第166回国会 法務委員会 第13号
平成十九年五月二十二日(火曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 五月十七日
    辞任         補欠選任
     神取  忍君     関谷 勝嗣君
 五月二十一日
    辞任         補欠選任
     千葉 景子君     櫻井  充君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         山下 栄一君
    理 事
                岡田  広君
                松村 龍二君
                簗瀬  進君
                木庭健太郎君
    委 員
                山東 昭子君
                陣内 孝雄君
                谷川 秀善君
                江田 五月君
                櫻井  充君
                角田 義一君
                前川 清成君
                松岡  徹君
                浜四津敏子君
                仁比 聡平君
                近藤 正道君
   衆議院議員
       修正案提出者   早川 忠孝君
       修正案提出者   大口 善徳君
   国務大臣
       法務大臣     長勢 甚遠君
   副大臣
       法務副大臣    水野 賢一君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  奥野 信亮君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田中 英明君
   政府参考人
       警察庁生活安全
       局長       片桐  裕君
       法務省刑事局長  小津 博司君
       法務省矯正局長  梶木  壽君
       厚生労働大臣官
       房審議官     村木 厚子君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○少年法等の一部を改正する法律案(第百六十四
 回国会内閣提出、第百六十六回国会衆議院送付
 )
○連合審査会に関する件
○参考人の出席要求に関する件
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○委員長(山下栄一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、神取忍君及び千葉景子君が委員を辞任され、その補欠として関谷勝嗣君及び櫻井充君が選任されました。
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○委員長(山下栄一君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 少年法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に警察庁生活安全局長片桐裕君、法務省刑事局長小津博司君、法務省矯正局長梶木壽君及び厚生労働大臣官房審議官村木厚子さんを政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山下栄一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(山下栄一君) 少年法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○櫻井充君 おはようございます。民主党・新緑風会の櫻井充です。
 まず最初に、基本的なことをお伺いしたいんですが、少年法の第一条の目的のところに、この法律は、少年の健全な育成を期しと明記されておりますが、一般的にこの責任を負っているのは第一義にはだれが、だれが責任を負うことになるんでしょうか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 少年法第一条は、御指摘のとおり、法の目的として、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うというふうなことなどを定めておるところでございます。少年法に基づく保護処分は国が行うものでありますので、少年の健全育成の観点から保護処分を行うと、健全な育成のための保護処分を行うというのは国の責務であるというふうには考えております。
 しかしながら、少年の健全な育成ということになりますと国家機関の働き掛けだけで可能なものではありませんで、やっぱり保護者を始め家庭や地域など社会全体として少年の健全育成、非行防止に努めていく必要があることは当然のことであるというふうに考えております。
 特に、保護者についてはその役割は極めて重要でありますし、少年の健全育成は保護者との信頼関係やその監護、物心両面にわたる支援があって初めて達成できるものでありますので、その意味では、一般的にまず子供の健全育成の責務を負うのはもちろん保護者ではないかというふうに考えております。
○櫻井充君 長い答弁でございましたが、結論は、要するに第一義に責任を負うのは保護者である親だということでよろしいんですね。
○国務大臣(長勢甚遠君) そのように申し上げてよろしいかと思います。
 ただ、非行を行った者に対する保護処分の責任は国がやっているということだと思います。
○櫻井充君 それはあくまで少年法の立て方がそうなっておりますが、それでは、非行を犯した少年に対して国が第一義に責任を負うというふうに決められた根拠はどこにあるんでしょうか。
○国務大臣(長勢甚遠君) まず親が、保護者が子供の健全育成の責任を負うということが基本であると思いますけれども、それにもかかわらず非行等を行った場合に、社会全体として健全育成の役割を果たすのは国がそれなりの役割を果たさなきゃならないということで保護処分という仕組みを法律で定めておることと思っています。
○櫻井充君 国が行わなければいけないその根拠になるものは一体何ですか。つまり、子供の健全育成を期さなければいけないと、それの責務は第一義に親にあるわけです。非行少年になった場合にはそれが親ではなくて国になるということが今大臣の御答弁ですが、なぜ非行少年の場合にはその責務を国が負うことになるんですか。その根拠になることを教えてください。
○国務大臣(長勢甚遠君) 国だけでやるということは、少年法の中でも保護者等との関係も規定をしておるわけでありますから、ただ保護者だけでは及ばない状況を生じている場合に、国として社会全体の役割を果たしていかなければならないということだと思います。
○櫻井充君 答弁になっていませんよ。答弁になっていませんよ。
 要するに、じゃ、親が親として責任を果たせないというのは、どこをもってして親が親としての責任を果たせないというふうに考えているんですか。
 もう一点申し上げれば、親が親として責任を果たせなかったとすれば、子供の性格を矯正しなどと書いてありますが、子供だけを変えたとしても残念ながら親が変わらない限り非行は良くならないんじゃないでしょうか。
 私は、今まだ現職の医者を続けておりまして、不登校の子供たちのカウンセリングなどをやっておりますが、家族全体が変わらないと学校に戻れません。それと同じような形で、それと同じような形で、その非行した少年を国が一義的に責任を持ってやったからといって、僕は、その子たちが本当に社会復帰できるかというと、必ずしもそうでないんじゃないかというふうに思っているわけですよ。
 ですから、もう一度申し上げますが、第一義は親に責任があるわけですね。これはお認めいただきました。そうすると、非行を犯した時点から、なぜ親が今度はその非行少年が健全育成されるために、健全に育てられるために責任は親から国に変わるんですか。その根拠となるものは一体何をもってしてそのようなことに決めているんですか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 親の責任が国にすべて変わるということではないんだろうとは思うんですけれども、非行を犯したことに対してそういう健全育成のために社会全体の中での国の役割として保護処分等を行うことが国の責任として法律上定められておるという仕組みだろうと思います。
○櫻井充君 法律上定めることの根拠ですよ。つまり、国がそこに介入していくことの根拠はどこにあるんですか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 非行はもちろん保護者の責任で、第一義的には保護者の責任といえども、これは社会全体に及ぼす影響があるわけですから、これに対してそれを健全な育成の役割を国が担う必要があるというふうに思います。
○櫻井充君 済みませんが、答弁になっていないと私は思います。
 私は、じゃ大臣、児童の権利に関する条約というのをこれは平成六年に締結しておりますが、この中の第七条に何と書いてあるのかというと、子供は、でき得る限りその父母を知り、かつその父母によって養育される権利を有すると、まずそういうふうに明記されているわけですよ。できる限りこういうふうにしなさいということが書かれていますし、それから第十八条には、父母又は場合により法定保護者は、児童の養育及び発達についての第一義的な責任を有するというふうに明記されていることですから、この子どもの権利条約を締結しているからには、まずこれの趣旨にのっとって法律を作っていかなきゃいけないはずなんですね。少年法、元々はこの法律の趣旨にのっとっていないから、ですから第一義の責任は本来保護者にあるはずなのに、これは国が国家管理するという作り方になっていますが、少なくとも、少なくとも平成六年にこの権利条約を結んだ、子供の立場から考えてくると、今の僕は少年法の作り方そのもの自体が間違っていると思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 少年の方々が親の管理下あるいはその保護下にあるということが基本であるとしても、それが十分でないという状況を生じているわけですから、これに対して国も社会全体の役割として必要な保護を行うという責務を生じておるというふうに考えております。
○櫻井充君 それでは、ここに定められている、でき得る限りというふうに書いてあるわけであって、本来、ですから、なぜ国が、じゃどういう線引きをもってして、どういう線引きをもってこの子たちは国家で面倒見なきゃいけないというふうに決めることになるんでしょうか。つまり、もう少し申し上げると、この条約上はとにかく、それからもう一回、何回も申し上げますが、第一義は親に責任があるというお話でしたね。ですから、第一義に親が責任があったら、どこまでの範疇は親が責任を持たなきゃいけなくて、どこから先はそれでは国家がそういう形で管理するという話になるんでしょうか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 親として少年が健全に育つように網羅的な責任を負っておるということは最初に申し上げたとおりでございますが、そこで、どこで区分かということになれば、少年法では、非行を犯した、非行に該当する事実等があった場合に、親の監護、教育というものが十分でないので国としても応分の役割を果たして保護を行うという仕組みにしてあるというふうに理解しております。
○櫻井充君 それでは、親が、今大臣が御答弁されましたが、要するに親としての責任を果たせないという趣旨の御答弁ですよね、それでよろしいですか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 非行に至らないように十分な保護観察をするのが親の役割であろうと思いますけれども、それが十分でない状態を生じておるということは非行という形で現れていると思います。
○櫻井充君 それでは、その十分でない親は、例えば今回のこの法律上、子供に対しては、非行のある少年に対して性格の矯正等を書かれていますが、親に対しては何も明記がないんですね。そうすると、親に問題があったということですから、親そのもの自体が変わらない限り、大臣、その少年の非行というのはなくならないんじゃないですか。
○国務大臣(長勢甚遠君) それぞれおっしゃるとおりのところもあるわけでございますので、親についても、少年法上も親に対する指導ということについても言及をしておるわけであります。
 ただ、いろんなケースがあると思いますけれども、そういう場合はそんなにないんだろうと思いますが、親がどうしても直らないというケースじゃ子供は絶対直らないのかといえば、そういう例ばかりでもないんではないかと思いますし、親がまず直ってもらうということが一番大事なことであることはおっしゃるとおりでありますから、そういうことについてもこの法律上もそういう努力をすることにしておるわけでございます。
○櫻井充君 まさしく今質問しようと思ったところですが、少年法の中に、じゃ親の責務規定なり、それから若しくは親をカウンセリングする等、そういうことが一体どこに盛り込まれているんでしょうか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 申し上げておりますように、少年の健全な育成は国家機関の働きだけで可能なものというわけではないわけでありまして、そのために、保護者を始め家庭や地域など、全体の非行防止に努めていく必要があると、特に保護者の役割は大変大きいというふうに考えております。
 少年法においては、こうした観点から、第八条第二項や第九条により、少年のみならず保護者についても家庭裁判所調査官の調査の対象となるとしておりますし、少年審判規則第二十五条第二項が、審判期日には保護者を呼び出さなければならないこととしておりますし、保護者には事件の調査、審判のための出頭義務があるということになっております。
 また、平成十二年の少年法改正で、家庭裁判所は保護者に対し訓戒、指導等の措置をとることができることとされ、実際にも家庭裁判所において、保護者が主体的に養育態度を考え直し、少年の監護についての責任を自覚するよう保護者会や被害を考えさせる講習を実施するなど、様々な働き掛けが行われておるものと承知をしております。
 加えて、今回の法案においても、少年院や保護観察所の長による保護者に対する指導、助言等に関する規定を設けることとしており、これにより、保護者に少年の監護、立ち直りのための責任を自覚させる働き掛けをより積極的かつ効果的にできるようになるものと考えております。
○櫻井充君 今大臣が根拠としてお挙げになったところは、八条は、事件の調査のために、調査ですよ、事件の調査のために保護者又は参考人の取調べその他必要な調査を行わせることができるということであって、保護者の項目が出てきておりますが、これはあくまで事件の調査です。九条にあるのも調査の方針でして、これは調査だけの問題ですから、今の答弁は私は違うと思いますね。
 もう一度お伺いしたいんですが、今るるいろんな、政令か省令かよく分かりませんが、そういったことをお述べになりましたが、そのものが書けるということは、根本的にはまず法律の中に書き込まれていなければいけないわけであって、法律の条文の中に私が申し上げているような項目はどこに挙がっているんでしょうか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 現在の二十五条の二において、家庭裁判所が必要があると認めるときは、保護者に対し、少年の監護に関する責任を自覚させ、その非行を防止するため、調査又は審判において、自ら訓戒、指導その他の適当な措置をとり、また家庭裁判所調査官に命じてこれらの措置をとらせることができるということにしてありますし、加えて、今回の法案においても少年院や保護観察所の長による保護者に対する指導、助言等に関する規定を設けることとして、これは提案中でございますが、しておるところでございます。
○櫻井充君 二十五条の二のところに、確かに、条件を付けて保護者に引き渡すことというふうに書かれていますが、果たしてそれが今まで機能してきたのかどうかということが最大の問題だと思うんですよ。
 これは、今おっしゃるとおり、たまたま解釈で、これからこういうことに関してその保護者なりなんなりをやっていくんだというような御答弁かもしれませんが、実際本当にそういうことが行われているんでしょうか。つまり、この法律そのもの自体がそういう根拠となる法律として今まで位置付けられていたのかどうかが僕は最大の問題だと思いますが、その点に関していかがですか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 承知をいたしておるところでは、保護者会を実施するとか、あるいは犯罪被害者の経験や心情を保護者にも直接聞いてもらうなどする被害を考えさせる講習に参加を求めたり、地域清掃活動等の社会奉仕活動に少年とともに保護者も参加させたりするなど、指導の効果がより上がる工夫をしてきておるというふうに承知をいたしております。
 十分でないという御指摘であるかもしれませんが、さらにこの規定の趣旨に沿って、また今回法案が成立すればその趣旨に沿って、少年院等も含めて保護者の立て直しということに十分努力をしていかなければならないというふうに考えます。
○櫻井充君 僕は、親が変わらなければ基本的には子供はなかなか変われないんだと思っているんですよ。これはもう自分自身が、これは非行かどうかは別として、僕は、もう一つ申し上げておきますが、非行少年というのは加害者であると同時に私は被害者だと思っております。つまり、自分自身が心の問題を抱えていて、そこのはけ口が、どこに求めていくのかという話になったときに、内に求める子たちは学校に行かないとかそれから拒食症になる、摂食障害になるとか引きこもるとか、そういう行為に出ますが、そうでなければ、外に向けてやっていった場合にはこういう形で非行という行為を行ってしまうんじゃないのかなと、私はそう思っております。
 そうすると、被害者である子供たちがこういう形で罰せられることだけ罰せられて、果たして本当に良くなるのかということなんですよ。ですから、その点を考えてくると、僕はもう少し親を考えてもらわないと良くならないんじゃないかと。もう少しきちんと法律上明記すべきだと考えているんですが。
 それは、例えばイギリスの場合もうかなり問題になってきていて、親の責任を明確化して責任を負わせるだけではなくて、実は親自身にも何が問題なのかを自覚してもらって、必要な教育福祉プログラムによる保護支援を行うことによって少年犯罪の再犯防止につながると考えられているということで、実はもうイギリスは、イギリスはそういう形で親の方のカウンセリングなどを行うような義務をもう課しているわけですよ。
 日本でも、例えば児童虐待、非行を起こしている子供の三割が児童虐待を経験しているということを考えてくると、親との関連というのは極めて大きいし、それから子供の健全育成というのは第一義に親が責任を持って行うものであるとすれば、この少年法の中にもっと明確に親の責務なり義務なりを私はまず書き込んでいくべきだと思うし、そして親として十分その責務を果たせない人たちに対してのカウンセリング等を行っていくようなシステムも盛り込んでいかないと、結局は少年の非行というのはなくならないんじゃないのかなと、私はそう思いますが、大臣いかがですか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 度々、御説お伺いしておりますが、親がきちんとすることがまず一番大事だと、そしてそれにまず全力を挙げるべきだという御趣旨はそのとおりだろうと思います。ただ、少年法はそのことを当然の前提として国のやるべきことを書いておるという法律ではないかと思います。また、この少年法は、そういうふうに少年をただ国が厳罰化といいますか、厳しい処分をするということだけで非行がなくなるというふうには私も考えてはいないわけでございます。
 ただ、あれですね、少年院においても、先生もあれはごらんになっておられるんだろうと思いますが、今おっしゃられましたような虐待体験だとかいろんなケースによって非行に走るケースがあるわけで、それを十分教官の方々が把握をして、それに対応した立ち直り教育をやっておる、それなりに効果も上がっておると思っております。
 もちろん、保護者との関係をもっともっときちんとしなければならないという意味で今回新たな法律の提案もさせていただいているわけでございますが、イギリスの例をお話しになりました。イギリスもイギリスの状況に応じてこういう制度をおつくりになっているんだろうと思いますが、我が国でこのような仕組みをつくるということはどうかということは、もう少しいろいろ検討する点もあろうかと思います。ちょっと具体的にまだ検討はしていないのが事実でございますが、一定の明確な枠組みを持った定型的な命令ないしはプログラムとすることが求められると考えられますし、また、ガイダンス等に出席すればよしとか、あるいは罰金を払えばいいということになるというふうに受け止められてもいいのか悪いのかということは、その国のいろんな状況にもよると思います。
 私、すべてを知っているわけじゃありませんが、たまに耳にすることによると、親御さんを呼んでも、来たまますぐ眠っちゃって、もういいですかと言って帰っていくという親御さんもおられるような話も聞きますし、そういう場合にはどうしたらいいのかということになると、非常に、おっしゃっておられることはそのとおりですけれども、現実にはまだまだいろいろ制度の枠組みをつくるについても検討しなきゃならないことが多いんではないかと思います。
○櫻井充君 済みません、ちょっとよく分からないんですが。
 大臣ね、これ恐らくほかの委員の皆さんも、その少年だけの問題ではなくて家族の問題なんだというのは、これ多分、恐らく多くの方、共通認識なんだろうと思うんですね。そうしてくると、その家族の関係が変わらない限り良くなっていかないと。
 それから、実を言うと、僕は不登校の子を診ていたときに、家族三人で来てくださいと、これはもちろん離婚されている方は別ですが、そうすると、半分ぐらいの方しか来ないんですよ。そのぐらい家庭環境が悪くなっています。来られた方々の八割方、これは私の後の治療の問題かもしれませんが、八割方の方は学校に行けるようになる、二割の方は残念ながら行けないと。ところが、一方で、来なかった子供はどうなのかというと、学校に行けるようになる子は大体一割か二割程度で、その子はなぜ行けるようになるのかというと、親に対しての期待感を捨てるからです、親はこんなもんだと。ですから、最終的には自分が自立するときにはもう家から大体出ていくと、そういう形態を取っております、一般的に。これ、私が診療している範囲の中で申し上げるとですね。
 つまり、そういうことから考えてもやはり家族の役割というのがすごく大事であって、もう一つ申し上げると、今の社会の中での最小単位である家族が十分に機能していないから僕はいろんな社会の問題が起きてきているんだと思うんですよ。
 ですから、その点からいうと、このような法律の作り方にするのではなくて、余りに国家のことだけが前面に出てくるような作り方をすることではなくて、もう少し家族、家族にも共同の責任があって、なおかつ家族が変わらなければこういう非行が止まらないんだということを社会の人たち全体に知ってもらうためには、僕はもうちょっと法律上に書き込んだ方がいいんじゃないかな。少なくとも親の責務なりなんなりという項目をこの少年法の中に私は書き込むべきではないのかなと、そう感じますが、大臣いかがですか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 昨今、大変忌まわしい事件がたくさん起きておって、これについて国民の皆さんも、まずおっしゃるように家族をきちんとしなきゃいかぬというのは多くの声だと思いますし、私もそのとおりだと思います。
 家族をどうするかということをやっぱりいろんな観点から考えていかなきゃならないんだろうと思いますが、少年法もそのことを前提に、家族に対する働き掛けを明記をしようとしておるわけですけれども、家族そのものをどうするかということは少年法の範疇なのか、もっとほかの問題として、問題というかレベルで議論して整理をしていかなきゃならないことがあるかどうかということをみんなで考えていかなきゃならないのではないかと思います。
○櫻井充君 後段おっしゃったことは確かにそのとおりで、果たして少年法だけなのかどうかというのはこれはまず考えなきゃいけないことでありますが、しかし、非行を犯した少年というところでいうと、先ほど冒頭大臣は親に任せられないと、親に任せられないから国家でこういう形で少年院やそれから鑑別所みたいなものをつくって、それで国家で更生させるというんですか、そういうシステムを取るんだというお話をされましたよね。
 つまり、そうだったとすると、やはり大臣も共通認識として親が何らか関係しているということを御理解いただいているわけですから、そうすると、そのことに対して、子供が再犯しないようにするために親の協力は不可欠であって、その部分をなぜもっと法律上強く書かないんですか。そこまでおっしゃるんであれば、そして親に問題があるということを御理解いただけるのであれば、そのもの自体が法文に書かれていないことが私は最大の問題だと思いますよ。いかがですか。
○委員長(山下栄一君) 速記止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(山下栄一君) 速記起こしてください。
○国務大臣(長勢甚遠君) ちょっと条文を探しておりますので申し訳ありませんが、先ほど申し上げましたように、今回そういう御趣旨も踏まえて新たな条文を設けることとしておるところでございます。
○委員長(山下栄一君) 速記止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(山下栄一君) 速記起こしてください。
○国務大臣(長勢甚遠君) 失礼しました。
 今回の改正案において、三十六条の二ですけれども、保護観察所の長は、必要があると認めるときは、保護観察に付されている少年の保護者に対し、その少年の監護に関する責任を自覚させ、その更生に資するため、指導、助言その他適当な措置をとることができるという条文を設けることとしたところでございます。
 また、十二条の二で、少年院の長は、必要があると認めるときは、少年である在院者の保護者に対し、その在院者の監護に関する責任を自覚させ、矯正教育の実効を上げるため、指導、助言その他の適当な措置をとることができるとしたところでありまして、この規定を生かして、先生の御指摘のような観点からの親に対する働き掛けというものをきちんとやるように努めていきたいというふうに考えております。
○櫻井充君 それでは、そういう観点で法律を作られたとすれば、その定義規定や目的のところにそういう条文をまず置くことが筋なんではないですか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 少年法の立て方の問題としての御指摘だと思いますが、先ほど言いましたように、青少年の健全育成のための保護処分を行うという趣旨を目的とする法律でございますので、その一環として、今申し上げたようなことは当然含まれておるものと思っております。
○櫻井充君 しかし、それが条文に書かれていませんね。特に、第一条の目的のところにはそういうふうに書いてないわけですよ。ですから、大臣は先ほどから何回も御答弁されていますが、第一条の中にそういうふうに盛り込まれていないんだと、冒頭御答弁いただきましたから。ですから、私はそこのところを変えなきゃいけないんじゃないかというふうに申し上げているんです。
○国務大臣(長勢甚遠君) 今新しい規定を設けたということは、その目的に沿った規定を置いておるわけでありまして、一条、御案内のように、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに云々というふうに書いてあるわけでありまして、環境の調整ということの中には当然いろんなことがあると思いますが、保護者に対する働き掛けということが書かれておりますので、保護処分の一環として、先生御指摘のような親に対する問題についてこれまで以上に目を向けていくという趣旨が明らかにできたものと思っております。
○櫻井充君 かなり苦しい御答弁だと私は思いますが、それはじゃ、そういうふうに仮に読むんなら読むということにいたしましょう。それはそういうふうなものだというふうに解釈するんだと。これは法律を作られた法務省に解釈権限がありますから、それがそういう解釈なんだと言われればそこまでなんですけれども。
 しかし、そういうふうにまで書かれて、その環境の調整をしなければいけないようなことの中に親が含まれるとすれば、やはりその親の責務規定なりなんなりというのを条文の中に置くというのが、私はこれ普通のことなんじゃないのかなと、そう思うんですよ。つまり、親はそういう義務を負っているからこそ、その義務を負っているからこそ、例えばそういう状況においてカウンセリングを受けるのが当然のことなんだという話になりますが、いきなり、いきなりいろんなところの条文を引いてきて、親からすればおれたちは関係ないと、何で、子供はもう自立していて子供の問題なんだというような場合に対して、どうやって親に対して、親に対してのカウンセリングを行うことができるのかといえば、それにきちんと対応できる根拠をまず書かなきゃいけないんだと思うんですよ。
 ですから、そういう点で言うと、この法律の作り方は私は不十分だと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 先ほど御説明いたしましたように、少年院の長あるいは保護観察所の長が今保護者に対する働き掛けをすることができるという規定を設けているわけでありますから、当然、それに基づいて保護者の方にもそれに沿った対応をしていただけるものと思っております。
○櫻井充君 それでは百歩譲りましょう。
 今までこういう形で作られていて、保護者に対するそういうアプローチの仕方、それからどういう形でカウンセリングを行う、そういったプログラムはありますか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 私も細部のことまでは、現在までの取組について細部は承知していない点もあるかと思いますが、少年院等において、保護者に来てもらっていろんな話をするという、また入所されている少年に対してこういう働き掛けをしてもらいたいというような要請をするというような様々な努力をしてきておると思っております。
 さらに、今回の改正を踏まえて、どういう形で保護者の方々に立ち直りに御協力をしていただけるか、どういう方法があるかということは更に検討していかなきゃならないと思います。
○櫻井充君 つまりそれは、じゃ今までは命令はしていたかもしれないけど、ただやってくれの世界であって、実効性があったかどうか、この確認はしていないわけですね。
 これは、済みませんが、通告しておりませんので、これ委員長にお願いですが、まずプログラムがあるのかどうか、そういったものですね、それの御提出をいただきたいことと、それからそれに沿ってカウンセリングを行ったケースが何例あって、そしてそのことによって親がどういうふうに変わっていったのかということ、それからもう一つは、カウンセリングを行った群と行わなかった群での非行の再発の率ですね、このことについての資料を要求させていただきたいと思います。
○委員長(山下栄一君) じゃ、ただいま御提案の件、後刻理事会において協議いたします。
○櫻井充君 私は、きちんとした形のプログラムをつくらないと良くならないと思います。
 それから、ニュージーランドの例を申し上げますが、ニュージーランドは国の福祉部局が主体となって、青少年司法コーディネーターが運営する家族集団会議というのが採用されています。その参加者は、少年の家族や親族、合意がある場合には被害者、それに警察、弁護士、ソーシャルワーカー等で、この会議に出席した少年の再発率は九年間で四%と極めて低くなってきていると。そういうふうになっているわけでして、それからイギリスの先ほどの場合も、元々は宣誓をやらされていたらしいんですが、親がですね、ところがそれだけではもう不十分なので、実質上カウンセリングを行うようになってきたと。
 これはもう世界の国々どこも僕は共通していることであって、それに対してどういうシステムをきちんと構築していくのかということが一番大事なことなんだと思うんですよ。ですから、まあ僕はこのニュージーランドのシステムが全部いいとは申しませんが、それはその国その国でやるべきことであって、今までちゃんとやられていないんですよ、実際のところを見てみると。ですから、今法律上幾ら書かれていたとしても、今までの法律上の中ではちゃんとやっていないんですよ。だから、法律の文言そのもの自体を僕は変えていかなきゃいけないんじゃないのかなと、そう感じているんですね。
 何回も申し上げますが、親の責務規定は僕はこの中に書き入れないといけないと思いますよ。大臣はここの中に要らないと思われているんですか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 最前から申し上げておりますとおり、保護者等の協力というものが重要であるということはもう申し上げるまでもありませんし、そういう意味で、その根底には親としての義務があるというのはおっしゃるとおりであると思います。そのことを条文の立て方としてどうするかはいろんな考え方があるんだと思いますが、少なくとも今回の法改正では、今おっしゃったことを前提にして構成をしておるというふうに私どもとしては思っております。
 ただ、現実に、本当に真剣にそういう問題にどこまで取り組んできたのかという御指摘があるとすれば、それはそのこと、先生の御指摘も踏まえて、どう言いますか、真剣に親の協力体制をどう構築するかということを更に検討していかなきゃならない、プログラムもどういうものであるのかもう少し見直しをしなきゃならないと思います。
 ニュージーランドの例も挙げられましたが、これは御指摘のようにニュージーランドのいろんな国柄によってできておるものでありますから、我が国にそのまま直接いいかどうかという問題はまだ別途ありますし、また特に被害者も含めた形での会議というようなことになれば反対する御意見もあるやにも伺っておりますし、いずれにしても、家族等の協力を得る体制づくりというものを更に強化をしていくことはおっしゃるとおりだと思います。
○櫻井充君 後段のことについては感謝申し上げますが、再度申し上げたいのは、条文の中にそのことを盛り込まなくていいのかどうかということなんですね。
 僕は、例えば少年が非行を犯した際に、一番違和感を感じているのは学校の先生が謝っていることです。特に、校長先生が出てきてなぜ謝らなきゃいけないのか私には理解できません。つまり、そのことよりも僕は親が出てきてちゃんと謝るべきだと思うんですね。しかし、この国は親が出てくることもなく、そして学校、校長先生がなぜか分からないけれども謝っていると。これ根本的な間違いだと私は思いますね。ですから、なぜそういう根本的な間違いがあるのかというと、第一義の責任は親にあるということを明記されていないからだと、私はそう感じているんですよ。
 ですから、大臣、もう一度お伺いしますが、私は親の責務をこの法律の中に書き込むべきだというふうに思いますが、大臣は要らないということなんですね。
○国務大臣(長勢甚遠君) 条文として必要であるかどうかという御質問であるとすれば、条文として書かなくてもそのことを踏まえた条文、構成立てになっておるというふうに私としては考えております。
○櫻井充君 これは、法律というのは一般の素人が読んでも僕は分かるように書くべきものだというふうに思っております。そういう観点からいうと、一条の中の先ほどのところを取り上げられて、ここも全部親のことも含むんだというお話をされますが、果たしてどれだけの人がそういうことを読むことができるかというと、かなり難しいことだと思いますよ。
 それで、例えば、本来であると前文のようなものを入れて、社会にとっての大きな問題なんだと、そのこと、そのもの自体が加害者である少年だけの問題ではなくて、実は少年は被害者であって、そしてそれは家族間の中での出来事が随分割合を占めてきているんだから、だから家族のことについてもう少しちゃんととらえていかなきゃいけないんだみたいなものを置いて、僕は親の責務を置くというのが普通の作り方じゃないのかなと、私はそう感じております。
 大臣も、何回も親のことが大事なんだということはこれお認めいただいているわけですから、そこのところの、瑣末なところの法律の条文をちょこちょこ持ってきてやるのではなくて、やはり根幹からですね、根幹から大きく方向転換をしたんだということを見せていかないと、なかなか社会が少年法そのもの自体が変わったように見えないんじゃないでしょうか。つまり、我々からすると、ただ単純に少年の年齢を引き下げ厳罰化したというイメージしかありません。しかし、問題はそこにあるわけではないんですよ。全員が全員そうだとは申し上げませんが、少なくとも家族の問題というのは僕は相当大きいと思います。
 もう一つ、これは多分法務省の外郭団体なんだろうと思いますが、そこが調べた数字を見ると、再犯をしないというその子たちの場合には、家族が仲がいい場合の方がしない、もう再犯しないんだという自信を持てるという、そういう報告もあるわけですよ。ですから、その観点から考えても、もう少しきちんとした形で親のことを書くべきではないのかなと。これ、法務総合研究所研究部報告の三十一の中にあるんですが、親との関係を良好に認識している者ほど再犯しない自信を強く示していることがうかがわれるというふうに書かれているんですね。
 ですから、そういう調査までされているんであれば、もう少しきちんとしたものを法律の中に私は書き込むべきだと思いますよ。これが、自分たちの中で、研究部でこういうことまでやっておかれながら、なぜ法律の中に書き込んでこないんでしょうか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 正直言いまして、家族というものを、位置付けというものについての重要性は全く先生と私は同じ考えでございますが、そういうことであればこそ、今回、少年院なり保護観察所長の権限というものも明記をさせていただいたわけであります。
 しかし、先生はそれ以上に体系立てをしろという御主張でありまして、理解できないわけでは私もありません。しかし、親と子の関係を少年法という形で明記をするということが法制上適切かどうかという議論もあるでしょうし、何よりも法律以前の問題として、家族、親子の在り方というものがどうも崩れているんじゃないかということが最大のポイントだろうと思います。
 むしろ、法制の必要も検討しなきゃならぬかもしれませんが、それ以上に、社会全体として家族の在り方というものをアピールをする運動といいますか、国民意識の涵養といいますか、こういうものをやっていくことも、これは法務省だけでなくて全省庁挙げてやっていかなきゃならぬものなんではないかなと。そこの環境が整わなければ少年法をどう規定をしようがなかなかうまくいかないというのも事実でありますし、また、だからといって法律を書く必要はないとまでは私も申し上げませんけれども、そのことはやっぱり今社会全体としてそういう雰囲気になかなかなっていないのが現状ではないかと、そのことに私も大変な懸念を持っております。
○櫻井充君 じゃ、教育基本法の中に家庭教育というのも入ったんですよ、今回ね。時代とともに変えなきゃいけないと、その教育基本法も変えなきゃいけないということで与党はそこの中に家庭教育も入れたじゃないですか。今回の場合においては、例えば児童虐待をしているような親が三割もいたと。結局、より家庭の問題がはっきりしてきているわけだから、だからこそもっとこちら、こういう法律の中に書き込むべきではないですか。
 それであれば、法務総研というところで、ここのところで、同じところですが、もう一つ、今回の事件の前、もしあなたが法律で禁じられているような悪いことをしようと思ったら、あなたを思いとどまらせる心のブレーキになっていたのは次のどれですかという中で、父母のこと、それから兄弟を含めた家族全体のことということを合わせると、約三〇%の子供たちがそういうふうに答えているんですね。一方、もう一つは警察に捕まることということがあって、これが二五・四%なんですよ。
 つまり、法律でこういう形で縛られているからというのはもちろんブレーキの一つにはなっていますが、やはり家族全体のことを考えるからこういうふうになっている、心のブレーキを掛けていると。つまり、家族関係がやっぱり良くなっていくということが絶対的に僕は大事なことだと思っていて、法律上のことは今回こういう形で書き込まれていますが、その心のブレーキになるべき家族の問題についての取り上げ方がかなり少な過ぎるんですよ、この書き方をしてくると。ですから問題なんではないのかなというふうに思っているんです。これは、今度は国内のデータですからね。国内でそういうふうに言ってきているんであるとすれば、もう少しそういうことを勘案されて法律を作られるべきじゃないですか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 非行を犯すというか、に入る前段において、家庭がしっかりしておればそういうことに行かなくて済んだということは、そういうデータのお示しがあったわけでありまして、非行になる前の話を少年法で全部書くかと、先生さっきからおっしゃっていることは、非行から立ち直らせるためにも親の教育が必要ですし、非行に行かせないためにも親が大事だということでありまして、少年法では非行から立ち直らせるために親の教育、協力というものを十分にもらえるように、させるようにしようという規定の整備を、先生若干御不満なところがあるわけでございますが、させていただこうと思っておるわけでありまして、だけど、非行に入らないようにするための親の問題ということになれば、もうこの少年法だけの問題なのか、もっと別の形での制度が必要であれば、それは教育もあるでしょうしほかのこともあると思いますが、そういう観点からの検討が必要な問題ではないかというふうに思います。
○櫻井充君 それはもうおっしゃるとおりです。ですから、私も別に前のことまで全部少年法で書けということを申し上げておりません、全く。その非行少年そのもの、非行を犯した少年に対しての再犯防止のためのことに関して、国がこの法律上で言うと第一義の先ほど責任を負うような作り方になっているんだというところが私は筋が違ってるんじゃないかということを申し上げているんですよ。そこのところで立ち直らせていくためにはやはり親の協力はもう絶対不可欠であって、若しくは親が親として認められないような場合はそれは隔離するということは極めて大事なことだと思いますよ、ここの部分は。しかし、そうであったとしても、じゃ、親が親権を取り戻せるような形にしていくための教育システムというのをつくらないと何ともならないんじゃないのかなと。
 これは悲しいかな、子供たち見てると、親に暴力振るわれようが何しようが、やはり親が大好きなんですよ。そのことを本当に親が理解しているのかどうか、僕はちょっと分かんないんですよ。もうここまでされたらもう親なんか見捨てたらどうなんだと言っても、やっぱり親を見捨てられないんですよ。離れたとしても、離れちゃったらいいじゃないかって言っても、離れても遠くから親のことが心配なんですってそうやって悩んでいて、今摂食障害になって来られている方もいらっしゃいますけど。つまり、家族の在り方そのもの自体で、本当にいい家族の場合は、余り非行なり、それから摂食障害や不登校になっているという例は僕は見当たらないんですね。ですから、そういう点でいうと、その後にこういう問題を抱えているところの方が家族としての問題が多いわけですから、ですから家族の問題をちゃんとしなきゃいけないんじゃないですかということを申し上げているんですよ。いかがですか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 今先生お話しになったようなことは、私も少年院の教官などからお聞きしたことがあります。やっぱり虐待を受けたような少年の方が、もう親の、関係ないということを言っておきながら、言っておられるけれども、やっぱり内々、親が恋しいというのか、親を頼りにしているということがあると。その心を開く努力をしておるんだということを私もお聞きしたことがありまして、先生のおっしゃっていることは全くよく理解できるつもりでおります。
 ただ、これを法制上どうするかというお話であるとすれば、やはり強制力の行使その他ということになれば、まだまだ、国民の御理解もいただいた上での話になると思いますので、先生の御指摘は、今回そういうことになっていないわけでございますが、今後また、この法案を通していただいて、その状況を見て更に検討をしていきたいものだと思います。
○櫻井充君 これね、子供の性格の矯正と書いてあるんですよ。そうしたらね、親の性格の矯正も必要なんですよ、これははっきり言っておきますけど。それは、児童虐待やっているような親の性格の矯正、これ必要じゃないですか。だったら、なぜ子供の性格の矯正だけを一条の目的のところに書いておいて、親の部分は何にも出てこないんですか。
 つまり、そういうことを法制化するのはいかがなものかとおっしゃいますが、加害者である子供たちに対してそういう書き方をするんであれば、僕は、子供たちは先ほど申し上げたとおり被害者だとも思っていますから、その部分でのある種の加害者である人たちに対しての、その周辺の整理とかいう言葉で収めるのではなくて、きちんとした形で明記しなければいけないんじゃないのかなと。ですから、そこのところを十分に担保されないような内容で幾ら改正されても、僕は少年犯罪というのは全く減らないんじゃないだろうかと。そういうことを指摘させていただいて、質問を終わります。
 ありがとうございました。
○浜四津敏子君 公明党の浜四津でございます。前回に引き続きまして質問させていただきます。
 ところで、前回、私はホースセラピーについて質問をさせていただきました。是非ホースセラピーを少年の更生に活用してもらいたいと、こういうお願いをいたしましたところ、法務省からは、熱帯魚を飼わせていますとか、あるいは犬を飼わせていますとか、ペットによるいやしのようなお答えがありまして、これは正確な認識をしていただいていないなと大変残念に思ったところでございます。
 ホースセラピー、乗馬施設でやっておりますし、また、乗馬施設に少年たちが行かなくても、馬を少年院に連れていって、そこでホースセラピーということも実施できますし、是非一度視察していただきたい、体験していただきたい。また、少年たちがどういう状況でホースセラピーを受けているのか、それを是非見ていただいて、ホースセラピーの意義、また効果、これを確認していただきたい。是非、御案内いたしますので、視察していただきたいと思っておりますが、矯正局の方、いかがでしょうか。
○政府参考人(梶木壽君) 前回、ホースセラピーの効果等について様々な御示唆をいただきました。私もその後、千葉県のホームページを拝見をいたしました。
 子供の心のケアについて我々少年院の方でどういう手法を使うかということは様々な研究を進めておるところでございますので、担当者に実地調査をさせたいというふうに考えております。
○浜四津敏子君 それでは、大臣にお伺いいたします。
 五月十五日に、福島県で十七歳の男子高校生が母親の頭部を切断して通学用のバッグに入れ、警察署に出頭するという大変衝撃的な事件が発生いたしました。
 最近の少年による親の殺害事件の状況及びその傾向性や特徴についてどのように見ておられるでしょうか。また、こうした事件を防ぐためには、家庭、地域、学校等における総合的な取組が必要だというふうに考えておりますけれども、この事件につき大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) 御指摘の事件は、誠に悲惨で痛ましい事件でございまして、亡くなられた方の御冥福をお祈りを申し上げたいと思います。
 こういう事件がちょいちょい起こるのは本当に残念なことでございますが、先ほど来御議論になっていますように、家庭、学校、あるいは地域社会、いろんな条件が複雑に絡み合って発生しておるようでありますので、世間ではよく、世の中はどうなったんだという声まで聞く始末でございまして、是非いい方向に我々も努力をしていかなきゃならないと思います。
 このために、やはりもう各般にわたる取組が必要なわけでありまして、平成十五年十二月に犯罪対策閣僚会議において策定された、犯罪に強い社会の実現のための行動計画においても、重点課題の一つとして、社会全体で取り組む少年犯罪の抑止というものが掲げられております。
 その中では、少年犯罪への厳正、的確な対応、少年の非行防止につながる健やかな育成への取組、少年を非行から守るための関係機関の連携強化という三つの課題に取り組むための具体的な施策が示されております。これには、少年及び保護者に対する相談活動の強化、学校における非行防止教室等の教育、啓発による少年の規範意識の向上、家庭における教育、啓発の充実、地域社会における教育と少年の居場所づくりの促進といった、御指摘のような家庭、学校、地域における施策も含まれておるわけでございます。
 法務省としても、少年非行について事案の真相を明らかにした上で適切な処分を行い、少年の健全育成を図ることが最も基本的な施策と考えておりまして、今後とも、今申し上げましたような関係省庁とも連携を取って、正に家族、地域社会、学校、連携した中で、こういう問題が起こらないように一層の努力を努めていかなければならないと考えております。
○浜四津敏子君 次も大臣にお伺いいたします。
 国民投票法が先日、可決、成立いたしました。その中身といたしまして、投票権者を原則十八歳とすると、こういうことになっております。国民投票法では、国は、施行まで、公選法、民法その他の法律について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるとありまして、公選法などの関連法が改正されるまでは投票年齢を二十歳にすると、こういうふうにしております。
 政府は、研究会を設けて関連法案の改正について検討するとのことですけれども、法務省として、投票年齢が十八歳になった場合、関連する法律は民法や少年法等がありますが、そのほかにどのような法律が検討対象になるとお考えでしょうか、お尋ねいたします。
○国務大臣(長勢甚遠君) 国民投票法の成立、そしてそれに基づく年齢の検討については先生今御指摘のとおりでございます。これについてどういうふうに議論し、検討していくかについては、この成立過程を踏まえて、政府全体として議論をしていくという必要があるということから、関係省庁の密接な連携の下に法令上の年齢条項について総合的な検討を進めるということで、内閣に年齢条項の見直しに関する検討委員会が設置をされまして、十七日にその第一回検討委員会が開催されたものと承知をしております。今の段階では、関係法令の整備ということが最初に作業として行われるようでありまして、法務省としても、その検討委員会における議論を踏まえて検討を進めさせていただきたいと思っております。
 当然、この法律だけでなくて政令等々も関与するわけでございますが、現在、私どもで我が省所管の法律として今整理をしておるのは、民法は当然でありますが、刑法、少年法等々二十七本の法律が関係してくるんではないかというふうに思っております。条文数も百以上になると思いますが、これ今、政令はこれからちょっと整理いたしますけれども、この数よりも更に多くなるというふうに思っておりまして、今、検討委員会の状況を踏まえてそれぞれについて検討をしてまいることになろうかと思います。
○浜四津敏子君 差し支えなければ、ちょっと早口でその二十七本という法律をお教えいただけないでしょうか。大臣じゃなくて結構です。
○国務大臣(長勢甚遠君) これ、どういう順番で整理してあるのかちょっとあれですが、刑法、刑事訴訟法、売春防止法、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律、少年法、国際捜査共助等に関する法律、刑事施設ニ於ケル刑事被告人ノ収容等ニ関スル法律、少年院法、国際受刑者移送法、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律、犯罪者予防更生法、人権擁護委員法、民法、民法施行法、任意後見契約に関する法律、信託法、人事訴訟法、民事訴訟法、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律、会社法、商法、商法施行法、戸籍法、後見登記等に関する法律、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律、国籍法と承知をしております。
○浜四津敏子君 今回、触法少年に係る事件の調査権限が規定されたわけですけれども、本法案のような規定がなかったことにより、これまで警察の調査について現実にどのような支障が生じていたのでしょうか、法務当局にお伺いいたします。
○政府参考人(小津博司君) お答え申し上げます。
 まず、証拠物の提出について、強盗致傷などの事案で、凶器が少年の自宅に隠匿されている可能性があったのに、家人が提出を拒んだため証拠が得られなかったという事案や、放火の事案で、行為時の着衣について見分するなどの調査をする必要があったのに、保護者が提出を拒んだため調査ができなかったという事案、あるいは窃盗の事案で、少年が盗んだものの一部を自宅に置いていると供述いたしましたけれども、保護者が提出を拒んだために事実関係の確認ができず、被害の回復にも至らなかったという事案があると承知しております。
 また、死体解剖につきましては、傷害致死の事案で、死体解剖ができなかったために死因が特定できなかったという事案があると承知しております。
 また、身分関係や事実関係の確認のために公務所等に照会する必要がありましたが、法的根拠の問題で回答、報告を得る上で困難を伴ったものがある等々の困難があるというふうに承知しております。
○浜四津敏子君 触法少年に係る事件の調査につきまして、法制審では、調査を行う警察のほか、審判に当たる家庭裁判所の立場からどういう意見があったんでしょうか。簡単で結構ですので、法務当局にお伺いいたします。
○政府参考人(小津博司君) まず、警察の立場からは、先ほど私が申し上げましたような種々の問題点などが御紹介がありまして、児童相談所への通告の要否の判断のための調査として、警察として現行法でそれ以上のことができなくて困ったという点について御意見がございました。
 また、少年審判を運用している家庭裁判所の立場からは、触法少年事件について担当する裁判官の中から、重大な事案についても児童相談所長から家庭裁判所に送致される一件記録中に、非行事実に関する証拠資料が十分でないことがあるとの意見が従前から出されていること、実際上、警察官は触法少年と判明した場合に捜索等の強制処分をすることができないために、家庭裁判所送致時には例えば行為時に着用していた衣服が確保されていないといった例もあるというようなことについての意見が述べられております。
○浜四津敏子君 今回の改正では、少年の心理その他の特性に関する専門的知識を有する警察職員が調査に従事できるということとしております。これは具体的にどういう職員を指すのでしょうか。また、それによってどういう効果を期待しておられるのでしょうか。お伺いいたします。
○政府参考人(小津博司君) 少年の心理その他の特性に関する専門的知識を有する警察職員につきましては、今後、具体的には国家公安委員会規則で詳細が定められることになると思われますが、基本的には少年警察活動規則第二条第十号に規定されております少年補導職員を念頭に置いております。
 少年補導職員につきましては、平成十九年四月現在で全国に約一千百人が勤務しており、そのうち九割余りが女性であると承知しております。また、現在大半の都道府県警察でその採用資格を設定しており、臨床心理士、教員免許、児童福祉司等の資格を有する者、教育、心理学、福祉等を専門として大学院を修了している者等も相当数存在しておりますほか、警察職員となってからも警察大学校等において特別の教育訓練を受けており、問題を抱える少年に対して指導、助言を行う専門家グループの中でも重要な地位を占めていると承知しております。
 このような少年補導職員の専門的知識、技能を活用することによりまして、少年の特性に一層配慮した調査を期待することができ、事案の真相を解明する上でも有効であると考えられます。そこで、本法律案では、現在の調査の実情を踏まえるとともに、少年の特性に一層配慮した調査を行うため、このような少年補導職員も調査に従事できることとしたものでございます。
○浜四津敏子君 次に、警察庁にお伺いいたします。
 与党修正では、触法少年の事件の調査に関しまして、調査は少年の情操の保護に配慮しつつ行うこと、また質問が強制にわたってはならないことなどの規定を新設しておりまして、触法少年の特性に応じた権利保護を図ることが規定されております。
 このような配慮、大変重要な配慮だと思いますが、調査を行う警察としては、こうした与党修正の趣旨について、担当する警察官の意識をより高めるよう徹底を図った上で触法少年の調査を行う必要があると考えますが、どのようにこれに対応されるのか、お伺いいたします。
○政府参考人(片桐裕君) お答え申し上げます。
 触法少年に係る調査は、刑事責任の追及を目的としたものでなく、また少年の健全な育成のための措置に資することを目的として行われるものでございます。こういった趣旨から、少年が自ら真実を話しやすい環境を整えることが大事だというふうに考えております。
 このため、触法少年の調査に当たりましては、国家公安委員会規則でございます少年警察活動規則でございますとか、また、犯罪捜査規範におきまして、少年の心理、生理その他の特性に関する深い理解をもって当たること、また、少年のその非行の防止及び保護をする上で最も適切な処遇の方法を講ずるようにすること、また、少年の呼出し又は取調べを行うに当たっては当該少年の保護者又はこれに代わるべき者に連絡することなどと規定いたしまして、これまでも少年に配慮した対応をするように指示してまいったところでございます。
 今後、この法改正が成立しました際には、その施行に向けまして、規則の整備や通達の発出による改正の趣旨、また留意点の周知徹底等に取り組む必要があるものというふうに認識しております。とりわけ、十四歳未満の少年に着目した配慮事項を規則又は通達に盛り込むことといたしたいと考えております。
 さらに、全国会議等を開催しての指示、執務資料の整備、部外の専門家による指導等を含めた各種指導、研修の充実強化、マニュアルの作成等によって更にその趣旨が徹底されますように取り組んでまいりたいと考えております。
○浜四津敏子君 次に、与党案提出者に四点お伺いいたします。
 与党修正では、少年及び保護者がいつでも弁護士である付添人を選任することができるとされておりますけれども、弁護士である付添人を選任できるということは少年の権利保護のために様々なメリットが考えられますが、例えば、この付添人は警察の押収等に関する処分について準抗告ができるのでしょうか、お伺いいたします。
○衆議院議員(大口善徳君) 結論的にはできることになります。この付添人は調査段階から付けることができるということで、審判段階の付添人と同様に、少年の権利を代弁する、そして少年の健全育成に資する役割を果たすということでございます。
 そして、刑訴法で、被疑者、被告人に対する押収等の処分については、この被疑者、被告人のみならず弁護人も準抗告することができるわけでございますので、その準用ということで、解釈上、少年の権利を代弁する役割を持つこの付添人も準抗告ができると、こういうことでございます。
○浜四津敏子君 仮に、付添人を選任できるという規定がなければ、少年及び保護者は付添人を選任することができなかったということになるのでしょうか。その意味で、この規定というのはいわゆる創設的な規定なのかどうか、お伺いいたします。
○衆議院議員(大口善徳君) まず、創設的な規定であるということでございます。それは、少年法に位置付けられた付添人ということでございまして、そういう位置を持っているということです。
 そして、準抗告ができるかどうかということでございますが、この規定がなくても、刑訴法の準用、この与党修正案の六条の五の二項で準抗告は準用することができるわけでございます。ただ、その場合には、弁護士を委任契約によって任意代理人という形にして、それでその少年の代理人として準抗告をすることになるわけですけれども、これは民法の五条の規定がございまして、保護者の同意が必要なわけですね。それが得られない場合は取り消されることになるということでございますので、そういう点では、今回の修正案はまさしく保護者の同意なくして付添人を選任することができますので、取り消されることもないということでございます。
○浜四津敏子君 確認いたしますが、少年が保護者の同意なく付添人を選任した場合に、民法ではこれは法定代理人の同意が必要で、それがない法律行為については取り消せるということになっているわけですけれども、この場合には取り消せないというお答えと理解してよろしいんですね。
○衆議院議員(大口善徳君) この六条の三に、少年及び保護者はいつでも弁護士である付添人を選任することができると、こうなっておりまして、少年も保護者の同意を得ずに独立して選任できると、こういう規定になっております。
○浜四津敏子君 少年及び保護者は弁護士でない付添人を選任することができるのでしょうか、お伺いいたします。
○衆議院議員(大口善徳君) これは六条の三に、弁護士である付添人を選任すると、こういうことでございますので、弁護士でない者を付添人にすることはできないわけです。これは少年法の十条で、家庭裁判所に送致されて、その審判の段階では家庭裁判所の許可を得ないと弁護士でない者を付添人にすることができないんですね。それとの権衡上、これはできないと、こういうふうに考えております。
○浜四津敏子君 次に、大臣にお伺いいたします。
 調査段階の付添人の選任を認めたことは、少年の権利保護の観点からは非常に有意義なものと考えております。与党修正によりまして調査段階の付添人の選任を認めたことについて、法務大臣はどのようにお感じになっていらっしゃるでしょうか、御所見をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) 政府が提案した法案について、衆議院で大変御熱心な御議論をいただいて一部修正を加えていただいたものでございます。
 御質問の付添人の選任を認めた修正ということでございますが、調査の対象となる低年齢の少年については、その特性に照らして権利保護のために一定の配慮をすべきであるという御指摘があったことから、少年に対する質問が強制にわたることがあってはならないという旨の規定と併せて設けられたものと承知をしておりまして、大変貴重な御提案というふうに受け止めております。
○浜四津敏子君 委員会では、十四歳未満の少年でも児童自立支援施設による開放的な処遇になじまない者がいるとの説明がありました。
 具体的に、十四歳未満の少年が児童自立支援施設に送致されたものの、十四歳になった後、少年院に送致された事案としてどのようなものがあったのでしょうか、法務当局にお伺いいたします。
○政府参考人(小津博司君) 御指摘のような事案といたしましては、例えば、殺人事件で児童自立支援施設に送致された十三歳の少年が職員への暴行などの問題行動を行ったことなどから、十四歳になった後に虞犯少年として少年院へ送致された事例があったと承知しております。
 また、児童自立支援施設入所中に犯罪行為を犯して少年院送致となった事例といたしましては、児童自立支援施設に入所中の十二歳から十五歳の四名の少年が職員を殺害した上、かぎと現金を強取して施設から逃走し、十二歳の少年一名は再度児童自立支援施設送致、他の十四歳以上の三名の少年は少年院送致とされた事例があったと承知しております。
○浜四津敏子君 十四歳未満の少年を少年院に送致することが可能になったわけですけれども、この点につきまして法制審でも賛否両論、様々な意見がなされたと伺っております。法制審ではどういう意見があったのでしょうか、法務当局にお伺いいたします。
○政府参考人(小津博司君) 法制審議会の少年法部会における議論でございますけれども、御指摘の点につきまして、十四歳未満の少年についても少年院送致を可能にすることに賛成又は是認する立場からは、無断外出を繰り返すなどの児童自立支援施設の開放的、家庭的な処遇の中にうまく収まらないケースもあり、少年の育て直しなどのためにどちらの環境が望ましいのかという選択肢を増やすということに意義が見いだせるという意見、非行性に着目した少年の更生のために必要な処遇は少年院の方がよく行える場合があるのではないかとの意見、児童自立支援施設は本来開放的な処遇をすることを前提としてつくられており、強制的措置による長期の行動の自由の制限を認めることについては家庭裁判所の現場に戸惑いもあるとの意見、あるいは凶悪な事件を起こした触法少年については医療少年院での処遇が最も適している者が多いと考えるなどの意見がございました。また、賛成の立場に立ちながらも、少年院において十四歳未満の少年を収容する場合には低年齢の少年に応じた配慮が必要であるという御意見もございました。他方、これに反対の立場からは、刑事責任能力を有しない十四歳未満の少年を少年院に送致するのは適当ではない等の御意見がございました。
 このような議論の結果、この点につきましては、部会では賛成十三名、反対二名の賛成多数で可決されたと、こういういきさつでございます。
○浜四津敏子君 少年院に送致された少年が学齢児童生徒である場合、その少年の学籍についてはどのように取り扱われるんでしょうか。また、小学校や中学校を卒業する場合にはどういう対応がなされるのでしょうか、お伺いいたします。
○政府参考人(梶木壽君) まず、小学校あるいは中学校の学齢児童が少年院に入院した場合でございますが、当該児童生徒と少年院入院前の在籍校との関係は、就学義務の猶予又は免除が認められているか否かによって異なっているものと承知しております。
 すなわち、保護者が当該児童生徒について就学猶予又は免除を申し出られまして、これが市町村教育委員会から認められた場合には、児童生徒とその当該生徒が通っておりました在籍校との関係がなくなるということになります。他方、就学義務が猶予又は免除されていない場合には、当該少年が少年院に入院した場合であっても在籍関係が継続するという関係になります。
 そこで、御承知のように、少年院では、教科教育を行った場合に少年院長が証明書を出すことができるようになっております。したがいまして、先ほどの例で申しますと、それまで通っておりました学校との在籍関係がなくなった場合には、少年院の院長におきまして、今申し上げた制度を使って証明書、卒業証書に代わるものを出しているというのが実情でございます。
○浜四津敏子君 終わります。ありがとうございました。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 今日は、現在、十四歳に満たない非行少年の施設処遇の中心になっております児童自立支援施設の処遇の問題について、まずお尋ねをしていきたいと思うんです。
 先週、この委員会で委員派遣、視察ですね、視察で国立武蔵野学院を拝見をいたしましたけれども、厚生労働省にお願いをいたしまして、私どももお話を伺いました学院の医務課長である富田ドクターの「児童自立支援施設 そこで何が行われているのか」という論文を皆さんのお手元にお配りをさせていただいております。
 この中で、まず審議官にお尋ねをしたいと思うんですが、この富田ドクターが冒頭の部分で、少年法を改正して十四歳未満でも少年院に入れることができるようにするという、正に児童自立支援施設の存在価値自体が問われる議論が起きているとした上で、しかし、そのような議論の中、マスコミ報道での司法あるいは福祉関係者の識者のコメントを見て驚かされることがある。いわく、強制的措置の百八十日間が過ぎたら少年は社会に出てくる、いわく、児童自立支援施設は福祉施設であるから非行少年処遇のノウハウがない、事実はどちらも大きく異なっていると厳しく指摘をしておられます。
 私も、この富田ドクターが挙げておられる二つの批判、これは全く根拠がないと思うんですけれども、審議官、いかがでしょうか。
○政府参考人(村木厚子君) 児童自立支援施設でございますが、各県に一つある、最低限一つでございますが、非常に数も少ないことがありまして、どういった施設かということが余り皆様に知られていないということは確かにあろうかと思います。
 基本的には、児童自立支援施設は、開放処遇を前提にして、家庭に近い環境の下で子供と職員が生活をともにする中で、生活指導、学習指導、そして作業指導を通じて、子供が再び社会人として自立をして健全に社会生活を送ることができるように指導を実施をしているところでございます。
 そういった意味では、一律に当初入所をして、再び社会で暮らせるしっかりした力ができていないのに自動的に、例えば一定の期間が過ぎれば社会に出てくるとか、あるいは逆に、児童自立支援施設が少年を閉じ込めておくような施設であるというような様々な誤解がありますが、どちらも当たっていないというふうに考えているところでございます。
○仁比聡平君 この富田ドクターの続きの部分にも、強制的措置が国立武蔵野学院始めその国立の二施設でどのように運用をされているのか、あるいは、非行少年を処遇する施設として児童自立支援施設は少年院よりも古い歴史を持っているということなども指摘をされているわけです。そういった中で、与党修正案の提案者も、国立の自立支援施設を視察をされたことが認識を新たにする機会となったという旨の答弁を前回、当委員会でもされたわけです。
 この児童自立支援施設のあり方に関する研究会という委員会が、委員会というか研究会が平成十八年の二月に報告書を出しておりますけれども、ここ拝見しますと、児童自立支援施設における処遇の理念としてこのように書かれています。子供の健全な発達、成長のための最善の利益の確保など子供の権利擁護を基本として、子供が抱えている問題性の改善、回復や発達課題の達成、克服など、一人一人の子供のニーズに応じたきめ細かな支援を実施するという考え方だろうと思うわけですね。
 この子供の最善の利益といったときに、先ほどのマスコミなどでの根拠のない批判の中には、家庭的、福祉的なアプローチと称して甘やかしているんではないかと言わんばかりの誤解に基づいた指摘が私よくあると思うんですけれども、実際に国立の二つの施設における処遇というのはそのような甘やかしなどでは全くないということは、実際に視察に行った国会の議員の皆さんにとっても明らかだろうと思うんです。
 このあり方に関する研究会の報告書の言葉で言いますと、枠のある生活という表現がされています。私、この枠のある生活という、その支援の基盤が大変大事なのではないかなというふうに感じておりまして、そして、その中核になっているのが小舎制、中でも夫婦小舎制ということなのだろうかと思うわけですね。
 この富田ドクターの論文でいいますと、五十八ページの下段のところに印象的な文章がございますので紹介をしますと、想像力を働かせていただきたいと。一人だけで学校全体あるいは地域全体を騒動に巻き込むような、ほとんど学校にも通わなかったような非行少年ばかりを集めて、施錠もせず、体罰もなしに、ごく普通の生活を、しかも集団で送らせることが容易でないことをお分かりいただけるだろうか。では、どうしてこれが可能なのだろうか。違うのは、特定の大人が少年たちと接している時間の長さであると。途中ちょっと略しましたけれども、要旨、そういうお話をお書きになっておられるわけです。
 私も実際に伺いまして、夫婦小舎制を中心にした処遇が大変な効果を上げているということを実感をいたしております。
 とりわけ、この法改正との関係で審議官にお尋ねをしたいんですが、この夫婦小舎制を中心にした処遇が、重大かつ処遇困難と言われる触法事案だとか、あるいは発達障害を持つ少年のケア、こういった点についてどんなふうに効果を上げているのか、余り時間ありませんけれども、御紹介をいただければと思います。
○政府参考人(村木厚子君) 児童自立支援施設の、特に国立の施設は夫婦小舎制を取っております。これによりまして、職員との非常に厚い信頼関係が少年との間で結ばれることにより、少年の立ち直りを非常に大きく助けているというふうに思っております。
 また、それに加えて、特に非常に重大な触法事案を起こした少年、あるいは発達障害の少年等もおります。これにつきましては、一人一人に合った個別の支援計画をしっかり立てるということ、それから、特に武蔵野学院のような非常に重大な触法事案の加害者の少年が入っているケースなどにつきましては、夫婦小舎制の職員のほかに外部の、主にお医者様等々が多いわけですが、そういった方々の専門家にも入っていただいて、その専門家の方々と直接に処遇をする職員などが定期的にいろいろな議論をしながら、少年たちが自ら行った行為に対してきちんと直面をし、自覚を促していくというようなケアもしているところでございます。
○仁比聡平君 この富田ドクターの専門家としての知見の一部は、この論文の続きの部分、六十二ページ以降に、被虐待児の事例、行為障害を持つ少年に対する対応、ADHD、注意欠陥多動性障害、あるいはアスペルガー症候群、あるいはそのアスペルガー症候群とADHDの合併の疑いのある少年などについて、具体的なこれまでの処遇の実際に照らして、児童自立支援施設の取組がどのような効果を上げているかということを詳しく報告をされているわけです。
 私は、このような児童自立支援施設、とりわけ本法案で対象となるような重大な加害少年ということで考えますと、国立の二施設、この専門的な機能を充実することこそが大切だと思います。ですが、この充実なしに今対応できない状況になっているかというと、それは決してそうではないということも視察の中で学ばせていただきました。充足率のことを見ましても、まだまだこの国立の二施設で受け入れることも可能であるようにも思います。この国立の二施設の児童自立支援施設の専門的な機能は現状で限界にあるというふうに審議官はお考えでしょうか。
○政府参考人(村木厚子君) 富田先生の論文にもありますとおり、非常に困難な事案につきましても児童自立支援施設におきまして一定の成果を上げてきたというふうに考えております。
 ただ、そういう中で、非常に自立支援施設の職員が様々な工夫をしながら処遇をしてきている中で、やはり開放処遇という自立支援施設の特性を生かした処遇になじみにくいケースがごく少数ではありますがあるということもこれはまた職員の実感でございまして、自立支援施設の限界と申しますよりは、自立支援施設あるいは少年院、そのどちらで処遇をすることがその子供にとって一番合った処遇が受けられるかという観点が非常に大事になっているかというふうに考えております。
○仁比聡平君 審議官、配慮をしながらおっしゃっているのかなと思うんですけれども、富田先生は同じ論文の中で、少年法の二〇〇一年の改正の影響というのをお書きになっておられるところがあって、この改正の後、初犯であっても多少とも大きな事件の場合には、十四歳以上であれば少年院に措置される事例が多くなったという印象がある、それまでは児童自立支援施設の処遇がよりふさわしいとされていたのに、二〇〇一年の少年法改正の後、初めから少年院ということになっているのではないかという旨の指摘をされておられます。近年の厳罰化への圧力の中で本当により適切な処遇方法を選ぶということが決して容易ではないこともまた明らかではないだろうかという趣旨のこともおっしゃっているわけですね。
 子供の最善の利益ということを考えたときに、確かに開放処遇ということになじみにくい子供がごく少数いるということもそうなのかもしれないが、少年院でいいのかと、あるいは今回のような改正でいいのかということについての答えが出ているわけでは私はないと思うんです。審議官、一言いかがですか。
○政府参考人(村木厚子君) 大変重たい質問でございますが、富田先生のこの論文の最後にも、今後の少年非行の処遇を、厳罰化に偏することなく、むしろより多様性を持ったものとしていくことこそが重要であろうというふうに先生結ばれておりまして、私どもも先生と同じように考えておりまして、今回の法改正で一つの選択肢が増えるわけでございますが、厳罰化というような安易な方向に流れるのではなく、どうすればその児童、少年の立ち直りをしっかり支えることができるかということで関係者一層の努力が求められるというふうに考えているところでございます。
○仁比聡平君 この現場の富田ドクターの論文から拝見しても、そのような施設、今審議官がおっしゃったような、多様化をする施設が少年院でなければならない、あるいは少年院がふさわしいという論旨は私は読み取れないんですよ。少年院の方がどうなのか、先に矯正局長にお尋ねをしたいと思うんですけれども。
 続きの資料に、せんだっての委員会でも、東西にそれぞれ四か所ずつ、仮にこの法改正が実現をしたとして、実際に十四歳に満たない子供たちが少年院に送致をされたとして、どこの少年院を準備をしているかというその全八か所の少年院の資料を出していただきました。
 ここでお尋ねをしたいと思うんですけれども、法案からすれば下限年齢がおおむね十二歳以上に引き下げられるというのはこれは初等少年院なわけですけれども、初等少年院と中等少年院でその矯正理念に何か違いはありますか。
○政府参考人(梶木壽君) 我々が少年院で子供たちを処遇する理念ということで申し上げますと、まず、規律とリズムのある生活の下で、一人一人の子供の年齢でありますとか、心身の発達状況でありますとか、それから資質、こういったものを的確に把握をした上で二つの種類の教育、つまり一つは再非行防止のための教育、もう一つは育て直しのための教育、この二つの教育を計画的に実施していくということでございまして、このこと自体は初等少年院も中等少年院も変わるわけではございません。
 ただし、初等少年院におきましては、今御示唆もありましたように、年齢が低いということがございます。そこで、規則正しい生活習慣を身に付けさせるとか、あるいは基本的なしつけとか他者への共感性を養う、そういった育て直しの観点を重視するということをしておりますし、また保護者との面接あるいは保護者の参加を得て行う行事等を通じまして保護者と少年との関係改善に積極的に取り組むということに力を入れております。また、年齢の問題がございますので、就学支援、つまり少年院を出た後もう一遍学校に戻るということが予定されておる子供多いわけでございますので、そこに力を入れているというところが初等少年院でちょっと、より特殊な力を入れている部分だろうと考えております。
○仁比聡平君 私は初等少年院、中でも開放的処遇と言われる処遇の在り方を実践をしておられる少年院で、今局長がおっしゃられたような方向性がより個別化されていくということは大切なことだと思っているんですよ。
 問題は、十四歳に満たない子供たち、とりわけ小学生でも少年院に入れるということで本当にいいのかということなんですね。というのは、初等少年院で処遇をされている子供たちというのは、なかなか大変な非行事実でやっぱり少年院に送致をされています。集団的な、グループ的な処遇も少年院で行われておりますけれども、それを小学生と一緒にするということになりますかね。
 逆に、児童自立支援施設で、先ほどお話をいただいたような、本当に濃厚な人間関係を築いている夫婦小舎制、これに匹敵するような処遇を少年院で行うことができますか。私はできないと思うけれども、どうですか。
○政府参考人(梶木壽君) 委員が御指摘になりましたように、我々のところでは、今東西に四か所ずつ、合計八か所の少年院を指定して準備を進めております。
 その中で、やっぱり一番の特徴といいますか、我々が教育の中軸に据えようと考えて準備していますのは処遇スタッフの問題でございます。従来の少年院では子供と教官が一対一で向かい合うという形で個別処遇をやっておったわけですが、年少少年、特に小学生の年齢にある少年につきましては、心の発達という問題もございますので、男性の教官、女性の教官、それから精神科の医師、カウンセラー、こういった人たちでチームを組ませて、それで当該子供を処遇していこうというふうに考えておるところでございます。
○仁比聡平君 今局長からお話があったような方向性というのは、私は、児童自立支援施設で長い歴史の中で培われてきた夫婦小舎制というものの取組、あるいはそこの成果に代わるようなものではないんじゃないかと思いますよ。
 そんな中で、どんな少年を、児童自立支援施設送致では駄目なのかということも、全体としてこの審議の中でまだ明らかになってもいないと私は思っております。引き続き十分な徹底した審議が必要だということを申し上げて、時間参りましたので質問を終わります。
○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。
 前回に引き続いて警察の触法少年に対する調査権限のところから入っていきたいというふうに思っています。
 十四歳未満触法少年につきましては、これは児童相談所、ここが優位の立場を占めると、これが言わば大原則なわけでございますが、今回の法改正によりまして警察が調査権を持つということによって、虚偽の自白が行われるという問題もありますが、もっと大きな問題としては、警察と児童相談所の関係、つまり児童相談所優位という、ここがとにかく主導権を取って触法少年のいろんな調査を行うという、この児童相談所優位の大原則が逆転をするんではないかということをまず私は懸念をするわけでございます。
 実は、大阪地裁のいわゆる所長襲撃事件、この間高裁で、十四歳少年の自白、信用性に疑義ありということで少年院送致が取り消された、まだ係属中でありますが、この事件でありますが、これは十三歳、一番小さいのは十三歳、正に今問題になっておる触法少年でありますが、これを含めた子供三人、大人二人、この事件でありまして、一番最初に言わば落とされたといいますか、これは十三歳の触法少年でございます。この少年の訴えによりますと、児童相談所の一時保護所に六十四日間身柄を拘束されて、その間に、警察官より暴行、脅迫を伴う長時間の取調べを連日受けたということを言っているようであります。襲撃事件の自白を迫られたということでございます。警察は、夕食時間が大幅にずれ込むような長時間の取調べをしたり、面談室で取調べ官が少年をどなり付ける声が児童相談所の執務室にまで漏れてきたことがあった。
 問題は、その際に、児童相談所の職員の態度でありますけれども、結局何もしなかったと。児童相談所の職員はだれも制止や抗議をしなかったということのようであります。これらは、児童相談所が警察と協力すれば、事実上身柄を拘束した状態で長時間制約なく取調べという調査が可能になるという実態を示しておるわけでありまして、これなんか見ますと児童相談所はもっとしっかりしてもらいたいと、こういう思いが強いわけでございます。
 私が申し上げたいのは、今でも警察が事実上入ってきますと警察の力が事実上強くなると。これが、今度警察が調査権を持つと更にこの関係が強大なものになり、文字どおり児童相談所優位という大原則は完全にほころびやしないか、壊れてしまわないかと。つまり、児童相談所の要請があったとき、あるいは児童相談所の指示の下で警察が動くという、そういう大原則は完全におかしくなりはしないか。このことについて、法務省、あるいはこれは警察庁でしょうかね、どういうふうな所見をお持ちなんでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(小津博司君) 今回の法改正で、一定の事件につきましては、警察から送られた事件について児童相談所の方が家庭裁判所の方にその事件を持っていってきちんとした審判を受けると、こういうふうになるわけでございますが、それらも含めまして、私どもといたしましては、今回の改正によってこれまでの児童相談所の役割や児童相談所と警察との関係が基本的に変わるものではないと考えておるところでございます。例えば、そのような一定の重大な事件でございましても、最終的に家庭裁判所にその事件を送るかどうかということはやはりそちらの方の判断にゆだねられているということでございます。
○近藤正道君 今の大阪地裁の所長襲撃事件の調査、取調べを見て思うんですが、児童相談所がその取調べ、調査の過程に介入をしたり、ちょっとこれは行き過ぎだから少しやめてもらいたいとか、あるいはこういう範囲で少し調べていただきたいと、それ以外はちょっと困るとか、そういう指示の権限というのはどの程度あるんでしょうか。これ、いったん調査が始まったら、もうそういうことはできなくなるんでしょうか。それとも、児童相談所の一定の指示権というのはそれなりにきちっと存在するものなんでしょうか。お答えください。
○政府参考人(片桐裕君) 今も御答弁ございましたように、私どもの行う触法少年との面接でありますけれども、これはあくまでも任意のものでございまして、決して強制力を及ぼすものではない。
 他方で、一時保護というのは、これは児童相談所長の権限において行うものでございますから、我々は児童相談所長のその権限下に、下といいますか、権限があるということを前提として調査を行うということでございますから、児童相談所の方で何らかのこういった配慮をすべきだというお話があれば我々はそれに従うべきものだというふうに考えております。
○近藤正道君 分かりました。
 今ほどの、児童相談所の指揮の下で行うと、児童相談所がこれやめてもらいたいというその指示があればそれはやめますよと、これは間違いないですか。これ、実務ではこの辺のところ非常にあいまいになっているんですが、今ほどの警察庁の答弁は非常に重要だと思いますんでもう一回確認しますが、児童相談所の方から指示があればそれに従うんですね。
○政府参考人(片桐裕君) 児童相談所長の方から一時保護の趣旨に反するということでもってこのようにしてほしいということがあれば、それに対して我々は従うということになります。
○近藤正道君 分かりました。
 次に、憲法の適正手続が触法少年事件にどの程度効力を及ぼすのか、前回も議論をさせていただきました。私は最高裁の判決の趣旨、学説等を見ても、触法事件であっても様々な不利益を少年に及ぼすものでありますので、適正手続の理念は可能な範囲で調査にも及ぶというふうに考えておりますが、そういう理解でよろしいですか。
○政府参考人(片桐裕君) 適正手続ということの御趣旨が具体的に何を指すのか、ちょっと私不明確でよく理解できないんでございますけれども、可能な限り尊重すべきことは、それは当然であろうかと思いますけれども、ただ少年の、特に触法少年の調査というのは刑事手続と趣旨、目的が異なりますので、その目的に沿ってすべてが適用されるというか、それが準用されるというか、そういうわけではないというふうに考えております。
○近藤正道君 与党の修正発議者にお尋ねをいたします。
 衆議院で法案が一部修正をされまして、少年の情操の保護に配慮する、あるいは付添人の選任権を認める、質問に当たっては強制は許さないと、この三点が加わりました。私は、一歩前進だというふうに思いますけれども、これでは、この程度では虚偽自白の防止の歯止めにはなり切っていないと、こういうふうに思っております。
 そこで、修正条項の一つであります付添人の選任のことをお尋ねをいたしますが、先ほども議論がございました。これは評価をさしていただきますが、しかし、本人たちがこの制度、権利がある、これが与えられている、権利が与えられていると、これが分からなければ、これは絵にかいたもちでございます。そこで、付添人の選任権の中には、触法少年本人あるいは保護者に対して付添人を選ぶ権利があるんだよということを警察が告知する、こういうところまで含まれているんでしょうか。私は、そうしなければこの権利は実効性がないというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○衆議院議員(大口善徳君) この警察による調査はあくまでも任意で行われるものであって、強制的にこれが行われることはできないということ、そして犯罪少年については、刑事訴訟法も身柄拘束されていない少年の任意の取調べにおいては弁護人選任権の告知義務付けがされていないことなどからしますと、触法少年の場合にだけその付添人選任権の告知を義務付けることは相当でないと、こういうふうに考えております。
 また、憲法三十七条の三項で刑事被告人は弁護人を依頼することができる旨規定していますが、弁護人選任権の告知まで憲法上義務付けられているわけではないと考えております。
○近藤正道君 理屈ということではなくて、しかし、そういう権利があるということを認めるんなら、その権利ができるだけ行使できるようにしてやる、これはもう当然の話ではないかと思うんですよ。どうして言わば告知まで及ばないんですか。それをしてやれば、それはああなるほどという形で権利行使するわけで、単に選任した場合には応じますということじゃなくて、なぜもっともう一つ踏み込んで、あなたには弁護士である付添人を選ぶ権利があるんだよというぐらいのことを何でやってやらないんですか。何でそこにこだわるんですか。
○衆議院議員(大口善徳君) 今言いましたように、刑事訴訟法、その義務付けをされていないという権衡上の話をしたわけでございますけれども、これから、こういう規定もあるわけですから、実際上、警察がこういう制度があるというふうなことを少年とのいろいろな調査の過程の中でお知らせするというのが望ましいことだと、こういうふうに考えております。
○近藤正道君 望ましいことであるならば、むしろ積極的に伝えてやれと、そういう方向をあらゆる形で周知徹底させればいいじゃないですか。
 私、今回の調査の中で、一部対物の強制が入りますよね。つまり押収とか捜索。これは、やっぱり私はこういうものを入れるんなら、私は少年に、とりわけ触法少年のやっぱり人権をきちっと保障してやるべきだと思うんですよ。つまり、この捜索、差押えが可能になるということは、つまり令状が出るということですよね。令状を得るために、当然私は通常であれば触法少年のやっぱり自白を取りますよ、それは。自白は正に王様なんだから。で、これを取って、裁判所に令状の発付を求めますよ。
 あるいは逆に、今度あともう一つの方向としては、その押収、捜索で一つの証拠物を手にすれば、今度はそれを基に警察の調査はより追及的になりますよ、これは。これは流れからいって当然ですよ。皆さんが何もこういうものを求めてないんならそれなりに分からぬわけじゃないけれども、対物強制を認めるんなら、必ず事前にも事後にも調査は追及的になる。これは事柄の性質上当然ですよ。
 そういうことであるならば、私は少なくとも付添人の選任権があなたにはあるんだよと、身を守ることができるんだよ、そして言いたくないことは言わなくてもいいよ、そういうことは当然言うべきですよ。
 だって、この間、参考人質疑がありました。で、この少年法の改正に消極的な日弁連の黒岩弁護士は、やっぱりこういう少年の権利はきちっと法の中に明記すべきだと、こういうことをはっきり言っていますし、言わばこの法改正に積極的に賛成をしていた上智大学の長沼先生、この方は、法文には入れなくてもいいけれども、しかし、やっぱりこれは警察内部の規則だとか通達等において十分に配慮した内容が盛り込まれることを私は強く希望しますと。長沼教授だってそう言っていますよ、それは。
 だから、その法文に盛るかどうかはともかくとして、そういう趣旨ですね、その人権に配慮した成人の様々な諸規定があるけれども、その事柄の性質上可能な限り触法少年にもやっぱり及ばせる、むしろ、弱い立場にある少年だから更にきめ細かく丁寧に教えてやる。これは少年審判規則の趣旨からいっても私はおかしくないというふうに思っているんですよ。これは黒岩参考人が言っていましたけれども、少年審判規則、この中でも具体的なことを書いてある。裁判所でもそこまで言っているんだから、警察のレベルではもっとやっぱりきめ細かくやるべきだと。こういうお二人の参考人の意見、皆さんどういうふうに思われますか。
○衆議院議員(大口善徳君) 犯罪少年との権衡上、触法少年についても義務付けはされていないということなわけでありますけれども、やはり私ども、この与党修正でこういう選任権を認めた、これは創設的な規定なわけですね。これは本当に私ども思い切ってやらせていただいた非常に画期的なことであって、少年法の中でその調査段階において付添人という地位を、法的地位を創設させたということをまず御理解いただきたいということと、まあそういう私ども思いでやっておりますので、警察の方もこういう選任権というものについて、もちろん警察はしっかり分かってなきゃいけませんし、そして少年との調査のかかわり合いの中で私どもは、やはり警察にはこういう権利があるということを、これをやっぱり積極的に言ってもらうことが望ましいと、こういうふうに考えております。
○近藤正道君 付添人の選任の権利を少年、触法少年とかあるいは保護者に告げる、告知をすると、これは義務付けというところまではいかないけれども是非大いにPRをしていただきたい、それを警察に望みたい、それが与党発議者の意向であるということで確認してよろしいですか。
○衆議院議員(大口善徳君) そうです。はい。
○近藤正道君 じゃ、警察の方にお聞きしますが、皆さんは、つまりマニュアルを、触法少年の調査のマニュアル、つまりその虚偽自白が起こらないように、そういうものを是非検討したいということでございますが、そのマニュアルの中に、今ほど与党発議者ですね、付添人の選任の告知ということを是非盛り込んでもらいたいと、こういうふうにおっしゃっておられますが、皆さんの考えておられるマニュアルの中にこの付添人選任の告知というのは入りますか。
○政府参考人(片桐裕君) 今もお話ございましたように、一律の義務付けということは、私ども、その調査の趣旨、目的からしてふさわしくない場面があり得ると考えております。しかしながら、今委員からも可能な限りというお話がございましたから、そういった点も含めて検討いたしたいと思っております。
○近藤正道君 これは正に根幹にかかわる話なんですよ。
 それ以外にも、黙秘権だとか供述拒否権、供述拒否権については、少年審判規則の中で裁判所において分かりやすく子供に、触法少年に伝えろと、こういう規定があるわけですよ。そのことに関連して、先ほども言いましたように、日弁連の黒岩弁護士は、裁判所でさえもこのぐらいのことをやっているんだから、せめて警察はきちっと法律の中で入れるべきだと。そして、長沼教授は、最低、警察内部の規則の中で明確にそれはすべきだと、それは強い私の希望だと、こういうことまで言っております。
 この弁護人、付添人の選任権の問題以外に、供述拒否権だとかあるいは黙秘権の告知の問題、さらに大阪の地方裁判所所長の襲撃事件の中で、これ十三歳の少年が現にやられたんだけれども、正に長時間の取調べが行われている、調査が行われておるわけですよ。この取調べ時間の制約だって私はやっぱり大きな問題で、大人だって長時間の取調べの中で任意性のない調書を一杯取られているわけです。ましてや、触法少年については、取調べ時間、調査時間をきちっと制限をしなければ私は大変なやっぱり事態になる可能性があると。
 この取調べ、調査時間についても、是非このマニュアルの中でしっかりやっぱり盛り込むべきだと、こういうふうに思っておりますが、この辺のところについては検討されておられますか。警察庁。
○政府参考人(片桐裕君) まず、調べの時間については、今でも深夜にわたってはいけないとか現にそれはそうなっておりますけれども、それから長時間にわたってはいけないというような配意事項は決めておるところでございますが、ただ、個々の事案によっていろいろ具体的な事情がございますから、一律に何時間とかいう話にはちょっとなり難いのではないのかなというふうには思っております。
 あと、先ほどもお話がありました弁護人選任権の告知とか、それから供述拒否権の告知とかいうことでございますけれども、これは国会の御修正で入った規定でございますから、今提案者の委員の方からもお話があったように、その御意見も踏まえて私ども検討してまいりたいと考えております。
○近藤正道君 先ほどは、大阪地裁の判事の場合は児童相談所の一時保護のところでやられたんだけれども、ほとんどの場合は警察の密室の取調べ室ですよ。それは大人の場合であれば今ほど警察庁の答弁は分からぬわけでもないけれども、触法少年ぐらいは少なくとも外形的な枠をやっぱりきちっと決めるべきではないですか、それは。最後の質問です。どうぞ。
○委員長(山下栄一君) 片桐局長、手短にお願いします。
○政府参考人(片桐裕君) 面接の時間に関するお尋ねでございますけれども、繰り返しになって恐縮でございますが、個々具体的な事情によって場合が異なりますので、一律に何時間にはなりませんけれども、今現在、我々でも、夜間遅い時刻は避けるとか、時間が長過ぎないように配意するとかいうことでもって十分にその点は配意しながら運用しているところでございます。
○近藤正道君 これで終わります。
○委員長(山下栄一君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ─────────────
○委員長(山下栄一君) 連合審査会に関する件についてお諮りいたします。
 少年法等の一部を改正する法律案について、厚生労働委員会からの連合審査会開会の申入れを受諾することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山下栄一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山下栄一君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
    ─────────────
○委員長(山下栄一君) 次に、連合審査会における政府参考人の出席要求に関する件及び参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 少年法等の一部を改正する法律案審査のための連合審査会に政府参考人及び参考人の出席要求があった場合には、その取扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山下栄一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五分散会