第166回国会 政府開発援助等に関する特別委員会 第5号
平成十九年三月十四日(水曜日)
   午後一時開会
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   委員の異動
 二月二十七日
    辞任         補欠選任   
     藤本 祐司君     若林 秀樹君
     柳澤 光美君     藤末 健三君
     小林美恵子君     大門実紀史君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         山崎 正昭君
    理 事
                阿部 正俊君
                小泉 昭男君
                犬塚 直史君
                富岡由紀夫君
                浮島とも子君
    委 員
                岡田  広君
                神取  忍君
                岸  信夫君
                中村 博彦君
                野上浩太郎君
                朝日 俊弘君
                江田 五月君
                大久保 勉君
                加藤 敏幸君
            ツルネン マルテイ君
                藤末 健三君
                若林 秀樹君
                高野 博師君
                大門実紀史君
                近藤 正道君
                亀井 郁夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        泊  秀行君
       常任委員会専門
       員        桐山 正敏君
   参考人
       神戸大学大学院
       国際協力研究科
       長        高橋 基樹君
       国連人口基金東
       京事務所長    池上 清子君
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  本日の会議に付した案件
○政府開発援助等に関する調査
 (外交戦略の視点から見たアフリカ支援と貧困
 削減に関する件)
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○委員長(山崎正昭君) ただいまから政府開発援助等に関する特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二月二十七日、小林美恵子君、藤本祐司君及び柳澤光美君が委員を辞任され、その補欠として大門実紀史君、若林秀樹君及び藤末健三君が選任されました。
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○委員長(山崎正昭君) 政府開発援助等に関する調査のうち、外交戦略の視点から見たアフリカ支援と貧困削減に関する件を議題といたします。
 本日は、神戸大学大学院国際協力研究科長高橋基樹君及び国連人口基金東京事務所長池上清子君に参考人として御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ当委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 参考人の方々から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 それでは、議事の進め方について申し上げます。
 まず、高橋参考人、池上参考人の順序でお一人二十分程度御意見をお述べいただき、その後、各委員からの質疑にお答えいただくとともに、意見表明をお聞きいただきたいと存じます。
 御発言の際は、その都度委員長の指名を受けてからお願いいたします。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、高橋参考人からお願いをいたします。高橋参考人。
○参考人(高橋基樹君) 本日はお招きをいただき、ありがとうございます。
 初めに、若干の自己紹介をさせていただきます。
 一九九〇年代の初め、日本の幾つかの国立大学に、国際協力、ODAのための人材を養成するという目的で大学院が設立をされました。私が長を務めております研究科もそういう大学院の一つでございます。人材を育てるということが一つのこの委員会のテーマになっているように伺っておりますけれども、そういうことも後でお話ができるやと思います。お配りした資料の中に私どもが育てた人材のリストが出ておりますので、ごらんいただければと思います。
 私自身は、アフリカの政治経済というのを経済開発研究の立場から研究をしております。それと併せて、アフリカの現場において援助の形が様々に変わってきている。ちょっと失礼をさせていただいて、座らせていただきます。失礼します。そういうことにつきまして論文も幾つか書いてまいりました。
 アフリカの援助の現場は、アジアの少し豊かな国とは大きく違っております。援助の最前線に立っている日本人の方々の悩みとか戸惑いというのは大変大きなものがございます。その中には私の教え子もおりまして、彼らを含め現場の方々と多くの議論を現場で交わしてまいりました。その中で、アフリカの役に立つ援助を実現するためには是非とも国会で国民の選良とお話をする必要がある、そのように話を重ねてまいりました。この機会に是非、私なりに理解をした現場の声というのをこちらにお届けしたいというふうに思っております。(資料映写)
 アフリカの地図でございますけれども、アフリカの国境というのは、アフリカ人自身が選び取ったものではありません。ヨーロッパ列強の植民地分割によって骨格ができ上がったものであるということは御案内のとおりでございます。それは、アフリカ諸国の起源が多分に外からの押し付けであって、国の歴史がまだまだ浅いということを意味しております。
 本日は、アフリカ支援において中心となる二つの課題、三番目の開発のパートナーシップ、それから四番目の東京アフリカ開発会議、TICADでございますね、のことについて特にお話をしたいと思っておりますが、その前提として、第一に、よく耳にする、日本にとって戦略的価値の低いアフリカをなぜ援助しなければならないのか。第二に、そのことにかかわって、そもそも援助なぞ何のためにするのかということを議論させていただきたいと思います。そして、援助には、余り国内で議論されない、されないからこそ援助の議論を混迷させている点があると思われますので、そのこともお伝えしたいというふうに思います。
 まず、なぜアフリカかというところですが、先生方が御関心をお持ちのミレニアム開発目標、これからMDGsと申し上げますけれども、最初のターゲットの進捗状況を世界の地域別に掲げたのがこのグラフであります。一日一ドル以下で暮らす人々のそれぞれの地域の全人口に占める割合、これを半分にするということなんですが、その推移を示しております。アフリカについては二〇一五年に、九〇年に比べて半分に減らす。そうしますと二二・三%になりますけれども、しかしながら、アフリカでは半分近くがその貧困層に当たり、かつ九〇年から二〇〇〇年にかけては逆に増えているという状況がございます。このことに象徴されるように、世界的な合意であるMDGs、ミレニアム開発目標の達成において最も困難な状況にあるのがアフリカ諸国であります。
 アフリカという大陸は、およそ人類の抱えるあらゆる負の課題、貧困、飢餓、紛争その他、そういうものに苦しめられてまいりました。その背景としてアフリカで最も憂慮すべき問題は、農村・農業の低迷、そして広範な貧困と教育の遅れ、感染症の蔓延であろうと言えます。そして、さらにその背後には、この委員会でも前回特に指摘をされました脆弱な国家、うまく国民のためにサービスを提供できず、また国民をうまく包摂することのできない国家行政機構の問題が横たわっております。
 さて、ODAに関してよくなされるのは、アフリカみたいに関係のないところになぜ貴重な税金を捨てに行くのかといった議論であります。私たちは、こうした国民の一部にある冷たい視線に向かい合って、できる限りそれを解きほぐしていくことを考えていかなければならないというふうに日ごろ思っております。
 そこで、まず問われなければならないのは、アフリカが日本と無縁の土地であるという理解がまずいかがなものかということであります。世界経済は、グローバル化の中で互いに緊密に結び合わされつつあります。それはアフリカと日本の関係も決して例外ではありません。アフリカで起こること、特に貧困の深刻化もまた日本に直接、間接に影響を及ぼしております。例を挙げたいところですけれども、後ほど時間があればということにさせていただきます。
 さて、そもそもアフリカのように貧困な地域や国というのは、経済的な取引相手としては現時点では価値が低いものです。ですから、貧困や飢餓ということに深くかかわるべき援助を経済的、戦略的な国益と絡めて議論すること自体、無意味とは申しませんけれども、矛盾をはらんだものだというふうに考えます。こうした議論を整理するために、一度援助を、その原点に立ち返り、かつ世界の変容を見詰めながら定義し直す必要がある、そのように思います。
 ここで、日本が援助をすべき理由付けとして歴史的に掲げてきた二つのことに注目したいと思います。すなわち、人道的配慮、それから国際的な相互依存の認識の二つであります。これらはどうも、それぞれ取り出して並列させますと、どうも不明瞭で、余り積極的でないように思われます。両方とも、何でわざわざ援助なんかやらなきゃいけないのかという疑問に受け身で言い訳をしているような消極さを感じます。
 そうではなくて、援助について少なくとも一部の国民の思いにはもっと積極的側面があるのではないか、そのように私は思います。貧しい国々で人々が苦しんでいることを見聞きするたびに、若い人を始めとして多くの方が、一体何ができるのだろう、そのように一瞬であっても悩みます。何かできるのであればしたいと思っている、そうした思いの根っこにあるのは同じ人間としての共感であって、それ以上でも以下でもないというふうに思います。
 何だか偉そうな日常聞くことのない人道主義でも、また援助との関係をのみ込みにくい相互依存の認識でもなく、人と人との共感というものが重要なのだろうというふうに思います。そして、それはグローバル化の下でますます相互交流が進み、脱国境化と言われる現象が生じて利害関係の共有や対立が生じている世界では、もっと強調されてよいことではないかと考えます。
 もちろん、私はここで、そのほかの外交上の目的が無用だと言っているわけではありません。資源外交ですとか狭義の安全保障の考慮、すべてが重要であります。しかし、援助はそのすべてについて万能の薬になり得るわけではありません。むしろ、援助にすべての目的を期待して何でもかんでも背負わせる、そのために議論が混乱し、かつ国民や国際社会から見て日本の援助は分かりにくいということになっているのではないか、そのように私は思います。
 相互関係が世界を網の目のように結び付けつつある中で、多くの問題が新しく生じております。というのは、グローバル化はまずもって自己利益を多くの人がより自由に追求する中で起こっていることでありまして、それを補う形での国際公共行動といったものが十分に編成されていないと思うのです。地球環境問題への対応は良い例であります。ただ、環境問題はそれだけで存在しているのではなく、野方図な営利追求活動や貧困、格差、そのほかの問題と密接にかかわっていることが銘記される必要があります。
 こうした中で、日本人という集団がほかの人々の問題にどれだけ深い理解を持ち、近視眼的な利害を超えて心を寄せるのかが問われているのだろうと思います。それは、単なる第二の経済大国としての責任というだけではなくて、日本人の品位、知性、そして感受性の問題だろうと思います。そして、そうした形でほかの人々と共感を持って行動することが日本人自身の広い意味での安全保障になる、私はそのように確信をしております。ただ、だからといって日本人があたかもアフリカ人に取って代わって何でもかんでもやってしまうということにはならない。それは決して自立的なアフリカの国づくりには結び付きません。このことについてはまた後で返りたいと思います。
 ただ、重要なことは、アフリカにはアフリカの自助努力というものが確かにあるということであります。しかし、アフリカに自助努力があるというのなら、なぜアフリカへの援助は役立ってこなかったのか。しかも、総体的に見ると大変に巨額の援助がアフリカに注ぎ込まれてきたわけです。日本もそうでありますが、重債務貧困国スキームの中で帳消しをいたしました。円借款などが帳消しになったわけですが、多くの援助が十分な成果を上げてこれていない。それはなぜなのか。そこで、振り返っていただきたい点があります。それは、援助という行為の本質論にかかわるものであります。
 政府開発援助は、ある国の行政機関、例えばJICAとかJBICが他の主権国家の国内で行政行為を行うという、歴史の中でも現代の国際秩序の中でも極めて例外的な行為であります。そして、いかなる援助も受入れ側の社会によって吸収されなくては、少なくとも建前上の援助の目的である持続的な開発、貧困削減には結び付くことはないということであります。
 更に重要なことは、援助を吸収しようとしますと、それは食べ物の消化にもエネルギーが必要なのと同じように、必ず援助受入れ側が何らかのリソースを負担しなければなりません。分かりやすい例は、日本が建設した小学校、中学校の校舎であります。それを使ってもらう場合、受入れ側は先生方の育成をしなければなりません。あるいは給料を払わなければなりません。そして、アフリカの貧しい国々の場合、政府がそこにおいて十分な対応ができない場合が往々にしてあるということであります。
 ここまでのことから二つのことが言えると思います。援助は供与側の努力だけでは成功し得ない、困難を伴う行為だということです。少なくとも二つの互いに独立した行政機構がお互いのリソースをうまくかみ合わせなければ成功に至ることはないのです。また、ある主権国家ないしその代理人が他国に立ち入る援助という例外的行為が許されるのは、先方の国民の利益、開発や貧困削減でありますけれども、それに役立つからこそであります。
 さて、アフリカで貧困が解決しないことは、この援助吸収能力にかかわっております。言い換えれば、アジア、アフリカ、中南米ほか、それぞれの地域に多種多様な国があり、受入れ側の社会経済状況が異なっていて、それに応じて吸収能力も異なります。恐らくは、途上国の各省庁や機関によって異なるかもしれません。受入れ側の吸収能力に配慮した賢明で柔軟な援助の供与の仕方が必要となります。だからこそ援助の現地への権限移譲が必要なのだ、そのように考えます。
 確かに、途上国には資金、人材、知識などが不足しております。特にアフリカの脆弱国家ではそれらが欠乏していると言ってもよい状態だと思います。それらを補うことが切に望まれるわけですが、しかし、一方的に資金を供給すればいいわけではありません。援助は誤って供与されると無駄になるだけではありません。援助への過度の依存を引き起こすことが注意されなければならないと思います。
 アフリカの貧困な経済規模の小さい国では、しばしば援助が財政全体の数十%に及んでおります。そうした状況ゆえに、幾つか困った状況が起こります。
 一つは、余りにも多くの援助国、機関が交通整理されないままに集まり過ぎて、受入れ側の管理能力を超えた多数の援助案件が作られてしまうという事態です。私どもは、これを援助のはんらんと呼んでおります。また、よく言われる例ですが、日本のプロジェクトは、日本人が従事している間は美しくすばらしく運営されるけれども、その外には効果が及ばない、日本人専門家が帰ってしまうと効果が目に見えて落ちてしまう。これは、援助が成功しても開発に失敗しているという典型的な例であります。この場合は、途上国側の政府が、特に政府が援助だけにリソースの投入を期待して、開発効果が持続するためのコストを自分たちで負担しない場合に発生します。こうした援助プロジェクトの孤立した成功と援助のはんらんというのは、往々にして同時に生じます。
 さて、アフリカ問題というのは、九億人の五十三か国が存在する巨大な大陸の苦悶として発生しています。到底日本だけで担い切れる課題ではありません。日本とアフリカ及び国際社会のスクラムが求められます。具体的には、様々な関係者との連携と協調が援助の現場で必要となっており、幾つかの営為が実際に行われています。例えば、一般財政支援、セクター・プログラム、貧困削減戦略への我々の活動の連結、そして援助の調和化といったことです。これらのことは、途上国の政府の立て直しを図って援助のはんらんを防ぐ、そういう効果を持っていますが、すべてが日本の今までの援助の在り方に大きな見直しを迫るものであります。
 さて、このことにかかわって指摘されてきましたのは、こうしたことに首を突っ込むと、ほかのドナーとの協調の中で日本の顔の見えない援助になってしまう、ほかのドナーの引き回しに遭ってしまう、だから日本は日本だけで孤高を保ってでも自分だけのプロジェクトをやっていればよいという議論であります。こうした議論には何十個もの反論があり得ます。その中で二つだけ御紹介したいと思います。
 第一に、現在進んでいる協調は、各ドナーの様々な思惑はもちろんあります。しかし、あったとしても、本来的には主役となるべきはほかのドナーでもなく、日本でもありません。アフリカ途上国の政府と国民であります。行われるべきは、ドナー協調でも括弧付きの援助協調でもありません。アフリカの政府と国民を中心とした開発のためのパートナーシップであります。
 もう一つの反論といいますのは、顔の見える援助が、あたかも日本の企業が出掛けていって日の丸の付いた建物を建てること、あるいは日本製品を供給することであるかのように語られていることです。もっとましで意義の高いプレゼンスの発揮の仕方があるということに想像力が及んでないように思われます。物とハードだけにこだわる顔の援助から、理念、知恵、創意工夫を分かち合う志と知の援助を目指すべきだと考えます。
 また、よく言われる、協調するとほかのドナーの引き回しに遭うという議論も必ずしも正しくありません。むしろ現場では、余りにも手間が大変でありますので、ヨーロッパのドナーが皆リードを取りたがらないということも生じています。ともあれ、品位と知性ある志の高いドナーであるならば、ほかのドナーと足の引っ張り合いではなく、生産的、効率的な分業と、開発、貧困削減に役立つアイデアをめぐる創造的競争を行うべきであろうと思います。
 さて最後に、主要先進国サミット、来年行われますけれども、日本で行われますが、それと前後して開かれます東京アフリカ開発会議、これからTICADと申し上げます、その第四回について私なりの意見を述べさせていただきます。
 第三回までにまとまってきたTICADの主要なアジェンダは、前回この委員会で話されました平和の問題をちょっと置いとかしていただきますと、恐らく三点にその主要な論点というのは絞られていると思います。一つは人間中心の開発、もう一つがアジアの経験のアフリカへの移転、三番目に経済成長を通じた貧困削減、この三点であります。その一つ一つに申し上げるべき点がございます。
 第一点の人間中心の開発に関してですが、ここから言えることは、繰り返しになりますけれども、アフリカの人々とその代表を中心に据えるということです。アフリカを単なる救済の対象として見るのではなくて、アフリカ自体の自助努力を見詰めることが重要であると考えます。
 ただ、肝心な点は、アフリカでは開発の成果は後退することがあるという事実です。紛争による荒廃もそうですが、HIV、エイズの感染、その拡大に伴う平均余命の短縮という事態もその典型的な事実です。単に前向きの開発を語るだけではなくて、後退を食い止める人間の安全保障の発想が必要となります。
 次に、アジアの経験のアフリカへの移転についてでありますけれども、アフリカ諸国は欧米との結び付きが非常に強く、そこで選択肢を見失っているというところがあるかと思います。そこで、我が国のように、欧米とは異なる条件で異なる道筋を通って経済的に発展した国がこうしてあるよと、そこにはこんな試行錯誤があったと伝えることは、新しい知見と選択肢を提供することになると思います。
 ただ、経験の移転ということになると話は簡単ではございません。まず問われなければならないのは、だれのためのだれによる移転かということです。そして、アジアとアフリカの共通点と相違点、特に異なる点を重々認識しなければなりません。そして、三つの点に配慮することが重要だと思います。
 第一に、アフリカのニーズにこたえるということです。日本であろうと欧米であろうと、経験や知識の移転はアフリカ問題の解決に貢献することによってのみ正当性が試されます。第二に、アフリカにとって吸収が可能であることが必要です。どんなにすばらしいサクセスストーリーであろうと、アフリカの状況に合わず、吸収できない経験は無用の長物であります。第三に、できればアフリカを最もよく知る人々によってアジアの経験の取捨選択や移転や摂取が行われるべきであります。それはアフリカ人の研究者自身であります。こうしたことを配慮しないアジアの経験論は単なる押し付けの自慢話にすぎなくなる、そのように考えます。
 三番目に、経済成長を通じた貧困削減ということが言われます。これは、狭義の貧困削減ということが近年までよく言われましたので、少しくそれに日本として対抗して、我が国らしさをにじませたアジェンダであったというふうに思います。
 確かに、持続的な経済成長というのは貧困削減の必要条件であろうと思いますし、MDGsの達成のためにも成長は必要であろうと思います。ただし、他方で、広く分かち合えた経済成長を実現するためには、国民一人一人の能力と機会を増進することが大切であります。貧困削減を広く伴わない成長というのは政治的、社会的に長続きしない、そういう意味では経済成長が貧困削減を必要とします。つくり出すべきは、経済成長と貧困削減の好循環ということだろうと思います。同時に、援助だけではなく、貿易面での我が国の市場開放等々の問題が避けられないということであります。
 さて、アフリカの状況に併せて、アフリカの問題を解くのには、欧米の経験あるいはアジアの経験ももちろん結構なんですけれども、まずはアフリカ人自身の経験に学ぶ必要があるというふうに思います。アフリカは駄目だ、アフリカは問題だらけだと決め付けてしまうことによってアフリカ人自身がアフリカに誇りと自信を失って、互いに学び合うことを妨げているのではないか。ここにノーベル賞をお取りになった三人の方のお名前を掲げておりますけれども、こういう偉業だけではなくて、草の根にいきますと、自ら生き抜いて、子供を育て、弱者を守り抜こうとする草の根の様々な努力があります。多くの女性の方々がエイズの孤児、そういう子供たちを守るために孤児院を開いておられます。そういうことに注目する、村々、町々での努力に注目をする必要があるというふうに思います。
 さて、さきの総理大臣が野口英世アフリカ賞というものを提案されました。第四回のTICADのときに第一回の表彰を医療関係者に対してなさるということなんですが、すごく手間の掛かることだと思います。すばらしいアイデアだと思うんですけれども、手間が掛かるなら、どうせであればもっと広く構えを取って、アフリカ人に対象を限って、アフリカの開発、平和に対する自助努力というのを顕彰するということを是非していただきたいと思います。私は四年以上前からアフリカ開発平和賞を創設してほしいと政府当局の方に申し上げてきたんですが、いろいろ難しいと。上御一人が言われるとうまくいくというのは何かちょっと非常に釈然としないものを感じておりまして、是非御検討いただきたいというふうに思っております。
 アフリカというのはずっと、哀れむべきアフリカというふうに語られてきましたけれども、もうそろそろそれをやめて、第四回のTICADからは、世界に貢献するアフリカ、いつまでもアフリカが周辺化して駄目だと、溝からすくい上げてやろうとすると、援助漬けにして、援助依存の泥沼の中にまた陥れてしまうという気がいたします。やっぱり頑張れアフリカという、これは我々の仲間が言っているスローガンなんですけれども、そういう心が必要ではないかというふうに思います。
 最後に、アフリカを理解し、アフリカに知恵を出せる内外の人材の輩出が必要だと思うんですが、我々大学院の責務は非常に大きいと思います。お配りした資料で、一生懸命やっているか、十年間で一生懸命やったとごらんになるか、それとも足りないとごらんになるかはお任せしたいと思いますけれども、また後で質問でもしていただければと思います。
 輩出するべき人材は日本に限る必要はないと思います。留学生でもよい。そういう優れた人材を輩出して、アイデアの提供を通じてアフリカの開発、貧困削減に貢献している日本のすばらしい中身のある援助をする。そして、得られる尊敬や信頼こそが援助によって実現されるべき唯一最大の国益である、私はそのように思います。
 ふつつかでございましたけれども、以上でございます。ありがとうございました。
○委員長(山崎正昭君) どうもありがとうございました。
 次に、池上参考人にお願いをいたします。池上参考人。
○参考人(池上清子君) 池上でございます。では、座ってお話をさせていただきます。
 私は、開発途上国にかかわって三十年になります。これで年がばれてしまうという感じもあるんですけれども。アフリカを始めとして開発途上国、アジア、中南米にもかかわってまいりましたけれども、そういったところを、開発途上国の現場をNGOとして、そして国連機関の職員として見てまいりました。その現場を見たことを中心に今日はお話をさせていただきたいと思っております。特に、アフリカの人口の問題、そして先ほど高橋参考人がおっしゃられたMDGs、ミレニアム開発目標と、特に保健医療の分野での問題、そして最後に幾つか提案をさせていただきたいと思います。(資料映写)
 まず、世界人口の推移というのを見ていただきたいんですけれども、これを見ていただきますと、日本と全く世界の人口の状況が違うということが一見してお分かりいただけると思います。二〇〇七年の六十六億人というのは、つい今朝、国連本部の方で発表がありまして、二〇〇六年度の中位推計というのが発表されたばかりです。それによりますと、二〇〇七年は、年央で六十七億人に、そして二〇五〇年には九十二億人になるであろうという新しい推計が発表されたばかりです。
 問題は何かと申しますと、一年間に七千六百万人が今でも毎年毎年増加しているということなんです。そして、その七千六百万人の九六%が開発途上国で起きているというところで、開発途上の問題というのと、その人口の問題というのが明らかになると思います。
 これは、合計特殊出生率、簡単に申し上げますと、一人の女性が一生涯で何人子供を産むかという数字です。日本は一・二六という数字が発表されていますけれども、これを見てみますと、どうしてアフリカがこれだけ人口爆発的に増えているのかというのがお分かりいただけると思います。ほかの地域と比べて、アフリカはこのTFR、合計特殊出生率が下がるのが約二十年ほど遅れています。
 そして、何が特に問題になってくるかと申しますと、この六十七億人の世界人口の中で半分に当たる人口が二十五歳未満の人口である。つまり、若い人口が世界の人口の半分を占めているということになります。
 これをアフリカと引き付けて考えてみますと幾つかの点が、ここに挙げましたけれども、申し上げられます。
 最初は、人口ボーナスという考え方です。これはアフリカだけではなくて一般的に申し上げられることですけれども、人口構造の変化、つまり人口転換が起こる。それは、多産多死から多産少死へ、そして少産少死にというふうに人口転換が起こりますけれども、その中で、一つの国でたった一回だけ起きる人口ボーナスというふうに言われています。
 それは何かと申しますと、扶養人口が非常に少なくて、そして働き手である労働人口が非常に多いという、こういう時期というのは一つの国で人口転換の中では一回だけ起こります。これは産業化、近代化の牽引力となります。六〇年代の日本が、そしてアジアのミラクルと呼ばれている国々がこの人口ボーナスをうまく使ってその国の成長を遂げてまいりました。
 アフリカに考えを及ぼしてみますと、こういった点というのを、つまり人口ボーナスというのが使い切れていない、又は使えるような環境になっていないというところが言えると思います。若い人口は非常に多いということです。若い人口が多いと、今度は職の問題、つまり雇用の機会が人口が増加するほどには増えていない、失業率が高くなっているということ。そして、アフリカではHIV、エイズの問題、望まれない妊娠の問題というのがありますけれども、こういったことを予防する保健医療のサービスに恩恵に浴せない人たちというのが増えてきます。そして、ここが特に若い人たちが多いということです。教育の問題を見ますと、やはりまだ七十数%しか初等教育が受けられていないというところが問題としては挙げられると思います。
 今日、スライド、パワーポイント作らせていただいていますが、今お手元にありますこのパンフレットもオレンジ色です。UNFPA、国連人口基金というのは、私たちのロゴ自体がオレンジ色なんです。オレンジって何の色かといいますと、若い人の色なんです。今、UNFPAとしては、若い人たち、アフリカで特に多いわけですけれども、若い人たちにどういったサービスができるのかということを中心に考えております。
 事例というところでライフスキル教育と書きましたけれども、これは、例えばタンザニアでライフスキルエデュケーションというプログラムがありまして、職業訓練とそれから保健教育とをパッケージにしたようなそういう教育なんですけれども、このライフスキル教育を受けた若い人たち、特に十五歳から二十五歳くらいの方たちを対象にしていますけれども、そうしますと、HIVの感染の予防ですとか望まない妊娠の予防のためにコンドームを使うか使わないかという調査をいたしまして、何の教育も受けていない人たちが三三%でした一方、このライフスキル教育を受けた若い人たちというのが五四%使用しているという結果が報告されています。
 人口問題というのは、ややもしますと忘れられがちなものなんですけれども、二つ大きな側面が開発との関係ではあると思います。
 一つは、国家の安全保障との関連です。急激な人口の増加や減少というのは、その国の安全保障を脅かすものにもなります。人口が急激に増えれば、人口圧力というものが増してきて、都市化の問題、そして国際人口移動という形が起きてきますし、また、急激な減少ということになりますと、少子化の問題ですとか社会保障の難しさというふうなことで安全保障との関連が出てきます。先ほど高橋参考人もおっしゃっていましたが、人間の安全保障というところでは、やはり個人個人が自分らしく生きられる、自分の生活を保障されて、そして自分らしく生きられる、人権の保障もあるというふうなところでの一人一人の人間の安全保障という問題にもかかわってまいります。
 そして、もう少し申し上げますと、開発を進めていく、貧困を削減するというときには基本的なデータというものが必要になります。人口の数を知ることというのは、開発を進めていく上で、例えばどの地域に五歳児の子供が何人いるから学校を幾つ建てなければいけないというような開発計画を立てていく上で重要な資料となります。そういう意味でも人口問題というのが重要になると思います。
 貧困削減を中心に課題として取り上げたものが、先ほどから申し上げられているようなミレニアム開発目標、MDGsです。ここはちょっと写真を見ながらどういった目標が八つあるのかというところを申し上げますと、一日一ドルの話は先ほどもうなさいましたけれども、現在でも十一億人の人間が貧困人口としてはいると。特にサブサハラ・アフリカ地域だけで貧困人口が増加しているということです。こうなりますと、この目標の一というのは、二〇一五年という目標達成年度までに達成が難しいのではないかと言われている目標の一つです。
 二つ目は、普遍的な初等教育、少なくとも五年、六年の初等教育は皆さんが受けられるようなことをしたい。
 目標の三というのはジェンダーの平等と女性の地位の向上です。これは、開発を進める上で今まで女性がなかなか発言をする機会がなかったというふうなことで、人口の半分を占める女性たちの力と意見を反映していこうということです。
 ここから、目標の四、これは子供の健康の問題、目標の五はお母さんの健康の問題、目標の六というのは感染症の問題ということで、目標四、五、六は保健医療の関連の問題です。
 目標七は環境の問題なんですけれども、この中にも、安全な水というところで保健医療との関連というのがございます。
 目標の八というのは、ただ単に開発を進めるというところでは、ODAだけではなくて、市民社会や私企業といったところ全員でパートナーシップを組んで進めていきましょうという話がされています。
 このミレニアム開発目標というのは、基本的な理念というのが人権に基づくものであることと、そして成果主義、どのくらいのインプットがあってどのくらいのアウトプット、結果が出たのかというところが問われるというところが新しいと思います。単なるキャッチフレーズ、キャンペーンというふうなとらえ方ではなくて、見直しを五年ごとにして、その成果がどのくらい達成できているのかというところを見ていくという点です。
 もう一つは、先ほど申し上げましたような保健医療の分野というのが三つ以上入っているというところです。これを受けまして、少し乳児死亡率など保健医療の指数を取ってみたいと思います。
 MDGs、ミレニアム開発目標では、一九九〇年のデータと比べるということで、それからどのくらい達成ができたのかということを見ていくわけですけれども、まず乳児死亡率について、バングラデシュでもかなり九〇年と比べますと半減しているということに比べて、タンザニアや南アフリカ、南アフリカは多少減っていますけれども、タンザニアでは増えているというのが現状です。同じことが妊産婦死亡率にも言えます。ここ、乳児死亡率、妊産婦死亡率ということでは、子供とお母さんが亡くなっているということなんですが、アフリカでなぜこういう傾向があるかと申しませば、やはりHIV、エイズの問題を抜きに語れないと思います。
 こういった死亡率が高くなるということを踏まえて、平均寿命、出生時の平均余命ですが、は減ってきています。アフリカの一つの国、ザンビアでは平均寿命が三十九歳というところまで下がってきています。これは、十年ほど前までは四十六歳だったというところを考えますと、かなり寿命が減っているということが言えます。
 これ最新のHIV、エイズのことについてのデータなんですけれども、HIVの感染者は四千万弱、推計ですから全く正しいというわけではないかもしれませんけれども、その中でサハラ以南のアフリカというところが非常に大きい数字を占めている。一方、女性のHIV感染者というのを見ますと、世界では四八%なんですけれども、サハラ以南のアフリカでは五九%が女性になっています。このように、貧困というものが社会的な弱者に最も影響を与えるということがHIV、エイズでも言えると思います。
 こういうことを踏まえまして、実は二〇〇四年なんですけれども、MDGsの保健分野に日本がどういうふうな貢献をしているかという評価がございました。外務省の有識者評価というものだったんですけれども、私もその一員として評価に参加させていただいています。そのときに、すべての一般無償に関してのプロジェクトを二〇〇一年から二〇〇三年までの三年間のものを検証いたしました。その結果がここにまとめてあるものなんですけれども、二〇〇四年のものだったのでちょっとデータは古いんですけれども、これを見ていただきますと二つの特色が見えます。一つは、目標の五、お母さんの健康についての支援がまだほかと比べると少ないのではないかという点。そして二つ目の点は、その他のところ、一般病棟など、リハビリなどというところで、つまりスペシフィックに子供、お母さん、感染症というところの支援ではなくて公衆衛生全般を上げるような、そういった支援がまだ多いということが言えると思います。
 もう一つ保健分野で言えることは水なんですけれども、水のところについて、アフリカで、セネガルとカメルーンで見てきたときのお話をさせていただきたいと思います。
 セネガルでこの共同水資源というのを造っているわけですけれども、これは技術協力と無償資金協力とが一体になって組み合わさって実施されるという大変効果的なものだったと思います。無償資金でハードの施設が造られ、技術協力で運営管理という体制をつくっていくということになります。
 アフリカでは、特に安全な水というのは重要で、世界的に見ても、六人に一人が安全な水が手に入らないという状況の中で、やはり保健医療の推進をする、保健医療のレベルを上げるという場合には、水、安全な水をなくして生活の改善というのはあり得ないということが言えると思います。
 もちろん、こういったところで出てきたことというのは、病気や流産が減っているとか、水くみから解放されているので学校に行けるようになったとかということがありますけれども、非常に重要だったと私が思いますのは、こういった施設というのを造るのは、簡単ではありませんが、できるんですけれども、その後の運営管理、維持管理というのが非常に難しいというところです。これはガバナンスの問題等も含めてなんですけれども、それを、住民の人たちが水の管理組合というのをつくって、自分たちで料金を徴収したり、それから維持管理をしているというところが新しかったと思います。
 同じことがカメルーンでも、住民参加型で水管理組合というのができ上がっています。この一つの井戸、大きな、ここを見ていただきますと輪がありますけれども、その輪を手で回すことによって井戸の水が上に上がってくるという仕組みで、非常に簡単な仕組みです。この一つの井戸で、この村では二千人の人たちが安全な水を飲めるようになったということが言われています。
 最後に、幾つか提案とお話をさせていただきたいと思います。
 国際協力、特に開発援助について、人口、保健、医療という面で世界的な動きとアフリカの状況を概観してきましたけれども、ここで重要なことというのは、地球規模の問題、HIV、マラリア、結核などの感染症ですとか、国際的に国境を越えて人口が移動するですとか、先ほど申し上げたような、若い人口が増えて職を求めて移動する、そういったことも含めた圧力の問題、そして頭脳流出というところまで行っています。保健、そのほかに環境保全ですとか気候変動とか、こういった問題というのは、今のようなグローバルな社会の中では日本だけは関係ないという形で他人事では済まされない、こういった地球規模の問題です。日本の安全保障にもつながってまいります。こういう点で、ODAによる支援というものが非常に重要になってくるのではないかと思います。
 これから少し具体的な提案をさせていただきたいと思います。
 貧困削減の担い手、プレーヤーと書きましたけれども、というのはもちろん開発途上国の政府であり、その国の人たちではあります。しかし、ここに支援国、ドナー国としてのODAの関係機関やNGO、これはローカルの開発途上国のNGOもありますし、国際的なNGOや支援国のNGOもあります。そして、企業、これも途上国にもありますし、支援国にもありますし、多国籍企業のようなものもございます。そして、今国連を始めとする国際機関などがありますけれども、まずこういったプレーヤーの間での協調というのが必要になってきます。特にNGOとの連携というのがこれからは求められるのではないかと思われます。NGOといっても、特に今途上国にあるNGO、これは日本のNGOとの連携を踏まえて途上国のNGOとの連携ということもあり得るともちろん思います。先ほど住民組織による水管理というところでお話ししたとおりですけれども、こういったNGO、住民組織の力ということはこれからの持続可能性との問題では重要になります。
 もう一つ事例を御紹介したいと思います。
 津波が起きましたときに、日本政府からUNFPAは五百五十万ドルの拠出金をいただきました。そのときのお配りしましたものをちょっと皆様に御紹介させていただきたいと思います。(資料提示)こういったバッグに入れまして、それぞれ個人用のキットなんですけれども、ここにフロム・ザ・ピープル・オブ・ジャパンというふうに書いて日本の人たちからの支援だというふうなことなんですけれども、中に何が入っているかと申しますと、こういったTシャツ、そして普通の履物、そして下着類、女性用の生理用のナプキン、そしてこういったシャンプーですとか歯磨きというふうなもの。これに加えて幾つかちょっと、二つほど皆さんに御紹介したいと思っているのは、これなんですね。これはイスラム教の、アチェ州というのはイスラム教徒が多かったので、これはお祈りをするときに敷くマットなんです。これがないとなかなかお祈りができないという、こういったところもありますし、それからもう一つ、この、ちょっとかぶらせていただきます。こういうふうになりまして、ワンタッチで髪の毛を隠せるようになります。イスラム教圏では女性は髪の毛が出ていると外に出られないんです。外に出られないと何が起こるかといいますと、すぐそこまで支援の物資が来ていたり水が来ていたり食料が届いていても、それを取りに行くことができないということなので、こういった文化的な配慮のある、何というんですかね、個人的に一人一人にお配りしたものなんです。これは二十三万キット、インドネシアで配らせていただきました。
 このときも、フラワー・アチェという、アチェ州に根拠地を置くNGOと一緒にこのキットを作ったわけですけれども、何が必要なのかということの洗い出し、そしてほかのドナーから何が来ているからダブらないようにするにはどうしたらいいかというふうなこと、そして配付から漏れている人がいないかどうかというふうなことも含めて、配付をきちんとNGOの方と一緒にさせていただいたということがあります。
 また、来年、先ほど来出ていますけれども、G8サミットや、TICAD、アフリカ会議が日本で開かれますが、このときにどういうことがあるのかと、支援として可能性があるのかということを幾つかリストをしてみました。
 最初は、前の首相がアフリカに対しての支援を倍増するというふうなコミットをおっしゃっていらっしゃいます。ですので、一度こういった日本がコミットされたことについては是非履行をしていただきたい、そうでないとなかなか日本の信頼にもかかわってくるのではないかというふうに思います。
 次の問題なんですけれども、これは戦略的なODAを考える上で一つ二つ今抜けている点があるのではないかということなんです。これは、ODA大綱という非常に大きな枠組みを示すものはできました。そして、それぞれの国に関しては国別援助計画というものもできています。ただ、そこをつなぐものというのがないんですね、中間のところを。できればイニシアティブというふうな形で中期的な戦略を示すような、そういったものを新しく打ち上げるということができるのではないかなと思います。
 よく目に見えるODA支援というふうなことが言われるんですけれども、見える援助というのは、そこに本当に目で見えて、ステッカーが張ってあるというふうなことで見えるというのも重要だとは思いますけれども、日本の援助が分かりやすいということ、これも見える援助としては大切だと思います。重要な分野を示すこと、五年くらいの時間的な枠組みを持って継続した支援をしていくこと、そして、コミットした予算を明示できるというふうなことを通して日本の援助の方向性というのを明確にできると思います。明確にすれば日本の支援、援助というのがはっきりと見えてくるのではないかと思います。
 時間的なこともございますのでちょっとあと幾つかはしょらせていただきますが、三番目の点というのは時間の枠組みというところなんですけれども、これは、どちらかというとあえて申し上げるという形になるんですけれども、単年度予算というのに対するチャレンジというふうに、一言で申し上げればそういうことなんですけれども。
 例えば、一つのことを実施するというときに、特にアフリカなどでは、時間設定した内容と時間設定の枠組みの中できちんと実行ができればいいんですけれども、アフリカではなかなかそういったことが今はできていないというふうなことも踏まえて、また開発援助というのは一年では解決ができないことが多い、継続性が非常に重要だというところがありますので、もし、使い切れなかった又は正当な理由があって使えないというふうなことについては、その正当な理由をよく吟味した上で二年度、次の年度に送るというふうなことが可能なのかどうかということなんです。
 下に書きました迅速性というところに関しましては、現場で見ていますと、日本の援助は、よく耳にすることはこういうことなんですが、日本の援助というのは決まれば着実にやってもらえる、ただ、決まるまでに時間が掛かり過ぎるという指摘がございます。こういう点からも、草の根無償というふうに大使館レベルで決められるものというのが非常に早い、時間的にも早い対応をしているというところで住民の方にかなり喜ばれているのではないかと思います。この意味では、途上国にある日本大使館の裁量の範囲というのがもう少し広がるといいのかなというふうな感じを持っております。
 アフリカ支援に向けて具体的なところというのは、やはり中小企業の振興ですとかマイクロファイナンスといったところによる雇用の創出ということだと思います。これは高橋参考人が先ほどもおっしゃっていたのでこれ以上申し上げませんが、アフリカの一人当たりの所得というのは一九六〇年当時よりも現在の方が低いということが言われています。
 五番目の点については、日本が比較優位性を持っていると言われている経済インフラの支援というのがあるんですけれども、そこにやはり必ず社会開発の視点を組み合わせてもらいたいということなんです。経済的な成長を促すという意味で、例えば高速道路なり主要幹線道路を建設するということは重要だと思います。しかし、その大きな道路に生活道路、例えば学校に行く道ですとか保健所や病院に行く道を一緒に整備をする、高速道路に組み合わさっている部分ということだと思いますけれども、そういったことの組合せを是非考えていただきたいということがお願いとしてあります。
 やはり、アフリカの支援というのは人を育てるというところ、これも先ほど来言われているので申し上げませんけれども、若い人が人口の数としても多い、ここにどうにか能力開発をしていかない限り、どんなに人口ボーナスがあったとしても経済的なテークオフというのは難しいのではないかというふうに思います。国際社会の一員として貧困削減というものに貢献をし、途上国の人たちの生活の質が改善されるようなODAというのが日本に求められていると思います。
 ありがとうございました。
○委員長(山崎正昭君) どうもありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑及び意見表明を行います。
 参考人に対する質疑及び意見表明を行う際は、御起立の上、御発言ください。
 参考人の方々の御答弁につきましては、各委員の発言時間が限られておりますので、簡潔にお願いをいたします。
 なお、御答弁は着席のままで結構でございます。
 それでは、順次発言願います。
○小泉昭男君 本日は、高橋参考人、池上参考人、大変お忙しい中、このような貴重な御指導を賜りまして、感謝申し上げたいと思います。
 既にお話にもございましたとおり、アフリカの人口、先ほど九億人って聞きましたが、大変な人口でありますけれども、その中で極めて憂慮すべきは、お話にございました平均寿命が低い、この原因は、貧困と飢餓と感染症のこの問題が大きなネックになっているということでございまして、私もアフリカの将来を考えますと、例えば鉄などのベースメタルに比べての埋蔵量が少ない金属、レアメタルですね、これでいきますと、クロムだと、これは世界で一番、四六・六%、バナジウムが四二・八、金鉱も三百四十一トン。こういうふうな、列記すればかなりの資源があるわけでありまして、先ほど能力開発というお話もございました、こういう見地からして、日本は知的財産かなり高度なものを持っておりますので、先ほどの食料、水、また医療関係のことに加えて、こういう見地からの指導も必要ではないかな、こんな気がいたしました。
 それと日本が、先ほどのお話の中でも、前総理の段階で、アフリカ年と言われる二〇〇五年ですね、このときに積極的に日本がイニシアチブを取ったというわけでありますけれども、この中で、当時、今後三年間アフリカ向けODAを倍増する、そして今後五年間のODAを百億ドル積み増しするという、こういうことを正式に日本が約束したわけでありまして、そのことについての見通しですね、参考人のお立場から見たお考えを教えていただければ有り難いなと、こういうふうに思います。
 それと、五十三か国ということでございますので、一国一票国連の投票権利をお持ちでございますので、これから日本が親密にお付き合いすることによって、日本との友好関係、そういうものの中で、将来日本も常任理事国をなるべく早期に実現したいという、こういう立場にございますので、そういう見地からも、アフリカというのは、日本のみならず諸外国から見てもかなりウエートの高い、将来的な影響力を持っている国じゃないかなと、こういうふうに思うところでありますので、この辺についてもお考えもし伺えればと思います。
 それと今、先ほどエイズの感染のお話ありました。これは世界で、まあこれは近々の数字ではないわけですけれども、資料によりますと、世界の感染者数が約三千八百六十万人いると言われておりますけれども、この世界全体の六〇%がアフリカ諸国に発生しているという、こういうことを資料で知りまして、世界では一番発生している人数とすると、インドは五百七十万人と言われていますから、アフリカの五百五十万人はそれに次いで大変な数だということでありますので、このエイズ対策を含めて考えられること、これ先ほど池上参考人からもお話しいただきました。
 こういう中でトータルとして考えるのは、今申し上げたほかに、日本のODA実績の対GNP比、これで援助額を見てみますと、大体約束をした、国連総会ですね、一九七〇年、約束したときに、〇・七%確保しようじゃないかと、こんな話があったわけでありますけれども、これ今クリアしているのはノルウェーとルクセンブルク、デンマーク、スウェーデン、オランダ、五か国でありまして、ポルトガルは〇・六三でありますからちょっと欠けているわけでありますけれども、日本はもう最下位の方でありまして、日本よりもっとひどい国はアメリカでありますが、これも日本としても努力していかなくちゃいけないんじゃないかなと、こういうふうに思います。
 日本の第二次世界大戦以降の戦後の復興については、戦勝国であったアメリカも積極的に日本の経済援助をしたわけでありますから、日本が、トヨタを含めて海外に進出する会社、そしてまた能力的にすばらしい企業が世界に活躍しておりますので、こういう部分からももっと日本の努力が必要ではないかなと、こういうふうに思います。この辺のところについてもお伺いできればと思いますが。
 あと、世界全体で見ますと、海水の量というのは三十四億七千万立方キロメートルというすごい量だそうでありますけれども、陸上に降る雨の量は十一万立方キロメートル。これ考えますと、真水の量というのは本当わずかだと思うんですね。こういう中で、真水でなければ作物も育たないわけでありますから、これから世界は真水と食料とエネルギーの争奪戦に入ってくるような気がいたします。もう既に入っている感がありますけれども。
 こういう中で、すべての人類が平和とそして生活、一般的な生活を享受できるような、こういう枠組みのために、やはりODAを通じて援助のみならず国際的な役目を日本も果たしていくべきじゃないかなと、こんな気がいたします。
 意は尽くせませんが、その数点についてお考えをまず伺っておきたいなと、こういうふうに思いますので、よろしくお願いいたします。両参考人、お願いいたします。
○参考人(高橋基樹君) 小泉先生、ありがとうございました。
 まず、レアメタルのことでありますけれども、例えばお話になかったものでもプラチナといって女性、女性だけではないですが、喜ぶものがありますけれども、工業製品としても非常に原料として重要なものですが、日本は八割をアフリカに輸入を頼っております。その他、非常に重要な戦略資源がアフリカから日本に参っている。このことをやはり効率良く利用をしていかなければならない。そのときに、マータイさんがもったいないという言葉に感動したということですが、日本の技術の利点というのは、常に節約して使うようにする、効率を良くするということであります。
 いろんなときにODAでということになるんですけれども、私考えましたが、そういうときのノウハウというのは大体において民間の方が持っておられるので、もっと日本の民間企業をアフリカに出ていきやすくする、あるいはアフリカとの関係を強くするという働き掛けが必要に思います。私は、ODAは貧困削減にもっと特化すべきだと思いますが、それ以外のツールというのをたくさん作っていくことが必要ではないかというふうに考える次第でございます。
 それから、百億ドルの積み増しと倍増という国際公約、池上参考人がおっしゃったとおり、これを満たさないと日本は恥をかくことになる。しかしながら、一般会計の縛りというのが大変苦しく利いておりまして、これを私としては打ち破っていただきたいと思います。このことをあらかじめお答えしますが、GNP〇・七%を達成、全くしていないということも大きくかかわっていることでございます。これは、やはり国会の日本国民のリーダーの方々が国民のコンセンサスをより強くつくるということをしていただかなければ打開することのできない制約なんだろうというふうに思います。しかし、非常に日本としては国際的な名声が一つリスクがあるところに来ているということを是非お考えに入れていただきたいと思います。
 それから、常任理事国入り、極めて重要な外交課題だというふうに理解をしておりますし、アフリカの票というのが重要であることは間違いないんですが、私は、そこで必要なのは、日本が常任理事国入りを果たして、それでアフリカにとってどういうように国際秩序が良いように変わるのかということをはっきりアフリカにメッセージとして送る必要があるというふうに思います。なぜ常任理事国入りをしなければならないか。
 そこで、日本は一つに、ベルサイユ会議のときに初めて反人種差別の条約を提案した国でもありますし、はっきり言いますと、植民地支配について一国の元首がきちっと公式に謝った国というのは、私、国際法専門ではありませんけれども、日本だけではないかと思います。そういうことはアフリカにとって極めて価値的に、価値観的に大きな意味がある。そういうことをもう少しアピールする必要があるのではないか。ただODAをばらまいてお金で票を買うということでは、アフリカの心は得られないというふうに私は思います。
 それから、エイズの対策なんですけれども、これにおいて非常に重要なことは、エイズの治療をするにはまだまだ大変なお金が掛かります。南北において、先進国とアフリカにおいて命の値段は同じではありません。アフリカの人の所得にすると物すごく大変なお金が掛かります。ここに一つかかわってくるのが知的財産権との関係でございまして、これをどのようにつなぐか。WTOの中でも非常に真剣に議論されているわけですけれども、日本としても熱い関心を持っていただきたい。
 もう一つエイズにとって重要なことは、ケアでございます。既に発症された患者の方、この方々を偏見に直面させずに社会が守っていくという体制をつくっていくことが非常に重要でありますが、これが患者の方、キャリアの方の自覚というものも含めてなかなか対策が行き届いていない。やはり、政府の弱さというのがそこにございまして、国際社会の知恵による支援というのがとても重要だと思います。
 〇・七%については、先ほどのことでお答えに代えさせていただきたいと思います。
 最後にちょっとこれを見ていただきたいんですが、(資料映写)お水のことが出ましたけれども、ピンクが日本の食料輸入の推移を示しておりまして、黄色が中国とインドなんです。九〇年代の半ばまでは、中国とインドの食料輸入というのが日本を追い越す勢いで増えていた。ところが、中国、インドの中で食料生産というのがそれなりに追い付いてきて、このときにはレスター・ブラウンという人が、だれが中国を養うのかということを問題提起をいたしましたけれども。
 私の資料の後ろの方に載っておりますが、今、日本の食料輸入世界一の地位を脅かしつつあるのはアフリカ大陸であります。アフリカこそが、生産力の低さと人口増のためにそのギャップを自分で埋められず、食料輸入をどんどん増やしております。これは、決して直接ではありません、日本は非常に外貨を稼ぐ能力がありますので直接ではありませんが、将来的に非常に国際市場に依存度の高い日本の食料市場に対する攪乱要因になってくる可能性がある。先生御指摘の非常に大きな問題、資源の間接的な競争、奪い合いというのはここで表われている。
 日本は何をすべきか。私は、一個しかないと思います。それは、アフリカの食料自給能力を高めることに協力することであろうと思います。
 アフリカではまだまだ水が無駄にされています。こういうことに、水を大事に使ってきた日本人、もちろん環境が全く違いますけれども、知恵を編み出して協力していくことに一つの価値があるというふうに思います。
 以上でございます。
○参考人(池上清子君) 御質問ありがとうございました。
 既に高橋参考人が随分お答えになっていらっしゃるので私は幾つかだけ申し上げたいと思いますけれども、百億ドルの積み増しということについては非常に微妙というか、できるかできないかの問題よりもその中身をしっかり見ていくということが重要かなと思っています。
 それは、真水の百億ドルなのかそうでないのかという点なんですね。いろいろ既にあるものを集めて百億ドルにするということを多分アフリカの方たちは期待していないし、考えていないんではないかなというふうに思います。
 それから、HIV、エイズにつきましては、先生おっしゃられたように、HIV、エイズと食料、それから水、この辺が非常に難しいアフリカにとって緊急な課題ということなんですけれども、特にHIV、エイズというのは命をすぐ奪うという意味で治療薬ありません。ARVという薬はありますけれども、これは間接的に白血球の数が少なくなるのを抑える薬ですので、最終的には死に至るということは変わっていないわけです。
 今アフリカでやらなければならないことというのは、コストエフェクティブというか、費用対効果を考えたときに、やはり予防教育だと思います。かかってしまう、つまり感染してしまうと、今度は、栄養状態が悪い、体力がない、免疫力がないという状況ではほとんど二、三年のうちで亡くなってしまうということが多いので、一方、アメリカとか日本のように非常に栄養状態が良い、免疫力があるという場合には十年、今十五年以上生きていらっしゃる方、感染した後も生きていらっしゃる方もいるという報告があるぐらいですけれども、アフリカはそういう状況ではないということを含め、それが一。
 それからもう一つは、ARVという薬は非常に高い。これを途上国に対しての安くパテントを取らず知的財産のチャージをしないでアフリカ又は開発途上国に出すということが認められてはいますけれども、そういうことがずっとずっと長く続きますと、今度は新薬の開発というところに企業側がちゅうちょするようなことも出てくる可能性があるということもあって、やはり今のアフリカで一番必要なことというのは、どのように自分の身を守って予防するのか、感染予防ができるのかという、ここは正に教育だというふうに思います。
 そして、最後にもう一つ。日本の協力という形ですと、一つ具体的な事例申し上げたいんですけれども、マラリアの対策としてベッドネットというのがあります。寝るときに、夕方からの蚊に刺されてマラリア感染死するということが多いわけですけれども、その寝ているときに蚊に刺されないように、昔の日本の蚊帳みたいな中に入って寝るんですけれども、そうしますと、薬品を蚊帳につけて、浸して、そして蚊が来ないような形、又は蚊がその蚊帳に触ったら死んでしまうようなそういう薬がもう既に開発されているんですね。それが普通は六か月ごとに薬品につけないと薬品の効力がなくなってしまうんですけれども、これは日本の某化学会社が開発しまして、五年間有効という、こういうベッドネットがあります。高いんですよ。半年ごとにつける薬よりもずっと値段的には高いんですけれども、五年間そのまま使えるという意味でいうと、どちらがコストエフェクティブなのか、費用対効果が高いかというふうなことを言うと、私は五年間有効なものがいいのではないかというふうに思います。
 という意味で、やはり日本の技術というのはかなり進んでいますので、こういったところ、日本の企業が持っているノウハウをアフリカの支援というところにも、そして、ただベッドネットをそのまま提供するのではなくて、アフリカの中でそういったベッドネットが作れるようなそういう技術を伝えていく、又は薬品を、これも知的所有権の問題があるかもしれませんけれども、そういったところを考えながら、考慮しながらアフリカにも技術移転していくということが重要かなというふうに思います。
 ありがとうございます。
○小泉昭男君 大変分かりやすくお話をいただきまして、ありがとうございました。
 私の友達の友達なんですが、世界一周やった人間がいまして、自転車で、五大陸、四十二か国、大変な年月掛けてやったんですが、一番最初に行ったのがアフリカだったんですね。そのころはエボラ出血熱の猛威が振るわれていた時期でありまして、日本の医療というのはどのぐらいすごいものかというのを感じたと言っていました。十数本の予防注射をやっていって、エボラ出血熱の物すごいところを旅したときにはもう自分は死ぬと思ったらしいんですが、物すごいその予防薬の効果というのを感じたと言っていました。ただ、世界を歩いてみて、風が物すごく強いところ、そして日照りの強いところ、そして水がないのにクウェートみたいに道路がいいところ、そういうふうなところをずっと歩いてみて、日本の技術力だとか日本人の持っている粘り強さ、知恵、これを世界にもっと発信できないか、こんなことを帰ってきて私に伝えてくれました。これからいろいろな意味で日本のやらなきゃいけない仕事というのは増えてくると思うんですが。
 それと、私、以前カンボジアに入ったことがあるんですが、カンボジアで現地の人、現地ガイドが言うに、説明するのに、頭コンクリート、腹冷蔵庫、○○パチンコ、おしりゲーリー・クーパーって、○○のところは言えないんですが。頭コンクリートというのは、もう本当に教育者もポル・ポトで殺された時代でしたから。そして、腹冷蔵庫は一日二時間ぐらいしか電気通らないと。そしてあと、○○のところは同族結婚が多いと。そして、おしりゲーリー・クーパーは水が汚いと、こういうことでありまして、私も現地で本当に水の汚いおかげで二日間下痢に遭いました。
 こういうことを考えてみまして、今アフリカの一部地域はもっとひどい状態じゃないかな、こういうふうに思います。これから私どもも議員の一人として、世界のそういう恵まれない、日の当たらない地域に対しての勉強をもっと研さんしていきたい、こういうふうに思っております。
 ありがとうございました。
○富岡由紀夫君 民主党の富岡由紀夫でございます。
 今日は、両参考人に貴重な御意見をちょうだいいたしまして、本当にありがとうございます。
 まず、お二方にそれぞれの立場からお伺いしたいと思います。
 先ほど高橋参考人、池上参考人からお話ありましたけれども、アフリカのこういう非常に貧困に苦しまれている人たち、病気に苦しまれている人たち、こういう人たちを救うのはやっぱり人道的観点から、人間として、やっぱり外交戦略とかそういうのを云々にして、やはり必要な部分があろうかなと私は思っております。ただ、さっきいろいろ意見の中でも出ましたけれども、日本のやっぱり国家予算というものも厳しいのが現状でございますので、そことの兼ね合い、国民の理解をどうやって得るかというのが必要な問題、必要な大きな重要なテーマだと思っております。
 ですから、私は、もっと国民に、テレビなりいろんなメディアを使って、アフリカで本当に苦しまれている人たちがこんなにいるんだと、こういう窮状にあえいでいる人が一杯いるんだということをもっともっと日本の国民に知ってもらう必要があるんじゃないかなと思っているんですね。そうすれば、人間としてだれかが救わなくちゃいけないと、そうなったときに、日本は何だかんだ言ってもまだ世界第二位の経済大国でございますから、この日本がやらないでだれがやるんだという気概を持って、国民の理解も私は徐々に得られるような形に持っていくのが私も含めて政治家の役割であるし、皆さんがその現場と、いろんなそういった人たちを輩出されている立場の人たちの共通の役割だと私は思っておりますので、そういった観点で、まだまだ課題が多いと思いますけれども、どういうことを更に取り組んだらいいかということをまずお伺いしたいと思います。
 それと、あと、先ほどアフリカの食料の自給率の問題がお話ありましたけれども、私もあるテレビでドキュメンタリーで見ましたけれども、アフリカが本当に食料輸入国になってしまっているということでございます。貧困をなくして経済的自立をそういう後開発国が、開発途上国がやるためにはまず農業基盤、食料の意味からも、食料自給の意味からも農業基盤、農業の産業としての農業が確立しないといけないと思うんですけれども、なかなかそれができない。海外から、しかもそれが先進国から食料品が輸入されていると。先進国は輸出補助金を付けたり自国の農産業に補助金を出したりして、結果的には安い農産物がアフリカ諸国に入ってしまっているといった報道もございました。また、WTOのいろんなかさを着せて経済の自由化を先進国が迫っているんだといった報道もありました。
 今、アフリカ諸国は、そういった政治的には国際的なグローバル化という名前の下で自由主義経済の中に組み入れられて、関税もいろいろと下げられたり、いろんなそういった側面があろうかと思っています。アフリカのこの自立に当たって、経済の自由化というものが本当にうまくスムーズに機能できるのか。要するに、もう前提として、開発途上国というのはもう最初から不利な初期条件の中で競争、世界のグローバル化したマーケットの中で競争をさせられるというのはこれは甚だ最初から無理な話でございますので、そういったところをどうやって考慮したらいいのかといったところもお話しいただければというふうに思います。
○参考人(高橋基樹君) ありがとうございました。
 非常に重要な問題かと思います。国民の意識を変えるというのは大変おこがましい言い方でございまして、私はどちらかというと、国民一人一人の中には、御自分の生活で大変苦しく、目先のことでやっぱり政府が助けてくれたらいいと思うようなところもあれば、同時に海の向こうの非常に気の毒なことに思いを致す、そういう両方の面を持っているのが普通の方々ではないかと思います。
 私、アフリカに最初に行ったのは二十七年前でございますが、そのころはもううちの祖母などは、もうどこか何か地獄の果てにでも行くような感じで思っておりました。しかし、うちのゼミ生などはもう女性を先頭にどんどん気軽に出掛けてまいります。これも円高のおかげかと思いますが、同時に、世界に対する視野というのが非常に広く広がってきている。これは日本にとって非常に大きなチャンスであろうかと思います。
 その中で、先生おっしゃったとおり、アフリカに気の毒なことがあるのはもうそのとおりでございまして、例えば都市のスラムに行って、カメラを持ってちょっといい格好をしていると子供がたくさん集まってまいります。本当に楽しいんですね。一緒に写真を撮りますと、いい写真が撮れます。ただ、思うんですが、その生まれた子供たちの五人に一人、スラムですから衛生状況悪いので、場合によっては四人に一人は五歳まで生きられないという状況がある。こういうことをよくよく我々は中学、高校辺りから開発教育ということで教えていく必要があるのではないか、これは私が強く思うことでございます。その点では、やはり教育研究機関の中で一番新しく知見を開拓していかなければいけない大学院の教師の力の足りなさというのを非常にしみじみ思うところでございます。
 同時に、もう少しメディアの方にも勉強をたくさんしていただきたい。そのように、アフリカが非常に悲惨なところばっかりある、その問題に取組があるということが報道されないんですね。一つ、飢餓観光という言葉がございます。あるいは大飢饉があると、サイトシーイング、観光のようにメディアが出掛けていって、物見高いいろんな人を連れていって見せて、これがアフリカの全体であるというイメージを言ってしまう。これでは多分、本当のアフリカのイメージというのは、もちろん非常に悲惨な、世界の最も悲惨なことを伝えることは必要なんですが、それだけではアフリカの抱えている問題の難しさというのは分からないんだろうと思います。非常にショッキングなことを知らせることも重要でありますが、同時にアフリカの問題をもっと立体的に構造的に知らせていく、教育をしていくということが中学、あるいはもしかしたら小学校辺りからの教育で重要であり、日々のメディアの報道で必要のように思います。
 さて、農業基盤の話がありました。全く我が意を得たりでございます。アフリカの今後の発展のためにはまず農業、これを浮上させなければいけない。
 この中で、御指摘のとおり、先進国からの食料援助、これは非常に役に立っているように見えて、実はアフリカにとって役に立っていない面がある。というのは、たくさんの食料を持ち込んで、これを飢えている人の口に、開けている口にそのまま運ぶわけではございません。やはり市場で売るわけです。何が起こるか。アフリカのそれぞれの国の国内市場で食料の値段が低下します。もう言うまでもなく、そこで起こることは生産者の方々、アフリカの生産者の方々のインセンティブが阻害されてしまうということであります。
 今、援助の最先端で取り組まれているのは、それだけのお金を使って先進国から食料を運ぶのであれば、同じお金を現金で困っている人に渡す。まあ日本人にはちょっと抵抗のあるやり方かもしれませんが、そうすれば国内の生産者から食料を買うという回路が開かれます。こういうことがなかなか日本のメディアなり研究の場でも余り話されませんので大変残念なことに思っております。
 もう一つ、日本として是非とも必要なのは、やはりアフリカから少しずつ出てきています有望な輸出製品、これに対する市場、これをほかの先進国と同じように扱うのではなく、やはり優遇して買っていただければ、これは既にクリントン政権下のアメリカであるとかEUがやってまいった政策でありますけれども、是非ともそういう形でアフリカの生産者、額に汗をして働いている人たちに機会を与えていただきたい、このように思います。
 以上でございます。
○参考人(池上清子君) 御質問ありがとうございます。
 三つほどお話ししたいなというふうに思いますけれども、確かに今ODAに対しての私たち一般の、私たちというか皆さんはそうではないんですけれども、例えば娘のような世代の理解というのは非常に難しいというか、ないと言った方がいいのかもしれないんですけれども、それについての説明責任というのはもちろんあると思います。
 ただ、その説明責任のやり方というのは幾つかあると思うんですけれども、先ほど高橋参考人おっしゃられたのと同じことなんですが、例えば皆さんに事前の資料として開発途上国の妊産婦の死亡率が全く下がっていないと、逆に上がっているところがあるんだということを、先日、NHKの「視点・論点」というところで話をさせていただいて、その原稿を事前に資料として配らせていただきました。
 実はその放送のときに、娘と一緒にそれを見ていて、娘の友達からその返事が来るんですね。それを見て、いろんなコメントが入ってくるんです。私は私なりにできることを伝えたいと思って話をしてきているんですが、いやアフリカ、いやアジア遠いよねという、そういうコメントが、娘二十五歳なんですけれども、そこの世代の人たちから入ってくるんですよ。そうすると、すごい私はがっかりしてしまって、何が問題なんだろうか、若い人たちは確かに全部自分が欲しいものがある程度入るような時代に育った、私が育ったときと違う状況で育っているというふうなこともあるかもしれませんけれども、途上国に対して、又は自分の国以外の国に対する理解というのが余りにも、又は想像力が乏しいのかなという気がしたんです。
 それで、そのときに思ったことというのは、イギリスで、これ直接ODAとは関係ないんですけれども、ODAの理解を促進するという一つの役に立つかなと思って申し上げるんですが、ギャップイヤーというのがありまして、一年間、大学や専門学校に入る前の一年間を何をしていてもいい。つまり、高校を卒業してすぐ大学や専門学校に行かなくても一年間はいいというのがギャップ、その間のギャップがある、それを認めるという意味でギャップイヤーというシステムがあります。
 そうしますと、イギリスの若い人たちはそのギャップイヤーを使って何をしているかといいますと、自分のおじさんやおばさんがいる開発途上国に行ってみたり、友人と何人かで隣のヨーロッパの違う国に行ってみたりとか、様々な体験をするんですね。そういうことを通じて自分の国でないところがどういう状況かということを理解する、体験するということが可能な教育制度になっているんです。
 ですので、実は私は文科省の方にも何回もギャップイヤーというのは一つの方策ですから是非取り入れてくださいというふうにお願いをしてきているんですけれども、なかなかまだそれができていないんですが。そういった方策というのは、説明責任を受取側として説明をどう理解できるのかというところを上げていくというのに役に立つかなというふうに思います。
 二番目の点なんですけれども、これは日本の国内の問題を考えてみますと、少子高齢化ということで、好む好まざるにかかわらず海外からの労働力に依存しなければいけない社会というのがついそこまで来ていると思います。
 そうしますと、一番最初は日本の国内にいる女性が家庭に入っているという、その女性たちに少し社会に出て活躍してもらいたいというところが一つありますし、高齢者の方たちのまた再度いろいろな形での労働というか仕事というのもあると思うんですが、少なくとも海外からの労働者の方が入ってくる、つまり国際人口移動というのがある。
 そうすると、今の国際人口移動として多くの方が日本に入った場合、日本の受入れ体制というのはまた全然できていないような気がするんです。それはやはり原因は何かというと、説明責任というのもありますけれども、逆に外に対しての理解というのがまだ根付いていないのではないか。共存するという形の理解、特にそこが欠けているのかなというふうな気もいたしますので、やはりこれは説明責任と同時に受取側の一人一人の意識をどう変えていくかというところも重要な点ではないかなというふうに思います。
 三番目の点ですけれども、アフリカの場合、確かにマーケット、市場経済に乗らないというか、それに、市場経済に乗っていることによってマイナスというふうなことも多々あると思うんですね。
 その対応策として、先日ノーベル平和賞ですか、ノーベル賞をいただいたユヌスさんというバングラデシュの方がグラミン銀行というので経験がございます。これグラミン銀行だけではなくてマイクロファイナンスというふうな形でまとまっていると思いますけれども、そういう形で、資金をマイクロファイナンスという形で皆さんに使えるような形、信用供与ができない人たちに信用供与なしでもお金が借りられるという状況をつくっていって、一人一人が自分のお金をどうやって稼いでいくのかという認識をアフリカの村レベルで一人一人が持つというところにも支援ができるのではないかなというふうに思います。
○富岡由紀夫君 どうもありがとうございます。
 次に、また両参考人にお話伺いたいんですけれども、我々がODA等々でそういったアフリカの貧困にあえいでいる人たちに援助をするわけでございますけれども、通常、窓口としてその国の政府が一義的には窓口になろうかと思うんですけれども、ただ、その政府が本当に機能している政府なのかどうかというところはアフリカの場合はよく見極めないといけないんじゃないかなと思っているんです。独裁政権もあれば、いろんな民族紛争を抱えたところもあれば、優秀な人が海外に行っちゃって勉強はしたはいいけど戻ってこなくなっちゃったとか、そういった形で非常に、やや機能として本当に十分果たせるかどうか疑問なところがあるわけでございますけれども、そういったところに対して我々の日本の行政としてどういうふうに対応していったらいいのか。先ほどお話ありましたけど、草の根の現地のNGOの人たちといろいろ協力するとか、要は政府を通さないで、その国の政府を通さないで直接草の根のいろんな支援をやるという方法もあるのかどうか、そういったところもちょっと教えていただければというふうに思っております。
 あとそれと、先ほど人道的観点からやっぱり支援は必要なんだと、そういう観点からの支援も必要なんだというお話をさせていただきましたけれども、とはいってもほかの国が、援助をする国がやっぱり外交戦略という位置付けでやってきているところもあろうかと思うんですね。
 先ほど、一つの国に一杯、援助をする国が一杯殺到しちゃっていてはんらんしているというお話ありましたけれども、そうなってきたときに本当にその援助国同士でうまく話合いが持てるのかどうか、協調ができるのかどうかと。中国なんかも今盛んにアフリカに戦略的なODAというか援助、支援をしているという話もこの調査会の中でもいろいろと勉強させていただきましたけれども、そういったところとさっき言ったような人道的な観点でやっている国との調整というのがどうやったら付けることができるのか。そういった観点で、その辺のところをお話しいただければというふうに思います。よろしくお願いします。
○参考人(高橋基樹君) ありがとうございます。
 政府が機能していない、これは非常に厳しい現実でございますけれども、アフリカの多くの国はそういった状況があると認めざるを得ません。そういう状況を前にしたときに、私どもには幾つかの選択肢があろうかと思います。
 その選択肢を申し上げる前に一つ申し上げておかなければならないことは、サハラ以南のアフリカに四十八の国がございますが、すべての国が同じように脆弱なわけではございません。例えば、日本の主要援助対象国であるタンザニアのように、独立以来、平和を維持し、どちらかというと難民の庇護国として大きな役割を果たしてきた国もございます。その中では、大学も発達し、官僚制というか行政機構もだんだんと根付きつつある、こういった国から、ほとんど国家が崩壊状態に陥ってしまって、お巡りさんや軍人と見れば泥棒のような状況になっている、そういう国もあるわけでございます。
 つらいことでありますが、どちらを助けなきゃいけないか。人道的観点といえば、それは後者の方になるかと思います。しかし、そういう国に貴重な国民の税金を大量に注ぎ込んでも恐らく効果は薄い。我々は、まず第一に、それなりに頑張っている国というのを選択せざるを得ないという非常に厳しいジレンマを乗り越える必要があるかと思います。選択というのはまずここでしなければならない。
 次に、重要なことは、そういう国を選んだ上で、やはり例えば日本のように千年以上の国家行政機構の歴史がある、そういう国家とは違いますので、様々なことをこれから国家建設としてやっていかなければいけない。我々はそのことをよく理解してさしあげる必要があると思います。例えば、個人所得税はほとんど取れてない国ばかりでございます。そうすると税収基盤が弱くなり、当然援助依存をせざるを得ない。こういうところをどうやって打開していくか、自立のためには何をするか、そういうことを根本的に一緒になって考える、そういうことが重要になると思います。
 それから、草の根とかアフリカ・ビレッジ・イニシアティブといって、末端に届く援助というのは非常に重要なのですが、短中期的には私はそれはあるべきアプローチだと思うんですけれども、やはりODAというのは最終的には相手の国の政府が中心になって自分の国の地域社会、草の根のことを自分で面倒を見れるような体制をつくっていかなければいけない。多くの場合は、援助機関が政府行政機構をバイパスして直接に相手の草の根の面倒を見てしまうと、その国の政府行政機構の怠慢を招くことになります。これは、援助が開発を代替してしまう、差し替えてしまうという、代わりになってしまうという言い方を我々しておりますが、長期的な形としては、やはり相手の国の組織のキャパシティーをつくっていくという発想が私は重要になるというふうに思います。
 外交戦略については、先ほど申し上げたとおり、ODAだけではアフリカとは付き合えないということをまず最初に申し上げておきたいんですが、一つお隣の大きな国、中国との関係について申し上げたいと思います。
 ここにノルウェーという小さな国がチャイナ・イン・アフリカというスタディーをある研究所にさせたレポートがございます。できれば日本もこういうアフリカにおける中国というレポートをきっちりと作ってやっていただきたい。アジア経済研究所などで中国と交流するという、そういう試みはあるようですから、是非御支援をいただきたいと思うんですが、読んでおりますと、やはり中国は背に腹は代えられず、資源が足りないので必死になっているという面もあるように思います。
 そして、ヨーロッパで非常に疑念がありますのは、中国がワシントンやパリでつくられている現先進国の中のコンセンサスを崩すことをねらいとしてアフリカにチャレンジしているのではないか、アプローチしているのではないかというふうに思われるんですが、多分そこまで中国というのは非常に大きなデザインでもってアフリカを今後どうするかというようなことを考えていると、私は必ずしもそうは思いません。むしろ、そこを崩してしまって先進国全体と援助競争をすることに中国は果たして関心があるかどうか、非常に疑問であります。むしろ、日本は中国と西側の国々をつなぐ微妙な位置にある。そこで日本自体の難しさもあるわけですが、私がヨーロッパの友人に言っていますのは、日本こそがそれを生かせる立場にあるので、私は東京の方々をそのように、頑張るように説得したいというふうに言っております。
 同時に、もう一つ考えなければいけないのは、韓国その他のアジアのドナーです。彼らもアフリカのことを考えています。そして、中国もそうですが、調和化、援助のハーモナイゼーションというところに中国も韓国もサインをしております。一緒にやろうということになっているわけで、枠組みとしてそれを崩してしまうというわけではないわけであります。日本としては、むしろそれぞれの現場において、あるいは国際場裏において中国を国際的なコンセンサスの中にうまく入ってきてもらうように呼び掛ける、微妙なスタンスを生かすことこそ日本の外交的利益になるように私は思います。
 素人の考えとして聞いていただければ幸いでございます。
 以上でございます。
○参考人(池上清子君) ありがとうございました。
 政府の機能ということについては、おっしゃるとおり、やはりガバナンスをどういうふうにするかというところがすごく重要だと思うんですけれども、その場合、日本のODAでどういうことができるかというふうに考えを進めてみますと、日本が持っている地方自治の能力というのはかなり高いのではないかなと世界的に見ても思うんですね。そうしますと、地方行政体の中で、例えば国際協力というふうな形でそういった、さっき出ました税制の問題もそうでしょうし、それからもうちょっと、計画をし、実行し、それを評価するというふうな、そういった行政のプロセスなどを伝えていくという専門家みたいな形でアフリカに対応していくということは一つ可能だと思うんですね。ただ、やはりなぜその行政能力が弱いかというところはもうちょっと別のところに理由がありそうなので、そちら、つまりもっと言えば貧困の問題と関連してくると思いますので、そこを根元を絶たないと、グッドガバナンスだけをどうこうしようというふうに言うのはちょっと難しいのかなという気も一方でいたします。
 二つ目の点ですけれど、それに関連して、ローカルなNGOとの連携を私はしてほしいというふうに申し上げました。アメリカは、特に保健医療の分野ではほとんどの国で政府をバイパスして市民社会のNGOに直接お金を出しています。そうなった場合、NGOのところではかなりノウハウが積み重なっていくんですけれども、NGOが例えば連合体になったとしても行政と同じことはできないんですね。ですから、広く浅くという行政と、NGOが実際にしている点で、ですけれども非常に深くという、その両方の組合せができるような、そういう援助にNGOに対する援助というのもやっていくのがいいなというふうに思います。
 最後の中国やインドの話なんですけれども、やはり援助協調の中で、中国やインドの情報開示というのが非常に遅れているために、何をしているのかというのがほかのドナー国に分からないというのが状況です。そうしますと、あるとき突然情報が入ってくると、ええ、中国やインドはそういうことをしていたんですか。とすると、ダブりを防いだり、それから途上国の国として抜けている部分というのが見えてこなくなってしまう、これが開発にとって非常にマイナスになってきているというのが現状だと思います。
 何ができるかといいますと、さっきもお話出ましたけれども、国際的な情報交換の場、ドナー会議などにもうちょっとしっかりインドや中国が参加できるような、そういった外交努力というのをしていただく、国連機関などを通してもそういうことをなるべく伝えていくというふうなことができるかなというふうに思います。
○富岡由紀夫君 時間が来ましたので、これで質問を終わります。ありがとうございました。
○浮島とも子君 公明党の浮島とも子です。
 本日は、両参考人に本当に貴重なお時間をいただき、貴重な御意見をお伺いして、本当にありがとうございました。
 私の方から二点ほどお伺いをさせていただきたいと思います。
 両参考人にお伺いをさせていただきたいんですけれども、今後、日本がアフリカのODAを行っていく上で重点とすべき点は、アフリカの文化そして風土に合った支援を行っていくべきではないかと私は考えているところでございますけれども、例えばアフリカで近代的な農業支援、これが本当に有効的なのか、効果的なのかというところと、低コストでも成果を上げている、成功しているNGOなどの農法もたくさんあると伺っているところでございますけれども。
 そこで、今後のアフリカのODAを考えていく際に、アフリカの文化や風土に合ったODAを進めていくべきであると考えているところでございますけれども、両参考人の御見解をお伺いするとともに、どんなことが可能で、できるかということをお伺いさしていただきたいということが一点でございます。
 そして二点目は、先ほども池上参考人の方からございました、私もこの資料、「視点・論点」の資料を読ませていただいたんですけれども、この中に書いてありましたリプロダクティブヘルスが本当に社会の価値観や文化と深く関連していることを改めて感じさせていただいたところでございますけれども、そこで、この分野で日本が貢献していくに当たり、社会制度、文化をどのような形で考慮をしながら、どのような支援が必要で、またできるのか、そして支援を進めていくべきかというお考えをお聞かせ願えればと思います。よろしくお願いいたします。
○参考人(高橋基樹君) ありがとうございました。
 これも全く先生のおっしゃるとおりでありまして、援助の怖さというのは、私どもが正しいと思うことが相手にとってもいいことであると簡単に信じ込んでしまうことだと思います。恐らく日本が非常に近代化の中で幸運であったのは、外国の様々な文物、進んだものを取り入れるときに、いろんなバリエーションがございましたけれども、日本人自身が幸運にも自分たちでそれを取捨選択し、摂取ができたということなんだろうと思います。
 ところが、援助というのは、我々は金を出しているためにそれをよく簡単に見過ごしてしまう。正におっしゃったように文化や風土に合った支援というのをしていく必要があるんですが、そのかぎは私はただ一つだと思います。できる限りアフリカの人々自身によって技術や知識の移転をしていただくということであります。ここで、日本人でなければ、日本の顔を見せるという援助が余りにも先に立ち過ぎますと、日本人がどこまでも草の根の中へ入っていって、結局全部面倒を見てしまう。そうではなく、やはりアフリカの方々にこちらに来ていただき、自分たちでお金の手当てまで考えていただくというような持続的な支援を考えていただく必要があると思います。
 リプロダクティブヘルスは池上先生にほとんどをお任せしたいと思うんですが、もう一つ非常に難しい問題は、例えば女性の外性器切除という、これはアフリカの、まあ言ってしまえば伝統の中でずっと行われてきた問題があって、これはアフリカの男の方々、あるいは女性もそうかもしれませんが、に言わせれば、アフリカの伝統に根差したものであるから口を出すなと。実際、植民地闘争の中でも大きな問題になりました。ただ、やはり文化や風土といっても、それがすべて正しいわけでもないという難しさを伴っています。
 グローバル化というのは、こういった形で相手に最終的にはイニシアチブを取ってもらうけれども、我々は対話をする必要はあるだろう。そういうことの中で東や西、南や北が知恵を出し合って進んでいく、それがグローバル化の中であるべき国際協力なんだろうというふうに私は思います。
 お答えになっていれば幸いです。
○参考人(池上清子君) 御質問ありがとうございました。
 文化と風土というのは、本当に開発を進める上で非常に難しいものです。特に、宗教が絡んできて宗教的な価値観というところが入ると、もっとややこしい問題にもなってまいります。
 ただ、文化や宗教や風習というふうな形でくくられる問題なのか、はたまた私の専門のところでいえば公衆衛生にとってプラスなのかマイナスなのかというふうな、そういう見方もできると思うんですね。ですから、風習かどうか、文化なのかどうかというところと一緒に、その村に住んでいる一人一人の人の健康にとってプラスなのか、教育レベルにとってプラスなのかという、そういう新しい見方を持ってきて、そこで兼ね合いをするというところが重要なのかなというふうな気がいたします。
 先ほどFGMの、女性性器切除の話を高橋参考人おっしゃいましたけれども、それと同じようなものがアフリカにはフィスチュラという、産科瘻孔という病気がありまして、日本にもこれ同じ病気がありました。明治時代にそれは既にすべてなくなっています。
 それはどういうものかというと、小さい子供が、つまり大人になり切っていない女性が出産をするときに、子供の頭が下りてくるときにその子供の頭が大き過ぎて産道に傷を付けます。そのときに、そこから腐って穴が空いて、すぐ隣を尿道が通っていたりすると、お小水が垂れ流し状態になったりするんですね。そうしますと、垂れ流しになっているとその女性はにおうわけです。出産するということで自分がにおうということになると、家族から疎んじられ、それから社会への参加が全くできない状況になってしまう。
 そういったところは、たった三百五十ドルあれば、またアフリカでたったというふうな言い方はできないと思いますけれども、三百五十ドルあればそれ手術して治すことができるというふうなこともあって、ですからそれは文化なのか風習なのかという形なのか、公衆衛生的にどうかというところをお考えくださいというところが一つ。
 二つ目の点の、リプロダクティブヘルス又は妊産婦死亡率の話なんですけれども、これも宗教の価値観との関連がありますが、ある宗教では産婦人科系統の病気というのは女性でないと診ることができない。つまり、男性の医者は産婦人科の医者であっても女性を診ることができないんですね。そうなってくると何が問題かというと、女性の専門職の方が、つまり助産師さんや産婦人科の医者が女性でないと何も病気が診られないという状況になるので、日本の援助としては、その辺は、女性に対して助産師さんの養成又は養成をする人を派遣して途上国で助産師さんを養成し、その方たちがまた更に助産師さんを養成していくというふうな形ができるかなというふうに思います。
○近藤正道君 社民党の近藤正道でございます。
 今日は、お二人の参考人の先生、大変貴重な御意見いただきまして、ありがとうございました。私、たった五分でありますので、それぞれの先生に一問ずつ質問をさせていただきたいと思います。
 最初に、高橋参考人でございますが、今日はアフリカの援助、遠いアフリカへの援助をなぜするのかと、ここのことについて、とにかく貧困にしてもあるいは復興にしても、それをやることが世界経済という媒体を経ていろんな意味で直接、間接日本にとってもかかわりがあるんだというところをいろんな意味でお話ししていただいたというふうに思っております。大変参考になりました。
 ただ、その際に、やっぱり援助というのは相手の国のためにやるのが本質でありまして、そういう意味では自立・内発型のやっぱり援助であるべきだろうと、本質的に。そしてまた、ニーズは、こちらの立場よりもむしろ本質的な意味で相手の立場に立ってニーズを掘り起こしてくる、それがやっぱり筋であろうと、こういうふうに思っておるんですが、なかなか日本のアフリカ援助が効果を上げていないというのはその本質的なところでやっぱり欠陥があるんではないか、私はそういうふうに思えてならないんですが、まとめ的な質問でありますが、そういうふうに考えていいのか、ここを直すために当面どこをまず正すことが大切なのか、これをお聞きしたいと思うんです。
 先ほどの穀物の輸入の話、あるいは真水の問題、大変分かりやすくてこれからいろいろ利用させていただきたいと思いますが、是非、当面何をすべきなのかお聞かせをいただきたいというふうに思っています。
 それと、池上参考人なんですが、大変分かりやすく説明をしていただきまして、大変ありがとうございました。
 ミレニアムの開発目標の目標が八つほどありまして、そのうちの妊婦の健康の改善の問題とか、先ほど具体的にお示しをいただきましたが、大変これも簡単な、ぶしつけな質問で大変恐縮なんでございますが、目標それぞれ八つについて簡単にコメントをいただくと有り難いんですが、よろしくお願いします。
○参考人(高橋基樹君) 先生、ありがとうございました。
 私は、援助をやるべき根拠というのは、何か相手といろいろ商売上の取引があるとか、相手が苦しくなったらこっちも困るとかいうことよりも、やはりまず第一に人間としての共感だろうと思います。それは、相手が困っていれば、それは自分のこととして自分がやはり痛みを感じるし、逆にまた日本が困ったらアフリカの人々もそういうふうに感じてくれることがあるかもしれない。その後で付け加えたことは、やはり相互依存がどんどん深まっていくこのグローバル化の世の中では、そのように感じる機会が実際的根拠としてもっと増えてくるということを申し上げただけでございます。元々の出発点は、先生がおっしゃるとおり、やはり人間同士の共感であり、アフリカが困っていることから我々の援助というのは始まるべきではないかというふうに思います。
 日本の援助がうまくいっていないということなんですが、例えばタンザニアには恐らく四十、五十のODAのドナーが今でもいます。言ってしまえば、すべてのドナーが成功していない、日本だけが失敗しているわけではございません。むしろ日本は、日本人がプロジェクトを一生懸命守り育てて、日本人がその場所にいる間は、その中だけはすばらしく運営されるということがございます。しかし、問題は、それをタンザニアに渡したときにどうなるのか。結構日本も中国や韓国のことを言えないところがあって、自分のことだけしか考えていないということはないだろうか。
 一つ言わせていただくと、まず第一には、全体を見るということだと思います。自分のプロジェクトの成功だけではない。タンザニアの全体のためには何をしなきゃいけないかという発想の転換が第一に必要だと思います。
 もう一つは、援助にも小さな政府というのが及んで、公館やJICA事務所、極めて人が少ないわけでございます。東京の方から何でもかんでもやれと。五つの重点事項とかいってやるわけで、そこに優秀なJICA事務所の職員が一人一人張り付いて、専門家のお世話から伝票書き、すべての相手の国との折衝、全部やるわけですね。この中できめの細かい援助ができるはずがないと思います。
 選択と集中というふうに池上委員からおっしゃっていただきましたが、重要なことは、五つ重点事項ではなく、一つ二つということに絞っていく。そして、優秀な公館の職員やJICAの事務所の方が一つ二つのセクターを何人もで面倒を見ていく。そこから内容のある援助が出てくる、私はそのように思います。
 以上です。
○参考人(池上清子君) ありがとうございました。
 二つあるんですけれども、一つは、これで二〇一五年までに達成目標、数値目標というのは決まっているわけですけれども、五年ごとに見直しをして、二〇〇五年で見直しをしたんですね、サミットで。ですけれども、もう既に難しいんじゃないかと言われている目標が目標の一と目標の五。貧困人口を半減するというのはもう難しいと言われていますし、妊産婦の死亡率を四分の三削減するというのは、これももうほぼ不可能という形で言われています。ですから、これから援助があるとすれば、ミレニアム開発目標がすべてではありませんけれども、もしこの線に沿ってということであれば、目標の一と五のところというのはやはり見た方がいいところかなというふうに思います。
 二つ目は、目標の八というのがありまして、民間との連携というのを明確に打ち出しています。貿易の問題ですとか知的所有権とか、そういったことも入っていますけれども。ですから、ここ、今まで余り開発の中で主流になってこなかったようなところが目標の八のところで取り上げられていますので、ここも非常に重要なところだなというふうに思っています。
○亀井郁夫君 国民新党の亀井でございますが、私もわずか五分でございますから簡単な質問をしたいと思いますが、今日は本当にありがとうございました。
 アフリカというと遠い国だと思っておったんですが、大分近くなりましたけれども、だけれども、まだまだ日本人にとっては遠い国だと思うんですね。そこにODAをやるということで、ODAの使い方についてもいろいろな問題があるということをお聞きしたんですけれども、最後に簡単に、これからアフリカに対するODAを考える場合、何と何と何を考えたらいいのかという辺りをお二人にお聞かせ願いたいのと、それから、これは小さなことですけれども、池上参考人にちょっとお聞きしたいと思ったのは、ここにアフリカの一人当たりの所得は一九六〇年当時より低いと書いてあるんですけれども、四十数年たっても低いということはなぜだろうかということも付け加えて教えてください。なぜこんなに低いのか。よろしくお願いしたいと思います。
○参考人(高橋基樹君) 大変難しい御質問をいただいた気がしますが、アフリカ遠いということなんですが、実はタンザニアのダルエスサラームと東京の時差は六時間しかございません。そういう意味ではアメリカよりはるかに近いのであります。遠いのは、恐らく私ども研究者がサボっている、メディアがちゃんと行かない、こういったことにあるかと思います。また、要所要所の方ももっとアフリカのことを、公館、外務省含め、あるいはJICA、JBICもそうですが、宣伝をしていただきたいというふうに思います。
 亀井先生の御質問について一つお答えするとすると、今、国別援助計画というものをいろんな国で進めておりますが、アフリカでも今のところ、書いているものも含め四つのものが新しく作られてまいりました。私はそのうちの二つにかかわっております。
 このときに非常につらいことは、先ほどの話の続きになりますが、選択と集中をする場合に、例えばエチオピアであれば、農業、食料安全保障、これが必要である。そうすると、エチオピアにも感染症の問題があり、非常に気の毒な問題があるわけです。保健に関心の深い日本のNGOはなぜエチオピアでもっと保健に力を入れないのか、私が国別援助計画を書いておりまして一番つらかった局面はそこでございます。
 全くおっしゃるとおりなんです。四十八のアフリカすべてに感染症の問題がございます。それは我々はとても見過ごすことのできない問題なんですが、しかし、日本の限られたリソースを考えますと、すべてに付き合うことはできない。そのときに重要なことはアフリカ全体の見取図であります。この国では食料安全保障、この国ではもっと、もうちょっと進んだ農業、もしかしたら、ボツワナやザンビアといった平均余命が二十歳ぐらい縮んでしまっている国ではやはり保健であると。そこには、ほかの国から引っぺがしても構わないから日本の保健セクターのエースを全部投入する、そのぐらいの覚悟が必要だと思います。
 実は、それぞれの国にみんな百貨店のように付き合ってきたのが日本の援助だとすれば、そういう時代はもう過ぎているのではないか、亀井先生の御質問に一点豪華主義で答えるとするとこういうことになります。
 池上先生への質問で、私、経済学者でございますので一つ申し上げると、やはりアフリカの問題というのは、人口の増加に生産所得の伸びが追い付いてこなかった、これが非常に重要なポイントかと思います。済みません。
○参考人(池上清子君) ありがとうございます。
 二つ理由があるのかなというふうに思いまして、一つは、マルサスの人口論にも書かれているように、人口が増えれば一人当たりの所得というのは同じパイであれば減るんだよという、そこの部分があると思います。ですから、やはり人口が急激に増えたというところでその割には経済成長が伴っていないというところ、それで所得が減っている。
 それからもう一つは、やはり先ほどの御質問があったガバナンスの問題なんではないかと思うんですね。つまり、独立当時はまだある程度の、何というんですか、経済的な基盤というのが保持できていた、そういう経済状況だったのが、それは六〇年代ですね、現在になるとそれよりも悪いということは、それを維持したり拡大するという経済マーケットなり経済状況を良くすることができなかった。それだけ政治的なガバナンスが弱かったのではないかなという気がいたします。
○委員長(山崎正昭君) よろしいですね。
○亀井郁夫君 はい。ありがとうございました。
○委員長(山崎正昭君) これより、若干時間がございますので、参考人に対する質疑及び意見表明を自由に行っていただきたいと思います。
 それでは、発言を希望される委員、挙手を願います。
○藤末健三君 どうも御講演ありがとうございました。
 私は、高橋先生にちょっとお聞きしたいことが一つございまして、実際、私、浮島委員とかとアフリカの方をODAの視察を行ってまいりました。そのときに感じましたのが、やはり現地に行かれている日本人の方々、専門的な教育を受けていない方が割と多いんですよ。
 それで、この間の新聞を読んでいますと、神戸大学の方で国際研究科というのが活躍されているという新聞を読まさせていただきまして、今日こうやってお話をお聴かせいただき本当に有り難く思っているわけですが、我々このODA委員会の委員に対してこういうことをやってほしいと、国際研究協力科がこれから発展するために、というものがあれば、是非ちょっと御示唆いただければと思います。
 以上でございます。
○参考人(高橋基樹君) お配りしているこの横長のものは、私どもは、一九九五年に最初の修了生を送り出しましてから、うちは大学院でございますので修士を送り出してから、十年程度でどれだけ国際協力畑に人を送り出したかというものでございます。
 三枚目以降は、期限付契約職員ということなんですが、先ほど申し上げました援助協調と言われるような現場でもこういった期限付の契約職員が一生懸命汗を流しております。というのは、公館の職員の方、プロパーの方々、JICAの方々、皆さんはほかの仕事でとっても忙しいので、例えば政府プラスドナーの会議なんかに出掛けるのは契約付きの企画調査員とか、そういう人に、まあ言ってしまえば押し付けられたような状況がございます。実は、そういうところでいろんなものが決まって、日本のプロジェクトもそこに配慮をしなければならないにもかかわらず、情報が十分入らないというような条件がございます。
 申し上げたいことは何かといいますと、もう少し、国際協力で頑張る優秀な人間が必要だという御議論であれば、彼らの待遇をきちっと考えていただきたい。
 もうお聞き及びと思いますが、国際協力のキャリアのつくり方の中で魔の三十代という言葉がございます。二十代は私のゼミなどで楽しく勉強して留学でもして協力隊員に行ったりするわけですが、帰ってくるともうその契約を繰り返して非常に苦しい思いをして、こんなことを言ってはなんですが、結婚したくてもできない、非常に不安定な立場に置かれる。もう少し何とかならないか。もうちょっと計画的に人を、待遇をきちんと与えて、四十代になったら、アフリカのエリートの指導者や、あるいは草の根の方々や、優秀なドナーの人たちとちょうちょうはっしとやれるような人を四十ぐらいでつくるためにはどういうキャリアパスをつくらなきゃいけないか。そういう発想が国として必要なように私は思います。よろしくお願い申し上げます。
○藤末健三君 ありがとうございました。頑張ってやっていきます。お願いいたします。
○参考人(高橋基樹君) ありがとうございます。
○委員長(山崎正昭君) 池上さん、何かありますか。
○参考人(池上清子君) 大学のことなので、私はここは控えさせていただきます。
○若林秀樹君 民主党の若林秀樹でございます。
 今日お二人の参考人の御意見を伺いまして、事前に用意していたわけじゃないんですが、触発されて私の感想を述べたいというふうに思いますんで、質問ではございません。
 基本的にはお二人の参考人の御意見については賛同いたします。全くそのとおりだというふうに思います。アフリカは遠いと言いながらも、私の娘はアフリカに興味を持って大学でアフリカのゼミを取りまして、これも実は池上さんと触れたりなんかしたという過去の経緯があったりしたから、ということがやっぱり重要ではないかなというふうに思っております。
 私も縁がありましてTICADの最初の第一回目の九三年に少しかかわって、それ以来十四年ぐらい見たわけでありますんで、そのときから、オーナーシップは重要だとか、モデルの国をつくらなきゃいけないとか、人口、HIVやらなきゃいけないとか、もう言葉は変わってもやっていることってそんな変わってないんですよね。やっぱり十四年間たってみて、ああ、やっぱりなかなか進んでいるところ進んでないところありますが、いろいろありますけれども、トータルでいえば私は着実にそれなりに進んでいるんではないかなというふうに私は思います。
 その意味で、アフリカ開発で一番重要なことはあきらめないこと。やはり一歩進んでは二歩後退することをやっぱり受容しなきゃいけない。一歩を進んだら一歩進んだことのすばらしさを共有化して、二歩後退したらそのつらさをみんなで共有化してどうしたら前に向けるかということを我々自身も、みんながやっぱり考えていく必要があるんじゃないかなというふうに思いますんで、そういう意味では、そういうことを今日共感できた部分も私はあったんではないかなというふうに思いますし、それに、やはり国際機関で働いている池上さん、活躍している。人材を供給している高橋さん、頑張っている。そういう場面でこういう意見交換をすること自体が将来につながるアフリカ開発になるんではないかなというふうに思っておりますんで、様々申し上げたいことはありますけれども、我々は、やはりODAをどうやったら予算を預かる者として効果的に使えるか、そして世界の繁栄と平和に貢献できるか、そのための私は有益な意見交換だったんではないかなというふうに思っておりますんで、我々は我々の立場でこれからも頑張っていきたいと思います。
 是非、お二人の御活躍を祈念したいと思います。今日はありがとうございました。
○江田五月君 私も触発されて、突然の質問なんですが。
 ありがとうございました。途中抜けて済みませんでした。
 もうけの先をアフリカにまで探していくという姿勢でなくて、やはりアフリカの皆さんが一生懸命努力している、これとの共感が一番大切だというのは本当にそうだと思うんですね。そういう意味でいえば、アフリカでもやっぱり植民地から独立をした、そして人権を確立をしよう、人種差別をなくしていこうと、そういう運動がずっと積み重なってきていて、南アフリカでもそうですし、そういう皆さんとの、言わば人類の進歩としての人権とか民主主義とか法の支配とか、そういうものと日本がどれだけ共鳴板をしっかり持つかということが大切だと思っておるんですが、その点でやや欠けるところがあるんではないかという気が私はしております。
 それは、例えば、AUで西サハラが自分たちが独立国だというので、AUの皆さんは皆西サハラを受け入れた。ところが、モロッコがそれに対して気に食わぬということで飛び出していく。これはアフリカの皆さんが自分のアフリカの中でいろいろ解決をしていっていただければと思うんですが、しかし、例えば西サハラの沖合で取れる漁業資源をモロッコから日本が輸入をするというようなことを日本がやっていていいのかどうかというような問題があると思うんですが、私は余り詳しくは知らないんですけれども、何か御意見ありましたらお聞かせください。
○参考人(高橋基樹君) これは、恐らく池上参考人はお答えになりにくいことだと思いますので。
 全く重要なことだと思います。西サハラの住民の意思がどこにあるかということについて、是非、日本政府としてきちっとした確認をしていただきたいと思います。
 同時に、人権のことをお話しいただきましたが、これはごく一部のケニアの野党の意見だったというふうに言ってもいいかと思いますが、場合によっては日本は政経分離という発想で援助をしている場合がございます。それは、少なくとも一部の人たちには往々にして批判を浴びる。場合によっては、独裁し腐敗をした政権を支援をしているというふうに見られることもある。ODAというのは非常にそれぞれの国で政治的な意味を持ってくることがあるということでございます。
 そのときに、私どもは、隣の大きな国、中国がそういった基準を余り考えずに援助しているということで、余りばたばたと慌てふためく必要はない。私どもは、やはり人類のグローバルスタンダードを守りながら、それを増進するために援助をしているという発想を、ODAの四原則というものをしっかり持っているわけですから、もっと胸を張るべきだというふうに私はこの点では思います。
 ありがとうございました。
○参考人(池上清子君) 国連職員は、平々、ここだけの話なんですけれど、その当該政府を批判してはならないらしいんです。それで、多分、高橋参考人は、私はそれで言いにくいと、守ってくださったんだと思っていますが。
 少なくとも、今、政権政府というんでしょうか、がいいか悪いか、軍事政権なのかどうかというところをおいておいて、そこが政権政府だから、そこと国連の機関というのはいろいろな開発にしろ緊急援助にしろ、プログラムを作っているというのが現状ですというところをお含みおきください。
 そして、済みません、もう一つ。今ちょっとお席立たれてしまいましたけれども、大学の話のところで、済みません、議長さんせっかく時間を与えてくださって、そのときにちょっと思わなかったんですが、やはり大学なり大学院なりというところでの、どういう人と出会えるか、どういう話を聞けるのかということは、非常に大きな将来のキャリアをつくっていく上で基本になると思うんですね。
 最近、日本の大学は、実務家というか、私のように仕事をしている人間を呼んできて、国連でどういう問題があるのかとかどういう仕事をしているのかということを話をするチャンスというのを結構与えてくださっているんですね。こういったところをもう少し先にたくさん機会があれば、いろいろな方がそれなりの方にいろいろ接触する、又は話をする機会が増えると、これは大きなプラスになるのかなというふうに思いました。
 ありがとうございました。
○委員長(山崎正昭君) それでは、予定の時間が参りましたので、これをもちまして参考人に対する質疑及び意見表明を終了いたします。
 参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は長時間にわたり大変有益な御意見をお述べいただき、誠にありがとうございます。当委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。(拍手)
 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後三時十三分散会