第166回国会 法務委員会 第18号
平成十九年六月七日(木曜日)
   午前十時四分開会
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   委員の異動
 六月五日
    辞任         補欠選任
     岡田  広君     西田 吉宏君
     松岡  徹君     山本 孝史君
 六月六日
    辞任         補欠選任
     山東 昭子君     中川 雅治君
     西田 吉宏君     岡田  広君
     山本 孝史君     松岡  徹君
 六月七日
    辞任         補欠選任
     中川 雅治君     岩城 光英君
     若林 正俊君     佐藤 昭郎君
     千葉 景子君     円 より子君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         山下 栄一君
    理 事
                岡田  広君
                松村 龍二君
                簗瀬  進君
                木庭健太郎君
    委 員
                岩城 光英君
                佐藤 昭郎君
                陣内 孝雄君
                谷川 秀善君
                中川 雅治君
                江田 五月君
                千葉 景子君
                角田 義一君
                前川 清成君
                松岡  徹君
                円 より子君
                浜四津敏子君
                仁比 聡平君
                近藤 正道君
   衆議院議員
       修正案提出者   上川 陽子君
   国務大臣
       法務大臣     長勢 甚遠君
   副大臣
       法務副大臣    水野 賢一君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  奥野 信亮君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田中 英明君
   政府参考人
       法務省矯正局長  梶木  壽君
       法務省保護局長  藤田 昇三君
       厚生労働大臣官
       房審議官     荒井 和夫君
       厚生労働省職業
       安定局次長    鳥生  隆君
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  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○政府参考人の出席要求に関する件
○更生保護法案(内閣提出、衆議院送付)
○犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑
 事訴訟法等の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
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○委員長(山下栄一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、山東昭子さんが委員を辞任され、その補欠として中川雅治君が選任されました。
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○委員長(山下栄一君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山下栄一君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に岡田広君を指名いたします。
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○委員長(山下栄一君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 更生保護法案の審査のため、本日の委員会に法務省矯正局長梶木壽君、法務省保護局長藤田昇三君、厚生労働大臣官房審議官荒井和夫君及び厚生労働省職業安定局次長鳥生隆君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山下栄一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(山下栄一君) 更生保護法案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○千葉景子君 おはようございます。民主党・新緑風会の千葉景子でございます。
 本日も、更生保護法についてのこれでまとめの質疑ということになろうかと思いますので、若干長い時間ではございますけれども、御辛抱いただきながら、これまでちょっとあいまいであった部分やあるいは今後の取組などにつきまして質疑をさせていただきたいと思っております。
 さて、ちょっとこれは基本的な問題になろうかと思いますけれども、今回の更生保護法案について、その言わば理念、目的というようなところをもう一度確認をし、そしてこの法案の運用の面で遺漏なきを期していただきたいというふうに思っているところでございます。
 更生保護法案、今回のは、犯罪者予防更生法それから執行猶予者保護観察法、これを整理統合するということでございます。そもそもどうも、私もちょっと調べさせていただきましたところ、我が国の保護観察制度というのは、昭和十一年に制定されました思想犯保護観察法、いわゆる治安維持法違反者に対する再犯防止のための思想犯保護観察からスタートしていると。私も改めて勉強させていただいたんですけれども、それが戦後、やっぱりそれに対する大変不信感とか抵抗感というのが存在をしたために、執行猶予者に対する保護観察を改めて別な形で法律にしていこうというような経緯があったようでございます。
 そういう歴史を持ってはいるのですけれども、まさか今の保護観察がそういう思想に基づいてといいましょうか、そういう理念に基づいているとは到底私も考えられないわけですし、まさかそういうことではないというふうに思っておりますが、改めて大臣に、こういう歴史は持っているものの、保護観察というのが今どういう位置付けをされ、そして認識をされているんだろうかと。なかなか保護観察といっても、多くの皆さんははあっと言うくらいなものでして余り、一般的に十分に理解されているかどうかというのがございますけれども、大臣の御認識として、こういう歴史は持ちながらも、今どういうこの保護観察というものが意味を持って国民にも理解をされているのかと、この辺りをちょっと御認識をお聞かせをいただきたいというふうに思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) 御指摘の思想犯保護観察制度は、昭和十一年に施行された思想犯保護観察法によるものでありまして、治安維持法違反の罪により執行猶予の言渡しを受けた者等を保護観察に付することができることということになっておりましたが、昭和二十年に治安維持法が廃止されたことに伴いこの制度は廃止されたわけでございます。
 一方、我が国で最初に保護観察制度が導入されたのは大正十二年に施行された旧少年法においてでございます。旧少年法においては、刑罰法令に触れる行為をした少年等を少年保護司の観察に付することが規定されており、少年保護司は、常に少年の状況に注意して適切な指導、助言等を行い、就学や就職について必要な援助を与えるなどとされておったわけでございますが、これが昭和二十四年一月に旧少年法が全面的に改正されたことに伴い廃止され、同年七月に施行された犯罪者予防更生法の下での保護観察は、少年保護司の観察と相通ずるところがあると思いますが、犯罪をした者及び非行のある少年に対し社会内において適切な処遇を行うことにより、再犯を防止し、改善更生することを助け、このことを通じて社会を保護し、個人及び公共の福祉を増進する更生保護制度の中核として今日に至るまで進められてきておるものでございます。
 したがいまして、おっしゃる思想犯保護観察制度とは全く流れも考え方も別にしておるものでございます。
○千葉景子君 さて、その新しい理念に基づいてこの保護観察制度というのがこの間運用されてきたということになりますけれども、この保護観察、更生保護の在り方として、一つにはやはり対象者の改善更生、こういうことが大きな理念であろうというふうに思っております。それから、その結果として再犯の防止、そして、社会の言わば保護といいましょうか社会の防衛のようなこともその結果として当然目的とされるということかと思いますけれども。
 先ほど大臣からもお話がございましたように、元々は確かに社会をむしろ防衛をしようと、思想犯から守ろうという、そういうことだったんですけれども、新しい理念ということになりまして、更生保護のやっぱり一番の理念は対象者の改善更生ということであろうというふうに思っておりますが、この更生保護、保護観察のやはり基本的な理念は一体、改善更生というところにあるのだろうか、あるいは再犯防止、そして社会を防衛しようというところにあるのか、その辺は大臣は、理念としてはどこにやはり主軸があるというふうにお考えでございましょうか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 改善更生というのは、犯罪や非行の原因となった生活態度等を改めて実社会の健全な一員として復帰するということをいうと思いますけれども、一度再犯に陥れば、これはもう改善更生は致命的に妨げられるという関係になるわけでございまして、したがって、この社会内処遇においては、改善更生を助けることと再犯を防ぎ非行をなくすことが一体のものとしてともに行われなければならないというふうに考えております。
 このことは有識者会議の報告書でも指摘されているとおりでございまして、その報告書では、現状について、保護観察官が生活支援的な面ばかりに重きを置き過ぎて再犯防止の意識が不十分であった面があるというようなことも指摘されておるわけでございまして、両々相まって効果的な更生保護を実現をしなきゃならぬということで今回御提案をさせていただいている次第であります。
 そういう意味で、再犯防止、更生保護というものは一体のものとしてこの制度の目的として達成されていかなければならないというふうに考えております。
○千葉景子君 私も両方が相まってといいましょうか、そういう側面を持っているということは十分承知をいたしております。
 ただ、先ほどなぜ私が冒頭お話をさせていただいたかというと、やはり、余りにも再犯防止といいましょうかそういうところに軸足が置かれますと、やっぱり監視型の社会ということにつながりかねないということもございます。そういう意味では、やはり改善更生を図る、そうすると、その結果、再犯も防止され、そして社会の不安、そして犯罪の少ない安心できる社会ができていくと、こういう私は本当は流れなのではないかというふうに思っております。両輪相まってということは、それは別に否定はしないですけれども。
 この法案なんですけれども、条文の立て方として、第一条で本法の目的として再犯防止というのが第一に掲げられ、そして次に対象者の改善更生を助けるということが挙げられているのですね。
 現行の犯罪者予防更生法の第一条は、犯罪を犯した者の改善更生を助ける方を第一に、そして執行猶予者保護観察法も、保護観察に付された者の速やかな更生に資することを目的とするということで、やはり改善更生、社会復帰と、そういうところに第一の目的が置かれているというふうに読めるのではないかというふうに思うんです。
 今回の法案というのはそれに対比をしてみると再犯防止という方が第一に掲げられているということでございまして、この条文の作り方、立て方、それから、こう見るときに再犯防止という方に軸足が大変置かれているのではないかなと、こんな感じもしないではございません。
 その辺はいかがなものでしょうか。両輪相まってと大臣おっしゃっておられます、理念はですね。それはよく分かりましたが、むしろ、やはりこれまでのように、改善更生を図って、そして第二次的にはその結果として、再犯がそれによって抑制をされるんだという理念をはっきりさせた方が法案としても分かりやすいし、理念が明確になるのではないかというふうにも思いますけれども、その辺りは大臣はどういうふうにこの法案について御認識をなさっておられるでしょうか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 改善更生を図ることによって再犯をなくして社会を守っていくということが当然ではないかというのはそのとおりだろうと思いますし、同時にまた、先ほど御説明いたしましたように、再犯を防ぐという意識を持って改善更生を図っていくということがバランス良く行われなければならないということも御理解いただいているところだと思います。このことは有識者会議の報告書においても、保護観察官は更生保護の制度が社会を保護することを目的とすることを明確に意識し、立ち直りのための種々の資源を援助することと、社会の順良な一員となれるよう対象者を十分に律することをバランス良く実施すべきであるということも述べられているところでございます。
 その上に立って今回法文を出させていただいておるわけでございますが、確かに言葉上は再犯防止が先に来ているかのごとく、順番としては、字面としてはそうなっておるわけでございますが、この順番に特段意味があるわけではなくて、その両方の意識を持ってやるということを表現をしておる条文にしておるわけでございまして、改正前のものにおいてはむしろその再犯防止という意識のことが明確に書かれていなかった。そのことが、先ほど有識者会議の御報告に御指摘されているように、むしろ生活支援だけに重点が置かれ過ぎて再犯防止という意識が保護観察官等に希薄になっておったという反省に立って今回この法案を出させていただいているわけでありまして、両者、再犯防止が先で改善更生が後であるという条文になっているつもりはございませんし、そういうふうに解釈する必要はないと思います。
○千葉景子君 是非、私も両面、表裏の関係にもあろうというふうに思いますので、そこのバランスといいましょうか、調和をよく考えていただければというふうに思います。
 というのは、余りにも再犯防止ということが前面にといいましょうか、強調されると、例えばですが、他の部分で、例えば遵守事項違反での仮釈放の取消し等が、やっぱり再犯防止なんだ、だからささいなことでもまずは、もう何しろちょっと悪いことをしそうになったらまた隔離してしまえというようなことにつながってもいけませんので、そういう意味で両者のバランス、そして何よりも本人の改善更生ということを大切にしながらこの法案の制度の運用がなされるように、それは私も指摘をさせていただきたいというふうに思っております。
 ところで、今度の法案第二条で国の責務ということが記されております。昨年六月に出されました更生保護のあり方を考える有識者会議の報告書、これでは、この更生保護制度は国の責任において充実強化すべきものとされておりまして、大変やっぱり国の責任、これから大きいと、しっかりと国が責任を持ってこの更生保護について進めていくべしと、こういう指摘もされているところでございます。
 ところが、この二条ですと、どうも国は、前条の目的に資する活動であって民間の団体又は個人により自発的に行われるものを促進し、これらの者と連携協力するとともに、更生保護に対する国民の理解を深め、かつ、その協力を得るように努めなければならないと。民間の皆さんにやってもらうのをちょっと支え、そして国民によくよく分かってもらうように啓蒙しようと、そういうことが書かれておりまして、やっぱり更生保護の主体といいましょうか、それを進める主軸は国の責任なんだということがいま一つはっきりしない。ちょっと腰が引けていると。民間の皆さんにお願いしますというようなどうもニュアンスが強いのでございます。そういう意味では、やはり国が明確に更生保護について責任を持っていくのだという覚悟のようなものがなかなかこの条文からはうかがい知れない。
 この有識者会議の報告などを受けまして、その辺の国の責任、そしてそれに基づいてこれを進めていくという覚悟のようなもの、大臣としてはどうでしょう、どうお考えでしょうか。この条文でなかなかそういうことが明確にされていないように思われるのですが、決してそういうわけではないと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 更生保護は刑事司法の一環として実施されるものでございますから、当然国の責任で行うべきものでございます。このことは、この法律の中でも保護観察、生活環境の調整等々の措置については保護観察所が実施するということが具体的にも明確にされているわけで、そのとおり私どもも考えております。
 今、二条の条文の書き方についての御指摘でございますが、これ若干法制技術的なところもあるのかもしれませんが、通常、国の責任と民間の責任を分けて書くというのは国が一義的な責任だけではないという場合が多いわけでございまして、更生保護についてはもう当然のこととして国の責任ですから、そのことを前提にしてこの条文が書かれておるというふうに御理解をいただきたいと思いますし、そういうふうに私どもも理解をしております。腰が引けているわけではなくて、余りにも当然のことなので、そのことを前提にしてこの条文あるいは法の体系をつくってあるというふうに考えております。
○千葉景子君 当然のことということであれば結構なんですけれども、ただ、この間やはりこの有識者会議の報告書でも、これまで犯罪者の改善更生を助けて、そしてその再犯を防止し社会を保護するというこの制度がある意味では機能不全に陥り掛けていると。抜本的な改革が必要だし、そしてこういう状況を招いたのはやっぱり国に大きな責任があるのではないか、そこを反省して、やっぱり不退転の決意で強靱な更生保護制度をつくるべしと、こういう大変厳しい意見が述べられているわけですね。
 こういうことを考えますと、当たり前のことということで、ただ何となく腰が引けたように見える条文で本当にいいのだろうかと。やっぱり、この反省を踏まえて言うのであれば、国が本当に明確にまずは第一義的に責任を負って、更生保護、保護観察制度をより一層進める責任があるのだということを私はまず冒頭で明確にしておくべきだったのではないか。これがやっぱりこれまでの反省と、そして有識者会議からの指摘を受けた本来は法案の作り方だったのではないかなというふうには思います。
 ただ、多分そういう指摘を受けて、当たり前だ、国がやるのは当たり前なんだという御認識であろうというふうに思いますので、どうぞ大臣、先ほど御答弁をいただきましたけれども、やはりこれまで国が少し腰が引けていたんではないか、今回は不退転の決意でこの更生保護、これをしっかり国の責任で進めていくのだという御覚悟を改めてここで御披瀝をいただいておきたいというふうに思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) そういう覚悟でこれから進めたいと思っております。
 強靱な更生保護制度ということも御指摘がありましたが、強靱というのは、恐らく表面的に権力的に形式的にやるというだけではなくて、奥の深い、また状況に応じた形で、しなやかな、弾力的なことも含めたやり方で効果が上がるようなものにしようという意味だろうというふうに理解をしております。
 従来、我が国は、御案内のとおり保護観察制度は保護司さんに大変依存をするというか、官民協働でやってきたところに大変有効でまつところがあったわけでございますが、同時に、依存しているではないかと、保護司さんもまあ非常勤の一般職の公務員ではございますが、どうも民間の方々に頼り過ぎじゃなかったかという御指摘があったことは重々反省をしなければならないと思います。
 今後、今回の改正も踏まえて、保護観察官が直接的に改善更生に当たれる対応を今強化をしていく、そのための定員確保等々に全力を挙げていきたいと思いますが、同時に、やはり強靱な制度という中には、保護司さんの方々の連携を取った御協力というものも御努力をお願いをしてまいりたいと思っております。
○千葉景子君 ありがとうございます。私も同感でございます。
 決して、強靱なというのは国が権力的にやれということではなくして、やっぱり今大臣がおっしゃったようにしなやかに、そしていろんな皆さんの協力も得ながらという、そういう総合的な力ということになるんだろうと思います。ただ、その中で国が十分なリーダーシップを発揮せいと、こういうことであろうというふうに思いますので、どうぞしっかりと御覚悟を持って取組をお進めいただきたいというふうに思っております。
 さて次に、保護観察における遵守事項について何点かお聞きをしておきたいというふうに思います。
 今回の法案は、遵守事項の法的な性質について、違反した場合には仮釈放の取消し等の措置に結び付く法的な規範性を持ったものだということを記しているわけでございます。それはいいんですけれど、現行法でもいろいろな遵守事項違反があった場合に措置がとられてきたわけですが、例えば仮釈放の取消し、こういう措置がとられることがございます。また、保護観察処分少年に対する家庭裁判所への通告、それから少年院仮退院者に対する家庭裁判所への戻し収容の申請、仮釈放の取消し、保護観察の停止、保護観察付執行猶予者に対する検察官への刑の執行猶予の取消しの申出、こういういろんな措置があるわけでございますが、一体その実際の運用というものはどんな状況になっているのでしょうか。
 また、今、もしこれちょっとお分かりでしたら、保護観察対象者の中で所在が分からないというケースというのは、これちょっと事前にお知らせしていなかったかもしれません、ここはお分かりであればということで結構でございますが、この遵守事項に違反した場合の措置がどのぐらい実際にはとられているのか、ちょっと数字で概略お示しいただけませんでしょうか。
○政府参考人(藤田昇三君) 私どもで一般に不良措置と呼んでおりますものは、保護観察の種類の中で二号、三号、四号を一般に不良措置と呼んでおります。
 その数から申し上げますと、少年院の仮退院者、これが二号観察の対象者ですが、そのうちで少年院への戻し収容となった件数、これは平成十七年の数字で申しますと八件でございます。これは、少年院仮退院者全体の終了件数五千五百四十件に占める割合が〇・一%ということになります。
 それから、三号の仮釈放になった保護観察対象者ですが、これは仮釈放取消しとなった件数が平成十七年において九百八十件です。そのうちで不良措置として遵守事項違反により取消しとなったものは九百六十三件で、仮釈放全体の保護観察終了件数一万六千七百九十三件に占める割合は五・七%になっております。さらに、そのうちで再犯によって被疑者、被告人となったものでないものでございますけれども、そういう再犯によらないで仮釈放を取り消されたものは百八十三件、全体の一・一%になっております。
 それから、四号の関係、保護観察付執行猶予者でございますが、これのうちの執行猶予の取消し件数は平成十七年で一千七百十七件です。そのうち不良措置として遵守事項違反を理由とする執行猶予取消し件数、これは百四十五件、保護観察付執行猶予者全体の終了件数に占める割合は二・八%です。それから、遵守事項違反を理由として執行猶予を取り消されたもののうちで、再犯によって被疑者、被告人となっていない状態で取り消されたもの、これは九件で、全体の〇・二%ということになっております。
 それから、いわゆる不良措置には含めておりませんけれども、保護観察処分を受けた一号の保護観察対象者でございますけれども、犯罪者予防更生法四十二条一項によって新たな虞犯事由によって保護観察所の長から家裁へ通告がなされた件数は、平成十七年の数字でございますけれども、十九件となっております。
 それから、所在不明中の保護観察対象者の数でございますが、これちょっと比率で申し上げますが、保護観察処分少年、一号の対象者でございますと、平成十八年末の所在不明率が一・〇%台でございます。二号の対象者でございますと、同じような不明率は約一・三%でございます。
 それから、仮釈放者でございますと、平成十八年末の所在不明率は約五・〇%、係属人員が七千三百六人のうちの三百六十四人でございます。
 それから、執行猶予者でございますが、これにつきましては、十八年末の不明率約四・九%、係属人員は一万四千七百七十三人で、所在不明中の者は七百十七人でございます。
 ちなみに、所在不明者は漸減の傾向にございます。
○千葉景子君 今お聞きをいたしますと、こういうものは多けりゃいいというものではありませんので、数字が大変少ないといいましょうか、比率が大変低いということが言えるかというふうに思います。
 今回のやはり有識者会議の報告書でも、要するに対象者による再犯を防止して社会を保護するというか再犯を防止をするという、そういうところの具体的な運用というんでしょうか、それが若干弱いのではないかという指摘がされております。
 先ほど申し上げましたように、やはり改善更生を図る、そしてこれまでもお話がありますように、社会の中でいろんな信頼関係の下で改善更生を図っていこうという、そういうことを大事にするところが必要ですので、ちょっとしたことで何でもこれは遵守事項違反だからどんどんどんどん違反措置をとれと言うつもりはありませんけれども、今回、遵守事項違反ということがかなり規範的なものと位置付けられたとすると、これまでのこの運用を考えると、本当にそういうふうに法的にはしても、一体それが効果を発するものなんだろうかという懸念もございます。
 そういう意味では、やはり保護観察官を中心にした体制というのが大変重要なのではないかというふうに思うんですね。保護司さんは、やっぱりできるだけ信頼関係を保ちながら、ちょっとのことがあってもできるだけ大事にしようということをおっしゃっておられます。やっぱりそこは保護観察官がある意味では責任を持って対処をしていくという姿勢が必要なのではないかと思いますが、その点についてはどんな認識と、そして今後の実施についての考え方をお持ちなのでしょうか。
○政府参考人(藤田昇三君) 御指摘のとおりかと思います。
 現状におきましても、この趣旨といいますのは、保護観察官と保護司が協働で保護観察を行うけれども、別の規定がございまして、保護司さんは保護観察官の足らざるところを補うんだということにもなっておるわけでございます。
 今回の新法の中では、保護観察官と保護司との適切な役割分担に関する規定も置かせていただきまして、保護観察官が厳しい措置とか難しい状況については前面に立って、保護司さん任せにしない、あるいは保護司さんを困らせないということで、その責任を全うさせたいということがその条文の趣旨でございまして、そのように運用してまいりたいと存じます。
○千葉景子君 この不良措置と言われるものと、今度は逆に良好措置というんでしょうか、こういう措置がとられることもございます。
 ちょっと時間もあれですので細かいことは今日お尋ねはいたしませんけれども、そういう意味では、改善更生については、不良措置と言わば良好措置。良好措置というのは、例えば保護観察処分少年に対する停止、解除、あるいは少年院仮退院者に対する退院、こういうように、良い効果が上がっているとすれば良好措置をとるということでございますけれども、これをやっぱりめり張りを付けて運用していくということが大事だろうというふうに思います。
 そういう意味で、めり張りを持ってということになりますと、これ、この間指摘をされておりますけれども、この特別遵守事項、この在り方というのがひとつまためり張りを持って、そこから本人の意欲をどう導いていくかということで大きいものだというふうに思っております。
 指摘をされてきたのは、やっぱり、何しろやれないようなことを遵守事項にしても、結局は意欲を損ねるだけだということでございまして、達成可能な事項を具体的に定める必要があると、それによって意欲を持たせる、こういうことが必要だというふうに思っておりますし、それから、それが実効が上がるようなケースがあれば、本人からも良好措置の申請権というんでしょうか、そういうものを認めるというようなことも考えてもいいのではないかというふうに思うんですね。それによって、意欲を持ち、そして頑張れば良好措置もとれると、こういうようなことにもつながるだろうというふうに思います。
 そこで、お聞きをいたしますけれども、保護観察対象者本人からこういう良好措置を求めるようなこういう権利といいましょうか、そういうものを認めるなど、この遵守事項を的確に運用するための考え方、これはどういうふうにお持ちなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○政府参考人(藤田昇三君) まず最初、御指摘いただきました遵守事項というのは本人に実行可能なことでないといけないということは、もうそのとおりだろうと思っております。
 いわゆる良好措置、今御指摘にございましたように、保護観察処分少年に対する保護観察の解除、一時解除、少年院の仮退院者であればそれの退院、不定期刑に係る仮釈放者の不定期刑の終了、それから保護観察付執行猶予者に対する保護観察の仮解除というものが良好措置としてございますけれども、この保護観察対象者本人がそういう良好措置の申請をすることができるようにするかということにつきましてはなかなか難しい面があるのではないかなと考えております。
 と申しますのは、この良好措置をとるかどうか、そういうことは保護観察を実施する側で、保護観察対象者の改善更生の状況等を考慮した上でできる限り客観的に判断をするのが相当であると思うわけでございます。受ける側から申請をするというのはなかなか難しいというふうに思います。
 仮に良好措置の申請権を付与するといたしますと、恐らく多数の者がもう良好措置をとってくれというふうに申請をするだろうと思うわけでございまして、その対応にはなかなか難しいものがあろうかと思います。保護観察所の長が良好措置を相当と認める段階に至っていないような場合にそういう申請を行うことも多くなるだろうと思います。そうしますと、通常はその申請を棄却しなきゃいけなくなります。そうすると、また不満も出たりしまして、かえってそこまで保護観察でやってきた改善更生の道を中途で意欲をそぐというようなことにもなるのではないかということで弊害が大きいというふうにも考えるわけでございます。
 もっとも、この良好措置があるということにつきましては、これはもう本人の励みでございますので、そういう制度にもなっているんだということを本人にも適宜分からせながら改善更生の道をうまく指導して歩ませたいと存じます。
○千葉景子君 お考え方はそのようなことかなとは受け止めますが、先ほど申し上げましたように、一方で不良措置というものがある、一方では良好措置というのもとれる。やっぱりそこを、どうもこの不良措置といいましょうか、遵守事項違反の方が割と強調されがちですけれども、むしろ良好であればまた更なるプラスの社会復帰の道が開けると、より強まるというようなところをやっぱりできるだけめり張りを持って、そして運用をしていただくように、取りあえずは指摘をしておきたいというふうに思っております。
 確かに良好措置に対する権利はなかなか難しいということでございましたが、一方、これもこの間ちょっと指摘はされてきましたけれども、不良措置についてのやっぱり告知、聴聞の機会、こういうものが必要ではないかと、これは私ももっともなことだと思っております。参考人の皆さんのちょっと御意見の様子をお聞きをいたしました。確かに、ある先生は、これは元々、何というんでしょう、少し軽くしてあげているのを元に戻るだけなんだから別に不利益な処分でも何でもないのだと、だから告知、聴聞などは要らないという御意見もあるようでございます。
 ただやはり、いったん一定の利益を受けて、そしてそれをまた剥奪をしようというようなことでございますので、やっぱり一つの不利益処分に準ずることで、だとすれば告知、聴聞の機会をやっぱり与えるということが必要ではないかというふうに思いますが、改めてその点についての御見解をお聞かせをいただきたいと思います。
○政府参考人(藤田昇三君) 特に仮釈放の取消しについて告知、聴聞の機会を、制度を入れたらどうかという御意見があったと存じておりますけれども、確かにそういう御意見も成り立つと存ずる次第でございますけれども、初めに委員の方から御指摘いただきましたけれども、仮釈放の取消しという処分は、本来、裁判によって刑罰として刑事施設への拘禁を命ぜられている者につきまして、刑の執行の形態を変容をさせて緩和していた状態、これが仮釈の状態でございますが、これを本来の裁判どおりの刑の執行態様に戻す措置でございますので、基本的に対象者本人にとって不利益な側面もございますけれども、新たな不利益処分を科するというものではございませんので、本人の弁解を聞く機会等を設けてからでなければそういう処分を行えないというわけではないというふうに考えております。これは現行の犯罪者予防更生法も同様の立場を取っております。
 ただ、実務上は、仮釈放の取消し申請を行う保護観察所におきまして、例外なく保護観察官が対象者に会って質問調査を行っておりまして、その聴取結果を付けて地方更生保護委員会への申請を行っているところでございますので、法制度の面において、そういう機会、そういう制度はなかなか難しいとは思いますけれども、こうした実務の運用を今後とも適切に進めてまいりたいと存じます。
○千葉景子君 どうも私は、そこははっきり分かりません。要するになるべく、何というのかな、先ほど話がございました、私が申し上げているのは、大臣もそうおっしゃいましたけれども、決して権力的に運用せいということではありませんわけで、むしろ本人の意欲、そして社会への復帰をどうやって促していくかということですから、こういう不利益な方へ措置をとるというときには、やっぱり本人の意思、そういうものをもう一度明確に問うということが私はあってしかるべきではないかというふうに思います。
 それじゃないと、何となくいつも不安なままに社会の中で存在をしていなければならないということにもなるわけですので、そこは今おっしゃった、実際の実務の中でというお話ではございましたけれども、もし実務の中でというのであれば、必ず本人の意思を確認をするとか、告知、聴聞に準ずるような実務的扱いをするということで運用をしていただきたいものだというふうに思っております。
 そういうことになりますと、遵守事項違反というのは、私は社会内処遇で社会復帰をするという中ではできるだけやっぱり抑制的に慎重にあるべきものだというふうに思っております。不良措置発動ということについてはできるだけ抑制的に、そして慎重なる運用をしていただきたいというふうに思いますけれども、それについての御見解といいましょうか、御意思を確認をさせていただきたいと思います。
○政府参考人(藤田昇三君) 遵守事項違反につきまして、これまでも違反があればすぐに何か措置をとるというようなことはございませんでした。
 今回の法律で遵守事項の規定を整理して充実いたしましたのは、これは対象者本人のためにもどういうことをすれば遵守事項違反になるかということを明確にするということもあって、本人の立場を考えるという側面もございます。他方で、どれが違反かということを明確に定める保護観察を行う側の役にも立つわけでございますけれども、いずれにせよそれを明確にするということでございまして、遵守事項違反があれば何でもやるという方向を目指すというようなものでは全くございませんで、遵守事項というものが仮にささいな違反があったような場合には、できる限り社会内での処遇でまだ何とかならないかということを模索をして、どうしてもというような場合に次のステップに進むというのが当然であると存じます。(発言する者あり)
○千葉景子君 ということでございますので、明確に御答弁の方はお願いをしたいと思います。
 次に、社会復帰のための環境調整についてちょっとお尋ねをしておきたいというふうに思うんですけれども、八十三条では、保護観察付執行猶予者の裁判確定前の生活環境の調整というのを行うことができるというできる規定になっております。この間、いろんなことを私も実情をいろいろと聞かせていただいたりあるいは調べさせていただくと、やはり一番難しいのは一定の住居に居住するということですね。これ一般的な遵守事項になっているんですけれども、これがなかなか難しいことなんですね。やはり、いざというと住まいがなかなか定まらないというようなことがあるわけで、そういう意味では、保護観察執行猶予者についてもこの生活環境調整というのを、やっぱりできるじゃなくて行わなければならないという義務規定にして、きちっとした住居環境を整えるというサポートをする必要があるのではないかというふうに思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
○委員長(山下栄一君) ちょっと答弁者に申し上げますけれども、語尾が聞き取りにくい部分がありますので、明確にお願いしたいと思います。
○政府参考人(藤田昇三君) 失礼しました。
 八十三条の規定でございますけれども、これは御指摘のようにできるというふうに定めておりますけれども、それは現行法の、現在の執行猶予者保護観察法の第四条の規定では、裁判の確定前に本人から申出があったときは調整を図ることができるというふうになっておりますが、これを、裁判が確定するまでの間、保護観察を円滑に開始するため必要があると認めるときはその者の同意を得て調整を行うことができるというふうに、申出を要件とするところから、同意を得てやりますという能動的な形でやるという規定にいたしておるわけです。
 そこで、これを、語尾を、語尾というか、言葉の一番最後を調整を行わなければならないとやりますと、必要があると認めたら同意を得て行わなきゃならないということで、同意を強引に取り付けて必ずやれと、こういうような形になってしまうものですから、そういう意味でできるという形になっておるわけでございまして、御指摘のように、もう必要があれば必ずやるという趣旨はここに既に含まれておるということでございます。
○千葉景子君 何となく今のは取って付けたような解説のように思います。
 もし必ずそういうことを責任を持ってやるんだというのであればそういう規定にすればいいわけでして、何か今のは、こういう規定になっているから、それを何かちょっとへ理屈をくっ付けているような、そういうふうに受け止めかねられません。やはり、今御答弁あったように、是非これは行わなければならない、必ずやるんだよという取扱いをしていただくようにしていただきたいと思います。
 今、こうずっと聞いていますと、どうもこの法律、今回新しくした割にはいま一つ、国が何をやっていくのだ、積極的にやっぱりこの保護観察そして更生保護に向けて積極的な働きをするんだということがどうもいま一つ乏しい、何か弱いんですね。やっぱりこれだけの法改正をして、そして有識者会議の報告も受けてやるんだとすれば、今の話もそうですけれども、いや実務ではそうなんですとか、運用では本人の声も聴くんですとか、こういう御答弁なんですけれども、私はちょっとどうも今回のその法の作り方というのがいま一つ不明確、明確でないなということを改めて感ずるところでございます。
 これまでそういう意味でこの生活環境整備などが十分に行われてこなかった、あるいは更生保護の実がなかなか十分でなかったというところの背景には、やっぱり関連の機関の総合的なシステム、こういうものが欠けていたのではないかというふうに思います。
 後ほどちょっとまたお尋ねできるかもしれませんけれども、厚労省と法務省で協働で就労支援策というのを進めるようになりました。こういうのは一つの前進の部分だというふうに思うんですけれども、やはり、例えば地方公共団体との連絡、連携、それから国の省庁間での連絡のシステム、こういうことがこれまでは非常に乏しかったようにも思います。民間の皆さんの自発的にやっていただいているようなことにどうしても乗っかってきたと。先ほどございましたけれども、やっぱりそこをもうちょっと国が積極的にリーダーシップを発揮して、権力的にということではなくて、その関係のところのやっぱり連絡調整、そして総合的な力を発揮していくような、そういうことが必要ではないかというふうに私は思います。
 そういう意味で、この生活環境整備等も含めまして、その関係機関との連携強化というんでしょうか、やっぱりその軸には法務大臣、法務省が中核になっていろんなものを進めていく必要があるんだと思いますけれども、その辺をもっとシステム化していく、あるいは何か仕組みをつくっていく、そういうようなことも含めて大臣の御見解をお聞かせをいただきたいと思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) 御指摘のとおりだと思っております。厚生労働省とは、就職支援の問題だけでなくて、生活保護等福祉サービスとのつなぎとか、いろいろ一緒にやらなきゃならない、協力し合っていかなければならないところが多いわけでございまして、おいおい進みつつあると思っておりますが、更に努力していかなければならない分野が多いと思います。
 また、地方公共団体等においても、何かあると観察所はどうしたと言っているだけではちょっと私どもも困るときもあるわけで、やはりこういう問題についての御理解もいただいて、いろんな地域における受入れ等々にお知恵をかりたり御協力いただくという部分がもっとあってもいいんではないかというふうに私も思います。
 御指摘のように、今後そういう協議の場をつくるとか、連携の実が上がるように更に努力してまいりたいと思います。
○千葉景子君 それでは次に、仮釈放に関連して何点かお聞かせをいただきたいと思います。
 仮釈放の場合に、被害者の意見を聴くという規定が盛り込まれております。この仮釈放に関して、被害者の意見というのがどういう法的な効力を持つものなんでしょうか。拘束力を持つものなのか、あるいはそうではないのか、もう一度確認をしておきたいと思います。ちょっとこの間の御答弁ぶりの中で、これが特別遵守事項と何か関係していくというようなことも言われたように思うんですね。その辺の関係をちょっと簡潔に整理をしてお答えをいただきたいと思います。
○政府参考人(藤田昇三君) 仮釈放審理における被害者の意見等につきましては、法的な拘束力はございません。ただ、被害者の意見等でございますんで、重みを持って厳粛に受け止めて、しんしゃくすべきものはしんしゃくされるべきであるというふうに存じます。
 仮釈放の審理に被害者等の意見等がどのようにしんしゃくされるかでございますけれども、三つの場面が考えられるかと思います。
 一つは、仮釈放を許すかどうかという判断をするのにしんしゃくされる。もう一つは、特別遵守事項を設定するかどうか、あるいは設定するとしてどのようなものを設定するかということを検討するに当たってもしんしゃくされます。それから、仮釈を許す場合には、委員会の方から保護観察所の長に対して、保護観察実施上の参考事項を、こんなことに注意してやりなさいというようなことを伝達をいたします。その参考事項の内容を決定するに当たってもしんしゃくされると、そのように考えております。
○千葉景子君 分かりました。法的な拘束力はないということは確認をできたというふうに思います。
 今お話がございますように、仮釈放を認めるかどうかの中でしんしゃくをされる、あるいは特別遵守事項などにどういう特別遵守事項を付けるかというようなことにも関係するということでございます。
 考えるに、例えば被害者の心情とか声を聴く、で、それを一つのしんしゃくの材料にするというのは、これは別に否定はいたしません。ただ、被害者のやっぱり心情ということになりますと、どうしてもやっぱり犯罪時とか、当然のことながらやっぱり厳しくしてほしいという心情でもありましょうし、特別遵守事項にかかわるということになりますと、例えば、DV法じゃありませんけれども、接近禁止ではありません、近いところに近寄らないような措置をとってほしいとかそういうことにつながっていく可能性はかなり高いんじゃないかというふうに思うんですね。
 思うんですけれども、やっぱりそのときに、加害者というか当人が一体今どういう状況にあるのか、刑務所などでどんな改善更生といいましょうか、そういうプロセスをたどっているのかというようなことをやっぱり逆に被害者にも伝えませんと、結局、厳しい措置を求めるという声、それだけが非常にクローズアップされるということにもなりかねないというふうに思うんです。
 そういう意味では、こうやって改善の道を歩んでいるとか、今の状況はこうだというようなことをやっぱり被害者にも言って、ちゃんと伝えて報告をして、その上で意見を聴くというようなやっぱり双方向がないと私は少しいけないのではないかというふうに思いますが、その点はいかがでしょうか。
○政府参考人(藤田昇三君) 今御指摘の点につきましては、つまり受刑中の加害者の状況を被害者等に伝えるということにつきましては、犯罪被害者等基本計画におきましても、判決確定後の加害者の情報を被害者等に提供するということを施策としてやるようにということになっておるところでございます。
 そこで、法務省におきましては現在具体的にどんな情報を提供できるかということについて関係部局と私どもで検討を進めておるところでございます。その検討の中で、仮釈放等審理における意見等陳述制度で意見等を述べる被害者等に対しましても加害者に関する有用な情報が提供されるように検討をいたしておるところでございます。
○千葉景子君 どうぞそれは両輪で進めていただきたいと思います。片方だけどんどこどんどこ進んでいっちゃうということになりますと、やはり大変特別遵守事項厳しいものが付きやすくなる、あるいは仮釈放が大変後退をするということにもなってはいけませんので、どうぞ両輪で進むことができるように早急に対応を取っていただきたいというふうに思います。
 仮釈放審理につきましては、この間、この委員会でも度重ねて、基準を明確化すべしというようなことも含めて指摘がされてまいりました。私も、そういうことも必要だというふうに思っております。それで、この仮釈放審理、実は私もこの間、地方更生保護委員会等にも出向いて視察をさせていただいたり、それから今の実情などもいろんな形で教えていただいたりしてまいりました。
 率直に言いまして、前回の何か改正でたしか定員が五十四人から五十六人にはなったんですけれども、このほとんどが正直言って保護観察官とか法務省関係の皆さんの横滑りというんでしょうか、そういう方で構成されているというケースがほとんどなんですね。やっぱりここは、新しくまた法改正がされるということも踏まえながら、報告書の御指摘なども考えるときに、やっぱりこの審査をするその中に例えば精神医学や臨床心理などの専門家とか、あるいは社会に出てからの関係を考えますと、社会福祉などの専門家とか、あるいは法律家とか、あるいは地域のいろんな声を反映できるような方とか、そういう皆さんにも参加をいただいた構成というのが必要じゃないかというふうに思います。その点についてと。
 それから、合議体で大変な数の仮釈放の審査をしておられると。こうなりますと、非常に流れ作業といいましょうか、書面審査、それから刑務所での調査官がこういう状況ですと報告を受けたものをそのまま書類で見て仮釈放の是非を決定するということにもなりかねないと思うんですね。そういう意味では、いろんな専門家等を含めた構成を取ること、それからその定員ももう倍増ぐらいに増員をするということ、これはもう不可欠な条件ではないかというふうに思いますけれども、大臣の御見解、御決意のほどをお聞かせをいただきたいと思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) 地方更生保護委員会に民間の委員を入れるということについてはずっと言われてきておるところでございまして、当省においても増員の方に努めてきて若干の実績は上がっておるわけでございますが、御案内のように、なかなか適任者が得られないというのが実情でございます。やっぱりそのことも踏まえて、おっしゃるように、精神医学を始めとしてそういう専門家の御意見を活用できるようにする体制にした方がいいと思いますし、また大変量も多いわけですから、それをこなすことも必要であると。
 これは定員増だけでいいのか、何か仕組みも考えなければいけないのかというようなことも含めて、更生保護委員会の適切な運営の仕方についてはもう少し検討する余地があるのかなと私自身は思っております。今結論を持っているわけではありませんが、いろんな観点から少し将来的に、将来的というか、少し検討することが必要ではないかと私自身も思っておりますので、また先生方からも御指導いただきたいと思います。
○千葉景子君 是非お願いをいたしたいと思います。余り将来的などと言わずに、できるだけ早急に、それこそ特命のチームでもおつくりいただきましてお取組をスタートをしていただきたいものだというふうに思っております。
 さて、先ほどもちょっと触れさせていただきましたけれども、就労支援、これが大変やっぱり社会復帰にとって大きな問題であろうというふうに思います。ちょっとその状況を簡単にお知らせをいただきたいと思うんですけれども、保護観察終了の際の就労状況が大体どんな割合になっているか。それから、有職者、無職者で再犯率が極端にやはり違うようでございますが、その辺のちょっと数字を確認をさせていただきたいと思います。簡潔によろしくお願いいたします。
○政府参考人(藤田昇三君) 平成十八年の速報値で申し上げますと、保護観察終了者は約四万八千人でしたが、そのうちで職に就いているものは約三万人でございました。そのほかに、学業、家事に従事している者が約五千六百人、無職者が約九千六百人となっております。
 それから、平成十八年の同じく速報値でございますが、保護観察終了時に有職であった者の再犯率は七・六%、無職であった者の再犯率は四〇・〇%でございまして、有職者に比べて無職者の再犯率は約五倍と考えております。
○千葉景子君 その数字を見ますと、やっぱり就業ができるかどうか、そしてそれによって再犯率というのも非常に大きく違うわけですね。就労をどういうふうに確保するか、促していくかというのがやっぱり大きな課題であろうというふうに思います。
 実は、この就労につきましては、先ほどもちょっと指摘をいたしましたように、厚労省と法務省で共管をされまして、刑務所出所者等総合的就労支援対策を実施をされておられます。この中で、この概略と、特にトライアル雇用助成、それから身元保証システム、こういうことを実施をされているんですが、そのちょっと実施状況などについて簡単にお知らせをいただきたいと思います。
○政府参考人(藤田昇三君) 総合的就労支援事業の内容でございますけれども、一つの柱は試行雇用、トライアル雇用制度でございまして、事業主が出所者等を試行的に雇用することによって正規採用への円滑な移行を促進させる制度でございます。それから、職場体験講習というのがございます。実際の職場環境、業務を体験させるというものでございまして、事業主に委託して実施をいたします。それから、セミナー、事業所見学会というのがございます。これは就職活動を容易にするための知識、技能の習得を目的にしたものでございます。いずれも厚労省の予算で措置がなされております。
 それから、身元保証制度でございます。これは法務省の予算で措置されておるものでございまして、身元の保証人がいないために就職がなかなかできないという人のために、就職時に特定非営利活動法人等の保証機関が身元保証を行いまして、その期間は一年間でございますけれども、その期間中に事故が生じた場合には見舞金を支払うということになっております。国が一件当たり二万円の助成金を出しておるところでございます。平成十八年度におきまして、この身元保証制度を活用して就職したのは一千八十七人でございました。
○政府参考人(荒井和夫君) 刑務所出所者等の再犯防止、それから何よりも御本人のためにも就労機会を提供することは重要なことだというふうに考えておりまして、法務省と連携いたしまして昨年の四月から、先生御指摘の総合的就労支援対策を実施してございます。
 何よりも現場での連携、ハローワークとそれから刑務所、それから少年院、それから保護観察所などの機関との連携が非常に大事だというふうに考えてございます。そして、そのためにはまず、具体的には、例えばハローワークとそれから保護観察所の間でチームをつくって具体的な方針などを検討し、また安定所、ハローワークにおいては個人個人に担当者を決めて、その担当者が一気通貫で職業相談、職業指導を行うという形で人間関係をつくりながら就職を進めていくということをやってございます。
 また、今話がございましたように、就労経験のない方には事業主にお願いして職場体験講習、それから、なかなか今度、常用雇用にすぐにはつながらない方々にはトライアル雇用という形で実施してございます。そのほかに、法務省の方の予算になりますが、身元保証制度の活用、それから協力事業主の拡大などを展開し、成果を上げていきたいと思っています。
 現実に、十八年度全体で見ていきますと、就職件数七百三十ほどになりまして、かなりの成果が上がってきたかなという印象は持ってございます。
○千葉景子君 やはり、このような取組をより一層充実強化をしていただくことがまず必要だというふうに思います。更なる工夫などもしながら進めていただきたいというふうに、これは要望をさせていただきたいと思います。
 このように、一歩ずつではございますけれども、保護観察者に対する就労支援等は前進を始めているのではないかと思っておりますが、逆に、いつもこれは何か堂々めぐりのような話になるんですが、刑期を終えて満期で出所をする人、考えてみますと、仮釈放等になる場合というのは社会復帰が、改善更生も進んでこれなら少しずつ大丈夫だというので仮釈放になるわけでございます。逆に、満期までいるということは逆になかなか社会復帰が難しい、だから満期までになっているんですけれども、その人たちは今度は社会に出たときは全くすとんと社会に出るということになるわけですね。ここにいつも矛盾があるわけなんです。
 この辺をひとつ、少し何らか改善をしていこうということであろうかと思いますが、自立更生促進センター構想というのが進められておるようでございます。これについて概略どのようなものであるのかをちょっとお聞かせをいただきたいというふうに思います。
○政府参考人(藤田昇三君) 自立更生促進センターと申しますのは、主として刑務所を仮釈放になった者の改善更生と自立を目的といたしまして、保護観察所に併設した宿泊施設に保護観察対象者を宿泊させながら保護観察官が直接に濃密で専門的な指導監督を行う、それから、手厚い就労支援を行うと、そういうことのための施設でございます。
 現在では、家族の元など帰住先がない者につきましては、民間の更生保護施設に受入れをお願いをいたしております。しかし、民間の更生保護施設にも入れないというような人もおります。そうすると、結局、仮釈放ができないということになってしまいます。そうすると、保護観察という中間的な段階を経ないで満期釈放になるわけでございますけれども、本来、身元引受人でもあれば、行くところでもあれば仮釈できるのにというような人を受け入れるというのが制度の趣旨でございます。
○千葉景子君 大体趣旨は分かります。
 要するに、満期までという者の中には、帰住先がなかなか見付からないと、がゆえに、仮釈放になってももう大丈夫なんだけれども、帰住先等のことがネックになってなかなかそうはいかないというケースもかなりあるようです。そういうところをできるだけこの自立更生促進センターに一時、社会復帰の中間施設のような形でいて、そしていよいよ社会に出ようと、こういうことだと思うんですね。一種の仮釈放の一類型みたいなものかなと思うのですが。
 これは、先ほどちょっと、ちらっとお触れになりましたけれども、更生保護施設、今民間で行われておりますね、これとどう違うのでしょうか。これだけの構想を持つのであるとすれば、いわゆる更生保護施設をもっと、国立というとあれですけれども、もっと公的に、今までは民間の皆さんの力によって立っているものでございました。その仮釈放後あるいは満期出所後、やっぱり社会に復帰をする、その中間的にいろんな訓練をするという場としてこの自立更生促進センターというのをもっと長期の目で位置付けているのか、どうも、ちょっと当座、帰住先がないので仮釈放もできない、そういう者を少しは救おうかという程度の構想なのか、この辺のちょっと先のこの構想の見通し、将来像というのはどんなところにあるんでしょうか。
○政府参考人(藤田昇三君) 御指摘のように、民間の更生保護施設も現在いろんな指導をしながら改善更生のために役に立っていただいておるわけでございますけれども、国立の自立更生促進センターにおきましては指導監督の内容が、民間の更生保護施設に比べればこれも強化しなきゃいけないと思いますが、現状に比べればもうはるかに濃密になる、そこで改善更生の実が一層上がるということを目指しております。
 それで、制度の趣旨につきましては先ほど申し上げたとおりでございまして、やはり釈放にならないでいい人がなっている現状というのにかんがみまして一生懸命考えた構想でございまして、場当たり的に考えたというようなことでは全くございません。ただ、実際に国の施設を造ると、これを運営していくということは非常に困難も伴いますし、お金も人も掛かることでございますので、取りあえず現在自立更生促進センターといたしまして三か所、それから北海道の方にも一か所、仮退院の少年のための施設を設けておりますけれども、この四か所を取りあえず運営をしてみまして、そして早い時期にその効果を検証して、その後の将来像ということを展望していくということがいいのではないかと考えておる次第でございます。
○千葉景子君 こういう構想が出てきたということは私は本当に否定しませんし、プラスに是非生かしていただきたいというふうに思いますが、やはりこれ冒頭から申し上げますように、更生保護、保護観察が実のあるものになるためには、やっぱり国が積極的にリーダーシップを発揮してその責任を果たしていくという理念を考えますときには、この自立更生促進センターというのはやっぱりもう少し大きな視野で将来を見越しながら是非更なる構想を練っていただきたいなというふうに思うんですね。
 今、大変不安の解消とか再犯の防止というようなことが社会的な要請になっております。本当に犯罪が多いのかというのはちょっと今日は論じませんけれども。やっぱりこういう問題に大きな構想を持って、そしてでき得る限りの財政措置なども加えてやっぱりやっていくこと、それが長い目で見ると社会的なコストをある意味では削減することにつながるんじゃないかというふうに思うんですね。目先では、何か造ると金も掛かる、保護とか矯正などの面ではほとんど何か予算はもらえないと、何となく片隅で小さくなっているみたいな嫌いがあるんですよ、本当に。ただ、逆にここにやっぱりどんと大きな芽を持ち、そして力を注いでいくということによって、多くの人材がまた社会の担い手になれる、そして再犯の防止になり刑務所などのまた増加などをしなくても済む、社会の不安というものを解消できる道につながるということで、私は本当にこういう構想を、余りちまちましたものではなくて本当に国の責任で中心になって行うというような、私は一つの芽にしたらどうなのだろうかなというふうに思ったりしております。是非、そういう意味で少し大きな芽を持った構想につなげていただければ大変結構なのではないかというふうに思っておりますので、どうぞ頑張ってください。
 これも大臣にちょっと考え方をお聞かせをいただいて終わりたいというふうに思うんですが、今申し上げましたように、就労、これが大変大きなやっぱり社会復帰の課題だと、それから再犯防止の大きな眼目だというふうに思うんですね。保護観察とか仮釈放に向けてもいいんですけれども、やっぱりその前の、やっぱり刑務所等での就労に向けたといいましょうかね、そういうものとの連携というのも大変重要なことだというふうに思うんです。
 この間もいろいろと改善はされてまいりましたけれども、刑務作業、これも従来から考えますと、これも一つの刑罰執行の一つだ、何というんですか、内容なんですね。だから、ただ商売をやろうというわけではないわけだというのは分かっております。ただ、やっぱりこの刑務作業なりで一生懸命やったことがいずれ社会に出たときに何らか役に立つよとか、そういうつながりがないとやっぱり今はもう意味がないのではないかというふうに思っています。ただ一生懸命やる、そういう規律を身に付けるみたいなことだけではないと思うんですね。そういう点で、やっぱりこの刑務作業について更なる改善というか、そういうことを是非私は希望したいと思います。
 先般、矯正展がございました。私もファンなんでございますけれども、例えば、ああいう矯正展などでもいろんな作品といいましょうかね、品が出ておりまして、それぞれなかなか技術も高いということはあるんですが、本当に、じゃ社会の中で十分にそれによって身を立てるようなものなのかなという辺りはなかなか難しい。
 例えばですけれども、これは後からみそ屋をやれというわけじゃないんですけれども、市原などではみそ造りをして、あれは所内の自分たちの自給といいましょうか、そういったところから発想したんだと思うんですけれども、これはかなりのブランド品でございまして、市原のみそというと本当市場でもかなり商品価値があるくらいなものでございます。まあこれ一例でございますけれども、いろんな形で刑務作業というものにもう一度何か新たな目を注いでいく必要があるんじゃないかと。
 それから、作業賞与金ですね、これもやっぱりもう少し見直していく必要があるんじゃないかと思います。刑務所に入っていたら蓄財した、金持ちになったと、これは私も幾ら何でも考えているものではありませんけれども、よくあるのは、やっぱり刑務所を出たときほとんど無一文といいましょうか、そのことによってアパート代もなかなかままならない。結局、また何というか路上生活のようになってしまったり、それによってまた再犯というものに手を染めることにつながったりするというようなこともございます。
 決してたくさんの金持ちになる必要はありませんけれども、やっぱり何らか当座の生活の糧といいましょうか、そういうことにつながるようなやっぱり作業賞与金の在り方みたいなものももう一度検討してみることはいいんじゃないかというふうに思います。
 この辺りについて、大臣に、そうしますとはなかなかお答えはいただけないものだとは思いますが、そういう視点、お持ちいただいて、ちょっと検討いただけないかと思いますので、御所見をお伺いをして、時間ですので終わらせていただきたいと思います。お願いいたします。
○国務大臣(長勢甚遠君) 重々実情を御存じの上での御質問でございまして、むしろいい方法があればいいなと私ども念願をしております。
 特に、刑務作業の内容については職員も大変苦労しておるわけでございますが、そこでのが将来の就職、仕事に直結するというのは現実にはなかなか難しいのは御存じのとおりでございまして、今後ともいい工夫ができないか努力していきたいと思いますし。
 また、報奨金についても、これおっしゃるとおりで高過ぎてもおかしいんですけれども、といってしゃばへ出て少しは間に合うようなものがあった方がいいというのもそのとおりでありますから、そういうことを、今後ともそういう方向で考えていくように努力していきたいと思います。
○千葉景子君 ありがとうございました。終わります。
○木庭健太郎君 質問通告をしておりませんが、保護局長にちょっと確認というか、聞いておきたいんですけど、今、千葉先生の議論の中で自立更生促進センターの問題、御答弁なさいました。全国三か所で試験的に直ちに始めたいというようなお考えの答弁に聞こえたんですけれども、私は、こういう新たな施設を造る場合は、その趣旨、その目的、結構でございます、ただ、やはりこういった新たなものを始めるときは、住民理解をきちんといただいた上で、その上で始めなければ私はおかしいと思います。先ほどの答弁でいうと、少し心配になりましたので、そこは住民理解をきちんと得た上でこういったものは進めるんだということなのかどうか、確認しておきたいと思います。
○政府参考人(藤田昇三君) 御指摘のように、この施設は社会内処遇の施設でございますので、住民の方々の御理解というのがなければ存立も難しいと思います。したがって、大方の住民の方々の御理解が前提として初めて前に進むものだと考えております。
○木庭健太郎君 それでは、今日は保護司制度の在り方についてお伺いをしたいと思います。
 更生保護制度は、正に民間に依存をした形というか、民間を中心とした形で今後も進められていくわけでございまして、その意味では更生保護制度の主役は正に保護司さんになっていく。ただ、保護司さんが抱える現状、なかなか大変なものもあるようでございまして、先日、参考人で来ていただきまして、現状もこの参議院でお話をいただきました。私は、その中で一番印象に残ったのは、不良措置という問題が、もし保護司さんたちとその関係者との関係の中でこの不良措置という問題が入ってくると、これはなかなか信頼関係で大変ですよねとお尋ねしたときに、保護司さんの代表の方がおっしゃったのは何かというと、不良措置というのは伝家の宝刀だと、万が一でもこれを抜くようなことがあるとするなら、それは正に保護司の職を懸けて辞めるかどうか、正にそういう決意でやらなくちゃいけない。私は、何か保護司の皆さんが一生懸命やっているその誇りみたいなものをその言葉から感じた次第ではございますが。
 いずれにしても、保護司さんが今一生懸命取り組んでいただいている、こういう保護司の皆さん、正に担い手、こういう方たちと実際に法務省はどういうふうに日ごろ、関係する民間の皆さんとも、連携とか意見交換なんですけれども、本当に日ごろどういうふうな実施がされているのかなということもちょっと感じましたし、現段階で保護司の皆さんからの要望や現場における障害、特にどのような点にあるというふうに法務省としてお考えなのか、まず、この点を伺っておきたいと思います。
○政府参考人(藤田昇三君) 保護司さんたちとの対話といいますか、協議といいますか、そういうものにつきましてはいろんな協議会等を開催して意思の疎通を図り、相互の連携を深めているところでございます。
 お尋ねの保護司さんの方々からいろんな要望とか問題点の御指摘があるだろうということでございますけれども、私どもが承知しておりますものといたしましては、一つには、やはり保護司適任者確保が難しくなっているということであります。二番目は、保護司の研修を充実していくことを希望されております。三番目は、保護司活動に対する国民の理解の促進を図る。それから四番目に、地方公共団体との連携を一層強化していく。そのような指摘がなされておるところでございます。
○木庭健太郎君 今おっしゃった保護司適任者確保の問題でございますけれども、従来は保護司の個々の人脈の活用をして、これで多く採られたという方法が一番多かったと思います。今後導入することが望ましいと思われる候補者確保の方法として、保護司会に推薦委員会を設置するとか、民生委員等関係団体から推薦を得る方法とか、そんなものも挙げられているようでございます。
 その一方で、やはり保護司の場合は身分というのが少し軽く感じるというような御意見も保護司会の中であるようでございます。例えば、人権擁護委員であるとか民生委員であれば、推薦委員会があってみたり、議会、決定機関で決定してもらう、そうすると重みが出てくるんじゃないかという意見も出されているような状況だと思います。
 この適格者というか、確保の問題について今議論があっているというお話があったんですけれども、現状のこの保護司個人の人脈によってやられているという問題について、法務省としてはどうお考えなのか。候補者確保の方法として、今後、内申委員会のモデル地区事業というようなこともお考えのようでございますけれども、やはり何か正式に推薦委員会を設置するとかいうようなことで、保護司さんたちに対する、その職に対するある意味じゃ誇りといいますか、そういったものをどう確保するかというのも大事な考えだと思うんですけれども、ともかくこの採用、どう人を確保するかという問題についてどうお取り組みになるおつもりなのか、御意見を聞きたいと思います。
○政府参考人(藤田昇三君) 御指摘のとおり、従来のやり方というのは保護司さんの個人的な人脈が頼りでございました。しかし、なかなかそれはうまくいかなくなっておるということは間違いのないところでございます。したがって、今後は個人の人脈に、たまにはいい方がその人脈で出てくることもあるとは思いますけれども、そういうものを頼りにするのではなくて、しかるべき仕組みをつくっていかなきゃいけないというふうに思うところでございます。
 それで、御指摘のように、内申委員会をつくって今全国で六十八か所のモデル地区で、平成十七年の六月から十八年十一月までの一年六か月間やってみました。いろんな分野の方に入っていただいてやってみました結果でございますけれども、先般取りまとめましたところ、その期間に先立つ同じ一年六か月間と比較いたしまして、保護司の委嘱者は五百七十一人から六百八十九人へと百十八人、約二一%の増加という結果が得られました。
 そういうことで、この事業は保護司連盟と一緒にやっておるものでございますので、保護司連盟の方でも、これはいい結果なので、ひとつこれを次年度、次には倍増したいということで考えておるところでございますが。ただ、できるだけこれは、少しずつやったんではもう八百幾つもある保護区でございますので、できるだけ速やかにまず拡大をしたい、それから定着を図りたいというふうに考えております。その中で、今委員御指摘の、どういうきちんとした委員会というものができるかということも前向きに考えていく必要があるのかと考えております。
○木庭健太郎君 今おっしゃった全国の保護司連盟がアンケート調査をしたときに、保護司会で予算上の問題を生じているという回答が六九・四%ございました。そして、その対応策としては何が一番多かったかというと、自治体による助成金の義務化が最も多く挙げられておりました。
 法務省として、この自治体からの協力の実情についてどんなふうに把握をなさり、実情はどうなっているか、お知らせをお願いしたいと思います。
○政府参考人(藤田昇三君) この自治体からの助成金というものにつきましては、実情の詳細は把握できておらないんでございますけれども、ただ、平成十七年度の保護司会の決算につきまして、百六十地区を無作為で抽出して調査をいたしたことがございます。百十四地区において、したがって七一%に当たりますが、助成金が交付されておりまして、助成金が交付されている保護司会の平均交付額、これはまあ平均ですので大分ばらつきもありますけれども、約四十七万六千円という結果が出ているところでございます。
 これはお金の話でございますが、それ以外にも地方公共団体から保護司会が受けている協力というのは、地域によって種々ございますけれども、例えば保護司会の運営に関する支援といたしまして、事務局を地方公共団体の建物の中に設けてもらって郵便物の受理等の支援をしてもらったり、あるいは保護司会が行う会議などに際しまして地方公共団体の施設を貸してもらうというような協力も得ているところでございます。
○木庭健太郎君 もちろん、地方公共団体とのそういう助成の問題を含めて、なるべくこれはお願いを強化しなければならない面あると思うんですけれども、やはり保護司会の方々が望んでいる一つの問題は、国から直接的な予算措置必要じゃないかと、これは意見としては圧倒的で、九〇%を超えております。
 法務大臣、今年度からこの予算措置の問題、ある程度必要なものを確保しているというようなことも伺っているんですが、今後こういった問題にどうお取り組みになるつもりなのか。予算措置の問題でございます、これについて大臣から見解を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) 保護司会、保護司の皆さんには大変御苦労いただいているわけであります。この活動が活発にできるようにいろんなことをこれからも考えていかなければならないと思います。
 おっしゃるとおり、保護司会がその組織活動を行うための費用というものが各保護司の個人負担といったような実情にあるわけで、これではきちんといかないというのはそのとおりでありまして、そういうことから、十九年度予算においては保護司会の組織活動の充実を図るために保護司会活動援助費を新設をして約一億七千六百万円を計上したところでございますが、今後とも、今申し上げました保護司会の組織活動の重要性にかんがみて、更なる充実に努めてまいりたいと思います。
 あわせて、国の予算措置だけでなくて、地方公共団体もあるでしょうし、あるいは民間の寄附とかいろんなことも考えられるものがないか更に検討させたいと思います。
○木庭健太郎君 もう一つ、先ほど局長がおっしゃったように、保護司会というか保護司の皆さんが悩んでいるというか要望が強い一つが保護司研修の問題ですね。この回数、種類について、種類を増やしてほしい、日数、回数を増やしてほしい、これも七割程度という結構高い比率になっていると。この保護司研修の充実の問題についてどうされるつもりなのか、見解を伺っておきます。
○政府参考人(藤田昇三君) 現在、国が実施しております保護司研修といたしましては三種類ございまして、まず初任のすべての保護司さんを対象として、基礎的な知識とか心構えの習得を目的とした新任研修というものがあります。それから、全保護司を対象といたしまして、保護区ごとに保護司の平素の活動に即して行う地域別の定例研修というのがございます。それから、処遇上特別な配慮を要する者の処遇に習熟することなどを目的とした、これは保護司さんを選抜して行いますが、そういう研修を実施しております。
 新任研修は保護司委嘱時に一回行います。それから、地域別の定例研修というのは年に三回程度です。それから、保護司を選抜して行う研修は、地域の実情に合わせてやっておりますが、年に数回程度実施されております。
 それで、私どもとしましては、保護司研修はニーズが非常に強いわけでございますので、今後ますますこれを強めて効果的な研修を実施してまいりたいということで、今後、この法律の成立後の施行に向けまして実施方法の改善、内容の充実などを前向きに検討してまいりたいと考えております。
 なお、平成十九年度の予算におきまして新たに保護司会活動援助費というのが設けられたわけでございますけれども、保護司会が自主的に行う研修に要した費用に対する実費弁償というものもこれによって可能になったところでございます。
○木庭健太郎君 私、この保護司制度に関するアンケートを見させていただいて、もう一つ、あっ、すごいなというか、大したもんだなと思った一つのものは何かというと、これだけある意味じゃ仕事が日常的にあっているわけであって、したがって、今後その保護司の在り方の中で、有給化というか、費用をきちんと払えという意見が多いんじゃないかなと思いまして、アンケートを見させていただいたら、何とそうじゃなくて、有給化はすべきじゃないという意見が七割なんです。ただ、有給化すべきじゃないけれども、やっぱり実際に自分たちが交通費を払ったりいろんなことをやっているわけですね。せめて実費弁償費ぐらいは充実すべきじゃないかと。でも、有給化はすべきではないと。誠にある意味ではすごい一つの抑制の利いたお話がアンケの中にありまして、これも一つ、あっ、すごいなと思った一点なんですけれどもね。それでもやっぱりせめて実費弁償の問題については、これはもう少し考えるべきではないのか。
 同じような仕事とは申しませんが、民生委員という方たちもいらっしゃる。じゃ、この方たちと比較してどうなのかと。民生委員については手当があるわけですから、これ。そういった意味も比べてみると、本当にせめて実費弁償ぐらいについてはきちんとすべきでないかなというのもちょっと感じたんですけれども、現在、保護司の実費弁償というのがどんなふうになっているのか、またこの実費弁償の増額ということは考えた方がいいと思うんですが、どのように考えていらっしゃるのか、お聞きしておきたいと思います。
○政府参考人(藤田昇三君) 現在、保護司実費弁償金として支給されております主なものでございますが、保護観察事件と環境調整事件を担当していただいた場合に支給する補導費と環境調整費というのがございます。それから、研修会等に出席した場合に支給いたしますケース研究等出席実費というのがございます。それから、地域における犯罪予防活動等を実施した場合に支給する地域活動推進費というものがございます。これが主なもので、ほかにもございますが。
 法務省といたしましては、保護司さんの負担を軽減するために実費弁償金予算の拡充を図ってまいっております。特に、最近二年ぐらい相当大幅に増やしたところでございます。平成十九年度予算におきましては、保護観察事件等を担当していただいた場合に支給します補導費と環境調整費、これにつきまして実態の調査の結果も踏まえまして単価をそれぞれ引き上げることなどをいたしまして、対前年度比で約六億五千万円増ということで五十九億二千万円を計上しております。これは、平成十七年度予算の額、約四十億三千万円に比べますと、二年で一・五倍というふうになっております。二年連続の大幅な増額による相応の改善を見たところでございます。
 御指摘がございますので、私どもも、今後とも保護司の実費負担額の実情把握に努めまして、必要性等について十分検討しながら、保護司実費弁償金の充実に努めてまいりたいと考えております。
○木庭健太郎君 今、保護司の皆さんのそういう現状、そして要望について質疑を交わしてきたわけでございますが、こうやって見てくると、今日の保護司の仕事というのは既にボランティアの範囲を少し超えたようなところまで行っているというような気がしてならないんです。国は保護司の負担に甘え過ぎていないかという意見も現実あるわけであって、今回こうやって新たな法案ができるわけであって、その法案の中でも保護司の皆さんの役割というのは重たいもので、変わっていない。
 つまり、何を申し上げたいかというと、やはりこういう一つの大きく仕組みが変わっていく、これから新たな法律が始まっていく、その運用を考えていった場合に、保護司の在り方、保護司の仕組み、さらに実費弁償とか取り組んでいただいていることは結構でございますが、やはりこれからどう保護司さんを位置付けていってやっていけばいいのか。ある意味じゃ、抜本的な対応策についてもこういった機会にそろそろきちんとして国としても検討を始めていい時期ではないか、法律が始まるときに、と私は考えるんですが、この点について大臣の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) 保護司の方々に、大変な社会に対する思い入れ、あるいは犯罪を犯された方々に対する愛情を持って献身的に御努力されていることはおっしゃるとおりでございまして、今後ともこの活動に期待をしておるわけでございます。
 といって、過大な負担といいますか、経済的にも時間的にも負担が掛かるということであってはなりませんし、また、活動をするに当たってもやりやすい環境を整えなければならない。そのために、報酬といいますか、金銭的な手当てについても考えていかなきゃならぬということで今進めておるわけでありますし、それから役割分担についても、今回の法案で活動がしやすい環境をつくるということに重点を置いてこれから進めていこうという方針を出しておるわけでございます。
 同時に、やはり私は、日本において本当のといいますか、一番ボランティアの象徴的なのは消防団と保護司さんだと常々思っておりますが、この方々はどうしても地域に支えられてやってきた活動なんですよね。ところが、それがすごく弱くなっているところがもう一つ大きなネックだなと。この方々が本当にボランティアとして活動されていることを国民、市民の皆さんによく理解をしてもらう、みんなで協力し合うという雰囲気をつくっていくことが根本的にもう一つ大事なことかなと思っております。
○木庭健太郎君 正におっしゃったとおりで、世界に誇る更生保護と言うと江田先生から何かおしかりを受けるようなところあるかもしれないんですけど、正に民間がこういった形でこの更生保護という問題全面的にやっている。厳罰主義じゃなくて、社会の中でこうやって抱えながらやっていくという国は世界にも例がない。その一番の主役が正に保護司の皆さんだという気もするんです。
 もちろん、いろんな形で改善をされている、それは認めます。ただ、やはりこういった機会にもう一度、仕組みをつくった、その運用上でどうなるのかということもあるんですけど、実態に応じて是非研究を始めていただきたいなと、本当にそのことは感じます。私も、保護司さんが消防団とともに両輪として地域で支えられるような、そういったものに確立していけばよりいいと思っておりますから、そこは是非、大臣にも現場の声を聴きながらやっていただきたいなという思いを強くいたしているということでございます。
 そして、その一方で、保護司の皆さんに負担にならないようにするとするならば、それは保護観察官の問題をどうしても強化しなければならない問題になっていくんでしょうし、保護観察官の問題は様々議論がありましたんで、一点、局長に是非御要望もし、やっていただきたいと思っている点は、増員の問題でございます。これ、どう本当に今後を考えていくのか。当然、今後の増員をお考えでしょうが、この点についてどんなふうに、倍増とまですぐにはいかないんでしょうが、でもこの問題進める必要があると思うんで、今後の増員についてどう考えるか、この一点だけ保護観察官についてはお尋ねしておきたいと思います。
○政府参考人(藤田昇三君) 大変温かい励ましのお言葉だと受け止めております。
 私ども、昨年、平成十九年度予算で四十三人の増員とか、その前の年度で四十五人の増員というふうに認められておるということで、これを申し上げるとまた、それだけではいけないという御指摘があるわけでございます。
 それの増員の問題、増強に含めまして、いろんな体制面での強化、プレーイングマネジャーをつくって専門官制をしいたり、あるいは保護観察官の実力も強化するということも併せてやっていく必要があると思っておりますけれども、保護観察官の増員につきましては、今後とも諸般の事情も考慮しながら適切に対応してまいりたいと存じます。
○木庭健太郎君 今、そばで自民党も応援するというお話もありました。自民党だけでなく、これは与野党を超えてとにかくこの問題は我々も是非支援をしていきたいと思っていますんで、これは声を上げてもらった方がいいんだろうと思います。私たちも横から支援しますし、是非とももうこの辺は、大臣、決意一言伺っておきますか、この増員問題で。
○国務大臣(長勢甚遠君) おっしゃるとおり、拡充に努めなければならないと思っております。
 もちろん、今日、先生方は全部実情を御案内のとおりで、大変厳しい増員事情の中にあって、今日は保護観察官の増員の話ですけれども、別の法案になったらまた別のところの増員の話になるわけでありまして、そういう中で私もそれぞれの増員に全力を挙げて努力いたしていきますので、先生方の御支援、またよろしくお願いいたします。
○木庭健太郎君 先ほど大臣は保護司について深い理解をなさっていたという感じを受けましたが、ただ、今回法律を定める中で、第二条には、社会内処遇として保護観察に対する国民の理解を深めていかなければならないということが規定されている。こういった、ある意味では、法律が施行されるわけですから、是非私は、今後地域社会でこれがどのように理解されていくのかという意味も含めて、言わば行政のトップ、大臣が地域に足を運んで、耳を傾け意見を直接伺うというようなことも是非この法案成立とともにやっていただきたいなというふうに考えるんですが、大臣の意見を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) 今までも更生保護施設ですとか、保護司の会員の皆さん方ともいろんな場でお会いしたり、現場にも行ったこともございますが、これからも機会あるごとに現場の声を聴いていきたいと思いますし、また同時に、地域ということになりますと、どういうふうに考えればいいかも考えなきゃいかぬと思いますが、特に地域の更生保護観察所においても、トップの所長さん以下、我々の行政について理解していただくように更に広報等にも努めさせるようにお願いをしておるところであります。
○木庭健太郎君 つまり、やはりこの更生保護という部分が一連の刑事司法制度の中で本当は最終段階で最も大事な一つなんですけれども、国民の皆さんから見ると、もうその具体的形がなかなかないんで分かりにくいところがあるんですよね。
 仮釈放の問題のときも議論になりましたが、じゃ、一体どうやって、何がなされているのかみたいな国民の目に触れにくいというようなこともあったり、つまり、国民からすると最も、本当は社会処遇なんですから国民に一番近いところで行われているのに一番遠い存在のようになっているところが問題なんだろうと思うんですよ。是非、この辺どう、これ有識者会議の中でも制度自体の運用が国民の目に触れない形で行われているというような指摘もなされているんですけど、正に国民の更生保護制度というふうにするために努力をすべきだと思うんですが、どんな点をやろうとなさっているのか、局長から答弁を求めたいと思います。
○政府参考人(藤田昇三君) 更生保護の我が国の在り方というのは官民協働で民の方が随分やっていただいておるわけでございますので、問題なのはそういう実態についての理解を得る努力というのがこれまで必ずしも十分でなかったんじゃないかということではないかと存じます。
 それで、私ども今考えておりますことは、例えば従来は社会を明るくする運動などで更生保護の広報も若干はやってこられたわけですけれども、なかなかこの更生保護の分野というのは、少し説明を要するといいますか、一言で、立ち直りは大事なんだ、あるいは仮釈の人を社会復帰させなきゃいけないんだというような一言を言えば、ああ、そうかと分かるような分野ではないと思います。
 それで、今私どもが一番進めておりますのは、全国の保護観察所にこの四月から広報担当者というのを一人指名をいたしまして、それで、これは所長ではなくて所長の次ぐらいの人を主に担当させるということになると思いますけれども、所長とこういう人が先頭に立ちまして、それぞれの地域で住民の方々に集まっていただくようにして、あるいは集まられたところへ自分が出向くようにいたしまして、草の根広報とも言うべき広報活動を計画的に行いたい。そこでは、五分十分でなくて、できれば二、三十分は少なくとも時間をいただいて、更生保護の必要性なりこれに対する協力のお願いなりということをやっていくようにして住民の御理解を広げていきたいというふうに考えております。
○木庭健太郎君 最後に大臣に、本日、多分法案が無事に委員会可決するだろうとは思うんですが、ここの委員会でも議論、衆議院でもありました。つまり、再犯防止と改善更生の問題、どう進めていくのかというような問題もありました。これから本当に、法律が通った後の運用が極めて大事だということも痛感をしております。
 大臣として、この更生保護、今度どのように取り組んでいかれる決意なのか、最後に決意を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) もう最前来当委員会でも議論いただいておりまして、今後目指すべき方向も明らかですし、そこに関する問題点も我々とほとんど一致をした方向だと思っております。この法案を成立さしていただいて、円滑な施行に向けて全力を挙げて取り組んでいきたいと思っております。
 先ほどもボランティアの話がありましたが、社会にはいろいろ社会奉仕の団体が幾つかたくさん活動されておられて、それぞれすばらしいんですけど、大体そういう活動は新聞でよく褒められるんですよね。ところが、我々のやっているやつは、一生懸命やっているのは余り報道されなくて、何かあったときだけやられるという非常に残念な状況になっていまして、これもある種我々の行政に対する理解が社会的に余りなされていない証左の一つではないかと思います。是非、我々が、また現場の職員、保護司の方々が一生懸命やっておられるところをどうやって理解して、社会的にも支えられているというか、実感を持ってもらえるようなことも考えていきたいものだと思っております。
○木庭健太郎君 終わります。
○委員長(山下栄一君) 午後一時十分に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時七分休憩
     ─────・─────
   午後一時十二分開会
○委員長(山下栄一君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、中川雅治君及び千葉景子さんが委員を辞任され、その補欠として岩城光英君及び円より子さんが選任されました。
    ─────────────
○委員長(山下栄一君) 休憩前に引き続き、更生保護法案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 この更生保護法案の目的、理念にかかわりまして、随分議論が重ねられてまいりました。私も前回の審議で大臣に、社会内処遇、この改善更生の取組というのは大変人間の心やあるいは行動の深いところにかかわる奥の深い課題だということをお話をさせていただいたところなんですけれども、この点について大臣に一点だけお伺いをまずしたいと思うんですが、参考人質疑で、有識者会議の委員を務められました堀野弁護士が、ここの点にかかわって、こんなふうにおっしゃっています。有識者会議での議論を総括いたしますと、改善更生への取組を現在以上にシステムの上でも、またその運用の面でもより一層徹底し、有効化することを通じて再犯防止機能を強化するのだという方向性を明白に持っていたと、このようなお話でございまして、で、これは現場の保護司を代表しておいでいただきました宮川参考人は、午前中も木庭先生から御紹介がありましたが、私も感銘をいたしましたので、ちょっと紹介をさせていただきます。このような御趣旨ですね。遵守事項にかかわってなんですが、警告ぐらいまではまだ保護観察の対象の枠内ですが、その過程で我々がそれ以上のものを要求するようになれば保護観察はもう終わってしまう、結局それは対象者に対して保護が負けたということになるだろう、最後のとりでとして、そうならないように、伝家の宝刀は使ったときにもう既に保護司は保護司でなくなるというぐらいの気構えでその不良措置については対応をしたいという決意を語っていらっしゃるわけですね。
 これは、前回も少し議論をいたしました、社会内において対象者の自立、この力で改善更生を図っていこうと、その中で再犯の防止を果たしていこうという現場の皆さんの決意が語られていると思うんですけれども、大臣の御感想も含めて、今後の社会内処遇、とりわけ保護観察をどのように取り組んでいきたいか、お話をいただきたいと思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) 参考人のときのお話と伺いましたが、その方の、何とおっしゃったんですかね、堀野さんですか、のお話、誠に感銘、感動すべき御意見だと思いますし、そういう気構えで一生懸命取り組んでおいでになることに敬意を表するものでございます。当然、本人がそういう自覚を持って改善更生に取り組んでいただくということを支援をするというのが基本であることは言うまでもないことだと思います。
 今回議論になっておりますのは、逆に、生活支援その他のことだけに気を取られ過ぎて実際上の再犯防止という意識がほとんどなくなっていることが、逆に改善更生の活動を十全ならしめない部分があるということを御指摘になって、そういう意識を持って、一体のものとして取り進めて、今先生おっしゃったようなことをきちんとやっていこうということが今回の改正の趣旨であるというふうに私は理解しておりまして、今先生、先生というか、参考人がおっしゃったような気概を持って保護司の皆さんも観察官も取り組んでいくというのが法の趣旨であると思っております。
○仁比聡平君 今後のその社会内処遇をどう進めていくのかということは、本当に大切な重要な問題になっているということだと思うんです。
 再犯防止への気構えが現場の保護観察官にあるのかないのかというようなお話も、この委員会でもあっておりましたので、私も宮川参考人にお尋ねをしてみたんですけれども、観察官一人一人を見たときに、再犯防止という気持ちがないというようなことを感じることはあるかとお尋ねをしたら、それは、いや、ないですねというふうにきっぱり語られました。そういう意味では、保護観察官がその役割を十分に果たしていくために今求められているのは何なのかということを本当に具体的に考えていかなければならないと思うんです。
 そういう意味で、少し今日詳しくお尋ねをしたいと思っていますが、その前に、前回の質疑でお尋ねをしました遵守事項違反と不良措置との結び付きについて局長にお尋ねをしたいと思うんですが、前回、私の質問の中でこのような御答弁をいただきました。遵守事項に違反すれば、即何か不利益処分をしてしまおうというようなことではなくて、その人その人に応じた粘り強いいろんなやり方での働き掛けをして、遵守事項、できるだけこれを守っていくようにさせて、そしてどうしても駄目なときに初めて不利益な措置を検討するというお考えだと思うんですね。このお考えと同趣旨なんじゃないかと思うんですが、先ほど来の堀野弁護士は、不良措置は必要な努力を尽くした後の最終的な手段、そういう意味で伝家の宝刀という表現をされたんです。これは、この堀野参考人のお話は局長のお考えと同じでしょうか。
○政府参考人(藤田昇三君) 参考人の御発言、割と端的に語られておる文言でございますので、その意図されるところ、私の方、必ずしも正確かどうか、理解しているかどうか分かりませんけれども、基本的に共通のものがあろうかと存じます。
○仁比聡平君 加えて局長に、前回、これまで少年の保護観察等の関係で、虞犯としてこれまでは保護観察所の方としても通告をしてこなかったようなそういった、つまりこれまでは施設収容を必要だとは解してこなかったような対象者について少年院に送るということになるのかと、そういう意味での厳罰化になるのかという私の質問に対して、本人にその自覚が全くなくて、およそもう保護観察の改善更生の趣旨にもとるといいますか、もうとんでもない事態であるというようなことがあればというような御趣旨のお話があったんですね。実際上、警告を発動するというのをどうするかという点については、あくまで社会内処遇をできる限りやっていこう、そういう精神に基づいて運用していくことになるという御答弁がありまして、私はその方向性というのは理解できると思っているんです。
 このお考えが法文との関係、法案との関係でいいますと、例えば少年についていえば六十七条になるんですが、ここには文言としては、遵守事項を遵守しなかったと認めるときというふうにありまして、警告の要件ですね。それから、二項の申請の要件では、遵守事項を遵守せず、その程度が重いと認めるときとしか記載をされていないわけです。
 この条文の文言だけを見ると、この委員会で局長に御答弁をいただいた中身が必ずしも明瞭ではないとも受け取られかねないんですけれども、この委員会でお話しいただいたような運用の方向性、趣旨、あるいはその考え方や判断基準、あるいは現場の観察官にとってみれば対象者に臨む気構えみたいなものにもなると思うんですね。こういったものをどのように現場に徹底をさせていかれるのか、今後、下位法令の検討もあるようですけれども、その辺りも含めてお話しいただければと思います。
○政府参考人(藤田昇三君) 法文を起案いたしますときは、やはり権限規定というものの書き方のルールに従って書いておりますので、このような書き方になっておるかと存じます。
 今まで運用のやり方について、御説明を申し上げましたようなことについては、正にこの法律が成立させていただきましたならば、下位法令と、あるいは通達やら通知やらというふうな現場へのいろんな指導のやり方を通じまして現場に分かりやすく説明をして、そしてまた説明会なども頻繁に行いまして浸透をさせ、十分にきちんとした運用が担保されるようにいたしたいと存じます。
○仁比聡平君 その点、よろしくお願いしたいと思うんです。
 といいますのは、今回の法改正によって、保護観察の基礎が信頼関係から威嚇に変わるのではないかという強い批判があるわけです。あるいは、厳罰化を更生保護の分野でも行うものであるというような表現もメディアの中にも散見されるわけで、そういう意味では一種の誤解というところもあるわけですね。その辺りはもうこの委員会で随分議論をされてまいりましたから繰り返しませんけれども、更生保護がこれまで大きな役割を果たしてきたと、そこをしっかり大事にした運用を是非求めておきたいと思います。
 それで、私も仮釈放の審理の在り方の問題についても議論させていただきたいと思いましたが、時間が余りございませんのでこれはまた将来の機会に譲るといたしまして、更生保護官署の体制の充実の問題、中でも保護観察官が一体今どんな実態にあるのかということについてお尋ねをしていきたいと思います。
 お手元に資料をお配りいたしました。これは私どもの事務所の方で、一人の保護観察官が実際にどのような現場の仕事を責任を持ってやっているのかということを少し分かりやすくと思って作ったものでございます。
 これも見ながらなんですが、まず最初に大臣にお尋ねしようと思うんですけれども、これもまた参考人質疑の中で、保護司の宮川参考人が保護司の現場からの保護観察官に対する要求、要望としてこのようにおっしゃっています。
 自分の担当するケースにもっと保護観察官がかかわってほしい、対象者に直接会ってほしいと。それから、昼夜、休日分かたずに保護司さん働いているわけですから、二十四時間必要な助言、指導を提供できる組織としての保護観察所、その対応を望んでいると。だけれども、これに対して現状は余りにも少な過ぎるということなんですね。
 全国で、宮川参考人の表現でいいますと四、五万人の保護司に対するのに六百人。これは実際には六百五十人ほどに今なっていると思いますが、これではもうだれが考えてもおかしいじゃないかと。一人の観察官が百件、二百件の件数の具体的な中身まで全部分かって対応するというのは、ちょっと常識的に考えて至難の業だと。しかも転勤もある。そんな中で、この保護観察官の数としての大幅な増員を強く求めていらっしゃいます。
 弁護士の堀野参考人はどうかといいますと、私が大変印象的だったのは、有識者会議の中で、この現場の実情を知って驚きの声が上がったと。そして、有識者会議の中でも数値、数を目標として提案をしようということで議論をして、最低の数字を出そうということで一致したのが倍増だというんですね。倍増、それも速やかに、そして最低でも倍増だというこの有識者会議の委員の思いというのは、これは大変重いものがあるんじゃないかと思うんです。
 もちろん、今日午前中も大臣のお話の中にもありましたが、諸般の事情というのがいろいろおありなんだろうと思います、大臣としてのお立場で。だけれども、この保護観察官の現場に、保護観察所の現場に求められている今の増員への強い要求というのは、これは保護司さんにとっても、あるいは有識者会議にとっても大変重たいものであって、これは大臣として是非受け止めていただきたいと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 度々答弁してまいっておりますが、この法案を万全に施行していくためにも、保護観察官の増員というのは全力を挙げて取り組むべき重要な課題であると思っておりますし、従来以上にこの増員に力を注いでまいりたいと思います。
 あわせて、保護観察官の業務の在り方その他も効率的に無駄のないようにすることも含めて、体制の整備を進めていきたいと思っております。
○仁比聡平君 現場の体制の効率化というのは、もうそれは手を打とうとしてもなかなかそういうことは可能でない、そういう状況があるんではないかと思うんですね。
 局長に少し観察官の職務の現状についてお尋ねをしていきたいと思うんですけれども、基本の業務といいますか、この一つに保護観察の対象者への処遇計画を作って、これを保護司の皆さんと一緒にといいますか、実際には保護司の皆さんに直接対象者に当たっていただきながら一緒に取り組んでいくという観察官の仕事がございます。この仕事について、一人当たり、今の時点でいいますとおおよそ百件という常時対象者を抱えているという状況なわけですね。当然入れ替わりがあるわけですから、新受の件については新たに処遇計画を立てる、あるいは途中でその処遇計画、あるいは保護司さんとの対応の中で問題が生じたときにはそれぞれの対応を迫られる、こういう日常の業務の中にあると思うわけです。この辺りでの保護観察官の職務の実際あるいは重みというのはどんなふうに見ていらっしゃるでしょうか。
○政府参考人(藤田昇三君) 御指摘のように、大体平成十八年の数字で一人当たりの事件数、保護観察事件でありますと九十二件という数字が出ておりますので、御指摘約百件ということでございます。これの件数がそれ自体としてどれくらい多いのか少ないのかということはなかなか評価として難しいものがあろうかとは存ずるわけでございます。
 例えて申しますと、保護観察事件の件数は、ずっと前にはもうちょっと多かったときもございまして、そのときでありますと一人当たりの件数はもうちょっと多かったというようなこともございます。ですので、それ自体としての数字で何ぼぐらいにすれば適正かということもなかなか申し上げにくいことだと思っております。
 ただ、御指摘のように、保護観察というのは非常に奥深いものでございますから、のめり込めばといいますか、一人の人の問題性というものは非常に深いものがそれぞれにあるわけでございまして、それをどれくらい考えるかということによって、やればやるほど奥深いものだし悩みも多いというようなことにもなろうかと思います。
 物理的な限られた時間の中で、保護観察官は今自分に与えられた仕事を精力的にこなしていただいているんだというふうに存じます。
○仁比聡平君 数だけでは語れないというふうにおっしゃるのは、私はこの場面においては理解ができないんですよね。だって、今のこの体制に対して現場の保護司さんたちから、それも会を代表する方から、先ほど来申し上げているような、もうこれは悲鳴に近いクレームが上がっているわけでしょう。それを、いやいや、数だけでは分かりませんなんというような話ではないでしょう。
 実際、今の局長の言葉を使わしていただくなら、のめり込むこと、対象者にもっと観察官がのめり込むことができる、そういう時間や体制が求められているんじゃないんですか。例えば、不良措置の問題を取ってみても、保護司の方々は、先ほど申し上げたように、不良措置というのは保護司の自らを否定することになる、保護が負けることになると、だからということで、対象者の人間性と内面を信じて、信頼関係の中で徹底してこれを社会内で更生させようと最後の最後まで努力されるわけですよ。
 だけれども、近年起こりました事案のように、実際にはその対応が重大な再犯を引き起こすこともあり得ます、実際に起こりました。そのときに、現場の保護司さん任せにするんではなくて、保護司さんはそうおっしゃるけれども、この対象者は実際にはこのような措置をとるべきだと考えますと、保護観察官の方がイニシアチブを握らなければならない、そういう場面だってあるでしょう。それが有識者会議で求められているわけですよね。正にのめり込むことが求められている、それだけの体制がここにありますか。いかがです。
○政府参考人(藤田昇三君) 少し比喩的な表現をいたしまして、のめり込むという表現でちょっと誤解を招いたところもあるかと思います。のめり込むというのは、非常に一点を掘り下げ過ぎるというような感じのところがあるとますます時間はなくなるだろうなというような意味で申し上げたわけでございます。
 御指摘のように、保護観察官の現有勢力でもって保護司さんに対する一般事件におけるいろんな助言でございますとか指導でございますとかということをできるだけ効率的に、しかも的確にやっていくということのために今努力をいたしておるわけでございまして、その努力は大変なことであるというふうに理解をいたしております。
○仁比聡平君 私は、そのためにも増員は絶対に必要だと思うんですね。
 もう一つの基本的な仕事として、矯正施設にいる対象者、特に仮釈放を始めとして環境調整のお仕事がございます。これも伺いますと、観察官一人当たりにならせば保護観察と同様の約百件の環境調整を常時担っていらっしゃるわけですね。この環境調整についても、仮釈放の審理を適切にしていくために、もっと施設にいる間から帰住先の環境も、それから対象者の環境も観察官自身がきちんと把握をして取り組んでいくということがこの法案、その方向については求められているわけですね。
 これもより充実させていきたいと、そういう方向なんでしょう。それは御確認いただけますか。
○政府参考人(藤田昇三君) 御指摘のとおり、環境調整につきましてもより積極的に、また効果的にやってまいりたいと思っております。
○仁比聡平君 それから、先ほども満期釈放者の保護の問題がございましたけれども、更生緊急保護や援護の分野でも、私も調べさせていただきましたら、援護で約一万件、あるいは更生緊急保護の段階で交付金だけで約一万三千件というような数字が全国で挙がっておりまして、これは一人当たりの観察官が月に三件から四件、こういった取組をやらなければ追い付かないというような、そういう状況なんですね。
 この更生保護施設への入所、あるいは補導委託、何かの手続や、お金がなくて満期出所してきたそういう釈放者に対する対応というのもなかなか大変な仕事なんではないか。出所する方の立場からすれば、もう頼るところがないからまずは保護観察所に行くしかないと、そういう状況にあるのではないかと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(藤田昇三君) 満期釈放者等につきましても、やはり行く先がない人が相当ございますので、そういう方は施設の方から保護観察所に行く手があるぞというふうに教えてもらっておりますので、それに基づいて保護観察所に来るという人が相当数おられると存じます。ただ、来ない人もおるようでございますけれども、相当数がおられます。
○仁比聡平君 そういった中で、保護司さんにお願いをするには難しい処遇困難な対象者については、観察官が直接担当あるいは直接処遇というようなやり方で、月に数回は直接面接をして指導を続けるというケースも抱えているわけです。
 私は、こういった基本的な仕事の範疇の中でも、ただでさえこれはもう手一杯という繁忙の状況なんではないかと思うわけです。ここに加えて書類仕事もありますよね。不良措置を行うなんということになれば、その判断と起案も必要なんだと思います。新たにそこに近年、施策が次々と加えられています。ちょっと時間がなくなってしまいましたので詳しくお尋ねすることはできなくなってしまいましたけれども。
 性犯罪プログラムに関しましては、これはまだこれからの取組だとは思いますけれども、二週間に一度程度、大規模庁では集団で、小規模庁では個別の認知行動療法を行っておられると。これ自体が、出頭を確保し、そしてそのプログラムを実施していく上で観察官にとっては大変大きな仕事になっているんだろうと思うんです。
 それから、薬物事犯の簡易尿検査については、これはお尋ねしますと、観察官がじかに面接をして、そしてその中で再犯を犯さないような指導をずっと確保して一定の効果を上げておられるわけですよね。私がなるほどと思いましたのは、この取組が家族に安心を与えることになっている、それに、保護司の方々の負担を軽減することになっている。これは本当に大切な取組だと思います。ちょっとこの点に限ってお尋ねをしておきますが、この簡易尿検査は、今後これ充実をさせていこうという、そういう方向なんでしょう、その点だけ。
○政府参考人(藤田昇三君) 新しい法律を踏まえまして、簡易尿検査の、どういう言葉を今後使うかも分かりませんけれども、充実の方向でございます。
○仁比聡平君 就労支援の問題も、これは大臣を先頭に協力雇用主の確保、開拓を始めとして様々な取組がこの間行われてきたわけです。厚労省との協働の取組の中でも一定の前進が私はあると思うんですけれども、だけれども、この点についても観察官が対象者をハローワークにつなげる、そしてハローワークで最終的に就職先を見付けてもらうように本人の意欲を覚せいさせることも含めて、大変な取組を保護観察官はやらなきゃいけない。しかも、従来の協力雇用主の方々のところで、必ずしも厚生労働省の助成の対象になりにくい、なり切れていないという部分もあって、そういうところの調整なども現場の観察官のお仕事になるんじゃないかと思うんです。その上、その観察所と職安、ハローワークとの連携など、これまでにはない仕事が観察官の大きな仕事として入ってきている。
 今の状況については、局長もうなずいていらっしゃるわけで、そのとおりなんだろうと思うんですけれども、このような取組を現場に求めてきたのは、これは当委員会も含めて政治の側でございます。昨年も一定の法改正がありましたけれども、このように頑張ってくれというふうに我々が現場の観察官に求めているわけですよね。その中で、人員は確かに少し増えてきているけれども、だけれども、有識者会議は速やかな倍増をという状況にあるという、ここはやっぱり本当に悲しいことなんじゃないかなと私は思うんです。
 私自身も経験がございますけれども、法務とか法律関係、あるいは人間関係の仕事のところでは、やるしかないと、もう求められているんだから、目の前に相手がいるんだからやるしかないじゃないかという、そういう気分で、あるいは檄が飛んで仕事に行くということになることが多いんだけれども、そういうやり方ではやっぱり現場は破綻してしまうんじゃないでしょうか。
 私は、この観察官の現場でどういった労働実態になっているのかというのも大変不安に思っています。労働時間の管理がちゃんとやられているのか、本当に残業代なんか払われているんだろうか。そういう辺りも大臣にしっかり問題意識を持っていただいて、先ほども伺いましたが、改めて、この保護観察官の増員、そして専門性、その裏表になる労働条件の改善、ここについてしっかり責任を果たしていただきたいと、ちょっと質問時間過ぎてしまって申し訳ありません、御答弁をいただいて終わりたいと思います。
○委員長(山下栄一君) 時間が過ぎておりますので、答弁簡潔にお願いします。
○国務大臣(長勢甚遠君) 今回法律を適正に運営していくためにも、相手も千差万別ですし、非常に微に入り細にわたる部分もありますから、観察官の役割は極めて重いですし、またその作業も多いわけでありますので、今お話あったとおりでございますので、増員には全力を挙げて取り組んでいきたいと思っております。
○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。
 冒頭、私も、質問はいたしませんけれども、観察官の大幅増員につきまして今ほど大臣の方から決意の表明がございました。是非、御奮闘いただきたい、実現方に向けて御努力をいただきたいと要望を申し上げさせていただきたいと思います。
 私は、今日は最初に、前回も質問をさせていただきましたけれども、仮釈放における本人関与の問題、若干整理の意味も込めまして、ここから質問をさせていただきたいというふうに思っています。
 有識者会議の提言の中でも、このことについては、仮釈放の申請権まで付与する必要はないけれどもといいながら、本人関与の拡大ということを強く訴えております。そしてまた、おとといの参考人質疑、九州大学の土井参考人、そして有識者会議のメンバーである堀野弁護士参考人の方からもこの本人関与の話がございまして、お二人とも請求権というそういうものは言っておりませんけれども、施設の長とかあるいは地方委員会の職権発動を促すという意味での申請権のようなものを認めてもいいんではないかと、こういうことを皆さんこもごも言っておられました。
 しかし、御案内のとおり、法案にはこの種の申請権というものは付与されておりません。このことにつきまして松岡議員の方が質問の中で、この受刑者の仮釈放申請権を認めてはどうかというこういう質問をしたときに長勢大臣の方から、刑の執行形態を変容させるものであって、専ら国の裁量権に属すべきものと考えられるので、受刑者に仮釈放申請権を認めるのは適当でない、正に全面的に国が権限を持っている、受刑者本人に立ち入る余地はない、全く国の裁量だと、こういうふうに答弁をされたわけでありまして、私は、前回も申し上げましたように、昔ならいざ知らず、今の新憲法の下でこういう考え方でいいのだろうかと、大いに疑問を持ったわけでございます。
 ところが、おとといの参考人質疑で土井参考人が、実は私、不勉強で分からなかったんですけれども、我が国でも戦後、犯罪者予防更生法ができた当初のころ、受刑者の仮釈放の出願権というものを認めていた時期があると、こういうことをおっしゃいました。認めていた時期があるんだけれども、いろんな事情でこれをやめたんだと。私これ聞きまして、ああ、不勉強だったなと、こういうふうに思ったんですね。
 だから、基本的な考え方としては、国に、政府に裁量権があるんだといいながら、受刑者本人に出願権を認めていた時期と認めないときがあったと、こういうことを聞いて驚いたんですが、出願権をなぜいったん認めていたのにやめたのか。土井参考人に言わせますと、当時、地方委員会、地方更生委員会ですよね、更生委員会の委員の数も限定されておりましたので、そのすべてについて、それを時間を掛けて審査するというのがなかなか難しいということもあってやめたと。つまり、審査する人が余り多くない、そこへ出願あるいは審査がどんどん上がってくると手間掛かってしようがないと、だからやめたというふうにしか聞こえない。
 こんなことで重要な権利が消えたり生き返ったり、それはおかしいんではないかなというふうに思うんですが、土井参考人がおっしゃったような事実の経過というのはあったんでしょうか。確認をまずしたいと思います。
○政府参考人(藤田昇三君) 犯罪者予防更生法が施行されたのは昭和二十四年の七月でございますが、その年の十月に発出されました通達というのがあります。仮釈放及び仮退院の手続に関する中央更生保護委員会委員長通達というものでございます。
 これにおきまして、受刑者本人が作成した仮釈放の出願書又は放棄書を刑務所長を介して地方委員会に提出する手続が定められておりました。具体的には、仮釈放の要件となる期間の末日、いわゆる応当日の六十日前に至った受刑者につきまして、刑務所の方で本人に、仮釈放を出願するかあるいはそれを放棄するかの意思を確かめまして、出願書又は放棄書を作成させて、そして刑務所長が当該受刑者の帰住予定地等を記載したパロール準備報告書とともに地方委員会に伝達するという手続でございました。これを受けて、地方委員会の方では帰住予定地を管轄する保護観察所の長に環境調整を行わせまして、応当日までにその結果を報告をさせるということになりました。また、刑務所長は、仮釈放に付することの適否等について調査をいたしました上で、仮釈放の可否に関する意見と理由等を記載した書類を地方委員会に通告する。そして、地方委員会としてはこれらの資料に基づいて仮釈放の審理を行うことというふうになっておりました。
 なお、地方委員会が本人の出願には理由がないと判断をいたしましたときは、出願から一年間を経過しなければ再度の出願はできないというふうにされました。他方で、本人が放棄書を提出した場合でも、応当日が経過すれば改めて出願できるということになっておりました。
 件数でございますけれども、これを見てみますと、仮釈放申請事件に係る許可件数が昭和二十五年で四万一千九百七十三件、上記の申請受理件数との差から一万八千百八十五件、上記といいますか、申請受理件数がございまして、それとの差から一万八千百八十五件が棄却になったということで、相当棄却が多かったんだなということがうかがえるところでございます。
 この通達に基づきます出願書又は放棄書の提出の手続というものは、昭和二十七年の地方委員会の機構改革がございましたが、それに合わせて昭和二十七年の十二月に発出されました通達によって廃止されております。
 それで、この廃止の理由でございますけれども、この通達の中では、新機構に即応してその事務能率の増進を図るためという記載がございます。しかし、その詳細については私どもでは確かなことが分からないのが実情でございます。
○近藤正道君 研究者である土井参考人は、地方委員会の委員の数が限定されていたので、出願のすべてについてそれを時間を掛けて審査するというのがなかなか難しい、だからやめた、つまり面倒くさいからやめたと、大量に上がってくるものを一々審査するのは、それはもう煩雑でしようがない、だからやめたと、こういうふうな説明を参考人質疑でされているわけですよ。
 私は、今の昭和二十七年に中止になったこの制度、しかしこれは正に憲法の今の下では、生殺与奪の権を政府が握るというんではなくて、受刑者本人も一定の権利があって、職権の発動を促す仮保釈を認めていただけないでしょうか、調査をしていただけませんでしょうかと、そういう願いを出して、そしてそれに対して地方委員会がその審査をすると、そして理由を述べる、実に民主的な私は手続だと思う。正に新憲法の下でこれこそ私はあるべき姿だというふうに思うんですね。
 何でこれがなくなっちゃったのか。これはやっぱりきちっと調べていただきたい。そしてそれを、そういう歴史的な背景を受けて、今回有識者会議も本人関与を復活させるべきだという提言をしているし、それは堀野弁護士もあるいは土井参考人も、こういう制度、権利とまでは言わないけれども、職権発動を促すという、そういうものとしてちゃんとやっぱり位置付けるべきだと、こういうふうにおっしゃっている。実に正論だと思うんです。それに対して、つまり、執行形態を変えるもので国の裁量権に属するんだと、こういう形式論で私は切り捨てるというのは全くおかしいと思うんですよ。
 なぜこういう職権発動を促す本人の言わば出願権みたいなものを認めないんですか。実質的な理由は何なんですか。
○政府参考人(藤田昇三君) この理論的な理由というのは大臣の答弁のとおりでございます。
 実質的にどうかということでございますけれども、私どもが一番問題になるのかなと思っておりますのは、本人に出願権というようなものを保障いたしますと、本人はやはりできる限り早く外に出たいと思うのはもう人情でございますから、それは申請が一杯出てくるだろうと思います。それで、その一杯出てきた申請を先ほどの出願、昭和二十七年のときの通達で行われていた例でも相当出てきたということがうかがわれるわけでございますけれども、そのどんどん出てきたものについてどんどん出すというふうに必ずできるわけではございません。そうしますと、棄却を相当しなきゃいけなくなる。そうすると、自分としては申請をして、当然おれは出られるはずなんだというような気持ちでいる受刑者に対して残念でしたということを何度も言わなきゃいけない、大勢の人に言わなきゃいけないということで、不満が随分たまるだろうと思います。それが、その後の改善更生のための処遇にその効果を上げるのに悪影響を及ぼすということは間違いないことだなというふうに考えるわけでございます。
 参考人質疑においても、ちなみにでございますが、藤本参考人の方から、そういう例がよその国であって問題になったというようなことが紹介されていたやに思いますけれども、類似の危惧を持っておるわけでございます。
○近藤正道君 私は、今の憲法の下でどうあるべきなのかという議論をやっぱりきちっとすべきだというふうに思います。
 今日は私は権利とまでは言わないけれども、せめて堀野参考人がおとといおっしゃった、これはまた土井参考人の意見でもあるし、衆議院の参考人質疑の中でも出ていることですし、また有識者会議の意見の中にもこれ実質的に盛り込まれていることなんだろうというふうに思いますが、例えば堀野参考人は、上申書を付けて刑事施設の長に差し出し、それが地方更生保護委員会に伝えられる、職権発動を促す程度の申請の仕組みはつくるべきではないか、そういう運用は確立すべきではないかと、そういうことをやっぱり言っていますよ。
 だから、こういうシステム、運用としてこういうものを職権発動を促すという限界付きでも結構ですので、こういうものを検討する余地はないんですか、全くないんですか、これは。
○政府参考人(藤田昇三君) 申請権を認めることの問題点というのは、先ほど申し上げたとおりでございます。それにいかないけれども、似たようなものはどうかということでございますけれども、これも一律に似たような何かをルール付けをいたした場合には、先ほどの申請権の問題と同様の危惧が出てくるんじゃないかなというふうに思うわけでございます。
 ただ、御指摘のように本人の主体的な関与ということは配慮しなきゃいけないことだと思いまして、現実には受刑者から、例えば事実上仮釈をしてもらいたいというふうな手紙のようなものが委員会に送られてきたというふうな事例がございますならば、それは委員会としてはちらっと見て、ああ、受刑者だというんで捨てちゃうというようなことは決してないわけでございまして、それを中を見て、それなりに職権の発動を促すべきかどうかなどの判断をそのときにやるということにはなろうかと思うわけでございます。そういう運用のよろしきを得るということは必要なことかと存じます。
○近藤正道君 私は、膨大に出るなんて思えないですよ。それは、前提として仮釈放の基準を今見直しをしますと、より主観的なものから客観的なものに見直しをしますという御答弁が法務大臣の方からもありますので、そういう基準をきちっとやっぱり確立をして、それを示した上で、収容者本人が施設の長かあるいは地方委員会の方に、ダイレクトででも結構です、そういう形できちっと自分の意思も申し述べる、そういうルートもやっぱり仮釈放の基準の見直しと併せて是非私は検討していただけないだろうかなと、本人の関与の拡大という大きな流れの中でそういう道も是非検討していただけないだろうかなと、こういうふうに思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 本人の意思を全く無視をするという扱いというのは不合理な場合が多いわけですから、そういうことのないようにしなきゃならぬということはおっしゃるとおりだろうと思います。
 先ほど来、局長からも答弁をいたしておりますが、そういう全く恣意的なものであってはならないという要請と、司法行政の仕組みが混乱をしないようにということも必要ですし、また御本人はいろんな事情を踏まえて本人の判断をなさるわけで、そのことの可否を明示的にやることがどういうふうな効果をもたらすかということも考えなきゃならない。そういう意味で、非常に制度的にきちんとすれば大変いいことになるというふうには単純に考えられない問題なのではないかと思います。
 そういう意味で、今いろんな形で申請は、申請というか、要求が何らかの形でいろんな場面に伝えられることはあり得るわけで、それに対する対応をきちんとやっていくということが一つの方向だろうと思いますし、今この時点で申し上げるとすれば、制度的にきちんとするということについては非常に慎重に考えなきゃならないのではないかというふうに思っております。
○近藤正道君 いずれにしても、戦後の一時期、我が国でも受刑者本人の仮釈放出願権というものを認めていた、そういう時期がやっぱりあったという厳然たる事実がある。それを結局、出願権、まあ職権発動を促すということですけれども、しかしそれは、結局その人数が少ないために煩雑だということでこれがなくなった。憲法の立場からいくとやっぱりこれは私はおかしいというふうに思うんです。是非これは実質的にやっぱり復活する道を検討していただきたいと、こういうふうに申し上げておきたいというふうに思っています。
 次は遵守事項のことでございますけれども、これにつきましては、これまで同種の質問が出て若干重複するかもしれませんけれども、ひとつよろしくお願いをいたします。
 いわゆる東京ルールにおきまして、遵守されるべき条件は実践的であって、明確であって、かつ可能な限り少なくなければならない、こういうふうに記されております。しかし、例えば法案第五十一条第二項各号のうち、第一号の犯罪性のある者との交際とか、あるいはいかがわしい場所への出入りなどはかなり不明確な規定でありまして、場合によってその遵守が困難なこともあろうかと思います。あいまい、抽象的な規定の特定遵守事項によって対象者が不当に不利益を被ることはないのかどうか、お答えをいただきたいというふうに思います。
○政府参考人(藤田昇三君) 今回の法案におきましては遵守事項についての規定の整備を行っておりまして、特別遵守事項につきましては、必要最小限の範囲で行うんだと、それから、それを定めるに当たっては具体的に定めなきゃいけないということを明記をいたしております。その上で、特別遵守事項の類型も具体的に示しておるところでございますので、これを基に御懸念のないようにやっていきたいと存じます。
○近藤正道君 これも先ほど少し出ましたけれども、東京ルールでは、遵守事項違反が直ちに拘禁処分に直結する制度であってはならない、こういうふうに定めております。しかしながら、本法案によりますと、仮釈放者については遵守事項違反が直ちに拘禁処分に結び付く運用が可能になるのではないか、できる規定ということになっておりまして、このことが懸念されるわけでございます。実務の上で具体的にどんな形になっていくのか、遵守事項の違反があっても直ちに取消しとならない弾力的な措置がどのように講ぜられるのか、お答えいただきたいと思います。
○政府参考人(藤田昇三君) 具体的な遵守事項違反の対応というのも様々でございますので、必ず絶対にこうなるということも一概には言えないと思いますけれども、一般論として申し上げますならば、やはり遵守事項に違反した事実があったからといって即取消しの方向に動くというようなことではなくて、できる限り社会内の処遇をやって、そして改善更生の道を歩ませたいという保護観察官と保護司の努力がまずあって、その上でこれでは駄目だというようなときに初めて遵守事項違反に対する不利益措置というものが出てくると思います。
○近藤正道君 先ほど来、伝家の宝刀とかいろんな話がありました。違反があったときに直ちに拘禁処分にならない、何度も手続を踏むということでありますが、弾力的に行う、最後の最後の手段だということは、政省令だとかあるいは通達等でそれなりにきちっと担保されるんでしょうか。
○政府参考人(藤田昇三君) 実際の運用についての指針のようなものは何らかの形できちんと現場に示達をしたいと存じます。
 常に一律に、遵守事項違反があった場合でも、必ずこれだけのことをやって、こうやらなきゃいけないというような絶対的な決まりというのはなかなか難しいのかなと。それは非常に例外的な場合かもしれませんけれども、これはもうその違反そのものが社会内における改善更生の可能性を閉ざしてしまうというようなことも、それはあり得ようかとは存じますけれども、一般論としてはそういうものではございませんので、そういう方針を何らかの形で現場に分かるように下位法令やあるいは通達等で示したいと存じます。
○近藤正道君 違反があったときのその後の対応等について、通達あるいは省令等でこれからきめ細かく定めるということを確認をさせていただきたいというふうに思っています。
 次に、これは厚労省にもかかわることでありますけれども、出所者の就労、定住その他社会復帰支援対策についてお尋ねをしたいというふうに思っています。
 本日も何人かの方からこの御議論がございました。有識者会議の提言の中でもこのことは熱心に提起をされたところでございますけれども、法案を見る限りにおいては、監視、つまり指揮監督の強化に関する規定、これについてはかなり盛り込まれているようでありますが、就労支援や定住支援の強化、福祉との連携の強化、こういうものについては明確に規定という形で盛り込まれていないと、こういうふうに私思えてなりません。
 そこで、就労支援や定住支援の強化、福祉との連携の強化、こういうものについては本来この法文の中に明記する、これが私どもの願い、筋なんだろうというふうに思いますが、これがなされておりません。少なくとも政省令や通達で、法務省と厚生省との連携、あるいは社会福祉関係機構、地方公共団体等との間の連携等をやっぱりきちっと明記をして周知徹底を図って出所者の就労支援、定住支援の強化に遺漏なきを期していただきたいと、こういうふうに思っておりますが、この辺の今後の見通しについてお聞かせをいただきたいというふうに思います。
○委員長(山下栄一君) どなたですか。
○近藤正道君 これは厚労かな。あっ、法務だな。政省令ということですけれども。
○政府参考人(藤田昇三君) 私どもといたしましては、そうしたことは非常に大事だと存じますので、どういう形式になるかは分かりませんけれども、そういう方向で考えてまいりたいと思います。
○近藤正道君 厚労省の関係者の方から御答弁いただきたいと思います。
○政府参考人(鳥生隆君) 更生保護のあり方を考える有識者会議の報告書におきまして、再犯防止の観点から、法務省と厚生労働省との連携による総合的就労支援対策を充実すべき旨が指摘されているところでございます。
 このため、厚生労働省といたしましては、ハローワークと刑務所、少年院及び更生保護機関との連携の下で、担当者制によるきめ細かな職業相談、職業紹介、職場体験講習、トライアル雇用の実施などを主な内容といたします刑務所出所者等総合的就労支援対策を昨年度から開始をいたしまして、保護観察対象者等に対する就労支援を強化しているところでございます。
 今後とも、法務省との連携の一層の強化を図りながら、一人でも多く就職できるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○近藤正道君 満期の出所者対策のことでございますが、満期釈放者に対する就労、居住対策の重要性につきましては有識者会議の提言でも指摘されているところでありますが、この点の対策についてお伺いしたいというふうに思っています。特に、五月の二十七日の朝日新聞に出ておったわけでありますが、満期釈放者のうち、三十年前には九%だった帰る場所のない人たちが、今度は二〇〇五年には四割を超えたと報じられております。この点の対策は不十分であるということは明らかだというふうに考えられますが、どうなんでしょうか。
 さらに、出所後五年以内の刑務所再入率、もう一度また刑務所に入る、これは二〇〇〇年の時点の話でありますが、これを見ますと、仮釈放者で三九・一%であるのに対して満期釈放者では六一・四%になっているとのことであります。
 再犯防止の観点からも、満期の釈放者に対する就労、居住対策が極めて重要である、急務であるということはもうこの数字の上からも明らかだというふうに思いますが、この満期釈放者に対する、非常に難しいわけでありますが、この点の対策についてお伺いをしたいというふうに思います。
○政府参考人(藤田昇三君) 満期釈放者について、釈放後の就労の確保が円滑な社会復帰のために極めて重要であるということは御指摘のとおりだと存じます。
 釈放後に就労支援を満期釈放者の中で希望する者がおりましたならば、刑事施設におきましては、保護観察所を出所したら訪ねなさいというふうに指導をいたしております。訪問を受けました保護観察所では、仮釈放者と同様に就労支援を実施いたしているというのが現状でございます。ただ、なかなか来ないという人も結構いるところでございます。
 満期釈放者に対しては、釈放後速やかに就職することが重要だと考えております。また、刑事施設等に収容中の者の生活環境の調整につきまして、現行の犯罪者予防更生法におきましては必要があると認めるときに行うことができるという規定ですが、今度は必ず行わなきゃならないというような規定も設けました。
 そこで、保護観察所におきましては、刑事施設における職業訓練、職業指導の実施状況などにつきまして、釈放前の段階で今後一層詳細に把握をいたしまして、本人に適した就職先をハローワークと協働しながらあらかじめ確保するなど、釈放後の迅速的確な就労支援が実施できるように一層努めてまいりたいと存じます。
○近藤正道君 終わります。
    ─────────────
○委員長(山下栄一君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、若林正俊君が委員を辞任され、その補欠として佐藤昭郎君が選任されました。
    ─────────────
○委員長(山下栄一君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 更生保護法案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(山下栄一君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、松岡徹君から発言を求められておりますので、これを許します。松岡徹君。
○松岡徹君 私は、ただいま可決されました更生保護法案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    更生保護法案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たっては、次の事項について格段の配慮をすべきである。
 一 本法の運用に当たっては、対象者の改善更生が再犯防止と一体のものとして行われるよう関係機関に周知徹底を図ること。また、更生保護の責務は国が負うべきものであることを踏まえ、その充実強化を図るため、十分な財政措置を講ずること。
 二 更生保護の一層の充実を図るため、他の刑事司法機関との連携を強化し、情報の共有化に努めること。また、定住支援、就労支援などの自立更生支援の実効性を一層高めるため、社会福祉関係機関及び地方公共団体との更なる連携強化を図ること。
 三 地方更生保護委員会の委員の任命に当たっては、積極的に民間人、特に、法律、精神医学、社会福祉等の専門家等のうちから男女のバランスにも考慮して登用するよう努めること。
 四 仮釈放等の判断が適切に行われるよう仮釈放許可基準の見直し等を進め、その審理に当たっては、被害者等の意見が適切に反映されるとともに、そのことによって仮釈放等がいたずらに消極化しないよう十分に配慮すること。また、受刑者本人の仮釈放等への関与の機会の拡大や仮釈放等取消措置前の告知聴聞の機会の保障について引き続き検討を進めること。
 五 実効性の高い保護観察を実施するために、特に、保護観察官の専門性の一層の強化及び大幅増員、保護観察所運営の改善に努めるとともに、保護司の待遇改善、新たな適任者の確保など保護司制度の一層の充実に努め、保護観察体制の着実な強化を図ること。
 六 特別遵守事項の設定に当たっては、当該対象者の状況を十分に踏まえた現実に達成可能なものとするよう配意するとともに、その違反を機械的に不良措置に結び付けることがないよう、適正に運用すること。
 七 満期釈放者や更生保護施設への入所を断られた者等への支援措置の在り方について、引き続き調査・研究を行い、必要な措置を講ずること。
 八 保護観察対象者の改善更生を図る上で、更生保護施設の担う役割は大きく、その機能の拡充が緊要となっていることにかんがみ、十分な財政措置を含む支援を一層強化するとともに、公的な更生保護施設の設置・運営について調査・研究を進めること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○委員長(山下栄一君) ただいま松岡君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(山下栄一君) 全会一致と認めます。よって、松岡君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、長勢法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。長勢法務大臣。
○国務大臣(長勢甚遠君) ただいま可決されました更生保護法案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
○委員長(山下栄一君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山下栄一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(山下栄一君) 次に、犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。長勢法務大臣。
○国務大臣(長勢甚遠君) このたび、政府から提出しました犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 犯罪によって傷付いた被害者やその遺族の方々の保護、支援を図っていくことは極めて重要であり、これまでも様々な取組が行われてきましたが、多くの犯罪被害者等にとって、その被害から回復して平穏な生活に戻るためには、依然として様々な困難があることが指摘されています。
 このような現状を踏まえ、平成十六年十二月には、犯罪被害者等のための施策の基本理念や各種の基本的施策等を定めた犯罪被害者等基本法が成立し、これを受け、平成十七年十二月には、犯罪被害者等基本計画が閣議決定されたところ、この基本計画の中には、刑事手続又は民事手続に関するもので立法的手当てが必要なものとして、犯罪被害者等が刑事裁判に直接関与することのできる制度、損害賠償請求に関し刑事手続の成果を利用する制度等についての検討及び施策の実施が掲げられております。
 そこで、この法律案は、犯罪被害者等基本計画を踏まえ、犯罪被害者等の権利利益の一層の保護を図るため、刑事訴訟法、民事訴訟法、犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律、その他の法律を改正し、所要の法整備を行おうとするものであります。
 この法律案の要点を申し上げます。
 第一は、刑事訴訟法を改正して、犯罪被害者等が刑事裁判に参加する制度を創設するものです。
 すなわち、裁判所は、故意の犯罪行為により人を死傷させた罪、業務上過失致死傷の罪等の被害者等から、被告事件の手続への参加の申出がある場合において、相当と認めるときは、当該被害者等の参加を許すものとし、参加を許された者は、原則として公判期日に出席することができるとともに、一定の要件の下で、証人の尋問、被告人に対する質問及び事実又は法律の適用について意見の陳述をすることができることとしております。
 第二は、同じく刑事訴訟法を改正して、刑事手続において犯罪被害者等の氏名等の情報を保護するための制度を創設するものです。
 すなわち、裁判所は、相当と認めるときは、性犯罪等の被害者の氏名等について、公開の法廷でこれを明らかにしない旨の決定をすることができることとし、この決定があったときは、起訴状の朗読等の訴訟手続は、被害者の氏名等を明らかにしない方法で行うこととしております。また、検察官は、いわゆる証拠開示の際に、被害者の氏名等が明らかにされることにより、被害者等の名誉が害されるおそれ等があると認めるときは、弁護人に対し、被害者の氏名等が被告人その他の者に知られないようにすることを求めることができることとしております。
 第三は、民事訴訟法を改正して、民事訴訟におけるビデオリンク等の措置を導入するものです。
 すなわち、民事訴訟においても、証人尋問及び当事者尋問の際に、付添い、遮へい及びビデオリンクの各措置をとることを認めることとしております。
 第四は、犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律を改正して、損害賠償請求に関し刑事手続の成果を利用する制度を創設するものです。
 すなわち、故意の犯罪行為により人を死傷させた罪等に係る被告事件の被害者等は、被告事件の係属する裁判所に対し、被告人に損害賠償を命ずる旨の申立てをすることができることとし、当該裁判所は、被告事件について有罪の言渡しをした後、最初の口頭弁論又は審尋の期日において、被告事件の訴訟記録を取り調べた上、原則として四回以内の期日において審理を行い、決定によりその申立てについての裁判をすることとしております。
 第五は、同じく犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律を改正して、公判記録の閲覧及び謄写の範囲を拡大するものです。
 すなわち、刑事被告事件の被害者等には、原則として、公判記録の閲覧又は謄写を認めることとし、また、いわゆる同種余罪の被害者等にも、損害賠償請求権の行使のため必要があると認められる場合であって、相当と認められるときは、公判記録の閲覧又は謄写を認めることとしております。
 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上がこの法律案の趣旨であります。
 政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出した次第でありますが、衆議院において修正が行われております。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○委員長(山下栄一君) この際、本案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員上川陽子さんから説明を聴取いたします。衆議院議員上川陽子さん。
○衆議院議員(上川陽子君) ただいま議題となりました犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案に対する衆議院における修正部分につきまして、その趣旨及び内容を御説明いたします。
 政府の提出に係る本法律案は、犯罪の被害に遭われた方々やその遺族の方々が、刑事裁判に参加する制度、あるいは、損害賠償請求に関し刑事手続の成果を利用する制度といった、新たな制度の創設をその内容とするものであります。
 また、ほぼ同じ時期に裁判員の参加する刑事裁判制度の導入が予定されており、刑事裁判が大きく変わろうとしているところでもあります。
 こうした状況を踏まえた上での衆議院法務委員会での審議の結果、修正を行うこととした次第であります。
 次に、修正部分の内容について申し上げます。
 その内容は、本法律案の附則に、政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律による改正後の規定の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする旨の規定及び政府は、被害者参加人の委託を受けた弁護士の役割の重要性にかんがみ、資力の乏しい被害者参加人も弁護士の法的援助を受けられるようにするため、必要な施策を講ずるよう努めるものとする旨の規定を加えるものであります。
 以上が本法律案に対する衆議院における修正部分の趣旨及び内容であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
○委員長(山下栄一君) 以上で趣旨説明及び衆議院における修正部分の説明の聴取は終了いたしました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後二時二十六分散会