第165回国会 外交防衛委員会 第7号
平成十八年十二月五日(火曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 十二月一日
    辞任         補欠選任
     藤末 健三君     喜納 昌吉君
 十二月五日
    辞任         補欠選任
     犬塚 直史君     岩本  司君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         柏村 武昭君
    理 事
                岡田 直樹君
                山本 一太君
                浅尾慶一郎君
                柳田  稔君
                高野 博師君
    委 員
                浅野 勝人君
                川口 順子君
               北川イッセイ君
                小泉 昭男君
                櫻井  新君
                関口 昌一君
                福島啓史郎君
                喜納 昌吉君
                佐藤 道夫君
                榛葉賀津也君
                白  眞勲君
                緒方 靖夫君
                大田 昌秀君
   国務大臣
       外務大臣     麻生 太郎君
   副大臣
       外務副大臣    浅野 勝人君
   大臣政務官
       防衛庁長官政務
       官       北川イッセイ君
       外務大臣政務官  関口 昌一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        泊  秀行君
   政府参考人
       内閣府政策統括
       官        東  良信君
       警察庁長官官房
       長        安藤 隆春君
       防衛庁長官官房
       衛生監      安達 一彦君
       防衛施設庁長官  北原 巖男君
       防衛施設庁施設
       部長       渡部  厚君
       外務大臣官房審
       議官       佐渡島志郎君
       外務大臣官房審
       議官       猪俣 弘司君
       外務大臣官房参
       事官       菅沼 健一君
       外務省中南米局
       長        三輪  昭君
       外務省経済局長  石川  薫君
       厚生労働大臣官
       房審議官     白石 順一君
       厚生労働省職業
       安定局高齢・障
       害者雇用対策部
       長        岡崎 淳一君
       農林水産大臣官
       房審議官     佐久間 隆君
       環境大臣官房廃
       棄物・リサイク
       ル対策部長    由田 秀人君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○経済上の連携に関する日本国とフィリピン共和
 国との間の協定の締結について承認を求めるの
 件(内閣提出、衆議院送付)
○経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ
 合衆国との間の協定第五条3及び5の規定に基
 づく市場アクセスの条件の改善に関する日本国
 とメキシコ合衆国との間の議定書の締結につい
 て承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(柏村武昭君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る一日、藤末健三君が委員を辞任され、その補欠として喜納昌吉君が選任されました。
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○委員長(柏村武昭君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 現在、本委員会に付託されております条約の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣府政策統括官東良信君外十三名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(柏村武昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(柏村武昭君) 経済上の連携に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定第五条3及び5の規定に基づく市場アクセスの条件の改善に関する日本国とメキシコ合衆国との間の議定書の締結について承認を求めるの件の両件を一括して議題といたします。
 両件の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○榛葉賀津也君 民主党・新緑風会の榛葉賀津也でございます。
 本日は、日本・フィリピン経済連携協定、いわゆるEPAの問題について麻生大臣にお伺いをしたいと思います。
 私は基本的にこの条約締結には賛成でございますので、その観点から幾つか質問をさせていただきたいと思うわけでございますが、日本は明治の開国以来、長い間関税の自主権というものを持つことができませんでした。昭和三十年、一九五五年に日本はガットに加盟するわけですが、いわゆるガットの第三十五条の適用という極めて差別的な扱いに苦しんできたと言っても過言ではないと思いますし、実はこのすべての国がガット第三十五条の適用を外したのは、除外したのは何と、私も知らなかったんですが、つい最近の平成七年だったということでございます。野党をずっとやっていますとどうしても物事を斜めから見るようになってしまって、自分でも嫌だなと思うわけでございますけれども。
 この国は面積がたったの三十八万平方キロメートルしかなくて、世界百九十二か国のうち五十九番目の小ささ、資源もない、エネルギー自給率は四%しかない。何とその資源もエネルギーもない国が貿易立国、工業立国、経済立国として世界第二位の経済大国になった。これはすごいことでございまして、正にこの貿易立国日本のバックボーンとして、水先案内人として多くの方々が知恵を出して汗をかいてきたわけでございます。こうしたガットの時代から本当に粘り強く交渉を繰り返してきた専門家の皆さんには私、心から、一国民としても、また国会議員としても敬意を表したいと思っています。
 2プラス2であるとか六か国協議であるとか、いわゆる、言葉が適正ではないかもしれませんが、日の当たるというか、目立つポジションと違いまして経済外交の交渉役というのは極めて地味ですけれども、とても重要なポジションで、正に私はここにものづくり立国日本の将来の可能性と未来があると実は思っておりまして、私の尊敬する政治家に旧民社党の渡辺朗先生という政治家がいるんですが、朗先生が他界する前に私にこんな言葉を下さいました。それは、花をめでる人多し、されど根を思う人少なしという言葉でございまして、咲いている花を見てきれいだなと思う人はたくさんいるわけでございますけれども、その根っこに感謝する人は意外と少ないものだ、その根っこに感謝する気持ちを忘れてはいかぬという言葉を今は亡き渡辺朗先生が私に下さったわけでございますけれども、正に世界に行きますと、トヨタであるとかソニーであるとか、多くの日本の有名な企業、メーカーをあこがれの目で見る世界の方々がたくさんいるわけでございますが、正にそこを支えているのがこの経済外交を支えてきた専門家だと私は思っています。
 麻生大臣、もうお気付きかもしれませんが、今年の三月八日に麻生大臣がスピーチをされているんですね。「日本にとって経済外交とは何か」というスピーチでございまして、私、目からうろこでした。本当にすばらしいスピーチだったと思います。安倍総理よりも麻生総理の方がよかったんじゃないかなと、これ読んで思ったわけでございますけれども。
 これを読むと、ガットの時代から、麻生大臣の言葉をかりると、ガット屋さんとかいわゆるガッチャマンと呼ばれる方々がずっと交渉のプロ集団として汗をかいてきた。WTO、FTA、EPAの交渉に、第一線にいるのがこの経済局の方々なんですね。すべて外務省の方々かと思ったらそうだけではなくて、民間からの助っ人や弁護士、商社やメーカーからの若手の方々もこの一線で一緒に汗をかいている、外務省の職員とですね。これは私、知りませんでした。しかも、こういった方々が経済産業省、農水省、金融庁や環境庁といった、本当にこの問題広いですから、これ横断的にこれを、国内ではいわゆる利害調整をしながら、外ではオールジャパンの代表役として交渉をするという構図なんですね。
 是非、大臣、このプロ集団、きちっと私は評価をしてほしいと思うんですが、その点について大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(麻生太郎君) ガッチャマン、ガッチャマンというのは、GATT、ジェネラル・アグリーメント・オン・トレード・アンド・トリーティーという、このGATT、略してガット、この専門交渉屋というのが数十人おりましてね。この人たちは、今おっしゃるように、誠に、協定のサインが出てくるまでの縁の下の力持ちは正にこのガッチャマンと我々が言うこの人たちが最大の力であります。
 これ長いこと蓄積をされたノウハウがずっと綿々として続いておりまして、交渉する相手国が変われども、こちらはずっとその人たちがプロでやってきていますので、いや、そうおっしゃいますけどフィリピンのときはこうでした、いや、マレーシアのときはこうでした、全部というのがずっと蓄積されております。日本の、非常に目に見えない大きな日本の交渉力の一つだと、外務省の自慢でもありますので、評価をしていただきましたことに心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。
○榛葉賀津也君 この中でも言っているんですが、大臣に、釈迦に説法ですけど、お伺いしたいと思うんですが、いわゆる自由貿易協定と訳されるFTA、それから経済連携協定と訳されるEPA、大臣の中ではこの違いというのはどう感じていらっしゃいます。
○国務大臣(麻生太郎君) 何となく国境線があった上で話をしているのがFTA、国境線を取っ払うと言うとちょっと語弊がありますけれども、国境線を見えなくして実際両方でほぼ一体化させていくのがEPA、観念的に言ったらそんな感じだと存じます。
○榛葉賀津也君 正にそうでございまして、ところが、大臣も指摘をされているように、日本の報道なんかを見ますと、日本はEPAで小粒な合意を繰り返しているというような指摘もあるんですが、これは実はとんでもない話でございまして、このEPAというのはFTAよりもはるかに国を超えた、いわゆる大臣の言葉をかりると仲間づくりでございますから、非常に質も範囲も広いわけで、このEPAにこそ私は経済立国、貿易立国日本の可能性が今後あると思いますので、これは、正に党派を超えてしっかりとこれは支えていかなければならない世界だと私は思っています。
 先ほど言いましたが、大臣はEPAは仲間づくりだというふうに言っているんですね。いわゆるEPAはルール作りでございますから、同じ価値観を共有しなければなりません。そうすると、国益を念頭に置きながら、価値観を同じにする仲間をどうやってつくっていくかと。それをアジア太平洋だけではなくて、世界にどう同じ価値観を共有する仲間をつくっていくか。正に仲間づくりだと思います。これ非常に分かりやすい表現だと私は思うんですけれども。
 そこでお伺いしたいんですけれども、では、同じ価値観を共有する仲間づくりがEPAだとすると、アメリカとのEPAというのはなぜ日本は結べない、若しくは結びにくい、若しくは今後どのように大臣はアメリカとのEPAを考えていらっしゃいますか。
○国務大臣(麻生太郎君) 基本的に、アメリカとのEPAというのは中長期的には、榛葉先生、これは考えるべきです。ただ、今、農業問題、特に牛肉に限りませんけれども、小麦だ、大豆だ、トウモロコシだというようなものに関しては、これは今のEPAを丸々一〇%条項ゼロでいきなり平場でやりますと、多分日本の農業はほぼ壊滅的になることははっきりしております。
 したがって、農業、農産物は確実に入ってくるというようなところは別にいたしましても、農地がなくなるということは、日本の原体験でもある田舎の風景はほぼ全くなくなるということになることも覚悟せにゃいかぬと。そういったところも考えて、どういった形で今の原風景であるようなああいったものをきちんと持ちながら、かつ税金を払っている方々の理解を得ながら交渉をするかというのは、今オーストラリアとの交渉が始まるか始まらないかというところまで来ておりますけれども、そういうものを含めて、中長期的にこの種のことをどうやってやっていくかというのが一番大事なところでありますので、中長期、ただし中長期的にはアメリカとのEPAというのは十分考えられてしかるべきだと存じます。
○榛葉賀津也君 ありがとうございました。
 EPAは仲間づくりである、そのとおりでございます。この観点からいきますと、今回の日比のこのEPA協定ですけれども、この仲間づくりが実は、今回のフィリピンとのEPAで逆に仲が悪くなりそうな実は現状があることが分かってまいりました。いわゆる有害廃棄物関税ゼロの問題でございます。この関税削減リストに有害廃棄物が含まれているということで、フィリピンへの有害廃棄物の不正輸出、処理若しくは廃棄という問題が今後助長されるんじゃないかという指摘が一部の日本の報道でありました。また、私のところにも多くの団体からこれに対する問い合わせ、若しくは懸念の声が寄せられました。
 調べていくと、フィリピン国内でも、まあこれがそもそも出発点なんですけれども、関税削減リストに廃棄物が入っているということで懸念と異論がフィリピン国内でも噴出していまして、実はフィリピン国会でEPAの批准手続が現在難航しちゃっているんですね、止まってしまっている。これ大変なことでございまして、ただ、よくよく調べていくと、どうもフィリピン国内の政治問題もあるようでございまして、とりわけ上院は反アロヨ体制が非常に強いところでございますから、この有害廃棄物関税ゼロ問題をいわゆる政治利用して、フィリピンの内政問題を利用して、その延長で外交問題にしているという形跡も実は見えるんですね。
 私は、誤解があっては心外ですから、日本の名誉のため、若しくはこの交渉を先頭に立っているガッチャマンたちの名誉のためにも、きちっとこの問題の真相を明らかにする、ひいてはフィリピンと日本がいわゆる仲間づくりのメンバーになれるようにこの問題について指摘をさせていただきたいと思います。
 それで、お伺いするわけでございますが、フィリピンとのEPAが無税譲許の対象にしている品目のうち、フィリピンの中で廃棄物に該当するものが何があるか、これすべて教えてほしいと思うんですが、これは参考人の方で結構ですから。
○政府参考人(石川薫君) お答え申し上げます。
 この有害廃棄物の国境を越える移動につきましては、バーゼル条約ということによって規定されておるわけでございますけれども、このバーゼル条約上の有害廃棄物であるか否かは、この条約の中で列挙されている廃棄物、まあ一例を挙げさせていただきますと、日本からフィリピンへの輸出実績はないんですけれども、パソコンの電子基板のくずというものですね、そういったものであって、かつ、この条約上列挙されている有害な特性、これこれしかじかな特性のあるものを有害であるとこのバーゼル条約に明記しているわけでございますが、それを有しているかどうかを個別に判断した上で特定されることになります。そのため、この通関上の、通関上の分類に基づく日本・フィリピンEPAにおいてどの品目がそれに該当するかを一律に特定することはできませんけれども、個別のケースにおいてバーゼル条約の有害な特性に照らして有害廃棄物であるとされるものが含まれ得る、含まれ得る品目が数十程度、数十程度あると考えております。
 他方、敷衍させていただきますと、この日・フィリピンEPAでは、この協定二十三条におきましてガットの二十条の規定を準用しておりまして、各締約国が、人、動物又は植物の生命又は健康の保護のために必要な措置をとることができることとしておりまして、締約国による有害廃棄物規制が妨げられないことを明確に併せ規定しております。
○榛葉賀津也君 今、数十の有害廃棄物があるということで、ざっと見ただけでも、砒素だとか水銀だとかタリウムだとかいろいろあるわけですね。都市廃棄物だとか下水汚泥なんかもリストに載っています。こういったものはすべて、今までに結んできたEPA、いわゆるシンガポール、マレーシア、メキシコとのEPAでもこの関税制限リストに同じようにひとしく含まれているものなんですか。
○政府参考人(石川薫君) お答えいたします。
 シンガポール、メキシコ、マレーシアと我が国のEPAにおきましても、このフィリピンとのEPAと同様に関税撤廃の対象に有害廃棄物が含まれ得る品目があります。
 しかしながら、これらのEPAについても、フィリピンEPAと同様の規定により、バーゼル条約等に基づく有害廃棄物規制が何ら妨げられないことが明らかとなっている旨、付言させていただきます。
○榛葉賀津也君 ごめんなさい。もう一度聞きますが、すべて同じようにひとしくリストに有害廃棄物は載っているんですね。
○政府参考人(石川薫君) 譲許表の記載の仕方はそれぞれ違いがございますけれども、それは技術的な理由によるものでございまして、それを具体的に御報告いたしますと、それぞれのEPAの中で国ごとに品目の関税分類の仕方が異なっていたり、また譲許表における記載を簡略化する観点から同じ関税撤廃スケジュールの品目は整理統合したりして記載されているためですけれども、対象としては載っております。
○榛葉賀津也君 例えば、フィリピンとシンガポールとの比較をいたしますと、シンガポールとフィリピン両国共通にリストされているというのは、第三十八類の化学工業において生ずる残留物、都市廃棄物、下水汚泥、それから六十三類の繊維その他の製品、セット、中古の衣類、若しくは繊維の中古品及びぼろというだけなんですね、例えば。その他の、フィリピンに掲載されている砒素、水銀、タリウムといったものは、実はシンガポールのリストにはないわけでございます。それは、今説明されたように、その技術的なリストの仕方で変わると、いわゆる関税の撤廃の時期によってリストの仕方が変わるから、載ったり載っていなかったりするということなんですか。
○政府参考人(石川薫君) シンガポールの場合は、基本的に日本を原産とするすべての物品について関税を撤廃しますという包括的な規定をまずぼんと掛けてしまっているものですから、その後ろの細かい記述が違うと、こういう趣旨でございます。
○榛葉賀津也君 なるほど。また、それちょっと後で聞きますけれども、ここに日本語のいわゆる協定書、日比の、これ英字の協定書があります。これ、まくらにするにはちょっと薄いんですけれども、読むには長過ぎるという非常に厄介な読み物なんですけれども、この英字のやつには日本の表もフィリピンの表も載っています。これ読むの大変だったんですけれども、読みました。それから、こちらの日本語の方には、日本の表は載っているんですけれども、ここにあるように、フィリピンの表は省略されているんですね。ですから、日本のだけを読んでも、日本語だけ読んでも、フィリピンの表に何が載っているか分かんないんです。
 このフィリピンの表は抄訳という冊子にいわゆる略されて載っています。これを読むと、廃棄物が一切日本字には載ってないんです。英字を読むと、すべてフィリピンの表は載っていますから、有害廃棄物の英語って難しいんですよね、これ辞書を持ち持ちやったんですけれども、これには載っている。だから、日本語だけ読んでも、有害廃棄物がこの無税、関税撤廃リストに載っているというのが分からないんですね。
 そうすると、うがった見方をすると、恣意的にこれを外しているんじゃないかと思う方が、実際、日本にもフィリピンにもいるわけでございます。これ、なぜ日本の抄訳にしっかりと有害廃棄物も載せないんですか。
○政府参考人(石川薫君) まず冒頭、お答え申し上げたいことは、私ども、全く他意はございません。
 その上で、ちょっと長くなって恐縮ですが、理由を御報告させていただきたいと思います。
 これまでに国会に御審議をお願いしてまいりました経済連携協定におきましては、協定の附属書のうち相手国の関税に係る譲許表等につき、技術的、専門的内容であること、相手国独自の商品説明、国内法の表記が見られ、日本語にするとかえって分かりにくくなる場合もあるといったような等の理由によりまして、一つは相手国との間で交渉対象となった品目や分野、それから二つは、相手国との間の貿易投資関係の実態がある品目、分野についてのみ抄訳を作成し、協定の説明書とともに参考資料としてすべての国会議員の方々にお配りすると、そういう対応とさせていただいてきております。
 なお、僣越でございますけれども、このことにつきましては、各院の議院運営委員会の理事会においても御了承いただいたという経緯がありますので、併せ御報告申し上げたいと存じます。その上で、今回の日本・フィリピン経済連携協定に関してもこのような対応とすることで、協定の国会提出に先立ち、各院の議院運営委員会理事会において政府側より御説明させていただき、その御了承を賜った経緯がございます。
 さて、あと一、二分お時間をいただきます。済みません。
 御指摘の廃棄物に関するフィリピン側譲許表についても、その中における廃棄物の関税率自体が個別の日比間の交渉の対象になったわけではございませんで、また日比間の廃棄物の貿易実績は少ないことから、以上申し上げました考え方に照らして、抄訳における訳文作成の対象としなかったものでございます。
 もとより、委員御指摘賜りましたように、今御審議賜っております本協定の正文は英語でございまして、テキストにつきましては、御指摘いただきましたフィリピン側譲許表も含めてすべて提出させていただいております。このことからも明らか、十分ではなかったかもしれませんけれども、私どもとして全く他意はないということを是非御理解いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○榛葉賀津也君 他意はないと信じたいと思いますし、他意はないと私は信じております。だからこそ、誤解のないように、他意があると思われないような記載の仕方をするべきだと思うんですね。EPAは仲間づくりであり、この国のいわゆる今後の大きなかぎでございますから、将来の、是非そういうことのないようにしたいと思うんですが、そういった観点からまた幾つか質問をしたいと思います。
 ただ、これ今英字で書いてあると言ったけれども、恐らくこれ全部読んだ人はいないと思いますよ。すごい、どきどきはらはらする文書ではないですからすごい根気の要る作業なんですよ、これ全部チェックするというのは。ところが、やっていくと、確かに有害廃棄物、載っているんですよ。ところが、日本語には載ってないんです。野党だからじゃなくて、これ、そう思う人が出ても仕方ないと思う。外務省とすると、やはりその誤解が生じないようにするべきだと思うんですよね。ですから、私は、たかだかあと何ページ増えるか分かりませんが、何なら全部載せてきちっと説明責任果たして、何も恥ずかしいことないんですから、それやるべきだと私は思います。そうすれば私、こういう質問今やらなくて済んでいるわけでございますから。それは私の提案、提言でございます。
 これ、リストに載っているということは、関税撤廃するということは、輸入する可能性があるということなんでしょうか。これ、環境省か外務省かあれですけれども、どちらでも結構ですけれども。
○政府参考人(由田秀人君) 本EPA協定につきましては、日本、フィリピンそれぞれの国によります有害廃棄物の規制を妨げるものではないとの趣旨、先ほど御説明があったことも明確にされておりまして、バーゼル条約などに基づきます有害廃棄物の輸出入規制は従来どおり実施されることになります。
 これまで我が国におきましては、バーゼル条約に沿った国内法によりまして有害廃棄物の輸出入規制を行っているものであります。具体的には、日本の輸出業者が海外へ廃棄物を輸出しようとする場合には、経済産業省の承認及び環境省の確認、それから相手国の書面による同意が得られない限り当該有害廃棄物を輸出することができないことになっております。
 なお、我が国ではこのような有害廃棄物の輸出規制を厳格に実施しております。過去、我が国からフィリピンに対しましてバーゼル法の手続を経て有害廃棄物が輸出されたという実績はございません。
○榛葉賀津也君 輸出はできないということですね。
 では、外務省に聞きますけれども、どうせ輸出できない、輸出しないものだったら、このリストから外した方が誤解を与えないんじゃないでしょうか。
○政府参考人(石川薫君) 実は私ども、この交渉をしておりますときに、経済連携協定の交渉でございますけれども、ガットの二十四条に基づきまして実質上のすべての貿易について関税撤廃することを趣旨とする、そういう協定、いわゆるWTO整合的な協定であるということをまず基本として交渉させていただいてまいりました。
 御指摘のとおり、譲許表上は、この廃棄物についてもほかのほとんどの物品と同様に関税を撤廃していると、そういう切り口からの撤廃リスト掲上でございます。
 ただ、念のため、繰り返し恐縮でございますけれども、私どもとして、これにより有害廃棄物の輸出入を促進する意図は全くございません。この協定は、日本、フィリピンそれぞれの国において有害廃棄物の規制を妨げるものではないとの趣旨を明確にしておる次第でございます。
○榛葉賀津也君 そちらに資料あると思うんですが、これ日本語の三百二十四ページ見ていただくと、第二十六類あるんですね。鉱石、スラグ及び灰というところですが、これ全部一括してAになっているので一つの欄で終わっています。つまりは、一々品目を並べないで、第二十六類は全部Aですから、日本の場合は一括して一つの表で終わっています。
 英字の三百二十四ページ見ていただくと、同じ二十六類なんですが、フィリピンの表には細かく載っているんですね。細かく載っている。先ほど他意はないし輸出はしないと言ったけれども、この中で、全部B5なんです。B5というのは五年後に関税撤廃しますよというサインなんですね。ところが、その中で二十六類の20・6000のところの砒素、水銀、タリウムだけAランクになっている。そしてもう一つ、二十六類の21・1000、これ一般廃棄物ですけれども、これもAになっている。これ即時関税撤廃です、Aというのは。同じ廃棄物、有害廃棄物で、この二つだけAになって、残りはB5。
 これまたうがった見方をすると、なぜこれだけ即時撤廃で、残りはB5なんですかという世界なんですよ。これ、どうしてですか。
○政府参考人(石川薫君) 御指摘のとおり、日本側の譲許表におきましては、第二十六類、先生おっしゃったとおり、鉱石、スラグ及び灰となっておりまして、フィリピン側の譲許表については八けた分類で詳しく載っております。
 交渉経緯について御報告いたしますと、この廃棄物について、いわゆる貿易上の関心事項として交渉された経緯はございません。交渉の目安としては、先ほど申し上げましたWTO整合性の観点からもカバーしたわけでございますけれども、今御指摘のAとB5、すなわち即時撤廃と五年後の撤廃につきましては、実は先方の提示のままに私どもがイエスと言ったという経緯がございまして、それがここの合意に至った経緯でございます。日本側からAにしてくれとかB5にしてくれという交渉をした経緯は実はございません。
○榛葉賀津也君 ではなぜこれ、分かりました、フィリピン側の提示、分かりますけれども、誤解を受けやすいと思いませんか。なぜこれだけAになっているんでしょうか。交渉ですから、これフィリピンとやはり、ガッチャマンたちプロですからね、細かい交渉やっているわけですから。これなぜ、これだけAになっているのは、フィリピン側が決めたから知りませんというのは、それちょっと説明、説得力ないと思いますよ。
 実際この問題で疑問を持ってしまっている人がいるわけですから、その疑問は晴らしていただきたいと思います。
○政府参考人(石川薫君) 御指摘のとおり、フィリピン側の譲許表におきましては、今御指摘の八けたベースでの二品目以外にもAという品目がございます。この即時撤廃関税と五年間の関税撤廃と分かれることになっておりますけれども、私どもといたしましては、正に交渉の過程におきましても、バーゼル条約が優先するということを明確にすることによって、先ほどのWTO整合性とこのバーゼル条約の優先ということの双方を規定させていただいたという経緯がございまして、このAとB5そのものについて私どもから特に交渉の段階で申し上げたことはないという次第でございます。
○榛葉賀津也君 これ実は通告していなかった、さっき言ったんで、一生懸命答弁してくださっているんで評価はしたいと思うんですが、説得力がいま一つだなと正直思います。私はこれ応援している立場なので、是非、こういう誤解を少しでもないように私たち努力しなきゃいけないんですよ。これは引き続き私また今後も調べていきますので、是非誤解を晴らしていただきたいと思います。
 この有害廃棄物がなぜリストに載っているかって調べると、ガッチャマンの名誉のために私からも言っておくのは、これ貿易量の九割の品目を関税ゼロにするという一個のハードルがあるんですね。これをクリアしなきゃいけないということでこういったものも持ってくる。若しくは、それと特定セクター、特定の分類を一括して削除しないというのが基本的な最低必要条件なんで、これもクリアするというハードルがあるという様々なことがあるんですが、問題は、載っている載っていないではなくて、有害廃棄物は絶対に輸出しないということをやはり明確にするべきだと思うんですね。ここの有害廃棄物は必ず外国に行きませんよと、手続上リストには載っているかもしれないけれども、絶対に日本の有害廃棄物はフィリピンに行きませんという何らかの約束事、協定というか、そういった約束事を作っておく必要があると思うんですが、これはどうなんでしょうか。
○政府参考人(石川薫君) 委員の御指摘はしっかりと受け止めさせていただきます。その上で大変くどくて恐縮ですけれども、足りなかったというおしかりは甘んじて受けますが、私どもとしては、この協定の貿易章の二十三条におきましてガット第二十条を準用させていただいて、このガット二十条において、両国は人、動物又は植物の生命又は健康の保護のために必要な措置をとることができると。
 恐縮ですが、私どもの対外説明そのほかについてのおしかりは甘んじて受けつつ、あえてお答えさせていただきますと、私どもにとりましては、ここで国際約束があるとして例えば有害廃棄物についてまず念頭に浮かぶのはバーゼル条約であると、そういう経緯があったということは是非御理解をいただきたいと存じます。
○榛葉賀津也君 リサイクル目的であっても、OECD、EU、リヒテンシュタインから、それら以外の国に有害廃棄物を輸出できない、輸出を禁止するといういわゆるバーゼル条約の修正条項があるんですが、リサイクルでも駄目だよと。この修正条項に実は日本もフィリピンも批准していないんですね。このリサイクル目的という名目でこれらがフィリピンに行くという可能性はありませんか。
○政府参考人(由田秀人君) 御指摘のとおり、日本、フィリピン両国とも先進国から途上国への有害廃棄物の輸出を禁じますバーゼル条約の九五年改正、いわゆるバンアメンドメントは批准をいたしておりませんが、バーゼル条約、それから関係国内法令に基づきまして先ほど申し上げました有害廃棄物の輸出入の規制を行っております。したがいまして、リサイクル目的でありましても有害廃棄物の輸出入につきましては厳格な手続を実施しているところであります。
 なお、先ほど御説明させていただきましたように、過去、我が国からフィリピンに対してバーゼル法の手続を経て有害廃棄物を輸出された実績はございません。
○榛葉賀津也君 この関税削減リストに有害廃棄物が含まれているということで、現実問題、内政問題があるという現実があるにせよ、フィリピンでは上院での批准が遅れている。ひいては、この条約、両国での批准が遅れる可能性があるんですね。
 これは政治の立場で大臣にお伺いしたいんですが、この批准の遅れという問題が現実問題、関税の撤廃を見込んでいる民間企業にとりますと、この事業戦略であるとか経営戦略にこれは大きな影響を与えかねない、若しくはこの条約、協定の柱である看護師、介護士の人の問題、この受入れが一年遅れる可能性が実はあるんです。これもうフィリピンの国内問題というよりも、日本にとっても大きな国益を損ねる可能性のある問題だと思うんですが、この問題、大臣どのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) 御存じのように、これ、このガットというか、このFTA等々の考え方の基本として、とにかく範囲はまず全体とした上で、その中でこれは除外しますとかこれは例外としますといって外していくというやり方です、基本的には。積み上げではなくて、まずばくっと決めて、外している。これWTO以来の手法なんですけれども、この日比協定も、日本・フィリピンEPA協定も基本的にそれと同じというルールになっております。
 したがって、バーゼル条約の対象品目というものは例外ということはこれは明確になっておりますので、今後とも今御指摘のありましたように明確にしていかなきゃならぬと思っております。これ可能な限りでこれを早くできるようにしなくちゃいかぬということなんだと思っておりますが、フィリピンはいろいろ御存じのようにあった上で、アロヨ大統領は十一月の十七日にフィリピンの上院にこの法案を、何というんですか、提出済みということになっておりますので、これも要するに時間を、ここに、人様の議会の話ですので、どうなるかはちょっと予断をできるところではありませんが、これさらにロムロ、ロムロというのは外務大臣ですけれども、今週またフィリピンのセブ島で会うことになろうと思いますので、そういった機会等々を通じてこの問題に関しましては更に働き掛けをやっていかねばならぬと思っておりますので、この種の問題で影響出てくる可能性というのはもう十分に配慮しておかねばならぬ大事な御指摘だと存じます。
○榛葉賀津也君 先ほど環境省さんが、このバーゼル条約にのっとった形では有害廃棄物は輸出されていないという御答弁がございました。
 ところが、不正な形で実はこの有害廃棄物若しくは産業廃棄物が海外に行っているケースというのは実はたくさんあるんですね。フィリピンでも、そもそもこの有害廃棄物の問題がEPAでクローズアップされたのも、クローズアップされて日本が今不信な目でフィリピン国民から見られてしまっているというのも、過去にこういったケースがあるからなんですね。いわゆる九九年に産廃処理会社のニッソーという会社が、再生用古紙と偽って注射針だとか医療器具の廃棄物をフィリピンに輸出してしまった。これ記憶に新しいところですけれども、それで、それがフィリピンでも日本でも大々的なニュースになって、結局、後始末する支払能力がこの業者になくて、日本国が三億円の税金を負担して現地から回収したというケースがあるんですね。
 環境省さんのホームページを見ますと、日本の税関を通過して輸出したにもかかわらず相手国の税関で止められて日本に返ってきたいわゆる廃棄物が、日本の税関をすり抜けて、商品偽って行ったけれども、向こうの税関でとんでもないじゃないかということで日本に送り返した、シップバックされたものが実はたくさんあるんですね、カンボジア、香港、中国、ベトナム。フィリピンはないんですけれども、中古のバッテリーだとかテレビ、モニターだとかいろんなものが、プラスチックのくずだとかあるんですけれども、これはゆゆしき問題でありまして、この現状を環境省はどう把握しているか。これシップバックされたリストはまだよかったんです、向こうで見付かりましたから。恐らく両方の税関をすり抜けてしまったケースというのは必ずあるはずです。
 この現状を環境省はどう把握をされて、今後のこの防止策、これどのように対策取るおつもりですか。
○政府参考人(由田秀人君) 有害廃棄物を輸出する際には廃棄物処理法、バーゼル法に基づく手続が必要でありますが、御指摘のように、過去フィリピンに不法に輸出されまして日本に持ち帰りまして処理をしたケースがございます。先ほどの御説明、ニッソーの事件というものであります。
 それから、フィリピンではございませんが、御指摘のように、近年、これらの手続を経ずに輸出されまして、相手国の税関で不適切な輸出が発見されまして我が国貨物が返送されるという事例が発生しております。極めて遺憾なことだというふうに思っております。
 このような事例が生じないように、我が国といたしまして、関係省庁が連携をいたしまして、まずは事業者に対しまして関係法令を周知するためのバーゼル法などの説明会を開催をいたしております。平成十七年度実績で全国の十一都市で開催をいたしております。これは経済産業省と合同で行っておりますし、税関などとの連携も取っております。それから、いわゆる事業者からの輸出の個別の相談に応じる事前相談の実施も行っております。経済産業省等含めまして十三年度実績で一万三千五百件ほどございます。それから、税関におかれましても、輸出申告のときに慎重な審査を行うこと、それから検査を行っております。
 さらに、我が国といたしまして、フィリピンを含みますアジア各国からの参加を得まして、有害廃棄物不法輸出入防止に関しますアジアネットワークワークショップというものを開催しておりまして、一昨年、昨年度開催して、今年も、本年度も開催する予定にいたしておりますが、このようなことも行いまして、不法輸出防止のための関係国との情報交換も行っているところであります。
 これらの活動を通じまして、不適切な輸出の防止に最善を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
○榛葉賀津也君 この産業廃棄物というのはなかなか難しくて、この国にはごみでも有効活用で資源になるという世界もありまして、なかなか難しいとは思うんですが、いわゆるバーゼル条約はもとより、我が国の廃棄物処理法でも、基本的には廃棄物の国内処理の原則というものがこれうたってあるわけでございますけれども、さっき言ったように、なかなか国内だけで処理してしまうといわゆるごみになってしまう。しかし、有効活用できる可能性があるということで、よく考えればこれ再利用できるんですが、それを逆手に取って、そういった名目で廃棄物を海外に出してしまえという世界も生じるわけでございます。
 現実問題、つい最近も年間百万台以上も廃パチンコ台、これがリサイクルという、中古品と偽って香港に輸出され、まあ結局はごみなんですけれども、百万台以上の廃パチンコ台が中古品と偽って香港に輸出されて現地で鉛中毒だとか健康被害を起こしているという現実があるんですね。これ、現地では大きく報道されていますし、日本のホームページでもそれを拝見することができます、環境省もコメント出していますけれども。
 こういった有害廃棄物のいわゆる不正輸出を、これ国際問題にもなりかねない、まあ実際なっている問題ですから、こういった問題を防ぐ根本的な対策を私は取るべきだと思うんです。バーゼル条約の禁止修正条項の批准というものも一個の方法かと思いますが、これ、さっき言った理由でなかなか難しいかもしれませんが、この修正条項の批准も含めて抜本的な対策考えるべきじゃないでしょうか。どうですか。
○政府参考人(由田秀人君) 御指摘のとおり、バーゼル条約の九五年の改正というものがございまして、批准している国もございますが、まだ少のうございます。
 我が国が批准せよということでありますが、いわゆる我が国におきましては、このバーゼル条約に基づきまして国内のバーゼル法を制定をいたしております。また、廃棄物処理法もございます。
 廃棄物処理法におきましては、いわゆる無価値、我が国の中でも廃棄物として考えられているものの規制でありますが、これに関しましては、御指摘のように、国内処理原則というものを優先し、これをバーゼル条約の手続のほかに、外国に輸出する場合には国内と同様の水準の処理というものができない限りは輸出を確認しないと、こういうことにしてございます。それからまた、いわゆる国内では廃棄物ではないということで有価物なんですが、バーゼル条約上の有害廃棄物としてなるものに関しましても、先ほど御説明しましたように、相手国の同意というものを求めております。
 そのような厳しい規制をやっておることから、現在のところ、バンアメンドメント、九五年、バーゼル条約の九五年改正に関して批准をしていないと、こういうことの立場でございます。
○榛葉賀津也君 もう少ししっかり答弁してほしいんですけど。
 現実問題、百万台廃パチンコ台輸出されているんです。日本から出ているんですよ。これ、受け入れた方も受け入れた方かもしれませんが、出した日本にも責任ありますよ。こういったことがないように私はするべきだと思います。是非今後とも、引き続き環境省さんにこの問題については努力をし、御尽力いただきたいということをお願いして、この問題については質問を終わりたいと思います。
 次に、話が変わりまして、残りの時間、いわゆるブラジル人の犯罪人引渡条約と代理処罰の問題について残余の時間、質問をしたいと思うんですが。
 四月の二十日にこの委員会で初めてこの問題について質問をさせていただき、超党派の理事並びに委員の先生方、そして外務省、警察庁始め多くの皆さんに大変な御理解と御支援をいただいてまいりました。第百六十四国会の当委員会とまた本会議でこの問題に対する請願も採択をしていただきました。
 環境省さん、もう結構でございます。済みませんでした。
 この運動の始まりは、二歳の山岡理子ちゃんがいわゆるひき逃げ事故に遭って二歳の命が亡くなったと。この御両親がいたたまれない気持ちで署名活動を始めたのがきっかけでございました。十万人を目標にしようと。本当に十万人なんか集まるのかなといって始まった運動が、何と最終的には七十万八千八百六十五名の署名が集まりました。で、三度にわたりまして、外務大臣、外務副大臣に署名を手渡し、十一月の二十七日、最後の署名の結果として三十万八千三百二十余名の署名を浅野副大臣に手渡しました。
 この運動を始めたときは、実は浅野副大臣は外交防衛委員会の筆頭理事をされて、私も野党側の筆頭理事をさせていただいて、実は麻生大臣に公明党の高野先生と三名で署名を手渡した側でございました。十一月になりまして、今度は私と遺族で副大臣の浅野先生にこの署名を手渡すことができたと。本当に感謝をいたしております。
 実は、この最後の三十万八千三百二十余の署名の中には、四千五百九十四人分の在日ブラジル人の署名も実は入っているんですね。これは、本当に、国を超えて両国がこの問題を何とかしなければならないという思いが入っていると思います。
 まず、副大臣にお伺いしますが、この合計七十万八千八百六十五名の署名受け取って、その思いはいかがでしょうか。
○副大臣(浅野勝人君) 御指摘のとおり、かねて榛葉委員とともに私もこの問題の解決について政府に対策を求める側にございました。縁あって今回それを受け止めさせていただく立場にあります。したがいまして、被害者、御遺族の思いについては、私は人後に落ちない理解をさせていただいているつもりでおります。
 榛葉委員御指摘の署名の重みについては重く受け止めさせていただいておりまして、例えば問題解決のために、今年の八月、ブラジル政府に対して、日本国内で犯罪を犯しブラジルに逃亡しているブラジル国籍を持つ被疑者数名について、ブラジルの刑法に従って国外犯処罰規定の適用をきちんとしてくれと、すべきであるということを外交ルートを通じて既に申し入れております。
 その数名について、個々の犯罪捜査にかかわる問題でありますからだれであるかという公表は差し控えさせていただきますけれども、七十万余の署名をいただいた三件については重く受け止めているということで御推察を賜りたいと存じます。
○榛葉賀津也君 ブラジルだけを取っても現在八十六名の逃亡犯罪人がいるのが現実で、これは私も難しかったんですが、あたかもブラジルだけをターゲットにしているように思われるのは心外なんですが、たまたまブラジルというケースという切り口でこの外国犯罪人の問題を今議論しているわけであって、ブラジルだけを責めるということは、これは間違っていると思います。
 ただ、このブラジルのケースを切り口として、この問題やっぱりしっかり考えなければならないと思うんですが、犯罪人引渡条約が仮にあっても、それぞれの国には自国民保護の原則がありますから、これ実際には難しい。特にブラジルの場合は、憲法第五条五十一項の制約がありますから、この壁も難しい。
 特に私がお願いしたいのは、一九九九年、女子高生の落合さんがひき逃げに遭って、犯人も特定されている、しかしこのケースは時効が迫ってきている、条約も時間が掛かる。これ、浅野先生がおっしゃったようにいわゆる代理処罰をお願いするしかないんですね。個別具体的なケースをどうこう言うつもりはございませんが、このケースは実はブラジル人も注目しています。このケースが逃げ切れちゃうと、逃げ切れるぞという誤ったメッセージをこの八十六名、ほかにも与えかねない。ですから、個別具体的なケースは云々言いませんが、特にこのケースは是非御尽力いただきたい、最初のケースですから。それは是非、警察、外務省両方にお願いをしたいと思うんですが、それについていかがでしょうか。
○副大臣(浅野勝人君) 御指摘の方の事件が時効が間近だという認識を政府は持っております。
 榛葉委員おっしゃるとおり、仮に、仮に早急に犯罪人引渡条約が締結されたとしても、このブラジルの場合には、ブラジルに帰化する以前に犯した犯罪若しくは麻薬取引に関与した場合を除いては自国民を引き渡さないと言っているわけですから、実現ができないわけですね。しかし、逃げ得は許さないという基本を貫くには、幸いブラジルの刑法が、外国で犯罪を犯した犯罪人がブラジルに逃げ込んだ場合、規定に従って起訴して処罰するということを許しているわけですから、今、榛葉委員指摘の個別の問題として、先ほど申し上げた数件の中の、まあ個別に答えてしまうのと同じになっちゃいますけれども、最優先課題だと、最優先事案だと承知をしております。
 じゃ、犯罪人引渡条約、幾ら交渉して締結したって意味ないじゃないかと。それは確かに、日本人を含む第三国人が外国で犯罪を犯してブラジルに逃げ込んだ場合は引渡しがされるわけですから、その意味ではありますが、八十六人のブラジル人犯罪人のうち数名をやっと個別にやっているという現状の中、しかし、さはさりながら、それについては徹底的にやっていきます。
 もう一つ、長期的には犯罪人引渡条約の中に、ブラジルを例に挙げて言えば、ブラジルがブラジル人を引き渡さない場合の訴追に向けた付託手続の規定を新たに盛り込んだ条約を作るということに成功すれば、国外犯の処罰にかかわる手続が現状よりもはるかに円滑に進めることができると政府は認識をしておりますので、そのような条約の締結の可能性について先方と真剣な話合いをしていきたいと。ただし、現状は、こちらの呼び掛けに対してブラジル側の熱意というか冷めた、冷めた対応、残念ながら現状はそういう状況にあります。
○榛葉賀津也君 この条約締結は、二国間の社会保障協定であるとか、様々なパッケージとしての壁、課題あることは重々承知しておりますが、今、浅野副大臣がおっしゃったように、逃げ得を防ぐ抑止力、若しくは第三国の犯罪人を引き渡すといった意味からも、是非粘り強くこの外交交渉は続けていただきたい。
 先日提出した七十万八千八百六十五名の署名の中には、実は理子ちゃんのお兄さん、お兄さんって幼稚園ですけれども、宏太君の署名も、自分の字で書いた署名もありました。お母さんの手紙もちょうだいしたんですが、たった一人の妹を亡くした宏太のためにもよろしくお願いしますと、こう書いてあります。私たちの唯一の願い、極刑は望みません、ただ、理子に心から謝ってもらいたい、それだけですと。同じ子を持つ親として、山岡さん、理子ちゃんの御両親、真剣にこの問題を考えて、憎しみから極刑を望むんではなくて、是非、人として謝ってほしい、その心を是非私たちは大切にしたいと思います。
 私、現地の警察も行ったり、あちこちの現場も調べました。これ難しいのが、事件が起こった場合、ICPOへの捜査協力、依頼というのは都道府県警が行うことになっているんですね。ですから、都道府県警が早く資料を作って捜査依頼しないと、なかなか捜査が進展しないんです。
 じゃ、警察何やっているんだという話かというと、決して、警察の名誉のために言っておきますけれども、そうじゃないんですね。現場は大変なんですよ。うちの片田舎の警察の留置場へ行ったって、中国人やブラジル人、外国人ばっかりです。ばっかりと言ったら語弊がありますけど、非常に多い。犯罪もこの外国人犯罪が急増している。この対応で現場の警察はぱんぱんなんですよ。これで更に、あちこちで起こっている犯罪に対して書類作って提出して、じゃ警察たるんでいるかといったら、警察の不祥事を報道することはたくさんありますが、警察頑張っているところはまずないですから、報道で。現場では本当苦労されているんですよ。
 ただ、現実問題、八十六名が逃亡犯罪人になっている。これは警察にむち打つだけじゃなくて、システムとしてもう少し何らかのシステムづくりを、こういう逃げ得の犯罪人が出ないシステムづくりをこれ国として知恵を絞らなきゃならないと思うんですが、この問題についてはどうでしょうか。
○副大臣(浅野勝人君) 政府は、犯罪対策閣僚会議をせっかく立ち上げております。今の御指摘を踏まえながら、外国の関係機関との間における国際的な犯罪にかかわる情報交換とか国際捜査の協力のありようについて検討を始めております。御指摘を踏まえ、さらに適切な対処をやってまいります。
○国務大臣(麻生太郎君) これは、榛葉先生、このところ少し減りぎみにはなっているんですが、外国人の犯罪比率というのは激増したんですよ、一時期。早い話が、新宿歌舞伎町のお巡りは二十一か国語をしゃべれないと交番のお巡りは務まらないという、一回新聞に出たことがたしかありました。
 現実問題としてはすごいことになっていますんで、そこのところでパクる、パクるなんて言っちゃいかぬね、逮捕すると入れる場所がないんですよ、入れる場所が。だから、結論、刑が軽いのはみんな放すわけです。それが更に悪くなる。だから、もう悪いのをどんどんどんどん持っていっちゃうということができる、収容するところが一杯で、結論、何というの、罪が重たいのがまた捕まるものですから、簡単には刑務所の回転率が悪いわけです。意味分かるでしょう。
 日本人だったら七年ぐらいだったものが、外国人が入ってきたら九年とか十年になる、凶悪犯罪が増えたものですから。刑務所の回転率が悪いものですから、一人部屋がなくなって、四人部屋が五人になり、六人部屋が八人になったりなんかしてどんどんどんどん刑務所が一杯。ついに、総務大臣のときでしたが、これ三年前、刑務所を大々的に増設するということをやって少し緩和したんですけれども、今全くおっしゃるとおりは現場なんですよ。だから、これはもう警察官は増やさないかぬ、刑務官は増やさないかぬというところに全部そこに行き着くというのが現実として私ども非常に悩み深い問題ということは私ども、よく認識をいたしております。
○委員長(柏村武昭君) 榛葉賀津也君、時間が来ております。
○榛葉賀津也君 はい。
 私、現場の外国人ともよく話をしました。そうすると、いや、榛葉さん、私たちも被害者なんですという声があるんですね。日本経済の調整弁、雇用の調整弁として利用されたり、実は大変厳しい労働環境であったり、子供たちの教育を見てください、まともに教育すら、我々は現実問題、子供に教育を与えられないんですよ。今日、EPAの話でしたけれども、人の交流含めて、この問題は今、これからの日本の形であるとか、本当に今後の日本の持っている大きな問題ですから、これは是非対応をしていただきたい。また、二〇〇八年はブラジル移民百年の節目でありますから、このモメンタムも是非活用して問題解決に御尽力いただきたい。
 犯罪被害者救済制度について警察庁に質問する予定だったんですが、時間がなくなってしまって本当に申し訳ございません。また日を改めてこの問題について議論させていただきたいと思います。おわびをして質問を終わりたいと思います。
    ─────────────
○委員長(柏村武昭君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、犬塚直史君が委員を辞任され、その補欠として岩本司君が選任されました。
    ─────────────
○委員長(柏村武昭君) では、続いての質疑のある方。緒方靖夫君。
○緒方靖夫君 日本・フィリピンEPAについて質問をいたします。
 今回初めて人の移動が入ったと思います。ASEAN事務局長が来日して意見交換した際に、日本との協定では人の移動が最も共通な要求になっていると、そう述べておりました。フィリピンの後に続くASEAN諸国との協定でも、人の移動が大きなテーマになると思いますけれども、その点で大臣の御認識を伺いたいと思います。
○国務大臣(麻生太郎君) 日本がこれまで締結をしてまいりましたEPA、いわゆる経済連携協定では、主に短期の訪問者、いわゆるビジネスマンとか企業内転勤者というようなところの移動が円滑化に行われ、円滑にするための約束が盛り込まれてきております。
 この日本とフィリピンのEPAにおきましては、これに加えて初めていわゆる話題になっております看護師・介護福祉士候補者の受入れにつき、規定を新たに設けたというところが今までと少し違っておるところだと思います。先日、大筋合意をいたしました日本・インドネシアの経済連携協定におきましても、一定の条件の下で看護師、介護福祉士を受け入れるということを約束をいたしております。
 今後、人の移動をいかに扱うかということにつきましては、これは相手国が希望してくる、要望してくるところというのが、要望してこないところもありますんで、そういった意味では日本の国内を、これはまず最初フィリピンやりますんで、その状況をよく見た上で、先ほど榛葉先生の御質問にもありましたように、不足しております看護、介護というようなところ、よく新聞なんかに出ますけれども、お互いさま、こういった人間関係というようなものが妙にこれによっておかしなことになりますと、いかにもこの協定によって日本・フィリピン関係が妙に感情的におかしくなって、こんなのばっかり来てとかなんとかいろんな、一人でも出ると大きな騒ぎになりかねないようなところは、我々もそこのところは冷静に対応していって、結果としてこの協定を結んでよかったというようなものにしていかねばならぬと思っております。
○緒方靖夫君 交渉過程でフィリピン側との間で最も意見の調整が必要になったそういうテーマ、恐らくこれが人の受入れの問題で、そしてフィリピン側はかなり大きな人数の受入れを求めてきたんではないかと思いますが、その点についてお伺いいたします。
○副大臣(浅野勝人君) 御指摘のとおりでございまして、フィリピン側は特にフィリピン人看護師、それから介護福祉士の海外への送り出しに積極的で、日本側がこれをどのような形でどのぐらいの規模で受け入れるかということに強い関心が表明されておりました。日本側からは、日本の国家資格の取得が条件であること、それから国内労働市場への影響を十分考慮することなどを先方によく説明をしてまいりまして、こうしたやり取りを含めた結果、今回の合意になっております。
 それから、今、人の交流についての御質問で、物品についての御指摘はありませんでしたけれども、やっぱり農林水産品の多くについて関税の撤廃の要求がありました。日本側は、日本の食料安全保障の確保、農業の多面的な機能への配慮、あわせて日本の農林水産業における構造改革の努力などに悪影響を与えるようなことを避けたいという立場を説明しまして、これらの点についての十分な留意を促し、やり取り、かなりお互いの立場を深刻に語り合いながら、そのやり取りの結果、交渉をまとめて今日に至っております。
○緒方靖夫君 農業の問題は後で伺いたいんですが、日本は外国人労働者の比率がほかの先進国と比べて非常に低い、異常に低い国だというふうに言えると思います。歴史的にも、難民の受入れなんかでも、例えばインドシナのボートピープルのときに、各国が何人何人と受け入れするときに、日本は二けたぐらいそれは違うという、そういうことも経験していると思うんですね。こんな経過があって、外国人労働者を受け入れる条件の整備というのは、国民の心理面も含めて本格的に必要になる分野だと思います、これから。
 今度の外国人受入れの問題でも、その点での条件整備という点ではどのようにとらえておられるのか、お伺いいたします。
○国務大臣(麻生太郎君) 平成十一年の第九次でしたか、雇用対策基本計画というのを策定しておりますけれども、いわゆる専門的な話とか技術的なとかというのに優れた外国人は受け入れると、積極的に推進しますということを言っておりました。他方、いわゆる単純労働と言われるものにつきましては、十分に慎重に対処すべきだということをずっと申し上げて、その方針で臨んできたということだと思っております。
 これ、今いろいろ議論が行われておりますのは御存じのとおりですが、確かに経済のグローバル化に伴いまして、経済社会の活性化とか少子化という話もあるでしょうし、高齢化とかいろんな話がありますんで、これ総合的にやっていかねばならぬと思いますが、少なくともアジアの中からいろんな形で技術を習得したいために入ってくれる人たちを工場の中なんかに入れておりますが、田舎のところで、余り外国人見ないようなところに入ってくると、拒否反応が起きるという前提である程度やってみた例が幾つかありますけれども、うまくいった例は、NOVAがただで工場に来たという表現が筑豊辺りの工場で聞かれる言葉の一つですけれども、NOVAというのは駅前のNOVAのことです。NOVAがただで工場に来たとか言って、そういった人たちと一緒に近くの赤ちょうちんに三人ぐらいの日本人と一人の外国人が一緒になって、いろいろコミュニケーションスキルが上がっていることはもう事実なんで、そういった意味では、こちらの外国人との接触の仕方うまくいっているという例も確かにあります。
 ただ、そういったうまくいった例じゃない例も幾つも多分あるんだと思いますんで、そういった点は、もう先生御心配のとおり、これは日本人はこれまで島国として長い間慣れたことがないということもありますんで、普通に付き合っていくという大事な観点というのが持っている、やっぱりこんなのは基本的には慣れの問題ですから、そういった意味ではそういった考え方を基本にして、私どもは基本的には多くの方々がうまく日本の文化に接する、我々も相手側の文化に接する、違いを認めた上でどう付き合うかというような話をやっていくというのが基本なんだと思っております。
○緒方靖夫君 今回もフィリピン側は、人数のけたが違うと、そういう言葉で示されたように、大幅の受入れを望む、日本側はそれを抑えたという、そういう経過があったと思うんですね。その点で、条件整備というのはなかなか難しいのかなということを感じているところです。
 フィリピン人の研修生が日本の国家資格を取得した後も、全国の病院や介護施設などの雇用契約は労働市場の中で日本人と同様に自由に行うことができると、そういうことだと思いますけれども、資格を取得したフィリピン人について差別的な取扱いとか賃金の問題が起こるとか、そういうことがないようにする措置、これは何らか用意されているんでしょうか。
○政府参考人(岡崎淳一君) 在留資格の関係におきましては、日本人と同等以上の報酬を支払うことということを要件とするということを予定しておりますし、あと労働基準法にも国籍を理由とした差別の禁止という規定がございます。受入れの指導機関を予定しておりますJICWELSでありますとか、あるいは労働基準関係法令であれば労働基準監督署がその施行の責任を負っておりますので、そういうところがきちんと対応していくということを考えております。
○緒方靖夫君 国際公務労連の調査によりますと、渡航する派遣労働者の八割が貧困ラインの賃金しか得ていない、また半数以上は渡航するためのあっせん業者からの借金をしているという、そういう実態調査を示しております。
 この報告書の中には、悪徳あっせん業者の排除と前借り金を禁止する措置、そういうものを提案しているものがありますけれども、この点で厚労省が何らかの対策を取られるのか、お伺いいたします。
○政府参考人(岡崎淳一君) 今回のこのEPAにおきます受入れにつきましては、フィリピン側、それから日本側、それぞれ窓口を一つにするということを考えておりまして、フィリピン側については、これは国家機関でありますフィリピンの海外雇用庁が担当すると。私どもの方は、今予定しておりますのがJICWELS、国際厚生事業団でございますが、いずれにしましても窓口を一本化してやりますので、今御指摘のようなことは起きないというふうに考えております。
 それから、既存の問題につきましては、技能実習の関係のことかと思いますが、これについては今私どもの職業能力開発局の方で検討会をつくりまして、そこでどのような対応をするかという検討をしていると、こういう状況でございます。
○緒方靖夫君 窓口が一本化になっても、今だってそうなっていてもいろんな問題が起きている、もう報道もされておりますけれども、そういうことがあるわけで、やはり現状では外国人労働者への抑圧的な対応ということがやはりいろいろ問題になる。そして、その対応という点で、今の御答弁ではやはりその対策になるのかなと、そういう感じがいたします。
 日本人の中でも、サービス残業が未払とか、賃金カットとか、あるいは偽装請負、解雇の強要とか、いろんな労働問題が生まれております。そういう中で、弱い立場に立つ外国人労働者が入ってきた場合、それはかなりの数を占める可能性があるわけですけれども、そうしたときに果たしてどういう問題が起きるのか、そこが心配になります。そしてまた同時に、それによって日本人の雇用条件が更に悪化するという二重の問題が今のままでは非常に心配だということが感じられるということを述べておきたいと思います。
 次に、沖縄の農業の問題、先ほど副大臣から農業についても話がございました。特にパイナップルの問題ですね、これはやはり非常に大きな問題になるだろうと思うんですね。日本の生鮮果実の輸入量の三分の二は実は熱帯果実で、これが自由化されれば更にその打撃が沖縄の農業で際立ってくると、そういうことになるのではないかと思います。そのための新たな補償の対策とか振興策の用意というのはあるんでしょうか。
○政府参考人(佐久間隆君) パイナップルに関します今回の合意内容を確認させていただきますと、缶詰につきましては、現行の関税割当て制度及び関税率を維持して再協議といたしましたほか、生鮮につきましては、九百グラム未満の重量の小さいパイナップルに限りまして一年目で一千トン、五年目で一千八百トンの無税枠を設定いたしたところでございます。
 このように、缶詰につきましては何も変更はございませんし、また、生鮮の小さいパイナップルにつきましては輸入需要が限定されておりますため、沖縄のパイナップル生産への影響はほとんどないものと考えております。したがいまして、日比経済連携協定締結によりまして直ちに国内対策を講じることが必要な状況にあるとは考えてございません。
 なお、今回合意の実施いかんにかかわりませず、沖縄のパイナップル生産体制の強化を図りますことは重要な課題でございます。今後とも、強い農業づくり交付金及び沖縄北部特別振興対策事業によります低コスト耐候性ハウス等の施設整備、中央果実基金事業によります優良種苗の増殖によります新品種の普及等の事業を実施してまいりたいと考えてございます。
○委員長(柏村武昭君) 残り時間あと一分です。緒方靖夫君。
○緒方靖夫君 加工用の缶詰だけでは生活できない、それからまた打撃を受けることはないとおっしゃられましたけれども、それは、まあ実際やってみたらどうかということは分かるわけですけれども、起こってからでは遅いわけで、やはりその対策がないということは非常に大きな問題だということを指摘しておきたいと思います。
 私、この問題について一言述べておきたいんですけれども、EPAはグローバル化の中で避けられない流れであって、締約国間での互恵の関係となるべきものだと思います。日本は工業製品とか投資を行い、相手国は人の移動とか農業製品の輸出ということで、利害の調整で折り合う、これがその姿だと思います。経済協定の常ですけれども、日本側にプラスもあればマイナスもある。そのマイナスは政府がやはり対策をきちっと打って、そしてその協定が実行されていく、これがその姿だと思いますけれども、遺憾なことに、人の移動でも、また今答えのあった農業の問題でもその対応がないという点で、この条約には賛成できるものではないということを申し上げて、質問を終わります。
○委員長(柏村武昭君) 緒方靖夫君でした。
 続いての質疑者、どうぞ。大田昌秀君。
○大田昌秀君 外務省にお伺いいたします。
 我が国の対フィリピン直接投資の件数は、一九九〇年代は順調に推移していましたが、百件ほどあった最盛時に比べて、現在はその半分以下の三十件前後と低迷しています。しかも、投資額は最盛時の五分の一ほどになっていますが、それはどうしてなのですか、御説明ください。
○政府参考人(佐渡島志郎君) お答え申し上げます。
 御指摘の数字でございますけれども、日比両国の統計を見てみますと、我が国のフィリピンに対します直接投資の件数と額でございますけれども、過去十年間を振り返ってみますと増減を繰り返しております。他方において投資額は、ここ三年ほどでございますけれども、フィリピン側の統計によると毎年増加をいたしまして、〇三年の百七十六億円から〇五年の五百五十億円に約三倍増えております。確かに、先生御指摘のとおり、アジア通貨危機の直後の状況から比べますと少のうございますけれども、それでも六、七割に回復をいたしております。
 他方におきまして、こういった直接投資の増減につきまして私どもいろいろな角度から見てみましたが、通常、関係のあります為替とかあるいは税金とかいろんな角度、あるいは治安とか見てみましたけれども、必ずしも意味のある相関の関係というのは見いだせませんでした。
 したがいまして、私どもとしましては、日本あるいは投資先の経済状況とかあるいはそれぞれの企業の皆様の活動、経済活動あるいは計算の結果、増えたり減ったりしているということではないかと推測をいたしております。一言で申し上げますと、この理由がどういうふうになっているのかというのを一概に述べることは難しいかと存じております。
○大田昌秀君 同じく外務省にお願いいたします。
 先ほども似たような質問がありまして若干重複するかもしれませんが、有害廃棄物の国境を越える移動を規制するバーゼル条約は、一九九五年九月に先進国から途上国への有害廃棄物の移動は全面禁止と改正されました。
 我が国はまだこの条約改正を批准していないようですが、それはなぜでしょうか、簡潔に御説明ください。
○政府参考人(菅沼健一君) お答え申し上げます。
 先生御指摘の改正については、一九九五年九月に採択されましたが、その後現在に至るまでまだ発効しておりません。そういう状況でございますが、他方において、有害廃棄物のリサイクルというのは、環境上適切に行われるものであれば経済面からも環境保全面からも有効であることから、一律に輸出禁止すべきかどうかについては締約国の間で現在引き続き国際的な議論が行われている状況でございます。
 以上の観点から、御指摘の改正を締結することは、これは我が国の関連業界に対する制限であるとともに、資源需要が増大する国々における有効利用の可能性を制限する可能性があるということから、国際的な議論の進展を勘案しつつ慎重に検討していく考えでございます。
○大田昌秀君 有害廃棄物の国際取引に関連して、二〇〇四年のシーアイランド・サミットの際、小泉前総理が廃棄物の発生抑制、すなわちリデュース、そして再使用、リユース、さらに、再資源化、リサイクルのスリーRイニシアティブを唱えて、現在我が国はそれらの課題に取り組んでいると理解しています。
 しかし、本協定の有害廃棄物の関税撤廃等の条項は、有害廃棄物の最終処理を他国に求めることになっていて、スリーRイニシアティブの精神に反するように思われますが、この点についてどうお考えでしょうか。
○副大臣(浅野勝人君) 御指摘のスリーRイニシアティブというのは、リデュース、リユース、リサイクルを通じて環境型社会の構築を目指すものと理解をしております。廃棄物のうち、環境上適正に再利用したり再使用できるものについては、それを活用することが経済的にも環境的にも有益と存じます。
 御指摘の日本・フィリピンEPAにおいてはそれに、その方針に矛盾するような取組になっているのではないかという御指摘だと存じますけれども、先ほどの榛葉委員の御質問にしばしば有害廃棄物に対する規制を妨げるものではないという明確な答弁をさせていただいていますとおり、最終処分を目的とした輸出の規制、それから有害廃棄物に対する規制は従来どおり厳格に実施していくことになっております。
 したがって、この協定とスリーRイニシアティブとは矛盾するものではないと考えております。
○大田昌秀君 日本・メキシコ経済連携協定議定書の締結については賛成でございますので、用意しました質問、時間がありませんので、お許しをいただいて省かせていただきます。
 そして、前回、本委員会で時間がなくて質問できなかったことについて、一、二点伺わせていただきたいと思います。
 まず、米軍基地返還後の跡地利用についてでございますが、防衛施設庁及び内閣府にお伺いします。
 米軍再編に伴い嘉手納基地以南の六つの米軍基地・施設が返還されることになっていますが、その跡地の整備及びその跡地の利活用に向けて国としてはどんな対策を取るおつもりなのか、基本的なお考えをお聞かせください。
○政府参考人(北原巖男君) それでは、まず防衛施設庁の方から御答弁をさせていただきます。
 先生御指摘のように、ロードマップにおきまして、嘉手納以南の六施設・区域につきましては二〇〇七年三月までに統合のための詳細な計画を作ることになっております。したがって、現在、米側と緊密に協議を行いまして、また地元の御理解を得ながら、移設・返還の実現に取り組んでまいりたいと思います。
 そして、今先生御質問の、これら施設等が返還された場合でございますが、私ども防衛施設庁といたしましては、原状回復等適切に補償を行うと。それに併せまして、駐留軍用地返還特措法ですとか、さらには沖縄振興特別措置法に基づきまして、借料相当額の返還給付金ですとか大規模跡地給付金等、所有者等に適切に支給するといったことに努めていきたいと思っております。
 いずれにいたしましても、土地の返還に伴います跡地利用の促進・円滑を図ることにつきましては極めて重要な課題と認識しているところでございまして、本年五月三十日の閣議決定においても、返還跡地の利用の促進等について引き続き全力で取り組むことが規定されているわけでございますので、私ども施設庁といたしましても、駐留軍用地の返還等に関します事務を所掌する立場から、関係府省あるいは沖縄県等とも連携協力をいたしながら、返還跡地の利用促進に可能な限り努めてまいりたいと、そのように考えております。
○政府参考人(東良信君) お答えいたします。
 内閣府といたしましては、今防衛施設庁の方からいろいろお話がございましたけれども、それはそういう形で進めさせていただくということとともに、先生御案内のとおり、沖縄振興特別措置法九十五条以下、この跡地利用につきまして大変重要なことだということを規定しておりますし、その趣旨に基づいてやっていこうということでございます。
 具体的に申し上げれば、この跡地利用の推進というのは、狭隘な県土でございますので、この県土を本当にうまく使うということで沖縄の均衡ある発展、それから潤いある豊かな生活環境の創造というようなことから、地元市町村等、跡地利用に向けた取組に対して財政を含めて支援を実施していくということでございます。
 基本的にはそういうことでございますが、嘉手納基地以南の六施設につきましても、今防衛施設庁からお話がありましたとおり、ロードマップができましたらそれを踏まえて、やはり個々の跡地の利用を、例えば住宅地だとか工業地域だとか公園だとかいろいろな部分がございます。そういう跡地の特性、課題、そういうものを十分に把握して、県とともに、また地元自治体とともに、それから地主の御理解を十分に得ながらやっていきたいというふうに考えております。
 以上です。
○大田昌秀君 九五年十一月に返還された軍転特措法の適用第一号となった旧米海軍恩納通信所跡地の利活用の推進についての実情を御説明ください。内閣府、お願いします。
○政府参考人(東良信君) お答えいたします。
 もうこのことも、先生がちょうど知事のときにこの案件をされたということで大変御関心をいただいているというところでございますが、もう言う必要ない部分もたくさんあろうかと思いますが、お答えさせていただきたいというふうに思います。
 恩納通信跡地の未利用地というのは約五十九ヘクタールございます。今、沖縄県が、やはり良好な町づくりという観点からこの利用計画、そういうものを今策定しているというふうに理解をしております。具体的に言えば、恩納村が平成十六年二月に恩納通信跡地利用計画検討委員会を設置いたしまして、今年の三月にはその大まかな報告書を出し、そしてその中には跡地利用計画素案というものを作らせていただいております。その中には、住宅地としてはどうしたらいいか、宅地としてはどうしたらいいのか、あと農業地域としてはどうしたらいいのか、観光地域としてはどうしたらいいのかと、そういう具体的なイメージを今作らせていただいておる。現在、この委員会を推進委員会と変えたり、あとは地主会を中心に動かしているということでございます。特に、先生も御案内のとおり、ここの地域は四百名の地権者がございます。こういう御意思をよく理解を得ながらやっていかなきゃいけないということでございます。
 以上でございます。
○大田昌秀君 最後の質問になりますけれども、跡地利用の重要性について、ただいま内閣府から御説明があったとおりなんですが、しかし、同じ答弁にずっとなっているように思うんですね。
 具体的に伺いますけれども、この恩納通信所の跡地というのは海に面して非常にいいところですけれども、今、沖縄科学技術大学院大学の建設計画が立てられていますけど、この一部分でも今の恩納村の跡地利用に活用できないかどうか、その辺いかがですか。
○政府参考人(東良信君) お答えいたします。
 今の大学院大学につきましては、今、本体の方を今一生懸命にやっているということでございまして、同じ恩納村の谷茶・南恩納地区に、キャンパス・マスタープランに基づきまして今本体工事をしておるということでございます。
 今先生が御指摘になりましたこの大学院大学の関連についてのお答えでございますが、これにつきましては、先ほど申し上げました検討委員会の議論の中でも、いわゆる周辺地域として利活用ができるのではないかという検討も進められているということでございます。私たちも、こういうことがうまくできるような形で何とかできないのかなということは考えているというふうに理解していただいて結構だというふうに思います。これは県もそれから恩納村もそういう趣旨だし、地元の方もあそこにはふれあい学習センターみたいなのができていて、そういういろんなそういう部門ができるといい形で、虫食いじゃない形での開発ができるのではないかということを期待しておられるということでございます。
 一生懸命にやっておられますので、私たちも一生懸命に努力をしたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○大田昌秀君 防衛施設庁にお伺いします。
 旧恩納通信所跡地の未利用地の地主に対して、軍転法適用による返還後三年間の返還給付金の支給が切れた後、つまり一九九九年十二月一日から現在まで給付金を支給していたとしたらその地料相当額は幾らになるのか、お聞かせください。
○委員長(柏村武昭君) 北原防衛施設庁長官、時間がありませんので、簡潔にお願いします。
○政府参考人(北原巖男君) はい。
 今御質問の返還給付金の支給の期間が満了した平成十年十一月三十日の翌日から八年経過いたしました本年の十一月三十日までの間、返還給付金の額に相当する金額を支給したと仮定いたしました場合でございますが、その総額は約十二億四千万円となります。
○大田昌秀君 終わります。ありがとうございました。
○委員長(柏村武昭君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 まず、経済上の連携に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(柏村武昭君) 賛成多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定第五条3及び5の規定に基づく市場アクセスの条件の改善に関する日本国とメキシコ合衆国との間の議定書の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(柏村武昭君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、両件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(柏村武昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十五分散会