第166回国会 日本国憲法に関する調査特別委員会 第12号
平成十九年五月十一日(金曜日)
   午後零時五十五分開会
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   委員の異動
 五月十日
    辞任         補欠選任
     野村 哲郎君     小泉 昭男君
     近藤 正道君     福島みずほ君
 五月十一日
    辞任         補欠選任
     福島みずほ君     近藤 正道君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         関谷 勝嗣君
    理 事
                岡田 直樹君
                中川 雅治君
                舛添 要一君
                広田  一君
                前川 清成君
                簗瀬  進君
                荒木 清寛君
    委 員
                岩城 光英君
                魚住 汎英君
                太田 豊秋君
                荻原 健司君
                木村  仁君
                小泉 昭男君
                佐藤 昭郎君
                櫻井  新君
                田中 直紀君
                中島 啓雄君
                中曽根弘文君
                山本 順三君
                大久保 勉君
                小林 正夫君
                芝  博一君
                津田弥太郎君
                那谷屋正義君
                白  眞勲君
                藤末 健三君
                松岡  徹君
                水岡 俊一君
                澤  雄二君
                山下 栄一君
                鰐淵 洋子君
                仁比 聡平君
                近藤 正道君
                福島みずほ君
                長谷川憲正君
   委員以外の議員
       発議者      小川 敏夫君
       発議者      千葉 景子君
   衆議院議員
       日本国憲法に関
       する調査特別委
       員長代理     保岡 興治君
       発議者      船田  元君
       発議者      葉梨 康弘君
       発議者      赤松 正雄君
   国務大臣
       内閣総理大臣   安倍 晋三君
       総務大臣     菅  義偉君
       国務大臣
       (内閣官房長官) 塩崎 恭久君
   内閣官房副長官
       内閣官房副長官  鈴木 政二君
   政府特別補佐人
       内閣法制局長官  宮崎 礼壹君
   事務局側
       日本国憲法に関
       する調査特別委
       員会及び憲法調
       査会事務局長   小林 秀行君
   政府参考人
       外務省領事局長  谷崎 泰明君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○派遣委員の報告
○日本国憲法の改正手続に関する法律案(衆議院
 提出)
○日本国憲法の改正及び国政における重要な問題
 に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法
 律案(小川敏夫君外四名発議)
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○委員長(関谷勝嗣君) ただいまから日本国憲法に関する調査特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、野村哲郎君、近藤正道君が委員を辞任され、その補欠として小泉昭男君、福島みずほ君が選任されました。
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○委員長(関谷勝嗣君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 日本国憲法の改正手続に関する法律案及び日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案の両案の審査のため、本日の委員会に外務省領事局長谷崎泰明君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(関谷勝嗣君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(関谷勝嗣君) 日本国憲法の改正手続に関する法律案及び日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 昨十日、当委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。
 まず、第一班の御報告を願います。岡田直樹君。
○岡田直樹君 第一班につきまして御報告いたします。
 派遣委員は関谷勝嗣委員長、広田一理事、前川清成理事、荒木清寛理事、荻原健司委員、田中直紀委員、小林正夫委員、近藤正道委員、長谷川憲正委員及び私、岡田直樹の十名であり、昨十日、さいたま市において地方公聴会を開催し、四名の公述人から意見を聴取した後、各委員から質疑が行われました。
 まず、公述の要旨を御報告申し上げます。
 最初に、埼玉県議会議員田村琢実君からは、憲法改正国民投票法がこれまで制定されなかったのは国会の怠慢であり、憲法制定時に用意すべきものであった、憲法改正と国政の重要事項とは本質が全く異なるので、国民投票の対象は憲法改正に限定すべきである、公務員、教育者の政治的行為の適用除外は、公務員が憲法で全体の奉仕者とされていることから、慎重に検討すべきである、最低投票率の問題に関しては、インターネットを活用して投票しやすい環境を整備するなど、まず投票率を上げる努力が重要であるなどの意見が述べられました。
 次に、社団法人日本青年会議所関東地区埼玉ブロック協議会会長榎本賢治君からは、国民投票法は、憲法第九十六条の憲法改正規定が要請する法律である、国民投票の対象は、議会制の意義を失わないためにも、憲法改正に限定すべきである、最低投票率は、憲法に明記されておらず、国民主権原理からも不要である、公正中立な報道が行われるため、一定のメディア規制は必要であるなどの意見が述べられました。
 次に、大宮法科大学院大学法務研究科法務専攻南部義典君からは、憲法改正原案の起草、審査のため、両院合同起草委員会の設置を検討すべきである、国民投票期日の議決について、改正案発議要件との均衡上、要件を加重すべきである、在外邦人の憲法改正国民投票について、国政選挙における在外投票の実情から、インターネット、電子メール、電話等の通信手段を用いて簡素化を検討すべきである、国民投票の対象を国政上の重要問題に拡大するか否かの論点は、今後も引き続き検討し、議論の成果を追求すべきであるなどの意見が述べられました。
 最後に、埼玉大学教育学部教授三輪隆君からは、憲法改正案発議後に行われる広報は、発議機関である国会以外の第三者が行うべきである、最低投票率は、憲法改正が正当性を持つ必要があることからも導入を検討すべきである、憲法九十六条に基づく国民投票法の制定は、より高度の国民的合意を形成するため、慎重な対応が必要であるなどの意見が述べられました。
 公述人の意見に対し、各委員より、国民投票法制定の必要性に対する公述人の認識、諮問的国民投票制度導入の是非、憲法上明記されていない最低投票率導入の是非、憲法改正国民投票を義務化することの是非、国民投票広報協議会の在り方、憲法改正国民投票の在外投票手続の在り方、メディア規制の在り方、公述人が提案する両院合同起草委員会の具体的内容、合同審査会と二院制の関係など多岐にわたる質疑が行われました。
 会議の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はこれにより御承知を願いたいと存じます。
 以上で第一班の御報告を終わります。
○委員長(関谷勝嗣君) ありがとうございました。
 次に、第二班の御報告を願います。簗瀬進君。
○簗瀬進君 早口をお許しください。
 横浜地方公聴会派遣報告、第二班につきまして御報告いたします。
 派遣委員は団長の舛添要一理事、中川雅治理事、岩城光英委員、野村哲郎委員、藤末健三委員、水岡俊一委員、鰐淵洋子委員、仁比聡平委員及び私、簗瀬進の九名であり、昨十日、横浜市において地方公聴会を開催し、四名の公述人から意見を聴取した後、各委員から質疑が行われました。
 まず、公述の要旨を御報告申し上げます。
 最初に、神奈川県立高等学校教諭久留島学君からは、国民投票法は国民主権のために重要な法律であり早期に制定すべきであると考える、また、公務員と教育者による地位利用を禁止することは当然であるが、罰則がないのは問題である、さらに、投票権年齢については、高校を卒業して実際の社会を見る目を養う期間が必要であり、二十歳以上とすべきである、憲法改正手続法の施行期日については、法律が憲法施行後六十年間も整備されなかったこと、公布後三年間に不測の事態が生ずる危険もあることから、公布と同時に施行する必要があるなどの意見が述べられました。
 次に、かながわ創造研究所幹事佐々木宣彰君からは、憲法九十六条に国民投票が明記されていること及び憲法施行後六十年間で社会も変化していることから、国民投票法は早期に制定すべきであると考える、また、憲法の国民主権と基本的人権については改正する必要はないが、世界平和に貢献するという積極的な平和主義の観点からは、憲法を改正する必要があるなどの意見が述べられました。
 次に、前衆議院議員、JPU総合研究所特別研究員山花郁夫君からは、国民投票法は手続法なので護憲派、改憲派の双方にとっても中立的であるべきと考える、諮問的な重要問題国民投票については、憲法が代表民主制を絶対のものとまではしていないことから、憲法上の疑義がクリアできること、及び、判例と同様に事実上の拘束力を有するにすぎないことから、真剣に検討してもらいたい、さらに、最低投票率については、法律で定めても憲法に抵触しないと考えるが、投票総数の過半数の意思を無視することになるのであれば、憲法に定める必要があるなどの意見が述べられました。
 最後に、憲法改悪阻止神奈川県連絡会議幹事長、弁護士森卓爾君からは、神奈川県では沖縄県に次いで米軍基地が多いので憲法九条に対する思いが強い、また、憲法改正原案は関連する事項ごとに発議されることになっているが、関連する事項という区分の意味があいまいであり、国民が正確かつ個別的な意思表示ができるようにする必要がある、さらに、憲法改正は最終的には国民の多数の意思にゆだねられることから、最低投票率を設定すべきである、テレビコマーシャルは資金力のある個人や団体ほど大量に流せるので、全面的に禁止すべきであるなどの意見が述べられました。
 公述人の意見に対し、各委員からは、投票権年齢を十八歳以上とすることについての見解、憲法に明記されていない最低投票率と憲法改正手続に係る両院協議会の憲法上の位置付けとの関係、一事不再議と無効訴訟についての考え方、憲法教育と運動規制の関係、最低投票率とボイコット運動との関係、公務員と教育者による地位利用の禁止の是非、報道機関に対する規制の在り方、憲法改正手続法公布後三年間の憲法改正原案の審査、提出の凍結に対する見解、参議院における憲法改正手続法案審議についての感想など多岐にわたる質疑が行われました。
 会議の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はこれにより御承知願いたいと存じます。
 以上で第二班の御報告を終わります。
○委員長(関谷勝嗣君) これをもって派遣委員の報告は終了いたしました。
 なお、地方公聴会の速記録につきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載することといたします。
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○委員長(関谷勝嗣君) 次に、日本国憲法の改正手続に関する法律案及び日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案の両案について、内閣総理大臣出席の下、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○舛添要一君 自由民主党を代表いたしまして、舛添要一、私が御質問申し上げます。
 日本国憲法に関する国民投票法案がやっとこの制定するところまでこぎ着けた、大変私は感慨深いものがございます。これは安倍内閣が始まってからやったわけではなくて、ずっと超党派で何年も掛かってこれはやるべきであると。憲法九十六条に改正という条項がありまして、改正するときにどうするかという手続法が成立していない、これは私に言わせれば過去六十年間の立法府の怠慢であるというふうに思います。
 党派を超えて良識のある議員たちが一生懸命積み重ねてきた結果がやっと今ここに来たと、そういう意味で大変感慨深いものがありますが、この国民投票法案そのものに対して、作ること自体が反対だという極めて非論理的なことをおっしゃる方がおられます。憲法はすばらしいものだ、だから変えちゃいけない、だから手続法なんて作っちゃいけないと。憲法は改正ということを書いてあるわけで、日本国憲法を守るという立場からいえば、手続法がない方が極めておかしいのであります。
 したがいまして、やっと私たちが立法府でこの国民投票法案を作るところまで来たということは大変意義深いものであるというふうに思いますけれども、まずこの点について安倍総理の御所見をお伺いしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 現行憲法において、現行憲法が成立したときにも九十六条の改正の規定があるわけでありまして、この改正の規定において、国会の三分の二の賛成を得て発議をして、国民投票によって半数以上の賛成を得て改正がなされるということが書いてございますので、当然この国民投票については国民投票の法律を定めるということが前提であっただろうと、このように思います。
 委員御指摘のように、六十年間、残念ながらしかし改正されてこなかった。やはり立法府の責任としてここまで議論がなされ、そして十分な議論の下にこうして法律が出され議論されているということは、私も大変、内閣総理大臣であると同時に立法府の一員でもございますから、大変喜ばしいことであると、このように思う次第でございます。
○舛添要一君 今ほとんどすべての世論調査、新聞を始め大きなメディアがやりますけれども、現行憲法を改正した方がいいですかどうですかと問いますと、ほとんどすべて、多数派は改正すべきであると、こういうことを言っております。
 そして、例えば環境問題、これからの日本にとっても世界にとっても大変大きな環境問題、これは環境の基本権、基本法というのは先に法律ができた。それから、やっぱり犯罪被害者、これは守らないといけないよ、これも法律が先にできた。しかし、六十年前は、環境問題なんというのはほとんど議論にもならない。環境大臣が内閣に生まれるなんということも予想もしていない。それから犯罪被害者、こういう状況になることも予想していない。やっぱり六十年というのは相当長い月日があるわけです。
 私が今申し上げたような問題について、国民の皆様方がこれはやっぱり変えてしかるべきだろうと。私、例えばこういう問題について、我々が三分の二、衆参各院で発議すれば必ず賛成していただけるものと思います。そのときに、じゃ手続法ありませんよと、これでは話にならないわけでありますから、そういう現状認識の下で私は一日も早くこの手続法を成立させるべきだと思いますけれども、この私の認識に対して総理の御所見をお伺いいたします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それは正に委員のおっしゃるとおりでございまして、自民党の中で新しい憲法の草案について議論がなされた際に、環境権の問題もそうですし、また個人情報の保護を図らなければならないという理念についても正にこの六十年の間に培われてきたものであります。また、障害者に対する姿勢についても、この平等という観念の中からやはりそういう考え方も入れなければいけない、そういう議論もあったわけでありますが、そういう中において、やはりこの手続法がなければ国民とともに議論し改正することもできないということではないかと、このように思います。
○舛添要一君 今日、発議者の皆さん方、また対案提出者の皆さん方、自民党、公明党、民主党の皆様方がそこにおられますけれども、この立法府において、特に衆議院の発議者の皆さん方は本当に御苦労をなさってこの法律を精緻なまでに組み立てていただいた。一〇〇%完璧とは言いませんが、本当にここまでよく来た。
 私はフランスに若いころ留学しておりましたけれども、フランスでは実はこういう法律がありません。フランスの憲法院というのは、こういう法律作るべきである、作るべきであるということを何度も勧告しているんですけれども、フランスの立法府は正に怠慢で、やらないんですね。なぜやらないかというと、憲法改正という差し迫った問題が目の前に出ないのに、ほかの問題忙しいのにやれないよというのと、憲法改正何回もやりました、憲法改正という議題が上がったときに、じゃやろうというときに、もう時間不足なんです。
 ですから、フランスはどういうふうにやっているかというのは、政府が、これはフランス語でデクレと言いますけれども、まあ省令と言ってもいいでしょう、そういうものでフランスは政府が、そのときの政府が自由に決めるんですね。だから、はるかに意図的に決める。そして、例えばこの前、私の記憶が正しければ、投票時間延ばすなんというのは勝手にやれる。
 だから、いい面は、政府が自由にやれるということは、例えばITが入ってきてもう新しいシステムでやるような時代になって、例えば今回私どもが作ろうとしている法律が五年後、六年後、もう古くなって使い物にならないというときに、またこの改正大変なんですけれども、フランスの例だと政府が自由に、じゃもうコンピューターに変えようかと、こういうことができるわけです。
 ですから、それぞれメリット、デメリットがありますが、立法府の努力でここまで目の前に差し迫った改正ということは、つまり改正案ができているというような状況でもない。フランスの場合は、例えば、EUに加盟していますから外交試験の問題がEU全体と国家試験との争いをやった。こういうことに対して、マーストリヒト条約、このときにどうするかというようなことでせっぱ詰まって憲法改正が出てくるわけです。また、ドゴールが上院の改革をやるというときにせっぱ詰まって出てくる。法律間に合いません。それを政府が相当恣意的に自由にやる。
 これに比べれば、これだけ立法府が時間を掛けて法律できちんとやるということは、我々立法府として非常に高い誇りを持っていいというふうに考えます。その点、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) やはりこれは正に法の支配、これは我々社会を形成していく上においても私たちの国の基本的な価値観の一つとして大切にしなければならないわけでありまして、そういう中において、この憲法の改正手続、国民投票法案について本当に精緻に御議論をいただいたと、このように思うわけでありまして、そしてなるべく多くの方々に参加を、建設的に参加をしていただくということで御努力もいただいてきたと、このように思うわけでございまして、そしてその年月と、そして中身の深さにおいては、これはやはり院として、衆議院、参議院それぞれ誇りを持っていいのではないかと、こんなようにも思うところでございます。
○舛添要一君 そこで、総理に対して、世間でというか、大変私誤解があるんじゃないかというように思っております。それは、今日はNHKテレビで中継されていますから、せっかくのいい機会ですから是非その誤解を解いていただきたいというふうに思います。
 総理も私も自民党の国会議員として、憲法改正やるべきだと、そして一生懸命一緒に新しい憲法草案の作りを、作業をやりました。私は、今国会議員としては、参議院議員としては当然のことながら日本国憲法の下で仕事をいたします。内閣総理大臣、総理もまた同じことであります。その役割、それは憲法で定められた役割であって、私は日本国憲法に基づいて今日もこうして質問をし、国会議員としての職責を日々果たしている。内閣総理大臣も同じことだと思います。
 しかし、一人の政治家として新しいビジョンを持つ、憲法についてこういう考えを持つ、そして自民党総裁として、党のトップリーダーとして我が党はこういうふうに憲法を変えるべきである、ないしはこうすべきである、これは当然リーダーとして持つべきビジョンであるというふうに思います。ところが、そのことが混同されて、内閣総理大臣、衆議院議員、安倍晋三、彼はこれこれこれこれしなければならない、もう憲法上に縛りがある、憲法改正なんて言っちゃいけない、これは間違っている、そういう非常にプリミティブというか初歩的な私は誤解があるんだろうと思います。
 是非この点、役割の分担というのがあり、政治家としてのビジョンがこうであるということをまずお述べいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私は、内閣総理大臣、行政府の長として、当然憲法を遵守し尊重する義務があります。これは当然のことでございます。一方、憲法というのは国の形、姿を、そして未来を物語るものであると、このようにも思うわけでございまして、そういう中において二十一世紀にふさわしい国の形を我々は政治家として語らなければならないと、このように思うわけでございます。
 その中で私も、自由民主党の幹事長として、あるいは自由民主党の総裁として、二十一世紀にふさわしい日本の役割はこうではないか、そしてこういう新しい、守らなければいけない価値があるのではないか、このように語ってきたわけでございます。それは正に私のあるべき新たな憲法の姿になるわけでありまして、これは当然、私は政党のリーダーとしてこれは申し上げる、しかし、行政府の長としては当然憲法を尊重し遵守をしていくということは当たり前のことではないかと、このように思うわけでございます。
○舛添要一君 それから、もう一つの誤解をこれは是非解いていただきたいと思いますが、非常に口悪く総理を批判される方々は、総理は憲法が分かってないと、立憲主義を理解してないと、こういうことをいろんなところでおっしゃいます。
 私は、やっぱり憲法についてはいろんな学説もあり、いろんな考え方があってしかるべきだと思いますけれども、やはり人類が本当にもう闘い抜いてここまで確立したものというのは、権力に対して自分の身を守るのはこの憲法である。私は鉄砲を持っているわけではありません。武器を持っているわけでもありません。国家権力が私に刃向かったときに、私を守るための手段は日本国憲法しかないんです。ですから、これがやはり基本であるんだろうというふうに思います。
 ところが、やはりこの日本国憲法、私たちが闘い取ったものではありません。フランスと違います。昭和二十年、占領軍の統治下において憲法を作るということは、私は歴史上極めて異例であるというふうに思います。そしてまた、日本語としてもこなれていません。そして、闘い取ったものではない。それが一つ。
 もう一つは、極めて短い時期を除いて我が自由民主党はずっと権力の座にある。したがって、権力の作法は知っているけれども、野党になったときの振る舞い方が分からない。もっと言いますと、野党が権力を取ったときに、それが非常に独裁的に我々に刃向かったときに、何をもって我々が身を守るか。憲法しかないわけであります。ですから、まずその点をしっかり踏まえるべきであって、私は、自由民主党は権力の座にあってもおごりを持っちゃいけない。
 例えば、憲法について、国民の権利ばっかり書いてあって義務が余り書いてないじゃないかと、だからこの日本の道徳は廃退するんだと、日本のモラルの低下は日本国憲法が悪いんだと、そういうことを極論を言う方々が党派を超えておられます。しかし、やはり私はいろんな理由が今の日本国の問題についてはあると思います。憲法がすべて悪いわけではございません。
 まず、この立憲主義、権力に対して憲法が私たちの身を守る最大の武器である、これはもう当然総理は認識されているというふうに私は思いますが、総理はそれが分かってないと言う方がおられるものですから、是非総理の言葉でおっしゃってください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この立憲主義というのは、正に主権者たる国民がその意思に基づいて権力の行使について定め、そして基本的な人権を保障していく、これが正に立憲主義だろうと、このように思います。この立憲主義に基づいてでき上がったこの現在の憲法においても、九十六条の改正規定があるわけでありまして、この立憲主義に基づいてできているこの憲法の改正手続に基づくところにより、私は国の姿について語っている。そして、それが正に新しい憲法についてお話をしているということでございまして、立憲主義に基づく、これは当然のことでございまして、立憲主義に基づいてこれは主権在民、そして基本的な人権、平和主義、今の憲法の持っている基本的な価値、これは当然今後も変わってはならないし、当然、自由民主党の案においてもこの精神は貫かれていると、このように思うわけでございます。
○舛添要一君 総理御自身のお言葉でそのことを賜りまして、大変安心しました。総理の周りには大変お元気な方がおられまして、我が党は自由ですからいろんな意見の方おられていいんですけれども、誤解を招くような発言をなさる方もおられますので、総理自らそれをおっしゃっていただいたのは大変結構だと思います。
 そこで、今なぜ、じゃ憲法改正をうたうのかということでございますけど、今いみじくもおっしゃられたように、我々は立党の原点として憲法を変えようと、自主憲法を作ろうということでずっと努力をして、一昨年、一つの案をまとめました。今おっしゃられたように平和主義、国民主権、基本的人権の尊重、これは絶対に守るんだと。これは、総理も私も全員参加でやったときにそれは基本的な方針だったと思いますけど、もう一度それ再確認していただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この現行の憲法について見直しをして改正をしていくというのは、自由民主党立党時の基本的なこれは正に宣言の中に入っているわけでございます。その理由についてはもうここであえて申し上げないわけでありますが、その中においても、また現在も、先ほど申し上げましたように主権在民、基本的人権の尊重、そして平和主義、これは今後とも貫いていく、これははっきりしているわけでございまして、新しい憲法を作るこの議論を自由民主党でいたしましたときにも、舛添先生、大変な御苦労をされまして、私も前文の小委員会の小委員長の代理を務めていて一緒に作業をさせていただいたわけでありますが、今申し上げましたように、この基本的な価値、考え方についてはこれは今後も当然守り抜いていく、これは間違いがないということははっきりと申し上げておきたいと、このように思うわけであります。
 しかし、それと同時に、やはり六十年たつ中において国際社会も大きく変わってきました。我が国の取り巻く状況、そして私たちの社会自体も随分変わってきた。新しい価値観もあります。そして、国際社会において貢献も求められている中にあって、そしてまた、やはり我々自身国民の生命、財産を私たち自身で守っていかなければいけない中にあって、やはり新しい憲法の在り方について当然議論をしていくという時代になってきたということではないだろうかと。
 ましてや、この憲法の改正規定というのは、むしろ六十年間、現行憲法ができた段階で九十六条にあるこの国民投票における規定をやはり立法府としてやってこなかったことを正に今皆さんがやっておられるということではないだろうかと、このように思う次第でございます。
○舛添要一君 それからもう一つ、総理に御説明願いたいのは、この参議院選挙、あともう二か月後に迫っておりますけれども、この選挙の一つの争点として新しい憲法を作るんだと、これ我が自由民主党総裁としてうたう、我々はこれを支持してこの旗を掲げて戦いたいと。それは国民の大多数が、先ほど世論調査の結果を申し上げましたように、改正そのものは賛成であるということですから、こういう旗を掲げて戦うというのはそれは我が党としては当然だと思いますけれども、そのこと自体がけしからぬという意見があるんですね。この点についてはどういうふうに御説明なさいますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私が幹事長に就任をいたしましたときに、立党五十年までに自由民主党の新しい憲法草案を作るというふうに宣言をいたしました。そして、先生にも大変な御努力をいただいて草案ができたわけでございます。正に自由民主党として草案を作ったということは、この草案は私たちの党としてはベストである、この草案に改正をしたいという意思表示を既にしているわけであります。
 と同時に、それは国民の皆様にも広く理解をしていただきながら御議論をしていただく。しかし、そう簡単なことではありませんから、これは国会の中で多数派を形成するために相当の努力も大切なんだろうと。そのためにはエネルギーと議論を持ち続けなければいけませんし、国民とともに議論をしていかなければいけません。
 参議院選挙という、国民とともに議論をしていく、そして自由民主党は自由民主党としての考え方、正に大きな国家ビジョンを示さなければいけない機会にそのことをむしろ全く述べないのは私は不誠実ではないだろうか。もう既に我々は草案を作っていながら、そのことについて全く触れないのがいいだろうか。これをやはり私は、こういう草案を私たちは作りました、これを基に憲法改正を考えていますということは、国民に対して誠実にこれは選挙においても当然述べていくべきではないかと、このように思っているところでございます。
○舛添要一君 極めて明確でありますので、我が自由民主党一丸となってその下に戦いたいと思います。
 そこで、じゃなぜ今この憲法を改正をするのか、どこをどういうふうに変えるのか。これは、我々は党の草案で書きましたけれども、私は大きく言ってやっぱり戦後レジームからの脱却というか、そういうことも含めて二つ大きくポイントがあるんだろうと思います。
 一つは、六十年前に本当にこの戦争に負けて国土は灰じんに帰したと、そこから見ると世界第二の経済大国になった。当然その国際的責任も、例えば我が日本国総理の一挙手一投足というのは世界を動かす時代になっているわけです。したがって、国際社会における日本の地位が大きく変わった、これに伴って変えないといけないことが憲法にもあるんではないか、これが一つ。
 それからもう一つは、国の中において、四十七都道府県ありますけれども、やはりこの中央と地方との関係においていろんな問題を生じた。私自身は、道州制という形で国の形を変えるべき時期が来ている、やはり大きく時代が変わるときには、明治維新の廃藩置県、今度はベクトル逆でいいんですけど変えないといけない、こういうふうに思っていますので、この二点についてお伺いしたいと思いますが、国の形、例えば道州制、こういう仕組みを変える、こういうことについて、憲法との絡みにおいてで結構でございますけれども、総理はどのようにお考えでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、これも国際社会において日本が果たすべき役割、これはもう六十年前と今とはもう計り知れないぐらい大きく変化をしてきた。日本は常に大きな役割を私は期待をされていると思いますし、そういう責任があるのだろうと、こう思うわけであります。そのときに、やはり日本は国際社会の中の一員として責任を果たしていくことが、これは世界をより平和に安定をさせていくことに私は結び付いていくだろうと、その観点からも議論をしなければいけない。
 そして、日本の国の在り方として今の県があって市町村がある、そしてまた国がある、この姿であります。現行憲法においては地方公共団体、地方自治のところで地方公共団体ということを法律で定めるということについて書いてある、ある意味ではそれだけでございます。自民党案について、今私がそれを述べるのがいいのかどうかというのは別なんですが、自民党案については地方自治の考え方、重要性についてしっかりと述べてあると思います。基礎自治体と広域自治体という形において、概念として示しているんだろうと。より身近なことをやっていくところと、そしてもっと広いところということなんだろうと思いますが、私は、行政改革を進めながら国と地方がやるべきことを仕分けをしていく先には、これを、やはり道州制という大きな改革があるべきではないかと、こう考えております。
○舛添要一君 最初の方の日本の国際責任ということに関連して、もう少しお伺いしたいと思います。
 私、先ほど申し上げたのは、日本の体格はここまで良くなったと、国力が世界第二位、経済的になったということで、それにしかるべき責任を果たさないといけない。そういう中で、安全保障の面でもやはりしかるべき貢献をするべき時期になったんだろうと。
 現行日本国憲法の前文を読みましても、私たちは国際社会の中で生きるんだということははっきり書いてあります。何も国際社会に貢献しないでおれば国際的に孤立することは当然でありますから、そういう意味で私たちも憲法九条というものを変えようということを自民党の新憲法草案の中で書き込みました。一項については平和主義、これはきちんと守るんだと。しかし二項で、やっぱり軍でありますから自衛軍として認める。しかし、この自衛軍というのはやはり自衛のため、それと国際貢献のためだと。
 そういう、きっちりと書き分けてあるわけでありますけれども、先般、政府におきまして集団的自衛権に関する有識者の会議を発足いたしました。それに呼応して我が党でも、我々、私も副委員長として参画しておりますけれども、同様な研究会を立ち上げました。
 やはり、いろんな意味で私たちが安全保障の貢献をする。一番分かりやすい具体的な例を言いますと、国連の要請において海外で自衛隊の諸君が活動すると。じゃ、ちょっと国連の荷物がありますと、物資をここに置いています、これちょっと見ていてくれませんかと言われたときに、泥棒が来てそれ取ろうとしたときに武器の使用ができないんですね、今のままだと。こういうことでいいんだろうかと。それから、公海上においてアメリカの軍艦と我が自衛隊の艦船が並行して走っている、そのときに向こうから攻撃を受けた、どうもその砲身は日本の自衛隊の艦船ではなくてアメリカの軍艦に向かっている、じゃどうするんだろうかと。こういう問題についてやはりきちんと議論を重ねていってやるべきだと、そういう思いで我が党でも始めました。
 この点について、政府はどういう方針で、なぜ今この有識者会議を発足させたのか、この点について御説明願います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この集団的自衛権等のこの研究につきましては、私が施政方針演説で述べましたように、日本をめぐる、また世界をめぐる安全保障の環境が大きく変わったわけでございます。テロとの戦い、ミサイル、核、そうした大量破壊兵器の拡散の問題もございます。そして地域紛争が続発をしている。そしてまた、日本は今委員が御指摘になったように国際社会において大きな貢献を期待をされているわけでございます。こうした変化に我々は対応していかなければならないという中において、この法的な基盤を整備をしていく必要があるだろうという中において、憲法との関係を整理をしていかなければいけない。そして、それは決して理念が先走ってはならないわけでありまして、個別具体的な例に即しながら、類型に即しながら研究をしていくべきだと、このように思います。
 その取組の一環といたしまして、先般、個別具体的な類型に即し、集団的自衛権の問題を含めた憲法との関係の整理研究を行うために、私の下に安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会の設置を発表したわけでございまして、この懇談会において議論をしていきたい。日本の国民の命、身体、財産を守り、そして私たちが世界から求められている貢献を果たしていく、そういう責任を果たしていきたいと、このように考えております。
○舛添要一君 私自身は、これこれの権利は持っているけれどもその権利は行使できない、例えば我々は日本国憲法上、言論の自由という権利は持っているけれどもそれを行使できませんと、こんなばかげたことはないわけであります。元々、自衛権、集団と個別と分けるというやり方は、戦後、一九四五年、国連憲章ができたときに日本、ドイツ、イタリアという旧敵国を差別するためにつくっただけの言葉であるわけです。それが金科玉条のように法制局の解釈が積み重なってきた。そろそろ私は、これは英断を持って変えるべきであると。我が党は、党の研究会ではそういう方向できちんとこの研究を続けていきたいというふうに思います。
 一つは、個別、集団という神学論争を繰り返しているうちに国際状況が大きく変わった。隣の北朝鮮が多数のミサイルを持っている。通常弾頭でねらったって日本に届きます。今、東京の上空に通常弾頭が落ちてきたら私たちはみんな死んじゃいますよ。ましていわんや、核爆弾を持っていると向こうの指導者が言っている。もっと悲惨な状況が起こる。それから、我々の国民を拉致するという国家の犯罪をやっている。絶対にこれは許すことはできない。そういう国が隣にいるときに神学論争をやっているべきではなくて、仮にテポドンミサイルが日本の方向に向かって飛んできた、アメリカまで行くのか日本で落ちるか分からない。我々が手をこまぬいて何もしないというわけにいきません。私は、そういう観点からいろんな手があると思います。
 一つは、明確にこの解釈を変えるということであります。しかし、それは、総理御承知のように、ずっと積み上げたものを変えるというのは大変な困難があります。我々は、新憲法草案で企図したところのものは法律事項でこれをやろうと。つまり、安全保障基本法、国際協力基本法、緊急事態法、こういうもので担保して、今総理おっしゃったように、個々具体的なケースに基づいてやる、こういうことでいいんだろうと思いますが、内閣総理大臣として極めてお答えしにくいテーマかもしれませんが、総理の御所見が賜ればと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私どもは、政府としてまた総理として、国民の生命、財産に責任を持っているわけであります。地域の平和と安定を何とか確保していかなければいけない。そして、国際社会において大きな貢献も期待されているわけでございます。そして、日本の置かれている立場、国際状況は大きく変わっている中において、やはり今までの解釈のままでいいのかどうかということについては常に我々は考えていかなければいけないし、そして六十年たって、それを真剣に議論するときが私はやってきたんだろうと、このように思います。
 これは憲法の解釈の問題もございますし、当然、今舛添委員がおっしゃったように、これは解釈だけではなくて、当然この解釈にのっとって自衛隊なりが行動する場合には、それを裏付ける根拠となる法律も当然これは必要である。それがなければ、これは行動ができないというのは当然のことであろうと、このようにも思うわけでございます。
 いずれにいたしましても、今回、先日立ち上げました懇談会においてしっかりと議論をしていかなければならないと考えております。
○舛添要一君 これは是非国民的な議論を起こしまして、そして日本国を守る、日本国民の生命と財産を守ることが基本でありまして、憲法は残ったけれども国が滅んだということであっては絶対ならないというふうに思いますので、是非この問い掛けというのを続けていっていただきたいと思います。
 それに関連して日米関係ですけれども、私はやっぱりこれも、先般、総理、連休を利用なさいまして、日米関係重視ということでアメリカに行かれた。やはり日本外交、安全保障の基軸は日米関係だと思いますので、その日米関係も、私たちが国力ではるかに劣っているときに比べてここまで大きくなったわけですから、やはりある意味で応分の分担もするし、平等のパートナーとしてやるべき時期が来ていると思いますが、この日米関係についての御所見をお伺いしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この日米同盟というのは、これは我が国の安全保障、外交の基盤であると思います。この掛け替えのない日米同盟を揺るぎないものにしていかなければならない。ただいま委員が例として挙げられました、北朝鮮は核実験をし、そしてその前にはミサイルの発射実験をしているわけでございます。もし核を完全に開発をしていて、そしてそれをミサイルに載せることができるとなれば、日本への運搬手段も持っているということになるわけでございます。そのときに抑止力を考えれば、これはやはりアメリカの抑止力になるわけでありまして、アメリカがしっかりと日本に対して抑止します、この北朝鮮がそういうもし万が一の振る舞いをしたら、これはしっかりと日本を守っていくという、これは正に抑止の意思を示すことによって北朝鮮はそういう行動を抑制せざるを得ないということになっていくわけでありますから、そこは正にこの同盟関係の大切なところでございます。
 この同盟というのは、確かに日米安全保障条約があって、五条に米軍が日本と一緒に日本が攻められた場合は共同対処するということが書いてありますが、しかし大切なことは、やはり同盟関係というのは信頼関係がなければ、これは私は基本的には紙になってしまう危険すらあると、このように考えているわけでありまして、そのためにやはり信頼関係をしっかりとしたものにしていくためにはお互いにパートナーとして信頼関係を維持をしていく努力をしていかなければならないと、こう考えるところでございます。
 今般、訪米をした際にも、北朝鮮のこの核開発の問題、ミサイルの問題、そして拉致の問題については、日米が一致をしてお互いに協力をしてこの問題を解決をしていく。拉致の問題についても、米国も日本と同じ立場に立って日本の考え方を支持し、一緒に解決をしていくということを表明をしているわけでございます。
 そういう意味におきまして、この同盟関係というのは私は掛け替えのない同盟関係であり、揺るぎないものにしていくことによって我が国の安全はしっかりとしたものになっていくと、こう考えているところでございます。
○舛添要一君 この憲法の基本的人権はしっかりと守っていくんだと、これは先ほど総理もお述べになりましたけれども、その基本的人権を全くじゅうりんした国が隣にいて、我が日本国民を拉致したままである。何とかこれは解決しないといけないと思います。その信念はお揺るぎありませんね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、正に十三歳の少女を含め、先般新たな事案、三歳、七歳の子供たちも日本から連れ去られたということがだんだん明らかになってまいりましたが、すべての拉致被害者の生還を目指していく、この姿勢には全く変わりはないということは申し上げておきたいと思います。
○舛添要一君 私は、先ほど申し上げましたように、総理もおっしゃったように、平和主義、国民主権、基本的人権の尊重、この現行憲法にある基本的理念、これはしっかりと継続していかないといけない。そして、これは単に日本国民だけではなくて、今北朝鮮の拉致の問題を出したのは、人類がかち取った普遍的な人権という、これは日本国であれ北朝鮮であれどの国であれ守っていかないといけないし、更に進めていかないといけない。
 そういう中で、アメリカの一つの政権の戦略で、例えばテロ国家指定の解除なんということをやってもらっては困るんですね。この点は総理、はっきりアメリカ大統領におっしゃいましたか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先般訪米した際、ブッシュ大統領との首脳会談の際に、私はこの問題については、大統領に対して、テロ国家支援の解除については、当然この拉致の問題、その条件に入っていると私も国民も信じていると、このようにお話をしたわけであります。大統領は、私を信じてもらいたいと、このようにおっしゃっていたわけであります。
 これは正に、これこそが正に私は同盟関係ではないかと、こう思っているところでございます。
○舛添要一君 私は若いころフランスにいて、ボルテールがこういうことを言って、有名な言葉ですけれども、私はあなたの意見には反対だと、だけれどもあなたがそれを言うことができるように命懸けでそのことは守り抜くと、私はこれが基本的な原則だろうというふうに思います。その上で、私は、普遍的な人権ということを申し上げているのは、その上でやはり美しい国がその上にあるんだろうと思います。
 それで、その普遍的な基本的人権ということと総理の唱えられる美しい国、これ私が質問しているのは、美しい国、そう言いながら、何か非常にナショナリスティックに国を変えていってその基本的人権を無視するんじゃないかと、そういう極めて誤った誤解があると思いますので、その批判があると思います。それにきちんと御反論願います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私は今主張する外交を展開をしているわけでありますが、その中でも特に申し上げているのは、日本が守ってきた、戦後守ってきた法の支配、基本的な人権、自由、民主主義、この世界共通の基本的な価値は日本は今後も守っていくし、これを大切にしていきたい、これこそ正にアジアにおいても世界においてもこれが広がっていくように日本も努力をしていきたい、こう申し上げているわけでございます。
 先ほど委員がおっしゃった、意見が違っても相手の意見が尊重される、そういう社会を尊重すると、これは当然のことでありまして、民主主義の社会にあれば、私も一度実は野党を経験したこともございますし、自民党が野党になる場合もある、そういうときにもやはり言論の自由が担保されることこそ、これは民主主義が生かされていく道ではないかと、こう信じております。
○舛添要一君 本当に現場の皆さん方が、発議者の皆さん方含めて大変な御苦労でこの国民投票法案をおまとめいただいた。
 ただ、一点私が懸念しますのは、凍結という、三年間凍結という言葉が使われているので、それだけ慎重に議論をしなさいということであろうと思うんですけれども、我々立法府としては、この法律ができれば、その下において、憲法審査会の下でいろんな議論をあらゆる角度からやり、その法の下にやると思いますが、しかしその三年間のいわゆる凍結期間においても、私は、我が自由民主党としては我々の新しい新憲法草案というのを世に問い、そして改正ということを求めていきたいと思いますが、最後にこの点についての御所見をお願いいたします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 憲法については国民的な議論と理解が必要だろうと、このように思いますので、今後とも、是非とも国民とともに議論をしていただきたいと思います。
○舛添要一君 終わります。どうもありがとうございました。
○簗瀬進君 民主党・新緑風会を代表いたしまして、まずは総理に質問をさせていただきたいと思います。
 何としても冒頭に聞かなければならないのは、総理は年頭の記者会見におかれて、今度の七月に行われる参議院選挙の争点として憲法改正を考えると、このように明言なさった、このように記憶をいたしておりますけれども、それは間違いございませんか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは記者の質問に答える形で申し上げたわけでありますが、そう申し上げたことは間違いがございません。
○簗瀬進君 記者の質問であろうが何であろうが、年頭の記者会見でございますから。
 実は、衆参にこの憲法調査会ができたのは二〇〇〇年でございました。以来、私もスタートのその時点から憲法調査会のメンバーとして務めをさせていただきました。途中からは民主党の憲法調査会の会長代理となりまして、枝野会長を補佐しながら民主党の議論も進めてまいったわけでございます。
 与党の皆さんも大変熱心に、そして大変紳士的な議論が展開をされた。もう議事録をチェックしていただきますと、もう至るところに、憲法改正を党利党略で語ってはならないと、正に憲法改正権は国民が持っているんだ、国民主権の一番の表れが憲法改正である、だから最終的には国民が国会の発議を受けて承認をして決めるんだと、こういう九十六条の規定があると。正にそれを現場の私たちはしっかりと受け止めながら、とにかく党利党略の議論はできるだけ避けましょうというふうに、大変紳士的な、ある意味で極めて信頼関係が濃厚なそういう議論を展開をしてまいりましたけれども、それを一変させてしまったのは、総理大臣、あなただと。
 私は、正にそういう意味では、この憲法改正を参議院の争点にすることによって逆に国民から憲法改正を遠ざけてしまった。またしかも、この中立公正であるべき手続法の議論と総理の御自身の憲法に対する思いというようなものがダブる形で、手続法と中身がごっちゃになった、そういう議論が展開をされてしまって、結果として、審議不十分の中でこの国民投票法の議論が終わろうとしている。
 正にそういう意味では、憲法改正の議論を国民から遠ざけてしまったのは、総理、あなただと私は思っておりますが、いかがでございましょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それは正にあなたの考え方でありまして、全く今おっしゃったことは間違っているということははっきりと申し上げておきたいと思います。
 私は、自由民主党の幹事長として、日本の新しい憲法の在り方について議論をし、立党五十年までに憲法の草案を作っていく、このように宣言をしたわけでございます。その中において大いなる議論がなされました結果、立党五十年の際に、党の決議を経て、自由民主党としての考え方、憲法改正草案がまとまったわけでございます。まとまった以上は、これを国民の皆様とともに議論をしていく。ただまとめたわけではありません。政党としてまとめた以上、その実現に努力をしていくというのは、我々は、国民から負託されている者の責任であります。ですから、その責任を果たしていく、私は自由民主党の総裁でありますから。
 そして、選挙において、既に草案があるわけでありますから、私たちの草案はこうですと、そして基本的にはスケジュールの中にのせていくべきであるというのは、私はそう考えているということを国民に訴えていくというのはむしろ誠意ある姿勢ではないか、このように思うわけでございまして、それが停滞させただの何だのは、これは全く簗瀬さんのある意味独特のお考えではないか、このように思うところでございます。
○簗瀬進君 国民とともに議論をすると、そういう総理にお言葉がございました。私は、まあ私がどう評価しようと、それは国民がよく分かっていると思うんですよ。
 何しろ今日、先ほどの理事会で、残念ながら私たちは本日審議を終局するということで合意をせざるを得ませんでした。この週後半はずっと私たちが何を求めたかといえば、正に国民とともに議論をする、それが制度的にしっかりと表れたものとして何があるかといえば、これは公聴会じゃないですか。地方公聴会は六回やりました。しかし、前日連絡をして翌日公述人を選ぶような、そういう地方公聴会と、官報に掲載をして五日間国民の皆さんに対してしっかりと議論をする、意見を述べる、そういう機会を保障する中央公聴会とは、委員派遣の実質の地方公聴会は全く違うんです。その中央公聴会を私たち何度も求めましたけれども、結局自民党、公明党はそれを受けてくれませんでした。
 正にそれは総理が、総裁として、自民党の総裁として国民とともに議論をするとおっしゃったその言葉と全く矛盾する対応を現場がしている。これどう思うんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それは、正に参議院のこの委員会の運営は委員会にお任せをいたしておりますから、私が立法府の長として何か物を申し上げるのは、むしろそれは介入になるのではないかと、このように思います。
○簗瀬進君 先ほど憲法尊重擁護義務の話がございましたけれども、総理大臣として現在の憲法を尊重し擁護をすると、これは憲法にちゃんと明記されている。しかも、三権分立というものがあります。国権の最高機関として定められているのは国会である。そして、その国権の最高機関と分立する形で立法府のほかに内閣があり司法があって三権が成り立っているんです。あなたはそういう意味では行政府の長であります。
 正にそういう意味では、行政府の長として、内閣の例えば審議の在り方に対する外部的な様々な注文というのは絶対にこれ抑制すべきじゃないですか。正に、審議促進を様々にさせるような、そういう圧力を国会やら自民党に対して掛けてくるということは、これは絶対に避けるべきじゃないですか。それを延々とおやりになって今日まで来ているんじゃないんですか。正にそういう意味では、総理のこの国会に対する様々な総理としての圧力というようなものは行政府の立法府に対する容喙であり、立憲主義に違反する憲法違反の態度だと私は思いますが、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) そう何回も指を指さないでくださいよ。指を指されなくても私に話していると分かっていますから。よろしいですか。
 そこで、私は圧力なんか掛けていませんよ。じゃ、聞いてみてください。今日までに審議を終えろとか、いつまでに上げろとか、そんな圧力は掛けていないということは申し上げておきたいと思います。
○簗瀬進君 さて、先ほど舛添さんからの御質問にもありましたけれども、戦後レジームの脱却と、昨今は、総理大臣はこの戦後レジームの脱却というお言葉をよくお使いになります。そこで、ちょっとそこになかなかしっかりと語られない総理御自身の憲法改正への思いというようなものは一番濃縮されて込められているのかなと思いつつも、ちょっと言葉を正確に定義をしていただければと思っております。
 まず、戦後とおっしゃる、その戦後の戦争というのは何を指していらっしゃるんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これはもう私もこの国会で何回か申し上げておりますが、さきの大戦でございます。
 我々はこの戦争の結果を深刻に受け止めたわけでございます。多くの国民が命を失い、そしてその後も塗炭の苦しみの中にあったわけでありますし、アジア諸国の方たちにも大きな被害を与えたのも事実であります。この反省の中から戦後の歩みがあったのは事実ではないかと、このように私は認識をしております。
○簗瀬進君 それから、レジームという言葉でございますけれども、私は、政治家が外来の言葉、先ほど舛添さん、随分フランス語をお使いになっていましたけれども、外来の言葉を使うときは正確性を期すべきだなと思っております。レジームというのはどういう意味なんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まあ舛添さんがいらっしゃいますから、かつてフランスでアンシャンレジームという言葉が使われておりましたが、正にこれは体制と言っても私はいいのだろうと、このように思うわけでございまして、これは基本的には、戦後の今のいろんな制度、仕組みがございます。これは、教育の仕組みもあるでしょうし、行政の仕組みもあるでしょう、また国と地方の在り方もあるんだろうと、このように思うわけでありますが、それをやはりもう一度見直しをしていく必要があるだろうと。そして、やはりそうしたものの頂点にあるというか、基盤にあると言ってもいいんだろうと思うんですが、それはやはり憲法ではないだろうかと、私はこのようにとらえているところでございます。
○簗瀬進君 戦後はもう随分長くなりましたよね、そういう意味では、第二次世界大戦が終わってから。戦後の体制とおっしゃったときに、もう五、六十年続いているわけでございましょう、その体制が。その体制のどの部分のどこをどう直すんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私が今申し上げましたように、まずこの戦後の体制ができた当初、これはまだ占領軍がいる時代に憲法もできたわけでございます。
 そして、教育基本法もでき上がっていきました。我々は昨年の臨時国会において教育基本法を改正をしたわけでございます。これは、言わばこの六十年間ずっとこの改正がなされなかったものが改正されたと言ってもいいんだろうと思いますね。
 そしてまた、例えば防衛庁、この年間の予算五兆円も掛けているわけでありますが、庁という姿にしてきた。しかし、やはりそれを省に昇格させた。これはどういう意味があるかといえば、これはやはり私たちのこのシビリアンコントロールあるいは民主主義の成熟に対する自信なんですね。
 これは、フィリピンに参りましたときに、アロヨ大統領も私にそうおっしゃっていました。安倍さん、日本は防衛庁を省に昇格させましたね、いいことですよと。それは正に日本人がシビリアンコントロールと、そして民主主義の成熟に対して自信を持って、そしてアジアにおいてもその大きな役割を果たしていこうという意思表示でありますから、それは肯定的に私たちはとらえたい、いいと思っていると、こうおっしゃっていた。
 正に今までの観念の殻を打ち破って、やはり二十一世紀にふさわしい日本の姿をつくっていくということこそ、私が申し上げている戦後レジームからの脱却であります。
 また、例えば公務員制度の在り方についてもそうだと、このように思うわけであります。言わば官製談合があったり、あるいは天下りの世界がずっとそのままある意味官製談合の温床として維持をされてきた、そういうものを変えていくということも、官と民の在り方もそうでしょう。そして、先ほど舛添委員と議論をいたしました国と地方の関係を抜本的に考え直していく道州制の在り方もそうだと思います。こういうことをダイナミックに議論をしていく今時期がやってきたということを申し上げておきたいと思います。
○簗瀬進君 まず、二点ほど質問したいんですが、その今のお答えの中から考えますと、例えば日本国憲法が定着をさせてきた基本的人権の尊重とか、あるいは自由主義経済とか、そういうのも体制の一つですよね。それについてはきちんとお守りになるというお考えなんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これはもう言わずもがなでございますが、先ほどから申し上げておりますように、現行憲法にもございますが、主権在民、そして基本的人権の尊重、平和主義、自由民主主義、そういうものを守っていくのは当然でございます。
○簗瀬進君 もう一つのお言葉の中に、占領下でこの憲法ができたというふうなお言葉がございました。やはり、総理のお心の中にある憲法改正の一番の原点というのは、占領下で、よく自民党の皆さんがおっしゃられる、GHQにこの憲法を押し付けられたと、その部分が一番問題だからそれをやっぱり脱却したいと、このようにお考えなんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私たちの基本法でございますし、この憲法、私はこの憲法を改正するという理由に、三ついつも理由として挙げているわけでございまして、一つ目の理由としては、今委員がおっしゃったことに近いわけでありますが、やはり占領中にこれは書かれた憲法であるのは間違いがないわけでございます。これは、やはり基本法であるからにはその制定過程にある程度こだわるのは私は当然のことではないだろうかと、こう思います。
 そして、六十年間時を経た中において、先ほど舛添委員とも議論をしたわけでありますが、世界の環境を守っていく必要性あるいは個人の情報を守っていく必要性等々、そういう新たな価値観、そしてまた国際社会においても貢献をしなければいけないという要請もあります。そういう中から条文を見直していく。
 そしてもう一点は、やはり自分たちで自分たちの憲法を書き換えていく、書いていく、この精神こそ私は新しい時代を切り開いていくその精神につながっていくのではないかと、こう考えているわけであります。
○簗瀬進君 私は、その二番目の部分についてはもしかしたら総理と同じ気持ちを持っているかもしれません。
 また、もう一つ申し上げれば、やっぱり今度の民主党の対案の中で、いわゆる直接民主制的な重要な国政問題についての国民投票を是非ともこの際作るべきだと、こう申し上げたのは、ある意味で、現在の間接主義のこの議会というようなものが様々な新たな問題に対応できなくなっている。もうIT社会でグローバルマネーがだあっと世界を動くような状況になって、一瞬のうちに国家予算をもうはるかに超えるようなお金が動いてくる。そういう状況の中で、今までのやっぱり十九世紀的な国家の機構というようなものが対応できなくなってきておるなと。
 それを乗り越えるためには、やはり場合によっては国民の意見を直接聴いていく。例えば、この東アジア平和共同体構想などということの中で、やがて国境を乗り越えたこのアジアの平和共同体をつくろうなんというふうな、そういう瞬間が訪れたとしたときには、例えば通貨の主権とかあるいは国境概念を乗り越えるために、これはもう一人一人の主権者に直接意見を聴かなければ絶対ならない場面だと思います。そういう手当てをやっぱりしておくべきだろうというのが実は私どもの思いなんです。
 その部分はいいんですが、問題は、やはり占領下に作られたというふうなことについてのこだわりを、やっぱりほかの自民党の皆さんと同じように、お若いながら、また戦争の直接体験もお持ちになっていない安倍さんがそうおっしゃられるということが私は大変気になるんです。
 そこで、実は、先ほどお配りした、皆さんのところに配ってある、大変見付けるのに苦労したんですが、これはテレビでどの程度映りましょうか。(資料提示)これ、朝日新聞の昭和十八年十一月五日、実はこの写真が写っている場所はこの場所です。正に当時の、今は参議院の第一委員会室になっておりますけれども、この場所です。これは、当時は貴族院の第一控室と呼ばれておりました。ここで、昭和十八年に大東亜会議というようなものが、今日、けふと書いてありますけれども、「けふ歴史的開幕」と。ちょうどあのマイクの辺りに立っているのがこの写真の中心にいらっしゃる東条首相です。この部屋です。
 ところが、実は、私なぜこのことを申し上げたいかといいますと、真珠湾の戦いが始まったのが昭和十六年、そしてアメリカを目指して戦いをもう既に始めておりながら、この戦争の意義というようなものが大東亜共栄圏の確立にあるということを宣言したのがこの大東亜会議の昭和十八年なんですよ。戦争が始まってから二年たってから、その戦争の目的を明らかにするといった会議をここでやっている。そして、その後敗戦をいたします。そして憲法公布されたのがその三年後。だから、この三年後の昭和二十一年に現憲法が公布されるんですね。だから、この写真の日からたった三年間しか時間は経過していないんです。正にその歴史的な場所で、今、私たちは総理に対して議論をさせていただいている。
 なぜこんなことを私が言いたいのかというのは、占領下とかあるいはGHQに押し付けられたとか、こういうふうに皆さんよくおっしゃるけれども、負けるのが必至な戦いを仕掛けてしまったということの方がもっと問題だと思いませんか。戦争開始時においては、アメリカと日本のGNPの差というようなものは五十対一だったと言われています。そういう総力戦の中で負けるのが必至でありまして、正にそういう意味では、私は、占領下のこの日本憲法というようなものを憲法改正の原点に置かれるのであるならば、占領されざるを得ない誤った戦争決定をしてしまった戦前の政治決定システム、それこそやはり日本国憲法の原点に置かれるべき問題だと私は意識すべきなんではないのかなと思いますが、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 大変ダイナミックな論理展開をされておられたんですが、歴史というのは連続性ですから、連続性でありますから、その連続の中でそれぞれあるんだろうと思うんですね。その一場面を切って、その是非を五十年、百年たって議論するというのは、もちろん議論としては成り立つんだろうと、このように思うわけでありますが、今、我が国のこの憲法の成り立ちについての議論については、私が先ほど申し上げた、占領中にできたというそういう事実について申し上げているわけでございます。
 ですから、その前のことについては、これはまた私は別の議論ではないだろうかと、このように思うわけでありまして、ましてや、この大東亜会議とこの現行憲法との関係性というのは、これは余り私は、また我々がこれから憲法を変えていこうという議論とは、これは余り関係がないのではないだろうかと、このように思います。
○簗瀬進君 私が言いたいのは、押し付け憲法をいうのであらば、やっぱり誤った戦争、占領されざるを得ない状況をつくってしまったことの方がむしろ我々は歴史の教訓としてしっかりと踏まえておくべきことなんだということを言いたいわけですよ。
 ついでに、東条内閣の話が出たことなので、総理のおじいさんの話を聞かせていただきたいなと思うんですけれども、東条内閣では総理のおじい様の岸信介様はどういうふうなお立場だったか御存じですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それをこの私に、今御質問をいただいたわけでありますが、これは、商工大臣、また言わば軍需担当をしていたのも事実でございます。
○簗瀬進君 さすが正確な知識を持っていらっしゃる。
 実は、もっと正確に言えば、軍需大臣は、東条内閣の後半におきましては東条さんが兼ねておりました。そして、軍需次官国務大臣というのが岸信介さんの東条内閣の後半のお立場だったんです。
 私がもう一つ申し上げたいのは、これは読売新聞のナベツネさんから聞いた話なんですけれども、岸さんが、(発言する者あり)渡辺恒雄さんですね、失礼いたしました。これも歴史の一断面の話として聞いていただければと思うんですが、実は、東条内閣が最終的に総辞職をします。総辞職をするきっかけをつくったのは実は岸信介さんだった、信介さんだった。正にそういう意味では、軍需次官という立場ではありましたけれども、内閣改造を求める東条さんに反抗をして、そして東条内閣を総辞職に追い込んだのは総理のあなたであった、ある意味では、日本を破局に導くことを妨げることをしたのがあなたのおじいさんだったということはやっぱりきちんと銘記をしておいていただきたい。
 そして、先ほど来から、この国民投票法が六十年の長きにわたって全く手が付けられなかった、それは懈怠だと、皆さん、特に与党の皆さん申されるわけですけれども、私は、もう一つ表には出ない気持ちがあったんではないのかなと。それは、自民党の当時の皆さん方の先輩方の、そういう議員さん方は様々な戦前の歴史を知っておりました。軍部独走したときの怖さというようなもの、政治家がいかにもろいものであるのかということを知っておった、だから憲法改正をそうは簡単にしてはならないという抑制的な態度がずっと続いておったと。私は、そういう意味では、国民投票法を作るなと野党が言い、ある意味で与党の中でも、それを今はやっぱり作るべきではないなと思っておった皆さんが先輩の中にいらっしゃったんではないのかなと、こういうふうに考えるんですけれども、総理、御所見どうですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど、私の祖父の東条内閣倒閣についての話がございました。私、孫でございますから、本人から直接いろいろと話は聞いております。言わば、サイパンが占領されて東京また本土が空襲の範囲になった中において、言わば当時は総力戦という考え方でございましたから、言わば軍需工場等が生産不能に陥るので、よって、これで勝利の見通しは全くないという判断があったわけでございます。これは担当している大臣としての判断であります。しかし、その後、もちろんこれは東条内閣からは、それは相当、その後、厳しい憲兵を付けられるなどのそうしたこともあったのも事実でありますが。
 しかし、今先生がおっしゃった、自由民主党が六十年間慎重であったということは、そうではなかったと思います。これはやはりできなかったということなんだろうと思います。私の祖父ももちろんそういう経験はしましたが、憲法を変えるべきだと、こう申し上げていたわけでありますし、また、そもそも自由党と民主党が合併して、これは自由民主党をつくったときの党の綱領に、これは簗瀬先生も一時自民党におられましたから御承知かとは思いますが、現行憲法の自主的改正をはかりと、この党の政綱の六に独立体制の整備ということでちゃんとうたってあるわけであって、うたっていながらやらないというのは、これはまた不誠実であって、そういう不誠実な議員はいなかったのではないかと、このように思います。
○簗瀬進君 表ではそういうふうな対応をしながらも、例えば宮澤先生などは、言うならば玉音放送のあのレコード盤が軍部の一部の方に取られそうになって放送ができなくなる、それを阻止する側で大変な危地に陥られたということは「日本のいちばん長い日」というところによく書かれております。そういう原体験をお持ちの皆さんが自民党の中にも先輩としていらっしゃったということは、やっぱりこういう重要な瞬間、しっかりとやっぱり銘記しておいていただきたいなと私は思います。
 そしてもう一つ、総理は憲法九条を中心にして物をお考えだろうと思いますけれども、私はその憲法を改正をする際には、アジア周辺諸国の理解というようなものをしっかりと取り付けられるのかどうかということが非常に重要だと思っております。特に、旧交戦国の皆さんが九条に手を付けるというふうな形になったら、相当な反発がこれは来ると思います。
 そのときに、私の記憶では、かつて自民党にあったということ、覚えておいていただいてありがとうと言わせていただきたいと思いますけれども、後藤田正晴先生と私は政治改革のときによく御一緒させていただきました。あるとき、後藤田先生に、この憲法九条の改正論について、後藤田先生はどう思いますかと、もう二人だけのときでありまして、ほかに聞いていた人はいたかどうかよく覚えていませんけれども、聞いてみました。そのときの後藤田先生の答えが、非常に私は今もこの心に残っております。後藤田先生はどうおっしゃったかというと、アジアの人々に戦争の記憶が残っているうちは九条はいじってはいけないと自分は考えているんだと、こういうふうに後藤田さんはおっしゃっておりました。やはり、戦争の惨禍を知っている皆さんが、当時のアジアの交戦国に対する様々な配慮というようなものが憲法改正においては絶対必要だと、こういう極めて良識的な対応を持っていたのだなと、こういうふうなことを今も思い出すわけでございますけれども。
 私は、そういう意味では、憲法改正をもしこれから取り組むのであるならば、総理の戦争の歴史に臨む対応というようなものに対するアジアの周辺国の懸念といいますか、あるいは不信というようなものをいかにぬぐい去られるかということが非常に重要だと思っております。靖国の問題も一点そこに掛かっております。
 私は、総理の靖国に対する対応というのは極めてこそくだと。行ったか行かないか言わない。総理大臣の一挙手一投足が外に漏れないことってあり得ないじゃないですか。この春の例大祭でも、真榊、内閣総理大臣安倍晋三というお名前で五万円のお金を私費で出されたというふうなことが新聞に載っておりますけれども、それもすぐ外に出ます。正に、このような行ったか行かないか言わない的な極めていい加減な対応を今後とも取り続ける限りにおいては、これは絶対にもう九条をいじった段階で日本はアジアどころか世界の孤児になってしまうと、このように私は思いますけれども、いかがでございますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) そんなことにはなりませんからどうか御安心をいただきたいと、このようにまず申し上げておきたいと思います。
 そして、今回、例えば米国に参りました。議会の方々とお話をした際、民主党のリベラルと言われておられる議員の方からも、日本が憲法改正に取り組むことはいいことだと、このようなお褒めの言葉もいただいたわけでございます。
 そして、アジアの国々の指導者とも私は話しています。先ほどアロヨ大統領の話をしたら、恐らく皆さんびっくりしたんじゃないですか。このように、例えば防衛庁を省に昇格させたら軍国主義になるんじゃないかという批判もありましたが、全く別の、全く違う評価を例えばアロヨ大統領もしておられます。そして、ユドヨノ大統領も私に、日本にもっと政治的安全保障上の役割も責任も果たしてもらいたい、このようにおっしゃっておられます。そういう指導者はたくさんいます。恐らくこれは簗瀬議員が御存じないだけではないか、こう思うわけでございます。
 そしてまた、温家宝総理が来日をした際、日本の戦後の歩みを評価する、このようにもおっしゃっているわけでございます。そういうことをやはり私はこの場をおかりいたしましてはっきりと申し上げておきたいと思うわけでございまして、自分の論理に合わせるように言ってもらいたいと皆さんは思っておられるんではないかと、こんなようにも思うわけでございます。
○簗瀬進君 私が知っているか知らないかということについて総理というお立場でお触れになることは、私に対しては大変な侮辱です。それをこういう場面で平然とおっしゃる、それが安倍総理のいわゆる精神構造にあるものだと諸外国に思われてしまいますので、どうぞお気を付けください。
 それで、具体的な、余りにも時間がない、そういう審議の中で、この法案の中で様々な穴がたくさんあるということをこれから私たちはきちんと残された時間で指摘をさせていただければと思っております。
 その第一番目としては、私は在外投票の問題について触れたいと思います。
 総理、ちょっと、すぐ話題が変わっておりますから、どうぞ。
 今日、実は大変な私が尊敬をいたしております、JOVネットという、ジャパニーズ・オーバーシーズ・ボーター、いわゆる在外投票、そのJOVネットの代表であります高瀬さんという方がこちらに来ております。今、外国にも大変たくさんの有権者が当然おるわけでございまして、まず、外務省の領事局長の谷崎さんに来ていただいておりますんで、どれぐらいの在外の投票権をお持ちの方がいらっしゃるのか、そして十八歳になったらそれがどれぐらいの数になるのかということのお見込み、もし分かれば、分かる範囲で結構ですから、お答えください。
○政府参考人(谷崎泰明君) お答えいたします。
 在外の選挙人名簿に登録されている方の数でございますけれども、外務省の調べによりますと、本年四月末現在で約十万人、正確に申し上げますと十万六十七人が登録されております。
 今もう一つ御質問のありました十八歳になった場合の人数ということでございますけれども、これにつきましては、二十歳ということで調べておりますので、具体的な数値を手元には持っておりません。ただ、在外におられる日本人の数、総数は約百万人と承知しております。
○簗瀬進君 よく捕捉率という言葉が出るんですけれども、百万人と今おっしゃいましたが、それは具体的に言ってみると、在外登録をしている方の数で百万とおっしゃっているんですか。
○政府参考人(谷崎泰明君) もう一度繰り返しますと、在外におられる日本人の総数でございますけれども、この総数が約百万人おられます。その中で推定の有権者、これは二十歳でございますけれども、有権者の数が約七十六万人と推定しております。その中で在外選挙人名簿登録を実際にされている方の数でございますけれども、これは先ほど申し上げました約十万人ということでございます。
○簗瀬進君 七十六万人、十万人、実際のところはもっと、とらえられていない方もたくさんいるというふうな話があって、外務省の捕捉率は大体七〇%から八〇%であるけれども、実際はもっと捕捉率五〇%ぐらいなんじゃないのかなという話もございます。それを前提にやっぱり議論は進めていかなければならないと思うんですけれども。
 もう御案内のとおり、二〇〇五年の九月十四日、最高裁で違憲判決が出ました。そして、その結果として、実は今年の七月から参議院選においても個名を書いた投票ができるようになるわけでございます。海外でも十万人以上の投票対象の人がいるわけでございますけれども、正にこのような憲法改正という国民の主権を表すその場面において、しっかりとした、海外にある人たちも、この国民投票、憲法改正にできるような、そういう配慮というようなものがこの法案でもなされるべきではないかなと思うんです。
 そこで、ちょっと発議者に聞かせていただきたいと思うんですけれども、百四十六条という規定があります。私は、これどういうふうに読んだらいいのか、非常に、御見解聞かせていただきたいなと思うんですけど、読みようによってみれば大変冷たい書き方しているんですね。第百四十六条、これは見出しとして「在外投票を行わせることができない場合の取扱い」、この云々の規定による投票を同号に定める期間内に行わせることができないときは、更に投票を行わせることは、しないものとすると。もう簡単に切り捨ててしまうような書き方になっているんだけれども、これはどのように解釈をしたらいいのか。また、これをそのままにしておいてよろしいのかということを発議者にちょっと聞かせていただければと思います。
○衆議院議員(船田元君) 簗瀬先輩にお答えいたします。
 今の百四十六条でございますが、これは在外投票について、天災等の特別の事情、これは例えば大地震、大洪水、あるいは事務所の消失、あるいはクーデターや内戦などの勃発、そういった極めてまれな事情だろうと思いますけれども、そういう特別の事情によって在外公館投票を行うべき期間内に在外公館投票を実施することができなくなった場合の規定だというふうに解釈していただきたいと思います。このような場合には、当該在外公館において日を繰り延べて、後日、在外公館投票をやり直すということはしないものとする、こういう規定をさせていただきました。
 なぜそうしたかと申しますと、更に日を繰り延べて在外公館投票を実施することになりますと、国外におけるこれらの支障というのは実はかなり長期間にわたって継続する可能性があるということ、また、在外公館投票の繰延べに合わせて国内の多くの市町村における開票についても遅らせなければならない、このような不都合が生じ、弊害が大きいということがあるわけでございます。
 もちろん、国内においての今申し上げたような天災その他避けることのできない事故によって投票ができないというときには、これは七十一条で、更に期日を定めて繰延べ投票をすることはできることになっておりますが、海外の今申し上げたような特殊な事情ということを勘案して、このようにいたしました。
 この取決め、百四十六条は、参議院の皆様が、民主党が出されました法案に、修正案におきましても、与党案と同じ規定があるというふうに承知しております。
○簗瀬進君 やっぱり登録制度になっているというようなこともありますし、とにかく在外にあられるたくさんの有権者の皆さんにもひとしく、更に国内にある皆さん以上に目を致していただきたいと。やっぱりこれは今後の大きな課題かなと思っております。
 もう残された私の時間は一分切っていると思うんですけれども、やっぱり発議者に、重要な案件として一括発議、分割発議の問題があります。これについて簡単に御答弁いただければと思うんですけれども。
 法の六十八条の三に、関連する事項ごとに区分して行うものと、こういうふうな規定があります。しかし、この関連性の判断をどういうふうにしたらいいのかということについては非常に不十分であると思うんですね。
 だから、例えば分割できるものは分割することを原則とする等の、分割をまず優先をする等の原則を第一番目に考えるとか、一方が可決されて他方が可決された場合にはそごを生じるものに限定して一括をするなどといった整合性を取るといったルールとか、あるいは憲法学者等外部有識者の見解もしっかりと踏まえる等の外部チェックのルールなどをやっぱりきちんとすべきなんじゃないのかなと。
 それからさらに、五十六条三項によりまして、投票用紙が別記様式という形になっていますけれども、複数発議が行われた場合に、同じような紙の中でどう処理するのか。あるいは、色分けをした別の紙を何種類か作るのか等々の細かい配慮をしておきませんと、投票をする国民の方は非常に混乱をすると思います。でありますから、この別記様式、投票の紙等についても様々な配慮をしておく必要があるんではないのかなと。
 その他、これからも私たちの同僚が最後の時間で足らざる部分について答弁を求めたいと思いますけれども、できるだけ今後しっかりとした対応をしていただけるよう心から要望いたしまして、私の質問を終わります。
○前川清成君 二〇〇四年七月の選挙で奈良県選挙区から国会に送っていただきました前川清成でございます。安倍総理に初めて質問させていただきます。どうかよろしくお願いいたします。
 まず、前提事実としてお尋ねをいたしたいことがあります。
 新聞報道等によりますと、今年の三月以降、総理は内閣法制局長官と三度お会いになって、集団的自衛権に関する政府解釈を変更するようお求めになった。すなわち、これまで憲法上許されないとされてきた集団的自衛権の行使を憲法上許されると政府解釈を変更するように宮崎内閣法制局長官に求めたけれども、法制局はこれに応じなかった。そこで、その結果として柳井元駐米大使らによる有識者懇談会を立ち上げた。
 この経緯について、正しいのか、そうでないのか、可能な限り簡潔に御答弁いただけたらと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) その経緯は正しくないですね。私が法制局長官に解釈を見直せということを言うということはございません。
 もちろん、法制局長官とは、いろんな国会との関係で仕事上会うこともあるかもしれません。ただ、一対一で会ったということは、何人かの中でおられたかどうかというのは分からない場合もありますから、これは分かりませんが、今おっしゃったような経緯、経過はないということは申し上げておきたいと思います。
○前川清成君 四月三十日付けの日経新聞によりますと、総理と法制局長官と一対一でお会いになったのではなくて、塩崎官房長官や的場副長官とともに首相官邸で総理がお会いになってその政府解釈の変更を求めたと、こういうふうに書いてあるんですが、これは間違いということですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それは間違いでございます。
○前川清成君 有識者懇談会を立ち上げたというのは、先ほど舛添理事からの御質問にもありました。
 それでは、どうしてこの有識者懇談会を立ち上げたのか。実質的な理由についてはお答えいただきました。立ち上げざるを得なかった理由といいますか、その動機というか、そこをお尋ねいたしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) いや、これは立てざるを得ないとかいうことではなくて、これは当初から私が説明をしておりますように、日本や世界をめぐる安全保障環境が大きく変化をしてまいりました。例えば大量破壊兵器の拡散であるとか、テロとの戦いもあります。続発する地域紛争の問題もございますし、あるいはまた、日本は世界における、世界の平和と安定のために貢献してもらいたい、こういう期待も高まっている中において、この責任をどう果たしていくかという課題もあるわけでございます。
 そういう中におきまして、日本の平和と安定、そして日本人の生命と財産を守っていくという責任において、その責任を果たしていくという観点から法的な基盤を整備をしていく、憲法との関係を整理をしていく上において、やはりこれは有識者の方々に深い議論を見識の下においてしていただこうということで有識者の会議をつくったところでございます。
○前川清成君 総理が今お答えいただきました、変わっていく国際情勢の中で日本人の安全や生命を守っていかなければならない、私もそのとおりだと思っていますし、その点に全く異存はありません。
 今日お尋ねしたかったのは手続の問題であります。
 憲法という法律がありまして、これは安倍総理の権限の元種でもあります。憲法に基づいて安倍総理、憲法が安倍総理に権限を授権しています。しかし、同時に憲法が、安倍総理はここまでできるけれどもこれ以上はできない、総理の権限を制限しています。憲法は制限規範でもあります。総理の権限を制限している憲法、そして、その解釈を総理が有識者懇を立ち上げて変更しようとする、これは手続の問題として私は問題があるのではないかと、こう考えているわけです。それをお尋ねしているんですが、総理、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今までの法制局の解釈、法制局というのも内閣の一部局でありますから、トップは私であります。私が最終的な責任者ですね。今までの法制局長官の答弁も最終的な責任は総理大臣なんですよ。政府、今までも解釈は、憲法の解釈は政府がしてまいりました、有権的に解釈をしてきた。それが間違っているかどうかというのは、これは最高裁が判断をされるということではないかと、このように思います。
○前川清成君 総理、だから憲法の枠組みを、総理に縛りを掛けている、その縛りの範囲を総理が決める、総理が変えようとしている。
 今総理いみじくもおっしゃいました。内閣法制局の最終責任者は私だとおっしゃった。それでは、内閣法制局の最終的な解釈、責任、これは総理にあるわけですよね。総理自らが自分の縛りを伸ばしたり縮めたり広げたりできる、おかしくないですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ですから、今までも申し上げておりますように、この憲法の解釈においては、これをどう解釈するかということは法制局、そしてまた、そのときの内閣で決めているわけでございます。そしてその中で、この六十年間状況が変わった中において、憲法との関係において整理をしていく必要があると、このように申し上げているわけでありまして、その中で解釈を研究をしていく。これは別に憲法を逸脱しているわけでもなし、また恣意的に解釈をするわけでもないわけであります。
 いずれにせよ、その解釈にのっとって、これは、例えば自衛隊が行動する場合はそれを裏付ける根拠となる法律が必要であって、この法律は国会の議を経て賛成を得なければならないということは、これはもう御承知のとおりだろうと、このように思う次第でございます。
○前川清成君 今日は、私、総理に憲法という規範の意味をお尋ねしたい、そういうつもりでおります。
 そこで、総理にお尋ねしたいことがあります。
 五月三日の憲法記念日に内閣総理大臣談話を御発表になりました。これは官邸のホームページにも掲載されています。その中で、憲法は国の理想、形を物語るものです、こういうふうにお述べになっています。先ほど来の御答弁にも同様の趣旨がありました。
 覚えていただいていたかどうか分かりませんが、私は奈良から国会に送っていただいています。聖徳太子のふるさとなんですけれども、聖徳太子の十七条憲法に言う憲法であれば、総理がここにお書きになっているように国の理想や形を物語る、これでいいと思うんですけれども、現代において、すなわち近代的な意味において、憲法というのはこの理解では正しくないのではないかと。すなわち、近代においても現代においても、特に現代だからこそ、国家権力を制限する規範こそが憲法ではないかと。その総理のこの御見解の中にはその点に関する意識が希薄ではないかと私は危惧しています。いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 全く希薄ではないと思います。立憲主義について申し上げたわけでありまして、この立憲主義が基盤だというのは、もうこれは言わずもがなのことであって、立憲主義の下に、これは正に主権者たる国民の意思によって国家の権力の行使について定めて、基本的な人権を保障する、これは正に立憲主義でありますから、これは立憲主義でございます。
 そして、それと同時に、今の憲法にもこの理想が書いてございますね。国際社会から大きな評価を得たいというこの目的が書いてあります。これは正に国の姿であり、私は形ではないかと、このようにも思うわけでありまして、ですから、これを語ったら言わば国民の権利に対する意識が希薄ということでは私は全くないのではないか、むしろそれを確立するという国の形を示すべきだと、このように私は申し上げているわけでございます。
○前川清成君 今の総理の御答弁の中にも、憲法が総理御自身の権限を縛っているんだというような御発言はありましたでしょうか。封建時代のお殿様と憲法がある国の内閣総理大臣との違いはどこかというと、憲法によって権限が縛られているということなんです。その点が総理の御発言からは全然ないのが私は、総理がその点を意識しておられないからこそ、有識者懇を立ち上げて、憲法九条の意味も変えようとしているんじゃないかなと、そういうふうに私は心配しているわけです。
 そこで、今決して少なくない国民の方々が、この国民投票法ができれば憲法九条が変わるんじゃないか、憲法九条が変わって、外国で日本の自衛隊が戦争を起こす、その国づくりではないかという危惧が決して少なくない方々からあります。それに対して、総理の方からはっきりとしたメッセージがあるんでしょうか。決して少なくない方々が心配しておられますので、この機会に総理のお口からはっきりとメッセージを送っていただいたらどうかと私は思っています。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) そういう疑問を持つ方々は、じゃ、何のためにそんなことを私たちがしようとしているのかということですね。自衛隊が勝手にどんどん出ていって戦争する、まるでどこかの国を、じゃ占領しに私が命令して出そうというんでしょうか。あり得ないじゃないですか。ですから、こんなあり得ない前提の下で一々私は今まで議論をしてきませんでした。
 しかし、最初に申し上げましたように、現在の憲法にも規定をされている基本的な考え方がございます。これは、基本的な人権の尊重、そして民主主義、さらには平和主義と。平和主義を貫いていくというのは、これはもう何回も申し上げているとおりでございます。
 そしてまた、自由民主党の憲法の草案を見ていただいても、それを見ていただければ改正案によってそんなことにはならないということはよく御理解をいただけるのではないか、むしろシビリアンコントロールについては更に強化し明記していると、このようにも思う次第でございます。
○前川清成君 総理は今のような御発言をなさるんですけれども、五月七日に私たちは地方公聴会で札幌に行ってまいりました。そのときに、公述人として二年前の郵政選挙で自民党の公認候補として立候補された自民党北海道道連の事務局長さんが、私たち民主党の津田弥太郎議員からの質問に対して、津田議員が、新憲法が制定だと公述人はおっしゃったけれども、現行憲法のどこに一番問題があるのか、一つだけ挙げてくださいと、こういう質問に対して、その元自民党の公認候補の方、もしかしたら自由民主党の衆議院議員になっていたかもしれない方は、当然のことながらこの憲法九条、この戦争放棄と戦力不保持ということですねと、これはもう極論を言うと防衛をするなと言っているに等しいと私には聞こえるんですよと、したがって悠長なことを言っていられないというのが私の心境ですと、三年間この凍結条項があるんですけれども、この間の三年間で憲法残って国滅ぶという事態にならなければいいのかなと私は懸念を持っていますと。
 正に、国民投票法を作って憲法九条を変えるんだと、これが自由民主党の元公認候補の公述人の御発言なんです。だから、私は、多くの国民の皆さん方が心配しておられることもある意味仕方がないのかなと、こんなふうに思っています。
 それで、総理は、先ほどもありましたが、今年の年頭会見で七月の参議院選挙の争点として憲法改正を訴えたいと、こんなふうにお述べになっています。具体的には何をお訴えになるんでしょうか。
 先ほど、自主憲法の、ごめんなさい、三つ理由を挙げられました。占領下に制定されたということと、新しい価値観、新しい人権等を盛り込みたいということと、それともう一つ、私には最初の占領下で作られたということと同じ意味に聞こえたんですが、自分たちで書き上げてみたいと、この三つの点が今年の七月の参議院選挙の本当に具体的な争点になるんでしょうか。
 争点として具体的に何をお訴えになりたいのか、お聞かせいただけませんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) このいわゆる争点、選挙の争点というのは、私が勝手にこれだということを決めれないわけでありまして、国民が求めているものもあります。しかし、私たちはこういうことを考えているということは訴えていく、これは誠実な姿ではないかと、こう思っているわけでございます。
 そこで、我々は既に、先ほども答弁をいたしましたように、憲法の草案はもう既に作っているわけでございます。そして、憲法の改正というのは国民的な広くそして深い議論が必要でありますから、いろいろな場面を通じて私たちの考えを訴えていく必要はあるんだろうと、こう思うんですね。
 選挙は一つの機会としてとらえていく、そして政治スケジュールの中としても、私の内閣において憲法の改正を考えていきたいということを申し上げていく、それを訴えていくということは、これはむしろ正直な態度ではないだろうかと、こう思うわけでありまして、そして中身においてはもう既にできておりますから、この憲法の改正案を訴えていく。そして、例えば先ほどおっしゃった九条についての改正部分も、むしろ我々の改正のこの案を読んでいただければ御安心をいただけるのではないかと、このように確信をいたしております。
○前川清成君 今総理がおっしゃったように、私たちの国にとって大切な大切な憲法の問題を国政選挙の争点に据えて正面から議論をすると、これは私も大賛成でありますし、その政治姿勢は御立派だと思います。ただ、総理、自民党に草案があります、それを訴えたいと、こうおっしゃっても、例えば総理が街頭演説で自民党の草案を読み上げるわけにもいかないわけでしょう。
 私がお聞きしたかったのは、具体的にこの国の形をどう変えたいのですかと、それを具体的にお示しにならないと国民の皆さんには伝わらないんじゃないかなと、だから余計な誤解がどんどんどんどん広がるのではないかと、こういうような趣旨で申し上げているんです。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) いや、もう既に今日の議論を聞いていただければかなり御理解をいただいてきているのではないかなと思っておりますし、それと、これはもう既にちゃんとできておりますから、これを正に皆さんにお配りをするという機会にもなればいいなと思っておりますし、また、選挙の際はそれぞれマニフェストを作って、大部なものを作りますよね。当然、街頭演説、全部しゃべるわけにはいきませんが、そのエッセンスについてお話をしなければいけない。しかし、限られている時間の中において、例えば街頭演説において、十分、十五分の中でいろいろなことを話さなければいけません。年金のことも社会保障のこともそうでしょうし、経済のこともそうでしょうし、外交のこともそうです。その中で、憲法も一部について私は変えていく、このように変えていくというお話はさせていただきたいと、このように思います。
 九条を変えたいかどうかとよくおっしゃられるんですが、変えるというのはもう既に書いてありますから、書いてあるんですから、これをまず読んで、全くこれを読まずに安倍さん何考えているんですかということをよく言うんですが、もう自民党ではこれをもう決めているわけでありますから、そして私もその責任者の一人でありますから、これを、この存在をまず知らしめていく必要があるのではないかと、こう考えているところでございます。
○前川清成君 時間がなくなってまいりました。
 私は、この国民投票法案について、与党案だけではなくて、正直申し上げて私たち民主党案についてもまだまだ問題点があると思っています。
 この国民投票法案は、そもそも国民投票は憲法九十六条が予定しているものですから、いつの日か冷静に議論をして、理性的にそしてかつ中立的な国民の皆さん方の意思を正確に反映する、そういう制度をつくっていかなければならない、そう思っているんです。そのためには、じっくりと腰を据えて議論をしていかなければならない。参議院選挙まであと二か月、会期末まであとわずかというこのときに、ばたばたしてつくる必要はなかったと、私はそう思っています。
 ごめんなさい、時間がなくなってしまいましたけれども、私たちはもっともっと議論を尽くしたかったし、これからもより良い制度を求めてこの議論をやめるわけにはいかない、そういうふうに思っています。その決意を申し上げて、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○澤雄二君 公明党の澤雄二でございます。総理、よろしくどうぞお願いを申し上げます。
 最初に、今の憲法に対する公明党がどのように考えているかということについて少しお話をさせていただきたいと思います。
 今の憲法は、今年施行六十年という佳節を迎えました。公明党は今の憲法は大変優れた憲法であるというふうに考えております。特に三原則、国民主権、基本的人権の尊重そして恒久平和主義、これは正に憲法の原則として大変なすばらしい基本原則であるというふうに考えております。さらに、平和主義の核心となっていますのが、憲法九条第一項、戦争放棄、そして第二項、戦力の不保持であります。これが平和国家日本のシンボルになっているというふうに考えております。
 今年の五月三日、憲法記念日でありますけれども、この前後、日本のテレビ局はいろんな憲法に関する放送をいたしました。その中で、これはNHKの番組でありましたが、経済同友会終身幹事品川正治氏が語っていた言葉が大変印象的でありました。品川氏は番組の中でこのように話をしていました。終戦後、現在の憲法草案を初めて読み、これで二度と戦争をすることはないのだと知ったとき、そこで一緒に草案を読んだみんなが泣きました。みんなが涙を流して泣いたのですと、このように語っておられました。戦争ほど残酷なものはなく、戦争ほど悲惨なものはありません。戦争はもう二度とやらないと決めた現憲法を終戦直後、多くの国民が良かった、これで日本に平和が来ると心から素直な気持ちで受け入れたのだと思います。
 戦後六十余年、憲法三原則と憲法九条が我が国の繁栄と平和をもたらしてくれました。一発の銃弾を撃つこともなく六十年間、平和を守り続けてくることができたのは、憲法九条があったればこそであります。それが国民の間に現憲法が広く定着してきた理由であります。このために公明党は、憲法三原則と憲法九条の一項、二項を堅持し守り続けることを内外に表明しているのであります。
 そこで、総理にお伺いをいたします。
 衆参両院では二〇〇〇年に憲法調査会を設置して、おととし二〇〇五年の四月に報告書を提出いたしました。その報告書の中で各会派、各政党が一致した事柄が幾つかございます。その中の一つが、国民主権、基本的人権の尊重そして恒久平和主義の三大原則は今後も堅持するということがありました。また、現行憲法は基本的に優れた憲法であり、戦後日本の平和と安定、経済発展に大きく寄与してきたと高く評価すること、これでも全会派が一致しております。
 このことについて総理のお考えをお聞かせください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま澤委員がお述べになりました国民主権、そして基本的人権の尊重、平和主義、この三原則、基本的な原則というのは、これは今後とも大切な原則として貫いていかなければならないと、こう考えているわけでありますし、自由民主党の憲法改正案の中におきましてもこの原則は引き継がれている、守られていると、このように確信をしているところでございます。
 そしてまた、現行憲法が果たしてきた役割についても私も率直に評価をしているところでございます。今委員がお述べになられましたように、戦後の発展、民主主義、そして平和主義、また自由な社会の下で経済的な発展をしてきた、これも事実であろうと、このように思うわけでございます。そして、しかし時代を積み重ねていく中において、日本をめぐる世界の状況も、また社会も大きく変わってきた中において新しい憲法の在り方を考えなければならないと、このように私は申し上げているところでございます。
○澤雄二君 今ここで、この当委員会で審議している国民投票法案は、正に憲法改正のための手続を定めるものでございます。憲法制定から六十年この手続がなかったということは、ある意味国が怠慢であったとも言えると思います。また、手続ができることで初めて国民が真の正しい意味で憲法改正の権利を行使できる、権利を回復できるとも言えます。
 憲法で憲法改正を国民ができると明記をされていますが、手続がなかったということは、真の意味でその権利を手にしていなかったとも言えます。この手続法ができることによって初めて国民がその権利を手にすることができるとも考えることができるわけでございますが、今なぜこの国民投票法案が必要なのか、総理はどのようにお考えでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この現行憲法において九十六条において、これは正に憲法改正を定めた条文でございますが、国会議員の三分の二の賛成で発議をいたしまして、国民投票をし、そして半数の賛成を得て改正ができるわけであります。これは正に、今おっしゃったように、国民が権利として改正ができるということを定めてあると言ってもよろしいのではないかと思います。
 つまり、本来であれば、憲法が、新たな憲法ができたと同時に関連するこれは法律として定めておかなければいけなかったものが今までできてこなかった。つまり、それをやっと今、立法府としてその責任を果たそうとしておられると、このように思い、敬意を表するところでございます。
○澤雄二君 全く同感でございます。
 現憲法に対する公明党の考え方は先ほど述べたとおりでございますが、制定から六十年たって、当時は考えられなかった、想定もできなかった新しい考え方や価値観というのが、この六十年間の間に世の中にいろいろ出てまいりました。例えば、新しい人権についての考え方などはその中の一つであります。環境権やプライバシー権というのがその新しい価値観に基づく権利の考え方でございます。
 それぞれ難しい問題を内包していますから、簡単な問題ではないというふうに理解をしておりますが、公明党が考えている新しい憲法改正の方法である加憲、加える憲法の憲と書きますが、つまり、新しく憲法に付け加える内容として、その研究のテーマの一つとしてこの新しい人権、環境権やプライバシー権を検討してもいいというふうに公明党は現在考えております。
 この加憲方式は憲法改正の方法として公明党が提案しているものでございますが、今の憲法三原則や九条の骨格はそのまま維持しながら、新たに必要だと思われる条文を書き加えて補強するという考え方であります。この加憲という考え方は当初はいぶかられました、一体何だと。それから、不思議がられました。(発言する者あり)そうですかね。その内容や正しい意味が理解されるにつれて国民の中で支持が広がってきました、加憲という考え方に。憲法改正イコール九条改正というイメージがあったものを、世の中からそうではないと、憲法改正は必ずしも九条改正につながることではないという、イメージを転換させることもできました。そして、日本の国内の中で憲法改正議論を落ち着いた議論ができるようにもこの加憲という考え方がさせました。
 党派を超えて、様々な人たちに憲法改正の現実的な方法として支持をされ、必要な修正を民主主義的な合意形成の中で進めていく、つまり世論の支持を得ながら憲法改正を考えていくという考え方、これが憲法改正の基調となりつつあるとする意見も現在ございます。
 総理は、この加憲という考え方、それから新しい人権、環境権、プライバシー権と、こういうものについてどのような認識をお持ちでございましょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、この環境権あるいはプライバシー権でございますが、正にそれこそ私もこの憲法改正の理由の一つとして申し上げてまいりました、この六十年たって新たな価値も、守るべき価値も生まれてきた、そういうことを書き込んでいく必要があると、こういうことを申し上げてまいりました。自民党の草案にも個人情報を守るということでプライバシー権書いてあります。そして、この環境を守っていく、むしろそういう責任も果たしていかなければいけないという意味においても書いているわけでございます、世界の環境を守っていくと。それはもう当然我々もそういう新たな守るべき価値も書いていかなければいけないと思っております。
 この加憲方式がどうか、これは公明党のお考えなんだろうと思いますが、国民の理解を得つつ進めていくというのは私もそれは全く賛成でございます。ただ、加憲方式がいいのかどうか。我々はすべてもう前文から全部書いた形でお示しをしているわけでございまして、今後、しかし建設的にどうあるべきか、そして広い国民の支持、もちろん議会における支持も必要でありますが、そういう支持を得るためにどういう努力、工夫をしていくかということは与党で大いに議論をしていかなければいけないと思っております。
○澤雄二君 一括してすべての憲法を変えるという考え方については、当委員会でも参考人の方が話をされておりましたが、とても国民はすべての憲法を変えるということに憲法改正の手続として付いていけないでしょうと。せいぜい国民が考えられる数は幾つか限られています。それは数を限定するということはちょっと問題があるから数字は申し上げませんが、つまり一括してすべてを変えるということが国民として付いてこれないということであれば、先ほど、今総理が言われたように、国民の支持を得ながら進めるということなら、やっぱり加憲という考え方が現実的なのかなという気がいたします。
 それで、今度の国民投票法案では、今審議されている国民投票法案は投票権が十八歳からというふうになっております。これはさきの衆議院選挙のときに公明党が出しましたマニフェストの中で選挙権を十八歳まで引き下げるということが公約の中にありますので、この国民投票の投票権を十八歳にするということはその公明党のマニフェストを実現に近づけさせる、非常にいいかなという高い評価をしたいというふうに考えておりますが、一つ懸念があります。
 この十八歳という考え方は、今いろんな法律は、二十歳で成人という一つの基準でいろんな法律が作られております。商法、刑法、民法、すべてそうであります。だから、ある試算によると、四十六の法律を検討しなきゃいけない、九省庁にまたがるというようなこともあります。これは並大抵のことではなかなか実現できないんだろうと思いますので、ここは正に総理大臣の強力なリーダーシップがなければこの法律改正はできないかなというふうに思っておりますが、その辺の御決意を聞かせていただけますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 現在御審議をいただいておりますこの法案の成立によりまして、憲法改正の国民投票の投票権が十八歳以上とされた場合には、関係する法令がございますが、関係する法令について政府として総合的に検討を加えまして、必要な法制上の措置を確実に講ずるように取り組んでまいります。
○澤雄二君 大変な困難を伴うかと思いますが、三年でできるかどうか微妙であるかと思いますが、どうか強力なリーダーシップで実現へ向けてお願いをしたい、指導力発揮していただきたいというふうにお願いをいたします。
 発議者に質問させていただきます。最低投票率の賛否について、与党、それから民主党の小川発議者に質問をさせていただきます。
 民主党は当委員会で、この法案の審議が始まってから連日といいますか、連日というよりも質問に立たれる方すべてがこの最低投票率の必要性を訴えられて、なぜこの投票率をその与党の発議の中に、提案の中に、(発言する者あり)まあすべてじゃない、ほとんどすべてと言えるほど、こっちが感じるぐらい、次々と質問に立たれた方がその必要性を追求されておりました。
 ところが、先日出された対案の中には、あれだけ主張をされた最低投票率が入っていません。それは、国民の目から見たら、どうしてあれだけ主張をされたものが自分の対案の中に入っていないのかというのは大変不思議な点でございます。その点について小川発議者から御答弁、説明をお願いいたします。
○委員以外の議員(小川敏夫君) お答えします。
 私どもの民主党の委員の方が指摘しましたように、最低投票率というもの、大変に重要な課題でございまして、余りに少数の方の賛同だけで憲法が変更されるということはこれはやはり大きな問題であるというふうに思っております。しかし、最低投票率を設定するという場合に、どの線で最低投票率を設けるのかという、非常に議論を更に積み重ねなければいけない問題がございます。
 仮に五〇%、六〇%という高い投票率を設定いたしますと、ボイコット運動などでかえって変更承認を困難にさせてしまうという事情がございますが、一方で、非常に低い投票率を設定したのでは余り意味がないと。そうしますと、合理的な投票率はどこにあるのかということを更に広く議論を重ねて、その上で投票率を具体的に設定したいと思いますので、今回の提案につきましては、更に検討を要するという課題にいたしまして、法案の中には盛り込んでおりません。
 以上のような次第でございます。
○澤雄二君 これで民主党の皆さんが納得されるのが僕は大変不思議なんでありますが、つまり、(発言する者あり)少し話をさせてください。
 余りにも高いハードルを設けるとボイコットされるかもしれない、低いと効果がないかもしれない、一体どの辺の数字が正しいんだと。それを統計学的にも調査する必要があるし、諸外国の例も調べる必要があるんだという御答弁でございましたけれども、そのとおりなんです。つまり、必要だと言うからには当然そんなことはお調べになっていて、これこれこういう理由だから最低投票率をなぜ入れないんだという質問をされていたと思っておりました。ところが、聞いたら、それは今まで忙しくてできていないとおっしゃっているんで、そういう主張をされる民主党というのは本当に憲法改正お任せしていいのかなと思ったりするわけでございますが。
 それで、参考人の方に質問をいたしました、この最低投票率について。例えば、最低投票率を五〇%だと仮定をすると半分の過半数で成立をするわけですから二五%です、国民の二五%の支持で成立をすると。全体の四分の一ですね。最低投票率を四〇%と仮定をすると、それの半分は二〇%だから五分の一ですね。だから、参考人の方に、この四分の一だと認めて五分の一だと認めないという数字の合理的な説明できますかというふうにお尋ねをいたしました。四人の参考人の方がいらっしゃいましたが、お二人は最低投票率は必要ないと否定的な考えでいらっしゃいました。お二人は肯定的な考え方をされましたが、その肯定的な考え方をされた方も、その肝心の最低投票率を一体何%にするんだという数字の話になると、数の問題とか微妙なところになりますと決定的な決め手がないことは確かですと、それが大勢の感覚に合うかどうかということになると思うというふうに述べられたのであります。
 ですから、民主党さんがさんざん言われている最低投票率の必要性、でも一体その投票率を何%にするかという数字については、なかなか合理的にこれだという数字がないんだというふうに思います。
 そこで、与党の発議者にお伺いしますが、なぜこの最低投票率採用されなかったのか、もう一度説明をお願いします。
○衆議院議員(葉梨康弘君) お答えいたします。
 私ども自民、公明、与党の立場は一貫をしております。
 五月九日ですが、テレビ朝日の報道ステーションで私の答弁が矛盾している、教育者の地位利用ですが、そんな虚偽報道がなされたんで訂正放送をお願いしているところなんですが、正に一貫をしておりまして、私どもは、憲法解釈上も、また立法政策上も、今正に澤先生がおっしゃられたような点を踏まえて、最低投票率を設けることは適当ではないというふうに考えております。
○澤雄二君 これは、総理も言われましたけれども、憲法はやっぱり国の形を規定する最高規範だというのは私もそのように思います。ですから、政党や政治家だけが議論するんではなくて、あくまでも主権者である国民がこれは決めていくものだろうというふうに思っております。
 それからもう一つ、これから検討されるであろう新しい憲法は、やっぱり二十一世紀のずっと未来を見詰めるような憲法であっていただきたいというふうに思います。総理が言われた戦後レジームという言葉を使えば、未来レジーム、そういうものを臨みながら構築していくような新しい憲法を考えていきたいというふうに考えております。
 最後に総理の御所見をお伺いします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほども申し上げたんですが、正に立憲主義にのっとって日本のこの二十一世紀にふさわしい姿、形を我々、国民とともに真剣に考えていかなければいけない。その姿、形こそ私はこの憲法が物語っているということになるのではないかと、このように思うわけでありまして、まずは現行憲法にも定められているこの改正の規定について立法府として責任を果たされていく、これは本当に敬意を表したいと、改めてそのように思う次第でございます。
○澤雄二君 以上で終わります。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 この改憲手続法案に対して、国民の皆さんからの批判と怒り、これは私は日増しに急速に強まっていると思います。今日もこの国会にたくさんの国民の皆さんが怒りを持って駆け付けておられる。野党推薦の公述人、参考人はもちろんのことですが、与党推薦の方々からも慎重に徹底審議を尽くせ、この声が次々と上がる中で、中央公聴会すら開かない。今日この後に採決をする。そんな強引なやり方で押し通すことは、私は我が国の憲政史上に重大な禍根をもたらすものだと思います。我が党は、断じて審議の打切り、採決を許すことはできません。法案自体が抱える重大問題、これについてあくまで徹底審議を尽くすべきことを断固として要求をしたいと思います。
 総理に、あなたがそもそも何を改憲したいというのか、このことを正面からお尋ねしたいと思っておりましたけれども、これまでの議論でもう聞くまでもないほどに明らかになったように思うわけですね。詰まるところ、新しい憲法を作りたい、端的に言って憲法九条を変えたい。そうですね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まずはここで議論しているのは国民投票法案でございますから、これは現行憲法の九十六条で定めているこの改正手続の国民投票を法律によってちゃんと定めていく、むしろこの憲法ができたときに立法府としてやるべきことを我々が今しっかりと、正に国会がおやりになっているということではないかと、このように思います。
 一方、今までの議論の中で、では、私は憲法改正についてどう考えておられるかということについて御質問がございましたから、それについては自由民主党において既に草案をお示しをしているということを申し上げてきたところでございます。
○仁比聡平君 私はどこを変えたいというのかということをお尋ねをしているわけです。
 あなたは四月の二十四日、新憲法制定推進の集いを開かれて、そこで、自民党立党五十周年の際に立派な新憲法草案が誕生した、もう中身は示していると、このように述べておられるわけですが、その新憲法草案の中心は九条二項の削除であり、自衛軍の創設と海外派兵ではありませんか。
 その集いの中で引き続き開かれたパネルディスカッションで、日本経団連の副会長は、憲法改正の心臓部は九条改正だ、こう繰り返し強調をされたそうです。先ほど御答弁の中で、さきの訪米の際にアメリカで九条を変えるのはいいことだとお褒めをいただいたと、こういう御答弁がございました。あなた自身がイギリスのフィナンシャル・タイムズ紙に、時代にそぐわない条文として典型的なものは憲法九条、こう語っておられるわけですよね。
 そのようなお話を今も笑顔でおられるけれども、笑顔で語られるその姿に多くの国民の皆さんは大変な危惧、懸念を抱いているのではありませんか。あなたが、私が自由民主党総裁として約束した以上、憲法改正を必ず政治スケジュールにのせていくと、強い執念を燃やす任期中の改憲の心臓部が正に九条であります。その上で、あなたは年頭から、自主憲法制定の立党の精神に立ち返って憲法の改正に取り組む、まずは手続法だと繰り返してこられました。真意は改憲、そのためにはまずは手続法、これもまたはっきりしているわけですが。
 私ここに、国民投票実施までの経過と見通しという、イメージ図という文書を持っております。これ自民党の中で配られたものでございますけれども、これを見ますと、本法案、国民投票法案、これは平成十九年五月ころ、この五月に成立、公布、エクスクラメーションマークも付いております。そして、参議院選後の八月ころの臨時国会で衆参に憲法審査会を設置すると。そして、改憲原案の提出と審査は法案ではいわゆる三年間凍結と言われておりますが、この中を見ますと、改憲の是非を含めた具体的な議論、これをこの夏から進めていって具体的改憲の骨子案の作成などを衆参の合同審査会で行うんだと。そして、三年後の二〇一〇年五月、凍結解除直後、直ちに改憲条文案の作成、つまり改憲原案を作成して、早ければ四年後の二〇一一年夏か秋には改憲案を発議し、その三か月後あるいは半年後には国民投票を実施し、同年秋、つまり二〇一一年の秋には早ければ新憲法が公布をされる。正に憲法改悪のスケジュール、改憲のスケジュール表にほかならないと私は思うわけです。
 このスケジュールに合わせて、この法案の五月の成立、公布、つまり今日、委員会で審議を打ち切って採決をさせようとしているということは私は明らかじゃないかと思いますが、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、先ほど、私が訪米して九条を変えるということを褒められたと、これは全く言っていませんから。私が申し上げましたのは、議会関係者とお話をした際に、ラントス下院の外交委員長が憲法改正をしようという日本のこの意思について評価をされたということを申し上げたわけでありまして、九条を変えようとしていることを褒められたということでは全くないということをまず申し上げておきたいと、よく私の議論を聞いてまずいただきたいと、このように思う次第でございます。
 そしてまた、この憲法改正推進の集いにおいて私の発言は、前半部分は私の発言なんですが、後半部分から何か、委員とこれ共産党の理解を何か述べておられましたが、我々は、この憲法を改正するということは申し上げておりますが、何も派兵とかそんなことは全く言っていないわけでございまして、そのように共産党の御理解を示されたんであろうと、こう思うわけでございます。
 このファイナンシャル・タイムズについては、一つの例としての九条というのを私が例示をしたのは事実でございますが、自民党のこの憲法改正案は、前文から含めて、九条も含めての改正案は既にお示しをしているとおりであるということを申し上げておきたいと思います。
 そして、そのスケジュールにつきましては、私はそのスケジュール作成については全く関知をしていないということを申し上げておきたいと思います。
○仁比聡平君 あなたが任期中の改憲と言う限り、自民党総裁の任期というのは、これは定められているようですから、このスケジュールに沿った形でこれを進めていきたいという思いはあるんじゃないんですか。
 先ほど、アメリカでの発言のお話ありましたが、憲法改正というのはその中心部分に九条改憲をあなた方は含めているわけでしょう。自民党新憲法草案はそう書いてある。(発言する者あり)自衛隊を自衛軍にする、書いてあるじゃありませんか。自衛軍、軍隊を海外に送る、これは派兵じゃありませんか。幾らごまかそうとしても、あなたの一連の発言がこの法案の出口を決めた異常な連日審議の最大の原因だ、そのことはこのテレビをごらんになっているどなたの目から見ても私は明らかだと思います。
 この委員会でも発議者は、三年間は改憲原案は審議はできないが、骨子案、要綱くらいまでは詰めてもいい、こう答弁をされました。このスケジュール表のとおりでございます。正に改憲と地続きではないでしょうか。
 国民こそ主人公です。法案自体が持つ憲法違反の数々の重大問題が明らかになる中で、これを徹底審議をすることなしに法案を強行するというのは私は許されないと思います。そんなやり方で、二度と戦争はしない、この国民の深い思いが込められた九条を変えて再び戦争ができる国に変えることは断じて許されない、廃案にすべきことを強く求めて、質問を終わります。
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 まず、本日の委員会を設置する手続について強く抗議をします。
 自民党と民主党で合意をして理事会すら開かれずに採決の日程を決めるなど、信じ難いことが起きました。中央公聴会は開かれておりません。衆議院は五十八時間十九分、参議院は四十八時間三十七分でしかありません。
 また、法案自身も大欠陥法案です。最低得票率の規定はありません。有料CMに関して公平を担保するルールは提示されておりません。お金で憲法を買うことができる、憲法改正を買うことができる中身となっています。公務員と教師に関しての活動の制限についても明らかになっておりません。また、これから、今準備中の附帯決議も十八個の項目が規定をされております。議員立法でこのような項目が付くなど前代未聞です。この法案が欠陥法案であると、中身についても問題があると、議論を逃げずに、議論を尽くすべきです。
 ずさんな内容と非民主主義的な手法で国民投票法案を作るのは、憲法と国民と民主主義への冒涜であるということを強く申し上げます。
 さて、戦後レジームからの脱却を総理は言っています。戦後の反省そのものから、戦後六十年以上国民が築き上げてきた国民主権、基本的人権の尊重、平和主義をたたき壊すことであり、許されないということをまず申し上げます。
 まず、自民党新憲法草案九条の二は、海外で自衛隊が米軍とともに武力行使をすることを許容しています。違憲とはしておりません。海外で自衛隊が米軍とともに武力行使をする、そのことは認める、そういう憲法ができる。それは総理、明確に答えてください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この私どもの草案の九条でございますが、この中には、まず九条の一項はこれはそのまま残すわけでございまして、堅持するところも一応読んでおいた方がいいのかなと思いますので読ませて……(発言する者あり)いや、これは、これはしかし国民の皆様が見ておりますから、大切なことですので。日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する、これは書いてあります。
 そして、この九条の二、この後は新しく私どもの草案に書かれているところでございますので、これはまず正確に読む必要があると、このように思います。
 我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮者とする自衛軍を保持する。自衛軍は、前項の規定による任務を遂行するための活動を行うにつき、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。これは正に国会の統制、シビリアンコントロールでもあると思いますが、最高指揮者とともにこれが書いてあります。
 次でございますが、自衛軍は、第一項の規定による任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び緊急事態における公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる、このように書いてあるわけでございます。
○福島みずほ君 条文は、条文案はもちろん存じ上げています。これは、米軍と書いていなくても、米軍と日本が武力行使をすることをこの自民党新憲法草案は許容しています。この条文を基に米軍とともに例えばイラクで戦闘行為をすることがこの自民党新憲法草案九条の二では違憲ではないんです。ごまかさないでください。
 この条文を見ても、法律にのっとるところにより、アメリカは国際的な平和と安定のためにイラクへ派遣をしています。ですから、自民党新憲法草案では自衛隊は海外で武力行使ができる。これは今の日本国憲法と全く違う点です。
 さっき、法律の定めるところによりと書いてありますから、憲法では違憲ではない。ですから、憲法が違憲でないというところがポイントです。法律でいかようにでも作ることができる。今の憲法九条は戦争への反省から平和主義を規定をしています。
 じゃ、逆の質問をします。日本国憲法三大柱、基本的人権の尊重、国民主権、平和主義、この平和主義の真髄は自衛隊が海外で武力行使をしないことだと考えますが、それでよろしいですね。憲法改正の限界があると発議者も答えています。この平和主義の真髄、憲法改正の限界は自衛隊が海外で武力行使をしないということでよろしいですね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この平和主義というのは正に平和を守るということでございます。国際社会に対して威嚇をしない、あるいは武力を、正にこれは武力による威嚇等はしないし、また国際紛争を解決をする手段として武力を行使しないということでございます。もちろん侵略もしないということになるわけでございます。
○福島みずほ君 侵略をしないというのは当たり前です。海外で自衛隊が武力行使をするかどうか、それでそれが平和主義の限界かどうか、これはどうですか、明確に答えてください。逃げないでくださいよ。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) いや、そうすると、国際社会において、平和と安定を守るために国際社会はPKO等で努力をしていますね、努力をしている。そういう中で努力をしている国々が全くどこも平和主義じゃないというんですか。(発言する者あり)今、私の答弁中ですから、少し落ち着いてくださいよ、たまには。よろしいですか。
 そこで、正に国際社会において、国際社会においてその責任を果たしていくということが我々にとっては大切なことであるという観点から、このように自由民主党の草案には書き込んでいるところでございます。
○福島みずほ君 この条文は、法律をいかようにでも使えば、海外で武力行使をすることを違憲としていません、制限をしていません。今、国会議員がばかだからと、でも、法律ではいかようにでも作れるわけです。憲法で違憲としていない、これがポイントです。
 総理が何で海外で武力行使をしないと明言しないんですか。それは、そのことを考えているからですよ。条文をいかに読んでも、海外で自衛隊が武力行使をすることを認めていますよ。本日、首相が、海外で武力行使をすることを、自衛隊がすることを認めない、そうおっしゃればいいのに、どんなに言ったって、それはおっしゃらないじゃないですか。それは、それができる自民党新憲法草案なんですよ。
 集団的自衛権の行使についてお聞きをします。
 昨日、社民党の又市幹事長が外交防衛委員会で聞きました。内閣法制局は明言しています。集団的自衛権の行使はできない、はっきりそう明言をしています。
 総理は、これに対して有識者懇談会を発足をさせました。これは単なる研究ではなく、行使容認を視野に置くもので、明確に憲法尊重擁護義務に反します。いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、福島議員、先ほどの質問の中で、テレビを見ている皆さんに誤解を与えるといけないのではっきり申し上げておきますが、現行憲法の下においては、海外における武力行使というのはこれはできないということは、これは申し上げてきているとおりでございます。そしてまた、先ほど申し上げましたように、自由民主党の草案の中においても九条の一項は残すわけでございます。そのことはまずはっきり申し上げておかなければならない。国際紛争を解決する手段としての武力の行使はしないということははっきりと申し上げておかなければならないと、こう申し上げているわけでございます。
 そしてまた、集団的自衛権のこの行使の問題につきましては、先ほど来申し上げておりますように、日本を、これをめぐる、またあるいは国際社会において、この安全保障環境が大きく変わってきたわけでございます。大量破壊兵器の拡散の問題もありますし、テロとの戦いもございます。そしたまた続発する地域紛争、そしてまた国際社会の中において日本が貢献することも求められているわけでございまして、その中におきまして法的な基盤を整備をしていく必要があると、それは我が国、そしてまた国民の生命と財産を守るために必要であると、こう考えているところでございます。その中におきまして、憲法との関係をこれは整理をしていく必要があるということで、見識を持った方々にお集まりをいただきましてこの懇談会を立ち上げたところでございます。
○福島みずほ君 この有識者懇談会の中に集団的自衛権の行使に反対の人がいるんでしょうか。そして、ポイントは研究だけではなくて、この有識者懇が行使容認を視野に置くというふうにしていることです。日本国憲法下で、これはもう戦後の積み重ねとみんなの努力で、これ内閣法制局も昨日明示しているとおり、集団的自衛権の行使はできません。武力行使はできないんです。その有識者懇を発足させることは憲法尊重擁護義務に明確に反しています。
 立憲主義とは国民を縛るものではなく、総理大臣、権力者を縛るものです。自民党新憲法草案は正に国民を縛るもの、愛国心、愛情と気概と責任感を持てと国民を縛るもの。現に、自分たちの権力を縛るものだという立憲主義を理解しない総理大臣の下での国民投票法案の採決に強く抗議をし、私の質問を終わります。
○長谷川憲正君 国民新党の長谷川憲正でございます。
 大変議論が白熱をしておりまして、予定の時間から八分ほど遅れているという状況でございますので、私の発言が最後まで放送されるのかどうかちょっと心配でございますけれども、せっかく安倍総理御出席の質疑の機会でございますので、私、二点発言をさせていただきたいというふうに思っております。
 一つは、先ほど舛添委員からの御質問にお答えになりました安倍総理が、憲法を守るのは当然だというふうにおっしゃった発言のことでございます。私はもう大変うれしく思います。そんなこと当たり前じゃないかと、憲法九十九条で国務大臣も国会議員もこの憲法を尊重し擁護する義務を負うと書いてあるんだから当たり前だというふうにおっしゃるかもしれませんけれども、私はもうとてもうれしく思った次第でございます。その理由は、郵政解散なんです。
 私は、前首相小泉さんが、郵政民営化法がこの参議院で一昨年の八月八日否決をされたときに、もう一度国民の皆さんに問うてみたいというふうにおっしゃって衆議院を解散をされました。私は、これは憲法違反であるというふうに考えているからでございます。これは私は、憲法の五十九条を見れば、憲法というのはそもそも、両院で議決が異なった、つまり衆議院で可決をされた法律案が参議院で否決をされることは当然あり得ることだという前提の上でこの憲法を作っているというふうに思うわけです。ですから、もう一度衆議院へ持って帰って、三分の二の多数で可決をするか、あるいは両院協議会を開いて協議をする。そして国会法は、わざわざ第十章という両院関係という章を設けて、その両院協議会の持ち方についても詳しく規定をしてございます。
 ところが、前首相はそのことを一切無視をされて、国民にもう一度問うてみたい、いわゆるシングルイシュー、単なる一つの法律の是非をめぐって国民に国政選挙という形で意見を問う。私は、これは大いなる間違いであって、今後こういったことが行われてはならないというふうに思っておるものですから、総理の、憲法を守るのは当然だというふうにおっしゃった発言に大変うれしく思った次第でございます。
 そこでお願いでございますけれども、私は、こういう状況下で作られた郵政民営化法というのは正当性を欠くというふうに思っております。憲法そのものが、先ほど来の御発言の中で出ておりますように、米軍による占領下によって作られた、そういう異常な状況下で作られた憲法は、中身が正しい正しくないということは別にして、もう一度日本国民の手で考え直そうというのは私は正しい主張だというふうに思っておりまして、同様に、この郵政の民営化法につきましても、安倍内閣の下で私はもう一度見直す機会があってもいいのではないか。やがて私は、そういう意味での見直し法案を国民新党として御提出を申し上げたいというふうに思っておりますので、そのときは是非御理解と御協力をいただきたい。ここはお願いだけ申し上げておきたいと思います。
 時間がございませんので、私、次の質問をさせていただきたいと思いますが、それは、今、この憲法調査特別委員会で議題になっております憲法改正のための手続法のことでございます。
 私は、私というよりも私どもの国民新党は、憲法そのものを改正するのは当然であろうと。それはもう守らなければならないものはしっかりと守りますし、変えなければならないところはそれはもう議論をして変えていく、国民に信を問うわけでございますから、これはもう当然のことであろうというふうに思っておりますし、したがって、そのための手続法を制定するということも当然のことだというふうに思っております。
 しかしながら、先ほど来の各党を代表する皆さんの白熱した議論にも表れておりますように、憲法改正の是非あるいはその中身をめぐっての議論というのはいろいろあるわけでございます。これはもうますます激しい議論が今後行われるんだろうと思いますが、それでも、それを乗り越えて国論を統一していくということはとても必要なことだと思いますが、まずその前に、せめて手続法ぐらいは私は大きな国民的合意を形成するべきではないか。衆議院では私はそのための努力がいろいろなされたというふうに伺っているわけでございます。参議院でなされていないとは申し上げませんが、しかし、今の段階で採決をする時期なのだろうかということを考えますと、正直申し上げて、私はいかにも早いというふうに思っております。
 地方で公聴会をたくさんやらせていただきました。中央で公聴会を公募によってもう一度きちんとやるべきだという御主張もありまして、私はそれはそれで正しいと思いますが、たとえそれをやらないにしても、地方の公聴会でいろいろ出された意見、ごもっともな意見がたくさんございました。そういった諸点について、一体これをどういうふうにこの憲法調査特別委員会として取り上げていくのか、それを私はこの手続法の中に取り入れることができないのか、その辺をもう一度きちんと議論をして、しかも、私どもの目の前には民主党からも対案が出されているわけでございます。
 これは十分な対案かと言わせていただくと、私の立場から言いますと、いや、もっともっと言っていただきたかったなと思う内容ではございますが、それにしても、最大野党である民主党がせっかく努力をしてお出しになった法案でございますので、衆議院のときの妥協と同様に、この参議院においてもやっぱり妥協が行われるべきであったというふうに思っているわけでございます。
 そういう意味で、私は今日は、安倍総理、自民党総裁、与党の責任者としてのお立場でもいらっしゃるわけでございますので、大きな合意を形成するために民主党案との妥協というものを図る、今回もしできないのであれば、今後に向けて何かお考えはないか、そこをお尋ね申し上げたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この国民投票法案については、自民党と民主党において相当長い間議論がなされてきたと思います。そして、当初異なった点についても相当調整が図られてきたと、このように伺っているところでございます。
 その中で、最終的にこの衆議院で議論がなされ可決をし、そして今参議院に送られているわけでございますが、正にこの委員会の運営の仕方におきましては、この委員会において、院において決定をなされていると、このように思うわけでございまして、しかしながらこの六十年間なかなか果たされなかったことを今責任を果たしておられるんだろうなと、このように敬意を表したいと、このように思うわけでございますが、と同時に、やはりこの委員会の運営については、私がやはり総理という立場においてあれこれ申し上げるべきではないだろうと、このように考えております。
○長谷川憲正君 総理としての立場は行政府の長として口を出されるべきでないというのは当然の御見識だと思います。しかしながら、実際の議会の運営というのは党の主導によって行われているというのは事実であります。
 今日も、ここで採決をするのがいいのか悪いのかというようなことは理事会でも議論がなされまして、結局、やっぱり与党とそして最大野党からしか理事が出ていないわけですから、私どもは例えばそのオブザーバーという立場でありますので、そこの決定には従わざるを得ないわけであります。
 しかしながら、私はやはり少数者の意見というものに十分耳を傾けるというのが民主主義の本質であろうと思うわけです。多数決で物事を決めていけばいいという切捨ての議論ではなくて、多数者が弱いものの意見をどこまで取り入れることができるかというのが、私は正に民主主義だというふうに思っておりまして、せめてこの手続というものに関するものについては、みんながある程度の納得ができるような形にすべきだと。
 そういう意味で、与党の正に最高指導者であります安倍総裁に、私は何らかの手を尽くしていただく余地があったのではないかということを申し上げたいわけでございまして、もう一度お考えをお聞きしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは長谷川先生もよく、自由民主党におられましたから御承知のように、国会の運営においては現場の理事の皆様が与野党で協議をします。そして、もちろん国対も指示をいたしますし、そしてまた、基本的には幹事長が、今私が総理として官邸にいるわけでございますので、幹事長が最終的に責任を負っているわけでございますが、特に参議院におきましては参議院の中において意思を決定をしているということもあるのは御承知のとおりだろうと、このように思います。そういう中におきまして、最終的に委員会においてこういう結論を出されたと、このように思うところでございます。
 もちろん、少数の意見を尊重していく、これは民主主義においてあるべき態度だろうと、このように思います。そして、それと同時に、選挙の結果をどのようにこの政策に反映をさせていくかという点もあるのだろうと、このようにも思うわけでございます。
 いずれにいたしましても、この憲法の改正手続、大切な手続法案ですから、十分に議論を尽くされてきたであろうと、このように私は承知をしておるところでございます。
○長谷川憲正君 時間が参りましたので終わりますが、私は今の状況で採決をすることには反対だということだけ一言申し上げます。ありがとうございます。
○委員長(関谷勝嗣君) 安倍内閣総理大臣、菅総務大臣は御退席いただいて結構でございます。
    ─────────────
○委員長(関谷勝嗣君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、福島みずほ君が委員を辞任され、その補欠として近藤正道君が選任されました。
    ─────────────
○委員長(関谷勝嗣君) 引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○藤末健三君 民主党の藤末健三でございます。
 私も、この国民投票法案、憲法改正手続法案、非常にもう急いで慌てて行われ、また時間も少ないというふうに思っております。例えば、昨日までの実質審議時間を見ますと、十四日間、そして時間でいいますと、まだ五十時間に達していないという状況です。ちなみに、特別委員会で議論された法案、例えば教育特、これは八十五時間ぐらいあります。また、郵政民営化の法案のときには八十二時間、参議院で議論されているという状況でございまして、私は、時間も少ない。
 また、大事なことは何かと申しますと、中央公聴会が開かれていないということもございますが、地方で行われた公聴会においても、例えば昨日、横浜で行われた公聴会に私は伺いましたけれど、公述人の手元に法案が届いたのが実はその公聴日の朝。ほとんど公述人は資料を読めなかったという状況の下に公述人質疑が行われたというような状況でございまして、なぜこのようにもうばたばたとやるかということについては大きな不満がございます。
 しかしながら、もう今日採決されるということもございますので、私は、この法案が実際に成立し、その後、政府がどういうふうに運用するかということにつきまして、このままでは大きな裁量を与えてしまうんではないかということを危惧しています。したがいまして、今回この法案が成立した場合に運用に当たる大きな枠組みを聞かさせていただきたい、質問させていただきたいと思います。質問項目、非常に多岐にわたりますので、できるだけ短くポイントをまとめてお願いできればと思います。
 まず、憲法改正の原案の発議に当たりまして、内容に関して関連があるものをまとめて発議するという形になっております。例えば、憲法の前文と九条をまとめて出すかどうか、九条だけ個別にするかどうか、そういう判断の基準はまだ明らかになっていないと私は認識しております。
 このような憲法の発議、原案発議に当たりまして、どのような取りまとめ方をするか、関連をまとめていくか、その点につきまして、是非外部有識者の意見を踏まえ、そして適切かつ慎重に行う必要があると考えますが、その点につきましてお答えください。
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。
 発議の、どのように発議をするかという点でございますが、これにつきましては、前からも申し上げておりますけれども、内容において関連する事項の判断については、一方では個別の憲法政策ごとに民意を問わなければいけないという要請があります。しかしまた、他方からは、相互に矛盾のない憲法体系をつくらなければいけないという要請もあるわけです。
 この二つをどうバランスを取りながら発議をしていくのかということでございますが、本法案におきましては、個別発議の立場に重点を置きつつも、相互に矛盾する改正とならないように配慮するために、なるべく関連する項目ごとに発議すべきだという規定を置きました。
 今先生御指摘のような外部の有識者の意見を是非聴くべきである、これは私当然だと思っております。これはこの後、法案が成立した後、憲法審査会が両院に置かれますけれども、その審査会の中でもやはりこのような発議の方法などについても当然これは検討が加えられるはずでございまして、そういう場において、参考人であれ、また公聴会というような形などを通じまして有識者の意見をそのお互いの検討に大いに生かすということは十分に可能であり、むしろやるべきことであると思っております。
○藤末健三君 是非、外部有識者の意見を有効に利用していただきたいと思います。
 続きまして、国民投票の公報というものが予定されておりますが、発議、可能な限りなるべく早く投票者の下に確実に届くように配慮をしていただきたいと思います。現在、国民の情報入手の手段は、例えばインターネットとかいろんなものがございます。例えば、公式のインターネットサイトを設置するなど周知徹底を工夫すべきだと思いますが、どのような広報の手段を想定しているかというのを教えていただきたいと思います。
 そしてまた、私が懸念しますのは、海外からこの憲法の改正についていろんな情報が流れてくるんではないかなと。そういうインターネットを通じて海外から、国内の法律では規制できない海外からいろんな情報が流れてくるものに対してどのように対応するかということについて、ポイントを短くお答えいただければと思います。お願いいたします。
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。
 国民投票の公報につきましては、国民投票の期日前十日までに配布をすると、このように設定をさせていただきました。これは、発議後に広報協議会が設けられて、国民投票公報の原稿を作るわけでありますが、発議後、最短では六十日で投票が行われるために、広報協議会が中央選挙管理会に原稿を送付するのは少なくとも国民投票の期日前三十日までとせざるを得ないということ、そしてその後、都道府県及び市町村の選挙管理委員会による印刷、配布に時間を要することを考慮するとやむを得ないことかなと。
 しかしながら、やはりこの公報につきましては、できるだけ早く国民の皆様に判断の時間をしっかりとお願いをしなければいけませんので、できれば期日前投票の始まる十四日前までにこれが完了することが望ましい、こう考えております。
 それから、インターネットでございますけれども、インターネットを通じて国民の皆様に広報するということも、これは大変有用な手段だと思っておりますので、公式サイトの設置ということも、これも前向きに考え検討すべきものと思っております。
 なお、海外からのインターネットのアクセスがあり、そしていろいろな虚偽であるとか扇動するということがあるかもしれませんが、これはなかなか、海外に拠点を置いたものからの配信といいましょうか、そういうことについては、現時点においてそれを阻止する手段というのは非常に限られる、あるいはないのかもしれません。そういうことについては、なお今後検討する余地は残っておりますが、この法案の提出時点におきましてはそのことについては特に触れることなくやらせていただいたと、こういうことでございます。
○藤末健三君 今回、この審議におきまして、テレビのCMなどの議論、規制の議論が行われましたけれども、今はもうインターネットで動画が見れるんですよ、動画が十分に。その中で、インターネットの議論はほとんど行われていませんので、是非とも、引き続きこのインターネットをどう規制していくか、特に重要なことは、海外からできるんです、これは、海外から。国内であれば、放送であれば、電波規制ですから国内でできますけれども、インターネットは海外から大量の情報を本当に送ることができる、動画を送ることができる。この規制も我々は考えなきゃいけないということをまず申し上げさせていただきたいと思います。
 それと同時に、先ほど船田先生から前向きな話をいただきましたけれども、回答をいただきましたが、国会による発議の公示と中央選挙会による投票日の告示、この同日の官報による実施ができるように是非我々進めていかなければいけないと思っておりますので、是非、発議者の方からも明確に示していただきたいと思います。
 続きまして、投票の方法でございますが、投票の方法は賛成、反対と、それにマル、ペケをしたりして投票するということになっていますが、恐らく出てくるのは、マルもペケも付けないで投票されてくる方が出てくると思います。それはもう棄権の意思表示をする方が。
 今の制度でいきますと、恐らく、この棄権票の数というのは表に出られないんではないかということを危惧しておりますが、是非とも棄権というものも、何も書かないという意思表示もあると私は考えますので、是非とも白票の数も明示すべきではないかと考えますが、その点につきましていかがでしょうか。
○衆議院議員(赤松正雄君) 今、藤末委員御指摘のように、この本法律案では明示的には白票、無効票の内訳として票数を公表するというふうな書き方にはなっておりませんけれども、運用におきまして、今、藤末委員御指摘のように、白票の票数ということにつきましても国民の皆さんへの情報提供の一環として運用でそういうふうにしていきたい、そんなふうに今考えておるところでございます。
○藤末健三君 是非、お願いいたします。
 私は、基本的にもこの棄権票、白票が出ないようにきちんとした議論を尽くし理解していただくことが肝要だと思うんですが、仕方なく出たこの白票につきましてもきちんと意思表示としてやはり結果を出していっていただきたいと思っております。
 続きまして、これは参考人質疑等でも非常に議論があったところでございますが、公務員、そして教育者が地位を利用して国民投票運動をする場合の規制というのがございます。
 昨日の横浜での議論、そしてまた福岡での地方公聴会でも出てきましたけれども、やはり憲法というものを学んでいただき、そして議論していただく場として学校というのは非常に重要じゃないかという議論がございます。
 そこで、過度な規制を教育者の方々に課すことによりその議論が萎縮してしまうんじゃないかという懸念を数多くの参考人の方々が表明されておりましたし、私も実際、三年前に大学の先生をしておりましたので、憲法の議論が適切に大学などで行われるようにすべきではないかと思います。
 したがいまして、意思表明の自由や学問の自由、教育の自由等が侵害されないように、きちんとした、禁止される行為とできる行為というのを明確にしなきゃいけないと思います。どこまでがボーダーか分からなければ、例えば授業中に憲法の議論をする、先生の、あなたの憲法に対する意見はどうですかと、いや私は護憲ですと言ったら、それは駄目ですよというふうになると、恐らくなかなか教育者の方、憲法についての議論、子供たちに教えることはできないと思うんですよ。
 それで、この禁止される行為、許容される行為を明確にすべきだと考えますが、その点についていかがでしょうか、お願いします。
○衆議院議員(葉梨康弘君) 後々の運用の指針になるために少し細かく列挙して申し上げようと思います。
○藤末健三君 お願いします。
○衆議院議員(葉梨康弘君) それで、ずっとここも答弁しておりますけれども、地位を利用しての国民投票運動、これが禁止になります。ですから、今まで私ども表明という形で申し上げてきたのは国民投票運動にわたる表明であるということはもう自明のこととして答弁をしてまいりました。したがいまして、四月の十九日、水岡先生に対する答弁についても、これは投票すべきだ、これは駄目だというようなことは駄目だという趣旨で申し上げたんだということをしっかり答弁させていただいております。
 具体的にちょっと申し上げます。
 賛否の意見表明は、ですから国民投票に当たりませんので自由です。問題は賛否の意見表明にとどまらず勧誘行為に及ぶ行為があった場合ですけれども、この場合、地位利用に当たるもの、当たらないものを具体的に例示的に列挙をさせていただきたいと思います。ただ、もちろん具体的な事案に即して総合的に勘案されるので、あくまで参考ではございますけれども、運用の指針にはなるかと思います。
 まず大学教授です。地位利用に当たらないと思われる事例ですけれども、これは、地域の学習会での勧誘、テレビ、雑誌等で有識者として勧誘すること、法学部の教授が同じ大学の理学部の学生に勧誘すること、こういったものは当たらないと思います。ただ、当たると思われる事例というのは、単位を与えないことをほのめかしての勧誘、正規の講義において勧誘、これがいわゆる教育課程ということで四月十九日に申し上げたものでございます。キャンパス内で教授として勧誘する、そういった例、これもまあ当たる場合も多いかなというふうに思います。
 大学教授以外の教員でございますけれども、地位利用に当たらない例としては、地域の学習会での勧誘、休日に学区外で肩書を示さずに勧誘する、そういったものは地位利用には当たらないというふうに思います。そして、地位利用に当たると思われる事例ですけれども、授業中に勧誘する、PTAの会議で勧誘する、家庭訪問で勧誘する、学校における面接指導で勧誘するということでございますけれども、冒頭申し上げましたとおり、地位を利用しての国民投票運動が規制されるわけであって、単なる意見の表明自体は元々当たらないということはこの法律上明記されておりますので、そういう趣旨でずっと答弁をさせていただいております。
○藤末健三君 時間がないので、ちょっと一つだけ事例を申し上げますと、例えばゼミがありますよね、学校で、ゼミが、自分のクラスのゼミが。そこで憲法の議論をしたときに、例えばぽろっと僕は憲法改正したいんだよねという話をしたときに、ほかの学生たちは、立場で強要はしていなくとも、やっぱり先生がそう考えているならば先生に合わせた方がいいんじゃないかなとか思ってしまう可能性もなきにしもあらずじゃないですか。それは表層的にはどうなんですか、考え方は。今のはいいんですよね。
○衆議院議員(葉梨康弘君) よろしいです。
○藤末健三君 分かりました。
 続きまして、有料広報の規制について話をさせていただきたいと思います。
 テレビとラジオ、有料の広報の規制がございますが、公平性を確保するためにこのメディア関係者の自主的な努力を尊重すべきと考えておりますが、その点いかがでございましょうか。
   〔委員長退席、理事舛添要一君着席〕
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。
 テレビ、ラジオ有料広告規制ということで、我々二週間は、投票日前二週間禁止といたしました。と同時に、やはりさらに政治的公平性を定めた放送法第三条の二第一項の規定の趣旨に留意するという旨の規定を設けたわけでありますが、今、藤末先生おっしゃったように、メディアの方々が自発的、自主的にこの問題について努力をされる、そして何らかのまあ倫理規程みたいなことをお作りになる、自主規制のルールを作るということは、これは大変すばらしいこと、いいことであると思いますので、大いにこれはやっていただきたいと思っております。
○藤末健三君 是非、発議者の方にまだ議論をしていただきたいなと思いますのは、先ほどインターネットの話を申し上げましたけど、今やはり放送と通信の融合ということがございまして、電波で、地上波とかで流す放送については恐らくいろんな業界の方々がおられて自主規制ができると思うんですよ。ところが、インターネットの世界でいろんな動画とかを流し始めたときにどういう規制があり得るか、自主規制が僕はできない可能性があるんではないかなと思っていまして、そこの点をやっぱりある程度我々これから三年間きちんと議論をしていく必要が必ずあると思いますので、その点是非御理解いただきたいと思います。恐らくそのインターネット以外のメディアも僕は出てくると思うんですよ、技術がどんどん発達すれば。それに対して我々がどう考えていくかということを明確にしていく必要が私はあると考えております。
 次にございますのは、憲法審査会が設置されて、憲法審査会における審査の手続そして運営については、これはまさしく憲法改正原案の重要性というのはもう非常に重要なものになると考えます。その中におきまして、憲法審査会の定足数や議決の要件等を明確に定める。そして、公聴会の議論もございます。公聴会の議論を明確に定め、その審議に当たっては少数会派にも十分に配慮すべきではないかと考えます。特にこの公聴会のお話、広く国民の皆様の意見をすくうということを徹底していただきたいと考えますが、いかがでございましょうか。
○衆議院議員(赤松正雄君) この問題につきましては、あくまで議院運営委員会において最終的には決められる事柄でありますので、発議者としての私の個人的な見解ということでお聞き願いたいと思うんですけれども、今まで、憲法審査会におきますところの審議手続につきましては、恐らくというか、憲法審査会規程において定められることになると思いますが、それは従来、これまで憲法調査会で行われてきた実績を尊重することになると思います。組織運営とともに基本的には憲法調査会規程を継承しつつ、憲法審査会となって議案の審査、提出権限が与えられることに伴う必要な修正がなされるんじゃないかというふうなことがまず考えられると思います。
 したがって、御指摘の定足数、これにつきましては、現行の憲法調査会規程で定められているものをそのまま引き継ぐことになるだろうと思いますし、議決要件につきましては、憲法改正原案に関する先ほどおっしゃられた公聴会の義務付け、また合同審査会の開会の決議、こういった規定とともに新たに設けられることになるんじゃないか、そんなふうに考えているところでございます。
○藤末健三君 いや、本当に公聴会しないでこのような重要な法案を決めたり憲法改正の議論を進めるのは絶対止めていただきたいと私は思っています。これはお願いです。
 ですから、本当にこれからこの憲法審査会等におきましてこの憲法の議論をするときには必ず中央公聴会を開き、そして国民の皆様の大きな意見を集めていくということを是非やっていただかなければ、私は正直申し上げて、今回の手続で将来何かまた言われる可能性があると思うんですよ。我々が、立法府がこの憲法改正手続法を作り、そのとき参議院では中央公聴会をやってないじゃないかということを言われる可能性が僕はあると思っています、正直申し上げて。
 ですから、是非ともこの憲法改正の手続を進める上ではきちんと議論をやる仕組みをつくっていただきたいということをお願いさせていただきたいと思います。
 そして、次にございますのは、憲法改正の重要性にかんがみ、憲法審査会においては国民の情報提供に努め、そしてまた国民の意見を反映するように、先ほど申し上げましたように、公聴会をやるということ。
 あと、請願審査の充実というものを図っていかなければならないんだと思いますが、その点についてはいかがでございましょうか。お願いいたします。
○衆議院議員(赤松正雄君) 藤末委員に先ほど申し上げましたように、公聴会の開催につきましては、憲法改正原案に関しては公聴会の開催を義務付ける、こういうことを必ずやるというふうに考えております。
 また、請願審査の充実ということに関しましても、しっかりと請願審査の実質化が図られるべきだと、そう考えておりますし、さらに、請願の内容を憲法改正原案に反映するなどの方法を取れば、衆議院において民主党が提案されていたいわゆるイニシアチブについても実質的に実現することができるんじゃないか、そんなふうに考えているところでございます。
○藤末健三君 国民への情報の提供というのは非常に重要だと思います。
 先ほどの審議におきまして、安倍総理から自由民主党の憲法草案は出されていると、もう公開しているんだということをおっしゃっていますけれども、私は実際に例えば百人、二百人の前で講演させていただき、自民党から憲法改正草案が出ているんですよと、御存じですかということをお聞きすると、百人とか二百人おられても手はほとんど挙がりません。一つか二つです。いや、それが、これはもう本当にそうなんですよ。公明党の加憲の議論もほとんどの国民の方は御存じないんです、本当にこれは。(発言する者あり)民主党も同じです。いや、これ本当に。いや、これ実際そうなんですよ。
 ですから、このような状況で憲法改正の議論を進めるのは非常に危険でございまして、やはり国民の皆様に憲法改正の重要性というものをどんどんどんどん広げていただくことが必要だと思いますし、我々の責任だと思います、これは。ということを申し上げさせていただきたいと思います。
 国民投票の対象、そして範囲については、憲法審査会においてその意義、そしてその必要性の有無等について十分な検討を加えて適切な措置を講じる必要があると考えます。
 これは、民主党の方から今回の国民投票法の対象として憲法以外もという提案をさせていただきましたけれども、私は、やはりこの国民投票、九十六条の解釈はあるとしますが、やはり国民の意思の表明ということはある程度検討しなきゃいけないと思っております。ですから、この三年間の議論の中においても国民投票法の対象範囲を広げるという議論を引き続きやらなきゃいけないと思うんですが、その点につきまして発議者の方々の御意見いただきたいと思います。
 じゃ、赤松先生いきましょう。あっ、お二人。じゃ、どうぞお願いたいします。
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。
 国民投票の対象につきましてもこれまで様々な議論がございましたけれども、我々は、やはり一般的国民投票制度というものは間接民主制と相入れないといいますか、そういう問題でありまして、非常にこの問題につきましてはなお検討が必要であるというふうに考えております。
 しかし、私どもとしては、やはり憲法改正を要する問題や、あるいは憲法改正の対象となり得る問題ということについては、これは予備的に国民投票を行うということが可能ではなかろうかと、可能じゃないかと、こういうことを考えておりまして、そのことについてこれからの三年間の凍結期間の間に大いにこれは議論していきたいと、このように考えております。
○衆議院議員(赤松正雄君) 国民投票の対象について民主党から提案のあった分につきまして、私どもは、いわゆるこの憲法改正の手続のための国民投票とは別の枠でこれは是非しっかりと議論を深めていくことは大事であると、そんなふうに考えております。
 今、船田委員からもありましたけれども、むしろ私どもは、与党の中の議論の中ではというか、衆議院の憲法調査特別委員会の場で申し上げたのは、やはり慎重な運び方は必要でありますけれども、いわゆる国民の皆さんの意図那辺にありやということで予備的に、これは十分注意しないと本体の、いわゆる憲法改正のための本体部分の投票に影響しますんで、十分慎重な手続が必要ですけれども、予備的な国民投票をどうやって行っていくのかということについては、これはしっかりと憲法審査会の場で議論していく必要がある、こんなふうに考えているところでございます。
○藤末健三君 非常にこの国民投票法において重要な、関心が高まることとしまして、成年年齢と申しますか、投票できる年齢を十八歳に下げていこうという議論があります。ただ、附則におきまして、これから公職選挙法や民法等関連法令についていろいろな改正を、三年間で改正を行い、それでやっていきますよと、対応しますということになっておりますが、私は、この三年間で是非とも本法施行までに必要な法制上の措置を完了するということは非常に重要じゃないかと思います。そうしなければ、法律をきちんと定めた上できちんと運用されないままに国民投票が行われるというまたそしりを受ける可能性があるんではないかと思うんですが、この三年間で十八歳というもの、どうやって達成していくか、またその考え方につきまして、是非ちょっと教えていただけませんでしょうか。
○衆議院議員(葉梨康弘君) 藤末先生と全く同じ考えでございます。必要な法整備はやはり三年以内に行わなければならないというふうに思います。
 そこで、関係法令というのをここ、限定的に列挙しているわけではないのは、まずこの法律ができた後、どの範囲のものを変えるんだということを早期に確定するという作業をいたします。そして、三年以内にその法律については手当てをすると。ただ、必要な法整備を三年以内に行うものとすると書いてあって、附則でまた二十歳と書いてあるのは、施行までに多少準備の期間が要るということもあるかも分からないということで二十歳ということを書いているわけですけれども、必要な法整備はやはり三年以内に私は行わなければならないというふうに思います。
○藤末健三君 是非ともこれは行うべきであると思います。行わずにやった場合には、恐らく投票の結果に対する不信というものが生じてくるんではないかと思います。
 最後に、これはちょっと赤松先生に御質問申し上げたいんですけれども、先ほど議論がございまして、自民党の憲法改正草案の話、あと澤先生の御質問等ございまして、私が思いましたのは、やはり自衛軍というものを書かれて、海外での武力行使はされないということでおっしゃっておられるような感じ、明言はされていませんけれども、おっしゃっていますけれども、赤松先生は、私が前、質疑をさしていただいたときに、憲法九条の一項と二項は変えないと、自分としては。私も、やっぱり一項、二項を変えずに、もしやるとしても、自衛隊を明記するとか、海外での武力行使を禁止することを明記するとか、そういう形じゃないかとは思うんですけど、先生の先ほどの安倍首相との発言等に関する考え方を、もしよろしければここでお聞かせいただけませんでしょうか。
○衆議院議員(赤松正雄君) ありがとうございます。
 今の御質問については、私どもは、私の考えというよりも公明党として憲法第九条一項、二項については堅持をすると、こういうスタンスであります。先ほど澤委員が申し上げましたように、そのとおりであります。
 その上で、今、党内で検討しておりますのは、要するに、この戦後の六十年の中の状況の変化又は湾岸戦争以降の国際状況の変化の中で、国際平和協力的な活動、こういう問題についてどのように対応していくのかという問題をめぐって、憲法の上において加憲をする必要があるのかどうか、九条に対して加憲をする必要があるのかどうか、こういう議論をしているわけでございます。もちろん、海外における武力行使、いわゆる武力行使をしてはならないというのは私たちの絶対的な姿勢というもので、この点について一点の曇りもなく私たちの態度は一貫をいたしておる、こういうことでございます。
 先ほどの総理の御発言については、そういう海外における武力行使をしないということを総理は違う言い方でされたんだと私は思っております。
 以上です。
○藤末健三君 私は、安倍総理のお答えをお聞きしていて、海外での武力行使をしないというふうには僕は聞こえませんでした、正直申し上げて。
 最後に、ちょっと私が申し上げたいのは、今日の審議を私は見ていまして思いますのは、この憲法改正の手続の議論と憲法改正の議論、そのものの議論が混ざっちゃっているんですよ。確かに、私は、今後三年の議論があるとしても、憲法改正の手続の議論はきちんと手続の議論としてやって、三年間内に十八歳にする、そういう、インターネット規制も考えていくということできちんとやり、かつこっちの憲法改正の議論は憲法改正の議論としてまたきちんとやるという、この区分けを私はしなきゃいけないと思っておりますが、その点についてのお考えを是非お聞かせいただけませんか。もしよろしければ四人全員お聞かせください。
○衆議院議員(赤松正雄君) まず私の考え方を述べさせていただきますと、正におっしゃるとおりで、この三年間の憲法審査会の議論の中でやはり徹底した、憲法改正についてどこを変えるとしたらどこを変えるのか、変えなくていい部分はどこなのかという議論をしなくちゃいけない、そんなふうに思っているところでございまして、公明党のスタンスについて一部から大丈夫なのかというふうな御疑問があるやもしれませんが、私は常に一貫して申し上げているのは、虎穴に入らずんば虎子を得ずということを言っておりまして、要するに入口で議論をするのを避けるんじゃなくて、私はしっかり自由民主党の皆さんと議論をして、そして、要するに、今もし仮にそう藤末委員が思っておられるようなことをするんだったら断じて私は止めると、こういう姿勢でいるということを申し上げておきます。
○衆議院議員(葉梨康弘君) 全く分けて考えるべきだというふうに思います。そして、憲法審査会の中でも、この手続に係る部分、今の十八歳のお話ですとか、あるいは公務員の政治的行為の関係もございましょう、さらには運動の形、あるいは運用指針の話、そういったものはできるだけ公正中立になるように、またこの法律の附則の趣旨をしっかり体すように、これはこれでしっかり検討をして、それとまた別の議論として憲法についてこの三年間の間徹底的に調査をしていくということが必要になってくるだろうというふうに思います。
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。
 手続の議論と憲法改正の中身の議論は全く別のものであると、したがってこれはきちんと区別して議論していかなければいけないと思っております。
○藤末健三君 時間が来ましたので質問を終わらさしていただきますが、恐らく今日この国民投票法が委員会を通り、来週には成立するとは思うんですけど、是非とも国民レベルの議論に持っていかなきゃいけないと私は思っております。
 それだけを申し上げまして、質問を終わらさしていただきます。
 ありがとうございました。
○前川清成君 前川清成でございます。
 私は、今年の連休、近所の回転ずしに一回行きましたけれども、それ以外はどこも行かずにずっと議事録を読み返していました。もっと議論が続くのかなと思っていたのですが、その辺残念です。ちょっと議事録を読んで不思議に思っている点を何割かでも今日お聞きできればと思っています。
 まず最初に、広報協議会のことなんですけれども、発議要件が、言うまでもありませんが、各院で三分の二以上ですから、広報が始まった段階では国会は圧倒的に改憲派が占めることになります。それであるにもかかわらず、広報協議会を国会に置くことが本当に公正なのか、制度設計のことをまずお尋ねいたしたいと思います。
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。
 広報協議会は国会に設置をするというふうにしたことの理由でございますが、やはり憲法改正の中身の議論というのは、その以前に当然長い期間を掛けて国会で議論をされてくるわけであります。そして、三分の二の多数によりまして国民に発議をするわけでありますが、その発議に至るまでの様々な議論の経過並びに結果、そういったものを熟知したのはやはり国会議員自身であります。その国会議員自身が発議者としての責任として国民の皆様に説明をすると、そういう必要が私はあると思っております。だからこそ、国会にこの機関を設置をしたということであります。
 第三者機関という話もありますけれども、私は、第三者というのは一体どういう基準で第三者を選ぶのか、そこに恣意的なものが入るのではないかというおそれを持っておりまして、そういう意味では、もし第三者のいろんな意見を聴きたいということであれば、広報協議会にいろいろな人を呼んで、そして意見を聴く、あるいは専門家の様々な考え方を聴くということは、これはむしろやって当然であると、こう思っております。
○前川清成君 議論の詳細をよく知っているとか、その実質的なことはともかく、私は公平かどうかという手続のことをお尋ねしたいと、こういうふうに思って今の質問をさせていただきました。
 具体的に条文に沿ってお尋ねしたいと思うんですが、十二条の三項によりますと、委員は会派の議員数に応じて割り当てると、こうなっています。私たち参議院は定数が二百四十二人です。およそ二十四人に一人の割合で選ぶことになります。今、自民党が百九議席、私たち民主党が八十三議席、公明党が二十四議席、共産九、社民六、国民新党四です。そうだとしますと、この十人の委員は、自民五、民主四、公明一、こういう割合でこういうふうに選ばれるのではないかと思っています。
 しかし、この十二条三項ただし書には、できる限り配慮すると、この発議に反対していた会派にもできる限り配慮すると、こうなっています。このできる限り配慮というのがどういう意味なのか、お尋ねをいたしたいと思います。
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。
 現在の勢力分野、これに応じてのお話ということでありますけれども、実際にこれが施行された後、広報協議会ができるときには違うものが出てくる可能性はあると思っておりますのと、それからやはり、このような問題を決定をするのは多分議運委員会であると思います。そこでこの条項に沿いまして判断をしていただくと、こういうことになると思いますので、具体的な話というのは私は余りふさわしくないとは思っております。
 ただ、しかしながら、今御指摘のように、反対派、反対を表明した派から一人も選出されないということがある場合には最大限に努力をする、配慮するということでは、少なくとも一人あるいは一人以上、反対派から広報協議会の委員を選ぶということになると思っております。
○前川清成君 ちょっと今、声援が大きくて最後のところがはっきり聞き取れなかったんですが、船田先生が今おっしゃったのは、できる限り配慮するというのは、配慮したら選ばなくてもいいという意味なのか、配慮して必ず共産党からも、例えばもう具体的に、手続法ですから具体的なケースに沿って議論したいんですが、共産が九、社民が六、国民新党四です。共産党からも一人、社民からも一人、国民新党からも一人必ず選ばれるんですか、どうですかというお尋ねです。
○衆議院議員(船田元君) 今申し上げましたのは、できる限り配慮するということですが、反対するすべての会派から一人ずつ出すということではなくて、少なくとも代表一人が最低入るということであり、それより更に増やすかどうかということは、その配慮の範疇に入るものと考えております。
○前川清成君 今の御答弁は、四月二十五日のこの委員会における船田委員の御答弁と矛盾しているのではないでしょうか。その際、船田委員は、四月二十五日の際は、必ず調整するということで、反対の会派から必ず議員を出すというような調整の項目を設けています、こういうふうにお述べになりました。
 私はこれを聞いて、共産党からも社民党からも国民新党からも必ず一人ずつ選ばれるのかなと、そういうふうに理解したんです。そこをはっきりお答えいただかないと、実際に広報協議会が立ち上がったときに同床異夢が生じてしまうんじゃないか。こんなことでもめて、肝心かなめの憲法改正の中身について実質的な議論ができなかったらあかぬと、そう思いますので、この手続のところ、まずきっちりお答えいただきたいと思います。
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。
 四月の何日ですか。(発言する者あり)二十五日ですか。
 私が答弁いたしましたのは、反対する会派から最低一人は必ず選ぶと、こういうことでございまして、反対するすべての会派から一人ずつということではありません。これは、反対派から少なくとも代表一人は必ず選ぶ、しかしそれ以上選ぶかどうかはこれは議運委員会のマターではないかと、こういうことであります。
○前川清成君 それでは、今の御答弁は、発議に賛成派からは九人選びますと、反対の会派があればその中から一人選びますと、こういうお答えですよね。そうであれば、十二条三項ただし書もそのような表現に直すべきではないかと私は思いますが、いかがですか。
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。
 反対する会派、これはここで、十二条で書いてありますのは、これはグループということで考えておりまして、そこから代表一人を出すということは確実にやることでありますが、それ以上、反対会派から出すかどうかということについてはこれは正に議運のマターであるということで、この条文はこのような解釈で間違いではないと思っております。
○前川清成君 いや、違うんです。船田先生、よく条文をごらんいただいて、その会派のところで私申し上げているのではなくて、三項のただし書で、できる限り配慮するものとすると、こうあります。できる限りの配慮ですから、共産党にも配慮しました、社民党にも配慮しました、国民新党にも配慮はしました、配慮はしましたけれども選びません、これも配慮なんです。
 だから、先ほどの船田先生のお答えと日本語とが食い違う、こんなことで将来もめてはつまらぬと、そういうお尋ねなんです。それだったら直したらどうですか。
○衆議院議員(保岡興治君) 反対する会派から一人も選ばれない場合はできる限り配慮をするということで、必ず一人選ばなきゃならないと書いてありません。ですから、広報協議会が、会派がたくさんできて分割されて、そしてその会派の数は非常に少ないけれども一人一人全部反対だという場合、それ全部入れていたのではこれは協議会が成り立たないことは自明の理で、そういうことを前提にして、法案としては、反対した会派から一人も出ていない場合はそれぞれ協議をして、その中からできる限り反対派も入れる努力をする、こういうことでございます。
○前川清成君 先ほどの船田先生のお話では、反対するA、B、C、Dという会派があったら、Aからも一人、Bからも一人、Dからも一人は選びませんよと、しかしA、B、C、Dの中からは必ず一人は出てもらいます、こういうお答えでした。それであれば、今の保岡先生の御説明と違いますよ。
 私が言っているのは、反対する会派があれば、各会派から一人じゃなくて反対する会派のうちどこか一つから一人を選ぶと、こういうふうな日本語に直すべきではないかというお尋ねなんです。いかがですか。
○衆議院議員(保岡興治君) 私が言っていることと船田発議者が言っていることとは全く違いません。
 これは、反対する会派から一人も出ていない場合にお互いに協議によって必ず入れようと、そういうように配慮していこうということでございますから、反対した会派から全員、全会派一人ずつ入れるということではないと。これは船田発議者も私も同じでございまして、反対派に配慮することはきちっとしようという法の定めになっているということを申し上げているわけでございます。
○前川清成君 時間もありますから次に行きますけれども、結局、今の表現であれば、配慮はしましたよと、でも、おまえたちはうるさいから入れませんということが私はまかり通ると思います。誠実にお考えになっているのであれば日本語を直すべきだと、私はそう思っています。
 次に、百九条についてです。
 これも四月二十五日ですが、私たち民主党の小林正夫議員から大変すばらしい質問がありました。小林議員は、この構成要件にある多数の投票人、これが一体何人なんですかと、こういうふうに聞いたんです。十人が多数人なんですか、二十人が多数なんですか、三十人が多数なんですか。これに対して葉梨議員のお答えは、多数の意味について葉梨議員は相当程度な多数ですと、こういうふうにお答えになっていて、これじゃどうもちんぷんかんぷんで私は意味が分からないんです。多数というのは何人なんですか。
○衆議院議員(葉梨康弘君) 四月の二十五日も答弁をさせていただいておりますけれども、これは相当程度の多数というふうに言いましたのは、公選法の二百二十二条ですか、これのコンメンタールで相当程度の多数と書いてある解説書があるんでそれを引かせていただいたんですが、一般的に多数、不特定多数といった場合に、行政法の世界なんかですと三人とかを多数と言うことがあるんです。三人以上は多数だと。ですから、それは三人とか二人とかそんな意味で多数と言っているんじゃなくて、相当な大きい数ですよということで言ったんですが。
   〔理事舛添要一君退席、委員長着席〕
 それで、先生、その後私は補足的に更に答弁させていただいているのは、元々この多数人買収という二百二十二条の規定というのは、ブローカー的なもの、これを取り締まるためのものですよ。ですから内務省の、当時、自治省になりますか、選挙部の通達でも、そういうことだからここで明示的に何人というふうにするのは余り良くない。ただし、例えば五十人に対してのものであったとしても、千人に渡すようなお金を用意しているようなものだったらこれは多数人になるだろうし。
 ということで、ここで具体的に何人という形じゃないですけれども、趣旨として、この二百二十二条というのは、二人とか三人とかそんな数じゃなくて相当なやっぱり多い数であって、かつ組織的な、(発言する者あり)いや、二十人、百人だってこれに当たる場合もあります、裏に組織的な、ブローカー的なものであれば当たる場合もあります。ただし、私が取り締まった例でいうと、二百人ぐらいに物を配ったことがある県であったんですが、それは私は多数人買収は適用はしませんでした、ブローカーじゃなかったものですから。
 そういうことでございますんで、具体的な事案に即して判断されるものだというふうに思っております。
○前川清成君 今、自民党席の方からも御指摘があったんですが、これについては私たち民主党案にもあるんです。だから、私は、民主党案についても先ほど来不十分なんだと、もっと審議を尽くさなければならないと、こう申し上げていて、民主党案が完璧だとは全然言っていない。
 ただ、今の葉梨議員のお話であれば、あるいは四月二十五日の委員会でははっきりおっしゃっているんですけれども、多数が何人かというのは具体の事例に即して判断しますと、こうおっしゃっているんですよ。そうであれば、結局は取り締まる側のさじ加減ということでしょう。それだったら、いいですか、これ多数かどうかによって犯罪になるかならないか、三年間刑務所に行かんなんかどうかの境目なんですよ。それを警察のさじ加減に任せていいんですかという問題意識なんです。
 あるいは、保岡議員は、この多数の意味について、判例などで、裁判で、あるいは起訴する段階で決められて判断されていくべきものですと、こうおっしゃっていただいているんです。私は、これは法律家の御答弁だとはとても思えない。裁判で決まるということは、裁判を受けるんですよ。起訴するということは、警察に捕まって留置されて、その段階で、やっぱりあなたは多数じゃありませんでしたねって釈放してもらえる、これじゃ困るじゃないですか。萎縮効果というのはもう正に満点になる。だから、はっきりと自分の行為が許された行為なのかあるいは犯罪になるのかきっちりと線引きをしていく、それがそもそも罪刑法定主義の趣旨ではないかと私は考えているんです。
 この多数の投票人の多数という意味、これはもっと議論をして、具体の事例に即するのではなく、具体的な数字を決めておく必要があると私は考えますが、葉梨議員、いかがですか。
○衆議院議員(葉梨康弘君) 公職選挙法でも加重要件としてこの多数人というのを書いているわけですけれども、その意味でいいますと、この多数人というのが公職選挙法の解釈でも、今、罪刑法定主義に反するという御議論ですと、罪刑法定主義に公選法自体が反してしまうということが起こってきてしまうんですね。
 ですから、この多数人の解釈というのは、先ほど申し上げましたけれども、各種の通達、答弁の中で組織的なブローカー、これを取り締まる的なものであって、相当な数になる、数的にも相当な数になりますよと。そして、さらには、この判例の集積、公選法における判例の集積におけるこの多数人の解釈をそのまま援用するんですという形でほぼ確立したものであるというふうに私どもは考えています。
 それと、もう一つは、是非御理解願いたいのは、加重に課しているのは、例えば組織によりとか、あるいは勧誘しという明示的なもの、さらには、影響を与えるに足りる物品その他の財産上の利益といった形で、相当な加重な要件を通常の買収罪よりも掛けておりますので、明確にこの行為が当たる当たらないというのは私は分かるんじゃないかなというふうに思うんですけれども。
○前川清成君 公選法がそもそも正しいと、何ら欠陥がないという前提で議論をしても意味がないんじゃないですか。そもそも今、憲法だってどこか手直しするべきがあるんじゃないかといって国民投票法の議論をしているんですよ。
 それで、今の関連して、国民投票が無効になるかどうかに関して、やはり四月二十五日に小林議員が質問をしておられます。これについて葉梨議員は、百九条と同じ意味ではありませんよと、これはちょっと別の趣旨ですというふうに断った上で、相当な数の多数、これが百二十八条における多数だとおっしゃっているんです。これ、分からないと思うんですけれども、百九条は相当な程度の多数。相当な程度の多数と相当な数の多数と違うんですか。
○衆議院議員(葉梨康弘君) 具体の事例に即してまた考えていかなきゃいけないところなんですが、ここの、まず先に公選法と確かに国民投票法は人を選ぶ選挙と政策の投票ですから違うんですけれども、罪刑法定主義という意味では、ある行為についてある罰則を掛けるという形であれば、これは罪刑法定主義ということだけの観点でいえば、公選法を援用したとしてもそれは必ずしも誤りとは私は言えないというふうに考えています。つまり、この構成要件が構成要件的確性かどうかという判断なんです。
 そして、この国民投票における組織的多数人買収罪の多数については今申し上げたとおりなんですけれども、ここの百二十八条の多数の投票人が一般的にその自由な判断による投票を妨げられたといえる、これは無効の事由ですが、この無効の事由というのは、例えばその多数の投票人がその自由を妨げられることによって結果がひっくり返るとか、そういったような多数ということになりますと、先ほどの組織的多数人買収罪の場合は何人とも、二十人とも五十人とも百人ともなかなか決められないところはあるんですが、ここはその投票の結果によって、これがひっくり返ると結果に重大な影響を及ぼしてしまうというような数だろうと思います。
 ただし、それはその投票の結果を見てみないと、これまた何人というふうにも決められないだろうと思いますよ。五一%と四九%の場合、どれぐらいでひっくり返るかというようなものもあるわけですから、ここでまたその多数人というのを何人という形で決めるということはちょっと難しいかなというふうに思います。
○前川清成君 今、百二十八条に関しては結果がひっくり返るかどうかで多数かどうか判断すると、こういうふうな御答弁でした、影響を及ぼすかとかね。
 そうであれば、じゃどういう場合は全部無効になって、どういう場合は一部無効になるんですか。今のはちょっと議論が混同しているように私は思うんです。
○衆議院議員(保岡興治君) 先ほどから、多数人買収あるいは利害誘導罪、それと無効原因の場合と、その多数という文字について一体どういうものかもっと明確な基準がないと罪刑法定主義に反するじゃないかと、こういうことですが、先生これ、それぞれの法の趣旨に沿ってその状況を総合的に判断して決める以外、これ先生、何人て決められますか。それは先生自身がむしろ法律家としてよく御存じのとおりですよ。
 法の趣旨に沿って多数というものはどういうものであるかということは、先ほどから葉梨議員が言っているように、そして私も先ほど法律家あるまじき考えだと言われたが、結局は捜査当局がこの行為がこの罰条に当たるかどうかを判断し、起訴され、最終的には裁判官が、裁判所が判断すると。これは法的な手続を申し上げているんであって、基準とするところの多数という要件がどういう内容であるかということについては、これ以上の何人というところまで細かく規定することが難しいから、精一杯罪刑法定主義に沿ってこの要件を入れてあるんであって、それは先生がもう自明の理として御理解のことだと私は思います。
○前川清成君 私は、その選挙の実務に携わったこともありませんし、警察に勤めたこともありませんので、実態に即してこの多数というのが何人が適当なのかは分かりません。だからこそ、本当にこの多数の意味についてももっと調査も尽くして、それでいてかつ萎縮効果が生じないような明確なメルクマールがつくれないのかな、そんなふうに思っています。その意味でも、もっと審議を尽くしたかったなと、私は本当にそう思っています。
 次ですが、憲法の九十六条の条文は、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際に行われる投票と、この二つの場合を予定しています。ところが、四月十七日ですが、保岡議員は、この二つの選択制を憲法が認めているというふうにおっしゃった上で、しかしながら、決断として、選択として、それぞれ別にやるんだと、国政選挙とは同時にやらないんだと、こういうふうにおっしゃいました。これは、条文的に手当てはあるんですか。どこかにそう書いてあるという意味ですか。
○衆議院議員(保岡興治君) これは法案全体を見ていただけるとお分かりになると思いますが、国政選挙と同日の投票にすることは、片や非常に国の基本にかかわる政策的な承認を求める案件だと、片や人と政党の中から選択して選ぶ投票だと。性質が全く違いますし、かつ、片や権力闘争というか権力、どの政党が政権に就くかという、そういう争いになるわけですから、そこはおのずとルールが違うわけです。ルールが違うものが同時に行われることによって非常に混乱するということを我々考えましたので、我々のこの法案は同日にいわゆる国政選挙と一緒にやることは想定せず、それ、法案として取りまとめをしてあります。そのことは法案全体を見ていただければ明確でございます。
○前川清成君 明示の規定はないということですね。
 それで、先ほど総理の質疑の際に、安倍総理は簗瀬議員に対して人を指で指すなと、こういうふうにおっしゃいました。葉梨議員、僕を今指さしておられましたけれども、何か僕に陰口たたきたいことがあったら堂々と言ってくださいよ。今、僕の方を指さしておられましたよ。
 それで、保岡議員が、魚住議員からの最低投票率の議論に関してですが、公明党も最低投票率について議論しておられたんですが、魚住議員が、投票率が低ければ改正の政治的な正統性をどう担保するのかという質問に対して、保岡議員は、全力で、全力を挙げて投票率を上げていくと、こういうふうにおっしゃいました。どうやって投票率を上げるのかなと。
 もし先生がおっしゃったような専門的な技術的な国民の関心が薄いそういう事項が憲法の対象になったときに、投票率を上げる最も手っ取り早い方法は国政選挙と同じ日に国民投票をすることではないかと私はそう思っているんです。
 一方において、投票率のことを心配しておられながら同日投票をやらないとしたのは一体どうなっているのかなと。また、全力を挙げて投票率を上げるというのはどういう方法があるのかなと私は不思議に思っていたんですが、ちょっと時間も残り少なくなってまいりましたので、端的にお述べいただけると助かります。
○衆議院議員(葉梨康弘君) 前川委員に、私、人を指さしていないです。そういう覚えは全然ないので、このたしか条文をこうやっているのをちょっと勘違いされたんじゃないかなと思います。申し訳ありません。ちょっと誤解を与えるような姿勢だったと。
 この問題なんですが、まず一つは、保岡先生のお話にちょっと補足をいたしますと、百八条の規定で、つまり国民投票、この法律自体は全体として同日の選挙を想定はしておりませんけれども、さはさりながら、いろんな政治状況の中で、例えば百八十日の公示期間の中で解散あるいは国政選挙が行われることもあるだろうということは考えておりまして、この百八条の規定で政治活動との調整規定を置かせていただいております。
 ただ、そうはいっても、やはり人を選ぶ選挙とまた異なりますので、投票率を上げる努力というのはしなきゃいけない。これは当然、憲法審査会でもしっかりやっていくし、また広報もやっていくしということなんですけれども、やっぱり憲法は非常に大事なものだという教育、これを徹底的にやっていくということが私は最も基本的なことじゃないかなと。ですから、ちっちゃな問題であっても、やっぱり憲法は本当に大事なものだからみんなで参加していきましょうよということを本当に若いうちからしっかり教えていくということは私は大事なことじゃないかなというふうに思っています。
○前川清成君 葉梨議員に対して誤解で失礼なことを申し上げたならおわびいたします。ちょっと先ほどの安倍総理の御発言が気になっていたもので、余計なことを申し上げました。
 それで、その同日に、同日投票を実施しないということは今、葉梨議員もお触れになったけれども、総理の解散権をある意味で大変制約するのではないかと私は思っています。
 教室的な事例で大変恐縮なんですけれども、今日から三十五日後の日曜日に国民投票が予定されていたとします。そんな日に、そんな今日に衆議院を解散できるかどうか。同日には同時投票は実施しないということですから、しかも総選挙は四十日以内です。そうなりますと、今日から四十二日後の日曜日には総選挙はできない。三十五日後の日曜日に国民投票で、その七日前の二十八日後の日曜日に総選挙になってしまう。しかも、一方では、公選法は御指摘のように選挙運動には厳しい規制があって、国民投票は戸別訪問も自由と。こうなると、同日選挙を実施しないということが総理の解散権に対する大きな制約になってしまうのではないかなということを指摘申し上げまして、時間が参りましたので質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 大変なたくさんの重要かつ重大な問題がありながら時間が本当に限られているということが、今大変重大な出来事だと改めて感じております。その中で、教育者、教員である国民の国民投票の際の自由について改めてお尋ねをしたいと思うんです。
 憲法改正の国民投票が発議をされているその場面というのが、最高法規である憲法を変えるのかそうでないのか、この国の未来にかかわるその問題について、国民的な議論が沸騰している場面だ。できる限り最大限自由にこの運動が行われなければならない、あるいはそれが望ましい、期待をされると。その点では、発議者の皆さんもそういう趣旨を御答弁になってこられたと思うわけです。
 今日、少し角度を変えましてお尋ねをしたいと思うんですけれども、まず最初に、大学教授がその学問的立場から、発議をされている改憲案についてその是非を論評するということが、これは自由であるというふうに何度か答弁がされてきていると思います。仮に、これが講義と、学内の講義の場でなされたとしても、それが、その触れる賛否に従わなければ単位を与えないといった、こういう、まあ私は大変極端な例だと思いますし、もしそういうことがあるなら現在でもそれぞれの大学の懲戒規定に反する、重大な処分が与えられるような事案ではないかと思いますが、そういった場合を除いて自由であるということで理解してよろしいですか。
○衆議院議員(葉梨康弘君) もう一度ちょっと整理してお話し申し上げますと、二つ要件があって、教育上の地位にあるため特に国民投票運動を効果的に行い得る影響力又は便益を利用するというのが、その講義の中で成績に影響を及ぼすようなものである、あるいは講義の中で言うというのも、これは実は当たってまいります。しかし、それによる国民投票運動が禁止されるのであって、その国民投票運動というのは何かということは、国民投票運動には賛否についての意見の表明は入ってまいりません。
 ですから、今おっしゃられたような中で、単位を与えないことをほのめかして、表明するということじゃなく、勧誘するですね、まあ、ほのめかすわけですからそれも勧誘に当たる場合が多いだろうと思いますけれども、あるいは授業中に勧誘すると、投票しなさいよというようなことは、これは当たってきますよということなんです。ただ、意見の表明、賛否についての意見の表明は、そもそもこの国民投票運動には当たらないというような形で考えています。
○仁比聡平君 つまり、規制の対象となる法律案で定義をされている国民投票運動、これには当たらないと、そういう意味だと思います。
 大学教授が学外の市民、国民によってつくられる団体、その団体に参加をして、その集まりで発議をされている改憲案の是非を論ずる、これは相手は学生ではありませんといいますか、学生と特定されているわけではありません。学生が来ているかもしれないけれども、基本的には不特定多数の方々ですね、こういう方々に対して意見を表明し、是非を論ずるということは自由ですね。
○衆議院議員(葉梨康弘君) 自由であると考えています。
○仁比聡平君 確認をしたいと思うんですけれども、公選法上の地位利用、この具体的な要件として具体化をしたということで発議者が法文に書いておられる、学校の児童、生徒及び学生に対する教育上の地位にあるために特に国民投票運動を効果的に行い得る影響力又は便益と、これを利用するという、この地位利用についてですね、これは公職選挙法違反に問われた裁判例、これで幾つかの解釈がされております。
 保岡議員も、いつでしたか、それほど例はないのではないかというような趣旨の御答弁がいつぞやあったかのように思うんですが、私、調べましたけれども、数がそんなにたくさんあるわけじゃないんですよね、この地位利用が問われている。
 その中で、衆議院の法制局の資料にも出てまいります福岡高等裁判所の判決例、昭和五十年の五月二十七日の判決がございます。この判示を少し紹介をさせていただきたいと思うんですが、教育者がその教育上の地位に伴う影響力を利用せずに一個人として一般人と同様の選挙運動をすることは何ら制限されるものではなく、たとえ教育者が単にその教育者としての社会的信頼自体を利用した場合でも問題の余地はない。
 この判示は、教育者としての社会的信頼、例えば何々大学の教授であると、その地位に伴う信頼がございます。これが利用されたという形に外形的に見えたとしても、一個人として一般人と同様の選挙運動をすることは何ら妨げられないと。つまり、これをよく考えますと、問題とされる地位利用というのは、個別的な関係、その生徒あるいはその生徒の親御さんとの関係で、具体的な教育上の精神的影響力あるいは感化力、こういったものを持っているか持っていないかということだと思うんですけれども、そういった理解でよろしいですか。
○衆議院議員(葉梨康弘君) 確かに、教育者、公務員の地位利用というのはそれほど例はないんですけれども、文言としては、公務員、教育者の地位利用は全く一緒ということなんですが、多分今言われているような形であれば、教育者としての資質を利用してというのは当たらない、それはそうなんだろうというふうに思います。
 そして、実際に典型的な例としては自分の生徒それから自分の講義をしている学生ということになってくるだろうというふうには思いますけれども、例えばPTAとかそういったものについてもやはりこれは地位利用に当たるということで、これだけが地位利用ですよというふうにはなかなかちょっと言い切れないだろうと思います。
○仁比聡平君 私が伺っているのは、こういった場合が、ああいった場合がということではないんですよ。その地位利用というものの性質、性格を問うているんです。
 つまり、教師、教育者であるということが問題なのではなくて、その教師、教育者であることによって、その相手ですね、それは自分の担任のクラスかもしれないし、それとも同じ学校の中でいろんな事情で個別的な影響力を持っているというふうに判断される場合があるかもしれません。だけれども、あくまでその相手との関係での個別的な影響力なんであって、教師であるから駄目だとか大学の教授であるから駄目だとか、そういった問題ではないでしょうと、そういうことを確認しているんです。
○衆議院議員(葉梨康弘君) そういう御趣旨であれば、全くおっしゃるとおりだと思います。教師であるから、大学の教授だからこれが駄目だということではございません。ただ、公務員の場合はまた別途規制が掛かってまいりますが。
○仁比聡平君 今、葉梨議員がおっしゃった公務員の政治的行為の制限に当たるか否かの問題は、一昨日ですか、議論をさせていただきました。その趣旨は別に変わらないんだろうと思います。
 そうしますと、先ほど御紹介したような、国民がつくっておられる市民団体、そういったところに、例えば自分の住んでいる町で、護憲あるいは改憲どちらでもいいですが、そういった思いで集まりがある、ここに教師が参加をするということは、これは全く自由ですね。
○衆議院議員(葉梨康弘君) 構わないと思います。
○仁比聡平君 そういった集会に参加をして、自分が教師として、二度と子供たちを戦場に送らないと、そういう思いで来たのだという、そういった思いを語ること、憲法を語ること、それも自由ですね。
○衆議院議員(葉梨康弘君) 当然、それはもう意見の表明であって自由だと思います。
○仁比聡平君 例えば日比谷の野音で、これも護憲、改憲どちらでもいいですけれども集会があって、そこに教師である国民が参加をする、そしてその集会の後にパレードが行われるというのでパレードに参加をする、これも全く自由ですね。
○衆議院議員(葉梨康弘君) 自由なんですけれども、これは教育者の地位利用という意味ではこれには当たらないんです。公務員の議論はまた別であるということ、また、最前議論をいたしましたのでもう言いませんけれども、地位利用には当たりません。
○仁比聡平君 地位利用としては当たらないと、このことがはっきり確認をされたということは大事なことだと私は思うんですよ。そして、公務員の政治的行為の制限との関係でいいましても、今現在において公務員法上自由であるそういった行為を国民投票のときには規制をする、より縛るんだという方向は取らないということはせんだって皆さんが答弁をされたわけですから、今自由なんですから国民投票の際にも私は自由だと思います。うなずかれていらっしゃいますのでそのように理解をいたしたいと思います。
 新宿の駅前で、あそこ、たくさん人がおられますよね。そこで、これも護憲でも改憲でもいいですが、街頭宣伝を行いましょうということで、教師である国民が、先ほど申し上げたような、例えば二度と子供たちを戦場に送るような国にはしたくないと、そういった思いを語るということはいかがですか。
○衆議院議員(葉梨康弘君) 基本的にそれも構わないというふうに思います。
 ただ、その後どういう御質問になるかというふうに、ちょっと私、別に警戒しているわけじゃないんですけれども、例えば自分の子供にそこに必ず参加しなさいというようなビラを配って、それで明らかに投票勧誘に当たるようなことをやったとすれば、生徒に、それは当たる場合もあるんですけれども、今おっしゃられている例は基本的には私は当たらないだろうというふうに思います。
○仁比聡平君 別に私、そんなに何か引っ掛けていこうなんて全く思ってませんのでね。いや、それでも葉梨議員からそんなような注釈が付くところに、何か皆さん、何を恐れていらっしゃるのかなという感じが逆にしちゃうんですよ。
 こうやって聞いてきますと、地位利用というのが適用をされて具体的に懲戒の対象になるという例は、これどんな場合をおっしゃっているのかなというのは私、分からないんですけれども、なかなか想定しにくいんですが、確かに今私が申し上げてきたのは、今、現行で全く自由な行為であって、これが国民投票運動の際に自由が禁圧をされるということは、これはあってはならないということだと思います。極めて限定をされた例だけを対象とするとしようとするのであればより明確にすべきじゃないか、そうでなければ萎縮効果が生まれるではないかという点はこれまでも何度も議論をしてまいりました。
 保岡議員がせんだっての御答弁で、公選法上の判例によって積み重ねられてきているわけだから、だからこの要件で限定をされているというふうにおっしゃったわけですね。だけれども、私、さほど例があるとは思えないんです。
 現行の公選法の事例を判例集などで探れる限り探って、有罪、無罪の判断がどういうふうにされたかというのを私も見てみましたけれども、ここで有罪とされた例というのは、職権濫用に近いような実質的な違法性を持っていると、先ほどの単位をやらないぞというような例はここの類型に当たるかと思うわけです。あるいは、個別面接をして直接的な心理的圧迫を与える、そういった類型があるかと思うんですね。そういった場合、公選法上、有罪とすることがいいのか、あるいは裁判上の是非も含めてこれ議論がいろいろあるでしょうし、憲法論としても私は意見がありますが。
 だけれども、先ほど冒頭、福岡高裁判決を御紹介をしたように、教育者が教育者としての社会的信頼自体を利用した場合、これは何の問題もないと公選法上もされているわけです。公選法上、今処罰をされない、ですから捜査ももちろん始まらない、監視もされない、そういった類型について国民投票の際には規制する、これはあってはならないことだと思いますが、いかがですか。
○衆議院議員(葉梨康弘君) 明確に申し上げます。
 国民投票で、今公選法で自由とされているようなものを国民投票の際に規制をするということは考えておりません。
○仁比聡平君 にもかかわらず、法律の専門家あるいは憲法の専門家からも、この百三条でしたか、の規定ぶりに対して、これは法律としておかしいんじゃないかという、そういう批判まで寄せられているわけです。この当委員会の参考人質疑でもそういった意見が次々に出ます。それは、やはりこの法文を見るだけでは、この法文そのものからでは、今私どもが議論をし確認をしたようなこういった考え方を字句上読み取ることは難しいからです、あるいは不可能だからなんですね。
 というのは、影響力あるいは便益、これが一体どんなものなのか、これは、この法文を見る国民の方々には分からないことなんですね。公選法の判例や運用の積み重ねを知らなければ、何をやっていいのか、何をやったら禁じられるのか、それ以外はすべて自由なわけですから、何をやったら禁じられるのかが判例や運用を知らなければ分からないと法律の専門家から言われるようでは、これは萎縮効果をなくすことができないんじゃないですか。
 これしっかり見直す。私は、今からでもこの条文はやめる、きっぱりやめるということをはっきりさせた方がいいと思います。というのは、例えば大学教授の単位認定なんかの問題は、これはもうそれぞれの大学の懲戒規定で処分されますよ。なぜここであえてやらなければならないのか、私はそんな必要はないと思いますが、いかがでしょう。
○衆議院議員(保岡興治君) 先ほど先生が判例として挙げられた昭和五十年の判例などは、我々が解釈しても、それは、単なる教員の社会的信用を利用して運動したからといってそれは当たらないのは、その地位利用の判例等で採用されているこの法律に成文化した要件からも当然でありますし、また、地位利用そのものの我々の構成は運動という勧誘行為を入れて更に明確化している。
 そういうことなどから、数少ない例といっても、やはり悪質な地位利用というものについては、やっぱり逆に公正な国民投票という重大な権限をゆがめる結果になるから、これはきちっと悪質なものは少なくとも懲戒に当たるということを我々としては規定として定めさせていただいたわけでございます。
○仁比聡平君 例えば大学教授が、この改憲案はこんな問題を持っていると、だから反対だと、これに従わなければ単位を与えないといった場合、こういうのを特に悪質なというふうにおっしゃるんだと思うんですよ。こういう場合について私物を言っているわけじゃないんですが、そういった場合は懲戒規定に、学内の懲戒規定なんかに当たるんじゃないですか。
 参考人から、角を矯めて牛を殺すようなたぐいのことがあってはならないというお話がございました。ありそうもないそういった例を禁止をするために、それもほかの手段で禁止をできるのに、どうしてこういう広範であいまいな規定、法律家が見てもこれはあいまいだというふうに感じる規定、そういったものを設けるんですか。こういった規定を設けて国民投票運動に萎縮効果を与える、これは重大な萎縮効果を与えると、こういうやり方は絶対に許すことができないということを厳しく申し上げまして、残念ですけれども、時間が参りました。近藤議員にあと思いはゆだねたいと思います。
○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。
 仁比議員から思いを託されましたので、そうするとこのことについても少し話をしなきゃならぬのかなと、こういうふうに思います。
 私、おとといの日でしょうか、この間の質問のときにも、公務員、教員の地位利用、とりわけ教員の地位利用のことについて話をさせていただきました。法案百三条でございますが、こういう条文を設けなくとも国公法、地公法の懲戒事由で十分対応できるんではないか、あるいは、それぞれの企業等あるいは団体等の中に必ずこの種のものについては、悪質なものについては懲戒規定があるんでこれで十分対応できるんではないかと。現にこういう公選法の地位利用というのは余り起訴事例もありませんし、何でこんなものを設けるんだと。公職選挙法の規定よりも更にこの国民投票法案については権利性が非常に高いので、よほど公職選挙法の行為類型に更に絞りを掛けて、そして、なおかつ必要性が認められるケースでなければ法案に盛り込むべきではない、こういう話をしました。今ほどの仁比議員の質問もそういう観点からるる行われてきたんだろうというふうに思っています。
 先ほど、葉梨発議者は、藤末議員の質問に答えて少し具体的にお話ししましょうということで、こういう場合が教員の場合地位利用に当たるんではないかというケースを話をされました。そして今、仁比議員が少し具体的な話をしました。私、それをずっと聞いていまして、改めて、この間も私、申し上げましたけれども、ならば、こういう法案の書きぶりではなくて、勧誘行為を前提とするんですけれども、職務の関連性、つまり、職務に関して職務の関連性があるということが一つ、もう一つは勧誘行為が職権濫用的に行われる、こういうことが私は正にポイントではないかと。先ほどの学校の先生が自分の授業ではなくて外へ出て行った場合、名前をいろいろ利用して外へ出て行った場合全部対象にならないと、こういうふうに言いました。これは全部勧誘行為を前提としているんですけれども、ならば、職務との関連性とそれと職権濫用的なものが正にポイントだと、皆さんがお話しになっていることはみんなそれじゃないか、判例で問題になっているのも全部それじゃないか。
 正にこの二つが私、ポイントではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○衆議院議員(葉梨康弘君) これは条文を元々公選法から、これは公選法の規制とこの国民投票法の規制は違うんですけれども、罪刑法定主義的な運用の積み重ねという意味で公選法から引いてきたということでこういうような表現になっておりまして、今おっしゃられたのが正に、特に国民投票運動を効果的に行い得る影響力又は便益を利用してということで、その地位にあるために影響力を利用して、地位にあるために便益を利用してということに当たってくるんだろうというふうに思います。
 ただ、公選法の条文、やっぱりちょっと古いは古いんですけれども、あと、判例のいろんな使っている言葉をそのまま使ったというのは、例は少ないとは言いながら今までの運用の積み重ねをそのままやっていくんだと、ただし、これは罰則を掛けるものではなくて典型的にこれはいけないよという行為を書くんだということで書いているんです。表現のしぶりは、せんだって保岡議員からも答弁ございましたけれども、公職選挙法自体ももっと分かりやすくしなければいけないというような意見もありますし、私も実はそういう考え方を持っているんですけれども、現段階において、この公選法だとかその判例で使っている言葉を引かしていただいているということなんです。
○近藤正道君 葉梨発議者はいつも質問に端的にお答えにならない。本当に私は、もっと注意をして答えていただきたいと思うんですよ。私は罰則のことも聞いてないし、公職選挙法のことも聞いてない。ただ、今まで出てきた話を全部総合しますと、やっぱり職務との関連性、そして職権濫用的な勧誘行為、これがポイントではないですか、こういうふうな質問をしているんですよ。
 影響力とか便益を利用してと、これ幾らひっくり返したって何のことやらよく分からない。そこで、より掘り下げて本質的なところは何なのかなというふうに私なりに分析をして、今まで判例で出ていたようなこと、それで今日皆さんがずっとお話しになった具体例を全部言わば通底するといいましょうか、貫いている共通点は、職務との関連性がある、それと職権濫用的に勧誘行為を行った、この二つじゃないですか。それなら、そのことを端的に表現をした方が、そのものをストレートに条文の中に書き込む、そういう書きぶりをきちっとやる、それをやったらどうですか。それができないんならこんな規定は削除すべきだと、私はそう思いますよ。ストレートに答えてくださいよ。
○衆議院議員(葉梨康弘君) 職権濫用罪をそのままですと、職権濫用罪というのは、保護法益としては相手方の自由意思と職務の公平性、これになるんです。この公選法ですとかあるいはこの国民投票運動、この法律の保護法益というのは投票の公正を害するかという世界ですから、この投票の公正を害するという中で、当然、職務に関連するのは地位を利用してですから明らかなんですけれども、その表現の仕方は公選法ですとか公選法の判例を使っていますよということを申し上げたわけでございます。
○近藤正道君 保岡議員かあるいは船田議員にお答えいただきたいんですが、私の問い、つまり職務関連性と職権濫用的な形態で勧誘行為をした場合、この二つの正に本質的な要素をストレートに条文の中に書き込む、そういうものに変えるべきだと。それができないんなら私はこの規定は削除すべきだと。どうでしょうか。
○衆議院議員(保岡興治君) 先生、再三申し上げていますけれども、こういう規制が必要なのは、国民投票運動というものが自由でなければならないのも、そのとおりな重大な大切なことなんですけれども、一方で、公正な投票がゆがめられる結果になるということが非常にこれ大問題なんですね。
 ですから、やはりそこは地位を利用してというのは、確かに先生がおっしゃるように職権濫用にわたるという場合と重なることもあると思います。ただ、葉梨議員が今申し上げたとおり、職権濫用というのは、あくまでも職務の公正さと相手方の法益というものと両方を侵害されるケースを想定した構成要件になっていて、先生も御案内のとおり、こちらの方は投票の公正さを守る観点から規制しているんであって、そこはおのずから重なる部分もあるでしょうが、違う部分も出てくる可能性があるので、いずれにしても、地位利用でその便益あるいは影響力を行使して、その地位にあるがために相手方の投票行為をゆがめる結果になるのはこれは防止しなきゃいけないから、この規制の正当性はあるんではないでしょうか。
○近藤正道君 私は、国民投票運動は原則自由だと、投票の公正さを担保する、そのための必要最小限度のものに限るべきだと、そういうふうに考えたときに、今皆さんが法案の中で用いている影響力、便益、こういう非常に包括的な無限定なやり方ではなくて、もっとやっぱり限定した書きぶりに変えるべきだと。そのためには、少なくとも職務との関連性が明確に分かるような表現を使うべきだし、職権濫用的なそういう形態の場合がその処罰の対象になるんですよと、それ以外はならないんですよということを明確にすれば、そうしたらみんなが安心をしていることができるんですよ。今のような書きぶりですから、たくさんの教員が教壇の中で憲法を語ること自身がやっぱりできなくなるんではないか、外に向かって憲法とか九条を語ることができなくなる、あるいはその心配をする、そういう懸念はやっぱりたくさん持つ。そういうものを払拭するためにも、書きぶりとしては非常に分かりやすい限定的な、だって、職務との関連性という言葉を分からせるような言葉を書くだけでも全然違いますよ、それは。先ほどの仁比議員の話なんて正にそうですよ。そういうことをもっと明確に出すような書きぶりというのはできないんですか、それは。まあそれ以上、もう今日は時間がないからやめますけれども、ここは本当にやっぱり問題だと思いますよ。
 それと、次に移りますが、これもこの間私申し上げました。国公法と地公法の政治的行為の規制の問題。皆さんはいったん適用除外をするということだったんだけれども、それをもう一度復活をさせたということの中で、国民投票運動と、いわゆる規制される政治的行為、この切り分けをこれからやるということでありますが、問題は、その二つの行為が重なり合ったときにどうなるのか。私、再三聞きましたけれども、ここは考えれば考えるほど分からなくなる。
 とりわけ、私が問題意識として持っているのは、国民投票運動に名をかりて政治的行為をやるというんじゃなくて、基本的に国民投票運動であると、しかしその行動のごく一部に政治的行為が随伴をしているというような場合どうなるんですか。この場合は全体が政治的行為というふうになるんですか、それとも、その部分だけが、ある部分、随伴した部分だけが政治的行為になるんですか。その辺のところを聞いたんですけれども、どうも納得いく答えが出てこない。
 とりわけ、例えば公務員の労働団体が運動するような場合、これは国民投票運動という側面と同時に、憲法二十八条の団結権の保護の対象になってくるわけですね。基本的に、中心的に国民投票運動をやっている、その集団行動のごく一部に政治的行為的なものがある。例えば、政党の機関紙をちょっと持っていた人がその中に一部いた、あるいはそういう人たちが一部紛れ込んでいた、そういうときに全体の行為が政治的行為として場合によっては規制の対象になるのか、警察がそれに場合によっては介入することがあるのかどうか。そうしますと、正に境界が分からない。一体、許される行為と許されない行為の境界は一体どこで線引きされるのか、この辺についてはやっぱり基本的なせめて考え方ぐらいをきちっと示した上で、その上でこのことについて詳細は三年間少し議論をするんだということなら分かるんだけれども、そういう基本的な切り分けの論理さえ示されない。これでは、その最も根幹的な部分が全部あいまいになったまま先送りになってしまうではないかと、私はそういう懸念を申し上げているんです。分かるように説明していただけませんか。
○衆議院議員(葉梨康弘君) ちょっと今のお話で、例えばたくさんの人が集まっていて国民投票運動をやっていると、その中の一部の人が政党の機関紙を持っていたら全体がその公務員の規制になるということはないんで、その一部の人がなってくるんだろうと思うんです。ある行為について、随伴する目的で一部やはり政治的行為で禁止されているものがあるとすれば、やはりそれで全部その行為が禁止にならないということではないだろうと思うんです。その一部の行為についてはやはり公務員法の規制というのは掛かってくるだろうというふうに思います。
○近藤正道君 分かりました。
 時間がありませんので最後に、最後になるかどうか分かりませんが、憲法審査会のことについてお尋ねをいたします。
 このことについては、改憲原案の審査権限については三年間凍結ということでありますが、憲法の調査については行使可能と。私としては、憲法調査会の議論がありましたんで、この延長の議論から始まるのかなというふうに思っておりましたら、この間、先月でしょうか、保岡議員の方から、そうではなくて、この三年間で改憲原案の一歩手前、要綱だとかあるいは骨子案のところまで行くことは可能だということになりまして、これだと審査の凍結というものが実質的に部分的にほごになっているんではないかと、そういう懸念を持っているわけです。正にこれは、憲法の調査というものが一体どの範囲まで可能なのか、このようなところがあいまいなもので、一部の皆さんは骨子、要綱、そうでない方はそこまでは行かないだろう、分かれるわけですよね。
 是非、統一的に、発議者としては、ここまでが可能なんだというふうな基本認識を持っているんだというところをちょっと明確に出していただけませんでしょうか。
○衆議院議員(赤松正雄君) 今、近藤委員おっしゃったことは、私は全く問題意識共有をいたしておりまして、要するに憲法審査会における三年間の調査というのは、何回も申し上げておりますように、現行憲法を今日まで六十年間運用されてきたその現実とその規定ぶりとの食い違い、そういうものを含めて、また基本的な法制との関連を含めて、いろんな角度から調査、議論をするということで行くべきであると。
 後で保岡委員から発言があると思いますが、全く、何というんでしょう、私としては考えづらいわけですけれども、議論をずっと進めていった進み具合で、恐らく仮にそういう議論が非常に、先ほど申し上げたような、憲法の調査をしていく流れの中で、そういう、この間おっしゃったような、大綱とか骨子というものができる可能性があるということを否定しないということをおっしゃったんだろうと思いますが、私はそれがまず無理であると、そういうことは難しい、不可能であると、こんなふうに思っている次第でございます。
○衆議院議員(保岡興治君) 赤松発議者とも全く私申し上げていること変わりないことであって、憲法審査会の法的な権限としては、憲法改正原案の要綱、骨子をまとめるところまでは調査ということであるから権限の範囲内。したがって、法的には可能性がある、理論的には。しかし、政治的に、赤松発議者も言っておられるように、そこまで詰まるかどうか、みんなの協議が、それは分かりません。突き抜けてずっと決まらないケースもあるだろうし、非常にみんなが単純な一項目、一条だけをまず直しましょうというようなことの発議をまず考えるんであれば、それは要綱はすぐできる可能性もある。しかし、それはそれだけで、要綱はすぐできても三年間は簡単な憲法改正案といえども発議はできないという法的な縛りが掛かるということでございます。
○近藤正道君 それぞれ発議者の今個人的な、個人的なというか一つの基本的な考え方を示されましたけれども、しかし、一部マスコミ報道によりますと、改憲原案審議の凍結期間に、自民党の場合は、大綱は作成できるんだと、この期間内に大綱を作ろうということをそれなりに意思統一をして文書を作成して回していると、こういう新聞記事だって、例えばこれは朝日新聞でありますけれども、あります、これは。どうなんですか。
○衆議院議員(保岡興治君) 先ほども総理がおられるときに示された図を言っておられると思うんですけれども、それはそういう想定がイメージとして考えられるという程度で、党の方であのスケジュールでやろうとかやらなきゃいけないとか、そういうことを党で論議して決定しているということでは全くありません。単なる仮想の一つのイメージとして、あるプロセスをイメージするのに役立てるために法の範囲内でやっていくとどうなるかということをイメージ図として作ったものでございます。
○近藤正道君 今日、総理に対して、それぞれの皆さんが総理の憲法観いろいろ聞いておられました。立憲主義としての言わば憲法というお話を総理はされておりましたけれども、まあしかし、この憲法観については随分いろんな人がおりまして、私、昨日さいたまへ行きましたら、与党の皆さんの推薦、議員の、あの公述人はお二人とも明確に、憲法というのは国家を縛るんではなくて国民を縛るんだと、国民の行為を規制するんだと、それが憲法だということを堂々とお二人ともおっしゃるわけ、それは。
 私は、非常にやっぱり今の憲法観、権力抑制から国民を統合するものに、そういうふうに考える人たちがこれだけ増えてきたのかなと。こういう人たちの発想でこれから憲法審査会の中で、自民党の新憲法草案、まあ私はこれは、今日も、先ほども午後の初めに議論がありましたけれども、海外における武力行使を可能にする、憲法的には可能にする、そういうものであります。
 立憲主義的な考え方も随分やっぱり希薄なものになっているというふうに思うんですが、こういう言わば自民党の草案をベースにした議論が正にこの三年の間に要綱、骨子を念頭に置きながら一瀉千里に走ってくる、こういう危機感を非常にやっぱり持っている。これに対してやっぱりきちっと歯止めを掛けるそういうシステムになっているのかどうか、赤松発議者、どうですか。
○衆議院議員(赤松正雄君) 今おっしゃったように、断じてそうならないようにしていきたいと思っております。
○近藤正道君 いずれにいたしましても、聞きたいことはたくさんあります。公聴会、あるいは参考人質疑で議論はたくさん出ているにもかかわらず、今日こういう形でとにかく審議が打ち切られて採決という事態になりました。私どもは同意をしておりませんけれども、本当にこれは私はひどい、参議院の名誉のためにも良くないことだ、こういうふうに思っております。そのことをやっぱり申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○長谷川憲正君 国民新党の長谷川憲正でございます。
 最初にお断りを申し上げておきますが、私、二十分という時間をいただいておりますが、既に当初の予定の時間を大分経過して審議が行われておりますので、長い時間やるつもりはありません。いきなりやめると事務方の方がびっくりするといけませんので、冒頭に言っておきたいと思います。
 私は、発議者の皆様方そして委員の皆様方、それぞれに大変御苦労をされて今日まで議論をやってまいりまして、それぞれの御労苦を高く評価したいと思っております。しかしながら、私は審議を尽くすということは時間ではないと思っているんです。何時間議論をしたとか、まあ時間も決して私は十分な時間だとは思っておりませんが、時間が何時間たったとか、何回地方で公聴会をやったとかいうことではなくて、そういう中でどこまで審議が深まって、そして、毎回申し上げておりますように、できるだけ幅広い合意形成をするという努力がどこまでなされたのか、それが私は審議を尽くすことだというふうに考えているわけでございます。
 そういう意味で質問させていただきますが、与党発議者の皆様方、今日は民主党の発議者の皆さんもおいでになっているわけですけれども、両案を折衷する、妥協するということで何か御努力をなすったでしょうか。
○衆議院議員(保岡興治君) これは、与党案は衆議院からお送りしたんで、また民主党の案というのは、衆議院で一回否決されましたけれども、ここで改めて参議院で出されている。この法案の修正協議はやっぱり委員会で参議院の皆様が行っていただくと、衆議院の発議者である我々と参議院の発議者である民主党の皆さんとで協議をする性質のものではないと、そういうふうに思います。
○長谷川憲正君 御説ごもっともであります。そうだとすると、私どもこの委員会の委員が果たしてそういうことをやってきただろうかと、そこまで話は達しているんだろうかということを思うわけです。
 一方では、国対の協議は与野党間で頻繁に行われているわけです。国会運営に関してはいろいろと議論がなされるのに、その幅広い合意形成という意味での議論、少数者の意見についても、いろいろ建設的な意見が出ているわけですから、地方の公聴会等からもいろいろ、参考人の皆様からも建設的な意見が出ているわけですから、そういうものを少しでものみ込もうという努力がこの委員会の中でも全くできてこなかったのではないかということを私は非常に残念に思うんです。
 それぞれの党の立場というのも分かりますし、私は、何かやはり、このままで国民の皆様に衆議院も参議院も十分に審議を尽くしていい手続法を作りましたよと胸を張って言えることになるのかなと。私は、もうこれからの本当に白熱した憲法議論をやる前提としての手続法であるだけに甚だ残念に思っておりまして、そういう意味では、この委員会運営そのものにも著しく不満でございます。
 ということを申し上げて、私の今日の発言を終わりたいと思います。
○委員長(関谷勝嗣君) 他に御発言もないようですから、日本国憲法の改正手続に関する法律案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○広田一君 私は、民主党・新緑風会を代表して、衆議院送付の日本国憲法の改正手続に関する法律案に反対の立場から討論を行います。
 国民投票制度とは、国民が憲法制定権力の担い手としてその権利を行使し、憲法改正をすべきか否かを判断するための制度です。よって、私たち国会議員の使命は民意を適切に反映する国民投票制度を整備することであり、そのことこそが憲法の基本原理の一つである国民主権を具体化するものであると考えております。国民が求める公正中立なルール作りのためには、憲法改正の中身をめぐる議論とは切り離し、つまり、護憲、改憲の枠を超えた幅広いコンセンサスづくりが必要であります。
 私たちは今から二年前に、十八歳投票権、条項ごとの個別投票の原則、国民投票運動は規制ゼロから考えるなどを提唱しました。その後の衆参憲法調査会等での論点整理を通じて、この提案が民主党案、与党案の共通の土俵になってきたことは周知のとおりであります。また、ほかの野党の方々の意見も踏まえ、テレビの無料放送枠等の賛否平等配分、公務員の国民投票運動も原則自由等の考え方が修正案に盛り込まれました。
 正にある時点までは、国民が望み、そして自分たち国会が目指した冷静な議論を通じた幅広いコンセンサスづくりが実際に進んでいたと言えます。しかし、本年年頭に安倍首相が憲法改正を参議院選挙の争点にするなどと、これまでのコンセンサスづくりに対し思慮を欠いた発言をし、今国会中の国民投票法案成立を強く求めたことが、これまでの与野党間の真摯な議論の積み重ねを根底からぶち壊してしまいました。立憲主義をないがしろにし、国民投票法案を与野党間の政治争点にしてしまった安倍首相の責任は大変重いと言わざるを得ません。
 このような状況にもかかわらず、私たちは良識と度量を持って、批判が出るのをあえて覚悟して、幅広い国民の声を踏まえ、衆議院では十分な議論がなされなかった最低投票率の問題など、真剣な議論を積み重ねてまいりました。
 それでは、与党案に反対する理由を参院民主党案の優位性を指摘しながら述べてまいります。
 第一に、国民投票の対象についてであります。
 民主党案は、憲法改正のほか、統治機構や、国民投票の対象とするにふさわしい問題として別に法律で定める事項などとしております。御承知のとおり、対象範囲は明確に限定されており、間接民主制との整合性についても考慮して今後法整備を行おうとしていることから、与党の指摘する懸念は一切当たりません。むしろ、二十一世紀を展望し、激動する内外情勢を踏まえれば、間接民主制と直接民主制を柔軟に組み合わせるより多くのデモクラシーは、民主主義の更なる発展と国民主権の充実という観点から大きな意義を有するものと考えております。
 第二に、投票権者の範囲についてであります。
 民主党案は本則で十八歳投票権を定めた上で、法律施行までの間に十八歳選挙権等の必要な法律上の措置を講ずるものとしております。国会はこの附則に当然拘束され、必要な法整備を行うことになるため、与党案のような経過措置は不要であり、法律施行に伴い当然に十八歳投票が実施されるとする民主党案は合理的なものと考えます。これに対し与党案は、法律施行時において十八歳選挙権等が実施されないことがあり得ると想定していることは、幅広い国民の参加を希求するという観点からいえば甚だ不可解でございます。
 第三に、公務員等の国民運動規制についてであります。
 公務員も言うまでもなく国民であります。よって、主権者たる国民として自由濶達な意見表明や議論を保障されなければなりません。当然のこととして、国民投票に関する運動規制は投票事務の公正さを担保するための必要最小限度の者等に限るべきです。職員団体による組織的な運動などで公務の中立性に悪影響を及ぼす者については公務員法上の信用失墜行為の禁止などに関する規定によって対応可能であり、民主党案もこれまた合理的なものと考えます。一方、与党案は、労働組合ぐるみの改憲反対運動は容認できない旨の発言がなされていることを考えると、結局のところ、国民投票運動そのものについて萎縮効果を及ぼす方向で法整備が検討されるおそれを否定できません。
 以上の理由等から与党案については反対であることを重ねて表明いたしまして、私の討論といたします。
 どうもありがとうございました。
○荒木清寛君 私は、自由民主党並びに公明党を代表して、日本国憲法の改正手続に関する法律案について賛成の立場から討論を行います。
 憲法第九十六条に定められた憲法改正のためのルールを具体化する国民投票法制は、本来憲法制定と同時に制定されてしかるべき法律でありました。本法律案は、この六十年間の法的不備を埋めるもので、評価できるものです。
 本法律案は、衆議院の段階で民主党の主張も大幅に盛り込んで、与党による併合修正が行われたものです。法案の内容は、個別発議方式を採用し、国民投票運動の自由を最大限保障するなど、国民の総意が届くような中立公正なベストな国民投票制度となっております。
 参議院日本国憲法に関する調査特別委員会では、法案の付託以来、ほぼ連日にわたり審議を行い、二十人以上の参考人を招致し、六か所で地方公聴会を行うなど、衆議院にも劣らない五十時間以上の審議時間を積み重ねてまいりました。与野党ともにきめ細かい質疑を行い、衆議院審議では明らかにならなかった論点についても詳細な検討が加えられたと自負しております。
 与党と民主党の最大の対立点は、国民投票の対象を憲法改正に限定するか否かであります。憲法に規定があり、その効果に法的拘束力がある憲法改正国民投票と、任意で諮問的な効果が想定される一般的な国民投票とでは、その本質が全く異なります。そこで、本法律案が憲法改正国民投票の制度設計をまず行い、予備的国民投票について、この法律の公布後速やかに検討を加え、措置を講ずるとしたことは合理的なものと言えます。
 また、投票権年齢につきましては、衆議院における併合修正で原則十八歳以上としたことにより、各党の意見の差異は基本的に解消するに至っております。なお、公明党は、さきの衆議院選挙のマニフェストにも掲げたとおり、元々十八歳選挙権を推進するとの立場でありました。
 さらに、最低投票率制度の要否について多くの議論がなされましたが、憲法が予定する以上の加重要件を課すことに憲法上疑義があること、ボイコット運動を誘発しかねないこと、諸外国においても採用する例は極めて限られ、しかも憲法に明記されている例が多いことから、採用しないことは妥当であると考えます。
 最後に、本法律案が成立すれば、今後三年間掛けて憲法審査会の場で現行憲法に関する活発な議論がスタートします。この三年間は、憲法のどこをどう変え、あるいは憲法を変えずに法律で対応できるものはないかなどの調査検討を行う極めて重要な期間であることを申し述べ、賛成討論といたします。
○仁比聡平君 私は、日本共産党を代表して、この法案の採決に対して断固として反対の討論を申し上げます。
 この法案は、最高法規である憲法、その改正に当たって、発議の在り方はもちろん、国民の皆さんがその改憲案に対してどのように意思決定をしていくのか、どのように国民投票の運動をするのか、そしてどのような投票をするのか、正に主権者である国民の皆さんのその主権の直接行使、その在り方を定めようとする重大な法案であります。
 にもかかわらず、本委員会において、参考人の方々も、地方公聴会での公述人の方々も、法案への賛否の違いを超えて、その多数の方が慎重審議を求め、国民的にもこの法案自体が持つ重大な問題点が急速に明らかになる中で、なぜ審議を打ち切るんですか。なぜ、なぜ中央公聴会すら開かずに採決をするのか。私は、そのようなやり方、強引なやり方は、我が国の憲政史上に重大な汚点を残すものだ、断固として許せない、そのことを申し上げざるを得ません。
 反対の理由の第一は、本法案が改憲案を通しやすくする仕組みとなっており、国民主権原理に反する不公正かつ反民主的な法案だということでございます。
 具体的に四点指摘をいたします。
 一つは、最低投票率などの定めがないことです。
 憲法の改正は、主権者である国民にその決定権がある。にもかかわらず、投票率がどんなに低くても改憲案が通り得る仕組みとなっている。短い審議を通じても、最低投票率を設けてはならないという憲法上の根拠がないことは私ははっきりしたと思います。にもかかわらず、圧倒的多数の国民の皆さんの声を無視して、発議者は設けることを拒否し続けました。そこには、できる限り低いハードルで改憲案を押し通そうとする、そういうねらいがあることははっきりしているのではありませんか。
 二つは、公務員や教育者の自由な意見表明や国民投票運動を不当に制限をしていることです。
 地位利用を理由になぜ教育者、公務員のみが運動を禁止、規制をされなければならないのか、その憲法上の根拠は結局明らかにされませんでした。特定の政党や候補者を支持したり反対することとは全く性格が異なる国民投票において、国公法や地公法の適用を除外しないことについての何の道理のある答弁もなされませんでした。結局、法案は、地位利用や職務の公正さの確保を口実にして、あいまいかつ広範な要件で取り返しの付かない重大な萎縮効果をもたらし、公務員、教育者にとどまらず、国民全体の自由な意見表明や投票運動を抑え込むこととなってしまいます。
 三つには、改憲案の広報や広告の仕組みが改憲推進勢力に有利なものとなっていることです。
 国民の皆さんが改憲案に対する理解を深める上で広報や広告は大変重要な情報源ですが、広報協議会は改憲賛成の会派が圧倒的多数を占め、広報や無料の広告など、都合よく運用、運営される仕組みとなっています。潤沢な資金力を持つ改憲推進勢力が有料広告を買い占めかねない、憲法を金で買いかねない、そのことについても何ら合理的な歯止めがありません。
 四つに、憲法審査会の合同審査会の開催と権限、また、両院協議会の開催を可能とする仕組みは、憲法九十六条の趣旨に反し、両院制の原則をないがしろにするものでございます。とりわけ、勧告権限は、改憲原案の起草の段階で、また両院協議会は改憲案発議の最終段階で、いずれも国会における発議をしやすくする仕組みであることが明らかになりました。最低投票率は憲法九十六条に明記されていないからと拒否しながら、同じく九十六条に明記されていないこのような仕組みを盛り込むことは、正に御都合主義ではありませんか。
 第二は、いずれもこの法案自体が憲法に抵触するのではないかという重大問題であるにもかかわらず、なぜ急ぐのかということです。
 もっともっと審議しようじゃありませんか。国民の皆さんから公募をして、皆さんの意見を十分聴き、国民主権と憲法をもっともっと語り合い、国民と国会のキャッチボールの中で憲法九十六条の具体化を語るべきです。それが国会の在り方であり、責任であります。
 にもかかわらず、安倍総理が目指す改憲のスケジュール、その第一里塚に位置付けられたこの法案、だからこのような強引なやり方をやるのではないのですか。安倍総理の一連の発言は、手続法案が総理の改憲スケジュールに位置付けられていることをだれの目にも明らかにしています。公正中立なルール作りではなく、九条改憲と地続きの法案であることは明らかであります。
 今年は憲法施行六十周年です。憲法九条は、アジアの二千万人の人々、三百十万人の日本国民の犠牲の上に、二度と戦争はしないという国民の深い思いが込められたものです。九条を変えて再び海外で戦争をする国にすることを国民の皆さんは絶対に許さないでございましょう。
 採決強行という度重なる暴挙に抗議をし、断固として廃案にすべきことを改めて強く申し上げて、私の反対討論を終わります。
○近藤正道君 社会民主党・護憲連合を代表し、与党案に対する反対討論を行います。
 初めに、本日の憲法調査特別委員会をもって審議が打ち切られたことに強く抗議をいたします。これは与党と民主党の両筆頭理事間の合意を基に、我々の意見を聞くこともなく一方的に決められたことであります。我々は筆頭間協議で審議打切りを決めたことなど承諾した覚えはありません。少数政党をないがしろにし、民主主義を踏みにじるやり方であり、断じて容認できません。
 法案は、憲法改正の手続を定めるものであり、慎重の上にも慎重を期するのが当然であります。国民の多くも慎重な審議を望んでおりました。しかも、与党案には多くの欠陥があることが参考人質疑や地方公聴会を通じてますます明らかになっていたのであります。重要な中央公聴会の開催など、本格的な審議はこれからだったはずであります。委員長の今回の対応は不信任に値すると考えます。
 採決後に提案されることになっている附帯決議の数の多さが取りも直さず審議が尽くされてないことを示しております。しかも、議員立法に対する附帯決議であり、議員が自分でやることに注文を付けることなど聞いたこともありません。法案を修正すれば済む話ではありませんか。これは良識の府である参議院にとって汚点となるものであり、この国の将来に大きな禍根を残すものであります。
 法案に対する反対理由を申し上げます。
 第一は、与党案が改憲と一体となった改憲準備法案だからであり、公正な単なる手続法ではないからであります。だからこそ、憲法改正を参議院選挙の最大の争点に掲げる安倍総理は、国会に介入してまで与党案の早期成立を表明したではありませんか。しかも、安倍総理の言う戦後レジームからの脱却とは、正に戦前のシステムや価値観への回帰であり、自民党新憲法草案の思想そのものであります。次の国会から設置されることになる憲法審査会では、九条改憲を始め、自民党新憲法草案をベースにした改憲論議が行われるのは火を見るよりも明らかであります。
 第二は、最低投票率の定めがないことであります。
 国民は、国の最高法規である憲法の改正にふさわしい投票率が必要だと考えております。多くの参考人からも最低投票率を設けるべきとの意見が述べられてまいりました。与党の最低投票率は憲法上疑義があるとの答弁にもかかわらず、最低投票率の規定は憲法違反だとする参考人はいなかったのであります。与党のもくろみは明らかであり、憲法改正のハードルを低くして改憲を容易にすること以外にありません。
 第三は、公務員や教員について、地位利用による投票運動の禁止、政治的行為の制限を図ろうとしているからであります。しかも、どのような行為が許され、どのような行為が許されないのか分からないのであります。五百万人以上にも及ぶ公務員や教員を一律に萎縮させるおそれの強い二重の規制は憲法上許されません。
 憲法改正国民投票運動は、一般的な選挙運動とは異なります。国の根本を決めるものであり、公務員であれ教員であれ、その賛否をめぐる運動は自由とすべきです。公務員、教員の表現の自由、運動の自由を奪う規制は許されません。
 第四は、テレビ、ラジオの有料広告が野放しで、やりたい放題になっていることであります。
 何十億、何百億とも言われる広告料を一体だれが出せるというのですか。有料広告は資金力のある個人や団体に独占されることは明らかであります。自由で公正な国民の意思形成を妨げる有料広告は、適正なルールができないのであれば全面禁止にすべきであります。
 その他、与党案には、広報協議会の在り方や投票方法など、問題点は数限りなくあります。正に欠陥法案であり、国民不在の国民投票法案です。このような与党案は断じて認めるわけにはいきません。
 以上申し上げまして、私の反対討論を終わります。
○長谷川憲正君 私は、国民新党を代表して、与党提出の日本国憲法の改正手続に関する法律案に反対の立場から討論を行います。
 憲法は国家の基本法であります。国家の構造を定め、国と国民との関係、また我が国と国際社会との基本的関係を規定する憲法は、軽々にこれを変えてはならないものでありますが、同時に、時代の変化とともに常にこれを見直していくべきものであることは自明の理であります。したがって、私たちは、憲法の必要な改正を行うことに賛成いたしますし、ましてや、そのための手続法の制定に反対するものではありません。
 しかしながら、憲法の改正は、国民各層の幅広い合意の下に行われるべきものであります。だとすれば、その手続法の制定もできるだけ大きな合意の下に行われるべきものと考えます。その意味で、本委員会での審議が不十分なまま、与党案と民主党案との間の調整も行われず、また少数政党の意見に何らの配慮もされることなく、各党間の意見が対立したまま採決を行うことは、本委員会の運営の在り方として不適切であると言わざるを得ません。
 現時点での採決に強く反対し、今後も民主主義の理念に従い幅広い合意形成のための努力を継続すべきであることを主張する立場から、与党提出の日本国憲法の改正手続に関する法律案に反対することを表明し、討論といたします。
○委員長(関谷勝嗣君) 傍聴の方は静粛に願います。議事の妨害になるような行為は禁止をされております。これに従わないときは退場を命ずることもありますから、念のために注意をいたします。
 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 日本国憲法の改正手続に関する法律案に賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
○委員長(関谷勝嗣君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
 この際、簗瀬進君から発言を求められておりますので、これを許します。簗瀬進君。
○簗瀬進君 私は、ただいま可決されました日本国憲法の改正手続に関する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会及び公明党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    日本国憲法の改正手続に関する法律案に対する附帯決議(案)
 一、国民投票の対象・範囲については、憲法審査会において、その意義及び必要性の有無等について十分な検討を加え、適切な措置を講じるように努めること。
 一、成年年齢に関する公職選挙法、民法等の関連法令については、十分に国民の意見を反映させて検討を加えるとともに、本法施行までに必要な法制上の措置を完了するように努めること。
 一、憲法改正原案の発議に当たり、内容に関する関連性の判断は、その判断基準を明らかにするとともに、外部有識者の意見も踏まえ、適切かつ慎重に行うこと。
 一、国民投票の期日に関する議決について両院の議決の不一致が生じた場合の調整について必要な措置を講じること。
 一、国会による発議の公示と中央選挙管理会による投票期日の告示は、同日の官報により実施できるよう努めること。
 一、低投票率により憲法改正の正当性に疑義が生じないよう、憲法審査会において本法施行までに最低投票率制度の意義・是非について検討を加えること。
 一、在外投票については、投票の機会が十分に保障されるよう、万全の措置を講じること。
 一、国民投票広報協議会の運営に際しては、要旨の作成、賛成意見、反対意見の集約に当たり、外部有識者の知見等を活用し、客観性、正確性、中立性、公正性が確保されるように十分に留意すること。
 一、国民投票公報は、発議後可能な限り早期に投票権者の元に確実に届くように配慮するとともに、国民の情報入手手段が多様化されている実態にかんがみ、公式サイトを設置するなど周知手段を工夫すること。
 一、国民投票の結果告示においては、棄権の意思が明確に表示されるよう、白票の数も明示するものとすること。
 一、公務員等及び教育者の地位利用による国民投票運動の規制については、意見表明の自由、学問の自由、教育の自由等を侵害することとならないよう特に慎重な運用を図るとともに、禁止される行為と許容される行為を明確化するなど、その基準と表現を検討すること。
 一、罰則について、構成要件の明確化を図るなどの観点から検討を加え、必要な法制上の措置も含めて検討すること。
 一、テレビ・ラジオの有料広告規制については、公平性を確保するためのメディア関係者の自主的な努力を尊重するとともに、本法施行までに必要な検討を加えること。
 一、罰則の適用に当たっては、公職選挙運動の規制との峻別に留意するとともに、国民の憲法改正に関する意見表明・運動等が萎縮し制約されることのないよう慎重に運用すること。
 一、憲法審査会においては、いわゆる凍結期間である三年間は、憲法調査会報告書で指摘された課題等について十分な調査を行うこと。
 一、憲法審査会における審査手続及び運営については、憲法改正原案の重要性にかんがみ、定足数や議決要件等を明定するとともに、その審議に当たっては、少数会派にも十分配慮すること。
 一、憲法改正の重要性にかんがみ、憲法審査会においては、国民への情報提供に努め、また、国民の意見を反映するよう、公聴会の実施、請願審査の充実等に努めること。
 一、合同審査会の開催に当たっては、衆参各院の独立性、自主性にかんがみ、各院の意思を十分尊重すること。
   右決議する。
 以上でございます。
 附帯決議を付することこそ参議院の良心と信じ、何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○委員長(関谷勝嗣君) ただいま簗瀬君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
○委員長(関谷勝嗣君) 多数と認めます。よって、簗瀬君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、菅総務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。菅総務大臣。
○国務大臣(菅義偉君) ただいまの御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分尊重してまいりたいと存じます。
○委員長(関谷勝嗣君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(関谷勝嗣君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五十六分散会
     ─────・─────
   〔参照〕
   さいたま地方公聴会速記録
 期日 平成十九年五月十日(木曜日)
 場所 さいたま市 浦和東武ホテル
   派遣委員
    団長 委員長      関谷 勝嗣君
       理 事      岡田 直樹君
       理 事      広田  一君
       理 事      前川 清成君
       理 事      荒木 清寛君
                荻原 健司君
                田中 直紀君
                小林 正夫君
                近藤 正道君
                長谷川憲正君
   公述人
       埼玉県議会議員  田村 琢実君
       社団法人日本青
       年会議所関東地
       区埼玉ブロック
       協議会会長    榎本 賢治君
       大宮法科大学院
       大学法務研究科
       法務専攻     南部 義典君
       埼玉大学教育学
       部教授      三輪  隆君
    ─────────────
   〔午後二時三十分開会〕
○団長(関谷勝嗣君) ただいまから参議院日本国憲法に関する調査特別委員会さいたま地方公聴会を開会をいたします。
 私は、本日の会議を主宰いたします日本国憲法に関する調査特別委員長の関谷勝嗣でございます。よろしくお願いをいたします。
 本日の地方公聴会に参加しております委員を紹介をさせていただきます。
 まず、私の右隣から、自由民主党の岡田直樹理事でございます。
 公明党の荒木清寛理事でございます。
 自由民主党の田中直紀委員でございます。
 同じく自由民主党の荻原健司委員でございます。
 次に、私の左隣から、民主党・新緑風会の前川清成理事でございます。
 同じく民主党・新緑風会の広田一理事でございます。
 同じく民主党・新緑風会の小林正夫委員でございます。
 社会民主党・護憲連合の近藤正道委員でございます。
 国民新党の長谷川憲正委員でございます。
 次に、公述人の方々を御紹介申し上げます。
 埼玉県議会議員田村琢実公述人でございます。
 社団法人日本青年会議所関東地区埼玉ブロック協議会会長榎本賢治公述人でございます。
 大宮法科大学院大学法務研究科法務専攻南部義典公述人でございます。
 埼玉大学教育学部教授三輪隆公述人でございます。
 以上の四名の方々でございます。
 この際、公述人の方々に一言御礼のごあいさつを申し上げます。
 皆様方には、御多忙中のところ御出席をいただき、誠にありがとうございます。
 当委員会におきましては、目下、日本国憲法の改正手続に関する法律案及び日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案の審査を行っておりますが、本日は、両案について皆様方から広く御意見を賜るため、当地において地方公聴会を開会することとなった次第でございます。
 皆様方から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の両案審査の参考にいたしたいと存じますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。
 次に、本日の議事の進め方について申し上げます。
 まず、田村公述人、榎本公述人、南部公述人、三輪公述人の順序でお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 それでは、これより公述人の方々から順次御意見をお述べ願います。
 御発言は着席のままで結構でございます。
 まず、田村公述人、お願いをいたします。
○公述人(田村琢実君) ありがとうございます。
 まず初めに、先生方におかれましては、日ごろより日本国のために御尽力を賜りまして、本当にありがとうございます。お疲れさまです。また、本日は、ここのさいたまの地におきまして地方公聴会が開かれること、誠に、私なりにもこの法案に対しましては思いがありますので、本当に有り難く思っておるところでございます。
 さて、私は、埼玉県議会議員を先般の四月の選挙におきまして当選をさせていただきまして、まだ着任早々ということで大変経験も努力もないところではございますが、不手際発言があるかもしれませんが、どうぞお許しをいただきたいと思います。
 そして、この法律案につきましては、私、五年前まで衆議院の方の日本国憲法に関する調査特別委員長の中山太郎の秘書として仕えまして、この法案に対する思いが大変強くございます。憲法調査会設置に対する過程に関しましてまた中山と一緒に努力して設置をしてまいり、そして議連のときにこの法案に関しましては携わらせていただきました。選挙に出馬するという関係で五年前に退職をいたしました関係で、この議論の過程におきましては知識不足のところが多々あると思いますが、どうぞお許しをいただきたいと思います。
 まず、私の立場を表明させていただきたいと思います。私は、この日本国憲法の国民投票法案の制定につきまして、賛成の立場から発言をさせていただきたいと思います。
 まず、国民投票法の制定につきまして発言をさせていただきます。
 今年で、御案内のとおり、憲法施行六十年が経過をいたしました。この憲法の九十六条で憲法改正の手続を明記をされているところでございます。そのような状況の中で、現在に至っても、六十年たってもこの国民投票法が成立をされていないのは、私は立法府である国会の怠慢だと思っておる次第でございます。
 そもそも、この国民投票法は、憲法制定時に用意すべきものと考えている次第であります。ですから、この日本国国民に主権として与えられているこの国民投票法に対する用意を早急にしていただきたいというのが私の立場でございます。
 続きまして、この今議論をされている国民投票法の個別事項について発言をさせていただきたいと思います。賛成の立場からこの議論をするに当たりまして、与党修正案と民主党の修正案という対比の中から発言をさせていただきたいと思います。
 国民投票の対象についてです。
 一般的国民投票制度について、民主党修正案では、その対象を国政重要問題のうち憲法改正の対象となり得る問題、統治機構に関する問題、生命倫理に関する問題、その他の国民投票の対象とするにふさわしい問題として別に法律で定める問題とし、この別の法律は、本法施行までに日本国憲法の採用する間接民主制との整合性の確保その他の観点から検討を加え整備することとしております。しかしながら、これについては、対象をある程度限定し、しかも間接民主制との整合性の観点を重視しているものではあるが、やはり現時点においては、発議の形式や議決要件など、その具体的制度設計については今直ちに本法律案の本則に制度化する段階に達しておらず、更に慎重な検討が必要ではないかというふうに考えております。
 また、そもそも、国民投票が必要的要件とされており、かつその結果に法的拘束力がある憲法改正国民投票と、任意で恣意的な効果が想定される一般的な国民投票とでは、その本質を全く異にするものであることなどもかんがみると、今回はこの国民投票法制に限定して制度設計するのが適当であるとする考えであります。
 また、年齢要件に関する規定についてでございます。
 この法律が施行されるまでの三年間に、公職選挙法、民法などについて必要な法制上の措置を講ずることは法律上の義務であり、当然そのような措置が期限内に講ぜられなければならないと思います。しかしながら、改正法の施行までどの程度の周知、準備期間を要するかは、個別の法律の趣旨を踏まえて決定されるべきことであります。
 したがって、民主党案のように経過設定を設けない場合には、選挙権年齢が満二十歳以上であるにもかかわらず、国民投票については満十八歳以上の者に投票権が与えられ、投票が実施されるという事態が生ずることとなり、国民の参政権としてのバランスという観点から問題があるものと考えます。
 続きまして、公務員の政治行為の制限の適用除外についてでございます。
 国民投票に関して、公務員の政治的行為については、公務員であっても特定の政治的目的を持たない通常の賛否の誘導運動についてはこれを自由にすべきであり、民主党修正案の趣旨には理解できます。ただし、この方向で条文化するには、勧誘行為に特定の公職の候補者を支持するなどの特定の政治的目的を持った組織的な署名運動や示威運動、あるいは政党その他の政治的団体の機関紙の配布行為を随伴する場合まで一律に自由にするのではなく、全体の奉仕者たる公務員として必要最小限の政治的中立は確保すべきこと。要するに、公務員といえども自由にすべき部分と、公務員の政治的中立について甚大な疑いが生じる場合にはこれを規制すべき部分とを丁寧に切り分ける必要があると考えます。したがいまして、民主党案のように一律に適用除外とするのではなく、与党案のようにこの法律が施行されるまでの三年間に丁寧な切り分けをするべきであると考えます。
 続きまして、現在早急に議論が必要となってきておる最低投票率の導入の問題について、一言意見を言わさせていただきたいと思います。
 投票に行かない理由はその人によって様々であると思います。これは憲法改正にかかわる問題以外でも同じように、選挙権についても同じでございます。投票所に足を運ばない以上、そこには投票に参加した者の決定に従うという意思があるものと思います。そういうふうに考えるのが自然であると考えます。投票権は、主権者たる国民の権利であると同時に責務としての側面を持つものであり、そのような責務を放棄した者の行為について投票に参加した者の決定に従う以上の意味を付与することは適切でないと考えます。最低投票率制度を設けることは、投票を棄権した者の意思についてこの投票に参加した者の決定に従うという意思を超えて特定の意味を付与するものであり、適当でないと考えます。
 しかしながら、この投票に行かない理由の中で、我々、我々というよりも先生方にお願いをしたいのが、投票率を上げる努力をする必要があると考えます。これは、投票の手続、投票に関する方法の多様性を確保していただきたいということであります。例えば、この憲法改正の国民投票というのは日本人である我々一人一人の最大重要な権利の行使であると考えます。その中でその権利を行使しないということは日本国民としての義務を果たしていないと考えられ、その国民に対しましてはある一定の制限を課す必要があるように考えます。例えば、行かない人に関しましては消費税率をその人によってパーセンテージを上げていくとか税金を課していくとか、また公民権の一定期間の停止をしていくとか、そのような負荷を加えていくということが必要じゃないかというふうに思います。
 また、これは制度上大変多々議論があるところであると思いますが、投票しやすい環境の整備が必要であると考えます。例えば、地域に関しまして言えば、各駅、大変多くの人が通勤、通学そして買物等々で利用をします。駅に投票所を設けて投票しやすい環境をつくっていくというのは大変投票率を上げていくのに有効な手段だと考えております。また、インターネットの普及している時代におきまして、制度設計上大変取捨選択をするのが難しいところでありますが、そのようなインターネット利用での投票というものも今後検討の課題として挙げていき、投票率を上げていく方法の一つとして考えていただければというふうに思います。これは、国民投票法のみにかかわらず、私も議員の端くれの一人でございますので選挙というものを経験しますので、投票率が上がることが大変うれしい一人の政治家でございますが、そういった公職選挙法の規定も含めて投票率を上げる制度設計を先生方にお考えいただければ幸いに存じます。
 このほかにも様々な論点、現在あるところでありますが、時間の関係上割愛をせざるを得ません。
 先生方におかれましては、貴重なお時間を割いてさいたままでお越しいただいたことに関しまして御礼を申し上げますとともに、私の意見陳述を終了をさせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○団長(関谷勝嗣君) ありがとうございました。
 次に、榎本公述人にお願いをいたします。
○公述人(榎本賢治君) 私は、社団法人日本青年会議所関東地区埼玉ブロック協議会会長を務めさせていただいております榎本賢治と申します。
 本日は、参議院日本国憲法に関する調査特別委員会さいたま公聴会開催に当たり、公述人として御意見をさせていただく機会をいただきましたこと、誠にありがとうございます。そして、大変光栄に感じております。
 私ども日本青年会議所は二十歳から四十歳までのメンバーで構成をされており、全国四万名のメンバーを有し、関東地区には一万名、そしてこの埼玉には二千名のメンバーを有しております。日ごろ明るい豊かな社会の実現を目指し、日々活動を展開させていただいております。
 政治家でもなければ学者でもない一介の市民として、私たちは市民と同じ目線の中で、様々な市民の意識変革につながる運動を訴え、呼び掛けをさせていただいております。今日、戦後の経済復興の中で失われてきた日本人としての良き伝統と精神を復興し、日本人としての誇りを取り戻そうとする呼び掛けをさせていただいているところであります。
 そんな中、私ども青年会議所は、今日の日本の混迷がGHQの戦略による東京裁判以降の自虐的歴史観の教育と政策に端を発しているととらえております。とりわけ憲法に関しましては、日本人の持つ伝統文化や国民性を無視したGHQの戦略で作られた憲法ではなく、日本人独自による憲法が必要であると考えております。
 また、安全保障の問題におきましても、排他的経済水域内で行われている中国の油田調査等の開発についても、すっかり平和ぼけしてしまった今の日本人の中で、これでいいのかといったことを様々な事業を通じて訴え掛けをさせていただいております。
 また、教育の場においては、近現代史というところで、この自虐的歴史観を払拭することがまずは第一であろうというふうに考えております。青年会議所運動の中で倫理、道徳や近現代史を勉強することは、一つの知識、教養を高めることでしかなく、運動体として何をするのかということになったときに、やはり今我々は憲法問題を訴えていくことが大事であろうというふうに考えさせていただいております。憲法改正を訴えることによって、私たち自身の持っている先達の血がにじみ出るような様々な経験を私たちが改めて学び、近現代史という失われた過去を、確かな歴史認識をした上で今の憲法を改正していくことが必要だというふうに考えさせていただいております。
 国民投票法案でありますが、日本国憲法第九十六条に記されているとおり、憲法改正のために必要不可欠な手続法であります。条文に沿って行われるべきものであり、議会制民主主義に沿って選ばれた議員によって提案され、国会が発議し、国民主権国家の一員として私たち国民自身が判断すべきだと感じております。国民投票法案しかり、これさえも憲法改正を容易にさせないGHQの戦略の一つがここにもあるかと思っております。
 国民投票法案でございますが、第一に、原理原則に基づいて憲法改正に限定すべきであろうというふうに考えさせていただいております。でなければ、議会制そのものの意味を失ってしまうのではないでしょうか。
 二点目に投票者の範囲でありますが、世界各国の選挙権を有する年齢を見ておきましても、約八割が十八歳であるという現状も踏まえ、また今の社会情勢、また日本国の社会情勢を見ても、十八歳以上の国民に責任と権利を与え、日本国民としての投票意識を十八歳から醸成していくことも今後の国づくりの中で必要なことではないかと感じております。また、国民投票法に関しましても、附則として関連法案整備まで二十歳という記載もされておりますので、この点に関しましても十八歳からで問題がないかと思っております。
 三点目に最低投票率でありますが、最低投票率を設定しようという議論があるわけでありますが、最低投票率に関して現行憲法九十六条には記載されてないわけでありますし、憲法を守るという観点からも最低投票率の設定は必要がないというふうに感じております。また、この最低投票率そのものの視点が、民主主義、国民主権国家といったところをある意味否定するようなものでありますので、最低投票率そのものの発想が原理原則から外れていくのではないかというふうに感じております。
 四番目にマスメディアに関してでございますが、公正中立な報道であるのが当然でありますが、一部には偏った報道もあるように見受けられます。それらを踏まえ、マスメディアに対するある一定の基準を設けることも必要であるかというふうに感じております。
 投票法案また憲法改正に関しまして、我々青年会議所といたしましては、これからの日本、百年後の日本を考えた中で憲法の改正を、先生の皆様の御尽力をいただきながら、また私たち国民主権国家の一員として、私たちの市民の意見をどうか取り組んでいただきながら、私たち日本人自身の憲法改正をお願いしたいと思っております。
 甚だ短くはありますが、以上で意見を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○団長(関谷勝嗣君) ありがとうございました。
 次に、南部公述人にお願いいたします。
○公述人(南部義典君) 大宮法科大学院大学法務研究科の南部と申します。本日は、このような意見陳述の機会を与えていただきまして、誠にありがとうございます。
 私は四月の五日に衆議院憲法調査特別委員会の第二回目中央公聴会にそのときも公述人としてお招きをいただいておりまして、一度こういう発言の場をいただいた以上もうないであろうと思っておりましたけれども、また地元でこのような機会を得たことに大変な光栄を覚えております。また、一昨年の九月まで私が政策担当秘書として仕えておりました山花郁夫前衆議院議員が、今日、横浜で同じように公述人として出席をさせていただいているということでございまして、一昨年九月の郵政解散でお互いやんごとなき状態になりましたけれども、こういった場で発言させていただくということは非常に光栄なことと存じておりますので、公述人としての役割をしっかり務めさせていただきたいと思って参った次第でございます。
 本日、先生方にたくさん資料の方を御用意させていただきました。
 まず、意見陳述要旨で、併合修正案及び参院民主案に対する提案ということで三枚程度のペーパーをまとめさせていただいております。こちらの内容に従いまして意見を述べさせていただきます。
 一番、両院合同起草委員会(仮称)の明確化。国会法の世界からスタートする憲法改正手続を図式化したものが参考資料1であります。ということで、参考資料の1、こちらA4の横書きの資料がございます。憲法改正原案の起草・審査手続という資料でございます。あえて通常の法律案の審議でいう先議、後議のモデルを図式化しておりません。してないというか、分かりづらい図にしておりまして、この両院での特に原案の起草、審査というのは先生方によってもいろんな御意見があるところだと思いますけれども、先般の澤先生の質疑を伺っておりまして、私の頭の中にぱっとひらめくものがありまして、作ったらこういう図になってしまったということでございまして、この図をちょっとお目通しいただきながら発言を聞いていただければと思います。
 また、この表の一番下に第一発議、第二発議というふだん聞き慣れない表現ございますが、これは原案の発議と、九十六条一項前段における国民に対する提案、この発議の場面とで第一、第二という表現を使わせていただいておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、陳述要旨の方に戻ります。
 憲法改正原案に関しては、併合修正案及び参院民主党案ともに@各院議員が員数要件を満たした上での憲法改正原案の発議、A各院憲法審査会長による憲法改正原案の提出を定めております。またさらに、審査段階で両院の意思が異ならないように、合同審査会を任意、非常設機関として位置付けられております。
 問題は、憲法改正原案に関して合同審査会が開かれる状況というものをどう考えるかということだと思います。字義に忠実に、どちらかの院の憲法審査会に既に第一発議がなされている場合に合同審査会を置くことができると考えるのか、又は広義に解釈をして、憲法改正原案の起草段階から合同審査会を置くことも想定するのか、考え方によって合同審査会の設置時期は当然変わり得るということになろうかと思います。
 さらに、憲法改正手続は両院対等のスキームで行われることを念頭に、両院合同起草委員会のような機関を設け、憲法改正原案の起草段階から両院が合同で取り組むべきであるという立法者意思も示されております。ただ、両院合同起草委員会を設けるとしましても、その権能、例えば大綱、骨子を示すにとどまるのか、第一発議まで容認するのか、合同審査会との相違点などについて国会法上の位置付けは必ずしも明らかになってはおりません。
 昨今の議論は、二院制の在り方にも関連し、とりわけ憲法改正原案の起草、審査が両院間の不当な政治的不均衡、恣意で行われることがないよう、両院間で確固たる紳士協定を結ぶべきではないでしょうか。両院合同起草委員会の意義、権能の明確化のため、国会法改正部分の再検討を提案したいと思います。
 要するに、この表でいいますと、多元的なそういう審査のプロセスを想定しておくことが望ましいと思いますし、基本的には国会の自律の問題でありまして、唯一の立法機関について唯一の立法機関が定めるのは国会法でありますので、正にもう先生方の方でお決めいただく問題ではないかなというふうに考えております。両院でどのようなプロセスを経て憲法改正原案が起草され、第一発議がなされ、さらに審査が進められていくのかを法的に明らかにしていくということは、憲法改正請願をなそうとする国民にとってもメリットが大きいと考えます。
 また、両院合同の原案起草がメーンになるとしても、上記@の可能性を全く排除することは妥当でありません。なぜなら、憲法改正のイニシアティブが取れる議員とそうでない議員とを二分化することにつながるからであります。
 二ページ目に参ります。
 二番で、国民投票期日議決要件の加重というところでございます。併合修正案及び参院民主党案ともに、国民投票の期日は第二発議が行われた後速やかに国会の議決で定められることになっております。国会法六十八条の六という条文がございます。
 国民投票期日は、原則どおり出席議員の過半数で決せられることになるのでしょうが、第二発議とのその要件の均衡を図り、議決要件を加重すべきじゃないかと考えております。なぜなら、憲法改正案について総議員の三分の二以上という広範な院内合意が形成されたにもかかわらず、投票期日を何月何日にするかという議案について、ある会派が百八十日後を主張し、別の会派が六十日後を主張するという状況は、政治的に非常に見苦しいということと、政治的多数決による恣意が介入するおそれがあるのではないかと考えます。また、この点は、国会法の改正を要さなくても、ある種政治的な慣行として積み重ねていく問題かなとも言えるのではないでしょうか。
 三番、在外投票手続の簡素化というところでございます。
 在外邦人の憲法制定権行使の実効的保障という観点から、併合修正案及び参院民主党案は、公職選挙法に倣って在外投票制度について詳細な規定を置いております。在外投票制度は日本ではまだ歴史が浅く、国政選挙に関して徐々に制度改正がなされつつあるのかなというところです。六月一日からは新しい改正法が施行されて、参議院選挙でも選挙区選挙が投票が可能になるということを承知しておりますけれども、そういった反面、投票管理の執行面、実務面での積み重ねが乏しく、問題点が浮き彫りになりにくいだけでなく、政治対応が遅延しているという指摘もございます。
 在外投票人名簿の登録について、両案は、在外邦人が文書で最終住所地の市区町村選管に申請することとなっておりますけれども、より簡潔にインターネット、電子メール、電話等の通信手段をもって可能とする方法は取り得ないでしょうか。この点は、在外選挙人名簿の申請手続についても該当すると思います。市区町村選管が永久名簿として調製する在外選挙人名簿に登録されていますと、在外投票人名簿に職権登録されるという関係にありますので、まず制度を見直すべきは公選法であると言えなくもありません。
 さらに、国内における不在者投票手続とのバランスが問題となるものの、ID及びパスワードを入力することによりまして国外の電子投票手続の検討も始めるべきではないでしょうか。国内では公的個人認証サービスというものがありますので、そういったシステムを利用してはどうかなということを思います。
 在外公館は投票の管理、執行を目的とした機関ではありませんので、簡素化された郵便投票及び在外電子投票の導入が事務負担を大幅に軽減させることにつながると思いますし、また投票率の向上にも資するのではないかなと考えております。元フィンランド大使の長谷川先生がいらっしゃいますので、またこの点はいろいろ御指導いただければというふうに思っております。
 ちなみに、二〇〇五年九月の衆議院選挙は、在外選挙人名簿に八万二千七百五十三名が登録されて、うち二万一千三百六十六名が投票されているということであります。投票率二五・八%ということだそうです。これは国政選挙の場合ということでございます。
 そして三ページ目、最後になりますが、まず四番目の一般的国民投票に関する議論の継続というところでございます。
 与党案及び民主党案の原案が提出される以前から大きな対立点の一つとして挙げられたのが国民投票の対象、すなわち憲法改正に限るのか、国政上の重要問題にまで広げるのかという論点でございます。二つの原案が衆議院に提出されて約一年の議論を経ました結果、@併合修正案においては、憲法改正問題国民投票(憲法改正を要する問題及び憲法改正の対象となり得る問題)を憲法九十六条の周辺部分ととらえて、その必要性の有無につき検討することが附則に盛り込まれているということでございます。そして、A参院民主党案においては、国政問題国民投票の対象として、憲法改正の対象となり得る問題、統治機構に関する問題、生命倫理に関する問題、その他の国民投票の対象とするにふさわしい問題として別に法律で定める問題に係る案件ですね、これらをポジティブリスト化して、これらを憲法九十六条、四十一条の周辺部分ととらえて、本則に限定明記するという段階に至っていると承知しております。
 併合修正案及び参院民主案は、今や国民投票の対象というレベルではなくて、一般的国民投票の対象が対立点となっていると言っても過言ではないのではないでしょうか。憲法改正の対象となり得る問題という共通項が生まれておりますし、コンセンサス形成が徐々に成果を出しつつあると思います。両対極からのトンネル工事が少しずつ進捗している状況に似ているなと感じております。したがいまして、一般的国民投票の議論は国民投票法案の採決をもって終えんさせるのではなく、今後も引き続き検討し、議論の成果を更に追求すべきであると思います。
 なお、一般的国民投票に関しては、有権的世論調査としての柔軟な制度設計、イニシアティブの可能性、事実上の拘束力の意義の再検討など、様々な議論が提起されております。これらの議論を深化させるため、憲法審査会に、提案として申し上げますけれども、一般的国民投票に関する小委員会なるものを設け、具体的な案件が現実化しないうちにより充実した制度設計を目指すべきであると考えます。
 最後、五番で、憲法の多義性と議論の在り方というところでございます。
 憲法という概念が多義的であるということを前提に、少なくとも以下の五点をすべての先生方の共通認識としていただくように、僣越ですが、御提案申し上げたいと思います。
 一番、実質的意味の憲法を成文化する際は憲法典の形式を取るのが通常でありますが、これを徹底することは現実に困難であるということ。二番、立憲的意味の憲法は通常成文憲法の形を取っているということ。三番、成文憲法は通常硬性憲法としての性質を有し、厳格な改正手続が定められますということ。四番、存在形式面の憲法論議よりも内容面の憲法論議の議論が先行するはずであるということ。そして最後、五番、各議院の憲法審査会は各党の憲法審議会ないし憲法調査会の議論がそのまま転写される機関ではないということでございます。
 以上、意見陳述要旨に従いましての私の発言はここで締めくくらさせていただきますが、最後に、記者会見配布資料という別のまたA4裏表の紙がございまして、最低投票率制度に関する反対意見の整理というペーパーが先生方のお手元にも配付させていただいているかと存じます。これは、先月二十七日ですが、慶応義塾大学の小林節先生とジャーナリストの今井一さんと私とで記者会見をしました際に、私の方で書いて記者の皆さんにお配りをさせていただいた資料でございます。もう先生方御案内のとおり、その直前に出た朝日新聞の報道で、投票率が一定の水準を上回る必要がある国民が七九%に達したという、非常に大きな見出しで載りましたけれども、この表でいいますとレベル一の問題で、レベル三のエ、国民投票法に定めるという、七九%の国民が国民投票法で最低投票率を定めることに賛成しているかのような、あたかもそういう世論があるかのような、そういう報道がされたということについて反対意見の整理ということでしたためたものでございます。
 間にレベル二というものがございまして、最低投票率をルールとして設けるのにそもそも反対という人もいれば、レベル三というので、ルールとして設けるのであっても憲法で定めるのか法律で定めるのかそれぞれ議論があるところですので、このような整理をさせていただいたところでございます。
 正に朝日新聞の記事というのは論点の先取りといいましょうか、クエスチョンベギングというような形で、非常に不当な報道だと思いましたので、あえて本日この場でも発表させていただいた次第でございます。
 私からの発言は以上で締めくくらさせていただきます。
 ありがとうございました。
○団長(関谷勝嗣君) ありがとうございました。
 次に、三輪公述人にお願いいたします。
○公述人(三輪隆君) 三輪でございます。
 私は埼玉大学の教育学部というところで教えている教員です。と同時に、専門は憲法でありまして、現在憲法研究者と自称する人間は、具体的に言いますと大学院で修士論文あるいは博士論文を書いて研究職を自認している人間は恐らく全国で何と六百から八百人ぐらいいるんじゃないかと思いますが、そのうち百人ぐらいの仲間とネット、メール等々での意見交換を常時行っているつながりも持っています。
 教育学部といいますと教員養成のところで、いろいろしっかりした教員を養成しているのかということが時々厳しい目が向けられるんですが、日ごろ学生と議論しておりますと、学生諸君の中には、このような高度にといいますか、重要ではあれ一般的な生活からするとちょっと遠い国民投票という問題についても問題関心を持って考える学生が少なからずいます。
 とはいえ、専門学部ではありませんので、その議論は専門的なところまで立ち入った議論にならず、逆に大きな視点から、そしてもう少し言いますと、多くの言わば一般の市民の人たちが持っているような疑問が素朴に出されるという傾向があるように思います。その中で私がいろいろ考えたことを今日は申し述べさせていただきたいと思います。
 結論的に申し上げますと、甚だちょっと言いにくいことではありますが、これまで衆議院、参議院と多大な時間を割いて審議されてきたことは存じておりますが、おいおい、このまま通していいんですかと。仮にこういう法案で今後憲法改正が行われるということがあった場合に、それで実現した憲法改正というのが本当に正当性、手続の点で正当な手続に基づいたんだと胸を張って言えるのか、こんな辺り疑問に思います。この点をかいつまんで申し上げたいと思います。
 まず第一点、前提的に押さえておきたいことでありますが、国民投票というのは、国民主権を原則とする社会の下では言ってみれば取扱い注意というんでしょうか、慎重な取扱いを要する事柄ではないか。この点が十分に踏まえられているかどうかということをまず問題にしたいと思います。
 主権者国民が直接に意思表明する。国民主権の原則の下では、言ってみればこれ以上強い切り札はないわけですね。それで、これを一回切るということは、容易にそれと同じレベルで同じような切り札を使うということはできませんから、一回国民主権の言わば洗礼といいましょうか、を受けて決められたものがころころ変わるということは政治不信を招くということになるわけで、その主権者国民の意思を直接表明する国民投票をどう行うかということについては慎重な取扱いがまずは必要であろうということがあります。
 憲法の歴史ちょっと振り返りましても、近代憲法の歴史の中で、必ずしも主権者国民の意思表明という国民投票の制度が適切な、適正な、本当に民主主義の制度として適正な使われ方をしていたかどうかということからすると、疑わしい例が少なからずある、これはよく言われることであります。日本にはまだ経験がないことでありますが、国民投票の制度を早く取り入れた例えばフランスでは、ナポレオンが独裁的な政権を獲得する過程で、一世も三世もですね、国民投票、この手法を使って議会等々の有力な反対派を飛び越して政権を簒奪するということが行われております。また、ナチス・ドイツの政権簒奪についてもこの国民投票的な手法が使われているということはよく指摘されることであります。
 もう少し言葉を言い換えて言いますと、議会内などなどの有力な反対派の対抗を打ち砕くために、それを飛び越えて主権者国民に直接、とりわけ時々の政権が訴えるという形で支配の正統性を調達する、そういう手段として濫用されたという不幸な歴史も国民投票の経験の中にはあるということであります。そのことから、そうした政権担当者による支配の正統性を調達する言わば追認的な国民投票にならないための工夫というのがいろんな国でなされていると思います。
 大きく二つの点がポイントになります。
 一つは、追認的な国民投票にしないために発議側に対する一定の規制、つまり、時々の発議側の利害に基づいて、それに対する国民的な合意の支持を取り付けるというような操作がなされないように、国民投票はあくまでも国民が、これが重要な論点である、この点について意思表明するという論点設定ができるようにする、そのための規制です。発議が時々の政権担当者の恣意、それから正統性調達の手段にならないようにするための工夫であります。
 もう一点は、国民投票が単なるイエスかノーかの言わばゲームにならない、討論に基づく、熟慮された主権者国民の意思表明になるための工夫であります。正に、先ほどもどなたかおっしゃっていましたが、南部公述人でしょうか、技術的には、現在、一人一人の有権者がある意思表明のための端末を有して、持って、イエスかノーかボタンを一斉にスイッチオンということもできる状況になっております。しかし、まさか、何月何日何時から何時までの間に有権者はスイッチオンしてください、それだけで終わり、これが国民投票か。こういうことはだれも考えないわけです。やはり、主権者が、国民が意思表明するというときにはそれなりの熟慮があり、討論に基づく判断が必要だ、これは自明のことになっていると思います。この点であります。
 第一点から申し上げます。
 憲法九十六条の改憲手続の構造は二段階になっておりますが、発議は三分の二の特別多数で国会が行うわけです。ただ、この国会による三分の二の特別多数による発議が偏ったものになるということであるとすると、これまた第一点、追認的な国民投票にしないための第一要件で問題が出てくると思います。
 三分の二の特別多数の同意があるからといっても、その特別多数を支えている議席は選挙に基づいているわけで、相対得票率では多数であったとしても絶対得票率ではどうなのか、場合によっては二分の一を大きく下回るということもあるわけです。国民的な基盤でいえば、少数者による発議となる可能性は、三分の二の特別多数という制度を憲法で定めていたとしても、その基になる国会の選挙制度のありようによっては国民的基盤が少数者による発議になる可能性はあるわけです。
 例えば、二〇〇五年春のフランスにおけるEUいわゆる憲法条約の否決がありました。フランスは、御存じのように小選挙区二回投票制を取っております。その結果、第二回投票で左派と右派のそれぞれの支持層のうちの左派の言わば極左と言われる層の候補者は落ちます。右派の極右と言われる候補者も落ちてしまうわけです。議会構成としては、EU憲法条約にもう与野党を超えて賛成という議席配置が出ているわけです。ただ、そこで発議されたものが国民投票にかけられた場合、この小選挙区二回投票制のところで言わばはじき飛ばされていた極左と極右の票が、言わば反乱を起こすということも主要な要因の一つになって国民投票では否決されるということがありました。このようなリスクが制度的にあるんだということを十分踏まえる必要がある。この点踏まえているんだろうかと思います。
 まず第一には、改憲の原案提出権要件を百と五十、少数会派からの様々な論点提起の機会を大幅に規制しているわけです。最終的に三分の二の特別多数で決めるんであるから、改憲原案の提案も少し厳しく要件した方がいいと、こういう主張がありますけれども、むしろ逆さまではないでしょうか。最終的には三分の二の同意がなければ発案できないんですから、少なくとも審査段階では少数会派からの論点提起、その結果、多角的な論点についての検討、多様な論点の審議ということがあって、その上で三分の二の多数。これが十分練られた、そしてある特定党派の利害だけでの発議にならないためには、せめてそのくらいのことをする必要があるであろうかと思います。
 合同審査の問題については、ちょっと時間がありませんので省きます。
 飛びまして、公的な広報を国会が設ける広報協議会にゆだねるということです。
 公職選挙の場合の選挙公報と違いまして、それは言わば単純に候補者の政見をそのまま集めればいいわけですけれども、国民が判断する場合のイエスかノーかの判断材料を公正に提供するということでありますと、やはり発案者以外の第三者が行う、これが筋ではなかろうかと思います。つまり、国会以外の第三者が行うのが筋であろうと。しかも、今出ている案によると、その国会に設けた広報協議会も会派比例をベースとしていると。これは提案者が説明するということになって、ちょっとルール違反も甚だしいと思います。
 第三番目に、最低投票率の問題について言います。
 低い投票率あるいは得票率自体、改憲された結果の正当性を損なうということは言うまでもありませんが、ここであえて申し上げたいのは、そもそも国民投票にかけられる選択肢というのは国会が定めた選択肢であって、主権者国民の側は、例えば、昼飯何にする、洋食にするか和食にするか中華にするかという形で問われるんではなくて、牛どん食うか食わないかという形で問われるわけです。そのときに、私は中華にしたいとか、そういう選択肢はないわけですね。
 ですから、例えば、自衛軍保持は賛成、しかし派兵は反対という人に対して、自衛軍は保持する、また国際平和協力活動も積極的に行うという趣旨の改憲草案が出た場合に、さてどうするか。賛成もしたいし反対もしたいし、その選択肢がないとしたらば、これは棄権しかないかどうかはともかくとして、棄権するという選択肢もあり得るわけです。主権者国民が棄権するという選択肢は、国会が設定した改憲案の内容によってはどんな場合でも論理的にあり得る。
 したがって、改憲案に対する賛成票が正当性を持つためには、単に反対票を上回るだけではなくて、棄権票もそれが上回っているということ。したがって、最低投票率は三分の二以上という考え方も出てくると思います。それは事実上非常に難しいとしても、せめて二分の一以上というのは多くの国の実例等々から見ても妥当な線ではなかろうかと思います。そうでないとしたらば、先ほど別の公述人がおっしゃっていたように、端的に義務投票制にするしかないということになろうかと思います。
 時間がちょっと迫ってきましたが、討論の点につきましては、国民的な討論という点では、これは先ほど最初に言いましたように、これは単に一人一人の有権者がスイッチオンでイエスかノーか言う、つまり私的な利害に基づいてやるということではないと思います。憲法のように、これ全国民にかかわる共通問題です。これを一人一人の有権者、市民が全国民にとってこれがどうなのかということに自分の判断を持てるところまで熟したところで判断するということであると思います。
 例えば、国際平和協力活動を可能とするというような改憲提案が葬られたりした場合、将来の世代から、おじいちゃん、どうしてあのときはおじいちゃんは反対投票したのと、これが問われるでしょう。あるいは、分権にかかわる地方自治制度についての何らかの改憲提案に対して、そんな東京のあるいは都会の人たちはいいかもしれないけど、おれたちのことはどうするんだと、地方の人たちの声に都会でそういう提案に賛成した人たちはこたえなくちゃいけない。単に自分たちにとって良かったからだということじゃないと思います。
 そうした国民、全国民に共通の問題について、自分はこうこうこういう理由でこたえるんだ、その理由付けを持てるところまでいく、それが必要で、そのためには、単なるイエスかノーかスイッチオンではない、やはり自由で濶達な意見交換の機会が保障されるということが必要であると思います。
 そこで、少しメモったことについては切ります。一番最後に申し上げます。
 で、こういう点でいって、現在の法案はそれぞれかなりいろいろな点をもまれてはいると思いますが、まだまだ不十分な点があり、こういうルールで本当に改憲に着手していいのかという点でいうと疑わしいと言わざるを得ない。
 最後に、九十六条に基づく法案についてです。
 四十一条に基づいて国会は絶えず立法活動を行っています。ただ、九十六条に基づく法案というのは、言わば憲法上の機関である国会が憲法そのものの改正手続をいじるということですから、極端な場合はその時々の国会の政治的多数派の利害によって言わば不公正なルールを作るということも論理的には可能であるわけです。しかし、わざわざ九十六条にこのような条文を設けてそれにかかわる法律を国会で作るということは、そうした四十一条の場合でもそうですけれども、それ以上の、本当に国民的な合意があるかという点でのより高度の慎重な判断が必要であると思います。与野党間で主要な大きな対立がある、ましてや全会一致からほど遠いというときに急いで決定していいのかどうか、これは慎重であっていただきたいと思います。
 長くなって申し訳ありませんでした。終わります。
○団長(関谷勝嗣君) ありがとうございました。
 以上で公述人の方々の御意見の陳述は終わりました。
 それでは、これより公述人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
 なお、質疑及び御答弁は着席のままで結構でございます。
○岡田直樹君 自由民主党の岡田直樹と申します。
 本日は、四人の公述人の皆様、大変お忙しいところ、こうして貴重な御意見を拝聴いたしまして、本当にありがとうございます。感謝を申し上げたいと思います。
 最初に、田村公述人と榎本公述人にお伺いをしたいと思います。
 まだ三十代のお二人から、大変若々しい、そして情熱的な思いをお伺いすることができました。私はもう少し年を食っておりまして四十四歳なんでありますけれども、しかし寂しいなと思うことは、自分が生まれたとき、既に日本国憲法はでき上がっていて、我々はその制定、成立に、当たり前の話ですけれども一切かかわっていない、かかわることができなかった。その意味では、六十代以上の、七十代以上の先輩の方々は、それがGHQの押し付けであったかどうかはともかくとして、賛成、反対という意思表示をできたはずです。意見の表明もできたと思うんです。しかし、我々は一切そういう機会に恵まれてこなかった。やはり、憲法というものはこの我々自身の国の基本法でありますから、後々の世代もやはり憲法を作りあるいは加え、より良い憲法というものを選び取っていく、そういう権利があると思うわけであります。
 ですから、日本国憲法の国民主権、基本的人権の尊重、また平和主義というこの原則を堅持しながら、世界に貢献をする、日本人として誇りを持てる憲法を作り上げていきたいなというのが私の常々思うところであります。
 ちょっと先走りましたけれども、国民投票のこの投票権についても、自民党では初め二十歳以上が妥当ではないかという意見もあったんです。私も最初は判断力という点からいってそうかなと思ったんですが、だんだんと十八歳以上でもいいかと思うようになり、今は、是非十八歳以上に引き下げて、やはり若い方々の御意見も伺うべきだと。その中には未熟な意見というものもあるかもしれないけれども、それも加味して反映をさせていくことがこの国民投票法には大事ではないかと、こう考えを変えるようになったわけであります。
 しかし、そのためには、若い方々に、憲法を始め政治のこと、あるいは世界のこと、日本のこと、いろいろと勉強をしていただく必要があると思うんで、高等学校までにしっかりとした教育が必要だと思います。
 そして、お二方にここをお伺いしたいんですけれども、学校以外でも地域、社会あるいは御家庭で、先輩としてあるいは親として、これからの若い人たち、そして子供たちにこの思いをどう伝え、この国民投票の意義というものを伝えていくか、お二方、これからどういうふうに若い人たちにこのことを伝えていくか、そのお気持ちというものをお二人から順次お伺いをしたいと思います。
○団長(関谷勝嗣君) 田村公述人、まずどうぞ。
○公述人(田村琢実君) ありがとうございます。
 私、弱冠三十五歳の若輩者ではございますが、このような若い世代の意見を取り入れていただけるということに感謝を申し上げたいと思います。
 私、子供がいないもので、まだ自分の、子供にどのような教育をしていくかということを全く考えたことがありませんが、若い世代にこの国民投票の意義というものを伝えていくためには、まず今、日本が置かれている状況、特に私は歴史教育、国語教育の重要性を説いていきたいというふうに考えております。
 御案内のとおり、日本の教育には皆さん社会科という授業はありますが、歴史という授業がありません。これは、世界のどこの国を見ても歴史という科目があるんですね。社会科という科目の中に歴史という科目があるのは日本だけなんです。これはGHQの占領政策によってこのような制度設計がされたところでありますが、この歴史を踏まえた中で日本人としてどうあるべきか、それを考えていく上で重要なことだというふうに考えております。
 そして、乱れている日本語がこの社会風潮の中で叫ばれている中で、きちんとした日本語をしゃべれ、日本語を読め、そして日本人として誇りある社会人として育っていっていただくために日本語の教育、そして歴史の教育が重要だというふうに思います。そこの中で、関連付けて国民投票法案、この憲法の問題がかかわってくるものだというふうに考えます。
 ありがとうございます。
○公述人(榎本賢治君) ありがとうございます。
 私は男の子三人の父親でもあります。歴史というお話が今ございましたが、やはり歴史認識をしっかりと持った中で、私たち自身の責任といったものをいろんな形でお伝えするのがしかりであろうなというふうに思っております。それは、自分の子供だけではなくて、親として、地域としても何ができるのかを私たち自身が考えて、いろんな立場のところでお話をしていくことが大事であろうなというふうに感じさせていただいております。その上で、今、何をいっても地域社会、またいろんな人に対しても無関心になっている今の現状を、投票法案に限らずいろんな意味で、私たち大人の責任といったものを一人一人に様々な機会を通じて訴えていくことが大事であろうなというふうに感じております。
 以上です。
○岡田直樹君 どうもありがとうございます。
 次に、南部公述人、三輪公述人にお尋ねをしたいと思います。
 南部公述人の両院合同起草委員会というこのアイデアは、私は非常に魅力的に感じました。憲法改正に関する発議については両院が全く対等という立場にあるわけですけれども、しかし、現実に先議、後議ということになりますと、どうしても後議の方は受け身といいますか、先議の間、手持ちぶさたにしていて、それで決まったものを追認的に審議をするということにもなりかねないと思うので、むしろ最初から両院議論に加わって積極的に意見を述べる機会があれば、これは参議院として非常に望ましい形ではないかなと、こういうふうに思う反面、しかし、三輪公述人がちょっと時間の関係で省略をされた部分でありますけれども、二院制のメリットを踏みにじるというこの懸念もまた一面ではあると思うんです。
 衆議院議員は参議院議員の倍おりますし、別に声の大きい人が多いというわけではありませんけれども、最初の合同起草委員会の構成等についてもいろいろと配慮をする必要があるのではないかなと。全くの対等ということが望ましいのではないかと思うんですけれども、なかなか現実的には難しいこともありそうであります。この辺りについて、南部公述人、そして三輪公述人から御意見をいただければ有り難いと思います。
○団長(関谷勝嗣君) では、南部公述人、お願いします。
○公述人(南部義典君) ありがとうございます。
 この参考資料の1の図は本当にいろんな読み方、とらえ方ができると思います。わざとそういうふうに作っているところもございますけれども。両院合同起草委員会というものをつくった場合に、本当に原案まで作ってしまうと、それを両方の審査会に投げるというのが一番究極のパターンかなと思います。もし合同審査会で憲法改正原案の大綱、骨子というものをたとえ両方に投げたとしても、原案を投げているわけではありませんので、両方の審査会で全然またその段階で別の原案ができちゃったらどうしようかという問題もあるわけで、そうしたら合同審査会をまた開かなくちゃいけないという、また話がぐるっと戻ってしまうような状況にもなるのかなという気がしております。
 先議、後議というモデル、これは一番大原則であるかとは思いますけれども、いろんなパターンを先生方の方でシミュレーションしていただいて、それをすべて国会法の中で反映させていただくのが必要かなという気がしております。
 本当に先生方の数だけいろんな原案の審査のイメージができてしまって、恐らくこういう図をかいてくださいと先生方にお願いすると、先生方によってはまた全然違う図ができてくるような気がしておりますし、調査、起草、第一発議、審査という、こういうプロセスをたどると思いますので、その合同審査会というのはやっぱり原案ができている状態で憲法改正原案について任意かつ非常設につくる機関だという解釈だと思いますので、その調査の部分をどうするかとか、先般、赤松先生もいろんな御発言もされておりますけれども、そういったことも含めていろんなイメージを出していただいて、国会法のスキームとして明確化していただくことが一番理想かなという気がしております。
 以上でございます。
○公述人(三輪隆君) ありがとうございます。
 私がかねがね思いますのは、参議院は衆議院のコピーではないということです。選挙基盤も違います。独自の判断ができる議院であるわけです。このことをメリットと取るか、いや、余計な手間を掛けているからデメリットだと取るか、大きなところで意見が分かれているということは存じておりますが、どうやら今回の制度設計はデメリットと感じている制度設計になっているんじゃなかろうか。
 私が先ほど申し上げましたように、国会が最終的に発議するということ、そのときに三分の二の特別多数なんですが、やはりそこでは様々な少数意見、異なる異論でしょうかね、がその中に取り込まれている、あるいはそれを踏まえて多角的、多様な論点についての十分な議論が出た上での三分の二ということが必要ではないかと思います。その点でいうと、単純なシステムよりも、複雑であれば複雑であるほどいいということではありませんが、それなりの慎重なシステムを持っているという必要はある。これが前提的な判断としてあります。
 そうしたときに、既にある二院制、両院制を、そういう役割をわざわざ切り縮めるような制度設計するのはいかがかと思うわけです。同日選挙という場合もないわけじゃないでしょうが、それにしても選挙、仕組みが違いますから、やはり両院の意思は同じ会派に属する議員さんたちの間でも違ってくることはあると思います。それは、ひいては改憲提案の中身の豊かな内容になってきて、見返りは十分ある。その点でいうと、この合同審査会ですか、そこがいろいろな審議過程のイニシアチブを取るというのは余りにもちょっと、ともかく手っ取り早くやろうということが見え見えで、せっかくある現在の制度を良さを殺してしまうという点で、いかがかなと思う次第です。
○岡田直樹君 どうもありがとうございました。終わります。
○広田一君 民主党・新緑風会の広田一でございます。
 本日は、四名の公述人の皆さん、本当にお忙しい中、誠にありがとうございます。また、急なお願いにもかかわらず、四名の皆様方からは本当にすばらしいお話をいただきまして、重ねて御礼を申し上げたいと思います。
 さらには、そちらの方には多くの傍聴人の皆様方にも来ていただいております。そういった意味で、この法律案につきまして、是非ともこの会場の皆さんと一緒に様々な論点等についても共有をさせていただきたい、このように思っているところでございます。
 それでは、まず、田村、榎本両公述人にお伺いをしたいと思います。
 同じ三十代ということで、同世代ということでお伺いしたいと思うんですけれども、私たちは、これから二十一世紀の社会を生きていかなければならないわけです。そういった中で、今、国民投票法案というものが議論をされております。その中で、今のこの与党案と私たち参院民主党案との違いの主なものの一つとして投票対象といったものがございます。つまり、私から言わせれば、与党案というものは基本的に改憲承認をするか否か、これを問うための国民投票であり、参院民主党案というものはより多くのデモクラシーのための国民投票、こういった違いがあるんじゃないかなというふうに思っています。
 先ほど言いましたように、私たち、この二十一世紀を生きていく中で、非常に価値観が多様化した情報社会の中では、私は、議会制民主主義と直接民主主義とを必要に応じて柔軟に使い分けていくということが民主主義を強化する上でも、発展させるためにも大変重要じゃないかな、必要じゃないかなというふうに思っております。
 そこで、こういった国政上重要な事項につきまして、憲法改正が必要か否かとかは議論は別にいたしまして、ヨーロッパの国々等で導入されております諮問的な国民投票制度は我が国に必要とお考えなのか、それとも現行憲法と同様に直接民主制といったものは極めて限定すべきというふうにお考えなのか、この点につきましての両公述人の御所見をお伺いしたいと思います。
○公述人(田村琢実君) ありがとうございます。
 ただいまの御質問ですが、憲法の予備的国民投票のイメージだというふうに思います。私は、この件に関しましては反対の立場を取らさせていただきたいと思います。
 理由は、憲法が規定している間接民主制以外の、直接民主制の規定というのは三つあります。憲法七十九条の最高裁判事の国民審査、九十五条の地方特別法の住民投票、九十六条のこの憲法改正の国民投票でございます。この権限以外にまた、憲法の関連事項とはいっても、それは国会の責任において、国会議員の責任においてやっていくべきものだというふうに考えます。これが間接民主制の一番の特徴でありますし、それを国民に投げ掛ける無責任なことをしていただきたくはないというふうに思います。
 以上であります。
○団長(関谷勝嗣君) 榎本公述人、お願いします。
○公述人(榎本賢治君) ありがとうございます。
 私自身も、自民党の方々が挙げられている憲法改正に限定すべきといったところの部分で、いたずらにそれを増やしていくことは、議会制民主主義といったところで何のために議員の先生たちを選んでいるのかが分からなくなってくる部分と、どこまでの範囲を規定して議論に上げていくのかということを広げれば広げるほど、すべて本来であれば必要な事項だというふうに思っておりますし、それを託して議員の先生を選ばせていただいているということも考えております。
 以上です。よろしくお願いいたします。
○広田一君 どうもありがとうございました。
 この点につきましては、同世代なんですけれども、ちょっとお二人とは考え方が異なるわけでございますけれども。
 田村公述人の方から憲法改正の国民投票というふうなお話がございましたけれども、私たちは、生命倫理であるとか統治機構であるとかそういった事柄についても、国会の間接民主主義を規制して縛るということでなくて、ある意味では世論調査的に、諮問的にお話を聞いていこう、それがこれから多様化した時代においては必要な一つのツールになるんじゃないかなというふうな考え方でございますので、これから機会があれば、是非そういった面についても御議論をさせていただきたいなというふうに思っております。
 続きまして、最低投票率につきましてお伺いをしたいと思います。
 これについては、特に、この最低投票率を設けるといったことが憲法違反なのかどうか、憲法上疑義があるのかどうか、この点に関連してお伺いをしたいと思います。実際、参院民主党案にもこの最低投票率といったものは盛り込まれておりません。ですから、今後の最低投票率を考える際の参考としてお伺いをしたいというふうに思っております。
 与党の皆さんが最低投票率を決めない理由の一つとしましては、憲法九十六条には最低投票率の定めがないこと、つまり、九十六条は憲法改正に極めて高いハードルを設定しておりまして、その上に最低投票率を設定するということは更なる加重要件を課すことになると、このような、憲法の明示の授権がなければできないんだというふうなことでございます。
 それに対して私は、同じく憲法七十九条のように、先ほど田村公述人の方から御紹介がございましたように、最高裁判所裁判官の国民審査、これは、憲法改正のための国民投票同様、非常に限定された直接民主制度の一つであります。しかし、この国民審査は憲法には規定されておりませんけれども、選挙人名簿登録者総数の百分の一という最低投票率が設定をされております。
 よって、こういった国民投票制度においても、最低投票率を設けるかどうかはやはり国会の判断、立法政策上にゆだねられているんじゃないかなというふうに思うんですけれども、この点について、憲法に規定がないからというふうなお話があった榎本公述人と、ちょっと私たちとは若干立場を異にしてしまうかもしれませんけれども、南部公述人の方からお話をいただければと思います。
○公述人(南部義典君) ありがとうございます。
 まず、最低投票率で憲法上疑義があるという理由付けですけれども、ここの資料にも挙げておりますけれども、いろんな理由付けがありまして、私としても、別に憲法を改正して憲法を定めることには何ら異論はないというふうにも考えておりまして、それは先般の衆議院の中央公聴会のときにも申し上げました。憲法改正をして、例えば投票総数が投票権を有する者の百分の四十に満たない場合、当該国民投票は効力を有しないというようなルールを九十六条のどこかに設けるということがあればよろしいかなと思います。
 それと、最近ちょっと考えておりますのはルール設定の意義なんですけれども、むしろ、憲法とか法律とかで定めるルールというよりは、私たち主権者が自主的に定めるルールというようなイメージに近いんじゃないかなということも最近考えております。
 先生方がこうやって法案審査を一生懸命頑張っていらっしゃって立派な法制度をつくっていただいても、それを生かすかどうかは、やっぱり私たち国民というか権利行使に懸かっておりますので、それは同じ問題で、投票用紙でなるべく無効票をゼロに近づけるということも同じ私たちの、市民、主権者の努力にも懸かっているということもあると思いますが、そういう意味での自主的なルールでも、そういう面でも言えなくないかなということを感じております。
 それから、七十九条の最高裁判事国民審査法についてでございますけれども、これは、憲法上明確に法律の授権があるということと、あと、先生、今、百分の一ということをおっしゃいましたけれども、これは、最低投票率の意義というよりは、むしろ法定得票率という意味で解するのが妥当ではないかと考えております。
 以上でございます。
○公述人(榎本賢治君) ありがとうございます。
 最低投票率の設定がないということで、設定がないところでまた新たに設定をしていくということを、まあ法律の大小があるにせよ、例えばこの埼玉県なんかだと投票率が四〇%満たないというところで、ここに最低投票率の設定云々という話になってくるとまたおかしな話にもなってきちゃうところだというふうに思います。そういった設定のないところ、また法律を守っていくといったところで、今この場でこの議論を出していくこともいかなるものなのかなというふうに感じております。
○広田一君 どうもありがとうございました。
 確かに憲法上書き込むことも大事かもしれませんけれども、私自身、まさしく最低投票率を憲法に書いた場合に、例えば投票率一〇%で、最低投票率これから四〇%必要だというふうなものが通った場合に、これ正当性についてどうなのかなというふうにやっぱり率直には思ってしまいますので、やはりこれは私たち国会の立法政策でも判断していかなければならないと。
 むしろ、憲法上疑義があるというよりかは、元々この憲法改正については両院の三分の二というそもそも高いハードルが掲げられています。これを取った憲法改正案については、私たちの国会の威信に懸けて国民の皆さんに承認をもらわなければいけないと。その意味で、それ以上のハードルを、加重要件を課すのは好ましくないというふうな政策判断で設けないんだったら私は分かるんですけれども、憲法上疑義があるというのはちょっと私自身はこれから大いに議論していかなければいけないんじゃないかなというふうに思っております。
 それでは、最後に、国民投票広報協議会につきまして、南部公述人と三輪公述人の方にお伺いをしたいというふうに思っております。
 そもそも、この国民投票制度を議論する際に、私たちは常に公正かつ中立なルール作りをしなければいけないというふうなことを訴えてまいりました。そこで、中立公正という観点で御意見をいただきたいのが、先ほど言いました広報協議会の在り方でございます。
 いみじくも第十四条二項では、憲法改正の公報等につきましては客観的とか中立的とか公正とか平等とかというふうな言葉がちりばめられているわけなんですけれども、しかしその協議会の構成員というものは全員国会議員であって、かつそのほとんどすべてが憲法改正論者になるわけでございます。このような広報協議会に入ろうとする人でございますから、多分筋金入りの改憲論者じゃないかなということが容易に想像できるわけなんですけれども、確かに、先ほど言いましたように、国会で三分の二の議決で通った以上、その国会の意思の重みといったものを考えたら、改正案についても何としても国民の皆さんに承認してもらわなければいけないと、その延長として何かあたかも国民投票公報を位置付けているんじゃないかなというふうに思ってしまうほど、十四条二項で標榜する客観、中立、公正、平等というふうな理念と構成メンバーの政治的スタンスとには著しい乖離を直観的に感じる国民は多いはずだというふうに思います。そういったところは私たちもじくじたる思いがあるわけでございますけれども。
 そこで、非常に限定した質問になるんですが、法律案の今の国会議員のメンバー構成ですね、客観、中立、公正、平等な公報を担保するために、議員の良識とか良心、そういったもの以外に何が必要というふうにお考えなのか、両公述人にお聞きしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○公述人(南部義典君) 非常に難しい御質問かなと思いますけど。
 広報協議会というのは発議後に設置されるアドホックな機関でございますので、確かに総議員の三分の二以上のコンセンサスがもう既にできている状況でございますから、多少一部の改憲の志向が著しく強い先生もいらっしゃるでしょうし、どちらかといえば賛成したというような先生方もいろいろいらっしゃるのかなということなのかなと思います。
 ただ、国民投票公報の内容につきましては、これは元々賛否対等というふうに与党案、民主党案、原案なっておりますし、会派の構成といたしましても必ず反対が出るとも限らないと、全会一致で発議がされる場合もございますので、反対会派は必ず三分の一以上入れなければいけないとか、そういう書き方はむしろできないのかなという気もしております。ページの割り振りも完全に対等ということで、そういうスタンスで法律のスキームなっておりますので、そこの賛成意見の中にできるだけ分かりやすい説明をしていただくということかなと思うんですが、形式的意味の憲法、憲法典の九条ですね、九条とか、いろんな法改正をする場合に、その賛成意見が各政党ごとにばらばらというのは一番困るんですね。
 先ほど三輪先生もおっしゃったように、いろんな観点で国民は判断をしますので、例えば自衛隊についてはこういう条文、憲法改正案は賛成という方がいるかもしれませんけど、賛成意見で書いてあることが、もう全然もう積極派、消極派、現状肯定派、またさらに、未来的にいろんなことを考えておられる政党があったりとか、そういう公報であっても逆に困るのかなという気がしておりますので、そこは先生方の方でお知恵をいただくところかなという気がしております。
 以上です。
○公述人(三輪隆君) 私は、そもそも広報協議会を発議した国会に設けていいのかという問題を出しました。いかがなんでしょうか。三分の二の特別多数で発議したから国会の意思は決まっている、そのことにポイントがあるんではなくて、九十六条の手続では第二段階として国民が発議を受けて意思決定をするということです。そして、公的な広報はその国民の判断に資する情報を提供するということでありますから、そこでは国民はフィフティー・フィフティー、イエスかノーか両方の可能性を持って判断するわけですから、提案者がこの情報提供をするというのはちょっとルール違反ではないか。そもそもそのことをちょっとお考えいただかないと、これはちょっとみっともないことになると思っております。
 その上で、百歩も五十歩も、片目も両目もつぶってということで、あえて国会にということでいえば、この党派構成をベースにというのはこれはちょっと余りにもと考えるということであります。ただ、後の点は本当に付け足しでして、本当に国会にこれを置いていいのかということです。これは普通の公職選挙についての言わば公報とは違うんですね。その性質を踏まえていただきたいと思います。
○荒木清寛君 今日は、公述人の皆様には大変ありがとうございます。
 まず、田村公述人にお尋ねをいたします。
 先ほどの質疑の中で、一般的国民投票についてはこれは憲法の間接民主制との関係で反対であるというんですね、そういう御趣旨でした。そういう問題も考えまして、与党の併合修正案の附則では予備的国民投票制度の検討ということにしてあるわけですね。具体的には、憲法改正を要する問題及び憲法改正の対象となり得る問題についての国民投票制度に関し、その意義及び必要性の有無について、日本国憲法の採用する間接民主制との整合性の確保その他の観点から検討を加え、必要な措置を講ずることとする、こういうふうに考え抜いて附則を設けたわけなんです。
 要するに、重要問題についての諮問的な国民投票の意義というのは我々十分踏まえた上で、憲法の間接民主制と矛盾しないように検討して措置をしようという条項になっておりますので、これであれば先ほど公述人が言われたような懸念といいますか、心配というのはないんでありましょうか。
○公述人(田村琢実君) ありがとうございます。
 そもそも私の意見は、予備的国民投票すらも反対の意見でして、国会が責任を持って憲法九十六条にのっとり国会の発議をしていただきたいというふうな立場を取らさせていただきたいと思います。
 なぜなら、国会の発議によってこの予備的国民投票というものを行った場合、例えば憲法九条に対する改正案、反対か賛成かということにおきまして、例えば賛成の意見を国民投票で得て、具体的制度設計、条文化をしていった後に国民投票というふうになりますと、二重の手間と、またそこで改正すべきだという意見をもういただいちゃっているので、二重の手間が掛かってくるように感じます。これは制度設計をきちっと国会内で、国会の責任において、国会の権限によって行っていただき、九十六条の国会の発議を行っていただきたいというふうに考えます。
○荒木清寛君 次に、榎本公述人にお尋ねをいたします。
 この国会で国民投票法案は成立すると思いますが、成立しましても、公布されてから三年間の凍結期間というのが設けられているわけです。要するに、この三年間というのは憲法審査会で憲法改正原案の審査も発議もできないということになっているわけですね。したがって、この三年間の憲法審査会での調査、また国民的議論というのは非常に大事だと思うんです。そのことについては、どういう調査また国民的議論を今後三年間していくべきかと、このことについてお尋ねしたいと思います。
 といいますのは、公述人の先ほどのお話は、私なりにまとめますと、現行の日本国憲法はGHQの押し付け的な要素があるから、日本の伝統に根付いた新しいものを作るべきだ、こういう考えだと思います。そういう方もたくさんいらっしゃいます。一方で、現行憲法はもう一言一句いじってはいけないという、そういう根強い考えの方もこれもまたたくさんいらっしゃるわけですね。これは非常にもう対極を成していまして、幾ら議論をしてもなかなか交わらないといいますか、結論が出ないという感じがするんですね。
 そうなりますと、いかに政策的なそういう議論といいますか意見交換、討論をするかということが今後大事になると思うんですけれども、そのことについて御意見があればお聞きしたいと思います。
○公述人(榎本賢治君) ありがとうございます。
 三年間の期間の中でやはり一番私たち市民がしなくてはいけないのは、まずそのこと自体に興味を持ってない人たちが大勢い過ぎるということが一番心配をしております。何で憲法を改正しなくちゃいけないんだということ自体を知らない、また議論もしないといったところの今の無関心さ、いわゆる国民主権国家といいながら、私たち市民自身が何も無関心でいること自体に一番問題があるのかなというふうに感じております。
 その上で、その三年間の中で、いろんな形で私たち市民もいろんな話合いを設けて、その調査の中に対してジャッジをする、知識ではなくて見識を持つことがまずは大事であろうなというふうに感じております。
○荒木清寛君 次に、南部公述人にお尋ねいたします。
 今日は詳細な分析のレポートもちょうだいいたしまして、大変ありがとうございます。その中に、一般的国民投票に関する議論の継続という項目がありまして、今の与党の併合修正案と参議院民主党の対案の一番大きな対立点がこの一般的国民投票についての考え方だと言われております。
 ただ、私は、一見大きな対立点のように見えますけれども、両法案を見てみると、それほど、考えていることといいますか、今後どういうことを検討し措置をするかということでいえば、条文の書きぶりは違いますけれども、それほど大きな違いではないと思っておるんですね。与党の併合修正案は、先ほど申し上げましたように、やはり九十六条の外延部分というようなことで検討対象にしておりますし、参議院民主党の対案も間接民主制との関係をきちんと整理をするということになっているわけですから、実はそれほど別のことを言っているのではないというふうに思うんです。
 したがって、両対極からのトンネル工事が少しずつ進捗しているということなんですけど、まだその隔たりは大きいのか、それとも大分縮まっているということなのか、その点についての公述人の分析といいますか考えをお聞かせいただきたいと思います。
○公述人(南部義典君) トンネル工事は大分終わったんじゃないかなという気がしておりまして、大分最終段階になって、やっぱり双方の案が歩み寄ったという印象を持っております。
 五月三日の朝刊各紙にいろんなシミュレーションがあって、二千何年に憲法改正が発議されて云々というような記事を幾つか拝見しましたけれども、大体間違っていると思ったんですが、その前にまず予備的国民投票をやると思うんですよね。船田提出者の方もやっぱりそういうような趣旨の御答弁をされているようですし、まずそれを踏まえてやるということですから、まず先に来るのは一般的国民投票であって、どういう改正を望んでいらっしゃいますかという有権的なアンケートをやるということだと思います。
 それで、先般私が中央公聴会で申し上げたのは、憲法改正はしないという項目も加えることによって、国民の過半数がやっぱりそれを望んでいるのか、改正を望んでいるのか望んでいないのか、もし憲法改正をしないというアンケート結果がそれが過半数を超えるようでしたら、やっぱりそれは一つの事実上の拘束力が出るのかなという気もしておりまして、九十六条改正の本番の憲法改正発議では、憲法改正をしないというようなそういう消極的意味の問い掛けはできないですから、予備的国民投票というのも柔軟な制度設計ということで、それは一つの一般的国民投票の類型として先生方の方で御議論していただく必要があるかなと思っております。
○荒木清寛君 最後に、三輪公述人にお尋ねいたします。
 公述人が冒頭指摘をされました政権正当化のために憲法改正が濫用されたということは、これは決して遠い過去の話ということじゃなくて、歴史上の教訓として我々は常に警戒をしていなければいけないと思います。その上で、ただ、日本国憲法施行六十年間、全く改正がなされていないわけなんですね。当然、この間の時代の状況の変化というのは大きなものがあるわけですけれども、そうしたことに対応していないわけです。憲法が施行されて六十年もたつのに一度も改正をされていないということは、比較法からすればむしろ余り例が多くないことじゃないかと思うんです。
 そういう意味では、時代のそうした変化に対応できるように、主権者が改正をしようと思えば改正ができるというそういう手続法というのは、まあこれまでなかったことの方がむしろ不備なんではないでしょうか。そういう意味で、早く制定をする必要があると考えますけれども、いかがでしょうか。
○公述人(三輪隆君) よく、時代が変わったから、例えばインターネットがない時代に作られた法だから、あるいは飛行機がない時代に作られた法だからというような議論がありますけれども、これはそもそも憲法だけじゃなくて、およそ法律というものは規範であるという性質、つまり、現実は様々な可能性がある、その現実に対して規範を設けて、現実社会に起こり得る様々な事柄に対してある方向性を与えるという法規範の一般的な性質について、ちょっと不思議な見方があるんではなかろうか。つまり、現実を法によって言わば裏付けるものが法だ、現実を言わば追認するのが法だというような法律あるいは法規範に対する観念がぼんやりとあるんじゃないかな。そうであるとすると、ちょっと違うだろうと思います。
 例えば、百年たって、じゃ、平等というのは時代が変わったから見直すのか。百年たとうと二百年たとうと、その原則が大事な原則であるんだったらば、その規範は時間を超えて捨てられないものとしてあるんではなかろうか。法規範というものが時間とともに変わるという見方は注意する必要があると私は思っております。
 二番目、日本国憲法の六十年で何もなかったと。いろんな理由があると思います。私の個人的な立場からしても、できたらば、これはもうそろそろ考えた方がいいんじゃないかなと、率直に言ってないわけではありません。ただ、これは現在のシステム、手続、御存じのような手続の中でそこまで合意がつくられていなかったということであって、そのこと自体それなりの理由があることだと思います。もちろん、現実の六十年間の歴史の中では明文改憲すべきだという様々な運動がありましたし、そういう機運が盛り上がったり下がったりいろんな時期がありましたけれども、とうとうそこまでいくということはなかったということであって、そのこと自体けしからぬとかいうように判断することではなくて、やっぱりそこまで国民的な機運がいかなかった。
 今度の参議院選挙では、首相は憲法問題を争点にするとおっしゃっているようですが、正面から国政選挙で争点になったということはそんなに多々あるわけじゃないわけですね。そして、ましていわんや、その結果、改憲という争点でそれを必要とする会派がその点で多数取ったということが明示的にあるのか極めて疑わしい。両院の憲法調査会の報告を見ましても、必要性という点でそれが確認されたかという点も、これは疑わしいと私は思っております。
 他国の例ということです。これはもうそれぞれの国の憲法自体のありようとその国の社会のありようがありますので、一概に他国がこうだったからということを言うのは慎まなくてはいけないんじゃないかと思います。そのことでいえば、言わばもう二百年前の憲法の条文を大事にしているという国もありますし、それから、新しい憲法を作る場合に、あえて二百年前に確認された例えばフランスの憲法典では、大革命期のときの人及び市民の権利宣言というものに、長い間それの憲法的な価値というのは認められていなかったのをあえて掘り起こすというか、そこに光を当てるということがあったりするということで、時間がたてば何とかという尺度で判断するというのは甚だ不適切だと私は思っています。
○荒木清寛君 終わります。
○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道と申します。今日はお忙しい中お出掛けいただきまして、ありがとうございました。
 何を聞こうかというふうに思っておったんですが、四名の皆さんの冒頭の話を聞いて、そしてまた南部公述人の問題提起の一番最後に、憲法の多義性という概念がありましたので、これは是非冒頭に聞きたいなというふうに思って、この質問をさせていただきたいと思っています。
 世代の違う多様な四名の皆さんでございますが、今国民投票は、憲法を変える手続の議論をしているわけであります。そこで、大前提として憲法とは何ですかと。私どもは、昔習った憲法というのは、国家権力の暴走に歯止めを掛けて国民を守る、政治の土俵をつくるものだ、そういうふうにずっと思っているんですけれども、このところやっぱり憲法とは何ですかということについて、かなり多様な意見も出てきているような感じがします。今日皆さんの話を聞いてそんな感じがしますので、冒頭、憲法って何ですかということを皆さんから簡潔にお答えいただきたいと思います。
 私と年代が近い三輪さんからずっとやっていただくと有り難いと思います。簡潔にお願いします。
○公述人(三輪隆君) お答えします。
 憲法、形式的に言うと法の上の法、一番最高あるいは一番基礎にある法律だと、こういうことが言われます。そして、片一方、法はそれが意味があるためには、最終的にそれの遵守あるいは逸脱が、権力、もう少し言うと力、あるいは場合によっては暴力によって担保されていなくちゃいけないということが言われるのが一般的だと思います。
 その、じゃ力、権力、つまりこれは具体的には国家が握るわけですが、その力自体をどうするかという基本的なところにかかわる法律という質的な特徴を持っているという点で、憲法が単に形式的に他の法律の上にあるというだけではない問題がある質的な特徴があり、権力を縛る。そもそも、法律を実効化する権力自体のありようを規制する法律だという点を忘れることはできないと思います。そこから、その規制の原則として民主主義あるいは自由保障、そして暴力を持っている機関でありますから、それの安全あるいは平和にかかわる原則というのが出てくると、私はそう考えております。
○公述人(南部義典君) 憲法とは何か、実質的意味においては、統治に関するルールを定め、公権力を拘束して個人の自由と尊厳を確保するという意味、それが形式的意味では日本国憲法というタイトルで存在する憲法典ということだと思います。
 なぜ私はこういう問題提起をしたかといいますと、自民党新憲法草案という意味の憲法と民主党憲法提言の言うところの憲法、意味が違うということですので、それは先生方の議論の土俵が違うという状況で、三分の二のコンセンサスが非常に困難ではないかということを問題提起として申し上げたかったということでございます。
 以上です。
○公述人(榎本賢治君) ありがとうございます。
 私たち一人一人の国民が持つべき倫理規範だというふうに感じております。それがいたずらな解釈がまたなされる前に、大前提として何を持っていなくちゃいけないのかということをまず認識しておいた方がいいのかなというふうに思っております。
 以上です。
○公述人(田村琢実君) ありがとうございます。
 国家の最高法規であるという一般的な御意見と、その中にあります、私は近代憲法に課せられている課題というのが人権規定と統治機構であると、これのみだというふうに考えております。
 その中で、日本国たる憲法の規定というのが天皇制、天皇に関する規定であるというふうに思っております。いわゆるヨーロッパやアメリカなどにあります国民一人一人の総意に基づいた国家ではなく、日本というのは天皇制の、天皇の国家である、天皇の下にある我々国民であるというふうな規定の必要性があるというふうに考えており、日本においては特殊な憲法の体制というものを、いわゆるジョン・ロックの言う社会契約論に基づかない憲法体制というものが必要というふうに考えております。
○近藤正道君 次の質問に移ります。
 先ほど南部公述人が冒頭、両院合同起草委員会、大変刺激的な、刺激に満ちた問題提起をされました。それに対して三輪公述人が、それは言わば二院制のメリットを踏みにじる、そういう可能性があるんではないか、こういう指摘がありました。これは、この間参議院の二院制の議論のところで、上智大学の高見先生と、それと慶応大学の小林先生との間で対照的な議論があったところでございます。
 私は、基本的に三輪公述人の問題意識に共感を持つ者でございますが、そこで、言わば三輪公述人にお尋ねをしたいというふうに思うんです。
 国会法では合同審査会というものを設けているわけですよね。憲法審査会にも合同審査会を設ける。ところが、論議を重ねていけばいくほど憲法審査会の合同審査会は、むしろここがその中心、イニシアチブを取る。基本的にそこで基本的な調整、コントロールをやって、そしてそれぞれの院の憲法審査会に議論を落としていく。正に限りなく二院制でありながら限りなく一院制を志向しているような、そういう中身だというふうに思うんですが、そうかといって、これは全面的に憲法違反というふうに言うのか、それとも、合同審査会は認めた上でちょっとイニシアチブが過ぎますよと、もう少しペースを落とすべきだという立場なのか、三輪公述人、もう少し整理をして教えていただけますでしょうか。
○公述人(三輪隆君) はい、分かりました。
 憲法の現在の五十九条、六十条、六十一条だったかと思いますが、両院協議会についての明文規定があると思います。二院制を取っているところで、片一方で二院制を取っているにもかかわらず両院の関係についてやるとしたらば、これは憲法事項として規定しているからこそ五十九条から六十一条までの規定があるんではなかろうかと思います。両院制のときにあえて両院にまたがる様々な機関をつくるというのは、これは憲法事項だと、こういう判断が現在の憲法にはあるんじゃないかと思います。
 とすると、九十六条で特段の明文規定がないのに、この発議の手続のところでこういうものを、両院にまたがる機関をつくるというのは、憲法上私は違反とは言わない、言えないかもしれませんけれども、ほとんど憲法のありようからすると、ちょっと問題があり過ぎる、限りなく違憲に近い発想ではないかと思います。
○近藤正道君 再度、三輪公述人にお尋ねをいたしますが、三輪公述人の議論の中で、憲法改正の手続は討論に基づく、正に熟慮と討論が保障されたものでなければならないと、徹頭徹尾そうでなければならないということの中で幾つかレジュメに書いてありますが、その一つで、運動期間という問題がございました。多分、これはきっと運動期間が短いということをおっしゃっておられるんだろうというふうに思いますが、先ほど、時間の関係でこのことについての言及ができませんでした。
 運動期間について、どのような御見解をお持ちなのか、どんな弊害が考えられるのか、まとめて御発言いただければ有り難いと思います。
○公述人(三輪隆君) ありがとうございます。
 運動期間について、こういうところに、国民意思を表明する討論に基づくというところに挙げましたのは、片一方で様々なメディア規制とか、公的広報の保障をどうするかということをめぐって実に悩ましい議論があるということとの緊張関係で私は考えております。
 公的広報の問題については先ほど申し上げましたので飛ばしますが、さて、自由に市民が行われる様々な言論、運動、マスメディアの利用について、それが金のある方、あるいはある特定の力によって使われる結果、大事な論点が落とされていくという効果を生む弊害がありはしないかとか、あるいは公務員や教員の地位利用にかかわって出てくるのは、そうした討論に基づかない様々な圧力といいましょうか、影響力行使というのが、これはふさわしくないという判断があると思います。
 それぞれ、じゃ、どういうルールでそこに公正なルールを作るか、非常に難しい問題があると思います。私は、原則自由だろうと思いますが、全くルールなしでいいかどうかということは慎重であるべきだろうと全体として思っております。これについては、もっともっともむ必要があると思います。とりわけ、メディアの問題でそう思います。
 それはさておき、片一方で、これはまあ絶対これでいけばいいという公正なルールというのはそんなに、もう試行錯誤でやっていくしかないかなと実はちょっと思っているところがあります。しかし、そこで金の力あるいは様々な圧力の言わば弊害がより緩和されるためにはどういうことが考えられるか、ちょっと別の発想が大事かと思いました。短期間になればなるほどそうした経済的な金の力とか圧力の力の、言わばあるべき討論に対する否定的な効果というのは高まるんではないかと思います。経験的に言ってもそういうことが言えると思います。
 ですから、今の六十日から百八十日、ちょっともう少し長くしていくという方向で、そして、弊害的な効果が現れる可能性を減らすというのを期間の問題で少し工夫するという必要があるんではないかと思うのが主要なポイントです。
 それから一つだけ、六十日ということでいいますと、これは公的広報を準備し配布するという期間からいって、これは審議過程でちょっと出ている論点かと思いますが、ちょっと短過ぎるんじゃないかと思います。つまり、非常に有能な両院の事務局が控えていて、そこが議会に設けられる広報協議会の作業をバックアップするとはいえ、恐らく一か月近く公的広報作成に掛かり、その配布に三週間ぐらい下手すると掛かるかもしれないとなると、六十日に設定した場合、残り結局十日前後で、これはちょっとないだろう。やっぱり、冷静な議論ということでいうと十分な時間、最低が六十日というのは、もうちょっと上げて、最低百八十日ぐらいにする必要があるんじゃないかなと思っております。
○近藤正道君 ありがとうございました。
 終わります。
○長谷川憲正君 国民新党の長谷川憲正でございます。
 今日は、今までの地方での公聴会の公述人の皆さんと若干異なりまして、大変若い方が出ていらっしゃって非常に心強く思います。やっぱり日本の未来を担うのは若い方々でありまして、そういう方々が積極的に憲法論議に加わっていただくことを非常に歓迎したいというふうに思っております。
 そういう前置きを置いた上でお尋ねを申し上げたいと思いますが、まず田村公述人に一つお尋ねをしたいんですが、その前に一言、先ほど述べられました御意見についての感想を申し上げたいんでありますが、六十年たっても手続法がまだ決まっていないというのは、国会あるいは国会議員の怠慢だという厳しい御指摘がございました。
 私は、国会議員になりましてからまだ三年足らずでございますから、私が批判されているとは特に思っていないんですが、ただ、先人のことを考えますと、私はそうではなかったんだろうという気がするわけです。
 つまり、戦後の長い時代、憲法改正論議そのもの自体が非常に難しい政治状況にあったと。そういう中で、手続法の議論などできるはずもなかったというふうに思いますし、ましてや憲法を変えるべきでないという意見が世の中で非常に強かったわけでございまして、そこはいろんなお考えの方がもちろん政治家の中にいらっしゃったと思うわけでありますけれども、決して怠慢という、要するに、やれる状況であるにもかかわらずやらなかった、やるべきであるのにやらなかったということではないんじゃないかなという気がいたしますので、そういった先人の御苦労にも御理解をいただければ有り難いと思います。
 その上でお尋ねをいたしますが、御意見はおおむね与党案支持という御意見だったと思うんですけれども、注目すべきは、国民投票に行かなかった人たちに対しては何らかの負荷を課すべきではないか、義務化すべきではないかという御意見がありました。それは実際そういう国もあるわけでございますけれども、これは、今回の手続法の審議に当たって既に与党案それから民主党案というのが出されておりますけれども、それらにこういう修正を加えるべきだという御意見だというふうに理解してよろしいでしょうか。
○公述人(田村琢実君) ありがとうございます。
 まずもって、先人たちの御苦労とか、その件に関しましては、私も重々承知した上で、敬意を払いながらそういった発言をさせていただきました。言葉に誤解があったことをまずもっておわびを申し上げたいと思います。
 私も、衆議院議員と参議院議員四十年を仕えておる中山太郎の秘書をやっておりましたので、中山が苦労をして憲法問題を取り上げているのを重々承知しております。その辺も踏まえてあえて発言をさせていただきました。どうも申し訳ありませんでした。
 御質問の内容でございますが、この国民投票法案に関しましておおむねで賛成をしているところでございますが、これを、三年間の経過措置というのが、継続的経過措置というのがございます。その中でまた改めて議論をしていただければ大変有り難いというふうに感じております。
 以上でございます。
○長谷川憲正君 ありがとうございます。
 続きまして、榎本公述人にお尋ねをしたいと思いますが、お話の中で、マスメディアに関して一定の何か規制の基準があってもいいのではないかということをおっしゃいましたが、これは与党案で示されている基準とは別に何かもっと加えるべきものがあるという御主張でしょうか。そこをお尋ね申し上げたいと思います。
○公述人(榎本賢治君) ありがとうございます。
 別のというところのニュアンスでさせていただいたところでございますが、やはりマスメディアの影響力というのがすごく強いなというふうに感じておりますし、どこの党の案件というよりも、マスメディアが悪いと言っているんじゃないんですが、マスメディアの発想そのものがすべて正しいような理解の認識も今までの、見ていると風潮としてあり得るので、公平中立だということの部分の一定の線引きを設けた方が分かりやすくなるのかなというふうに感じておったので、そのようなことでお話をさせていただきました。
○長谷川憲正君 そうしますと、重ねてお尋ねしますけれども、今の提案をどこか修正をした上で審議をすべきだというほどの意味ではないというふうに理解してよろしゅうございますか。
○公述人(榎本賢治君) はい、そのとおりでございます。
○長谷川憲正君 ありがとうございます。
 続きまして、南部公述人に申し上げたいと思いますが、お話の中でたまたま私の経歴にお触れになりまして、御指摘のとおり、私、議員になります前はフィンランド駐在の大使をさせていただいていたわけでありますけれども、御指摘のとおり、在外の投票の仕方というのは非常に現在の日本のやり方は問題があります。
 私は、参議院の倫理及び選挙に関する特別委員会というところの委員も兼ねておりまして、そこでも発言させていただいたことがあるんですけれども、主要国の在外、いわゆる在留邦人ですね、海外で暮らしておられるその国の人、私たち日本でいえば日本人でございますが、その人たちの投票の率を上げるためにどういうことをしているかというと、要するに郵便投票という一番簡便な方法を取っているわけです。そして、小さな国は手数を避けるために、おっしゃったように電子投票を取り入れている国もございます。そういう中で、日本は在外公館、要するに大使館や領事館のようなところへ行って一々自分が投票をするという行動をしなければいけないというんで、これはもう在留邦人にとっては大変な手間暇にもなりますし、また大使館も非常に苦労しているという状況が現実にございまして、御提案には賛成でございます。
 ただ、一つお尋ねを申し上げたいのは、これは、今回の法案審議の中でこれを取り上げるべきだという御趣旨でございましょうか。もう新聞等でも出ておりますように、もう採決しようかというような話が出ているような状況の中で、私たち、いや、もっと慎重に審議をしなきゃいけないとは言っておりますけれども、さはさりながら、国会の会期も限られているわけでございますから、これは引き続きの議論の中でもやってくれと、そういう御趣旨でございましょうか。
○公述人(南部義典君) 国外に在住する方々は日本国内の住民基本台帳に相当する名簿がございませんので、その居住地を把握するためには、やはり本人の申請によってその居住地を把握する必要があるのかなということだと思いますが、憲法改正国民投票が行われる頻度と国政選挙が行われる頻度は全く違うと思いますし、そういった意味では、在外選挙人名簿の調製の在り方というのを見直すことが必要だと思います。
 その在外選挙人名簿と在外投票人名簿の関係ということからしても、その登録基準日に在外選挙人名簿に登録されている方は自動的に職権登録されるという関係にございますので、まずいじるべきは公職選挙法上の在外選挙人名簿の制度ではないかなというふうに考えております。
 もう長谷川先生御承知と思いますが、郵便投票は文書によって申請をして、投票用紙を送ってもらってそれを送り返すという、書類が一往復半しますので、例えば電話とかファクスでお願いをして投票用紙をあらかじめ送ってもらうというような制度もあってもいいかと思いますし、議論の順番は、これは憲法特で扱うべきテーマかどうか分かりませんけれども、まずはやっぱり公職選挙法の改正が先ではないかなと、それが行われれば自動的に国民投票法の改正も容易かなという気がしております。
○長谷川憲正君 ありがとうございます。
 御趣旨には誠に賛成でございます。一生懸命努力してみたいと思います。
 最後に、三輪公述人にお尋ねを申し上げたいと思います。
 私、冒険するのは若者の特権、心配するのは、自分自身顧みて年寄りの特権と、こう思っておりまして、実際はこの憲法改正の手続法の内容につきましても、あそこも心配、ここも心配、一杯実は心配を抱えておりまして、今日、三輪公述人のお話を伺って、なるほどなるほどとうなずきながらお伺いをしていたところでございます。とりわけ、ナポレオンの例、あるいはナチス・ドイツの例を挙げられまして国民投票を悪用したという御指摘ありましたが、私も全くそういう歴史というものを無にするようなことがあってはならないというふうに考えているわけでございます。
 そういう中で、私、一昨年、郵政の民営化に反対をいたしました一人でございます。これは議会の中では否決をされたわけでありまして、憲法に従えば、これがもう最終結論でございまして、先ほど御指摘ありましたが、憲法五十九条に従って、あとは手続が残っているのみということだと思いますが、時の小泉総理は衆議院を解散されまして、しかも、もう一度郵政の民営化がいいのか悪いのか国民に問うてみたいというふうにおっしゃったわけでありまして、私はこれは憲法違反であるというふうに思っている者の一人であります。
 私は、今、憲法の議論をするに当たっても、やはりそういったきちんとした憲法の運用というものがなされませんと、何を作ってみても意味はないなというふうに思っておりまして、先ほどの国民投票の対象につきましても憲法改正に限るべきだ、それはもう私、卓見だというふうには思っておりますけれども、しかし一方で、こういう憲法違反のような形で国会が解散をされ、そして国会の代表を選ぶべき選挙であるにもかかわらず、シングルイシューについての賛否を問うなどというような言い方、しかも国会で議論された細かな内容などは国民に対して平等に配布をされていない。例えば、その後も私いろいろ国民の皆さんに直接訴える機会があったんですけれども、ほとんどの方は郵便局というのは税金でやっているというふうに思っていらっしゃるんですよね。一銭も税金を使わずに明治以来ずっとやってきたということを御存じの方は非常に少ない。そういう中で、えっ、そうなんですかというような形で結果が出てしまうということに非常に危惧を持つものでありまして。
 解散権そのものについてお伺いをするつもりはないんですけれども、憲法のみにかかわらず国民投票の対象とすべきだという意見について、三輪先生どのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
○公述人(三輪隆君) お答えします。
 最初に私が、全体として国民投票というのは取扱い注意、国民主権の下では、やっぱりそれを抜いたらばやっぱりその後がないんだからやっぱりよほど慎重に使わないと、という点にかかわると思っております。
 私は、国民投票をやるべきではないとは思っておりません。それはいろんな制度として考えられ得ると思います。ただ、現在の憲法ではそれを取っていないということはきちんと踏まえる必要があると思います。もし諮問的な国民投票であれ、あるいは一般事項に対する国民投票であれ設けるんであれば、これは憲法改正するというのが正攻法というか取るべき順序かと思います。
 そして、その場合には単に国会側からの、私は政府の側から国民投票をかけるということができるような制度は導入すべきではないとは思っておりますが、単に国会側からの発議だけではなくて、何らかの市民の側からのイニシアチブといいましょうか、ができるような制度とも組み合わせる等々の工夫も将来的には必要なのかもしれない。それは非常に大きな憲法制度の制度設計変更になりますので、これから先十分考えながらやっていくことであると思います。
 今回の九十六条に基づく法案の中に、そういうものを簡単に、それに連なりかねないようなものを入れるということをやっていいのかどうか、この点はちょっと慎重に構える必要があるなと思っています。といいますのは、最初に戻りますが、何回も何回も気軽に国民投票をやっぱり連発するというか使うことになりますと、よほどそれはやっぱり信用度が問われますから、そして国政選挙も疲れることですけれども、国民投票も言ってみればかなり疲れることでありまして、そんなに簡単にできるはずはないので、間口を単純に広げればいいということではないという問題もある。私は、確かに年を取ってき始めているんですが、これは若い憲法研究者含めて、憲法、それから改憲、護憲に賛成、反対の立場を超えて、憲法という制度が持っている難しい問題について少し勉強した者は懸念するイロハではないかと思っております。
○長谷川憲正君 ありがとうございました。
 年寄りと申しましたのは先生のことじゃございません、私のことでございますので、憲法よりもずっと長生きをしている人間という意味で申し上げたところでございます。
 皆さん方からお伺いをしましたこと、これからの審議に生かせるように努力をさせていただきます。
 ありがとうございました。
○団長(関谷勝嗣君) 以上をもちまして公述人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、公述人の方々に一言御礼のごあいさつを申し述べます。
 本日は、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。本委員会を代表いたしまして、重ねて厚く御礼を申し上げます。
 また、本地方公聴会のために多忙な中、種々御尽力を賜りました関係者の皆様方にも、この場をかりまして厚く御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
 これにて参議院日本国憲法に関する調査特別委員会さいたま地方公聴会を閉会をいたします。(拍手)
   〔午後四時四十二分閉会〕
     ─────・─────
   横浜地方公聴会速記録
 期日 平成十九年五月十日(木曜日)
 場所 横浜市 新横浜国際ホテル
   派遣委員
    団長 理 事      舛添 要一君
       理 事      中川 雅治君
       理 事      簗瀬  進君
                岩城 光英君
                野村 哲郎君
                藤末 健三君
                水岡 俊一君
                鰐淵 洋子君
                仁比 聡平君
   公述人
       神奈川県立高等
       学校教諭     久留島 学君
       かながわ創造研
       究所幹事     佐々木宣彰君
       前衆議院議員
       JPU総合研究
       所特別研究員   山花 郁夫君
       憲法改悪阻止神
       奈川県連絡会議
       幹事長
       弁護士      森  卓爾君
    ─────────────
   〔午後二時三十分開会〕
○団長(舛添要一君) ただいまから参議院日本国憲法に関する調査特別委員会横浜地方公聴会を開会いたします。
 私は、本日の会議を主宰いたします日本国憲法に関する調査特別委員会理事の舛添要一でございます。よろしくお願いいたします。
 本日の地方公聴会に参加しております委員を紹介させていただきます。
 まず、理事から紹介いたします。
 自由民主党の中川雅治理事でございます。
 民主党・新緑風会の簗瀬進理事でございます。
 次に、委員を紹介いたします。
 自由民主党の岩城光英委員でございます。
 同じく自由民主党の野村哲郎委員でございます。
 公明党の鰐淵洋子委員でございます。
 次に、左へ参りまして、民主党・新緑風会の水岡俊一委員でございます。
 同じく民主党・新緑風会の藤末健三委員でございます。
 日本共産党の仁比聡平委員でございます。
 次に、公述人の方々を御紹介申し上げます。
 神奈川県立高等学校教諭久留島学公述人でございます。
 かながわ創造研究所幹事佐々木宣彰公述人でございます。
 前衆議院議員・JPU総合研究所特別研究員山花郁夫公述人でございます。
 憲法改悪阻止神奈川県連絡会議幹事長・弁護士森卓爾公述人でございます。
 以上の四名の方々でございます。
 この際、公述人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 皆様には、御多忙中のところ御出席をいただき、誠にありがとうございます。
 当委員会におきましては、目下、日本国憲法の改正手続に関する法律案及び日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案の審査を行っておりますが、本日は、両案について皆様方から広く御意見を賜るため、当地において地方公聴会を開会することとなった次第でございます。
 皆様方から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の両案審査の参考にいたしたいと存じますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 次に、本日の議事の進め方について申し上げます。
 まず、久留島公述人、佐々木公述人、山花公述人、森公述人の順序でお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 それでは、これより公述人の方々から順次御意見をお述べ願います。
 御発言は着席のままで結構でございます。
 まず、久留島公述人にお願いいたします。久留島公述人。
○公述人(久留島学君) どうもこういう場を与えていただきまして、ありがとうございます。時間に制約がございますので、簡潔に私の意見を表明させていただきます。
 結論から申しますと、今回の国民投票法の制定は当然のことだと私は考えております。
 現憲法が制定時、すなわち昭和二十一年の十一月三日、公布されたときに決めておくべき法律であったというふうに思います。よくも六十年間放置されてきたものだなというふうに驚いております。しかし、私もそれなりに憲法の制定過程、勉強させていただきましたが、現憲法がアメリカの占領軍によって、いわゆるGHQによって約一週間で作り上げられたと、しかも専門の憲法学者が一人もいなかったという、そういったことを聞いております。そういったことから国民投票法が抜け落ちていたのかなというふうにうなずいているわけでもあります。
 ともかく、憲法改正のための手続法である国民投票法、これは国民が主権を行使する最も大切な法律なんですね。それが放置されていたということ、これ自身がもう本当に私にとっては驚きです。国会議員であるならば、国民の代表として、超党派で早急に制定すべき法律であるというふうに思います。かつてそういう機運もあったようですけれども、いろんな反対があってそれが駄目になったということも聞いております。しかし、今回、国民投票法が制定されるというふうなことを聞いておりまして、私は国民の一人として喜んでおります。しかし、この手続法である国民投票法に国会議員の方が反対していらっしゃる方もおられると、それからもう一つは政党も反対しているということなんですが、あくまで手続法なんですけれども、これは現憲法の精神に反するんじゃないかと私はもうかねがね思っているんです。しかも、その中に護憲を標榜されている方もいらっしゃって、その方が国民投票法に反対、これは矛盾しているんじゃないかというふうにかねがね思っております。
 いずれにしても、私は国民投票法の早期の制定というものが望ましいと。これは憲法の精神に合致していると、超党派でやっていただきたいということです。
 次に、中身の問題ですが、非常に大変、私もこの分厚いのを目を通しましたけれども、よくできていました。もう徹夜状態で目をしょぼしょぼさせながら読みましたけれども、その中で問題点が幾つかあります。私、教員という立場ですので、二、三述べていきたいと思います。
 その一つは、まず第百三条ですか、公務員等及び教育者の地位利用による国民投票運動の禁止について、これは私は当然だと思います。第二項には、教育者は、学校の児童、生徒及び学生に対する教育上の地位にあるために特に国民投票運動を効果的に用い得る影響力又は便益を利用して、国民投票運動をすることはできないとある。これは私、結構だと思います。ただ、問題は、この条文に違反した場合に罰則規定がないということが最大の問題だと私は思います。
 私は教員の立場から、もし罰則規定がないでこのまま通ってしまうならば、恐らく現在教員は、特に神奈川県なんですけれども、日教組は全国に約、私もよく分かりませんが、三十万近くいらっしゃると。それから、そこから分かれたいわゆる共産系の全教組、これは十五万から二十ということで、幅が広いらしいんですけれどもね、私も数えたことありませんので。組織率はかなり落ちているといいつつも、その地位を利用して憲法改正反対の国民投票運動を行うということは間違いありません。というのは、罰則規定がないから、ぎりぎりのところまでやると思います。それは、私は現場にいますとよく分かります。
 特に、教育基本法改正の審議があるときに、国会の周辺に全国から日教組が動員されて改正反対の運動をやっていました。億単位のお金を使ったといいます。生徒や保護者を巻き込んで反対運動を展開したということも聞いております。億単位のお金といっても、それは公務員ですからね、それは税金なんですね。税金を使って、億単位のその税金を使って、(発言する者あり)そこからお金を出したんでしょうけれども、一応行き着くところは税金だと私は思っているんですが。
 私は、主任制で、ある主任をやっていたときに、日教組から主任のときに主任手当を出してくれと言われたことがあるんですよね。なぜ出さなくちゃいけないんですかと言ったら、それは組合の活動になるからと。私はそんなことはやりたくないんで拒否しましたけれども、そういったことで、組合の活動費は主任手当からもどんどんどんどん供出されているということも聞いておりまして、実際私もそういうふうに言われましたんで。そういったことが一つあります。
 それから、卒業式や入学式、また授業の中でも、日本の悪いことといいますかね、日本は悪かった式の教育をやっていることはもう御存じの方がいらっしゃると思いますけれども、特に国旗・国歌問題については、私も卒業式、入学式で職員会議で発言いたしましたけれども、日教組の方々はもちろん反対ですね。で、その理由を聞いたら、ある人は言いました。国旗・国歌、君が代とか日の丸、国旗・国歌、どこにそれ書いてあるんだというふうに言われて、私も愕然としました。やっぱり慣習法というのが一番理想的な法律だと思いますね、成文化されないのが。成文化されるということは反対がいるから成文化されるんで、私はこれは慣習法としてはすばらしいんで、しかも伝統に基づいた国旗・国歌だからこれはちゃんと生徒に教えるべきだし、堂々と歌ってだれもへつらう必要ないというふうに主張したんですけれども、それで反対されましたけど、まあ一応校長先生が何とか日の丸だけは揚げましたけど、ずっと前の話ですけれどもね。
 そのときに思ったんですが、平成十一年八月に国旗・国歌法が制定されましたね。そのときに、過去の私の職員会議のときの反対したその組合の方は、そのとき法律にされたじゃないかと、じゃしっかりやってくれるのかなと思ったら、神奈川県は、私は高校ですけれども、一応国旗・国歌、掲げた、一応テープ流れます。ただし、先生方一切歌いません。私が一人下手な歌を、下手なんですけれども、独壇場みたいなことを大きな声で歌っています。したがって、教員がそうだから生徒も歌いませんね。
 しかも、こそくなことに、起立をして座らないような状態をつくるために開会宣言を教頭先生がやります、全員御起立くださいと。で、テープがすぐ流れます。着席させない。理由は分かりますよね。国歌が流れると、着席するとまた処分の対象になるからということでみんな立たせている。で、テープが流れるわけですね。もう座らないで、そのまま。で、みんな歌わないという、こういう状態が神奈川県、続いております。
 形上は一応報告されていると思いますね、文科省の方に。しかし、実際はそういう実態なんです。中にひどいのがいまして、花を、生け花があるんですよね、それで国旗が見えないようにこう仕組んだり、もう本当にこれ、私としてはもう情けないというか、そういった状態であります。
 職員室の中とかいろんな会議室のところに組合コーナーがあって、そこに政治的なスローガン、国旗・国歌反対とか内心の自由を侵すものだとか、そういったスローガン掲げているんですね。ぺたぺた張っているわけですよ。私、注意したんですけれども、校長も認めていると言っていましたけどね。それで、生徒が入ってくるわけですね。で、それを見ているわけですよ。
 それからもう一つは、北海道の組合の方から早速こういう何か資料が出ているらしいんですけれども、卒業生へ、憲法九条手紙運動に取り組もうということで、いわゆる自分たちの地位を利用して卒業生に憲法改悪反対ということで、そういった手紙を出したりしてそういう連携を取ろうというふうに、もう運動始まっているわけですね。そういったことをいろいろ掲げるとまあ切りがないんで、どうも時間の制約がありますからここで切りますけれども。
 以上のように、罰則規定がないと、もうやりたい放題、ぎりぎりまでやってしまうと思います。それでは公正な、また冷静な憲法いわゆる改正論議というのはできないと思います。
 と申しますのは、この何条でしたかね、第三条の投票権、十八歳以上と、十八歳にしましたよね。これも私おかしいと思います。これは、今の段階では二十歳以上にしてもらいたい。というのは、恐らく三年後にこれ発効しますよね、施行されますね。それから一年半ぐらいやっぱり掛かって、ようやく四年半ぐらいに投票がもし早くてなされると思います。したがって、今中学二年生か一年生辺りが教育されているわけですね。その生徒が高校三年になったときに投票する可能性があるわけですね。その間に日教組とか全教の方々が、結局、生徒に、いわゆる私から言ったら洗脳教育ですね、今の憲法はすばらしいと、成立過程は全く教えないで、今の憲法によって平和は守られたと。本当にそうかどうか検証されてないわけですよね。拉致問題あり、ミサイル飛んでくるわ、いろんなことがあってもそれに対応できない。しかも、国防とかなんとか考えた場合には、早めに手を打ってやらなくちゃいけないものに四年半も掛かって、それが凍結してしまうと。その間にも生徒をどんどんどんどん洗脳していくということですね。三年のときにそういった教育、まじめに受けた生徒ほどそのまま改悪反対ということで投票してしまうと思うんですね。
 私もそうでしたが、やはり卒業するなりして大学に行く、社会人になって二年間、世の中のことを知って、世界のことを知って、洗脳教育から解放されて、いろんな立場から今の憲法を制定過程もずっと調べてみて、私もそうでした。最初、私も平和憲法だと言っていたんですけれども、いろいろ調べてみると、何だ、ひどいじゃないかと。一週間で作って、しかも天皇の命と引換えに制定したということも聞いております。これテレビで、NHKでやっていましたね。そういったことで、今そういうことが言えるような時代になりましたからそれはいいんですけれども。
 そういったことで、そういう洗脳教育を受けて、それを解放する期間がやっぱり二年間冷却期間必要なんですね。それによって私も勉強したし、いろんな人から意見を聞いて議論して、ああ、今の憲法はかなり問題点あるなと、成立過程から内容の面も含めて。そういうことを理解して、それで今の私に至っているわけですけれども。したがって、十八歳は危険です。やはり二年間冷却期間を置いて二十歳以上にすべきだと私は思っております。
 それから、もう時間もないんですけれども、もう一つ、附則の第一条のところで施行期間が公布の日から三年後となっていますね。これも最大の、やっぱり憲法の精神に反するんじゃないかと思うんですよね。
 先ほど言ったとおり、恐らく早くて四年半後ごろに投票がされると思うんですね。主権者である国民の最大の権利、これが国民投票だと思うんですよね。それが六十年間、みんな知っていたと思うんです、政治家は。ほったらかしにされておいて、かつまた約三年間放置されて、分かっていながら、そして憲法が、この改正がもし早ければ四年半後、その間にまずそれを、国民の主権を制限しているという、この事態を憲法違反と取らない国会議員は私は逆におかしいと思うんですが、その四年半のうちに、もし何か不測の事態ですね、北朝鮮の問題がありますし、中国だって軍拡やっていると、それから尖閣列島を乗っ取るかもしれません。はっきり言っちゃえば、ロシアは今北方領土はあれ侵略していると私は思うんですよね、言葉は違うけれども。そういう状態の中で日本が自立しなくちゃいけない、アメリカももう妥協していると。
 そして、四年半の間に何が起こるか分からないのにそれに対応できないで、じゃ国会議員は何のための国会議員ですか。それ、だれが責任取るんですか。もう即、いわゆる公布と同時に施行すべきだと。それで今から準備すべきだと。それが私は国会議員の役割だと。目先のことだけで、利害でやるんじゃなくして、やっぱり防衛とか外交とか教育とか、日本全体を考えるのが国会議員だと思うんですよね。
 それは国民のニーズにこたえていないという言い方していますけれども、国民のニーズは目の前しかやりませんよね。それをはるかに超えて、国の全体を考えて国家百年の大計を考えるのが国会議員だと思うんですよね。国民のニーズ、ニーズばっかりマスコミを利用して言っていますけれども、おかしいと思います。国会議員としては、この憲法の問題と国防の問題、外交、教育、こういったものを大きな目からとらえて、十年、五十年、百年後を考えてやるべきだと思います。そういった意味では、三年後、これを凍結するというのはおかしい、公布されたらすぐ施行するようにやるべきだと私は主張したいと思います。
 以上です。
○団長(舛添要一君) ありがとうございました。
 次に、佐々木公述人にお願いいたします。佐々木公述人。
○公述人(佐々木宣彰君) 憲法改正については憲法第九十六条に規定されており、改正手続の要件として国民投票が規定されてあるから、国民投票法案が議論され法律となることは憲法の想定したことであり、憲法制定以来六十年という時を経て、六十年の間に社会、国際状況は変化し、憲法改正の必要性が出てきたことは事実である。
 さて、日本国憲法において三大原則、すなわち国民主権、基本的人権の尊重、平和主義において、国民主権と基本的人権の尊重は十九世紀末、日本においては二十世紀においてそれぞれ、それを支える啓蒙思想により社会に定着し、憲法を改正する点は二の、国民主権と基本的人権の尊重の中では環境権、これは京都議定書が発効したにもかかわらずアメリカがそれに従わないでCO2が発生されて大変な問題になっているところなんですけれども、そういう面で、一国の基本的人権尊重だけの枠ではなかなか対応し切れないということで、この環境権については憲法は改正されてもいいんじゃないかというようなところに来ていますが、全体としては、国民主権と基本的人権の尊重に関してはかなり完成度が高くなって、余り憲法を改正する必要はないんじゃないかと。
 しかし、第三の平和主義については、国際法の存在はあるにしても、いまだに紛争解決の手段として武力が用いられ、力による支配、また利権の獲得、またそれに対抗するテロが横行し、平和憲法を持つ日本においてさえも日米安全保障条約を認める世論が過半数を超えざるを得ない状況になっている。
 さて、日本がこのような国際状況の中で果たすべき役割について論じてみようというわけです。
 世界の国々は主権を持ち、互いに内政に干渉しないという建前に立って、自由に国益を求め、経済活動、政治活動を行っている。このような国際社会を律するに当たって、人類が今までに築いてきた知恵をひもといてみると、人間のすべての欲、これ欲という言葉が誤解を招かないように意欲と言ってもいいんですけれども、意欲を肯定的にとらえた思想、哲学は、クーベルタンが考えたオリンピックの精神に基づくスポーツに対する理念と、アダム・スミスが考え、修正資本主義により確立しつつある自由経済秩序であると私は思います。
 このような自由競争のうちに基本的なルールを最低限度決め、神の見えざる手にゆだねるしか国際平和を導く方法はなかなかないんじゃないかと。それほど国際間の問題というのは、何々すべきではないとかいう倫理とか道徳だけで論ずる今までの法律体系ではなくて、私は一番、人間の本来持っている欲というか意欲、これは人間の中に、五百万年の人類の中で生き残るために人間の能力を高めたい、そして自分が生き延びるためには何かを保存しておきたい、そういう欲というのは人類のDNAの中には組み込まれているわけです。そういう欲をしっかりと踏まえて議論をしないと、空回りした議論になってしまう。
 その面において、私はこのスポーツに関する理念の考え方と、それからアダム・スミスの考えた経済というのは、キリスト教の愛とか仏教の慈悲とか儒教の恕とか、そういう精神にも劣らないすばらしい考え方であって、そしてその相互理解を図るという点においては、お互いに自由な競争をさせることによって非常に相互の信頼関係とか相互理解が図れる。
 このいい例としては、人類は不幸なことに二回も世界大戦を行ってきましたけれども、それによって経済の方は、ブロック経済というものがどれほど人類を戦争に導いたか、そして世界経済の秩序というものがだんだんと構築されてきたと。こういうところに日本の平和主義は学ぶべきところがあるんじゃないかと。そして、こういう日本の持っている、日本は核は持たないわけですし、そういう面で平和憲法を持っているわけですから、それを推し進めていくことが私は大変必要なんじゃないかと思っております。
 そして、じゃ国際社会を日本がリードするとしても、その最低限度のルール、アダム・スミスは、自由と平等を保障すれば、あとは自由競争をすれば神の見えざる手によってということを書いてありますけれども、そういう考えの中で何が一番大切かというと、そういう競争をしていく間に相互理解が生まれて、それから直して、修正をしてブロック経済がなくなり、ガットができてWTOができて、そういうふうにお互いの相互関係がだんだんでき上がってくる。そういうように構築していくような形の平和主義で、何々すべきであるというような平和主義じゃ無理じゃないかと。
 そういう意味で、まず最低のルールは、私のルールとしては、紛争解決の手段として武力を保持しても行使はしないというコンセンサスを国際的につくらなければならない。また、自由に国家の政治活動、経済活動ができないような国家、貧しい国家と言ってもいいでしょうけれども、そういう国家では国際的な食糧、衛生、教育等援助を充実し、武力の行使も虐げられた者によるテロも起こらないような国際社会を築くこと。これが日本が経済大国でありながらも核を持たず、平和憲法を持つことを自覚し、積極的な国際貢献をするために、お金だけではなく人的貢献も果たさなければならない、そういう時期になってそのために憲法を改正するのであれば、これは時代の変遷に伴う当然の結果であると私は思っております。
 そういうふうに、一番大切なことは、日本が積極的な平和主義を推し進めるためには、その裏付けとなる、だれにでもよく理解できるような平和思想の確立が前提となるんじゃないかと。これは、啓蒙思想が民主主義を育てたように、平和主義を育てるのには、ここにいらっしゃる先生、前にいらっしゃる先生方もそうですし、それから全員がその思想、日本人はよく思想のない気持ちの悪い国民だと、なぜか、そう言われるのは当然なんですが、よく分からないんですよ。日本が世界をリードするような思想を今までつくったことがない。経済は一流になったかもしれない、トヨタなんかは今最高になっていますけれども、しかし、日本は思想の面においては残念ながら世界をリードしたことは余りないと。余りないというか、ないと等しい。
 そういう面で、日本は憲法を改正して積極的に世界平和に貢献するんだということであれば、まずその前提となる平和思想、そしてそれをどのように実現していくか、そういう考えを打ち出さないといけないんじゃないか。しかも、だれにでも分かりやすい、説得力のあるものでなければなかなか難しいんじゃないかと私は思っております。
 そういうことで考えてみると、現在、日本は第二次世界大戦より六十年を経て、理念だけの平和主義から積極的な平和主義に方向転換をし、また国際平和を実現するための国を挙げての議論と、その成果としての平和思想を確立する時期に達している。欧米の啓蒙思想家が果たしたように、社会の変化が思想を生み、優れた思想が社会を進化させる。このような議論を進めていけば国民的関心が高くなり、投票率も上がり、正に国民の総意における憲法改正を成し遂げることができるんではないかと私は思っております。
 ですから、日本は今どういう時期に来ているのか。一番大切なことは、日本は、経済が充実して豊かになって、その後に文化が生まれるというのは国の趨勢からして当然なことなんです。そのときになって、日本で平和思想に基づいて世界平和の実現に日本が貢献できないようだとしたら、日本人は後世の笑い者になるんじゃないかと、私はこう信じております。ここにいらっしゃった方々はそういう大きな考え方を持って日本から積極的な平和主義を訴えていく、そのために憲法を改正するんだったら、私はもろ手を挙げて賛成していく。皆さんも私はそうだと思っております。
 こういうコンセンサスを持って、やはりこの世界平和というのは、各国というのは、今北朝鮮もそうですし、いろんな難しい国が一杯あるわけですけれども、そういうのを全体を包み込んでやるというのが、やっぱり私が最初に申し上げたとおり、その欲を肯定する、自由競争をさせる、そしてそこに相互理解を生んで、その相互理解に基づいて国際的な平和を実現していく。こういう面において憲法改正をするんでしたら、私は大変結構なことであると思っております。
 ちょっと短いですけれども、終わらせていただきます。
○団長(舛添要一君) ありがとうございました。
 次に、山花公述人にお願いいたします。山花公述人。
○公述人(山花郁夫君) 前衆議院議員、そしてJPU総合研究所の特別研究員の山花郁夫でございます。
 本日は、こうした発言の機会を与えていただきましたことに感謝を申し上げたいと思います。また、是非、こうした公聴会での意見聴取を踏まえて今後とも議論を深めていただきたいと思います。
 かつて私も衆議院に籍を置いていたことがあるものですから、こうした公聴会などが開かれるとそろそろ採決なのかしらというような皮膚感覚があるものですので、報道では何かそのようなことも報じられているようですけれども、是非、参議院の先生方にはこれからも議論をしていただきたいということを申し上げたいと思います。
 さて、法案の中身についてでありますけれども、本来でありますと、手続法ですので、護憲派と言われる方々あるいは改憲派と言われる方々、どちらにとっても中立的な内容であるべきだというふうに思います。つまり、憲法というのはそれは国家権力を抑制する装置でもありますし、政治というのはその枠の中に収めるというのが立憲主義の考え方です。
 そうであるとすると、例えば自民党が単独政権を取っているときであったとしても、あるいは皆さん余り想像、当事者いらっしゃるから失礼かもしれませんけれども、想像できないかもしれませんが、共産党さんが単独の政権を取っているときであったとしても、共通のルールとして憲法というのがあって、その枠をはみ出ないで政治を行っていくというのが本来の立憲主義の理解であると思いますし、したがって、その中身については議論は、憲法本体についてはいろんな考え方があるかもしれませんけれども、その枠組みを決めていく手続法については、恐らく、できるだけ憲法を改正したくないという人はできるだけハードルの高い法律を作るという方向に行っちゃうでしょうし、憲法を改正しようと、しやすい法にしようという方からすればできるだけハードルを低くしてということになってしまうでしょうから、これは、いざ本当に憲法改正が発議される際にはどちらもコンセンサスがある形でということが望ましいと思います。
 この憲法改正等に係る国民投票法について、時期尚早であるという議論に私はくみしませんし、それは必要なものだと思います。ただ、あくまでも国会の中で与野党ともに真摯な議論を踏まえてできていくというのが望ましい姿なのであって、行政府のトップの方針ということで、例えばいつまでにというようなことがあるとすると、それは法律の生い立ちとして、私はこれは本当に不幸なことだと思います。
 例えば、時の内閣の方針によって憲法改正がテーマになるというのは、これは大いにあり得る話だと思います、いいとか悪いとかいうことではなくて。例えば地方分権をこれからもっと進める内閣をつくろうというそういう内閣があって、現在の地方自治の章、これで本当にいいのかということで改正を提起していくということもあるでしょうし、もちろん安全保障のことがテーマになることもあるでしょうし、それは政治のダイナミズムの中であり得ることだと思います。
 ただ、この改憲を政治日程にのせましょうよというような話と手続法のことがセットになってしまいますと、結局改正しやすい方向で手続法が制定されちゃったんじゃないですかというような疑念というのがどうしても付きまといますし、将来的に本当に憲法改正が発議されたときに、あのときの手続法はこういうことでできたじゃないかということを後々まで言われるというおそれがありますので、これは本当に後世にまで響いてしまうことだと懸念をいたしております。
 願わくば全会一致で成立することが望ましいと思いますが、それはいろいろお立場もあるでしょうから、しっかりと審議を尽くして、そして反対する党があるのであれば反対討論も、まあ何時間もとは申し上げませんけれども、できるような形での運営というものを行っていただきたいと思います。
 さて、手続法の内容について申し上げたいと思います。
 国政の重要問題に関する一般的国民投票について、これが一つ大きな与党案と民主党案の違いだと思います。私は、一般的な国民投票法というのも是非加味していただきたい、そういう意味では民主党案に賛成の立場です。
 今までも、この参議院の議論の中でも議事録なども拝見させていただきましたけれども、どうも私の印象ですが、大変失礼な言い方かもしれませんけれども、入口で議論が止まってしまっているような印象を持っております。どうも代表民主主義に反するとか間接民主制に反すると、こう何かキャッチフレーズで止まってしまっているんですよ。
 キャッチフレーズというのは、本当、そこで止まっちゃうと何かそうかなという気がしてしまう危なっかしいものですね。まあ時代も主張も全く違いますけれども、八紘一宇とか造反有理みたいな感じで、議会制民主主義に反するみたいなことを言われるとそうかなと思っちゃうかもしれないんですけれども、確かに議会制民主主義の根幹に触れるではないかという表現はそのとおりだと思います。否定はいたしませんが、ただ、後ほど申しますように、諮問的なものであるというふうに民主党案は理解をしておりますので、その点は憲法上の疑義等についてもクリアできると思います。
 また、一般論として申し上げますけれども、私は、何か国政の重要なことが起こったとすると、何でもかんでも国民投票やりましょうという発想は極めて私はネガティブです、否定的です。むしろ、国民の多くの方が反対をしていても政治の責任で説得をしなければいけないという事態というのは多々あると思います。
 イラク戦争を支持したときのブレア首相の判断、私は今でも間違っていたと思いますが、ただ、国民に対して一生懸命説得する姿というのは、あれは政治に求められていることではないかと思いますので、何でもかんでも国民投票というふうには思いませんが、ただ、テーマによっては本当にこれは真剣に検討していただきたいと思います。
 また、そもそも直接民主制をどう評価するかということもかなり根本的な見解の相違なのかもしれませんけれども、課題のような気がいたします。
 私が聞いている限りですので違うよと言う人もいるかもしれませんが、ドイツという国では、一般的に間接民主制こそが本当の民主主義だというふうに理解されていると聞いております。直接民主制というのは危険であるというコンセンサスがあるそうです。これはナチス・ドイツの経験をしたことが大変今でも大きく影響していると聞いております。日本でもそういう考え方が広く一般にコンセンサスがあるんですかと言われれば、それは少し違うのではないかと思いますし、実際、ある調査によりますと、多くの国民の方々が特定のテーマについては是非自分たちで直接民主制的な形で判断をしたいと願っているというデータもあると聞いております。
 また、少なくともドイツの憲法と違って日本国憲法は、現行憲法を前提としたとしても、代表民主制、それが絶対だというふうにはなっておりません。恐らく、今日そちら側の席に座られている方々も、選挙のときに最高裁判所裁判官の国民審査は参加をされていると思います。それだけではなくて、一の地方自治体に適用される地方特別法であるとか、そういった、例外的にではありますけれども、事をミックスさせておりますし、また憲法上、地方自治の章におきましては、首長もそして議員も二元代表の形を取っております。また、地方自治法によってレファレンダムだとかリコールだとかイニシアチブ、こういった手法も現に具体化しているわけであります。
 したがって、大きな問題でいいますと、そういった直接民主制的なものを間接民主制の補完として大きく評価するかどうか、あるいは全く、いや、我が国はドイツと同じような考え方で行くんだということなのかということになるんだと思います。私は前者の立場を取りたいということです。
 さて、諮問的なものであったとしても事実上の拘束力があるから駄目であるという議論もあるようですけれども、この事実上の拘束力ということと法的拘束力ということは本当に大きな質的な違いがあります。
 法曹資格を持っている方には有名な話だと思うんですけれども、例えば裁判所の先例拘束性というものが語られることがあります。これは事実上のものだからいいんですと。日本は制定法国ですから、判例法の国ではないので事実上の拘束力にとどまり、法的拘束力ありませんという説明が一般的です。例えば、裁判所の先例拘束性に事実上のものがあるからといって裁判官の独立は否定されますよねという話にはなりませんよねという話と同じで、事実上の拘束力があるから諮問的であったとしても、憲法四十一条に反するという理屈は私は成り立たないというふうに思います。
 また、事実上の拘束力といったときに、例えばの話ですけれども、かつて、皇室典範を改正して女性天皇あるいは女系天皇を認めることはどうかということが実際かなり具体的なテーマとして議論されたことがございます。
 確かに、形式的意味の法律であります皇室典範を改正すればそれで法的にはいいということなのかもしれません。ただ、こういった正に日本国の象徴であり、また日本国民統合の象徴であるとされる天皇が女系でいいかどうかということについては、私は、広く国民に問い掛けを行うべきではないかと。憲法改正に準じるぐらいの話ではないかと思います。
 ただ、その場合、本当に僅差でオーケーということが出たとして、私は、本当にその僅差での結果で皇室典範改正していいんですかという話になると、またそれも違うのではないかと。この辺が憲法改正、法的な意味を持つ国民投票と、そうじゃない国民投票の、正にこの法的効果が事実上のものにとどまるという妙でありまして、場合によっては、憲法改正だったら過半数でもうそれは改正オーケーという話になりますが、皇室典範を改正して女系天皇を認めるという話については、例えばその投票を行うに際して、参考にはしますけれども、例えば六割、七割の賛成がなければやめましょうよという与野党の話合いがあるということもあっても私はいいと思います。つまり、こういった柔軟性のある仕組みとして御検討をいただきたいということです。
 時間が押してまいりましたので、最後に、最低投票率を設けるべきとの議論がございますが、私の意見としては、最低投票率を設けるのであれば、それは憲法改正によるべきであろうと思います。法律で勝手に決められる話ではないということです。
 これは学術的にはちょっと細かい話になりますけれども、憲法改正の限界というのを認めて、しかも九十六条の改正はできませんよという立場が学説であります。九十六条の規範性を極めて高いものとする考え方です。この考え方に立ちますと、最低投票率を設けるということは、本来、憲法改正の手続によっても九十六条というのは改正できないという主張をしている学説ですので、ましてや最低投票率を設けるということは、一定の人たちが、有権者が改憲オーケーと言っているにもかかわらずそれを否定するという極めて強い内容となるわけです。つまり、九十六条の条項を法律によって変更するということはできないという帰結になるはずであります。したがって、憲法違反だという主張もあり得るんだと思います。
 ただ、私はそこまでの考え方は持っておりません。改正手続そのものは憲法改正の限界ではないと考えております。ですので、法律で設けたとしても憲法違反という議論には私はならないとは思いますけれども、ただ、憲法に抵触しなければ法律で決めればいいのだというのも私はいかがなものかと思います。
 最低投票率を設けている国の多くは、憲法でその要件を規定しております。主権者たる国民の少なくとも投票総数の過半数、ケースによっては例えば四割の投票じゃ駄目だという主張であるとすると、四割の投票率で全員が賛成したケースであったとしてもその意思を無視してよいという効果を発生させるのでありますから、それは法律ではなくて憲法で定めるべき事柄だという認識の表れではないかと思っております。
 具体的には、こうした課題については、むしろ、もし最低投票率を設けるということであれば、何か背理のようですけれども、憲法を改正した上で設けるべきではないかというのが私の考え方であります。
 以上です。
○団長(舛添要一君) ありがとうございました。
 次に、森公述人にお願いいたします。森公述人。
○公述人(森卓爾君) 横浜で弁護士をしております森と申します。
 この新横浜に法律事務所を開設しておりまして活動しております。また、神奈川県において長年にわたって憲法改悪反対、憲法擁護の運動をしております憲法改悪阻止神奈川県連絡会議、略称神奈川憲法会議と申しますが、そこの幹事長をしております。
 本日は、日本国憲法の改正手続に関する法律案、すなわち改憲手続法案についての意見を述べる機会をいただきましたことについて感謝申し上げます。
 神奈川憲法会議は、個人会員のほか、法律家団体、市民団体、労働組合、女性団体、政党などが参加して、憲法の改悪に反対し憲法を擁護する運動を行ってきました。毎年五月三日、憲法記念日には集会を開き、市民とともに憲法の意義を確認して運動を行ってきました。今年の憲法集会で採択されたアピール案を御参考までに配付させていただきましたので、ごらんいただければ幸いであります。特に、神奈川県においては、沖縄県に次いで米軍基地の多い県でありまして、憲法九条に対する思いが強いものがあります。この点の御理解をいただければ幸いであります。
 また、私が所属しております横浜弁護士会は、昨年十一月九日、総会に次ぐ議決機関であります常議員会の議を経て、憲法改正国民投票法案に関する会長声明を発表いたしました。これも配付させていただきました。幾つかの問題点を指摘して慎重な審議を求めております。
 さて、この地方公聴会の在り方ですが、私は、この新横浜で行われました参議院の地方公聴会に出席するのは今回で二回目であります。二〇〇〇年、平成十二年十一月二十一日に行われました警察法改正案についての参議院地方行政・警察委員会神奈川地方公聴会がこの新横浜で開催されましたけれども、その際にも意見を述べる機会がありました。
 そのときは公聴会の十日ぐらい前に期日が決まり、法案及び関連資料、三センチか四センチあったと思いますが、が参議院から送られてきまして、それを内容をじっくり読まさせていただいた上で公聴会で意見を申し上げることができました。
 それに比べて、正直申し上げまして、今回の公聴会の設定の仕方は異常であると率直に指摘しなければなりません。昨日、日程が決まりましたが、昨日の時点では法案も届いておりません。インターネットでダウンロードして読んだ次第です。法案について国民から意見を聴く地方公聴会において、法案すら事前に公述人に配付されない地方公聴会の持ち方については、是非今後は改めていただければというふうに思います。何をそんなに急いでおられるんでしょうか。時間はたくさんあります。今日、明日急ぐ理由はありません。
 地元の新聞であります神奈川新聞は、五月三日、憲法記念日の社説で、同法案、本法案のことですが、同法案は最低投票率の不在、公務員、教育者の地位利用の禁止、メディア規制など問題が多い、廃案にして出直すべきだと社説は指摘しております。国民の目から見て議論が尽くされていない事項がたくさんあります。是非、時間を掛けて慎重に審議していただきたいと思います。
 幾つかの点について、具体的に意見を述べたいと思います。
 横浜弁護士会の会長声明でも指摘していることですけれども、会長声明では、憲法改正原案の国会による発議は内容において関連する事項ごとに区分して行うとされ、国民はその事項ごとに賛否を投票することとされております。関連する事項という区分はあいまいであり、国民は正確かつ個別的な意思表示ができないおそれがある。したがって、できるだけ個別的な事項ごとに賛否を表明できるものとすべきであると会長声明で指摘しております。
 法案百五十一条において国会法の一部改正が提案されており、国会法六十八条の三を新設し、「憲法改正原案の発議に当たつては、内容において関連する事項ごとに区分して行うものとする。」となっております。このことを指摘しております。
 何をもって関連する事項とするのかが、あいまいであります。それでも、関連する事項ごとに国民は投票によって意思表示ができるようにも読むことができます。しかしながら一方で、法案四十七条は、「投票は、国民投票に係る憲法改正案ごとに、一人一票に限る。」としております。五十六条三項の別記様式では単純に賛成、反対に丸を記載するようになっており、関連する事項ごとに区分して投票ができるようにはなっておりません。すると、関連する事項ごとに投票用紙があり、投票箱も別に設置されるのでしょうか。私の素朴な疑問です。私の法案の読み方が間違っているのでしょうか。私には、国会法の一部改正案と法案が矛盾するか、何か整合性が取れていないように感じます。
 いずれにしても、関連する事項ごとに投票するという、一括投票ではないということがどこかに明示されるような必要があるのではないかというふうに思います。
 最低投票率についてですが、法案では最低投票率についての定めがありませんが、私は最低投票率を定める必要があると考えます。その理由は、憲法九十六条の国民投票制度はそもそも憲法制定権力者である国民の意思に由来するものだからであり、一定多数の国民の意思が示される必要があるというべきでありますから、一定多数の国民が投票に参加して憲法改正に賛成したことが必要であるというふうに考えます。
 最低投票率を定めることが憲法改正について更に加重要件を定めることになり、憲法上疑義があるとの議論がなされております。しかしながら、憲法九十六条の趣旨は憲法改正について最終的には国民の意思にゆだねられていることを示しているのですから、より多数の国民の意思に適合する方向での要件になります。したがって、最低投票率を定めることは憲法九十六条の趣旨に反するものではなく、憲法九十六条の趣旨に適合すると言わなければなりません。
 次に、過半数についての意義ですけれども、憲法九十六条の過半数の意義について、本来は憲法改正のための国民投票がさきに述べた憲法制定権力者である国民の意思に由来するものであると考えるならば、有権者の過半数とするのが最も正しい選択であると考えますが、少なくとも憲法九十六条は投票においてその過半数の賛成と規定していますので、過半数の賛成の分母となる数値は投票総数でなければなりません。
 法案八十二条は白紙投票などを無効投票とした上で、百二十六条では賛成票が総投票数の二分の一を超えた場合に憲法九十六条一項の国民の承認があったものとしております。ただし、投票総数には無効票を除くとされています。これは、憲法九十六条の趣旨から見て疑問があります。過半数の分母となるべきは無効投票を含めた投票総数であるべきです。なぜならば、投票した人は国民として国民投票に参加した人です。賛成票を投じなかったという意味では、その意思表示を除外してよいということにはなりません。
 いつの時代でも世論調査やアンケートを行った場合、賛成、反対のほかに、どちらとも言えない、分からないと回答する人がたくさんいます。国民投票において迷って白紙で投票する人がいるかもしれません。でも、その人は改正案に賛成したのではありません。その人の意思は尊重されるべきであります。その意味では、過半数の分母となるべき数値は無効投票も入れた投票総数となるべきであると私は考えております。
 両院協議会についてですが、法案において国会法の一部改正規定があり、その中で憲法改正案について両議院で異なる議決をした場合は両院協議会を開くことができることになっております。これには私は憲法上疑義があるというふうに考えています。
 国会は国権の最高機関であり、衆参両議院で構成されております。両議院は、それぞれ独立して会議を開き、議決するのが原則であり、両院協議会は憲法が定めたその例外規定です。憲法で明文をもって認めているのは、法律、予算の議決、条約の承認、内閣総理大臣の指名のみで、国会の議決が必要とされる事項です。これらの場合に限り、独立原則の例外として両院協議会の開催を認めていますから、憲法が規定していない事項について両院協議会を開催することは憲法が認めていないものと解するのが相当であると私は考えます。
 憲法九十六条は、憲法改正は各議院の三分の二以上の賛成で国会がこれを発議しと定めており、国会の議決を求めておりません。両院協議会に関する規定を置いていないのです。このことは憲法が、憲法改正について各議院の独立性を重視する趣旨であり、両院協議会による協議調整を予定していない、そういう規定であると解されるべきであると考えます。
 公務員、教育者の運動規制の問題ですが、国民投票運動の自由は憲法上手厚く保障されなければならないと考えます。そもそも、公務員も教育者も日本国民であり、国民の一人として憲法について自由に発言し行動できるはずです。この権利は憲法上最大限に保障されなければなりません。現行法は、公務員法による政治活動規制と公職選挙法による地位利用の禁止を定めております。
 私は、現行法にも疑問は持っておりますけれども、今回はそれを問わないことにして、現行法以上にこの公務員、教育者に対する運動規制を強化する必要はないと考えています。
 次に、広報協議会ですが、広報協議会についても疑問があります。
 憲法九十六条は、国会は各議院の三分の二以上の賛成で発議し、国民に提案することとされており、その後は、提案をされた国民の側で改正案について議論や運動が繰り広げられることになります。そのときに、各議院の会派の比率によって構成された広報協議会がマスメディアなどを活用して憲法改正案を大々的に広報することになり、広報が国民に与える影響は極めて大きいことになります。法案では、広報の在り方、内容は広報協議会が決めることとされております。問題は、会派の比率によって構成される広報協議会に公正な広報が期待できるであろうかという点にあります。法案は、広報の内容は客観的かつ中立でなければならないとの規定が置かれておりますが、そもそも憲法改正を求めるメンバーが圧倒的多数を占めている広報協議会に中立性を求めることは困難であると思われます。
 法案の広報協議会の規定には疑問があると言わざるを得ません。更なる検討が必要だと考えています。
 次に、有料広告の問題ですが、法案百五条では投票の期日前十四日間について広告を禁じております。それ以前は全くの自由とされています。これについて、表現の自由との関係でいろいろな議論があるところでありますけれども、憲法改正という重要な項目について資金力を背景にした大量の有料広告を出せるとしたら、それは強者の論理であると考えます。弱者である国民は何億もの広告料を出せるはずもなく、一方的な広告が無制限に流される危険があります。
 私は、有料広告は全面的に禁止すべきだと考えます。そして、憲法改正案について賛成の人も反対の人もひとしく意見が述べられるような公正なルールをつくり、税金を使って国民に知らせていき、議論を深めていくことが必要であると思います。
 最後に、今回、新聞報道によれば、明日にも委員会で採決されるような記事が今朝出ておりました。冒頭に引用した神奈川新聞の社説が述べているように、法案には問題点も多いので、いったんは廃案にして出直すべきであると社説は述べておりますけれども、私もこのことに同感であります。このことを申し述べて、私の陳述といたします。
 御清聴ありがとうございました。
○団長(舛添要一君) ありがとうございました。
 以上で公述人の方々の御意見の陳述は終わりました。
 それでは、これより公述人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
 なお、質疑及び御答弁は着席のままで結構でございます。
○岩城光英君 それぞれの御自身の御経験によります参考になるお話、御意見をいただきまして、本当にありがとうございます。感謝を申し上げたいと存じます。時間の制約がありますので、早速、質問に移らせていただきますけれども。
 まず、山花公述人それから森公述人から最低投票率についての御指摘がございました。私どもの委員会でも、連日のようにこの問題も議論になっております。関心を持ってお伺いをさせていただきましたが、残念ながら時間の関係上、短く端的に御説明されたやに伺っておりますので、もし補足するところとかおありになりましたら、お二人からそれぞれ御説明をいただき、その後、この最低投票率の問題につきまして、久留島公述人また佐々木公述人はどのようにお考えか、御意見があれば承りたいと存じます。
○公述人(山花郁夫君) 最低投票率について少し時間がなかったので、御配慮いただきまして感謝を申し上げます。
 余りにも少ない投票率で憲法が改正される可能性があるのはいかがかという指摘は、私も趣旨は理解はできます。
 ただ、少し丁寧に申し上げますと、例えばどれぐらいの数にするのかということもあるんですけれども、実際、国民投票を行っている諸外国の例を見ても、なかなか七割、八割の投票率になっているところはないですよ。しかも、可決したケースでの、例えば今、日本国憲法の場合、有権者総数を基準とするんだという主張もあるようですけれども、有権者総数を基準にしたときに、せいぜいやっぱり二割か三割ぐらいの率しか取れないというのが多くの例だと私は認識をいたしております。
 どれぐらいの率にするのかということも少しよく分からないのと、仮に五割ということになると、相当それはほかの国の例から見てもハードルが高いということ、またハードルを高くすればするほど、仮にそれで投票率に満たなかった場合、仮の話ですけれども、最低投票率を五割としたときに、四九%の投票率でした、今回の結果は無効としますというようなケースで八割、九割の人がもし賛成していたとすると、そういった主権者、現在の主権者がそれだけ多くの方が憲法改正あり得べしという判断をしたのを、その意思を無にして構わないという効果を発生させるというのが最低投票率をつくるということの法的な意味ですから、それは正に、日本国憲法の三大原則であります国民主権ということをある部分においては主権者の意思を無視しますよという効果を発生させるものですから、それが本当に憲法を大事にするということであれば、憲法改正によってそういう仕組みを設けるべきであって、主権者の意思をあるケースでは無視する可能性があるのをたかだか立法権を委任されているにすぎない国会が決めるというのは、本来の憲法の構造からいくとそれはおかしいのではないかと。
 法律事項ではなくて、私は、そういう意味で憲法事項ではないかということを申し上げた次第です。
○公述人(森卓爾君) 私は、多数の国民がこの憲法改正の国民投票にやっぱり参加をしたと言えるためには、最低でもやっぱり過半数、五割の国民が参加をして意思表示をしたということが国民投票としては必要なのではないだろうかというふうに考えます。
 最低投票率を決めるというほかに最低得票率という議論もありますけれども、少なくとも有権者の過半数の国民が参加をして憲法改正について賛成か反対かの意思表示をしたと、そのことがやはり、改正された憲法が国民のものになるという意味では是非必要な規定ではないのかというふうに考えます。
○公述人(久留島学君) 今の山花先生が言われたようなことも私も思っておりまして、最低投票率というのを、これ別に、今憲法の中で過半数になっていますよね。最低投票率については全然議論も何もしていないわけですから、それを今の段階で設けるとかなんとかという問題は、それはやっぱり今の段階ではちょっと難しいかなというふうに思っております。
 というのは、要するに国会議員が衆参両議院の三分の二以上ですからね。それは国民の代表ですから、それによって発議して、そして国民、過半数を得ますよということで、得たら変えますよということで、初めての経験でもあるわけですよね。そういったことから考えたら、今の段階ではちょっと、この最低投票率決めるというのはちょっと難しいかなというような気がしております。
 もちろん、事前の指導とか、要するに学校における教育とか、そういったものがあって、それで国民の民度が高くなればそれなりにやっぱり考えて投票するでしょうし、私が一番懸念しているのは、要するに投票に行かせないという、私はもういつも組合と何か不信感を、逆に向こうから見たら私は何かえらい不信感を持って、ちょっと特殊な人間だと思っているかもしれないけれども、私は逆に、組合のやり方に非常にもう不信感を持っていまして、もう要するに投票に行かせないと、行かせないことも一つは憲法改悪反対の意思表示なんだというような、そういった宣伝文句に使われるということは避けたいと思うので、それは今回は問わないで一応一回やってみて、それで問題があればもう一度憲法改正という形で問うていくべきだというふうに私は思います。
 そういう意味では、山花先生とは大体似たような考えだというふうに思っています。
 以上です。
○公述人(佐々木宣彰君) 私は、先ほど述べましたとおり、やっぱり憲法を改正する、そして平和、特に第九条に関して改正をするということになれば、それなりのバックボーンとなる思想というものをしっかりと打ち出してもらって、そして、そういうものに関して時期を見て、関心度がかなり高くなった段階で投票率もかなり確保する、何%ということは私もよく分かりませんけれども、結果的にそれだけの民意が上がらないと憲法を改正しても余り意味がないんじゃないかと、私はそのように思っております。やっぱり、それにはそれだけの関心度を上げるだけの、先生方にも技量と説得力をお願いしたいですね。
○岩城光英君 ありがとうございました。
 久留島公述人から、先ほど十八歳以上に投票を認めることについての疑義ですね、いろいろと心配される点を御指摘いただきました。それで、この法案が例えば成立して、もし仮に憲法改正の国民投票になるまでに四年から四年半掛かると、その間に特定の教育、思想を子供たちに教えられるということについての危惧がございまして、私も、なるほどそういったこともあるんだなと思いました。
 それはそれとして、なお併せてお伺いしたいことは、今現在、身近に高校生に接していらっしゃいます公述人から見まして、現在の十八歳前後の子供たちというか、の生徒の意識それから行動、そういったものから見て、十八歳以上ということについてこの国民投票の投票権を認めるということについてはいかがですか。現在の、現状の高校生あるいは十八歳前後の年代の子供たちを把握されている先生からの立場でお願いします。
 それから、この十八歳以上の問題につきましては、それぞれほかの三人の公述人にもお考えをお示しいただきたいと思います。
○団長(舛添要一君) 時間が限られていますので、それぞれ簡潔にお答え願います。
○公述人(久留島学君) はっきり言って、現状では危険だと思います。
 結局、国家の行く末を十八歳の生徒にゆだねるわけですね。その準備ができておればいいんです、今までの教育が。恐らく他の国はそれなりの準備をしていると思うんです。恐らく十八歳が多いと思うんですけれども、それなりの教育をちゃんとやってきていると思います、責任を取れる。ところが、今の高校生はそういう意識がありません。まず、国家意識をつくっていないんです。だって、国歌斉唱反対ですからね。国家を悪いものだと教えている、国家権力は君たちを抑圧すると。じゃなくて、国家というのは君たちを守るという、そのためにその方向性を君たちが担うんだというようなことをちゃんと指導してくれればいいんですけれどもね、昔の松下村塾みたいな形でですね。そういうことならいいんだけれども、今の段階では無理ですね。
 そういう体制をつくっていただければ、それは、将来は国民の民度が上がって若者たちが国を担うんだという意識を持っていただければ、それはそのときに変えればいいと思います。今の段階では私は危険だと思います。
 以上です。
○公述人(佐々木宣彰君) 私は、やはり憲法というのはすばらしい人類の知恵が詰まっているわけなんですね。確かに、私は平和ということに関しては前向きなんですけれども、しかし人に対しては意外と懐疑的なわけですよ。権力を握れば、いろいろな県知事を見ても、立派な方だった人がつまらないことに巻き込まれると。
 このように、なかなか憲法というのは、行政権、権力を握った者というのは、絶えず不断の努力を国民がしないとあらぬ方向に行くというのも事実なわけで、そのために憲法があるんだということは、まず国民としてその辺の認識はしてなくちゃいけないんですけれども、私は、そういう面でどれだけ若い人に理解できるような思想、思想というか考え方、民主主義、中学生のころから私のこのさっき言った三大原則も教えているわけですけれども、そういうことを教えながら、本当にそれが理解できているかどうかということになると、なかなか平和的な思想を皆さんがこれから憲法を改正するときにつくって、そしてそのバックボーンとなる思想というものがどれだけ説得力があるか。それによって年代も、私はなかなか難しいところで、説得力があって分かりやすければ年齢下げてもいいし、難しくてよく理解できないようだったら、やっぱりそれはなかなか下げるということは難しいんじゃないかと、私はそう思っております。
○公述人(山花郁夫君) 私は、十八歳ということを支持したいと思います。
 子どもの権利条約でも十八歳というのが一つの分水嶺になっております。また、憲法の中身についても、未成年者も人権享有主体でございますし、例えば諸外国というか、アジアでも最近、犯罪被害者の権利を憲法にうたう国が増えてまいりました。未成年者も犯罪の被害者になることもあります。できるだけ当事者の意思を反映させるという意味では、民主党は下げられちゃったようですけれども、今でもケースによっては十六歳でもいいケースもあるのではないかと思っております。
 質問に対しては、十八歳ということを支持したいと申し上げます。
○公述人(森卓爾君) 私も、投票権を認められるのは十八歳以上であるということについては賛成です。
 やがて二十歳になり、自分たちに大きな影響を与える憲法の問題ですので、そういう若い人たちがこの投票に参加して自分の意思を表示するということについても、これは大いにいいことではないかと。弁護士として今の若い人たち、いろんな子供たちが接しますけれども、決して、皆さんよく、しっかり自分のやっぱり人生を考えて、将来を考えている子たちもたくさんいますので、そういう人たちのためにも、そういう人たちの将来のためにも、投票権を認めるということには賛成です。
○岩城光英君 終わります。
○藤末健三君 本日は、本当、突然にこの公聴会が決まりまして、皆様に来ていただいたことを本当に有り難く思います。
 まず、私は、山花公述人にちょっと御質問がございまして、憲法に最低投票率が書かれてないから最低投票率は設定できないというお話をいただいたわけですけれども、もし憲法に書かれないと最低投票率が設定できないとしますと、先ほど森公述人からお話がございましたように、憲法改正原案に係る両院協議会も憲法に書かれてないんですよ、実は。で、設置できなくなるんじゃないかなという懸念がございます。
 ちなみに、フィンランドとスウェーデンは憲法委員会というものを憲法に書いていて、憲法委員会を設置しているという状況ということが一つ。そして、もう一つございますのは、最低投票率を定めている国で憲法典にその規定を書いている国としては、韓国、ロシア、ポーランドなどが憲法の中に最低投票率は必要ですよと書かれている。したがって、最低投票率を書いているということなんですが、一方で、セルビア、パラグアイ、ウズベキスタン、ウルグアイ、ペルーという国は憲法に最低投票率のことを書いてないんですよ。それでも法律で最低投票率を設定しているという状況でございまして、この二点についてちょっとお考えを伺えないでしょうか。
○公述人(山花郁夫君) よく聞いていただきました。
 まず、両院協議会のことなんですけれども、憲法学のイロハのイぐらいだと思います。憲法というのは授権規範であり、かつ制限規範であると大学で勉強された方もいらっしゃると思います。
 つまり、憲法四十一条で国会に立法権が付与されております。ということは、ほかの制限規範に抵触しない限り、国会というのは、ちょっと粗っぽい言い方に聞こえるかもしれませんけれども、いかなる法律を作っても構わないということになります。ただ、ほかの条項との関係で、単なる授権規範と読むのか制限規範と読むのかという、そこは解釈に係ってくることだと思います。憲法九十六条で、国民投票については別に定めるという形で書かれておりますので、憲法上ほかにやっちゃ駄目よという形で書かれていない以上、法律をもって憲法に関する案の両院協議会というのを設置することはこれはできるというのが、ちょっとそこまでが憲法学のイロハだと言ってしまうと言い過ぎかもしれませんけれども、ノーマルな解釈だと思います。書かれてないからできないという主張は、私は、特にこれも日弁連の方も言われていたんですけれども、法律の専門家の方が言われるのはちょっと私には理解に苦しむところです。
 また、同じ理屈で、書かれてないわけですから、最低投票率、法律でやってもいいではないかというのはそれは私はそうだと思いますよ。否定はしません。つまり、用意したペーパーをようく一晩ぐらいゆっくり考えて読んでいただけると分かると思うんですけれども、ちょっと難しい議論かもしれませんが、九十六条の規範性をどこまで禁止規範としての意味を持たせるのかどうかという、そこは解釈の問題だと思っております。
 そして、私は最低投票率を法律で設けたとしても憲法違反だとは考えてはおりません。設けることもできます。できますが、望ましいのはむしろ、先ほど申し上げたことの繰り返しになってしまいますけれども、主権者たる意思を一定のケースについて無視してよいというかなり重大な効果を発生させるものですから、法律で本当にやっていいんですかと、それはちょっと有権者をばかにしていませんかということで、本来であれば憲法に書くべきであるという、そこは裁量の幅の話だというふうに御理解ください。
○藤末健三君 どうもありがとうございます。
 続きまして、森公述人にお話をお聞きしたいことがございます。
 二つございまして、先生がおっしゃいました話の中で、一つは一事不再議の話を出されていました。
 私が調べますと、アイルランドで二〇〇一年にニース条約という条約の批准のときに、一度国民投票法で条約批准を否決されたのにもかかわらず、その年に国民投票法を改正して、翌年に全く同じ条約を国民投票法にかけて通したことがあるんですよ。
 私が思いますのは、このようなことが我が国で起きるかどうかといいますと、可能性としてはなきにしもあらずじゃないかなと思っていまして、私はこの一事不再議、例えば一回否決されたものをまた次出すということは何らかの制限が必要じゃないかと。例えば、一回国政選挙が終わった後に、状況が変わった後にやんなきゃいけないとかいうような制限が必要じゃないかということを考えております。それが一つ。
 それと、もう一つございますのは、先生が御指摘した中に無効訴訟という話がございます。
 実際に国民投票法の……
○公述人(森卓爾君) 済みません。無効訴訟といって、触れてませんが。
○藤末健三君 資料の中で触れております。
○公述人(森卓爾君) はい、はい、資料で。
○藤末健三君 済みません。資料の中で触れられていまして、これは管轄の裁判所が東京高等裁判所のみに限定されているということも非常にちょっと、何というか、どうかなということも思いますし、また投票結果の告示から三十日以内というのもちょっと短いんじゃないかと思っているわけですが、森先生がどういうふうにお考えかということをちょっと伺えればと思います。
○公述人(森卓爾君) 一事不再議の問題は、これは国会法上の会期の問題との考え方の中で、一つの会期の中での一事不再議というふうな理解をしておりますので、今ちょっとおっしゃられた趣旨がよく分からなかったんですけれども、一つの会期の中で否決して、次の会期の中で同じ法案が出てきて、それがまた新しく議論される、場合によっては会期ではなくて、選挙後の議院の構成が変わった後の議論としては十分出てきていい話ではないかなというふうに考えますけれども。
 それと、もう一つは何でしょう。
○藤末健三君 無効訴訟。
○公述人(森卓爾君) 無効訴訟に関しては、構成法上の無効訴訟もあるんですけれども、基本的には私は各住民が訴訟を起こせる自分の地域で、東京高等裁判所という限定された東京ではなくて、自分の地域の地方裁判所に起こせるということが是非必要で、少なくとも早く決着を付けたいという高裁レベルからというのであれば高等裁判所、地方の高等裁判所レベルで訴訟を起こすということが必要ではないかと。
 それと、三十日の問題は、投票結果が出て、それを十分考えていくと、行政訴訟の関係等についても、基本的には処分通知を受けてから六十日が行政訴訟関係で不服の申立ての期間という普通規定がありますし、三十日ではやっぱりいかにも短いのではないかと。十分考慮して準備をして裁判所に訴状を出すという意味では、三十日では短いのではないかと考えます。
○藤末健三君 どうもありがとうございます。
 続きまして、久留島先生に御質問したいと思います。
 先生、すごく日教組に大分個人的な思い入れがあるのかなということをちょっと感じまして、教育者への規制ということをおっしゃっていただきました。実は、私も三年前まで大学の教育者でございまして、ちょっと思いますのが、例えば大学とか高校で憲法の授業をすると。そのときに、もし憲法改正の議論が起きていた場合には憲法改正の議論をすると思うんですよ、ディスカッションなんかを。じゃ、そのとき、先生の意見どうですかと聞かれたときに、いや私は改憲だと、例えば自衛軍必要だとかいうことを言った場合、それはどうなんですかね。規制すべきかどうかということは先生はどういうふうにお考えでしょうか。
○公述人(久留島学君) 学校でですか。
○藤末健三君 学校の授業で、憲法の授業です。
○公述人(久留島学君) その場合は、情報をある程度平等に与えるということが条件だと思います。議論は私は別に否定しているわけじゃなくて、一方的な情報を与えて、そうじゃなくちゃいけないと、あとは試験で必ずそう書かなくちゃいけないという強制力ありますからね、学校の先生は。まじめな生徒ほど学校の先生の言うことを聞きます。東大にも入りますから、舛添先生みたいに。
 そういうことで、議論をすることに関してはやぶさかでないし、そのときには情報を均等に与えて、じゃ、実は今の憲法はこういう制定過程があるんだよと、こういう問題点もありますよと、しかしいい面もありますよということを議論させてやると。大学ならそれをやっている大学もあるし、やってないところもあるとこの前聞いていました。大学の先生によっては全くそれを無視して、この憲法はいいんだということを言う先生もいらっしゃるようなんだけれども、現場ではそういう、本当に議論させることは、それはやぶさかじゃないんですね。それは別に一方的に押し付けているわけでも何でもないわけで、議論ですから、そういった意味では私は大いにやってしかるべきだと。
○藤末健三君 議論しかるべきということですね。
 私も同様に、教育者の方々が議論をどんどんどんどん進めていただくことによって、先生がおっしゃっているように憲法の理解が深まると思うんですよ。ですから、余り何というんですかね、規制の足かせを掛けて何か教育者の方々がしゃべれなくなっちゃうというのもまた逆にマイナスじゃないかなということを考えていまして、久留島先生の御見解は僕と同じでございまして、もう安心しております。
 続きまして、佐々木公述人にお聞きしたいことがございます。
 佐々木先生がおっしゃった中に、紛争解決の手段としての武力は保持しても行使しないというコンセンサスを国際的につくらなければならないということを先生おっしゃっておりまして、私もこれは同感でございます。
 先生がお考えのコンセンサス、紛争解決の手段としての武力は保持しても行使しないというコンセンサスがまず国際的にできているかどうかということと、そのコンセンサスをつくるために我が国ができることとは何ぞやということについて、もしお考えであれば、何かお考えをお聞かせいただければと思います。
○公述人(佐々木宣彰君) コンセンサスは、今のところ残念ながら全部に徹底しているわけでないことは北朝鮮を見れば分かるし、ほかのところもそうですけれども、やはり私が考えている物の考え方ですね、つまり人間とか国家とかいうのを、そこの国の自由競争によって実際、経済活動、政治活動をやって見せて、そこの中でやっぱり人間は学習していくものです。
 コンセンサスというのは、私が何でアダム・スミスの話をして、アダム・スミスが、自由と平等を保障すればこの社会は神の見えざる手によりうまくいく。ところが実際うまくいかなかったわけですよ、世界恐慌は起こるし、ブロック経済をやって第二次世界大戦を引き起こしちゃっているわけですから。それでもその間に、そういう本音で付き合うというか、本当に争って、競争をしながら競争社会の中で生きていくとコンセンサスが生まれる。それというのは、非常に私は、アダム・スミスの見えざる神の手の力なんですね。そういうものが徐々にできつつあるんじゃないかと。
 やはり、もうこれ以上いくと、もう少したてば世界的にコンセンサスが私はかなり可能になってくるんじゃないかという予測はしています。でも、今ができているかといえば、できていないです。でも、これはどうしても最低のルールとしてつくっていかないともうならない。そういう一番緩いルールでつくりながら、そしてその矛盾点を改良していくというそういう面で、今資本主義が、いろんな面で世界的な、WTOをつくったりしてうまく経済を持っていこうというそういう努力がかなり功を奏してきているわけですから、そういう面も見越しながら、アダム・スミスの考えをよく入れながら私はコンセンサスを時間掛けてもつくっていく。そうしないと国際平和というものはまず生まれないと私は思っております。
○藤末健三君 ありがとうございます。
 最後のちょっと質問になりますが、時間がないので簡単にお答えいただきたいんですけど、山花公述人にちょっとお聞きしたいことがございまして、最低投票率につきまして、ボイコット運動が起きるからいけないんだという話がございます。ボイコット運動を調べますと、外国の憲法改正にかかわる国民投票においてボイコット運動というのは生じていない、法律の関係なんかあるようですけれど、していませんで、やはりある程度大規模になるとなかなかできない。
 例えば住民運動なんかの、地域だけの、ある限られた地域でのボイコット運動は効果はある程度あるけれど、範囲がどんどん広くなって、もう一億二千万人の国民に対してできるかというと、できないんじゃないかという議論がございますが、その点、山花公述人はもし御存じであれば見解を教えていただけませんか。
○団長(舛添要一君) 山花公述人、簡潔にお答え願います。
○公述人(山花郁夫君) ボイコット運動については、立法事実が我が国では少なくとも確認できませんので適切なコメントはしづらいかと思います。
 ただ、御指摘がありましたように、地方の小さな、今まで類似のケースで立法事実を探るとすると、ボイコット運動を誘発するということはあったのかなぐらいの印象を持っております。
○藤末健三君 どうもありがとうございました。
○鰐淵洋子君 公明党の鰐淵洋子でございます。
 公述人の皆様、本日はお忙しい中、大変にありがとうございました。また、貴重な御意見を賜り、心より感謝を申し上げたいと思います。
 先ほども公務員、教育者等の地位を利用した国民投票運動の禁止ということで御意見もいただき、また質問もございましたが、この件に関しましては、久留島公述人の方からは、御自身の経験というか、それを通して禁止すべきである、また罰則も必要であるという御意見もちょうだいしました。この件に関しまして、これがあることによって萎縮効果が働くのではないか、一方ではそういった御意見もあるわけでございますが、公務員、教育者等の地位を利用した国民投票運動の禁止、これに対しまして佐々木公述人と山花公述人は意見触れてなかったと思いますので、お二人にこの件につきまして御意見をちょうだいできればと思います。
○公述人(佐々木宣彰君) 公務員がこれに関与する場合ということですか、この憲法改正の。
○鰐淵洋子君 公務員。
○公述人(佐々木宣彰君) 私は、やっぱり教育の中立性からなるべく避けるべきだと思いますね、教育者は。そして、教育の中立性はやっぱり保って、自分の意見は、私も生徒に物を教えたこともありますけれども、やっぱりそういうものは、教えるときには、何というのかな、バランスの取れるような、なるべく自分の意見はというより、バランスを取って教えるように、こういう意見もあるんだよというようなことでしていかないとまずいんじゃないかと、私はそう思っています。なるべくそういうものは、すごい近い人の関係からは、先生と生徒のような関係では、先生が余り露骨に自分の意見を述べるべきじゃ私はないと思います。
○公述人(山花郁夫君) 私は、公務員、教育者の地位利用の部分については、萎縮的効果が働くということも言えますでしょうし、想像力が貧困なのかもしれませんけれども、我が国において国民投票はまだ一回も実施をされておりませんから、何か本当に弊害があるという立法事実は確認されていないわけで、罰則はありませんけれども、むしろ弊害があるのではないかなという懸念を持っております。
 また、今この法律は、憲法本体が何が議論になるかということについてはニュートラルな法律ですけれども、例えば、公務員の人権について憲法改正が発議されました、あるいは教育者にかかわる教育を受ける権利だとかあの辺りの条項についての憲法の改正が発議されましたというようなケースを想定したときに、その当事者が必死になるのはそれはむしろ当然のことですから、どういう立場になるかは分かりませんけれども、そうだとすると、余り規制を、仮に罰則がないとしても規制を掛けるのはどうなのかなという疑念は持っております。
○鰐淵洋子君 ありがとうございました。
 続きまして、報道機関の規制の在り方について、久留島公述人、佐々木公述人、山花公述人にお伺いしたいと思います。
 虚偽放送また偏った放送を禁止すべきだ、防止すべきだ、そういった御意見もありますし、また、表現の自由、公正の確保また国民運動の活性化、こういった御意見との調整も必要になってくるわけでございますが、この法案では、放送法に言及する形で、有料広告に限らず、報道番組、討論番組、こういったことも偏りがないように注意を促すような、そういった形になっております。
 報道機関から受ける影響は大変に大きいものがあると思いますが、この報道機関の規制の在り方についてお考えがありましたら、ちょうだいをしたいと思います。
○公述人(久留島学君) これも公務員又は教育者と同じような形で、やっぱり政治的な中立というのは当然保つべきだし、報道する場合に一つの、改正なら反対、賛成、平等にやっぱり扱うべきです。だから、放送法もそういうふうになっていらっしゃると思うんですよね。
 ただ、舛添先生も御存じの田原総一朗さん、あの方も独断的で自分の意見をばっと言いますよね。あの人ほど要するに放送法にかなわない人はないと。自分の意見は言ってもいいんですけれども、バランス取ってやっていただければいいんだけど、ああいう方がいらっしゃると、それに影響を受けて、ああそうだと思っているような人も出てくるかもしれない。そういうふうは避けてもらいたいし、これはもう公務員と同じですね、教育者も、当然中立の立場で平等に扱ってもらいたいということです。ごく常識的なことだと私は思っています。
 以上です。
○公述人(佐々木宣彰君) 私も、あれですね、中立というふうに言わないで、もう賛成と反対を五分に出して徹底的にやり合った方が私はいいと思います。
○公述人(山花郁夫君) 放送法などを使って、できるだけ公正にやってくださいというのがぎりぎりのところではないかと思います。
 例えば憲法九条を改正するかしないかという話ですと、それは賛否がいろいろ分かれるでしょうけれども、例えば裁判官の報酬は減額できないと規定されている部分を、場合によってはとか例外的なものを設けましょうというような議論になったときに、そんなに賛否が分かれてということでもないような気がいたしております。また、衆議院が解散された後、総選挙までを三十日にするのか四十日にするのか、技術的なことですけれどもこれも憲法事項ですから。そうだとすると、意見が割れるケースとそうじゃないケースもあると思いますので、あえて意見がそんなに割れていないときにできるだけ反対意見も取り上げてというような無理をすると、ほとんどの人が賛成しているものについても何か反対意見を一生懸命見付けなければいけないというようなことが起きてもおかしいと思いますので、そういったケースも想定すると、大体放送法に書かれているぐらいのことなのかなという気がしております。
○鰐淵洋子君 ありがとうございました。
 続きまして、テレビ等における有料広告、スポットCMについてお伺いをしたいと思います。
 これは、大体十五秒から三十秒のCMで、単純なスローガンまたイメージによってこの重要な意思決定を誘導されるような、そういったおそれもあるので禁止すべきだという御意見もいただいております。一方で、またこういったCM等が流れたとしても、国民の皆様はそれが一意見であると受け止めてしっかりとそれぞれで判断することができるんではないか、そういった影響を受けないんではないか、そういった御意見もいただいております。
 この与党案におきましては、このスポットCMにつきましては投票期日前二週間禁止ということで、このようになっておりますが、このスポットCMにつきまして、お考えがございましたら、久留島公述人、佐々木公述人、山花公述人にお伺いしたいと思います。
○公述人(久留島学君) 政治的な中立ということをちゃんと守っていただければ、それはそれで正論ですから、結構なことだと思います。やはり、単純にそれに影響を受けるという方ももちろんいらっしゃる、これは仕方ないことなんですけれども、一週間ぐらいは禁止するということで、余りそれが過度に陥らないようにということは、これは、こう言うのもおかしいですけれども、ほどほどにということですよね。余りえげつないとか、そういうことをやらないで、本当にまじめに考えてやっているなら、それは問題ないかと思いますが。
 ただ、私も余りマスコミを信用していない部分がありまして、結構えげつないことをやる人もいますから、その辺りは多少は規制してもらった方が有り難いかなというふうに思っております。
 以上です。
○公述人(佐々木宣彰君) CMの話ですか。
○鰐淵洋子君 スポットCM。
○公述人(佐々木宣彰君) CMは、私は議論は本格的にすべきであって、そういうふうに一部を拡大して話すようなCMは私は賛成できませんね。
○公述人(山花郁夫君) テレビ、ラジオ等のスポットCMについては、これはほかの国でもそうなんですけれども、やっぱり一定の規制があるということはあり得るんだと思います。
 新聞等ですと、例えば大きなキャッチフレーズで、ある電話の会社ですけれども、幾ら使ってもこんだけよという宣伝をして、よくよくちっちゃな字で読むと違うことが、違うというか、お金が掛かるよねというのが書いてあるということがありましたけれども、紙媒体の場合は注意すればそういうことが分かるんですけれども、視覚に訴えるものというのはそのときの印象などで大きな影響を、しかも不正確な影響を与えるケースがあり得ますので、したがって、期間については御議論があることは承知をしておりますけれども、制限され得るということはあり得る話だと理解をしております。
○鰐淵洋子君 ありがとうございました。
 この法案がもし成立をしたとしまして、この公布後に開かれます国会で衆参両方に憲法調査会が設置をされます。
○団長(舛添要一君) 審査会。
○鰐淵洋子君 あっ、失礼いたしました。憲法審査会が設置をされます。三年間はこの憲法改正原案の審査は凍結をされるということで、この三年間に関して先ほど久留島公述人からは、必要ないというか、そういった御意見もちょうだいいたしました。しかし、ここで憲法を改正するかしないかも含めてしっかりとしたこの憲法論議を進めていく上では、この三年間は私は必要な期間ではないかと思っております。
 この凍結期間三年間ということでこの法案には書いてありますけれども、この凍結期間の三年間につきまして御意見がありましたら、佐々木公述人、山花公述人また森公述人にお伺いしたいと思います。
○公述人(佐々木宣彰君) 凍結期間ってちょっとよく分からないんですけれども、何の凍結期間ですか。私、まだこれよく読んでないんですね、実は資料が……
○団長(舛添要一君) 団長から御説明申し上げます。
 国民投票法案が成立してから三年間は憲法改正の発議ができないと、そういう意味で三年間の凍結期間と、そういうことが法律の中に書かれてございます。
○公述人(佐々木宣彰君) 私は、その期間は必要だと思います。
○公述人(山花郁夫君) その間、憲法改正の中身ではなくて、個々の法案の審議の際に憲法上の疑義が出たような場合にその審査会を活用するという方法もあるのではないかと思います。
 先ほど例に挙げました裁判官の報酬を減額する法律案を審議をしたときに、私は衆議院の法務委員会の理事をしておりまして、憲法違反の疑いがあるのではないかということを衆議院の法制局に聞いても、当局がお答えすべきことかどうかとか、本来、やっぱりそれで裁判所に聞くのも変な話ですので、そういうところで国会がまず第一次的な憲法のそういう審査をするというようなことが行われる、そういうことに活用されてもいいのではないかと、三年の間、このように考えております。
○公述人(森卓爾君) その三年間の間で審査として何が行われるのかなというのがやっぱり一番重要で、この間の憲法調査会、五年間、両議院に設けられて調査をしてきた中身も読ませていただいたんですけれども、やっぱりそれの継続の形で、審査と称して実は次の、どういう憲法がいいのだろうかということにならないような歯止めを掛けながら是非審査をしていただければというふうに思います。
○鰐淵洋子君 ありがとうございました。
 それでは、今日は様々御意見をちょうだいいたしましたが、しっかりと皆様の御意見も踏まえた上でより良いものにできればとも思っております。
 本日は大変にありがとうございました。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。四人の皆さん、本当にありがとうございました。
 公聴会の在り方について、先ほど森公述人など幾人かの方から触れられたわけですが、その点をまずお伺いをしたいと思うんですけれども、この地方公聴会といいますのは公募は行われておりません。御案内のように、与党、野党それぞれ政党推薦という形で皆さんにお願いをしております。それも直前、今日の設定の場合は昨日という連絡になりまして、久留島公述人からは徹夜状態で目をしょぼしょぼさせて資料を読んだ、あるいは佐々木公述人からはまだよく読んでいないという、そういうお話もあったわけですね。
 これまでも各地の地方公聴会で、資料が今朝届きました、これで国民としての意見を述べろというのがおかしいんじゃないのかという趣旨まで言われたことがあるわけです。ですが、森公述人から先ほどお話がありましたように、今朝報道もされておりますが、広く国民の皆さんに御意見をお伺いをするために公募を行って行う中央公聴会、これはやらずに明日採決をという考えが与党の方から示されています。
 こういった我々の委員会の審議の在り方についてどうお感じになられるか、森公述人から順番に四人の方にお尋ねをしたいと思います。
○公述人(森卓爾君) 私は、先ほど公述人になった経験が二回目だというふうに話をしましたけれども、やはり基本的には地方公聴会が、こうして議員の先生方が地方に行って、その地で直接国民、意見のある人から聴くというこの地方公聴会は非常に重要であるというふうに思いますし、是非、先ほど言いましたように、事前に資料を送付して、よく読んで、議員の先生方の質問、自分の意見だけではなくて、御質問にもきちっとやはり自分の意見が述べられるような準備をした上でここに臨みたいなという意味では、もう少し時間的に余裕が欲しいことと、そしてこれを持ち帰って是非議院の中で十分な御審議を、意見を反映して御審議をいただければ幸いだというふうに思います。
○公述人(山花郁夫君) 願わくば、せっかくこうやって地方で公聴会を開くわけですから、何か月も前というと難しいかもしれませんけれども、できるだけ事前に周知をしていただければなと思います。
 特にこの法案というのは、憲法そのものではありませんけれども、その改正をするときの手続法という大変大事な法律でありますので、是非、今後御配慮をいただければということと、せっかくこうやって多くの論点について議論が、また一般の方からも出ているわけですので、参議院の方で議論を深める機会にしていただければと思います。これでまたもう何かすぐ採決とかいうことになってしまいますと、何のために来たんだろうということになってしまいますので、御配慮をいただければ大変有り難いと思います。
○公述人(佐々木宣彰君) 私ももう少し、この憲法改正に関しては関心も持って前から準備もできていますから別に短くてもいいんですけれども、こういう細かいところまでは実際は読んでいないというのも事実なので、そういうところでうまく答えられなかったことは大変残念だと思っております。
○公述人(久留島学君) 同様です。
 もう少し時間があればもう少し読み込んで自分なりの考えをまとめられるし、いろんな意見にも答えられるんじゃないかなと思いますので、もう少し余裕があったらいいかなというふうに思っております。
 以上です。
○仁比聡平君 ありがとうございました。
 今度は、久留島公述人の冒頭の御意見の中で、教員、公務員の地位利用規制等のお話がございまして、そのお話を伺っていまして強い改憲への御意識をお持ちなのかなとも私も思いました。
 ちょっとお話を伺いたいなと思いましたのは、先ほどのこういう実態といいますか懸念があるんだということで挙げられた中で、国会前に教職員組合が組合員の動員を掛けること、その動員に、組合費という趣旨だと思いますけれども、お金が使われるということ、それから卒業式、入学式での日の丸の掲揚について反対の立場で職員会議で意見を述べるということ、卒業式、入学式で君が代を歌わないということ、教室で日本が悪かったという式の教育を行うこと、それから組合の掲示板でしょうかね、そこにビラといいますかポスターを張ると、このようなお話、それから北海道で卒業生に改憲反対の運動を行うということ、こういった例が挙げられまして、その是非を私、議論する必要はないと思うんですが、久留島公述人が、そういうことがあるので罰則を付けるべきだという趣旨に聞こえてしまいましたものですから、そうすると、反対に聞きますと、今そうやって行われている活動を罰則付きで禁止をするべきなんだというお考えなのか、それともそうではないのか、そこをお尋ねしたいと思うんですが。
○公述人(久留島学君) あくまで地位を利用、自分の、例えば教員なら教員の地位を利用して、それをやることに対する罰則規定ですね。つまり、職場にもそんないろんなスローガン、政治的な激しいスローガンを掲げている場合もあります。そういったものは生徒は見るわけですね、職員室に来たり、いろんな会議室で相談したり。そういうのを目にさらされるわけですね。一方的な刺激を与えるわけですね。授業でも先生の言うことはやっぱり絶対的な部分で聞きますから、ある程度は。最近は生意気になって聞かない生徒もいますけれども、大体先生の言っていることは正しいんだということでやるときに、その先生の持っているイデオロギーですね、それを一方的に述べて、しかも、それが歴史的に正しい部分があればいいんだけれども、私も議論する中で、結構間違ったことを平気で教えている先生もいらっしゃる。そういったことをもう身近に接しているわけですから、そういったのを見ると、これは冷静で公正な判断で投票できないんじゃないかなという、そういったことを言いたいだけの話ですね。
 そういったものの基準をどう設けるかは確かに難しい問題がありますけれども、あくまで教育の中立を守るという、公正に冷静に生徒が投票できるようなそういった雰囲気をつくるべきだと私は思っているんですけれども、実際は違いますね。もう自分たちの主張をどんどん言って、職員室にいろんなポスター張ったり、授業でも自分の主張を言って、それを試験に出して、それに答えられないと駄目だとか、そういった先生方は結構見てきていますので、先ほど言った、これ北海道の組合の本部が出した、憲法、教育基本法、これを改悪阻止だということで、卒業生に憲法九条手紙を送って、その運動に取り組もうと。つまり、九条は改悪阻止だということなんでしょうね。名簿なんか使ってどんどんばらまくんですよ、手紙で先生方が。それは地位を利用した一つの政治活動ですよね。そういったことをやった場合には、もう明確にこれは厳罰に処さないと、これを認めておると、どんどんそれが広がって、ああ、これでもいいんだということになると思うんですね。
 先ほど、国旗・国歌の問題についてもそうです。結局、石原都知事は、東京都の場合はそういった国旗・国歌、掲揚、斉唱のときには立たないとか、ピアノを弾かないとか、それに対して厳罰に処するということをしたんで、それの影響で神奈川県も多少はまともに、とにかく普通どおりに立っていると、歌わないけれども、そういう状態で来ているわけですね。
 もし、それがそういう処罰がなかったら、恐らく座ったりして卒業式が混乱しますね。ということは、学習指導要領に沿っていないわけですよね。学習指導要領にちゃんと明確に沿って我々は教育をやるべきなのに、それをやらないで自分の個人的な主義主張をそういう態度で表すと。それに対してもう何も管理職言わないとなったら、これとんでもないことになりますよね。生徒だって、そういう教育受けたら、それに従ってしまいますよね。
 これはもう学習指導要領の逸脱であり、ましてや、今回新しい教育基本法ができましたけれども、それに対する逸脱行為ですよね。教育基本法は、やっぱりできた以上は守ってもらわにゃいかぬと。それに対して逸脱行為をやった場合は罰せられるべきで、またそうしないと勝手にやっていく可能性が十分にあります。
○仁比聡平君 強く罰せられるべきであるというお話で、そうしますと、刑罰法規として作るべきなんだという御主張のように受け止めたわけですが、刑罰ということになれば当然警察が捜査をするということはあるということだと思うんですね。
 森公述人に、今、久留島公述人からお話のあった点についての御見識を、この神奈川、横浜で教員の皆さんとの御一緒に運動をされてきた経験もたくさんおありだと思いますから、どんな御感想をお持ちか、お伺いをしたいと思います。
○公述人(森卓爾君) 基本的には、政治行為についての罰則を設けること自体については私は反対ですし、神奈川の中では県立高校の先生方が日の丸・君が代を強制しないでくださいという形の訴訟も横浜地裁で行われていて、議論がされておりますし、私たち憲法会議としては、神奈川県の教育委員会に対して毎年申入れをしています。その中では、教職員あるいは生徒の自主性を重んじて、日の丸・君が代についての、日の丸の掲揚それから君が代の斉唱について強制することのないようにという形で教育委員会に申入れをして話合いもしています。
 だからといって教育委員会がそうしていますということではありませんけれども、基本的にはきちっと話ができて、教育委員会との間で話ができて、申入れも真摯に受け止めていただいているという状況になっていますし、学校の中でも、東京と違って神奈川県においてはそういう処分は神奈川においては行われていないという状況が生まれています。
○仁比聡平君 今話題に出ておりますその東京の件については、地方裁判所では違憲判決が出されたわけです。規制は憲法違反であるということが裁判所によって判決をされるような性格の問題であるかと思うわけですね。
 この国民投票の運動の場面は、主権者として国民の皆さんお一人お一人が直接的にその主権を行使するという、そういう場面かと思うわけですが、そういった場面で、今現在自由である、何も問題がない行為が、その国民投票運動の場面では強く縛られてしまう。逆に、国民投票のときにはできなくなってしまうというのは、私は事柄の本質に反しているんじゃないかと思うんですけれども、森公述人そして山花公述人、御意見伺う時間があるかどうか、そこまでで終わらせていただきます。
○公述人(森卓爾君) 基本的には、一番最初、私、申し上げましたように、憲法の一番重要な国民の一人である公務員あるいは教育者も国民の一人としてこの憲法に一番強い関心を持って自分の意思を表明していく。あるいは、地位を利用すると問題なのかもしれませんけれども、どこから地位を利用したことにならないのかという、その微妙な問題が生じますので、それはある意味で自主的な規制に任されるべきだと思いますけれども、基本的にはフリーに、自主性に任せた形での、現行法の中での規制で十分であるのではないかと。そして、憲法に対する公務員や教育者が自分の意思を表明できる、そういうふうにすべきではないかと考えています。
○公述人(山花郁夫君) 公務員、教育者と並んでおりますけれども、教育者について申し上げますと、そもそも国民投票の対象年齢が十八以上ですから、子供たちに働き掛けたとしても有権者じゃない方々にやっているわけですから、違法という価値判断はそもそもできないのだろうというふうに思っております。
 また、先ほども申し上げましたけれども、公務員、教育者の地位利用といっても、今まで国民投票ということを我が国では一度も経験をしておりませんから、それによる弊害という立法事実が私は今でも確認できないと思っておりますので、もし、それこそ一回でも国民投票というのをやってみて、いや、さすがにこれはまずいんじゃないかという話があったときに、規制をするなり、罰則まで行くのかどうか分かりませんけれども、そういうことを考えるというのが本来の議論の立て方ではないのかなと思っております。
○仁比聡平君 ありがとうございました。
○公述人(久留島学君) 一つだけ仁比先生が間違っている部分があるんですけれども。
○団長(舛添要一君) 久留島公述人、簡潔にお願いいたします。
○公述人(久留島学君) さっきの東京地裁で確かに違憲の疑いがあると裁判長いたしましたけれども、これ、日野市のピアノの伴奏を拒否したその女の教師が罰せられた場合は、最高裁ではこれは合憲だということで出ていますよね。そっちの方が大きいと思うんですよね。その辺り、一部分だけ取ってどうだこうだと言うのがちょっとおかしいかなと思っています。
 以上です。
○団長(舛添要一君) ありがとうございました。
 以上をもちまして公述人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、公述人の方々に一言申し上げます。
 本日は、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。本委員会を代表いたしまして、重ねて厚く御礼を申し上げます。
 また、本地方公聴会のために、多忙な中、種々御尽力を賜りました関係者の皆様に、この場をかりまして厚く感謝申し上げます。
 これにて参議院日本国憲法に関する調査特別委員会横浜地方公聴会を閉会いたします。
   〔午後四時二十三分閉会〕