第169回国会 財政金融委員会 第13号
平成二十年五月二十九日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十八日
    辞任         補欠選任
     林  芳正君     鈴木 政二君
 五月二十九日
    辞任         補欠選任
     森田  高君     大河原雅子君
     鈴木 政二君     林  芳正君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         峰崎 直樹君
    理 事
                大久保 勉君
                辻  泰弘君
                円 より子君
                愛知 治郎君
                田村耕太郎君
    委 員
                尾立 源幸君
                大河原雅子君
                大塚 耕平君
                川合 孝典君
                川崎  稔君
                富岡由紀夫君
                平田 健二君
                水戸 将史君
                森田  高君
                横峯 良郎君
                尾辻 秀久君
                小泉 昭男君
                椎名 一保君
                中山 恭子君
                林  芳正君
                森 まさこ君
                荒木 清寛君
                白浜 一良君
                大門実紀史君
   国務大臣
       財務大臣     額賀福志郎君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(金融)
       )        渡辺 喜美君
   副大臣
       内閣府副大臣   山本 明彦君
       法務副大臣    河井 克行君
       財務副大臣    遠藤 乙彦君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大嶋 健一君
   政府参考人
       公正取引委員会
       事務総局審査局
       長        山田  務君
       金融庁総務企画
       局長       三國谷勝範君
       金融庁検査局長  畑中龍太郎君
       金融庁監督局長  西原 政雄君
       総務大臣官房審
       議官       榮畑  潤君
       法務大臣官房審
       議官       始関 正光君
       財務省主税局長  加藤 治彦君
       財務省国際局長  玉木林太郎君
       国税庁課税部長  荒井 英夫君
       農林水産大臣官
       房政策評価審議
       官        今井  敏君
       農林水産省総合
       食料局次長    平尾 豊徳君
       経済産業大臣官
       房審議官     鈴木 英夫君
       経済産業大臣官
       房審議官     橘高 公久君
       資源エネルギー
       庁電力・ガス事
       業部長      西山 英彦君
       中小企業庁経営
       支援部長     長尾 尚人君
   参考人
       日本銀行理事   山本 謙三君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○金融商品取引法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
○委員長(峰崎直樹君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、林芳正君が委員を辞任され、その補欠として鈴木政二君が選任されました。
    ─────────────
○委員長(峰崎直樹君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 金融商品取引法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として公正取引委員会事務総局審査局長山田務君外十四名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(峰崎直樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(峰崎直樹君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 金融商品取引法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に参考人として日本銀行理事山本謙三君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(峰崎直樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(峰崎直樹君) 金融商品取引法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○大久保勉君 民主党の大久保勉です。
 まず、金融商品取引法が昨年九月三十日に施行されました。施行後、金融機関等の店頭で様々な混乱があったと聞いております。この点に関しまして金融庁はどのような対策をしているのか、また現状認識に関して質問したいと思います。
○政府参考人(三國谷勝範君) 御指摘のとおり、金融商品取引法施行の後におきまして、一部の金融機関におきまして、例えば一律に高齢者にはリスクの高い商品を販売しないといった過剰とも言えるような事務的な対応が行われていたといった指摘がございます。また、当局の検査監督の在り方につきましてもいろいろな御意見も寄せられたところでございます。
 こうした状況を踏まえまして、金融庁といたしましては、本年二月に質疑応答集を公表いたしまして、金融商品の販売、勧誘に係る法令の考え方の明確化を図りますとともに、その内容を検査監督等に当たる当局の担当者にも周知徹底を行うことによりまして適切な対応が確保されるよう努めているところでございます。
 私どもといたしましては、今後とも各種の機会を通じまして法の趣旨を十分に説明していくなど法律の円滑な実施に更に努めてまいりたいと考えているところでございます。
○大久保勉君 金商法としては非常に私どもは評価しておりますが、実施の仕方いかんでは官製不況を起こしていると、こういった批判もありますので、是非実施に関してはくれぐれも注意されるようにお願いします。
 続きまして、今回の法案の改正に関して質問しますが、米国サブプライムローン問題の発生により、米国ウォールストリートが主導した金融モデルに関して見直しをする機運がございます。こういった機運の中であえて金商法を改正する必要があるのか、こういった点に対して質問したいと思います。
○政府参考人(三國谷勝範君) 我が国といたしましては、これまでも累次の市場改革に取り組んできたところでございます。しかしながら、現状、国際的に見て我が国金融資本市場の競争力が相対的に低下しているのではないかとの指摘も見られるところでございます。このため、諸外国の制度の動向などにも留意しながら、我が国の規制につきまして所要の見直しを行っていく必要があると考えているところでございます。
 同時に、御指摘のとおり、米国におけますサブプライムローン問題の発生などを教訓といたしまして、やはり市場の公正性、透明性の確保や金融機関の経営の健全性の確保などを通じまして金融システム全体の信頼性を確保していくことも重要であると考えております。
 こういった観点から、これまでも、例えば金商法の制定によります横断的な利用者保護ルールの整備、あるいはバーゼル2の導入、あるいは金融機関や当局が尊重すべき行動規範、行動原則としてのプリンシプルの公表といった取組をしてきたところでございます。
 今回の法案に当たりましても、ファイアウオールの見直しに併せまして、金融機関、金融グループによる利益相反管理体制の構築でございますとか、課徴金の金額の水準の引上げ、対象範囲の拡大を行っているところでございます。
 いずれにいたしましても、我が国金融資本市場の競争力の強化につきましては、自由と規律のバランスに留意しながら、スピード感を持って取り組んでいくことが必要と考えているところでございます。
○大久保勉君 金融庁は、今月の十九日、「ベター・レギュレーションの進捗状況について」ということを発表しました。私はこれは非常に評価しているんですが、実は日本の新聞はほとんど報道していません。むしろ海外のウォール・ストリート・ジャーナルとか海外のメディアが報道しております。
 この点に関して質問したいんですが、これまで金融処分庁とやゆされていた金融庁が大きく金融行政のかじを切ったんじゃないかと思います。具体的には、金融機関との対話の充実、海外当局との連携強化、さらには職員の資質向上等、その施策は大いに評価できると思います。あとは、金融庁の末端組織まで大臣の思いが伝わるよういかに実行させるのか、また大臣がどういうふうなリーダーシップを出すか、こういったことだと思います。この点に関して、大臣の御所信と実行への担保を聞きたいと思います。
○国務大臣(渡辺喜美君) まさに金融処分庁などという汚名を晴らす必要がございます。今、大久保委員御指摘の「ベター・レギュレーションの進捗状況について」でございますが、まさにより良い規制の取組についてどれぐらい進捗したか、また進捗していないのかといった点について自らチェックをし、今後の参考にしたいということから取りまとめを行ったものであります。今年の四月に主要な十四のプリンシプルを金融サービス提供者と共有したことなどを同報告においてまとめているところであります。
 ベター・レギュレーションの考え方が職員一人一人に定着し、効果が発揮されるようにしていく必要がございます。時間はある程度掛かるものと思いますが、職員一人一人の意識改革、たゆまぬ努力をやっていくということが大変重要かと思います。
○大久保勉君 仏を作って魂入れずという言葉もありますが、是非そうならないように期待したいと思います。
 続きまして、金融商品をめぐる問題に関して幾つか質問したいと思います。
 配付資料の一ページを見てください。TCIのJパワー株式買い増し届出に対しまして、政府は、外為法二十七条五項、十項を発動して株式買い増し変更、中止命令を出しました。このことは日本の金融市場の閉鎖性を象徴する出来事として欧米のメディアで喧伝されていると聞いております。
 そこで、金融担当大臣に質問したいんですが、このことに対する認識と金融市場や海外に対するメッセージを聞きたいと思います。
○国務大臣(渡辺喜美君) これは私の所管ではありませんので一般論で申し上げますが、対内投資のルールに関しては、公共性の程度に応じた公的規制の要請がある一方で、対日直接投資の促進や我が国資本市場の競争力の強化という大変重い課題との整合性を確保していくことが大事でございます。
 日本は、世界そしてアジアとの間で、人、物、金、情報の流れを大いに拡大をしていこうという大方針がございます。世界により開かれた国とする大戦略を展開をしております。そうしたことから、金融資本市場の競争力の強化に全力を傾注をしているところであります。日本の市場がいやしくも閉鎖的であるという印象が持たれることのないよう海外に対しても十分説明をしていく必要があろうかと思います。
○大久保勉君 大臣の決意は分かりました。私も大臣とは非常に同じような意見を持っております。極めて重要な問題なんです。
 ただ、今回の問題は、資料の外為法二十七条を見てもらいたいんですが、今回の中止命令が、第五項を読み上げますと、財務大臣及び事業所管大臣は、外為審の意見を聞いて、この外為審の意見を聞いて、この部分が私はちょっと問題だと思います。
 つまり、国家の大きい問題をたかだか外為審の意見を聞いて事実上外為審で決めてしまう、こういった制度、さらには外為法、この法律自身は非常に古い法律です。半ばもう役目を終わったような法律の二十七条の五項、一項目でもって政策を決めてしまう、こういった政府の在り方、これが問題だと思います。
 そこで質問をしたいんですが、こういったことを発動することによって様々な問題が出ております。例えば、過去三年間で約七百六十件の届出が出ておりまして、そのうち一件が外為法の適用を受けて海外投資家の届出が否決されております。その結果、残りの七百五十九件に影響が出てくるおそれがあります。例えば、フィデリティとかキャピタルとか、いわゆるパッシブ若しくはインデックスに投資するようなものがあります。
 少額の会社に関しては、そういった投資家が一社で一〇%以上の株を持ち得ることがあります。そういったときに一回一回事前に届出をして、もしかしたら却下される可能性が出てきますから、事務管理上、相当大変である、若しくは不確実性が発生しております。その結果、訳の分からない日本市場にはもう資金を振り向けることはやめましょうと。インド、中国、シンガポール、いろんな市場がありますから、そういったところに金を流していこうと、こういった状況が発生すると思います。東証におきましては、売買高の半分以上が海外投資家という状況もありますから、非常に大きい影響なんです。
 そこで御提案なんですが、いわゆるインデックス投資家やパッシブな投資家に対して、その投資家を認定し、外為法二十七条を適用しない、いわゆるエグゼンプト条項、適用除外条項を政省令で決める、こういったことを考えたらどうでしょうか。
 このことに関して、財務省に対して、若しくは経産省に対して質問をしたいと思います。
○政府参考人(玉木林太郎君) 御指摘のとおり、外為法では届出を受理した日から三十日間を経過する日までは、この届出に係る対内直接投資を行ってはならないというのが原則になっております。これを、多くのケースにおいては、お配りいただきました資料にありますように、約九五%というデータが出ていますが、多くのケースにおいては二週間に短縮することにしております。
 パッシブな投資を行う外国投資家に対しての取扱いについて御提言いただきましたが、今の法体系の下では、パッシブな投資家とアクティブな投資家をどうやって認定していくか。あるいは国の安全等に影響を与えないような担保をどうするかといったいろいろな点があってなかなか簡単ではないかと思いますが、御指摘のとおり、対内直接投資促進の観点というのは極めて重要だと思っております。
 財務省としましても、この届出の受理をしたときからの審査について、事業所管官庁とも協議をしながら、こうした審査期間がもう少し短くならないものかどうか、何が可能か、鋭意研究してまいりたいと思っております。
○大久保勉君 問題は時間だけじゃないと思います。例えば、一つのファンドが十個、二十個の小さいファンドを持っていて、ファンドマネジャーが十人、二十人、別々に投資をしております。
 ですから、一つの企業の株式を何%持っているかというのを計算し、適宜提示する必要が出てきますから、そういう意味で事務的に非常に煩雑になります。ですから、投資家ごとにアクティビストじゃないと認定をして、そういった事務作業を免除する、このことが必要だと思います。
 是非、海外投資家にもフレンドリーな日本市場をつくりましょう。是非お願いしたいと思います。
 また、外為法を使いましてTCIを例えばアクティビストと認定して規制をした、このことは非常に問題だと思っております。では、もしTCIが国内ファンドを組成し、株式の買い増しを行った場合、現行の外為法や金融商品取引法で規制ができるんでしょうか。
 もちろん、TCIが、TCIという名前ではつくらない可能性もあります。全く友達のファンドにつくってもらうとか、若しくは村上ファンド同様の国内ファンドがTCIと全く同じような行動をした場合にどうやって規制するんですか、質問したいと思います。
○政府参考人(玉木林太郎君) 外為法の適用は国内投資家には適用がありません。ただし、国内ファンドでありましても、非居住者が役員の過半数を占める場合、あるいは外国投資家のために株式を取得するといった場合には、これを外国投資家として外為法の適用が行われます。
○大久保勉君 先ほどおっしゃったことをしなかったら国内ファンドとして規制はできないということですね。つまり、過半数が日本人投資家であって、一般的に海外から広くお金を集めると。ですから、こういった外為法を使ってくること自身が問題なんですね。このことを是非指摘したいと思います。
 そこで、次に、踏み込んだ質問としまして、電力の安定供給等の理由でJパワーへの特定投資家の投資を制限することが仮に正しいとしても、どうして外為法二十七条を適用すべきなのか。外為審という閉鎖的で言わば役所の御用組織で決定することは大き過ぎる問題であると私は主張したいと思います。
 電力の安定供給、原子力発電、防衛関連等の問題は、電力事業法とか一つ一つ業法を作って規制すべきじゃないかと考えます。若しくは金商法とか、若しくは特別な国の安全に係る法律を作りましてより包括的な規制をすべきだと思いますが、この点に関して経産省若しくは財務省の意見及び最後に金融大臣の御意見を聞きたいと思います。
○政府参考人(西山英彦君) 外国投資家から外為法に基づきまして事前届出がなされた対内直接投資につきまして公の秩序の維持を妨げるおそれがあるかどうか、これにつきましてはあくまで外為法の規定に照らして判断されるべきものだと考えております。
 他方、先生がおっしゃった外為法とは別途事業者に対して課される規制といたしまして電気事業法などがございます。しかし、これらは民間の電気事業者が自主的に原子力発電所の建設、運営などを行うことを前提とした上で、料金規制とか保安規制などの最小限の行為規制を行うというものでございます。したがいまして、これらの規制というのは民間の電気事業者に将来の投資活動までも義務付けるものではございませんで、例えば民間の電気事業者が将来において原子力発電所あるいは送電線などについて設備投資とか修繕費の支出を行うことなどを法令上義務付けるものではございません。
 したがいまして、今般、その届出内容に係る対内直接投資が外為法上の公の秩序の維持を妨げるおそれがあるかどうかということについて、これがあると認められましたところでありますので、しかし、電気事業法におきましては行為規制によってこのおそれを適切に払拭することはできないと、こういうことでございますので、これにつきましては外為法に基づいて適切に措置を講ずる必要があると考えているものでございます。
○大久保勉君 じゃ、大臣の御意見を聞きたいと思います。
○国務大臣(渡辺喜美君) 一般論でありますが、対内投資のルールに関しては、公的規制の要請のバランスと対内直接投資の促進が我が国金融資本市場の競争力強化につながる、こういった大きな課題との整合性が必要でございます。物言う株主に対しては物言う事務次官が常に出動するというやり方でこれから先もずっとやっていけるのかどうかは非常に疑問のあるところでございます。
 諸外国でもいろんなルールがございますが、我が国の対日投資の促進に関連しては、五月の十九日に内閣府において提言されました対日投資有識者会議の提言、外資規制の在り方について政府として包括的に検討するという内容が盛り込まれたわけでございます。私の私的研究会であります金融市場戦略チームにおいてもこの検討を行っていこうと考えているところでございます。
○大久保勉君 是非、大臣のリーダーシップを期待しております。
 やはり物言う投資家に対して物言う事務次官が対処するというのはおかしいと思うんですね。その物言う事務次官は、国会では物を言わないと。財政金融委員会でお呼びしても、何度もお呼びしてもいらっしゃらないと。ちゃんと責任を果たしてほしいと思います。
 この問題はおいておきまして、次に、日本の銀行のコーポレートガバナンスに関して質問をしたいと思います。
 みずほファイナンシャルグループはサブプライムローンに関しまして多額の損失を出しました。六千四百五十億円です。この金額といいますのは、欧米の金融機関の損失に決して引けを取らないという状況です。
 違いは何か。それは、欧米の金融機関のトップはすぐに辞任し、新体制が新たな改革を行っております。ところが、残念ながら、日本の金融機関に関しましてはこういった責任の取り方が明らかになっていないんじゃないかと思います。つまり、コーポレートガバナンスの観点から、日本の金融機関は株主に対して、あるいは預金者に対してどのような責任を取るのか、この点に関して金融庁の考え方を聞きたいと思います。
○国務大臣(渡辺喜美君) 欧米の巨大複合金融機関が膨大な損失を出したところがございます。そういうところでは確かに経営陣が交代をした例もあります。金融機関の経営陣の責任の取り方という問題については、基本的に、株主あるいは他のステークホルダーとの関係も踏まえつつ、金融機関自らが判断をすべきことでございます。
 サブプライムローンを契機とした現在の金融資本市場の混乱については、完璧に収束したとは残念ながらまだ言えない状況にございますので、各金融機関がそれぞれの判断において、また教訓も踏まえて、適切なリスク管理の下で業務運営を行っていくことが重要だと考えております。
○大久保勉君 ここに関しては若干歯切れが悪いような気もしますが、ポイントは、大きい損失が発生するというのは経営上問題があったと思います。そこで前任者が残っているということは、なかなか自らの失敗に対しては反省ができないと思います。新しい経営者でしたら、前任をまず否定することからスタートしますから、客観的な判断ができるんじゃないかと思います。こういった観点で、失敗から新しいことを学んでいく経営が欧米の金融機関にはあると思います。日本はそういった点ではまだまだ遅れているのかなと思います。決してこのことは金融機関だけではなくて、お役所等も同じことがありますから、これは日本の社会として是非学ぶべきことかなと思っております。
 続きまして、いわゆる金融庁の職員の資質の向上ということがベター・レギュレーションでうたわれております。これに関連して質問をしたいと思いますが、金融庁や証券監視等委員会の検査官の質の向上は私は非常に重要だと思います。金商法ができて、実際にそれをいわゆるつかさどっていく現場といいますのは、検査官の質だと思っております。そこで、十分な金融知識を持った金融庁の職員、さらには銀行員、証券マン、さらには企業財務関係者の育成が日本の金融界の課題だと思っております。
 そこで、金融庁は、現在、金融士の資格制度を早急に創設すべきだということを考えていると聞いております。この金融士というのはどのような要件で選ばれるのか、また金融士はどういう仕事をするのか、この点に関して金融庁に質問をしたいと思います。
○国務大臣(渡辺喜美君) 日本に残念ながら金融専門人材が至る所に配置されているという状況にはまだなっていないと考えております。
   〔委員長退席、理事円より子君着席〕
 こういった金融専門人材が、共通のセンス、コンプライアンス感覚を持って、監督当局にも発行会社にも証券会社にも自主規制機関にも散らばって配置されていますと、世の中の生態系の秩序というものは非常に良好に保たれていくのではないでしょうか。
 そうした観点から、金融専門人材に関する研究会を設けまして、仮称でございますが、金融士といった資格の創設を含む基本的なコンセプト案をまとめたところでございます。
 その中において、金融専門人材に必要な能力として、金融に関する幅広い基礎知識と特定分野の深い専門知識を有すること、また、金融業において高い付加価値を生み出すための能力、コンプライアンスと収益性のバランスの取れた判断ができる能力が掲げられております。要件として、金融関連法令や財務会計、コーポレートファイナンス、金融工学などに関する知識の習得、金融実務の経験などが示されたところであります。
 我が国の金融専門人材に期待される役割としては、第一に、金融機関の経営陣又はコンプライアンス部門やリスク管理部門の職員、第二に、上場企業の財務担当役職員や内部統制担当の役職員、第三に、自主規制機関や規制当局、中央銀行の職員などが例示として挙げられたところであります。
 仮称、金融士といった資格は、金融専門知識の習得の目標あるいは一定の能力水準のシグナルとして機能することが考えられます。公的セクターと民間セクター双方に幅広く人材が育成、確保されることで我が国金融の競争力の強化に資するものと考えております。
○大久保勉君 一つ、これは提案なんですが、金融大臣に質問したいんですが、金融士の資格を持った検査官にはいわゆる専門職として適切な俸給表を適用するとか、また、国税職員が退職後税理士の資格を持って活躍できるように、金融士の資格を持ったらそれなりに社会で活躍できるような仕事をつくったらどうかと思います。このことで検査官の質が向上し、また金融界の質も向上していくと思います。こういった提案ですが、どうお考えでありますか。
○国務大臣(渡辺喜美君) そういう御議論は大いにあり得ると思いますので、今後検討してまいりたいと考えます。
○大久保勉君 続きまして、金商法の細かい内容に関して質問していきたいと思います。
 最初は、ファイアウオール規制に関してです。今回の改正で最も批判が多い若しくは賛成が多い部分で、最大の論点だと思います。私はこの点に関しては賛成の意見であります。
 質問しますと、ファイアウオール規制の見直しが本法案に盛り込まれまして、新法では、グループ内銀行・証券・保険会社の人事、法務、経理等の内部管理業務に関して兼職が認められているということでありますが、この点に関して質問したいと思います。具体的な制度を教えてもらいたいと思います。
○政府参考人(三國谷勝範君) 今回の法案におきましては、利益相反管理体制の整備を前提に銀行、証券、保険の間におけます役職員の兼職制限を撤廃することとしているところでございます。これに伴いまして、内閣府令の改正によりまして、例えば内部管理目的に係る非公開情報の共有、これにつきましては従来の承認制でございますが、これが利益相反管理がなされる限りにおきまして共有することが可能になると、こういった制度改正を行うものでございます。
 また、法人情報でございますけれども、法人顧客に係る非公開情報等につきましては、これにはオプトアウト、すなわち顧客に不同意の機会があることを通知した上で、顧客が共有を望まない旨を表明しない場合には、これを共有することを可能とすることを考えているところでございます。
 なお、個人につきましては、個人情報保護の観点もございまして、これまでどおり、オプトイン、すなわち同意を得て情報共有を行うこととする、そういった制度を維持することとしているところでございます。
○大久保勉君 じゃ、この点に関してもう少し突っ込んだ質問をしますと、一点目としては、顧客情報をグループ内の証券、銀行、保険で共有することは、顧客が特別に反対する意思を表明しない限り可能であるという理解でいいか、これが一点目の質問です。
 二点目は、その場合、顧客の意思の確認は顧客口座を開設するときでよろしいのか、若しくは改正法が実施されたとき、一回確認したらもうずっとオーケーなのか、この点に関して確認したいと思います。
 三点目は、顧客の説明は確実に口頭で説明するような営業体制を構築すれば足りるのか、それとも書面で確認する必要があるのか。
 最後に、四点目は、情報管理等に関して注意すべきQアンドAを通達してくれるのか、この点に関して質問したいと思います。
○政府参考人(三國谷勝範君) まず、法人顧客につきましては、オプトアウトの機会があることを通知した上で、その上で顧客の意思、意向を確認し、意向が望まないということを確認しない限りにおきましてはこれを共有することが可能になるものでございます。
 次に、その顧客の意思の確認でございますけれども、例えば口座開設時あるいは改正法の施行後のしかるべき時期に顧客に不同意の機会があることを通知することに加えまして、その後における適切な機会をとらえまして、顧客に不同意の機会があることを、これを何らかの形で示していただくことを、こういったことを検討してまいりたいと考えているところでございます。
 それから、方法でございますけれども、この法人顧客に係ります非公開情報の取扱いにつきましては、顧客に対して明確に不同意の機会があることを通知することが求められると考えているところでございます。その際に、通知を口頭で行うことにつきまして、これは一律に排除をされるものではございませんが、その場合、口頭か書面であることを問わず、一つには顧客が適切に意思を表明できるよう不同意の機会があることを明確に知らせる必要性、二点目は顧客への説明に関し問題が生じた場合に当該説明が適切になされたかどうかの検証可能性、こういったことがしっかり担保されるような、そういったことに留意して検討していく必要があると考えているところでございます。
 それから、QアンドAでございますけれども、この利益相反管理体制の整備を始めといたしますファイアウオール規制の見直しの詳細につきましては、法案の成立後におきまして内閣府令や監督指針で規定していくこととなるものでございますが、御指摘のQアンドAの作成につきましては、金融機関における実務の動向等を注意しながらその必要性を判断してまいりたいと考えているところでございます。また、QアンドAにつきましては、それが逆に一律に詳細なルールを設けることがかえって画一的、形式的な規制にならないよう、そういったところも留意しながら検討していく必要があると考えているところでございます。
○大久保勉君 特にQアンドAに関しましては適切なものを作ってもらいたいと思います。わざわざベター・レギュレーションで金融機関との対話の充実、情報発信の強化というのをうたっておりますから、これまでと同じようなQアンドAではなくて、やはり工夫したQアンドAを作って、金融庁は変わったんだということを是非いろいろ発信してほしいなと思っております。
 続きまして、もう一つの論点としましては、プロ向け市場に関する問題があります。取引所ルールにより、株式、言語、会計基準等について柔軟に定めることが可能になりました。そこで、具体的な質問をしたいと思います。
 例えば、インド企業がインドの会計原則で英語の財務書類を提示することを東証が取引所ルールとして承認すれば、金融庁はそのことを禁止し得ないかどうかを質問したいと思います。さらには、中国企業が中国国内会計基準で英語による開示をした場合はどうか、質問します。
○政府参考人(三國谷勝範君) 一般的な制度の問題と個別の問題ということに少し分けてお答えしたいと思いますが、まず今般の改正では、プロ向け市場におきまして、プロ向け有価証券の発行者、これが特定投資家に対しまして、特定証券情報それから発行者情報、前者の方は発行開示でございます、後者の方は継続開示に倣うものでございますが、これを提供又は公表しなければならないこととしているところでございます。
 これらの情報の内容につきましては、法令では、特定投資家の投資判断に重要であると考えられる必要な項目のみを定めることとしているところでございます。したがいまして、詳細につきましては、プロ向け市場を開設する金融商品取引所などが公益又は投資者保護に欠けることにならないよう、これに留意しながら発行会社、特定投資家などのニーズ等を踏まえまして適切に定めていくことが必要と考えているところでございます。
 個別の会計基準につきまして現段階で具体的に言及することは困難でございますが、現在、国際的には会計基準のコンバージェンスということも進められているところでございます。プロ向け市場における会計基準におきましても、こういった流れに沿うものであることが適切であると考えているところでございます。
○大久保勉君 会計基準に関しましては、いわゆる国際会計基準にのっとって各国の会計基準がいわゆるコンバージェンス、つまり収束しつつあります。最近は、日本の会計基準が一番遅れているんじゃないかと。つまり、日本の金融の国際化がインドや中国よりも遅れつつあると、こういったことも指摘されております。私はこの点に関しては、会計基準のみならず、金融行政にもコンバージェンスが必要かと思います。どうしても、金融庁は日本のローカルルール、二十年前、三十年前の役所のおきてに従ってどうしても頭の中が国際化できないと、こういうことにならないように是非大臣等のリーダーシップを期待したいと思います。
 続きまして、プロ向け市場に関する投資家としましては、いわゆる特定投資家というのが参加することができます。これに関連して質問したいと思います。
 東証マザーズ、ジャスダック等の新興市場で詐欺、粉飾決算、インサイダー事件など数多く発生しております。その結果、株価や取引量は大幅に下落しているという問題があると思います。証券取引所が上場審査をして上場した新興企業がこのような有様である、更にプロ向け市場ができたとしましたら、だまされる個人投資家も相当増えているんじゃないかと思います。
 そこで、投資家がプロ投資家のみということで、自己責任で割り切ることができるのかということです。つまり、ポイントは、個人投資家でも三億円以上の純資産、金融資産、さらには一年以上の投資経験がありましたら特定投資家と認定されます。ですから、これはプロの投資家です。ですから、自己責任として、もう自分のせいだということで割り切っているのか、この点に関して質問したいと思います。
○政府参考人(三國谷勝範君) まず最初のプロ向け市場のルールでございますけれども、プロ向け市場におきましては、プロ投資家には一般的に情報の非対称性は少ないという観点から、これについての所要の規制緩和はしているところでございますが、インサイダー取引等不公正取引につきましては、これは基本的に投資家の保護という観点から同じように対象としているところでございます。
 その中で、個人の投資家のプロへの参加でございますが、これは二点に分かれましてスクリーンがあるわけでございます。
 まず、個人が特定相当投資家になる場合、これも基本的には一般投資家でございまして、その中で一定の実質要件を満たす人に限り、その人の選択において、申出において初めて特定投資家になれるということでございます。実質要件といたしましては、例えば純資産額及び金融資産三億円以上の者に限ると、こういったことでございます。
 また、その移行の過程におきましては、申出を前提といたしますほか、金融商品取引業者側におきましても書面を事前に交付して同意を得る、その場合には、移行に際してその方がふさわしい方かどうか、いわゆる適合性も適切に判断することとなっているところでございます。
 その上で、そういった特定の投資家の方がプロ市場に参加する場合におきましても、プロのそういった取引の申込みを初めて受けた場合には、金融商品取引業者は、一つはプロ向け銘柄に関する情報提供の内容、その知識、経験、財産の状況に照らして適当ではない者がプロ向け銘柄の取引を行う場合には、その者の保護に欠けることとなるおそれがある旨等を告知、書面交付しなければならないこととなっております。プロ向け銘柄の取得の勧誘等を行う者は、その相手方に対して有価証券届出書が提出されていないこと等を告知しなければならないことともなっているところでございます。
 金融庁といたしましては、これらの枠組みが適切に運用されることによりまして、投資者保護が十分に確保されるよう努めてまいりたいと考えているところでございます。
○大久保勉君 時間が来ましたので、最後コメントだけなんですが、制度的な枠組みがあるとしましても、実質を見てほしいんですね。例えば、個人投資家が粉飾を見抜くことができるか、財務書類を見ても粉飾されていたら分からないです。機関投資家はどうして粉飾を見抜くか、それは個別訪問をしています。社長に会ったり若しくは現地に行ってチェックしています。じゃ、個人投資家はそういったことができるか、私は疑問です。ですから、金商法で制定したものを政省令で細かく決めて、最後は金融庁の検査の方できっちり現実を見ながら処理していく、このことが必要だと思います。そういう点では、金融庁のベター・レギュレーション、これは大いに賛成でありまして、是非実行していただきたいということをお願いしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○大塚耕平君 民主党の大塚でございます。
 今日は四十分という時間をいただいておりますが、私の次の水戸委員のお許しをいただいて若干四十分より長引くかもしれませんが、よろしくお願いします。また、参考人としておいでいただいている各省の皆さんには、昨日お願い申し上げましたとおり、事実関係を端的にお答えいただければ幸いでございます。
 今日は金商法の審議ということでございますが、まず日本の金融市場を発展させるために、去年の十二月二十一日の金融・資本市場競争力強化プランなどに基づいてこういう案が出てきて、金融庁が前向きに取り組んでいることは評価申し上げたいと思いますし、また、かねてこの委員会で田村委員なども随分取り上げておられます、私もODAの委員会で取り上げました排出権取引がようやくこの法律のターゲットに入りまして、銀行、保険会社の本体業務として排出権取引を明確に位置付けとなったことは喜ばしいことだと思います。
 大臣は多分共感していただけると思いますけれども、排出権というのは今後温暖化に取り組めば取り組むほど供給量減っていきますから、つまり排出許可証なるものが、これは市場価値を増していくんです。一方、株や債券というのは二十一世紀はこれは需給バランスずっと崩れていきますので、恐らく排出権というのは金融商品として価値を持つだろうと。このことは欧米はもう分かった上で相当早い動きをしておりまして、遅きに失した感はありますが、こういう動きに対応する今回の法案は評価申し上げたいと思いますが、その一方で、こうした新しい取引をめぐる様々な新しい問題、排出権をどのように評価するのか、評価というのは財務会計上どのように評価するか。それから、今回ファイアウオール規制の見直しを行うことによって、そうした多額の金額の取引などにおいて不公正な金融機関の運営が行われないかというようなことについて、十分に配慮をしていただきたいということを最初に申し上げたいと思います。
 その上で、今日僕が申し上げようと思っていたくだりを大久保さんに言われてしまいましたが、仏作って魂入れずと。まさしく日本の金融・証券市場は今そのことが問われておりまして、御承知のとおり、NHKのインサイダー取引、驚くべきことでありまして、今日もNHKの会長が私どもの党の会合にどうもおいでいただいたようでありまして、そこで提出された資料を見ると、NHKの第三者委員会のインサイダー取引に対する調査に有効な委任状の提出がなかった者、つまり協力しなかった者九百四十三人。昨日新聞にも書かれましたけれども、もうこれは本当にゆゆしき事態で、ロンドン市場でBBCの職員がインサイダー取引をやったら一体どういうことになるのかというのは、もうこの委員会室においでの皆さんは多分同じような印象を持っていただいていると思いますけれども、幾ら金融庁がインフラを整備したり法制を整備しても、日本の金融・証券市場が不公正なマーケットだというふうに思われている限りは、どんどん日本のマーケットは偏狭マーケットになっていくし、言わばいかがわしい人しか残らないということだと思います。また、そういう傾向は現に出ておりますので、まず大臣にお伺いしたいんですが、このNHKのインサイダー取引問題に対して、金融庁として、NHK及び所管官庁にどのような姿勢で今後臨まれるのか、お伺いをしたいと思います。
○国務大臣(渡辺喜美君) インサイダー情報にアクセスすることのできるメディアの職員がイカサマ取引をやっていた、それも公共放送の職員がそのような行為に及んだというのは言語道断であります。私も、この事件を聞きましたときに大変ショックを受けました。
 NHKの中に第三者委員会が設置をされて、報告書を取りまとめ、公表されたと聞いておりますが、一般的に、この種の問題については金融庁は法令にのっとって厳正に対処をしてまいりましたし、今後とも、こういう事件に対しては今まで以上に厳正さを持って対処をしてまいりたいと考えております。日本の市場がこうした不祥事の多発するマーケットであるなどという汚名が定着しない、そういう金融行政を行っていくことが大事かと思います。
○大塚耕平君 日本の株価が現在の水準で、あえて低迷と申し上げますが、低迷している理由の一つには、もう既にそういう評価が定着をしているんだということもかなり影響しているということを是非よくお考えいただきたいと思います。
 もちろん、インサイダー取引はNHKだけではなくてほかの様々な職業の方が最近起こしておりますので、すべてにわたってきっちりフォローをしていただきたいと思いますが、とりわけNHKについては、もうこれは本当にゆゆしき問題だと私は思っておりますし、日本の金融・証券市場を発展させたいと思って議論をしている当委員会として、これは看過できない問題であると思っておりますので、是非与党の皆さんにも御理解いただいて、NHKのインサイダー取引問題については集中審議をさせていただきたいと、場合によっては閉会中審査も含めて是非御検討いただきたいと思いますので、よろしくお取り計らいいただきたいと思います。
○理事(円より子君) ただいまの件は、後刻理事会で協議いたします。
○大塚耕平君 その上で、再び、仏作って魂入れずという視点から、日本ではよその先進国に比べてやや不公正、不透明な取引が多過ぎるという視点から、一つの事例を取り上げてお伺いをしたいと思います。
 皆さんのお手元には、一枚、資料を配らせていただきました。今日、この資料は是非議事録に残していただきたいということで理事会にお諮りを申し上げておりますが、平成十七年三月に、築地市場の運営団体である東京魚市場卸協同組合、以下、東卸と申し上げますが、ここが、農林中金から融資を受けてきた九億七千五百万円を言わばどのように処理するかということで、お手元のポンチ絵のような取引を行いました。
 農林中金がこの債権を、金額が幾らかは分かりませんが、東京チャレンジファンドという東京都が出資しているファンドに売却をし、このファンドから本来の債務者である東卸自身が四千五百万円で買い戻したと。つまり、九億三千万円、棒引きにされたわけでございます。
 このことは昨年の暮れから関係省庁が多岐にわたりますので事務方の皆さんに随分お伺いしてきましたが、分かったこと、分からないこと、様々ございますが、今日は幾つか確認をさせていただきたいと思います。あえて省庁は申し上げませんので、所管の官庁だと思われる方は手を挙げてお答えください。
 まず、この東京チャレンジファンド投資事業有限責任組合は、これ投資事業有限責任組合契約法に基づく法人であると思っておりますし、また金融商品取引法にも関係があると思っておりますが、それぞれの法律においてどのような位置付けか、所管官庁、お答えください。
○政府参考人(鈴木英夫君) お答え申し上げます。
 御指摘の東京チャレンジファンド投資事業有限責任組合は、投資事業有限責任組合契約に関する法律に基づく投資事業有限責任組合契約によって成立している組合でございます。
○政府参考人(西原政雄君) お答え申し上げます。
 この東京チャレンジファンドにつきましては、その運用業者であります大和SMBCプリンシパルインベストメント株式会社から届出がなされております。
 これは、金商法におきまして、プロ投資家向けのファンド、これの自己募集又は運用を行う業者に対しては届出義務が課されていると、こういう関係に基づくものでございます。
○大塚耕平君 つまり、東卸は経産省所管、東京チャレンジファンドは金商法上のファンドでもあるということでございます。
 なお、お手元の図にはこのチャレンジファンドの組成は平成十六年十月と書いてありますが、平成十六年十月に組成されたこのファンドの最初の取引がこの事例であったというふうに理解をしておりますが、総務省、もし東京都に聞いて確認できていたらお答えください。確認できていなければ、分からないとお答えください。
○政府参考人(榮畑潤君) 東京都に確認しましたところ、東京チャレンジファンド投資事業有限責任組合の契約がございまして、それに秘密保持条項がございます。したがいまして、それに沿いまして回答できないとの回答をちょうだいしておるところでございます。
○大塚耕平君 十六年十月に組成して、この十七年三月が最初の取引だと思いますので、回答できないのは結構ですが、地方自治体を言わば所管する官庁として、是非確認はしておいていただきたいなというふうに思います。
 その上で総務省にもう一回お伺いしますが、東京チャレンジファンドの出資者はだれですか。事実関係だけ端的にお答えください。
○政府参考人(榮畑潤君) 平成十六年十月の、東京都がこのチャレンジファンドができたときに公表した資料によりますと、東京都と大和証券SMBCプリンシパルインベストメントが出資しているほか、十社程度の第二地銀、信用金庫、信用組合が参加を検討しているとされておりました。その後、複数の地方銀行とか信用金庫、信用組合が出資していることも明らかになっておるというふうに承知しております。
 ただ一方で、東京都に確認しましたところ、先ほどと同様でございまして、秘密保持条項により回答できないというふうな回答をちょうだいしております。
○大塚耕平君 東京都の出資しているそのお金は、元々だれの資金ですか。総務省に、一応。
○政府参考人(榮畑潤君) 東京都の一般財源から出しているというふうに聞いております。
○大塚耕平君 いや、そういう意味ではなくて、それは元々、国民の公金なわけでございますね。
 通告している質問と順序が逆になりますが、金融庁にお伺いしますが、新銀行東京はこの出資している金融機関の中には入っていますか。
○政府参考人(西原政雄君) お答え申し上げます。
 東京都が都議会提出資料でこの新銀行東京に関するファンド運営会社並びにベンチャーファンドへの出資の概要及び実績というものを出しておりますが、それによりますと、昨年の十二月末現在のものですが、新銀行東京が出資するファンドにはこれに関するものはないというふうに承知しております。
○大塚耕平君 新銀行東京は、これ以外の東京都が組成したファンドには出資していますか。
○政府参考人(西原政雄君) ちょっと調べさせてください、現在手持ちにございませんので。
○大塚耕平君 調べさせてくださいとお答えいただいたので、是非調べてください。
 その上で、また通告している順番どおりに戻りますが、この東卸とそれからこの取引に関連している農林中金の所管官庁はそれぞれどこでしょうか。所管官庁はどこかということだけで結構です。
○政府参考人(平尾豊徳君) 御指摘の組合でございますけれども、これは東京都が所管していると承知しております。
○大塚耕平君 東卸は東京都が所管しているのは分かりますが、国の関係省庁としてはどこの所管になりますか。
○政府参考人(長尾尚人君) お答え申し上げます。
 東卸につきましては、中小企業等協同組合法に基づきまして、当該組合の主たる事務所を所管しております東京都が所管になっているという形でございます。したがいまして、当組合に関します組合法に基づきます指導監督等は一元的に東京都が行うという形になっております。
○大塚耕平君 農中のこともお伺いしたんですが、まあ農中はお答えいただくまでもなく金融庁と農水省の所管ですから結構ですが、東卸については、それでは東卸がいわば東京金融・証券市場の透明性や公正性に対して何がしかの影響を与えるような不公正な運営を行った場合、不公正な取引を行った場合、この東卸に対して監督権限を発動するのはどこになりますか。
○政府参考人(長尾尚人君) 先ほど申し上げましたように、組合法の建前から東京都知事という形になります。
○大塚耕平君 霞が関は直接は何ももう物が言えないということでよろしいですか。
○政府参考人(長尾尚人君) 基本的に個々の組合の活動に関する監督につきましては、主たる事務所の所在しております自治体の方で監督する形になっております。
○大塚耕平君 東京都をお招きしないと何も分からないという御答弁をいただいているようですが、余り霞が関は役に立たないようですね、どうも。
   〔理事円より子君退席、委員長着席〕
 それでは次の質問に移りますが、この図を見ていただくと、九億三千万円は論理的に考えて農中がかぶったか東京チャレンジファンドがかぶったか、どちらかがかぶらないとこういうふうにはならないんですが、どちらがかぶったんですか。
○政府参考人(今井敏君) お答え申し上げます。
 農林中央金庫の個別取引に関する事項につきましては、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。したがいまして、損失を出したかどうかについてもお答えできない事情を御理解いただきたいと思います。
○大塚耕平君 東京チャレンジファンドの所管官庁の方はいかがですか。
○政府参考人(西原政雄君) 御指摘の点については、このファンド、それと農中、この間の個別の取引に関する事柄でございますので、当庁といたしましてもコメントは差し控えさせていただきます。
○大塚耕平君 個別の取引であれば、どんな不公正なことが行われていても金融庁も農水省も何も物を言わないということでよろしいですか。
○政府参考人(西原政雄君) 個別の取引についてということよりは、もし仮にそこに例えば法律違反行為があるということで金商法上の法令に違反するというような行為がありました場合には、それに対しては厳正に対処をしていく、それからそれに対しての行政処分については公表していくと、こういうことになろうかと思います。
○大塚耕平君 東京チャレンジファンドは公正な財務諸表等を開示する義務が金商法上あるというふうに考えてよろしいですね。
○政府参考人(西原政雄君) このファンドにつきましては、いわゆるプロ向けのファンドでございますので、その下においての規制が掛かっていると、こういうことでございます。
○大塚耕平君 東京チャレンジファンドが、出資者である東京都との交渉等も含めて、何か不公正な行いがあるかどうかということは、どこの官庁が確認できるんですか。
○委員長(峰崎直樹君) どこに、どなたに御質問しましょうか。
○大塚耕平君 いや、答えられる官庁が答えてください。
○政府参考人(西原政雄君) 恐らく、これは検査をするというような形でいえば、監視委員会がこれに対して監視をしていくという形になろうかと思います。
○大塚耕平君 大臣、これが仏作って魂入れずということの、ある断片の真実なんですよ。
 これ、なぜ私こんなことを聞いているかというと、実はこの東京魚市場卸協同組合の前の理事長は築地市場の移転反対派だったんですよ。現理事長に替わった途端に築地の移転に賛成多数にこの事業組合が変わったと。そういう情勢変化があった途端に、あるいはほぼ同時に九億三千万円の借金が棒引きにされていると。これは巷間言われていることですから未確認情報ですが、築地市場の関係者の間では、東京都が出資しているこの東京チャレンジファンドを介して言わば反対派の懐柔策として借金棒引きが行われたということが、市場の中でも、この組合の中でも随分議論になっているわけであります。そこで今日私はこういうお話をお伺いしている。
 裏を見ていただくと、ある意味、東卸さんは仲卸業者の皆さんですから、きっぷのいい江戸っ子の皆さんが正直に、余り金商法とか制度とか詳しいことは御存じなく運営しておられると思うんですね。そこで、幾つかの公式な資料を拝見すると、月刊東卸という事業者の内部資料にはこのように書いてありました。農林中金との関係は、顧問会計士の力添え、東京都の支援もいただき、一件落着しましたと、これが十七年六月であります。そして、その年の事業報告書を見ると、二段目にございますように、九億七千五百万円の借金を東京チャレンジファンド経由で十七年四月二十八日に四千五百万円に圧縮する形で債権買戻しを行ったと、こう書いてあるんです。さらに、その報告書の六十一ページには御丁寧にも、農林中金からの借入金については、事前に顧問会計士が折衝した結果、コンプライアンス上の問題があることから、東京チャレンジファンド投資事業有限責任組合経由で債権買戻しを行い、同行に対する借入金全額を清算したと、こう書いてあるんです。
 ここまでの話を総合して、このコンプライアンス上の問題とはどういうことだと想像をされるかということをまず金融庁にお伺いします。
 想像でいいですよ。いや、だって皆さん専門家なんだから。
○政府参考人(西原政雄君) ちょっと、なかなか仮定の御質問に答えるのは難しゅうございます。
○大塚耕平君 仮定の質問をしているわけじゃなくて、コンプライアンス上の問題があるということは、これ公式の事業報告書に書いてあるわけです。その取引がどういうものだったかということは、今私がつまびらかに御説明を申し上げました。
 そこで、想像の質問をしているわけではなくて、このような取引に関して当事者自身がコンプライアンス上の問題があるということを、金融取引を所管する金融庁の担当官としてどのようなことが想像されるかということをお伺いしているわけであります。
 あわせて、この東卸は、東京都と中小企業庁と、先ほどから何か農水省は余りこのことには触れませんが、農水省も私は関係があると思っておりますので、金融庁の御答弁の後にそれぞれの担当省庁、東京都をつかさどっているという意味では総務省、それから中小企業庁、農水省に、コンプライアンス上問題があるというのはどういうことが想像できるかということについてそれぞれコメントをお伺いしたいと思います。
○政府参考人(西原政雄君) ちょっとこの当事者じゃないものですから実態がよく分からないものですからこのコンプライアンスについてコメントは難しいんですが、いわゆる価格交渉や何かの透明性をいかに高めていくかと、恐らくそういう観点を言っているのかなという気はいたします。
○政府参考人(榮畑潤君) 先ほどもちょっとお答えいたしましたけれども、東京都に確認したところ、個々の投資案件につきましても投資事業有限責任組合契約により回答できないというふうな回答をちょうだいしておりまして、それをやっぱり聞いていますとちょっとこちらとしても見当が付かぬというのが率直なところでございます。
○政府参考人(長尾尚人君) 先ほど申し上げましたように、個別組合の個別取引の内容について承知する立場ではございませんので、それに対して評価することは不可能だというふうに思っております。
○政府参考人(平尾豊徳君) 私どもも、全く所管しておりませんし、事業報告書も承知しておりませんので、ちょっと内容を判断しかねるところでございます。
○大塚耕平君 今四つの機関に御回答いただきましたが、辛うじて点数が付くのは金融庁だけですかね。金融庁は、買取り価格の設定の透明性に問題があるのかとも思われますという、そういうニュアンスのことをおっしゃいました。総務省は、見当が付かないとおっしゃる。中小企業庁は、個別取引のことであり、評価する立場にないと。農水省は、事業報告書も見ていないし、所管官庁でもないから分からないと。でも、築地は東京都民の、あるいは日本国民の台所ですよ、これ。
 農水省にお伺いしますが、なぜ築地を豊洲に移転させるかということについて反対の意見があるかということについて、簡単にどういうふうに認識しているか、お答えください。
○政府参考人(平尾豊徳君) 御指摘の豊洲移転の問題でございます。
 これは、候補地、予定地とされているところで今土壌汚染の問題があるというふうなことが課題になっておると私ども承知しております。そういう土壌汚染が卸売市場あるいは土壌汚染防止法の考え方からして本当に大丈夫かというふうなことについて、今専門家会議を東京都で設けて検討が進められているというふうなことだと承知しております。
○大塚耕平君 おっしゃるとおり、ゴールデンウイーク前後には大変な報道もありましたけれども、例えば豊洲の予定地にはベンゼンが安全基準の四万三千倍の量が検出をされたと、ここに築地市場を移転させていいのかと。こういうことが元々問題になっていて反対派がたくさんいらっしゃった、その状況下で東京チャレンジファンドが設立をされて、最初の取引で東卸市場の新理事長、賛成派の新理事長の個人保証も付いている債務九億三千万を棒引きしたわけですよ。どっちが債務の棒引きの損失を被ったか分からない。農中に聞いても、言えないと言う。東京チャレンジファンドは、これを運営している大和証券SMBCプリンシパルインベストメントは、私たちは損失はしていないと言う。そうすると農中なのかなということで、大和さんはそう言っていますよと農中に聞いたら、いや、私たちも損失していないと。どこが損失したんですか、これは。こんな摩訶不思議な金融取引が行われていると、排出権取引などという高度な取引以前の問題として、こんな怪しいマーケットにはかかわりたくないと思うのが世界の健全な金融関係者の当然の感覚だというふうに私は思います。
 この築地の問題は今日は本論じゃありませんからまた改めて別の委員会なり別の機会でやらしていただきますが、そもそも豊洲を含む臨海副都心開発事業会計というのが東京都の会計ですが、これが大変な赤字になっていて、羽田沖会計と埋立てのための会計と三会計統合を二〇〇一年の四月に行いました。その結果、この臨海副都心開発事業会計の赤字は言わば三会計の中で実態が分からなくなってしまった。さらに、一昨年の十月には臨海開発に伴っていて大変な赤字を抱えていた三つの第三セクター三社を健全な四社と合併させて、東京都が出資している東京臨海ホールディングスという、またこれもホールディングスカンパニーというわけですから、金融庁の所管業務と微妙にかすっている部分ですが、こういうものをつくって非常に不透明なことが行われているのではないかと推測をさせる一つの事例を今日は御報告を申し上げている次第であります。
 その延長線上の話として、新銀行東京についてちょっとお伺いをしたいと思いますが、新銀行東京には御承知のとおり四百億の追加出資がなされて、現在、報道によれば金融庁の検査が行われているというふうに聞いております。
 そこで、日銀と金融庁にお伺いをしますが、新銀行東京に対する日銀考査はいつ行われたのか、そして、その考査結果は金融庁に提供されているのか。それから、金融庁にもお伺いします。金融庁は現在、新銀行東京に対して検査を行っているということでいいか、それぞれお答えください。
○参考人(山本謙三君) お答えいたします。
 まず、新銀行東京に対しましては、昨年二月五日から三月二十三日にかけて日本銀行の考査を実施いたしました。この間、二月二十三日から三月十八日の間は、同行が考査チームに追加提出する資料の作成に時間を要しましたため、考査を一時中断しております。また、考査結果は四月十八日に伝達しております。
 二つ目の御質問の方でございますが、日本銀行法第四十四条第三項に定められておりますとおり、金融庁長官から考査の結果を記載した書類その他の考査に関する資料の提出の要請がある場合にはこれを提出しております。ただ、どのような金融機関の考査結果について要請を受けたかについては具体的に明らかにしないことにしておりますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
○政府参考人(畑中龍太郎君) お答え申し上げます。
 新銀行東京に対する検査につきましては、四月二十五日金曜日に検査予告を行い、五月十六日金曜日より立入りを開始しているところでございます。本日現在、五月二十九日現在、立入り継続中でございます。
 いずれにいたしましても、金融庁といたしましては、検査マニュアルにのっとり粛々と金融検査を実施しているところでございます。
○大塚耕平君 金融庁にお伺いしますが、今十二人で検査に入っているというのは本当ですか。
○政府参考人(畑中龍太郎君) 個別金融機関に関する検査の従事人員の詳細について言及することは差し控えさせていただきたいと存じます。
 なお、平成十八事務年度、主要行につきましては二十一名、地銀につきましては第二地銀も含めまして平均では十二名、信用金庫六名、信用組合五名となっております。
 いずれにいたしましても、検査先の規模、特性を勘案した上で、所要の検証が的確に行われるよう適切な検査班を編成して実施しているところでございます。
○大塚耕平君 先ほどの日銀のお答えでは、日銀法の四十四条に基づいて金融庁から提出の要請があれば提出をすると。要請があったかどうか、どの金融機関の資料を提供しているかどうかについては公表しないこととしているというふうにおっしゃったので、別にこれ、しないということは法律で禁止事項になっているわけではありませんので、金融庁にお伺いしますが、新銀行東京の日銀の考査結果は金融庁は受け取っておりますか。
○政府参考人(西原政雄君) 個別金融機関の日銀考査についての取扱いにつきましては、当局としてはコメントは差し控えさせていただいているところでございます。
○大塚耕平君 それは法律事項でもないので本当は僕はおっしゃるべきだと思うんですが、日本の経済がもう一つ元気が出ない。そして、どうも日本は、いろんな御評価があるでしょうが、少し国の勢いとして下降線に入っているんじゃないかと言う人も多い。これは議会に所属している者、これ党派会派を問わず、政治家の議会での活動に対する、つまり政治に対する不信感というものも背景では影響していると思います。
 更に申し上げれば、本来、国民の生命や財産や、特に財産ということになると、先ほど総務省は東京都の一般財源が元々原資だと言いますが、そういう回答が出てくること自体が大変私は残念なんですが、東京都の一般財源ではなくて元々公金なんですよ。これらの公金をめぐる様々な不透明な動きについて、霞が関の皆さんも議会のこの場で言えることはできるだけ公表して、不透明なものがあれば改めるという、そういう姿勢が見られないものですから、霞が関に対しても国民の皆さんは従来に比べると大変不信感を強めているということがあります。この政治や行政に対する不信感、国民の皆さんの懐疑心というものをこれを和らげていかないと、私は日本は決していい方向に行かないと。いわんや、自国の国民が懐疑的に思っている東京の金融・証券市場に諸外国の皆さんの資金が入ってくるわけがないですよ。
 そういう意味で、例えば今日私が披瀝しているこの問題は、これはこの場で明らかにできなかったら、今の皆さん方の回答のように、言えません、言えません、所管官庁だから、分かりません、言う立場にはございません、見当も付きませんなんて言っていたら、何のためにこの議会があるんですか。
 そこでまず、じゃ、それぞれ今日いらっしゃっている官庁にお伺いしますが、今日私が御提示申し上げました様々な問題点について今後調査をして所要の報告を私たちに行う意思があるかどうか、意思があるかどうかをお伺いします。
 その前に一言付け加えますが、なぜ今日こういう質問をさせていただいているかというと、この東京チャレンジファンドを含む東京都が出資している幾つかのファンド、そして新銀行東京、これは東京都が議会の制御を受けない形で自由に駆使できる資金ルートとして石原都政の下で活用されているのではないかというふうに言われているし、そう思っている人たちがいるわけです。私もそういう疑念を持っていますけれども、だから今日こういう御質問をしているわけでございます。
 そこで、いきなり東京都政に食い込めとは言いませんが、この今日申し上げました東卸の取引について今後調査をして、それぞれの所管の範囲及び所管と思われるところまで少し境界線を超えてでも調査をして何がしかの貢献をする意思があるかどうか、金融庁から順番にお伺いします。
○政府参考人(西原政雄君) 先ほどもお答え申し上げましたが、新銀行東京につきまして、ファンドにどれだけ出資をしているか、それにつきましては後刻調べた上で御報告をさせていただきます。
○政府参考人(平尾豊徳君) 東京魚卸協同組合、魚市場協同組合は、先ほどあれでございますけれども、東京都が所管しておるわけでございますので、東京都に間接的にはどれだけ聞けるか分かりませんけれども、聞いてはみたいと思っております。
○政府参考人(長尾尚人君) 農水省さんの方からお話がありましたように、中小企業協同組合法の趣旨にのっとりまして所管官庁である東京都と協議をしてみたいと思います。
○政府参考人(鈴木英夫君) お答え申し上げます。
 投資事業有限責任組合契約に関する法律は、これは組合の成立に関する要件、手続を定めているものでございまして、行政庁による許認可や監督の規定がございませんので、そういった意味からしますと、個々の組合の取引についても知る立場にはございませんし調査もできないということでございますので、そういった意味ではこの法律に基づく調査というのは難しいというふうに考えております。
○政府参考人(榮畑潤君) 先ほどもお答えいたしておりますけれども、私どもも今日の御質問に備えて東京都に確認したところ、なかなか組合契約によって回答できないというお話をちょうだいしておりますけれども、更に何かできることがあるのか、よく考えてみたいと思っております。
○委員長(峰崎直樹君) 日銀はいいですか。
○大塚耕平君 日銀は結構です。
 もう一回この絵を見ていただけますか。東京都が出資しているこの資金は公金ですよ、元々。その公金をもって、もし私が今日巷間言われている話だということで申し上げたように、本当は移転に適さない土地なんだけれども、特に国民の皆さんの食の安全とか健康の観点から考えたら適さない土地なんだけれども、臨海副都心開発の言わばツケを少しでも埋めるために何としても移転をしたいというようなことで、その公金を使って国民の皆さんの食の安全や健康の安全を害するような、しかも不公正な取引を行っているとしたら、これに対して霞が関の皆さんがしっかり手を下さなかったら一体何のために霞が関はあるんだということだから、国民の皆さんの不信感がまた高まっちゃうんですよ。
 是非、これは今日一日で片付く問題ではないと思いますので、継続して私も調べたいと思いますが、東京金融・証券市場の競争力を強化したいという金商法改正案を提案しておられるお立場も含めて、行政改革に大変熱意を燃やしておられる渡辺大臣に、昨日節目を迎えましたので、その節目の局面で改めて今のような問題意識を御提示申し上げますので、感想をたっぷりとお述べいただければと思います。感想なり所感で結構でございますので。
○国務大臣(渡辺喜美君) 突然でございますが、この事案の全体像について残念ながら私全く分かっておりませんのでコメントはいたしませんけれども、やはり日本の金融資本市場というのが世界に開かれたマーケットであり、そこに行くと非常に使い勝手がいい、また公正さや透明性が担保をされている、内外のお金が集まってきやすいという条件は非常に必要であろうかと思います。
 まさにそうした開かれたマーケットをつくっていくことが日本の競争力の強化につながっていくわけでありますから、不透明な取引というものがそこにあり、そしてその取引が日本市場のイメージを損なうということがあってはならないと考えます。
○大塚耕平君 もう時間も参りましたし、少し食い込みましたのでもうこれで終わらせていただきますが、この東京チャレンジファンドの問題あるいは新銀行東京の問題も含めて、やはり財政金融委員会としては事実関係、そして東京都が行っている金融取引について十分な関心を払う必要があるというふうに思いますので、是非、東京都のこの金融業務の関係者並びに幹部を一度参考人としてお招きをして審議をさせていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
○委員長(峰崎直樹君) ただいまの提案につきましては、後刻また理事会で協議して決定していきたいと思います。
    ─────────────
○委員長(峰崎直樹君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、鈴木政二君が委員を辞任され、その補欠として林芳正君が選任されました。
    ─────────────
○水戸将史君 民主党の水戸将史でございます。
 さきの両先輩のような高度な専門的な知識はございませんので、この金商法改正につきまして基本的な質問から始めさせていただきたいと思っております。もう既に時間もお昼に差しかかっておりますので、どうかリラックスして、かみしもを脱いで、フランクにお答えをいただければ幸いでございます。
 この金商法の改正でございますけれども、昨年の九月の三十日からということでスタートいたしました。今に至る段階におきまして、金融庁も、昨年末でございましたけれども、十二月の二十一日ですか、金融・資本市場競争力強化プラン、仮称ですけれども、こういうものを基本方針二〇〇七にのっとった形で公表をされました。
 競争力強化というと、非常に勇ましい、何かやる気が感じさせられるような、そのようなニュアンスを受けるわけでありますけれども、そもそも、大臣にお伺いしたいんですけれども、この競争力の競争というのはだれに対してどういうことを競い合うのかということについて、簡潔にお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(渡辺喜美君) 競争力というのはやはり、市場参加者が多様なニーズを持っておりますので、その多様なニーズに適切にこたえられるということが大事であります。また、当然のことながら、市場参加者にとって魅力のあるマーケットでなければならないということであります。
 魅力を構成する要素についてはいろいろなものが考えられます。例えば、市場参加者が多い、商品の多様性がある、市場の規模が大きい、つまり市場に厚みがあるということ、あるいは、先ほど来お話がありますように、公正性とか透明性がある、効率性や安定性が発揮されている、例えば低コストで安定的な取引が行われるとかいう問題も含まれます。
 また、規制環境がよろしいかよくないか、我々はベター・レギュレーションというものを追求をしているところでございます。規制の実効性、効率性、透明性などでございます。また、周辺のインフラの良しあしというのもあろうかと思います。経済環境とか人材とか都市機能などでございます。
 こうした競争力が諸外国と比べて劣るのではないかと、そういう問題認識からいろいろな議論を積み重ねてきたところであります。
○水戸将史君 それでは、もうちょっと論点を絞ってお答えいただきたいんですけれども。
 例えば金融商品市場におきましての競争力が高まったと、現状はこうであってこのような強化プランにのっとって強化をして高めていくんだということになるわけでありますけれども、実際、この商品市場が競争力が高まったという状態は、これは数量的でもいいんですけれども、どういう状態を言っているのか、現状がどうであって、これを実行することでどういう状況になるのかということを分かりやすくお答えいただきたいと思うんですけれども。
○国務大臣(渡辺喜美君) 我々、ずっとこの間、市場の改革に取り組んでまいりました。残念ながら、国際的に見て日本の金融資本市場の競争力が相対的に低下しているのではないかと言われ続けております。
 例えば、シティー・オブ・ロンドンが、〇八年ですから今年でしょうか、今年の三月に実施した国際金融センター調査では、東京の競争力は第九位となっております。せっかく一千五百兆円に及ぶ家計の富があるわけでありますし、また、非常に低成長であるとはいえまだ世界第二位の実体経済が存在するということなどを考えますと、第九位に金融資本市場が低迷をしているというのは大変残念なことでございます。金融商品のサービスの多様性に劣るとかファイアウオールが高過ぎるとかいう指摘が行われてきたわけでございます。
 そうした問題認識に基づいて、まさに今回の金融資本市場の強化プランを策定をし、金融商品取引法の改正案を提出をさせていただいたところでございます。
○水戸将史君 いろいろなこれから取組をこの改正に伴いやっていこうという御意思、またその方向性であると分かりますけれども、いわゆる、まあこの辺にしておきますが、この競争力を強化し、競争力が増したということが、もちろんいろんな商品が増えて、そして投資家がいろんな形で資金をそこに投資をする、そういう形で潤沢な資金がそれでいろんな形で運用されるということになるわけでありますけれども、それはひいては国民生活、日本経済にとってどの程度のメリット、影響があるかということについてどう認識され、またどういう方向に導いていかれようとするのか、その御所見をいただきたいと思いますけれども。
○国務大臣(渡辺喜美君) 御案内のように、日本は少子高齢化という大変な構造変化の渦中にあるわけでございます。こういう中で我が国経済が持続的に成長をしていくためには、やはり一千五百兆円の家計の富、個人金融資産というものに適切な投資機会を提供していくことが大事であります。また、内外の企業に成長資金を供給をしていくということも重要であります。
 したがって、そういうことを考えますと、競争力が低い市場ではその役割を十分発揮することはできないわけであります。競争力が強化をされていけば、マーケットで業務を展開する金融サービス業の競争力も強化をされてまいります。そのこと自体がより高い付加価値を生み出し、雇用も創出をしていくということになれば、まさに我が国の経済成長そのものに貢献をしていくことが期待をされるということであります。
○水戸将史君 これからの推移を見定めていかなきゃいけないわけでありますけれども、少なくともこの競争力強化という言葉だけが独り歩き、上滑りしないように、実質的なメリット、また国民的な利益が享受できるような方向性に是非導いていただくことを切に要望していきたいと思っております。
 そして、こういう改正の中身でございますけれども、従来、商品先物市場におきましては、御案内のとおり、商品ファンドというものが当初その主流を占めていたわけでございましたけれども、この十年間ぐらいの経過、経緯を見てみますと、取引高というんですか運用高というんですか、そういうものが非常に減少の一途をたどっているというようなことが分かるんですけれども、この原因をどういう形で分析をされていますか。
○政府参考人(橘高公久君) お答え申し上げます。
 お示しのように、商品ファンド、元々は商品に主として投資運用するために、投資家の方から資金をお預かりをして、商品投資顧問業者というかなりこの分野において専門性の高い業者に運用を委託するという形で運用してきたものでございます。歴史的には、お触れになりましたように、平成九年度におきましては残高で三千億を超える、三千百八十四億と承知しておりますが、それなりの規模の資金で運用されておったわけでございますが、足下、平成十九年度におきましては二百六十二億の残高ということで、かなり規模としては限られたものになってございます。
 この背景でございますけれども、様々な理由があるとは存じますけれども、私ども、この商品取引、商品ファンドを見ております立場からいたしますと、一つはこの商品ファンドがさっき申しましたように三千億を超える規模でありましたときには、この商品というものに対する一般的な社会的な運用資産としての認識が高まった時期であったと考えております。その中にありまして、ファンドということで、その性格上比較的リスク限定型であるというようなこともございまして人気を博した、それなりの関心を集めたわけでございます。
 ただ、全般的な広い意味での金融商品の多様化の中で、他の投資商品がいろいろと考案されてまいりました。投資信託、あるいはREIT、それから現在御審議をいただいておりますETF等々、商品の多様化がございます。そういう中で、やはり新しいその時々の情勢に応じた金融商品に対する関心が高まってきて、相対的に商品ファンドというものに対する投資家の関心が低くなってきているのではないか。
 また、商品に関する一般的なイメージといたしまして、これは大変我々関係者としては残念なことでございますし、きちんとした取組が必要ではございますが、一般的に商品先物取引に関するイメージが必ずしも肯定的なものばかりではなかったというようなことから、商品ファンドについてもそのような影響があったものかと考えてございます。
○水戸将史君 今回の改正法案では、結局その商品ファンドに、これに執着するわけではなく、投資信託等とも、やはりこの金融商品、直接的にここに投資できるような、そうした門戸を開くというような形で推移していくと思うんですけれども、やはり商品ファンドのそもそもの仕組みの中でいわゆる投資信託と違うのは、投資家がお金を出す、投資家にその債権があるわけでありますが、その債権を市場で売買できないというのがそもそも商品ファンドの基本的なスタイルでありまして、これがある意味商品ファンドの人気を薄めていくそういう要因をつくっていないのかと。コモディティー投資証券ですか、もう既にこれも商品市場にはありますけれども、やはりそれに比べてますます減少の一途をたどっているという要因の一つには、今言ったような証券の売買、債権の売買をやはり証券市場でできるような形にすれば、ある意味また息を吹き返してくるんじゃないかということも考えられるんですけれども、これについて、今後これを、商品ファンドをどう取り扱っていくのかに関しての御所見をいただきたいと思うんですけれども。
○政府参考人(三國谷勝範君) 取引所での上場というお話でございますけれども、まず商品ファンドにつきましては、一般的に信託契約やあるいは組合契約等に基づいて組成されているものと承知しているところでございます。
 ところで、金融商品取引法におきましては、流通性、これが非常に活発に行われることが想定される第一項有価証券、それと比較的流通性が乏しい第二項有価証券に分類しているところでございます。
 こういった契約のうち、受益証券の発行信託、これは第一項の方に分類されておりますけれども、それ以外のものは商品ファンド、これらは第二項有価証券に該当するかと思いますが、これは権利の売買ということになるわけでございます。こういった形態で組成されているものにつきましては、その性質上、権利の譲渡に当たりまして一定の手続、例えば任意組合の場合であれば他の組合員の同意とか、こういったことがございますので、一般に流通性が乏しいということでございまして、したがいまして取引所市場におきまして不特定多数の当事者による集団的な取引の対象とすることにはなかなかなじまない面があると考えておるところでございます。
 ただ、御指摘のとおり、受益証券発行型信託あるいは今回のETF、こういった形であればこれは第一項有価証券として流通性が増すと、こういったものにつきましては上場の道が開かれていると、こういうことでございます。
○水戸将史君 時間も迫っていますので、次に移りますけれども。
 金商法施行以降もこの投資信託等々に関しましては、金融商品取引に関しましてはトラブルが後を絶えないという記事も載っております。相談件数も本当にどちらかといえば増加しつつあるのかなということも散見されるわけでありますけれども、実際、それに対処して民間の、そういうトラブルに対して対処していこう、そういう形で民間の機関が紛争処理、問題解決に対して仲裁に入りましょうというようなものもこれはできているわけでございますけれども、現実的に、今十八のそういう民間のこういうトラブルを、紛争を解決する機関があると聞いておりますけれども、例えばこの中において弁護士を介してというか、弁護士に入ってもらって、弁護士会の仲裁センターに委託している団体が十五あるんですけれども、この委託している団体がどの程度の相談を受けて、それに対して実際紛争が解決したというのがどの程度あるのかと。総合的に総数でお答えいただければ有り難いと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(三國谷勝範君) 私どもで金融トラブル連絡調整協議会というもの、これを会議を開いているわけでございますが、ここには十八の業界団体、自主規制機関が参加しておりまして、いずれも御指摘の金融ADR、すなわち裁判外紛争解決制度、こういったものを設置しているものでございます。
   〔委員長退席、理事辻泰弘君着席〕
 この十八の業界団体が平成十八年度に取り扱いました相談件数の合計は二十一万八千九百九十八件、苦情件数の合計は一万六千九百十八件、それから紛争件数の合計は五百三件であると承知しております。
○水戸将史君 そういう紛争件数に対して、それを解決をしたと、解決件数はどの程度ですか。
○政府参考人(三國谷勝範君) 解決件数につきましては二百二十四件と承知をしております。
○水戸将史君 全体のパイに比べて圧倒的に解決に至るまでの件数が少ないということは御案内のとおりでございまして、もしかしたらそうした相談に対して真摯に対応できていないのか、正当にこれは取り扱われていないんでないかという巷間そういう話も承るわけでありまして、やはり投資家保護の観点から、これはもうちょっと進化したというか、こういう紛争を解決する手段に対してもっともっと、これも業界ごとに分かれておりますので統一性がないという、そういう御批判もあります。
 ですから、ある意味、これはイギリスの一つの事例もありますけれども、こうした横断的な包括的な紛争を解決するような処理機関というものは、これだけ商品も複雑化また多様化している、そういうような形でこれから改正を行っていこうということでありますものですから、やはり検討し、さらに実行に移していただくという、そういうおつもりはございませんでしょうか。
   〔理事辻泰弘君退席、委員長着席〕
○政府参考人(三國谷勝範君) ADRにつきましては、私ども、平成十二年に、当時のいろんな議論を踏まえまして、消費者団体、自主規制機関、業界団体、弁護士会、それから学識経験者、関係行政機関のこういった方々の参加によります金融トラブル連絡調整協議会、これが発足いたしまして様々な取組が行われてきたところでございます。この協議会におきましては、平成十四年に金融ADRの整備に資するために、苦情・紛争解決手続のモデルを作成しているところでございます。各団体におきましては、こういったモデルを踏まえまして、現在、金融ADRの改善に取り組んでいるものと承知しているところでございます。
 なお、この金融ADRにつきましては、平成十二年の金融審議会の報告におきまして、統一的、包括的な金融ADR、これは中長期的には一つの理想型として評価すべきとされた一方、既存の裁判外紛争解決機関との関係の整理、あるいは統一的、包括的制度設立の主体や費用の問題、あるいは専門性の確保といった問題が指摘されまして、導入の是非につきましては意見の一致には至らなかったところでございます。現在、この金融トラブル連絡調整協議会におきまして、これまでの取組を踏まえまして金融ADRの今後の課題につきまして議論が行われているところでございます。
 金融庁といたしましては、この協議会におけます議論を踏まえまして金融ADRの改善に一層努めてまいりたいと考えているところでございます。
○水戸将史君 今御説明ございました金融トラブル連絡調整協議会、その中でもやはりこの金融ADR、つまり裁判外、裁判に至らないまでもと、その未然にというか事態が深刻化しない程度のところで解決していこうということで、今までも確かに取組の経過がございました。しかし、この今申し上げました協議会の中でも、業界の代表的な形でそういうような処理機関がつくられちゃうと、企業側に偏っているんじゃないか、投資家保護よりも企業家保護を優先するんではないかということがどうしてもやゆされちゃうわけですね。ですから、私が申し上げましたとおり、中立また包括的な、いわゆるどの業界におきましても金融サービス、金融商品、金融取引に関しましては、これだけ多様化しているという段階においての、そうした横断的な組織をつくっていく必要性があるかなと、私は十分それを強く要望していきたいと思っております。
 そして、さらに、そもそもトラブル、いろんな形で高齢者の方々も、後ほど相続の話もしますけれども、随分買われているわけですよね。お年寄りの方々は、なかなかこれだけ複雑化かつ多様化している商品に対して分からない、ですから、どうしても業者さんの説明をちゃんと聞いて、ちゃんと納得して買うと。しかし、それが、当然リスクがあるということを認識しているならともかく、なかなかそれに至らない部分がありまして、それがそもそも紛争の、そういう問題の発端になるわけでございまして、そういう中で、確かに一定の金商法の中で進歩は見られるんですけれども、確かに商品の説明をした、しない、聞いた、聞かないという世界になってきますので、水掛け論になってしまう。
 現状では、こうした中で仮に裁判になったといたしましても、説明したかしないかの立証責任は、どちらかといえばそれを買った方に、ちゃんと説明責任、要するに業者がちゃんと説明したんですか、してないんですか、してないならば、どういうことでしてないんですかということの説明をするような、どちらかといえば顧客にその負担が求められているということでございまして、これからの中におきましては、投資家保護という観点からしても、十分な説明をするのはやはり商品を売った方、企業側にその説明責任を求めていく必要があると思っているんですけれども、これに関してどういうような御認識でしょうか。
○政府参考人(三國谷勝範君) まず、金融商品等の販売におきましては情報の非対称性の問題がある。したがいまして、金融商品取引法におきまして、説明義務でございますとかあるいは適合性原則でございますとか、そういった各般の措置を講じてきているところでございます。
 貯蓄から投資への流れを進めるに当たりましては、やはり金融商品が持つリスクなどにつきまして投資者が十分な説明を受ける機会を確保し、安心して投資を行うことができる、こういった環境を整備することが重要でございまして、実はこういった観点から、金融商品に関する民事のルールといたしまして、平成十二年でございますが、金融商品の販売に際し、顧客の保護を図るために民法の特則を定める金融商品販売法、これが成立したところでございます。
 この金融商品販売法におきましては、業者の説明義務違反に係ります損害賠償責任の立証責任が顧客側に有利に修正されているところでございます。御指摘のような説明義務違反のケースにおきましては、顧客は説明義務違反の事実の存在についてのみ立証すれば業者の損害賠償責任を追及することが可能とされているところでございます。また同時に、今度は金融商品販売法ではなくて金融商品取引法、こちらの方におきましても金融商品販売法と同様の説明義務、これが行為規制として規定されているものでございます。金融商品取引業者の説明義務違反は行政処分の対象にもなり得るものでございます。
 また、金融庁といたしましては、今度は平成十八年の金融商品取引法の制定の際に、このときに金融商品販売法の改正も併せて行いまして、業者の説明内容を拡充する、あるいはそういった投資者保護ルールの整備を進めているところでございます。
 今後とも、金融資本市場の利用者が安心して投資を行うことができるような環境の整備に一生懸命努めてまいりたいと考えております。
○水戸将史君 本当に長々と御説明ありがとうございました。
 端的に言えば、製造物責任法もありまして企業家責任が非常に求められる時代に入ってまいりましたので、ちゃんと規定として、今確かにいろんな経過がありまして一定の進歩はしているんですけれども、やはりちゃんとした形でそれを売った方及び業者側に説明責任を求めるという、そういう規定をこれは速やかに作っていただいて、さらにそれがいわゆる投資家の拡大にもつながっていきますし、先ほど大臣いみじくもおっしゃったような競争力の強化に資することになるわけでありますので、そういうような基本的な周辺整備を早期に進めていただくことを強く要望していきたいと思っております。
 若干視点を変えますけれども、こういういわゆる金融商品、金融資産がますます資産形成の中においてウエートを占めていきますけれども、今、現状、十年前に比べて、例えば相続をする段階においてどれだけの相続財産としての金融商品があるか、そのウエートは十年前と今ではどの程度違っているかということについて御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(荒井英夫君) お答えいたします。
 相続税の課税財産種類別のうち、現金、預貯金及び有価証券を含めましたいわゆる金融資産の金額を比較いたしますと、平成九年分は金額が三兆三千億円で構成比は二一・八%、平成十八年分は金額が四兆一千億円で構成比は三六・四%となっております。
○水戸将史君 お聞きのとおり、非常に金融資産に対してのウエートが高まりつつあるということでございまして、これに関しましてはもう既に昨年の政府税調でもその御指摘をしているわけでございますけれども、そもそもこの相続税に関しましては、相続税の意味ということでは、やはり被相続人の死亡に伴う世代間の財産移転であり、資産の再配分を図る意味では他の手段、方法では置き換えることのできない機能を有していると。これは相続税を課する一つの根拠、意義になるのかなと分かるわけでありますけれども。
 今まで、過去数年間、この相続税の推移を見るにつけ、この資産の再配分、この機能が正常に機能しているのかなということに関して、大臣、せっかくお見えでございますので、額賀大臣、どういう御認識でしょうか。
○国務大臣(額賀福志郎君) 水戸先生はこれ専門家でありますから、よく御存じのことでございます。
 相続税の課税については、御承知のとおり、遺産の取得、無償の財産取得に担税力を見出して課税を行うものと位置付ける遺産の取得課税の方式と、被相続人の生前所得の清算課税を行うものと位置付ける遺産課税の考え方があるわけでございます。
 我が国の相続税は遺産取得課税を基本としながらも、相続税の総額を法定相続人の数と法定相続分によって算出をしまして、それぞれの各人の取得財産額に応じて案分する独自の方式、法定相続分課税方式を取ってきているということがこれまでの経緯でございます。
○水戸将史君 昨年、平成十九年十一月に出された税制調査会ですね、政府の、ここの文書の中でも、大臣も若干触れていただきましたけれども、相続税の有する資産の再配分機能の回復を図ることが重要であると書いています。つまり、今の政府の考え方は、もうこの再配分機能がかなり低下しているんじゃないか、機能障害に陥っているんじゃないか、まあそこまで言いませんが、そういうようなニュアンスで受け止めているというようなことがここで読み取れるわけでありまして、いわゆる、これをもっともっと素直に読んでいけば、再配分機能を高めるためには、じゃ、どういうことをしていけばいいかということになるわけでありますが、大臣、何か御所見ございますでしょうか。
○国務大臣(額賀福志郎君) 平成二十年度の税制改正の要綱では、平成二十一年度税制改正において、取引相場のない株式等に相続税の納税猶予制度を創設することとしておるわけであります。これによって相続税の課税方式をいわゆる遺産取得課税方式に改めることを検討していこうとしているわけでございまして、その際に、格差の固定化の防止、それから老後費用の社会化への対処等、相続税をめぐる今日的な課題を踏まえまして、これからしっかりと議論をして総合的な見直しを図っていきたいというのが基本的な考え方であります。
○水戸将史君 日本のこの相続税の課税方式というのは非常に優れている、ある一面では優れていると思っております。
 諸外国では、遺産課税方式またあるいは遺産取得課税方式という方式、大別して二つあるんですけれども、この折衷方式を日本は取っておりまして、法定相続分課税方式と言っているんですか、そういう形で昭和三十年代からこれを実施されているということでございますけれども、ここに至って、今いみじくも大臣御指摘いただいたとおり、非常に時代の流れにおいて良しとされてきたこの方式、日本の折衷方式も、だんだん制度的な疲弊をしているんじゃないかという形で、改正、変えていこうじゃないかという流れもあるやに承っております。
 先ほど大臣おっしゃったとおり、遺産取得課税方式にウエートを掛けていこうじゃないかというような形でお述べになっておりましたけれども、実際、今のこの方式と遺産取得課税方式と比較して、今の方式はどこに問題点があるのかということにお答えいただきたいと思いますけれども。
○政府参考人(加藤治彦君) お答え申し上げます。
 現行の法定相続分課税方式、これは遺産取得課税方式を基本としつつ、相続税の総額の確定を法定相続人の数とそれから法定相続分で分割するという前提で算出する、それを実際に相続される方の取得額に比例して案分するという方式でございます。
 先生御指摘のように、この方式、昭和三十三年度の税制改正において導入されたところでございます。当時の議論といたしましては、それ以前の遺産取得課税方式において指摘されておりました、例えば累進税率の緩和を企図した仮装分割や、農業や中小企業の資産等の分割困難な資産の相続により税負担が取得者課税の場合は集中するという、相対的に重くなるという問題がございまして、当時としては、やはり遺産の総額が一定であれば実際の遺産分割とは別に相続税の総額は一定にするということが望ましいという考え方でございます。
 ただ、今先生の御下問でございますこの法定相続分課税の昨今における議論といたしましては、逆に、本来個々の相続人の遺産の取得額に応じた課税にはならない、これは最終的に遺産取得額で比例案分はするわけですが、累進課税の適用等々、きちっとした個々の遺産取得額が反映されないということ。それから、仮に相続人の中のどなたかお一人が申告漏れをされるということになりますと、他の共同相続人もすべて再計算をして影響が及ぶという、こういう問題点がございまして、実務家の方からもこうした問題点について指摘されているところでございます。
○水戸将史君 もちろん、今の現方式、またこれから目指そうとする方向性である遺産取得課税方式、双方いろんなメリット、デメリットがございまして、さはさりながらも、今の現行よりも更に変えていこうという中で今の問題点をどういう形で解決していくかということがこれからの大きなテーマになってくると思いますけれども。
 現在においても、これちょっと細かく個別論になってしまいますけれども、例えば、相続する段階で被相続人、いわゆる死んだ方が求償権、いわゆる債権を持っていてだれかに対してそれを債権回収しようと思っているような状況で、それが解決していなかったと。しかし、亡くなった後相続をされていわゆるその求償権の行使が不可能となった段階におきましても、もう既に相続が終わっているものですから、本来でしたらそれはいわゆる債務控除の対象になるわけでありますけれども、相続段階でそれが確定していれば債務控除の対象になるんですけれども、その段階で確定していなくて相続が終わった後にそれが確定してしまった場合、それが債務控除の対象にならない、つまり更正の請求ができないという、そういう事態もございます。
 また、農地に関しましても、確かに納税猶予制度がありますけれども、これも相続段階で農地の分割が決定していなければこれまた納税猶予の制度の適用が受けられないと。
 ところが、例えば配偶者の税額軽減とか小規模宅地の課税の特例に関しましては、これは相続段階で決定していなくても後から、分割されていなくても後からその適用が認められるということで、非常にちぐはぐになってきてしまっている。
 そういう時代的な背景もございまして、こういう点に関しましても、せっかく変えていこうという中において、個別論でございますけれども、具体的な二つの例を挙げましたけれども、それを是非改正の点に挙げていただきたいと思っておりますけれども、それに対しての御所見をいただきたいと思います。
○政府参考人(荒井英夫君) 先生御指摘の最初の保証債務の関係について、現状の考え方を御説明させていただきたいと思います。
 相続税法におきましては、相続税の課税価格の計算上、債務控除の対象となる債務につきましては、相続開始の際現に存するもので、かつ確実と認められるものに限ることとされております。このため、保証債務につきましては確実と認められる債務に該当しないことから、原則として債務控除しないこととされているところでございます。なお、この取扱いにつきましては、裁判例においても支持されているところでございます。
 したがいまして、相続開始後、後発的に債務保証を履行したことに伴う求償権の行使が不可能になったとしても、その保証債務は相続開始当時の現況において確実な債務とは言えないことから、債務控除は認められないこととなるということでございます。
○政府参考人(加藤治彦君) 農地の納税猶予制度について御指摘ございました。
 今回、小規模事業承継についてもこの納税猶予制度を拡大するということを検討することとしておりますが、いずれにいたしましても、農業にせよ、この特例、まさに財産の平等の下の原則の特例、あくまでも事業の承継、農業の継続という見地でございますので、実際には相続段階で既に後継者等がきちっと決まっておらないとなかなか農業の承継というのは難しいということで、私どもとして、あくまでも事業承継という範囲内で、必要の範囲内でこの特例の制度の在り方というものを今後とも議論させていただきたいと思っております。
○水戸将史君 是非検討課題に加えていただきたいと思います。
 時間も最後になりました。
 いろんな先進諸国でも相続税に関しましては議論があります。軽減、廃止をしていこう、そういう国の事例もあれば、そのまま、日本みたく、再配分機能を高めて、どちらかといえば、最高税率の在り方、また基礎控除額の在り方に関しても、平成十九年のこの政府の税調の考え方を、これを読めば、どちらかといえば相続税を上げていく、税収確保を図っていこうということが読み取れるわけでございまして、いわゆる、今それがいい悪いということじゃなくて、やっぱりちゃんとした説明をしていく必要もあるし、やはりこれらに関して、この相続の在り方が、どういう相続税というのは機能を持ち、どういうことが好ましいという、確かに日本でも、昔から子孫に美田を残さずみたいなそういう言い方もありましたけれども、しかし、さはさりながら、やはりちゃんとした形で、この相続税に対してこれから税制改正の一つの大きな項目としてその考え方をはっきりと国民に打ち出しながら、そして一つ一つ今までの流れを受け、そしてどういう方向性に導いていけばいいかということを検討し、具体化していただくことを強く要望して、私の質問を終わります。
○委員長(峰崎直樹君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時六分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
○委員長(峰崎直樹君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、金融商品取引法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○田村耕太郎君 それでは、今日は山本副大臣もお見えいただきましてありがとうございます。
 午前中も金融に関していろんな議論があったんですが、私はまず金融産業の意義といいますか大切さ、これを副大臣に問うてみたいと思うんですが、午前中もいろいろありました。民主党さんの主張のとおり、やっぱりインサイダー取引とかあってはならない不祥事が金融市場であっていることは確かなんですが、金融産業というのはこれから日本の構造を見たときに非常に僕は大事だと思うんですね。やっぱり人口が減っていく中で、一人頭で生産性や経済力を上げていかなきゃいけない、製造業以外でサービス業の中で一番付加価値が高いというのはやっぱり金融ですから、金融産業をしっかり育成していくというのも大切なことだと思うんです。
 ところが、やっぱり他党さんの議論はよく分からないんですが、自民党の中での議論も、もう先生も部会長のときに奮闘されていましたが、いろいろありますよね。日本は製造業の国だから金融というのは合わないんだからと、金融というのはばくちであって製造業の国日本としてはそんなに大事じゃないんだからと。どちらかというと二律背反みたいなことが言われるんですが、これもいかがなものかと思うんですね。
 私のようなものがこのような身なりで金融、金融言っていますから、いかがわしいような感じがあるのかもしれませんけれども、やっぱり金融というのは本当に非常に重要だと思うんですね。例えば製造業も大事ですけれども、製造業見たら、これからの国際競争に勝とうと思ったら大量の設備投資資金とか研究開発資金が要るわけですよ。その国の中に効率的な市場を持っておけば、株価が上がるようなマーケットを持っておけば、株が上がれば調達コストは下がるわけですから、設備投資にも研究開発にもお金が回せます。
 また、今みたいに株を下げてしまうと、海外から虎視たんたんと日本の技術やブランドをねらっている金融機関とかメーカーとか政府系ファンドから見たらバーゲンセールですよ。やっぱり株を上げていく、それは製造業のためにもいいことですから、まあ製造業があってそれで十分だとか、金融業は日本に向いていないとか大事じゃないとかいう議論がありますが、根本の議論なんですけれども、金融業はいかに大切であると考えられているか、副大臣、いかがですか。
○副大臣(山本明彦君) 田村先生のお話のとおりでございまして、日本の場合そうでありますけれども、製造業だけに頼るというのはやはりこれはバランスが悪いわけでありまして、製造業、金融業、サービス業、いろんな形でバランスよく成長していくというのが一番だというふうに思っております。
 ちょっと今、日本は製造業だけで金融業が少し遅れておるのではないかというお話がございましたけれども、なかなかそうではありませんで、私も聞きましたら、江戸時代に既に大阪で米の先物取引というのが世界に先駆けて開かれておったそうでありまして、なかなか日本の金融センスもばかにしたものじゃないなと、そんな感じがしております。ただし、今バランスよく進んでいるかどうかといいますと、今委員御指摘のように、日本はちょっと遅れておるというとおかしいんですけれども、金融サービス業のGDPに占める割合でありますが、ずっと最近七%前後で推移しておりまして特に増えてはおりません。減ってもおりませんけれども、なかなか増えてきておりません。
 世界の中でどうかといいますと、GDPに占める金融セクターの割合がフランス、ドイツよりはいいんですけれども、今七%という数字は、アメリカが八・三%、英国が同じく八・三%、シンガポールは一〇・八%、香港は一二・二%ということで、決して日本は自慢できる数字ではありませんので、千五百兆円もある個人金融資産の利用も含めまして、やはり金融産業というものに更に目を向けていくべきだというふうに考えております。
○田村耕太郎君 そこで、この法律、大体この法律ができればよく先進的なマーケットと言われますニューヨークとかロンドンとか、そういうところと条件整備としては遜色のないものになると思うんですね。しかし、一番差が開いているのは、プレーヤー、金融機関のやっぱり彼我の実力といいますか、貪欲さといいますか、そこではないかと思うんですね。条件整備はこれで整っても、そこで競争していく金融機関がどこまで頑張るかということにマーケットのグローバル化は懸かってくると思うんですけれども、ここが僕はまだまだ課題があるんじゃないかなと思っているんですね。政治や行政が民間企業に介入することは許されませんので、我々ができることというのは限界があると思うんですけれども、例えば金融機関の中に、もう今や世界の金融機関では英語で会議をしたり英語で社内言語を統一するのが常識になっています。あの誇り高いフランスの銀行やドイツの銀行でももう英語に切り替えていますし、例えばドイツの銀行やフランスの銀行で国際的に競争力のある金融機関見てみますと、経営陣見たら、FIFAといいますか国連といいますか、もう多国籍になっていますよね。
 私が驚いたのは、ロンドンでゴールドマン・サックスのトレーディングフロアを見せてもらったときにいろんな旗がトレーディングフロアに飾ってありまして、ワールドカップ終わったのに何だろうなと思ったら、そこに三千人ぐらい働いていて、そこの国籍だそうなんですね。数えてみたら百四十幾つあったんですね。つまり、もう有能な人なら国籍は問わない、ウィンブルドン現象と言われましたが、そういう時代に入っているのに、じゃ、日本は有能な人を成果報酬でどれぐらい国籍問わずに採用しているかといったら、日本の金融機関まだまだ限られています。経営陣に至ってはもうほぼ日本人しかいないというような状況ですね。こんなことで条件整備をしても世界と戦えるのか、世界が戦えると思って、世界がお金と共にタレントが来てくれるのか、非常に心配になるんですね。先ほど言いましたとおり、なかなか、政治や行政の力でしりをたたいて金融機関にもっと競争しろとか、内部の成果報酬体系まで変えろとか、国籍まで変えろとか言うのは無理だと思いますけれども、何かできることはないかと思うんですね。
 どうですか大臣、金融機関、プレーヤーのしりをこれからはたたいて、世界に通用する金融機関になっていけと僕は言いたいんですけれども、できることに限りがあるかもしれませんが、何かやっていらっしゃいますか、いかがですか。
○副大臣(山本明彦君) プレーヤーを育てろというお話だというふうに思います。やはり金融人材というのは日本にはまだまだ不足をしておるというふうに私も感じております。金融資本市場の国際力強化のためには金融機関の競争力強化がやはり不可欠であることは言うまでもないわけであります。
 先生御指摘のように、金融機関等が的確なリスク管理の下で適切にリスクテークを行っていくことができるような環境を整備することがまず必要だというふうに考えます。そのため、今回の改正案の中で、金融機関がその能力を十二分に発揮できるように、ファイアウオール規制の見直しや銀行等の業務範囲の拡大を図ることとしております。そして競争力強化のために、これらの制度整備に加えまして、いわゆる今先生御指摘のように、専門性を有する人材が適切に育成、確保されていくことが大変重要であるというふうに思っております。
 この点につきまして、金融庁におきまして今何をやっているかというお話でございましたけれども、現在、金融専門人材に関する研究会を開かせていただいておりまして、その中で、仮称ではありますけれども、金融士といった資格の創設を含む検討を今始めておるところであります。今年の夏ごろには論点の取りまとめを行いたいということを思っております。
 そんな形で人材の育成ということにこれから我々としても力を入れていきたいというふうに思っております。
○田村耕太郎君 本当に、プロ向け市場をつくってもプロがいないというような状況にならないように頑張っていただきたいと思うんですね。
 例えば金融機関、例えば間接金融の方をしりをたたく意味では、検査に時価会計を徹底して導入して、持っている資産を寝かせない、眠らせない、常にある資産を汗をかいて稼がせるプレッシャーを掛け続けるということを検査からやっていくというようなこともいいと思うんですけれども、これは別に私の提言ですのでお答えは求めませんが、是非本当に継続して頑張っていただきたいと思います。
 そこで、今度はマーケットの方ですね、行政の制度整備は整ったんですけれども、あとはマーケットにもやっていただきたいことが結構ありまして、それは、一つは品ぞろえを豊かにしてほしいと思うんですね。
 これは参考人のときになるかもしれませんけれども、金融庁さんにお聞きするのはお門違いかもしれませんが、総合取引所構想というのが数年前から言われています。証券取引所だけじゃなくてほかの取引所、国内にもいろいろありますけれども、商品の取引所とかと一緒に相互乗り入れをしていって製品ラインを増やしていく、品ぞろえの幅を広げていくということ、これ非常におもしろいと思うんですね。穀物や原油、こういうものに関しては商品も東証で買えるとか、逆に商品取引所で株に関連したような商品が買えるとか、相互乗り入れを進めるような条件整備をしていただいたんですけれども、まだ残念ながら役所の壁みたいなのがひょっとしたらあるかもしれません。しかし、もう今や行政は国民のために徹底して働いてほしいと、そういう姿勢を政治が見せないとなかなか政治に対する信頼は回復できないと思いますので、政治家として行政の中にいらっしゃる副大臣には、総合取引所、これを踏み込んで、もう何歩も踏み込んで進めていただきたいと思うんですけど、決意をお聞かせください。
○副大臣(山本明彦君) 御指摘のように、海外ではもう総合取引所というのが、グループ会社ではありますけれどもグループとして既に実施をしておるところでありますけれども、日本も今回の法改正でそうしたことが可能になりつつあるわけでありますけれども、なかなかやはり縦割りというだけではありませんで、金融商品と商品というものは大分中身が違うわけであります。したがって、余り簡単にやってしまいまして、その壁を取り払うことによってそのすき間のところでまた犯罪が起こるというようなことも、いろんなこと考えられますので、この辺はやはり法的に慎重にやりながら、使いやすい取引所をこれから考えていきたいというふうに考えております。
○田村耕太郎君 もう今すばらしい指摘いただきましたが、商品相場の方はどちらかというとギャンブル市場みたいになっていますので、その辺の条件整備をしっかり、まあ縦割り行政あるかもしれませんが、それを乗り越えて整備していただいて、いい形での総合取引所ができるような、そんな頑張りを期待させていただきたいと思います。
 次は、品ぞろえを増やした後はその品物の品質、クオリティーコントロール、この話をちょっと法務省さんともさせていただきたいと思います。
 先ほども民主党さんの専門家の先生方の御意見の中にあって、私ももう全く同感なんですけど、日本市場がその実力の割にやっぱり過小評価されている。この大きな原因の一つとして、ガバナンスですね、何というんですか、株主の意見がなかなか経営陣に届いていない。株主としては株を上げてほしい。そのためのプレッシャーを、健全なプレッシャーだけがやっぱり今回の対象なんですけれども、健全なプレッシャーを掛けていきたいんだけど、経営陣がいろんな形でそれを無視している。
 例えば、親子上場の問題、第三者割当ての問題、過度な買収防衛策の導入の可否の問題、こういう問題があるわけですね。こういうのは会社法の範疇に当たるのではないかと思うんですが、特に二年前の大改正のときに種類株、これを大幅に基準を緩和したようなところがありまして、買収防衛策が積極的に導入されるようになりまして、いろんな問題を引き起こしていて、日本というのは株主主権じゃないんだ、株主の声を聞いてくれないんだというような、まあある意味誤った、ある意味それはやっぱりちょっと残念なメッセージが伝わっていると思いますんで、それを正していくためにもう一回、会社法、あれ大変だと思います。もうすごい何千ページにわたる改正だったんで、もう法務省さんもお疲れかもしれませんけど、もう一回ガバナンスを強化するような、例えば大会社には委員会等設置会社を義務付けるとか、大会社には独立取締役の導入を義務付けるとか、そういう形でガバナンスを注入するための会社法のもう一回の改正、検討いただけませんかね。
 副大臣、踏み込んだ発言期待します。
○副大臣(河井克行君) 田村耕太郎委員には、日ごろから大変金融及び経済全般について卓越した御見識を御披露いただいておりまして、法務省としてもしっかりと受け止めていきたいと考えております。
 御指摘をいただきました会社法は、会社の設立、組織、運営及び管理に関する事項を定める民事の基本法でありまして、おっしゃるとおり、会社のガバナンスにつきましてはこの会社法で規律されるべき事項であると認識をいたしております。
 この会社のガバナンスにつきましては、元の商法の時代から不断の見直しが実施をされてきておりまして、これまでも様々な視点から改善がされてきております。特に平成十七年の、先生は大改正とおっしゃいましたが、会社法の制定、これ昨年に完全実施をされておりますけれども、会社のガバナンスにつきましては、会計参与制度の創設、会計監査人制度の見直し、取締役解任決議要件の緩和、株主代表訴訟制度の見直しなどの改正を行っております。
 法務省としましては、その会社法で新たに導入された一連の規律、これの施行状況をじっと注視をしております。注視をするだけでは駄目ですから、今後ともこのガバナンスを含めて会社法について不断の見直しを行ってまいりたいと。特に学者、有識者の方々にも入っていただいて法務省として勉強会を積み重ねております。いずれ適切な時期、適切な内容、適切な事項につきまして勉強会として取りまとめを行い、法制審議会にもまた御相談をさせていただいて、平成に入ってからもう八回、会社法、そして商法はこのガバナンスについてだけでも改正をしておりますので、十七年が終着駅なんてことは全く考えておりません。いつ改正するかということは言えませんですけれども、しっかりと改正をすべき時期に日本の国益を考えながら行っていく決意でありますので、田村委員のまた御指導、御助言を心から期待をさせていただいております。
○田村耕太郎君 ありがとうございました。期待の持てる発言いただきましたので、もう私も微力ながら頑張りますので、副大臣、皆さん、よろしくお願いします。
 ということで、お忙しいので、もし委員長よければ。
○委員長(峰崎直樹君) それでは法務省のお二人、退席して結構でございます。
○田村耕太郎君 ありがとうございました。
 ということで、突っ込みが足らないという意見がありましたので、今度は金融庁さんの方に突っ込ませていただこうと思うんですけど、一つは、会社法の改正にもう少し時間が掛かるような場合は、取りあえず取引所の規則の方で対応していただくというような対応もあると思うんですね。取引所規則、この方で、例えば東証だったらもう九十数%の取引が東証に集中しているわけですから、東証に上場したいんだったら、東証に上場をし続けたいんだったら独立取締役の導入、委員会等設置会社の導入、これはもう義務ですよみたいな形でこれは東証さんにお願いするしかないんですけど、東証さんにプレッシャーを掛けていくというのも一つの手だと思うんですが、この辺、金融庁さんのお考えはいかがですか。
○副大臣(山本明彦君) 両面があると思います。会社法と取引所による規制と両方あると思いますけれども、やはり民間の方に我々の方で余り強い圧力を加えるのもいかがかと思いますが、やはりバランス、まさに先ほど申し上げましたようにバランスよく進めてもらうのが一番でありますので、東証にもしっかり考えていってもらいたいと思いますが。
 商法、会社法につきまして、委員会設置会社の導入等、累次の改正が行われてきました。証券取引所の規制におきましても、コーポレートガバナンスに関する規定の整備が図られてきたところであります。さらに、金融商品取引法におきましても、有価証券報告書においてコーポレートガバナンスの状況についての開示を求める等の制度整備を行ってきたところであります。四月からは上場会社に対する内部統制報告制度が適用となっております。これも今各社で努力していただいておるわけでありますけれども、こうした形で是非信頼性のある企業をつくっていっていただきたいと思いますが、法制度の整備と証券取引所における取組が相まってコーポレートガバナンスの強化が図られていくことが重要であると、こう考えております。
 東京証券取引所におきましては、五月二十七日、一昨日でありますけれども、上場会社のコーポレートガバナンス向上の観点から企業行動規範の拡充等に向けた検討を今年度の最重要課題として進める旨を発表されたというふうに聞いております。こうした場所でいろんな、先ほど先生お話ありましたように、いろんな問題点を解決をすべく問題として東証にも頑張っていってもらいたいと、このように考えておるところであります。
○田村耕太郎君 もう一つの選択肢としては、金融庁さんが独自の法制を考えられるということがあると思うんですね。それは、先進的な資本市場を持っている国が結構共通の法制として持っているのが上場会社法というやつですね。会社法というのは大会社、中会社、小会社と規模に応じてカテゴリーを分けているんですけど、ガバナンスからの観点から見ますと、上場企業独自のやっぱりある意味の法制というのが必要ではないかと思うわけです。上場企業に限った法制といいますと、これまた法務省さんと金融庁さんのどちらの所管になるのか。まあ両方、両足入っていくようなところがあるかもしれません。
 これ質問通告していないので答えられなかったらもう結構ですけど、上場会社法というのは、副大臣、検討に値するんじゃないかと思うんですけど、いかがですか。別にどなたでも結構ですが。
○政府参考人(三國谷勝範君) 会社あるいは証券取引の在り方、資本市場の在り方については、様々な角度から様々な御提言をいただいておりますし、私どもも関係省庁とも協議しながら随時その改革に努めてきているところでございます。
 御指摘の件につきましても、様々な御意見がございますけれども、私どもといたしましては、いろいろ資本市場の透明性を高めると、そういった観点からまた引き続き制度の改革に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○田村耕太郎君 今度は、午前中大塚先生も御指摘されたんですけれども、排出権取引、今回の法制でこれは兼業スタイルでも証券取引所が運営できることになりました。これは大きな進歩だと思うんですね。
 各党で排出権取引の議論が進んでいると思うんですが、政府内でもそうです。ただ、自民党の中はやっぱり最近になって、推進派もいますけれども、産業界の代表者の方々が大分巻き返してこられまして、なかなか予断を許さないような状況になっていまして、今年はTICAD、G8ありますんで、両方開催されるというのが四十年に一度のことですので、やっぱりこれ踏み込んで、総理がG8のある意味大きな成果にするチャンスだと思いますし、そういう法制も整うわけですから、頑張ってやってほしいと思うんです。
 やっぱり、それはもちろん最初から完璧な制度ってありませんし、課題を挙げたら切りがないんですが、これ国際会計基準と同じような論点があると思うんですね。最後まで日本には日本のやり方があるんだと突っぱねていたら、最後は日本の、やっぱり不利な条件をのまされてもうしぶしぶという感じに、同じようになっちゃうんじゃないかと思うんですね。逆に、中国というのはしたたかで、最初からそれを受け入れて中から自分の有利なように変えていくと。私は日本もそういうような知恵と工夫と勇気が排出権取引制度に必要だと思うんですが、その市場を整備されて金融市場のグローバル化を目指されて、その一つの大きな武器になると思うんですけれども、副大臣、どうですか。これ進めるべきだと思うんですが。
○副大臣(山本明彦君) 田村委員お話のとおりであるというふうに思っております。
 そういったこともありまして、一刻も早く進めることができるようにということで、今回の金商法の改正で金融庁としては排出権取引市場を認めたわけでありますので、やはりそうしたまず土台をつくるということであります。しかし、中身がまだ全く詰まっておりませんので、その中身を今それぞれ、党においても、政府においても、皆様方におかれても今勉強をしていただいているところだというふうに思っております。
 京都議定書期間だけでなくて、先ほどお話ありましたように洞爺湖サミットに向けて総理も懸命に頑張っておられます。地球温暖化対策というのは多分一番大きなテーマになるというふうに思っておりますけれども、そうしたことに先駆けてやはり排出権取引市場というのを創設しておくことは大変重要だというふうに考えておりますので、私どもとしては前向きに取り組んでいきたいというふうに思っております。
○田村耕太郎君 次に、やっぱりマーケットがグローバル化しますと、今度は投資家保護という観点が必要になってくるんですけれども、今の投資家保護、どちらかというと、よく言われるのが、郵便局で投信買おうと思ったら説明に二十分掛かって、途中で仕事の電話が入って買えなかったとか、もちろん保護も必要なんですけれども、保護の仕方もいろいろ、もう釈迦に説法ですけれども、ありまして、やっぱり投資家の自己防衛能力を高めてもらう、つまり金融・投資教育をしっかり国としても施していく必要があると思うんですね。
 金融庁さんも、文部科学省さんと一緒になってカリキュラムに入れるとか入れないとか、いろいろやられていると思うんですけれども、やはり先進的な金融市場を持っている先進国では金融・投資教育というのが何らかの形で行われていると思うんですけれども、日本も、ちょっとその面遅れていますが、一気に投資教育については追い付くチャンスですので、例えば義務教育に入れるとか、そういうことをやられてはどうかと思うんです。裏を返せばだれが教えるんだという話にもなりますけれども、是非とも頑張っていただきたいんですけれども、今、今後金融・投資教育、どのようなお考えで、どんなふうに進められているのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
○副大臣(山本明彦君) 先ほどプレーヤーが不足しておるというお話がございました。遅まきながら、仮称、金融士をつくっていくということで進めておりますんで、やはりもっと早い、今委員御指摘のように、子供のときから、若いときから教育するというのは大変大切でありますので、そんな形で進めていきたいと思っておりますが、投資家保護の観点からいいまして、分かりやすい金融経済教育を行うことは大変重要だと認識をしております。
 そこで、昨年策定いたしました金融・資本市場競争力強化プランにおきましても、金融経済教育の一層の充実による金融経済リテラシーの向上といった施策を盛り込んだところであります。
 金融庁といたしまして、こうした問題意識から金融取引の初心者向けに、金融投資の基礎的な知識や最近の金融取引のトラブル事例を解説したパンフレット、「はじめての金融ガイド」、ここから始まるわけでありますけれども、「はじめての金融ガイド」を作成し、全国の高等学校や地方公共団体を通じて広く一般に今配布をしております。
 また、昨年来、地域の住民の方々を対象に、生活設計や資産運用の在り方について考えてもらうためのシンポジウムを全国五か所で開催しております。私も東京と名古屋と二か所へ行ってお話をさせていただきましたけれども、多くの方が大変興味を持って参加をされておりました。まさに本当の個人投資家でありますので、是非こうした方たちにこれから投資も実績も伸ばしていただいて、また子供たちにも是非伝えてもらいたいと、こんなふうに思っております。今後も更に五か所で開催する予定となっております。
 こうしたことを通じまして、金融経済教育の一層の充実に努めてまいりたいと思っております。
○田村耕太郎君 グローバル化を進める上で、個人金融資産をいかに効率的に汗を流してお金自体に稼いでもらうかという観点が欠かせないと思うんですが、日本の千五百五十兆円と言われる金融資産はほとんどがやっぱり貯蓄セクターで眠っていると。
 例えば、よくテレビなんかで報道されているようですけれども、日本の高齢者の方は平均したら三千万円持って亡くなるとか、また、亡くなられたある高齢者の方の御自宅から十億円以上の現金が見付かったとか、九十五歳の高齢者の方が老後が心配で貯金ばっかりしているとか、非常にある意味残念な、これは社会保障のせいかもしれませんけれども、やっぱり貯蓄に偏った資金の在り方というのは改善していかねばならないと思うんですね。これは間接金融マーケットもゆがみますし、やっぱり効率的な市場、千五百五十兆円が数%でも稼げばこれは国富が生まれるわけですし、購買力の増強を通じて消費も上がってGDPも上がるわけですから。
 是非これ、いかに進めていくか、いろんな方法はあると思うんですけれども、やっぱり税制が大事だと思うんですね。これはもう証券税制もありますし、これは相続税と贈与税の関係もありますし、この辺り、今年は抜本的な税制改正を行うと総理自身も言われていますし、党の中でもそういう議論になっています。チャンスだと思うんですね。貯蓄から投資を進める税制、民主党さんや共産党さんや公明党さんにも御協力いただかなければ税制というのはなかなかできないんですけれども、政府の中で金融を取り仕切られている金融庁さん、副大臣、どうですか、貯蓄から投資を進める税制についての意気込みを力強くお聞かせいただきたいと思います。
○副大臣(山本明彦君) 党の税調等もありますし、年末に向けていろんな皆さん方からの要望をお聞きしていくわけでありますけれども、我々としてもそれぞれ貯蓄が投資に向かうような形の税制ができるように、金融庁としても何とか最大の努力をしていきたいというふうには思っております。
 これまでもリスク資産に投資しやすい環境整備に努めてまいりました。一般投資家に納税の事務負担が掛からない仕組みである特定口座を導入して使いやすくなったというふうに思います。上場株式等の譲渡損失と配当との損益通算の範囲拡大ということでありまして、少し頑張ってまいりたいという割には中身はちょっと弱いわけでありますけれども、知恵を絞ってこれから投資に回るような形の税制を我々としてもしっかりと考え出していきたいというふうに考えております。
○田村耕太郎君 貯蓄から投資を進める上で呼び水となるようなそういう機関をつくるというのも一つのアイデアだと思うんですね。これはシンガポールが、今ちまたに言われています政府系ファンド、ソブリン・ウエルス・ファンドですね、GICとかテマセック、大分有名になりましたけれども、こういうものをつくったのも、やはり投資を促進する、金融センターにする、そういう意味で国が持っている財産をマーケットで運用しようと。そのためにプロを世界中から集めてきて、更にお金を世界から呼んでいこうという構想だったと聞いていますが、日本も公的セクターは結構お金あるんですね。外貨準備も一兆ドルありますし、公的年金百六十兆円、政府保有の不動産というのは五百兆円ぐらいあると言われています。
 こういうものを公的セクターに眠らせるんじゃなくて、さらに民間の金融市場に出してきて、世界中のプロを引っ張ってきて運用をしてもらって、そして人材とお金があるマーケットだから更に投資をしようと。そして、それを見て個人も、じゃ投資というのは国もやるぐらいだからおもしろいんだな、いいんだなと思って入っていく、こういう呼び水効果もあると思うんですけど、日本版政府系ファンドという議論が結構行われていますけど、これ民主党さんでも議論も始まりましたし自民党の中でもやっている人がいますけど、副大臣はこの構想、いかに思われますか。
○副大臣(山本明彦君) 自民党の中でも、田村先生を中心に活発に議論をされておるということはよくお伺いをしております。
 今委員御指摘のように、年金、外為、数百兆円のお金がこれはあるということでありまして、やはりあるからには有効に使おうというのも、これは大変大きな政府としてのこれも責任であるということも間違いはないというふうに思っております。
 いろんな考え方があるというふうに思いますけれども、やはり考え方というのは後ろ向きよりも前向きの方が私は正しいと思いますので、是非前向きにいろんな考えを入れていっていただきたいと思いますが、この日本版のSWFにつきましては、金融庁といたしましては公的資産の運用を所管する立場にはございませんので、どうした方がいいということは申し上げることができませんけれども、お金は流れないよりは流れた方が間違いなくいいということだけは確かだというふうに思います。
 一般論として申し上げますと、投資資金の流入により株式市場の厚みが増すことは、市場自体の魅力を高め、一般投資家による株式投資を促進するものという面があるというふうには考えております。
○田村耕太郎君 一説には、副大臣はもう最近中東にも行かれたというお話を聞きましたが、私は、日本は、何というんですか、日本のマーケットというのは過小評価されているんじゃないかと思うんですね。そういう変なイメージばかりが日本語でも英語でも報道されていて、実は今日本の市場の条件整備がここまで整った、そしてこれぐらいの規模であるということをお伝えすると、特に外国にいる外国人投資家の方なんか、知らなかった、それなら行ってみようか、それなら投資してみようか、割安だから今がチャンスじゃないかという方が多くて、意外と過小評価されているんじゃないかと思うんですね。
 副大臣も、多分中東では日本の市場のセールスプロモーションやられたと思うんですが、積極的に金融庁さんには、例えばイギリスの財務省なんか、マーケット、シティーのセールスプロモーション部隊がいて、日本にも来たり北京でも活動したりシンガポールでも活動して上場予備軍を引っ張ってきたり、政府自体がやっておりますけど、そういうセールスプロモーション活動を更に金融庁さんにはやっていただきたいと思いますし、そのときにはさらにゴールドのジャケットで行っていただくとか、いろいろもっと目立って、日本のマーケットはチャンスで日本は変わりつつあるんだというようなメッセージを世界に送っていただきたいと思うんですが、副大臣、頑張ってください。いかがですか。
○副大臣(山本明彦君) 私は、幾ら頑張っても田村委員のように格好良くはなかなかできませんので、シルバージャケットぐらいで頑張ってみようかなというふうに思っておりますが。
 今委員御指摘のようにこれは国を挙げてというんですか、やっぱりセールスをするということは私は大変必要だというふうに思っております。今委員御指摘のように、私も中東へ行きまして営業をしてきたと、こんなふうに自分でも思っております。やはり日本のお金だけでなくて世界中にお金が今だぶついておるとは言いませんけれども、SWFを始めいろんな資金があるわけでありますので、そうした資金をやはり日本へも有効に使う、日本の資金も有効に使うし世界の資金も有効に使うということが絶対に必要だというふうに思いますし、それぞれ投資対象というものがあるわけであります。
 先ほど国に四百兆円ぐらいのお金があるという話がありましたけれども、ないお金でも投資へ回るんですよね。これは必ずしもあるから回すだけではなくて、ないお金も回っていく。SWFというのは、オイルマネーだとか外為だとかそういったものの話が多いわけでありますけれども、そうばっかりではなくて、私事で恐縮ですけど、この前行きましたときに聞きましたら、投資資金の元手は何だと聞きましたら、別にオイルマネーでも何でもない、自分たちの関連会社がもうけた金をこちらへ持ってきて、その金を使って投資へ回しているんだと、こういう話がありました。
 まさに金を回すためにいろいろと金を稼ぐ、金を稼いで金をまた回す、やっぱり物と人とお金が動いて初めて成長していくというのはつくづく感じさせていただきました。やはりいかにお金を有効に使うかということでありますので、先ほど申し上げましたように、日本のお金も外国のお金もしっかりとうまく使う、しかもそれが日本のためになれば一番いい。こんな形でそれぞれの資金も有効に使っていくように我々も努力していきたいと思いますので、田村先生も今まで以上にまた御努力をいただくことをお願いしておきたいと思います。
○田村耕太郎君 山本副大臣から非常に力強い発言をいただきましてもう勇気百倍になりましたので、もう邪魔にならない範囲で微力ではありますが一生懸命頑張りますので、これからもよろしくお願いします。
 まだまだ質問はあったんですけど、もう午前中、民主党の専門家の先生方に出番を奪われてしまいましたので、少し短いですが、ここで終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○荒木清寛君 それでは山本副大臣に、まず今回の法案の基となっております昨年十二月二十一日に金融庁がまとめました金融・資本市場競争力強化プランについて、若干お尋ねいたします。
 このプランは、昨年の一月に当時の山本金融担当大臣の方針に基づき金融審議会でまとめられて、金融庁のプランとして発表になった。また、その間、二〇〇七年の骨太の方針の中にもこの金融・資本市場競争力強化プランの策定が盛り込まれたという、こういう経緯でございます。
 これは本当に、もう先ほどからありますように、日本といいますか東京を国際金融センターの一つの中心にしようという、そういう野心的なチャレンジでありまして、このことに反対をする人は少ないと思うんですね。何かにつけ日本が一つの中心として機能するということは、それはいいことだと思います。
 その背景には、日本はこれまではまた今も製造業、物づくりを中心にやってきたわけでありますけれども、いつまでもそれだけではもう中国の猛追をかわし切れない、これからは金融サービス中心の経済に転換をしていかなければいけない、イギリスがその見本になるんではないか、こういう背景もあろうかと思います。
 ただ、先ほど田村委員からもありましたとおり、しかしそうはいっても本当にそんなことができるんだろうかという懐疑論は何も自民党内に限らずあるわけでありまして、私どもも今年になって有名なアナリストの講演を聞きましたけれども、その方もそういう懐疑論をおっしゃっておられました。
 そこで、近年、我が国の金融資本市場の国際的地位は、諸外国と比較して相対的に低下をしております。先ほど渡辺大臣は、今国際競争力は九位だというふうにたしか言われたと思いましたが、私が二月に金融庁からいただいた資料ですと東京は十位だというふうに書いてありまして、それから一番上がったのであればそれはそれでいいんですけど、出典はシティー・オブ・ロンドン、二〇〇七年九月というふうに書いてあります。
 それで、いずれにしましても、我が国のそういう金融市場の競争力というのは相対的に低下してきているわけでありますけれども、それはいろんなデータで裏付けられるわけでありますけれども、その原因について政府としてはどう分析をし、あるいは対応していこうとしているのか、お尋ねいたします。
○政府参考人(三國谷勝範君) 近年、我が国金融資本市場の国際的な地位が諸外国と比較いたしまして相対的に低下しているとの御指摘につきましては、幾つかの要因が考えられるところでございます。
   〔委員長退席、理事円より子君着席〕
 一九九〇年代以降、我が国実体経済は、いわゆるバブル崩壊を受けましてデフレ状況が長期化いたしました。この間、一点目は、一般事業法人は過剰債務解消のためのバランスシート調整などに取り組みました結果、企業セクターとしての金融資本市場の活用が総じて低調となったのではないか。二点目、家計でございますが、家計は実物資産価格の下落や所得減少などを背景に、金融資産への投資に慎重になったのではないか。三点目でありますが、金融機関。金融機関は、不良債権問題の処理が最優先となった結果、積極的なリスクテークや新しい分野への進出を行うことができる状況にはなかったのではないか、こういったことが指摘されているところでございます。
 私どもといたしましては、この間、市場の活性化あるいは公正性、透明性の確保を図るために様々な観点から市場改革に取り組んで、我が国市場が内外に開かれたものとなるよう取り組んできたところでございます。ただ、他方、諸外国の主要な国際金融センターにおきましては、新興経済諸国や資源保有国の経済成長などを背景に、先進的な金融技術を用いた収益機会の提供などによりまして市場が高い成長を遂げましたために、我が国市場の相対的なプレゼンスが低下したものと考えられているところでございます。
 私ども、今回、我が国金融資本市場競争力の強化プラン、またそれに基づきまして今、国会でこういった御審議をいただいております金融商品取引法の改正、さらには人材の育成、あるいは周辺インフラ、ベター・レギュレーション、こういったものに総合的に取り組むことによりまして、少しでもさらには先々日本が世界で活躍できるような、そういった市場の構築に努めてまいりたいと考えているところでございます。
○荒木清寛君 今、対応面としまして人材の育成というお話もありましたので、そのことについて、先ほど田村委員からもありましたけれども、私も重ねてお尋ねしたいんですが。
 このシティー・オブ・ロンドンでも、日本の市場の評価が低いものとして、規制と人材面ということが挙がっています。規制の面では今回法改正するわけですから、かなりこれは障壁が取り払われると思いますけれども、では人材はどうかという、人材の育成ですね、国際金融に豊富なそういう能力を持つ人材が少ないということかと思います。
 そういう、英語もできてそういう国際金融に精通した人材を本当に育成をしているのかということ、あるいは外国人でもそういう能力のある人をたとえ一億円の報酬を払っても雇用するという、そういう風土にあるのかということもありますし、あるいは外国人従業員といいますか、そういう人が日本で仕事をする場合も人件費が高い、ハウスキーパーを採用しようとしても年収三百万円、英語もできない、いろんなことが指摘をされているんだと思うんですね。
 そういうことを本当に、今後、この法改正はもう通って、そういういろんな人材面についての評価が低いというところをどうやって乗り越えていくのか、ちょっともう少しお答え願いたいと思います。
○副大臣(山本明彦君) 先ほど田村委員からの御質問もございましたいわゆる人材育成でありますけれども、金融面については日本は人材が少し足らないということは事実だというふうに思っております。したがいまして、国際競争力強化のためには、制度整備に加えまして金融機関等において専門性を有する人材が適切に育成、確保されていくことが重要である、御指摘のとおりだというふうに思っております。
 この点につきまして、金融機関等自らの努力が求められるところではありますが、金融庁といたしまして現在金融専門人材に関する研究会を設けまして、そこで金融士という、まあ仮称ではございますけれども、資格の創設を含む検討を今進めておるところでございます。本年夏ごろをめどに論点の取りまとめを行ってまいりたいと、こう考えております。
○荒木清寛君 分かりました。
 それでは次に、今回の改正案につきましてお尋ねをいたします。
 まず第一点は、プロ向け市場の創設という点でございます。現行の新興企業向け市場、マザーズ、ヘラクレス等につきましてはいずれも取引が低迷をしている、このように承知をしております。その課題をどう理解をしているのか。
 といいますのは、今回のプロ向け市場の創設ということは、要するに情報開示等を少し簡略にするということですので、そういうこれからチャレンジしようという新興企業については新たな資金獲得の機会が提供されるものと考えられますけれども、そうすると、従来のそういう市場との関係がどうなっていくのかということを心配いたしますので、その点について御説明を願います。
○副大臣(山本明彦君) 新興市場向け市場につきまして御指摘がございました。
 御指摘のように、新興市場の動向は、平成十八年以降、売買高は減少傾向となってきております。
 その要因はいろいろ考えられるわけでありまして、一概に申し上げることは困難でありますが、海外を見てみますと、諸外国におきましては、プロ投資者を念頭に置いた自由度の高い市場が拡大しておりまして、魅力ある市場の構築に向けて国際的な市場間競争が展開をしておるところであります。
 我が国におきましても、プロ投資者の自己責任に立脚した自由度の高い取引の場を整備することにより海外企業や国内の新興企業等の資金調達の機会を拡大する、そして資金調達や投資運用先としての我が国金融資本市場の魅力を高めるとともに、プロ投資者間の競争を通じた金融イノベーションの促進を図ること等が重要であると考えております。
 こうした観点から、直接の市場参加者をプロに限定した新たな規律に基づく取引所市場の枠組みを構築することとするものであります。
○荒木清寛君 そうしたプロ向け市場については十分意義があると思いますが、あわせて、今指摘しました従来の、従来のといいますか、今の、現行の新興企業向け市場の活性化ということも考えていかなければいけないと思いますが、これにはどう取り組んでいくんですか。
○副大臣(山本明彦君) 既存市場の活性化ということだというふうに思いますけれども、新興向けの市場の設立目的には二点あります。一点は、高い成長の可能性を有する新興企業の資金調達を円滑にして新興企業の成長を支援する、もう一点は、投資者に広く成長企業への投資機会を提供する、この二点だというふうに思っております。
 御指摘のように、既存の新興市場の活性化も大変重要な課題であることは当然であります。各取引所におきましていろんな取組を行っております。現在いろんな取組を行っております。まず、市場に対する信頼を確保するという観点から上場審査体制を強化する、もう一点、市場の活性化を図るため流動性の向上等の取組を進めております。各々、NEO市場の開設だとかジャスダックはやっておりますし、いろんな既存の市場も取組をしておるところであります。
 金融庁といたしましては、このような既存新興市場の活性化に向けた各取引所の取組を更に促してまいりたいと思っております。
○荒木清寛君 次に、プロ向け市場における新設されます取引の市場の活性化と、プロとはいえ投資家には違いないわけでありますので、投資家でありますので、その保護ということももちろんないがしろにできないわけでございます。
   〔理事円より子君退席、委員長着席〕
 それで、今回のプロ向け市場の創設におきましては、規制緩和によりまして新たな企業の資金調達ということを可能にしていくわけでありますけれども、その創設に当たっては、ロンドン証券取引所のAIMを参考にしているというふうに聞いております。ところが、このAIMにつきましては、規制が極めて緩いために本当に取引がギャンブル化している、こういう指摘もございます。「活況「カジノ」」なんという、そんな見出しがある記事だったわけでございますけれども、そういう意味で、新興企業向け市場の活性化と、プロとはいえ投資家のそうした損失を被る危険については、衡量、バランスといいますか、取っていかなければいけないわけで、全部それは投資する人の自己責任ということではないと思いますけれども、そういうバランスはどう取っていくんでしょうか。
○副大臣(山本明彦君) 委員御指摘のように、プロ向け市場というのは投資家の自己責任というのが原則でありますけれども、やはり、先ほどお話ありましたように、ルーズ過ぎては、緩過ぎてはやはり駄目でありまして、バランスが取れた状況というのが当然大事になってくるというふうに思います。
 そこで、プロ投資家の自己責任を取り得る前提といたしまして、市場の公正性、そしてプロ投資家がプロ向け市場の特性を十分に理解して市場に参加すること、こうしたことが確保されるということが大変大切だというふうに考えております。
 このため、今回のプロ向け市場の整備につきましては、投資者の自己責任を立脚するため、いろんな厳格な手続を設けることにしております。
 例えば、虚偽等による情報提供に対する実効的な抑止を図るべく、民事上の損害賠償制度、課徴金制度、罰則に関する規定、こうしたことを設けて厳しさを設けておるところであります。そして、インサイダー取引規制等の公正取引ルールの適用につきましても、一般投資家の参加する市場と同様に、そのインサイダー取引規制についても対象としておるところであります。また、プロ投資家による取引の開始に際しましては、金融商品取引業者に十分な説明義務を果たさせております。
 金融庁といたしましては、これらの枠組みが適切に運用されることにより、プロ向け市場におきましても必要な投資家保護が十分確保されるように努めてまいりたいと、こう考えております。
○荒木清寛君 そのプロ向け市場の規制緩和の一環といたしまして、今回の改正案では、ロンドン証券取引所の制度に倣って自主規制業務の一部を外部に委託できるような仕組みが導入されます。
 ロンドン証券取引所の場合には上場審査までも委託が認められているということですけれども、そこまでは今回ないはずでございますけれども、今回の改正案では、どこまでそういう外部委託というのを認めていくような仕組みになっているのか、お尋ねをいたします。
○政府参考人(三國谷勝範君) 御指摘のとおり、ロンドンAIM市場では、ノーマッドという制度、仕組みによりまして、そういったノーマッドが様々な役割を果たすことによってこの市場が支えられていると承知しているわけでございます。
 したがいまして、今般も限られた範囲内ではございますが、自主規制法人以外にそういった自主規制業務を委託できる、そういった所要の措置を講じているところでございます。
 その具体的な中身につきましては、これからまたノーマッドの制度なども参考に、これは内閣府令の段階でいろんな策定作業を進めてまいりたいと思いますが、基本的には投資者の保護の根幹にかかわる事項以外のものということを考えているところでございます。したがってまた、自主規制業務の実施についての最終的な責任は取引所が負うと、こういった中で所要の範囲を定めていきたいと考えているところでございます。
○荒木清寛君 次に、改正案の論点でございます他業種禁止の緩和といいますか、銀行・保険会社グループの業務範囲の拡大についてお尋ねいたします。
 これまで銀行、保険会社には、それぞれ本業についての健全性確保の観点から他業種禁止の規制が課されておりました。子会社、兄弟会社等のグループ企業を含めて、極めて限定的にその業務範囲の他業種を行うことが定められてきたわけであります。しかし、今回の改正では、他業種禁止規制は引き続き維持しつつも、商品現物取引、排出権取引等を許容する等、業務範囲を拡大する内容を含んでおります。
 そこで、規制緩和とはいいながら、依然としてこの預金者保護、保険者保護の観点から、銀行、保険会社についての他業種禁止規制が必要であるというこの趣旨を改めて御説明願いたいと考えます。
○国務大臣(渡辺喜美君) 御指摘のように、銀行、保険会社には、経営の健全性を確保し、預金者、契約者保護を図るために法律で他業禁止が課されているところでございます。
 これについては、まず第一に、本業に専念することによる効率性を発揮してもらう、第二に、本業以外の業務を営むことによる異種リスクの混入を阻止する、第三に、利益相反取引や銀行等による優越的地位の濫用の防止といった観点を踏まえたものであります。
 一方、金融サービスの多様化、高度化や金融機関のグループ化が進展をする中で、金融グループが自ら創意工夫を凝らしながらグループ全体としてお客様に対しより質の高いサービスを提供し、収益性を高めながら国際競争力を確保していくということも重要な課題でございます。
 こうした観点から、本法案においては、銀行グループ等の業務範囲について、国際的な動向も踏まえつつ、経営の健全性の確保など、他業禁止の趣旨に留意しつつ、新たな時代のニーズにマッチした制度的枠組みを整備することにしたものでございます。
○荒木清寛君 大臣の御答弁によりまして改めて確認をいたしましたが、要するに銀行、保険会社のそういう経営の健全性を確保しつつも、利用者サービスの向上ですとか、あるいは国際的な競争力の強化という観点を勘案をしまして、一定の程度でこの業務範囲拡大というのを認めたという、そういう制度設計であると理解をしております。
 そこで、そうなりますと、やはりこの業務範囲拡大につきましては、新たな業務で被る銀行、保険会社のリスクを適切に評価をするということが大事であると思います。この点、今回の法文を読みますと、この業務範囲の拡大というところでは、法律事項だけではなく府令事項というところが多いわけですね。内閣府令ですとかあるいは監督指針にゆだねている部分が多いわけでありまして、そういうところによって銀行、保険会社の健全性の確保といいますか、具体的なリスク管理の手法等がゆだねていかれるわけでありまして、これは今後示されていくわけなんでございますけれども、そういう業務範囲拡大によるリスクを適切に管理をするために、どういう考え方でこういう府令事項といいますか内閣府令等を考えて打ち出していくのか、ここで今決まっていることを御報告願いたいと思います。
○政府参考人(三國谷勝範君) 御指摘の業務範囲の拡大でございますが、基本的に金融サービスの多様化、高度化、あるいは金融機関のグループ化が進展する中で、金融機関自らが、グループが自ら創意工夫を凝らしながら、グループ全体として顧客に対しより質の高いサービスを提供していくことが重要であるという考え方でございます。
 その際、金融機関の経営の健全性に影響が生じないような適切なリスク管理が重要となることは御指摘のとおりでございます。このリスク管理に当たりましては、業務の特性に応じますけれども、一つは信用リスク、一つは市場リスク、あるいは流動性リスク、そういった個々のリスクを的確に見極めますとともに、またこういったリスクを組織的、総合的に制御していくための手だてが必要かと思っております。また、その場合には、金融機関自らがこれらの総合的なリスク管理を適切に講じていくという基本的な視点も大事かと思っております。
 金融庁といたしましては、新たな業務の拡大に伴いまして、こういった金融機関の財務の健全性、これが損なわれることのないよう、こういった視点からの政府令の策定作業に取り組んでまいりますとともに、あるいは検査監督を通じまして、リスク管理あるいはその状況のモニタリング、こういったことを通じて対応してまいりたいと考えております。
○荒木清寛君 次に、改正案の内容の一つでありますファイアウオール規制の緩和についてお尋ねいたします。
 このファイアウオール規制の緩和につきましては、規制の目的に照らして、この規制の手段が過度といいますか、過大であるという観点ですとか、欧米の金融グループと比べて、欧米では相当これが緩和されているそうですけれども、競争上不利であるとか、いろんな観点からこのファイアウオール規制を一部緩和することになっております。
 そこで、しかしながら、このファイアウオール規制というのは利益相反による弊害の防止、あるいは優越的地位の濫用を禁止をする等の考え方で規制されているわけでございますので、この規制の緩和につきましては、利益相反管理体制の整備、また銀行の優越的地位の濫用防止の実効性を確保した上で緩和しなければならないわけでありますけれども、そういう体制の緩和についてどういう手だてを講ずるのか、お尋ねしたいと思います。
 これも金融庁からもらった資料ですと、例えば利益相反の事例というのはどういうものがあるかというと、銀行と証券会社で金融グループを構成しているとして、金融グループが貸している企業があってその企業が経営が不振であると、そういう企業に増資をさせて金融グループの証券会社で引き受けて一般投資家に売ると、こういう例が出ております。そうしますと、それを増資、新株を引き受けた、買った投資家の損失において銀行がこの債務の返済を受けてしまうという。しかし、利益相反の事例というのはもうもっといっぱい、こんな分かりやすい話だけじゃなく、あるはずですよね。
 だから、今回ファイアウオール規制を緩和して、またそういう金融機関が競争力を強化し、またそうしたことが一般投資家が受けるサービスの向上になることはいいことなんですけど、そういう弊害を防ぐ体制というのをやっぱりきちんとした上でやっていかなければいけませんので、お尋ねをいたします。
○政府参考人(三國谷勝範君) まずもって、銀行が融資業務等を通じまして顧客に優越的な地位の濫用、こういうことがあってはならないことは当然のことでございます。
 また、同時に、一方、金融機関の組織形態の多様化あるいは金融サービスの多様化、高度化に伴いまして、今後、金融機関とその顧客の間などでこれまで以上に様々な利益相反、いろいろな形態のものが生じることもあり得ると考えているところでございます。これらの弊害の防止につきましては、金融機関自らがこれまで以上に厳しい規律付けを持って個々の状況に適切に対応していくことが必要と考えているところでございます。
 制度的な面では、従来から銀行法令におきまして、ただいま御指摘いただきましたような事例、例えば、顧客に対しまして当該銀行又はその子会社等の営む業務に係る取引を行うことを条件として信用供与を行うこと、これを禁止しますとともに、また銀行として取引上の優越的地位を不当に利用して顧客に対し不利益を与える行為、これを禁止しているところでございます。
 今回の法案におきましては、銀行・保険会社グループの業務範囲の拡大やファイアウオール規制の見直しと併せまして、銀行、保険会社、それぞれに対しまして利益相反管理のための体制整備を義務付けることとしているところでございます。具体的には、利益相反のおそれのある取引の抽出、特定とか記録の保持とかでございます。
 私どもといたしましては、今回の金融グループの業務範囲の拡大に伴いまして被害が顕在化することのないように、検査監督を通じまして適切にモニタリングしながら対応してまいりたいと考えているところでございます。
○荒木清寛君 最後に、銀行グループの議決権保有制限の緩和といいますか、例外措置の拡大についてお尋ねいたします。
 現行法では、銀行グループの議決権保有、行使については制限があるわけでございますけれども、これは銀行グループによる他業種禁止というこの規制を潜脱をするおそれがあるとか、あるいは古典的なところでは、もうそういう産業支配のおそれがあるとか、そういうことで一定のルールがあるわけでございますけれども、今回の改正では、いわゆる事業再生会社については議決権保有制限の適用を除外をするという、そういう内容がございます。この枠組につきましては、既に認められておりますベンチャービジネス会社についてと同様に対象範囲を拡大をするということでございます。
 そこで、既に導入されておりますベンチャービジネス会社について、議決権保有制限の解除ということがどの程度そうした新たな創業支援に寄与してきたという実績があるのか、報告を願います。そしてまた、あわせまして、今回導入されます事業再生会社につきましてもどういう今ニーズがあって、またどういう効果がこれから期待をされるのか、説明をお願いいたします。
○政府参考人(三國谷勝範君) ベンチャービジネスに関しましては、平成十年の金融システム改革の際に、銀行グループなどの公共性にかんがみればベンチャービジネスの育成にも配意する必要があるとの考え方に基づきまして導入をされたものでございます。
 この制度に基づきまして、創業支援等へどれだけの寄与があったかということにつきまして、これ、定量的にお示しすることは困難でございますが、むしろ内閣府令で定めるベンチャービジネス会社の範囲が狭く、制度が広く活用されていないのではないかとの御指摘があるところでもございます。こういった意味で、ベンチャーの要件につきましても、例えば設立五年未満との要件を設立十年未満に緩和すること、こういったことも考えていきたいと考えているところでございます。
 一方、今回の法案におきましては、銀行グループ等による企業の事業再生、地域再生への取組、これに資するよう、事業再生を行う会社につきましても、この新たな議決権保有制限の例外措置の対象に追加するということをお願いしているところでございます。これは、銀行グループ等にはベンチャーの育成のみならず、企業再生の局面におきましてデットに限らずエクイティーまで含めた総合的な企業ファイナンス、これに貢献していくことが求められるのではないか、こういった御指摘を踏まえたものでございます。
 金融庁といたしましては、こういった一連の措置を受けまして、今後銀行グループ等が企業の創業や事業再生により一層貢献していくことを期待しているところでございます。
○荒木清寛君 終わります。
○大門実紀史君 大門でございます。
 今回の金融商品取引法改正、金融市場の国際化とか活性化を図ろうということで、そういう趣旨そのものにどうのこうのはないんですが、私から言わせれば、どさくさ紛れにファイアウオール規制の緩和が盛り込まれていると。この法案の最大の欠陥が私、今もありましたが、ファイアウオール規制の緩和ではないかと思っております。この間、利用者保護とか顧客保護に尽力してきた金融庁が今なぜこれを緩めるのかというのが本当に理解し難いところでございます。銀行とか保険、証券、次々と不祥事を起こしている中で、なぜこんなものを、時期尚早だと私は思いますが、入れられたのかというのが最大の疑問でございます。
 それに基づいて質問いたしますけれども、今も荒木委員から質問ありましたこのファイアウオール規制を取っ払っても、緩和しても、内部管理体制を整備して金融庁がモニタリングをしますから大丈夫ですと。これ、今までと何が違うんですか、何が強化されるんですか。さっぱり分からないんですけれども、具体的に説明してもらえますか。
○政府参考人(三國谷勝範君) 今回の法案におきましては、兼職制限は撤廃する反面、利益相反体制の整備を求めているところでございます。
 具体的には今後、内閣府令等において策定する形になりますが、例えば利益相反のおそれのある取引の抽出、特定あるいは利益相反の管理、これはチャイニーズウオールの構築などでございます。あるいは利益相反の記録の保持、利益相反管理方針の策定、こういったことを定めることを考えているところでございます。
○大門実紀史君 これから考えるということだけれども、これこそきちっとやりますということを先に示さなきゃ駄目ですよ。そうしないと、ここはかなり焦点になって議論が実はされてきたんじゃないかと、審議会の中でもですね、思うところでございます。そういう点で、まず、今金融業界がどのレベルまでモラルが向上しているのかとか、コンプライアンスがどこまで行っているのかというのをよく把握された方がいいんじゃないかと。甘いんじゃないかなと思ったりしていますけれども。
 例えばこのファイアウオール規制の一つの目的が、まあ利益相反もありますが、優越的地位濫用の防止ということがあったわけですけれども、二〇〇六年六月、しばらく前ですが、公正取引委員会が金融機関と企業との取引慣行に関する調査報告書というのを出されております。実はこれは、この委員会で私、四回か三回取り上げた例の三井住友の金利スワップ事件ですね。その後、銀行、金融機関がどういうふうにあのメガバンクのあの事件を生かしてやっているかというのを公取が調査された調査ですね。ですから、三井住友の後どれだけみんなが引き締めたかということを調査されたものですけれども、これはもうこちらの方で簡単に内容を読みますけれども、それほど事態は変わっておりません。
 簡単に言いますと、預金以外の金融商品・サービスの購入の要請を受けて、意に反して購入したという企業が、まあ中小企業が多いと思いますが、五・五%とか、関連会社等の商品・サービス、これも意に反して購入したというのが三%超えます。五%、三%という数字は、企業数で換算すると十万社以上がいまだこういう状況にありますし、金融機関からの融資を受けていると金融機関からの要請を断りにくいと感じるかという質問に対して三割以上の企業がそう感じているというのが、あの三井住友の後でさえそれほど事態が変わっていない、そんな状況でございます。
 公正取引委員会の認識をお聞きいたしますけれども、三井住友のときはかなり頑張って勧告審決していただきましたけれども、その後のこの調査を踏まえると、私はいまだ、依然この優越的地位の濫用には注意が必要だと思いますが、公正取引委員会の認識を伺います。
○政府参考人(山田務君) 今先生が御指摘いただきましたように、私どもの十八年六月の調査によりますと、金融機関と借り手等の企業との取引において独占禁止法上の問題が生じやすい状況が見られると、そういう点がございまして、それを踏まえまして、私どもといたしまして、独禁法違反行為の未然防止という観点から、金融機関の各団体に対しまして、独禁法遵守への取組や独禁法上のいろいろな考え方についての周知徹底を要請するとともに、各種の説明会等を開催してきたところでございます。
 現状におきまして、各金融機関において継続的に独占禁止法遵守に向けての取組が行われていると理解しておりますけれども、公正取引委員会といたしましては、金融機関と借り手企業との取引について、独占禁止法に違反する疑いのある具体的事実に接した場合には、今後とも適切に対処していきたいと考えているところでございます。
○大門実紀史君 実は私のところにも個別で例の三井住友のその後の相談も来ているぐらいで、それほど、まあいろいろ手は打っていますけれども、いろんな形でこういう優越的地位の濫用がまだいつ事件になるか分からないという事態、状況だという認識を是非持ってもらいたいと思います。
 こういう現状が続いているのに、昨年の金融審議会の金融分科会第一部会ですか、ここで今回の法案についての議論がありました。そのときに、日本の銀行業界を代表してこのファイアウオール規制緩和を要求した銀行があると思いますが、どこの銀行ですか。
○政府参考人(三國谷勝範君) 昨年の金融審議会分科会第一部会の審議では、当時、全国銀行協会会長行でありました三井住友銀行出身の専門委員の方がプレゼンテーションを行っております。
○大門実紀史君 私は、これは、三井住友、もう謹慎解かれたんですか。あんな大事件起こして、まだ全部解決していませんよ。こんなところへ出てきて、偉そうに一人前に意見言うような銀行なんですか。金融庁は、もうあの問題は終わったというふうにお考えなんですか。これ、何でこんな三井住友にこんな代表して意見言わせるんですか。そんな資格ありませんよ、三井住友に。
○政府参考人(三國谷勝範君) 当時、三井住友銀行は全国銀行協会会長行という立場でありまして、その立場として三井住友の方が審議に参加されたということでございます。
○大門実紀史君 金融庁の認識を聞いているんですが、三井住友問題、あの大事件はもう済んだという認識ですか。
○政府参考人(西原政雄君) 私どもにとりましては、継続してこの優越的な地位の濫用については絶えず監督指導していかなければいけない重要な問題だというふうに認識をいたしております。
○大門実紀史君 もう呼んじゃったものは仕方ありませんけれども。
 私は、この議事録見て、よくまあこんなことが言えるなと、三井住友がですよ。資料をお配りいたしましたけれども、自分のところの銀行のアピールまでして、後で申し上げますが、実態はひどいですよ。自分のところはもうちゃんとやっていますからという前提かも分かりませんけれども、このファイアウオール規制見直しをやってもらって、グループ内での銀証一体運営実現させてほしいというふうに言っております。
 優越的地位の濫用防止についても反省が一言もない。こんなのは銀行・証券間、証券だけで起こるものではないというようなことを言ったり、三井住友においても今防止に向け様々な対応を行っていると。こんなことを言う前に、まず今の、この前の事件の決着はどうなっているのかということをきちっとすべきなのに、何か今はもうちゃんと対応しているというようなことしか言わないで、それでこのファイアウオール規制は顧客の利益になるんだということを再三言っております。
 結局、欧米の例を引いて、今回の法案のように、内部管理体制を金融機関につくってそれを監督当局がモニタリングすればいいんだと。まさにこの三井住友が言ったような法案になっているわけですね。もちろん、銀行業界代表の意見かも分かりませんけれども。しかも、抱き合わせ販売の規制目的も優越的地位の濫用防止で、お客様にメリットのある商品の提供まで阻害することがないようにしていただきたいと、抱き合わせ販売も物によっては緩和してほしいと、こんなことまで言っております。
 こんなことに基づいて今回の法案を作られたとしたら、本当に何の検証もされていないなと私は申し上げなきゃいけないと思います。
 同じときに、野村証券がまともな意見を、今日私が申し上げたいこととほとんど同じ、まともな意見を述べられております。
 今日の答弁もそうですけれども、ファイアウオール規制があるんで日本の資本市場の発展が阻害されているような、そういう議論をしていますけれども、それは間違いだと。一つは、銀行と証券の間の情報の共有化が禁止されているんだと、いかにもそういう言い方されていますけれども、これは顧客の同意なくして共有が現在禁止されているだけで、お客さんが共有を認めればこの法律の改正なしでも今でも共有化できているんだということですね。だから、今回の法改正がないとあたかも顧客に対してサービスができないような印象を受けると、これは事実として間違いだということを現場の野村証券の方が発言されております。
 それから、役職員の兼職に関しましてはということで、これは情報の共有が顧客の意に反して共有ができないのであれば、この兼職というものもおのずから制限されることになると思いますと至極もっともなことをおっしゃっております。
 元々このファイアウオール規制が入った理由も、証券会社の経営の健全性、独立性とか、そういうものを確保するということと、利用者の自由な選択を確保していくということ、しかも勝手にやらないという意味でこういうものがあるということと、優越的地位の濫用、利益相反の防止のために必要な措置として入れられたんだということをおっしゃっております。
 ですから、今回の法改正の間違いは、野村証券に言わせますと、顧客が望んでいない場合でも勝手に情報が共有できるようにしようというところに尽きます、そういうところにあるというふうに思いますし、顧客の同意があれば今でもできるのに、同意がなくてもできるようにするというのは本当に私問題点じゃないかというふうに思うところでございます。
 いろいろほかにもなかなかの意見を野村証券の方は言っておりますけれども、私は、この三井住友がこの法律を決める決定的な発言をした場で、野村証券の意見が取り上げられずに、メガバンクの方の意見で今回法改正になったというこの経過そのものもおかしいなというふうに思います。野村証券の意見がなぜ排除されたのか、大変立派な意見を述べられたと思いますが、まあその野村ももっとも後でインサイダー取引を起こすということでありますので、この業界そのものが私から言わせるともう五十歩百歩で、大体そんなレベルの業界、何で今ファイアウオール規制の緩和をわざわざやらなきゃいけないのかというふうに思うところでございます。
 私は、三井住友問題、被害者の相談もずっと乗ってきましたので、そういう点でも、ここまで立派なことを言うのだったら、三井住友がですね、あの事件は、あの被害者、後はどうなったのかと。もう取り上げるつもりはなかったんですけれども、改めて調べてみました。
 金利スワップ事件というのは、二枚目に金利スワップの表が書いてありますけれども、要するに企業がお金を借りるときに変動金利が上昇するリスクをヘッジするために固定金利と変動金利をスワップする契約ですね。ですから、変動金利が上昇すれば企業にもメリットが出ることはあるんですけれども、非常にリスクの高い取引ということで、これはよほど本人が納得して、無理やり銀行が融資と一緒に結ばせるなんということをしてはならないことを三井住友がやったということでございます。
 ちょっと振り返ってみますと、二〇〇六年四月二十七日に三井住友銀行に金融庁は行政処分を下されました。三井住友は報告書を出しました。簡単に言いますと、この金利スワップ契約を契約した先が一万八千百六十二社もありました。そこに調査票を送って、ただ送っただけですね、返ってきたのが千五百二十三社で、自分から異議申立てといいますか、電話してきたり文句を言ってきたりしたところは六百七十七社で、合わせて二千二百社を対象にして調査をして、結局、優越的地位の濫用事案だと三井住友自身が認めたのがたった十七社とか、その懸念があるが五十一社とか、ほかの法的問題が百八十一社で、当時二百四十九社について、三井住友の内部の委員会ですか、あれも内部だけで構成しているから非常に問題だと私前から指摘しておりますけれども、ありました。いずれにしても、二百四十九社という数字でしたけれども、現在どこまで彼らはこの対応を進めているか、数字をちょっと教えてくれますか。
○政府参考人(西原政雄君) お答え申し上げます。
 今年の三月末時点でございますけれども、その後顧客から追加調査の要請のあった五百三十七社を含めました、先ほど二千二百社ということでございましたので、合計しますと二千七百三十七社についてその分析が行われております。その合計でございますが、優越的な地位の濫用につきましては追加三社増えまして二十社、それから濫用懸念の事案というものが追加六十二社増えまして百十三社、その他法的責任の懸念のある事案、これは三百二社増えまして四百八十三社という状況と承知しております。
○大門実紀史君 私も一昨日、三井住友担当者来てもらって直接ヒアリングをして、今実際どんな具体的な対応をしているのかもお聞きいたしました。そもそもおかしいのは、一万八千百六十二社に金利スワップ契約を取って、私はその全部が被害者とは申し上げません、その中にどれだけ優越的地位濫用があったかということをきちっと調べなければいけないという立場でございますが、ただ調査票を送って返ってきたところだけと、あとは何か自分で文句言ってきたところだけ、これを合わせて二千七百三十七社をとにかく調べて、しかも内部の委員会が厳しく認定して、実際に優越的地位の濫用と認定したのはもう非常にわずかですね。十七社から二十社、三社増えただけですよ、二年間で。こんな厳しい認定をやっているわけですよね。
 ですから、ただ調査票はもちろんみんなに着いたんでしょうけれども、白か黒かはっきりしていないのがまだ一万五千四百二十五社も、中小企業中心だと思うんですけれども、残っているわけです。こういうやり方というのは、今大問題になっています社会保険庁の消えた年金と同じで、送るだけ送って、あとは言ってきたところだけ対応すると。申請主義といいますか、こんなやり方を、銀行協会の会長の銀行ですか、そんなところがまだやっているんですよね。
 これどういうことなんですかね。こんなのでいいんでしょうか、今どき。今もうこんなこと許されないですよね、何かこういう社会問題起こしたときは。すべて一個一個、しかもみんな取引先ですよ。少なくとも、電話連絡なんか二年間に何回もやり取りあるはずですよね、融資のことで相談とかですね。そのときに、なぜ、調査票送ったのに、もしお気付きなかったら持っていって書いてもらって、問題なきゃ問題ないでいいわけですよ、何でそれができないのかと。何ですか、ホームページに出したりフリーダイヤルを設けるだけで、直接行ったら、聞くのが怖いのか、聞かないわけですよ。そんなやり方をやっていてまだ八五%も放置されているという、こういうことは金融庁としていかが認識されているんでしょうか。西原さんで結構です。
○政府参考人(西原政雄君) 私ども、やはりこの優越的な地位の濫用、これについては大変重大な関心を持っております。特に銀行という立場、取引の立場を考えますと、どうしても独占禁止法に触れる可能性の高い行為が場合によっては生じ得るという認識でおります。
 したがいまして、これにつきましては監督指針でも明示をいたしておりますし、あるいは毎年度、監督方針というのをその事務年度ごとに定めておりますが、この平成十九事務年度における監督方針の中でも、これは重点チェック事項の一つとして挙げさせていただいております。そういった意味で、こういったことの点検は我々としては非常に重要視をいたしておりますので、検査監督の中でそういった対応が不十分であれば、それについて指摘を行い、場合によっては指摘事例集等にも何例か載っているケースがございます。
 いずれにいたしましても、常時これについては厳しい目で見ていきたいというふうに思っております。
○大門実紀史君 今実はどうなっているかといいますと、もう余りマスコミも取り上げませんし、話題にもなっていないということもあって、優越的地位の濫用というのは難しいところがありますよね。言った、言わないの世界というのがありますよね、紙で交わすわけじゃありませんから。そうすると、もうちょっとほとぼり冷めたと感じたのか、いろんな案件あると思いますが、ある案件について言えば、もうそこまでおっしゃるんでしたら裁判やってくださいと言わんばかりの、最初のころは非常に気を遣って、分かりました、分かりましたであったのが、そういうちょっと高圧的な姿勢も見せたりする事例もあります。これは個別に、けしからぬということで本店の方に申し上げたら、調査してみますということになっていますけれども、そういうものなんですよね。のど元過ぎればといいますか、今そんな時期に入っておりますので、西原さん、私信頼しておりますので、最後まで厳しく詰めてもらいたいと思います。
 大臣のお考えも一言聞きたいんですけれども、これはもう社会常識として、普通ならもう二年もたったら、一万八千といえど年金に比べたら少ない数です。一万八千ならば、もう問題のなかったところが何件、やっぱり優越的地位と思われるものが何件と、こういうことが調査結果として報告されるべきじゃないかと。それが銀行の、銀行企業の社会的責任じゃないかというふうに思いますが、大臣の御感想を一言聞かせていただけますか。
○国務大臣(渡辺喜美君) 銀行が融資を通じてお客様にその他の業務で影響力を行使する優越的地位の濫用というのはあってはならないことであります。
 先ほどの公正取引委員会の平成十八年の六月の調査報告を受けまして、金融機関に対して優越的地位の濫用問題への取組を徹底するよう文書で要請をいたしました。また、各財務局等から直接周知徹底を図ったところであります。
 その後、各金融機関において継続的に法令遵守に向けた取組は行われているものと考えておりますが、金融庁としても、検査において取組が不十分であることが明らかになった場合には監督上の対応を行っていくことになるわけでございます。各金融機関においては、経営の責任として継続的に真剣な取組を行っていただく必要がございます。
○大門実紀史君 ありがとうございます。三井住友もそういう観点に立ち返ってやってもらいたいと思います。
 このときに私改めて認識したのがオーバーヘッジの問題でございました。公正取引委員会はさすがで、二年ほど前ここで質問したときに余り私認識なかったんですが、もう既にオーバーヘッジの問題を指摘されておりました。
 要するに、どういう指摘されたか、公取の方でちょっと説明してもらえますか。
○政府参考人(山田務君) 公正取引委員会は平成十七年十二月に、三井住友銀行が取引上の地位が劣っている融資先事業者に対し、金利スワップの購入を余儀なくさせていた行為が、独占禁止法で禁止される優越的地位の濫用に該当するものとして勧告審決を行っております。
 その中で、いわゆる今御指摘にありますオーバーヘッジ、すなわち、金利スワップの想定元本又は契約期間がリスクヘッジの対象となる借入れの元本又は契約期間を上回る設定の金利スワップの購入を、三井住友銀行が取引上の地位が劣っている融資先事業者に対し提案、販売していた、そういう事実を認定しているところでございます。
○大門実紀史君 先ほど言った三井住友、残っている一万五千幾らですね、ここの随分がオーバーヘッジ契約、つまり、中小企業ですと五千万普通は借りているのに、一億の想定元本でスワップ契約を結んでくれと言われて、本人がもちろんそれ、幅取っておきたいと言って結ぶ場合もあるんですけれども、金融のこと分からないで、言われたからといって、それで一億分かりましたと言ってそのスワップ契約を結ぶと、その金利差が物すごい金利の払いになるわけですね。これが今続いております。それのクレームも来ております。是非、次の検査といいますか、検査を待たずにそういう点も指導を日常的にしてほしいというふうに思います。
 申し上げたかったのは、いずれにせよ、あれだけの大事件を起こしてもまだこんな状態です。後始末一つできないのが今の銀行業界、証券業界、保険会社でございます。こういうときにわざわざファイアウオール規制の緩和をするというのは、別にしなくたって顧客サービスはできるのにわざわざするというのは、メガバンクの中の、特にグループの中の仕事やりやすくさせてあげるだけのことで、こんなものはもう今やる必要ない、十年早いということを私申し上げて、今日の質問は終わりたいと思います。
○委員長(峰崎直樹君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ─────────────
○委員長(峰崎直樹君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、森田高君が委員を辞任され、その補欠として大河原雅子君が選任されました。
    ─────────────
○委員長(峰崎直樹君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 金融商品取引法等の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(峰崎直樹君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(峰崎直樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時三十四分散会