第165回国会 総務委員会 第8号
平成十八年十二月六日(水曜日)
   午後一時開会
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  出席者は左のとおり。
    委員長         山内 俊夫君
    理 事
                景山俊太郎君
                二之湯 智君
                森元 恒雄君
                伊藤 基隆君
                那谷屋正義君
    委 員
                小野 清子君
                河合 常則君
                木村  仁君
                世耕 弘成君
                山崎  力君
                山本 順三君
                吉村剛太郎君
                今泉  昭君
                芝  博一君
                高嶋 良充君
                澤  雄二君
                遠山 清彦君
                吉川 春子君
                長谷川憲正君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        高山 達郎君
   参考人
       全国市長会会長
       石川県金沢市長  山出  保君
       全国町村会副会
       長
       島根県斐川町長  本田 恭一君
       東京大学大学院
       法学政治学研究
       科教授      金井 利之君
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  本日の会議に付した案件
○地方分権改革推進法案(内閣提出、衆議院送付
 )
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○委員長(山内俊夫君) ただいまから総務委員会を開会いたします。
 地方分権改革推進法案を議題といたします。
 本日は、本案の審査に関し、参考人の方々から御意見を賜ることといたしております。
 参考人の方々を御紹介を申し上げます。
 全国市長会会長・石川県金沢市長山出保君、全国町村会副会長・島根県斐川町長本田恭一君及び東京大学大学院法学政治学研究科教授金井利之君、以上の方々でございます。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ、当委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。
 皆様から忌憚のない御意見を賜り、本案の審査に反映させてまいりたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。
 本日の議事の進め方でございますが、まず、参考人の皆様からそれぞれ十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、参考人の皆様及び質疑者の発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、最初に山出参考人からお願いをいたします。山出参考人。
○参考人(山出保君) 全国市長会の会長を務めております金沢市長の山出でございます。
 今日は、法案の審議に当たりまして発言の機会をちょうだいしまして感謝を申し上げたいと思います。また、先生方には日ごろ地方自治に御支援をいただいておりますことに感謝を申し上げます。
 私は、分権改革推進法が第二期改革の出発点といたしまして早期成立が必要であるというふうに存じておりまして、法案に賛成をする立場から意見を述べさせていただきます。
 御案内のように、第一期の地方分権改革は、平成五年の衆参両院における決議に始まりました。平成七年には、地方分権推進法が成立をいたしまして、地方分権推進委員会が設置をされ、その勧告に基づきまして地方分権推進計画が作成をされ、この計画を実現するために平成十一年に地方分権一括法が制定をされました。で、その中に、機関委任事務制度の廃止など、国と地方が上下主従の関係から対等協力の関係になりまして、ともに国の真の繁栄のために力を発揮するということになりました。
 平成十六年度から三年にわたりまして三位一体改革が行われ、この改革では、基幹税である住民税による三兆円の税源移譲が実現したということはあったわけでございますが、国庫補助負担金改革につきましては、国による関与、規制が依然として残りまして、補助率の削減という手法が多用をされました。地方の自由度は高まる内容には至りませんでした。いまだに多くの課題が残されておりまして、地方分権改革は道半ばの状況と言わざるを得ません。
 市長会は、他の六団体とともに、なお一層の分権改革に向けて、本年六月、十二年ぶりに地方自治法に基づきます意見提出権を行使したところでございます。
 地方分権改革推進法の早期制定によりまして国と地方の役割分担を明確にする、役割分担に応じた税源配分が必要であると。当面、国と地方が一対一のシェアの実現を始めとする税制措置の見直しを行うと。国による規制、関与の見直し、補助金改革を行いまして、地方自治体の自由度を高めることが不可欠であると。また、国の法令による義務付けや関与が足かせになりまして、創意工夫と自主性が阻害をされて行政の効率化にも支障があると。
 例えて申し上げておきますが、保育所の整備でございますが、補助金を一般財源化するとともに、定員基準あるいは面積基準、設備基準を緩和して、それぞれの地域に合ったものにすることによりまして、中心市街地の空きビルとか空きテナントを保育所に転用しやすくなる、そして働く女性が職場の近くで子供を預けることができると、こういう方向になったらいいというような我々の考え方であります。にもかかわりませず、地方分権一括法施行後も自治事務に関しまして、自治体が行う事務の執行方法を具体的に義務付ける法令の定めが増えているというのが実情でございまして、甚だ残念でございます。
 また、県と市町村との関係でございますが、法律、また国庫補助制度等で定められております義務付けとか関与等を同様の視点でその関係を見直していくことが必要というふうに思っています。最近の例におきましても、学校運営協議会を設置する学校の指定における都道府県教育委員会との協議を義務付ける法令が見られるということもございまして、この点についても甚だ残念に思っております。
 ところで、交付税でございますが、これにつきましては、地方共有税への名称変更を必要とするという提言をいたしてまいりました。国の特別会計に直接繰り入れる等の見直しを行うことによりまして、地方の固有の共有財源であるということを明確にする必要があるという考え方であります。
 地方交付税は、人口構成の差あるいは地理的条件その他の社会経済条件等の違いを考慮いたしまして、自治体間の公平性を確保するための財政調整の制度でございます。人口、面積といった指標のみによって算定されるべきものでもなかろうというふうに考えてございまして、本来の財政調整制度の方向性を誤らないことが必要だと考えています。
 中央と地方との格差が存在するということは私は認めざるを得ない状況にあると、このように認識をいたします。どの地域に暮らしていても豊かに暮らせるようにしなければならないわけでありまして、そのためには税の偏在を是正する方策が欠かせないというふうに思います。これを是正するために地方交付税制度があるわけでございまして、この制度をしっかりと維持していく必要がある、こう考えている次第でございます。
 ところで、三位一体改革の際に国と地方の協議の場というのが持たれました。十四回開催をされまして、毎回真剣な議論が交わされていたことは事実でございます。国と地方がこのような場を持つことは誠に意義のあることというふうに思っておりまして、国と地方の協議の場の制度化はお互いの信頼を高める上において誠に重要というふうに考えておる次第でございます。
 今後の分権改革の実を上げるためには、国と地方の協議の場の制度化を図ることが重要でございます。地方六団体の意見提出をいたしました際に求めた地方行財政会議の制度化を図りまして、地方の意見を反映する仕組みをつくっていただきたい、こう思っております。
 同様の趣旨で、この法案におきましては、地方分権改革推進委員会の委員は国会の同意を得るということになっています。委員の選任に当たりましては、地方分権改革を推進する理念を共有する人を選任するとともに、地方の意見を十分反映していただきたい。できれば、地方六団体が推薦する地方の代表者を含めていただきたい、このように思っております。
 次に、政府の推進体制についてでございますが、法案成立後、委員会の審議、勧告、政府の計画作成、地方分権一括法までを三年間で集中的、一体的に進める必要があるということでございます。政府におきましては、第二期の地方分権改革を着実に進めるために内閣に地方分権改革推進本部を設置すると、このようなことなど、政府が一体となって体制を整備して、内閣のリーダーシップの下で改革を力強く進めていただきたい、このように思っております。
 地方はこれまで国に先んじまして行財政改革を断行してまいりました。大幅な定員削減あるいは給与カットなど、懸命に行財政改革に取り組んできたつもりでございます。地方公務員の総数は、平成七年の三百二十七万八千人から十一年連続して減少いたしまして、平成十七年には三百四万二千人となりまして、二十三万六千人の純減でございます。独自の給与抑制実施団体は、平成十七年度において全地方公共団体の五六%に達しております。地方分権改革こそが国、地方を通じた最大の行財政改革でございます。我々地方側も、その推進に当たって最大限の努力をする覚悟でございます。
 ところで、地方側で不祥事が続いていることは誠に遺憾でございます。このことで地方分権改革の流れをとどめてはいけないというふうに考えてございます。自治体での不祥事等を防止、是正するために、地方分権改革を推進をするとともに、各自治体において、情報開示の徹底、議会の機能の強化、監査機能の充実、直接請求制度等住民監視機能の強化など、住民自治と自治体自身のガバナンスの強化が必要と、このように思っておる次第でございます。努力をしてまいる所存でございます。
 これまでの反省点といたしまして、地方分権改革の議論は、国と地方の間の権限、財源争いに矮小化された形で国民の目に映ってきたというふうに思っています。これから国民の理解を求めることが一層重要になってきてございまして、国から地方への権限、財源の移譲、国の義務付け、枠付け、関与の廃止、縮小、これが実現すれば、福祉、教育等の面で地域社会が大きく変わることを住民に説明し、改革への理解が深まるように努力をしなければいけないと考えています。
 重ねて申し上げますが、国は国として本来行うべき外交、安全保障等の役割を担って、残りの内政面については地方に任せていただきたい。そして、地方が未来の創造に自由に挑戦できる環境と独立の気概を持つことができるように地方分権改革を実現することが必要であると思います。
 これからの地方分権改革の推進に当たりましては、国会議員の先生方の御理解とリーダーシップを発揮していただきたい、このように申し上げて発言を終わります。
 ありがとうございました。
○委員長(山内俊夫君) ありがとうございました。
 次に、本田参考人にお願いをいたします。本田参考人。
○参考人(本田恭一君) 全国町村会の副会長、島根県の町村会長を仰せ付かっております、島根県斐川町長の本田でございます。
 本日は、こうした地方分権改革推進法案の審議に当たりまして、このような機会を、発言を与えていただきましたことに対しまして、厚くお礼申し上げます。また、先生方には、日ごろから町村自治発展のために深い御理解と御尽力を賜りまして、厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございます。
 私は、基礎的自治体におきまして地方自治行政を実践している町村長の立場から、今回の地方分権改革推進法案につきまして意見を述べさせていただきます。
 先ほどは全国市長会の会長の金沢市長さんから意見陳述がなされましたけれども、これまでの分権の流れ等につきましては、地方六団体として足並みをそろえてきた部分につきましては私の方からは割愛をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 さて、私は、島根県の斐川町でございます。場所で申しますと、東には松江市、西は出雲市、そして南には雲南市に囲まれた八十・六四平方キロメートルの面積を持つ町でございます。全国で平成におきまして合併が進んでまいりまして、面積が町村はどこでも大きくなりました。そうした中にあって八十・六四平方キロメートルというのは非常に私は小さな町であると、面積的には小さいと思っております。
 これは住民投票によりまして、我が町は合併しないという選択をした町でもございます。昨年、国勢調査が五年ぶりに行われましたが、昨年の国勢調査によりますと、私たちの町の人口は二万七千四百四十三人でございます。島根県全体では人口が減り続けている中におきまして、微増ではございますが、今二十一あります市町村の中で人口が増え続ける町の一つでございます。
 昨年からも人口は増え続けてまいりまして、昨日現在で二万八千三百九名でございます。約三百名余りが増えてきているわけでございまして、その一つの大きな理由は、出雲空港を抱えているという問題、そしてまたインターが二つあるという問題、非常に交通のアクセスがいいという点が挙げられます。
 そしてまた、先端産業でございますIT企業が集積をいたしております。現在、ノートパソコンは全国で株式会社富士通が生産されておりますが、我が町には唯一すべてを一〇〇%生産する工場がございます。また、今ほとんどセラミックコンデンサーが携帯電話を含めて入っておりますけれども、その大部分を作っておるのが我が町にございます。全国で有数な会社でございます。また、先端医療の会社も来ております。そうしたことがございまして我が町は人口が増え続けていると私は思っております。
 ただ、それまでには相当な投資をしてございます。どんなに企業に誘致をいたしましても、なかなか環境が整わないことには私は企業に来ていただくことは難しいと思っております。そうした面において、今日あるのは先人たちが必死になって誘致に努力をしたその結果が立派な企業に来ていただいたと思っております。人口も増え続け、そして町も活性化している状況でございます。
 そして、そうしたときに地方分権問題が大きく出てまいりまして、そして、地方のことは地方で、国のことは国でと、きちっとした責任体制を持つということが、これが地方分権改革推進法案の趣旨ではないかなと思っております。
 今、国会におきまして、国及び地方公共団体が分担すべき役割を明確にし、地方公共団体の自主性及び自立性を高め、地方公共団体自らの判断と責任において行政を運営することを基本理念とする地方分権改革推進法案の審議がなされておりますが、この法案は、骨太方針二〇〇六に基づく地方分権のための関連法令の一括した見直しに向けた推進体制等を定める推進法を制定するものというように理解をしているところでございます。
 これが成立すれば、地方分権改革は第二期に入り、確かな第一歩を踏み出すこととなり、私といたしましてはその早期の成立を願うものであり、先週、十一月二十九日には、全国町村大会におきましても法案の速やかな成立を求める決議をしたところでございます。全国の町村会といたしましては、法案の成立後、国は地方分権改革に関する施策の推進に当たり、地方と密接に連携するとともに地方の立場を尊重することとの要望を決定しております。
 十一月二十八日の衆議院総務委員会におきまして、地方分権改革推進委員会の委員の人選に当たりまして地方公共団体の意見の反映に特に配慮するとともに、地方分権改革推進計画の作成に当たっても、地方公共団体の意見を幅広く、誠実に聴取するよう、最大限の配慮を払うこととする附帯決議が可決されたとのことであり、政府においてはこの附帯決議の趣旨を誠実に実行され、何よりも地方の参画の下に分権改革の論議が進められることを望むものでございます。
 さて、先ほど私は冒頭で、我が町は合併しなかったと、住民投票におきまして合併しなかったということを申し上げました。平成の大合併は平成十一年四月から始まりまして、そして平成十八年十月までの間に、全国では三千二百二十九ございました市町村が現在は千八百十二まで減少いたしました。また、そのうち町村は二千五百五十八ございましたが、現在は千三十八と約六割減少したことになります。
 この旧合併特例法による合併の必要性におきまして、総務省さんにおかれましては、一つ、まず地方分権の推進が必要である、二つ目は多様化、高度化する行政課題への対応が挙げられておりました。また、三つ目におきましては自治体行政の効率化、そして四番目は財政危機への対応を挙げておいでになりました。
 合併論の基本には分権論があったように思います。すなわち、合併によって市町村の規模を大きくし、足腰の強化を図り、分権の受皿をつくるというもので、合併が進めば分権も進むというものではなかったかと思います。そして、町村も苦渋の選択をいたしまして、先ほど申し上げましたように、現在は以前の六割の町村が消えました。そして、分権の受皿、基盤の準備はできたと思います。にもかかわらず、地方分権はまだ私は道半ばではないかなと思っております。そのような実感をしております。そして、現在もなお、地方分権の推進に反応した市町村の体制整備及び確立という目的の下で、都道府県の構想による新たな市町村合併が進められていると聞いております。
 国土の多様性に応じて大小様々な市町村が存在するというのが本来の私は姿だと思っております。市町村合併は、一律に人口規模で基準を設定して強制したり、あるいは財政措置による誘導などによってなされるべきものでは私はないと思っております。それぞれの地域の地理的特性やこれまで歩んできた歴史、文化あるいは社会的な、経済的な権益との一体性など総合的に勘案して、将来への展望を持って、最終的には住民意思の集約をして自主的になされるべきものではないかなと、このように思っているところでございます。
 私は、まず合併が一段落した段階においていま一度検証が必要ではないかなと思っております。我が県一つを取ってみましても、町村に、市と一緒に合併したところ、それは正直申し上げまして大変困っているような旧町村が多くございます。権限がなくなった、あるいは町が寂れる、店を閉めなきゃならない、こうした状況もございます。私は合併を否定するものではございません。しかし、平成の合併が行われることによって現実問題として、合併してから一年しか二年しかたっていないにもかかわらず、既にもう寂れ行くような状況にあるような町村もあるということ、それを再び活力ある市にしていくためにあるいは町村にしていくためにはどうしたらいいかという、そうした検証が私はしっかりとなされていかなければならないと考えております。是非先生方におかれましても、その辺りを十分に把握していただいて今後の対策を考えていただけたらと思っているところでございます。
 そして、私たちの町村は、とりわけ全国の町村は、乏しい自主財源の中でいろんなやりくりを行っております。先ほども市長会の会長さんがおっしゃいましたように、今地方は必死になって行財政改革に取り組んでおります。自らの給与をカットし、そして職員の給与をカットし、そして光熱費に至るまで全部削減をしながら必死になって頑張っております。そしてまた、これまでいろんな開発をし、事業をしたところほど大変厳しくなっているのも現状でございます。交付税のカット、補助金のカット、そうしたことを考えていくときに、今市町村は悲鳴を上げざるを得ない。改革においては、乾いたタオルをもう絞るような感じです。もう絞るものがない、そういう状況の町村もあるということも十分お考えをいただきたいと思います。
 そして、税源移譲が確かに三兆円行われました。しかしながら、小さな町村にとりましてはまだまだ十分と私は言えないと思っております。そしてまた、来年、所得税と住民税が変わります。税源移譲、交付税が削減される代わりに税源を移譲していくということが今ございまして、所得税と、そして住民税の割合が変わってまいります。ところが、人口が少なく収入の少ない町村にとりましては、この税源を移譲していただいても総額が限られてまいります。これを賄うだけの私はきちっとした対応を是非お願いしたいと思います。
 村にこそ、あるいは田舎にこそ、日本人が受け継いできた文化、伝統、環境、守っていかなきゃならない大切なものがございます。私は、効率だけでは、あるいはコストだけでは考えることはできないように今思っているところでございます。是非、そうした半島で、あるいは離島で、中山間地で必死になって頑張っている町村、そして首長のことも考えていただきながら、そしてその村を町を、あるいは山を田をどう守っていくかということも、是非私は先生方にも考えていただきたいなと思っているところでございます。
 まず、これからは自らの町は自らがつくり上げていく、これが基本になっていこうかと思っております。しかし、いきなりそこまではなかなか行けない。今まではいろんな特典がございました。それを急激にカットされるといたしましても町村は困るだけでありますから、したがって、徐々に、そして自立できるように、国としての最大限の私は支援が必要ではないかなと思っております。
 じゃ、権限を移譲したときに、町村においてそうしたものが受けられるかという疑問もあろうかと思っております。私は、これからの町村というものは、広域連合あるいは市町村連合というものを新たに法制化をしていただいて、地域で支え合っていく、お互いの町がお互いが協力し合ってできるところをお互い補っていくような、そういう体制がふさわしいのではないかなと。町村を残すことによって、その町の、村の文化を守ることができ、また後世にも伝えることができると私は思っているところでございます。是非そうしたことも考えていただきたいと思っているところでございます。
 さて、最後になりましたが、先ほど申し上げましたように、全国の町村を取り巻く環境は大変厳しいものがございます。過疎化、少子高齢化の進展、景気回復を実感できないのが現在の地域であると私は思っております。まだまだ厳しい状況が続くと思います。都会の方では景気が回復した、税収が増えたという話をよく聞きますけれども、まだ地方においてはそうした実感がないのが現実でございます。都市と農村、あるいは農山漁村の地域間格差が更に私は拡大することを非常に懸念するところでございます。
 私ども町村長は、様々な課題を克服し、地域の個性を最大限に発揮しながら、新たな地方分権時代に向けて町村自治の可能性を切り開いていく覚悟でございます。どうかこれからも、先生方には町村に対して格別な御配慮と御協力をいただきまして、そして日本全国の津々浦々で、生き生きと国民が生活でき安心できるような環境をつくっていただきますようによろしくお願いいたしますと同時に、この地方分権改革推進法案に当たりましては、早期にそれを成立していただいて、そして町村が自らの権限でいろんなことができるような環境をつくっていただきますようにお願い申し上げまして、私の発言とさせていただきます。
○委員長(山内俊夫君) ありがとうございました。
 それでは、最後に金井参考人にお願いをいたします。金井参考人。
○参考人(金井利之君) 東京大学の金井と申します。
 本日はこのような意見を述べさせていただく機会を与えていただきまして誠にありがとうございます。
 私は、大学で自治体行政学を教育及び研究している者でございます。そのような観点から、分権改革というのは大変重要なテーマとしてこれまでも勉強してきたところでございますけれども、またこのような形で新たな分権改革への動きがあるというのは大変興味深く、かつ期待を持ちながら見守っておるところでございます。
 まず、お手元にお配りさせていただきました資料に基づきまして大まかな意見を述べさせていただければというふうに思います。
 まず第一といたしまして、「世紀転換期地方分権改革」というふうに名付けたものでございますけれども、一九九〇年代、より正確に申せば、国会の決議から始まったいわゆる分権改革でありますけれども、二〇〇〇年で終わったわけではありませんで、正に今日まで続いていく改革の十年、十五年、二十年というようなものになっているわけでありまして、ある意味で二〇〇〇年を挟んで改革が進んでいるということで、世紀転換期地方分権改革というふうに名付けさせていただきました。
 このような改革においては、どこで議論されるのかということと何が議論されるのかという、場と何ということが大変重要なテーマになってまいるわけでありますが、それを整理して考えてまいりますと、いわゆる第一次分権改革というのは、地方分権推進委員会によって機関委任事務制度の廃止、すなわち関与の改革というものを行ったというふうに、非常に単純に言えば要約することができるのではないかというふうに思われます。
 その次に行われました第二次分権改革、あるいは三位一体改革と呼ばれるものでありますが、これは当初地方分権改革推進会議で議論が行われていたわけでありますけれども、最終的には経済財政諮問会議であるとか、あるいは国と地方の協議の場で地方側の意見を聞きながら、最終的には政府・与党で決めていくという形になりました。そこで行われたことは、一方では平成の大合併というものでございますけれども、他方では税源移譲プラス国庫支出金の削減プラス交付税の削減というような三位一体改革だったというふうに要約することができます。
 そして、では今回この法案で始まろうとしている改革、これについてそもそもどのような名前で呼ぶか自体が決まっていないのではないかと思うわけでありますが、ここでは第三次分権改革と呼ぶ言い方もあれば、第二期三位一体改革と呼ぶ言い方もあれば、第二期分権改革という呼び方もありまして、何と呼んでいいか分からないわけでありますが、それはどこでやろうとしているのかというのを決めようというのが今回の法案ではないかというふうに思います。
 当初、いわゆるビジョン懇では地方制度調査会で、あるいは六団体側の構想委員会では地方行財政会議というようなものでやったらどうではないかというようなアイデアが出てきたわけでありますが、法案では地方分権改革推進委員会という形で、内閣府に設置する、ある意味で地方分権推進委員会のアイデアを最も強く引き継ぐような形で場を設定したらどうかというアイデアではないかというふうに理解しております。そして、そこで何を検討しようとしているのかといいますと、基本的には義務付け及び関与の改革というものが法案の大きなターゲットになっているのではないかというふうに理解しているところでございます。
 続きまして、今回の法案について、具体的に何を目指しているのかということで、表の二の方に移らさせていただければというふうに思いますけれども、これにつきましては新旧法、つまり地方分権改革推進法案とかつての地方分権推進法というものを対比することである程度それが見えてくるのではないかというふうに思われます。
 両法及び両法案は大変似ているわけでありますけれども、子細に眺めてまいりますと、このような異同と、同じ点と異なる点があるのではないかというふうに思われます。
 端的に申しますと、地方分権推進法ではなかった自己判断、自己責任、自治体の自己判断、自己責任というものが今回の法案には掲げられている。他方、分権推進法、旧法ではあった総合的という概念が今回の推進法案では消えているというところでございます。これに関しまして法案所管省庁ではいろいろ御見解があろうかと思いますけれども、基本的に法案を虚心坦懐に眺めますと、このような違いが見えるということでございます。
 そして、国と自治体の関係ではどのような違いがあるのかといいますと、新旧両法とも、簡素合理化という意味で、一種行政改革の流れの中にはあるということでは共通しておりますけれども、新法案では密接な連絡ということが掲げられていると、これが新たな特徴でありまして、三位一体改革における国と地方の協議の場、あるいは自治体側が力を付けてきたということが今回の法案に如実に反映されているのではないかというふうに理解することができます。
 そして、具体的によりどういう細かい方向を目指すのか、改革のターゲットは何なのかということが分権改革の検討項目でございますけれども、新旧法とも権限移譲と関与の整理合理化という点では間違いがないわけでありますが、旧法ではなかった義務付けの整理合理化ということが今回の法案で出ているとともに、政府提案での段階では、財政上の措置の検討というものが掲げられており、旧法における地方税財源の充実確保というところに大きな違いがあったということでございます。この点に関しましては衆議院で既に修正がなされまして、充実確保等の観点ということで若干旧法のような形に近づいてきたのではないかというふうな印象を持つところでございます。
 こうして見ますと、非常に簡単に、今回の政府当初案の思想を非常に単純に要約いたしますと、自治体は自己判断と自己責任によって必ずしも総合的である必要はないということの中で、国からの義務付けを整理合理化するということによって、必ずしも地方税財源の充実確保はしなくてもよいということが虚心坦懐に法案を見る限りにおいては書かれていたということでございます。
 これはある意味で大変筋が通ったといいますか、緊縮財政という観点からいいますと、極めて理屈の通ったことであったわけでありまして、国、地方を通じた財政緊縮のためには地方財政を圧縮する必要があると。そのためには、これだけの義務付けがあるから財源を圧縮できないという論拠を与えてはならない、したがって義務付けをなくすと。そのような義務付けをなくした自治体は自立性に基づいて地方税で自己責任で賄っていくと。結果的には自治体は自分の判断で仕事をしたりしなかったりするということで、総合的な行政というよりは取捨選択が行われていくと。しかし、そのような厳しい改革をするためには国と自治体側からの納得を得る必要があるので密接な連絡をしていく。それによって最終的には地方財源の充実確保を必ずしもしなくてよくなるという、このような法案には一つの考え方が反映されていたのではないかというふうに思われるわけであります。
 ただ、この点は大変、自治体側からいいますと非常な大きな問題になるというところでありまして、衆議院で既に修正が入りまして、明らかに法案の当初描いていたビジョンというのは修正をされているというふうに理解せざるを得ないのではないかというふうに思っております。簡単に言えば、地方税財源の充実確保をした上で、にもかかわらず、あるいはそれとは同時に義務付けを整理合理化していくという方向で法案が既に修正されて参議院に回ってきているのではないかというふうに理解することができます。
 いずれにいたしましても、この法案が成立した後どのような第三次分権改革になるのかということは大変重要なテーマかというふうに思います。
 したがいまして、では将来を見通すためにどういうふうに見ることができるのかということで三に参りまして、戦後改革と第三の改革の対比ということで、歴史を振り返ることで今後の展望を見てみたいというふうに思います。
 この第三の改革というのは、正に二〇〇〇年を挟んで行われている分権改革でございまして、この戦後改革と言われるのは、狭い意味での戦後改革を超えまして、戦後の日本の在り方を決めたという、こういう一連の改革ということでございます。時間がございませんので詳しい説明は割愛せざるを得ませんけれども、このような両改革を対比して項目を掲げてみますと、あるものは追体験しているというところがかなり多く見られるわけであります。
 例えば、戦後改革においては機関委任事務制度と職務執行命令訴訟制度というものが導入されたわけでありまして、これは今回、第一次分権改革では集権的な関与の一つということで改革の対象になり、法定受託事務制度と国地方係争処理制度に変わった。あるいはシャウプ税制改革と地方財政平衡交付金というような形で財政上の改革がなされたというものは、今次の世紀転換期あるいは第三の改革の時期におきましては三位一体改革と新型交付税という形で進んでいるということでございます。その他、例えば平成の大合併と昭和の大合併、あるいは現在における破綻再生法論と地方財政再建措置法、あるいは地方制案と道州制というような形で同じような項目が繰り返し起きているということでございますので、この戦後改革を振り返るということは第三の改革を見る上でも非常に有用なのではないかと思われるわけであります。
 そして、右下のバーンでございますけれども、この第三次分権改革になって一体どういう方向に進むのであろうかということでございますが、法案は意図しているのは、義務付け、関与の縮小、それに伴う補助負担金の縮減、地方行政の整理、小さな政府ということが一つ目指されているのではないかというふうに思われるわけであります。しかしながら、先ほど、既に地方税財源の充実確保をするのだという修正があったように、この点が現在大きく議論されている最大のポイントなのではないかというふうに思われるわけであります。
 では最後に、四といたしまして、この「第三次分権改革の展望」ということでございますけれども、表四をごらんいただければ有り難いのでありますけれども。今回の第三次分権改革の一つの大きなポイントは、先ほど申しましたように、国による財源確保はどの程度になるのかという軸であります。それが多いあるいは強いものを財源確保される状態、それが少ない、弱いというものが自立と言われる状態でございます。
 他方、もう一つのポイントは、法案で非常に大きな改革項目となっております国による義務付けということでございます。この国による義務付けが弱いあるいは少ないということになれば、この改革、分権改革は進むということでございますし、それが多いあるいは強いままであれば分権改革は進まなかったということになります。
 このような二つの軸で見ますと、義務付けが強く財源も確保してくれるというのが@の体制ということになりまして、これが実は戦後の体制であったというふうに言うことができます。これに対して、国による義務付けを弱め、しかし国による財源確保も弱めるというのがこの右下の欄、Cの欄でありまして、ある意味で元々の政府提出法案の基本的な方向性はここにあったのではないかというふうに言うことができます。
 しかしながら、国による義務付けを弱めながらも、しかし財源を十分充実させていくという方向もある。これがAの自治を充実する体制でありまして、自治体側が期待していたものはこういうものでありますし、通常、地方分権としてはこういうものが考えられているのではないか。それを受けまして衆議院もこのような修正案を議決されたのではないかというふうに理解しております。
 他方、国による義務付けが残ったまま財源の措置が弱くなっていくという、このBという可能性もございます。これは実は戦前の体制でございまして、戦前は集権的ということで、かなり国が自治体にいろいろと統制を行っていたわけでありますが、それに見合う財源の保障というのをしてこなかったということでございます。
 このように見てまいりますと、この@、A、B、Cのどのような方向に進むのかということが今回の第三次分権改革の大きな争点になるのではないかと。簡単に言えば、義務付けがちゃんと緩和できるのか、できなければ@あるいはBのままになってしまう。あるいは、財源が十分に確保できるのかそれとも確保できないのかということで、CになるかあるいはAになるのかというような違いが出てくるということでありまして、今後の改革がどのように行われるのか、真の意味で地方分権の充実につながるような改革になっていただきたいというふうに思うところでございます。
 以上で、簡単ではございますけれども、私の方から地方分権改革推進法案及び第三次分権改革の展望についてお話をさせていただきました。
 どうもありがとうございました。
○委員長(山内俊夫君) ありがとうございました。
 以上で参考人の意見陳述は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○二之湯智君 自民党の二之湯智でございます。
 今日は、三人の参考人の皆様方、大変御苦労様でございます。陳述の順番に御質問をしていきたいと思います。
 まず初めに、山出金沢市長にお伺いするわけでございますけれども、経歴を見ますと、昭和二十九年に金沢市の市役所にお入りになったと。当時、日本の地方自治が三割自治あるいはそれ以下の自治だと、まあ自治というにはふさわしくないような自治体の権限と財政の状況じゃなかったかと、こう思うわけでございますけれども。
 今日、もう本当に地方分権がかなり進みまして、そしてそれぞれ自主自立の立場で町づくりをされているわけでございますけれども。第一次分権改革のときに、この国の機関委任事務が廃止されてほぼ自治事務になったと、こういうことで、国と地方の関係が、いわゆる上下主従、対等平等だと、こう口では言われておるんでございますけれども、なかなか実態はそこまで行っていないんじゃないかと。かなり、先ほどの金井教授の話じゃないですけれども、補助金とかあるいは交付税で国の関与は依然として強くて、とてもそういう対等平等の立場じゃないと、このように思うわけでございます。
 まずそれを聞きたいのと、それと、金沢市は北陸の、新潟を除いても日本海側では非常に大きな町でございまして、県と金沢市、いわゆる県庁との町づくりにおける関係、国との関与もあるけれども、いわゆる県と金沢市の関係、つまり、町づくりをこれからしていこうというときにどうも県の存在が金沢市にとって、まあ邪魔になってと言ったらおかしいですけれども、ちょっと、別にこんなことを県に相談しなくても独自にやれるのに、しかし県に相談しなきゃならぬというような、そういうことはまだまだ残っているんじゃないかと、こういうことを思うわけでございますけれども、こういう二つの点についてお聞かせをいただきたいと思うわけです。
○参考人(山出保君) まだ私から見て国の縛りは強いと、場合によるとだんだん強くなっている側面もないわけではないと、こう思っています。
 金沢のことで申し上げますと、戦災を受けていない町でございますんで、古い環境を守りたいということで、町並み保存でありますとか、用水を保存するとか、寺社の風景を保存するとか、そういうことのための条例を幾つか作っておるわけであります。しかし、その条例は、やはり指導というのは限界でございまして、強制力を持つことはできません。これに強制力を持たせたいと。言い換えれば、法律が条例に授権をして、そして条例の立場を強くしてほしいという主張をしたいわけでありますが、そういうことにはなかなかなりませんで、限界があると。力のないことを実は実感をする場合もあるわけであります。
 ここに来ますと、逆にどういう現象が出てくるかといいますと、法律の中に実は条例に任せてほしいようなことまで書き込んでしまうということになりますと、私は地方の自治というものは拡充していかないと、そう思っています。三位一体改革は財政の面での地方の自立を促す手法でありましたけど、私は、もう一つ、法律と条例を通じて、条例を通じて地方の自由度を増すという方法も模索をしたいと、こう思っておる次第でございます。私は難しいことを言いませんで、やはり国は地方を引っ張る、付いてこいという言い方に聞き取れてしようがありません。そうではなしに、一生懸命やれよと、僕たち、知恵もあるから支援してやるよ、支えてやるよと、そういう考え方であってほしいと願っておるんであります。
 それから、県と市町村との関係にお触れでございました。
 中核市制度がスタートしたときに県から権限を幾つかちょうだいをしました。私どもは順調にこなしてきておる経緯がありますし、中核市に移行した市はすべてそうだったと。極めてスムーズに移行をしておるというふうに思っています。ですから、任せばできるという自信を持っています。
 私は、規模、能力に応じて権限を下ろすべきだという論者の一人でございまして、思い切ってやっていいというふうに思っています。都道府県と市町村との間にはやはり事務を重ねているところがたくさんありまして、この整理をしなければいけません。公営住宅は県もやって市もやってと、こんなことは整理をしなきゃいけないなというふうに思っておりますし、これから道州の議論が出てきますけれども、その前に、私は都道府県と市町村との間の関係を整理するという視点があってしかるべきというふうに思っています。
 例えば、地方支分部局は県にやってもらって、そして県の今やっておる仕事も市町村にもっと下ろしてもいいと、県は雇用の仕事、環境の仕事、あるいは県土保全の仕事、こういうようなことをやっていただいて、こまいことは是非市町村に下ろしてもらっていいと、私はそう思っておる次第でございまして、県と市町村との間の事務の再配分、権限の再配分、移譲、こういうこともこれからの大きいテーマだと、こう思っています。
 そして、もしも自立できないような弱小な町や村があるとしたら、私は、県はそれを抱え込んで面倒を見ると、そういうことがあってしかるべきだ、そう考えています。
○二之湯智君 ありがとうございます。
 次に、本田町長にお伺いいたします。
 町長の斐川町というんですかね、は松江市のお隣で、出雲にも囲まれていると。こういうことになりますと、私らの立場からすれば、松江市に入った方が聞こえがいいんじゃないかとか、出雲だったらだれでも知っているだろうとか、こういうような思いで、どうして合併されないのかなと。まして、周辺、周囲が市に囲まれているところでございますから。しかし、今お話を聞きまして、住民投票にかけたら住民は合併しないという選択をしたと、こういうことなんです。
 その合併をしないという住民の意思表示の多くの部分はどういうところで合併しないと、斐川町という名前でいきたいと、あるいはもう既に十分雇用も確保されているし、あるいは昔からのなじみ深い町の名前を残していこうと、先祖伝来のこの町を我々自身で守っていくんだと、こういう形でもう住民が合併にノーと、こういうような意思表示をされたと思うんですが、何が一番大きなポイントになったのかと、このようなことを思うわけです。
 それと、最近はよく地方を歩いておりますと、町長さんが非常に悲鳴に似たような声を上げるわけですね。交付税はカットされて、もうほとんど経常収支比率が一〇〇に近くて、まあ人間で言うたら食べて寝て終わりだと、こんな感じですね。もう何の新しい事業も展開できないし、地方単独事業も全然できないと。そういう中にあって、町長さんは非常に企業誘致なんかして雇用を確保してえらい頑張っておられるなと、そういう元気のある町長さんもたくさんいらっしゃるんだなということを改めて思い知ったわけでございますけれども。
 こういう、いつまでたっても国の交付税を当てにするといいますか、そればっかしを要求するような市町村の運営の在り方、財政の在り方というのに私はいささかちょっと疑問を持って、もっと頑張れないかなと、こう思ったりするんでございますけれども、その辺のことについてお聞かせをいただきたいと思います。
○参考人(本田恭一君) 我が町には誇りがございます。そしてまた、何千年と続いてきた古い歴史、それを町民がしっかりと受け継いで後世に伝えていこうという、そういう思いが強くございます。
 もちろん、東には松江市、そして西には出雲市と、大きな市がございます。それは、今の財政的にも厳しい状況の中にあって、合併すればそれで済むかも分かりません、楽で済むかも分かりません。しかし、その地域をだれが守るか、こうなったときに、私はそうした無責任な発言は今となってはできないと思っております。
 私も、実は合併するときには随分悩みました。余りにも斐川町の中において意見が分かれたわけでございます。最初、不作為にアンケートを取りましたところ、約九割の人たちが合併については反対でございました。そうした中において、私は住民説明会を二年間にわたり行ってまいりました。国の大きな一つの方針、そして時代の流れから、あるいは地方分権の時代から、住民に対してはきちっと説明しなきゃならない。それは小さく細かく、いろんな自治体単位あるいは振興区単位という小さな単位で説明会を行ってまいりました。そうした中において、合併が今の時代にはふさわしいといいますか、一つの流れかなと、こういう一つの感じも起こってまいりました。しかし、最終的には、やはり我が町は自分たちでつくり上げていこうと、こういう意思が強かったわけでございます。アンケートも二回取りましたけれども、決定打に至りませんでした。最終的には住民投票によって決めていこうと、多い方を最終的な判断していこうということになりました。
 その大きな要因は、先ほども申し上げましたように、企業誘致に成功いたしました。
 一つ、私は一例を申し上げますと、斐川町は今六千人の人たちがその企業誘致だけで働いておいでになります。ところが、七割は町外なんです、町外の人たちです。三割が地元です。
 私はここで時間をかりて発言さしていただきたいと思いますのは、それは、企業誘致するためには相当な資本を投資しているんです。道路を造ったり、あるいは下水道を通したり、工業用水を通したり、相当な投資をしました。お金、費用が掛かっているんです。そして、企業に来ていただきました。六千人が働くような町になりました。そこだけでもそういう町になりました。
 しかし、来ているのは町外だけであります。私は、経済的な効果が、斐川町が誘致したことによって周辺の町村に対しての私は経済効果が物すごく大きいと思っております。それは、来年から住民税が増えるんです。周りの市町村は、とりわけそこで働く人たちは給与が高い。それは、住民税では当然多く払うようになるんです。何もしないで、我が町に働きに来ることによって住民税が来年から落ちるんです。それは私がここで皮肉を言うんじゃなくて、それほど周りに対して貢献したということ。
 それに対して、私は、今度、総務省さんの方で頑張る地方応援室ができました。是非それは交付税の中にそうしたものを入れていただきたいと思っております。頑張って投資したけれども、しかし、自分のところも良かったけれども、周りに対しても大きな影響を与えた、これも私は是非考えていただきたいと思います。
 そして、道路の整備というものが何より大きな力になってきたのも事実でございます。今、道路特定財源がいろいろ言われておりますけれども、田舎は車がないと移動できません。都会に行きますと一分、二分置きで電車が参りますけれども、私たちの町あるいは市は、県は、一時間に一本通るか通らないかの県でございます。したがって、どうしても車は必要だ。車に関する税金にしたって、我が町は年間に二十万以上払っているんです。それを払い続けてまいりました。そして、道路を整備することによって人がたくさん来る。でも、我が町はできたんですが、ほかの県はまだ、中山間地はまだまだこれからの状態なんです。
 したがって、私は、道路特定財源の総枠を是非確保していただくようにもお願いしたい。それが地域を守ることにつながっていくんじゃないかなと思っております。
 さて、今、悲鳴を上げているとおっしゃいました。確かに本当に大変なんです、身を削る思い。あるいは、名前を出して恐縮でございますが、離島にあります海士町、ここの町長は五〇%自らの給与を削減し、そして職員には三〇%の削減を今お願いをし、実施をしているところでございます。そういう中で、必死になって何とかして町村を守り抜かんとしています。それでも、苦しくとも私どもはこの町を守る、手放したらいよいよそこが荒れ、そして文化や伝統が失われていく、そういう思いから、今残っている町村は必死になって私は、思っている、現状は厳しいけれども、それを乗り越えていこうよという思いの方が私は強いんじゃないかなと思います。
○二之湯智君 どうもありがとうございます。
 次に、金井参考人にお伺いいたします。
○委員長(山内俊夫君) 二之湯委員に申し上げます。指名を受けてから発言をお願いしたいなと。少し時間が迫っておりますので、簡潔にお願いします。
○二之湯智君 はい。申し訳ございません。
 金井参考人にお伺いいたします。
 三位一体の改革は一体何だったんだろうなと。結局、地方が財政的に大変苦しんだだけだったと。そして、財政が厳しいけれども、今なお国の関与、干渉が残ったままだと。もうこうなれば、おっしゃいましたように、もう国の義務付け、干渉はなくして、もう地方は地方で頑張っていくんだと、こういうことの方が自己判断それから自己責任と、こういうことで、あるべき地方自治の姿ではないかと、このように思うわけでございます。
 こういうときになった場合に、今の本田町長じゃないですが、自ら工夫して、そして企業誘致に成功し、雇用を創出し、税収を確保すると。こういうようなトップの責任、トップのやっぱり能力というものは非常に大きくこれから左右されてくるんじゃないかと、このように思ったりするわけでございますけれども、この点はいかがでございましょうか。
○参考人(金井利之君) トップの能力は大変重要であるということは委員御指摘のとおりではないかというふうに思います。
 その上で地方自治制度を考える上では、トップが失敗したときにどのようにみんなで支え合うことができるのかということが一番重要なテーマなのではないかと。成功したトップを褒めたたえるということはこれは大変すばらしいことなわけでありますが、中には失敗することもあると。むしろ、チャレンジしていけば失敗することがあるだろうと。そこをどういうふうに支え合う仕組みをつくれるのかということが分権改革の一つの大きなポイントではないかというふうに思っております。
○那谷屋正義君 民主党・新緑風会の那谷屋正義でございます。
 今日はお三人の参考人の方々、本当にお忙しいところをありがとうございます。
 まず、金井参考人にお尋ねをしたいというふうに思いますけれども、現実を直視し現状に流されずということが我が国における分権改革の最も大事なことではないかというふうに思うわけでありますが、分権推進のいわゆるフラッグシップというふうなものとして一世を風靡しているのが補完性の原理。しかし、EUなどではこの理念が大きな有効性を発揮し得たのはキリスト教の信仰に基づく地域コミュニティーなどの分厚い土壌があったことも念頭に置かれるべきであり、日本ではこの補完性の原理がある意味逆に利用されているのではないかという疑念もあるわけであります。
 補完性の原理とは、文字どおり中央政府は補完でよいということであるけれども、我が国では、地方政府そして市町村等が行政の中心を担うようにするためには国の手助けなしで一本立ちできるよう行財政基盤を強化する必要があり、そのためにはスケールメリットを追求すべきであるという議論にともすると走りがちではないかというふうに思うわけであります。
 財政という視点のみで強要されたとも言える小泉流改革手法による平成の大合併の問題点に、補完性の原理が悪い意味で加速させられるというような状況だけは避けなくてはならないのではないかというふうに思いますが、そのために何が求められているというふうにお考えでしょうか。
 また、三位一体改革の結果、今お話がありましたけれども、各地域間の格差が拡大し地方の疲弊は増大をしたと、そして、このような改革は行うべきではなかった、失敗であったという声が地方には満ちているところでございます。参考人は三位一体の改革を始めとするこれまでの地方税財政改革についてどのような問題点があったと認識されているのかお伺いするとともに、これからの第二次地方分権改革において地方税財政改革はどうあるべきであると考えていらっしゃるか、お伺いをいたしたいと思います。
○参考人(金井利之君) まず、委員御質問の補完性の原理についてでございますけれども、私は、補完性の原理ということはむしろ正しく使うということが大事なのではないかというふうに思います。恐らく補完性の原理というのは、補完でよいというものを超えて、むしろ国は補完しなければならないという原理なのではないかというふうに思われるわけであります。つまり、国は自治体を補完しなければならない。その場合どのように補完しなければならないのかと申しますと、一つは、自治体が何かしたいといったときにはその条件を整備するという、条件整備の義務を補完性の原理からは導くことができるのではないか。国は補完でよいではなくて補完しなければならない。それは、したいという自治体に対する条件整備を十分行っていくことであるということだと思います。
 それから第二点目の補完性の原理は、したくないという自治体に対しては強要しないという、国側からの謙抑といいますか、自己抑制の原理ではないかと。補完というのが前面に出ないと、しゃしゃり出ないということでありますから、したくないというところに無理やり出ていくということはしないということが補完性の原理の二点目ではないかと思っております。
 それから三点目は、仮に自治体がしたくないという場合に国がしゃしゃり出て無理やりやらせるということはしない、しかしながら国民的観点からやはり国としてはやらなければならないという場合があるのではないかと。そういう場合には国が行う。これが狭い意味での補完の仕事ではないかというふうに思います。つまり、自治体がしないことは、かつ国民にとって必要であると国が判断するのであれば、それに限って補完する義務が発生するということであります。
 その三番目の点は、裏返して言いますと、自治体が事務を返上したいという場合には、当然国はそれを受ける義務があるという、以上三点ないし四点が補完性の原理の基本的な中身なのではないかというふうに私は考えておりますので、補完性の原理はむしろ正しく使っていくということが分権改革においては非常に重要なのではないかというふうに考えております。
 それから第二点目でございますけれども、三位一体改革で地域間格差が拡大してしまったのではないかという委員御指摘でございますけれども、やはり三位一体改革は、分権の議論ではありましたけれども、やはりどうしても経済、財政の視点、財政論というのが前面に出ざるを得なかったというところがやはり一つ大きなバランスをやや欠いていた点ではないかというふうに思われます。
 今回の第三次分権改革がバランスの取れたものになるためには、財政論とそれから分権論あるいは自治論が、両輪のごとくバランスを持って行われる必要があるのではないかと。その意味では経済財政諮問会議という、ある意味では財政論、経済論を主張する場と、それから同時に経済財政諮問会議に匹敵するような格と、経済財政諮問会議と対等協力に立って議論をできるような自治論を展開できればというものが必要なのではないかと。
 それが今回の法案である地方分権改革推進委員会になるのか、あるいは六団体側が要求していた国と地方の協議の場の法制化になるのか、あるいは内閣に置かれるような本部になるのかは分かりませんけれども、そのような、ある意味で財政論と自治論をバランス良く行うということが必要なのではないか、三位一体改革では、ややそこが少しバランスを欠いてしまったことがこのような結果になったのではないかというふうに考えておるところでございます。
○那谷屋正義君 ありがとうございました。
 次に、本田参考人にお尋ねをいたしたいと思います。
 今後の合併においては一万人以下の小規模自治体がその主なターゲットとされるという指摘もある折、本年四月以降、合併新法による合併推進が本格化しつつあります。合併新法では、都道府県が合併推進構想を策定し、知事に合併協議会設置の勧告権を与えるなど、旧法に比べて都道府県の役割を強めている感があるわけであります。
 総務省は、自主的な合併を支援するというスタンスは貫くという姿勢は変わらないというふうに言っているわけでありますけれども、知事に合併協議会設置の勧告権を与えるという枠組みについて、どんなふうに感想をお持ちなのかということをまず一点お尋ねをし、そして、政府の財政再建至上主義の下で、今お話しさせていただきましたように、格差社会の拡大、言わば被害者とも言える状況になっている地方の、市町村の多くが、冠たる経済大国に実は発展するための貴重な労働力の供給源として非常に貴重であったと、これまで。しかし、その裏側として過疎化、少子化、高齢化というものが生まれてきてしまった。また、森林保全や水田の維持などを通じて、保水や環境などの面で、都市住民の安全、快適な暮らしを支えている重要な使命も一方で果たされていると。これらの役割が、なかなかその役割に応じた扱われ方がされていないのではないかと。
 美しい国のありようとはほど遠い世の在り方に警鐘を鳴らす意味でも、町村長会は何の遠慮もすることもなく、いわゆる水源税というものが構想されているわけでありますけれども、それだけでなくて、例えば先ほど企業を誘致したらばその周りのところがかなり栄えてきたというようなお話がありましたけれども、先ほど、冒頭申し上げましたように、元々はそこで生まれ育った子供たち、人間が、都会等へ行ってしまって、そこでの経済を活性化しているという。そういう意味では、そこにいながら、現在のその今の市町村を支える言ってみれば親孝行税というような、そうした新税を創設するというような、そういう動きを世論形成として取り組まれてはいかがかというふうに思うんでありますが、以上の二点についてお答えをいただけたらと思います。
○参考人(本田恭一君) まず第一点目、一万人以上という、人口でくくるという問題でございますが、私は人口でくくるべきではないと思っております。それは、それぞれの町村にはそれなりのいろいろ特徴があり、個性がございます。
 例えば一例を申し上げますと、我が島根県には知夫村という七百何人ちょっとの村がございます。じゃ、七百人だからその村はやっていけないかというと、自給自足で十分やっていけます。小さな離島でございますので、ここは高速道路も要らなければ、あるいはそんなにぜいたくな生活をしなければ十分やっていけます。食べれなくなったら釣りすればいいんだと、こういうふうに村長は申し上げております。そして、十分やっていける。
 私は、身の丈に合ったこれからの町づくり、村づくりが必要ではないかと思っております。
 そうしたときに乱暴に、私は、一万人という一つの枠組みで決めてしまうのはどうかなと思っております。十分にその置かれている状況、町村の環境、状況、そうしたものを十分検証しながら私はやっていく必要があると思っております。
 そして、知事の権限において勧告するということは、私は、これは正に町村にはそれぞれの人格がございます。これは人格無視にもつながりかねない。十分に知事さんにおかれてはその町村に対して、町村長との意見を交わしながら、その上での私は合併ならよろしいんですが、強制的にやるということはいかがなものかなと。それによって、それまで培ってきた、守り育ててきたものが失われていくんではないかなと、そういう気がしております。
 それから、新たな税収を確保するために水源税というものが今できて、会ができておりますが、私は、森林を守っていくのはやはり多くは町村でございます。こうした都会にも水を送り、そして電力を送っていくのは私は中山間地ではないかと思っております。その恩恵を受けて、私たちは水が当たり前に飲めるように思っておりますが、実はその村で必死になって山を支え、守り、それを何とかしようという人たちがいるということを私は忘れてはならないと思っております。
 お金さえ出せば、簡単に蛇口をひねれば水が出ると都会の人たちは思っておいでになるかも分かりませんが、決して、その陰では必死になってその村を、町を支えようという人たちがいるということを、人が存在するからこそ私は都会に水を供給することも、あるいは野菜とかそういう食料を供給することができると思います。
 また、企業誘致のことで新しい新税という話もございましたが、私もそういう税ができれば非常に有り難いなと思います。
○那谷屋正義君 ありがとうございました。是非頑張っていただきたいというふうに思います。
 次に、山出参考人にお尋ねをいたしたいと思います。
 金沢といいますと石川県でありまして、私の那谷屋というこの妙な名字の発祥地というふうに言われておりまして、これは余計なことでありますけれども、その石川にあります金沢市長ということでお尋ねをしたいと思います。
 今回の分権改革は、平成十一年の機関委任事務の廃止等を実現した第一次分権改革に次いで第二次分権改革という今お話をいただいたところであります。国と地方の役割分担、地方自治体と地域住民の在り方等について国がどのようなビジョンを描いているのかがいまだ不明確であり、また新型交付税にリンクして国の法令による義務付け、枠付けを検討することとしていることから、いわゆる分権改革が矮小化されるのではないかという危惧もあるところであります。
 全国市長会の会長として、また現職の市長として、第二次分権改革はどのようにあるべきで、どのような分権改革を期待されているのか、何を主要課題と考え、あるいは、どのようなビジョンを描いているのか、まずお伺いをしたいというふうに思っています。
 また、市長は、本年五月の「都市問題」に書かれた「地方分権を進める税財政改革の方向性」という論文の中で、従来、国土の均衡ある発展、経済成長等を基本原理として国の視点で多くの政策が実施されてきた。このような政策原理が既に過去のものになり、地域ごとの個性を尊重し、住民の視点に立った政策へと転換することが必要であることは、識者の指摘をまつまでもなく地方自治体においては実感してきたところであるというふうに言われています。
 地方分権の時代といっても、国が制度の企画立案を行い、地方が事務を執行するという図式はなかなか変わっていないようにも思えるわけでありますが、地方自治体の責任者として、国の視点から住民の視点への政策の転換の必要性は具体的に、少し先ほど述べられましたけれども、どのような分野あるいは場面で実感をされているのか、また、地方分権の進展の中でこのような政策の転換は進んできているのかどうかということについて見解をお伺いをしたいというふうに思います。
○参考人(山出保君) 機関委任事務の廃止が行われました。権限面での議論であったと思います。これを財源面の議論に深化していこうというのが私は三位一体改革だったと思うのであります。ただ、三位一体改革は財源の議論に終始をした嫌いがあります。この背景はやむを得なかったと。小泉総理が突如として補助金改革案を地方から持ってこいという指示でございまして、あれがあったから進んだとは言えるわけでございますけれども、そうした背景もあって財源の議論に終始したという私は実は感じを持っています。
 そのことが国民にとりますと大変分かりにくかったと。国と地方の財源の分捕り、そういうふうに映ったということでございまして、そうすると、これから地方分権改革を国民の目に分かりやすく提供するということになったら、私はやはり暮らしの面とかまちづくりの面で具体的な形を提示していくと、こういうことで国民の理解を求めていくことが一番大事ではなかろうかなと、こんなことを実は思っておりまして、分かりやすく言えば、福祉とか教育の面、もう一つはまちづくりの面だろうというふうに考えています。
 そういたしますと、それじゃ、保育所と幼稚園は、やっている仕事は一緒、よく似た仕事をしていながら、幼保一元化は一向に進もうとしていない。確かに認定こども園という仕組みができましたけれども、これも幼保一元化とは必ずしも一致するものにはなっていません。ここら辺は私は国民の目から見ますと大変分かりにくいというふうに感じていまして、ここをはっきりしていくことが必要だというふうに一つは考えています。
 もう一つは、例えば教育の面でありますが、国は何をし地方は何をするか、そこの役割分担というのが必ずしも私は明確ではないというふうに思っていまして、こういうことをしっかりとやった上で、いいモデル、分かりいい形を国民に提示していくことが必要だと、こう思っています。
 金沢市の事例で恐縮でございますが、特区制度を活用しまして、小中一貫英語教育をやりました。大変子供さんは熱心に喜んで英語の勉強をしています。学校は二学期制にし、中学校は選択制を導入をしておるということでございますし、独自の学習指導基準を設けまして、そうした試みもいたしておるわけでありますが。
 私がこういうことを申し上げる背景は、国のすべきことは学力の到達目標の明示、そしてその目標が達成されたかどうかの検証、これは国の責任においてきちっとやってほしい。そして、目標達成に至る方法は、カリキュラムのことであったり授業時数のことであったりするわけですが、これは地方と現場にお任せをしていただきたいという思いがありまして、そういう国と地方の役割分担というものを明確にしていく、これがこれからの大事な方向ではなかろうかなと、こんなことを実は思っておるのであります。
 そして、地方が地方の責任において役割分担をきちっと果たしていけるようなそういう状況にしていただくということになれば、基本的には私は、補助金は廃止、国の関与は縮小、廃止、そして財源は税源、もし税が十分でないということであれば、それを補完する機能は交付税であるべきだと、こう思っていまして、こういうところにもっともっとこの改革を進めていかなければいけないと、そう思っておる次第でございます。
○那谷屋正義君 終わります。ありがとうございました。
○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。
 今日は三人の参考人の先生方、どうもありがとうございました。
 早速、金井参考人に御質問をさしていただきたいというふうに思います。
 参考人よく御存じのとおり、今自治体間で格差があるということが問題になっております。最近ですと、十二月三日の朝日新聞で、名前は出しませんけれども、人口規模がほぼ二十万人で同じ東京都の二十三区の一つの区と北海道の一つの市を比べて、どれだけ財政力で自治体間に格差があるかということを分かりやすく例示した特集記事が出ておりますが、私の最初の質問は、当然今まで中央集権で日本がやってきたと、これはいろんな問題、制度疲労等があるということで分権をするという方向性になっているわけですが、他方で、中央集権の政府の中で果たしてきた地域の格差の是正あるいは調整機能ですね、こういうものが実際あったことは事実だと。これが今のこの分権推進によって国の機能が弱まると。
 例えば、これは実態上に即して申し上げれば、既に今現在自治体間で格差が出てきている背景には、地方交付税の減少、削減というのはこれは明確にあるわけですね。地方自治体の九四%ですか、交付税もらっているわけですから、これが減額されれば自動的に収入減っていくわけですから。
 それからもう一つは、景気の回復が今言われております。特に今大企業が恩恵を主に受けているわけですが、地方とか中小企業とか家計には行っていませんけれども。しかし、都市部の大企業が景気回復の恩恵を受けると。そうすると、この景気回復局面においては、いわゆる地方法人二税ですね、法人住民税と法人事業税、ここの税収が都会の自治体に集中的に税収として効果が現れるわけです。ですから、実態上はやはり自治体の格差というのは広がっていると。他方で、分権改革を制度的にやって、もし中途半端であればこの地域間の格差の是正、調整機能というのが弱まるわけですから、これは全体として悪い方向に、地方から見れば特に行くことは明らかなわけですね。
 これに対して、私も私で案はあるんですが、取りあえず金井参考人の、どうすればこの、だから格差調整機能が弱まっていく中で実態上格差は広がっていると、この問題に対処するにはどういう方策があるのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
○参考人(金井利之君) ありがとうございました。
 大変、自治体間格差の問題、それから景気の不均衡発展というふうに申しますけれども、経済が地域的に不均衡に発展していくという現象は非常に重要な問題であるというふうに思われているということは委員御指摘のとおりかというふうに思います。
 確かに、これまで集権的な体制であれば、国が力を持っているということを条件にしますと、格差を是正することはしやすいのではないかということはあるわけでありますが、ただ、集権的な国というのは同時に格差を拡大すると。例えば、一部の地域に何かの負担を押し付けるとか、そういう力も持っているわけでありまして、集権的であるということと格差が調整できるということはやはり必ずしも結び付かないと。逆に言いますと、仮に集権的な政府を格差調整の方向に動かしてきたとするのであれば、それは自治体の側からの強力な格差是正ということに対する理念と運動があったのではないかというふうに思われるわけであります。
 逆に言いますと、分権的になった場合には、そのような理念と運動が続くのであれば格差の調整というのは自治体間でも十分できますし、あるいはそれを仮に自治体でできない場合には国に補完させるということは可能なのではないかと思われますので、むしろ集権的であるか分権的であるかという体制よりは、格差を是正すべきと考えるのか、それとも格差は望ましいと考えるのかというふうに自治体の間で、あるいは国、自治体を通じてどのような方向に進んでいくということを考えるのかどうかということではないかというふうに思われます。
 そういう意味では、最近格差問題というのが出てきているということは、正に格差を是正しなければならないという国民的な意思がある意味で存在しているということを表明していると思いますので、そのような理念の下に国あるいは自治体間でまず相互に支え合うといいますか、助け合うような仕組み、うまくいかなかったところ、あるいは条件が不利なところをお互いに助け合っていくという考え方。仮にそれが自治体だけではできない場合は、国にいかにやらせるのかということの制度の仕組みをつくっていくということが大事なのではないか。そのためには、やはり国レベルの高い意思決定機関において自治体間の支え合いを実現していくような意思決定の場というのをつくっていくことが大事なのではないかというふうに考えております。
○遠山清彦君 金井参考人、もう一回続けてお伺いしてもよろしいですか。
 今のお話、理念としてはよく分かるんですが、具体的に、格差が存在することは事実ですから、自治体間で。これをどう解決するかということで、例えばですよ、例えば、今これは総務省も税制改正要望で出しておりますが、消費税の地方分を増やしてほしいという要望をこれ総務省出しているわけです。総務省の立場について私、明日委員会で総務大臣に聞きますけれども。
 しかしながら、これに対する反発も、特に役所でいうと財務省からあるわけで、財務省は逆提案で、地方法人二税から来る税収の配分機能の基準を変えて、地方にも法人二税からの税収を格差調整、格差是正の機能を持たせて再配分するということを主張しているわけですが、これは例えば大企業が集中している東京都なんか大反対しているわけですね。
 そうしますと、また先ほどもちょっと揮発油税の話が出ていました、道路特定財源の話が出ていましたけれども、地方の人の方がガソリン使うと。ということは、一人当たりで見ると揮発油税多く払っていると。その点に着目して、揮発油税、大体年間三兆円ありますから、それを地方の格差是正に使うということをしたらどうかという学者の方もいるわけです。
 いずれにしても、理念はあるんですが、現実、お金の話ですから、格差の問題は。ですから、税の世界にまで入り込んでいかなきゃいけないんですが、今この私がちょっと俯瞰して申し上げたように、政府内でも全く意見がばらばらなんですね。
 この点について何か御所見ございますか。
○参考人(金井利之君) この点は大変難しい、政治的にも納得が得られなければなりませんし、それから技術的に可能でなければならないという点で大変難しいテーマではないかというふうに思いますけれども。
 その大前提の配分の議論というのは、税というのは基本的には受益と負担は一致しないということを大前提に成り立っているということにあるのではないかと私は思っておりますので、まず公平な配分というものを考えるというためには、格差をどの程度是正しなければならないのかというところからあるのではないかと。最終的には、共有税という形でいろいろな税目を含めた上で、一括したプールがあり、それをどういうふうに配分していくのか、それが自治体の支え合いとして最も望ましいのかという意見なのではないかと。
 余り細かいところ、この税金はうちから払ったからうちに戻せというふうな話をしていきますと、これは本来、税というのはそういうものではないのではないかと。必ずしも、あるものとあるものが一対一で対応しないからこそ税で取るのであって、一対一で対応するのであれば受益者負担や民営化は可能なわけでありますから、それは本来、公共部門といいますか、政府部門の仕事ではないのではないかなというふうに思っていますので、まずどのような格差を是正するのかということの、技術的にどの程度の格差を是正すべきなのかということの一致が大事なのではないかというふうに私は思っております。
○遠山清彦君 ありがとうございます。大変参考になりました。
 本田参考人にちょっとお伺いをしたいと思いますが、今ちょっと揮発油税の話も若干しましたけれども、地方自治体への企業誘致を成功させるために、道路も含めた公共インフラの整備、これは大事だということは先ほど町長もおっしゃっていましたけれども、よく聞く話なんですが、他方で、テレビ番組で面白おかしく取り上げていることはともかくとして、東京とかの都会の住民たちの中からは、それほど車が通らない地方に道路を造るということはどういうことなのかとか、そういった話は非常に多くて、私も地方も都会も両方行くんですが、政治家として。東京にいるとやっぱり相当こういう角度の話が多いわけなんですね。その背景には、恐らく地方が果たしている役割が十分理解をされてないという面もあると思うんですが。
 他方で、東京都民と言われても多くの方が元々地方出身の方も多いわけで、何というんですかね、今この参議院なんかでも決算重視をしていて、税金の無駄遣いを徹底して改革しろという国民の大きなプレッシャーがある中で、今までの公共インフラの整備の在り方を抜本的に見直すべきだという意見が世論として強いことも事実なんですね。
 その点について、参考人のお立場から、この地方の振興、その必要条件としての公共インフラ整備、しかし、それに対する世論の風の厳しさというものについて、どのように日ごろお話しになっているか、伺いたいと思います。
○参考人(本田恭一君) 私は二つ、ちょっとお話をさせていただきたいと思います。
 企業誘致でうちの町は成功した例だと思っております。ところが、先ほども申し上げましたように、投資はし、そして会社が来、売上げを伸ばしてはおりますけれども、最終的に税金を持っていかれるのは東京であり、京都なんですね。本社のあるところに持っていかれるんです。じゃ、東京都が、京都がどれほどその我が町に貢献していただいたか。私はそれはないと思います。私どもが必死になっていろいろお金を掛けて投資をしてやってきた。そして、雇用の場ができた。そして、会社が軌道に乗ってきた。ところが、もうかるようになったら、税金は本社の方で持っていかれる。この仕組みを是非私は変えていただかないことには、格差はこれは広がる一方だと思います。もうかればもうかるほど東京に金が落ちるようなシステムになっております。
 それからもう二つ目、揮発油税の話が出ましたけれども、私は、よくテレビで道路問題が取り上げられて、田舎には立派な道路を造っても車走っていないじゃないか、あるいはクマとかタヌキとかキツネとか、そんなものしか走らない。面白おかしく報道されております。私も実は数年前にあるテレビ局から取材を受けまして、一時間しゃべったけれども、私が出たのは一分間。都合のいいように編集されておりました。正にこれは偏向されていると思います。
 地方にこそ私は道路が必要だと思っております。まだ我が町はいいんです。先生方に、あるいは都会の人たちに来ていただきたいのは、まず空港のあるところ、道路のできたところだけでなくて、まだ中山間地に行っていただきたいと思います。車の擦れ違いのできないところ、歩道のないところ、歩道がないがために例えば命を失うという例がたくさんあるんです。そうすると、まだまだ道路は必要であり、また、車がないと生きていけない地方でございますので、私は、この道路特定財源というものは慎重に考えていただかないことにはいけないと思っております。
 それから、データによりますと、高速道路があり、インターの周辺が人口が増えてきて、あるいは工場が集積しているというデータも上がってきております。私は、逆に、東京から先を道路造らずに、田舎から道路を造られたら、逆転現象が起こっていたと思うんです。もっと流出は防げていたと思うんです。私は、逆転の発想といいますか、もっと地方に対して逆に力を入れていただくことが、均衡の取れた、バランスの取れたこれからの国づくりができていくんじゃないかな。今集中しているところだけの問題でなくて、もう一度国とはどうあるべきなのか、あるいは、田舎なら田舎を守りながら、そこに便利さ、あるいはさらに、都会とのこれからの交流、そうしたものを考えながらの国づくり。そのためには、そこ行くためには道路が必要なんです。
 そして、私たちは、地方にいる人間は、ずっと何十年も払い続けてきたんです。中山間地に一軒しかないところになぜ道路を造るんだとおっしゃいますが、その人だって何十年間払い続けてきた。それにましたようなまだ道路はできていないのが現状でございます。
 是非、私は、そういう、人がいないからでなくして、やっぱり全員がどこにも行けるような、交流ができるような環境をつくるということ。そして、道路はつながって初めて効果があるものです。行き止まりの道路は使えません。今、島根県の道路は継ぎはぎだらけです。部分的にしかできていないんです。それ、だれが使うんですか。継ぎはぎだらけの道路だからこそ人は通らないから、そういうところを映して、しかもいかにも人が通っていないように言われる。つながったら必ず利用するようになるんです。是非、私はその御理解をいただきたいと思います。
○遠山清彦君 もう私の持ち時間終わってしまいました。山出参考人、一問用意していたんですが、済みません、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
○吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。
 三人の参考人の皆さん、本当にありがとうございます。
 まず、山出参考人にお伺いしますが、保育所の運営費の一般財源化の問題についてです。
 金沢市には公立、私立、無認可の保育所が幾つあるのか、私、分かりませんが、待機児の数が今どの程度あるのか、お分かりだったら教えていただきたいのと、時間の関係で全部言ってしまいますが、今、保育士の配置基準、最低基準ですね、こういうものも外してしまう、あるいは国側の決めている最低基準、みんな見直しの対象になっているわけなんです。そういうものをなくしますと、結局、国から財源が来なくなります。地方自治体で勝手におやりくださいということになるんですけれども、そういうことが分権ということで地方の自主性につながるのかどうか私は大変疑問に思っております。
 それから、保育園がもう一番、いち早く運営費の補助金がなくなって一般財源化したんですけれども、園庭がなくてもいいとか、園庭がないような保育所ですと水遊びも泥遊びもできない。子供たちを本当に健康に育てるためには園庭というのは欠かすことができないと思うんですけれども、規制緩和でそういうものはなくても認めますよと。
 それから、学校、保育園の給食の外部委託、これはやっているところは少ないようなんですけれども、しかし、今アトピーとかいろいろな病気を抱えたお子さん、給食が難しいんですね。そういう子供たちにきちっと給食を与えるためには、やはり園に給食室があってちゃんと保母さんなり調理師なりが作る給食が与えられるべきではないかと思うんですけれども。
 東京とか、私、埼玉におりますけれども、本当に保育園の、何というんですか、規制緩和もこのところ広がりまして、東京の認証保育所しかりなんですが、これが財政面から考えてどうかとか分権の面から考えてどうかということの前に子供たちにとってどうなんだろうと。日本の未来を担う子供たち、働くお母さんですよね、保育園に預けるのは。そういうことを考えたときに、私は保育所の運営費の一般財源化とか、あるいは規制緩和というものは本当に慎重でなくてはならないと思いますが、その点について市長の御見解を伺いたいと思います。
○参考人(山出保君) 金沢市の場合は待機児童はありません。保育については歴史的にも随分と力を入れてきている、そういう土地柄でもございまして、民間の保育所の大変広がってきた町なんであります。これ、宗教的なものもあるだろうと思っていますし、また雪が降りますんで、みんなで助け合うという土壌も強うございまして、民間保育所の非常に広がったいい町なんであります。待機児童は総体としてありません。ただ、町の発展状況は、郊外部で増えて、中心部で過疎化、空洞化しておるということもありますんで、地域全体とすると待機児童はなくても、町中のアンバラというのはありますんで、それは是正をしなきゃならぬという仕事があることは事実なんでありますが、総体としますと待機児童はないと、こう申し上げておきたいと思います。
 配置基準でありますが、私は、このことについては長い歴史的な経緯もあって、横出し、上乗せということを戦後やってきました。革新自治体は盛んにこういうことをしたわけでございまして、金沢市にありましても実は国の施設基準に加えておるということをしています。していますが、これが、そういう状況を一つ二つやっておることは事実なんであります。
 しかし、地方分権という趣旨からいたしますと、私は、施設基準等について国の関与はできるだけ小さい方がいい、ない方がいいと。その代わり、補助金はなくする代わりに、補助金そのものをなくして、そして税金は要らないと言っているわけではありませんから、補助金を税に換えてちょうだいと言っているわけですから、だから三兆円税源移譲がなされたわけであります。そうすると、補助金をなくして税金に置き換えたわけですから、後はその税金の使いようであって、そこに自治体の資質、能力が問われる、僕はそう思っておるんです。ですから、これこそ分権ではなかろうかなというふうな思いがありまして、だから自治体の責任も重くなるということに通ずるはずなんであります。
 ですから、どういうことをしていてもいいんだと、ほったらかしでいいんだということには必ずしもなりませんで、かえって自己責任が重くなる、これが分権の意味だと、私はそう踏まえておるわけであります。努力しなきゃならぬということであります。
 問題は、国が何をするか、地方が何をするかという、その基本のところだけはきちっと押さえなきゃいけないわけでありまして、それは給食も大事だということは十分承知しますけれども、その一番肝心なところを国はちゃんと押さえて、あとはやっぱり自由に任せてほしいと、僕はそう思います。
○吉川春子君 どうもありがとうございました。待機児童がゼロってすばらしいですね。
 時間の関係で、それでは本田参考人にお伺いいたします。
 合併したらますます荒れていくんだということで、もう合併しないでうんと頑張るんだというさっきのお話は非常に身にしみました。この間、ほとんど日本の市町村の半分がなくなってしまいまして、合併で面積だけは広くなって、何というんですかね、過疎地域あるいは部落ですか、そういうところではもう高齢者ばかりで人が住めなくなってしまう。村が大きな市に合併されちゃったりするとそういうことが起こって、私も地方の視察に行くときは本当に心が痛むんですけれども、本田参考人の、ますます荒れていくという現場にいらっしゃって、どういう実態なのか、お話ししていただきたいと思いますのが第一点です。
 それから、さっき七百人の自治体があるというお話、本当にすばらしいと思います。
 去年、参議院の憲法調査会でフランスとスイスへ行ったんですけれども、スイスなどは人口七百万、フランスも日本の三分の二でしょうかね、人口が。ところが、フランスでは三万を超えるコミューン、自治体があるんですよね。三百五十人の村の村長さんに私たち会ってきましたけれども、三百五十人でも立派にやっていらっしゃるわけですよ、フランスでは。だから、なぜ日本では人口が少なくなるとやっていけなくて合併してしまうのか、その辺、参考人のお考えがあれば聞かせていただきたいと思います。
 以上です。
○参考人(本田恭一君) まず第一点でございますが、寂れているといいますか、我が町はおかげさまで企業誘致も成功し、人口も増えてきておりますが、県下、一番身近なところから考えてみますと、やはりどうしても役場が中心になってまいります。支所を置いておりましても権限がございませんので、おのずから役場への足が遠のいてまいります。支所に遠のいてまいります。また、県の中におきましては、旧村一つが閉庁いたしました。一年前には合併いたしましたけれども、ところが、コストが相当掛かるんです。そうしたことを考えたら、もうこれは閉庁した方がいいということから閉庁したところもございました。ますます役場が遠くなると。
 私はそれを否定するものではございません。むしろ、そうした町を、村をどう生かしていくかということを私は国あるいは国会議員の先生方に考えていただきたいと思います。合併した以上はもう後戻りができません。ならば、合併して、いろいろ寂れていきつつあるのをいかに食い止めて、そしてそこがまた再び活性化するような、そういう町を、村を目指すにはどうしたらいいかという知恵を出しながら、地元も一生懸命頑張っておりますので、是非私は力添えをいただきたいと思っております。
 それから、先ほども申し上げましたように、人数でくくるのは私はどうかなと思います。
 一例を申し上げましたが、どんなに小さくても、合併しても三千、四千、五千の町もございます。じゃ、その人口がやっていけないかというと、今回の国からの指導あるいは県からの指導もございまして、そしてやむなく合併したところも実はございます。でも、合併した以上は生き残りを懸けて頑張っているんです。そういうところに対して私は支援の輪を広げていただきたいと思います。
 まず今年度、合併支援の予算は四十億しかなかったんです。これは私は、国が地方に対してどっちかというとうそをつかれたんじゃないかなと思います。そして町村側は更に補正予算でお願いをしてきたところでございますが、合併して何とかいい町を目指そうとしているわけですから、それに対して、合併したことに対してはそれなりの私は処置を是非これからもお願いしたいと思います。
 今、合併して町になったのは全国で百六十ございます。千三十八の町村のうち、そのうち百六十は合併して町村になりました。その百六十、小さいけれども、一生懸命になって頑張っておりますので、引き続いての御支援、そして、その地域ならではの特色ある町づくりを目指しておりますので、そうした支援策を是非私はお願いしたいと思います。
○吉川春子君 金井参考人にお伺いいたします。
 一般財源化して税源移譲するという形を取りますと、人口の多さ少なさ、それから人口構成ですね、年齢、働いている人が多いかどうか、そういうことによってプラスになるところとマイナスになるところとかなり格差が付いてくるわけですね。
 義務教育費の国庫負担をもしなくしたらということで文部省が試算出しましたけれども、東京などはもう断トツですごい税収が増えると。しかし、残りの四十一自治体は、県は、もう全部マイナスになっていくと。こういう格差が非常にあるわけですね。
 私は、今度の分権推進法の一つの哲学といいますか考え方は、これは市場原理を自治体の行政に持ち込むものではないかというふうに思っております。
 第一次分権改革のときは、機関委任事務の廃止とか支分部局の改革とかいろんな側面があって私たち賛成をいたしました。一括法には反対したんですけれども分権推進法には賛成いたしました。
 ところが、今回の第二次の分権改革のこの法案を見ますと、小泉内閣がおやりになったという、端緒を付けたということもあるんですけれども、非常に行政改革あるいは市場原理を導入して、そして格差をもっと拡大してしまうんではないかと、全国の自治体の。そういう懸念がありましてどうも賛成できないなと今思っているところなんですけれども、その点について、金井参考人の御意見があれば聞かせていただきたいと思います。
○参考人(金井利之君) ありがとうございました。
 委員御指摘のとおり、それを市場原理と呼ぶか、私の見方からしますと、経済や財政の論理が優先していたというところが元々あったというのは委員御指摘のとおりではないかと思われます。
 ただ、それは閣法の政府原案ではそうでありましたけれども、衆議院でかなり修正されまして、先ほど申しましたような、充実確保というのが入ったので、そのようなややアンバランスなものは是正されつつあるのではないかというふうには理解しております。
 ただ、ここの場でも格差の問題、個性を格差と呼び替えてはいけないということもありまして、格差は格差で別問題でありまして、かつ個性を目指していくのが分権改革の基本的な流れでございますから、そのような格差をどういうふうに対処していくのかということは、本来、法案に、法の中にそういうものが書いてあれば、分権は目指すけれどもそれは格差を意味するものではないというものがはっきり書いてあれば、これは理念、つまり、どのような、何を目指す分権改革なのかはっきりするのではないかというふうに思いますけれども、そこは参議院でどのような御議論がされるのかというのは研究者として非常に注目して見てまいりたいというふうに思っております。
○吉川春子君 ありがとうございました。
 やはり、私は日本じゅうどこでも同じようなサービスが受けられる、どこにでも住み続けられる、さっきどなたかのお話にありましたように、都会の繁栄というのは正に地方で、不便なところで水を供給し、自然を守り、そういうことを地道な努力をしていただいているがゆえに、私、東京にしかずっと住まないんです、住んだ経験がほとんど埼玉と東京で、消費地なんですけれども、そういうことがあるんですね。だから、私は今度の改革、分権改革が過疎地、地方を切り捨てるような結果になってはいけないということを強く思っております。
 時間が来ましたので、委員長、これで終わります。
○長谷川憲正君 国民新党の長谷川憲正でございます。
 今日は三人の参考人の先生方のお話を伺いまして、本当に今日は参考人としておいでをいただいているわけでありますが、大変参考になりました。
 金井先生のお話で、マトリックスなどを見させていただきますと頭の中の整理がすかっと何かできたような気がいたしますし、正に地方自治の第一線で御活躍の市長さん、町長さんのお話というのは重みがあるなと、本当に心から御礼を申し上げたいと思います。
 私ども、今、国民新党という党におるんです。ついこの間まで自民党にいたんですけれども、ちょっと自民党に愛想を尽かしまして、今、国民新党という党におるんでございますが、私どもの基本的な主張の一つに地方自治の拡大というのがあるんです。それで、スローガンとしても、国の元気は地方からと、国の元気は地方からと、こういうスローガンを掲げてやっておるんです。
 それは幾つも理由がありますけれども、一つには、地方自治を成功させるということを考えましたときに、国から命令されて、あれやこれやはしの上げ下ろしまで指示されてやって、そのとおりやれば成功するという見通しもあるからそういうことを決めるんでしょうけれども、やらされる方から見たらたまらないですよね。それはもう、やる気というのは正に自分に権限と責任があって、自分がいろいろ創意工夫ができるからやる気が出てくるわけでありまして、そういう意味でも、私は任せるものは地方に任せないとうまくいかないなと、まず一つそういうふうにも思っておりますし、もう一つは、地方行政というのはやっぱり住民に近いところで物事を考え物事を決めるべきだろうと。東京、中央政府というのは住民の目から見たらやはり余りにも遠いし、中央政府から見ても、住民の方々のいろいろな、地域でのいろいろな生活のしぶりの個々にまで目配りをするなんということはできないわけです。遠ければ遠いほどやっぱり愛情がわかない、愛着がわかない。愛情と愛着のない行政が成功するはずはないというふうに思いますので、これもまた地方でそれぞれお考えになるべきだというふうに思います。
 それから、先ほどヨーロッパの例も出ましたけれども、物事にはすべて管理規模というのがあるわけでありまして、大き過ぎるとうまくいかない。一億二千七百万人の国が東京だけで物事が考えられるというのは大間違いでありまして、やっぱり香港だとかシンガポールのような例を見れば、小さいところこそ細かいところにも目が行き届いて、そして機転の利いたことが速やかにできると、こんなふうにも思うわけでありまして、大いに頑張っていただきたいなというふうにお願いを申し上げるとともに、これ、この法律の審議、今私ども地方分権改革推進法の審議をしているわけでありまして、この法律はもちろん反対する人は余りいないと思いますが、この成功のかぎはやはり中央政府がどこまでこれに本気になって協力をするかということだというふうに思うんです。
 やっぱり、中央の役人の皆さん大変優秀なものですから、自分の周りに一杯いろんな仕事をつくってしまって、だんだん自分でもがんじがらめになっている。それをどこまでぶち破れるかということになりますと、中央省庁だけでは難しいので、やっぱり政治の役割がとっても大きいと思うんですよね。
 ですから、私どもが頑張らなきゃいけない。政府ももちろん総理大臣を先頭にして、総務省任せにしないで頑張るという体制も必要でありますし、その体制をまた支えていく国会議員みんなの応援、支援というものが大事だというふうに思うわけでありますが、今日はもう皆さん方の御意見たくさんお伺いをしましたので、私は個別のことをお伺いをいたしませんけれども、私が最後の質疑者でございますので、終わりに、先生方それぞれから一言ずつ、何か言い残したことがあれば、私どもに対する激励も含めて御発言をいただければありがたいと思います。
 金井先生からお願いを申し上げます。
○参考人(金井利之君) 私は研究者でございますので、どうなるのかというのにまず興味があるというのは一つございますけれども、やはり表の四で述べましたように、どのような方向になっていくのかと。義務付けは本当に減るのかどうかと、あるいは減らせるのかどうかと。それからもう一つは、国による財源確保はどうなっていくのか。そして、今日の質疑で非常に思いましたのは、やはり格差の問題についてどういうふうに対応していくのかということが非常に大きなポイントなのではないかなというふうに思った次第でございます。
 そのためにはやはり、経済財政諮問会議に匹敵するような政治の力というものを動員できるような場が本来あるべきなのではないかなというふうに思っております。現在、内閣府設置法十八条では四つの重要政策に関する会議というのが置かれておりますが、本来、内閣にとって重要というのは内閣ごとに変わるわけでありまして、あれが法定されているのはいささか内閣主導、首相主導という観点からはやや疑問でありまして、内閣府設置法における重要な会議について、内閣の重要課題ごとに十分な、柔軟な運用がされていくというのがあってしかるべきなのではないかなというふうに考えておったところでございます。
 以上です。
○参考人(本田恭一君) 二つの点、私は申し上げたいと思いますが、一つは、先ほど先生おっしゃいましたように、各論に入れば入るほど国の抵抗というものが私は強くなろうかと思っております。これまでの流れの中でそういうことが想像できるわけでございますが、ただ単に分権がお題目を唱えただけでは私はこれは進まないと思っております。そうしたときには強いリーダーシップが必要になりますので、そうした間違いのない方向に行くように、私は監視を今日の国会議員の先生方にお願いしたいと思います。
 それから二つ目は、合併をしたくてもできなかったのが全国にはあるんです。例えば、合併協議会に入っていても、ところがどうしてもその理念が違う、あるいは合併したいけどできなくて離脱したところもあります。私たちの町はこれは住民投票によって離れましたけれども、ところがそこにおいて相当な亀裂が生じております。感情的な問題が起こってきております。我が町でいえば、消防問題は解決できていないんです。単独を選ぶんだったら、これは消防は自分たちでやりなさいと三年という期限を切られました。あと一年四か月しか残っておりません。
 これを是非、私は国の力において、あるいは強制はできませんけれども、仲介役として地域の生命と財産を守っていかなきゃならないわけでございますので、そうやって合併論議が過熱して、そして感情論が起こって、そしていろんな全国でも問題起こっていると思います。そのためにも私は検証が必要であろうと思いますし、我が町に限っていえばそのように消防問題で大変苦慮しているところでございますので、先生方のできればそうしたお力添え、助言をいただければ有り難いなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○参考人(山出保君) 私は、地方を信用して任せてほしいという気持ちは人一倍強いと申し上げたいと思いますし、失敗したら選挙で落ちますんで、率直にそう思っています。一番住民から身近なところにいるのは市町村でございますし、もう市民の目がみんな市長の一挙手一投足を見ておるわけですから、そういう意味で、任せていただければまじめにやるし、具合悪かったら選挙で落ちると、こんな論理だろうと思っています。
 私は、国と地方と比較してどちらが行革努力をしておるかということになったら、僕は地方の方がしておるというふうに思っています。なぜなら、地方は体が小さいですから目配りができますし、小回りが利きますし、ですから総体の中でやりくりしていますし、人を動かし組織を動かして。そういう意味で、国と比べると地方の行革努力は私ははるかに進んでおると、そう思っています。
 同時に、これから大変大事になりますのは、住民税所得割の一〇%フラット化ということが行われます。これは、低所得層にとりますと、目が市町村に向くということになります。今まで税務署へ向いていた目が今度市町村に来るわけですから、そういう意味で市町村長の責任、市町村長、市役所、それから役場の職員の資質能力を高めていかないと大変いけないわけでありまして、ここが僕は分権の本当の意味だというふうに思っておるんです。一番身近なところに税源を与えて、そして住民が納めた税金をどうなっておるかということを見るという仕組みですから、私はこの住民税所得割の一〇%フラット化というのはそういうところに意味があるというふうに思っていまして、それだけに地方の責任はこれから重くなるというふうに踏まえていますし、私は税の担当の職員には、これから住民に対する説明責任は重くなるんだぞと、こういう言い方をしなきゃいけないなというふうに思っておる次第なんであります。
 税務署は、市役所とか役場と比べますと、何となく敷居が高いから納税者は行きにくいということがあると思います。しかし、市役所はこれからいろいろ行きやすい場所ですから、私は確定申告は市役所で古くからやっておるんです。税務署でもやるんですが、市役所でもやる。そうすると、どっちが人が余計来るかといったら市役所へ余計来るんです。市役所という場所の方が住民がいろんなことを言いやすいんです。そこがまた市役所のいいところだというふうに思っていますし、説明責任をきちっと果たすように市の職員の資質、能力も高めていかなきゃいけないと、そう思っています。
 先ほども申し上げましたけれども、なかなかこの三位一体改革が進まないというのは、国のお役人が権限を離すということについてこだわりがあると、ここだろうというふうに思っていまして、そういう意味で官僚制を正すということも大事だ。
 心構えとしますと、国は、先ほども言いましたけれども、地方に付いてこいという態度でなしに、僕たちは知識も持っておるんだから、それは時としてかしてあげるよと、皆さんを支えてあげるからなと、一緒にやろうよと、こういう一つの心の持ちようというものを僕は期待したいと、こう思っておるんであります。そして、国も地方も協力していい国土づくりをしていかないといけないと、心の持ちようも大事だと、こう言いたいと思っています。
○長谷川憲正君 大変ありがとうございました。終わります。
○委員長(山内俊夫君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。
 本日は、貴重な御意見を賜り、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二分散会