第166回国会 政府開発援助等に関する特別委員会 第2号
平成十九年二月十三日(火曜日)
   午後二時開会
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   委員の異動
 二月九日
    辞任         補欠選任   
     若林 秀樹君     小林 正夫君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         山崎 正昭君
    理 事
                阿部 正俊君
                小泉 昭男君
                山下 英利君
                犬塚 直史君
                富岡由紀夫君
                浮島とも子君
    委 員
                岩城 光英君
                岡田  広君
                神取  忍君
                岸  信夫君
                坂本由紀子君
                中島 眞人君
                中村 博彦君
                野上浩太郎君
                朝日 俊弘君
                江田 五月君
                小川 敏夫君
                大久保 勉君
                加藤 敏幸君
                小林 正夫君
            ツルネン マルテイ君
                藤末 健三君
                松 あきら君
                大門実紀史君
                近藤 正道君
                亀井 郁夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        泊  秀行君
       常任委員会専門
       員        桐山 正敏君
   参考人
       岡本アソシエイ
       ツ代表      岡本 行夫君
       慶應義塾大学総
       合政策学部教授
       (政治学)    草野  厚君
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  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○政府開発援助等に関する調査
 (外交政策手段としてODAを活用する場合の
 基本戦略と援助方策(総論)に関する件)
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○委員長(山崎正昭君) ただいまから政府開発援助等に関する特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る九日、若林秀樹君が委員を辞任され、その補欠として小林正夫君が選任されました。
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○委員長(山崎正昭君) 参考人の出席要求に関する件につきましてお諮りいたします。
 政府開発援助等に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山崎正昭君) 御異議ないと認め、さよう決します。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山崎正昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(山崎正昭君) 政府開発援助等に関する調査のうち、外交政策手段としてODAを活用する場合の基本戦略と援助方策(総論)に関する件を議題とさせていただきます。
 本日は、岡本アソシエイツ代表岡本行夫君及び慶應義塾大学総合政策学部教授草野厚君に参考人として御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ当委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 参考人の方々から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。
 それでは、議事の進め方について申し上げます。
 まず、岡本参考人、草野参考人の順序でお一人二十分程度御意見をお述べいただき、その後、各委員からの質疑にお答えいただくとともに、意見表明をお聞きいただきたいと存じます。
 御発言の際は、その都度委員長の指名を受けてからお願いいたします。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、岡本参考人からお願いをいたします。岡本参考人。
○参考人(岡本行夫君) 本日はお招きくださいましてありがとうございました。いささか、もちろん政府の方針とは違うかも存じませんが、私の思っているところを率直にお話しさせていただきたいと思っております。
 私、いろいろな国を仕事柄回っておりますけれども、大変残念ながら日本の影が薄くなっていると、これはもう否定しようのない事実でございます。特に、最近数年間、その兆候が著しいと感じております。今までは、世界じゅうどこへ行っても、おまえは日本人かとまず聞かれるわけですけれども、今はどこへ行っても、まずおまえは中国人かと、こういう話から始まる。日本の影の薄さというのは中国の圧倒的な存在感の増大さと反比例しているわけでございます。
 去年も、言わば欧州の首都でありますブラッセルへ行きましたところが、日本の特派員は六、七名、それに対して中国は六十名と聞きました。私は、いろいろな国で日本のことをPRすべく講演をしてまいりますけれども、その際にどうしても日中関係にも触れざるを得ません。そういたしますと、大体観客の中からは、ああ、その話はもうこの間中国の人が来てあなたとちょうど反対の話をしていたよと聞くような有様でございます。
 中国の影響力の増大、存在感の増大というのは、単に物理的な彼らの大きさだけではありません。それは中国という国が挙げて自分たちの外交的な影響力の増大を図っている、そういう明確な戦略の下にあるからだと思います。
 先般も北京で中国・アフリカ協力フォーラムというのが開かれましたけれども、これにアフリカから四十八か国が参加しているわけですね。中国一か国に対してアフリカが四十八か国。同じように中国・アラブ対話フォーラムというのもございますけれども、これは中国一か国に対してアラブが二十二か国。とても日本にはそんなまねはできないわけでございます。
 中国の特にアフリカに対する攻勢には目をみはるものがございます。彼らは御承知のとおりDACにも加盟しておりませんので、援助の実態はよく分かりません。ただ、この間、胡錦濤が演説をしたところから判断しても、彼らはアフリカ開発基金というものを五十億ドル、六千億円規模で設立をしたと、あるいはバイヤーズクレジットを二十億ドル付けたとか、アフリカに対する優遇的な借款を三十億ドル付けたとか、とにかくけた違いの金をアフリカに入れているわけでございます。そして、これからアフリカの専門家を一万五千人養成すると、こういう構想も打ち出しております。
 胡錦濤主席は、これまでアフリカを十四か国訪問しております。温家宝首相は八か国、合わせて中国首脳のアフリカ訪問は延べ二十二か国に、重複している部分もございますが、わたるわけでございます。日本の首相がアフリカを訪れたのは、ここ五、六年で御承知のとおり南アとガーナとエチオピアとわずか三か国であります。
 彼らのアフリカに対する直接投資というのは、香港を除きますアジア全体に対する直接投資に迫るぐらいの大きな額になってきていると。アフリカじゅう中国プロジェクトがあるわけでございますね。
 で、申し上げたいのは、アフリカが中国に取られるぞと、こう申し上げているんではなくて、彼らが何のためにそれをやっているかと。それはもう明らかに資源を確保するというその強い国家戦略に支えられているわけでございます。そのために、彼らは国際援助規律から反するような形でも平気で援助を文字どおりばらまいていると。そしてこれは度々国際的に批判されるところでありますけれども、その国のガバナンスとか人権とか、そういったことにはお構いなしに中国は援助をするわけでございます。
 スーダンのダルフールでは何十万人という人々の大量虐殺が報告されておりますけれども、ダルフールを国連の安保理に付託するという国際的な意見に対しては中国が拒否権を発動する構えを見せて反対しているため、いまだに実現に至っていない。
 中国が静かな国際環境を必要として専ら国内経済建設だけに専念していたときは、中国が国連の安保理拒否権を持っていてもそう目立たない状況だったわけですけれども、今のように中国はむき出しで国益を出してきて、そして資源獲得のためであれば国際的な規範を逸脱した国に対してでも自分たちの拒否権を利用して擁護すると。私は、明らかに今の国連の制度というのはだんだんと制約が多くなってきている、限界に近づきつつあると思います。
 中国の資源獲得の方針というのは一朝一夕の話ではありません。彼らは膨大な資源を必要としているわけでございます。鉄鉱石の三〇%、銅の二二%、石炭の三七%、綿花の四〇%、セメントに至っては何と全世界の消費量の四七%を中国が消費しているわけでございます。この中国が大規模な援助攻勢を掛けて今までの国際秩序とは離れた格好の新しい枠組みを作りつつあるということは、やはり日本は考えなければいけないことだと思います。
 今、主要金属について申し上げましたけれども、例えば金属の中にはレアメタル、あるいはレアメタルの一部にレアアースという元素がございます。ネオジウムとかイットリウムとか、余り我々になじみのない金属でありますけれども、しかしそれがなければ携帯電話も自動車もエレクトロニクス製品も作れないという、ほんの少ししか必要ないけれども必ずそれが必要だという種類の金属でございますね。トウ小平は、既に一九九二年の南方巡話の際に、中東に石油あり、中国に希土、希土というのはレアアースでございますね、レアアースありと、これを中国の経済的な競争力に転換しなければいけないということを宣明している。江沢民も同じことを言っております。つまり、国家元首のレベルでそこまで立ち入って彼らは資源確保ということを言っている。
 我々はそれに対して、いかにも善意でありますけれども、今の中国を始めとする国々の資源獲得競争、あるいは第三国への勢力の扶植をしようとする大きな流れの中で、やはりペースが少しのろいのではないか。アジア・ゲートウエー構想は結構でありますが、アジア諸国と欧米諸国の間の懸け橋に日本がなるんだというのは、いささか今のこの世界が大転換している時代にはそぐわない善意の構想ではないかという気がいたします。それよりは、国益のために、どうやって日本の影響力を必要な国に、必要な分野へ伸長していくのか、そこを獲得していくのかということが大事だと思います。
 その大きな具となるのは、普通は政治的な働き掛け、そして政治的な影響力の行使、それからODAでございます。もう一つ、もちろんPKOを始めとする国際平和維持活動も重要でございますけれども、しかし今まで伝統的に日本はその政治的な影響力、対話、それとODAという二つの車輪で来た。ところが、その政治的な対話の方が、日本が、拉致と靖国という日本にとっては重要ではありますけれども、このとうとうたる世界の流れでは遺憾ながらやはり中心的な問題ではない、その課題に日本の外交資源のほとんどを使って国内論議あるいは国際的な働き掛けをしている間に、どうも世界の陣取りの構図がだんだん日本がいないところで固まりつつあるのではないかと、いささか極端な悲観論かもしれませんけれども、そのような気さえいたします。
 その結果、どうしても国連の安保理常任理事国選挙のことを申し上げなければいけませんけれども、国連憲章改正のための共同提案国を各国は、日本とインドとドイツとブラジルと求めたわけでございますね。欧州ではドイツのために十一か国が共同提案国として名のりを上げてくれたと。幾つの国がアジアから日本のために名のりを上げてくれたか。わずか三か国であります。ブータンとモルディブとアフガニスタン。しかも、ブータンとモルディブはインドの隣国でありますから、インドへの義理立ての部分が多いんでございましょう。日本が最も支持を必要としているときに、共同提案国として積極的に立ち上がってくれた国というのがほとんどいなかったと。
 直接的な原因は、中国がアジアで言わばゼロサムといいますか、日本の安保理に猛反対するキャンペーンを張ったからでありますけれども、やはりアジア諸国が日本ではなくて中国の言うことを聞いてしまったということは我々真剣に考える必要があると思います。もちろん、今後とも日本が国連の安保理常任理事国入りを目指すのは当然のことでありますけれども、その際に我々がもう一度考え直さなければいけないこと多々あると思います。
 日本のODAは、これは後で草野先生が非常に的確かつ詳細に話してくださるでしょうから私は制度の一々に立ち入りませんが、しかし、一九九七年でございましたが、ピークのときに比べてODAの額が四割減っているということが大きな影響を及ぼさないわけがありません。もちろん、中国に対する円借がなくなりつつあるということで、四割その分が純減ということではほかの国との関係ではありませんけれども、しかし、日本がやがてフランスやドイツ、イギリスにさえ抜かれる状況にあると。九〇年代、我々は、EU対日本という、こういう枠、仕組みで考えていたんですけれども、そうではなくて、EUの構成国それぞれに抜かれ始めておると。
 特に無償協力は、これはいろんなところで言われることでありますけれども、過去七、八年のうちに日本が、六十か国近くの国に対する無償協力が五〇%以上減っていると、こういう状況でございますね。もちろん財政の規律は分かりますが、ただ、ODAというのは一般予算のわずか一・六%であります。そこに骨太の方針の財政規律を全く例外なしに当てはめることによって日本がやはり地盤沈下してきていると私は思います。今日からあした、あしたからあさって、じゃ日本が沈没したかと、そんなことはありません。その影響は本当に徐々にしか現れてきませんけれども、まるでボディーブローを食らうように私はやはり日本の立場というのが弱くなってきてしまっておるという気がしてなりません。
 これから日本はどう対応していくのか。私はやはりODAに太い絵筆でかいた戦略というものが必要だと思います。ただ単に人に喜ばれるためのODAではない。やはり日本側政府関係者には喜ばれたいシンドロームがありまして、いや、これは良かった良かったと相手の喜ぶ姿を見て我々も、我々というか日本側も喜ぶわけでありますけれども、それで一体何を実現しておるのかということが一番重要であります。
 例えば、中国には毎年、御承知のとおり、二千億円ぐらいの円借まで出してきている。しかし、その結果、中国の抗日記念館でございますね、全国至る所に日本の戦時中の残虐行為を示す、そういうものが最近も建て続けられているわけでございますね。そういうのは当然、経済協力とリンクしてやめさせる努力をしなければいけないけれども、やっぱりそれは相手が顔をしかめて嫌がる話。そういうところは置いたまま、とにかく喜ばれる経済協力だけをやってこなかったかと。
 国連の分担金にしても、今は一六・六%にまで下がりましたけれども、一時期は一九・五%、ついこの間まではそのような法外な分担金を払って、国連でみんなから喜ばれることがほとんど自己目的になっていて、それでは旧敵国条項の削除あるいは安保理の常任理事国入りに何か役に立ったか、残念ながらそうではない。
 私は、日本のODAというのは、少なくとももうこれ以上は絶対に減らしていただきたくないと思いますし、また、骨太の方針で毎年二から四%ずつ削減していく。私は、やはり国際的に日本がどのような立場に置かれているか、特に中国のこの猛烈な伸長がなければよろしいんですが、私はその中できちっと日本が自分の立場を確保していく、そのためにODAはどうしても大事でございます。
 最近のODAの運営というのは大変に成熟してきていると思います。単にプロジェクトを与えるというよりは、その国の経済構造の骨格の部分に日本が関与して運営する。インドネシアしかり、ベトナムしかり、カンボジアもそういう試みがございますけれども、いわゆる制度づくり支援、法整備の支援、ガバナンスの支援、そういったところに日本は主導権を持ってやっていけるかどうかということだと思うんですね。
 私は、アジアで中国とゼロサム競争をすることには無理があると思います。中国の方が有利であります。彼らは軍事支援も含めていろいろな日本にない政策ツールも持っております。日本が有利に中国との主導権争いを運営していけるとは思いませんけれども、しかし、ODAが非常に重要な日本の国益を増大させるツールであると。これを単純に財政の論理だけで規定しないでいただきたいというのが私のお願いでございます。
 ありがとうございました。
○委員長(山崎正昭君) どうもありがとうございました。
 次に、草野参考人にお願いいたします。草野参考人。
○参考人(草野厚君) パワーポイントを使わせていただきます。お手元に既にパワーポイントのスライドを印刷したものがあると思いますが、それを適宜御参照いただきながらお聞きいただければと思います。(資料映写)
 ちょっと立たせていただきます。
 今、岡本さんから今までの御経験に基づく大変奥行きのあるお話ちょうだいしたところでございます。私はそのような経験もありませんので、どちらかというと、アカデミックとは言いませんけれども、そもそもの議論を展開させていただきたいと思います。もう既に皆さんにとってはなじみの深い議論もあるかと存じますけれども、二十分という短い時間でございますが、お聞きいただければと思います。
 では、お願いします。次行きましょう。
 国際社会のこのODAに関する動向でございますが、途上国の貧困の改善というのは引き続き非常に暗い状況だということでございます。一日一ドル以下で生活するこういう人々が地球人口六十億人のうち十億人ぐらいいるということは御存じのとおりでございます。とりわけアフリカということでございます。アフリカでは、先ほど中国の話出てまいりましたけれども、私も後ほど中国のことについては若干触れたいと思っております。
 そういう国々、アフリカあるいは西アジアを含めて、途上国からの援助国への期待、DACの加盟国に対する期待というのは極めて強いと。もちろんDACだけではございません、DACに加盟していない中国への期待も強いということでございます。
 さて、DAC加盟の二十数か国のこの援助国の予算でございますが、これは冷戦の後、日本以外内向きになりまして、どんどんこの予算というのは削減されてまいりました。ところが、九・一一、二〇〇一年の九・一一同時多発テロ以降、これは各国ともODA予算を増加いたしました。
 他方、日本は御存じのように減らしていると。日本だけが内向きでございます。ピーク時の約四〇%、これ三八%減でございます、一般会計予算で。その点、次のグラフで確認をさせていただきたいと思います。
 このような形で一般会計予算減っております。
 さて、それじゃ、他の国と比較を実績ベースで、これはDACに報告された各国の支出純額ベース、これをグラフにしたものでございます。お願いします。
 これを見ますと、このブルーですね、青が日本でございます。一九九五年から二〇〇五年まで、皆さん、これはおやというふうに思われるかもしれません。ここのところは大変重要でございますので御確認をいただきたいんですが、丸が書いております。二〇〇五年の実績ベース、二〇〇四年よりも増えているじゃないかと、大変結構だと、減っているというのはうそじゃないかと、こういうお話される方もいらっしゃると思います。実は、二〇〇六年、引き続きこれ増えます。ところが、これは真水ではございません。キャンセレーション、イラクに対するキャンセレーション、それから、ナイジェリアに対するキャンセレーション、債務の帳消し。これは、民間の投資等をこれは肩代わりしたものでございます。ですから、真水ではこの実績ベースではこれ減っているということを確認させていただきたいと思います。後ほど、この点は極めて重要ですので、戻ってまいります。
 さて、次参ります。
 国際社会の動向。国際社会、いろんなこのODAに関する取決めというものを行っておりますけれども、〇五年の二月以降を整理してみますとこのようなものがございます。とりわけ重要なのは、国連の前の事務総長が、常任理事国入りを目指す国はGNI比〇・七%達成をという、こういうようなことを言いましたけれども、現在のところ日本は〇・二%ぐらいであるという、こういうことでございます。
 それから、この二〇〇〇年には、アフリカを中心としたこの貧困状況を改善するために、援助国はミレニアム開発目標、MDGというものを設定いたしました。八項目でございます。初等教育であるとかジェンダー、つまり女性がODAの政策過程に参加する比率であるとか、あるいは環境であるとか、貧困、飢餓であるとか、八項目ございました。そのレビュー会合が〇五年の三月に開かれました。どのくらい〇五年の三月の時点でこれ進捗しているかというと、なかなかこれは期待したとおりにいっておりません。まあ、進捗状況、よくいって二五%ぐらいでございます。とりわけ、後ほどの議論と関係ありますので先取りいたしますと、環境、地球環境というものが非常に後れております。
 さて、次、参ります。
 日本の国際公約、こういった国際的な取決めに対して日本は当然のことながら反応をしているわけでございます。先ほど岡本さん、日本の存在がないというふうなことを体験から御説明いただきましたけれども、実務レベルあるいはODAの世界では情報発信といいますか、存在感がないというわけではございませんで、こんなことを言っています。〇五年の四月には、これアジア・アフリカ会議で当時の小泉さんが、内閣総理大臣が、今後三年間でアフリカ向けODAを倍増し、引き続きその中心を贈与とすると、こういうふうに言っております。
 それから、その年の七月には正にグレンイーグルズのサミット、来年は安倍政権が続いているとすれば安倍さんが議長国として、議長として采配を振るわれるわけですけれども、そのおととしのグレンイーグルズのサミットでは、今後五年間のODA総事業量について、〇四年度実績をベースとする額と比較して百億ドルの積み増しを目指すと、これ国際公約になっております。さて、このことも非常に重要なポイントでございますので、後ほどまた戻ってまいります。
 国内の動向でございます。これは皆さんは国民の代表ということになるわけですが、国民の多数は総論賛成各論反対の世界でございます。六八・三%が、これ一番最新の調査でございます、昨年の十月に明らかになったものでございますが、積極的に進めるべきが二三・一%、それに対して現在程度でよいが四五・二%でございます。景気回復を反映して、少々この数字増えております。
 さて、先ほど来御指摘がありましたように、財政健全化を理由に、ピーク時に比べて三八%、一般会計予算は減っております。もちろん、外務当局を始め日本政府というのはこういった指摘に対して何もしなかったというわけではございません。〇五年の十二月には当時の骨太の方針を受けてODAの点検と改善、これ三つの柱から成っておりますが、一つは戦略性、それから効率性、そして評価、この三つの柱でこのODAをより良くするという、こういうことを明らかにして、それを実施に移しております。二回目が去年の十二月に発表されております。ただし、小泉内閣の最後の骨太の方針、これ詳しく振り返りたいと思いますけれども、この中身というのは大変厳しいものでございます。
 次のページに行きたいと思います。
 この骨太の方針、昨年の七月でございますが、今後五年間のODA事業量について、先ほど申し上げました百億ドルの積み増しを目指すという国際公約、これは着実に実施すると、このため円借款を積極的に活用すると、こういうふうになっております。また、現地の実施体制の抜本的強化を図ると。同時に、無償・技術協力を中心に、少なくとも公共事業について行われたような事業コストの削減目標を援助の内容等に応じ設定し、コスト削減の工程表を策定すると。それから、海外経済協力会議、内閣に置かれましたこの会議においてグローバル戦略を踏まえた新たな基本方針を早急に策定すると。まだ作られておりません。
 次に参ります。
 これはダブるところもありますので、省略をいたします。
 さて、次でございます。
 今後のODAを考える際の御参考になればと思ってこういうようなことを書きました。一体、日本の置かれた立場というのはどういうものであろうと。これ、改めて申し上げるまでもございません。大変財政は厳しいわけですけれども、世界第二位の経済大国、それにふさわしい振る舞いをということで、ノーブレスオブリージュというこのフランス語をここに書いておきました。高貴な人、日本が高貴かどうか分かりませんけれども、それにふさわしいやはり振る舞いをしなければいけない。日本は資源小国です。九九・九%、途上国を含めてこの依存をしている。貿易立国でもあるということも考えなければいけない。
 実は、先ほどのノーブレスオブリージュと関係があるんですが、是非皆さんに見ていただきたいドキュメンタリー映画を御紹介したいと思います。「ダーウィンの悪夢」、これまだ日本全国でやっておりますので、このドキュメンタリー映画、是非見ていただきたい。実は日本の豊かさというのは途上国の協力の上に成り立っているということがよく分かります。途上国の協力と書きましたけれども、本当は犠牲と書きたかったんですね。というのは、このドキュメンタリー映画というのはタンザニアのビクトリア湖、世界第二位の大きさを誇るビクトリア湖に生息するナイルパーチというこの魚を中心とした話なんですけれども、それは元々生態系と関係のない魚でございました。これが放流されて、そしてその言ってみれば切り身というものがヨーロッパに大量に輸出されているわけですね。そして、実は我々もそれを食べているわけです。皆さん、マクドナルドいらっしゃると思いますけれども、あのフィレオフィッシュだとか、あるいはスーパーで売っている白身魚の大半はこのナイルパーチでございます。ところが、これを捕っている途上国の人々はどんな生活をしているかということがこのドキュメンタリー映画で明らかになるわけです。ウジがわいた骨だけの魚をいわゆるすり身にしたりあるいは干物にしてそれを食べているという現状がございます。そしてまた、そういう魚を買うお金がない子供たちは学校にも行けないという、こういう状況でございます。
 私は、必ずしもこのODAというものを余り感情的に考えるべきではないというふうには思っておりますが、そういう立場からしても、グローバリゼーションの負の部分にはやはり援助国というのはきちんと目を向ける必要があるんじゃないかと、こんなふうに思った次第でございます。是非ごらんいただきたいと思います。
 それから、先ほどの中国との比較でいえば、軍事力による協力は困難だということも念頭に置く必要があるだろうと思います。
 さて、ポイントの二に参ります。
 もちろん、行財政改革の視点というのは重要でございまして、透明性、情報公開、国民参加等、改革は他の、これは強調しておきたいと思いますけれども、日本の国内の事業、私はODAだけじゃなくて日本の行財政改革にも関心があって、国鉄の分割・民営化等々を含めて研究書も書いておりますけれども、そういった国内の事業に比べまして透明性、情報公開というのは進んでおります。進んでおりますが、しかし、まだやるべきことはある。ただし、これも考えていただきたい。ODAは、文化、言語、政府の統治能力等々、これは日本とはかなり違うということですね。政策過程における日本の国内の部分については別として、途上国で行われる部分については国内における公共事業と同じ尺度で議論すべきではないと、こんなふうに思うわけであります。
 次、参ります。駆け足で参ります。
 実は、ODAというのは比較優位がございます。これはどういうことかというと、五十年以上の歴史と地域的広がりがございます。量的蓄積もございます。実は、先ほど中国のお話が大分出ましたけれども、中国のODAというのを私、現場でも、アフリカでも見ましたし、ラオスでも見ましたけれども、いろんなところで見ました。確かに活発にやっているんですけれども、全部丸抱えです。雇用の創出はしておりません。一説によれば、中国は囚人を途上国に送って労働をさせていると。まるでその途上国に開かれてはいない。そういう点では、日本の援助とは明らかに違うということは強調をしておきたいと思います。
 それから、もちろん国連PKO、イラク人道復興支援の自衛隊、警察の協力、それからNGOの協力、民間の経済協力、重要です。しかしながら、これはトレードオフの関係ではないんですね。ODAあってこその、この後すぐ御紹介をいたしますけれども、関係ではないと思います。トレードオフの関係ではないということを強調したい。
 それから、実は日本のODA、特に技術協力は現場主義なんですね。これは、実際にバングラデシュでも聞きましたし、いろんなところで聞きましたけれども、かんがいの技術協力なども、専門家が実際にかんがい施設を造る現場まで行って、これ、日本の感覚だとごくごく当たり前なんですけれども、ヨーロッパの感覚、アメリカの感覚ですと、現場には専門家というのは入らないと。そういう点で、途上国と同じ目線だということで大変に喜ばれていると。これは他の援助国に比べると非常に比較優位がある点だろうと思います。
 さて、次、参ります。
 ここから若干イメージで、先ほど申し上げました日本の国際協力、自衛隊、それからNGO、そしてODAを比較してみたいと思います。縦軸が軍事、非軍事、それから横軸が民間で行う協力、政府で行う協力。
 次、参ります。
 一九九二年の春、これを思い起こせば、湾岸戦争が起きた年でございますが、この年までは日本は自衛隊の協力というのは行われておりませんでした。ですからODAと、こういうことになるわけです。
 次、参ります。
 これが、国際平和協力法というものができまして、カンボジアに千六百人の自衛隊あるいは警察が出掛けたということがございまして、それ以来現在までということになるわけですけれども、実はこの国連PKOも日本は、まあ簡単に言えば余り実績がないんですね。今回、イラク人道復興支援ということで特別措置法に基づいて出掛けましたけれども、国連のPKOという点ではようやく警察が二名東チモールに派遣されることになりましたけれども、それ以外は、これはシリアとイスラエルの間に展開しているゴラン高原だけ、一か所です。
 さて、それに対して、また中国ですが、中国はけしからぬというふうにおっしゃるかもしれませんけれども、国際協力を非常に熱心にやっています。始まりは同じです、カンボジアです。ところが、それ以来、現在まで中国は国連のPKOに何か所出しているでしょうか。日本は一か所。それに対してかの国は十一か所出しています。オペレーション全体十六ですけれども、十一か所出している。お隣の韓国は五か所出しているんですね。そんなことも考えますと、やはり日本というのは国際協力全体に不熱心だなと、こんなふうに思うわけです。
 さて、次に参りましょう。
 二〇〇四年、これは九・一一以降、イラクが問題になりまして、人道復興支援ということでイラク特別措置法ができて出掛けてまいりました。ですから、自衛隊の協力というのは、つまりここの第一象限における協力というのが二〇〇四年以降の日本の国際協力ということになるわけです。同時にODAも行われています。
 イメージですから、最後にこんなふうな座標を見ていただきたいと思います。
 現在でございますが、実は先ほど申し上げましたように、次に行っていただきたいと思います。このODAはボリューム的にシュリンクしているという、こういうことですね。こういうことで果たしてよろしいんでしょうかと。繰り返しになりますけれども、このODAがしっかりしてこそ、国連PKOの協力もイラク人道復興支援の協力もNGOの協力も、これは意味があるんだろうと思います。もう少しその点について申し上げます。
 次に参ります。
 さて、今後のODAを考える際のポイント四でございますが、実は余り恥じることはないんだろうと思うんですね。確かに、日本のODAが直接国連安全保障理事会の常任理事国入りに寄与するということはなかったかもしれません。しかしながら、それ以外の、実はこれは政治的力学というのは相当働いていたというのが私の理解でございます。ODAは余り悪者にしてはいけないのかなというふうに思います。
 実は、人道復興支援、イラクの人道復興支援、自衛隊の方にもつい最近お聞きしましたけれども、過去において、イラクに対して八二年から八四年にかけて、イラク中央病院、これ機材供与を十三の病院に対して行っております。このことが非常にサマワでの協力にプラスになったと、感謝をされているということでございました。それから、ゴラン高原のPKOに参加した自衛隊員に直接私聞きましたけれども、シリアにおけるODA、やっぱり日本というのはよくやってくれているねということを聞いたと言って自衛隊員が感謝しております。それから、案外忘れられておりますけれども、現在、国連安全保障理事会の非常任理事国でございます。これは実はモンゴルに譲っていただいたんですね。そして、その前の二年間というのはパプアニューギニアに譲っていただいておりまして、これは正にODAの力でございます。それから、これは幾つもあるんですけれども、感謝という意味で一つだけ例挙げておきますと、ラオスの紙幣には日本のODAの橋といったものが描かれております。
 さて、もう時間がなくなりましたので最後のまとめに入りたいと思いますが、ODAは日本の外交のインフラだと思います、インフラ。どういうことか。ODAは日本の発言権確保、影響力維持という点で日本外交の基盤を整備してきた、今後もその役割を担わなければならないと。そのためには量的削減に歯止めを掛けることが何よりであると。
 実は、国際社会でこれ以上削減すると日本不信、もう先ほどの岡本さんのプレゼンでお分かりのように、日本不信を招くというふうに思います。長期にわたり途上国に対して他国に勝るODAを供与してきた日本が他の援助国とは異なり右肩下がりに予算を削減させていることは国際社会に誤ったメッセージを送ると。短期的には、来年日本で開かれるサミットの議長国として、途上国問題、地球規模問題が議題に上がったときに、このような状況では首相がリーダーシップを発揮し、他の首脳を説得することができるであろうか、こういうことでございます。
 次に参ります。
 実は、このODA全体の効果というのは直接的には見えにくいんですね。先ほど申し上げましたように、現実の外交というのはODA以外の要素も関係しているわけですね。ただ、DACの、先ほど申し上げましたミレニアム開発目標の作成過程で数値目標を設定するということを国際社会において受け入れさせたのは日本の成果なんですね。そういうような地道な努力というのは行われているし、成果もあるということは忘れてはならない。
 もう一つ、同様に申し上げたいのは、川に橋を架けて、人々の通行が容易になって、物流の効率が実現するというような意味において、つまり個別の案件と同じように日本のODA全体の効果というのはなかなかすぐには見えにくい。ですからこそ、私はODAは外交の手段というよりは外交の基盤であるというふうに思うわけです。
 次。さて、具体的に整理しますと、量的削減に対する歯止め、債務削減等ではなく真水による量的確保。ここで先ほどのグラフを思い出していただきたいんですが、いや、二〇〇五年増えているじゃないか、二〇〇六年も増えると、こういうふうな話でございましたけれども、実は債務帳消しというのはもう底がついちゃうんですね、二〇〇五年、二〇〇六年で。で、百億ドル積み増しというふうに言いましたけれども、昨年、二〇〇五年は四十億ドル。そして、多分二〇〇六年もそれに近いぐらいの積み増しができるだろうと言われています。そうすると、百マイナス仮に去年も四十だとして八十、残る三年間で二十達成すればいいだろうと、こういうふうに思われるかもしれませんけれども、実は七、八、九の三年間ではマイナスになる可能性が十分あるという、こういうことでございます、これは。ですから、黄色信号、赤信号がともっております。
 言語、文化を始め途上国に精通した人材の育成というものを強調したい。換言すれば、後方支援部門の強化というものを申し上げたい。
 それから同時に、国内の改革努力というものは、これは引き続き進めなければいけないと。
 以上は一般的に考えられる事柄です。
 最後にこんなようなことを申し上げたいというふうに思います。
 次、これカットしましょう。次に行きます。
 具体的にこの提言をこんなふうにまとめてみました。
 実は、DACの援助受取国というのは所得別にこんなふうに四つになっております。後発の開発途上国、この中にはアフガンだとかカンボジア等五十か国ございます。低所得国というのはベトナムだとか、実は北朝鮮もですが、十八か国ございます。それから、低中所得国というのが、インドネシアだとかパレスチナ含まれております。高中所得国というのがトルコだとかマレーシア等で、この四つに分類されているわけですが、これを念頭に、これからの日本の援助、こんなふうにしたらどうかというふうに僣越ながら思っております。
 DACリストのこの一番貧しい五十か国と次の十八か国に対しては、保健医療、初等教育、地球環境の三分野は一定比率を基礎的支援、何やら年金みたいなんですけれども、一階部分として基礎的支援として行う。それから、GNI八百二十ドル以上の低中所得国四十八か国に対しては、地球環境分野のODAを一定比率基礎的支援として行う。もちろん、以上三つのグループに分けられる国々のうち、自助努力の結果、経済の成長が更に期待できる国々に対しては、三分野以外の農業であるとかITであるとか各分野において支援を行い、三分野についても積み増しもあり得ると。
 次に行きます。
 これらの三つのグループに加え、もっと所得が高いところがあります。そういうところに対しても戦略的に重要である場合には支援をすると。しかし、その場合も重点分野は地球環境とするという、こういうことでございます。
 支援の方法は、すべての所得国に対して円借款を積極的に活用すると。もっとも、これら支援に際しては、ODA四原則、開発と環境の両立であるとか、軍事的な予算を増やしているところには行わないとか、四原則に照らし、精査し、見合わせることはあり得ると。
 こんなふうな、何でこんなふうな最後に言ってみれば青写真、青臭いわけですけれども私論を展開したかというと、日本のODAというのは結構、国別援助計画を含めて、いいことをたくさんやっている。しかし、これは納税者に対してきちんと説明できるようなスキームになってないんですね。やっぱり納税者に対してこれだけ援助の支援を、応援を求めるんであれば、やはりこんなふうな原則をきちんと日本国は持っているということを説明できるようにしなければいけない。その意味では、現在行われている援助の中身を別の角度から整理したという言い方になるかもしれませんけれども、こんなふうなスキームを大いに活用していただければいいのかなというふうに思って、私案として提示をいたしました。
 少々長くなりましたけれども、これで終わらせていただきます。
○委員長(山崎正昭君) どうもありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑及び意見表明を行います。
 参考人に対する質疑及び意見表明を行う際は、御起立の上、御発言ください。
 参考人の方々の御答弁につきましては、各委員の発言時間が限られておりますので、簡潔にお願いをいたします。
 なお、御答弁は着席のままで結構でございます。
 それでは、順次御発言を願います。
○阿部正俊君 時間も大分長くなっておりますので、端的にお尋ねいたします。いろいろ大きな議論をしたいところなんでございますけれども、その時間もありませんので、端的にお二人に、参考人にお伺いしたいと思います。
 まず、岡本参考人でございますが、増やさなけりゃいかぬということはそのとおり、何しろ、減らしちゃならぬということより、むしろ私、メッセージとしては増やしていくということしかないだろうというふうに思うんですね。そうなると、今の財政状況でどうもならぬ、一言で言いますと。やっぱり、例えば一兆円前後、二兆円ぐらいの規模で将来的には拡大していくんだというような発想でないと、本当の力にならぬのじゃないかという気がするわけですね。そうなると、今の、何というかな、成長だけで増税なしみたいなところで本当にいくんだろうか。
 やはりODAというのは、政府ということをうたい文句とする以上はやはり官がしなきゃいかぬわけでございますので、そういう小さい、官から民へという流れの中ではやっぱり僕はもう限界だろうという気がします。そうなると、やっぱり税で国民に向けて覚悟のほどを示して求めていかなきゃいかぬのじゃないか。例えば、消費税の一%はODAに上げますというようなことを打ち出すことも私は国民向けには意味のあることではないかなという気がするんですけど、この辺について岡本さんからちょっと御意見をお伺いしたいと思います。
 それから二つ目は、岡本参考人の、一つのODAの日本らしい姿として、その国々の経済構造といいましょうか、これをしっかりした基盤に持っていくんだということですね。で、日本との関係もそういう民間の、民間の言わば、何か金になるという意味じゃなくて、非常に強い経済協力体制を、協力関係をつくるんだというところに最終的な目標があるのかなという気もするわけで、そのため考えますと、どうも日本の、まあ非常に卑近な例ですけれども、私なんかが一、二の国訪れてみたところでは、例えば租税協定とかあるいは関税の問題とか、あるいは保険の問題とかですね、貿易保険とか、あるいはいろんな投資に関する法制の問題とか、この辺は余り日本政府、一生懸命でないんじゃないかと思うんですよ。
 例えば租税条約一つにいたしましても、一定程度の経済的な必要性が出たときに順番待ちから順繰りやっていくみたいな発想があるわけでございますので、むしろその辺こそ日本の得意あるいは特色にする以上は、その辺をむしろ先取りしてそのための基盤整備というのを早めにやると、ある種のリスクを取りながらやるというようなことまで考えないと、本当の民間投資というのは進まない。借款といったって結局民間投資ですからね。ということではないかという気がするわけですよね。
 その辺についての、今までの租税条約の対応なりあるいは法規制なりについては後回しみたいなことにどうしてもなっていますので、その辺について大転換が要るのではないかと思いますけれども、この点についての岡本参考人の御意見をちょうだいしたいと思います。
 それから草野先生には、草野参考人には、これも二つお伺いいたします。
 参考人が言われた「ダーウィンの悪夢」、そのとおりだろうと思うんです。この辺についてはやはり私どもの、むしろODAというよりも、その貿易立国日本のありようということをやっぱり大きく転換しにゃいかぬのじゃないかと思います。
 先生は白身の魚を出されましたけれども、私は木材についても言えるんじゃないかと思うんですよね。違法伐採は輸入しないとなっていますけれども、違法伐採、合法ならいいのかということで幾らでも抜け道はあるはずでございますので、そうじゃなくて、狩猟木材は輸入しないと。たとえそれが適法であれ何であれ、自然から見りゃ一緒なんですから、違法か違法でないかなんということはどうでもいい話なんで、狩猟的に自然のものを伐採して持ってくるというやつは日本は買いませんというようなぐらいのことはやってしかるべきじゃないかなと思うんですよね。決して損はないと。
 例えば白身の魚だって、別に日本が食わなきゃどうにもならぬという話じゃないわけでございますので、これを豊かさと思えません。そうでなくて、日本らしい立国の在り方として、貿易立国日本のありようとしてどうするかということで考えると、今言った話がもう少し真剣味を帯びてくるんじゃないかと思うんです。
 と同時に、もう一つ岡本先生にお伺いしたいのは、先生は国民のODAに対する認識として六十数%賛成と、拡大すべきだと話ありましたけれども、どうも私はかなりまゆつばじゃないかなと思います。まゆつばと言っちゃ大変失礼ですが、先生おっしゃったように、総論賛成各論反対の典型ではないかなと思います。まず、私どもは政治家としてあるいは地元なんか帰りますと、そんなに金あるならば、我々のところのその道路造ってくれやみたいな話になる、端的に言うとね。これはやはり相当深刻な問題ではないかと思います。
 日本の外交そのものが、非常に戦後の五十年の外交というのは、外国との関係をきっちり切り結ぶんだよという発想ではなくて、内国から見て安全な外交はどうなんだということをずっと続けてきたように思うんですね。世界と切り結ぶという発想がなかったんじゃないかと。どうしても国内に害がなければそれでいいというような発想でやってきたように思います。そうなると、そこのところについての大転換がやっぱりないと、本当の意味での、ODAの外交を倍にするとか、本当の意味での力になる日本外交の基盤としてのODAというのはできないんじゃないかと思えてしようがありません。
 となると、例えば迂遠な話ですけれども、政府でもその戦略性を高めるというようなことで、何ですか、海外経済協力会議やることになりました。一年前ぐらいからやっていますけれども、どうも私の見るところ、余り内々の調整会議みたいなことばっかりやっていまして、本当の意味での国民のそういったふうな発想の転換を迫る会議になっているかなということになると、どうも私は疑問に思えてしようがありません。むしろオープンにして、もう少し国民にメッセージを与えられるような会議の持ち方という発想があるんでないかと思いますんですけど、この辺については何かある程度秘密だとかになっていまして、オープンすることすべていいじゃありませんけれども、課題を国民に分かるように示すこともその会議の大きな目標ではないかと思いますんですけど、この辺について草野先生からもどんなふうなお考えがあるのか指摘していただければ有り難いと思います。
 以上四点についてよろしくお願いします。
○参考人(岡本行夫君) ただいまの御質問には私は全く賛成でございます。国家にとって最も重要なのは安全保障でございます。国内の諸施策もそこが確保された上での話でございます。安全保障のためには一般予算の中で防衛関係予算が一〇・二%、これは決して高い数字ではありません。諸外国に比べればむしろ低いと言えましょう。それに、ODAが先ほど申し上げたようにわずか一・六%でございます。これを増やすというのは、私は一に掛かって政治決断の問題だと思います。
 それから、第二点目の租税条約や関税条約等、私も全くそのとおりだと思います。それにつけて大事なのは、高度な専門的な知識を有した、まあ言わば開発プロフェッショナルとでも言うべき人々を育成することであります。現場の人々の話を聞きますと、やはり援助体制を当該国で主導権を持って把握していく、そのためのほかの援助国とのせめぎ合いというのは大変なものがあると聞きます。私は、日本の関係者は与えられた制約の中で非常に頑張っていると思いますが、なおかつ、そういう人材を増やすための私は施策というのが教育の段階から必要だと存じます。
 以上です。
○参考人(草野厚君) 簡単にお答えをいたします。
 木材の伐採、私も同じように思いたいんでございますが、やはり日本は自由貿易を標榜しております。そして、「ダーウィンの悪夢」を御紹介しましたけれども、「ダーウィンの悪夢」、やや私は単純に御紹介したかもしれませんが、この漁民の生活というのは悲惨な部分はもちろんありましたけれども、雇用が創出されているというこの点はやっぱり認めなければいけないと。ということは、何を申し上げたいか。木材のケースも同じだろうと思うんですけれども、いかにバランスを取るかという、こういうことだろうと思います。
 同時に、最後に申し上げましたけれども、地球環境の問題、森林伐採を含めて地球環境の問題を日本のODAの主要なターゲットにするということを申し上げました。その中にこのバランスというものを取らなければいけないという思いを込めているわけでございます。
 それから、二番目の御質問でございますが、多分国会議員の方は、阿部さん御指摘のような、ほとんど、そんな途上国に支援をするぐらいだったら我々にくれという、こういうことなんでございますけれども、私もその気持ちはよく分かるんですが、しかし、日本の国民というのは、先ほどノーブレスオブリージュの話をいたしましたけれども、もっと自分たちの生活を六十億人の地球人口の中で相対化するべきだと思います。それで学校教育で、ODAということではありませんけれども、途上国の生活がいかに悲惨かということをもう少し勉強すれば、そのような有権者の発言というものも出てこないのではないか。
 最近、百万世帯を生活保護世帯超えたということが盛んに喧伝されるわけですけれども、そのようなセーフティーネットというのは日本はあるわけですね。途上国にセーフティーネットはないわけです、途上国の人々にとっては。ということから考えてみても、やはりODAというのは是非お願いをしたいんですけれども、皆さん国会議員の方は、やはり途上国の人々がいかに悲惨かということを是非御説明をいただければというふうに思います。
 以上でございます。
○阿部正俊君 最後に一問だけ御両者にお聞きします。
 端的に言いまして、NGOという存在がありますが、日本のNGOというのは本当にNではないという感じなんですね。やっぱり外国のNGOは自主財源としてのNGOが先にあって、それが存在した上での手法を尊重するといいましょうか、利用するという形でODAにも使うという格好なんですけれども。
 私、民間、純粋にオフィシャルでない部分の海外経済協力というのはどうなっているのかといいますと、どうもはっきりデータはないんですけれども、アメリカ、ヨーロッパ辺りは、カナダもそうですけれども、結構やはり日本の、まあ割合からしますと数倍の民間資金が動いている状況だと思うんですね。そういった発想というのは日本でほとんどなかったんじゃないかと思うんですね。
 官から民へとおっしゃるならば、おっしゃるというか、そういうことならば、逆に言うと、海外援助も民がやる援助というのはないのかねというところを日本もやはりこれから考えていかなきゃいかぬのじゃないかと思いますけれども、割合から、パーセンテージからしますと、政府開発援助に対する民間資金独自の割合というのは、アメリカは約三割ぐらいあると。日本は二%ぐらいの感じですか、あとカナダなんか高いんですけれども、二六%とかあるわけですね。と考えると、その辺についての御意見を最後にお伺いして、終わります。
○参考人(岡本行夫君) 例えば、ただいま阿部先生もちょっと御指摘なさっていたように、日本のNGOコミュニティーはまだ未発達な部分もあったのかもしれませんが、ただ、私は幾つかの国で日本のNGOの諸君のすばらしい働きを見てまいりました。
 例えば北部イラク、あるいはアフガニスタン、そこが危険にさらされるかもしれないという状況の下で、政府職員が全くいないところでNGOの人々が本当に地に足の付いた、そこの住民に喜ばれる仕事をしている。私は、その機動性、それからやはり使命感、それからやはり日本人特有の温かさ、意欲、そういったものを考えれば、NGOはこれから政府としても育成していくべきですし、NGOの側もそれに十分こたえると思います。
 以上です。
○参考人(草野厚君) 一言申し上げます。
 全く阿部さんと同じ意見でございます。もっと強化しなければいけない、それにはどうすべきかということなんですが、やはり税制上の、つまりNGOに対する、その寄附行為に対する税制の控除だとか、もっとそのNGOを育てるという環境を政府の方で用意していただかないとなかなかNGO自身大きくなれないというふうに思います。
 例えば、二百万円とか三百万円の年間のいわゆる給与ではこれは結婚もできない、そういうふうな声も聞きます。だから、NGOやりたくても、もちろん岡本さんが言われたようなすばらしいNGO、身銭を切ってという方もいらっしゃるわけですけれども、もっと大きくするためにはその環境を整える必要があると、これはもう以前から申し上げているとおりでございます。
○岸信夫君 岸信夫でございます。お二人の参考人から大変貴重な御意見をいただきまして、本当にありがとうございました。
 お二人から、いずれにしても、ピーク時から大幅に今少なくなっていますこのファンドですね、三割、四割と減ってしまっている。これでは世界の中で日本を訴えていくことができないと、こういう共通の問題、指摘はあったんではないかというふうに思います。
 この援助額そのものにつきましては、やはり国内的には財政の問題、財政の事情があって減らさざるを得なかった、政治的な判断もあったと思いますけれども、そういったことで減ってきているというのが実情だと思います。ただ、これからの国際社会の中での日本の在り方を考えていくに際して、やはりこれから増やしていく、こういうこともやっていかなきゃいけないわけですけれども、それを、先ほどからも出ていましたように、いかに国民にしっかりと説明をしていくか、それが大切なのかなと。
 過去を振り返ってみまして、援助を我が国がやっていく場合に、これはあくまでもその貧しい国への施しであると、こういうような位置付けでやってきていたのじゃないかなという気がするわけですね。まあ一歩進んでも、情けは人のためならずと、こういうことで、結果としては後は日本のためになるんだよというような間接的なメリットしか説明がなされてきていなかった。その中で、我が国の経済状況によって、その経済支援にODAに対する風当たりも強くなってきたということだろうと、こういうふうに思うわけです。
 先ほど岡本参考人からこのODAと国連のシステムとの問題という部分も御指摘あったかと思うんですけれども、その中で特に中国との関係ですね。我が国がいわゆる国連の大きな枠組みの中でODAを進めていく。一方で、中国がある意味傍若無人な形で直接的な国益の見返りというものを求めて援助を進めていく。どうしてもそうなりますと、我が国のいわゆる品のいい形での援助の進め方では相手国への訴え、いかに感謝されるかではなくて、相手からいかにバックを取るかという部分では大きな差が出てきてしまっているんじゃないかなというふうにも思うわけです。
 一つは、この中国のやり方ですね。これに対して日本がどういうふうに対抗、対抗という、中国だけが相手ではないですけれども、対していったらいいのか、あるいはその中国自体を大きな意味での国際社会の中での支援、ODAの体制の中に組み入れていくか、このことも大切じゃないかなというふうに思うわけですけれども、その点について、岡本参考人からもし御意見あればお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(岡本行夫君) ODAの減額については、岸先生のお話にもございましたが、すべての費目が削減されているわけではないわけですね。一九九七年からの十年間でODAが四割削減されましたけれども、その間に一般予算は七%増えているわけであります。ですから、明らかにODAを削減するという優先順位の問題として政策意思が働いたわけでございますから、私は、そこは是非直していただきたいと思うわけでございます。
 それから、中国の攻勢でございますが、とにかく中国の今の動きというのは誠に戦略的かつ大胆かつ機動的であります。アフリカへの彼らの参加にいたしましても、サウジアラビアとまず彼らは大変に緊密な関係を築き、サウジアラビアの力をかりてアフリカの諸国へ入っていくといったような大変に壮大な外交戦略を彼らは持っているわけでございます。
 私は、まず何よりも日本が、中国が何をしているのか、どういう意図を持ったどういう戦略を構築しているのかということを分析する必要があると思うんでございますね。そして、それに対して日本が対応できるところは対応していくということだと思います。そのしかし基本は、やはり日中間で、首脳間で、相当率直な対話が経済協力の運営ということについても、あるいは表面的に終わるかもしれませんけれども、話合いができるような土壌が必要だと思います。
 以上です。
○岸信夫君 ありがとうございます。
 その中国の戦略性、機動性については我が国もある意味で勉強し、見習っていかなければいけない点ももしかしたらあるのかもしれないというふうに思います。また、もう一つで、中国がこのODAを武器に国際的に関係を強めていく。その中で我々がやはり少し不安になるのは、経済的な部分のみならず、やはり安全保障の面というのも当然出てくるのかなというふうにも思うわけです。
 直接的にやはり、そういうことを考えますと、私は、アフリカに対する貧困に対する支援というのももちろん必要なんでしょうけれども、地理的なことを考えますと、やはり我が国が考えなければいけないのは、東アジアあるいはASEANプラス6という今経済連携も考えた上で、この地域に対する戦略的な支援ということも考えていかなければいけないんだろう、こういうふうに思うわけです。
 先日、ちょっと新聞に出ておりましたけれども、インドシナの東西に走る幹線道路が開通、昨年の十二月にいたしました。それで、ラオス、タイの国境にメコン川に架かる第二メコン架橋というものが架かったわけですね。日本の円借款でできた。先ほど草野先生のお話にもありましたけれども、この向こうの切手に、それで記念切手が発行された。タイからもラオスからもこれは発行されているんですけれども、それを写真見たんですけれども、ラオスの切手には、タイとラオスとそれから日の丸が、タイの国旗、ラオスの国旗そして日の丸が付いている。タイの切手には、ラオスの国旗とタイの国旗は付いているけれども日の丸は付いていない。切手に日本の援助ということがどこかに書いてあったかどうかちょっとよく見えなかったんですけれども、いずれにしてもそういう感じです。
 ほかの、いろんな切手がいろいろ発行されているというのはそのときに改めて認識したんですけれども、どれを見てもタイの切手にはそういうのが付いていなかったんですね。ほかのところには、たまたまそういう日本の国旗なり、あるいは英語でジャパニーズグラントエードと、こう書いてあることが多く見えた。国によってそういう対応がちょっと違うのかなとは思うんですけれども、ある意味、その辺は日本としてももっと相手国に求めていかなければいけないんじゃないかな。
 求めるといいますのは、これ、いわゆる結果で向こうが評価をしてくれる、どうもありがとうと、先ほど出ましたけれども、感謝をしてくれる。この気持ちは大切なんですが、それをいかに、相手の被援助国の国民に知らしめてもらう。そして、そのことが結果として、じゃ相手国が今度日本との外交関係において、日本を大切にしていかなければ相手国民が許さないよと、もっと日本に対して支持をしたらいいじゃないかというような相手国での世論にもつながってくるんじゃないかなというふうにも思うわけですね。
 そういう点が余りにも我々日本は上品にやり過ぎたんじゃないかなと、もっとその辺を積極的にやっていくべきじゃないかなというふうに思うわけですけれども、草野先生辺りはそういったことに対して御意見がございましたら。
○参考人(草野厚君) まず、中国に対して若干の私見を述べさせていただいた後、お答えしたいと思うんですが、中国の援助は確かにおっしゃるような問題というのはたくさんあるんですけれども、これどう解決したらいいかと。もう早急に、先ほど阿部さん言われたように、国際社会の仲間に組み入れると。つまり、OECDのDACに、OECDに加盟させるようにその道筋を付けてさしあげると。その前提として、これは安倍内閣でも議論をされているようですけれども、日中共同のプロジェクトというようなものを仕立てて、そしてお互いに、先ほど情報がよく見えないという御指摘もありましたけれども、中国がどういうことをやっているのか日本も勉強させてもらうという、こういう機会を早急につくるのがいいのかなと思っております。
 御質問の点についてはこんなことを思うんですね。
 御指摘の点は十分に、特に納税者の代表として国会に来られている皆さん方はそういうふうなお気持ちになるのはよく分かるんですけれども、ただ他方、日本は世界銀行から、新幹線、愛知用水、いろんなところからお金をお借りして、つまり援助をしていただいてこれだけの発展をしたわけですけれども、一体世界銀行に対して感謝したかというようなことを考えますと、余りそこは強調するのはいかがなもんかなというふうに思います。
○岸信夫君 どうもありがとうございます。
 最後ですけれども、先ほども少し触れましたけれども、我が国のODA、特に地理的なことを考えまして、特にこれからエネルギーあるいは資源保有国との間でODAを供与する場合にどういうふうに戦略的に将来につなげていくかということにもなると思うんです。
 経済の協力あるいは一歩進んで連携ということを考えますと、やはり今我が国が進めている、あるいはこれから進めていくEPA、FTAの交渉、こういったことも見据えた上でのODAの在り方というものがもっと考えられていいんじゃないかなと。例えば、インド辺りもそうだと思いますし、去年総理が訪問されました中央アジアの国なんかもそういうことだと思います。こういったところとの経済連携とODAというものが果たして戦略的に今結び付けて考えられているのかどうか、あるいは将来的にどうあるべきかということを岡本先生、簡潔にお話しいただければと思います。
○参考人(岡本行夫君) 私は、岸先生の御指摘するとおり、その国に対して日本が戦略的に何を求めるかというのがまず先にあるべきだと思います。中央アジア、インド、いずれもエネルギー資源、非常に重要な国でございます。
 草野先生と私とちょっとニュアンスが違うかもしれませんけれども、確かにODAは外交基盤であるべき、これはもう当然でありますけれども、やはり私は外交の手段でもあるべきだと思っております。ですから、その国に戦略的に何を日本が求めるかということをいったん確定した後は、後は御指摘のEPAも含めた総合的な手段をすべて動員して日本のために必要なものを獲得する、私はこういう考えでいくべきだと思っております。
○加藤敏幸君 ありがとうございます。加藤でございます。
 今日は、本当にいろいろとお話をしていただきまして、ありがとうございました。
 まず、少し基本的過ぎて困るかなと思いますけれども質問させていただきたいことは、ODAのことについていろいろと考えてきたんですけれども、特にここ一、二年、論点が少し変わってきたなと。
 それは、私なりに整理をさせていただきますと、昔は、貧困対策であったとか、喜ばれたいシンドロームだとか、そういう、そしてここ近年は、戦略的なODAだとか、外交の手段としてのODA、あるいは基盤、インフラとしてのODA、いろんな形で議論がされてきたんですけれども、加えて、私は、今日の地球環境の問題、さらに資源、特にエネルギー資源、あるいはレアメタルを含めまして資源の枯渇、あるいは私たちの広い意味での食料、そういうふうな資源の限界が地球規模で見えてきた。特に、地球環境の問題と資源の限界ということ、そして経済発展ということが非常に、関連が非常に強くなってきている。だから、そういうふうな状況が見えた中で、持続的なと、こういう言葉がよく使われますけれども、ODA大綱の中にも持続的成長と、こういうふうなことが言われているわけであります。
 しかし、一番問題なのは、地球上の私たちの正に生活環境というものが、本当に日本を取ってみても持続的可能なのか。あるいは世界自体が可能なのと。やっぱりそこには大きな壁が出てきているんではないかと。こういうふうなことを考えてきたときに、やっぱりそういう、もう地球の限界、あるいは環境制約、そういうふうな視点からやっぱり考えていくべき、こういう新しい論点ができたのに加えて、先ほど「ダーウィンの悪夢」というのも私も見させていただきましたけれども、その点だけに限らず、私はグローバライゼーションというふうなものが、非常に途上国自体を小さなまだ幼稚な段階からこれはグローバライゼーションということで世界の経済に組み込んでしまう中で、正に生活破壊だとか、プラスになる面もあるけれども、非常にマイナス面も多々あるという、人類の歴史から見て非常に大きな問題が起こっているんではないかという視点、こういうふうな新たな論点が私は地球に起こっている。
 しかし、そのことを解決する方法としていろいろあるわけです。その中に、やっぱりODAという仕組みを通じて、やはりこの問題解決に何とかならないかというのも私は新しい論点でないかと。また、そういうふうな新しい視点を開発するということによって初めて国民が、阿部議員が言われたように、分かったと、消費税の一%、いいんじゃないかと、GDPのコンマ七%、当たり前じゃないかと、それは自分たちの将来、地球を守るためにも当然積極的に参加すべきではないかという理解に結び付くんではないかということから、ちょっと話が大き過ぎて申し訳ないという思いもありますけれども、是非、お二方の知見をできたら教えていただきたいということがまず第一でございます。
○参考人(岡本行夫君) 全くそういうことだと思います。
 中国は現在、ここ数年、一〇%を超える経済成長率でございますが、まあそれがそれほど続かないとしても、八%は彼らにとって必ず必要な成長率でございますから、ずっとこれからも続きますでしょう。簡単に複利計算をしてみれば、八%成長が続けば、十年でGDPは二倍、そして二十年で四倍、三十年で十倍、五十年では四十数倍になるわけでございますね。それに十三億という人口を掛けなければなりません。インドも経済成長率が六%、七%で来ております。人口が十一億人、そのうちに十八億人になって中国を抜くと、こう言われておるわけでございます。
 明らかにこれは地球が包摂し得る資源消費力を超えているわけでございますね。ですから、我々が生きている間に一体どうなるんだという話が非常に深刻に今既になっているわけでございますけれども、限界まで来るんではないか、それを私は今から考えるより仕方がありません。中国との体制の違いとかいうことよりも、中国のあの圧倒的な大きな規模ということを前にして我々がどうするか、それは今から考えるべきことだと思います。
 以上です。
○参考人(草野厚君) お答えします。
 加藤さんと全く私考え方同じでして、ですからこそ最後に提言をお示ししましたけれども、その中で一階の部分、二階、三階の部分も基本的には基礎的支援の部分は地球環境とするということを強調したわけですね。その心というのは、今加藤さんがおっしゃったことと全く同じでございます。
 より具体的に申し上げれば、中国の経済発展がどんなふうに今後の地球環境に影響を与えるかというふうに、今岡本さんがお話しになったとおりですけれども、例えば経済発展、十三億人の二億人がしただけでも、今まで鳥肉しか食べてなかった中国の人が牛肉を盛んに食べるようになったということになれば、これは飼料が必要だと、飼料を育てるためには水が必要だというようなことから考えれば、もうその行く末というのは大変に暗いものになるというのは間違いがないわけですね。その意味で、ですからこの日本のODAというのはこれからは地球環境を基本にするというぐらいの覚悟が必要なのかなと。
 実は、資源開発目的のODAというのも議論としていろいろあるわけですけれども、実は途上国に対する資金の流れ全体の中でODAというのは二五%だということから考えれば、もう少し公の利益、つまり国際益につながるようなところにできるだけODAというのは使うようにした方がいいんじゃないかなと、こんなふうに考えております。
○加藤敏幸君 ありがとうございます。
 穀物一キロでどれだけの肉ができるかという話がございまして、卵だと三キロ、それから鳥肉だと四キロ、豚肉は七キロで、牛肉は十一キログラム同量の穀物を必要とするという、それだけ牛肉が値段が高いのはそういうことだと、こういうふうに言われておるわけですけれども、そんなふうに、やっぱり食生活の在り方一つが大変な地球に対して負担になっていくということもございますし、あるいは必要だとか必要でないにかかわらず、欲望が一つの資本主義経済の中で大きな今動機というんでしょうか、動きの源流になっている。
 そういうことから新たなものが非常に需要されていくという、こういう環境の中で、私は、ODAというのは非常に人、物、金と、こういう形で言われていますけれども、最も大事なのは、人はどうして暮らしていくのか、どういう方法で暮らしていくことの意味なり、幸せだとか、そういうことも含めた、特に私はソフトな、教育だとかそういう分野におけるODAの在り方ということを私は今、日本として、まあ財政上の制約も大きいからなかなかお金がないよと、もうちょっとしっかりせんかいという議論も正にそのとおりだし、大いに分かりますけれども、と同時に、ODAのフロンティアといいますかね、やっぱり新しい、そういう本当に地球全体のことを考えた私は提言を、京都議定書を作った我が国の立場でいえば、私は発想するということについて、これは私の意見でもございますけれども、何かあればお答えをいただきたいのと。
 それからもう一つ、お二方の資料の中で少し感じたのは、先ほど草野さんも文化、言語、政府の統括能力等が異なる途上国で行うんだから固いこと言うなよと。これは逆に言うと、私は、潔癖主義という言葉があります、きれい好きにお金を使っていくという意味で。もう領収書全部ないと駄目だと、そうは言いませんけれども、このODA執行に当たっての、潔癖主義という言葉遣いは少し誤解が出てきますけれども、ここのところの理解として、やっぱり国内の税金だからということで私たちは当然決算委員会を通じて結構このことに厳しくするんですけれども、そういうことについての言わば相手方の現状の中から何か御意見、別に潔癖主義がいいとか悪いとかじゃなくて、何か参考になる知見がございましたら教えていただきたい。
 以上をもって質問を終わりたいと思います。
○参考人(草野厚君) 潔癖主義に陥ってはいけないんですけれども、当然、納税者の方々にきちんと説明できるような状況でなければいけないということもそうなんですけれども、私がプレゼンの中で申し上げたのは、同じことの繰り返しですけれども、日本と同じような意味で、まあ日本でもこれだけ知事さんの汚職といいましょうか、いろんなものが出ているぐらいでございますから、ましてをやと、途上国は民度が日本と同じだというふうに考えてはいけないのですねということは、納税者に対してというか、私の学生なんかにはそういうふうに説明をしております。
○委員長(山崎正昭君) 岡本参考人、何かありましたら。
○参考人(岡本行夫君) 今の加藤先生の御指摘ですけれども、私は、日本が正にそのような今までの教育の成果を踏まえてきちっと支援していくべきだと思います。
 日本自身が、一九五〇年代の半ばから今に至るまで、五十数倍のGDPが増加しておるわけでございますね。もちろん、間に円の切上げが、三倍になりましたので、その分は算術的に差っ引かなければいけませんけれども、しかし日本がこれだけ膨大な資源を消費してきて、そして後から来る中国やインドにあなたのところは駄目だと言うわけにはいきません。日本自身のこれは生き方の問題でもあると思います。
○加藤敏幸君 ありがとうございました。
○大久保勉君 民主党・新緑風会の大久保です。本日は、岡本参考人及び草野参考人に、分かりやすく、そして示唆に富む説明をしてもらいました。この場で感謝したいと思います。
 今回、いろんな委員の質問も聞いておりまして私が感じたことは、ODA予算が四割下がりまして、日本に対する不信感ができてきているという点と、一方で、中国等のODAの予算ということで戦略的に使っておりますから、日本としては非常に脅威であると、こういったことも私は非常に重要だと思いました。しかし、私は財政金融委員会にずっと属しておりまして、日本の財政は世界で最も悪いという状況は事実として、なかなか予算がないと。じゃ、現実的にどういうふうに考えていくのか、決断するかと、戦略的にどうするかということが必要だと思って幾つか質問したいと思っております。
 ODAの予算が減ることによって問題が生じると。まずは、端的な質問としまして、ODAの予算が現在の半分になった場合、どのような外交上の問題が生ずるのか、具体的に分かれば教えてもらいたいんです。また、ODAの予算が現在の半分だったら何ができるのか、必要最低限これはできるのか、もし、このことに関して、岡本参考人と草野参考人の方で是非思いを教えてもらいたいと思います。
○参考人(岡本行夫君) 既に四割減っていることによって、私は日本にボディーブローのような効果が現れてきてしまっているということを先ほど陳述の際に申し上げました。これは、日本が不信感を買っているということよりも、現実に相手国に対するレバレッジ、てこがなくなってきているという意味が大きいわけでございます。
 日本のODAが今よりも更に減って半分になったらどうだと。それは、日本国家はそういう国として生きていくより仕方がないんでありましょう。その場合には、今のような国際的な地位は、これはあきらめなければいけません。UNDPでもかつては日本が最大の拠出国でございましたから、ずっと執行理事会の有力メンバーとしてそこの運営に携わってまいりました。UNDPというのは途上国の経済発展の元締のようなところでございます。今、そこはたしか六位に落ちたんでございますか、そのために日本は常に執行理事国として選ばれるということはなくなりました。
 さらに、半分になれば日本の姿はますますそういうところからは見えなくなると。それは、別に当局者たちが格好悪い思いをするんではなくて、その間に、先ほどから申し上げているような、戦略的な支援をする国々が、中国を始めとしまして、日本の必要とする資源を大量に持っている国々を完全に掌握するようになっていく。やはり、事は日本の安全保障の問題だと思います。
 同様の御質問であれば、防衛関係費をそれじゃ半分にして済むのかね、すぐにどっかの国が攻めてくるのかね、それは直ちにあしたそういうことはないわけでございますけれども、しかし日本に対する安全保障上の脅威は非常にそれで増加すると、それと同じ議論だと存じます。
○参考人(草野厚君) 多分、ODAの一般会計予算が半分になったならば、先ほど御紹介しましたように、国連安全保障理事会の常任理事国入りの議論はもとより、非常任理事国の席も譲っていただくというような、そういうような環境は多分あり得ないだろうというふうに思います。
 ただ、いろいろ工夫の余地はありまして、やや技術的な話になりますけれども、一般会計予算は減っておりますけれども、事業費ベースで考えますと、もちろんこれも減っているんですけれども、円借款の部分、これはいわゆる一般会計予算で出ている部分もございますけれども、財政融資から出ていると。この部分を、例えば無償資金協力で中心にやってきた人道的な援助の部分に円借款を活用するとかですね。ですから、先ほどの私のプレゼンでもすべてのスキームを活用すると。
 もう一つは、UNDPは別といたしまして、国際開発機関、世界銀行等々に対する出資金、拠出金、これはまだ削れるのではないか。というのは、案外日本の国益がこの世界銀行等々には反映をされてないというふうに承知をしております。そのような批判も専門的な方々からも指摘されているところですので、言ってみれば、総体として、全体としてはもちろん削るべきではないわけですけれども、まだ知恵と工夫の余地はあるなと。
 ただ、誤解のないように重ねて申し上げますけれども、これ以上減ることは絶対あってはならないというふうに思っております。
○大久保勉君 示唆に富む意見ありがとうございます。
 そこで、ODAの比較優位を考えた場合、日本は何が比較優位なのかと私なりに考えましたら、一つは環境問題、環境先進国であると、そういった技術があると。さらには非軍事の経済大国であると。こういったことも利用しながら考えていって、事実上ODAの予算、使える額を増やしていったらどうかなということも考えているんです。
 一つは、岡本参考人が既に同じようなことを言われましたが、軍事予算とODAの予算をパッケージにしまして、総合的な外交戦術ということで事実上はODAの予算を伸ばす余地もつくっていきましょうと。もう一つは、国内の環境予算とODAをパッケージにしまして、京都議定書に対する貢献とかというのも考えていくと。さらには、民間が持つ環境技術、さらには生産管理技術、これを積極的に中国若しくはBRICs諸国に供与し、環境問題を貢献していくと。その中で総合的なODAの協調をしていくとかいろんなことが考えられると思うんですが、この辺りに関してどう思われるか、御両人に聞きたいと思います。
 最後に、私の質問としまして、日本がODAを供給するということで議論をしておりますが、相手国にとってどうかということも必要だと思っています。物価水準が日本の十分の一あるいは百分の一のところですから、日本円で考えましても、もしかしたら不必要に高いものを供給している、援助しているというケースもございますから、現地の中でもっと必要な、いわゆるかゆいところに手が届くような部分というのは必要なのかと思います。
 その場合にはどういう形でリサーチをしていくのか。民間の団体を使いましてリサーチをしていくと、こういったことも必要じゃないかと思いまして、いわゆるこの議論といいますのはODAの質を高めていく、少ない予算で質を高めるためにどういうことができるのか、この辺りに関して是非御意見を伺いたいと思います。
○参考人(岡本行夫君) 私、先ほど防衛関係費も安過ぎると、こう申し上げたわけで、防衛関係費とパッケージすればODAが増やせるということを申し上げたつもりではございません。
 ODAについては、その大宗を占めてきましたのが円借でございます。円借は、御承知と思いますけれども、大体今は七千億円ぐらいが出ていって実は六千億円ぐらいが返ってきているんでございますね。ですから、負担というのは日本にとってはずっと少なくなってきているわけでございます。そのうちに返ってくる金額の方が増えてくる、多くなる可能性も十分あるわけでございます。
 したがいまして、私は、円借を増やすということについては、これは将来返ってくる金でございますから、それほど厳しい予算査定が必要なのかなと、こう思っております。
 以上でございます。
○参考人(草野厚君) 岡本さんが言われたとおり、円借というのは今言ったようなメカニズムでございます、そしてまた現状でございますので、やっぱり円借を活用するのが一つ。しかしながら、やはり無償資金協力も重要だということは引き続き申し上げたいんですが。
 今、大久保さんが言われた地球環境、これは特に先ほどの中国との関連で重ねて申し上げますと、やはりエネルギー効率が非常に中国は悪いわけですよね。他方、今御指摘のように日本は環境の技術があるわけですから、中国に対する円借款も来年の三月をもって新規は停止ということになっていますけれども、この地球環境の問題に関しては、これは中国にとっても、また日本にとっても東アジアにとっても地球環境にとってもいいわけですから、これは私はやってもいいんじゃないかなというふうに思うんですね。納税者の理解もその点に関しては得られるのではないか。
 もう一つ、少ない予算で効率よくという、こういうお話でございました。
 私、九月にウズベキスタンとタジキスタンへ行って援助の現場を見てまいりましたけれども、やはり旧ロシア圏というのは、日本の言ってみれば援助スタッフというのは、ロシア語に精通した方も非常に少ないということもあってなかなか苦労しているなと。現場の方は一生懸命頑張っている、だけれども、効率性という点でいかがなものかなと。
 もちろん、先ほど申し上げましたように、これは人材を急ピッチで育成をしなければいけないんですけれども、やはり効率性、今の時点での効率性を問われると、やはり今まで日本がやってきた得意な分野にこういう新たな地域における協力はしばらく特化した方がいいんだろうと。ソフトな支援というのはなかなか日本は不得意です。もちろんソフトが重要だと、これは援助の世界の流れだというふうに言われつつも、効率よくという点でいけば、割と旧来型の日本の援助というのを大事にした方がいいということも言えるのではないかなと。比較優位があるところに集中をするという意味ですね。
○大久保勉君 終わります。
○浮島とも子君 公明党の浮島とも子です。
 本日は、岡本参考人、そして草野参考人、大変お忙しい中をお越しくださり、また貴重な御意見を賜り、心から感謝申し上げます。ありがとうございます。
 私の方から何点か質問させていただこうと思ったんですけど、若干重なる質問もございましたので、まず草野参考人に二問、そして岡本参考人様の方に一問質問させていただきたいと思います。
 まず、草野参考人の方になんですけれども、今後JBIC円借款部門及び外務省の無償資金援助部門の大部分がJICAに統合されるとお伺いしておりますけれども、この有償、無償、技術協力の支援プロジェクトを友好的かつ戦略的に実施していく上で、この新JICAの直面する最も重要な課題は何であるかということをまずお伺いさせていただきたいと思います。
 また次に、草野教授は最近著作等でJBICの改革の重要性を御指摘されておりましたけれども、特に、官僚たちが国会議員や国民の知らないところで改革を骨抜きにしているという可能性をすごく強調されておられました。私ども、このODAの改革に力を入れてきた参議院のODA特別委員会としましても、この参議院の今後の取組に対してもし草野参考人の具体的な御意見や御要望などがありましたらお聞かせ願いたいとお願いをさせていただきたいと思います。
 岡本参考人にお伺いさせていただきたいのは、岡本参考人が座長をお務めになりましたこの対外関係タスクフォースの報告書を読ませていただいたんですけれども、この中に、日本の国益の一つとして、「学術文化教育を始めとする国民間の交流の積極化と人間育成。」ということが挙げられておりました。私もこの国民間の交流というのがとても大切だと思っているところでございますけれども、このような人的な交流を促進していくことについて、長期的にどのようなメリットを我が国にもたらすことができるのかということと、この人的交流を援助政策の中にどのように組み込んでいくべきかということをお伺いさせていただきたい。
 以上三点、よろしくお願い申し上げます。
○参考人(草野厚君) ありがとうございます。
 新JICA、二〇〇八年の十月にスタートする予定になっておりますが、無償、有償、技術協力という三つのスキームを持った大きな援助機関になるという、こういうことでございます。
 この三つのスキームをうまく組み合わせたこの新たな援助機関というのがうまく機能するにはどうしたらいいか。幾つかあると思うんですけれども、何よりも、三つの案件を組み合わせた、言ってみればより大きなこの案件というものを幾つも発掘し、スタートさせることだろうと思います。
 例えば具体的に例を挙げれば、これは過去にあった例ですけれども、シリアでこれは発電所を有償資金協力で造り、そしてそのオペレーションを技術協力で行い、その技術者を養成するために無償資金協力で研修センターを造ったと。こういうようなケースがあるわけですけれども、今までは個々ばらばらに行われていたと、これを有機的に連携させた案件が一つの組織の中で幾つもつくられていくという、こういうことになれば先ほど申し上げているような効率性も担保されるだろうというふうに期待をしております。
 ただ、これは援助政策ということではありませんけれども、大が小をのみ込むというような懸念が言ってみればJBICの旧基金、ODA、円借款担当の部門にはあります。人数でも圧倒的に現在のJICAの方が多いわけですね。そういう点では、言ってみれば、統合するその双方の部門がお互いのいいところを学び合ってうまくやっていただきたいなと強く期待をいたします。
 二番目の御指摘の点については余り今回のODA特別委員会の目的と関係がないと思って御紹介をしなかったんですけれども、新しい政策金融機関の中に包摂されることになりました国際金融部門、つまり企業の海外活動に対して支援をする旧日本輸出入銀行の部分ですね、このところは、やはり官から民への流れという小泉内閣の改革の精神の原点に戻って、できるだけ言ってみれば民の仕事を奪わないという、こういうことが必要であろうと。
 残念ながら、これまでの経緯を振り返ってみますと、まあ最終的には渡辺行政改革担当大臣の強いイニシアチブでそれはなくなりましたけれども、例えば子会社化にして実際には独立組織として引き続き存続できるように、こんなふうなことを願っていた方々もおられるようで、それはやはり官から民への流れということをもう一度精神を確認をしたいと、こんなふうに期待を込めて申し上げておきたいと思います。
 以上です。
○参考人(岡本行夫君) およそすべての経済協力というのは、最終的に相手国の国民を日本の友人になってもらう、そしてその国が日本の目的とするところをうまく出してくれるように、そういうふうに持っていくためでございますから、したがって文化・学術交流を通じた国民との交流というのは最も直接的な効果があるわけでございます。ただ、手間暇は掛かります。しかし、これは私は日本としてこれからうんと力を入れていくべきだと思います。
 私の個人的体験からいきましても、例えばアメリカなどでラジオ番組に出演いたしますと、私がこれこれこうだと日本のことを紹介しますと、視聴者がわっと電話を掛けてくるわけですね。そして日本の悪口を言う人たちもいる。それに対して、いやいや、そうじゃないぞと、私は日本にいたことがあるけれども、日本は大変立派な国だよということを弁護してくれるのは、やっぱり日本にいた人々なんですね。
 それから、一つだけ例を挙げますと、今年は「南京」という映画が間もなく公開されますでしょう。これは、見る者を、ほとんどの人を日本嫌いにさせる映画でございます。そういったときにも、日本に直接的な体験を持っている人たちは、いやいや、日本はもうあのときとは変わっている、あるいは日本人はああいう人たちではないんだということを弁護してくれると思います。ですから、私はこの点は大変に大事な点だと思っております。
 以上です。
○大門実紀史君 今日はありがとうございます。
 お二人はODAの予算減らすなということだと思いますが、私もODA調査で七か国ほど回りまして、単純に減らせばいいものではないということを思います。
 ただ、無駄とか利権絡みとか、そういうものはなくさなきゃいけないし、今に合ったODAといいますか、NGOの意見も聞きながら時代に合ったものに変えていく必要があるというふうに思います。
 ただ、ODAというのは、元々要請主義といいますか、建前は要請があって検討するという形から、湾岸戦争以降でしょうか、小沢一郎さんが当時自民党の幹事長だったと思いますが、国際貢献論あるいは外交的手段論ということを言われて、それで重点を決めるとか指針を出せとかいうことがあってODA大綱と、こういう流れになって、ですから初めてといいますか、やっとその国益に即してみたいな考え方になってきておりますけれども、まだ内部は建前上要請主義というようなものを払拭できないというようなところもあると思います。
 このODAの議論というのは何度もしてまいりまして、とにかくやっていることは具体的なんですけれども、ODAというのは、議論になると抽象的な話になりがちなんですね。その国益は何かということもよくきちっとした定義のないまま議論がされているというふうに思います。
 そういう点で、是非、今日対外関係タスクフォースの資料も出ておりますので、お二人にお聞きしたいのは、具体的に、例えばもう東アジアの途上国で、どこかの国で結構ですが、ある国、どこかの国のどの分野にこういう形の援助をやれば日本の国益にも沿う、具体的にこういう国益があると、そういう具体的なところで事例といいますか、思われることありましたら、お二人にお聞きしたいというふうに思います。
 もう一つは、岡本参考人が先ほどお話の中で、私の聞き間違いかどうか分かりませんが、東アジアの共同体構想、ああいうものよりももっと国益をストレートに考えたらどうかというふうに言われたかどうかという、ちょっとそういうふうに聞こえたんですが、いずれにせよ、お聞きしたいのは、私は東アジアの共同体が現実的かどうかはちょっとおいておいて、政治的、経済的連携は非常に重要だと思うんですが、それとODAとは私はセットで考えていくことができると思うんですけれども、その点のお考えをお聞きできればと思います。
○参考人(岡本行夫君) 東アジア共同体については、私、今、大門先生がおっしゃられたところとそう違った考えを持っておるわけではございません。これは、日本としてやはりコンセプトとして追求していくべき枠組みだと思います。
 それから、東アジア諸国にどういう支援が必要か。先ほども申しましたけれども、やはり相手国の制度づくり、人材育成、法整備支援、そして環境、省エネ、そういったところだと思います。これはASEAN諸国すべてに対して妥当するところだと思います。
○参考人(草野厚君) 私のプレゼンの中で申し上げたとおり、ODA総体として国益と直結して議論をするのはなかなか難しいのかなと。つまり、橋を架けてという話をしましたけれども、ああいう個別具体的にODAのある国に対する援助がそのまま日本の国益にどういうふうに反映されたかというのを検証するのは、いろんな変数がありますので、ODAだけじゃないので、これは難しいんじゃないかなと思います。
 ただ、今、岡本さんが言われたことと重なる部分がありますけれども、最も分かりやすいのはやっぱり地球環境なのかな、あるいはソフトの支援でいえば人材育成と、これは初等教育も含めてですね、これはその国の人々にとってもやはり一番理解できるところだろうと、こんなふうに思いますけれども。
 それから、要請主義の問題点というのは、私、全く大門さんと同じ理解でございます。
○近藤正道君 社民党の近藤正道でございます。今日は、貴重なお話を聞かせていただきまして、ありがとうございました。
 ODA予算が削減される中で、ますます何のためにこれを行うのかと、こういう本当に根源にさかのぼった議論、繰り返しやっていかなければならないということを改めて感じたところであります。
 それぞれ、私もお聞きしたいと思ったことがもう既に出てきておりますので、端的に二つ、両先生にお聞かせをいただきたいというふうに思います。
 一点目は、先ほど岡本先生の話の中で、昨年の国連の常任理事国入り、ドイツと日本の比較がございまして、日本、それなりにアジアに対してODAをもう長い年月掛けてやっているにもかかわらず三か国からしか支持がなかったということでございますが、このアジアに対するODAの在り方と、今回の常任理事国入りに対して余り評価がされなかった、このかかわりについてどういうふうに見ておられるのか。私自身は、ODAに問題があったわけではないんではないかと、こういうふうに思っているわけでありますが、端的にお二人にお聞かせをいただきたいというふうに思います。
○参考人(岡本行夫君) やはり私は、戦略を欠いた失敗だったと思います。ODAには罪はありません。むしろ、ODAは増やすべきだと思います。
○参考人(草野厚君) やはりアジアを、靖国の問題も関係があったでしょうし、それからアフリカは今日御指摘はだれもされていませんけれども、台湾支持派のアフリカの諸国というのはたくさんあったわけですけれども、それを中国側に付けるために随分その援助をてことして使ってきた経緯もございますので、やっぱりアフリカで日本がプレゼンスを示すのはなかなかそれなりの時間も掛かるのかなと、感じがいたします。
○近藤正道君 もう一つお尋ねをいたしたいと思います。
 国益、戦略的な思考と、こういう話が今日ずっと出ました。これを突き詰めていきますと、先ほど岡本先生のお言葉の中にも出ておりましたけれども、その国に対して日本は戦略的に何を求めるのかと。そのことがやっぱりあって、そしてそれを基にその国に対するODAはどうあるべきかと、こういう思考になってくるんだろうというふうに思いますが、それは論理的には分からぬわけではございませんが、同時に、私などの思考からいきますと、やっぱりODAというのは、人道支援とか貧困とか地球環境とかという非常に一般的、普遍的な問題がやっぱり土台にあって、その上に言わば二階部分として戦略的なものが領域としてあるんではないかと。基礎はあくまでも国際益だとか人道だとか地球環境だとか、こういう問題になるんだろうと。余り戦略的国益と言うと、その辺の一階と二階の関係が基本的におかしくなりはしないかなと。その辺のところを基本的にどう整理したらいいのかということが一つと。
 もう一つは、そのことを整理した上で、今この国がODA大綱というのを持っておりますけれども、これは非常に抽象的ですよね。もう少し今の一階、二階を踏まえためり張りのあるODA大綱になら変えたらいいんではないかと、こういうふうに思っております。世界のいろんな国のODAの支出のルールを見てこられたお二人の先生方、どういうふうにこのODA大綱の改正、改革についてお考えを持っておられるのか、聞かせてください。
○参考人(岡本行夫君) 私は一階部分、二階部分というふうには分けて考えません。やはり一体不可分のものであろうと思います。
 先ほど草野先生が言われたように、確かにミニマムの部分はそれはあると思うんでございますね、地球環境に必ずこの部分を使わなければいけないと。ただ、日本が、いやこれは我々崇高な人類愛に基づいてやっているので、あなたは日本に対しては別に自由に考えてくれていいんだ、安保理で日本を支持してくれようとくれまいといいんだということには私はならないと思うんでございます。私は、やはり国益というものをきちっと踏まえるということがやはり基本だろうと思います。ODA大綱にも当然その骨が入っているべきだと思います。
○参考人(草野厚君) 短期的な国益と中期的なあるいは長期的な国益とあると思うんですけれども、国際益も回り回って中長期的な国益と一致するというふうに私は考えたいんですね。
 そういう意味では、近藤さんおっしゃったように、先ほどの私のプレゼンもそうですけれども、地球環境だとか、これだけ予算が削減されている中では、やはりきちんとここだけは確保しておくというメッセージが必要なのではないか。ただ、そのODA大綱を変える必要があるかというと必ずしもそうではなくて、国別援助計画が今非常に総花的になっているので、そういう中に今言われたようなことは反映をさせるという、こういうことでよろしいのではないかなというふうに思っております。
○亀井郁夫君 国民新党の亀井です。
 お二人の先生にはいろいろと貴重な御意見をありがとうございました。
 持ち時間が五分ですので、一点だけお尋ねしたいと思いますけれども、先ほど来、話にも出ておりましたけれども、ODAの中で一番問題は隣の中国に対する援助ではなかったかと思うわけですね。これまでは、いろいろとやってきたけれども有り難いという表示は全くされてないということで、おかしいんじゃないかという意見も上がってきたわけで、これを減額しておりますけれども、ODAの中で大きなウエートを占める中国に対する考え方をどうしていくかということが大きな課題だと思います。
 特に日本の場合は、第二次大戦でいろいろ中国に迷惑を掛けたと。損害賠償を請求しないということだけれども、ODAの過程においては何かその辺のところが気持ちがあっていろいろやってきたと。それで、もらう方も当然だというような顔をしてもらってきたと。そしてまた、国連の安保理、常任理事会入りについても、この問題がうまくいかなかったのは中国ではないかというふうな話もありましたけれども、そういうふうな原因である中国に対してこれからやはりはっきりしていかなきゃいかぬと思うんですけれども、それについて、対中国問題について、これからどうしたらいいかをお二人の先生にお聞きしたいと思います。
 済みませんが、よろしくお願いします。
○参考人(岡本行夫君) 中国に対しては、これは日本政府自身の努力も十分でなかったと思いますが、国民の間に日本がいかに大きな貢献を中国に対してしてきたかという意識が十分根付いてないと思います。日本からの援助は大部分が円借だから、これは借りた金じゃないかと、返しているんだから文句はなかろうという話でありますけれども、円借といったって、グラントエレメント六〇%ということは、そのうちの六割は中国に供与したと、無償で供与したという意味でございますから、そういうところをもっと彼らに言わなければいけない。そして、特に華国鋒時代、国庫が底を、財政が底をついていたときに、日本が供与し続けた経済協力というのが中国のインフラを整備して、そして外資を呼び込むことになってきたと。現在の中国の発展というのは、日本の経済協力なしでは考えられないわけでございます。我々はやはり、もう少し日中関係が落ち着けば彼らも日本の言うことを聞く耳を持つと思うんですけれども、中国に対して感謝しろ感謝しろということではなくても、少なくとも日本がやってきたことの規模というのは彼らに私はこれからも言い続けるべきだと思っております。
 私は、中国と日本との関係というのはやはりこれは共存共栄でございますから、日本も一方的に経済協力を打ち切るんではなくて、例えば草の根無償支援など残すべき経済協力は私は中国に対して今後とも残すべきだと考えております。
○参考人(草野厚君) 亀井さんの御指摘のような意見が日本の中でも強かったということもあり、最近では、その中国の政府を中心にして日本の援助に感謝をするという、こういうような発言あるいは記事というものが結構載っておると。ただ、十三億人の人口を抱えておりますので、それがその中国全体に波及するまでには大分時間が掛かるという、こういうことがあると思うんですが、局面は随分変わりつつあるというふうに認識をしております。
 他方、余りその点を強調することはいかがなものかというふうに思います。それは、やはり世界の工場としての中国からいわゆるマーケットとしての中国に、日本の援助の結果でもあるわけですけれども成長をいたしまして、日本の企業がたくさん出ていっているわけですね。いろいろ失敗もあるかもしれませんけれども、そういう面でいえば、そしてWTOにも加盟しました、OECDに加盟する道もそう遠くはないだろうということを考えますと、日本はやっぱり相当いいことをやったのではないかなというふうに思っております。
 他方、最後なんですけれども、日本のODA、中国との関連でODAだけを批判するというのはやや的外れ。というのは、先ほどのJBICなどではありませんけれども、旧日本輸出入銀行が、細川内閣のときにODAを止めた、これはあの核実験をやりました、ODAで円借款を止めたにもかかわらず、国際金融部門、旧輸銀の融資はたくさん出たんですね。
 ブレーキとアクセルを同時に踏むというような日本政府の矛盾した政策というようなことも歴史的にはあったんだということもまあ思い起こしていただいて、余り円借款悪者論にくみをしないようにお願いをしておきたいなと思います。
○亀井郁夫君 ありがとうございました。
○委員長(山崎正昭君) 以上で参考人に対する質疑及び意見表明は終了いたしました。
 参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は長時間にわたり大変有益な御意見を述べていただき誠にありがとうございます。当委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時六分散会