第183回国会 本会議 第2号
平成二十五年一月三十一日(木曜日)
   午前十時一分開議
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○議事日程 第二号
  平成二十五年一月三十一日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
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○本日の会議に付した案件
 一、日程第一
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員、裁判官訴追委員
  及び同予備員辞任の件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員等各種委員の選挙
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○議長(平田健二君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る二十八日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。岡崎トミ子君。
   〔岡崎トミ子君登壇、拍手〕
○岡崎トミ子君 民主党・新緑風会の岡崎トミ子です。
 会派を代表して、安倍晋三内閣総理大臣の所信表明演説に対して質問をいたします。
 質問に先立ち、アルジェリアでのテロによって犠牲となられた皆様に心から哀悼の意を表するとともに、御家族、関係者の皆様に衷心よりお悔やみ、お見舞いを申し上げます。
 遠く日本を離れて仕事をされていた方々に多くの犠牲が出たことは痛恨の極みで、この許すことのできない蛮行に対して、私たち民主党・新緑風会としても強く非難するものです。この事件の解決、海外における日本人の安全確保、テロの根絶に向けて今後も取り組んでまいります。
 続いて、東日本大震災について申し上げます。
 東日本大震災からの復旧・復興は最大の課題であり、我が党も政権党として復旧・復興の促進、被災された皆様の生活再建に力を尽くしました。現場の取組、住民の皆様の努力によって復興の芽が出てきております。
 一方で、多くの方が我慢をし、苦しみ、また、もがいていることも受け止めています。被災地では、震災を風化させないでほしい、風評被害対策を徹底してほしいと繰り返し訴えられます。風評被害が根強い一方で、既に進んでいる風化に対する焦りが広がっています。
 特に被害が甚大だった地域の現状には厳しいものがあります。例えば、私の地元である宮城県の気仙沼市、南三陸町、女川町、石巻市、東松島市では、震災一年半で約二万二千人減少したと指摘されています。
 時間がたって、ますます深刻化する精神的なダメージに苦しんでいる方も増えています。集団移転の促進、復興公営住宅の整備、農林水産業の再生、中小企業支援、住民の生活再建、心のケアなどの取組にますます力を入れなくてはなりません。殊に、地域の実情に合った再建支援がますます必要な段階に至っています。
 東京電力福島第一原発事故による被害については、子供を始めとした住民の生活を守り支えることが必要ですし、適切な除染を始め、地域の将来に見通しができるような取組を進める必要があります。
 これらは与野党を超えて取り組むべき最重要課題と認識しており、しっかり取り組んでいくことを申し上げます。
 さて、二〇〇九年、国民の皆様の熱気に押していただく中で民主党政権がスタートしました。三年三か月がたち、さきの総選挙で厳しい審判を受けました。政権運営と党運営の未熟さなど、その要因をしっかり反省する必要を真摯に受け止めています。
 しかしながら、人に着目した政治にかじを切ったことは、間違いなく民主党政権の成果でした。鳩山元総理がいのちを守る政治、居場所と出番を語り、菅元総理が誰一人として排除されることのない包摂社会を訴え、野田前総理が分厚い中間層の復活を唱えたのは、民主党の一貫した姿勢の表れです。人の命や生活を大切にし、支え合いの場をつくり、自立の足掛かりがつかめないでいる方に手を差し伸べる政治、行政を目指して動き出していました。
 民主党政権が目指したこうした政策は、社会の活力を取り戻し、経済を再生するためでもあり、そのためにこそ、生活の基盤を整え、誰もが頑張って仕事をしようとする気持ちになれる環境をつくろうとしたのです。絶対に後戻りを許すことはできません。
 以下、安倍総理の所信表明演説に対して質問をしてまいりますが、所信表明演説であるにもかかわらず、原発、エネルギー政策、TPP、社会保障、定数是正、憲法改正、集団的自衛権など、国民が関心を持つテーマについて触れていません。これでは国民は、安倍政権に対して評価のしようがありません。
 そこで、改めて、これらのテーマの幾つかを含め、安倍政権の基本姿勢をただし、あわせて、民主党政権が大切にしてきた問題意識、政策について、変えるのか変えないのか、質問に立つ同僚議員と手分けをしてただしてまいります。
 初めに、経済政策の基本姿勢について伺います。
 安倍内閣が緊急経済対策を決定し、補正予算を編成したことは民主党としても当然と考えます。民主党はその内容をしっかり精査、吟味していきたいと考えます。派手な打ち出し方が功を奏しているのか、アベノミクスという言葉が躍っているように思います。しかし、安倍内閣の取組については危惧すべき点があります。小泉内閣以降、競争至上主義に走ったことで、国民生活、地域経済は疲弊し、雇用不安が増大し、格差は拡大し、社会保障、教育のセーフティーネットが揺るぎました。
 だからこそ、民主党政権は、家計に対する支援を最重点と位置付け、賃金を引き上げ、国民の可処分所得を増やして、消費の拡大を図ることを重視しました。また、中小企業、農業など地域を支える経済基盤を強化し、年金、医療、介護など社会保障制度や雇用、教育制度を信頼できる持続可能な制度へと組み替えていくことに全力を注ぎました。
 ところが、安倍内閣は、過去の反省もなく、社会的公正、適切な配分は二の次で、以前にも増して苛烈な競争主義、市場万能主義を加速させているとの印象を受けます。新成長分野のイメージもはっきりしない中、旧態依然としたばらまきが復活しています。なりふり構わぬ金融緩和政策は、中央銀行の独立性を侵すだけでなく、財政破綻を加速し、賃上げなきインフレを引き起こす心配があります。行き過ぎた円高は是正すべきですが、急激な円安政策にもまた副作用があります。
 国民は、こうしたことについて十分な説明を受けていません。持続可能な成長ではなく、参院選挙までミニバブルを続ければいい、ツケは未来に、後は野となれ山となれという経済運営になってはいないでしょうか。
 こうした懸念にどうこたえるのか、どのような基本的姿勢で経済運営に取り組んでいくのか、安倍総理の明快な答弁を求めます。
 安倍総理は三本の矢で経済再生を推し進めるとおっしゃいましたが、今のところ、国土強靱化の名の下の公共事業への偏りが目立ちます。国土強靱化の内容とされる事前防災・減災対策の抜本強化自体は必要なことですが、自民党が当初、十年間で二百兆円の公共投資を実施するとしたことなどから、安倍政権の姿勢には、初めに金額ありきという印象が拭えません。
 民主党政権では、大型公共事業についての検証作業を間断なく行いました。かつての非効率な公共投資が蔓延して債務を積み上げる手法に後戻りするようなことがあってはなりません。日本にそのような余裕はありません。
 無駄を排除し、真に必要な公共事業に特化していくために、どのように取り組んでいくつもりなのか、基本的な考え方と具体的な手法を総理に伺います。
 また、公共事業の一挙拡大が東日本大震災からの復興に与える影響も懸念されます。これまでも不足しがちであった人員、資材の不足に拍車が掛かり、復興事業が前へ進まないという事態になることが心配されます。この問題についてどのような対策を取るのか、総理に伺います。
 さて、総理は、政府が所得の分配を繰り返しても持続的な経済成長を通じて富を生み出さなければ全体のパイが縮んでいってしまう、そうなれば一人一人がどんなに頑張っても個人の手元に残る所得は減るばかりと言われました。
 しかし、逆に、一人一人が頑張るための条件が整わなければ、真に持続的な経済成長は望めません。雇用の質や生活困窮者への対策はそうした面からも重要なものです。
 民主党政権では、自殺対策にも力を入れました。昨年は、自ら命を絶った方が十五年ぶりに三万人を切りました。自殺率を見ても減少をしており、取組の継続を促す変化だと思います。
 しかし、二万七千七百六十六人というのは依然大変な数で、深刻に受け止めなくてはなりません。また、若年層を見ればむしろ増加傾向にあり、そのことにもきちんと向き合う必要があります。
 今後、社会的包摂の事業を、また自殺対策をどうしていくのか、総理にお尋ねいたします。
 民主党政権では、就労可能な方々が生活保護に陥る前の第二のセーフティーネットである求職者支援制度を創設しました。また、雇用保険法を改正し、雇用保険の適用を拡大しました。労働契約法の改正では、有期から無期へ、失業の不安のない良質な雇用の増加を目指しました。
 重層的なセーフティーネット構築のためには、第二のセーフティーネットの一層の強化と、確実に就労に結び付けるための抜本的な支援策の拡充が必要です。良質な雇用の確保に向けた取組、生活困窮者対策についての基本方針を総理にお尋ねします。民主党政権の方針を引き継ぐのでしょうか、変えてしまうのでしょうか。
 安倍政権は、来年度から三年間で生活保護費を七百四十億円減額することを決めました。
 生活保護には様々な問題があり、例えば、医療扶助は過剰診療の防止や後発医薬品の使用促進によって適正化し、不正受給は徹底して取り締まるべきです。また、生活保護からの自立を促すため、民主党政権が検討してきた生活支援戦略に基づいて就労支援も大幅に強化すべきです。
 また、一部で見られる低所得世帯、生活保護世帯の逆転現象の解消も必要です。ただし、その原因の分析や低所得者支援の強化などが必要であり、生活保護基準の引下げは慎重に検討すべきです。
 特に、最も影響を被るのは、多くを母子家庭が占める子育て世帯です。安倍政権は、今回の基準引下げで、子育て世帯で最大一〇%減額することにしました。民主党政権は、チルドレンファースト、貧困の世代間連鎖を断ち切るという理念の下、高校中退者を半分に減らし、生活保護家庭の高校進学率も二%引き上げましたが、それが水の泡になってしまうかもしれません。
 生活保護家庭には、外出が困難な高齢者や、うつ症状など疾病や障害を抱えている方も多くおられます。基準が下がれば、冷暖房費が賄えなくなり、熱中症など、生命の危機に直結する事態も起こりかねません。生活保護制度は、最後のセーフティーネットです。基準の引下げは、保護世帯の子供たちを貧困の連鎖に陥れるだけでなく、生活保護を受給されている方々の生きる希望や自立する意欲を大きく減退させかねません。
 生活保護を受給していない低所得者全体に多大な影響を及ぼすことも理由の一つです。保育料、年金保険料、介護保険料、住民税など、低所得者の負担軽減策の中には生活保護基準と連動しているものがたくさんあり、基準引下げによって、生活保護以外の低所得者の自己負担も連動して上がることが懸念されます。
 民主党の厚生労働部門会議では、政府からのヒアリングを繰り返し行い、生活保護基準の引下げでどれくらいの人にどれくらいの負担が増えるのかの説明を政府に求めてきました。しかし、政府は、その影響はもちろん、実態把握すらしていませんでした。その後も、試算や実態把握を繰り返し求めましたが、政府は拒み続け、拙速に基準引下げを決定してしまいました。
 安倍総理に伺います。
 この度の生活保護基準の引下げで、生活保護を受給していない低所得者のうち、どれくらいの人がどれくらいの負担増となるのか、具体的に説明してください。答えられないのであれば、いつまでに調査するのか、お答えください。また、負担が増える方々に対してどのような対策を講じるのでしょうか。
 経済の活性化には、女性の力の活用が欠かせません。女性の参画は、単に労働力を増やすだけでなく、新しい発想でイノベーションを促すなど、様々な分野で経済を活性化する大きな可能性を持っています。民主党政権では、企業の女性登用の情報開示の促進などを内容とする、女性の活躍による経済活性化の行動計画、働くなでしこ大作戦を策定しました。安倍政権は、どういう認識に基づいてどのような取組を行うのでしょうか、総理にお尋ねいたします。
 女性の経済参加を妨げる要因の一つに、女性に対する暴力があります。DV防止法、ストーカー規制法の運用状況の検証に基づく見直しが求められ、党内で検討をしています。政府にも早急な運用の改善を求めますが、総理、いかがでしょうか。
 次に、子ども・子育て支援政策について伺います。
 民主党政権では、チルドレンファーストを政策の柱に掲げ、子供一人一人の育ちを社会全体で応援し、将来の日本を担う人材を育てるという社会を目指しました。
 子ども・子育て支援は、男性、女性が共に働き続ける環境づくりの一環としても欠かせません。
 民主党政権の三年間に、私たちは、子ども・子育て関係予算を平成二十一年度の一・七兆円から二十四年度の三・六兆円へ増やしました。
 子ども手当を平成二十二年に創設しましたが、その後の経済状況、財政状況、震災後の状況を経て、現在は、三党合意による新たな児童手当が給付されています。新たな児童手当の給付総額は、旧制度の一兆円の二倍以上となり、支給対象が中学生まで広がり、所得制限を超える世帯の子供にも月額五千円が支給されています。また、待機児童解消のため、保育所の定員を二十二年度に前年比二・六万人、二十三年度に四・六万人増やし、放課後児童クラブを実施している数は平成二十一年から二十三年にかけて二千八十二か所増やしました。
 民主党政権発足後、合計特殊出生率は平成二十二年に一・三九へと上昇に転じ、その水準を維持しています。子育て世代に子供を安心して産み育てられると確信してもらうには、将来にわたって支援を続けることが必要です。安倍政権には、新児童手当を含め、成果を出し始めた民主党政権の子ども・子育て支援策を継承していただきたいと思いますが、変更せずに続けるお考えか、総理に伺います。
 民主党政権が実現した高校授業料の無償化は、教育費負担の大幅軽減、中学生の進路選択の幅の拡大、経済的理由で高校を中退する生徒の数の半減、一度高校を中退した生徒が再入学する学び直しの大幅な増加など、目覚ましい成果を上げてきています。
 自民党は野党時代、この高校無償化をばらまきだと批判してきました。そして、残念ながら、選挙公約で所得制限を導入するとしました。世界的に見ても、OECD加盟国を中心に多くの国で後期中等教育は無償であり、国際的な常識となっております。それは、親の所得格差から子供の学ぶ権利を守るためです。この高校授業料無償化の理念に対して、安倍総理はどのようにお考えでしょうか。
 また、既に行われている無償化に後から所得制限を導入することは、子供たちの学ぶ権利を侵害しかねません。実務的にも保護者、都道府県、学校への負担を増やすものと考えられます。それでも所得制限を導入する理由は何なのでしょうか、安倍総理の見解を伺います。
 次に、難病対策について伺います。
 民主党政権では、医療費助成である特定疾患治療研究事業について、昨年度より七十億円増額するなど、その拡充に努めてきました。
 しかし、予算措置に頼るやり方は限界に来ており、難病対策の抜本的な見直しに向けて厚生労働省の難病対策委員会を中心に議論を進め、先週、医療費の助成対象となる特定疾患を現在の五十六から三百以上に大幅に拡大する提言が取りまとめられました。制度の谷間をなくすためにも、できるだけ広く指定すべきだと考えますが、総理のお考えを伺います。また、政府はいつ法案を提出するのか、併せてお尋ねします。
 エネルギー政策についてお伺いします。
 東京電力福島第一原子力発電所の事故を契機に、我が国のエネルギー政策は大きな転換が迫られています。
 過去の反省を教訓として心に刻みと所信表明で述べておられますが、福島原発事故についての言及は全くありません。過去の反省というのであれば、最も反省しなければならないのが原発の安全性についての過信ではないでしょうか。なぜ所信表明演説で福島原発事故への言及が全くなされていないのか、総理にお伺いいたします。
 民主党は、昨年九月、原発ゼロを目指してという提言をまとめました。現状を見据えつつ、将来の原発ゼロ社会を目指すため、四十年運転制限制を厳格適用する、原子力規制委員会の安全確認を得たもののみ再稼働とする、原発の新設、増設は行わないという三つの原則を厳格に適用し、二〇三〇年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入するというものです。
 このため、省エネの積極的な取組を実施し、固定価格買取り制度を生かして、風力、太陽光といった再生可能エネルギーを飛躍的に導入すると同時に、燃料電池、蓄電池等の普及を進め、地産地消型のエネルギー革命を目指していくこととしていました。
 自民党は、政権公約において、エネルギーの最適な電源構成を十年掛けて確立すると掲げていました。しかし、それでは今のエネルギー政策を惰性的に進めるだけで、国民が抱く原発リスク不安の解消の処方箋にもなりません。
 さらに、安倍総理は、民主党政権が策定した二〇三〇年代に原発稼働ゼロを目指す政府の革新的エネルギー・環境戦略について、新たに造っていく原発は福島第一原発とは全然違うと原発の新規建設を容認する姿勢を示し、民主党政権で決めた原発ゼロへの道を大きく変えようとしています。
 安倍総理にお聞きします。
 総理は原発の新設を認めていく御認識でしょうか。そして、自公政権合意で言う原発依存度の低減とはどの程度のものを指すのでしょうか。また、原発に依存しない社会の実現に向けて、民主党政権がまとめた革新的エネルギー・環境戦略をどう取り扱っていくのでしょうか。そして、安倍政権としては、国民に安心を与えるエネルギー政策をどのように構築していくお考えか、その道筋を教えてください。
 バブル崩壊後、中央集権型の画一的な政策ではもはやこの国の成長は成し遂げられないことが明らかになる中、地域の創意工夫を生かしていくことが重要なテーマになってきました。
 そこで、二〇〇九年の政権交代以降、民主党政権は、地域のことは地域で決められるようにする地域主権改革を大胆に進めてまいりました。その中の大きな柱の一つが、ひも付き補助金を廃止して基本的に地方が自由に使える一括交付金の創設であり、地方自治体からも高い評価を得てきました。
 しかし、安倍政権は、緊急経済対策の中で一括交付金を廃止し、ひも付き補助金を復活させる方針を打ち出しました。ひも付き補助金は中央官僚による地方支配、利権政治の根源となってきたものであり、地域主権改革の時計の針を戻すものです。
 安倍政権として、地域主権改革に対してどのような理念を持っているのか、なぜ一括交付金を廃止するという結論に至ったのか、総理の明確な答弁を求めます。
 安倍総理は、訪米を前に、集団的自衛権行使を認めることに前向きとされており、そのことは総理御自身、選挙中から声高に訴えてこられました。言うまでもなく、集団的自衛権の行使は、従来憲法上許されないとされていたもので、以前の安倍内閣時代の二〇〇七年から二〇〇八年にかけて問題提起して頓挫した経緯があります。
 今までの安倍総理の発言を拝聴していると、初めに集団的自衛権解釈の見直しありきのように思われます。日本の外交原則の大きな転換になるだけに、冷静な議論が必要です。集団的自衛権に関する見解及び議論の進め方についての総理のお考えを改めてお伺いします。
 政府は、当面の復興予算について二十五兆円への増額を決めました。震災からの復旧・復興は最重要課題であり、必要な資金が有効に活用されるということであれば、我々としてもきちんと受け止めるべきだと考えます。しかし、地域にもよりますが、おおむね半分程度しか執行されていないという復興予算の現実にも目を向けるべきです。
 民主党政権下で着手された事業は進捗しつつあり、住民、自治体、関係者の御努力で復興計画の策定、住民の合意形成、用地買収等の作業が進み、今年には現地で復興が目に見える形になるのではないかと考えます。
 一方、復興が遅れている地域においては、合意形成、権利調整等に時間が掛かっており、単に予算だけを積み増しても、その多くを次年度に繰り越しては意味がありません。復興に向けて予算が消化できるよう、人員面を始めとした支援の強化が先決だと思いますが、総理、いかがでしょうか。
 復興に向けた取組には与党も野党もありません。積極的に議論をしつつ、復興に向けて力を合わせていく決意を改めて申し上げます。
 以上、安倍政権の方針について、るるお尋ねしてきました。
 私は冒頭、風化させないでという被災地からの訴えを申し上げました。難病のこども支援東北ネットワークが、震災が起きてからの記録として子供たちや家族の手記を冊子にまとめました。そこには、つらい日々から学んだこととして、最後に大切なことは人であるということ、最後に頼りになるのは人との信頼関係によってつくられる地域社会であるということ、生きるために大切なものは寄りかかれる人の優しさであるということと書かれていました。私は、この言葉を心に刻んで取り組んでいきたいと思います。
 民主党は、三年三か月、政権党として人に優しい政治を目指してきました。その政権党としての経験を踏まえた責任ある野党として、政権を厳しくチェックしつつ、選択肢を提示するなどの役割を果たしながら、政権交代可能な民主政治で一翼を担う党として全力でこの国会に臨む決意を申し上げて、代表質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 岡崎トミ子議員にお答えをいたします。
 安倍内閣の経済政策の基本姿勢についてお尋ねがありました。
 頑張る人は報われるという社会の信頼の基盤を守っていくため、経済再生を推し進め、これを雇用や所得の拡大につなげていかなければなりません。そのため、次元を超えた政策パッケージとして、日本銀行との共同声明や緊急経済対策、その裏付けとなる大規模な補正予算等を先般取りまとめたところであります。その意義や内容については、今後とも国民に対する丁寧な説明に努めてまいります。
 他方で、財政出動をいつまでも続けるわけにはいきません。民間の投資と消費が持続的に拡大する成長戦略を策定し、実行していくとともに、財政健全化と日本経済再生の双方を実現する道筋を検討してまいります。
 公共事業の考え方等についてお尋ねがありました。
 公共事業イコール無駄遣いあるいは悪であるという単純なレッテル張りからは卒業しなければなりません。公共事業について思慮深い議論を進めていく考えであります。具体的には、経済再生に向けて、老朽化対策や耐震化など、国民の生活を守る事業、成長や地域活性化を促す事業に重点化した上で、その中でもニーズが高く、早期執行が可能な事業を速やかに実施したいと考えております。その際、国民の納得を得ながら事業を進めていくことが重要であり、費用と効果が見えるよう、情報公開を徹底してまいります。
 また、公共事業の執行に当たっては、地方公共団体や建設業団体等との連携をしつつ、人員の不足に応じた施工方式の導入、建設資材の生産能力の増強の促進といった取組を進めることにより、復興事業に支障を生じないよう努めてまいります。
 自殺対策についてお尋ねがありました。
 近年、自殺者数は減少傾向にあるものの、多数の方が自殺で亡くなられていることに変わりはなく、若年層も含めて依然として深刻な状況にあると考えます。政府としては、一人でも多くの命を救えるよう、社会的包容力を構築していくなど、今後とも、自殺総合対策大綱に基づき、取組を推進してまいります。
 良質な雇用の確保に向けた取組と生活困窮者対策等についてのお尋ねがありました。
 就労可能な方が、生活保護に至る前から、就労し、自立できるよう支援していくことは、全ての人々が生きがいを感じ、何度でもチャンスを与えられる社会を実現していく上で重要と考えています。このため、若者の安定雇用の確保、非正規労働者のキャリアアップ支援等を通じ、良質な雇用の確保を進めるとともに、生活困窮者の自立・就労支援等の強化にしっかりと取り組んでまいります。
 生活保護基準の見直しについてお尋ねがありました。
 生活保護制度については、その基準の適正化に併せて、生活困窮者の自立・就労支援にしっかりと取り組んでまいります。また、生活扶助基準の見直しに伴い、この基準を参考にしている就学援助制度など、他の制度の対象者等に変更が生じる可能性があることから、それぞれの制度の趣旨や目的、実態を十分考慮しながら、できる限りその影響が及ばないよう対応を鋭意検討してまいります。
 女性の力の活用についてのお尋ねがありました。
 女性の力を活用していくことが日本の強い経済を取り戻すために不可欠であると認識しています。今後、関係者の声を直接お聞きする場を設け、産業競争力会議でも議論を行い、女性の活躍促進に向けた対応策を検討してまいります。
 また、女性に対する暴力は、女性の人権に対する著しい侵害であり、決して許されないものであります。政府としても、配偶者からの暴力やストーカー行為等の根絶に向け、積極的に取り組んでまいります。
 子ども・子育て支援策についてのお尋ねがありました。
 さきの常会においては、自民党、公明党、民主党による三党合意により、御指摘の児童手当についてその内容を見直すとともに、子ども・子育て関連三法の成立に至りました。
 児童手当については、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資するよう引き続き取り組むとともに、子ども・子育て関連三法に基づく新制度の円滑な施行に向け、準備を進めるなど、国の未来を担う子供を育てやすい国づくりを目指してまいります。
 高校無償化についてのお尋ねがありました。
 高校無償化の理念については、高等学校等における教育に係る経済的負担の軽減を図り、もって教育の機会均等に寄与することと考えております。
 今後の高校無償化制度に関しては、政府としては、高校無償化法の見直し規定も踏まえ、所得制限の導入も含め、真に公助が必要な方々への制度となるよう検討してまいります。
 難病対策の見直しについてお尋ねがありました。
 難病の医療費助成の対象疾患については、客観的な基準に基づき、公平に選定されることが必要と考えます。
 政府としては、難病対策委員会の提言も踏まえ、できる限り早期に公平かつ安定的な仕組みを構築できるよう、法制化その他必要な措置について調整を進めてまいります。
 所信表明演説で福島原発事故への言及がない理由についてお尋ねがありました。
 今般の所信表明演説では、今後、施政方針演説が行われることから、経済再生、震災復興、外交・安全保障の三つの課題に絞り込み、我が国が直面する危機を突破していく決意を述べました。また、原発事故に関連して、福島再生への決意を述べたところであります。直接的に言及していないからといって、福島原発事故や原発の安全性確保といった課題の重要性を否定するものでは全くありません。
 エネルギー政策についてのお尋ねがありました。
 いかなる事態においても国民生活や経済活動に支障がないよう、エネルギー需給の安定に万全を期します。
 前政権が掲げた二〇三〇年代に原発稼働ゼロを可能とするという方針は、具体的な根拠を伴わないものであり、これまで国のエネルギー政策に対して協力してきた原発立地自治体、国際社会や産業界、ひいては国民に対して不安や不信を与えました。
 このため、前政権のエネルギー・環境戦略についてはゼロベースで見直し、エネルギーの安定供給、エネルギーコスト低減の観点も含め、責任あるエネルギー政策を構築してまいります。その際、できる限り原発依存度を低減させていくという方向で検討してまいります。
 原発の再稼働については、科学的安全基準の下で判断していくこととし、三年程度で既存原発の行く末を見極めながら、十年以内に新しい安定したエネルギーミックスに移行させていきます。
 原発の新設については、今後の我が国のエネルギーをめぐる情勢などを踏まえて、結果の数字ありきではなく、ある程度の時間を掛けて腰を据えて検討してまいります。
 地方分権改革の理念及び地域自主戦略交付金の廃止についてのお尋ねがありました。
 地方の元気なくして国の元気はありません。地方が自らの発想で特色を持った地域づくりができるよう、国から地方への事務権限の移譲など、地方分権改革を推進します。
 地域自主戦略交付金については、地方から窓口の一元化や総額の確保などの課題が指摘をされてきました。これらを解消するため、本交付金を廃止し、各省庁の交付金等に移行するとともに、メニューを大くくり化するなど、地方の意見を反映した施策を推進してまいります。
 集団的自衛権についてのお尋ねがありました。
 政府としては、従来から今日に至るまで、集団的自衛権の行使は憲法上許されないと解しているところであります。
 他方、私は、集団的自衛権については、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会の報告書を踏まえつつ、新たな安全保障環境にふさわしい対応を改めて検討してまいります。その際、もちろん、我々は常に冷静な議論を進めてまいります。
 復興に向けた人員を始めとした支援の強化についてのお尋ねがありました。
 被災自治体へは既に全国の自治体などから約千七百名の職員が応援に入っています。今後、こうした取組の更なる強化に加え、公務員OB、民間実務経験者、青年海外協力隊帰国隊員等を活用するとともに、都市再生機構の現地の人員体制の強化などの対応を進めてまいります。また、被災自治体の事務負担を軽減するために、発注方法の工夫や事務のアウトソーシングなどを推進することとしています。
 復興の加速化に向け、引き続き、被災自治体に対し、支援の強化に取り組んでまいります。
 以上でございます。(拍手)
○議長(平田健二君) ただいま理事が協議中でございます。しばらくお待ちください。
    ─────────────
○議長(平田健二君) 中曽根弘文君。
   〔中曽根弘文君登壇、拍手〕
○中曽根弘文君 自由民主党の中曽根弘文です。
 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、安倍総理の所信表明演説について質問いたします。
 まず冒頭に、この度アルジェリアで起きたテロ事件で亡くなられた方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、御遺族の皆様に心からお悔やみを申し上げます。
 海外の最前線で働く日本人、日本企業がこのような悲劇に見舞われたことは痛恨の極みであり、このようなテロ行為は絶対に許されるものではありません。我々は、国際的な連携によって、テロと断固闘っていく決意であります。
 我が国の企業が今後更に海外へと進出していくことは間違いありません。その際に、再びこのような悲劇が起こらないようにする必要があります。政府は、検証委員会において今回の対応等の検証を始めましたが、その結果を踏まえ、平時からの情報収集と危機発生時の即応体制を強化する必要があります。
 例えば、菅官房長官や石破幹事長も発言されていますけれども、米国の国家安全保障会議をモデルに常設の日本版NSCを設置するとともに、内閣情報調査室などの情報機関を強化することは必須だと考えます。いわゆる日本版NSCの設置は、第一次安倍内閣において法案として提出されていましたが、今こそ速やかに具体化するべきではないでしょうか。総理のお考えを伺います。
 この度の衆議院選挙で、国民は、民主党政権に終止符を打ち、我々自由民主党を中心とする政権が再び国政を担うべきだという判断を下しました。安倍総理は、所信表明演説の中で、大きな政治的挫折を経験した、過去の反省を教訓として心に刻み、丁寧な対話を心掛けながら、真摯に国政運営に当たっていくと述べられました。我々が直面している数々の困難を突破するために、是非思い切ったかじ取りをしていただきたい、そうエールを送りたいと思います。
 この三年三か月、民主党政権による数々の失政によって我が国は存亡の危機に追い込まれたと言っても過言ではありません。昨年十一月、野田前総理が解散を表明した途端に株価が上昇し始めたことは、民主党政権がいかに我が国の経済社会にとって重荷であったのかを端的に物語っています。
 我々自由民主党は、国民の負託にこたえられるよう、党として最重要課題と位置付ける経済再生、震災復興、外交・安全保障、教育再生を始め、山積する国政上の重要課題に全力で取り組んでまいります。
 我が党は、綱領で、日本らしい日本の確立を掲げています。我が国の伝統や文化、家族や地域社会の絆、勤勉な国民性、礼節や秩序、自然との共生など、我々が先祖代々受け継いできている日本らしさを生かしながら、国家の自立と国際社会への貢献を図っていくこと、これが我々自由民主党の根本理念であります。
 そして、我が党は、真の保守政治を行ってまいります。保守というと、古いものをひたすら守るというイメージがあるかもしれませんが、真の保守とは、守るべきものを守り、改めるべきものを改めるという思想であります。保守主義の父とも言われるイギリスの哲学者で政治家でもあるエドマンド・バークは、保守せんがために改革するという言葉を残していますけれども、我が党は、常に進歩を目指す保守政党として今後も改革を果断に進めてまいります。
 改革を進めるに当たり大切なのは、リーダーたる総理の国家観であります。安倍総理は、第一次安倍内閣発足時の所信表明演説で美しい国を実現すると述べておられましたが、再び総理に就任され、どういう国づくりをされようとお考えなのか、再度お聞かせいただければと思います。
 次に、憲法をめぐる問題について伺います。
 言うまでもなく、憲法は、国家の最高法規であり、その国の国家像を表すものでもあります。しかしながら、現在の憲法は、マッカーサー憲法とも言われるように、GHQの主導で作られたものであります。我々自民党は、日本人が自らの手で我が国の憲法を作るべきとの考えから、自主憲法の制定を党是として結党以来活動してまいりました。
 現行憲法には、戦後六十年以上がたった現在の状況に合っていない規定も多くあります。国民の生命、財産や領土を守れる憲法になっているのか、非常事態への対応は十分にできるのかといった観点からも、現行憲法を見直すことが必要だと考えます。
 昨年、国家主権回復六十周年を機に、我々自民党は日本国憲法改正草案を発表しました。そこでは、まず前文で、日本国が長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇をいただく国家であること、和を尊び、家族や社会が互いに助け合って国家が成り立っていることなどを述べています。
 そして、天皇は日本国の元首であること、国旗・国歌の規定、自衛権の明記や国防軍の保持並びに国際平和活動、緊急事態の規定、さらには、環境保全、在外国民の保護など、時代に対応した規定も置いています。
 まさに、守るべきものは守り、改めるべきものは改めるという真の保守の理念に立った憲法草案だと私は思います。安倍総理は、自民党の憲法草案についてどうお考えになりますか、伺います。
 衆参両院では、憲法審査会も設置され、憲法改正に向けた議論が行われています。総理も以前から憲法改正を強く主張されてきました。今こそ、憲法改正の議論を更に前に進めるときだと考えます。総理の憲法改正への決意をお聞かせください。
 次に、安倍内閣の最重要課題でもある日本経済の再生について伺います。
 安倍総理は、我が党の総裁選以来、デフレ脱却のための方策を提言してきています。総理は、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を引き出す成長戦略の三本の矢が経済再生の柱だと述べており、マスコミ等ではこれをアベノミクスと呼んでいるようです。
 安倍内閣の経済政策は、日銀との協調関係を築き、株価や為替レートの改善など、早速成果が上がりつつあるように思われます。この政策はダボス会議でも注目されたと伺っています。総理は、最近の経済の動きに対してどのように感じておられるか、お聞かせください。
 先日、政府が決定した来年度予算案では、公債発行額を民主党が作成した今年度予算より少なくし、さらに、税収より少ない四十二兆八千五百億円に抑え、財政規律を重視したものとなっています。景気対策と財政規律に配慮した良い予算が編成されたと思っています。
 補正予算と来年度予算を合わせて、デフレ脱却のための十五か月予算ということで取り組んでいるわけですが、総理はこの十五か月予算の意義と効果をどのようにお考えか、伺います。
 なお、最近、日銀の白川総裁が、政府と日銀の共同声明で明記されている二%の物価目標の達成は容易ではないという発言をされたそうですが、この発言について総理はどう思われるか、お聞かせください。
 補正予算と来年度予算を通じて重要なテーマとなっているのは災害に強い国土づくりです。東日本大震災や各地で相次ぐ豪雨災害などによって、社会インフラへの投資を惜しんではならないことが明確になりました。最近では、笹子トンネルの事故を契機として、既存インフラのメンテナンスの重要性も指摘されています。
 社会インフラの整備は、八ツ場ダムの建設中止と再開に見られたように、その時々の都合に左右されるのではなく、国民の利益と安全など長期的な展望に立って着実に推進していくべきものであります。
 災害に強い国土づくりについて、また、そのための社会インフラの整備について、総理の基本方針を伺います。
 財政政策や金融政策と並んで中長期的な成長戦略の柱となるのは、企業の競争力向上のための規制改革です。
 我々自民党は、総選挙の政権公約で、五年間の集中改革で、我が国を世界で一番企業が活動しやすい国、個人の可能性が最大限発揮され、雇用と所得が拡大する国にすることを掲げました。
 そのために、国際先端テストなどにより、他国の規制と比較して遅れている部分を改革し、企業活動の障害となる国内規制を撤廃することを約束しています。規制改革によって国内での企業活動が拡大すれば、雇用も創出され、国民所得も向上します。内閣として、今後、この公約をどのように実現していくのか、具体的な方針をお聞かせください。
 次に、安倍内閣の外交政策について伺います。
 新興国の成長と世界全体のパワーバランスの変化に伴って、今後の国際情勢はますます多極化、流動化していくことが予想されます。中でも、人口規模、経済状況、政治体制、文化、宗教など、あらゆる面で多様な国家が入り乱れるアジアは世界で最も動きの激しい地域となるでしょう。
 そのような中、我が国は、日米同盟を基軸としつつ、アジアと世界の平和と安定に貢献するため、これまで以上に積極的な役割を果たしていくことが求められています。これは我々の共通認識だと思います。
 状況が刻々と移り変わる中で的確な外交を行うためには、常に基本とすべき原理原則や理念を持つことが重要です。外交とはこうあるべきだという、安倍総理が大切にしている原理原則や理念などがあれば、お聞かせください。
 我が国外交の基軸である日米同盟は、過去三年余りの外交方針の迷走によって大きく揺らいでいます。周辺国から我が国の領土を脅かす動きが相次いでいるのも、日米同盟の揺らぎも大きな原因の一つと考えます。
 アメリカは、オバマ大統領が二期目を迎え、国務長官もクリントン氏からケリー氏に交代するという節目の時期です。この機会に日米関係を再構築していかなければなりません。
 安倍総理は、所信表明演説で日米の絆を取り戻すと述べられました。私も麻生内閣で外務大臣を務めましたが、首脳同士、外相同士の信頼関係が、良好な外交関係を構築、維持する上で不可欠であります。二月下旬に予定されるオバマ大統領との首脳会談は、その第一歩になると思います。
 オバマ大統領の就任演説では日本に対する言及はなかったと思いますが、今後、米国の対日政策がどうなっていくであろうか、また、我が国として対米政策をどのように進めていくか、総理のお考えをお聞かせください。
 総理は、就任後最初の訪問先としてASEANの三か国を選ばれました。また、総理に先立ち、麻生副総理がミャンマーを、岸田外務大臣が東南アジアとオーストラリアを訪問しました。一連の訪問で、ASEAN諸国やオーストラリアとの協力関係を重視するという基本姿勢は伝わったはずです。
 これらの国は、中国の急速な軍備増強や海洋権益の拡大について懸念を共有しています。安倍総理は、こうした中国の膨脹政策に対して、我が国としてどのように対応していくべきとお考えか、伺います。
 また、今後重要になるのは、ASEAN諸国やオーストラリアとの特に安全保障面での協力の具体策だと考えます。総理はこれらの国々との安全保障協力をどのように進めていかれる方針か、お聞かせください。
 総理は、ASEAN訪問の際、アジア外交の基本方針となる安倍ドクトリンを発表する予定でした。しかし、アルジェリアでの人質事件発生のために帰国日程が早まり、残念ながら予定されていた演説での発表ではなく、記者会見で対ASEAN外交五原則のみが発表される形となりました。
 私は、アジア各国に対して我が国の外交方針を公式の場で発表するというのは、非常に重要なことであると考えます。そこで、改めて機会を設けて安倍ドクトリンを正式発表してはどうでしょうか。あるいは、二月に訪米した機会などに、アジア外交だけではなく、外交全体の基本方針を示した拡大版の安倍ドクトリンを発表するのもよいと思います。こうしたお考えはあるか、お聞かせください。
 次に、日中関係についてお伺いいたします。
 日本の企業も中国に多く進出し、中国は、市場としても生産拠点としても我が国にとって大きな位置を占めています。
 一衣帯水の関係と言われ、文化、経済、政治等、幅広い分野で良好な関係を築いていましたが、近年の尖閣諸島をめぐる問題や軍事力の増強により、我が国の国民の対中国感情は悪化しています。日中関係の安定はアジア地域の安定にとっても重要な意味を持つものであり、安倍内閣として日中関係をどのように再構築していく考えか、お伺いしたいと思います。
 最も近い隣国である韓国との関係も厳しい状況となっています。しかし、韓国では来月には新しい大統領が就任し、状況が変わることも期待されます。
 日韓の間に多くの問題が横たわっているのは事実ですが、東アジアの平和と安定のためには、日韓及び日米韓の緊密な連携が欠かせません。安倍総理は今後の日韓関係をどう進めていくお考えか、お聞きいたします。
 次に、領土をめぐる問題について伺います。
 最近、我が国の領土・領海・領空に対する脅威が急速に高まっています。特に尖閣諸島をめぐっては、中国の度重なる挑発行為により、緊迫した状況となっています。度重なる領空・領海侵犯をこのまま放置するわけにはいきません。
 海上保安庁による専従部隊の創設、巡視船の増強などの対策を講じると報道されていますが、こうした措置や、法制度の整備も含め、早急に対策を立てるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 領土に関しては、北方領土にも動きがあります。安倍総理は、二月に特使として森元総理をロシアに派遣する方針だと伺っています。森元総理は、テレビ番組で三島返還での解決に言及され、それに対し、翌日には菅官房長官が、従来の政府方針に変更はないと会見されました。内閣としては、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するという方針に変更はないということですね。総理からもお答えをいただきたいと思います。
 次に、北朝鮮問題について伺います。
 ここ数日、北朝鮮が核実験を近く行うというような報道があります。また、昨年十二月に発射された弾道ミサイルは、射程が一万キロ以上に及ぶ可能性があると防衛省は報告をしています。
 これらは、国連決議に明らかに違反し、国際社会に対する重大な挑戦であります。また、北朝鮮による核とミサイルによって最も脅威を受けるのは、地理的にも明らかに我が国であります。
 したがって、我が国としては、北朝鮮が核実験や更なるミサイル発射を行わないよう、日米韓だけでなく中国やロシアなど六者協議の構成国と緊密な連携を取り、強く働きかけていくことが必要です。また、もし核実験が強行された場合には、国連を中心に更なる強い制裁を行うべきであり、我が国がリーダーシップを取っていく必要があると考えます。安倍総理は北朝鮮の核実験やミサイル、拉致問題についてどのような対策、対応を取るお考えでしょうか、お聞かせください。
 次に、教育問題について伺います。
 我々自民党は、昨年十二月の衆議院選挙公約でも、人づくりは国づくりというスローガンを掲げて教育の大切さを訴えました。これからの日本には、国際社会で活躍できる高い学力、知力とともに、確固たる道徳観や、我が国の歴史や文化を尊重する態度など、知徳体の調和が取れた人材が必要だと考えます。
 安倍総理も、前回の総理在任時に教育基本法の改正を成し遂げるなど、教育には並々ならぬ情熱を注いでこられました。今回の内閣でも、総理直属の教育再生実行会議を発足させ、議論を始めています。
 私は、教育改革と政治改革は、誰が総理であっても、どの内閣であっても必ず取り組むべき国政の最重要課題であると考えます。そこで、安倍総理御自身の教育観とはどういうものか、お考えをお聞かせください。
 教育問題に関して私が特に重視すべきと考えるのは、道徳教育の充実です。ちょうど今、大河ドラマのテーマになっていますが、会津藩の「什の掟」の中には「うそを言うことはなりませぬ。弱い者をいじめてはなりませぬ。ならぬことはならぬものです」などというような心構えを説く言葉もあります。我が国には昔から、今の世にも通じる大切な徳目を示した教えが各地にあります。明治以降でも、福沢諭吉の「ひびのおしえ」や明治天皇の教育勅語、中教審の「期待される人間像」、田中角栄元総理の「五つの大切、十の反省」など、様々な例があります。
 これらは、人として生きていく上で大切にすべき徳目、社会の一員としての心構えを述べたものであり、単に道徳教育という枠ではなく、人格教育、全人教育というべき広がりを持っています。
 全国でいじめの問題が多発し、また、最近では教師の体罰による高校生の自殺者が出るなど、深刻な状況となっていますが、私は、守るべき徳目を列記した現代版教育勅語のようなものを作成すべきと考えています。
 安倍総理は、心のノートを復活させるなど、道徳教育にも力を入れていく方針であると思いますが、道徳教育の充実について、総理の基本的な考えをお聞かせください。
 参議院自民党では、従来から、青少年の健全育成に対し、国を挙げて真剣に取り組む必要があるとの視点に立って、青少年健全育成基本法案の成立に力を注いでまいりました。いじめ問題などが相次ぐ中で、この法案の重要性はますます高まっていると考えます。
 全国の多くの自治体では様々な内容の青少年健全育成のための条例が制定されていますが、国としての基本法はありません。そのため、全国の自治体からも、国における基本法の制定について強い要望が長年寄せられています。
 また、かつては政府に青少年対策本部が設置されていましたが、省庁再編に伴って廃止され、今では内閣府に担当官が置かれるだけになっており、政府全体の青少年健全育成に関する取組が十分ではない状態です。
 こうした現状に鑑みれば、一刻も早く法案を成立させるとともに、政府としても、総理を本部長とする青少年健全育成本部を創設するなど、取組を更に強化すべきと考えます。安倍総理の方針をお聞かせください。
 続いて、我々自由民主党がかねてから主張してきた幼児教育の無償化について伺います。
 保育園や幼稚園での幼児教育の充実は、その後の人格形成にとって非常に有益であり、大事であります。しかし、この世代の子供を持つ親は、まだ若く、一般的に収入も多くありません。教育費を支援することにより、もう一人子供を持とうと考える人が増えることにつながり、少子化対策としても有効と考えます。我が党の今回の選挙公約にも、幼稚園や保育所、認定こども園、家庭などでの子育て支援を充実させます、幼児教育の無償化に取り組みますと明記しています。
 海外では、イギリスは三歳児からの幼児教育を無償化しており、フランスでも事実上無償化をしています。韓国でも三歳から五歳児の幼児教育を段階的に無償化することを法律で決めています。OECDも、日本に対して、子ども手当よりも幼児教育・保育に投資すべきだと提言しています。限られた財源ではありますが、費用対効果も大きく、何よりも未来への投資という意義ある幼児教育の無償化は是非行うべきと考えます。政府においても検討を始めるやに聞いていますが、総理のお考えを伺います。
 教育に関する質問の最後に、教育基本法について伺います。
 教育基本法については、前回の改正を踏まえた取組が教育現場でしっかりと行われているのか、もう一度検証が必要ではないでしょうか。
 前回の安倍政権で教育基本法の全面改正を行った際、私は教育基本法改正の特別委員長を務めました。改正前の教育基本法は、我が国の伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する心、公共の精神、家庭教育の重要性など、日本人としての大切な部分が抜け落ちたものでした。そのような教育基本法が、憲法と並んで制定以来長年全く改正されずにいたのです。
 改正した教育基本法では、こうした重要な事項を明記し、その趣旨を踏まえた学校教育法の改正や学習指導要領の全面改訂が行われました。教育基本法の施行から六年がたちましたが、いま一度、この新しい教育基本法の理念が教育現場で理解され、生かされているかどうか検証し、再度徹底していくことが重要と考えます。総理のお考えをお聞かせください。
 教育と並んで文化の振興も重要な課題です。
 文化は人々の心を豊かにし、社会に潤いを与える存在です。特に、古くから伝わる伝統文化は地域社会や宗教、歴史など日本人の心と密接にかかわるものであります。
 私は、文化力も国力の一つだと思います。世界に誇るべき文化を持っている我が国は、これらを更に振興し、教育文化国家を目指すべきであります。そのために、文化の振興についても政府がより積極的に支援すべきだと考えます。総理の文化振興に関する基本的な考えをお聞かせください。
 総理は、所信表明演説の中で、芦田元総理の言葉も引きながら、国民に、自らへの誇りと自信を取り戻そう、今ここにある危機を突破し、未来を切り開いていく覚悟を共に分かち合おうと力強く訴えられました。
 今まさに日本は、政治も経済も繁栄と衰退とを分ける分水嶺に立たされていると言っても過言ではありません。
 かつては、ジャパン・アズ・ナンバーワン、また経済大国ともてはやされ、世界から注目をされていた我が国が、今では、ジャパン・バッシングやジャパン・パッシングどころかジャパン・ナッシングとまで言われるほどに存在感と誇りを喪失してしまっています。
 この二十年で社会全体は過度に自信を喪失し、政治にも失望し、国民の心は閉塞感の厚い雲に覆われていました。
 昨年十二月の衆議院選挙で、国民は、安倍総理の力強いビジョンに明るい光明を見出し、これで駄目なら後はないとでもいうような切実な思いで投票所へ足を運び、最後の望みを託すような気持ちで、今、安倍総理の政権運営を見詰めています。
 我々自民党も、この三年三か月で大いに反省すると同時に、経済を立て直し、世界をリードする国としての力強い日本の再生のために大いに勉強を重ね、政策を練ってまいりました。
 今の我が国の状況は政争に明け暮れするような場合ではありません。経済には少し明るい展望が見えてきていますが、政治への信頼はいまだ回復しておりません。私はかつての代表質問でも述べましたが、政治に信頼がなければ、いかに良い政策を打ち出しても成果は上がりません。与野党の垣根を越えて、力強い日本の再生のために、我々議員一人一人が、国の将来を語り、共に建設的な真摯な議論を重ね、国民が未来に夢を持てる国づくりのために粉骨砕身の努力をしていこうではありませんか。それが政治への信頼を回復させるための最善の道と思います。
 この国会が新しい日本のスタートの国会であったと後の人々に評価されるような議論が行われることを私自身も肝に銘じ、議員の皆様にも訴え、私の代表質問といたします。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 中曽根弘文議員から極めて重要な御指摘、そして御質問をいただきました。
 それでは、中曽根弘文議員にお答えをいたします。
 いわゆる日本版NSCの設置等についてのお尋ねがありました。
 複雑多様化する国際情勢の下、我が国の国益を守り、国民の安全を確保するためには、我が国の外交・安全保障体制を強化することが必要不可欠であると認識しております。そのため、情報収集・集約・分析機能を充実強化するとともに、日本版NSCについて、そのあるべき姿を検討の上、設置に向けて積極的に取り組み、官邸の司令塔機能を強化してまいります。
 私の目指す国づくりの方向性についてお尋ねがございました。
 第一次安倍内閣において述べた美しい国、日本を目指すことは、私の永遠のテーマでございます。そのためにこそ、目の前にある数々の危機を突破し、強い日本を取り戻していかなければならないと考えています。まずは、強い経済を実現することによって、額に汗して働けば必ず報われるという真っ当な社会を築いてまいります。
 憲法改正についてのお尋ねがありました。
 自由民主党の憲法改正草案については、党として二十一世紀にふさわしいあるべき憲法の姿を示したものであると考えています。憲法の改正については、党派ごとに異なる意見があるため、まずは多くの党派が主張しております憲法第九十六条の改正に取り組んでまいります。
 最近の経済の動向についてのお尋ねがありました。
 我が国の景気は弱い動きとなっていますが、一部に下げ止まりの兆しも見られます。また、御指摘のとおり、景気回復への期待を先取りする形で株価も回復し始めるなど、改善の兆しが見られます。今後、これを適切な政策対応により景気回復につなげてまいります。
 十五か月予算と二%の物価目標についてお尋ねがありました。
 御指摘の十五か月予算については、緊急経済対策に基づく大型の今年度補正予算と財政健全化目標を踏まえた来年度予算を一体的に編成したことで、日本経済再生に向けた経済の押し上げと財政健全化への取組の双方に資するものと考えています。
 また、白川総裁の発言については、政府としては、共同声明にあるように、日本銀行が自ら設定した二%の物価安定目標について、責任を持ってできるだけ早期に実現することを期待しているということに尽きると考えております。
 災害に強い国づくりと、そのための社会インフラの整備についてお尋ねがありました。
 多様な災害が頻発する我が国において、東日本大震災の教訓を踏まえつつ、災害に強い国土を構築し、国民の生命と財産を守ることは極めて重要であると認識をしています。そのための重要な基盤である社会インフラの整備については、事前防災・減災対策、老朽化対策といった国民の生活を守る事業等に重点化した上で着実に推進してまいります。
 規制改革についてお尋ねがありました。
 規制改革については、経済活性化、民需主導の経済成長を実現する重要な手段だと考えています。
 我が国の経済再生に資するものから優先的に規制改革を実現していくため、今般、新たな規制改革会議を設置し、重点分野として雇用関連、エネルギー・環境関連、健康・医療関連を指定し、大胆な改革を推進することを担当大臣に指示したところであります。
 また、投資先としての日本の魅力を最高水準に引き上げる観点から、国際比較をした上での規制改革などを含め、国際先端テストの導入に向けた取組も進めることとしております。
 政府としては、国民のニーズにこたえるとともに、国富の拡大につながるよう省庁横断的な規制改革を積極的に推進してまいります。
 外交の原理原則や理念についてお尋ねがございました。
 私は、外交は、二国間関係だけを見るのではなく、世界地図を俯瞰するような視点で戦略的に展開していく必要があると考えています。自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値を共有する諸国との協力を進め、その外縁を広げていくというのが私の外交についての基本的な考え方であります。
 米国の対日政策及び我が国の対米政策についてのお尋ねがありました。
 米国は、日米同盟を地域の繁栄と安全にとっての礎と位置付けており、オバマ大統領は、先月の私との電話会談においても、日米同盟の重要性を確認し、これを強化していくことで一致をいたしました。
 私は、日米外交の基軸である日米同盟を一層強化し、日米の絆を取り戻すべく、来る日米首脳会談で、同盟強化の方向性について幅広く議論し、緊密な日米同盟の復活を内外に示していく決意であります。
 中国の急速な軍事力増強等への対応及びASEAN諸国やオーストラリアとの安全保障協力の進め方についてのお尋ねがありました。
 中国の透明性を欠いた軍事力の増強や海洋活動の活発化は、我が国を含む地域の共通の懸念事項です。我が国としては、こうした中国の動向について引き続き注視しつつ、中国との様々な対話や交流を通じ、透明性向上や国際的な行動規範の遵守について関係国とも連携して働きかけていく考えです。
 また、ASEAN諸国やオーストラリアとは、地域の平和と繁栄を確保するために様々な分野で連携を強化してまいります。御指摘の安全保障分野においても、ASEAN諸国とは、東アジア・サミットやASEAN地域フォーラム等の枠組みを活用して協力を進めるとともに、オーストラリアとの間では、定期的な安保対話や共同訓練等の実施を通じた協力を更に深めてまいります。
 我が国の外交方針に関する発信についてのお尋ねがありました。
 先般の東南アジア三か国訪問の機会に発表する予定であった、開かれた海、日本外交の新たな五原則と題するスピーチについては、アルジェリアでのテロ事件で日程を短縮して帰国したため発表できませんでしたが、ユドヨノ・インドネシア大統領との共同記者会見でこの五原則を公表するとともに、総理官邸のホームページにこのスピーチを掲載して広く紹介をしております。
 今後とも、二月に予定している訪米の機会も含め、様々な機会をとらえて外交に関する私の基本的な考え方を内外に発信をしていく考えであります。
 日中関係の再構築についてのお尋ねがありました。
 まず、尖閣諸島をめぐる情勢については、安倍政権として、我が国の領土・領海・領空は断固として守り抜くとの決意で取り組んでまいります。
 同時に、日中関係は、我が国にとり最も重要な二国間関係の一つであります。個別の問題があっても、関係全体に影響を及ぼさないようにコントロールしていくとの戦略的互恵関係の原点に立ち戻って、大局的観点から中国との関係を進めてまいります。
 韓国は、我が国にとり、基本的価値と利益を共有する最も重要な隣国であります。日韓間には難しい問題も存在しますが、朴次期大統領と大局的な観点から未来志向の日韓関係を構築するべく、共に努力していく考えであります。
 我が国の領土・領海・領空に対する脅威への対策についてのお尋ねがありました。
 御指摘のように、我が国を取り巻く情勢は厳しさを増していると認識をしております。このような状況に対応して、尖閣諸島周辺海域における専従の警備体制の確立を始め、国境離島の適切な振興、管理、警戒警備の強化に万全を尽くし、我が国の領土・領海・領空は断固として守り抜くとの決意で取り組んでまいります。
 北方領土問題についてのお尋ねがありました。
 四島の帰属の問題を解決をして平和条約を締結するというのが政府の一貫した方針であり、この点に変更はありません。北方領土問題をめぐる日ロ双方の立場には大きな隔たりがありますが、ロシアとの交渉に粘り強く取り組んでまいります。
 対北朝鮮政策についてお尋ねがありました。
 政府としては、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的解決に向けて、対話と圧力の方針を貫き、全力で取り組んでまいります。
 北朝鮮が、昨年十二月のミサイル発射に続き、核実験の実施の可能性に言及していることは、極めて遺憾です。我が国は、北朝鮮が国際社会の声にどう向き合うのか見極めながら、関係国と緊密に連携し、独自の更なる制裁措置をとることも含め、しっかりと対応してまいります。
 私の教育観についてのお尋ねがありました。
 私は、誰もが日本に生まれたことを喜び、誇りに思うことができる品格ある国家をつくることを目指し、全ての子供たちが未来を信じ、それぞれの夢を実現できるよう世界トップレベルの学力と規範意識を身に付ける機会を保障することが教育の大きな目的であり、国家の責任であると考えます。
 このため、教育再生は我が国の最重要課題であると考えております。教育再生実行会議や与党の御議論も踏まえ、内閣を挙げて全力で取り組んでまいります。
 道徳教育の充実についてお尋ねがありました。
 我が国の未来を担う子供たちに規範意識や社会性、思いやりの心などの豊かな人間性を育む道徳教育の充実は極めて重要であると考えています。このため、改正教育基本法を踏まえ、学校教育では、人間としてしてはならないことをしない、集団や社会の決まりを守るなど、大切な指導内容を重点化、明確化するとともに、心のノートも十分に活用した指導に努めるなど、道徳教育の一層の充実を図ってまいります。
 青少年の健全育成についてのお尋ねがありました。
 次代を担う青少年を健全に育成していくことは、我が国社会の将来の発展にとって大変重要であります。御指摘の青少年健全育成基本法案については、自民党において提出を検討していると承知をしております。
 政府としても、様々な御意見を踏まえながら、青少年の健全育成に関する取組を強化してまいります。
 幼児教育無償化についてのお尋ねがありました。
 幼児期は生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要な時期であり、この時期に質の高い幼児教育を保障することは極めて重要であると考えています。幼児教育の無償化については、関係府省の連携の下、子ども・子育て支援新制度との関係、財源確保の観点等を踏まえ、検討を行ってまいります。
 教育基本法の趣旨の徹底についてのお尋ねがございました。
 相次ぐいじめ問題を始め、我が国の教育現場を取り巻く課題はいまだに深刻であり、御指摘のとおり、残念ながら改正教育基本法の理念が実現したと言える状況にはありません。
 政府としては、これらの諸課題の検証を行いつつ、教育再生実行会議での議論も踏まえながら、改正教育基本法の趣旨の徹底や理念の実現を含めた教育の再生に内閣を挙げて取り組んでまいります。
 文化振興に関する基本的認識についてのお尋ねがありました。
 文化振興は、心豊かな国民生活を実現するとともに、活力ある社会を構築して国力の増進を図る上で重要であると考えます。
 政府としては、我が国の芸術や伝統文化の振興を図り、人材育成や文化の発信などを通じて、世界に誇るべき文化芸術立国を目指してまいります。
 以上であります。(拍手)
○議長(平田健二君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平田健二君) 御異議ないと認めます。
     ─────・─────
○議長(平田健二君) この際、お諮りいたします。
 衛藤晟一君及び鶴保庸介君から裁判官弾劾裁判所裁判員を、愛知治郎君及び宮沢洋一君から裁判官訴追委員を、有村治子君から同予備員を、それぞれ辞任いたしたいとの申出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平田健二君) 御異議ないと認めます。
 よって、いずれも許可することに決しました。
     ─────・─────
○議長(平田健二君) この際、欠員となりました
 裁判官弾劾裁判所裁判員二名、
 裁判官訴追委員二名、同予備員一名、またあわせて
 裁判官弾劾裁判所裁判員予備員一名、
 検察官適格審査会委員一名、同予備委員二名、
 日本ユネスコ国内委員会委員、
 国土審議会委員、
 国土開発幹線自動車道建設会議委員各一名の選挙
を行います。
 つきましては、これらの各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することとし、また、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員及び裁判官訴追委員予備員の職務を行う順序は、これを議長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平田健二君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、裁判官弾劾裁判所裁判員その他の各種委員を議席に配付いたしました氏名表のとおり指名し、職務を行う順序を決定いたします。
    ─────────────

    ─────────────
○議長(平田健二君) 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十二分散会