第183回国会 予算委員会 第2号
平成二十五年二月十八日(月曜日)
   午前九時開会
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   委員の異動
 二月六日
    辞任         補欠選任
     大河原雅子君     石橋 通宏君
     徳永 エリ君     難波 奨二君
     赤石 清美君     石井 浩郎君
     宇都 隆史君     渡辺 猛之君
 二月七日
    辞任         補欠選任
     石橋 通宏君     大河原雅子君
     難波 奨二君     徳永 エリ君
     石井 浩郎君     赤石 清美君
     渡辺 猛之君     宇都 隆史君
 二月十五日
    辞任         補欠選任
     小西 洋之君     櫻井  充君
     高橋 千秋君     岩本  司君
     宇都 隆史君     脇  雅史君
     小野 次郎君     真山 勇一君
     福島みずほ君     吉田 忠智君
 二月十八日
    辞任         補欠選任
     櫻井  充君     小西 洋之君
     真山 勇一君     小野 次郎君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         石井  一君
    理 事
                植松恵美子君
                小川 敏夫君
                小林 正夫君
                松浦 大悟君
                青木 一彦君
               北川イッセイ君
                山崎  力君
                谷合 正明君
                小野 次郎君
    委 員
                岩本  司君
                大河原雅子君
                大久保潔重君
                加賀谷 健君
                川上 義博君
                小西 洋之君
                櫻井  充君
                田中 直紀君
                津田弥太郎君
                徳永 エリ君
                藤末 健三君
                牧山ひろえ君
                赤石 清美君
                岩井 茂樹君
                岡田  広君
                岸  宏一君
                末松 信介君
                谷川 秀善君
                中川 雅治君
                西田 昌司君
                野上浩太郎君
               三原じゅん子君
                山田 俊男君
                吉田 博美君
                脇  雅史君
                草川 昭三君
                横山 信一君
                渡辺 孝男君
                中西 健治君
                平山 幸司君
                森 ゆうこ君
                大門実紀史君
                谷岡 郁子君
                吉田 忠智君
                片山虎之助君
                荒井 広幸君
   国務大臣
       内閣総理大臣   安倍 晋三君
       財務大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(金融)
       )        麻生 太郎君
       総務大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(地方分
       権改革))    新藤 義孝君
       法務大臣     谷垣 禎一君
       外務大臣     岸田 文雄君
       文部科学大臣   下村 博文君
       厚生労働大臣   田村 憲久君
       農林水産大臣   林  芳正君
       経済産業大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(原子力
       損害賠償支援機
       構))      茂木 敏充君
       国土交通大臣   太田 昭宏君
       環境大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(原子力
       防災))     石原 伸晃君
       防衛大臣     小野寺五典君
       国務大臣
       (内閣官房長官) 菅  義偉君
       国務大臣
       (復興大臣)   根本  匠君
       国務大臣
       (国家公安委員
       会委員長)
       (内閣府特命担
       当大臣(防災)
       )        古屋 圭司君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(沖縄及
       び北方対策、科
       学技術政策、宇
       宙政策))    山本 一太君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(消費者
       及び食品安全、
       少子化対策、男
       女共同参画))  森 まさこ君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(経済財
       政政策))    甘利  明君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(規制改
       革))      稲田 朋美君
   副大臣
       財務副大臣    小渕 優子君
   大臣政務官
       厚生労働大臣政
       務官       丸川 珠代君
       防衛大臣政務官  佐藤 正久君
   政府特別補佐人
       内閣法制局長官  山本 庸幸君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小野 亮治君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官       石井喜三郎君
       内閣府大臣官房
       審議官      木下 賢志君
       内閣府政策統括
       官        石井 裕晶君
       公正取引委員会
       事務総局経済取
       引局長      中島 秀夫君
       金融庁総務企画
       局長       森本  学君
       金融庁検査局長  桑原 茂裕君
       財務省主税局長  田中 一穂君
       財務省理財局次
       長        西田 安範君
       国税庁次長    西村 善嗣君
       中小企業庁次長  富田 健介君
   参考人
       日本銀行副総裁  西村 清彦君
       野村證券株式会
       社顧問      高木新二郎君
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  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○平成二十四年度一般会計補正予算(第1号)(
 内閣提出、衆議院送付)
○平成二十四年度特別会計補正予算(特第1号)
 (内閣提出、衆議院送付)
○平成二十四年度政府関係機関補正予算(機第1
 号)(内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(石井一君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 まず、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員になっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石井一君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に小野次郎君を指名いたします。
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○委員長(石井一君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 平成二十四年度補正予算三案審査のため、必要に応じ政府参考人の出席を求めることとし、その手続については、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石井一君) 御異議ないと認め、さよう計らいます。
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○委員長(石井一君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 平成二十四年度補正予算三案審査のため、本日の委員会に日本銀行副総裁西村清彦君及び野村證券株式会社顧問高木新二郎君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石井一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(石井一君) 平成二十四年度補正予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。
 本日及び明日の質疑は総括質疑方式で行い、質疑割当て時間は三百五十五分とし、各会派への割当て時間は、民主党・新緑風会百二十八分、自由民主党・無所属の会七十一分、公明党三十分、みんなの党二十八分、生活の党二十八分、日本共産党十四分、みどりの風十四分、社会民主党・護憲連合十四分、日本維新の会十四分、新党改革十四分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。
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○委員長(石井一君) 平成二十四年度一般会計補正予算(第1号)、平成二十四年度特別会計補正予算(特第1号)、平成二十四年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題といたします。
 これより質疑に入ります。小川敏夫君。
○小川敏夫君 民主党の小川敏夫でございます。
 まずは、この参議院の予算委員会で安倍総理を再びお迎えいたしました。ようこそ再びと挨拶申し上げます。
 質問に入りますが、いわゆる三本の矢という金融政策、まず物価の点あるいは金融緩和の点についてお尋ねいたしますが、普通の私どもの気持ちとしますと、収入は上がっても物価が上がらないのが生活しやすいかなとも思うんですが、総理はまず物価を二%上げることを誘導すると言っておられます。なぜ物価を上げることが好ましいことなのか、そこのところを分かりやすく説明していただけますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 日本は十五年間ずっとこのデフレが続いてきたわけでありまして、一番いいのは収入が上がって物価が下がっていくことが一番いいんですが、なかなか経済はそうならないというところに問題があるわけでありまして、このデフレ、十五年間の間に、物の値段は下がっていくんですが、残念ながら収入が下がっていく。
 なぜそうなるかといえば、デフレが続いていくということは実質金利が上がっていくということにもなりますから、企業は結局キャッシュでは持ちますが投資はしない、もちろん人材に対しても投資をしないという中で、物の値段が下がっていく中においては当然人件費を削っていかなければこれは売上げを確保することができない、つまり競争に勝てないということになっていきますから、そういう循環に入っていく中において、だんだんこれはもう将来物の値段は下がっていきますねという中でどんどん経済は縮小してきたわけであります。
 国民総収入においては五十兆円、むしろ国民の富は失われてしまったわけでありまして、これをなくしていくには今までの延長線上の政策ではできないという中において、思い切った大胆な金融緩和が必要であろうと。さらには、機動的な財政出動と、そしてそれを、成長を持続的可能にしていくためには、三本目の矢である成長戦略をしっかり進めていくことが必要であると、このように考えております。
○小川敏夫君 まずその金融緩和ですが、具体的には日銀による国債等の資産買入れということでございますね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 野党の総裁時代には私は手段についてもお話をしていました。どういう手段を取って金融緩和を行っていくかということについてお話をしていた。それは、当然、国会の場に、今日も日銀の副総裁お越しでありますが、日銀の総裁を国会の場に呼んで、そこで手段も含めた政策、金融政策について議論をするわけでありまして、当時は野党の総裁でありますから、当然手段も含めて議論をするべきだろう、またそれはあってしかるべきなんだろうと、このように思っております。
 今は内閣総理大臣、行政府の長でありまして、その中においては、金融手段においてはこれは日本銀行に任せる、これは世界の中央銀行と政府の常識である中央銀行の独立の原則ではないかと、このように考えております。
○小川敏夫君 財務大臣にお尋ねしますが、やはり総理が言う、十五年続いた長いデフレに対して適切な対応をしなくてはならないということを総理がお話しになったわけですが、財務大臣も同じような気持ちですか。
○国務大臣(麻生太郎君) やはりデフレーションによる不況というのは、少なくとも昭和二十年、敗戦この方日本はやったことがありませんので、これまでいろいろな意味で未経験の部分というのをやってきたのがこの十五年間だと思っております、経験に習えませんので。したがって、我々は歴史から学ぶしかほかに方法がありません。
 したがって、歴史を見たときに、先ほど言われたような、総理から申し上げたような形で、この十五年間に学んだ経験から学習したことを計算していきますと、申し上げたような形で、三本の矢というのが我々の出した結論であります。
○小川敏夫君 余りちょっと具体的なことがなくて、分かったような分かりにくいような答弁だったんですが。
 今、三本の矢ということで、通称アベノミクスとも言って金融緩和等の政策をやっているわけですが、それだけデフレ対策というものがとりわけ大事であれば、これちょっと思いまして、麻生財務大臣が総理大臣の時代になぜデフレ対策やらなかったんですか。
○国務大臣(麻生太郎君) 私どものころとして、デフレ対策というものを私なりにやらせていただいた部分があります。
 例えばエコカー、エコポイント、いずれもあのころは多くの反対をいただきましたけれども、エコカー、エコポイントはいずれも、たしかあのときはエコポイント九千億円だったと、あっ、七千億円だったかな、だと記憶しますけれども、波及効果は四兆九千五百億というように出ましたので、そういった意味ではあのころもやらせていただいた部分もあります。
 なかなか全体としてそれをやり切るだけの力がありませんでしたので、残念ながらあのときは達成できませんでしたけれども、一部そういったことはやらせていただいたと思っております。
○小川敏夫君 エコポイントとかそういうのは消費喚起の一つの景気対策でしょうけれども、今、安倍総理が言っておられる金融緩和、まさに日銀による国債等の資産買入れ、これについては当時の麻生総理は全くやっておりませんですね。
○国務大臣(麻生太郎君) 金融緩和というのは、御存じかと思いますが、これは大蔵省の仕事、政府の仕事ではなくて、これはいわゆる日本銀行が監督をしておられる部分であります。また、その前、金融緩和というのをやらせていただいた小泉内閣のとき、二十兆、三十兆の金融緩和をやりましたけれども、日本銀行がお金を緩和しても日銀当座預金に金がたまるだけで、それから先の実需につながっていかなかったのが歴史だったと思います。
○小川敏夫君 もう少し具体的に詰めていきますが、では、ちょっと聞き方を変えまして、政府、日本銀行の共同声明というものが出ておりますね。一月の二十二日ですか、今年にですね。そこで二%の物価目標と。日本銀行は、物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率で二%とすると、こういうことを政府との間で協定しておるわけです。
 ですから、先ほど総理は、全く政府は関与しない、日銀のことだというような趣旨の答弁をされたと思うんですが、実際には日銀との間で共同声明して協定を結んで、そのような方向に持っていくと、このようなことを政府としても宣言しておると思うんですが、そうじゃないですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど私が申し上げましたのは、手段についてはこれは中央銀行が決めることであります。そして、今までの内閣と違う、これは麻生政権とも第一次安倍政権とも違うんです。第一次安倍政権とも麻生政権とも違う金融政策に初めて今挑戦しているんですよ。それが大きな違いですね。
 それは何かといえば、我々は選挙によって選ばれた政府であります。選挙によって選ばれた政権が中央銀行に対して物価安定目標を示すんです。これが新しいんですね。そして、これはある意味においては国際社会の新しい言わば主流的な考え方と言ってもいいと思います。そして、今回は、我々は二%が妥当な物価安定目標だろう、こう考えました。そして、私自身はそう主張してきました。
 その中において、日本銀行と緊密な協議をする中において、最終的に日本銀行が日本銀行の判断として二%という言わば物価安定目標について定めることになったわけでございます。そこが極めて重要な分かりやすい違いだろうと、このように思います。
○小川敏夫君 何か総理の話を聞いていますと、じゃ、金融政策は日銀がやっていることで政府は具体的には何も関与していないかのようなお話なんですが。しかし、実際には、安倍総理は二%の物価目標ということを、高らかに掲げたことをやってきているわけで、今またその成果ということで大変に自信を持った発言を、趣旨でされていると思うんですが。
 では、ここでちょっとパネルを一つ示しますが、(資料提示)その政府と日本銀行の共同声明というものを受けて、これは日銀が示したこれからの金融緩和の方針。すなわち、ここで約束した上昇率で二%の物価目標、これを言わば達成するために今後このように国債等の基金を買い入れて積み上げていくという、こういう説明資料なんですが、日銀が、すなわち二%の物価目標を実現するための金融緩和策として国債をこうして買い入れていくということを言っておるわけですが、これについては、では安倍総理は、あるいは安倍政権は、全く日銀の独自の判断で全く関与していないと、こういうことを言っておられるんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私としては分かりやすく御説明をしているつもりなんですが、言わば目的と手段、これは違いますよね。
 目的は、言わば目標については、私は選挙においても説明をしてきた。二%の物価安定目標を持たなければ、残念ながら、定めなければデフレから脱却できませんね。それは今までやってこなかったことであります。そして、我々は二%という目標を要求したわけです、ある意味においては。しかし、それは今の法制度では、日本銀行が了解しなければその目標ということを共通の認識にすることはできない。つまり、緊密な協議の中において、日本銀行が、ではやりましょうということになったわけでありまして、そして、それは中長期ではなくて、できるだけ早い時期にその目標に達するということまで了解していただいたわけであります。そして、その目標に向かってどういう手段を取るのか。いろんな手段がありますよ。その手段の中においてどれを取るかということは、それはまさに金融の専門家が集まっている中央銀行に決めていただく、これは世界の常識なんだろうと、このように思っております。
○小川敏夫君 総理の答弁の中で、いわゆる金融緩和あるいはデフレ対策を今までやってこなかったというような説明がありましたが、しかし、これを見てください。日銀による国債等の資産の買入れ、これは二〇一〇年、民主党政権時代に始まっておることなんです、二〇一〇年の十月に。そして、この一月には既に六十七兆円の基金が積み上がっていると。この政府と日銀との間の政策協定に基づいて日銀がこれから金融緩和を進めるというのは、これまで積み上がってきたこの基金、同じペースで更に続けますよというだけのことを示すためにこの表を出したんです。
 総理は、今までやってこなかった、それはすなわち民主党がやってこなかったということをおっしゃりたいんでしょうけれども、民主党の時代、二〇一〇年、日銀にこの国債の資産買入れということのデフレ政策、金融緩和というものは現に行っているというこの厳然たる事実があるんです。
 そして、安倍政権、政府と日銀との間で政策協定を結んで、これから日銀が金融緩和で何をやっていくかといったら、ただ単に同じようなペースで国債等の資産の買入れを継続していくと。継続すれば当然基金が積み上がると。そして、百十兆円まで基金が積み上がったら、そこからは基金を増やすことをしないで、減らすこともしないでいきましょうというのが日銀のこの金融緩和政策です。
 ですから、安倍総理、何か安倍総理は大変に大胆な二%の物価目標というデフレ対策、この金融緩和政策を始めたかのようにこれまでずっと喧伝されておりますけれども、この実質は、民主党政権時代、二〇一〇年からずっとやってきたことをただ単にそのまま続けていくということだけじゃないですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私は別に、今私がやっていることが民主党政権時代と比べていいということを言っているのではないんです。そんな小さなことを言っているのではなくて、かつての安倍政権、第一次安倍政権も含めて、この十四、五年の金融政策と比べてどうかということを申し上げているわけであります。
 今の小川委員の御説明は日本銀行の説明と同じなんですね、ずっと私たちやってきましたよ。でも、結果が出ていないんですよ。なぜ十五年間出ていなかったのか。それは、やはりちゃんと物価安定目標を決めるということなんですよ。相当抵抗があった、日本の金融政策の主流派の考え方とは違ったんですから。
 しかし、そこに決めて、量でいうんではなくて、この物価安定目標に向けて金融政策を進めていく。今、小川委員がおっしゃった量ではなくて、しかも、その量を出していくときに、これは余り効きませんよ、効かないかもしれないし、金融政策によって残念ながらデフレから脱却できないという弱々しいやり方ではなくて、二%という目標に向けてあなたたちの責任でこれはやってくださいということを決めた。これは画期的な違いではないとは私は言えないのではないかと。私は元々謙虚な人間でありますから、ですから、こういうことは余り言わない方ではありますが、これは明らかに違う。違うからこそ市場が反応しているんだろうと、このように思います。
○小川敏夫君 目標を定めたことに大変な意義があったかのような御趣旨の答弁だったんですが、実は民主党も昨年の二月十四日、二%以下のプラス領域で当面一%のめどということでこの国債等の資産の買入れを行っておるわけです。二%以下のプラスの領域、当面一%のめどという目標を立てている。総理は二%の目標ということを立てている。目標を立てているということについては全く変わらないんじゃないですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私は、決して民主党政権の金融政策が間違っていたとか、そういうことを申し上げたいわけではないし、随分やっぱり皆さん頑張られたと思います。日本銀行に対しても働きかけをされたんだろうと私は思いますよ。それに対して日本銀行も、日本銀行の今までの考え方の延長線上で対応してこられた。しかし、それではうまくいかなかったのは事実であって、私は第一次安倍政権のときのことも反省して今度の政策を考えたわけであります。
 あのとき、二〇〇六年、量的緩和を途中でやめてしまった。それはデフレギャップが実際埋まってきたんですね。デフレギャップが埋まってきてしまった段階で、日本銀行というのはインフレを極めて恐れますから、そちら側に振れるのではないかと、インフレになってもいないにもかかわらず量的緩和をやめてしまった。
 ですから、あのときにもし二%という物価安定目標があったらやめていないんですよ。金融緩和をやめていないんですよ。ですから、だからこそ今回はこのターゲットを設けたということであります。これは、まあ申し訳ないんですけれども、民主党政権時代のあの一%を目途ということについて言えば、これは日本銀行の責任でやるのではなくて、日本銀行とあるいは政府で一緒にやっていきましょうという、そして、かつ、これはゴールであってターゲットではないんですね。日本語でも、目途であって目標ではないんですよ。つまり、今回は明確に日本銀行に責任として、責任が生じるんですよ。できるだけ早い時期に達成できなければ日本銀行の責任なんですよ。つまり、そこに大きな違いがある。
 今こうやって百の説明をするよりも、実際に市場が反応したかどうか、これが全てなんですね。そして、インフレ期待は事実上がってきているんですよ。インフレ期待は〇・七%上がってきた。ですから、そういう意味においては、これは明らかに政策的な効果は出てきていると言わざるを得ないと思います。
○小川敏夫君 まず、二%目標ということの意味をお尋ねしますが、これは物価が二%に上がる、二%に達するまでこの金融緩和政策、国債等の買入れを行うという金融政策を実行するのか、それとも二%に達するよりも前に、ああ、このままの勢いでいけば二%になるなというふうに読めたところでやめるのか。すなわち、私が言いたいのは、二%に達したところで金融政策をやめても、その経済の勢いの惰性がありますから、そうすると、二%の目標、二%に達したところで金融緩和をやめてもその効果が、遅効性といいますか、遅れて出てくるということからすれば、物価は二%では止まらない、更にその上に行ってしまうわけです。
 総理が言っている二%目標というのは、二%に達するまでこの日銀からの資金の供給を行うのか、二%に達することが見えた段階でそこでやめるのか、どちらなんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、多くの国々で物価安定目標を導入をしています。イングランド銀行もそうですね。そして、FRBも、この物価安定目標だけではなくて雇用、六・五%というものも設定をしております。カナダもそうですし、あるいはまた欧州銀行もそう言ってもいいと思います。そして、豪州もそうですね。そういう多くの中央銀行と同じような常識的な手段だと私は思っているわけであります。その中で様々な手段を中央銀行が取っていくわけでありますが、この二%ゴールという考え方においては基本的にそのゴールに達するまでについて金融緩和を続けていくということなんですが、その近傍においてはどう判断をしていくかというのは、これはもう専門家のやっていくことではないかと、このように思います。
 付け加えて言いますと、物価安定目標というのは、どんどん物価を上げていくのではなくて、まさに物価を安定する、つまり二%にすることが目標ですから、二%を超えて五、六、七、八と上がっていくということのないようにする目的でもあるんですね、一方。つまり、二%で抑えるという意味もありますから。そこはまさに専門家に任せることであって、これができなければ中央銀行の存在意義は私はないと思いますよ。だからこそ日本銀行があって、その知見を生かしてその近傍で推移するように努力をしていただきたい、その結果を出していただきたいと、こういうことであります。
○小川敏夫君 つまり、私が言っているのは、二%に達するまで国債の、要するに日銀による資金供給を継続すれば、二%に達したところで継続をやめても物価は更に勢いがあるから上がってしまうでしょうと言っているわけで。
 ですから、安倍総理が言われるように、二%をどんどん上がっていくようなことにはしないと、二%に達することが目標だと言うと。二%に達するよりも前に、もう物価が上がって勢いが見えて、このままいけば二%に達するなという段階で、この日銀による資産買入れはやめなくてはいけないですねということを聞いているんです。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) その判断をするのは、私ではなくて日本銀行なんですね。つまり、二%という物価安定目標を掲げました、ですから、それで安定するような手段を選んで、そして、それは事前に予測することも必要でしょう、そういう判断をちゃんとやってくださいねということであります。
 付け加えて言いますと、今まで日本銀行は、言わばこのデフレから脱却するということを考えていながら、そのかなり手前で、手前で政策を変えてきたという批判があることも事実ですね。そういうことも、経験を生かしながら、しっかりと今後は二%という物価安定目標に一日も早く到達をしていただきたい。そして、まだそこ到達をしていないんですから、その先のことを心配するよりも、まずそこに到達をすることが大切ではないのかなと、私はこのように思います。
○小川敏夫君 民主党は、二%以下のプラスの領域、当面一%のめどと、きちんと、総理が言っているように、目標を掲げておるわけでして、ここに行くまでは金融緩和をするというのが政策でありました。
 なぜこの一%めどで二%以下のプラスの領域かというと、二%を超えないようにするためには、二%を目標にしたら、二%に行くまでこの資金供給をやったら、物価は必ずそれより上に行ってしまうと。だから、二%程度に収めるために、当面一%のめどの日銀による資金供給をするんだと言っておるわけです。
 ですから、安倍総理が二%を目標、目標と言うけれども、それはそのときの時々の判断で、日銀の判断、責任で二%を超えないように、しかし二%を達成するようにというんだったら、民主党の掲げていた政策と全く変わらないじゃないですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 誠に申し訳ないのですが、残念ながら、民主党のあの掲げた政策は結果を生まなかったんですね。全く結果を生まなかったと言ってもいい。だって、今だってデフレのままじゃありませんか。市場も反応しなかった。
 あのとき、どうですか、皆さん。デフレは続いて、そして円高は進んで、七十円台まで行ったじゃないですか。円高はデフレを助長しますよね。そして、株価はどんどん低迷をしていった。年金だって株式市場で一部は運用していますね。運用損が出てきている。こういう状況だったんですよ。そして、一%というところで、そして、ああいう弱々しい、申し訳ないのですが、ああいう政府と日本銀行の間の取決めであっては、残念ながら、これは反応しなかったんですよ。
 一%のはるか手前で言わば政策をまた変更してしまうのではないか、今の小川さんの理論からすればですよ、インフレを恐れてデフレから脱却する前にまた政策を変更してしまうのではないかということになれば、結局、残念ながら、全くこれは政策的影響力を持たなかったというのが、そこから、やっぱりうまくいかなかったというところから反省する必要があるんですよ。ですから、私も第一次安倍政権のときの反省から、今回、新しい金融政策を大胆に挑戦するべきだと、このように考えたわけであります。
○小川敏夫君 このデフレ脱却、インフレを、要するに物価を上昇するというのは、これは日銀によるこの基金の積み上げ、資金の供給を始めたらすぐにぱんと反応して上がるというものじゃありません。やはり少しずつじわりじわりとそれが浸透していって、その効果がじわりじわりと出てくるというのがこの大きな経済の中の政策であります。
 今、この資料の「消費者物価と需給ギャップ」、これを見てください。〇九年のときに大きく下げておりましたが、しかし、二〇一〇年、一一年、そして一二年、緩やかな形で物価は下落からプラス局面に入っております。
 ですから、全然効果がなかったじゃないですかということではなくて、経済というもの、急激な変化よりも着実に、様々な経済状況と合わせて着実に改善していくということからすれば、きちんとこのデフレは改善する流れにあったんじゃないですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 当時政権を担っておられたから、そう思いたいという気持ちは分かりますが、しかし、残念ながら、それは国民的にも共有されていないんだろうと思いますね。
 様々な経済指標が一月になって上向きになりました。消費態度指数においても、二〇〇四年に取り始めて以来最高の伸びを示したのがこの一月でございます。もちろん、その間、皆さんが努力をしなかったと言うつもりは全くありません。努力をしてもうまく結果に結び付かない場合もあります。
 ですから、大切なことは、政府としての意思をクリアにちゃんと示すことができるかということと、やはり日本銀行がこれは政策の変更を行ったということが明確に伝わったということが重要なポイントではなかったかと思います。
○小川敏夫君 日本銀行が政策を変更したと言うけど、さっきの表を見ていただきましたよね。日本銀行は別に政策は変更していないんで、民主党政権時代から続けていたこの国債等の資産買入れを更に継続していくということであって、別に何も政策は変わっておりません。
 ところで、また聞き方を変えますが、金融緩和をする、そうすると物価は上がるということなんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 金融緩和をしていけば、そして正しい政策手段を中央銀行が取っていけば、この二%に向かって物価は上がっていくということだと思います。
○小川敏夫君 これは資料の二を是非見ていただきたいんですが、一九八五年、この年にいわゆるプラザ合意がありまして急激な円高になりました。そこで、日銀は大胆な金融緩和を重ねて行いました。しかし、日銀が大胆な金融緩和をしても、八六、八七年、八八年、それ以前に比べて物価の上昇率は下がっております。当時のバブルの時代ですが、過剰流動性といって、まさに実体経済よりも資金が過剰に出回っていた。
 しかし、この時代、三年間、物価は上がっていなかったという、こういう一つの経験があるんですが、金融緩和をすれば物価は上がるんだという総理のお考えとは、説明とはちょっと違う現象が起きているんですが、これについてはどう思いますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 当時は物価安定目標は設けておりません。今回は物価安定目標を設定をしたということであります。
 残念ながら、当時も物価安定目標の議論はあったわけでありますが、当時もそれは金融政策の中において主流派の意見とはなり得なかった。つい最近まではそうなんですね。それは、我々が言い出すまではそうだった。今度は物価安定目標を設定をいたしました。そして、ECBにおいてもFRBにおいてもイングランド銀行においてもそうなんですが、物価安定目標を設けることによって彼らに責任が生じます。
 これは責任が生じるというところがポイントなんですよ。天気予報みたいに、これは一週間後の天気はこうですよではなくて、こうしますよ、これが大きな違いなんですね。予測を述べてもらうのではなくて、評論家的に、これは責任を持ってやっていただこうと、こういうことであろうと思います。
○小川敏夫君 そうすると、要するに、政策は同じであっても、政府が、総理が強い決意を示せば、その決意によって、心理的効果が大きいから、それによって市場は反応するでしょうということであって、政策の中身が同じであっても政府が強い姿勢を示せばいいんだと、こういうことになるわけですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) つまり、まず政策の目標を置いたわけですから、全然これは違うわけですね。
 つまり、先ほど私は二〇〇六年の話をいたしました。二〇〇〇年もそうなんですが、ゼロ金利をやめてしまったとき、あれは効果を上げていたにもかかわらず、それをやめてしまった。なぜかといえば、物価安定目標がなかったからなんですよ。二〇〇六年もそうですね、物価安定目標がなかったからこれをやめてしまった。それはみんな分かっていることなんですね。ですから、今度は物価安定目標があるから、この物価安定目標に向かって進んでいくなということであります。
 と同時に、同時に、やはり経済はちゃんと政策を、まあこれは政策変更、政策としても変更しましたよ。と同時に、同時に、経済における心理、期待値、これは実は極めて大きいんですね。エール大学の浜田教授も言っておられるように、つまり、しっかりと期待値を持たせることができるかどうか、つまり、それはインフレ期待に変わるかどうかということなんですね。そのインフレ期待に変わるかどうか、これはまさに期待値、これは心理であります。今回はその理論が現実に証明されたのではないかなと、このように思います。
○小川敏夫君 物価安定目標、物価安定、安定と言うけど、安定じゃなくて物価上昇目標ですよね、インフレ目標ですから。安定というと何か全然変わらないように思うんだけど、安定的に物価を上げるという目標ですね。
 ただ、目標を掲げるということ自体に意義があるんであれば、民主党も一%、二%以内の一%ということで目標を挙げておったわけですから、目標を挙げることが意義があるんだったらそれは差はないわけでして。そうすると、何が違うのかというと、民主党の方は、着実に政策は行っていたけど、それに対するアピールが少し下手だった、弱かったと。総理の方は、民主党とやっていることは全く同じ政策を続けているんだけど、その期待値を持たせるアピールばっかり大変に上手だったと、こういうことになるんですかね。
 そうすると、私は、総理がやっているのは、アベノミクスじゃなくてアベノマジックじゃないですか。言葉だけで国民にあたかもそうであるかのような期待を持たせているだけで、実態の政策は全くこれまでと変わっていないと、こういうふうに思うから、私は、総理、あなたの言葉のマジックだからアベノマジックだと、こういうふうに申し上げたいんですが、どうですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 金融政策について何度も話をさせていただきますが、二%という物価安定目標ですから、つまりそれを振り切ってどんどん物価が上昇していくということにはしないということなんですね。
 よくハイパーインフレという言葉が出てきますが、物価安定目標を設定した国でハイパーインフレになった国は一つもありません。これは当たり前なんですね。つまり、二%に目指して金融緩和を進めていきますが、これを超えてどんどん行けば逆に引き締めて、この二%にするということについても、これは責任を負うということは、それよりもずっと下では駄目だし、これをどんどん超えていっても駄目ということであります。
 そこで、大切なことは、申し訳ないんですが、民主党政権のときの一%、結果が出なかったのは事実ですから、そこからやっぱり何か酌み取っていくことが人間というのは大切ではないのかなと、このように思います。
○小川敏夫君 ですから、民主党政権の時代のこの政策で着実にデフレは解消に向かっておったわけです。ただ、総理ほどアピールが上手ではなかったから、総理がアピールがうまいから何か変わるかなという期待で上がっているんじゃないかとは思うんですが。
 取りあえず、また話をバブルのころに戻しますが、非常に大きな金融緩和、まさに過剰流動性といったわけですが、物価は上がらない、消費者物価は上がらない、しかしその過剰な資金はどこに向かったか、株と不動産が上がっただけです。株がまさに暴騰して、まさにバブル、実体以上に上昇して、それがはじけて日本は大変苦しい困難な経済状況に陥っている。同じような現象が起きることはないんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 当時の問題点は、株価ではなくて地価がどんどん高騰したことですね。つまり、お金が投資先として地価に行ってしまった。で、投機になっていくんですね。この地価がどんどん上がっていくことの問題点は、国民の皆さんが住む場所を得よう、家を得ようとしても、その所得をはるかに超えてしまったというところに問題があったわけでありまして、まさにこの実体経済において大きな問題が出てきた。我々はその経験をしていますから、もちろん今度の金融政策、財政政策においてもそうしたことに目配りをしていく必要は当然あるんだろうと思います。
 同時に、株価の上昇あるいは下降について一々私はコメントすることは差し控えますが、しかし、株式市場において株価が上がっていくということについては、これは企業はみんな株を保有をしています。企業の財務内容は言わば健全化をしていく、あるいは財務体質も強くなっていくわけでありますし、それは新しい投資にもつながっていくでしょうし、場合によってはまたこれは給与という形になっていく可能性もあります。
 何回も申し上げますように、例えば年金についても、これは一部は株式市場で運用をしています。経済が成長して、そもそも年金の設計自体がある程度の緩やかなインフレを前提としております。つまり、そうしたことによって、経済は、市場経済はうまくいい循環に進んでいくんだろうと、このように思います。
○小川敏夫君 総理は、例えば衆議院での質疑においても、貨幣現象だと。だから、日銀が金融を緩和して資金が供給されれば、供給量が増加すれば、貨幣現象だから物価は上がるんだと、このように言っておりました。ただ、このバブル期のころに学んだ一つの経験は、資金が過剰に供給されても物価は上がらない、上がったのは株と不動産だけだ、こういう現象になっておるわけです。
 ですから、私は総理に聞いておるわけです。資金の供給を増やせば、日銀が多量に資金を供給すれば物価は上がるという総理のこの基本的な考え方が、過去の事例からいうと必ずしも正しくはないんではないかと、こういうふうに思っているわけですが、どうですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) デフレは貨幣現象であると、そして、それに対しては金融緩和が有効であるということは、ノーベル経済学賞を取ったスティグリッツ教授もクルーグマン教授もジェフリー・サックス教授もそう述べているわけであって、私の経済政策を評価をしていただいています。IMFのラガルド専務理事もこの日本の取っている政策を支持をしています。それによって日本がデフレから脱却をしていくであろうことに期待を寄せているわけであって、そういう結果を出していきたいと、このように思っています。
○小川敏夫君 何か私の質問には全然答えていないんですがね。
 要するに、日銀が資金を、供給量を増やせば物価が上がるというふうに総理は説明してこられたと思うんですが、その説明のとおり上がるんですかと聞いておるわけです。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 日本銀行に今責任を負ってもらっています、二%という物価目標についてですね。それに一日も早く到達するようにということを今我々、共同声明で出しているわけであります。
 まだあれから一か月、大体一か月ですか、一か月たとうとしているわけでありますが、しかし、実際にもう既に、私も前から申し上げてきたように、金融緩和をすると、それはまず最初に為替と株式市場において、株価において反応を示してきますよと、その上において言わば製造業を中心に利益が上がってくると、そして、その中において投資も増えていくし、あるいは最終的には給与が上がっていくという中において物価は上昇していく。今、最初の入口でありますから、だんだん、見ていただければ、結果が、ああ出てきたなということは御理解いただけるんだろうと、このように思います。
○小川敏夫君 一つ、一昨日でしたかね、新聞記事にこういうのがありました。ジョージ・ソロスというヘッジファンドが円安に賭けて約一千億円に近い利益を上げたと。すなわち、総理のその大変強い意気込みを示した発言は、結局そうした相場に対して一つの言わば勝負の場を与えただけであって、これが実際に実体経済に回っていくかどうか、それはまだ何の実績も出ていない、これからなんじゃないですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先般、私が福島を訪問した際、八王子から福島の呼びかけに応じて工場を造った企業の社長さんとお話をしました。
 彼は、私は為替の水準がどこがいいと言うつもりはありませんよ、彼は、もし九十円を超えていけばもう二つラインを増やしたいと思っている、それによって被災地の人たちをもっともっとたくさん雇用できる、安倍さんの政策、どんどん進めてください、そう言っていただきました。
 そういう現象はここだけではないのかなと思いますね。例えば、あのローソンも働き盛りの人たちに対する賃金を上げるという決断をしてくれました。九州にもそういう企業があるそうであります。これはジョージ・ソロスをもうけさせただけではもちろんないことは、これはもう国民の皆さんがよく御存じなんだろうなと、このように思います。
○小川敏夫君 余り観念的な議論で時間を費やしてもとは思いますが、ただ、要するに、安倍総理、新政権の強い決意というもの、総理の発信力というものは、表現力というものはなかなかのものだから、そしてそれに反応して円安になり株式市場が上がったというその部分だけは、今そういう現象が起きているということは、それは事実ですから正しく評価しましょう。
 ただ、問題は、この円安が継続するのかどうか。例えば、民主党が、過去の例として、日銀による資産買入れを行いました。そのときに円安になりました。しかし、その後の状況は、やはりまたじりじりと円高に戻されてしまったと、こういう過去の経験がありました。
 すなわち、やはり実体経済というもの、これを良くしていかないで金融政策だけで物事を変えようとしても、やはり一時的にはいい現象が起こるかもしれないが、しかしやはり本来の経済の実態の姿に戻っていってしまうのではないかと、このように思うわけでありますから、そうすると、今現実に円安になって株が上がったということ、それは評価しましょう。しかし、それが今後継続していくのかどうか、これはこれからの政策の在り方だと思うのであります。
 質問を変えますが、余り時間がなくなってきたので端的にお伺いしますが、例えば大幅な公共投資というものを今打ち出しております。ただ、私が議員になった後でも、例えば小渕政権、大変大きな公共投資、国債を発行して行いました。最近では麻生総理の時代にも行っております。
 公共投資は、それだけの投資をして工事を行うんですから効果がありますが、しかし、そのお金を使っている間に効果があって、その後は持続しない。一方で、その公共投資を行うために積み上げたこの国債という借金は、これは積み上がって、六十年で返済するわけですから、借金ばかりが膨れ上がってしまうと。こういうことで、今大変困難なこの国の財政状況を抱えておるわけです。
 この国の財政状況、これについてどのように取り組んでいこうと、解消していこうというお気持ちですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 確かに、今、小川委員が指摘をされた問題点、これは我々も共有をしております。
 例えば、小渕政権以来、累次の公共投資で需要をつくってきたわけでありますが、それは景気の底割れを防ぐという効果はあったと思うわけでありますし、何といっても日本の場合は四月の新規採用、このチャンスを失うとなかなか就職の機会がないんですね。これは欧米と違う点でありまして、だからこそ我々は失業率が上昇しないように大変それは気を付けてきたわけでございます。
 つまり、景気が底割れをして失業率がもし一〇%を超えていくようなことがあったら、つまり新卒のときに、十八歳、二十二歳、二十三歳で機会を失ったらずっとなかなか日本は就職をする機会がありませんから、我々は殊更やはりこの景気の底割れは避けなければいけないということでやってきたわけであります。
 いずれにせよ、我々は、財政の健全化ということについては、プライマリーバランスの黒字化を目指していくということにおいて、二〇一五年に一〇年比の半減を目指していく、そしてさらには二〇年にプライマリーバランスを黒字化するという目標に向けてしっかりと政策を進めていきたいと思っております。
○小川敏夫君 財政立て直しに向けてプライマリーバランスを実現しなくてはならないという、そのお気持ちは伺いましたが、じゃ、どうやって実現していくというふうに考えているんですか。
○国務大臣(甘利明君) IMFも指摘していますとおり、今必要なことは、短期的には景気刺激、中長期的には財政の再建の道筋を描くことだというふうなことが言われています。
 私どもは、補正予算を通じて、短期的には景気刺激を取りました。ただし、その景気刺激は、先ほど来委員御指摘のとおり、単発的なものではなくて、それから先の民需につなげていくような工夫をしているわけであります。そして、成長戦略で民需主導の経済に持っていくと。
 財政的には、短期的には景気刺激を取りますけれども、中長期的には再建目標を掲げて、一五年で半減、二〇年で黒字化、これは民主党政権時代からの目標を我々もしっかり受け継いで、それに対しての中長期のプランを提示をしてまいります。
○小川敏夫君 いや、だから、目指します、目指します、中長期プランを設定しますというんじゃ何にも答えていないんで、どうやってこの財政の立て直しをやるんだという、その具体的な対策の中身を聞いておるんです。総理に聞いています。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 既に今、甘利大臣から御説明をさせていただきましたが、財政を再建していく上においては、まず歳出を適正化をしていく、なるべく無駄遣いをなくしていく、これはちゃんとやっていきます。
 同時に、収入を増やしていくということですね。収入を増やしていくためには、まず税収を上げなければいけません。税収を上げる上においては、一つは増税を図っていく。これは、来年の消費税を五から八に上げ、そして更に再来年一〇%に上げていきます。これ、伸びていく社会保障費あるいは子育てへの対応にしっかりと税収を確保するためであります。
 同時に、やはり経済を成長させていくことによって税収を増やしていくことができます。そのためには、何といってもデフレ下では税収を増やしていくことは難しい。だからこそ、我々は、デフレから脱却をしていく、かつ成長戦略を実施していくことによって経済を成長させ、そして税収を増やしていきます。
○小川敏夫君 どうも抽象的なお話ばかりで、話を聞いていると、これでこの財政の危機が解消されるという実感は全く感じないんですけれどもね。
 例えば、総理がおっしゃっている三本の矢、私は大変重要な点が一つ欠けていると思うんですよ。つまり、総理は、入ってくることばかりですね、景気を良くして収入を増やすんだ、増やすんだと言うけれども、一方で歳出の方、これを、無駄なものは削減するという、歳出を抑制するあるいはカットする、無駄なものは使わないというこの観点、あるいは行政改革、無駄を生んでいるような機構の行政改革というものが総理の政策の中には入っていないんですよね。
 私ども民主党のころは、そういう行政の無駄というものを絞りに絞って、そして捻出したその財源を様々な分野、国民の生活のために使おう、景気刺激のために使おうということで取り組んでおったわけですけれども、総理の今度の三本の矢に行政改革は入っていない。どこにも行政改革に触れておられないということが大変に残念なんだなと。要するに、何か、ぼんぼんぼんぼんお金をばらまいて景気が良くなるんだろうと、そうすれば日本は良くなるんだみたいなきれいな言葉ばかり並んだ抽象的なお話であって、政策の具体的中身がないように思うんですが。
 まず、日本の財政問題、この表を作らせてもらいました。非常に深刻な状況を迎えております。
 この青い線の利払い費を見てください。平成元年あるいはそのころからほぼ横ばいでした。一方で、緑のこの棒グラフ、国債という借金はどんどん膨れ上がっています。しかし、借金の利息の利払い費がこうして横ばいあるいは減少傾向にあったのはなぜかというと、金利が下がったからです。すなわち、借金の総額が増えても金利が下がってくるから利払い費が言わば横ばいになり減少であったわけですが、もうこれ以上金利は下がらないという今の経済状況下にあるわけですが、一方で国債の発行残高はどんどん増えていくと。そうすると、これからは借金の利息の利払い費が増える一方、実際にこの青線を見てください、ここ二十三、二十四、二十五と、利払い費が急に鎌首を上げるように上昇に転じております。
 この利払い費、例えば平成十一年に国債の発行残高がどんと増えています。これは小渕政権の国債発行ですね。公共投資。自分は世界一の借金王だと言っていたことをよく思い出しますが、そこで国債の発行、公共投資という名前の目的の国債発行で借金が増えている。
 それから、平成二十一年、これは麻生総理の時代、これはリーマン・ショックの後でしたけれども、やはり大型補正、公共投資で国債を大量に発行して国債の発行がまたどんと増えております。
 その後、民主党政権に入りましたが、リーマン・ショックに引き続いた後の東日本大震災という大変な災害に遭って、復興需要等、復興のための財政等支出ということで国債の発行が増えておりますが、ここでまた安倍政権になってまた大型補正ということで国債の発行が大量に増える。そうすると、この利払い費がどんどん増えて、しかもこの膨らんだ公債残高、これが膨らむ一方の中で、日本はこの財政、日本国家の財政はやっていけるんでしょうか。
 すなわち、利払い費が膨らんでいくと、利払い費というのは予算の中で払わなくてはいけないものですから、国家財政、予算の使い道というものを大変大きく制約するわけですが、この利払い費が大きく鎌首を上げてこれから上昇するという傾向が見えたとき、やはり財政を立て直すという決意が必要だと思うんですが、しかしそれに対する取組が非常に薄いように思う。行政改革については何も触れていないというこの安倍総理の姿勢は、やはり財政再建に取り組む姿勢というものが欠如しているんではないかと思うんですが、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 具体的には甘利大臣から答弁をさせていただきますが、例えば今回は、地方公務員の報酬を引き上げる、これは民主党時代には全く手が着いていなかったこと……(発言する者あり)いや、引き下げる、引き下げるということはですね、民主党政権には全く手が着いていなかったところでありますが、そのお願いもさせていただきました。
 そういうことも含めて、我々、今の段階であらゆるできることについて取り組んでいるところであります。詳しくは甘利大臣から答弁をいたします。
○国務大臣(甘利明君) 利払い費を引き上げないためには日本国債の信頼性を維持することであります。この信頼性を維持するためにはきちんと償還をされるという道筋を示すこと、それは御指摘のとおりであります。
 私ども、かつてもそうやっておりましたけれども、年央を目途に骨太の方針で大きな方針を出すと。それから成長戦略等の効果も勘案しながら、それから、少し先に細目を決める、中長期の目標というのを設定をいたします。そういう中で、民主党政権の中で掲げてこられた中期目標、それから黒字化目標についてはきちんと維持をして、こういうふうに財政再建の道筋を描くということをお示しをいたします。それを通じて国債の信頼性を保つと、それを通じて金利が上昇しないような手だてとしていくというつもりでございます。
○小川敏夫君 日本の財政を立て直すためには、やはり無駄な支出というものは、これは徹底的に削減しなくてはいけないと。しかし、実際に自民党政権、政権に復帰したところ、また昔の税の無駄遣いを復活しようとしているのではないかと。
 例えばこの自動車重量税、これは特定財源であったものを一般財源にしたわけです。これはたしか麻生政権のときに行ったわけでありますが、この特定財源を一般財源化した、まさに特定財源ですとどんどん使ってしまって無駄が生まれるからということで一般財源化したわけでありますが、しかし、今回これを、その税収は道路の維持管理・更新等のための財源として位置付けると、こうして特定財源化する方針を示しております。これは昔の自民党に戻るんじゃないですか。
○国務大臣(麻生太郎君) 小川先生御記憶のとおり、この重量税というものの特定財源化を私の内閣のときにこれを廃止したと記憶をしましたのが、私が財務大臣になったら戻すというふうに考えておられるわけですか。そういうように考えておられる、で、今御質問をいただいているのかと思ったんですが、与党大綱の記述を読んでいただいたら分かりますけれども、この車両の重量税に応じて課税されるという形になっております自動車重量税というものは、これは道路の損壊など、いろいろ走っていれば壊れますので、そういった意味では道路の維持管理とか、またさらに、更新していくなどという関係で、これは原因者が負担とか受益者負担とかいろんな表現ありますけれども、そういった観点から課税するということでありまして、理念としてこれを明確にするという趣旨でこれは書かれていると御理解いただければ幸いだと思っております。
 ちなみに、そういった意味でこういったものを使わせていただきますよということを書いてあるので、一般財源ということでありまして、必要な財源は一般財源ということでしっかり確保してまいりたいと考えております。
○小川敏夫君 税収を道路の維持管理・更新等、等が入っているからね、これ新規も入っているんですよ、ための財源とすると、財源として位置付けと書いてあるんだから、理念じゃないでしょう。使い道をこれ定めているんじゃないですか。まさに特定財源化じゃないですか。
○国務大臣(麻生太郎君) 道路を使えば補修するのは当たり前です。したがいまして、そういったものに特定のお金が要る。きちんとそれを特定財源化いたしますと、道路が補修する必要がなくてもその道路にどんどん使われる可能性があったというのがこれまでの反省に基づいて道路特定財源を四年前にやめておりますので、そういった意味では、今回も同じような趣旨で我々としては同様にやらせていただくということを書いております。
○小川敏夫君 道路の補修をするなと言っているんじゃないですよ、必要な補修は一般財源で賄いなさいと言っているわけで。
 総理は特定財源じゃなくて一般財源だ一般財源だと言うわけですけれども、そうすると総理のお考えでは、そもそも特定財源というその特定財源の言葉の定義をまず教えていただけませんか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 特定財源というのは、税収を自動的にその目的に向けて振り向けていくということではないかと思います。
○小川敏夫君 自動的にというのはちょっと分かりにくい話ですが、要するに税収を一定の目的に使うことを特定財源化ということじゃないんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) つまり、上がった税収はその目的のため以外には使えない。つまり、全部それはその目的にしか行かないという決め方だろうと思います。
○小川敏夫君 ですから、この自動車重量税を、ための財源として位置付けというのはまさにその特定財源化を言っているんじゃないですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この徴税の趣旨について、恐らくそれは与党の自民党の税調において考え方を記したものであろうと思いますが、政府として使う上においては一般財源としてこれは考えていくと、これはもう明確な政府の方針であります。
○小川敏夫君 理念じゃないでしょう。位置付けと言って、使い道を位置付けているんだから特定財源でしょう。黒を白と言い張っているだけですよ、総理。
 じゃ、次の質問に行きますが、これはまた全然別の話です。慰安婦の問題です。
 総理は、河野洋平官房長官談話によって、強制的に軍が家に入り込み、女性を人さらいのように連れていって慰安婦にしたという不名誉を日本は背負っていると、こういう発言をしたようですが、この発言の趣旨はどういうことですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私は、私の考え方、気持ちを野党の党首時代にお話をさせていただきました。
 この問題について、外交問題あるいは政治問題にするという考え方はございません。そして、かつ、この問題は河野官房長官談話として出されたものでございまして、閣議決定されたものでございませんので、この問題については官房長官が答弁するのが適当だろうと、こう考えております。
○小川敏夫君 官房長官談話といっても、当時の政府の見解として出されたものですよ。政府見解ですよ、これは。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは閣議決定を経たものではなくて、官房長官の談話として出されたものでございますので、答弁が必要であれば官房長官から答弁をさせていただきたいと思います。
○小川敏夫君 総理は、この談話について、政府としてこの官房長官の談話を発出しですよ、このように安倍総理は前の時代の総理大臣のときに述べておるわけですよ。政府の姿勢だと、政府の方針であると。政府の責任者は総理大臣ですよね。
 そこで、まず私は、総理のこの発言については非常に重要な間違いがあって、総理のこの政治姿勢を問わなければならない。
 すなわち、河野洋平官房長官談話、この河野談話は、強制的に軍が家に入り込み、女性を人さらいのように連れていって慰安婦にしたという、こういう強制の事実があったということは認めていません。しかし、総理は、河野談話が、そういう人さらいのように女性を連れてきて慰安婦にしたということを日本政府が河野談話によって認めたという誤った指摘をしておるわけです。
 この点はどうですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この問題について、私は総理の立場として議論する考え方は、考えはございません。総理として議論することによって、外交問題、政治問題に発展しやすくなるんですね。
 ですから、官房長官、もしお望みであれば官房長官から答弁させていただきたいと思います。
○小川敏夫君 しかし、例えば前回の、前回、安倍総理が総理大臣をしているときに、総理大臣として様々な発言をするから例えば米国下院から日本を批判するような決議があった。まさに、総理大臣として前回は様々な発言をして言わば外交問題を引き起こしておったわけですが、今回は総理大臣としては発言しないということですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私も、様々なことを一回総理大臣を務めさせていただきまして学ばさせていただきました。その観点から、この問題については官房長官から答弁するのが適当だろうと、こういう結論に至ったわけでございます。
○小川敏夫君 私は総理の発言を問題にしておるんです。すなわち、事実と異なることを言っておるわけです。
 すなわち、河野談話は、強制的に軍が家に入り込み、女性を人さらいのように連れていって慰安婦にしたという、こういうことは認めていません。こういう不名誉なことは、河野談話、すなわち日本の政府は認めていないわけです。それを、安倍総理、あなたは、日本政府の見解である河野談話が、人さらいのように女性を連れてきて慰安婦にしたということがあったように、間違った事実を広めておるわけです。この発言そのものは、だって事実に基づかない発言を、総理、あなたが発言したことなんですよ。総理の発言でしょう、総理、総理の発言。
○国務大臣(菅義偉君) 今、総理が答弁されておりますように、総理は政治問題、外交問題にしないと、ここは明確に発言をさせていただいています。そして、前の安倍内閣においてこの問題について閣議決定をしたと、そういう経緯もあります。
 そうした中で、いわゆる歴史学者だとか有識者の人たちが今研究をされておるわけでありますから、学術的見地に立ってこの問題については更なる検討をすることが望ましい、これが安倍内閣の見解です。
○小川敏夫君 私は、安倍総理の発言から安倍総理のこの姿勢を問うておるわけです。まあ安倍総理が河野談話を余り好んでいないということはこれまでの言動から感じますがね。しかし、河野談話を言わば否定したいという気持ちがあったとしても、事実でないことを河野談話で言っているかのような、誤った事実を河野談話があったという前提事実を置いてそれを批判するというのは、これはおかしいんじゃないですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、私が総理大臣として議員と議論すること自体が、これは言わば外交問題、政治問題化するわけですね。ですから、これは官房長官談話であって閣議決定を経ていないわけでありますから、そこは御了解をいただきたいと、このように思います。
○小川敏夫君 もう既にあなたの発言で外交問題になっているんですよ。ニューヨーク・タイムズも大変批判しておる。
 時間が来ましたのでこれで終わりますけれども、やはり事実でないことをあたかも河野談話にそれが結び付けてそれを批判するというのは、やはり政治家の姿勢として大変好ましくないことだということを指摘して私の質問を終わります。
○委員長(石井一君) 関連質疑を許します。櫻井充君。
○櫻井充君 民主党・新緑風会の櫻井充です。
 今日は、安倍総理並びに関係大臣に質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、安倍総理の所信表明演説についてですが、余り、済みません、多くのことに触れられていなくて、最後にとっぴに「強い日本をつくるのは、」というふうに出されているんですが、この強い日本とは一体何なんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今回、私が二度目の総理に就任をした。なぜ総理に就任することになったかといえば、やはり現下の情勢ですね、現下の情勢、経済がデフレの中で低迷をしているという点、そしてまた同時に、経済力を弱めた結果、外交において存在感を失っている中において、日本の領土、領海が危うくなっているということなんですね。そしてまた、なかなか福島からの復興が、これはめどが立っていないということであります。そしてまた、もう一点言えば、教育の現場において、いじめあるいは体罰が横行していて、子供たちが自らの命を絶っている。こういう危機的状況を変えていく上において、まずは強い経済を取り戻していくことが大切であろうと、こういう考えに基づくものであります。
○櫻井充君 そうすると、強い日本というのは強い経済という意味なんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まずは強い経済を取り戻すことによって、そのことによって強い外交力を回復をすることにもつながっていきますし、当然その保障としての強い安全保障、この力を獲得することにもつながっていくんだろうと、このように思います。
○櫻井充君 前回は総理は美しい国を標榜されておりました。この美しい国と強い日本とどういう関係があるんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 強くなければ優しくなれないという言葉がありましたが、日本は、まず私の美しい国というイメージとしては、活力とチャンスと優しさのあふれる国をつくっていきたいという中において、やっぱり自立の精神を大切にする、そして世界に開かれた日本をつくっていきたいと、このように考えたわけであります。
 同時に、その目標に向かって、この基本として、ただ強くあればいいということだけではなくて、歴史や伝統を大切にしていくという点ですね、そして、規範意識と責任感を持っている国でなければならないと思います。そして、謙虚さ、あるいは真の豊かさを知る日本でなければならないと、このように思います。この美しい国をつくっていくためにも強い日本を取り戻していかなければならないと考えております。
○櫻井充君 そうすると、取りあえずのところは経済を立て直して、そして目標は美しい国ということなんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) そのように考えております。
○櫻井充君 その強い経済を確立していくために社会保障政策というのはどういう位置付けになるんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 美しい国をつくるためにも、当然社会保障制度極めて重要であります。自立の精神を大切にしていくわけでありますが、同時にみんなで助け合っていく、みんなで助け合っていくという国こそ私は美しい国だろうと思います。
 しかし、強い社会保障制度、これを構築をしていくためには、できもしない給付を約束するのではなくて、それを可能にする強い経済を手に入れることも強い社会保障制度につながっていくんだろうというふうに私は考えております。(発言する者あり)
○櫻井充君 ばらまきの話は後でさせていただきますが、社会保障政策の具体像が今回の所信表明演説で全く触れられておりませんでした。この点についてはいかがでしょう。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今回は所信表明演説の後、約一か月後に施政方針演説を行うという中において、施政方針演説の中でしっかりとお話をさせていただきたいと思っております。
○櫻井充君 今回の所信表明と、それから施政方針演説と、どういう内容をお話しされるかというのはどこで区分けすることになるんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 施政方針演説において基本的な、言わば安倍政権、網羅的な私の考え、政策を述べさせていただきたいと、このように思います。
 所信表明演説においては、まずは強い経済を取り戻すということに重点を置かさせていただいたということであります。
○櫻井充君 繰り返しになりますが、そうすると、強い経済のためには社会保障政策はそれほど重要ではないということですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 強い経済を取り戻さないと、なかなか強い社会保障制度は取り戻すことができない。例えば、社会保障制度を支えるのは、まさにその社会保障制度を支える財源が必要であります。この財源を確保するためには、言わばそれは保険料収入あるいは税収になってくるわけでありまして、経済が成長していかなければこの税収あるいは保険料収入は減っていってしまうということになっていくのではないかと思います。
○櫻井充君 総理は先ほどから財源論といいますか、収入の面だけを強調されておりますが、安心感があってこそ物の消費が進んでいくということにはつながらないんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 当然、それも大切なんですね。しかし、これは安心感を得るためにも、これ財源がないのに安心しろと言っても安心できませんから、ですから、この給付、言わばその財源があるのにそうした給付に目を向けないということでは全くありません。この給付を確かなものにするためにも強い経済を手に入れなければならないと、こう考えているわけであります。
○櫻井充君 小泉内閣以降、社会保障費の伸びの二千二百億の抑制をやってまいりましたね。こういう精神なのか、それとも、民主党政権では社会保障政策を非常に大事にしてきましたが、安倍政権としてはどちらを取られるんでしょう。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 安倍内閣においては抑制ありきということは考えておりません。やるべき給付はしっかりと確保をしていく。同時に、その給付する財源を確保するためには強い経済を手に入れていくということなんだろうと思います。
 同時に、給付は負担とこれは裏表であります。給付をするためには誰かがどこかで負担をしなければいけない。その人たちがその負担について理解をしているということも大切なんだろうと、そういう仕組みをつくっていきたいと考えております。
○櫻井充君 それでは、ちょっと視点を変えてといいますか、その経済の面で、今デフレの問題に取り組まれております。これも我々も喫緊の課題だと思っておりましたが、このデフレの原因について総理は何だとお考えでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) デフレについては様々な原因はありますが、基本的にはやはりこれは、デフレについては何回か申し上げたわけでありますが、これは貨幣現象でありますから、やはりこれは、中央銀行において、金融政策によってこれはデフレからインフレ、まあ二%という物価安定目標を掲げたわけでありますが、それに向かって正しい手段を選択をしてもらいたいと、このように考えております。
○櫻井充君 貨幣現象はそのとおりかもしれませんが、改めてお伺いしたいのは、なぜ中央銀行が金融緩和をするとデフレから脱却できるんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは単純なことでありますが、つまり、物と貨幣との関係でこれはデフレ、インフレが決まっていくわけであります。その中において、当然、金融緩和を行えばこれは貨幣が出ていくわけでありますから相対的に物の値段が上がっていく、こういうことになるわけであります。
○櫻井充君 今大事な点があったんですが、金融緩和をすればお金が出ていくという説明でした。どこに出ていくんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、金融緩和の中身については様々な手段があるわけであります。議論になっている、市場から国債を買っていく、国債を買う中においても短期的な国債を買っていくのか長期的な国債を買っていくのか、あるいは、これは国際的に議論になっている外債を買うという、そういう考え方もございますし、あるいは、まさにこれは市場に、あるいは場合によっては株式市場に直接影響を与えるという買い方もあります。それはFRBにおいてもECBにおいても様々な手段が取られているわけでありまして、そこから有効な言わばデフレ脱却に資する手段を取っていただきたいと考えているところであります。
○櫻井充君 日銀にお伺いしたいと思いますが、今の手段についての評価をお願いしたいと思います。
○参考人(西村清彦君) お答え申し上げます。
 まず、先般、日本銀行は、二〇一四年度の消費者物価の上昇率の前年比ですが、これを消費税の引上げの影響を除くベースで〇・九%という見通しを公表いたしました。これは、具体的には海外経済の緩やかな回復、これを前提として我が国経済も潜在成長率を上回る成長を続けていくと、そういう考え方に立っております。
 このように先行きの経済が持続的に改善していけば企業や家計の成長期待が高まります。そして、それが現実の物価に影響を及ぼして緩やかに上昇していきます。そして、予想物価上昇率が上がります。この上で賃金も上昇し、そして所得も増加していくと、そういう好循環が生まれていくというふうに考えています。そういう考え方の下で二%という物価目標を達成するということを考えているわけです。この二%の物価安定の目標の実現を目指しまして、現在、日本銀行は強力に金融緩和を推進しております。そして、企業や家計の支出や投資行動を金融面からしっかりと支えていくという考えであります。
 こうした中で、企業や家計の成長期待、この成長期待が高まれば、緩和的な金融環境、先ほどもございましたけれども、貨幣が出ていくと、こういう緩和的な金融環境の活用が進んでいくと考えられまして、これが金融緩和の効果を一層強めていくというふうに考えております。
 以上です。
○櫻井充君 いや、そういうことではなくて、先ほど総理から具体的なことがございましたが、これについて実効性があるものなのかどうかということについてお伺いしています。
○参考人(西村清彦君) これに対しましては、政府の様々な施策、そういったものがマーケットに対していい影響を与え、そして人々の予想に対していい影響を与え、そういうことが先ほど申し上げましたいい好循環につながっていくと、そういう下で十分に実行可能であるというふうに考えております。
○櫻井充君 答弁になっていないんですけれどもね。日銀の答弁ですし、止めてもしようがないので止めませんが。
 それでは、まず一つ一つお伺いしたいと思いますけれども、日本銀行が市中銀行から国債を買うことによってこれ金融緩和につながるんでしょうか。
○参考人(西村清彦君) 金融緩和には二つの段階があります。その第一段階は、日本銀行が様々な形でマーケットに働きかけ、そしてそれが銀行の貸出しに影響を及ぼすという形です。その第二段階は、企業や家計がこの緩和的な金融環境を使うという状況になるわけです。
 それで、第一段階におきましては、日本銀行がやっております様々な金融緩和は非常に強力な力を発揮しておりまして、十分に金利が下がっていると思います。
 要は第二段階のところで、この第二段階で企業や家計が成長期待を得て、その成長期待が彼らの借入れの行動に影響を及ぼすという形になれば、これは大きな影響が出てくるというふうに考えております。
○櫻井充君 まあ、いいです。
 今、十分な金融緩和を行っていると、そういう答弁がございました。総理から見て、日銀は十分な金融緩和を行っているんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今の段階で手段について私からあれこれコメントする気持ちはございません。言わば、できるだけ早い時期に二%という物価安定目標に到達するために有効な手段を取っていただきたいと、このように考えております。
○櫻井充君 ちょっと答弁になっていないんですが。
 日銀は十分な金融緩和政策を行っていると今答弁したわけです。それに対してどう思うかということです。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 二%の物価安定目標を、これはできるだけ早い時期にというこの物価安定目標を決めるまでの中においては十分な金融緩和手段ではなかったというふうに私はかつてお話をさせていただいてきたわけでありますが、現在取っている手段について私はコメントは差し控えた方がいいだろうと、このように思います。
○櫻井充君 それはおかしいですよ。日銀の今の金融緩和政策について総理は何と言っているかというと、日銀法まで改正してまでやらせなきゃいけないと言っているわけですから、そういう点でいうと十分なのか十分でないのか、あの答弁がいいのかどうかを聞いているんですよ。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) つまり、私がなぜ日銀法を改正するかどうかということを申し上げているのは、言わばこの物価安定目標について責任をどこまで持たせるかということもございます。また、その中においてやっぱり雇用についても責任を持ってもらった方がいいだろうという議論もございます。
 その中において、まずこの二%という目標についてちゃんと期限を設けました。結果を出していただければそれはそれでいいでしょうし、しかし、その中において、残念ながら責任感を持って結果を出していけないということであれば日銀法の改正も進めなければならないと、こう考えているわけでありますし、そして、今取っている金融手段についてどうこう言うつもりはございませんが、しかし、新たに任命する総裁、副総裁については、私と同じ考え方を有する、そして、かつデフレ脱却について強い意思と能力を持った方にお願いをしたいと、こう考えております。
○櫻井充君 いや、ここは大事なポイントなんですよ。日銀はもう十分な金融緩和をやっていると言っているんですから、それについてどうなのかと聞いているんです。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 手段については、私は申し上げることはできません。しかし、問題は、今まで、今までずっと物価安定目標を持っていなかった、しかも、民主党政権時代にはそれは一%、それは不十分だったと思います。かつまた、時期についても提示されていなかった、これも問題点だったんですね。ですから、今回はそれを決めた中において、手段は日本銀行がこれは決める、これは中央銀行の言わば独立ということについて、その手段について私はコメントを今述べる段階にはありませんし、まだこの共同声明出したばかりでありまして、これからの歩みにおいては、基本的には四半期ごとに経済財政諮問会議において日本銀行に説明をしていただき、この手段においても議論されると、このように思います。(発言する者あり)
○委員長(石井一君) もう一度質疑者に繰り返していただいてもいいんですが、まあ委員長として感じますのには、日銀の政策に対して毅然として総理が新しい姿勢を出そうとしているんだろうと思うんですから、それを堂々とお述べになったらいかがかなと、私はそのように思いますが、いかがですか。
 もう一度質問してください。
○櫻井充君 いや、委員長のおっしゃるとおりで、これまでの方針を変えるんであれば、今、日銀は十分だと言っているんですから、それでは不十分なのかどうかを答えていただければいいんですよ。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 十分かどうかということについて私が申し上げれば、それは手段について私が介入をしていくことになります。
 大切なことは、政府が強い意思を持って物価安定目標を示したかどうか、そして日本銀行がそれを受け入れたかどうか、安定目標だけではなくて、しかもその時期についてちゃんと取決めを行ったかどうかであります。そして、この評価においては言わば諮問会議において四半期ごとに、今すぐに成果が出ているかどうかというのはまだこの段階ではすぐには分からないわけでありますし、そして同時に、同時にさらに政府の意思として近々行われるであろう人事において示していきたい。
 つまり、政府が意思を示すこの仕方あるいは事柄をちゃんと限定しないと中央銀行のこれは独立性は守られないわけでありますから、私はそこをわきまえて答弁をしなければならないと、このように思っております。
○櫻井充君 それじゃ視点を変えて、ちょっと麻生財務大臣に質問させていただきたいと思いますが、先ほどは、金融緩和には効果がなかったと小川さんの質問に対してそう答えていますが、その認識でよろしいんですか。
○国務大臣(麻生太郎君) 御記憶だとは思いますが、小泉内閣のとき、日本銀行は金融緩和を二十兆、足りないから二十五兆、更に三十兆とやって、あのときうまくいきましたかと、いかなかったじゃないですかというのが我々あのときの反省であります。
 問題は、日本銀行が金を緩める、その金を緩める先はいわゆる市中銀行であります。その市中銀行に金が行く。そこまでですよ、日本銀行のやれるのは。そこから先、市中銀行にたまった日銀当座預金から更に金が実需として民間に出ていけるかどうかというところが今回の三本の矢の二番目、三番目のところでありまして、この二番目、三番目を我々はきちんとやっていかないと、日本銀行と共同声明まで出してやった結果、その結論がそこのところに到達しないと。したがって、二点目、三点目、二本目、三本目の矢が極めてこれから重要だと考えております。
○櫻井充君 いや、そのとおりだと思うんですよ、私は。ですから、問題は、日銀がこれ以上の金融緩和をしても果たしてどこまで効果があるのか分からないんじゃないかということを申し上げているんです。
 この点について、安倍総理はどう思われますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 金融緩和については、金融緩和においてしっかりと目標を設けたかどうか、その目標に向かってちゃんと進んでいく手段を取るかどうかということも含めて、意思と継続性が必要なんですね。先ほど麻生大臣から答弁をいたしましたが、二度にわたる言わば日本銀行はゼロ金利あるいは量的緩和をしました。これは実際に効いたんですが、途中でこれをやめてしまったんですね。十分でないときにやめてしまった。だからこそ、その反省の上に物価安定目標を設けたわけであります。
 同時に、この金融緩和によってこれは何が変わってくるかというと、インフレ期待がだんだん醸成されてきます。でも、これは相当、数年間を経てそれが実現するという場合もありますから、それを待っているいとまはありませんから、今回の我々の経済財政運営としては、この金融政策と同時に大胆な財政政策も、機動的な財政政策も行うし、そして、継続的に我々は経済を成長させ、デフレから脱却し続けていくためには、当然、成長戦略が大切であろうと。この三本の矢を同時に発出をしているところに意味があり、そして違いがあると、こう考えております。
○櫻井充君 じゃ、改めて総理にお伺いしますが、要するに、日銀は市中銀行から国債を買い取ります。そうすると、市中銀行の資産は国債からキャッシュに変わる。このキャッシュが民間企業なり個人なりに融資なりされていけば、これで初めて市場にお金が出てくるということになりますが、その認識でいいですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは二点あるんですが、実際にキャッシュの動きとしては今委員がおっしゃったとおりであります。
 しかし、実際に日本銀行が言わば金融緩和をやる中において、一つの現象として、為替そして株式市場に変化が起こってきます。その変化により、企業が競争力を強め、そして収益を上げていくという中において、新たな設備投資も起これば、少し時間を経てそれは給与となっていくわけであります。株式市場が当然上がっていけば、企業は収益性、つまり企業のバランスシートは改善をしていくわけでありまして、借入れも更に可能になっていくし、投資も可能になっていく。この両方の循環が大切なのだろうと、このように考えております。
○櫻井充君 そうすると、銀行の融資行動は企業の収益性によってくるんだと、銀行がどう判断するかということではないということになりますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) もちろん、これは銀行がどう判断するかということは、まず企業が借りようと思わなければ銀行が貸そうと思っても貸せませんから、つまり企業が借りようとなぜ思うかといえば、それは投資先がある。そのために、これは我々が今進めている成長戦略大切なんですね。成長分野にこれは一気通貫で、いろんな規制があってこれは投資する先としては余り条件が良くないなとは思わないように、投資する先ですねと思えるように政府も様々な改革を行っていきます。
 と同時に財政政策、機動的な財政政策を行っていくことによって実需が出てきますから、それにかかわる企業については、当然、例えば公共投資にしても機械を買わなければいけない。もう仕事が決まっていますから、機械を買うのであれば当然銀行はお金を貸すということになっていくんだろうと、このように思います。
 同時に、大切なことは、やっぱりインフレ期待が上がっていくということが一番大切であって、今のままではデフレ期待ですから、デフレ期待の中では実質金利が上がっていくわけですから、実質金利が上がっていく中において銀行から借りるような人はいないんですから、キャッシュで持っているのが一番いいということになってしまう。これを変える。まず、マインドを変えるということもこれは実体と同じぐらいに大切であって、このマインドを変えていかなければならない。その中において、我々は大胆な金融政策と機動的な財政政策、そして三番目の矢も打たなければならないと考えているわけであります。
○櫻井充君 おっしゃっていることは理解しているところもあるんですが、まずこの点についてどう見てくるかだと思っています。それは何かというと、銀行はお金を持っていないんであれば金融緩和政策は僕は必ず効いてくると思っているんです。
 ところが、一方でどうなっているかというと、ここの表でお分かりのとおり、(資料提示)青いのが貸出金ですが、貸出金を、なければ国債を積み増ししていくと。貸出先があれば、ちゃんと国債を減らして銀行は金を貸してきているというのがこれまでの行動なわけですよ。
 そうだとしてくると、果たして、私がもう一点申し上げておきたいのは、BIS規制というのがありますが、このBIS規制というのは、元々は日本の金融機関がやたら貸し出していたから、この貸出しを抑制するために作られたルールでして、これが金融の健全性の指標だといって有り難くずっと使い続けていること自体に私はすごく違和感感じているんですが、まず麻生金融担当大臣、いかがですか、その点は。
○国務大臣(麻生太郎君) これは、企業の自己資本比率が少ないとかいろいろなことが当時言われていたのはもう事実です。随分時代が変わって、この十年間ぐらいの間に企業の内部留保は極めて厚くなり、今言われたように、銀行の自己資本比率等々も一様に高くなってきておって、ヨーロッパ、アメリカの銀行に比べても内容は極めて健全なものになった、そう理解しております。
○櫻井充君 先ほど日銀から答弁があったのは、金融機関に対して自分たちは十分な金融緩和を行っているんだと、その次のところが十分じゃないんじゃないかという私は答弁だったと思いますが、この点について安倍総理はどうお考えでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、委員が銀行の貸出態度、あるいはその規制についてお話をされたわけでありますが、我々も成長戦略を進めていく上において、これは銀行がそれぞれ判断することでありますが、言わば成長分野、これはターゲティングポリシーといっても特定の産業ではなくて、あるべき社会像を示しながら、その中において、果たして規制があるのか、行政上の問題があるかということも含めて様々な検討はしていきたいと思っております。
○櫻井充君 是非、銀行の、まあ大分変わってきました、大分変わってきたんですが、相当その債権分類がきつくて、なかなか若干リスクのあるところには貸出しができてこなかったという点があるんですよ。ここを改めていかなきゃいけないと思っているんですが、改めてこれは担当大臣から御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(麻生太郎君) 御指摘のように、銀行の場合はかなり、まあリーマン・ショックの後の数年間が一番だったと思いますが、銀行としては、その内容を、他国を見るまでもなく、大銀行がばたばた倒産しましたので、そういった中にあって、日本においても九七年にいわゆる三洋証券等々証券会社が潰れ、長銀が潰れ、北海道拓殖銀行が潰れ等々、いろいろな大銀行と言われた金融機関が潰れたという背景もこれありで、銀行の経営に極めて安全運転、まあとにかく貸出しに対しては極めて厳しい内容で臨まざるを得なかったというのが背景だったと思いますが、他方、銀行に対して、企業は銀行からの融資が来ない分に当たっては少なくとも借入金の返済を優先、すなわち企業は利益の最大化より債務の最小化を目指さざるを得なかったという時代が随分続いたんだと思います。
 結果として、銀行は過剰貯蓄ということになって、逆に、銀行は金を借りてくれる人がいないという状況になりますと銀行は成り立たないことになりますので、そのときに金を借りてくれたのが政府。結果として銀行はそこそこ生き延びられることになったんですが、御存じのように金利は猛烈な勢いで下がっていかざるを得なかったというのがこれまでのところだと思います。
 今回も、櫻井先生御心配のように、日銀が仮に金を緩めて日銀当座預金が増えたとしても、そこから先の実需がないじゃないかといえば日本の経済は伸びていかないという御指摘は全く正しいんでして、私どももその点に関しましてはきちんとした、いわゆる実需が起きるようにするためには残り二本の矢のところ、当面はまずは二本目の矢、そして長期、中期的には三本目の矢の企業が伸びていくように、その中には中小企業が多いものですから、その中小企業のところに金が、いわゆるリスクヘッジのところの分に関してはかなり積極的に金が、銀行から中小・小規模企業に金が行くような指導をやっていかねばならぬと私どもは基本的に考えております。
○櫻井充君 繰り返しで恐縮ですが、とにかくそこの部分に問題点があると思っていますので、これは御検討いただきたいと思います。
 さて、先ほど総理の御答弁の中でちょっと気になった点があるんですが、日銀の金融緩和政策で円安になるんだというお話がございました。これはG20でこういうことをやらないようにという話になっていたんじゃないかと思いますが、この点、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど来説明をしているように、この金融緩和はデフレ脱却が目的であります。もちろん、行き過ぎた円高是正、やっぱり頑張った人が報われる、汗を流した、流した汗が報われなければいけません。一生懸命朝早く起きていいものを作ったって、為替の結果売れないというのはやっぱりおかしいんですね。それが適正な水準に行くというのは正しい方向だと思います。
 しかし、今やっているこの金融緩和については、これはデフレ脱却が目的であって、為替操作していたずらに円安に導いているわけではないんですね。先ほど申し上げましたのは、この金融緩和を行っていく中において、現象として、世界でどこでも起こる現象としてですね、為替と株式市場においてそういう傾向になっていくということを申し上げたわけであります。
○櫻井充君 それからもう一つは、日本銀行も雇用に責任を持ってほしいという答弁がございました。これは日銀の役割なんでしょうか。日本銀行、どうですか。
○参考人(西村清彦君) 日本銀行法で明確に書いてありますように、我々は物価の安定を通じて経済の持続的な成長経路を達成するという形で金融政策をやっております。その経済の持続的な成長というところにはいろいろな要素も入りますが、当然のことながらこういった雇用という考え方も入っているという形になっております。
○櫻井充君 いや、その答弁しておくと、今度雇用がうまくいかないときには、全部これ日銀を呼んでいろいろたださなきゃいけなくなりますが、それでよろしいんですね。
○参考人(西村清彦君) これは、持続的な経済成長をもたらすと、そういう下のところで、雇用の状況もこういったものの一つとして我々はその中で考えているという形です。
 日本銀行としては、物価の安定を通じた持続的な成長経路を目指すという、この点については全くのぶれはありません。
○櫻井充君 いや、本当に大丈夫なんですかね、こういう答弁で。
 総理が日銀に対して、それでは雇用に責任を持てという雇用の内容について教えてもらえないですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) FRBにおいては、失業率六・五%まで金融緩和を続けるという、ほかの縛りも掛けておりますが、という政策を掲げています。つまり、実体経済についても中央銀行に責任を持ってもらうべきではないかというのが日銀法改正について我が党で議論していることであります。しかし、今すぐ我々はこの法律を通そうとは考えておりませんが、常にこの日銀法改正については視野に入れていきたいということであります。
○櫻井充君 先ほど為替のお話がありましたのでちょっと為替の点について触れておきたいと思いますけれど、これは面白かったんですが、私、今回調べてみて、株式はいつから上がったのかというと、十一月十四日の党首討論から上がっておりました。これ、全て買い越しは外国人でして、外国人によって株高は支えられているんだなと思ったんですが。
 一方で、為替はどうかというと、実は十月の一日から、ここの直線にあるように、だらだらだらだらと実はもう円安基調になっておりまして、二段階目は十二月の上旬ぐらいでしょうか、総選挙が行われているぐらいのところから実は一層円安に進んできていて、元々こういう格好で円安の方向を向いていたわけです。
 そうすると、先ほどからアベノミクスで円安になっているかのように言われておりますが、実際のところは基調は全然違っております。この原因についてはどう判断されているんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど申し上げましたように、G20でも麻生財務大臣から各国に説明をしているわけでありますが、基本的に我々の経済財政政策あるいはまたこの金融緩和も、目的は、目的はあくまでもデフレ脱却であって、為替に対して強い影響を与えることを目的としてはいません。
 しかし、私が先ほど説明したのは、デフレ脱却に向けて金融緩和政策を取れば、一般的に経済理論として、それは為替とそして株式市場においてある意味においての変化が出てくると、為替あるいは株式市場において変化が出てくると、そういう変化が出てきている一環ではあろうと思いますが、その前からの傾向だという御指摘もありましたが、しかしその段階ではまだ七十円台であったのは事実でありますから、しかし、その後、それが八十円台、そして現在九十円台になってきているということではないかと思います。
○櫻井充君 済みません、七十円台と言われたのでもう一回出しますけれども、ここの十二月ぐらいのところではもう、八十円の前半ではありますけれども、もうこれは円安に向かっているんですよ。私がお伺いしているのは、この円安基調はどうしてそうなっているのかということです。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 事実上ですね、事実上、党首討論の以前から、私は金融緩和について様々な手段も含めてお話をさせていただいております。そうしたことも含めて、市場は、次の政権は自民党ではないかと、この党が取る緩和策においては、言わばそういう、投資家もポジションを取りますから、そういう中において微妙にそういうポジションを取ったところもいるのではないかと、こう想像をしております。
○櫻井充君 本当にその答弁でいいんですか。私、財務省と議論随分しましたけど、財務大臣、その今の答弁でよろしいんですか。
○国務大臣(麻生太郎君) もうよく御存じのとおりに、この為替のことに関しては私の立場では一切発言をすることができませんので、御期待にちょっと沿いかねますけれども。
○櫻井充君 これ十月の一日ぐらいから、一つのマーケットで決まるわけではありませんが、シカゴの円・ドルの先物市場でも急激な円安に向かっています。
 これは理由が幾つかあると思っていて、一つはですね、一つは、ある企業が二兆円でアメリカの企業を買収するということを宣言いたしました。その結果、ドル需要が増えてくるので円安に振れてきたことが一つ。それからもう一つは、貿易収支が赤字になった、大幅な赤字になったこと。それからもう一つは、相当な企業買収を行ってきていて、この円高を是正しないと相当MアンドAが進むという危機感を持っていたと。これが私は円安に向かってきた原因だと思っていますが、この点についていかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この十年ぐらいを見てみて、各国がベースマネーを増やしているわけですね。日本は非常にそのスピードが遅いというか、ほとんど増やしていないんですが、その違いが為替にも出てきたのではないかという議論があります。
 その議論にのっとって我々は大胆な金融緩和をするべきであろうと、こう考えたわけでありまして、余り今ここでそういう議論をするのが生産的かどうかは分からないんですが、要は、まずは為替についての水準について私はどこがいいという立場でもありませんが、基本的にはこの為替安を目的にしたわけではありませんが、最初から申し上げているように、様々な要因があるんだろうと思いますよ。財務省はいつも様々な要因という立場をずっと取り続けていたわけでありますが、しかしやはりこの金融政策というのは私は大きな要因ではなかったかと、この金融政策の変化は大きな要因ではなかったかと思います。
○櫻井充君 全てが金融政策に結び付けることこそ私は危険だと思いますが、この点についていかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私は全てを金融政策には結び付けておりませんし、その大きな要因の一つであろうと。しかし、今、国際経済の中において金融政策というのは非常に大きなツールになってきているんですね。そのツールにおいて、十分に日本はそのツールを使っていなかったのではないかという疑問の上において、安倍政権においては経済財政政策の中において大胆な金融政策を三本の矢のうちの一本にしているということであります。
○櫻井充君 私は別にそれを否定しているわけでも何でもなくて、その前の段階から円安に振れてきているんですよ。
 それからもう一つは、現象をきちんと分析しておかないと私は問題があると思いますよ。生産性があるとかないというのはそれは非常に失礼だったと思いますけれども、生産性がないってどういう意味ですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 生産性がないというのは、誰の政策が正しかったかどうかというのを今この段階で述べるには私は時期尚早なんだろうと思いますよ。そして、これをあくまでも専門家が専門的な議論を行っていくことが重要であろうと、こう考えているんですね。
 ですから、これはもちろん過去のことについても、まあ民主党としては、自民党が全部やったわけではなくて、自分たちがやった政策も正しかったんだよということもおっしゃりたいんだろうと思いますし、それを全く否定するわけではありませんよ。ですから、この為替政策がどのような結果、影響を受けたかということについては常にこれは議論をしていることなんだろうと思います。
○櫻井充君 間違った分析をすると間違った治療になってどうしようもなくなるんですよ。ですから、そこは別に生産性がないとか、余りそういうことをおっしゃらない方がいいですよ。我々は別に自分たちのことを全部肯定しようとは思っていませんから。今回政権交代して、株が上がって、そして更に円安になっていって皆さんは期待されているわけですから、それに水を差そうなんて気、思いは全くございません。
 ただ、現実として分かっておいていただきたいことは何かというと、こうやって日本企業の海外企業のMアンドAの件数や金額を見ていただければお分かりのとおり、ここ一、二年、物すごい勢いで増えてきているんですよ。これ、まさしく事実でして、これは最後、私、財務副大臣のときに、海外の強い円を使ってMアンドAをやり続けていかない限りは円安には振れていかないはずだと言って、JBICに十兆円の基金も積み増しいたしました。そういうことも私は現実に効いているんだと思っていて、全てが金融政策ではない。全部金融政策に結び付けているところに私は違和感を感じているわけです。この点についていかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) その点については私も同じ考え方でありますよ。円高になっていたときについては、海外の資源も含めて、あるいは海外の有益な企業についての日本の企業による買収も進めていくべきであるということについては、我々自由民主党も主張していた点であります。つまり、GDPだけではなくて、言わば海外での収入、投資による利益も上げていくと、この二本柱で経済を成長させていこうというのが我々の考え方でありますから、そこは委員と意見を異にするところではありません。
 しかし、その中において、金融政策は重要なツールであって、このツールが使われていなかったというところが問題であると。これは反省も込めて、我々はそういう政策を今取っているということであります。
○櫻井充君 済みませんが、金融政策使ってないというわけじゃないと思いますよ。それはなぜかというと、先ほど日銀では十分金融緩和を行っていると。しかも、我々の政権でも一%、まず一遍に二%行かないから一%の上昇を目指すと言ってやってきていますよ。それはどう思われますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) しかしそれは、残念ながら結果が伴っていなかったということではないかと思います。
○櫻井充君 それこそ、効果というのはそれをやったからすぐ出てくるものでもなくて、じわじわと効いてくるわけですよ。もしそれがその方向でいっていたらですね。じゃ、あと、その後の結果をこれから見させていただかなきゃいけないと思っています。
 それからもう一つは、その企業の、こう言った方がいいのかもしれませんが、まずもう一点ここで議論をしておきたいと思いますが、私は、金融政策なのか、それとも実体経済上様々な分野から市場にマネーが出てこないところに問題があるんじゃないかと思っているんですよ、どちらかというと。まずこの点について、麻生財務大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(麻生太郎君) この数年間で見て、今最も金を過去に比べて持ったと言えるのは、企業の内部留保だと思います。この企業の内部留保は、基本的には、通常でしたらそれだけ利益が出れば配当に回るか設備投資に回るか労働分配率を上げるか、この三つのうちどれかに行くはずなんですが、企業はそれをじっと、金利の付かない内部留保でじっと持っておられるという状態にあるのが一つ。
 もう一つは、個人金融資産が一千五百兆を超えるほどになり、現預金で八百何十兆という現預金になり、そのほかたんす預金等々いろいろ言われているところですけれども、こういった金がじっと寝たまま動かないというところが今、日本の経済というものを何となく閉塞感を持たせているところだと思いますので、これが出るようにするためには、設備投資が起きやすくなるような税制とかそういったものを考え、労働分配率を上げてもらうことによって個人消費にも金が回るようにするとかと、いろんなことを考えねばならぬのだと我々は考えております。
○櫻井充君 そのとおりなんですよ、本当に。
 であったとすると、繰り返しで恐縮ですが、なぜ金融緩和だけというふうに出てくるのかがよく分からないところがあって、内部留保で申し上げると今財務大臣から御答弁あったとおりなんですね。
 一九九〇年代の十年間はバランスシート調整で、結果的にはずっと借金を返し続けた十年間だと思っているんです。ところが、この十年間どうなったかというと、内部留保が増えてまいりました。我々もこれを反省しまして、何が問題だったのかというと、国としての成長戦略をきちんと示せなかったことではなかったかと。ある方向性をちゃんと示さなきゃいけない。まあ三年間掛かりましたが、その結果、ライフとグリーンと中小企業、六次化と、こういったところを国の成長戦略としてこういう方向でやっていきたいと、そういうことを打ち出させていただいているわけですね。
 この政策について、総理の御見解をお伺いしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 御党が作られた成長戦略については我々も評価をしております。我々の成長戦略と重なるところも随分あるんだろうと思います。
 大切なことは、それをちゃんと実行できるかどうかということなんだろうと思います。ですから、我々は、この成長戦略とともに、それを実行する仕組みあるいは体制をつくりながら結果を出していきたいと思います。
○櫻井充君 ありがとうございます。是非いいものはいいものとして引き継いでいただきたいと思うんです。
 その上で、もう一点ですが、今、麻生財務大臣から大事な指摘がございました。金融資産のことです。個人の金融資産というのは、現在、一千四百五十兆円ぐらい。この二十年間で四百五十兆円ぐらい積み増しされてきています。
 見ていただきたいんですが、七十五歳以上の方でも二百兆円以上お持ちなんですね。大変申し訳ないんですが、これを使い切っていただければマーケットにお金が出てきて本当に循環していくかと思いますけど、五十五歳以上の方々で約一千兆円の金融資産をお持ちでして、これが国債を買い支えているから国債は安定してきていますが、これがマーケットに出てこないから、だから残念ながら経済は活性化していかないんだと思っているんです。
 この原因について、総理はどのように認識されているでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) これは一概には、櫻井先生、なかなか言えないんで、これについて正確な分析をしている人がいるとは思えませんが。
 死んだときに全ての貯金がなくなってよかったという考え方のイタリア人、多分イタリア人はそう言うと思いますね、間違いなく。これを言うとイタリアに対する差別だとかなんとか言いたがる人がいっぱいいるんだと思いますけど、多分私の友達に聞いても何のために金ためているんだと必ず言うだろうと思いますので。
 ところが、我が方は、死ぬときに一番の預金を残してという方が人生としてはハッピーという考え方で、これはもう全く考え方が違うところなんだという、これ国民性もある程度考慮に入れなくちゃいけないんだとは思いますけれども、少なくとも、七十五歳以上になって何のために貯金しておられるんですかと。老後のために貯金すると言われると、やっぱりそんなに、ちょっとこれ二百兆といったらかなりのお金ですから、国家予算の倍以上ですからね。こういったようなのがあるのは、これが我々としては、一代飛ばして、失礼ですけれども、八十歳で引き受けられる方も六十歳の方だとなるとこれはなかなか使いようもありませんので、もう一代飛ばしてということを、今回贈与というところを少し考えたらどうですかということをやらせていただいたりいろいろ今しているところなんですけれども。
 いずれにしても、こういった形で、確かに増えておりますというところは、正直申し上げて、何だか使いたいものがないのか、将来が不安だから使わないのか、ちょっとそこのところの心理がいま一つ私どもとしてはきちっとした分析ができ上がっているわけではございません。
○櫻井充君 いや、分析はもうできているんですよ。済みませんが、これはアンケート調査をやって、理由は二つしかありません、病気や不時の災害への備えと老後の生活資金です。
 ですから、先ほど社会保障のことを随分私はお伺いしましたが、社会保障に対する不安があるからお金を使うことができない。ですから、社会保障の充実をすることが強い経済を私はつくっていくことにつながるんじゃないかと思っているんですが、安倍総理、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) そこは、言わばどっちが正しいというよりも、これは両方なんですね。両方が、これはやはり強い社会保障をつくっていくためにもやっぱり強い経済は必要なんですよ。この財源もちゃんとありますねということにならなければ、お年寄りの皆さんも、社会保障の給付を約束しますよと言ったら、本当ですかということになっていくわけでありますし、繰り返しになりますが、これは給付と負担は裏表でありますから、負担する方々が納得できるという、そういう仕組みでもなければならないということではないかと思います。
 ですから、だからこそやはりこの社会保障というのは、社会保障の強さが経済に大きな影響を与えるのも私は事実だと思いますよ、セーフティーネットがあって初めて大きく一歩をこれは踏み出せるわけですから。ですから、この両方相まっていくことが大切だろうと思いますし、同時に、やっぱり七十歳、例えば六十五歳を超えた方々に対する給付を含めた社会保障制度というのは年々充実をしているわけでありますから、そのことも十分に理解をしていただけるような説明も大切であろうと、このように思います。
○櫻井充君 ちょっともう一度、じゃ、繰り返しで恐縮ですが、先ほど私が理由を二つ申し上げました。これは社会保障に対する不安感が大きいからだと私は認識していますが、その点についていかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 社会保障に対する不安はなぜ起こるのかということなんだろうと思います。
 そこはやはり、もしかして誤解を受けていたかもしれないのは、やみくもに財政という観点からどんどんどんどん切っていくのではないか、あるいは高齢者を切り捨てていくのではないかという誤解があったのは事実でありますから、そうではないんだというメッセージを出していくことは極めて重要であろうと思います。
○櫻井充君 ですから、そういう意味において、社会保障政策を充実させることそのものが実は強い経済をつくっていく私は基礎になっていくものだと思っているんですが、その点についていかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 当然、強い経済をつくっていくというよりも、強い経済をつくっていくというよりも、あるべき日本の姿として、強い社会保障制度が整った国は私は将来の日本が進んでいくべき道であろうと、このように思います。
○櫻井充君 いや、そういうことではなくて、先ほど、一千四百五十兆円の個人の金融資産があって、これがマーケットに出てこないから、だからデフレからなかなか脱却できないんじゃないかと私は思っているんですが、じゃ、その点についてはいかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) そこで、では社会保障を強力にした結果、すぐにそこからお金が出てくるかどうかですね。つまり、この高齢者の方々の資産がどのように運用されていくかということも大切なんですね。この方々たちがどうやってじゃ自分たちの今持っている資産を、では使おうかと考えることも大切なんだろうと思います。
 よくリバースモーゲージみたいな形で高齢者の皆さんがお金を支出するということも考えるのも一つの提案としてはあったわけでありますけれども、今回、税制として、お孫さんに教育費としてお金を支出した場合は税において減免するということを行うということを決めれば、多くの方々はそうしようと思うんですね。孫のこれは教育費のためであれば使おうと、こう思うわけでありまして、そういう様々な工夫をしていくことも大切であろうと思います。
 つまり、社会保障制度がきっちりとしておけば、最後は別にゼロになっても平気だと思う人もいれば、必ずしもそれは全部ではないんだろうと、このように思います。
○櫻井充君 要するに、この一千四百五十兆円というのがじゃ適正な金融資産の額なのかどうかということだと思うんですよ。つまり、ここのところが、これは国民の皆さんの安心としてこのぐらいの額は必要なのか、それとももう少しマーケットに出していただきたいのか、この点についてはいかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 当然、もうちょっとマーケットに出ていくように、そういう政策を行っていくことが日本の成長にもつながっていくでしょうし、もちろん短期的にもこれは景気にも大きなプラスになっていくわけであります。
 同時に、麻生大臣が指摘した、日本人はどちらかというとやはり貯蓄に回るのは事実ですから、日本と米国を比べて、米国よりも日本の皆保険制度、はるかに社会保障制度としては日本の方がいいと思いますよ。しかし、それでもなおアメリカは借金をしてもどんどん消費に進んでいくという実態もありますから、そういう点もいろいろと、まあいろんな点を勘案しながら総合的に考えていく必要があるんだろうと思います。
○櫻井充君 そうすると、改めて総括として、総理はデフレの原因は一体何だとお考えなんでしょう。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) デフレというのは様々な原因がありますよ。よく人口が減少したからということを言う人がいますが、これは、人口が減少したということについては、これは成長についてはマイナス要因ではありますが、人口が減少してデフレになっている国は日本だけでありますし、言わば先進国でデフレになったのは日本だけなんですね。
 そこで、見てみますと、やはり、先ほど申し上げましたように、この十数年間、日本はマネタリーベースにおいて十分なこれは金融緩和がなされていなかったというのは事実でありますから、ここに大きな問題点があったんだろうと。だからこそ今回思い切った大胆な金融政策を行って、そして、最初からこう申し上げてきました、私は、総裁選挙に出るときから。そのことによってまず起こってくる現象としては為替とそして株価であろうと、そして、それによって企業が収益を改善し、設備投資も行うし、最終的には従業員にそれは還元されていくという中において消費も喚起をされていくだろうと。こういうお話をさせていただいて、そういうスピード感を上げていくためにも財政出動を行っていくし、さらには継続的に日本が成長していくためには成長戦略が必要であろうと、このように申し上げているわけでありまして、この三点をやっていくことによって、この三点が欠けていたところに問題点があったんだろうと、このように思っております。
○櫻井充君 我々とちょっと認識が違う点があると思っているんです。
 我々は、政権を担わしていただいたときには、可処分所得を増やして、そして需要を喚起していこうというところから始まりました。社会保障政策も十分伝えられなかったんですが、なぜ社会保障政策に重点を置いてきたのかというと、これは将来の安心をお伝えさせていただいて、その上で、今申し上げたような金融資産を使っていただくような、市場にお金が出てくるようなことを考えておりました。企業が内部留保を抱えてきているのも、将来がどういう方向なのか見えないから、成長戦略も作らせていただいた。
 ただし、私は今回のことを、その政権交代感じて、やはりもう少し総合的にきちんとした形で打ち出してこれなかったということについては、非常に大きな問題があったんじゃないだろうかと。どういう方向を目指していこうとしているのか、このことがよく見えなかったというのは我々の反省すべき点で、今回はその三本の矢という形で打ち出されたということは、私は非常にうまかったと思っているんです。ただし、問題は、先ほどから繰り返しで恐縮ですが、金融政策全てで解決できるとはちょっと思っておりませんので、その点は、私はどちらかというと麻生財務大臣と近い考えなのかなと思いながらお伺いさせていただいておりました。
 三本の矢の二本目についてお伺いさせていただきたいと思いますが、今回の補正予算を組むに当たっての根拠になる法律についての説明をいただきたいと思います。
○国務大臣(麻生太郎君) これはもう櫻井先生御存じのとおりに、財政法二十九条というものでありまして、これは、当初予算作成後に生じた諸情勢の変化に伴って予算の内容を変える必要が生じるときがあると、こういったときにいわゆる財政法の二十九条というもので補正予算の作成を認める規定になっております。それがこの法律的な背景であります。
 それから、今回なぜこの大型の補正をやったのかというのが多分御質問のところなのかな。それは後、聞かれてからにしよう。
○櫻井充君 財政法二十九条というのは、これは済みません、何のためにこれ定められているんでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) 法律上又は契約上でいえば国の義務に属する経費の不足を補うためということになっておりまして、あるいは予算編成後に生じた理由に基づいて特に緊要となった経費の支出を行うことというように規定されております。
○櫻井充君 要するに、これは補正予算のときに結局国債を随分多額に発行して財政が相当緩んでくるような、財政規律が緩んでくる、そういうことを防ぐためにこういうのは作られているんじゃないんですか、違いますか。
○国務大臣(麻生太郎君) その点につきましても、間違いなくそういった点も十分に踏まえて対応せねばならぬのは当然のことと存じます。
○櫻井充君 いや、私はまず法律上の意味合いをお伺いしているので、そういう意味合いでこれは書かれているものではないんですか。
○国務大臣(麻生太郎君) いわゆる補正予算を、予算を作成した後にいろいろなことが起きる場合にはこういった財政法二十九条をもって充てることができるというように、補完の意味で作られているというのが主たる部分だと思っております。
○櫻井充君 そうすると、ここに予算作成後に生じた事由に基づきと書いてありますが、今回は、生じた事由とは一体何でしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) これは基本的には、昨年の十二月に公表されました七―九のいわゆる経済成長率が年率換算マイナス三・五%というときに出ましたので、あのとき、御存じのように、我々は選挙というものを十二月ということに、あの野田さんの御決断、民主党の中では余りいい決断じゃないように書いてありましたけれども、我々としては、御決断によって、御決断によって、あの時期になりますと必然的に予算編成というものが、通常の十二月末作成ででき上がるものが十二月末から作成開始ということになりますので、大幅に予算編成が、二十五年度の予算編成が遅れる。したがって、一―三月、また予算ができ上がります四月、五月、またどういうことになっているか分かりませんので、そこに暫定を組まねばならぬ等々いろんなことを勘案して、あの段階できちんとした補正を大型で組んでおかないと、一月入ってから極めて厳しい状況になるという判断をしたのが大きな理由だと思っております。
○櫻井充君 もう一つ、そこの中に、「特に緊要となつた経費の支出」と書いてありますが、緊要の定義を教えてください。
○国務大臣(麻生太郎君) 緊要、今私たちにとって、よく例に引かれます笹子のトンネル含めまして、少なくとも今国民にとって、三・一一時点以降やはり多くの方々の関心は、何といっても安心、安全というところが大きなところだったと思います。
 御存じのように、いわゆる公共工事というものは、一番多かったときで十四兆九千億ありましたものが、大体昨年で四兆六千億、約十兆円公共工事の絶対額というのが減っておると記憶します。したがいまして、その間何のところに手が抜けたかといえば、多分いわゆるインフラと言われる橋梁、トンネルなどなどいろんなもののメンテナンスにかなりなものの手が抜けて、結果として危険渡るなとか危険通るなみたいな箇所が増えてきたというところが緊要というのであれば一番大きな緊要であって、その他、経済の不況とかいろんなものはあったと思いますが、目先、一番出ましたのはそういうところだと思っておりますし、また学校の耐震化等々も、いわゆる津波に対して避難する場所の学校が最も耐震化が必要とされているというような実態も我々にとりましては極めて緊要な事態だと考えました。
○櫻井充君 済みません、法律上の緊要の意味を教えていただけないですか、文言の。
○国務大臣(麻生太郎君) 緊急を要するというのが、基本的に今この段階では緊急を要する対応というように、私はそう理解いたしております。
○櫻井充君 そうすると、緊急を要するものというのは、一体どのぐらいの間に執行しなければいけないものだとお考えでしょう。
○国務大臣(麻生太郎君) いつごろまで、場所による、物による、いろいろなものによるとは思いますけれども、できるだけ早く対応ができる、危険渡るなというところはもうさっさとやらねばならぬと思いますし、いろんな意味でインフラが止まるということは、基本的にはそれは経済にマイナスの影響を与えますので、その意味では、どれくらいといって、場所、物、それから対象物によって少し違ってくると思って、一概には申し上げることはできないのではないかと思っております。
○櫻井充君 しかし、これ全て法律に従ってやっていくことですよね。そうすると、その法律の文言の解釈がどうなのかということは非常に大事なことだと思っているんです。
 だから、改めてお伺いしたいんです。じゃ、それであれば、この補正予算その全体が全てこの緊要だというところに当てはまると解釈してよろしいんですね。
○国務大臣(麻生太郎君) 特に緊要になった経費の支出というのは、いわゆる補正予算に計上して執行するのでは、失礼しました、翌年度の予算編成に計上して執行するのでは間に合わないというような意味でして、緊急性があると政府が判断した経費の支出を指すものだと理解をいたしております。
 今回も、緊急経済対策の中で、こういうような緊要性が認められるものというものを我々としては主に取り上げたというように御理解いただければと存じます。
○櫻井充君 そうすると、これはもう全部使い道が決まっているということでよろしいんですか。
○国務大臣(麻生太郎君) 補正予算に計上されている分に関しまして。
○櫻井充君 はい。
○国務大臣(麻生太郎君) はい、基本的にそうです。
○櫻井充君 じゃ、例えば防災・安全社会資本整備交付金などは、地方公共団体の取組を重点的に支援するために必要な経費と、これはもう地方公共団体と全部、どこの町でどういうものに使うかというのは、これは話付いているんでしょうか。
○委員長(石井一君) どなたが答弁しますか。
○国務大臣(太田昭宏君) 箇所付け等についてはこれからの話、予算成立した後にということになりますが、それらの項目については規模として決めているということでございます。
○櫻井充君 済みません、これは規模として決めていても、この執行の道筋をそれでは教えていただけますか。
○国務大臣(太田昭宏君) 予算成立後に執行ということに基本的になります。
○櫻井充君 まず、地方公共団体とどう話をして何がどうやって決まっていくのか、もう少し丁寧に説明していただけますか。
○国務大臣(太田昭宏君) 先ほどから申し上げましたように、予算成立後に地方公共団体から要望を出していただいて、それを箇所付けとして決めるということでございます。それが基本でございます。(発言する者あり)
○委員長(石井一君) 政府委員が答弁できますか、恐らく通告がなかったと思われるので。政府委員が、登録がない。
 それじゃ、太田国交大臣、もう一度御答弁願います。
○国務大臣(太田昭宏君) 要望を成立後に受けてということで執行するというのが基本でございますけれども、要望等についてはずっと今も受けているという状況にございます。
○櫻井充君 これは、別に緊要な政策であれば私はそれは構わないんですよ。今回、その十兆円ありきになっていて水膨れになっているんじゃないかという、そういうことを我々懸念しています。それはなぜかというと、財政的なもの、財政規律の問題があるからです。
 これG20で財政規律のことを日本言われていますよね。
○国務大臣(麻生太郎君) G20において、特に日本が名指しでいろいろなことを言われたということはありません。ただ、我々としては、基本的に緊急経済対策として我々は補正予算等々をやりましたので、それによって大きく景気を、いわゆるデフレ不況からの脱却にかじを切るということを公式に決めた結果として、円安になったり、また株高になったりしているというのは結果論であってというお話をした中で、その次に、この後に財政というものが野放しにならないようにするためにどのような形になっているのかという点の質問が当然ありましたので、我々としては、二十五年度本予算において、少なくとも特例公債の方が税収より多いなどというような事態からは脱却して、消費税等々も検討してというような話で説明をさせていただいております。
○櫻井充君 本来であれば、これ二十五年度の予算に一部は回るものでしょう。だって、執行できないんですから。違いますか。
○国務大臣(麻生太郎君) 一部できないものも出てくるとは思いますけれども、そこはきちんとした繰越明許等々をきちんとやらせていただくということで、財政上の問題に関してはきちんと対応していきたいと思っております。
 要は、今年度中に着工、手を着けるということが肝心だと思っております。
○櫻井充君 これ、今大事な点だったんですが、今年度にもう全てのものが、じゃ着工できるんですか。
○国務大臣(麻生太郎君) 基本的には、我々は、三月末までに、掲げられましたものに関しましてはきちんとして着工ないしそこに対してきちんときちんとした金を投下する等々のことはさせていただきたい、手を着けさせていただきたいと思っております。
○櫻井充君 じゃ、例えばここに廃棄物の循環利用・適正処理のための施設整備等とあるんですが、我が国の海岸に漂着する海岸漂着物対策等を行うため必要な経費であると。これは、何かの事由があってこういう予算を増やさなきゃいけなかったんでしょうか。
○国務大臣(石原伸晃君) 漂着浮遊物並びに震災後の漂着、外国に行った方ですね、それがこの予算の中でどうなっているかというのは、今ちょっと手元に数字がございませんので、後ほど御報告をさせていただきたいと思います。
○櫻井充君 私は今回ちゃんと通告してあるんですよ。済みませんが、二十九条に照らし合わせてこの予算が、各省の予算が適正なのかどうか、ちゃんと答弁できるようにしてきてくれとお願いしてあります。
 環境大臣にちょっと別な点で一点質問しておきますが、これ一月四日の、まず大臣は何をされていたのか、御答弁いただけますか。
○国務大臣(石原伸晃君) ただいまの御質問の趣旨は、いわゆる一部報道によりまして、不適切なる除染があったということに関して、私を含め関係者が一月四日の日に一堂に会していないことということをもって御質問をされているものと承知をしておるんでございますが、この件につきましては、もう既に衆議院の予算委員会等々でも御答弁をさせていただきましたように、一部報道をされたことについて、また私どもが野党で行政権を行使していない事案でございますので、事実関係の究明にともかく対処しろと。どのぐらい掛かるのかということで、一月六日の日曜日にはあらあらの御報告をさせていただきたいと、そういうことでございましたのでそのように取り計らわせていただき、その日にもう既に適正化の本部というものをつくらせていただき、さらに七日の日には第一回目の本部を設立し、そしてその後、もう一月十日の日には復興本部で総理から指示をいただいて、十八日にはプログラムを作成し、この問題に万般遺漏なきを期すよう対処をさせていただいております。
 そのほか、何をしていたかということでございますが、この日、環境省に関係あることで申しますと、一月七日が補正予算の締めくくりでございましたので、どの程度の検討状況であるのかということをただしましたが、これも一月五日、一月六日にはあらあらのお話をさせていただく、こういう話をいただいて、万全な対応をさせていただきました。
○櫻井充君 安倍総理にまずお伺いしておきたいんですが、我々、危機管理体制がなっていないということを随分指摘されておりましたが、安倍内閣、安倍政権においては、これ、政務三役の誰かは、危機管理上、当然東京に残っているというルールになっているんですよね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 基本的には、あらゆる危機に対応できるように各府省において万全を期するように指示をしております。
○櫻井充君 もう一度繰り返しですが、政務三役の誰かがきちんとした形で対応できるように残っているということですよね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 基本的には、各省庁において、大臣、副大臣、そして政務官の誰かが対応できるような、そういう体制になっているということであります。
○櫻井充君 浅尾委員の質問に対して石原大臣は、そのときはたまたま副大臣も政務官も東京にいないと、そう答弁されているんですよ。危機管理上、これは問題じゃないんですか。
○国務大臣(石原伸晃君) それは大変大きな誤解でございまして、環境省には副大臣が二名いらっしゃいます。政務官が二名いらっしゃいます。そして、地方出張のときは必ず誰かが一時間以内に到着できるように体制は整っておりますし、その二人だというお話は、それを担当している方々、この除染以外、だけではございません、担当しているものがございますので、その担当の、それは指定廃棄物のお話の話と福島県の健康被害の話にお二人が出張をしていたということをお話しさせていただいたわけでございまして、誰かは必ず一時間以内に役所に着けれる体制には整っております。
○櫻井充君 いや、誤解するなって、ここの答弁に、御自身がそう言っているんですよ、そんなこと、事細かになくて。とにかく、そのときにはたまたま副大臣も政務官も東京にいないということでありますのでと、そう答えているじゃないですか。違いますか。
○国務大臣(石原伸晃君) 今お話がありましたとおり、担当の井上副大臣が指定廃棄物の件で他県に、また、秋野政務官は健康管理の件でまた他県に行っておりました。私も一時間以内に来れるところにおりましたし、他の副大臣と政務官も一時間以内に到着するところにおりました。
○櫻井充君 まあ、ほかの二人については随分事細かに御説明いただけるんですが、御自身は一時間以内ということで、何をされていたのか明言されないんでしょうか。
○国務大臣(石原伸晃君) あの、何をしていたか、政務に関係することまでお話をしていないだけであって、今詳しくは覚えておりませんけれども、委員も同じだと思いますけれども、あの時期でありますならば、お宮への初参り、挨拶回り、会合あるいは会食、いろいろなものがあったと記憶しております。
○櫻井充君 済みませんが、これ、政務三役は、政務三役は……(発言する者あり)ちょっと静かにしてください。政務三役は、基本的に、危機管理上、何かが起こった際に対応できるように東京に残っているというのは、まあ我々は少なくともそういう原則でした。
 是非、このときの行動記録を、これは大臣だけではなく、副大臣、政務官を含めて提出いただきたいと思います。
○委員長(石井一君) 御要望は理事会で協議したいと存じます。
○櫻井充君 それでは、今度は外務省にお伺いいたしますが、国連の分担金とか拠出金というのは、これは緊要を要するものなんでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 国連分担金、さらにPKOの分担金等につきましては、まず基本的に我が国とは会計年度が一致しておりません。分担金は二年会計である等々一致しておりませんが、その中にありまして、例えば国連分担金、この特別政治ミッション四件に関する我が国の分担金、これは六月に採択されるということになっています。また、予見せざる支出に関する我が国の分担金、これは十二月に報告されるということになっています。ですから、当初予算が作成される段階で確定できない予算が多々ございます。ですから、二十四年度当初予算編成時に確定しなかったものを補正予算に計上した、できるだけ早くこの分担金を支払うということのために補正予算に計上した、こういった次第でございます。
○櫻井充君 それは暫定予算では対応できなかったんでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 時期、また金額等を勘案して補正予算で対応をする、これは従来からこうした対応を行ってまいりました。今回も、こうした考えの下に、補正予算でできるだけ速やかに分担金を支払うために対応を行った、こういったことでございます。
○櫻井充君 それでは、重債務貧困国に対する債権の免除による損失の補填に必要な経費、これはいかがですか。
○国務大臣(岸田文雄君) 基本的には、当初予算で計上できるもの、確定しているものについては当初予算で行うこととさせていただいていますが、様々な理由によって確定できないもの、補正予算で対応していくという方針、従来からこういった対応を取っておりますし、今回もそういった方針で対応しております。
○櫻井充君 従来の方針ではなくて、財政法二十九条に照らし合わせて適正かということをお伺いしています。
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国として国連の分担金を速やかに負担する、これは国際的な責任を果たす上でも大変重要なことであります。速やかに支出を行うということから、こうした緊急性を要していると考えております。
○櫻井充君 これは、国連の分担金だけではなくて、ここに書いてあります債権免除の損失補填もその一環ですか。
○国務大臣(岸田文雄君) そうしたものにつきましてもできるだけ速やかに対応する、国際的な責任を果たす、重要だと考えております。
○櫻井充君 果たして本当にどこまで必要なのかということがあると思っているんですが、まず、公共事業全体について、考え方についてちょっと御答弁いただきたいと思いますが、公共事業の経済効果について、私は公共事業、否定的な人間ではありません。ただし、それでも今回これだけの額を必要としている根拠を御説明いただけますか。
○国務大臣(甘利明君) できるだけ早く予算が市中に出回るということが必要だと思います。公共事業は、そういう面では、契約を早くする、事務手続を早くすればそれだけ早くお金が流れるということがあります。経済効果でいいますと、乗数効果でいえば一・〇七というふうに試算をされております。
 いずれにいたしましても、とにかくデフレを脱却するためには市中に早く具体的なお金が出ていくということの必要性から、この公共事業の必要性、そしてその中でも緊急を要するもの、あるいは命にかかわるもの、それから経済効果が、波及効果が出てくるもの、そういうものを厳選して組んだ予算だというふうに承知いたしております。
○櫻井充君 小泉総理がこう答弁されているんですが、「不景気のときに、何としても減税しなきゃいかぬ、公共事業増やさなきゃいかぬ。やったけれども効果がない。」と、こう答弁されているんですが、この答弁についてどう思われますか。
○国務大臣(甘利明君) 公共事業自身が効果がないというよりも、公共事業は言ってみれば政府が需要を増やすということでありますから、それが民需につながっていく、その絵図がしっかりかけるかかけないかというところだと思います。かつてそれがうまくいかなかったのは、種火から本体のまきに火が付かなかった、そこの絵図がうまくいかなかったんだというふうに思っております。
○櫻井充君 それでは、今回の公共事業の中で今のような経路をたどるものは何なのか、具体的にお示しください。
○国務大臣(甘利明君) 例えば、民間経済につながっていく、これは、例えばハブ空港とかハブ港湾とか、それから先の民需主導の経済を強化していく、その基盤部分、そこに予算を投じて強化をしていく、これは民需へつながっていく基本になっていくと思います。
○櫻井充君 確かに港湾など成長戦略に資するものもあります。これは予算規模はどのぐらいですか。
○国務大臣(太田昭宏君) 国交省の範囲で申し上げますと、公共事業全体で補正予算一・八兆円であります。防災・減災と老朽化対策というところで一・二兆円、そして富の創出という、今、櫻井先生おっしゃったその部分では五千億円、そして通学路の整備等生活に役立つというのが二千億円ということで、一・八兆円という、そういう形になりまして、今の形の先生のお伺いのところは五千億、その中に港湾ということが含まれているということでございます。
○櫻井充君 おっしゃるとおりなんですね。そうすると、今、甘利大臣がおっしゃったような絵姿は公共事業の中の五千億しかないということになりますが、それでよろしいですか。
○国務大臣(甘利明君) 先ほど財務大臣が答弁させていただきましたけれども、緊要というのは、経済成長につながっていく部分と、それから国民の命を守る、暮らしを守るという部分もあろうかと思います。そういう点では、防災・減災という視点も当然加味されています。もちろんそれ自身経済効果があるものでありますけれども、民間経済につなげていく、そのインフラの基盤強化と、それから、もちろんそういう効果もあるんだと思いますけれども、国民の不安を解消するという多角的な視点で公共事業は編成されていると、今回の公共事業はというふうに承知をいたしております。
○櫻井充君 塩川財務大臣というのは正直な方でして、こう答弁されているんですが、公共事業の拡大は短期的には経済の下支えをしたと、一定の効果があった、他方において、生産性が低く効率性の劣る分野を温存する結果となり、必ずしも持続的な経済成長につながらなかった面があると認識していますと。この答弁についてはどうお考えですか。
○国務大臣(甘利明君) 公共事業がどう効果があるかないかという議論はずっとありました。そして、その公共事業自身の乗数効果が高いとか、あるいは低くなっているという議論もあります。大事なことは、公共事業で全て日本の需要を支えるということであれば財政がもたないわけであります。でありますから、これは種火としての役割、それから先の成長戦略、もろもろの思いを込めて仕組んでいるわけでありまして、これが全てではありません。それから先に、本体は成長戦略による、つまりその五百兆の経済自身を動かすことだと思っております。
 政府予算はあくまでも九十兆であり、その中の公共事業費というのは一部であります。先ほど来御指摘があるような民間金融資産千五百兆に及ぶもの、あるいは国全体の経済規模五百兆、これをどう回していくかということが本論だと思っておりまして、それへの誘導策だというふうに思っております。
○櫻井充君 だから、先ほどから、誘導策は五千億で、ほかのものについては誘導策になっていないんです。ただし、これは、安全、安心とかそういう観点から必要ですと言われれば、それはそうだと私は思うんですよ。それを経済に全部結び付けて強弁されるのは私はやめた方がいいんじゃないかと思いますが、その点いかがですか。
○国務大臣(甘利明君) 今回の緊急経済対策はなぜ緊急かというのは、中央道のトンネルの天井崩落事故等、国民が、自身が使っているインフラが大丈夫かという不安があるわけであります。それを除去するという意味も込めているということでありまして、全てが経済効果だけで仕組んでいるわけではありません。
○櫻井充君 だから、まあ説明はそちらの方が私はいいんじゃないのかなと思っているんです。
 ただし、問題は、それに資するものも実はこれの中の四分の一しかないと。ですから、あと残りのところ、七五%については本当に執行が可能なのかどうかということなんです。そうでなければ、本来は二十五年度の本予算に回るべきものであって、なぜ二十四年度の補正予算にこれが回ってくるのかがよく分からない。財政法上見たときには、この趣旨から見ると違うんじゃないですかねということを申し上げているんです。
 これは二十四年度内に執行可能なんですか、大体。
○国務大臣(甘利明君) できるだけ早く予算を成立させていただきたいというのが本音でありますけれども、しかし、そうだとしても、残っている期間は非常に短うございます。でありますから、今年度中に全部執行ができるかといえば、これは非常に難しいというふうに思います。
○櫻井充君 これは前原さんも指摘していたことですが、このことによって被災地の復興が遅れるということはありませんか。
○国務大臣(甘利明君) 公共事業を集中的に発注をすると。そうしますと、もちろん人の関係もございます。これは、国交省その他関係する省庁に工夫をしていただいて、効率的、効果的に事が運ぶように、そしてそれが被災地の復興の妨げにならないように、いろいろと関係省庁に工夫をしてもらいたいと思っております。
○櫻井充君 被災地は今でも人手が足りない、それから資材が高騰していると。さらにこれに公共事業を上積みされると、人手がまた足りなくなる、それから資材の価格が上がると思っているんですよ。
 資材の価格って、今どのぐらいまで上がったか御存じですか。
○国務大臣(太田昭宏君) 今御指摘のように、特に被災地にとりましては、生コンが上がる、そして職人がなかなか得られないということでその金額が上がる、しかし、またその金額自体が職人さんの現場のところに行き渡るかどうかということも含めて様々隘路があるということでございまして、直ちにここで何割上がったというような数字はございませんけれども、答弁できませんけれども、そういう状況にあることは事実です。
○櫻井充君 私が知っている範囲で申し上げると、生コンは、震災前が一立米七千円程度だったものが、現在が一万三千円ぐらい、もうちょっと上がっているのかもしれません。それから、人件費で申し上げると、建設作業員の方々の人件費が八千円ぐらいだったのが、今、一万五、六千円、もっと上がっているかもしれません。これだけ高騰しております。
 これで、いろんな県から応援いただいているんです。この方々が地元に戻ってしまったら果たしてどうなるのかということを心配しているんですが。
○国務大臣(太田昭宏君) まさに現地で、現場にいらっしゃる先生よく御存じのとおりでありますけれども、全体的には、去年の十月、十一月ぐらいよりもその辺は円滑にしているということの中での今回の補正予算であろうというふうに思います。
 そこで、執行できるようにということで、地域の県外からも、あるいは全体的な応援体制ということ、人員におきましてもまた資材においてもそういう仕組みをつくったり、あるいは協議会を発生させて、そこでいろいろ業者間で打合せをするという軸に国交省の地方整備局がなっているという事実もございます。
○櫻井充君 遅い遅いとお叱りを受けていましたが、結果的には、地元では地元の事情があるわけですよ。
 根本大臣、この辺については心配されていませんか。
○国務大臣(根本匠君) 公共事業が本格化することに加えて、全国的に今お話しのような技術者、資材等の需要が高まる可能性があります。ですから、私は、被災地の人員不足あるいは資材不足への対応、これは更に重要な課題になると思われます。
 既に今、国交大臣からお話がありました。私は様々な工夫が必要だと思っております。これまで国土交通省や復興庁、関係省庁、関係自治体、業界団体から成る復旧・復興事業の施工確保に関する連絡協議会、これを通じて必要な措置の推進、これに努めてまいりました。人材不足については、一つは広く人材を集める、もう一つは人材をできる限り効率的に活用する、これが大事だと思います。
 広域的確保の観点からは、被災地と被災地以外の建設企業が共同する復興JVの導入、あるいは遠隔地から人材を集めた場合の追加コストの支払、あるいはCM方式の導入による人材などの確保、これをしっかりやっていきたいと思います。
 もう一つは、人材の効率的活用。これは、発注ロットを大型化する、人材配置を工夫する、これによって技術者や技能者の効率的活用、これに取り組んでおります。
 それから、資材不足の話がありました。これも、今、地域ごと、資材ごとに関係者によるきめ細かな需給対策、これが重要ですから、地区において具体的な何が逼迫するか、例えば生コンについては、新たな民間プラントの設置やミキサー船の活用、生コンクリートの原材料である骨材について、地域外からの調達の推進に取り組んでおります。
 さらに、今後、この資材の件、今検討中ですけど、港で骨材を荷揚げする施設や仮置場の拡大、民間プラントの増設や公共による公共事業専門プラントの設置などによって供給体制の拡大を目指した措置を検討しております。
 いずれにしても、支障がないように、連絡協議会などを活用して、柔軟かつきめ細かな対応、これを国土交通省と連携して進めて、復興を支障がないように、加速させるように頑張ってまいりたいと思います。
○櫻井充君 医師不足の対策のときに国がいろいろ言っているのと同じような感じがするんですが、総理、これはちょっとお願いがあります。本当に復興が一番大事だという、もう僕は安倍政権のこの方針には賛同いたしておりまして、そういう影響のないように努めていただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 確かにその問題意識を私どもも持っておりますので、各閣僚に対して、そういう問題が発生しないように十分に準備をするように、あるいは調整するように指示をしているところであります。
○櫻井充君 よろしくお願いします。
 次に、安定した医療保険制度の構築で高齢者医療費負担軽減措置を継続するとありますが、これはどうして緊要なんでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) 七十歳から七十四歳の皆様方の窓口負担の問題であろうというふうに思いますが、本来ならばこれは二割負担という形でございますが、一割負担を継続をしてきたわけでございます。そのようなことを鑑み、この補正予算に計上させていただいて対応をさせていただいている、こういうことでございます。
○櫻井充君 私、厚生労働副大臣務めさせていただいたときに、自民党の議員の方から、これをちゃんと二割負担にすべきだと、そういう質問をいただきましたけど、方針変わったんでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) 多分、民主党政権のときにもそのような対応をしたことに対して自民党からいろんな意見があったという話であったというふうに思うんですが、一つは、緊急、このようなときに政権交代が起こりまして、その中において、これからの方針等々をどうしていくか決めるのに緊急な時間がなかったという制約もあります。そんな中で今回補正予算の中に計上させていただいて、万全を来したということであります。
○櫻井充君 だって、元々はこれ法律で二割負担にするって決めていたんですよ。しかも、負担が増えるわけでも何でもなくて、この年代の方々、三割負担から二割負担に全部軽減されるわけですよね、この年齢に入ってくると。だから、そういうことでやっていきましょうと我々の政権では方針決めていましたよ。それをどうして覆したんですか。
○国務大臣(田村憲久君) 方針をお決めになられていたかどうかは私は存じませんが、いろいろと理由はございます。
 確かに三割から二割に負担が下がるということは事実でございます、七十歳になられた方から。しかしながら、今まで一割だというような特例を継続してきたわけですね、これは自民党政権のみならず。その中において、やはりそのような期待がある中において、いきなり一割から二割に、その削減率が減るという部分に対して高齢者の方々の御心配もあられる。
 また一方で、低所得者対策、これは民主党政権でもいろんなお話がございました。これに対しての対応等々も検討しなきゃならぬということでございまして、勘案するのに時間がなかったということで緊急に計上させていただいたということであります。
○櫻井充君 じゃ、終わります。
○委員長(石井一君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。(発言する者あり)
 答弁。それじゃ、どうぞ。石原環境大臣。
○国務大臣(石原伸晃君) 先ほどは資料を持ち合わせませんで、失礼いたしました。
 海岸漂着物の対策でございますが、当補正予算で九十九億九千九百万円、そしてカナダへの支援金として五千四百万円を計上させていただいています。
 あと一点、訂正をさせていただきたいんですが、二名の出張についてはいずれも指定廃棄物に関しての出張でございました。
 失礼いたしました。
○委員長(石井一君) いいですね。
 残余の質疑は午後に譲ることといたします。
 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十四分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
○委員長(石井一君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 平成二十四年度補正予算三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き質疑を続行いたします。
 小川敏夫君の関連質疑を許します。櫻井充君。
○櫻井充君 ありがとうございます。
 午前中の質疑の続きをやらせていただきたいと思いますが、今回、高齢者医療費のところの減免措置になっているんですけど、これ、是非見ていただきたいのは、当初所得から、要するに高齢者の方々は医療、年金、介護の現金給付、現物給付で再配分された後、それから現役世代は保険料や税金を負担した後どうなっているかというと、再配分された後は、一番大変な世代って実は三十代なんですよ。我々は、だから、御批判いろいろ受けましたよ、子ども手当であるとかそれから高校の無償化であるとか、そういうものを実現してきたのは、この所得の再配分を見たときに、若年世代の方が、若い人たちが不利だからこういうことをやってきたわけですよ。
 今のこのやられていることはこの考え方から私は逆行していると思いますけど、いかがですか。
○国務大臣(田村憲久君) 本則からこのような軽減措置を、これは我々が政権を以前握っておるときから続けてきたわけですね。今回、やはり本則に戻すべきではないかと、今先生がおっしゃられました世代間の公平、これを考えて本則に戻すべきではないかという議論も、実のところ自民党でもかなり出ているのは確かであります。そしてまた一方で、そうは言いつつも低所得者の対策をどうするんであるだとかいろんな議論があって、それも含めて検討をして、とにかく本則でありますから本則に戻すのはまず前提でありますけれども、そのために何をすべきかということも含めて議論を今させていただいておる最中であります。
○櫻井充君 これはちょっと総理にお伺いした方がいいと思うんですが、この所得の再配分、年代ごとの、これが公平だと思われますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 社会保障の給付をだんだん日本は厚くしてきたわけでありますが、その過程において、高齢者に対してより厚くということが続いていったのは事実だろうと思います。それはやはり、日本は敗戦後、大変な状況の中からこの今日の豊かな日本をつくったわけでありますが、その中において、全て資産を失った方々が大変な御苦労の中で頑張った。そういう高齢者に対しての配慮をしようということであったと思います。それがずっと続いてきている中で、今日、当然我々も見直しをしていく必要があると、このように考えております。
○櫻井充君 その中で、我々、子ども手当、高校無償化、ばらまき四Kと言われたんですが、今回の二十五年度の当初予算の中では継続されているようですが、どうしてあれだけ批判したものが継続されるんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) かつての子ども手当については、昨年の三党合意に基づきまして新たな児童手当制度に改められております。
 高校無償化制度については、教育現場で既に現行制度を前提に中学生の進路選択が行われていることから、二十五年度は今年度と同様の仕組みで実施することにしております。そして、二十六年度以降については、所得制限の導入も含め、真に公助が必要な方々への制度となるように検討をしていきたいと考えております。
 そして、戸別所得補償制度については、生産現場ではやはり既に現行制度を前提に本年産の営農準備が始まっております。これを今急に変えるということは大きな混乱を与えることになりますから、二十五年度は名称を経営所得安定対策に変更した上で、今年度と同様の仕組みで実施することとしておりますが、二十六年度に向けて新たな仕組みの検討を行っていきたいと考えております。
 そして、もう一つのKであります高速道路の無料化については、二十二年六月より社会実験を実施をしていたということでございますが、東日本大震災の発生を踏まえて二十三年六月に打ち切られておりまして、二十五年度予算においても盛り込んではおりません。
○櫻井充君 いい制度はいい制度で残すべきだと思うんですよね。
 総理、ばらまきとよく言われていますが、ばらまきの定義を教えていただけますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ばらまきにはいろいろあると思うんですが、言わば、例えば我々は児童手当には所得制限を設けています。ある一定のお金を、その必要度を余り勘案せずに全部にお金を出してしまうと。これは、一回税金としてコストを掛けて徴収したものをまたコストを掛けてみんなに配るということは、コストだけが言わばかさんで残っているということになりますから、政策としては余り、効果としては薄いのではないかと、こう考えております。
○櫻井充君 そうすると、所得制限を設けないとばらまきということになるんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それは、それぞれの個別の政策で考えていくべきだろうと。大体今、ざくっと言ってそうだろうというふうに申し上げたわけであります。
○櫻井充君 そうすると、消費税をこれから八%、一〇%に上げていくときに、軽減税率、要するに複数税率の話になっています。これは高額所得者の人たちも恩恵を受けることになるので、これもばらまきということになりますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 複数税率については、今まさに議論を行っているところであります。
○櫻井充君 私が申し上げているのは、高額所得者も恩恵を受けることになるからこれもばらまきになるのかとお伺いしています。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 議論の中において、それは果たしてばらまきかどうかということがまさに議論の対象になるのではないかと思います。
○櫻井充君 これは今後議論させていただきたいと思います。
 税制で、二十五年度税制で麻生大臣にお伺いしたいんですが、私はお金がやっぱり回っていくことが実はデフレからの脱却だと思っていまして、交際費課税をもう少し大企業にも認めさせるべきじゃないのかと思うんですが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(麻生太郎君) 今、自民党の質問かなと思って聞いていたんですけれども。
 今のお話ですけれども、正直に申し上げて、六百万から八百万ということにさせていただいたんですけれども、中小企業に関しましてね、これを大企業まで広げていくかというのは、これは税収等々をよくよく計算してみなきゃいかぬところなのでうかつなことは申し上げられないと思いますが、少なくとも会社で多分課長さんが若い社員つかまえて今晩一杯飲みに行こうというほどの給与の支払は今行われていないと思いますね。かなりないし、いわゆるあれが、労働分配率が減りましたので、そういった意味では、いろんな意味で会社の中の元気とかいろんなことを考えたときに、私は、大企業においてもそういったことを、これは税収との問題がありますのでうかつなことは申し上げられませんけれども、考えてしかるべき方向かなと考えてはおります。
○櫻井充君 いや、大臣、前とちょっと御持論変わったんでしょうか。前は、そうやって使ってもらえば金が回るから税収が上がるんだと、そういう話だったんではないですか。(発言する者あり)
○国務大臣(麻生太郎君) なかなかいいことをおっしゃいます。ありがとうございます。
 御存じのように、交際費支出については、いわゆる乱費の抑制等々を考えて原則損金不算入にしているのは御存じのとおりなんですが、中小法人につきましては少なくとも財務とか資金繰りとかそういった基盤がもう弱いというところもありましたので、いろいろなことを考え、大企業のように広告費に金を使うということもできるほどの規模でもないしということで、大企業とは異なる取扱いをさせていただいたんですが、税収を見ますと、平成二十四年度予算ベースで約二千億ということになっております。
 したがいまして、こういう事情ではこの特例を少し拡充することとしたんですが、六百、八百という特例することにしたんですが、今おっしゃるように、そういったものが私は、金が、もっと内部で止まっている金が外に回っていく一つの手段として、私はこの交際費課税というものが大企業に広げていくのは方向として考えられてしかるべきかなと、私自身はそう思っておりますが、今から役所内で、抵抗激しき中、政治主導を頑張らなきゃいかぬところかなと思っております。
○櫻井充君 大事なことだと思うんですよ。地方も含めて飲食店街は相当疲弊しております。ここは物すごく雇用の受皿になるので、是非お考えいただきたいなと思います。
 最後に、実は研究のことについてお伺いしたいと思いますけれども、今回の補正予算の中で研究費が随分計上されていて、私はこれ賛成なんですが、どういった項目に使われるんでしょう。
○国務大臣(甘利明君) 例えば、iPS細胞の研究開発等、これからの日本の経済を担っていくであろう科学技術分野を含めて、成長に資するという視点から計上させていただいております。
○櫻井充君 これはちゃんと通告していますから、もう少しきちんと答えていただけますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 大学や研究機関における研究活動は、日本経済再生の原動力となるというふうに考えております。ここは委員と全く同じでありますが、成長による富の創出に資するものであると考えております。
 そこで、研究施設や設備、いわゆる箱物系なんですが、そこはやはり老朽化が進んでおります。老朽化により、その使用が限界に近づいているものもございます。世界のトップレベルとなるのに不可欠な最先端の設備の導入が遅れているものもあります。このため、今回の補正予算では、科学技術イノベーションについて施設や設備の整備に充てることと同時に、それに加えて、産学連携による研究開発等についても必要な措置を講じているところでございます。
○櫻井充君 そういうことなんですよ。箱物の整備だけなんですね。
 これを動かす人たちというのの予算は確保されているんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) もちろん、箱物だけではございません。
 最初に申し上げましたのは、やはりもう相当老朽化が進んでいるところもありますし、余り老朽化が進んでいるところであれば、研究者の士気も下がってくるし、新しい研究者も育たない。また、当然研究については機材も必要でありますから、そういう言わばハードにもちゃんとお金を掛ける必要があるんですが、同時に、研究体制について、研究活動の効果的な推進に向けて、研究支援人材の確保を始めとする体制整備を強化するということにしております。そうしたことは、総合科学技術会議のリーダーシップの下にこれから進めていきたいと考えております。
○櫻井充君 財務省の査定で、研究者の予算についてずっと削減され続けてきているんですね。ここは二十五年度予算でちゃんと確保されているんでしょうか。
○国務大臣(山本一太君) 科学技術担当大臣としてお答えしたいと思います。
 櫻井先生おっしゃったように、研究現場で研究人材を安定的に確保できるかどうかというのは非常に大事な問題だと思っていまして、総合科学技術会議でも、山中先生等々の御提案も受けていろいろと議論をしてまいりました。
 第四期の科学技術基本計画についても、研究者に加えて、研究活動全体のマネジメント、知的財産の管理運用、施設及び設備の維持管理等を専門とする多様な人材、研究者をサポートしていただける人材の体制を整備する必要があるということで議論をさせていただいておりますし、今回の予算の中でも科学技術予算についてはかなり我々も強く要求をさせていただきましたし、それなりの予算は確保できたんではないかと、こんなふうに考えております。
○櫻井充君 いや、これまではずっと大学の運営交付金、減額されたんですよ、一%ずつ。私、財務の副大臣やらせていただいたときにそれを止めましたけどね。この後の予算、どうなるんですか。
○国務大臣(山本一太君) 今先生のおっしゃった研究者をサポートする人材の養成というのは総合科学技術会議でも大変大きな課題になっておりまして、その意味でいうと、下村文科大臣もおられますけれども、文科省の予算の中でも研究人材をサポートする予算というものはいろいろと議論をしながら計上させていただいていますので、その方向で私も科学技術担当大臣として、特に総合科学技術会議担当の大臣としては進めていけるように頑張っていきたいと思います。
○櫻井充君 私が勤務していた国立病院にも立派な研究施設がありましたが、人がおりませんでした。私が辞めた以降使われておりません。今、研修医制度も始まってから大学の研究者って本当に減ってきていて、これは僕は、文部科学省を応援するためだから僕は文部科学大臣に答弁していただきたかったんですけれども、幾ら設備があっても人がいないとどうしようもないんです。今、研究の現場、本当に疲弊していますから、そういった人への投資というのをもう少し大事にしていただきたいなと思っています。
 我々民主党は、相当批判は受けましたが、しかし人への投資については相当増額してまいりました。これは、社会保障だけではなくて教育研究コストについても増額してきたのは何なのかというと、社会全体の安心の確保だけではなくて、将来を見据えて人材を育成しなければ、それから新しい付加価値を生んでくるものをつくってこなければ今のデフレから脱却できなかったと、そういう思いで我々は研究予算も増やさせていただいております。
 是非、我々の良かった点はきちんとした形で継承していただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
○委員長(石井一君) 関連質疑を許します。植松恵美子さん。
○植松恵美子君 民主党・新緑風会の植松恵美子でございます。本日は、安倍内閣の緊急経済対策について伺ってまいりたいと思います。
 いわゆるアベノミクスというものは、三つの矢が同時に成功することによってこの日本の経済を好転させていくという計画であると伺っております。そして、その予算は補正予算だけでも十・三兆円が措置されておりますが、この十・三兆円を消費税に換算しますと、全国民が一年間で納める消費税の約四%分に相当します。大変な金額であると思っております。その大規模に行われる経済対策も、例えば一本の矢でも的を外してしまえば大きな財政赤字を膨らませて失敗に終わってしまうという危険性をはらんでいると私は思っております。
 安倍総理は所信表明におきまして、本当に額に汗をして一生懸命働いている人は必ず報われる、そして未来に希望と夢を抱くことができる、そんな社会をつくりませんかといって呼びかけられました。私は、その安倍総理のお考えには大変深く共感しております。
 そういう意味におきましては、私は、本日は生活者の立場で、そして地方で一生懸命働いている人たちの暮らし向きが上向くような経済対策であってほしいという願いを込めて質問をさせていただきたいと思います。
 まずは金融政策の面から伺ってまいりたいと思います。
 この度の金融政策はインフレターゲットを二%の目標としておりますけれども、当然のことながら、全ての品目において二%ずつ物価が上昇するわけではございません。品目によっては相当上昇するものもあれば横ばいのものもある、あるいは品目によっては下がるものもあると思っておりますけれども、今回のインフレターゲット二%目標を達成するために、どのような品目が上がりやすくて、あるいはどのような品目はそんなに上がらないんだと想定されているか、教えていただきたいと思います。
○国務大臣(甘利明君) 物価目標というのは、物価全体を平均をして二%を安定目標として掲げて、それに向けて日銀が主体的に金融緩和をしていくということであります。
 それは時々の経済状況にもよると思いますけれども、何が上がって何が上がらないかということは、定性的にはなかなか言い切れないというふうに思っておりますが。
○植松恵美子君 いわゆる、やってみないと分からない、実験的なこともあるというような御答弁かと私は受け止めておりますけれども、米国の例を取ってお話をさせていただきたいと思いますが、米国では二〇〇二年以降から消費者物価指数は二%前後で推移をしてきていると思っております。
 その米国においてのいわゆる物価の上昇率、例えばテレビとか自動車といった国際間での価格競争が激しい、そういった品目については上がるどころか下がってきております。テレビなんかは約五分の一の価格になっております。一方で、食料品、電気代、ガソリン代、医療費、こういった生活コストにかかわる重要な品目については、二〇〇二年の一月を起点にいたしますと三〇%から四〇%上昇しているということが分かっております。
 つまり、生活にとって必要なものが上がりやすい傾向にあるという意味においては、インフレターゲット二%を早いうちに目標達成をするというふうに日銀に要請をしている安倍総理、生活者の負担なくしてはこのインフレターゲット二%はなかなか目標を達成できないんじゃないかと思っておりますが、どのようにお考えでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 問題は、ずっとこのデフレが続いてきたことでありまして、十五年間デフレから脱却できなかったんですね。デフレは物の値段が下がると同時に収入も下がっていくわけでありますし、そして年金もこの物価にスライドさせなければいけないわけであります。
 そもそも、経済というのは基本的には緩やかな物価で成長していく、物価の上昇率があるということを前提に年金も大体組んでいるわけでありますから、そういう状況に、正常な状態に一日も早く戻すことが重要であり、そうしなければ絶対にこの収入の下落は止められないということであります。
○植松恵美子君 緩やかな物価上昇ではなくて短期的に早く物価を上昇させるんだと安倍総理はおっしゃっているかと思っております。
 昨年の十一月からも比べますと、もう既にガソリン代は四%値上がっている状況でございます。よく私の地元で集会などを開きますと、本当に多くの声が聞こえてくるんですけれども、この物価の上昇に従って給料も上がれば問題ないと思うけれども、どうも給料が上がるような気がしないんだという、こういった方たちが本当に多いんですね。
 社員の給料を昇給した企業、あるいは雇用を増やした企業に対しては法人税を減税するという税制を取り入れようと政府はなさっているようでございますけれども、御存じのとおり、法人税を納めている企業というのはもうかっている企業でございます。しかし、今、日本企業の七割は欠損法人でありまして、これが資本金が小さければ小さいほど、つまり、中小企業になればなるほど欠損率が高くなっております。こういうことを踏まえて、この法人税減税以外の施策というものを取っていくつもりがあるのかどうか、お伺いしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほどの石油、ガソリン代については、そもそも原油価格が上がっておりますから、そうした国際価格に引っ張られているというところが大きいんだろうと思います。
 そしてもう一点なんですが、一つは、確かに法人税払っているところが少ないんですが、それはデフレ経済、これも極めて大きな原因なんですね。そして為替もあります。今、この中で、今まで全く法人税を払っていなかった企業が今度は払うというところ随分出てきましたよ。ですから、例えばトヨタ自動車においても、国内では実は赤字が出ているわけでありますが、これは一気に状況は変わっていきます。
 そういう中において、そうした赤字法人だったものが黒字に変わっていくということもあるんだろうと思いますし、それと、基本的には今の政策を取っていることによって企業が収益を改善をしていきます。そして、それから従業員の給与が上がっていくという順番を取るわけでありまして、そのサイクルをなるべく短くするために、先般、経済界の皆さんに集まっていただいて、なるべく賃金、そして一時金等において対応していただきたいというお願いをしたところでありまして、早いところにおいては新浪さんのところが給与を上げてくれるということを決定をしていただきました。次々とこういう企業が出てくることを期待をしたいと思います。
○植松恵美子君 総理、私が申し上げているのは、トヨタといったような大企業のお話を今しているわけではございませんでした。
 改めて申し上げますけれども、地方の中小零細企業で経営をされている方あるいはそこで働いている方たちの給料が上がるまでには相当時間差があるのではないか、あるいはいつまでたってもなかなか上がらないのではないかと懸念しているんですけれども、中小零細企業についてお答えください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 大企業としてトヨタというのを例に挙げましたが、しかしトヨタの周りにはたくさんの、何百何千と言っていいと思います、関連の会社がございます。ここには中小、小規模もありますよ。そういうところが、だんだんこのトヨタが収益を上げてくれば、納める金額も、製品が納める金額も当然変化をしてくるわけであります。
 そういう意味においては、今大きな変化が起こりつつあるんだ、今まで起こっていなかった変化が起こっているということではないかと思います。
○植松恵美子君 じゃ、それでは中小企業に対する円安の影響について伺ってまいりたいと思いますけれども、日本企業の売上高に占める輸出額の割合というものは、大企業であれば二七・八%、大企業でさえも二七・八%です。そして、中堅企業で一一・八%、中小企業になりますと、たった七・四%にすぎません。
 この数値から見て分かるように、中小企業あるいは地元の商店と言われるような会社がむしろ、これは円安の恩恵よりも、燃料代が上がったりあるいは原材料が上がったりして会社に掛かる負担の方が大きくなって、人件費に回すことが本当に余裕として出てくるのかと私は疑問に思っております。ですから、短期的なそういった経済対策は地方の中小企業に見違えるような景気回復は起こらないんじゃないかという懸念をしているんですけれども、いかがお考えですか。
○国務大臣(甘利明君) 一番大事なことは、十数年間日本を悩まし続けてきたデフレを脱却することなんです。一つの政策でなかなか脱却できないということで、三位一体でやっていくということであります。この経済効果がせいのドンで全部に同時刻に出ればそれは一番いいんでありますけれども、やっぱり巡り巡ってくる部分があります。でありますから、地域に対しては、これは公共事業はダイレクトに需要が生まれるということでありますから、巡り巡るよりも早く行くと思います。
 あるいは、中小企業について言えば、試作品の補助金、これはたしか最大三分の二だったと思います、一千万、上限で、これを一万件でしたか、一万社か二万社だったと思いますけれども、これを出していくと。これも地域に散在する中小企業の底力になっていくと思います。
 いずれにいたしましても、直接出せるものは工夫をして出すと。それから、経済が回っていく中で裨益していく部分、これはタイムラグが当然あり得ると思います。
○植松恵美子君 当然のことながら、時間差もあれば地域間格差もあるということでございますけれども、来月の三月で中小企業に対する金融円滑化法は日切れを起こします。この金融円滑化法終了後は五万社から六万社、立ち行かなくなってくる企業が出てくるというふうに計算されておりますが、こういった企業に対しての政策、先ほど一万社から二万社に対しての政策は聞きましたけど、五、六万社出てくるんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(甘利明君) この円滑化法の対象企業が三、四十万社あります。その中で、恐らく五、六万社が丁寧な対応が必要だというふうに言われています。
 まず、一番近い線で、中小零細企業に近い線でいきますと、地域の金融機関がございます。地域の金融機関は、メガバンクと違いまして地域の中小企業、零細企業がお客様でありますから、これへの対応を誤るとお客自身を失うことになります。そこで、丁寧な対応をするように金融庁からも指導をしております。いきなり、切れたからおしまいですよということではないと、準ずる対応をせよと。
 それから、地域の金融機関が経営改善計画をするのにマンパワーが不足していると思います。それについて人を派遣するような仕組みもつくっております。もちろん、支援協議会という地域の仕組みもあります。それから、地域の経済と深く関係するようなもうちょっと大きい規模のところについては、今度、機構法を改正をいたしまして地域の企業を支援する仕組みを更に支援すると、そういうことも併せて取り組んでまいります。
○植松恵美子君 金融円滑法が切れますと、金融円滑法は、つまり二つの義務が課せられたと思っております、金融機関に対して。一つは、企業からの申入れがあったらなるべくそれを受けるようにと、いわゆる返済猶予を受けるという努力義務と、もう一つは、返済猶予の取組方について定期的に金融庁に金融機関から報告をするという報告義務がありました。
 この報告義務には罰則規定がございまして、これがいわゆる金融機関に対する金融庁からの圧力となって、いわゆる返済の猶予の申込みに対して企業に応じていたと思われますが、この度この金融円滑化法が切れますと努力義務も報告義務もなくなってしまいますので、恐らく金融機関は貸し剥がしだとか貸し渋りになるという可能性が出てくると思いますけれども、これに関して麻生副総理はどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) 今の御指摘の点については、これは大変心配せなきゃいかぬところなんでありまして、甘利大臣の方から約五万社、六万社ぐらいがその対象になり得るであろうと思われております。このまた五、六万社の中も千差万別なのは御存じのとおりなので、はなからもう先行きもないような感じ、ただただ手形を、ジャンプってお分かり、手形のジャンプというのだけさせているような感じのものは速やかにほかの会社と一緒になるとか、いろんな形で、いわゆる大企業ではなくて、信用金庫、信用組合等々、中小の企業と一番付き合いの深い金融機関に対しては、間違いなくその内容をよく精査した上で、少なくとも今、金融円滑化法が切れた途端にトタでばたっと倒れるなんていうことのないように、きちんと対応するように指示をいたしたところであります。
○植松恵美子君 そうなんです。それで、私も、金融円滑化法を何回も延長したとしても、これは企業に対する延命措置にすぎず、いわゆる経営再建をしていく本当に根本的な改善には、もう一巡しましたので、なかなかならないと思っております。
 そこで、政府は、企業再生支援機構の組織を変えて、これで地域経済活性化支援機構をつくって、これまで例えばJALなどの大企業を再生していたこういった仕組みを中小企業の再生に取り入れていくという考えがあると伺っております。私は、これは非常に大切なことだと思っております。
 なぜならば、やっぱり本当に再生する企業かどうか見極めて助けていかないといけないのが一点と、中小企業の中にもやはりすばらしい技術があって、これ潰してしまうには惜しいなという企業もあると思います。ただ、五万社から六万社の中で、これを政府支援によって見極めて再生させていくというのは非常に厳しいと思うんですけれども、困難であると思っておりますが、どのように見極めて再生できていくんでしょうか。
○国務大臣(甘利明君) それぞれ役割分担と、それから連携があると思います。
 数からいえば、一番たくさん対応しなければならないのは地域の金融機関です。その金融機関をサポートするような仕組みをつくってあるわけであります、専門家を派遣する等々ですね。
 これ大事なことは、委員おっしゃっていますように、技術もない、将来性もない、どうやっても存続が不可能というのを単に延命させるということは、新陳代謝の点からも、あるいは日本経済の点からも余りいいことではないと思います。
 ただ、技術はあるのに、なかなかいいセンスはあるのに、それが今の状況でこのままいくと倒産してしまうのはもったいないし、日本にとっての損失だと思います。それを助けるのは、単にお金を融資するだけではなくて、経営改善計画あるいは転進をしていく計画を丁寧にやってあげることが大事です。規模に応じて専門家を派遣する、あるいは出融資をする、あるいは債権の引受けをしてメーンバンクとそれから新しい改組した機構の二本に出資者を絞る等々、規模に応じて対応をきめ細かく打っていく。問題は、単に延命措置としてつなげていくんではなくて、改善措置をしていく、ここが一番大事なところだと思っております。
○植松恵美子君 確かに、私自身もまあ本当に小さな会社の経営者の一人ではございます。経営というものは自助努力が必要であって、もう利益を出していくのは自分の努力がやはり元になってもらえなければ、政府支援ばっかりを当てにされてもいけないということは本当に重々承知をしております。
 一方で、今年の年頭から円安が進んで株高が上がってきて、例えば中小企業者の経営者の皆様が集まる賀詞交換会などに行きますと、これは景気が上向くぞと、まあ言うたら沸き上がっているんですよね、地方によっても。だけど、実は、日本全体としては景気が回復基調に向かってはいるけれども、地元の小さな企業の中では何でか知らぬけど倒産する会社もいっぱい出てきているなという、いわゆる地域間格差と、大企業と中小企業の二極化が進んでいく経済対策であるということを私は国民の皆様にお知らせしておかないと、何か覚悟ができていないんだと、このまま政府が替わったら、何かすごく景気が良くなってうちの会社も良くなるんじゃないかなというふうな雰囲気が漂っておりますので、そこを確認したかったまでなんでございますけど、いかがですか、二極化進みますよね。
○国務大臣(茂木敏充君) 委員御案内のとおり、全国に中小企業それから小規模事業者、四百二十万社あります。それぞれ置かれている状況、また業種も違ってまいります。ただ、大半の中小企業、今デフレに苦しんでいる、販売価格が落ちているわけであります。これをどうにかしなけりゃならない。これが安倍政権にとって大きな課題であります。先ほどもありましたように、三十万社から四十万社が円滑化法、裨益をしていると。ただ、そこの中で五万社から六万社ぐらいが事業再生計画等々を作って経営を改善していかなくちゃならない。三段階に分けています。
 ある程度大きな中小企業に関しましては、企業再生支援機構によります支援を行ってまいります。そして、恐らく数千社規模になってくると思いますけれど、再生支援協議会、ここによります支援を行います。そして、数万社のものに対しては、よりきめ細かい、先ほど甘利大臣の方からも答弁ありましたとおり、認定支援機関、地域の金融機関等々が中心になってまいりますが、そこによります経営改善計画の策定と、補正でも四百億円以上の予算を付けさせていただいております。そしてさらに、それを下支えする仕組みとして、セーフティーネットであったりとかそういう制度も整えることによりまして、企業が事業再生そしてまた経営改善とスムーズにできるような体制を取ってまいりたいと考えております。
○植松恵美子君 経済産業省あるいは中小企業庁が準備されております中小企業に対する支援策というものは本当に多岐にわたって、世界的にも日本の支援策というのはしっかりしていると評価されておりますが、一方で、小さな、本当に小さな商店だとか小規模の企業のいわゆる支援策というのはすっぽ抜けていると思われております。
 それで、前政権下におきましては枝野経済産業大臣が当時、二〇一二年三月にちいさな企業未来会議を設置しました。これはどういう目的で設置したかといいますと、中小企業庁が見落としてしまうような小さな商店の経営者とか小規模の経営者と一緒に直接生の声を聞いて歩いて、これを政策に生かしていこうという目的でこの会議は開かれております。全国で行われたと聞いておりますが、このときの成果とか聞いてきた生の声を今後も、政権が替わったとしても重要な政策として是非生かしていくべきであると私は思っておりますけれども、済みません、経済産業大臣にもお伺いしたいと思います。
○国務大臣(茂木敏充君) ちいさな企業未来会議についてでありますが、前政権下で様々な地域の中小企業の声等々をお聞きをいただいて大きな成果を上げていると、こんなふうに考えております。我々はそれを発展させていきたいと、こんなふうに考えておりまして、この未来会議を今後はちいさな企業成長本部に格上げをいたします。そして、今月、第一回目の本部の会議を、総理にも出席していただいて、東京の、霞が関ではなくて、中小企業のある場所で開きたいと思っております。
○植松恵美子君 本当に有り難い御答弁をいただきまして、私もうれしい限りでございます。
 と申しますのは、この度の緊急経済対策は大企業寄りの経済対策だってずっと言われているわけです。私もこの経済産業省が出しています中小企業政策を見せていただきましたが、ちょっとはプライドがあるのか知りませんが、全部看板とか名称は先ほどと一緒で変えられてはおりますが、事業内容というのはもうほぼ同じでございます。民主党政権のものを引き継いでいるものがたくさんあります。それで、予算の額とか金額の枠組みというのは変わっておりますけれども、是非とも、自民党さんはこれまで大企業寄りだったと言われておりますので、やはり中小企業、零細企業に対しての政策をしっかりと打ち出していただきたいと思いますが、経産大臣のお答えを伺いたいと思います。
○国務大臣(茂木敏充君) 我々は、これから小さな企業に光を当てていきたいと思っております。今まで以上に当てていきたい、こんなふうに考えております。そして、名称につきましても、単に中小企業だけではなくて、中小企業・小規模企業若しくは中小企業・小規模事業者と、こういった形にしたいと思っています。
 そして、町の工場にはいい技術があるんですよ。そういった技術に光を当てる、このために、今回補正でも一千億円掛けまして、その技術を事業化する、試作品を作る、こういう支援、全国の一万社を対象に実施をしていきたいと考えております。
○植松恵美子君 私は与党を経験した野党で、またそちらは野党を経験した与党でございます。もう今後、日本の政治は発展をするためであったらお互いが批判して足を引っ張り合っていてもしようがないと思っているんですよ、私は。国が、やっぱり政治家ですから、国の発展のためにあるならば、たとえ前政権であろうが前々政権であろうが、いいものは引き継いでいただきたい、この思いがあります。私もそれだったら協力してもいいと思っておりますので、そういう気持ちで今日は質問に立たせていただいております。
 引き続き、財政政策について伺いたいと思っております。
 今回の補正予算の十・三兆円のうち約半分の五兆円は公共事業に予算措置されております。確かに、この公共事業というのは地方において、いわゆる景気刺激策としては即効性が認められると思っておりますし、かつて造ってきたトンネルとか橋梁とかあるいは建築物の補修工事や耐震化といったものは必要不可欠な事業であると私は受け止めております。しかし一方で、今後の新しい公共事業を起こしていくのであれば、国家として戦略性を是非持たせていただきたいと思っております。
 というのは、やはり借金をつくって国債を発行して、それでやる公共事業でございますから、かつて二〇〇九年、我々が政権交代を成し遂げたとき国土交通大臣であった前原さんがおっしゃった言葉が非常に象徴的でありました。この国には九十八もの空港が造られ続けてきたけれども、アジアの拠点となるようなハブ空港がなかったんだとおっしゃった。これは、かつての公共事業の在り方について象徴的な御発言であったと思っております。今、人口が減り始めて、いわゆる生産労働人口が減っている中で、もし早くからアジアの拠点となる空港を造っていてくだされば、いわゆる国家戦略として造っていれば、人、物、金がこの日本にほっておいても集まってくるシステムができていたと思うと、私は非常に悔しい思いでございます。
 そういった意味におきましては、今後の公共事業の在り方の考え方について、自民党も恐らく変わったと思っておりますので、在り方について教えていただきたいと思います。
○国務大臣(麻生太郎君) 誠に与党の質問として伺うべきところなのじゃないかと思うぐらい今の質問はいい質問です。これは物すごく大事なところです。
 ゴールデンゲートという、サンフランシスコのところに橋があります。これは一九三〇年代にいわゆる例のデフレ対策としてゴールデンゲートは造られました。また、フーバー・ダムという巨大なダムができておりますけれども、今日のラスベガスは、あのときのフーバー・ダムがなかりせば今日のラスベガスの繁栄はありません。そういったものは、いずれも巨大な公共工事として当時の共和党政権からぼろかすにたたかれた公共工事でありました、いずれも。
 そういった、ほかにもいっぱいございまして、フリーウエーとかいろいろあるんですけれども、そういったものに比べて、我々としては今、目先、間違いなくいろいろなものをやっていかないかぬのは先ほど甘利大臣やら皆さんから、太田大臣からもお答えのあったところですけれども、基本的に、我々としては、きちんとしたインフラというものがなければ国内の需要が更に伸びていくことはありません。
 我々は、先ほど御指摘のありましたように、日本のGDP約五兆ドルのうち、その一〇%から一一、二%が輸出ですから、残りの八八%は国内の需要で賄っているわけですから、その国内の需要が更に円滑化していく、更に効率が上がっていく、そういうときのために、防災のための港湾の施設等々はもちろんのことですけれども、港に着いてからそのコンテナが高速道路に上がるまでの道路というのは極めて道路としては未熟というか、きちんとしたものではありませんが、あれがすっと上がっていくようになりさえすればこれは効率は一挙に変わりますので、いろんな意味でこういったものは、日本が今後公共事業の主たるものとしてきちんとしたインフラというものを備えていくということは国家の経済的な発展、ひいては国全体の発展につながりますが、そういった意味において大変大事な観点だと思って、全くただいまの御指摘は正しいと存じます。
○国務大臣(太田昭宏君) 自由民主党にという話でありまして、質問がありましたが、私の方からも簡単にお答えしたいと思います。
 ハブ空港、ハブ港湾、そうしためり張りを付ける、しかも日本は人口減少社会になってくる、こうした中での公共事業というよりも日本の戦略的な経済発展の在り方、それをどうするかという国土のグランドデザインというものをもう一度考え直していかなくてはならないということが一つございます。それは、今副総理から話のあったとおりだと思います。
 もう一点、実は日本の公共事業は、昭和三十年ごろは産業基盤整備ということを中心にした公共事業だったと思います。それが昭和五十年前後、生活インフラ、下水道とか住宅というものを重点的に整備すると、こういう公共事業が行われたと思います。
 三・一一あるいは笹子トンネル、こうしたことの中で、本当に今防災・減災、老朽化ということに対する公共事業というものをもう一遍頭を切り替えて、新しい公共事業というものを展開しなくてはならない時期というのが来ているというふうに思います。
 地震が大変心配される活動期に入ってきている。高度成長時代から四十年、五十年となって経年劣化を構造物がしているというようなことも含めて、日本の経済発展というところの、また国際間の都市競争ということと同時に、人口減少社会の中で、もう一つは、そうした防災・減災、老朽化対策というものに初めて日本の公共事業というものが踏み出したのは今の政権であると、私はこのように思っています。
○植松恵美子君 防災・減災のための公共事業は大事だと思っておりますが、私は、それも本当に大切です。
 一方で、やはり国債を発行して行う公共事業ですから、元は取れるぐらいの、そんな公共事業を考えていただきたいと思うんですよ。やはり借金だけが膨らんで、後々無用の産物造って、メンテナンス費用に掛かって、足を引っ張るような公共事業はもうやめようと、お互いそう思うべきだと思っております。投資した分ぐらいは元が取れる、あるいは次の世代が食べていけるようなものを造っていく、そういった公共事業に方向転換をしていただけると麻生副総理もおっしゃいましたので、是非御期待をしたいと思っております。
 そこで、三つ目の矢の成長戦略について私は伺ってまいりたいと思いますが、実はこの三本の矢で一本だけ折れそうだとすれば、私、この成長戦略のなさだと思っております。
 と申しますのは、今、日本が待ったなしでこの成長戦略に本気で取り組んでいかなければ、また時間が遅れてしまって、あのときと振り返らなければならないのが今のこの局面であると思っております。人口が減り始めて超高齢社会になったこの日本に必要なのが成長戦略です。
 これまで、現政権も前政権も前々政権もですけれども、私はこの成長戦略についてずっと予算委員会で質問をさせていただいておりますけれども、この予算措置の方法が日本は全て総花的なんですよ。あれにもこれにもそれにも少額ずつ予算を付けて、これといって代わり映えもせずに、結果として成長は見られなかったということを何回も繰り返しているのを私は目の前で見てまいりました。
 必要なのは、ここは政治決断ですけれども、国を挙げてどのような研究や事業に予算を集中させていくかということが今後問われてくると思っておりますけれども、総理、この成長に対して、成長戦略に対して国のリーダーとしての覚悟を持っていただきたいと思うんですけれども、決断と実行力、そして責任を取る、この三つ、覚悟していただけるでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今委員が御指摘された点がまさにポイントでございまして、成長戦略、これは民主党時代にもありました。我が党は、基本的にはあるべき社会像というものをターゲットにいたしまして、その分野に国家的な資源を投入していく、あるいは規制に問題があるのか、そしてまた革新的なコアの技術、関連する技術、そしてそれに対するお金を付けていくということも含めて一気通貫でやっていきたいと思っています。それについては、当然私が、今、日本経済再生本部をつくって、そして産業競争力会議をつくりました。全て私が責任者でありますから、当然私が全てを責任取り、そしてしっかりと指示を出していきたいと思います。
○植松恵美子君 総理、絶対に官僚主導ではこれできないんですよ。前例がないことに本当に予算を集中させて投資をしていくという、いわゆる一歩踏み出すことでございますから、リーダーがリーダーシップをきちっと持っていただきたいと思っております。
 今覚悟はあるとおっしゃっていましたので大変頑張っていただきたいと思いますが、この国を将来どのようにしたいかという国家像がはっきりしていなければ成長戦略の方向性というのは定まらないと思っておりますが、どのような成長戦略を用意しているのか、具体的なものをお聞かせください。というのは、地元で集会をしておりますと、具体性がないよね、あれじゃ心配だねという声がたくさん上がっております。是非具体的に教えていただきたいと思います。
○国務大臣(甘利明君) 今までも成長戦略はありました。具体的項目もかなり挙がりました。恐らく、おっしゃりたいことは、政権が替わっても成長戦略として解決すべき技術というのはそう変わってこないんではないかと。そうだと思います。
 何がいけなかったかといいますと、実施する体制、ロードマップが弱かったんだと思うんです。総理が答弁させていただきましたのは、今ある課題というのがあります。それが解決された将来像があります。これを戦略目標として設定して、そこのあらまほしき姿から今の姿へ線を引っ張ってきます。そうすると、その線上に解決すべき課題が浮き上がってきます。例えば、こういう規制があるからできないんだとか、ここは民間では無理だからこの基本的な研究開発は国がやるべきだとかいう、線上に解決すべき姿が浮かび上がってきます。そして、興るであろう産業群の姿も出てきます。それをしっかり描いて、課題をきちんととらえて、そして解決のための指示を出す体制だと思うんです。
 産業競争力会議が構えられていて、そこで課題を幾つか出します。例えば、少子高齢化社会がいろんなこれから産業の活力を失う、あるいは社会の活力も失っていく。だとしたら、それでも活力がある社会というのはどういうふうなものか、ということは健康長寿で現役でいられる社会と設定します。そうしますと、そこと現在を引いてくると、ライフサイエンスの分野で何が必要かとか、医療で何が必要だという課題が上がってきます。それを、じゃ規制緩和も含めて課題が出てきましたら、その親会たる日本経済再生本部、これは閣僚で構成されています。そこで総理から、この下の具体的な会議で上がった課題を解決せよという指示が下ります。そうすると、今度は閣僚は宿題を受けるわけです。宿題を解決する競争になってきます。もう一回目の産業競争力会議で出された課題が本部会議に上がって、そこから各項目の指示が総理から各大臣に行ったところであります。その宿題を誰が一番早く返せるかと、この競争になってくるかと思います。
○植松恵美子君 具体的な成長戦略の事業内容を伺いたかったんですけれども、その事業内容を決定する会議の仕組みについて今教えていただいたんだと受け止めております。まあいいです。実際に、なかなかこれで日本を……。では後で。日本を引っ張っていくんだという成長戦略というのはいっぱいあるんだけれども決められないというのが今まで続いてきましたのが一点と、これは、私、前政権でもずっと言っております。ですから、同じ党でも言うことは言いますけれども、本当にもたもたしているんですよ、会議ばっかり続けてやって。成長戦略というのは、研究者たちがわんさか一生懸命しのぎを削って国際競争をやっているにもかかわらず、政治家がうったらうったらと会議ばっかりやっていて、決まらないうちに国際競争に負けている。早く予算を今付けてくれればいい研究できるのになと待っている研究者たちに届いていないんですよね。
 私は、一つ、このエネルギーの開発についてまた一つ例を挙げたいと思います。予算委員会のたびに一つずつ研究例を挙げさせていただいているんですけれども、私は、エネルギーの開発、そして自国の生産に追い付くようにするということは非常に大切な成長戦略の一つだと思っております。
 これ、筑波大学の渡邉教授の下で藻類、藻ですよね、浮いている、藻からエネルギーを生産するという研究、オーランチオキトリウムの発見によって、すごく進歩した研究ができ上がっております。藻類から液体燃料を作ることが可能になる研究がもうそろそろ実用化に向けて発展しているんですけれども、軽油やガソリン、ジェット燃料が藻からできるということが分かってきました。計算上では日本の休耕田の三十九万ヘクタールのうち五%相当、いわゆる二万ヘクタールを使ってこの藻類を生産することに利用できれば、日本の年間の輸入している石油の二億トン分を休耕田で作ることができると計算されております。休耕田が油田に変わるという研究が進めているんですけれども、総理、こういった開発については御興味おありでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今御指摘の点は、今までも勝谷さんとか何人かから是非研究するようにと言われております。そうしたものも含めて、メタンハイドレートもそうですが、今エネルギー、できるだけクリーンなエネルギーについては私たちが示しているあるべき社会像の一つとしてターゲットに入れているわけでありまして、政府を挙げてそうした研究をしていく、そしてそれがまさに成長戦略の中心的な柱の一つであると、こう考えております。
○植松恵美子君 ところが、この日本においては、非常に研究者の生の声を聞いておりますと不都合なことがたくさんあるんだなと思っております。
 と申しますのは、藻から燃料ができるんですから、これ日本だけが研究に取り組んでいるわけではありません。世界中で国が一丸となってこの研究開発にお金を注いでおりますが、日本はまた悪い癖が出てきておりまして、文科省と経産省と農水省でそれぞれプロジェクトを立ち上げて、三十ぐらい乱立しているんです。そして、予算は二〇〇八年から約十年間の間で八十億から百億、もうこれはでも少額ずつ振り分けておりますので非常にこの予算の使い方が非効率でありますし、なかなか研究者のところに届いていない、その研究の連携も取れていないという状況であるんですけれども、こういったことを改善していかなければなかなか諸外国には勝てない。
 一方で、米国はこの藻類から燃料を作るという研究は万全の体制をつくっておりまして、これまでに一千億円の予算を投じております。それは、エネルギーができるんだからこのぐらい投じたっていいという判断の下でやっていると思います。これ、一千億円というのは腰を抜かすような予算ではありません。今回の緊急経済対策のうち五兆円は公共事業です。そのうちの二%ですよ、一千億円って。次のために種を植えるのであったらそんなに高い投資だとは思いませんけれども、国のリーダーとしてこのエネルギー生産、どのようにお考えでしょうか。
 いや、済みません、国のリーダーです。総理大臣です。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今の個別の点ではなくて、エネルギー政策については先ほど答弁をさせていただいたように、まさになるべくクリーンなエネルギーの確保、自前のエネルギーの確保というのは我々にとって、我が政権にとっても命題の一つでありますから、全力で取り組んでいきたいと考えておりますし、これまた省庁間の縦割りをいかに排していくかということも重要であろうと思います。
 総合科学技術会議はまさにその役割を果たさなければいけないわけでありまして、これはまだ立ち上げてはいないわけでありますが、会議については非効率的な会議もありますが、その会議がなければまさに横軸は通らないわけでありますから、そうやってしっかりと横軸を通して、そして私が議長であって、まさに官邸が主導してそうした政策を推進していきたいと思います。
○国務大臣(山本一太君) 科学技術担当としてお答えしたいと思います。
 今先生のおっしゃった問題意識は大変重要だと思っていまして、ちょっと藻類の話は私も今初めて聞いたので、急いでちょっと筑波にも問い合わせて中身を確かめたいと思いますが、今おっしゃったように、研究開発、科学技術、この省庁横断になっている予算、ここにしっかり横軸を通して、まさに国家戦略として司令塔機能を果たすというのが実は私に求められている、総合科学技術会議に求められている役割でございまして、これについては過去もいろんなプロジェクトで省庁横断の流れを総合科学技術会議として各省にお願いしてつくってきているところですけれども、更にその機能を高めて、総合科学技術会議も間もなく新しい会議が、国会同意人事が通ればスタートすると思いますので、総理にもリーダーシップを振るっていただいて、今おっしゃったような問題に的確に取り組めるように、私も担当大臣として一生懸命頑張っていきたいと思います。
○植松恵美子君 山本大臣、本当にこれ取り組んでいただきたいと思うんです。と申しますのは、エネルギーの輸入国からともすれば輸出国に変わるという、これ大きな転換ができるんですよね。
 なぜ私は総理の御答弁にこだわったかと申しますと、総理はよく強い国日本をつくりたいということをおっしゃっております。先ほど櫻井議員への御答弁を聞いていますと、その強い国の定義というのは、経済的にも強く、そして外交的にも安全保障の面でも強い国をつくりたい、もっと踏み込んで言えば、安倍総理の御発言からいえば、軍事的にも強い国でありたいというふうに思っていると私は受け止めているんですけれども、一方で、その気持ちがずっと前から、信念として何十年も前からお持ちであったのであれば、私は一つ聞いてみたいことがあったんです。
 というのは、食料自給率が四割、いわゆる戦後六十年間あったにもかかわらず食料自給率が四〇%を切るまで放置をしていた、そしてもう一つは、エネルギー生産が四%しかできない、九六%輸入に頼るこの国が本当の強い国になれるのかということを疑問にずっと思っていたわけです。つまり、自国の国民が食べるものと使うエネルギーは一〇〇%自給できる体制づくりを時間を掛けてつくっていかなければ、本当の意味での強い国ではなくて、強がっている国にしか諸外国には見えないんですよ。
 ですから、こういった二つの点について体制づくり、万全にしなければ見透かされると思うんですけれども、総理のお考えを伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) エネルギーについても、また食料についても安全保障上の観点から考えるべきであって、つまり、いざとなったときにお金を出しても買えないということが生じ得る分野であって、ですから各国は戦略的に考え、場合によっては強く保護をしているんだろうと思います。
 だからこそ、我々自由民主党は現実的に自前のエネルギーにこだわるべきだと、このように考えている中において、三年間で、今委員が指摘をされたオーラン何とかという藻を原料にしたものも含めて我が国の自前のエネルギーの開発のために国家資金を投入していくべきだろうと、このように思っておりますし、農業、食料についても、そのために何をすべきか、まさに攻めの農政を進めていく中において食料自給率の向上を図っていきたいと考えております。
○植松恵美子君 そうなんです。ですから、安全保障上の問題として食料をとらえますと、戸別所得補償制度は、別にこれはばらまきでも何でもないんですよ。食料自給率を一〇〇%に持っていくのは、これ、国として当たり前にしなければならないはずなんですよ。それにもかかわらず、中身の伴わない強い国を主張したとしても、本当に見透かされていると思っておりますよ。こんなことは、私、子供でも分かるんですよ。エネルギー政策もやはり、あるんだったら、研究費を結集して、研究者を集めて本気でつくっていくべきであると思っております。
 私は、強い国というものは、本当は世界で尊敬される国でありたいと、この日本はそういう国であってほしいと思っております。(発言する者あり)そうなんですよ。
 今、日本の研究者たちってすばらしいですよ。医療分野にしても、先ほどのエネルギー開発にしても、本当に少ない研究費の中で世界のトップレベルの研究を目指して切磋琢磨をしている。こんな少ない予算ですばらしい研究をしてくる日本人をどんどんとやっぱり後押しをして輩出していくことがこの国のプライドにつながってくると思いますし、本当の意味で尊敬をされ、そして強い国になるんですよ。
 私は、この研究を進めていくことは、次の世代が食べていくための新産業を生み出すと思っておりますし、ですから、これは経済的にも強い国につながります。また、医療の分野、年末には山中教授がiPS細胞でノーベル賞を受賞しましたけれども、こういった医療の分野もどんどんと進めていってください。そうすると、世界の国々の命を預かっている国というものは尊敬もされ、そして強いですよ。
 私は、やはりこういったことを続けていくことによって、今、自国の国民、いわゆる日本の国民が自信を失っていることをもう一度プライドを持ち直すきっかけになると思うんですけれども、世界で活躍している日本人が米国やフランスやといったところにずっと連れていかれております。この頭脳の流出を防ぐためにも、こういった分野、成長戦略、的外れなことだけはしないでいただきたいと思うんですが、先ほどの御答弁、お願いいたします。
○国務大臣(下村博文君) お答えいたします。
 全く共感をする質問をしていただきまして、ありがとうございます。
 今の御質問のように、具体的な事例として申し上げれば、お話にもありましたが、山中教授、ノーベル賞を受賞されました。これをバックアップするために、国がiPS、再生医療について今後十年間掛けて、今まで十年間掛けてということはなかったんですけれども、十年間掛けて一千百億円の予算を計上して、この再生医療とそれから創薬、これは大変裾野の広い、そしてこれから日本が成長産業につながる分野だと思いますし、三本の矢の三つ目に当たりますが、こういうところに集中してしっかりと研究者の育成を含めて対応してまいりたいと思います。
○植松恵美子君 ノーベル賞を受賞した後にスポットライトを当てるのもいいですけれども、その受賞までの間、一生懸命研究されている研究者たくさんいらっしゃいますので、是非ともそういった研究者の、目利きが利かないんですよ、日本では。目利きをやっぱり利かせて、そしてきちっと予算を集中させていくべきだと思っておりますので、そういったところでは安倍総理のお考えをもう一度お聞かせいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) このiPS細胞にしても、途中、予算が減縮する中で本当に頑張ってきたと思いますよ。しかし、我々も、その中で問題点があるとすると、このiPS細胞において、創薬あるいは再生医療において、日本では七つしかまだ言わばお薬等々について実用化に向かっていないんですが、治験中も含めたらですね、アメリカでは、iPS細胞は日本のまさに発明なんですが、アメリカでは九十七例出ております。そうした問題例を、我々は課題に取り組んでいくことによって、まさにああした、ノーベル賞を受賞したというあの発明が現実にこれは国民にとってお薬あるいは再生医療として手に入る、そういう仕組みをつくっていきたいと、このように思っております。
○植松恵美子君 内閣総理大臣は、前回、ここで美しい国日本とおっしゃられた。そして、今回は強い国日本とおっしゃられた。私は政治家として、次の世代の日本人が世界の舞台で活躍するとき、ああ、あなたは日本人かと、すばらしい国だと尊敬の念を持って受け入れられるような、そんな日本をつくっていきたい、いわゆる、皆さん、世界中の人から尊敬の念を持って受け入れられるような、そんな国をつくっていただきたいということを私は申し上げまして、本日の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○委員長(石井一君) 以上で小川敏夫君、櫻井充君、植松恵美子さんの質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(石井一君) 次に、松浦大悟君の質疑を行います。松浦君。
○松浦大悟君 民主党の松浦大悟と申します。
 今日は、まず総理に、自殺対策について伺いたいと思います。
 私は秋田県選出の国会議員でありまして、秋田県というのは十七年連続自殺率が第一位、この問題を何とかしなければならない、その思いで、この間、自殺対策に力を注いでまいりました。
 こちらのパネルを御覧ください。(資料提示)昨年、十五年ぶりに自殺者の数が三万人を下回るということになりました。去年策定した自殺総合対策大綱では、一人一人がかけがえのない個人として尊重され、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指すという言葉が明記をされ、国を挙げて自殺対策に取り組む決意を示しました。誰もが排除されない社会的包摂という考え方こそが自殺対策のベースにはなくてはならないと思っております。
 そこで、総理に伺います。この自殺者の数が減った要因について、総理はどのようにとらえていらっしゃるか、聞かせてください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 自殺対策基本法はちょうど第一次安倍政権のときに施行されまして、そしてその翌年、これも安倍政権時代でありましたが、大綱を作り、実施をいたしました。自殺を防止するための様々な施策が取られたわけでありますが、そうしたことも私は効果が出てきているのではないか、減少してきているわけですから効果があったのではないかと、このように思います。
 いずれにせよ、自殺者の減少には経済的な要因等もある、動機もあるわけでありますが、そうしたものも減少してきているということもあるんだろうと、このように思います。特に中高年の男性の自殺が、経済や生活問題を原因とし、また動機とする自殺があったわけでありますが、そうしたものが減少している傾向もあるわけであります。先ほど申し上げましたように、対策法によって様々な施策が取られているということも一つの原因ではないかと、このように思います。
○松浦大悟君 お亡くなりになった民主党の山本孝史議員が命を削るようにして作った自殺対策基本法、そのときの厚労大臣が尾辻秀久議員でありました。党派を関係なく、救える命は救いたい、その思いで進めてきたのがこの自殺対策だというふうに思っております。
 確かに、麻生内閣のときに地域自殺対策緊急強化基金がつくられ、これを基に地域での自殺対策取組が進んだ部分はあるんですが、ただ、当初、このお金は確保されたけれども、各自治体では、いつ、何に使ったらいいのかということがよく分からなかった。それで、私たちは、とにかくこのお金がどのように使われているのかということを精査をいたしました。自殺対策には全く関係のない演劇に使われていたりしました。それで、その後、私たちは、いつ、どのような方がどのような場所でお亡くなりになっているのかという警察データを出してもらいたいということで、このデータが出てくるようになって、それをきっかけにして各自治体での取組が進むようになったというふうに思っております。
 自殺対策に取り組んでいるNPOライフリンクの清水康之代表も、この自殺が減った原因について、警察庁が詳細な地域データを出してくるようになったということを挙げております。それから二つ目として、この先進的な取組を全国に普及するためのネットワークが成長してきたということ。二〇一〇年に自殺対策全国民間ネットワーク、七十団体が発足をし、そして二〇一一年に自殺のない社会づくり市区町村会、二百三十五の自治体が立ち上がりました。こうした民間団体や自治体を今度は国がどうやってサポートをしていくのか、これが問われてくるようになると思います。
 今回の補正予算は、既に同僚議員が指摘をしているように様々な問題を含んでおりますけれども、しかし民主党政権下で決めたこの地域自殺対策緊急強化基金の積み増し、これを継続していただけたということ、私は評価をしたいというふうに思います。今後この基金をどう生かしていくのか、担当大臣にお伺いをいたします。
○国務大臣(森まさこ君) 自殺対策担当大臣として御答弁申し上げます。
 松浦委員のこれまでの自殺問題に対するお取組に深い敬意を表したいと思います。
   〔委員長退席、理事小川敏夫君着席〕
 尾辻元大臣が超党派の議員連盟をつくられまして、私も松浦委員とそちらの方でお顔を合わせたことございますが、その当時に、警察庁の詳細な資料を出すようにということで、与野党一緒に取り組んできた事柄でございます。
 自殺対策基本法が安倍内閣において施行され、そして自殺対策大綱が閣議決定を安倍内閣の下でされました。それを受けて、麻生内閣時代に、今御指摘のございましたいわゆる麻生基金でございますが、正式名称、地域自殺対策緊急強化基金、これが百億円ありまして、補助率十分の十で、地方の負担がない形で地域の実情に応じた自殺対策を進めることができたと思っております。その詳細な対策の施行に向けてこの超党派の議連が、大変活動が効果を奏したと思って評価をしております。
 これが、麻生基金が二十一、二十二、二十三年度までの三年間ありまして、その後の一年間、民主党政権において積み増しをしていただきました。さらに、今年度、安倍二次内閣におきまして補正予算で積み増しをしたところです。これに基づきまして、昨年度、大綱の見直しもしていただきました。その中にある施策をまた進めてまいりたいと思っています。
○松浦大悟君 ありがとうございました。
 財政が逼迫している自治体におきましてこの基金というのは自殺対策の命綱ですので、どうか自民党政権におきましても継続して自殺対策が進むように、是非この基金だけは減らすことがないようによろしくお願いを申し上げます。
 去年策定したこの自殺総合大綱ですけれども、今後これをどう実行に移していくのかということが問われてくると思います。
 この三月、今年の三月も自殺対策強化月間が始まりますけれども、三月は、新年度が始まる目前だったり、あるいは企業の決算期だったりと、様々な要因で自殺者の数が多くなるということがデータ上明らかになっております。しかし、昨年、おととしは、この強化月間を前倒しして行うことで自殺者の数を減らすことができました。この取組は継続していただけるでしょうか。大臣、どうでしょう。
○国務大臣(森まさこ君) もちろん前倒しをしてまいります。
 委員におかれましては、民主党政権下におきまして、GKB47という、いわゆるアイドルグループの名前をもじった自殺キャンペーンを行おうということが行われましたときに、自殺対策といった重い課題においてこのようなことが適当であるかというような質問をしてくださいまして、岡田当時の大臣の下で、既にチラシ、ポスター等が印刷が掛けられていたにもかかわらず、それを止めてくださったということも評価をしております。
 松浦委員の御提案を踏まえて、三月の自殺対策月間の前倒しに努めてまいります。
○松浦大悟君 大臣、先ほどから答弁聞いておりますと、何か自殺対策、自殺者の数が減ったのは自民党の手柄であるというような御答弁ですけれども、それは少し心が狭いのではないでしょうか。超党派でこれは取り組んできた問題でございますので、どうぞその辺の認識をよろしくお願いを申し上げます。
 さて、大臣、東日本大震災から間もなく二年が過ぎようとしております。これまで復旧復興に尽くされた被災地の自治体職員の皆様、それから、あるいは他県から応援で来ている自治体職員の皆さんの心のケアについて伺いたいと思います。
 実は、今年の一月三日ですけれども、兵庫県の宝塚市から岩手県大槌町へ応援に入っていた自治体職員の方が、宿舎として利用していた宮古市の仮設住宅の中で自殺をされていたというのが発見をされました。四十五歳という若さでした。この方は、土地収用にかかわる大変難しい仕事を任されていたそうです。現地のこともよく分からない中で大変な重圧だったのではないかと思います。同じようなケースが実は昨年の七月、陸前高田市でも起こっています。こちらは三十五歳でした。
 被災地を取材している新聞記者の方に聞いても、こうした応援に入っている職員を支える仕組みが十分ではないのではないかということをおっしゃっています。被災をされた方はもちろんなんですが、こうして応援のために入っている自治体職員の皆様をサポートする体制、これも必要ではないかと思います。大変な心理的なストレスを抱えていらっしゃる中でお仕事をされているわけですから、こうしたことにしっかり対応すべきだと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
○国務大臣(新藤義孝君) 被災地において、地元の公共団体の職員の皆さん、それから応援で行かれた方々、本当に御苦労されています。そして、志高く行っても、やはりもう仕事が際限なくあるわけですから、そして夜もずっと残業していると。こういう中で、やはりいろいろ病気になったり、精神的に苦しんだり、こういう人たちがいるということ、これは誠に痛ましいことでありますし、我々としてもしっかり支援をしていきたいと、このように思っているんです。
 そして、その意味で、この二十三年度から、地方公務員の災害補償基金、こういった仕組みがあるんですが、その中で、派遣職員も含めた地方公務員に対するメンタルヘルス事業、こういったものをやっています。そして、二十四年度で五千五百万でございますが、二十五年度は一億六千万に増いたしまして、そしてストレスチェックですとか臨床心理士によるカウンセリング、またセミナーですとか、そういったことをやりたいと。これは公共団体の負担なしに、事務費も負担なしで、我々の方で資金を用意していますから、そういったものを使っていただくということであります。そして、こうした自殺のみにかかわらず、メンタルヘルスの対策をしっかりやること、これが極めて重要だと、このように思っております。
○松浦大悟君 ありがとうございます。
 次に、自殺未遂者への支援について伺います。
 自殺で亡くなった方の三割に未遂歴がありまして、自殺未遂者は最も自殺のリスクが高いグループだと言われております。
 ところが、その対策が非常に遅れていると。今、自殺未遂をした方は、救急車で病院に運ばれて、胃の洗浄ですとか外科的な治療を受けるだけで退院をさせられていく。ところが、自殺未遂というのは本人にしてみればこれは失敗ということでありますので、今度はより確実な方法で自殺を図ろうということになってしまうわけです。本来ならば、自殺に至る様々な要因を取り除き、自殺したいと思う心も癒やさなければならないのに、それがなされずに元の環境に戻されてしまっている。
 私は、救急と精神医療、医療と地域の連携が課題だと思っております。荒川区ですとか私の地元の秋田市では、うまく連携を進めることでこの自殺未遂の再発を防止することに成功しておりまして、これを全国に広げていくことが重要ではないかと思っております。
 大綱にも未遂者支援の強化がうたわれておりますけれども、政府としてどのように進めていくのか、聞かせてください。
○国務大臣(新藤義孝君) お尋ねのように、この自殺未遂者、その方たちがまた再びそういった行為に及ばないようにいろいろな支援をしていきたいと、このように私も思います。委員の問題意識は共有をしたいというふうに思います。
 そして、特に委員の地元の秋田ではこれを積極的に取り組んでいるということであります。消防の救急隊とそれから救急医療関係者、それから精神科医、そういった精神科の医療関係者等が自殺未遂者の情報を共有する。これは保健所を介在して共有させているわけでありますが、そういった連携の中で自殺未遂者に対する情報共有の中からいろんな対策を打つということでありまして、これは極めて学ぶべきところが多いと思います。
 しかし一方で、この問題は個人情報の問題、そして御本人の意思というようないろいろな問題があります。ですから、我々とすれば、私どもの省に照会があれば、これは問合せがあれば御紹介をさせていただこう、そしていろんな、こういうふうに、まずは広めていくことだと、そういう中で我々も支援をしてまいりたいと、このように思っています。
○松浦大悟君 ありがとうございます。
 もちろん、警察のデータと同じようにプライバシーについてはしっかりと伏せた形でやらなければならないと思いますけれども、警察のデータを公表することで自殺対策が進んだように、消防庁からこの未遂者のデータが公表されることで更に自殺未遂者への支援が広がっていくだろうというふうに思っておりますので、どうぞ消防からの情報の公開ということについて検討をいただければというふうに思います。いかがでしょうか。
○国務大臣(新藤義孝君) いろいろ研究してまいりたいと、このように思っています。
○松浦大悟君 ありがとうございました。是非、検討の方をよろしくお願いをいたします。
 続きまして、こちらのパネルを御覧ください。自殺対策を行うことによりまして、四十代、中高年の自殺は下がってきているんですが、グラフを見ていただくと分かりますとおり、二十代、三十代の自殺は九八年以降も上がってきております。十代の自殺率も一時期下がっていたものの、再び上昇に転じてきています。十代の自殺率が上昇してきているということは、当然、在学中の自殺防止も重要になってまいります。
 一昨年秋に滋賀県の大津市の中学生が自殺した問題で市の第三者調査委員会が調査結果をまとめたと思いますけれども、多分、総理も御覧いただいていると思いますが、その報告書に対するもし総理の御感想なり御評価がございましたら聞かせてください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 報告書を私も読みました。
 この報告書から考えますと、まず学校のいじめの認知が遅れたということが大きな原因の一つであります。教職員の、そして一体的な指導体制が取れなかったということなんですね。大切なことは、まずは早期のこれは発見、そして組織的な指導体制をつくっていくことではないかと、このように思います。
○松浦大悟君 ありがとうございます。
 民主党でも、この委員会の所属議員でもあります小西洋之議員を中心にいじめ対策推進法案を作っておりまして、与党でもこのいじめ対策法案が準備されているというふうに伺っております。今国会、いじめ問題について議論が始まるというふうに思いますので、是非ともリーダーシップを発揮していただければというふうに思います。
 そして、安倍総理は、経済再生とともにこの教育の再生を最重要課題として掲げていらっしゃいますけれども、世界トップレベルの学力を目指すとおっしゃっていますが、その一方で三十五人学級については来年度予算の計上を見送ってしまいました。財政が厳しいのは分かるんですが、クラスが大人数になればなるほど目が行き届かなくなりまして、いじめなどの問題も見えにくくなってしまうのではないかと思います。
 国内総生産、GDPに占める教育の公的支出の割合は日本は最低水準でありまして、学級規模を見ても、OECD平均で小学校が二十一人、中学校が二十四人で、日本は全く世界に追い付いていない状況です。
 私の地元秋田県では、みんなの党の寺田典城議員が秋田県知事時代に三十人程度の少人数学級を先行導入いたしまして、その結果、もちろんこれだけの理由ではございませんが、全国学力テストでは毎年好成績を収めているということで注目を集めております。
 また、さらには、クラスそのものをなくすことがいじめをなくすことにもつながるという研究などもございまして、この機会に私は学校におけるクラスの在り方を検討すべきだというふうに思いますけれども、総理、お考えがありましたらお願いいたします。
○国務大臣(下村博文君) 私の方からお答えさせていただきたいと思います。
 委員御指摘のように、少人数学級をすることによって更にきめの細かな生徒指導ができるというふうに思います。教師の目が更に十分行き届くような対応をしてまいりたいと思います。
 平成二十五年度の予算案では、いじめ問題の対応などで八百人の教職員定数の増加や、また約七千人の補習等のための指導員派遣事業を計上しておりますし、また先ほどの、東日本大震災に対しては、これは一昨年からですけれども、一千人の加配教員も手配しているところでございます。
 文部科学省としても、小三以上の三十五人以下学級の推進は非常に重要だというふうに思っておりまして、今後、二十五年度全国学力調査等を活用し、効果検証を行い、引き続き検討するということが財務大臣との間でこれは大臣折衝で決まりましたが、今後、私としては、いじめ問題の対応も含め、教育再生につながる教職員の配置の適正化を計画的に行うなどの方策について引き続きしっかり努力をし、またクラスの在り方も含めて検討してまいりたいと思います。
○松浦大悟君 是非、文科大臣といたしましてもリーダーシップを発揮していただければと思います。
 自殺者三万人を切りましたけれども、まだまだ二万七千七百六十六人でありまして、急増する前、平成十年以前の数字には戻ってございません。安倍総理は官房長官のときに、平成十八年のときに、「今後十年間で自殺者数を平成十年の急増以前の水準に戻すことを目指し、政府として総合的な対策を推進してまいりたい」と委員会で答弁されておりますけれども、自殺対策に取り組む決意、もう一度お聞かせください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この自殺というのは、その本人だけではなくて、家族にとって大きな悲劇であります。そして、それはもう誰にでも起こり得るんですね。誰にでも起こり得るということを我々はちゃんと認識をする必要があるんだろうと思います。その防止のために、なるべく早い段階で医師の適切なカウンセルを受けることができる、また受けやすい仕組みも含めてしっかりと対応していきたいと思います。
○松浦大悟君 是非頑張っていただきたいと思いますけれども、実は、平成十八年に総理が答弁した後、次の年、平成十九年は前の年より千人近く自殺者の数が増えてしまいました。戦後二番目の自殺者数を記録してしまいました。今回の答弁の後はそうならないように是非とも力を尽くしていただきたいと思います。
 それから、森大臣にお願いですけれども、NPOのライフリンクの清水康之さんに是非会ってあげてください。清水さんは、民主党政権で参与という形で御協力いただいておりましたけれども、民主党だから協力をいただいていたというわけではなくて、自殺対策を何としても成し遂げたい、その思いで協力をいただいていた方ですので、是非その点御協力いただければというふうに思います。是非、現場の声を聞いてあげてください、お願いいたします。
   〔理事小川敏夫君退席、委員長着席〕
 それでは、次に、質問に移りたいと思います。
 こちらの写真を御覧ください。イクメンという言葉がありますけれども、若いパパが子供たちをお風呂に入れている写真です。この写真を撮っているのは奥さんです。どこにでもある幸せそうな家族写真ですが、実は今、この前田さん御一家は大変困難な状況の中にあります。
 実は、前田良さん三十歳は、性同一性障害の方で、心と体の性が一致せず、女性から男性へと性別変更された方なんです。性別適合手術を経て、平成二十年に性同一性障害特例法に基づき性別が男性へと変更されました。その後、奥さんの亜季さんと結婚をされて、非配偶者間の人工授精でお子さんをもうけられました。お子さんが生まれた翌日に兵庫県宍粟市に出生届を出そうとしたんですが、市役所の係の方から、この子を前田さんの嫡出子として受理することはできないと言われたそうです。その後、前田さんは大阪市や新宿区に引っ越すんですが、どこの役所でも同じように認められなかった。認められない理由というのが、遺伝的な父子関係がないのは明らかだからということなんですが、ただ、非配偶者間人工授精で生まれたお子さんは皆さん遺伝的つながりないということは明らかなわけで、この場合だけなぜ受理しないのか、矛盾しているのではないかと思います。
 前田さんは裁判に訴えたんですが、家裁では却下をされ、東京高裁では即時抗告を棄却、今、最高裁に特別抗告をしております。実は、こうしたケース、大変増えておりまして、今月も中部地方の性同一性障害の御夫婦が裁判に訴えることになり記者会見を開いております。それから、前田さんも、八か月になる次男についてもこれを嫡出子として認めるようにと新たに裁判を行う予定です。
 性同一性障害で性別変更された方は全国で三千人ぐらいだと言われておりますけれども、その中で、人工授精によって出産された方が二十七人いらっしゃいます。こうしたことについて、立法府として何とかしなければならないというふうに思うんですが、谷垣法務大臣、こうした事態について把握はされていらっしゃるでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、松浦さんがおっしゃった最高裁に行っている事例、事案でございますが、私どもも、最高裁がどういう判断を下すかということは、これは非常に注目して見ております。
 それで、今おっしゃった、なぜこういう問題が起こってくるかということでありますが、民法七百七十二条、これは、妻が婚姻中に懐胎した子は嫡出子と推定されると。しかし、これは嫡出子と推定しますが、妻が夫以外の第三者から精子の提供を受けた場合には、本来は推定は及ばないわけです。ところが、実際に窓口で、戸籍の係の窓口へ来て、自分の子であると、こう言われると、なかなか、直ちにそれは、あなた、違う方からの精子で生まれた子供じゃないですかとはできないわけですね。なかなか分からない。だから、現実にはそれが受理されてしまっているという状況でございます。
 他方、今おっしゃった、夫婦の一方が性同一性障害者であって性別取扱変更の審判を受けた方である場合には、その戸籍の窓口で、子供が第三者からの精子提供を受けて生まれた子供であるということが、つまり推定を破る場合であるということが明確になってしまうんで受け付けることができないという取扱いになっております。つまり、民法の嫡出推定規定の構造というか解釈からそういう問題が出てきているわけでありまして、必ずしもこれが、何というんでしょうか、不合理な差別と言えるのかどうか非常に、わけではないと思っております。ただ、最高裁がどういう判断を下すか、私どもも注目をしております。
○松浦大悟君 テレビを御覧の方に分かりやすいように、それでは、ちょっとパネルを替えていただけますでしょうか。
 こちらのパネルを御覧いただきたいと思います。非配偶者間人工授精でDNAのつながりがないことが分かっているのに、生来的な男女の場合は、これ何も指摘されることがなく受理をされると。一方、性別変更をして男性になっているにもかかわらず、性同一性障害の方の場合は受理されないという、こういうことになっているわけです。これはおかしいのではないかという問題提起なんですね。
 このような不均等な扱いというのは、性同一性障害特例法、これは性別の変更により他の性別に変わったものとみなすと書かれているわけで、みなされていないのではないか、特例法に反しているのではないかというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 結局、嫡出子というのは何であるのかということに来るのだろうと私は思うんですね。それで、確かに民法ができたときには今のような事例が余り想定されていなかったものですから、要するに法的に正式に婚姻をしている、本来、本来と言うと言葉はおかしいですが、男女から生まれた子が嫡出子であると。だから、それは通常婚姻中の女子から生まれた子供には推定をしようと。だけど、推定が破られる場合はそれは嫡出子として受け入れないと、そういう形でこの法律が私は作られているんだろうと思います。
 そうしますと、問題は結局嫡出子というのは何だろうかというような議論で、実はこういった問題は、必ずしも性同一性障害の場合だけではなくて、よその方から精子をいただいて子供が生まれたような場合をどういうふうにしていくかというのは実は相当過去議論を重ねてきた経緯もございますが、これは突き詰めてまいりますと、親子関係とは何かというような、倫理上といいますか、あるいは哲学上と言うべきかもしれません、そういった問題に行き着いて、今までの議論はなかなか結論が出ていなかったというのが実態でございます。
○松浦大悟君 非配偶者間の人工授精は過去五十年間にわたって行われておりまして、もう既に一万カップルの間で利用されていると。毎年百人前後の子供たちが生まれているわけですね。遺伝的な父子関係がなくても、市役所の窓口では確認できないため嫡出子として受理をしていると、扱われてきているということがあると思います。
 では、大臣、もしこれが仮に明らかに分かる場合だったらどうなのかという先ほどのお話でございますけれども、例えば政治家の方であったりタレントの方であったり、報道などで大きく非配偶者間人工授精を行ったということが知られてしまった場合に、市役所の担当者が知り得てしまうケースというのもあるだろうというふうに思うんです。この場合はどうなるでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 私も窓口の実務の取扱いを全部承知しているわけではありません。したがって、ちょっと私も勉強してみなければなりませんが、先ほど申し上げたように、推定するということは、推定を破る場合にはこの規定が適用されないということになるんだと思います。そこを、知る知らないを実務の場合どのように判定しているか、これはちょっと私、役所にまた戻りまして、よく勉強させていただきたいと思います。
○松浦大悟君 遺伝的なつながりがないから嫡出子たり得ないというのであれば、遺伝的なつながりがあるケースなら嫡出子として認めるということになるのかということです。
 例えばアメリカでは、女性から男性へと性別変更手術を行う前に自分の卵子を冷凍保存しておいて、婚姻後、第三者の精子を使って人工授精をして妻の女性に産ませるというケースが出ております。この場合は、卵子は女性から男性になった夫のものであり、また出産したのは妻ということになるわけですから、法務省の見解には引っかからないと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) これは、先ほど申しましたように、何が嫡出子かというようなことをずっと議論をいたしまして、特に今のような、言ってみれば生殖治療と申しますか、そういった手法をつくったときにどうするのかというのは実は相当議論しているんですが、議論をしてまいりますと、先ほど申し上げたような、親子関係とは何であるのかという非常に深刻な、何というか、見解の対立が今まで浮き上がってまいりました。したがって、まだ結論が出せていないというのが正直なお答えなんです。
 今度の、最高裁がどう判断されるかというようなことも含めて、私どももいろいろ検討いたしたいと思います。
○松浦大悟君 稲田朋美大臣が「正論」という雑誌に「「国籍法」改正 私がDNA鑑定に反対する理由」という文章を寄せていらっしゃいます。この中で稲田朋美先生は、親子関係は血のつながりが全てではないとおっしゃっております。日本の歴史と伝統を踏まえ構成されているのが我が国の民法だというふうに思いますので、ここを崩すべきではないと私は思います。
 それで、稲田先生の文章を若干読ませていただきますけれども、母子関係は分娩の事実により一〇〇%明白であるが父子関係はそうではない、単に生物学的な父子関係ではなく法的な父子関係というものを法制度として創設し、それによって守るべき家庭の平和と子供の幸せ、幸福を追求しているのだ、家族は血のつながりが全てではない、夫が妻の産んだ子を自分の子として愛情を持って育てたとすれば、それは生物学的な父子関係に勝るというふうに明確に答えていらっしゃいます。
 安倍総理、安倍総理にとって家族とはどのような定義でしょうか。DNAは必要でしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ちょうど稲田大臣がその論文を書かれたのは安倍政権のときだったと思いますので、私も記憶をしておりますが、つまり、家族としての一体感、心のつながりときずなを持っていれば、私は、それは当然家族であって、生物的なつながりだけではないと、このように思っております。
○委員長(石井一君) 国務大臣稲田朋美さん。時間外ですから、簡潔にあなたの見解を述べてください。
○国務大臣(稲田朋美君) 私の論文を引用していただきまして、ありがとうございます。
 私も、親子関係というのは単なる血液関係だけではなくて法的な制度だと考えておりますが、御指摘の問題については、今、谷垣大臣がお答えになったとおりだと思います。
○松浦大悟君 ありがとうございました。親子関係にDNAは必要ないという明確な答弁だったと思います。
 それで、先ほど谷垣大臣もおっしゃったように、窓口で、AID、非配偶者間人工授精ということは分からないのでそういう運用になっていると、生来的な男女の場合にですね。そういうことであれば、そもそも性別変更をしたことが分かるということ自体が問題なのではないでしょうか。今戸籍に性別変更したということが記載され続けているということに性同一性障害の方が苦しみ続けているわけです。だから、これ窓口の方が知り得てしまうことになるわけで、この性別を移行したという記述を排除する、削除をすべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) その問題は、今の親子の問題と同時に、戸籍というものをどう考えるのかと。やはり戸籍は今いろいろ個人のプライバシーなどもございまして、現在の、何というんでしょうか、例えば婚姻をすれば新しい戸籍を編製する、今の、性転換をすればまた新しい戸籍を編製するということになっております。しかし、この人が新しい戸籍を編製したときに遡っていって、どういう親から生まれた、どういうふうな例えばきょうだい関係があったのかということが最後は分かりませんと、例えばきょうだいで婚姻届を出すというようなこともそのまま受理されてしまうかもしれないというような問題も一方であるのではないかと思います。
 したがいまして、そこら辺りをどう考えていくかということを家族関係全体を考えながらよく検討しなければいけない問題だと私は思います。確かに今のような、性転換をされた方が新しい家族をつくられてどのような幸せを築いていくかという観点も私は極めて大事だと思います。しかし他方、広く家族関係全体を見据えながら、何というんでしょうか、家族の在り方をどう位置付けていくか、幅広い観点から検討しなければこの問題は答えが出ないのではないかと。
 私も、非常に何というか深刻な問題でございますから、今きれいにすぱっと答えを出すだけの自信はございません。ただ、非常に多角的な検討が要るなと思っていることだけは申し上げたいと思います。
○松浦大悟君 ありがとうございました。
 性同一性障害の方が性別変更手術をされて、きょうだいで結婚されるというケースはまずないのではないかというふうに思います。
 それで、日本医師会が自民党に対して、生殖補助医療について民法に特例を設けるようにという提案をするというニュースが流れておりました。
 第三者の精子や卵子で生まれた子供の親子関係について、産んだ女性を母とし、実施を依頼した夫を父とするようにということなんですが、これに対して、大臣、自民党の中でもしっかり議論をされていくだろうというふうには思うんですが、是非、法務省の中にも第三者機関のようなものをつくっていただいて、この性同一性障害の問題も含めて検討していただければと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 先ほど申し上げた、実は前に、法制審議会でこの問題を十分検討するようにという方向が出まして相当議論をしたんですが、結局のところ議論が収れんしないままに終わっているという、つまり、非常にそれだけ解決が難しかったということがございます。よく研究させていただきたいと思います。
○松浦大悟君 ありがとうございます。
 中部地方の方のケースでは、生まれてから三年間、嫡出子として戸籍に登録されていたんです。ところが、この前田さんが家裁に裁判を起こしたときに、戸籍の記載が取り消されてしまったということがありました。およそ三年間も嫡出子として扱われていた子供が、ある日突然非嫡出子になってしまったと。
 これは本当にひどいことだったのではないかというふうに思いますけれども、これは、法務省から各役所に通達を出して、こういうケースについては削除するようにということ、お達しがあったのではないかというふうに疑念をお持ちになられている方が多いんですが、その点についてはいかがでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 私も、先ほど申し上げたように、ちょっと窓口の実務の取扱いまでは十分分かりません。先ほど申し上げたように、要するに推定規定でございますから、推定を破る場合には今のようなことが起こり得るということだけ申し上げておきたいと思います。
○松浦大悟君 ありがとうございます。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、省から聞きますと、今の内容の通達はしていないということでございます。
○松浦大悟君 いずれにしましても、戸籍に性別変更した跡が残っているということで、そのことによって窓口の人が知り得てしまう状況にあるということ、しかも性別変更と記載されているわけではないんです。平成十五年法律第百十一号三条と記されているわけで、これは極めてセンシティブに取り扱わなければならない内容だという認識があるからではないかというふうに思います。
 でも、現状でも、この書き方でさえプライバシーに配慮しているということにならないわけですから、逆にこの記載があるために不平等な取扱いを受けてしまうことになっているということは、私はこれは是正すべきではないかというふうに思います。
 去年、秋田市で性同一性障害の方が自殺をいたしました。午前四時近く、大通りの下の地下道でガソリンをかぶっての焼身自殺でした。三十八歳でした。悲しいのは、お亡くなりになってからもなお女性として報道されてしまったということです。男性として生きたかったというこの方を支援していた方に話を聞くと、焼身自殺と聞いて私には分かった、ああ、自分の体を消してしまいたかったんだな、性同一性障害への無理解が自殺へと追い込むことがあるんだということをお話しくださいました。性別変更した後もなお別扱いされているという、これは私は公正ではないというふうに感じます。
 前田良さんも実は自殺を考えたことがあるそうです。だけど、こう話してくれました。今まで一人だからどうなってもいいと思っていた、だけど、結婚して子供をつくって、この子たちを育てていかなきゃいけないと思った、この子たちがいてくれるから今の自分がある、僕たちは少人数かもしれないが、同じ人間なんだから同じ扱いを受けたい。
 大臣、是非、第三者機関をつくって検討していただきますよう最後にお願い申し上げます。いかがでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今の、自殺をされた方の、心から御冥福をお祈りしたいと思っております。
 それで、法務省でも、人権擁護機関を通じまして、性的指向を理由とする差別をなくそうと、それから性同一性障害を理由とする差別をなくそうという啓発活動、これ年間強調事項として掲げまして、一年を通じていろいろ啓発活動を行っております。去年の十月二十八日には、港区のニッショーホールで、性の多様性を考えるということをテーマとしたシンポジウムを開きまして、三百名ほどの方においでをいただいたわけでございます。
 それからまた、特にそういった非常に苦しんでおられる方がいらっしゃると思いますので、全国の法務局や地方法務局で電話相談、面接や電話による人権相談も受けている実情でございますが、こういう嫌がらせ等があった場合には、人権侵犯事犯ということで調査を行って、その結果を踏まえて適切な措置を図りたいと思っております。
 今後とも、こういった活動には積極的に取り組まなければならない、このように考えております。
○松浦大悟君 今年は特例法ができて十年ですけれども、十年たってもなお運用の面においてはこうした差別的な扱いがされているのだということを是非とも御認識をいただき、改善を図っていただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。
 次に、生活保護の問題について質問したいと思います。
 先日、「STOP!生活保護基準引き下げ」アクションという院内集会が行われまして、全国各地から生活保護の引下げを心配する皆さんがお集まりくださいまして、会場には椅子が並び切れないほどのたくさんの人であふれ返りました。実は、明日十九日もこの第二弾の集会が院内集会として行われることになっております。
 昨年、生活保護バッシングのニュースが連日報道される中で、生活保護を受けている方々が萎縮をされて、毎日びくびくしながら暮らしているという状況があります。生活保護を受けている方は一般の方に比べて自殺をされる方の数が二倍だということが分かっておりまして、去年はまだ集計できていないものの、影響が出ているのではないかと心配をしているところです。
 さらに、今回の生活保護基準の引下げが追い打ちを掛けるのではないかと思いますけれども、こうした点について御認識はいかがか、伺いたいと思います。
○国務大臣(田村憲久君) 今先生おっしゃられましたとおり、生活扶助の基準の適正化を、これを今予定をいたしておるということでございますが、どういう点からこのような話になったかというのはもう御承知のとおりでございまして、前政権下から社会保障審議会の生活保護基準部会におきましていろんな議論をなされました。例えば、世帯の人数でありますとか、それからまた年齢、さらには地域、こういうものを一つの指標として、そのゆがみを是正をしよう、それからもう一つは、物価が下がった部分、これをどう勘案するかということでございまして、前半のところは部会で議論をいただいて、後半に関しましては、やはり言うなれば実質、何といいますか、所得といいますか購買力ですね、実質購買力等々を勘案した場合には、やはり適正化が必要ではないかという議論の中でこのような基準の見直し、これをいたしたわけであります。
 一方で、自殺の方が多いでありますとか、いろんなそれぞれの個別の御事情あろうと思います。そういう部分に関しましては、ケースワーカーを増やすでありますとか、また嘱託医等々の報酬等々、これを増やす等々いたしまして、きめ細かく対応していく。例えば、生活管理指導をしていくでありますとか、家計等々も、大変お金の使い方等々がうまくいかないというような御家庭もおられます。こういうところにはそういう指導をしていく。個別の対応をしていく中でそのような問題一つ一つ解決していく、このような方針でございます。
○松浦大悟君 物価が下落しているから生活保護基準も下げるのだということですが、こちらのパネルを御覧ください。全ての品目において下がっているわけではないんです。物価が下落しているといいますが、大きく下落しているのは家具であったりだとか、あるいは教育娯楽の部門、テレビだとかパソコン、こういった家電製品が値下がりしたということで、一方において水道だとか光熱費については逆に値上がりを続けているわけです。
 生活保護を受けている方がこういうぜいたく品とされるテレビやパソコンを毎月のように買い換えるとは考えにくいわけで、生活に必要な食料品ですとか水道光熱費、こういったものがかなり多くの影響を受けてしまうのではないかというふうに思います。消費実態をしっかり見ていないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) この中身でありますけれども、もちろん生活保護家庭の皆様方が本来買わないようなもの、こういうものは入っておりません。自動車等々は当然抜いております。家電等々が下がって、光熱費が上がっているというお話がありましたが、当然それは普通の御家庭でもそうでありまして、普通の御家庭でも多分毎月パソコンを買い換えるなんという御家庭は多分ないんだと思うんですね。
 ですから、それは加重平均した中での物価を出しておるわけでございまして、光熱費も水道代もその中に入っておりますから、全体として見て物価が下がっておるということでございますから、実質購買力は下がっていないという話であろうと思います。
○松浦大悟君 ただ単に平均を取るだけでは私は駄目だというふうに思うんで、今の質問をさせていただきました。
 それから、こちらのパネルを御覧いただきたいんですが、なぜ基準として平成二十年と平成二十三年を持ってきたのかということです。一番近年において物価が高い平成二十年、そして一番物価が下がった平成二十三年をなぜ比べるのかということなんですが、この点についてはいかがでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) 十九年の基準を一つこれを正しい基準として、それから物価という点に注目をいたしまして、ゆがみはもちろん是正しますけれども、その結果今回の引下げ幅になったわけでありまして、もしその前の基準であります例えば十六年、十六年度の数字を見ますと実は更に下がっておりまして、マイナス六・四%という数字も出てくるんです。
 ただ、それだけで機械的に生活保護費の基準を決めるというわけにはいきませんので、いろんなことを勘案して、十九年度に一度見直しをしているわけでありますから、そのときの数字から、やはり引き下げた方が適当ではないかということで、今回この四・七八%という数字を基準に使ったという話であります。
○松浦大悟君 本来ならば、前回の引下げをしたときの平成十六年を基準にすべきではないかと思いますけれども、平成二十年というのは、この年は原油価格が高騰した年でありまして、見直しが見送られた年なんですね。この年を比べるのは私はおかしいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) まあそうなんですが、今申し上げましたとおり、平成十六年を基準に見ますと更に引き下がるんですね、マイナス六・四%。まあそれでもいいと言われる方もおられるかも分かりませんが、我々はやはりその二十年というもの、十九年の数字をどうだという議論をして二十年に数字を出してきたものでありますから、そこからやはり引き下げるのが適当であろうと。十六年という御議論もあるかも分かりませんが、これ以上引き下がるというのはいかがなものかという御議論も一方ではあるんであろうと思います。
○松浦大悟君 厚労省が恣意的にデータを、数字を持ってきて、そしてこういう計算を出したのではないかという、そういう心配をされている方もいますから、是非そこのところはしっかりと説明を尽くしていただければというふうに思います。
 生活保護費の約半分は六十歳以上の高齢者の方だということで、年金、医療、介護、こういった社会保障制度の充実、これが今遅れているということが一つ大きな心配のもとになっていると思いますので、どうかその点もしっかり議論していただきますようお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○委員長(石井一君) 関連質疑を許します。岩本司君。
○岩本司君 緊急を有する補正予算ということでございますので、命にかかわる問題を中心に質問をさせていただきます。国民の皆様に分かりやすい質問をさせていただきますので、何とぞ分かりやすい御答弁をよろしくお願いを申し上げます。
 まず、総理にお伺いします。
 アルジェリア人質事件でございますけれども、今後このような事件が起こったときは、外遊されていても途中で打ち切って、延期するなりして日本に帰国をしていただきたいと思うわけでございますけれども、いかがでございますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今回の事案が発生した段階において、日本におります菅官房長官に指示をいたしました。と同時に、クロアチアにおりました城内外務大臣政務官を派遣をすることにいたしました。その中におきまして、さらにアルジェリアの首相、また英国のキャメロン首相と電話で会談をいたしまして、できることは全てやったわけでございます。
 その中において、最後の訪問国であるインドネシアも我が国にとっては極めて重要な国であります。その国に対してこの訪問自体をキャンセルするかどうかについて総合的に判断をして、私は今でもあの判断は正しかったと思っております。首脳会談をやり、しかし、晩さん会については、相手方も相当な準備をしておりましたが、それはお願いをして晩さん会は切り上げて本国に帰国を、日本に帰国をしたということでございます。
○岩本司君 私は、インドネシアの関係がどうでもいいと申し上げているわけではございません。
 こういう事態のときは、世界のリーダーはもう直ちに会議やそういう首脳会談を中止して帰国をされております。九・一一のテロのときも、御党の小泉総理はホテルで食事していたのを一分後にはもうすぐ切り上げて官邸に戻っておりますし、また、中国では胡前主席、外遊先のブラジルからチリやベネズエラ両国の訪問予定を延期して急遽戻っています。また、ブラジルでの火災、これ、二百三十三名死亡のときも、ルセフ大統領は首脳会合出席を切り上げて緊急帰国。
 これは、世耕官房副長官がこの問題を優先させるべきだと帰国を促したにもかかわらず、そのまま外遊を続けたと。これは、同僚議員が危機管理の問題を指摘、先ほどもさせていただきましたけれども、これはやっぱり今後こういうことはあってはならないというふうに考えます。
 外務省も、それは大統領と首相の予定を、確かに現場サイドで苦労してキャンセルするというのは、またそれをやり直すというのは大変だと思います。しかし、これは、外務大臣にお伺いしますけれども、今後そのような、何といいますか、もう体質といいますか、そういう体質を改善していただきたいわけでございますけれども、いかがでございますか、こういう緊急事態のときはもうすぐその外遊キャンセルして帰すと。よろしくお願いします。
○国務大臣(岸田文雄君) 今回の事件に際しましては、総理の対応と併せて、外務省におきましても現地の大使館と緊密に連絡を取りながら万全の体制で臨んだ次第でございます。
 現地に、最終的には城内政務官以下五十名以上の体制でこの事態に臨んできましたが、この体制、そして対応につきましては、現在外務省におきまして対策チームを立ち上げて検証を進めております。また、官邸におきましても検証委員会を立ち上げて、今月中の中間報告を目指して今議論をしております。その中で、今後の対応についてもしっかりと検証し、そして対応の議論を進めていきたい、このように思っております。
○岩本司君 大臣、認識が甘いですよ。
 アメリカ合衆国のハワイのオアフ島沖でえひめ丸と潜水艦が衝突して沈没した事件、当時の御党の森総理はゴルフ場にいて、一時間ゴルフ場にいたということが、これだけではないとは思いますけれども、辞任に追い込まれているんですよね。そのぐらい危機管理というのは重要でございますので、徹底して外務省に、こういうことが起こったら全て打ち切ってもう一回やり直すように、もう一回組み直す、そういう勇気を持っていただくように徹底をしていただきたいというように思います。
 パネルをちょっと御覧いただきたいと思います。(資料提示)
 次に、防衛駐在官の配置の見直しについて質問をさせていただきます。
 防衛駐在官が、我が国は、アフリカはエジプトとスーダンにお一人ずつ配置をいたしております。中国は、まあ中国のとおりにしたらいいというわけでもないんですけれども、十九か国に十九人、アフリカですよ、に配置をしております。
 また、これ見て分かるように、以前、サウスアメリカのペルーで、日本大使公邸占拠事件がありました。しかし、いまだにこのサウスアメリカ、ペルーにも、また日系企業がどんどん進出しているメキシコやブラジルにも配置をされておりません。
 また、アルジェリアは、大使館の中に官舎があるということは、やっぱり極めて危険だから官舎が大使館の中にある。これはアフガニスタンでも同じだと思うんですけれども、今後、このアルジェリアにも私は防衛駐在官を配置すべきだと思いますし、また、これは本当に私も反省の上に立ってこの場に立たせていただいておりますけれども、以前、茂木大臣、昔、外務副大臣当時ですね、私も、当時、小泉政権下でアメリカの戦争を、イラクに、戦争をしたときの前、直前に私も現地に行って、当時副大臣だった茂木大臣も現地に行かれて帰国した経験があるわけでございますけれども、イラクでも、当時、奥克彦大使、また井ノ上正盛書記官が射殺されるという事件がございましたけれども、イラクにも現在武官が配置をされておりません。
 私は、全体的に世界を見渡しながら、こういう特に軍事政権、今回のグアムの本当に悲劇もございますけれども、例えば、軍事政権でもそういうリゾート地みたいな観光地があるんですよね、フィジーですとか。あるいはマダガスカルも、民主化プロセスに移行中とはいえ、軍の影響力が強いわけであります。こういう国々にもしっかり配置をすべきだと思いますけれども、防衛大臣、御所見をお願いします。
○国務大臣(小野寺五典君) 御指摘ありがとうございます。
 今回のアルジェリア事案におきましても、防衛駐在官、様々情報収集を行いましたし、政府専用機がアルジェリアに行くときには、フランスの武官が現地に入りまして対応させていただきました。
 御指摘のとおり、私もこの任に当たりまして、初めに駐在官の配置を見まして多少違和感を覚えました。特にヨーロッパにたくさん配置がしてございます。これは従来の冷戦構造の残りということでありまして、特に御指摘のありました非常に重要な中南米諸国、ここはまだ一人もおりません。また、アフリカについても、様々これから検討していく中で、まず我が省としては我が省の中で配置をしっかり考えていくこと、そしてまた増加につきましては、これは政府全体で、外務省とも相談をして検討させていただきたいと、そう思っております。
○岩本司君 それで、このエジプトとスーダンの二人の武官、武官という仕事は、防衛駐在官という仕事は、諜報活動、情報収集もそうですし、軍事政権であればそこの政権側とのコミュニケーションといいますか信頼関係を築くと。今回しっかりそういう信頼関係が築いていれば、人質が取られた段階でちょっと攻撃を止めさせる、これはもうできなかったと、できるかもしれなかったと私は考えるわけであります。これはしっかり強化すべきだというふうに思いますし、私は、今後このようなことが二度と起こらないように、エジプトの武官の現状を、私が調べるところによると、このアフリカ全部任されていたとはいえ、アルジェリアに十年間一回も行ったことがないというようなことでございます。
 確かに、その駐在官の方は、一人でこれは無理だという、そういう何というんですか、思いもあるかも分かりませんし、最高指揮官、現地の指揮官は大使でございますので、そこの人間関係や、もう一言言えば、その武官の方に、例えば、何といいますか、航空自衛隊や、あとは海上自衛隊の方々、これは人数少ないわけでありまして、私は増やすべきだと思っているんですけれども、そういう方々を一人二人下に付けてあげるとかそういう工夫も必要ではなかろうかというふうに思います。
 この委員会でこれを議論するに当たって、やっぱりエジプトの武官に私はこの委員会に来ていただいて議論を深める必要があると思いますけれども、委員長、理事会で協議をよろしくお願いします。
○委員長(石井一君) はい、承りました。それは協議いたします。
○岩本司君 総理にお伺いしますけれども、この配置の体制に関しましてどういう御所見をお持ちですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 海外では武官と言っております。委員も武官とおっしゃった。しかし、日本では防衛駐在官という言い方をしていますね。なぜかといえば、それは外務省に出向しているからなんですよ。ほかの国では基本的に軍からそのまま行っていて情報収集等もやっているわけでありまして、それは実は同じではないということは認識をしておく必要があると思いますよ。
 そしてまた、自民党もずっとこの歴史の中で防衛駐在官増やしてこようと思ってきた。それについては根強い反対が国会の中でもあったんですよ。そういう中において一人一人増やしてきたという事実があるということも御理解をいただきたいと思います。こういう中で一生懸命頑張って増やしてきた。
 大変忙しいと思いますよ。そういう中において、冷戦時代とは随分構造も変わりました。しかし、とはいったって、例えばヨーロッパで今ロンドンにも一人であります。ヨーロッパで余っているという状況でもないわけでございまして、この中において、あのような軍部が強い政権において、情報収集においてはやはり防衛駐在官が果たす役割は大きいというのも、それは事実なんだろうと思います。
 ただいま官房長官の下で今般の事案を検証しながら、どう対策をしていくかということについて、そうした駐在官が誰もいない国にどう配分をしていくかということも含めて検討していきたいと思っております。
○岩本司君 ありがとうございます。
 次に、先ほど同僚議員からも自殺についての質問がございましたけれども、私は子供たちの自殺についてお伺いしたいというふうに思います。
 この表を見ていただきたいんですが、これは文部科学省の調査結果と内閣府・警察庁の調査結果でございます。平成二十三年度、これは文部科学省の調査結果は二百人と。しかし、これは年度と年の差はありますけれども、内閣府・警察庁の調査は、これは三百五十三人になっているんですね。これは百五十三人も違うわけですけれども、これ文科省、どのような調査結果をして、これはどういうことか、これ御説明いただきたいんですが。
 大臣、よろしくお願いします。
○国務大臣(下村博文君) お答えいたします。
 私も初めてこの数字を見たときに、委員と同じように、同じ政府にもかかわらず役所によって数字が違うのはいかがなものかと、こういう疑念を持ちました。
 文部科学省の調査は、都道府県教育委員会や市町村教育委員会を通じて、学校が遺族からの報告などにより実際に確認できた数字の結果、それを集計したものでございます。内閣府・警察庁調査は、警察が検視や事情聴取の結果集計しているもの。その結果、件数が異なってきているということでございます。
 今後、文部科学省として、児童生徒の自殺についての全体的な傾向を把握することにより自殺予防対策を充実させるため、平成二十三年六月、児童生徒の自殺等に関する実態調査への協力を各教育委員会に依頼しております。この実態調査では、学校が児童生徒の自殺であると判断したものに加え、自殺である可能性が否定できないと判断したものについても対象とするということにしておりますので、この調査等を通じてより正確な数値の把握に努めるとともに、自殺防止対策の充実をしてまいりたいと思います。
○岩本司君 内閣府担当大臣ですか、あと警察庁、どなたでも構いませんので、このグラフの説明をしていただいてよろしいでしょうか、こちら三百五十三人になっておるわけですから。
○国務大臣(古屋圭司君) 今、文部科学大臣からも答弁させていただきましたとおり、私もこの数字を確認をさせていただいて、警察庁は三百五十三人、文部科学省は二百人なんですね。
 実は警察の方は、実は通告を受けますと全て検視します。検視をして、そして自殺であるということをはっきり確認をした上で御遺族の皆さんに連絡をするんです。学校には、する場合もありますけれども、しない場合もあります。必ず遺族にはします。その上で、自殺の統計原票というのを作って警察庁と内閣府でデータを共有するんですね。
 そうしますと、基本的には、児童生徒の自殺者は三百五十三人というのがある意味で正確だとは思いますが、今、文部科学大臣から御指摘があったように、プライバシーの問題等々もありまして、どうしてもそういったことを言いたくないという人たちもいらっしゃるんですよね。
 ですから、今後、やはりこれ、同じ政府の中で発表の数字が違うというのはちょっといかがなものかなという疑問も私、感じます。これはしっかり文部科学省あるいは内閣府、警察でよくこの辺は議論して、どういう形で発表していくのがいいのかも含めてしっかり検討させていただきたいというふうに思います。
○岩本司君 この数字は、先ほど長官がおっしゃったように、自殺というふうに言ってもらいたくないという保護者の方もいらっしゃる。確かにいらっしゃるそうです。しかし、保護者が、うちの子は自殺なのに自殺と認められていないというふうなことをおっしゃっている保護者の方も実はいらっしゃるんですね。
 要は、現場に駆け付けて自殺であると断定、警察がするわけですから、そちらの数字の方が正しいわけで、じゃ、もしかしたら、自殺未遂はこの子たちの十倍以上とも言われております。これを今後防ぐためには徹底した調査が必要でございますので、これ三百五十三人、もしかしたら、その長官がおっしゃったように、自殺と言ってもらいたくない保護者がいて三百五十三ということは、もしかしたら四百人、五百人いらっしゃるかも分かりませんけれども、いずれにしても、そこも含めて警察庁としても徹底的に調べていただいて、内閣の中でも文部省ともしっかりすり合わせて、要は今後こういうことが起こらないようにするためのこの会議の時間でございますので、是非とも徹底した原因究明をしていただきたいというふうに思います。またその数字も確認を、確認に確認を重ねていただきたいと思います。
 次に、皆さん、これは周辺海域でございますけれども、これは立体地図でございまして、これ今私が手に持っているもの、これは立体地図を大きくするのはちょっと時間的にも難しいということで、これをコピーしてパネルにしたものです。
 これは何かといいますと、大陸棚を表しております。この地図で見ますと、これは一九八二年にジャマイカのモンテゴベイでの第三次国際連合会議で作成されまして国連総会で採択をされております国連海洋法条約でございまして、その後、これは一九九六年の一月には韓国が八十四番目に、また六月七日に、同じ年でございますけれども、中国が九十二番目に、また六月二十日に最後に日本が九十四番目に批准国となっております。ちなみに、アメリカ合衆国はまだ批准をしておりません。
 この批准は自民党政権下でされたわけでございますけれども、皆様に今日パネルでは示しておりませんけれども、作っていませんけれども、皆様に竹島問題年表をお配りしていると思いますけれども、これちょっとお目をお通しいただきたいと思いますが、韓国が竹島にヘリポート施設を設置したのは一九八一年でございます。国連海洋法条約が国連総会で採択されたのが一九八二年。国連総会でこういう議論がされて、採択される一年以内にヘリポートが実は造られて設置をされております。その後、この表のとおり、九七年十一月に接岸施設、翌九八年の十一月に有人灯台設置ということ、このような流れで事実上実効支配を重ねているわけであります。
 本日も三日前も中国から我が国の領海に船が侵入しておるわけでございますけれども、昨年の年末も国交省、海上保安庁が必死で海上で、もちろん水産庁とも連携しながら、ホースで尖閣諸島に上陸させないように必死の抵抗をしたわけであります。私は、一九八〇年、このときに昨年のああいう海上でのホースでの上陸阻止のようなことを徹底してやっておけばこのようなことには私はなっていなかったんではなかろうかというふうに考えるわけであります。
 そして、私は、副大臣当時、水産庁の船をおととし一隻、昨年は二隻増やすよう、また、政権は交代しましたけれども、財務省に対して交渉をする予定でございましたけれども、農水大臣、この水産庁の船、どのような今回の補正に生かされていますでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) お答えいたします。
 海上保安庁と連携を図りながら、農林水産省では現在、漁業取締り船三十九隻体制、このうち官船が六隻、用船が三十三隻でありますが、これらで外国漁船及び日本漁船の漁業取締りを実施しております。これを強化するという必要がございますので、民間から借り上げる漁業取締り船の二隻増隻を、平成これは二十五年度予算ですが、概算決定をしております。また、今お尋ねの二十四年度補正予算におきましては、最新鋭の漁業取締り官船、官船の方ですね、これの建造に着手するための事業を計上しておるところでございます。
 二隻の増隻につきましては、補正でも措置を検討したんでございますが、船舶及び乗組員の確保等の準備が完了するのが最速でも四月上旬であるというふうに見込まれましたので、補正ではなく二十五年度当初予算で対応したというところでございます。
○岩本司君 国交大臣、現状をお聞かせください。
○国務大臣(太田昭宏君) 尖閣の取得、保有以降に中国公船が常時徘回するようになりまして、今朝も三隻領海内に入るということで、午後になって出て、接続水域のところにいるというような状況であります。
 お尋ねのこの領海警備に万全を期すということで、早急に大型巡視船十四隻相当による専従体制、これを確立する等、海上保安庁の体制を強化する必要があると考えまして、補正、そして二十五年度予算を組みまして、大型巡視船の新規建造、そして海上保安官の増員ということについて万全の体制を取るという構えをしております。
○岩本司君 農水大臣、補正でとちょっと触れられましたけれども、二隻増やすのは本予算じゃないですか。やっぱり徹底して補正でこういうのはもう緊急事態ですからやっていただきたいのと、我が国は中間線で境界を主張しておりますけれども、これは我が国だけじゃなくて、リビアとマルタやデンマークとノルウェーなんか、これはもう世界の常識になっておりますので、それを、この国連海洋法条約ができ上がったからといって、もっと前から我が国の領土なわけですから、それを今度は、今年のちょうど参議院選挙の期間中、七月の十五日から実はこの下に国連の大陸棚限界委員会が開かれます。ここで韓国も中国も自分たちの大陸棚の延長を主張しますので、こういうときは、去年の選挙のときもそうですよ、大陸棚拡張申請は、中国は去年の十二月十四日、韓国は歩調を合わせるように十二月二十六日に拡張申請していますから、そういうときにそういう大きい船で尖閣に乗り上げられるようなことがないように、今から頻繁にそういうことが起こってくると思いますけれども、気を引き締めて取り組んでいただきたいと思います。
 次に、消防団についてお伺いします。総務大臣にお伺いします。ちょっと時間がもうなくなってきましたので。
 私も消防団の現役ですけれども、これは、消防団というのは本当に正義感が強くて、出動手当とかそんなのは要らないよと全員が全員言うんですよ。全員が全員言います。私も同じ分団員の仲間にそういう話したことありません。
 しかし、これは、例えば山口県は一回の出動が例えば四千六百八十八円、徳島県では一回の出動が五百六十一円とか余りにも差がありますので、国としてしっかりと基準、最低このぐらいは払ってくれということを、大臣、最後にお願いします。
○国務大臣(新藤義孝君) 総務大臣でございます。
 まさにおっしゃるように、消防団は地域防災の要であります。そして、消防団の出動手当は市町村の条例で定めることになっておりますが、地域によって活動内容も違いますし、かなり異なっているということであります。
 一方で、我が省としては地方交付税の基準額を定めております。ですから、それに沿ってできるだけ全国が一律になるように、また交付税上の算定単価よりも低いものについてはしっかりと働きかけをしてまいりたいと、このように思っております。
○岩本司君 終わります。ありがとうございました。
○委員長(石井一君) 以上で松浦大悟君、岩本司君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(石井一君) 次に、脇雅史君の質疑を行います。脇雅史君。
○脇雅史君 自由民主党の脇雅史でございます。
 こういうときは、初めは安倍総理大臣に御就任おめでとうございますというふうに申し上げるべきだと思うんですが、そういう気持ちになれないんです。悪い意味じゃないんですよ。本当にこの大変な時期に我が日本国の総理におなりになる。解決しなくちゃならないことが山ほどある。もう本当に頑張らなければいけない、頑張ってほしいと思うんです。事実、安倍内閣は発足以来もうすぐに活動し始めまして、大車輪で動いていただいている。大変心強く思いますし、国民の皆様方もそこを評価していただいていると思うんです。
 私も、ですから、安倍総理、頑張ってくれ、しっかりやってくれということばかりではなくて、与党の一員として、あるいは国会議員の一人として、国民の一人として、本当に一緒になって、与野党いろいろ思いはあると思いますが、もう本当に今日本は、特に経済政策間違えられないところまで大変なピンチに来ていると思うので、一緒になって頑張りたいと思いますし、どうぞお体にお気を付けいただいて、我が日本国のために今後全力を発揮していただきたいとお願いをしておきたいと思います。
 いろんな経緯ございまして、紆余曲折がありまして、二度目の総理大臣におなりになったわけですね。最初のときによく言われておりました戦後レジームからの脱却、そして今、自民党も言っているわけですが、日本を取り戻す、そういうことを言っているということは、我が自民党がずっと戦後の日本を形作ってきたわけですが、振り返ってみれば、どこか反省すべき点もある、間違ったこともあったのではないか、そういう思いがあるんですね。
 ですから、総理の心の中にも、幾つかここだけは直しておきたいとお思いになっている点があると思うんです。いっぱいあると思うんですが、幾つかここだけはと思うことを、どうか国民の皆様の前にお話しいただければと思うんですが。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 自民党は五十年以上政権を担ってきたわけでありますが、残念ながら、三年三か月前に我が党は政権を失いました。この三年三か月、自由民主党はなぜ政権を失うに至ったか、ずっとみんな深刻に考えてきたわけであります。そこで、自由民主党はやはり結党の原点に戻ろうということになったんだろうと思いますね。
 結党の原点、昭和三十年、自由党と民主党が保守合同を成したわけでありまして、それは、まさに政局を安定することによって真の日本の独立を果たしていこうではないか、七年間の占領時代に教育基本法やあるいは日本国憲法、日本の骨格を成す法制度ができ上がったわけでありますが、それをやっぱり自分たち自身の手でつくっていこうじゃないか、それによってまさに日本は独立したんだという精神を取り戻すことができるのではないかと当時の自由民主党立党者たちは考えたんだろうと思います。と同時に、やっぱり強い経済を取り戻そう、強い経済をつくっていくことによって日本を国際社会で活躍できる国にしていこうということであった。その後ずっとこう自民党政権が続いていく中にあって、政権維持政党になっていた点もあるわけであります。
 まさに根幹である理念を少し横に置いてきたところがあったのではないか、そしてまた、永田町と霞が関の距離の問題においても様々な課題があったのではないか。そういう課題をもう一度頭の中に中心に据えて、今度はやはり立党の原点に立ち戻って、この経済の状況を立て直していこう、安全保障の状況についても立て直していこう、そして同時に、やはり教育という問題も大切な問題でありますから、そうした問題にも正面から取り組んでいこう、まさに正面からぶつかっていくことを避けていた点が自由民主党にとっては一番大きな問題ではなかったかと、私はこのように思います。
○脇雅史君 ありがとうございました。
 特に憲法の問題言われましたけれども、私もちょうど終戦の年に生まれまして戦後をずっと生きてきた人間なわけですが、国家観なんていうものをいろいろ考えますが、本当の意味で戦後を終わらせようということを考えたときに、非常に率直に申し上げて、アメリカ軍の基地はいつまで日本にあるんだろうか、いつまで置いておくべきなんだろうか、いろんな選択肢ありますね。
 今日まで国民的に本当にしっかりとした議論をしてきただろうか。そのことをみんな国民一人一人がどうしたらいいんだろうか、真剣に考えるときに初めて国家が始まる。つまり戦後は、そのことについてしっかり議論をして、ある種の結論を導いていかなければ終わらないんじゃないかという気がするんですが、いかがでございましょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま脇委員が指摘された点は、この戦後の日本の一つの課題であろうと、このように思います。
 日本が戦争に敗れて、そして米軍がやってきた。これはもう日本は戦いに敗れたわけでありますから、いやが応もなく米軍が日本を占領したわけであります。そして、七年間という異例の長い占領期間ずっといたんですね。しかし、その間、残念ながら日本は独自の防衛力を持つことがほとんどできなかった中において、日本が独立を回復したサンフランシスコ平和条約が発効した年に、もしこのまま米軍が日本から出ていってしまったら、当時はソビエト連邦もあって、中国もあって、そういう中にあって日本は独立を守れない。そして、当時はまだ自衛隊がこのような精強な組織ではなかったわけでありますから、まあいてくださいということを頼んで、吉田政権時代に旧安保条約ができたわけでありますが、これは極めて不平等なものでありました。一条から五条しかない旧安保条約には、日本に対する防衛義務はアメリカは負っていない、地位協定もない。そして、それを何とか少しでも平等な、対等なものにしようというのが六〇年の改正された安保条約であったわけであります。
 そして、今日でございますが、やはりそれは外国の軍隊が駐留するということにおいては、ある意味においてはこれは少し異様に感じるわけでありますが、しかし同時に、今自国の軍事力のみによって自国を完全に守れる国というのは世界中ほとんどないわけでありまして、日本は米国との同盟関係によって日本の安全を守り、そして、それはまさに抑止力であろうと思います。その中において、当面予想される範囲内において米軍が、全く基地がなくなっていくということは予想しにくいわけでありますが、当面今この状況に対して責任を持つ私たちとしては、むしろこの同盟関係を強固にしていくと同時に、やはり基地の負担が集中している沖縄の負担の軽減を図っていかなければならないと考えております。
○脇雅史君 ありがとうございました。
 国家を維持していくということが現実的にどういうことか、沖縄の基地問題もそうですけれども、そのことに私たち一人一人がしっかり目を向けて何らかの解決策を現実的に見付けていかなければいけないということで、今後とも私も勉強してまいりたいと思っています。
 戦後、いろんなことを言う方がおられますが、何だかんだ言っても焼け野原からここまで立派な国になって、しかも統計によれば、元気で長生きという両方の指標を絡み合わせると日本が一番だという統計もありますね。自殺、先ほどいろいろありまして、不幸なこともたくさんありますが、トータルで見て決して悪い国ではない、すばらしい国であるはずなんですが、その国を戦後の我々の先輩もずっと形作ってきたんですが、私はちょっと行き過ぎた面、間違った面があるんじゃないかと思うんですが。余りにも、戦後復興を目指すときに、どうしても産業を興さなくちゃいけないということで経済に目が向き過ぎて、経済合理性・市場主義、そういったところに行き過ぎたと。最近では、安ければいいと。
 特に、これは我々自民党の中曽根内閣以来ずっといろんな意味で改革、改革と、こう言ってきたわけですが、確かに改革しなくちゃいけないんですが、どうも価値観が単純化し過ぎて、BバイCがあればいいとか経済合理性があればいいとか、余りにもそっちへ行き過ぎて、本当の意味でのきちんとした分析がなされてこなかったんじゃないかという思いがあって、結論だけ先に言っちゃうんですね、何とか改革でこうするんだと。本当はどうなんですかということをしっかり分析をする分析力が少し不足していたのではないか。
 これは非常に深刻な問題で、最近でも、原子力どうするというときにすぐ答えが出るんですね。地球温暖化どうするって、すぐ答えが出るんです。非常に難しい選択なんです。しっかり調査をして分析をして、半年、一年掛けてそれで答えを出すという慎重さが欲しいんですが、それじゃ選挙に間に合わないからこれだと、こういうことで世の中動いてきてしまったのではないかという気がしていまして、そこのところを今後、今、安倍政権としては本当にしっかり分析をして、いろんな分野でやらなくちゃいけないこと山ほどありますから、しっかりとした真っ当な国として結論を出していただきたいと思うんですが、簡単にお願いします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさに今、脇委員が指摘された点が重要な点だと思います。結論を求めたがる、右か左か単純な答えを求めるんですね。これはテレビに出るとよく言われることなんですが、マルかバツか、これ我々も出させられるんですよ。しかし、政治的な課題というのはそんな単純な課題ではないんだと。改革に賛成ですか反対ですか、反対と言ったらもうある種特別なカテゴリーに入れられてしまうんですね、西田さんもそれに好んで入ろうとしていますが。しかし、改革というのはこれは手段であって目的ではないわけであって、そこをもう一度立ち止まって考える慎重さと責任感が必要ではないかと思います。
○脇雅史君 おっしゃるとおりで、政治というのはいろんな問題が、利害が反するようなところの調整をするわけですよね。ですから、みんなが納得できる答えがそうすぐ出るわけがないんです。だから、簡単にしゃべれる、分かりやすく言えるということは、どこかはしょっているんですね。そういうのはインチキなんだと、まあこれはちょっと言い過ぎですが。うちの女房にはあなたの答えは分かりにくいとよく言われるんですが、そもそも政治というのは分かりにくいんだから我慢しろと、こう言うんですが、暴論だと怒られておりますが、よく分析をして答えを出すという努力はしなければいけないと思っています。
 そこで、戦後、先ほど来随分議論になっていました、今の一番大きな問題はデフレだと思うんです。このデフレは本当に諸悪の根源で、下手をすれば、今の少子化、若い人が結婚できない、子供を産めないというのもそこに大きな原因があるようにも思うんです。デフレの恐ろしさというのを少し今我々は軽く見過ぎていやしないかと。まさに自民党の時代にデフレが起こって自民党がそれを育てたようなものですね、ちょっと語弊がありますが。そして民主党が花を、花を咲かせたと言っちゃいけません。
 自民党も民主党もお互いやっぱり分かりながらここまで来てしまったんです。このデフレの恐ろしさということについて、財務大臣、どうでしょうか、ちょっと分かりやすく国民の皆さんにお話をしていただきたいと思うんですが。
○国務大臣(麻生太郎君) 分かりやすく。
 少なくとも、昭和二十年、敗戦この方、世界でデフレーションによる不況というのをやった経験を持っている国はありません。これまで我々も不況を何回となくやりましたけれども、いずれもインフレーション下での不況。今回初めてデフレーション下での不況。
 最初にそれが表に出ましたのは、多分一九八九年十二月の二十九日だと思いますが、東京証券取引所の株価の終値は三万八千九百十五円だったんだと記憶します。それが最低のときはただの七千五百円。少なくとも三万円少々の金が、皆さんの懐から四分の三、株という名の立派な動産が飛んだ。
 土地は、脇先生御存じのとおりに、六大市街化地域の平均土地価格は約一五%に落ちました。坪百万円が坪十五万円。それは、基本的には会社はその土地を担保に金を借りる。銀行も担保はほとんど不動産を主にしておりましたので、不動産価格が下がるということは、担保価値が下がることはイコールその会社にとりましては間違いなく債務が超過するということになりましたので、その状況が理解できなかったのが最初のうちでしたけれども、だんだん理解ができるようになって、どんどん企業は一斉にお金を返すようになった。
 すなわち、会社用語で言えば利益の最大化をやめて債務の最小化を図ったと、多分経済用語ではそう言うんだと思いますが、そういうことになった結果、一斉に金を返し始めちゃうと、銀行というのは基本的に金を借りてくれる人がいないと成り立たない職業ですから、誰も金を借りず、みんなにどんどんどんどん返されると、金を返すということ自体は決して悪いことではないのですが、全員でそれをやられた場合は、いわゆるこれまた経済用語で言う合成の誤謬という問題が起きて、結果として各企業は一斉に企業の売上げを伸ばすよりはまずは債務の返済ということになって、利益を全て返済に充てたため銀行は成り立たなくなり始めて、一九九七年にいわゆるアジアの危機と言われたあのとき、いわゆる三洋証券が潰れ、都市銀行では北海道拓殖銀行が潰れ、長銀が潰れ、不動産銀行が潰れ、大きなところが、えっというようなところがばたばた潰れるという事態になったというのが、多分デフレという状況がこれを招いているということが如実に実感できるようになってきたところなんだと思います。
 ただ、一般的には、昨日まで百円だった大根が今日は九十七円になり、翌週行ったら九十五円になっていて、あら、悪くないんじゃないということになっていたんだと思いますが、それは詰めていくと、それを作っている、大根を作っている農家の売上げが減り、そして、それを売っているスーパーの売上げが減り、回り回って亭主の給料が減り、会社が潰れていくという形で、こういう形での不況というのを多分初めてやったために、日本銀行はもちろん財務省も政治家もマスコミも、今回のこの不況の本質というのはこれまで経験がないものですから、それの対する対策は後手後手に回ってきたと言わざるを得ないところは我々としては大いに反省をしなければいかぬこの十五年間の実績だったと思っております。したがって、これは経験に学べないとなると、これは我々歴史に学ぶ以外に方法がありません。
 そこで、歴史は、一番最近のデフレーションによる不況は、これはアメリカの一九二九年のウォールストリートの株の大暴落、あれの波及によってざっと起きたあのデフレーションが日本も影響を受けて、あのときは犬養毅内閣、岡田、斎藤実内閣辺りの時代だったと思いますが、そのときに、いわゆる高橋是清という人を大蔵大臣にして、結果的にデフレ対策というのをやったんですけれども、これが歴史だと思いますので、我々はその歴史から学んで、この三年間の間いろいろ野党時代に勉強させていただいて、安倍内閣の下、この私案を基にして、今いろいろな三本の矢というもので、その高橋是清の、あるいは模倣しつつ、ただ、我々にとって今時代がいいのは、あのころは全く民間にお金がありませんけれども、今回は、個人金融資産で一千四百五十兆とか現預金で八百何十兆とか企業の持っている内部留保が何百兆とかいうのがあの時代と全く違っておりますので、やり方次第で我々は十分にこの不況から脱出できるものだと思っております。
○脇雅史君 デフレの被害を受ける人、国民全部ではなくて、私は特に若い人に現れると思うんですね。
 今お話にもありましたが、デフレ下で競争をあおると、安値、安値でいきますね。さっき言われた、まさにデフレスパイラルが起こる。結果、人件費を切り詰めますから若い人がなかなか就職できなくなる。現実に国家公務員の数、採用をもうやめようなんということを言っていたときもありましたね。そういうふうにどんどん若い人に影響が出るんです。若い人が夢を持てない、定職を持てない。社会が壊れていくんですよ。ですから、このデフレの恐ろしさというのをもう一回きちんと再認識をして、何をおいてもデフレを退治せねばならないと。その意味でまさに安倍内閣の姿勢は正しいと思うんですが。
 ここで前を振り返ると、縮小均衡論というのがあるんですよ。デフレというのは何だというと、税収が減るじゃないかと。税収が減るんだから歳出も減らそうと。その場限りで正しいんです。だから、どんどん減らせ、無駄をなくせと。これをデフレ下でやるとデフレを促進するんです。でも、だからといって無駄なものに使っていいわけないだろうと、みんなそう思いますから、そうはいってもまあしようがないなというわけで、それがこのずっと数年続いているデフレスパイラル。ここに本当にピリオドを打たなけりゃいけないんです。
 ところが、最近、これまた余り悪口言えないんですが、こういう、財政制度審議会が、これは平成二十五年度に限ってですけれども、予算編成に向けた考え方、これまさに今申し上げた典型的な財政縮小路線なんですよ、縮小均衡路線なんです。ここから決別しないと日本のデフレは逃れられないぞと思うんですが、総理、いかがでしょう。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) デフレの怖いところは、まさに物の値段が落ちていく以上に給料が下がっていきますから、若い人たちが将来に夢を持てないんですね。将来設計しようと思って住宅を造ろう、家を持とうと思っても、給料がどんどん将来下がっていくわけですからそういう夢を持てない。つまり、若い人たちにとって夢のない社会になる、これが一番怖いところなんだろうと思います。
 ですから、それを変えるためには、縮小均衡になってずっとこの間GNIは五十兆円減ったわけですから、これ、縮小均衡を続けていけばどんどんどんどんマイナスのこの渦の中に巻き込まれていくわけでありますから、これを変えるのはそう簡単なことではないからこそ、大胆な金融緩和と機動的な財政出動、今回思い切った補正予算を組んだ。思い切ったものを組まなければ社会に対してしっかりとしたメッセージにもならないわけでありまして、そういう意味において、税収を増やしていこうと。言わば、切り詰めていこう、無駄はもちろんなくすのは当たり前なんですが、税収を増やしていく、成長していこうという精神を取り戻すためにもデフレから必ず脱却をしなければならないと、このように思っております。
○脇雅史君 そういう縮小均衡論と、それから財政規律、これ、とっても大事なことですね。
 財政規律を考えていく中で、どこか歳出をカットしなくちゃいけないというんで、これも自民党の時代ですけれども、昭和五十年代の終わりぐらいから、とにかく公共事業を減らそうということで、公共事業悪玉論。お金がないときに公共事業に対する投資は減らしていいんです。何にも困らない、困らないことはありませんが、構わないんですね。お金があるときにやればいいんです。むしろ、景気が悪いときに国家としてはやって、景気の良いときには少し抑えるという、トータルとして財政の影響を受けていいんです。
 しかし、そのことを強く言うために、公共事業悪玉論という、これ世界史的にも例を見ない、今の日本国民だけですね。公共事業をやると言うと、何かまた古い自民党とか、悪いんじゃないかと。公共事業というのは、今よりもうちょっと安全性を増そう、安全にしよう、もっと便利にしよう、もっと快適にしようということで、みんなが必要とするものをやるんです。みんなが必要としないものをやる必要はないんです。ですから、そういうものがあったらそれは公共事業と呼ぶのに値しないのであって、公共事業が悪いはずがないんです。それも財政の影響を受けてもいいんです。
 しかし、今、日本国民は、昨日の世論調査だと五〇%以上、安倍内閣の公共事業をやることに賛成という人が出てきて、私は少し元へ戻ってきたかなと思うんですが、本当の意味で正しい公共事業をやってほしいんですが、これが大きな間違いであったと、公共事業悪玉論というのが、これもさっきの縮小均衡論とともに捨てなければいけない。本当に正しい公共事業、必要な公共事業をしっかりやるという姿勢が大事だと思うんですが。
 再三総理は言われていますが、もう一度確認のために。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) かつて自由民主党全盛時代に公共事業を進める中において、言わば建設業界との癒着ということを随分批判されたんですね。確かに選挙母体であったことは事実であります。そして、ずっと右肩上がりで増やしてきた。そこで果たして無駄はないかということで削減を始めたわけでありまして、小泉政権でも安倍政権でも削減をしました。この改革をしていこうという手段としての方法は正しかったのでありますが、しかし、これ改革そのものが目的になってしまって、とにかく公共事業は駄目、無駄遣いという短絡化した発想そのものがあったのは事実でありまして、公共事業をやっていこうなんということを言いにくい状況で、我が党でも脇委員ぐらいのものだったと思いますが。
 その中で、やはり正しい公共事業はちゃんとやっていく必要がありますね。これは、ミクロにおいての必要性と同時に、マクロ経済上の必要性についてもしっかりと訴えていく必要はあったんだろうと思います。思慮深い公共事業に対する姿勢が正しい姿勢ではないかなと私は思います。
○脇雅史君 ありがとうございました。
 正しい公共事業、国民の大多数の理解が得られる公共事業をしっかり進めようと思うときに何が必要かというと、計画性なんですね。公共事業というのは、ダム一つ取っても、道路一つ取っても、やろうと思ったら五年、十年掛かるんですね。それを計画的にやっていかなかったら駄目なんです。造ったものは必ず傷みますから、それも計画的に補修しなくちゃいけないんです。この間の笹子トンネルも、あんなものは当たり前の話で、分かっているんですよ、急に分からないなんということを、ふりしている人もいるかもしれませんが。初めから維持管理はしっかりしなくちゃいけないなんということは誰だって分かっているんです。
 そういう計画性を失わせてしまったのは誰かと。実は自民党なんですね。その自民党の時代、古い時代に、だから古い自民党に戻っちゃいけないんですが、古い自民党の時代は、計画があるから無駄な公共事業をやっちゃうんだと、だから計画はなくした方がいいんだという全く本末転倒な議論があって、で、計画論を捨てたんです。まさに、いろんな地域の方々、自分たちの地域に何が必要でどうしたいのかというときに、それをきちっとした計画を作ってやらなければうまくいくわけがないんですね。
 今、三本の矢の中で、デフレ対策で財政出動しますよ、私これ正しいと思うんですが、公共事業を対象とするんだ、財政出動でやるんだと言った以上、その公共事業に計画性がなかったら効果的なデフレ対策にはならないんです。一回や二回補正予算をぶち上げたらそれでおしまいというんじゃないんです。やっぱりきちんと必要なものを造っていくというところに財政出動するわけですから、五年、十年という計画をしっかり作らなくちゃいけない。霞が関だけではなくて、全国津々浦々のいろんな方の意見を聞いて、市町村の意見を聞き、都道府県の意見を聞いてそれを作らなければいけない、そういう計画性が必ず要ると思うんですが、いかがでございましょうか。財務大臣、いいですか。
○国務大臣(麻生太郎君) 全くそのとおりだと思います。
 先ほど植松先生から関連したような御質問をちょうだいしたんで、自民党の方かと間違えちゃったと申し上げたんですが。正直申し上げて、一九三〇年代のあのデフレから脱却するときにフランクリン・ルーズベルトという人がやったのは、まさに計画的な公共事業というのをやるんですが、よく例に引きますけれども、サンフランシスコのゴールデンゲートにしても、全国張り巡らしたフリーウエーにしても、テネシー・バレー・オーソリティー、通称、我々学校で習うTVAですけれども、あれで習ったとおりにフーバー・ダムを造った。ああいった超大型の公共工事が今日のアメリカのインフラの基盤を成した。その後はもちろん御存じのように、ベイブリッジからワシントン・ブリッジから、みんなあの時代にやったものです、あれ。
 したがって、そういった意味では、我々としても今度、社会資本整備重点計画というのを二十四年の八月三十一日に民主党の方でも決定しておられると記憶しますけれども、この五年間に、今後五年間に進められる社会資本の整備というものをやっていかないかぬということなんだと思いますが。今後この社会資本整備重点計画というものを踏まえて、我々は、今後これをやっていくということの重要性を、公共工事悪玉論になっておるところを考えますと、確かに、小渕内閣のときに十四兆九千億まで行きましたものが昨年たしか四兆六千億、現実問題十兆円の絶対額は減っておりますから、そういった意味では、公共工事の中でメンテナンスの部分が落ちたりきたりなんかしてきたことは否めない事実だと思いますので、危険渡るなみたいな橋が増えてみたり、危ないトンネルが出てきてみたりするというのは必然的に起きてきている現実なんだと思いますので、今日、国民の安心、安全ということを考えたときには、これらのものに、まずは補修、メンテナンスをやるのは当然のこととして、加えて、今後とも我々がやらなければならない社会資本整備というものをきちんとやっていかないと、国内の需要が全GDPの八八%、九%を占めております日本において、国内のインフラの整備がきっちりされるかされないかというのは極めて大事なことだと思いますので、きちっとした絵をかき上げた上で対応していかなきゃならぬものだと思っております。
○脇雅史君 これは国交大臣にお聞きするのがいいのかもしれないんですが、計画論で大事なのは、昭和三十年代、四十年代というのは本当に何もない時代ですから、道路これだけ造ります、河川整備これだけします、ダム造りますって、それだけで計画論が成立したんですね。どれを造っても、まずみんな必ず要るものなんです。
 ところが、今の時点でこれからの計画論をやるときは、私はインフラだけの計画論というのはないと思うんです。インフラというのは、それを使って国民が生活をする、そして経済活動をする。何のために要るのですかということ。つまり、各地域ごとに我々の地方はこういう生活をしたい、こういう会社を誘致したい、こんな国に、地域にしたい、そういう思いがあるからこそ、そのために必要なインフラはこうですよと。
 例えば、津波対策で高いところに移転しようと思えば、移転するためには、上に道路も要れば、水道も要れば、みんな要るんです。そういう地域を造るためにはこういうインフラが要りますよと。つまり、その上のものがなければ、文字どおりインフラなんですから、上にあるものを支えるんです。ということは、これから計画作ろうというときに、それぞれの地域で私たちの地域は何が要るんだと本当に議論をしていただいて、それでまとめなかったら計画論にならないんです。物すごく難しいんです。
 つまり、十年後、二十年後にどういう地域でありたいか、どういう国家でありたいかということ。それはまとまらないですよ、すぐにはね。まとまらないけれども、毎年毎年そういうことを繰り返し議論しながら我が国をつくっていくという作業なんですね。だから、単なる計画論では、どなたか言われていましたが、天気予報でも何でもない、そういう国につくっていこうという意思なんです。計画が地域の意思でなかったら意味がないと思うんですが。
○国務大臣(太田昭宏君) まさにそういうことだと思います。
 公共事業を一過性あるいはそのときの経済状況ということだけで来てはむしろならないという反省が一つ日本はしなくてはいけないし、この時点で、例えば今、脇先生おっしゃった人口ということを考えても、二〇五〇年というときの人口、これは一億を切ります。そして、三十八万平方キロの中でメッシュで一平方キロというので全部分けていきますと、何と人口が半減するというところが六〇%を占めると。ですから、人口が全体的に減りがちであっても、そこで踏みこたえていくという地域もあれば、まさに本当に高齢化というものがかなり進んで、そして人口が半減するというところが何と六〇%と。
   〔委員長退席、理事小川敏夫君着席〕
 そうしたら、この国を一体、まず人口構成でどういう制約の下でどういう地域をつくるか、どういう国をつくるか。そして、日本は質の高い、そしてまた生きがいを持った、未来に希望のあるという、世界の都市間の経済戦争にも勝っていかなくてはならないと。そのときの、二〇五〇年なら五〇年の日本の都市をどうする、そしてそこには道州制というようなことの論議も当然必要でありましょう。そういうことを併せて、そしてハブ港湾とハブ空港と、そして道路ということと、過疎と言うけれども、その中で人々がここに住み続けたいと思いながら愛着を持って住んでいる人たちというものを大事にしていくと。
 全てを絡めて、そして日本が脆弱国土であるということをもう一度ここで私たち政治家がしっかり認識をして、世界にこれほどの脆弱国土はないと。この中で一億二千八百万人が住んでいると。そして、経済発展をしてきた。これから一気にこうしたことが変わっていく中で、日本の国土というものをどのようにつくり、そしてまた維持し、そしてインフラを整備し、特に地震が起きる可能性が非常に強い、それも私たちの考えてもいなかった津波が太平洋岸を始めとして来る、こうしたことに備えながら、どのように私たちは未来の日本をつくるかということの、老朽化対策や防災・減災という新しい、先ほど私申し上げましたけれども、角度も含めてしっかりと議論してつくっていかなくてはならない。
 新しい日本の国土をどうすべきか、それはイコール日本の社会をどうするのかという、そうした議論の積み重ねを絶えずしていかなくてはならないと思います。
○脇雅史君 私は、元来楽観主義なのか、人口はそんなに減らないんじゃないかと。日本国が安倍政権の下でうまいかじ取りをやっていけば、やっぱり自分の子供を持ってしっかり暮らしていこうという方向へ変わって、変わればまたすぐムードが変わると思うんですよ。今のこの傾向をそのままいってこんなに減っちゃうなんて思う必要はないので、私たちが本当にうまく、きちっとこの国土をつくっていけば、まだまだ希望の持てるすばらしい国、つくり上げるんですから、これから、何も後ろ向きになる必要はないだろうと思っていますが。
 とにかく、基本になるのは中央じゃないんですね。それぞれの地域が考えるんです。その地域が考えることをいかに大事にしてあげるか。失敗する地域もあれば、うまくいく地域もあるかもしれません。計画の主体はやっぱりその地域でなければいけない。しかし、もちろん全国的な規模で考えなくちゃいけないものも当然ありますから、そこはうまく峻別をして、いろんな価値観が交錯をしますが、そういう計画論を難しいけれどもつくっていく。
 私、戦後、一つの大きな間違いは、余りにも過密過疎を進め過ぎた。経済効率性の結果だと思うんですが、みんなこれだけ過疎にしてやろうと思ってしたわけじゃないですよね。みんな田舎で暮らしたいと、ただ就職先がないんだ、だから暮らせないんだという人はたくさんいらっしゃるんです。本当に地域に住めるように、日本国をうまく使う工夫がないのかと。今から新しい国をつくっていけばいいんですから、今までのトレンドでもう駄目だなんて諦める必要もないし、まさにより良い住まい方をして、より安全に便利に災害にも強い国にしようと、こう見ていましたが。
 これ、古屋大臣にお聞きしたらいいと思うんですが、強靱化という話なんですが、インフラ・レジリエンス・プログラムというんですが、これ、アメリカでもイギリスでも今やっているんですね。みんなそうなんです。災害リスクに強い国にしようと、住みやすい国にしようと。強靱化という言葉がややおどろおどろしいので、また古い自民党で悪いやつがと、私が言うからそうなるのかどうか分かりませんが、すぐそう取られちゃうんですが、それは全く大うそで、立派な暮らしやすい安全な国にしようと、これからつくるんですから、知恵を出そうと、それが強靱化、我々が前国会に出しました強靱化基本法の、その中にある強靱化基本計画なんですよ。古屋大臣はもうその担当なんですから、少しお話をいただけますか。
○国務大臣(古屋圭司君) 今総理からも正しい合理的な公共事業というのは推進をすべきだと、こう答弁がございましたけれども、その一つの例が、今、脇委員も御指摘したナショナルレジリエンス、強靱化政策だと思うんです。
 ただ、これは公共事業にとどまらず、ソフト、ハード、両面ありますよね。やはり、日本は近い将来、巨大地震の可能性が指摘されている中で、手をこまねいてそれを待つのか、あるいはその被害だとか、速やかに復旧させるとか、致命傷を負わない、こういったことを事前に対策していくかと。私たちは当然後者を選ぶ。それが脇委員も頑張って作られたあの国土強靱化の基本法の基本理念だと思うんですね。
 例えば、一つの例で申し上げると、平成十七年にハリケーン・カトリーナ、アメリカを襲いました。十四兆円の被害が出ました。しかし、アメリカの連邦危機管理庁、FEMAが詳細な試算をした結果、二千二百億円の事前防災投資をしておけばその被害はほとんど生じなかった。これが一つの例だと思いますね。
 私は、この日本は、あるいは国家も地域も企業群も、しなやかさと強さを併せ持つ、これがレジリエンスの目指すところで、言わばイチロー的な国家を目指そうと。三振かホームランじゃなくて、どんな球が来ても確実に打ち返せるそのしなやかさと強靱性。
 そのためにも、やはりこの国土強靱化をどうやって進めるかというと、まず最初はステップワン、第一ステージとして、やはりリスクアセスメント、どんなリスクがあるのか。それは、地震のリスクもある、津波のリスクもあるだろうし、それ以外にもサイバー攻撃もあるだろうし、エネルギーリスクも、いろんなリスクがありますよ。
 それをしっかりアセスして、そしてそのリスクに対する、二番目は、脆弱性を合理的に評価をしていく。このときには、いろいろ地方の知事とかの意見もしっかり聞きながら対応して、その上で優先順位を付けて、今、脇委員がおっしゃったような効率的な防災・減災計画を立てる。その上で基本計画を作っていく。
 それで、最終的には私は、これはその上で、やはり実際その作った計画が本当に何年も後も合理性があるのかどうか常に評価をする、これが大切なんですね。一回計画立ててしまうと、それが硬直的になる。これはやっぱり絶対避けなきゃいけないことなので、この要するにレジリエンスのサイクルというものをしっかり確立をしていくことが大切だと思うんです。
 ちなみに、アメリカのオバマ大統領の一般教書演説を見ておりましたら、アメリカにも国土強靱化、ナショナルレジリエンスについて、五点、短いですから申し上げますけど、インフラ老朽化対策の中で、インフラをアップグレードしていくことが新しいビジネスを生み出す。二つ目、その対策の過程で新しい雇用が生み出される。三つ目、より重要なのは、新しいビジネスが雇用を生み出す。四つ目、政府は、フィックス・イット・ファースト・プログラム、これはアメリカ型の国土強靱化なんでしょうね、始める。五つ目、資金調達のために民間資金を集めるインフラのための特別ファンド等々を創出する。非常にこれはアメリカとしてもやはりこれ取り組んでいる。
 要するに、この強靱化というのはある意味でグローバルスタンダードになりつつ私はあると思います。ですから、一部で言われるような無駄な公共事業のばらまきということとは全く次元の違う、国家、企業、地域のレジリエンスを、強靱性をもたらしていくと、そういう考え方に立って強靱化担当大臣として事業を進めていきたいと思っております。
   〔理事小川敏夫君退席、委員長着席〕
○脇雅史君 公共工事ということではなくて、より安全な、より良い国にしようという、非常に幅の広い概念であるということを今説明していただきましたので、是非進めていただきたいと思います。
 それから、これも一つの誤解なんでしょうが、公共工事というと何となく要らないものをやるんだというような印象を持たれる方が多いんですが、個人でいても家に住んでいれば必ず家の維持費とか修繕とか要るんですね。そういうお金なんです。
 この日本という国土は非常にすばらしい、美しい国土なんですが、世界の災害、自然災害を二割ぐらい集めてきたようなとんでもない、災害には条件の悪い国土なんですから、道路一つ造ったってしょっちゅう修理しなくちゃいけないんですね。そういう大変な国土に住んでいるんですから、国土管理には必ずお金が要るんです。それは無駄でも何でもない、そこをサボっていると後でどっとツケが回ってくるんです。苦しくても使わなければならないという、そういう経費なんですね。
 ただ、取りあえず一年やめても大丈夫だろうというわけで、やめてもいいじゃないかといったような議論があったんですが、どれだけお金を掛ける必要があるのか。今我が国にある、新しいものは造らないとしてですよ、そのインフラをずっと維持管理していく。例えば、工場でいえば減価償却でお金を積み立てますね。それと同じようなセンスで、日本の今我々が実際に使っているこの様々な道路であるとか空港であるとか、こういったものをこのまま機能維持しようと思ったら幾ら掛かりますかと。これ計算された方もいますが、耐用年数、様々な取り方ありますが、まあ今の予算じゃ多分足りないんじゃないかなというふうにその人は言っていたように思うんですが、国土交通大臣、何かそこら辺、資料がありますか。
○国務大臣(太田昭宏君) どれだけ維持、修理、修繕に掛かるかというのは、本当に悩ましいところだと思いますが、これまず調べなくては話になりませんから、まさに私は国土のメンテナンス元年というのが今年だと、こう思っておりますけれども、そこの調査研究ということをやって全体的な推計というのがどれぐらいかということをできるだけ、これで完璧というわけにはいかないんですけれども、一つのめどを立てるということが必要だと思っておりますので、努力をしたいと思います。
 ちなみに、出ているデータとしては、例えば東京首都高ということでは、この間、その調査をしまして、そうした維持管理、修繕ということに七千九百億円から九千百億円というデータが出ています。高速道路全国全体でということで、三月までにそれを計算しようという動きがあります。
 そして、これは私の管轄省ではありませんけれども、ずっと学校の耐震化と、全国の皆さんでは一つ非常に近いところで実感があろうと思いますけれども、学校の耐震化を特にこの十年ずっと進めてここまで来ました。今年、補正予算でやりますと、大体学校の耐震化が九三%のところまでということになるようであります。新築もあります。修理もあります。ちょっと補強するというだけのところもあります。全部合わせて大体どれだけかという計算を誰もしておりませんが、私自分でちょっと計算をしておりましたら、大体四兆円ぐらい学校の耐震化ということで掛かるということになろうかと。規模でいうと大体そのくらいかなと。こうしたものを全部合わせてという推計をお示しするということが必要かというふうに思っています。
○脇雅史君 ありがとうございました。いずれにしても、今あるインフラを大事に使っていかなくちゃいけませんし、そういう経費は必ず要ると。
 そして、公共事業、公共工事に掛けるお金というのは何も国債でなくてもいいんですよ。税収がいっぱいあればどんどん税金でやるべきものなんです。ただ、道路であれ、堤防であれ、ダムであれ、耐用年数が長いからずっと使うわけですから、五十年使うんなら将来の人が負担してもいいんじゃないかということで国債がなじみやすいんだというだけの話ですから、お金があれば一向に当該年度のお金で使っていいわけで、何かそのためにわざわざ国債発行して悪い仕事をと、これまた変なイメージなので、その辺もきちんと国民の皆様に御説明が要るんだろうと思っています。
 それから、ちょっと話を先へ進めさせてもらいますが、公共工事悪玉論の中で建設産業は非常に冷たい仕打ちをされています。今まさに、絶滅危惧種と言っちゃ失礼ですが、本当に大変な状況になっている。私、十年前ぐらいからずっとそういうことを言い続けていて、まだちゃんとやっているよと、こう言うんですが、実態は本当にひどくて、このデフレ下で、安けりゃいいという条件を付けられて過当競争させられたらどんどんどんどん受注価格下がるんですね。受注価格が下がる、人件費が出ない、したがって、そこへ人が来ないんです。もう既に高等学校の土木なんていう分野がなくなってしまっているという学校もたくさんあります。職人も来ない。老齢化していて、鉄筋工なんかはもう六十歳だと、平均年齢が。もう本当に国家が成り立たなくなりつつあるんですよ。ですから、東北であれだけの災害が起こって、仕事しようったって人がいませんと、こういうことになるんですね。
 もうそういう状況まで私たちの国家は建設産業を、まあある種いじめてきたんですよ。そうでしょう。予定価と称して、これ市場価格ですと調査をして市場価を決めて、その九割以上で仕事したらおまえら悪いことをしていると。そんなばかな話ありますか。予定価だったら予定価でやらせりゃいいじゃないですか。それが悪いことのような、公共事業不要論からそこまで来ているんですね。毎年九割なんていったら最後はなくなりますよ。そういうことをずっとやってきているんですね。
 何でそうなるかというと、これは法体系が悪いんです。現在の公共事業の契約の法規というのは、国でいえば会計法ですね。地方でいえば地方自治法です。会計法というのは、改めて読んでみたら、会計法という法律には目的がありません。通常の法律は目的って書いてあるんです。そんなものないんです。経理事務をきちんとすればいいんです。国の歳出歳入、きちんと管理していりゃいいという法律なんです。その法律が全ての契約の基なんですね。そして、契約ではどう書いてあるかというと、入りと出ときちっと管理するんですが、その発注者と受注者、売手と買手、売る場合でも買う場合でも同じ法律でいこうという、昔、外国でもそういう法律ありましたが、今は日本だけですね。そういう法律でやっているんです。
 ですから、法律のとおり運用するとどんどん建設業が傷む具合になっているんです、デフレ下で。それが現実に、この十五年間の建設産業の実態を見れば分かるんです。それだけひどくなって、もう潰れてなくなりますよというところまでほうっていた。しかし、役人の皆さんに言えば、いや、私たちはちゃんと法律どおりやっていますと。それは、行政官は法律を執行するのが仕事ですから、法律と違うことをやってもらっちゃ困るので、そのとおりなんですが、皮肉なことに、やればやるほど傷むんですよ。だから、法律変えるしかないんです。
 私は、品質確保法というのを数年前に作って、値段が安けりゃいいんじゃないですよ、きちっと品質確保の法律を作りましょうといって作ったんです。品質を確保するために必要なことをしっかりやっていけば、そんな安値で受注する業者は、あんた、駄目ですよと言えるだろうと思ったんですが、誰も言わないんですね。それはそうですよ。五億掛かる仕事が三億でやってあげますよと言われて、首長さんにしてみれば、この残った二億はほかの福祉に回そうと、ああ、良かった、良かったですよ。そのお金はどうしているかというと、建設業がみんな傷んでいるんですよ。搾取しているようなものですよ。そういうことが平気でこの国では行われてきたんです。だから、もう許さぬと、法律を変えろと言っているんですが、いや、会計法は立派な法律でいいんだと言っているんですが、駄目なんですね。
 もう諸外国の例、実は公共関係についてちゃんと勉強されている方もいて、この二冊かなり私が見た範囲ではよくまとめられているんです。しっかり中身を見れば、経済学者もほとんど公共事業の契約の現場のことなんか知らないんです。知らないけど安けりゃいいんだで、今おかしいんだと、談合ばっかりして、あんなもの潰してしまえというようなことを言っていますが、きっちりと議論をすれば、先ほど冒頭で申し上げましたが、きちんと分析をして、より良くするにはどうしたらいいかと。
 要は、税金を払っている国民に対して立派な契約ができる、そして発注者にとってもそんな面倒くさくない、いい契約手法だと。実際にそれを、仕事を請け負う受注者にとってもいい制度だという法律を作ればいいだけの話なんです。何でそれを進めないんだということを申し上げているんですね。
 もう私が一人で全部しゃべっちゃいましたが、もうお聞きをするよりその方が早いので……(発言する者あり)いや、持論ではないんです、正論なんです。私が特別なことを言っているというふうに、御理解をいただけない方はすぐ持論と言うんですが、ちゃんと見てください。そして、どうやったら本当にこの国の建設産業はうまくいくかと。やたらもうけさせるなんて言っているんじゃないんです。
 その建設業は、技術者、技能者の集団が必要なんですね。技能者というのは、そこに二十年、三十年いるから技能者になれるんです。今のような状態ではそういう人はいなくなります。日本は滅びちゃいますよ、物づくり産業の原点が。だから、もう多くは要らないんです。私は今、役所の皆さんに、今度こそ新しい法律を作りましょうと、きちっと考えましょうと。もう諸外国の例を見たら明らかなんです。
 ここに、土木学会というところも、土木学会もどうせ一味だろうとしか見ないんでしょうが、この中でもきちんとそういうことは指摘をしていますが、しっかり分析をすれば必ずそういう結果になるのであって、是非、財務大臣と総務大臣と、農水大臣も言っていませんでしたが担当ですから、新しい法律に基づいてしっかりとした公共事業を進めると。いざというときに建設業が災害から国民を守ってくれると。要らない建設業は要りません、一生懸命やるいい会社がしっかり残れるような法制度にしようじゃないかという御提案なので、前向きにお答えをいただければそれでよろしいんでございますが。
○国務大臣(麻生太郎君) おっしゃるように、一級建築士が百人集まっても家は建ちませんから、大工がいなくて左官がいなくて、家なんか建たぬのです。当たり前の話なんですけれども、そういった意味では、何となく学歴偏重になってみたりいろんな問題を我々は抱えていることは事実だと思っております。
 また、今言われたように安けりゃいいだろうと、インフレの時代とは今は違いますから、そういった意味で大きく時代が変わったという中にあって、いろいろな意味で対応が遅れている。姉歯なんて極端な事件も起きましたけれども、我々としては、こういったものでせっかく税金を使って架けた橋が抜けて落ちるとか、どこどこのトンネルが何もしなかったら手抜き工事で落ちるとかいうことによって生命が危険にさらされるというようなことは、これは断固防がねばならぬ。そのためにある程度経費が掛かるんであって、安けりゃいいというものではないと。したがって、今言われたように、品質をきちんと確保することも併せて、品質と価格といろんなものを考えた法律が必要なんではないかと、おっしゃるとおりだと思います。
 私どもの財務省に触れられまして、私どもの今は主に会計法ですから、会計法というのはおっしゃるとおり目的がありませんので、みんな一律でやりますので、この業界をどうのこうのということはできるあれではありませんので、今、農林省、建設省、総務省、いろいろ担当しておられるところあろうと思いますので、地方のところで発注するときにはやっぱり総務省とか、農業土木やるんだったらやっぱり農林省とか、いろいろなところが皆関係されると思いますので、これはしっかり検討してきちんとしたものを作り上げないと日本の建設という世界に誇れる技術が衰退していくことになりかねぬと思いますので、検討させていただきたいと存じます。
○委員長(石井一君) 他に答弁を求めますか。
○脇雅史君 国交大臣も。あと、農水、総務。
○国務大臣(太田昭宏君) 簡潔に申し上げますが、今麻生財務大臣がおっしゃったとおり、いろいろ研究をしなくてはならぬというふうに思っています。
 もう一つ、建設業界のためには、ずっとこれは大事な仕事なんだぞという予算というものをしっかりやり続けるというような誇りを持った仕事であるということについて、しっかり国がその姿勢を堅持するということが私は非常に大事なことだというふうに思っています。
○国務大臣(林芳正君) ありがとうございます。
 例えば農業の分野ですと、農業農村整備事業ってあるんですが、やはりこれをやりますと、例えば担い手への集積が二割から六割、その結果、農家の経営規模が三倍に拡大するとか、それから、例えば稲作コストが六割減、麦、大豆の収量が四割増と、こういうのが確実に出てくるということでございますので、しっかりと進めていく必要があると我々も思っております。
 なお、脇先生、公共工事の品質を確保する議員連盟中核メンバーとして御活躍をされておられると、その線に沿って我々も頑張ってまいりたいと思っております。
○国務大臣(新藤義孝君) この問題にもうずっと取り組んでいらっしゃる脇先生のこの御努力には敬意を表したいと、このように思います。
 原則だけ申します。
 地方自治法は、これは一般競争入札と、そして最低価格制度と、これが原則で成り立っております。しかし、それに加えて、先生がおっしゃったような品確法であるとかいろんな工夫をしてきているということでありまして、今後は会計法を持つ財務省、それから所管の国交省、さらには私どもと、いろいろ意見交換しながら検討してまいりたいと思います。
 そして、あわせて、地方自治体の声もしっかり聞かなくちゃいけないと思っているんです。実は私は昨日、徳島に行ってまいりました。安倍総理の御指示で車座ふるさとトーク、こういったものを第一回やってきたんです。そこはなぜ、その徳島の神山町といいますが、選んだかというと、実は地デジ化に伴ってテレビが一チャンネルしか見れなくなったんですね。ですので、代わりに光ファイバー入れて、そしてCATVを普及させようと。結果、その光ファイバーを使って新しいIT産業だとかそういう企業が田舎に入れることになった。そして、そこが社会増になったと、その町が。過疎の町なんですけれども、実は社会増になったんです。
 ですから、こういう新しい地域を活性化させるための公共事業、こういうことも考えなきゃいけないだろうと思っています。是非しっかりと研究してまいりたいと、このように思っています。
○委員長(石井一君) もういいですか。
○脇雅史君 はい。
 先ほども申し上げましたが、会計法という法律は契約するに当たって特段の目的意識はありません。しかし、公共工事を発注しようというときには目的意識がなかったら困るんです。的確な値段、適正な値段ということと良好な品質ということ。そして、これはなかなか難しいところなんですが、地域の建設産業が毎年ずっとやっていける、その適正な建設事業の規模という、建設産業の規模ということは難しいんですけれども、さっき太田大臣言われましたけれども、将来こういう仕事がありますよということをお示ししながらやっていけば、きちんとした規模の業界ができる。適正な建設産業の維持を図るといったことを目的に書いてほしいと私は思っているんですけれども、なかなか法的に難しい部分もありますが、建設産業、しっかりと国家を支えられるように法改正していきたいと思っています。
 私、小泉総理のときに、小泉さんもいろいろ改革御熱心だからこの分野も是非改革してくださいよと、こう言ったら、何かふんと言って終わりましたけど、安倍総理、ひとつお願いします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私も小泉政権の官房長官でございましたが、確かに、公共事業は悪、改革において公共事業を目の敵にするという熱気をやっと終わりを遂げることができたのではないかと思います。
 つまり、脇委員が御指摘のように、しっかりとした将来の国土形成はどうしていくべきかという、こういうビジョンを持ちながら、その中で進めるべき公共事業は自信を持って進めていく。そして、その時々の景況等がありますから、その時々の景況に合わせて、それは額は当然柔軟に考えていくということは大切なことでもあるんだろうと思いますが、まさに冷静な対応。そして、私の地元においても建設業の方々は大変疲弊しています。これは物すごく疲弊しているんですね。公共事業を取ったって逆に損をしてしまうという状況が生まれておりますから、これをやっぱり、先ほど財務大臣が答弁したように、もう一度よく現場を見ながら見直しをしていくことは、見直しをしていくべきものは見直しをしていく必要があるだろうと、このように思います。
○脇雅史君 ありがとうございました。
 話題を変えます。
 ちょっと旧聞に属する話で恐縮なんですが、政治報道ということの在り方ということでちょっと御紹介をさせていただきたいんですが、本文の方を出してください。(資料提示)
 去年の八月、私これ十一月の予算委員会でやるつもりだったんですが、ちょうど内閣が総辞職してしまいましたので、やや半年前の話ですが、去年の八月の末に私たちは、いろいろ言われましたが、野田総理に問責決議というのを出しました。
 あっ、いいです、いいです、もう感想だけしか聞きませんので。
 問責決議というのを出した。その問責決議って何かというと、ここに書いてあるように、「本院は、内閣総理大臣野田佳彦君を問責する。」と、これが決議文です。当時、私たちもこれと同じ決議文を出していました。理由が違うんですよ、提案理由が違うんですが、結果的に、この自民、公明以外の野党提案の問責決議を本会議にかけて採択をしたんですね。採決をしたんです。
 それに対する、この問責決議に対する我が参議院自民党はどういうことを言ったかというと、これは本会議における討論でしかないんです。討論で川口順子議員が述べたんですが、その賛成討論の中に全ては書いてあるんです、我が参議院自民党の思いというのはそれ以上でもそれ以下でもないと。
 ですから、報道機関としては、参議院の自民党がこの決議に対してどういう反応をしたかということで、当然その川口順子議員の討論を基に報道すべきですが、あのときは驚くべきことに各報道機関全て、我々が、もう一つのあれ見せてください、これは他の七野党が出した問責決議文の提案理由なんです、この提案理由に消費税なんかを三党合意してけしからぬじゃないかと書いてある、それに私たちが賛成したじゃないかという、ありもしないことを堂々と報道したわけですね。しかも、翌朝、私は驚いたんですが、朝日の悪口だけ言う気はないんです、全部悪いんですが、朝日新聞は特に、ここにありますように、その提案理由書があるんです、ここにね、提案理由書、いろいろ書いてあるんですが、その提案理由書はあろうことか問責決議文全文と書いているんですよ、大きく。これは朝日新聞をそのままコピーしたものですから、ちょっと向こうにも見せてあげてください。見えませんかね、問責決議全文と書いているんです。ですから、朝日の読者は少なくともこれが問責決議だと思いますよね。そうしたら、私たちがこれに賛成したとしか思えませんよ。
 そういうとんでもない、まあ誤報でしょうね、あり得ないと私は思うんです。
 いろんなこと、私たち政治家ですから、どんな批判をされようと、批評をされようが、価値観が違いますから構わないんです。しかし、事実と違うことをこれだけ堂々とやられては困る。私、何度も申し上げたが、今まで一つもこのことについての言及もないと。
 これだけ事実を間違えて政治報道されるということは本当に大きな問題があると思って、最後に、安倍総理もいろいろ報道機関に対しては御意見があるかもしれませんので、一言御感想を。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) そういう間違った報道は間々あるんですね。つまり、報道に真実を求めるよりも、目的を持った報道ということがなされる場合もあると。ですから、報道に携わる人たちには、自覚を持って、つまり真理、真実を報道すると、本来の使命に戻っていただきたいと、このように思います。
○脇雅史君 どうもありがとうございました。
○委員長(石井一君) 以上で脇雅史君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(石井一君) 次に、西田昌司君の質疑を行います。西田君。
○西田昌司君 自民党の西田でございます。
 安倍総理、総理就任おめでとうございます。また、御苦労さまでございます。
 先ほどからずっと閣僚の皆さん方の答弁を見ていまして、本当に頼もしく、私も政権交代の実感をしているわけでございます。今日は野党ではなくて与党の立場から安倍総理に質問をさせていただきます。
 まず、実は私が一番野党時代から問題にしていた問題なんですが、JALの再生の問題なんです。今日はこのJALの再生についてちょっと議論をしたいと思うんですが、まず、企業再生支援機構、本当は再生委員長の瀬戸さんをお呼びしているんですけれども、参議院のルールで参考人を二人呼べないというような形がありましたので、今日は呼べなかったので、事務局側で結構ですから、JALの再生の概要について簡潔に説明をまずしてください。
○委員長(石井一君) どなたを求めますか。木下賢志内閣府大臣官房審議官。
○政府参考人(木下賢志君) 企業再生支援機構によります日本航空に対する再生支援の概要についてでございますけれども、平成二十二年一月十九日に機構が支援決定を行いまして、同時に会社更生手続の開始決定を行いました。会社更生計画に従いまして、金融機関を中心に約五千二百十五億円の債務免除が行われまして、また、機構は日本航空に対しまして三千五百億円の出資を行ったほか、日本政策投資銀行と機構で総額六千億円の融資枠を設定するとした上で、合計で三千五十億円の融資実行するなどの支援が行われました。
 その後、日本航空は、会社更生計画に基づき、イベントリスクに対する観点等から、平成二十二年十二月及び平成二十三年三月に第三者割当て増資を実施し、さらに平成二十三年三月二十八日にリファイナンスの実施を受け、会社更生手続を終了いたしました。
 その後、機構による支援は、平成二十四年九月十九日に東京証券取引所に再上場したことをもって完了いたしました。
○西田昌司君 今、その支援の結果は後でまた言います。ところが、まず、元々このJALの再生については、民主党政権が替わったときにJALタスクフォースという、前原大臣の下でJALにこれつくらせたんですね。そこが提言している内容とは随分違うんですよ。それを、その提言の内容となぜ違う内容の再生をしたのか、もう一度答えてください。
○政府参考人(木下賢志君) お答えいたします。
 日本航空に対する再生支援につきましては、日本航空が過大な債務を抱え、二次破綻の可能性も考えられました中、巨額の公的資金を投入する以上、国民への説明責任を果たすためには、できる限り透明、中立、公正性を高めた手続が採用されるべきであること、損害賠償責務などの偶発債務からの遮断を確実なものにすること、多様で錯綜する利害関係人の利害調整、権利調整を行うには多数決による権利変更が可能となることなどの観点から、機構法上の諸機能を有効活用しつつ会社更生手続を併用し、裁判所の監督の下、機構が管財人と業務執行及び財産管理処分を行いながら再生手続を主導することが必要であると判断され、会社更生法と機構の併用という手続を取りました。これは、タスクフォースにおいては機構法の適用ということの報告を受けております。
○西田昌司君 タスクフォースは、機構法、機構を持ってくるというような話も出ていましたけれども、そもそも私的整理なんですよ。そして、こういう再上場のスキームじゃないんです。
 今日は、元のこのJALタスクフォースの代表者であった高木先生、参考人に来ていただいています。今政府側から答弁がありましたけれども、随分これはおかしいという思いをお持ちだと思うんですけれども、高木参考人、いかがですか。
○参考人(高木新二郎君) ただいま野村證券顧問と、こういうタイトルでお呼びいただきましたが、本日は、野村證券の顧問としての立場でなく、JALタスクフォースの元リーダー、弁護士個人と、こういう立場でお答えさせていただきます。
 済みません、もう一度質問を。もう一度お願いいたします。
○西田昌司君 今、JALタスクフォースの提言と違うことを実際には彼らがやったんですね、企業再生支援機構が。このやり方は、元々法的にもおかしかったし、それから国民に過大な負担、債権者に対しても果断な損切りを押し付けたと、そして、最後は競争環境もおかしくしたというふうに私は思っているんですけれども、いかがお考えでしょうか。
○参考人(高木新二郎君) ただいまの質問は大変私にとっては難問でございまして、私どもは、先生おっしゃるように、私的整理を前提にしておりました。会社更生という強制的な手続は予定していない。つまり、債権者全員の同意を得ると、早期に終結させるということでございましたから、計画の内容も違っております。
○西田昌司君 元々この企業再生支援機構を使うこと自体が違法ではなかったですか。
○参考人(高木新二郎君) 私の考えからすれば、企業再生支援機構がこういう超大企業をやるということは機構法の趣旨に反すると、はっきり言って違法の疑いすらあると思っております。
 その根拠は、まず、機構法の第一条に、対象事業者は中堅企業、中小企業、その他の事業者と、こう明記してございます。このその他の事業者に大企業が含まれると、これ菅総理が国会でそうおっしゃっているんですが、法案審議の過程においても政府見解としてそうおっしゃったと、こういうふうにお答えになっておられるんですが、その政府見解とおっしゃるのは、恐らく鳩山内閣の当時の内閣府政務官、泉さんのお答えになったことだろうと思いますが、その他の事業者について、中小企業、中堅企業を想定しながらも、地域の中での主要企業、場合によっては大企業も読み込めると、こういうお答えになっているんで、この政務官の御答弁からするというと、とても地域というフレーズでは、単語ではとても読み込めない国際的な超大企業が対象になるとは到底考えられません。
 ちなみに、昨年の機構法の改正の際に衆議院の財務金融委員会で附帯決議がなされておりまして、機構の主たる目的は地域の中堅・中小企業の再生であるにもかかわらず、地域経済とかかわりの薄い大企業をも支援対象としてきたことについて真摯に検証するとともに、今後は、機構法制定の趣旨にのっとり、地域経済活性化のために、中堅・中小企業を主たる支援対象とするように留意すること、こういう附帯決議がなされておるんでございます。
 この趣旨からすれば、私は、企業再生支援機構がこれに手を出したというのは、法の趣旨から見て相当ではないという判断で私は私的整理をやろうとしたわけでございます。
○西田昌司君 ありがとうございます。
 ちなみに、高木参考人は元裁判官、弁護士、法曹の専門家であります。
 それで、そのタスクフォースが言ったのは私的整理なんですよ。なぜ法的整理じゃなくて私的整理を提言されたんですか。
○参考人(高木新二郎君) ただいま申し上げましたように、ほかに、この再生支援機構、企業再生支援機構がやらないとすれば、ほかに適当なところがないと。それから、政府、国が助けようと、こういうふうに言っているんでございますから、これはどこかがやらなきゃいかぬと。
 私が参考といたしましたのは、アメリカ政府がGMを再生させたと。これは、臨時に、臨時の部隊をつくって、専門家による部隊をつくって再建したわけでございます。そのスキームを参考にしたと、こういうことでございます。
○西田昌司君 いや、私が聞いているのは、法的整理よりも私的整理の方が要するに国民負担が少ないということじゃなかったですか。
○参考人(高木新二郎君) どちらが少ないか、結果的に見れば、更生計画案によっても国民負担は結果的にはなかったわけでございますので、どちらが少ないかということは申し上げにくいんですが、おっしゃるように、先ほどの御答弁で、資本注入額、政府の資本注入額、それから債権カットの額、人員整理の人数、そういうこと全てにおいて私どもの作った事業再生計画は更生計画案よりも負担は少なくなっていると、これは間違いございません。
○西田昌司君 こういういい提案をされていたんですが、実はされなかった。そして、再上場ということを念頭に置いてやって何が起こったかというと、ここにありますが、(資料提示)まず、資料一が公的支援の支援効果で、この有利子負債が一兆四千億だったのが、今は事実上、今JALはゼロです。それから、ANAの方は、ライバル企業のANAの方は相変わらず一兆円近い借金がある。
 それから、次ちょっとやってもらえますか。そして、営業利益の方も、二番目のを見ていただくと分かりますけれども、JALは一挙に、この経営破綻する前は非常に悪かったんですけれども、千二百億円の赤字出ていたものが二千億円の利益が出るようになる。ANAはといいますと、その半分以下の利益しか出ません。
 そして、そういう状況で今なってきているわけですけれども、これはまさに企業再生というのが、JALをぴかぴかの会社にするという意味ではぴかぴかになりましたよ。しかし、企業再生というのは、高木参考人、これは公共政策ですからね、この国がやる。やっぱりこの競争環境ということの保持も考えなきゃならなかったんじゃないでしょうか。いかがでしょう。
○参考人(高木新二郎君) 事業再生というのは、何とかその会社を再建しようということでございますが、やはり関係者の負担、これはできるだけ少なくやるということは大切なことでございまして、その点では、会社更生は強制的な手続でございます。私どもは私的整理でございますので、関係者と調整しながら計画を作りました。
○西田昌司君 まあ、そういうふうにかなり問題があったんですが、ここでもう一つ問題は、そもそもJALを再上場させましたけれども、本来ですと、企業再生支援機構のこの再生案の中にも書いてあるんですが、要はスポンサーを求めて誰かにやってもらうというのが一番目的ですから、最後、再上場することも含めて、もう一度一旦はライバル会社であるANAの方に、あなたこの株持ちませんかという、そういう申出を本来すべきだったと思うんですが、企業再生支援機構側しませんでしたね。なぜしなかったんですか。
 先、まず再生支援機構の方から、政府の方から聞きます。
○政府参考人(木下賢志君) 日本航空の再上場につきましては、会社更生計画におきましてエグジットシナリオの有力な選択肢の一つとされておりまして、最終的に日本航空が将来の資金需要を満たすために資本市場へのアクセスを必要としていること、海外を含めて幅広い投資家を対象とした客観的で透明性の高い入札プロセスであります、国内投資家に幅広く公平に投資機会を提供する手段であることから、最も適切な手段として再上場という形で選択されたものと承知しております。
○西田昌司君 私が聞いているのは、なぜANAにそのときに株を持ちませんかと言わなかったのかと聞いているんです。
○政府参考人(木下賢志君) 我が国の航空政策上、日本航空を含みます主要な国際運航会社二社による活発な競争が行われることが望ましいと政府が考えていること、及び日本航空の同業他社から事業引受けに係る提案もございませんでしたことから、企業再生支援機構は日本航空の同業他社に対する一部事業の売却について検討しなかったものと承知しております。
○西田昌司君 そんなでたらめ言っちゃ駄目ですよ。ANAの方に何の話もしないでこれをやっているんですよ。
 大体、私はこの問題を前の参議院のときにもやっているんです、国交委員会で。そのときに彼らは、機構の人間はこう言ったんですよ。要は、いわゆるJALとANAとが一緒になっちゃうと独禁法違反になってしまうじゃないかと、そういうことが言われたんですけれども、今日は公取が来てもらっていると思うんですけれども、もしJALとANAが、その公取法の問題があれば、その問題になる、例えば国際線はANAと一緒にするけれども国内線は排除するとか、違うそういう提言の仕方があったと思うんですけれども、公取にそういう相談ありましたか。また、私の言っている見解でいいんじゃないんですか。
○政府参考人(中島秀夫君) お答え申し上げます。
 その際、私どもにそのような合併、企業結合の御相談等は一切ございませんでした。
○西田昌司君 それで、公取として、今現在のこの状況、競争環境がおかしくゆがんでいるんですけど、問題あると思いませんか。
○政府参考人(中島秀夫君) お答え申し上げます。
 競争関係にある事業者の中の一部の特定の事業者に対する公的支援というものがなされれば、通常はこれら事業者の間の競争をゆがめるものと考えております。したがいまして、今般の支援に関しましても、航空事業分野における事業者間の競争条件に影響を与えたものと考えております。
○西田昌司君 これ、とんでもない問題なんですよ。まさにこういう問題が、私はずっと上場前から指摘したんですよ。にもかかわらず、それを無視して上場したんですよ。しかも、私の誕生日の九月十九日に上場している。けしからぬ。まあ、どうでもいいんですがね、それはね。
 そこで、今でしたらこれ甘利大臣が担当になりますが、企業再生、こうしたこと、公取の意見も聞いて、まだ企業再生支援機構は形を変えて残るんですよ。やはりこの事業再生のルールをもう一度ちゃんと明確化すべきじゃないですか。いかがですか。
○国務大臣(甘利明君) 経緯の報告を受けてみますと、私的整理でなく公的整理、そして機構がかかわった経緯は何かといえば、私的整理ではお金の出し手がなかったという報告を受けています。当時の報告なんでしょう。それで、機構がお金を出さない限りは清算ということになってしまうと。それを避けるためということだそうです。ただ、委員御指摘のとおり、その呼びかけの仕方はまだあるというのは、今伺って、まあそのとおりだと思います。
 それから、そのときになぜ、ではその日本航空を残すかということに関していえば、これ、この政府声明でもありますけれども、「わが国の発展基盤である航空ネットワークの重要な部分を担っております。」と。私が説明を受けている限りは、国内航空会社が二つが競り合うということが必要であると。この辺が本当にどうなんだろうかと。各国、ナショナルフラッグが一つしかないという国もありますし、国際線は外国のエアラインとそもそも競っているわけであります。
 そういう点から、私自身、倒産させることは適切ではないと思います、雇用の問題が、五万人近い問題がありますから。そういう選択でなくて別なもっと公正な選択があったのかということは、勉強の余地はあろうかと思います。
○西田昌司君 大臣、今私が聞いておりますのは、そういうこともそうですけれども、要するに産業再生の新たなルール、こういう公平性を担保する、EUのガイドラインのようなものを作るべきではないかということなんです。
○国務大臣(甘利明君) それは、この件をしっかり参考にさせていただきたいと思っております。
○西田昌司君 それから、国交大臣も、これ所管のJALがこういう形で再生されているんですけれども、この再生はやっぱりおかしいというふうに思われませんか。
○国務大臣(太田昭宏君) 今日の答弁ということも含めて、私は競争が適切に行われていかなくてはならないというふうに思っております。
○西田昌司君 実は、これだけじゃないんです、おかしいのは。これは、今、競争環境のおかしさは言いましたけれども、もっとおかしいのは、私は第二のリクルート事件じゃないかという指摘をしていますが、要するに、再上場するというこのスキームの中で、再上場直前に、第三者に、ある特定の八つの会社に百二十七億円が、これが増資されているんですよ。何でこんな増資をする必要があったのかと。私はする必要はないと思うんですが、なぜ増資を認めたんですか。
○委員長(石井一君) 答弁は。
○西田昌司君 企業再生支援機構、審議官、審議官がいますよね。
○政府参考人(木下賢志君) お答えいたします。
 委員御指摘の第三者の割当て増資でございますけれども、合計二回行われておりますが、第一回目は、JALの役員が経営陣として再建への主体的な取組を示すことを主眼に行われました。二回目は、特にこれから発生する非常にイベントリスクに対する体制強化の観点から行われた資本増強策でありまして、八社に対しまして百二十七億円の増資をお願いしております。
○西田昌司君 イベントリスクなんて言っているんですけれども、要するに、三千五百億円を政府が入れました、機構が。その時点でもう債務超過は解消しています。そして、その後の決算ではもう一千八百億円からの利益を出しているんですよ。まさにお金要らないときに、イベントリスクがあるかもしれないからといって、たったの百二十七億円ですよ。何のこれがへの突っ張りになるかという話ですよ、言えばね。まさにこれは再上場を当て込んだとしか考えられないんですよ。しかも、その再上場の前に入れた金額は企業再生支援機構の金額と同じ二千円じゃないですか。事実どうなんですか。
○政府参考人(木下賢志君) 委員御指摘のとおりでございます。
○西田昌司君 それで、再上場になった、その直後に再上場になったときの金額は何ぼなんですか。
○政府参考人(木下賢志君) 三千七百九十円でございます。
○西田昌司君 これは完全な、ですから私は、有利発行じゃないですか。これ有利発行になっちゃうと、そもそも金融庁、これはインサイダーですよ。それから、国税庁としてもそういうものについては課税しなくちゃならない。
 これ事務方にちょっと聞きましょう。どうなるんですか。
○政府参考人(森本学君) お答えいたします。
 上場前の第三者割当て増資につきましては、取引所の規則等によりまして一定の規制がございます。先生御指摘のJALの第三者割当て増資につきましては、そうした規制には抵触しない形で実施されているものと認識しております。また、上場前の株式はインサイダー取引規制の対象とはなっておらないところでございます。
○政府参考人(西村善嗣君) お答え申し上げます。
 法人又は個人が発行法人から有利な金額で第三者割当てを受けた場合の課税関係でございますが、一般論として申し上げれば、法人又は個人が株式の取得のために通常要する価額よりも有利な金額で株式の割当てを受けた場合には、その通常要する価額とその有利な金額との差額につきましては、法人税又は所得税の課税対象となります。
○西田昌司君 こういうふうに、一般論ですが課税対象なんです、完全に。
 そして、金融庁は今の法律の下ではインサイダーにならないと言っていますが、これは担当大臣として、麻生大臣、どうですか、これはおかしいと思いませんか。
○国務大臣(麻生太郎君) 法律的には、間違いなく上場前ですから、インサイダーにはなりませんな、これは。しかし、ただおかしいと。多分、思わない人はほかにいないと思いますよ。これはみんな、テレビ見ておられる方も、出ている名前もこれは、うん、なかなか意味深ですな、この名前、出ている名前もかなり意味深な名前がありますよ、ここには。
○西田昌司君 それで、今、麻生大臣が直感的に思われるそのとおりですよ。
 それで、問題は、これをちょっとこれからただしていかなきゃならないんですけれども、私は、もう一つちょっとびっくりするのは、今、この表を見てみてください。今、実際に誰が持っているかというあれなんですが、日本航空は、実は、今大体三八%程度外国人株主が持っているんですよ、外国人株主。ところが、航空法では、これはたしか三分の一以上持たせてはいけない形になっているんじゃないですかね、なっているんです。なっているんですけれども、三分の一を超えるものがなっている。
 この外国人株主の制限があるのはなぜなんでしょう、国交大臣。
○国務大臣(太田昭宏君) 航空法におきましては、外国人が、議決権の行使を通じて本邦、日本の航空会社の経営に影響力を及ぼすことを防止するという一点であります。
○西田昌司君 そのとおりですね。ですから、外国人がどんどん持って議決権を行使して、社会インフラがなくなっちゃうと困るという話なんですね。
 ところが、ANAもJALも同じように、これはそういう規定掛かるんですが、JALは今やっていますが、ANAはそれだけない、八・三、八%ぐらいしかないんです。ところが、JALは、定款を変更して、外国人でも配当しますと言っているんです。それは、議決権は行使させませんから株主は替えませんと。だから、議決権を行使させませんけれども配当はしますというのでは、外国人どんどん持ってくださいということは、議決権は行使しないけれども、そういうことになるんですよ。
 しかし、私は問題があると思うのは、そもそもJALが何で配当できるかといえば、過大な国民負担なんですよ。それが、利益が出て、その四割を海外に出す、これはまさに、まあちょっと下品ですが、売国的な話じゃないですか、これは。とんでもない。
 太田大臣、これはおかしいと思いませんか。
○国務大臣(太田昭宏君) 議決権の行使ということにつきましては、これは法的に禁じているということと、配当ということとはちょっとまた違う問題だという解釈をしております。
○西田昌司君 まあ、麻生大臣はおかしいと思われるでしょう。
○国務大臣(麻生太郎君) 形としては、国民の多大な税金を投入して借金棒引き、また特定の企業等々による借金を帳消しにした。そうしておいて、財務内容を良くしておいて、そして上場する前に特定の第三者割当てをやって、そして、それによって競争力が公取の話を借りるまでもなく著しく偏ったようなものになっているんじゃないかという状況になったという状況下にあって、税金によって助かった会社の利益の配当が国民に戻らなくて海外に行くということになっているという株主の形態自体はちょっと公平性を欠くのではないか、何となくちょっと腑に落ちにくいというのが率直な実感です。
 ちょっと今詳しく内容を知りませんので、今初めて聞いたところもいっぱいありますので、今の段階でお答えできるのはそこまでです。
○西田昌司君 いや、本当に、麻生大臣のその直感のとおりだと思いますよ、これは。国民、納得できないです。
 それから、そもそも、JALとANA、さっきちょっと経営力で比較しましたけれども、JALが圧倒的に強くなりましたね。その原因が、先ほど言いましたように、要するに過大な支援なんです。そして、問題は、今、この配当もそうなんですけれども、いわゆる会社更生法を適用してやりましたから、会社更生法上の繰越損失が九千億円ぐらい使われるんです。ところが、これは実際には銀行から債務免除を五千二百十億円されたり、それから資本金を再注入したりして、要するにお金は、キャッシュフローはありますから、担税力あるんですよ。担税力ある会社が要するに会社更生法上の特典を受けている。つまり、公的な資本注入と会社更生法、二つやったために、担税力がある企業がこういう特典を受けるんですよ。
 事務的に聞きますが、こういう二重の支援をしたケースありますか。
○政府参考人(田中一穂君) 会社更生法の適用会社に対します税制上の特例措置でございます。
 今先生御指摘のように、一般に会社更生法に基づく更生計画の認可を受けました企業につきまして、いわゆる企業再生税制としまして、資産の評価替えによる評価損失を計上できる、あるいは債務免除額等の一定の額に達するまで期限切れ欠損金を控除できるというのがございます。そのほか幾つも措置がございます。
 基本的に、この制度、法人税の一般的な制度でございますけれども、これを利用して、これが適用になった企業は幾つもございます。その中に公的な資金が入っているという企業もございます。
○西田昌司君 いや、私は、公的な支援と法的整理の二重支援は受けたことないというふうに聞いているんですが、違うんですか。
○委員長(石井一君) 主税局長。
○西田昌司君 いや、甘利大臣。
○国務大臣(甘利明君) お尋ねは、企業再生支援機構による公的支援と、それから会社更生手続、法的整理、この二つを併用した例はJAL以外にあるかというお尋ねだと承知をします。
 併用したものは、JAL以外ではウィルコムが一件あります。ただし、このウィルコムに対する基本の支援は債権者間の調整のみでありまして、JALのような融資、出資等の資金的な支援は行っておりません。
○西田昌司君 そういうふうに、要するにお金を入れてこの会社更生法、二重取りしているところないんです。
 そこで、麻生大臣に私もう一度お伺いしたいんですよ。こういうこと考えると、要するに本来担税力あるんです、JALの方は。ところが、今のままですと、一兆二千億円ぐらいの利益が累積するまでの間は繰越控除がありますから、一円の税金も払わなくていい。おかしいんですよ。そして、払わなかった税金の四割海外に配当しているんですよ。むちゃですよ。だから、私はこの際、別にJALを標的にしているんじゃないんです、公的なこの資本注入とそれから会社更生法の二つを使うのは、これは税法上、この特典はやめるなり、そういう新たな法律を作るべきだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(麻生太郎君) 正確にはちょっともう一回、西田先生の話だけなんで、調べてみないと、西田先生の言っている、疑うわけじゃないけど、これ仮にも調べないと、こういった話はきちんとした上で話をしないとおかしなことになりかねる可能性もありますので、調べた上で改めてお答えをさせていただきます。
○西田昌司君 我が党でもこのことについては検討しておりますので、またしっかりこれは御検討いただきたいと思います。
 それで、安倍総理、今までこの一連の話を聞いておられて、まさに民主党政権の一番良かった成果、唯一と言ってもいいけれども、彼らが自慢していたんですけれども、今更彼らの頭をたたくつもりないけれども、これかなり問題あると思うんです。
 だから、政府として、もう一度このJALの再生問題については徹底的な検証をすべきだと思いますが、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま質疑を聞いておりまして、これはやはり多くの課題と問題があるという認識が私の中にもあるわけでありまして、この問題についてもう一度よく、先ほど財務大臣からもお答えをいたしました、今後法制度が必要かどうかということも含めてよく検証してみたいと思います。
○委員長(石井一君) 西田君に申し上げます。
 問題の提起が非常に重要な国政に関する指摘だと思いますので、政府内において整理をされた後、理事会に報告をしてください。理事会で協議もしたいと思います。
 続行してください。
○西田昌司君 どうもありがとうございます。
 それでは、続きまして、TPPについてお伺いします。
 まず、安倍総理のTPPに関する基本的スタンスについて認識をお聞きしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) TPPについては、自由な貿易環境については日本にとって国益だろうと、このように思います。そして、TPPについては、聖域なき関税撤廃というものを前提条件とする以上交渉には参加しない。つまり、国益を守ることができるかどうかという観点から判断をしなければならないと、このように思っております。
○西田昌司君 それで、このごろ、聖域なき関税撤廃おっしゃるんですけれども、もちろんそれも大事ですけれども、いわゆる自民党は六条件言っていますよね。もちろんこれも考えられるということですよね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 国益を守るという観点から、六条件ということについて守るべきだという提言をいただいております。それにのっとって政府は判断をしていく考えであります。
○西田昌司君 そこで、そういう慎重な姿勢でやっていただくべきだと思うんですけれども、問題は、要するに農業関係者の方がTPPのデメリットを盛んに言われます。もちろん、農業関係は大変デメリットがあると思うんですけれども、そもそも私が分からないのは、TPPに入って何が得なんですかと、メリットがよく分からないんですが、メリットは何なんでしょう。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) このアジア太平洋地域の自由貿易、この体制をつくっていくということでありますが、つまり米国とこの太平洋のアジア側の国々が入る、これは新しい試みであります。その中において自由貿易圏をつくっていくことというのは、この地域の成長を日本は取り込んでいくことができるという観点から、これは交渉によってメリットを得ることができる。必ずメリットがあるかどうかということなんですが、それは交渉の結果、交渉力によるところもあるのではないかと、このように思います。
○西田昌司君 ちょっと事務局に事務的にお伺いしますが、そもそもTPPで十年間でどれぐらいのGDPが上がるかという話がありますが、どれぐらいGDPが増えると予想されているんですか。
○政府参考人(石井喜三郎君) お答え申し上げます。
 TPPの経済効果につきましては、現在、これを経済的に参照できる関税の部分につきまして、高い経済連携を前提とするということから、一〇〇%関税を即時撤廃するという前提で計算をした場合、参加国九か国、現在は十一か国になっておりますが、メキシコとカナダを除いた従前の九か国に日本が加わった場合、実質でGDPが〇・五四%、二・七兆円分全体として底上げされるという試算を公表いたしております。
○西田昌司君 これ、意外と少ないという私は印象なんですね。
 そこで、もう一つちょっと聞きたいんですが、いわゆるアベノミクスですよ。安倍総理の誕生によりまして円高是正が進んできたと。随分これで企業の収益も改善されていると思うんですけれども、まだよく分かりませんが、今どれぐらいのこの経済効果が上がっているというふうに認められるでしょう。
○政府参考人(石井裕晶君) お答えいたします。
 昨年十一月半ば以降の行き過ぎた円高の修正に加えまして、緊急経済対策、政府、日本銀行の共同声明で示された金融政策及び成長戦略の推進等によりまして、平成二十四年度の実質GDPの成長率は一・〇%程度、平成二十五年度は二・五%程度になると見込んでおります。
○西田昌司君 ですから、アベノミクスで二・五%上がってくると予想、そしてTPPは十年間で〇・五%GDP上がると。もう十分、安倍総理の登場で経済は活性化しているんじゃないでしょうか。どうでしょう。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この参加については、先ほど申し上げました姿勢で参加の条件についてしっかりと吟味をしていかなければいけないわけでありますが、このTPPについては、今政府からお答えをさせていただきましたが、少しでもこれはプラスになるものであったら、そしてまた、基本的な姿勢なんですね。
 やはりこのTPPに参加するかどうかということは議論をしていきますが、例えば、参加ということになった後ですね、さらには、例えばEU、そして東南アジアとどんどんそれは広がっていくわけでありまして、そのトータルで考えていくことも必要かもしれないと、このように思っております。
○西田昌司君 本当に安倍内閣の登場でとにかく経済的にはGDP成長しているんですよ。いいんです、これは。だから、是非どんどんアベノミクス、進めていただきたい。
 ただ、私、一番疑問なのは、要は、いいことはどんどんやっていこう、これもいいんですけれども、果たしていいことになるのかというそれが、メリットが見えてこないんです。
 それはなぜかといいますと、ちょっとこれを見てください。日本の自動車のメーカーの国内及び海外生産推移なんですね。御存じのように、日本の自動車メーカー、今年は世界一の生産国になりましたよ。ところが、どこで造っているんだといえば、日本は八百四十万台、海外で一千三百万台なんですよね。ですから、圧倒的に海外シフトなんですね。
 これから、要するに自由貿易協定で出てくるのはまさにこの問題でして、アジアの成長を取り入れるということは、アジアというのは日本よりも当然所得低いです。だから、日本で造ったものを、造っても売れません。当然、現地で造って売らないといけないんです、大きなものは。そうすると、やればやるほど、自由貿易協定で投資環境を良くするほど海外移転を進めるということなんです。
 海外移転が進められるとどうなるかというと、先ほど言っておられるデフレの話なんですよ。つまり、海外に雇用が行ってしまいますから、国内雇用が減っちゃうわけです。この自動車メーカーでも国内雇用はどんどん減っている。だから、二十年間このデフレが続いてくるんですね。
 だから、要するに何が言いたいかというと、この自由貿易協定というのは、TPPに限らず、要するに先進国にとっては国内空洞化なんですよ。後進国にとっては投資をしてほしいから賛成するのは分かるけれども、我々先進国側はそこを非常に注意して、日本のこの国力が海外にそがれてしまう、これを止めるべきだと。そして、安倍内閣が目指しているデフレ脱却というのはまさにそこにメスを入れて、今までデフレで出ていったものは何なのかといえば、こういう構造なんですよ。
 だから、ここはもう少し慎重にこういうことも含めて考えていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○委員長(石井一君) 茂木担当大臣。
○国務大臣(茂木敏充君) TPPの担当ではありません。
 自動車の海外生産、委員おっしゃるように、今六割が海外という状態でありまして、十年前が四割でしたから、海外生産比率は明らかに上がってきております。
 恐らく理由三つありまして、その一つは、日本、デフレで国内の市況が落ち込んでいると。十年前と比べますと、大体七割になっています。一方で、アジアを始めとする新興国、一・三倍ぐらいに海外市場が伸びている、こういうこともあると思います。それから二つ目には、やはり円高が続いてきたと、これによってやっぱり海外にシフトが起こっていると。今、是正がされつつあります。そして、三つ目でありますけれども、法人税を始めとしますいわゆる事業環境、さらには国境措置、関税の問題。日本の場合は自動車の関税はありません。アメリカは自動車で二・五%、トラックで二五%。そしてまたTPP参加国、ここの中で、トラック若しくは自動車、さらには両方について関税を持っている国が八か国という形でありまして、今、日本の場合、年間、この十一か国に対して四千七百億円の関税を払っておりまして、そのうちの半分ぐらいが自動車です。
○西田昌司君 ちょっと質問の意図と違うところの話ですから、忘れましょう。
 それで、要するに私が言いたいのは、安倍内閣の政策課題の一丁目一番地はデフレ脱却なんですよ。経済成長をやっていくのは内需による経済成長がメーンであって、これは要するに企業の、日本のGNIといいますか、配当は増えますよ、配当は増えるんだけど、GDP、つまり雇用換算されるものが増えないという、この現実を是非、安倍総理に御理解いただいて、交渉するかどうかということも含めて判断いただきたいということをもう一度御確認させていただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 自動車、先ほどの自動車を例に挙げられましたが、確かに海外での生産が増えてきているんですが、しかし、関税障壁がこれによって取り除かれることによって国内で生産した自動車を販売しやすいという状況はできていくわけでありますが、いずれにせよ、今、西田委員が御指摘になったような点も含めて総合的にこれは判断をしていきたいと、このように思います。
○西田昌司君 与党ですのでこの程度でこれは終わって、ポスト円滑化法。まあ、あとは野党の人やってくださいね、どんどん。
 それで、ポスト円滑化法なんですよ。麻生大臣、これ三月末で切れるんですけれども、これ全く影響ないでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) 先ほどほかの委員の方々の御答弁に甘利大臣等々、皆答弁をしておられますけれども、基本的に会社の中、五万社、六万社が多分それの対象になるであろう、そのまた中で絞っていくと何千社かというところになってくるであろうと想像はしております。想像はしておりますが、ただ、基本的に各金融機関、特にこれは大銀行、都市銀行よりは信用金庫、地銀、第二地銀等々に対して、私どももう、この三月末、終わった後いきなり、はい、さようならというような形は駄目ですよと。これ、せっかく今こう上がってきているところがありますので。ただ、これまで簡単に言えば手形のジャンプをさせているところがいっぱいあるわけですから、そういったところを含めまして対応は各会社によって随分内容が違いますので、一律にということはとてもできませんと。
 したがって、信用金庫などなど現場でおられる方の方がその会社の内容をよく御存じのとおりなんで、そちらの方々の判断というものを我々としては大事にしますが、基本的には企業というものを、今やっとこうなってきているんで、育ててやる、チャンスがあるならもう少し伸ばしてやると、そういう姿勢で臨むか、とにかく債権の確保に走るかじゃもう全く対応が変わることになりますので、そういったことのないようにということで、私ども、政務官、副大臣全部決めて、各都道府県全部、全県この三月末までにその態度につきましてきちんとするような対応を指示したところであります。
○西田昌司君 要は、期限が切れてもその要するに金融機関の対応は変わらないはずだと、こういうことですね。もう一度お願いします。
○国務大臣(麻生太郎君) 例外が一個もないなんというような話を作られると、こういうのは議事録だけ残って後で独り歩きされるとこれはえらいことになりますので、基本的に、いろいろな企業によって対応は違います、内容は違うとは思いますが、基本としてこれまでの対応を変えるということはございません。
○西田昌司君 ありがとうございます。
 それで、問題は、とはいうものの、五、六万社が転廃業が必要じゃないかという、そういう報告もあるんですね。そこで、そういう方々をどうするかということなんですが、時間がないのでもう言いますが、DDSという、要するに劣後債的な長期的な資本だという解釈でやっていこうじゃないかという制度を金融庁などこれは指導されているという話なんですが、この制度についてちょっと御説明いただきたいんですが。
○国務大臣(麻生太郎君) これは、劣後債というのは余り過去やったことがないので、うかつなことを言うとちょっと問題になりますので事務方にさせます。これはちょっと、分かった者同士でやると単語が飛んじゃいますので、ちょっと。
○委員長(石井一君) それでは、金融庁検査局長、簡潔に願います。
○政府参考人(桑原茂裕君) お答え申し上げます。
 今先生がおっしゃいました劣後債、DDSと申しておりますけれども、既存の融資を融資先の経営改善支援などのために債権回収の順位が他の債権に劣後する劣後ローンに転換するといったものでございます。なお、そのうち、特に貸付条件が長期間償還不要であるなど借入金でありながらも資本に準じた性質を有している融資に転換するものを資本性借入金と、そう称しております。
○西田昌司君 そういうふうに、簡単に言うと、催促なしのあるとき払いやったろうというんですよ。こんな有り難い制度ないんですけれども、しかしこれ、実際なかなかやっていないんです。まだできたところだということもありますが、しかし、それやらないのは、やっぱり銀行側にメリットないと、金融機関側にメリットないとやらないと思うんですが、その辺のメリットはどういうふうに考えておられるんですか、これ。
○政府参考人(桑原茂裕君) 金融機関側にとってのメリットでございますけれども、まず融資先の資金繰りが改善することになります。そこで、経営改善の見通しが立てやすくなるため、融資先の債務者区分のランクアップが見込み得るなどのメリットがございます。
 また、そのほか、金融機関におきましては、従来、既存の融資を資本性借入金に転換した場合の貸倒引当金については税務上損金処理をしてまいりませんでしたが、今月の五日、国税庁とも調整の上、資本性借入金に関しまして、例えば特定調停を経たものなどについては金融機関の損金処理が認められることについて明確化を行いまして、その周知を図っているところでございます。
○西田昌司君 これは非常にメリットがあると思いますね。ですから、是非これを進めていただきたいんです。
 それで、国交大臣にちょっとお尋ねするんです。
 これは、今金融庁側はこういう資本的なものとみなすという形の読替えをするんですけれども、これ実は公共事業等も、発注する審査、財産的要件の場合にいわゆる債務超過では駄目だとかいろいろあるんですよね。だから、そのときにこういう読替えを国交省側もすると、非常に今公共事業出てくるんですけれども、受入先が非常に少ないんですから、これ受入先を増やすためにもいいんじゃないかと思うんですね、そういう読替えが。いかがでしょう。
○国務大臣(太田昭宏君) DDSを活用するというか、建設業。建設業は大きな物件、あるいは家を建てたりいろんなところで、途中で倒産をしたりというようなことが結構今まであったりしてきまして、この建設業の許可については、財産や様々なもので許可ということについては制限を掛けてきたところでございます。
 御指摘の案件については非常に大事な御指摘だと思いますので、なかなかこれ難しいとは思いますが、検討させていただきたいというふうに思います。
○西田昌司君 ひとつ検討をお願いします。
 もう時間がなくなっちゃったのでちょっと、もう突然飛びますが、佐藤正久政務官、おられますか。
 アルジェリア事件見ましても分かりますように、邦人が海外で頑張っているんですが、もしものときにこの邦人輸送というのが非常に大事な課題だということがはっきり分かりました。
 佐藤政務官は元自民党の防衛部会長で、これについての法案取りまとめ等をされたんですね、前に。この辺の問題点についてちょっと教えていただきたいと思います。
○大臣政務官(佐藤正久君) 西田委員にお答えいたします。
 御指摘の議員立法は、私が自民党の国防部会長当時、部会で取りまとめ、総務会等の党内手続を経て国会に提出させていただいたものであります。
 中身のやっぱり主要な点は、自衛隊法を改正をして、緊急時の輸送経路上の安全が必ずしも担保されていないという環境下においても、自衛隊が邦人等を避難しているホテルあるいは大使館等から空港、港湾まで輸送を可能にすると、陸上輸送を可能にするというものであり、その警護担当自衛官には邦人輸送のための必要最小限の武器使用を認めているというものであります。
 最大の論点は、警護任務自衛官の武器使用と憲法九条一項との法的な整理でありまして、イラク特措法のように非戦闘地域というものを設定して武器使用権限を与えてはどうかという議論もありましたけれども、緊急時の邦人輸送の実装とかあるいは緊急性というのを考えると、それはそぐわないと、また、現場の隊員に物すごい負担を掛けてしまうということから、そういう方式は取りませんでした。
 結論として、邦人保護は国家の責務であり、緊急時の邦人輸送のための限定的な武器使用は、憲法九条一項で言う国際紛争を解決するための武力の行使とは一線を画するという形で整理をさせていただきました。
 西田委員御案内のとおり、海外において自衛隊の武器とか車両、通信機を守るための武器使用は、相手が国又は国に準ずる組織であっても認められております。
 他方、邦人輸送の警護で武器が使えないと、やっぱりこれはおかしいのではないかと。つまり、自衛隊の車両は守ることができても邦人を守れないという、これはおかしいということから、この新たな整理をさせていただきました。
 国際法上も、他国にいる自国民、自国の国民が急迫不正の重大な侵害があった場合、ほかに救済の手段がないという場合においては、当該自国民を保護、救出するためのその本国が必要最小限の武力行使することは国際法上は自衛権の行使として認められる場合があると。つまり、ある一定の条件下では邦人保護は自衛権の行使だということから、次のようにこの法案では整理をさせていただきました。
 緊急時の邦人警護・輸送の武器使用は、次の三点から、憲法九条第一項の武力行使には該当しない武器使用と整理しました。
 一、外国で保護を要する自国民を保護するのは国家として当然の責務であり、邦人の生命又は身体の保護のために必要がある場合には、国家として邦人を避難させることが必要である。二、邦人の避難措置は邦人の避難が必要な場合に行われるものであり、その内容も避難のための輸送とその際の警護という邦人の避難のための必要最小限の行為である。三、邦人の避難措置の際の武器使用は、邦人の生命、身体に対する侵害や避難措置に対する妨害行為を受けた際に行使できる受動的、限定的な権限であり、その程度も合理的な限度にとどまるということから、法的な整理をさせていただきました。
 以上です。
○西田昌司君 しっかり頑張ってください。
 丸川政務官、生活保護制度を見直して、まあ減額するという話なんですが、困窮者対策もしっかりやらなきゃならないと思うんですが、いかがでしょうか。
○委員長(石井一君) それでは、厚生労働大臣政務官丸川珠代さん。
 今日の委員会はこれで打ち止めとしたいと思いますから。
○大臣政務官(丸川珠代君) 西田委員にお答えを申し上げます。
 この度の改正は、弱い者いじめといいますよりは、食費であるとかあるいは光熱費が含まれております生活扶助費、これに相当する消費の実態が、実際にはデフレであったんですが、扶助費の方は高止まりをしておりました。この高止まり分を是正するということと、あともう一つは、年齢それから世帯の人員、地域によって差があるものを、そのゆがみを是正したということになります。住宅に係る住宅扶助費やあるいは教育に係る教育扶助費には手を着けておりません。
 ここから肝心なんです。是非、生活保護の手前に私たちは新しいセーフティーネットをつくりたいと思っているんです。生活困窮者の支援策でございますが、既に実施をしております離職して住まいを失った人に家賃相当の手当てをするというようなことに加えまして、生活困窮家庭の子供たちのための補習塾のような学習支援であるとか、あるいは規則正しい生活を送ったりとか、それから社会的コミュニケーション能力を高めるような訓練、こういうものをきちんと法制化をして予算を付けたいと思っております。予算を付けることに難渋しておりますので、是非、西田委員には御支援を賜りたいと思います。
○西田昌司君 ありがとうございました。
 森まさこ大臣と山本一太大臣にも質問あったんですが、時間が来ましたので、これで終わります。
 ありがとうございました。
○委員長(石井一君) 以上で西田昌司君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 残余の質疑は明日に譲ることといたします。
 次回は明十九日午前九時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十九分散会