第166回国会 厚生労働委員会 第10号
平成十九年四月十二日(木曜日)
   午前十一時四十一分開会
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   委員の異動
 四月十一日
    辞任         補欠選任
     小林 正夫君     山本 孝史君
     前田 武志君     下田 敦子君
 四月十二日
    辞任         補欠選任
     山本 孝史君     小川 敏夫君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         鶴保 庸介君
    理 事
                阿部 正俊君
                中村 博彦君
                足立 信也君
                津田弥太郎君
                浮島とも子君
    委 員
                岸  宏一君
                坂本由紀子君
                清水嘉与子君
                武見 敬三君
                中島 眞人君
                中原  爽君
                西島 英利君
                南野知惠子君
                小川 敏夫君
                櫻井  充君
                島田智哉子君
                下田 敦子君
                辻  泰弘君
                森 ゆうこ君
                柳澤 光美君
                山本  保君
                小池  晃君
                福島みずほ君
   国務大臣
       厚生労働大臣   柳澤 伯夫君
   副大臣
       厚生労働副大臣  石田 祝稔君
       厚生労働副大臣  武見 敬三君
   大臣政務官
       厚生労働大臣政
       務官       松野 博一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        松田 茂敬君
   政府参考人
       総務省人事・恩
       給局次長     山崎日出男君
       外務省領事局長  谷崎 泰明君
       厚生労働大臣官
       房審議官     荒井 和夫君
       厚生労働省健康
       局長       外口  崇君
       厚生労働省社会
       ・援護局長    中村 秀一君
       厚生労働省年金
       局長       渡邉 芳樹君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(鶴保庸介君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日までに、小林正夫君及び前田武志君が委員を辞任され、その補欠として下田敦子君及び小川敏夫君が選任されました。
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○委員長(鶴保庸介君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省社会・援護局長中村秀一君外五名の政府参考人の出席を求め、その説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鶴保庸介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(鶴保庸介君) 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○津田弥太郎君 民主党の津田弥太郎です。
 まず、昨日の参議院本会議で、修正議決をされました雇用保険法の改正案が我々の反対もむなしく可決をされ、再び衆議院に送られることになりました。
 そこで、大臣にお尋ねをいたします。修正された雇用保険法改正案が成立をした場合、雇用保険料率の引下げについては四月一日にさかのぼって遡及適用される、すなわち、個々の労働者について施行期日の遅れにより支払う保険料に増加負担が生じないという理解でよろしいでしょうか。簡潔に。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 仰せのとおりと考えております。
○津田弥太郎君 実は、この四月の五日、全国紙の朝刊に厚生労働大臣ら処分方針という記事が掲載をされました。記事の中で、今回の文書配付問題に関する柳澤大臣及び厚労省幹部に対する処分内容が書かれておりましたが、この記事は次のように結ばれました。野党側が国会軽視だと猛反発し、採決が四月中旬に先送りされた。同法案は雇用情勢の改善を受けて雇用保険料を引き下げるもの。成立が遅れ、新年度からの引下げは実施できなくなった。
 先ほど、大臣は、雇用保険料については新年度当初からさかのぼって引き下げられるということを明言をしていただきましたが、この記事を文脈どおりに読むならば、ほとんどの人が明らかに雇用保険料の引下げそのものに実害が生じると誤って受け取ってしまいます。その結果として、少なからず混乱も生じているわけであります。
 厚生労働行政の内容に関し、このように重大な事実誤認を生じさせる報道が行われたことについて、当事者である厚生労働省としてはどのように認識をし、具体的に当該新聞社に対してどのような対応を取ったのでしょうか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今回の私どもの不手際というか失態によりまして、年度当初からの施行ということがかなわなくなったわけでございますけれども、施行は公布の日からということになったものの、保険料率については年度当初にさかのぼって引き下げられると、こういう修正をしていただきました。そういうことが行われているわけでございますから、新年度からの引下げは実施できなくなったと断言することは当然できないわけでございます。
 そこで、この報道に対しまして、私どもといたしまして抗議をし、また記事の訂正を求めたわけでございます。その結果、次の日の記事に、四月中旬にも成立する見通しで、成立遅れによる実質的な影響はない見通しということで、言わば訂正の記事が掲載されたところでございます。
○津田弥太郎君 対応としてはそういう方法しかないかと思うんですが、やはりそういう記事が書かれること自体大変大きな問題でありまして、当然、厚労省としてはいわゆる番記者がいるわけでありまして、そこに対してやっぱりきちんとした対応をするなり、日常的な対応をきちっと今後やっていただきたいというふうに申し上げておきます。
 それでは、本題の戦傷病者戦没者遺族等援護法の改正案について質問をさせていただきます。
 この法案は、五年前まで毎年、法改正が行われておりました。調査室に平成以降の審議状況を調べてもらいましたが、それによりますと、参議院において、委員会でも本会議でも、本法にかかわる改正案はすべて全会一致で可決成立をいたしております。まあ古い話ですが、イエス・キリスト時代のユダヤの国会兼最高裁判所であったサンヘドリンには、全員一致の議決は無効という規定もあったとのことであります。
 本日、五年ぶりに援護法についての質疑が行われるとともに、今後は基本的に本法による年金額の変更については自動改定の仕組みが設けられ、その他の枠組み変更がない限りは国会での法改正を必要としなくなるということであります。
 そうした事情にかんがみ、当然ながら議論そのものは決してタブーではないわけですので、本法によるスキームの実態をつまびらかにし、限られた時間でありますが、検証をさせていただきたい、このように思っております。
 もちろん、改正案について我が党は衆議院で既に賛成をいたしております。まあ私事で恐縮でありますが、私の伯父もサイパン島で戦死をいたしております。名前が私と同じ弥太郎と申しまして、祖父が、息子がそういうことで戦死をしたんで、私が生まれたときにその息子の名前を私に付けたというようなことが私のルーツでございまして、私自身、さきの戦争で散華された英霊の皆様、あるいは負傷、疾病によって障害を有することになった皆様に対する思いは委員各位と共通のものでありますので、本日の質問もそうした立場からではありますが、質疑の流れの中で多少私が悪者になるような場面もあることをあらかじめ断っておきたいと思います。
 まず、援護法の趣旨について、大臣、簡潔に御説明ください。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 戦傷病者戦没者遺族等援護法でございますけれども、この法律は、軍人軍属及び準軍属の公務上の傷病及び死亡に関し、国家補償の精神に基づきまして障害年金、遺族年金等の支給を行うものであると、このように認識をいたしております。
○津田弥太郎君 ただいま大臣答弁の中に、国家補償の精神というふうにおっしゃいました。それはどのようなものですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 当援護法におきます国家補償の精神でございますが、これは軍人軍属等、国と雇用又は雇用類似の関係にあった者が戦争関連の公務によりまして傷病を負い、又は死亡したことに対して国が使用者の立場から補償するという趣旨でございます。
○津田弥太郎君 関連してお尋ねいたします。
 軍人軍属につきましては、戦争中から、亡くなられた場合には遺族扶助料を支給する、それから身体障害を受けた方には障害年金を支給するという規定がありました。これはポツダム政令によって一時停止をされたわけですが、そもそも援護法による給付については、戦前のそうした約束を敗戦後の日本も守る義務があるとの考えが背景にあるのでしょうか。それとも、そうした戦前の制度とは無関係に、戦後新たな概念で構築されたものなのでしょうか。大臣、いかがでしょう。
○政府参考人(中村秀一君) お答え申し上げます。
 従来、官吏、軍人も含みますけれども、そういった方々につきましては恩給法によりまして対応されていたわけでございますが、今委員お話ございましたように、軍人につきましては終戦によりまして給付が停止されておりました。昭和二十七年にこの援護法が作られたわけでございますが、これは国と雇用又は雇用類似の関係にあった者とその御家族を対象といたしました制度でございまして、恩給法による給付が停止されました軍人のほか、軍属、準軍属、そういった方々とも対象にされたわけでございます。
 そういった意味では、委員のお尋ねの中の停止された部分を含み、更に広い範囲の方々を対象にしたわけでございますが、昭和二十八年に軍人恩給が復活いたしまして、軍人とその御遺族の方は援護法から恩給法の方に移行されまして恩給法の給付を受けることになりましたが、ただいま申し上げましたように、援護法は多少、軍人の方につきましても範囲が広いという部分があること、さらに恩給法の対象にならなかった方々も対象にしているというようなことで、厳密に申し上げますと、援護法は恩給法に比べてやや広い範囲を対象にしているという関係がございます。
○津田弥太郎君 それでは、遺族給付に限ってお尋ねしますが、国が使用者の立場から行う補償とは、世帯の主要な働き手を失ったことに伴う経済的な損失に対する補償なのでしょうか。それとも、遺族の方への精神的な慰謝の側面も含めた補償なのでしょうか。大臣、いかがでしょう。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 援護年金の性格でございますが、必ずしも一義的にとらえられるものではないというふうに考えております。
 お尋ねの点につきましては、国が使用者としての立場から国家補償の精神に基づきまして支給するものとされていることからすれば、基本的にはやはり経済的な損失を補償する面を有しているのではないかと、このように考えております。
○津田弥太郎君 この遺族給付について、これまで給付額が引き下げられた例はございますか、端的にお答えください。
○政府参考人(中村秀一君) 援護年金につきましては、これまで減額改定が行われたことはございません。また、恩給に準じた額の改定がなされてきたという経過がございまして、もう一度申し上げますと、減額改定が行われたことはございません。
○津田弥太郎君 また、これは確認でありますが、公的年金と遺族給付とは何ら抵触せず併給されるものかどうか、これも端的にお答えください。
○政府参考人(中村秀一君) 公的年金とこの援護年金を支給を調整する措置は行われておりません。
○津田弥太郎君 昭和二十九年の予算委員会において答弁に立ちました犬養健法務大臣は、この方は後に造船疑獄の際に指揮権を発動した方であります。彼が援護法に関してこのように述べております。この法律の精神というのは、一人でも多く戦傷病者あるいは戦没者を夫に持つお気の毒な婦人の実生活を実際的に助けようという精神から出ておるんじゃないかと申されております。犬養大臣は援護法の直接の所管大臣ではありませんが、当時、政府・与党内においては援護法の主たる眼目は直接的な経済的困窮に対する支援と受け止められていたことを物語っております。
 そこでお尋ねします。遺族給付を受けられている世帯について、法律の制定した昭和二十七年から現在までの間に、主として経済的な側面に関する生活実態調査を行ったことはございますか。
○政府参考人(中村秀一君) お答え申し上げます。
 この年金につきましては、国家補償の精神に基づき、使用者の立場から、公務あるいはそれに関連する業務によって亡くなられた方について補償するものでございます。
 先ほど、公的年金と調整されずと申し上げましたのも、公的年金は社会保障として所得保障制度の機能がございますが、国家補償の精神に基づいて、違う立場から給付がされているということで調整していないということでございます。
 援護年金につきましては、そういった意味で、対象者に対して低所得であるというような規定がございませんので、そういった意味で、所得や資産を調査して支給の可否を決定するようなことはございません。
○津田弥太郎君 そうしますと、これまで遺族給付を受けられている世帯の中で、例えば年収が一千万円を超すとか、あるいは資産が数億円という世帯が含まれている可能性もあるという理解でよろしいでしょうか。
○政府参考人(中村秀一君) そういった意味で、所得制限を行う規定がございませんので、そういった方がおられるのかどうかは別として、可能性としてそれを排除するものではございません。
 ただ、一点だけ補足をさせていただきますと、御遺族の年金につきまして、例えばお子さんの場合は十八になりますと年金がストップされますが、そのお子さんが重度の障害をお持ちの方の場合は十八を超えても遺族年金が支給されます。ただ、その場合は、障害を持つお子さんの所得が多い場合は制限されるという、ごく一部ではございますが、そういう例外はございます。
○津田弥太郎君 はい、分かりました。
 昭和二十七年の法制定時には、公務死亡の場合、配偶者への遺族年金は一万円、その他遺族への年金額は五千円でした。現在は、配偶者とその他遺族を区別せずに百九十六万二千五百円の年金を支給をいたしております。もちろん、昭和二十七年当時の一万円あるいは五千円と現在の一万円、五千円とでは貨幣価値が異なるわけですが、昭和二十七年当時の一万円を現在価値に換算したところ、およそ六万三千七百円ということでございます。そうすると、本法による給付額については、実質的には三十一倍に跳ね上がっているということになるわけであります。
 経済的な困窮の度合いからすれば、法律の制定時のときの方が遺族の方々の苦しみは著しかったのではないかと思われるわけですが、大臣は、この間の国家補償の精神に基づき支給される遺族給付がこのように実質三十一倍になったということについてどのように評価をされておられるか。特に、今回の改正においては年金額について自動改定の制度が導入され、年金額の実質的な水準そのものは将来にわたり固定されてしまうということを踏まえ、大臣の率直な御見解をお伺いいたします。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 援護法が制定された二十七年当時と我が国の現状を比較いたしますと、やはり我が国がいろんな意味で豊かになってきたという面は否めないと、このように考えるわけでございます。そうした中で、諸給付について上方への改定が行われてきたということが実態としてございます。そういう中で、この援護法による遺族年金の主たる対象者、軍人軍属、準軍属の遺族でございますけれども、この年金の額につきましても、軍人の遺族に対する恩給に準じて累次、改定が行われてまいりましたことは委員も御指摘のとおりでございます。
 この額の水準につきましては、国家補償の観点から、従来から、先ほど申したように、できる限りの改善を行ってきたということでございまして、この補償の水準というものは、国会の御審議も経て妥当なものとしてこれが決定されているというふうに私ども評価をさせていただいている次第でございます。
○津田弥太郎君 現在十八歳未満の子である遺族年金給与金受給者は、全国に何人いらっしゃるでしょうか。また、子供への遺族給付は何歳まで行われているのでしょうか。原則と例外についてお答えください。
○政府参考人(中村秀一君) お答え申し上げます。
 障害を持つお子様への遺族年金の給付は、原則十八歳まででございます。先ほど申し上げましたように、一定程度以上の障害をお持ちの方に対しましては十八歳を超えて支給されると、ただ、その場合には一定の所得以下でなければならないと、こういうことでございます。
 ちょっと今、例外の人数については、少し、後ほどお答えを、今資料があれば、お答えさせていただきます。ただいまちょっと見当たりませんので、申し訳ありません。
○津田弥太郎君 通告しておりますので、きちっと後で答えてください。
 大臣、十八歳までの間に重度障害になった子について、七十歳とか八十歳に達しても生涯遺族給付が行われるわけであります。その場合、軍人軍属、準軍属の父親が公務死亡として認定されると遺族給付の金額は年間百九十六万二千五百円ということです。私はこのことが悪いと言っているのではありません。しかし、一昨年来、障害者自立支援法によって重度障害者に対しても従来以上の重い負担をさせている中で、片や援護法のスキームにおいては、同じ重度障害者について、重度障害者となった理由が本人の著しい過失であったとしても、また本人がいかに巨額の資産を有していたとしても、それとは無関係に年間約二百万円が生涯にわたり給付されていきます。
 私は、親が軍人軍属、準軍属以外の重度障害者についても手厚い公的支援を行っていただきたい、そうでなければ同じ厚生労働省の行う施策としてはバランスを失するのではないかと考えますが、この点に関し大臣の御見解をお伺いいたします。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 援護法による遺族年金でございますけれども、これは冒頭から御説明をさせていただいておりますとおり、国が使用者としての立場から国家補償ということで支給をいたしておるものでございます。
 この補償という字は、音にしますと社会保障の保障と同じわけでございますけれども、この補償というのは補い償うというような言葉でございます。そこに表れておりますとおり、一般の障害者の福祉政策とはやや性格が異なると私ども考えておりまして、したがいまして委員の御指摘の子の、遺族としての重度障害のある子の場合と一般のそうしたお子さんとの関係を直ちに比較することは私ども適切でない、適当でないと、このように考えております。
○津田弥太郎君 はい、分かりました。
 次に、援護年金受給者の年齢別内訳に関してお尋ねをいたします。
 平成十八年十二月末時点において、十歳刻みの年齢階層区分をした場合に、最も低年齢となる六十歳から六十九歳の障害年金受給者が百七人いらっしゃいます。この数字は、遺族への給付ではなく、障害年金、すなわち傷病者本人への給付についてであります。この百七人の方々は戦争終了時点で何歳から何歳までの方々ということになりますか、簡潔に数字のみお答えください。
○政府参考人(中村秀一君) お答え申し上げます。
 これらの方の終戦時における年齢は八歳以下になります。
 もう一つ、先ほど答弁できませんでした点が分かりましたので、お答えさせていただきます。
 遺族年金受給者で子、孫の方の人数は七百八十一人でございます。そのうち十八歳未満の方が三名でございますので、逆に申し上げますと、七百七十八人の方は十八歳以上でございます。ということは、御自身が障害をお持ちで低所得の方がその人数いるというふうに考えられます。
○津田弥太郎君 そうしますと、その方々は年齢的によもや、八歳未満ということですから軍人軍属ということではないと思うんですが、準軍属の七つの区分の中でどれに含まれることになるのでしょうか。区分ごとの人数を御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(中村秀一君) お答え申し上げます。
 今申し上げた方々は、援護法においては軍の要請に基づく戦闘参加者と位置付けられるのではないかと思います。援護法におきましては、準軍属の定義の中に軍の要請に基づく戦闘参加者が入ってあります。
 具体的には、地上戦が行われた沖縄等の地域において軍の要請などによって弾薬や食料の運搬、炊事、道案内など戦闘を幇助する軍事行動に参加した者も戦闘参加者として処遇されております。年少者につきましては、このような戦闘参加者としての実態がある場合には準軍属として処遇されているということでございます。
○津田弥太郎君 沖縄県のみ地上戦が行われた特殊性を踏まえ、母親におぶされた子供についても戦闘参加者として認定をしているということですが、そもそも、そうした判断は明文の根拠に基づいている対応でしょうか。それとも、あくまでも政省令などの紙には記されていない運用上の変更でしょうか。
○政府参考人(中村秀一君) お答え申し上げます。
 結論から申し上げますと、運用上の改善と、こういうことになります。
 援護法が制定された当初、戦闘参加者については特に年齢制限はございませんが、地域は、先ほど申し上げましたように、地上戦が行われているような地域というふうに地域が限定されると、こういうふうに考えられておりました。
 二十七年当時は、戦闘参加にするということでありますので、運用上は十四歳以上と、こういうことが運用されてきたようでございますが、その後、地上戦の実態などを配慮し、昭和三十六年に六歳以上の方も戦闘参加者とみなされるという運用がなされてまいりました。
 その後、昭和五十年代に入り、沖縄の場合などについては、保護者に抱かれて戦闘に巻き込まれた六歳未満もあるということで、昭和五十六年から、沖縄県とも協議の上、六歳未満の者もそういう実態がある場合については戦闘参加者とするという運用をすることとしたという経過がございます。
○津田弥太郎君 こうした重要な変更を行政の担当部局の運用上の変更で行ってしまったことは、制度の透明性という意味ではいささか問題があるのではないでしょうか。沖縄の子供たちを対象に認めることを根拠規定のない運用上の変更で行ったということは、逆に言うと、行政の都合で対象から外すことも可能となるということを意味するわけで、これは権利として極めて不安定なものであります。大臣、現在この点についてどのようにお考えですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) ただいま政府参考人から答弁申し上げましたように、戦闘参加者というものの年齢の考え方、目安につきまして変遷がございました。そして、昭和五十六年からは六歳未満も戦闘参加者の範囲に含めて制度を運用させていただくということにいたしました。そういうことをいたしましたときに、沖縄県におきましては、各地区で巡回相談を実施するなど周知徹底に努めたところでございます。
 また、御指摘の法的な、制度的な安定性ということについてでございますけれども、この六歳未満の者を戦闘参加者として援護法を適用することは五十六年以降現在まで変更することなく運用をいたしてきておりまして、現に受給をされている方がいることから、その取扱いは定着しているものと考えております。
○津田弥太郎君 それでは、法の制定以来、現在に至るまでの援護法による障害給付、遺族給付の支給総額はそれぞれ合計幾らでしょうか。概算で結構ですので、現在の貨幣価値に換算してお答えください。
○政府参考人(中村秀一君) 援護年金の支給総額は、平成十七年度までの決算額の合計で約三兆七千億円となっております。これを消費者物価指数を使用して一定の前提で換算いたしますと、現在の水準で約五兆円と、こういうふうに推計いたしております。
○津田弥太郎君 障害給付幾ら、遺族給付幾らという内訳は出ますか。
○政府参考人(中村秀一君) ただいますぐには出ませんので、後ほど、出るようでございましたら提出させていただきたいと存じます。
○津田弥太郎君 次に、前回改正の際に辻委員が行った質問と同趣旨ですが、援護年金給付及び援護年金制度のベースとなっております恩給費について、財政支出の今後の見通し、これは三年後で結構ですが、厚生労働省並びに総務省両省から、数字のみ端的にお示しをください。
○政府参考人(中村秀一君) 援護年金の今後の見通しでございますが、前提を置かしていただいて推計をさしていただきますと、現在、平成十九年度予算四百三十一億円に対し、三年後の平成二十二年度には三百四十億円と見込まれます。これは、公的年金の上昇率をゼロとして試算をさしていただいております。
○政府参考人(山崎日出男君) お答えいたします。
 恩給費の今後の見通しにつきましてもいろいろ難しい点はございますけれども、仮に公的年金の上昇率をゼロとして計算いたしますと、平成十九年度八千七百億円に対しまして、三年後の平成二十二年度におきましてはおおむね七千五百億円が見込まれるところでございます。
○津田弥太郎君 ちょっと時間が迫ってまいりましたんで、飛ばして、戦没者遺骨収集関連事業についてお尋ねをいたします。
 平成十九年一月一日現在で、海外戦没者の概数が二百四十万人、そのうち送還遺骨の概数が百二十四万人というふうに伺っております。二百四十万から百二十四万を引いた未送還遺骨の概数百十六万人について、今後、実際に収集の可能性が残されている遺骨は何万人ということになるのでしょうか、簡潔にお答えください。
○政府参考人(荒井和夫君) 今委員が御説明いただきましたように、百十六万柱が未送還となってございます。このうち、海底に眠る三十万柱につきましては、海深く沈んでおり実質的に収集が難しいこと、あと、戦没者の永眠の場所であるという認識も強うございます。そういう中で、なかなか難しい問題もございます。また、国民感情や宗教上の理由などで遺骨収集ができない地域が約二十六万柱ございます。
 したがいまして、遺骨収集の対象となる未送還の遺骨につきましては、海没遺骨の三十万、それから相手国の事情によって収集が難しい二十六万を引いた約六十万が対象になると考えておりまして、一柱でも多く速やかに収集いたしたいと考えております。
○津田弥太郎君 今六十万人というふうにおっしゃいました。この六十万人については、遺族の求めがある場合に遺骨を収集するという立場に立たれているのでしょうか。それとも、直接の当該遺族の求めとは無関係に、あくまでも国の意思として最後の一柱まで収集を続けるというお考えでしょうか。大臣、いかがでしょう。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 国のために亡くなられた戦没者の御遺骨を祖国にお迎えすることは、これは国の責務でございまして、そうした考え方で実施しているものでございます。
 したがいまして、遺族の求めの有無にかかわらず、とにかくできるだけ早期に一柱でも多くの御遺骨が収集できるように努める、これが国の責務と心得ております。
○津田弥太郎君 それでは、直近の平成十七年度あるいは平成十八年度の遺骨収集数はそれぞれ幾つでしょう。
○政府参考人(荒井和夫君) 平成十七年におきましては六百四柱、平成十八年度におきましては六百四十柱を収集いたしたところでございます。この数字は、その年その年の中で集めた情報を踏まえまして計画的に実施したものでございます。
○津田弥太郎君 指摘をさせていただきますが、今の御報告どおりだとすれば、計算上、最後の一柱が収集されるのはおよそ九百六十五年後になるということになるわけでございます。
 次に移らせていただきます。
 十八年度の補正後の予算で遺骨収集関連事業の予算額は二億四千三百万円、同様に十九年度予算では二億四千万円が確保されております。この遺骨収集関連事業について、これまで実際に見付かった遺骨のうち、DNA鑑定を依頼した件数、戦没者の特定ができた件数はそれぞれ何件でしょうか。数字のみを端的にお答えください。
○政府参考人(荒井和夫君) 端的に数字だけ申し上げさせていただきますと、平成十一年から十六年の間に収集いたしました八千二百五十一柱の遺骨に対しまして、当局保管の死亡者名簿などから推定できます関係遺族に対してDNA鑑定のお知らせを行い、申請のあった分につきまして順次、鑑定を行っております。
 現在、三千五百七十一柱の鑑定を実施し、三百八十柱の遺骨について血縁関係が認められるということが判明いたし、順次、遺族にその御遺骨を返還いたしているところでございます。
○津田弥太郎君 ただいま答弁されました平成十一年度から平成十四年度までの合計数について、これを年度ごとに区分けした数字を後日お示しをいただきたいと思います。
 次に、戦後六十二年経過をしている今日ではありますが、現在なお新たに障害給付の申請を求める旧軍人軍属、準軍属の方がいらっしゃるようであります。事実関係のみ明確にお答えいただきたいと思いますが、直近の三年間、平成十六、十七、十八年について、新たに障害給付の申請を求めた方の人数及び申請が認められた方の人数を年度ごとに明らかにしてください。
○政府参考人(中村秀一君) お答え申し上げます。
 十六年度におきましては二十一件受け付けをいたしまして、四件が認められております。十七年度は十八件中八件、十八年度は二十一件受け付け、可決件数が九件でございます。
○津田弥太郎君 障害給付を受けられていた方が不幸にしてお亡くなりになったとき、その死亡原因により公務死亡、勤務関連死亡、平病死亡に区分され、それぞれ支給される金額に大きな差異が生ずることとなります。
 そこでお尋ねいたします。直近の平成十八年、そして比較の意味で十年前の平成八年について、障害給付を受けられていた方が公務死亡、勤務関連死亡となる例はそれぞれ全体の何%でしょうか。また、公務死亡については申請者のうちで何%が認められているのでしょうか。全国の数字と、割合が高い都道府県五県、低い都道府県五県についてその数字をお答えください。
○政府参考人(中村秀一君) 順番にお答え申し上げます。
 まず、平成八年度におきまして、障害年金受給者が亡くなられて遺族年金の裁定をいたした件数は九十四件でございまして、お尋ねの公務死亡は三件、勤務関連死亡は三件でございますので、それぞれ三%、全体に対して三%となっております。
 十八年度は同様に、裁定処理件数は九十九件でございまして、公務死亡として認められた件数は四件、四%、勤務関連死亡として認められた件数は二件、二%でございます。
 そういった中で、公務死亡として、遺族年金等につきまして申し上げますと、平成八年、百四十五件中、公務死亡の認められたのが二十九件、二割でございます。高い県というお尋ねでございましたが、沖縄県が三件で一〇%、茨城県ほか八県が、八つの県が二件ございます。一方、北海道ほか二十八都府県では、そういった意味で裁定実績がございません。
 十八年度で申し上げますと百四件ございまして、公務死亡として認められた件数は七件でございます。死亡者のところを見ますと、裁定件数が多いのは沖縄県、福島県が一件でありますが、四十都府県については、近年は、その十八年度は裁定実績がないと、こんなような形になっております。
○津田弥太郎君 時間がなくなってまいりました。
 最後に、大臣にお尋ねします。
 援護法の遺族給付の対象となる遺族については、援護法による給付とは別に、他の法律に基づき特別給付金、特別弔慰金が、一定年限で償還される国債という形で支給をされております。これらの原資は当然ながら税金で賄われているわけでありますが、一方で、福祉の支えを本当に必要としている方々の窮状を考慮したとき、今後も戦没者、戦傷病者に対してこのような施策を継続していくことに大臣御自身が迷いなくおられるのか、いかがなのか、そのことを最後にお尋ねをしたいと思います。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 戦没者の御遺族に国として弔慰の意を表すために支給されております特別弔慰金、それからまた、戦傷病者等の妻の精神的痛苦に対して特別の慰謝を行うために支給されている特別給付金につきましてでございますが、今回の支給対象者に対して確実にこの対象者を捕捉するということに配慮をいたしております。
 加えまして、今委員の御質疑でございます今後の制度の継続でございますけれども、私どもとしては今回分と申しますか、それぞれの国債が最終償還を迎える時期に、また改めてそのときの諸状況、諸般の事情を勘案して検討をするということになるだろうと、このように考えます。
○津田弥太郎君 終わります。
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 前回の委員会で、自民党の坂本由紀子委員から、雇用保険法の改正について成立が遅れているのは国会そのものの責任だという発言がありました。これは厚労省、大臣自身が謝罪されまして処分もされたように、厚労省の責任であることは明白であります。しかも、与野党合意で国会日程を決めているわけで、こういう発言は天につばするものである、国会運営全体を私は冒涜する発言だと思っておりますので、厳しく抗議したいと思います。
 その上で、本法案ですが、戦没者等の配偶者、父母に対する遺族年金、遺族給付金を恩給の改定に準じて引き上げる。これ、受けた労苦を考えれば国家補償として当然必要であり、支持できるものです。
 最初に、確認の意味で簡単にお伺いしますが、これまでは恩給額の改定に準じて法改正行われてきましたが、今後は、要するに公的年金の引上げ率によって自動改定を行う、今後は法改正の必要はなくなるということでよろしいですね。
○政府参考人(中村秀一君) そのとおりでございます。
○小池晃君 このいわゆる軍人軍属だけでなくて、あの戦争の被害者全体に対して国として補償する、償うということは非常に大事なことだと思います。
 そこで、関連して、その一つである中国残留孤児の問題について伺いたいと思います。
 日本に帰国したいわゆる残留孤児は現在、何人ということになるんでしょうか。
○政府参考人(荒井和夫君) お答え申し上げます。
 昭和四十七年の九月の日中国交正常化以降、中国から永住帰国した中国残留邦人は、平成十八年度末現在で六千三百四十三人でございます。うち、残留孤児の皆様方は二千五百十三人でございます。
○小池晃君 今、全国十五か所で訴訟が行われていますが、原告人数は二千二百十二人です。二千五百十三名の帰国者のうち九割近い方が、やっと帰ってきた母国を相手にしてやむにやまれず訴訟に踏み切っているという事態になっているわけですね。
 この間の判決は、東京地裁の特異な判決を除きますと、いずれも早期に帰国させる義務があったこと、これを認めています。神戸、名古屋地裁では国の自立支援義務も認めております。この中国残留孤児問題の全面的で速やかな解決のために、日本共産党の議員団としても、安倍首相に対して二月二日、申入れを行いました。残留孤児・婦人への謝罪と損害賠償、生活保護制度とは別の新たな給付金制度の創設、二世、三世の自立支援施策の確立、原告弁護団との継続的、定期的な協議という中身でした。一月三十一日には安倍首相が原告団代表と面談して、柳澤大臣にも首相から指示があったと聞いておりますが、どのような指示だったでしょうか、大臣、お答えください。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 本年一月三十日、東京地裁の判決がありました後、安倍総理から、こうした裁判の結果とかあるいは法律問題とは別にして、中国残留邦人の方々への支援の在り方について、その置かれている特殊な事情を考慮して、与党ともよく相談しながら誠意を持って対応するようにとの御指示を受けたところでございます。加えまして、私は、総理との電話の話の中では、もう一つ、第三者である有識者の意見を聴くということも付け加えていただいたような記憶でございます。
○小池晃君 孤児の皆さんの実態をお聞きしますと、これ、原告団・弁護団が全国の原告二千二百人を対象にアンケートやっています。生活保護を七割以上の方が受けていることと、その生活保護を受けている方が一番不満に感じているのは金額が少ないこと、それから、中国に帰ると生活費が減額されてしまうこと、旅行ができないこと、こう続いてまいります。
 それから、就労経験については、六割以上の方が就労経験があるんだけれども、その職種で一番多いのは皿洗い、清掃作業、これは四三・八%、日雇労働が二〇・六%、言葉が不自由であり、帰国されたときに高齢になっていたということで、低賃金の単純作業にしか就労できないという実態があるわけです。
 大臣、真摯な謝罪ももちろんですが、孤児の皆さんが心から日本に帰って良かったと言えるようなやっぱり施策が必要なんだろうと思うんです。安倍首相も衆議院予算委員会の答弁で、皆様が、本当に日本に帰って良かった、生活は安心だと思っていただけるように、きめ細かに、そして誠意を持って対応しなければならないと、こう言っているんですね。
 大臣、大臣の率直な個人的な考えでもよろしいんですが、日本に帰ってきて良かったと言えるような水準というのは大体どういうものを考えていらっしゃるのか、お答えいただきたい。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 先ほど来お答えをいたしていることの中でもお答えしたわけですけれども、本件につきましては、まず、中国残留邦人の方々の声をよく聴くこと、それからまた、第三者として有識者の御意見を聴くこと、加えまして、与党でPTが立ち上がっておりまして、この問題についてかなり専門的な御議論、御検討をいただいておりますので、これらとのすり合わせも必要かと思っているところでございます。
 そのような中で、今総理の言葉として小池委員が引用されたようなことも念頭に置きながら、これを、まあ一律に何かあれということになるのか、その他もういろんなことを総合的に配慮していくというような措置になるか、これは一部は、一部はと申しますか、かなりの程度、私どもとしては本年度予算におきましても取り組ませていただいているというつもりでございますけれども、そういったこと、全体合わせて考えていかなければならないと思っておりますので、今、小池委員の相場観はいかにということについて一義的なお答えをするのは、私は差し控えさせていただきたいと、このように思います。
○小池晃君 今年度予算に盛り込んだというのは、これは新たな施策じゃないわけですよ。総理が指示したのは、これは新たな施策なわけですね。時間もこれ夏までといってももう四月も半ばで、総理も余り時間を掛けずにやってほしいという、そういうことも答弁している。そういうことでいうと、首相の指示は新たな支援策だと。新たな支援策というのは一体何なのか。そういうことでいえば、私はやはり生活保護に代わる孤児独自の給付金制度の創設というのは、これは新たな施策というのであれば、どうしてもこのことは避けて通れない必要不可欠な施策になるんじゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私もかねてお答えをしたわけですけれども、中国残留邦人に対する支援策の在り方につきましては、これまでの議論というものを、政府の内部の議論ですけれども、それを含めまして一度白紙に戻して残留邦人の方々の実情をよく把握した上で対応していくという考え方でございます。それがどのようなものになるか、総理の新たなことを考えるようにということもございますので、そうした御指示も踏まえましてこれから考えていくということでございます。
○小池晃君 それじゃ何も言ってないに等しいんでね。昨日、中国残留孤児全国連絡会の代表の方が与党のプロジェクトチームに申入れもやっているんですね。その中身では、やはり新たな給付金制度がどうしても必要だと。その水準としては、やっぱり考慮すべきものとしては、総務省が発表している同世代の日本人の平均消費支出統計を基本にして、北朝鮮の拉致被害者の給付金も参考にしてと。これは神戸地裁の判決で、北朝鮮拉致被害者への支援よりも貧弱で良かったわけがないという、そういう判決もあるので、具体的には孤児一人当たり十七万円、夫婦月額二十四万円というような数字もお示しされているんですね。
 やっぱり白紙というんじゃなくて、新たな支援策なんですから、やっぱり生活保護制度とは別の枠組みで考えると、そういう枠組みでやっぱりやっていくんだということはお示しいただきたいと思うんですが、その水準も含めて、大臣、いかがですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今委員の御議論の中で拉致被害者の方々との比較にもお触れになったわけでございますけれども、私どもは、この点については、共通する要素もあるということもありますけれども、やはり異なる要素も相当あるというふうに考えておるということを申し上げておきたいと、このように思います。
 いずれにいたしましても、支援策の在り方については、度々申して恐縮ですが、残留邦人の方々の事情をよく把握して対応するということでございまして、その場合にはいろいろなことを考慮して、私どもとして、有識者の意見も聴きながら、また与党PTの方々の意見の積み重ねにも配慮をしながら結論を出していくということをこの段階では申し上げておきたいと、このように思います。
○小池晃君 孤児の皆さんが抱えている問題も様々なので、この夏までにすべての問題が解決するわけではないと思うんですね。大臣、やっぱり、大臣も面会されていますけれども、やっぱり継続的な協議の場というのをやはりしっかりつくるべきではないか。控訴の取下げもそうなんですが、やっぱり孤児問題の解決のために恒常的なやっぱり厚生労働省と孤児の皆さんとの協議の場をつくっていくと。このことについてはどうですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 協議の場というものがどういうことをお考えの上で委員が仰せられているのかは理解をし難いと、こう思うわけでございますけれども、私どもといたしましては、まず、残留邦人の方々のいろんな生活の実情、あるいは直面している困難というようなことをしっかりその直接の声を聴きながら把握をし、そしてそれに対して的確な手当てが行われるような、そういうことを考えていきたいと、こういうことでございまして、今この段階で何か交渉と申しましょうか、そういうようなことを考えているということはございません。
 私どもとしては、先ほど来申し上げておりますように、まず邦人の方々の本当の訴えというものに耳を傾けること、そしてその上で有識の第三者の方々の御意見等もいただきながら、それからまた与党PTの積み重なった御議論にも、すり合わせと申しますか、そういったことをも考えながら、今後の取りまとめと申しますか結論を適切に得ていきたいと、こういうことでございます。
○小池晃君 それ、実態を知りたいんだったら、やっぱりきちっと定期的な協議の場つくって、もう本当に様々な問題抱えていらっしゃるんだから、そういう場にやはり着くべきだということを申し上げたいと思います。
 それから、続いて靖国神社問題なんですが、国立国会図書館が資料集出しまして、これ見ますと、旧厚生省と靖国神社が一体となって合祀進めてきたという経過が明白になっています。
 資料集を見ますと、旧厚生省の援護局が靖国神社との間で合祀基準に関する打合会など頻繁に開いて協議を重ねたという記録が収載されています。こうした打合会、例えば一九五八年四月九日の第四回合祀基準に関する打合会とか、同年九月十二日の第七回打合会、こういったものが資料が載っているんですが、そもそもこういう会合が開かれたということは事実はあるんですか。
○政府参考人(中村秀一君) お答え申し上げます。
 今委員からお話がありました国会図書館でまとめられた資料におきまして、昭和三十二年から昭和四十五年にかけて、旧厚生省と靖国神社との間で十数回の打合会の記録が収録されております。これらの会合に関する資料につきましては、私どもに保管されているものはございませんでした。
 今回、資料に記載されているような会合が、その日時、出席者、議題等について行われたこと、これ神社側の資料でございますけれども、こういう資料がありますので、そういう会合そのものについては、私ども確かめるすべはございませんが、事実と考えられるというふうに思っております。
 ただ、いろんな記載がございますが、それぞれの例えばいろんな発言とかそういったものもございますが、その趣旨、文脈がどういうものであるかということにつきまして、詳細について確認できるものはないというのが現状でございます。
○小池晃君 会合は事実だというふうにおっしゃる。
 それで、打合会の厚生省側の参加者名も記載されているんですが、これらの人物は実在した人物ですか。
○政府参考人(中村秀一君) 例えば、今委員が触れられました第四回とか、その会議の出席者を見まして、それぞれ私どもが持っております当時の職員の記録と照らし合わせますと、姓しか書いていない記録でございますが、姓が一致しておりますのでほぼ確実ではないかと思います。ある方については漢字の表記が違うというようなことはありますけれども、それはその人のことで多分あろうと、そういった意味で当時、旧厚生省の職員であったのではないかと、そういうふうに考えております。
○小池晃君 この記録集見ますと、六九年の一月三十一日に靖国神社の社務所で開かれた会合で、神社側は厚生省との再確認事項として、法務死没者のA級十二名、それから内地未決死没者十名を合祀可としています。その後、七〇年に総代会で合祀を決定しています。
 それから、BC級戦犯の合祀についても、一九五八年四月九日の第四回打合会で厚生省は、個別審議して差し支えない程度で、しかも目立たないよう合祀に入れてはいかがだと提案して、同年九月十二日の打合会でも、全部同時に合祀することは種々困難もあることであるから、まず外地刑死者を目立たない範囲で了承してほしいと、BC級戦犯の合祀を先に決定するように打診して、実際はどうなったかというと、六一年八月十五日の審議で、A級戦犯は保留、BC級戦犯のうち外地処刑者は合祀、内地処刑者は合祀予定と、正に厚生省の提案どおりに実態は進んでいる。
 先ほど、会合もこれは事実であると、それから出席者も実在するということも認められた。大臣は先日の委員会で、A級戦犯合祀の経緯については政府としては承知していないと答弁されましたが、もちろんその最終決定は靖国神社が行ったものでしょう。しかし、そこに至る経緯をこれは承知していないという言い分は、この資料が出てきた以上、もはや通用しないんじゃないですか。大臣、いかがですか。──大臣、ちょっと、大臣の答弁だから。
○政府参考人(中村秀一君) 今委員が十数回ある打合会の中の一つ、一、二回のことを言及されましたが、私どもも記録を全部読んでみますと、最初の昭和三十二年六月三日の会では、神社側がこれまでの合祀基準、それから合祀されていない人などについて説明をしております。
 その二回目の会合では、従来、これは戦前からの合祀基準の範囲内にある人でまだ五十万人の方が合祀になっていない。まず、この合祀をしなきゃならないので、合祀するに当たって名簿などは厚生労働省に依頼があって、都道府県を通じてその名簿を提出するというようなことをしておりますので、そういう打合せが行われた後、従来の残りのものについてはどういうケースが残り、その数がどうか把握しなきゃならない、そういう議論をして、今度の大戦でいろんな方がお亡くなりになっている中でどういう形態があるのか、そういった意味で多様な亡くなり方がされているので、そういうことについて旧厚生省の、当時、引揚援護局でございましたけれども、そちらに依頼をしていると。
 援護局側では、援護法を取り扱っている立場上、その観点から、またその用語分類方法をもって話を進めたため、神社側にはまず援護法の理解をお願いしたいと、こういうようなことでございますので、結論から申し上げますと、様々な団体から当時、遺族についての情報を求められていた、そういうことについて調査依頼に対しまして対応してきております。
 そういった過程で必要な打合せなども行っておりますので、靖国神社と旧厚生省側の打合せも他の調査依頼への対応と同様に、多様な戦没者について多くの情報を持つ旧厚生省側が神社側の要請に従って戦没者の状況について説明等の協力を行ってきたというふうに考えておりますし、合祀の決定は靖国神社が行っておりまして、そのことに旧厚生省が積極的に関与したことはないということでありますし、今回の記録を見ましてもそのことが明確に表れているというふうに考えております。
○小池晃君 積極的にということじゃない、私、聞いているのは、関知してない、関与してない、経緯は承知してないと。これ承知しているじゃないですか。今の話聞いたって、全部綿密に打合せしてやっているということじゃないですか。だから、大臣、承知してないとか関知してないという言い分はもう通用しないですよ。そのことについてどうですか。大臣、はっきり答えてください。
○委員長(鶴保庸介君) 大臣、時間でございますので、手短にお願いします。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今、小池委員の質疑に対して社会・援護局長からお答えしたとおりでございまして、あくまでもこれは靖国神社がいわゆるA級戦犯を合祀を決定しているわけでございまして、決定権は靖国神社側にあったということでございます。したがいまして、合祀した経緯につきましては旧厚生省が合祀を決定することはないということでございまして、関知をしていないというのが私どもの認識でございます。
○委員長(鶴保庸介君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時三十分から再開することとし、休憩いたします。
   午後零時四十四分休憩
     ─────・─────
   午後二時四十三分開会
○委員長(鶴保庸介君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 まず、私も、先日、坂本由紀子委員が、成立が遅れているのは国会そのものの責任でもあると思いますと雇用保険法改正法案について質問されたことに強く抗議をしたいと思います。
 これは、国会で委員会での質疑、本会議での質疑を経る前の段階で成立を前提に成立したという旨の文書が事前に国会議員に配付されたという前代未聞のことがあったからです。これは与党、野党全く関係なく、国会での質疑、これを一体何と行政府は考えているのかと私たちは、当然ですが、非常に怒りました。
 このことについて、与党の国会議員さんも真摯に受け止め、かつ厚労省もこれは大変なことだと受け止め、謝罪をし、かつ私たちは与野党合意の下できちっと国会の手続の中で質疑を改めて行う、よって成立。私たちはこの改正法案に反対でしたが、その手続については与野党問わず議論をして決めたというふうに考えております。国会そのものの責任は一切ありません。むしろ、はっきり言えば、国会は被害者です。国会の質疑を無にすることを三権分立の観点から行政権が行うことに強く抗議をし、それはおかしいと言うのは国会の責務でもあります。ですから、成立が遅れているのは国会そのものの責任でもあると言うのは、与党の議員としてもおかしいというふうに考えております。
 このような発言について強く抗議をし、やはり国会の審議の中で、賛成であろうが反対であろうが、真摯にやはり議論していくということをこの委員会の中でもしっかりやっていきたいと思います。
 また、厚労省についても、たとえ数の上からは成立がかなり予想されるとしても、国会は何が起きるか分からないし、真剣に私たちは議論しているということをやっぱり受け止めていただきたいというふうに考えております。
 では、本題に入ります。
 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案についてです。
 本法律によって援護する対象となる方々は、現在でも二万人を超えていらっしゃいます。今なお戦争の影響は続いていると考えております。ですから、この法案については社民党はもちろん賛成で、反対することは全くありません。ただ、戦争の被害といったときに、様々なところで戦争の被害が生じて、そのことにどう対応するかということも重大な課題です。
 手元に東京大空襲の裁判の提訴の訴状を持っております。昭和二十年三月十日に起こった米軍、B29による空襲によって約十万人の人々が死亡したとされます。この東京大空襲について、本年三月九日、東京地裁で国への損害賠償を求める訴訟が起こされました。私たちの周りにも、日本じゅう大空襲の記憶がいろんなところで、長岡や、例えば大阪や福岡や富山大空襲など至る所で戦争の傷跡があるわけですが、特にこの東京大空襲については、私自身もいろんな人たちから様々な意見を聞かされております。被害がとてもあったということを多くの人から聞いております。民間人への無差別攻撃によって多数が死傷した東京大空襲について、国は真摯な対応を取ってきたと言えるのか、安倍内閣の一員としてどうお考えでしょうか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 東京大空襲によりまして被害を受けられた一般戦災者の方々への対策につきましては、厚生労働省の所管外でございまして、お答えする立場にはございません。
 ただ、東京大空襲により多大な被害を受けられた方々については、私どもも誠にお気の毒であるというふうに思っておりますが、いずれにしても、今後も悲惨な戦争の教訓を風化させず、二度と戦火を交えることなく世界の平和と繁栄を実現していかなければいけないということでありまして、そういうことを我々としては今後とも堅持してまいりたいと、このように考えます。
○福島みずほ君 ただ、戦後補償に関してはこれは厚生労働省の管轄です。私が今日申し上げたいことは、民間人の被害について政府は放置をしてきたというところではないかというふうに思います。ドイツなどでは、民間人についての被害も救済するということをしております。兵隊さん、軍人軍属の人たちが本当に大変な思いをされた、あるいは亡くなった、その遺族の人たちがとても、例えば遺族として経済的に精神的にもいろんな意味でもつらい思いをした、これが本当に、それはもうもちろん当然のことです。しかし、イラク戦争も含めて、いや応なく巻き込まれる民間人も戦争の多大なる被害者であると。日本では、この民間人の被害者については特に何ら法制度がないと考えております。
 厚労大臣、所管外ということは分かるのですが、厚労省自身が今日、本日、戦傷病者戦没者遺族等援護法案の一部を改正する法律案を出していらっしゃるわけで、戦後補償ということについては戦後やってこられた役所であるというふうに考えております。この民間人の被害について、改めていかがでしょうか。これは放置をしてきたのではないでしょうか。
○政府参考人(荒井和夫君) 戦後補償というお話でございますけど、私ども、それに類するかどうかは別にいたしまして、この戦傷病者遺族援護法の中において、国に雇われる、若しくはそれに準ずるような関係にある方々につきまして、使用者としての立場での国家的補償を行うということで対応してきてございます。
 ただ、そういう形で、国の使用者としての立場での援護年金の支給ということについては十分な御要請がございますし、またそういう形で私どもは戦後においての戦没者、それからその遺族の生活の安定保障を図ってきたということでございます。
○福島みずほ君 この原告たちの経歴を見ると、やっぱり物すごく切実です。家族を全部失った子供や、あるいは非常に重い重いハンディキャップを受けて、六十二年間やっぱり物すごく差別を受けて、ハンディキャップのある人間として生きてきたとか、本当に家族を失ったという人たちがもうたくさんいらっしゃるわけです。これは受忍限度論で解決すべき問題なのでしょうか。
○政府参考人(荒井和夫君) 先ほど大臣からも申し上げたように、この戦後補償の問題を私ども所掌をしているということではございませんが、ただ、私どもが今持っております、今回また改正をお願いしているこの援護法につきましては、国が雇用し又はこれに準ずるような関係にある方々の戦没者、それから障害を負った方々のための年金の支給等を行うという形で現在まで対応してきてございます。
 したがいまして、戦後補償全般について私どもの方で、今裁判の具体的な例も引かれながら話をされましたけど、それに対してコメントする立場ではないものと思っております。
○福島みずほ君 こういう質問をしたのは、戦争の被害は多くの人が受けて、もう本当に耐え難い経験をしていたり、本当に独りぼっちになってしまった、あるいは非常にハンディキャップを負って戦後とっても苦労したという人がたくさんいると。軍人軍属であれば法律で補償されている。被爆者の問題も、極めて不十分だけれども、出てきた。しかし、また外国から帰ってきた人についても、どこから帰ってきたか、シベリアと南方でまた違う。そして、民間人は実はとてつもない被害を受けていたとしても何ら補償がされていない。こういう戦争の被害の回復の仕方が妥当なのかどうかというふうに思っております。
 ようやく声を上げることができてということのこの裁判の意義も大変大きいと思いますし、ここで戦傷病者戦没者遺族等援護法と絡めてどうしろというのはここではなかなか無理ですけれども、戦争の被害ということについてもっと、不公平でない形の被害の救済はあり得るべきだということを考えております。
 次に、在外被爆者問題についてお聞きをします。
 これはずっとやってきておりますが、被爆者は高齢化をしております。在外公館において広島市などの自治体職員が行って、そこで被爆者健康手帳の申請及び審査を行えないかという点についていかがでしょうか。
○政府参考人(外口崇君) 被爆者健康手帳につきましては、法律上、国外からの申請が認められていないことが明らかであり、また過去に被爆者健康手帳の不正取得といった事例もあり、申請の際には本人への対面審査を行うことを原則としてきたことなどから、来日して申請していただく必要がある取扱いとしてきているところでございます。
 世界じゅうのあらゆる国にいらっしゃいます在外被爆者の方に対して、被爆者健康手帳の申請があれば対面審査を行い、個別具体的に審査を行う仕組みをつくることは実務上困難であると考えております。
 なお、厚生労働省といたしましては、御指摘のような在外被爆者の方の高齢化にも配慮いたしまして、被爆者健康手帳の交付を受けるために渡日する方々の旅費を支給する事業を行っているところでございます。
 今後とも現行法の枠組みに従い、またこうした渡日支援の事業を円滑に行っていくこととしたいと考えております。
○福島みずほ君 先日、ブラジルに行った人たちに話を聞きました。最年少の人でももうかなり高齢になっている、八十を超えた人たちがいらっしゃると。実はもう来れないという方、かつて家族におぶわれて日本に来られて、被爆者健康手帳の申請をされたという人がいらっしゃることも厚労省は御存じだと思います。
 被爆者健康手帳を取得するために何十時間と飛行機に乗って、もうブラジルから来るのは困難であるという声もあります。ですから、そこは世界じゅうに職員を送るわけにはいかないという答弁ですが、例えば拠点にある在外公館で行くようにするなどいろいろな工夫ができるのではないか。つまり、原則としては例えば日本に来てくれることが原則だけれども、例えば世界じゅう何百か所に全部散らばっているわけではありませんから、ただブラジルや韓国やある程度限られているわけで、そこに行って被爆者手帳の申請及び審査を行えないかと。
 例えば、これはやっぱりすべての都道府県というわけではなく、日本でも広島、長崎、県、市がそれぞれノウハウ等いろんなものを持っているわけです。そうすると、分からない人が行って、分からない人が行ってというのは申し訳ないんですが、審査をしてというのでは心もとないとは思いますが、ノウハウを十分持っていて資料の蓄積もあり、分かっている広島、長崎の市と県の職員が行って、その拠点のあるところに行って申請をすると、すべてはそうしないと原則と例外で、例外はまあ一つの条件を認めるということにしながら現実的には可能ではないかと、一歩踏み込んでもらいたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(外口崇君) 先ほどの繰り返しになって大変恐縮でございますけれども、この制度につきましては、やはり過去の不正取得といった事例もございましたことから、来日して申請していただき、本人への対面審査を行う取扱いとしているところでございます。
 確かに、高齢化の問題とかいろいろ御指摘いただいているところでございますけれども、他方、私どもはやはり公平公正に業務を行わなければいけないという立場もございまして、そういった中で現行法の枠組みの中でどういったことが可能かということの中でいろいろ考えまして、渡日支援の事業等をこれを一生懸命行っているところでございます。
○福島みずほ君 確かに、公平公正というのはあると思います。しかし、救済できる人を救済できないという問題がある。私は対面でやらないで出せというのは無理だと思います。やっぱり不正受給を防ぐことも行政としては必要であると。
 それで、広島、長崎、市、県のノウハウを持っている職員に行ってもらって、そこで対面をして申請及び審査をやればこれはかなり不正受給は防ぐことができると。来る人に旅費を払うんであれば行く人に旅費を払うということもできるわけですし、多く被爆者の人がまだ存命でいらっしゃるところの都市に行くと。例えば、それをある期間からある期間までやって、それで来れない人はちょっとどうするとか勘弁してもらう、まあキャンペーン期間じゃないですけれども、いろんな形での工夫ができないかということなんですね。ですから、来なくちゃ駄目ですよというだけではなくて、もうあと何年生きられるか分からないという状況なので、ここは英断でやっていただけないかというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(外口崇君) 議員と同様の御指摘もいろいろいただいておるところでございますけれども、やはり私どもの立場といたしましては、やはり現行法の枠組みの中でできるだけのことをやっていくという考えで、私どもに課せられた公平公正ということを守るという立場もございますので、そういった中でいろいろと努力をしているところでございます。
○福島みずほ君 いや、もう非常に高齢の人たちに対して、何か工夫をすればできると、飛行機に乗って何十時間も来いというのが不可能に近いわけで、是非これは工夫をして柔軟に対応してくださるよう心からお願いをします。これについては、何がやっぱり障害なのかということも含めて、一緒に考えて実現をしたいというふうに考えています。
 保健医療助成事業について実態の調査を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(外口崇君) 在外被爆者の方に対します医療費の助成につきましては、これは平成十六年度から開始したところでございますが、開始するに当たりましては、被爆者の多くおられます韓国、米国、ブラジルに厚生労働省の担当官を派遣して、現地被爆者協会への説明を行い、理解と協力を求めてきたところであります。また、その際、御要望を踏まえまして、助成の内容につきましては、四日間以上の入院期間がある方の場合には年間の上限額を十三万円から十四万二千円に引き上げております。
 また、韓国では、韓国特有の措置として、助成対象とする医療費の範囲を、韓国の医療保険の範囲にとどまらず、日本の医療保険の範囲まで拡大、例えば入れ歯とか人工関節とかが入るわけでございますけれども、そのように拡大するとともに、医療費の自己負担分が助成上限額まで達しないケースが多いとの想定の下、健診事業に要する経費も助成対象といたしました。
 また、ブラジルを含む南米につきましては、民間医療保険に加入しないと十分な医療が受けられないとの理由によるブラジルの協会の要望を受け入れまして、民間医療保険の保険料を特例として助成対象としたところでありますが、今年度からはさらに、民間医療保険に加入できない方についても医療費を助成の対象とすることとしております。
 改めての実態の調査は考えておりませんけれども、これまでも在外の被爆者の協会の方々と意見交換を行い、実態及び要望の把握に努めてきているところでございまして、引き続き適切に対応してまいりたいと考えております。
○福島みずほ君 助成上限額が、対象者一人当たりの年間の助成上限額は原則として十三万円、特別な事情がある場合は十四万二千円を上限です。ですから、是非、実態なり意見交換をする中で上限をもっと柔軟に運用していただきたいというふうにも考えております。
 それから、今答弁していただいたように、実際、被爆者健康手帳を持っている人については、この保健医療助成事業について、広島県が南米に居住する被爆者を担当、長崎県が韓国、広島市が北米、長崎市が上記以外の国の被爆者を担当という形で実際運用しているわけですよね。つまり、広島、長崎に力をかりながらこの保健医療助成事業をやっていると。そうだとすれば、ここまでできるんだったら、さっき言った被爆者健康手帳の申請と審査を、保健医療助成事業をこういうふうに担当してやっているわけですから、一歩進んで、被爆者健康手帳の申請及び審査をこの広島、長崎にそれぞれ居住区ごとに今頼んでいるわけですから、頼んで、例えば広島県だったら南米、長崎韓国、広島北米、長崎市上記以外とすればいいわけですから、保健医療助成事業でやっているようなことを是非、被爆者健康手帳の申請でやっていただきたいと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(外口崇君) 在外被爆者の方に対する対策といたしまして、議員御指摘のように、もちろんその広島、長崎の方々、それから在外公館の方々にも大変御協力をいただいて進めておるところでございます。
 ただ、先ほどの手帳の件でございますけれども、これにつきましてはなかなか実務上困難という面もございまして、私ども、現行法の枠組みの中でできるだけのことをしていこうということでいろいろ知恵を絞っているところでございます。
○福島みずほ君 しかし、是非、もう時間がありませんので、申請及び審査について保健医療助成事業と同じようにもう一歩進めていただきたいということを要望して、質問を終わります。
○委員長(鶴保庸介君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(鶴保庸介君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鶴保庸介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五分散会