第180回国会 文教科学委員会 第6号
平成二十四年六月十九日(火曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 六月十九日
    辞任         補欠選任
     蓮   舫君    はた ともこ君
     山本 博司君     長沢 広明君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         野上浩太郎君
    理 事
                鈴木  寛君
                那谷屋正義君
                橋本 聖子君
                水落 敏栄君
    委 員
                神本美恵子君
                斎藤 嘉隆君
                谷  亮子君
               はた ともこ君
                藤谷 光信君
                森 ゆうこ君
                蓮   舫君
                石井 浩郎君
                上野 通子君
                熊谷  大君
                義家 弘介君
                山本 博司君
                柴田  巧君
                自見庄三郎君
                横峯 良郎君
   衆議院議員
       修正案提出者   河村 建夫君
       修正案提出者   下村 博文君
       修正案提出者   馳   浩君
       修正案提出者   松野 博一君
       修正案提出者   池坊 保子君
   国務大臣
       文部科学大臣   平野 博文君
   副大臣
       文部科学副大臣  高井 美穂君
   大臣政務官
       外務大臣政務官  加藤 敏幸君
       文部科学大臣政
       務官       神本美恵子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        古賀 保之君
   国立国会図書館側
       館長       大滝 則忠君
   政府参考人
       警察庁生活安全
       局長       岩瀬 充明君
       法務大臣官房審
       議官       岩尾 信行君
       文部科学省生涯
       学習政策局長   合田 隆史君
       文化庁次長    河村 潤子君
   参考人
       慶應義塾大学大
       学院メディアデ
       ザイン研究科教
       授        岸  博幸君
       日本弁護士連合
       会事務次長
       弁護士      市毛由美子君
       日比谷パーク法
       律事務所代表弁
       護士       久保利英明君
       一般社団法人イ
       ンターネットユ
       ーザー協会代表
       理事       津田 大介君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○著作権法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
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○委員長(野上浩太郎君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 著作権法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、警察庁生活安全局長岩瀬充明君外三名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(野上浩太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(野上浩太郎君) 著作権法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。平野文部科学大臣。
○国務大臣(平野博文君) おはようございます。よろしくお願いいたします。
 この度、政府から提出をいたしました著作権法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を説明申し上げます。
 我が国の著作権制度については、これまでも逐次整備を進めてまいりましたが、文化芸術立国、知的財産立国の実現に向けて一層の充実が必要となっております。
 この法律案は、近年のデジタル化、ネットワーク化の進展に伴い、著作物等の利用態様が多様化しているとともに、著作物等の違法利用、違法流通が広がっていることから、著作物等の利用の円滑化を図るとともに、著作権等の適切な保護を図るため、必要な改正を行うものであります。
 次に、この法律案の内容の概要について御説明を申し上げます。
 第一に、いわゆる写り込み等に係る規定の整備を行うものであります。
 著作権者等の利益を不当に害しないような著作物等の利用であっても形式的には違法となるものについて、著作権等の侵害とならないことを明確にすることにより、著作物等の利用の円滑化を図るため、写真の撮影等の対象として写り込んだ著作物等の利用、著作権者の許諾を得るための検討等の過程で必要と認められる利用、技術の開発又は実用化のための試験の用に供するための利用、情報通信技術を利用した情報提供の準備に必要な情報処理のための利用について、権利者の許諾なく行えるようにするための措置を講ずるものであります。
 第二に、国立国会図書館による図書館資料の自動公衆送信に係る規定の整備を行うものであります。
 国立国会図書館の有する電子化された資料を広く国民が有効に活用できるようにするため、国立国会図書館が電子化された資料を公立図書館等に対して自動公衆送信すること、また、公立図書館等において、その利用者の求めに応じ、送信された資料の複製物を一部提供することについて、権利者の許諾なく行えるようにするための措置を講ずるものであります。
 第三に、公文書等の管理に関する法律に基づく利用に係る規定の整備を行うものであります。
 公文書等の管理に関する法律では、国立公文書館等の長は、行政機関等から移管された歴史資料として重要な公文書等について、適切な記録媒体により永久に保存しなければならないこと、また、利用の請求があった場合にはその写しの交付等をしなければならないこととされております。
 このため、国立公文書館等の長や地方公共団体等の設置する公文書館等の長が公文書等の永久保存や写しの交付等を行うに当たっての著作物等の利用について、権利者の許諾なく行えるようにするための措置を講ずるものであります。
 第四に、技術的保護手段に係る規定の整備を行うものであります。
 今日では、DVD等が広く普及しておりますが、このDVD等に用いられている暗号型技術を回避するプログラム等が出回っているため、こうしたプログラム等が規制の対象となるよう、DVD等に用いられている暗号型技術を技術的保護手段の対象に加えることとしております。
 なお、この法律は、一部を除いて平成二十五年一月一日から施行することとし、所要の経過措置を講ずることとしております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願いをいたします。
 以上でございます。
○委員長(野上浩太郎君) この際、本案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員池坊保子君から説明を聴取いたします。池坊保子君。
○衆議院議員(池坊保子君) ただいま議題となりました著作権法の一部を改正する法律案に対する衆議院における修正部分につきまして、その趣旨及び内容の概要を御説明いたします。
 衆議院における修正により、違法に配信されているものであることを知りながら、有償の音楽、映像を私的使用目的で複製する行為、いわゆる私的違法ダウンロードについて罰則を設けるとともに、私的違法ダウンロードの防止に関し、国民に対する啓発、関係事業者の措置などについての規定を政府提出法律案に追加することといたしました。
 その内容の概要を御説明いたします。
 まず、私的違法ダウンロードに対する罰則を設けることといたしました。
 すなわち、一、私的使用の目的をもって、二、有償著作物等の著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、三、自らその事実を知りながら行って著作権又は著作隣接権を侵害した者は、四、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科することとしております。
 また、私的違法ダウンロードの防止の重要性についての国民の理解を深めることが重要であると考え、国及び地方公共団体に対し、私的違法ダウンロードの防止に関する啓発、未成年者に対する教育の充実を義務付けることといたしました。
 その他、関係事業者の措置に関する規定、法律の施行後一年を目途とする検討条項等を設けることとしております。
 以上が、本法律案の衆議院における修正部分の趣旨及びその内容の概要でございます。
 何とぞ、御審議の上、御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○委員長(野上浩太郎君) 以上で趣旨説明及び衆議院における修正部分の説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○森ゆうこ君 おはようございます。
 久しぶりに質問をさせていただきますけれども、今回の改正に関しましては、利用の拡大を図るために様々な改正がされるわけでございます。そういう意味では、著作権を守りつつ、しかし一方、利用拡大を図るということで、そのことによって更に知的財産立国という方向へ進んでいくものということで、政府提出の法案に対しては、私は、当然のことながら、提出時の責任者でもございましたので、是非成立を願うところでございます。
 今回の改正におきまして、利用規定が様々提示されているわけでございますけれども、条文を読みましても、やはりなかなか一般には分かりにくいというふうな御指摘も既にございます。分かりやすく周知すべきではないかと思いますし、その準備も進んでいるというふうに思いますので、そのことについてまず御答弁をいただきたいというふうに思います。
○国務大臣(平野博文君) 森さんとこういう立場で質疑をするとは思ってもいなかったわけですが、改めて、この法案について、実質その当時副大臣としていろんな御指摘に対する案文を考えていただいておりましたから、もう言わずもがなでございますが、改めて、御質問でございますから、御答弁をしたいと思います。
 今回、特に写り込み等の規定について、条文的にはどこまでなのかということが非常に分かりにくい、こういうことで、分離が困難であるといった、そういう言葉でありますとか、軽微な構成部分といった言葉があるので、具体的にどういう場面を想定をしているのか分かりにくいと、こういう指摘に対して私どもとしては、より具体的な内容を国民に理解をいただく、こういう観点で、この法律を通していただいた後に、その趣旨や要件、改正法が本当に適用されない等の具体的事例を示した資料を作成し、可能な限り国民に分かりやすく説明をしてまいり、周知を徹底していきたいと、かように考えております。
○森ゆうこ君 ありがとうございます。
 今回の規定の改正に限らず、この著作権の問題というのは、なかなか条文を見ても理解をしづらいところが多々ございます。そういう意味で、国民の皆さんが、この著作権を擁護する、権利を擁護するということと同時に、その例外規定として許されている利用の拡大ということについて更に理解が深まるように、分かりやすい周知徹底に御努力を更にいただきたいというふうに思います。
 今回、様々な改正がございますけれども、衆議院の方でもいろいろ御指摘があったところでございますが、障害者に関して少し伺いたいというふうに思います。
 特にICT技術の活用というのは、障害者の皆さんにとって非常に福音をもたらすといいますか、何と言ったらいいんでしょうか、パワードスーツといいますか、障害者の皆さんの持っている力を拡大して、例えば相手とコミュニケーションをすることがなかなか難しい、自分の意思を伝えることが難しいという障害者の皆さんでも、技術を利用してそういうことが可能になるということを特に特別支援学校などで私も視察をさせていただいて痛感したところでございます。
 障害者の情報アクセス権が保障されるように録音図書等が活用される環境をきちんと整備をしていく必要があるというふうに思いますけれども、その点について御答弁をいただきたいというふうに思います。
○国務大臣(平野博文君) 今、森先生から御指摘がありましたように、インターネットの進展あるいは携帯情報端末等の普及に伴い、障害者の権利に関する条約をめぐる状況等を踏まえつつ、障害者における情報の格差を解消していく、また解消していかなきゃならないと、こういうことは極めて重要でございます。
 このため、これまでも著作権法を逐次改正する中で障害者のための自由利用の範囲を拡大をしてまいりました。特に平成二十一年度の改正におきましては、今、森先生から御指摘ございましたように、視覚・聴覚障害だけでなく発達障害等の方々にも広く広げる、こういうこと、また録音図書の作成主体として、ボランティア団体についても法人格の有無にかかわらず文化庁長官の指定により可能にすると、こういうことでやってきたわけであります。実際、これまでNPOや法人格のないボランティア団体、翻訳グループ等を十五団体指定しており、こうした指定を通じ幅広く録音図書の作成が行われるようにしてまいっております。
 今後、更に平成二十一年度の改正を活用した録音図書等が広く利用されるように進めるため、関係団体に対し改正法の内容をより一層周知をしてまいりたい、関係者間の連携協力を推進していくことが重要であると思っておりますので、御指摘を含めて前向きにとらまえてまいりたいと、かように考えています。
○森ゆうこ君 ありがとうございます。
 今大臣からおっしゃっていただきました障害者の皆さんを支援する、そのようなグループの皆さんの力を活用して、それをネットワーク化して、更に障害者の皆さんの情報アクセス権が保障されるように、そして情報格差を是正するようにお取り組みをいただきたいというふうに思います。
 政府提出法案については、そもそも野党の皆さんも元々賛成であるというふうに伺っておりました。しかし、衆議院の方で違法ダウンロードの刑事罰化について、今修正案の御説明があったわけでございますけれども、閣法、内閣提出法案の修正という形で提出をされました。しかし、この法案に関しましては、これまでも議員立法という形で準備がされてまいりました。けれども、急に修正案ということで提出をされたわけでございます。
 閣法の修正案ということではなくて、やはり議員立法で出すべきであったというふうに私は考えておりますけれども、なぜ議員立法ではなく修正案という形で御提出をされたのでしょうか。
○衆議院議員(池坊保子君) 違法ダウンロードの刑事罰化は、アーティストの著作権などを保護することに加え、音楽文化、映像文化の振興、音楽産業、映像産業の健全な発展なども目的とするものです。そのために、著作権等の適切な保護に資するために提出されている内閣提出法案に付加していただきたい内容として、議員立法ではなく、内閣提出法案の修正案として提出したところです。
 私は、本来は、修正案ではなくて、閣法にこれが入ってほしいというふうに考えておりました。先ほど大臣がおっしゃいましたように、文化芸術立国そして知的財産立国の実現を目指すならば、やはり私は文化芸術に携わっている人への保護というものも必要なのではないかと思います。
 私は伝統文化に携わっておりますけれども、今まで文化芸術は国の支援なくして自助努力で大方やってまいりました。だけれども、このITなどが進んでまいりますと、もう自助努力だけではやっていくことができなくなりました。私は、国は最低限の文化芸術を保護するそうした法律を作ってほしいというふうに思っておりましたので、本来ならば、私は、二十一年ですか、作られましたときにもきっちりと刑罰を付けるべきではあったが、この中に、修正案にしなければならなかったことをむしろ私は残念に思っているぐらいで、そのために修正案にさせていただきました。これは文化庁が閣法にしてほしかったと私は願っております。
○森ゆうこ君 今そういうお話なのでございますけれども、じゃ、前回改正の際、これは違法ダウンロードということが規定をされたわけでございます。要するに、著作権者が認めていない著作物についてのダウンロードについては違法であるというふうにされたわけでございますが、前回改正の際に刑事罰化は見送られたわけですけれども、その理由を教えてください。
○衆議院議員(池坊保子君) ダウンロードが違法であるという、こういう私は意識が少なかったのではないかと思うんですね。国民の、私は、段階的に……(発言する者あり)これ、なさるの、ごめんなさい。つい熱が入りました。
○大臣政務官(神本美恵子君) 森委員、副大臣のときに御一緒に私もこの法案を担当してまいりましたのでもう重々御承知のことかと思いますが、改めて御確認の御質問だと思います。
 平成二十一年の著作権法改正によって、違法配信と知りながらダウンロードする行為は違法とされた、しかしこれが刑事罰化されなかったのはなぜかという御質問でございます。
 一つは、個々人の違法ダウンロード自体は軽微であること、二つ目に、家庭内で行われる行為についての規制の実効性の確保が困難であることなどから、刑事罰の対象とされなかったものでございます。
 このほか、平成二十一年法改正前に文化審議会において実施された意見募集では、利用者保護の観点から、特に未成年者である利用者に対する適切な保護や指導を行うことについて配慮すべきとの意見も寄せられたところでございます。また一方では、個々人の行為は軽微とはいえ、ネット上では違法複製物が瞬時にかつ広範に拡散する、また、実効性の確保が困難とはいえ、刑事罰化によって一定の抑止効果が期待できるのではないかというようなことから、刑事罰化するべきとの意見があることも承知をしております。
○森ゆうこ君 説明していただくまでもなく、皆さん御存じのとおりでございます。青少年を含め、広く一般の国民がその対象となる新たな刑事罰の導入に、私はもう慎重にも慎重を期するべきであるというふうに考えておりまして、ちょっと熱が入りましたと、池坊先生のお考えも分かるんですけれども、私は、この刑事罰化、現時点における刑事罰化については反対でございます。
 それでは、文科省にもうちょっと伺いたいんですが、前回改正以降、違法ダウンロード防止のために対策が取られてきたということなんですけれども、でもまだ不十分でございますし、特に青少年のICT教育を充実させる必要があると考えますけれども、その点についてお答えをいただきたい。
 そして、エルマークの普及また違法アップロードの取締りの状況はどうなっておりますでしょうか。ダウンロード、何億件もあるわけですから、それは法の実効性という観点からしても、むしろアップロードについての取締りをきちんと行うべきではないかというふうに考えますけれども、その状況はいかがでしょうか。
 あわせて、前回の改正、ダウンロードの違法化について、この適用実態をどのように把握しているのか。前回の改正の結果、それがどうなっているのかという実態把握をしないまま拙速に刑事罰化ということは極めて拙速であるというふうに考えますが、その適用実態はどのように把握していらっしゃるでしょうか。
○副大臣(高井美穂君) 一点目のICT教育に関してでございますけれども、森先生が本当に率先して副大臣時代から取り組んでこられてきたことで、情報化の進展に応じて、情報モラル、またメディアリテラシー、情報リテラシーという青少年に対する情報教育というのは本当に充実は大事だと思っておりますし、本当に森前副大臣がやってこられたとおりだと思っています。
 学習指導要領において、小中高の学校の各教科通じて知的財産の保護などの情報モラルを身に付けることや、またコンピューターそれから情報通信ネットワークなどの情報手段を適切に活用するための学習活動の充実というものを図りました。そして、文部科学省、総務省、関係団体等が連携して、子供たちのインターネットの安心、安全な利用に向けた講座、e―ネットキャラバンというものなどを実施をしたり、保護者、子供、幅広い年齢層を対象とした啓発活動もやっておるところでございます。
 引き続き、情報教育に向けた取組について推進をしてまいりたいと思います。
 あと、違法アップロード取締りの状況に関してですが、数字的なものも含めてちょっと政府参考人の方から答えさせます。
○政府参考人(河村潤子君) 平成二十一年法改正で違法ダウンロードの規定が設けられました後の幾つかの状況、事実関係を申し上げたいと存じます。
 一つは、違法サイトを識別するためのエルマークというものをサイトに付けるということが行われておりますけれども、二十四年五月九日時点で二百五十四社、千四百七十サイトがこのエルマークの表示をいたしております。これは、平成二十一年四月、およそ三年前の時点では百八十社の千百三十三サイトでしたので、増加傾向にあるということでございます。
 それから二つ目に、インターネットを利用した著作権法違反の検挙件数と、それからアップロード検挙件数でございますが、警察庁によりますと、インターネット利用著作権法違反事件の検挙件数は平成二十三年に四百九件、そのうちいわゆる違法アップロードの検挙件数が二百七十八件と聞いております。
 また、平成二十一年の法改正で設けられましたこの違法ダウンロード規定の適用状況、これによりまして民事訴訟が提起されたような例があるかという点についてでございますけれども、関係団体からはこの規定によって民事訴訟を行われた例は今のところないというふうに聞いております。
○森ゆうこ君 まだ前回の改正の効果を十分に活用するというところまでは行っていないということでございます。
 修正案提案者に伺いたいんですけれども、前回の改正で、この刑事罰化ということについては、利用者保護の観点からこれは慎重にと、様々な懸念があるということで見送られたわけですけれども、今の報告のように、前回改正の適用実態というものもまだまだ不十分な状況。そういう中で、前回改正で見送られた刑事罰化を実施する環境が整った、あるいは整いつつあるということで、何というんでしょうか、刑事罰化、今回提出されたというふうに思うんですけれども、その具体的な根拠を教えていただけますか。
○衆議院議員(池坊保子君) 改正著作権法の施行後は、関係省庁や業界団体の周知もあって、違法に発信されているものであることを知りながら、私的使用目的のダウンロード行為が違法とされたことについての認識は、私は定着しつつあるのではないかと思います。しかしながら、そのような中にあっても、認識の広がりとは別に、改正著作権法の施行が違法発信、違法ダウンロードを通じた違法な音楽等の流通量の減少に与えた効果については限定的であるとされておりますから、それらのことを考えますと一層の対策を講ずる必要があると思います。
 この修正案は、そうした状況を踏まえ、アーティストの著作権などの保護に加え、音楽文化の振興、音楽産業の健全な発展なども目的として、関係事業者に対し、違法に発信されているものであることを知りながら有償の音楽、映像を私的使用目的でダウンロードする行為を防止するための措置を講ずる努力義務を課すとともに、こうした行為に対する罰則を設けようとするもので、じゃ、どのような環境整備がなされてきたのか、それは刑罰化するに足りる条件がそろったのか具体的に示せということではございますが、まずは、私が申し上げたいのは、二十一年まではダウンロードは違法だよという意識が国民の中に私はなかったというふうに思います。これを二十一年に文化庁が、これは違法なんですよということを初めて示しました。示したことによって、国民は、ああそうなのか、ダウンロードはいけないんだなということを私は初めて知ったのではないかと思います。そのときに刑罰を私は付けてもよかったのではないかと思いますけれども、森委員がおっしゃるように、刑罰を付けるには、やはりきめ細やかな丁寧な段階的な私は処理というものが必要だと思います。そして、三年たちました。三年たって、やはり法律にちゃんとこれは違法だというふうに書かれているのですから、それに対して刑罰を付けることは私は当然なのではないかというふうに考えております。
 それで、他党の反対なさった方が、何で反対するのと申し上げたら、未成年者が多いからだとおっしゃいました。じゃ、未成年者は泥棒してもいいのと私はお答えしたんですけれども、軽微でも悪いことは悪いんだと思うんですね。一億円盗んでも、千円盗んでも、百円だから盗んでいいということでは私はないというふうに考えております。
 これは一例で、日本レコード協会の調査によれば、一年間に違法ダウンロードされるファイルの数は四十三・六億ファイルに上ると推定されております。これは、正規音楽発信のダウンロードの約十倍のファイルが違法にダウンロードされているという計算になっております。
 ですけれども、これは一例でございまして、私はやはり、悪いことをしたら罰せられることは、未成年者であっても正しく規律を守るということを教えていくべきであって、同時に、この法律の中にあっては未成年者への教育ということをうたっております。これをしっかりとさせるべきというふうに私は考えております。
○森ゆうこ君 間違ったこと、違法であることをしたら罰することは当然だということなんですけれども、本当に違法かどうか分かるようになっているとお考えなんでしょうか。恐れ入りますけれども、どの程度先生がインターネットユーザーでいらっしゃるのか、法案提出者の皆さんがどの程度インターネットというのを使っていらっしゃるのか。もちろん平野大臣も含めて、私は先生方といろいろこの件に関してお話ししますと、ああ使っていない人には分かってもらえないのかなというふうに感じることがございました。どれが違法なのかどうかということが判別しにくい、また権利者自体、アーティスト自体が無料でアップロードをしている場合もありますし、どれが違法になるのかということは、非常に今の時点では、エルマークも見分けにくいですし、これが非常に難しいということを指摘しておきたいと思います。
 で、違法ダウンロード刑事罰の犯罪構成要件はどうなっておりますでしょうか。そして、その運用はどういうふうになるのでしょうか。
○衆議院議員(池坊保子君) この修正案で罰則が科せられる行為というのは、著作権法第三十条第一項に定める私的使用の目的をもって、有償著作物等の著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、自らその事実を知りながら行って著作権又は著作隣接権を侵害する行為、これは著作権法第百十九条第三項にございます。
 分かりやすく言うと、私的使用の目的をもって、インターネット上で著作権又は著作隣接権を侵害して違法に発信されている本来であれば有償の著作物について、それが違法に発信されていることを認識しながらダウンロードをする行為を想定しております。
 恣意的な運用がなされるのではないかという懸念がたくさん私のところにも寄せられております。私もそのことに対して全然配慮しなかったわけではございません。そういうこともあるのかなと思いましたが、しかし、今回罰則を科そうとしている行為に対する捜査もまた令状主義の枠内にあるものでございまして、無制限に捜査機関のネットへの介入を認めるものでもなければ、介入の性質を変容させるものでもありません。令状がなくて踏み込むなどということはございません。
 また、警察において捜査権限の濫用があってはならないということは言うまでもなく、そのことについては既に、「その権限を濫用することがあつてはならない。」、警察法第二条第二項。
 このような懸案を払拭すべく、改正法案の附則において入念に、「第百十九条第三項の規定の運用に当たっては、インターネットによる情報の収集その他のインターネットを利用して行う行為が不当に制限されることのないよう配慮しなければならない。」ということをしっかりと明記しております。
 インターネットに対してあなたは全てを知っているかとおっしゃいますと、森委員よりははるかに劣っているとは思いますが、このことに関しまして私は大学生の人たちやいろんな人たちに聞きました、これはどうなのということで。そういうような意見も集約させていただいたことも申し加えたいと思います。
○森ゆうこ君 ありがとうございます。
 しかし、自らその事実を知りながら行って著作権又は著作隣接権を侵害する行為、これはどのような行為なのかということを具体的に説明していただかないと分からないわけですね。
 例えば、メールが送られてきます、そこに添付されているファイルがございます、メールが知り合いから送られてきたので、それを開けて、そしてダウンロードすると。これをその人が、自らその事実、違法であると、違法にアップロードされたものであると、そして送られてきたものであると、それは、自らその事実を知りながら行って著作権又は著作隣接権を侵害する行為にこれは当たるんでしょうか。
○衆議院議員(池坊保子君) 息子が私に、それを開けて私に送る、これは捜査の対象にはなりません。
○森ゆうこ君 息子がとおっしゃいましたか。
○衆議院議員(池坊保子君) 息子。ですから、例えて申しましたので、森さんが私に送ってくださる、そして私がそれを開ける、それは捜査の対象にはなりません。
○森ゆうこ君 メールを送信した人がその対象になるということですか。
○衆議院議員(池坊保子君) 罰則を科そうとしている行為は、著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信を受信して行う、だから、それを行うデジタル方式の録音又は録画です。自動公衆送信とは……(発言する者あり)もうよろしい。はい。
○森ゆうこ君 いや、だから、その条文は具体的にはどうなのかということをお聞きしているんですよ。どれが違法でどれが違法じゃないのか判別が難しいということを申し上げているんです。それはお分かりになりますか。極めてグレーゾーンが多いわけですね。
 じゃ、自らその事実を知りながらというのはどこまでを言うんですか。これは恣意的な運用につながるというふうに指摘しているわけですよ。もっときちんと具体的にお答えください。
○衆議院議員(池坊保子君) 具体的にお答えしても御理解いただけないようですが、ここの中にもございますように、違法と知りながらという条文がございます。違法と知らないで出して、それを森さんが違法と御存じなくて、まあ森さんは非常にITにはお詳しいでしょうからそういうことはあり得ないのでしょうが、知らなくて、私が受けた場合には、それはここには入らないということでございます。
○森ゆうこ君 だから、自らその事実を知りながらというところが、本当に故意にやったのかどうかということについて、本人は故意にやっていないというふうに言ったとしても、そういう事実があるじゃないか、ダウンロードした事実があるじゃないか、キャッシュも含めて、そういうことが違法であるというふうにして捜査の対象になるわけですよ。しかも、家庭の中に踏み込んで、そのPCをそういう疑いがあるということで持っていかれて、いろんなことを捜査されるわけですね。このことについて私は問題提起をしているんです。
 今、ちょうど法務委員会で小川前法務大臣が質問をしていらっしゃいます。皆さん御存じのように、指揮権発動という言葉が出てまいりました。官僚の無謬性といいますか、警察あるいは検察、あるいは司法は間違わないのだ、正しい捜査がなされるのだ、恣意的な運用はされないのだというふうに強く主張されても、現実問題として、検察官が証拠を捏造し、その反省に基づいて出直しましょうと言っているときに、捜査報告書を捏造して検察審査会を悪用した、こういう事実が明らかになっている。
 しかも、この事実は、先生は見ていらっしゃらないかと思いますけれども、ロシア語のサイトを通じてその捏造をされた捜査報告書がインターネットにアップされまして、全ての国民が見ることが既に可能になっております。
 そういう状況の中で、私は、これは極めて多くの国民が対象になるその新しい刑事罰というものを導入するということについては、今のやり取りの中でもはっきりとしないわけですよ。お答えは拒否されたわけですけれども。
 極めて慎重になるべきであるというふうに思いますが、法務省、来ていらっしゃると思いますけれども、私は、改めて申し上げますが、青少年を含め多くの国民が対象となる違法行為の刑事罰化には慎重には慎重であるべきだというふうに思いますが、今申し上げましたように、今現在、特に捜査報告書の捏造、これは誰が見ても全く別物である。田代検事の捜査報告書と石川知裕衆議院議員の隠し録音したその取調べの状況の反訳書を比べてみて、あれが記憶違いだということになれば、それはその人の認知能力を疑わざるを得ないような、それだけ全くの別物が、もう国民が全部見ているんですよ。そういう中で、捜査当局は何もしようとしない、そして法務省も何もしようとしない。だから、小川前法務大臣は指揮権発動ということに言及をされたわけです。
 これはどうするんですか、田代検事の捜査報告書捏造問題は。どのように対処されるんですか、法務省。
○政府参考人(岩尾信行君) 御指摘の問題につきましては、現在、検察当局が告発を受理いたしまして鋭意捜査中である上、これと並行して必要な調査を行っているところでもありますので、法務当局といたしましては、検察当局の行っている捜査及び調査の結果を待ち、これを踏まえて適切に対処することになるものと考えております。
○森ゆうこ君 反省がないわけですよ。
 先ほども申し上げましたけれども、インターネットを利用していらっしゃる方、いらっしゃらない方、これはもう本当に情報革命なわけですね、使っていないとなかなかこの問題点ということについて御理解いただけないのかなというふうに思って大変残念なんですけれども、これは本当に恣意的な不当捜査、別件逮捕、そういうものに間違いなく私はつながると思いますし、これだけ広く、特に青少年も含めて犯罪のこの処罰の対象に既になっているわけです。しかも、「自らその事実を知りながら行つて」という部分が非常に曖昧です。非常に曖昧であります。
 少なくともこの部分について、もっときちんと整理をされてしかるべきではないかというふうに思いますが、条文を繰り返し読むのではなくて具体的にお答えください。池坊先生じゃなくて、ほかの方はどうなんですか。もっときちんと答えてください。
○衆議院議員(馳浩君) まさしく運用において恣意的な捜査がなされるといけないということは当然でありますけれども、例えばメールのやり取りで、具体的に、これが違法であるということを知っていてそれでもダウンロードしたとか、繰り返し行ったとか、広範囲に多人数とやり取りを行ったとかということが明らかである場合には、まさしくこれは捜査の対象になるべきものと私は思っております。
 条文の具体性ということを申し上げれば、一度や二度行っても違法かといえば確かに違法にはなりますけれども、何度も何度も繰り返しそういうことを行ってはいけないということを言うがために運用上の配慮規定を設けましたし、青少年に対する教育的な配慮も条文として書いたところでありますので、一罰百戒というものではなく、こういったことは、違法なものをダウンロードしてはいけないということを明確に今後していくことが国民に対する啓発としても必要なことだというふうに考えております。
○森ゆうこ君 時間ですから終わりますけれども、まさしく今おっしゃったように一罰百戒そのものではないかというふうに思います。刑事罰化をしなくても、もっと、こういうことは違法なのである、やってはいけない、著作権を保護しなければいけないということについて、もっとまずは啓発活動をすべきであるというふうに思いますし、衆議院の方で、法の施行日が、まずはその周知徹底の方が先に来るから大丈夫なんだというふうにおっしゃいますけれども、たった三か月で何ができるんでしょうか。
 そういう意味で、私は閣法には大賛成でございますけれども、衆議院のその修正部分、ダウンロードの刑事罰化については、これは非常に危険であるというふうに重ねて申し上げまして、そして反対であるということを申し上げまして、私の質問を終わります。
○水落敏栄君 自由民主党の水落敏栄でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
 注目されている大切な大切な法案でありますので、これから早速質問に、いろんなことを申し上げたいので、早速質問に入らせていただきたいと思います。
 まず、写り込み規定のガイドラインについて、文部科学省にお伺いをいたします。
 今回の改正案では、いわゆる写り込み、これは付随対象著作物としての利用等にかかわる規定が整備されております。これについては、一つ、写真撮影、録音、録画の場合に限り、二つ目は、対象物から分離困難な付随物や音を、三、軽微な構成部分として複製、翻案し、その後利用することができる、四、ただし、著作者の権利を不当に害してはならないとされておりまして、具体例としては、写真や映像の背景に映画のポスターや絵画などが写る場合が想定をされております。
 しかし、映画のポスター、これは外すことができますけれども、そうすると分離困難なものではないから、これ違法になるんでしょうか。また、現在はデジタル技術が発達していますので、写真や録画については写り込みを画像処理で消去、これ分離することは比較的容易に行えるわけであります。いまだ基準としては曖昧で、現場では分離性、困難性ということで迷いそうですので、対象物から分離困難な付随物について何らかのガイドラインが必要ではないか、こう考えておりますけれども、文部科学省のお考えをお聞かせください。
○政府参考人(河村潤子君) 改正法案第三十条の二のいわゆる写り込み規定に該当するためには、分離することが困難であるなどの要件に合致する必要がございます。その判断は、創作時の状況、創作、例えば写真を撮るというその行為でございますが、その創作時の状況に照らしまして、ある著作物を創作する場合に付随して対象となった別の著作物、これが法文上、付随対象著作物となっておりますけれど、これを除いて創作するということが一般的な社会通念の上で困難であるというふうに客観的に認められるか否かという点から判断するということになります。
 こう申し上げても、なかなかこの判断基準は、条文から具体的な内容を把握することが容易であるとは申せないと私どもとしても存じます。
 今回の写り込み規定の改正については、改正法の施行までの間にその趣旨や要件、改正法はこういう場合だったら適用をされませんといったような例などを具体的に示した資料を作成をいたしまして、できる限り国民の皆様に分かりやすく説明し、周知をしていきたいと存じます。
○水落敏栄君 続いて質問をいたします。
 フェアユースに対する考え方ですね。これも文部科学省にまずお聞きしますけれども、アメリカの著作権法には日本のように私的使用のための複製という制限規定はないわけであります。他人の著作物でも公正な利用ならば著作権侵害ではないというフェアユースと呼ばれる規定があります。今回の著作権法改正の大本は、内閣の知的財産戦略本部が平成二十年、二〇〇八年に策定した知的財産推進計画において、包括的な権利制限規定の導入も含め技術進歩等に対応し得る知財制度の在り方等を検討するとしたことでありまして、これは文化審議会著作権分科会ですけれども、ここにおいて権利制限の一般規定、いわゆる日本版フェアユースの検討が始まったということを私は承知をいたしております。
 今回の改正法案では、四つの個別分野について条件を設定した上で、著作物の利用の円滑化を図ることとされております。これは権利制限の一般的な規定とは異なって、フェアユースとは言えないと考えます。改正法案を批判するのではなくて、私的な複製をどこまで許すのかは国のコンテンツ政策の根幹でありまして、必ずしもフェアユースを導入しなければならないというわけではないと思います。
 後でTPPについて簡単に質問を行いますけれども、政府内においてどのような議論を経て日本版フェアユースから今回の個別分野における対応となったのか、お答えください。
○政府参考人(河村潤子君) 著作物の利用の多様化が進む状況の下、アメリカ型のフェアユース規定のように著作物の利用場面を特定しないで、幾つかの考慮要素を規定するのみで自由利用が許されるかどうかは司法の判断に委ねるべきと、こういう御意見があるのは議員御指摘のとおりでございます。
 こうした意見なども踏まえまして、知的財産戦略本部で作られました知的財産推進計画、累次のものでの権利制限の一般規定、これは日本版フェアユース規定とも言われておりますけれども、この導入に向けて検討するということが言われました。特にベルヌ条約等の著作権に関する条約等の規定も踏まえて、規定ぶり、規定の仕方について検討を行って結論を得るべきであるという指摘がありました。
 これらの知財計画を踏まえまして、文化審議会、具体的には著作権分科会でございますが、で更に検討した結果、アメリカ型フェアユース規定については、判例法主義のアメリカにおいて百三十年に及ぶ膨大な判例を明文化したものであって、実定法主義の我が国とは状況が異なること、また、刑罰法規としての明確性を欠き、罪刑法定主義の点から我が国としては問題があること。さらに、居直り侵害と呼ばれるような行為も助長する懸念があるということで、権利者団体を中心に反対の意見が強いことから、審議会において我が国の導入は困難であるという結論となりました。
 そこで、審議会としては、関係者のヒアリングなどを行いまして、著作物の利用に具体的に支障が生じているのはどういう事例であるかということを数多く集めました。これを三つの類型に整理をした上で、今までよりは一定程度包括的な要件を定めた規定を設けることが適当であるということとなりました。
 今回の改正案は、この審議会での二年間にわたる慎重な検討結果を受け、更に政府内でも法案化に向けて検討を重ねました結果、刑罰法規にも求められる明確性の原則に配慮しつつ、最終的には四つのいわゆる権利制限規定を設けることとなったものでございます。
○水落敏栄君 後でまた関連の質問を行いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 この度の著作権法の一部改正につきましては、衆議院において熱心な議論がなされて、その上で、法案の修正をやっていただくなど大変な御苦労があったということもお聞きをいたしております。
 そこで、これからは修正案に対する質問をさせていただきますけれども、私の持ち時間が四十二分間でございますので、通告させていただいた項目全て質問ができないことをあらかじめお断りをさせていただきたいと存じます。
 まず、修正案に対する質問でございますが、その一つとして、違法ダウンロードの具体的な損害についてお聞きをいたしたいと思います。
 著作権制度の目的には、一定期間作品が無断で利用されず、利用からは対価を得られることで、創作者とそれを支える人々が作品で生活の糧を得る機会を保障する、それが更なる創作の原動力になるという面があると思います。しかし、膨大な違法ダウンロードが行われて著作権者などの利益が損なわれているという事実が今回の修正案が策定された必要性の裏付けになっていると思っておりますけれども、具体的にはどのぐらいの件数の違法ダウンロードが行われて、どのぐらいの損害が発生しているのか、改めて提案者にお伺いしたいと思います。
○衆議院議員(河村建夫君) 御指摘の点でございますが、日本レコード協会などの調査によりますと、一年間に違法ダウンロードされるファイルの数は四十三・六億ファイルに上ると推計されておるところでございます。これは、正規音楽配信されております、有料でありますが、このダウンロード数の約十倍のファイルが違法にやられていると、こういうふうな計算になります。
 また、レコード協会等も、これに伴ういわゆる損害額といいますか、販売価格に換算をいたしますと六千六百八十三億円になると、このような推計が出されておるところでございます。
○水落敏栄君 改めて驚いたわけですけれども、四十三億六千ファイル、約十倍、また金額にすると六千六百億円という損害ということになるわけで、大変なことだと思っております。
 そこで、現時点での罰則化の必要性なんですけれども、平成二十二年一月の改正著作権法の施行によりまして違法配信と知りながら行うダウンロード行為が違法とされてから、二年とちょっとしかたっておりません。罰則を設ける前に改正著作権法による違法化の効果を見極めるべきではないかという、こうした意見がありますけれども、これについて提案者の御見解をお伺いします。
○衆議院議員(河村建夫君) 先ほどの議論にもございました。今御指摘もあったところでございます。
 これは、あの改正法が行われてから、関係省庁、業界団体の周知がされております。違法に配信されているものであることを知りながら私的使用目的のダウンロード行為は違法だと。これは、映画におきましても、映画の盗撮は十年、一千万の罰金、また、この違法ダウンロードもいわゆる違法であるということは周知されるようになりました。こういうことで認識は広がっておるというふうに思います。
 しかし、いわゆるアーティストの皆さん、音楽事業者の皆さん等々からも、実はこの問題はこの二十一年、二十二年の議論以前、もう十年前から非常に大きな問題だということは指摘してきたことなんだということで、今のような数字もこれありで、改正前からもされておった。一方、アップロードさえ押さえればいいと言われる、これを十年、一千万ということだと。それなら、それに見合う法律が当然必要ではないかという議論は前からあったわけでございます。
 それを踏まえた形で、一層の対策が、今回のこの改正が十分でないと、限定的であるというふうに考えて、立法府の不作為についても指摘を受けたところでございまして、一層の対策を講じると、このように考えて罰則化に踏み切ったと、こういうことでございます。
○水落敏栄君 続いてでありますけれども、ただいま河村先生の御説明のとおり、インターネット上に著作権を侵害する違法なファイルが次々と配信をされて、多くの人々がそれをダウンロードするような事態が生じていることについては本当に憂慮すべきことであると言わざるを得ないわけであります。知的財産立国を掲げる我が国にとっては、このような事態に適切に対処することがインターネット社会を発展させる上でも非常に重要なことであると考えております。
 そこで、そのことで今回の修正案が提出されたと、こういうふうに理解しておりますけれども、まず、この修正案で罰則が科せられることになる行為、どのような行為なのか提案者に具体的にお聞きしたい、確認をしたいと、このように思います。
○衆議院議員(河村建夫君) 法律用語としては、著作権法第三十条第一項に定める私的使用の目的をもって、有償著作物等の著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、自らその事実を知りながら行って著作権又は著作隣接権を侵害する行為と、こういう難しい言葉になっておりますが、平たく言えば、私的使用の目的ではあるが、インターネットで著作権あるいは著作隣接権を侵害して違法に送信されている、これは有料のものをしかも違法に配信されている、これを意識しながらダウンロードするということ、この行為を想定してこのような表現に、法律用語としてこのようにうたっているところでございます。
○水落敏栄君 本当に具体的に御説明いただきました。ありがとうございます。
 次に、やはり修正の提案者にお聞きしたいんですけれども、インターネット社会の健全な発展についてお聞きしたいと思っております。
 修正案に対しましては、私的使用目的で違法に配信されている有償の音楽、映像を違法と知りながらダウンロードする行為を処罰の対象とすることによって、インターネット社会の健全な発展が阻害されるのではないかという懸念が、議論があるように一部で示されております。修正案に対して国民の皆さんの間に懸念があるのであれば、それを丁寧に払拭していくのも私たち立法者の役割だと、このように思います。
 そこで、まず、インターネット社会の健全な発展が阻害されるのではないかという懸念に対して提案者の御見解をお伺いします。
○衆議院議員(河村建夫君) 先ほど来も御説明申し上げておりますが、違法に配信されているということを承知で有償のものを、あるいは音楽、映像、私的目的でやるということ、これはそのアーティストの著作権やレコード会社の著作隣接権、これを侵害することになるだけではなくて、これが大量に繰り返し行われる、意図的に行われる、故意に行われる、このことがアーティストが次に作品を送り出そうとする意欲を失わせる。音楽界はこれではもう駄目ですとおっしゃる経営者の皆様もいらっしゃいます。そのようなことも放置していいのかということ、むしろインターネット社会を健全に導くためには、一方では、やっぱり駄目なものは駄目だというこの著作権に対する考え方をきちっと位置付ける必要があるのではないか、それによってインターネット社会が健全に発展していくんではないかと、このように考えておるところであります。
○水落敏栄君 ありがとうございました。
 次いで、ネット社会に対する規制なんですけれども、この修正案の文言の解釈次第ではネット社会全体の検閲にもつながり、警察の捜査権の肥大化を招く危険があるのではないかという懸念が一部でございます。さらに、罰則に実効性を持たせようとすると、かなり薄い嫌疑で個人のパソコンを押収できるようにすることになりますが、それは人々のプライバシーを侵害する度合いが大きくなるのではないかという懸念もあるわけでございます。ネット社会全体の検閲につながらないか、あるいは薄い嫌疑で個人のパソコンが押収されるのではないかという、こうした懸念に対して提案者の御見解をお伺いします。
○衆議院議員(河村建夫君) 公権力であります捜査機関がネットへの介入、このことが、一つ典型的な例としてはプロバイダーから、いわゆるアクセスログを停止させるということがあるわけでございます。しかし、このようなことをやろうとすれば、これはやっぱり裁判官の発する令状がなければならない、いわゆる令状主義に基づいておるわけでございます。今回の修正案ももちろんこの令状主義の枠の中にあるわけでありまして、ちょっとの疑いで無制限にそういうことができるというものでは決してなくて、令状なくして踏み込むと、こういうことはできるわけではございません。したがって、令状主義の中身が今回の法律によって変わるというものではありませんので、捜査機関が過度にネットへ介入するという懸念はないというふうに考えておりますし、薄い嫌疑で個人のパソコンが押収されたりプライバシーが侵害されるんじゃないかと、私はこの懸念は当たらないんではないかと、このように考えます。
○水落敏栄君 ありがとうございました。
 やはり、もう一つ懸念がありますのは、警告なく処罰されるのではないかという、こういうことであります。違法に配信されているものであることを知りながら有償の音楽、映像を私的使用目的でダウンロードする行為を行った者に対し、事前の警告もなくすぐに処罰するというのは問題ではないかという懸念がございますけれども、このことについて、いかがなんでしょうか。
○衆議院議員(河村建夫君) 確かに、まさにさっき申し上げたような軽微な違法ダウンロードを契機として、それをどんどん取り締まっていく、あるいは、特にこういう社会は子供もたくさんおります、そういう配慮がやっぱり当然されるということは既に法律の中にもそういうことは書いてございますけれども、例えばこの修正案で、一曲しかやらなかったと、しかしそれは違法に配信されていることを知って有償の音楽、映像を私的使用目的でダウンロードする行為に当たると、一曲であろうとそれは確かに当たるわけであります。しかし、その一曲を広く広めるために意識をして意識的に多くの人を例えば集めてそれをまたアップロードするとか、それがまた繰り返し行われているとか、それが非常に大きな影響を与えるんだというようなことの認定等々、これはやっぱり、親告罪ではありますが、そういうのが対象になるかということはやっぱり刑事政策的な考慮が必要な問題だろうというふうに思います。
 親告罪でもございますから、権利者団体は告訴を行うに当たってはやっぱり事前に御指摘のようなしかるべき警告を発するということは、こういうことは当然なければならない、そのように私は考えます。
○水落敏栄君 ありがとうございました。やはり提案者のおっしゃること、正しいんじゃないかなと、私もそのように思っております。
 次に、ネットの表現や利用への萎縮効果について提案者にお伺いします。
 ネット上に配信されているファイルは違法なものと適法なものが混在しているわけでありますけれども、利用者はどれが違法か適法か区別ができないと思います。したがって、ネット上の表現やネットの利用に萎縮効果をもたらすんじゃないかという懸念がございますけれども、これについては提案者の御見解、いかがでしょうか。
○衆議院議員(河村建夫君) このところ、確かに御指摘のような面がこれまでも指摘されてきたところでございます。
 ただ今回、修正案は、まさにさっきちょっと御説明申し上げました故意犯ですね、あえてそれを承知の上でやるという故意犯が処罰の対象になるということであって、構成要件に該当する客観的事実の認識が必要になってくるわけでございます。したがいまして、ダウンロードしようとしておる有償の著作物が著作権とか著作隣接権を侵す、これを侵害して違法に配信されるということを知っているということがまず必要になってくるわけで、これ違法であるかどうか分からなかったということになると、これは罪に問われることにならないわけであります。
 この修正案では、有償著作物等を公衆に提供し、又は提示する事業者に対して、違法に配信されているものであると知りながら有償の音楽、映像を私的使用目的でダウンロードする行為を防止するための措置を講ずるように努めることを求めておる、これは改正附則にもあります。そういうことを考えますと、さっき話が出ましたエルマーク、こういうものが普及されることによってこのような懸念はなくなっていくだろうと、このように思いますので、いわゆる情報倫理教育といいますか、またエルマークをどんどん進めていく、並行してそういうことをやっていくことが必要だろうというふうに思います。
 この事業者の措置に係る規定は罰則の規定よりも早く、平成二十四年十月一日としておりますが、公布の日から施行となっておりますので、罰則の規定が施行されるまでの間に利用するサイトが適法か違法かの区別が容易になることが見込まれておるわけでございます、このようなことを普及することによってですね。したがって、適法か違法かの判断にちゅうちょしてネット上の表現やネットの利用に萎縮効果をもたらすんではないかという懸念は、私は当たらないんではないかというふうに考えます。
○水落敏栄君 ありがとうございます。よく分かりました。
 次に、故意犯の立証についてでございます。
 修正案では明らかに故意犯だけを罰することとしておりますけれども、外見上が全く同じ行為であるのに、その行為をどのようにして立証するのかという懸念がありますが、これについてはいかがでしょうか。
○衆議院議員(下村博文君) お答えいたします。
 この修正案においては故意犯のみを罰則の対象としておりまして、構成要件に該当する客観的事実の認識が必要でございます。したがって、知らなかったという場合には対象とはならないわけでございます。
 このダウンロードしようとする有償著作物が著作権又は著作隣接権を侵害して違法に配信されたものであると知っていると、知っているということが必要ということになるわけでございます。この点を明確化させるために、この修正案において追加される著作権法の第百十九条第三項において、あえて「その事実を知りながら」、そういう文言を規定いたしまして、ダウンロードしようとする有償著作物等が著作権又は著作隣接権を侵害して違法に配信されたものであることの認識が必要であるということを入念的に規定をしてございます。
 そのようなことから、この規定によって処罰されるのはダウンロードしようとする有償著作物等の配信が違法であると知っている場合に限られるということになりますので、違法に配信されたものであることを全く知らずにダウンロードした場合は、これは罪には問われないということでございます。
 故意犯の立証に関しては、捜査当局において構成要件に該当する客観的事実の認識があったかどうかについて適切に立証がなされるものと考えているところでございます。
○水落敏栄君 ありがとうございました。
 さっき一曲だけという話もありましたけれども、一曲だけダウンロードした場合にもこれは処罰されるのではないかという、こういう懸念がございますけれども、これについてはどのようにお考えでしょうか。
○衆議院議員(下村博文君) 御指摘のように、一曲だけしかダウンロードしていない、こういう場合であっても、違法に配信されているものであることを知りながらの有償の音楽、映像を私的使用目的でダウンロードする行為、該当するということにはやはりなるわけでございます。ただ、そのような行為を行った者全員が処罰に至るかどうかは、これはあくまでも刑事政策的な考慮がなされる問題であるというふうに考えます。例えば、安価なものを一回万引きしただけで窃盗罪で起訴されるということは想定しにくいのと同様に、違法に配信されているものであることを知りながら有償の音楽、映像を私的使用目的でダウンロードする行為についても、軽微なものについては処罰にまでは至らない可能性があるのではないかと提案者としては考えているところでございます。
 その一方で、軽微な、違法な配信されているものであることを知りながら有償の音楽、映像を私的使用目的でダウンロードする行為が実際に処罰されないということについて、そうした行為がこの修正案により追加される著作権法第百十九条第三項の構成要因に該当し、一方で許容されるべきものでない行為であるということは確かなことでもございます。今後は、このような行為が行われないようにインターネット社会のモラル教育を推進していくべきであるというふうに考えているところでございます。
○水落敏栄君 おっしゃるように、やっぱりこういう行為が行われないように、未然にインターネット社会のモラル教育、今これが重要じゃないかと思っておりますので、進めていくようにしっかりと取り組んでいかなきゃならないと思っております。
 最後に、子供が処罰対象になるのではないかという懸念がございます。違法に配信されているものであるということを知りながら有償の音楽、映像を私的使用目的でダウンロードする行為は、子供が容易に行いやすい、これを処罰することは子供の育成上問題ではないかという、こうした懸念がございます。
 これについてはいかがでしょうか。
○衆議院議員(下村博文君) そもそも、他人の権利を侵害することは処罰の対象になり得ると、こういうことを明確にやはり示す必要があるというふうに思います。そのようなことを行わないように導くということが子供の健全な育成のために必要なことであるというふうに思います。
 ただ、実際に処罰に至るかどうかについては、刑事政策上の観点から、青少年に対する罰則の適用については慎重であるべきであるというふうに考えます。
○水落敏栄君 ありがとうございました。
 これからは、残り時間ちょっとでありますけれども、著作権における国際問題に関して三問ほど質問させていただきたいと思います。
 その第一ですけれども、アメリカと改正法案との関係について、アメリカと今回の改正法案の関係について、これは提案者とそれから文部科学省にお聞きいたしたいと思いますけれども、TPPについては、農業分野における関税撤廃が注目されておりますけれども、非関税障壁の撤廃という点からも、参加国の国内制度を一変させる可能性が高いものであると思っています。本日議論されている著作権を含む知的財産もその中に含まれております。
 国内のTPPへの参加是非をめぐる議論においては農作物などの貿易問題が注目されていますけれども、知的財産分野におけるアメリカの貿易額は実は農業分野をはるかにしのいでおりまして、その将来性も加えて、知的財産分野はアメリカが真にターゲットとしているという、こういうふうに言えると思います。極めて重要なこの分野、著作権は重要な分野であると言えると思います。
 そして、日米経済調和対話でのアメリカ側の要求などを鑑みると、TPP協定交渉の著作権分野において、アメリカが我が国に対して、ダウンロード違法化の全著作物への拡大、あるいは非親告罪化、あるいはデジタルロックの回避規制、あるいは保護期間の延長、こうしたことを求めてくると、こうした分析がございます。
 今回の閣法の改正案がDVDなどに用いられている暗号型技術を技術的保護手段の対象に加えることにしておりまして、修正案が音楽等の私的ダウンロードを処罰する規定を整備するものであることから、TPP協定交渉に我が国が参加すれば、アメリカの要求に応じて我が国の著作権法が大幅に変更されるのではないかという懸念がございます。
 提案者に修正案を親告罪とした理由をお伺いするとともに、今回の閣法改正案と修正案は将来的なダウンロード違法化の全著作物への拡大あるいは非親告罪化を目指したものではないと考えますけれども、あわせて、提案者と文部科学省の見解をお聞きしたいと思います。
○衆議院議員(下村博文君) お答えいたします。
 この修正案により追加される著作権法第百十九条第三項の保護法益は、著作権又は著作隣接権という私権でございます。これらに対する侵害行為は、著作者等の事後追認又は事後承諾により適法化される性格を有するものでございます。そこで、被害者である権利者の意思を無視してまで追訴することは適当でないと考え、親告罪としたところでございます。
 また、今回の法改正はあくまでも音楽等の私的違法ダウンロードを処罰する規定を整備するものでございまして、将来的なダウンロード違法化の全著作物への拡大や非親告罪化を目指すものではございません。
 今回のアメリカとのTPP交渉においても、これは我々の立場からとしても、このダウンロード違法化の全著作物への拡大、あるいは非親告罪化については、これは絶対あってはならないことであるというふうに考えております。
○政府参考人(河村潤子君) 今回の内閣提出の改正案は、将来的な著作権侵害の非親告罪化を目指したものではございません。
○水落敏栄君 分かりました。
 次に、冒頭の質問でも述べましたけれども、TPP協定交渉への対応状況について、これは文部科学省にお聞きをいたします。
 アメリカの著作権法には、他人の著作物でも公正な利用ならば著作権侵害ではないというフェアユースの規定があります。これは冒頭申し上げました。日米経済調和対話などにおきましても、アメリカは我が国に対してフェアユースの導入は要求しておりません。これは、貿易相手国にフェアユースの下に著作権を柔軟に適用される、運用される、これはアメリカの国益を損なうことなんですけれども、そうした可能性があるということからであります。
 こうした点に留意せずに著作権に係る法体系をアメリカの主張に沿って変更すれば、アメリカの知的財産権は厳重に保護されておりますけれども、我が国における著作権の利用が現在に比べて厳しく制限されるという事態になりかねない、こう思います。仮に保護期間延長などが導入されるのであれば、日本でも本格的フェアユース規定がないとバランスが取れなくなると思っています。韓国でも米韓FTAによる知財強化策への反動からフェアユース待望論が高まり、導入が決まっているということをお聞きしております。
 TPP協定交渉参加に向けた協議などにおいては、我が国の国益が損なわれることのないように対応する必要があります。交渉参加の有無にかかわらず、文部科学省としても情報収集などを行い万全の体制を整えておくべきだと考えますけれども、その対応状況、どうなっているんでしょうか。文部科学省に、ちょっと丁寧に答えてください。
○政府参考人(河村潤子君) TPPについてのお尋ねでございます。
 昨年十一月に発表されましたTPP協定交渉参加に向けての協議を開始するという方針を受けて、政府としても関係国との協議を通じて各国が我が国に求めるものについて情報の収集に努めているところでございます。
 TPP協定交渉において具体的にどのような議論がなされているかについては現時点では必ずしもつまびらかにしておりませんけれども、知的財産分野の一つとして著作権関連事項が含まれており、個別には保護期間の延長、法定損害賠償制度の導入、著作権等侵害罪の非親告罪化などについて議論されている模様でございます。
 今後とも、私ども、関係省庁とも十分に連絡を取りながら、可能な限り情報収集に努めてまいりたいと存じますし、また関係団体からの意見を伺う機会、意見交換の機会なども今設けつつあるところでございます。
○水落敏栄君 アメリカの知的財産権は厳重に保護されるんですけれども、我が国の著作権の利用が本当に現在に比べて厳しく制限されると、こういう事態になりかねないわけでありますから、これはまだ交渉参加は表明していませんけれども、しっかりと情報を取って我が国の著作権をしっかり守っていくという、そうしたことを努力していただきたいなと、このように思います。
 最後の質問になりますけれども、著作権保護期間の戦時加算という問題について、これは文部科学省と外務省にお聞きをいたします。
 知的財産は、新しい産業や雇用に結び付く、我が国にとって将来の牽引力たる最も重要な産業分野だと認識をしております。将来のTPPなどの国際交渉において知的財産分野で我が国の国益が損なわれないようにすることは当然でありますけれども、現在、我が国が一方的に不利益を被っている分野を是正することも同様に重要なことだと思います。その具体的な課題が著作権保護期間の戦時加算問題であります。
 これは、昭和二十六年、一九五一年に調印されたサンフランシスコ平和条約第十五条(C)の規定におきまして、我が国はアメリカやイギリス、フランスなどの連合国民の一部の著作物の著作権において、通常の保護期間に約十年を加算して保護しなければならないことになっております。戦時下においては著作権が実質的に保護されていなかったという事情は交戦国双方に共通のものですけれども、一方的に戦時加算の義務を課せられているのは我が国だけなんです。これについては諸外国でも問題と考えられておりまして、平成十九年、二〇〇七年六月一日でございますが、ブリュッセルで開催された著作権協会国際連合、この総会で加盟団体が会員に対して戦時加算の権利行使をしないように要請する、日本における戦時加算に関する決議が満場一致で採択をされております。この戦時加算問題は今なお残された戦後処理の問題であります。
 このほかに、戦後処理の問題たくさんございまして、戦後六十七年に至っても解決しない問題もございますけれども、この戦時加算問題もそのうちの一つであります。で、戦時加算問題の解決のために早期に戦時加算対象国との二国間の交渉を行うべきだと考えますけれども、平野文部科学大臣にその決意をお述べいただきたいということと、あわせて、今日は加藤政務官、外務省からおいでをいただいておりますけれども、外務省としてはこの見解、どのように考えておられるのか、お聞きをしたいと思います。
○国務大臣(平野博文君) 今先生御指摘の戦時加算の解消について、これ非常にいろんな関係者の方からの要請等々ございます。戦後六十年以上経過しており、戦時加算は文部科学省としても検討すべき重要なテーマ、課題であると、こういう認識をいたしております。この戦時加算につきましては、CISACという国際連合でございますが、総会においても、今先生御指摘の決議をいただいている、こういうことについては承知をいたしております。
 このような状況の下で、戦時加算の解消について、今先生申されたように、サンフランシスコ講和条約の条約の改正をしなきゃならないという大きな問題を含む部分もございますし、今御指摘ありましたように、それぞれの二国間交渉で実質的にこの課題を解消していくと、こういう方法も一つの考え方だと私は思っております。しかしながら、各国内において権利者との意見集約等々の手続がかなりございます。そういうことが必要になってくるわけでございます。
 条約については、先ほど申し上げたような条約を改正する、これは非常に大変困難な検討で、困難だと私は思っております。したがいまして、一方では、やっぱり戦時加算、これは著作権の保護期間の延長との関連と深い問題も抱えておるわけでございます。
 したがいまして、文部科学省としては、この保護期間の延長に関する検討と併せて戦時加算についての検討も含めて行ってまいりたいと、かように考えているところでございます。
○大臣政務官(加藤敏幸君) お答えいたします。
 戦時加算につきましては、水落先生の御指摘のとおり、私どもは十五か国の連合国国民の著作権についていわゆる戦時加算の義務を負っておりますし、これまで国内特例法を制定をしてこの戦時加算については誠実に実施をしてきました。また、先ほど大臣答弁にもございましたとおり、民間レベルでは総会におきまして戦時加算の処理についてもいろいろな取組は行われているということも承知しております。
 サンフランシスコ平和条約につきましては、我が国の法的な戦後処理の基本となるものであり、当該条約上の義務の免除について関係国と交渉を行うことは現実的ではなく、それはたとえ新たな二国間協定によるものであっても同様であるというふうに考えております。しかし、先ほどの平野大臣答弁の部位における関係国との話合い、二国間の話合いにつきましては、外務省といたしましても必要に応じ努力するものであり、そのためには今後この戦時加算をどのように扱うべきかについて、著作権保護期間等についての文化審議会著作権分科会等におけるこれからの国内議論を踏まえて今後検討を進めていきたいと、このように考えております。
○水落敏栄君 ありがとうございました。
 戦後六十七年目でございます。こうした戦後処理問題、しっかりと解決していかなくちゃいけないと、このように思っておりますので、平野大臣におかれましても、あるいは外務省におかれましても、前向きに積極的に御検討いただければと、このように思います。
 終わります。
○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 本日は、著作権法の一部を改正する法律案に関しましてお聞きを申し上げたいと思います。
 まず、政府提案に盛り込まれております内容についてお伺いをしたいと思います。
 著作権法の考え方、これは権利の保護が優先されなくてはならないというのが基本ではございますけれども、今回の改正案では、権利制限規定の追加が行われております。第三十一条第三項におきまして、国立国会図書館による図書館資料の自動公衆送信が行うことができるようになっておるわけでございます。これによりまして、市場における入手が大変困難な出版物である絶版等の資料、これが、利用者がこれまで以上に積極的に活用できるようになるということも含めまして大変重要なことであると思っておる次第でございます。
 これに関連しまして、この国立国会図書館に対してのデジタル化ということに関してお聞きを申し上げたいと思います。
 我が国の知の宝庫でございます国立国会図書館、納本された図書館資料のデジタル化、積極的に進めているわけでございます。特に、自公政権のときの平成二十一年の補正予算、大幅な予算ということで百二十七億円確保され、そして現在のところ、このデジタル化が対象資料の四分の一まで至っているわけです。まだこれは道半ばでございます。更なる対応が必要なわけでございまして、このデジタル化の現状、また予算、今後どのように進んでいくおつもりなのか、見解をお聞きしたいと思います。
○国立国会図書館長(大滝則忠君) 国立国会図書館では、平成十二年度から所蔵資料のデジタル化に取り組んでおります。
 資料デジタル化予算は、平成十二年度から二十三年度まで総額百五十三億円でありました。これには平成二十一年度補正予算の百二十七億が含まれております。
 これまでの資料デジタル化の実績として、平成二十三年度までの古典籍資料、和図書、和雑誌、博士論文などの当館所蔵資料の約四分の一、すなわち二百二十三万冊のデジタル化を実施いたしております。
 引き続き、所蔵資料のデジタル化を進める必要があると考えております。厳しい予算状況の下ではありますが、今後とも資料のデジタル化について進捗を図ることができるように努力してまいります。
○山本博司君 平野大臣、この予算ということに関して、大変大事なデジタル化の予算が今現在、先ほどありましたように、今ほとんどゼロの状況でございます。先ほどの補正予算の百二十七億、また、その後、平成二十二年度の補正予算で十億追加がございますけれども、あと毎年一億円程度の予算は今現在ゼロになっている次第でございます。そういう意味では、この一番大事なデジタル化ということに関して、もっとその部分に関してしっかりしていただきたいということが一つのお願いでございます。これ、後でまたお話をしたいと思います。
 そして、今回の改正の中で、公立図書館、また大学の図書館などまでも送信を行うことが可能になったわけでございますけれども、この国民の知のアクセスの向上、情報アクセスの地域間格差の解消、それが進展されるということが予想されるわけでございます。
 ですから、今までなかなか図書館まで足を運ぶことができなかった高齢者とか障害者の方々、これがデジタル化された資料を利用することができるということで、容易にアクセスをすることができるようになるわけでございます。その意味で、この国民生活の文化的な貢献、これが大変期待されるわけでございます。こうした中でも、やはり視覚障害の方とか聴覚障害の方、発達障害の方、この利便性の向上とともに、情報格差の解消ということは大変大事でございます。附帯決議等でもこういった問題に関しましても記載をされているわけでございますけれども、こういう点に関してどのように取り組まれるか、見解をお伺いをしたいと思います。
○国立国会図書館長(大滝則忠君) 国立国会図書館では、利便性の向上のため、紙資料やデジタル化資料等を統合的に検索できるシステムを構築し、今年から利用に供しております。この統合検索システムにより、視覚障害者が便利なように、全国の点字図書館や公共図書館が所蔵する点字図書などの所在について検索できるようにいたしました。
 一方、視覚障害者の利便性を念頭に置いて、平成十四年度からデジタル録音図書の国際標準規格でありますDAISY化に取り組み、現在まで約八百タイトルを作成しております。平成二十一年度著作権法改正の際の附帯決議を踏まえ、今年度は視覚障害者等に配信できるように既存のシステムの機能改修を行っており、来年度の実施を目指しております。また、デジタル化資料の視覚障害者等の利用については、昨年度、実施計画を策定し、今後、読み上げが可能なコンテンツの拡大に努めてまいりたいと考えております。
○山本博司君 こうした障害者の方々を含めましての対応ということもお願いしたいわけですけれども、現状はやはり予算がほとんどないというのも実態でございます。これ平野大臣、官房長官もまた国対委員長もされていらっしゃる、まあ管轄外でございますけれども、このデジタル化ということも含めた対応を是非ともお願いをしたいと、こういうことを指摘をしたいと思います。
 次に、修正案に関しましてお聞きを申し上げたいと思います。
 この音楽等の私的違法ダウンロードにつきまして、今回この修正案が衆議院で議決をされました。平成二十一年の著作権法の改正につきまして、権利者に無許諾でアップロードされたものと知りながら、権利者に無断で音楽、映像をダウンロードする行為が著作権法上違法とされることに至ったわけでございますけれども、先ほど審議等でもございますように、四十三・六億ファイルの違法ダウンロード、六千六百億円以上の被害ということで、大変大きな被害でございます。コンテンツ産業の健全な成長の阻害をするおそれのある違法ダウンロードというのは大変ゆゆしき問題でございますし、今回この修正案の提出となった刑事罰について、民事罰よりも抑止力が期待できるという、こういう意見もございますけれども、一方で、その運用には私は慎重な検討が必要であると思います。
 そこで、提出者にお伺いをしますけれども、慎重な検討が必要であるにもかかわらず、なぜあえて刑事罰を導入した理由、このことを簡潔にお伝えいただきたいと思います。
○衆議院議員(池坊保子君) 今、山本委員がおっしゃいましたように、平成二十一年の著作権法改正において、音楽や映像作品の違法配信対策の一環として、新たに違法配信と知りながら行う私的使用目的のダウンロード行為が違法であるよというような法律が作られました。そのときには罰則が設けられませんでした。
 しかし、今委員からも御指摘のあったように、日本レコード協会の調査によれば、改正著作権法の施行が違法配信、違法ダウンロードを通じた違法な音楽等の流通量の減少に与えた効果というのは本当に限定的であったんですね。なお一層の対策を講ずる必要がある、それでなければレコード協会はいいものをこれからも作り出していくことはできない。違法に配信されているファイルの違法ダウンロードは、例えばそれが音楽ファイルの違法ダウンロードであれば、アーティストの著作権やレコード会社の著作隣接権を侵害する行為であるとともに、多くの人に繰り返し行われることによって音楽産業に多大な損害を与え、ひいてはアーティストが次の作品を世に送り出すことを難しくしてまいります。
 この修正案は、違法に配信されているものであることを知りながら、有償の音楽、映像を私的使用目的でダウンロードする行為に対して罰則を設けるとともに、関係事業者に対してこうした行為を防止するための措置を講ずる努力義務を課すものでございまして、著作権の保護のみならず、音楽文化、映像文化の振興、音楽産業、映像産業の健全な発展に寄与するために私は必要であるというふうに判断いたしました。
 公明党は現場を大切にしてまいる党でございますから、もちろんこれを行いますには段階的に三年という、その間に周知徹底をしながら、だけれども、こういうような違法ダウンロードが減らなかった事実を踏まえ、そして未成年者の方々は今本当にインターネットが大好きです、その人たちが音楽を聴く場合の弊害等を私はしっかりと皆様のお声を聞きながら、でも、いけないことは丁寧に、きめ細やかに法律を作り上げながら、やはりこれはしっかりと保護し、生産者を守っていくことも必要だし、また、これを法律に違反するんだからしてはいけないということで、していない多くの子供たち、未成年者もいます、大人たちもいます、そういう人たちを大切にしなければいけないということも私は事実ではないかというふうに考えております。
 捜査に対しても恣意的になるのではないかというようなお考えがありますが、親告罪等々を作っておりますし、そうならないような努力をしております。
 全ての事柄は光と影がありますけれども、影はなるべくそうならないような努力をして、光を大切にしていきたいというのが私ども提出者の気持ちでございます。
 卵は安い方がいいのです。消費者は安い卵を手にしたいです。でも、卵を作る人たちが駄目になったら、いい卵を私たちは手にすることもできないというのが私たち提出者の気持ちでございます。
○山本博司君 ありがとうございます。
 今回の修正案、様々な議論がある中で、私的違法ダウンロードを行っているのはやっぱり中学生とか高校生の子供たちである、このダウンロードが違法であるということを理解していないという場合も多い、こういう指摘もございます。
 このような状況の中で罰則を付ければ、先ほどありましたように、子供たちが摘発の対象となると。子供たちは全く教育を受けるチャンスもない状況の中で刑事罰化へ進むということに対して、余りにも拙速ではないかと、こういう意見もあるわけでございます。
 その意味では、この著作権の教育の充実、子供の時代での取組が大事でございます。その点に関して、これは文科省、大臣、お願いしたいと思います。
○国務大臣(平野博文君) 今委員の方からるる御指摘、またこの委員会でのいろんな御議論をする中で、どういうところが違法になるんだというところが非常に分かりにくい、グレーのゾーンが多いと。こういう中での、やっぱり著作権という本来持っている権利の保護、あるいは公正な利用、さらには科学技術の進展に伴う、非常に複雑になってきている、こういうことでございます。
 そういう中で、今日までも、委員御指摘のように、また御理解いただいていますように、かなり著作権法の改正というのが、二、三年単位で改正をして追い付いていっている、追い付かなきゃならないと、こういう状況の下で、今御指摘の教育の充実、まさに国民の皆さんにやっぱり周知徹底をする、子供さんにおいても著作権というのは非常に大事な権利なんだということを周知徹底するということは非常に大事であると思っております。
 したがいまして、学校教育におきましては、中学校や高等学校の学習指導要領において著作権にかかわる記述を充実を今しているところでございます。違法ダウンロードの問題についても教科書等で取り扱われるようになってきているわけであります。平成二十年の三月には中学校の学習指導要領を改正をいたしておりますし、二十一年三月には高等学校の学習指導要領を改正、著作権に関する記述を更に増やしておりまして、そういう観点で啓蒙を図っているわけであります。
 これからも国民に向けて、より普及と啓発を図ることによってこのことが徹底されれば、私は文化活動が更に発展すると、かように思っていますので、引き続き積極的に進めてまいりたいと、かように思っております。
○山本博司君 是非ともよろしくお願いしたいと思います。
 最後に一問、その著作権の問題で、デジタル教科書の課題ということでお聞きをしたいと思います。
 このデジタル教科書、教育現場で様々な形で推進をされております。震災でも六十三万冊の教科書が流されたとか、様々な形でクラウド化とか、デジタル教科書への注目が集まっているわけでございます。昨日も私は横浜のフューチャースクールの実証校に行ってまいりまして、パソコンとか電子黒板を利用した、こうした授業を大変感銘を受けて見させていただいた次第でございます。このデジタル教科書を推進する上で一番の課題が著作権の許諾を取ることだと言われておりまして、今、様々な形でこの問題がなかなか進まないということがございます。
 文科省では、学びのイノベーション事業等で、この推進ということで普及を進めておりますけれども、コンテンツの充実ということでも、この著作権の許諾の円滑化の推進ということを更に進めないといけないと思いますけれども、この点最後に大臣に聞いて、質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(平野博文君) これは大変大事な御指摘だと私は思っております。特に、デジタル教科書の普及というのはこれから大きく進んでいくと、こういうふうに思われますから、したがって、著作権、隣接権含めて、より円滑にこの問題については対処しなきゃならないと、かように考えているところでございます。
 したがいまして、実証研究、こういうことを実際進めていくとともに、デジタル教科書、教材の位置付けや著作権制度上の課題をしっかり踏まえて今御指摘の点について対処してまいりたい、かように思っております。
○山本博司君 以上です。
 ありがとうございました。
○柴田巧君 みんなの党の柴田巧です。
 四人目になってきますとかなりちょっと重なる部分もあると思いますが、お許しをいただいてお聞きをしていきたいと思います。
 まず、先ほどもありましたが、日本版フェアユースの問題をちょっと取り上げたいと思いますが、御案内のように、これは権利者の利益を不当に害しない公正な利用であれば許諾なしに著作物を利用できるというものでありますが、だんだんこのデジタル技術や情報通信技術が発展をしてくるわけで、従来想定してこなかったコンテンツの利用形態も出現してくるという時代になっているわけです。こういう中で、この権利制限規定を個別に列挙していくというやり方が果たしてこれからもいいのかどうか真剣に考えねばならないと思っております。むしろそちらの方が技術の新たな発展を阻害するんではないかという懸念もあるわけです。
 よく御存じのとおり、アメリカでは、かつてソニーのベータマックス事件というのがありました。これは、フェアユースの理論に基づいて著作権の侵害を否定したことによって家庭用の録画再生機が普及をしていくと、著作権が新しい技術を潰さなかったということにつながったわけですが、こういう具合に、新たな技術の進歩、新たなビジネスモデルの出現にも柔軟に対応できる法制度というものをこれからやっぱり著作権の分野でも考えていかなきゃならぬと思うわけですが、そういうことからも、先ほどもいろんな議論の経緯の御説明がありましたが、日本版フェアユースの規定の導入を目指していくべきではないかと、そう今回もあってしかるべきではなかったかと思っておりますが、まず大臣の御見解をお聞きをしたいと思います。
○国務大臣(平野博文君) 先ほど来の御議論にもございましたし、また政府の方からも答弁をいたしておりますが、改めて、技術の進歩等に伴う多様化する著作物の利用態様に関して柔軟に対応すべきである、こういうことで、日本版フェアユースの規定と称する部分がございまして、それを導入すべきだと、こういう御意見があることは承知をいたしております。
 しかしながら、先ほども御答弁しておりますのでちょっと重なりますが、一番の問題は、一つはやっぱり判例をベースにしている米国、また百三十年に及ぶ膨大な判例を明文化した部分において対応している部分と、我が国の、何というんでしょうか、実定法主義と言うんでしょうか、このとらまえ方の違いというのが一つ大きいと思っております。もう一つは、刑事罰法規との関係においての明確性をやっぱり欠いていると、罪刑法定主義の観点から一つの課題もございますと、こういうことで、三つ目は、何というんでしょうか、居直り侵害、こういう言い方していいのかどうかは知りませんが、それを助長すると。こういうところから、権利者団体を中心に結構強い反対があると、こういうことで、現時点では今先生御指摘のそういう我が国への導入というのは困難であると考えているところであります。
 しかし、一方では、先生御指摘のように、ますます技術が進展、発展をしていくと、こういうことで、これにやっぱりしっかり対応しなきゃならないということも大きな責務だと、こういうふうに思っております。したがいまして、今後とも皆様方の意見を踏まえながら、必要に応じた権利制限の規定の追加、見直し等々については見直してまいりたいと、かように思っております。
○柴田巧君 いずれにしても、ビジネスや文化活動の面でイノベーションを起こしていくと、あるいは著作権法の柔軟性を高めるという観点からのいろんな検討を更に今後もしていただきたいということを要望したいと思います。
 次に、先ほども山本先生からも御質問ありましたが、本法律案においては国立国会図書館から公立図書館等へのデジタル化された絶版等資料が送信できるようになったということは結構なことだと思っておりますが、更に踏み込んで、そういう絶版等の資料などは今後更に家庭でも閲覧あるいは送信できるようなことをやっぱり考えていくべき時期に来ているのではないかと。そうすることが世界随一の電子図書館大国へということにもなっていくと思いますし、国民の情報アクセスの向上ということからも必要なことだと思いますが、この点はどのようにお考えになっておられるか、お聞きをしたいと思います。
○政府参考人(河村潤子君) 今回の改正案では、デジタル化、ネットワーク化の進展により情報アクセスの利便性が向上していくという状況を受けまして、広く国民の皆様が出版物にアクセスできる環境を整備すると、こういう観点から、まずは納本制度を持っておられて所蔵資料の電子化を積極的に進めている国立国会図書館の電子化資料を有効に活用し、インターネットによって広く国民が利用できるようにしているものでございます。
 送信先を更に各家庭、図書館等ではなくて各家庭にまで広げることについては、一つには、出版市場、とりわけ今後の発展が期待されている電子書籍市場に不当な影響を与えないようにする必要があること、加えて、送信に当たって原則としては今権利者の許諾が必要になるので、権利処理の仕組みをどのように整備するかというこの必要性があるということなどの課題がございまして、今後、関係者間の協議を進めるなどの方法で検討を行ってまいりたいと存じます。
○柴田巧君 絶版等資料あるいはその入手が困難なそういったものなどは、先ほど言ったような観点の取組があってもいいのかなと思いますので、更にいろいろと検討を是非していただきたいものだと思います。
 さて、これも先ほどからもありますとおり、この刑事罰化によって、中高の学生というか生徒がいわゆる私的違法ダウンロードの中心になっているわけで、調査によれば六〇%以上ということになるわけです。したがって、先ほどからも答弁ありましたように、この情報モラル教育あるいは著作権教育が大事であるということは言うまでもありませんが、先ほど大臣は中学校、高校というお話をされましたが、うちの例えば息子、小学校六年生ですが、そういった年代の子はもうかなりやっているわけですね。もう半年たてば中学生になっていくわけで、これは義務教育のそれこそ小学校の段階からこういった教育はやっぱりしっかりやることが重要だと思いますが、そういったことも含めて、重なる答弁になるかもしれませんが、この情報モラル教育、著作権教育の一層の充実、どう努めるか、お尋ねをしたいと思います。
○国務大臣(平野博文君) 私、少し答弁漏れというのか、特に小学校においては、道徳でありますとか、そういうところでも実際それをやっておりますし、今御指摘の点については更に進めていきたいと、こういうふうに考えてございます。
 特に、平成二十年三月に小学校の学習指導要領に道徳においての部分にそういう部分を入れさせていただいているということでございますので、よりこの著作権について知らしめていくと、こういうことが大事。また、親御さんについても、国民全体にもやっぱり啓発をしていくことが大事であろうと、かように思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。
○柴田巧君 是非、しっかりとした取組をお願いをしたいと思います。
 最後の質問になろうかと思いますが、先ほども国際的な対応のお話がございました。昨今、コンテンツの海外展開の活発化、デジタル化に伴ってインターネットを介した侵害が増大しているわけでありまして、これに対応していくためにも、一つには二国間協議を更に強化していくこと、それと今、中国、台湾、韓国などがその大体対象先かと思いますが、これからボーダーレスあるいはグローバルな世界が進展していく中で、その対象先も増やしていくということが大事だと思います。
 そしてあわせて、二国間のみならず多国間の協議をやっぱり強化していくということがこのインターネットの国境を越えた海賊行為に対応していくためには重要だと思いますが、併せて大臣に最後お尋ねをしたいと思います。
○国務大臣(平野博文君) 特に、コンテンツの海外展開と、こういうことにおいては、この保護の著作権の権利の行使、保護が確立されなければ大きく広がっていかない、こういう視点は私おっしゃるとおりだと思っていますし、ついこの五月にも、私は日中韓におきまして文化交流をより活発に進めていくためにはこの著作権の問題をなしには進まないと、こういうことで、次回の大臣会合においてはこの著作権の問題を取り上げるように実はしてございます。これは中国、韓国においても同じ認識に立った合意を得たところでございます。
 加えて、日中韓のみならず、アジアを中心にもっともっと多くの国々がこの問題について共有化していくと、こういうことが非常に大事であろうということで、平成二十三年十月に、我が国でアジア十九か国の参加を得て、世界知的所有権機関アジア地域連合を開催をしておりまして、特に各国の取組の意見交換、情報交換をいたしておりまして、それぞれ具体的な協力の仕方について今検討を進めているところでございます。
 要は、この権利がアジアのみならず世界全体がやっぱりこの著作権のことに対する認識を共有化する、その上における取組が一つの大きなコンテンツの世界的な私はマーケットになっていくんだろうと、かように思っていますので、御指摘をきちっと受け止めて対応したいと、かように思っています。
○柴田巧君 終わります。
 ありがとうございました。
○横峯良郎君 新党大地、横峯です。よろしくお願いします。
 やっぱり私も重複するんですけど、私も子供が、生徒がいっぱいいまして、ちょうど音楽に一番興味を持つ小学生高学年から中学生が一番多いんですけど、もう本当に、二年前にダウンロードは駄目だということが出たんですけど、先ほどの報告ではちょっと減ったというような報告だったんですけど、ほとんど、減るどころか私の感覚としては増えているんじゃないかと。本当にすごいんですよね。新曲もすぐ入って、アーティストによればもうCDが本当売れないと、全く売れないと。それはもう本当、私もこの知的財産を大事にするということには本当に賛成な立場なんですけど、幾つかお尋ねしたいと思います。
 例えば、皆さんの、森先生も最初に言われましたように、曖昧だと、規定が分からないと。それを知っていたかなんて、それを測る定規もないし、全くそれが分からないと。こういうことで、一番の問題は、どういうふうにして徹底させていくかということなんですけれども。
 大臣にちょっとお聞きしたいんですけれども、今度のこの法律案で、もうはっきり言ってどのぐらいの効果が期待できるかということをお聞きしたいんですけれども。
○国務大臣(平野博文君) 今回については、一つには写り込みと、こういうことでやっぱり、今までは、これは違法なのか違法でないのかというところが曖昧であった部分を、今回はそれについては大丈夫ですと、こういうことを明確にしたものですから、私は、先生御質問ございますように、より個人や企業における著作物の創作や利用の円滑化が、私は、そこの曖昧さをより明確にしたものですから、円滑に進んでいくものと考えております。
○横峯良郎君 円滑に進むというか、私は実感的に、毎日子供たちと接していて、よくバスに乗るんですね。バスに座るともうみんな音楽聞いているんですよね。(発言する者あり)まあいいです。
 じゃ、次に行きますけれども、本当に国民にどういうふうに、私は余り伝わらないんじゃないかと思うんですけれども、具体的には、先ほど言われましたけれども、もうちょっと具体的にどういうふうに伝わるのかなと思うんですけれども。
○衆議院議員(馳浩君) 違法ダウンロードの方ですので、提案者として答弁させていただきますが。
 平成二十一年に、違法に配信された著作物、いわゆる海賊版、これをダウンロードしたら違法ですよということはもう法律で決めたんですよね。だから、それ以来、罰則を設けなかったことについては私はもう立法府の不作為で、私自身はこれけしからぬことだと思っているんですよ。
 ただ、それをどうやって取り締まるかということについては、やっぱりひとえに刑事政策上の問題であるとは思いますが、具体的に言えば、政府の広報を通じてとか、事業者の方々に、これは違法でもあり、著作権、著作隣接権は守らなきゃいけないんですよ、そして今回罰則が掛かりましたよと、いけないことなんですよということは明確に伝えていく必要がありますし、先ほどからもありましたように、我々は知財立国というのを目指しているわけでありますし、知的財産を守っていこうということは当然のことでもあるわけですから、やっぱり事業者の方々においても教育関係者においても、この法律の趣旨というものは具体的に子供たちにも伝えていっていただきたいというふうに考えています。
○横峯良郎君 いや、重複してずっと答えは聞いていますので、終わります。
 ありがとうございました。
○委員長(野上浩太郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。
    ─────────────
○委員長(野上浩太郎君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 著作権法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に参考人として慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授岸博幸君、日本弁護士連合会事務次長・弁護士市毛由美子君、日比谷パーク法律事務所代表弁護士久保利英明君及び一般社団法人インターネットユーザー協会代表理事津田大介君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(野上浩太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十八分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
○委員長(野上浩太郎君) ただいまから文教科学委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、蓮舫君が委員を辞任され、その補欠としてはたともこ君が選任されました。
    ─────────────
○委員長(野上浩太郎君) 休憩前に引き続き、著作権法の一部を改正する法律案を議題とし、参考人の方々から御意見を伺います。
 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。
 参考人の皆様には忌憚のない御意見をお述べいただきまして、本案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の会議の進め方でございますが、まず、岸参考人、市毛参考人、久保利参考人、津田参考人の順でお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、参考人、委員とも御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず岸参考人から御意見をお述べいただきます。岸参考人。
○参考人(岸博幸君) 今日は、著作権法改正法案、いろいろ論点があるんですけれども、特に違法ダウンロードの罰則化の部分に関しまして意見を述べさせていただきたいと思っております。
 最初に結論から申し上げますと、私は今回の違法ダウンロード罰則化には賛成の立場であります。
 賛成の理由は主に三点あるんですけれども、これは私自身がかつて政策にかかわってきたという経験から、政策論の観点から考えた理由になるんですけれども、第一の理由は、やはりこれが最大のポイントになりますけれども、この音楽という、音楽に代表されるような日本の文化を守るという観点から、やはりこういう違法ダウンロードの罰則化というのは不可欠ではないかと思っています。これは非常に陳腐な表現になりますけれども、良い作品、良いコンテンツを作るアーティストなりそれに資本投下をしたレコード会社なりがちゃんと継続的に事業を行えるようにするには、やはりいい作品を作った人たちが正当に報われるようにしないといけない。
 それに対しまして、音楽を例に取れば、音楽のビジネスというのはどんどんこの十年以上縮小しております。ちなみに言えば、一九九八年、CD売上げピークのとき六千億円、これが二〇一一年には二千百億円に減りまして、そのほかDVDでありますとか音楽配信全部入れても三千三百億円ぐらい。十年強でほぼ市場が半分になった。もちろん、こういうふうに市場が縮小している理由には、音楽業界の側の努力、これは政策面でありますとかビジネス面での努力がまだ十分でないという点も当然ありますけれども、やはりこの一九九八年をピークにずっと減ってきている、ネットの普及とちょうど反比例する形で落ちているというのを考えても、やっぱりこのネット上での違法コピー、違法ダウンロードというのが業績悪化の一因になっていることは間違いないと思っています。
 そういった現実も考えますと、やはり音楽に代表される日本の文化、これがコンテンツという形で様々提供されている、それがネット上では無料で入手できるという環境は改める必要があると思っています。
 二番目のポイントとしましては、やはりこの音楽という文化を守る観点もさることながら、じゃ、このコンテンツを流通させるというビジネス、ネットビジネスですけれども、そこの部分を発展させる、要は日本のベンチャーがこのネットビジネスでより成功できる環境をつくるためにも、本来、市場を公正なものにしなくてはいけない。
 ネット上は、私は基本的にリアルの世界と同じであるべきと思っていまして、つまり価値があるコンテンツには対価を払って当たり前の環境にならないとおかしい。ところが、残念ながら今のネット上はそうなっていないという現実がありますので。加えて言えば、今の市場、じゃネット上の価値観がどういうものかといいますと、ほぼアメリカの価値観がそのまま入ってきて、コンテンツを流通させよう、そこでコンテンツはなるべく無料がいいんだという価値観が入ってきていますけれども、これはインターネットという技術がそういう方向をつくっているのではなく、あくまでアメリカのビジネスがつくった価値観にほかならない。
 そういう中で、現実問題、ネット上は、特にスマホが普及する中で、だんだんコンテンツ流通というのはアメリカのネット企業が支配する形になっている。そういう中で、本来は日本の企業、ベンチャー始め日本の企業が日本型のビジネスというのをつくっていかないといけない。そういったネットビジネス、ベンチャーが健全な発展をするためにもこのネット上の市場というのを公正なものにしないといけないというふうに思っています。
 三番目のポイントとしまして、これは非常にネット全体の一般論になるんですけれども、どうもネットが普及してから、何かネットは特別なものである、リアルの世界とは違うものであるという価値観がすごい広まってしまっているのではないのかなと。ただ、さっきも申し上げましたけれども、本来リアルとネットで差別する必要はないですし、特にネットがこれだけ生活、ビジネスに不可欠になっている以上は、本来、ネット上のルールもリアルの世界とほぼ同じでなくてはおかしいと思っています。
 じゃ、リアルの世界はどうか。例えば、海賊版や有償で売られているCDを勝手に複製してそれを売るというのは、これは当然違法として罰せられるわけです。ネット上でもこの違法アップロードというのは、これ罰則も付いて同じように罰せられます。
 それに対して、じゃダウンロードはどうか。これ、リアルの世界でいえば、本来有償で売られているものをコピーする、それをただで配る、それをユーザー側は違法として入手するというのは、ある意味でリアルのお店で万引きをするか、盗品、盗んだものをもらうのと同じでして、リアルの世界では当然万引きすれば捕まります。盗品をもらうのも罰せられます。
 そういうのと比べまして、ネット上では、本来有償で売られているものを違法と知りながらただで入手するというのが違法という規定はある、でも罰則がないというのは、やっぱりリアルの世界と比べましてバランスを失しているというふうに思っておりますので、そこを改善することがこのネットをリアルの世界と同じ環境にするという観点からは大事かなというふうに思っております。
 付け加えて言えば、アップロードの部分に関しましてはしっかり対応できている。でも、よく考えましたら、ネット上でコンテンツを提供する場合、それは海外のサーバーからもできます。海外のサーバーにアップロードされたものは基本的にはこの著作権法では取り締まれない可能性の方が大きいと思っていますので、そう考えると、リアルの世界でいう海賊版がある意味野放しに作れる状況になってしまいますので、そういった観点からもこの違法ダウンロードに罰則を付ける必要はあると思っています。
 こういう音楽という文化を守る、日本のネットベンチャーをもっと発展させる、加えて、ネットをリアルと同じような環境にしていくという観点からいえば、私は、本来は違法ダウンロードの罰則化よりももっと厳しい措置を導入してしかるべき。
 例えば、フランスではスリーストライク法というものが導入されています。韓国でも同じように導入されています。こういったスリーストライク法は実際実効性を上げている。スリーストライク法を二〇〇九年に導入して以来、フランスでも韓国でもいわゆる正規のダウンロードの市場が拡大しているという現実がありまして、加えて言えば、フランスは二〇〇九年スリーストライク法を導入した。スウェーデンも二〇〇九年ぐらいに違法ダウンロード対策を強化した。
 その結果、例えば、フランスではディーザーというストリーミング聞き放題サービスが、スウェーデンではスポティファイという、これ多分皆様御承知の、アメリカに進出して、これから日本に入ってくるストリーミング聞き放題サービスという、ある意味でこの違法ダウンロードをちゃんとビジネスにしたものが生まれているわけでして、そういった海外での経験からも、本来は、違法コピー、違法ダウンロードをなるべく減らす、正常な市場にする、そこで自国のビジネスがこういう流通の市場をつくっていくというのが大事な姿ではないかと思っています。
 当然、こういう意見を言いますと、いろんな反論がございます。例えば、その反論、典型的なものを幾つか紹介しますと、よく言われるのが、自由なネット利用を阻害するのは問題ではないかということがありますけれども、私はこういう議論はすごくおかしいと思っておりまして、本来、ネットはメディア、つまり手段にすぎません。じゃ、そのネットというメディアを通じて達成すべき手段、それはコミュニケーションの促進であるとかいろんなものがありますけれども、その中には当然、文化を発展させるという部分があるはずです。そういう意味でいえば、この手段の自由度を優先する余り、目的よりも手段を優先するという手段の目的化というのは、本来それはおかしな議論ではないのかなというふうに思っております。
 もう一つよくある反論で、二年前、違法アップロードに刑事罰を科した、だからこの違法アップロード対策の充実でも対応できるんじゃないかという意見も当然あると思いますけれども、これは、もう音楽業界、それ以降いろいろ経験してきたことで、例えば、これまで大体年間五十万件以上、違法アップロードのサイトに削除要請を音楽業界はしておりますけれども、この違法コンテンツを提供するサイトは、ある意味でサイトのURLを変えるということですぐ対応できる。要はイタチごっこが繰り返されるというのが現実に起きておりまして、更に言えば、本来、このアップロード、海外のサーバーでやられた場合には、なかなかこの違法アップロード、刑事罰規定で対応できないという問題もあります。そういった現実も考えますと、この違法アップロードに刑事罰が科されているんだから、そこの部分で対応できるのではないかというのも、やっぱりちょっと現実を踏まえると無理があるのかなというふうに思っております。
 いずれにしましても、やっぱり一番大事な点は、日本の文化を守ること。これは、さっき申し上げましたように、十年強でこの音楽という市場が半減した。レコード協会の調査によりますと、二〇一〇年段階で違法にネット上で取引されるファイルの数は合法のダウンロードの十倍の数があるという数字もありまして、繰り返しになりますけれども、この違法ダウンロードだけが音楽業界が悪くなっている理由ではない。当然、音楽業界の努力が足りない部分もある。でも、現実としてはこのネット上の違法ダウンロード、違法コピーのはんらんというのがやはり大きく影響しているという部分は真剣に考えないといけないと思っております。
 以上です。
○委員長(野上浩太郎君) ありがとうございました。
 次に、市毛参考人、お願いいたします。市毛参考人。
○参考人(市毛由美子君) 日本弁護士連合会の事務次長をしております市毛と申します。
 本日は、この違法ダウンロードに関する刑事罰の導入に関して、日弁連の見解を紹介させていただきます。
 お手元の配付資料のうち、一枚めくっていただきますと、こちらが会長声明、この四月に出させていただいた会長声明でございまして、もう一枚めくっていただいて、十三分の四以降が昨年十二月十五日に出させていただいた意見書でございます。この内容に沿って御説明させていただきます。
 結論として、日本弁護士連合会は、少なくとも現時点において、違法ダウンロードに対して刑事罰を導入することに関しては反対という立場を取っております。
 まず、その理由を述べる前に、従前の経緯でございますけれども、従前、さきの著作権法改正のとき、平成十九年、文化審議会著作権分科会私的録音録画小委員会の中間整理がございましたけれども、その段階では、利用者保護という観点から、著作権法三十条の適用を除外することについて、三十条の適用がない私的目的の複製については、犯罪としては軽微なものとして従来から罰則の適用を除外しているので、本件についても同様とすることというふうにされております。
 また、平成二十一年の文化審議会著作権分科会の報告書でも、同様に、利用者保護という観点から、きちんと利用者保護の三つの措置を講ずることが必要であるということが言われております。三つの措置というのは、政府、権利者による法改正内容の周知徹底。そして、権利者による許諾された正規コンテンツを扱うサイト等に関する情報の提供、警告・執行方法の手順に関する周知、相談窓口の設置などでございます。三番目が、権利者による識別マークの推進ということでございます。
 そして、平成二十一年四月でございますが、これは、改正法案の衆議院文科委員会で当時の文科大臣が、著作権法三十条改正の提案理由において、罰則を科さないということをわざわざ明言しております。
 このような経緯がございましてから僅か施行後二年ちょっとでございます。その段階で環境として立法事実に何が変化したのかということに関しては、今回の修正案の前提としてきちんとした御説明がなされているとは理解できないというふうに考えております。
 そして、違法ダウンロードの刑事罰導入に反対する実質的な理由でございますけれども、まず、刑事罰を科すということに関して、これは概括的な考え方でございますけれども、私的領域に刑事罰を導入するということについては極めて慎重であるべきだという態度、これは日弁連の一貫した意見でございます。
 刑法は、国家刑罰権の発動という国民の基本的人権にとって重大な結果をもたらす契機になるということで、常にその導入に関してはその濫用の危険がないかということを考慮しながら、他の手段で目的を達成できる等の、そういった手段があるような場合かどうかというようなことも含めて、刑罰は常に謙抑的、抑制的であるべきでございます。
 特に私的領域に関しては、人間の行動の自由に対する広範かつ重大な制約ということになりかねない。例えば、民事的に違法とされているものを常に刑事罰の導入ということにリンクさせてしまうと、例えば、不貞行為を行いましたということで刑事罰の導入をしますというような議論にもつながりかねない。そういう意味で、私的な行動の自由という観点から謙抑的でなければいけないということが第一点でございます。
 次に、ある行為を犯罪として処罰するためには、犯罪とされる行為の内容が明確でなければならないという原則、これ我々罪刑法定主義というふうに言っておりますけれども、そういった原則がございまして、この違法コンテンツのダウンロード、違法ダウンロードというのが果たして罪刑法定主義という観点から、行為として行為内容が明確になっているのかという点も議論される必要がございます。
 特に、ネット利用の形態に関しては様々な技術の進化とともに様々な形態が想定されますので、そういった観点から、あるいは、これは故意に、違法であることを知りながらという要件が課されておりますけれども、故意の外形上、内心の問題、つまりその人が故意であったかどうかということを判断することは非常に難しいと。その中で、どのような運用がされるのかということも十分考慮しなければいけないということです。
 特に、刑事罰を科する前提として、警察ないし検察の捜査という問題がございますけれども、その証拠収集の過程、証拠収集のための捜査の過程でどのようなことが想定できるかといいますと、個人のパソコンの中身を押収し、中身をチェックしたり、あるいは、ネットの利用形態、利用ログなどを押収するというようなことが考えられます。そういった情報が検察、警察当局に、嫌疑があるという対象であると捜査の対象になるということが、やはり情報の自由な流通、あるいは恣意的な捜査によって非常に権力に都合の悪い方だけが捜査の対象になるというような、そういった懸念も考えられます。
 さらに、可罰的違法性という点で、業界全体で何億の損害になるかという御議論はあるようですけれども、一個一個のダウンロード行為に対して、例えば音楽ファイル、着うたなどは何百円という世界でございます。それが本当に今可罰的な違法性を有するのかどうかという点についても議論が尽くされておりません。
 特に、この最初のポンチ絵にお示ししたとおり、音楽ファイルだけでも違法ダウンロード数の推計は年間約十二億ファイルという数が報告されております。一体この十二億ファイルのダウンロードをどうやって刑事罰を執行していくのかという点に関しては、全てのダウンロードを当然検挙して裁判にかけるというようなことは不可能に近いですので、これは都合の悪い人に対して行政府が、ないし都合の悪い人に対してだけこういった刑罰の執行が行われるという、そういう濫用の危険性をはらんでいるというふうにも評価できます。
 あわせて、基本的に違法ダウンロードというのは、日弁連は決して民事上も許されるべきだといっているわけではなくて、違法であるということはもちろん賛成でございますし、その違法ダウンロードが正規コンテンツ流通の大きな阻害要因となっているという点も基本的にはそのとおりだと思いますけれども、ただ、刑事罰を科するということの前にまだやることがあるのではないかという点も指摘させていただきます。
 まず、ダウンロードの前提としてアップロードという行為がございまして、これには刑事罰が科されておりますけれども、この法改正がなされて以降、アップロード行為に対してどのぐらいの検挙、告発があり、裁判で有罪になった事例があり、そしてそれによってどのぐらいの抑止効果があったのかなかったのかという、そういった検証が従前なされているのかどうかという情報すら、そこら辺も議論されておりません。
 あるいは、このダウンロードを行う対象として、青少年が非常に多く行っているということが想定されておりますけれども、青少年に対してきちんと教育をする前にこういった刑事罰を科するというところに一足飛びに行ってしまうということに対しても、青少年に対して影響が非常に大きい、悪影響が及ぶのではないかということも懸念されます。
 このように、抑止的な効果として刑事罰を入れるというのであれば、そういった抑止的な効果が本当にあるのかどうかという点もアップロードの刑事罰の執行状況等を勘案しながらやはり慎重に議論がされるべきであると考えます。
 最後に、諸外国の状況について少し御説明をさせていただきます。
 最終ページの、一番最後のペーパー、十三分の十三が、これは国立国会図書館の方の論文から抜粋して日弁連の知財センターの委員の方が各国の著作権侵害に関する法制度の比較表を作ったものです。
 順次説明していきますと、アメリカは、著作権侵害行為に対して商業的利益等を目的とした場合に刑事罰が科されるという法制がございまして、これはダウンロードも含むという解釈も成り立ちますが、米国の司法省マニュアルによりますと、フェアユースかどうかが疑われる、そういった争点になるような場合には、検察当局は刑事罰の行使について消極的であるべきであるという記載がこのマニュアルになされているそうです。むしろ民事を中心に行うべきだ、規制するべきだということが書かれているそうでございます。
 それから、イギリスでございますが、反復的な著作権侵害はインターネット接続速度の制限等の技術的措置を受ける可能性があるというデジタル経済法が二〇〇九年にできているそうで、そこには刑事罰もございますけれども、実際の運用はいまだないという報告でございます。
 それから、ドイツでございますけれども、こちらは違法ダウンロードを含むということが明確に書いてある著作権侵害行為に対して刑事罰が科されるという、そういう法制になっておりますが、これは、やはり日弁連の知財センターの委員が調査したところによりますと、GVUというドイツの業界団体さんの方で二〇一〇年度の告訴件数は百六十三件あったそうですけれども、認識しているそうですけれども、そのうちの起訴された事例というのは把握していないということでございます。起訴されて裁判になったという事例まではなかなかたどりつかないというのが実情のようでございます。
 また、ドイツの弁護士にやはりこの知財センターの委員が問い合わせたところ、パソコンのIDナンバーなどを特定してユーザーを特定をしてほしいというような要請が検察当局に寄せられたということですけれども、やはり検察当局の判断として、人格権の侵害に対する影響を考慮して捜査が開始されなかったという事例があったそうでございます。
 それから、フランスでございますけれども、御承知のとおり、スリーストライク制という制度で罰則があるということになっておりますけれども、こちらも、二〇一〇年、一一年の段階で、一度目の勧告が約八十二万件、二度目の勧告が六万件、三度目の勧告を経て提訴されたのは二〇一一年二月の段階で一件だという報告を受けております。
 それから、韓国もスリーストライク制がございますけれども、これはアップロード及び掲示板に掲載するような行為に限定されているということでございます。
 このように諸外国の例を見ても、これが裁判にまでなって刑事罰が発動されているという例は非常に少ないということが言えるかと思います。このような前提で、きちんと日本でこのような刑事罰を導入して、かつ、その執行をきちんとできるかということに関しては大いに疑問があるというのが最後の理由でございます。
 以上でございます。
○委員長(野上浩太郎君) ありがとうございました。
 次に、久保利参考人、お願いいたします。久保利参考人。
○参考人(久保利英明君) 弁護士の久保利でございます。
 今日は、大変こういう貴重な機会を与えていただきましてありがとうございます。委員長に感謝申し上げます。
 実は、私、弁護士でございまして、日本弁護士連合会の会員でもあるわけであります。日弁連の副会長も務めたことがありますけれども、私の主たる業務分野というのはエンターテインメント、コンテンツビジネスということで、数多くの音楽家の代理人等も務めてまいりました。その四十数年の経験からして、これはやはり刑事罰をもってしっかりとダウンロードまで制止しないと、もう日本のコンテンツビジネスはもたないのではないかというふうに思うに至りました。すなわち、これは経済犯罪でもある、文化犯罪であるだけではなくて経済犯罪でもあるというふうに思うようになりました。
 かつて私は知的財産戦略本部の本部員として知財戦略を発案し、作り出すという係をお国の命令でやってきたことがありますけれども、その中で考えたことは、やっぱり日本というのはクール・ジャパン、そしてコンテンツ立国をする。どう考えてみても、今までのような額に汗をして物づくりだけをやっていたのでは、これはもたない。知恵づくりであり、芸術づくりであり、そういうところから世界中に発信をして、この日本という国はすばらしい国なんだと、こういうことをやっていくのが日本のあるべき姿ではないかと、こう考えてずっとやってきたわけですね。
 ところが、どうなんでしょう、このダウンロードによって、正規流通をはるかに上回る、十倍とも言われる権利侵害が行われている。その結果、レコード協会の調査によると、四十三・六億ファイルの違法配信が進んでいる。これではビジネスとしてのレコード産業の存続は不可能でしょうと、こう思わざるを得ないんですね。そういう意味では、日本がこれから二十一世紀をよって立つこの経済的な実態というのを自ら滅ぼしているのではないかというふうに考えられるわけです。
 そういう意味で、違法ダウンロードというのは経済犯罪だというふうに考えると、実は私のもう一つの専門は株主総会指導ということでございまして、総会屋というのがかつておりました。この総会屋をたたき出すときにどうしたかと。たたき出すといったって、別に初めから悪党だったわけじゃないんです。彼らは生業として言わば株主総会の指導をし、株主総会をうまく乗り切らせるという、言わば今弁護士が株主総会指導でやっているようなことをやっていたんですね。だから、ほとんど刑事犯罪ではありませんでした。よほど株価操縦等々の不正な請託、要するに良くないことをお願いをして、インチキを何とかこれを株主総会含めて株主さんたちに知らしめて虚偽の情報に基づいて株価をあおろうと。
 例えば、東洋電機カラーテレビ事件という、カラーテレビなんか全然ないのに、これをあたかも完成できたかのように偽った事件がありました。でも、この事件のときにも、当時、第一審の裁判長は無罪にしたんですね。ですから、それくらい実は総会屋を犯罪だというのは大変難しい時代でした。
 その時代には、実は一万人の総会屋がおりました。企業から召し上げているお金は一千億円と言われておりました。それに対して経済界がもうもたないと。これ、払っても経費にならないんですね。そうなりますと、プラス税金を払って、税引き後のお金で一千億円用意しなければいけないから、何とかしてくれということになりまして、これが昭和五十六年の話です。
 そこで、刑事罰の対象とするという法律ができました。ところが、その刑事罰は、総会屋というのを刑事罰の対象にはするんだけれども、懲役六か月、罰金三十万円という罪でした。これくらいの罪では別に総会屋は驚かないわけですね。そういう意味では、これのためには実は全然総会屋は減りませんでした。もちろん、全然減らないと言うとちょっと語弊があって、約九割方は減ったんです。千人だけ残りました。しかし、この千人というのは腕っこきの、要するに少々、三十万の罰金や六か月の刑務所入りならいいわというよりすぐりが残りました。
 このためにどうしようもなくなって、例えば第一勧銀・四大証券事件というのは御記憶にまだあるかもしれませんけれども、そのときの小池隆一は、数百億円を実は第一勧銀、四大証券から召し上げていたわけですね。そういう連中が残りました。さすがにひどいと、第一勧銀・四大証券事件では東京地検特捜部までが出てきて、それで法律を改正しようと、当時の商法を改正してもっと重くしよう、重罰化にしようということで、実は法定刑を三年、罰金三百万円に上げました。それから、脅かすようなことをした、威迫をした場合には五年、五百万円にしましょうということになりました。
 そうしたらどうなったか。あっという間に腕っこきの総会屋たちもクモの子を散らすようにいなくなったんです。現在、恐らくどこの総会場に行っても総会屋の影は見えません。ということは、刑事罰が犯罪行為、あるいは刑事罰が経済的な犯罪行為に対して有効であるという場合もあるんですね。
 そのように考えてまいりますと、じゃ今回の事件というのは一体どういう事件なんだろうか。アップロードは確かに刑事罰の対象になっています。しかし、そこだけ規制してダウンロードは規制をしないという場合には、さっき岸参考人がいろいろおっしゃいましたけれども、まさにアップロードする人はダウンロードされることを期待してアップロードしているんですね。そのダウンロードをすることによって経済的な損害が本当のコンテンツを作った人たちにひどい形で襲ってきている。これを何とかするためには、アップロード同様にダウンロードも刑事罰でしっかり抑え込まなければいけないのではないでしょうか。そう考えてくると、ダウンロードについて今回修正案が言っている二年、二百万円というのは妥当なのではないか。
 もちろん、これについて刑事罰を果たして科していいのかどうかという日弁連さんのおっしゃっているのは、言わば国民の人権問題として考えていけば、それなりのおそれがないとは言えないと思います。しかし、問題は、人権問題を小さな、本当に少量の、それも若い子供たち、これがやったときに、本当にこれ刑事事件として発動するのが真っ当で、国民の支持が得られるでしょうか。私はそうではないと思うんです。刑事罰というのは、実は国民の意識の中にこれはやってはいけないことなんだと。泥棒というのは民事的には損害賠償を受けますけれども刑事的には何の罪もありませんよといって泥棒が減らない減らないといったら、それは国としてやるべきことをやっていないんじゃないですかと言われやせぬでしょうか。
 そういう意味でいうと、国というのはまさに適切にその刑事的な権限というものを行使することによって、この国を少しでも真っ当な国にしていくそのために利用をする。そのためには、国民の審査もあるし、先生方もしっかり目を光らせて、訳の分からぬ捜査をしたときにはそれを厳しく弾劾する。当然だと思います。そういう前提で刑事罰を作っていくのは、これは私は何も悪いことではないと。
 そのときに、アップロードが禁止され、ダウンロードが禁止され、そして日本の音楽があるいは映像が世界中に本当に適正な対価を得て広がっていくのであれば、それは日本がもう一遍知的財産大国としてよみがえるときではないだろうかと私は強く確信をしております。
 そういう意味で、是非今回、私はこの刑事罰を科すという修正案に賛成をしたいというふうに考えております。
 私からは以上でございます。御清聴ありがとうございました。
○委員長(野上浩太郎君) ありがとうございました。
 次に、津田参考人、お願いいたします。津田参考人。
○参考人(津田大介君) 皆さん、よろしくお願いします。津田と申します。
 済みません、まず最初に、こんな不謹慎な金髪をこんなところに呼んでいただいて、ありがとうございます。
 我々、僕個人としてはインターネットユーザー協会というものの代表として来ていますが、ある意味でいうと、インターネットユーザーの声を代表して語るということは非常に難しいんですよね。インターネットユーザーって今九千五百万人いますから、国民のほとんどが利用しているような情報環境になっているという中で、そんな人たちの全ての声を代弁するということはできないんですが、ただ、インターネットユーザーのある種の一つの声であり、そして僕個人が実はこの問題と非常に深くかかわっておりまして、元々この二〇〇〇年の、著作権法改正を決めた二〇〇六年から二〇〇九年に文化庁の方で私的録音録画小委員会という審議会がありまして、僕はそのメンバーで、ダウンロード違法化、刑事罰化の前の違法化というものを決定する、そこに委員として携わっていた一人としても非常にこの六年ぐらいこの問題に携わってきたという立場から今日はお話しさせていただければなと思っています。
 まず、この問題、先に立場から表明していきますと、僕個人そしてインターネットユーザー協会は、刑事罰化には反対という立場です。いろいろな考え方あると思うんですが、僕が思い出すのは、二〇〇六年から二〇〇九年にこの議論をやっている、まさに文化庁の審議会の中で議論をしているときに、今回皆さん、日弁連さんや僕らが提出した資料の中のこういった懸念点、無辜のユーザーが間違えて逮捕されてしまうんじゃないかといういろんな懸念点というのはずっと議論してきたんですよね。本当だったら一年で決めるようなところを三年間、期間延長してやってきたので、相当慎重に議論してきたという思いが僕の中にもあります。
 僕個人はその審議会の中でダウンロードを違法化する必要はないのではないかという反対の立場を取っていたんですが、それでも様々な懸念点を出すことで、それを皆さんで議論して精査することで、懸念点に対する保護みたいなものというのは議論していく中で随分ケアされていったのかなと、それなりに妥当な結論になったなというふうに、それは覚えています。
 その意味で非常に僕もこの問題には思い入れが強いんですが、そのときに、まさに二〇〇六年から二〇〇九年、じゃインターネットの違法なファイルを、音楽や動画をダウンロードするのを違法化しようというときに、刑事罰を付けるのかどうなのかということも当然議論に上がったんですね。議題に上がって、そのときに、僕個人は反対の立場ではあったんですが、刑事罰は付けないという案が事務局、そして議論の中で出てきた中で、僕は、当時の日本レコード協会の生野さんだったと思うんですが、聞いて、刑事罰付けることは要求するんですかと。当然、レコード協会は当時から刑事罰を付けることは要求していたんですね。要求していたんですが、なぜ付かなかったかというと、やはり委員の中の半分ぐらいは著作権法関係の関係者、法曹関係者で、そして座長だった著作権法の一番の権威である中山信弘先生も、これはやはり刑事罰はまあ付けられないだろうと。何で付けられないのかというと、単純にもうこれは、ユーザー個人がダウンロードする、犯した罪や、そこによって損なわれる経済的損益に対して科す罰が、刑事罰を付けるというのは重過ぎるだろうということで、そのときはやはり刑事罰は付けられないということがそのときに参加していた法曹関係者の多分共通した見解だったんだと思います。
 二〇〇九年にその委員会自体は閉じたんですが、その後、ずっと毎年定例で開かれている著作権法を審議する法制小委員会というのが文化庁にはあって、法制小委員会というのはもう委員全員が著作権法の法曹関係者です。基本的にはもう法学者しかいないんですが、その中でもやはり刑事罰化というものの要望というのは音楽業界から上がっていて、当然議題には上ったんですが、ただ、やはりこれはバランスが悪いということで否定されていて、そして今に至ると。
 そして、そういう意味でいえば、やはりこれ審議会に任せて、ある種、著作権法の法曹関係者に任せたら、これはもうほとんどの人がそれはバランスが悪いということで否定しているので、これではもう刑事罰を付けることができないということで、ここ一年、二年ぐらいの話として議員立法が持ち上がって、今ここで議論されてまさに可決されようとしているというのが一連の流れであるということですね。
 ただ、法曹関係者が否定されたということは、先ほど日弁連の御意見が表明されましたけれども、そこの、日弁連がなぜ反対しているのかというところにもつながっているということは理解していただければなと思います。
 この問題を考えるときに、僕は本当に今こうして集まっていただいている政治家の先生方のお仕事はだから非常にやはり大変で重要なものだと思って日々僕は尊敬しています。これは、僕がこういう政策とかかわるようになってから思っている、これは本当な真摯な思いでもあるんですが、じゃ、政治家の先生方のお仕事って何なのかと。多様な方々の立場の意見を聞いて、そして本当にいろいろ全く利益が異なる、利害関係が異なるステークホルダーの意見を聞いた中で、大所高所から、法律、そしてこの国の未来を考えて政策をつくっていく。ある意味、僕は政治家の先生というのはメディア的な存在だと思っているんですね。媒介としてのメディアですね。いろんなものがあった中で、何かを、でもそうして決定して進めなければいけないというところなんですが、ただ、この問題でいうと、この問題、じゃ違法ダウンロード、特に刑罰化の問題ということを考えたときに、やはり法曹関係の多くがこれは明らかにバランスが悪いと反対しているということは、これは一つの事実として僕は厳粛に受け止めていただきたいなということは思いますね。
 これは、僕個人がやはりすごく印象に残っているのが、実はまた二〇〇六年から二〇〇九年の僕が参加していた審議会の話に戻るんですが、変な話なんですけど、ダウンロード違法化に関して、僕は、委員が十八人いて一人だけ反対している立場だったんですよね。これはもう違法化しなければやむを得ないだろうということが議論の趨勢になっている中、僕は最後まで一人で反対ではあったんですが、とはいえ、その中で、議論した中で、ある程度落としどころというのを探る形になって、結論が出て、それが著作権法改正になっていくというプロセスを経ていたんだと思っています。
 そのときにある意味一番対立していた委員の方、まさに法曹関係者で、どちらかというとエンタメ業界に近い弁護士の先生が、その方はダウンロードの違法化には賛成されたんですが、今回、この刑事罰化ということに関しては、僕と一番ある種対立していた方も、この刑事罰化に関してはやはり余りにも行き過ぎだと、これは明確に反対するということを日弁連の集会で述べていらしたんですよね。非常にそういう意味でも、何か、まさかこの人と同じ意見を同じ場所で述べることになるとはなというふうに、僕個人も非常に感慨深いものがこの前の日弁連の集会ではあったんですが。
 非常に大きなそういう問題を、ある意味で政治家の方々にやはり改めて認識していただきたいのは、この問題、やはり議員立法として提出されたということの経緯も含めて、一部の特定業界、今だとやはり音楽業界ですね、音楽業界の意見だけ聞いて、そして今インターネットの違法ダウンロードによって非常に大きな被害を受けているという、六千八百億円近くの被害を受けているという調査結果もあるんですが、でも、元々根本的にはその調査結果自体もちょっと取ったやり方が偏っているんじゃないかという指摘もまたいろいろな学者からも出てきているわけですよね。
 そもそも日本が一番CD売れていたというのは一九九八年で、そのときにCDが六千億ですから、それがピークでどんどん下がってきていて、今二千五百億ぐらいまで下がっているわけですね。非常にそういう意味では深刻な状況というのは分かるんですが、ただ、それ以上の、今まで、かつて売ったこともない、CDをそこまで売ったこともない、六千億がピークであったのに、それ以上の六千八百億というものが違法ダウンロードによって損失が出てきているということ自体が、そもそも数字としては僕は余りにもバーチャル過ぎるのではないのかなというふうに思いますし、そういったある種偏った調査結果に基づいて、やはりこういった国会で、その偏った調査結果に関してこれってどうなのとチェックして、その中で慎重に議論してやっていきましょうよというのが国会の役割だと僕は思っているので、それがチェックなしに進んでいくということには非常にちょっと残念な部分があります。
 そして、ただ、とはいうものの、CDが売れなくて音楽業界が違法ダウンロードに苦しんでいるということは僕も非常に理解できます。僕自身もずっと音楽業界をもう十年以上仕事をジャーナリストという立場で見てきて、それは非常に僕も理解できます。先ほど岸さんの方から音楽業界の厳しい現状を御紹介いただきました。あれはもうほとんど本当に生の声、現場の声だというふうにも思います。岸さんは大学で教えている傍らレコード会社のエイベックスの取締役もされているので、その意味ではまさに本当に現場の声というのはよく分かっていらっしゃると思うんですが。
 僕個人が、じゃ、自分はどうかと。
 実は僕も音楽大好きです。まあこんな金髪にしているというのもあるんですが、音楽好きですし、音楽業界にかかわっていないかというと、かかわっています。音楽の情報を、新譜情報とかを取材して、いわゆる音楽雑誌のウエブ版みたいな「ナタリー」というものの、それの創業メンバーで、ある意味でいうと、音楽業界がなくなってしまったら僕らの業界というのもなくなってしまうので非常に困る。本業でいえば、僕は基本的にはジャーナリストですから、当然僕が書いた原稿というのも著作権というのが存在するわけですね。著作権がなければ飯を食えなくなるので、僕もそういう意味では知財保護とか著作権というのは非常に重要だとは思っています。
 では、そんな立場なのに何でこの問題に反対するのかということは、やはりこれ根本的な話として、これが音楽業界の特定の問題だけではなくて、やはり国民の情報のアクセスそのものですね、それにかかわってくる非常に大きな、範囲が、社会全体に影響を与える範囲が大きい問題だから僕は反対をしているという立場です。
 元々、インターネットを皆さん多分もう使われていない方なんていないと思いますけれども、インターネットってじゃどういう技術かというと、基本的には情報を、世界中のパソコンとパソコンをつないで情報を簡単にコピーできるようにすることで社会全体の情報の公共性を上げていきましょうよという、そういう思想なわけですよね。でも、著作権法ってどういう権利かというと、自分が著作権発生しているものを他人に勝手にコピーさせないということで経済的インセンティブを与えるという、他人にコピーをさせない権利と、情報をコピーしやすくすることによって、それで社会全体の便益を上げていきましょうというインターネット、最初から、真っ向からこれぶつかっちゃうわけですよね、インターネットと著作権というのは。
 その中で、じゃ、どうバランスを取っていこうかということが、インターネットが登場してきた一九九五年ぐらいから非常に文化庁を中心に割と慎重に議論をされてきたということがあるんだとは思います。
 これはなかなか難しい問題だと思います。先ほど岸さんの方からも久保利さんの方からも経済的便益も損なわれているだろうと、これ、結局のところ万引き犯と同じじゃないかと。万引き犯は捕まるのは当然だということで、そのアナロジーでこの問題というのは語られがちではあるんですが、これ、半分は正しくて、やっぱり半分ちょっと違うところがあるなと僕は思っていまして、なぜかというと、著作権というのは元々土地とか物になぞらえて考えられがちなんですけれども、でも疑似的な所有権なんですね、著作権というのは。あくまで土地のような有体物のような所有権ほど強いものではないし、そもそも社会的な実験みたいなところが強いと。著作物の利用がもたらす便益と著作権者保護のバランスの上で、そこで成り立っている。だから権利制限というのがあるわけですね。著作権というのは、例えば、じゃ障害者利用とか学校の中では制限していきましょうということが、ある意味でいうと土地の利用権なんかと比べても非常に制限される。これは社会的なバランスを取って決められているというところがあると。
 そういう意味で、こういったものを変えていくというところでは非常にやはりバランスを取った議論をしなきゃいけないということがあって、ある意味でいうと、各国の著作権法制度が全く違って、それぞれが異なる実験を行っているというのも、これは非常に、ある意味でいうと国際潮流があるようでないんですよね。
 例えば、じゃ今回、先ほど岸さんの方から、フランスや韓国でスリーストライクの法が罰則として入れられたじゃないかという話はありますけれども、ある意味でいうと、これ、スリーストライクというのは何かというと、二回若しくは三回までは見逃すよという、そういう意味でのバッファーを設けているんですよね。
 今回、これ刑事罰化通ったらどうなるかというと、これスリーストライクじゃないですから、ワンストライクでもうアウトなわけですよね。ワンストライクで捕まってしまうと、そういうバッファーを設けないと。
 だから、そこはやはりまた法律、刑罰化のもたらす意味合いも異なってくるということもまず理解していただきたいということもありますし、加えて言うと、例えば最近の潮流ですと、やはりインターネット、個人がパソコンにダウンロードするというのはやはり家の中でやるようなものなので、これはもうそこに関して違法とするべきではないかということが、これスイスとオランダでもこういったものの議論になりまして、むしろスイスとオランダは逆に私的ダウンロードに関しては合法化していますというような流れもある。もちろん、スイスやオランダは、どちらかというとアメリカとか非常にでかいコンテンツ輸出国のものをダウンロードすることが多くて、余り音楽とかを輸出することがないというところで変わってくるということはあるんですが、いずれにせよ、全ての国がじゃダウンロードを違法化して刑罰を付けて厳罰化しているかというと、そういうわけではないわけですね。それも非常に国によって対処の仕方も変わってくるということはまず状況としてある。
 端的に、そろそろまとめに入りたいんですが、じゃ今回のダウンロード違法化、そして違法のダウンロードの刑罰化、一番の問題はどこにあるのか。なぜ僕は著作者でありながら反対するのかというと、やはりこれ社会全体に影響が及ぶ著作権法をいじるということなんですよね。
 例えば、これが通ったらどうなるのかというと、もしかしたら、じゃダウンロードを違法化して刑事罰付けても効果がなかなか見えないと。であれば、じゃストリーミングも対象にしましょうと、ユーチューブとかで見ているのも、単にパソコンに保存されないものも違法の対象にした方がいい、刑罰化の対象にした方がいいんじゃないかとか、若しくは、やはり情を知ってというんであれば、これがある以上、なかなか摘発もできない。情を知ってという項目を削除した方がいいんじゃないかとか。
 あともう一つ非常に重要な問題としてあるのは、これ今音楽と動画だけに限定されていますよね。ただ、これ実際に著作権分科会、文化庁の審議会なんかでは何で音楽と動画だけ特定に保護されるんだと。全ての著作物を保護してくれよというふうにゲーム業界とかほかの業界からも声が出てきています。著作権っていろんなものが保護されますから、いずれ音楽と動画だけではなく全ての著作物がダウンロード刑罰化の対象になるというような、ある意味でいうと、刑罰化付けば、そこから先というのはそこに行きやすくなるということは可能性としてはあるわけですよね。
 そうなるとどうなるのかというと、考えてみてください。例えば、我々ふだんネット見ていますよね。ネット見ていて、例えば、じゃ何々新聞の記事があったなと思って検索をしてみると。検索をしてみて、それが朝日新聞とか読売新聞とか彼らが作った記事にぶつかればいいですけれども、たまたまそれをコピー・アンド・ペーストしたブログとかを見付けたと。それを資料としてちょっと使おうと思って印刷しましたと。でも、そのブログに転載されたものって明らかに権利者の無許諾のものですから、それ違法ですよね。それ印刷しましたと。皆さんの秘書の方々がちょっとこんな問題があってこういうふうになっていますと言ってたまたま印刷した資料を持ってきた。でも、それ違法行為になっちゃいますからね。たまたま、いいなこれ、このきれいな映像が、きれいな夕日の画像があったと。パソコンの壁紙にしたいなと思って右クリックで壁紙にするってやったら、これもダウンロードですから、これも違法です。刑事罰も付いてしまいます。
 という、これだけ全ての著作物が対象になって、これから電子書籍なんていうものも本格化するというときに、我々は本当に日常的にインターネットで情報を取っているときに、それが違法か合法かというのは分からない状況で取っていますし、それが音楽、動画以外にも拡大されたときに、これインターネットのユーザー今九千五百万人ってさっき言いましたけれども、多分日常的に使うユーザーの四千万とか五千万とか、半分以上がよく知らないままに違法行為をしてしまう。そういう状況につながる法改正であるということは非常にやはり理解していただきたいなとも思いますし、そうなったときに本当に、やっぱり国民、インターネットという情報技術そのものが国民の情報を知る権利なんかにもつながってくる非常に重要なものであるという、音楽業界を保護するという議論だけではなく、情報技術そのものに対しての秩序が変わってくる問題であるということであるということですよね。
 とはいうものの、最後になりますけれども、僕も岸さんがおっしゃる立場と実はすごい近くて、日本のコンテンツ産業は守るべきだと思います。守るべきだと思いますし、輸出すべきだと思います。そして、インターネットが特別にすごい治外法権で何でも自由に違法できるよという、そういう空間であるべきではないとも僕も思います。
 この今回の刑事罰化に関していえば、もちろん目的は一つだと思うんですよ。コンテンツ業界が、音楽業界がもうかるようにする。これは目標ですよね。これ、分かります。全く僕もその目標に関しては同意するし、進めていくべきだと思う。とはいうものの、今回の刑事罰化で、じゃ音楽業界が、CDがたくさん売れるようになるかといったら、多分ならないです、下がっていくと思います。
 これはまた、先ほど久保利さんの方から、これはもう本当に経済問題だという話で総会屋の話があって非常に面白いなと思いながら伺っていたんですけど、総会屋が、結局刑事罰が付いたことによって総会屋はもう萎縮したわけですよね。萎縮したことによって企業の便益は上がったと。これは経済的効果があったんですけど、音楽家の問題って、これちょっと違うのは、当然、刑事罰になったらみんな萎縮します。ただ、音楽をダウンロードするユーザーはまず総会屋ではないということと、プラス、結局萎縮することは同じなんですね。萎縮したら何やるのかというと、買わなくなるだけなんですよね、単純に。だから、恐らくそれは、そもそもそういう意味で経済的な問題というのは非常に難しいのかなと。
 僕は、じゃ、どうすればいいのか。これは反対するだけで対案を示さないのはどうなんだということもよく言われるので、対案でいうと、僕、これはもうこの問題、解決する目標、コンテンツ業界を伸ばしていくというものの解決する対案は、割と一つ簡単にあります。何かというと、やっぱり文化予算を増やすことだと思うんです、これは。これしかないと思います。日本の文化予算、幾らかというと、今大体文化庁の予算は一千億です。一千億なんですけど、なかなかやっぱり低いんですね。これ諸外国に比べても全然低いです。
 例えば、じゃ、今コンテンツを輸出している、我々音楽番組見ると、CD屋へ行っても、韓国のKポップがたくさんありますよね。Kポップはもう国策として輸出して、そして外貨を獲得している。韓国の文化予算って去年幾らだというと五千億です。日本の五倍掛けています。それだけ彼らは投資して、それを回収しようとして日本に進出している。
 翻って、日本の、じゃ道路関係予算は幾らだと。今、一兆四千六百八十二億ぐらいですよね。もう行くかどうかも分からないような高速道路というのをいまだにやっぱり建設していて、これ誰も利用しないだろうみたいなところに二千億掛けてやろうとか言っているわけですよね。その二千億とか止めて、何か文化庁の予算にちょっとでも回す。せめて韓国ぐらい、五千億ぐらい回して、そこで業界を保護していく。これ刑事罰化やって、多分売上げ伸びないって最悪ですよね。情報環境に対して悪影響があって、しかも音楽産業も伸びないなんていったら、これはもうある意味でいうと政治の不作為だと思います。
 だから、多分、これは本当にこの予算配分をどうしていくかということを考えるのがまさに政治家の先生のお仕事だと思いますし、僕は文化は保護されるべきだと思うし、そのためにはやはり文化庁の予算というのもきちんと、文化庁、庁ではなくコンテンツ省に上げようなんていう議論もありますけど、そういうところも含めた議論をしていただきたいなと思います。
 是非、本当に皆様方には、この問題が音楽業界の特定の問題ではないと。そうではなく、やっぱり誤った認識を捨ててもらった上で、社会全体に影響が及ぶ問題であるという、そういう認識を持ってもらって、是非この問題、本当に拙速に進めるんではなく、僕は五年、六年時間を掛けて慎重に進める問題として認識していただいて、是非、今回に関しては止めていただいた方がいいんではないのかなというふうに思います。長くなりました。以上です。
 ありがとうございました。
○委員長(野上浩太郎君) ありがとうございました。
 以上で参考人の皆様からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○森ゆうこ君 民主党の森ゆうこでございます。
 今日は四人の参考人の方々、大変ありがとうございます。
 私も、知的財産を保護し、アーティストや音楽業界等々、正当な対価が与えられるべきである、またネット社会においても公正なルールが確立されるべきであるという立場でございます。
 今回の特にこのダウンロード刑事罰化の問題に関してのみ質問させていただきますけれども、この修正案による法の効果、そして、それに対して様々私も先ほど午前中指摘させていただきましたけれども、そのリスク、それをきちんと比べてよくよく検証しなければいけないというふうに思っております。
 それで、まず岸参考人にお聞きしたいんですけれども、先ほどフランスのスリーストライク法の話をされました。独立機関、これフランス語読みだとアドリというんでしょうか、その新しい報告書によれば、確かに海賊版サイトへの訪問二九%減少、違法共有ファイルトラフィック六六%減少というふうにその報告書では書いてございますけれども、確かにスリーストライク法による違法ダウンロードの減少にはつながった、これは確認できるかというふうに思います。
 しかし一方、それでは一番目的である音楽産業あるいは映画産業の収益というものは、これは上がったんでしょうか、そこは御存じでしょうか。
○参考人(岸博幸君) お答えします。
 自分が知っている範囲で言えば、フランスの例を取りますと、フランスはスリーストライク法案を導入しましてから、音楽配信はやっぱり市場はかなり伸びております。その中で一番シェアを持っているアップルのアイチューンストアでいえば、年間千三百八十万ユーロの売上増が実現したという数字は出ておりますので、やはりこういう規定を設けることによって売上増につながっているという面はあると思います。
○森ゆうこ君 私のちょっと調べた、まだ詳しく調べる時間がなくて、これ完全に裏取りはしていないんですけれども、二〇一一年のフランス音楽産業界の収益は、収益ですね、収益は三・九%マイナス、同じくフランスの映画産業界の収益は二・七%マイナスという報告も実はございます。この辺は文化庁に聞いても、その辺の法の効果、ドイツ、アメリカ等々他国の状況について調査がほとんどされていないんですね。
 今私が申し上げたことが事実だと仮にしますと、結局、違法ダウンロード、それは減少するんだけれども、同時に、本来それで伸びるべき音楽産業は、むしろ伸びるどころか収益が減少している。つまり、自由にダウンロードするそういうものがたくさんあることによって、むしろ国民の音楽に対するアクセスというものが増えているということになるわけですから、ここは目的が、参考人の先生方もそういうふうにおっしゃっていますし、また法案提出者もそう言っておりますけれども、アーティスト、音楽産業界の正当な対価、そして産業振興ということであれば、これは法律の効果をもう一回冷静に私はきちんと検証してみるべきであるというふうに考えますし、残念ながら修正案という形で出されてしまいましたので、そういう効果そのものを衆議院できちんと検証する間がなくこうやって送られてきて、そして今日法案が提案され、そして今日質疑が行われ、明日恐らく採決が行われるんだというふうに思いますけれども、私はこの辺のところ、本当に効果があったのか、逆効果ではないのかということについて検証すべきであると考えますけれども、いかがでしょうか、岸先生。
○参考人(岸博幸君) フランスの例でいいますと、当然、全体の収益を考える場合は、この違法の問題以外に、経済状況でありますとか、又はその年どういう作品が出たか、いろんな要素によって変わるものでして、先生御指摘の点、非常に大事とは思いますけれども、その検証をやり出した瞬間に、変数がすごく多くて、じゃ、どれが、いろいろ変数がある、当然違法ダウンロードが減るというのもある、でも経済状況が悪化したらそれは当然売上げは収益に影響がある。いろんな変数があるわけでして、その分析というのをやってそれで時間を延々使うよりも、そもそもこういう違法ダウンロード規定の罰則化というのは、公正な市場をつくる、ある意味でやっちゃいけないことをやらないように抑止効果を持つという点も大事ですので、私は今の段階で導入しても問題ないと思います。
○森ゆうこ君 反論するようで恐縮なんですけれども、当然、その海賊版サイトへの訪問や違法共有ファイルのトラフィックが六六%減少したという報告がある以上、もうこれだけの激減をしている以上、やはり目に見えて、まあいろんな変数というふうにおっしゃいますけれども、少なくとも目に見えてかなり明らかにその収益というものが向上していなければやはりおかしいのではないかなというふうに思います。
 そういう意味で、是非委員の先生方にもお願いなんですが、また委員長にもお願いなんですけれども、こういうことをもう一回本当に効果があるのかどうかきちんと検証する時間を設けていただきたいというふうに思います。
 その効果がひょっとしたら逆効果ではないか、違法ダウンロードは減るんだけれども、結局、音楽産業、そういうコンテンツに対するアクセスそのものが萎縮してしまって音楽産業の振興につながらないということであれば何のための修正案か分かりませんので、ここは非常に重要だというふうに思います。
 一方で、私も午前中指摘させていただきましたけれども、この法律によるリスク、広く青少年を含む一般国民が対象になり、しかも、違法と知りながらというところのその犯罪構成要件、その立証というものが非常に曖昧で、これは誰でもその捜査対象になり得ると。しかも、午前中の質疑では、修正案提案者が、これは一件ダウンロードしてもそれは処罰の対象であるというふうに明言をされましたし、そしてそのことについては、何とおっしゃったかな、刑事政策的配慮がされる、これはまさしく恣意的な捜査をしますよと宣言したに等しいと私は思っておりまして、こういう点について非常に問題がある、そして非常に危ないというふうに思っておりますが、この点について、市毛参考人、一言よろしくお願いします。
○参考人(市毛由美子君) おっしゃるとおり、日弁連が懸念しているのも最後のその恣意的な運用というところでございます。この違法ファイル数の多さに比較して、やはり全ての違法ダウンロードが公平に処罰されるという環境を整えるというのはまず不可能でございます。その中で、やはりその恣意的な運用、嫌疑を掛けられただけで捜査をするという過程で皆さんのパソコンの中がのぞかれるという、そういう事態を招きかねない、そういう危惧があるということでございます。
○森ゆうこ君 ありがとうございます。
 津田参考人にお聞きしたいと思います。
 確かに、インターネットの技術とそれから著作権というものはそもそも相入れない部分があるということは私もそうだというふうに思いますが、しかし、このインターネットでつくられた新たな情報革命というもの、これを後ろへ引き戻すということは、国民にとって私は決していいことではないというふうに思います。そういう意味で、私は津田参考人の提起された問題点、共感を覚えるものでございますけれども、本当にこれが、情報革命、それによる新たな国民の様々な社会的活動、これに対して本当に大きな脅威になるというふうに思いますけれども、その点についてもう一言お願いします。
○参考人(津田大介君) 多分、萎縮効果をどうとらえるかということだと思うんですよね。
 今回のやっぱり法改正案の危うさというのはどこにあるのかというと、恐らく目標としている海賊版対策、売上増加というものに対して、多分、恐らくこのやり方ではそこまで効果が見込めない。しかし、そうではないろくでもない副作用というのは結構考えてしまう。それの一つの、やっぱり萎縮というのはあるんだと思いますね。
 多分、法的にはもうちょっと、今憲法で我々が保障されている通信の秘密とかを侵さずに、じゃ警察って、この問題って、逮捕するときに、刑事罰をやるときに捜査できるんですかということもあるでしょうし、結果、それで警察の権限が強くなってしまうんじゃないかというところとか、あるいは、合法、違法、双方のファイルが混在する、そして、はた目には分かりづらいインターネットにおいて、無意識にやっぱりダウンロードしてしまった個人や、とりわけ青少年、この責任をどこまで問うことができるのかということもありますし、一番の問題は、これ何が違法なのか分からない状態になれば、消費者が合法なネットサービスの利用まで敬遠しないのかというのも一つあると思います。
 もちろん、これ衆議院なんかでも議論されていた中で、周知徹底しますと、今合法なコンテンツに関してはエルマークというものを音楽業界は進めていると言っていますけれども、現時点でこのエルマークの、二年間一応周知徹底してきたと言っていますけれども、実際のアンケート調査なんかだともう二五%くらいですよね。だから、ある意味でいうと、僕、これやるのであれば、周知徹底が非常に終わったと、例えば八割とか九割今のインターネットユーザーそして青少年がもう知っているぐらいの存在になって、それでもまだ海賊版が減らないというのであれば、じゃ刑事罰化付けようと、多分順番としては、やはりその周知徹底が、やったけれども駄目だったというところで、ここから、この法案がもし通ったとして、通った中で周知徹底をそれからするというのだと、多分、恐らくこのエルマークの認知度って低いままですよね。
 プラス、これ日本の業者だったらいいんですけれども、海外の業者にはこのエルマークって強制できないですよね。日本のパソコン向けの音楽配信で一番非常にシェアが高くなっているのはアイチューンズですね、アップルですが、アップルには今エルマークって付いていないですから。もちろんあれは合法であろうというものは分かっている。けれども、たまにやっぱりアップルも審査ミスとかで違法なファイルが交じってしまうということもあったりもするわけですね。
 何かそういうところをどうするんだという話もあるし、あるいは周知徹底というのもなかなか現実的に難しい面というのもあるという中で、そこから先に、やはり萎縮効果といった中で、いろいろな今ユーザーだと、例えばニコニコ動画だとかユーチューブ、それ以外も含めた、どんどん音楽家が音楽をアップロードする、そういうような情報環境になっている中で、やはり何が合法で何が違法なのかという区分けはどんどん曖昧になっていくんですよね。
 曖昧になっていく中で、やはりこれは法執行の点でどこまでそれをやるのかと。やったときに、じゃ警察はどう対処するのかという辺りで、やっぱり消費者が、音楽絡みは何かもしかしたら逮捕されちゃうかもしれないから、だったら音楽以外の趣味に行こうと。音楽業界がだから実は直面している問題というのは、音楽そのもの、そして違法ダウンロードとの戦いでもあるんですけれども、でもコンテンツ業界って結局ほかの業界ですよね、娯楽ですから、ある意味でいうと、ほかの娯楽との戦いでもあるわけですね。で、こうやって何か実は法的リスクがあるんだったら、じゃ面倒くさいからもっと楽しい別にほかのサービス、ゲームでもやろうとかというふうになってしまったら、これはやっぱり結果的には、音楽業界としてもそうでしょうし、そういったところでまたインターネット業界自体が、そういうサービスでIT業界の産業新生が、全部うちに掲載されているコンテンツは全てもう合法で適正ですと、それは別に契約ベースだったら大丈夫ですよ、契約ベースだったらいいんですけど、ユーザーに勝手にアップロードさせる、まさにニコニコ動画なんかはそうですけれども、そういうところでそこを担保できない以上、今度はサービスを運営する側にも非常に大きな萎縮効果というのを招く可能性があるといったときに、じゃ、これからコンテンツ業界だけじゃなくて国内のITサービス産業を伸ばしていくのかといったときに、ここに与える萎縮効果みたいなものというのも実は無視できないんじゃないのかなというふうに考えます。
 以上です。
○森ゆうこ君 ありがとうございました。
○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 今日は、四人の参考人の皆様、本当に大変にありがとうございました。今日午前中から質疑で、大事な法案でございます。その意味で、今日はこの修正案等に入ります刑事罰の導入ということを含めて四人の皆様にお聞きをしたいと思います。
 まず、市毛参考人、久保利参考人、法律の専門家ということでございまして、今回、二百万以下の罰金、二年以下の懲役という刑事罰が付くわけでございますけれども、市毛参考人、現時点で、青少年の教育であるとか、またアップロードの取締り執行状況とか、様々な対策を取れば刑事罰に関して考えてもいいのかどうかということも含めて、この重みがどうなのかとか、もう一回、さらに、この辺の抑止力にはならないという面を含めて、この点をお話しいただきたいと思います。
 また、久保利参考人は、それを受けましてどういうふうに考えているかということをまずお聞きしたいと思います。
○参考人(市毛由美子君) まず、先ほど御説明させていただいたとおり、前回の著作権法改正の段階で利用者保護ということで三点の措置を実施することが必要であるというような報告書が出ておりますけれども、そういった権利者自らの努力によって、やはり違法ダウンロードの阻止する効果がどれぐらい効果があったのかと、どれぐらい努力をしたのかということについて、やはり刑事罰を導入するという国民の人権にかかわることをしようというのであれば、きちんと御説明ないし検証がなされる、そういうステップを踏むべきであるというふうに申し上げております。
 ちなみに、日本レコード協会さんが日弁連の意見書に対して反論の御意見をいただいておりますけれども、例えばアップロードに対してどのぐらい刑事摘発がなされているかということに関して、レコード協会さんの会員による刑事告訴事件として把握しているものは、平成二十三年度六件、刑事訴追を行っておるという御報告がございます。
 他方で、先ほど申し上げているとおり、音楽ファイルだけで、音楽の違法ダウンロード数だけで十二億ファイルあるというところで、年間六件、これは協会さんの把握されている数字だけということでございますけれども、こういう裁判が起きたという報道等も聞こえてまいりませんので、要はアップロードに対しての刑事罰が本当にきちんと執行されているとは言えないのではないかという評価の方が大勢を占めているということでございます。
 そういったいろんなことをやってみて、それでもやはり必要だということであれば、そこはその段階で御議論をいただくということで構わないと思いますけれども、今の段階で、そういった検証がなされていない、しかも修正案という形で、専門家の意見等も聞いていただけないまま国会の方を通ってしまうというところが、やはり手順として、手続として、民主主義的な要はルールの決め方としていかがなものかというところに疑問を呈させていただきます。
○参考人(久保利英明君) 久保利でございます。
 まず、刑事事件というのは、これはこの案件だけじゃなくて全ての事件がそうですけれども、まず一つは可罰的違法性、もう釈迦に説法ですけれども、要するに、ペナルティーを科すだけの重要性があるものかどうか。紙一枚盗んだって窃盗は窃盗なんだけど、紙一枚で窃盗罪で起訴するだけの価値があるか。それはそういう意味があるかというふうに言えば、多分、誰もないと言うんですね。ですから、可罰的違法性の問題で相当落ちていきます。
 もう一つは、起訴便宜主義というのがあって、検察官が起訴するかどうかというときには、その行動をした人の状況というものをいろいろ配慮しながら、本当にこれは起訴をして立件しなきゃいかぬものかどうかというふうにそこでチェックを掛ける。これは全ての事件についてそうですよね。そういうときに、この種の案件だけそういうチェックがないというふうに考える方がそれはおかしくて、それは当然そのチェックは掛かるであろう。
 次に、そうなったときに、刑事事件になる、あるいは刑事罰を科することのマイナス点として萎縮という言葉が随分言われました。何を萎縮するんでしょうか。違法行為であるそのものをやらないようにするというのを萎縮というふうに言うんでしょうか。それは抑止とか制止とかという話であって、正しい方向に向かっているわけですから、それはそういう行動はしないようにしましょうというのは当然のことだと思います。
 そういうふうに、違法なダウンロードをしないようにしましょうと言った結果、本当に音楽からみんなが離れていくんなら、それはもう音楽産業としてはしようがないですよね。いいものがない、魅力的なものがないということですよ。正規物も欲しくない、CDも買いたくないという、そんなレコードばっかり作っていた、そんな音楽しか作っていないんだったら、それはもって瞑すべしだと僕は思います。それはしようがないでしょう。
 そうではなくて、正規なものをもっと広めましょう、そのためにはいろんなマークを付けましょう、あるいはクリエイティブ・コモンズというのがありますけれども、私の作ったものはどうぞ皆さん自由に使ってくださいという選択を自分で選ぶこともできるし、絶対駄目ですよというのもあるし、お金をくれたら使ってよろしいというのもあるしというCCというマークを付けるというのもアメリカでは現にスタートしているし、日本でもその運動は始まりました。
 というふうに考えてみると、実は何か刑事罰と刑事罰を付けないというその二つの陣営が大げんかをするんではなくて、刑事罰が必要だと思ったら刑事罰を付ければよい、その行使には抑制が当然利きます、必要です。だけど、そのことによって違法行為が減るんだったら、そこから後はマーケットの判断でありますから、そこから後レコードが売れるかどうかというのは、これはある意味ではレコード業界の努力の話でもあるわけですね。
 ですから、そこは、そういう条件つくった上で売れなかったら、おまえら、ろくなもの作らないから駄目じゃないかということになるかもしれません。ただし、その客観的な要件、条件をつくってくださいと。少なくとも、みんなが悪いことだと認識できるような、そういう条件をつくってくださいというのが私はこの立法だと思うんです。
 そういう意味では、アップロードは駄目だけどダウンロードはいいなんという、そんな片道切符みたいな訳の分からない話はないはずであって、これは、必ずアップロードする人はダウンロードを誰かがすると思うからわざわざアップロードしているわけなんで、それをセットで駄目ですよというふうに申し上げるには、二年、二百万というのはちょうど手ごろな刑事罰ではないかなと。かつ、それに起訴便宜主義と可罰的違法性が入ってくれば、そんなとんでもない状況は起きないというふうに、私は、日本の警察、とんでもない検察官もいますけれども、基本的にはそうではないだろうというふうに信じております。
○山本博司君 ありがとうございました。
 じゃ、あと、私も政治家になる前にIT業界におりましたので、津田参考人また岸参考人に最後にお聞きしたいと思います。
 このネットビジネスをどう発展、公正化していくかということが一つの大きな論点だと思いますけれども、そういう意味で津田参考人、この刑罰が国内のインターネットサービスの阻害要因になると、特にクラウドサービスとか、そういう技術の面の衰退があるというふうな部分での御指摘がございますけれども、そういう部分を含めてどういう点がそういう成長産業の阻害になってしまうのかという点と、最後に、岸参考人は、そういったことを踏まえて、ネットビジネスの、先ほどお話がありましたビジネスの発展のために市場の公正が大事なんだと、こういう点を簡潔にお願いをしたいと思います。
○参考人(津田大介君) 多分これは岸参考人とも恐らく意見は同じだと思うんですけど、IT業界というのが非常にアメリカの産業に牛耳られていると。実際、我々が使っているOSはマイクロソフトかアップル、そして、使っているスマートホンのOSもそれを握られている。グーグルか、アップルか、アマゾンか、マイクロソフトか。そして、ほかのあらゆるシリコンバレー発のウエブサービス、ツイッターもそうです、フェイスブックもそうです。というようなときに、じゃ日本のIT産業は何もできないのかというときに、これは、実際やっぱり現場で話を聞く、特に弁護士の方とかに話を聞くと、やはり日本の著作権法だと、今のコンプライアンス重視主義のときに、ネットで情報を、特にユーザー投稿型のサービスをやるときに非常にリスクが高いということは話すんですね。
 それは何かというと、一つはアメリカの著作権法、一九九八年にできたDMCAの存在というのが非常に大きくて、DMCAというのは非常に、ある種権利者を保護する規定も設けられているんですが、一方でユーザーを保護する、そして業者も保護する規定があるんですね。一つはセーフハーバー、免責条項というのが入っていて、幾つかの条件を満たしたら、著作者からこれ著作権違反だよという依頼が来たら、ノーティスがあったら、じゃ、すぐ削除しますよという体制があるとか、自らそのサービスとして著作権侵害を、何だろう、推奨するような文言が入っていないとか、幾つかのやることをネット業者がやっておけば、そこから先、著作権侵害には業者は問われないという、そういう著作権法の立て付けになっているんですね。
 加えて、アメリカの著作権法にはフェアユース、公正利用というのが入っているので、そこで、じゃグーグルとかユーチューブとか、ユーチューブなんて特に最初はもう本当に違法なテレビ番組とかしかなかったわけですけれども、それで訴訟なんかも起きていますけど、なぜ負けずに今続いているのかというと、アメリカの著作権法には免責条項とフェアユースということで、非常にある種とんがったサービスを出した中で、ユーチューブなんかであれば、確かに著作権者の権益はそこでいっとき侵害されるかもしれないけれども、結果的にはそれがプロモーション効果みたいなものも生んでいくんだったら、経済になるんだったら認めていこうという形で、今は逆にユーチューブみたいなものも、存在も、合法的な存在プラスアルファとして今認め、組み込まれてきているというところがあるわけですね。
 翻って、日本の著作権法というのは、そういった免責条項みたいのが入っていないということと、ある意味、著作権法は非常に厳しい、そしてフェアユースみたいなものはないので、そうすると非常にリスクが高いんですね。何かユーザー投稿型のサービスを利用しようというふうになったときに、やはりリスクが高いのでなかなか展開できない。
 ユーチューブがはやったときに日本も当然パクった、何だろう、丸パクりしたようなサービス出しました。NTTも出しました、ソニーも出しました、いろいろ出しました。でも全部、結局きちんとしたユーザーの楽しみを、支持を得られるようなサービスが出なくて、結果的に残ったのはニコニコ動画だけです。あれは、でも、ニコニコ動画も、非常に権利者とのぎりぎりのせめぎ合いの中、最終的には認められるという形になったんですが、そういったものの制約条件があることが日本発のネットサービスをやっていけない一つの理由になっている、阻害要因になっているということは事実でしょうし、どう、本当に日本のサービスをアップル、グーグル、アマゾンの中に負けないでやっていくというときに、またこのダウンロード刑罰化というふうになると、また相当それをユーザーに課すことになるでしょうし、場合によってはこれ幇助みたいなものにもウエブサービスの方がつながっていく可能性があるということになると、やはりなかなかとがったサービスは出しづらいよねというような阻害要因にはなってくるんではないかなと思います。
 以上です。
○参考人(岸博幸君) 私は津田参考人とは若干意見が違うんですけれども、アメリカで著作権法はいろんな規定を設けています。それで、ネットビジネスに有利な規定も当然作っているんですけれども、あえてそういうネットビジネスに有利な規定を作ることが、今後のネットビジネス、ネット上ではプラットホームレイヤーとコンテンツレイヤー両方でビジネスを成長させるために必要だとは思っていません。逆に、今の規定でも、さっき津田参考人も言ったニコニコ動画みたいな、ある意味では世界に通用するサービスができていますので、やはり、本来必要なのは、市場を公正にすること、それは、やっぱり価値あるコンテンツにはちゃんと対価を払うということをする、その中で競争を促進することが必要でして、ちなみに私は、実は、津田参考人が最初の意見陳述で文化の保護と言いましたけど、私はこれも実は反対でして、文化こそ競争、競争というか切磋琢磨を通じて進化するものだと思っていますので、そういう意味では、コンテンツレイヤー、プラットホームレイヤー両方を共通してやはりネット上でも公正な市場、リアルと同じような市場をつくらないといけない。そのための第一歩が、やっぱりこういう違法ダウンロードみたいなものに罰則化をちゃんと付けるということだと思っています。
○山本博司君 ありがとうございました。
○橋本聖子君 自民党の橋本でございます。
 四人の参考人の先生方におかれましては、大変貴重な御意見を賜りましてありがとうございました。賛成の立場あるいは反対の立場からいろいろな御指摘をいただいたことに、改めてこの法律の大切さというもの、そしてまた慎重にやっていかなければいけない部分も多々あるということも認識をさせていただきました。
 ちょっと、がらっと観点を変えて質問をさせていただきたいなというふうに、四人の参考人の先生方の御意見を聞いて、聞こうと思っていたことをちょっと変えようというふうに思ったわけなんですけれども。
 岸参考人からは、今もお話出ましたけれども、音楽を代表として、文化というのはいわゆる戦いであるという、競争力を持ってやっていかなければいけないという話もありましたけれども、その中で、一九九八年、六千億の売上げだったものが今大変半減をしているということで、そこには音楽業界も努力が必要であるんだという話がありましたけれども、今後どういった努力が必要なんでしょうか。世界的に競争力を付けるために、ということでしょうか。
○参考人(岸博幸君) 二つの点が必要だと思っておりまして、一つはやはり魅力ある作品を作ること。これは先ほども津田参考人も言っておりましたけれども、やっぱり作る音楽、当然これ、つまらなかったら、これは違法ダウンロード云々以前の問題として当然別のエンターテインメント、コンテンツに移っていくわけで、そういう意味じゃ、私は、この問題は音楽に限定しないで、放送業界も新聞業界も出版業界も、全てに該当すると思っていますけれども、やっぱり収益が悪化する中でどうしても制作の部門の力が弱くなっている、ここを変える必要がある。
 もう一つは、やはり、じゃ、そのコンテンツを使ったビジネスの構想力、この部分がもっともっと、これはメディアの企業、コンテンツ企業、ネットビジネス、ネットベンチャー全てを含め、まだ足りないなと。
 音楽を例に取りますと、もう諸外国では、いわゆるダウンロードと違って、定額聞き放題というストリーミングサービスが当たり前になっている。日本ではまだまだそういった世界の動きに対抗するぐらいのサービスができていない。これはビジネス面の構想力、ビジネス構築力にまだ足りない部分があると思っていますので、そういうコンテンツの制作面と流通面、両方においてやはりもっともっといろんな取組をしていかないと、なかなか、違法ダウンロードを罰則化という形で、違法ダウンロードコピー、違法コピーを防止するだけでは実は本当に文化が進化することにはならないかなというふうに思っています。
○橋本聖子君 ありがとうございます。
 やはり文化力を上げていくということも必要ですけれども、当然この売上げを上げていかなければいけないということになると思うんですが、この法律が施行されていくことによってどのぐらいの売上げが確保できるようになるかという試算はありますでしょうか。
○参考人(岸博幸君) 私が承知している限りで、この違法ダウンロード罰則化でどれぐらい売上げが上がるかという試算は存在しないと思っております。
 ただ、この部分に関しましては、個人的な意見を言わせていただきますと、やはりこの違法ダウンロードが罰則が付けられた場合に、当然ユーザーの側、今やネットが流通の一番のメーンの場所になっていますので、ネット上で正規のダウンロードの方を使う可能性は高い。今、これは音楽に限定しないであらゆるメディアコンテンツを通じまして、今まで売ってきたリアルのビジネスと比べまして、ネットの売上げは会社単位で見ましても非常に小さいです。ただ、それが今後どんどん伸びていくという推計はありますので、そういうのを考えますと、短期的な効果はそうすぐに出ないとは思いますけれども、中長期的には、さっき申し上げました制作力とかビジネス構築力の強化も組み合わせれば、それはまた成長できる可能性は十分にあると思っています。
○橋本聖子君 ありがとうございました。
 続きまして、久保利参考人にお伺いしたいというふうに思いますが、お話の中で、コンテンツ立国という話がありました。知恵づくり、あるいは芸術づくり、これもやはり同じように世界に向けて日本のこういった文化力を上げていくことが非常に必要であるということなんですけれども、具体的な立国構想というものをお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(久保利英明君) 非常に鋭い指摘だと思うんですね。
 例えば、僕は世界、今百五十か国を歩いているんです。百五十、国を歩いて、日本の放送をやっている国ってほとんどありません。それはほとんど、日本人がたくさんいるようなところしかやっていません。
 ところが、どこへ行っても中国の放送はいっぱい出ているんですね。ありとあらゆるところ、中国人が一人もいないようなところへ行ってもあります。ということは、その放送を現地の人たちが見ることによって、中国ってすばらしいなと思えるような放送も含めて、劇であろうとニュースであろうと、あらゆる世界中で起きたことを、中国人の視点から分析したものを含めて放送されているんですね。多分スリーチャンネルか四チャンネルありますよね。日本の放送局、NHK一つ取ってみたって、ほとんどそういう放送は世界で行われているとは僕は言えないと思います。
 ということは、コンテンツ立国をしていこうということは、これは当然、海外を対象にした輸出ということを考えなければ立国とは言えない。幾ら日本で日本人だけ相手にコンテンツを売ったところで、これは人間は減っていくんだし、それからどんどんおじいさん、おばあさんは増えていくんだし、そんなに世界中で売れるようなコンテンツがどんどんできるとは私には思えません。
 そうなってくると、コンテンツ立国というのは海外進出をいかにやるか。そのときに、人間が全部出ていかなくても、インターネットという方法を使って放送もたくさんできますよね。あるいは本当に放送局を買収したっていいんですよ。そういうふうに動いていくためにはお金が要ります。
 ところが、せっかくNHKが海外に行こうかと思ったときに、またぐじゃぐじゃになってしまって、今、大してコストを払ってやっていません。なぜなら、国民の視聴料で経営をしているんだから、これが本当に日本人のためになるのかという非常に小さな、近視眼的な日本のためというふうに考えている。だったら、ここへ別の予算を入れるとか、あるいは補助金を出すとか、いろんな形で、海外へ行くために特別のものを作っていいよ、制作費ももっとしっかりやりなさいと。「平清盛」ばっかり国内でやっていたって、これが果たしてインターナショナルな英雄として映るのかどうか。
 こういうことを考えてみると、私はコンテンツ立国というのをやる上では、今まさに岸さんがおっしゃった、コンテンツそのものが魅力的であることと、それをどうやってビジネスとして海外に送っていくかというこのトランスポーテーションの問題、この二つにもっともっと工夫をしなければ、私はコンテンツ大国になんかなれないと思うし、そのためには人と金、これをそこへ投入するしかない。
 そういう意味で、私は、コンテンツ立国になっていくためには、まず日本の、母国のマーケットがぐじゃぐじゃになっているときにそんなことをやれるだけの力があるはずないですから、それをまず基礎的なパワーを復活させるために、私は、刑事罰を入れてでも何とか日本の音楽産業ビジネスあるいは芸術産業ビジネスに力を与えたいと、こう思うんですね。
 例えば、いい例ですけど、村上隆さんという人がいます。彼は本当に、映像、アニメ、あるいはフィーチャー、フィギュアですけれども、これを持ってアラブに行って、アラブの王女様がこれすばらしいといって、そこで大展覧会をしてくるわけですよね。あるいは、ベルサイユへ出ていって、あれをベルサイユ宮殿で大展覧会するわけですよね。そういうふうにやって世界へ羽ばたいていくような、そういうコンテンツを作って、そのコンテンツの売り方、見せ方、これも工夫するという一つの僕はモデルだと思っています。
 そういうふうに日本のコンテンツに絡む、文化に絡む人たちが動くべきだというのが私の考えです。
○橋本聖子君 貴重な御意見、ありがとうございました。
 津田参考人にお伺いします。
 これは音楽、動画のみならず、今後はほかのゲームですとか、あるいは別な部分で同じように導入されていくんではないかという危険性、社会全体に及んでいくんだというお話の指摘がありまして、私も考えさせられる部分がたくさんあったなというふうに思っております。
 その中で、文化予算を要は上げればいいんだというお話がありました。お隣の韓国は五千億というお話、日本は今、文化庁予算千億でありますけれども、五倍ですね。実は、私はスポーツ界に長くいるわけですけれども、日本のスポーツ予算と韓国の予算を比べますと、もう十倍以上です、韓国の方が。そういう意味では、ここはいい視点を突いていただいているなと。要するに、先ほどのコンテンツ立国、強い日本の文化づくりという、世界に発信するという久保利参考人の御意見にも、当然やはりこういった予算を上げていくことが必要なんだというふうに思います。
 もう時間が一分しかないものですから、本当に一言ずつになりますけれども、では、今のようなこと、世界に向かってどういう新しい日本独自の、独特の文化を発信していくべきなのかといったときに、文化庁のこの予算というのは幾らになればできるというふうに、一言ずつお話しいただければ。
○参考人(津田大介君) やはり韓国の例ってすごく分かりやすいと思うんですよね。韓国は、大体日本が一番CDが売れていた一九九八年の段階で六千億ぐらいあったときに、韓国のCD市場って大体八百億ぐらいあったんですよね。ある意味でいうと、その国の規模とかと考えると、かなり国民のGDPとかそこまで比較しても相当な金額をやっぱり戦略的につぎ込んでいるというのは確かだとは思うので、その意味では本当に五千億がいいのか、それともそれ以上がいいのかというのは、幾らにすればいいというのは分からないんですが、それは非常に、大きくした方がいいことは間違いないだろうと。
 あとは、本当に僕も、先ほどの久保利参考人のおっしゃっていたのはほとんどもう同様というか、同意見で同意なんですが、でも、その国際競争力を付けていくときの方法として刑事罰化というのが本当に有効なのかというところは疑問が残る。ただし、それに関してやはり向くべき方向性としては多分そうでなければいけないだろうというところと、ごめんなさい、ちょっとあと一点だけ言うと、あとはやはりプラットホームなんですよね。
 例えば、アメリカであればやっぱりアマゾンそしてアップル、非常に強い、世界的に流通するプラットホームがあるんですけれども、じゃ、そこに日本のコンテンツ産業が十分にそういった普及しているグローバルマーケットにコンテンツを乗っけているかといったら乗っけていないわけですよね。それは契約の交渉の問題とかもあるんですが、やはり乗っけていない。そしてまた、そういうことをしないで日本だけの独自規格で、独自メーカーで、日本だけのメーカー、プレーヤーだけで、日本という市場だけを相手にしてやりがちなやっぱりこの日本メーカーの内向き志向みたいなのがあったときに、そこも変わっていかないと、やはり文化予算を増やすというだけではなくて、なかなかコンテンツ立国として外に行くのは難しいんじゃないかな。
 僕も音楽の輸出とか実はジェトロと一緒に仕事とかしたことがあるので、その辺のボトルネックをいろいろ聞いていたので、何かその辺はかなり根が深い問題が、日本の内向き志向の根の深さというのは感じます。
 以上です。
○橋本聖子君 一言、久保利さんだけでいいです。
○参考人(久保利英明君) 一兆二千五百億円です。なぜならば、人口比、韓国は日本人の〇・四、四割しかいません。日本人は二・五倍いるんです。だから、五千億掛ける二・五です。
○橋本聖子君 ありがとうございました。
    ─────────────
○委員長(野上浩太郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、山本博司君が委員を辞任され、その補欠として長沢広明君が選任されました。
    ─────────────
○委員長(野上浩太郎君) 質疑を続けます。
○柴田巧君 みんなの党の柴田巧です。
 今日はお忙しい中、どうもありがとうございます。
 それでは、まず市毛先生にお聞きをしたいと思いますが、先ほどもお話をされました、また資料の中にも書いてございますが、違法ダウンロードの問題を解決するためにこういう代替手段があるということをおっしゃっておられますが、その中で、啓発あるいは教育というのは非常に重要なものだとは思っていますが、著作権教育の日本のここが足りないと、ここが十分じゃないと、一層の充実ということを訴えておられるわけですが、特に何が欠けているとお考えになっておられるか、まずお聞きをしたいというのが一つ。
 それと、その意識の啓発、教育は大事でありますが、それから違法アップロード自体に対する対策も大事でありますが、果たしてそれだけでこの違法ダウンロードの問題を解消する具体的な、有効な実効性のある果たして刑罰化に代わる対案になっているだろうかというのは非常に疑問を感じるんですが、そこら辺含めて御見解をお聞きをしたいと思います。
○参考人(市毛由美子君) 著作権教育に何が足りないのかというのは、深く考えたことがございませんし、日弁連としても特に議論をしておりませんが、法教育一般について言えることは、やはり青少年、子供に対して法律がどういうものであって、正義とはどういったものか、人権とはどういったものか、そして著作権を含めて知的所有権がどういったものかという教育がやはり十分でないということは一般的に言えると思います。その辺りのことは、法教育を充実させるというその一環の中でやはり著作権教育というのもしっかり教えるべきだというふうに考えております。
 それから、代替手段について、それでは抑止力として不十分ではないかという御意見ですが、代替手段を尽くしたというまでやっているのかというところが私どもが提起している問題であって、そういったものを尽くした上で検証をしていないと、まだそういった段階には至っていないと、検証、評価がされていない段階で一足飛びで刑事罰を導入するということにはやはり非常に抵抗感を感じると。
 特に、可罰的違法性がないものについては検挙されないんだからいいのではないかという御議論に関しては、そうであるのであれば、何が可罰的違法性を帯びるような違法ダウンロードなのかというところも議論されないと、結局、何をすれば処罰されるのかというところの輪郭が明確でない。そういう趣旨で行為規範として明確でないものを作り、かつ刑罰権が発動されないような刑事罰規定を置いたとしても、どっちみち処罰されないのではないかという意識が蔓延することで実は実効性を損ねるというようなこともあるかと思います。
 また、恣意的な運用に関しては、見せしめ的に著名人やあるいは議員の先生方のみがターゲットに挙げられて処罰をされるという事態も考えられなくはございません。そういった意味で、恣意的な運用のリスクを残すというような立て付けでのこの法制に関しては反対ということでございます。
○柴田巧君 ありがとうございました。
 次に岸先生にお聞きをしたいと思いますが、せっかくの機会ですので、やや、この違法ダウンロードの問題だけじゃなくて大きくお聞きをしたいと思いますけれども。
 今回の違法ダウンロードの問題を含め、今回の改正案そのものに対して岸先生はどのような御認識を持っておられるか。また、恐らく今後、いろいろ世の中の変化に伴って、技術の進歩に伴ってこの著作権法の見直し、改正というのはいずれまたやらなきゃならぬことになるのではないかと思われますが、それに当たって、今後の検討課題としてはこういうものが挙げられるというものがあれば教えていただければと思います。
○参考人(岸博幸君) 私は、今回の著作権法改正に関しましては、フェアユースの問題とか本当に大事な問題、全部取り組んでいまして、そういう意味では、文化庁著作権課の事務方の方は本当に多大な努力をされたというのは、そこは素直に評価をしたいと思っています。
 ただ、同時に、やはりこれだけネットが普及してきた、津田参考人も最初の方で言っていましたけれども、やはりネットが普及する中では、どうしても過去の著作権の体系、要は権利ということで対価を取るというのが実際の技術進歩にそぐわない面もありますので、そう考えますと、今後はいわゆるデジタルとかネットが当たり前の社会、リアルとネット上両方でそうなっていく。その中で、ちゃんと価値あるコンテンツを作る、価値ある情報を作る人が正当に報われる体系は、もしかしたら今の著作権法とはかなり発想を変えた形の方が望ましいのかもしれない。そういう意味では、やはりこの十年ぐらいで大分環境変わって、これから更にネットが普及して変わっていくと思います。
 その中で、このデジタルとネットの長所をうまく社会に取り込みながら、その一方で価値ある情報コンテンツを作る人が報われるというのに一番ふさわしい著作権法の体系の在り方はどうすべきか。多分、これは諸外国どこもみんな試行錯誤して、何が正解か分かっていません。その意味では、この部分に関しては、諸外国の今の法制を参考にするよりも、やはり日本独自のものを目指して、その延長でネット上のプラットホームで、アメリカのネット企業ばかりでなくて日本のネット企業とか日本のコンテンツ企業が世界にビジネスモデルを示していける形がつくれればというふうに思っております。
○柴田巧君 ありがとうございました。
 次に久保利先生にお尋ねをしたいと思いますが、先生はいわゆる知的財産戦略本部にもおられて日本の知財戦略にかかわってこられたお一人でありますが、そういう御経験をお持ちの先生にちょっとお聞きをしたいんですが、先般、御案内のとおり、知財推進計画二〇一二がまとまりました。その中で、例えばその著作権侵害のコンテンツの流通量を八割程度減少させるとか、あるいは海外のコンテンツ規制の解禁や緩和の実現も盛り込むということなどが今度の新たな推進計画に入ったわけですけれども、そういったことを含め、この二〇一二の推進計画をどのように評価をされているか、あるいはまた、さっきとちょっと重なっておるかもしれませんが、今後の日本の知財戦略、どうあるべきだとお考えか、お尋ねをしたいと思います。
○参考人(久保利英明君) 率直なことを言わせていただければ、もう計画はたくさんだというふうに私は思っています。実行しない計画を幾ら幾らどんどんどんどん積み重ねてみても、もし御疑問に思ったら、二〇〇六年、七年辺りの計画を御覧いただくと、ほとんど大事なことは全部書いてあります。それを全部省庁に丸投げをして、何々省がこうしろ、何々省はこうしろ、こういうふうに言った結果、実際は余り進んでいないんですよね。問題は実行力です。ですから、やっぱり首相が自らが旗を振って、自分で動いて、やれという号令をしっかり掛けて、かつそれをモニタリングして本当にやったかというのを見なければ、これはなかなか進まないですよね。
 ですから、そういう意味では、私が随分計画の中で言ったことも実現していませんし、ましてや、恐らく、今いろんな方々が一生懸命また努力しておっしゃっている計画も実は実行されないで終わることがたくさんあるんではないか。結局は、実現したのは映画の盗撮防止法だとか、そういうものはできてきました。しかし、それは言わばメーンテーマとして計画の中に書いたものではなくて、そうではない、業界とか心ある議員の先生方が一生懸命これじゃいかぬよねと言って作っていったものなんですよね。
 だから、そういう意味で、是非、国家戦略としてやるのであれば首相が自ら先頭に立っていただきたいというのを、大変差し出がましい、偉そうなことを言って先生方に申し訳ありませんけれども、率直に言えと言われれば、そういうことでございます。
○柴田巧君 ありがとうございました。
 最後に、津田さんにお聞きをしたいと思います。
 先ほどの質問にちょっと重なりますが、文化予算増やしていくということは我々も賛同するものでありますが、特に音楽業界じゃなくて音楽文化を更に振興、発展させるためにこういう支援策が、予算措置があれば望ましいというものがあれば教えていただければと思います。
○参考人(津田大介君) これは岸参考人がこの前、ウエブの原稿で紹介していましたけれども、補償金の問題というのが一個あるわけですよね。どうしてもインターネット、情報技術というものが流通することによって日本のコンテンツもたくさん出てきたと。例えば、これはフランスのオランド大統領、新しい大統領が、じゃ、それだったら、情報を流通させることによって利益を得ている通信業者から一定のコンテンツ税みたいなものを取って、それをクリエーターに還元すればいいんじゃないかという案もありました。
 実は、僕はだから、二〇〇六年から二〇〇九年に参加していた違法ダウンロードが決まった委員会でも、あれは元々私的録音録画小委員会というところで、いわゆるメーカー、ソニーやパナソニックといった音楽とかの著作物をコピーするようなところから著作権料を広く薄く取ってそれをクリエーターに還元するというような、そこを話し合う、そこの制度設計をする委員会でもあったわけですけれども、そこで、例えば、だから、ある意味でいうと、広く薄く取ったものというものは直接分配ってなかなかできないわけですよね。直接分配できないんであれば、そういったものを、対象範囲を広げる代わりに、じゃユーザーのコピーできる自由というのをある程度認める範囲に広く薄く補償金というのを拡大して、それを文化予算に組み込んでいけばいいんじゃ、文化予算的に組み込んでいけばいいんじゃないかという議論なんかも僕は提案したんですけれども、余りそっちの方は議論されずに違法ダウンロードだけが決まっていったという経緯があるので、例えば、本当にだから、そういう意味での方向性というのは一つあるのかなと思います。
 ただ、重要なのは、やっぱりこれ、先ほど、学校でどう教えるのかという話ともかかわってくるんですけれども、今学校でこういうインターネットのことを教えるのって、実質的にパソコンって情報の授業しかないですよね。情報の授業で高校生何やっているかというと、パワーポイントを使ってプレゼンをするとかそういう授業しかやっていなくて、情報とどう向き合うかというようなことをまず全然学校で教えるということが足りていない。それを拡充していくということは重要ではあるんですが、やっぱりこれ教科書の検定の問題もあるので難しいんですよ。
 だって、もう五年前とかはツイッターとかほとんどなかったわけですよね。ユーチューブとかは全然、ネットってすごく激しいんですよね。非常に動きが激しい。著作権とかコンテンツビジネスのモデルというのも、どんどん数年で常識が変わっていくわけですよね。議員の皆さんもツイッターとかやられている方増えましたけれども、例えばツイッターで何か書いた、それ自身も実は、発言によってはやっぱり著作権が認められるけれども、ツイッター上ではそれがみんなにツイートという形で簡単にコピーできる、簡単にコピーできて広まっていくと。それは、だからその利用規約上でやっているから別に合法ではあるんだけれども、それがいろんなところに利用されて広まっていく。
 フェイスブックに至っては、フェイスブックも同じような、いろいろな音楽や何かシェアするという形で自分の友達とかと簡単に共有することができる。フェイスブックなんかは、今はもうアメリカは、日本ではまだ導入されていないですけれども、アメリカでは、自分の友達と今自分が聞いている音楽をお互いに同じ音楽を聞きながら楽しめるなんていう、そんな機能とかもあって、フェイスブックはもう今十億人ですからね、世界で。
 十億人が利用できるプラットホームで、自分が同じ部屋で音楽を友達と楽しんでいるような感じでネットを通じて世界中と楽しむみたいな、そんなように、ある意味でいうと著作権の常識というのはどんどんドラスチックに変化しているという中で、やっぱり、その中で僕はやるべきなのは、その情報環境、最新の情報環境で物を作らせることだと思うんですよね。生徒たちに物を作らせて、物を作ったときにどう広まっていくか、そしてどういう権利が発生するのか。作れば、やっぱり作る苦労というのが分かるわけですよね。何かに対して、コンテンツに文句を言うというのは誰でもできますけど、でも実際に作ってみるとこんなに大変なんだというようなことはすごく分かると。
 まず作らせて、そして学ばせて、そして権利が発生すると。で、権利が発生したものというものは、じゃ、あなたは作ったものを誰にどういう形で届けたいのか、お金が必要なのかというところまで含めて学ばせるということによって、多分著作権教育というのは、実質でまだそういう意味での実習型のメディアリテラシー教育というのが、実質イギリスとかオーストラリアはかなり進んでいますので、そういうものを参考に日本の教育現場にも取り入れていく必要があるんじゃないかなと思います。
 以上です。
○柴田巧君 どうもありがとうございました。
○横峯良郎君 今日は、本当に参考人の皆さん、ありがとうございます。
 市毛参考人にお聞きしたいんですけど、先ほど外国の例を挙げて、これで反対だと言われていましたけど、外国の例をちょっと具体的に教えていただけませんか。
○参考人(市毛由美子君) 具体的に先ほど説明した限りの情報しか実はないのですが、分かりやすく言うと、制度はあっても刑事事件として裁判になり処罰されているケースというのはごく少ないということでございます。
 これと同じことが日本でも起きるのであれば、むしろ、刑事罰だけある、法律はあるけれども発動されない、それが抑止力になるのかと。どっちみち処罰されないんだという、そういう観念が広がる、認識が広がるということで抑止力がなくなってしまうんじゃないかということも懸念されるし、あるいは先ほどから申し上げている、処罰できるかという意味では、法律がありますからできます。そうすると、特定の狙い撃ちをした方だけが処罰されるという、そういう非常に不公平な、人権的に、人権侵害という意味でも問題な運用がされるのではないかということが懸念されるということです。
 その前提として、諸外国でも実際に刑事罰が発動されている例というのは少ないという御説明をさせていただきました。
○横峯良郎君 ということは、結局、刑事罰になりにくいということですね。
○参考人(市毛由美子君) そうですね、法律上その罰則を定めても、それを執行するというのは極めて困難だということが諸外国の例からも推察されるということでございます。
○横峯良郎君 ありがとうございます。
 久保利参考人にちょっとお聞きしたいんですけど、刑罰が二年の二百万ということがあるんですけど、これは妥当ですか、法律から見て。
○参考人(久保利英明君) おおむね妥当だと思います。
○横峯良郎君 これは未成年も含まれるわけですよね。
○参考人(久保利英明君) 未成年が入ることもないとは言えないでしょうけれども、まあ基本的には、未成年が一件、二件やった、ちょっと遊びでやったということをこれを犯罪であるということで立件をするのは、恐らく、私の考えでは非常に異常な捜査官の判断だろうというふうに思われます。
○横峯良郎君 ありがとうございます。
 津田参考人にお聞きしたいんですけれども、先ほどから、案としては文化予算をもっと韓国並みにしてほしいと、した方がこれが実現化するんではないかという案を出されたんですけれども、それ以外の案も先ほど何回か言われているんですけれども、もっと具体的に、もう最後ですので、私だったらこういうふうにしたら、今は反対しているけれども賛成するんだという案がありますか。
○参考人(津田大介君) 多分、根本的な問題としては、これは別に、違法ダウンロード、野放しではないんですよね。野放しではなくて、今回の刑事罰を付けないと処理ができないのかといったら、そんなことはなくて、一九九九年、まさにインターネット時代の著作権侵害に対応するように、日本の場合は送信可能化権、これは世界でも初めて、類を見ない形でインターネットの著作権侵害に対応しようという形でやったと。これはもう、ある種文化庁の担当課長の人たちがみんな誇っているぐらい先進的な著作権法改正だったと。
 インターネットって、でも根本的には誰かが違法な著作物をネットに上げなければ、そもそも駄目なわけですね。逆に言うと、それはもう刑事罰もとっくに付いていますし、どんどん今重くなっていますから、それによって、だから今ネットに不法に上げた人というのは実際に何度も摘発はされているわけですよね。でも、上げる人がいなければそもそもダウンロードする人がいない。誰かが上げたことによって百万ダウンロードされれば、それは百万ですけれども、でもその百万人に対して一個一個やっていくというよりも、とにかく元栓を閉めるということが重要であるというときに、じゃ何でそれで元栓を閉めるという対策がうまくいかないのかというのは、やはりイタチごっこになっているということもあるでしょうし、もう一つは例えば、ネットに誰か上げるやつがいると、それに対して著作権権利者側が情報開示請求をして落としてもらうというところの、そこでやはり結構スタックしているところがあるんですよね。
 そこで、プロバイダー側が、自分たちのところから犯罪者を出したくないというところだったりとか、ある意味でいうと、プロバイダー責任法の情報開示プロセスなんかにもかかわってくる問題で、どちらかというと、そこの摘発のプロセスの問題で考えていくような、海賊版を対策をするんであれば、むしろ著作権法という形で広く社会全体に与えるところの改正というよりも、もっと個別の手段若しくは送信可能化権のところというところでやる方法は多分幾らでもあるのに、なぜこういう乱暴なやり方をするのかというところが僕の問題意識ではあるので、むしろ海賊版、いわゆる本当にデッドコピーみたいなものを対処していくというのには僕も全然賛成なので、そのための議論というものを是非やってもらいたいなというふうに考えます。
 以上です。
○横峯良郎君 ありがとうございました。終わります。
○委員長(野上浩太郎君) 以上で参考人に対する質疑は終わりました。
 参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表しまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十八分散会