第166回国会 厚生労働委員会 第18号
平成十九年五月十五日(火曜日)
   午前十時二分開会
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   委員の異動
 五月十一日
    辞任         補欠選任
     松下 新平君     森 ゆうこ君
 五月十四日
    辞任         補欠選任
     山本 孝史君     円 より子君
 五月十五日
    辞任         補欠選任
     森 ゆうこ君     林 久美子君
     小池  晃君     吉川 春子君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         鶴保 庸介君
    理 事
                阿部 正俊君
                中村 博彦君
                足立 信也君
                津田弥太郎君
                浮島とも子君
    委 員
                岸  宏一君
                坂本由紀子君
                清水嘉与子君
                武見 敬三君
                中島 眞人君
                中原  爽君
                西島 英利君
                藤井 基之君
                櫻井  充君
                島田智哉子君
                下田 敦子君
                辻  泰弘君
                林 久美子君
                円 より子君
                柳澤 光美君
                小池  晃君
                吉川 春子君
                福島みずほ君
   国務大臣
       厚生労働大臣   柳澤 伯夫君
   副大臣
       厚生労働副大臣  武見 敬三君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        松田 茂敬君
   政府参考人
       法務大臣官房審
       議官       三浦  守君
       厚生労働大臣官
       房総括審議官   宮島 俊彦君
       厚生労働省医政
       局長       松谷有希雄君
       厚生労働省労働
       基準局長     青木  豊君
       厚生労働省職業
       安定局長     高橋  満君
       厚生労働省職業
       能力開発局長   奥田 久美君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局長       大谷 泰夫君
       厚生労働省年金
       局長       渡邉 芳樹君
       社会保険庁運営
       部長       青柳 親房君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律
 の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
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○委員長(鶴保庸介君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日までに、松下新平君及び山本孝史君が委員を辞任され、その補欠として林久美子君及び円より子君が選任されました。
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○委員長(鶴保庸介君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長大谷泰夫君外八名の政府参考人の出席を求め、その説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鶴保庸介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(鶴保庸介君) 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○中原爽君 自民党の中原でございます。
 ただいま議題になっておりますこの法律案、通称パートタイム労働法であります。この一部改正でありますけれども、改正のポイントは五項目ほどありまして、そのほかに厚生年金の適用拡大があります。この関係でできる限り質問をさせていただこうと思いますが。
 なお、お手元に今配付しております官報の写しでありますけれども、これは昨年十一月に私が質疑をした際に取り残した診療科名の問題でありまして、昨日の日刊紙等にはこの記事が出てまいりましたので、これを追加で質問させていただこうというふうに思います。
 このパートタイム労働法のポイントの最初のものは、労働条件の文書交付の説明義務と待遇の確保を促進すると、こういう項目でありまして、この文書交付、要するにペーパーを出せということについては、労働基準法の施行規則の第五条の関係であります。この第五条は、第五条一項の一号から十一号まで号がございまして、そのうち四号と四号の二というのがありますので、項目的には全部で十二号に当たるということであります。
 中身は、要するにペーパーとして文書で交付しなければならない項目が五項目ほど今あるわけでありますけれども、これに更にプラスアルファで何項目か文書提示の項目を付け加えまして、それに、そのことが説明できないと、文書で説明できないという場合には罰則的に過料十万円を付すと、こういうことになっていると思います。
 したがって、これが義務化にすると、ペーパーにするということについて義務化にするという項目が労基法の施行規則の五条の関係から出てくるので、いずれこの五条を修正するんだろうというふうに思います。その辺りの御説明をしていただくということと、先週九日の参議院の本会議で、柳澤大臣からこのパート労働法一部改正の御説明をいただきまして、我が党の西島英利議員が代表質問をされたわけであります。
 その中に、後の項目の待遇の確保、均等待遇ということの御質問をされております。これも複雑でありまして、均衡の取れた待遇の確保について、短時間労働者の様態を正規の社員の通常労働者と同じということで、職務、人材活用の仕組み、契約期間等が同じと見ることのできる者については賃金、教育訓練、福利厚生の待遇面で差別をしてはいけないと、こういうふうになるわけであります。
 さらに、この改正案は、正社員と同じに見るべき者、それ以外に職務と人材活用の仕組みは同じな者、それから職務が同じな者、職務も異なる者、この四つに分類をいたしまして、各々の区分について義務化、努力義務、それから実施義務、それから配慮義務、これを付けているということでありまして、この組合せで別表になるような非常に複雑なことになっております。
 このことについて西島議員も触れておられまして、これ複雑になっておると、大変分かりにくい側面があると。このことについて、まず、特に正社員、通常労働者と同じと見ることができる短時間労働者の定義について説明をしてくれということで柳澤大臣が御答弁されていると思います。このところをもう一度お聞きしようと思ったんですが、このところは大臣がお答えになっておりますので、この場合には、労働基準法の施行規則五条の関係で過料十万円と書面にするべき項目が増えているという辺りのところを簡略に御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(大谷泰夫君) まず、文書交付義務についてでございます。
 今御指摘ありましたように、今回のパート労働法の改正は、従前ございます労働基準法のいわゆる義務に加えまして新たに定めた部分でありますけれども、今回の法案におきましては、労働条件の文書交付等による明示について、昇給、それから退職手当、賞与、この有無について、この三項目を新たに義務化するということでございます。
 また、従来からございました努力義務であります、労働者に負担させるべき食費や作業用品その他に関する事項であるとか、安全及び衛生に関する事項、あるいは職業訓練に関する事項、災害補償及び業務外の疾病扶助に関する事項、表彰及び制裁に関する事項、休職に関する事項、これらについては従来どおり努力義務で対応していくと考えているところでございます。
 この十万円の過料につきましては、さっき申し上げました義務化される三項目について違反した場合に果たされるということになるわけでございます。
 それから、二つ目に、五月九日の本会議で西島議員から御質問あった件、この四類型についてでありますけれども、このそれぞれの取扱いの違いについてこの場でもうちょっと詳しく御説明を申し上げたいと思います。
 まず、本改正法案におきましては、一つ、職務の内容、それから二つ、人材活用の仕組み、それから三つ目として実質的な契約期間、この三点を基準としまして、短時間労働者の態様をそれぞれ通常の労働者と比較して四つに区分しまして、それぞれの区分において必要になります賃金、それから教育訓練、福利厚生、こういった措置について事業主の義務を規定するという方式を取っておりますので、そのケースケースによって措置が違ってくる、そういう意味では複雑になっているわけでありますが、むしろ個々のケースに応じたきめ細かな対応を考えたということでございます。
 まず、その中でも最も典型的になりますが、差別的な取扱い禁止というものの対象でありますけれども、この差別的取扱い禁止の対象、これはいわゆる正社員と同視、同じく見る、同視すべきパート労働者とは、所定労働時間が短いものの、さっき申しました職務の内容あるいは人材活用の仕組み、また実質的な契約期間の三点において正社員とこれは同じであると、こういうパート労働者のことをいいまして、本改正法案ではこういったパート労働者についてはすべての待遇に関して正社員と同様の扱いを求めると、こういう形でございます。
○中原爽君 ありがとうございました。
 待遇の面につきましては、今お答えいただきましたけれども、既に大臣から御説明いただいておりますので、詳細な説明は結構でございます。
 それで、引き続きまして、短時間労働者の正社員、通常労働者への転換を推進しろと、促進しろと、こういうことであります。このたびのこの改正案については、事業主は短時間労働者が正社員への転換を推進するための措置を講じなければならないこととすると、こういうふうになっております。
 したがって、この推進措置の事例が三例ほど挙がっておりまして、事業所が外部の通常の労働者を募集する際には、その所内の短時間労働者にも外部でどういう労働者を募集しているかを周知させろと、これが一つ。それからもう一つは、事業所内の短時間労働者にも通常の労働者の地位に応募できるように配慮しろと、それが二つ目。三つ目が、一定の資格を持っている短時間労働者には正社員、通常労働者へ転換できるような試験制度を設けろと。この三つに一応なっているわけですが、これは事例でございますので、このほかにいろいろ考えられるわけであります。
 しかし、この短時間労働者が正社員、通常労働者へ転換した場合の事例につきましては、事業所に対していろいろ助成金を交付すると、こういうことで新たに事業者向け、あるいは事業主向けの新たな短時間労働者雇用管理改善等助成金制度を創設すると、こういうふうになっておりますので、この辺りの御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(大谷泰夫君) 今、短時間正社員についてお話がございました。
 ちょっと前段になりますけれども、今回のいわゆる通常の労働者への転換というのは、これはあくまでフルタイムの勤務に転換していくというところの措置でありますので、短時間正社員への転換というものはその前段としてありますけれども、今回目標としているのは正に正社員、フルタイムの正社員への転換でございます。また、そのためにまず短時間正社員に転換して、その後、正社員にまた転換、これはステップとしては極めて望ましいというふうに考えております。この短時間正社員につきまして、これ適正な評価とこれは公正な待遇が図られた働き方としてこれまでも普及を図ってきたところでありますけれども、この仕事と生活の調和という観点からも重要な政策課題と考えております。
 厚生労働省では、この短時間正社員制度導入の手順を示しました制度導入マニュアルを作成しまして、その導入推進のための事業を実施しておりますほか、その制度を導入した事業主に対して助成金を支給など、短時間正社員制度の普及のための施策を講じているところでありますけれども、そういった意味で、フルタイムの正社員に転換、それから従来から進めておりますこういった短時間正社員の転換、いろんな方法を講じてパート労働者の正社員に対するステップアップを図っていきたいと考えております。
○中原爽君 ありがとうございます。
 この関係で助成金支給の機関になっております財団法人二十一世紀職業財団という財団がございますが、この関係について簡略に御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(大谷泰夫君) この二十一世紀職業財団と申しますのは、これは男女雇用機会均等法も含めて、そういった雇用均等に関する仕事、それから今回のこういう短時間の労働者についての支援あるいは事業主に対する支援あるいは情報収集等に当たっている団体でございまして、この法律による指定を受けて従来から活動している法人でございます。
 今回も、この法律改正の中で事業の一部、これは行政改革という見地から事業を適正化するものもありますが、一方で事業主団体に対する助成等、今回の法律に合わせてまた拡充してこの法案の普及に努めてまいりたいと考えております。
○中原爽君 ありがとうございます。
 次の改正のポイントでありますけれども、紛争の解決の援助についてということがございまして、このパートタイム労働法の、パート労働法の改正案については、苦情処理の自主的解決、紛争の解決の援助、調停及び勧告という条項をこの改正法の中に入れているわけであります。改正のこの条項は、出どころは平成十三年に施行されました個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律というところをそのまま持ってきているということであります。
 ただし、内容が少し違っておりまして、基の個別労働関係紛争の法律につきましては、都道府県労働局長による情報提供、それから相談等と助言、それから指導及び紛争委員会によるあっせんと、こうなっておりまして、しかし今回の改正法はあっせんとか指導ではなくて調停を行うということ、それから調停案を受諾させる、あるいはその勧告をするということでありまして、あっせんと調停とは少し意味が違いますし、それから助言、指導と勧告とはまた意味が違うわけであります。ですから、今回のこのパート法の改正については基の平成十三年の個別労働等の紛争の法律よりも少し中身が強くなっているということだと思うんですね。あっせんじゃなくて調停、勧告すると、こういうことであります。
 そうしますと、今回のこのパート労働法については、要するに短時間労働者に限ってこの法律を適用するということでありますので、基のこの個別労働関係紛争の解決の法律というのは、いわゆるパート、短時間労働者には関係なく、一般的な労働者、個々人に対する法律だと、こういうふうに仕分することになるんだろうと思うんですが、この辺いかがでしょう、御意見として。
○政府参考人(大谷泰夫君) 今、個別労働紛争解決促進法、それから今回のパートタイム労働法について、いわゆる個人間の、労働者とそれから事業主の間の関係をどう調整していくかということの両者の関係についてのお尋ねでありました。
 最初お話ありましたように、従来のこの法律の体系では、労使に争いがあった場合に、これは個別労働紛争解決促進法に基づいて最終的にはあっせんというところに帰着するような流れで進めることになっておったわけでありますが、御承知のように、あっせん、それから今回、パートタイム労働法では調停に行き着く形になったわけでありますが、あっせん、それから調停、それぞれ互いに譲り合う、いわゆる互譲の精神によって紛争の解決を図ろうということでありますけれども、あえて言えば、あっせんというものの方が足して二で割るというか、そういった性格が強いのに対しまして、調停というのは法の趣旨に従いながらその紛争の当事者双方が受諾できるような現実的な解決を目指して合意点を探していく、こういった違いがあるというふうに考えております。
 この改正におきまして、今述べたあっせんと調停の違いから見れば、これ、より今回のパート法の精神からいくと調停になじむんではないかということで、今回の解決として最終的には個別の労働のゴールとしての調停という仕組みを導入したわけでありますが、また同時に、その前段として、パート労働者が自分の処遇に不信を持った、満足できない、あるいは争いがあるというときには、これはまず都道府県の労働局にお越しいただきまして、その中で当事者間の事情をつまびらかにして、指導、助言、勧告にまずは結び付けていくという行政努力がされるというふうな関係でありまして、その先、調停まで行くというケースもあるかというふうに考えております。
○中原爽君 ありがとうございました。分かりました。
 今回のパート労働法の改正と個別労働関係紛争の解決の法律と、違っている面を御説明いただいたわけでありますけれども、これは、言うなれば、労働者、パートであろうとなかろうと、労働者一人一人、個々人に関係する紛争の解決でありまして、労働組合や何かについては労働組合法で別途、都道府県の調停の委員会があって、そこであっせんや何かをやるということでありますので、この労使等にかかわる紛争の解決については三種類になったのかなという感じがするわけであります。組合にかかわるもの、それから個々人にかかわるもので、そのうちパートにかかわるものと、三つぐらいになるのかなという気がいたします。
 それでは、引き続きまして、短時間労働者に対する厚生年金の適用の拡大の件であります。これはこのパート労働法とは直接の関係はないわけでありまして、年金の問題であります。
 現在、雇用保険上、短時間労働者で一日又は一週間の所定労働時間が所定の四分の三以上、又は一か月の所定労働日数が所定の四分の三以上の者、こういう条件で厚生年金の第二号被保険者への適用になると、そういう基準であります。
 このほかに、今回の改正案によりますと、新たな適用基準を設定するということでありまして、その新たな基準は、所定労働時間が二十時間以上、要するに二分の一と。四分の三ではなくて二分の一以上、それから賃金が月額九万八千円以上、年収百十七万円以上と、こうなります。それから勤務年限が一年以上だと。それと、学生については適用は外すということであります。それから、中小零細企業の事業主に対しては新たなこの基準の適用を少し猶予する、こういう五つほどの条件があるわけであります。
 ですから、現行の四分の三が残って、それからこの二分の一を加えるということで、基準が二つになるというふうに理解していいのかどうか。この説明をしていただきまして、それから、西島議員からの御質問もありましたけれども、こういった適用拡大ということになりますと、この保険料関係は労使折半ということになりますから、大体事業主負担が増えるということになるわけでありまして、一応推計値を出しておられますけれども、事業主の負担の増加というのが、厚生年金の保険料、それから健康保険の保険料、それから介護保険の保険料、この三種類が、労使の折半ということであってもこの分が増えていくわけであります。
 大体この三つ合わせて三百億円程度が増えるということになるわけですが、この三百億円と、中小の零細企業の事業主に対して猶予するということでありますが、この三百億円と、事業主、従業員三百人未満ということだと思うんですが、そういう事業所との関係を御説明いただきたい。
○政府参考人(渡邉芳樹君) 今般、被用者年金一元化法案に盛り込みましたパート労働者の厚生年金等の適用問題につきまして今お尋ねがございました。
 御承知のように、我が国は、厚生年金と国民年金によりまして、いわゆる国民皆年金という独特の制度、政策を実現してまいりました。パート労働者に対する厚生年金の適用問題というのは、サラリーマン、被用者と申しますか、これはできるだけ厚生年金にという基本の実現を図ると同時に、この制度によって、あるいはどの制度によって老後の所得保障を行うことがいいのかという観点から、厚生年金と国民年金の適用区分を見直すというすみ分けの問題でもございます。
 こうした観点に立ちながら、今般提出した法案におきましては、厚生年金被保険者の範囲を拡大するということを基調といたします一元化法案の精神に沿いまして、働き方が正社員に近いパート労働者に適用するという考えの下に社会保険の適用範囲を拡大する案を御提示させていただいているわけでございます。
 ただいまお尋ねございましたように、従来の基準もございますので、今度は法文において、第一に、既に社会保険が適用されている所定労働時間が通常の労働者の四分の三以上のパート労働者というものについて引き続き現行の基準を適用することを明らかにし、これを第一ジャンルと申しますと、それに加えて新たに、先ほど詳しく引用なさいました週所定労働時間が二十時間以上であり、かつ賃金が月額九万八千円以上等々の要件を同時に満たすパート労働者につきまして新たに適用対象とするというふうにしたものでございますが、他方、厚生年金、健康保険への適用拡大に伴います新たな負担が発生いたします事業経営の関係の方々、その場合、事業規模が小さいほど相対的に影響が大きいと考えられることから様々な議論がございましたが、今般、激変緩和のために、従業員が三百人以下の中小零細事業主には、別に法律で定める日までの間、新たな基準の適用を猶予するということとしておるわけでございます。
 最後にお尋ねのございました、こうした中小零細企業への適用の猶予に伴う事業主負担の変化とか金額とか、こういうものはどういうことになるのかという点でございますが、仮にこの中小零細企業への適用猶予なしということにいたしますと、厚生年金におきまして、今般の適用拡大で四百億円程度、健康保険、介護保険合わせまして三百億円程度、計七百億円程度の負担増が事業主に発生するというふうに見込まれたところでございますが、ただいま申し上げました中小零細企業への適用猶予を別に法律で定める日まで行うということといたしますと、その分を控除しますと、厚生年金は先ほど四百億円程度と申しましたのが百億から二百億円程度、健康保険、介護保険は百億円程度、合わせて二百億円から三百億円程度の御負担の増加が発生するというふうに見込んでおるところでございます。
○中原爽君 詳しく御説明いただきましてありがとうございました。
 いずれにしても、この厚生年金適用が拡大ということになりますと、特にこの中小零細企業の短時間労働者とそれからその事業主、いろいろ考えがあるわけでありまして、実際に対象人数がどのぐらいになるのかということもこれからの問題であるというふうに思いますので、よくこの辺を、これからのことについて、予算も伴うことかもしれませんので、十分御検討しながらこの改正を進めていただきたいというふうに思います。
 それで、あと十分少々ございますので、申し訳ございません、ただいまお配りをしております省令、官報の関係について残りの時間でお尋ねをしようというふうに思います。
 お手元の官報でありますけれども、十八年の十月の三十一日の官報第四四五四号であります。省令の内容でございまして、一条から三条まで、附則のところは三条まで、それと省令のところについては一条と二条。一条は医科の関係でございます。二条は歯科の関係で、全く内容は変わりはないわけでありますので、歯科の方で御説明をしたいと思います。
 真ん中から少し左側の方に第二条がございます。歯科医師法施行規則の一部改正、歯科医師法施行規則の一部を次のように改正すると。それで、この第二号書式の中で、要するに郵便番号が書けるようにすると、これが一つですね。今まで郵便番号、書けなかったんですが、それを入れましょうと、これは結構なことであります。そのほかに、従事する診療科名を従事する診療科名等ということで「等」の字を入れるんですね。それで、四、歯科口腔外科を四、歯科口腔外科と五の研修医というふうに改めて、五の項目を増やして、五の項目は研修医という項目を増やすと、こういう改正をするというわけであります。
 それで、歯科の診療科名というのが大きく言って四つしかないんですね。歯科という診療科名、それから小児歯科、それと矯正歯科と、それと歯科口腔外科、この四つあります。この四と書いてあります歯科口腔外科を診療科名に導入いたしましたのは、平成の八年のときに私がこの関係に携わりまして、当時、この歯科口腔外科を診療科名に入れ込んだということになっておりまして、そのときは医道審議会のこの関係部会を開いていただきました。それからもう十数年、十何年かたっているわけなんですけれども、その後、この診療科名の問題については一向これ検討するということは開かれていなかったわけであります。
 今回、昨日の日刊紙でありますけれども、日経新聞の記事でありまして、大きな四角い囲み、縦長の囲みで診療科名四割強を廃止すると、来年にも厚労省、救急科などを新設すると。一人について、一人の医者について二つの診療科までしか表記できないようにすると。要するに、医科の診療科名は三十三あるわけですからね、その三十三の仕事を、診療科名の内容を一人の医師が全部できるというはずがないわけでありますから、一人の医師については二つぐらいの専門科目を表示できると、診療科名を表示できる、こういうふうに考えておられるようでありますけれども、軽度であればどのような病気でも基本的に対応できる医師については、新たに総合科を新設して同省が許可する方針なんだと。こういう記事であります。
 また、別に医療系の業界紙にも同じ記事が八日付けで出ておりまして、そこには三十三の診療科目、医科について減らせないんじゃないかと、かえって増えるんじゃないかと逆の記事が載っております。業界紙に発表される、あるいは日刊紙に発表されるこういう内容の出どころは恐らく厚労省から出ているものだというふうに思うんですけれども、私どもこれ聞いていないですよ。
 この委員会の委員でありますので、こういう診療科名が新聞に発表されますと、私のところに問い合わせが来るわけですよ。この記事の中身はどうなっているんだと。私、聞いていないから分からないと、記事のままだということしか説明できない。そんなばかなはずないと思うんですね。これ、しっかりしてくださいよ、ここのところ、説明をね。
 それが一つお願いをするということと、歯科については歯科という診療科名あるんですけれども、医科には医科という診療科名はないですよね。だから、歯科という診療科名はこれから検討される医科の総合科ということに該当するのかどうか、これをちょっと意見として聞かせてください。
 それから、この法律上、この問題、これ診療科名なんですね、この省令は。その診療科名の中に研修医というものを「等」でくくって入れるというんですけれども、研修医というのは医師あるいは歯科医師の立場を言っているわけでありまして、診療科名じゃないでしょう、研修医というのは。それが何で診療科名のところに入るんだということ、これの整合性について説明してください。
 以上。
○政府参考人(松谷有希雄君) お答え申し上げます。
 まず、官報四四五四号に載っている省令でございますけれども、この省令は医師法の第六条第三項及び歯科医師法の第六条第三項の規定に基づいて定められた省令でございまして、この医師法、歯科医師法の第六条第三項と申しますのは、二年に一度届出をしていただくことに、医師、歯科医師、薬剤師も実はそうなんですけれども、届出をしていただくことに医師法、歯科医師法上なってございまして、その届出の様式を省令で定めるということになってございまして、それの様式でございます。
 今般、歯科医師につきまして、このように、従来、標榜科名をその届出のときに出していただくことにしておったんですけれども、それに加えて研修歯科医というものを加えることにした改正の省令ということでございます。したがって、標榜科に研修歯科というのが増えたということではございません。標榜科の方は政令で決まってございます。これは別のものでございます。
 歯科医師については、委員御存じのとおり、昨年の四月から一年以上の臨床研修が必修となったわけでございまして、歯科医師が従来どの診療科に従事しているかということを知るために届出をしていただいているわけでございますけれども、この一年間の臨床研修の間はどの科というのが決まってございませんので、より正確な統計を取るという観点から歯科医師の届出票の省令改正をしたということでございまして、新たに研修歯科医という欄を設けたと。したがいまして、従前、従事する診療科名となっておったところを研修歯科医という選択項目も入れましたものですから、診療科名等としたものでございます。今回の研修歯科医というのは、医療法上の標榜診療科とは全く別のものというふうに御理解をいただければというふうに思います。
 それから、新聞報道の関係でございますけれども、私どもから新聞発表をしたとか、そういうものでは全くございません。いろいろなことが何か報道されているようでございますけれども、私どもとしては、まだこれから標榜科については検討していかなければならない。昨年の医療法の改正におきまして広告の規制の緩和というのが行われたわけでございまして、これに関連をいたしまして、基本的には広告は緩和の方向で考えると。診療の標榜科目、各医療機関の標榜科というものはこの広告の一環でございますので、今後、緩和の方向で検討をしていくということになるのではないかと思っております。今の標榜科、非常に複雑なところもございますので、規制すべき標榜科というのは非常に最小限に限って、そしてそれ以外は自由にできるようにするというのが今後の方向ではないかと私どもとしては思っておりますけれども、ここはこれから御検討、御審議をいただくところだと思っております。
 例えて申しますと、ちょっと踏み込みますが、今、アレルギー科というようなものがもしあるとすると、アレルギーを扱うのは、内科でも扱いますし、皮膚科でも扱いますし、小児科でも扱いますし、耳鼻科でも扱う。そうすると、アレルギー科というのは、内科のアレルギー科なのか、小児科のアレルギー科なのか、耳鼻科のアレルギー科なのか、皮膚科のアレルギー科なのか、これ両方分かった方が患者さんにとっては非常によろしいということですから、規制すべきところは基本のところと必要最小限にして、そして自由に標榜はできるような道はないだろうかということを今後検討することになるのではないかと思っております。
 また、総合科の話が報道されてございますけれども、医療の現場において、臓器別の専門医だけではなくて、全体を診る総合的な診療に対応できる医師の養成を図るということは従前から指摘されているところでございます。全般にわたって総合的な診療能力を有する医師ということが今後必要になるのではないかということでございまして、そのような検討も必要ではないかなと思っております。
 委員御指摘の歯科医療におきまして、現在、標榜診療科でございます歯科は、歯科医療の中で総合的に歯科医療を扱うという診療科でございまして、御指摘のとおり、医科における言わば総合科に相当、まあ医科に総合科というのがあるわけではありませんけれども、総合科に相当するものではないかと思っております。
○中原爽君 ありがとうございました。
 御説明のありましたように、歯科医師法でいえば六条の三項のところで、二年に一遍、現状の届出を都道府県の保健所を通じて厚生大臣にお届けをするわけでありますけれども、前年度の十二月三十一日現在の状況について翌年の一月のたしか十五日までに届け出るということでありまして、届出損なうと歯科医師法上五十万円の罰金と、こうなっているはずであります。
 ここの官報の一番最後の、附則の最後の三条のところですね。この省令の施行の際現にある第二条による改正前の歯科医師法施行規則の書式による様式については、当分の間、これを取り繕って使用することができると、こうなっているんですね。要するに、まだ新しい二号様式ができていないので、古い二号様式を使うときには適当に郵便番号とこの五の研修医を入れろと、こういうふうに理解していいですね。これだけお聞きして、終わりたいと思います。
○政府参考人(松谷有希雄君) 委員御指摘のとおりでございまして、附則の第三条で取り繕って使用することができるとしてございますのは、今既に印刷してまだ使えるものがあるものを無駄にしないという観点から、今委員御指摘のとおり、これを取り繕って修正して新しいものとして使ってよろしいと、そういうことを決めたものでございます。
○中原爽君 終わります。
○円より子君 おはようございます。民主党・新緑風会の円より子でございます。
 今日は、パートタイム労働法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきますが、その前に、朝突然の通告で申し訳ないんですが、今朝七時台と八時台の共同通信の速報の中に、熊本市の慈恵病院が設置いたしました国内初のいわゆる赤ちゃんポスト、こうのとりのゆりかごというのが運用され始めて、初めて、今月十日、赤ちゃんではなく三、四歳ぐらいと見られる男児が預けられ保護されていたということが分かったという記事を読みまして、これについて最初にちょっと質問させていただきたいんですが、大臣はこの報告をいつ受けられ、どう思われましたでしょうか。そして、その詳細が分かれば少し教えていただきたいことと、特に、この男児が病院でしっかり保護されていると思うんですが、今後、里子として育てられるのか、養護施設に入るのか、そういったことまで少しお分かりになれば教えていただきたいことと、続いて、今日、法務省の方に突然おいでいただくことになり恐縮でございますが、このこうのとりのゆりかごを利用した、赤ちゃんポストを利用した親御さん、母親か父親か、また親御さんじゃなく祖父母か、だれか全く不明でございますけれども、この人は、今、熊本県警は保護責任者遺棄罪に当たるかどうか調べているということでございますが、こういった遺棄罪に当たるものかどうかも教えていただければと思います。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今、円委員のお触れになられたように、熊本で設置されましたこうのとりのゆりかごという施設に三、四歳の子供が預けられたということにつきましては、私は今朝こういう報道がありましたということで熊本の地方紙の記事のコピーを見せられまして、そういう報道があったことを認識をしたということでございます。
 今日は閣議の日でもありましたので、閣議後の記者会見で記者の方からそうしたことの指摘を受けまして感想を求められましたが、その際にもお答え申し上げましたことでございますが、私は、こういうことはあってはならないことであるというふうに、もし事実であればこれはあってはならないことであるということで、私の感想を申し上げておきました。本来、出産や育児に悩みを持つ保護者の方には児童相談所などに相談に来ていただくということが国の持つ制度でございまして、そういう対応をしていただくのが本来でございます。そういうことでございまして、誠に遺憾だと、こういうふうに考えております。
 事実関係というお話でございましたけれども、現在、事務当局を通じて現地に確認中ということでございまして、今現在この場で何かそれ以上のことが分かっておるかといいますと、そういうことは実はございません。
○政府参考人(三浦守君) 委員御指摘のような報道がなされていることにつきましては承知しているところでございます。
 しかしながら、犯罪の成否は個別の事案におきまして収集された証拠に基づき判断される事柄でありまして、法務当局といたしましてはお答えするのは差し控えさせていただきたいと思います。
○円より子君 今、柳澤厚生労働大臣は、あってはならないことで誠に遺憾と申されました。
 私、今日、パートタイム労働法の質疑の方に時間を割きたいものですから、この赤ちゃんポストの是非について議論することは差し控えます。ただし、人工妊娠中絶が二〇〇五年度でも二十八万九千百二十七件ございます。また、〇四年には虐待で死んだ子供五十八人、そのうち七人は、母親が自治体に妊娠を届けずに自宅などで産んで数日後に命を奪われたケースでした。
 離婚も虐待も、それから人工妊娠中絶も、私ももう本当にたくさんの相談を受けておりますけれども、倫理観や道徳観でいえば、それは理想的には親がしっかりと子供を産んで育てるのが当たり前で、妊娠中絶などはすべきではないとか虐待死させるなんてもってのほかとか、そういう意見が出てくるのは重々承知しておりますが、まず大臣に是非認識していただきたいことは、離婚というのもほとんどが経済苦からきております。私は、三万人の相談を受けて、ほとんどがそういうことだということを分かっております。それから、虐待も、だれも好き好んで子供を虐待する親はおりません。それから、この間、高齢者で夫をそのまま死なせてしまった人なんかもいましたが、ほとんどが、二つも三つも仕事を掛け持ちして、それでも低収入でどうにもならないで追い込まれていく。
 大臣の方がよく御存じの言葉で、衣食足りて礼節を知るという言葉がありますが、何もぜいたくをしなくても、ある程度の仕事があり、住居があり、そして食べていけるという状況でなければ、人間というのはなかなか、弱い人が多くて、パニックに陥って相談にすら行けなく、なぜあのときにあの人相談に来たらこんなことにならなかったのにというケースが山のようにあるんですね。人に相談することもできず、どんどんどんどんエスカレートしていく人間関係というのがありまして。
 赤ちゃんポストの是非、先ほど言いましたように、これをいろいろ、私も絶対こういうのがあった方がいいとは思っておりません。でもって、いろんな仕組みが必要だと思いますが、この慈恵病院は、周りの子供たちに中絶などしないような教育もしっかりしておりますし、それから里子の世話もしておりますし、いろいろなことを手当てをした最後のまた一つの選択肢としてこれをおやりになったことを聞いておりますが、まず政治家が、そして社会がやるべきことは、育児放棄にならないような、子供を育てられる、子供を産める環境整備をすることだと私は思っておりまして、そこを是非お考えになった上で言っていただきたいので、あってはならないことと余り切り捨ててほしくないなとちょっと思いました。
 それでは、今日の本題の方に入らせていただきたいと思います。
 まず、パートタイム労働法は平成五年に制定され、十四年ぶりの改正となるわけですが、パート労働者は平成三年には八百二万人でした。それが平成十七年には千二百六十六万人に達しまして、有期雇用や派遣労働者などの非正規雇用労働者も増加しております。
 まず、その十四年前と比較しまして、法律が制定されたときとですね、十四年もたっておりますが、このパート労働者の均衡処遇というのは進んだんでしょうか。一般労働者と比較して、賃金格差はしっかりと縮小しておりますでしょうか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) パート労働者の福祉の増進ということを目的といたしまして、今委員が御指摘のように、平成五年にパート労働法が制定をされました。
 これに基づいて厚生労働省としても指導、啓発を行ってきたところでございますが、平成十五年に通常の労働者とパート労働者の均衡待遇ということを盛り込みました指針というものが改正が行われまして、そこでまた、法律改正の形ではないんですが、一歩前進をしたわけでございます。
 こういう取組をいたしておりまして、先般、平成十七年にパートタイム労働者実態調査というものを我が省が行っているわけでございますが、それによりますと、これは二年前でちょっと委員の御指摘とそぐわないかもしれませんけれども、比較をした処遇改善の進捗状況というものの項目がございまして、この回答が寄せられております。
 二年以上前からもう均衡処遇を図っておりますというところもございました。一三%余りありましたが、それに加えまして、均衡処遇の点で進んでいるというふうな回答を寄せた事業者も三七・三%ありまして、合計、合わせますと相当の数の、半数以上の数の方々がそうした均衡処遇の進捗を考えていらっしゃると、認識していらっしゃると、こういうことです。それから、余りの三〇%の事業主も、現に進んでいるというわけではないんだけれども必要だと思うようになったということでお答えがございまして、そういう意味では、事実の面、また意識の面で改善が図られた、こういうふうに我々としてとらえているということでございます。
○円より子君 後ほどその賃金の格差についてはお話ししたいと思いますけれども、今回、この改正をなさるということは、今格差拡大等いろいろ言われておりますけれども、その格差拡大で、先ほど私、衣食足りて礼節を知るなんて言いましたけれども、衣食が足り過ぎて逆に礼節を知らない人たちが今増えていますけれども、やはりきちんとある程度の、安定して働けてきちんと結婚して子供が産みたい人は産んでいけるような、そういう生活ができるようにすることがとても大事で、パート労働者が増えていることを考えますと、このパート労働者の待遇改善に実効性をしっかり有するような改正で今回あってほしいと思っております。
 私の周りには本当にパート労働者が多いんですが、その方たちも今回、国会でパート労働法が改正されるというと大変な期待をしていらっしゃるんですね。ところが、この今回のパート労働法の対象になるという人たちが大変狭いんですね。期待している方たちの多くがここから外れるわけです。それで、まず一番本来改正して賃金格差等、待遇格差等を改めていただきたいなと思うフルパートについて今から御質問させていただきたいと思います。
 フルパートといいますのは、御存じだと思いますが、私の周りの、二十年ぐらい前から、一生懸命正社員になりたいと思ったけれども年齢制限等でパートタイムの仕事しかない、しかしながら正社員と同じように、つまりフルタイムと同じように時間は働いているけれども時給計算で、親の死に目、まあ葬式だとか子供の病気だとかといって少しでも休むとその日の賃金がなくなってしまうという、食べていけないというようなそういう人たちをパートと私たちは呼ばずに、フルタイムで待遇はパート、で、フルパートと呼んでいたんですが、最近は若い人たちにもそうした人たちが増えて、最初のうちは女性が多かったんですが、基幹パート、新卒パートとか疑似パートとか、いろんな言葉で呼ばれております。この人たちのことなんですが。
 このフルパートと言われる、疑似パートでもいいんですが、の数や労働実態というのは厚生労働省は把握していらっしゃるんでしょうか。また、その待遇も把握していらっしゃるかどうか、どの程度の賃金格差があるかどうか。今回のパート労働法の対象じゃありませんから実態調査はしていらっしゃらないのかもしれません。いかがでしょうか。
○政府参考人(大谷泰夫君) このパート労働法に申しますパート労働者というのは、御承知のとおり、これ一週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の一週間の所定労働時間に比べて短いという労働者を指しておりますことから、今お話ありましたいわゆるフルタイムパート、所定労働時間が通常の労働者と同じ、こういった方についてはこの法律の対象とはなっていないというのがこの法のまずは前提でございます。
 フルタイムパートにつきましては、実際には調査が進んでいるというわけではございませんで、約百万人強の方がおられるということはデータを承知しているところでありますけれども、現在それ以上進めた資料を私どもで今持っているわけではございません。
○円より子君 大臣は、パート労働というか、パートというと、どういう人たちだと思われていらっしゃいましたでしょうか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) これは通常の労働者、正社員という言い方の方が通りがいいかと思うんですが、そういうような方々に比べて勤務時間が短い、こういう労働者の方をいうと。もっと法律的に言えば、今、雇・児局長の方から御答弁申し上げたように、一週間単位でそうしたことが判断されるというふうに承知をいたしております。
○円より子君 普通、パートといいますと、もちろん時間もそうなんですけれども、ボーナスがないとか時給計算で安定した仕事に就けないとか、そういう人たちのことを一般には言っていると思ったんですが、大臣は時間だけのことだとお思いだったでしょうか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) これはまず時間がありまして、そして今委員が言われるように、したがって給与面でも時給という形を取る人が多い、こういうように認識しています。
○円より子君 例えば、私の知人で、大学を出た後、中学校で化学の先生をしている人がいました。結婚して子供が生まれ、いろいろな事情で十年後ぐらいに離婚をいたしました。年齢制限があって、中学とか公立は全く門前払いで試験を受けさせてもらえません、今もそうですが。そうしますと、何とか化学の教師だった経歴や技術、知識を生かして仕事を探したんですが、なかなかなくて、最初はスーパーのパートなどをしておりましたが、やっと研究所でその知識を生かして仕事ができるようになりました。しかしながら、その研究所はほかの研究員はみんな正社員でしたが、彼女だけがパートで、そして時給で、同じ時間帯働きましたが、全く収入の差は、もちろんボーナスもありませんし、時給ですから、差があるわけですね。そのときは時給が八百五十円、ボーナスなし、一日八時間、週五日働いて十三万円余りと。こういう人がいる一方、また、今日はこれだけ、今はこれだけにしておきますが、こういうケースで十三万円では子供を中学、高校、大学までやっていくことができないということで、ほかの仕事ももちろんしておりますけれども。
 こうした正社員と労働時間は同じでありながら、全く待遇が悪くて、働きたいという意欲もあるし、もっと収入も上げたいというこういう人たちの、そして正社員と変わらない仕事をしているわけですね。残業のあるときは一緒に残業、もちろん研究のあれで実験などもやっておりますし、こうした人たちこそ本来待遇の改善がなされるべきだと私は思うんですね。
 労働時間のみでパートタイム労働者を定義することに大変私は問題があると思うんですけれども、大臣、これについての認識はいかがでしょうか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今委員が御指摘になられた例というのは、先ほどもフルタイムパートというお言葉で呼ばれた方のことだと理解をいたしますが、これは先ほど局長の方から御答弁申し上げましたように、このパート労働法の言うパート労働者に該当しないということになっております。
 したがって、今回のパート労働法の改正の効果というか、そういうものを直接受けるという立場にあるとは申し難いわけでございますが、私どもといたしましては、今回のパート労働法の改正というものが実施に移されて、実際にその法律が求めているようなそういう労働者の就労条件の改善というものが行われている場合には、そこに何らかのいい影響が出てくる、趣旨が生かされるということについてはある種の期待を持っているというのが率直なところでございます。
 しかし、法律としてはどうなのかという法律論になりますと、これはむしろ、恐らくこの女性の方については、雇用契約における期間の設定があって有期雇用ということになっているということが多分考えられやすい立場だと、こういうふうに思うわけでございます。そうすると、この有期の契約、この労働者というものについては、そういうものとして法律の改正が行われて、それが現実の法律の効果として処遇の改善に結び付いていく、こういうことが考えられるわけでございまして、私ども厚生労働省におきますそうした行政に対する関心というのも当然のことながら強く持っておりました。
 そして、労政審におきましても、この間の改革あるいは法律の改正ということについても御議論を行っていただいたわけでございますけれども、やはり契約社員と、あるいは契約の労働者というものの態様というものが非常に区々でありまして、議論のプロセスの中でなかなかこれを法律改正というところにまでまとめていくということが当面難しいということがございまして、今回は今後とも検討を続けるということが結論になったということでございまして、大変残念なんですけれども、今度はそういう改正にまでは至らなかったということでございます。
○円より子君 審議会で使用者側と様々な攻防を繰り広げられて、大臣としても厚生労働省としてもできる限りそうしたフルパートの人や有期雇用の人を何とかしたいというお気持ちだったということは分かりましたが、ただ、楽観的な、何とか企業努力でやってくれるんじゃないかだけではそういう方たちはなかなか救われません。
 今大臣がおっしゃったのは、じゃ、有期雇用の契約者の労働者、パートタイムなり、また時間だけではなくて、フルパートと言われているような人たちの法案を早速作って検討し、変えていこうというお気持ちだということでよろしいんでしょうか。検討なさるということでしょうか。確認させてください。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 労政審におきましても現に検討をしていただいたわけですし、それからまたこの問題については、今回はこの取りまとめに至らなかったけれども、引き続いて検討ということはもうはっきりいたしておりますので、更に検討を進めて、私どもとしてはできるだけ早い機会にその改正に結び付くように努めてまいりたいと、このように考えております。
○円より子君 今おっしゃっていたこの法案での対象者を広げるか他の法案を早急に作るかしなければ、検討している間に本当に子育てもできなくなったり夫婦関係が悪くなったり、今これは女性にもちろん多いかもしれませんが、男性も同様でございますし、家族は大事だとか、幾らそういうお題目を唱えて倫理観で人を縛ろうと思ったって無理で、本当にそういう雇用の場をしっかりやっていくことこそが私は、人々が自分で、もう本当、ガッツがあって頑張って働いているのに一つもそれに報いられないという状況でしたら、なかなか自らの労働に誇りを持つことができません。
 こうした国づくりをやっている限りは公正な美しい国づくりなんというのはできないわけで、是非とも、今大臣がおっしゃったその検討はもうそろそろおやめになって、早急に法案作りに掛かっていただきたいと思います。
 それから、今できることは例えば、先ほど言ったような方たちはできるだけ必死で働いて、時給を上げてほしいとか、又は正社員になれるような仕事を働きながら探していらっしゃる方が多いんですね。今のハローワークというのは、おおよそ八時台から五時台とか、夜間やっているところも少しありますし、土曜日やっているところも少しはあるんですけれども、全く今失業していて仕事がない人向けのハローワークなんです。でも、例えば母子家庭の人とか今のフルパートの人とか、それから非自発的な短時間労働者というのは、できる限りいい仕事を見付けたいと思っていますから、仕事を休んでハローワークに行くことはできないんですね。
 ですから、もっとハローワークの在り方を、例えばこれだったら急に、使用者側との攻防などなしに変えられると思いますので、土、日とか夜間とかそういうところで、いい仕事を探すためのハローワークに変えていくような方向をお考えになってほしいんですが、いかがですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) ハローワークにつきましては、むしろ完全に職のない方々だけではなくて、現に職に就いておられるわけですけれども、更に自分にふさわしい、かつまた処遇が向上するような、そういう職場を求めるという方は多いだろうと、このように、これは想像を容易にできるところでございます。そういうような人たちのニーズにこたえるために、ハローワークの執務体制あるいは開庁の時間というもの、あるいは開庁の日取りというか、そういうようなものについても工夫をしていかなければならない、こういう御指摘でございますけれども、現在でも、もう委員が既に御指摘いただきましたように、平日の夜間であるとか土曜日には重立ったハローワークにおきましては開庁をしまして、職業相談あるいは職業紹介を実施をしているところでございます。
 十八年度で申しますと、この関係のサービスについては、全国で三百二十二万の方が利用をしているというような状況にあるわけでございます。ニーズがあるという、高いというところにはこうしたことのシステムを更に拡大していくという方向で考えたいと思いますけれども、一律にどうこうと言うことはふさわしくないと、このように考えておりますので、基本的に、ニーズの高いところについてそうしたことを拡大していくということを本日の答弁とさせていただきます。
○円より子君 次に、複合就労と言われる複合労働者の救済についてお伺いしたいと思いますが、先ほども母子家庭の母親の例を出しましたけれども、小さい子供がいるお母さんたちは、母子家庭で、例えば保育園に子供をお迎えに行くまではもちろん普通に九時―五時辺りの仕事をしているんですが、それだけでは、先ほど申しましたように、時給が大変低くて、今後のことも考えたりしますと、大体、持家が二六%ぐらいの割合ですから、家がありませんから家賃も掛かります。十三万円ぐらいの収入で家賃、東京などで払うと、もう本当、食べていけないわけですね。ですから、夕飯の支度をして子供に御飯を食べさせ、おふろに入れて寝かし付けて、夜九時ごろからまたほかのパートに午前一時ごろまで出て働いているという方が大変多いんです。
 時々、大変悲しい事件で、母親が外に出ている間に火事があって子供たちが亡くなっているというようなことがあります。アメリカですと、小さい子を子供だけで置いておくと、それだけで虐待になってしまう、親が捕まってしまうというような状況ですが、今、日本ではそういうことをせざるを得ない。
 保育園だと、毎朝体温計で熱を測らなきゃいけないんですが、三十七度以上だと保育園預かってもらえないんですね。でも、三十七度ぐらいで、はしかとか水ぼうそうとかというようなものでなければ、そういうことだともちろんほかの子供たちに迷惑が掛かりますけれども、大抵お母さんは、それで一日の何千円かのお金がなくなったら食べていけませんから、私もよくやりましたが、三十六度五分と書いて子供を預けに行きました。そういうことをしないとやっていけなくて、子供を一人で寝かし付けて、保育園にも預けずに働きに行くお母さんはたくさんいらっしゃるんですね。
 そういう状況で、ですから掛け持ちを幾つもしていますが、こういう人たちはもちろん厚生年金ありません。雇用保険もありません。各種手当、退職金、研修制度、福利厚生、何もなく、二つも三つも掛け持ちして仕事をしていらっしゃいます。
 こういう、一生懸命仕事をして、それで一つだったら生活保護以下でとても食べていけないというような、こういう複合就労の人たちをどうやって救済していこう、どのようにこの人たちの待遇改善を図っていこうとお考えでしょうか。
○政府参考人(大谷泰夫君) 複数のパートの仕事を掛け持ちしているいわゆる複合労働者でありますけれども、この実態につきましては、平成十三年にパートタイム労働者総合実態調査によりますと、パート労働者のうち、別の会社で働いているとお答えになった方が八・二%おられたということでございます。
 そのときも、特に賃金、処遇等については、その方について特に把握したわけではありませんけれども、そういった中で、今回もパートタイムのこの労働法において、それぞれの働き方に応じて、その均衡処遇、また特にもう正社員と同じような仕事をしている方については差別禁止ということでその待遇改善を図っていくということで、今回もパートに臨んでおられる個別個別のケースのいわゆる処遇改善を図りたいと考えているところであります。
○円より子君 今、複合就労の方で、例えば九時から五時じゃなくて、正社員よりも三十分でも一時間でも短い、さっきのフルパートじゃなくて労働時間で働いていらっしゃって、有期のじゃなく限りなく無期に近くて、正社員と同視できるような仕事をやっていらっしゃれば、今回の法律でかなり改善されて複合就労をしなくて済むようになるということでしょうか。
○政府参考人(大谷泰夫君) 今お話のありましたように、その時間はわずかに短いけれども、あとの職務であるとか人材活用の仕組みであるとか、その契約期間について、これはもう正社員と同視できるという方であれば、おっしゃるとおり、もうその時間においては正社員と同じ待遇が確保されるというのはこの法律の一つのポイントでありますが、一方、今回の法律は、そうでない方、いわゆるすべてのパートタイムの方を対象に、じゃ、その正社員との比較においてどういう働き方をしておられるかということも均衡の基準にしながら、そのいろいろな対応において処遇改善を図ろうとしておりますので、差別禁止部分だけであるというふうには、考えておるすべての労働者を対象にした法案というふうに理解しております。
○円より子君 当然、すべてのパートタイム労働、時間の短い労働者について対象としていらっしゃるわけですけれども、ほとんど禁止規定のある人たちというのは少なくて、残念ながら努力義務の方の方が多いように思われますので、まあ数がなかなかはっきりしませんが、五、六%、禁止の人たちは。そして、それで待遇改善される人がいるという話もあれば、いやもっと、一%ぐらいしかないんじゃないかというお話もあって、なかなか実態がやはり分からないものですから、また複合就労の実態も調査がないものですから分かりかねますが。
 この今回の改正で、例えば小学生二人の子のお母さんで、先ほど言いましたような九時―五時の仕事と、これは正規労働者と同じなんですが、夜十時―一時の仕事、土曜の夜から日曜昼にかけては時給が高いものですからこれをやり、三つの仕事を掛け持ちして年間二千五百時間近く働いているとか、また、子供が育った後、家もなく、もうすべて貯金を子供の学費で使い果たして何もない六十代の人も、二つの仕事を掛け持ちして二千八百時間も働いている。ところが、どちらも年収は二百万円台というような方がたくさんいらっしゃるんですね。
 こういう人たちが今回のどうもパートタイム労働法で救われるようになかなか思えないものですから、どこにどうできるのか、対象となる部分が、この複合就労をしている人にあるのかなと思うんですけれども。
○政府参考人(大谷泰夫君) 先ほど申しましたような、正社員、通常の労働者と同視、同じに見られる方については差別禁止でございますが、それ以外の方に今回四つの大きな類型に分けて整理したわけでありますけれども、その仕事の中身はもう正社員と同じであると、ただ長期のいわゆる人材管理が違うという方については、例えばこれは賃金の決め方やなんかも同じにしようということで、それにおいて、例えば幾ら長い期間勤めても賃金が上がらないということがなくなるであるとか、あるいはそういったレベルに至らない方であっても職務の内容は同じという方について正社員との均衡を図る、またそれについての研修でありますとか福利厚生施設の利用とか、各般にわたって今回取り組んでいるところでありますし、また正社員の転換も進めようということでありますから、その企業にパートタイムで勤められている方が企業内の正社員募集のときにそれが必ず声が掛かるというような格好で少しでも正社員に登用されると、いろんな切り口でございますけれども、今回の法案で複合、複数のパートタイムの仕事をしておられる方も、その職場職場でそういったいろんな切り口で処遇改善が図られるのではないかというように考えております。
○円より子君 そうしますと、そうした方の働いている事業所に正社員がいないような場合、つまり比較できる通常の労働者がいない、その場合はこの法律は適用されないことになりますよね。多くの人が零細企業で、社長だけがいて、あと、みんなパートの人というケースが、そういうところに勤めている人が大変多いんですね。こういったケースはどうなりますでしょうか。
○政府参考人(大谷泰夫君) 今回のこのパートタイム労働法の考え方というのは、その事業所にいて通常の労働者と比較して均衡を図るという考え方に立つわけでありますから、例えばケースとして、その事業所にいわゆる通常の労働者がいないといったケース、非常に今、例えばコンビニなんかのところで事業主だけがいて、いわゆる通常の労働者がいないと、こういったケースについては、この法律で言う比較すべき通常の労働者はいないということになりますが、この法律のぎりぎりの整理であります。
 しかしながら、いろんなケースあると思いますけれども、そのコンビニも、例えば直近まで正社員の方がいたケースもあろうかというようなケースもあると思いますし、できるだけこの法律の趣旨に沿って各事業所で御努力いただきたいというのが我々の気持ちであります。
○円より子君 同じ業種の、例えば今コンビニの例を出されましたけれども、そういうところですと、他の企業で、例えばもう同じような業態で働かせている可能性がありますけれども、例えばビジネスホテルなどできちんと正社員もいてパートの人もいる会社と、それからほとんどパートだけでやっているようなところとがあった場合に、同じ職種の企業で別の対比すべき通常の労働者がいたら、それにやはり準拠しなさいというような、そういう周知徹底もできるんですか。
○政府参考人(大谷泰夫君) 我が国のまだ雇用慣行としましては、例えば同一職種、同一、同業であって、企業横並びの賃金体系というのはあるわけでありませんので、やはりそこに勤める同一の事業所にいる通常の社員との比較というのが現在の雇用の中ではそこは限界であろうかとは考えますけれども、しかしそれは今回、この法律が適用されて各職場職場で通常の社員とのレベルにおいての均衡が図られていく中で、これは労働契約を結ばれるその局面においては一種のそういった相場観みたいなものが出てくるものが期待されるわけでありますが、これはこの法律の外側の議論でございます。
○円より子君 このように、今お話を伺ってきますと、今回のパートタイム労働法は対象となる人が大変少ないようにも思われますし、また企業の判断に任せる、楽観的な期待があったり、いろいろこうしてほしいというようなあれはあったとしても、企業の判断や解釈で対象人数が大変変わってしまうのではないかと想像されて混乱が生じるように思います。そういった危惧がございます。
 パート労働者の労働条件について、先ほど言ったような複合就労の件もそうですし、有期雇用の件もそうですし、様々なところで調査と実態、実態調査ですね、しっかり行われていない、調査しにくい部分もあるかと思いますけれども、そうしたときに、この法案が成立後に大臣はどのように法を執行し、また政策評価を行うおつもりでいらっしゃるんでしょうか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今回、法律の改正を御提案申し上げておりまして、これを是非成立をさせていただきたいわけでございます。その成立をした暁に、この法律改正の効果というか評価というものについてどのようなことを考えていくのかと、こういうことでございますけれども、これは先ほどもその指針の段階で申し上げましたように、アンケート調査というような形で具体的に法律の改正による状況の推移というものも可能でもありますし、また実際の行政にかかわるところでどういうことが出てくるか、言えばそれはこの法律の施行の中で、パート労働者からの相談の件数であるとか、又は現実に行われる行政指導の件数の推移等によりまして、やはり私どもとしては政策評価を行う、そういう情報を得ることができると、このように考えているところでございます。
○円より子君 例えば、スーパーの店長さんなんかも、最近はパートでも本当に仕事を一生懸命していらっしゃる、責任感も強いということで、随分、店長さんに任命されている方が多いと聞いておりますけれども、大変重い責任を負いながらパートであるために賃金が少ないという、働いている生きがいはあるけれども時々とてもむなしくなるという、そういった感想もその方たちから聞いていますけれども、こういう人たちの格差の原因を取り除いてパート労働者の労働条件を是正していくこと、これも大変求められていると思うんですけれども、正社員との均衡を考慮しながらということで、ここでは例えば例も厚生労働省からいただきましたけれども、人材活用の仕組みの中の人事異動の有無によって正社員とこのパートの店長さんたちが違うということになると、先ほどの同視すべき者の、禁止して同じように賃金、教育訓練、福利厚生が上がるというふうにならずに、まあ相当踏み込んでいるとおっしゃってはいますけれども、結局、努力義務にとどまるという形なんですが、これなどはなぜ転勤が必要なのかということも含めて、なぜ義務規定にこういった人たちはできなかったのか、した方が私はいいと思うんですが、いかがですか。
○政府参考人(大谷泰夫君) パートタイム労働者の中にはいろんな働き方、経歴等があるわけでありまして、なかなかこれ一律にその処遇を通常の労働者ということで一くくりに比較することは難しいということであります。
 そこで、今、人材活用の仕組みというものをいわゆる差別禁止の中の要件に入れた考え方でありますけれども、これは例えば同じ職場にいて、事実上そこで行っている職務は例えばその時間だけ切り取れば同じであったとしても、その片方は例えば本社採用の正社員で、それでいろんな場での言わば転勤の経験を積み、あるいは本社での経営管理の経験を積み、あるいはその支店においてはそこの仕事は同じでも、あとクレーム処理については別の任を負っているとか、そういうことで、やはりその人材活用の仕組みが違えば、その局面だけで見て同じ仕事をしていても、そこは比較すべき正社員という対象としてはやはり処遇がこれは違わざるを得ないということで、そういった意味でその職務プラスそういった人材活用というものを含めて、日本全体の通常の労働者がこの長期雇用の中で動いている中で均衡を図っていくという意味で、そういったポイントも今回判断の一つになったということでございます。
○円より子君 昨年、男女雇用機会均等法が改正されまして、間接差別の禁止が規定されました。転勤などを正社員の採用要件として課すことは、実質的に女性が正社員として採用される可能性を侵し、間接差別に当たるおそれがあると考えられているんですが、男女の問題と今回のパート労働法は違うということや、採用のときの問題と雇用形態との違いもあるかと思いますが、ワーク・ライフ・バランスとかっていうような点から見ても転勤要件の有無を課すというのは私はちょっと不思議な気がするんですが、これについていかがでしょうか。
○政府参考人(大谷泰夫君) 今委員からお話がありましたように、昨年の男女雇用機会均等法の審議の中でも、このパートタイム、要するに労働時間の長短に基づくそのいわゆる格差、差別については、これはこのパート労働法で解決するという流れで整理されたわけでありますが、今お話のありましたこの人材活用の仕組みというもの、今これがいわゆる転勤というものもその要素としては入っているわけでありますけれども、これは正社員とそれからそれと異なるパート労働者について、異動させないことによる待遇の差について合理的なこれは理由があると、それぞれ立場上理由があってそういう処遇になっているということで、これは均等法のいわゆる間接差別の対象とは考えておりませんけれども、今回の均衡処遇ということで通常の正社員と比べるということになりますと、今申しましたように、そういう経歴といったものはやはり処遇の均衡を比べる中でのこれはメルクマールにはなるものというふうに考えております。
○円より子君 転勤というのは、今パートの店長さんの話では女性が多いかもしれませんけれども、今まで何十年間というか、もっと長い間ですね、男性の転勤というのは大変多くて、単身赴任で家庭内がうまくいかなくなったなんていうケースも私はたくさん知っておりまして、実は私のところに、もう国会議員になる前ですけれども、随分、会社の人事課長さんが相談にお見えになったことがあります。余りに長い間単身赴任をさせたことが家庭崩壊のもしかしたら原因だったのではないかと、社員の働き方というものをもう少し考えなきゃいけない時代になったという二十年前に随分そういう相談を受けたことがありまして、会社の人事課の方たちのところに講演などに随分行ったこともあるんですけれども。
 働き方というのは、正社員の場合も、今回はパートの方の法案ですけれども、正社員の長時間労働の是正ですとか、そういうものも大変ワーク・ライフ・バランスの中で重要になっていて、ここには長時間の労働だけじゃなく、転勤とか単身赴任とか、そういうものもあると思うんですね。育児時間などにしても、日本では男性はたった二十五分、ドイツの場合は五十九分、イギリスの場合は九十分というふうに育児時間でも大変日本では差があります。
 長時間労働を是正し、ワーク・ライフ・バランスを促進させるためにもこの法案が役に立つのかどうか、どう運用されるのかどうか。フルタイムの正社員のみに様々な手当を支給し、その生活を保障するのではなくて、パート労働者にも責任ある職務を分担してもらうことで、正社員の負担を軽減してパートタイム労働者の生活を保障するというようなワークシェアリング、一時期すごくワークシェアリングについての研究もなされていたように思うんですが、そうしたことを一層推進することが私は重要だと思うんですが、大臣の所感はいかがでいらっしゃいますでしょうか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 正社員につきましても、今委員が御指摘のように、長時間労働の恒常化というか、総労働時間は減っているにもかかわらず、例えば子育て中の若い労働者の時間外労働の時間というのが非常に高止まりしているというようなことがございまして、私どもはこの長時間労働は抑制していかなければならない、こういう考え方に立っております。そのために、今度、労働基準法を改正いたしまして、時間外の勤務をした場合の割増し賃金ということのシステム、制度を改正しようということで御提案をいたしているわけでございます。
 そうしたことも今回のこの短時間労働者、パート労働者の方にもいい影響が出てくるということは、これは別に法律論として考えるわけではなくて、実態的にはそういうようなことにもいい影響が出てくればいいと、こういうように考えておるところです。つまり、短時間労働者というような方々がより多くそこで雇用されるというようなことになれば、それはそれで一つの雇用の機会にもなりますし、お互いが労働時間ということでは抑制されたもので、一つの仕事を成し遂げていくというようなことに、大きく言えばそういったことにも影響があるのではないかと、このように考えます。
 他方、ワークシェアリングでございますけれども、今委員がおっしゃられるとおりの感じを私も率直に言って持っているわけでございます。一時のあのワークシェアリング熱というのはどこに行ってしまったんだろうという感想は私自身も持っているわけでございますが、行政の方で申しますと、平成十四年に割とその機運が盛り上がりまして、ワークシェアリングに関する政労使の合意というものがございまして、環境整備を早期に行おうというようなことがございました。また、同じ年の十二月には、多様な働き方とワークシェアリングに関する政労使合意というようなものがありまして、この課題を具体的にこれを解決していこうというようなことも行われたわけでございます。
 そして、こういった政労使の合意を受けまして厚労省といたしましても、平成十五年度より多様就業型ワークシェアリング制度導入実務検討会議という非常に難しい名前の会議が開催されまして、その検討の結果、いわゆる短時間正社員制度について一つの代表的な働き方として導入を行うためのマニュアルというようなものを取りまとめたというようなことがございます。
 これらがこの問題に取り組む行政的な取組としてここで御報告をすることでございますが、そしてそういうマニュアルを作成して、その導入を実際にした企業に対しては助成金を支給するというようなことの制度までしつらえてはございますけれども、今現在、機運としてどうかというふうになりますと、今、円委員のおっしゃられるように、一時の熱気が若干停滞しているかなということでございます。
○円より子君 日本というのは、本当に正社員でいろいろ収入も良く待遇もいいけれども、長時間労働で働かなきゃいけない、又は短時間で、先ほど言いましたような複合就労とかいろいろあるんですが、短時間で大変給与が不安定で低いという、何か二つしか選択肢がなくて、もっと時間が短く、そして子育てもゆったりしながら、地域のこともやりながら、だけれども短い時間に見合って、例えば七割の時間だったら、でも七割ぐらいの収入はあるとか、そういうものがあれば多分ワークシェアリングというようなことももっと普及し、そして夫婦でそういう形で、育児時間も父親も母親も取れるような形にしていくとか、それから地域の、それこそ環境問題やごみ拾いや地域の子供たちを育てることやいろんなことができると思いますけれども、なかなか二極化していて、労働者は本来は同じように働きたいと思っているのに、その雇用形態、待遇の違いで大変差別されて、まるで正社員じゃない人たちが下位に見られるような、それでどんどんどんどん格差が広がるような、今そんな社会になっているように思うんですね。
 それを今回、少しでも是正しようとして、その目標を持って作られたのがこのパートタイム労働法の改正だと思うんですが、残念ながら幾つものハードルがあり過ぎてなかなか、本来働く意欲はあって頑張りたいのに、そういう人たちのところが対象にならずに救えないというようなことが出てきます。
 それで、一番の問題点はやはり収入のところだと思うんですけれども、例えばパートの時間当たり給与額というのがよくいろいろ出ています。所定内給与額の格差で見れば、男性パート労働者は一般労働者の五二・五%ですから、約半分ですね。女性のパート労働者は女性の一般労働者に比べれば六九%ですから七割、いかに女性が正社員であっても低いか。これがまた厚生年金にもつながって、女性は厚生年金をずっと働き続けて掛け続けた人でも大変男性に比べれば低いんですね。
 この所定内給与額にはボーナスが含まれていませんので、ボーナスを含めますと、男性の場合は男性の正社員の四割になります。女性の場合は、女性の正社員のパートは六割という形になるんですが、もしこれを一番いい男性の正社員と女性のパートの人で時間当たりの賃金格差を調べますと、ボーナスももちろん含めます、女性のパート労働者の時間当たり賃金は九百七十一円、男性の正社員は二千五百四十七円で、これ平成十八年の厚生労働省からいただいたものですが、三八%にしかすぎません。パートの人がフルタイムの正社員に比べて労働時間が短いために給与の総額に格差が生じるのは当然だと思いますけれども、同じ時間で比較してもこれほど違うというのは、私は合理的な説明は大変難しいのではないかと思います。
 なぜこういう格差が生じるのか、合理的な説明をしていただきたいんですね。時間当たり給与額に平均で三倍もの格差が現実として生じていることの合理的説明と認識をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(大谷泰夫君) 一般論、概括的なお答えしかなかなかしにくいわけでありますけれども、このパート労働者、正社員と比べますとやはり職務が違うという点、あるいは人材活用の仕組みとか勤続年数とかこういった違いがある場合が多いということで、結果的にこうした大きな格差になっているというふうに説明されているところでございます。
○円より子君 そうしますと、同じような職務が教育や訓練によってできる人たちは正社員にしていくのか、待遇を同じようにしていくのか。それから、逆に、今回のパート労働法が、転勤などを拒否したりとか、そういう人たちがいることによって社員を今度はパートにしていくというような不利益なことが行われるおそれがないのかどうか、その両方をお伺いします。
○政府参考人(大谷泰夫君) 今回のパートタイム労働法の効果ということになるわけでありますけれども、これは、差別禁止の対象に当たる方々につきましては三つの要件ということで、これが同じでない限りいわゆる差別禁止にはならないということでありますが、例えば、その次の類型といたしまして、仕事が同じで、ある一定期間の人材活用の仕組みが同じであれば、これは賃金表の適用等を当てはめまして、非常にそのいわゆる通常の労働者と接近した形になっていけるのではないかと。その次の、職務が同じ、職務が違う、いろんなことによって幾つかの序列はありますけれども、そういった意味で、その働き方に応じてこれは事きめ細かに今回その処遇について決めていく。
 また、その教育訓練につきましても、必要な教育訓練をこれは義務付けているところでありますし、なお、研修等を行ってまたその正社員化の道を開こうということで、できるだけその均衡を縮めるという方向で御努力いただきたいというふうに考えて作られているわけでありますが、一方で、そういうことによって、じゃ、その高いレベルのグループにしないようにそれを処遇で切り下げていくということが起きるということはこれはあってはならないわけでありますから、そういう個別の処遇において理由のない不利益な取扱いということは、一般法理でこれは禁止されているものというふうに考えているわけであります。
○円より子君 実際にあった話なんですけれども、名前は控えますけれども、ある大手のスーパーが外資系に吸収されて、そこの執行役員がいろいろな店を見に行って、日本はパート労働者が本当によく働いていると感心をして、正社員との差が給与等にあり過ぎるということを知って、これはおかしいと、同等に、均衡にすべきだと。で、どうしたかというと、正社員をがくっと下げたんですね。そういうことが現実にございました。
 そうすると、今、不利益変更の禁止は周知徹底なさるんでしょうけれども、そういうことがないようにと。もしそうした、この今回のパートの労働者でも、通常の労働者と比較して、職務の内容及び責任、人材活用の仕組み、人事異動の有無及び範囲、そして契約期間のこの三つにおいて正社員と同視すべき者ということで、短時間正社員にほとんどなるということなんでしょうけれども、賞与も何もかもあるようになると。
 そのときに、逆に正社員が、この三つの要件があるがゆえに、この三つの要件を満たせない人が出てきた場合、正社員に、今話した不利益変更になるんでしょうけれども、あなたは正社員の三つの要件にならないからと言われたようなときには、そのときには駆け込んで救済されるものなんでしょうか、どこかに、相談者に駆け込めば。
○政府参考人(大谷泰夫君) まず、この法律の考え方は、同一の事業所にいる通常の正社員と比較するということがスタートでありますので、そのパートタイム労働者がそういった通常の社員と同じかどうかということをまず確認していくというのが流れでありますから、例えば、現在ありますように、中小企業で元々転勤のない職場におられる正社員の方はおられるわけでありまして、いわゆる一般の正社員の方々が今回の三条件によっていわゆる正社員からパートタイムになるとか、そういった流れの考え方はないのではなかろうかというふうに思います。
○円より子君 ないんじゃなかろうかではなくて、もしそういったケースになった場合は、それは駄目ですよという禁止事項はありますか。
○政府参考人(大谷泰夫君) これはパートタイム労働法ではありませんで、正にこれは雇用の一般法理になりますけれども、当事者間の話合いの中で、一方的な不利益変更が行われたということについては、これは民事で、それは公序良俗に反するということで許されないというふうに考えております。
○円より子君 ちょっと戻りますけれども、この要件の今の均衡待遇といいますか均等待遇の要件の中の契約期間の有無について、先ほど大臣は、有期雇用のケースについても早く検討して法案を作って、パート労働法の対象者と同じように改正をしていくべきという気持ちがあるというふうにおっしゃいました。もう、是非それは早急に進めていただきたいと思うんですが、今回、有期雇用労働者の数、それからその実態を把握していらっしゃるかどうかと、契約期間の有無が待遇差別を合理化しているということなんでしょうか、それを。
 安倍総理が、どうしてこういうことをお聞きするかと申しますと、先週の本会議で、こういう契約期間の有無は格差を正当化し拡大するといった批判は当たらないというふうに発言されたんですが、その根拠について言及されなかったんですね。仮に、企業が悪意を持ってわざと三年間の有期契約にした場合に、契約期間があることを理由に待遇差別を改善しないという状況が生じるおそれがあるわけですので、そうした事態をいかに避けることができるかというようなこと。
 また、有期であるために不安定な就業を強いられる人こそ、先ほど言いましたように、複合就労ですとかいろいろな形にならざるを得ない人たちも含めて救済すべきではないかという観点から幾つかお伺いしたいと思います。
○政府参考人(大谷泰夫君) 差別的取扱いの禁止の要件の中にこの契約期間というものが入っているわけでありますが、まず、その考え方を申し上げますと、日本の雇用システムにおきましては、主にある程度長期の雇用を想定して人材育成を行うとともにその待遇の決定が行われているということから、通常の労働者と同視すべきであるかどうかを見る指標として、ある一時点における職務内容だけでなくて、それが長期的に見てどうなるかと、こういう観点が無視できないということで、これも要件に入ったわけであります。
 したがいまして、契約内容が同一であるだけでなくて、これ、御承知のように無期契約、又は有期契約であっても実質的に無期契約となっている場合であれば長期雇用を前提としていると言えるということで、これも今回の差別要件の中には無期に等しいということで認めたわけであります。
 あと、反復継続の実態でありますけれども、例えば、これは正社員と同視すべきということでありますから、いわゆる雇用の終了まで正社員並みの勤務を続けるということが前提になって正社員並みの待遇になるわけでありますけれども、現在、じゃ、このパート労働法ができたということで、これまで事実上繰り返し契約更改してきたのが、この法律ができたということで、それが理由でもし契約の更新がなかったということであれば、これは当事者間の交渉になるわけでありますけれども、いわゆる理由のないこれは不利益な取扱いというふうに考えられるんではないかということでおります。
○円より子君 今おっしゃいました契約更新の反復更新についてなんですが、東芝柳町事件についての最高裁判例では、労働契約に期間の定めがある場合に、その契約が何回も更新され実質的には定めのない契約と同じ状態になった場合や、繰り返し更新がされたため労働者に契約の更新を期待させるような状況がある場合には、その雇い止めに合理的理由がなければ契約の更新は拒否できないと判断された、こういった最高裁判例がございましたが、ちょっと衆議院での委員会審議の中で、こうした判例法理に照らしてという形じゃないような答弁があったようにちょっと思ったものですから、もう一度確認させていただきたいんですが、契約期間が反復更新により無期と同じと判断されるためには、こうした判例法理に照らして判断されると理解してよろしいんでしょうか。
○政府参考人(大谷泰夫君) 御指摘のとおりでありますが、改正法の第八条第二項では、パート労働者の就業の実態を形式ではなくて実態で判断することとしたことによってこの規定を置いたわけでありますが、裁判例が多数示されておりまして、今引用されたものもそうでありますが、その中では以下のような事項を総合的に判断して認定していくことになるわけであります。
 その一つは、業務内容の恒常性、臨時性、正社員との同一性、また、労働者の契約上の地位の基幹性、臨時性、それから、継続的雇用を期待させる言動等当事者の主観的態様、また、更新の回数や更新手続の厳格性、他の労働者の更新の状況。厚生労働省といたしましては、この改正法が成立いたしますれば、こういった内容を通達等によって裁判例で示されている基準を周知して、事業主の理解の促進に努めたいと考えております。
○円より子君 次に、派遣労働者の待遇についてお聞きいたします。
 派遣労働者は、現在二百五十五万人と言われておりますけれども、労働者派遣法では、派遣労働者の均等処遇についての規定がありません。福利厚生について適正とすべき旨の努力義務だけしかないんですね。
 現状において、派遣労働者も正社員との待遇格差が大きいと考えますが、実際に給与等の差はどうなっているのでしょうか。また、派遣労働者について均衡の取れた待遇を確保するために労働者派遣法の改正等について検討することが重要と考えられますが、その点についてはいかがでしょうか。
○政府参考人(高橋満君) お尋ねの派遣労働者とそれから一般的な正社員の賃金の比較でございますが、なかなか調査の方法でありますとか調査対象の違い等があって、その点は十分留意していく必要があろうかと思いますが、私ども把握しております賃金といたしましては、年収ベースでございますが、正社員につきましては、平成十七年の賃金構造基本統計調査、これによりますと約五百二十万円、他方、派遣労働者の平均年収でございますが、これは、平成十七年に私どもで行いました労働力需給制度についてのアンケート調査の結果でございますが、約二百九十二万円と、こういうふうになってございます。
 それで、派遣労働者と派遣先におきます正社員との均衡待遇という問題でございますが、賃金につきましては、この労働者派遣制度におきましては正に雇用主は派遣元でございます。派遣先は指揮命令関係があるというのみにすぎないわけでございます。そうした意味で、派遣労働者の賃金と申しますのは、これは派遣元が派遣労働者と話し合い、交渉する中で決定される制度的な仕組みになると。また、現在の我が国の賃金制度の中では、いわゆる企業を超えた職種別賃金というものは必ずしも一般的ではない、それぞれの企業におきまして労使の交渉で決定される仕組みになっているといったようなことを勘案いたしますと、やはり法制化、均衡処遇についての法制化ということについては慎重な検討を要する問題ではないかと受け止めております。
○円より子君 慎重な検討というのは、余り早急に法案にしない方がいいという言語の意味なんでしょうか。
 御存じかと思いますけれども、スポット派遣労働者、よくワンコールワーカーと呼ばれる、携帯で、あしたどこどこへ何時に集まってください、こういう仕事がありますという、日雇派遣というのが今急増しています。
 若者やリストラされた人たちにとってはすぐに現金が手に入るので大変魅力的だそうですが、ほかに仕事がないから、魅力というよりも、それしかないからしようがなくやっているという人の方が多数だと思いますが、拘束時間の割には大変賃金が低く、仕事がないときの保障もありません。朝から晩まで働いてようやく六千幾らか七千円ぐらいになるらしいんですが、そこに通勤の交通費も含めて払われるものですから、それも全部課税されてしまう形で、当然通勤の交通費は所得税に課税されないものなんですが、一日一日違うところに行ったりするものですから、派遣元といいますか、そこの人たちは交通費と別にするなどという面倒なことはしないとか、様々に派遣会社には問題があるようなんですね。
 それで、私は、労働者派遣法を、その派遣元のマージンのことや様々な業務管理費の名目で取っていたりとか、いろんな問題が随分ありますので、もちろん、賃金が低いので国民年金、国民健康保険も払えないとか、当然、雇用保険に入れてもらえていないとかという、こういう若い人たちが今後、年を取ってきたときにどうなるのかという問題もあります。年金が、無年金者になって生活保護を受けることもございますが。
 こうしたスポット派遣労働者が今後急増することを私は大変憂えておりまして、こうした人たちを保護する、また派遣元にどう規制を掛けていくか、いろいろそれは実態を把握して、そして違法な労働条件や適正でない労働条件については是正を図るとともに、労働者派遣法の見直しをそれこそ慎重にではなく早急に検討していただきたいと、それが急務だと思うのですが、大臣、いかがお思いでしょうか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) いわゆる日雇派遣、今委員はワンコールワーカーという名称でお呼びになられたわけですが、これについては、労働力の需給の迅速なマッチングということには寄与している面があることは認められますが、実際、雇用が非常に不安定であるという、そういう働き方であるという認識をいたしております。
 厚生労働省といたしましては、とにかく安定した雇用を希望する者につきましてはできるだけそうした雇用機会が与えられるように、ハローワークにおきます支援でありますとか、そういうようないろんな手だてを講じましてそうしたことに努めているところでございます。もちろん、労働者派遣法や労基法に違反する場合があれば厳正にこれは対処していくということも、そうしたことを実現する環境の整備の一環だと思ってこれを実施しているところでございます。
 そして、こうしたいろんな問題をはらんでいる、またいろいろな展開というか時間の推移の中で多様になっている、こういうようなことをまとめて派遣労働法の改正というようなものを視野に置いて取り組むべきではないかという御提案、問題提起でございますけれども、私ども、先般の十五年改正事項のフォローアップという意味合いにおきましても、今申したような広範な問題に関しまして労政審において議論を目下いただいているところでございまして、その状況を踏まえてこの事態の改善を図るべく検討を進めたいと、このように考えております。
○円より子君 労政審等の議論でこのパート労働法も、いろいろそうなんですけど、使用者側からどんどん力が強くて押し切られないように、是非労働者の立場で厚生省の方が頑張っていただけたらなと思うんですけれども。
 そもそも、どういう社会、どういう働き方ができる社会をつくっていくかというのは、やはり大臣が率先してやっていただけることじゃないかと思うんですけれども、いまだに子育て中の女性の労働力率は低くて、M字型カーブを描いております。もうこれは三十年ぐらい前から私など、このM字型を何とか台形に、欧米型にしていくために、もっともっと子供を産んで育てる間の働き方について社会が後押ししてくれたらなとずっと言い続けてきたんですけれども、ちっとも変わっておりません。
 このワーク・ライフ・バランスですとか、子供をもっと女性たちに産んでほしいと大臣も思っていらっしゃるようですけれども、そのためにはやっぱり社会の環境整備が本当に大事なんですね。そうすると、今度のパート労働法というのはそのことも視野に入れながら本来変えていくべきもので、自発的にでも、別に非自発的な人たちの問題も物すごくあって今までずっと質疑してきましたけれども、家族的責任を負担するためにフルタイムではなくパートで働きたいという男性も女性も増えるような、そうした社会をつくらなきゃいけないと思うんですね、女性だけじゃなくて。男の人だって、すねかじられて教育費や何かだけあれして、お父さんは余り家に帰ってこなくていいと、丈夫で留守がいいなんて言われるよりも、子供が今日歯が生えた、立っちができた、よちよち歩きをしたというような、そういう感動するような場面に立ち会えた方が男性だって楽しいと思うんですよね。
 私たち、本当に女性に生まれて子供を産んでそういう育つ現場にいられてよかったなと思いまして、私なんかも保育園に子供をゼロ歳から預けて働いてきましたけれど、もう保育園に迎えに行くのは恋人に会うよりもうれしくて飛んでいくという、預けないで済めたらどんなにいいかと思ったことももちろんございますから、そういう人たちの働き方ができるように、パートタイム労働によってもしっかりと生活の糧が得られるようにすることが本当に私は重要だと思うんですね。
 それなのに、例えば女性が働き続けた場合と、辞めて、今、妊娠、出産で七割も辞めているわけです。これが七割辞めて、もう恥ずかしい数字だと思うんですね。厚生労働省も内閣府も何をしてきたのかという感じですけれども、辞めないで済むようにすればいいんですが、再就職したら一生涯の収入は五分の一なんですよ。こういうことも含めて、もちろん人生はお金だけで測ることのできるものではないことはだれもが分かっていますけれども、でも、子育て中も働けるような短い時間で、それでいて収入もあるような、そしてまた、ちょっと辞めていてもまたいつでも復帰できるような、そういう社会をとにかく早急につくっていただきたい。ワークシェアリングの一層の推進、先ほどもう熱が冷めておかしいねと、大臣も認識同じだとおっしゃいましたが、是非とも、このパートタイム労働法だけではなく、そういう社会をつくるために頑張っていただきたいと思うんですが、これからの認識をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(柳澤伯夫君) まず、冒頭お触れになられた女性の出産退職によるM字カーブにつきましては、これを放置することは我々は許されないと考えております。余りマクロのことを言いますとまた問題かもしれませんが、日本の労働力を確保するという、そういう観点からいってもこれは放置できないと、こういうことでございます。
 そういうようなことで、私どももこれに取り組まなければいけないということですが、いろいろ育児休業とか介護休業とかというような女性の働く環境というものの整備もそれなりに進んでおりまして、この十年でM字カーブの底にある三十歳から三十四歳の年齢層においては労働力率が八ポイント上昇しているということも客観的事実でございます。もとより、これで満足するなどというようなレベルでないことも御指摘のとおりでございます。
 全体としてワーク・ライフ・バランスを男女を通じて実現をして、そして、しかも活力のある労働市場であるということをどのようにして実現していくか、これ非常に大きな労働行政上の課題であるということは私もよく認識をしているところでございます。
 今、内閣の方で子どもと家族を応援する戦略会議、総合戦略会議というものが置かれまして、多方面にわたる検討が行われているということですけれども、その中心はワーク・ライフ・バランスの実現ということであろうと、このように考えておりまして、厚生労働省としても大きな貢献をここにしていかなければいけないと。
 それには、今私ども提起しているこのパートタイム労働を始めとする多様な労働形態、雇用の形態というものが賃金を始めとする処遇という面でいわゆる正規の雇用と大幅に劣後するというようなことでは、到底そういうことは実現できないと私ども思っておりまして、日本の長い間に培われた雇用の慣行を背景とする雇用市場の現実というものもこれは尊重をしながら、そうした私どもの理想というか、かくあるべしというようなものをいかに接近させていくかということのために、私ども、いろいろまた委員各位の御指導もいただきながら取り組んでまいりたいと、このように考えているところでございます。
○円より子君 終わります。ありがとうございました。
○委員長(鶴保庸介君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時から再開することとし、休憩いたします。
   午後零時三分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
○委員長(鶴保庸介君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、小池晃君が委員を辞任され、その補欠として吉川春子君が選任されました。
    ─────────────
○委員長(鶴保庸介君) 休憩前に引き続き、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○林久美子君 民主党の林久美子でございます。よろしくお願いいたします。
 本日はパート労働法案についてお伺いをするわけでございますが、衆議院での議論などを拝見をしておりましても、まだまだ少し課題というものがやはり残っているなというのが率直な印象でございます。特に、第八条の、通常の社員と同視すべき者の要件、とりわけ反復更新についてのより明確な基準がどうなるのであるか、あるいは社会通念上という概念を一体だれがどのように、どの責任において判断をするのか、さらにはパート労働者の方に挙証責任を負わせるということなどについても、できるだけより具体的にお話をお聞かせをいただきたいなというふうに思っております。
 やはり、厚生労働省というところは労働行政をつかさどっているところであるわけでございますから、まじめに働いている人がちゃんと生活の糧を得て暮らしていくことができる、そして子供を持ちたいと思えば安心して子供を産み育てることができる、そういうベースをしっかりとつくっていくんだという、そういう前向きな姿勢も併せてお伺いをさせていただければというふうに思っております。よろしくお願いいたします。
 それでは、早速なんですが、まず第八条における社会通念上の概念についてお伺いをしたいと思います。
 柳澤大臣は衆議院の委員会におきまして、この第八条にうたわれている「期間の定めのない労働契約には、反復して更新されることによって期間の定めのない労働契約と同視することが社会通念上相当と認められる期間の定めのある労働契約を含むものとする。」という部分につきまして、「ここで社会通念を私が決めてしまうというわけにはいかないんです。」と御答弁をされていらっしゃいます。その上で、「事業者から見て、これはもう期間のない定めだなと思えば、雇用管理上、そういうことをやっていく。」というふうにお述べになっていらっしゃいます。
 ここでまず確認をさせていただきたいんですけれども、この社会通念上というものの判断は、あくまでもその事業者にゆだねられるんだという理解でよろしいんでしょうか。
○政府参考人(大谷泰夫君) おっしゃるとおり、まず第一義的には事業主の判断が優先することと思います。
○林久美子君 まず第一義的に事業主の判断が優先をするということでございましたけれども、それでは、衆議院の委員会においても更新回数あるいは期間についての質疑がございましたけれども、例えば三年で五回あるいは一年で十回、五年を三回、いろんなバージョンが当然あるわけでございますが、事業者によって期間の定めのない労働者と同視することが社会通念上相当であると認められる、いわゆる基準がその事業者個々人によって違ってもいいということなんでしょうか。大臣にお答えをいただきたいと思います。お願いいたします。
○国務大臣(柳澤伯夫君) まず、差別的取扱いを禁止されるのは、結局その事業主なんですね。事業主が労働者を雇用されておりますので、雇用した労働者が、この新しい法律によってこれは通常の労働者と同一すべき労働条件でないといけないということをまず認識して、それで改めていただく、これがまず第一のアクションというか行為になるんだろうと思いますね。そして、それに対して、労働者の方が何らか、それが仮になかった場合に自分はそうのはずじゃないかというようなことで説明を求める、それに対して答えなきゃならない、こういうふうにいろいろ展開していくんだろうと思うんですね。
 その場合に、今度は社会通念上相当に当たるかどうかの判断基準でございますけれども、これは先ほどの円委員の御質問の中にもございましたように、多くの裁判例の積み重ねがあるということもあるようでございますので、この裁判例を踏まえつつ解釈、運用をしていくということになろうと思います。
 そういうことですが、改正法の施行までの間に、行政としては、これらの裁判例を踏まえた判断の考え方というものを通達の上で整理して示すということになろうかと思います。
○林久美子君 判断基準の通達の内容については後ほど詳しくお伺いをいたしますが、今私がお伺いをいたしましたのは、この社会通念上相当という概念が事業者によって違ってもいいのかどうかということをお伺いをしたわけでございます。いいのか悪いのかでお答えをいただきたいと思います。
○政府参考人(大谷泰夫君) いいのか悪いのかということについては、それが主観的になって不適正な判断であってはいけないということはもちろんでありますけれども、ただ最初のスタートするところでは、事業主が今回の法律、もちろん周知した上での話でありますけれども、理解した上で、これはどう判断するべきかということを一回は御判断いただくということになります。
 ただし、今回、この法律が成立してある程度普及した状態を考えますと、いろんな事業所でいろんな処遇というものができ、それからいろんな事例というのが蓄積していくと思われます。そうしますと、それの中でまた事業主の判断というものも言わば熟していくということがあると思いますので、そういった流れの中でも御理解賜りたいと思います。
○林久美子君 これ、法、通れば四月一日からの施行になるわけですね。その段階、もうそこから動くわけですからね、現場は。だから、違ってもいいのか悪いのかということをまずお伺いをしたいということでございまして、基準については後ほどしっかりとお伺いをいたしますので、今の段階、第一義的には事業者の判断にゆだねられるという前提が先ほど御答弁でもあったわけですから、個々人、事業者によって違ってもいいという理解を私はしたんですけれども、それでもよいでしょうか。
○政府参考人(大谷泰夫君) 法の施行までに過去の裁判例等整理して通達するとともに、いろんな機会を通して周知してまいりたいんで、その幅から余りはみ出た、あり得ないようなことは起こってはならないと考えますけれども、全くその幅がゼロというわけではありませんので、その周知に努めたいというのが前提でございます。
○林久美子君 じゃ、周知に努めた上で、その幅を出なければ事業者の個々人の、それぞれに違っても、多少違ってもいいという理解でいいのかなというふうに思います。
 衆議院の委員会において我が党の山井議員と交わされた議論の中で、差別禁止規定の中の期間のない定めに当たるかどうかということで、三年間を十回更新した場合は、柳澤大臣は、社会通念上、期間の定めのない労働契約だというふうに判断される蓋然性は非常に高いと思いますと御答弁をされていらっしゃいます。
 しかし一方で、今ほどお話をさせていただきましたように、事業者によって、一義的な判断がやはりその事業主にあるということでいえば、例えば高校を卒業して六十五歳ぐらいまで働くとして、五十年弱あるわけですね。その中で、じゃその三年間の契約を十回して三十年勤めましたと。しかしながら、事業主によっては、いや、うちの会社は三十年間までは結構勤められる方多いけれども、次の契約しない方が多いんだよとか、あるいは、いや、うちの会社は大体三十五年間ぐらいが妥当な線で、それ以上はないのだとか。
 そういう意味では、かなりその期間の定めのない労働者としての社会通念上相当であるかどうかという概念にはやはり一定の幅が生まれるのではないかなというふうに私は考えるわけですね。実際、第八条には、「当該事業所における慣行その他の事情からみて、」という文言もやはり入っております。そういう意味では、それぞれの事業所の慣行なり企業風土なり、これまでの労働形態なんかを踏まえての御判断ということになるわけでしょうけれども。
 じゃ、例えば、先ほど具体的な例を申し上げましたけれども、三年間の更新をうちは大体、じゃ十二回ぐらいはするけれども、そこからはもう更新しないわけだから、これはうちの会社では社会通念上期間の定めのない労働者には当たらないんだよということであったとしても、これは一義的に事業者の判断にゆだねられるということであれば、これはこの判断も大臣は是ということで認められるということでよろしいんでしょうか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 反復して更新されることによって期間の定めのない労働契約と同じだと見るべきだと、こういうことが社会通念上相当だという、そういう契約のことを今論じているわけですね。
 この前の衆議院の委員会での質問は、三年の契約を十回更新するようなものは、じゃその点でどうなのかという御質問があったので、これは、それはもう可能性、蓋然性としては、期間の定めのない契約と同一視されるというのを社会通念上言えるんじゃなかろうかということを申し上げたわけですね。
 それを具体的に、じゃどういうふうに考えるかということですが、これから新規に就職した人についてそういう問題が起こるということじゃなくて、例えば三十年ということになると、二十五年とかあるいは二十七年過ぎのときに問題になるんだろうと思うんですよね。今まで九回更新されてきたと、次に更新される、十回もあり得るかもしれません、十回ということが議論になりましたのでね。そういうときのことで、それが回数のほかに、ほかの労働者の更新状況だとか、あるいは期待される言動だとかということで、そういう要素もあるので蓋然性とか可能性という言葉を使ったわけですけれども。そういうことであれば、期間だけのことでいえば、やっぱり三十年近くも、三年の更新ではあるんだけれども、回数を繰り返して更新されてきたと、こういうようなことであれば、それは、社会通念上やっぱりこれは期間の定めのない契約ということになる可能性、蓋然性が高いんではないでしょうかということを申し上げたということでございます。
○林久美子君 ということは、先ほど私が申し上げましたような、例えば、じゃ三年で十一回で、いやそこから更新することの方が少ないから、これは期間の定めのない雇用契約には当たらないんだというようなことは好ましくないというような多分御理解なんですよね。ということですよね、期間だけでいえば、三十年間も勤めていればということですよね。大臣、よろしいですかね。
 ということであれば、やはり一定の基準というものが、やはりこれは法が施行されて、それを踏まえて事業者が運用していくわけですね。それは、その事業者だけじゃなくて、そこには常に働いている人たちがいるわけですね。より安心してしっかりと能力を発揮いただいて、やりがいを感じながら、そしてしっかりと給与の面でも保障されながら働いていただけるのが一番ベストなわけでございますけれども、そのときに、先ほど御答弁もいただきましたけれども、やはり一定の判断材料となる、物差しという言い方がいいんでしょうか、基準という言い方がいいのでしょうか、分かりませんけれども、やはりそういうものというのは必要であると思います。
 先ほど通達を出しますというお話がございましたけれども、通達の内容を教えていただきたいと思いますが、何についてお述べになられるのか、それは大体何項目ぐらいにわたって通達をなさるのか、具体的にお答えをいただきたいと思います。
○政府参考人(大谷泰夫君) 通達の内容の細部にまでこの場で言及するのはなかなか難しいと思いますけれども、盛り込みたいと、盛り込むことを想定している項目をちょっと申し上げますと、これは更新回数のその以外の判断要素でありますけれども、こういう考慮されるものとしましては、その業務内容の恒常性、臨時性、あるいは正社員との同一性、それから次のポイントとして、労働者の契約上の地位の基幹性、基幹性というのは幹部の幹ですね、基幹性あるいは臨時性、また、継続雇用を期待させる言動等当事者の主観的な態様、また、更新手続の厳格性、さらに、他の労働者の更新状況、こういったものが判例でも蓄積があると承知しておりますので、こういったことを踏まえて、通達等でより分かりやすく周知してまいりたいと考えております。
○林久美子君 今お話しをいただいた内容ですと六項目ですかね、お示しをいただけたのかなと思います。通達でございますから法的な拘束力があるわけではもちろんないわけでございますけれども、この中で継続雇用を期待させる言動があったかどうかという部分などについては非常に言った言わないの世界になってしまうわけで、やはりそこら辺をきちっと、じゃ、どうやって担保を取っていくのかということも、これは事業主ももちろんそうですが、働いている者も、働く側も相当しっかりと押さえていかないと水掛け論になってしまう。
 だから、やはり通達の内容につきましても、更新回数だけじゃありませんよと、そのほかにもいろんな判例が積み重なっていく中でこういう判断基準があるんですよということでは、もちろんそれも御理解をするところでございますけれども、やはり分かりやすく、そこに余り主観性が入らないような、やはり客観性を一定、きちっと保ったようなものをメーンにお示しをいただく方がよいのではないかなということを申し上げたいというふうに思います。
 そもそもパート労働法で、午前中はフルタイムの方が対象に入っていないというような議論もあったわけですけれども、この法案の、じゃ、原理原則はどこにあるのだろうかということを考えますと、やはり同一価値労働同一賃金なのかなと思うわけです。しかし、衆議院での議論を、議事録を拝読をさせていただいておりますと、これ、同一労働同一賃金という言葉と同一価値労働同一賃金という言葉が混在をいたしております。
 私は、この価値という言葉が付くのと付かないのとでは随分と意味合いが違ってくると考えておりますし、今回の対象となるいわゆる三要件ですね、職務内容、人材活用の仕組み、あるいは、あともう一つですね、職務内容と、人材活用の仕組みと、無期か反復更新かというその期間の話ですね。この中で、同一価値労働同一賃金といった場合は、職務内容の同一性を問うということについては非常に納得のいく内容でございますけれども、その二つの要件、残り二つのものについては、価値という部分でいくと、本当にそこに妥当性があるのかなという印象をぬぐい去ることができません。
 まずはちょっと確認をさせていただきたいんですが、同一価値労働同一賃金なのか、同一労働同一賃金なのか、どちらが正しいんでしょうか。
○政府参考人(大谷泰夫君) 衆議院の議事でもこの点についていろいろお尋ねがあったわけでありますけれども、この同一価値労働同一賃金、あるいは同一労働同一賃金、この二つの用語について、私どもの法律の中でそれを書き分けているわけではないんで、この法文の中にこの違いを語っているわけではございません。
 今回の法案では、この二つについて、そうなると何か異同があるかということにつきましては、実際にはその考え方を差別禁止という考え方に整理して要件を定めて、言わばそういう考え方を実定法上つくるとこういう書きぶりになるというふうに表現したものでありますから、その両者の異同を法律で表現したわけではありませんが、そこの考え方をちょっと申し上げさせていただきますと、我が国におきましては、企業における正社員の賃金その他の待遇が、その一時点の職務だけではなくて長期の人材活用等を前提として設定されている場合が多いと。これを踏まえますと、賃金を同一にすべき同一労働というのは何であるかということについては、現時点では、職務が同じであるということだけではなくて、勤続の見込みといった長期的な期待の問題、あるいは転勤、配転等への対応の可否、こういった拘束性の問題、こういったことも含めて考えていくのが現在の姿であろうと。
 そうなりますと、これを法制化しまして、言わば差別してはいけない、通常の社員と同一視すべき対象はどうかということになりますと、それは、さっき申しましたみたいに、結果的にはこの同一価値労働同一賃金の原則に沿っているわけでありまして、同一価値労働あるいは同一労働について、この法文の言わば表現においては実は差がない、同じ考え方でもう整理されているということであります。
○林久美子君 同一価値労働同一賃金も同一労働同一賃金も同じ意味であるという御答弁でございました。
 しかし、もう釈迦に説法で恐縮でございますが、ILOの百号条約二条一項では、すべての構成国は同一価値の労働に対する云々というふうな表現をしておりまして、さらに、条約勧告適用専門委員会では、同一価値の労働という概念が同一労働又は類似の労働よりも広い概念であることを指摘している。要するに、国際的には価値という言葉を非常に重視をして使っているわけですね。それが、いや、そんなに違うという意味ではなくて、全く、多分あれですね、同一価値労働のその価値の中には三要件が含まれるということであるとは思うんですが、やはりしっかりと労働行政をつかさどる立場でいらっしゃるわけですから、もうちょっとその辺は慎重にしっかりと考えて表現もしていただければというふうに思います。
 では、次に、挙証責任についてお伺いをしたいと思います。
 これは、衆議院の委員会で我が党のこれは筒井委員が伺わせていただいておったんですが、もう少し詳しく聞かせていただきたいと思います。
 例えば、使用者側が第八条に違反していることを認めないで、最終的に、これは非常に望ましい形ではありませんが、裁判という形になってしまったときに、その申請、要求をされる方からの証明が必要となるというふうな御答弁を衆議院ではなさっていらっしゃいます。こうした場合、つまりはパート労働者の側が挙証責任を負うということになるわけです。
 しかし、パート労働者の方は自分の待遇などについての説明を受けることはあるわけですけれども、そこで同じ職務内容あるいは人材活用、期間の定め、雇用期間のような話になったときに、その人たちの雇用の条件なり環境なり、そうしたものを証明するというのは極めて難しいのではないかというふうに考えます。
 そうした中で、一昨年でしたか、昨年ですね、男女雇用機会均等法も改正をされまして、今年四月一日からは妊娠中の女性労働者及び出産後一年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は無効とすると、ただし、事業主が当該解雇が前項に規定する事由を理由とする解雇でないことを証明したときにはこの限りでないということで、雇用機会均等法の方では事業主に挙証責任を負わせているわけでございます。
 これ、雇用機会均等法ではなぜ事業主の方に挙証責任を負わせたんでしょうか。
○政府参考人(大谷泰夫君) 現行の男女雇用機会均等法の第九条第四項におきましては、妊娠中及び出産後一年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇については、事業主が妊娠等を理由とする解雇ではないことを立証しない限り無効になると、こういうふうになっております。御指摘のとおりであります。
 この均等法の改正の前は、女性労働者は妊娠等を理由とする解雇を無効とするためには訴訟を提起して無効を主張しなければならなかったわけでありますが、訴訟となりますと妊娠中あるいは出産後の女性労働者にとって負担が非常に大きいということから、これは特にこの法において保護する必要性が高いというふうに考えられて、こういった改正に至ったというふうに承知しております。そういうことで、その男女雇用機会均等法についてはそういう特別な理由があったというふうに理解しております。
○林久美子君 今、訴訟になると女性労働者への負担が大きいからだというお話がございました。そうした状況にある女性労働者をある意味では保護する対象だととらえていらっしゃると思うんですが、今回のパート労働法の改正も、もう今や基幹的な役割も担っているそのパート労働の皆さんをしっかりと均衡待遇をしていこうということでの法律の改正であったと思います。
 だとすれば、当然、今のお話を聞けば、より一層事業主の方に挙証責任を負わさないとパート労働者の負担というのは大きいのではないでしょうか。いかがでしょうか。
○政府参考人(大谷泰夫君) 今御説明申し上げましたように、女性労働者ではありますけれども、特に妊娠中あるいは出産後のその女性労働者の負担の大きさにかんがみて、この法律のときにはそういう改正が行われたということであろうかと思います。
 今回の法律でそこをどのようにしたかということで、妊娠あるいは出産後の女性と同列の扱いにしたかということになりますと、そこはやはり一定の違いがあったというふうに考えるわけでありますけれども、今回の改正につきましては、従来との比較で考えますと、これは、過去の裁判等で大変いろいろ労働者の方々、御苦労あったということは承知しておりますけれども、過去の例では、パート労働者に対する差別が民法第九十条の公序良俗違反であるということを立証しなければならなかった。そうなりますと、その事業所において、抽象的な、同一労働同一賃金の原則が存在していることを、公序、公の秩序としてこれ立証するということを負わされていたわけで、これは極めて難しかったわけでございます。
 今回、パート労働法におきましては、その非常に抽象的に、立証することが難しかった内容につきまして、いわゆる職務内容、それから人材活用の仕組み、それから契約の期間についての三要件を満たすということを立証すれば、それを具体的に立証すれば、現行に比べては訴訟におけるその立証責任の負担が相当程度これは軽減されているんではないかというふうに考え、一定の前進があったというふうに一つは考えるわけであります。
 それから、一般の考え方としまして、先ほどの、妊娠中あるいは出産後のことにつきましてはさっき特別な理由を申し上げましたけれども、実際に労使の間で差別的取扱いに関する紛争が生じたと、それでパート労働者が訴訟を提起するという場合には、やはりその訴えを提起した側の労働者において、まずはこの改正法に定める要件を一義的にやっぱり説明いただくということでありまして、これは、こういった雇用労働法の考え方から見てもこれは一般的な扱いではなかろうかというふうに考えております。
○林久美子君 一般的な考え方という御答弁でございましたけれども、やはり私は、それこそいろいろ質疑を拝見をしていますと、事業主の方に説明を求めることはできると。しかしながら、それが納得、いわゆる求めた側が納得できるものをしっかりと示さなくちゃいけないということではないという内容の御答弁もあったかと思います。
 そうした中で、非常に緩いわけですね、説明の責任もですね、緩いわけです。これとこれとこれとこれとこれについてしっかりと、こういう基準で示しなさいというフォーマットもない、基準もないわけですね。それで、いやいや、不満があるのであれば、不満を持った側が裁判を提起をするのだからそちら側が証明をしなさいというのは、余りにも、雇用機会均等法と比べても、私は、やはりパート労働者側の思いに立った仕組みにはなっていないということを感じております。
 で、これ、裁判になってしまうという話と併せまして、今回も都道府県の労働局への紛争の関与の実効性を高めるという話がございます。事業主とパート労働者の間に紛争が生じた場合について、厚労省の方は、都道府県労働局に相談すれば、労働局はちゃんと関与をしてやるから大丈夫だというような御答弁をされているわけですけれども、まず伺いたいんですが、これ、今法律に書かれましたけれども、これまでも一応できることはできたわけですね。過去五年間でこのパート労働法に基づく都道府県労働局の指導や勧告がなされたのは何件あるのか教えてください。
○政府参考人(大谷泰夫君) パートタイム労働法に基づきます指導の過去の経緯でありますけれども、例えば十七年度のケースで申しますと、報告徴収を行ったケースが二千七百九十四件ありましたけれども、うち助言を行ったというケースが千百二十八件でありまして、そのうち千百七件は助言で終了をしておるということで、指導、勧告にまで至ったというケースは報告されておりません。
○林久美子君 それは、今お話しいただいたのは十七年度のお話かと思うんですが、手元の資料によりますと、十三年度、十四年度、十五年度、十六年度、十七年度、過去五年間指導や勧告が行われたのはゼロ件です。つまり、何が申し上げたいかというと、今でもできるのに、法律に格上げをされたわけですけれども、機能していないということなわけですね。今回は、労働局が関与することによって状況等を聴取し、新たな資料を得られるんだと、きちっと勧告もしていくんだということもおっしゃっているわけですけれども、まずこれは本当に、過去五年間、今でもできるのにこういう実績の中で、本当にこれ法律に書いたということだけでしっかりとその部分が機能するんでしょうか。
○政府参考人(大谷泰夫君) 御指摘のように、ここ数年間の経緯では助言にとどまっていた、ほとんどすべてがそういうわけでありますけれども、今回、関係者にお集まりいただいて法律改正をずっと審議していく中で、これまでの指針中心だったものを義務化したり、あるいは努力義務化して法律の規範性を高めてきたという、今回、法律でその規範性は相当程度高まったということがもちろんあるわけでありますけれども、特に現在のこういうパート労働者の処遇を改善しなければならないというこれは強い要請を受けまして、私どもも今回の法律について紛争解決のシステムを簡易化し、また紛争調整委員会のルールも変えたわけでありますけれども、これ、それぞれの事例をより分かりやすく、これは事業主あるいは労働者にもちろん説明しますが、もちろん都道府県の労働局の雇用均等室の職員にも研修等を行いまして資質を高めて、労使からの相談や紛争解決があれば実効ある対処ができるようにこれは努めてまいりたいと考えております。
○林久美子君 思いはすごくよく理解ができるんですね。ただ、私はこれ、やっぱり仕組みの問題というのもあるんじゃないかなと正直感じています。これまでは指針止まりだったのでという部分というのもあるのかもしれませんけれども、これ、紛争が起きたときに労働局がかかわられるときに、やはり客観的な判断材料、これ新たな資料を得られるという表現をされていますけれども、それをそろえて判断をされるわけですね。じゃ、具体的にこのときに得られる資料というのはどういう資料を想定をしていらっしゃるんでしょうか。
○政府参考人(大谷泰夫君) これ、相談に応じる際にいろんなこれは確かに資料が必要になるわけでありまして、一概になかなか申しにくい面はありますけれども、ある程度想定されるものを申しますと、当該事業所におけるパート労働者の雇用管理に関する制度や実態を示す資料、より具体的に言いますと、例えば就業規則であるとか、あるいは賃金表、あるいは職務分担表、こういったものを労働局の雇用均等室の方でこれは入手して、両者の相談に応じるということが起き得るんではないかと思います。
○林久美子君 やはり、その具体的なものを資料を入手してというお話でございましたが、じゃその資料を入手できるかできないかというのはだれの判断に掛かっているんでしょうか。
○政府参考人(大谷泰夫君) これは、相談を受けました際にその労働局の方で要請するわけでありますから、その両者の話合いを進める上でこういうものが必要だということについてその労働局が判断すれば、まず事業主に求めるということになると思います。
○林久美子君 まずは事業主に求めるということであれば、最終的にそうした判断材料となる資料を出す出さないの判断は事業主にゆだねられるということでよろしいんでしょうか。
○政府参考人(大谷泰夫君) 求めに応じていただくことが原則とは思いますけれども、強制力があるわけではございません。
○林久美子君 事業主の判断によって出す出さないが決まると、強制力があるわけではないというお話でございました。じゃ、当然ペナルティーもないということですよね。
○政府参考人(大谷泰夫君) ペナルティー、いわゆる罰則の適用といったものはございません。
○林久美子君 つまり、しっかりと実効性を上げようと思ったときに、多分皆さん本当に、どうやったらパートで働いていらっしゃる皆さんが安心して働けるようになるのかという思いでやはり法案を作って提案をなさっていらっしゃるんだとは思います。
 しかしながら、申し上げたいのは、やはり余りにもその実効性という部分について、本当に大丈夫だろうかという思いが私の中からは消えないということでございます。ある意味ではその事業主の良識にゆだねているところが非常に多くて、さはさりながら、これまでに比べると、一つ一つの基準を厳しくしたり、より一層格上げをされたりという努力はもちろん見て取れるわけですけれども、どうせやるんだったら、もっとしっかりと実効性が上がるところまで私は踏み込んでいただきたかったということを御指摘をさせていただきたいというふうに思います。
 今、この文書の入手について、事業主が拒んでもペナルティーはありませんというお話でございましたが、この今回のパート労働法の改正の中で唯一過料が科されている部分というのがございます。これは、第六条で、いわゆる労働基準法で文書交付を義務付けたり、明示を義務化をして、違反した場合は過料を科すということをされているわけですけれども、現行の法律では今努力義務になっていたかと思います。
 この法案、いろいろ努力義務や義務規定がある中で、ここだけに過料が科されているわけですが、実際、今でもできているし、やっているところもあるという現状の中で、今既にこのパート労働者採用時の労働条件の明示を文書によってしている事業所の割合は何%でしょうか。
○政府参考人(大谷泰夫君) 労働条件の明示を行っている事業所の割合につきまして、これ平成十七年に二十一世紀職業財団が実施しましたパートタイム労働者実態調査によりますと、主に就業規則を交付しているというものが三・八%、また主に労働条件通知書、労働契約書等、書面を交付しているというものが八三・七%でありまして、両方合わせまして、文書により明示している割合は八七・五%というふうに承知しております。
○林久美子君 八七・五%という数を高いと見るのか低いと見るのかというのはいろいろあるかと思いますが、それこそ社会通念上、八割を超える数字というのはまずまずの数字なのではないかなというふうに思います。残りの、今やっていないところをしっかりとやってもらうというのはもちろんなんですが、今ここまで水準が一定来ていると、いろいろな努力規定や義務規定を付けている中で、一番その水準が高いところに来ているものについて今回、過料を科しているわけですね。
 伺いたいんですけれども、じゃ何でこの規定にだけ過料を科して、ほかの義務規定、いろいろ教育訓練とかもありますけれども、これに違反した場合に過料を科すという措置をとられなかったのか、お伺いをしたいと思います。
○政府参考人(大谷泰夫君) 今、現実にどれぐらい履行されているかという数字の八七%というのがございましたが、そういった意味で、ある程度法で強制するときに一挙にその過料や罰則等を付けまして大量な違法状態を短期間につくり出す、これはなかなか立法上も望ましいことではないということもありますから、その八七%の履行がされているというのは一つの判断材料であったかとは思いますが、より質的な議論を申し上げますと、ある義務規定に違反したということに対してこの過料というペナルティーを果たしますには、その義務が履行されているか否か、こういった事実がだれにとってもこれ簡易に判断できる規定であるということが必要であるというふうに考えております。こういった意味で、この三要件について文書交付をしましたかというこの判断というのは極めて明快なこれは判断ができる要素でありますから、これもそういうペナルティーである罰則、過料になじむ項目だったということも言えるわけであります。
 それ以外の、今回、均衡待遇を求める様々な規定があるわけでありますけれども、これは、要は均衡を取るということについて、その確保について事業主に対しまして具体的な雇用管理の見直しをこれは求めるものであります。その見直しの内容につきましては、基本的に労使間でこれは交渉の余地があるものでありまして、これは罰則によって制裁を果たすことで、そのいわゆる行政、そういうことによりますよりも、むしろ行政指導によってその待遇の改善を図っていくということの方が、より各現場現場で実効性を確保できるのではないかというふうに考えたところであります。
 しかしながら、さっき、助言にとどまっていたという過去の経緯に疑問をいただきましたけれども、今回、こういった制度改正を踏まえまして、都道府県の労働局長による、これは必要があれば指導、助言、勧告というところをこれはしっかり行うということで実効性の担保もしてまいりたいというふうに考えます。
○林久美子君 大量に違反者が出ても困るし、さらには外形的に判断がしやすいというところで、この部分に過料を科されたということでございましたけれども、今おっしゃいましたけれども、いかに実効性を担保するのかというのが正に法案のかぎなんだと思います。
 今でも、この三要件を設けたことで、かなりハードルが高くなっていると。すべてのパート労働者のうちの四、五%に当たるだろうと、あるいは本当にいるんだろうかという声さえ今聞かれているわけでございますけれども、そうした中で、テクニカル的に、ここに過料規定を設けるんだったらここだというような部分も、まあ法律を作るときというのはあるのかもしれませんが、それよりも、いかに実効性を担保するのかと。本当に、本当にこれ実効性を上げようと思ったら、外形的に判断がしやすかろうがしにくかろうが、きちっと上げたいところにはやはり科していっても私は間違いではないと思っているんですね。ですから、それ以外の方法で実効性を担保されるということでございましたので、何とか、より一歩でも二歩でもちゃんと前に進んで、パートの方たちが救われるように努力をいただきたいとお願いを申し上げます。
 では、次に、助成金についてお伺いをいたします。
 このパート労働法を実行するときには、働いていらっしゃる方、そして雇用している事業主という二者がもちろんあるわけですけれども、やはりその取組をこれから進めていっていただかなくてはいけないわけですね。そのときに、短時間労働者均衡処遇推進助成金というのを新たに設けられると。これは、中小企業事業主団体向けと事業主向けと二種類ありますよと。この中の中小企業事業主団体向けのものに関して、まず内容として、正社員とパートタイム労働者との均衡処遇を推進するための制度導入について、傘下企業に対する中小企業診断士等による個別指導等の支援事業を二年間にわたり実施した場合というふうになっております。
 まず、これなぜ二年間なのかという合理的な理由をお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(大谷泰夫君) 今回の法律改正に合わせて新設いたしますこの今御指摘の助成金についてでありますけれども、この支給の前提となる事業の実施期間は二年としているわけでありますが、その考え方は、一つは、ある団体がその傘下の企業において雇用されているパート労働者の均衡待遇の確保を支援しようとする場合に、一つはその傘下の企業におけるパート労働者の雇用管理の実態をまず調査する必要があると。また、その当該の調査結果を分析して、傘下企業においてそのパート労働者の均衡待遇を確保するための課題を把握した上で、コンサルタントを派遣するなどして個々の今度は企業における就業規則の見直しなどを支援する、こういった手順が想定されるところであります。
 そういった意味で、これだけの事業を一年で達成するということではこれは短過ぎるであろうということで、初年度は恐らく調査及び分析にウエートがあり、二年目に傘下企業への具体的な支援を行うと、こういったふうになるだろうというふうに想定しまして二年間にわたる事業を助成対象としたということでございます。
○林久美子君 一年目は大体調査で、二年目が事業ということかと思いますが、今のところ、大体初年度は何団体ぐらいを想定していらっしゃるんでしょうか。
○政府参考人(大谷泰夫君) 初年度は十五団体を想定しております。
○林久美子君 初年度は十五団体を想定していらっしゃるということでございましたが、じゃ肝心の助成額についてでございますが、各年度の目標達成度合い等に応じ年一千万円を上限というふうになっております。これは何を指標にした達成度なのかと。項目はどういうもので、だれがどのように達成度を評価されるのかを教えていただきたいと思います。
○政府参考人(大谷泰夫君) この法律改正に合わせて新設します中小企業事業主団体向けの助成金でありますけれども、今お話ありましたように、団体による目標達成度合いに応じて支給することとしているわけであります。この目標達成度の具体的な指標でありますが、現時点で考えておりますのは以下のような考え方であります。
 一つは、事業の初年度は現状調査、課題把握の年度でありますから、その計画上の調査対象予定企業数に対する実際に調査が行われ、均衡待遇確保に関する具体的な課題が把握された企業の数の割合。それから、二年目でありますけれども、具体的な取組の年度であるということから、その団体傘下の企業数に対する均衡待遇確保のための取組を行った企業の割合、こういったものをそれぞれの年度の目標達成指標とすることにして考えております。
 また、その各年度における目標が達成されなかった場合には、これは助成金は不支給あるいは減額するということも念頭に置いております。
○林久美子君 かなり厳しくチェックもしながら支給をしていかれるということであろうかというふうに思います。
 やはり、税金なわけですから、やはりだれでもいいから、十五団体というお話でございましたが、出すのではなくて、初年度ということも考えまして、やはり本当にもうやる気のあるところで一生懸命、そこにいるパートの方たちと一生懸命頑張っていきたいんだというようなところにきちっと使っていけるように、そういう意味ではだからきちっとチェックをされるということで非常にいいわけですけれども、そこに今パート労働者の方たちがいるわけですから、その方たちが救われるようにお願いをしたいというふうに思います。
 今この支給機関なんですが、財団法人二十一世紀職業財団が支給機関となっております。この財団は、いろいろとこれまでにもパート労働者に関して助成金を出してきた団体でもございます。短時間労働者雇用管理改善等助成金、事業主団体短時間労働者雇用管理改善等助成金、そして中小企業短時間労働者雇用管理改善等助成金、この三種類を伺っております。過去から支給をされているのは後段御紹介をいたしました二つの助成金だったんですが、そのうち中小企業短時間労働者雇用管理改善等助成金の平成十七年度の支給実績、執行率を教えていただきたいと思います。
○政府参考人(大谷泰夫君) 今御指摘のありました中小企業短時間労働者雇用管理改善等助成金、個別企業向けのこの助成金の支給額と執行率でありますけれども、平成十七年で見ますと、支給額が〇・四億円、執行率が五七%でございます。
○林久美子君 過去、これ十四年度からの資料をいただいたんですが、十四年度が執行率が五五・三%、十五年度が七〇・三%、十六年度が七四・一、そして十七年度が今御紹介がありましたように約五七%ということでございます。
 これ、ほかの助成金ではもちろん一〇〇%を超えている執行率のものも当然あるわけでございますが、要はきちっとこれ、執行率が低いものというのは原因は何なのかということなんだと思うんですね。これは利用者側のニーズに合っていないか、あるいは知られていないかなのではないかと思うんですが、この助成金の執行率がいわゆる六割に満たない、その辺の理由はどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。
○政府参考人(大谷泰夫君) その五七%という数字、直接細かく分析したわけではありませんけれども、これは今御指摘ありましたように、パートタイムの労働者に対する個別企業のいわゆる取組、熱意といったもの、あるいは景気の動向といったものも一定の限界、制約があったということも想像できますし、一方、団体の周知なりの努力が至らなかったという両面があろうかというふうに思います。
 こういった内容を見直しまして、これは平成十八年には見直しを行いまして若干の改善を見ておりますけれども、今回こういった法律改正を行いましたことから、中小企業団体向けの助成金の制度の見直しも併せてこれ行うわけでありまして、そういうことについて、この助成金の活用につきましては、ホームページによる周知であるとか、それから各種の会議あるいは会合でのリーフレット等資料の配付を行うことはもちろんでありますけれども、この法律改正を背景として事業主団体のパート労働法に対する関心も高まっているというふうに考えられますことから、経済団体に対する助成金制度の説明もこれは丁寧に私どもも行い、また団体の方からも、二十一世紀職業財団からも取り組んでいただくというふうに考えております。
○林久美子君 様々なお取り組みをくださるということでございますけれども、やはりせっかく制度をつくっても使われなかったら意味がないわけですね。だから、しっかりとやっぱりニーズを把握する努力をしなくてはいけないし、周知をするたゆまぬ努力がやはり求められるんだと思います。今回このパート労働法というものがメディアでもかなり取り上げられたりもして、一定認知されているのではないかというようなお考えもあるやに伺っておりますけれども、そういう他力本願的なことではなくて、労働行政をつかさどっているんだという、やっぱりその気概を持ってそういう取組をしっかりとしていただきたいというふうに思います。
 と申し上げますのも、既にこのパート労働法、こうやって議論をしていると、何だかみんな知っているような、自分の周りの人も知っているような気になるんですが、実は意外と知られてないわけですね。パートタイム労働法や指針の周知状況というのを以前調べていらっしゃるかと思うんですが、内容までよく知っているという方は一六%なんですね。ということは、あと残り八四%の人は全く知らないとかよく知らないとか何となくしか分からないみたいな世界なわけですね。そういう認知度のものを幾ら一生懸命変えても、知られなかったら現場は変わらないわけですので、今回のこの改正の内容についても、労働に対する気概についても思いについても、しっかりと認知をしてもらう努力をしていただきたいというふうに思います。
 大臣、これまでにも当然このパート労働法なり厚生労働省さんの取組を知ってもらおうという努力をしてこられたと思うんですが、新たに今回、改正をされるということで、どういうふうに更に周知徹底を図っていかれるのか、これ現状一六%しか知られていないこの広報啓発の在り方とどこをどう変えるのか、お伺いをしたいと思います。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今度のパート労働改正法は、平成五年制定以降言わば初めてのものでございまして、その内容も、均衡待遇の確保や正社員への転換の促進などについて義務を課すというような内容になっておりまして、私どもとしてはかなり大幅な見直しを内容とするものである、このように考えているところでございます。
 したがいまして、このような改正法の内容につきましては、委員御指摘のように、労使双方に対する十分な周知というものがあって初めてその効果が発揮されるということは間違いないところでございます。
 私どもとしては、改正法が成立した暁におきましては、厚生労働省とこの地方労働局におきましてあらゆる機会をとらえて周知、広報を図るということはもちろん、厚生労働省の広報手段だけではなくて政府広報なども動員をいたしまして周知を図っていくということ、それからまた、都道府県、市町村などの地方公共団体にも協力をお願いすると、それからまた、何よりも具体の問題といたしましては、ハローワークの窓口を通じて、ハローワークに事業主さんが求人に来られたり、あるいは一般の労働者の方々が求職に来られたりというようなことがありますので、そこでの広報あるいは周知徹底ということを図っていく、こういうようなあらゆる角度からの努力を傾けてまいりたいと、このように考えております。
○林久美子君 あらゆる角度からの努力を傾けたいということでございましたけれども、これまでの取組と、これから後、どこをどう変えられるのかという点がちょっと非常に不明確だったなということも感じるんですが、ただもう時間もございませんので、最後にちょっと申し上げたいと思います。
 今世間では、働けど働けどという、非常にワーキングプアという言葉がよく使われます。この質問の冒頭から申し上げておりますように、そもそも、厚生労働省さんを始め、この労働行政をつかさどっている者のその責任とか役割というのは一体どこにあるのかと。そもそも、このワーキングプアという言葉が生まれていること自体、私はもうこれは行政の失敗であるというふうに思います。
 ちゃんと一生懸命まじめに暮らして働いていればちゃんと生活の糧が得られるんだと。事業主の方も働いているみんなをちゃんと食べさせていくんだと。働いている人もまじめにこつこつやっていれば、ちゃんと結婚もできて、子供も持ちたかったら持てて、安心して年を重ねていくことができるんだと。そのベースをつくるのが私はやはり厚生労働省のお仕事であると思います。もちろん、私たち議員もそのために努力をさせていただきますけれども、そもそもその行政の役割というのは私はそこにあるんじゃないのかなと。
 だからこそ、こうやって形だけの法改正にとどめることなくしっかりと実効性のあるものにしていただきたいし、もう一つ申し上げれば、このごくごく限られた四、五%しかいないと言われているパート労働法だけ変えたところで、そういう意味では何にもならないと思うわけですね。労働市場全体でとらえて、やはり多様な働き方になって、いろんな価値観が出てきて、いろんな選択がある時代だからこそ、このパートのところだけじゃなくて、派遣の方の問題、嘱託の方の問題、アルバイトの方の問題、もちろん正社員の方の問題、労働市場全体でもうちょっととらえて議論していかなくちゃいけないんじゃないのかなと思います。もちろん、このパート労働法に価値が全くないということを申し上げるつもりはございません。しかしながら、もっと全体的に市場全体として私はとらえるべきだということを申し上げたいと思います。
 それから、午前中の議論で、円委員の御質問の中で、ほかの法律についても早急に取り組んでまいりたいということもおっしゃっておりました。その言葉を信じてしっかりと、どういう就労形態にあっても、どういう立場に置かれていても、ちゃんとまじめに生きていけば食べていけるし、家庭生活も維持もできるし、安心して年を重ねていくことができると。そういう基盤をつくっていくためにこれからも御努力をいただきたいということをお願いを申し上げまして、私の質問とさせていただきます。
 ありがとうございました。
○柳澤光美君 民主党・新緑風会の柳澤でございます。
 今回は二回質問に立つチャンスがあるということで、どういうふうに質問を配分しようかということで今悩んで今日は立っているんですが、実は私、何回か厚生労働委員会で質問に立たさせていただいて、柳澤大臣の方にも私の考え方をいろいろ話させていただいてきました。今同僚の林議員からもありましたように、このパート労働法を審議をする中で、事このパート労働法だけでは済まないというのがポイントだろうというふうに思っています。労働者全体の働き方をどのようにしていくのか、また我が国はどういった働き方を目指すのかという本質的なことを議論をしなければならないだろうなと。
 実は、今回は労働国会あるいは雇用国会ということで大きな枠組み、法案も幾つか出てくる。ただ、実際こうやって議論を始めてみると、それぞれが非常に小粒になってしまって、大変失礼な言い方なんですが、何か重箱の隅をつついているような感覚に私はちょっとなっておりまして、今日はちょっと時間をいただいて、私の考え方を少し述べさせてもらって、柳澤大臣に少し率直な御意見と、私の考えが間違っているのであれば御指導もお願いをしたいというふうに思っています。
 最初に、今感じていることを簡単にお話しさせていただきたいと思うんですが、私の政治信条は、無駄にしません、汗と税ということで、まじめに働く人が報われて、正直者がばかを見ない社会を実現したいというのを常に言いながら国会の質問に立たさせていただいているんですが、私は、残念ながら、バブル崩壊以降のこの十五年間、我が国の雇用政策においては、実態の後追い、実態が先に進んでしまって慌てて後を追っ掛ける、あるいは対症療法、後からその場しのぎの手を打つといった、その都度そういうことを行ってきたという感覚が否めないんですね。
 厚生労働行政のその対応のスピードの遅さというのにも私は大変危惧を感じていまして、特に人に関する問題というのは早く手を打たないと、人の問題というのは取り返しが付かなくなってくる。例えば、こんな例え言っていいかどうか分かりませんが、少子化対策だって、今すぐ女性の方が子供を産んだと、これは幾ら毎日朝から晩までミルクを上げても二十歳になるには二十年掛かるんですね。あるいは、働いている人が氷河期の中で人生のスタートをつまずいてしまう、そのまま十五年たつ、それをどうするんだ、その十五年というのはどう取り返せるんだろうという思いがしています。
 もう一つ例を挙げさせてもらえば、私、今回の規制改革の中で一番大きな問題だと思っているのは、戦後、職安法で禁止してきた労働者供給、人を物のように供給をしていくというこの派遣法が、現場での派遣労働者が増えてきたということをもう仕方がないということで後から立法化して認める、そうすると、そこに急激に労働者がたまっていってしまう。このことは最大の問題だと思っているんですが、今日、円議員の方からもありましたけれども、これに関してはまた次の機会にきっちりその議論をさせてもらえる機会を持ちたいというふうに思っています。
 その意味でいきますと、パート労働法においても実態の後追い、それと対症療法というのが続いてきている、根本的な対応というのがなかなかなされない。今後のことでいえば、私はきっと外国人労働者問題も同じような対応になっていってしまうんではないかという強い危惧を感じています。
 私は、労働というのは、労働者にとっては単に生活の糧を稼ぐということだけではなくて、社会への参加の第一歩であり、人生設計の基本だというふうに考えています。また、企業にとっても、労働者、人というのは機械の部品ではなくて、その雇用した人をどれだけ育てていくのか、そして雇用した労働者の社内での教育訓練あるいは人事制度を通じて労働者の職業能力の向上、そしてまた人格形成にどう取り組むのか、それが企業としての競争力を付けることになるんだと。私は、そのことが日本の企業の成長の源泉だったというふうにとらえています。
 しかし、バブル崩壊以降、確かにグローバル化の中で、先回、先々回でしたか、大臣の方からもありましたけど、国際競争力を持たなければいけないという大きな変化があったということは決して理解しないわけではないんですが、それを理由にして労働者を機械の歯車のように採用したいときに採用して辞めさせたいときに辞めさせたいという感覚で、私は全国いろいろ歩いてきて、その使い捨てをしている現状というものを見ながら、本当にこのことが日本にとって大変なことになるんではないかという強い危機感を持っています。
 私は、長期的なトレンドでいえば、我が国はこれからますます少子化が進み、労働人口は減ってくる、これは認識は同じだろうというふうに思っています。それ以上に私は問題だなというふうに思って訴えさせてもらっているのは、労働人口の量の問題ではなくて、労働者の質の問題なんですね。
 ですから、この前も言わせていただきましたけど、ニートと呼ばれる方が四十万から六十四万人になっている、あるいはフリーターと呼ばれる方が二百万人を超えている。この人たちがだんだん三十代に入ってきている。ところが、ほとんど社内における教育も、いわゆる人材育成の機会にもなかなか恵まれていないという中でこの十五年がたってしまう。将来はこの若者たちが日本の国を支えていかなければいけない。この十五年間のツケというのは私は本当に大きいと。これ、今すぐにでも手を打っていかないと、労働力、量の問題ではなくて質の問題。経済成長戦略大綱でも、日本は人財立国にするんだと、人財というのは、ザイは材料の材ではなくて財産の財だと。これはやはり私は日本の国の最大の使命だろう、またそれをしなければ日本という国はもたないだろうというふうにとらえています。
 一方で、恐らく、パートを含めて全従業員の労働条件を全般に改善をしたり、人材育成の努力を怠っている企業は必ず私は滅びると思っています。これは、一つはもう必ず人材が集まらなくなってくる。これは企業にとっても大変大きな危機だろうと。これはもう現実に少し起こりつつあるんですが、今こそ政治といわゆる企業と労働組合と労働者と本当にそのことを真剣に考える必要があるんではないかなと。
 もっと言わせていただければ、この昨今、いわゆる、今、今回、パート労働法で議論になっていますが、通常の労働者と呼ばれている正社員の労働の実態は、長時間労働が長期化して、いわゆる常態化して、さらには賃金不払のサービス残業がはびこっている。過労死や過労自殺、ましてやうつ病まで起きている。ぼろぼろになるまで働いている。このまま通常の労働者になりたいかって聞いたら、職場で通常の労働者の大変さを見ている短時間労働者の人はなりたくないと言うかもしれないですね。この前、介護福祉士の問題で、フィリピンの協定で海外から入る。私に言わせれば、日本の介護労働条件を見たらフィリピンの人も来たくないと言うんじゃないですかというお話もさせていただきました。これは本当に私は異常な状態だというふうにとらえています。
 今求められているのは、経済活動最優先の企業経営の行き過ぎに警鐘を鳴らさなきゃ駄目だと。適正な労働環境の中で労働者個人が能力を最大限発揮できるために、国の雇用労働政策をはっきりもっと根幹から指し示す必要があるというふうに思っています。
 そこで、柳澤大臣にお伺いしたいのですが、簡単に説明しろと言われても大変難しいというふうには思うんですが、少し時間取っていただいても結構ですから、今後の我が国の雇用政策の進むべき方向、具体的にはどういった雇用形態で、またどういった働き方を目指すのかということを率直にお話しいただければなというふうに思います。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今、柳澤委員の方から、特にバブル崩壊後の日本経済の低迷の中で労働市場も随分変容を来してきたと、そういうことの中で労働行政がどういう役割を演じてきたかよく考えてみなきゃならないという御指摘、それからまた、将来を見据えた場合に、我々の国の労働市場というものをどういう展望の下でとらえ、そしてその中で労働行政を展開していくかと、そういうことについて議論をすべきではないか、こういう問題提起があったというふうに承りました。
 過去のことにつきましては、日本経済の低迷の中で、本当に企業が生き残りのために、特に近隣の国々においては、やっぱり比較的に考えれば低賃金労働というものの実態があると言っていいかと思いますけれども、それとの中で競争をしていくためにやはり相当の苦労が必要であった。そういう中で、労働市場というものが、規制がありましたもんですから、ほかの分野での規制緩和あるいは規制改革というものの一環として労働市場の規制というものについても割と主張がしやすかったという面があっただろうと思うんですけれども、そういう中で労働規制についてその緩和を図るということを主張をした向きがございました。
 他方、今度は若者の側はどうだったかといいますと、若者の側は、割と親世代というものが、その前のバブルあるいはその前の低成長期あるいはその前の高度経済成長期を通じましてまずまずの生活レベルを実現しているというようなことも私は背景にあったと言っていいかと思うんですが、そういうものの中で、どちらかというと、切迫感というようなものも、少なくとも私どもの世代に比べると少し緩やかであったと、そういうようなことで、自分の自己実現を図っていくためにはどういう労働形態を選択すべきかというようなことの中で、非常に広い範囲で多様な形態に適合しようと、むしろそういうものを望むんだというようなことが他方あったと思うんでございます。
 そういうことの中で、労働規制が緩和をされ、またそれを受けて雇用の形態というものが多様化するということが現実に起こったわけでございまして、今日、私どもが持っている非正規雇用三分の一のウエートというものは、その両面が作用した結果であるというふうに考えるわけでございます。どちらが大きな力だったかといえば、それはもちろん前者の日本経済全体の生き残りのための規制緩和というものが強かったのではないかと思いますけれども、そういうものを労働側がもう絶対に受け入れないということでも必ずしもなかったということが私は背景としてやはりあったというふうに思うのでございます。
 しからば、これから一体そういう状況の中でどういう労働市場というものを考えていくべきかということでございます。その場合に、いっとき非常に言われましたキャリアホッピングといいますか、職業を渡り歩く。一か所に長く勤務をして、そこの職場で自分の職能を磨いていくというような、そういうことではない生き方というものが新しい働き方なんだみたいなことが言説としては非常に広がった時期が私はあったと思うんですけれども、ここへ来まして、そういうことなんだろうかと。例えば、欧米の国々におきましても、なかんずく、今申したような、労働というものは余り一か所で行うものではないというようなことの先進国と言われたアメリカでも、やはり結構長く一つの会社にとどまって、そして自分の技能を磨き、そこでまた自分のキャリアアップを図っていくというようなことが大きなウエートで実は行われているじゃないかというような、そういう見直しもあったというふうに私は考えるんですが。
 いずれにしましても、これからの労働を考える場合に、もう本当に花から花へ移るチョウのごとく労働の現場というものを替えればいいんだと、そういう考え方というのには私はやっぱりかなりの揺り戻しが起こっているというふうに思います。
 私もそのように考えるわけでありまして、やはり日本の場合、特に長期雇用というもの、それにまた年功序列制とかいうものを付加しますとなかなかこれは難しい議論になるわけですけれども、やはり基本的に安定した職場に長期にわたっているという形というものをやっぱり基本に置くべきだという私は考え方を持って今自分の職に臨んでいるわけですけれども、そういう考え方を中心にすべきでないという人もまたこの議論の中にはおることは、もう委員も御承知のとおりだろうと思います。しかし、私は、やっぱりそうではない、やっぱり長期安定的な雇用の場というのは希望をする人には絶対確保するという基本を私は揺らがせるべきではないという考え方を持っております。
 もちろん、そうではなくて、多様な生き方、労働の仕方というものの選択の場がないというわけでもこれは困るわけでございますが、しかし基本のところはそういうものであるべきだ、このように考えておりまして、ですから、希望する人はできるだけそういう職場を確保するべきである。それからまた、そうではなくて、自己実現のためにはいろんな選択肢があって、そこを自分としてはキャリアアップとしてのプロセスとして移動したいという人もいるわけでございますが、その場合には、やっぱり最低賃金なりあるいは均衡処遇という形で、そういう場合であってもそれはやっぱり納得ができるようなそういう処遇というものがそれぞれに得られると、そういう労働市場というものを考えるべきだというふうに考えているわけでございます。
 そういうことでございますけれども、またもう一つの基本の考え方というのは、これだけ言わば単純化された労働ということについてはいろいろ近隣の諸国の労働者の状況もあるので、我が国としては、先ほど委員も正に御指摘になられたように、人材、その一人一人の労働者の能力、これのレベルアップを図っていくことはもう我々の必須の課題だと、こういうように思っておりまして、したがいまして、これを職場でやっていただくという力を回復してもらいたい。いったんどうも少しこの手抜きができたようですが、それはもう一回しっかりと回復していただきたい。それと同時にまた、そういうゆとりをすべての企業に期待するわけにもいかないということになったら、我々の職能教育というものをどうやって再構築してしっかりこの時代の要請にこたえるようなものにしていくか、これを私としては考えていきたいというように思っているわけでございます。
 そういう中でのこのパート労働法の改正でございまして、今委員からはいろいろ厳しいお言葉も賜ったわけでございますが、それはそれとして受け止めながら、是非、私どもの努力というものも今後の御審議の中でお酌み取りいただければ大変幸いに思っている次第でございます。
○柳澤光美君 基本的な考え方には大きな相違がないということを理解はさせてもらってはいるんですが、一つ、大臣が言われた中で、これから若者、女性、それから高齢者、もっと言えば障害者、それぞれの人が希望する、これは企業の希望と働く人の希望をどうマッチングさせるかということだというふうに思うんですが、そんな中で私、今一番心配、懸念していますのは、先ほどありましたキャリアホッピングも含めて世の中の情報に振り回された若者たち、しかもそれがバブルがはじけて就職先がないと。おれにはもう少し勉強が必要だからって仮に腰掛けたところで動きが取れなくなる。
 具体的に言わせてもらいますと、本当に私、大変な状況になっていると思っているんです。もうこれは新聞とかマスコミ見るだけでも、もう複数のアルバイトを掛け持ちする、これは何かダブルワーカーあるいはトリプルワーカーと言われるような働き方、あるいは携帯電話に仕事のメールが送られてくるスポット派遣、働いても働いても生活保護以下の収入しか得られないワーキングプア、これが若者たちの中にも蔓延している。何回か話題になりましたけど、あのネットカフェ難民ということまで生まれました。それだけではなくて、中には二十四時間のファストフードの店で百円のコーヒー一杯で粘って過ごしている若者もいる。
 私は、若いうちというのはこれでいいと思うんです、まだ、それでも。体力もあるし、多少の無理も利くし、毎月の給料もそれなりに食っていくだけだったらそこそこ稼げば何とかなる。しかし、だんだん三十代入ってくる。年齢上がるにつれて、求人もますます難しくなる、収入も思うように、なくなってくる。もっと大変なのは、健康保険や年金なども加入していませんから、病気や将来、備えというのは全くない。病気やけがで仕事が見付からなくなった状況になって初めてその事の重大さに気付いている若者が出始めている。これは私はもうそのときには時遅しだろうと。
 こういった昨今のこの日本の雇用状況を説明するのに簡単に雇用の多様化という言い方がされますけれども、私は単にその企業の都合のいい採用の選択肢が増えただけで、私は正社員を採用してこなかった企業の責任というのは大変大きいというふうに思っています。
 この若者の中には、自ら望んで、もちろん大臣がおっしゃられたように、派遣や請負やアルバイトで働いている方も決していないなんて言いません、いらっしゃるのも事実だろうというふうに思っています。ただ、正社員以外の働き方を望むと言っているのは、本当の意味で分かってなくて、将来にわたっての不安定な就業でよいと考えているわけではないと思うんですね。若者の就業観の希薄化という現実もあると思うんです。
 この辺のところで、特に若者に対して厚生労働省でどういう今手を打たれようというふうに大臣として考えられているか、もしお考えがあったらお話しいただけますか。参考人でもいいですよ。
○政府参考人(奥田久美君) 若者の対策ということで、基本的には常用、フリーターを常用化をするという、そういったプランを実施をしておりますけれども、その中で、委員がお話にございましたように、若い人たちが能力開発ができないままにだんだん年を重ねていってしまうという、こういう問題が非常に深刻だというふうに思うわけでございます。
 そういった若い方々で能力開発の機会に恵まれない方たちに対しまして能力開発の機会を与えていくということが非常に大切だということで、いろんな今対策を打っているわけでございますけれども、例えば今年度からの新しい事業として今準備をしておりますのは、今ようやく企業が採用をしたいというような意欲も出てまいりましたので、企業で採用したいと考えているところにまず実習に入っていただきまして、そこの中でどういった能力がその若者に不足をしているのかと、それを見極めていただいて、それに見合う訓練を早くやっていただいて一人前にしていただくような、企業実習先行型の訓練というようなものも今開発を進めておりますし、それから若い人たちの問題は、訓練に入ってしまいますと生活費がなくなってしまうということがございますので、訓練と生活が両立できるようにということで、例えば今スーパーマーケットなんかで働いている方が無技能だということになりますと、そういったスーパーの現場で必要な販売士のような資格をどういうふうに取ったらいいのかということで、そういう資格を取るためのコース開発をして、そういった方々に対して夜間とか土、日とか仕事以外の時間に訓練が行われるような訓練コースを提供しようとか、そういった若者の実態に合った形での訓練コースを提供していきたいということでございます。
 また、ハローワークではキャリアコンサルティング等も使いまして、その人のこれまでの職業経歴を見ながら、どういった訓練が必要なのかということについてもアドバイスをしていこうというようなこと。
 それから今、政府全体で底上げ戦略ということをやっておりますけれども、その中でジョブ・カード構想というのが出ておりますけれども、そういう中で、企業における実習を重視をした形で若い人たちの能力を高めていくと、こういったことに最大限の力を入れていきたいということで、今鋭意取り組んでいるところでございます。
○柳澤光美君 私も長く民間で働いてきて、労働組合の活動もやって、特に経営の方とも生産性を上げることと人を大切にすることで正面からぶつかってきて人材育成にも関与してきましたけれども、正直言いますけれども、恐らく行政がやる教育システムというのは現場でほとんど役に立たない、ゼロとは言いませんよ。
 日本の職業訓練というのは企業の中で行われてきたんです。大臣がおっしゃられたように、日本の場合には企業別労働組合で、それから終身雇用といいますけれども、現実もう終身雇用は崩れて長期雇用、長く勤続をする中で、そして年功、これもう年功も、あっ、これちょっと話横にそれちゃうかもしれませんが、さっき大臣、年功のところでちょっと口がなかなか言いにくかったところあると思うんです。違うんですよ。長期雇用した場合には、職務給だけではなくて、一年たてば知識も技術も付きますから、習熟度と熟練度に対しての御褒美がなければモラル上がんないんです。だから、短期間で職務給だけで辞めさせていくという仕組みはいいですけれどもね。そうすると、例えば今回議論になっているパートさんで、時給八百円の方を毎年十円上げて九百円にするには十年掛かるんですよ。これ年功といいますか。という意味でいくと、これは年功ではないんですね。本来、長く継続していったらそれだけの知識も技術も身に付く。
 私は、日本の教育というのは企業の中に職業教育はあったと。それは企業の中のオフJTであると、OJTなんです。ここに、上司と部下、先輩と後輩、同僚、仲間の中で、大学を出てきて知識のあった人にも、社会人としてのあいさつ、常識、しつけ、身だしなみ、全部やらないと即戦力にはならないんですよ。力を持てないんです。それを今おっしゃられるように、厚生労働省でいろんなところでそういう機会を設けます、それでうまくいくんだったら、しかも国の財政が豊かでお金が山ほどあってということであれば私はいいと思いますが、基本的には企業がそういう意識になっていかないと私は駄目だというふうに思います。
 大臣、今のに対してはどうですか、御感想は。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 我が省が中心になって行っているオフ・ザ・ジョブ・トレーニング、これを今委員はちょっと厳しくおっしゃられたなというふうに思うのでございまして、私の高校の後輩が実は大学工学部の教授をやっておりまして、それを、学部長まで務めたんですけれども、辞めまして、それで我が省の地方のそういう教育機関でもう情熱を傾けて今職能訓練に精出してくれておりますけれども、そういうのを見ますと、そう今委員が一刀両断をされたように、何の役にも立たないと言われるとちょっと悲しいのでございますけれども。
 もっともっと我々は、本当に役に立つ職能教育というのは何かということで研究、検討をしていかなきゃいけない、これは常日ごろ私、局長にも言っているところでございます。そういうことでございますが、同時に、やっぱり企業内のオン・ザ・ジョブ・トレーニングというのが非常にこれまで有効に機能してきたということは委員が御指摘のとおりだと思うわけでございます。
 そういうことでありますけれども、じゃ、それだけに私どもがこれから先も期待をしていいのかということもございますので、私どもとしては、オフ・ザ・ジョブ・トレーニングの機会としていろんな工夫をして、それをより有効なものにすべく検討をしなければいけない、そういう考え方で現在もおるわけでございます。
 オン・ザ・ジョブ・トレーニングあるいは企業内職業訓練と企業外の訓練とをどう組み立てるのがいいか。いずれにしても、それこそベストコンビネーションをつくって、日本の労働が本当に人財と、財産の財という言葉に値するようなものにしていくというのは、非常に国全体にとって、また労働行政としても大事な局面であるというふうに認識をいたしております。
○柳澤光美君 すべて私は大体言葉が荒っぽくて、乱暴な言い方になったかもしれません。決して、行政の方でやられていることを全否定しているわけではなくて、職業訓練というのは、本当に机上とか、もちろん技術とか何かはあるんですが、人間関係、チームワークの中で育っていく。そういう意味では、定着率をどう上げていくかというのが非常に私は大きな議論だと思っているんです。
 例えば、今回、ニートは余りメーンの議論じゃありませんけれども、ニートの四割の方が最初からニート、ニートというか、引きこもりとか何かではないと。むしろ一回勤めて、しかも常用の雇用で働いて、ところがそこの労働条件と人間関係に耐えられなくて引きこもってしまうというか、働かなくなってしまうという方がいらっしゃる。
 この辺のところが、この十五年間、非常に企業の中ではかなり殺伐とした状況が続いてきたというのも私は事実だと思うんです。九八年から三万人以上の自殺者が続いているのもそうですし、このことは今回は突っ込みませんが、先ほどあった今回の短時間労働の件なんですが、私が職場にいた高度成長のころというのは、この短時間労働というのは大きく二つでした。
 一つがいわゆる学生バイトです。学校に行っている間に一定期間勤めると。これは本人も、もう期間も決まっていますから、長期の雇用を目指しているわけではなくて、その期間だけ時給をたくさんもらって働きたいと。ただ、中にはバイトからそのまま就職してくるという、むしろ、こちらも入ってもらいたい、推薦を上げるというようなことはあったとしても、そういう人たちでした。
 それからもう一つが、その多くは、僕ら団塊の世代もひっくるめて、子育てだとかいわゆる結婚で退職をされて少し余裕が出たんで、短時間で自分の勤めたい時間に勤めたいという人たちだったんです。
 また、どこかでまた労働時間の問題はしたいと思うんですが、そのときに、働く人たちは、学生バイトさんの場合にはもう完全に時給ですよね。お金がいいところへどこへでも移っていきたい。それでもなじみの人間関係ができると後輩を紹介してもらうという、学校との連携ができるぐらいのことが起きてくるんですが。
 主婦パートの場合は自分の余裕の時間をと。ここで一番大きいのは、実は転勤の問題だったんです。店を変わりたくないし、できるだけ同じ職場で、責任も持ちたくないと。言われたことをきちんとやりたいという人たちが中心でしたから、転勤がしなくてもいいような枠組みをつくる。
 もう一つが、労働時間を守ってあげることだったんです。決まった時間に帰ってもらえるようにしようと。ですから、私は昭和五十五年にその資格制度を入れた後、五十九年にCISという、カードでスキャンをして、何時に入って何時に帰ると。これはパートさんまで。そのときは一週間だったんですが、今は一か月です。一週間の休みと、何時に入って何時に帰るって、シフトが全部事前インプットされるんですよ。それと間違ってスキャンすると全部不正スキャンで引っ掛かるようにすると。それをやらないと、短時間で働く皆さんのニーズにこたえられないと。最終的には、六十三年に社員群制度という、ストアと一定のエリアとナショナルとという設計をしてきたんです。
 ただ、今回、そういう人たちでさえ本当は男女の差別があっては、結果としての性差別があってはいけないという大きな動きがあったんですが、今回、一番私は大きな問題を成しているのは、その人たちだけではなくなっているということなんですね。
 一つは、新卒で、もう高卒では男女とも三六パーを超える人が新卒で短時間勤務に入っている。それから、男性の世帯主のパートという、パートをされている方というのが平成五年が十六万から平成十七年、四十三万人に二・七倍になっている。あっ、ごめんなさい、これ間違いだ。男性の二十五歳から三十歳のパートが平成五年の十六万人から平成十七年の四十三万人と二・七倍になっている。ここにいただいている資料を見させてもらうと。もう一つは、世帯主のパートが四十七万人から八十三万人と一・八倍になっているんですね。
 そこで、ちょっと厚生労働省にお伺いしたいんですが、この短時間勤務を本人の希望で選んでいるのか、企業がそれしか採用しないから仕方なく行っているのか、どのくらいの比率になっていると思いますか。
○政府参考人(大谷泰夫君) 今お話がありましたように、パートを選んだという理由についてはいろんなものがございますけれども、自ら選んだという形につきましては、例えば自分の都合のよい時間に働きたいという理由で選んだと答えた方が、これ平成十七年の調査では四二%、また勤務時間、日数が短いからという理由で選んだという方が四二%、また育児あるいは家事の事情で正社員として働けないから選んだという方が二八・九%。また、これは非自発的なケースでありますが、正社員として働ける会社がないからという方が二六%、こういうことで、区々の理由がございます。
○柳澤光美君 さっき言いました、男性及び世帯主、男性の世帯主、これだけ増えているこの人たちはどうですか。時間とか何かって、恐らく主婦の、従来のいわゆるパートの皆さんだったと思うんですね。
○政府参考人(大谷泰夫君) 世帯主という、そういう、ちょっと今直ちに出てまいりません。別途、確認させていただきますが、確かに、ちょうど氷河期と言われた時代に高校を卒業されて、正社員として採用されなくて、男性の方々が直接パートとして勤め始めたという方が多数おられるということについては私ども承知しておりまして、現在でもパートタイム労働者の三割は男性というふうに承知しております。
○柳澤光美君 もう一度大臣に確認させていただきたいんですが、大臣がおっしゃられました一番の根幹は、働く人が若者であれ、女性であれ、高齢者であれ、特に高齢者はもうこれから私、短時間は増えてくると思うんです、本人の希望で。それから、障害者であれ、できるだけ本人の希望に合うようにということだと思うんです。
 ただ、私は、実態は非正規が三人に一人になりました。これは、本当に働く人が希望して非正規になっているのか、むしろ企業の希望が多い中で非正規が増えているのか、あるいは短時間労働は本当に働きたい人が望んで短時間勤務をしているのか。企業が短時間勤務を求めることによって、そのことを理由に賃金が下げれて処遇が変えれる。そこのもう一個先に有期と無期の雇用の在り方もあります。これもすべて企業にとっては処遇を下げてコストが下げれるという理由以外の何物でもないだろうと。
 その辺が、このまま三分の一が非正規になって、雇用の多様化でこれは日本の中でやむを得ないんだという判断で本当にいいんだろうかというのが、私は今回その一つがこのパート労働法の問題だろうというふうにとらえているんですが、ちょっと通告も何もしていなくて、大臣の方でもしその辺のところをお考えがあればお聞かせいただけますか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 非正規の形態というのがどういうものかというのは、非正規ですからもちろんいろんな形態があるわけですけれども、私どもは、基本的にはパート労働者、それから派遣社員、それから契約社員等の有期労働者、そしてまたその中と言っていいと思うんですが、退職をした人たちがその後にもなお職にある場合の嘱託というようなところが大枠の分類ではないかと、こういうように考えているわけでございます。
 今委員も正に御指摘になられたように、まず世帯主がパートであるというようなことがウエートとしてかなりあるのではないか、今八十三万人という数字を仰せられたでしょうか、そういうようなことでございますけれども、これが自ら希望している人と、希望していない、やむを得ずパートの勤務をしているという人がどういう比率かというのは、私ども、率直に言って手持ちの数字がないわけでございますが、ただパート全体ではどうかというと、先ほど局長が答弁させていただいたわけですが、大体両方、やむを得ずパートという人と希望してパートというのが三割ずつぐらいと、ほぼ均衡しているというような私どもとらえ方をしております。もっとその中身を見るべきだという委員の御指摘というのは我々も重要な御指摘と思いまして、今後またそこのところは分析をしていかなければならないと思うわけでございますが。
 いずれにしましても、じゃ今後はどうなんだというと、先ほども委員御自身の御指摘でもあったんですが、結局、日本の労働力のことという観点から考えますと、先ほどどなたかが言ったM字カーブ、女性労働のM字カーブのところのMの引っ込んだところをもっと上げなければいけないと。それからまた、退職後の方々、やや六十歳から六十五ぐらいまでの人たちの労働力も上げなきゃいけないと、これがあるわけでございまして、それが先ほど言った嘱託という形での勤務に今なっているというようにとらえておりますけれども。
 いずれにせよ、そういう人たちの労働力率というものを引き上げようとしたら、必ず雇用形態というものは多様でないと無理だろうという気もいたしておりますので、多様の形態というものを、まあ全否定する人はいないんでしょうけれども、余り否定をしてしまうと我々の労働市場の構造と必ずしもマッチしないということは留意しなければいけない、こういうように考えているわけでございます。
 しかし、基本のところに戻れば、希望しないでやむを得ずパートその他の非正規雇用にいらっしゃる方というのは、できるだけ正規雇用の方に移行してもらうような、そういう努力を我々労働行政の側もしていかなければならないというふうには考えているところでございます。
○柳澤光美君 聞こうというふうに思ったことを前もって答えていただいて有り難いんですが、正社員への転換ということを今回のパート法案にも出てきています。それから、再チャレンジの中でフリーター二十五万人常用化プランというのも動いています。
 ですから、私が今お話ししたのは、短時間勤務という、あるいは多様な雇用形態という中で、全部一くくりで見ないでほしいということなんです。ですから、雇用の多様化を求めている方がいるのも事実なんです。転職を一杯やって力がある人もいていいんです。短時間の中で言えば、学生バイトあるいは主婦の皆さんで、本格的ではなくて本当に育児とか何かのところでプラスアルファで働きたいと。ただ、新卒だとか世帯主だとか、もっと言えば女性でも男性に負けないように働きたい基幹的なパートで働く皆さん、この人たちのことをもう一度、本当に希望とマッチングしているのかというところを厚生労働省としてもう少し精査をしていかないと、半分半分ですということではいけないと思うんですね。
 逆に言えば、高齢者というのは私はむしろ短時間になっていかなきゃおかしいと思っています。週二日、一日二時間。ですから、実は、高齢者の職場というのは何か製造業しかないみたいな反応がありますけど、小売とかサービス業でもたくさんあるんですね。むしろ、朝、商品を売場に並べる、これ陳列と言うんですが、開店前に二時間それを出してもらえる、夕方片付けをする。あるいは外食でいえば、何もキャッシャーのところに若い女性がいる必要はなくて、むしろ男性の年配の方が立ってということもできる。という形で、どちらにしても労働力が足りなくなっていく中でいえば、M字で働いていない女性の方と高齢者、それから外人労働者も踏まえてやっていかなきゃいけない。
 ただ一つ、先ほどのM字に関しては、本来この方々は短時間の正社員にするというのが国の政策ですよね。育児休業をして、その後、育児のために短時間勤務を正社員として、それが終わったら戻るということも大きな柱にありますよね。もし、参考人の方でもいいんですが、そういう理解でよろしいですよね。
○政府参考人(大谷泰夫君) 今お話ありましたとおり、パートタイマー、いろんなそれは動機、それから家庭の状況、それから年齢等ございまして、今回の法律の改正でもそういういろんな形態に応じた形を模索して、むしろいろんな区分を細かくして限定して、複雑になったと言われるぐらいその辺については検討したところでございます。
 そこで、短時間の正社員の関係でありますけれども、これも私ども、この法案以前から短時間正社員制度を推進しておるところでありますけれども、今回、例えば正社員と同視すべき方で、その方が六時間勤務であれば、その六時間分については正社員と全く同じという処遇をむしろ今回の差別禁止でそれが拡大されるということを期待するわけでありまして、前回の育児・介護休業の関係でもそこを持っているわけでありますから、そこの短時間正社員が増えて、その働き方が時間において弾力的になるということはもとより、そういうふうに考えたいところでございます。
 それから、さっきちょっと言いよどみました世帯主の関係でありますけれども、男性のパートタイマーのうちで世帯主である者が今平成十八年の労働力調査で三四・八%いると、女性の場合は世帯主の方は七・八%ということでありまして、やはり若い方の中でそういう方が恐らく多いんではなかろうかというふうに推察されると思います。
○柳澤光美君 どちらにしても、本当にこの雇用の対策というのは、ですから、今回も本来であれば労働国会あるいは雇用国会ということで、雇用対策法が入ったり、これはパート労働法があって、労働契約法があり、基準法がありという形で、全部トータルで直していくという大きな流れの中にあるというふうに思うんですが、私は、本当にその行政の対応が後追いにならないように早め早めに手を打つ。
 これは調査室からいただいた資料で、この中にデータもたくさん載っていますし、あらゆるところで書いてあることはみんなすばらしいんですよね。経団連でさえ、すべての問題は経営のトップにあると、経営のトップが自ら先頭に立ってそれを推進していかなければならないという発言もされているんです。でも、実態が動かないという辺りをどう切り込んでいくのか。
 一つは、時間がもうなくなって、この前、介護福祉士のときに冒頭で大臣に大変失礼なちょっと質問しましたけれども、経済財政諮問会議がある。今回これも読ましていただくと、すばらしいんですね。労働市場改革専門調査会、ここに働き方を変える、日本を変える、ワークライフバランス憲章を作ろうという提案が経済諮問会議に出されたわけですね。ところが、この前、また言うのもあれですけれども、完全週休二日制を一〇〇%実施しよう、年次有給休暇の一〇〇%取得をやろう、残業時間は半分にしよう、それから、女性、高齢者、障害者の雇用率を数値で目標を立てようということがうたわれる。
 ところが、実際、これは経済財政諮問会議の中に労働側の代表が入っていません。そういう意味でいくと、これ、いいとか悪いとかと言っているんじゃないですよ、この前お話しさせてもらいましたように、その中で尾身財務大臣が、これはこういう意見があるのは否定はしません、そんなことをして日本がキリギリスの国になってしまっていいのか、働きたい人が働いて働きたくない人は働かない、みんなが働かないことがいいことなどという考え方は自由主義に反すると、そうしないと、その働くということの自由を認めていくことが基本的な国家社会の一番の活力の基なんだと。これは、否定はしません。僕は労使関係でやってきましたから、企業がつぶれてしまったら労働条件もなくなってしまうというのと同じで、日本という国が世界の中で生きていかなければならないという一つの切り口であるだろうと。
 ただ、これもあえて言います、もう議事録も全部出ていますから。甘利経産大臣は、政治家はワーク・ライフ・バランスなんてめちゃめちゃだと、それでも続けていると、日本では働くということはそもそも喜びなんだと。これは現職の閣僚の方が言われている。でも、国全体としてはこういう方向に行こうと。でも、実際進めるときに、これと同じ考え方を持たれている経営者もたくさんいるだろうと、たくさんいるだろうというふうに思うんです。その切り口も決して間違ってはいない。でも、その中でどうバランスを取っていくかと、日本という国がどういう方向へ進むんだということが今一番大事なときに来ているんだろうというふうに私は思っています。
 ということで、もう細かい、実は済みません、通告をして基準局長だとか一杯いらしていただいて、この次やりますから。是非、大臣の方からその辺のことを踏まえて決意を聞かせていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 最近の経済財政諮問会議の議事の状況に触れながら、今後の労働の問題を考えていくときに、ワーク・ライフ・バランスというのは一つのキーワードではないかと、こういう御指摘であったかと思います。
 私どももそのように考えておりまして、正社員については長時間労働の常態化、特にその中で若い子育て中の世代の長時間労働が非常に高止まりしていると、これでワーク・ライフ・バランスはあるのかということがございます。それからまた、パートタイムの労働に携わる女性の方については、ちょうどお話がありましたように、先ほどの林委員のお話あるいはその前の円委員のお話などで、言わば生活のためにパートを複数持って、ほとんど全体としてのワーク・ライフ・バランスは非常に厳しい状況にあると、こういうような実態を御指摘をいただきました。
 私は、この問題については、特に家族であるとか自己啓発の機会ということ、特に家族の中では育児ということが非常に大事なファクターであるというふうに考えておりまして、今度、内閣で設けられた子ども、家族応援プランの総合戦略会議での議論というものに厚生労働省として大きくかかわっていきまして、その中でワーク・ライフ・バランスの問題についての基本的な戦略みたいなものを打ち立てたいと、こういう考え方で今臨んでいるところでございます。
 そういうことで、この問題が非常にこれから重要な問題だということは私ども強く意識をしておりますけれども、いずれにいたしましても、その中でそうしたことが実現していくためには、パートタイム労働であれ、その他の非正規のと言われる労働の形態であれ、しっかりした納得ができる処遇というものが必要だというふうに考えているところでございます。
 その観点から、今回、この短時間労働者の雇用管理の改善に関する法律の改正を御提案申し上げたところでございますので、ひとつ、まあいろいろ厳しい見方もあり得るかと思いますけれども、是非御審議の上これに御賛同いただいて、私どものそうした取組というものについて是非御賛同をお願いしたい。
 それからまた、付け加えまして、今後私ども、先ほども委員もお触れになられましたけれども、最低賃金法、それから割増し賃金を規定するところの労働基準法の一部改正、さらには労働契約法の新法というものを御提案させていただきまして、その方面についての私どもの考え方を御提示させていただきますので、これらにつきましてもひとつ十分御審議をいただきまして、是非私どもの取組というものが成就をいたしますように、くれぐれも、この機会をおかりしてちょっと御陳情を申し上げておく次第でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
○柳澤光美君 終わります。
○浮島とも子君 公明党の浮島とも子です。よろしくお願いいたします。
 本日は、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律案、いわゆるパート労働法について質問させていただきたいと思います。働き方の問題、特に非正規雇用と呼ばれる雇用形態については様々な問題があると指摘をされているところでございますけれども、本日は、法案の内容について、また現状の問題にも触れながらお伺いをさせていただきたいと思います。
 近年、働き方が本当に多様化されていると言われております。その中では、時間の短いパート労働、ある期間に限っての雇用、また派遣の形態での働き方などがございます。働く方と雇われる方のニーズが一致しているためにこの多様化が進んでいるとも言われているところでございますけれども、他方で、この多様化に伴い、それぞれの働き方についてそれぞれ特有の問題があるのではないかと思っているところでもございます。
 そこで、まず現状のパート労働をめぐる問題点をお伺いするとともに、この法案策定に際して中心に考えられたことについてお伺いをさせていただきたいと思います。
○政府参考人(大谷泰夫君) 今回の改正法案の策定に当たりましては、パート労働をめぐる様々な点について御議論を交わしながらまとめてまいったわけであります。
 ただいま、今日御審議いただきましたようないろんな多くの論点がありますけれども、この法案について具体的に申し上げますと、一つは、パート労働者ごとに仕事あるいは責任、人事管理など、就業実態が様々であるにもかかわらずパート労働者だからという理由で一律の待遇となりやすく、結果として働きに見合った待遇となっていない、あるいは納得を得られないと、こういったことがあります。それから、二つ目として、正社員として働くことを希望しながら、希望がかなわず、パート労働者として働いている場合もあると。こういったことについての認識を持ちましてその策定作業に当たったものでございます。
○浮島とも子君 次に、就業実態により不公正な待遇となっている場合があるという点についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 この就業実態が様々であるということについては、厚生労働省の方からもイメージとしてこのパート労働法の効果ということで四類型にパートの方々を分けた三角形の図でお示しをいただいた資料をいただいておりますけれども、なぜこのような分類の仕方をされているのか、そして事業主はこの分類ごとにどのような措置を講ずることになるのでしょうか、お伺いをさせていただきたいと思います。
○政府参考人(大谷泰夫君) パート労働者の就業の実態は様々でございます。正社員に対する待遇との均衡を図るという場合には、その働き方の違いを比較していく必要がございます。そのために、すべてのパート労働者の働き、あるいは貢献に見合った公正な待遇を実現するため、現状の日本の雇用システムも踏まえまして、一つは職務内容、二つ目として人事異動等の人材活用、それから三つ目として実質的契約期間、こういう三つの実態について正社員と比較することとし、それらの違いによって大きく四つの類型に分けたものでございます。
 また、その均等待遇の措置でありますけれども、この差別的な取扱いの禁止の対象となる正社員と同視するべきパート労働者というのは、所定労働時間は短いものの職務内容、あるいは人事異動などの人材活用の仕組み、実質的契約期間の三点において正社員と同じであるパート労働者としております。本改正案では、このようなパート労働者についてはすべての待遇に関して正社員と同様の扱いを求めております。これが一つの類型であります。
 それから、それ以外のすべてのパート労働者の方々につきましても、幾つかの類型ごとに均衡待遇を求めることとしているわけであります。
 すなわち、一つ目としまして、基本給あるいはボーナス等の賃金につきましては、正社員との均衡を考慮しながら、その職務の内容、職務の成果等を勘案して賃金を決定する努力義務を果たしております。また、このうち、正社員と職務や人材活用の仕組みが同じパート労働者につきましては正社員と同じ賃金表を適用するなどの努力義務を果たしておるということでございます。
 それから、教育訓練につきましてでありますが、正社員との均衡を考慮しながら、その職務の内容あるいは職務の成果等に応じて実施する努力義務を果たしており、このうち、同じ職務に従事するパート労働者につきましては職務の遂行に必要な能力を付与するための教育訓練の実施を義務付けております。
 最後に、福利厚生でありますが、これは職務の遂行に直接関係のあります食堂あるいは休憩室、更衣室等の利用機会を与える、こういう配慮義務を果たしているところでございます。
 こういったことで、事細かにその態様ごとの均等、均衡を実現してまいりたいと考えております。
○浮島とも子君 今の御答弁にもございましたけれども、就業実態が多様である、だからその違いに応じた均衡を考えていくということで、この法案においてはそれぞれの類型に応じた対応がなされているということであったと思いますけれども、法案を読ませていただきますと、一長一短といいますか、すごく難しいところでございますけれども、内容を読んでだれもが一度読めば分かるといったものにはなっていないのではないかと私は考えているところでございます。
 その意味で、この内容をよく理解していただいて、事業主にきちんと義務を果たしていただくことがとても重要ですし、パート労働者の方々においても、パート労働法によって自分たちの状況がどのように良くなるのか、そして何ができることとなるのかといったことを理解していただくことが待遇の改善につながっていくものと考えているところでございます。
 そこで、この法案内容の周知について御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(柳澤伯夫君) どの法律でもそうでございますけれども、法律の本文を読みまして、さあっと頭に入っていくというのはこれはなかなか大変なことでございます。そういうこともございますし、また実際にこの法律は、労使双方に十分理解をしていただいて、実際に求めております取組にしっかり対応していただくということが大事でございますので、その意味でこの内容の周知方の努力というのはもう何にも増して重要なものだと、このように考えております。
 そこで、改正法の成立がございました暁には、厚生労働省としては、改正法の施行までに具体的な事例や対応方法を分かりやすく解説したパンフレットを作成し、これを配布するということ、そういうことで事業主及び労働者双方に対する改正内容への十分な周知というものを図ってまいりたいと思っておりますし、また具体のいろんな相談もあろうと思いますので、その場合にはこれに対して懇切丁寧な説明をいたしまして、事業主、パートタイム労働者双方の御理解というものを深めていただくように努めてまいります。
 さらに、都道府県労働局の雇用均等室やハローワークの窓口におきまして、法改正に関するパンフレットの提供とともに、相談や各種セミナー等様々な機会を持ちまして、それらを通じまして、求人求職者という立場の事業主さん、それからまた労働者の皆さんに対してもこの内容を積極的に周知をしていきたいと、このように考えているところでございます。
○浮島とも子君 今も御答弁にございましたけれども、周知徹底というと、やはりポスターあるいはパンフレット、説明会などになっていくと思うんですけれども、新しい方法として、例えば携帯電話のインターネットサイトを使うなどして、いろいろ新しい工夫もして周知徹底をお願いしたいと言わせていただきたいと思います。
 ここで一つの例をお話しさせていただきたいと思うんですけれども、ある三十代の男性に伺った話でございます。
 彼は、専門学校を卒業して、幾つかのアルバイトを転々としながら現在の職場に勤めるようになったということでございますけれども、もうそこに勤めて七年になるということでございますが、雇用形態はパート労働者のまま。職場でパート労働者から正社員になった人もいらっしゃるということですが、どうしてなれたのかを伺ってみても、どうしてもよく分かりません。しかも、その会社では、正社員の募集を就職情報誌に出しているということでもございました。
 その男性の仕事の内容は、聞く限りでは、正社員の方と全く違いがございませんでした。また、その方は、二百人ほどの顧客の購買履歴や嗜好などもすべて記憶しており、商品の在庫状況なども常に把握できるという能力も持っているということでございました。しかし、パート労働者ということで、給与は時給制、働いた時間の給与が支払われて、当然ボーナスはなくて、正社員のように社会保険、厚生年金の適用ももちろんございません。給料が安いために、国民健康保険料は払えても年金は払えないということでございました。
 その男性のお話を聞いてみますと、その男性に限らずそういう方が非常に多いのではないかという現場のお話を伺ったんですけれども、このような方は今回の法改正において恩恵を受けることができるのでしょうか。先ほども御答弁の方にもございましたけれども、正社員と同視すべきパートとは、職務の内容、人事の異動など人材活用の仕組み、実質的契約期間の三点において正社員と同じであるパートに対しては差別的取扱いが本法律案により禁止をされるということでございましたけれども、この男性の場合は正社員と職務が同じですが、中小企業ということもあり、差別的取扱いの禁止の要件である人材活用の仕組みや転勤などについては取扱いがとてもあいまいでございます。このような場合、自分にどのような権利があるのか分からないという方が、この男性に限らず、多くいらっしゃるのではないかと私は思っているところでございます。その意味で、周知徹底もとても重要でございますし、本法律案で設けられた事業主の説明責任が大きな役割を担うと私は評価し、期待をしているところでございます。
 パート労働者の方々は、待遇に疑問があってもそれについて事業主に尋ねることができない、尋ねにくいというお話も伺っております。今回、明確に事業主は説明を求められたら説明しなければならないという規定が入るということで、そういった方々の背中を押すことができますし、事業主の対応が改善されると考えているところでございます。
 そこで、この説明責任の規定の内容と期待される効果、そしてこの実効性の担保についてお伺いをさせていただきたいと思います。
○政府参考人(大谷泰夫君) 改正法の第十三条によりまして、事業主は、雇用するパート労働者から求めがあった場合には、その待遇を決定するに当たって考慮した事項についてパート労働者に対して説明しなければならないというふうにされております。
 このため、この改正法が成立いたしますれば、このようなケースにおきましては事業主に対して説明が求めることができるようになるわけでありまして、この場合、事業主は、職務の内容や人材活用がどのように正社員と異なっているから待遇に差があるのかということについて合理的な説明をしなければならないと考えます。また、こうした説明ができない場合には、これは正社員との待遇の差に合理的な理由がないということにもなりかねないというふうに考えるわけであります。このように事業主に説明責任を義務付ける効果としまして、説明することのできない不合理な待遇を未然に防ぐという意義も併せてあるものと考えております。
 また、こういう説明の、事業主が説明を履行していただく、この実効性を確保するために、事業主がパート労働者から例えば求められても説明義務を履行しないと、こういったような場合には都道府県の労働局に相談いただければ、これは助言、指導、勧告を行って事業主に対して説明義務についての履行を求める、こういったもののほか、パート労働者は一歩進めれば調停制度も活用することができるようになっておりまして、こういった説明義務につきましても実効性を担保してまいりたいと考えております。
○浮島とも子君 是非とも、事業主に聞きたくても聞けないという状況にならないように全力で取り組んでいただきたいとお願いを申し上げたいと思います。
 また、パート労働の問題として、いったんパート労働者になると正社員になりにくいといったお話をたくさん伺います。パート労働者の方々には、フリーターなど、正規雇用の場がなくてやむを得ずパートで働いているという方々も少なくないことは言うまでもございません。
 先ほどの男性の話もそうですけれども、このような方々の常用雇用化に向けて、パート労働法による転換の推進も含めて厚生労働省として取り組まれている全体像についてお伺いをさせていただきたいと思います。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 先ほど来御答弁で説明をさせていただいておりますとおり、正社員として働くことを希望なさっている方に対しましては、私どもは正規雇用の機会をできるだけ拡大してまいりたいということを考えているところでございます。このため、本法律案におきましても、事業主の方に対しまして三つの措置を義務付けているところでございます。
 一つは、正社員の募集情報の周知ということでございまして、正社員が募集をされるときには必ずその会社に勤めているパート労働者に情報を提供するということ。それから二番目に、社内公募への希望の申出の機会の確保でございまして、社内の公募を行う場合には必ずパート労働者も希望の申出ができるという機会を確保すべきということでございます。三つ目は、もっと直接的な転換制度というものを社内に導入をしてもらいたいということでございまして、これらいずれかの措置を義務付けをさせていただくということで、それぞれの職場の実情に見合った方法で正社員転換を促進するということを規定させていただいているところでございます。
 全貌をということでございますので、あえて触れさせていただきますと、一つは、かねて安倍内閣発足以来のテーマでございましたフリーター二十五万人常用雇用プランというものを十八年の四月から開始いたしたのでございますが、既に十二月末現在で二十五万二千人の常用雇用化を実現をいたしております。そういうことで、この年長フリーターの常用就職支援や実践的な能力開発を実施するということを通じまして常用雇用化ということを進めさせていただいているということでございます。
 なお、これから先に当委員会で御審議をいただきます雇用対策法の改正案でございますけれども、若者の能力、経験を正当に評価していただきまして雇用機会の確保を図るということをその改正案に盛り込んでいるところでございます。
 これらの取組によりまして、一層強力に正規雇用の拡大に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
○浮島とも子君 問題は様々あると思うんですけれども、特にこの年長フリーターの問題は喫緊の課題でございますから、常用雇用化の推進を強くお願いしたいと思います。
 まだちょっと通告した問題が何問かあるんですけれども、ちょっと時間がなくなってきてしまいましたので、最後にこのパート労働法のことについて。
 今回の改正は、働き方をめぐる様々な問題に対応して、現実、この社会の状況を踏まえながら、かつ一歩、二歩私は前進の法案になっていると感じているところでございますけれども、最後に、このパート労働者の方々の待遇の改善に向けた大臣の御決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 先ほど来申しておりますとおり、この労働市場あるいは労働者の働き方については、多様化はしておりますけれども、その中で、長期雇用という方向、これをまず基本に置いてまいりたい。しかしながら、この労働者の考え方、あるいはいろんな周辺の状況からパートタイムという、そういうものを選択される方、こういう方もいらっしゃるのは確かでございますので、そういうパートタイム労働者という立場であっても、その待遇については、働き、貢献に見合って、自分自身で納得するような、そういうものでなければならない、このように考えておる次第でございます。
 今回のパート労働者の均衡処遇というものは、パートタイムの労働者全体に均衡処遇というものを実現すると、そして、その中で、特に通常の労働者と同視すべきパート労働者の方には一切の差別を禁止すると、こういう仕組みの法律案にさせていただいております。そういうことで、パートの労働の状況というのは非常にその中自体で多様化しておりますので、その多様性に見合った形で均衡処遇を実現すると、こういう考え方に立っているわけでございます。
 先ほど局長からも申しましたけれども、多様化の中で、短時間正社員制度と。正社員という立場もあろうということでございますが、今回、それ自体を推進していることが一方あるわけですが、他方、このパートタイム労働法の改正で、差別を禁止される格好で正社員になる短時間労働者、こういうような一つのタイプが出現するということが期待をされるわけでございます。
 そういうことで、我々としては、パート労働者の待遇の全般的な改善に向けて、不断の努力でもって取り組んでまいりたいと考えております。
○浮島とも子君 ありがとうございます。
○吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。
 まず、パート労働者の賃金実態について伺います。
 パート労働者の七割は女性です。男性通常労働者との賃金の格差は大きいものがあります。一般労働者男性とパート労働者女性の一時間当たりの所定内給与額、年間給与その他特別給与額を平成元年と十八年で比較した場合に、男性を一〇〇として女性パートの賃金は何%、幾らになるでしょうか。
○政府参考人(大谷泰夫君) 正社員の待遇がある程度長期の雇用を想定して決定される我が国の現状におきましては、一般労働者とパート労働者の賃金の差は職務内容や勤続年数等の違いに起因するところも多く、一概にパート労働者ゆえの格差であるととらえることは言い切れないというわけでありますが、ただ、男性一般労働者とパートタイム労働者の賃金格差の推移を、一時間当たりの所定内給与額だけでなく年間給与その他特別給与額も合わせた額で比較した場合には、男性についてはおおむね四割台、女性については三割台で推移しているところでございます。
○吉川春子君 資料を配付させていただきました。
 一番上の表が一般労働者とパートタイム労働者の一時間当たりの所定内給与、年間、その他特別給与額の差で、これをグラフにしました。資料二の方は一般労働者と女性パート労働者の賃金格差のグラフです。それから、三枚目が、これが賃金格差のパーセントの推移ですね。これを配付させていただきましたが、これはすべて厚生労働省において計算し表を作っていただいたものを私の名前で出したと、こういうものでございます。
 それで、この十八年間の賃金は、今答弁がありましたように、男性の通常労働者を一〇〇とすれば、女性は三〇%台、つまりここ、線の一番上が男性で、この下の方、赤いところが女性なんですね。そういうふうに推移をしてきております。同じ一時間働いても男性労働者、一般労働者の賃金に比べてこんなに低いと。ここが男性ですね。こんなに低いということは、これはまあ女性差別であると同時に、やっぱり自立して生活をしていけない、人権問題だとも思うわけです。
 これは賃金だけですけれども、グラフはですね。加えて社会保険、福利厚生など、様々な差別が行われております。政府は九三年にパートタイム労働法を制定し、二〇〇三年にパート指針を改定しましたけれども、それによっても全く影響を受けない、もう依然としてその格差は続いていると、こういう状態にあるわけでございます。
 今度のパートタイム労働法の法改正によってどの程度の改善が行われるとお考えですか。
○政府参考人(大谷泰夫君) 今回、制度を改正いたしまして、そのパート労働者の態様に応じて、差別禁止から、あるいは個々の正社員との比較の中で均衡を図っていこうということで、それ、それぞれの一つのグループによって違うであろうと思います。差別禁止のグループに入れば、これは時間単価におきましては、もう差別禁止ということで同額をこれは担保いただきたいと。また、その職務の内容が同じで人材活用が一定期間同じと、こういうグループの方であれば、これは賃金体系を正社員に合わせていただくということで、相当のこれは基幹職員としての処遇が期待できるだろうと、こういったこともあるわけでありますが、それぞれまた職務が違うパートの方々ということであるわけでありまして、数字的にそれがどれぐらい均衡が接近するかということについては申し上げにくいわけでありますけれども、それぞれのグループにおいて達成が図られるものと期待しているところでございます。
○吉川春子君 今のは答弁になっておりません。
 柳澤大臣、お伺いいたしますけれども、低賃金で無権利のパート、派遣など非正規雇用労働者が増加する一方で、これは全労働人口に対する三三%に達しています。これを是正するためにも、千二百万人のパート労働者の均等待遇、処遇の改善というのは緊急課題であると思いますが、大臣の御所見を伺います。
○国務大臣(柳澤伯夫君) パートの労働者につきましても、一人一人が納得をして働くことを可能としてそれぞれに力を発揮していただくということは、我が国の経済社会の活力を維持していくためにもこれはもう非常に重要な点であると、このように思います。そういう意味で、パート労働者の賃金につきましても、働き、貢献に見合った公正な待遇としていくことは必要だと、このように考えます。
 他方、パート労働者の就業の実態はどうかといいますと、これはやっぱり多様なんですね。多様で、例えばもう企業の中で管理職としての役割を担ったり、あるいは担い得るような方から、そうではなくて短い時間、補助的な仕事をする方まで、これはもう同じパート労働と言われている名前の下で実態として存在するわけでございまして、こういう千差万別の労働者を一律に均等待遇ということを事業主に義務付けるということは、私どもとしては適当でないと、このように考えているわけでございます。したがいまして、この今申したような多様な就業の実態を踏まえまして、それに見合う形で均衡ある待遇を確保しようということを今回私どもはねらいとした改正をさせていただいているということでございます。
 その多様なというところを三つほどのメルクマールでもって分類をして、それぞれもうこのメルクマールがすべていわゆる通常の労働者と同じだという方についてはこれは差別取扱いを禁止する、そうでない方々についてはそれぞれの態様に応じた均衡ある待遇をするという、そういう組合せでもって今回の全体としての均衡待遇というものを実現しようということでございまして、やっぱり働き、貢献に見合った公正な待遇ということまで法適用して一律待遇にしろということは、我々は現実的でないと考えているということでございます。
○吉川春子君 そのメルクマールの話は後で具体的にお伺いいたしますけれども、ともかく千二百万人のパート労働者がいて、そしてワーキングプアと言われるような年収に位置付けられていると、こういう実態についてこのままでいいとはお考えにならないと思うんですよね。やっぱりパート労働者の待遇、法律をちょっと離れたところでいいですけれども、これを改善していかなきゃならないという御認識はお持ちでしょうか。そのことを伺ったんです。簡単にお願いします。
○国務大臣(柳澤伯夫君) それはもうそのとおりでございまして、そういう観点から具体的な理念を実現するための措置を盛り込んだというのが今回の法案でございます。
○吉川春子君 それで、今回の法改正で第八条の対象となる、つまり均等待遇を受けられるパート労働者は、柳澤大臣は四%から五%と答弁されています。この数字の根拠というのは二十一世紀職業財団の多様な就労形態の在り方に関する調査によるものですね。これは端的に、そういうことですね。
 いやいや、大臣。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私、この数字を初めてお答え申し上げたのは予算委員会の場なんですけれども、そのときにも、この我々が今度、法律で規定した対象者というものは、ずばり調査結果として浮かび上がらせるようなデータはなかったということでございまして、それの近似値というものを求めるとすれば、そこ、今委員のおっしゃった二十一世紀職業財団の調査結果がありましたので、それを引用して、しかし断定は私は避けたつもりでございます。
○吉川春子君 それで、同じ調査ですね、大臣が引用されたその同じ調査に附属統計表というものが付いておりまして、事業所の回答として、パート労働者の約八割が有期雇用と、こういうふうになっているわけですね。確かに大臣が言われたように、職務内容が同じ、配置の変更ということはあるんですけれども、この中に期間の定めのない労働契約というその八条のメルクマールのうちの一つは欠けていて、それを補う形でと言うと語弊があるかもしれませんが、その同じ附属統計調査表では、事業所の方では二割が有期だと、こういうふうに答えているんです。
 そうすると、この二つの統計を組み合わせれば、私も断定するつもりはありませんけれども、その三つの要件がそろうわけで、四、五%に更に、これにその二割が有期ということになると、それを掛けると〇・八から一%と、この三つの要件に当てはまる、そういう数字になるわけでございまして、いずれにしても四、五%というのは余りにも、余りにもというか、過大な数字ではないかと、このように思います。その辺、同じ財団の統計を使っての今御質問なんですけれども、これは大臣にお願いしたいと思います。
○国務大臣(柳澤伯夫君) その四、五%ということもどんぴしゃではありませんでしたということは今申し上げたとおりでございますが、それに加えて有期ということもありますよという御注意を今委員の方から伺ったわけでございますが、だからといって、この四、五%にすぐ掛けて正しいのかということも一つあろうと思いますし、更に申し上げますと、私どもの今度の法律では、実質的に有期であると、無期であるというか、期間の定めがないというものも入れるということを規定をさせていただいておりますので、いずれにしてもこの数字をひとつ参考、念頭に置きながら、私どもとして考えてまいった次第でございます。
○吉川春子君 千二百万人パート労働者がおりまして、今言う一%救えるかどうかという程度しか対象にならないという数字も一方でありますが、大臣の計算でも五%以上のパート労働者は救えない法案なんですよね、四、五%ということであれば。
 それで、やっぱり一九八〇年代、労働者派遣事業法を導入したときの印象が強烈に残っておりますけれども、急速に進んだ労働の規制緩和、それで人件費の節約ということで、企業は大きなもうけを現在上げているわけです。今回のパート法改正でも影響は軽微という見方が広がっていると、銀行業界の業界紙が報じているんですけれども、やはり政府は非正規雇用を激増させている大企業に対してもうちょっとはっきり物を言うことが必要じゃないか。そして、少なくとも九五%は救えないというようなパート法が、果たしてそのパート労働者のたとえ均衡、バランスであっても、そういう法としてその意味を持つものなのかどうか、私は重大な疑問を感ぜざるを得ませんが、大臣、この点については一言で、何か反論があればおっしゃってください。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今委員は四、五%ということで、少ないではないかということでございまして、余り影響はないんだみたいな御意見をいただいたわけでございますが、なるほど差別禁止の対象者というのは私どももそういうところが近傍かなということでかねてから申し上げてまいったわけですが、まず今度のパート労働法の改正というのは、均衡処遇というものをすべての労働者に掛けているということ、また特にこの差別禁止は、今申したように、実質期間の定めのない方々にも適用するということをうたっていると同時に、さらに、この二つがある。職務の内容とそれから人事上の処遇が同じ方に対しては賃金についても同一の方式で計算をするということを、これ努力義務でしたですが、これを義務付けているわけでございます。
 そういうようなことを全く無視して御議論を展開されるということには、私ども、それは的を射ていると言えないのではないかということを申し上げたいと思います。
○吉川春子君 努力義務規定というものがいかに無力なものであるか、もうこれは大臣、ここ二十年あるいは二十五年のパート法やら雇用機会均等法やらその中で私たちはもう知り尽くしているわけですね。だから、努力義務なんというものは企業にとっては痛くもかゆくもないのではないかと思わざるを得ないほど差別の改善というものはなされてこなかったということを、私は労働委員もしていましたので、身にしみて感じているところです。
 ところで、三つのメルクマール、大臣のおっしゃるメルクマールのうちの期間の定めのない労働契約という要件なんですけれども、これを付せばほかの二つの要件が満たされていても均等待遇、イコールですね、均等待遇の適用から外れてしまうということでございまして、これは非常に重大な意味を持っているんです。
 雇用契約が有期なのか無期なのか、こういうことによって賃金の差を付けていいんだという根拠はどこにあるんですか。
○政府参考人(大谷泰夫君) 今回、差別禁止の対象を決めるときにいろいろ議論がございました。過去の経緯それから現状、いろいろ議論がございましたけれども、均衡処遇を図る中で通常の労働者と同じであるとしたらどういうことかということで考えたときに、さっきお話ありました職務の内容と、それから人材活用の仕組み、それに加えて期間の概念があったわけでございます。
 なぜかと申しますと、これ今回、差別禁止ということになりますと、例えば退職手当ももちろん正社員と同じ、あるいは住居手当も同じ、すべてのことを正社員と同じにするということになりますと、それはやはりその期間、どれぐらいお勤めになるかということが正社員との比較においてもこれはやっぱり重要になるということで、この契約期間、あるいは期限の有無、あるいは期限があっても繰り返し更新されて事実上契約期限のないものと同視できるというものについては酌み取っていく、そういう流れになったものと考えております。
○吉川春子君 全然その説明ないですよ。
 仕事の内容が非常にハードだとか、あるいは高度な判断力を要するとか、ライセンスが必要だとか、そういう仕事と、百歩譲って非常に、受付も高度なものがあるかもしれませんけれども、仕事の内容で賃金の差が付く場合は私はあると思うんですよ。しかし、有期なのか無期なのかということで差を付けるということは余り意味がない。むしろ、均等待遇を排除する一つの要件にすぎないと思うんです。
 しかも、多くの労働者は自分の希望で有期契約を結んでいるわけじゃないんですよ。企業の方が、使用者の方が二か月だとか半年だとか、一年なんという長いのは最近はもう珍しいぐらいなんですけれども、そういうことで結んできている。そういう企業の都合でもって有期を結んでいるのにもかかわらず、それを差別をしてもいい一つのメルクマールとして入れるということは全然意味がないんです。有期か無期か、それはどうしてその違いがあるんですか。
 その仕事仕事をやっている限りにおいては関係ないんじゃないかと思いますが、その点、さっきの説明では全然合理的な根拠の説明になっていませんでしたので、これは大臣に伺った方がいいでしょうか。
○政府参考人(大谷泰夫君) この均衡待遇あるいは均等の待遇の考え方でありますけれども、これは、一つの事業所におきまして比較すべき正社員と比べて正社員と同じであるかないか、同じであるならば同じ処遇を、そうでないならばその違いに応じたということになるわけでありますから、正社員の姿とパートタイマーを比べなければならないということでございます。
 そのときに、正社員が長期間雇用を前提とされた待遇、賃金になっているものであるならば、それと同じであるかどうかということを考えていき、最終的に同じであるかどうかを比べなければいけないので、やはりその正社員の実態と比較して考えていくということが、今回、正社員と同視するべきかどうかというメルクマールになったわけでございます。
○吉川春子君 全く説得力ないし、理由がないじゃないですか、そんな。有期だ無期だってね、そういうことで差別を、差別というか賃金に差を設けていいなんていう理由は、何遍聞いても全然おっしゃれない。私は、この有期か無期かということを一つのメルクマールにしたというこの法律の非常に強い問題点であるということを指摘しておきたいと思います。
 もう一つ伺いますけれども、期限の定めのない雇用契約は、期間の定めのある雇用契約というのを反復して更新することによって社会通念上無期限と同等に認められる有期契約者を含むというふうにしていますけれども、この場合、その期限の定めのない労働契約、どういう実態があればそういうふうになり得るんですか。労基法との関係についても説明していただきたいと思います。
○政府参考人(大谷泰夫君) この期限の定めのないというふうに見る場合には、これは条文の内容にもございますが、社会通念上相当と認められる期間の定めのある労働契約を含むこととすると、社会通念上の考え方がございまして、これにつきましては、判例等を見ながらこれまでの過去のケースから整理していくということになるわけでございます。
 それから、労働基準法との関係でございますけれども、これは恐らく労働基準法の第十四条の関係のことであろうかと思いますけれども、労働基準法の第十四条におきましては、労働契約は、期間の定めのないものを除き、三年又は一定のものについては五年を超える期間について締結してはならないと規定されているところでございます。これにつきましては、上限の三年又は五年を契約期間とする労働契約につきまして、契約期間終了後引き続き労働し、使用者も異議を述べないときは、これは民法六百二十九条第一項により、いわゆる黙示の更新があったものと推定されるというふうに承知しておりますので、以後、契約期間の定めのない労働契約が結ばれたものとこれは推定されると、ここでも解しているんだろうと。
 そうなりますと、このような形であれば、これは改正法第八条につきましては、第二項ではなく、一項の言わば期限の定めのない契約の労働者であるというふうに解釈されるものと考えております。
○吉川春子君 ちょっとあの、労基法の説明求めたんじゃなくて、改正するパート法においてどうなるのかと。つまり、三年とか五年ということが、待たないと期限の定めのないということと同じにならないのかどうか。もう少し短くてもパートの場合は期限の定めのない雇用というふうになり得るのかどうか。その辺いかがですか。
○政府参考人(大谷泰夫君) その者は社会通念上同視できるかどうかにつきましてはいろんなメルクマールがこれはあるということ、今日も御審議で何回か出たわけでありますけれども、それは雇用の更新の回数あるいは期間というものも一つの参考になると思いますけれども、それ以外に、その職場における他の労働者の実態でありますとか、それからその事業主のそういう物の言い方、あるいはいろいろな裁判例等に定めるメルクマールに当てはめて、これが社会通念上適用されるということであれば、そこはいわゆる第二項に言う期限の定めのない労働契約と同視できるというふうになると考えております。
○吉川春子君 例えば、こういう例はどうでしょうか。Bさんと仮にしましょう、を正社員として雇用するように銀行は努めましょうと。でも、それまでの間は、本人が健康で継続して勤務を希望する場合には六十歳までの勤務を銀行として保障しますよと、こういうような確認書を使用者が発行した場合、八条二項に該当しますか。
○政府参考人(大谷泰夫君) 職務の内容あるいはその……
○吉川春子君 それは全部当てはまるとして。
○政府参考人(大谷泰夫君) あとの要件が全部合致するといたしますと、あとはこれ個別認定になりますので、今のことだけで一概に申し上げにくいわけでありますが、さっき申しましたような裁判例等の過去のいろんな判断基準、それを当てはめても適当であるとするならば、それは差別禁止の対象になり得るというふうに思います。
○吉川春子君 全く答弁になってないじゃないですか。こういう例はどうですかと聞いているんだから、そういう場合は当てはまりますとか当てはまりませんとかおっしゃらないと。社会通念上とか、それはだれが判断するんですか。社会通念上とか判例によってとか、そういういろいろいろいろ尾ひれを付けて言ったら、もうだれも判断できないし、どういう場合でもこれは無期限というふうに判断できなくなりますよ。
 つまり、例えば五十歳の女性がパートで働いてきたと。しかし、銀行は、これは正規の雇用にするように努めますと。しかし、急にはできないから、少なくとも六十歳まであなたが健康で働き続けるならば、それは六十歳までの勤務を事業者として、使用者として保障すると、こういう文書を交付した場合は、これ当てはまるのか、これでも当てはまらないのかということなんですよ。それでも裁判所へ行って判断してくれと言うんですか、あなたは。
○政府参考人(大谷泰夫君) 繰り返しになりますが、それを聞いて私がここで断定するのはなかなか難しいと思いますけれども、今聞いております範囲では、いわゆる期限のない契約と同視するということになる蓋然性は極めて高いケースではないかというふうに推察いたします。
○吉川春子君 事ほどさように非常に分かりにくいわけですよね、この法律ができたとしても。
 それで、例えばメルクマールのうちの一つの反復更新の場合でも、やっぱり期限の定めのない労働契約になるのはこういうものなんだと、社会通念上というふうに全部そこへ入れないで、そういうものを厚生労働省としては示す必要があるんじゃないですか。そうじゃないとだれも救えませんよ。
○政府参考人(大谷泰夫君) 今御指摘いただきましたとおりでありまして、現場でこういった法律の制度が円滑に適用されますように、これは過去の裁判例等もございますが、こういったものも含めてよく整理をしてこれは通達に表現するとともに、これは各労使の団体にも周知して、現場でこういった考え方が円滑に適用されるように努めたいと考えております。
○吉川春子君 十三条に企業の説明という規定が設けられたんだと、これが前進だとさっきもお話がありました。それで、事業主は文書を交付するとか。そういう場合に、なぜ自分が今度、法律が改正されたのに均等待遇にならなかったんでしょうかと、こういうふうに聞きに行ったときに使用者は説明しなくてはならないという、こういう義務ですよね。
 ところが、働いている身にすると、そんな、使用主に対してそういうことを聞きに行くというのは物すごい勇気が要ることなんですよ。それで、そんなことを聞いたらもう不利益扱いされるんじゃないかと、次の契約更新のときにもう雇い止めにされちゃうんじゃないかとか、こういう不安を持つわけですね、働いている方は。そういう不利益扱いをしてはいけないんだと、こういう規定はありますか。
○政府参考人(大谷泰夫君) この条文に直結して、例えば事業主に説明を求めたことを理由に不利益扱いをしてはいけないという直接の規定はございませんけれども、これ御承知のとおり、こういったことを行いまして、そしてそれを理由にして、言わば法律に定められた権利を行使したことを理由に例えば雇い止めをしたと、そういうことになりますと、これはこの紛争解決、これは一般法理になるわけでありますけれども、そういう不利益取扱いはできないわけでありますし、個別の紛争の調停、あるいはむしろ、先ほどから申しておりますが、都道府県の労働局にこういったことがあるというふうに御相談いただければ、これは不適切であるということで指導なりそれから勧告なり行っていく考えでありますし、もとよりこの法案においてこの説明義務というのは非常に重要なポイントでありますので、これを行使することが例えば不利益扱いになるようなことがないように、これは事業主にも徹底して周知に努めたいというふうに考えております。
○吉川春子君 是非、紛争解決のそっちの手続に行く前に、そういうことにならないようにということを厚労省としては十分にやっていただかないといけないと思うんですね。
 それで、今回、法改正によって均等待遇されるべき労働者をしないで放置した場合、それを怠った企業に制裁措置、ペナルティーはあるんですか。
○政府参考人(大谷泰夫君) いわゆる制裁といいますか、ペナルティーがございますのはいわゆる文書交付義務というところだけでありまして、いわゆる均衡待遇のところにいわゆる罰則的なものはございません。
○吉川春子君 そうすると、こういう法律が通ったにもかかわらず、そして一%か四、五%かちょっと論争はあるんですけれども、それはさておき、そういう条件に当てはまったパートタイム労働者が放置され続けるという危険性はありませんか。そういうものを放置させないようにするためにどうするんですか。
○政府参考人(大谷泰夫君) これは、先ほどの話と一部重複するところはございますけれども、例えば待遇の説明を求めたことによる不利益な取扱いがあった、あるいはその均衡の処遇を言わば努力義務だということで行わないと、こういったケースがあった場合に、これは手続としては簡便な行政な手続として労働局にお越しいただくということがあって、それによって指導なりそれから勧告を行うということで担保するわけでありますが、先ほど御指摘ありましたように、もとよりそういうことにならないように、こういう法律の趣旨というものを事業主含めて関係者にこれは徹底していくということがまず一義的に重要であると考えております。
○吉川春子君 そういうことを放置した企業名は公表したらどうでしょう、私、提案します。
○政府参考人(大谷泰夫君) こういう、今回の法律の義務を履行しなかったような企業に対して、ペナルティーを含めて、あるいは公表ということも一種のペナルティーでありますが、どういう強制する手段があるかということでございますけれども、罰則ということもこれは手段と法律的には考えられる一つの手法でありますが、こういう労働条件について、労使がこれは決定していくという要素があるものでありますので、この均衡を図るために労使の事実上の話合いによる実施を進めていくということで、罰則というよりは、今回のような行政的な後押しをして実現していくということがより実効的ではないかというふうにこのたび考えたわけでございます。
○吉川春子君 実効的ではないかということはないですね。逆ですよ。
 もうちょっとやっぱりきちっとしたことをやらないと、企業はやっぱりこの法改正に沿って救える労働者を救わないということで放置する可能性が私は大であるというふうに思いますので、そういうペナルティーというか何というか、言葉はともかくとして、実効性を担保するということを厚生労働省においてきちっとやっていただかなくてはならないと思うんです。
 そのさっきの三つのメルクマールに戻りますけれども、この三つをクリアすれば均衡、イコールの待遇、均等、イコールの待遇を受けられるということでしたけれども、その一つ一つの要件、有期か無期かというのは今聞きましたけれども、あと二つの、勤務実態とか責任とか転勤とか、こういうものをだれが一義的に判断するんですか。
○政府参考人(大谷泰夫君) これは、まずその雇用関係を決めております事業主がこの法律の趣旨から判断いただくというふうになります。
○吉川春子君 そうすると、事業主が、いや違うと、これはこの条件の当てはまらないよということを判断すれば、もうそれは企業の判断でそのパート労働者は均等扱いがされなくなるというおそれがありませんか。
○政府参考人(大谷泰夫君) 今回の法律におきましては、そういったことがないようにということで手続を定めたわけでありますけれども、事業主がまず自分の判断で労働条件を決めると。しかし、そのパート労働者がそれに対して疑義を持ったときに説明を求める、その説明義務がまずは事業主に生じるということで、自分がなぜ正社員、通常の労働者と同視されないのかという説明をまず求めるというのが一つあるわけでございます。
 それから、そういった中で、どうしても両者の得心がいかないといった場合に、これは迅速にその事態の解決を図るということで、都道府県の労働局に御相談いただいて、できるだけこれは的確迅速に対応するということで、事例を積み重ねるということで、そういった中から、こういったケースについてはやはり認められた、認められなかったということが蓄積していくものと思われますので、そういった手続の中で、事業主も、もちろんさっき申しました事前の周知徹底努めますけれども、またその事業主の言わば業界の中でも一つのルールというか一つのメルクマールができてくるんではなかろうかと考えております。
○吉川春子君 その八条の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度、これが通常労働者と同じなのか、あるいは配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されると見込まれるものなのかどうか、その有期か無期かのその三つの判断をすべてその事業主が一義的に判断すると、そしてその事例を積み重ねるというんですけれども、働いている方は、その事例を積み重ねられて、何年か何十年か後にこれが社会通念だなんという、そういう結論出されても困るんですよね。もうこの法律ができたら直ちに均等処遇を受けられる人は均等処遇という手続に行ってほしいわけなんですよ。
 だから、いろいろ紛争処理の手続とか、あるいは裁判とかね、そういう悠長なことをやっている時間的余裕もないし、経済的な余裕もないですよね。そういう、その本当に実効性、私たちはちょっと実効性を疑う。だけれども、とにかくこの法律で救える労働者についてはそんな長い手続を経ないで直ちに救えるように厚労省としては努力してもらいたい。
 だから、そのことについて何か考えています、すぐ救おうと、紛争手続に行く前に。大臣、そのことを是非お考えいただきたいと思うんですよ。柳澤大臣、どうですかね。
○国務大臣(柳澤伯夫君) このパート労働法の改正は、差別的禁止だけではなくて、均衡処遇ということを全労働者に掛けているわけでございます。そういうこの法律のこの規定をもう法律施行と同時に施行したい、実施したい、これはもう我々も同じ思いでございます。
 それをいかに確保するかということですけれども、私ども、この法律を早く仕上げていただいて、PRの資料、それからまたこの法律の啓発活動と申しますか、いろいろ事業主の団体などを通じてその人たちに集まってもらって、新しいこのパート労働法というのはこういう規定が盛り込まれましたので皆さん万遺漏のないように対処してもらいたいというようなことを積極的に周知していきたいと、こういうように思っております。
 今局長の答弁したこの事業主が最初に判断するというのがおかしいんじゃないかって吉川委員はおっしゃりますけれども、それは雇用契約の当事者の一人でありますし、まあそういうことでございますから、取りあえず、まず当然のことながら彼が判断をしてもらわなきゃいけない。それに対して、自分の処遇はどうなっているかというものについて聞くこともできる。それで、説明をさせなければならない、こういう説明をしなければならないということがこのプロセスとして考えられるわけでありますから、まず我々はこの事業主に対して、こういう新しい法律ができましたよ、こういう規定で趣旨はこういうことですから、これをもう実施してもらわなきゃならないんですと、皆さんのそれが今度新しい義務であるし、また場合によっては努力義務なんですよということを周知していくことによってこの法律の施行に万全を期してまいりたいと、こう考えているわけであります。
○吉川春子君 事業主が判断するということについての問題は引き続きちょっと議論していきたいと思うんですけれども、具体的な事例でお伺いしたいと思います。
 具体的な事例といっても名前は別として、Bさんと仮にいたしますけれども、この方は一九七九年にN銀行のT支店にパートとして働いて、二十八年間パートのまま雇用の反復更新を続けて、職務は通常の労働者と同じ、そして支店から本店へも転勤しております。こういうような事例で、しかもパートとしての月収は八万三千五百二十円、ボーナスは一万八千円。一方、同年齢で同学歴の男性の社員が月収が五十六万六千円あると、ボーナスが八十九万六千円あると。このBさんという方は、正社員に比べて労働時間が一日当たり一時間十五分短いという違いがあるんですね。
 こういうような場合、今度のパート法の改正でこのBさんのようなパート労働者は均等待遇ということになるのかどうか、その点については、今お話ししたことだけを前提にして考えればどうでしょうか。
○政府参考人(大谷泰夫君) 先ほどと似たようなことになりまして、今お伺いした内容だけで判断するというのはこれなかなか難しいというふうに思います。要件が区々ございますから、これ事実認定をしなければなりません。しかしながら、伺っている範囲で、これはかなり通常の労働者に近いケースかなということはうかがい知ることができるわけでありますが、それ以上のことはちょっとこの場では差し控えたいと思います。
○吉川春子君 同一労働同一賃金という判断について伺いたいと思うんですけれども、ある企業では、正社員の男性が千三百五十五人いると、正社員の女性が四百三十人いると、こういう企業があるとします。パート労働者が五百人いるけれども、すべてこれは女性だと。そして、そのうちの四十二人がフルタイムパートと。フルタイムパートというのはちょっと形容矛盾ですけれども、そういうような制度があると。派遣社員もすべて女性だと。そして、正社員が減らされて、どこの企業でもやっていることですが、パートや派遣に置き換えられています。女性労働者のうちの六割はパートと派遣労働者だと。
 やっぱり、私は、こういう具体的な事例を見ると、これは、人件費を安くするだけの働かせ方というのは女性差別ではないかというふうに思うわけですけれども、その際、同一労働同一賃金という比較の場合に、正社員は男だけと、それで非正規は女性のみと、それで、しかし仕事の内容はもうほとんど変わらないようにやっているという場合に、男女差別賃金で裁判でもいろいろ争われて、これは決着が付いている問題でもあるんですけれども、要するに女性のパート労働者が男性の係長と同じ仕事の内容をしているという場合、前提にして、その場合、比較する相手は、通常の女性の労働者がいない場合は相手が男性の係長との比較でもいいんですかね、同一労働同一賃金という比較の対象の場合なんですけれども。
 これはどうお考えですか。
○政府参考人(大谷泰夫君) 比較すべき通常の社員というものであれば、これは男性の社員とか女性の社員というルールはもちろんございませんので、これはもう職務の内容を見て比較すべき人を考えるわけでございますから、今言ったようなケースで、男性係長あるいは女性係長、そこは特段差はないというふうに思います。
○吉川春子君 それで、だれが判断するのかという質問はやめます。同じく答弁返ってくるんでしょう。だから、それはやめますけど。
 同一価値労働か。同一価値労働同一賃金という国連の考え方がありますよね。そういう場合に、何が同一価値なのかという判断をするときに、大分、裁判でも問題になったわけですけれども、今度のパート法で、同一価値かどうか、まあ企業が第一義的に判断して、それが判断されなかった場合に、紛争の方へ持ち込まれたときに、客観的にこれを判断する仕組みというものが日本にはあるのでしょうか。
○政府参考人(大谷泰夫君) この同一価値労働あるいは同一労働同一賃金について、これは政府でも過去何回も研究をしてきたわけでありまして、それが一番理念的によく分かりやすいのは、職務を分析していって、職務の内容を個々に積み上げていってその職務給として比較できればそれが一番完成した比較になるわけでありますが、現在の日本の雇用の慣行、社会実態から見まして、長期雇用を前提として正社員の賃金が基本的に構成されている中で、パートだけについてその職務給的な横並びのものをつくるということが非常に難しいということで、政府のいろいろ研究会でもなかなかいわゆるルール作り、その物差しはできなかったわけであります。
 今回、そうしたことを踏まえまして、そういう方法での均等の実現というものは難しいということで、それではその違いに応じて均衡を図ろうということで今回の法律になったわけでありますから、言わばその共通の、業界を超えた横並びの物差しがパート労働者にあるかと言われれば、まだ我が国には適用すべきルールがないというふうに考えております。
○吉川春子君 適用すべきルールはない、それで済むんでしょうか。
○政府参考人(大谷泰夫君) したがいまして、その権利を実現するために今回考えましたのが、正社員と同視すべき言わば労働者はどういうものかということを要件を絞って考えまして、繰り返しになりますけれども、職務あるいは責任を含めた職務も同じ、それから異動等人事活用も同じ、なおかつ契約の期間も同じという方であれば、これは差別をしない、いわゆる同一賃金を実現するということで、今回はそういう形をもって、言わば同じ人に同じ賃金を実現するという形を取ったということで、正にさっき言いました、職務についての共通のルールがない以上、職場職場で均等を実現するという今回の制度化に踏み切った、またそこを労使に御理解いただいて審議会でもようやく合意いただいたというところでございます。
○吉川春子君 もう持ち時間があと二分ぐらいになったんです。
 最後に、大臣、お伺いしますけれども、やっぱり非正規全体もそうですけれども、パートタイム労働者の処遇の改善ということは、日本の社会をこれからどうしていくかという点でも非常に重要な問題だというふうに思うわけです。女性労働者の差別をなくしていくという点でも非常に重要なテーマだと思うんですね。
 私は、この法案について疑問点は今申し上げたとおりなんですけれども、是非パートタイム労働者という、オランダとは違って身分差別のようなことがあるわけですよね。パートタイムって時間が少ないだけじゃないんですよね、日本でいうと。やっぱりそういうパートであるということはもう即差別というような感じになっていますので、本当に時間が短いだけ、働いた時間だけ賃金もらえると、同じようにですね、同じ一時間働けば同じ賃金がもらえると、そういうようなところを目指して、やっぱりパートの均等待遇、イコールの方ですけれども、それに対して大臣として頑張っていただきたいと思います。
 いかがですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 非正規雇用、なかんずくパートというのが一番多い、数として多いわけですから、これについて、しっかりした貢献あるいは働きに見合った処遇を実現していくということは非常に重要なことだと、この点は同じです。
 どういう人たちにこの同一賃金、あるいは時間給でも、そういうことを含めてですけれども、同一賃金を払うべき労働というのはどういうものだろうかというふうに考えたときに、先ほど言ったように、日本の雇用実態というものを反映すると、職務、これは責任を含んだ職務と、それから人事異動の問題と、契約の問題、長期性の問題、こういうような三つが全く正規と同じだというときに同一賃金を払うべきだという考え方を取ったということ。それ以外のところは、一つ欠けた場合にもこういう処遇をすべきだ、二つ欠けた場合もこういう処遇をすべきだというようなそういう問題の解決を図ったと、こういうことでございます。
 したがいまして、職務給がもう完全に行われている、同じ職に対してはもう完全に同じ賃金が払われるというような、職務給の完全に行われている社会、労働社会とは違った扱いになっているわけですけれども、私どもとしては、それが最も実態を反映したものである、そしてそういう中で均衡というものを図っていくことによってこのパート労働の問題を解決していこう、こういう考え方をしているということでございますので、その考え方について、今後とも御審議を賜って是非御理解をいただきたいと、このように考えます。
○吉川春子君 時間ですので、終わります。
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 まず、八条からお聞きをいたします。
 今までも質問出ておりますが、衆議院の内山委員の質問に対して、というか、これはポイントは、八条は事業主が基本的に第一義的判断権を持つと、それが極めて不安定になるんじゃないか、あるいは事業主任せでいいのかということがこの委員会でも議論になっております。先ほどから答弁もありますが、衆議院の内山委員の質問に対して大谷政府参考人は、そういった裁判例などの積み重ねによって、事例によって考え方の基準をまずは示していくというところから始まるのではないかというところで終わっています。今日の答弁もそこで終わっていますが、八条が第一義的判断権者が使用者だというのは、やっぱりこれは非常に危険だというふうに思っています。
 労働相談、具体的にこれ弁護士で受けて、あなたのケースはこうなりますって、どこまで言えるのか、その判断の中身を通達か何かで厚労省としてはきちっとお示しになるということでよろしいでしょうか。
○政府参考人(大谷泰夫君) 第一義的な判断者ということが、何か、公的な判断者という意味ではなくて、最初に労働条件を設定する立場にあるのはだれかということで、先ほどから大臣が申し上げておりますように、まずは事業主が一回そこで労働条件を設定して、それについて労働者がまた言わばそれに対する考え方を示していくという、第一回目のステップがそれは事業主であるということを申し上げているわけでありますが、ただし、今お話ありましたように、その最初に決める事業主の判断というものが恣意的なものであったり、あるいはこの法律の趣旨に反するものであってはそれはいけないということは当然でありますので、今回、複雑な要素もありますこの法律の内容につきまして、成立させていただければ、その施行までに事業主に対しても、いろんな事例なり過去の裁判例等を引きながら、こういったケースはこういうことだということを極力示して、スタートの時点から混乱のないような施行に努めたいということを考えております。
○福島みずほ君 私はよく分からないのでお聞きをします。職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されると見込まれるもの、見込まれるものという判断はどうやってやるんですか。厚生労働省の見解を教えてください。
○政府参考人(大谷泰夫君) これは主観的な要素ではなくて、それは慣行であるとか、その職場の状況から見て判断していこうということでございます。
○福島みずほ君 判断基準が分かりません。厚労省はきちっとこれを通達か何かで出されるんですか。あるいは、もし決まっていれば、この委員会でこういうふうにやりますと明示していただかなければ、第一次的にある程度の判断は事業主がやる、しかしそれは恣意的であってはならない、しかし条文は極めて分からない見込みのあるものとなっているので、その判断を厚労省としてこう考える、あるいは通達でこう示す、もうちょっと踏み込んできちっと説明してください。
○政府参考人(大谷泰夫君) その判断につきましては、それぞれの項目ごとに、これは審議会等でも御議論があったところでありますけれども、そういった過去の議論それから判例等を整理しまして、今後通達で明らかにしていきたいと考えます。
○福島みずほ君 八条なのですが、有期の点は後でまた質問いたしますが、私は問題だと思うのは転勤要件が規定されていることです。
 これについては、男女雇用機会均等法では、転勤をコースの振り分けや昇進の基準とすることが間接差別となり得る基準として厚生労働省令に列挙することになりました。つまり、ジェンダー差別、間接差別として転勤というのはこれは問題にしたわけですね。しかし、ここに転勤が入っている。
 もちろんパート法は男女を問わないものですが、結局はあそこであれだけ頑張って女性の差別は許さないということで間接差別として入れているのに、ここに転勤要件が入っている、この点はいかがでしょうか。
○政府参考人(大谷泰夫君) 今委員もお話ありましたように、このパート労働法につきましては、このパート労働法の法体系の中で、正社員と同じとはどういう人なのかという要件を調べるときに、一方は転勤等があり、一方は全くない勤務の実態であるならば、それは同視できないという区別のメルクマールとしてこの転勤要件というのは入っているわけでありますけれども、実際の個々の現場、現場において転勤が要る、要らないとか、それは個別判断につきましては男女雇用均等法の考え方で、それは適否は判断されると思いますので、このパート労働法の考え方は正社員と同視できるかどうかのメルクマールとしてのこれが転勤要件だというふうに御理解いただきたいと思います。
○福島みずほ君 いや、とんでもないと思うんですね。
 あの均等法の議論のときは、男性のほとんどが基幹社員、女性のほとんどがパート、これは間接差別か、厚生労働省の見解は、はい、これは間接差別です。転勤要件も省令に入れて、これが入ることは間接差別だということで私たちは女性差別もなくしていこうとしたわけです。パートのほとんどは女性たちです。
 今度は、じゃ、パート法の中では転勤要件が入るとすれば、間接差別として転勤があるかどうか、要するに女性は家族的責任を多くの場合負うので転勤要件を入れない、これは間接差別だとせっかく確立したにもかかわらず、ここでどかんと真ん中から入れば、結局、女性が差別を受けるということになるじゃないですか。
○政府参考人(大谷泰夫君) このパート労働法における通常の社員との比較によってつくったメルクマールにつきましては、今おっしゃいましたみたいに、雇用均等法の世界でも、これは男女において別の差別をしてあるんではなくて、ここは勤務の要件として、それが転勤をしている社員とそうでないという社員を比較するときに正社員の要件として見ておるだけでありまして、要は男女要件でこれを比べているわけではありませんので、結果としてそちらに属している人が多い、少ないという問題は、それはパート労働の中においては特に男女の要件をこれかませているわけではないわけでありまして、そこは均等法の当てはめと、パート法の言わば正社員のメルクマールとしての転勤要件というのは別の考え方だと思いますが。
○福島みずほ君 いや、生きている人間のことが理解できていないですよ。縦割りで人間生きていない。
 つまり、直接差別ではないが間接差別となり得るからこそ差別として禁止をしている。今おっしゃったじゃないですか、結果としてあるグループがそういうふうになるということについて今言及されましたよね。結局、パート法の中に転勤要件を入れるということは、ほとんどの女性、まあ女性はパートが多いわけですから、それで転勤要件を入れれば、均等法の中でせっかく転勤要件が間接差別だと言ったにもかかわらず、ここで女性差別を助長することになるじゃないですか。転勤要件入れれば、ほとんどの女性は自分だけ一人でぽいっと転勤できないわけですから、なかなか。実際は正社員になれないんですよ。
 間接差別をわざわざ条文の中に厚生労働省が入れるということが理解できない。
○政府参考人(大谷泰夫君) これにつきましては、男女雇用機会均等法における間接差別を御議論いただきまして、これは省令で三つのケースを明示したわけでありまして、今お話しになったケースにつきましては、これはコース別雇用管理制度における総合職の募集、採用における転勤要件ということで法律上明記したところでございます。
 これにつきましては、今回の法律との関係でいえば、パートタイムの労働者について見る場合につきましても、今回、転勤の要件あるかないかという当てはめが企業において、それから男女の違いによって差別的に行われたのか、その転勤が合理的かということで判断することになるわけでありまして、パート労働法の要件設定がいわゆる男女雇用機会均等法に抵触しているというわけではないと考えております。
○福島みずほ君 パートのほとんどは女性なので、転勤要件を入れれば実際は女性が正社員に極めてなりにくい。つまり、均等法では間接差別として転勤要件をやったけれども、パート法では転勤要件を入れても、それは均等法じゃないからいいんだという理屈は通らないですよ。
 生きている人間は、生きていて女性でパートで働いているわけだから、均等法では差別されないがパート法ではしっかり差別される、間接差別を結局、日本の厚労省が条文の中で入れるということになるんですよ、これは。だって、間接差別の概念は、明文で差別をしないが、結果的にそのグループが差別を受けるというのを間接差別といって禁止しているわけじゃないですか。その理屈は国連では通らないですよ。
○政府参考人(大谷泰夫君) 間接差別につきましては、昨年の法案の審議で類型として明確にする必要があるということで、さっき申しましたけれども、三つのケースについてこれは明らかにそうであるというのを判断したわけでありまして、今回、さっき申しましたような総合職の募集、採用における転勤要件というものは、これは間接差別に当たるということは法律改正されたとおりであります。
 今回のパートタイムの労働法につきましても、これはパートタイマーが差別禁止の通常の労使と同じであるかないかというメルクマールとしてのそれは項目でありまして、実際にその企業がそういうことを行っていることが合理的であるかないかということはそれは別の要件として判断して、その企業がそういう合理性のない差別をしているんであれば、そこのところがむしろ不適切だというふうに考えるわけで、このパート労働法の言わばメルクマールが、いわゆる雇用均等法に抵触するということではないというふうに考えます。
○福島みずほ君 いや、このことだけを延々やるわけにはいかないんですが、均等法の改正法の中で、転勤要件を入れることは直接差別ではないが間接差別になる、こういうことを設けると女性は働きづらくなって女性差別になるということで省令に入り、私たちは間接差別の概念狭いぞと言いましたが、その点は、そういうのは間接差別になると理解をしています。それは局長認めていらっしゃるとおりなんですが、結果的に女性が、転勤要件を入れると差別を受ける、これはよろしいですね。
○政府参考人(大谷泰夫君) 転勤要件即ではないと思いますが、比較すべき通常の労働者と比べて、一方は合理的な理由があって転勤しておって、しかしそうでない者があって、比較的違うということであれば、確かにそれが通常の労働者と同視すべきではないという判断基準になることはあり得ると思います。
○福島みずほ君 間接差別の概念を、なぜ均等法にだけ適用してパート法に入れないのか。間接差別という概念はこの法律だけ使えなんていうふうになっていないですよ。今おっしゃったとおりなんですよ。ほとんど男性はやっぱり転勤要件があっても正社員であり得る、あり続ける。でも女性は、転勤要件がこんな形で入ったら、この適用対象が非常に狭くなるということもありますが、実際は正社員にこれでなれなくなっちゃうんですよ。それは間接差別という概念を全然パート法の中に入れない、それは根本的に間違っているということを強く申し上げます。
 次に、九条についてお聞きをします。
 賃金のところですが、決定するよう努めるものとする、努力義務になって一体何が変わるんでしょうか。
○政府参考人(大谷泰夫君) これは努力義務でありますけれども、現在は指針の中で書いてある考え方があるわけでありますけれども、それを法律上、規範として努力義務と、法律上の義務に格上げをして、これは事業主に履行をお願いしていくわけでありますけれども、この実効性ということになりますと、まず、その処遇について労働者は事業主に対して説明を求めるということで、自分の処遇の正社員との比較における合理性をまず確認することが今回の法律でできるようになると。
 それから、それについて納得がいかない、あるいはそれで事業主とまずは自主的な交渉をいただくわけでありますが、それでも不調であれば都道府県の労働局に御相談いただいて、これはもう迅速にその対応をしていきたいということでありまして、努力義務であるから放置されるということがないように、これは実効性の担保を努めたいと考えております。
○福島みずほ君 パート法で、かつて努力義務があったにもかかわらず、少しも格差が是正してきていないという実態があります。努力義務というふうになれば何が変わるのか。具体的な実効性を得るために、例えば専門員、相談員を増やすなどが必要であると考えます。
 ILO条約勧告適用専門家委員会報告においても、労働監督官が同一価値労働同一報酬原則の違反を是正するために取る方法を示し、その実施に当たって、労働監督官に対してなされている訓練の性質や規模を明らかにしろというふうにあります。これは衆議院の、中野麻美さん、参考人発言の中に出ております。
 この勧告に見ても、今回のパート法案には専門官の配置や増員が不可欠でありますが、省令で定めるなど検討はあるのでしょうか。
○政府参考人(大谷泰夫君) このパート労働法の実効性ある現場での実施体制でありますけれども、これは、現在、都道府県の雇用均等室を中心にこの仕事を行っているわけでありますけれども、既にこれまでの仕事の実績、あとプラス今回パート労働法で新しい考え方や制度が盛り込まれるわけでありますから、これは担当に十分な研修をし、そして労働局全体でそれを取り組んでいくということを省内でも考えているところでありまして、特に専門官を今配置してその対応に当たるということを現在決めているわけではございません。
○福島みずほ君 一千六百万、パートの人たちの努力、その人に対しての努力義務をきちっとやるべきなんですよね。本当にこれが実効性が上がるのか。そのために専門官の配置や増員は不可欠だと考えますが、厚労省としても、相談窓口削らずにこういうところを是非増員していただきたい。局長、どうですか。
○政府参考人(大谷泰夫君) できるだけ今回の制度の周知徹底に努めまして、そういった事務が滞ることのないようにまずは努めたいと考えておりますけれども、これが労働局挙げて対応した結果、更にそういった組織が必要であるということが明らかになれば、そのときは必要な対応を取らなければならないと考えております。
○福島みずほ君 いや、このパート法案作って努力義務を尽くせといって、でも努力義務で実効が上がるかと。監督する人が必要じゃないですか、指導する人が必要じゃないですか。それこそ厚労省頑張ってやってくださいよ。国会でもこの予算は超党派で応援しますよ、きっと。いかがですか。
○政府参考人(大谷泰夫君) 今回の制度の改正について周知に努めるわけでありますけれども、労働局を挙げてまずは取り組み、そして必要があれば、これは政府としてその体制の増強について、局としてもお願いしていくということになると思います。
○福島みずほ君 ハローワークの職員が非正規雇用みたいな実態で、どこもひいひい言いながら人員削減の中でやっている、それはおかしいと思います。こういうところこそ厚生労働省が頑張ってほしい。もう一歩踏み込んで、局長、答弁してください。
○政府参考人(大谷泰夫君) ハローワーク含めて、他の職場の職員の問題ございますけれども、私どもとしましては、昨年の男女雇用機会均等法の施行、プラスこういった短時間労働者の権利の実現ということがありますので、その制度の実を上げるために体制を整えるということについては鋭意努力してまいりたいと考えております。
○福島みずほ君 九条の賃金のところですが、通勤手当が入っておりません。
 それで、厚生労働省からいただいた実態調査でも、パートは八六%が通勤手当をもらっています。通うのに通勤手当がないと本当に働けば働くほど貧乏になるということになります。パートの人たち、給料低い。だとしたら、通勤手当が払われないというのはこれは問題で、これを除外する理由が全く理解できませんが、いかがですか。
○政府参考人(大谷泰夫君) パート労働者の交通費、いわゆる通勤手当であります。この実情につきましては、平成十七年のパート労働者実態調査によりますと、パートタイム労働者に対し通勤手当を支給していると回答した事業所は全体の八六・四%でございました。
 その実態をもうちょっと詳しく申し上げますと、課税、非課税の関係につきまして見ますと、通勤手当のうち一定金額以下のものは税法上給与所得、いわゆる源泉徴収の対象から除外されて非課税になっていると、それから、一か月当たりの非課税となる限度額を超えて通勤手当や通勤定期券などを支給する場合には、超える部分の金額が給与として課税されているものと承知しております。
 このパート労働者の通勤手当に関する調査につきましては、通勤手当のみを対象とした調査を行っておりませんが、先ほど申し上げましたような調査によりまして、一つの調査項目としてこれまでも取り上げてきたところであります。これは、今回の制度改正に際しましても、労働政策審議会の雇用均等部会の中でこの取扱いについて議論が行われたところでありますけれども、現在のところ、この通勤手当の支給の実態につきましても企業についてそれぞれ扱いがかなり区々であると、異なっている面があるということ、あるいは今回の改正の中で、事業主が責任を持って勤務に密接してまずは払うべき賃金というのはどこの範囲かという議論が行われた結果、今回の改正では、この通勤手当につきましてはいわゆるその対象にはならなかったという経緯があったところでございます。
○福島みずほ君 だから、いい加減なパート法だと思わず怒りが込み上げるんですが。このパート法は、通勤手当についても、今現在八六・四%企業は支給しているにもかかわらず、通勤手当はわざわざ除外しているんですよ。でも、ひどいじゃないですか。パートで働いている人は給料が低い、通勤手当をわざわざ除外する、しかも、これは一定の要件があったときに努めるものとするとなっていたらどんどん通勤手当なんて払えなくなりますよ。でも、歩いて通ってこいじゃないけれども、通勤手当は払うのは当然じゃないですか。
○政府参考人(大谷泰夫君) この通勤手当の支給自体は法律上で求められているわけではありませんけれども、支給実態についてもうちょっと申しますと、企業によりましては、通勤手当として基本給と分けた支給がなされていないで基本給に盛り込まれているというようなケースがある、あるいは、通勤手当として支給されていても、厳密な実費弁償ではなくて支給条件、上限が設けられている、こういったことがあったわけであります。
 それで、今回の改正としてこのものを盛り込むかどうかについてはそれなりに議論があったところでありますけれども、法律で強制的に一律の措置を求めるということについては今回はコンセンサスが得られなかったというのがその経過でございます。
○福島みずほ君 パートの人たちは立場が弱くて、ああしてくれこうしてくれと使用者に言えない、だからこそ法律で私たちは応援をすべきです。
 通勤手当が実際八六・四%支給されて、現実にされているわけですから、だとすれば、法律にもちゃんと通勤手当は払えと、これは言うべきですよ。ところが、九条はわざわざ、「通勤手当、退職手当その他の厚生労働省令で定めるものを除く。」と、わざわざ除外しているんですね。この神経がよく分かりません。
○政府参考人(大谷泰夫君) これは繰り返しになりますが、そういった現在の通勤手当の支給実態、あるいは退職手当についてもちょっと今お話ございましたけれども、そういう長期雇用の報賞的な性格があるというようなものは今回の業務関連という面では若干距離があるんではないか、そういったことで様々議論がありまして、一律に今回法律で強制することにはならなかったわけであります。
○福島みずほ君 ですから、この法案はおかしいと思いますが、逆に厚労省に、今現に通勤手当八六・四%払っているわけですね。だとすれば、企業に対しては、やっぱりこれは、法律では例えば強制できなかったとしても、払うべきだと、努めるべきにわざわざ除外になっているので驚くんですが、やっぱり通勤手当払うの当然だということでよろしいですね。
○政府参考人(大谷泰夫君) 当然というふうにはなかなか断定できないわけでありますけれども、均衡処遇を実現する中で、正社員に少しでも事業主がその処遇を近づけていただくということについては、我々も促進してまいりたいと考えております。
○福島みずほ君 いや、どこの世界に通勤手当を、それはだって実費じゃないですか、経費じゃないですか。これについては厚労省は、これをわざわざ条文で除外するというのはやっぱりおかしい。是非、きちっとやっぱりパートの人にも通勤手当を払うのは当然だと。現に、だって今八六・四%払っているわけですから、その方向で行政指導も徹底してくれるようにお願いをいたします。
 それで、この通勤手当もそうですし、八条もそうなんですが、気になるのが、意欲となっているんですね。職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験等を勘案し、その賃金を決定するよう努めるものとする。
 意欲というのは何ですか。
○政府参考人(大谷泰夫君) 特に法律上の定義を定めているわけでありませんけれども、その職務に字義のとおり臨む精神的な態度のことを表明しているんだと思います。
○福島みずほ君 八条の点で残業についても重ねてお聞きをいたします。
 残業については衆議院の答弁では、仕事の責任に残業は含まれ得るが、残業に応じられるかどうかが第一義的な要件になることはないという旨答弁をされていらっしゃいます。
 残業ですね。つまり、意欲とか頑張るとか忠誠心みたいなことになって、例えば残業はやっているかどうか、残業を一杯やっているかどうかということがこの八条、九条で考慮されるとこれは問題だと思います。就業の実態や仕事の責任に所定外労働の有無を含まないということでよろしいでしょうか。
○政府参考人(大谷泰夫君) この残業の問題でありますけれども、この残業が特に意欲の表明とかそういうことではありませんで、私ども考え方としても、残業するかしないかがいわゆる職務の同一性のメルクマールにはならないだろうと。しかし、責任を判断するときに残業をする、しないというのが必要なときが生じるわけでありますから、その必要な範囲において残業をするということが、正社員がそれを行っているのであれば、それと比較すべき正社員に対応してこのパートタイマーもその分を担当するということはある必要があるのではないかと。しかし、残業するからどうかとか、言わば意欲を見せるための残業とか、そういう考え方は必要ないと考えております。
○福島みずほ君 これ、残業の多寡などは問題になるんでしょうか。
○政府参考人(大谷泰夫君) 一律に多い少ないでは決まらないと思いますけれども、その必要なときに必要な残業を正社員が行っているときに、それと比較対照となるパートタイマーがそれを行うということでありますので、言わばその職場の実態、その職場の比較すべき通常の労働者の実態に応じて決めていくべきものと考えております。
○福島みずほ君 残業といっても、月十時間程度から残業二百時間やっていますという報告などたくさんあります。サービス残業もあります。つまり、正社員になりたければ物すごい残業も同意しなければやれないというふうになると、これまたひどい状況が広がっていきます。
 ですから、厚労省の方でこの残業についての衆議院での答弁、残業に応じられるかどうかが第一義的な要件になることはないというふうに答えていらっしゃいますが、それプラス残業の多寡が特に影響するとかということではないという、再度答弁、確認したいのでお願いします。
○政府参考人(大谷泰夫君) 残業の数字的な多い少ないによってこの要件が確定されることはないと考えます。
○福島みずほ君 次に、慶弔休暇と慶弔金についてお聞きをします。
 鴨桃代さんの「非正規労働の向かう先」というブックレットの中に次のようなケースがあります。Bさん、銀行・パートは、二〇〇五年、同居の義父が亡くなった。二十五年間も働き続けてきたので、当然、慶弔休暇はあるものだと思って職場に慶弔休暇を申し出たそうです。しかし、職場では、パートには慶弔休暇はないの一言で慶弔休暇は取れず、年休を使って休まざるを得ませんでした。また、慶弔金も出ませんでした。その後、同じ部の部長の娘さんが結婚することになり、課長が部の全員から祝い金を集めて回るということがありました。Bさんは、お祝いの気持ちはありますが、自分のときはなかったので今回は出せませんと断ったのですが、課長から、自分が課長の間は目をつぶって出してくれと言われたそうです。人が亡くなることの悲しみも結婚の喜びも、正社員でもパートでも変わらないはずなのにと言っていましたという例が出ています。
 今回、慶弔休暇、慶弔金、パートに適用ないんですよね。これ、おかしくないですか。
○政府参考人(大谷泰夫君) この慶弔の取扱いが、これも雇用均等分科会で非常に議論になったところでありまして、パートタイマーの方々が言わば差別感、格差を感じられる大きなポイントがこの慶弔の扱いでございました。
 今回、福利厚生につきましては、職務に密接した福利厚生施設の利用等につきましては、これは配慮義務で義務化したわけでもありますけれども、今回、この慶弔につきましては、法律によってその支給を強制するということについてはいかがかということで、慶弔について法で強制することは今回できなかったわけであります。
○福島みずほ君 じゃ、どうやってケアをするんですか、この法案で。
○政府参考人(大谷泰夫君) この慶弔等の取扱いにつきましては、今回の法案の中身としては直接これは規定していないわけでありまして、これはむしろ雇用均等、均衡待遇、そういう考え方の中で、企業が正社員に及ぼしているそういった権利についてできるだけ配慮をいただくということで実現していただくということになると思います。
○福島みずほ君 じゃ、努めることにするとか配慮すればいいとかすればいいじゃないですか。条文ないんですよ。
○政府参考人(大谷泰夫君) これは今回、繰り返しになりますけれども、審議相当あったわけでありますけれども、法律によって一律にそれを強制することはなじまないということで、法律には書き込めなかったわけであります。
○福島みずほ君 賃金も教育訓練も福利厚生も、努めるものとする、配慮しなければならないとなっていますよ。ですから、配慮しなければならない、努めるものとするでいいじゃないですか。
○政府参考人(大谷泰夫君) 法律上、強制はしていないというわけでありますが、それは払わないでいいということではなくて、強制していないということでありまして、事業主がそういうことに取り組んでいただくことについて、これは、この法律はある意味ではニュートラルでありますけれども、法律の精神からいけば、正社員に認められたいろんな権利というものについてパートタイマーが近づいていくことについては、これは方向としては非常に期待される好ましいものと考えています。
○福島みずほ君 でも、全然条文に出ていないじゃないですか。現に苦しんでいる人がいて、一杯問題がある。パートさんと呼ばれて嫌だ、ボーナスの日に会社に行きたくない、お祝い金は取られるけど自分の慶弔は何もないなんていうことを改善してくれと、法律はそういうのを応援するべきなのに、どこをどう読んでもないですよ。だから、趣旨がとおっしゃっていても、それは厚労省が出す政府案の中にきちっと入れるべきですよ。
 十一条の福利厚生施設ですが、均等法は福利厚生について男女で差別をしないように規定をしていますが、十一条は福利厚生施設について配慮をしなければならないとだけなっております。これはむしろきちっと、差別、いろんなものを限定せずに福利厚生施設を利用するようにすべきではないですか。
○政府参考人(大谷泰夫君) この福利厚生の施設でありますけれども、今回、改正法案におきましては、業務の円滑な遂行に必要な福利厚生施設の利用について配慮義務の対象とするということが合理性があるというふうに判断されまして、具体的には、雇用均等分科会において、給食施設、それから休憩施設、それから更衣室と、こういった三つについて配慮義務の対象とすることについてこれは合意が得られたわけでありますが、それ以外の福利厚生につきましても、これ法律が介入して強制実施させるというところまでの合理性は認められなかったところでありますけれども、これまで指針で行われてきたものも含めまして、これは事業主が取り組んでいただくということについてはむしろそれを期待するところであります。
○福島みずほ君 条文では配慮しなければならないとあります。そうすると、今おっしゃった給食施設、休養施設、休憩室に関して、事業主が、いや、この給食施設は正社員が使うようにと言うんだったら、配慮しなければならないとなっていると、具体的に苦情が来たら、あるいは調停でどういうことは言えるんですか。
○政府参考人(大谷泰夫君) これにつきましてもいろんな個別のケースが想定されるところでありますけれども、例えばスペースが十分あるにもかかわらずそれを使わせないということであれば、これ配慮が足りなかったということになると思うんですが、例えばまだスペースが足りず増築なり場所の確保が更に必要だというところについて直ちに実現しなければならないが、これはなかなか難しいと。
 そういったところで、この配慮という言葉につきましては、実際の適用の場ではその事業主の取組、それからその実態についてこれは判断していく余地があると考えています。
○福島みずほ君 食堂に行ったらアルバイトの人たちが一杯食べていたので、正社員は残念ながら食べられなかったのは仕方ないじゃないですか。だって、私たちだってお客が来ていて、地下の食堂に行って一杯だったら、じゃ空いているところに行きましょうというふうになるわけで、その場所の、スペースの問題と差別をしてはいけないということとは両立し得ると思うんですよ。先手必勝とは言いませんが、アルバイトの人が保健室で休んでいる、だったらしようがないということになるわけで、この配慮しなければならないというのはもう少し強い意味であるべきだと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(大谷泰夫君) 今お話ありましたように、事業主においてこれ最大限配慮をいただくということでよろしいと思います。
○福島みずほ君 としますと、これ、もし苦情処理や調停に持ち込まれたらどう指導されますか。
○政府参考人(大谷泰夫君) これやはり、個々のケースに応じて判断せざるを得ないということで、一律に、先に座っていたからどうとかいうことだけではなかなか言い切れないと思います。
○福島みずほ君 これは日弁連、日本弁護士連合会の意見書では、健康の保持又は業務の円滑な遂行に資する施設はすべての労働者に提供されるべきであり、パートタイム労働者が排除される合理性がないと、省令で定めない限り配慮義務の対象にすらならないというのは法に明記する意味がないのではないかというふうに指摘があります。いかがですか。
○政府参考人(大谷泰夫君) この福利厚生施設についてどういうふうに法定していくかということにつきましては、今回私どもの考え方は、むしろ法律に明文で規定したものについてはこれは配慮義務として履行をお願いするということになり、それについての個別の以後の労働局における指導等が伴うわけでありますから、むしろここは明記して、それを望むということを考えたわけであります。
○福島みずほ君 これは差別する必要は本当にないと思います。
 先ほどちょっと答弁されたんですが、この条文は福利厚生施設となっておりますが、通常労働者が利用できる福利厚生には住宅資金や教育資金の貸付制度や様々な福利厚生があります。今回、パートの人が利用できるのを福利厚生施設と限定した理由が分かりませんが、この点は拡大して、あるいは厚生労働省としては指導するという考えでよろしいでしょうか。
○政府参考人(大谷泰夫君) これも法律で一律に事業主に強制できるのはどの範囲か、どこまでかということが議論があって今のような法文になっているわけでありますけれども、これは、これを義務付けたものが今回載っているわけでありますから、むしろ現在でもかなりの割合で事業主が取り組んでいただいている、そういった福利厚生についてはより拡大していただくということを我々も期待するところでございます。
○福島みずほ君 福利厚生施設じゃない、福利厚生についても拡大をしていくようによろしくお願いします。
 十二条について他の委員も質問されていますが、結局、募集の周知と通常労働者の配置への希望への機会と試験というのがあるわけですが、試験以外に何を想定し、事業主には何ができると思っているのか。説明責任だけだとどうも不十分であるんではないか。通常の労働者と実質的に変わらないパート労働者を優先的に雇用するわけではないので、転換への担保が弱いと考えますが、いかがですか。
○政府参考人(大谷泰夫君) この改正法案では、事業主は通常の労働者への転換を推進するための措置を講じなければならないということで、具体的には三つの方法を規定しているわけでありますが、一つは、その当該事業所の外から通常の労働者を募集する場合には、その雇用する短時間労働者に対してその当該募集に関する情報の周知を行うというのが一つ、それから社内公募として短時間労働者に対して通常の労働者のポストに応募する機会を与えるということ、それから三つ目としては一定の資格を有する短時間労働者を対象として試験制度を設けるなど転換制度を導入する、こういったもののうちのいずれかを講じることとしておりますが、例えばその他の措置としましては、正社員に転換するための教育訓練をし、それが言わば正社員への転換の具体的なプロセスも含めた仕組みとなっているとか、こういったような取組があれば、これも該当するようになるんではないかと考えます。
 ただ、今御指摘がありましたように、こういう、じゃその周知、情報の周知をしたからそれで終わりかということになりますと、最終的には、採用するかしないかという判断は、他の候補者と比べてのそれは事業主の判断ということになるわけでありますけれども、この法の考え方からしましても、経験を積んで優秀なパートタイム労働者であれば、それは是非正社員に転換していただきたいと思うわけでありますし、近時、そういったパート労働者の正社員への転換の事例が多く報告されているところでありますが、そういった流れの中でこの規定が生きていくことを期待しております。
○福島みずほ君 よくあるのは、試験を受けてみんな落とすとか、そういう話もよく聞きます。ですから、結局、この転換への担保がきちっと取られるということが必要で、この条文だけでは不十分だと考えます。
 私は、フルタイムパートとそれから疑似パートがこの法案では適用がありません。普通のパートの人は自分がフルタイムパートなのか疑似パートなのか正社員的パートなのか、自分は一体何のパートなのか実は分からないで働いているということが多いと思います。一番実は救済する必要もある正社員的パート、疑似パートが除外されているというのは、やはり法律の組立て方がおかしいと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(大谷泰夫君) このパートタイム労働法につきましては、これは平成五年の制定の段階でもどういった労働の形態について対象にしていくかという議論があって、短時間に働くということに基づく様々な労働関係の整理をするということでこういう現行法の形があるわけであります。
 一方で、有期ではあるけれども言わばフルタイムのパートというような方がある場合には、これは契約社員あるいは有期労働者としての考え方を整理していかなきゃいけないとか、いろんな形があるわけでありまして、このパートタイム労働法の対象は、所定の労働時間が週単位でやはり通常の労働者よりも短いという方について絞り込んでその制度を考えているというところでございます。
○福島みずほ君 ちょっとよく分からないんですが、衆議院の議論の中で、週に三十五時間以上長く働くパートは三百四十五万人、週に四十時間以上働く人は二百四十三万人というふうにも答弁がありますけれども、結局、これだけ長く働く人たちがこれだけたくさんいると。この人たちは一体どうやって救済をするんですか。
○政府参考人(大谷泰夫君) 週例えば三十五時間よりも長く働くパートの方につきましても、これは総務省の統計では三百四十五万人という数字が説明されたわけでございます。
 この三百四十五万人の中にも、例えばこれ、その事業所の通常の労働者の時間によって、例えばその事業所が三十五時間というのが通常の労働者であれば、これはパートタイマーでなかった通常の社員扱いになったりとか、ちょっと定義によって、週三十五だけで決めることはできませんけれども、そういったことは除外いたしましても、長い時間働いておられるいわゆる労働者、いわゆる疑似パートあるいはフルタイムパートと呼ばれる方につきましては、今回のこのパート労働法の直接の対象ではございませんけれども、今回の法律改正を行われて、こういった労働についての考え方が示されているところでございますので、それの考え方を、非常に近接した働き方をしておられるこういういわゆるフルタイムのパートの方々にも各事業所でできるだけ拡大し、適用していただきたいということを考えるところでございます。
○福島みずほ君 拡大しということは、このパート法適用の、実質的にやるという意味でしょうか。あるいは、私は、フルタイムパートについてはもう正社員として雇用すべきだという、義務付ける、あるいは行政指導をすべきだと考えますが、いかがですか。
○政府参考人(大谷泰夫君) フルタイムのパートにつきましては、このパートタイム労働法の言わば圏外にあるわけでありますから、さっき申しましたように、通常の社員と均衡の取れた処遇を期待するということはあるわけでありますけれども、むしろフルタイムパートにこのパート労働法を適用しろということではなくて、その実態に応じて必要な今後対応が検討されなければならないと考えています。
○福島みずほ君 実態に応じて必要な対応とは何ですか。
○政府参考人(大谷泰夫君) 今回、差別的取扱いの禁止につきまして、これは労働政策審議会におきましても、この有期契約労働者とそれから無期契約労働者の間の均衡を含めた、雇用の実態に応じた労働条件についての均衡の考慮ということで審議が行われたところでございます。
 この審議におきましては、労働者の代表委員からは、就業形態の多様化に対応して適正な労働条件を確保するために均等待遇原則を労働契約法制に位置付けるべきという意見もありましたが、使用者代表委員からは、具体的にどのような労働者についていかなる考慮が求められるのか不明であり、労働契約法に位置付けるべきではないという意見がありまして、コンセンサスに至らなかったというふうに聞いております。
 これを踏まえ、労働政策審議会から、労働者の多様な実態に留意しつつ必要な調査等を行うことを含め、引き続き検討することが適当であるという答申をいただいたというふうに承知しておりまして、私どもの局のこれは担当ではございませんけれども、この答申を踏まえまして厚労省として検討を進めてまいりたいと考えます。
○福島みずほ君 検討というのはどういうふうになるんでしょうか。例えば、先ほど慶弔休暇のことを聞きましたが、公益委員も労政審で認める、審議会で認めてもいいじゃないかというふうに言っていますよね。私は不思議でたまらないのは、厚労省は政府として責任を持って案を出すわけですから、いろんな意見があったにしろ、やっぱりパートの人たちを応援する立場で、できるだけ応援する立場で法案をばしっと出せばいいと思うんですね。ですから、なぜそれができないのか。
 それからもう一つ、フルタイムパートの人は、というか、この法律の仕組みが間違っていて、短時間パートとやってしまったために、短時間パートにはこの差別禁止なりあるいは努めなければならないというのが及ぶんだけれども、この法案によれば。しかし、フルタイムパートが対象外になってしまうと。週三十五時間以上、週四十時間以上働いている何百万という人たちがなぜかこれの対象外となるわけですね。これはどう考えても法の不備、何か頭の組立て方が間違っていたとしか言いようがないと思いますけれども、これは対象外だが配慮されるべきというふうに答えていらっしゃるというふうに理解しますが、じゃ、どうこの人たちを救済するのか。審議会はいいです。厚労省としてどうフルタイムパートを救済するのか、どう配慮するのか。いかがですか。
○政府参考人(大谷泰夫君) まず、前段の審議会における厚労省としての案ということでありますけれども、これは審議会で関係者、公労使三者の御理解を賜って成案を得て、それを実施していくということでありまして、その円滑な実施を図るためにはやはりそういった合意を得ながら進めていくということが必要というふうに考えているわけでございます。
 それから、このいわゆるフルタイムのパートの問題でありますけれども、いわゆる短時間の労働を前提とした検討に属する部分と、しかし、言わば有期契約としてむしろ考えるべき部分というのがございますから、さっき言いましたけれども、この通常の社員との均衡を図るという面で参考にすべきところについては、これは現場で言わばそのパートタイマーに近接する部分として取り上げていただくのはあると思いますけれども、一方でフルタイムの労働者としてのいわゆる契約の問題としての切り口は別途あるわけでありまして、それにつきましては、これは引き続き関係局で審議会を含めて検討をしていくということになると思います。
○福島みずほ君 フルタイムの人たちについて、でも、ちょっともう食い下がって済みませんが、フルタイムの人について配慮されるべき、もうちょっと厚生労働省、考えてくださいよ。ここで有期だどうだって概念を持ち出すのはひきょうですよ。だって、パートタイマーは有期かどうかっていう概念で区切っていないわけですから、フルタイムパートの人たちが配慮すべき、厚労省としてはこれもう少しちゃんと取り扱ってくださいよ。どうですか。
○政府参考人(大谷泰夫君) フルタイム、今回の法律において差別をしないという対象において有期、無期の関係というものがあったのは事実でありますけれども、今申しておりますのは、このフルタイムのパートという形は、これはパートタイマーではなくてですね、フルタイムで働いておられる方の有期の問題をどうするかということでありますので……
○福島みずほ君 違うよ。有期じゃなくてもフルタイムパートをどうするかの問題でしょう。
○政府参考人(大谷泰夫君) ですから、そういう形についてはフルタイムの労働者の有期契約をどうするかという切り口で検討しなければならないというふうに考えている……
○福島みずほ君 違うよ。有期以前にフルタイムパートが除外されていることが問題じゃないですか。
 どうも済みません。
 時間が押してきましたが、今のはちょっとごまかしていますよ。ここで私と局長が議論しているのは有期かどうかじゃないんですよ。それはもう実は分かっているでしょう。職員だって分かっているはずですよ。私と局長は有期かどうかなんて議論していません。フルタイムパートを配慮すべき、この法案では対象外だけれど配慮すべきというところをどうするかというところで、有期に逃げ込むから私が怒っているんですよ。違いますよ。フルタイムパートは有期だろうが無期だろうがその人たちに関して配慮すべきという点はどう配慮するのか、これは引き続き質問させていただきます。(発言する者あり)
 いや、あと一分あるので、八条の点で、これは私がこだわっているところですが、今までパートタイマーは有期か無期かの議論をしてきませんでした。にもかかわらず、なぜここで有期が出てくるのか。パートの人たちは七割は有期です。こういう有期概念をパートタイマーの概念に持ち込んだら、本当にこれに当てはまる人は少ないです。二十一世紀職業財団のは一部のデータですが、私もあれ、四、五%という大臣の答弁は違うと思います。違うって、これ何度もやってますが、四、五%というのは有期、無期、区別をしていません。
 一方で、七割か八割が有期だから、四、五%掛ける〇・二になるわけで一%を切ると。実は、この法案が、八条一項が言っている差別禁止が及ぶ対象は一%を切るのではないか。局長、いかがですか。
○政府参考人(大谷泰夫君) 二十一世紀職業財団の調査に基づいて、これは平成十三年の調査でありますが、そのアンケートした中身によって、ちょっと詳しく申しますと、聞かれている内容が転勤やそれから人事異動の状況が、自分は正社員と同じだという人について聞いているわけであります。そうなりますと、一般の有期の社員で自分が例えば短期間の契約者であれば自分がそういうふうに丸を付けるわけはないわけでありまして、言わば母数においても、丸を付けた人は、例えば自分は転勤もあった、それから職場も変わったということで、正社員と同じだというふうに考えて丸を付けているということであるならば、それはさっきの四、五%に残る〇・八のマイナスの二を掛けて一になるのではなくて、むしろ答えた人がもう事前にそこのところは踏み越えて判断しているんではないかということで、まあ近似的というか、近いというふうにこれは考えているわけで、そこは、聞いているだけで、聞いている段階で、ある程度自分がその短期間の人はもう除外されているというふうに考えております。
○福島みずほ君 時間ですので、次回引き続き追及します。
○委員長(鶴保庸介君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時二分散会