第165回国会 予算委員会 第2号
平成十八年十月十二日(木曜日)
   午前九時開会
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   委員の異動
 十月十一日
    辞任         補欠選任
     舛添 要一君     小野 清子君
     白  眞勲君     高橋 千秋君
     高野 博師君     谷合 正明君
     遠山 清彦君     浮島とも子君
 十月十二日
    辞任         補欠選任
     池口 修次君     藤末 健三君
     高橋 千秋君     白  眞勲君
     仁比 聡平君     小林美恵子君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         尾辻 秀久君
    理 事
                愛知 治郎君
                金田 勝年君
                坂本由紀子君
                中島 啓雄君
                吉村剛太郎君
                小林 正夫君
                佐藤 雄平君
                芝  博一君
                澤  雄二君
    委 員
                岩城 光英君
                小野 清子君
                大仁田 厚君
                大野つや子君
                太田 豊秋君
                加納 時男君
                佐藤 昭郎君
                常田 享詳君
                中川 雅治君
                中川 義雄君
                南野知惠子君
                松村 祥史君
                松村 龍二君
                三浦 一水君
                山下 英利君
                山本 一太君
                浅尾慶一郎君
                池口 修次君
                喜納 昌吉君
                島田智哉子君
                下田 敦子君
                主濱  了君
                高橋 千秋君
                西岡 武夫君
                白  眞勲君
                広田  一君
                広野ただし君
                福山 哲郎君
                藤末 健三君
                峰崎 直樹君
                蓮   舫君
                浮島とも子君
                谷合 正明君
                鰐淵 洋子君
                小林美恵子君
                大門実紀史君
                仁比 聡平君
                福島みずほ君
   国務大臣
       内閣総理大臣   安倍 晋三君
       総務大臣     菅  義偉君
       法務大臣     長勢 甚遠君
       外務大臣     麻生 太郎君
       財務大臣     尾身 幸次君
       文部科学大臣   伊吹 文明君
       厚生労働大臣   柳澤 伯夫君
       農林水産大臣   松岡 利勝君
       経済産業大臣   甘利  明君
       国土交通大臣   冬柴 鐵三君
       環境大臣     若林 正俊君
       国務大臣
       (内閣官房長官) 塩崎 恭久君
       国務大臣
       (国家公安委員
       会委員長)
       (内閣府特命担
       当大臣(防災)
       )        溝手 顕正君
       国務大臣
       (防衛庁長官)  久間 章生君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(沖縄及
       び北方対策、科
       学技術政策、イ
       ノベーション、
       少子化・男女共
       同参画、食品安
       全))      高市 早苗君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(金融)
       )        山本 有二君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(経済財
       政政策))    大田 弘子君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(規制改
       革))      佐田玄一郎君
   内閣官房副長官
       内閣官房副長官  鈴木 政二君
   副大臣
       内閣府副大臣   林  芳正君
       法務副大臣    水野 賢一君
       外務副大臣    浅野 勝人君
       財務副大臣    富田 茂之君
       厚生労働副大臣  石田 祝稔君
       農林水産副大臣  国井 正幸君
       経済産業副大臣  山本 幸三君
       経済産業副大臣  渡辺 博道君
       国土交通副大臣  望月 義夫君
       国土交通副大臣  渡辺 具能君
       環境副大臣    土屋 品子君
   大臣政務官
       内閣府大臣政務
       官        谷本 龍哉君
       防衛庁長官政務
       官       北川イッセイ君
       総務大臣政務官  河合 常則君
       法務大臣政務官  奥野 信亮君
       文部科学大臣政
       務官       小渕 優子君
       文部科学大臣政
       務官       水落 敏栄君
       厚生労働大臣政
       務官       菅原 一秀君
   政府特別補佐人
       人事院総裁    谷  公士君
       内閣法制局長官  宮崎 礼壹君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        村松  帝君
   政府参考人
       経済社会総合研
       究所次長     広瀬 哲樹君
       厚生労働大臣官
       房統計情報部長  桑島 靖夫君
   参考人
       日本銀行総裁   福井 俊彦君
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  本日の会議に付した案件
○予算の執行状況に関する調査
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○委員長(尾辻秀久君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 予算の執行状況に関する調査を議題とし、昨日に引き続き、質疑を行います。
 関連質疑を許します。高橋千秋君。
○高橋千秋君 おはようございます。民主党・新緑風会の高橋千秋でございます。昨日に引き続き、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 まず冒頭、質問通告してなくて申し訳ないんですが、昨日、北朝鮮の核実験の二回目が行われたかどうかということでいろいろございました。その件で、情報が随分錯綜をして、安倍総理、それから麻生大臣、塩崎官房長官、それぞれの発言がちょっと違ったんではないかということで、情報が錯綜したんではないかという、そういう報道が朝からもなされております。この辺の事実関係をまず確認をさせていただきたいんですが、安倍総理、お願いいたします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 二回目の核実験を行ったという、そういう兆候については政府としては把握をしていないということでございます。
○高橋千秋君 麻生大臣、いかがでございましょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) 昨日も申し上げましたけれども、確認はされていない。今も同じであります。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今総理が答弁されたとおりでございます。
○高橋千秋君 今日はそれぞれ否定をされましたが、昨日の段階ではいろいろ錯綜をしたようで、報道では、CNNや海外の報道でもそういうことが取り上げられて錯綜をしたということが出ております。結果的には今三人とも否定をされましたけれども、やはり国民にとっては大変不安な状況にあります。是非、そういう報道も含めて情報をきっちりと提供されるように、把握されるようにしていかないといけないというふうに思いますので、どうかよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 それでは、本題に入りたいと思います。
 まず、私は初めて安倍総理と論議をさせていただくことになりますけれども、小泉前総理にも確認をさせていただきましたが、安倍総理がこの国日本をどういう方向に持っていきたいのか、そういうビジョンをお持ちだと思います。どういう国にしたいのか。美しい国へという言葉が昨日の委員会でも何度も出てまいりました。私は、大変その言葉自体は美しいと思うんですけれども、やはりよく分からない。国民にとっては美しい国とか筋肉質の政府とか言われても何かよく分からないんですね。
 やはり、安倍総理がスタートしてこういう国に持っていきたいんだというビジョンを多分お持ちだと思いますので、そのことを「美しい国へ」という本を読んでいない国民にも分かりやすいように教えていただけませんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私は、日本を、活力や、また機会や、そして優しさにあふれる、世界に開かれた国にしていきたいと考えています。
 そのためにも、日本のこの美しい自然や歴史、文化、伝統を大切にする国にしていきたい。そういう国になっていけば、家族の温かさ、そして家族の価値を大切にする、そしてまた地域もやはりもっといい地域にしていこうと、そういう私は国になっていくと思っています。
 また、自由を基盤に、規律を知る凜とした国にしていきたいと思います。自由な創意工夫、また活力が生かされる国であると同時に、例えば経済活動においてもちゃんとした規律を保っていくことができる国にしなければならないと思います。
 そして、三番目には、成長するエネルギーを持ち続ける国でなければならないと考えています。少子高齢化の中で人口減少ということが言われているわけでありますが、その中でも活力を失わないようにするためには、やはり人材を育成し、さらには社会を、また経済を開いていく、そして新しい工夫に、また新しい技術の開発に新しい考え方を練り出していくことに力を注いでいく、そしてそれによって活力を生み出していく国にしてまいりたいと思っています。
 そして、世界から尊敬され、そしてまたたたえられる、あるいはまた愛される国にしていく、そしてその中でリーダーシップを発揮をしていく国にしてまいりたいと思います。
○高橋千秋君 何か一杯あり過ぎてよく分からなかったんですが、今、安倍総理が言われたことは、私もそれは否定をするものではありません。いいことをずっと並べておられると思います。それ自体は否定するものではありません。しかし、前総理のときからいろいろ取られてきた政策、それから昨年通過したいろんな法案、そういうものを見ていると、私は、安倍総理が今言われたこととは逆の方向に作用する、そういう法律が幾つか通過をしてしまっていますし、政策が取られているんではないかなという、私は思います。
 私は、今日は地方の問題と格差という問題で、それをテーマに質問をさせていただきたいと思うんですけれども、この先週末、三連休でございました。議員の方々、それぞれ地方に戻っていろんな行事に参加をしたと思います。私自身も村祭りや運動会や、いろんなことに参加をいたしました。幾つかのその変化がやはり出てきているように私は思いました。
 そういう中で、行くところ行くところでいろいろ、こういうことを言ってほしい、ああいうことを言ってほしいという陳情も受けました。その中の多くの中に、やはり地方が大変になってきている、弱い人が更に大変になってきている、何とかしてほしいという、そういう声がたくさんありまして、私は総理が今言われたような、そういう国にしていくためには、昨年通過した法案でもやはり直していく部分がかなりあるんではないかなというふうに思うんですね。
 その一つに障害者自立支援法の問題がございます。これは、私の地元のいろいろな施設を回っても、いろんな人からこの法案はひどいという声を聞きます。衆議院の方でも枝野委員が総理に質問をさせていただきましたけれども、この法案は、昨年、あの郵政民営化法案が大騒ぎをしている最中に同時進行でやっておりました。皆さんも見ていただいたと思いますけれども、国会の周辺には障害者の方々が暑い中毎日座り込んで抗議をされておられました。しかし、それは通過をして、四月から一部施行になって、この十月一日から本施行になりました。
 半年、一部施行から半年たって、いや、これは大変だということが如実に分かってきたということで、何とかこれを改正をしてほしい、何とかしないと駄目だという、そういう声が大変上ってきております。先週は三重県の県会の方で中村県会議員という方がこのことについて質問をされておられるんですけれども、三重県だけでも二十三の団体がこれの改正の請願を上げております。
 これについて見直すという、そういうお気持ちはございませんでしょうか、総理。総理にまず、まず総理にお願いします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、私からお答えをいたしまして、詳細についてはまた厚生労働大臣からお答えをいたしますが、この障害者自立支援法につきましては、まず国に義務を与えるということでございます。そして、障害者へのそのサービスについて、体系付けてこれは整備をしていくというものでございますが、他方、一割負担を障害者の方々にもお願いする、もちろんまた就労の支援もしていくということでございますが、一方、一割負担をすると同時にきめ細かな配慮もしているところでございます。
 また、いずれにいたしましても、現場の声に耳を澄ましながら周知徹底を図ってまいりたいと、このように考えております。
○高橋千秋君 厚労大臣もお願いします。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 委員長の御指名でございますし、また質疑者も私を御指名いただきましたので、私の観点からのお答えで補足をさせていただきます。
 まず第一に、障害者の自立支援の制度というもの、あるいはまたその運用ぶりというものがこの新しい制度の前にどのようなものであったかというこの認識ですけれども、これは非常に地域的にばらつきがあった。特に在宅の方々に対するケア、こういうようなものの制度的な整備のレベルというのは地域によって非常にばらつきがあった、こういう認識がございます。
 そこで、それをもっと多くの方々に均てんしてもらうような、そういう制度としての画一性というか、そういうようなものをもっとしっかりしなきゃいけない、ここから実はこの障害者自立支援の新しい制度というのは始められたわけでございます。
 端的に言いまして、したがって、まあ先生のところがそうだとは言うつもりはないんですけれども、地域によってはまずそのインフラからしつらえ直さなきゃいけないというようなこともあったわけでございまして、新しい制度が一割負担をした、あるいはこの新しいサービスに応じた事業者に対する報酬というものが行われた、そこのところの言わば摩擦的なことについていろいろと地域に混乱があるということだけかというと、私が思うにはそういうインフラの部分の問題がありはしないかと、こういうような気持ちがございます。
 是非、先生方にもそうした目で地域の訴えに耳を傾けていただいて、まあこれは与野党どうこうの話じゃありませんから、より良いものにしていく、こういうような考え方で臨んでいただけたら有り難いと、このように思います。
○高橋千秋君 今の答弁を聞いて、全国の障害者の方は全く現場が分かってないということを改めて痛感したんではないでしょうか。
 私の友人の一人に松田愼二さんという障害者の方がおみえになります。この自宅も行ってまいりました。ほとんど体も動きません。トイレ行くのも介助がないとできない方です。この方が時々メールを送ってきてくれます。このこれだけのメールを打つのに半日ぐらい掛かって打ってまいります。その方も、今回予算委員会で質問するときに是非言ってほしい、本当に現場のことを分かってほしい、今回の障害者自立支援法は支援をするんではなくて阻害をするんだと。ある市長からもメールが来て、障害者自立支援法は障害者自立不支援法だという、そういう訴えもありました。
 この松田さんなんかは、言われているのは、一割負担になりました、しかしそれだけ体が動かない方にどうやって一割負担させるんだと。ある方は、そういう施設へ行って一生懸命働いても、一割負担になったら、もらえる金よりも、そこでお金を払わなきゃいけない弁当代やそういうものの方がかえって高くなってしまう。そういうことが現実にもうあちこちで起きているんですよ。
 そういうことをやっぱり現場の、これは先ほど与野党問わずというお話をされましたが、正にそうだと思います。自民党の方も現場ではいろいろ言われているはずなんです。これをやっぱり変えないことには、もう既に生きておられるんです、明日も生きていけないという、そういう状況にあるときにそんな悠長なことは言っていられないはずなんですが、総理、いかがでしょうか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 委員長。
○委員長(尾辻秀久君) 安倍内閣総理大臣。安倍総理を指名しました。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど厚労大臣が答弁をいたしましたように、まず、この制度を改正をするということについては、これは正に今までの制度のいろいろな問題点、欠点を、これは団体の皆様方と話合いを重ねながら、それを補う形で障害者の方々の自立を支援をしていく、就労をしっかりとサポートをしていく、また国の負担を義務付けるということにもなっているわけでありますし、このサービスの整備を計画的に実行していくということにもなっているわけであります。
 その中で、実際の現場の状況等についても我々は真摯に耳を傾けながら、いろいろな配慮がなされているわけでありますから、運用上いろいろとこれは配慮をしながら、また制度の意義を周知徹底をしていきたいと思っております。
○高橋千秋君 昨日、民主党はこの改正法案を提出をいたしました。二つの項目がございます。定率一割負担の凍結、以前の制度に戻すということです。それから、障害児・障害者福祉サービスを維持するために必要な支援を行うと。この二点を柱とした法案を提出をいたしました。
 これについて審議をしていただきたいと思いますし、このことに対して、それに厚生労働省として対応するということはお考えはいかがでしょうか、大臣。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今御指摘の二つの点、それからまたあと六つの緊急提言というものは確かにお受け取りいたしまして、私も目を通させていただきました。
 最初の二点の問題で定率一割負担の凍結というようなお話があったわけですけれども、今総理も冒頭からお話をいただいておりますように、一割負担ということを言いながら、実は初めから上限を設けております。
 それからまた、実際上、所得に応じてより細かな、きめ細やかな配慮をするというようなことをいたしておりますので、私は就任をしてすぐにこの話をもう一度聞き直したんですが、これいきなり一割負担という言い方が本当に表現として正しかったのかと。これはもちろん企画立案の過程からそういうところを基本にしていろいろな運用として所得制限であるとかあるいは減免であるとかというものを入れていきましたので、そうした物の言い方になったのはやむを得ないんですが、でき上がった最後の姿が一割負担ということをぽんと言うほどのものになっているかというと、実はもう余りにもいろんな工夫が凝らされているという実態がありますので、これは我々のこうした配慮に思いを致していただくならば、凍結といったようなことが直ちに必要になってくるという状況では全くないと、このように考えております。
 それから、障害児あるいは障害者の福祉サービスを維持するために必要な支援を事業者にというようなお話があるわけでございますけれども、事業者の事業の継続についてはもう特別の配慮をいたしておりますし、現に事業量全体が、利用者の意識が高まるに応じて現実に事業量が増えているということがございまして、事業者の皆様方におかれましてもいろんな努力をなさることに応じて事業量が増大していくと、こういう仕組みになっているということについて是非御理解を賜りたいと、このように思っておりまして、その意味で民主党さんの今回の御指摘については我々は必ずしも御見解を理解し難いというふうに今は申し上げざるを得ないということでございます。
○高橋千秋君 非常に残念です。厚生労働大臣がはっきり言って現場のことを全く分かっていただいていないということを大変残念に思います。
 この先ほどいただいた、障害者からいただいたメールの中にも書いてある印象的な言葉があります。それは、障害者という言葉の害という字、これを漢字から平仮名にしただけだ、表だけを繕ってもっとほかに大切なことがあるんじゃないかと、そのことを切々とこのメールの中で訴えられておられます。
 私は、今大臣言われましたけれども、結果的に一割負担というふうな表現になっていると。表現じゃないんです。実際にそうなんですよ。現実にそうで、多くのサービスをされている施設ももう閉めなきゃいけないとか、それを新しくやろうと思っていた方がもうその事業を少しやめてしまおうという、そういうところも実際出てきています。それに、障害者の方々は今まで、ようやく外へ出れるようになってきたのが、もう今まで、一割負担になって行けなくなったからということでまた家にこもってしまうということも現れています。そういう現場の声を是非見ていただきたい。
 まだ就任されて間もないかも分かりませんが、今の答弁では我々は納得できないし、是非私たちの出した法案も中身を十分吟味して審議をしていただきたいと思いますが、もう一度答弁をお願いいたします。
○国務大臣(柳澤伯夫君) この審議ということが何を意味しておられるかですけれども、委員会における審議は委員会に置かれている理事会の協議に従って行われるものと、このように理解をいたしております。
○高橋千秋君 改正する心は全くないということでよろしいんですね。明確に。
○国務大臣(柳澤伯夫君) これ、四月から始めて、本格実施は十月からなんですね。本日がいつかということを考えても、我々としてはこの実施の状況をよく見て、将来我々が改正ということが必要だというふうな認識に至れば、それはもうそのときの判断に従って当然適切な対応をするということに相なるわけであります。
○高橋千秋君 昨年成立した自立支援法の附則に、障害者等の所得の確保に係る施策の在り方について検討を加え、必要な措置を講ずると明記をされておられます。しかし、法施行後、マスコミやいろんなところが実態を調査して、もうしょっちゅう新聞にも出ております。しかし、これ政府として調査をしましたか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 障害者の自立ということを考える場合に、最も重要なのは就労ということになるわけです。この就労ということについては、私どもとしては工賃のレベルアップのいろんな施策を講じていきたいというようなことで今取り組んでいるところでございます。
 この実態調査というのは、現在は、今十月に始まったばかりというような局面もありまして、非常にそれぞれの自治体、事業所というものが懸命なこの制度の実施のための取組をしている。こういうようなところに一々また調査を掛けるということはいたずらに事態をふくそうさせるのではないかというようなことがございまして、今我々は、いろいろリポートを上げていただく、自主的に上げていただくというようなことを慫慂しまして、そしてそれに基づいていろんな情報を収集し、いろんな判断の材料にしているという状況だということを御報告申し上げます。
○高橋千秋君 レポートが上がってくるのを待っているんですか。もう一部施行して半年過ぎているんですよ。それで、現場では物すごく苦労しているんですよ。そんな悠長なことでいいんですか。現場の障害者の方々は、もうあしたも生きていくのどうしていくかという、そういう生きるか死ぬかというそういう方々なんですよ。そういうときに、レポート上がってくるのを待ってる。
 十月から施行になったからって、もう四月から一部施行していて、もうどういう状況になるか分かっているじゃないですか。附則の中にそういうこともやるということが入っているんですよ。それは全然やられていない。私は、厚生労働省、むしろ出向いていってもいいと思うんですが、出向いていって調査することが必要なんじゃないでしょうか。いかがですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) これは、今申しておりますように、災害のところに行って、災害の視察団だけが出掛けていって、その応接に困ってしまうというようなことがよくありまして、我々、災害の視察なんかに行くときには、よく現場の状況というものを分かった上でこれに取り組むというのは常識になっているわけでございます。一生懸命今新しい制度を消化しようとして努力をしているところに、さあ調査ですよというような考え方が正しいかどうか。
 我々は、今いろいろ情報を上げていただいている。情報を上げていただいているものを、我々は今これも上げていただいて、慫慂しているんです。お願いしているんです。そういうようなことを基にして、今現場の状況についての判断の資料を収集しているということでありまして、この点は最初に私が申し上げた、言わば現場が非常にふくそうしているときの我々の態度というのがどうあるべきかという一般論からも是非御理解を賜りたいと思います。(発言する者あり)
○委員長(尾辻秀久君) 続けてください。
○高橋千秋君 今ちょっと大騒ぎになりましたが、私は、災害と障害者のこの問題が一緒という感覚は私はおかしいと、基本的な部分がもうまず間違っていると思います。
 今のことについて、やはり同じようにお考えですか。もう一度お聞きをしたいと思います。
○国務大臣(柳澤伯夫君) いや、現場が非常に新しい制度あるいは新しく発生した事態に対して真剣に取り組んでいる、そこにエネルギーを一〇〇%投入することの方がベストであるというときに、さあ調査ですよというようなことを言って新しいロードを掛けていくということが適切かどうか、これは我々が常に判断をしなければならないことであるということであります。
 もし、その例示として私の言った災害というような言葉あるいは事態というものがこの場合不適切であるということでしたら、これは取り消すことに一向私はちゅうちょをいたしません。
○高橋千秋君 私は、厚生労働省の方が現場を見ていただいて話を聞くということがそれほど負担になるとは、現場の負担になるとは思いません。是非行っていただきたい、是非見ていただきたいと思います。そういう御指示をしていただけませんでしょうか。いかがでしょうか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私がそのようなことを行うのにふさわしい事態が出現しているという認識に至れば、私はそのことをするにやぶさかではありません。
○高橋千秋君 今もう既にそういう事態に至っているんです。現場は是非見てほしいという声が大変多い。これは我々ではなくて、与党の方にもそういう声は随分上がっているはずなんです。是非与党からもその声を聞いていただいて、現場に行く指示をしていただきたい。まだ新しい制度が始まったからそれを見るということでありますが、やる前から駄目だということが分かっている制度なんです。そのことを是非考えていただきたいと思います。私は非常にそういう姿勢は残念だなというふうに思いますし、障害者の方々にとって決して美しい国ではないというふうに思います。
 私は、総理の所信表明演説の中で、頑張った人が報われる社会、そういう話がありました。私は確かにそうだと思います。頑張った人が報われる、そういう社会は健全だというふうに思います。
 しかし、頑張りようがない人、頑張っても駄目な人、そういう人はたくさんいるはずなんですね。正にこれは障害者はそういうところだと思います。こういう人たちを救うというのが私は政治ではないでしょうか。総理、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、この制度自体、この法律自体は障害者の自立を支援をしていく、そして今までの枠組みの中で外れていた方々もすべてこの仕組みの中に入っていただくという制度にしたわけであります。そしてサービスを計画的に立案をしていく、あるいは先ほど申し上げましたように国が負担について責任を持つということも明確にしています。
 また、先ほど柳澤大臣が答弁したように、一割負担ということをお願いをすることにはなってはおりますが、例えば収入の六万六千円までの方々についてはそれは免除されているわけでございますし、またあるいは入所者の方で食費の負担が新たに発生する方々についても、この食費を払った後も二万五千円は残るようになっているわけであります。また、通所サービスを利用される在宅の方々についてはこの定率の負担が半額になると、そういうきめ細かなサービスをしているわけでございますが、また今委員が御指摘のようにいろいろな声が上がっているということであれば、そうした声を私もよく聞きながら、その調査等々についてはよく聞きながら判断をしたいと思います。
○高橋千秋君 是非総理にも現場を見ていただきたいと思いますし、現場の声も聞いてください。それをこの場でお願いをしておきたいと思います。
 順番は飛びますけれども、関連してまいりますので、地方の医師不足のことをお聞きしたいと思います。
 今、全国各地で地方の自治体病院で医師が大変不足しております、また厚生労働大臣になりますが。私の三重県でも尾鷲の産婦人科でお医者さんがいなくなりました。それから志摩病院というところでも間もなく十一月にいなくなります。それから、三重県の一番南の御浜町というところで紀南病院というのがありますが、ここで脳外科の方がいなくなります。それから名張市、名張の市立病院では小児科のお医者さんがいなくなって救急が受けられなくなりました。
 これは、三重県は全国的に見れば東海地区ということで、今まだ景気はいい方であります。工場はたくさんあります。就職も大変北の方はしやすくなってきております。しかしながら、こういう病院が、私の三重県でもこれだけの病院でもう既に医者がいなくなってくるという事態が発生をしてきて、先日、NHKでもこの特集をしておりました。
 これは全国各地の問題です。しかし、先日の所信表明演説のときの代表質問の後に総理が答えられました、医者の問題が出ましたけれども、確実に増えているという御答弁ございましたが、私は地方に限って言えば、もう大変深刻な問題です。先ほどの障害者があした生きていけるかどうかという問題と同じように、これは、少子高齢化の問題がこれだけ叫ばれているときに、地方では子供が産めない状態ができてきている、子供ができてもそれを診てやることができない状況ができてきていると。こういうことに対して国策として対応しなければいけないというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私がまずお答えしまして、また詳しくは厚労大臣からお答えをいたしますが、私が代表質問の際にお答えをさせていただきましたのは、日本全体として医師の数自体は増えているというお話を申し上げましたが、それと同時に、それと同時に、科目別あるいは地域別には、これはばらつきがあり、医師不足になっている地域あるいは科目があるということは申し上げているとおりでございます。
 そのための配慮は当然していかなければならないわけでありまして、今委員が御指摘になった小児科、産科等については、また麻酔医もそうなんですが、特に今委員が御指摘になった少子化の観点から見れば、小児科、産科等については、例えば今後、診療報酬も含めたこの医師不足解消になるための施策を考えてまいりたいと、このように思っています。また、小児救急あるいは産科については拠点病院を、各地に拠点病院づくりを進めていく。また、あるいはこの拠点病院と診療所の連携を進めていくということも大切ではないかと、こう考えております。
○高橋千秋君 大臣、いかがですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) マクロ的に見ますと、日本でお医者さんが減っているというような事態がない。あるいは、例えば小児科などについても、あるいは産科などについても、それぞれの対象一人当たりの医師の数が減っているというような状況にはないということなのでございます。しかし、現実に私ども、自分たちの選挙区からのいろんな病院からの訴えを聞いておりましても、こういう病院でもこのお医者さんがいないのかということに驚くほど今医師の恐らく偏在という問題なんだろうと思いますが、それが我々の国の現象として現れているということでございます。
 これにつきましては、まず一般的に言って、まあ昔だったら大学の医局というものがしっかり自分の養成したお医者さんについてグリップを利かせていて、非常にうまく配分はしていた、そういうような力が弱まっているということが一つの背景にあるのではないか。そういうようなことから、それに代わるような機能を持つ組織というものをひとつ考えられないかというようなことで、都道府県の中に協議会と、これは必ずしもお医者さんだけではありませんけれども、いろんな各関連の分野の専門家にも集まっていただいて協議会というものを設置をし、そしてそこからいろんな工夫をしていくというようなことが考えられないか。
 現にそういうことを実施している県の中には、やはり若いお医者さんが一番魅力を感じるのは、やはり自分の医術の研修とあるいは、いうものがレベルアップすることであるというようなことで、それでは辺地に何年か勤めていただいたら、その後は必ずそういうような自らの医療技術の研修のための期間を与えるというようなことをうまく組み合わせて実施に移しているところもあるやに聞いておりまして、そういういろいろなところの現実の工夫というものをこれから我々としては探り、そしてまたいいアイデアについてはこの普及を図っていくということが大事なんではないかと、このように考えております。
 産科あるいは小児科の問題については総理からも非常に細かく御答弁がございましたので、私から付け加えることは差し控えます。
○高橋千秋君 先ほどの障害者自立支援法のこともそうですが、私、大臣、厚生労働大臣、やはり現場のことがよく分かっていないと思います。先ほど言われたようなことはもう現場では既にやっているんですよ。もうずっとやってきていても、それでも見付からない。
 先ほど言いました尾鷲の産婦人科は、三人いた方が一挙にゼロになりました。市長からも頼まれて私も一生懸命探したけれども、東海地区全体を探しても見付からなかったと。ようやくお一人去年見付かって、一年間五千万円という給料で行ってもらったんです。この五千万のお金というのは、市立病院ですから市の方の税金でほとんど、まあ収入もありますけれども、賄っているわけですね。その方が実はつい最近、もう一年間で一人でやっていたんでもう駄目だということで辞められました。辞めてまたゼロになって、おとといです、ようやく二人、来年には確保できるというめどが立ったという報道がされました。
 これはそこの方々の努力なんです。制度としてこれは全然そういうことになっていない。これは全国的な問題なんですよ。生きていくということ自体ができていかない。大変医療という問題は、特にお年寄りにとっては心配なことです。これは産科、産婦人科だとか小児科だけに限らず、ほかのところでも同じようなことです。
 今大臣が言われたようなことは、もう既にずっとやられてきていることで、もっと抜本的にやらないと駄目だと思うんですけれども、もう一度御答弁いただけますでしょうか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 重ねての答弁になるわけですけれども、一つは、やっぱり今までのように各地に産婦人科のお医者さんがいるということを維持しようということにはなかなか難しさがある。
 そこで、拠点化する、あるいはオープンシステムにして、そこにいろんな方々が来て、必ずそこでは面倒を見てもらえるというように、一種こう集約化していくというようなことで対応しようということを考えているわけでございます。もちろん連携もあります。何といってもお産は、まあ正常分娩だけではありません。異常なときにやっぱり複数のものとすぐネットワークが取れる、そういうことがいいということ。
 あるいは、拠点の場合には、そこに現にお医者さんが、それはもう複数いるわけですから、そこで的確な処理ができる、こういうようなことも一つ念頭に置きまして、やはり安全なお産のために、我々としては同時にこの医師不足にも対応するということを最大の眼目にしながらそういったシステムを構築していくということを考えている。
 もちろん、女性のお医者さんの復帰のための女性ドクターのバンクというようなことをこれからもしっかり設置をしまして、それでその先生方の新しいこの医療の状況に対する適応の能力を向上させていくというようなことも考えているということもございます。
 以上、申し上げました。
○高橋千秋君 大臣、最近病院へ行かれたことございますか。外来としてちゃんと行ったことはございますか。
 今病院へ行って、有名な病院、特にいいと思われる病院へ行くと、半日、一日待ちというのが当たり前の状況です。産婦人科なんかで有名なところへ行くと、ポケットベルを持たされて、渡されます。一日ほかのところへ行っていて、ポケベルが鳴ってようやく行くと診てもらえるという、そういう状況のところもあります。そういう中で、一時間も二時間も掛けてその拠点病院へ行って、待って診てもらう。産婦人科なんかは特に、急に生まれるというときに一時間走って行かなきゃいけないとか、そういう状況が発生してくるんですよ。地方はそうなんです。都会だったらいいですよ、今大臣が言われたようなことは。しかし、地方はそういうわけにいかないんですよ。そのことを是非考えていただきたいと思いますが、もう一度大臣、お願いします。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 本当に片っ方で、少子化ということを我々の国はもう何とかこれを克服していきたいという大きな目標が与えられております。そのときに、正にそのときに、産婦人科の先生が不足で、女性が妊娠をするあるいは出産をするということを迷うような医療の状況というものをつくり出しているということは、誠にこれはちぐはぐな話でありまして、到底適切な状況とは言えないわけでございます。
 我々は、これらの問題に真剣に真正面から取り組んでいきたい。そのために何が更に必要かということは今後とも真剣に検討し、結論を出していきたいと、このように考えております。
○高橋千秋君 そうこうしている間にどんどんどんどん出生率が減っていってしまいます。少子高齢化に対応して少子化担当大臣まで前総理のときにできました。しかしながら、この少子化対策ということに対して、大臣はつくったものの、私は全然前向きじゃないように思うんですね。この産婦人科の問題も正にそうだと思うんです。
 是非、少子化のこれだけ深刻になってきている状況の中で、この産婦人科のことについては特に対応を急いでほしいと思いますし、この医療の問題、全体はこれ学校の問題でもあると思うんですが、文部大臣、何か御見解ございますでしょうか。
○国務大臣(伊吹文明君) 先生の御質問の趣旨は、学校で今おっしゃっていたようなことを教えろという意味ですか。
○高橋千秋君 いえ、その制度としてお医者さんが少なくなってきてしまっているということです。
○委員長(尾辻秀久君) 高橋千秋君、質問してください。
 大臣、一遍お帰りください。
○高橋千秋君 大学病院の独法化に伴って急に帰さなきゃいけないということは出てきているんですね。このことにも、大学病院がそれぞれ派遣をしている医師をどんどんどんどん引き揚げているんです、今。これはやはり文科省としても責任を持つべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(伊吹文明君) 御質問の趣旨は分かりました。
 原因は二つあると思います。一つは、従来取っておった研修医制度ですね、これが少し変わってきているというところに一つ問題があります。それからもう一つは、先生がおっしゃったように、独立行政法人になりますから、やはり大学としてある程度のキャッシュフローを確保しながら大学を運営しなければならない。そのときに、比較的需要の少ないところをやっぱり先生がおっしゃったように切り捨てていくということがありますから、これは今の御質問の趣旨をよく我々も体して、大学の運営に当たって十分な配慮をしていきたいと思います。
○高橋千秋君 配慮は分かりましたが、先ほどの、特に研修医制度の見直しということはいかがでしょうか。
○国務大臣(伊吹文明君) 研修医制度そのものはむしろ厚生労働大臣にお聞きいただくのが適当だと思いますが、大学として自分たちの大学の医学部の閥と言うんですかね、派閥の閥を利用して派遣だとか何かを操作するようなことのないように大学としては配慮をいたしますが、研修医制度そのものは厚労大臣にお聞きいただきたいと思います。
○高橋千秋君 それじゃ、厚生労働大臣いかがですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 先ほども申し上げましたとおり、研修医制度の中で、若い将来にいろんな希望を持っているお医者さんの卵が自分の技量を磨こうと、そこを磨くには一番どこがいいだろうかということに今非常に傾斜していっているということが、昔に比べて必要なところに医者が必要な量配分されるということと食い違いが起こっているということがあるわけでございます。
 なかなか、お医者さんの若い方々の希望をどうやってこれをコントロールするかというのはなかなか難しい問題ですが、一つ、研修医制度については五年ごとの見直しという制度になっているということもございまして、そういった時期に至れば、できるだけ早めにいろいろな情報を集めて、何か従来、昔の制度との間のいいところに、中間のようなところにいい解決策が見いだせないかというようなことも念頭に置いてこれに取り組んでまいりたいと、このように考えます。
○高橋千秋君 五年ごとの見直しということでありますが、障害者自立支援法も三年で見直すという話がありました。間違っていて、これはおかしいと思ったらすぐにでも見直すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 研修医制度に背景があるというふうに思われる点もあるんですが、またそれがすべてかというとそうでもないということだろうと思います。
 したがって、全体として総合的にうまい配置にするように我々としてはいろんな手だて、先ほど来御説明をさせていただいたような手だてを講じておりますので、これについてしばらくお見守りいただいて、また必要な手は次々我々も打っていこうと、このように考えております。
○高橋千秋君 見守る暇はないんですよね。見守っている間にどんどんどんどん変わっていくんですよ。おかしいと思えば、全体をそろうまで変えないということではなくて、おかしいところから一つ一つでも直していけばいいじゃないですか。そういうふうにお考えになりませんか。いかがでしょうか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 我々としてはいろいろな手だて、先ほど来申し上げているような拠点病院であるとか、あるいは一度医療界から引退されたような女性医師をカムバックしていただいて、そのしかも技量も今の時代にもふさわしいような技量に向上させた上で御診療をいただく等々の手だてを講じております。したがいまして、そういったものに加えて、更にネットワーク化、連携化というようなものも進めていく中で、事態に対応してできるだけ早く改善の効果が上がるように努めてまいりたいと、このように考えます。
○高橋千秋君 先ほど言いました尾鷲の病院では、昨年お一人のお医者さんで百二十件のお産がございました。つまり、百二十人の子供が生まれたんですね。それはすべてその尾鷲に住んでいる方ではないと思いますけれども、それだけの方が生まれたんです。ところが、毎年毎年、何百人という方々が高校を卒業するとその尾鷲から出ていきます。それだけでもどんどん過疎化は進んでいる。どんどんどんどん現場はそういうふうに進んでいるんですよね。
 そういうふうに、私は、十分見直して検討をしてと言っている間に地方はどんどんどんどん疲弊をしていく、これが今の日本の姿ではないかな。総理が目指す美しい日本、そのことを考えると、どんどんどんどん地方は美しくなくなってきている。日本は東京があって地方があるんじゃない。地方があって東京があるんじゃない。全部、全部ですね、両方がうまいこといって日本全体があるはずなんです。今のこれまで取られているいろんな政策、この医療の問題もそうですけれども、東京が独り勝ちになっている状況にあります。私は地方の方にやはり目をやるべきだろうと思います。今、日本各地を歩くと、皆さんも日本各地を歩くと、すばらしい田園風景があって、すばらしいコミュニティーがあって、それはまだ維持できていると思います。辛うじて維持できていると思います。しかし、今取られているこの医療の問題も後でお話をする三位一体の話も含めて、地方はどんどんどんどん疲弊してきている。これを今止めないといけないというふうに私は大変強く危機感を抱いております。
 三位一体の話をさしていただきたいと思うんですけれども、市町村合併が進みました。千八百二十になりました。三重県でも六十九の市町村が二十九になりました。まあいろいろな混乱が起きておりますけれども、小泉総理のときにこの三位一体が進んで麻生外務大臣が総務大臣のときにもいろいろ論議をさしていただきましたけれども、総理とすれば、この市町村合併について今後どういうふうに進めていかれる思いなのか、聞かせてください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 市町村合併は急速に今進んでおります。この市町村合併については、言わば大きな行政改革という観点と、そして広域行政を進めていく、あるいは行政の基盤を強化をしていく、そういう様々な側面があったわけでありますが、地域の方々の御理解をいただきながら進展をしていると、このように思います。
 私の地元におきましても二市七町であったものが二市だけになったわけでありますが、しかし、サービス力が低下しないようにいろいろな工夫をしています。しかし、制度が変われば今までのやり方と変わるわけでありますから戸惑いや多少の混乱はあるでしょうけれども、それをお互いが知恵を出し合いながら新たにいろいろな対応を考える中で、元々この市町村合併を行っていくという趣旨をよく体して、国民の、また地域の皆さんの利便に資するようにこの市町村合併を生かしていかなければならないと思っております。
○高橋千秋君 三重県では工場が随分進出をして税収が随分上がりました。上がりましたが、結局、地方交付税の見直しで結果的には使える金は前年より減るという状況になりました。頑張っても、何か頑張っている方がおかしくなってしまう、頑張って、頑張り損だみたいな話も出ております。
 この三位一体改革の中で税源移譲という話がありました。税源移譲というのは、言葉はいいんですけれども、結果的には補助金カットで、全部を税源移譲するわけではなくて、かなりをカットして、地方交付税もカットして税源移譲ということでありまして、この地方交付税の見直し、どうされるおつもりでしょうか。総務大臣、おみえになりますか。
○国務大臣(菅義偉君) お答えをいたします。
 昨年の三位一体改革の中で、国と地方の役割を分担をし、四兆円の補助金カットと三兆円の税源移譲が行われました。このことについては、地方自治体、地方団体も評価をいただいております。今委員が言われました、これは六団体からも言われています、評価を受けています。
 そういう中で、交付税のお話でありますけれども、交付税が非常に分かりにくいということも、これは私は地方議員をやっていましたのでよく理解をしているつもりであります。そして、今言われましたように、税収が多くなれば交付税が削減する、そういうこともこれは私は事実であるというふうに思っています。
 ただ、いずれにしろ、しかし国全体を考えたときに、やはり全国同じような行政サービスを行うのも国の役割であります。そうしたことを見ながら、私は、最終的には、今度の国会に地方分権推進法、これを是非提出をし、成立させたい。こういう中において、地方が自由で、そして自立できて、責任ある、そうした地方、魅力のある地方ができるようなそんな仕組みを是非つくっていきたいと思いますので、御理解をいただきたいと思います。
○高橋千秋君 地方が評価しているという言葉を聞いて自民党の方もどっとくるんじゃないかと思うんですが、私はどういうレクを受けているのかちょっと心配ですけれども、地方は決して評価していません。これを評価していると総務省がもし見ているんなら大きな勘違いだと思います。
 地方交付税について先ほど見直しの話ありましたが、今政府が出そうとされている見直しでいけば、東京や一部の都会だけが地方交付税は増えます。田舎はどんどん大きく減ります。こういう見直しであれば、全く、先ほどの話ではありませんが、地方の切捨てになってしまうと思います。いかがでしょうか。
○国務大臣(菅義偉君) これ、知事会の方で評価の声明を出していることはこれは事実でありますので、事実のことを私はそれを言わせていただきました。
 それで、地方の改革でありますけれども、やはり現在の中で削減努力というのはこれ行革の中で当然でありますけれども、しかし必要な財源を確保する、このこともしっかりとうたっておりますので、是非御理解をいただきたいと思います。
○高橋千秋君 ある町長に言わすと、来年、予算もうどうやって組んだらいいんだと、組みようがないという声も何度も聞きます。これはもう皆さんいろんなところで聞かれていると思います。知事会が評価していると今言われましたけれども、確かにそれは文書として来ているのかも分かりません。しかし、多くの市町村長の声も聞かれていると思うんですが、そういう方々がもうみんな評価しているとお考えなんですか、総務大臣。
○国務大臣(菅義偉君) いや、具体的に私は現在町村会長をやっている方からもこれ伺っていますし、また私自身の友人にも町長をやっている人もおります。ただ、地方が現実的に非常に厳しい状況にあるということもこれ私は理解をしています。そして、地方の行政の長に言わせますと、とにかく来年幾ら確保できるか、そういう見通しをまずはっきり付けてほしいと、そういうこともよく言われています。
 地方の最低限の生活を守るための財源の確保というものは、これは骨太でもきっちりうたっておりますので、しっかり取り組んでいきたいと思います。
○高橋千秋君 私は現場の声を十分聞かれているとは非常に疑問でございます。是非、さっきの障害者自立支援法のことや医師のこともそうですが、是非閣僚の方々には、なかなか時間がないかも分かりませんが、現場の声を、役人の、側近の役人から上がってくる声だけじゃなくて、やっぱり現場の声を聞いていただきたい。ほとんどの国民は現場の方なんですよ。皆さんの周りに付いておられる方々の声だけじゃなくて、そうじゃなくて、現場の声をやっぱり聞いていただきたい。そのことがやっぱり日本全体の発展につながっていくと思うんですね。是非、総務大臣もそのことをお考えをいただきたいと思います。
 総務大臣、その続きで申し訳ないんですが、昨年、郵政民営化法案がすったもんだいたしました。そのときに様々、私も質問に立たしていただいて小泉総理や竹中大臣とも話をさしていただきましたけれども、そのときに出なかった、明らかにされなかったサービス低下の話がどんどんどんどん明らかになってまいりました。もう本格的民営化まであと一年を切りましたけれども、それに向かって、このATMはなくすとか夜間窓口を廃止するとか、それから集配局をもうかなり減らすとか、いろんなことが出ております。この一年たってそういうことが出ているんですけれども、そのときの総務大臣ではありませんが、いかがでしょうか。
○国務大臣(菅義偉君) 郵政の民営化、来年の十月一日に向けて今、効率的なことを、やるべきことをやっている。しかし、その中で、今委員から御指摘がありました集配局の無集配化、こうしたことも今やっていることも事実です。ATMも事実です。
 しかし、そういう中で、その無集配局化につきましても、現在の郵便局はそのままでありまして、郵便も貯金も保険もできる。ただ、そのサービスも低下にならないような仕組みを考えながらこうした改革を今進めています。
○高橋千秋君 多分、新総務大臣にはまだ耳に入っていないかも分かりませんが、その手だてをしているという話ですが、現実的には実際そんなものはできないという現場の声が非常に多いんです。
 私は、先週の土曜日に三重県の鳥羽市の方に呼び出されて駅前へ行ってまいりました。駅の周辺にATMが一台あります。郵便局のATMが一台あるんです。そこは土産物屋さんが一杯あるところで、観光客がそれを、ATMを利用されます。そこからほかのATMへ行こうと思うと、十五分ぐらい歩かないと行けないところにしかないんです。そこを、実は先日、公社の方が来られて、公社の方と地元の郵便局の方が来られて、このATMを廃止したいということに言われたと。で、これでは困ると、どこにもそれを出すところもないし、今まで民間の企業があったけど、民間のATMがあったけど、それもなくなってしまって、そういうことになってしまっては困ると。そういうことはあの郵政民営化の論議の中では全然話なかったじゃないか、約束違反ではないかという声があるんですけど、いかがでしょうか。
○国務大臣(菅義偉君) ATMのこの廃止に、撤去につきましては、近くに金融機関がなく不便である場合など、社会的要請の観点から必要なATMは残すというふうに私は報告を受けております。さらに、例えば病院等、長期入院患者を専門に扱う療養所も受けております。一律にその配置を転換をするということではなくて、社会的な要請について必要なものは残すということになっておりますんで、そのことは是非守りたいと思います。
○高橋千秋君 実は、そこは残してくれという署名まで一時起こりました。それは社会的価値が非常にあると思うんですが、大臣、まあ現場は見られておられないから分からないと思いますが、そういう状況があるんですけど、どうお考えですか。
○国務大臣(菅義偉君) 今答弁をしましたけれども、近くに金融機関がなくて、これからその郵便局のATMをなくした場合非常に不便の場合は、それは配慮するということになっていますので、また現場と改めて私の方でその件については調査をさしていただきたい、こう思います。
○高橋千秋君 まあ、それは極端な例かも分かりませんが、多くのことがあの論議の、昨年の夏の論議の中で出なかったことがたくさん出てきております。だから言ったじゃないかという声がたくさんあちこちで出ております。是非、先ほどの障害者自立支援法のことではありませんが、見直せるところがあればもうすぐにでも見直していただきたいと思いますし、もう一つ、この郵便局のことで聞いておきたいんですが、システムの問題があります。これが当初、システムがすぐにできないかも分からないという話で、これができなければ来年の三月三十一日までに申し入れるということになっております。この状況はいかがでしょうか。
○国務大臣(菅義偉君) この情報システムにつきましては、現在、郵政公社において民営化に向けた準備を進めていると、そして来年の十月の民営化を確実にできるように鋭意取り組んでいるという報告を受けております。
 また、本年の九月一日には、政府から日本郵政株式会社に対して郵政民営化のためのこのシステムについては公社と協力してやるような、こういう指示もしております。
○高橋千秋君 時間がなくなってきましたので、最後の質問にしたいと思うんですが。
 私は、この九月、十月、あちこちの運動会に行きました。地元の小学校の運動会とかいろんな地区の運動会に行ったんですね。小学校の運動会に行って、私が小さいころのときと非常に違う点が二つありました。一つは、親御さんの中に外国人が非常に多いんですね、今、私のような田舎でも。たくさんの外国人の、どこの国か分かりませんが、いろんな外国人の親御さんが同じように参加をされております。もう一つは、子供の数が異常に少ないということです。私の地区、小さな田んぼのど真ん中の集落なんですが、四十軒しかありません。そこに、今子供が五、六人しかいないんですね。私が小さいころはみんなで手を携えて小学校まで歩いて通っていました。今、もう五、六人、そのうちの二人は私の子供の双子です。だから、これで考えると、どれだけその地区に子供が少なくなってきているかということなんですね。これが今の日本の田舎の特徴です。
 私が言いたいのは、先ほど医療の問題の話をさせていただきましたけれども、人口の問題、大変重要な問題です。これから生産人口がどうなっていくかとか、年金の問題もあります。これは年金の見直しもしなければなりません。
 まず、この年金、あの二年前に大騒ぎになりました。あのときに出生率の算定のことですったもんだがありましたけれども、更に下がりました。これを考えると、この年金制度、あのとき百年もつという話ありましたけれども、早急に見直さなきゃいけないと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 一昨年改正をいたしました年金のこの制度につきましても、その中でもこの状況が変わっている中において見直しの規定も入っているところでございますが、基本的には将来の労働力人口あるいは平均寿命をこれは勘案をしたマクロ経済スライドを導入をいたしまして、年金財政の安定化を図っているということでございます。基本的にはこの制度の導入によって安定的な年金のこれは制度として国民に対して信頼を得ることのできる制度になっていると、私はこう考えております。
○高橋千秋君 その年金に絡んででも、この社会制度を守っていくためにも消費税の問題が出てくると思うんですが、総理は消費税の話は来年の秋以降という話でありますが、私は今その論議をやっぱりすべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) もちろん、ですからこうやって国会では議論するべきであると、常に国会においては議論をしているわけでありますが、基本的にこの税制全般については、従来から私が申し上げておりますように、まず基本的には財政の再建を目指していくわけでありますが、この財政再建を目指していく中にあって、しっかりとまず歳出の削減、適正化、改革を行っていくというのが私どもの考え方であります。そして、それと同時に、力強い成長戦略を実施することによって自然増収も増やしていく。
 そしてさらには、しかしその中での足らず前もございます。また、二〇〇九年には基礎年金の国庫負担、三分の一から二分の一に引き上げていかなければなりません。そしてまた、社会保障費は年々増加していくという中にあってどう対応していくか。また、少子化への対策ということもあるでしょう。また一方、国際競争力も確保をしなければならない。また、先ほど来委員が御指摘のように、地方の財源をどう確保していくか、税金をどう確保していくかという観点から税制の抜本的な改革を議論をしなければならないと考えております。
 本年度のこの決算が大体分かる七月、あるいはまた医療制度の改革の一部の効果が出てくるこの七月に、そうした数値を勘案しながらしっかりとした議論を来年の秋以降行ってまいります。
○高橋千秋君 私は、安倍総理は責任ある政治をしていくという御決意だと思いますので、その意味でいえば、私は消費税の論議はもう避けられない。そして、消費税を上げるというのは一番最後、当然最後の論議だと思いますけれども、しかし、今からそういうことを国民的議論としてやっぱり考えていかなきゃいけないというふうに思います。
 その意味で、私は是非早くそのことを提示をしていただきたいと思いますし、それから先ほどずっと申し上げてまいりました、もう最後ですのでこれで最後にしたいと思いますけれども、是非多くの、総理も含めて、現場の声を是非聞いていただきたい。多くの現場の声と皆さんの周りに入ってくる声と物すごくここで格差があるということを私は申し上げて、質問を終わらさせていただきたいと思います。
○委員長(尾辻秀久君) 関連質疑を許します。浅尾慶一郎君。
○浅尾慶一郎君 民主党・新緑風会の浅尾慶一郎です。
 安倍総理、総理御就任おめでとうございます。総理は、美しい国をつくるということだと思いますが、美しい国の基本はやはり公正な国でなければいけないというふうに思っています。公正な国ということは、事実と違ったらそれに対して毅然として指摘をしていくということもあると思いますが、昨日、この予算委員会が、一時期、森議員の質問で騒然といたしました。その週刊誌の記事について、森さんは事実かどうか確認しただけでありますが、総理としてはそれを名誉毀損で訴えるつもりがあるかどうか、まず冒頭お聞きさしていただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私は、昨日、御本人がよく確認をしていないということで質問をされたので、それはよく確認をしてから質問をしていただきたいというふうに申し上げたわけであります。
 週刊誌の記事について言えば、私についての誹謗中傷を含む週刊誌の記事はもうあまたあるわけでありまして、私は今、日本のためにすべてを、私の時間を割いていきたいと思っておりますから、一々そういう週刊誌を読むつもりはございません。(発言する者あり)
○浅尾慶一郎君 何かいろいろとやじも出ておりますが、週刊誌の記事をということではなくて、週刊誌に書いてあることが問題であれば、それは法的措置をとっていくべきだというふうに思いますが、そういう考えに立たないという、確認ですよ。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今まで歴代の総理の中で、そうした週刊誌を一々取り上げて訴訟をしたという総理は私はいないのではないかと、このように思います。
○浅尾慶一郎君 それでは北朝鮮の核実験の問題に入らしていただきたいと思いますが、国連の安保理制裁が出たとして、いろんな制裁の可能性があると思いますが、まず一つ、我が国の領海の中でこれ船舶の臨検を行う場合、主体はどこになりますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この北朝鮮の核実験に対する対応、言わば国連の場における決議にのっとる対応についてでありますが、ただいま正に国連において協議がなされているところでございますので、この船舶検査について予断を持ってお答えをさしていただくことは差し控えさしていただきたいとは思いますが、まあしかし一般論として申し上げれば、現行国内法上、海上保安庁は、国内法違反の防止等の観点から国際法上認められる範囲において外国船舶を含め船舶への立入検査を行うことができるほか、海上保安庁のみで対処困難な場合には、海上警備行動により自衛隊が対処することがあり得ると。ただし、このようなケースにおいて船舶検査の実施が海上警備行動の要件を満たすか否かについては慎重な検討が必要であるということは、もう委員御承知のとおりだと思います。
○浅尾慶一郎君 今御答弁いただいたのは日本の領海の中あるいは領海と接続するところということだと思いますが、それより広く、十二海里プラスアルファのところよりも広く二百海里という、EEZというのもありますが、そこについてはどういう見解になりますか。
○国務大臣(冬柴鐵三君) ただいま総理からお話があったとおりでございますけれども、領海内、すなわち十二海里内と、それから接続海域、それに加えて十二海里、そして二百海里のEEZ、それから公海、このように四つの段階に分かれると思います。
 一番外からいきますと、公海では、海賊とか人身売買、そういうような特殊な犯罪について認められております。これは海上保安の話でございます。それから、EEZにつきましては、漁業関係、そういうものについて、あるいは環境、そういうものについては検査が認められております。それから、接続海域でございますけれども、十二海里プラス十二海里、その部分につきましては、この領海にいろいろなものを持ち込まれないように、そういう目的の下に、特殊な犯罪でございますけれども、立入検査ができるということでございます。もちろん、領海については今総理がおっしゃったとおりでございます。
 ただ、臨検という言葉を使われますと、我々は臨検はいたしません。
○浅尾慶一郎君 私がこの質問をさせていただいておりますのは、国連の安保理制裁決議、我が国の政府としても求めているというのは報道されているとおりだと思いますが、当然のことだと思いますが、そのときにいろんな制裁の形態があろうかと思います。一番重要なのは、北が開発した核兵器がその他の国に持っていかれないようにしていくということが重要なことであろうというふうに思います。
 そうだとすると、北朝鮮から出てくる船、これを日本の領海まで待っていても日本の領海は通らないわけでありまして、今御答弁いただきました日本の領海プラス十二海里だけやっていますよと、しかも臨検というのは海上保安庁としてはやらないということになりますと、日本としては何も実はやらないということになるのではないかなということでこの質問をさせていただきましたが、その点について、後ほどちょっと法律論もさせていただきますが、今どういうふうに総理考えておられるか、伺えればと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、正にこの国連の安保理の場におきまして、厳しい措置を含む、また拘束力のある決議を何とかこれ満場一致で出すべく努力をしているところでございますので、個別具体的なことを前提にした答弁は差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、決議が決まれば我が国の法令の範囲内で適切に対処してまいります。
○浅尾慶一郎君 法令の範囲内でということがありましたので、調べましたところ、日本の法令の中で言いますと、唯一公海上でそうした船舶の臨検ができるのは周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律と、ここにははっきりと船舶検査活動とは国際連合安全保障理事会の決議に基づいてと書いてあります。したがって、この適用をした場合には公海上でも自衛艦が、自衛隊の艦隊が臨検をすることができるということになりますが、そういう認識でよろしい、まあ適用した場合にそういう認識でいいかどうか伺います。
○国務大臣(久間章生君) その法律が適用される場合はそのとおりでございます。
○浅尾慶一郎君 そうすると、この法律には国連安保理決議ということが書いてあるわけでありますが、適用される要件はもう一つありまして、周辺事態だという認定がされた場合でありますが、今回の事態は、この周辺事態の定義は、まず定義を読んでいただけますか。
○国務大臣(久間章生君) そのまま放置しますと我が国の平和と安全に重要な影響を与える場合でございます。それを周辺事態として定義しております。
○浅尾慶一郎君 今、正に御答弁いただきましたが、今回の北朝鮮の核開発はそういう事態に、そのまま放置すれば我が国の平和と安全に影響を与える、重要な影響を与える事態ですか。
○国務大臣(久間章生君) 現在の状態のままで周辺事態かと言われますと、それはそのままでは周辺事態にならないと思います。しかしながら、国連がこれから先決議を、どのような決議になるか分かりませんけれども、国連が決議をして、その後の対応いかんによっては周辺事態が発生することはあり得ますので、どういう状態になるかはやはり推移を見てみないと分からない点もございますので断定的には申し上げられませんが、昨日の舛添先生の質問に答えましたように、現在の段階で周辺事態という認定がしやすいかといいますとそれはなかなか難しいんではないかという、そういうふうなトーンで昨日もお答えしたとおりでございます。
○浅尾慶一郎君 現在の段階では周辺事態ではないというのは、そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれがあるというふうに認定しないからということですか。
○国務大臣(久間章生君) 例えば、北朝鮮の船が、あるいはよその国の船が北朝鮮から核物質を積んでよそに運び出そうとしている状態があったとして、そういう状態の中で、我が国が国連決議があったからといって周辺事態でそれを直ちに臨検できるかと言われますと、そこは難しいんじゃないかと。しかしながら、国際的な取組の中でどういうような対応をしていくか、その推移によってはそういう事態にならないとは言えませんので、その辺で非常に慎重なお答えをしているところでございます。
○浅尾慶一郎君 昨日も舛添委員とその議論をされておりましたが、私は、国連安保理決議を求めるという声を出される、一方で、しかし日本として、法律は解釈ですけれども、この法律を解釈すれば臨検できるにもかかわらずしないというのは、一つ間違ったメッセージを送る可能性もあるんではないかなと思って今質問をさせていただいておりますが、総理、どういうお考えでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま防衛庁長官は、それはこの我が国の安全について、安全保障について責任ある立場からこの周辺事態安全確保法について、そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力行使に至るおそれのあるということを厳密に解釈をしながら、今、瞬間の状況についての認識を述べられたわけでございます。
 しかし、こうした事態というのは瞬時瞬時にこれ動いておりますから、我々はもちろんあらゆる状況を想定しながら、常にあらゆる状況の中で我が国がどう対応できるかは検討しなければいけないと考えております。
○浅尾慶一郎君 事態が動いているというのはちょっと、現段階でのその国連の議論は北朝鮮が行ったと発表した核実験に対して議論をしているわけであって、新たな事態が加わって議論をしているわけではないわけですから、この議論に基づいた場合にその対応ができないという御答弁なのかどうか、その確認をさせていただきたいと思います。
○国務大臣(久間章生君) 現在の状態で直ちにそういう周辺事態が発生しているかというと、そうでないわけでございます。しかしながら、これから先国連が決議をして、その国連の決議に従って各国が動き出したときに、それに対してまたどういうような事態が推移するか分からない。そのときに我が国がその周辺事態として認定するような状況も出てくるんじゃないかと、そういう可能性もございますので、これから先の推移を見ないと、周辺事態には当たりませんと言い切ってしまうのにはちょっと問題があるんじゃないかと言っているわけであります。
○浅尾慶一郎君 私の質問の趣旨は、一方で安保理決議を要求し、一方で我が国はそれは参加しないというのは、国際社会に対してはなかなか通用しないんではないですかと。しかも、そのことがもし法律の観点で分かっているとすれば、新たな別な法律を用意するのが責任ある立場ではないですかという質問の趣旨ですが、そのことに対してどういうふうにお答えされますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この安保理による決議は、これはもちろん日本がどこまで責任を持ってそうした決議に参加できるかどうかということもありますが、国際社会全体として北朝鮮に対して核の放棄を迫る、あるいは核また大量破壊兵器の製造拡散はさせないという体制をこうして築いていくという決議を我々としては作っていきたいと考えているのでございます。
 ですから、その中で、例えば、これは我が国の法令に照らしてできないからそこは落とす、あるいはそれが入っているから我が国は賛成しないということとは、これはまた別の問題であろうと、このように思います。それぞれの国がそれぞれの力を持っているわけでございますが、そうしたことを総合的に活用しながら、この北朝鮮の正に暴挙と言える試みを、これをやめさせるということが重要ではないかと思います。
○浅尾慶一郎君 実は、その周辺事態法でなくても、海洋法に関する国際連合条約をいろいろと援用していくとできないことではないと思いますが、まず海洋法に関する国際連合条約に基づいて、自衛艦は軍艦に当たりますか。
○国務大臣(久間章生君) 国際法上は軍艦として認められております。
 ただ、今委員がおっしゃられましたけれども、国連海洋法条約では臨検ができる場合は非常に限定されておりまして、経済制裁についてはその対象になっておりませんので、念のために。
○浅尾慶一郎君 条約上はそうなっていますが、国内法の法の整備はされていますか。
○国務大臣(久間章生君) 自衛隊がどこまでできるか、また自衛隊にどこまでやらせるかというのは、この国会内でいろんな議論がございまして、そして周辺事態に認定があった場合に初めて行うという、そういうことになっておりますし、一般法としては自衛隊法の八十二条で海上警備行動としての行動、この二つが自衛隊には与えられた今権能でございます。
○浅尾慶一郎君 私の質問は、昭和六十三年に参議院の内閣委員会で当時の板垣議員が、条約は整備されているけれども国内法が整備されていないんで整備すべきではないかということに対して、当時官房長官でありました小渕元内閣総理大臣が、そういう勉強をしておいてもいいんではないかと。つまり、六十三年から指摘されていることをずっと放置してきたんじゃないかという質問であります。
○国務大臣(久間章生君) その当時の議論は軍艦と船舶との話でございまして、この臨検といういわゆる経済制裁を伴うような、こういうような検査活動じゃなかったわけであります。
 その後、当院でもそうですけれども、いわゆる船舶検査を周辺事態のときどうするかということで、周辺事態法は先に成立しましたけれども、船舶検査だけが後回しになりまして、そして民主党さんと自民党、公明党、一緒になって協議した結果、船舶検査を周辺事態法に伴うものについて議論がされて、そこで一応そういう今みたいな現行法の整理がされたわけでございます。
 だから、何もしなかったということではなくて、あの当時の六十三年の板垣さんの質問に対するあの官房長官の答弁というのは、船舶と軍艦とのその辺の整理の仕方についていろいろと各国でどうなっているのかという話でございます。
 これにつきましては、正直言いまして私自身も昔から、航空機については例えば航空機に乗っている、戦闘機に乗っているパイロットはそのままパイロットの資格として民間機にも乗れますけれども、軍艦に乗って、軍艦といいますか自衛艦に乗っていた船長や航海士はそのままでは資格がないわけでございまして、これでいいのかという別途の問題意識は持っておりましたけれども、それはやはりいろんな関係がございまして、いまだに整理されてないというふうに思っております。
○浅尾慶一郎君 今回のように、北朝鮮が何か起こってから急に法整備するというのは、正に泥縄的な話だと思います。この話についても六十三年からずっと指摘をされている話をずっと怠っていて、起きたらこれでもって我々はやるんだといって世間に向かって宣伝するのは少しひどいんではないかなと。むしろ冷静に、冷静な何も起きてないときに議論すべき話だと思いますが、その点について、総理、いかが思いますか。
○国務大臣(久間章生君) これは今までも携わってまいりましたので、私からその経緯も言いますけれども、これは民主党さんだけではなくてほかの党の皆さん方との議論の中でも、要するに憲法九条との関係があって、いわゆる臨検の場合にどこまでやれるか、どこまで許すか、そういう議論が非常になされまして、非常に限定的にああいう法律になった経緯がございます。
 だから、泥縄式と言われますけれども、我が国の場合は従来から非常に自衛隊の行動できる範囲というのを自衛隊法で限定的に解釈して決めてきておりましたので、その関係がございまして、今思えばどうかなというふうに御指摘があるということは有り難いことでございますけれども、かといって、じゃ武力行使まで伴うようなことができるかというと、それはできないわけでございますので、今度の場合も、仮に周辺事態に限定せずに国連決議であったならばできるというふうにやったとしても強制力を伴わないという、そういう縛りになってしまうんじゃないかと思うわけであります。そこのところをひとつ御理解賜りたいと思います。
○浅尾慶一郎君 私がいろいろ申し上げておりますのは、ただ追加的な措置を政府として発表しましたと。それは政府は追加的な措置を発表しただけかもしれませんが、世間が受ける印象は、何か強く出ていると。しかし一方で、法律をいろいろ調べていくとできないことが一杯あると、そこに矛盾があるんじゃないかと。しかも、何年も前から指摘されているにもかかわらずそれは放置しておいて、世間に対してそういう間違ったイメージを出しているんじゃないかということを指摘させていただいているので、その点について総理。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 昨日発表いたしました追加的な措置については、これはもちろん我が国の法令にのっとってすべてできるわけであります。船舶をすべて止める、そして輸出を止める、そして入国を止めるということについては、これはすべてもちろん我が国の法令にのっとってできる。そして、なぜできるかといえば、こうした法律を既に用意していたからであります。
 そのときにもこういう、浅尾委員は大変御尽力されたというのは私は承知をしておりますが、こういう法律を議論すること自体がおかしいではないかという議論もあったのも事実でありますが、しかし、やはりそれは実際に前もって作っておく必要があるということであったのではないか。ですから、今正に制裁をしようとして、それを制裁ができないという中にあって、その制裁のための法律を作るということではないわけでございます。
 他方、ただいま久間長官が答弁されましたように、例えば周辺事態をめぐる議論においてもその中で、いかにではこの我々の自衛隊の任務を有効たらしめるか、あるいは制限を加えるかということについてぎりぎりとした議論を行ってきた結果、ああした法律になっているわけでございます。
 そして、その中で、たとえ周辺事態安全、周安法が適用されるということになったとしても、強制力ということについてはそれは限界がある。しかしそれは、限界を設けようということであの法律は成立をしたのではないかと、このように思います。
 しかし、今後いろいろなこうした国際社会で起こる事態に対してどう対応していくかということについては大きな私は課題があると、このように認識をしております。
○浅尾慶一郎君 この問題、そろそろ終えたいと思いますが、最後にもう一回だけ、周辺事態のところですね、これよく読みますと、「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態」の後に「等」という、官僚がよく使う「等」が付いているんです。この「等」の中に、についても今回の核実験は含まれないという解釈をされるかどうか。
○国務大臣(久間章生君) 核実験を行ったというだけでその「等」に含めろというのは少し無理な解釈かもしれませんが、法律を適用するに当たっては、いろんな意見を聞きながら幅広く適用できる余地を残しておきたいという気持ちはないわけじゃございませんが、かといって、拡大をしてウイングを広げるというのはなかなか今までの議論からいきますと難しいなという思いがいたしております。
○浅尾慶一郎君 では次に、総理の再チャレンジについて伺っていきたいと思いますが、まず、再チャレンジ、私も実はずっと政治家になってからだれにでも何度でもチャンスのある社会をつくりたいということを言っていまして、まあそれが宣伝されるのはいいことかなと思っていますが、まず総理が再チャレンジと言われるときに一番の障害は何ですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 答弁する前に、先ほど私、制裁について輸出と申し上げたのは輸入でございます。全面的なストップは輸入でございます。
 再チャレンジする上において、いろいろなこれは再チャレンジしようとする分野あるいは状況にもよるんでしょうけれども、まず、もうなかなか再チャレンジできないんではないかとあきらめてしまうような状況が一番大きな問題ではないかと、このように思います。
○浅尾慶一郎君 その具体論に入る前に、何でまず小泉政権のときにそれ取り上げられなかったんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私は小泉総理の最後の一年間官房長官でございましたが、たしか委員会の場だったでしょうか、一月の、今年の一月の委員会の場で再チャレンジが必要であるということを申し上げました。そして、三月には官房長官として再チャレンジ推進会議を私が議長として立ち上げまして、五月に中間の答申を出しております。
○浅尾慶一郎君 もう少し別の観点から質問さしていただきたいと思いますが、制度として、例えば何か事業に挑戦して失敗してそこから立ち直るという制度の問題なのか、そもそも再チャレンジをしようと思わない心の問題なのか、私はどちらかというと心の問題の方が大きいと思います。
 これは総理の発言ではありませんが、麻生外務大臣が自民党総裁選挙のときに、そもそも挑戦しようと思わない人に対して国の税金使うのはいささか過保護ではないかという発言をされていました。これも一つの考え方です。
 で、総理は、まずその制度の問題なのか心の問題なのか、どちらの比重が大きいか伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) どちらかと言われても、なかなかそれは私は難しいところだと思うんですが、まず私は、やはりそういう制度というか、また、制度もそうなんですが、社会的なこれは言わば慣例もあるんだろうと思います。また、日本の場合は人生が割と単線化している中にあって、もう最初からあきらめてしまうという気持ちがあると。
 ですから、再チャレンジが可能な社会であるという実例をどんどんこれはつくっていくことによって、正に再チャレンジをしていこうという機運が私は生まれてくると思っています。
○浅尾慶一郎君 人生が単線というふうに言われましたけれども、大分最近は複線になってきておりまして、いろいろと会社辞めて次の会社に移る人も増えてます。むしろ、そもそも最初の一歩を踏み出せない人が割合からすると昔から比べて増えているんじゃないかと。私はそちらの方が課題だと思いますが、総理はそういう認識に立ちませんか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これはそれぞれいろんな方々がいるんですが、例えば最初の一歩ということでいえば、就職氷河期にたまたま就職の、新卒として就職の時期を迎えた人たちがうまく就職ができなかった。しかし、その後なかなか就職をする機会そのものに恵まれていないという方々、正に一歩を踏み出せないという方々に対しては、例えば、障害になっている制度的な仕組みとしては新卒の採用という制度、新卒を採用していくという制度でございますが、中途採用に道を開くということによって、自分たちにもそういう道が開けたんだと、このような意識を持っていけば、それに備えて更にでは切磋琢磨していこうか、また、少し勉強しようかという気にも私はなってくるのではないかと思います。
 そういう中におきまして、公務員においてもその道を開きました。あるいはまた、経団連を始めとして経済界にも中途採用をなるべくこれから広げていくようにお願いをしております。
○浅尾慶一郎君 ちょっと議論かみ合っていないかもしれません。
 私の問題意識は、そもそもその中途採用に応募しようということも、努力をしても無駄だからと思ってしまっている人が割と増えています。そういう人たちに手を差し伸べなくてもいいというのも一つの考え方です。どちらの考え方に立たれるか、端的にお答えください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) いわゆるニートと言われている方々の中にはそういう人たちも多いんだろうと思います。そういう人はほっとけと言う人たちもいるでしょうし、事実、例えばそういうやる気がある人を待っているという、例えばジョブカフェにしろハローワークにしろ、そもそもやる気がない人は来ないという問題があります。
 一方、ただ、その人たちをほっておいて果たしていいのかどうか。これはこの人たちの問題でもあるわけでありますが、大切な人的資源という観点からいってもこれは大変もったいないということにもなるんだろうと思います。社会の活力という面においてもそうでしょうし、また社会そのものが不安定化していくということにもつながっていくと思います。また、我が国の姿勢として、そういう人たちをほっておくという社会で私は本当にいいとは考えていません。そういう人たちに対しては、ある意味働き掛けていくことによって、手を差し伸べるというよりも働き掛けを行っていく。
 ブレア政権においては、コネクションズという仕組みをつくって、そういう方々に対しては、そもそも出てこないので、こちらからいろいろなカウンセリングも含めて働き掛けを行っていく。しかし、ただ、そういう方々を社会に参加させるというのは大変難しいわけでありまして、このイギリスで成功したという例においても大体八%ぐらいしかこの成果は上がってはいませんが、しかし、それでも八%上がっているということは大きな成果という見方もできるかもしれない。私は、そういう働き掛けを行っていくことを考えていきたいと思います。
○浅尾慶一郎君 働き掛けは是非行っていただきたいと思うし、私はそうすべきだと思います。
 これは政治の中で、水飲み場に馬を連れていくべきだという考え方と、それはほっておけという両論あると思いますが、私はそれは連れていくべきだというふうに思っている。後ほどその細かい話はしますが、ただ、それはすごく難しいと。なぜ難しいと思うかといいますと、そもそも努力をしても結果として現れないことに対するあきらめがその背景になっていると思いますが、そのことに対してどうやってその人たちにそういう気にさせるか。声を掛けたらそうなるんだというふうに今御答弁をとらえましたが、その声を掛けるに加えて何をされるつもりかを伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私は、いわゆるニートの方々についての専門家ではございませんが、しかし、それは個々それぞれいろんな問題を抱えているんだろうと思います。ですから、それは専門的な観点から、言わばカウンセリング的な対応というのが私は必要ではないかと思います。そもそも、しかし、頑張ったってたかが知れているということはよくある思考ではありますが、しかし、まず第一歩を出て達成感を一つ一つ得ていくということが私は重要ではないかと思います。
 この再チャレンジの触れ合いトークを行った中において、自分もニートに近い立場にいたけれども、たまたまいい先生に巡り合った、あるいはたまたま自分がやったことが評価されたことによって人生が大きく変わったという人の話を伺ったこともあります。また、あるいは、これは言わばホームレスを経験した方なんですが、一般の、普通の生活に戻る上において何が障害だったかといえば、全く規則に縛られない生活に慣れてしまうとなかなか規則を守ることができないと。朝起きるあるいは三度食事をする、交通の法規に従う。しかし、それを一つ一つ積み重ねながらだんだん自分が社会の一員であるということを認識をし、そして自分が認識をしていることが認められることによってだんだん通常の生活に戻っていったという方の話も聞いたわけでありまして、そういう人たちが絶対に普通の生活に戻れないというわけではないということではないかと思います。
○浅尾慶一郎君 私が、ニートの人も含めて是非これは少子高齢化の中で労働力としてカウントできるようにしていきたいという話をさせていただきましたが、今日、大田さんにまず、生産高イコール労働力掛ける労働生産性という考えでいいかどうか、そのことをまず伺いたいと思います。
○国務大臣(大田弘子君) 労働生産性を計算しますときは生産高を労働投入量で割って算出いたします。したがいまして、そうやって出された労働生産性に逆に労働投入量を掛けますと生産高という関係が成り立ちます。
○浅尾慶一郎君 ちょっと分かりにくい話をさせていただいたのは、一人当たりの生産高というのが、人口が減っても、あるレベルであれば、仮に人口が減っても国民全体の経済レベルは維持できるだろうと。今申し上げましたように、お答えいただきましたように、生産高というのは労働力掛ける労働生産性と、結果としてそうなりますよと。今度、一人当たりで割ると、労働力を全人口で割ると労働参加率になると。ですから、この労働参加率を高めるためにニートと言われる人たちにも参加していただくことが必要なんじゃないかと。
 そういう政策論で私はニートと言われる人たちにも是非再チャレンジと言われるなら参加していただきたいと思いますが、その点について、じゃ、先ほどいろいろおっしゃいましたけど、再度御決意を伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 最初に申し上げましたように、ニートやフリーターと言われる方々に参加をしていただくことは眠っている人材を生かすことになるということも申し上げました。経済界の方々にお話をいたしましたときに、こういう、例えば非正規雇用者の方々を正規にしていくという道を開いていくあるいは社会保険の適用等々をしていくということは、これは一見企業側の負担になるようだけれども、しかし結果としては、更に人材が活用され、そして生産高も正に上がっていくということにつながっていくのではないかというお話をしたところでありまして、むしろ企業にとっても経済にとってもそれは日本の活力にもつながっていくと、このように私ども考えております。
○浅尾慶一郎君 今、大変大事な話をいただきました。経済界の方にもそういう人たちを採用してもらうように働き掛けると。
 ただ、経済界の方の本音を伺うと、今日の新卒を採るのと三十歳のフリーターで働いてきた人どっち採るんだといろんな人に聞くと、今日の新卒採るという人が多いんです。それ、どうやって制度的に三十歳の方を採ってもらうようにしていくおつもりか、伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 詳しくは厚生労働大臣からお答えをいたしますが、まずは隗より始めよということで、国の採用を、中途採用をスタートしたところでございます。
 そしてまた、一般企業においては、この中途採用に道を開くというのは確かにその企業側のコストもあるのも事実でございますが、しかし協力しようという会社もあるわけでありますから、そしてそういう協力をしていただいた会社が採用した中途採用者が立派に活躍するということを是非世間的にも証明していただくことによって広げていきたいと、このように考えています。協力しようという会社も幾つか出てきておりますから、それを私ども世間に公表し、そして慫慂していきたいと思っています。また、つまり中途採用をされる方も、これはそれなりに努力をしていかなければいけませんし、中途採用される方がオン・ザ・ジョブ・トレーニングを受ける中において、中途採用された人のためのものも今既に考えていただいている企業もあるのも事実であります。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 総理御自身から大変行き届いた実例を挙げての御説明もありましたので私から別段補足をすることもございませんけれども、恐らく一人か二人でその問題を処理しろと、あるいは数人で処理しろというのは難しいかもしれませんけれども、先ほど来総理のお話にもありましたように、要するに就職氷河期というようなときにたまたま自分の人生の就職期が当たってしまったというような方について私は特段の配慮をこれから企業に求めていきたいと、こう思います。
 そういたしますと、やっぱりその年次その年次というような採用計画のことを考えますと、かなりの数、通常の採用と同じくらいの数の年齢、その年齢の方々が中途採用になると。そういうようなことの中で、オン・ザ・ジョブ・トレーニングなんかのシステムについても別途いろいろ考えていただく。そういう意味で、人事管理上の障害というのは逆に一つのまとまりとして人員が存在することによって容易化されるという面もあるんではないか。このようなことを、実際に容易化されるように我々としてもいろんな角度からの支援をしてまいりたい、このように考えております。
○浅尾慶一郎君 是非、先ほど申し上げましたように、多くの人が労働市場に参加できるように、そして夢と希望を持って参加できるようにしていただきたいと思います。
 次の質問に入らせていただきたいと思いますが、今夢と希望ということを申し上げましたが、実はこの間、夢と希望に反するような負担増をしてきたんではないかということを質問させていただきたいと思います。
 自民党は昨年の総選挙に際しまして増税はしないとおっしゃってまいりましたけれども、まず表を出させていただきたいと思いますが、(資料提示)実はこの間でかなりの負担をされました。社会保険料の増加あるいは窓口の負担というのは選挙の公約で言うところの増税には当たらないというふうに総理は考えられるかどうか、伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今委員が御指摘になった点については、定率減税について、保険料……
○浅尾慶一郎君 まず、社会保険料ですね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 社会保険料については、例えば負担増ということについては、国民にとりましては、国民の皆様にとりましては、それは社会保険料についても税と同じような意味での負担増にという感覚を持たれるだろうと、このように思うわけでありますが、しかし、例えば党として更なる増税はしないということについては、それは税ということについて党として申し上げていることだと私は承知をしております。
○浅尾慶一郎君 つまり、保険料という名目だから税ではないんで、増税ではないんだということですね。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 社会保険の保険料と税とは何が違うかということは、負担という側面から見れば確かに同じようなものではないか。我々はそういう意味から、国民負担論からいうと一緒にこれから考えていかなきゃいけないよというそういうものを与えるわけですけれども、トータルとして、じゃそれが使途としてどう使われるかというようなことを考えますと、やっぱり保険料と税とは非常に違いまして、保険料はもう究極的な、ある意味で目的税みたいな限局されたそういう使途に向けられる、保険集団の仲間内の費用、分配された費用を負担するという側面を持っているということは、これは申し上げなければならないと、このように思います。
○浅尾慶一郎君 そんな難しいことを聞くつもりはなくて、選挙のときに増税はしないと言ったけど保険料というのは関係ないんですよという単純明快な答えであれば、それはそれで結構なんです。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま厚生労働大臣が答弁いたしましたように、保険料の世界というのは給付と負担が、関係が明確になっているわけでございまして、言わば給付を確保するために負担があると、そしてその負担をする側の人口構成が変化していく中において給付と負担をそれぞれ調整をしていくという仕組みになっているわけでございまして、例えば年金については、既に段階的に一八・三%まで保険料の料率が上がっていく仕組みがもう既にできているわけでございます。
 ですから、党が議論している、また国民に説明している税の負担を上げないということについては、これは言わば純粋に、新たなその段階で今後増税をしないという意味について党としては申し上げているんだろうと思います。
○浅尾慶一郎君 まあ、なかなか分かりにくい御答弁ですが、要は、明細を分けて請求するから明細関係ない方は増税じゃありませんよというお答えだと思います。
 じゃ次に、来年増えます二兆三百億円、これは定率減税なくしたことの影響が大部分だと思いますが、定率減税をなくしたのは増税ではないんですか。
○国務大臣(尾身幸次君) この定率減税は、小渕政権のとき、平成十一年度でございますが、当時、国内消費が平成十年で見てマイナス〇・七%、それからまた経済全体もこの平成十年度でマイナス一・八%という極めて厳しい経済情勢、特に需要を喚起しなければならないという状況でございました。これに対して臨時異例の措置として定率減税を実施したわけでございまして、税額控除という形で税額の二〇%を減税をする、そして二十五万円を限度とすると、こういう措置を講じたわけでございます。
 しかし、最近に至りまして、例えば十八年度で見ても二・〇%プラスの成長を見込めるような状況になり、経済が順調に回復しているという状況になりました。そういうことの中でこの臨時異例の定率減税を廃止するということで、二年掛かりでこれを廃止したものでございまして、正に小渕政権のときの臨時異例の措置をやめたということでございまして、これは経済の実態に合わせて弾力的に税制を考えていくという考え方でございます。
○浅尾慶一郎君 いろいろと御説明されましたけど、結局、増税をしたんだけれども理屈を付けるために臨時異例とか何かいろいろ、減税をしたのをやめたというのは、それは解釈、取られる方からすれば増税だということであります。
 もう一点申し上げさせていただきますが、そこまでおっしゃるのであれば、減税は三点セットでした。法人税を下げた、それから所得税の累進税率を下げた、そしてそれでは影響が、恩恵を受けられない中堅以下の方のために定率減税を入れたんです。定率減税だけをやめたということは、法人やあるいは一杯所得もらっている人は影響は余りないんです。その点についてどう思われますか。
○国務大臣(尾身幸次君) あの当時の経済情勢を思い出していただきたいんでございますが、需要は非常に低くなり、むしろマイナスになり、あの緊急の経済情勢の下で臨時異例の措置を取らなければ経済が回復しないという考え方で実現をしたものでございまして、経済が順調に回復する状況になったのは、そういう異例の状況を直すということは私は妥当な措置であったと考えております。
○浅尾慶一郎君 私が申し上げたのは、臨時異例の措置として三つやったと。法人税と所得税の累進税率を下げた、そして定率減税、しかし定率減税だけやめた。それは、臨時異例だったのは、中堅以下の人に恩恵を与えたのが臨時異例であって、法人税と所得税の最高税率を下げるのは臨時異例でないという解釈ですか。
○国務大臣(尾身幸次君) 法人税について申し上げますと、経済の国際化の中で日本という国がどういうふうにこれから生きていくかということでございますが、外国の法人税と比べて日本の法人税が高いというような状況の中で、企業が国を選ぶ時代になった。そのときに、少なくとも外国とイコールフッティングの条件で日本の企業に競争していただかないと、長い目で見た日本経済の発展がないということで減税をしたものでございまして、そういう意味では外国とのイコールフッティングに一歩近づいたという減税であったと考えております。
○浅尾慶一郎君 いろいろ御説明されましたけど、このグラフ見てください。(資料提示)
 これは、厚木市における小泉政権における負担増と書いてありますが、年収四百万のサラリーマンの人、負担増一六%。年収六百万の人、負担増一六%。年収三千万の人、負担増七・五%。普通の人は一六%増えているんですよ、負担が。で、年収三千万、かなり稼いでいる人は七・五しか負担が増えていない。これをもって公平と言えるかどうか、端的に伺いたいと思います。
○国務大臣(尾身幸次君) 小渕政権のときの定率減税の導入の際に税額控除を導入いたしましたが、上限二五%で切りました。したがいまして、そのときの減税は高額所得者に非常に少ない減税であり、低額所得者に高い減税であったということで、その定率減税をやめた結果として今のようなことになったのではないかと考えております。
○浅尾慶一郎君 私の質問は、これが公平ですかと、一六%増えたのが公平ですかという質問であります。公平か公平でないか。
○国務大臣(尾身幸次君) 私の申し上げていることがちょっと理解していただけないようでございますが、定率減税を導入をいたしましたときに、減税の率はむしろ低額所得者に高い率の減税であり、高額所得者は二十五万円の頭打ちでございましたから、減税の率が低かった。それを戻したわけでございますから、今のような数字になるのは、定率減税の減税をやめたこととの関連でいえば、結果としてはそうなるんだと思います。
○浅尾慶一郎君 そこまでおっしゃるんであれば、所得税の累進税率戻したんですか。戻してないでしょう。
○国務大臣(尾身幸次君) 質問の意味がちょっと分かりませんが。
○浅尾慶一郎君 そこまでおっしゃるんであれば、所得税の最高税率を下げたんです。最高税率下げても、中堅、四百万、六百万の人は影響ないんです。だから定率減税を入れたんです。しかし、この六百万の人たちだけをねらい撃ちにした増税をし、最高税率を上げてないんじゃないですかという質問です。
○国務大臣(尾身幸次君) 階層別の税率をどうするかということにつきましては、例えば応能負担の問題、あるいは応益負担の問題などなど総合的に考えて決めるものでございまして、その一部だけを取って論ずるのは必ずしも適当でないと考えております。
○浅尾慶一郎君 さっき、一六%は当然だと、この定率減税は中堅以下の人が恩恵を受けたんだからという御答弁だったんで、しかし三千万の人も最高税率下がって恩恵を受けたんじゃないですかという質問をさせていただいたんです。それに対して答えてないでしょう。
○国務大臣(尾身幸次君) 税率をどう決めるかということは、所得の水準に応じた、また実態に応じた、どこが妥当かということでいろんなことを考えなければいけないわけでございまして、高額所得者を全部増税をして、低額所得者を全部減税にするというような一律の考え方では決められない問題である、もっと総合的に考えて決めなきゃならない問題だと思います。国際的なバランスも必要だと思います。
○浅尾慶一郎君 私の質問は、もう何度も言いたくありませんけれども、事実として、六百万の人は一六%増えました、三千万の人は七・五%ですと。そういうことについて、じゃ総理は、これはこれでしようがないんだと。考え方としては、正に今、尾身大臣が言われたように、応益負担と応能負担というのがあると。日本国民であるからにおいては、国民なんだから税金を払えと、今まで払ってなかったでしょうという発想で一六%増やしました、高額者はあんまり、一杯払っているから七・五%増なんですよと、そういう説明をしていただければ、あとは国民が選択をするんです。どちらかお答えください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま財務大臣から答弁をいたしましたように、定率減税がそもそもその減税において、所得の高い人には薄い、そして低い人には厚くなっていたと、それをやめた結果がそうなったのであって、しかし、他方ですね、他方、既にその所得、個人所得に対する課税については、三千万円の方と四百万円の方を比べれば、そもそも三千万円の方の方が重い仕組みになっているのではないでしょうか。
○浅尾慶一郎君 私の質問、別の角度から申し上げさしていただきますと、それは二つの考え方があるんです。ですから、日本国民であれば定額幾らの税金を払え、一番極端なのはサッチャーさんがやろうとした人頭税です。国民であれば定額十万円払えと、それは一つの考え方です。その考え方に立たれるのか、それとも能力に応じて負担していただく考え方に立たれるのか。その前者の人頭税的考え方に立つんであれば、この増税は公平であるという答えになると思いますが、どちらですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今のその図をお示しになられるとやや国民的な誤解が生じるのではないかというのは、何か、まるで税の負担が四百万円の方の方が三千万円の方よりも多いという印象を持たれるかもしれませんが、それは正に定率減税をやめたことによる効果のみに限定をしているのであって、当然、所得税については、今でもそうでありますが、所得の分配機能を持っているわけでございまして、再分配の機能を、再分配の機能を持っているのであって、今後とも人頭税的な考えを私は取る考えはございません。
○浅尾慶一郎君 例えば、そういう考え方に立つんであれば、給与所得控除というのがございます。給与所得控除は、給与収入であれば、その収入が幾らであっても五%は控除されるんです。ですから、給与収入が五億の人が六億になっても、新たに増えた一億に対して五百万円は税金が一切掛かんないんです。そういうものをやめるという発想の方がはるかに私は公平だと思いますが、そういう考え方には立たないんでしょうか。
○国務大臣(尾身幸次君) この給与所得控除について控除額をどうするかということにつきましては、その掛かる経費の実態等々を考えまして、かつ高額所得者には率としては高い税負担が掛かるということを考え、全体的にどうするかということを考えた上での税率を決めているわけでございます。
○浅尾慶一郎君 今私が申し上げたのは、どちらかというとこの間の負担は、中堅以下の所得の人に負担が増えましたよという話であります。
 結果としてどうなったか。今度、ストックの図をお見せさしていただきたいと思います。(資料提示)結果として、二〇〇〇年時点で貯蓄が全くない世帯は一二%でした。今年二二%に増えているんです。
 その間で、しかし、貯蓄を保有している世帯は増えているんですよ。世帯の平均額は増えているんです。これ何かなと思っていろいろ調べたら、少ない数の一杯資産を持っている人がこの金融資産を押し上げているんです。
 そもそも日本全体の世帯の四分の一ぐらいが貯蓄を持てないような世の中が、本当に、そういうものをつくっておいて、再チャレンジとかそういうことを、希望が持てるとお思いになりますか。
○国務大臣(大田弘子君) 家計資産につきまして、ちょっと事実関係をお話しさせていただきます。
 家計資産は金融資産と実物資産がございますが、金融資産につきましては、今、一九九九年までのデータしか得ることができません。(発言する者あり)それは後で申し上げます。両方合わせた家計資産全体でジニ係数を見ますと、二〇〇〇年以降は横ばいになっております。ただ、資産格差につきましては所得格差よりも大きいですから、この点は十分に注意して見ていきたいと思います。
 それで、今お示しくださいましたデータです。これは、二〇〇三年から貯蓄を持っていない世帯が二〇%を超えたまま横ばいになっております。
 ただ、ここで貯蓄を持っていないという背景に何があるのか、私どもも今調べております。例えば、年収が一千二百万円以上の世帯でも九・三%の方が貯蓄を持っていないとこの調査では答えておられます。したがいまして、無貯蓄というのがどういう状態を表すのか、この二割以上になった背景に何があるのか、もう少し注意深く見たいと考えております。
○浅尾慶一郎君 もう一度総理に伺いますが、二〇〇〇年のときに、これは政府がやった調査ですよ、二〇〇〇年のときに一二%だったものが、ずっと二二・九と倍に近くなっていると。四分の一ぐらいの方は貯蓄持っていないと。中には、それは一千万、一千二百万収入があって貯蓄ゼロの人はいるかもしれませんよ。しかし、そうだったらこういう数字をそもそも出すのがおかしいんで、こういう数字を出しているということは、政府がこれが事実として認めているわけです。
 こういうふうになっていて、一方で平均値が伸びているというのは、明らかにストックの面において資産格差が広がっているということだと思いますが、その背景は、さっき申し上げました負担を中堅以下の方により多く負担をさせる。年収六百万の方が一六%増えて三千万の人が七・五%しか増えなければこういう数字になるというのは、結果として、政府の機能というのは所得再分配という機能もあります、それを逆の方向に回転させているんではないかというのが質問で、そういうことに対してどういうふうに思われますか、総理。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この全年齢の平均を見てみますと、貯蓄を保有していない世帯が確かに増加をしておりますが、これは一九八八年からどんどんどんどん増加を始めているわけでありまして、二〇〇三年に、これは言わば失われた十年の間にずっと増加をしていっています。そして、二〇〇三年に二一・八%になり、二〇〇五年には二二・八になったわけでありますが、その後、二〇〇六年には二二・二%と。つまり、二〇〇三年と二〇〇六年の間は大体横ばいになっているわけでありまして、二〇〇五年、二〇〇六年からの間はむしろ少し下がっているわけでございます。ですから、この小泉構造改革がこの貯蓄を持っていない世帯の増加をもたらしたのではないということではないかと思います。
○浅尾慶一郎君 私の質問をよく聞いてください。
 私は別に小泉構造改革がもたらしたとは言っていません。先ほど申し上げたように、負担が増えたのは中堅以下の方が、率でいえば一六%と七・五%でしたと、その結果貯蓄が持てないようになったんではないか、そういう方向で政策を進めたんではないか、そのことに対する感想ないしは反省はありませんかという質問です。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今おっしゃった定率減税との関係でございますが、定率減税をやめたこととこれは直接結び付いていないのではないかと思います。先ほど申し上げましたように、長期的な不況の時期にそういう貯蓄を持っていない世帯が増えていったということが実態ではないかと思います。
○浅尾慶一郎君 長期的な不況の時期というふうにおっしゃいましたけれども、二〇〇〇年から二〇〇三年で物すごい増えているんです。二〇〇三年ぐらいから徐々に二〇〇六年と、今景気が良くなっているわけですけれども、景気が良くなっても貯蓄を持てない世帯が高止まりしているわけですね。なおかつ、先ほど申し上げましたように、負担は中堅以下の方が増えていると。
 私が一番、もう一つ申し上げたいのは、平均値は上がっているんです。平均値は上がっている。
 ちなみに、大田さん、中央値、どれぐらいかお答えいただけますか。平均値は上がっていますけれども、真ん中のレベル、五百万ぐらいだと思いますが、中央値、分かればお答えください。
○国務大臣(大田弘子君) 今手元に数字は持っておりませんが、その調査は国民の回答によるアンケート調査ですので、実際については、実際は政府の家計調査なり消費実態調査で調べなくてはいけません。ただ、先ほど申し上げましたように、このデータは一九九九年までしか取れておりません。
○浅尾慶一郎君 繰り返しになりますけれども、貯蓄を持っていないところがこれだけ増えていて、一方で平均が上がるということは、物すごく一杯持っている人が増えているということしか合理的な説明はできないんです。ですから、そういうことについて数字を出してくださいと。昨日、追加で資料要求したはずですけれども、中央値。
○国務大臣(大田弘子君) 失礼いたしました。
 中央値で申し上げますと、前回、四百二十万、四百万円から四百二十万円に今回は上がっております。ただ、平均値で見ますと前回より下がっております。
○浅尾慶一郎君 つまり、何を申し上げたいかというと、平均が一千四百万といっても、真ん中、五割までの人を取ると四百二十万なんですよ、しかも半分は持ってない、その五割のうちの半分は持ってないというような事態。そういう世の中が果たして、本当にこういう世の中をつくったことが良かったのかどうか。あるいはもっと言うと、繰り返しになりますけれども、そういう方向で負担を求めてきているんではないかと。せめて今後、もし負担の議論になるときには、こういう所得格差あるいは資産格差に対してそれを是正する方向の議論にするかどうか、その考えを伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど申し上げましたように、言わばこの失われた十年の間にこれはそういう世帯が残念ながら増えていったのは事実であります。しかし、この二〇〇五年と二〇〇六年を見ますと改善をしているのも事実でございます。それはやはり、自律的な経済回復の軌道に乗り始めているということもあるのではないかと。だんだんこれが、企業の好調さが、これは給与にもこれはだんだん均てんされてくるということが望ましい姿であり、さらに我々、経済が力強く成長していくように努力をしてまいりたいと考えています。
○浅尾慶一郎君 再度伺いますから、端的にお答えください。
 先ほど来、見せていますけれども、事実で言います、事実で言うと一六%増えました。それは定率減税いろいろなくしたからということかもしれません。一六%増えた。そして、一方で貯蓄を持ってない世帯がこういうふうに増えていると。だから、そういうふうな増税策、負担増策をやったんではないですかということです。
○国務大臣(尾身幸次君) 先ほど申し上げましたように、定率減税の廃止は臨時異例の措置を廃止したわけでございまして、むしろ元の水準に戻したわけでございます。そういう中で、定率減税は税額の二〇%を丸々減税したわけでございますが、そのときに二十五万円を頭打ちにしたわけでございます。したがいまして、何千万円の所得の方であっても、その二〇%の税額控除の頭打ち二十五万円でありますから、一人当たり二十五万円しか減税にならなかった。それから、例えば四百万とか五百万の水準の方であっても、税額が二十五万円以上であれば二十五万円の水準までは税額が減税になったわけであります。
 したがいまして、減税の率はそのまた逆の数字でございまして、その定率減税をしたときは、税率からいいまして、税率からいいますとやや中間より下の層に極めて厚い減税になったわけでございます。その異例の措置の減税をやめたわけでございますから、そのときの負担増は当然その逆になるわけでございまして、減税の恩典を、率から見て多くの恩典を受けた方々がその逆の現状として税率が上がったと、税負担が比率的に上がったと。しかし、税額そのものが上がったわけではございません。
○浅尾慶一郎君 したがって、貯蓄が持てないような世帯が増えたことも仕方がないというふうに答弁をしたというふうに解釈さしていただきますが、そういうことでよろしいですね。
○国務大臣(尾身幸次君) 今の貯蓄の残高の階層別がどうなったかということは、もちろん今の税制改正にも多少はかかわりがあると思いますけれども、全体の経済情勢あるいは生活情勢等々の総合的な結果としてそういうことになったんであると思っておりまして、かつて小渕政権の前の税率が当然累進税率になっていたわけでございまして、それを定率減税ということで二十五万円を限度として税額控除をした、それをやめたということでございまして、そういう中でそのことが全部その今の貯蓄に表れていると、私はそういうことではないと思っております。
○浅尾慶一郎君 事実で申し上げた結果、それに対していろいろと強弁をされておりますが、最後に総理に、今後負担の話になったときには、今の資産格差に対してせめて中立的な負担増を求めるかどうか、その考え方を伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 個人所得課税につきましては、これは言わばどのような社会をつくっていくか、生き方にもかかわるわけでございまして、これは広く国民的な議論をする必要があると思っております。
○浅尾慶一郎君 余り答えていただけないんで次の質問に入りたいと思いますけれども、今るる申し上げましたように、事実として言えば、貯蓄を持てない人が増えたと。本来政治がやるべきことは、その貯蓄が持てない人がなくすように、貯蓄のある人から多少所得の再配分をしなければいけない。しかし、この間やってきたことは、所得の再配分の逆をやったということだけ指摘をさしていただきまして、次の質問に移らさしていただきたいと思いますが。
 まず、その負担の話に入る前に、官として減らせるべきところは減らしていくべきだと思っています。私は再三この予算委員会の中でも、民間と公務員の中の年金、退職金の部分、特に公務員が年金と退職金で一部二重取りになっているということを指摘をさせていただいてまいりました。
 この図を見ていただければ分かると思いますが、(資料提示)私の方から若干説明さしていただきまして、制度については担当大臣から御説明いただければと思いますけれども、国家公務員の退職金を計算するに当たっては、民間企業のいわゆる企業年金、厚生年金に上乗せする部分を計算して、それに対比して退職金の計算をしています。一方で、年金の方は職域加算というものがあります。つまり、この企業年金一時金と職域加算のところは正に二重支給なんです。
 この点についておかしいんじゃないかと再三指摘をさせていただいていますけれども、なぜ二重支給になっているか、お答えいただきたいと思いますけれども。
○国務大臣(菅義偉君) もう委員、既にこの点については何回となく質問されておられるようでありますし、また、やはり国家公務員におきましては、兼業禁止だとか再就職の制約だとか、そういう中でこうしたこの職域加算部分というのが行われてきたというふうに思っています。
 ちなみに、その数字でありますけれども、この数字につきましては、官民格差の解消等を受けまして、現在ではその計算上は国家公務員は二千七百八十七万円になっていることを御理解をいただきたいと思います。
○浅尾慶一郎君 余りお答えいただかなかったんでもう一度確認させていただきますが、これは全国で見ておられる方に対しても説明しなきゃいけないので説明させていただきたいと思いますけれども。
 企業年金一時金というのは、一時金でもらってもいいけれども、多くの定年退職をされたサラリーマンはこれを毎月年金という形で受け取られるんです。一時金として受け取ってもいいけれども、普通は毎月年金として受け取られて厚生年金のいわゆる報酬比例部分に足すんです。九万二千五百九十八円じゃ足りないから、企業年金が出るところはそれを毎月毎月の年金として足していくと。足したら職域加算と一緒になるかなというふうに思うわけでありますが、実際はこっちを、もしこの黄色で書いてあるところを下の方に持っていったら、ここはなくなって一千八百万しか出ないわけです。今、総務大臣は二千七百八十七万まで下がりましたと胸を張って言われましたけれども、実際は一千八百八万と一緒じゃないとおかしいんじゃないですかというのが私の指摘であります。
○国務大臣(尾身幸次君) 年金につきまして、平均の月額の受給額は、国家公務員共済年金の退職年金の一人当たり平均年金月額でございますが、平成十六年度末で十六万四千七百八十八円となっておりまして、厚生年金の平均年金の月額八万八千七百六十五円より約七万六千円高くなっております。ただし、この両者の差は主として、国の共済は厚生年金に比べまして平均加入期間が長い、国の共済は三十二年でございますのに対して、厚生年金の平均が二十一年でございます。あるいは、平均標準報酬が国の共済四十一万、厚生年金三十一万ということで、こういうことが要因になっているわけでございまして、職域部分の額は平均で一万四千円程度であるというわけでございます。
 したがいまして、この差がすべてこの職域部分によるという指摘は必ずしも正しくないのではないかと考えております。
○浅尾慶一郎君 繰り返しになりますけれども、報酬比例部分に加えて職域部分があるんです。職域部分の差は、今言われた、金額で言うと八万円ぐらいあると。一方で九百八十二万円差があると。
 今ちょっと問題な発言がされたんですが、厚生年金の加入者は二十一年しか加入していないから少なくていいんだと言われますが、何で二十一年になっちゃうんですか。普通サラリーマンは定年まで働かないで、公務員だけ定年まで働くからということですか。どういうことですか、大臣。
○国務大臣(尾身幸次君) この原因はいろいろあろうと思いますが、結果として平均加入期間が国共済は三十二年、厚生年金二十一年ということになっております。
○浅尾慶一郎君 原因がいろいろあろうというのはかなり無責任な答弁だと思います。それは、多くの方は厚生年金がある事業所に勤めているけれども、途中で厚生年金がないところに職を変えるからなんですよ。だからこそ年金は一元化した方が公平だということなんです。その点の認識ぐらいはせめて持っていただきたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(尾身幸次君) これは年金の制度の内容の違いでございます。
○浅尾慶一郎君 内容の違いというか、今私が指摘させていただきましたように、普通のサラリーマンの方は多分できればずっと厚生年金に加入していたいんですよ。ところが、転職した結果、そこの事業所が厚生年金がないから二十一年で終わってしまうということが実態なんで、そこに対してまずメスを入れるべきだと思いますが。
 その前に、先ほどの、そもそも二重支給になっているところをやめた方がいいんではないかということを再三指摘をさせていただきました。それに対して菅総務大臣がかつての竹中総務大臣の答弁を引用してこういうふうに答え、まあ分かりにくかったと思いますんで、パネルに、竹中さんの答弁はパネルにしておきましたけれども、(資料提示)職域加算という部分というのは、身分上の制約が課せられているわけでありますと。兼業禁止とか再就職の制約とかですね。兼業禁止というのは普通民間企業にも課せられているんじゃないんですか、どうですか。総務大臣。
○国務大臣(菅義偉君) 公務員には特別私は厳しいそうした禁止があるというふうに思っています。
 それと、この加算部分については、既に御承知のとおり、本年四月二十八日に閣議決定をされました被用者年金制度の一元化に関する基本方針によりまして平成二十二年に廃止することになっております。それに代わる新たな公務員制度としての仕組みを設けることとしております。
○浅尾慶一郎君 私の質問は、兼業禁止というのは民間の企業にもあるんではないか、それに対して竹中平蔵さんは、法律で禁止されるのと、それと民間で運用でやっているのとは違うんだというような御答弁をされました。
 今の内閣でも、法律で禁止されているものと民間企業が就業規則で禁止しているものとは違うという認識に立つかどうか、それじゃちょっと総理、伺っておきます。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 兼業の禁止ということについてだけ言えば、兼業の禁止ということについてだけ言えば、それは当然、法律で禁止されているのと、民間はこれは運用で、実際兼業を奨励している企業だってこれはあるわけでありますから、それは当然違うんだろうと思います。
○浅尾慶一郎君 申し上げたいのは、兼業禁止があるからということで先ほどの表の大きな差になるというのは、余りに答弁としてはひどい何かかばいようじゃないかなということだと思います。
 労働三権が制約されているからということであれば、その代償ということになるかなと思ったんですが、それは実は人事院の方でそうした制約に対しては民間企業を調査してそれなりの給与を払っているということだと思いますが、人事院総裁、そういう理解でよろしいですね。
○政府特別補佐人(谷公士君) 民間企業の場合と異なりまして、利益の、利潤の配分といった性格もなく、また同種の事業も存在しません公務部門に勤務する国家公務員の給与につきまして、その水準を決定する基準を見いだすということは極めて困難でございます。
 したがいまして、公務員の給与につきましては、市場原理の下で決定されております民間企業の従業員の給与に均衡させることが最も合理的であり、かつ国民の御理解も得られるものと考えられます。
 そこで、人事院といたしましては、国家公務員の給与の水準につきましては、国家公務員法に基づきまして民間企業従業員の給与水準と均衡させることを基本に勧告を行ってきているところでございます。
○浅尾慶一郎君 つまり、民間企業の給与と遜色のない勧告を出している、もっと言うと、本当は民間企業の給与よりも平均値でいえば高いわけでありますけれども、まあそこはおいておいて、そういう勧告が出ているにもかかわらず、そしてこの過重な負担をしているというのは、過重なその支給をしているというのはおかしいんではないかということを申し上げさせていただいて、最後に、そもそも現役時代のときに制約があったことを辞めた後に払うというのも理屈としてはおかしいんじゃないかなと、制約があるんだったら現役時代に払うというのが理屈として正しいんではないかということを申し上げさせていただいて、そういうことを改めるべきだということも併せて申し上げさせていただきまして、時間になりましたので、質問を終わらさせていただきたいと思います。
○委員長(尾辻秀久君) これにて浅尾慶一郎君の関連質疑は終了いたしました。
 以上で西岡武夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(尾辻秀久君) 次に、吉村剛太郎君の質疑を行います。吉村剛太郎君。
○吉村剛太郎君 自由民主党の吉村剛太郎でございます。
 昼をまたぎまして、午前中は十一時五十四分まで、昼を過ぎまして一時からいささか質問をさせていただきたいと、このように思います。
 まずは、安倍晋三新首相、御就任誠におめでとうございます。心からお祝いを申し上げますと同時に、こうやって閣僚の方々の顔ぶれを見ておりますと多士済々という感じがいたします。
 そして、安倍総理は戦後生まれ初めての総理でございます。ただ、閣僚の中には戦前生まれ、そして当然年齢的には戦地には赴いておられないと思いますが、子供心にも子供の目線で戦中の苦しさとか戦後のひもじさとかを体験された方々がたくさんおられます。私自身も小学校一年のときが終戦でございまして、子供心にもそういう記憶を持っている立場でございまして、若い総理、そして若い閣僚と共々にそういう体験を持った方々の御意見もこの内閣に反映されるんではないかと、このように思いますので、よろしく期待をするわけでございます。
 我々自由民主党は公明党さんと一体となってこの安倍内閣を強力に支えていきたいと、このように思っております。ただ、参議院の、我が党の参議院の片山幹事長、また昨日の舛添委員も申しましたように、我々は参議院でございまして、参議院の立場から、また時には厳しい御意見も申し上げさせていただきたいと、このように思う次第でございます。
 申すまでもなく、我が国は二院制をとっております。我々参議院は、その中で衆議院に対して抑制、補完、そして均衡という役割を持っておると、このように自負もする次第でございます。したがいまして、時には、時には衆議院の意思と違う意思を参議院が示すこともあろうかと、またそれは慎重な民主政治の上におきましては非常に重要なポイントではないかなと、こんな思いがするわけでございます。
 ところで、御存じのように、昨年の郵政関連法案、衆議院で僅差でございますが可決をしたと、そしてそれが参議院に回ってまいりまして否決をしたわけでございます。これは参議院の意思を示したわけでございまして、両院が違う意思を示すということは、これは何ら憲法上に抵触するものではないと、このように思っておりますが、申すまでもなく、もう御存じのように、参議院で否決をしたと、そして、ところが可決をした衆議院を解散したということでございます。
 いろいろの手続は当然ございます。衆議院に戻して三分の二以上で可決をして成立をさせるという手段、また両院協議会を設置してそこで折衷案を作ると、また廃案にして次の国会で成立を図るという、いろいろな、様々なやり方もあったんではないかと思いますが、一気に衆議院の解散に持ち込まれたということでございまして、これは与党、野党という立場ではなくて、我々参議院といたしまして、これは参議院軽視ではないかと、憲法で明示されております二院制の下で参議院軽視ではないかと、こんな思いも私はする次第でございまして、総理には、総理にはこの現憲法下での二院制について御所見があればそれに関連して所見をお聞きしたいと、このように思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 参議院の機能としては、民意をより的確に反映させ、そして議事の公正、慎重を期すると、そしてまた衆議院が解散をしているときには参議院においてそれを代替するということであろうと、その機能を代替するということであろうと、このように思うわけでありますが、御指摘の昨年の解散でございますが、言わば議員の身分を失わさせる解散ということについては、もちろん常に非常に重いものであるという認識を持たなければならないと思っておりますし、私もそのように考えております。また一方、憲法上この解散権が制約されるものではないということなんだろうと思います。
 昨年、小泉総理が解散をいたしましたのは、郵政民営化という小泉内閣にとって最も重要なこの課題について主権者たる国民の声を聞こうという判断ではなかったかと私は思います。そういう意味においては、決して参議院を軽視したということではないと、このように思います。
○吉村剛太郎君 申すまでもなく、憲法上は衆議院の解散については七条、いわゆる天皇の国事行為による解散、それと六十九条、不信任案の可決又は信任案の否決ということが明記をされておるわけでございます。
 ただ、先ほど申しましたように、やっぱり民主主義というのは、慎重に手順を踏んでやるのがやっぱり民主主義の姿ではないかという思いがするときに、やはりそこには慎重な手続というものがあってしかるべきではなかったかなという思いがするわけでございます。
 今、総理御答弁もありましたように、決してこれは違憲ではありません、憲法違反ではございません。しかし、憲法には二院制といいますものを明記しておる、うたっておると。そして、この憲法にはそういう二院制という憲法の精神が存在するのではないかなと、このように私は思っております。
 一方、解散権は七条の国事行為、これできちっと明記をされておりまして、決して違憲ではない。その辺が、憲法のそういう意思を大切にするかしないかということは、正にこれ国民の負託を受けて総理・総裁に座られた、この強大な権限を授権された総理の、総理のいわゆる憲法に対する思いといいますか、スタンスといいますか、そういうものに大きく左右されるんではないかなと、こんな思いがするわけでございます。
 天皇に国事行為をしていただくということ、今日まで、昨年の解散のそれまで十九回の、七条による解散、十九回の解散のうち十五回が七条による解散だったと、このように伺っております。そのそれぞれの七条解散にはいろいろと理由がございます。ただし、私の知る限りでは、参議院が否決した、そしてその可決した衆議院を解散したという例は、私は寡聞にして存じ上げない次第でございます。しかし、これは決して違憲ではないというときに、これは私の個人的見解かも分かりませんが、やはりこの憲法がうたっております二院制の精神、精神ですよ、精神をやはり尊重するかしないか、それは正に大きな権限を授権された総理の、総理のやっぱりスタンス次第ではないかなと、こんな感じがするわけでございます。
 と同時に、天皇に国事行為をとっていただくと、いろいろな七条解散がございます、七条解散がございまして、これはそれぞれ理由がございますが、申しましたように、憲法の精神にかんがみていかがなものかという、助言と承認で陛下に国事行為をとっていただくという形、これは私自身はいかがなものかという感じがしておるわけでございますが、これ以上言いますと総理の解散権を縛るようなことになってもいけませんので、ただ一方的に私の思いだけを伝えておきますが、総理は新しい憲法の制定といいますものに大変情熱を持っておられます。そういう面で、私も自民党の党員として大変、今日の憲法というのは、占領下という大変異常な状況の下でアメリカの草案の下に作られた憲法であり、我々日本国民自らの手でやはり憲法を作る、それが正に真の、真の自主、独立だと、こんな感じがするわけでございます。
 憲法についてはいろいろな御意見がございます。やはり国民に対して納税とか教育の義務を課すと同時に、基本的人権、言論とか信条の自由とか、そういうものを保障すると、国民のために守るのが憲法であると同時に、同時に、やはり国民から授権されたこの公権力を行使する総理が、総理が暴走しないようにという側面も持っておるんではないかと、こんな思いがするわけでございまして、新しい憲法を今から我々は与野党合意の上に作っていこうという思いの中で、総理が今憲法に対してどういうお考え、スタンスをお持ちか、お聞かせいただきたいと、このように思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいまの吉村先生の御質問は、国家権力の行使と国民ということにも触れながらということなんだろうと、このように思います。
 主権者たる国民が、憲法ということにつきましては、主権者たる国民が、その国民の意思に基づいて権力の、国家権力の行使の在り方について定め、そして基本的な人権を守る、そういう基本的な考え方において憲法が私は作られると、このように思います。これは、権力の行使と国民との考え方においてはそうではないかと、このように思います。そしてそれと同時に、私が申し上げておりますように、日本という国のこの国の在り方、私たちの国の在り方、あるいは理想を示すものも憲法であり、私はこの新しい時代にふさわしい日本の在り方、あるいは理想を示すこの憲法を私たちの自身の手で書き上げていくことが大切ではないかと思っております。
○吉村剛太郎君 これから我々力を合わせて、与野党力を合わせて、真の独立国家日本のために、それにふさわしい憲法を設定していきたいなと、制定していきたいなと、このように思っておる次第でございます。
 ところで、この北朝鮮のミサイル発射等々の騒動がございまして、国の防衛といいますものは大変重要なことだなと、このように思っております。それだけに、我が国がそういう核兵器からの攻撃にどう対応していくかということ、これは国民みんな心配をしているところでございますが、当然のことながら今我々は日米安保の下に、アメリカの軍事力によってこの核攻撃といいますものに対応するしかすべはないと、このように思っておりまして、今更ながらこの日米の同盟関係、なかんずくこの安保体制といいますものは大変重要なことだなと、このようにも思っておる次第でございます。
 ところで、昭和二十六年、サンフランシスコで講和条約が締結をされました。その当時の世論は全面講和か単独講和かというような世論も分かれておったわけでございますが、麻生大臣のおじい様、吉田当時の総理が全権大使としてサンフランシスコに行かれて講和条約に調印をされたということ、これはもうだれでも知っておるところでございますが、それと同時に、その後、日米安全保障条約、すなわち第一次日米安保条約が結ばれております。
 これは、講和条約につきましては全権大使が全員列席をしたと、このように聞いておりますが、安保条約は吉田当時の総理のみが独りで、単独でサインをされたと、このように伺っております。これはある意味では大変意味が深いものがあるなと。それは、吉田さんは場合によってはこれは大変な大きな批判を受けるかも分からないと、その責任は自分独りで負おうと、負うという大変強烈な意志があったんではないかと、このように思っております。
 それはどういうことかといいますと、独立国家の中に他国の軍隊を置くということですから、これは場合によっては大変批判を受けるかも分からない。しかしながら、あの当時の日本国民を飢えさせないと、まず経済復興だという選択をされた、この選択は私は間違っていなかったと。そして、それが今日まで営々として守られてきて今日の繁栄を見ているということですが、あの当時、いかに吉田さんといえどもその辺の悩みがあったんではないかと、こんな思いが私はしております。
 その六、七年前ですね、昭和二十年の八月十五日にあの満州帝国は崩壊をしております。これは十三年続いた満州帝国でございまして、その満州帝国が設立されたそのときに、後の皇帝、その当時はまだ直後は執政だったんですね、溥儀と関東軍の司令官との間に密約が結ばれているんですね。それは、国防と治安は関東軍にすべて任せるということなんです。そして、その国防については、国防上必要な鉄道とか港湾とか空港とか地域とかはすべて関東軍の意のままに使用できると。そしてその費用は、その費用は満州国が持つということですね。
 これは非常に何かに似ております。安保条約の地位協定と非常に似ているんですね。そういうものを御存じだった吉田さんは、非常にそこに悩みがあったんではないかと。そして非常に片務的だと。そして十年後、ちょうど総理のおじい様の岸さん、安保改定、これは少しでも片務性を解消して双務的に持っていこうという改定だったわけでございます。
 歴代の総理、政治家は、この安保体制といいますものの重要性を非常に認識し、大事だと思いながらも、そういうところの悩みが歴代お持ちであったんだなと、こんな思いがいたしておりまして、先般、元総理の宮澤先生にお会いしたときも、やっぱりその辺の歴史の経緯をお話しいただきながら、悩みもあったようなお話でございましたが、これから自主憲法、そして国の守り、こういうものについて、総理、正に悩ましい、独立国家として、そうした安全を守る、国民の生命と財産を守る、その中でアメリカの力をかりる、しかし、かりなければならない、いろいろと大きな悩みがあるんではないかと、このように思っておりますが、総理の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 敗戦から今日に至る歴史について委員が今お触れになったわけであります。講和条約を結び、そして安保条約を結ぶときの決断でございます。
 一九五二年当時のことを思い返してみますと、当時は正に米ソの冷戦構造が厳として、冷戦の状況にあったのであります。その中で我が国の安全を守らなければならない。他方、日本は独立をするけれども、独自の安全保障を守るべき組織は十分なものがないという中にあって、当時いた占領軍を正に同盟国としてこれは我が国の安全のために活用する、しなければならないという状況にあった。しかし、と同時に、当時は彼我の差が随分あったわけでありまして、当時、その寸前まで進駐軍として存在していた米国との間にどう条約を結ぶかということで呻吟をしたんだろうと思います。その中での私はベストの条約だった。
 しかし、この条約はたしか一条から五条までしかないと思います。そして、残念ながら言わば防衛義務が、日本を守るという防衛義務が明示的にこの中には書いていないわけでありますし、また、日本がこれを変えようと思っても米国が同意しなければ変えられないという条約でもあった。そして地位協定上の問題もあったわけであります。
 しかし、だったらそうしろといっても、当時はそれはとてもそういう状況にはない中にあって、とにかく独立を選ぶ、そして同盟国として米国が軍隊を駐留してもらい、そしてそれによって我が国の安全を守ると、こういうことだったんだろうと思います。
 何とかこの片務的な、不平等的な立場を改正しようとしたのが六〇年の安保改定であって、そのときに、言わば第五条に、日本が攻撃をされた際には共同対処するという防衛義務が米国に課せられてあるわけであります。一方、六条において、我が国は、施設を極東の平和と安全のために米軍が活用できるということをこれは許容したわけでありますが、ここで言わば双務的な立場にもなっている、そして地位協定も結ばれたと、こういうことではないか。そしてまた、日本が日本の意思でこれは米国に通知すればこれは廃棄できるというものになったわけであります。その間は大変な努力もあった。しかし、そのときその時々のベストの判断があったと、このように思います。
 今、例えば北朝鮮の本年に入ってからのミサイル発射、そして先般の核実験の発表ということにかんがみまして、やはり日本に対する攻撃は自国の攻撃であると、こう宣言をしている米国の存在、この日米同盟による抑止力は揺るぎないということによって、正にこれは我が国の安全、そして地域の平和は私は守られると思います。先般もブッシュ大統領との電話会談におきまして、大統領からもこの抑止力は揺るぎないものであると、こう話をされました。これは正に北朝鮮に向かって、あるいは世界に向かって発信したものだと、このように思うわけであります。
 その中で、今後、在日米軍が駐留する地域の方々の負担を軽減をさせていくための米軍再編を進めていかなければならないと考えております。
○吉村剛太郎君 ありがとうございました。
 日銀総裁、お見えでございます。もう非常に時間が少なくなっておりますので、もう簡単に総裁の御意見、理念をお聞きしたいと、このように思いますが、三月に申すまでもなく量的緩和が解除になりました。そして、七月にゼロ金利が解除になったと。そして、やっと金利がある世界になったんだなと、こんな思いがするんですね。
 ゼロ金利というのは、これはデータを見てみますと、もう〇・〇〇一、平成三年、その前年のこれはコールレートですけど、平成二年が〇・〇〇二ですね。アメリカもこの間かなり低金利になっております。それでも一なんですね。そういう中で、このゼロ金利というのはこれは史上かつてない形であろうと、このように思っておりまして、このゼロ金利の中での経済、またその中で経済の方の経営するということになりますと、これはちょっと持続的に、モラルハザードも起こすでしょうし、大変大きな問題があるだろうと。やっと金利がある世の中になってきたと。
 そういう中で、今総裁がこれからどうしよう、こうしようというのはここでお聞きいたしません、マーケットも反応するかも分かりませんし。お聞きしませんが、金利というのは、私の見方では資本主義社会を構成する我々共通の所有物だと思うんですね、借りる人、預ける人。だから、当然そこにはしかるべく中立標準というのがあるんではないかと、こんな思いがするわけでございまして、やはりその中立がどこにあるかとは私も分かりませんが、その中立を中心にした一つの限度というのがあるんではないかと思っておりまして、このゼロ金利政策というのは、これはやむを得ません。結果的にはいろいろな弊害もあったけど、今日の経済の安定を導いた一つの政策としては私は評価しております。
 そういうのは別として、総裁は日銀総裁として今大変重要なお仕事をしていただいておりますが、そういう今後の動向とかは別として、総裁として金利についてのお考え、理念をお聞かせいただければと、このように思います。
○参考人(福井俊彦君) お答えを申し上げます。
 そもそも金利とは何かと、大変私にとりましても難しい御質問でございます。哲学的には大変深遠な問題を含んでいるというふうに思いますけれども、恐らくお尋ねの趣旨は、我々が直面しております市場経済の中での現実的な問題としての金利は何か、ゼロ金利は何か、その問題は何かと、こういうふうなお尋ねであろうかというふうに思ってお答えをさせていただきます。
 市場経済の中におきましては、物に対しては値段がある、物価がある、お金に対してはその値段として金利があると、こういうふうに私ども現実的に理解しておりまして、物に対する物価はやっぱり適正な価格水準であり、それが安定しているということであって初めて必要な物が必要とする人の手に渡る。しかし、物を手に入れようと思えばお金が必要ですが、お金は売買ではなくて貸借取引によって流れます。その貸借取引に使われるお金の値段が金利と。したがって、金利水準も、委員がおっしゃいますとおり、やはり常識的で、言わば中立的な金利であり、先々の見通しについても人々が比較的安定した期待を持っているということであって初めてお金も円滑に流れる。物とお金が両方円滑に流れることによって効率的な資源、資金の配分が行われ、経済の成長も順調になると、こういうメカニズムになっていると思います。
 物価水準と金利水準とはまた非常に密接な関係がありますので、物価の安定を図るために金利政策を私どもの重要な仕事として負託をしていただいていると、こういうふうに理解をいたしております。
 ところで、ゼロ金利でございますけれども、普通の状態は企業がどんどん前向きの行動ができるということを前提に物価、金利を考えておりますけれども、過去十年ぐらいまでの間は、企業はいわゆるリストラの負担が大きくて前向きの行動が取れなかったと。そういう状況での金利というのは、やはり常識的に、あるいは通常考えられる金利の姿ではあり得ない状況となってしまいました。
 したがいまして、委員は、中立的な金利から考えると異常な、低い水準があるだろうと、それも下限があるだろうとおっしゃいました。恐らく、その下限すら割り込んだ低い金利がゼロ金利であると。日本銀行は、金利のイールドカーブの一番期間の短い、まあ宵越しの金といいますか、オーバーナイトの、市場のオーバーナイトの金利をゼロというふうにセットいたしました。過去もう実質七年ぐらいにわたってやってきたことでございます。現実の金利は期間によってプラスの金利が付いていましたけれども、これもすべての金利が常識では考えられない低い水準であると。これは、企業が前向きの行動を取れないときに一刻も早くリストラを促進すると。過剰設備、過剰借入れ、あるいは過剰雇用の調整を一刻も早く進めて前向きの行動が取れるようにするために金融費用を最低限に抑えるという政策を取らせていただいたためでございます。
 最近では企業がようやく前向きの行動を取れるようになり、経済全体もかなり正常なリズム感を持って成長を続けるというふうになってまいりましたので、量的緩和をやめ、ゼロ金利からも脱却をさせていただいた、金融正常化の第一歩をようやく踏み出させていただいたという状況でございます。
 ゼロ金利にはおっしゃるとおり副作用ございました。何と申しましても、家計の利子収入が著しく減少した、家計に負担が掛かりました。それから、年金などの機関投資家の運用難と、年金がパンクしそうだというふうな話、しょっちゅうございます。これは副作用でございます。そのほかに、私ども金融政策の舞台としております短期金融市場の取引が非常に減少すると、市場機能が著しく後退するというふうなデメリットがありましたし、そのほか世の中もろもろのやっぱり、モラルハザードと委員がおっしゃいましたけれども、やっぱりあっただろうというふうに思っています。
 今、その状況からようやく抜け出しました。これから先、経済、物価の水準に見合った望ましい金利水準を目指して、しかし、ようやく困難を脱した経済でございますので、我々としてはこの経済の成長ぶりというものをつぶさに点検しながら、あくまで慎重にゆっくりと調整を進めさせていただきたいと、こういうふうに考えております。
○委員長(尾辻秀久君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。
 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十四分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
○委員長(尾辻秀久君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 予算の執行状況に関する調査を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。吉村剛太郎君。
○吉村剛太郎君 午前中に引き続きまして質問を続行させていただきますが、まず農業問題に関しまして御質問いたします。
 正に我が国の農業は今大変な転換期に差し掛かっておるのはもう衆目の一致するところでございます。
 ここにリストがございまして、先進国の中で、熱量ベースでございますが、自給率が我が国四〇%というのは誠に異常な数値でございますが、この表によりますと、一九六三年、昭和三十八年、我が国は七二%あったと、こうなっております。一方、イギリスは四三%でございます。それが二〇〇二年逆転をいたしまして、我が国は四〇%、イギリスが七四%に向上していると。この間、イギリスは自給率アップのための大変な努力をしたんだろうと、このように思う次第でございます。ちなみに先進国を見てみますと、二〇〇二年ベースで、アメリカが一一九%、およそ一二〇%ですね、フランスが一三〇%、ドイツが九一%と、軒並み先進国では自給率をそこまで持っていっている。そういう中で我が国が四〇%というのは誠に異常であると、こう言わざるを得ません。
 そういう中で、代々政府も努力をいたしまして、今回、平成十九年産米から抜本的な改革を実施するという運びになっております。これは戦後の農地解放に匹敵する大改革ではないかと、このように思う次第でございますが、担い手という非常に農業に意欲を持った方々を中心にしながら一つの基準を作って、担い手認定農家として育成していこうと。また、そこに、その基準に達しない方々は、何人か寄り集まっていただいて集落をつくっていただいて、組合法人として農業にいそしんでいただこうという形でございます。また、それに更に落ちこぼれると、言葉は悪いかもしれませんが、達しないという方々についてはまたきめ細かい施策をしていかなければならない、このように思う次第でございます。
 営農の方々はこの新しい政策といいますものについて理解も深まってきておりますが、一般国民、まだまだこれが浸透していないなという感じがするわけでございまして、是非、大臣からもこのテレビを通して国民の方々にPRしていただきたい。長所も、また問題点もあるのは十分分かっております。その問題点を今後どうカバーしていくかというのが農政の一つの大きな課題でもあろうかと、このように思っております。
 いずれにしましても、我が国の国民は我が国の農産物で食べさせていこうという一つの大きな意欲を具現化する大きな革新的な施策であろうかと、このように思います。大臣からの御所見をよろしくお願いいたします。
○国務大臣(松岡利勝君) それではお答えさせていただきます。
 吉村先生御指摘のとおり、食料自給率も先進国の中では最低のラインと、こういったような状況でございます。そしてまた、昨日からも今朝方からも民主党の先生方から御指摘もございましたが、地方は大変衰退というか、がけっ縁に立っておるというような、そういったような御指摘もございました。地方の根幹を占めます農村、農業におきましても非常にこれは厳しい状況にあると、こういう状況でございますが、私どもの今度示しました政策は、現状のまま、このまま手をこまねいておってはこれはもうますます衰退の一途、ますますがけっ縁どころかがけに落ちてしまう。そこで、これをもう一大改革を行いまして日本農業の将来の大発展を目指すと、正に日本農業の一大発展を目指していく、それがこの改革のねらいでございます。
 具体的には、担い手に、意欲のある、能力のある担い手にあらゆる施策を集中、重点的に投資をすると、こういうことでございまして、そういたしますと、担い手というのはじゃだれかということになりますが、これは認定農家、ある一定の大きな規模を持った認定農家、この方々が一つの中心になりますし、さらにはまた法人経営ということで法人経営をされておられる方々。
 そうすると、それ以外の方々の方が実は多いわけでありまして、まあ日本も昔からこれは零細とか小規模営農経営と言われております。中国も、お隣の中国もそうなんですが、どうしても農耕民族なものですから、漢民族も我が日本民族も、なかなか土地に対する執着というのが強くて、これを、権利を移転して規模を拡大するというのが非常に難しゅうございます。
 そこで、今回はそういったいろんなこれまでの多くの経験を踏まえまして、集落という単位で、集落という単位でまとまってもらって固まってもらって、まあ二反歩や三反歩や小さい規模の人たちも、それぞれ個別には担い手になれませんが、みんなで足し合わせて大きく固まってもらえれば一つの大きな固まりができると。
 ただ、そのためには、こっち岸から向こう岸に渡るように川を渡らなきゃならないと。泳ぐのも結構大変な面もありますが、そこはやっぱり良くなるためには困難を、苦難をちょっと乗り越えてもらって、一定の要件と言っておりますけれども、それを乗り越えてもらって、向こう岸に渡ってもらって大きな未来展望を開いてもらおう。こっち岸にいたまんまでは、これはもう現状以上良くなることはない。
 こういうことで、日本の農業構造を大きく大改革をいたしまして、そして生産力をアップして、言ってみれば競争条件を整える。体力を付けて体制を整備して、そして最大限の力を発揮できるような農業構造をつくる。そうすると生産性もアップいたしますから、輸入物にも競争できるし、また国外に出ていってもまた大きな競争力を持つと。そして、日本農業の持っておる、総理がいつもおっしゃっていますが、これは二十一世紀の農業は大きな戦略産業、大きな発展の可能性を秘めておると、正に日本の農産物世界一、このすばらしさを生かしまして競争力を付けて外国にも打って出る。
 こういったことでありまして、したがって、集落営農はややもすれば小農というか小さい人たちの切捨てではないか。逆なんで、今のままだったら担い手になれないのを、皆さんでもう一定の要件を努力して頑張ってもらって、向こう岸に渡ってもらって担い手になってもらおうという、こういう大きな方向を目指す改革でございますので、是非全国の農家の皆さん、特に若い意欲のある農業者の皆さん方にはもうずっと、この数年来、農業団体の方とも若い農家の方たちとも話合いを通じながら、中川義雄先生おられますが、いろんな意見闘わせながらみんなでつくり上げた日本農業の目指すべき方向でございますので、是非御理解をいただきたい。全国の皆様方、ああそういう方向に目指していくのか、こういうことでございます。
 どうぞよろしく御理解をいただきたいと思います。
○吉村剛太郎君 大変心強い今御説明がございました。
 確かに、川向こうにまで渡るということ、これも大変なんですよね。大変だが、私の知る限りではまだ難しいのは、先祖代々この隣の家とは仲悪かったと、これがまた難しいんですね。だから、これをどう調整していくかということではなかろうかなと、こう思っております。
 私の地元のみなみ筑後という、みなみ筑後JA管内がございまして、この間ちょっとお話を聞きましたら、認定が約六十、それから集落は三十幾つか、そして面積九十五まで行ったんですよ。これはすばらしいことですね。これは全国平均、今どれぐらいになっているか分かりませんけど、こういう一つのモデルケースがありますので、こういうモデルケースを見習いながら、今、農水大臣がおっしゃったことを力を合わせてやっていかなければならない、このように思っている次第でございます。
 続いて、農水関係で、私はこの夏随分と山を歩いてきました。私が歩いた範囲の、九州の一部ですけれども、山が荒れていますね。風倒木その他、もう非常に山が荒れておる。これは、ここをきちっと川上をしないと、これはもう川下まで影響があるんですね。
 この林業対策、何かありましたらお願いいたします。
○国務大臣(松岡利勝君) お答えいたします。
 先生御指摘の状況、いろいろそういった点があると思います。といいますのは、日本の国内の木材の需給関係というのが非常に外材に押されて国内産が弱い立場にあると、こういったことから価格が低迷をし、それによってまた経営が圧迫をされるということで山の手入れが滞っておると、こういうずっと悪循環であります。
 ただ、ここに来まして、地球環境問題、温暖化対策問題、こういったようなことから、地球全体のやっぱり森林をしっかりと守って維持をしていく。私も違法伐採対策検討チームの座長で、当時の麻生政調会長の下で直轄のチームをつくっていただいて五年ぐらいやってきたんですが、そういった取組も非常に世界的になってまいりまして、随分見直されてまいりました。
 しかし、まだすぐ今日あしたというわけにはいかない、こういう状況でございますので、今また、もう一つには京都議定書の問題がございまして、森林が六%削減のうち大体六五%程度、三・八%、計算をし直しますと、それを担わなきゃならない。それは整備した森林によってCO2の吸収が認められる、こういうことになりますと、そっちの面でこれは大きな森林整備を図っていかなきゃならぬということになります。
 そこで、問題はもうどうやって整備を進めるかでございますけれども、もし森林の整備でその吸収ができないとなると、今度は、経済分野でその分をまた今度は合わせて、加えて負担をする措置をとらないと日本の経済活動全体ができない、こういうもう大変大きな森林整備というのは課題を背負っております。
 そういった観点から、なかなか特効薬はございませんが、いろんな政策、そしてまた京都議定書、森林目標達成のための私は特段の措置を、ひとつ財政、財源措置も、これは森林の整備をするということじゃなくて、京都議定書達成のための、経済界等が新たな負担を伴わないために森林の整備が必要だと、こういう観点から、国民的な理解を得て森林の整備を進めていくように取り組んでまいりたいと思っております。
○吉村剛太郎君 ありがとうございました。
 それでは、地方分権関連でちょっと御質問させていただきたいと思います。
 総理も道州制を視野に入れた地方分権といいますものを所信の表明の中にもおっしゃっておられます。将来的にはやはりそのような形になっていくであろうと、このように思っております。
 何しろ、例えば私の地元の九州は、博多から西鹿児島まで、半分は新幹線が開通しておりますけれども、全部フル開通いたしますと博多―鹿児島間が一時間十分ぐらいで行き来できるんです。もう日帰りコースになるわけでございます。そういう面では、鉄道、そういう交通網を完備していけば、少なくとも九州だけを申し上げさせていただくと、もう九州は一つと。今までは九州は一つ一つと言われてばらばらだったんですけれども、九州は一つになる。そういう面では、経済的にも行政的にも、またそういう交通面でも一体になると。
 そういう中で、将来道州制というのは私は当然の道筋であろうかと、このように思っております。その辺について、総理に一言御所見をと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 道州制につきましては、私も総裁選を通じてお約束をいたしておりますように、この道州制というのは、言わば日本全体が均衡ある発展をしていく上においても、それぞれ広域において拠点をつくっていく。そしてまた、これは行政の改革にも資することになるわけでありますし、また地域への分権をより一層進めていくことにもつながっていくことになります。また、地域の良さ、強さを生かして、そしてそれが直接世界へ向けて発信されていくことにも私はつながっていくと、このように考えています。
 まずは道州制についていろいろなビジョンを皆さん思い描いておられると。やはり、国として一つのビジョンを作り上げていくことに力を注いでまいりたいと思います。まずは北海道の道州制特区法案を是非しっかりと御審議をいただき、成立を期待したいと思います。
○国務大臣(佐田玄一郎君) 吉村先生御指摘のとおりで、九州は官民挙げてこの道州制に対して大変積極的に研究をされているということをお聞きしております。
 今も総理の方からお話ありましたように、行政のスリム化というか、それと規制緩和、そして権限、そしてまた財源の移譲をすることによって、しっかりとした行政のスリム化を図っていかなくちゃいけない。今、この件につきましては市町村合併の一つの延長線上にありまして、今もお話がありましたように、道州制特区推進法がもう既に委員会に付託をされております。これを早く通していかなくちゃいけないと、かように思っています。これは、あくまでも北海道と、普通の県ですと三つ以上というふうなことでありまして、特定広域団体というふうに指定をさしていただきまして、これを地元のその地域の方々のいろんな意見、規制改革であるとか、そして財源の移譲の問題だとか、いろんなお知恵を拝借しながら、それを一つ一つ吟味しながら、そして政府の方にも審査機関を置いて、どんどんそれを、財源やら、そして権限の移譲をすることによって行政改革をしっかり進めていくと、こういうことであります。
 取りあえずは北海道の方でやらしていただくということでありますけれども、一般法としてこれをしっかりと要するに築かして、そしてどんどんこれを進めていって、そして地方分権を進めていきたいと、こういうふうに思っております。よろしく御理解をいただきたいと思います。
○吉村剛太郎君 道州制、地方分権を推進する中の道州制、そして、実は、ちょっとこれは総務大臣になるのかなと思いますが、実は私は昭和五十年から三期約十一年間政令市出身の県会議員を務めたんですよ。
 政令市のこの位置付けというのが非常にあいまいだなという感じがしておりました。何しろ政令市から選出された県会議員というものの担当は警察と高校しかないんですね。で、有権者はこう陳情に私のところへそんなこと分からないから来るんですが、私はもう七割、八割福岡市の方にいっていたんです。そういうほどちょっと政令市の位置付けというのがはっきりしておりません。今十五ございますか、十五の人口は二千三百なんです、全部合わせますと。福岡県は二つ政令市を持っておりまして、人口、県は五百万、それから二つの政令市を合わせると二百四十万、半分なんですね。そういう中で二重行政という側面がある。
 それから、道府県民税を払っておる、政令市の市民も払っておる、市民税払っておるが、さあ、これがどういう形になっているのか、誠にあいまいもことしておるんじゃないかと思いますが、この政令市の位置付けについて、それからこれをどういう形に持っていくべきか。それから、市議会と県議会がまた非常にラップをしておると、そういういろいろ複雑な面でこれは早急に解決、整理していかなければならない地方分権推進の中の一つの課題ではないかと、このように思っております。よろしくお願いします。
○国務大臣(菅義偉君) 実は私も政令市であります横浜の市会議員を二期八年間務めておりましたので、問題意識というのは吉村委員と全く共有しているというふうに思っております。
 ただ、ここ町村合併等が進み、特例市や中核市、そして政令市、それと県と様々な位置付けにはなってきておりますので、やはりこの二重行政にならないようにその方向性というものを検討していく時期に差し掛かってきているんじゃないかなというふうに思います。政令市も十五から来年十七になる予定でありますので、政令市に対しての考え方もかなり変わってきているだろうというふうに思っています。
○吉村剛太郎君 次に大田大臣、経済学者でございますので、所見をお聞きしたいと思います。
 小泉内閣がスタートいたしまして、国債三十兆を超さないということを当初言明してこられました。初年度はたしか三十兆ちょっきりだったですかね。それからずっと三十兆を超している。それが十八年度が二十九兆、ちょっと三十兆を割ったということなんです。これは、往々にして何か公約違反じゃないかとか等々言われておる側面もありますが、トータル的にはこれがかなりやっぱり経済の下支えをしたなと。おかげで失業率も、相当ありますが、あの程度で止まった側面というのはこういうところにもあるんではないかと。もちろん、先ほど、午前中言いました金利の問題等々の組合せですけどね。
 したがって、確かにその間の借金は増えましたけど、私は私なりにこれは評価できる政策ではなかったかなと、こう思っておりますが、経済学者としての大田大臣の御所見をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(大田弘子君) 小泉政権が成立しましたときは、不良債権、バブル崩壊後の長い経済低迷がございまして、不良債権処理を進めなくてはならない、あるいは財政再建を進めなきゃいけない。それから、経済環境からいいましても、アジアとの競争は激化し、IT革命も進み、国内では少子高齢化が進むと。大変厳しい状況にありました。しかも、アメリカの同時多発テロがございまして、デフレスパイラルの危険が確かにあの時期はあったと思います。
 その中で、安易に財政出動に頼るという路線を明確に転換いたしまして、不良債権処理を進める、あるいは企業の活動を下から支えるように、例えば中小企業向けのセーフティーネット保証といったようなところで効果的に財政支出をして、底割れを防ぎながら財政再建と構造改革を両立させたと思います。
 その結果といたしまして、現在、二〇〇五年度の実質GDP成長率は三・二%、四年連続のプラスです。あるいは、不良債権処理に伴って失業率上がると言われました。実際五・五まで上がりましたが、四・一%に下がりました。ようやく日本経済が正常に戻る道筋が付けられたと思っております。
○吉村剛太郎君 そういう評価の面と同時に、やはり一番苦労したのは中小企業なんですね。何人の中小企業が倒産したか、またその社長たちが自殺したかと。私の周辺にもそういう事例がたくさんあるんですね。そういう中で大企業は、後からも申しますが、十億円以上の大企業というのは空前の収益を上げておると。この中にもちょっと問題がありますけどね。
 まずは、その一番苦労をした中小企業対策について、だれだったかな。
○国務大臣(甘利明君) 事業所数でいうと九九・七%、従業員は全体の七〇%というのが中小企業のまくら言葉になっているわけであります。今、四百三十万社。
 やっぱり金融面が一番弱いわけでありますから、先ほど来話題になっていましたとおり、不動産担保に依存しない、あるいは個人保証に依存しない、第三者保証に依存しない、そういう金融の道を開いていくということが大事なんであります。
 それから、中小企業が持っております技術を中小企業の中だけにとどめていくんではなくて、これをどうやって製品化、商品化していくかと、そういう言ってみればコラボレーションをどう組んでいくかということが大事なんですね。昨今では、これを製品にしたものをマーケティングの発想を入れて市場にデビューをさせていく、そういう連携をしっかりとつないでいくということが中小企業の再生につながっていくと思っております。
○吉村剛太郎君 是非、やっぱりこの中小企業、そして再チャレンジができる体制といいますものを取っていただきたいなと、このように思っております。
 先ほどちょっと言い掛けましたけど、大企業すなわち十億円以上の企業収益というのは空前の高さを誇っておると、このように、これは内閣府の統計かな、にございました。さらに、配当率が非常に高くなってきております。さらに、配当と同時に、役員の収入といいますか役員手当といいますもの、給与も含めて、かつてない高さに高くなってきておるという統計でございます。
 一方、従業員の給与は下がっているんですね。だから、ここに労働分配率が非常に低下をしておるというのが、これは大変大きな問題ではないかと。これが正に、中央と地方の格差というのがあるが、この企業内格差というのも出てきておると、こんな感じがするわけなんですよ。
 じゃ、これをどうすればいいかというのは、実は私もアイデアがありません。ありませんが、これはまあ企業家の問題だろうかどうか分かりませんが、正にこれはアメリカ的な経営ですね、株主それから経営者に手厚く配当していくというアメリカ的な経営。やっぱりこれだけ企業が収益を上げた、付加価値を向上させた、その努力の大部分は従業員なんですよ。それがその恩恵にあずかってないというところに一つ大きな問題があるんではないかという感じもするんですが、この点についての対策があれば対策、それとお考えをお聞かせいただければと、このように思っております。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 労働分配率が最近低いんではないかと、こういうお話でございました。
 労働分配率につきましては、例の失われた十年の日本経済の低迷の時期に、逆にあの当時は労働分配率は少し高止まりして、なかなか硬直的になっているんじゃないかと、こういうようなこともありましたけれども、昨今の経済の低迷を脱して景気の回復が言われるようになりまして、今先生の御指摘のような事態が生じているということは私どもも認識しているところでございます。
 ただ、いずれにいたしましても、労働者の具体の賃金決定につきましては、これは各企業の労使間において交渉を踏まえて真摯な話合いによって決められるべきものというふうに認識をいたしているわけでございます。ただ、全体の趨勢としては、やはり景気の回復、経済の成長こそがこれらのそれぞれ、企業関係者のそれぞれの取り分を正常化していく、そういう基本的な力だろうと、このように考えている次第であります。
○国務大臣(甘利明君) 背景は厚労大臣の答弁のとおりだと思います。
 日本の企業の社長と従業員との給与格差というのは、世界で一番その差がなかったというふうに言われていました。昨今、経営者の責任がかなり強くなってきておりますし、株主代表訴訟への道も開けてくる、つまり競争社会に見合った責任の在り方というふうに変わってきているところもありまして、もろもろのことを含めて国際標準に若干近づいたという気がいたします。
 もちろん、給与の決め方については、それぞれの企業の中で労使の交渉によることであることはそのとおりでございます。
○吉村剛太郎君 続いて、郵政事業についてお聞きしたいと思います。
 大変な、何といいますか、騒動の中で郵政民営化法案が昨年成立をいたしました。早速制度設計その他が進められておるところでございます。
 もう先刻御承知のように、それぞれの郵便と貯金と簡保分けまして、その上に郵政事業会社を置いて持ち株会社とするということでございます。ただ、大変これは苦労をされるだろうなと、このように思っております。
 そもそも、郵政事業というのは百三十年前にスタートしまして、早急に通信網とそれから零細な資金を集めるということで、何にもないところに、地域の素封家ですね、庄屋さんとか何かの協力を得て、その方々の信用を活用して郵政事業というのがスタートしたわけでございます。ある意味では、これは今で言うNPOなんですよ。NPOの先取りなんですよ。だから、だから収益を上げるどころじゃなかったんですね。で、NPOとやってきて、だから地域性その他が非常に密着、地域と密着性を高めてきた。
 そうして、紆余曲折あって、まあ欠点も一杯ありました。いろいろ金を集め過ぎてそれを無駄遣いしたとか、いろいろな問題もあったが、公社に持ってきたと。そして、それを更に民営化ということで、この流れの中でこの企業文化というのが随分、百八十度変わっちゃったんですね、民営化ということで。これは大変だと思いますよ。これは大変だと思う。そもそも精神的にはNPOだから、それを利益を追求する民営化するわけですから、だけどこのネットワークは維持しなければならない。もろもろの枠がはまっておるんですね。だから、これは大変。
 で、郵貯、簡保の資金があります。これは財産です。と同時に、一番の財産はネットワークなんですよ、二万四千ぐらいありますが。それからいわゆるNPO、この事業の主体であるNPOである特定局長さん、これが一万八千九百ぐらいありますかね、これが中核になっておりました。これ、NPO感覚なんですね、それを民営化すると。これはなかなか大変だろうと思いますが、このネットワークをどうやって維持するか、どうやって維持するか、ちょっとお聞かせいただければと思いますが。
○国務大臣(菅義偉君) 今日の郵政事業あるのは、今委員がおっしゃいましたように、正に地域の素封家の皆さんが献身的な努力によって今日あると、このことは私も認識をさせていただいております。そして、この全国に張り巡らされています郵便局のネットワーク、これは私は国民の重要な資産であると、こう実は思っています。この資産を十分に活用するのが私の役割、こう思います。
 で、来年十月一日、民営化することが既に法律で決定をいたしております。で、この郵政民営化株式会社においては、この郵便局のネットワークの水準を守るために郵便局設置の義務付けも、これ法律で行っています。そしてまた、経営判断によって、郵便局を活用してまた新たな事業ということも展開されるというふうに思っております。
 こうした仕組みの中で郵便局のネットワークを守り、国民の皆さんの御期待におこたえしたい、こう思っております。
○吉村剛太郎君 これは、一つ大きなそういう企業文化を転換させていくわけですから、大変な御苦労があろうかと思います。総務大臣御主導の下に、より良い民営化が実現できるように頑張っていただきたいと、このように思いますが。
 その中でもう一つ、郵貯・簡保資金、郵貯が二百兆ぐらいですかね、簡保が百二、三十兆、で、国債運用をしております。これが民営化になってしまったときにどうやってこれは国債を、安定引受けやっておったのを、どう国債を、これは国債が非常に不安定になってくるんですね。金利の問題と絡んできますと不安定になってくるが、その辺の御心配はありませんか。
○国務大臣(菅義偉君) それについてはないというふうに思っています。
 そして、この貯金、保険の会社が、この移行期における業務範囲については、郵政民営化委員会の意見を聴取した上で、総理大臣に、私ども、総務大臣がこの認可を判断していくと、そういう形になっておりますので、十分配慮をして行っていきたいと思います。
○吉村剛太郎君 是非、申しましたようなネットワークの維持、それから何といっても国民の利便性が損なわれないようにしなければならないんですね。だから、郵政民営化を成功させると、成功させると、心配要らないと、国債も心配要らないと。ネットワークも守るが、結果的には国民の利便性を損なって民営化が成功すれば、これは何の意味もないわけでして、何といっても国民の利便性、これを守るということが必要ではないかと、こう思うんですが、その辺についての御意見があればお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(菅義偉君) 郵政民営化の成功というのは、今委員がおっしゃいましたように、国民生活の向上、国民経済の健全な発展に寄与すればこれは成功だというふうに私はなると思います。
 かつて国鉄が民営化になってサービスが良くなったと、国民の皆さんはこうすぐ肌で感じられました。そしてまた、民営化した今のJRが税金も納められるようになりました。ですから、私は、やはりこの郵政民営化の成功というのは、地域の皆さん、国民の皆さんに喜んでもらって初めて私は成功したと、こう思いますので、来年十月一日に向けてそうした方向にできるように全力で頑張っていきます。
○吉村剛太郎君 是非若さで頑張っていただきたいと、このように思います。
 もう時間が迫っておりまして、あと一分、あと一分ね。
 総理、就任早々、中国、韓国にお行きになりました。どんな話をされたか私は分かりませんが、中国で戦前の一時期、日中間は非常に不幸せな時代があったと、このように言われております。それはそのとおりだろうと、このように思いますが、中国は、これは台湾も含めて、国父、国の父は孫文なんですね。これは、中国、大陸に行っても孫文に対する尊崇の念というのは非常に強いんですよ。宋慶齢さんというのが副主席でおられましたし、蒋介石の奥さんは宋美齢ですから、宋家の三姉妹が別れておったんですが、その孫文の革命運動を助けたのは、随分援助をしたのは日本人なんですね。私のふるさとの福岡の有志の人たちがかくまったり、いろいろと援助したんですよ。それがやっぱり孫文の革命の成功する一つの、幾つかの要因のうちの一つではなかったかなと、このように思います。そういうのは、胡錦濤さんに対して堂々と言って、中国革命をかつてはこうやって日本人の民間の有志が援助したんだぞというようなことを堂々と主張されていいんではないかと。
 確かに、不幸せな時代がありました。ああいう時代がありましたが、しかし言うべきものはどしどしと言っていただいて、そして持続的な日中関係を是非構築していただきたいと、このように思う次第でございますが、御所見あればよろしくお願いいたします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) たしか、温家宝総理との晩さんの折に、温家宝総理から、中国からたくさんの人たちが日本に留学をし、そしてまた大陸に帰ってきてからそのときの経験を生かしたという話をされました。その中で、周恩来、前の総理の例を引かれたときに、私の方から孫文氏もそうでしたねという例として引かしていただきました。そのときからこの日中両国お互いにお互いの文化や考え方を吸収し合うという関係ではなかったかと、このような話をしたわけであります。
 何といっても、日中間には長い交流の歴史があるわけでございます。そして、その中で日本のこの戦後の六十年の歩みもあるので、そこのところも十分に評価をしていただきたいと、このように申し上げ、結果として、日中のこの共同のプレス発表の中におきまして、戦後の六十年の日本の歩みについて、中国側が積極的に評価をするという一文が初めて入ったことは、今後の日中関係にとってはよかったのではないかと思っております。
○吉村剛太郎君 以上で終わります。
 この後は、関連で金田委員の方から質問させていただきます。
○委員長(尾辻秀久君) 関連質疑を許します。金田勝年君。
○金田勝年君 自由民主党の金田勝年でございます。
 吉村委員の関連でお時間をちょうだいいたしましたので、主に外交と地域格差に焦点を絞りまして質問をさせていただきたい、このように思っております。
 安倍総理は就任以来、美しい国づくりを標榜されております。一国のリーダーとして国の形の大きな理念を語られているわけであります。
 私は常々大好きな言葉があります。強くなければ生きていけない、優しくなければ生きていく資格がない、皆さん御存じのこの言葉であります。政治家たる者、国を担う者に必要なのはこの二つの強さと優しさであると、こういうふうに思うわけであります。すなわち、この国を、そしてこの地域を守ろうとするその強さ、それから一人一人を大切にする、大事にするその優しさ、その両方を備えた政治家になりたいものだなと、こういうふうに思ってこの言葉を愛しているわけであります。正に、外交と地域格差に焦点を当てるというのは、そういう考えからであるわけでありますので、御理解をまずいただいて、質問に入らせていただきます。
 まず初めに、外交問題でありますが、昨日、当委員会で外交に関する集中審議が行われました。我が党からは舛添要一議員、政審会長が専門家の立場から多々議論を展開したわけであります。
 まずは、先週末の訪中、訪韓につきまして、そのタイミングといい会談結果を含めて、改めて高く評価を申し上げたい、こういうふうに思うんですが。
 言うまでもなく、まず韓国とでありますが、自由と民主主義、そして市場経済、基本的人権、法の支配といったような、我が国と基本的な価値観を共有している部分が非常に多いわけであります。戦略的パートナーといいますか、そういう国である。
 中国についても、私は今お手元に資料を配りました。パネルにも用意してありますが、いつも、日本の中でも私が説明をいたしますとき、それから中国に外務副大臣当時三回行きましたが、そのときもこうした指標を日中どちらの国の人にも披露をしているんであります。ちょっと皆さんにもビジュアルに覚えていただこうということでパネルにしましたので、ごらんいただければ有り難い。(資料提示)
 日中貿易であります。こちらですね。これは、輸出と輸入がここ五年間でこのように伸びているんです。そして、貿易額は千八百九十億ドルに達しておりまして、史上最高。そして、香港を含めますと約二千二百七十億ドル。日米を超えて日本にとっては世界第一位の貿易量ということになっているんであります。こういう伸び。
 それから、こちらの方の日中人的交流の方を見ていただきますと、二〇〇五年の同じく数字でありますが、人的往来は約四百二十万人、一日に一万人の往来がある。この五年間で一・六倍に増えました。在留邦人が、中国におります日本の方が十一万五千人、そして中国に進出しております日系企業は約三万五千社、そして日系企業による中国での雇用創出というものは約九百二十万人であります。さらに、日系企業による中国への納税総額、これは中国でのデータであります。中国から公表されておるデータでありますが、約五十九億ドル、約七千億円であります。日中貿易と日中交流というのは今こういう状態にあるんだということをやはりお分かりいただければ、まあ既に分かっておられる方も多いと思いますが、非常に重要な数字ではないかなと、こういうふうに思うわけであります。
 こういう中にありまして、両国を訪問されて両国の首脳と直接対話の中で総理個人がお感じになられたその率直な感想、そして率直な抱負というものをお聞かせいただきたい、このように思うわけであります。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま先生が御指摘になったように、日本と中国、正にお互いがお互いを必要としている関係になっております。この五年間におきましても、輸出入合わせれば約倍になっているわけでありまして、十年前にまさか日中間の貿易量が日米を上回るとは思いも寄らなかったのではないかと、このように思います。
 そして、お互いの関係をよく更に分析をしてみますと、今委員が御指摘になったように、日本からの投資等々において今九百二十万人という御指摘がありました。これは相当の数の雇用を創出をしています。そしてまた、お互いのこの輸出の中身を見てみますと、日本にしかできない半製品を輸出をしています。また、同じくやはり中国からコストの安い半製品を輸入し、日本もそれを加工している。中国も、日本にしかできないものを、半製品を輸入して、それを加工して輸出をして外貨を稼いでいるところでありまして、正に両国の経済のメカニズムがこの好調な密接なこの両国の経済関係を、基盤の上に既に成り立っているということでございまして、今回訪中をいたしましてそのことをお互いによく認識し合うことができた。また、既によく認識をしている中において、今後はこの経済と政治を車の両輪として今までのこの友好関係から次なる関係に、お互いが本当に利益を更に得ることのできる関係の高みに導いていこうと、そういう機運を感じたところでございます。
○金田勝年君 正に政経両輪、両輪、車の両輪ですね、という信頼関係を築いたと。これまでは人によっては政冷経熱と言っておりました。経済は熱い、人的交流も熱い、しかし政治は冷たい、こういう言い方をする人もいたわけであります。このたびの総理のこの日中韓の訪問で政経両輪の信頼関係が築かれた、これは間違いないわけであります。
 そして、一つお尋ねしたいんですが、戦略的互恵関係ということを、是非総理御自身の言葉から国民にその意味を説明をしていただければというふうに思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほどちょっと触れたのでありますけれども、いわゆるただ友好、これは友好というのは友好な状況でありまして、友好な状況というのはもちろん大切なんですが、これから更にお互いが利益を得ることができる関係にしていくことが大切であって、日本は日本の国益を図り、中国も中国の国益を図れる、そういう関係にしていく。日中関係には共通の戦略的な利益があります。この共通の戦略的な利益に立脚した互恵関係を作っていくべきである。
 例えば、エネルギーの問題についても、中国はどんどんこれは人口がこれからも増えていきますし、GNPも増えていく中にあって、更に一人当たりのエネルギーの消費量が増えていくと、人口も増えていくということになると世界の資源の問題にも響いてくるわけでありまして、日本は資源はすべてほとんど輸入をしているという国でありますから、日本の熱消費効率においては高い技術を持っている、この技術を中国と共有することによって日本も利益を得ることができます。
 また、環境の分野においては特にそうでありますが、中国が経済発展していく中で環境を汚染していくことがないように、日本がかつて経験した中において培ったノウハウがございます。こうしたノウハウを提供していくことによって、この地域、また世界の環境を守ることができる。それは中国の利益にもなるし日本の利益にもなっていくということではないかと思います。
 もちろんそれ以外にも、経済全般においてお互いが共通のルールを持って、つくっていくことによって、これは日本も利益を得るわけでありますが、と同時に中国も世界からの正に信頼性が高まっていくわけでございまして、さらに中国への投資を促すことにもつながっていくということでございます。
 このように共通の利益を得る分野もあるわけでありますし、また、正に今起こっている北朝鮮の核実験という危機に当たっても、日中がお互いに連携を密にすることによって地域の平和と安定にも資することができる。
 また、国連改革におきましても、これは日本が国連の改革、また常任理事国に入るということについては、本来私は、アジアの国から協力して国連を改革をしていくということにおいては共通の利益があるのではないかと私は考えているところでございます。
○金田勝年君 体制と価値観を必ずしも共有しない中国との間で戦略的という文言が使われたということは歴史的なことではないかなと、こういうふうに私は受け止めたわけであります。
 いずれにしても、政経両輪の日中関係というのを一歩前進させたということにおいて、更に今後ともそういう努力の中でまた日中関係が前進するということであれば非常にいいのではないかというふうに思うわけであります。
 ところで、次に北朝鮮のことでありますが、核実験でありますが、昨日、参議院におきましても、北朝鮮の核実験に抗議をし、すべての核兵器及び核計画の放棄を求める決議というものを議決したわけであります。
 昨日発表されましたその制裁措置でありますが、その内容とねらい、そして効果について説明をしていただければというふうに思います。総理、どうぞ。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今年七月のミサイル発射の際に、既に万景峰号の入港を含む措置をとっております。
 昨日発表いたしました措置につきましては、これはすべての船舶の入港を禁止をするということでございます。そしてもう一つは、日本への北朝鮮からの輸出、日本にとっては輸入をこれ禁止するということでございます。そして、日本への入国を禁止するということでございまして、極めて厳しい措置になっていると、このように思います。これは言わば日本が最も脅威を感じるわけでございまして、これは世界の認めるところではないかと、こう思っております。
 四点の観点からこうした措置をとることを決定をいたしました。一つは、もう既に北朝鮮は核実験を行ったと、こう北朝鮮自身が発表をしているからでございます。そしてもう一点は、言わば日本のこの調査の結果、自然の地震と違う地震波を観測をしているということでございます。そしてもう一点は、これは拉致問題について北朝鮮が誠意ある対応を取ってこなかったということもあるわけでございます。そしてまた、今、国際社会がこの問題について厳しい措置を含む措置を議論をしているということでございます。
 もちろん基本的には、北朝鮮がミサイルの能力を向上させ、そして核実験を行ったということから考えますれば、それは日本に対する脅威が倍加した。そして、地域に対しての脅威であると同時に、正に日本こそこの脅威を受けるという中にあって、厳しい措置ではありますが、こういう措置を決定したところでございます。
○金田勝年君 安保理でも今、国際社会の一致した決議をしようということで盛んに動いているわけですけれども、拒否権を持つ中国、ロシアといったような国のスタンスというものをどのように見ているのか、そして安保理の方の進捗はどのように見ているのか、その点についてお聞きします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず私がお答えをしまして、今の状況については外務大臣が一番詳しいので、外務大臣からお答えをいたします。
 正に今の状況としては、かつてのミサイル発射のときの安保理決議、そのときの状況については、当時副大臣として大変御尽力をされましたからよく御承知のとおりでございますが、これはなかなか安保理で決議に向かって進んでいくというのは難しいところがあります。何といっても常任理事国が非常に拒否権という大きな力を持っている中にありまして、常任理事国プラス今日本という形で理事国の中でも協議をしているわけでございまして、我々といたしましては、厳しい制裁措置を含む、そして強制力を持つこの決議を何とか得るべく努力をしている。
 もちろん中国、ロシアの立場は、それぞれ主張がございます。そこはややミサイル発射の後の状況に似ているところがあるわけでありますが、しかしあのときよりも、やはり北朝鮮の核武装は、これはやはり許さないという観点においては一致をしている。その一致しているところをてこに何とか決議を引き出すために努力をしていきたいと思います。
○国務大臣(麻生太郎君) 本日、現地時間今午前一時ぐらいですけれども、安保理の公式会議が今日スタートすると思いますので、その公式会議でアメリカは修正文を多分提出をすることになります。その内容が、ロシア、中国側といろいろ交渉を表でする結果がどう出てくるかは、多分現地時間の今日ではなくてあしたぐらいかなと思っておりますけれども、早くいけばそれくらいのところだと思います。
 いずれにいたしましても、前回のミサイルのときは十一日間掛かったと思いますし、その前のテポドン1のときの九八年のときには二週間掛かって議長声明ということに比べますと、今回のは流れとしてはかなり早い。その背景は、今総理からの御説明がありましたように、中国が、北朝鮮は何となくもう核まで行っちゃうととてもじゃないという雰囲気が何となくにじんできているというところだと存じますけれども。
 いずれにしても、断固これだけは、技術が北朝鮮にとどまらずイランに行くかもしらぬ、どこかに輸出されるかもしらぬということは、これは東アジアだけの話ではなくて世界に対する脅威という認識だと存じます。
○金田勝年君 麻生外務大臣は、今そういうことで、十四の常任理事国そして非常任理事国と連日、アメリカが一番回数は多いのかもしれませんが、夜中、時差は十三時間ですから、こちらと正反対の時間帯に電話会談を連日のようにしているというふうに私も伺っておりますので、非常に敬意を表する次第ですが、しっかりひとつまとめていただければよろしいのではないかというふうに思っております。
 そこで思い出すんですが、七月のミサイルのときであります。考えてみますと、十一日間掛かったと今言われました。そのときの外務大臣並びに官房長官は今総理でございますが、大変な努力をして日本の外交に、正に主張する外交といいますか、その安保理における非難決議というものをしっかりと成り立たせて実現させたわけであります。
 これをしましたときに、その努力も大変なものがあるんですが、私は、一つこれ大事なことですので国民の皆さんにも是非理解しておいてもらわなければいけないなと思う点があります。それは、ついせんだっては、十月に入ってからは議長声明というのを出しました。核実験をするなという議長声明です。そういうことをしてはいけない、その議長声明もまとめた。その議長はだれであるか、安保理の場で日本から行っております大島大使であります。
 そういう立場で、要所要所に本当にその人材が配置されるというか、本当に今回は、この七月のミサイルのときの決議も、そして今回のこの議長声明も、国連の安保理のですね、それから今取り組んでおる安保理の決議、北朝鮮に対する制裁決議のことも、非常にタイミングよく日本は、非常任理事国であったということも非常に大きなポイントではないかなというふうに思うんですね。非常任理事国の任期は二年であります、二年、二年。この十二月までであります。そのときに、議長が、この十月は、一か月の間だけですけれども、非常任理事国の中の大島大使がそれを務めているわけであります。
 そういう、非常に、百九十二か国の世界にある国の中で、様々な課題を抱えている中で、これを最優先で北朝鮮問題を処理してもらわなければいけないというときのその皆さんの努力が、関係者の努力が功を奏するかどうかというのは、そういうふうな、非常任理事国に今なっておったということもプラスであったということは認めざるを得ないと思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) それはもうはっきりしております。非常任理事国、常任理事国じゃなかったら蚊帳の外です。それだけです。はっきりしております。
○金田勝年君 したがって、正に強い、そして美しい国日本、つくるに当たっての主張する外交を実践するためにも、やはり日本が、非常任理事国というのは二年の任期を経ると次は普通の立場に戻ります。戻りますと、陳情を受ける側から陳情する側に回ります。したがって、その点はよく心得て、常任理事国となるべくの努力を重ねてこれから頑張っていくということがこの国にとっては必要である、このように思うわけであります。スピーディーに我が国のリーダーシップを発揮する、それができるということは、それが非常に大きな要因だということを国民の皆さんもお分かりになっていただけたのではないかなというふうに思っております。
 そういうことで、重ねて総理の御意見を伺います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 七月の安保理の議論におきましても、あのときに、やはり我々が幾ら確固たる決意を持っていたとしても、理事国でなければ残念ながら我々の声を直接安保理の会議の場で主張する機会はなかったのでございます。
 しかし、今までも何回も理事国であったことがあったわけでありますが、そこで果たして先回、また今回ほど主張していたかといえば、これはいろんな議論があるところなんだろうと、このように思うわけでありまして、先回のミサイルの危機のときにも、それは、そこまで主張をしなくてもいいのではないかという議論がある中で、やはりこれは日本の大きな危機であるから主張すべきだという観点から強い主張をし、そして他の理事国を了解を得ながら巻き込み、そして最終的には決議をまとめることができたわけでございます。
 しかし、いずれにいたしましても、理事国であるかないかはかなり大きな差であって、理事国でないときには同盟国である米国からいろんな情報を聞く。つまり、安保理の会議が開かれているときに外で待っていて、出てきた大使から話を聞くという立場になってしまうということでございまして、そういう意味におきましては、やはり理事国の、常任理事国、しかも日本は分担金を二〇%前後持っているわけでありますから、そういう意味におきましても、しっかりと理事国として、常任理事国として責任を果たしていく方向を目指してまいりたいと思います。
○金田勝年君 次に、北朝鮮の拉致問題についてお伺いしたいと思います。
 核実験という新たな状況が発生した状況の下で、一方でこの内閣において拉致問題担当の補佐官が任命された、あるいは拉致問題担当の閣僚として官房長官が指名された、あるいは拉致問題対策本部を立ち上げたと、いろいろな努力をされております。
 具体的にどのように、こういう新たな核実験が行われたという状況の下で拉致問題に取り組んでいかれるのか、心配されている国民に対して是非説明をお願いしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今般、拉致対策本部をつくりまして、政府内につくりまして、私が本部長になりました。そして、担当の大臣を塩崎官房長官ということにしたのであります。そして、拉致対策本部の事務局長を兼ねる補佐官として中山恭子補佐官を任命をいたしました。もう既にこの問題については十分周知をしている方に補佐官になっていただいたのは本当に良かったと、このように思っております。
 今般の制裁につきましても、この核の実験のみならず、拉致問題についても誠意ある対応を取ってこなかったということも今回制裁を掛けた理由の一つとして挙げているところでございます。また、この核問題によって拉致問題が薄れていくことがあってはならないと思っているわけでございまして、我々、先ほど来お話をいたしているように、理事国として当然拉致問題についてはしっかりと各安保理の国々にこの拉致の実情について説明をしているところでございまして、北朝鮮の抱える問題はこの核の問題だけではなくて拉致も問題だということも、大島大使も我々からの訓令を受けてしっかりとそのように対応しているところでございます。
 また、先般私が訪韓をいたしましたときにも、また訪中をいたしましたときにも、拉致の問題について十分に先方にこの問題の重要性、また協力をしていくことの重要性、情報を共有していくことの重要性について申し上げたところでございます。中国に対しましては、この拉致の問題について日本側で、日本で作った、鈴木官房副長官がこの特命チームの責任者として作った中国語のパンフレットがございますので、それを先方に渡し、私も温家宝総理にそれをよく読んでいただくように直接お願いをしたところでございます。
○金田勝年君 なお、総理の訪中、訪韓に先立ちまして小池百合子首相補佐官、そしてまた谷内外務次官が訪米をされたと。そのねらいと成果について教えてください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私がちょうど訪中、訪韓する前でございました。そしてまた、北朝鮮が核実験をするかもしれないという時期の状況であったわけでありますが、小池安全保障担当補佐官はハドレー補佐官と会い、そしてまた谷内次官はその次席補佐官のクラウチ次官と会い、安倍内閣における外交方針について説明をいたしたところでございます。
 また、これから展開をしていく日中関係、日韓関係を含めたアジア外交についても先方とよく協議をし、また私どもの考え方も向こう側によく説明し、今後とも今後の協力をお互いにしていくことで一致をしたと、このように了解をしております。また、北朝鮮の核実験についてもしっかりと協力をしながら、当時は阻止に向けて努力をしていこうということになったと思います。
○金田勝年君 ところで、お聞きしたいんですが、総理補佐官という制度が設けられました。アメリカのハドレー補佐官のカウンターパートというのはどなたになるんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 基本的には官房長官が務めることになるわけでございます。
○金田勝年君 よく言われる話であります。今度、総理補佐官制度ということで五人の補佐官が入りました。そして、公募でその補佐官を支える今度はスタッフが採用になったと、こういうことであります。
 まあ、何といいますか、各省の大臣が必死になって取り組んでいるその様々なテーマについて、それを調整をするという立場で内閣機能の強化を図るという意味はよく分かります。ただ、そのときに、アメリカの大統領制、それから代表的なイギリスの議院内閣制、これは、アメリカのケースは行政権力が集中して議会と対立している、そういう姿になります。分立している。そして、日本はイギリスのように政府・与党が、行政権力というものが分散して政府・与党というものが一体であるべき議院内閣制であると、こういうことなんですね。そういう中で、新たな首相補佐官制度というのができたときに、これはどういう位置付けになるかということを本来の目的やねらいと沿った形できっちりと位置付けしていかなければいけないんではないかなというふうに思うんですね。
 というのは、日本は厳密に言えばイギリスの議院内閣制とも違います。どういうふうに違うかといえば、そういう、政党で、与党となった政党はみんな議院内閣制の下でイギリスでは政府に入るわけです。ところが、日本の場合は党というものが存在し、かつ、その内閣というものが、政府というものが存在する。両方に国会議員がおります。国会議員がいるんです、与党の議員が。そして、ここに新たに首相補佐官制度というのを設けた。そうすると、この五人に対応するアメリカの大統領制の下での制度を見れば、どこが違うかといいますと、向こうでは大統領が指名したスタッフです。要するに、国会議員はそこに入っておりません。ところが、日本ではそこに国会議員を入れてリーダーシップを発揮したい、そういうことだと思います。
 だから、そういうどちらとも違う新しい形をつくるわけでありまして、この位置付けというものは、例えば与党の政治家は三か所に入っていくということになります。各省大臣がおられる、皆さんが、そして党にもいる、党の政調や部会、様々な形でおられます。そしてまた、首相を補佐する補佐官にも政治家が入っている。もうそういうふうになった場合に、これがどういうふうに権限と協力と、そういうものをきっちり仕分けていくかということが大切だと思いますが、お答えを聞きたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これはやはり試行錯誤も繰り返さなければならないんだろうと思うわけでありますが、イギリスにおいてもサッチャー政権当時から官邸に言わば政治指名のスタッフを入れ始めて、そしてその人数はサッチャー時代はそれほど大きな人数ではなかったんでありますが、メージャー時代、そしてブレア時代とだんだん人数を増やし、正に国民から選ばれた政治家が政治のリーダーシップで官邸の機能を動かしていくという形になっていったわけであります。基本的には議院内閣制が同じでありますが、制度そのものが全く同じではないわけでありますが、十分に私は参考になるのではないかと、こう考えています。
 基本的には、補佐官は総理大臣の補佐官であって、私を通じて政策を実現をしていくということでございます。各大臣は、言わばそれぞれ分担管理をしているわけでありますが、各省庁を横断する課題もたくさんあるわけでありまして、その課題の中で、それぞれの補佐官が任務を帯び、そして私を通じて政策を実現をしていくと、これが今の私のこの官邸における分担でございます。
○金田勝年君 そうしますと、首相補佐官というのはどのような責任を負うのかという点をもう一度教えていただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今申し上げました、私を通じて、基本的には私の補佐官でございます。そして、私の命を受けて、それぞれ、それぞれの仕事について、また目的について、項目について省庁間のこれは言わば調整をしてもらう場合もあるでしょうし、その中で交渉してもらう場合もあるでしょうし、またその知見を生かして私にアドバイスをしていただくと、こういう立場になるわけでございます。
○金田勝年君 外交というものは大統領制が非常によく合う制度であるというふうに私は思っております。そして、議院内閣制というのは、どうしてもボトムアップで下から積み上げていきますのでタイミングが遅れる、遅れがちだという難点があるというふうに思っております。
 したがって、今回、イギリスの議院内閣制のポリシーユニット制をまね、アメリカの大統領制をまね、そして第三の日本型システムというものをつくったというふうに考えるのであれば、これをきっちりと、まあきっちりと魂を入れていただくようにしていただきたいなと思います。お願いします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それは正にそのとおりでありまして、言わば各省庁にも大臣そして副大臣、政務官という形で政治家が与党から入っていっているわけであります。この中で、今まで以上に頻繁に大臣、副大臣また政務官が意思の疎通そして目的の共有をするようにという指示をいたしました。また、我が党には党の政調があるわけでありまして、その政調の責任者をも交えた言わばポリシーユニットとしての会議も持つようにいたしまして、議院内閣制としての、また日本独自の形の政治主導の形もつくってまいりたいと、こう考えているわけでありまして、それはしっかりと機能し始めていると私は認識をしております。
○金田勝年君 次に、ODAに参りますが、去年のサミット、グレンイーグルズ・サミットで小泉総理は、五年間で百億ドルの積み増しというODAの国際公約を、これをしたというふうに記憶しております。これにつきましては、国際的な信用にかかわる課題ということになります。そのときに、国際公約を守るということとODAの戦略的な機能的な活用ということを考えたときに、ODAの事業量に与える影響というのもあるんだろうなと。したがって、そういうところをしっかり受け止めていかなきゃいかぬのかなと。
 日本外交を考えるときに、外交手段というのは何々があるのかと、こういうふうに考えます。そのときに、やはり我が国は外交力、外交努力とでもいいますか、そういう情報の収集や発信、そういうものと、このODA、経済協力というものと、ほかになかなか思い付かないというふうに言う人が多いんであります。
 こういう状況の中で、このODAの大切さというものをいかが考えておられるか、外務大臣、お願いします。
○国務大臣(麻生太郎君) 今おっしゃるように、日本の外交にとってこのODAというのは最も大きな力だと、私もそう思います。
 そのほかにも、日本という国民が持っております日本人のいわゆるブランド、日本人の持っておりますイメージというものは物すごく大きな力であることははっきりしていまして、例えば八月に行ったバグダッドの中でも、やはり日本のいわゆる自衛隊員が、無銭飲食ゼロ、婦女暴行ゼロ、脱走兵ゼロというような兵隊は世界じゅうこの国だけだったそうです。したがって、物すごく評判が高いと。(発言する者あり)この人、当たり前なんと言っているけれども、世界じゅうは違うんですからね、物すごく大事なところですよ。だから、そういったところの持っているイメージというのは、我々が持っているイメージとは全く違ったものを、あの人たちがイメージを上げている、それが日本の国力になっているんだと思っております。
 ODAというものに関しまして言わしていただければ、これはいろいろな意味で、使い方というものに関しましては、いわゆるばらまき型とよく非難を受けたところをきちんと戦略的に変えていく必要があるのではないかということが言われて、昨年、今年か、今年でしたか、あの戦略会議というのを官房長官共々立てさせていただいて、期中というか十八年度中ではありましたけれども、外務省の機構の変更までさせていただいてきちんとした対応をやらしていただけるような形になった。私、これは非常に大きいことだったと思っております。
 そういった中で、少なくとも例えば中国に、よく御批判のあるところでしたけれども、中国のODA、円借等々については環境問題に絞る、これに集中しますと。したがって、残り何年間かまだ無償等々残っておりますけれども、そういったものに関してみましても、今度新たに始める、全部そういったものに絞らしてもらうというようなことで、環境に資するというところは大きなところで、秋田はそうではないかもしれませんけど、私ども北九州にとりましては、もう吉村剛太郎先生共々、もう空気が春ごろになってくるとこらえてくださいというような感じで、あれは私どもにとりましては迷惑この上ないところで、多分山口県も似たようなものだと思いますんで、状況は大分地域によって違うと思いますけど、これ深刻な、健康に及ぼす影響もでかいと思っておりますんで、是非こういったものにきちんと、(発言する者あり)秋田にも来ますですか。御愁傷さまです。
○金田勝年君 まあ、そういうことで非常に重要な外交手段であるODAであります。したがいまして、これをきちっとそのODAの実施については厳しくチェックをしなければいけません。そしてまた、国際公約で必要な事業量というものを公言した場合にはそれをきちっとしてあげることも重要、しかも重点的かつ戦略的にやっていくことが必要である。そして、これをチェックするために我が参議院では特別委員会を今年の春に設置をしたわけであります。したがって、そういうふうな努力、そしてまた官邸においては海外経済協力会議をセットした、こういうことで、こういうふうな仕組みをつくってこのODAを本当に外交手段として有効な活用をしていただきたいと、心からそう思うんですが、総理の御意見を伺います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど外務大臣が答弁をいたしましたように、私が官房長官のときに、このODAについて、これはまあ外務省の正に海外経済協力という中において、そういう国々についてのみ着目した形でこのODAを展開をしていたのでありますが、しかしそうではなくて、世界全体を敷衍しながら、その中でもちろん世界が目指すべき理想を実現をするという、もちろんこれは大黒柱がありますが、それとともに、当然我が国の納税者の税金を使うわけでありますから、我が国との国益の関係、そしてまた世界の理想を実現する上においても、例えばエネルギーの分野、環境の分野、そういう政策の目指すべき分野から世界にどうこれはODAを行っていくかということについて議論をする場を設けて、そしてその議論を政策としてODAに生かしていくということにしたわけであります。これは、官邸が司令塔機能をこれからは発揮をしていくということになります。
 また、参議院においては従来から大変な御努力をしてきて、ODAの執行等に問題はないのか、今私が申し上げましたような観点から果たしてODAが行われているかということについて議論を重ねてこられたことに対しましては敬意を表する次第であります。
○金田勝年君 そういうことで、ODAというのは、例えばイラクで自衛隊が、陸上自衛隊が第十次群まで、この前まで頑張ってきました。一人の犠牲者も出さずに、一発の砲弾も撃たずにしっかりと日本の国の名を高からしめて帰ってきた。こういう自衛隊の諸君に対しては本当に頭が下がるわけですけれども、加えて、陰でODAで五十億ドルのODAというものがイラクに対して我が国からきっちり提供されていて、そしてできることから緊急に必要な病院やら学校やら、そういうものを全部無償でやってあげたり、あるいは円借でもっとインフラを整備してあげたり、そういうことをしてきているということも、やはりこの機能として知ってもらう必要があるのではないか、こういうように思います。
 それで、続いて、外交の方も最後の問いになります。外交力強化の問題であります。
 今申し上げようと思ったことは、昨日の高野委員からアフリカの例でも言われました。そして、大臣からもお話がありました、外務大臣からも。
 この中身は、ちょっと繰り返しになるかもしれませんが、今アフリカは五十三か国あります。五十三か国のうち、中国と日本を比較する、いろんな意味で、隣の大国ですから、比較するのは許されると思います。中国が公館を、大使館、総領事館、そういった公館を五十三か国のうち四十四か国に置いている。日本は二十四か国である。この違い、あとの二十か国はどうしたんだろう、兼務でやっております。兼轄と言います。
 そして、ソ連が崩壊し、十五の国になった。そして、十四か国の新しい国に中国はすべて大使館を持っております。ところが、日本はこのうち四つしか持っていない。こういう状況は、日本の外交力を測るときに、ほかの国から見たら、あるいはその新しくできた相手国から見たら、何と残念なことではないだろうか。
 ここのところをしっかりと対応していく。在外公館をしっかり整備し、そして本当に世界じゅうの百九十二の国で、日本の外務省あるいは各省から出られた方々、そういうのが領事の業務をやったりいろいろしながら、この国のいろんな、何といいますか、課題にこたえようとして頑張っておるわけであります。そういうところを考えて、是非外交力の強化ということに対してお考えをお聞きしたい。外務大臣、お願いします。
○国務大臣(麻生太郎君) 今の御質問、御意見に加えて申し上げるようですが、今幾つかそれ以外の例でかなり悲劇的なことになっていると思いますが、今、日本という国は多分中国の支店になっておると思います。すなわち、アフリカのそれらの国々は、大使館は自分たちの国に中国大使館があるから、自分たちの国の大使館を中国に置く。日本にはないから、日本は中国大使が兼轄している。すなわち、中国の支店という地位に日本が置かれているという事実だけは是非頭に入れておいていただかないかぬところだと思っております。これはゆゆしき問題なんだと、私には、そう思っております。そこのところが一番問題なんだと思っております。
 もう一点は、少なくとも、WHOの常任理事の話をよくされますが、WHO常任理事国、アフリカ七か国あります。そのうち日本の大使館がないのは五か国です。したがって、この票集めというのを今外務省総力を挙げてやっておりますけれども、そこらのところは極めて厳しい状況にあって、中国の方がその点はかなり上に行っておるという現状。いろいろありますけれども、こういったものは最低限な物理的なものだけを言って、ただただ口やかましく言っているだけでは全然効果が上がりません。私どもは物理的なことをきっちりやっていかないと駄目なものなんだと、この一年間やらしていただいて、つくづくそう思っております。
○金田勝年君 是非、新内閣が目指します主張する外交、力強い外交をこういう意味からもしっかりと体制を整えて頑張っていただきたい、お願いする次第であります。
 以上で外交の方は終わるわけでありますが、拉致問題に関連しては国家公安委員長にもお聞きしたかったのですが、時間の関係で申し訳なく思っております。
 では続いて、強さと優しさ、今度は地域再生の方に参ります。よろしいでしょうか。(資料提示)
 皆さんのお手元に資料が行っております。地域別鉱工業生産指数の推移、それから有効求人倍率の推移であります。
 これを見てください。平成十一年から十八年まで取りますと、ずうっと各これブロックごとであります。平成十二年を一〇〇としますと、だんごのように絡み合うようにして、各地区ともにこういうふうに鉱工業生産指数、伸びてきたわけですね。まあ一緒に下がるときは一緒に下がる、一緒に伸びるときは伸びる、こうやって来たのが、十三、四年のころから差が出てきました。
 このグラフを見てくださいね。右端を見ますと、一番上のところで随分一〇〇から一三〇、一二五を超えて大きくなっているのは、これは皆様のお手元の資料でも分かりますが、これは東海地方であります。名古屋、東海、中部地域ブロックです。そして、残念ながらその下の方で、まあ白三角、ここにあります下の方、ずうっと幅、残念ながら浮上のあれができない、これが一〇〇を切っている。これが九州、そして東北、こういう地域が入っているわけであります。
 では次の、(発言する者あり)ああ、北海道もあるということで。
 それから、有効求人倍率をごらんください。これは直近の克明な動きを取っております。十六年二月から十八年の八月であります。見てください。これは、平均はこの実線です、黒い実線です、全国平均は。有効求人倍率です。もう仕事をしたい、でも仕事のニーズの方がないんだというのは、この一・〇から下の方に行きます。この上をこう高らかに右肩上がりで行っておりますのは、これは愛知県。これはブロックではなくて、ある県を特定して取り上げました。そして、この全国平均のところに絡み合うように行っておりますのが総理の地元の山口県。そして、大分離されてずうっと下、低迷して〇・五から〇・六の間を行ったり来たりしながらなかなか浮上できなくて苦しんでいるのが我が地元の秋田県であります。
 有効求人倍率、以上です。
 もう一つの方を見てください。こうなりますとどうなりますでしょうか。若い人たちは、愛するふるさとを家族とさよならしながら、有効求人倍率の高いところへ行かなきゃいけません。その結果、人口減少が出てまいります。
 左の方を見てください。人口減少率上位六県。これは何と、上位と言うから何かいい数字かと思うと、違いますね。秋田県がマイナス三・七。これは、平成十二年から十七年の五年間の減少率であります。人口の減少率です。人口は秋田県、百二十万人いますから、三・七マイナスということは、一年に一万人ずつ減ってきたということです。一年に一万人ずつ減ってきた。悲しい話であります。和歌山、青森、島根、長崎、山形、山口。山口県もありました。マイナス二・三%であります。
 そして、今度は人口が減少しますとどうなりますか。そういう太平洋ベルト地帯に出ない、そういう方々は結局こちらの地元に残って、ふるさとに残って、高齢化率が高まるんであります。見てください。島根県二六・七%、秋田県二六%、また出てきました。高知県、山形県、鹿児島県、山口県。ああ、また出てきました、山口県。
 ということで、これが今の地域の実態であります。(発言する者あり)いや、いや、よろしいですね。以上、よくごらんいただいたと思います。
 そこで、そこで質問に入ります。
 日本経済はイザナギ景気を超えそうだとか、回復してきている、全体として回復してきているといいますけれども、地域によってこのように景況感にばらつきがあります。そして、地域格差の現状というのは丁寧に見ていかなければいけないんです。ブロックで見るというんじゃない、やはりもっと丁寧に見ていく、そういう前提に立ったときにどのようにこの今の説明をお受け止めになられたか。総理、お願いします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 確かにこの五年間、日本はあの失われた十年から今力強いこの堅調な景気回復の波に乗っている。しかし、一方、この経済成長はかつてのような高度経済成長ではない中での景気の拡大が続いているわけでありますから、なかなか実感しにくいのは事実でありますが、しかしこの五年以上前から比べれば確実に経済は回復をしているというのは事実だろうと。それはやはり構造改革の成果も出ているわけでありまして、その正に波に乗っているのが愛知県を始めとした東海地域であろうと思います。他方、そうでない地域もあるのも事実でございますから、また今後、分析するにおきましても、マクロ的な分析をしていく上においても、きめ細かな分析も大切であろうと考えています。
 山口県におきましても、山陰と山陽については随分状況が違うわけでございます。先ほどの平均、大体山口県、全国平均と絡み合っているということをおっしゃったんですが、また十六年、十七年は全国平均よりも良かったんですが、今ちょっと若干全国平均並みにはなってまいりましたが、しかし山陰側は全体がいいときにもそういう印象はないのも事実でございます。
 その中で、やはりそれぞれの地域が地域の特性を生かして発展していくことができるようにするためにも、地域の再生や都市再生あるいは構造改革特区あるいはそれぞれの地域が取り組んでいるプログラムを応援をしていく、頑張る地方応援プログラム等を活用しながら地域の個性ある発展を目指してまいりたいと思います。
○金田勝年君 どうですか。
   〔国務大臣佐田玄一郎君「地域の活性化ということでありますけど……」と述ぶ〕
○委員長(尾辻秀久君) まだ指名しておりません。
   〔国務大臣佐田玄一郎君「済みません。どうも申し訳ありません。失礼しました」と述ぶ〕
○委員長(尾辻秀久君) 佐田地域活性化担当大臣。
○国務大臣(佐田玄一郎君) 金田先生の言われるように、景気は回復の傾向があるということでありますけど、我が群馬県も鉱工業生産指数が平成十三年一〇〇としてなかなか芳しくありませんで、今九〇前後と、こういう状況であります。
 そういう中で、是非御理解いただきたいのは、これから、今総理の方からもありましたように、イノベーション、いわゆるインフラの整備によって地域間格差はしっかりと直していかなくてはいけない。いろんなブロードバンドの構築によって、デジタルデバイドをなくしまして、そういう中でいろんなアプリケーションを考えて、経済、文化、あらゆるものに基盤を整備していかなくちゃいけないと同時に、それは一つの血液でありまして、地域におきましてはいわゆる地域再生であるとか、そしてまた規制緩和によりまして今、特区という、構造改善特区は八百七十八のこの新しい規制改革で認定をさせていただいております。これが今六十五が、六十五が全国でやりましょうということで広がっております。
 一つの例で申し上げますと、一つの、この中におられるか分かりませんけれども、大分の方では商工会議所を中心に自分の町を昭和三十年代にしようと、こういうことで各いろんな制度を利用して、そしてその中でそういう最初のときには予算措置をして、そしてまたなおかついろんな税制面の優遇措置をし、その後には今度は都市再生によっていろんな内装の整備だとか、そういうことを町づくり交付金で繕って、今大変な繁盛を見ていると、こういうこともありまして、是非そういう意味におきましては、地方のいろんな、何というんですか、知恵を拝借しながら、そしてまたそういうインフラによって地域間格差を是正することによってしっかりとした景気回復を行っていきたいと、こういうふうに思っております。
○金田勝年君 経済政策を考えるときに、やはりいろんなデータを見ます。マクロ的に見る、全国ベースを見る、ブロック別に見る、そしてこういう地方と大都会のその差というものを丁寧に見る。あらゆる見方をしてもらわなきゃいけないというふうに思うんですね。
 それで、経済財政担当大臣は経済財政諮問会議も担当していますから、この今のような傾向をどういうふうに見るか、どういうふうにしたらいいと思っているか、そのことを言ってください。
○国務大臣(大田弘子君) 今回の景気回復は民間需要主導でしたので、御指摘のように地域間のばらつきがございます。五年間に及ぶ回復の中で少しずつ底上げされてきてはおりますが、依然としてばらつきがございます。これを先生御指摘のように、ブロック別だけではなくて、可能な限り県民経済計算ですとか県別のデータで把握しようと努めております。なかなかこの県別のデータが出てくるのが遅いために現状に近いところで把握できないという問題がございますが、多面的に把握しようと努力しております。
 このばらつきがどこで生まれるかということですが、厚生労働省が地方労働行政の重要方針という中で、雇用の改善の動きが弱いと認定いたしました七つの都道府県がございます。北海道、青森県、秋田県、高知県、長崎県、鹿児島県、沖縄県の七つです。ここに共通するものは何か分析いたしますと、やはり製造業比率が低いということ、それから公共投資依存度が高いということがこの背景にあるようです。したがいまして、なるべくそれぞれの地域の強みのある産業を育てていかなくてはいけないというふうに考えております。
 そのための方策ですが、既に総理や佐田大臣から出されました方策以外に、一つは、製造業が弱い地域でもサービス分野については需要がございます。医療関連、健康関連、教養娯楽はどの地域でもニーズが高い分野ですので、この分野の活性化を図るということが必要と考えます。
 それから二番目に、議員の出身地であります秋田県も農産物の質は大変高いという特徴がございます。先ほど松岡大臣からお話がありましたように、農業の競争力強めていくということも一つと考えます。
 格差をなくすのは大変たやすい課題ではございませんけれども、様々な取組が必要だと思います。
○金田勝年君 ばらつきが、まあ資料のデータは遅れて出てこようが早く出てこようが、しっかりそれを受け止めて、そしてそれを受け止めて政策をどういうふうにして、経済財政諮問会議でもきっちりそれをやっていただかなければいけない。やはりそれを、各大臣にまたがることをしっかりやってもらわなきゃいけない。それが経済財政担当大臣のお仕事だと思いますので、よろしくお願いいたします。
 そして、私が言いたいのは、私は地域間に差があること、そのことを問題だということを言っているわけではありませんから。要するに、日本は自由主義の資本主義国ですから、元々地域間には差があるんです。それは仕方がないとしても、経済にだけ任せておいてはその差は拡大するということであります。そして、拡大をしていく一方のときには固定化してくるということであります。それを許すわけにはいかない。
 経済学では、そのより良い地域に人が移動してバランスが取れる、均衡が取れるというふうに言うんですけれども、そんなことは現実的ではありません。出ていくような人がその地域から出ていったら、若くて働き手が、有効求人倍率が低い、出て、東京を始め関東、東海、そういう名古屋とか、出ていった場合には、後に残るのは高齢者ばかりなんです。地方は切り捨てよというふうに言っている政策なのかというふうに聞こえたら、それは困るんです。
 だから、経済に任せておけないというときに出てくるのが政治なんですね。ですから、経済に任せていいんだったら政治は要りません。だから、官から民へというのはいいんですけれども、それだけでは地方は置いていかれるんです。だから、新しいこの安倍内閣、私たちは、地方は期待しております。よろしくお願いしたいと思います。
 そこで、閣僚の皆さんにお願いしたいんですけれども、今のこのデータと資料を是非頭にたたき込んで、たたき込んでいただいてこれから仕事をしていただきたい、是非お願いをしたいと思います。
 総理、一言お願いします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 確かに、先生が御指摘のように、地域が地域の良さを生かして発展していくためには基本的な基盤が必要であることも事実であります。やはり、地域の活力がなければ国の活力がないというのが私の考え方でございますし、地域の国土が保全され、自然が守られ、そしてそこで営みをしている人々の生活が守られていくことが日本の美しい姿をこれは実現していく道ではないかと、こう思っております。
 そこで、市場に任せていたんではそれは難しいのは事実でありますから、そこに我々も政治の光を当てていくというのは当然ではないかと思います。その中で、やはり地域の皆さんにもいろいろと創意工夫をしていただくことも大切だし、その創意工夫をしている姿に対して国として応援をしていくという、そういう政策を推進をしていきたい。
 先ほど大田大臣から指摘をいたしましたが、秋田県においてもおいしい農産物がたくさんあるわけでありまして、そうした農産物を世界に輸出をしていくということについても、是非国としても奨励し、また応援をしていく、そういう方向で地方が発展をしていく姿を実現をしていきたいと思います。
○金田勝年君 地域格差を考える際には、やはり二つあると思います。経済状況の格差というものと、やはり自治体の財政力の格差。そういうものをやはり分けて考えることも必要かなというふうに思います。
 実は、菅総務大臣、もう横浜選出でいらっしゃいますけれども、私と同じ秋田出身であります。ルーツは秋田。私は、奥羽山脈の山深い山奥の発電所に私の父はいつも勤務しておりまして、転々として、もう営林署の皆さんとは親しく遊んでいたという、そういう小さい時代を過ごしたんですけれども、何と菅大臣は私と同じ秋田の同じ地域で育ったわけであります。そういう思いがありまして、菅大臣が総務大臣になった、よかった、これでもう我々は秋田の現状を救ってもらえる、こういうふうに思っている県民は多いのであります。そういう中において、幾つか質問させていただいてよろしいでしょうか。
 自治体の財政力の格差でありますが、まず地方交付税ですね。これは財政力格差を調整する重要な役割を担っております。交付税はですね。特に、税源の乏しい自治体にとっては交付税は地方税に並びます重要な財源であります。都市部では景気が回復しますと地方税収というのは増加するわけです。ところが、地方においては景気の、先ほども言いましたように回復の足取りが鈍い。そうすると、税収の回復というのは望めない。そういうときに、このような中で地方交付税がどうなるかというのは非常に重要な関心を持ちます。そういう中で、徹底的に行政改革を進めて、そして経費節減に努めてきているし、また努めるということをやっても予算が組めないという不安は出てくるんです。
 だから、そういうときに今後の地方交付税の総額というのはどのようになる見通しなのか。地方交付税の総額はしっかりと確保していってもらいたいというふうに表明していただきたいし、地方で頑張っている市町村長を安心させていただきたい、こういうふうに思います。お願いします。
○国務大臣(菅義偉君) さっきの金田委員の人口減少が一番秋田ということで、私、小さくなりながらあそこの席に座っていました。また、両親も八十五、八十八で秋田で健在でありますので、高齢化率二位に貢献しているのかなと実は思っています。
 この交付税でありますけれども、地域間の財政力格差を調整をすると。それと同時に、二〇〇六の骨太方針の中でも、歳出削減はするけれども、必要最低限の地方交付税、地方に必要なものは確保する、そういうことになっておりますので、一定の行政水準を確保するように取り組んでいきたい、こう思います。
○金田勝年君 今の答弁ですが、地方交付税の総額、どうなる見通しかということですが、もう一度ちょっと教えていただきたい。
○国務大臣(菅義偉君) 先ほど申し上げましたように、交付税は地方で一定水準以上の行政ができるような分には必ず確保する、こういうことであります。
○金田勝年君 是非しっかりと確保していただきたいと、こういうふうに思っております。
 そして次に、新しい交付税の算定方法というのが出ております。これは人口と面積で配分するということを前の竹中総務大臣は提唱しておられたわけであります。交付税の算定方法というものを簡素化するということは私も賛成であります。ただ、地方の行政需要を人口と面積だけで算定しようとするのはいささか乱暴ではないかというふうに思います。
 市町村の現場では、例えば高齢者介護それから国民健康保険、生活保護といったような大きな仕事がたくさんあります。そしてまた、これは雪の降る地域について言えば、豪雪地帯の自治体では、道路の除雪、排雪といったような多額の経費を要している事業もあります。したがって、昨年は大雪で痛ましい被害が多数生じたということは、皆様も御記憶に新しいと思います。こういった豪雪地帯特有の事情も人口や面積には反映されないんではないかというふうに心配するわけであります。
 したがって、もしそういう人口や面積で計算された場合には、結局、高齢者の少ない、生活保護の少ない、雪の降らない都会が喜ぶだけであるということになります。そうなります。ですから、そんなことのないように、どうか市町村長の皆さんがそういう、いろんな地域がありますから、先ほどのような地域の市町村長さん方が本当に不安に思っていることに対して、是非地方が不利にならないような、人口、面積で配分する方法についてもきちんと算定してもらえるのか、お尋ねしたいと思います。
○国務大臣(菅義偉君) 現在の地方交付税、金田委員はこれ主計官もやられていますから十分によく存じていると思いますけれども、算定項目が九十数項目も実はあって非常に分かりにくくて、私は不透明であるというふうに思っています。これを簡素化しようということで、約三割、今度新型交付税として人口やその土地面積でということであります。
 ただ、一概にではなくて、その人口規模や土地の利用形態による行政コスト、これは町になればその分だけ余分に掛かるわけでありますから、そうしたコストだとか、離島、過疎、真に配慮すべき団体、そして現在の財政運営に支障を来さない、そういうことに十分配慮しながらこれは行っていきたいということでいたしますので、そんなに心配なさることはないと、こういうふうに思います。
○金田勝年君 そういうことでしっかりお願いしたいと思います。
 そして、今回の総理の所信表明にもございました、頑張る地方応援プログラムというものが来年度からスタートすると。非常にこの地域の活性化を通じて地域間の格差を是正しようという、そういう試みは重要な課題だというふうに思います。意欲と工夫を凝らして前向きに取り組む地方自治体を支援しなければならないと、正にそういう円滑なスタートに向けて全力で取り組んでもらいたいと、こういうふうに思います。
 ところで、問題は、どのような指標で、基準で頑張る市町村を判定するかということが重要であります。ここのところを是非お願いしたいんですね。例えば、先ほどの表にもありました、非常に景気が良くならない、そして人口も減っている、そういう経済指標や人口増加率といったようなもの、こういうもので人口増加しているところにやるとか、経済指標だけでやるとかいうことになりますとたまったものではありません。交付税の配分の基礎になると、更に交付税が減ることになりますし。ですから、企業誘致に頑張ったところに交付税を厚く配分するというのも、やはりどんなに頑張っても企業が来てくれない地方はどうなるんだという話になります。税源はない、企業がないから税源はない、そして交付税も来ないということになったらこれは大変でありまして、やはりそういう同じスタートラインに着くということが競争の前提であります。その競争条件をきちっとつくっていくということも必要であります。そして、そのきちっとしたスタートラインに着いても駄目であれば、それは競争の結果と言えるんですが、そうでないそういう地域というのはいまだに非常に多いわけですね。
 ですから、慎重に地方団体の状況というのを見極めていただいて、その意見も聞いてしっかりこの基準、指標というものをつくっていただきたいと。お願いします。
○国務大臣(菅義偉君) 総理から先ほどもありましたけれども、地方の活力なくして国の活力なし、頑張る地方を応援するプログラムを是非つくるように、こういう指示をいただきました。
 私も、先ほど申し上げましたけれども、出身が秋田県であって、どんどん過疎化が進んでいることも、今年、実は副大臣として地元に帰りまして、町村合併をされた市町村何か所か訪問して、皆さんからいろんな意見を聞いてきました。
 そういう中で、やはりこの財政力の低いところ、低いところでもやっぱり頑張る仕組みというのは私一杯あるというふうに思っています。例えば、魅力ある地域をつくるためにそこの特産物を大々的に育て上げるだとか、あるいは過疎化が進んで学校が統合されたらその施設もまた違う福祉施設に使うとか、いろんなことがあると思いますけれども、今、私ども総務省で来年度これ実施しますので、それに向けてその指標づくりを行っています。
 先ほど委員の言われた考えと私も全く同じでありますので、そうしたことを十分に取り入れて、しっかりと本当に頑張ったところはやはり応援すると、そういう仕組みを是非つくっていきたいと思います。
○金田勝年君 もう一点だけ確認させていただきたいと思いますが、例えば、頑張りたい、頑張りたい、でも、頑張ってもなかなか例えば企業が来てくれない、そういうようなケースというのは、条件不利地域というのがあるんですね。そういう条件不利地域に対しても、やはり財政運営に支障が生じないようにしてもらいたいと思います。よろしくお願いします。
○国務大臣(菅義偉君) それについては、過疎債だとかいろんな、私ども持っておりますので、そうしたところでも、やはり先ほど来言っていますように、一定の行政水準というのは、これ全国やはり守らなきゃならないことでありますので、この基本はしっかりと守っていきたいと思います。
○金田勝年君 今後も、その地方自治体間の財政力格差というものに十分に注意を払っていただいて、税源の乏しい団体であってもしっかりと財政運営ができるように対応していっていただきたいということを申し上げて、その論点を変えます。
 次は、例えばスタート地点に着けない、着こうと思っても着けない、そういう地域というのは、やはりいろんな意味でインフラが後れているという地域があります。こういう地域。先ほども佐田大臣の方からも話がありました。要するに、そういう条件整備をきちっとするべきだというお話がありました。
 国土交通大臣、ちょっと所感をお願いします。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 委員の話を聞いていまして、確かにその頑張ろう、そういう意欲があっても条件が不利でなかなかそういう条件が成就できない地域があることはよく分かります。
 そういうことから、今まで全総法、全国総合開発計画法に変えまして、昨年、国土形成計画法というものが施行されました。これによりますと、本州と四国、九州、これを八つの地域に分けまして、その地域が自主的、自立的に、その持つ歴史や伝統、そして自然、あるいは特産物もありますし、また先生の温泉とかですね、そういうものも活用して、どういう地域づくりをしていくのかということ、そしてまた、それに合わせて高速道路をどうするのか、あるいは港湾整備どうするのか、こういうことを作っていただく。
 こういうことで、我々は、今御案内のとおり、公共事業投資、金額が物すごく聖域なく削減されました。そういうことから、限られた財源の中でもう真に必要な、真に必要な社会資本整備というものを効率化そしてまた重点化をもう徹底して進めていこうということでございます。じゃ、そのメルクマール、基準は何なんだ、それは、地方が作っていただいたその計画というものに我々は即応して進めていこうというふうに考えているわけでございます。
 例えば、先生の東北地方は東北六県と新潟県を加えた七県が東北の一つの地域、ブロックとして考えようということに進めております。そういう中で、先生方から、例えば日本海沿岸東北自動車道というものがもう早くから計画されていたのにかかわらずいまだ、物すごく切れていますね。そういうところを先生方の、ここは早くやれとか、あるいは秋田港あるいは山形の酒田港というところはコンテナ船が寄港するすばらしい重要港湾です。こういうものも使いながら、地域の発展、自分たちとアジアとをダイレクトに結ぶそういうものも造りたい。
 こういう計画を立てていただくならば、そういう方向ですけれども、我々は、乏しい財源ではありますけれども、真に必要な公共事業投資としてこれは重点的に最優先でやっていかなければならない、こんな考えで今進めているところでございます。
○金田勝年君 ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 それから、先ほどのお話に出ていましたが、地方の情報通信インフラ整備も必要だという話がございました。総務大臣、お願いします。
○国務大臣(菅義偉君) 去年、秋田の市町村を視察をしたときによく言われたんですけれども、携帯電話が通じないと若者はいなくなってしまうと。早く携帯電話が通じるように鉄塔建ててくれとかいろんなことを言われました。
 私ども総務省、二〇一〇年まではブロードバンドを日本全国津々浦々にということを考えておりますし、やはり今情報というのは極めて大事なものであるというふうに思ってありますので、地域の再生、魅力のある地方をつくるためにはどうしても必要だという観点から、これは全力を挙げて取り組んでいきたい、こう思います。
○金田勝年君 それから、やはり地域の活性化を図るときには、女性あるいは高齢者の力というものも活用させていただくことが非常に重要ではないかなというふうに思います。地域再生という観点から政府としてどのように考えておられるか、男女共同参画担当大臣、お願いします。
○国務大臣(高市早苗君) ありがとうございます。
 私の男女共同参画に関する基本的な考え方ですが、男性であれ女性であれ、どこにお住まいしていようが、やはり志を持って努力をしようとなさっている方がその能力に応じて平等なチャンスを与えられる、そのためにどうしても阻害要因になっているようなことを一つずつ取り除いていけたら、こんなふうに志しています。
 それで、今とにかく急いで始めなきゃいけないのは、昨年、昨年末に閣議決定されました第二次男女共同参画基本計画及び女性の再チャレンジ支援策ですね、この二つの確実な振興でございます。
 地方の女性の活躍ということでは、例えば農林水産省の方でも、農山漁村の女性たちがビジネスを起こしたいというときに相談をしたり情報提供したり、こういった事業のスタートということで頑張っていただいておりますし、それからまた、これは経済産業省で前からやっていただいておりますが、女性がビジネスに携わる場合に金利も少し安くしたり、いろんな相談の窓口を設置していただいております。
 それからもう一つは、これは国土交通省を中心にやっていただいておりますけれども、地域づくりの中で、観光ですとか、それから地域おこしそのものにリーダー的な立場で携わっていらっしゃる女性がまだ少ないということで、応援をしようというような政策に取り組んでいただいておりますので、内閣府の役割は、それら各省のお取組におしりをたたかせていただくことと、それからその成功事例をできるだけ効果的に広報させていただいて、各地域に参考にしていただくということでございます。
 高齢者に関しましても、同じように各地域で御活躍いただけますように、これはやはり就業支援ですね、それからまたボランティアなどで参加していただきやすい環境づくりに努めてまいりたいと思っております。
○金田勝年君 是非、各省にまたがる話が多いですから、しっかりと調整をしていただきたいというふうに思います。
 それから、歳出歳入の一体改革を進める中でのお話でありますので、非常に、何といいますか、大変なことは承知の上でありますけれども、やはり地域格差の是正、そして地域再生というものは重要な課題であるという観点に立って予算編成においても頑張っていただきたいと思うんですが、これは財務大臣に、どういう姿勢で以上の議論をお聞きになって取り組んでいただけるか、よろしくお願いします。
○国務大臣(尾身幸次君) 地域格差の是正、地域活性化というのは、再チャレンジその他と並んで安倍政権の最大の課題であると考えております。
 で、私自身は、実は財務大臣就任前は公共事業依存型から科学技術駆動型の地域経済の活性化というテーマであちらこちらで講演をしたりなんかをしておりましたが、科学技術に限らず、各地域の特徴を生かして、その地域の意欲あるアイデア、構想を実現するような体制をつくることは大変大事だというふうに考えております。
 そういうわけで、先日の閣僚懇談会におきまして、再チャレンジあるいは地域活性化というような安倍政権スタートいたしまして、九月の予算編成、各省から要求が九月の初めに出たわけでございますが、その後、いろんなアイデアがあれば、全体の予算、厳しい枠の中で、枠自体は変えるわけにはまいりませんが、できるだけの創意工夫があれば、そういうアイデアについては各関係省庁からお伺いをして、できるだけの対応をいたしますと、こういうお話をさせていただきました。
 財政面からも、厳しい財政の中で枠を変えるわけにはいかないという前提の中で、できるだけの対応をして、地域活性化の方向に向かって頑張ってまいりたいと考えている次第でございます。
○金田勝年君 是非、地域格差の是正ということでしっかりと各閣僚の本当にお仕事を財務大臣もサポートしていただければ有り難いと、こういうふうに思っております。
 それでは、総理に二問だけお聞きして、終わらせていただきたいと思います。
 本当にほかにも経済産業大臣、甘利大臣、お聞きしたかったこともあるんですけれども、割愛させていただきました。時間の関係で申し訳ありません。それから、農林大臣はもう農政のエキスパートですけれども、本当にちょっと時間の関係で失礼させていただきます。
 それでは、私は、まずその農業についてなんですけど、私の持論なんですけれども、我が国というのは古来、瑞穂の国と言われるように、国の大本は何といっても農業農村であるということであります。
 今農政というのは攻めの時代に入っておりまして、大転換期と言われております。集落営農とか品目横断とか、非常に新しい制度がどんどん出てきております。農村の現場では非常にこれを受け止めて苦労が多いわけであります。ですから、それでも、国土を守って、そして国民の命を養う、その農業に携わる人たちというのは、農家の人たちというのは懸命に働いて、そして制度にも乗っていこうというふうな努力をしておるわけであります。
 産業として成り立つ農業という一面と心のふるさととしての農業、この二面について、この二つについて、産業としての成り立つ農業ということと心のふるさととしての農業、我が国の指導者たる者はやはり情熱を持って、この二面性のある、二つの重要なポイントのある農業に情熱を持っていただかなければならないと思っております。
 食と農というのは国の財産であって、心であって、哲学であって、国の大本だという国民全体のそのコンセンサスを是非とも総理主導でつくっていただきたい。それが現場で頑張っている農家の皆さん、この皆さんにも希望を与えるということになると思いますので、総理の熱い思いをお聞かせいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 農業は、確かに先生が御指摘のようにいろんな側面があると思います。地域の自然を守っている、また日本はこの美しい自然と同時に美しい文化を持っているのでありますが、この地域の文化を涵養してきたのはやはりこれは農家であり、農地であり、林野ではないか、また美しい海もそうであります。そうした側面があるわけでありまして、ですからその基盤が崩れますと、その美しい文化も環境もこれは崩れていく危険にさらされていくと思います。
 そしてまた日本の食文化、おいしく、見た目も美しいし、そして安全である。その安全でおいしいこの食を提供するのが農業、漁業であるのでございまして、そういういろいろな側面がある。確かに、やっぱり心のふるさとという側面が、これは面があって、山陰地方には、私のふるさとには棚田というのがあります。これは山を段々に、いわゆる段々畑ではなくて田んぼが、圃場がもう段々になっているわけでありまして、そしてその先には日本海がございまして、そこはもう本当に見ていてはっとするほどの美しい景色であるのも事実でございまして、かつて日清講和条約を結んだときに、中国側、清の全権代表李鴻章が、耕して天に昇ると、こう書き残したのがこの棚田でございますが、そうした棚田というのは、では産業的な側面で競争力があるかといえば、それは非常に難しいわけでございます。
 しかし一方、この棚田を守っていこうという機運の中で、この地方都市の人たちが、自分たちがそこを借りて園芸農業的にお金を払って守りながらも自分がそこで稲を植えてそれを食べると。そして、自分はまたその美しい景観を守っているんだなというその思いも持てるということもあって、いろんな方々の御協力をいただいております。
 そしてまた、棚田のお米というのは大変、これは実は大変おいしいわけでありまして、寒暖の差があります、そしてまた古式的ないろいろな農法を使って、無農薬であり、またかつ天日干しにするという手間を掛けながら、それを売り物にすることによって結構多くの方々の需要を得ています。そして比較的高い値段でも売れているという、もちろん、だからこれが産業で成り立つということではないわけでありますが、いろんな工夫も重ねていくことは大切ではないかと思います。
 ですから、いろいろな面があるということも十分に認識する必要があるでしょうし、世界の人口がそもそもどんどん増えていく中にあってそれぞれの国が自給率を上げていくということは、その国のこれはエゴではなくて、これは世界のためにも貢献することになるのではないかと思います。他方、先ほど来松岡農林水産大臣が強調しておりますように戦略産業的な側面もあって、その側面は今まで余り顧みられなかったわけでありますが、そういう側面はしっかりと強化して、競争力のある農業も他方これはつくっていくという努力もしていきたい。
 いろんな側面があるということの中で、また地域を構成し、また地域を守っている大切な産業であるという認識も私は持ってまいりたいと思います。
○金田勝年君 あと一点だけ総理に聞いて終わらせていただきます。通告しておりまして、厚生労働大臣にも、本当に質問しなくて申し訳ありません。
 平成十四年の一月三十日、ですから今から五年前です。小泉総理に予算委員会で私はこれから話す言葉を申し上げました。さっきのも申し上げたんですけれども、今の質問のですね。食糧も水も自然も電力などのエネルギーも労働力も地方が作って都市に供給しているんだと、こういうことですね。地方の農山村があって都市があるんだと、ふるさとの心の支えがあって都市の発展があるんだと、都市があって地方があって美しい日本があるんだということであります。
 この美しい日本というのは、私も五年前に言っておりました。だから本当に、もう所信を聞いたときに涙が出るほどうれしかったんですが、そういう思いを是非共有させていただいて、私たちもどうかこの美しい国づくり内閣の安倍総理を始めとする皆さんと一緒になって、いい、美しい日本をつくっていくために頑張っていきたい、こういうふうに思いますので、最後に地域格差の是正について、総理からの思いを、熱い思いを聞いて、終わらせていただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 確かに、先生がおっしゃったように、地方が水や食糧や、そして空気やおいしい環境を、すばらしい環境を都市に提供している。のみならず、金田先生のような人材も提供しているのも事実だと思います。そういう中で、やはり都市は都市だけで成り立たないという認識を持つのは大切であります。都市だけが栄えていって、それが本当にそのまま栄え続けるかといえばそうではないわけであって、活力ある地方があって初めて都市も国際都市として栄えていくのではないか。
 その中で、確かに地域間の格差が出てきているのも事実でございます。そういう中で、私は今回、地域活性化のために佐田大臣を担当の大臣に置いたわけでございまして、この地域間の格差において、地域の差があるのは、むしろ私は地域の差というのは、それぞれの個性という意味で差があるのは当然であって、むしろその個性を生かして発展していくことができるように、いろいろな側面がございます、構造改革の特区を活用したり、あるいは地域再生や都市再生や、また観光立国で行っている様々な諸施策を遂行していく、あるいはまた、先ほど申し上げました頑張る地方応援プログラムを活用して、地域が未来を見詰めることができる、そういう地域、地方をつくってまいりたいと思います。
○金田勝年君 終わらせていただきます。
○委員長(尾辻秀久君) 関連質疑を許します。愛知治郎君。
○愛知治郎君 自由民主党の愛知治郎でございます。
 私自身、この委員会の場で総理に質問させていただくのは初めての経験でございます。大変光栄に存じますとともに、この機会をいただきました諸先輩方に感謝を申し上げる次第であります。
 また、総理、後ればせながら、総理就任、誠におめでとうございます。初の戦後生まれの総理として大変御期待を申し上げておりますとともに、また若くしてこの重責を担われることに心からの敬意を表する次第であります。
 まず、私自身、いろいろ質問したいことがあったんですけれども、特に地域経済の話などは今同僚の金田委員が随分質問していただいたので、近々の問題であります北朝鮮の核の問題について質問させていただきたいというふうに思います。
 いきなり就任して間もないときにこの大きな問題が生じてまいりました。大変な御苦労だと思いますけれども、実はこれについても私も申し上げたいことがいろいろございました。まず最初にそのお話をさせていただきたいと思います。
 総理は、所信表明の中でアインシュタイン博士のお話をしておりました。実は、このアインシュタイン博士と私自身も遠からぬ縁があるというか、様々な御縁がございます。
 実は、私の祖父が愛知揆一というんですけれども、国会議員をやっておりました。岸元総理の、内閣の下で官房長官とか法務大臣とかを務めさせていただきました。その節は大変お世話になりました。
 そういうことを言いたいというわけではなくて、その揆一の父親、愛知敬一といいまして、東北大学で物理学を学んでおりました。その物理学者としてアインシュタイン博士と親交を持たせていただいておりました。そのアインシュタイン博士が仙台に来たときに幼少時代の揆一がお会いをして、そして言われたそうです。君も頑張ってお父さんのような立派な物理学者になってくれ、勉強してくれって激励をされたらしいです。
 その後、戦争がありまして、戦後、揆一は国会議員になりました。国会議員になって、再びアインシュタイン博士とお会いする機会がありました。で、揆一は一言申し上げたそうです。せっかく幼少のころに頑張って物理学者に勉強してなってくれと言われたけれども、私は国会議員に、政治家になってしまいました、先生の御期待に沿えずに申し訳ありませんでしたという話をしたら、博士は言ったそうです、そんなことはないと。私自身は人類のためを思ってこの核エネルギーというのを一生懸命研究してきたけれども、大変に残念なことにこの核というものが兵器として使われてしまった。これを二度と兵器として使わせないために、科学者では限界がある、やはり政治家が責任を持って使わせないために頑張っていただきたい、国会議員になって、政治家になって、こういう仕事に就いたのは私にとっても本当に有り難い、頑張ってほしいと激励をされたそうです。
 今、現実の問題としてこの核の問題が出てきております。我々は結果に責任を負わなければならない、この核兵器を使わせてはならない。もっと端的に結果だけを言いますと、具体的な結果を言いますと、日本国内で核兵器が爆発するという最悪の事態は絶対避けなければいけない、それが責任だと思います。
 そのためにあらゆる手段を講じていかなければならないというふうに考えておりますが、総理の見解をお聞かせください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 北朝鮮のこの試み、つまり核武装をし、そしてその運搬手段であるミサイルを開発をし、地域に脅威を与える、そしてそれによって自国を大きな言わば力にしていく、自国の力を向上させようという試みは、これは、そういう試みと結果は全く逆の方向になるということを北朝鮮に理解させなければならないわけでございます。
 この北朝鮮が核武装し、そして運搬手段を持っているということは、我が国にとりましては極めて重大な脅威であり、断じて許すことができないわけであります。北朝鮮に核を放棄させる、そして核、この開発の試みを放棄させるべく、国際社会と連携をし、しっかりと北朝鮮にこの放棄を迫ってまいりたいと思います。
○愛知治郎君 ありがとうございます。
 本当に重責だと思いますけれども、私としても、与党、一致団結をして、そうならないように応援をしてまいりたいと思います。
 ちょっと具体的な話も、私自身も防衛の政務官をやらせていただいた経緯もございますので、安全保障からの件でもお話をさせていただきたいと思います、具体的な話を。核を、兵器を使わせないということでお話をさせていただきたいと思います。
 第一義的には、やはり外交だと思います。あらゆる外交の手段を取って、おっしゃったとおりに核を廃棄させる、使わせないということが何よりも優先されるということでございます。
 次に、防衛、安全保障の視点なんですけれども、やはり抑止力、撃って、核兵器使ったら反撃に遭う、絶対に使ってはならないということをしっかり示す必要がある。それが第二点であります。
 もう一点、やはり検討していかなければならない話なんですが、自衛権の発動ということでございます。これも法律的な、憲法的な議論がいろいろあるというのは分かっておりますけれども、例えばミサイルを設置をして燃料を注入して今にも撃とうというときに、これは緊急避難、正当防衛、緊急避難的にそのミサイルを破壊するという選択肢もやはり検討しなければならないというふうに思います。
 もう一点なんですが、やはり撃たれてしまった、万が一撃たれてしまったときに、それを撃墜しなければいけない、日本に届かないようにしなければいけないという話であります。ミサイルに関してはそういった点。
 もう一つ可能性あると思います。核兵器を秘密裏に日本国内に持ち込まれると。不審船であるとか工作員が持ち込んで、それを日本国内で破裂させるという可能性も否定はできない。対応をしっかりしていかなければならないということだと思います。
 個別具体的な、大体大まかに言うとこれぐらいだと思うんですけれども、また細かい検討はしなくてはいけないですけれども、具体的に総理の認識もこの辺りでいいのかどうか、ちょっと見解をお伺いしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、外交努力をしていくのは当然のことでございます。基本的に、日本を始め国際社会は、この問題を平和裏に外交的に解決をしていくために最後まで努力をしてまいる、その認識で一致をしていると思います。
 そして、もちろん北朝鮮に対して、そういう攻撃をすると、万が一そういう攻撃をすればますます、もちろんこういう試みそのものもそうなんですが、それは、日米は同盟関係にあるわけでありまして、正に日本を攻撃をするということは米国を攻撃することと同じでございます。そのことは、先般ブッシュ大統領と電話で会談をいたしましたときに大統領から、日米の同盟関係に基づく抑止力は微動だにしないと、揺るぎないものであるという発言があったわけでありまして、正にそのとおりでございます。この抑止力をしっかりと日米が緊密に連携をさせていくことによって抑止力を利かせていくことも重要ではないかと、このように思います。
 そしてまた、常に我が国を守るためにはどうすればいいかということを検討、研究していくのは当然だろうと、このように思うわけでございます。
 また、ミサイル防衛網の整備につきましても、整備について着手をしている、整備を予算の面で既にこれは始めているわけでございますが、このミサイル防衛の整備についても、限られた予算の中ではありますが、こういう状況を踏まえまして促進していくべく努力をしていきたいと思います。
○愛知治郎君 ありがとうございました。
 本当は専門的な、長官にもっと詳しくお伺いを最初からするつもりだったんですけれども、総理にお答えをいただきました。本当にありがとうございました。
 個別な話はやはり防衛庁長官にお伺いをしたいと思います。
 先ほど申し上げた三番目なんですけれども、いざミサイルを準備して燃料を注入して、挙げ句の果てに、こういう可能性もあると思うんですけれども、撃つぞと宣言をされた、じゃどうするかということなんですけれども、具体的に、これは現実の法整備やその憲法上の問題、それは別として、現実問題として、今自衛隊はそのような状況のときにそのミサイルを破壊することができるのか、現状をちょっとお話ししていただきたいと思います。
○国務大臣(久間章生君) 従来から我が国は、盾は使うけれども矛は持たないというようなことから、日米安保条約を結んで、そのまた日米同盟関係を、コミットメントを高めてきておるわけでございますから、やはり原則的には敵地まで行って攻撃するのは米軍にやってもらうという、そういう姿勢はやはり現在やっぱり持ち続けるべきだと思います。
 今おっしゃる状況がどういう状況か、ちょっと詳しくは分かりませんが、いきなり撃ってくるという、宣戦布告してもう戦争状態になってしまえば、これはミサイルを撃つのはいきなり第一発から撃ってくるのか、戦闘状態に入ってしまってから撃ってくるのか、それによっても違いますけれども、原則としては、やはり日米同盟がそのためにあるんだと、日米安保はそのためにあるんだということをみんなにも言ってきているわけでございますから、我が国が先に攻撃するということはしにくいという雰囲気、状況にあることは御理解いただきたいと思います。
○愛知治郎君 ありがとうございます。
 私は何を言いたかったかというと、そういった場合に、自衛隊は基本的に想定をしていない、装備はないということを国民の皆さんにも知っていただきたかった、現状をまず知っていただきたかったということがございます。
 その次の第四点目、BMD、ミサイルディフェンスという話なんですけれども、これも分かりやすくまず現状をお話をいただきたいと思うんですが、もう随分分かっている方々も多いとは思うんですけれども、私自身も一生懸命一般の方々、特に若い人、すべて皆さんに分かりやすく説明しているんですが、いろいろ聞かれます、テポドンであるとかノドンであるとかスカッドであるとか、そのミサイルの種類を。こういったミサイルの種類、分かりやすく正確にどういったものであるかということを教えていただきたいと思います。
○国務大臣(久間章生君) 北朝鮮を例に取っていいますと、北朝鮮の持っている、今まで開発してきたのがスカッドという、これの今持っているのはスカッドB、スカッドCということですけれども、これは三百キロあるいは五百キロの距離を飛ぶミサイルでございまして、これを中東その他に売って稼いでいるんだという話もございますが、これは三百キロ、五百キロですから、日本まで届かないわけであります。しかしながら、この間発射されましたノドンでありますと、この改良型だったら千三百キロということでございますから、ほぼ日本は全部が入るだろうと思います。
 それから、この間失敗したと言われておりますけれども、テポドン2、これだったらもっとそれ、六千キロといいますから、これはグアムとかハワイまで届くんではないかと。そういうような種類のミサイルを次々と開発を続けてきている、そしてノドンまではできてきている。しかも、ノドンについては、いわゆる台車に載せて車から発射できる、そういうようなこともやっているし、前回のときも多分それでやったんじゃないかと、そういうふうに言われております。
 したがいまして、私どもとしても、やっぱりミサイルが発射された段階でどうやって防ぐか、これについてやっぱり考えていかなければならないわけでありまして、私は、十年前、防衛庁長官に就任したころからその話は出てまいりました。しかしながら、正直言って弾道ミサイルでございますから、宇宙圏に行って落ちてくるわけでございますので、そういうことができるだろうかという疑問を持っておりました。
 私がまたアメリカに行きましたときに、いろんな試射、実験の、まだその当時は本当に初歩の段階でございましたから、まあTHAADとかTMDとかやっておりましたけれども、失敗した例ばっかり見させてもらいましたので、これはなかなかまだ技術研究まで進まないんじゃないかというようなことでやっておりましたが、その後、着々とやっぱりアメリカも技術改良を重ねていきまして、かなり精度は高くなって、そして今度、今、この間入れましたPAC3なんかにおきましても、これは九割ぐらいの精度じゃないかと言われておりますし、今イージス艦に搭載するSM3についても九割ぐらいの精度だと言っておりますから、こういう形で、いわゆる高高度で、高い宇宙にあるとき、それから落ちてくる、この二段階でとらえていくと、かなりのやっぱり精度の防御ができるんじゃないかという、そこまで出てまいりました。
 そして、我が国が協力することによって、特に我が国の場合はセンサーといいますか、非常に目の部分は得意でございますから、電子技術としてですね、そういう部分で協力することによって、これも今技術開発が進んでおりますので、かなりまた精度が高まっていくんじゃないかなというふうに、そういう点で、この問題については平成十六年から予算も一応入れるような形で予算編成してもらいまして、今やっておるところでございます。
○愛知治郎君 ありがとうございました。
 まず、ノドンというのはしっかりと日本をねらえる、日本に発射して精度も相当高いだろうということで認識をさせていただきます。
 それからもう一つ、今いろいろ技術的なお話をされましたけれども、では現実的に、イージス艦からSM3というミサイルでまず第一義的に迎撃をするという話はされておりますけれども、それがしっかりと配備される、この計画について、また、一隻だけで守れるのか、何隻持っていればいいのか、今後の計画ですね、それなりの日本の防衛システムが整うまでにどういった時間なり、その経緯というか、これから予定されているのか、掛かっていくのか、教えてください。
○国務大臣(久間章生君) 今言いましたように二種類のやつがあるわけでございますけれども、これにつきまして、平成十六年度から予算化されまして、二十三年度まで八年間掛かって整備することにいたしておりまして、PAC3については、これを四個高射群、大体十六個隊配備するということで、一番早いのが十九年度末になっておりました。しかしながら、これは、最近のこういう状況でもございますから一年、一年といいますか、十八年度末までに入れられないかというようなことで今やっておりまして、多分一個分はそういう形で入ってくるんじゃないかなと思っておりますし。
 また、先ほど言いましたSM3につきましても、これもできるだけ早く、十九年度末となっているのを十九年中には入れるようにと。それで、できることならばあと二十三年までになっておりますのを前倒しをしまして少し早めにしたいという気持ちは持っておりますが、これは予算との関係もございますし、また製造能力との関係もございますから、どれだけ早めることができるか、ここのところはまだこれから先の検討でございます。
 いずれにしましても、こういう状況になってまいりますと、やっぱり国民の不安を取り除く必要がありますので、少し前倒しを考えないといけないというふうに思っておるところであります。
○愛知治郎君 是非頑張っていただきたいというふうに思います。
 重ね重ね言いますけれども、最終的な最悪の結果を招かないために全力を挙げていかなければならないということであります。
 次に、総理に質問をさせていただきたかったんですが、総理の美しい国、これもまた所信の中でおっしゃっておられますけれども、第一に、一つ目に、「文化、伝統、自然、歴史を大切にする国」ということをおっしゃられております。私も全く同感であります。この歴史についてお伺いをしたいというふうに思います。誤解がないように、今の総理の歴史認識云々という話を質問するつもりはございません。
 先日、衆議院の方の予算委員会で総理がおっしゃっておられ、答弁されておりました。最終的に言うと、歴史はあくまで歴史家に任せるべきではないかと、政治的ないろいろな問題が生ずるので歴史家、専門家がしっかりと検証していくべき、これは戦争の歴史ですね、ということをおっしゃられました。私も全く同感であります。
 政治的、まあ言い方が悪いかもしれないですけれども、政争の具にすべきではないと、冷静に検証しなくてはいけないというふうに思いますが、この検証が非常に大事だと思うんですが、私自身、残念ながら、本当に申し訳ないですけれども、私とか同世代、若い世代、特にですね、にとって、戦争の歴史を調べてみて、意外と全然分かってないというのが正直なところだと思います。あとは、せっかく調べよう、勉強しようと思っても、どの文献を見ていいのか、どういうふうに勉強していいのかなかなかつかめないということもございます。
 この戦争の検証の必要性、総理、どのようにお考えでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、国としては、そういういろいろな資料についてはしっかりと保存をしていく、いろいろな文書類、歴史的な資料、文書、行政に係る文書も含めてですね、それはしっかりとこれは保持していく責任というものがあるだろうと、このように思います。
 と同時に、またこの歴史の検証というのは、委員がおっしゃったとおり、これは言わば政治的な観点から、あるいは外交的な観点から議論をしますと真実からそれていくことにならざるを得ないわけでありまして、これはやはり歴史家が真摯に分析を、専門的な見地から分析、研究、考察をしていくことが大切ではないかと。静かな環境の中で行われることが望ましいのではないかと思います。
○愛知治郎君 ありがとうございます。私も全く同じ考えであります。
 実は、ただ我々若い世代、私は、私もそうですけれども、やはり知りたいというのはあります。より真実に近いものを正確に知りたい、何があったのか。また、そのことをしっかり若い世代が引き継いでいくことが、尊い犠牲になられた方々に対する我々の責務だというふうに考えております。ただ単に、もちろん大事ですけれども、手を合わせることも必要ですが、それ以上に、その歴史をこれからに生かしていくということが何よりも大事だというふうに考えております。
 その中で、資料の保存ということがありましたけれども、私もいろいろ調べて初めて見たんですけれども、これは戦前の新聞のコピーなんですよ。具体的な中身は申し上げませんけれども、これを見て私も、いろいろその当時の状況、なるほどいろんな状況があったんだな、私の知らないことが山ほどあったんだなということを知りました。
 また、これもお恥ずかしい話なんですけれども、防衛の政務官になってから初めて特攻に行った方々の遺書の現物を見ました。私の地元でも、友人、知人に話を聞いて、その遺書の原本ですね、本当にそのものを見たことがあるかって聞いたら、私の友人、知人の中には一人もいませんでした。これは本当に我々は見なくちゃいけないですし、決して忘れちゃいけないですし教訓としなければならない、そういった機会を是非つくっていただきたい。
 総理は今、保存はするという話はありましたけれども、学校の例えば修学旅行生がみんな見に行けるとか、我々世代、もう基本的な学校教育は終わっていますから今から勉強しなくちゃいけないということでありますけれども、そういった機会を是非提供していただきたい。できれば国立の博物館であるなり、そういった展示をするところを責任を持って、できるだけそういった政治的意図を排除して客観的な歴史というものを残していただきたいと思いますが、総理の見解はいかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) そうした残された文書等について、そうした文書に触れるということはその時代のことに対して思いをはせることにもつながってくるわけでありますし、そうした歴史的な事実について勉強する機会を提供していくことは重要ではないかと思います。
○愛知治郎君 是非お願いします。
 また、そういった施設を仮に造るのであれば、そのときに客観的事実というのは整理をしなければならないと思いますし、いろんな人たちがかかわって、また公明正大、オープンに造る機会というのができれば、歴史の研究というのも更に進むと思いますし、国民もより多くの人たちが学べると思います。是非検討していただきたいというふうに思います。
 この教育なんですけれども、私自身、この世界でいうとまだまだ子供ではありますけれども、一般の社会でいいますとそれなりの大人であります。大人が、特に若い大人だけではないですね、大人社会がもっともっとそういった問題をしっかりと勉強しなくてはいけない。教育とは子供だけの話ではないと思います。
 そういった歴史が、教育が必要だと思うんですけれども、今総理も非常に教育に熱心に取り組まれるということをおっしゃられております。それは大事なことでありますけれども、その教育、子供だけではなくて、やっぱり社会全体がしっかりと本当に大切なものを学び直すというのは必要だと思います。
 なぜかといいますと、よく、私は小さいころに聞いたこともあるし、今でもそう思っているんですけれども、子供社会ですね、子供というのは大人社会を映す鏡だというふうに言われております。やはり大人社会がしっかりと範を示していくことが何よりも大事だと思うんですけれども、その点についての総理の見解を聞かせてください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほどの答弁、資料についての答弁を少し補足をさせていただきますと、政府としては歴史資料として重要な公文書等を独立行政法人の国立公文書館に移管をいたしておりまして、この国立公文書館におきまして公文書等を適切に保存をして国民の利用に供しているわけでありますが、また、この同館のアジア歴史資料センターにおいて、国の各機関が所蔵しているアジアの歴史資料をデータベース化して、インターネットを通じて広く内外に情報提供を行っているところでございます。
 子供たちに対して教育を通じて我が国の歴史について学んでもらうことは、もちろんこれは極めて重要であると思います。日本の歴史、また世界の歴史について学び、そしてまた、当時の人々、また状況について思いをはせる、そういうことも重要だろうと思います。そして、それと同時に、歴史を謙虚に振り返りながら、また私たちの歩んできたこの歴史に静かな誇りを持てることも私は重要ではないかと、このように思います。むしろ、真の国際人をつくっていくためにも、自分の生まれ育った、また自分が生活をしているこの日本の歴史についてよく知識を備えているということは、当然私は必要だろうと思います。
○愛知治郎君 ありがとうございます。
 知識を引き継いでいく、それも大事でありますけれども、もう一点、検証して未来にどのように生かしていくか、これも我々の課題だと思います。
 次に、歴史教育の話があったんですけれども、もう一点、環境教育についてお伺いをしたいと思います。
 子供たちに環境の大切さというのを教えていくのは当然なんですけれども、先ほど申し上げたとおりに、やはり大人社会がこの環境問題、積極的に取り組んでいかなければならないというふうに考えております。まあ地球温暖化対策ということで頑張ってやっているのはほとんどの国民の皆さんが知っていると思いますが、一点、もう一点、なかなか多くの方に知ってもらえないかもしれないんで、この場で明らかにしたいというか、お伺いをしたいんですが、生物多様性条約締約国会議というのがあるんですけれども、その会議について環境大臣にちょっと詳しく教えていただきたいと思います。
○国務大臣(若林正俊君) 委員が、日ごろからこの環境問題、環境対策に非常に御熱心でありますことを敬意を表しておきたいと思います。
 人類がこの地球上に現れたというのは一体いつごろかと、これは子供たちが好きな話ですけれども、恐竜が死に絶えたころから人類が表に出てくるんですね。六千三百万年前と、こういうことであります。人類はその自然の中で、地球自然の中で生きてきております。私は、人間というのは自然の一部だというふうに思っておりますが、少なくとも自然とともに生きると、自然の中で生かされてきていると、これが人間の姿だと思うんですけれども、産業革命が起こったころから大量生産、大量消費、それから化石資源を、石油とか石炭とか化石資源を使うようになって経済活動が活発になってくるにつれて、地球環境の汚染というのが始まってまいりました。だから、空気でありますとか水でありますとか土壌でありますとか、中には地球を取り巻いているオゾン層の分解、破壊でありますとか、今、地球温暖化の問題が出ています炭酸ガス、CO2の問題と、いろんな問題が出てきていますが、これいつごろから出てきたかというと、産業革命ですから、わずかまだ二百年前ぐらいなんですね。だから、数千年の間、人間がずっとこの地球の中で生きてきて発展してきたその長い歴史の中で、この環境が壊され始めたのがわずか二百年ぐらいですが、大変加速的に地球環境の汚染が進んでいるわけでございます。
 そういう意味で考えますと、今、子供のころから、あるいは地域の中で、学校で、さらに家庭で、環境を破壊しない、環境と自然と共存しながら環境を守っていくというような意識をそれぞれかなり強く持たないといけない状況になっていると私は考えておりますが、こういうことは、実は一つの国だけで頑張ってみても、この宇宙船地球号と言われています地球全体、国境を越えて対応しないとうまくいかないんですね。
 お話しの生物多様性の条約というのは、この生物は植物も動物もともに入っているんですが、数多くの種、資源というものがだんだんだんだんと非常に危機的な状況の中で減少をしてきております。こういう、これも人間と同じように自然とともに生きてきたわけでありますから、こういう生物の多様性が破壊されていく、壊されていくということは人類にとっても大変危機的な状況ですし、その生物の資源の中には将来の、未来の人間にとって大変有用な資源があるわけですからね。これをどうやって守っていくかということを国際的に協力しながら守っていこうということでできているのが、おっしゃられた生物の多様性条約であります。
 具体的には、一九九二年のリオデジャネイロで開かれた地球サミットというのがありました。この地球サミットの大きな成果として生まれた条約でございます。この条約で、人類の生存基盤であります地球を守るという意味でお互いに協力しながら生物の多様性を守っていこうと、そして生物の多様性がどんどんと減少していくのにブレーキを掛けたいということで、日本も主導的な立場でこれに加わっているわけでございます。
 そういう意味で、この生物多様性の国家戦略を立てて、人と自然が、生物や植物が共生するような社会づくりに取り組むという意味で、この生物の多様性条約というのは大変大きな役割を果たしていると思うんですが、まだ緒に就いたばかりでございます。その意味では、気候変動条約のいわゆる京都議定書ですけれども、そちらの方が早く進んでいますし、渡り鳥のラムサール条約とかワシントン条約などでの希少生物の保護とか、そちらの方が進んでいますが、この多様性の、御質問のありました多様性の保持の条約、国際活動というのはまだそういう国際的な協約ができるという段階に至っておりません。
○愛知治郎君 丁寧な御答弁、ありがとうございました。
 実は、この生物多様性条約締約国会議というのでありますけれども、略してCOP、COPと言うんですが、私の父が環境庁長官をやっていたときにずっと頑張って積極的に取り組んでおったんですが、その当時、COP3だったんですけれども、ずっとやってきまして、次の回というのがCOP10、十回目だということなんですけれども、先ほど言った、しっかりと環境問題に取り組んでいるということを示すためにも、日本が環境問題でリーダーシップを発揮するということのためにも、是非このCOP10、日本で開催すべきだと思うんですが、総理、どうでしょうか。是非この招致に向けて頑張っていただきたいと思いますけれども。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 日本こそ正に自然との共生、古来からそういう中で日本人が営みをこれはずっと続けてきたのではないかと思います。むしろ、自然を征服をするというよりも、この自然の美しさを取り入れながら共生し合う中での人生が、やはりこれはすばらしい人生だなと、このように考えてきたのではないかと思います。
 それは、例えば庭を造るに際しても、言わば自然を大改造していくということではなくて、自然の良さを、この山紫水明を取り入れた庭を造っていくというのが日本人の基本的な生きる姿勢ではなかったかと思います。
 また、この生物の多様性というのも、いろんな生き物がいるということに面白みを感じるわけでございまして、そういう意味で、今委員が御指摘になられましたCOP10のこの第十回の締約国会議を日本で開催するために努力をしてまいります。
○愛知治郎君 ありがとうございます。是非頑張っていただきたいというふうに思います。
 さて、先ほどから教育という話をしているんですけれども、そもそもやはりこの国は問題を抱えておりまして、子供たちの数が減っているということでございます。この少子化問題ですね、ちょっと気が引ける話ではあるんですけれども、やはり原点というか、そもそも論というのをお伺いをしておきたいと思います。(発言する者あり)いやいや、失礼しました。そもそも、少子化担当大臣にお伺いをしたいというふうに思います。
 この少子化、一体全体何が問題なのかはっきりと教えていただきたいというふうに思います。
○国務大臣(高市早苗君) 少子化によってどんな問題が生じるかという視点かと今伺ったんですが、例えば、その少子化が原因で急激な人口減少が続くという状況が仮に今後ずっと続いたといたしますね。そうしますと、やはり経済成長の鈍化という視点は否めないと思いますし、それから社会の支え手、つまり税や社会保険料の負担をする人も将来的に減っていくわけですから、社会保障のサービスの低下ですとか、あとお一人当たりの納税者の負担も重くなっていく可能性がございます。
 しかし、それ以上に私が心配をしているのは、子供が欲しくて欲しくて子供を育てたいと真剣に思っている方々が、それでも出産や子育てをためらうような社会環境を放置したとしたら、その方々にとってたった一度の人生で自己実現の機会を奪ってしまうと、こういったことも私は案じております。
 それから、やはり社会に、自分に子供がいなかったとしても、地域社会に子供の姿があるというだけで、少なくとも私は何か日本の未来に対する夢ですとか楽しみというものを感じることができます。ですから、そういう姿が消えることはやはり社会の活力低下につながるんじゃないだろうか、こういったデメリットを感じております。
○愛知治郎君 ありがとうございます。
 この少子化の問題、あえてお伺いしたのはなぜかというと、今おっしゃったとおりに、経済とか税とか社会保障、負担という話が先行しているように思われるんですが、それだけを聞くと、子供たちって何のために生まれてくるのか、単なる借金を背負わせるために一杯産めという話につながるんじゃないか、そうあってはならないというふうに思います。大事な視点だと思います。
 実は、後で財政の話をお伺いをしようと思ったんですけれども、若い世代、非常に悲観的になっております。一生働けども働けども全部借金を返すためだけに我々生きているんじゃないか、大まじめでそういう議論をしているということもありますんで、子供にそう思われるような政策は取ってはいけないと、大事な視点だと思います。
 ところで、私の基本的な認識ですけれども、確認のために申し上げますが、一番大事なのは、まずこの少子化対策ですね。子供を産み育てることの尊さというのも若い人たちにしっかり教えていかなければならない、これがまず第一点、一番大事な話だと思いますけれども。
 それから、おっしゃったとおりに、私もそれは全力で応援するべきだと、これが一番メーンな施策だと思うんですけれども、産みたい人、育てたいという人たちをしっかりとサポートして応援をしていく、これはやはり大事だというふうに思います。
 また、第三番目なんですけれども、やはり生まれてきた子供たち、これはだれか一部の人たちだけの、例えば親とか先生だけの問題ではなくて、社会全体が子供を大切に育てていくというのは大事なことだと思います。
 この点について担当大臣の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(高市早苗君) 今先生がおっしゃったとおりだと思います。大いに賛成いたしますし、そのためにやはり新しい少子化対策、今年の六月にまとまりましたもの、この進捗状況ですとか、それから運用上の問題が出てやしないかということを私、就任以来徹底的に今リサーチいたしておりますので、更に改善した形で実現したいと思っております。
○愛知治郎君 是非頑張っていただきたいと思います。
 第三の点で、これは一例を挙げたいと思うんですけれども、社会全体で育てるということについての制度をお伺いをしたいと思います。里親という制度があると聞きました。この里親の制度についてお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(柳澤伯夫君) お答え申し上げます。
 子供の成長、発達のある段階において愛着関係の形成というのは極めて重要でありまして、そのためにも温かい家庭環境の中で養育するということが重要であります。その関連で里親制度は大変有意義な制度であるというふうに厚生労働行政上位置付けております。
 このために、我が省としては、これまでも里親制度の普及に向けて、専門里親制度の創設など、制度の充実を図ってきたところでありますけれども、平成十八年度、本年度からは更に、児童相談所に新たに里親委託推進員を配置することによりまして里親候補者の掘り起こしや施設に入所している子供を里親へ委託をする、そういうことを推進しているところであります。こうした取組の中、ここ数年里親への委託が増加の傾向をたどっておりまして、現在、要保護児童の八・四%がこの里親への委託という形で愛情の中で育てられるということになっております。
 先ほど担当大臣からもお話がありました平成十六年度に策定されました子育て、少子化対策のプランの中には、この要保護児童の里親への委託のパーセンテージを平成二十一年度に一五%に上昇させるということの目標を掲げておりまして、私どもとしても今後ともこの実現に向けて支援を推進してまいりたい、このように考えております。
○愛知治郎君 ありがとうございました。
 要保護児童、今現在八・四%が里親、これを一五%にする、大事な話ですけれども、それでも八五%の子供たちは残念ながら寂しく育っていると。いろんな方々が、施設の大人たちが見ていると思うんですけれども、やはり子供は愛情を持って育てていかなければならないというふうに思います。是非頑張ってください。
 続きまして、歳出削減の話に移らさせていただきます。
 お先真っ暗にしないようにしっかり責任を持ってやっていかなければならないということなんですけれども、この国の今、現状を、なかなか数字がつかみにくいんで、私は分かりやすいように例え話をして一般の方々にお話をさせていただいておるんですが、国と地方を夫婦共働き、夫と妻ということで、一般のもう少し分かりやすい数字に置き換えたという例え話があるんですが。
 夫と妻、細かい数字は言いませんけれども、収入の、合わせて、年収ですね、九百五十万円の家庭があったとします、夫と妻ですね。その九百五十万円で収入がある家庭が毎年毎年四百十万円の借金をしながら千三百六十万円の生活をしているというのが今の現状。そして、その借金の合計が、どれぐらい借金を持っているかということなんですけれども、七千七百五十万円だという比喩というか例え話をしておるんですが、この数字、財務省、まあ例え話でありますけれども、大体一般家庭に置き換えると、ということでお伺いしたいと思うんですが、正確でしょうか。
○国務大臣(尾身幸次君) 財政状況、今の例え話のとおりでございまして、年間のこの今の例で申しますと、日本の税収の九年分ぐらいの借金があると、こういうことでございます。
 私どもも、今GDP、国民総生産の一五〇%の借金の残高を抱えているということでございまして、この借金の残高の水準というのは世界一高い。GDPの比率でいいますと、日本の次に高いのがイタリーでございまして一二〇%、GDPの一二〇%でございます。ヨーロッパのイギリスやフランスやそういう国々は、大体において五〇%から六〇%ぐらいの借金残高の比率でございます。
 国民負担率という概念がございまして、国民一人一人が年間納めている健康保険の掛金、年金の掛金それから税金、そういうものを合わせまして、この負担率が国民所得の三八%という数字になっております。三八%はどういうことかといいますと、日本の一人当たり所得が四百三十七万円でございまして、分かりやすいために一人当たり百万円といたしますと、百万円の所得のある人が三十八万円そういう税金とか保険の掛金を納めていると、こういうことでございます。
 この三十八万円という数字はほかの国と比べて極めて低い水準でございまして、例えばヨーロッパでいいますと、大体百万円の収入がある人が五十万円から六十万円ぐらい納めている。社会福祉の国スウェーデンと言われている、スウェーデンは、社会福祉、いわゆる老人ホームもただ、学校もただ、その他、いわゆるお年寄りになっても生活に困らないわけでありますけれども、そのスウェーデンは百万円の所得に対して七十一万円の税金及び医療保険の掛金等を納めているわけでございまして、百万円の所得の人は二十九万円しかいわゆる可処分所得がないと、こういうことになっているわけでございます。
 そういう意味で比較いたしますと、ほかのヨーロッパの国々も大体五〇%ぐらいの、百万円に対して五十万円ぐらいの税金あるいは医療保険の掛金等を納めているというわけでございまして、三八%という数字は世界一低い。
 アメリカが実は名目三二%になっておりますが、アメリカはいわゆる国民皆保険がございませんで、私的に払っている、自分でお医者さんとかあるいは保険に掛金を掛けています私的保険、そういうものの差を日本と考えますと、比較しますと、大体八%ぐらいの差がございます。その差を足しますと、日本と比較して、日本が三八%、つまり百万円に対して三十八万円であるのに対して、アメリカは四〇%、四十万円ぐらい払っていると、こういうことでございますから、国民が国及び地方公共団体などに納めているお金というのは実は世界一低い。したがって、日本という国は、世界最大の債務国であるのと同時に、国民が負担している額は世界一低いということになっているわけでございます。
 さはさりながら、無駄な経費を使い、また無駄な支出をして国民の負担を上げるというわけにはまいりません。国民の理解と納得を得るためには極力必要な経費を削減をしていかなければならない。したがいまして、来年度予算におきましては、国民の負担の最小化を目標に歳出削減を徹底してやらざるを得ないと、こういう状況でございまして、この厳しい歳出削減、国民の皆様にも非常にこれ厳しいことになることは重々承知でございますが、そういう方向によって財政再建の第一歩を踏み出してまいりたいと、こういうふうに考えている次第でございます。
○愛知治郎君 ありがとうございます。
 やはり専門家ですから非常にお話が詳しくなっていると思うんですが、分かりやすくもう一度私から申し上げますと、繰り返しますけれども、年収が九百五十万円の家庭が千三百六十万円の生活をしている、そして借金が七千七百五十万円あるというのがこの国と地方を合わせた国全体の状況ですよね。千三百六十万円の生活を下げろというのが一つと、年収九百五十万を上げろと、そうやって合わせていくということが一つ。まあそれがプライマリーバランスを整えるということだと思うんですけれども、いずれにせよ七千七百五十万円の借金は残る。それも考えていかなくちゃいけないということであります。大変、普通の家庭で考えると弁護士を呼んだ方がいいですよね。間違いなくすぐ破産した方がいいということではあるんですが、やはりそうならないようにしっかりと取り組んでいかなければならないと思います。
 それで、その歳出削減なんですが、総理の方針どおり、まずしっかりと歳出削減をしない限りは増税はしないと、それは私も全くそのとおりだと思います。その歳出削減の取組状況なんですけれども、一例をちょっと挙げさせていただきたいと思います。私も防衛庁の政務官で経験しましたので。
 防衛庁、この歳出削減、どのように無駄を省いて効率的に予算を組んでいるか。BMDとか、先ほど、絶対必要なものはありますけれども、そのためにも削減をしていかないといけない。その努力の実績というのをちょっと伺いたいと思います。
○国務大臣(久間章生君) 先ほども言いましたように、ミサイル防衛等新たな防衛費が要るわけでございますから、その分やはりできるだけ切り詰めなければなりません。ましてや今ずっと歳出削減で抑えてきておりますから、その中でそういう捻出をしていかなければなりませんので、大変厳しいわけでございますが、やはり調達のいろんな方法を変えるとか、今まで単年度でやっていたのを二か年分一緒に購入するとか、逆に単年度でやっていたのを複数年度で契約するとか。
 例えば、小さな例で言いますけれども、パソコンとかコンピューターとかあるいはそういうやつは、むしろ毎年毎年やりますと、業者の方も、どっちかというと来年は断られるかもしれないからということで高めにみんな応じますよね。ところが、複数年ちゃんと使いますよということになると、それならということでまとめて安くなるとか、そういうこともございますし、また、陸海空でそれぞれが調達しておるのを一緒に調達することによって調度品を始めいろんな備品等も安く購入できるとか、いろんな形で今切り詰めをやっております。
 それと同時に、やっぱり人件費につきましても、公務員の削減と同じように、防衛庁・自衛隊についてもやっぱり定数の削減を図っていかなければなりませんから、アウトソーシングできる分野がないのかどうか、そういうようなこと等もいろんなことを考えながら今一生懸命鋭意努力しているところでございまして、予算の頭も抑えられておりますから、その枠内で先ほど言った必要なものはやっていかなきゃならないという、そういうことをやっているところであります。
○愛知治郎君 本当はもっと具体的にいろいろ個別の数字も挙げてほしかったんですが、いずれにせよ、まだまだ削減というのはできると思いますし、意識をしっかり持ってコスト削減をしていかなければならない。先ほどおっしゃられたとおりに、私も経験しましたけれども、陸海空で全く同じ装備品をばらばらに買っているということが結構ありましたので、一括で買えばそれだけで安く済む、そういうことをどんどん積極的にやっていかなくちゃいけないと思います。
 また、できるだけ本当に必要な部分にお金を回すために切り詰めていかなければいけない、これもそのとおりだと思います。私は、個人的で、ちょっと一つの例なんですけれども、意識を持ってもらうためにも何とかそういった問題、積極的に取り組んでいこうと思いまして、一つ取り組んだことがあります。
 自衛官に対して、自衛隊にいろいろ官品が支給されているんですけれども、制服であるとか靴であるとか、これは絶対必要だと思います。ただ、その中に一つだけありました。うん、これはなくしてもいいかなと思うのがあったんですけれども、下着です。Tシャツというか、中に着る肌着ですね。これも支給をしていました。実際、現場に聞いても、それも年間二枚ぐらいだったんですけれども、これは削ってもいいかというふうに聞いたら、実害はないと言われました。ただ、それを削るのは物すごく大変な労力が必要でした。
 実は、個人的なお話をして恐縮なんですけれども、そのときに、人教局の給与室長の津田さんという方がいたんですけれども、その人は本当に一生懸命、間に入ってその削減努力をしてくれました。
 これは、一方的に自衛隊が悪い云々ではなくて、やはりここで問題があると思うんですけれども減らされる、減らされると何でもかんでもどんどん減らされるだけで、必要なところも削られかねないという危機感がやっぱりあるんですね。だから、守らなくちゃいけないということがどうしても意識として出てくると。
 ただ、財務省にお願いなんですけれども、こういった削減努力をしたら、普通の企業でいうと、一千万円削減努力したら一千万円売上げがあると同じように評定をされますよね。ところが、今の役所の査定というのは、減らされたら減らされただけだと。そこを評価してあげないと、だれも取り組もうと思わない。頑張った人は、さっきのあの津田さんという人も本当に頑張ってくれました。そういうところに光をしっかりと当てて評価をすることが大事ではないでしょうか。
 財務大臣、お願いします。
○国務大臣(尾身幸次君) いろいろお伺いをしておりますと、例えば陸海空ばらばらに買っているものを、同じものをばらばらに買っている、そういう現状を改めて一緒にまとめて買えば、売る方も大量でありますから一つ当たりのコストが安くなると、こういう点もあるようでございますし、それから、年度にわたっているものも一回ごとの契約ではなしに、まとめて買って納期はばらばらにするというような工夫をしていただければ同じ金額で数多くのものが買えるという、民間企業であれば当然やっているようなことが現実の運用において弾力的にできないという点があろうかと思っておりまして、そういう工夫をしていただけるところについては我々としても十分配慮していかなければならないと考えております。
○愛知治郎君 是非頑張っていただきたい。難しい話でありますけれども、その評価を、そのとおりインセンティブをちゃんと付けてやらないとなかなか進まないということで、是非お願いします。
 また、この時代において特にそうなんですけれども、本当に必要な施策、さっきのBMDなんかは絶対必要だと国民も納得していただけると思うんですが、やはり納税者の理解を得ていくということが必要であると思います。そのためには、どういう政策が必要かということをしっかりと広報をしていかなければならないと思うんですが、麻生外務大臣、よろしいでしょうか。
 この広報について、私も外務省、特に外務省ですね、ずっと前から広報をもっとやれと、ODAについてもしっかりとその必要性があるんだったら広報していけという話をずうっと言っていたんですが、この広報体制、国民がよく分かっていないのもこれは現実だと思います。どうお考えでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) おっしゃるとおりだと思っております。大体、日本人は余りうまくないですもんね、外務省に限らず。大体、自分のことを宣伝しては余りいかぬことになっていますから、沈黙は銀、饒舌は銀ですから。そういった意味では、やっぱり余り語らない方がいいことになっているという、長い間の伝統もあるんだと思いますけれども。
 PRという意味が大体、広告とPRの違いがまず全然普通の人に通じていませんでしょうが、だからアドバタイズメントとパブリックリレーションズの二つの区別をして説明すると大体宣伝になっちゃって、いや、それはPRですよって話をするところからスタートしなきゃいかぬぐらい難しいと、自分でこれやってみて、そう思いました。
 そこで、今、ちなみにホームページというのをやらしてみたんですが、とにかく内容が面白くもどうもないと。だから、もうちょっと面白いものに変えにゃ話にならぬといってやってみたんですけれども、少なくとも、これ私がなってからですけど、ばあんと上がり始めたことだけは確か。これは少なくとも、年間のアクセスというものが今年、今、七月段階でもう五千百万行っていますから、今年中には間違いなく二億件ぐらい行っちゃうと思いますけれども、今までに比べれば物すごい勢いで、倍とは言いませんけど、一・七、八倍までアクセスがぼんと増えた。
 そういったようなのは、これ英語でも一日十万件ぐらいだと思います。日本語で二十万件ぐらいアクセスがあるんですけれども、それぐらい関心が増えてくるようになったというのは、外務省に関心ができたこともあるんだとは思いますよ。しかし、全然別の意味で、やっぱりある程度見たくなるようなものにしない限りは、なかなかそんなまじめに読む人はおられないんだと思いますんで、そういった関心を持たせるようにしていくというのは、広報というのはすごく大切なものだと私どもそう思いますんで。
 広報担当官というのを今外務省は外務省の職員ではなかった人を途中採用して、その人を今広報担当に引き抜いてきたんですけれども、そういったような人が今担当するようになったせいもあるんだと思います。いろんな意味で今変わりつつありますんで、更にこれは努力をしていきたいと思っております。
 人にやれやれ言って自分でやらな話になりませんので、外務大臣になってから月に一遍必ず、外務大臣がきちんと講演をしますと、英語で一回、日本語で一回、必ずやりますといって、記者クラブやら何やらあちらこちらでするようには努めておりますけれども、そういった日本のやってきたものはもっときちんと、自慢じゃなくて、こうやっている事実を言うというのは、すごく、なかなか、客観的にだれか外務省じゃない人に見てその人に語らせた方がいいのかなと、最近そう思っております。
○愛知治郎君 ありがとうございました。
 いずれにせよ、これはもう外務省だけの問題ではない。すべての省庁、しっかりと広報をしていかなければならない。納税者の、国民の理解を得ていくということが大切なので、頑張っていただきたいと思います。
 時間がちょっとなくなってきましたんで最後になると思うんですが、やはり地域の活性化、経済の活性化ということをこれから取り組んでいかなければならないと思うんですが、ちょっと宮城県の例で恐縮なんですけれども、また数字を出しますとなかなか分かりにくい部分もあるんで、ランキングということで私もお伺いしたいと思います。
 宮城県、全国で人口、それから県別のGDP、何番目か、ちょっと教えていただけますか。
○政府参考人(広瀬哲樹君) お尋ねございました人口及び県民所得でございます。
 人口は平成十五年十月で二百三十七万三千人でございますが、ちょっとランキングの方、準備しておりませんが、一人当たりの県民所得でございますが、一番新しい統計が平成十五年、一人当たりで二百五十二万一千円でございます。この方のランキングは三十三位となっております。
○愛知治郎君 ちょっと、質問を聞いていてほしいんですけれども、県別ですね、人口、全国で何番目かというのと、それから全国でGDP、県別のGDPですね、全国で何番目かということです。お答えください。
○政府参考人(広瀬哲樹君) 失礼いたしました。
 人口でございますが、全国で十五番目でございます。繰り返しになりますが、一人当たり県民所得でございますけれども、三十三番ということになろうかと思います。
○愛知治郎君 一人当たりの話は聞いていないんで、私から言います。
 全国で人口が十五番目、それから県別のGDPも十五番目です。これは大企業に限って所得を考えて、賃金を考えてみますと、千人以上の大企業の所得の平均が全国でたしか十一番目です。十一番目です。それが中小企業も含めた数字になりますと、全国で二十二番目です。ギャップがあるんですね。今の状態を端的に表している。先ほど金田先生は地域という話をしましたけれども、大企業や中小の格差というものもその数字に端的に表れていると思います。
 私は、構造改革路線ずっと支持してきましたけれども、やはり県の方にもお話をしているんですが、まず、国が悪くて宮城県だけ良くなるということは、地域だけ良くなることはあり得ないと。だからこそ、まず国を良くしなくちゃいけない。そして、その次の段階に今来ている。国が良くなったところを、地域にどんどんそういった景気の恩恵をどんどん移していくという作業というか政策がこれから必要だという話をしております。その数字が明確に示すとおりに、これからが大事だと思いますけれども、この地域活性化、担当大臣の見解を伺います。
○国務大臣(佐田玄一郎君) 宮城県は私も何度か行かせていただいておりますけれども、大企業もかなり誘致が進んでおると。その辺の中小企業との格差ということでありますけれども、やっぱり中小企業の方々に本当に元気になってもらうというのが私も最大の地域の活性化の目標であると、かように思っております。
 先ほど来から申し上げているとおり、やはり地域間格差の是正であるとか、そしてまた権限であるとか、又は財源を地域に移譲している、それがいろんな政策の中で、先ほどの道州制もそうでありますけれども、そういうことをやっていくということが一つであります。
 また、前回私も申し上げたんですけれども、画期的な今回の私は地域再生の在り方というのは、これはこの間も申し上げたんですけれども、今までは、例えば地域の方からいろんな提案をしたものについて、そして認定をしてこれはもう確実にやりますよと、すべての要素が全部整ったからこれは国の方も予算で応援をしましょうと。今まではそうで、従来型でありましたけれども、そうではなくて、むしろ逆に政府の方からどうか提案をしてくださいよと、いろんな制度がありますから、都市再生であるとか地域再生であるとか中心市街地の活性化であるとか、あらゆるいろんなスキームがあるわけですから、それを地域の方々のいろんなお知恵を拝借しながら、またいろんな例えば研究機関の、宮城の研究機関の人たちとも議論をしながら、どういう方向が一番地域の活性化になるかということを積極的にこれからマンパワーとして政府も協力をしていきたいと、こういうふうに思っています。
 また、ただノウハウ、要するにソフトだけではなくてハードも必要なわけですよ。特に宮城はいろんな産物もありますし、そして風光明媚でありますから、そしてまた海もあるわけですね。
 ですから、そういう意味におきましては、例えば地域の汚水処理であるとか、そしてまた基盤整備でいえば港湾であるとか、そしてまたちょっとした地方道であるとか、こういうことに対する使い勝手のいい交付金であるとか、こういうこともしっかりと頑張っているところに対しましては我々も一生懸命支援をしていきたいと、かように思っています。
○愛知治郎君 ありがとうございました。残念ながら、山ほどまだ質問残っていたんですが、時間がなくなってしまいました。是非頑張っていただきたいと思います。
 最後に、一例だけ申し上げておきます。
 宮城県に気仙沼市というところがあります。この前、先日、大変残念ながらサンマ漁船、あの荒天、低気圧で転覆をしてしまいまして、一人の方が亡くなって、十五人の方が行方不明ということでありますけれども。そうやって命を懸けて取ってきたサンマなんですが、実は仙台市から気仙沼まで、同じ宮城県内なんですけれども三時間近く掛かるんですよ、時間的に、車で行っても電車で行っても。東京まで来るのに二時間掛かんないんですが、そういった現状もあります。
 そういった地域を応援するためにも、やはり必要なところにはしっかりと必要な投資をしていただきたい、社会的な投資をしていただきたいということであります。
 時間が参りましたので、私の質問は終わらせていただきますが、安倍総理、是非これからも、まだまだ課題は山積しておりますけれども、言うべきことはしっかり言ってまいりますけれども、応援するべきところ、やるべきところは全力で与党力を合わせて頑張ってまいりますので、是非御健闘を願いたいと思います。頑張ってください。
 ありがとうございました。
○委員長(尾辻秀久君) 関連質疑を許します。山下英利君。
○山下英利君 自由民主党の山下英利でございます。
 関連質疑として四番手で出てまいりました。四番バッターは普通は強打者なんですが……(発言する者あり)真打ちという声が今ありましたけれども、頑張らせていただきたいと思います。
 もう同僚議員並びに野党の議員からもるる質問が出まして、私の質問もダブるというところもあります。しかし、私が今日ここの場に立たせていただいたのは、今日はテレビも入っております。私の質問に対してやはり御答弁をいただくのは、質問者に対する、私だけでなく、やはりテレビをごらんになっている国民の皆さんに対して強いメッセージをどうか発声していただきたいと、そんな思いからでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 まず、私から、度々議題になっておりますこの格差の問題について総理に御質問をさせていただきたいと思います。時間限られておりますので前置きは抜きにいたします。
 総理自身が言われている格差というものについて、いろんな格差があると思いますが、格差の認識、そしてその格差が起きてしまった原因を分析、そしてこの格差自体に対する是非についてどうお考えになっていらっしゃるか、まずお聞かせいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今まで政府として答えてまいりましたのは、マクロ的に統計データからは格差の拡大はこれは確認できないということでございますが、しかし一方、こうしたデータについてもある程度の幅を持って見ることができるようなきめ細かなデータを充実をさせていくことも重要ではないかと、こう考えております。実際に格差感を感じている人たちも多いのも事実ですし、そういう地域があるのも事実であります。正に、そういう人たち、そういう地域に光を当てていくことこそ私は政治の使命ではないかと、こう考えているわけであります。
 しかし、格差について言えば、当然これは頑張った人と言わばゆっくりしていた人の差があるのはこれはもう当然のことでございます。その中でフェアな競争、公正な競争を確保していくことが重要ではないかと思います。そしてまた、日本の社会の中において、これは幾ら何でも差が付き過ぎだという認識を持つようになりますとやっぱり世の中が乱れていくということにもなっていくかもしれないと、こういう私も印象を持っているわけでありますが、それと同時に、やはり何回でも挑戦できることが可能な社会をつくっていきたいと私は思っているわけでありまして、一回失敗したら終わりということではなくて、何度でも挑戦を可能とする社会を構築をしていきたいと思います。
○山下英利君 今の御答弁、ありがとうございます。やはり、何度でも挑戦できる、今回、総理がおっしゃっている再チャレンジということに対しては、私も全面的にこれを是非ともやっていただきたいと、そのように思っているわけですが、非常に広い、そして細かい内容にならざるを得ないかと思っておりますので、また後ほど再チャレンジ関連につきましては担当の大臣にもお聞かせをいただきたいなと思っておりますけれども。
 しかし、従来、この原因について言うならば、日本にも従来から格差社会はあったと。しかし、やはり規制によって所得の分配をある程度抑えていたところが、規制緩和がされたことによって所得格差が広がってしまったと、そういうふうに言われているわけであります。そういった原因に対して、やはり再チャレンジということでなくて、この所得間格差というものをこれからどうやって是正していくのか、そういったこともやはり一つ頭の中に考えていかなければいけないのかなと。もちろん、この格差というのは個人の所得格差だけでなくて、やはり地域の格差というふうな形でいろんな要因が含まれていると思います。なぜ今声高に格差社会ということが言われてきたのかということに対して、やはりそこを真剣に詰めていかなきゃいけないんだなと、そのように思っているところでございます。
 今回、総理が所信の表明演説の中で筋肉質な政府という表現を使っておられました。これ、私、個人的には非常にすとんと落ちる表現でございました。筋肉質というのは何かというと無駄肉を省くということであります。そして同時に、機動性を持って動きも俊敏になると、正に理想的な姿だと私は思っております。
 かく言う私も元はもっと筋肉質だったんですが、運動不足でちょっとその辺ぜい肉が付いてきたということですけれども、やはりそのぜい肉を落とすということにまず邁進をしていかなきゃいけないと、ここのぜい肉は何かというものをしっかり見定めていかなければいけないと、そのように思っているところです。そして、そこでしっかりと財源なりを出して、それを今度は必要なところに再分配すると。
 政府自体が小さな政府を目指すんであれば、そこは筋肉質というか無駄のない政府であって、しかし、より機動力を持って運動機能は損なわないということは大変大事な要点だと私は思っているところでありますが、総理、どうお考えになられますか、この筋肉質の政府について。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 筋肉質の逆は脂肪がだぶついた政府になるわけでありますから、そんな政府がいいわけではないわけでありまして、言わば無駄を省いていくと同時に、ただやせ細っていったんではこれは住民の要望にこたえられない、十分なサービスが提供できないわけでございますので、十分な住民サービスを可能とする、この正に質実剛健な筋肉質の政府をつくっていくわけでありまして、決して力は落ちることはないと、体重は減ってもパワーは落ちないと、そういう政府をつくってまいりたいと思います。
○山下英利君 是非それを目指していただきたいと思います。そして、そのためには、まずやるべきことをやって、それを国民にしっかり結果として見せていかなければいけないと、そういうことが最も大事だというふうに思っております。
 このぜい肉、ぜい肉が何なのか。やはり、今総理が進めようとされている公務員制度の改革であるとか、やはり行政府における改革というものを断行していく、それによってやはり国民の理解も更に深まっていくんだと、そのように思っております。
 したがって、今回、社保庁の改革についても解体的な出直しということを所信表明にお書きになっていらっしゃいますが、解体的の的というのは、国民から理解を受ける的というふうに私は考えていきたいと思いますが、その辺の御意見はいかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 社会保障制度は国民の信頼がなければ成り立たないわけでありまして、特にこの年金制度はそうであります。持続可能な制度であると国民の皆様に信頼をしていただくと、そして、その徴収あるいは給付を担っている社会保険庁に対する信頼も大切であります。
 今、この社会保険庁に対する信頼があるかといえばそんなことはないわけでありまして、今のままでは、これは果たして、この年金の制度を、これを運営しているこの社会保険庁に対する不信が年金制度そのものに対する不信になってしまうわけでありまして、要は、この社会保険庁が担っている機能、特に、徴収機能もそうでございます、そうしたものが、これはやはりこの組織であれば大丈夫と国民から信頼される新しい組織に変えていくということでございます。
○山下英利君 ありがとうございました。
 ちょっと話の筋が横に、横というか飛んでしまったかと思いますけれども、まずやらなければならないことをしっかりとやるということから安倍政権が前へ進んでいくというふうに私は思っておりますので、私もともに頑張らせていただきますんで、総理、頑張ってください。
 そこで、その中で、先ほどの格差の問題が出ました。格差を是正する場合、所得の格差、地方と都市の格差というふうなことが言われている中で、やはり雇用という問題、これは今、日本の置かれている状況の中で解決策としては一番大きな私は問題だというふうに問題意識を持っております。特に、正規雇用あるいは非正規雇用、これはいわゆるバブル経済の前と後では企業のそういった構成がもう変わってしまっております。これについては昨日もほかの委員から質問があったところであります。
 あるいは、高齢社会に入って、特に地方は高齢化率が高いという中でいかに高齢者の方々に生きがいを持ってその地域で生活していただくかといったときに、やはり雇用環境というのはこれは欠くべからざるものだろうと、そのように思っております。
 また、一方では、中小企業、大変厳しい状況の中で、コストを下げるためにどうしても外国人の労働者というものを入れているというふうな状況もございます。
 これは、外国人労働者については、ちょっと後で大臣にちょっとシステム上の問題をお聞きをしたいと思っておりますが、そういった雇用というものをしっかりと推進していくために、やはり総理自らが先頭に立って、やはり雇用環境、それをきめ細かく見ていただきたい。やはり、制度改正が行われる中でどうしても大ざっぱになってしまっている部分があるかどうか、この確認というのをしながら丁寧な対応をしていかなきゃいけない。これは社会保障制度すべてにおいて言えることですが、特に今雇用という問題をその構造が変わった中でしっかりと確保していくということは大きな命題ではないかと私は思っておりますが、総理、いかがでございますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 雇用につきましては、この改革を進める過程において一時失業率が五・五%まで上昇したのは事実でございます。
 これは、今まで米国、英国が行った改革におきましても失業率は上昇しました。しかし、もっともっと上昇したわけでありまして、その中で五・五%、日本にとっては高い失業率になったわけでありますが、その後改革を続けることによりまして、新しい産業分野におけるこれは成長と、そして新しい雇用も生み出すことによって四・一%まで落ちてまいりました。
 しかし、そういう中での問題点は、長い期間雇用する言わば正規雇用、そしてまた短い期間の雇用である、まあ大体短い期間の雇用である傾向の強い非正規雇用のそれぞれの状況を見てみますと、言わば非正規が増えて正規が減っている状況にあります。しかし、他方、企業は長期的に雇用を続けていきたいというのが大体の企業の考え方でありまして、言わば長期雇用の基本的な日本の考え方が崩れているということではないと、このように思います。
 そういう中で、非正規の方々と正規の方々、非正規、正規、この言わば労働条件、雇用の形態についての均衡を図っていく必要があるわけでありますし、また保険等の適用も考えていかなければいけない。また、非正規雇用の方々が正規雇用になる道をこれは支援をしていく必要もあるでしょうし、企業にもそうした道を付けるべく取り組んでもらいたいと思います。そのための研修制度等々も拡充をしていかなければいけませんし、またニート、フリーターの対策も取り組んでまいりたいと思います。
○山下英利君 ありがとうございます。
 やはり、正規、非正規といった場合には終身雇用制という日本の雇用環境、こういったものを、私もサラリーマン時代そういった環境を経験しておりますけれども、それがある面ではバブル経済で崩れてきたということも言えると思います。
 ですから、中間採用といっても新しい新人じゃなくて、いわゆる経験があれば中途採用も可能だと。しかし、職務経験が薄ければ、やはりこれはなかなか中途採用に掛かってこないというのがやはり現実かなと思います。新卒で、例えば十年たって、社内でそれだけの経験を積んできた人と互角に戦わなきゃいけない。そういった知識、経験、能力の持っている人であればそれに見合った給与で雇うということもありますけれども、そうでない人にとっては非常にハンディキャップになります。そこをどうやって支援していくかというのが私はチャレンジという意味では大きな課題ではないかなと、そのように思っているところです。
 ここでちょっと厚生労働大臣にお聞きする前に溝手国家公安委員長にお聞きをしたいんですが、先ほどもちょっと申し上げた外国人労働者の問題なんです。
 これは、中小企業はコストを安くしてやはり外国人労働者という環境というのが、実は私も、滋賀県にございます、そしてその地域へ行きますと、やはり全く日本語のない看板というのも多く立っております。そういった環境の中で社会問題化している部分というのもこれは否めないところであります。
 溝手大臣からは、この生活環境面、いわゆる治安の問題というのが、この外国人労働者の関係する治安状況、そしてこれをなくすためにはどういう方策があるのか、そういったところを含めましてちょっと御意見をいただきたいと思います。
○国務大臣(溝手顕正君) 平成十八年の上半期における来日外国人の検挙状況でございますが、過去最高を記録しました昨年、平成十七年の上半期と比較しまして大幅に減少してきつつあります。しかしながら、十年前に比べますと一・六倍の高水準で推移をしておりまして、また組織化や全国へのいわゆる拡散が見られるなど、依然として厳しい状況でございます。
 増加やその拡散の理由、原因等につきましては、様々な要素が非常に複雑に絡んでおりまして一概に申し上げることはできないわけでございますが、外国人労働者の場合、すぐれて非正規雇用の人たちでございますので、絶えず居住地区の移動とか変化がございまして、そういった人たちの移動に伴って犯罪の発生箇所が変わってくるというような現象が起こっております。特に、経済発展の裏腹な問題ですが、発展の目まぐるしいいわゆる中京地域あるいは東京周辺の関東地域でそういう傾向が強く現れているというのが現状でございます。
○山下英利君 ありがとうございました。
 そういった意味で、先ほど私申し上げましたけれども、雇用を考えるときに、外国人労働者、要するにそれは日本人が替わるということではなくて、安くなければ企業はやっていけないと。しかし、一方では、その外国人労働者が入ってくることによってどうしても治安上の問題が出てきていると。社会問題化しているところをしっかりとインフラを整備して、そして例えば子供が学校へ行く、そういった環境づくりももちろんしていかなければいけないし、もちろん文化が違う人たちですから、いわゆる日本人の常識というのが理解をされないと。そういうところにおける地域の環境づくりというものを一緒に考えていかなきゃいけないんじゃないかなと、そんなように思うわけでありますが、厚生労働大臣、この外国人労働者就業については研修プランというものがありますが、正式にはこの外国人労働者を受け入れるということに関して御所見を聞かせていただけますか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今国家公安委員長の方からお話がありましたように、一般論で言うと外国人労働者が非正規労働に従事することが多くて、移動も激しい。そういうような環境の中で、いろいろ悪い環境もあるんだろうと思うんですけれども、何というか治安上の問題を起こしてしまうと、こういうようなことが指摘をされました。
 ただ、私の地元も非常に、まあ浜松市を中心として外国人労働の多いところですけれども、これはやっぱり二つあるんだろうと思うんです、タイプとして。現実に中小企業がまあ海外に工場を持った、その海外の工場に勤める当該国の労働者、これを研修するために持ってきているというような場合には、これはいろいろオン・ザ・ジョブ・トレーニング等のプログラムはあるんですけれども、むしろ非常に帰属意識も強くて立派な労働者が多い。これもやっぱり余り一刀両断に外国人労働者は治安上の問題を起こすというような見方をすると間違ってしまう側面だろうと思います。
 しかし、一般論として言うと、どっちかというと三K職場、日本人がこのごろは勤めたがらない、そういう職場のために雇用される外国人労働者については、今国家公安委員長の指摘されたようなことがあると、こういうことだろうと思うんです。
 我々厚生労働省としては、このJITCOと申しますが、財団法人の国際研修協力機構を持っておりまして、こういったことについての行政をさせていただいておりますけれども、したがいまして、こういう現状に対しまして、このJITCOを通じた巡回指導の強化をするとか、あるいは労働基準監督機関におきます労働条件の履行等を見張るために、その当該の企業ではなくて事業場、事業場に対する監督指導の強化をするとか、こういうことを通じまして制度の適正な運用に努めていきたいと、このように考えている次第です。
○山下英利君 ありがとうございます。
 ただいま厚生労働大臣から御説明をいただきましたが、最後に出てきたJITCOという、そういう組織で管理をするというお話もございました。実を言うと、やはり私の見方では、この組織で本当にしっかりと管理ができるのかという部分がございますので、今日はちょっと時間の関係で更には御質問はいたしませんが、総理、どうかこの雇用のときの、外国人労働者についてのこの管理というか、やはりその生活環境等を含めた日本での適正な就業、これについてはどうか頭の片隅にしっかりと入れていただいて見ていただきたいなと、そういうふうに思います。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今後の取組ということにつきましては、骨太の二〇〇六におきましても明記されていることでございますけれども、規制改革・民間開放推進三か年計画の中でも「実務研修中の法的保護の在り方」という命題の下でこの検討を進めることにいたしております。また、厚生労働省としては、今後学識経験者の意見も聞きながら問題点を洗い直しまして、これを制度の見直しに役立ててまいりたい、このように考えております。
 やはり幾つかのポイントがございますけれども、何よりも国内労働市場に悪影響を及ぼさないと、二極化が固定するというようなことを避けたいということでございます。それからまた、国内の劣悪な就労を逆に助長してしまうというようなこともないようにしたいと。それから、研修・技能実習制度が定住につながってしまう、日本の国に居座ってしまうということではなくて、研修本来のこの目的に沿ったそういう日本への入国又は出国というものを確保したい、こんなポイントを念頭に置きながら最大限の配慮をする、そういう制度の見直しをしてまいりたいと、このように思っております。
○山下英利君 ありがとうございます。
 そういった配慮の中に、やはり中小企業においては外国人労働者に頼っているという部分をしっかりとしんしゃくしないと、今度は中小企業の事業継続まで影響を及ぼしてしまうと、この点だけは申し上げさせていただいて、どうかその点をしっかりと踏まえていただきたいというふうにお願いを申し上げます。
 時間もありませんので、次の項目、社会保障制度に移らせていただきたいと思いますが、その前に、今回、安倍内閣において総理補佐官制度を充実をさせられました。先ほど金田委員の方からいわゆるシステム等についてはいろいろ御質問ございましたので、私から一つ総理にお聞きをしたいのは、今、日本の国民の間で最も関心があって大きな問題となっているいわゆる一つ言えば、地方といった問題あるいは社会保障制度といった問題に対してこの総理補佐官制度を有効に使うといったことのお考えはございますか。それと、これからのこの補佐官制度をどのような形で充実をさせていかれるのか、その辺のところをお聞かせください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 地域の活性化につきましては正に佐田大臣を担当大臣として指名したところでございます。そしてまた、何といっても、この社会保障制度を維持していくためにも、日本が力強く成長していく、経済成長していく必要があります。その意味におきまして、成長戦略を根本補佐官にしっかりと立案し、またそれを進めていくためのこれは補佐官としての役割を果たしていただきたいと、このように思っています。
 いずれにいたしましても、先ほど答弁をいたしましたように、このグローバル化する時代にいろんな事象に対して機敏に対応していくためにも、官邸が司令塔機能を果たしていく。そのためにも政治家がリーダーシップを発揮をしていく必要があるわけでありまして、政治家あるいは政治任用による補佐官を官邸に増強いたしまして、リーダーシップを発揮し、しっかりとタイムリーな政策を打ち出して実行していきたいと思います。
○山下英利君 ありがとうございます。
 それはもちろん総理の黒子といいますか、要するにブレーンですから、この総理補佐官制度、総理が本当にこういった問題についてきちっと対応できるようにシステムを組んでいただきたい、そう思います。
 したがって、今の社会保障制度についても、経済の関係あるいは雇用の関係と、そういったものがそれぞれ分かれていても、それで一つ社会保障制度としての役割を果たすんだということであれば、それはこの補佐官制度をしっかりと充実させる意味において、総理に是非とも頑張っていただきたいと申し上げるだけでございますが、やはり国民が今一番気にしていること、これはもう要するに社会保障制度に尽きるんではないかなと。
 私もこの休会中には地元へ行きまして、いわゆる障害者自立支援法に係る障害者施設あるいは通所者の皆さんと会うといったことをやってまいりました。そして、先ほど高橋議員からお話もございましたが、正にこれ施行前の段階で大変な不安、不信というものを私も聞いてきているわけであります。
 しかし、そこで大事なことは、やはりメッセージとして、こういった制度がこれからの時代に必要な制度であり、かつ、きめ細かい対応をしながらそれらをしっかりと見ていくんだと、そして、それによってもう言ってみれば社会問題化するような悲惨な状況にはならないというふうなことをここでまず総理から国民に向けてメッセージとしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 障害者自立支援法につきましては、まず国がしっかりとこの負担において責任を持っていくということでございますし、このサービスについて計画的に立案をしていく、整備していくということでございます。
 そして、その中で、一割の利用者の御負担をいただくわけでありますが、先ほども御説明をいたしましたように、きめ細かな配慮もいたしておるわけでございます。また、利用者の方々がこれからは利用者としての目でこのサービスを利用できるということもこれは新しい視点ではないかと思うわけであります。また、今までの法律の中では外の枠組みの中にあった方々も一つの同じ枠組みの中に入って、そして就労支援を我々もしっかりとそういう方々、すべての障害者の方々に対して行っていくということでございます。
 もちろん、現場の声ということについては真摯に、また国民の声にも耳を傾けながら、より良い運営を、運用を心掛けていきたいと思います。
○山下英利君 大事なことは、モニタリングをしっかりとやって、そして緊急的にも、すぐに柔軟に機動力を持って動くことだと私は思っておりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
 そして同様に、医療制度の改革においても、やはりこれから療養病床が減っていくと、これはしっかり期間を使って受入れ体制をつくっていくんだと言っている中で、やはりもう自分は病院から追い出されるんだと、そういうふうにおっしゃる方というのがやはり多いということもこれ事実であります。
 したがって、やはりそこに対する、いや絶対そんなことはありませんというメッセージをやはりしっかりと出しながら、そしてきめ細かい対応と、今御説明をいただきましたが、それが実際現場に届くように、是非ともそういったところを、やり方を御検討いただきたいと思いますし、この点について厚生労働大臣から、言ってみればシステムだけじゃなくて、やはり政治家としての国民に向けるメッセージを是非お願いします。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 山下先生から、いろんな制度の改革が行われるときについそこから目こぼしが起こってしまって非常に悲惨なことになってしまう方、そういう者がもう一人たりとも出ないような配慮をしてもらいたいと。山下先生もう日ごろのお人柄も私もよく承知しておりますけれども、先生からそういう御指摘をいただきまして、私ももう全くそのとおりだと、このように考えるということをここではっきり申し上げておきたいと、このように思います。
 その例として、障害者自立支援法、それからまた療養病床の再編という二つの点をも挙げられました。障害者自立支援法の施行については、これは総理から今非常に行き届いた周到な御説明がありましたので私から申し上げることはありませんが、私ども、これは制度を改善しようと、今どちらかというと普通の社会から隔離されてしまって一ところにずっといなければならないと、そういうようなところをもっとこの実際の普通の社会の中に戻したい、こういうことの中でこの自立の支援をしていこうという制度の改善を志しているわけでありまして、これが改悪になって不幸な人を再生産してしまう、こういうことは、断固こんなことはあってはならない、こういう考え方で取り組んでまいります。
 同じく療養病床につきましても、今先生御指摘がありましたように、これはかなりの長期間を掛けて計画的に、こういう問題にスムーズに移行できるようなそういう措置を講じてまいりたいと、このように考えておりまして、先生の御指摘を拳々服膺して、誤りのない対応をしていくことをここで明言申し上げておきます。
○山下英利君 どうもありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。本当にやはりそういったメッセージを常に発信をしていただきたい。
 それから、厚生労働省は、やはり各県に厚生労働省から出向いていらっしゃる方、多うございますから、もちろんそのそれぞれの地域の実情等もしっかりと把握できる体制があると私は思っておりますので、言わずもがなだなと思いながら今申し上げた次第でございますので、よろしくお願いいたします。
 そして、総理におかれましても、この社会保障制度、そしてこの地方の問題、これがやはり今の国民にとっての最も大きな関心事であると。もちろんこれは、外交の問題というのはもう既にいろいろお話を承っているわけですが、やはり身近な生活の基点であるところ、ここにしっかりと目線を合わせて、そして光を当てるということを常に念頭に置いていただきたいなと思います。
 時間も限られてきておりますので、もう当初用意した質問を全部聞くことができないんですが、一つ私は、日本の歴史、伝統、文化といったものの中で、一つ私から、私の個人的な考え方では、日本人は気配りの文化があるなという思いがあります。やはりその気配り、滋賀県でよく言われる近江商人の言葉に三方よしというのがあります。売ってよし、買ってよし、そして世間よしと。やはりそういったその気配りの、そして思いやる、そういった文化というものを是非ともこの新しい、美しい国家づくりの中に入れていただきたい、そういう思いを申し述べまして、最後に総理、それについて御感想をいただいて終わりにしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 気配りというのは、私が属しております自由民主党にとっては政治家の必須条件であったわけでありますが、最近はややその常識が変わりつつあるのも事実でありますが、やはり気配り、またお互いに対する配慮があって初めて、社会は人と人との助け合いでありますから成り立っていくんだろうと、このように思います。
 ただいま山下先生からございました、そういう心構え、拳々服膺しながら政治に当たっていきたいと思います。
○山下英利君 ありがとうございました。
○委員長(尾辻秀久君) これにて山下英利君の関連質疑は終了いたしました。
 以上で吉村剛太郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 明日は午前九時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十五分散会