてのお尋ねがありました。
 京都議定書目標達成計画においては、削減目標を達成するために必要な約六十項目の対策を盛り込んでおり、これらの対策が確実に実施されれば目標の達成は可能であると考えております。
 国の温暖化対策の効果についてお尋ねがありました。
 政府としては、国の庁舎における太陽光発電や緑化については可能な限り導入を進めてまいります。また、バイオマス熱利用を進めることにより、二酸化炭素で約七百九十万トンの削減を見込んでおります。こうした取組により、京都議定書目標達成計画に位置付けられた新エネルギー導入による四千六百九十万トンの削減等を目指してまいります。
 京都議定書に関する米国への働き掛けについてお尋ねがありました。
 米国に対しては、これまでも様々な機会をとらえ京都議定書への参加を働き掛けてまいりました。また、地球温暖化対策への様々な取組を強化するよう促しております。
 こうした我が国の立場に変わりはなく、今後も、昨年のモントリオールでの気候変動国際会議での決定に基づき開始された長期的協力のための行動に関する対話や、京都議定書を補完する取組であるクリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ、APPなどでの協力を含め、米国の地球温暖化対策への更なる取組を促してまいります。
 耐震偽装事件に関する政治家の関与についてお尋ねがありました。
 私につきましては、すべてさきの通常国会の予算委員会で申し上げたとおり、事実無根でございます。安晋会という会は親睦の会であります。この会は私の後援会とか政治団体といったものではなく、この会に関連して御指摘のような問題は生じ得ないものと考えております。(拍手)
○議長(扇千景君) このまましばらくお待ちください。
 答弁の補足があります。安倍内閣総理大臣。
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 年金保険料と国税の徴収を一元化することについては、年金保険料と国税とでは徴収の対象が大きく異なることや、年金保険料は長い期間にわたって一人一人の納付実績を管理していく必要があり、徴収業務の基本的な性格が異なることから、業務の効率化等につながりにくいことに留意する必要がございます。(拍手)
○議長(扇千景君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時四十七分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開議
○議長(扇千景君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。有村治子君。
   〔有村治子君登壇、拍手〕
○有村治子君 自由民主党の有村治子です。
 昨日の片山幹事長に続き、自由民主党を代表し、総理並びに関係大臣に質問をさせていただきます。
 九月六日、秋篠宮家に親王殿下が御誕生になりました。連綿と受け継がれる命と国柄の中で、国民とともに歩まれる御皇室の幾久しいいやさかと、悠仁様の健やかな御成長を心よりお祈り申し上げております。
 世界でトップレベルの経済的な豊かさを手にし、生物としての寿命をどの国よりも長く全うできる長寿国となった日本が今後進むべき方向性を模索する中で、このたび、安倍新総理が「美しい国、日本」として目指すべき国家理念を具体的に語り始められたことは、意義深い第一歩だと存じます。
 初当選をさせていただいてからの五年間、私は、しっかりとした国家観と地に足の付いた生活観を併せ持って課題解決を図ることを志し、命の重み、家族のきずな、国家の尊厳という掛け替えのない価値を守ることを念頭に活動してまいりました。
 そこで、今日は、総理の掲げられた美しい国づくり内閣で、このような根本的な価値がどのように守られ、具体的施策として実現していくのか、また、総理が私たち国民にどんな行動を期待されるのか、少子化対策、教育問題、公共事業、領土に関する外交問題についてお伺いいたします。
 まず、世論の八割が懸念を示している少子化について伺います。
 近年、政府は、少子化対策を相次いで策定され、三年前からは少子化担当特命大臣職まで設置して活動されてきたことは理解しております。しかしながら、現在の社会保障費予算を見ますと、圧倒的な割合で高齢者に予算が配分されており、次代を担う子供たちに使われている予算は極めて低い水準にとどまっています。
 内閣府の少子化社会白書によると、平成十五年度の社会保障費における高齢者予算は全体の七〇%を超えているのに対し、育児や少子化対策としての家族支援は社会保障費全体のたった四%にすぎません。高齢者関係の給付金と比較すると、約十九分の一というすさまじく低い水準にあります。この極端に偏った予算配分が是正されない限り、少子化対策の政策提言でどれだけ美しい言葉を並べてみても、目に見える効果は極めて限定的です。
 総理並びに少子化担当大臣は、社会保障費に占める高齢者・少子化対策のいびつなほどの予算配分をどう認識していらっしゃいますか。また、この現状を直視し、その偏向を是正するという社会保障費の本丸に手を付けていただく覚悟がおありかどうか、お答えください。
 そして、予算の配分を改善していただけるとすれば、高齢者対策と少子化対策の予算配分は何対何くらいの割合がふさわしいとお考えなのか、具体的にお示しいただきたいと存じます。
 高齢者と子供に関する社会福祉の圧倒的な格差の是正に取り組み、バランスの取れた世代間互助の精神と制度を打ち立てていくことこそ、国家の根幹にかかわる政治課題です。
 これと並んで、マタニティマークの普及、促進を図っていただきたいと思います。
 私自身も三年前に出産し母親となりました。妊娠して最もつらいのは、大きなおなかになった安定期ではなく、むしろおなかの膨らみがまだ見えない、つわりが続く妊娠初期なのだと身をもって学びました。通勤電車などでは、本当は助けてほしい、でも妊娠していることを大げさにはしたくないというジレンマを多くの女性が感じています。数々の女性とひざを交えての話合いを重ねる中で、マタニティマークを制定すること、そしてそのマークが社会的に認知され、市民権を得ることが重要だと痛感し、活動してまいりました。
 そして、今年三月、母子愛育会の皆さんによる作品が、妊婦の声を代弁する全国統一のマタニティマークとして決定したことを本当にうれしく思っています。厚生労働省も最後までよく頑張ってくれました。一人でも多くの国民の皆様にこのマークを知っていただきたく、現在私は妊娠しておりませんが、今日はあえて胸にマタニティマークを付けております。
 この八月からは、東京メトロ、JR、東急電鉄などの鉄道会社十六社が協力し合って、首都圏の各駅において妊婦さんに無料でこのマークを配布してくださるようになりました。官民が連携して困難を乗り越え、やっと実現したこの取組を誇りに思うとともに、私たち一人一人が持っている善意が広がっていることに希望を抱きます。
 このマタニティマークは、現在、厚生労働省のホームページからダウンロードし、だれもが自由に活用できるようになっていますが、まだまだ国民全般への認知度は高まっていません。命をはぐくむことを温かく見守り応援する日本社会を実現するためのシンボルとして、例えば母子手帳の交付の際にマタニティマークを添える、おなかの大きな妊婦さんのイラストになっている電車の優先席の表示をマタニティマークに変え、おなかは出ていないけれども一番つらくて流産のリスクも高い妊娠初期の女性も心置きなく優先席に座ることができるようにするなど、命をはぐくもうとする女性が温かく見守られていることが実感できるような啓発を実施していただきたいと思います。厚生労働大臣、いかがでしょうか。
 最近、本当に不名誉なことですが、出産難民という先進国にあるまじき言葉が残念ながら定着しつつあります。これは離島やへき地だけの問題ではなく、出産数が毎年六百以上あった市民病院でさえ、医師の不足によって産婦人科の閉鎖を余儀なくされた埼玉県草加市の例もあります。町の産婦人科が閉鎖され、産気付いても、一時間以上掛けて隣町へ車を走らせ、やむを得ずタクシーの中で出産を覚悟したという報道もなされています。
 総理は、所信演説の中で産婦人科等の医師不足対策の推進に言及され、厚生労働省と文部科学省が連携する動きが出始めましたが、産婦人科の拠点集約化を唱えるだけでは、毎年誕生する百万人以上の掛け替えのない小さな命の安全と、その地域、家族の安心を守り切ることはできません。小手先の対処法や、目に見える効果が十年後というのでは困ります。総理には、いつまでにどのような施策を実施することによって出産難民を解決するお考えなのか、説得力のある具体策を是非お示しください。
 次に、バリアフリーに関する公共事業について伺います。
 総理が掲げられる美しい国をつくっていくためには、国民それぞれが抱く夢を実現しようとする志やハートに火を付けてその先頭に立っていただくと同時に、国民各々が社会に参画し、持っている力を最大限発揮できる土壌や基盤を整えることが重要になってまいります。
 選挙区である全国で出張を続け、車いすや介護が必要な方々とともに移動する経験の中で痛感をしたことがあります。町中で意味のない段差がいかに多いことか。健常者にとってはさほど気にならないたった数センチの段差であっても、その地点で立ち往生し、文字どおり行く手を阻まれる方が今この瞬間も全国にいらっしゃいます。この数センチの段差は、実は車いすやつえを使用する方、足腰の弱った方々のみならず自転車に乗る健常者にも危険をはらんでおり、ベビーカーを押す子育て世代、車輪の付いたキャリーで荷物を運ぶ人々も難儀しています。
 どの国よりも速いスピードで刻一刻と忍び寄っている少子高齢社会において、社会に参画する意思があるにもかかわらず、段差に不便を感じ続けることが苦痛になり家から出なくなる層が多くなっていくことを強く案じます。
 そこで提案です。安倍政権では、全国の不要な段差を解消していただき、国民一人一人が持てる力を存分に発揮する、そういう志と気概が生かされる日本社会なんだという参画型の地域のきずなを支援する政府の意思と哲学をお示しいただきたいと存じます。
 総理が信念を持って国民に呼び掛けられた美しい国の美しい町づくりが実践され、安倍政権だからこそ無駄な段差、凸凹がない美しい町並みが再生されたと後世の歴史の評価に堪え得る政策努力を是非御検討いただきたく、全国段差解消プロジェクトに着手していただく意思がおありになるかどうか、お考えを伺います。
 総理は、教育基本法の成立を今国会最大の課題と明言されました。教育は国民性をつくる礎、各人が主体的に自らの人生を切り開いていくための力をはぐくむ人格形成の土台です。国際社会の中でも堂々と渡り合うことのできるたくましい子供たちをはぐくむため、教育基本法改正を含む教育再生は一刻の猶予も許さない喫緊の政治課題です。
 文部科学省では、入学式、卒業式での国旗掲揚率、国歌斉唱率が問われ、これが例年のように政治問題化していますが、率直なところ、私はこのことをいつも残念に思っています。右だ左だのイデオロギー論争において国旗・国歌が論じられると、どんな立場を取るにせよ、警戒感が広がり、緊張が走ります。教育現場における国旗掲揚率という現象面を追求するだけが本来の目標ではないはずです。
 トリノ・オリンピックで金メダリストとなった荒川静香さんが世界一優雅で強いアスリートとしての称賛を受け、思わず日の丸を身にまとって銀盤を美しく舞った姿や、イチロー、松井選手など世界で活躍する日本人の粘り強さに、私たち国民の多くは同じ日本人として率直な喜びと感動を覚えます。
 学校教育においても、国旗・国歌が政治思想の対立の中で論争の具にされるのではなく、日本の国柄を自然な環境の中で慈しみ、誇りが持てるよう、子供たちが心を揺り動かされるような感動や達成感を味わう場面において、気が付けばいつもそこには国旗がたなびいていたというような機会をいかにたくさん設けてあげられるかこそ、私たち大人が日々の生活の中で努めていかなければならない国民の教育であり、その教育をつかさどる文部科学省、政府の重要な姿勢だと認識いたします。
 戦後体制からの脱却を掲げられた安倍総理、緑の自然に培われた風土で国柄を慈しみ、誇りに思う教育を実際にはどのような教育施策によって実践されようとお考えなのか、総理の御所見を伺います。
 格差を固定化しないという観点からも、何人であれ平等のアクセスを持つ義務教育の教科書無償制度について伺います。
 今年度も三百九十五億円の国家予算が費やされ、この春には約一千百万人の児童生徒が新しい教科書を手にしました。例えば、中学校一年生一人当たり約七千円の教科書代が掛かっています。しかし、学校や地域、家庭教育において、この教科書無償制度に込められた思いが十分に語られてこなかったことに私は危機感を覚えています。この指摘を受け、共感してくださった教科書会社各社が自発的な意思で、この教科書は、これからの日本を担う皆さんへの期待を込め、国民の税金によって無償で支給されています、大切に使いましょうという文言を、小学校では来年度後半の教科書から、また中学校教科書は平成二十年度から、義務教育における全教科書において掲載してくださるようになったことは画期的なことだと喜んでおります。
 終戦直後、焦土と化した国土において、食べるものにも窮した時代から、日本の将来を切り開く教育にこそ投資をと、正に米百俵の精神で始まった教科書無償制度。日本人が生きる知恵としてつないできた世代間互助の精神が息づく教科書無償制の堅持とその意義の周知について、文部科学大臣の御所見を伺います。
 総理は、所信演説の中で、主張する外交への転換を提唱されました。日米同盟を基軸に友好的なアジア外交を宣言され、近いうちに中国、韓国とのトップ会談が実現されることに期待をつなぎます。また、隣国ロシアについても、首相就任の第一声で領土問題解決に向けて言及をされたことに非常に勇気付けられました。
 第二次世界大戦後に、武装したソ連兵によって不法に占拠された北方の四島、この領土を追われた旧島民の方々の平均年齢も七十三歳を超えました。戦後六十一年待ちました、あと何年待てば先祖が眠る島に帰れるのでしょうか、私の目の黒いうちに島に帰らせてください、どうか助けてくださいと、しわを深く刻み、腰の曲がった体を震わせながら渾身の思いで訴えられる旧島民の姿は、刻一刻と迫りくる御自身の寿命を意識した上での極めて切実な訴えです。これまでどれだけの苦悩と望郷の思いを背負って生きてこられたのだろうかと思うと、私自身、いたたまれない気持ちになります。
 独立国家を成す要件は、私たち国民が存在すること、そして国民が住む領土が存在すること、そして国民自身が国の在り方を自由に決定できる主権が存在することだと認識しています。平時において領土に思いを致す国民を一人でも多くしておくことが、コストが掛からず、銃も血も必要ない最も大切な安全保障政策であり、平和を守り切るための大事な基盤だと考えます。それゆえに、教科書における領土と主権の記述には、引き続きその正常化、充実を求めます。
 過日、北方領土海域で日本漁船が拿捕され、乗組員がロシア当局に拘束されました。根室納沙布岬から四キロも離れておらず、百五十一年前の日露通好条約締結以来、一貫して我が国固有の領土であり続けた歯舞諸島において、なぜ自国民が命を落とさなければならなかったのか。これは、漁業問題という産業の一側面にとどまらず、れっきとした領海侵犯、主権にかかわる外交問題です。
 昨日午後、ロシア当局からやっと船長が解放されましたが、今回、船長らが拘束されていた施設は私たち日本国民の貴重な税金によって建設された日ロ友好の家であったというのは、極めて皮肉な外交的屈辱です。ビザなし交流も含め、今まで莫大な費用と知恵と友情を費やしてきたはずの北方領土返還に向けての日ロ友好は一体何だったのでしょうか。無念です。
 領土の一部を失って黙っている国民は領土のすべてを失う危険を負う、ドイツの法哲学者イエーリングの言葉です。北方四島を始めとする領土問題に向き合わなければ、竹島などにおいても犠牲者が生じる懸念がぬぐえません。そう遠くない将来、エネルギーや食料の世界的な争奪が激しさを増す中、海洋国家日本の領土、領海を守る啓発の在り方及び海洋資源の確保、保全に対する戦略をお聞かせください。
 北方四島に関しては、私たち自由民主党、公明党、民主党、共産党、社民党という主要な政党がすべて、毎年二月七日、北方領土の日に行われる返還要求大会に党首クラスの幹部を出席させ、領土返還に向けて、与野党の域を超え、全力で努力をすることを誓い合っています。事この北方領土に関しては、国内における右、左のイデオロギー論争は一切なく、独立国家日本の正に主権を懸けた悲願であるはずです。
 歴代の政権では、北方領土返還に御尽力いただいたものの、外交的な進展は見られませんでした。安倍総理は、現在までの日本政府の対応に何が足りなかったと認識されていらっしゃいますか。また、この教訓を受けて、今後いかなるリーダーシップを発揮し、ロシア外交に臨まれる御予定でしょうか。日ロ平和条約の締結のめども含め、主張する外交への転換を打ち出された安倍総理の領土問題解決に向けての戦略を明確にお示しくださいませ。
 有村君、我々自由民主党の政治家は、自民党を支持してくださる方々を大事にするだけでなく、政権を担う政党として、たとえ野党を支持される方であっても、また支持政党を持たない無党派層や赤ちゃん、子供たちも含めて、一億二千七百万余の日本人の生命、財産を守る責任を負っているんだ、どんなにつらいときも、その気概と責任をしっかりと心に刻みつつ日々任に当たっていこうじゃないか。初当選させていただいた五年前、尊敬する先輩議員に真顔で教えていただいた行動哲学です。厳しい与野党対立を迫られる政党政治にあっても、国民全体への奉仕者であるべき公党の原点を忘れまいと自らに言い聞かせます。
 自民党には改善すべき点がまだまだありますが、歴史や先人に学び、その知恵や教訓を未来に向かって生かそうとする時間軸、歴史軸をしっかりと保守の軸足に据えて、未来に果敢にチャレンジしていく自由民主党の議会人であることに誇りと責任をずしりと感じます。
 安倍総理には、持ち前の強い覚悟と人情味あふれる温かいリーダーシップで美しい国の主体を成す私たち国民に粘り強く語り続けてくださいませ。理想を高く掲げ、目標に向かって邁進される安倍内閣の志に共感し、誠心誠意、日本の将来に責任を負う国づくりの一線にともに立たせていただきたいという意思と決意を明確にして、私、自由民主党有村治子の質問を完了いたします。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 有村治子議員にお答えいたします。
 少子化・高齢化対策予算についてお尋ねがありました。
 これまで、少子化対策関係の予算額は年々増加していますが、医療、年金などの給付を多く受けている高齢者の比率が高まるにつれ、高齢者関係給付費がそれ以上に増加をしており、結果として、高齢者関係給付費に比べると相対的に少子化対策関係の給付費の比重が低い状況となっております。
 この急速な少子高齢化の進行の中で、世代間の公平性を確保するとともに、制度を持続可能なものとする観点から、年金、介護、医療等の改革を実施してきたところでありますが、今後ともこうした観点からの改革を継続していく必要があります。
 高齢者関係給付費との関係から、直ちに少子化対策関係の給付費がどの程度であるべきかが定められるものではありませんが、御指摘のとおり少子化対策は国の基本にかかわる重要な政策課題であり、子育てのすばらしさ、家族の価値を共有できるような意識改革、子育てを応援する観点からの働き方の改革とともに、総合的な子育て支援策を進めるとともに子育てフレンドリーな社会の構築を目指してまいります。
 産科医不足についてのお尋ねがありました。
 産科の医師については、ここ五、六年において出生一人当たりの医師数では変わりませんが、地域間で偏在をしているところであり、どの地域でも安心、安全なお産ができる体制を確保することは喫緊の課題であると考えています。
 このため、安全なお産ができる体制の整った産科の拠点病院を整備する一方で、どの地域でも安心して出産ができるよう、拠点病院と地域の診療所等の連携を促進するなど適切に医療資源の活用を図るほか、産科医師に多い女性医師の確保のため女性医師バンクを新たに創設するなど、特に不足地域における対応に重点を置きつつ速やかに対策を講じてまいります。
 段差解消等のバリアフリー化の推進についてのお尋ねがございました。
 年齢や障害の有無にかかわらず、だれもが社会の活動に参加することができる社会を実現するため、ハード、ソフト両面にわたる社会のバリアフリー化を推進していくことが重要であります。政府としては、今後、バリアフリー新法を活用して町中の段差解消にも取り組み、高齢者や障害者に優しいバリアフリーの町づくりを進めてまいります。
 国を愛する教育についてお尋ねがありました。
 次代を背負って立つ子供たちが、日本人としての自信と誇りを持ち、国際社会でたくましく生きていく力を身に付けていくことが重要であります。
 我が国は、世界に誇り得る美しい自然に恵まれ、そして、長い歴史、文化、伝統を持つ国であります。この我が国の歴史、文化、伝統への理解を深め、尊重し、我が国を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度をはぐくむ教育の充実に努めてまいります。
 我が国の領土、領海と海洋資源に関連してのお尋ねがありました。
 我が国の領土、領海に関する啓発については、領土問題についての我が国の立場をしかるべく広報していくことが重要と考えております。我が国国内のみならず、第三国においても機会をとらえて引き続き我が国の立場を説明していきます。
 海洋資源の確保及び保全は我が国にとって極めて重要な課題であると考えており、政府としては、国際法にのっとって毅然とした対応をしていく考えでございます。
 北方領土問題へのこれまでの取組についてお尋ねがございました。
 政府としては、これまで日ロ行動計画に基づき、領土問題を含めた幅広い分野で日ロ両国関係の進展に努めてきたところでございます。しかし、まだ、この領土問題の解決を含め、日ロの平和条約締結に至っていないことは誠に残念なことでございます。
 北方領土問題への今後の対応についてのお尋ねでございますが、ロシアは様々な問題について利害を共有する大事な隣国であります。日ロ両国間で幅広い分野における関係を更に前進をさせ、信頼関係に基づくパートナーシップの構築に向けて努力をしてまいります。そのためにも、最大の懸案である北方領土問題の解決に向け、粘り強く取り組んでまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣高市早苗君登壇、拍手〕
○国務大臣(高市早苗君) 有村治子議員からは少子化対策と高齢化対策の予算配分について御質問を賜りました。
 有村議員御指摘の平成十五年度の社会保障給付費、これを見ますと、確かに高齢者関係給付費が五十九・三兆円、全体の約七割でございます。児童・家族関係給付費が三・二兆円、これ約四%ということでございます。特に、この高齢者関係の給付費、中身を見ますと、年金、保険、これで四十三兆円、それから老人保健医療、これで十・六兆円でございますから、約九割を占めます。非常に大きな規模の費目となっております。人口構造の変化から、この高齢者関係給付費というのは増大傾向にあるのは御承知のとおりでございます。
 どうしても、高齢者のために必要な給付を大幅にカットして、じゃ少子化対策に移せるかというと、これはまた現実的に非常に難しい問題と思います。しかし、一方で高齢者福祉の支え手、担い手となるのが若い世代でもございますので、この方々への支援ですとか、それから、日本の将来の競争力を見据えて人口減少傾向、これを反転させるといった取組が必要なのも確かでございます。
 こうした中で、今年の五月に取りまとめられました社会保障の在り方に関する懇談会の報告でも、「社会保障給付費全体に占める高齢者関係給付費と児童・家族関係給付費の格差・バランスの見直しに取り組むことが必要である。」という指摘もございます。
 先ほど総理が答弁されましたとおり、直ちに少子化対策の関係給付費がどの程度であるか割合として示すことは非常に難しゅうございますけれども、少子化対策は国の基本にかかわる重要課題でございますので、私の役割といたしましては、今年六月に定められました新しい少子化対策、これを着実に実行する、そのために必要なお金をきちっと確保して積み上げていく作業ですね。それから、やはり高齢者にも子育て世代にも安心していただく施策を実現するために必要なお金、これをどう確保するかということを考えますと、やはり経済成長を維持して経済のパイを大きくする、これは政府全体で努力をする必要もございます。
 それから、お金以外の要素、マタニティマークの御指摘もございましたけれども、国民全体、社会全体で子育て世代、また妊娠中の女性に対しても優しい、そんな空気をつくり上げていく啓蒙活動で頑張ってまいりたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣柳澤伯夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(柳澤伯夫君) 有村治子議員からマタニティマークの普及、定着の必要性につきまして熱のこもった御意見をお聞かせいただきました。
 実は、政府・与党の合意であります「新しい少子化対策について」におきましても本マークの広報、普及を図ることといたしておりまして、厚労省といたしましても、一つ、政府広報による国民への周知、二つ、関係省庁を通じた関係団体への協力依頼、このことにつきまして、先ほど電車内に是非このマークをという御提言もありまして、ただいま冬柴大臣にこのことを陳情し、御了承をいただいた次第でございます。
 それから、三、各自治体の自主的な取組の促進、この点に関連しまして、先ほど母子手帳と同時交付ということ、これは趣旨はもう全く私は賛同いたします。ただ、保健所に対してどのような支援をすればいいか、多分、概算要求に入れてあるか入れてないか、私はまだそこをつまびらかにいたしておりません。もし入れてなかったら、これは尾身財務大臣にお願いをして、再チャレンジ同様、枠外の追加要求をいたしたいと、このように思っております。
 どうもありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣伊吹文明君登壇、拍手〕
○国務大臣(伊吹文明君) 有村議員からは教科書無償制度についてのお尋ねがございました。
 これは、昭和三十八年だったと思いますが、憲法の規定である教育を受ける権利、それから義務教育の無償、これを支える大きな柱として入ったものですから、これを守っていくのはもう当然のことだと思っております。
 おっしゃったように、児童あるいは保護者がこれをただで受け取るわけですが、これは決してただでできているわけではありませんで、国民の税金が入っておるわけでございます。
 したがって、多分、納税世代の納税をしておられるお気持ちは、自分たちが年金世代になったときに、日本という国が外国から尊敬をされて、そして温かい共生のできる国家として、また、経済も活力があって、自分たちの年金、医療、介護をしっかりと支えてくれる国民に育ってほしいと思って税金を負担しておられるわけですから、この教科書無償制度にかかわらず、教育に入っているお金はみんな国民の血税ですから、教育の成果を上げるように、運用と同時に、現状が法律とそぐわない場合には法律改正を立法府にお願いをして、御一緒に立派な日本をつくっていきたいと思います。(拍手)
    ─────────────
○議長(扇千景君) 鈴木寛君。
   〔鈴木寛君登壇、拍手〕
○鈴木寛君 民主党・新緑風会の鈴木寛でございます。
 私は、初当選以来、一貫して教育問題に取り組んでまいりました。これまでほとんど注目されることがなかった教育問題を安倍総理が最重要課題として取り上げていただきましたことは、率直に歓迎を申し上げます。これをきっかけに日本じゅうで教育論議が沸き起こりますことを期待して、質問に入らせていただきます。
 私は、昨年九月から、民主党、次の内閣の文部科学大臣を務めさせていただきました。本年五月、我々民主党は日本国教育基本法案を提出し、その前文に、美しいものを美しいと感ずる心をはぐくむとの一文を盛り込み、提案理由で、物質偏重主義を脱し、コミュニケーションや知恵や文化などをより重視する情報文化社会の創造を目指すと述べました。
 また、私自身、七年前、慶応大学で教鞭を執っておりました折、二十一世紀には美意識、美徳、良心に基づき人々が自発的な活動を行うという功利を超えた価値観が醸成されるとの考えを出版などしておりましたので、安倍新総理が美しい国づくりを唱えられることは結構なことだと思ってはおります。
 しかしながら、総理の言動は余りにも矛盾と欺瞞が多過ぎます。せっかく美しい国を口にされるのであれば、もっと整合の取れた議論をお願いを申し上げます。
 総理も、損得を超える価値を大事にと著書で書いていらっしゃいます。正に美しい国づくりとは、経済合理主義、功利主義を超えて、多くの人々がそれぞれの美学に基づき自発的に社会に貢献し、そのことを美しいこととしてみんなが応援をする社会をつくることであります。
 しかし、そうした社会とは対極の、損得を価値判断の重要な基準とする社会をこの五十年の長きにわたってつくり続けてきたのは、ほかならぬ自由民主党であります。そして、安倍総理が支え続けた小泉政権はそれに磨きを掛けてこられました。その自由民主党が美しい国づくりを行うことなど到底不可能であるということをまず申し上げておきたいと存じます。
 それが証拠に、損得を超える価値には、貸金業者の損得よりも庶民の生命、人生を守る価値も当然に含まれますが、現在、政府・与党は貸金業者の損得を優先する法案を成立をさせようとしております。
 また、生命、健康も、本来、損得を超える大変貴重な価値であるはずです。我が国の国民医療費はGDPで八・〇%、そのうち税金投入分は一・三%、アメリカは医療費総額がGDPの一五・三%で、税金投入額がGDPの四・七%となっており、我が国の医療費への税金投入はある程度抑制をされているにもかかわらず、小泉政権はそろばん勘定だけで医療を考え、高齢者の自己負担を引き上げ、医療現場への診療報酬を引き下げてきました。安倍総理もこれまでの現場無視の医療政策を継承していくお考えか、お答えをください。
 総理は、御著書の中で、子育ての価値は損得を超えるとも書いていらっしゃいます。私も全く同感でありますが、であれば、父親、母親に平気でサービス残業や休日出勤を強いている企業に対しても全く同じことをおっしゃってください。そして、ワーク・ライフ・バランスを重視した労働法制を速やかに再構築してください。お願いを申し上げます。
 小児科、産科の医師不足問題も損得を超えて真剣に取り組んでいただきたいと存じます。私は、今年の三月、周産期医療の崩壊をくい止める会の皆さんを厚生労働大臣のところへお連れいたしましたが、小児科、産科を始め高度医療や終末医療を担っておられる医療スタッフは、余りにも過酷な労働条件の下、また、本年二月の福島県立大野病院事件以降は、たとえベストを尽くしたとしても、結果が残念な結果に終われば逮捕されてしまうかもしれないというリスクにおびえながら働いておられます。そうした職場に耐え切れず辞職する医師も続出し、多くの産科病院が閉鎖に追い込まれてしまいました。
 総理、こうした医療現場を正常化するためにも、医療事故に関し、より公正かつ適正な法適用を可能にする、事実解明、原因究明に関する第三者機関の設立を検討していただきますよう、お願いを申し上げます。併せて、お産に関する無過失賠償制度の検討も早急に行っていただきますよう、お願いを申し上げます。
 また、日本の医師数は人口千人当たり二人とOECD平均二・九人に比べてもかなり少なく、更に高齢化が進む中、臨床現場のマンパワー不足は明らかであります。にもかかわらず、厚生労働省は、医師の偏在はあっても全体では足りていると、このように強弁をし続けております。是非、総理、医師不足や医療現場の労働基準法違反の実態を調査し直すように厳命をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 こうした課題に真剣に取り組むことなく、単に美しい国づくりを字面だけで語っているのだとしたら、それは国民への大変な冒涜であります。
 総理は、教育改革の課題として基礎学力の向上と規範意識を身に付けることを挙げていらっしゃいますが、今日最も深刻なのは、三年前から急増し、二〇〇五年では二千十八件にも上っている子供による校内暴力や傷害事件の続発と、子供の生命自身が脅かされる事故、事件の頻発であります。今こそ生命の大切さと自らの命を守ることをしっかりと教えていくことが極めて重要だと考えますが、総理の御所見を伺います。
 こうした中、我々民主党は、日本国教育基本法案に、生の意義と死の意味を考察し、命あるすべてのものを尊ぶ態度を養うことは教育上尊重されなければならないとの一文から始まる、全四項目に及ぶ生命及び宗教教育に関する条文を盛り込みました。ちなみに、政府案は、中教審の案からも後退して、宗教教育については「一般的な教養」との文言を追加するにとどまっております。さらに、我々は、インターネットの光と影や国語力教育の充実など、「情報文化社会に関する教育」に関する条文も盛り込みましたが、政府案ではインターネット教育については一切触れておりません。
 総理、我々のこうした案を参考に政府の基本法改正案を改めて見直してはいかがでしょうか。お考えをお聞かせください。
 総理は、教育改革の具体論として、授業時間増、外部評価、教員免許更新制の導入を掲げられましたが、教育予算については一切言及がありません。安倍総理の教育改革論の最大の欠陥は、教育予算の話が全く語られていないことにあります。我々民主党は、教育こそ未来への最大の投資だと認識し、コンクリートから人づくりへ予算を回すべきだと考えております。
 そもそも、我が国の教育予算ですが、初中等教育の公財政支出はGDPの二・七%、高等教育へは〇・五%。米国ですら初中等教育に三・八%、高等教育に一・四%です。フィンランドは実に、初中等教育に四・〇%、高等教育に二・一%、教育にお金を掛けています。
 民主党の教育基本法案では、教育振興計画にGDPに占める公財政支出の比率を明記し、教育予算を少なくともまずは米国並みに引き上げていくことをうたっております。
 我が党のこうした主張を自民党幹部はばらまきだと批判し、自民党は本年五月、今後教育費は大幅に削減するとの方針を決定をいたしました。教育予算の増額については、それをばらまきだと考える自民党と、それを未来への投資だと考える我々民主党で立場が百八十度違っております。
 教育を叫ぶ安倍総理、教育削減のこの自民党の方針を踏襲されるのであれば、正にそれは欺瞞であります。コメントがあれば伺いたいと思います。
 安倍総理の改革手法は、一言で言えば、教育現場に対する圧力強化と兵糧攻めであります。北朝鮮に対してはそれで結構でありますが、日本の教育現場は我が同胞によって支えられているのです。
 多くの教師たちは、教育委員会への報告書作成に追われ、様々な事情を抱えた保護者の対応に疲れ、テレビ漬けで切れやすくなってしまった生徒児童を様々な制約の中で指導しています。そうした中、燃え尽きる教師も続出しています。教師の自殺も相次ぎ、精神性疾患による休職者数は三千五百五十九人に及んでいます。これが教育現場の実情であります。
 私は、七年前、金子郁容教授とともにコミュニティ・スクール構想を提案しましたが、本来国がなすべきは、現場における教師と親と地域との対話と協働を促し、学び支援のコミュニティーを全面的に応援していくことであります。
 教師をバッシングしていっときの世間の注目と支持を集めても何の意味もありません。現場を締め上げれば教育は再生できるとの安易な認識は、この際改めていただきたいと思います。
 そもそも、人を育てるためには、愛情を込めて、手間を掛け暇を掛け、目を掛けて、心を配ってあげることが必要であります。そのためには、教育人材の質と数が確保されることが不可欠であります。
 まず、絶対に解決しなければならないのは教育格差の問題です。再チャレンジを言う前に、人生の第一回目のチャレンジでだれもが同じスタートラインに立てるよう、すべての人々がそれぞれにふさわしい教育機会を享受できるように全力を挙げるのが我々政治家の務めであります。格差の是正に本腰を入れればおのずと学力も向上をいたします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 つまり、二〇〇三年、PISAが行った国際学力調査で、読解力が世界十四位に転落をしたことが明らかになりました。習熟度最上位を示すレベル五の比率は、二〇〇〇年も二〇〇三年も全体の約一割で変わっておりません。しかし、レベル二、レベル一、レベル一以下の合計が二〇〇〇年調査では全体の二八%であったものが二〇〇三年には四〇%に増えたことによって平均点が下がってしまっているのであります。レベル二以下の子供の多くは、塾に通うことができない経済的余裕のない家庭のお子さんであります。こうした子供たちに対する底上げを図ることこそ公教育にとって最も必要なことだと思いますが、総理はいかがお考えですか。
 底上げに必要なのは、補習や少人数教育のための人員増であります。フィンランドの授業時間は決して長くありません。しかし、生徒当たりの教師数は日本の約二倍であります。
 しかし、この春に成立した行政改革推進法は教員を五%削減することを法定化しておりますので、この法がある限り補習や少人数教育の実現のための教員増は困難であります。安倍総理が学力向上を掲げても、行政改革推進法を見直さなければ何もできません。総理、この改正に踏み切る覚悟がありということなのでしょうか、お答えください。
 また、私は、土曜学校運動や放課後学校などを提唱してきました。来年度に向けて放課後等支援事業を新規要求していただいていることは評価をいたします。ただ、補習など必要な中学生に対しても十分に配慮していただきたいと存じますが、文部科学大臣の御所見を伺います。
 さらに、格差解決に不可欠なのは、高等学校、大学、専門学校、そして高専などにおける奨学金の抜本的充実であります。私は、一貫して希望者全員奨学金制度の実現を訴えてまいりました。我が国の高等教育費における自己負担比率は約六割に上っております。米国ですら三割、フランス、ドイツは約一割、フィンランドはわずかに三・五%であります。民主党の教育基本法案でも高等教育の漸進的無償化と奨学制度の充実を盛り込んでおりますが、これこそ教育格差解決の切り札であります。
 総理、奨学金充実に是非とも本腰を入れていただきたいと存じますが、いかがでありましょうか。
 総理がおっしゃる外部評価の強引な導入は現場をゆがめるおそれもあります。美しい国とは、数字にならない価値をも大切にする社会でもあります。人間の能力や業績も数値で測り得るものと測りにくいものがあります。外部評価のみを強化すると、学校は、現場は数値化できない仕事の軽視を始めざるを得ません。また、十分監査能力のある監察官の確保は極めて困難でありますから、評価の信憑性が疑われる事態も発生しかねないのであります。
 我々は、むしろ地域住民や保護者を始めとする学校関係者、当事者たちによるコミュニティー評価がより有効だと考えております。監察官の目はごまかせても、日ごろ接している保護者や地域ボランティアの目はごまかせません。と同時に、コミュニティー評価は、教師だけが一人で抱えていた問題をみんなで共有し、教師や地域住民、保護者との対話と協働のきっかけにもなり得ます。
 コミュニティー評価を普及させるためにもコミュニティ・スクール化、地域立学校化は極めて重要な課題であり、我々民主党は、教育基本法案の中で地域立学校化の全面的な推進を制度的にきちっと明記をさせていただいているところであります。既に五反野小学校で実証をされていますが、コミュニティー評価によって教師たちはどんどん成長をしています。こうした実践を踏まえて、外部評価の導入については慎重に検討をすべきであると思いますが、総理の御所見を伺います。
 教員免許更新制については、校長などから強い懸念の声がわき起こっております。校長、教頭が免許更新の判定を実際には行うということになりますが、仮に十年に一度だとして、全国の教員百万人の約一割に当たる十万人の審査に毎年大事な管理職の時間が忙殺をされてしまいます。それだけの社会コストを払ったとしても、多くの学校では形骸化し、教員の質向上には恐らくつながりません。
 指導力不足教員対策では京都市が既に実績を上げております。それを広げていった方が明らかに有効であります。京都市は、人権擁護委員やあるいは臨床心理士といった専門家も入れて丁寧に研修や対話を積み重ね、本人の自覚を促し、相当数の指導力不足教員を実際に退職をさせています。
 また、今後は、学校経営、教科指導、生活・進路・キャリア指導などの専門コースを教員専門職大学院に設け、十年研修やe―ラーニングなども活用して修士課程を修了させ、実務経験などを勘案して、上級の専門免許などを交付するようにしていけば、それを目標に教師は前向きに研さんに励みます。
 総理、是非ともこうした蓄積された議論を参考にして、免許更新制の導入についてはきちっと慎重に議論をすべきだと考えます。総理の御所見を伺いたいと思います。
 最後に、総理にお願いがございます。
 教育、医療を始め、世の中の様々な現場の方々にもっともっと思いをはせていただきたい。全国津々浦々の教育現場、医療現場では、今日も朝早くから深夜まで大勢の医療スタッフ、教育スタッフが様々なプレッシャーや劣悪な環境に耐えながら一生懸命頑張っていただいております。ごく一部の非難されるべき教師や医師を除き、大多数は本当にまじめに誠実に生徒の人生や患者様の命を使命感を持って預かり、その任務を全力で全うしようと、それこそ損得を超えて日夜研さんと精進を重ねておられます。
 しかし、小泉政権の五年半、そうしたまじめに頑張る現場の人間が余りにもないがしろにされてきました。その結果、現場のプロたちの献身的な努力も力尽き、限界に達しつつあります。安倍総理、私が本日お伝えをしたかったことは、あなたの側近たちがやろうとしていることは現場を支えるプロの皆さんのプライドや職人魂を踏みにじる危険性を大いにはらんでいるということであります。
 美しい国づくりは、誇りや美学を持って一生懸命頑張っておられる現場の皆さんに、まず我々自身が心から敬意を払い、心から信頼を寄せることによって始まっていくのだということを申し上げ、私の代表質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 鈴木寛議員にお答えをいたします。
 医療政策についてのお尋ねがありました。
 医療制度については、急速な高齢化の進展に伴う医療費の増加が見込まれる中で、将来にわたり持続可能なものとしていくことが不可欠であります。
 このため、先般の改革においては、低所得者に配慮をしながら患者負担を見直すとともに、小児科、産科等を重点的に評価しながら全体としては診療報酬の引下げを行ったほか、生活習慣病予防や長期入院の是正、七十五歳以上の高齢者を対象とした新たな医療制度の創設、都道府県単位を軸とした保険者の再編統合など、超高齢社会を展望した医療保険制度体系の見直しを行うこととしたところであります。
 今後とも、将来にわたり持続可能な制度を構築する観点から必要な改革に取り組んでまいります。
 ワーク・ライフ・バランスを重視した労働法制についてお尋ねがありました。
 就業形態の多様化や長時間労働者の割合の高止まりが見られる中で、安心、納得した上で多様な働き方を実現できる労働環境を整備することが重要であると考えております。このため、労働契約のルールや労働時間制度の整備について検討を進めているところであります。法的措置を含め、ワーク・ライフ・バランスを重視した働き方の推進等に努めてまいります。
 医療事故の究明、お産に関する無過失補償制度についてお尋ねがございました。
 医療の安全、安心の確保は医療政策における最重要課題であり、医療事故の死因究明を公正かつ迅速に行うことは、事故の発生予防、再発防止や紛争の早期解決等の観点から必要なことと考えています。このため、本年度内を目途に医療事故に係る死因究明制度の試案を提示をし、来年度には、有識者による検討会を開催し、その議論を踏まえ必要な措置を講じることとしております。
 また、お産に関する無過失補償制度については、安心してお産ができる環境整備のための一方策であると認識をしております。具体的な仕組みがつくられるよう、精力的に検討が進められることが重要であると考えています。
 医師不足や医療現場の労働基準法違反の実態調査に関するお尋ねがございました。
 医師の数については、毎年三千五百人から四千人程度増加をしており、まだ過剰な状態には至っていませんが、将来的には必要とされる医師の数を上回る数の医師が供給されるとの見込みを本年七月に示しております。また、労働法規の遵守状況等については既に必要な調査を行っております。いずれにいたしましても、地域間や小児科、産科等の診療科間において医師の偏在が生じていることから、医師確保のための各般の施策に取り組むことにより、地域医療の確保に努めてまいります。
 命を大切にする教育についてお尋ねがございました。
 子供たちに生命の大切さや自らの命を守ることを教えることは極めて重要であります。
 学校教育では、道徳の時間等において、失われた命は二度と回復できないことなど、命の尊さを理解し、掛け替えのない自他の生命を尊重する態度を育てるための教育を行っております。また、子供たちが危険を予測し、回避能力を身に付けて犯罪から自らの命を守るため、具体的な対処方法を身に付けさせる防犯教室などの実践的な安全教育を進めているところであります。今後とも、このような教育を推進をしてまいります。
 教育基本法についてお尋ねがありました。
 新しい時代の教育の基本理念を明確にし、国民の共通理解を図りつつ、社会全体による教育改革を着実に進め、我が国の未来を切り開く教育を実現するにふさわしい法案として政府として教育基本法案を前国会に提出をいたしたところであります。
 政府提出の教育基本法案においても、生命や宗教に関する教育の重要性にかんがみ、生命を尊ぶ態度や宗教に関する一般的な教養を新たに規定しているところであります。一方、教育の理念や基本原則を規定するという教育基本法の性格にかんがみ、政府案においては、お尋ねのインターネット問題のような個別具体的な事柄は規定していないところであります。
 なお、民主党提出の日本国教育基本法案については論評を差し控えたいと思いますが、国会においてそれぞれの法案について活発な議論が行われることを期待をいたしております。
 教育予算についてお尋ねがございました。
 教育への投資は、我が国の発展に欠かすことができない未来への先行投資であります。豊かな人間性と創造性を備えた規律ある人間の育成に向けた教育再生に取り組むためにも、教育予算の内容の充実は重要であります。
 一方、我が国財政は極めて厳しい状況にあることから、歳出歳入の一体改革も重要な課題であり、効率化を徹底しながら、めり張りを付けて必要な財政措置を講じてまいります。
 次に、教師に対する基本認識についてお尋ねがございました。
 私も、教育現場で本当に努力をしておられます多くの教師の皆様方に対して本当に心から敬意を表している次第であります。
 教育は人なりと言います。教育の再生のためには、この言葉のとおり、教師が意欲を持ち続け、その能力を高めながら最大限の力を発揮してもらうことが極めて大切であります。このため、体系的な研修の充実、優れた成果を上げた教師に対する優秀教員表彰の実施、能力、実績に見合っためり張りを付けた教員給与体系の検討などを進め、教師の資質向上のための取組を積極的に行ってまいります。
 経済的余裕のない家庭の子供たちに対する教育の充実についてお尋ねがございました。
 家庭の経済力にかかわらず、すべての子供に高い学力と規範意識を身に付ける機会を保障することが必要であります。このため、習熟度別少人数指導など個人個人に応じた指導の充実や、必要な授業時間数を十分確保することにより基礎、基本の確実な定着を図るとともに、教員免許の更新制度や外部評価を導入するなど、公教育の再生に努めてまいります。また、家庭や地域の教育力の向上を図り、社会全体で教育再生に取り組む環境を整えてまいります。
 行革推進法の教員部分の見直しについてお尋ねがございました。
 簡素で効率的な筋肉質の政府を実現するためには、教員も含めた公務員の総人件費改革など、行政改革の推進は必要と考えております。その際、公立学校における教員の質の低下をもたらさないよう、習熟度別少人数指導などに必要な定員を確保するとともに、教員の質の向上や必要な授業時間数の十分な確保などにより学力の向上を図ります。
 奨学金についてお尋ねがございました。
 家庭の経済状況により修学の機会が奪われないよう、教育の機会均等を図っていくことは極めて重要であると考えております。現在、無利子、有利子合わせた奨学金事業全体で見れば、要件を満たす希望者のほぼ全員に貸与できているところであります。今後とも、健全性を確保した奨学金制度の充実等を推進し、我が国の将来を担う学生等を支援してまいります。
 学校の外部評価についてお尋ねがありました。
 学校教育の質を高めるためには、学校が教育目標を明確に設定し、評価をしっかりと行い改善を図っていく学校評価システムを構築することが重要であります。その際、御指摘のように、保護者や地域住民などによる評価が有効であることは言うまでもありませんが、客観的な観点から行う第三者による評価は、保護者や地域住民が行う評価の材料としても役立つと考えられ、信頼される学校づくりのために重要であると考えています。
 いずれにいたしましても、学校評価については、学校同士が切磋琢磨して質の高い教育を提供できるよう外部評価を導入する必要があると考えています。
 教員免許更新制についてお尋ねがございました。
 学校教育の成果は教員の資質と熱意に負うところが大きく、定期的に教員の資質、能力の刷新を図ることは極めて重要であります。その意味で、教員免許の更新制度の導入は、教員の意欲を高め、ひいては教員の質の向上に大きく寄与するものと考えております。内閣に教育再生会議を早急に発足させ、その推進を図ってまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣伊吹文明君登壇、拍手〕
○国務大臣(伊吹文明君) 鈴木寛議員にお答えを申し上げます。
 お尋ねは、放課後等の支援の事業についてであります。
 もう社会が随分変わってまいりましたので、核家族化が進み、そして共働きがほとんど現実のものとなっております。したがって、義務教育の小学校に入った後は、授業が終わった後、それから夏休み、冬休み、春休み、お父さん、お母さんが帰ってくるまでの間、いわゆるかぎっ子現象というものが起こりますから、これを放置しておくということは、子供の安全のためにも、あるいは学力を付けるためにも、あるいは人格形成の上からも決していいことではありません。
 鈴木議員からもいろいろ御示唆をいただいているということは文科省から伺っております。で、入学前はこれは夜間保育等の若干の受皿がありますが、義務教育になるとこれは非常にその受皿が少ない。したがって、地域の教育力と学校を利用した力を合わせて文科省でやると同時に、保育の機能を持っている厚労省も併せて御示唆のような放課後支援の事業を進めていくということは、教育上の問題だけではなくって、少子化対策のためにも非常に大切なことだと思います。
 今般は小学校を中心に予算要求をいたしましたけれども、自治体の運用によって余裕があるときは、御示唆のように中学校にその範囲を広げる、また、うまくいけば将来各党の御支援も得て更にその範囲を拡大していけばいいんではないかと思っておりますので、よろしく御協力をお願いします。(拍手)
    ─────────────
○副議長(角田義一君) 市田忠義君。
   〔市田忠義君登壇、拍手〕
○市田忠義君 私は、日本共産党を代表して、安倍総理に質問をいたします。
 まず、総理の歴史認識についてであります。
 昨日、我が党の志位和夫委員長が歴史認識をただしたのに対して、総理は、歴史の分析について政治家が語ることについては謙虚であるべきだと言って、まともに答えませんでした。しかし、過去の戦争に対する認識を語ることは、国の政治に責任を負う立場にある総理にとって、絶対に避けて通ることのできない問題であります。
 戦後の国際秩序は、日本、ドイツ、イタリアが行った侵略戦争に明確な審判を下し、あの戦争は間違っていたと、二度と同じ過ちを繰り返さないという共通の認識と反省の上に打ち立てられました。日本が、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意した憲法を確定して国際社会に復帰したのも、この原点に基づくものであります。総理はこの認識をお持ちですか。過去に誠実に向き合い、誤りを真摯に認めることこそ本当の謙虚さであり、アジアや世界の国々との真の友好を発展させる道ではありませんか。
 総理は、「美しい国へ」という自らの著書の中で、憲法前文の「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたい」という文言を指して、これは連合国に対するわび証文だと述べています。
 国連憲章でうたい上げられた世界政治の理想と、それに積極的に参加しようという日本の決意を、列強の国々への妙にへりくだったいじましいものと言ってはばからない極めて異様なあなたの立場が、今日の世界に通用するとでも考えておられるのでしょうか。
 その戦争が侵略戦争であったかどうかで一番大事なことは、それが自国の領土拡張や他国の支配を目指した戦争だったかどうかであります。
 満蒙は日本の生命線、現在の中国東北部と内モンゴル自治区は、日本が存立していく上で必要な領土であり、力ずくで奪ってもいいというのが当時の日本政府の公式の立場でした。これが一九三七年には更に中国本土に広がり、この戦争を継続するために日独伊三国同盟を結ぶときには、東南アジアの全域に、西はインド、東は大洋州まで加えた広大な地域を日本の生存圏だと勝手に決めて攻め入りました。
 それでも総理は、靖国神社が言うように、さきの戦争をアジア解放の正義の戦争だったという立場に立つのか、それとも靖国神社の考えとは違うのか、はっきりとお答えください。
 次に、総理の教育論についてお聞きします。
 総理は、学校選択制を全国に広げようとしています。東京都では既に二十三区中十九区で導入され、その結果、入学者がゼロという小中学校まで生まれています。また、国が監査官を全国に配置して、学校、教師、子供たちを監視して評価し、問題校は民間に移行させ、国家が問題だと判断した教師は辞めさせる。さらに、学校を序列化した上で、国がいい学校と考えた学校には予算を配分し、悪い学校はつぶす。それでは、そこに通っている子供たちは一体どこへ行けというのですか。地域から学校をなくしてどうして義務教育が成り立つでしょう。
 国がやるべきは地域の一つ一つの学校の教育条件の充実であります。地域の公立学校同士を競争させて成果主義で淘汰する、これが一人一人の子供に人として生きる基礎を身に付けさせる義務教育の在り方でしょうか。総理の教育論は、今でも様々な弊害を生み出している管理と競争の教育に一層拍車を掛けるものであり、教育内容に対する国家の無制限の介入ではありませんか。
 子供たちが一人一人親からも社会からも大切にされ、子供同士が互いに相手を大切にしながら立派な市民に成長すること、落ちこぼれや差別をなくし、どの子にも必要な学力を付けさせること、そして安全で健康な子育ての環境を整備すること、これこそ国民の願いにこたえる政治の責任であります。
 次に、格差と貧困、暮らしの問題についてであります。
 努力した人が報われ、だれでも再チャレンジが可能な社会を──所信表明の中でこの総理の言葉ほどうつろに響いた言葉はありません。
 働いても働いてもまともな暮らしができないワーキングプアをつくり出したのは一体だれか。これは決して自然現象ではありません。あなたがその中枢にいた小泉政権の五年半の間に進められた労働者派遣法の改悪など、人間らしい働き方を破壊した労働法制の規制緩和の結果であります。その反省もなしに、何が再チャレンジでしょうか。総理、再チャレンジというのなら、改悪された働くルールを少なくとも元に戻すべきではありませんか。
 雇用主にとって都合の良いルールの改悪が進められた下で蔓延したのが、偽装請負などの違法、脱法行為であります。総理は、ルール意識を欠いた企業活動による不祥事を我が国の解決すべき課題の一つに挙げられました。ならば、最大の不祥事とも言える偽装請負やサービス残業など労働法規違反行為を根絶する決意と具体策を示すべきではありませんか。
 今年六月から七月にかけて、市町村の住民税の窓口はお年寄りからの問い合わせが殺到してパニック状態になりました。年金は一円も増えていないのに、多い人では住民税が八倍から十倍にもなっている。いきなり増税通知を受け取った人は全国で五百万人以上。なぜこんなことになったのか。
 一昨年、昨年と小泉内閣が行った税制改悪で、これまでお年寄りの税負担を緩和するためにつくられていた公的年金等控除は縮小され、老年者控除をなくし、定率減税を半減したからであります。国保料や介護保険料も雪だるま式に値上げされました。来年からは定率減税が全廃され、消費税の増税まで検討されています。一体どれだけ搾り取れば気が済むのか。
 日本共産党は、新たな負担増と庶民増税の中止、凍結を強く求めるものであります。
 総理は、成長なくして財政再建なしと言われました。
 今、大企業は、バブルの時期をはるかに上回り、経常利益でいえば一・五倍もの空前の利益を上げて、かつてなく税負担能力を高めています。バブル崩壊の後引き下げられたままの法人税率を元に戻すべきではありませんか。
 大企業の一人当たりの役員報酬はこの五年で一・七倍、二千八百十一万円になりました。これらの人々も、度重なる増税にあえぐ庶民をしり目に、高額所得者の最高税率引下げの恩恵を受け続けています。さらに、株式の配当はこの五年に二・五倍に膨れ上がりました。しかし、これへの課税も引き下げられ、アメリカよりも低い一〇%です。ほとんど額に汗することなく手にしている高額所得者への世界でもまれに見る優遇措置は直ちに見直すべきではありませんか。
 尾身財務大臣は、大企業を中心に六千億円とも言われる減税を新たに行う考えを示していますが、総理も同じ考えですか。事実なら言語道断であり、強く中止を求めます。
 人間らしい働き方を壊し、社会保障を切り捨て、応益負担という名で障害者が自立する基盤を崩す、医療から見放された人々がもがき苦しみ、将来に希望の持てない若者があふれる国、これがどうして美しい国と言えるでしょう。
 日本共産党は、大増税、負担増をやめ、庶民の家計を応援して、経済を健全な発展の軌道に戻す、巨大開発の無駄遣いを本気で一掃する、大企業と大金持ちに力に応じた負担を求めるなど、大企業中心から国民生活中心の経済政策に転換することを強く求めて、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 市田忠義議員にお答えをいたします。
 過去の戦争に対する認識についてのお尋ねがありました。
 私が繰り返し申し上げていることは、政治家が歴史の分析や評価を語ることは政治的、外交的な意味を持つということであり、こうした観点から、政治家が特定の歴史観を語ることについては謙虚であるべきだと申し上げているわけであります。
 なお、さきの大戦をめぐる政府としての認識については、平成七年八月十五日及び平成十七年八月十五日の内閣総理大臣談話等において示されてきているとおりであります。
 歴史認識とアジア等との関係についてお尋ねがありました。
 我が国は、さきの大戦で国内外に大きな被害を与えたという事実に対する反省の上に立って、民主的な平和国家としてアジア及び世界の平和と繁栄に積極的に貢献してまいりました。我が国は、アジアの平和と繁栄を維持強化するため、今後ともアジア全域の連帯の強化に主導力を発揮をしてまいります。
 憲法前文についてのお尋ねがありました。
 政府としては、憲法前文の第二段の文理は、我が国が平和主義及び国際協調主義の立場に立つことを宣明したものであるとしてきたところであります。現行憲法は、その前文も含め、日本が占領されていた時代に制定されたものであり、それが二十一世紀の我が国にふさわしいものなのか否かということについて議論が各方面において積極的になされていることは認識しております。
 靖国神社の歴史観についてお尋ねがありました。
 靖国神社が御指摘のような立場を有するかどうかは分かりませんが、政治家の発言は政治的、外交的な意味を持つものであることから、特定の歴史観の是非について政治家が語ることについては謙虚であるべきだと考えております。
 教育論についてお尋ねがございました。
 義務教育改革については、全国どの地域においても一定水準の教育を受けることができるようにし、また、その成果もしっかり把握、検証する仕組みが重要であります。このため、すべての子供たちにより高い学力や規範意識を身に付ける機会を保障できるよう教員の資質向上のための施策を行うとともに、学校同士が切磋琢磨して質の高い教育を実現できるよう外部評価を導入することが必要であると考えています。その上で、問題がある学校や教員についてはその再生を図ることと考えておりまして、御指摘は当たらないと考えています。
 教育に対する政治的責任についてお尋ねがございました。
 近年、子供のモラルや学ぶ意欲が低下しており、子供を取り巻く家庭や地域の教育力低下も指摘されています。このため、家族、地域、国、そして命を大切にする、豊かな人間性と創造性を備えた規律ある人間の育成に向け、すべての子供が高い学力と規範意識を身に付ける機会を保障するため、公教育を再生してまいります。
 また、子供の居場所づくりなど、放課後対策を始めとした子育て家庭に対する総合的支援や、子育てのすばらしさを社会全体で共有できるような意識改革に取り組むとともに、子供が犠牲となる事件が起こることのないよう、子供の安全確保に全力を尽くしてまいります。
 労働法制の規制緩和についてのお尋ねがございました。
 労働者派遣法など労働法制に関する規制改革は、労働者の保護に欠けることのないよう留意しつつ、多様な働き方を選択できるようにするための必要な改革であったと考えております。
 他方で、将来の格差の固定化につながるおそれがあるフリーター、ニート等、若年層の非正規化や未就業者の増加などを防止し、再チャレンジを支援するため、フリーター二十五万人常用雇用化プラン等を推進し、二〇一〇年までにフリーターの数をピーク時の八割に減らすとともに、ハローワークにおいて正社員としての就職の支援に積極的に取り組むほか、正規・非正規労働者間の均衡処遇の実現に向けて法的整備を含め検討を進めるなど、正規雇用の拡大を始め、だれもが安心、納得して働くことのできる働き方の改革にしっかりと取り組んでまいります。
 また、労働者派遣法に違反するいわゆる偽装請負や労働基準法に反するいわゆるサービス残業については、周知啓発の強化、指導監督の強化、悪質な違反が認められた事業主に対する厳格な対応等を行うことにより、これらの解消に最善を尽くしてまいります。
 高齢者の住民税の増加についてのお尋ねがありました。
 公的年金等控除の縮小などの税制改正は、世代間の公平を図る観点から、税金を負担できる能力に応じた負担を高齢者にも求めることとしたものであり、所得税は既に平成十七年から、住民税は平成十八年度から適用されております。この改正の影響が及ぶのは年金受給者のうち受給額の多い二割強の方と見込まれますが、それ以外の標準的な年金以下の収入のみで暮らす高齢者世帯は引き続き非課税としていること、同水準の給与収入を得ている現役世代よりも低い税負担としていることなど、年金受給者には十分配慮しているところであります。
 保険料、定率減税及び消費税についてお尋ねがありました。
 国民健康保険や介護保険の保険料の負担増については給付の増に伴うものと税制改正に伴うものがありますが、後者について言えば、影響を受けるのは一定以上の収入のある方に限られるものでありまして、段階的に保険料を引き上げる二年間の激変緩和措置も講じております。
 定率減税は、平成十一年に景気対策として導入された暫定的な税負担の軽減措置であり、平成十八年度税制改正において、こうした導入の経緯や現在の経済状況が導入時に比べ改善していること等を踏まえ廃止することとしております。
 今後の税制改革については、国民負担の最小化を第一の目標に歳出削減等を徹底して実施した上で、それでも対応し切れない社会保障や少子化などに伴う負担増に対しては、安定的な財源を確保するため、抜本的、一体的な改革を推進し、将来世代への負担の先送りを行わないようにいたします。
 なお、消費税については、このような抜本的、一体的な改革の中で議論を行っていく必要があると考えています。
 法人税率についてのお尋ねがありました。
 これまでの法人課税の実効税率の引下げは、国際化の進展といった我が国経済社会の構造変化に対応して行ったものであります。税制の検討に当たっては、財政の健全化と同時に、経済活力の活性化を図り成長を促進していくことも重要と考えており、企業に対する課税についても今後ともこうした考え方を踏まえて対応してまいります。
 高額所得者への税の優遇措置についてのお尋ねがありました。
 これまで行ってきた累進構造の緩和は、国民の勤労意欲を引き出す観点から行われたものであります。上場株式等の配当については、平成十五年度改正において、当時の株価低迷に対応し、平成十九年度末までの五年間の時限措置として、税率を一〇%とする優遇措置が講じられております。こうした配当の優遇措置については、今後、公平、中立、簡素といった税制の基本的な原則も踏まえながら、その在り方を検討してまいりたいと考えております。
 大企業を中心とする減税についてお尋ねがありました。
 財務大臣が六千億円に上る法人税減税を行う考えを示したとの事実はないと承知をしております。
 いずれにしても、企業の税制については、経済がグローバル化する中で国際的なイコールフッティングを確保することは重要であり、競争上ハンディキャップになっているものがないかどうか、今後の税制改革の中で検証してまいります。
 社会保障と働き方についてのお尋ねがありました。
 私が目指す美しい国は、国民が老後や暮らしの心配なく豊かな生活を送ることができる安心の社会であります。このような社会の基盤となる社会保障制度については、制度全般にわたる不断の見直しを行い、制度の持続可能性を高めることが必要であります。今後、こうした観点から、給付と負担を一体的にとらえた改革を継続してまいります。
 また、就業形態の多様化が進む中、どのような働き方を選んでも安心、納得して働くことができる、いわゆる勝ち組、負け組を固定化せず、だれでも再チャレンジ可能な社会を目指して総合的な再チャレンジ支援策を推進してまいります。(拍手)
    ─────────────
○副議長(角田義一君) 福島みずほ君。
   〔福島みずほ君登壇、拍手〕
○福島みずほ君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、安倍総理に対して質問をいたします。
 総理は、美しい国と繰り返します。確かに日本の自然は美しい。しかし、よく見れば、山や田は荒れ、そこに暮らす国民の生活は疲弊し切っています。
 まず、その疲弊の一因でもある格差拡大についてお聞きします。
 格差の拡大や貧困層の増加は、税の不公平、労働法制の規制緩和、福祉の切捨てによって起きています。今、日本にはワーキングプアと呼ばれる人たちがいます。非正規社員で、手取りは月に十五万円ぐらい。アパートの家賃を払うのがやっとで、健康保険や年金の保険料を払えない人たちが大勢いることを総理は御存じでしょうか。正社員の人たちもサービス残業が多く、うつになる人たちが増えています。また、ハローワークに職を探しに行っても、四十歳以上という年齢を理由に就職ができない状況です。高齢者は増税と福祉の切捨てに苦しんでいます。
 私は、先日、障害者の現場へ行ってきて話を聞きました。障害者自立支援法の施行によって現場では悲鳴が上がっています。サービスが一割負担となり、外出をあきらめたり、給食費が負担できなくてお昼御飯を食べない人まで出ていました。また、診療報酬の改定でリハビリが一律に最高百八十日で打ち切られ、絶望している患者さんや家族が出ています。
 総理の答弁は、今までの政府見解をただただ、ただただ繰り返すだけで、現実に生じている痛みを全く見ていません。美しい国は総理の頭の中のイメージでしかなく、人々の厳しい現実と生活とは無縁です。
 総理は、なぜ格差を是正すると言わないのですか。格差が生じてきた原因は何で、それを具体的にどのように解決するとなぜ言わないんですか。総理の再チャレンジビジョンで人々は救われるんですか。再チャレンジできる人はごくわずかです。必要なことは、総理大臣による表彰などではなく、人をけ落としていく社会、人を切り捨てていく社会をやめていくことです。
 総理、あなたはなぜ法人税を軽くすることばかり提案しようとしているのですか。なぜパートなどの非正規雇用の均等待遇を打ち出さないのですか。なぜ労働時間の規制や最低賃金の充実を言わないんですか。なぜ障害者自立支援法による一割負担の見直しや、年金、介護保険、医療などにおける福祉の切捨ての見直しを語らないんですか。これらの施策こそ必要ではありませんか。御答弁を願います。
 社民党は、法人税率や所得税の累進課税率をせめてそれぞれ一九九八年、一九九九年の改正以前に戻すなど、格差是正のための税制改革や均等待遇の実現、労働時間の規制と最低賃金の充実、福祉の切捨ての見直しなど、具体的に提案し、その実現を求めていきます。
 次に、教育についてお聞きします。
 総理は、イギリスのサッチャー元首相が行った教育改革を絶賛し、演説でも学校の外部評価の導入を唱えています。しかし、なぜ今、自由競争原理の強化であるサッチャー教育改革なのでしょうか。今、サッチャー教育改革が大きく批判され、見直されていることを御存じでしょうか。
 イギリスでは、学校のランク付けによって底辺校は廃校に追い込まれ、学校が障害を持つ子供を受け入れることを嫌がるという事態が起きました。底辺校だとランク付けされ、廃校に追い込まれる学校に通う子供たちの心の傷をあなたは分かっていません。行き場のない若者による犯罪も増えたと言われています。絶望が社会の中に広がっていくことは、社会にとってもいいことではありません。総理の教育政策は、切り捨てられる子供たちを大量につくるものであり、公教育の破壊にほかなりません。
 先日、東京地裁は、日の丸・君が代の学校現場での強制は内心の自由を侵害し、違憲であるという画期的な判決を出しました。教育の現場で強制が起きていることをどう考えるのですか。戦前、国家が教育を支配し、国家のために命を投げ出すことは大事なことで美しいことなのだという教育が一体何を生んだのでしょうか。このような愛国心の強制は、自由を奪い、人の魂を殺します。国家のために命を投げ出せという教育をしてはなりません。このことこそ、私たちが戦前の反省から学び、教育基本法に込めた思いなのではないですか。総理、いかがですか。
 次に、男女平等についてお聞きします。
 私たちは、戦後、日本国憲法の下で男女平等を積み重ねてきました。しかし、総理の所信演説の中には男女平等政策についての言及が一切ありません。総理、男女平等政策について具体的にどのような施策を実現するのか、説明してください。
 ところで、私は総理より一歳年下、戦後生まれの同世代です。九州のサラリーマンの家庭に育ち、幼稚園から大学まで男女共学の国公立学校に学びました。戦後の日本国憲法の平和と平等の恩恵を一身に浴びて育ったのです。
 総理は、総裁選で戦後体制からの脱却を訴えました。その戦後体制からの脱却とは一体何を指すのでしょうか。そして、総理は五年以内に憲法を変えるとも述べています。なぜ、そして憲法のどの部分を改正するのですか。また、今国会には、憲法改悪の前提として、教育基本法改悪法案、国民投票法案、共謀罪、防衛庁省昇格法案が継続審議となっています。これら四法案は廃案にすべき法案であるということを強く述べておきます。
 さて、総理は雑誌の中で、日本国憲法の下で集団的自衛権の行使ができるとさえ述べています。政府見解は、憲法上集団的自衛権の行使はできないというものです。戦争しない、戦争できない、交戦権の行使を認めない日本国憲法の下では集団的自衛権の行使が認められるわけがありません。総理の発言は、憲法九十九条の国務大臣の憲法尊重擁護義務に反すると考えますが、いかがですか。また、所信表明で集団的自衛権の行使の研究をすると述べていますが、できないことの研究など必要ありません。
 次に、戦後日本の重要な施策である武器輸出三原則ですが、これを緩めないとここではっきりと断言してください。また、非核三原則も維持すると断言してください。また、日本は小型核兵器も持たないということでよろしいですね。御答弁願います。
 昨日、一九九三年のいわゆる慰安婦に関する河野談話を受け継ぐと答弁しました。これは、この談話が安倍内閣の歴史認識であるという理解でよろしいですね。また、一九九五年の村山談話についても安倍内閣の歴史認識であるという理解でよろしいですね。
 今年の二月十六日、衆議院予算委員会で、総理はいわゆる侵略戦争という定義が定かでないと述べていますが、これは今国会での総理の答弁と矛盾しています。どちらの発言が総理の本当の考えなのか、御答弁ください。
 また、A級戦犯についても、今年二月十四日の衆議院予算委員会では、「日本において彼らが犯罪人であるかといえば、それはそうではない」と答弁しています。しかし、今国会では、A級戦犯の国家指導者としての責任については具体的に判断するのは適切ではないと答弁しています。政治のリーダーがなぜ歴史をどう見るのか答弁できないのでしょうか。はっきり明言すべきです。また、東京裁判の判決を否定するのですか。また、総理として、戦争を指導した人間の責任をどう考えているのか、御答弁願います。
 総理は、「美しい国へ」の中で、「たしかに自分のいのちは大切なものである。しかし、ときにはそれをなげうっても守るべき価値が存在するのだ、」と書いています。戦前、政治の決定によって多くの人たちの命が奪われていきました。もう二度と国家による死を繰り返さないということが戦後の日本の出発点であったはずです。少なくとも、戦後、日本の若者が戦争によって人を殺したり殺されたりするということはありませんでした。私は、戦後みんなで獲得してきた平和と平等の六十年間を誇りに思っています。多くの国民の皆さんも同じ思いなのではないでしょうか。
 総理の戦後体制からの脱却とは、憲法を変え、国家による死を肯定し、アメリカに付き従って、世界の戦場で自衛隊が戦争できる国づくりをするということではないんですか。今、自衛隊と米軍の共同訓練が進められ、その一体化が進んでいます。なぜ米軍基地のグアム移転に伴って普天間基地をグアムに移転できないのですか。はっきりとアメリカに求めたらどうですか。御答弁願います。
 アメリカでは、議会が、イラクに大量破壊兵器はなかったこと、アルカイーダとフセイン元大統領との関係はなかったこと、そしてイラク戦争によってテロリズムが悪化したことが報告されています。アメリカ大統領は国民に正式に謝罪しました。日本はどうでしょう。日本政府はきちっとその間の経緯を説明すべきだと考えますが、いかがですか。
 私は総理に問いたい。アメリカとともに世界で戦争する日本は美しい国ですか。命を犠牲にさせられるのは国民であり、国の指導者たちではありません。総理の戦後体制からの脱却は、自由と民主主義を否定し、戦争へと道を開くものです。
 社民党は、安倍内閣が日本を戦争する国につくり変えたと後世において言われないように、国民の皆さんとともに、憲法を否定し戦後を否定する安倍内閣と全面的に対決し、政治を変えていくという決意を述べて、私の質問といたします。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 福島みずほ議員にお答えをいたします。
 格差が生じた原因、その具体的な解決策についてお尋ねがありました。
 例えば、最近の非正規雇用の増加傾向は、経済・産業構造の変化や価値観の多様化などにより、企業や労働者が多様な働き方を求めるようになってきていることが背景と認識しております。
 また、所得の格差が広がっているとの指摘がありますが、高齢者世帯の増加等を考慮すると、統計データからは所得格差の拡大は確認されないとの分析もあります。
 他方、格差という現象をとらえようと試みる場合、人々の格差に関する感じ方やその背景なども含め、総合的に判断する必要があると考えております。このため、格差を感じる人がいれば、その人に光を当てていく必要があります。
 いずれにいたしましても、私は、日本が目指すべきは、努力した人が報われ、いわゆる勝ち組と負け組が固定化せず、働き方、学び方、暮らし方が多様で複線化している社会、すなわちチャンスにあふれ、だれでも再チャレンジが可能な社会であると考えています。このため、私は、内閣の重要課題として総合的な再チャレンジ支援策を推進してまいります。
 具体的には、フリーター二十五万人常用雇用化プラン等を推進し、二〇一〇年までにフリーターをピーク時の八割に減らすとともに、だれもが意欲と能力を生かして働ける全員参加型社会の構築を図るため、七十歳まで働ける企業の実現に向けた取組を推進し、正規・非正規労働者間の均衡処遇の実現に向け法的整備を含めた検討を進めるなど、実効性のある再チャレンジ支援策を推進してまいります。
 法人税についてのお尋ねがありました。
 税制の検討に当たっては、財政の健全化と同時に、経済活力の活性化を図り成長を促進していくことも重要と考えており、企業に対する課税についても今後ともこうした考え方を踏まえて対応してまいります。
 非正規雇用の均等待遇、労働時間の規制及び最低賃金についてお尋ねがありました。
 正規、非正規を問わず、どのような働き方を選択しても、安心、納得して働くことのできる環境を整備していくことに向けて、パート労働者への社会保険の適用拡大、有期雇用を含む労働契約のルールの整備、均衡処遇や能力開発等を進めるためのパート労働法の改正など、法的整備を含めた検討に取り組んでまいります。
 また、就業形態の多様化等を踏まえた最低賃金制度の在り方、長時間労働の抑制等のための労働時間制度の整備についても鋭意検討を行ってまいります。
 障害者自立支援法や年金、介護保険、医療などの見直しについてお尋ねがありました。
 社会保障制度は、安心の社会を築く基盤となる人生のリスクに対するセーフティーネットであり、急速な少子高齢化の進行に伴い給付の増大が見込まれる中で、制度の持続可能性を高めるため、年金、介護、医療等の一連の改革を進めてきたところであります。その際、サービスを利用する方にも相応の負担をお願いすることといたしましたが、所得の低い方にはきめ細かな配慮を行っているところであります。
 今後とも、親切で信頼できる持続可能な社会保障制度を構築するため、制度全般にわたり不断の改革を行ってまいります。
 イギリスのサッチャー教育改革についてのお尋ねがございました。
 私は、次代を背負って立つ子供や若者の育成が不可欠だと考えております。すべての子供に高い学力と規範意識を身に付ける機会を保障するため、教育再生に直ちに取り組む必要があると考えています。
 なお、サッチャー政権では、国定のカリキュラムの策定や全国学力調査の導入、学校監査制度による学校評価の充実といった施策を通じて教育水準の向上を目指す教育改革が大胆に行われたと承知をいたしております。
 私の教育政策についてお尋ねがありますが、義務教育改革については、全国どの地域においても一定水準の教育を受けることができるようにし、また、その成果もしっかり把握、検証する仕組みが重要です。このため、すべての子供たちにより高い学力や規範意識を身に付ける機会を保障できるよう教員の資質向上のための施策を行うとともに、学校同士が切磋琢磨して質の高い教育を実現できるよう外部評価を導入することが必要であると考えています。その上で、問題がある学校や教員についてはその再生を図ることを考えており、御指摘は当たらないと考えています。
 日の丸・君が代についてお尋ねがありました。
 学校教育において国旗・国歌の意義を理解させ、それらを尊重する態度を育てることは重要なことであります。学習指導要領では、入学式や卒業式などにおいて国旗を掲揚するとともに国歌を斉唱するよう指導するものとされていることを踏まえ、東京都におかれては適切に判断し、対処していただいているものと考えております。
 今後とも、全国の学校において国旗・国歌に関する指導が適切に行われるよう、しっかりと取り組んでまいります。
 国家のための教育についてお尋ねがありました。
 私が目指す教育は、戦前のような国家のための教育を行おうとするものではありません。家族、地域、国、そして命を大切にする豊かな人間性や創造性を備えた規律ある人間の育成に向け、教育再生に直ちに取り組むことを申し上げております。
 男女平等政策についてのお尋ねがありました。
 男性も女性も社会の中で個性と能力を十分に発揮することができる社会にしていくことは重要であります。政府としては、いったん家庭に入った女性の再就職等の再チャレンジ支援、働き方の見直しやテレワークの拡充などによる仕事と家庭の両立支援、出産、子育て期の医療ニーズに対応する体制等を充実強化し、昨年末に改めて作成した男女共同参画基本計画を一層推進してまいります。
 戦後レジームからの脱却の意味についてのお尋ねがありました。
 我が国は、半世紀以上にわたって、自由と民主主義、そして基本的人権を守り、また経済的な繁栄も成し遂げてまいりました。私たちは、こうした我が国の今日までの歩みを誇るべきであると考えています。
 しかしながら、この国の基本を形作る憲法や教育基本法などは、日本が占領されていた時代に制定されたまま半世紀以上を経て現在に至っています。私が戦後体制からの脱却という言葉で申し上げたかったことは、当時決まったものは変えられない、変えてはいけないという先入観のある時代はもう終わったということであります。
 私は、初の戦後生まれの総理大臣として、二十一世紀にふさわしい日本の未来の姿あるいは理想を追求し、皆でそれを形にしていきたいと願っております。
 憲法改正についてのお尋ねがありました。
 現行の憲法は、日本が占領されている時代に制定され、六十年近くを経て現在にそぐわないものとなっております。そのため、私は、私たち自身の手で二十一世紀にふさわしい日本の未来の姿あるいは理想を憲法として新しく書き上げていくことが必要であると考えています。
 教育基本法案、国民投票法案、組織犯罪処罰法案、防衛庁の省移行法案についてお尋ねがございました。
 国会に提出された法案の取扱いについては、国会においてよく議論して決定していただきたいと考えております。政府としては、提出させていただいた法案を御審議の上、できる限り早期に成立させていただきたいと考えております。
 憲法尊重擁護義務についてのお尋ねがありました。
 私は、内閣総理大臣として所信表明演説において、大量破壊兵器やミサイルの拡散、テロとの闘いといった国際情勢の変化や、武器技術の進歩、我が国の国際貢献に対する期待の高まりなどを踏まえ、日米同盟がより効果的に機能し、平和が維持されるようにするため、いかなる場合が憲法で禁止されている集団的自衛権の行使に該当するのか、個別具体的な例に即し、よく検討してまいりますと述べてきたところであります。
 偏狭で不寛容な主義主張によることなく、憲法が定めるところの自由、民主主義、基本的人権等の諸価値を擁護することは正に私の政治信念とするところであります。いやしくもこれまで憲法尊重擁護義務に反したことはなく、御批判は全く当たっていないと思います。
 武器輸出三原則等と非核三原則についてのお尋ねがありました。
 武器の輸出管理については、武器輸出三原則等のよって立つ平和国家としての基本理念にかんがみ、今後とも引き続き慎重に対処するとの方針を堅持します。
 非核三原則については、政府の重要かつ基本的な政策として今後ともこれを堅持していくとの立場に変わりはありません。
 なお、御質問の小型核が具体的にどのようなものを意味するか必ずしも明らかではありませんが、核兵器については非核三原則に基づいて対処をすることになります。
 いわゆる従軍慰安婦の問題についてお尋ねがありました。
 いわゆる従軍慰安婦の問題についての政府の基本的立場は、平成五年八月四日の河野官房長官談話を受け継いでおります。
 歴史認識についてのお尋ねがありました。
 さきの大戦をめぐる政府としての認識は、平成七年八月十五日及び平成十七年八月十五日の内閣総理大臣談話等において示されてきているとおりであります。
 侵略戦争の定義と本国会での私の答弁の関係についてのお尋ねがありました。
 本年二月十六日の衆議院予算委員会での私の発言の趣旨は、侵略戦争という概念については国際法上確立したものとして定義されていないという従来からの政府の考えを述べたものであります。このことは、本国会における私のいかなる答弁とも何ら矛盾するものではありません。
 極東国際軍事裁判についてお尋ねがありました。
 政府がこれまでも述べているとおり、我が国としてはサンフランシスコ平和条約第十一条により極東国際軍事裁判所の裁判を受諾しており、国と国との関係においてこの裁判について異議を述べる立場にはないと考えております。
 いわゆる戦争指導者の責任についてのお尋ねがありました。
 さきの大戦に対する責任の主体については、従来より政府として述べているとおり、様々な議論があることもあり、政府として具体的に断定することは適当でないと考えています。
 いずれにせよ、我が国は、さきの大戦で国内外に大きな被害を与えたという事実に対する反省の上に立って、民主的な平和国家として、アジア及び世界の平和と繁栄に積極的に貢献をしてまいります。
 普天間飛行場の移設に関してお尋ねがありました。
 普天間飛行場については、沖縄県民がその県外移設を希望していることを念頭に置きつつ、抑止力の維持と地元の負担軽減の観点から、日米間で精力的に協議を行いました。その結果、沖縄に駐留する海兵隊の即応能力の維持の観点から、代替施設は沖縄県内に建設する必要があるとの認識に至ったものであります。
 政府としては、今後とも、沖縄県など地元の切実な声に耳を傾け、地元振興策などにもしっかりと取り組むことにより、普天間飛行場の早期移設・返還に努めてまいります。
 イラクに対する武力行使に関してお尋ねがありました。
 イラクが過去、実際に大量破壊兵器を使用した事実や、国連査察団が数々の未解決の問題を指摘したこと等にかんがみれば、対イラク武力行使が開始された当時、イラクに大量破壊兵器が存在すると信じるに足る理由があったと考えています。
 いずれにせよ、我が国が対イラク武力行使を支持したのは、イラクが十二年間にわたって累次の国連安保理決議に違反し続け、平和的解決の機会を生かさず、国際社会の真摯な努力に最後までこたえようとしなかったからであります。これは正しい決定であったと現在でも考えております。
 日米関係の在り方と美しい国についてのお尋ねがありました。
 私は、アメリカとともに世界で戦争をする日本などという御指摘は全く当たらないものと考えております。日米同盟は、世界とアジアのための日米同盟という考えの下、世界における様々な問題の解決やアジアの強固な連携のために積極的に貢献しております。
 こうした日本外交の在り方は、日本が国際社会においてリーダーシップを発揮をし、世界から信頼されることを可能とするものであり、正に美しい国をつくるために不可欠なものであると考えております。(拍手)
○副議長(角田義一君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五分散会