第169回国会 少子高齢化・共生社会に関する調査会 第3号
平成二十年二月二十七日(水曜日)
   午後一時開会
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  出席者は左のとおり。
    会 長         田名部匡省君
    理 事
                岡崎トミ子君
                木俣 佳丈君
                有村 治子君
                鰐淵 洋子君
    委 員
                相原久美子君
                岩本  司君
                植松恵美子君
                大石 尚子君
                大河原雅子君
                大久保潔重君
                津田弥太郎君
                藤谷 光信君
                蓮   舫君
                石井みどり君
                礒崎 陽輔君
                塚田 一郎君
                古川 俊治君
                丸川 珠代君
                義家 弘介君
                山本 博司君
                紙  智子君
                福島みずほ君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        吉住 芳信君
   参考人
       関西学院大学経
       済学部教授    井口  泰君
       社団法人日本経
       済団体連合会専
       務理事      立花  宏君
       アイシン精機株
       式会社取締役副
       社長       川田 武司君
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  本日の会議に付した案件
○少子高齢化・共生社会に関する調査
 (「コミュニティの再生」のうち雇用市場にお
 ける外国人との共生)
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○会長(田名部匡省君) ただいまから少子高齢化・共生社会に関する調査会を開会いたします。
 少子高齢化・共生社会に関する調査のうち、「コミュニティの再生」を議題とし、雇用市場における外国人との共生について参考人から意見を聴取いたします。
 本日は、関西学院大学経済学部教授井口泰君、社団法人日本経済団体連合会専務理事立花宏君及びアイシン精機株式会社取締役副社長川田武司君に参考人として出席いただいております。
 この際、参考人の皆さん方に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多忙のところ本調査会に出席いただきまして誠にありがとうございます。
 参考人の皆様方から、雇用市場における外国人との共生について忌憚のない御意見をお述べいただき、調査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 議事の進め方でございますが、まず参考人の皆様方からそれぞれ二十分程度御意見をお述べいただき、その後、各委員からの質疑にお答えいただく方法で進めたいと存じます。
 なお、質疑につきましては、あらかじめ質疑者を定めず、自由に質疑を行っていきたいと存じます。
 また、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、井口参考人からお願いいたします。井口参考人。
○参考人(井口泰君) 今御紹介いただきました、私、関西学院大学の井口と申します。私は同時に、二十三の中堅都市が連携をしております外国人集住都市会議のアドバイザーも兼ねておりまして、特に労働問題につきましてはそのためのプロジェクトも実施しているところでございます。
 本日は、外国人労働者問題の新たな展開というふうに題しまして準備いたしておりますが、時間が短いということもございますので、できるだけポイントについて私の方から意見を開陳させていただきたいと思います。本日は、御招待いただきましたことを誠に光栄に存じております。
 まず、そこに表題が出ておりますが、ほぼ八項目でお話しさせていただきます。ただ、今日このようにいたしましたのは、ややテーマをはみ出た部分もございますのは、雇用の問題というのは、現在見直しが進められております在留管理の改善という問題の、ある意味ではその一部を成しております。そういう意味で、その全体の中でどういうふうに雇用を位置付けるかということが一つ問題になります。
 第二に、外国人の雇用の増加、今世紀に入りましてからの特に派遣や業務請負などといった形での外国人雇用の増加といいますのは、実は同時に、我が国の製造業がいわゆる海外展開をしている中で、今世紀になりましてからいわゆる国内回帰という現象が出てきております。この問題とどのようにかかわっているのかという点が第二に問題になろうかと思いまして、その点を入れております。
 もう一つは、先ほど申しました特に業務請負や労働者派遣、そのうち業務請負というのが実態としてどのようなシステムであるのか。これは労働者派遣に全部転換できる性質のものなのか、あるいはそれ自体が独自の特徴を持ったシステムであるのか、その点も議論したいと思っておりまして、この点につきましては幾つか実態調査を踏まえてお話をし、その上で、こういったシステムが外国人の労働者本人だけではなくて、その配偶者やあるいは子供たちにとってどういう意味を持っているのか、教育の問題とどういうふうにかかわっているのか、こういったことを触れた上で、最後に、雇用システムを今後変えていく際に、企業としてどういう社会的責任を負っていただく必要があるのかといった点にも触れたいと思います。
 今世紀になりましてから、特に中国の高度成長が続く中で、我が国の経済もようやく立ち直ってまいったという状況がございます。こういう中で、実は労働市場が非常に大きく変わっております。我が国の労働市場が急激に変わっている、その大きな変化は労働需給のミスマッチという形で現れてまいりますが、これが外国人雇用の問題にも影を投げております。
 次のスライドのところに五項目ほど書いておきましたのが、現在の特に緊急な課題でございます。
 まず、日系人など三十万人くらいの定住傾向のある方々がいるということでありますが、同時に、先ほど申し上げましたように、雇用形態につきましては依然として偽装請負など様々な問題を含んだシステムの中で働いている方が多く、社会保険の適用がないといった問題もございます。
 また、最近では、中卒の外国人の子供たちの中に進学できずにそのまま非正規の雇用に流れている人たちが少なくないということも、事例ではございますが、把握されております。
 さらに、研修生の、特に技能実習を目指した外国人研修生の流入が非常に加速しているということも問題でございます。以前は、例えば水産加工業や繊維産業やあるいは農業といったところにも入ってまいっておりましたが、最近、実は中部地方の愛知県周辺ではこの研修生の伸びも非常に急になっているという点を申し上げておかなければならないと思います。
 経済連携協定につきましては、時間があればお話ししたいと思います。
 先ほど冒頭申し上げましたように、昨年の通常国会におきまして雇用対策法の改正案が成立いたしまして、外国人の雇用状況の把握とその情報の安定所から入管局への提供という問題が、実は法律になって実現化しております。これにつきましては、様々な反対意見あるいは賛成意見があったというふうに伺っておりますが、これは単に雇用だけの問題ではなく、実は在留管理全体の中で外国人の方々の権利をどのように保障するか、同時に、税金の支払、社会保険への加入など、義務をどのように担保していくか、こういう問題とかかわってきております。
 外国人の方々本人の権利義務関係をしっかり確認する際に、雇用の場所が非常に頻繁に変わっている、こういった方々の所在をどうしても確認しなければなりません。そういう意味からいいますと、この雇用の状況をしっかり確認するということが非常に重要な一歩になっているというふうに私自身は考えておるところでございます。
 しかし同時に、これからの議論の中で重要なのは、雇用問題につきましても、企業あるいは受入れ機関だけに任せておくのではなくて、地域においていろんな問題が起きていないかどうか、何か権利の救済に欠けるようなことがないのかどうか、そういったことを地域あるいは自治体がしっかり見守っていくということが極めて重要ではないかと考えております。
 二番のところで書きましたのは、労働市場の変化がいかに進んでいるかということなんでございますけれども、時間の関係で若干はしょらせていただいておりますが、製造業で雇用がようやく二〇〇五、六年ごろから増えてきております。同時に、技術職や技能職のみならず、運輸関係、販売職でも非常に人がなかなか足りなくなってきている。同時に、医療、介護、福祉などでも、御存じかと思いますけれども、他業種への人材流出も出ているというような状況が出てきております。実は、こういった労働市場の激変というのが、更にこの外国人労働者に対するニーズを高めてしまっているという側面があることは否定ができないものではないかと思っております。
 私の推定では、特別永住、いわゆる在日韓国人・朝鮮人の方などを除いた外国人労働者の人数というのは、そこの表の一に出ておりますように、二〇〇六年末の時点で全体が九十三万人というふうに推定いたしておりまして、このうち就労を目的とした在留資格で元々入国された方というのはその五分の一以下の十七万人。したがいまして、ほとんどの外国人労働者は、いわゆる単純労働者は受け入れない、あるいは慎重に対応するという政府の方針とは別の枠のところから我が国に入国し、就労しているというふうに考えてよろしいかと思います。
 特に日系人労働者につきましては、近年、永住権を取る方が非常に増えてきております関係で、日系人だけで取りますと余り増えていないように見えますが、一般永住の資格を取った労働者が、これは非常に低い見積りでございますが、もう十三万人以上はいるというふうに考えていいかと思っております。
 そこに幾つかグラフが出てきておりますが、特に日系ブラジル人は近年ますます東海地方などに集中する傾向が見えてきておりまして、特に自動車関係を中心とする産業集積がここにあり、そこに労働力が引き寄せられている状態がございます。これに対して、大都市部にはいわゆる高度の人材が集まる傾向がございまして、かなりコントラストがはっきりしております。
 技能実習生につきましては、先ほど申しましたように、かなり海岸部や農村部にも広がってきておったんですけれども、最近、岐阜県が従来一位だったところが愛知県が実はトップに出てしまったということがございまして、自動車関係の業種でも大企業で単独に技能実習生を受け入れるところも出てきているというふうに私は理解いたしております。そういうことで、かなり状況がここ二、三年更にまた変わってきているというふうに考えていいと思います。
 ただ、現状では、技能実習生は一般的には、入っている地域というのは、地域で若年人口の比率が非常に低いということが一つ背景になっている。また、ブラジル日系人が入っているからといって高齢者や女性の就業が妨げられているという事実はなく、高齢者の労働力率や女性の労働力率の高い地域に同時にブラジル日系人も多数入っているということでございまして、決してこの間に大きな競合ができているというふうに考えておりません。
 先ほど申しました国内回帰現象との関係でございますが、そこに幾つか書いておきましたんですけれども、我が国の製造業の事業所数は傾向的に減ってきておりまして、就業者数も二〇〇五年まではずっと減り続けてきた状況がございますけれども、ついに二〇〇六年ごろになりまして反転いたしております。
 製造業自体は、実は、なぜ日本にある程度、国内で工場を造ったりRアンドDセンターを造ったりということが目立つようになったかと。これは、企業の利益が上がってきたということも当然なんですけれども、私どものいろんな計量的な分析によりましても、工業用地の価格がかなり大きく下がったということも非常に大きく影響しておりますし、同時に、為替相場の下落傾向が二〇〇〇年になってから続いてきたこと。それからもう一つ、やはりこのブラジル人を中心とする外国人の方々が就労する形態の雇用が、非常にこういった分野に集中しているということが言えると思っております。
 業務請負というものがどういうものかということにつきましては、なかなか一口では申し上げにくいところがございます。請負というのは、一定の仕事を一定の期間にこなすことを約する契約であるというふうに単純に考えてよろしいわけですが、一般に業務請負と言われているものは、業務の量そのものが変動したり、あるいは期間そのものが延びたり縮んだりするという状況がございまして、単純な請負契約では割り切れないところがございます。非常にそういう意味では伸縮性のある請負業でありまして、厳密に言うと、これはほぼ労働者リーシングの新しいシステムに近いようなものだというふうに考えております。
 ただ、これは、当然のところながら、一九八六年の旧労働省の出しました派遣と請負の区分に関する基準に抵触するものが幾多あるということはよく御存じのことでございまして、これが一つの問題でありますが、実はそれにとどまらないのでありまして、皆様方は、近年、生産現場に労働者派遣が解禁になりましてから、こういった業務請負から派遣への移管が幾つか進んでいるという事実は御存じであろうかと思います。
 しかし、私どもの調査でいいますと、大企業を頂点といたしまして、メーカーを頂点といたしまして、二次、三次くらいの下請といいますか、関連会社につきましてはかなりこういった傾向が見えるのでありますけれども、更にそれより下の方に下りてまいりますと、ほとんど価格競争の世界、労働コストを削らなければやっていけない世界が存在しておりまして、その意味では、完全に業務請負が労働者派遣に切り替わっていったというふうには申し上げにくい。
 しかも、いわゆる二〇〇九年問題と言われておりますが、労働者派遣が生産現場については三年経過後は直接雇用しなければならないことになってしまうわけなんですけれども、こういう、まだ二〇〇九年になる前から派遣業に転換したところが請負に更に実は回帰しているという状況が見られてきておりまして、これについては更に実態を調査する必要があると思っております。
 こういった業務請負の世界では、特に自動車産業におきましては、四十歳以上になりまして請負労働者として働くのはもう体力的に無理だというふうに言われておりまして、労災事故も非常に多くなるので四十歳定年などという言葉が聞こえるくらいでございます。
 こういった分野で外国人の、ブラジル人の方々が多く働いておりますけれども、日本語ができればそれでいろんな処遇が上がるかといえば、必ずしもそれも、リーダー手当を幾らかもらっている程度で、余り私どもの統計分析でも大きな価格差が出てきていない。日本語が十分にできなければ、実は子供たちあるいは家族の中でも日本語を使うことがなく、そのことがかなり教育にも大きな影響を与えてきております。どうやって企業の中で外国人の従業員の方々に日本語習得熱を高めてもらうか、これを企業がどういうふうに受け止めてもらうかと、このことは非常に重要であります。今、幾つかの大きな派遣業の業者の中には、日本語のできる従業員とできない従業員で価格に差を付けているところや給料に差を付けているところも幾つか出てきてはおりますけれども、まだ一般的傾向とは言えないと思っております。
 先ほど申しました国内回帰と言われているこれは、しかし必ずしもすべての業種ではございませんで、自動車産業や一部のエレクトロニクス産業に限定された動きであるというふうに私は考えておりますが、こういった産業集積が進んできた地域は新工業都市とよく言われておりまして、二十一世紀の新工業都市におきましては、実は人口が全体としては減少している日本の中で労働力をいろんなところから集めているということが言えると思います。
 最近では、長野県や群馬県に住んでいたブラジル人の労働者が家族をそこに置いたままで愛知県に出稼ぎに行っているというような現象も観察されてきておるところでございます。こういう地域ではいわゆる多文化共生と言われるいろんな事業が進んできておりますが、そこで非常に重要なことは、単にお互いの文化や価値観をしっかり認めることだけではなく、健全な都市生活に欠かせない権利の尊重、義務の遂行、こういったことがしっかり確保できるということが非常に重要でございます。そういう意味から、既に改革が進み始めております在留管理の改革というのは、まさにこの権利と義務の関係をしっかり確保すると、何か権利に欠けたところがあれば、その部分について必要な援助ができるということが、救援ができるということが非常に重要なことであると考えております。
 さて、ちょっと時間の関係でもう最後のところに行きたいと思いますが。
 最近、外国人研修生につきましてもいろんな動きが出てきております。人数が増えるだけではなくて不正行為に巻き込まれる研修生が多々あるわけでございまして、これにつきましては、私は一刻の猶予もならない問題であるというふうに考えておりましたが、規制改革会議が昨年十二月に出しました答申に基づきまして、実は新しくいわゆるホットラインが新年度導入されたり、あるいは平成二十一年に予定されております法改正の中で、実務研修中の外国人研修生をすべて労働関係法規を適用するという原則がそこで関係省庁から合意を得ておるというふうに理解しております。
 こういった動きはできるだけ前倒しで進めていくことが必要でありまして、それによって、先ほど申しましたような研修生がいろんな形で被害に遭う件数を一件でも減らしていくことが今求められているというふうに考えております。同時に、研修生自身がいろんな事件に巻き込まれた際に、自ら自分を守る、必要なときには必要なところに届け出る、そういったことのノウハウをしっかり知ってもらった上で研修や技能実習に入っていただくということも非常に重要なことであるというふうに考えております。
 さて、もう時間がございませんので、最後のところに行きます。
 在留管理の改善やそれから省庁間でのいろんな連携といいますのは、最終的には外国人の方々の権利と義務の関係をしっかり確認できるようにし、欠けているところがあったらそこに対して必要なレスキューといいますか、しっかり権利の回復を図っていくと、そういうために第一の非常に重要な改革であると思いますが、今後それに伴いまして、滞在する外国人に対し最小限必要な情報や最小限必要な日本語能力というものを習得する機会を保障していく流れ、それから同時に、外国人の子供たちに義務教育を完全に適用し、そのための条件整備を図っていくこと、これも併せて御検討いただく必要があると考えております。
 今後、こういったものを土台にいたしまして、在留管理とそれから雇用問題につきましてのいろんな改善が進んできたときには、新たな外国人労働者の、多様な能力を持った外国人労働者の受入れの拡大といった問題も次の改革のステップとして出てくる。さらに、東アジアとどのように連携し、その地域の国々と世代を超えた連携をしていくかといった問題に更に発展させていく必要があるというふうに考えております。
 ちょっと時間を超過いたしましたが、私の報告はここまでにさせていただきます。どうもありがとうございました。
○会長(田名部匡省君) ありがとうございました。
 次に、立花参考人にお願いいたします。立花参考人。
○参考人(立花宏君) 経団連の専務理事をしております立花でございます。
 本日は、二つでございますけれども、一つは、外国人材の受入れ問題に対する私ども経団連の基本的な考え方、それから二番目に、現在、政府部内でも検討が進められております外国人研修・技能実習制度、この見直しの問題につきまして私どもの考え方を御説明申し上げ、今後のこの調査会での検討の御参考になれば幸いでございます。
 私の方の資料は、井口先生の次にクリップ留めした資料がございます。そのクリップ留めの一番上に二枚紙でレジュメ、骨子を用意いたしましたので、この骨子を御覧いただきながらお聞き取りいただければと思っております。
 御案内のとおり、少子高齢化あるいはグローバルな競争が激しくなる中で日本の経済、産業の活力を維持していくためには、私ども、外国人材を受け入れ、積極的に活用することがますます重要になってきているというふうに考えております。とりわけ、従来の私ども日本の高度成長以来のビジネスモデルともいうべき画一的な規格品の大量生産型のシステムから、いわゆる独創性とかあるいはオリジナリティー、競争力を持った製品あるいはサービスを提供していくためには、外国人が有する多様な価値観あるいは経験、ノウハウ、これを生かすことで言わば国民一人一人の付加価値創造力ともいうべきものを高めていくこと、言い換えれば、異質な者同士が切磋琢磨、交流する中でイノベーションを生み出していくことが非常に大事ではないかなと思っております。その意味で、専門的、技術的分野のいわゆる高度人材を中心により多くの多様な外国人材の受入れを積極的に進めていく必要があると思っております。
 一方では、経団連の方でもこれまで二回ほど企業に対して調査を行ったことがございますけれども、いわゆる農林水産業ですとか、あるいは建設業、機械の組立て、溶接、あるいは設備の維持補修、こういった分野にかかわるいわゆる技能者につきましては、将来的に慢性的な人手不足が予想されるという回答が出されているわけでございます。こういった分野の労働力不足につきましては、もちろん、よく言われますとおり、若年者や女性あるいは高齢者などの雇用を通じて解消することが重要になるわけですけれども、実際には、御案内のとおり、求人募集をしても応募者が現れないという場合も多くございまして、現実問題として外国人材の受入れで対応せざるを得ないという状況にございます。
 また、先ほど井口先生からも御紹介がありましたとおり、労働の需給のミスマッチということでございまして、外国人が日本人の職を取っているということじゃ必ずしもないんであろうと思っております。
 こういった地域や産業の維持、活性化のためにも、この外国人材の受入れ問題を積極的に真剣に検討すべき段階に来ていると思っておりまして、いわゆる政府の基本方針でございます専門的、技術的分野は積極的に受け入れ、いわゆる単純労働者は慎重に対応するという方針を今後とも維持すべきなのかどうなのか、あるいは維持することが可能なのかどうなのか、この点につきまして、産業や地域の現実を直視して国民的な議論を深めていく必要があると考えております。
 こうした受入れの基本方針の見直し、とりわけ現場労働者の取扱いに関しましてコンセンサスを得るにはある程度の時間を要すると思われます。その間にも労働力不足は年とともに深刻化することは避け難いと思っております。
 そこで、この高度人材をより受け入れやすくするための様々な改善を図る、それと同時に、専門的、技術的分野の範囲の見直しを行う、あるいは外国人研修・技能実習制度の改善、それとその適正な活用、あるいは二国間の取決めによりコントロールされた技能者の受入れなどの形で、既に労働力不足が顕在化している分野から、一定の技能、資格、日本語能力等々、こういった点を要件として外国人材の受入れ拡大を段階的に進め、軟着陸を図るべきであろうというのが私どもの考え方でございます。
 そのためには、来日した外国人材がきちんと暮らして、働きあるいは学ぶなど所期の目的を達成できるように国や自治体レベルでの受入れ体制を整備する、それから、彼らを受け入れる企業、職場あるいは地域社会の体制を整備して、こういった点につきまして、国や自治体あるいは民間企業等が連携して着実にその体制整備を進めていく必要があると考えております。
 こういった問題意識に基づきまして、経団連では、今から五年ほど前でございますが、この外国人材の受入れ問題に関する総合的な提言を初めて私ども公表いたしました。その中で、外国人材の受入れ拡大を進めるに当たっての三つの原則を掲げております。
 第一の原則は、質と量の両面において十分コントロールされた秩序ある受入れをどうやって確立するかという問題でございます。現状では、在留資格という形で外国人の受入れに質的な要件が課されております。ただ、日系人についてはそういった要件がないわけでございますけれども、新たな受入れを進めるに当たっては、例えば二国間協定あるいは労働市場テスト、こういった手法を用いまして、求められる職種、技能の要件、あるいは受入れ人数、期間、こういった点を明確にして合理的な基準で客観的な判断を行っていくことが必要ではないかと考えております。
 この受入れに当たっての第二の原則は、外国人材に対する人権の尊重と差別の禁止でございます。人間の尊厳を損なうような劣悪な労働条件や生活環境、賃金等を始めとする差別が許されないのは当然でございまして、外国人を雇用する際に日本人を雇用する場合と同じように労働関連法規を遵守することは企業として当然の責務であろうと思っております。地域におきましても、経営者団体が中心になりまして憲章を作りまして法律の遵守に向けた活動を展開しているところでございます、まだまだ不十分な点が多々ございますけれども。
 それから、第三の原則が、受入れ国とそれから送り出し国、この双方にとってメリットある受入れの在り方の問題でございます。御案内のとおり、東アジアとの経済交流は年々飛躍的に深まっているわけですけれども、来日した外国人が日本での暮らしに満足し、またやりがいを持って働き、さらには受入れ企業もメリットを感じることになれば、日本と送り出し国との間の交流が更に拡大し、ひいては東アジア経済圏の形成につながるということが期待されると思っております。
 こういった三つの原則の下に、単に経済的な観点からだけではなくて、社会的な観点も踏まえまして幾つか具体的な提案を行ったわけでございます。
 まず、高度人材を中心とした外国人材の受入れ拡大に向けまして、専門的、技術的分野における受入れの円滑化、ビザの問題等々がございます。それから、留学生の質的向上と日本国内における就職の促進、こういった点を指摘しております。さらには、将来的に労働力不足が見込まれる分野での受入れ、あるいは外国人研修・技能実習制度の改善等々、提案いたしました。
 また、受入れ体制の整備としまして、これは是非御理解賜りたいと思っておりますのは、国と地方自治体が一体となった整合性のある施策を推進するために、内閣に外国人材受入れ問題本部ともいうべきものを設置して、外国人材受入れにかかわる諸施策を統合的に企画立案するとともに、いわゆる縦割り行政の弊害を是正して、関係省庁との間で具体的な施策に関する総合調整を行って、地方自治体あるいはNPOなどとも連携するよう提案したわけでございます。
 また、外国人材を受け入れる日本企業あるいはそこで働く人々、我々の意識改革あるいは雇用契約、人事制度などのいわゆる社内システムの改革もこれはこれで民間側の課題としてございます。
 さらには、地域社会が直面する課題も視野に入れまして、外国人の入国後の生活環境の整備、これは日本語の問題も含みますけれども、それから日系人の入国、就労に伴う課題の解決、さらには出口ともいうべき不法滞在者あるいは治安対策といった課題を私ども提案させていただいたわけでございます。
 以上が五年前の私どもの提言の概要でございますが、続きまして、問題になっております外国人研修・技能実習制度につきまして、昨年の九月に私どもとしてこの提言を公表しておりますので、その内容をかいつまんで御説明申し上げます。
 この提言は、実は二〇〇六年末の規制改革・民間開放の推進に関する第三次答申、これを受けまして、政府の中でも厚生労働省あるいは経済産業省の方の研究会が昨年五月に中間報告を公表しておられることから、私どもとしましても、この研修・技能実習生の受入れをめぐる問題につきまして、産業界としての見解を改めて明らかにしたものでございます。
 まず、この制度の意義と評価をどう考えるかという点でございますが、私どもは、この外国人研修・技能実習制度は、途上国の青壮年の方々に我が国で収入を得ながら技能を習得する機会を提供すると同時に、もう一つは、国内で求人募集を行っても応募のない分野あるいは企業にとっての人材確保策としても重要な制度となっておりまして、御案内のとおり、二〇〇六年に来日する研修生が九万人を超えております。これに加えまして、年間の研修生から技能実習に移行する方が四万人を超えるまでに増加しておりまして、この技能実習生は今は二年間滞在するということですから、四万人の二倍ということで八万人近い技能実習生が我が国に滞在して就労している計算になるわけでございます。
 御案内のとおり、一方では、この受入れ機関による不正行為、あるいは研修・技能実習生の失踪問題が発生していることも事実でございます。したがいまして、本制度の早急な改善を図るとともに、いかにしてこの制度の安定的な運用を図っていくかが課題であると考えております。その意味で、関係機関による指導あるいは罰則の強化によりまして不正行為を防止、排除すると同時に、優良な受入れ機関あるいは優良な研修・技能実習生に対する優遇措置を講じることにより、この制度運用の適正化に向けたインセンティブを高めていくことが不可欠ではあるまいかと考えております。
 こういった基本的な考え方を踏まえまして、この受入れから研修・技能実習の各段階に応じまして幾つか具体的な提案をしております。本日は時間も限られておりますので、私ども経団連として特に重要と考えております、第一に研修生の保護の在り方の問題、それから再技能実習の制度化の問題、第三に再技能実習修了後の就労の問題、この三つに絞って私どもの考え方を御説明申し上げたいと思っております。
 まず、現行制度では御案内のとおり、最初の一年間は研修としまして、原則的にこの一年間の三分の一は日本語習得等の座学、残りの三分の二は実務研修を行い、技能検定基礎二級相当の試験に合格した後に在留資格を変更しまして、二年間の技能実習に移行することになっております。
 私ども経団連といたしましても、初期段階で労働安全衛生上、必要最低限の日本語、危ないとか、逃げろとか、避けろとか、触るなとか、そういった日本語の習得あるいは職務知識、技能などの教育をおろそかにしないためにも、またそれらの知識、技能の習得をしっかり評価した上で次のステップに進んでもらうためにも、まず座学とこの実務研修を含む研修を行い、一定の技能を習得したことを確認した上で技能実習に移行すべきであると考えております。
 ただし、これらの座学、実務研修、技能実習それぞれの期間につきましては、極力柔軟に組み替えられるようにすべきではないかと考えております。例えば、来日前に日本語や基礎的な職務知識等の研修を受けてきたような場合、あるいは来日した後の研修におきまして習得のスピードの速い優秀な方につきましては、座学や実務研修の期間を早期に修了しまして、技能検定基礎二級相当の試験に合格した時点で技能実習に移行できるようにするということであります。
 こういったことによりまして、例えば半年間の研修と二年半の技能実習の組合せで早期に技能実習に移行することが可能になれば、早期に労働関係法令が適用されることになりまして法的保護が強化されるものと考えております。また、それは結果として、研修生が早く技能や知識を習得して技能実習に移行しようとするインセンティブにもなると期待されます。
 次に、二つ目ですが、アジア地域の人材レベルの底上げを図るという観点から、より高度な技能習得が可能となるように、三年間の研修・技能実習修了した段階で技能検定三級相当の試験に合格した優秀な実習生につきましては、更に二年間の再技能実習を可能とすべきではないかと考えております。これはしばしば指摘されておりますけれども、技能実習修了間際に失踪するという事態を防ぐことにもつながると思われます。
 ただし、その受入れ機関につきましてはだれでもかれでもというわけではなくて、優良な受入れ企業を認定する制度を設けまして、認定を受けた企業につきましては、企業単独型あるいは団体監理型を問わず再技能実習を認めるようにすべきであると考えております。とかく団体監理型は非常に不正行為が多いという評価が多いわけですけれども、私どもは、この団体監理型の下でも、この今日の資料に付けておりますけれども、地道に適正な受入れを行っている企業も多くございまして、またこういった優良認定制度をつくることが制度の適正運用のインセンティブを高めることにもなると思われます。
 なお、この技能実習修了後、いったん帰国してから再技能実習として受け入れるまでの期間は、三年間で習得した技能や日本語のレベルの落ちない程度の期間として設定すべきではないかと考えております。こういった再技能実習でより高度な技能等を習得した方には、引き続き我が国での就労を認めることにつきまして早急に御検討を賜ればと思っております。
 とりわけ、我が国産業の競争力の源泉であります物づくりの分野、中小企業ですとかそこでの後継者難、あるいは現実にこういった話もあるわけですが、我が国の造船所で技能実習を修了したベトナム人がライバルである韓国の造船所で働いているという事例も見受けられますので、我が国産業の人材及び競争力の確保という観点から、一定レベルの技能検定に合格するということを条件としまして、こうした制度の創設につきまして是非とも御検討をお願いしたいと思っております。
 同時に、出口の面で、技能実習が終われば再技能実習、再技能実習が終われば我が国での就労が認められるということになれば、技能実習生本人にとりましても、目標を持ってまじめに技能を習得するインセンティブになると考えております。
 最後に、経団連といたしましても、この外国人材受入れ問題を経済、産業の維持発展の根幹にかかわる重要な問題ととらえておりまして、政府、地方自治体、あるいはその他関係機関とも連携させていただき、検討を更に深めてまいりたいと思っております。是非、先生方の御理解、お力添えをお願い申し上げ、私の説明を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
○会長(田名部匡省君) ありがとうございました。
 次に、川田参考人にお願いいたします。川田参考人。
○参考人(川田武司君) アイシン精機の川田です。
 それでは、外国人の雇用の現状について御紹介させていただきます。
 まず、当社の概要ですけれども、アイシン精機は、一九六五年に愛知工業と新川工業、これが合併しましてできた会社です。親会社でありますアイシン精機を中心に百五十八社から成るアイシングループを形成しております。上に書いていますアイシン・エィ・ダブリュからアイシン化工までの五社が当社の中核企業でして、組合も一緒ですし、また売上げの九五%を占めております。
 グループの概要ですけれども、自動車部品でありますドライブトレーン、ブレーキ関係及びそれのベースとなる素形材部品等幅広くやっております。そのほかに、右端にありますように、住生活エネルギーということでベッドとかミシンとかガスのヒートポンプ、またシャワートイレ等もやっております。
 左側の四番目にありますアイシン・エィ・ダブリュ、これは乗用車のオートマチックトランスミッション、これを年間五百八十万台ほどやっていまして、また皆さんよく御存じのナビゲーションシステム、これを百三十万台ほどやっております。
 次に、事業の概要ですけれども、グループ全体の売上高は二兆七千億円で、たしかこれは全世界で自動車部品業界では六番目の規模だと思います。ミッションのほかドライブ関連の売上げが四三%を占めておりまして、その次に多いのがブレーキ関連商品です。下に書いてありますように、得意先別の売上高では、トヨタさん向けの売上げが全体の六五%で、それ以外にフォルクスワーゲン、GMとか、ボルボとか、世界の主要カーメーカーに供給しております。
 それと、グローバルの展開状況を少し説明しますと、北米に三十二拠点、欧州に十拠点、それ以外、中国、豪州、南米で四十一拠点、計八十三の海外拠点で今活動しております。全世界の従業員数は、グループ全体で六万六千三百人でございます。
 それでは、本論の外国人の雇用の実態について報告をさせていただきます。
 折れ線のグラフがあるかと思いますが、折れ線が当社の単独の売上高の推移でして、棒グラフが従業員の推移でございますが、二〇〇〇年以降、グローバル化の加速等によりまして売上げが急増し、これに対応する形で増員を図ってまいりました。赤色の部分が正社員、黄色が有期契約社員ですが、有期雇用者を中心に増員し、〇七年現在で有期の雇用者は五千二百六十人、全体の約三割に達し、その中で約千八百名の日系人の方が活躍しております。
 次のページがその詳細でございます。縦軸に雇用の形態と国籍、横軸に職種を区分しておりますが、千八百三十一人の外国人のうち、有期雇用者の技能職が大多数を占めております。本日はこの日系ブラジル人の皆さんの仕事や生活について御報告をいたします。
 まず、外国人を雇用した背景ですが、このグラフは得意先の国内の日当たりの生産台数の推移です。二年間のスパンで、ピークとボトムでも二〇%のばらつきがあり、部品産業としては、こうした大きな生産変動の幅の中で安定雇用を維持していくには、正社員と有期契約社員のバランスを考慮した要員管理を図っていく必要があります。
 また、最近では労使一体となったワーク・ライフ・バランスが議論されていますが、労働時間の短縮の観点からも有期契約社員の活用が必要となってきております。
 左のグラフは、労使で月間の残業時間の限度を定める三六協定の推移ですが、社員の健康の視点から、九二年以前は百五十時間あった協定時間を八十時間まで下げてきております。また、最近では、四十五時間以上の残業は年六回までという厚生労働省のガイドラインを遵守するということもございますので、右の図のように、生産台数が急増する中でも一人当たりの労働時間、赤線のところですけれども、抑えられるように有期雇用者を増員して何とかカバーしてきたという状況でございます。
 こうした背景の中で外国人を含めた形で有期雇用者を活用してきたわけですが、日系ブラジル人との付き合いという点では弊社は二十年以上の歴史があります。彼らの協力なくして生産は成り立たないと言っても過言ではないかと思います。
 変遷を少したどってみますと、八〇年代の半ばのバブルがちょうど始まりかけたころだと思いますけれども、自動車の生産台数が急増し、空前の人手不足の中で日本人の季節工の増員だけではままならず、日系人の皆さんに業務の請負という形で協力をいただいたのがスタートでございます。
 九〇年代の初頭のバブル崩壊でいったん請負をゼロにしますが、九三年以降徐々に生産が増えるにつれて、直接私どもで雇用する形で関係が再開いたしました。以後十五年ほど直接雇用の有期契約社員として活躍していただいておりますが、中には、当時よりずっと私どもで働き、実際に後進の面倒まで見ていただけるような優秀な社員の方たちも存在するということで、職場の推薦もありまして、二〇〇六年度に正社員の雇用に踏み切ったというわけでございます。
 まず、九三年に請負でなく直接雇用にした理由でございますが、トヨタ生産方式をベースにかんばん方式で多品種小ロットの生産を行う物づくりをやっております。製造現場の監督者と作業者の密接なコミュニケーションときめ細かな業務指示が必要でございます。また、職場における固有技能の伝承や改善マインドの醸成という視点からも、正社員と有期契約社員が一体となって物づくりを行うことが必要であり、有期社員活用に当たり、だれに来てほしいかという指名と、日々直接に業務が指示できると、こういうような形で直接雇用を選択したわけでございます。
 それでは、弊社で働く日系人の皆さんのプロフィールについて紹介します。
 左側の円グラフが年代別の人員ですが、約四分の三が三十代以下であり、平均年齢が三十三・二歳となっています。
 右側の図で勤続を見ますと、約半数が一年未満であり、こういった層は主に母国から出稼ぎに来る人たちで、母国の事業を始めるとか家を造るなどの目標の金がたまれば帰国するといった短期間滞在中心の人たちです。一方で、三年以上勤めていただいている方も一五%に上り、こうした層は日本で一定の仕事と安定した収入を得て、長期滞在や人によっては定住を求める志向の方が増え始め、ここ数年、徐々に勤続年数が延びる傾向にあります。
 続いて、私どもでどんな形で働いていただいておるかというところですが、左側の円グラフが有期雇用者の製造現場の作業内容の比率です。日系人の方は短期間でも習熟ができるということを前提に職場の配置を行っていて、アルミのダイキャストなど素形材の成形やワーク脱着などの組み付けの作業を中心に従事していただいております。また、短期間の契約を希望する若年層は、特に高残業で高い収入を求める方が多いので、生産負荷の高い素形材職場を中心に配置をしております。
 また、勤務形態については、基本的には一勤務七時間五十分、昼夜交代制で、生産負荷が高く、また連続稼働が必要な素形材成形職場などでは三組二交代といった変則的な勤務形態を取っている職場もあります。
 個人の生活面ですが、若手が多いものですから、扶養なしの未婚者がどうしても多くなります。最近では、勤続の延びにつれて、左の赤枠にある世帯主の比率も増え、住居を含めた生活全般のケアが必要になってきております。ちなみに、右の写真は西三河地区の県営、市営住宅で、当初はこうした公共住宅にも住まわれていましたが、最近ではこれだけでは物件が不足であり、私どもお願いしている管理会社さんで一棟を借り、若しくは新築して住んでいただくようなケースも出てきております。
 以上、日系ブラジル人を雇用し始めました経緯、彼らのプロフィールを紹介しましたが、こうした労務構成の中で、職場の一体感や建設的な風土を醸成するために我々が行ってまいりました活動を幾つか紹介させていただきます。
 これは、ちょっと別紙の方に写真入りのこういうやつがあるかと思いますが、一枚目の写真ですけれども、一枚目にポルトガル語で書かれたものがあります。これは、トヨタ生産方式というのはいろんな標準類が必要なんですね。この標準類でもって仕事をします。そういうことで、今我々の、ブラジル人の多いところでは、日本語とそれからポルトガル語の併記ですべて標準類を作って生産指示をやっております。
 それから、下は、ブラジル人の方も最近十七名ぐらい正規の社員になっていただきました。彼らは、永住権を持っている方、あれは六か月から三年以内ぐらいで試験を受けるようにしていますけれども、これはその試験の風景でして、この中には日本人の季節工、それから日本人の契約社員、それからもう一つブラジル人、一緒に同じ試験を受けさせています。日本人の方は毎年百人ぐらい合格するんですけれども、なかなか、ブラジルの方は日本語のハンディキャップ等がありまして、今年は十名受けまして一人か二人ぐらいしか通っていないと。現在まで十七名の方が正社員になっております。
 次のページ、これが試験問題です。読んでいただければ非常に簡単な問題なんですけれども。
 それから、次の下の方にバーモスジェントスという、これは日本語で言いますと、さあ行こうという意味合いの季刊誌でして、この中で会社の考え方とかをいろいろ出しております。
 それから、次のページ、これが我々のところで、多分余りよそ様はやっていないと思うんですけれども、社員食堂でブラジル人の専用の食事を出しております。初めは味がまずいといってなかなか食ってくれなかったんですけれども、最近では完売するというところで、味も良くなってきて非常に人気がございます。
 あとは、イベント関係で、ファミリーフェスティバル、これは年に一回開いております。八月に毎年開いていますけれども、たしか二〇〇二年のワールドカップのブラジルが勝ったときに西尾工場でこんなふうにミニのリオのカーニバルをやったと、こんなところがございます。
 それから、あと、次のページに顔が写っていますけれども、この方たちはブラジル人の方で、正規社員になっていただきました。彼らは、良くなったことは何ですかと聞きますと、正規社員になりまして仕事に取り組む姿勢が大分変わってきましたと、今まではよく仕事を変わっていましたけれども、正規社員にしたおかげで、仕事に対する姿勢、取り組み方の考え方が変わってきましたと。この中には、蒲郡で家を建てて立派に生活されている方もお見えでございます。このほか、日本語教育とかいろんなことをやりまして、極力コミュニケーションの一体感を出そうということでやってまいりました。
 こういうことですが、最後に、政府の皆様にということなんですけれども、大きく二点挙げさせていただきました。
 一つ目は、外国人の就労に関する規制を緩和していただければと考えます。私ども自動車部品産業は、グローバル化が加速する中で、物づくりの技能を日本できっちりと展開していく必要があります。我が国は、少子高齢化や高学歴化が進み、優秀な技能者、特に若い技能者の確保が難しくなっております。特に私どもの東海地方では慢性的な人手不足が続き、日本人の有期契約社員の雇用も困難な状態にあります。そういうことで我々、ブラジルの方を雇っておるわけですけれども。さらに、私どもの仕入先さんにおきましても、いろいろ高校新卒の応募を掛けたけれども、二十六名欲しかったんですけれども入ったのは一名だと、そんなふうなところがありまして、結局外国人に頼らざるを得ないと、こんな状況になっております。
 地域差はあるとしても、早晩労働力の不足が懸念する中で、既に日本に滞在し、就業年齢が達している日系四世の皆さんやその他の国の人々が日本で働くための就労条件を、我が国の雇用情勢の実態から御検討をいただければと思います。
 それからもう一つは、先ほど長期滞在を希望する人が増えてきていると申し上げましたけれども、年金制度や教育など生活のインフラ面で安心して働き続ける制度の整備をお願いしたいと思います。
 まず、年金ですけれども、日系人が日本で就労した場合、当然日本の年金制度に加入し、保険料が徴収されます。その一方で、母国に帰国した場合には受給できる脱退の一時金の金額が三年で上限と決まっております。そういうことで、将来帰国する人にとってはそれ以上の保険料が掛け捨てになるために、三年を一つの契機に帰国すると、そういう方が増えております。
 それからもう一つは、教育の問題です。勤続年数が延びるにつれて、日系人の子女の教育の問題が出てまいります。これも地域によっては温度差があるようですが。ちなみに、私どもの駐在員の話を聞きますと、米国ではどんな田舎の公立学校に行っても、英語を母国語としない子女が編入した場合は、専任の教師による補習が行われたり特別のカリキュラムが組み込まれるなど、公立学校の基本的な枠組みの中で外国人の対応が織り込まれています。管理会社さんから聞いたことですけれども、言葉の問題で登校拒否になり、その結果犯罪につながるケースもあると伺っております。この辺のところは早急な対応が必要かと思っております。
 また、将来ブラジルに戻って職に就きたいという子女もおると。そういう子女にとってはブラジルとしての教育課程を修了していることが必要でありまして、最近ではブラジルの文部省の認可を受けた学校が是非できないかと、そういうところが望まれているという話を聞いております。
 以上、私ども、活躍している日系ブラジル人の皆さんの状況を具体例を通して紹介させていただきました。
 以上で私からの説明は終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○会長(田名部匡省君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見聴取を終わります。
 これより参考人に対する質疑を行います。質疑はおおむね午後四時をめどに終了させていただきます。
 質疑及び答弁の際は、挙手の上、会長の指名を受けてから御発言いただくようにお願いいたします。
 また、一回の質問時間は答弁及び追加質問を含めまして最大十分とし、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますよう、質疑、答弁とも簡潔に行っていただくよう御協力をお願いいたします。
 なお、質疑の際は、最初にどなたに対する質問であるかをお述べいただきたい、こう思います。
 それでは、質疑のある方は挙手を願います。
 津田弥太郎君。
○津田弥太郎君 民主党の津田です。
 今日は、お三方それぞれのお立場で大変貴重な御意見ありがとうございました。追加質問を含めて十分以内に上げたいと思いますが、最後のアイシンさんのお話、感想だけ申し述べます。
 大変アイシンさんは超優良企業でありまして、そこで採用されていらっしゃる直雇用のブラジル人の方々というのは大変恵まれた方たちで占められているなと。御案内のように、現実にはアイシンさんの三次、四次協力企業あるいは自動車産業全体の中でもそうですが、ほとんどが直雇用ではなくて派遣が中心で行われているということでございまして、その辺はアイシンさんのお話は非常に感銘深くお聞きをしましたが、問題は、もっと他に非常に根深いものがあるということだけは御指摘をさせていただきたいなというふうに思います。
 そこで、井口先生にお聞きをしたいんですが、先ほど経済連携協定に関するコメントについては詳しくお述べになりませんでした。御案内のように、いわゆる介護福祉士を始め、今、政府が幾つかの国々といわゆる特定の資格のある労働者の我が国への受入れという形で実は段階的に進めているところであります。これがどのような影響をもたらしていくと思われるか、是非御感想をお聞かせをいただきたいというふうに思います。
 それから、日本経団連の立花先生、私、連合の出身なんで多少きつめの質問になりますので、お許しを願いたいというふうに思いますけれども、結局、今現状のいわゆる日系の労働者の問題と技能研修の問題と二種類大きく分かれているわけですが、とりわけ日系の方々の問題というのは、仕事そのものにも大きな問題がありますが、家族の生活の問題、地域生活の問題、それから子供の教育の問題、これらにおいて直接の自治体が大変大きな負担を強いられているということがございます。
 これについて、この調査会でも前回視察に行ったときにも大きな問題提起を伺ったわけですが、この辺について、一つは採用している企業が一定の負担をしたらどうかという提案があるわけですが、是非そういうことは必要だというお考えを聞かせてもらいたいなというふうに思うんですが、その辺についてのコメントをお聞かせいただきたいと思います。
 以上二点、お願いします。
○参考人(井口泰君) ありがとうございます。
 今、経済連携協定についての御質問をいただきましたので、これにつきまして二点ほど申し上げたいと思います。
 まず、御存じであるかとは思いますけれども、フィリピンあるいはインドネシアの両国におきます議会での批准作業がいつ終わるか、これが実はよく読めない状況で、現在、既にフィリピンにつきましてはパブリックコメントを通じまして受入れのための一応手順といいますか、要領のようなものが既に厚生労働省によって公表されてきております。まだ最終ではございません。
 受入れに伴ってどういう影響が出るかということでございます。
 まず、今回の受入れにつきましては、一つ問題だと思っておりますのは、一方では、我が国の国内で例えば福祉系の大学の学部やあるいは医療系の学部を卒業した外国人の方は同じような例えば看護師や介護福祉士の資格が取得できるわけですけれども、もちろん国家試験に合格する場合あるいはスクーリングの場合もまだ残されておりますが、しかしながら、こういう方々につきましては、現状では国内で看護師ないし介護福祉士として長期にわたって就労するということができないようになっております。
 これは、大学で同じように学んできても、日本人の場合は就労できるのに外国人の方は制約がある、あるいは在留資格がないというような問題がありまして、内外人不平等になっております。この内外人不平等の問題を実は早く解消すべきではないかということを厚生労働省に申し上げたこともございますが、それを先にやってしまいますと、実は経済連携協定でわざわざ特定の国に対して市場へのアクセスを認めたことのメリットがなくなってしまうんだという御回答があったというふうに記憶いたしております。
 しかし、私自身といたしましては、まず、同じような大学を出、同じような試験を通った人について、同じように就労できる資格を認めることは、これは当然同時にやるべきではないだろうかと思います。なぜならば、実はこの経済連携協定そのものの発効が遅れているだけではなくて、実際にこのスキームを通じて日本語をしっかり習得し、三年くらいの間にしっかり国家試験を通れる人が一体何人いるんだろうかというふうに考えてみますと、非常に厳しい条件が付いているというふうに言わざるを得ないわけでございまして、そういう観点からいいますと、初めての試みでございますから経済連携協定そのものについてまず進めていくことは大事なんでありますけれども、同時に、この内外人不平等問題を早く解消していただきたいというふうに考えているところでございます。
 あと、もう一言だけ申し上げておきますと、年間に合計でも千人という枠でございますので、これが恐らく日本中に割り振られますと、一つの県についてもう本当に数十人という感じになってきてしまうんではないだろうかと、一つの病院ないし介護施設などに二人とか一人とかというようなことになってしまうのではないかと思います。その際に、受け入れる側の施設にどの程度の教育能力があるのか、あるいは試験を合格したとき支援ができるのかといった点についてまだ非常に不安な点が多い。あるいは、地域として受け入れていないために、どうしてもやはり何かトラブルがあったりいろいろ権利侵害があったりしたときに、なかなか外に見えにくい。そういう観点からは、やはりもう少し地域としてあるいは自治体としてこういう人たちをしっかり受け入れていくというようなことも検討すべきではないかと考えております。
 以上でございます。ありがとうございました。
○参考人(立花宏君) 津田先生からの私に対する御質問で、現状の日系人の労働者の問題は厳しい御指摘がございました。仕事の問題、それから家族、生活の問題から子供の教育の問題等々。
 自治体がいろいろ負担を強いられていると、それに対して企業はただ見ているだけでいいのかというお考えだろうと思いますけれども、これについて、私どもは今、二十数万人に達する日系人について、身分に基づく受入れということで来たわけで、通常の外国人と違って資格を問わない受入れだったわけですね。言葉の問題も問わず、国内でどこで働くかという保証も得られないまま、ただ日本人の血がつながっているということで来られた方多いわけですけれども、だからといってそのままほっておいていいというわけじゃなくて、私は日本の外国人労働受入れ政策の非常に大きな矛盾はまさに日系人にあると思っていまして、要するに言うこととやることが違うじゃないかという、非常にそのシンボルだろうと思うんですね。一方では単純労働者受け入れないと言いながら、実際上は現場でまさにそういう働き方されているということですから。そういう意味でいうと、私はこの問題は本格的な外国人受入れのある意味では試金石だろうと思っていまして、したがってこの問題をきちっと知恵を絞って解決していく必要があるというふうに私ども思っております。
 先生おっしゃったとおり、例えば病院でかかっても治療費は払わないでそのまま逃げちゃうとか等々ございますし、子供の教育の問題、なかなか地域のフォローが不十分で、なじめなくて、近所の公園でたむろして、結局不登校になって、日本語も不十分それからポルトガル語も不十分というケースで非常に疎外されているということで、なかなか落ち着く先が非常に難しいということであろうと思っております。
 この問題を私ども一つ考えたときに、一つは交付税でもって外国人が、例えば群馬県の大泉とかあるいは岐阜県とか浜松とか等々、外国人集住都市のデータがございますとおり非常に多いわけですから、ですから交付税配分のときに、外国人の比率といいましょうか、教育の問題とか様々な、あるいは通訳の問題とかでいろいろ金掛かるわけですから、そういった面で交付税で少し配慮できないかなということを御提案させていただいて、これはこれで少しやるよというお話があったと思う。どの程度の金額か、ちょっと私はそこまではチェックしていませんが。
 それからもう一つは、外国人を雇っているんだから、それでおまえたちはもうかっているんだから税金掛けてやるという議論があるんですね。ところが、私どもは、内外無差別といいましょうか、そういう観点から見て一体どうなのかなということと、それからいわゆる法人事業税なんかについても、かつての所得中心からいわゆる外形標準に変わってきているわけで、つまり、もうけてももうけなくても、まあショバ代といいましょうか、会費的なものはちゃんと払うということで変わってきているんだろうというのがあるんだろうと思います。
 それからもう一つは、各地域で、これは今、私どももできるだけこういったことでお願いさせていただきたいと思っていますけれども、各地域各地域で国際交流協会といいましょうか交流協会があって、そこで地域の方々がボランティアでやっておられるわけで、そこが自治体からあるいは補助金を受けたりとか、やはり企業としてもその地域社会との関係なくして成り立ち得ないわけですから、企業もその地域社会の一員として、外国人の受入れにいろいろ取り組んでおられるそういった地域の国際交流協会あるいはNPOとかしっかりした団体に対して、ある意味で言えば基金をつくって、その基金に対して応援していくというのが一つ現時点において考えられる方策ではあるまいかなということで、そういったことを私ども、地域の方々には、各地域の経営者協会とかがございますので、そういった方々にそういったお話をさせていただいている状況でございます。
 以上でございます。
○津田弥太郎君 ありがとうございました。
○会長(田名部匡省君) 次に、丸川珠代君。
○丸川珠代君 三人の参考人の方たち、今日は非常に示唆に富んだお話を聞かせてくださいましてありがとうございます。
 特にアイシン精機の川田参考人のお話、非常に良い成績の企業ならではのことかなとも思いましたけれども、それにしても、スキルの蓄積や継承が必要な職工さんとそうではない単純作業の方とで多少やっぱり待遇なり正社員への登用の機会なども違ってくる、私たちは、もしかしたらそこの受入れを一つのステップ、二つ目のステップと分けて考えていく必要があるのかもしれないなというような思いも抱きました。
 そうした中で、お一方ずつ伺いたいのですけれども、済みません、まず井口参考人からお話を伺わせてください。
 お話の中で、資料の七ページにもあるんですけれども、外国人雇用をやっているところは、一般的に言われているように、外国人の雇用が本当は雇用の機会があるはずの女性や高齢者の雇用を奪っているというのが実は逆で、女性や高齢者の活用も進んでいるという評価をされています。これは、具体的にはどういう作用が働いて地域なり企業の中なりでそういう女性や高齢者の活用も進むというようなことが起きているんでしょうか。
 また、それはいわゆる製造業に限ったことでしか今は見られないとは思うんですけれども、先ほど津田議員のお話にもありましたけれども、例えば福祉関係で介護福祉士なりを受け入れていった場合にも同じようなことが起こり得るのかどうかということをお伺いしたいと思います。と申しますのは、先ほどのお話にもありましたように、私も、内外人不平等、同じように日本の学校を出て資格を取ったにもかかわらず国籍が日本ではないという理由で今就労のビザが下りないという状態は、非常に私たちの社会としても損失を被っているんじゃないか、もったいない話だというふうに思っておりまして。
 ただ、私が聞いている限りでは、そうした人たちに就労の資格が下りないのは、一つには、日本でも社会福祉士なり介護福祉士の資格を持っている人で潜在的にまだ市場に出ていっていない人たちがいるからだと、まずそちらの人材を活用しなければ、あるいはそういう人たちが働きたいような環境を整えない限りは外国人の方たちのそういう有資格者の受入れも難しいと、今はEPAの限りが限界であるというような話を聞いたことがあるものですから。本当に、そういう福祉の分野でも女性、高齢者の今働いていない人たちの仕事の機会を奪ってしまうようなことがあるのかどうかというようなことを含めて、ちょっと大きな話になりますが、お伺いできればと思います。
 それから、立花参考人にお伺いしたいんですけれども、経団連が挙げている三つのポイントということで、一つ目が、外国人の受入れは質と量の面でコントロールされるべきである、二つ目に挙げているのが、受け入れる外国人の労働条件や生活環境といったところにおいては差別が許されないという点がありますが、現実的に、今外国人労働者を受け入れている状況というのが結局は生産量の変動の調整弁になっている面が多分にあると思います。そうなりますと、そういう方たちを、では日本でもやっている問題、派遣の問題、受入れの問題なんかを解消する中で、上の方のラインに引き寄せていくというのは企業のサイドにとっては非常に難しいことではないかなと思うんですが、現実的にそれがどういう見通しを持っていらっしゃるのかという点を教えてください。
 それから、済みません、また最初に戻りますけど、川田参考人には、私が最初に申し上げましたように、やはり受け入れるに当たっては、本当に機械に入れて出すだけで成形されているというような本当の単純なステップと、それから幾つものステップを一人でこなすことができる職工というような二つのステップに分けた受入れというものが必要になってくるかどうかというようなお話を伺えればと思います。
○参考人(井口泰君) 御質問ありがとうございます。
 今いただきました御質問、二つございます。
 一つ目は、女性や高齢者との関係で、どのように日系人の方が雇用されているかという点です。
 まず、私が申し上げましたのは、一つは、資料の八ページの方に出ております別表はこれは地域のデータの相関を取ったものでございまして、ちょっと正確に言いますと、五十歳以上の高齢者の労働力率が高いところでは例えばブラジル日系人の数が多いというふうに読むのでございます。これは因果関係ではありませんで、あくまで相関であります。技能実習生については、先ほど申しましたように、若年人口比率、これは十五から二十四歳、ちょっと今の議論と別ですが、の比率が低いところでは技能実習生はむしろ高く出ると、マイナスの相関と、こういう意味でお読みいただきたいと思います。
 ですから、一つは、統計的に相関という関係で、先ほど七ページのところで御指摘のあったようなことが言えると。ですから、女性や高齢者をまず活用しなければいけない、その方々の能力をまず大事にしようという、しなければいけないのに日系人が働いているかというと、実は統計的にはそうでないというのが一つ言えることです。
 それからもう一つは、私が浜松市や岐阜市やそれから鈴鹿市などで見た事例というのはほとんどの場合小さな職場でございますけれども、外国人の方と地域の女性のパートの就労者の方、それから高齢の六十歳以上の方などがいろんな形で出たり入ったりで混在して働いているケースが多うございまして、これは中には製造業だけじゃなくてサービス業もございます。
 それで、アメリカなどでは、こういった外国人とそれから市民権を取ったアメリカ人の関係を言う際によく問題になるのは、カリフォルニア州のような例では働いている人の八〇%くらいが例えばもう外国人で占められていて、もうほとんどそういう人たちがいないと成り立たないような職場なんですけれども、日本の場合は外国人だけで成り立っている工場や作業所というのは私は余り見たことがなくて、むしろそういう例というのは、研修生が四割くらい占めている例というのはございますが、ほとんどの場合は日本人の方が依然としてマジョリティーでございます。
 こういうような関係もございまして、もし景気が悪くなってきますと、どちらかというと、先に日系人の方や外国人の方々がいなくなっていくというイメージでございますものですから、先ほど申しました統計的な関係と併せて読みますと、女性や高齢者も雇っているんだけれども、更に日系人も雇わないとやっていけないというような状況の中で動いている事業所が多いのではないかというのが私の一般的な印象でございます。
 それから、第二の点でございますが、簡潔に申し上げたいと思いますけれども、私が先ほど申しましたケース、例えば看護師でございますが、看護師につきましては、国内で養成をしてくれるいろんな学部を出て資格を取った場合につきましても、まだ依然として七年間という制約が掛かっておりまして、まだその制約は排除されておりません。これにつきましては、以前に南野先生からもお話を伺ったことがございますが、海外からの人材流出、頭脳流出を招くおそれがあるので、そういう年齢制限を依然として看護師については付けたままなのだというふうに御説明を受けたことがございます。
 しかし、現実問題としては、何千人、何万人単位で日本の看護師になりたくて国外からいろんな方が来ているわけではございませんので、まだそういったことを心配するレベルではないのではないかというのが私のまず一般的印象であると。
 それからもう一つは、介護福祉士につきましては、例えば福祉系の学部を出て大卒資格を取って、さらに介護福祉士の資格を取っている方も実は国内にいるということが分かっておりますが、今のところそういう方々は、大体日本人の配偶者などのそういう資格なのでそんなに問題ない場合もありますけれども、依然としてまだ在留資格そのものがないと。ですから、私どものチームでは、例えば福祉というような在留資格をちゃんとつくって、日本でちゃんと大学も卒業し資格も取った方については就労を認めてはどうかというふうには考えております。もちろん、処遇の問題はございますけれども。
 今申しましたようなことは、先ほども御指摘のように、資格を取っても、例えば家庭責任があってあるいは夜勤がこなせないために現場に出てこられないという方々が多いということが理由だからこういった資格を設けていないのではなくて、依然として、やはり介護福祉、例えば介護福祉士の方々の処遇そのものにやはりまだ懸念がある。無資格の方々と競合しているといったような問題があるために、厚生労働省の方は恐らくそういった新しい在留資格の創設について懸念を持っているのではないかと、私はそんなふうにも考えております。
 よろしゅうございますでしょうか。
○参考人(立花宏君) 丸川先生の方から私に、私が御説明した外国人受入れの三原則に関連して、人権の問題に関連して、先生のお話ですと、現実的には生産の調整弁に使われているんじゃないのかということで、上のラインに引き寄せるのは難しいがどういう見通しかと。この上のラインに引き寄せるのはというのは、恐らく待遇を上げるのかと、そういう意味だというふうに解釈させていただくと、一つは、法令違反に対して、やはり法治国家である日本で法令違反に対しては断固としてきちっと取り締まるというのは大前提だろうと思うんですね。
 その前に、だけれども、なかなか水面下に潜ってしまうというケースもあり得るわけで、その理由もあるんだと思いますけれども、一つは、なかなか、この場合、例えば研修・技能実習生の場合には労働先が自由に移転できないという前提に立っていますんで、そこで弱みがあるということだとすればこれは私も賛成ですが、井口先生がおっしゃっておられたように、きちっとホットラインといいましょうか、それぞれ現地の言葉で、彼らが自分たちが受けている待遇について、例えばパスポートを取り上げられたとか残業代払ってもらえないとか、いろいろ不当な待遇に対してはきちっと自分たちの権利が主張できるような、そういったホットラインを整備するということで、基本的には恐らくそういう方向で、今、国の方あるいは関係機関の方では動いていると思いますけれども。
 まず、そういった権利侵害された方に対して救済の手だてを設けることは、これは最低限必要だと思いますし、それからもう一つは、その出身国で、俗に言う口入れ稼業じゃありませんけれども、保証金を取って送り出すというケースもなきにしもあらずだと聞いていますんで、やっぱりそういった不適切なケースですね、人身売買に近いようなケースがもしあるとすれば、それに対してきちっと、場合によっては外交ルートで、この研修・技能実習生の場合には受入れに当たって現地の方の機関がそれをチェックすることになっていますんで、それをチェックする機能を果たしていないとすれば、それはそれで、どこの国であろうと、我々の政府はきちっとそれに対しておかしいと、あるいはJITCOという国際研修協力機構でしょうか、そういった出先機関もありますんで、そういったところから改善方を申し入れるとか、いろいろ、違法あるいは不当な行為に対して保護するといいましょうか是正するといいましょうか、そういった取組が必要かなという感じがいたします。
○参考人(川田武司君) まず、有期契約社員、これは日本人の方とブラジル人の方がお見えなんですけれども、直接雇用した段階で条件はすべて一緒です。賃金から残業時間管理からすべて同じ状態でやっております。
 それから、そういう有期契約社員が入る職場というのがどういう職場で、大分ハンディキャップがあるのかという質問と理解しているんですけれども、まずそういう、それぞれの人の特性、教育期間がありまして、その人たちの中の特性をある程度見ながらそれぞれの現場に配置していますね。それで、トヨタ生産方式というのはどんな現場も非常に大切なんです。ボルト一本なくても車が動かないとか、すべてどの現場も大事だということで。
 それからもう一つは、そういう非常に習熟期間が短い人でも十分働けるように、逆に設備とかそういう面での投資を結構やってまいりました。そういう意味で、割合、普通ならば一年ぐらいの期間が要るんですけれども、いろんな品質問題を起こさないような、我々の言葉でばかよけとかいうものがあるんですけれども、そういうものを付けて、極力、習熟期間の短い方でもやれるような製造工程を作ってまいりました。そこで今やっていただいておりますね。
 それで、もう一つは技能という言葉がありまして、やっぱり我々としては、それぞれ働いていく中で技能を付けていただきたいと。この技能というのは、これはやっぱり習熟をどれだけしていくか、まじめにその与えられた仕事に取り組んでいくか、この辺で技能がやっぱり醸成されてくるわけですね。例えば、機械の音を聞けばおかしいなとか、五年も十年も働いている人は炉の火の色を見ただけでこれは何度だとか、そういう感覚を付けるんですよね、そういう人。当然、そういう人たちは徐々に監督者から専門職へどんどんどんどんステップアップしていくという形になってきます。
 だから、本当は、ブラジル人で入ってきた方も、先ほどのデータでありましたように、一年間で半分の方が替わられるんですよね。逆に、日本の方は結構長く勤めていただきます。それで、二千人いますから、千人の方が辞めて千人の人を採用しておると、これが現状なんです。だから、非常にアイシンは恵まれていると先ほど言われましたけれども、現実は千人の人が辞めていくんです。それは、我々も一生懸命、何とかそこで頑張っていただこうということで努力をしているんですけれども、残念ながら千人の方が出ていくと、そういうことなんですね。
 だから、そういう意味で、我々としては本当にしっかりそこで腰を落ち着けて、技能、それぞれの腕を付けていただいて、何とか頑張ってやっていただければなというのが本音のところでございます。
○会長(田名部匡省君) 山本博司君。
○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 三人の参考人の皆様、大変貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。そこで、何点かお聞きを申し上げたいと思います。三人の方にお聞きをしたいと思います。
 まず、井口参考人にお伺いをしますけれども、論文の東アジア共同形成と人の移動という部分、読まさせていただきまして、それに関連をする部分ですけれども、日本が外国人から魅力ある労働市場と、こう見てもらうためには、ほかの国と比較して何が一番アピールできる優位な点であるのかという、そういう点をちょっとお聞きをしたいと思います。高い賃金とかそういうものではなくて、技術とか知識とかそういった習得できるような研修制度の充実というのが非常にアピールできるのではないかと思っておるんですけれども、その点の御意見をお聞きをしたいと思います。
 それから次に、立花参考人にお聞きをしたいと思います。
 外国人の方々を積極的に受け入れるという御提言の部分、大変参考になりました。その中で、私は四国の出身でございまして、地方の活性化という意味で、特に過疎集落等も大変多い地域で、大変厳しい実態がございますけれども、そういう外国人労働者が単なる労働力の補充要員ではなくて、地方に、地域に大きな貢献ができるのではないかなというふうに私も考えておりますけれども、特に農業の分野での参入ということに関して具体的にお聞かせいただければと思います。その点でございます。
 最後に、川田参考人に二点だけお聞きしたいと思います。
 アイシン精機様の取組というのは、共生社会実現ということで大変先駆的な取組だと思っております。ほかの企業のモデルケースにもう十分なっていくと思いますけれども、そういう中で、今外国人の方々千八百三十一名、正社員の方六十六名ということでございますけれども、今後どのぐらいまで正社員の方を増やそうとお考えなのか、その点と、また、こうした制度を他の企業がもし追随をしていくときに、多分いろんな御苦労があったんだろうと思いますけれども、どのような点に留意をしていったらいいのか、そういう助言的なことを教えていただければと思います。
 以上、よろしくお願い申し上げます。
○参考人(井口泰君) 山本先生、御質問いただきましてどうもありがとうございます。
 私も、幾つかアジアの国々との間で、今、日本の地位というのがどこまで変わってきたのかということにつきましていろんな角度から検討をいたしております。
 先ほど研修生のことをおっしゃったので、まずそれについて申し上げておきますと、最近では、中国からおいでになる研修生にいろんな質問やアンケートをした結果を見ますと、円が少し安くなっているせいもあると思うんですけれども、やはり月収十五万円くらいは欲しいという意見が強くて、実際にはそれほど実入りがないというのが現状ではないか。これは円がアジア通貨に対してやや弱含みになっているということの現れであろうかと思います。
 それから、日本に期待してきたものの中に、やはり日本人の勤勉さや職場の規律だとか品質の高さとかそういうものを学んで帰りたいという気持ちが依然として強いということは、まだ非常にうれしいことであります。しかし、現実にはそういった点につきましてもやや陰りが出てきているのではないかという点がございまして、実は先日、愛知県の豊田市では、この町を世界に誇れる国際都市にしようということで、私も若干協力をいたしました。
 日本のやはり持っている強み、先ほど申しましたモラルの高さというか、それから仕事に対する熱意とかそういったこともございますけれども、やはりその町が差別のない町であること、何かあったら助けてくれる、あるいはいろんな国の人たちが集うことができる、いろんな権利や義務関係がしっかりチェックできる、無年金とか無保険というような人を放置しないとか、そういったような事々を実際実現していきたいというふうに話し合っているわけでございます。
 今後、やはり日本全体を一度に変えるのは難しゅうございますけれども、そういったいろんな個別の地域で、日本の従来から持っているメリットと、新しい国際的に開かれた、外国人の方にウエルカムと言えるようなそういう地域をつくることがやはりアジアから今後来ていただくために非常に重要なんではないだろうかと考えております。
 特に外国人の方がただ働きに来るだけではない、やはり子供を育てる、あるいは奥様も来ていただくとか、家族で住むということになってくると、やはり教育の問題というのも、実はどこに行くか、どこに住むかという選択の際にそういう問題は重要性が上がってくる。決して所得だけではないということを考えながら、日本の今後の魅力というものを伸ばしていければいいなというふうに考えているところでございます。
○参考人(立花宏君) 山本先生から私に対する御質問で、過疎地域での活性化ということで、単に労働力というあるいは補充要員ということじゃなくて、やはり地域に貢献する人材として受け入れるという、そういった発想といいましょうか、特に農業分野でその問題を一体どう考えるかという御質問だったというふうに考えますが、若干これちょっと私の個人的な意見ということで、組織とは離れての意見だということで、そういう前提でちょっと申し上げさせていただきますと、確かに、地域活性化の上でやっぱり外国人を受け入れるというのがこれは非常に手っ取り早いぞという意見を私も随分聞きます。ただ、それはもちろんきちっとした前提の下でというのがもちろんあるんですがね。
 実は、経団連がこの研修・技能実習制度の改善について提言を出した後、ある県の農協の方から私のところに連絡があって、経団連の意見は我々も非常に納得できる面があると。特に農業の場合には、例えば露地野菜というんでしょうかで、あれは研修、技能までは受け入れられたと思いますけれども、いわゆる水田の方は駄目なんですけれども、畑作の方で野菜なんかのところは受入れ認められるわけですが。
 ただ、その場合に朝早く、いわゆる朝取り野菜というんでしょうか、早取り野菜というんでしょうか、朝早く収穫してそれで市場に出荷すると、新鮮な形でですね。ただ、それはいわゆる正規の通常の時間から外れてしまうもんですから、そういう勤務は認めないという運用になっているけれども、是非それは農業の特殊性を考えて、別に無理やり奴隷みたいに酷使するわけじゃなくて、農業の生産パターンに合わせてやりたいんで、何とかそういうのがもうちょっと、朝から、早朝から働けるようなそういった枠組みができないだろうかという、そういった御注文もありました。
 それで、例えば、これは全く私の個人的な意見ですが、中国から、御案内のとおり、農薬で汚染されたギョーザの問題がありました。日本の企業が提携して向こうで、現地で作って日本に輸入するというそういうやり方がいいのか、それとも現地の人に日本に来てもらって、田んぼなり畑が空いていると、耕作放棄も目立つんであれば、きちっとした受入れ体制の下で現地の人たちに日本へ来て腕を磨いてもらって、また日本人のきちっとした、日本の法律の下で安全、安心なものを作ってもらうと、どっちがいいかですね。
 農薬で汚染された、なかなか相手国ですから全部が全部チェックできないという形で輸入する、これはこれで一つの形だと思いますし、そうじゃなくて、中国から場合によっては一定の要件の下で受け入れて、日本人のきちっとしたコントロールの下で働いてもらって安全なものを確認した上で流通させると、どっちがいいのかという判断があるんだろうとは思うんですね。
 私はその辺、今にわかにどっちがいいという判断はできませんけれども、今回の問題は、随分、やはり国民的にはこういう状況で今の食料自給率が三九%で非常に危ないじゃないかと。穀物だってどんどんどんどん二倍三倍、非常に輸出国は税金を掛けているということで、かつてのように金さえあれば買えるという状況じゃないぞという話をよく農業団体の方から伺うわけですが、確かにそういった状況変化があるんだろうと思いますので、そういうどっちのやり方がいいのか悪いのか、その辺はよくバランス感覚を持って検討していくことが非常に必要かなという感じはいたします。若干その部分は私の個人的な意見でございますけれども。
○参考人(川田武司君) ちょっと初め、有期契約社員という中に外国人の方と日本人の方がお見えなんですね。それで、全体的に考えますと、有期契約社員の比率を何%にするかと、この辺でまず申しますと、先ほど少し説明しましたけれども、我々部品メーカーというのは非常に、今日百個作ろうかなと思ったら注文が百二十個来たとか非常に変動幅が大きい職種でございまして、そういう変動のある中で雇用をしっかり安定的にしていこうとしますと、その今の比率三〇%がマックスじゃないかなと。
 そのうち、じゃ外国人の比率をどうするかという話なんですけれども、これは特に外国人の比率をこうしたいとかああしたいとかいう話じゃなくて、本当は日本人の方が来ていただきたいんです、これは来ていただきたいんですね。それで、外国人の方で、先ほど申しましたみたいに、すぐ入れ替わりますよね。人事の担当者が保険の切替えからもう何の切替えから、えらいやっぱり時間が掛かるわけです。
 残念ながらなかなか、新入の高卒の方は二百名ぐらい採りますけれども、彼らは今度アイシンの学校に入るんですね。学校に入って一年間研修してから彼らは出していくわけです。もう直接現場に入っていただく方は本当になかなか採れない状態なんです。
 そういうことで、しかしそうはいっても人手がない。外国の方は今現在二千人近い方がいまして、また量が増えていきますと、なかなか日本人の方に来ていただけないとしますとまた外国の方がお見えになると。ただし、お見えになったからにはちゃんと現場で日本人と同じようにしっかり働いていただきたいということで、直接雇用、残業の管理、できる限りのことはしてあげようと、こういうことだと思うんですね。これがよそよりも進んでいるとは決して思っていないんですけれども、実はこういうことができるようになったのはやっぱり物づくりに対する構えの話だと思うんです。
 先ほど申しましたみたいに、八〇年代ぐらいから請負ということをやっていまして、請負のときに、その当時からブラジル人の方は結構お見えでして、請負をやっていました。ただ、請負というのはある程度信頼関係があって、これを渡します、ちゃんと仕事をしてくれたら請負が成立するんですけれども、なかなか物づくりはそれなりの、先ほど言いました技能とか技術とか要りますので簡単に人手の派遣じゃないんです。だから、そういう面で請負ができない。それで、請負しますといろんな問題が出てきてこれは大変だと。そういうことで、請負から何とかやるために、ただその人たちは、働いている方のその人たちは欲しいと。そういうことで直接、当時まだ製造業の派遣は認められてなかったと思うんです。そういうことで、うちに来てください、来る限りにはちゃんと頑張ってやってくださいよ、そこで直雇用を始めたと。
 これやってみますと、先ほど申しましたみたいに、ブラジルの方は回転率が速いんですね。だから、人事が今なかなか大変だなというところがありますけれども、ただ、幸いなことにリピート率という考えがあるんです。三年間働いて一年間は帰りました、また戻ってきます、是非ともアイシン精機にお願いしたいと、そういう方のリピート率が増えてきましてね。結構、そういう意味では一生懸命やっているというのか、それのかいがあったなというのが実感です。
 それで、もしほかの方に対して何かいい例があるかということなんですけれども、やっぱり当初のうちは不平不満がありました。組合さんとの間でもいろんな、ブラジル人の方はちょっと違うとか、社内でもいろんなけんかがあったといううわさは聞きました、言葉の壁とかですね。ただ、それは大分古い話でして、今は極力一緒になろうということで、やっぱり極力差別をなくすというのか、不平不満をなくすとか、今目安箱みたいなやつをやっておるんですね。大分もうそれも最近少なくなってきましたけれども、一時結構ありました。お互いに顔見てますと全く日本人ですから、もうお互いにやっぱり作業者同士、監督者同士、そこに信頼関係をいかに醸成していくかと、この辺に尽きるんじゃないかなと思います。
○会長(田名部匡省君) 紙智子君。
○紙智子君 三人の参考人の方、どうもありがとうございます。私も、先週も参考人の質疑でもって外国人労働者の置かれている現実というか、厳しい現実があるということもお聞きもして、胸も痛みましたし、この調査会で愛知の豊橋、私一緒に行かせていただいて、現場で実際に外国人、ブラジル人の子供たちが学校で勉強するというところを目にしながら、やっぱり起こっている矛盾というか、現に実際に外国人労働者の方が来て、そしてそういう様々な問題があって、やっぱりこの問題を早く解決しなきゃならないという気持ちは非常にしたわけです。
 そういう思いと同時に、やっぱり企業の側に立つと、今グローバル化という中で国際競争が本当に激しく行われていて、やっぱりできるだけ優秀な人材を確保したいというのと、それから労働力を、コスト引下げということがあるわけだから、やっぱり安くということになっていくわけで、そういう中で外国人労働者の皆さんが対象にもなっているという面があって、だけど対象はやっぱり物じゃなくて人なわけですから、当然もっと賃金を上げてほしいだとか労働条件の問題とかという要求出てくるのが当たり前で、そういった問題がいろいろな形で今噴出してきていて。
 最初に井口先生にお聞きしたいんですけれども、ずっと言われて、いろんな角度からどうとらえるかということをめぐってはいろんな材料を提起いただいたなと思っているんです。それで、先生の中でやっぱり今、日本の外国人の政策、改革ということというのは非常に遅れていて、まだ緒に就いたばかりというお立場だと思うんですけれども。
 そういうことでいうと、必要な今改善しなきゃいけないことって幾つか提案されているんですけど、やっぱり私なんかは率直に言って、そういうことでもって受け入れてやってきた企業の側の責任というのはひとつちゃんときちんとしなきゃ駄目だというか、責任持ってきちんとやらなきゃいけないだろうということと、あわせて、それ任せにしてもおけないというか、そういう具体的な表れ、子供の教育の問題含めて、もちろん行政も、それから地域全体も、それこそ差別なくすという話ありましたけど、こういう問題もやらなきゃいけないし、それからやっぱり国としても必要な法的な手当てってやらなきゃいけないというふうに思うわけですけど。そういうやっぱり企業としてももっときちんとしないといけないんじゃないかという辺りで、その辺なんかはどうなんですかね。まず、そういうことでの井口先生のお話を、お考え聞きたいということと。
 それから、ちょっとさっき出てきた関連でお聞きしておきたいなと思ったんですけど、フィリピンとEPAを結んでいるわけですけど、これが実際には医師とか看護師の出稼ぎでもって、フィリピン側からいえばほかの国、日本に出すというふうなことになるとしたときに、フィリピンの国内での空洞化という問題もちょっと聞いたことがあるんですけど、こういった問題なんかをどう考えるのかなということをお聞きしておきたいなと。
 それから、立花参考人には、いろんな低賃金で働いている研修生、特に研修生、技能実習生の問題でいろんな問題が起こっているわけですけれども、それで経団連が去年の九月に外国人研修・技能実習制度の見直しに関する提言ということで出されて、さっきも三つの原則というふうな話もありましたけど、その研修生の法的保護については現行のままでも対応可能というふうになっているんですけど、いや、本当にそうかなというふうにちょっと思いまして、それについてどうかなということをお聞きしたい。
 それから、川田参考人には、正社員に登用するという話があって、ああと思って聞いていたんですけれども、まだごく一部ですよね。これが、例えば三次、四次下請の過酷な労働実態というのもあるわけですけど、下請の末端まで本当に人権や尊厳を損なわないということでやるとすると、やっぱり経団連のその三原則をどう徹底するのか、徹底するにはどうしたらいいのかなということもあると思うんですけど、その辺りのところをお話しいただければと思います。
○参考人(井口泰君) ありがとうございます。
 今いただきました質問につきまして、まず一つ目の外国人の労働者の方を受け入れることに伴う企業の責任についてどのように考えたらいいかということでございます。
 今日お配りいたしました資料の中で、やや踏み込んで書いてあるにもかかわらず言及しなかったのが十四ページでございまして、実は十四ページの下の方に、お配りしてあるこの資料なんですけれども、スライドのコピーが付いております。
 まず、請負と労働者派遣の区分の問題は、長年この灰色の部分をある意味で十分に摘発せずに実態だけが大きくなってきてしまったという側面。生産現場の労働者派遣が認められるようになりましてから偽装請負の問題に火が付きまして、ようやくそこに行政の手が及んだというのがまだそういった現状ではないかと思っております。先ほど申しましたように、コンプライアンスということを申しましても本当に守らせられるのか、業務請負から完全に労働者派遣に移行できるのかというところはまだ答えが出ていないというのが私の理解でございます。
 移行できるところはできるだけ移行していただきたいし、正規に雇用もしていただきたいんですけれども、それでも企業が日本に製造現場を残すためにどうしてもそのシステムではやっていけないという部分が残ってしまうおそれがあるということですね。その場合につきましては、追加的な措置としては、請負を行う場合につきましては発注者に対してどこまで義務を掛けられるか、そのことをやはり研究しなければならない。
 請負業者に対するいろんな調査あるいは指導といったことを法的にできないのか。これは、独占禁止法でありますとか関係の法令につきましては、例えば優越的な立場にある企業が一方的に下請単価を切り下げるといったようなことは法令上は認められないことになっておりますけれども、現実にはバブル崩壊後の非常に厳しい状況で、毎年一〇%、七%という形でパーツの単価を切り下げる動きがずっと進んできたということがございます。こういう中で、今後ともそういうことが進むことになりますと、末端ではとても法律が守り切れないという事態が残ってしまいます。
 そういったことがないようにするにはどうしたらいいのかという意味では、先ほど言いましたように、請負と労働者派遣以外のもう一つ別の仕組みというものを考えることも選択肢でございます。その場合は、その新しい労働者リーシングにつきましてはすべての労働関係法令や社会保険加入は前提として認めていかなければならない。
 それから、そこに書きました、ちょっと急ぎますと、国際標準化機構というところが今、これは日本経団連が起草に参加しておられるはずですね、ジュネーブでISOの26000の策定をしております。これは、実は民間企業だけではなくて、政府部分も含めましたところの組織の社会的責任というものがここで決まる、一つの、法令ではないんですけど、規範として決まる。その認証を受けられるかどうかというところでいろんな国際的評価が出てくるおそれがあるわけです。当初、これ二〇〇九年にできるかと思っていましたけれども、もしかしたら二〇一〇年辺りに延びるのではないかと思われますけれども。
 実はアジアの企業、日本だけではなくて、香港に行きましても下請が七次、八次、九次なんて大変なところがございまして、サプライチェーン全体にわたって労働法をしっかり守らせるというのは簡単じゃないわけなんですね。これは日本についても全く同様でございまして、この部分でしっかり、実はこの認証が取れないということになりますと、日本の大きな企業がこのISO26000取れないということになってしまいます。それがそういうことになった場合のいろんなインパクトというのは、私、現在のところでは余り十分に想像できないんですけれども、こういったことを想定しながらやはりしっかり守り切れるようなそういうシステムというものを、余り私は時間がないと思うんですけれども、やはり構想していくべきじゃないか。次のまた黒船がやってきてから慌てるというようなことがないように、私は国会議員の皆様にも御検討いただきたいと思っています。
 それから、先ほどのフィリピンのケースにつきましては、これは関係者でも見方が違っておりますけれども、フィリピンはつい最近までイギリスに物すごく毎年二千人台で看護師を送ったりしておりまして、イギリス政府もフィリピンの国内の医療体制、特に私立の病院がつぶれているんじゃないか、現実につぶれている事実がございまして、年間に何百という単位でつぶれたという報告もございます。そういう中で、人材不足で倒産しているような民間病院があるんじゃないかということもありまして、今、イギリス政府はフィリピンからの受入れを抑制いたしております。フィリピンの国内における状況についてはまだ正確な報告が来ているわけではないんですけれども、実はそういった問題がございます。
 フィリピン人の方が何で日本を目指すかということになるんですけれども、実は、従来から多く受け入れております湾岸諸国などは必ずしも人権という問題で評判がよろしくございませんで、そういう意味からいいますと、そういったところではなくて、もうちょっと安全なところへ行きたいという側面が一つあるんじゃないかと思っております。ですから、今後ともそういうフィリピン人の看護師の方々が海外に出てくる圧力自体はなくならないであろうと。
 そういう中で、今回の受入れの場合、現地で既に資格を取っていて大学卒業していてということが前提になってしまっているんですね。既にある人材をある意味では引き抜くことになりますから、受入れ人数についてはやはり上限をかぶせざるを得ないと思います。もし、これが日本に来ていただいてゼロから資格取っていただくんだったら、これはアジア全体からいいますと人材のプールを増やすことになるわけですから、そういう形の受入れであれば、これはもうちょっといろんな柔軟な方式があってもいいと思うんですけれども、既に養成された人材を日本だけで使うというような仕組みであると、やはり私は限界がある。これは、東アジア全体で人材プールを増やして、しかも日本で取った資格というものが他の国でもちゃんと認知されるというふうにしていきませんと、実はその方々のキャリア形成という面で必ずしも役に立たない。
 もっとも、その結果、シンガポールなんかで働いたフィリピン人看護師が更にカナダに流出するという現象もございますので、そう簡単には申し上げられませんけれども、もうちょっとこの東アジアという全体の中を考えながら人材プールを増やすという、そういう観点から御検討いただけないかと考えております。
○参考人(立花宏君) 紙先生の方から私に、いわゆる低賃金の研修・技能実習生の問題がいろいろ起こってきているということで、これに関連して、法的保護が、どうも立花の話を聞いていると現行制度でそれでもってよしという感じだけど、本当にそれでいいのかというのが先生の御質問の本意だろうというふうに受け止めましたが、まず大前提として、やっぱり法律を守られてないんだったら法律を守らせる工夫をきちっとするのが大前提ではないかということを私は申し上げたわけで、すべて一切合財規制緩和だから規制強化すべきでないということを私は申し上げたつもりは全くありません。
 それで、特に先生が御指摘のとおり、いろいろ不具合というか不正が現実にあるわけですから、やっぱりそれに対しては、あめとむちじゃありませんけれども、むちの部分をきちっとやるべきでしょうし、例えば不適正な受入れを行った場合には、私どもはこれ五年前から申し上げているわけですが、現行の三年間は受入れを停止させるというんじゃなくて、例えば受入れ停止期間を五年間にもっと延長すべきだということを私ども五年前に申し上げて、最近だんだんそういう方向で、厚生労働省の方の研究会のレポートでまたそんな方向だというふうに私も聞いています。
 それから、例えばその研修期間中は労働法の保護の下にないとそれが非常におかしいではないかという御質問があるわけですが、私ども、労働基準監督署のそういった仕組みもあるわけですから、そういった仕組みを使って、研修中であったとしても実態的にその労働の実態に近いんであれば、基本的には現場のそういった労働基準監督署の指導といいましょうか規制といいましょうか、それはきちっとやるべきだろうというふうに思いますし、あるいはまあ公共調達という面では、やっぱりそういった法規を守っていない企業からの調達は、パブリックな調達の入札の資格からは外すとか、そういったことでまだまだ、そういった守られるように工夫する、それから罰則が甘い場合にはもっときつくするとか、まだまだいろいろやるべきことがあるんじゃないかということを私は申し上げたわけでございます。
 以上でございます。
○参考人(川田武司君) まず、アイシン精機の社員の正規化、正規社員にするということなんですけれども、今、年間で日本人の方とブラジル人の方、それからペルー人の方とかいろんな人がおるんですけれども、年間で二百六十人、今年は正規採用に切り替えました。
 ブラジルの方はまだまだ少なくて十七人なんですけれども、最近では応募数が増えてきて、十八名とか二十名とか応募数は増えています。ただ、試験がちょっとやっぱり、ポルトガル語じゃなくて日本語で全部やりますので、その辺のちょっとハンディキャップがあって合格率が今年は一人とか二人とかいう状態でして、もう少しちょっと緩和してやれよということも言っています。
 問題は、これ根底にあるのは永住権の問題、なかなかブラジルの方で永住権を持っている方が少ないんですね。まだ七十名か、どのぐらい、たしか法律でいきますと、これ十年掛かるとか、結婚しないといけないとか、詳しいことは知りませんけれども、永住権を取っている方を対象にしているんです、正規社員にするのは。そういうことで、応募数もそういう意味では少のうございます。
 ただ、我々としては日本人の方もブラジル人の方も作業については同じように頑張ってやっていただきたいということで、できれば極力同じような形で正社員になっていただければと思っています。
 それから、仕入先なんですけれども、これは我々グループの下にアイシン協力会とかいいまして、その中で仕入先をたくさん抱えております。外国人の雇用についてということで、やっぱり各仕入先もいろいろたくさん抱えていまして、今全部で十九か国、二千六十八人の外国人の雇用を我々サプライヤーは今採用しております。
 こういう中で、研究会というのか、研究会みたいな勉強会を仕入先さん集めてやっておりまして、我々のこういう直雇用の話とか、極力受入れでやるといろんなやっぱり制約があってうまくいきませんよ、直雇用にしたらどうですかとか、直雇用と受入れの違いとか、あるいは正規社員にして頑張っているやつはやっぱり評価してあげなければいかぬぞとか、そのときにはこんなところがいろいろ条件となってくるよとか、そういう勉強会を通して、どちらにしてもやっぱりしっかりした人材確保、日本人であろうと日系人であろうとしっかりした人材が欲しいというところが骨だと思っています。
 それから、この三原則の話、これは会社としてよりも個人的な意見で言わしていただきますと、やっぱりこれからしっかりコントロール下で人を採っていかないと大変なことになるんじゃないかなというのが実感でしてね。といいますのは、野村総研さんと一緒にしゃべっているときに、二〇一五年まで二百五十万人ぐらい人が減るんですか、世帯数も何か減ってくるとか。世帯数は今増えているのは、一人の世帯が増えていまして、消費を促しているのはコンビニとかああいう弁当がたくさん売れて、現実は世帯数が減っているような話を聞きました。
 そういう意味で、日本の中でやっぱり人口が減ってくるのは大変な問題でして、そういう意味で、ある程度海外から、特に昔、百年前に出ていかれた移民の方ですね、こっちが困っているときにはもう一回戻ってきていただいてもいいかなという感じもしております。そういう意味で、コントロールされた形での受入れというのはやっていくべきじゃないかなと、こんなふうに思っておりますが。
○会長(田名部匡省君) 岩本司君。
○岩本司君 参考人の皆様、本日は誠にありがとうございます、御協力いただきまして。まずお礼申し上げます。
 立花、川田両参考人にお伺いします。
 まず、立花参考人にお伺いしますけれども、同僚委員からも発言ございましたが、私どもの委員みんなで静岡県と愛知県に視察に行ってまいりまして、ブラジル人学校ですとか教育現場での問題点の調査に行かしていただいたわけでございますけれども、やはりどこも子供たちの教育現場に掛かる予算で頭を悩ましておりまして、資金ですね、経団連ももう進めていらっしゃるかも分かりませんが、先ほどの御意見の中で、在日の外国人の労働者の方々の子供たちの教育についての御発言が余りなかったものですから、ちょっとお伺いしたいんですが。
 経団連として、リーダーシップという意味で、地域の企業さんたちをまとめて子供たちの教育に対する取組をされているのかどうか、また経団連独自の予算というものを教育問題に対して組まれているのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
 また、川田参考人にお伺いしますけれども、御意見いただきまして、本当に何か経営者の感謝が伝わってくるんですけれども、労働者、社員さんに対する感謝がですね。でも、感謝ってやっぱり重要でして、感想ですけれども、釈迦に説法かも分かりませんが、やっぱり経営者側が社員さんに対して働かしてやっているんだぞというような姿勢ですと、働いてやっているんだとなるわけですね。その逆もそうで、働いてやっているんだぞとすると、何言っているんだと、会社が働かしてやっているんだぞと。そこで、やっぱり会社側が社員さんに対する感謝といいますか、いや、働いていただいてありがとうございますと。そうすると、いや、何言っているんですかと、働かしていただいてありがとうございますと。どんな小さな組織でもそうなんですけれども、その本当に感謝が伝わって健全な労使関係を保たれていると思いますけれども。
 そこで、この資料の中の最後に、十六ページの一番下にブラジル人学校の設立支援を行われていると、こう書かれておりますけれども、その設立支援の中での具体的な問題点、それと、これも大変、御社にこういうことを聞くのも恐縮でございますけれども、その予算というのは大体会社で幾らぐらい付けられているのか、もし差し支えなければ御意見賜れればと存じます。
○参考人(立花宏君) 先生の御質問、必ずしも私、十分お答えできない面があるのかなという感じがいたしますが。
 私どもも、先生ほど直近じゃありませんが、二、三年前に群馬県の大泉とか浜松とか豊橋とか、外国人のいわゆる集住都市会議のメンバーの都市に行っていろいろ抱えている課題についてお話伺う中で、先生おっしゃったとおりこの子弟の、日系人の教育の問題は非常に深刻な問題だというのは全くおっしゃるとおりだと思うんですね。
 一つは、やはり企業もきちっと税金払っているわけですから、その税金の中から、今ブラジル人子弟の教育については、いわゆるインターナショナルスクールとかあるいは外国人学校の場合には母国語による教育が可能ですけれども、無認可校とか、あるいは認可されていても補助金が少ない、非常に少ないというケースもあるわけで、それ、いわゆる各種学校扱いになっているとかいう面があるわけで、したがって授業料も高くなるとかいう若干ちょっと悪循環の面が私はあるんだろうと思いまして。それで、経団連独自に何かファンドでも設けてやっているのかという、そういうケースは私どもとしてはありません。
 ただ、いわゆる一%クラブということで、いわゆる企業のもうけの一%をやっぱり社会貢献のために使おうじゃないかと、そういった運動をやっていまして、そういった運動の中で、各個別企業の御判断で地域の抱えているこういった問題について、じゃ自分の方でこういう金に使ってもらおうとかという、そういった企業側の、メンバーの中の自主的な判断次第だということでございまして、経団連の方からここに金を使えとか、そういう指導まではとてもおこがましくてやっておりません。
 それから、あとは、アイシン精機さんの場合もおっしゃっておられましたけれども、地域のそういった日系人の子供さんたちのたまり場になるような学校のあるいは企業の体育館とか施設を開放してできるだけ交流の機会を持てるようにするとか、そういった試みは私どもとしても各地域の経営者協会の方々にこういったことができないかなというようなことでいろいろアピールしたことはございました。
 それと、あともう一つは、教育を受けさせる親の方の問題も私はあると思うんですね。したがって、ビザの更新とかそういったときに、やはり子弟の教育、日系ブラジル人の子弟については、日本人じゃないということでいわゆる義務教育の対象になっていないわけですが、そのことをどう考えるかという点はもちろんあるわけですが、ビザの更新なりのときに子弟の教育について、ちゃんと学校に行かせているかどうかとか、やっぱりそういうチェックですね、日本に入ってきた後はもう全くフリーじゃなくて、やっぱりそういったところでチェックするというふうなことも必要かなと考えております。
 ちょっと先生の御質問に対して余りお答えになっていないと思いますが、以上でございます。
○参考人(川田武司君) 先生の言われた学校へのサポートですけれども、実はこれを書いた理由は、ここへ来る前にブラジル人の方の生活環境とかをちょっと聞いてみようということで話合いしました。その中で出てきたのがやっぱり教育の問題、学校の問題というのが一番クローズアップしたということでして、こういうふうに書かせていただきましたけれども。
 現実、我々としては学校に対して何かやっている云々じゃ決してないわけでして、お願いの事項でして、ただこういうことに対して何したんだとちょっと今聞いてみましたら、卓球台を豊橋の学校に寄附したとか、このようなことは我々もやっていますし、また我々の施設をいろんな形で開放しまして、料理教室日本語教室とかそういうことはやっております。だから、教育面で何とかこの辺のところが国からいろいろあればいいかなと、こういう意味合いでここに書き上げたものです。
 以上です。
○岩本司君 済みません。十秒だけ、申し訳ないです。
 両参考人にお願いでございますけれども、企業は社員さんやお客様のために経営されていると思いますけれども、社員さんは自分たちの子供たちのために、親の食を減らしてでも子供たちのためにやっぱり頑張っているわけで、そこのところの対応というのはもう極めて重要だと思いますので、経団連さんもアイシン精機さんもその中心になって、子供たちの支援、何とぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。ありがとうございました。
○会長(田名部匡省君) 礒崎陽輔君。
○礒崎陽輔君 自由民主党の礒崎陽輔でございます。
 参考人の皆さんには大変お疲れさまでございます。私は立花参考人にお伺いをいたします。
 この前の視察の話が先ほどから出ておりますが、私ども行きまして驚いたのは、やはり定住希望が物すごく大きかったんですね。まあいろんなデータがありますけれど、やはり優良な大企業だったからだということもあるんでしょうけれど、非常に定住希望が大きかったということを感じます。
 二〇〇四年に経団連のこの提言が出されたときに、私も役所で国際問題の担当をやっておったんですけれど、もう正直言ってびっくりいたしまして、えらい前向きな話になったなと思いまして、早速ダウンロードをして一生懸命読んだのを本当に思い出すんですが。
 そのときから分かっていたことなんですけど、先ほどアイシンさんの方からもお話がありましたけれど、二〇五〇年には人口が四千万人ぐらい減るんじゃないかと言われておりまして、我が自由民主党でも、もう受入れあるいは定住とかそういう段階の話じゃなくて、これはもちろん党内いろいろ意見がありますけれど、やっぱり移民ということも本気でこれは考えないと日本から人がいなくなるんじゃないかと、そういうような議論を、まさに今日そういう議連が党内にできまして議論を始めたところなんです。いろいろ意見はあると思います。
 だから、ちょっと難しい質問かもしれませんが、じゃ、経団連のこの二〇〇四年の提言というのはもちろんそこまで見越した話なのかどうか、だから今は受入れという言葉を使っていますけれど、それがいずれ定住になり、そして将来的にはひょっとしたら移民を受け入れなければならない日本になるかもしれない、そういったところまで見越しての提言なのか、あるいはその辺についてどうお考えなのか、少し大きな話で難しいかもしれませんけれど、御見解があったらお伺いをいたしたいと思います。それが一点目でございます。
 二点目は、もちろんそういう社会になるときに大事なのはやはり差別のない日本でなきゃならぬわけであります。先ほどから議論があるように、正規雇用と非正規雇用の間の差別がないこと、日本人と外国人との間で差別がないこと、前者については、昨年パートタイム労働法もできましたし、外国人差別をしちゃならぬのはこれは憲法にも書いていますし、労働基準法にもたしか書いてあったと思いますけれど、それは当然のことなんですけど、現状では必ずしもそうではないところもあるわけでありますけど。
 そういった移民ということまで視野に入れれば、これは正規だろうと非正規だろうと、日本人だろうとあるいは外国人だろうと、やっぱり同一賃金同一労働の原則ということは非常に当たり前のことにしていかなければならない日本になっていくと思うんですが、そうしたときに、この外国人の受入れというものが、私たちは、日本の人口は少子化が進む以上、当然積極的にやっていかなきゃならないと思うんですが、そういう条件でも企業のインセンティブが落ちることがないのかどうか、外国人受入れのインセンティブですね、それについてどういうお考えを持っているかということを二番目の問いにさせていただきたいと思います。
 それから、三番目については、最初に津田委員の方から既に御質問がありました。これは長期的な話じゃなくて短期的な質問でありますけれど、企業の責任をどうやって果たすのかということでございます。先ほどの御回答では、地方交付税であるとか基金であるとか、そういうお話は出ましたけれど、地方公共団体は一生懸命頑張っております。ただ、地方交付税というのはこれ標準的に配分されるものですから、非常に外国人は今偏ったところにしかたくさんはいませんので、外国人労働者はいませんので、なかなか地方交付税だけではうまくいかないとかあるいは基金の問題もありますけど、なかなか日本の寄附の文化がいま一つであるというところ、それから現地訪問したときに、寄附の税金控除の問題が非常に厳しいというふうなまた逆に御指摘も受けたところでありますけれど。
 企業に大きなお金を出してくださいと言うわけでは私ないわけでありますけれど、企業の中でやはり日本企業のいいところ、家族的な面倒見ですね、先ほどのアイシン精機さんなんかにそういう感じを私は受けるわけでありますけれど、こういったやっぱり家族的受入れをやってくれるのとしないのじゃ全然違うと思うんですね。私の地元は大分県でありますけど、造船でかなり外国人を入れております。造船企業がかなりやはり家族的な面倒を見ておりますので、ほとんど外国人問題というのは顕在化はしていないわけであります。
 したがいまして、もちろんお金の問題もありますけれど、やはり経団連としてももう少し外国人受入れのそういった意味での家族的な受入れ、面倒見ですね、そういったものについてもガイドラインのようなものを出していただくと地方公共団体は助かるんではないかと思います。地方公共団体も一生懸命頑張っておりますので、地方公共団体と一緒になって企業も一定の責任を果たしていただけると大変有り難いと思います。それが三つ目の質問でございます。
 以上、三点、ちょっと難しいところもあるかもしれませんが、御回答を賜りたいと思います。
○参考人(立花宏君) 礒崎先生の御質問ですが、本当にちょっと私の能力を超える問題がかなり多いんですが。
 先生から三つ御質問いただいた中で、一つは移民の問題ですが、実は経済界の中にもいろいろ意見が、どこかの国と違いますからいろんな意見がもちろんあるわけで、まさに移民まで考えるべしという議論もあれば、いや、やっぱり何とか歯を食いしばって、日本的なそういった良さを生かしながら、若い人にもお年寄りにも女性にもどんどんもっと働いてもらって、その仕掛けをもっともっとつくる、それをもっと追求すべきだという議論もありますし、なかなかその辺は一つ我々の中でも難しい面がありますけれども。
 ただ、いずれにせよ、最終的には移民という形を考えるかどうかのその決断は別にしても、少なくとも今日先生方がいろいろ御指摘された、まさに試金石とされる日系ブラジル人の受入れで現に困っているんであれば、それはやっぱりそれをどうやって解決するかですね。あるいは、研修・技能実習生の問題にしても現実に非常に不適正な事例があるわけですから、やっぱりそれをどうやってつぶしていくのか。そういった現実にそこを、抱えている問題をやはりつぶしていくことが、そういった将来的な問題の、移民の問題までつながってくるんだろうと思うんですね。
 少なくともアメリカで、日本だと社会保障の番号一つきちっとしていないわけですが、アメリカですとソーシャル・セキュリティー・ナンバーで全部、社会生活を送るための一番の基盤、ベースになるわけですが、日本ではそういった仕組みすら整備されていない、要するに外国人の登録台帳も非常に不十分だと。いったん登録したら、その後はどこへ行ったか分からなくなっちゃってそのフォローもされないという非常に、行政がサービスしようにもサービスする相手がどこにいるか分からないという、必ずしも個人データの保護とは全く関係ないだろうと思うんですが。
 そういったきちっと行政サービスを提供する、あるいは治安の面からも必要最小限のことはやっぱりやるべきことはきちっとやっていかないと、本当にまじめに働いている外国人がむしろとばっちりを食うといいましょうか、そういうことになりかねないということだろうという感じがいたしますので、移民の問題については、私どもいろいろ議論はあるけれども、将来的な問題は別にしても、現に今抱えている問題をどうやって解決するか、まずやっていくべきだろうということでございます。
 もちろん、国連等で、たしか数年前でしょうか、日本の総人口を維持するためにどのぐらい毎年毎年移民を受け入れなきゃいかぬのかとかですね。そうなりますと、例えば総人口を維持するために毎年三十八万人の移民を受け入れなきゃいかぬとか、あるいは生産年齢人口をピーク時で維持するためには、もう十年以上たっているわけですが、毎年六十万人以上受け入れなきゃいかぬとか、なかなかその辺はちょっとまだ数字の面で本当にそれを受け入れるだけの基盤があるかというと、とてもとてもということだろうと思うんですね。したがって、先ほど申し上げたような感じでございます。
 それから、差別のない日本へということで、正規、非正規、あるいは外国人、日本人ということで、こういった待遇をそろえていくと、ちょっと私、第一の質問を考えながら先生の第二の質問あれだったんで、ちょっと若干場合によっては私聞き漏らした点がありますが、そういった待遇を同じにしていくと、受入れのインセンティブを欠くことになるんじゃないのかということでしょうか、先生の御質問は。
○礒崎陽輔君 そういうことがあると、どういうふうに対応するかと。
○参考人(立花宏君) ですけれども、恐らく、同一労働同一賃金といっても、基本的にはやっぱりその能力といいましょうか、責任感といいましょうか、いろいろ違ってくるわけで、全く同じ時間働いたから全く同じ賃金よこせということには必ずしもならないんだろうという感じがします。
 ただ、それにしても、きちっと最低限のいわゆる最低賃金法を守らせるだとか、あるいは過労死にならないようなそういった労働条件を守らせるとか、そんなのは正規、非正規、あるいは外国人、日本人関係なくやらせる、守らせる。また、そういったことをやらない企業は恐らく社会的な存在価値がないものとして恐らく厳しい批判を受けるんだろうと思います。
 それから、三番目に先生から御指摘があった企業責任は一体どういう形で果たしていくのかと。最終的には、やはりその家族的な面倒見の良さというのはいろいろモラールの向上にもつながると、生産性の向上にもつながるんじゃないだろうかということで、そういう配慮の必要性を先生がおっしゃっていただいたんだと思いますけれども、私どもが聞いている中では、例えば愛知県の経営者協会なんかは数年前から外国人の受入れのためのガイドラインを作って、まさに地域社会あるいは外国人とのそういったコミュニケーションの取り方なんかも非常に事細かにやっておられまして、我々の会合の中でもそういった愛知県のケースを伺って、皆さんに、経団連会員企業の方々に、こういった取組がされていると。一つの参考になるんじゃないかなとか、あるいは、最近では愛知県がイニシアチブを取られて、愛知の商工会議所、それから中小企業の方々、それから商工会、商工会議所、それから経済連合会等々、あと同友会ですかね、そういった方々が一体になって更にレベルアップといいましょうか、アップしたそういったガイドラインといいましょうか憲章を作ってやっていますんで、我々もそういった非常にいい、地域地域で優れた取組については、やはり今何でもかんでも法律で規制されなきゃ企業は何もやらないというんじゃなくて、まずはそういったCSRの観点からも取り組む必要があると思っています。
 それから、経団連の方では企業行動憲章というのを作って、単に法律を遵守してそれで事足れりというんじゃなくて、より高度の次元で対応していくということで経団連企業行動憲章を作ったりしてやっているわけですが、その中で、いわゆるCSRの観点から、ソーシャルレスポンシビリティーの観点から、こういった取組、つまり購買の取引先について、相手先が雇用の規定をきちっと守っているか守っていないかというのをチェックポイントに挙げているのかどうかというのを調べたりして、できるだけそういったのは企業のビヘイビアの一環として定着するように、直近の調査したレポートがありますので近々に発表させていただくことになろうと思いますけれども、そういった取組をできるだけレベルアップしていきたいと考えております。
 以上でございます。
○礒崎陽輔君 ありがとうございました。
○会長(田名部匡省君) 予定の時間を大分押しておりますので、質疑、答弁とも簡明にお願いいたします。
 次に、大河原雅子君。
○大河原雅子君 民主党の大河原雅子でございます。参考人の皆様、今日は本当にありがとうございます。
 まず井口先生に、在留管理システム、これで、EUの地域では市町村でワンストップサービスということで外国人市民に対する制度が整っているということなんですが、アングロサクソン型ではなく、実態的には大陸欧州型に日本もあるべきじゃないかというお考えのようなんですが、その辺をもう少し、住基ネットを一部共用してデータを使ってというような御提言もあるようなんですが、その辺をもう少し詳しくお教えいただきたいということ。
 それから、どうしても私は、この外国人研修・技能実習制度、これはインターネットなどで見ましても、国の制度だから安心ですという形で、企業単独型ではなくて団体監理型ですか、あちらの方では様々な団体が宣伝をしているようなんですが、一つ一つのクエスチョンを見ると、いや、朝早くからでも大丈夫ですよという質問が出ているところに、はい、大丈夫ですと、もう簡単に答えているような、非常に研修生を受け入れたいという側にはいいような思いもあるんですが、月額六万五千円にも達しない額で、先ほどは中国の方が月額十五万ぐらいはとおっしゃっていたんですが、十五万でも日本で暮らす、生活をするというところでは大変わずかなもので、むしろ日本の募集をしても集まらない。その実態の中でも、やはり若者たちも将来に希望を見出せないような仕事の分野なんですね。
 ですから、やっぱりここのベースを、経団連の立花さんには、例えば介護人材はそういった意味では年収二百万、ボーナスなしで、今本当になり手がない。それはもう日本人が生活をするというベースにも達しないところにやはり外国からの方々が入りやすくするというのは、私はちょっと方法論からして違うんじゃないかなと。アイシン精機さんのように、日本人、外国人の労働条件は一緒というような考え方とはちょっとやっぱり考え方に、日本独特の企業の、何というんでしょうか、企業中心、経営中心、効率中心というふうな思惑を感じてしまうんですが、ちょっとその辺お聞かせいただけたらと思うんですが。例えば、研修生の費用、手当ですね、ああいうものの設定などについてはこの中には何も触れられていないんですけれども、そういった面はどうお考えなんでしょうか。
 二点、済みません、井口先生と立花さんにお願いします。
○参考人(井口泰君) 御質問ありがとうございます。時間が押しているということなので、できるだけ簡潔にさせていただきます。
 私の論文の中に、日本やアメリカ、イギリスはアングロサクソン型の出入国管理モデルであると。基本的には入管行政が出入口のところでは強力な権限を持っているんですけれども、市区町村の方にはそういったものが余りない、あるいはほとんどない、財政的にもそういった新しい政策を自分で打っていく余力がないというふうに位置付けております。
 今EUは、大陸EUにつきましては、ほとんどの国が、県といいましても日本の県よりもかなり小規模の県、あるいは市町村に州の出先が出ている場合と市町村そのものである場合とございますけれども、基本的には市町村にワンストップサービスをつくって、滞在許可というものをそこで出しております。滞在許可を出す際に、住宅はどうだろうか、学校はどうだろうか、あるいは就労許可、就労はオーケーだろうかということを全部そこで一括でチェックできる仕組みが一つのモデルになっています。完全にやっているということではないんですけれども、それは欧州委員会の中でそういうことが一つの模範として提起されているわけです。
 今回の改革条約というのが、今批准作業をやっておりますが、その中に、欧州委員会はこういった市町村レベルのいわゆる統合政策というんですけれども、統合政策についても欧州委員会の方に権限が移譲できる形のものが入っております。
 そういう意味では、出入りだけではなくて、やっぱり住んでいる市町村で外国人の方々がしばしば足を運べる場所で、いろんなサービスを受けたり、自分の権利が守られているのか、あるいは税金払っているのかどうかとか、そういったことが全部分かるようにしておかなければいけないというのが私の基本的考えでして、現在の入管行政の仕組みを基本的に維持しながら、自治体にそういう権限を付与するというのは可能なんだろうかというふうに考えますと、なかなか簡単ではありませんが、在留管理の見直しの中で進んできておりますことは、現在の外国人登録法を衣替えいたしまして、それを日本人の住民基本台帳に基本的に構造的に似たものを外国人についてつくると。こうしますと、外国人と日本人が混合している場合、例えば国際結婚の場合でも、同じフォーマットの中にその世帯がちゃんと記録できるようになります。そこをしておきませんと、依然として、世帯同じなのに登録と台帳はばらばらだということになってしまう。
 それから、住民基本台帳は、住基ネットで基本四情報は必要な方は、もちろんだれでも取れるわけではないですけれども、取れるようになっています。そういう情報確認というネットの仕組みを外国人についてもつくる場合には、できるだけ日本人に近づけて、形でつくっておいて、プラスアルファの在留資格だとか国籍だとか、在留資格がどうなっているかとかいうようなことはプラスアルファの情報で、だれでも取れるわけではないんですけれども、別のところに入れておかなければならない。窓口に来られたときに、入管は今後在留カードというのを発行したいという今改革提案をしておりますが、そうしますと、自治体は今出しております外国人登録証の発行権限も失ってしまうんですね。
 したがいまして、そこで外国人集住都市などからいろいろ御提案申し上げておりますのは、住民基本台帳と同じような権限を市町村に下さいと、決して高望みしていないんです。外国人の方についての情報が正確じゃないことがすごく多い。それについての調査の権限は今もあります。しかし、情報を職権で調査して修正できる、それをちゃんと履歴も含めて登録できると、そういう形にしておかないと正確な台帳ができない。さらに、先ほどの混合世帯もばらばらのままである。そういうことで、できるだけ住民基本台帳に近い形で外国人の方々の台帳をつくらなければならない。
 それプラスアルファ、他のデータベースに必要なときにアクセスする、これはためるのではありません。個人情報の保護の問題あるので、ためるのではなくて、社会保険の方に同じ氏名の人がちゃんといるかどうかとか、雇用保険入っているかどうかとか、税金は払ったかどうかとか、そういうことを必要なときにアクセスするために、例えばLGWANのような総合行政情報サービスみたいなものがございますので、法的根拠があればそういうものにアクセスできるようにすることで、事実上、自治体に行けば、その方々の本人の権利義務状況をワンストップで確認できるようにしようということです。
 ですから、ヨーロッパとそっくりの仕組みはできません。それは基本的な入管行政は骨格があるからです。でも、第二の柱として、自治体に行けばいろんなことがチェックできて、不足だったら直してあげて、場合によったら権利救済できてという観点からいいますと、やはり欧州型のモデルというのは非常に重要な参考であると、全く同じではないけれども、やはり日本型の新しい在留管理システムというのが可能であるというふうに考えているところです。
 どうもありがとうございました。
○大河原雅子君 ありがとうございます。
 何か権利救済に役立つ仕組みというところの観点が落ちないようにしてほしいなということがありまして、どういう議論があるのかちょっと知りたかったんです。
○会長(田名部匡省君) 会長の許可を得てからやってください。
○大河原雅子君 申し訳ありません。
○参考人(立花宏君) 時間がないぞと会長の方からもありましたんで、大河原先生からの御質問にかいつまんで申し上げますけれども、先生おっしゃった国の制度だから安心だとか、あるいは団体監理型だとか、朝も大丈夫だとか、恐らく制度の曲解といいましょうか、あるいは極端な話、外国人研修・技能実習制度を簡単な外国人版の人材派遣業に考えているんじゃないかなという感じしますので、やっぱりそれは間違いだということで正していくことがやっぱり必要だと思います。
 それから、研修の段階では六万五千円、あるいは技能実習になると八万から十万ぐらいでしょうか、ということですけれども、この研修・技能実習制度の一つのメリットは、きちっと施設、寝泊まりできる宿舎とか、それから居住施設を用意するとか、それから教育訓練費等々は企業が負担するという、場合によっては食堂なんかも用意するとか、やっぱりそういったいろんな研修・技能実習制度に特有の縛りといいましょうか実態がありますので、やっぱりその辺も併せて考えていただきたいなという点がございます。
 ただ、先生からおしかりを受けたように、立花さんの話は何となくうそっぽいけれども、川田さんの話はといって、それは私の不徳で、おわびいたしますけれども。
 確かに、介護人材の、二百万円でボーナスもなしだというのは、私個人的にはやっぱりそれは本当に、私の母親が実は今特養で面倒見ていただいていますけれども、本当にやっぱり資質のいい、気持ちのいい人に面倒見てもらうために、実は私なんかでもそれ以外に、毎月の手当のほかに寄附金ということで別途寄附してくれということを言われて、私も全くやむを得ないだろうと思ってやっているわけで、この辺の問題は、手当の問題とかやっぱりどう考えていくかですね。社会保険の、介護保険制度の見直しの中で、是非実際に働いている人たち、もちろん外国人も多いんですね、私の母親がお世話になっているところも中国人の女性の方がおられますけれども、きちっとそういった報酬といいましょうか、人が食えるようなやっぱり手当といいましょうか水準というのは、やっぱりこれは国全体で、介護保険の財政の中で是非考えていただきたいなというのは、これは全く私の個人の意見ですけれども。
 以上です。
○大河原雅子君 ありがとうございました。
○会長(田名部匡省君) 次に、石井みどり君。
○石井みどり君 自由民主党の石井みどりと申します。
 本日は、参考人のお三方の皆様、本当に貴重な現場の御意見を聞かせていただき、ありがとうございます。長時間にわたり質疑にもお付き合いいただき、多分最後になりますので、もう少しお願いをしたいと存じます。
 時間が限られていますので、質問は井口参考人だけさせていただきますが、川田参考人、立花参考人、本当に現場の生の声を聞かせていただきました。もう日本が人口減少社会、少子高齢化社会の中の労働力不足を本当に外国人労働者によって補っているその御苦労をお聞かせをいただきまして、ありがとうございました。
 私は今までの質問と少しポイントが違うかと思いますが、私が心配いたしますのは、確かに生産年齢人口が減少していって、どうしても外国人を雇用せざるを得ないという悲鳴に似たようなさっきお話を川田参考人からお聞かせいただきましたが、ただ、今後その日本社会の行く末を考えたときに、ヨーロッパを見たときに、果たして本当に、井口参考人が、外国人雇用が日本人の雇用を奪っているという事実はほとんどないと思われると、さらっと書いていらっしゃる、本当にそのとおりなのかという私はどうしても懸念があります。
 やはり日本社会から、学業の場からも、それから労働の場からもドロップアウトして非常に不安定な雇用を繰り返している若者がいることも、これも事実です。日本人であってもその人たちははっきり言って学力は非常に低く、アイシンのところで日系人と同じような研修を受けて果たして同じような力が示せるかどうか分からないようなそういう方々がいるのも事実です。非常に、そういうはじき飛ばされたような若者を今まではいわゆる建設業とかそういうところが吸収をしてきたけれども、最近は公共事業の減少等によってその人たちの行き場もなくなってきたということも事実です。
 そうしたときに、やはり今後、本来であれば十分な研修をして、そして高い技術あるいは専門的な知識をまず、決して私は国粋主義者ではありませんが、やはり日本の若者の雇用をきちんとしていただきたいという思いがあるんですが、その辺りを井口参考人、非常にさらっと書かれているので、その辺りをどういうふうにお考えなのか、どういうデータに基づいてここをお示しをされたのかお聞かせをいただければと思います。
 それと、先ほど来、礒崎委員もおっしゃったんですが、どうしても長期滞在が増える、定住希望が多い、そうすると、まあ永住権はなかなか獲得しづらいという現実があるにしても、やはり今後、日本社会で人生終わられるみたいなところまでを、社会保障のインフラ整備、日本人の社会保障も今再構築をしなきゃいけないという局面に来ていますが、その辺りを人口のどれぐらいというようなシミュレーションをされているのか、給付と負担のところも含めてですが、先生のことですからそういうことはきちんとデータに基づいてお考えなんだと思いますが、お聞かせいただければと思います。
 よろしくお願いします。
○参考人(井口泰君) なかなか厳しい御質問をいただきまして、いろいろ考えるところございまして、どうもありがとうございます。
 まず、若年層との関係につきましては、私がそこに書きましたのは、まずこういう事実がございます。日本の若年層の減少率です。大体五年間で一二%くらいのスピードで減っているわけですね。ですから、その減っている人口の中で更に引きこもってしまう子供たちや不登校になってしまう子供たち、それから高校へ行ってもドロップアウトしちゃう人たちとかいう方が増えているわけですね。増えているか、少なくとも高水準であるというふうに言えると思うんですね。ですから、私どものデータの分析、先ほどの見ていただいたデータ以外にもございますんですけれども、過去十年間見てみますと、今申し上げましたようなスピードで若年人口が減る以上に若年の雇用人口が更に減っているんですね。高齢層に関しては非常に高い率でやはり増えているんですけれども、そのスピードほどには雇用は増えていないんです。
 そういうふうに考えてみますと、特に二十一世紀になりましてから雇用の非正規化というのが物すごく進んできたために、安定した雇用に就けない、あるいは希望した雇用に就けない方々が一方でいるのです。そういう方々が十分な技能も身に付けられないままに不安定な生活していることは事実です。逆に、そういう業務請負といった、あるいは労働者派遣といったような分野が大きくなってきますと、そういうところで働くことによって高い給料が得られるというふうに考えれば、日系人の方々はむしろそういう分野に好んで入ってきて長時間働いてしまうということになります。
 しかし、私は、その今申し上げました関係というのは、雇用の非正規化そのものがある意味で極めて重要な背景でございまして、日系人が入ってきたから若年層が不登校になったわけでもニートになったわけでもないので、そこはミスマッチというものが非常に大きくなっている、人口構成の変化だけじゃなくて、非正規雇用の増加そのものがミスマッチを引き起こしているんだというふうに私別のところでは分析いたしております。実はそのように御理解いただきたいと思っております。
 短い時間で申し上げますと、職業訓練や教育の問題もあるんですけれども、まずはとにかく、中学は年齢になると卒業してしまうものですから、日本の場合は、高校に何とか行かせてあげる。高校を出られるということで、そういった引きこもりや不登校の子供たちを何とか高校を出すという工夫は、特に東京都を中心にして、今例えば大江戸高校だとか六本木高校なんというのはまさにその典型なんですけれども、そういう努力が行われておりまして、関西でも例は少ないんですけれども行われてきております。ですから、日本人の子供たちを何とか、ドロップアウトした子供たちも高校を出すというところまではあると。
 しかし、高校を出たときに、一体自分の将来の仕事どうするのというビジョン持たせるのはまた簡単ではない。ですから、そういう場合には、できるだけ職業学みたいなものをかなり繰り返し繰り返し一年間の講義のような形でやって取り組んでいるケースもございます。とにかく、高校三年生卒業したときに、自分は将来何やりたい、どういうことをやってみたいということが分かってくるということが非常に重要でして、それは中学のときよりももしかしたら高校生になってからの方が切迫感があるのかもしれません。今、実はトライアルとしては幾つかそういうのをやっております。
 ですから、そういったものが進んできて、さらにそうした方々に対する雇用政策の面からの対策が来ると。私は、基本的にはこの問題は雇用政策なんだけど、やはり教育の現場の中から、中高の段階からやっていかないと、なかなか雇用政策だけではうまくいかないかなと思っています。私の考えは大体そんなところでございます。
 それから、先ほどの永住権の問題なんでございますが、先ほど実は立花専務といろいろ御議論あったときに私も申し上げたくてしようがなかったんですけれども、年間に我が国ではほぼ四万人の大台で永住権を取る方、一般永住権を取る方がおります。原則は十年ですが、結婚されている方は四年掛かりません、日本人と結婚されている場合四年切っています。それから、あと、高度人材でも五年以下で取れるようになっています。ですから、そういった永住権を取る方が四万人毎年いるというのは、よく考えてみますと、既に日本の国内に入った方々の中からそういうふうに取っていくということですので、一種の形を変えた移民だとも言えなくはないんです。
 実はアメリカでも雇用目的の移民と言われているものが十四万人枠がありますが、あのうち大体八割方は実は既に留学生であったり、既に専門職の資格でアメリカに来ているような方々が永住権、グリーンカードを取っているんですね。そういう意味では、一度日本に来ていただいて、そこである程度自信が付いて、あるいは結婚していろんなことがあって、そこで永住権取っているという観点からいいますと、日本も既に移民国家的な性格を既に備えつつあるのではないかということを考えていただかなければならないと思います。そういう意味では、何か大げさに移民国家に転換するのかという議論をしなくても、こういう方々に対するサポートや二世の問題などについてのいろんな施策を進めていくことによって永住しやすい国をつくっていくと。
 さらに、日本の場合ちょっと問題なのは帰化の方なんですけれども、帰化する方がまだ非常に少ないわけですが、いずれにしても、当面は永住を持った方の権利をどういう形で保障していくかという問題について十分に研究する段階にあるんではないかと。
 誠に申し訳ないんですけれども、今、数値的に、こういった方々が入ってくることによって具体的にどういうふうに社会保障財政だとかそういったものが助かるかといったところまでは研究いたしておりませんが、私個人の考え方からいいますと、人口の減少の問題をすべて外国人の受入れで解決するというのはほとんど無理があります。やはり少子化対策をやりながら出生率じわじわ上げていって、将来に希望の持てる国にするということが基本にあって、プラスアルファでこの外国人移民政策考えていただくということの方が現実性が高いのではないかというふうに、考え方だけの問題ですけれども、ちょっと申し上げさせていただいて、私のお答えにさせていただきます。
○石井みどり君 私はなぜ今のような御質問を、大変お困らせをしたような気がしますのは、今雇用形態というか労働形態が多様化して、非常にアメリカ辺りでも、ヨーロッパでもそうです、高学歴のMBAを持っている人ですら失業してしまうという現実があります。それで、グローバルにアウトソーシングが進んでしまったという。私はやっぱり日本の若者の将来とか、日本で生きている人たちをどうきちんとこの国で安心して生活設計をしていく、生涯設計をしていくということがまずあるべきだろうという思いがあったものですから、その辺りを少しお聞かせいただきたかったんですが。
 また、本当にお三方とも大変すばらしい御意見を聞かせていただきました。これから先も是非それぞれ御活躍をいただければと存じます。ありがとうございました。
○会長(田名部匡省君) 質疑も尽きないようでございますが、予定の時間も参りましたので、以上で参考人に対する質疑は終了いたします。
 参考人の皆様方には、長時間にわたり貴重な有意義な御意見をお述べいただきまして誠にありがとうございました。ただいまお述べいただきました御意見につきましては、今後の調査の参考にさせていただきたいと思います。本調査会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。
 本当にありがとうございました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時散会