第165回国会 財政金融委員会 第5号
平成十八年十一月三十日(木曜日)
   午後一時開会
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   委員の異動
 十一月二十八日
    辞任         補欠選任
     尾立 源幸君     若林 秀樹君
     芝  博一君     大塚 耕平君
 十一月二十九日
    辞任         補欠選任
     平野 達男君     広野ただし君
     若林 秀樹君     黒岩 宇洋君
 十一月三十日
    辞任         補欠選任
     大塚 耕平君     松井 孝治君
     黒岩 宇洋君     尾立 源幸君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         家西  悟君
    理 事
                沓掛 哲男君
                中川 雅治君
                野上浩太郎君
                大久保 勉君
                峰崎 直樹君
    委 員
                泉  信也君
                金田 勝年君
                椎名 一保君
                田浦  直君
                田中 直紀君
                舛添 要一君
                山下 英利君
                池口 修次君
                尾立 源幸君
                富岡由紀夫君
                広田  一君
                広野ただし君
                松井 孝治君
                円 より子君
                西田 実仁君
                山口那津男君
                大門実紀史君
   国務大臣
       財務大臣     尾身 幸次君
   副大臣
       財務副大臣    富田 茂之君
       経済産業副大臣  山本 幸三君
   大臣政務官
       国土交通大臣政
       務官       藤野 公孝君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        藤澤  進君
   政府参考人
       法務大臣官房審
       議官       齊藤 雄彦君
       外務大臣官房審
       議官       田辺 靖雄君
       外務大臣官房参
       事官       水上 正史君
       財務省関税局長  青山 幸恭君
       厚生労働大臣官
       房審議官     草野 隆彦君
       厚生労働大臣官
       房審議官     白石 順一君
       厚生労働省職業
       安定局高齢・障
       害者雇用対策部
       長        岡崎 淳一君
       農林水産大臣官
       房総括審議官   内藤 邦男君
       農林水産大臣官
       房審議官     笹谷 秀光君
       農林水産大臣官
       房審議官     山下 正行君
       農林水産省生産
       局畜産部長    本川 一善君
       経済産業大臣官
       房審議官     高田 稔久君
       経済産業省貿易
       経済協力局貿易
       管理部長     押田  努君
       国土交通大臣官
       房審議官     大西 珠枝君
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  本日の会議に付した案件
○連合審査会に関する件
○政府参考人の出席要求に関する件
○関税暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
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○委員長(家西悟君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日までに、芝博一君及び平野達男君が委員を辞任され、その補欠として広野ただし君及び松井孝治君が選任されました。
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○委員長(家西悟君) 連合審査会に関する件についてお諮りいたします。
 信託法案及び信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について、法務委員会に対し連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(家西悟君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
 なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(家西悟君) 御異議ないものと認め、さよう取り計らいます。
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○委員長(家西悟君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 関税暫定措置法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として財務省関税局長青山幸恭君外十四名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(家西悟君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(家西悟君) 関税暫定措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○野上浩太郎君 自由民主党の野上浩太郎でございます。よろしくお願いいたします。
 関税暫定措置法の一部を改正する法律案でございますが、このトップバッターで質問をさせていただきたいと思いますが、その前に、まず先般来議論となっております平成十八年度の補正予算の編成方針について、まずお伺いしたいというふうに思います。
 自民党及び公明党、与党は先般、この方針につきまして、財政健全化路線を堅持する中で、例えば災害対策ですとかいじめ問題、学校の耐震化への対応ですとか障害者自立支援法の円滑な運用への措置、そして地域の活性化への対応と、こういうところに留意をすべき旨を決定をいたしましたが、財務省といたしまして、どのような方針で臨んでいくのか、財務大臣に御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(尾身幸次君) 十八年度の補正予算につきましては、先般、総理からの御指示を踏まえまして、国民の安全、安心の観点から災害対策等の必要な経費に限定して対応することとして、できるだけ公債減額を行うとともに、平成十七年度決算剰余金九千九億円の全額を国債整理基金特別会計に繰り入れることとしておりまして、財政健全化路線を堅持したいと考えております。
 与党の方からは、今、野上委員から御紹介がありましたように、先週末に官房長官に対しまして十八年度補正予算についての申入れが行われ、その中で安全、安心にかかわる災害対策、いじめや学校の耐震化という緊急性を要する社会問題、合併補助金に留意するように要請があったところでございます。
 財務省といたしましては、先ほど申し上げました国民の安心、安全の観点からの災害対策等の必要な経費に限定して対応するという方針の下、これらについてもしっかりと検討してまいりたいと考えております。
○野上浩太郎君 ありがとうございます。安倍政権の最初の補正予算でございますので、財政健全化路線の堅持とともに、やっぱり成長戦略、またこれに資する緊急の対応につきましても、是非御検討をお願いしたいというふうに思います。
 次に、先般、十八日、十九日にオーストラリアのメルボルンで開かれました二十か国財務相・中央銀行総裁会議、G20ですね、これについてお伺いしたいというふうに思うんですが、まずもって、尾身大臣には大変強行スケジュールの中、ハードスケジュールの中、お疲れさまでございました。これ、「繁栄の構築と維持」ということをテーマに開催をされたというふうにお聞きをしておりますが、WTOですとか、あるいは北朝鮮の問題についてもいろいろ言及があったというふうにお伺いしております。どのような成果があったかお伺いをしたいというふうに思います。
○国務大臣(尾身幸次君) 先般のG20の会合はオーストラリアのメルボルンで開かれまして、私は財務大臣就任以後、初めてのいわゆる国際会議でございました。そこでは新興市場諸国を始めといたしまして世界経済の順調な拡大が見込まれる中に、北朝鮮問題等の安全保障上の問題、世界の経済、貿易の拡大の問題、資源エネルギー市場の動向、ブレトンウッズ体制の進展の問題などなどの共通の諸課題に対しまして各国間でいろんな、いかなる協力が可能かというような点につきまして忌憚のない意見交換ができ、有意義だったと考えております。
 WTOにつきましては、世界経済の安定的成長には開かれた貿易が重要であり、貿易・投資に対する保護主義を危惧することで認識が一致し、WTO交渉の早期再開及び野心的な成果の達成を慫慂する旨、共同声明に盛り込まれたところでございます。
 北朝鮮の核実験につきましては、私から、これはアジアのみならず人類全体にかかわる極めて重要な問題であり、あらゆる機会をとらえて国際社会の断固たる意思を表明すべきであると発言をいたしまして、各国からこれに賛成する意見が相次いだわけであります。これを受けまして、G20の議長でありますオーストラリアのコステロ財務大臣から、記者会見において、北朝鮮の行為を各国一致して非難した旨の紹介がされました。今後も、あらゆる機会をとらえて国際社会に向けてこの問題についての発信をしてまいりたいと考えている次第でございます。
 また、この機会に、各国の財務大臣や中央銀行総裁、全部合わせて十五人の方とバイの会談をいたしまして、貿易・投資やあるいは北朝鮮に関する問題などなど、様々な課題について意見交換をさせていただきました。私といたしましては、就任以来初めての国際会議でございましたが、大変大きな成果があったと考えております。
○野上浩太郎君 本当に初の国際会議ということで大きな成果だったというふうに思いますが。
 次に、いよいよEPAの話にちょっと入っていきたいと思うんですが、私自身、先般の九月末まで財務大臣政務官を務めさせていただきまして、様々な業務を務めさせていただいたんですが、税関につきましては、これはやっぱり国際貿易の最前線でありますし、あるいは水際の取締りの現場であるという点で大変大きな問題意識を持っておりました。そして、函館ですとか小樽ですとか横浜ですとか、全国の税関を実査をさせていただきました。こういう経験を含めまして、財務省の執務に従事をしたこういう経験も含めて、自分なりに考えたことも含めて、この法案について、あるいはこのEPA、そしてこの税関行政等々の論点についてお聞きをしてまいりたいというふうに思っております。
 まず、EPAについてでありますが、先ほどWTOの話が、言及があったんですけども、いわゆるWTOとこのEPAの論点につきましては、これはもう重層的に、あるいは車の両輪としてやっていくんだと、これはもう政府の方針でありますし、様々な委員会で御答弁があって、まあ私もそのとおりだというふうに思うんですが、一方のアジアの地域をちょっとこう、ここに焦点を当てましたときに、これはもう少しやっぱり国家戦略的な対応というものが必要なんじゃないかなというふうに感じております。
 アジアでは、御案内のとおり二〇〇四年には中国からASEANプラス3の枠組みが提唱されていると。日本からもASEANプラス6が提案されておりますし、日本とASEANとのEPAあるいはこの二国間EPAもいろいろ進んでおります。そういう中で、先般APEC首脳会議でアメリカから、要はAPEC全域での、地域でのEPA構想というものも提案をされたわけでございます。本当にこのアジアのところだけ見てもいろんな枠組みが入り交じっていると。これは首脳間ではスパゲッティボールというふうに言われているそうでございますが、このようないろんな枠組みが入り交じっている中で米国がこういう提案をされたということ、まずこのことに対する評価と、そしてやっぱりこのアジアを見据えたときにどういうふうな国家戦略でやっていくのか、その基本方針も併せてお伺いをしたいというふうに思います。
○国務大臣(尾身幸次君) 先般のAPECの首脳会合におきまして長期展望としてのアジア太平洋自由貿易圏という構想も含めまして、地域経済の統合をいかにして促進できるか、そういう問題について今後更なる研究を実施して、二〇〇七年秋にオーストラリアで開催をされる予定のAPECの首脳会合に報告するということで合意をしております。私どもとしては、この構想を前向きに検討することは有意義なことであると考えている次第でございます。
 今後、アジアにおける国際貿易戦略の構築に当たりましては、アジア諸国の成長や活力を日本に取り込む、そして日本経済の成長につなげていくという点と、日本としてもアジア諸国の経済発展に貢献していくという視点が重要でございまして、アジア地域におけるEPAの積極的な推進はこのための有効な手段であると考えております。
 こういう考え方の下に、財務省といたしましては、現在、アジア諸国を中心としてEPA交渉に取り組んできているところでありまして、目下のEPA交渉に全力を傾注していく所存でございます。
 他方、アジア経済が世界経済の中でウエートを高める中において、アジアにおいては、今後、FTAAPに加えて、我が国より提案をいたしましたASEANプラス6EPA構想等、地域ワイドでの経済連携に関し様々な構想が提案されているわけでございます。これらにつきましては、中長期的な検討課題として財務省としても積極的に議論に参加してまいりたいと考えております。
○野上浩太郎君 ありがとうございます。
 基本方針、そのとおりだというふうに思いますが、もうちょっと突っ込んで言いますと、ASEAN側は多分ASEAN全体のEPAと日本とのEPAというものを重視しています。恐らく中国はそこをうまく利用して組み立てておるという現状であると思いますので、日本も、これは別個のEPAの推進は大事でございますが、このASEAN全体とのEPAの推進というものを重層的にうまく使い分けていくというような、こういう戦略、こういうことも是非重視をしていっていただきたいというふうに思っております。
 そういうような中で、今回のフィリピンとの経済連携協定でありますが、我が国にとりまして四番目の締結となる本協定でございます。まずは、その本協定の意義と特徴ですね、そして併せて、ちょっと時間の関係で申し訳ないんですが、その貿易や投資拡大の具体的な成果目標についても併せてお伺いしたいというふうに思います。
○副大臣(富田茂之君) 今回の協定は、日本とフィリピンとの間での物品の関税削減、撤廃やサービス貿易の自由化に加え、投資、知的財産、競争政策、税関手続、ビジネス環境整備、人の移動、協力等、幅広い分野を対象とする包括的な経済連携を推進するための枠組みを規定しております。
 特に人の移動に関しましては、我が国のEPAとしては、初めて日本の国家資格取得を目的としたフィリピン人看護師、介護福祉士候補者受入れのための仕組みを規定しております。
 フィリピンにとりまして、日本は第三位の輸出相手国、第一位の輸入相手国であり、日本にとりましても、フィリピンは第十四位の輸出相手国、十六位の輸入相手国でありますが、今回の協定によりまして、経済活動を行う上での安定性及び予見可能性が高まり、貿易・投資を中心に日本・フィリピン間の経済関係が一層強化されるものと考えております。また、今回の協定によりまして、日本と他のアジア諸国等とのEPA交渉が更に促進されるとの効果も期待されるというふうに認識しております。
○政府参考人(青山幸恭君) 少し補足させていただきます。
 日本からフィリピンへの輸出額でございますが、二〇〇五年ベースでいいますと九千九百九十六億円でございます。現在、その約六割が無税であると推定されますが、本協定によりまして十年以内に九七%が無税となるということで、輸出条件が改善し、輸出の拡大が期待されるということでございます。
 今副大臣からもお話ございましたように、投資の保護あるいは反競争的行為への対処、あるいは苦情窓口の設置等によりまして、投資環境の改善ということによりまして、企業収益の向上を通じました我が国経済の活性化も期待されるというところでございます。
 以上でございます。
○野上浩太郎君 お話が今ございましたとおり、これは人の移動を含むこれは初めてのEPAであるということでありますので、これは日本の労働市場ですとか医療の質にこれ悪影響が及ばないようにしなければなりませんし、当然、農業に対しても、今改革の途中でございますから、これにも悪影響及ばないように配慮していかなきゃならない。具体的な貿易の成果を着実に上げる中で、やっぱり国、国益全体に資する運用をしていかなければなりません。
 そして、現在、大切なのは、このフィリピンのEPAの円滑な実施を含めて、いわゆるアジアワイドで貿易円滑化を考えるということだというふうに思うんですね。安倍政権はその重要課題の一つとしてアジア・ゲートウエー構想というものを提唱をいたしておりますし、一方、地方でもいろんな取組があって、私の地元の富山県なんかは環日本海構想という、こういう構想を重要な構想として取り上げております。
 先般、アジアにおいてシームレスな物流圏の構築ということで、国際物流競争力パートナーシップ会議と、これが官民で立ち上げられておりますが、是非財務省もこの会議に積極的に参加をして、特に税関においては、やっぱりこれアジア各国の通関手続の電子化ですとかあるいは標準化についてしっかりと検討を進めると。次世代シングルウインドーの話も今着実に進んでいるというふうに思いますけれども、こういう取組も含めて、このアジアのシームレスな物流圏の構築に向けての方針等々についてお伺いしたいというふうに思います。
○国務大臣(尾身幸次君) 現在、利用者の利便性が高い次世代シングルウインドーの構築を行うなど、通関手続を含めた輸出入・港湾手続の電子化、標準化に積極的に取り組んでいるところでございます。また、我が国の国際競争力を強化するという観点から、空港とか港湾の二十四時間体制の確立など、空港、港湾の機能強化を早急に進めていく必要があるというふうに考えております。
 こうしたことから、御指摘の国際物流競争力パートナーシップ会合等も通じまして、国際物流に関する多岐にわたる問題を総合的、機動的に解決するために官民挙げて今後とも努力してまいりたいと考えております。
○野上浩太郎君 ありがとうございます。是非積極的な取組をお願いしたいと思うんですが、実はこのシステムの構築ということでいろんな現場の話を聞いておりますと、大企業は技術的にもコスト的にも非常に付いてきておるところあるんですけれども、中小企業なかなかこれ付いてこれないというところもございますので、こういうところへの対応も併せて御検討をいただければというふうに思っております。
 次に、ちょっと話題が変わりまして、北朝鮮関連でちょっとお伺いしたいというふうに思います。
 政府は、十月十四日から輸入の全面禁止措置を実施をいたしております。税関、その措置の当然最前線でありますので、ここでの対応がその措置の実効性につながっていくということであります。その中で大きな課題は中国などを経由した迂回輸入についての取組でございますが、この迂回輸入について税関はどういう取組をしているか、お聞きをしたいと思います。
○副大臣(富田茂之君) 十月十四日から実施されました北朝鮮に対する輸入禁止措置を受けまして、税関におきましては、迂回輸入を防止する観点から、中国等周辺諸国からの輸入申告があった場合には、北朝鮮からの主要な輸入品でありました水産物等のすべてにつきまして原産地証明書の提出を求めることとしたところであります。この措置につきましては、中国の税関当局及び原産地証明書の発給機関等に対し連絡を行い協力を得ているところであります。
 また、過去の北朝鮮からの輸入実績等を踏まえまして、北朝鮮からの輸入が多かった品目全体につきまして、関係書類に基づく慎重な審査並びに貨物及びそのこん包材等に付された表記の確認、ハングル文字がないか等ですね、貨物の原産地を一層厳正に確認することとしたところであります。
 いずれにしましても、経済産業省等の関係省庁と緊密な連携を図りつつ、周辺諸国からの輸入貨物に対する厳正な審査、検査を実施し、今般の措置の実効性の確保に努めてまいりたいと決意しております。
○野上浩太郎君 そしてもう一つ、水際での取締りのいわゆる実効性を高めるために、これは法的対応というものも一つ論点だろうというふうに思っております。実は、現行の関税法のこの罰則体系というのは昭和二十九年の体系を今もって維持しているということでありますが、その当時からこれ北朝鮮の問題を始め情勢は大きく変化をしてきておりますので、そういう中でこの関税法の罰則水準を見直して強化をしていくというようなことも検討していいのではないかというふうに思うんですが、御見解をお聞きします。
○政府参考人(青山幸恭君) 御指摘の点でございますが、関税法の罰則体系につきましては、現行関税法が制定されましたのは昭和二十九年でございます。その後、平成六年に物価上昇等に伴います罰金刑の上限の引上げが行われておるわけでございますが、それ以外大きな見直しは行われていないということで、懲役刑の上限などは基本的に昭和二十九年当時の体系を維持しているというところでございます。
 御指摘のとおり、その後五十年の間でございますが、社会犯罪情勢は大幅に変化しているわけでございますし、財務省におきましては、関税法の犯則調査・罰則等の制度の在り方につきまして幅広く議論するために、関税・外国為替等審議会の関税分科会の企画部会の下に、専門委員として刑法等の、刑法あるいは租税法もそうなんでございますが、に関します学識経験者、さらには実務家を迎えまして、犯則調査・罰則等のあり方に関するワーキンググループというものを設置しているところでございます。
 御指摘の関税法の罰則の強化につきましては、当該ワーキンググループの会合におきまして、十九年度関税改正に向けて幅広く検討すべき事項の一つといたしまして整理をしている段階でございまして、また御指摘のような北朝鮮対策等に係りますような厳格な法執行のための対応につきましても、この検討の際には視点の一つに含まれているわけでございます。
 罰則の見直しの要否も含めまして、個々の項目の具体的な内容につきましては引き続き検討を行っているわけでございますが、検討の結果、また改正の必要があれば、来年度の制度改正の中に盛り込んでいきたいなというふうに考えてございます。
○野上浩太郎君 是非そういう方向で検討を進めていただきたいというふうに思っております。
 次に、税関における人員の確保ですとか人材の育成、人についてちょっとお聞きをしたいと思うんですが、私自身今いろんな、先ほど全国の税関を回ってまいったという話をいたしましたけれども、感じましたのは、やっぱりいろんな水際の取締り等々をやるときに、やっぱり非常に、何というか、経験に裏打ちされた目利きの部分ですとか、あるいは本当にもう地道な粘り強い対応とか、あるいは、例えばITでいろんなものが入ってきてこれ監視をするということをやっているんですけれども、それもそれで大事なんですが、実は人対人の、フェース・ツー・フェースのその人的な情報収集とか、こういうことが非常にそういう取締りに直結をしている部分があるんですね。
 やっぱりそういうことを考えると、この税関における人員の確保ですとか人材の育成というのは、これは非常にまあ光が当たっていない部分であるんですが、日本の税関行政を考える上で大変重要な部分だというふうに感じたんですが、ここの部分についてどのような見解をお持ちか、お聞きをしたいと思います。
○副大臣(富田茂之君) 野上委員から大変大事な御指摘をいただきまして、ありがとうございます。
 経済連携協定の締結推進に伴います原産地証明事務の増大や、増加する社会悪物品、また知的財産侵害物品等の取締りに適切に対応するため、税関におきましては業務運営の効率化に努めるとともに、定員の確保や人材育成に努めてきたところでございます。
 具体的には、平成十八年度の税関定員につきまして二百二十人の新規増員を確保したところであり、また原産地規則や知的財産に関する専門研修を実施するなど、税関業務の各分野におけるより高度な専門性を有する人材の育成に努めてきたところであります。
 今後とも、極めて厳しい行財政事情の下で業務運営のより一層の効率化を図った上で、所要の定員の確保や人材の育成に努めてまいりたいと思っております。
○野上浩太郎君 是非、私一緒に、外国船の中に入って一緒に検査もさせていただいたんですけれども、非常にモチベーションも高いし、これ本当に目利きの部分が重要でございますから、そういう訓練等々も含めて是非お願いをしたいというふうに思っています。
 そして、同時に、先ほどはIT等の検査機器の話もいたしましたが、横浜へ行ったときに、要はコンテナごと全部機器に通して、今までは一つ一つ開扉をして調べるというのが主流の中で、もうコンテナごと全部入れて、それで検査するというような機器ですね、ああいうものも非常に有効だと思うんですね。
 ああいうものも含めて、やっぱりこれは膨大な検査をしていかなきゃならない中で、IT機器の充実というのも重要だと思いますが、どのような対応を取るのか、お伺いしたいと思います。
○政府参考人(青山幸恭君) 御指摘の点でございます税関におきましては、不正薬物、銃砲等のいわゆる社会悪物品あるいは知的財産の侵害物品、さらには爆発物、大量破壊兵器等のテロ関連物質等の水際での取締りと、これを限られた人員で効果的、効率的に実施するために、エックス線の検査装置、あるいは麻薬探知犬、あるいは不正薬物、爆発物の探知装置等の検査機器の配備を計画的に行っております。大型エックス線につきましては十六式ございます。麻薬犬につきましては、今稼働しているのが百十五頭ございます。
 これらを含めまして、今後の税関におきます検査機器の在り方の検討ということをやるべく、検査機器に関する懇話会というのを設置いたしました。今年の六月でございますが、においの微粒子を分析いたしますバイオセンサーとか、あるいは物質を透過します能力を有しますテラヘルツ波等の先端技術の活用はどうかということで報告書をいただきました。
 これらを踏まえまして、こういう先端技術につきましても私ども調査研究いたしますとともに、探知技術の研究開発の動向、あるいは開発機器の性能等に係ります情報を収集しまして、更に有効な検査機器の導入を図っていきたいと、かように考えております。
○野上浩太郎君 もう時間でありますので終わりたいと思いますが、是非、この税関というのは本当にもう水際取締りあるいは国際貿易の最前線でございますので、この今申し上げた様々な論点につきましてもしっかりとした対応をしていただきますことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
○円より子君 民主党・新緑風会の円より子でございます。
 先日、豚肉の輸入をめぐりまして巨額の関税を逃れた疑いで大手食肉卸売会社の社長らが逮捕されるという事件がございました。これは差額関税制度という複雑な仕組みを悪用したものと聞いておりますけれども、この差額関税制度などによって市場に政府が影響を及ぼすことは、脱税の温床を生むばかりか、国内の消費者は高い価格を強いられ、生産農家のコスト削減、競争力向上のインセンティブを失わせているのではないかと思いますけれども、この制度の見直しを考えるべきときではないかと思います。御意見を伺いたいと思います。
○国務大臣(尾身幸次君) 豚肉の差額関税制度は、輸入品の価格が低いときには基準輸入価格に満たない部分を関税として徴収し、国内養豚農家を保護する、一方、価格が高いときは従価税を適用することにより関税負担を軽減し、消費者の利益を図るという仕組みになっているわけでございまして、需要家と国内生産者のバランスを図る上で重要な制度でございまして、このような機能は基本的には必要であるというふうに考えている次第でございます。
 差額関税制度の下で輸入価格を偽ることによって関税を不当に免れるといった犯罪事例も存在いたしますが、このような犯罪事例に対しましては、今後とも、通関のときにおける審査、検査やあるいは通関後の事後調査を強化することとともに、徹底した犯罪捜査を実現するなど、取締りを強化することによって厳正に対処していく所存でございます。
 なお、現行の豚肉の差額関税制度はウルグアイ・ラウンド交渉における関係国との協議の結果合意されたものでございまして、本制度の今後の取扱いにつきましては、現在行われているWTOドーハ・ラウンド交渉の中で議論されるべきものではないかと考えております。
○円より子君 今度の摘発によって逆にハムとかソーセージとかが価格が引き上げられておりまして、消費者は大変な思いをしているわけですが、ただ監視をする、強めただけでは私はなかなかこの問題は解決しないのではないかと思うんですね。例えば、国際競争力のない農産品の関税引下げが難しいことが、日本にとってはWTOにおけるラウンド交渉やFTA、EPA交渉のネックになっております。今後、食料の安定的な輸入を確保して、かつ韓国やオーストラリア、中国、スイスなどとのEPA交渉を進めるとなりましたら、農作物の市場開放を決断することが日本として重要な課題になると私は思うんです。
 今大臣がおっしゃったように、確かに農家の保護ということがございますし、自給率も、このままただ関税をなくしてしまえば大変なことになるということもよく分かります。その代わりに、関税をやるよりも米国やEUのように農家に対する直接支払を拡大して、農家の所得を直接補償することによって関税の引下げを実現することができると私は思いますし、農業の競争力強化も図ることができると、長期的に思うんです。財政負担による直接支払でしたら、税の支出先も透明となりますし、納税者のチェックが機能します。そうしますと、コスト削減へのインセンティブも働きます。生活者にとっては負担をしているという感覚を関税制度というのは持ちづらいと思います。直接支払に移行すべきだと思いますが、大臣、いかがでいらっしゃいますか。
○国務大臣(尾身幸次君) 現在、我が国におきましては、農産物の国内生産の維持拡大のために関税等の国境措置を設けるとともに、現に国内生産者への助成措置が行われているわけでございます。仮に、単純に更に関税等の国境措置を引き下げ、国内生産を維持するため何らかの助成措置で代替する場合には、新たな財政負担が生ずるということになります。
 このため、WTO交渉やEPA交渉を推進いたしまして、関税等の国境措置の引下げを行う一方で、助成措置等により国内農産物の生産維持拡大を行う際には、同時に国内農業の体質強化等を図り、極力助成措置に依存しないような農業構造への転換を図ることが不可欠であるというふうに考えております。
○円より子君 農水省などにもお答えいただければいいのかもしれませんが、日本は御存じのように大変狭い土地でございます。そういう中で、山地が多くて耕作地も少ないと、その上に環境汚染にも配慮しなければなりませんし。だから、養豚についても、今の豚肉のことからいきますと、飼料も輸入に頼っていますし、価格が高くて差額関税制度は必要だと、また一般的な関税制度も必要だというお話でございますけれども。
 例えば、直接支払といいますのは、消費のゆがみをなくしますし、経済厚生を高めます。また、受益の対象を真に政策支援が必要な農業や農業者に限定できるんですね。ところが、関税のような消費者負担型の政策はだれが負担しているかということが大変不透明です。納税者負担型の政策は、逆に負担と受益の関係が国民に明らかになりますし、価格支持は、貧しい消費者も負担し、裕福な土地持ち副業農家も受益する逆進的で不公平なものだと、そういうふうに言われておりまして、納税者負担による直接支払の方が、消費のゆがみをなくし、先ほど申しましたように、大変公正なもので、受益の対象が真に政策支援が必要な農業や農業者に限定できる。二度言って申し訳ありませんが。これが世界の農政の潮流なんですね。
 日本が本当に農業政策を、真の農業政策をやり、そして農家や農業者を保護し、そして自給率も高め、消費者にも還元できるような、そういう長期的な視野に立つならば、今、直接の支払で財源が必要だということで先延ばし先延ばしするのはおかしいんじゃないかと思うんですね。それは、別のところの農業政策の無駄な部分を省いてでも直接支払に持っていく方が関税よりは私は有益ではないかと思うのですが、農水省と、もう一度尾身大臣のお話を伺いたいと思います。
○政府参考人(内藤邦男君) 農産品についての直接支払の導入についての御質問にお答えします。
 グローバル化が進展する中では、まず、国内農業の構造改革を加速化しまして、国際競争力の強化を図るということが重要でございます。加えまして、WTOにおける国際規律に対応し得る政策体系に転換して政策の安定性を確保すると、これが重要なことと考えています。
 直接支払は、市場価格を介さないで直接農業者への支援を行う政策手法でございます。WTO農業協定におきましても、一定の条件を満たせば削減対象とされないいわゆる緑の政策に該当し得るものでございます。
 米国、EUにおいても、九〇年代以降、価格支持制度から直接支払への転換が行われているところでございまして、我が国におきましても、こうした諸外国の例を参考にしながら、これまでの幅広い農業者を一律に対象にして、品目ごとに価格補てんを行うような従来の政策体系を見直しまして、担い手への支援の集中、重点化を通じまして、農業の構造改革、農産物の生産コストの縮減あるいは品質の向上等によりまして農業の体質強化を図っていくことが重要と考え、平成十九年産から担い手に対象を絞った直接支払の手法による品目横断的経営安定対策を導入することとしておるところでございます。
○円より子君 大臣、ありますか。もうよろしいですか。
○国務大臣(尾身幸次君) 直接支払制度の是非につきまして、一般論として申し上げますと、この制度は、助成対象あるいは助成水準によりましては財政コストが膨大なものとなるために、厳しい財政事情の下において、単なるばらまきではなく、真に政策支援が必要な担い手に対象を絞り込むことが必要であるというふうに考えております。
○円より子君 今回の豚肉の脱税事件なんですが、豚肉に掛かる関税収入というのは年間およそ二百億、その中の半分の百億円を超えるものが脱税されたわけですから、まあ新聞にちょっと出て、余りテレビ等で取り上げられたかどうか分からないんですが、消費者としては今おいしい豚肉を何とか高い牛肉よりもといいますか、豚肉を消費する家庭は大変多いわけですから、このことの事件を契機に日本の農政にまで消費者がもう少し目を向けていきたいと、そういう一つの直接支払も契機になると思います。その辺もお考えいただければと思っております。
 それで、次に参りますが、今度の日本とフィリピンのEPA締結で今回の改正が行われるんですけれども、我が国の対アジア外交戦略における日本とフィリピンのEPAの位置付けについて是非大臣にお伺いしたいんです。
 今後、更にEPAが地域としてのASEANや中国、韓国そしてオーストラリア、インドといった国々まで拡大していくと思われる中で、我が国がこうした国々や地域と一体どのような関係を構築しようとしているのか。これはなかなか、いろんなホームページなども見ましたけれども、政府から出ているように思えませんので、是非、総理にお聞きするべきものかもしれませんが、総理に代わって尾身大臣にお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
○国務大臣(尾身幸次君) 今後のアジア戦略の構築に当たりましては、アジア諸国の成長や活力を日本に取り込むことで日本経済の成長につなげていくという考え方が一つございます。それからまた、日本としてもアジア諸国の経済発展に貢献していくという視点も重要であると考えておりまして、アジア地域におけるEPAの積極的な推進はそのための有効な手段であると考えている次第でございます。
 このような考え方の下に、政府が一体となってアジア諸国を中心としてEPA交渉に取り組んできた結果、既にシンガポール、マレーシアとの協定が発効し、フィリピンとの協定につきましても、署名を経て、現在、国会で御審議いただいております。そのほか、対インドネシアとも大筋合意に至っている等、アジア諸国とのEPAは着実に進展していると考えております。さらに、アジア地域全体を対象としたEPAにつきましても、中長期的な課題として今後様々な議論がなされていくものと認識をしております。
 財務省といたしましては、アジア経済が世界経済の中でのウエートを高める、そういう中で今後とも経済連携協定の促進に積極的に取り組んでいきたいと考えております。
○円より子君 アジアの国々というのは、人口、経済発展段階、文化、宗教、様々な側面で多様性に富んでいると思います。政治体制も、民主主義国家から共産主義、社会主義など様々でございます。もう大臣よく御存じのことで、わざわざ私が言うまでもないんですけれども。ヨーロッパにおけるEUあるいはかつてのECのスペインやギリシャ、東欧への拡大がそうでありましたように、アジアにおいても、EPAなどの手段によって、市場経済のみならず、民主主義や人権、法の支配といった普遍的価値観を共有する国々を増やしていく、そうしたことが今後の地域の政治的安定と経済的発展が担保されると考えております。こういうことも含めて今お答えいただいたんだと、それでよろしゅうございますでしょうか。
○国務大臣(尾身幸次君) 今も申し上げましたように、アジアと日本がともに繁栄するという基本的な理念の下にこれを進めていきたいと、こういうことでございます。
○円より子君 そうしますと、今度の日本とフィリピンの協定で人の受入れということが大変重要な要素として入ってきておりまして、そうしたアジアの中での経済だけではなく人の行き来に、経済といいますか、物の行き来だけではなくて人の行き来も含めて、今尾身大臣がおっしゃったようなことを広げていくというのは大変重要なことだと思うんですね。
 それで、ちょっと順番が、最後のを今入れて申し訳ないんですけれども、人の移動について先に質問をさせていただきたいと思うんですが、厚生省の方はいらしてますでしょうか。
 そうしましたら、今回、看護師、介護福祉士受け入れることになっておりますけれども、まず日本にとって、この日比EPAにより海外から看護師、介護福祉士を受け入れる意義というのを教えていただきたいんですが、柳澤大臣の答弁では特例的というようなことが出ておりますが、今後こういうものはどんどん広げていくべきものなのか、そういうことも含めてお話しいただきたいと思います。
○政府参考人(白石順一君) お答えいたします。
 日比の経済連携協定、御案内のように、物品のほかに人等の自由な移動の促進という観点もございまして、双方の経済活動の連携の強化ということで、このたび署名されまして現在御審議をいただいているところでございますけれども、この中で看護、介護の分野でフィリピン人の受入れということでございますけれども、今御指摘ありましたように、柳澤厚生労働大臣がお答えを別のところで申し上げましたように、この経済連携協定の枠の中で特例的に行うというふうなものでございまして、したがいまして、労働市場に悪影響を与えないという観点から人数枠の設定等の措置が講じられている、そういうものでございます。
○円より子君 今人口減少がどんどん起きておりまして、労働力不足ということももちろんありますし、特に看護婦さん、看護師の量的不足、それから地域間による格差があるんでしょうか、民間の地方の小さな病院には看護師さん不足ということも随分言われておりますが、今回のフィリピンからの看護師さんたちは、日本の看護師さんよりも教育期間も長いですし、大変質が高く、諸外国でも大変有能な看護師さんだというふうな評価も得ていると聞いておりますが、全国から希望があればどこにでも派遣されるという形になっているんでしょうか。
○政府参考人(白石順一君) 今御指摘ありましたように、日本の国内、看護、介護というのは非常にニーズが高うなっておりまして、一部の地域、事業所で人手不足ということがあるという御指摘はそのとおりでございますが、またその一方で、例えば前日本人の看護師の方が、潜在看護師、今職を離れているけど資格をお持ちの方というのは約五十五万人という推定もございますし、また介護の関係でいえば、潜在的な供給ということを考えれば非常に供給余力が多い分野でございます。そういう意味から、これは労働力不足を補うためのという観点ではないということで、大臣が申し上げましたように、特別の、特例的に行うということで人数の枠を設けていると。
 また、後段お尋ねありましたどこでもということであれば、適切な研修をさしていただけるところであれば受け入れることが可能ということでございます。
○円より子君 知人の方からなんですが、今度フィリピンからの看護師さんを受け入れるということで大変喜んで、なかなか日本で潜在的な看護師さんが五十五万人いるといっても来てもらえないので、問い合わせたところ、もう国立関係のところに決まっていると答えられたというようなことも聞き、そんなことはございませんね。
○政府参考人(白石順一君) まだ国会で御審議をちょうだいしておる最中のことでございますので、まだそのようなことはないと信じております。
○円より子君 その潜在看護師さん、それから現職の看護師さん、子育てや家庭とのワーク・ライフ・バランスじゃありませんが、本当に、もちろん命にかかわる仕事ですから、なかなか何時から何時ということで仕事のできる職種ではありませんけれども、その看護師さんたち、また介護福祉士の方たちの賃金や労働環境を良くしない限り、またせっかくフィリピンから来ていただいても大変だと思いますので、その辺りのことはもう厚生労働委員会で多分いろいろ御議論あったと思いますけれども、要望させていただきます。
 それで、人の受入れということに関しまして、先ほど特例的、例外的ということで、労働力不足ということではないというお話でございましたが、現実にはたくさんの方たちが日本で働いています。そういう方々を今後、今回の日比の協定に限らず、ほかからもまた技術者また専門職として受け入れていくという方針なのかどうか。
 柳澤大臣は、厚生省としてはこれは特例的で、フィリピンとの関係だけだというふうにおっしゃいましたが、政府としては、この外国人労働者を日本の少子高齢社会の中でどう位置付けていく方針なのか、お聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(岡崎淳一君) 外国人労働者の受入れにつきましては、専門技術的な方々、これについては積極的に受け入れたいということ、一方で単純労働者につきましては、労働市場への影響あるいは社会的な問題の懸念等々もありますので、これは慎重に考えていく必要があるだろうと、こういうふうに考えているところでございます。
○円より子君 ちょっとその受入れとは違うんですけれども、実は外国人の研修生、実習生の問題なんですが、こういう制度、大変いいことだと認識していたんですが、気になりましたのが、失踪者がこの五年間で八千人以上、私の方で聞いたのはそうだったんですが、昨日の参議院の本会議では一万人を超える、一万九十七人というきちんとした数字になっているので、そんなすごい失踪者が出ているのかと。この方たちは一体なぜ失踪し、そして今どういう生活をしていらっしゃるのか。
 外国人が犯罪を犯すなんていうようなことは言いたくないんです。そんなことで治安が悪くなっているとも言いたくありません。しかしながら、日本人でも外国人でも、生活に困って借金などをして、そしてそういう犯罪に走ってしまうことだってあり得ると思います。
 そうしますと、この失踪者がどうなっているのか、なぜまたせっかく実習生として、研修生として来ているのにこういうことになっているのか、この辺のことをきちんとチェックし原因を突き詰めておかなければ、これからどんどん、研修生という形ではなくても、様々な人を受け入れるに当たって同じようなことを起こさせないかというちょっと懸念がございまして、その辺りがどうなっているのか、お聞きしたいと思います。
○政府参考人(草野隆彦君) 研修生、実習生の失踪の問題でございますが、平成十三年から本年九月まで五年九か月の間に報告のあった研修生と実習生両者を含めた失踪者の数が今お話ありました一万九十七人ということでございます。そのうち実習生が六千三百五十四人ということでございまして、年間で申しますと、平成十七年の技能実習の失踪報告、千二百三十六人ということになっております。
 他方、これを失踪率という観点で見ますと、平成十三年から十七年までで見ますと、報告のあった技能実習生の失踪者数は五千百七十三人、これに対しまして、当該期間に失踪者となる可能性のあった技能実習生の累計、すなわち平成十二年から十七年までの技能実習移行者に係る累計は十二万七千四百三十七人でございまして、これを分母としますと失踪者の割合四・一%。したがいまして、裏を返すと九六%の実習生が帰国しているという状況ではございます。
 外国人研修・技能実習制度、御存じのとおり、国際貢献の観点から開発途上国への効果的な技能移転を図ること、目的でございます。一部にお話のような失踪等の事案が発生していることにつきましては、適正化の徹底を図る必要があるというふうに考えております。
 失踪の、どういう理由でどこに行っているかということについては、詳細については正確にはまだ把握できていないところでございますが、今後そういうことがないように適正化の徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。
○円より子君 なぜ失踪したのか、どうしているのかということの全く分からないのでは、今後の適正化の図りようがないのではないかと思うんですけれども、九六%の方がちゃんとしているということは、それはいいことだと思いますが、とにかく、失踪している人たちがなぜそういう失踪をするようなことになったのかとか、やはりきちんと調査をし、研究していただきたいと思います。
○政府参考人(草野隆彦君) 研修・技能実習制度につきましては、現在、研究会を設置いたしておりまして、その中で実態も把握しながら、今後どうすべきかという議論をしております。
 したがいまして、今後、関係省庁と連携しながら、この研究会を経て結論を得て対処してまいりたいというふうに考えております。
○円より子君 この研修生等には限りませんけれども、外国からの人たちを受け入れるときに、ただ労働力不足で、それも三Kと言われるようなところで働いている人もたくさんいらっしゃるわけですから、そういう方たちが本当に日本で働いて、そしてそこで生活していけるような環境づくりをするためにも、ここの研究会は早急に実態を調査して、また報告をしていただくことを希望いたします。
 それでは次に、先ほど野上委員からも御質問のありました税関の体制についてお聞きしたいと思います。
 EPA締結によりまして貿易額が増加しておりますけれども、それに伴い、税関における実務作業が大変増大しております。
 このために、税関の体制を強化していくことが必要だと思うのですが、政府は公務員の削減を進めて、今年も税関職員八千五百二十名のうち百六十四名を削減することになっております。こういった状況下では、輸入申告の際の関税等の申告漏れも、昨年では課税価格にして一千六百二十二億円、追徴税額は百八億円とのことです。
 適正な通関のチェックは今後も大変重要ですが、こういう税関職員の体制で十分なのかどうか。今後、その強化するための具体策がありましたら教えてください。
○政府参考人(青山幸恭君) 御指摘について、それについてお答え申し上げます。
 御指摘のとおり、EPAの締結の増加がございます。さらには、全体的な貿易量の増加がございます。また、さらには、対北朝鮮対策等、いろいろまた新しい仕事が出てまいっております。さらには、不正薬物あるいは知的財産の侵害物品等の水際におきます取締り、こういう内外からの要請にこたえると。さらには、テロ対策、治安対策ということでの強化といったそういう課題に対処するために、従来から業務運営自体の効率化に努めているわけでございますが、やはり当然必要なのは税関定員の確保ということでございまして、関係方面の理解が得られるよう最大限努力を行ってきたところでございます。
 今のこのEPA絡みで申し上げますと、日・メキシコ経済連携協定が発効した平成十七年度以降におきましては、経済連携協定の実施に伴う要員といたしまして、平成十七年度におきましては十六名、それから十八年度には三名の新規増員を確保しております。
 さらには、知的財産関連でございますが、侵害物品の水際取締りの強化のための要員ということとしましては、平成十七年度につきましては五名、十八年度につきましては八名ということでございます。
 なお、テロ対策、密輸取締り関係、これが私ども一番強化しなきゃいけない部分だというふうに思っているわけでございますが、これにつきましては、平成十七年度に百九十名、それから十八年度におきましては二百一名の新規増員を確保するということをいたしまして、その合計、十七年度におきましては二百十一名と、あと十八年度におきましては二百二十名の新規増員ということで確保したわけでございます。
 今後、当然のことながら、こういう厳しい行財政事情の下でございますので、業務運営につきましては、まず一層の効率化を図らなきゃいけません。その上で、定員の確保を図りつつ、機構あるいは組織面での整備充実を図ると。さらには、やはり人材育成が一番大事でございますので、より高度な専門性を持ちました人材の育成に努めると。さらには、新しい取締り機器の整備等々ということでございまして、税関にかかわるインフラの整備、これはソフトとハード両面を通じましたインフラの整備ということにつきましても最大限努力していきたいというふうに、かように考えております。
○円より子君 EPAを締結したことに伴いまして、原産地の確認ですとか国ごとに異なる関税を適用するなど、実際の貿易窓口である税関における業務は大変複雑化しております。また、EPA締結国間の連携協力、情報交換も条約に規定されておりますから、税関の負担が増大するのではないかと思います。
 以前にもこの関税のところで税関のお話しさせていただきましたが、覚せい剤や拳銃、弾薬など社会悪物品や、この間は何か偽ブランドの全部粉砕して焼却したなんていう写真も新聞に載っておりましたけれども、そうした偽ブランド品など知的財産権侵害物品の不正流入阻止も大変多くなっていますよね。また、戦略物品の不正輸出などについても水際での取締り、それの要請が本当に高まっていると思いまして、税関の方々、大変御苦労だと思いますが、また空港や港湾が二十四時間稼働するようになってきておりますから、時間的な負担も大きいのではないかと思います。
 こうした新たな業務を迅速に処理していくために、今ソフトの面でもインフラの面でもとおっしゃいましたが、なかなか電子化などのめどが立ってないというところがあるかと思うんですけれども、原産地証明書、これについては後でもまた質問させていただきますが、この電子化などのめどはちゃんと立っているのか、税関業務に係る手続の電子化による逆にそうしますと職員の業務負担の軽減や合理化がどの程度進められる見通しなのか、ちょっとその辺をお聞きしたいと思います。
○政府参考人(青山幸恭君) お答え申し上げます。
 税関業務に係ります電算化というものにつきましては、これはかなりの程度進んでいるわけでございまして、私どもNACCSシステムを導入いたしましたのが昭和五十三年でございますが、自来、輸出入申告につきましてはほぼこれを、まあ一〇〇とは行かないんでございますが、九七、八%はこれを利用しているということでございます。
 他方、今御指摘ございましたように、いわゆる原産地証明書でございますが、これは外国の、輸入の場合は外国から入ってくるものでございまして、外国の政府機関等が発行するものでございます。これ、やはり電子的に受理するためには外国の政府機関自体が電子化されてなきゃいけないということもございまして、なかなかこれは今すぐには難しいというところでございますが、いずれにいたしましても、私ども全体の、先ほど大臣からのお話もございましたようないわゆるゲートウエー構想なりあるいは物流パートナーシップという中におきまして、私ども、この全体としてのアジアを含めた通関手続、さらにはそれに関連したような手続あるいは書類等の電算化をどんどん進めていきたいなというふうに考えてございます。
○円より子君 ちょうど今原産地証明の話が出ましたので、こちらの方の質問をさせていただきたいと思うんですが、EPAによって相手国の関税が撤廃されて無税で輸出するためには、その産品が日本原産であることを証明しなければなりませんが、日比EPA及びこれまで締結された他のEPAにおいては、日本及び各地商工会議所が原産地証明書の発給機関として指定されていると聞いております。
 しかし、その原産地証明書の発行手数料が高くて企業にとっては制度が使いづらいという声を聞いているんですが、一方、商工会議所の方は、原産地証明の発給に係るシステム整備や人件費に係るコストが高くてなかなかその手数料では賄えないと。そういう大幅な、ですから逆に収入、手数料収入よりも大幅な赤字だというふうに聞いているんですが、この原産地証明の発給を政府ではなく商工会議所が歴史的に担ってきたという経緯があるそうですが、各国との今後EPA締結により増大すると考えられる発給事務負担に対して、政府から何か補助をするとか、それとも、今後も円滑に進めるためには、国が、例えばメキシコやタイ、マレーシア、EU諸国などのように政府が公的サービスとして無料で実施するというような、そういったことは考えられないんでしょうか。
○副大臣(山本幸三君) 経済連携協定に基づいて我が国の原産地証明書を発行するわけでございますけれども、その事務に係る費用については、いわゆる受益者負担、つまり個々の証明書の発給により輸出する方が特恵関税の利益を享受するわけでございますので、この受益者負担の考え方を採用することが適当だと考えております。
 そういうことで、指定発給機関、これは今御指摘のございましたように商工会議所でございますけれども、発給手数料について実費を勘案して、そして経済産業大臣の認可を受けた上で定めて申請者に負担をお願いすることとなっております。
 ただ、御指摘のように、申請者の負担を軽減していくということは非常に重要な点でありますので、まあ経済産業省としても指定発給機関に対して発給事務の効率化、軽減化を図るように促してまいりたいというふうには考えております。
○円より子君 先ほど私、かなり赤字だというふうに聞いていると申しましたけれども、手数料収入に対してコストどのくらいかというような、そういう数字はお持ちですか。
○政府参考人(押田努君) お答えをいたします。
 これまでの実績でございますけれども、例えば、日本とメキシコとの間の経済連携協定に基づく証明の実績を例にとって申し上げますと、証明書の発給件数が八千二百三十五件でございます。手数料総額が千九百万強、千九百四十一万九千円程度ということになっております。
 また、マレーシアの場合は、まだ発足して間もないこともございまして、件数が二百八十九件、手数料総額が八十七万三千二百円という、こういうふうになっております。
○円より子君 手数料収入だけではなくて、今、先ほどから問題になっておりますのはコストが高過ぎるという話をしているんですが、そちらのコストの方は分かりますか。
○政府参考人(押田努君) コストにつきましては、今後商工会議所の方で計算をして、それで発表していくということになりまして、今の段階ではまだまとまっておりませんけれども。
 ただ、概括的に申し上げますと、初期投資、システム開発費用ですね、これを、約数千万掛かりますので、これを長期間にわたって手数料の中で回収をしていくということになります。そうしますと、どうしても最初の段階では赤字になると。最初からそのシステム開発費用とか、これを回収していくということになりますと手数料水準自体が非常に上がってしまうものですから、そこはそういったことも勘案しまして、最初の段階では赤字になりますけれども、中期的に見れば収支相償うと、こういった考え方で今設定しているところでございます。
○円より子君 まあ初期投資に掛かるのは当然だと思うんですけれども、今おっしゃるようにそれを何年にもわたってきちんと回収できるというならよろしいんですが、私の聞いているところでは、去年だけの例えばある商工会議所で数千万のコストが原産地証明発給業務に掛かって、それでいて手数料の方はその八分の一ぐらいしかないというような状況で、初期投資の問題だけではないように思いましたのでちょっとお聞きしたんですね。
 それで、先ほど申しましたように、その原産地証明書の発給は、EU主要国やメキシコ、タイ、マレーシアなどでは政府が公的サービスとして無料で実施しているわけですから、我が国のみが受益者に負担を求めるとなれば、まあ受益者負担が原則だと先ほど山本副大臣はお答えいただけましたけれども、相手国との関係において日本の輸出業者のみが不利となるのではないかと思いますが、いかがなんでしょうか。
○副大臣(山本幸三君) EUも各国ございますけれども、イギリスやフランスは取っているわけですね。韓国も取っております。そこは各国それぞれ違うところがございますが、そういう意味では、私どもは、やっぱり財政負担との絡みもございますし、そこは受益者負担の論理が通じるところはそうした原則に従った方がいいんではないかなというふうに思って、現状そういうことになっております。
 おっしゃるように、それは恐らく輸出製品に転嫁されてということになりますので若干の御負担が消費者には掛かるということになりますけれども、そこのところは競争力、効率化ということで対応してもらうということで、ある意味で言いますと、今対象となっております国は発展途上国というところが多うございますので、そういう意味で、完全な意味のバランスでありませんけれども、そういうことも加味して考えていくしかないなというように思っております。
○円より子君 ジェトロに中小企業EPA活用促進事業として約八億円に上る予算を計上し、EPAアドバイザーを各地に配置していらっしゃると聞いているんですが、それが余り効果が上がっていないという、それはいろんなお話があると思いますが、そういう、民間企業から聞いておりまして、これだけ予算をジェトロの、ジェトロというのは経済産業省の身内の組織だと思いますが、そういうところに割く余裕があるんであれば、原産地証明書発給業務のシステム構築の方に少しお考えになったらということも含めて質問させていただきたいんですが。
○副大臣(山本幸三君) お気持ちはよく分かりますが、原則は原則で、財政負担との絡みもございますので考えておるところでございます。
 御指摘のジェトロの予算事業でございますけれども、これは本年度から始まりまして、総額は約二・三億円でございます。経済連携協定を活用した海外での事業展開を事例紹介したり、あるいは、特に原産地証明に関する手続など中小企業の方々まだよく分からないというようなこともございますので、そのための情報提供を行うセミナーを開催したりをしておりますし、また経済連携協定専門のアドバイザーを内外の拠点に配置して個別の企業の相談に応じるということでやっております。
 効果が上がっていないというような話があったということでございますけれども、国内セミナーはもう既に十八回、延べ二千人を超える参加者でございまして、関心も非常に高くて、私どもとしては相当の効果を上げているというように考えております。それから海外でも、マレーシア、タイなどで十三回やっております。
 国内アドバイザー、海外アドバイザー、それぞれ今のところは四名でやっておりますので、もっと実が上がるように頑張ってまいりたいというふうに思います。
○円より子君 やっている側として、受けている側とのそごがなるべくないように、ギャップがないようにお願いしたいと思いますが。
 e―Japan戦略を進めていらして、この原産地証明書の申請発給手続における電子化にも早急に取り組んで輸出入に掛かるコストと時間の削減を図るべきではないかと思いますが、いかがでしょう。
○副大臣(山本幸三君) おっしゃるとおりでございまして、今は発給手続の電子化は非常に重要な課題だと考えておりまして、申請手続のほとんどはホームページから簡易に行うことができるようになっております。
 ただ、証明書自体は最後の段階で書類で出して印鑑をついてということになっておりまして、これちょっと聞いてみましたら、やっぱりそれを完全に電子化するためには電子承認手続とかいうことになって、またその初期コストがお互いの側で掛かっていくということで、これは将来の課題として是非考えていきたいと思っておりますが、また相手方との関係もございますので、そういうことが一般的にできるようになってコストも下がってくれば、これはもう是非検討していく課題だと思っております。
○円より子君 ちょっと先ほど税関のことで一つ質問し忘れたか、もしかして答弁していただいたのかもしれませんけど、先ほど、過大な仕事量が増えてきて複雑化しているという中で、税関職員の方々の高度な専門知識の習得が必要だと思うんですが、ここの支援策みたいな具体策はございますか。
○政府参考人(青山幸恭君) 専門知識といいますと、本当に幅広うございます。
 私どもの税関研修所でまず研修させるのは、これは当然でございますが、例えばいろんな新しい機器の開発でありますと大学に派遣するとかいろいろなことをやっておりますし、さらに研修所でもちろん外部の講師も来ていただいておりますし、さらにいろいろな知財、知的財産関係含めて、各省庁からのいろいろな、その何といいますか、講師の派遣なりなんなりもやっております。
 そういうことでレベルアップを図るということで、これはいわゆる予算措置というより、むしろ全体の中で私ども必要に応じやっておるという状況でございます。
○円より子君 次に、EPAを締結した国の関税率がWTO税率よりも高いケースがいろいろあると聞いているんですけれども、例えばFTA、EPAにおいては貿易総額の九〇%以上の品目について関税を撤廃することがWTO規定上必要であるとされていますが、実際には日比EPAによってフィリピン側において関税が即時撤廃される品目の割合というのは何%又は貿易額ベースではどのくらいになるんでしょうか。
○政府参考人(青山幸恭君) 日・フィリピンのEPAの発効の絡みでございますと、即時撤廃の数字でございますが、日本側でございますと、品目数では約八一%、貿易額では九一%でございますが、フィリピン側でございますと、品目数では六六%、貿易額では約八〇%、こういう数字になってございます。
○円より子君 メキシコとのEPAについてはいかがでしょう。
○政府参考人(青山幸恭君) 日本側の数字を申し上げますと、品目数で約七七%、貿易額でも約七七%でございますが、メキシコ側の数字を申し上げますと、品目数で約四〇%、貿易額で約六四%と、こういう数字でございます。
○円より子君 メキシコのケースでは、メキシコ政府の政府調達から日本企業が締め出されていたという事情があって、早期のEPA締結が何よりも優先されたというふうに想像しますが、それでも関税が即時撤廃された品目がその四割弱であったというのは、WTOで認められているとはいえ少ないと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(青山幸恭君) 今の数字は、当初ということでございます。即時撤廃ということでございますんで、十年掛けた数字はもっと、もちろん九〇%基準、きちっと往復では満たしているという形になってございます。
○円より子君 その当初のことなんですけれども、日本に譲許したEPA関税率を下回る率まで一般譲許、つまりWTO加盟国すべてからの輸入に適用する関税率を下げた品目が多く、そして、そのためにわざわざ日本原産である旨を証明してEPA税率でもってメキシコ用に物品を輸出しようとした日本の業者があるんですが、そのメキシコの税関で日本に譲許したEPA税率の方が高いよと指摘されて、何のためのEPAだったのかというようなそんな声も聞いているんですけれども、今後こういったことは、当初のことであるにせよ、ほかの国とのEPAでそういうことはないんでしょうか、ないように努力なさっているんでしょうか。
○政府参考人(田辺靖雄君) お答え申し上げます。
 今後新たに締結するEPAについて仮に逆転現象が発生してしまったような場合におきましては、機械的に高い方のEPA税率を適用しないよう、交渉の中でできる限り先方政府との間で確認を行っていきたいというふうに考えております。
○円より子君 せっかく国交省から来ていただいているのに先ほどまた質問を飛ばし、藤野先生に申し訳ないので、ちょっとまたこれ戻ります、済みません。
 EPAとその外国人観光客誘致政策等についてお聞きしたいと思うんですけれども、二〇一〇年までに政府は一千万人の訪日外国人を誘致するという目標を立てていらっしゃいます。また、海外からの投資を二〇一〇年にはGDP比で倍増する計画もございます。日比EPAも政府の外国人観光客誘致政策及び対日直接投資促進策に資すると思われますが、その連携をどのようになさるおつもりでしょうか。
○大臣政務官(藤野公孝君) 円委員から今御質問いただきました。広く大きく言えば、人の移動に関しましていわゆる国際観光振興とこのEPAの枠組みの活用という御指摘でございますけれども、先生も十分御高承のとおり、このEPAの枠組みの中で観光分野におきまして、観光が国民の間の相互理解の増進に寄与し、及びそれぞれの経済にとって重要な産業であることを認識し、観光分野において協力するという規定がなされているところでございまして、必要に応じまして、こうしたEPAの枠組みを活用いたしまして関係国等の有益な情報交換を行うことによりまして、更なる観光交流が拡大し、友好関係が強化されるということは大変意義深いことでありまして、今御指摘の二〇一〇年に一千万人という我が国の目標の実現につきましても、EPAの枠組みの活用を含め、なお一層努力してまいる所存でございます。
○円より子君 海外から日本を訪れる観光客は、他の主要国に比べて大変少ないと思います。この辺りを、海外から人や物、投資などが日本に入ってくることは、海外からの文化や技術を導入して我が国は発展してきたわけですから大変重要でございますので、ますますその点をよろしくお願いしたいと思いますが、その直接投資促進策の方は、これは経済産業省ですか、お願いします。
○副大臣(山本幸三君) 政府は今年三月の対日投資会議で、二〇一〇年に対GDP比倍増となる五%程度の対日投資受入れを目指すと、そういう新たな目標を掲げまして、対日直接投資の促進に取り組んでいるところでございます。
 この目標の実現に向けまして、今年六月に作成した対日直接投資加速プログラムでも、外国研究者、技術者等の高度人材の受入れ拡大や外国人の生活環境の整備に取り組んでいくこととしておるところでございます。私自身も、各国でセミナーやっておるわけですが、先般はアメリカに行ってセミナーに出席して対日投資促進をお願いしてまいりました。
 そこで、EPAもこの投資の自由化というのを貿易の自由化に加えて含んでいるわけでありまして、人の移動や知的財産の保護等幅広い分野を対象とした協定でございますので、相手国から我が国への直接投資の促進に非常に資すると、そういうふうに考えております。特に人の移動につきましては、産業界のニーズも踏まえながら、関係省庁と連携して、専門的、技術的分野の外国人労働者の受入れに積極的に対応しているところでございます。
 今後とも、引き続きまして投資環境の整備、人、金、物の流れの円滑化等の観点から、EPAとの連携も図りながら、対日直接投資の促進に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
○円より子君 これまでEPAが締結されたシンガポール、メキシコ、マレーシアについて、高付加価値品といいますか、例えば4ドア以上の冷蔵庫とか、全自動洗濯機とか、三千t超の完成車とかそういうものなんですけれども、こういったものの関税即時撤廃が実現していないことから、EPAの効果が十分に得られていないとの声が経済界などから出ているのは御承知だと思います。こういったものは関税撤廃までの時間が掛かり過ぎるという指摘もございます。
 こうした声を政府が真摯に受け止めて、今後の協定の改定交渉等において相手国に一層の関税削減や自由化を求めるなどの対応が必要だと思いますが、大臣、いかがでいらっしゃいますか。
○副大臣(山本幸三君) 確かに、一部の鉱工業品で即時関税撤廃とならないものが存在するわけでございますけれども、これは交渉におきまして相手国産業の状況等にかんがみまして、また経済産業省としても我が国の産業界と十分相談した上で粘り強く交渉した上で得られた結果でございます。ただ、これまで締結したEPAでは我が国から輸出する鉱工業品への関税は発効後十年以内にほぼ一〇〇%撤廃されることになっておりますので、我々としても満足できる内容ではないかと考えております。
 今後もいろんな機会を見付けて両国にとってメリットのあるEPAを締結できるように努力してまいりたいと考えております。
○円より子君 もうこれまで何度もこのFTAやEPAのことについては言われてきたことかもしれませんけれども、様々な協定の署名までに時間が掛かり過ぎているのではないかとよく言われております。フィリピンの場合も、正式な政府間交渉を経て首脳間で大筋合意に達してから個別の省庁が相手国政府のカウンターパートと個別の交渉に時間を大変費やしたと思うんですが、こうした交渉のやり方では、農業では譲って関税では主張を通すといった交渉ができないのではないかと思うんですね。
 で、現行の外務、財務、厚労、農水、経産、今日もたくさんの方に来ていただいたのはこういう交渉ですべての省庁がかかわっているから当然のことかもしれませんけれども、相手国との交渉においては例えば官邸が主導するなど対外交渉及び国内調整を一本化する必要があると思います。これは尾身大臣、いかがお考えでしょうか。
○国務大臣(尾身幸次君) このEPAの交渉は総理が所掌いたします経済連携促進関係閣僚会議の下で関係省庁が密接に協議、連絡をしながら政府一体で取り組んでいるところでございます。このような取組によりまして既に四か国との協定が発効、署名済み、三か国と大筋合意に至っております。この中におきましては、チリとのEPA交渉のように開始後七か月という極めて短期間で大筋合意に達する事例も出てきたところでございます。
 もとよりこの関係省庁、所管が異なるわけでございますから、その所管物資についての議論もいたさなければなりません。しかしながら、先ほど申しましたような体制の中で政府一体として取り組んでいき、成果を上げてきているというふうに考えております。
○円より子君 さらに、原産地証明の発給などに係る具体的な協定の運用規則が協定が発効するまで定められないということから、例えば発給機関においては必要な体制の整備に十分な時間が取れないとか、せっかく協定が発効しても実際に協定にのっとって関税撤廃枠を利用した輸出入業務が行えるまでに時間が掛かるという弊害がこれまであったと聞いておりますが、これは外務省でしょうか、今度の日比EPAにおいてはこうした点については改善策をお取りになるんでしょうか。
○政府参考人(田辺靖雄君) 日比EPAにおきまして運用上の手続規則が協定発効の日に日比間の合同委員会で採択をするということになっており、現在そのための事務的な準備作業をしておるところでございます。
 したがいまして、協定発効時には運用上の手続規定は整備されることになりますので、御懸念のような事態が起こらないように私どもも心掛けてまいりたいと思っております。
○円より子君 外務省が作成したEPAの交渉加速化策という文書がございますね。ここには、これまで民間部門の代表が参加していた共同研究会などの事前準備に時間を掛けずに直接交渉に入りますという記載があるんですが、交渉グループに民間部門の声を生かす方策について言及がないように思いますが、この声をどう交渉過程に取り組んでいくのか教えてほしいのと同時に、先ほどのそのEPAを締結した国の関税率がWTO税率よりも高いようなケースで、その関税率を下げるということは好ましいことなんですが、こうした情報をきちんと日本の輸出業者に周知され、利用可能な、より有利な条件で輸出できるように当局としてもメキシコ政府から情報収集に努めると同時に、輸出業者への情報提供を徹底すべきだと思うんです。
 両者において、きちんとその民間部門の声をどう交渉過程に反映するのか、また、それからその後の情報提供をきちんとすべきだと思うんですが、その辺の具体策を教えていただきたいと思います。
○政府参考人(田辺靖雄君) お答えいたします。
 政府といたしまして、EPA交渉を推進する際、基本的な立場といたしまして広く関係者の意見をお伺いするように心掛けております。
 御指摘ございましたように、例えば、交渉開始に先立つ研究段階において官民の関係者の出席を得て共同研究を行う場合があるわけでございます。日・フィリピンEPA交渉の前におきましても、産業界、学界を交えて共同研究会を設置して検討を行ったわけでございます。また、交渉の途中段階におきましても、個別の分野、セクターに応じまして、日ごろから関係団体あるいは現地の進出企業等と関係省庁との間で緊密な意見交換を行っておるところでございます。
 そのような様々な機会を通じまして、今後とも関係者の意見や要望に耳を傾けつつ、EPAの交渉を効率的に進めていきたいというふうに考えております。
○副大臣(山本幸三君) 御指摘のEPAの税率の方がWTOの税率よりも高いというのは本来あり得ない話なんですね。ただ、時によっては、EPAを締結した後にその国ではWTOの税率下げることがあって、そこのところはよく分からないことがございます。
 したがって、これはもう輸出入業者がその判断を行うときに選択できるわけですから、そうなっていますよという情報があれば一番いいわけですね。そのために、我々としても、先方の政府から情報提供を要請したり、全力を挙げて、ウエブサイトに出したり、いろんな資料を配布したりして、そういうことがないように努めたいと考えております。
○円より子君 EPAやFTAが本当に国民の利益となる内容の協定になるように御尽力いただきたいということをお願いして、私の質問を終わります。
 今日はありがとうございました。
○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
 まず、初めに大臣にお伺いしたいと思いますけれども、先ほどの御答弁でもございましたけれども、この経済連携協定の促進に積極的に取り組んでいきたいという決意表明もなされておられました。この経済連携協定を積極的に迅速に締結をしていくということの中には、国内の法体制をどう簡素化していくのかということも含まれてくるんじゃないかというふうに思われるわけであります。
 この経済連携協定に係る積極的な取組ということについて、その早期発効に向けた国内手続の迅速化ということを考えたときには、今既にシンガポール、メキシコ、マレーシアとそれぞれ、関税暫定措置法を条文を追加していく形で様々なことを法定しているわけでございますけれども、こうした個々の協定の署名の都度に条文追加するんではなくて、かなり共通できるところは包括的に一般的な規定化というのが必要ではないかという議論もこれまで随分なされてきていると思うんですね。
 そうした観点から、大臣には是非、この連携協定の早期発効に向けた国内手続の迅速化と、こういう観点からお答えいただければと思います。
○国務大臣(尾身幸次君) この連携協定は、アジアの活力を日本に取り込むということと、また、日本のいろんな意味でのエネルギーをアジア各国の繁栄のためにもプラスに働かせるというウイン・ウインの関係であるというふうに考えておりまして、私どもこれを前向きに進めていきたいと考えているわけでございます。
 さはさりながら、それぞれの国によりましていろんな経済事情の違い、産業構造の違い等がございますから、そこにおのずからそれぞれの国との連携協定の内容が違っているところもございます。そしてまた、国内におきましてもいろんな関係省庁が所管が異なるわけでございまして、その相手国に応じましてどういう問題があるかということを取り上げ、そしてまたその解決を図りながら全体としては前向きに進めていくという考え方でございまして、そういう意味で、先ほど申しましたEPAを促進する体制を一元的に取りながら積極的にこれを進めていきたいと考えている次第でございます。
○政府参考人(青山幸恭君) 今の大臣の御答弁をちょっと補足させていただきます。
 EPAの締結の際には、これまで二国間のセーフガード制度と二国間の関税割当て制度に関します規定の整備をその都度行ってきたということでございます。税率とかあるいは原産地規則等につきましては、これは条約を直接適用したということでございます。
 これらの制度につきましては、交渉相手国によりまして、先ほど大臣からお話ございましたように、具体的な内容の細部につきまして若干の差異がございますので、暫定措置法の改正に当たっては個々の協定ごとに規定の整備を行ってきたということでございます。
   〔委員長退席、理事峰崎直樹君着席〕
 今のお話でございますが、規定の一般化という議論でございますが、これは実は日・メキシコEPAの締結に伴います、ちょうど二年前でございますが、当委員会におきまする関税暫定措置法の改正におきます国会の審議の場におきましても御指摘をいただいておるわけでございまして、今般でこれ四回目になっております。
 今後のいろいろな交渉の進展を見つつ、包括的に手当てすることができるかどうかという点につきましても、今後、私ども事務当局といたしまして十分検討を進めてまいりたいというふうに思っております。
○西田実仁君 正にこの経済連携協定の締結の実績が蓄積された一定の成果が上がってきますと、今言われたような規定の一般化ということの法的な可能性も出てくるんではないかというふうにも思っておりますので、引き続き是非御検討いただければと思います。
 続きまして、関税割当て制度につきまして農水省の方にお聞きしたいと思いますが、今回のこの関税割当て制度の中身ですけれども、関税割当て制度と一言で言ってもいろんな種類があろうかと思いますが、今回のフィリピンとの連携協定においては事前割当て方式というのが取られているわけでございます。
 この事前割当て方式ですけど、メキシコとの場合には、それ以外にも輸出国管理方式とかシーリング方式とか市場開拓方式とか様々な方式が取られているわけでございますが、なぜ今回、フィリピンとの経済連携協定におきましては事前割当て方式というものが取られたのか、その背景についてお聞きできればと思います。
○政府参考人(山下正行君) 農産物の関税割当て制度の運用、特に事前割当て制度の運用についてのお尋ねでございますけれども、関税割当て制度の割当てに当たりましては、その申請手続、それから資格要件、割当て基準等に関し、あらかじめ品目ごとに具体的かつ詳細に定めて公表し、運用の透明性の確保に十分に配慮しているところでございます。
 今回、日・フィリピン経済連携協定におきまして、幾つかの農産物につきまして関税割当て制度が設定されまして、けれども、フィリピン側の強い要望によりまして事前割当てによる実施が合意されたところでございます。
 交渉の詳細につきましては差し控えさせていただきたいと思いますけれども、フィリピン側から、行政負担につきまして日本側の方でやってくれないかと、行政負担をかんがみると日本側の方でやってくれないかという、そういうことがあったと聞いております。
○西田実仁君 正に、事前割当て方式と輸出国管理方式との最大の違いは今の行政負担の問題だろうというふうに思いますが、この事前割当て方式におきましては、輸入者がですね、申請者が農水省に対して申請をし、それに対して農水省の方から審査をするということになるわけでございます。その輸入者に対する審査の厳格度が事前割当て方式と輸出国管理方式とは随分違うということでございますけれども、一方、この事前割当て方式ということは、その審査する基準というのがあろうかと思いますので、まずこれについて農水省にお聞きしたいと思います。
○政府参考人(山下正行君) お答え申し上げます。
 農産物に関する関税割当て制度につきましては、品目の特性などに応じまして、原材料として使用する製造者、いわゆる実需者への割当てと、それから商社等輸入者への割当てがございます。
 で、実需者への割当てにつきましては、その対象となる産品が確実に輸入され使用されることに留意をして行っておるわけでございますけれども、新規参入者であっても、製造設備を有しているなど既存の業者と同一の要件を満たしている場合には割当てを実施しているということでございます。
 また、商社等への、輸入者への割当てにつきましては、新規参入者を念頭に置いた枠を設定するなど、その運用の透明性、公平性の確保に努めているところでございます。
○西田実仁君 そうしますと、やはり輸入の実績というのが一つの審査の基準にも入っているというふうに思われますが、この申請者の輸入の実績が考慮されるということになると、よく指摘されることは、これでは新規参入者の障害になるんじゃないかというようなことも指摘されたりします。それを回避する意味で、例えばオークション方式というようなやり方もあると聞いておりますけれども、こうした懸念を、その新規参入者が参入する場合に障害になるんではないかという懸念をどう回避していくのかということについてお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(山下正行君) お答え申し上げます。
 関税割当て制度、特に今先生お尋ねの事前割当て制度でございますが、すべて、対象となっているすべての産品につきまして新規参入が可能でございます。実際の割当てに当たりましては、その数量枠の範囲内におきまして、申請者による当該物品の使用計画等を勘案いたしまして適正な割当てを行っているところでございます。
○西田実仁君 では次に、今回のEPAは人の移動を含むという点でこれまでも様々御指摘がございました。そのことにつきまして法務省並びに外務省の皆さんにお聞きしたいと思います。
 具体的にお聞きしたいのは、特に、今回のEPAではございませんけれども、全般的な人の移動ということで研修・技能実習制度についてお聞きしたいと思います。
 この制度が平成五年にできまして、当初は研修・技能実習の滞在期間は二年間であったと、それが平成九年に三年に延長したというふうに承知をしておりますが、ちょうどこの滞在期間ということにつきましてはもう見直して十年がたとうとしているわけでございまして、この延長ということにつきましても、見直しということにつきましても、様々な関係各機関で御議論いただいていることも承知をしております。
   〔理事峰崎直樹君退席、委員長着席〕
 目的がそもそも、この研修・技能実習制度の目的というのは、技術移転による国際貢献ということが第一の目的になっているということでございますが、それはもちろん、目的に対してどの程度それが達成されているのかという議論は大きくあろうかと思います。あろうかと思いますが、実態も見なければいけないというふうに思っております。
 私、地元は埼玉でございますけれども、この埼玉におきましても、様々な業種におきまして研修・技能実習制度を活用した技術の移転ということが行われておりまして、例えば埼玉の戸田市というところでは、製本とか加工等の印刷とかの業種が多いわけでございますけれども、そこにおきましてはかなりそうした研修・技能実習制度を用いた技術移転というのが行われる、日本の製本、印刷技術は非常に高いわけでございまして。
 そこで、例えば研修生、実習生の方から出ている議論としては、実態としての実態論を申し上げたいと思うんですけれども、自国での借金をして来ている場合も数多くございますし、また家族への仕送りというのもあったりして、三年というのはやっぱり短いんじゃないかというような、これは本来の目的とは違うと言われればそうなんですが、実態の話をしているわけでございます。また、企業の方も、三年でようやく仕事に、仕事というか、技術移転がようやくその初期段階が終わって、いよいよこれからというときに帰国しなきゃいけないと、こういうような話も聞いております。
 そこで、結論めいたことはここではおっしゃることは難しいとは思いますけれども、議論として、滞在期間の三年から五年への延長と、その場合に、どういうような枠組みで国内雇用市場への影響を考えていくのか、あるいは滞在の長期化による社会への様々な影響もどう考えていくのか。これは大変難しい深い問題、議論が必要かと思いますけれども、今の段階で、今申し上げた私の問題意識からして、この研修・技能実習制度の滞在期間の延長ということについてお考えをお聞かせいただければと思います。
○政府参考人(齊藤雄彦君) お答えいたします。
 現行の制度におきましては、研修及び技能実習制度を合わせまして最長三年ということはもう委員御案内のとおりでございます。一方、最長の滞在期間の延長を求めるという意見が多方面から出ておるということも重々承知しているところでございます。
 他方、一方、研修・技能実習制度の悪用事例というものも各方面から指摘されているところでございまして、法務省といたしましては、現在、関係省庁、関係機関と連携しつつ、このような不正研修・技能実習事案の排除に強力に取り組んでいるところでございます。
 これらの結果も踏まえまして、研修・技能実習の適正化の観点から、委員御指摘の最長滞在期間の見直し等も含めまして、そういうことの可否も是非も含めまして、その制度の見直しに早急に取り組んでいきたいということになるというふうに考えているところでございます。
○西田実仁君 是非、この制度の目的ということもありますし、一方で、既に実態が進んでいるという、両方あると思いますし、当然違法なことをしていることについては罰則も強化していくという側面も必要だというのももっともでございまして、是非熱心な議論をお願いしたいと思います。
 残りの時間、最後でございますけれども、税関のテロ対策につきまして最後お聞きしたいと思います。
 この七月に税関組織が再編をされております。その際、様々テロ対策ということで、言えないことも多々あろうかと思いますけれども、おっしゃれる範囲で、テロ対策という観点から、どのような今回の税関組織の再編がそれに資するのかということについてお聞きしたいと思います。
○政府参考人(青山幸恭君) 御指摘の税関をめぐるテロ対策という議論でございますが、今回七月一日に、取締りなりあるいは検査機能をまず集約させようというのが一つございます。もう一つは、情報分析と管理機能を集約させようと、こういう観点から新しく見直したわけでございまして、新しい私ども監視部というのがございますが、ここは事前の情報を活用しながら輸出入通関にかかわる物流の中で一貫した貨物の取締りを行いましょうということで、テロ関連の物資を含めまして、いわゆるハード面等の取締りを強力に行うということが一つでございます。
 調査部というのが、新しくつくりましたが、ここではテロの関連の情報を含みますようないわゆるインテリジェンスな情報の分析あるいは管理機能を統合強化しておりまして、そういう中で犯則調査に結び付けると、こういうのがねらいでございます。
○西田実仁君 今おっしゃったとおり、様々な対策が打たれておりますけれども、テロリスクをより正確に把握していくということが必要になってくるわけでありますけれども、そのための情報収集体制、また分析体制ということについては、これは各地区の税関のその機能だけではなくて、いろんな関係諸機関との連携強化ということが大事になってくるんじゃないかと思うんですね。そういう場合には、やっぱりそれぞれの各地区の税関にそのテロ対策についていろいろと各機関が協議をするような委員会的なものも必要なのかなという感じもしているわけでありますけれども、その点について最後お聞きして、終わりたいと思います。
○副大臣(富田茂之君) 税関におきましては、テロに対する情報につきまして、まず、警察等国内関係機関との密接な連携の確保、そして次に、税関の国際機関である世界税関機構を中心とする国際的な情報交換ネットワーク等を活用した外国税関当局等との情報交換の実施、そして東京税関内に設置されております全国センター機構にテロ専担班を設置しました。そしてまた、各種通関情報等を蓄積した通関情報処理システム等の税関システムを積極的に活用するなど、その収集・分析体制の強化を図っております。
 今、局長の方から御説明ありましたが、本年七月の機構の見直しにおきましては、テロや不正薬物等の密輸出入などに関する情報収集・分析体制を強化するため、各情報部門を統合して調査部を設置しまして、情報の一元化及び情報分析支援機能の強化を図ったところであります。
 また、関税制度面におきましても、平成十八年度関税改正におきまして、政府が一体となって実施しているテロ対策の一環として、外国貿易機等の旅客、乗組員及び積荷に関する事項について入港前の報告を義務化したところであり、来年二月から施行する予定であります。
 財務省としましては、税関において今後とも、関係機関との密接な連携の下、情報収集・分析の強化に努めてまいりたいと思っております。
○西田実仁君 終わります。
○大門実紀史君 大門でございます。
 もういろいろ御議論ありましたので、通告した質問はもうやめて、素朴な疑問をお伺いしたいと。これはもうだれにでも、基本的な問題ですので、お答えできると思いますので。
 今日もいろいろ出ていましたけれども、農業の構造改革論ということでございますけれども、私いまだよく分かりません。教えてもらいたいと思いますけれども。要するに、東アジアとのEPA、FTAを拡大していくと、どうしても日本の農業の問題が出てまいります。毎回議論になります。それについて、政府諮問会議でも今言われていますが、日本の農業の構造改革をやって競争力を強めて東アジアから農産物が入ってきてもまあ打ち勝ってくれと、頑張ってくれという話ですけれども、そんなことがあり得るのかなという疑問がずっと私思っておりまして、農水省はもうさんざん農業の構造改革と言われておりますから、まず農水省、聞きたいんですけれども、私は、農業というのはもちろん経済論だけで割り切る問題ではないと、多面的な機能があると思っておりますが、経済論としてもおかしいと思うんですけれども、なぜ日本の農業が構造改革をやればアジアからの、東アジアからの農産物の輸入に対して勝てるのかと、この経済メカニズムを説明していただけますか。
○政府参考人(笹谷秀光君) お尋ねの件でございますが、EPA交渉になりますと、基本的には、アクセスの改善といったようなことが主たるテーマになりますのと、それから農業の協力ということもテーマになるわけでございます。そういう中で、相互に攻めるところは攻める、守るところは守る、譲るところは譲るといった形でいろんな各般の交渉を展開するわけでございますが、我が農林水産省といたしましては、世界においての多様な農業の共存ということを基本に考えて展開しておりますので、その交渉を通じまして、双方の農林漁業、それから食品産業の振興にも役立ち得るような、共存共栄を図られるような成果が上がる交渉に向けて臨んでいるわけでございます。
 その過程で、当然アクセス改善も行うわけでございますので、そのアクセス改善が国内で進捗中の農業の構造の改革に悪影響のないような措置も講じつつ行うわけでございまして、そのような交渉を経まして、双方の農業に、また農林水産業にとって共存共栄が図られるよう戦略的かつ積極的に取り組んでまいりたいと、そういう基本姿勢で臨んでおります。
○大門実紀史君 いや、基本姿勢じゃなくって、説明してほしいと、なぜ勝てるのか説明してほしいということでございます。
 これは二年前ですかね、二〇〇四年にあのメキシコとのFTAのときに、当時の谷垣財務大臣と議論をさしていただきました。尾身大臣は、私が申し上げたいのは、今みたいないい加減な話じゃなくって、経済のメカニズムとしてどうやったら東アジアの農産物と日本の農産物が、どういう仕組みで勝てるのかと、構造改革をやればですね。これについて、基本的な政府の姿勢にもかかわりますんで、尾身大臣のお考えを聞きたいと思います。
○国務大臣(尾身幸次君) 昨今、農業の近代化といいますか競争力の強化についての考え方が農林水産省を中心にやや変わってきて、今までの守り一辺倒の姿勢から攻めの姿勢に変わってきているように私は感じております。生産性の向上やあるいは農産物の輸出の促進というようなことを大きな旗印に掲げているということについて、私自身は農業政策の担当ではございませんが、高く評価しているところでございます。
 五十年ほど前になりますが、私が大学を卒業してどこに就職しようかなと思いましたときに、繊維産業は当然アメリカと競争できるけれど、自動車産業は絶対に競争できないと考えておりまして、少なくとも自動車産業だけには就職したくないなと実は思っておりました。その自動車産業が今や日本一になっているわけでございますから、そういう意味で、その当時の五十年前の私の先入観というものが違ってきているというふうに思います。
 そして、日本の農業につきましても、日本の農産品の品質は世界一であるというふうに私自身認識をしておりまして、そういう品質上の優位を持って競争するということが、将来、全体の人類の生活水準の向上が実現したときには可能なのではないかと、私専門家ではございませんが、そういう意味で、農林水産関係の政策をやっている方々の高い志を評価しながら我々としてもそれをサポートしていきたいと、こういうふうに考えております。
○大門実紀史君 日本の農業が品質を高めてコストを削減するために頑張るということは何も否定しているわけではありません。具体的にEPA、FTAの議論で、入ってくるものに対して構造改革をやって競争に勝て、頑張っていけと、このことについて申し上げているわけですけれども、具体的にもう少し申し上げますと、東アジアから日本に入る農産物というのは、向こうでは、実は向こうの小農民が生産しているというよりも、アグリビジネス、多国籍大企業が現地の人を雇ったり農地を開発したり農地を借りたりして作って、日本で売れるものを生産しているわけですね。
 したがって、向こうの農民と競争しているというよりも、向こうの大企業と、農業大企業と日本の農民が競争しているということ、東アジアの農産物の場合。今度のフィリピンですとバナナもそうです。パイナップルもそうです。向こうに巨大なプランテーションがあって、デルモンテ社とかドール社という世界的な企業が生産をしているわけですね。こういうものとの関係をリアリティーを持って申し上げておるわけですが、例えば中国の野菜もそうですね、あれは日本の商社が向こうで作らせるとか。向こうの農民と競争しているわけじゃありません。そういうものに対して、構造改革をやれば、競争したら勝てると、勝っていけというのは、私かなり乱暴な、絵そらごとの議論が続いていると思います。
 例えば、どこまでそういうものに対して日本の農業が向こうで、向こうは賃金安いですから、賃金安いところで生産をする農産物に、どこまでそれじゃ農業の構造改革をやって生産性高めれば勝てるのかと、こういうふうに聞いたら農水省はどういうふうにお答えになりますか。
○政府参考人(笹谷秀光君) お尋ねでございますが、例えば今回の日・フィリピン連携協定におきまして、果実につきまして、先生御指摘のようなパイナップルとかバナナについて関税のアクセス改善を行っているわけでありますが、国内への影響は最小限になるよう、いろんな形で、例えばフィリピン側の要求をよく受け止めつつも、即時又は段階的に撤廃を行う、それから関税割当てを設けるなど、交渉におきましては国内果樹農業の振興に悪影響を及ぼさないような配慮もしながら、国内生産が少なく関税率が低い熱帯果実を中心としまして協定発効時点での関税撤廃に応じるなど、その他の品目につきましては個別品目の事情に応じまして展開をするなど、いろいろ極力国内への影響も回避しながら進めつつ、一方におきまして国内の果樹の農業についての構造改革も進めると、こういった二重のアプローチで展開をしているところでございます。
○大門実紀史君 何重のアプローチやったっていいんですけどね、あなた官房審議官でしょう。官房審議官ともあろう人が、自分たちが掲げている農業の構造改革について説明ができないんですか。なぜ生産性を上げて勝てるのかということ、それだけを聞いているのに。説明もできないんですか、経済的に。
 もっと申し上げますと、東アジアの各国と日本の賃金は数十倍の差があります。あります。為替、通貨の価値も経済力違いますから物すごい差があります。つまり、例えば品質を上げていくといっても、結局日本で売れるものだったら、東南アジアで生産しているアグリビジネスはいずれ日本で売れるような品質のものを開発いたします。日本も頑張ったとしても、これはもう時間の問題で、いずれ開発いたします。
 残るのは何かですね。残るのは何かというと、賃金と為替です、農業の問題ではですね。賃金と為替のこれだけの格差を超えて東アジアの農産物に日本の農業が打ち勝つということはあり得ないと。逆に言えば、日本経済がよっぽど沈没をして為替の差が東アジアの国となくなるか、賃金がよっぽど下がって同じになるか。これはこういう世界しかないことを何かいかにも頑張ればできるようにおっしゃっているんで、核心の問題を申し上げているわけでございます。
 尾身大臣、説明できますでしょうか。
○国務大臣(尾身幸次君) 私は、先ほど申し上げましたように、農業の構造改革をして日本の農業が世界に通用するような農業を目指していく、その志を高く評価しながら我々としてもこれをサポートしてまいりたいと考えております。
○大門実紀史君 幾ら聞いても答えが出てまいりません。今の政府が掲げておられる農業の構造改革論、それで頑張っていけばEPA、FTAを幾ら結んでも大丈夫だというのは、本当に架空の世界の話をなさっているということを指摘して、ちょっと早いですけれども、質問を終わります。
○委員長(家西悟君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 関税暫定措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手をお願いします。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(家西悟君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(家西悟君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十八分散会