第176回国会 本会議 第11号
平成二十二年十一月二十七日(土曜日)
   午前零時十一分開議
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○議事日程 第十一号
  平成二十二年十一月二十七日
   午前零時十分開議
 第一 国土交通大臣馬淵澄夫君問責決議案(牧
  野たかお君外七名発議)(前会の続)
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○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
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○議長(西岡武夫君) これより会議を開きます。
 日程第一 国土交通大臣馬淵澄夫君問責決議案(牧野たかお君外七名発議)を前会に引き続き議題といたします。
 討論を続けます。岡田直樹君。
   〔岡田直樹君登壇、拍手〕
○岡田直樹君 私は、自由民主党を代表して、国土交通大臣馬淵澄夫君問責決議案に対し、賛成の立場から討論を行います。
 以下、本決議案に賛成する理由を申し上げます。
 まず初めに、尖閣諸島沖で領海侵犯をした中国漁船が海上保安庁巡視船に体当たりをした事案に関する対応であります。
 中国漁船による巡視船への衝突映像は、十一月四日夜、インターネットに流出し、十一月十日には神戸海上保安部所属の海上保安官が自分が流出させたと名のり出ました。本来であれば、事件直後に映像を政府が公開し、中国漁船がいかに危険な衝突を繰り返したかを国民や諸外国に知らしめることが必要であり、それによって中国が数々の強硬な措置に出ることを防ぐことができたと信じます。中国に過度に遠慮して公開をしなかったのは、明らかに重大な判断ミスであります。
 その上、多くの国民が映像公開を求めているにもかかわらず、政府が映像の公開を拒み続けている間に海上保安庁内部から映像が流出したことは、政府の情報管理能力の欠如を全世界に露呈したことになり、二重の意味で政府の大失態を指摘せざるを得ません。海上保安庁に端を発したビデオ流出問題により、同庁を所管する馬淵国土交通大臣は責任を取り、速やかにその職を辞すべきであります。
 仙谷官房長官は記者会見で、政治職と執行職は責任のレベル、次元が違うという趣旨の奇妙な論法で馬淵大臣辞任論を打ち消そうとしましたが、その論法のどこに民主党の掲げる政治主導があるのですか。海上保安庁長官のみに責任を負わせ、馬淵大臣が責任を逃れるというトカゲのしっぽ切りを許すことは断じてできないのであります。
 馬淵大臣は、十月十八日に映像管理の徹底を指示されたと言われています。九月七日の衝突事件発生から指示までの間、一か月以上ずさんな映像管理が行われていたということは、映像の公開を求める立場からしても驚くべき事実であります。映像は海上保安大学校のパソコンに保管され、一時は海上保安官ならだれでもアクセス可能であったとされます。情報管理について、馬淵大臣の責任が強く問われねばなりません。
 また、馬淵大臣の国会答弁も不誠実なものがあります。馬淵大臣は、十一月十一日の参議院国土交通委員会で、神戸海上保安部の保安官が映像のインターネットへの投稿を打ち明けた第一報を九時四十分ごろ受けたにもかかわらず、昼休みになってようやく総理官邸に報告したと述べています。ところが、馬淵大臣は、前日、十一月十日の衆議院予算委員会では、保安官への事情聴取は昼休みに聞いた、こう答弁していて、午前中に第一報を受けたことは話していなかったのであります。官邸への報告の遅さ、危機管理意識の欠如も問題ですが、国会答弁を一日で翻す、大臣のうそと言ってよいこの誠意のなさも問責に値するものであります。
 映像を流出させた海上保安官の行為は公務員として容認できませんが、我が国の艦船に衝突してきた中国漁船の船長が釈放されているのに、もし保安官が逮捕されていたとしたら国民感情として不満は募るばかりであったでしょう。
 海上保安官の行為は何ゆえだったのでしょうか。
 海上保安官は、昼夜を分かたず海を守り国を守る、ひいては日本国民の安全を守るという気概と使命感を持って、危険を顧みず任務に就いているのです。海上保安官の行為の正すべきは正さねばなりませんが、公務員として法を犯すことも覚悟して映像流出に至ったのは、現場の仲間たちの士気を著しく低下させた自らの指揮官、馬淵国土交通大臣を始め、政府の事件処理が無責任で拙劣極まりないものだったことに対するある種の義憤に駆られての行為であったのではないでしょうか。
 尖閣諸島沖の我が国接続水域内では、中国の漁業監視船が我が物顔で航行しております。いたずらに中国を強気にさせた政府のつたない対応を批判するとともに、重ねて、海上保安庁長官のみに責任を負わせるのではなく、政治家として、国土交通行政の総責任者として馬淵国土交通大臣が責任を取るべきことを主張いたします。
 八ツ場ダムについても申し上げます。
 十一月六日、馬淵大臣が建設現場を視察し、その際の発言は、これまでの建設中止の方針を変更する意味で私は了といたします。しかし、それだけで済ますわけにはまいりません。これまでダム建設のため先祖伝来の土地を離れざるを得なかった現地住民の皆さんに、政府はまず心からのおわびをしなければなりません。
 前原前国土交通大臣の中止宣言からこの一年余、ダム建設、ダム行政についての迷走ぶりは一体何事ですか。十分な説明が必要であります。負担金など予算面でも工事に理解を示してきた関東六都県にも納得のいく説明をすべきであります。
 コンクリートから人へ、このスローガンは一体どこへ行ったんでしょうか。民主党が昨年の衆議院選挙で高く掲げたこのスローガンは、今夏の参議院選挙では消えてなくなりました。ダム建設にかかわる住民、あるいは悪玉扱いされた公共事業にかかわる国民は、このことを決して納得しないでしょう。
 今回の馬淵大臣の検証発言は、民主党マニフェストにおける強引な建設中止の事実上の撤回であります。問題は、公約の策定過程で、八ツ場ダムの必要性や現地住民の思いを徹底的に検証した跡が見受けられないことであります。今回の方針変更は、その評価はともかく、マニフェストが一貫した考えによる政策ではないことを明らかにしました。
 高速道路無料化、ガソリン暫定税率の廃止等々は実現可能でありましょうか。思い付きの公約を掲げて選挙で訴えたことを深く深く反省すべきであります。その結果が、この夏の参議院選挙で直近の民意として示され、民主党敗北につながったのであります。
 そのできもしないマニフェストの最たる象徴が八ツ場ダム建設中止です。前原前国土交通大臣は就任直後に八ツ場ダムの建設中止を宣言しましたが、副大臣であった馬淵現大臣は、前原前大臣の補佐役でありながら、建設中止に何ら言及しておりません。大臣交代で簡単に政策転換をしたこと、生活や将来の人生設計を翻弄させられた住民の皆さんを無視した馬淵国土交通大臣の検証発言はやはり無責任と断定せざるを得ません。
 国民の安全を守り、そして国土の保全に取り組むべき国土交通大臣としての職責をゆだねることができない馬淵澄夫君の潔い辞任を勧告して、私の賛成討論を終わります。(拍手)
○議長(西岡武夫君) 小野次郎君。
   〔小野次郎君登壇、拍手〕
○小野次郎君 みんなの党の小野次郎でございます。
 私は、みんなの党を代表して、馬淵国土交通大臣問責決議案に賛成の立場から討論を行います。
 以下、簡潔に賛成の理由を申し述べます。
 第一に、国土交通大臣馬淵澄夫君は、尖閣諸島沖中国船衝突事件に関し、我が国の主権や領土の保全に大きな影響を与える事案であることの認識を忘れ、海上保安庁当局による速やかな情報公開を妨げ、国民に対する説明責任を怠った。
 第二に、馬淵大臣は、本事件への対応に関して、広く我が国に対する国際世論の理解と支持を得るべき重要な局面において、我が国のとった措置の正当性を説明できる記録映像の公開を妨げた。
 第三に、国会審議の過程で、海上保安庁の保有するビデオ情報の提出を求められた後に、その後になって、その要請を無視して、あろうことか、馬淵大臣自らが指示して、海上保安庁の複数の部署に保有されていたビデオ情報を不当に消去、廃棄させた。
 第四に、馬淵大臣は、国会の一致した記録映像の提出要求に対して、那覇地方検察庁が国会に提出する記録映像の編集に部下職員を不当に関与させ、刑事訴訟法四十七条の趣旨を無視して、保有されていた記録映像の何と九五%以上を削除させるなど、国政調査権の円滑な行使を妨げた。
 第五に、政府の対応に対する内外の批判を抑え込むため、海上保安庁部下職員に対して実質的な秘密に当たらない記録映像まで公表を禁止するなど、不当な情報統制を企てた。しかし、憤りを持った身内からビデオ情報を流出させるという失態を招き、結果として海上保安行政に対する国民の信頼を二重に損なった。
 国務大臣として、国会と国民に対する説明責任を全く自覚せず、国会での審議を妨げ、政府の失態や自らの怠慢を内部の情報統制によって切り抜けようとして、結局失敗した。
 無責任かつ管理能力に欠ける馬淵澄夫君が、国の危機管理にかかわる国土交通行政の最高責任者の座に座り続けることは、国益と国の安全を損なうおそれがあり、断じて受け入れることができないことを申し上げ、馬淵大臣問責決議案に対する賛成討論といたします。(拍手)
○議長(西岡武夫君) これにて討論は終局いたしました。
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○議長(西岡武夫君) これより採決をいたします。
 愛知治郎君外八十二名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。
 現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。
 よって、表決は記名投票をもって行います。本決議案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
○議長(西岡武夫君) 投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
○議長(西岡武夫君) これより開票いたします。投票を参事に計算いたさせます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
○議長(西岡武夫君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百三十七票  
  白色票          百二十六票  
  青色票           百十一票  
 よって、本決議案は可決されました。(拍手)
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   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
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○議長(西岡武夫君) 本日はこれにて散会いたします。
   午前零時三十八分散会