第168回国会 厚生労働委員会 第8号
平成十九年十一月二十七日(火曜日)
   午前十時一分開会
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   委員の異動
 十一月二十二日
    辞任         補欠選任
     坂本由紀子君     若林 正俊君
 十一月二十六日
    辞任         補欠選任
     櫻井  充君     川合 孝典君
     轟木 利治君     津田弥太郎君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         岩本  司君
    理 事
                家西  悟君
                谷  博之君
                蓮   舫君
                衛藤 晟一君
                渡辺 孝男君
    委 員
                足立 信也君
                大河原雅子君
                風間 直樹君
                川合 孝典君
                小林 正夫君
                津田弥太郎君
                中村 哲治君
                森 ゆうこ君
                石井 準一君
                石井みどり君
                岸  宏一君
                島尻安伊子君
                中村 博彦君
                西島 英利君
                南野知惠子君
                山本 博司君
                小池  晃君
                福島みずほ君
   衆議院議員
       厚生労働委員長
       代理       田村 憲久君
   国務大臣
       厚生労働大臣   舛添 要一君
   副大臣
       厚生労働副大臣  西川 京子君
       厚生労働副大臣  岸  宏一君
   大臣政務官
       厚生労働大臣政
       務官       伊藤  渉君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        松田 茂敬君
   政府参考人
       内閣府大臣官房
       審議官      山崎 史郎君
       法務大臣官房審
       議官       三浦  守君
       法務大臣官房司
       法法制部長    菊池 洋一君
       外務大臣官房審
       議官       田辺 靖雄君
       厚生労働大臣官
       房統計情報部長  高原 正之君
       厚生労働省労働
       基準局長     青木  豊君
       厚生労働省職業
       安定局長     太田 俊明君
       厚生労働省職業
       安定局高齢・障
       害者雇用対策部
       長        岡崎 淳一君
       厚生労働省職業
       能力開発局長   新島 良夫君
       厚生労働省社会
       ・援護局長    中村 秀一君
       厚生労働省社会
       ・援護局障害保
       健福祉部長    中村 吉夫君
       厚生労働省保険
       局長       水田 邦雄君
       林野庁林政部長  島田 泰助君
       中小企業庁経営
       支援部長     長尾 尚人君
       防衛省地方協力
       局長       地引 良幸君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○労働契約法案(第百六十六回国会内閣提出、第
 百六十八回国会衆議院送付)
○最低賃金法の一部を改正する法律案(第百六十
 六回国会内閣提出、第百六十八回国会衆議院送
 付)
○身体障害者補助犬法の一部を改正する法律案(
 衆議院提出)
○中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰
 国後の自立の支援に関する法律の一部を改正す
 る法律案(衆議院提出)
○社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正す
 る法律案(第百六十六回国会内閣提出、第百六
 十八回国会衆議院送付)
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○委員長(岩本司君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、坂本由紀子君、轟木利治君及び櫻井充君が委員を辞任され、その補欠として若林正俊君、津田弥太郎君及び川合孝典君が選任されました。
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○委員長(岩本司君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 労働契約法案及び最低賃金法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省労働基準局長青木豊君外十四名の政府参考人の出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岩本司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(岩本司君) 労働契約法案及び最低賃金法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○石井みどり君 おはようございます。自由民主党の石井みどりでございます。
 初めに、大変申し訳ないんですが、十月二十五日に質問をさせていただきましたそのときの御答弁に対して、私どうしても納得まいりませんので、一問だけそのことに関して質問をさせていただきたいと存じます。
 前回質問させていただいた平成十八年度の医療費全体の抑制額千二百億のうちの六〇%に当たる七百億を歯科医療費がかぶってしまいました。このことに関しての答弁が少し私は釈然といたしません。と申しますのも、そのときの水田局長の御答弁ですと、これは一日当たりの医療費、これはマイナス一・八%であったので、本来の歯科の改定率はマイナス一・五%であった、このことはさほど予測は間違ってなかったというようなニュアンスの御答弁であったかと思います。
 ただし、そのときに、なぜ七百億、歯科が六割にもわたる医療費の減額をかぶったのかというふうに伺いましたら、これは受診延べ日数の方の減少が影響したというふうにお答えいただいたと思いますが、そうであったですね。そのように認識をされていますですね。確認のためにちょっと伺います。
○副大臣(西川京子君) 御質問にお答えいたします。
 本日、今の御質問に対しては、確かに受診延べ日数の方を基本としてそういう方向になったと聞いております。
○石井みどり君 実は平成十八年、その前からでございますが、大変金属の値段が高騰いたしました。特に金、パラジウムが高騰いたしまして、一〇%以上のその影響があるときは随時改定ということが行われます。半年ごとの計算で随時改定ということが行われますが、実は平成十八年十月に金パラ材料の高騰による随時改定が行われました。このことが平成十八年度の歯科医療費に与えた影響をどの程度と把握をされておられるんでしょうか。
○副大臣(西川京子君) 毎半年に一度、金属材料費が値上がり、非常に激しく上がりますので、六か月に一度この見直しを行っておりまして、平成十八年の十月に材料費の上がり分について引上げをしているところでございますけれど。
○石井みどり君 そのときの値上げ額が歯科医療費への全体への影響というのを何%というふうに把握をされておられるんでしょうか。
○副大臣(西川京子君) 約〇・六%と考えております。
○石井みどり君 一年間で一・一%というふうに計算をされていると思います。そうしますと、半年間で〇・五五%上がったという計算だというふうに認識します。
 そうであれば、随時改定の影響率を加味すれば、平成十八年度当初の医療費はマイナス一・五%の計算であったんですが、これは逆に、一日当たりの医療費をマイナス一・八%の計算ということですが、実際は、これが十月に値上げをされたからであって、されてもなおかつ七百億という医療費が減額したわけですから、本当の一日当たりの歯科医療費の伸びはマイナス二・三五%であって、水田局長が答弁された受診延べ日数の影響率よりも一日当たりの歯科医療の伸びの方が上回る、マイナス二・三五%の方がマイナス二・一%上回る、こちらの影響の方が大きかったんではないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
○副大臣(西川京子君) 今の委員のお話、詳しく精査いたしますと、確かに材料費の値上げ分を吸収してもなおかつ影響が大きいということで、今後、しっかりと現場のお話承りながら、報酬改定にも前向きに検討したいと思っております。
○石井みどり君 西川副大臣、前向きなお答えいただきましたが、実は、これはやはり当初、平成十八年の診療報酬改定のときに、何をどうすればどれぐらいの影響が出るという影響率を推計されると思うんですが、私どもは断腸の思いでマイナス一・五%を平成十八年に受け入れたわけですね。もうそれ以前にも本当にマイナスが続いていて、骨を切り肉を切り、もうこれ以上切るところがないけれども、これをもう本当に涙をのんで受けたわけですが、実は一・五%なんかではなくって、マイナスの、前回申し上げたように、三・九%にわたる減額であったと。しかも、それに〇・五五%を加えると、何とマイナス四・四五%にもわたる影響であった。明らかに影響率の推計ミスではないんでしょうか。はっきり申し上げて政策ミスだったんではないんでしょうか。これによってもう日本の歯科医療、もう骨も切り肉も切っていますから立ち上がることができない、そこまで日本の歯科界は追い詰められています。このことを十分よく受け止めていただきたい。
 あのときのお答えですと、受診日数が減ったことによる影響が大きいというふうに言われました。そのときも、患者さんは保険で今まで受けられた治療が受けられなくなった、特に国民病と言われる歯周疾患、これは定期的な予防管理が重要、これが保険で受けられなくなった、そのことによる患者さんの受診抑制だというふうに申し上げたけれども、それが医療費が減ったことではないというふうにお答えでした。しかし、この随時改定の影響を入れると、何と当初の予測をはるかに超える大きな減額に至った。明らかな政策ミスだと思います。
 来年度の診療報酬改定、目前に迫っておりますが、どうぞこのことをよく踏まえて今後の診療改定に臨んでいただきたい、強く要望いたします。
 続きまして、次に順次、労働関係二法案について取り上げていきたいと思います。
 まず最初に、最低賃金法の改正案についての御質問をさせていただきます。
 最低賃金は、労働者の方々のセーフティーネット、本当に安い価格で働く、そこに対するセーフネットであって、労働条件の極めて重要な要素であるというふうに認識をしております。そして、賃金の最低水準についても、国が法的な強制力を持って支払者のその支払を罰則をもって義務付けるものであるというふうに思います。
 その最低賃金制度について、約四十年ぶりの抜本的な見直しとして、生活保護との整合性について配慮する旨の規定が加えられました。そしてまた、罰則も強化するなどの改正を今般の法案については行うことができて、より働く方々を守るという観点からは一定の評価ができるのではないかというふうに思っております。
 そこで、最低賃金法改正案の重要なポイントに絞って伺いたいと存じます。
 最低賃金は、さっき申し上げたように、働く人を守るためのものですから、その水準は高い、これにこしたことはないというふうにも思いますが、しかしながら、最低賃金はそれを下回る賃金を払った場合には罰則も科せられるわけですから、やはりその水準決定というのは経済情勢に応じて適切に、そして慎重に行われる必要もあろうかと思います。
 我が国では、最低賃金の水準については、労使が対等の立場で審議会に参画して、労働者の生計費、労働者の賃金、通常の事業の賃金支払能力という三つの決定基準を基に十分な議論が行われて決定されているというふうに認識をしております。今般の改正法案においても、このうちの労働者の生計費については生活保護との整合性について配慮する旨の規定が追加されておりますが、このことに関して、労働者の生計費を考慮することは大変重要だと思いますが、ただ、やはり適切な最低賃金の水準を決定するためには、労働者の賃金や地域の経済情勢に見合った賃金支払能力についても考慮が払われる必要があるんではないかと思います。
 このことに関して、最低賃金の三つの決定基準についてはひとしく勘案すべきだと思いますが、政府の御見解を伺いたいと存じます。
○政府参考人(青木豊君) 最低賃金の妥当な水準というものを決定するためには、お話ありましたように、労働者の生計費に加えまして、最低限度の賃金を保障するという制度の趣旨から、労働者の賃金水準や企業の賃金支払能力を総合的に考慮する必要があるというふうに思っております。
 今般の最低賃金法改正法案におきましては、地域別最低賃金は、地域における労働者の生計費、それから賃金、それから通常の事業の賃金支払能力を考慮して定められるものとしているところでございます。この具体的な水準については、地方最低賃金審議会における地域の実情を踏まえた調査審議を経て決定されるものでございますが、これらの三つの要素につきましては軽重があるものでなく、いずれも地域別最低賃金の決定に当たって考慮されるべき要素であるというふうに考えております。
○石井みどり君 今の御答弁にありましたように、都道府県別に地域別最低賃金というものが決定されているわけですが、場合によっては生活保護の水準を下回るケースもあるというふうに聞いております。これでは全く働く方々の生活も成り立たない、そして就労意欲もそがれるという結果につながるんではないかというふうに思います。
 今般の法案で、第九条第三項において、労働者の生計費を考慮するに当たっては、生活保護との整合性について配慮する旨の規定が設けられているわけですが、この地域別最低賃金の水準の決定については今御答弁あった三つの決定基準に基づいて行われるわけですが、この第九条第三項の規定については、地域別最低賃金の水準は生活保護の水準を下回らないという趣旨であるというふうに理解しますが、そういう認識でよろしいわけですね。
○政府参考人(青木豊君) 最低賃金は最低限度の生活を保障するものであります。モラルハザードの観点からも、労働者の生計費については生活保護との整合性が問題となるということでありますので、今般の改正におきましては、地域別最低賃金を決定する際に考慮すべき要素の一つでありますこの生計費について、生活保護に係る施策との整合性に配慮するということを明確にいたしているわけであります。
 お話ありました生活保護との関係でありますけれども、地方最低賃金審議会における調査審議に当たりまして、考慮すべき三つの要素のうち一つでありますこの生計費については、最低賃金法については、生活保護に係る施策との整合性に配慮するという書きぶりといたしておるわけでありますが、これは御指摘ありましたように、最低賃金は生活保護を下回らない水準となるよう配慮するという趣旨でございます。
○石井みどり君 最低賃金制度の見直しの中でよく諸外国との比較が行われますが、先般の委員会でも、アメリカの連邦最低賃金のことに言及をされたと思いますが、このアメリカの連邦最低賃金も引上げが行われたところでありますが、ただ、これをすべて日本の最低賃金と比較をするということは少し無理があろうかというふうにも思っております。
 例えば、アメリカの連邦最低賃金というのは、日本と違って売上げが年商五十万ドル未満の事業所には適用されない。しかしながら、日本では一人の労働者でも雇用していれば最低賃金以上の賃金の支払が義務付けられているわけでありますので、やはり単純な比較はできないかというふうに思いますが、しかしながら、働く人を守るという観点においてはやはり我が国の最低賃金の引上げを行っていくべきだというふうに思います。
 その引上げの手法については、例えば千円というような金額も出ていたかというふうに思いますが、いきなり大幅に上げるというようなことではなく、やはり地域の実情、また日本の中小企業の事業主の事業経営、ここで働く方が大変多いわけですので、その働く方々の雇用を守るというそういう観点からも、中小企業の企業経営の環境ということを、これもやはり大事にしながら、これに併せて最低賃金引上げを行っていくということが私は現実的ではないかというふうに思っておりますが、いかがお考えでしょうか。
○政府参考人(青木豊君) 最低賃金はすべての労働者について賃金の最低限を保障する安全網としての役割を果たすということでありますので、今般この役割を地域別の最低賃金が担うというふうに整理をいたしまして、各地域ごとに決定することを義務付けるなど必要な機能強化を図っております。
 この具体的な水準については、地方の最低賃金審議会における地域の実情を踏まえた審議を経て決定されるものでございますが、今回法案も成立した暁には、審議会においてこの法改正の趣旨に添った審議が行われまして、その結果に沿って現下の雇用経済情勢を踏まえた適切な引上げ等の措置が講ぜられるということになるというふうに思っております。
 今年の二月に取りまとめられました成長力底上げ戦略では、成長力底上げ戦略推進円卓会議におきまして、生産性の向上を踏まえた最低賃金の中長期的な引上げ方針について政労使の合意形成を図り、その合意を踏まえて最低賃金の中長期的な引上げに関して、産業政策と雇用政策の一体的運用を図るというふうにされております。
 生産性の向上は、最低賃金の決定に当たっての考慮要素である通常の事業の賃金支払能力の向上でありますとか、あるいは労働者の賃金の上昇につながるものであります。中長期的にはこうした取組の成果としての生産性の向上に見合った最低賃金の引上げがなされるものと期待をいたしております。
○石井みどり君 今の成長力底上げ戦略についてのことですが、最低賃金を引き上げるためには、やはり先ほども申し上げた経営環境の整備という観点からも中小企業対策が非常に重要になってくると思います。
 先般の委員会でも、この中小企業の生産性の向上とともに最低賃金の引上げを図る、今御説明があった成長力底上げ戦略についての御議論があったかというふうに記憶しておりますが、この中小企業の生産性の向上と最低賃金の中長期的な引上げの基本方針というところに関しまして、中央及び地方での成長力戦略にかかわる円卓会議でどのような意見が出たのか、そのことについての御紹介をいただければと思います。
○政府参考人(山崎史郎君) お答えいたします。
 御指摘の成長力底上げ戦略の円卓会議でございますが、ここの場では中小企業の生産性向上と最低賃金の引上げもテーマになってございまして、政労使間で議論が行われている状況でございます。その中では、例えばこれは労働側でございますが、最低賃金に関しましては労働者の生計費に即した水準とすべきではないか、生活保護水準との逆転現象を解消すべきではないかといった意見が出されております一方で、特に経営者サイドの方からは、最低賃金の引上げに当たりましては中小企業の生産性の向上、これを先行又は同時に進めるべきではないかと、こういう意見が出されているところでございます。
 また、各都道府県で開催されております地方円卓会議、これはこれまで一回若しくは二回開催されてございますが、そこにおいてもほぼ同様の御意見がありますとともに、各地域の実情でございますが、それに加えまして、例えば若年者の雇用の促進でありますとか地域における雇用拡大、経済の活性化、こういったものが必要であると、こういう御意見が出されているところでございます。
○石井みどり君 ただいま御紹介いただいた意見というのは、それぞれの地域や職場に根差した貴重な御意見であろうかというふうに思いますが、この御意見を基本方針の取りまとめに適切に反映させるべきだというふうに思っておりますが、基本方針への具体的な内容についてはどのようにお考えでしょうか。
○政府参考人(山崎史郎君) お答えいたします。
 御指摘のとおり、今回の円卓会議では中小企業の生産性向上と最低賃金の中長期的な引上げの基本方針を政労使でまとめていくと、こういう合意形成がなされている次第でございます。
 具体的内容に関しましては、御指摘のとおり、いろんな様々な地域における意見等も踏まえまして今後更に労使間を始め関係者の間で検討させていただいて、年内を目途に取りまとめていきたいと、このように考えている次第でございます。
○石井みどり君 是非実りある合意というのを取りまとめていただくようにお願いをしたいと存じます。
 今お話のるるあった成長力底上げ戦略に掲げられた施策、この実効性について伺いたいと思います。
 よく言われる縦割り行政というのではなく、省庁の枠を超えた政策パッケージを取りまとめていくというのは大変な御苦労があろうかと思いますが、一番問題は、どんなに政策を打ち出しても、政策を作っただけ、やりっ放しということでは実効性というところでは大いに疑問があろうかと思います。やはりきちんと、どれだけその政策が効果があったのかという事後の評価ということも行われて、そして効果がなかったもの、あったものをきちんと検証して、そして貴重な税金を効果があるというところで使っていただきたいというふうに思いますが、この成長力底上げ戦略においては、やはり中小企業の生産性向上ということが非常に雇用を守る、最低賃金に関しても大変重要なわけでありますので、この成長力底上げ戦略に盛り込まれた各種の中小企業対策の成果あるいは中小企業の生産性向上というものをどのように測定して評価していくかという、どういう手法をお使いになろうとしておられるのかをまずは伺いたいと思います。
 そして、これはやはり二月にこの戦略は策定されたというふうに認識しておりますが、中小企業庁の方にお聞きしたいのは、さっき申し上げた、単に戦略を策定してそれで満足して終わりというのではやはり困る、しっかりした成果を上げていただいて、やはり地方の中小企業、これ頑張っていただかなきゃいけないためにも、数値目標を掲げて取り組んでいただきたい、その施策を示して、その後やはり達成状況をきちんと評価をしていっていただきたいというふうに思いますが、その辺りのお考えをお聞かせいただきたいと存じます。
○政府参考人(山崎史郎君) お答えいたします。
 まず御指摘の点でございますが、生産性という面では、最終的には労働生産性というのが一つの指標になるかと考えている次第でございます。
 具体的には、これは付加価値総額を総労働時間で除したものでございまして、労働者一人当たり一時間当たりの付加価値額の伸び率、これが基本的にはこの生産性を示すものというふうに考えている次第でございます。
 ただ、この数値自体は非常にマクロ的な数値でございまして、正に御指摘の政策面での評価という点でいきますと、まさしくこういう生産性を上げていく政策、各政策ごとに当然それぞれの評価が必要となってまいる次第でございます。例えば、IT化の推進でありますとか新規事業の創出といった、まさしく付加価値を高め更に省力化を進めていくと、こういう各政策ごとの正に目標を設定し、それを評価していくという形で、私ども内閣府と関係省庁連携しまして、これについて政策的なフォローを行っていくという体制でいる次第でございます。
○政府参考人(長尾尚人君) 経済産業省といたしましては、本年二月の成長力底上げ戦略を踏まえまして、今月十三日に、中小企業の生産性向上に向けた取組を加速する道筋を示します中小企業生産性向上プロジェクトを取りまとめまして、公表をいたしたところでございます。
 委員御指摘のとおり、単に戦略を策定するだけじゃなくてしっかりとした成果を上げると、そういったような観点から、本プロジェクトにおきましては、可能な限り数値目標を掲げて取り組むべき施策を示しまして、平成二十一年度までの三年間集中的に施策を講じていこうというふうに考えているところでございます。
 例えば、平成二十一年度までに小規模企業の約一割に相当いたします三十万社にITを活用した財務会計の普及、整備を図るといったこととか、中小企業地域資源活用プログラムによりまして五年間で千件の新しい事業の創出を図っていく、そういった支援策を実施してまいります。
 こういったような取組を含めまして、予算、金融、税制等の政策資源を有効活用いたしまして、総合的に施策を実施し、中小企業の約二割に相当します合計八十万社の中小企業において、生産性向上に向けた前向きな取組が創出されることを目指してやっていきたいと思っております。また、事後的にその実施状況に関しますフォローアップもしっかり行ってまいりたいというふうに思っております。
○石井みどり君 今伺ったところ、成長力底上げ戦略というのは、やっぱり非常に、最低賃金の引上げとともに中小企業の生産性向上を同時にお進めになるということなので、政策として非常に重要だというふうに思っておりますが、何事もやはり実行力を伴ってやっていただくということが重要であろうかと思いますので、今後とも中小企業対策の推進を切にお願いをしたいと存じます。
 それでは、最低賃金に関しまして、改正案におきましては、この法違反に関して労働者からの申告権を保護する規定を新たに設けるということなど、働く人を守るための手当てがなされていると思います。
 しかし、さっきも申し上げたように、政策あるいは法律というようなものは、せっかく作ってもそのことがやはり生きてこなければ何の役にも立たないというふうに思います。最低賃金を引き上げても、そのことを働く人が、その地域で幾らが最低賃金なのか、今もらっている自分の賃金が違反しているかということも知らなければこの規定を設けても全く意味がないということになりますが、この最低賃金時給幾らというようなことを、よく労働基準監督署辺り、あるいはハローワークに行くといろんなリーフレットが並んでいます。そういうところでもきちんと、何々県では幾らが最低賃金だというふうに明示してあるようなリーフレットを見掛けますが、ただリーフレットを作って置いただけというのでは、これはやはりそこに行った人しか知らないということになろうかと思います。やはり、このことを働く方々にきちんと知っていただく、そのことも大変重要だというふうに思っておりますが、いかがでございましょうか。
○政府参考人(青木豊君) 最低賃金制度は、すべての労働者の賃金の最低限を保障するセーフティーネットでありますので、最低賃金の履行確保が大切であるというふうに思っております。
 そういう観点からも、委員御指摘になりましたように、その周知広報というのは大変重要であるというふうに考えております。このため、従来から、ポスターへの掲示だとか、あるいはリーフレットの配布、あるいはホームページへの登載などによりまして、最低賃金額の周知を行ってまいりました。地方公共団体に対する広報誌への掲載依頼なども行ってまいりました。様々の周知広報活動を行ってきているところでございます。
 今後とも、労働者あるいは使用者団体それから民間団体など、広く国民に対しまして、インターネットや広報媒体なども活用しまして、御指摘のとおり、現在適用されている最低賃金額が分かるように周知徹底を図ることといたしまして、広報を実施していきたいというふうに思っております。
○石井みどり君 是非、今の時代ですから、様々な媒体を使って周知をしていただければと思います。
 さて、最低賃金からする最後の質問をさせていただきますが、今後もやはり、この最低賃金ということはやはり引き上げていって、働く人が本当に元気で働いていける、そのことを守っていかなくてはいけないと思いますが、この最低賃金引上げに向けた今後の取組とか、そういった厚労省の御見解を伺えればというふうに思います。
○政府参考人(青木豊君) 今般の改正法案におきましては、最低賃金制度がセーフティーネットとして十分に機能するように、地域別最低賃金について、その水準について生活保護との整合性も考慮して決定するということを明確にしたわけでございます。
 具体的な水準については、これは地方最低賃金審議会において審議を経て決定されるというものでありますが、今回の法案が成立した暁には、法改正の趣旨に沿った審議が審議会においてなされて、その結果に沿って現下の雇用経済状況を踏まえた適切な引上げ等の措置が講ぜられるというふうになると思っております。
 また、成長力底上げ戦略推進円卓会議におきまして、中長期的な引上げ方針について政労使の合意形成を図りまして、最低賃金の引上げに取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○石井みどり君 続いて、労働契約法案について御質問をさせていただきます。
 近年、産業構造の変化とか就業意識の多様化などということを背景にして就業形態も多様化してきております。いわゆる正社員のほかに、パートタイム、派遣、契約、あるいは高齢者の方々の嘱託というふうに、また請負というような様々な働き方の形態があろうかというふうに思っておりますが、こう働き方が多様化してきますと、やはりその労働に関する法制度の在り方というものもそれに伴って変化をしていかなくてはいけない、発展をしていかなくてはいけないというふうに思っております。
 労働法制というのは、やはり労働者を保護するということが一番の根底になければならないというふうに思いますが、その働き方が多様化すれば、そういう多様な働き方に合ったルールをきめ細かく整備していくことが求められるかというふうに思います。
 その一例として、先般の通常国会ではパートタイム労働法が改正をされました。そして今、パートタイム労働者が大変増加をしているわけですが、その中で公正な処遇が行われることを期待するわけであります。しかし、一方、どのようなルールを作ったとしても、その働き方の多様に伴った必要な整備が図られなければ、やはりこれもルールが絵にかいたもちになろうかというふうに思います。
 そこで、今回の労働契約法案は、労働契約に関する基本的なルールを明確に定めるものとして幅広い労働者の方々に適用されるべきというふうに思いますが、この法案の対象者、対象となる労働者の方々はどのような範囲の方々をお示しをするのでしょうか。
○政府参考人(青木豊君) 労働契約法案の労働者には、使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者のすべてが含まれております。労働者であるか否かは、現行労働基準法の労働者と同様に、契約形式にとらわれず、その実態によって判断するということとしております。
 したがって、就業形態を問わず、お触れになりましたようなパートタイム労働者などでありましても対象に含まれるものでありますし、また、契約当事者が個人請負という形で契約を締結していても、実態として使用従属関係が認められるのであれば労働契約法案の労働者として取り扱われ、同法案で規定する労働契約に関するルールが適用されるものでございます。
○石井みどり君 本来、契約というのは対等な当事者間の合意によって締結されるべきだというふうに思いますが、事やはり労働関係においては、経営者と労働者というと、どうしてもやはり使用人にしかすぎない労働者との間には大きな力の差があるというふうに私は認識をしております。その持っている力、交渉力、情報力というところにおいてもやはり大きな格差があるというふうに思わざるを得ません。中には、高度に専門的な知識や経験、技量を生かして、いわゆるプロフェッショナルな労働者という方であれば対等ということも考えられますが、一般の労働者の方々は決してその契約意識に関してもそこまでの認識はお持ちではないのではないか、それが現状ではないかという気がいたします。自分が働く労働条件を完全に理解して結んでいるわけではないというふうな気がいたします。そのことがやはり経営者側と労働者側の働くための条件の認識の行き違いなり紛争の原因になるんではないかというふうに思っています。
 この点では、労働契約法案では、労使の両当事者間の対等性ということを確保するために、使用者、経営者の方が労働条件について労働者の理解を深めるようにすることが盛り込まれたわけですが、労働契約法案の第四条に基づいて契約の当事者は具体的にどのような場面でどのような措置を講ずるということが求められているのかをお聞かせいただきたいと存じます。
○政府参考人(青木豊君) 労働契約法の第四条はある特定の場面で特定の具体的な措置を講ずるということを求める規定ではありませんけれども、四条一項では、締結、変更した後の労働契約の内容について労働者の理解を深めるようにするということでありますけれども、この第一項の労働者の理解を深める内容としては、例えば就業環境や労働条件が大きく変わる場面において労働条件などをしっかりと説明したり、労働者が説明を求めた場合に使用者が誠実に回答するということなどが考えられます。
 また、二項で言っております、契約内容についてできる限り書面により確認するということでありますけれども、このできる限り書面で確認するという規定は、労働契約締結の場面のみならず、それ以外の場面、例えば就業環境や労働条件が大きく変わる場面において、手当でありますとか賞与、あるいは休暇制度、あるいは福利厚生の仕組みなどの労働条件などにつきまして労働者が確認したいと考えた場合などにおいて、労使が話し合って、使用者が適宜、労働契約の内容を書面で示すことなどが考えられます。
 なお、この衆議院における修正によって、その二項の労働契約の内容という文言に続けて、括弧書きでありますけれども、期間の定めのある労働契約に関することを含むという文言が追加されまして、期間の定めのある労働契約についてその内容をできる限り書面で確認することは重要であることが明確にされたところでございます。
○石井みどり君 やはり契約意識を高めるということも非常に重要でありまして、そのためにあらかじめ労働側、使用者側が取り決めた事項をやはり双方がきちんと理解をして確認をしておくということが重要であろうかというふうに考えますが、是非今後もその方向でお取り組みいただきたいというふうに思います。
 また、この法案においては第五条に安全配慮の規定があります。安全に安心して働くということ、職場での安全が確保されるということは大変重要なことでありますが、また会社側にとっての利益も大変そのことが大きい。労働災害ということがあれば、会社としての社会的責任だけではなく、やはり貴重な労働力を損なう、また社会的責任というか、社会に対してその企業が持つ価値というようなものも低下させるわけですので、やはり大変重要なことだというふうに思っております。また、働く人々の就労意欲というか、そういうことにも大きく影響をするというふうに思っております。
 この労働者の安全ということでは、既に労働安全衛生法という法律がありますが、いわゆる三管理と言われるような安全管理体制というものが示されているわけですけれども、今回のこの法案に関しても安全の面での指摘がありますが、そこで、この使用者による労働者の安全配慮に関しては、労働安全衛生法に規定されているだけでなく、今回のこの労働契約法案の第五条に安全配慮の規定を設けた、この意義というところはどういうところにあるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(青木豊君) 労働契約法案におきましては、第三条で労働契約の原則として、第二項ですが、労使双方が労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に義務を履行することなどを定めております。これに従って、労働者が契約上の義務を果たすために労働するに当たっては、使用者はそれが円滑に行われるようにするために必要な安全配慮をすることが求められます。
 こうした使用者の安全配慮責任というのは、判例上も、契約の内容として具体的に定めなくとも、労働契約から当然に労働契約上の義務として負うものというふうにされております。しかし、このことは民法の規定からは明らかになっておりません。そのため、使用者が安全配慮を講じなかったことをもって裁判などで争われる事例も多数存在しております。
 このため、使用者は労働契約に基づいてその本来の債務として賃金支払義務を負っているわけですけれども、そのほか、労働契約に特段の根拠規定がなくとも、労働契約から当然に労働契約上の義務として安全配慮責任を負うことを明らかにすることとしたものでございます。
○石井みどり君 既に、先ほど申し上げたように、労働安全法という法律があって、しかもこれは大変使用者側にとっては厳しい罰則を持った法律ではありますが、それでもやはり法違反ということが日々、日本の各地で行われています。事故が、繰り返し起こす会社もあるわけですし、やはりそのことは、安心して労働者が働くという環境はどうしてもつくっていかなくてはいけない。この労働契約を締結することに伴っても、使用者は当然労働者の安全に配慮をしなくてはいけないということが盛り込まれたということは大変重要だというふうに思っています。繰り返す事故というようなことがこれで少しでも防がれるということを期待はいたします。
 そして、この労働契約法案においては、就業規則ルールということに関して先般のこの委員会でも議論がされたところでありますが、この就業規則ルールが判例法理に沿ったものであるということが確認されたかというふうに思います。また、就業規則の内容は合理的でなければならないということを法案に規定することによって、使用者の側の合理的な行動を促して、個別の労働紛争の防止であるとか、あるいは労働者の保護につなげていこうというものであったかと思います。
 この就業規則に関して、私も少しお伺いをしたいと思います。
 この法案の第十三条には、労働基準法第九十二条と同様に、就業規則が法令や労働協約に反してはならないということが規定をされております。そして、法令や労働協約に反した場合の法的な効果については第七条、第十条及び第十二条の規定については適用しないとされています。
 ここでまずお伺いしますが、この法案の第十三条の趣旨は、法令などに違反している就業規則は労働契約法案における就業規則ルール、すなわち合理的な就業規則であれば労働契約の内容になるといったルールは適用されない、そしてそのような就業規則は労働契約の内容にはならないということであったかというふうに認識しておりますが、この認識で間違いはないでしょうか。
○政府参考人(青木豊君) 御指摘のとおり、就業規則が法令に反する場合には労働契約法の七条、十条、十二条の規定は適用されないということでありますし、法令に違反する就業規則の内容については労働契約の合理性の判断をまつまでもなく労働契約の内容となることはないということでございます。
○石井みどり君 では、法案第十三条に言う法令とはどのようなものを指しているんでしょうか。例えば、労働基準法に違反しているような場合であれば労働条件の最低基準に達しない内容の就業規則ということになろうかと思いますが、そのような就業規則の効力は認められないというふうに思いますが、そのほかの法令の場合はどのようなことになるんでしょうか。
○政府参考人(青木豊君) 労働契約法案十三条で言っております法令というのは、労働基準法における労働条件の最低基準を定めた規定はもちろんでございますけれども、それを含むすべての法律等に規定されている強行規定を意味しております。したがって、この労働契約法案によりまして、労働基準法以外の法令も含めたすべての法令の強行規定に違反する就業規則の内容は労働契約の内容とはならないということでございます。
○石井みどり君 労働基準法に限らず、この強行規定に違反する場合は就業規則の効力はないと、認められないということであるならば、このことがこの法案にきちんと明記されるということは、そしてそのことが広く使用者側、労働者側双方に周知されるということは大変意義があるというふうに思います。
 現在、労働基準法第十八条の二におきましては解雇権濫用に関する規定が置かれています。今回この規定が労働契約法案の第十六条に移行することとされていますが、この労働基準法第十八条の二という条文は平成十五年に改正された労働基準法に盛り込まれたものであって、当時も様々な御議論があったというふうに認識をしておりますが、そのとき判例法理に沿って規定されたものであるというふうに承知をしております。この規定が立法化されたということが今回の労働契約法案の制定の議論につながったというふうに認識をいたしております。
 今回、この解雇権の濫用に関する規定が労働基準法から労働契約法案に移ったということ、これは、判例法理に沿って労使当事者間の労働契約関係について規定をする労働契約法案に移ったということは私は適切なことであろうかというふうに思っていますが、この労働基準法第十八条の二を労働契約法に移行させた趣旨というものを再度伺いたいと存じます。
○政府参考人(青木豊君) この労働基準法、現行十八条の二は権利濫用に該当する解雇というものは無効だという民事的効力を定めた規定でございます。一定の基準を下回っているか否かと、そういうようなことではなくて、したがって労働基準監督官による履行確保を前提とするというものでもないわけでありますので、本来はそういったその契約ルールという中で規定されるものだというふうに考えております。
 しかし、委員もお触れになりましたように、平成十五年の労働基準法の改正当時におきましては、解雇に係る規定、この一条のみで新たに労働契約法を制定するということは適当ではないということで、言わば労働基準法にその一条を追加したという経緯がございました。今般、労働契約について包括的な法律であります労働契約法を制定するというのに合わせまして、この十八条の二の規定を基準法からそれでは移行しようということでこのようにいたしたものでございます。
○石井みどり君 就業形態の多様化ということを先ほど申し上げましたが、この多様化の一つとして、契約期間を定めて働いている労働者、すなわち有期契約労働者の方々がおられるわけですが、非常に増加をしております。この有期労働契約については、その働く方々の、その御自分の生活ペースに合わせたというところもありますが、やはり労働者のニーズにこたえるというだけでなく、やはり使用者側の理由ということも大きくあるのではないかというふうに思っています。
 この契約期間が区切られているということは働く方々、労働者としては大変な不安をお持ちであり、また地位も不安定ということにつながりかねないというふうに思います。今の労働市場ということでは様々なニーズがあろうかと思いますが、この有期労働契約の活用が進んでいるという現実の中で、有期労働契約をより良い、働く方々にとっていい方向に持っていくということが大変大事なのではないかというふうに思っています。
 今回の労働契約法案というのは、その有期労働契約が不安定な働き方を強制するのではなく、むしろそのことが働く方々にとって都合がいいと言ったらおかしい、コンビニエントであるというような働き方として活用されるためにもこの対策が大変重要になってくるのではないかというふうに思っておりますが、この有期契約労働者の方々の安心して働くための対策ということをどのようにお取りになっておられるのかお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(青木豊君) 有期労働契約の実態を見ますと、契約更新時などに契約の終了場面についての紛争が多く発生しております。
 労働契約の終了は労働者にとって影響が大きいということでございますので、この労働契約法案におきましては、有期労働契約について、契約期間中はやむを得ない事由がないときは解雇できないことを明確化するということや、使用者に対しまして、その労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることによって、その労働契約を反復して更新することのないよう配慮を求めることという、有期契約労働者が安心して働くことができるルールを盛り込んでおります。
 さらに、これに加えまして、衆議院におきまして四条二項の規定が修正されまして、有期労働契約について、その内容ができる限り書面で確認することが重要であることが明確にされたところでございます。
○石井みどり君 この有期労働契約に関するルールが遵守されるということが大変重要であろうかと思います。今取られたような対策ということがその一つというふうには思いますが、やはり特にもう有期契約労働の方は、正社員、正規という方と比べても非常に力関係として弱い、そういうことがあろうかと思いますので、行政の果たす役割がここにこそある、大変大きいものがあろうかというふうに思いますので、是非、今お答えになったようなことをこれからもきちんとしていただければというふうに思っています。
 時間も限られてきましたので、それでは、先般の十一月二十日のこの委員会において民主党の吉川沙織委員からも御指摘がありました若年者の雇用に関して一つお伺いしたいと思います。
 あのときのお話も大変胸を打つものがございました。私も、実は小児歯科医として三十二年間働いてきましたが、実は私が診ていた子供たち、一歳半から診た子供たちも大人になって働いていくようになった。特に、就職氷河期であった今三十歳を超えた彼らがどれほどの苦労をしたか、それを私は身近な立場で見ておりました。年に二回の定期検診で来るだけのその関係であるからこそ、客観的な立場だったからか、親にも言わないような苦しみを私に話したのを忘れられません。まだ二十歳そこそこ、私から見れば人生のまだ始まったばかりであるかのような若者が、幾ら就職試験を受けても落ちる、そのことが、自分の全存在を否定されたかのように受け止めてしまった。私は、忘れられない言葉は、僕はこの社会に必要なんでしょうか、僕は生きてていいんだろうかと言ったその言葉が忘れられません。
 そのことで今、様々な施策あるいは政策ということが行われているかというふうに思いますが、どういう対策を取られているのか。特に今、年長フリーターと言われる方々、この方々が大変な御苦労をされておられます。そういう方々を含めて、どのような施策を行っておられ、また、そのことをどうきちんと評価をして、そして効果的な施策を引き続いて行っていくおつもりがおありなのか、お聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(太田俊明君) 若者の雇用対策につきましては、今お話ございましたように、就職氷河期と呼ばれたような大変厳しい雇用状況を踏まえて、平成十五年六月から若者自立・挑戦プランを策定いたしまして、関係府省が連携して政府全体として各施策を推進してきたところでございまして、現在は、昨年末に取りまとめられました再チャレンジ支援総合プランにおきまして、二〇一〇年までにフリーターをピーク時の八割に減少させるという数値目標も掲げまして政府全体で取り組んでいるところでございます。
 そういう状況の中で、若者の雇用情勢につきましては、最近は新規学卒者の就職状況が改善傾向にありまして、いわゆるフリーターの数は三年連続で減少するなど改善の動きが見られるところでございます。
 ただ、しかしながら、今お話ございました、就職活動の時期が新卒採用に特に厳しい時期、いわゆる就職氷河期に当たって正社員となれずフリーターにとどまっている若者、いわゆる年長フリーターでございますとか、さらには、ニート状態などの無業者が依然として多いということがございますので、こうした若者に対する支援に重点的に取り組むということは極めて重要だと考えております。
 例えば、平成十九年度におきましては、私ども、今申し上げました、改善が遅れている年長フリーターの正規雇用化を支援するなど、フリーター二十五万人常用雇用化プランを推進しておりますし、また、ニートを始めとします若者の働く意欲を高める若者自立塾や、若者の置かれた状況に応じた専門的な相談、自立支援を実施する地域若者サポートステーションの推進にも努めているところでございます。
 さらには、さきの通常国会で改正いただきました改正雇用対策法に基づきまして、新卒者以外への門戸の拡大など、若者の応募機会の拡大を図るための企業等に対する周知啓発、指導等にも取り組んでいるところでございます。さらに、今後は、年長フリーターに対する常用就職の支援の充実、さらには、いわゆるジョブ・カード制度における若者の能力開発機会の提供等も進めていきたいということでございます。
 今後とも、各種施策につきまして、今お話ございました政策評価等を通じまして見直しをしっかりと行って、効果のある施策につきましては充実を図っていくということによりまして、各施策が実効性を持って実施されるように取り組んでまいりたいということでございます。
○石井みどり君 この日本において、若者が自分の未来を信じれない、夢も希望もないようなそんな国にしないように、働くということは社会参加をする、自分の居場所を見付けて自己実現を図っていくということ、大変大きな意味があろうかというふうに思いますので、今後とも是非、ともに頑張って取り組んでいけたらというふうに思っております。
 質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○島尻安伊子君 自由民主党、島尻安伊子でございます。
 まず冒頭、先月の十月二十九日に厚生労働省あてに提出されました国民健康保険特別調整交付金の算定システムの誤りに伴う交付不足額の全額補てんに関する要望、大変長い要望書でございますけれども、この件についてお聞きしたいと思います。
 発覚当時の新聞によりますと、厚労省は補てんの規模やその財源を調査をして実態を把握してから検討するというふうにしておりますけれども、この問題解決への進捗状況について、まず御答弁いただけますでしょうか。
○副大臣(西川京子君) まず、今回のこの国民健康保険の調整交付金については、国の方で御提供したシステム開発のソフトに誤りがあったということで、大変各市町村に御迷惑を掛けたということはおわびしなければいけないことだと思っております。
 その中で、今回、要は各市町村の国保財政の中に過不足が出てしまったということですね。本来もらうべきものがもらえなかった、あるいはちょっと多めにもらってしまったというところ、市町村が出てきてしまったということが大きな問題でございますけど、特に沖縄に関しては、この特別調整交付金の中で、言わば特段の事情がある地域ということで、沖縄の場合は結核、精神の疾病にかかわる医療費が多額であると、そういうことにかんがみてこの特別調整交付金が払われているわけですけれども、ここについての算定基準がこのソフトの誤りで足らなかった、十年間で約五・五億円ぐらいになるということでございます。
 そこで、今回、この算定基準を見直すに当たりましては、やはり平成三年から十七年度までですから、時効の問題の壁がありますので、消滅時効の適用、これをまずするための法改正に向けて関係方面と今協議中でございます。これを早急に果たしましてから、新しい本来の算定システムできちんと再計算いたしまして、これを各市町村にフィードバックいたします。それで、各市町村の方で今までの形、額とそうそごがないということを確認していただいた上で、その後での再交付なり、あるいは払い過ぎているところについては今後の調整金で少しずつ減らしていくというような、そういうことも考えているところでございます。
○島尻安伊子君 このミスが発覚した当時の新聞を調べてみましたけれども、今、副大臣からもありましたように、那覇市だけでも二〇〇五年以降の十年間で約五億五千万円の影響額があるということでございます。これは何も沖縄だけでなく、このミスは全国にもあったというふうに認識をしておりますけれども、本年度、保険料を値上げしている自治体というのは全国でも多くあると聞いております。この過少交付が要因の一つだとも聞こえてきておりますけれども、この算定ミスは平成五年のシステム導入時からですから、十三年間という長い間の算定ミスでありまして、金額としては大変に大きくなるということは当然だろうというふうに思います。そしてまた、この過少交付されていた市町村においては、この不足分についてもちろん全額交付してくださいよというふうにおっしゃるのも、これ当然じゃないかなというふうに思っております。
 要望書にあるように、過少交付されていた市町村には早期の全額補てんを行っていただくとともに、また過払い分のある市町村との調整に当たってはくれぐれも各保険者の負担とならないように御配慮をお願いしたいというふうに思うんですが、副大臣、もう一度答弁いただけますでしょうか。
○副大臣(西川京子君) 大変失礼しました。先ほどの答弁で、私、平成三年と言ったかもしれません。平成五年からのミスですね。
 それから、今回のこの時効の問題については、法改正まで行くのはなかなか大変だということで、早急に手当てをするということで法整備の調整を図って早急に決めたいと、そういうことでしていきたいと思います。ですから、当然、その予算措置、不足をしている分については予算措置を講じてなるべく早く交付するということ、そしてかんがみて払い過ぎているところに余り負担にならないように少しずつ減額をしていくという、そういう方向を考えているところでございます。
○島尻安伊子君 ありがとうございます。
 厚労省は今過去の問題処理に追われて大変かというふうに思っておりますけれども、今正に副大臣おっしゃったような、これからのテンプレートといいますか、タイムスケジュールといいますか、こういう計画で物事を運んでいきますよというような、私は、誠意といいますか、厚労省が過少交付されていた市町村に対しての誠意を見せていただくということがまず第一番に大事なことなんだろうというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは次に、このたびの法案について御質問をいたします。
 まず、労働契約法案についてお尋ねいたします。
 この法案は、労働契約に関する基本的なルールを明確にすることによって、個々の労働者とそれから使用者の紛争の未然防止に資するものであるということを聞いております。
 そこで、個々の労働者と使用者との紛争についてどのようなものがあるのか、データを見せていただきました。
 まず、件数でございますけれども、労働関係法上の違反を伴わない、いわゆる民事上の個別労働紛争の相談件数を見せていただきましたけれども、平成十四年度は十万三千件、平成十五年度は十四万件、平成十六年度は十六万件、平成十七年度は十七万六千件と増加を続けておりまして、平成十八年度は十八万七千件というふうになっております。
 また、その相談内容でございますけれども、平成十八年度を見ますと、解雇に関する相談が二三・八%、労働条件の引下げに関する相談が一二・八%、その他労働条件に関する相談が二〇・八%というふうになっておりまして、解雇や労働条件の引下げに関する相談が多いということが分かります。
 この背景には、近年の企業合併、MアンドAや、それから企業組織の再編、それに雇用形態の変化ということが挙げられると思いますけれども、いずれにいたしましても、こんなに多くの相談件数を目の当たりにして思いますのは、やはり紛争になる前の未然防止のための取組が必要であろうかということでございます。
 先日来、この件に関しての質疑をこの場所でお聞きしておりますけれども、何点か私の方からも確認をしたい点がございますので、質問させていただきます。
 この法案での皆様の関心は、法案第十条の就業規則変更法理のようであります。会社側が就業規則を安易に一方的に変更する、つまり、やりたい放題にできるのではないかというお考えもあるようでございますけれども、しかしながら、これは、むしろ就業規則変更に関する判例法理を条文化することによって、就業規則変更には当然合理性が求められることや、労働者に与えるだろう不利益というものを十分に考察しなければならないということが明確になるのだと、むしろそれが明確になるのだということを私は思っているわけでございます。
 つまり、法案第十条に示された合理性判断をクリアしなければならないということが使用者に周知徹底されることが、すなわち労働者保護になる、使用者は安易に一方的には就業規則の変更ができないことになるということを思うのでございますけれども、この点、政府の御見解をお聞きしたいと思います。
○政府参考人(青木豊君) 委員御指摘のとおり、この労働契約法案におきましては、労働条件の変更に関するルールとして、労働条件の変更は労使合意により行うことが原則であることとした上で、例外として、就業規則の変更により労働条件を変更する場合も変更後の就業規則の周知、あるいは就業規則変更の合理性が求められるということを法律に明記いたしております。
 これによりまして、使用者の合理的な行動が促されまして紛争の未然防止に資することとなって、労働者が安心、納得して働くことができるようになるものと考えております。
○島尻安伊子君 おっしゃるように、大切なのは、使用者にそのような法案第十条の趣旨を十分に周知させるということが大切なんだろうというふうに思いますので、使用者がこの趣旨を正しく理解していただけるように、また間違ったアナウンスだとその間違った方に、もう思わぬ方向に行ってしまうということも十分考えられますので、この十条の趣旨を正しく理解していただけるように徹底をさせていただきたいというふうに思います。
 それからもう一つ、この法案第十条についてお聞きしたいと思います。
 使用者がいったん就業規則を変更してしまった場合、労働者が裁判で就業規則変更の無効をかち取るまではその就業規則が通用してしまって労働者としては裁判中もその規則に従わざるを得ない、つまり、労働者側から見れば使用者のやり得じゃないかという御懸念もあるようでございます。
 そこで、私自身もこれを確認したいというふうに思うのでございますけれども、例えば使用者が就業規則で合理性のない賃金カットを行って裁判で労働者側が勝訴した場合、勝った場合、過去にカットされた賃金の扱いはどのようになるのでしょうか。いわゆる遡及という扱いになると思うんですが、これまでの裁判の判例等でも結構でございますので御答弁をいただきたいと思います。
○政府参考人(青木豊君) 就業規則の変更が有効かどうかが裁判で争われまして裁判においてその合理性が否定されるという場合など、十条に定める要件を満たさない場合には就業規則の変更そのものが変更の時点から無効とされるというふうに考えております。いずれにしても、それは個別の判決の中で示されるというふうに考えております。
 御質問にありましたが、過去の判例においては、例えば就業規則変更による賃金減額が問題とされましたみちのく銀行事件では、最高裁が平成十二年九月に判決をいたしまして、就業規則変更のうち賃金減額の効果を有する部分は原告に効力を及ぼすことができない旨を判示した上で仙台高裁に差し戻しまして、その差し戻し審では、これが平成十四年二月でありますけれども、賃金減額分をさかのぼって支払うことが命じられております。
○島尻安伊子君 このさかのぼって支払ったのはこれ一件だけでしょうか。これまでの判例というか、の中でそのほとんどがそういう扱いだったとか、遡及が認められたのはこれだけだったとかあると思うんですけれども。
○政府参考人(青木豊君) 通例、先ほど申し上げましたように変更の時点から無効とされるということでありますので、通例、さかのぼってなされるということでございます。
○島尻安伊子君 通例という言葉が入りましたけれども、個別の判例といいますか、個別の裁判によって判断されるものだろうと思いますけれども、ある一定程度といいますか、その合理性というところがやはりここは問題になってくるのかと思いますけれども、ほとんどはさかのぼってまたカットされた部分も支払われるというふうに今の御答弁で認識をさせていただきましたけれども。
 であればこそ、やはり使用者への正しい理解、安易な就業規則変更はできないんだということを周知徹底させなければいけないということを強く思うわけでございます。仮に変更しても、就業規則を変更しても、裁判でその合理性が認められなければやはり支払を命ぜられること、これをやはり使用者にはきちんと周知徹底させていただきたいというふうに思います。
 さて、そうはいっても、労働者にとって不合理だと思うことがあったとしても、なかなか裁判に持ち込むということは大変なことであるわけでありまして、実際、裁判には費用もそして時間も掛かるということで、結局は泣き寝入りにならざるを得ないのではないかという懸念もあるというわけでございます。これが否めない事実なのかなということも私自身も思うわけでありますけれども、この問題は労働契約法案でどうこうというよりも、その一歩手前、つまり不当と思われる就業規則の変更があった場合に、働いている人がすぐ相談できるような駆け込み寺的な相談窓口というのを整えることがまず大事なんだろうというふうに思っております。これまでも委員会でもそういう御意見も聞かれたわけでございますけれども。
 そこで質問させていただきますが、労働者が気軽に相談できる窓口を充実させるということで、現在、厚生労働省の都道府県労働局の総合労働相談コーナーというものがありますけれども、各労働局以外の場所には設置されていないのでしょうか。そしてまた、全国でこれが何か所あって、そこに設置されている相談員はどのような資格をお持ちなのでしょうか。御答弁お願いいたします。
○政府参考人(青木豊君) 今お取り上げになりました総合労働相談コーナーでございますが、これは、お話ありましたように、労働者が正に手軽に相談することができるように、都道府県労働局四十七か所のほか全国の主要な労働基準監督署、それと主要都市の利便性の高い駅周辺などに、合わせて全国で約三百か所に設置しております。約六百人の総合労働相談員が労働に関するあらゆる相談あるいは情報の提供等のワンストップサービスを無料で実施しております。
 ここにいます総合労働相談員は、適切なアドバイスができますように、社会的信望があり、かつ労働関係法令、労働条件、労使関係等に関して深い知識、経験を有する者から委嘱をすることといたしております。具体的には、人事労務管理の実務経験者とか、あるいは社会保険労務士資格を有している者などを登用して、その知識や経験を発揮していただいているところでございます。
○島尻安伊子君 ありがとうございます。
 いずれにいたしましても、労働紛争の相談件数というものは年々増す一方でありますので、やはりこのような相談コーナーをもっともっと充実させて、労働者が安心して就業できるような環境づくりを徹底させていただきたいというふうに思います。
 さて次に、最低賃金法改正法案に関連してお聞きをしたいと思います。
 今年八月十日に取りまとめられました中央最低賃金審議会の答申において、平成十九年度地域別最低賃金額改定の引上げ額の目安ということで、沖縄県を含むDランクというものについては、時給六円から七円の引上げが示されまして、沖縄県では結果として八円の引上げ、全国加重平均では時給十四円の引上げがなされたところでございます。昨年の最低賃金改定というものを見てみましたけれども、済みません、地元沖縄ということで申し訳ございませんが、沖縄県は時給二円の引上げだったと、それで全国加重平均は時給五円の引上げということでございましたので、今年は例年にない引上げだったのかなということが感じられました。
 さて、先日の審議でも、最低賃金の決定をしていくのは地域の審議会であるという議論でございましたが、今年、全国加重平均で十四円の引上げとなった地域別最低賃金の改定について、まず政府の御見解をいただきたいと思います。
○政府参考人(青木豊君) 今委員が御指摘になりましたように、平成十九年度の地域別最低賃金は加重平均で十四円の引上げということで中央最低賃金審議会で目安が答申をされまして、その後、各地方の最低賃金審議会でこれを参考にしつつ地域の実情を踏まえた審議が行われて具体的な金額というものが決定され、御紹介があったようなとおりの結果となっております。
 今年の地域別最低賃金額の改定につきましては、中央最低賃金審議会に対しまして、現下の最低賃金を取り巻く状況を踏まえ、成長力底上げ戦略推進円卓会議における賃金の底上げに関する議論にも配慮した調査審議をお願いいたしまして、審議会におきましては、従来の考え方の単なる延長線上ではない議論が行われまして、賃金改定状況調査結果を重要な参考資料としつつ、地域別最低賃金と実際の賃金分布との関係にも配慮して、様々な要素を総合的に勘案した結果といたしまして、これまでと比べればかなり大幅な引上げとなる目安が取りまとめられたものと認識しております。
 地方の最低賃金審議会におきましても、こういう目安を十分に参考として審議が行われたというふうに認識をいたしております。
○島尻安伊子君 ここで、ある有名自動車メーカーの今年の春闘はベースアップが千円というような報道がありました。ちなみに沖縄県の今年の引上げ額は時給八円ということでございますので、これを単純に月二百時間働くと仮定して計算をいたしますと、ベア千六百円に相当するという計算を見せていただきました。賃金は個々の企業で労使が話し合って決めるものでありますので単純な比較は適当ではないかもしれませんが、この計算を見たときに、今年の引上げは沖縄の地方最低賃金審議会が様々な要因を考慮しての決断といいますか、決定だったんだろうなというふうに思っております。
 この点、総合的に見せていただきますと、今後ますます地方の最低賃金審議会の役割が重くなっていくだろうというふうに思われるところでございまして、ここで政府が、この地方最低賃金審議会の重要度といいますか、どれだけ重要に考えているかということをいま一度御答弁願いたいと思います。
○政府参考人(青木豊君) 地方の最低賃金審議会におきましては、中央の最低賃金審議会の目安を参考としながら、その各地域の実情を十分踏まえて、審議を経て具体的な水準の額を決定するということとされているわけであります。
 様々な議論、状況がございます中で、そういった今回の法改正の趣旨にも沿った適切な引上げ等の措置がなされる、そのためには、お触れになりましたような地方最低賃金審議会の役割というのはやはりまた一層重要になってくるというふうに思っております。
○島尻安伊子君 ありがとうございます。
 改正法案第九条二項にあります地域別最低賃金は、地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金の支払能力を考慮して定めなければならないというふうに規定されておりますとおり、その地域の事情それから雇用状況を十分に考慮して結論を出していっていただきたいというふうに思います。
 沖縄県におきましては依然雇用状況というのが厳しい中にあるものでございますから、どうぞ労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金の支払能力ということをいま一度重要な決定事項の一つとされなければいけないんだろうなというふうに思っているところでございます。
 地域の雇用情勢ということでちょっと関連してお聞きをしたいわけでございますけれども、今年の八月に地域雇用開発促進法というのが見直されておりますけれども、この進捗状況についてお聞かせいただけますでしょうか。
○政府参考人(岡崎淳一君) 前の国会で成立させていただきました地域雇用開発促進法でございますが、八月から施行されています。
 各地域で、雇用開発促進地域あるいは自発雇用創造地域というのは、それぞれ各県なりあるいは市町村なりが計画を作りまして、それに基づきまして国の方で同意をすると、こういう仕組みになっておりますが、それぞれ各地域、特に雇用の厳しい地域におきましては既に計画が作られまして国の方が同意をして、そのそれぞれの計画に基づきまして様々な支援を実施しているというのが現在の状況でございます。
○島尻安伊子君 先ほども最低賃金のところで触れたDランクといいますか雇用情勢が特に悪い地域というところにとっては、やはりこの地域雇用開発促進法というのが本当に頼みかなというふうにも思っております。
 その中で、ちょっと地元沖縄に限って大変恐縮でございますけれども、この新パッケージ事業というふうに聞いておりますけれども、ちょっとこの具体的な案についての御説明をいただけますでしょうか。
○政府参考人(岡崎淳一君) 今御指摘の新パッケージ事業でございますが、自発雇用創造地域という地域を指定いたしますと、そこで市町村とかあるいは地域の経済団体等が共同して事業を行うと、これに国といたしましても事業を委託するという形で地域における自発的な雇用創造を進めていくと、こういう仕組みでございます。
 沖縄におきましては、今回の新しい法律に基づくものとそれから従来から似たような事業をやってきた部分の引き続きでやっている部分と両方あるわけでございますが、本年度におきましては、八つの地域におきまして具体的にこの事業を進めているという状況でございます。
 例えば、那覇市におきましては「那覇から拡がる「新沖縄県産業」雇用拡大事業」というようなことで取り組んでおられますし、例えば名護市におきましては「ヤンバルの中核都市・名護市の活性化と雇用創造事業」というようなことで、これは昨年度からでございますが、事業に取り組んでいるというようなことであります。
 八つの市あるいは村におきまして、それぞれ地域のいろんな観光資源でありますとか地場産品等を活用しながら雇用の創造に向けた努力をされていると、こういう状況にございます。
○島尻安伊子君 ありがとうございます。
 この地域雇用開発促進法でございますけれども、改正後、雇用情勢が特に悪い地域とそれから雇用創造に向けた意欲が高い地域というふうになっているんですけれども、この二つ、どのように分けるのか、その垣根といいますかがどこにあるのかちょっと教えていただけますでしょうか。
○政府参考人(岡崎淳一君) 雇用開発促進地域の方は、基本的にその有効求人倍率を見ましてその低い地域を対象にするということにいたしております。支援の中身も、当該地域におきまして新たに事業場を設置あるいは整備をする事業主に対する支援を行うと、こういうことで考えているところでございます。
 一方で、自発雇用創造地域の方でございますが、これは個々の事業主ではございませんで、地域が協力して自発的に様々な工夫をしていくと、こういうことでございますので、有効求人倍率の基準としましては雇用開発促進事業より少し高めのところまで入れるということにしつつ、各地域の自主性がございますので、市町村等が経済団体等と協力してそれぞれの地域のいろんな地場産品とか観光資源を活用してそういう努力をするという部分を含めまして指定基準にしているというところが違います。したがいまして、その支援の内容も、その地域の中で何か事業主がやるということではなくて、その市町村とか経済団体が協力しながら雇用創造に向けて行う事業を支援すると、こういう形を取っているということでございます。
○島尻安伊子君 ありがとうございます。
 ここにちょっと資料を見せていただいていまして、地域雇用創造推進事業の概要というのがあるんですが、その事業内容の中に人材育成メニューというものがございます。やはりその雇用を考えるときにやはりこの人材育成というのは大変に重要なところでございまして、ここに書いてあるこの人材育成メニューというものをもう少し詳しく説明していただけますでしょうか。
○政府参考人(岡崎淳一君) 地域で産業が振興されていくというためには、その地域で人が、求職者が多いというだけではなかなかその事業が進んでいかないわけでありまして、それぞれの方がその地域で必要とされる、その地域で興そうとしている産業に必要とされる人材としてやっていけるようにしていくということがないと、結局地域としての産業は起きていかないと、こういうことでございます。
 したがいまして、例えば観光産業を興していくといった場合には、例えば地域の観光資源についての例えばガイドができる人材が必要だということであればそういう観光ガイドができる人材を育成していくとか、それぞれ地域地域で必要とする人材は違いますので、全国的なメニューでの職業能力開発メニューとは少し違いまして、その個々の地域で観光産業なら観光産業、地場産品なら地場産品、それをどうやって生かしていくかということの、それぞれの地域の状況に応じた人材育成が必要だろうと。
 したがいまして、この雇用創造推進事業の中の一つの重要なメニューとしまして、地域地域の必要な人材を育てるいろんな研修でありますとか講習、あるいは地域内では難しい場合にはほかの地域に派遣してそこでいろんな知識、技能を学んでいくと、そういったような相当柔軟性を持っていろんな地域が必要とする人材育成ができるようなメニューにしておりますので、あとは地域のそれぞれの工夫によりましてこういったものを生かして必要とする人材を育成していただければ非常にいいのではないかと、こういうふうに考えているということでございます。
○島尻安伊子君 何度も触れますが、やっぱり特に沖縄においての人材育成というのが今後その雇用の促進という観点からも大事になっていくというふうに思いますので、まあ重ね重ねでございますけれども、よろしくお願いしたいというふうに思います。
 こういいますのも、その一方で、ちょっと離れますけれども、例えば地域のその雇用情勢のちょっとグラフを見せていただいたことがあるんですけれども、群馬県ですか、横ばいだったのがぐんと上がったグラフを見せていただいたことがございまして、これはなぜなのかと質問したら、大型電気店が進出してそこでの雇用数が増えたという説明を受けたんですけれども、もちろん沖縄にもこの大型店は進出をしているんですが、内容は、人材があるなしにちょっと離れるんですけれども、地元からの採用が少ないんですね。
 このお店に行ってみますと、名札をしていて沖縄の人というのがすぐに名字で分かるものですから、ぱっと名札を見たときに本土からといいますか、地元採用でないというのが明らかに分かるわけで、その数がとても多いんですね。なので、地元としてもその人材育成というのはこれから課題になっていくだろうというふうに思うんですが、一方で、是非その雇用状況を改善するためにもこういった大型店進出のときには地元からの採用をお願いしたいということをまた働き掛けをお願いしたいと思うんですが、この点いかがでしょうか。
○政府参考人(岡崎淳一君) 群馬県の例をお挙げになりましたけれども、群馬県の場合、若干特殊要因でございまして、御指摘の全国規模の量販店の本社があるんですが、この会社につきましては、各地域地域のお店の人員を含めて全部本社で一括して求人票を出されているということであります。したがって、現実には、群馬県内での求人ではないものもいったん群馬県の求人として上がっているがために群馬県の求人数が上がっていると。
 しかしながら、御承知のようにハローワークは全国ネットワークでございますので、求人受付場所で求人数が上がるのとは別に、各地域地域、当該量販店も別に群馬県内で募集しているわけではなくて、各店舗店舗で募集されておりますので、これはハローワークの全国機能の中できちんと各地域に振り分けまして、その地域のハローワークがそのお店が必要とする人材を求職者の中から紹介すると、こういうことにはしております。
 しかし、おっしゃるように、沖縄の場合、一つには、地元に若い方を含めて相当多くの求職者がいる中で、その方々がなかなか沖縄に進出した産業に就職できないという御指摘の問題も一方であるのは事実でございます。その辺につきましては、やはり能力開発等も進めながら、沖縄県で住んでいる方の就職に結び付くような形、これは、それはそれで努力していきたいと、こういうふうに考えております。
○島尻安伊子君 ありがとうございます。
 先ほど最低賃金のところで触れたように、やはりDランクに入っている、そういう自治体には是非、先ほどもお話ししたような大型店舗が行くときにとか、大勢の雇用を必要とするときには地元からまず雇用していただきたいという要望をここでお話をさせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 地域の雇用ということで関連でございますけれども、実は沖縄県には在日米軍駐留の、在日の基地の従業員が多数いるわけでございまして、関連としてちょっとこれは防衛省の方に質問をさせていただきたいというふうに思います。
 先ほどから、地域の雇用情勢ということでお話をさせていただいておりまして、在日米軍基地に勤める日本人従業員の雇用状況ということでの質問をさせていただきたいというふうに思います。
 二〇〇六年に再締結されました在日米軍駐留経費負担特別協定というものの中で、基地従業員の労務費を全額日本が負担をしている状況にあります。この状況は来年の三月で切れるということになっておりまして、再度締結という方向にはありますけれども、その際、政府の方針といたしまして、この労務費のうち、格差給七十二億円、語学手当三億円、退職手当二十一億円を削減の方向ということで、現在、基地従業員側と労使交渉を行っているということは皆様も新聞等々でごらんになっているかと思います。残念ながらこれはストライキに突入いたしまして、今週末にも再度のストが予定されているということでございますけれども、この件につきまして、今後の見通しについての御答弁を願いたい。お願いいたします。
○政府参考人(地引良幸君) お答えさせていただきます。
 駐留軍等労働者の方々に支給されております給料につきまして、格差給等の見直しについて防衛省から提案を行いまして、現在、労働組合の理解が得られるよう数度にわたり真摯に協議を積み重ねているところでございます。
 残念ながら、なかなか組合からの御理解を得るに至らなかったことから、全駐留軍労働組合におかれましては、十一月二十一日に四時間の全国統一ストライキを実施したところでございます。さらに、全駐留軍労働者は、今後の交渉におきましても前進がない場合におきましては、十一月三十日には第二波の八時間のストライキを実施する旨通告されているところでございます。
 防衛省といたしましては、引き続き格差給等の見直しにつきまして労働組合の御理解が得られるよう誠心誠意労働組合と協議を行いながら、これらのストライキが可能な限り回避されるよう努力してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○島尻安伊子君 基地の従業員というのは全国で二万五千人、そのうち沖縄では九千人と言われております。もちろん、その経済効果ということも云々言われているところでございますけれども、そのうち、沖縄の基地従業員でつくられている労働組合というものの中に沖駐労という方々がおられます。沖駐労の皆さんは、この日米安保条約の根幹を担う在日米軍基地に勤めているのだという誇りを持って頑張っていらっしゃる方々でございます。もちろん、このたびの労務費の削減には難色を示しているものの、ストには参加しないという表明をしておられます。こういう方々もいるのだということをまず皆様方に御認識をいただきたいというふうに思います。
 さて、この基地従業員の職務についての質問に移っていきたいというふうに思います。
 現在、職務定義という定義によって千三百三十五の職種が定義されておりまして、それぞれの各等級というものが決められております。しかし、この職務内容が時代とともに変化をしておりまして、例えば基地の中に消防員ということで勤めていらっしゃる方々がいるわけでございますけれども、この消防員のこの職務の内容が、九・一一の同時多発テロ以降、大きく変化をしているとお聞きしております。これまでの訓練に加えて、サイバーテロなどに対応するための訓練、それから、それに関する知識又は特殊な資格を要求されることもあると聞いております。
 この辺のこの職務の変化というものを政府としては、防衛省としてはどのように認識なさっているか、まず御答弁願えますでしょうか。
○政府参考人(地引良幸君) お答えいたします。
 駐留軍等労働者の職種につきましては、御指摘のとおり、今年の四月一日現在で千三百三十五の職種がございます。その後何回か改正されているところでございますけれども、この職種につきましては、在日米軍との間で締結しております労務提供契約における職務定義書において規定されているものでございまして、等級等を含めた職務定義の見直しにつきましては、実際に職務を監督している在日米軍が実情と合致しているかどうかを検討判断しながら、必要に応じて日本側に改正について要請する仕組みとなっており、それを受けて日米間で協議しながら改正をしているというところでございまして、毎年、今年におきましても四回程度職務の見直し等をやっておりまして、なるべく時代に合わせた資格でありますとか知識に応じたものを米側は見ながら我々と協議しているというところでございます。
○島尻安伊子君 特殊な制定の仕方といいますか、一国だけでは決められないということは十分承知をしているんでございますけれども、そうなりますと、中には、やはり要求をしてもその職種の変更について認められないというものもありまして、働く皆さんの意識といいますか、それをかんがみますと、やはり職務内容を正しく定義をしていただいて、それに正しい、正しいといいますか、相当の等級というものを考えていただかなければならないというふうに思っているわけでございます。
 今後、もう少し密に、そして詳しく規定を、規定といいますか、その定義を見直す必要があるというふうに思いますが、再度御答弁いただけませんでしょうか。
○政府参考人(地引良幸君) お答えいたします。
 御指摘の、例えば消防関係で申しますと、現在、消防関係職種につきましては十六種類ございます。このうち、消防員につきましては、職務内容が消防、防火に係る業務という形になっております。しかしながら、実際の消防員の業務を見てみますと、これらに加えまして、緊急医療でありますとか、危険物の取扱いに関する新たな資格を必要とする業務を米側から求められているというふうに承知しております。こういうようなことから、職務定義を改めて等級を見直してほしいという旨の要望が駐留軍等労働者の一部の方々から寄せられているところでございます。
 この点も踏まえまして、私どもといたしましては職務定義の見直しの、そういう制度ではありますけれども、見直しの必要性につきましては既に米側に伝えているところでありますけれども、今後更に実情をいろんな方から聴取した上で、職務の具体的な内容も精査して、米側に対して職務定義書の改正について申し入れたいというふうに考えているところがございます。
○島尻安伊子君 ありがとうございます。
 もう一歩踏み込んで、これは例えばいつごろの、次の何といいますか一つのテーブルに着かれるのはいつごろの御予定でございますか。
○政府参考人(地引良幸君) いつまでと今の現時点でちょっとなかなか確約できませんけれども、そういう形で申入れとか、我々の中でも検討しておりますので、なるべく可能な限り早い段階で米側にも申入れをしていきたいなというふうに考えている次第でございます。
○島尻安伊子君 そうしますと、防衛省の方はその必要があるというふうにお考えでしょうか、この消防員の見直しについては。
○政府参考人(地引良幸君) 一般的にはあるかと思っております。ただ、実際の職務内容をもう少し具体的な内容をお聞きして精査しながら検討していきたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
○島尻安伊子君 ありがとうございます。
 本当に特殊な決め方をしなければいけないものですから、これは本当に政府側に懸かっているというふうにお話を申し上げまして、時間ですので私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○委員長(岩本司君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後零時五十分から再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時四十九分休憩
     ─────・─────
   午後零時五十分開会
○委員長(岩本司君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、労働契約法案及び最低賃金法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○津田弥太郎君 民主党の津田弥太郎です。与党の出席が少し悪いようでありますが、質問をさせていただきます。
 まず、本案の質問に入る前に雇用労働に関係する広範囲な部分で三点ほど質問をさせていただきたいと思います。
 マイカーで職場に通勤をされている方が大変多いのは、これはもう大臣も御案内のとおりであります。我が国は通勤手当について、非課税限度額の件は、特例を除き、原則として片道の通勤距離に応じ一か月当たりの限度額が定まっております。この通勤手当の非課税限度額は平成十六年の四月一日から適用されているわけであります。
 御案内のように、ガソリンの価格が大変急騰いたしておるという、今月の十二日現在で一リットル百五十円をレギュラーで超えたということでございます。全国平均で百五十円の大台に乗ったということであります。前回改正前、三年間のレギュラーガソリンの平均価格が百一円三十銭、現時点における三年間の平均価格が百三十一円五十銭、約三〇%の差が生じているわけであります。この間、国内の自家用車の平均的な燃費もおよそ五%向上している、これもちゃんと私申し上げます。これを考慮してもやはり二〇%以上の燃料代の負担増が生じていることは、これはもう大臣も御案内のとおりだと思います。
 この非課税限度額というのは、厳密にガソリン価格に連動して上下する性質のものではないということは十分に承知をしておりますが、実際に企業の中で、車通勤を行うに当たっての通勤手当を出す場合にはやはりこのガソリン価格の変動を参考にして出しているのも、これ実態調査等々で明らかになっているわけでございます。そういう意味で、マイカー通勤者にとってはガソリン価格の高騰というのは全く自らの責任に帰する問題ではないということ、したがって、この非課税限度額そのものがもう一杯一杯、むしろ現実にはこれを超えているような事態があちこちで見始められているわけでございます。
 とりわけ、地方では公共交通機関が十分に整備をされていない、しかも規制緩和がどんどん進んで働き方が多岐多様になっているということを考えますと、たとえ公共交通機関があっても自分の勤務時間帯では公共交通機関が動いていないと、こんなのはもう当たり前のことです、深夜勤務等々様々にあるわけでありますから。更に言うならば、非正規の方々の通勤手当というのは、ほとんどがまとめて賃金の中の一部に含んで支払われているということで、これはある面じゃ全額課税対象になっちゃっている、この労働二法の議論の中にも関連してくることでありますが。
 当面、この非課税限度額というものについて、これは最終的には財務省の判断になることは承知をいたしておりますが、大臣としてこれはやはり緊急に対応しなきゃいかぬという決意でもって臨んでいただきたいと思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(舛添要一君) 今委員が御指摘いただいたガソリン価格の高騰、これはいろいろ我が国の経済に影響を与えておりますけど、今おっしゃいました通勤手当についても同様でございます。
 所得税法第九条第一項第五号の中で、非課税所得として、今おっしゃった中で、給与所得を有する者で通勤するものがその通勤に必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のために支出する費用に充てるものとして通常の給与に加算して受ける通勤手当のうち、一般の通勤者に通常必要であると認められる部分として政令で定めると、そして御承知のように政令でばあっと定める。しかし、今のような非常に、ガソリン価格の高騰ということがあれば、私は当然これは通勤費用の動向をきちっと測った上で検討されてしかるべきものだと思いますんで、そういう方向で努力をしたいと思います。
 それから、非正規につきましても、いわゆる通勤手当として、今、通勤手当として払ったものは非正規についてもちゃんとこの法律どおりにやれると。ただ、委員もおっしゃったように全部丸めてだと難しいということで、そういうこともまた、基本的にはこれは労使の間で決められる問題ですけれども、いい方向で指導ができれば、努力をしてまいりたいと思います。
○津田弥太郎君 舛添大臣は役人答弁と違って明快に答えられるということで評価も、あるいは評価されないときもあるわけですが、今日の言葉は評価される答弁というふうに受け止めたいというふうに思います。
 さて、外務省来ていますよね。十一月十四日の読売新聞夕刊の一面トップに、フィリピンの看護師が誕生、都が支援という見出しが出ておりました。東京都は来年度、EPAに基づきフィリピンから百人の看護師と介護福祉士について、都立病院など都の施設で約十人受け入れ、残る九十人は民間で受け入れるよう働き掛ける方針を固めたという方針を発表されております。御案内のように、EPAでは当初二年間で看護師四百人、介護福祉士六百人の計千人という予定がされているわけですが、今回の東京都の百人というのは、これ、この千人の中に入っているんですか。
○政府参考人(田辺靖雄君) お尋ねの、報道によります東京都の計画につきましてでございますけれども、東京都の方によりますと、まずこの看護師、介護福祉士候補者の受入れというものは日本・フィリピンEPAに基づくものであると、そういうふうに説明をされておられる。そして、その候補者が国家試験に合格して引き続き就労できるように支援するということを検討していくと、そういうふうな説明をされているものと、そういうふうに承知をしております。
 日本・フィリピンEPA、これが発効をいたしました暁には二年間で千人を受け入れるという、これが日本・フィリピンのEPAのスキームとして予定をされておる、そういう受入れスキームに基づいてなされるということを検討していると、そういうふうに承知をしております。
○津田弥太郎君 そこで大臣にお聞きしたいんですが、報道によりますと、民間で受け入れる九十人について東京都医師会などを通じることを想定していると。そもそもこのEPAにおいては、厚労省の委託を受けた国際年金事業団、ここが日本で勤務を希望するフィリピン人の看護師らを受入れを希望する全国の病院に振り分けるということになっているわけで、個々の労働条件や環境整備、これらの問題、あるいは日本での生活の相談支援、これが十分受けられるように受入れ団体の一元化、これを進めてきたものというふうに考えているわけですが、この東京都の方針について大臣は、この整合性の観点から問題はないというふうに理解をしてよろしいでしょうか。
○国務大臣(舛添要一君) 津田委員、今、国際年金事業団とおっしゃったように私は聞きましたが……
○津田弥太郎君 厚生です。
○国務大臣(舛添要一君) 厚生ですね、済みません。
 社団法人国際厚生事業団を唯一の受入れ機関とするということは、これはEPAの締結のときに決まっていますから、この枠組みの下で行われてしかるべきであって、その大きな枠組みの下で東京都も行っているというふうに理解をしております。もしそうでなければ、これはきちんと、その枠組みが協定で決まっていますよということは注意を喚起する必要があると思います。
○津田弥太郎君 非常に明快な答弁で結構でございます。
 林野庁来ていますか。林業労働力確保の問題について質問いたします。
 御案内のように、近年、森林に対する国民の要請は、地球温暖化の防止、国土の保全、多様化しています。鳥獣被害の問題も一方で出ておるわけでございます。私の地元の長野県におきましても、長野県ふるさとの森林づくり条例というのを制定をして、大体一人五百円、年五百円、企業にもそれぞれ規模に応じて負担をしていただくということで、荒廃しないように、森林が、そういう独自の取組を今進めているところでありますが、林野庁として森林整備あるいは林業振興の重要性といったものについてどういう認識をされておりますか。
○政府参考人(島田泰助君) 森林整備、林業振興の重要性に関するお尋ねでございますが、森林につきましては、木材生産のほか、国土の保全、水源の涵養を始めとする多面的な機能を有しており、緑の社会資本として広く国民に恩恵をもたらしていると考えております。また、直近の内閣府の世論調査におきましても、地球温暖化防止ですとか災害防止への期待が高まってきているなど、森林に対する国民のニーズというものも多様化していると考えているところでございます。
 こうしたことから、豊かで潤いのある国民生活の確保ということのために、森林の持つ多面的機能を十分に発揮させていく必要があり、森林の健全な育成を担う林業の振興を図りながら、多様で健全な森林の整備を進めていくことが極めて重要であると認識しているところでございます。
○津田弥太郎君 そこで、大変崇高なお話を今されたわけですが、この重要な役割を持っている、そうした森林整備を今後も継続をしていく上で最大の課題は何ですか。
○政府参考人(島田泰助君) 森林や林業をめぐる情勢を見ますと、木材価格の低迷によります林業採算性の悪化、それに伴う林業生産活動の停滞、さらには、林業従事者の減少や高齢化の進行等が大きな課題となっていると考えております。林野庁としては、森林整備の推進、林業の振興を図っていくためには、こうした課題に取り組んでいく必要があると考えているところでございます。
 具体的には、多様で健全な森林の整備保全、及び国産材の利用拡大を軸とした林業、木材産業の再生を図っていくため、森林・林業基本計画に基づきまして、森林施業の集約化、作業道など路網と高性能林業機械の一体的な組合せによる林業生産コストの低減、また、若年層を中心とした林業就業者の確保、育成、そして、市場ニーズに対応した木材製品の安定供給体制の整備による国産材利用の拡大、木材バイオマスなど木材の総合的な利用の促進などの課題に取り組んでいるところでございまして、引き続きこれらの取組に努めてまいりたいと考えているところでございます。
○津田弥太郎君 そこで、価格の問題は、ここは厚生労働委員会なんで余りこう、越権行為になりますから、問題は、この林業労働力の確保という問題、これが大変重要になっているわけであります。特に、平成十七年の国勢調査によりますと、この林業労働者の高齢化率が二七・六%という数字が示されておりまして、もうずば抜けて高いという状況にあるわけでございます。
 そこで、大臣に是非決意をお伺いをしたいというふうに思うんですが、平成八年に林業労働力の確保の促進に関する法律を制定をされ、様々な対策を講じているということであります。しかし、結果として、今申し上げましたように高齢化率はもう大変な数字になっている、あるいは林業の就業者数も、昭和四十年に二十六万人、ところが直近の平成十七年には五万人、林野庁、そうですね、そういう数字になっているわけです。
 この山村における今、限界集落という問題が増加をしていて、地域社会がもうもたないというような状況も出ているわけで、この森林整備の推進を図り、林業労働力が確保をしっかりできると、先ほどおっしゃったようなことで本当にできるかどうか私は大変不安なんで、厚生労働大臣にお聞きをしたいんですが、山村振興、活性化、そういうことも含めて、何としてでも林業労働力を確保するために全力を傾注をしていくべきではないかというふうに思うんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(舛添要一君) 実は、私のライフワークは林業でありまして、林業ボランティアをずっとこの二十年間やってきております。ですから、今から一時間しゃべれといったら、林業の問題、一時間でもしゃべれますが、現実に様々な問題を抱えているのを現場で体験しています、枝打ちをやる、下刈りをやる、間伐材、これ全部私やりますから、炭焼きまでやりますんで。そうしますと、いかに労働力の確保が難しいかということが分かってきます。一片の法律だけではできません。
 それで、緑の雇用というようなことをやって、不景気のときに、例えば中高年で職がない方を入っていただいてしばらく訓練したんです。だけど、やっぱり景気が良くなると、過酷ですからまた里の方に戻っていかれるということなんで、私は自分でずっとこの二十年やってきたのは、老若男女を問わずボランティア活動でまず山に入ってもらう、そして枝打ちの実習をやる、下刈りの実習をやる、そういうことをやりながら緑に親しんでもらって、いかに山が大事であるかと分かってもらう。
 そういうことで、それから、やっぱりお嫁さんの来手がいないということが農業と同様に林業でも問題がありますんで、これは社会全体を挙げてやらないといけないと思いますけれども、雇用の観点から是非、厚生労働大臣としてはこの面、更に進めて、日本の緑を守る、地球環境を守る、そういうために努力をしたいと思います。
○津田弥太郎君 ちょっと今日は調子が良過ぎてどうしようかと思うんですが。
 実は、厚生労働省では、都道府県の労働局の下に林業雇用改善推進会議というのを設置をされて取組を進めているわけですが、現在、三十六都道府県にしかできてないということであります。特に林野面積とか林業の経営体数、そういうところから見て、上位二十県の中で一県だけこの推進会議ができてない県があるんですよ。これ、高知県なんです。どうしてこれができてないのか非常に理解に苦しむ。三十六都道府県ですから、残り十一府県もできてないと。こういう点では、これは厚労省の取組の一環になっているわけですから、特に高知県については早急に設置をしていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(舛添要一君) 正に委員の御指摘のとおりでございますんで、高知を含めて未設置のところ、直ちに設置するように労働局に指示を出したいと思います。
○津田弥太郎君 直ちに設置するというのはすごい発言でございますので、これは役人言葉ではありませんから、これをしっかり受け止めて後で検証させていただきたいと思います。
 林野庁としても厚労省と連携して林業労働力の確保に万全を尽くしていただきたいと思うんですが、何かありましたらどうぞ。
○政府参考人(島田泰助君) 林業就業者の減少、高齢化が進む中で森林整備を着実に推進していくためには、林業就業者の育成、確保を図っていくことは極めて重要だというふうに考えているところでございまして、このために平成十五年度から新規就業者に対して研修を行う緑の雇用事業というようなものも行ってきておりまして、平成十八年度からは、一年目の基本的な研修に加えまして、掛かり木処理などの高度な技術に関する研修を行うことといたしまして、これまで約六千百人の皆様が研修を修了したところでございます。
 今後の取組といたしましても、平成二十年度の概算要求におきまして、安全かつ効率的な作業システム習得のための研修を三年目の研修として要望いたしているところでございまして、こうした取組によりまして新規就業者の更なる定着が期待されると考えているところでございます。
 こうした事業の実施に当たりましては、厚生労働省の林業就業支援事業との連携を図りながら新規就業者の林業技術の習得が円滑に進むように対応しているところでございまして、今後とも厚生労働省とも連携を図りながら林業就業者の確保、育成を図ってまいりたいというふうにして考えているところでございます。
○津田弥太郎君 ありがとうございました。それでは、本案に入らせていただきたいと思いますので、外務省と林野庁は退席していただいて結構です。
 まず、労働契約法案についてであります。
 この法案につきましては、衆議院段階で我が党と与党との間で修正協議がまとまり、先週火曜日に同僚の小林正夫委員が修正案の提案者である細川律夫衆議院議員に対し行った質疑でお分かりのように、政府案で穴が空いていた項目がことごとくふさがれたものと我々は理解をいたしております。しかし、現在でもなお本法案が成立することに対して、先週木曜日の参考人質疑でも明らかなとおり、懸念の声が一部にあることも御案内のとおりであります。
 そこで、舛添大臣にお尋ねをしたいと思います。
 労働者を仮に、正規労働者それから非正規労働者、性別では男性と女性、それから若い人と中高年、労働組合のある職場と労働組合のない職場、こういうふうに幾つか労働者を様々なカテゴリーで区分をした場合において、修正部分を含めた本法案はあらゆるカテゴリーの労働者に対し間違いなくプラスに働く内容であるんだ、少なくともマイナスには絶対に働かない内容であるということをいつものように力強く明言していただきたいと思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(舛添要一君) 正確にお答えをして明言したいと思います。
 個々の労働者と使用者との間の紛争が今増えていると、これはいつも私が指摘するとおりでございますが、そういう中で労働者が安心して働くことができるように労働契約に関する基本的なルールを明確にする、これが必要だと、この認識の下にこの法案があるというふうに思っております。そこで、労働契約法案では、今まで十分に知られていなかった労働契約は労使当事者が対等の立場における合意に基づいて締結されるべきという契約の原則、理念など、労働契約に関する基本的なルールを明確にしたものであります。
 これは、今御指摘のように、正規、非正規、男性、女性、若年者、中高年、労働組合の有無など、労働者の就業の実態は様々な中でありますけれども、労働契約法案によって労働契約に関する基本的なルールが周知され、使用者の合理的な行動が促進されることにより紛争の未然防止に資すこととなり、どのような労働者にとっても安心、納得して働くことができるようになる、つまりプラスになるということを明確にお答えしておきたいと思います。
○津田弥太郎君 万が一にもマイナスに働くようなことはあり得ないということですが、万が一というのは時々あるわけですね。特に厚生の方ではよく起きているわけでありまして、私は今大臣の御答弁に理解を示すものではありますけれども、万が一マイナスの事実が発生した場合には、これは当然直ちに改正の手続を取るということも是非御決意いただきたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) 国権の最高機関で決めたこの労働契約法、これが遵守されるということは行政の仕事でございますので、労働基準行政を含め、きちんとそして厳格に対応してまいります。
○津田弥太郎君 分かりました。
 さて、この労働契約法制そのものについての議論というのは、既に昭和四十年代から当時の労働省の労働基準法研究会などで検討がされてきております。実際に、今回の法案が提案をされた背景としては、第百五十六国会の労働基準法改正の際に衆参両院で採択された附帯決議、これが大きな意味を持っているのではないかというふうに考えるわけでありますが、厚労省もそうした認識でよろしいでしょうか。
○政府参考人(青木豊君) 委員御指摘のように、正に第百五十六回国会の労働基準法改正に対する衆参両院の附帯決議において、労働条件の変更、出向、転籍など、労働契約について包括的な法律を策定するため、専門的な調査研究を行う場を設けて積極的に検討を進めるべきことが指摘されました。
 そこで、厚生労働省においては、学識経験者の参集を求めまして研究会を開催いたしました。報告書がまとめられたので、今後の労働契約法制の在り方について労働政策審議会において調査審議を行っていただき、今回、労働契約法案はこのような検討経緯を経て提案しているものでございます。
 そういう意味で、委員御指摘の附帯決議は大変本法案の背景としては大きな意味を持っていると考えております。
○津田弥太郎君 そのとおりです。
 今、青木基準局長がおっしゃいましたように、この附帯決議そのものは、労働条件の変更、出向、転籍など、労働契約について包括的な法律を策定するためというふうになっているわけです。少なくとも、この転籍については今回の法案中には含まれていません。包括的な法律というからには、採用それから内定、試用期間などを含め、契約の締結から終了するまで、この全過程が本来は網羅されるべきものであるというふうに考えるわけです。今、青木さんがおっしゃったように、この附帯決議をスタートにして本法案ができてきたという経過から見るならば、そうですよね。
 今回の法案は、大臣もおっしゃいましたけれども、小さく産んで大きく育てる、これは前回、小林委員もそういうふうに申し上げました。ということで、ある程度割り切らなきゃいかぬのかなということは承知をしつつ、大臣から本当の意味で包括的な法律の制定、これに向け引き続き厚労省として全力で取組を続けていくんだという覚悟を是非お示しいただきたいと思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(舛添要一君) 今この附帯決議について引用なさいましたけど、専門的な調査研究を行う場を設けて積極的に検討を進めると、この点は我が省としてもそのとおり実行したいと思っています。
 委員御承知のように、この法案が判例法理、判例を基にして組み立てていったものですから、これからのいろいろな労働紛争なんかについての判例、これもまたしっかりと見極めながら、より包括的なものになるための準備、研究、それはきちんとやっていきたいと思います。
○津田弥太郎君 私もこの労使関係の世界に三十年近くいた人間なんで、率直に申し上げますと、労働組合が要求を出して団体交渉を何回かやっている中で、大体この辺が落としどころだなというのは、組合の言い分が八割、経営者の言い分が二割、そこら辺が大体落としどころになっているんです。つまり、労使の話合いというんだけれども、これちょうど半分半分聞いたんでは、これはもう経営者は腹の中でにやっとしちゃうんですよね。だから、この手の問題のまとめ方というのは、大体、経営者がちょっと目の色を変えて、これはとんでもないというくらいがちょうどいいところなんです。これはもう長年の経験と勘で私はそういうふうに思っているわけで、是非そのことを大臣の腹の中に置いていただくといいのかなというふうに思うわけであります。
 今回、ワーク・ライフ・バランスについて、すなわち仕事と生活の調和ということについて労働法上の大原則であるべきだということで修正の中でこの文言が入ったわけでございますが、これ実は、そのときは舛添さんは厚労大臣じゃなかったんだけど、昨年の均等法の改正の際にもあるいは今年の通常国会の雇用対策法の改正の際にも、この厚生労働委員会で、是非ともこのワーク・ライフ・バランスについての文言を入れてほしいということで盛んにやり取りをさせていただきました。
 残念ながら、その時点では私どもは少数だったものですから、向こうにいらっしゃる方が、それは駄目だということで入れてもらえなかった苦い経験があるわけでございまして、今回、この労働契約法案について、衆議院において与野党が合意によって第三条に新たな項目が設けられてワーク・ライフ・バランスが盛り込まれたということについて、私は大いに評価をしたいというふうに思うんです。
 もちろん、大臣御自身も、我が国の状況について、働き過ぎていて、家庭や個人の趣味、まあ森林に命懸けているとおっしゃったんですが、それは一応趣味の世界ですよね。生活に割ける時間が少ないという思いを披瀝をされておるわけでありますから、このワーク・ライフ・バランスについての認識も私どもと共有をしていただけるんではないかというふうに思うんです。
 政府原案で含まれていなかったこのワーク・ライフ・バランスが立法府の意思として労働紛争解決の基準となる本法案に明記をされたということを踏まえるならば、今後政府が提案する様々な労働法の改正においては可能な限りワーク・ライフ・バランスを盛り込む、盛り込んでいくんだという大臣の御決意をいただきたいと思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(舛添要一君) ワーク・ライフ・バランスを進めようということは厚生労働省としての大きな方針でありますし、私もそれは強力に推進していきたい。そういう意味で、今回のこの法案に修正案としてこの文言がきちんと第三条三項に「労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、」云々ということがあるということは非常に高い評価をしております。
 その中で、圧倒的多数の働く人たちが今は被雇用者、サラリーマンというか雇用の場にあるわけですから、そうすると、仕事の場である会社、経営者、この人たちもしっかりとした認識を持ってもらわないとワーク・ライフ・バランスというのはうまくいきません。来年度予算ではこのワーク・ライフ・バランスについて前年度の倍額の要求をして、きちんと推進していきたいというふうに思っております。
○津田弥太郎君 どうも今日はスムーズにいき過ぎてちょっと怖いくらいなんですが、ちょっとこれはスムーズにいかないかもしれません。
 先週火曜日の質疑におきまして、同僚の小林正夫委員が最後に、一日に十一時間の休息を取るということについて問題提起をされました。この一日十一時間の休息を設けるというのは、一九九三年にEU指令として採択をされ、舛添大臣が相当期間住まわれておられましたフランス国におきましても一九九八年の第一次オブリ法の第六条で国内法化されているということでございます。
 現実の我が国への当てはめということについては、これは様々な議論があるということは、これは私も理解をします。しかし、そもそもこうした一日の休息時間について規定が設けられるということについて、これは人間として、厚生労働大臣舛添要一ではなくて人間舛添要一としてどういう理解をされておりますか。
○国務大臣(舛添要一君) 若干厚生労働大臣としての答弁を超えてもお許しをいただけるかと思いますが、一日十一時間のEU指令、それはやはり二十四時間をどう使うかということを考えたときに、例えば三分割すると、八時間、八時間、八時間。八時間労働して、八時間家事とか必要なことをやり、そして八時間趣味もやり、八時間睡眠と、これが一番バランス取れているでしょうから、そういう意味で、最低十一時間ぐらいは働いてない時間を設ければ、逆に十三時間ですか、あるわけですから、それが理想なんですが、ただ、働き方の態様によっては、それは二十四時間正にお医者さんの当直勤務のようなこともありますね。だから、これは言葉を換えて言えば、労働時間の総量をどう規制するかという問題に帰結する。そのやり方として、ヨーロッパのやっているような一つの先進的な試みとして、これは人間らしい、基本的に一番人間らしいやり方だと思います。
 ただ、職種によって様々であって、それが不可能のケースもあったときには、もう一つの大きな概念として総量規制でやるという方向はあり得ると思いますから、そこはいろいろ検討し、また津田委員や小林委員の御提案も賜って、国民的な議論をした上でワーク・ライフ・バランスというものを考えていきたいと思います。
 ちなみに、私のいたフランスは一九三六年にコンジェペイエというバカンス制度を既に設けてあります。これだって、私なんかはやっぱりまとめて一月休み取った方がはるかにいいと思いますけれども、そうじゃなくて、今の日本のように、休日を橋渡りしたりして、ハッピーマンデーのようなことを設けながら小刻みの方がいいという意見の方もおられるんで、是非これは国民的議論の上で結論を出したいと思います。
○津田弥太郎君 国民的議論を今度は厚生労働大臣舛添要一として具体的に何らかの取組を始めるというふうに理解してよろしいですか。
○国務大臣(舛添要一君) このワーク・ライフ・バランスというのはやっぱり世論、国民全体が参画してもらわないとできない話なんで、そのためのワーク・ライフ・バランスの推進会議を設置して、そういう取組を通じながら広く世論を喚起し、国民の皆さんの御意見を賜ると。それも既に来年度の予算要求で出してございます。
○津田弥太郎君 その中に、例えばEUで取り組んでいるこの十一時間の休息というような考え方も議論の一つになっていくという理解でよろしいわけですね。
○国務大臣(舛添要一君) あらゆる提案を受け入れましてあらゆる議論をしたいと思いますから、当然その考え方も対象になります。
○津田弥太郎君 理解しました。
 それでは、法務省、見えていますね。先週火曜日の委員会でも労働契約法施行後の周知徹底についての質問が行われたわけであります。これに関連して提案があるわけですが、労働契約法の位置付けの重要性を踏まえるならば、法曹の卵に対する司法修習のカリキュラムの中でも労働契約法の内容や立法者の意思について十分な研修を行っていただきたい。
 これは、裁判例というものが大変今後も大きく育てる上では重要だというふうに大臣もおっしゃっているわけですから、そういうカリキュラムを設けるということについて求めたいと思うんですが、法務省、いかがでしょう。
○政府参考人(菊池洋一君) 現在の法曹になるための制度でございますけれども、まず法科大学院に入学いただきまして法理論教育をしていただく、これが中心でございまして、その後、司法試験に合格して御指摘の一年間の司法修習を経ると、こういう三つが一連のプロセスとして組み立てられておりまして、そういったプロセスとしての法曹養成制度ということになっております。
 したがいまして、労働法についてのお尋ねでございますけれども、まず中心的な機関である法科大学院におきまして労働法の講座が設けられているというふうにお聞きしておりますし、司法試験におきましても労働法が選択科目というふうに定められております。さらに、司法修習におきましては、具体的な事件を素材にして臨床教育というんでしょうか、実務教育をするということになっておりますので、労働事件についても同様でございます。
 そして、現在御審議いただいております労働契約法案が成立いたしましたら、この労働契約法というのは、所管外ではございますけれども、労働契約に関する基本法でございまして、その重要性、それから新しく制定された法律であるといったようなこともございますので、ただいま申し上げました一連のプロセスとしての法曹養成制度の中で労働契約法につきましても十分な教育が行われるものというふうに考えております。
○津田弥太郎君 是非そのようにしっかり進めていただきたいと思います。
 そこで、次に最賃法について御質問をさせていただきたいと思います。
 この最低賃金法の改正案が可決、成立した暁には、最賃制度が適切に機能する中で、我が国のあらゆる労働者が健康で文化的な最低限の生活が営むことができるよう、これは当然強く求めるものであります。現時点で都道府県別の最低賃金が最も高い東京都七百三十九円、最も低い秋田県六百十八円、これを例に取ってみまして、最低賃金額で働く単身者の一か月の収入と費目ごとの支出を示した生活モデルがあるのかどうか、政府委員、お答えください。
○政府参考人(青木豊君) 一か月の生活モデルというお話でございました。
 今お触れになりましたように、東京都七百三十九円が時間当たりの最賃額であります。これを仮に一日八時間で一か月二十二日働くとして機械的に試算しますと、十三万六十四円ということになります。秋田県で同様に考えますと、六百十八円時間当たりでありますので、十万八千七百六十八円であります。
 お尋ねの単身世帯における一つの生活モデルとしましては、各都道府県人事委員会が算出いたします標準生計費が挙げられると思いますが、これによりますと、東京都におきましては、食料費が二万八千四百五十円、住居関係費が二万八千二百五十円、被服・履物費が六千百九十円、それから保健医療、交通・通信、教育、娯楽関係費などの雑費Tと言われるものが三万五千二百円、それからその他の交際費等の雑費Uと言われるものが一万一千四百十円、合計しますと十万九千五百円でございます。それから、秋田市におきましては、同様に、食料費が二万六千二百六十三円、住居関係費が二万七千二十三円、被服・履物費が四千八百六十六円、雑費Tが二万六千四百五十五円、雑費Uが二万一千八百四円、合計しまして十万六千四百十一円ということになっております。
○津田弥太郎君 大臣、今、青木局長の方から言いました。東京都の食料費二万八千円余、秋田県二万六千円ということは、一日当たり食費は千円切るわけですね、九百幾らですよね。それから、住居関係費というのは、東京が二万八千円で秋田が二万七千円で、千円しか違わないのね。これも常識ではちょっと考えられないし、この住居関係費の中にはいわゆる水道光熱費あるいは電話代、これらも入ってくるわけで、まあ皆さん、どう考えても電気料、ガス、水道、電話、これだけで一万円以内に収められるなんということはあり得ない。絶対超えちゃう。
 とすると、どう考えたって住居費というのは一万五、六千円という話なんです、家賃が、東京で。果たして今、東京都の全不動産屋に当たった場合に家賃一万五千円で貸してくれるところがどこにあるんだ。私は、全部不動産屋当たってないけれども断言できる、一軒もない。これで健康で文化的な最低限度の生活かという話になるわけですよ。
 だから、これは大変、やっぱり標準生計費という形で出てきているもの、特に住居費の部分については、これは実態と私は懸け離れているとしか思えない。大臣が政府委員の答弁を踏まえて可能であるというふうに答えざるを得ないのかもしれないんだけれども、やっぱり人間舛添要一としては、これはやっぱりクエスチョンマークが付くよなという話になると思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(舛添要一君) これは各地域の最低賃金の審議会が決めて、実は今の秋田県、東京都の標準生計費のモデルも、これは実はその最低賃金の審議会の参考資料として供されたものであると。したがって、このまま額面どおり読めば、秋田県が十万六千四百十一円に対して最賃が十万八千七百六十八円ですから、それを超えているというような形になるんだろうと思います。
 ただ、委員が御指摘のような点も踏まえまして、この法案が法律としてきちんと成立した暁には最低賃金を引き上げる方向で各地域の審議会にも努力をしていただく。それから、成長力底上げ戦略ということで、産業政策と雇用政策というのをきちんと調和してやろうということを言っておりますから、この法案を武器にして少しでも短期的そしてかつ中長期的に最低賃金の引上げが実現できるように最大限の努力をしてまいりたいと思います。
○津田弥太郎君 ちょっと大臣、口ごもっている。とても、こういう計算式というのは何らかのそれは根拠があって出されている数字であるということは分かります。ただ、これどう考えても、東京と秋田とでは最低賃金が百二十一円違うんですよ。東京の標準生計費が十万九千円で秋田の標準生計費が十万六千円って、これどう考えてもおかしいですよね。おかしいですよ。東京はもっと高いのは当たり前なんですよ。こんな金額で収まるわけがないんです。秋田だって、ちょっともうとてもじゃないけれども、私、秋田県の人をたくさん知っていますけれども、こんな金額では現実にはこれはもうあり得ない。
 だから、本当に健康で文化的な最低限度の生活を営むに足るということを考えるならば、やはりそもそもこの標準生計費そのものについての算出の在り方、常識が通用した数字が出るように是非検討していただきたいと思いますが、いかがでしょう。
○政府参考人(青木豊君) 先ほどちょっと申し上げましたように、標準生計費は、これは各都道府県の人事委員会が算出している数字でございます。これを参考にして、大臣からの御答弁もありましたように、各審議会でこれを参考にしながら議論をしていただくということであります。
 今般お願いをしております最低賃金法の改正案におきましては、生活保護との整合性ということで、生活保護との関係を重視して十分議論していただくということにいたしているわけでございます。そういう意味では、秋田を始め、生活保護と逆転しているようなところがございましたので、そういうことでありますので、そういうもろもろの数値を参考にしながら底上げの方向で議論をしていただくというふうに思っております。
○津田弥太郎君 秋田県の隣は山形県ですから、岸副大臣、是非、山形県も秋田県の次に最低賃金低いですから、ちゃんと聞いていてくださいよ。
 青木さん、念のために確認したいと思うんですが、先ほどおっしゃった、東京都と秋田県の最低賃金で働く労働者というのを、生活モデルによって、一か月百七十六時間掛ける秋田県は六百十八円ということで数字をお示しになりました。これ、そういうことになると、この労働者は一年間では何時間働くんでしょう。
○政府参考人(青木豊君) 一日八時間の二十二日稼働ということで百七十六時間としておりますが、これは一月でありますので十二倍して、年間二千百十二時間となります。
○津田弥太郎君 そうですね、これはもう単なる掛け算の話です。つまり、十二倍をすれば二千百十二時間になる。一方で、青木労働基準局長の最も重要な担当法律である労働基準法、ここでは一部の特例を除いて週四十時間労働が定められているわけであります。上限一杯一年間働いた場合でも、年間の労働時間というのは、週四十時間をベースにして計算をすれば二千八十五時間になるわけであります。この二千八十五時間と先ほどおっしゃった二千百十二時間の間には二十七時間の差があるわけであります。
 したがって、この最低賃金額を支給をされる労働者が、そもそも労働基準法を上回る労働時間を働くことが前提で計算をされるというところに私は問題があるのではないのかなと。二千百十二時間じゃなくて二千八十五時間で計算をすれば、更に一時間当たりの単価は上がってくるわけであります。そういう計算をすべきではないかというふうに私は思うんですが、青木さん、いかがですか。
○政府参考人(青木豊君) 確かに委員御指摘のように、そういう時間で計算をすれば単価は上がってくるということは当然だと思います。
 私ども、地域別の最低賃金額が時間額で定められているということで、一方で生活保護の基準が月額で定められているということで、この両者の比較に当たっては最低賃金を月額に換算して比較を行う必要があるということで、先ほど来議論になっていますようなやり方で計算をしておったわけであります。
 具体的な生活保護との整合性については、委員御指摘のような考え方も含めまして、中央最低賃金審議会、それと地方の最低賃金審議会で十分議論をしていただいて具体的なものを決めていただきたいというふうに思っております。
○津田弥太郎君 私、長野県で最低賃金審議会の委員六年間やってきた人間ですから、あの議論の場を私、直接やっていますからよく分かっているんです。議論になるんです、この時間の問題が。
 これ、それぞれの都道府県の最低賃金審議会でこのことが議論になると、労働局の方から、いや、そうはいっても中央でこのように定められておりますというふうに言うんですよ。そうすると経営者の皆さんがにこにこっとして、そら見たことかというふうになって、週四十時間あるいは今二千八十五時間という数字を使っても、これは決して間違ってはいないわけですよね、間違ってはいないんですよ。
 だから、より最低賃金を引き上げるという意味では、まずここの時間換算の部分を、これまでのやり方を変えていくということがこの今回の法改正のもっと引き上げなければいけないということにつながっていくわけですから、ある面では一番機械的にやれるところでありますので、今おっしゃったように、中央最低賃金審議会並びにそれぞれの都道府県の審議会で是非ともその時間についても労使で話し合えるようにしていただきたいと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(青木豊君) まずは中央最低賃金審議会に御審議をお願いし、具体的に当てはめ等、地方の最低賃金審議会でも十分御議論いただくようにしたいというふうに思っております。
○津田弥太郎君 今日、資料を配付をさせていただいております。これは、金融広報中央委員会が昭和三十八年から調査をしている、世帯ごとの貯蓄の有無についてであります。
 この右側の貯蓄ゼロ世帯の推移を見ていただきたいわけですが、平成十三年に貯蓄ゼロ世帯は一六・七%と大幅に上昇し、さらに、平成十五年に二一・八%、急上昇し、高止まりをしているということであります。もう御案内のように、この平成十三年というのは小泉内閣の発足をした年でありますし、平成十五年というのも小泉総理が自民党の総裁選で再選をされ、内閣改造を行ったところであります。この貯蓄ゼロ世帯は当然ながら家計収入の多寡と強い相関関係があり、直近の平成十八年の調査では、年収三百万円未満の世帯では実に三六・七%が貯蓄ゼロになっているということでございます。
 私は、社会全体が高福祉化していき、セーフティーネットの網目が狭まっていくという状況であるならば、貯蓄ゼロ世帯の深刻さももう少し違ったものになってくるかもしれないというふうに考えるわけです。しかし、三年前の年金改正、二年前の介護保険法改正、障害者自立支援法の制定、そして昨年の医療法改正、いずれもこれ財政上の観点から負担の引上げあるいは給付の切捨てという方向での制度改革が行われているわけであります。したがって、日本人は、多少の蓄えがないと不安でしようがないということで、貯金は割とする方だったんです。ところが、現実にはこの貯蓄ゼロ世帯がこのように増えてきているという、こういう状況になっているわけであります。
 大臣は、この貯蓄ゼロ世帯の増加についてどういう認識をお持ちかということ、これが第一点、それから、貯蓄ゼロ世帯の増加を始めとした格差の拡大につながるあらゆる指標について注意深くウオッチをしていただいて、個々の制度だけではなくて、雇用あるいは社会福祉の各制度間の連携、さらには税制も含めた有機的な連携によって対策を行うべきだというふうに考えますが、これが二点目、いかがでしょう。
○国務大臣(舛添要一君) 今委員がお示しいただきましたこの貯蓄ゼロ世帯のパーセンテージ、ここまで大きな数字かというふうに非常に私も深刻に受け止めております。
 これが何が原因であるかというのはもっと分析をしないといけないと思いますけれども、いわゆる格差の問題、これは今の日本が直面している大きな問題であって、きちんとこれには対応していかないといけないと思います。
 それで、最低賃金法もその一つでしょうけれども、やはり社会保障制度全体、これが最後のセーフティーネットとなって国民の生活を守る。そして、これが正に政府の仕事であると。高度経済成長のときには企業がこの役割を担ってきた。しかし、企業がもはやいろんな理由からそれが担えなくなった以上は、中央、地方を問わず、政府がきちんとやるべきであると。そういう意味で、政府の仕事というのは、単に小さな政府、大きな政府というような単純な分け方ではなく、緻密な議論をもってセーフティーネットの構築に当たりたいと、こう思っております。
○津田弥太郎君 分かりました。
 最後の質問に入りたいというふうに思います。
 成長力底上げ戦略推進円卓会議、先ほども与党の方からも御質問がございました。いわゆる円卓会議の件でございます。これが本年三月に首相官邸の下に設置をされて、実は私の出身組織のJAMの会長もメンバーになっておるわけでございましてちょっとやりにくいんですけれども、積極的な議論が行われているのだなということで承知をいたしております。
 ただし、この最低賃金制度については、中央最賃審議会における目安審議を経た上で地方最賃審議会で毎年額を改定するという枠組みが従来から確立をされておりますし、この本法律案の施行後も引き続きそうした枠組みが堅持をされるという答弁がこれまで委員会でございました。私は、こうした最賃決定の枠組みが堅持されることに私は賛成をするものであるわけです。
 それで、この円卓会議というのは、この最賃決定の枠組みの外において最低賃金の引上げに極めてプラスになるんだったらいいんだけども、大丈夫かな、ちょっとクエスチョンマークがなくもないんです。先ほど私申し上げました、長年の勘の話を。働く人の言い分が八割、経営者の言い分が二割、そこが大体の落としどころ。一万円の要求をしたときには八千円ぐらいがいいところだよ、これが大体落としどころなんです。こういう意味で、この円卓会議が経営者の言い分は二割以内に収める、働く者の言い分を八割聞いたところでの話が出てくるんならいいんだけれども、五分五分では困るんだ。
 その辺について、この円卓会議が最低賃金の大幅な引上げに寄与する議論の場となっていくのかどうか、是非とも大臣の認識をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) これまでの法案審議の過程におきましても、最低賃金の引上げというのが経営者の立場から見て経営を圧迫するんではないかと、こういう議論が何度かあったように記憶をしております。
 しかし、この円卓会議においては、政労使で最低賃金を引き上げるんだと、そういう合意形成の下に産業政策とこの雇用政策をハーモナイズさせるということでございますし、その方向で力を合わせるということですから、委員の御懸念には及ばないというふうに私は申し上げておきたいと思います。
○津田弥太郎君 終わります。
○川合孝典君 民主党・新緑風会・日本の川合孝典でございます。
 津田委員の後は大変やりにくいわけでございますが、この労働二法の審議において発言の機会をちょうだいいたしました先輩の皆様に感謝しつつ、質問を始めさせていただきたいと思います。
 冒頭、通告しておりました順番と少し変えさせていただきまして、まず政府委員の方への御質問から始めさせていただきたいというふうに思います。
 最低賃金法に関してということでまず一点、最低賃金法の周知徹底に関する問題について御質問を申し上げます。
 先ほど来お話が出ておりますが、政府が今年の二月に立ち上げられた成長力底上げ推進円卓会議では、最低賃金について、最低賃金法の改正に加え、最低賃金の周知徹底を行い、そして最低賃金の引上げに向けた取組を行うということを指摘されているわけでございます。
 一方で、履行の実態ということで調べてみますと、最低賃金の履行実態、今年六月の一斉監督の結果、六・四%の事業所で違反が指摘されている、都道府県によっては一〇%を超えるような県もあるということでございます。
 せっかく今回、最低賃金法の見直しを行い充実を図ったとしましても、その結果として違反事業所が増加するようではこれは何の意味もないわけでございます。それだけに、いかにして最低賃金の周知徹底を行うのかということが大変重要になるものと私考えております。
 政府として、本法案が成立しました後には、一体どのようにして最低賃金の周知徹底、特に最低賃金遵守のための事業所への指導強化を行われるのか、この点について具体的な方策をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(青木豊君) 最低賃金制度は、すべての労働者の賃金の最低限を保障するセーフティーネットでございます。その履行確保ということは大変大切でありますし、そういう観点からも、御指摘のように、周知広報は極めて重要だというふうに思っております。このため、従来からポスターの掲示だとかリーフレットの配布、あるいはホームページへの登載などによりましてこの最低賃金額の周知を行ってまいりました。地方公共団体に対する広報誌への掲載依頼も行うなど、様々な周知広報活動を行っているところでございます。
 お話ありましたように、今年の六月には、最低賃金の履行確保を図るため、最低賃金に関して問題があると考えられる業種等を重点といたしまして、全国約一万事業場を対象に一斉監督を行いました。また、今年、今年度改定されました最低賃金の履行確保を図るための監督指導というのも行っているところでございます。
 今後とも、インターネットや広報媒体を活用しまして、使用者団体あるいは労働者、民間団体など広く国民に最低賃金の内容、そして最低賃金額について周知徹底を図りたいというふうに思っております。一層の国民への広報を実施するとともに、最低賃金遵守のための事業所に対する指導の強化にも取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○川合孝典君 私も津田委員と同様に、労働団体の方からこちらの方に出させていただいておるわけでございますけれども、実際この現場、民間企業の現場というものについて、ある県の労働委員をしておられる先輩の方からお伺いした、これは本当の話でございますが、どのぐらい法律、労働基準法、最低賃金というものについて事業主の方が認識されておられるのかということについてでございますが、あるところで個別の紛争が起こって、そのことに対して、労働委員をやっておられる先輩がその事業主の方のところに行って、その案件についてこれは労働条件の不利益変更であると、そういうような話をしたところが、その事業主の方がおっしゃったのが、私の会社は労働基準法は未加入ですと、こういうことをおっしゃったわけであります。信じられない発言でございますが、冗談でごまかしでおっしゃったのか、本当に御存じないのか分からないわけでありますが、これほどまでに厚生労働省が知恵を絞って、いろいろな遵守強化のための取組を行っておられるといっても、実際のところ、現場ではそういったことが横行しているのが私は中小零細企業における現場の実態だというふうに理解いたしております。
 したがいまして、ただいま御答弁ありました内容につきましても、本当に現場の立場に立ったときにそれが有効なのかというその目線に立った取組をこれから行っていただきたい、このことを申し添えさせていただきたいというふうに思う次第でございます。
 続きまして、中小企業への支援策という側面について、これ午前中の御質問の中にもありましたが、もう一度確認の意味で御質問をさせていただきたいと思います。
 これまで日本の最低賃金が先進国中最低水準にとどまっていた幾つかの背景というものがありますが、そのうちの大きな一つが、経営サイドから、特に中小企業にとっては、最低賃金が上がると労働コストが増加して経営が圧迫される、また、最低賃金が上がると企業が雇用に慎重になることから雇用が減少すると、こういった主張が繰り返しなされてきたと、このことが一つ大きな要素になっているというふうに私はとらえておるわけであります。
 実際に、景気が回復基調にあるとはいえ、その恩恵に浴している業種、また地域というものはごく一部に限られている状況であって、実際、地方の中小零細企業にとっては、まだ景気回復の恩恵を十分に受けることができていない状況であるのも事実であります。私たち民主党としましても、中小零細企業の経営に対する配慮というのは大変重要なことだということは理解しておりまして、これまでも最低賃金の引上げに際しては、それと同時に、中小零細企業へのきめ細かい支援策を実施していくことの必要性を訴えてまいりました。
 そこで、午前中の御回答にもありましたが、今回、最低賃金法改正に当たって、どのような中小企業の支援策を具体的に実施されるのかということと同時に、その支援策にどのような効果を期待しておられるのかということ、この点についてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(長尾尚人君) 経済産業省といたしましても、委員御指摘のとおり、中小企業の経営力の強化と生産性の向上というものが非常に重要だというふうに認識しておりまして、それに向けましたきめの細かい対策を実施していきたいと思っております。
 まず、景気の回復の果実というものが中小企業に十分波及させていく、そういったことのためには、まず下請取引の適正化を進めることが非常に重要だというふうに考えております。このため、下請取引ガイドラインの普及啓発や下請法に基づきます取締りの強化等を徹底するなど、下請適正取引等の推進に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
 次に、中小企業の中でも特に厳しい状況に置かれております小規模企業、その経営基礎力の向上を図るという観点から、ITを活用しまして小規模企業自身が自らの経営状況を正確に把握するとともに、金融機関からの資金供給の迅速化をするということが可能になりますようなシステムの強化を図ってまいりたいと思っております。これによりまして小規模企業の収益力の強化、金融機関や取引先からの信頼性の向上、そういったものを図ってまいりたいと思っております。
 それに加えまして、基盤的な部分でございますけれども、地域経済の活力の源泉であります中小企業の事業承継の円滑化を図る観点から、一定の事業継続や雇用確保を要件といたしまして、非上場株式に掛かる相続税の八〇%以上の軽減措置の導入を目指しておるところでございます。あわせまして、開廃業のマッチングを行うための事業承継支援センターの設立など予算措置を始めまして、金融制度面を含め総合的な支援策を実施すべく全力で取り組んでいるところでございます。
 こういった形で、午前中にもお話しいたしましたけれども、全中小企業の中の約二割に相当する八十万企業等の生産性向上への取組事例というものを支援していくといったことをやっていきたいというふうに思っております。
○川合孝典君 是非とも実効性のある対策をお願い申し上げたいというふうに思います。
 それでは、続きまして大臣にお伺い申し上げたいと思いますが、先ほどの質問の中にもありましたが、最低賃金法の改正によって企業が採用に慎重になることから雇用機会が減るような事態が起こるというこれまでの主張、こういった経営側の主張について、大臣はどのようにこの考えをとらえていらっしゃるでしょうか、御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) この地域別の最低賃金というのは、いつも申し上げますように、三つの要素を勘案して決めると。労働者の生計費が一つ、労働者の賃金が二番目、三番目に通常の事業の賃金支払能力、今の委員の質問はここに掛かってくるわけでありますが、今おっしゃったように、この委員会でも、先ほど私も申し上げましたように急激な最低賃金の引下げが、経営を圧迫したりかえって雇用の機会を減らすんだという意見がございますけれども、しかし、今申し上げたような三つの要素をきちんと勘案した上で審議会で議論をしていただいて、そしてやはり生産性の向上に見合った賃金の上昇をやるべきであると、これがきちんとした方策でありますから、それから外れることはこれは私は許されないことだというふうに思っております。
 常に申し上げているように、産業政策と雇用政策、これは一体化してやらないといけない。生産性が上がって会社のもうけが上がっている、しかしそれに最低賃金が付いていかないと、こういう状況であってはならないと思いますから、そういうことをきちんと踏まえて、各地域の、地方の最低賃金審議会がきちんとした答えを出してくれるものと期待しております。
○川合孝典君 ありがとうございます。
 賃金の支払能力というものを最低賃金の指標に取るというのは先進国では非常に珍しい、実は余りないということについてもこの場で是非ともお訴えさせていただきたいというふうに思います。
   〔委員長退席、理事家西悟君着席〕
 最低賃金の上昇は雇用を減らすのかというこの議論については、日本では一般的に従来から経営側が主張してきたような、賃金上昇が雇用の確保には悪影響を及ぼすんだというような主張が大体大勢を占めているわけでございますが、一方、調べてみましたところ、一九九〇年代以降なんですが、欧米の研究では、最低賃金の上昇が必ずしも雇用に影響を与えない、若しくはわずかながら雇用を上昇させる効果もあるという、こういう非常に全く逆の報告も実は出始めております。その後の学界の様々な議論の中でも両方の説が半々で主張されているという状況でございます。
 私がここで申し上げたいのは、最低賃金の引上げが必ずしも雇用の喪失につながるものではないという視点を持つことが重要なんではないかというふうに考えておるわけでございます。今回の法改正を機に、是非ともこうした視点から経済と雇用との関係というものをとらえていただきまして、今後の最低賃金引上げに向けた持続的な取組を行っていただくことを是非ともお願い申し上げたいと思う次第でございます。
 最低賃金につきまして最後の質問をさせていただきたいと思いますが、大臣に、産業別最低賃金の位置付けの問題に関してお伺い申し上げたいと思います。
 我が国は、過去十数年間にわたって経済構造改革政策を推進し、財政やサービス市場の規制緩和、競争促進、そして外部労働市場拡大のための制度改革をずっと推進してこられたわけであります。こうした構造改革に効果があったこと自体をすべて否定するわけではありませんが、他方で、昨今非常に問題になっておりますワーキングプアや格差拡大といった一連の構造改革の負の側面が出てきていることもこれも事実であるというふうに思っているわけでございます。
 こうしたことを踏まえて、改めて最低賃金法改正に当たってのここ数年間の議論の経緯を見てまいりますと、政府にはワーキングプアや格差拡大といった問題に対する認識が不足していたのではないかと思われる点があるわけでございます。
 例えば、平成十七年三月二十五日閣議決定の規制改革・民間開放推進三か年計画、この中にこのように記載されております。
 労働市場は、産業別に形成されているわけではなく、都道府県単位とはいえ、産業別に異なる最低賃金を設定する意義は乏しいとの考え方もある。また、最低賃金の設定が必要な場合には、労使の協約、協定で自主的にこれを定めればよいとの指摘もある、このように記述されております。以下中略しますが、その後に、こうした地域別最低賃金とともに都道府県単位で設定される産業別最低賃金については、その維持強化を求める声がある一方で、屋上屋を重ねるものとしてその廃止を求める声も他方にはあり、産業別最低賃金を含む最低賃金制度の在り方については、平成十六年九月以降検討が行われているところであるが、こうした考え方にも留意しつつ、引き続き意見集約に向けて検討を進める、このように記載されているわけでございます。
 今回は、幸いにして産業別最低賃金は存続することになったわけでありますが、こうした内容を読む限り、これまでの政府の議論では、そもそも経営側の意向を受けて産業別最低賃金を廃止することしか念頭になかったのではないかと思われる節があるわけでございます。
 産業別最低賃金と申しますのは、産業別での公正競争を促進する上での非常に重要な役割を実は担っているわけであり、労使交渉によって決定した水準というものを、現在では労働組合も組織率が二〇%を割り込んでいるという状況の中で、団体交渉を持てない未組織労働者に波及させるという大変大きな役割を担ってきているという側面もあるわけでございます。
 そして、今のそれぞれの労働者の現実を見ますと、経営者から屋上屋を重ねるだとか高過ぎるだとか言われ続けてきた産業別最低賃金が存在しております今でもなお、これほどまでに低賃金労働ですとかワーキングプアの問題が顕在化しているという事実があるわけでございます。
 そこで、大臣に御質問申し上げたいと思いますが、大臣は、この産業別最低賃金というものの位置付けについてどのように御認識なのかということでございます。御所見をお伺いします。
○国務大臣(舛添要一君) まず、地域別の最低賃金が一つあり、産業別の最低賃金がもう一つあります。やっぱり地域別の最低賃金こそセーフティーネット、最後の生活を守る安全網であると、この役割はそこにあると思うんですね。したがって、これを今回の法律でもきちんと決めて、従わなければ罰則を科すと、義務化すると、非常に強い、これはもう最後国がやるセーフティーネットですよと、これが地域別だと思います。
 じゃ、産業別最低賃金というのは何の意味も持たないかというと、今委員がおっしゃったように、やはりこの産業ではこれぐらいが最低賃金の水準ですよという一つのレファランスを示すことによって非常に公正なこの各産業別の賃金水準を決定することができると、それは基本的には労使の間のイニシアチブできちんと決めてもらうということでありますから、全く意味がない、だから直ちに廃止すればいいという、そういう考えではなくて、私は公正さ、それを補うために十分意味のある一つの指標だというふうに考えております。
 したがって、御指摘のように、今回このことはそのまま残し、申出があればきちんとそれはやってよろしいですよと。ただ、地域別最低賃金と違って最低限のこのセーフティーネットだという位置付けまではやはりできないと思いますから、そういう意味で、義務化とか罰則化とかいうことについては、これはそれは免れていると、こういうふうに考えております。
○川合孝典君 どうもありがとうございます。
 本来であれば、その最低限度の地賃というものが本当に生活を守れるだけのものであればいいわけでございますし、そういう意味ではこの最低賃金がこれから引上げに向けて取組をしっかり行っていただくことを是非ともお願い申し上げたいと思う次第でございます。
 それでは、労働契約法に関して御質問を申し上げたいと思います。
 先ほど大臣の御答弁の中にも、今、日本は雇用社会化が進んでいるというお話がございましたが、事実、平成十七年には雇用労働者の比率が八五%を上回っているというデータもございます。これに伴って雇用や働き方も多様化してきて、それを背景として労働契約における権利義務関係をめぐる個別紛争というものが増えてきているんだというふうに私も理解しているわけでございます。
 これまで雇用契約にかかわるルールというのは実定法上は部分的に規定されていただけでございますので、したがって、個別紛争を解決する際に法律の定めが特にあるわけではなく、判例法理がある場合には判例法理に基づいて個別解決を行ってきたという背景があったわけでもございますので、そうした意味からは、今回労働契約法が制定されるということは大変大きな意味があるものだというふうに私自身も認識しております。
 そこで、基本的な部分について大臣にお伺い申し上げたいわけでございますが、今回、民法の特別法として労働契約法が制定されるという、このことの意味について大臣がどのようにお考えになられておられるのか、御所見をお願いいたします。
○国務大臣(舛添要一君) 今委員が御指摘のように、やっぱり労働紛争というのが非常に増加している。そういう中で、個々の判例に基づいて判断下すんではなくて、一つの体系的な法律としてこの法律がきちんと決まったというのは、私は極めて画期的なものであり、このルールの明確化というのは今の日本にとって大きな大きな意味を持っているというふうに思います。
 それから、労使対等な立場でということでありますんで、この契約という概念できちんとそれをやっていく、それから、この労働契約の成立や変更は労使当事者の合意が原則である、就業規則による労働条件などの変更は合理的なものであることを要するということを、基本的なこのような労働契約に関するルールを明確化したということは本当に私は意味が大きなことだと思いますし、その使用者側の合理的な行動がこの法律によって促されることによって労働紛争の未然防止に貢献すると、こういう大きな本当に意義を持った法律であるというふうに認識しております。
○川合孝典君 労使が対等、本当に大臣の御答弁のとおりなわけでありますが、実際には労使が対等であるということについてはほぼないわけでございまして、そういう意味で、いかにして立場の弱い労働者というものを対等な立場にまで引っ張り上げることができるのか、若しくは労働者の立場にまで使用者側が目線を合わせていくことができるのかという、これをやることが大変大事だというふうに思っております。
 私は、大臣の御答弁もっともだと思いますが、一方で、現場がそうなっていないということに対して大変大きなジレンマも感じているわけでございまして、その点につきましてもこれからチェックをきちんと入れていっていただきたい、お願い申し上げる次第でございます。
   〔理事家西悟君退席、委員長着席〕
 ちょうだいした時間がぼつぼつなくなってまいりました。少し飛ばして御質問申し上げたいと思います。
 懲戒の権利濫用に関する部分についてちょっと御質問させていただきたいと思います。
 本法案で、解雇の権利濫用が無効とすることについては労基法十八条の二から移行されるということですが、併せて懲戒の権利濫用も無効とすることに今回なったわけでございますが、これまで懲戒に関する裁判における判例というものを見ていますと、基本的に学説で言うところの固有権説を取っております。
 しかし、実際には、就業規則等に懲戒に係る規定を明確にして初めて使用者側は懲戒権を行使することができるという立場を取っているのが現在の判例法理であるというふうに理解しているわけでございます。つまり、裁判所は就業規則の合理的な解釈と懲戒権濫用法理の適用を行って懲戒処分のコントロールというものを行っているというわけでございますから、したがって、権利濫用による懲戒処分の防止策としては、就業規則において懲戒事由や懲戒処分の内容がいかに具体的に判断基準とともに明示されているかということが大変必要なんではないかというふうに私考えておるところでございます。
 ここで質問なんですが、今回、法案では、懲戒の権利濫用の判断に当たっては、合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とするというふうにあるわけでありますけれども、それでは、これまでの判例法理などによって確立された合理的な理由や社会通念上これに相当するようなものとして何か具体的な事例があるのかということなんですね。この点について、懲戒事由や懲戒処分の内容を具体的な判断基準とともに明示する必要性がこういうことを考えるとあるのではないかということも併せて政府側のお考えをお示しいただきたいと思います。
○政府参考人(青木豊君) 労働契約法案の第十五条のこの懲戒に際しての合理的な理由あるいは社会通念上相当であるということについては、これは事案に応じて個別具体的に判断されるものでございますが、懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして客観的に判断されるということになるというふうに思っております。
 これらについては非常に千差万別で一義的に示すことはできませんけれども、労働契約法案が成立いたしましたならば、懲戒の権利濫用を含めまして、現在の判例法理や実務に即した適切な法律の解釈、運用が行われるよう、そういったものを分かりやすいパンフレットを作成して載せまして、これらを活用して周知して、都道府県労働局の総合労働相談コーナーで相談を受けた場合には、十分説明して理解の促進に努めていきたいというふうに思っております。
○川合孝典君 実際の個別紛争の現場では大変そういう部分について混乱を招いているわけでございますので、ただいま御答弁ありましたように、パンフレット等を含めて周知徹底を図る策というものを是非とも充実させていただきたいと思う次第でございます。
 続きまして、もう一点、政府委員に御質問申し上げますが、有期労働契約に関して、契約期間中に解雇を行うやむを得ない事由、これはどのようなものが考えられるのかということであります。また、現場の実態としては、実際には、派遣とか請負契約において派遣先又は請負先から一方的な契約解除、こういうものに起因するトラブルが大変多く今見受けられているわけでございますが、これはやむを得ない事由に当たるのでしょうか。この辺も含めて政府のお考えをお示しください。
○政府参考人(青木豊君) 労働契約法案の十七条一項において、現在、民法の六百二十八条には、有期労働契約は契約期間途中であってもやむを得ない事由があるときは直ちに解除できると規定されておりますけれども、この労働契約法案の方では、やむを得ない事由がある場合でなければ解雇することができないという旨を規定することによりまして労働者の雇用継続への期待を保護しようとしているわけであります。
 お尋ねのやむを得ない事由についてでございますが、これは、有期労働契約の契約期間というのは労使で約束したわけでありますから、本来遵守されてしかるべき当事者の合意であります。このため、解雇権濫用法理における客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であるというような場合よりも厳しく判断されることになるというふうに考えております。
 具体的には個別具体の事案に即して判断されることになりますので、これらも具体的な集積しているものを集めまして、パンフレット等、手引等で具体的な運用に当たって活用できるようにしていきたいというふうに思っております。
○川合孝典君 こうした問題で非常につらい思いをしているのは非常に立場の弱い労働者であることが多いわけでございますので、是非ともそういう方々の救済につながるような手段というものを本当に真剣にお考えいただきたいなということを申し添えさせていただきまして、時間が参りましたので私からの質問は終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○風間直樹君 民主党・新緑風会・日本の風間直樹でございます。よろしくお願いいたします。
 先般、この厚労委員会で今回の法改正にかかわる参考人招致が行われまして、五名の方に御出席をいただきましたが、私はあの招致が非常に胸に響きました。特に、生熊茂実さん、それから伊藤みどりさん、このお二人のお話を伺いまして、今労働の現場で特に非正規雇用を中心とする立場の弱い労働者の方々がどういう現状に直面しているか、そういう実態を伺いまして、非常に考えるところがございました。
 今日は、これまで多くの委員の皆さんから様々な切り口からの問題提起がなされてまいりましたが、私からは、今回の労働三法の改正が非正規労働者の労働条件の改善につながるのかどうかと、こういった視点からお尋ねをさせていただきたいと思います。また、舛添大臣には質問させていただきますのが初めてでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 最初に、大臣、ちょっとプライベートなことをお尋ねして大変恐縮なんですが、この法案審議する政府側あるいは修正者、そして我々委員、それぞれが、やはり今大変生活に困窮されている方々のお立場を十分意識しながら、この法を改正した結果どういう結果をもたらすかということを考えなければいけないと思うんですが、大臣は今、大臣というお立場になられて、まあ言ってみれば世間では一般的には大変成功されたと、こういうことだろうと思うんです。ただ、大臣のこれまでの人生の中でも、やはり比較的、今追い風を受けて生きているなとお感じになったこともあれば、また逆に、ちょっと大変だなと、こうお感じになっていた時期もあったと思うんですね、特に収入面といいますか。大臣の場合は、いつとお尋ねするのも大変恐縮ですが、いつごろ一番大変だなというふうな御経験があったのか、その辺をちょっとお尋ねできれば有り難いと思いますが。
○国務大臣(舛添要一君) 私は、父親を子供のときに亡くしましたから、大学入って以来は全部自分で生活を見ながらやってきましたんで、いろんなアルバイトもやってきました。したがって、そういう意味では、若いときにいわゆる今でいうフリーターとか非正規労働の経験もありますんで、非常に、肉体労働もやりましたから、そういう苦労をしたこともございます。
 しかし、今振り返ってどうかというと、それぞれのときはそれぞれの苦しみも、また楽しみもあり、また大臣としても同じような思いを抱いておりますので、その時々において一生懸命与えられた仕事をこなしていって頑張ると、そういう思いでやっております。
○風間直樹君 ありがとうございます。私も、自分で振り返ってみると、やはり選挙の落選を経験しておりますので、この浪人中の生活というものが貧乏だったなと、こう思うこともございます。
 そこで、今回の改正について私は思うんですが、その法案を作った皆さんも、それから我々委員も、この改正が労働者の皆さんにとって良かれと思ってするわけであります。しかし、例えば労働者派遣法、平成十一年、十五年に改正をされておりますが、この改正が果たして本当に良かったのかということを今考えてみますと、特に製造業で働く皆さんにとっては、かなり当初の意図とは反する結果を生んでいるんではないかという疑念も持ちます。そうしたことが今回の法案でないように是非したいという、そんな気持ちから、まず最低賃金に関する質問をさせていただきたいと思います。
 最低賃金、この引上げをもう少し図るべきではないかと、このように私は考えておりますが、なかなかその実現というのが難しい。その背景には、最低賃金の引上げが中小企業に影響を及ぼす、そういった視点があるというふうに言われておるわけであります。特に、日本の企業の場合は九九%が中小企業で、最低賃金の大幅引上げが経営に大変な大きな影響を与えると、こういう主張もあるところであります。
 民主党としましては、今回の法改正には盛り込まれませんでしたけれども、中小企業に対する財政措置及び金融上の措置の義務付け、こういったものなど中小企業対策をこれまで考えております。
 そこで、最低賃金を引き上げた場合、消費あるいは企業の雇用、こういったものにどのくらいの影響をもたらすのか、そうした具体的な分析、検証を行った上で、この賃金がどれぐらいの水準であるべきかという答申を中央ないし各地方の賃金の審議会で行っていただく必要があると思うんですが、実は案外、賃金審議会におきましてどういった議論がどういう流れでなされていて、また、この審議会の委員の皆さんがどのような事務局提出のデータを基に議論されているのかということが実は知られてないと思うんですね。
 そこで、お尋ねをいたしますが、この中央及び地方の賃金審議会では、まずどのような流れで最低賃金の答申案をまとめているのか、そして、その際事務局から委員に提出される審議のためのデータはいかなるものなのか、この点をお尋ねしたいと思います。
○政府参考人(青木豊君) 地域別最低賃金の具体的な水準の決定プロセスは、まず中央最低賃金審議会から引上げ額の目安というのが提示をされます。そして、各都道府県の地方最低賃金審議会において、これを参考にしつつ地域の実情等も踏まえた調査審議が行われるということでございます。そして、その結果に沿って現下の雇用経済状況を踏まえた適切な引上げ等の措置が講じられると、こういうことになっているわけであります。
 地域別最低賃金の具体的な水準については、これは各都道府県の地方最低賃金審議会において三つの決定基準、生計費と賃金と通常の事業の賃金支払能力、この三つの決定基準に基づいた調査審議を経て決定されるということでありますけれども、この際、お尋ねのデータでもありますけれども、まず労働者の生計費については、例えば世帯人員別の標準生計費や生活保護基準、あるいは物価指数といった資料でございます。それから、労働者の賃金につきましては、例えば学卒初任給でありますとか春季賃上げの状況といった資料。それから、通常の事業の賃金支払能力につきましては、例えば工業統計調査による付加価値額の状況、それから短期経済観測調査による業況判断及び経常利益の状況といった資料を参考にしているものと承知をいたしております。
 このほか、中小零細企業に関する資料としては、中央最低賃金審議会におきましては賃金の改定状況などを調査いたします。それから、地方の最低賃金審議会におきましては、賃金形態、基本給額、諸手当の額などに関する基礎調査というものをいたしまして、その調査を実施して、それぞれ参考にいたしているところでございます。
○風間直樹君 今、冒頭、中央審議会から引上げ額の目安を各地方の審議会に出すという話がございましたが、伺っていまして、この点は非常に大事なのかなと直観をしたんですが、この目安というのは中央審議会の場でどのように作られるのでありましょうか。
○政府参考人(青木豊君) この目安については非常に長い中央最低賃金審議会の議論がございまして、全国的な整合性というものを勘案するということで、具体的な水準はもちろん地方の最低賃金審議会の審議を経て地方で決めるということでありますけれども、目安というものを一応提示をするということにいたしております。
 そして、先ほど申し上げましたように、これも全国の地方を四つに地域分けをいたしまして、どの程度の引上げ額がいいのかということで、目安として参考資料として中央最低賃金審議会へ出すということであります。その際には、先ほど申し上げましたように、賃金の改定状況調査というものを中央最低賃金審議会でいたします。常時使用する労働者三十人未満の企業規模の民営事業所を対象にいたしまして調査をいたしまして、それぞれ各産業についての賃金のその年の改定状況を調査して、資料として提供して審議をするということになっております。
○風間直樹君 この中央審議会から出された目安というのは、その後結果として見た場合、各地方の審議会ではやはり尊重されて、恐らく大体これぐらいの幅でという目安をお出しになると思うんですが、その幅に準じた地方審議会の答申というものが出て、それが決定されると。結果としてそういうことになっているんでしょうか。
○政府参考人(青木豊君) この目安については参考にするということで、地方の最低賃金審議会で具体的に決定するわけですけれども、平成十九年度の最低賃金の改定につきましては、目安どおりの県が二十五道府県、目安より上回った県が二十二都県でございます。
 十九年度の目安も四ランクに分けて幅を持たせて目安が出ましたけれども、それ以前は幅ではなくて具体的な額なども出されておりますし、それ以前では目安どおりかあるいはそれよりやや上回るというようなのが続いてきたかと思います。ずっと昔にさかのぼると低いときもありましたけれども、いずれにしても、具体的な額は参考にしつつ地方の最低賃金審議会で審議して決められているということでございます。
○風間直樹君 この審議会の委員の方の選任の仕方と、それから改選、これはどのようにされていますでしょうか。
○政府参考人(青木豊君) 審議会の委員の選任につきましては、それぞれ地方の最低賃金審議会におきましては、労働組合の推薦を受けた者の中から労働者一般の利益を代表するにふさわしい者を任命しているということでございます。そういうことであります。
 それから、委員につきましては任期が決められております。一年の任期、現行でありますけれども、これを今回二年にするということをお願いをしているところでございます。
○風間直樹君 今、東京は別としましても、地方、地域は相当景気がやはりまだ良くないと、こういう状況でございまして、この最低賃金の持つ意味というのは非常に大きいわけでありますが、この最低賃金がセーフティーネットとしての機能を果たすという点を考えてみますと、平成十九年度、影響率が二・二%と非常に低いという感じを受けるわけであります。
 安倍前総理が施政方針演説で、経済的に困窮な状況にある勤労者の方々の底上げを図るべく、最低賃金制度がセーフティーネットとして十分機能するよう必要な見直しを行いますと、このようにおっしゃっておりますが、この最低賃金の引上げ額をもう少しアップして、そしてセーフティーネットの機能を果たすべきではないかという感を強くするんですが、大臣、この点はどのようにお考えになりますでしょうか。
○国務大臣(舛添要一君) 先ほど来申し上げておりますように、産業政策と雇用政策を調和させる、成長力に見合った形で最低賃金を上げていく、この法案が成立しました暁にはその方針をきちんと守っていきたいと思っています。
 それから、成長力底上げ戦略ということで、政労使一体となって長期的に最低賃金引き上げるんだと、こういう目標に向かって力を合わせていく、この合意もできているところでありまして、全力を挙げてその方向で努力をしてまいりたいと思います。
○風間直樹君 先進国と比べてみましても日本の最低賃金低いようでございますので、是非、今お話ございました方向で御努力をお願いしたいと思います。
 次に、この労働契約法の就業規則の不利益変更の部分につきましてお尋ねをしたいと思います。
 この不利益変更、そして労働契約法、これまでの議論の流れあるいは法案の中身を簡単に整理してみたいと思うんですが、まず、労働条件というのはあくまでも契約の当事者である労働者と使用者の合意で決定されるのが基本であると。就業規則の制定手続については、労働基準法第九十条で過半数労働組合か労働者の過半数を代表する者の意見を聴いて使用者が制定若しくは変更をすることができると。ただし、その変更するということも、使用者が一方的に労働条件を変更できるのは例外的な場合であると。今回の法改正では、それにかかわる判例法理を足し引きせずに法律にすると。この点は初日の審議で質疑があったところでございます。この例外的な場合でありますが、例外とは規則条項が合理的であると、このような趣旨の内容が今回の改正案の中に含まれているわけであります。
 そこで、先日の参考人招致で出された意見の中から幾つか私がもっともだなと思いましたものについて政府の認識を伺いたいと思いますが、就業規則の変更がまず過半数労働組合あるいは労働者の過半数を代表する方々、この意見を聴取をした上で進められるという部分であります。参考人招致などで多く出されました意見は、ここに最近の非正規雇用の増加という面を考慮してみると、なかなかその人々、非正規労働者の意見が反映されにくいんだと、こういう悲鳴にも似た訴えが出たわけでございますけれども、こうした方々の意見をどう反映すべきかというのが一つのポイントではないかと思いますが、その点、政府はどのように認識されていらっしゃいますか、伺います。
○政府参考人(青木豊君) 今回の労働契約法案におきまして、就業規則の変更による労働契約の内容の変更というところでは、その第十条で、もちろん原則はそれぞれ第九条で、使用者が労働者と合意することなく就業規則の変更により労働者の不利益に労働契約の内容を変更することはできない旨を明確に規定しているわけでありますが、第十条で、変更後の就業規則が労働者に周知されており、就業規則の変更が合理的なものである場合に、この労働契約の内容である労働条件は変更後の就業規則に定めるところによるものとするという旨を規定をいたしております。この際に、合理性の判断といたしまして、それぞれ労働者の受ける不利益の程度でありますとか、変更の必要性だとか内容の相当性でありますとか、労働組合等との交渉の状況というようなものを勘案するということにいたしておるわけであります。
 そういう意味で、今お尋ねになりました様々な労働者の方々の意見あるいはそういったものを十分お聴きをして、そしてこういった十条の適用を受けて合理性を担保して変更するということになるだろうというふうに思っております。
○風間直樹君 この部分が私は非常にあいまいさを残してしまって、将来問題が出てくる素地となりかねないと思っております。
 この法案改正の審議に先立ちまして、我々委員の下には全国から多くの要望あるいは陳情が寄せられました。その中で一つ、この就業規則に関する陳情書というものが今手元にあるんですが、中野布佐子さんという方の書いていらっしゃる内容です。労働基準監督署に届ける就業規則の労働者代表は、黙って判を押す人を会社が名指しして印を押させ提出しております。社員は、労働者代表が社員の選出によって選ばれなければならないということさえ知りませんし、労働者代表がだれなのかも知りません。したがって、労働者にとって不利益変更が次々と書き換えられております。会社が幾ら不当労働行為をしても、それに異議を唱えるということは即首ということですと、こういう御意見があります。
 それから、今のその合理性の部分ですが、これは働く女性の全国センター事務局から寄せられた中に記載をされていた私の一言というコメントなんですが、不利益変更を社長の一存で被った者です。一度だけでなく、過去数年の間に何度も持ち出され、正社員の身分変更以外はすべてのまざるを得ませんでした。私の会社には就業規則すらなく、労使が協議して合意すればよいではないかと議論されていることに非常に悲しい気持ちを覚えています。職場に自分の居場所を確保するためにきゅうきゅうとせざるを得ない人間にとって、それはちょっとと声を上げることがどんなに困難かお察しください。こういう現状があるわけですね。
 私が非常に心配しますのが、今回法改正をした後にこの内容がまず十分周知をすることができるのかどうか。やはり企業ないし労働現場では労働者よりも雇用側が立場的には強いわけですから、その方々がこうした法を遵守するという精神を持ってこういった問題に当たっていただけるかどうか、この点を非常に不安を覚えているわけであります。
 労働者にしてみますと、二つの選択肢、紛争になった場合は二つの選択肢になるとは思うんですが、まずは裁判。ただ、これはコストと時間が掛かります。そして、もう一つは労働局の総合相談窓口に行くということでありますが、この相談窓口の問題点も、さきの参考人招致で伊藤みどりさんの方から御指摘がありました。当日、この委員会に伊藤さんから参考資料として出されたものがございます。出典は労働法律旬報千六百四十八号、五月下旬号ということになっておりますが、要は、相談に行くと、この相談窓口の方も相談に乗る方の人数が足りないために、できるだけ追い返そうと、こういう実態があるということですね。「追い返しおじさんの存在」というふうにこの資料にはありますけれども、確かにそうなんだろうと思うんです。
 まず、こういう労働紛争が持ち上がったときに、この法律では、内容を遵守した上で、それでも問題が解決しない場合には、やはり労働基準監督署なり監督官なりにその処理をお願いするという運びになると思いますけれども、現状ではこの労働基準監督官、三千名だと。この人数が少ないのではないかという指摘もございます。
 実際寄せられている相談件数、厚労省発表の平成十七年度個別労働紛争解決制度施行状況に基づきますと九十万七千八百六十九件、それに対して受理された件数が六千八百八十八件、そのうち助言、指導を実施したもの六千十一件、処理を打ち切ったもの九十二件と、非常に取り上げている数自体が少ないんですね。
 この労働紛争の処理の体制が現状では著しく不十分ではないかと思いますが、その点に対する政府の御認識をお願いしたいと思います。
○政府参考人(青木豊君) 労働紛争の処理は様々な今お触れになりましたように窓口がございます。とりわけ、その中でも手軽く相談ができるということで、総合労働相談コーナーを全国都道府県労働局四十七か所のほか監督署や、あるいは主要都市の利便性の高い駅周辺などで全国で三百か所に設置をいたしております。約六百人の総合労働相談員が労働に関するあらゆる相談、情報の提供などのワンストップサービスを無料で実施をいたしているところでございます。
 私どもとしては、そういったところで具体的な、パンフレット等を備えていろいろな資料を活用しながら丁寧な相談に努めていきたいというふうに思っております。現在の判例法理あるいは実務に即したいろいろな裁判例等を始めとして集積をいたしておりますので、そういったものを分かりやすく集めまして、そういった資料も活用しながら事務を進めていきたいというふうに思っております。
○風間直樹君 大臣、二つ是非御検討をいただきたいと思うんです。
 まず一点は、この労働相談窓口に行かれる方も大変つらいと思うんですが、追い返す方もつらいと思うんですよ。いわゆる追い返しおじさんですね。かなり執拗に労働基準法違反で申告すると言わないと受理されないと。お互いが処理したくないので押し付け合っているようだ、しかし個人で窓口を訪ねてもまず追い返されてしまうと。こういう現状があるということを踏まえて、やはりこの増員なりを検討していただくべきだろうと思いますが、いかがでしょうか。
 それからもう一点、この労働基準監督署が過半数代表選挙が民主的にやられているか、あるいは就業規則の周知徹底が本当になされているか、この指導をしていないという指摘がございます。やはりこれももっとしっかりやっていただかなければいけないと思いますが、その二点について御認識を伺います。
○国務大臣(舛添要一君) 窓口の相談体制含めてきちんとニーズに対応できるように、これは現状をしっかり分析した上で必要な措置をとりたいと思います。それから、労働基準監督業務につきましても法律に基づいて厳正に行うべきであると、そういう方向で指示をしていきたいと思います。
○風間直樹君 是非この法成立後、私は非常に良からぬ結果がもたらされないかと危惧をしておりますので、この法内容の周知徹底を図っていただきたい、それを念を押してお願いしたいと思います。
 それから、今申しましたように労働紛争処理の体制が著しく不十分であります。また、今回の法改正によって恐らく非正規雇用者の労働条件、雇用状況を改善することはなかなか厳しいのではないかと思います。ややもしますと、労働者派遣法のときのように、今回のこの法改正がなされた後で、やはり結果として悪い事態が多く発生したと、こういうことで、今回の法の内容をまた再度見直す必要も生じてくるのではないかと、このように思っております。私の疑念をこの労働契約法のお尋ねの最後に申し上げておきたいと思います。
 最後、わずかな時間ですが、労働者派遣法の今後の見直しについてお尋ねさせていただきます。
 平成十一年と十五年の改正によりまして大変な事態が生じました。特に十五年改正によりまして、製造業で働く方々の派遣が事実上無制限に解禁されたと言ってもいいと思います。
 今手元に資料がございますが、今、日本の労働人口六千三百八十四万人、これは二〇〇六年度の総務省が発行した労働力調査に基づく数字ですが、そのうち二百万円未満の所得、貧困層とこれはみなされる所得でありますが、その合計が二千百七十四万人いる。うち、いわゆる非正規雇用者、パート、アルバイト、派遣、契約、嘱託、その他で千二百八十四万人。恐るべき事態であります。
 この人たちがどういう生活をしているか。食生活が恐らく所得が一番反映される一つの指標だと思いますので調べてみましたら、今年の八月二十八日に出版されております週刊スパという雑誌、下流の食卓が危ないと、こういう特集があるんですね。読んでみてびっくりしました。お金がないので、どれだけ食材を安く上げるか大変な苦労をしていると。例えば、ペペロンチーノ風味スパゲッティ。スパゲッティをゆでて、そこにマーガリンを入れてペペロンチーノだと思って想像しながら食べると。一食分五十円だそうであります。こういう食生活が今非正規雇用の労働者の間に蔓延しております。
 こういうことを考えますと、やはり将来の日本社会のバランスというものを考慮した上でも放置できる問題ではない。そういう意味で、この労働者派遣法、再び見直しをして、特に製造業への派遣へ何らかの歯止めを掛けるべきではないかと思いますが、政府の認識を伺います。
○国務大臣(舛添要一君) 御指摘のような問題が様々指摘されるわけです。もちろん、若者の間にこういう派遣というような業種を選びたいといったニーズがあることも確かです。しかし、今委員が指摘されたような問題もございますので、この九月から労働政策審議会において具体的な見直しに着手したところでありますので、現状をきちんと分析した上で、しかるべき改革、改善の方向を取ってまいりたいと思います。
○風間直樹君 終わります。
○大河原雅子君 民主党・新緑風会・日本の大河原雅子でございます。民主党四人目の質問者となりましたが、私にとりましては国会初質問でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 地方議会で生活者の視点にこだわり、生活の現場にこだわって活動してまいりました。今後の活動また本日の質疑に当たりましても、このこだわりを大切に取り組んでまいりたいと思っております。
 それでは、まず初めにですが、最低賃金に関しましては今日まで含めて丁寧な質疑がございましたので、これに関連しては一問だけ、一点伺いたいと思います。
 十一月の二十一日付けの日経新聞、ここにこんな記事がありました。厚生労働省は生活保護額のうち食費などの生活扶助額を引き下げる方針を固めたという大変ショッキングな記事なんですけれども、最低賃金と生活保護費の格差問題、逆転問題で、最低賃金を引き上げていくというならともかく、生活保護費を引き下げるというようなことはあってはならないことだというふうに私は思っております。
 この件に関してどのようなお考えなのか、見解をまず伺います。
○政府参考人(中村秀一君) お答え申し上げます。
 生活保護の件につきましては、まず平成十六年に、生活保護制度の在り方に関する専門委員会というのがございまして、そこが十二月に報告書を取りまとめております。これは、今委員からお話のありました生活扶助基準について適正かどうかということを検証していただく会であったわけでございます。その結果は出ておりますけれども、その報告書の中で、生活扶助基準と一般低所得世帯の消費の実態との均衡が適切に図られているか否か定期的に見極めるため、全国消費実態調査等を基に、これは五年に一度やられております、この調査を基に五年に一度の頻度で検証を行う必要があるということでございます。
 今委員が御指摘のありました新聞記事は、現在、その五年に一度の消費生活実態調査の結果が分析できるようになりましたものでございますので、新たな有識者の会議を設け検証を行っている最中でございます。その過程で報道されたということでございますが、この現在行っております生活扶助基準に関する検討会は、データに基づいて専門的な分析評価を行っていただいているところであり、これまで四回の会議を開催し、生活扶助基準が低所得世帯の消費実態との均衡が図られているか否かについて客観的、専門的な検証を行っていただいているところでございます。
 これからどうするかということでございますが、毎年度の具体的な生活保護の基準は予算編成の過程において設定してきておりますので、私どもといたしましては、これからの基準の設定に当たっては、可能であれば、検討会の検証結果取りまとめていただけるようでありましたらば、来年度の予算編成においてでも対応してまいりたいと考えているところでございます。
○大河原雅子君 検討中ということなんですけれども、やはり今の国内を見渡してみても、格差は拡大する、国民の負担は増える、そういうところでデータをもってしても、恐らく大きな変更というのはなかなかできないし、この生活保護費のうちの生活扶助費を引き下げていくというような話にはならないというふうに思っているんですが、どうしてもやはりその点では国民も注目しておりますので、引き下げが行われないような方向で検討を進めていただきたいと要望しておきます。
 それでは、労働契約法案について幾つかお尋ねをしてまいります。
 労働契約法案と労働基準法の関係なんですが、労働法制に関しては様々な法律があって分かりにくいことも確かなんですけれども、労働基準法とこの労働契約法、労働基準法が上級法としての位置付けなのかと思いますが、二つの法律の位置付けについてお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(青木豊君) 労働基準法と労働契約法との関係でありますけれども、労働基準法は、最低労働基準を罰則付きで定めて、かつその基準を下回る労働条件を定める労働契約の部分を無効として労働基準法の基準まで引き上げる効果を持つ法律でございます。一方、労働契約法案は、最低労働基準を上回る労働条件の決定、変更などについて、個別労使紛争が増加基調にある中で、労働者が安心、納得して働くことができるようにするため、民事上の基本的なルールを明確にするというものでございます。
○大河原雅子君 位置付けについては分かりました。
 次に、労働基準法十八条の二の問題が出てきました。これを削除して労働契約法に移行されているわけですけれども、解雇にかかわる条文は十九条の解雇制限、それから二十条、二十一条の解雇の予告にまでわたっているわけです。十八条の二のみを移行させる理由について、再度御説明をいただきたいと思うんですが、どうでしょう。
○政府参考人(青木豊君) 労働基準法第十八条の二は、これは解雇権濫用法理という民事上のルールでございます。しかし、平成十五年の労働基準法改正において、当時、民事上のルールを定めた法体系がありませんでしたために、労働基準法の改正案の中に置かれたものでございます。そして今回、新しく民事上のルールを定める労働契約法案に位置付けることとしたものでございます。
 先ほど申し上げました労働契約法と労働基準法の関係に照らしますと、労働基準法第十八条の二は解雇権濫用法理という民事上のルールを罰則を伴わずに定める規定であるのに対しまして、労働基準法の十九条、御指摘ありました十九条、これは解雇制限であります、それから基準法の二十条、二十一条、これは解雇予告でありますけれども、これらはいずれも最低労働基準として罰則付きで履行確保を図る規定でございますので、十九条から二十一条までは労働契約法に移行することにはなじまないものでございます。
○大河原雅子君 それでは、罰則規定について次に伺います。
 労働基準法では、今お話もありましたけれども、解雇に違反があった場合は使用者に対して罰金を科すなど様々な罰則規定があるわけです。しかし、この法案には、先ほど民事上のルールというふうにおっしゃっていましたが、一切違反に関する罰則規定がありません。
 労働契約において不利益を被るのは労働者側が圧倒的に多いという実情が考えられるわけなんですけれども、罰金などのペナルティーを加えても、労働者自体なかなか救われないというふうに思います。しかし、労働契約の変更に伴う不利益を被った労働者を実際には保護する規定が必要ではないかと思うんですが、この点はいかがでしょうか。
○政府参考人(青木豊君) 労働契約法案におきましては、八条で労働者及び使用者はその合意により労働契約の内容である労働条件変更ができるという合意原則をまず明確に規定しております。その上で、就業規則による労働条件変更に関する最高裁判所の判例法理に沿って、まず原則として、その九条で、使用者が労働者と合意することなく就業規則の変更により労働者の不利益に労働契約の内容を変更することはできないということを明確に規定しておりまして、さらにその十条で、変更後の就業規則が労働者に周知されておって、就業規則の変更が合理的なものである場合に初めて労働契約の内容である労働条件は変更後の就業規則に定めるところによるものとするというふうに規定をいたしております。
 また、就業規則による労働条件の変更ができる場合の合理性の判断要素というのも同条で明確にしておりまして、労働者の受ける不利益の程度という個々の労働者にとっての影響でありますとか、労働組合等との交渉の状況という就業規則の変更に当たっての労使協議の状況を明示しているということで、そういう意味で、罰則を持っているわけではありませんけれども、労働者の保護に十分配慮したものとなっているというふうに考えております。
○大河原雅子君 労働基準法が罰則付きの、最低限のことだからこそ罰則付きということで、今回の契約法が、法律自体が労働者の保護に資するものであるので罰則が付いていない、保護規定を特別項目化していないという理解でよろしいんでしょうかね。
 それで、労働契約のこの九条についてです。
 使用者は、労働者と合意することなく就業規則を変更することにより労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更できないというふうにされています。ただ、この条文のただし書、次条の場合を除くというふうにありまして、次条の十条には、使用者側が幾つかの条件を基に、合理性があれば就業規則を合意なしに変更できるというふうに読めると思うんです。
 これでは使用者側にのみ変更権を付与しているというふうに思われてしまうんじゃないか、法案の元々の考え方にある労働者と使用者の対等な合意という考え方に反しているというふうに思うんですが、この点はいかがでしょうか。
○政府参考人(青木豊君) 我が国の一般的な労務管理の実務、企業の実務におきましては、就業規則によって労働条件を集団的に設定するということが広く行われておりますし、また、労働条件の変更というのも、この就業規則の変更によって行うことが広く行われております。
 このため、こうした就業規則に関する実務を適切なものとするようなルールを法案に盛り込むことが必要だということで、労働契約法案におきまして就業規則の変更による労働条件の変更ということの規定をいたしたわけでございます。
 労働契約法案においては、合意原則をまず明確に規定した上で、原則として就業規則による一方的な労働契約の不利益変更はできない旨を規定しております。また、就業規則の変更に当たって、労働者の受ける不利益の程度でありますとか個々の労働者への影響とか、あるいは労働組合との交渉の状況という労使協議の状況が考慮されるということを明示しているなど、そういった意味で労働者の保護に配慮をいたしているところでございます。
○大河原雅子君 続いて、労働契約法案の十条の規定に関してお尋ねいたします。
 これまでの最高裁の判例では、労働条件の変更に当たって七項目の要件を満たす必要があるというふうにされてきました。しかし、本法案では、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他というふうにされておりまして、要件は緩和されたんじゃないか、緩和されているかのように思われるわけです。この点についてはいかがでしょうか。
○政府参考人(青木豊君) 委員が今御指摘になりましたのは第四銀行事件、最高裁の平成九年の判決であると思いますが、そこでは確かに就業規則の変更の合理性について七つの考慮要素を示しているわけであります。しかし、この七つの考慮要素の中には内容的にお互い関連し合うものがありますので、労働契約法案の第十条ではこれら関連するものにつきましては統合して列挙をいたしたわけであります。
 このうち、契約法の第十条で言っております変更後の就業規則の内容の相当性というものには就業規則の内容面に係る制度変更一般の状況が広く含まれるというものでございます。第四銀行事件の最高裁判決で列挙されている考慮要素であります変更後の就業規則の内容自体の相当性のみならず、代償措置その他関連する他の労働条件の改善状況、それから同種事項に関する我が国社会における一般状況も含まれるというふうに考えております。また、この契約法案の第十条で労働組合との交渉の状況というのを挙げておりますけれども、これには第四銀行事件最高裁判決で列挙されております労働組合等との交渉の経緯というものと、それから他の労働組合又は他の従業員の対応というものが含まれるというふうに考えております。
 そういう意味で、第四銀行事件最高裁判決で示されました七つの考慮要素というのは法案の第十条において挙げた四つの考慮要素に含まれるものとして規定をしているというものでございます。実際の判断に当たりましては、もちろん個別具体的な事案ごとにその就業規則の変更の合理性を判断するわけでありますが、それらの要素に相当する事実が総合的に考慮されるということになっているわけでございます。
○大河原雅子君 要件は緩和されない、総合して列挙、ここにすべて含まれているということなので、是非とも労働者保護の観点からこれらの要件が厳格に守られるように、是非厚生労働省として使用者に対して指導をしていっていただきたいというふうに思います。
 次に、労働基準法の八十九条の規定では、常時十名以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならないというふうになっています。つまり、十人未満の労働者を使用する場合は就業規則の作成、届出が義務化されておりません。作成していないことも考えられるわけです。そしてまた、今回のこの労働契約法案第四条の二項、ここにも労働契約の内容はできる限り書面により確認するものというふうにされております。
 これらのことから、労働契約に関する書面が存在しないケース、これが考えられるわけです。このような場合、使用者側から労働契約や就業規則の内容を変更しようとする場合どのような変更を行えばよいのか、お答えください。
○政府参考人(青木豊君) 御指摘のように、労働基準法におきましては、使用者の事務能力などを考慮して、常時十人以上の労働者を使用する使用者に対して就業規則の作成、それと監督署への届出という義務を課しているところでございます。このような就業規則の作成及び届出の義務が課せられておらず、あるいはまた就業規則が作成されていないケースにおきましてはどうやって変更するかというと、使用者が労働契約の内容である労働条件を変更しようとする場合には個別の労働者との合意を得ることが必要となってくるというふうに考えております。
○大河原雅子君 次は少し観点を変えて伺いますが、この労働契約案では雇用する者と使用する者が同一の直接雇用が前提というふうに考えられるわけです。しかし、例えば出向の場合には労働者と使用者以外に出向先というものが存在するわけなんですが、この場合の労使関係はどのようにとらえればいいんでしょうか。
○政府参考人(青木豊君) 労働契約法案においては使用者と労働者という概念がありますけれども、使用者というのは労働契約関係において労働者と相対する契約当事者ということであります。その使用する労働者に対して賃金を支払う者をいうというふうに考えております。
 御指摘の出向でありますけれども、在籍出向ということだと思いますが、これは出向元及び出向先双方と出向労働者との間に労働契約関係がある場合であるというふうに思っております。出向元と出向労働者との関係は、出向中は休職となって身分関係のみが残っていると認められるもの、あるいはまた、身分関係が残っているだけではなくて、出向中も出向元が賃金の一部について支払う義務を負うというような対応、形態のものなど様々あります。
 出向先と出向労働者との間に労働契約関係があるか否かについては、これはそれぞれ出向先と労働者との間の労働関係の実態によって、一つには、出向先が出向労働者に対する指揮命令権を有していることに加えまして、出向先が賃金の全部又は一部の支払をすること、それから出向先の就業規則の適用があること、あるいは出向先が独自に出向労働者の労働条件を変更することがあること、出向先において社会・労働保険に加入していることなどを総合的に勘案して判断することといたしております。
 在籍型出向の労働者については、出向元及び出向先の双方とそれぞれ労働契約関係がありますので、出向元、出向先に対して、それぞれ労働契約関係が存する範囲内、限度で労働基準法等の適用があるというものでございます。
○大河原雅子君 最後になりますけれども、出向に限らず、派遣やパート労働、請負、労働の形態は本当に様々になってきております。すべての労働者の権利を守る法整備、これを可能な限り速やかに進めていかなければならないと考えておりますが、今回の労働契約法案はこれまでになかった法律案であり、あくまでもその第一歩ではないかというふうに考えます。現実に即して内容を検討し、そして育てていく必要があると考えますが、大臣の御見解を伺います。
○国務大臣(舛添要一君) 先ほど来ほかの委員の方々も御指摘のように、小さく産んで大きく育てようと、大事な第一歩の種がまかれたというふうに思っております。津田委員が御指摘になりました百五十六国会における附帯決議、この中には今回の法案に含まれていないポイントもたくさんあるわけでありますから、そういうものを勘案しながら、今後とも検討課題としてきちんと対応していきたい。
 いずれにしましても、やはり労働紛争が増えている、そういう中で労使が対等の立場で共通のルールをきちんと明確化するんだと。それを、この国権の最高機関である国会で、与野党の皆さん方が努力を重ねてこういう形の修正案にまとめられたということを非常に高く評価したいと思います。
○大河原雅子君 小さく産んで大きく育てるということはこの委員会でも何度も出てきたんですが、小さく生まれるというのは、実はやっぱり心配が多いんですね。大きくちゃんと育つんだろうかということも含めて、私たち議会も頑張っていきたいと思っております。
 それでは、最後になりますけれども、私、社会的協同労働法というのをいつか作りたいというふうに思っておりまして、多様化した労働に対応すべき法制度ということで伺いたいと思います。
 多様化された働き方の中で、とりわけ地域再生ということが課題になっております。そのコミュニティー再生で、市民が担う公共労働の分野が既に地域には存在しておりまして、従来の使用者と労働者という概念、雇用する側、使われる側ということではなくて、くくり切れない実態が多数存在するわけです。これまでの法解釈とは別に、雇用関係が明確ではなくても、実態として働き、労働が存在している場合、これまでもありますが、法律の対象として柔軟に解釈すべきというふうに考えております。
 既にヨーロッパでは社会的協同組合というシステムがあります。そして、そこに働く人が労働者であると同時に経営者であって、経営に責任を持つ主体であるということ、このことを強みとして社会的協同組合法が制定されておりまして、この制度の中では社会的に弱い立場にある方々も一緒に、ともに働くということで社会参加を実現するという保障をする制度でもあるわけです。
 ヨーロッパにもお詳しい大臣ですので、どのような認識をお持ちなのか、是非お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) 私も、ヨーロッパ滞在が長うございますけれども、特にフランス、イタリア、スペイン、それからイギリスもそうだと思いますけれども、そういうところで今おっしゃった社会的協同組合法というのがあって、雇用主であるとともに働いている、だから、それで会社の経営についても出資もすれば投票権も持っていると、こういう新しい形態の実験が行われたと。
 今言ったような国において、社会党系、労働党系、そういう政党が政権を持つ機会が政権交代とともにあった、そういうことの刺激もあったんだろうと思いますし、新しい形の社会モデル、労働モデルというのをやろうとした、こういうことの結果であるんで、極めて我々の先進国にとって一つのモデルとしての、実験としての非常に学ぶべき点はたくさんあろうかというふうに思っています。
 ただ、これから先それをどういう形で日本の国内に導入するかということについては、既に今生協というのがあります。生協を律している生協法と違う形でこの今委員がおっしゃったような社会的協同組合法というものを作ることが可能なのかどうなのか、既存のこの法律との整合性、それから、今言った形での働き方、経営の在り方、雇用の在り方、これは本当に、先ほど来申し上げていますように、今後のいろんな検討課題として、やはり国民的な検討の対象にしてしかるべきだというふうに思っております。
○大河原雅子君 日本でも地域での公共的コミュニティー労働、本当に地域づくりに欠かせないものがたくさん出てくると思うんです。限界集落の問題も顕在化しましたけれども、そういうところでサービス、公共的なサービスを提供する、その多様な仕組みをつくる中の大変有効なものになるだろうというふうに思っております。
 こうした公共的コミュニティー労働を市民が提供する公共サービスというふうに認めた上で、そして働くことによる社会参加を積極的に位置付ける法律の整備が必要だと私は確信をしております。
 現在、日本の各地でこうした働き方をしている方々が地域を支えております。東京でも、また日本じゅうで、ワーカーズコレクティブという形で既に形成されているグループが多数ございます。
 また、本日は、委員会質疑の冒頭で津田議員からも森林労働者の問題、それからまた大臣も森林ボランティアを長くされてきたということがありますが、ボランティアということだけでは片付かない、本当に地域に必要な仕事をどうやって支えていくのか、つくり直していくのか、そういうことが必要だろうというふうに思っています。
 柔軟な対応としてヨーロッパ並みの制度があればいいなと。私も、以前から協同組合の研究調査ということでヨーロッパにも、イタリアあるいは昨年は北欧の方にも参りましたけれども、やはり助け合っていくということも非常に大きな課題ですので、その助け合いの仕組みも含めた、持続可能な働き方、人間らしい働き方を実現する法整備、是非とも進めていただきたいと。
 国民的な議論が必要だとおっしゃっていましたが、仕組みの法制化については必要というふうにお考えというふうに受け取ってよろしいでしょうか。これが最後でございます。
○国務大臣(舛添要一君) 先ほど津田委員が、労働者八割、使用者二割で腹に含んでおけということをおっしゃいましたので、きちんとそれは考慮させていただきますが、そのときやっぱり、例えば津田委員の頭にあったのは、使用者がいて労働者がいる、このあえて言えば従属関係の中でいかに労働者の保護を図るかという形での今回の労働契約法であろうと思うんです。そのときに、今言った関係がない形で、自ら使用者であり自ら労働者であるという形の形態であったときに、じゃどういう形で労働者保護を図るんだろうかというのは、これはやっぱり法的にもう少し検討しないといけない問題かなということがございます。
 それから、若干観点違いますけど、例えば我々は今通貨、市場経済原則の基本である通貨という単位を使っています。だけど、これは地域マネーという、エコマネーのようなものを使ってやる地域の活性化ということも十分考えてますけれども、こういうことについても、法制化ということについては非常にやっぱり難しい問題があると思いますから、やるということより前に少しじっくり検討してみたいと、そういう思いであります。ありがとうございます。
○大河原雅子君 終わります。
○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 前回に引き続き、労働契約法案並びに最低賃金法の一部を改正する法律案について質問をしたいと思います。
 最低賃金法の改正案では、前回お伺いしたように、第九条の第三項では、「労働者の生計費を考慮するに当たつては、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護に係る施策との整合性に配慮するものとする。」と規定しています。
 そこで、厚生労働省にお伺いをいたします。
 現在厚生労働省では、生活扶助に関する検討会を開催して、今後の生活保護水準の見直しを行っていますが、この生活保護水準と最低賃金との整合性はどのようになるのでしょうか。もし、仮に生活保護の水準が引き下げられた場合には、機械的に地域別最低賃金も引き下げるようなことになるのか、そうあってはいけないと思いますが、政府の見解をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(青木豊君) 最低賃金については、モラルハザードの観点から、労働者の生計費については生活保護との整合性が問題となるということで、今般の改正において、地域別最低賃金を決定する際に考慮すべき要素の一つである労働者の生計費について、生活保護に係る施策との整合性に配慮することを明確にしたわけでありますけれども、その具体的な水準については、これは労働者の生計費、それから賃金、それから通常の事業の賃金支払能力という三つの決定基準に基づいて地方の最低賃金審議会で地域の実情を踏まえて審議を行い、そして決定されるものであるというふうになっているわけでありますけれども、今回の改正の趣旨は、地域別最低賃金は生活保護を下回らない水準となるよう配慮するという趣旨でございます。生活保護が引き下がったからといって機械的に地域別最低賃金が引き下がることにはならないというふうに考えております。
○山本博司君 ありがとうございます。
 今回の法案改正の趣旨というのは、最低賃金を生活保護世帯以上の水準に見直して、生活保護費と最低賃金の逆転現象を解消して、勤労意欲を高めることだと思います。もし、勤労意欲をそぐおそれがあると判断して生活保護の水準を引き下げるようなことがあれば本末転倒でございます。本来の趣旨が実現できるよう慎重かつ適切な検討を行っていただきたいと思います。
 次に、若者の雇用対策についてお伺いをいたします。
 いわゆるワーキングプアと呼ばれるような非正規雇用によって若年層に低所得者が増加している問題は、国全体として早急に解決すべき課題であると考えます。こうした問題の解決のためにも、今回の最低賃金法案は早期に成立させるべきだと思います。また、最近の雇用状況については、新卒者の就職内定率が大きく改善をされるなど明るい兆しがありますが、前回の質疑でも、デートレーダー型と呼ばれるような新入社員が早期退職をして再就職先を探すというミスマッチの状況が増加していることを指摘いたしました。
 これに対して、就職氷河期のいわゆる年長フリーターの方々を取り巻く環境は依然として深刻な状況にございます。この方々が安定した職業に就き、家庭を持ち、次の世代をはぐくんでいけるよう、今国を挙げて取り組むべきと考えます。
 そこで、厚生労働省にお伺いをいたします。先ほどにもありましたけれども、年長フリーターの就職支援に向けてどのような施策を講じているのか、お尋ねいたします。
○政府参考人(太田俊明君) 若者の雇用対策でございますけれども、各省連携して政府全体で取り組んでいるところでございまして、今雇用情勢につきましては、お話ございましたように、新規学卒者の就職状況が改善傾向にありまして、いわゆるフリーターの数は三年連続で減少して、二百十七万人から百八十七万人まで三十万人減るなど、改善の動きが見られるところでございます。
 しかしながら、今御指摘ございましたいわゆる就職活動の時期が新卒採用の特に厳しい時期、就職氷河期に当たって、正社員になれないでフリーターにとどまっている若者、年長フリーター等は依然として多く、こうした若者に対する支援は極めて重要であると考えているところでございます。
 厚生労働省といたしましては、今年度は特に改善が遅れております年長フリーターの正規雇用化への支援に重点を置いて、フリーター二十五万人常用雇用化プランを推進しているところでございます。
 具体的には、例えば少人数の会員制で、ジョブクラブ方式で集団就職の支援の実施を行っているということ、あるいは就職が困難な年長フリーターをトライアル雇用していただいた後、正社員として雇用する事業主に対する特別の奨励金の支給をするということ、さらには、職業能力を判断するために企業実習を先行させる職業訓練の実施などに取り組んでいるところでございます。
 また、さきの通常国会で改正していただきました雇用対策法等に基づきまして、新卒者以外への門戸の拡大など、若者の応募機会の拡大を図るための企業等に対する周知啓発、指導などにも取り組んでいるところでございます。
 さらには、年長フリーターというよりはむしろニート対策でございますけれども、ニートを始めとする若者の働く意欲を高めるため、若者の置かれた状況に応じた専門的な相談、自立支援を実施する地域若者サポートステーションの推進などに取り組んでいるところでございます。
○山本博司君 私も、広島とか愛媛などの地域若者サポートステーションを視察をして、現場を見てまいりました。ニートなどの若者支援の取組に大変熱心に取り組んでいらっしゃいました。ただ、実施箇所の今後の拡充も含めて、これらの施策の充実については早急に対応をお願いを申し上げたいと思います。
 さらに、ワーキングプアの問題というのは、一つには能力開発政策の課題と言えます。企業は長期にわたって能力開発投資を回収できる正社員を中心に教育訓練を行うので、若い非正規労働者には十分な教育訓練の機会が与えられておりません。
 そこで、若者の能力開発を社会全体の負担で行えるような仕組みが必要になると思います。特に、中小企業においては大企業に比べて規模が小さいため様々な制約があると思いますが、こうした能力開発に対する支援策についてどのようにお考えか、お答えをいただきたいと思います。
○政府参考人(新島良夫君) 企業が行います人材育成は、労働者の職業能力開発の基本となるものでございます。その意味で、その振興を図ることは重要な課題だというふうに考えております。特に、今お話ございましたが、中小企業につきましては大企業と比較いたしまして職業訓練の実施率が低い状況にございます。そういう意味で、積極的な支援が必要であると認識をしているところでございます。
 このため、厚生労働省におきましては、中小企業事業主に対しまして従業員の訓練等に応じた経費の一部を助成するとともに、中小企業を中心に実践的な技能を備えた現場を支える人材を育成するため、新規学校卒業者を主たる対象として、企業が主体となって企業における実習と、それから教育訓練機関における学習とを組み合わせた実践型人材養成システムを創設いたしまして、この制度の普及定着を図っているところでございます。
 今後とも、これらの施策を通じまして、中小企業における人材育成の推進に努めてまいりたいと考えております。
○山本博司君 今のキャリア形成の促進助成金という内容ですけれども、どのぐらいの人数が利用しているのか、またその評価は今どうなのか、また予算に関しては、平成十三年度からのスタートと聞いておりますけれども、予算は増えているのかどうか、ちょっと通告がありませんでしたけど、もし分かれば教えていただければと思います。
○政府参考人(新島良夫君) キャリア形成促進助成金でございますが、額的に申し上げますと五十九億ほどの金額、助成の額になってございます。対象が約三十八万人ということでございまして、特にキャリア形成助成金全体に占めます中小企業の割合が約六割ということでございまして、そういった意味では中小企業に活用されているということでございます。
 予算額でございますけれども、過去の実績を見ますと、ほぼ横ばいといいますか、順調に活用されているという状況でございます。
○山本博司君 ユーザーの、その利用者の評価という点ではいかがでしょうか。それと、活用状況といいますか、満足されているのかどうかという点でございますけれども。
○政府参考人(新島良夫君) この助成金があったがためにこういった訓練を実施したという、アンケート調査でございますが、九九%の方がそういう意味でいい評価をいただいているということでございますし、労働者につきまして、こういった助成金を使いながら実は検定、資格等を取ったという方も六割程度いらっしゃるという結果が出ております。
○山本博司君 大変大事な部分だと思います。特に中小企業の方にとってみれば、そういう大変厳しい状況の中での部分でございますから、是非充実をしていただきたいと思います。
 フリーターなどの職業能力形成に恵まれなかった方たちには、就労自立の相談とか職探しの手伝いではなく、抜本的な基礎学力の学び直しとか安定した職につながる技術の習得支援が大変大事であると思います。そのためには、例えば雇用保険における失業手当の支給と公共職業訓練校での職業訓練機会の提供をセットにするなど、所得保障付きの教育機会を検討すべきではないでしょうか。そうすれば、若者にとっては生活が保障され、必要な技術も習得できるので、勤労意欲の増進にも効果を発揮すると考えます。
 先日、東京都の福祉保健局の方から、いわゆるネットカフェ難民と呼ばれる人たちに実施をした調査である住居喪失不安定就労者の実態に関する調査について話を伺いました。この調査では、生活費を確保するために日払になるなどのすぐに手に入る収入を得ようとする姿が示されております。厚生労働省においても、所得保障という観点も考慮をして検討していただきたいと思います。
 以上のように、厚生労働省においても若者の就職支援について様々な対策を取っていただいておりますけれども、まだまだ課題は多く残っております。
 そこで、大臣にお伺いしたいと思います。この若者の就職支援や雇用促進に取り組む大臣の御決意をお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) 今の問題につきましては、フリーター二十五万人常用雇用化プラン、これ今推進しておりまして、一つは年長フリーターに対する常用就職支援の充実、それから二つ目は職業能力形成システム、いわゆるジョブ・カード制、これを入れまして、若者の職業能力開発機会の提供を進めております。
 それから、今委員御指摘の職業訓練中どうして食っていくんだと、これは生活費どうするんだという問題ありますが、これは、そういう経済的に生活が困難な訓練生に対しましては技能者育成資金制度、スカラシップというか、これが実はございまして、これで相当今言った問題は解決すると。具体的に、昨年度は二千七百三十八人の方が御利用いただきまして、十四億以上の貸付額があると。これ十六年以内に戻せばいいわけですし、これ業種によりけりですけれども、無利子無担保というのが大半ですから、その職業訓練を受けて、技術身に付いて仕事できると、そしたら少しずつ返していけばいいというんで、こういう制度もありますので、そういうのを御活用いただいて、是非能力を身に付けていただくと、そしてきちんと仕事をしていただくと。そのために、今後とも全力を挙げて、皆が安心して仕事をし生活できる社会を目指したいと思います。
○山本博司君 大臣、ありがとうございました。是非とも、雇用促進に向けた取組をお願い申し上げたいと思います。
 次に、障害者雇用についてお伺いをいたします。
 最低賃金法改正案の第七条では、障害者について、これまでの最低賃金の適用除外措置から減額特例の措置に変更いたしました。これは、先日の参考人の方の意見陳述からもありましたように、障害者雇用の向上の第一歩として評価できるものと言えます。最近では、所得を増やして納税に取り組む障害者団体もあり、労働者としての役割が高まっております。
 そこで、障害者の方々の働く環境を整備すべきという観点からお伺いを申し上げたいと思います。
 まず初めに、法定雇用率の達成状況などの最近の障害者の雇用状況について、厚生労働省にお聞きをしたいと思います。
○政府参考人(太田俊明君) 障害者の雇用状況についてのお尋ねでございますけれども、今年の六月一日現在の民間企業の実雇用率でございますけれども、前年比〇・〇三ポイント上昇いたしまして一・五五%となっているところでございます。五十六人以上規模の企業に雇用されている障害者の数も前年比一万九千人増の三十万三千人となるなど、着実な進展が見られるところでございます。
 ただ、一方では、中小企業、特に百人から二百九十九人規模の企業の実雇用率は、引き続き一・三〇%と低い水準にあるわけでございますし、また大企業、千人以上規模の企業におきましても、実雇用率は一・七四%と比較的高水準にあるものの、法定雇用率一・八%達成企業の割合が四〇・一%にとどまっていると、こういった課題もあるという状況でございます。
○山本博司君 着実に進展しているということでありますけれども、まだまだだと思います。こうした進展が更に中小企業に波及するような形での取組を進めていただきたいと思います。
 次に、工賃倍増計画についてお伺いをいたします。
 私は、この一年間、四国・中国地域の障害者の作業所とか授産施設等、数多く回ってお話を伺いました。工賃が月一万円にも満たない作業所が地方では大半でございました。
 政府では成長力底上げ戦略の一環として工賃倍増計画を推進しておりますけれども、現在までの進捗状況はどのようになっているのでしょうか。また、最近発表になった工賃月額の実績について御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(中村吉夫君) お答えいたします。
 障害者が地域で自立した生活を送るためには、一般雇用への移行とともに福祉の分野で工賃水準の引上げを行うことが重要であると考えております。
 このため、平成十九年中にすべての都道府県において、今お話のございました工賃倍増五か年計画を作成し、関係行政機関や地域の商工団体等の関係者を挙げた協力の下、五年間で平均工賃の倍増を目指すこととしております。
 厚生労働省としても、このような都道府県の取組を支援するため、平成十八年度から工賃水準ステップアップ事業をモデル事業として実施し、工賃水準引上げのノウハウを集めて全国の授産施設等に情報提供するとともに、平成十九年度予算におきましては、工賃倍増五か年計画支援事業の補助金を創設いたしまして、研修により事業所職員の意識改革を進めたり、あるいは民間企業のノウハウを活用するためのコンサルタント派遣などの取組を行っておるところでございます。
 また、工賃の実績についての御質問をいただきましたが、先般、平成十八年度の工賃の実績を公表したところでございますけれども、全施設の工賃及び賃金の平均は一万五千二百五十七円、工賃倍増五か年計画の対象施設の平均工賃は一万二千二百二十二円となっております。
 今後とも、工賃倍増五か年計画の実施に向けて関係機関の連携を図るとともに、産業界等の理解や協力を得ながら取組を進めてまいりたいというふうに考えております。
○山本博司君 今、月一万二千円ということでございましたけれども、現実、私も、四国の愛媛県の南予の大変経済的に厳しい環境のところでは八千円とか、まだまだの実態でございます。そういう就労の場が確保されてこそ障害者の自立支援につながっていきますので、是非とも工賃倍増計画の着実な促進をお願いを申し上げたいと思います。ただ、現実には、どの作業所とか授産施設でも御苦労されているというのが、仕事がないために懸命になって仕事確保のために努力されていた点でございます。
 そこで、お伺いをいたします。
 障害者の就労の場を確保するためには仕事の量を確保することが必要でございます。身体障害者福祉法では、行政機関が障害者が製作をした物品の優先的な購買を求めています。また、地方自治法の施行令でも地方自治体が積極的に購入することを推進をしております。こうした理念の下で、行政機関が民間企業に先んじて範を示して推進すべきと考えますが、官公需の優先的な発注の状況はどのようになっているのでしょうか、お答えいただきたいと思います。
○政府参考人(中村吉夫君) お答えいたします。
 官公需につきましては、平成十六年度の地方自治法施行令の一部改正によりまして、地方公共団体が随意契約できる範囲に授産施設等からの物品等の調達が追加されたところでございます。この点について、地方公共団体にその旨を周知するとともに、積極的に取り組んでいただくようお願いしておるところでございます。
 全国社会就労センター協議会が行った調査によりますと、平成十八年度の授産施設等における官公需の額は約四十五億円となっておりまして、売上高全体に占める割合は一一・五%となっております。
 また、現在、物品のみならず、授産施設等における役務の提供につきましても地方自治体が随意契約できるように準備を進めているところでございまして、今後とも工賃倍増五か年計画を推進していく中で、官公需を含めた授産施設等への発注の増加につながる施策を進めてまいりたいと考えております。
○山本博司君 現状では地域によってばらつきがあるということを実感しております。法の理念が理解、徹底していないというふうに感じております。実効性のあるものに見直していただきたいということでございます。
 先日も、公明党の障害者福祉委員会として、障害者の就労を推進する団体からヒアリングを受けた際にも御指摘がありましたので、この点についても強力な推進を要請いたします。
 さらに、障害者が製作をした物品を広く活用してもらうためにも、民間企業に対してもインセンティブを付ける施策が必要であると思います。例えば、障害者の就労支援を行っている事業者から発注、業務委託を増加させた場合には、その増加額の一定割合の税額控除を認めるなどの措置が必要ではないでしょうか。この点についても見解をお伺いいたします。
○政府参考人(中村吉夫君) お話のございましたように、障害者の工賃を引き上げる観点から、授産施設等の受注を増やすための支援施策というのが重要であると考えておりまして、その一環といたしまして、平成二十年度税制改正要望におきまして、授産施設等に発注を行った企業に対して税制上の優遇を行う仕組みの創設を要望しているところでございます。
○山本博司君 やはり民間企業が利用しやすい施策が必要と思いますので、よろしくお願いをいたします。
 また、工賃倍増計画でもありましたように、付加価値を付けてどう工賃を上げるかという取組も大変大事でございます。その一つがテレワークなどのIT機器の活用でございます。
 先日も、徳島県のNPO法人を訪問した際には、重度障害者の方たちが生き生きとパソコンを駆使して印刷物とかホームページの作成に従事をされておられました。身体障害者の方々は、車いすでの移動等になるとバリアフリー環境がなければ仕事には就けません。しかし、自宅であれば自由にできます。在宅での社会参加と就労の実現を目指して取り組んでいる姿に大変感動したわけでございます。
 そこで、厚生労働省にお聞きいたします。
 ITを活用した雇用の場の確保に向けてどのような対策を講じているのでしょうか。
○政府参考人(中村吉夫君) 障害者の就労を促進する際に、お話のございましたように、ITを活用した支援策は特に自宅で就業する障害者に対して有効であると考えております。
 具体的には、障害者自立支援法に基づく地域生活支援事業におきまして、バーチャル工房支援事業を実施しておるところでございます。この事業は、在宅での生活をしておられる移動困難な重度障害者等で一般の職場では就労が困難な方に、ホームページの作成等の高度なIT技術の習得やデザイン力の向上等に関する在宅研修を行うことで障害者の潜在能力を引き出し、就労の機会を得やすくすることを目的としたものでございます。
 また、障害者雇用促進法に基づく在宅就業障害者支援制度によりまして、自宅等で就業する障害者に仕事を発注する企業に対しては、特例調整金、特例報奨金が支給されることとなっておりまして、この制度の活用により、在宅障害者の就労を支援することができると考えております。
 今後とも、お話のございましたITの活用を含め、障害者の就労の場の確保に向けた取組を進めてまいりたいというふうに考えております。
○山本博司君 テレワークなどの、今言われましたITを活用した仕事の分野というのは大変相乗効果があり、今後ますます成長が期待できるので、十分な対策を講じていただきたいと思います。障害者雇用に対する正しい知識と理解をしてもらえるような地域社会の環境づくりが求められていると思います。
 そこで、最後に大臣にお伺いをいたします。
 これまでの質疑を通して、障害者雇用の促進に対してどのように取り組まれるおつもりか、決意をお聞きして、終わりたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) やはり、障害者が生き生きとその地域で仕事を持ち生活をしていく、きちんと役割を果たしていく、そういう積極性を持てるようにすることが障害者の就労支援や雇用促進の仕事だというふうに思っています。
 障害者自立支援法において、一つは就労移行支援事業、もう一つは就労継続支援事業、これは、前者は一般企業に就職したい人にお手伝いする、それから後者は一般企業での就労が困難な人にお手伝いをする、こういうことを今回のこの障害者自立支援法において創設したところであります。
 それから、先ほど政府委員の方から説明がありました工賃倍増五か年計画、先ほど委員も四国を見て回られたとおっしゃいましたけど、こういうことをやりながら、非常にきめの細かい、かゆいところに手の届くような形で障害者を支援してまいりたいと思います。
 それからもう一つは、雇用状況に関しては着実に進展していますけど、まだまだ法定雇用率を達成している企業の割合は半数にも満ちていないと、こういう状況でありますので、この達成していない企業に対して更なる指導を行う、それからハローワークにおいて職業の相談、紹介を行う、そういう一体的な努力によって障害者の雇用機会の拡大を図ってまいりたいと思います。
 さらに、現在、中小企業において障害者の雇用を促進するために必要な法改正も含めて関係審議会において検討をしておりまして、その結果も踏まえまして障害者雇用の一層の促進のために全力を挙げてまいりたいと思います。
○山本博司君 私も与党の障害者自立支援に関するプロジェクトチームの一員として、自民党、公明党の連立協議における合意事項の障害者自立支援法の抜本的な見直しに取り組んでおります。障害者の方たちの切実な声にどうおこたえしていけるのか、課題は数多く存在しますけれども、是非大臣、障害者の皆様の側に立った優しい施策充実に取り組んでいただきますことを要望して、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男です。
 前回質問して、残ったところもございますので、再度質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、最低賃金法の一部を改正する法律案につきまして質問をさせていただきたいと思います。
 本年六月に実施されました一斉監督についてまず質問をしたいんですが、この一斉監督の実施の目的がどのようなものであったのか、厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(青木豊君) 最低賃金制度は、すべての労働者の賃金の最低限を保障するセーフティーネットということで、パート、アルバイトが増加するなど就業形態の多様化が進展する中でその最低賃金の履行を確保することが重要だという、こういう認識に立っております。
 また、今年の二月十五日に取りまとめられました成長力底上げ戦略においては、中小企業底上げ戦略の一環として最低賃金の周知徹底というのが盛り込まれまして、最低賃金遵守のための事業所に対する指導の強化というものが直ちに取り組むべき施策とされました。
 そういうことから、お尋ねありました今年の六月の全国一斉の最低賃金の履行確保を主眼とする監督指導を実施したものでございます。なお、最低賃金の履行確保を主眼とする監督指導というのは毎年実施しているところでございますけれども、全国一斉に実施いたしましたのは今回が初めてとなっております。
○渡辺孝男君 その結果でありますけれども、最低賃金法、現行法でございますけれども、第五条違反の結果、地域別、職業別、これがどのようになっていたのか、また近年の動向につきましてお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(青木豊君) 今年六月の全国一斉の監督でございますが、その監督した事業場数、一万一千百二十事業場でございます。そのうち、最低賃金法五条に違反した事業場、これは最低賃金額以上の賃金を支払っていない違反でございますけれども、そういった事業場は七百七事業場、違反率は六・四%でございました。このうち、地域別最低賃金適用事業場における違反、これは六百六十九件、違反率六・二%でございました。産業別最低賃金適用事業場における違反、これは三十八件、違反率は一〇・四%でございました。
 また、地域別の最低賃金適用事業場のうち違反が多く見られた業種というものは、まず衣服その他の繊維製品製造業、それからクリーニング業、それから食料品製造業、それから小売業、繊維工業、飲食店、理美容業、それからハイヤー・タクシー業などでございました。
 地域別最低賃金に係る違反の状況については、平成十四年には違反率九%台でございましたが、近年の動向として、以降五、六%台で推移いたしてきております。
○渡辺孝男君 先ほどの最低賃金の違反の状況等、御説明いただいたわけでありますけれども、事業所の違反をされているところもあるわけでありますけれども、その事業所の最低賃金に対する認識状況がどのようになっているのか、また近年どのような状況になっているのか、その動向についてもお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(青木豊君) この六月に行いました監督による結果でございますが、お尋ねの最低賃金の認識状況は、違反のあった事業場七百七事業場のうち、適用される最低賃金の額を知っているというのが二百五十九事業場、三六・六%でございました。金額は知らないが最低賃金が適用されることは知っているというのが三百七十九事業場、五三・六%でございました。最低賃金が適用されることを知らないというのが六十九事業場、九・八%となっておりました。
 近年の動向といたしましては、最低賃金額を知っているとする事業場の割合が増加いたしまして、適用されることを知らないという事業場の割合が減る傾向にございます。
○渡辺孝男君 動向としては、事業所の方も認識を深めているということでありますけれども、まだまだ本当に十分でないという、そういう状況でありますので改善が求められているわけであります。今回の法改正もそれに資するようなものになると私どもは考えておるわけでありますけれども。
 さて次に、最低賃金未満の労働者の状況と近年の動向、どのようになっているのか、この点をお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(青木豊君) やはり今年の六月の監督結果でございますけれども、最低賃金額未満の賃金しか支払を受けていなかった労働者というのは、監督実施いたしました事業場における総労働者数十六万八千四百五十四人のうち二千五十一人でございました。割合としては一・二%でございます。最近の動向でございますが、最低賃金額未満であった労働者の割合、平成十四年では二・一%、十五年では一・四%、十六年では一・三%、十七年では一・二%、十八年では一・六%となっております。
 この最低賃金額未満の賃金しか支払を受けていなかった労働者は二千五十一人と申し上げましたけれども、その累計としては、女性が千三百八十四人、六七・五%でございます。また、パート、アルバイトが一千百六十八人で、五六・九%を占めております。それから、障害者の方が二百八十四人、一三・八%、外国人の方が百五十人ということで七・三%ということでございました。
○渡辺孝男君 女性の方がそういう状況になっているという、多くなっているということで、大変やはり問題ではないのかなと、そのように思っておりますし、パート、アルバイト、そういう方々も最低賃金の未満の状況にあるということであります。そしてまた、先ほども山本委員の方からもいろいろ質問がございましたけれども、やはり障害者の方々も最低賃金の未満の状況に置かれているという、そういうパーセントが一三%強あるということでありまして、これも大変ゆゆしき問題だと、そのように思っております。
 そういう障害者の方々の働く意欲等をきちんと評価をしていただき、また能力も評価をしていただいて、こういう最低賃金未満の状況というものがなくなるように頑張って監督の方をしっかりやっていただきたいと思うんですが、そういう違反をした事業者に対する監督指導の実施と、それからその成果がどのように上がっているのか、そのことをお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(青木豊君) 最低賃金に関する監督でございますけれども、これは最低賃金制度が言わば労働者の、すべての労働者の賃金の最低限を保障するセーフティーネットだということもございますので、労働基準監督機関においては従来から重点的に監督指導を行って履行確保に努めております。
 具体的なやり方でありますけれども、労働基準監督官が監督指導時におきまして最低賃金法違反を認めた場合には、速やかに是正を行うよう指導をまずいたします。同時に、その是正が確認をされるまで、監督官において確認することができるまで粘り強く指導を行っているところでございます。また、労働基準監督官の是正指導に従わない場合や同種違反を繰り返す場合など、悪質な事業場につきましては、司法処分に付するなど厳正に対処しているところでございます。
   〔委員長退席、理事家西悟君着席〕
 今後とも、適切な監督指導の実施等によって最低賃金法の遵守徹底を図っていきたいというふうに思っております。
○渡辺孝男君 それで、やはりまだまだ事業所の方も最低賃金に対して理解が十分でないと、また働く者の方も自分たちの権利等、認識が不十分なこともあるわけでありまして、そういう意味では最低賃金の国民への周知方法の改善というのが大事だと思うんであります。
 現在どのように周知をしているのか、それから、これからどのように改善をしていくのか、この点に関して舛添厚生労働大臣からお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) 従来から、公共施設、公共交通機関の駅などにポスターを張る、それから各使用者団体、業界団体へのリーフレットの配布をする、さらに都道府県労働局のホームページに登載するなどして最低賃金額の周知徹底を行うとともに、市町村などの広報誌がありますから、こういうところにも掲載をお願いする、様々な形で周知広報活動を行ってきたところでございますけれども、今後とも、インターネットを活用する、その他労働者、使用者団体、民間団体などに最低賃金の内容及びその額について広く周知徹底をし、一層の国民への浸透を図っていきたいと思います。
○渡辺孝男君 また、法改正では罰則強化をすることにしているわけでありますけれども、その罰則強化の効果はどの程度期待されているのか。また、特定最低賃金に当たっては罰則が適用外になっておりますけれども、しかししっかりそれも守っていかなければいけない。そういうことで、違反防止対策としてはどのようなことが配慮されているのか、この点をお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(青木豊君) 最低賃金法の罰則につきましては、罰金等臨時措置法によるもののほかは、昭和三十四年の法の制定以来見直しが行われておりませんでした。この間の貨幣価値の変動等によりまして罰則の制裁的効果が低下してきておりました。このため、現行二万円であります最低賃金不払に係る罰金額の上限について見直しを行いまして、現行の賃金全額払い違反の罰金の上限額、労働基準法ですが、三十万円でありますが、これの二倍程度に相当する五十万円を地域別最低賃金不払に係る罰金額の上限とすることといたしました。
 一方、一定の事業又は職業に適用される最低賃金、これを今回は産業別最低賃金から特定最低賃金ということにいたしたわけですが、これにつきましては、一方で地域別最低賃金をすべての労働者についての最低限を保障する安全網としての役割を担わせるということで、今申し上げたような罰則強化をしたわけでありますが、この特定最低賃金につきましては関係労使のイニシアチブにより設定され、そして企業内における賃金水準を設定する際の労使の取組を補完するものだということで、公正な賃金設定に資するんだということと整理をいたしまして、言わば地域別最低賃金の持つ安全網としての役割とはまた別の趣旨の役割を果たすということで、その不払につきましては最低賃金法上の罰則は適用しないということにいたしたわけであります。
 この特定最低賃金につきましては、今申し上げましたような最低賃金法上の罰則の適用はないわけでありますけれども、最低賃金法上、民事的効力を有するということにいたしておりまして、したがいまして、特定最低賃金の不払というのはどういうことになるかというと、これは賃金の全額払い違反、これは労働基準法の二十四条でありますけれども、これ違反ということになります。そういうことでありますので、この基準法違反ということで罰則が、罰金の上限は三十万円でありますが、これが適用されることになりまして、こういったことにより労働者の保護が図られるものと考えております。
   〔理事家西悟君退席、委員長着席〕
○渡辺孝男君 そういう意味では、特定最低賃金に関しても守られる、配慮がなされているということであるということであります。
 次に、労働契約法について質問させていただきますが、一問割愛をさせていただきまして、十七条の件で質問をさせていただきますが、第一項の解雇をすることができる場合のやむを得ない事由というのはどういうものなのか、具体的に教えていただければと思います。それから、第二項の必要以上に短い期間というのは大体具体的にどういうことなのかと、この点に関してもお答えをいただきたいと思います。
○政府参考人(青木豊君) 労働契約法案の第十七条第一項については、これは、今現在は民法の六百二十八条で、有期労働契約については、契約期間の途中であってもやむを得ない事由があるときは直ちに解除できるというふうに規定されております。そういう中で、この労働契約法案の十七条一項については、やむを得ない事由がある場合でなければ解雇することができないという旨を規定することによって労働者の雇用継続への期待を保護するものでございます。
 このお尋ねのやむを得ない事由についてでございますけれども、有期労働契約における契約期間というのは、これは労使当事者間で決めた契約期間でありますので、本来遵守されてしかるべきものであるというふうに考えております。したがって、解雇権濫用法理における解雇の場合、客観的に合理的な理由を欠き、社会通年上相当であるというような判断という場合よりも厳しく判断されることとなるというふうに考えております。具体的には様々な事情がございますので、個別具体の事案に即して判断されるということになるものであるというふうに思っております。
 また、労働契約法案第十七条二項の必要以上に短い期間ということでございますけれども、これは期間の定めのある契約に関しまして、使用者が労働者を使用する目的というのは、一定期間を要する事業の完成でありますとかあるいは業務の一時的繁忙のためとか、様々であります。この十七条の二項で言っております規定は、契約期間の設定をそういった目的に対応した一定の期間に制限するようなものではございませんけれども、そういう目的に照らしまして不合理に短い期間を設定して、したがってそういうことによって反復更新をすると、そういったことのないよう配慮することを使用者に求めるものでございます。例えば、半年間の契約をしようというふうに考えた場合に二か月の契約を三回というような形にしないように配慮を求めるというようなものでございます。
○渡辺孝男君 なかなか説明を聞いていても分かりにくいところがあるので、これはやはり有期の契約をする労働者の権利がきちんと守られるように、より具体的な形にして分かりやすくしていただければと思います。
 次に、労働契約法の法案第五条に労働者の生命、身体等の安全確保に対する配慮という項目がありますけれども、これに関連して質問をさせていただきますが。
 ビルやマンションの建設現場では十年間で約九万人の墜落災害が起こって約二千六百人が亡くなったということでありまして、去る十一月十六日に大阪府で開かれた全国仮設安全事業協同組合の全国大会でそのようなことが報告されておりました。その予防のためには、仮設足場に関しては欧州で一般的となっている先行型二段手すり、一本の手すりじゃなくて二段手すりにして、足の方ですね、つま先板を設置して、滑って落ちないようにすると。そういうのが欧州では一般的と言われているんですが、そういうものを設置する。そしてまた、有資格者の第三者によるチェックリストに基づく足場の安全点検をきちんと法律で義務化すべきだと、そのような主張をしているわけでありますが、この点に関して厚生労働省としてどのような見解をお持ちか、お伺いをしたいと思います。
○政府参考人(青木豊君) ビル、マンション等の建設現場での墜落災害というのは大変多うございまして、平成九年から平成十八年までの過去十年間における発生状況というのは、休業四日以上の死傷者数が九万六千六十七人、死亡者数が二千六百三十八人でございます。このうち、足場からの墜落災害による死亡者数は過去十年間で五百三十七名、墜落災害の二〇・四%を占めております。
 私どもとしては、これまでも墜落災害防止対策について、監督指導においても重点事項として取り組んでおります。平成十五年には、より安全な足場として、手すり先行工法に関するガイドラインというのを策定いたしました。その中では、お話にありましたような二段手すりでありますとかあるいは幅木というようなものを推奨するというようなことをやっているわけであります。
 こうした取組によりまして、墜落災害による死亡者数については、平成九年には三百五十九人でございましたけれども、平成十八年には百九十人に減少しております。このうち足場からの墜落による死亡者数については、平成九年の七十八人から平成十八年に二十六人と減少しております。しかし、まだまだそういうことで危険性は高いということであります。
 今年の五月から、足場からの墜落防止対策の充実を図るために、足場からの墜落防止措置に関する調査研究会というのを発足させて研究を始めております。そこにおいては、足場からの墜落防止措置の強化対策、足場の組立て工法の在り方あるいは足場の安全点検の進め方について検討しているところでございます。この研究会における研究を踏まえまして、今後、必要な場合には措置を講ずることについても検討していきたいというふうに思っております。
○渡辺孝男君 時間なくなりましたので、次の質問を割愛させていただきます。
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 冒頭、前回取り上げた薬害C型肝炎の問題について、四十七名の方が亡くなられているということが今日報道されました。四百十八人の命のリストのうちほぼ特定できた二百五十名の中で四十七名ですから、これは一九%、約二割、全体にすれば約八十名ということにもなりかねない事態です。
 告知されていたのか、きちんと治療を受けていたのか、特に死因は何なのか、前回私質問しました。大臣は、前回の答弁で、きちんと製薬メーカーは死因についても徹底的に調査してもらわないといけないと、こう言いました。
 しかし、私、今日確認したらば、いまだに製薬メーカーに対しては死因の調査の指示をされていないと、事務方そう言っています。どうしてこういう事態になっているんですか。
○国務大臣(舛添要一君) きちんとこういうことについてもメーカーとして協力をしてくれというような指示を既にしております。しかし、今のところ、今委員がお示しになって、今日私の方から田辺三菱製薬からあった報告を公表いたしましたが、メーカーの方からはその死因の調査をやっていないということでありますので、これは国として基本的に調査をやるということで今対応をしようとしております。
○小池晃君 違うんですよ。私聞いたら事務方は、私、医薬局に電話したんですよ、指示出しているんですかと。そうしたら、出してないって言っているんですよ。どうなっているんですか、違うじゃないですか。
○国務大臣(舛添要一君) 私は、きちんとそういう指示を出していますから、少し精査をして、どういう状況であるかを精査した上で、またこの委員会ないし理事会に御報告いたしたいと思います。
○小池晃君 重大だと思いますよ。大臣は出したつもりでいても、現場じゃ出してないんじゃないですか。そういう事態になっているんですよ、だとすれば、本当だとすれば。これはしっかり調べて、どういう経過だったのか報告をしていただかないと困る。
 その上で、今日大臣は、メーカー任せだと時間が掛かるから、国で今週中に検討会を立ち上げると。何言っているんですかと。メーカーにやらせて時間掛かるじゃなくて、厚生労働省がまだ指示出してないんですよ。十月二十二日に製薬企業を呼び出してから一か月以上も放置されているという事態ですよ。一か月たってようやく検討会ですか。これで対応しているというふうに言えるんでしょうか。
 私は、こういう形で放置した大臣の責任は極めて重大だと思いますが、大臣、その責任についてはどう考えますか。
○国務大臣(舛添要一君) メーカーはメーカーなりに私の指示に基づいて対応はしていると思いますが、私の視点から見て十分ではないし、国民の目線から見たときにそれがきちんと対応できるとは思わないんで私は、それから個人情報についてメーカーがどこまで取れるかというようなことの制約もあることもやはり考えないといけない。
 そういうことで、国が検討会を開いて、国が直接調査をする方向で検討会を、既にこのメンバーも決め、立ち上げ、今週中にその作業に入ると、そういう決意で国民の目線できちんとやるということを決めた次第であります。
○小池晃君 大臣は、じゃ、事務方から製薬企業に指示が出たことを確認されたんですか。
○国務大臣(舛添要一君) その点についてどういう経緯があったか精査して御報告いたします。
○小池晃君 全然駄目だと思いますよ。私、これ製薬企業の責任はもちろん一番ですよ。しかし、一日一日が今本当に大事なわけですよ、この被害者の方にとってみれば。もう本当にどんどん進行していく病気です。これをやっぱり対応を更に後手後手で、二〇〇二年の対応だって悪かった。それをまた今回処理するという対応もまた遅れていると。私、厚生労働省の責任、極めて重大だし、大臣がもし指示しているんであれば、それが事務方が製薬企業に死因の特定の指示出していないって、これは重大な問題ですよ。はっきりこの責任取っていただきたい。
○国務大臣(舛添要一君) 一日も早く告知しろということはきちんと守られてやっていると思います。ですから、一日も早くこのフィブリノーゲンを告知、その投与事実を告知しなさい、これはきちんと今やっている。
 さて、そこで、今四十七名お亡くなりになった。普通の感覚でいえば、何が死因なんですか、なぜお亡くなりになったんですかと、そういうことをきちんと調べないといけない。したがって、これについてきちんと国で調べる。要するに、そういう方向を取ったということですから、一日も早く知らせる。これをきちんと当然今やっております。そして、死因についても私の納得のいく答えがメーカーから上がってきませんから、国が直接乗り出して、専門家のお医者の先生方も含めて人選も決めました。そして、直接この患者さんが、今から設計します、専門家の意見をいただいて設計します調査票にお医者さんからその内容を書いていただいて直接国に出していただく、そういう形の新たな手を今取ろうとしているところであります。
○小池晃君 死因を特定する指示を厚生労働省の事務方は製薬企業に出していないんですから、大臣のところにそういう報告が上がってくるはずがないんですよ。そういう事態に今なっているということをきちっと調査していただきたい。これは私は重大な問題だと思います。
 引き続いて労働契約法についてお聞きしますが、本法案では就職の際に周知されていた就業規則があれば、その内容が合理的である限り就業規則が労働契約となる、そうされています。就労と給与を払うという合意さえあれば、労働基準法の重要事項の文書明示義務に違反して、賃金や就業場所等の示しがなくても本法により労働契約は成立をし、その就業規則がその労働契約の内容になってしまうということでよろしいですね。確認です。
○政府参考人(青木豊君) 労働契約法案の第六条は、「これは、労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。」と定めておりますし、また労働基準法の十五条の労働条件明示については、従前から労働契約の締結に当たって労働条件が明示されなかったとしても、その労働契約自体は有効に成立するものと解しております。
 さらに、この今回の労働契約法案第七条は、労働契約の締結の場面において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、原則として労働契約の内容はその就業規則で定める労働条件によるものとすることを定めておりますので、したがって御指摘のとおりということになります。
○小池晃君 つまり、使用者側は刑事罰を科せられる可能性がある行為を行ったとしても、労働者の側から辞めるという自由しかないわけで、これではもう労働者保護とは言えないのではないかというふうに思うんです。
 就業規則にはいろんなことがあるということが参考人質疑でも取り上げられて、今日資料で蛇の目ミシンの就業規則をお配りしております。
 この就業規則二枚目に三十七条というのがありますが、これは、三十七条は営業社員が成績を達成できなかった場合は退職するというふうに定めておりまして、具体的には一級から七級の社員が売上高二百四十万円以下の場合はいきなりこれ退職となると。これは裁判でも争われているんですが、このケースでは就業規則を初めて見せられたのは退職するときだ、解雇されるときだというんですね。
 局長、引き続き聞くんですが、本法案で就業規則が労働契約の内容になるんであれば、就職の際に、せめて労働者に対して就業規則を配付するということを前提にすれば、少しは紛争回避に役立ったんではないかと思うんですが、なぜそれをしなかったんですか。
○政府参考人(青木豊君) 就業規則の交付というのは、確かに就業規則の周知方法の一つでございます。しかし、そのほかにも作業場への掲示でありますとか備付けなど、有効な周知方法はあり得るので、就業規則の交付を義務付けるまでの必然性はないというふうに考えたわけであります。
 その上で、労働契約法の七条では、労働契約の締結の場面において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、原則として、労働契約の内容はその就業規則で定める労働条件によるものとするということを定めておりまして、周知を欠く就業規則は労働契約の内容となることがないようにいたしておるわけであります。
○小池晃君 ところが、周知といっても、引き出しに入っているだけとか見れないイントラネットに入っているだけという実態なんだということは前回も申し上げたとおりで、やはり事前に示されていなければ争いようもないわけであります。
 その上で、本法案で、使用者が就業規則を変更した場合、裁判でその労働条件の引下げが合理性がなく無効だという判決が確定しない限りは、就業規則によって変更された労働契約が事実上有効になるということだと思います。これは何度か確認されてまいりました。つまり、それまでは賃金は減額、労働時間は延長されたままということになる。
 この間、ADRといいますか個別労紛、あるいは労働審判等も整備されて、そこで解決される事例も増えておりますが、しかし、訴訟まで徹底的に争う企業も少なくありません。特に大企業ほどそういう傾向が強いと。結局、裁判争えばこれは何年も掛かる、訴訟費用も大変だ、先ほども議論がありました。局長、そこまでできる労働者が一体どれほどいると考えておられるんですか。
○政府参考人(青木豊君) 労働契約法案の十条で就業規則の変更による労働条件の内容の変更について規定がされているわけでありますけれども、これは、変更後の就業規則を労働者に周知させて、かつ労働者の受ける不利益の程度などの事情に照らして合理的なものであるときは、これは労働条件は変更後の就業規則に定めるところによる旨を定めておりまして、あくまでも周知の有無と変更の合理性によって有効か無効かを決するというふうになっています。
 したがって……(発言する者あり)いや、まず前提のお話として、労働者が裁判で勝つまでは有効というような、例えばあらゆる就業規則変更に合理性を推定するなどの法的効果は、この条文にはないわけでございます。
○小池晃君 しかし、今言ったみたいに、私が言ったように、ちょっと私の質問に答えてないんですけれども、訴訟で最終的には今言った合理性の判断もしなければいけないわけでしょうと、そういうことができる労働者がどれだけいるのかというふうに私聞いているんですが、答えありませんでした。
 やっぱりこの実態から見れば、裁判に掛かる手間と費用を考えれば、よほどのことがない限り、これは泣き寝入りになってしまうんではないか。現状では一方的変更でたくさんの労働者が泣き寝入りをしているのに、それを追認するような法律を幾ら作っても、これは労働者は救われないというふうにやっぱり言わざるを得ないと思うんです。
 さらに、第四銀行事件の七つの考慮要素のことについて、この間、質問何度もされていますが、これ全部入っているんだというふうにおっしゃる。
 大臣、これは大臣にお聞きしたいんですが、使用者あるいは裁判所が、これ全部入っているんだと、答弁のとおり解釈するための担保というのはこれは何か考えていらっしゃるんですか、いかがですか。
○国務大臣(舛添要一君) これは、判例法理を足しも引きもしないという基本的な原則でやっているわけですから、この判例法理に何らの変更を加えるものではありません。
 したがって、こういうふうな形で、今御引用なさった第四銀行の判例、これについての七要素と四要素の関係、今おっしゃったわけですけれども、きちんとこの法案で書かれたことを周知徹底して、これを守っていただくと。この変更のときの合理性ということをきちんと徹底して、我々も周知していく努力をやっていきたいと思います。
○小池晃君 それから、本法案には労働組合等との協議の状況ということが明記されていて、これは少数組合、労働者個人との協議も含まれると答弁がありました。
 大臣は、この労働契約法によって企業の社会的責任を世に周知させ、その合理的な行動を求めるために法律が必要だと。そういう趣旨からすれば、その立法趣旨からすれば、本法案によって、就業規則によって労働条件を不利益変更するときには、多数組合のみならず、少数組合あるいは労働者個人との協議を行う必要があるというふうに立法趣旨として考えておられるということでよろしいか。
○国務大臣(舛添要一君) 法案の第十条で「労働組合等との交渉の状況」とあるその労働組合等には、多数労働組合や過半数代表者のほかに、少数労働組合や労働者で構成される親睦団体など広く労働者の意思を代表するものが含まれていると、そういうふうに考えております。
○小池晃君 それを使用者にはどのように徹底するつもりか、あるいは使用者団体だけではなくて、労働組合やあるいは労組の全国団体通じて労働者に対して周知もすべきではないかというふうに考えるんですが、その点いかがですか。
○国務大臣(舛添要一君) それはもう基本的には、個別の事案について、労働組合、使用者、いろんな種類の労働組合ありますけど、それの判断に事案ごとに従うしかないと思いますが、しかし、判例法理も見ましても、多数組合の同意さえあれば就業規則変更ももうそれは好きなようにできるというふうには私は読めないというふうに思います。
○小池晃君 いや、だから、今言ったこと、局長でも結構ですけれども、周知の仕方についてお伺いしたい。
○政府参考人(青木豊君) 労働契約法案は、これは労働契約に関する基本的ルールを明確にして、言わば個別の労使紛争をできるだけ予防していこうということでありますので、これは、その実効性を高めるためには、労使双方に対してその周知、趣旨の徹底というのを図っていくのは大変大切だと思っております。
 したがって、この労働契約法案が成立した暁には、現在の判例法理だとか実務に即した適切な法律の解釈、運用が行われるように分かりやすいパンフレットを作成するなどして周知を図っていきたいと考えておりまして、御指摘の労働組合に対する周知についても検討していきたいというふうに思っております。
○小池晃君 それから、労働者の範囲をどうするのかという点も大きな論点なわけですが、ILOで二〇〇六年六月に雇用関係に関する勧告が採択されて、雇用関係が存在する条件として経済従属性を考慮に入れるということが提案されております。この勧告採択に日本政府賛成しておりますが、大臣は、労働者性の拡大というこの勧告について、ILOの、どう評価されているのか。
 あわせて、今回の法律を制定するに当たって研究会の報告書では、労働者の範囲について、労働基準法の労働者のみならず、それ以外への拡大、請負契約についても対象にするということがされていたんですが、この法律には反映しておりません。労働者の範囲の拡大という問題について、これは引き続き検討を深めていくべきではないかと思いますが、大臣の所見を伺います。
○国務大臣(舛添要一君) 先に引用されましたILOの雇用関係に関する報告では、雇用関係の存在の決定というのは第一義的に業務の遂行及び労働者の報酬に関する事実に従って行われるべきだと規定されておりまして、我が国の労働基準法もこの考え方にのっとっているというふうに思います。
 したがって、労働契約法の対象となります労働者の範囲についても、この現行の労働基準法と同様に整理していいと思いますが、ただ、今委員が御指摘いたしたような労働者の範囲、この在り方については、今のような議論もありますから、今後様々なそういう議論を取り入れながら更なる検討課題としてまいりたいと思います。
○小池晃君 それから、最低賃金制度にかかわってお聞きしたいんですが、資料をお配りしております、三枚目以降を見ていただきたいんですが、建設請負会社のエム・クルー、これはネットカフェ難民を扱う会社として登場して、社長がホームレスだったこと、あるいは竹中平蔵さんと非常に仲がいいというか、そんなことでも話題になっています。これは、都内主要駅ほとんど、レストボックスという二段ベッドの宿舎を提供して、簡易宿泊と建設請負の仕事紹介をセットにして営業している、そういう企業です。
 この会社で働いている労働者が今年十月労組を作りまして、安全協力費とか福利厚生費の名目で最大一日五百円の天引きが同意なく行われているということで全額返還を求めております。
 お配りしたのは、この会社の建設会社に対して向けたチラシと、それから労働者に向けて出した案内。これを見ますと、建設会社が支払う料金というのは一日一人当たり、これキャンペーン中なんでちょっと安いんですが、組合によりますと、一日一人当たり一万二千三百八十円なんです。ところが、二枚目見ていただくと、労働者に対する賃金見ると、これ七千七百円なんですね。問題の経費五百円ここから引きますから手取りで七千二百円、もう実にマージン率が四二%ということになるわけです。
 これ、時給換算すると九百円で、まあ最低賃金はクリアしているかもしれません。しかし、料金の六割程度の賃金で、しかも交通費込みだと。宿泊費、これは千八百円取られるんで、残るのは五千四百円。これ、宣伝では、エム・クルーで働いて頑張れば部屋が借りられるようになる、こう言っていますけど、これでは生きていくのが精一杯ではないかなというふうに思うんですね。
 最賃がやっぱり低いことがこういう事態を生んでいる原因の一つにもなっているのではないかと思うんですが、この会社、建設請負で派遣事業法の登録していません。しかし、実際には他社の工事現場に労働者を送る、実態としては労働者派遣。元々、建設は禁止されているはずなんです。
 大臣、今こういう貧困ビジネスというのが大きく広がっているんですね。宿泊施設付きの派遣や請負、こういう事態について実態把握がされているのか。もし把握していないのであれば、私は派遣法や労基法に基づいてきちっと調査すべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(舛添要一君) 今は一つ個別の案件を御引用なさいましたけれども、一般的に、基本的には労働関連の法令に違反したところに対してはきちんと厳正な処置をやると、そういう方向で我々はやっていっているし、今後ともその方向は曲げないでやっていきたいというふうに思っております。
○小池晃君 いや、そういう一般論じゃなくて、こういう貧困ビジネスというのはかなり大きなトレンドになってきている中で、厚生労働省としてもこれはやっぱり一定の問題意識持って調査をするという態度、必要じゃないですか。
○国務大臣(舛添要一君) その点も含めまして、先ほど来のほかの委員の先生方にもお答えいたしましたけれども、九月から労働政策審議会において、そういう点も含めて派遣労働の在り方について再検討を加えるということをきちんとやっておりますので、その結果を踏まえて必要な対処をいたしたいと思います。
○小池晃君 それから、最低賃金について生活保護を下回ってはいけない、これ当然の話なんですが、生活保護制度には勤労控除という仕組みがございます。勤労収入を得るために特別な経費が必要になることから、平均でいうと月二万三千百三円、時給だと百三十一円です。
 基準局長は、これ、労働して賃金得る場合には生活保護を受ける場合よりも必要経費が増加するという観点から見れば、一定程度上回るものとすべきであるという考え方もあり得るという答弁をされていますが、私はこの生計費の問題については勤労控除に相当するような部分というのもこれは考慮の対象にすべしと思うんですが、どのようにお考えですか。
○政府参考人(青木豊君) 最低賃金と生活保護の比較に当たっては、そもそも制度上の違いといいますか、があるわけでして、生活保護は年齢や世帯によって違うとか、今お話のありましたような各種加算だとか住宅扶助だとか医療扶助だとかいろいろあるという、これをどういうふうに考慮するのかというのは実はやっぱり問題だというふうに思っています。
 一つの考え方ということで、私どもは従来から衣食住ということで、若年単身世帯への住宅扶助、それから若年単身世帯の生活扶助基準と、それと住宅扶助ということで言ってきているわけで、それが一つの考え方じゃないかということも申し上げてまいりましたけれども、具体的な整合性をどういうふうに考えていくかということについては、これは最低賃金審議会、中央の最低賃金審議会、それから地方の最低賃金審議会で具体的に調査審議をして決定されるべきものというふうに考えております。
○小池晃君 審議会で検討というけど何を要素とするのかと、基準をやっぱり責任を持って示すべきであるということを申し上げたいと思います。
 最後に、最低賃金審議会の構成についてお聞きしますが、労働者委員が何名か。ナショナルセンター別にはどうなっているのか。それから、パート労働者とか非正規労働者、最低賃金が問題になるようなそういう組合からの委員はいるんでしょうか。簡潔に。
○政府参考人(青木豊君) 最低賃金審議会委員の労働者代表でございますけれども、中央及び地方の最低賃金審議会、合計いたしますと、合計で二百四十三人、中央は六人、地方は二百三十七人ということでございます。
 お尋ねのナショナルセンター別に見ますと、二百四十三人は日本労働組合総連合、連合に加盟する労働組合から推薦された候補者でございます。それから、パート等非正規労働者についてでありますけれども、これは最低賃金審議会の労働者代表委員につきましては、関係労働組合の推薦を受けた者の中からいわゆるパートタイム労働者等、そういう労働者を含む労働者一般の利益を代表するにふさわしい者を任命しているというふうに考えております。
○小池晃君 やっぱり当事者がいなけりゃこんな議論できないと思うんですが。
 ちょっと、もう時間ないんで答弁はいいですが、厚生労働省が把握している労働組合の構成比率は、連合で言うと六六%、連合以外で三三%だというふうに私はお聞きしました。大臣、この最低賃金審議会の労働者委員が長年連合だけだという事態続いているんですけれども、やっぱりこれは広く公募して民主的手続で毎年改選すべきだという声が寄せられておりますが、この問題についてやっぱり検討していく必要があるのではないかというふうに私は思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(舛添要一君) この毎年改選を二年改選というふうにしたのは、国の審議会一般の任期が二年だということでそれに合わせようということの趣旨でありますけれども、委員のおっしゃるような意見があるということをきちんと賜った上で更に検討を続けていきたいと思います。
○小池晃君 四十年ぶりの最賃法の改定に労働者の期待は大きいわけですが、なかなかいろんな問題がある、事業者の支払能力定めているのはOECD加盟三十か国で日本とメキシコだけというような問題もあります。更なる修正を是非することを呼び掛けたいということで、質問を終わります。
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 今年三月二十日に開催された厚生労働委員会で、就業規則の変更の合理性を判断するため裁判となった場合、立証責任は使用者側にあるという答弁を青木局長されていますが、それで間違いないですね。
○政府参考人(青木豊君) 就業規則変更により労働条件を変更したことを原因とする紛争が生じた場合におきまして、就業規則の変更が合理的であることに関する証明責任というのは、お尋ねのように労働契約法案の成立した後も使用者が負うものと考えております。
○福島みずほ君 就業規則の変更について合理的で有効に変更できたということであれば、その時点で効果が生ずると前回青木局長は答えています。
 就業規則の不利益変更が行われました、合理性がある、ないという判断、例えば合理性はないという判断が裁判で下されました。無効です。そうすると、無効ということですから、これは就業規則の不利益変更をされた段階から無効だということでよろしいですね。さかのぼるということでよろしいですね。
○政府参考人(青木豊君) おっしゃるとおりであるというふうに、今もそうだと思いますし、この法案が成立した後にも同様だというふうに思っております。
○福島みずほ君 九条ただし書ですが、「ただし、次条の場合は、この限りでない。」、これは九条ただし書による使用者の権利行使、これは形成権なのですか、請求権なのですか。
○委員長(岩本司君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(岩本司君) 速記を起こしてください。
○政府参考人(青木豊君) この九条ただし書は権利を規定したものじゃありませんので、請求権でも形成権でもないというふうに思います。
○福島みずほ君 権利というのは、通常、形成権か請求権かに分けられると思うのですが、使用者の就業規則の変更権が請求権になるのか形成権になるのか。形成権だった場合、使用者の一方的な変更の意思表示で法律関係に変動を来すことになる。請求権だとしたら、形式的には労働者が受け入れるまでは法律関係に変動がないということになるんですが、形成権でしょうか、請求権でしょうか。
○委員長(岩本司君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(岩本司君) 起こしてください。
○政府参考人(青木豊君) これは請求権だというふうに思っております。
○福島みずほ君 請求権、就業規則の不利益変更の使用者の権利が請求権だった場合、労働者が受け入れるまでは法律関係に変動がないとすれば、合意しない労働者に対して拘束力がないということでよろしいですか。
○政府参考人(青木豊君) 元々、九条で、使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働条件を一方的に不利益に変更することはできないというふうになっております。
○福島みずほ君 請求権だとしたら、請求するわけですよね。それに納得しない労働者がいる、異議申立てをする。そうすると、異議申立てをしている人はその請求権に対して納得していないわけですから、それはなぜ拘束力を持つんですか。請求権に対し、請求権なわけですから、納得しない労働者には拘束力を持たないということでよろしいですね。
○政府参考人(青木豊君) これは第十条の話をおっしゃっているんだと思いますが、第十条で、一定の手続、一定の要件に当たる場合には、これはこの法律第十条をもって変更後の就業規則に定めるところによるということに規定を、法律上なっているということであります。
○福島みずほ君 請求権だとしたら、納得しない労働者は、というか、これはなぜ、請求権だとして、丸ごとじゃ拘束力が生ずるのか分からない。異議申立てをする、例えば裁判を起こした労働者に対しては拘束力を持たない。裁判、例えば私が起こしますね、ということでよろしいですか。
○政府参考人(青木豊君) 先ほど来の裁判については、これはむしろ御議論は、この合理性の中身についての争い、紛争がある場合について、その決着を図るために裁判に出ると、こういうことだろうというふうに思います。これの中身が裁判で、実際には神の手によって決着が付いているわけですが、現実の場面では裁判で紛争の決着が付くということだと思います。
○福島みずほ君 請求権だった場合、裁判を起こした労働者はその請求権に対して同意をしていないわけですよね。そうだとすれば、裁判の判決が出て初めて無効になるのではなくて、その異議申立てを、裁判で提訴した、異議があると、あるいは裁判を起こさないまでも異議があると言った人間に対しては拘束力を生じ得ないんじゃないですか。
○政府参考人(青木豊君) 第十条で言っておりますのは、ちょっと繰り返しになりますけれども、一定の手続、変更後の就業規則を周知をさせると、それから幾つかの条件の下に、中身が合理的である場合には、もうその法律第十条により、その労働条件というのは変更後の就業規則に定めるところによるものとするということでなっているわけです。そういうことで、その時点で決着をしていると。
 しかし、合理性でありますとか、手続あるいは周知についての争いがある場合については、これは当然争いについては裁判に訴えるその権利はだれしもあるわけですから、その場合には争いとなって、その争いが裁判において決着をしたときには、その効果は変更をした時点から効果を生ずるということだというふうに思っております。
○福島みずほ君 刑事事件で無罪の推定があります。そして、挙証責任は検察官にあります。有罪となるまでは無罪なわけですよね。
 私が奇妙に思うのは、就業規則の不利益変更に関して、挙証責任は会社側にあると言いながら、就業規則の不利益変更をした時点でその法的拘束力がすべてに及ぶのであれば、立証責任を企業側が負うとしても、実質的には拘束力に全部伏してしまうという非常に変な問題がある。つまり、この法案は労働契約法案というよりも、そこのけそこのけ就業規則が通る、就業規則万能法案になっているわけです。法的拘束力があるとすることは問題ではないですか。
 挙証責任は会社側が負うのであれば、合理性の立証はされてないんですよ。裁判で合理性があると挙証責任を負っている会社側が勝つまでは、その合理性は担保されてないんですよ、挙証責任、会社側が負っているわけですから。だとすれば、異議を唱える労働者、異議を申立てをしている労働者に対しては法的拘束力を持たないというのが論理的ではないですか。
○政府参考人(青木豊君) 何度も申し上げますように、就業規則の拘束力はいつから発生するのか、また裁判で有効とされたりあるいは無効とされた場合いつから無効となるかについては、これは現在も法案が成立した後も変わらないものだというふうに思っております。
 先ほど来申し上げておりますように、この手続あるいは事情勘案、勘案すべき事情の内容、これらについてこれが合理的であるということについて争いになった場合には、これは使用者側が立証責任を負うというものであります。そこで立証できなければ使用者側が敗訴をするということになりまして、就業規則の変更についてはもう無効だということになりますし、裁判で決着したときから振り返ってみればあたかもさかのぼったようになるわけですけれども、その変更したという時点からはそれは無効になるということでございます。
○福島みずほ君 三月二十日の厚生労働委員会で、最高裁の判例では就業規則の変更には高度の必要性が求められるとしているが、法案では労働条件の変更の必要性となっていることが問題だと質問しました。当時、青木局長は、労働条件変更にどの程度の必要性が求められるかは個別事案に応じ総合的に考慮されると答弁しております。
 現段階で考えられる変更の必要性の程度とはどんなケースが想定されるか、高度な必要性ということでよろしいですか。
○政府参考人(青木豊君) 御指摘の点については、これは大曲市農協の最高裁判決以来、そういう高度の必要性に基づいた合理的な内容である場合に就業規則が労働契約の内容を規律する効力を生ずると、そういうことであるということは承知をいたしております。
 今回の労働契約法案というのはこの判例法理を修正するものではなくて、個別の事案において具体的な当てはめにおいては、判例法理において示された具体的な考え方が引き続き存続し考慮されるものと考えておりますので、そういう意味では、お尋ねのとおり、高度の必要性についてもお尋ねのとおりだというふうに考えております。
○福島みずほ君 足しもしなければ引きもしないというのはよく答弁でされているのですが、前回、私の質問に対して、第四銀行の七つの要件が四つになっているが、三つは含まれているということを青木局長は答弁をされました。
 では、司法の場面で司法の判断をそれは拘束しますか。法案に書いていないことを裁判所は考慮できるんでしょうか。司法を明確に拘束するということでよろしいですね。
○政府参考人(青木豊君) これは司法はもちろん法律に基づき、その法律に基づき判断をするということでありますから、その法律をきちんと適用するということだろうと思います。
 私が申し上げているのは、第四銀行事件の判決で言っている七つの考慮要素というのを整理をいたしまして、今度の法案の第十条で規定をいたしたということでありますので、私としては、労働契約法案が成立した暁にはそういった旨の運用が適切になされるようにパンフレット等を作成していきたいというふうに思っております。
○福島みずほ君 矛盾していて意味が分かりません。
 前回、私の質問に対して、他の労働組合又は他の従業員の対応、同種事項に関する我が国社会における一般的状況等、そして代償措置その他関連する他労働条件の改善状況の要件は今回含まれているとおっしゃったんですよ。しかし、裁判所では書いてないことを判断できないじゃないですか。どっちなんですか。書いてないことを裁判所は判断できないですよ。でも、局長は含まれていると言ったじゃないですか。含まれてないですよ。
○政府参考人(青木豊君) 何といいますか、言葉、文言そのものを、これは前にも議論があったかと思いますけれども、判例法理を条文にするというときも言葉、文言そのものを一字一句変えずに規定をするということではなくて、そこに通有する考え方を条文として規定しているわけであります。
 そういう意味では、判例で言っている七つの考慮要素については四つに整理をして、含まれる形で規定をしたということでございます。
○福島みずほ君 いや、前回、私の質問に対して、代償措置その他関連する他労働条件の改善状況は入っていると答えたんですよ。裁判所は、それどうやって判断するんですか、法案にないのに。
○政府参考人(青木豊君) いや、法案の中にそういったものを含めて書いたということでございます。(発言する者あり)
 したがって、そういうことで具体的な裁判に当たりましては、これまでの判例法理もこの法律によって変えるところはないわけでありますから、それに沿ってきちんと処理がされるというふうに考えております。
○福島みずほ君 いや、でたらめですよ。書いてないことを裁判所は判断できないですよ。裁判に引用したら、その裁判官は大ばかやろうになりますから、そんなことできないですよ。それにもかかわらず、入っているという変なこと言うからですよ。入ってないって正直に言ったらいいじゃないですか。でも、入っているとしか言いようがないし、私たちはこの判例を後退させたくないんですが、明確に後退しているんですよ。
 裁判所は判断できないですよ。裁判所は、この議事録を私たちは示して判断せよと迫ります。判例に引用せよと迫ります。しかし、法案には書いてないんですよ。厚生労働省が落としたんですよ、これについては。
 その次に、第十条の「労働組合等との交渉の状況」、この労働組合の定義と等に何が含まれるかを改めてお聞きします。
○委員長(岩本司君) どなたにですか。局長でよろしいですか。
○福島みずほ君 はい。局長、お願いします。
○政府参考人(青木豊君) 労働組合等の等というのは、これは多数労働組合も当然含みますし、少数労働組合、あるいは個別の労働者あるいは親睦団体、そういったものを広く労働者の声を反映するものとして規定をいたしているものでございます。
○福島みずほ君 労働組合というものには全部入るわけですね。少数組合もいろんな組合も入る。あるいは、これは組合でないといけないんでしょうか。
○政府参考人(青木豊君) 労働組合は組合でないといけないと思いますが、労働組合等でありますので、広く組合以外のものも入るということでございます。
○福島みずほ君 例えばどういうものでしょうか。会社が指定をした代表者会議やいろんな人たちの意見を聴けば、この要件を満たされることになるんでしょうか。
○政府参考人(青木豊君) これは、もちろん今お挙げになりました会社の一定のグループということも労働組合等という中には入り得ると思いますけれども、ある特定の、例えばこの条文の意味は、多数組合であっても多数組合とさえやっていればいいんだということではなくて、そういったものとの交渉の状況、そういった少数組合も含む広く労働者の意見、そういったものが反映するように、広くそういったものとの交渉の状況を総合勘案して初めて合理的かどうかというものが判断できるのであって、ある特定のものだけ話をしたら済みだと、終わりだと、結構だということではないということであります。
○福島みずほ君 そうすると、複数組合が会社の中にある、あるいは一人の人が外部のユニオンに加入しているという場合、局長のお考えでは、それらの少数組合や個人加盟のユニオンの人たちとの交渉もきちっとしない限りは合理性については問題があり得るということでよろしいですね。
○政府参考人(青木豊君) そこはまた非常に微妙なところで、要するに、全部話をしなければ、交渉しなければいけないんだということではないわけです。ですから、お尋ねのように、あり得るかということであれば、それはそうだということでありますけれども、そうであるのかというと、全部やらなければいけないということでもないわけです。総合的に勘案して判断をするということであります。
○福島みずほ君 質問、変えます。
 複数組合がある場合の差別的取扱いというのは不当労働行為に御存じなりますよね。ですから、話を聴くときに、原則としてというか、基本的に厚生労働省としては、複数組合があったりする場合には、交渉で意見を聴くときはすべての労働組合に聴くのが望ましいと考えているということでよろしいですね。
○政府参考人(青木豊君) 労働組合だけではなくて、この条文の趣旨は、広く労働者の意思を代表する者を含んで、そういう人たちと十分交渉したり、話をしたりすることによって初めて合理性が出てきますよということでありますので、できるだけそういう意味で反映する形での協議、交渉というのが望ましいというふうに考えているわけです。
○福島みずほ君 すべての労働組合と交渉するのが望ましいということを確認をさせていただきました。
 さっきの七つの要件にまた戻りますが、局長の考えだと、法案には書いていないけれども、裁判所は当然それが含んでいるので考慮するだろうということですよね、メルクマールとして入っているという答弁ですから。
 では、このパンフレットやいろんなもの、つまり、事業主はこの法案を見て、ふむふむ、これだけがあればいいのかとか思うかもしれないですね。でも、実際は七つの要件が必要なわけじゃないですか、局長。だとしたら、パンフレットにはそれを全部、フルに書かれる、賃金については高度の必要性が必要だという判例もあるということまできちっと周知されるということでよろしいですね。
○政府参考人(青木豊君) もちろん、様々な裁判例が蓄積されておりますので、そういったものも十分パンフレット等にできるだけ載せて、それからいろんな例も載せて分かりやすいものを、実際の様々な現場で生ずる事態に参考になるようにパンフレットというのは作りたいというふうに思っています。そういう意味では、おっしゃるようなものも当然含めてできるだけ、ただし、分かりやすくすることは必要だと思っておりますけれども、そういう形でできるだけ周知に努めていきたいというふうに思っております。
○福島みずほ君 就業規則が合理的でない場合がある、基準法違反の場合があるということを前回、質問をいたしました。私が入手したものでも、外資系のITで、業務成績向上プランを作成、指導し、それが達成しない場合は解雇するという就業規則があるものもあるんですね。
 ところで、お聞きをいたします。
 労働基準監督署に提出される就業規則は監督官並びに就業規則点検指導員がチェックすると聞いていますが、労働基準法違反のチェックはどのようにしていらっしゃるでしょうか。
○政府参考人(青木豊君) 労働基準監督署には、お話しのように、就業規則、事業主が作成をすればこれを届け出るということになっているわけであります。
 そして、監督署の窓口で、届けられた場合には、就業規則の内容を点検いたしまして、労働基準法等に違反する内容が定められていることを把握した場合には、法令の内容を説明いたしまして、法令に合致したものとなるように変更を指導しているところでございます。
○福島みずほ君 労働基準監督署の監督官の数は、ILOが指針として定める労働者一万人につき監督官一人という割合でいけば、日本には五千人ほどの監督官が必要と思われます。現在三千人しか監督官がいない現状をどのように考えるか。十分なチェック機能が期待できないと考えますが、いかがですか。人員増は必要ではないですか。
○政府参考人(青木豊君) 労働基準監督官におきましては、申告、相談等の様々な情報も精査いたしまして、問題があると考えられる事業所を的確に選定をすると、効率的な監督指導を実施しております。また、集団指導など効率的な指導方法を取るというようなこともやっております。そういうことで、できるだけ効率的にやるということを考えております。また、状況に応じては、法令違反の指摘、改善方策の説明などを行った上で、更に悪質な事業者に対しては厳しい厳正処分をするということで、指導も効果的に発揮されるように努めているところでございます。
 それで、労働基準監督官の数でありますけれども、これまでも増員に努めてまいりまして、非常に厳しい定員事情の中ではありますけれども、監督官はわずかではありますけれども増えてきているわけであります。今後とも、そういう中でありますけれども、労働基準関係法令の遵守徹底のためにできるだけ努力をしていきたいというふうに思っております。
○福島みずほ君 就業規則の中身が労働契約になってしまうと。今までだと、労働基準法があって、就業規則があって、それにより労働契約があるということだったのが、就業規則万能主義になっちゃうんじゃないかという心配をとてもしています。だからこそ、合理的でない、場合によっては法違反である就業規則をはじき飛ばしていく、排除していく、あるいは就業規則の不利益変更の合理性が本当にないものをきちっとあらかじめ排除していく、存在するものは合理的でなくて、きちっと労働基準監督署でそれら合理性がないものや法違反を不利益変更も含めて排除していくということが必要だと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(青木豊君) 今でもそういう合理性のものについては、これは監督官の権限ではありませんので、出てきて、もしそういうことで紛争があれば、労働局の個別労働関係紛争の事務の方を紹介するというようなこともやっているわけであります。この労働契約法案が成立した暁には、当然、監督署の方に本来のルートではなくても来ることは予想されますので、窓口に対しても、十分指導できるように、パンフレットなり手引なり等を作成して事務処理に当たらせたいというふうに思っております。
○福島みずほ君 労働契約法、最低賃金法について、まだまだ問題が極めてあると思い、審議を尽くしたいと思いますが、この中身について、特に労働契約法については反対であるというふうに考えます。
 以上です。
○委員長(岩本司君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
 最低賃金法の一部を改正する法律案の修正について小池君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。小池晃君。
○小池晃君 私は、ただいま議題となっております最低賃金法の一部を改正する法律案に対し、日本共産党を代表して、修正の動議を提出いたします。
 その内容は、お手元に配付されております案文のとおりであります。
 これよりその趣旨について御説明いたします。
 今日、貧困と格差の拡大が日本社会の深刻な問題となっており、どんなにまじめに働いても生活保護水準に達しないワーキングプアと呼ばれる世帯は四百万以上、年収二百万円以下の労働者は実に一千万人を超えています。
 その原因の一つは、先進国で最も低水準の最低賃金額が、労働者の最低生活の下支えどころか、おもしになってきたことにあります。その深刻さから三十九年ぶりの改定が行われることになり、労働者も大きな期待を寄せていました。ところが、政府案では、都道府県別の四十七種類という世界一細かく分かれている地域別最低賃金制を固定化し、引上げのブレーキとなってきた事業者の支払能力を決定要素に残すなど、労働者の切実な要求から懸け離れたものとなっており、衆議院の修正もその枠組みを残したものとなっています。
 本修正の目的は、貧困と格差の解消に果たす最低賃金制の役割を重視し、世界では当たり前になっている全国一律最低賃金制の創設を始め、真に最低限度の生活を保障するための措置をとることとしております。
 以下、提案する修正案の骨子を説明いたします。
 第一に、第一条の目的規定に、憲法第二十五条第一項の趣旨を表す「健康で文化的な最低限度の生活を確保するために必要な」の文言を追加し、最低賃金法の目的を明確にしております。
 第二に、全国を通じすべての労働者に対し一律に適用される全国最低賃金を創設します。さらに、全国最低賃金が不適当と認められる地域については、全国最低賃金額を上回る額で地域最低賃金を定めるものとしております。また、労働者又は使用者からの申出により、全国最低賃金を上回る額で産業別最低賃金を定めることができることとします。
 第三に、全国最低賃金と地域最低賃金は、労働者及びその家族が健康で文化的な最低限度の生活を営むために必要な経費を基本として定めなければならないこととし、事業者の支払能力は決定要素から削除します。
 第四に、改正後の制度の中小企業における円滑な実施を図るため、中小企業に関する取引の適正化に係る措置、中小企業に対する支援に係る財政上、税制上及び金融上の措置等の措置を講じなければならないこととしております。
 第五に、最低賃金額は時間だけでなく、日、週又は月によって定めること、産業別最低賃金に係る違反についても罰則の対象とすること、派遣中の労働者の最低賃金は派遣先、派遣元の最低賃金のうち金額の高い方の適用とする等、所要の措置を講じることとしております。
 この修正によって、最低賃金を大幅に引き上げてほしいという労働者の願いにこたえるものになるものと確信します。
 以上述べて、提案理由の説明といたします。
 是非とも御賛同くださいますよう、よろしくお願いいたします。
○委員長(岩本司君) これより労働契約法案並びに最低賃金法の一部を改正する法律案の原案及び修正案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○小池晃君 私は、日本共産党を代表して、労働契約法案、最低賃金法改正法案に反対、最低賃金法修正案に賛成の討論を行います。
 労働契約法案に反対する理由は、本法案が労働契約の締結、変更について労使合意を原則と定めながら、使用者が一方的に決められる就業規則による労働条件の不利益変更を例外として認めたからであります。
 労働条件の変更の七割が就業規則の変更によって行われており、そのうち二割は労働者との協議が行われていません。就業規則を見ることさえできない職場も多く、労働契約法にはこの実態を是正し真の労使対等を実現することこそ求められていました。
 ところが、本法案は、使用者の横暴を是正するどころか、使用者が合意原則を踏みにじる手段として利用してきた就業規則による労働条件の不利益変更法理を法律化したのです。しかも、判例法理は一切変えず法文化したとしていますが、実際には判例の七要件を四要件に後退させています。
 また、厚生労働省は合理性がなければ就業規則による労働契約変更は無効となると説明していますが、厚生労働省自身が認めたように、就業規則に合理性があるかどうかは、使用者が争えば裁判で決着を付けるしかありません。裁判となれば相当な手間と費用と時間が掛かります。その負担に耐えられない多くの労働者は、結局泣き寝入りせざるを得ません。また、裁判に訴えることができたとしても、勝つまでは労働条件の引下げを押し付けられ、勝つ保証もなく、勝ったとしても失われた時間は帰ってきません。
 貧困と格差の拡大が問題となっているときに、わざわざ労働条件の不利益変更を可能にする法律を作ることは断じて認められません。
 最低賃金法に反対するのは、労働者、国民の切実な願いである現行最低賃金の抜本的引上げに結び付くものではないからです。
 現在の最低賃金は年収二百万円にもならない低水準の上、四十七都道府県ばらばらで大きな地域格差があります。本法案には生活保護水準との整合性が盛り込まれましたが、大幅引上げや格差解消には不十分な内容です。
 事業者の支払能力を最低賃金決定の際に考慮に入れている国は、OECD三十か国中メキシコと日本だけです。支払能力基準を削除し、最低賃金が憲法二十五条の生存権保障であることを明確にする必要があります。
 また、本法案によって、地域別最低賃金は必ず定めなければならないものとされました。本委員会の審議の中でも、地域別最賃の導入は世界でわずか九か国にとどまり、圧倒的多数は全国一律最低賃金であることが明らかになりました。深刻化する地域格差を解消し、すべての労働者の賃金引上げを実現するためにも、地域別最低賃金を必須のものとするのではなく、中小企業支援の抜本的な強化と併せて、全国一律最低賃金の導入こそが必要です。物価や生計費の違いは全国一律最低賃金に上乗せして地域別最低賃金を定めればよく、全国一律最低賃金を導入しない理由にはなりません。
 以上をもちまして、私の反対討論といたします。
○福島みずほ君 私は、社民党・護憲連合を代表し、内閣提出労働契約法に反対、最低賃金法の一部を改正する法律案に賛成、共産党提出の修正案に賛成する立場から討論を行います。
 まず、労働契約法案は、就業形態の多様化、個別労使紛争の増大などに対して労使間の良好な関係づくりを図るルールと期待されていましたが、この法案内容では労使間の対等性が全く担保されておらず、さらには労働者保護がなされていない点が問題です。
 第二の理由として、使用者側が一方的に就業規則を変更できることとなっていることです。
 九条で使用者が労働者と合意することなく労働者に不利益な就業規則の変更をすることができないとしていながら、十条に例外規定を設けています。労働者への周知と合理性があれば変更できるとなっていますが、周知とは具体的にどのような場合を指すのか、変更された就業規則の合理性の判断要素とは何であるのかなど、この厚生労働委員会における答弁でも十分に明らかになりませんでした。また、これまで積み重ねられてきた判例が過不足なく立法化されていることも確認できず、労働条件が使用者側の一方的な都合で切り下げられる事態が起きてきます。この法案は言わば就業規則万能法案です。
 第三の理由は、参議院では参考人による審議が行われましたが、徹底的な審議が尽くされたとはまだ言えないからです。
 労働契約法が新しく大きな法律であるにもかかわらず、立法化によって現実に労使にどのような影響を与えるのか、この労働契約法の重要性が国民の前に明らかになっていません。拙速な採決は避けるべきとの立場からも法案に反対いたします。
 次に、内閣提出の最低賃金法の一部を改正する法律案及びその共産党提出の修正案について賛成意見を述べます。
 内閣法の改正法案では産業別最低賃金が特定最低賃金になり、罰則規定がなくなることで実質廃止の方向になってしまったことは問題です。産業別最低賃金は、公正な賃金決定の確保、労使交渉の補完的な役割を持っていた観点から継続することが望ましいと考えます。また、全国一律の最低賃金基準を設けるべきと社民党は訴えてきましたが、この点について盛り込まれなかったことは不十分であると指摘せざるを得ません。
 しかしながら、ワーキングプアの問題が深刻化している中で、地域別最低賃金が強化され、大幅引上げにつながっていくことが求められている現状で、本法案の改正は一歩前進と評価できます。最低賃金の不払に対する罰則規定も引き上げられ、憲法二十五条が改めて明記され、今後の引上げの強化や改善が図られることが期待される法案であると考えます。
 また、共産党が提出された修正案は、全国一律の最低賃金制などを修正案として盛り込み、原案に対する補強、強化するものであるという考えから賛成するものであります。
 今後、改正された最低賃金法がすべての労働者の最低限度の賃金が保障されるセーフティーネットとして実質的な効果をもたらし、十分機能していくよう、関係機関の更なる環境整備と御努力を期待し、私の賛成討論を終わります。
○委員長(岩本司君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 まず、労働契約法案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(岩本司君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、最低賃金法の一部を改正する法律案の採決を行います。
 まず、小池君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(岩本司君) 少数と認めます。よって、小池君提出の修正案は否決されました。
 それでは、次に原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(岩本司君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岩本司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(岩本司君) 身体障害者補助犬法の一部を改正する法律案及び中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律の一部を改正する法律案の両案を便宜一括して議題といたします。
 これより両案について質疑に入ります。──別に御発言もないようですから、これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより順次両案の採決に入ります。
 まず、身体障害者補助犬法の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(岩本司君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(岩本司君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岩本司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 田村衆議院厚生労働委員長代理は御退席いただいて結構でございます。
    ─────────────
○委員長(岩本司君) 社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。──別に御発言もないようですから、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○小池晃君 私は、日本共産党を代表して、社会福祉士・介護福祉士法改正案への反対討論を行います。
 反対の理由は、介護福祉士の資質向上のため国家試験を必須とする資格取得方法を一元化すると言いながら、養成施設卒業者については、国家試験に合格しなくても准介護福祉士という別の国家資格を付与するからであります。
 介護福祉士資格の教育課程高度化、国家試験義務化は評価できますが、国家試験を義務化しておきながら国家試験に合格していない者にも准介護福祉士資格を付与することは、一元化の趣旨に反し、介護福祉士に対する社会的評価、制度に対する国民の信頼を損ねることになりかねません。さらに、介護福祉士資格への二重構造の持ち込みは、上下関係、処遇面から様々な混乱、差別を介護現場に持ち込むことになります。また、介護職全体の労働条件を低い水準に固定化し、介護職員不足に一層拍車を掛け、むしろ介護の質の確保を困難にする危険もぬぐえません。
 准介護福祉士資格の導入は、日本・フィリピンEPAとの整合性確保が導入理由の一つです。EPA交渉中に介護福祉士制度変更の方向は明らかであったのに、全くそれを反映することなく署名を行ったことには重大な問題があります。また、日比EPAについて、日本では昨年十二月に国会承認が終了していますが、フィリピンでは上院において七回の公聴会が行われましたが、有害廃棄物の持ち込み、フィリピン憲法への抵触の懸念、フィリピン経済にとって有益なのかなどについて議論が続き、次回の公聴会の日程は設定されたものの、年内に承認される見通しはないそうであります。我が党は日比EPAに反対いたしましたが、この経過を見てもフィリピンとの交渉がいかに拙速、ずさんであったのかが明らかであります。
 なお、本法案による個人の尊厳の確保、認知症に対応した介護、医療、福祉サービスとの連携などを社会福祉士、介護福祉士に新たに義務付けたこと、社会福祉士の資格取得方法の見直しは評価できるものであることを申し添えておきます。
 以上をもって討論といたします。
○福島みずほ君 私は、社民党・護憲連合を代表し、内閣提出、社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正する法律案に反対する立場から討論を行います。
 私は、介護・福祉ニーズが多様化、複雑化する中で、社会福祉士、介護福祉士の定義、義務や資格の取得方法などを見直すという今回の法改正については基本的に評価をしています。しかし、本法案に准介護福祉士という新制度が導入されている点について容認できません。
 その第一の理由は、本案は、介護福祉士の資格取得方法を一定の教育プロセスを経た後に国家試験を受験する形に一元化するものであるにもかかわらず、准介護福祉士制度の導入は法改正の趣旨に反しているからです。介護福祉士国家試験の不合格者や未受験者のために新制度を導入する合理性はなく、逆に、国家試験に挑戦する者の意欲は高まらないばかりか、人材の資質や介護サービスの質の向上につながらないことが懸念されます。
 第二の理由は、政府は、准介護福祉士の導入は経過措置であり、養成施設の卒業者は、当分の間、准介護福祉士の名称を用いることができるとしていますが、当分の間の期限について明確な答弁が得られないからです。慢性的な介護施設の人手不足、将来的な労働力人口の低下を考えれば、准介護福祉士の導入は経過措置ではなく、介護福祉士でなくても働くことができる土壌をつくることになります。
 看護の分野で看護師と准看護師の統合が実現できず身分差別が根強く残っているように、制度は一度導入されてしまうとその解消は非常に困難です。また、公布後五年の経過規定を置く修正では歯止めになりません。
 第三の理由は、准介護福祉士が安上がりの労働力として位置付けられ、また安易な外国人の受皿となりかねないという懸念があるからです。EPAは、今後の介護や福祉分野における外国人労働者の受入れの基本的な枠組みとなるものです。人の移動を伴う初の試みは、厳しい枠組みの中で行われるべきです。また、看護・介護分野における外国人労働者の導入については、広範な議論と国民の合意形成が必要であり、拙速な導入は避けるべきです。
 最後に、介護労働者の確保と質の維持や向上を図るためには、やりがいのある職業としての魅力を高めること、賃金等の労働条件の向上、離職者の防止、再活用など、介護労働をめぐる環境整備が最優先されるべき課題であることを申し添え、私の反対討論を終わります。
○委員長(岩本司君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(岩本司君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岩本司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十二分散会