第166回国会 外交防衛委員会 第13号
平成十九年五月二十四日(木曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 五月二十二日
    辞任         補欠選任   
     小池 正勝君     福島啓史郎君
     末松 信介君     櫻井  新君
     中川 雅治君     川口 順子君
 五月二十三日
    辞任         補欠選任   
     川口 順子君     愛知 治郎君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         田浦  直君
    理 事
                岡田 直樹君
                山本 一太君
                浅尾慶一郎君
                柳田  稔君
                高野 博師君
    委 員
                愛知 治郎君
                浅野 勝人君
               北川イッセイ君
                小泉 昭男君
                関口 昌一君
                犬塚 直史君
                喜納 昌吉君
                佐藤 道夫君
                榛葉賀津也君
                白  眞勲君
                浜田 昌良君
                緒方 靖夫君
                大田 昌秀君
   国務大臣
       外務大臣     麻生 太郎君
   副大臣
       外務副大臣    浅野 勝人君
   大臣政務官
       外務大臣政務官  関口 昌一君
       外務大臣政務官  浜田 昌良君
       防衛大臣政務官 北川イッセイ君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        泊  秀行君
   政府参考人
       外務大臣官房審
       議官       猪俣 弘司君
       外務大臣官房参
       事官       伊原 純一君
       外務大臣官房広
       報文化交流部長  山本 忠通君
       文部科学大臣官
       房審議官     布村 幸彦君
       文化庁文化財部
       長        土屋 定之君
       防衛省防衛政策
       局次長      金澤 博範君
       防衛省運用企画
       局長       山崎信之郎君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○武力紛争の際の文化財の保護に関する条約の締
 結について承認を求めるの件(内閣提出、衆議
 院送付)
○武力紛争の際の文化財の保護に関する議定書の
 締結について承認を求めるの件(内閣提出、衆
 議院送付)
○千九百九十九年三月二十六日にハーグで作成さ
 れた武力紛争の際の文化財の保護に関する千九
 百五十四年のハーグ条約の第二議定書の締結に
 ついて承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送
 付)
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○委員長(田浦直君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、中川雅治君、末松信介君及び小池正勝君が委員を辞任され、その補欠として櫻井新君、福島啓史郎君及び愛知治郎君がそれぞれ選任されました。
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○委員長(田浦直君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
 現在、本委員会に付託されている条約の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として外務大臣官房審議官猪俣弘司君外六名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田浦直君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
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○委員長(田浦直君) 武力紛争の際の文化財の保護に関する条約の締結について承認を求めるの件、武力紛争の際の文化財の保護に関する議定書の締結について承認を求めるの件及び千九百九十九年三月二十六日にハーグで作成された武力紛争の際の文化財の保護に関する千九百五十四年のハーグ条約の第二議定書の締結について承認を求めるの件、以上三件を一括して議題といたします。
 三件の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○緒方靖夫君 おはようございます。
 武力紛争の際の文化財保護条約などについて質問させていただきます。
 ハーグ条約は、第二次世界大戦で大量の文化財が破壊された被害に遭ったことを受けて、武力紛争の際の文化財保護のための包括的な国際約束として作成されたものだと思います。ですから、世界遺産条約と並び、国際的な文化財保護のための主要条約とみなされていると思います。これを締結することは、日本が国際社会における文化財保護のための取組で積極的な役割を果たす上で極めて重要であると考えます。
 そこでお尋ねいたしますけれども、日本が署名から今日まで五十年以上条約締結に至らなかった理由は何か、簡潔に伺いたいと思います。
○政府参考人(山本忠通君) お答えいたします。
 大きく分けて二つの理由がございます。
 まず、これらの条約などは、武力紛争の際の文化財の保護に関する条約ということで、国内実施に当たって必要となる立法措置が有事法制の一端を成すものになります。我が国におきましては、長年にわたりまして、これら条約などの実施法を含む有事法制について本格的な検討を行い得る状況にはありませんでした。しかし、近年では、我が国におきましても有事法制の整備が進んでおりまして、これら条約などを締結する環境が整ったと言えます。
 第二は、条約の内容そのものにかかわる問題でございます。
 この条約は、特に重要な文化財に対してより高い保護を与える特別の保護という制度を定めています。この特別の保護が付与されるためには、文化財が軍事目標から十分な距離を置いて所在するとの条件を満たすことが要求されています。しかし、条約上、この十分な距離というのが具体的にどの程度かというのが明らかではなく、また、我が国として、当初、その特別の保護の申請対象として検討しました京都とか奈良の地域がこの要件を本当に満たすことができるのかどうか不明確であったとの問題がありました。そういうこともあって締結が困難であったとの事情もありました。
 しかし、この条約の内容につきましては、二〇〇四年に発効した第二議定書におきまして、特別の保護の制度を改善するために、強化された保護という制度が新たに設けられました。この制度は、特別の保護の制度において問題になっておりました十分な距離という概念を制度を適用するための要件に含めておりません。このことによって、より高い保護を与えられるべき我が国の文化財について、強化された保護の利用を通じて特別の保護と同じ程度の保護を受けられるようになりました。
 このような状況の変化があったことで、今国会におきまして、これら条約の締結につき承認をお願いすることになったものでございます。
○緒方靖夫君 今の御答弁で、結局、条約の第八条だと思いますけれども、特別の保護がある、そしてそれにかかわって、更に議定書によって同制度の改善の中で文化財と軍事目標間の十分な距離の概念が制度適用の要件から除外されるという措置がとられるという、そういうことになったわけですね。
 そこで、日本でいえば、京都か奈良というのは、そういう重要文化財が集中しているところは常識的に考えればそういうことになるわけですけれども、同時に、そういうところだけではなくて、例えば原爆ドームなど、世界遺産に登録されている文化財の多くに保護ができる可能性が出てくるのではないかと思うんですけれども、その点についてお伺いいたします。
○政府参考人(土屋定之君) お答え申し上げます。
 先生御指摘の強化保護文化財につきましては、御存じのとおり、第二議定書におきまして、その文化財が人類にとって最も重要な文化財であることなどの条件を満たす場合には、ユネスコの一覧表への記載を要請することができるというふうにされてございます。
 それで、具体的にこの強化された保護の付与に係る手続でありますとかまた基準でございますが、これにつきましては、今後、武力紛争の際の文化財の保護に関する委員会におきまして今後作成されていくものというふうに承知してございます。
 したがって、我が国といたしましては、その手続でございますとか基準を踏まえながら、我が国の貴重な文化財、先ほど先生御指摘のような文化財が適切に保護する、それらを保護する観点から具体的な検討を行っていくということとさせていただきたいと考えております。
○緒方靖夫君 そうすると、端的に伺いますけれども、原爆ドームなどに対してそれが適用されるという可能性はあるわけですよね。
○政府参考人(土屋定之君) お答え申し上げます。
 私どもとしては、世界文化遺産に登録してあるものについては該当するのではないかというように考えてございます。
○緒方靖夫君 はい、よく分かりました。
 外務大臣にお伺いいたします。
 外務省の資料によると、例えば第二議定書の締結状況を見ますと、現在四十四か国にとどまっていると。依然として実効性の面で課題が多い状況がうかがえるわけですけれども、日本が文化財保護のために積極的な役割を果たそうとするならば、アメリカやイギリスなど未締結の国の条約締結を呼び掛け、文化財保護に取り組むユネスコ支援の強化など、国際社会でやはりしかるべきイニシアチブを発揮すべきだと、そう考えるわけですけれども、その点についてのお考えをお伺いいたします。
○副大臣(浅野勝人君) 緒方先生御指摘のとおり、アメリカとイギリスは条約と二つの関連議定書のいずれも締結しておりません。
 アメリカでは、クリントン政権時代の一九九九年に批准に向けた動きが見られましたが、その後、議会審議は行われておりません。ただ、この条約に関するアメリカ議会がどういう対応するのかということについて最近改めて確認したところでは、近々締結に向けた具体的な動きが出てくるのではないか、出てくるらしいという情報に接しております。
 それから、イギリスですけれども、この条約には不明確な部分、先ほど政府参考人がお答えをさせていただきましたように、十分な距離とは何ぞやというようなところがあいまいな状況にあったものですから、イギリスでも未締結で、締結しておりませんでした。しかし、この制度を改善する第二議定書が採択されましたので、イギリスでも条約締結に向けた環境が整ったということで締結の作業に入っているということのようであります。
 したがいまして、日本としても、この条約は文化財保護のための国際的な枠組みの重要な部分を構成しておりますので、我が方が締結が終わりましたら、アメリカ、イギリスを含む関係国に対して条約締結に向けた働き掛けをしていく所存でございます。
○緒方靖夫君 次に、我が国が過去に植民地とした他国から日本に持ってきた文化財の返還問題についてお伺いいたします。
 韓国の報道によりますと、日本が植民地時代に持ち去った文化財の返還を目指す民間団体、朝鮮王室儀軌還収委員会、還収は戻し収めるということですね、還収委員会が今年三月、北朝鮮の朝鮮仏教徒連盟と会合いたしまして、日本の宮内庁が所蔵する朝鮮王室儀軌等の返還運動を共同で実施するということで合意したということであります。
 朝鮮王室儀軌とは朝鮮王朝時代の主要な出来事を記録した書籍のことなんですけれども、この朝鮮王室儀軌の返還要求に関して外務省はこれまで韓国側からどのような働き掛けを受けどう対応されてきたのか、簡潔で結構ですが、お答えください。
○政府参考人(伊原純一君) 今委員御指摘の朝鮮王朝儀軌でございますけれども、これは昨年十二月に韓国の国会におきまして、日本所蔵朝鮮王朝儀軌返還要求決議文という決議が採択されております。今年の一月に、この決議に基づきまして、韓国の国会事務総長から我が国の政府に対して我が国が所有する朝鮮王朝儀軌のいわゆる返還要求というのがございました。それから、今御指摘のその韓国の仏教関係者等から成る朝鮮王室儀軌還収委員会からも我が国政府に対して返還の要請がございました。
 一方で、日韓間では、一九六五年の韓国との請求権・経済協力協定によりまして、両国及び両国民間の財産それから請求権に関する問題、これは完全かつ最終的に解決されております。また、その同年の一九六五年の韓国との文化財・文化協定では、日本国政府はこの協定の附属書に掲げる文化財を両国政府間で合意する手続に従って協定の発効六か月以内に韓国政府に対して引き渡すというふうに定めておりますけれども、この朝鮮王朝儀軌につきましては、この引渡しを行うべき文化財には含まれておりません。また、その他の条約によっても引き渡すという法的義務は負っておりません。したがいまして、我が国としては、この朝鮮王朝儀軌につきましては、韓国側に引き渡す法的義務を何ら負っていないという立場でございます。
 今後につきましては、我が国が韓国に対し文化財を引き渡す法的義務は何ら負っていないということを大前提といたしまして、個別の事例に応じて対応していきたいと、そのように考えております。
○緒方靖夫君 個別の事例に対応するということは、大臣、とても大事だと思うんですよね。
 それで、今話がありましたけれども、昨年十二月の韓国国会決議があると。そこでは、これについて必須の文化財であると、そう述べて、同時に、過去の不幸だった韓日関係を清算し、更に発展的な韓日関係を持続するために、日本政府が文化財の原産地返還というユネスコの精神に立って朝鮮王室儀軌を直ちに大韓民国政府に返還することを求めると、そう記しているわけですね。
 やはりこういう決議についてどう受け止められるのか、端的にお伺いいたします。大臣に。
○国務大臣(麻生太郎君) 基本は今申し上げたとおりでありまして、条約は既に締結をしておりますから、政府として韓国に対して文化財を引き渡す法的義務は全く負っていない、これだけははっきりした上でどうするかという話だろうと存じますので。
 最近に起きた例でいえば、例の北関大捷碑の話があるんだと思いますが、日露戦争のときに持って帰ってきたと言われておりますものが靖国神社に保管されていたあの件ですけれども、あれは昨年、一昨年でしたか、今年平成十九年か、じゃ一昨年、一昨年の平成十七年の十月に靖国神社と韓国政府との間でいわゆる合意に基づいて引渡しが行われたということであって、肝心なことは、返還ではなく引渡しが行われたというところが一番肝心なところだと存じます。
○緒方靖夫君 個別の対応ということが非常に大事だと私の方で申し上げたのも、今大臣がお答えになったことと通じると思うんですよね。
 やっぱり日韓基本条約以降も日韓の友好のためにそういうことが行われてきたと、そして日本政府の側からも友好的な対応ということを考慮してきたという、そういう経過があるわけですよね。それに対して、やはり韓国の側もそれに対してこたえてきていると。例えば、韓国の国会決議は、大韓民国国会は日本が最近我が国に返還した北関大捷碑や朝鮮王朝実録などの事実で見せた精神を高く評価すると、こういうふうに述べているわけですね。その上で、朝鮮王室儀軌の返還に関して、引渡しでもいいです、言葉はどうでもいいです、日本政府が韓日両国の友好関係を発展させるために具体的な対応を行うようにと求めているわけですね。
 ですから、私は、やはりこの間いろんな問題があった、日韓関係ではですね。そういう関係も考慮しながら、それからまた、過去に行ってきた前向きのそういう日本政府の行動、これは高く評価されているわけですから、やはりそういうこともすべて考慮して、やはり外務大臣としてこういう問題に対して、こういう先方の要望に対してはやはり前向きに物事を解決する方向で、言葉は本当にどうでもいいです、引渡しでも何でもいいですけれども、要するに物が向こうに移るという、そういうことが実現することが大事ではないかと思うんですけれども、最後にそのことを、大臣のお考えをお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(麻生太郎君) 今の朝鮮王朝実録はこれは靖国じゃなくて東大だったと思いますんですが、こっちは東大、それからその前は靖国神社と。片っ方は宗教法人、片っ方は大学法人ですから、いずれもこれは政府が直接関与しているわけではないというところでありますので、返せとかなんとか言う立場にないということだけははっきりしていると存じます。
 その上で、こういった今みたいな御意見があるということは私どもとして尊重しておくべきところだと存じます。
○緒方靖夫君 終わります。
○大田昌秀君 外務大臣にお伺いいたします。
 ハーグ条約と同議定書及び第二議定書の締結については賛成ですが、二、三の質問をお願いしたいと思います。
 ハーグ条約は、文化遺産などの文化財は人の生命や生活と同様に戦争時に守るのが人道主義であり倫理の問題であるとの趣旨に基づいて、文化財保護という人類共有の理想を国際社会挙げて追求していこうという精神に立っていることは御承知のとおりでございます。それだけに、国際紛争の平和的解決を目指す憲法を擁する我が国としては、本条約に基づく措置をどの国よりも率先垂範して取り組んでいかなければならないと考えますが、本条約の締結に当たって外務大臣の御決意をお聞かせください。
○国務大臣(麻生太郎君) 基本姿勢を言っておられるんだと思いますが、これは第二次世界大戦のときに大量の文化財というものが焼失したり破壊されたりということになったり、また持ち去られたりしたものもございまして、いろいろある。そういったものは、やっぱり国際的にこの種の貴重な文化財は保護されるべきではないかというような一種の国際世論みたいなものが、特に先進国中心に、ヨーロッパ中心にというか、そういうところで起き上がってきて、これは国際連合教育科学文化機関、いわゆるユネスコというところでこの話が出てきて、そして一九五四年にこれが作成をされたという経緯がありますので、私どもとしては、こういったものは基本としてはすごく大事なところでもありますので、我々としては、似たような、今度は持ち去られた側でもあってみたり持ち去った側であってみたり、いろいろなこれまでの過去の経緯がございますので、そういった意味で、こういったものは国際協力という見地からこれは大変有意義なものだというように考えて、これはきちんとして対応をしていかねばならぬものだと思っております。
○大田昌秀君 同じく、外務省にお願いします。
 イラクは現在戦時下にありますが、この国には世界遺産に認定された文化遺産が二件、このほか、フセイン政権時代に世界遺産に登録申請したものだけでも五件あると報じられています。
 しかし、イラクは現在実質的に占領され、イラクを実質的に占領しているのが本条約を批准していないアメリカとイギリスということもあって文化財の破壊や流出が心配されますが、現状はどうなっているのか、外務省としての御認識をお聞かせください。
○政府参考人(山本忠通君) 今、まさしく委員御指摘のとおり、アメリカと英国は条約を締結しておりません。他方、現在、イラクの文化財につきましては、これを守るためのいろいろな措置がとられております。
 国際的には、例えばユネスコを中心といたしまして文化財の保護のために各種の協力が実施されております。
 例えば、そのユネスコは、イラク復興信託基金というようなものを通じまして文化財保護法制の見直しや職員の研修、考古遺跡や歴史的建造物の警備強化のための機材供与や訓練などを実施しております。また、平成十五年十月にはイラク文化遺産救済国際調整委員会というものを設置いたしまして、二回会合を行いまして文化遺産の保護などに関して専門家による議論を進めてきております。
 また、我が国もイラクの復興支援事業に努力してきておりまして、例えば、イラクの貴重な文化財の保護のために我が国の経験や技術を生かした協力を行ってきております。
 具体的には、平成十五年八月に東京におきましてイラク文化財保護国際会議を開催して、バグダッド国立博物館の復興、文化遺産や歴史的建造物の保存、修復の方法などについて意見交換を東京で行っております。また、ユネスコにあります文化遺産保存日本信託基金というものを通じましてバグダッド国立博物館の修復事業を実施しております。また、そのほか、国連のイラク復興信託基金を通じて考古遺跡の警備強化にも協力しております。
○大田昌秀君 通告してない質問で恐縮ですが、どなたでも結構ですけど教えてください。
 去る太平洋戦争で京都が原爆の第一目標にされていたわけなんですが、それが外された経緯についてどなたか御存じでいらっしゃいますか。
○国務大臣(麻生太郎君) 一番年食っているからこっちなんだろうと思いますんで。
 これは、長崎に落ちる予定ではなかったことははっきりしております。そして、目標としては、京都が曇っていたという理由も一つありましたし、いろいろな天候の条件もあったというように聞いておりますが、大阪等々工業地帯ということでスタートをしておりましたが、当時の天候状態でというのが一つ。
 二つ目は、京都については、時はたしか、あれはライシャワー等々、いろいろ当時、日本の文化に詳しかった駐日アメリカ大使等々、いずれも京都だけは断固反対し、アメリカ航空部隊、後世の汚点に残るでしたか、何かそういうセリフだったとたしか記憶しますけれども、それがあのとき上に上げられて、結果として、三菱重工のいわゆる造船所のありました長崎がたまたま当時晴れていたこともあって向こうの方に視点が移ったというようなのがたしか通称言われている話でありまして、これがどれぐらい確実なものであったかというのは、当時の航空記録がきっちり出たというわけではなく、いわゆる文書による指令ではなかったというように聞いております。
○大田昌秀君 一つには、当時のスチムソン陸軍長官がトルーマン大統領に進言したということもあるわけなんですが。
 防衛省に関連してお伺いしたいんですが、ハーグ条約第七条において、軍事上の措置として、同条二項では、締約国が文化財の尊重を確保すること及び文化財の保全につき責任を有する文民機関と協力することを任務とする機関又は専門職員を平和時に自国の軍隊中に設置しとありますが、防衛省としては、自衛隊内に文化財担当専門機関を設置するなど、どのように対応なさるおつもりですか。
 と申しますのは、実は沖縄戦のときに、首里城というのがございまして、ここには国宝並びに国宝級の文化遺産が二十三もあったわけです。ところが、その首里城の地下に守備軍司令部をつくったものですから、今のように京都に対する配慮なんかは全くなされずに攻撃されて、二十三の国宝、文化財が全部全滅させられたわけですね。
 そういう意味で、有事の場合に軍隊がどういう措置をするかということはもう本当に重要なことになってきますので、防衛省としては、この点についてどのようにお考えなのか、どう対応なさるおつもりか、お聞かせください。
○政府参考人(金澤博範君) 今先生のお尋ねの条約第七条の機関につきましては、今当省におきまして、どの部署にこれを担当すべきかということを鋭意検討いたしております。できるだけ速やかに確定させまして、この条約が我が国に適用された暁には、この条約を含む国際の法規慣例をしっかり遵守するという考えで今鋭意やっておるところでございます。
○大田昌秀君 是非その点をしっかりお願いいたしたいと思います。
 文部科学省にお願いいたします。
 御承知のように、先日来、衆議院でも参議院でも、沖縄における集団自決の問題について、教科書の検定から軍命によるという文章が外されたということで大きな騒ぎになっています。
 肝心の慶良間の座間味村とか渡嘉敷村は六月議会でその撤回を求めるということが報じられておりますし、それから県議会での調査によりますと、約九割がこれはけしからぬというお話の答弁をしているということが報じられておりますけれども、現在、また御承知のように、この問題をめぐっては裁判にかかっているわけなんですね。その判決が出ない段階で外すという、その経緯について教えてください。
 それから、軍命とは一体何なのかということもついでに教えてください。
○政府参考人(布村幸彦君) お答えいたします。
 沖縄戦の集団自決についての教科書検定についてのお尋ねでございますけれども、検定意見につきましては、教科用図書検定調査審議会の専門的な調査審議に基づいて付されたものでございます。
 この審議会の意見を事務方として御説明申し上げさせていただければ、日本軍の隊長が住民に対しまして集団自決命令を出したというのが従前通説であったという認識の下、現時点におきましては様々な議論があるということがありましたので、教科用図書検定調査審議会では、教科書の記述としては、軍の命令があった、あるいは軍の命令がなかったと、いずれかに断定しているという形で記述されていると沖縄戦につきましての誤解を与えることがあり得るという判断から検定意見が付されたものと認識しております。
 しかしながら、今回の検定意見は日本軍の責任や関与を否定するものではないというふうに理解しているところでございます。また、今回の検定意見について、軍の命令がどのような形でなされたかについては、教科用図書検定調査審議会では特に議論されていなかったというふうに承知いたしております。
○大田昌秀君 終わります。ありがとうございました。
○委員長(田浦直君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 まず、武力紛争の際の文化財の保護に関する条約の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(田浦直君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、武力紛争の際の文化財の保護に関する議定書の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(田浦直君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、千九百九十九年三月二十六日にハーグで作成された武力紛争の際の文化財の保護に関する千九百五十四年のハーグ条約の第二議定書の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(田浦直君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、三件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田浦直君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十時三十分散会