第183回国会 予算委員会 第18号
平成二十五年五月十五日(水曜日)
   午前九時二分開会
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   委員の異動
 五月十四日
    辞任         補欠選任
     藤末 健三君     難波 奨二君
     石井みどり君     赤石 清美君
     丸山 和也君     山田 俊男君
     山本 博司君     草川 昭三君
     中西 健治君     行田 邦子君
     広野ただし君     平山 幸司君
     山下 芳生君     井上 哲士君
     谷岡 郁子君     舟山 康江君
     福島みずほ君     山内 徳信君
     片山虎之助君     水戸 将史君
     舛添 要一君     荒井 広幸君
 五月十五日
    辞任         補欠選任
     大久保潔重君     轟木 利治君
     加賀谷 健君     武内 則男君
     加藤 敏幸君     高橋 千秋君
     難波 奨二君     藤末 健三君
     前川 清成君     櫻井  充君
     行田 邦子君     中西 健治君
     井上 哲士君     田村 智子君
     舟山 康江君     谷岡 郁子君
     山内 徳信君     福島みずほ君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         石井  一君
    理 事
                小川 敏夫君
                小林 正夫君
                白  眞勲君
                松浦 大悟君
                青木 一彦君
               北川イッセイ君
                山崎  力君
                谷合 正明君
                小野 次郎君
    委 員
                大河原雅子君
                大久保潔重君
                加賀谷 健君
                川上 義博君
                小西 洋之君
                櫻井  充君
                田中 直紀君
                高橋 千秋君
                武内 則男君
                徳永 エリ君
                轟木 利治君
                難波 奨二君
                藤末 健三君
                前川 清成君
                牧山ひろえ君
                赤石 清美君
                岩井 茂樹君
                宇都 隆史君
                岡田  広君
                岸  宏一君
                末松 信介君
                谷川 秀善君
                中川 雅治君
                西田 昌司君
                野上浩太郎君
                藤川 政人君
               三原じゅん子君
                山田 俊男君
                草川 昭三君
                横山 信一君
                渡辺 孝男君
                行田 邦子君
                中西 健治君
                平山 幸司君
                森 ゆうこ君
                井上 哲士君
                田村 智子君
                谷岡 郁子君
                舟山 康江君
                福島みずほ君
                山内 徳信君
                水戸 将史君
                荒井 広幸君
   国務大臣
       内閣総理大臣   安倍 晋三君
       財務大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(金融)
       )        麻生 太郎君
       総務大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(地方分
       権改革))    新藤 義孝君
       法務大臣     谷垣 禎一君
       外務大臣     岸田 文雄君
       文部科学大臣   下村 博文君
       厚生労働大臣   田村 憲久君
       農林水産大臣   林  芳正君
       経済産業大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(原子力
       損害賠償支援機
       構))      茂木 敏充君
       国土交通大臣   太田 昭宏君
       環境大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(原子力
       防災))     石原 伸晃君
       防衛大臣     小野寺五典君
       国務大臣
       (内閣官房長官) 菅  義偉君
       国務大臣
       (復興大臣)   根本  匠君
       国務大臣
       (国家公安委員
       会委員長)
       (内閣府特命担
       当大臣(防災)
       )        古屋 圭司君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(沖縄及
       び北方対策、科
       学技術政策、宇
       宙政策))    山本 一太君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(消費者
       及び食品安全、
       少子化対策、男
       女共同参画))  森 まさこ君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(経済財
       政政策))    甘利  明君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(規制改
       革))      稲田 朋美君
   副大臣
       財務副大臣    小渕 優子君
   政府特別補佐人
       内閣法制局長官  山本 庸幸君
       原子力規制委員
       会委員長     田中 俊一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小野 亮治君
   政府参考人
       外務省アジア大
       洋州局長     杉山 晋輔君
       文部科学省研究
       開発局長     戸谷 一夫君
       厚生労働省健康
       局長       矢島 鉄也君
       資源エネルギー
       庁長官      高原 一郎君
   参考人
       日本銀行総裁   黒田 東彦君
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  本日の会議に付した案件
○平成二十五年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○平成二十五年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○平成二十五年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
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○委員長(石井一君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 平成二十五年度総予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。
 本日は、まず外交・内政の諸問題に関する集中審議を行うこととし、質疑は往復方式で行い、質疑割当て時間は二百四十四分とし、各会派への割当て時間は、民主党・新緑風会百七分、自由民主党・無所属の会十分、公明党十分、みんなの党二十六分、生活の党二十六分、日本共産党十三分、みどりの風十三分、社会民主党・護憲連合十三分、日本維新の会十三分、新党改革十三分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。
 また、集中審議終了後、締めくくり質疑を六十二分行うこととし、各会派への割当て時間は、民主党・新緑風会十八分、自由民主党・無所属の会六分、公明党六分、みんなの党六分、生活の党六分、日本共産党四分、みどりの風四分、社会民主党・護憲連合四分、日本維新の会四分、新党改革四分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。
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○委員長(石井一君) 平成二十五年度一般会計予算、平成二十五年度特別会計予算、平成二十五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、まず外交・内政の諸問題に関する集中審議を行います。
 これより質疑を行います。小川敏夫君。
○小川敏夫君 おはようございます。
 アベノミクス、いわゆる金融緩和、円安になりまして株が上がってと、現象面では取りあえず今日のところまではいい状況で来ておったようでありますが、しかし、そうした政策について、やはり副作用なりリスクというものがあると思います。
 ここに来て、急に長期金利が上昇いたしました。私はこれは非常に深刻な注意しなければならない現象が起きたというふうに思っておりまして、あるいは安倍総理が描いていた金融緩和、もうこれで終わりではないかということさえ思えるような事実だというふうに思っております。
 まず初めに質問いたします。
 政府と日銀総裁で、まだこれは白川総裁のときですが、共同声明を発表いたしました。まさに物価目標を掲げて金融緩和するということでございます。今年の一月二十二日のものでございまして、その共同声明の内容を今資料として、これ別紙だけの一枚でございますが、お届けしてあります。ここでも、金融緩和進める上においてリスクがあるということをきちんと認識しておられます。
 それで、総理に対して質問させていただきますが、そのリスクについて、この二項の終わりから二行目ですか、そのリスクはこういうふうに書いてあります。「金融面での不均衡の蓄積を含めたリスク要因を点検し、」と非常に難しい言葉で書いてありますが、金融面での不均衡の蓄積を含めたリスクがあるということを想定しておられると思うんですが、ここで言うこの金融面での不均衡の蓄積を含めたリスクというのは分かりやすく言うとどういうリスクなんでございましょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この今進めております大胆な金融緩和でありますが、我が国は、バブル崩壊以降、長年にわたるデフレの中で莫大な国民の所得と産業の競争力が失われたわけでありまして、賃金も伸びていない。これまでの累次の経済対策によってデフレから脱却できなかったのは事実であります。だからこそ大胆な金融緩和を行う、三本の矢のうちの第一本目であります。当初は、そういうことを行ったとしても為替市場やあるいは株式市場に働きかけることはなかなか難しいという議論もあったわけでありますが、現在のところ結果が出ているわけでございます。
 そこで、政府と日本銀行の共同声明において日本銀行が二%の物価安定目標を設定し、これをできるだけ早期に実現すべく量的・質的金融緩和を導入したことは金融政策の枠組みを大きく見直した画期的なものであって、固定化したデフレ予想を払拭することに資するものであったと、こう思うわけであります。
 そして、この中において、一般論として言えば、量的・質的金融緩和の下、日本銀行が多額の国債買入れを行うことにより……(発言する者あり)これからお答えをいたしますから。日本銀行が多額の国債買入れを行うことによって債券市場に大きな影響が生じ得ることは確かでありまして、こうした観点から、日本銀行は、市場参加者との間で金融……(発言する者あり)今ちょうど説明をしている最中なんですよ。こうした観点から、日本銀行は、市場参加者との間で金融市場調節や市場取引全般に関してこれまで以上に密接な意見交換を行う場を設けることとしていると承知をしているわけでありまして、適切に対応されることを期待をしているわけでありまして、政府としては、国債の安定消化などの観点から、債券市場の動向を常に注視をしていく考えであります。
○小川敏夫君 質問に的確に答えてください。共同声明の内容あるいはそうした二%の金融緩和の必要という一般的なことを聞いているわけではありません。このリスク、最後に総理、一言言われました国債市場に関すること、まさにそこがリスクなんですよ。(資料提示)
 国債の価格が下がる。つまり金利が上がるということは国債の価格が下がるわけです。これは、金利が上がればもちろん住宅ローンの金利も上がるでしょうから景気に影響が良くないということもありますが、もっと深刻なのは国の財政問題です。
 これは二月の質問の際にも使わせていただきましたが、この利払い費と金利の推移、つまり国債というのは借金ですから、この借金の利息を毎年幾ら私たちの税収の中から払っているかというのを書いた表です。この青色の線、利払い費、平成二十四年は八・四兆円でありました。実は、一番この表で利払い費が多かったときは、平成四年、十兆八千億円です。このときは、公債の発行残高は百七十八兆円であります。平成二十四年、公債の発行残高は七百十三兆円。
 元本がこんなに増えているのになぜ利払い費が減っているかというと、金利が下がっているからです。しかし、この金利が上がりますと、元本が大きいわけですから、利払い費が一気にかさむわけです。僅か四十兆、五十兆円しかない税収のときに、今でも十兆円近いこの税金を借金の利息の支払に充てておるわけであります。
 これは、例えば、単純に全ての国債の借金が一%上がったからというわけではありませんが、国の借金一千兆円、もしその利息が一%上がれば、それだけで十兆円ですよ。つまり、国債の発行価格が下がる、すなわち高い金利でしか国債を発行できなければ、新発債だけじゃなくて国債の借換債の金利も高くなるということで、利払い費が急激に増えるんです。今のままでも元本が膨らみますから、こうして鎌首を上げてきた。ずっと低い金利の中で利払い費はやや低い状態で落ち着いてきたけれども、上昇する傾向にある中で、更に金利が上がったら、まさに税収の中から途方もないお金を利息として支払うだけのことになって、日本の財政は破綻してしまう。まさにそのリスクがあるからこれしっかり注視しなければならないということを政府と日銀との間で確認したわけです。
 さらに、総理に答弁いただくと時間がすごく長くなっちゃうんで私が説明させていただきますけれども、今、日本の金融機関は途方もなく大きい国債を所有しております。これは二〇一二年度中間期末ですけれども、預金取扱いの金融機関で三百五十兆円、生命保険会社で百四十七兆円、合わせて約五百兆円です。
 これ、金利が上がるということは国債の評価額が下がるということなんですよ。じゃ、日本の金融機関、しこたま抱えているこの国債の評価額が下がったら、日本の金融機関の財務体質は一気に劣化してしまうんです。大変なことですよ、これは。これも単純計算ですけど、例えば五百兆円のこの国債、もし国債の価格が一%下がったら、それだけで日本の金融機関は五兆円のロスを抱えちゃうんですよ。まさに日本の金融システムあるいは国家財政というものが破綻するほどの大きなリスクを抱えているから、まさに大きなリスクを、ここで日銀と政府との間で、言いました、金融面での不均衡の蓄積を含めたリスク、まさにそれなんですよ。そのリスクが、ここ二、三日、金利が上昇する、国債の価格が下降するという形で顕在化したんですよ。
 私は、これはもうこれまでの安倍総理が言う金融緩和、二%の円高を目標としたこの途方もない金融緩和政策、リスクが現に発現したということで、これからは続けられない。私は、安倍総理が掲げてきたこの金融緩和政策、終わりが始まったなというふうに思うんですが、総理、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、そうしたリスクも含めて、言わば、先ほど委員が紹介をしていただいたように、政府と日本銀行の間で共同声明という形で出させていただいて、当然これ政府と日本銀行が共有するものであります。
 そこで、先ほど私が説明をさせていただいたわけでありますが、だからこそ言わば日本銀行も市場との対話をしっかりと重視をしていくということになるわけでありまして、金融市場の調節や市場取引全般に関してこれまで以上に密接な意見交換を行う場を設けていくということであります。
 当然、金融機関は多くの国債を所有をしているわけでありますが、同時に株も所有をしているわけであります。もちろん、この国債の言わば動向については先ほど委員が御指摘されたリスクも含めてしっかりと注視をしながらも、同時に、各金融機関や一般の企業もそうなんですが、株を所有している中において、株価の上昇は明らかにプラスには、そちらの面においてはなっているということも見ておく必要があるんだろうと、このように思います。
○小川敏夫君 金利に関していえば、これまで政府は、どんどんどんどん資金を供給するんだから、だからどんどんどんどんお金がたくさん増えるから借りる人の金利は下がると、下がるに決まっているという説明でした。実際に下がっておりました。
 しかし、よく考えてみれば、物価が年々二%上がっていってお金の価値がどんどん下がるときに、そんな〇・何%の債券を買う、まさに目減りしちゃうものをみんな買いますか。あるいは、国債をどんどんどんどん発行すればどんどん国債の信用というものがやはり少しずつ減っていく、そうした信用を失った国債というものをみんな買いますか。
 やはり私は、非常に危険なリスクというものが安倍総理が掲げているこの金融緩和策にはある、余りにも急激なことをやるから無理があると思います。その無理な現象が現に出てきているので、日本の金融システム、銀行がまた突然財務体質が急激に悪化したり、あるいは深刻な我が国の財政が破綻が目に見える形で現れてくるようなことにならないようにしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思いますが、私としては、この安倍政権の金融緩和政策、終わりが始まったのかなという感想を述べさせていただいて、次の質問に移ります。
 外交・防衛問題ですけれども、総理、一つお伺いしますが、過去の日本あるいは日本軍は中国に侵略をしたという御認識はお持ちでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この過去の問題でございますが、日本と中国というのはお互いに言わば隣国でありますから、長い歴史を共にしているわけでございます。その間、実際にこれは様々な出来事があったわけでございますが、さきの大戦、また過去において中国の人々に対して大きな被害を与えたこと、大きな苦しみを与えたことに対して我々は痛惜の念を持っているわけでございまして、そうしたものの反省の上に立って今日の日本のこの現状があるわけでございまして、まさに自由で民主的な、そして法の支配を尊ぶ、基本的な人権を守っていくという、そういう国をつくってきたと、こういうことであります。
○小川敏夫君 ずばり総理は質問に答えていない。つまり、中国の人々に苦しみを与えた、だから反省するというのはあるんだけれども、その前提として、私が聞いているのは、侵略したと村山談話でも政府は認めておるわけですし、その後の政府も認めておるわけですけれども、総理、あなた自身は、今の答弁でも明らかなように、侵略したということについては一言もおっしゃらなかった。これまでの国会答弁もそうだから私は重ねてここで聞いておるんです。
 村山談話を継承するとか、そういう抽象的な言葉は除いてください。総理、あなた御自身の認識で、かつて日本は、あるいは日本軍は中国に侵略したのですか。あるいはあれは侵略ではなかったんですか。そこのところをはっきりと総理の認識を教えてください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私は今まで日本が侵略しなかったと言ったことは一度もないわけでございますが、しかし、言わば歴史認識において私がここで述べることは、まさにそれは外交問題や政治問題に発展をしていくわけでございます。言わば私は行政府の長として、言わば権力を持つ者として歴史に対して謙虚でなければならない、このように考えているわけでありまして、言わばそうした歴史認識に踏み込むことは、これは抑制するべきであろうと、このように考えているわけでございます。つまり、歴史認識については歴史家に任せるべき問題であると、このように思うところでございます。
○小川敏夫君 総理、総理は外交問題に発展するからといって答弁を逃げていらっしゃるけれども、そうして逃げていることが外交問題に発展するという御認識は持ちませんか。(発言する者あり)
○委員長(石井一君) 静粛に願います。
○小川敏夫君 すなわち、日本政府はこれまで明らかにはっきりと侵略ということを認めて、その上で謝罪しておったわけであります。
 総理は先般の国会で、侵略という言葉にもいろんな定義があり、いろんな意味があるというふうにおっしゃられました。では、その言葉を踏まえて質問しますと、では、侵略という言葉の定義のとらえ方によっては侵略したとも言えるかもしれないけれども、侵略という言葉の定義のとらえ方によってはあれは侵略ではなかったと、こういうふうに総理は考えていらっしゃるわけですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) つまり、それは、今委員が議論しようとされていることこそ歴史認識の問題であって、そこに言わば踏み込んでいくべきではないというのが私の見識であります。つまり、ここで議論することによって外交問題あるいは政治問題に発展をしていくわけであります。つまり、歴史家が冷静な目を持って、そしてそれは歴史の中で、まさに長い歴史とそして試練にさらされる中において確定をしていくものでもあるということだろうと思いますが、つまりそれは歴史家に任せたいと、こういうことでございます。
○小川敏夫君 いや、これまで日本政府は、日本が侵略したことを認めた上で謝罪しておったわけです。しかし、それを今、総理、あなたが認めないからこそ外交問題になっているわけですよ。日中関係が悪化している、あるいはアメリカの議会調査局が懸念を示しました。
 では、侵略の次に、続いてもう一つ聞きます。
 韓国あるいは朝鮮半島に対する植民地支配、これも、政府は植民地支配を認めて、その上で謝罪しておったんですが、安倍総理は日本が韓国を植民地支配をしたという認識はお持ちですか。あるいは違う認識なんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 韓国あるいは朝鮮半島の人々に対して日本は過去大変な被害を与え、そして苦しみを与え、まさにその痛惜の念、反省の上に立って今日の日本があるわけでございまして、その上に立って、自由で民主主義な、そして基本的人権を尊ぶ、法の支配を守る国としての今日の歩みがあるわけでございます。その中において、まさに我々は、今申し上げましたように、国際社会において大いなる貢献をしてきたところでございます。
 先ほども申し上げましたように、言わば歴史認識にかかわることについては、私がここで様々なことを申し上げることは、これは政治問題、外交問題に発展をしていくわけでございますから、これはまさに歴史家に任せる問題であろうと、このように思います。
○小川敏夫君 私は、今総理も、また今、これまで政府が認めてきた植民地支配ということを、私は植民地支配という言葉を端的に聞いているのに、その植民地支配という言葉については結局一言も触れなかった。米議会の調査局がまとめた資料、あるいは、私は先日テレビ中継がないところで質問しました、米政府の高官が日韓関係を憂えていると、もっと日韓関係についてきちんと友好関係築くように努力してほしいと、こういった見解が米政府から表明されておりました。
 私はここで抽象的に聞きますが、アメリカ政府が日中関係、日韓関係今悪くなっているからと憂えている、その悪くなっている原因はどういうことにあると総理は今、では日韓関係だけに絞って聞きましょう。今、日韓関係がぎくしゃくしていると言われている、あるいは米国政府もこの日韓関係がぎくしゃくしていることについて非常に心配していると。では、日韓関係が今ぎくしゃくしている原因はどこにあると総理は認識していますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず申し上げておきたいことは、私は、首脳会談を行いました。その際、言わばそうした今委員が指摘をされたような日本側の姿勢に対する懸念は示されたことは一度もないということははっきりと申し上げておきたいと思います。誤解を与えないようにしないと、国民の皆様に対してですね、しないといけないと、このように思うわけでございまして、日米の同盟関係は微動だにしていないということははっきりと申し上げておきたいと、このように思います。それは民主党政権時代と大きく違うところであります。
 そして同時に、日韓関係についていえば、これはまさに李明博政権において大統領が竹島に上陸をし、そして言わば日本側の抗議が、これは民主党政権において起こったことでございます。民主党政権下において韓国の大統領も竹島に上陸をする、あるいはロシアのメドベージェフ大統領も北方領土に上陸をするということが発生をしたわけでございますが、その中において、この状況の中において日韓関係が言わば良好な関係とは言えないという状況になった、そのまま今日に至っているということでございます。
○小川敏夫君 もう総理の答弁がまた海外に発信されるでしょうけれども、またますます総理の外交姿勢というものが国際社会から見放されるんじゃないかというふうに思いますよ。
 まず、総理は私の質問以外に余計なことを答えましたけれども、民主党政権のときに日米関係がひどく悪くなったというふうにおっしゃっていますけれども、民主党政権の時代でも、尖閣諸島は日米安保の範囲だということは米政府は表明してきちんと日米同盟を支えてくれましたし、別に変わっていないですよ。
 それからもう一つは、何か民主党時代に韓国の大統領が竹島に行った、これは事実ですけれども、じゃ、竹島が、無人島だった竹島を韓国の実効支配を許したのはどこの政党の時代ですか。自民党の政治の時代じゃないですか。
 さて、まず総理が余計なこと言ったんで余計なことについて反論しましたけど、私の質問の一番の中心ですけれども、総理は、今、日韓関係がぎくしゃくしている原因は総理は一つしかお述べにならなかった。すなわち、昨年、民主党政権時代に韓国の李明博当時の大統領が竹島を訪問した、日韓関係がぎくしゃくした原因についてその一つしかお話しにならなかったけど。
 日本側、あるいは安倍総理、あなたとして、あなたにも言い分があるかもしれない、総理自身にも言い分があるかもしれないけれども、少なくとも韓国の人が、韓国民が、あるいは米国政府なりマスコミが憂えていることについて、日韓関係がぎくしゃくした原因はどうも総理自身の発言なり行動にあると思うんですが、その点、日本側、安倍政権になってからの日本側あるいは安倍総理の行動で何か原因があるというふうに思い当たる点はないんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 日韓関係でありますが、私は、まさに韓国というのは日本と自由や民主主義、そうした普遍的価値を共有する大切な隣国であると思っておりますし、新しい指導者朴槿恵大統領が誕生した中において電話会談も行ったわけでございます。この両国の対話が進み、そして関係が強化をされていくことは日本の国益だろうと、こう思うわけでございます。
 今後とも日韓関係が更に発展するように私は努力をしていきたいと、こう考えているところでございます。
○小川敏夫君 私は、日韓関係がぎくしゃくしていることについて、総理、あなた自身の行動なり今の日本政府の行動について何か原因として思い当たることがないかと聞いたんですけれども、何も答えないから、思い当たる節はない、何も悪いことはしていないというふうな答弁だというふうに思いますが、またそこでも国際社会からは見放されたことになる、まさに今の日本の外交を孤立化、日本を孤立化させる方向に動いているのはまさに総理の姿勢だというふうに思いますがね。
 日韓関係で更にもう一つ聞きます。
 日韓関係においては、やはり従軍慰安婦ということが一つの問題としてありますが、私、総理がまだ総理になる前の、今回の総理になる前の発言で、ちょっとこの河野談話に関して見逃してはならない発言がありました。すなわち、総理は国会の答弁でもそういう発言をしたことを認めておられましたけれども、我が国の軍人が民家に立ち入って無理やり婦女子を連行してきたような事実はないのに、そういったことが河野談話が認めているから日本の評価がおとしめられているというような発言がありました。こうした発言をしたことが、総理も国会の答弁で認めていらっしゃいますけれども、実は河野談話はこの従軍慰安婦に関して、軍の一定の関与は認めていますけれども、河野談話自身は、そんな軍が強制的に民家に立ち入って婦女子を連行するようなことの軍の強制行為があったということは認めていません、一言も記述がありません。
 そうすると、総理、あなたは、全くありもしない事実が河野談話によって認められたというふうに虚構の事実を結び付けて河野談話を否定しているんですよ。こういう発想方法というのはやはりおかしいんじゃないでしょうか。河野談話について何らかの意見をお持ちなら、河野談話の正しい談話の中身を読んで意見を言うのはいいけれども、河野談話で認めていないことを日本軍がそんなひどいことをしたんだということを河野談話が認めたといった形で河野談話を否定するやり方はおかしいと思いますがね。
 どうですか、そこら辺の、その発言したことと、その発言の真意とか、そこら辺についてちょっと御説明いただけませんか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 河野談話については、まさに官房長官の談話でありますから、安倍内閣としては官房長官がお答えをするということになっております。
○小川敏夫君 ちょうど、今は第二次安倍内閣ですか、平成あれ十七、八年ごろですか、安倍総理が第一次安倍総理のときに、ちょうどこの参議院の予算委員会の場で私は従軍慰安婦のことを質問したことがありました。やはりそのときも、私の議論は、あのとき総理が突然言ったんですね、日本軍が民家に上がり込んで婦女子を連行したようなそうした強制はないんだということをおっしゃられた。すると、総理がそうした発言をしたことが契機となって、米議会の下院ですか、そうした日本の対応を批判する決議がなされました。
 総理が発言することによって、海外からそれに対する批判的な、特にアメリカ議会とかですね、韓国が怒るのは、韓国民が怒るのはまあ当然としても、アメリカからもそうした批判的な、総理の発言に対する批判的なことが米国議会の中で決議という形で起きている。まさにこうしたことが私はやはり日本の国際的な社会の評価をおとしめているんではないかと。
 つまり、従軍慰安婦の問題について既に河野談話によって一定の軍の関与を認めて反省しているというのに、河野談話では触れていない全然別のこの一つの極端な事例を用いて、そうしたことの強制がないんだからないんだと言って、あたかも全部がなかったように論理をすり替えるこの説明の仕方というのは、やはり私はフェアじゃないと思うんですね。
 どうです、河野談話で、総理は官房長官が発言したと言うけれども、これは日本政府として承認した上での、この日本政府としての談話ですよ。そして、今外交問題が生じているのは、総理、あなた自身の御発言からいろいろこの外交問題が、外交問題化とか、まあ総理は外交の問題とは認識していないかもしれないけれども、私はやはり国際関係が、日韓、日中、日米関係が良くなくなるということで外交問題と思っているんですがね。どうです、総理、そこら辺のところ。
 じゃ、河野談話の範囲で、軍が一定の関与をしたと、そして日本は謝罪したけれども、やはり基本的には謝罪しなければならないことなんだという認識はお持ちですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私は、累次申し上げておりますように、慰安婦の方々に対して言わば筆舌に尽くし難い苦しみを与えたことについては痛切に反省をしなければならないことであると、これはもう累次申し上げているとおりでありまして、その思いは今も変わらないわけでございます。
 その上に立って申し上げれば、言わばこの問題については今の安倍政権としては官房長官からお答えすることが適切であろうと、このように考えているところでございます。(発言する者あり)
○委員長(石井一君) それでは、ちょっと速記を止めて。
   〔速記中止〕
○委員長(石井一君) 速記を起こして。
 なかなか微妙な問題のやり取りでありますが、総理におかれましては、質問者の質問に対してでき得る限りストレートにお答えいただきたいと存じます。
 小川君、もう一度繰り返してください。
○小川敏夫君 多分何回聞いても同じでしょうから、少し話題を変えます。いや、もう総理の答弁姿勢で大体総理のお考えはもう皆さん、私も分かりましたし、見ている国民の方も分かったと思います。
 話題を少し変えます。
 私は、戦争で亡くなられた兵士、あるいはそうした方の追悼のために、千鳥ケ淵の戦没者墓苑ですか、何回も行ったことがあります。特に夏の暑い時期に行くと、熱帯地方のジャングルの中で飢えと苦しみの中で命を落とされた方々に、本当に心が、胸が詰まる、痛みを感じます。本当に哀悼の念をささげたいという気持ちでいっぱいでありますが。
 千鳥ケ淵、戦没者には、まさに我が国が収集したその兵士たちの遺骨がそこに納められております。全く残念なことに、自分の家にも帰れないでそこに遺骨が納められておるわけでありまして、本当にそこで日本のそうした戦った兵士の方たちの苦しみを思うと胸が詰まる思いでございますが。
 総理、その戦没者、まさに、あるいはそうした戦地で命を落とした兵士たちの追悼のために、総理は靖国神社のことばかりおっしゃられることが多いんですけれども、この千鳥ケ淵の戦没者墓苑について、やはり追悼の念を表すために行こうというふうに思っておりませんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私は、前政権のときにも総理大臣としてお参りをしておりますし、自民党総裁としてもお参りをしておりますし、私も累次お参りをしているところでございます。
○小川敏夫君 今、総理としてお参りしたと、まさにここが大事なんです。千鳥ケ淵の戦没者墓苑ですと、総理大臣としてお参りすることができるんです。私は、そうした国民の全てが、千鳥ケ淵に総理が総理大臣としてお参りすることについて、異議を述べる方がいないと思います。
 では、靖国神社の場合、総理は総理大臣として参拝する気はあるんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私は、靖国神社に参拝するかしないかということは申し上げないことにしております。いずれにせよ、過去の例、またあるいは安倍内閣においての閣僚の参拝は私的参拝ということになっております。
 しかし、そこで、ではなぜ遺族の皆様にとって中心的な慰霊の施設かといえば、やはり御遺族の皆様にとって靖国神社こそ、そこにお参りをすれば亡くなった夫と、あるいはお父さんと会えるかもしれないという、そういう思いで参拝をされるわけでございまして、やはりここが極めて私はある意味においては重要な点なのだろうと、このように認識をしております。
○小川敏夫君 私は靖国神社の存在を否定しません。それから、靖国神社に行って亡くなった父や親族、そうした方の魂と触れ合うことができるというふうに感じて、思って多くの国民の人が靖国神社に行かれることについて、私は何もそれについて異議を述べる立場でもないし、そのことについて否定することは全く考えがありません。ただ、靖国神社というもの、今は一つの宗教法人です。一つの宗教法人に対して国が関与するということはやはりできないんじゃないでしょうか。
 それからもう一つ、靖国神社の歴史、これは、戦争中は靖国神社は陸軍、海軍という日本軍隊が所管する施設でありました。すなわち、そうすると、総理はなかなか侵略ということは認めていらっしゃらないんだけれども、やはりそうした侵略を受けた側からしますと、侵略をした兵士を祭っている施設じゃないかという思いが、どうしてもこれは侵略された国の方から見れば思うわけであります。ですから、靖国神社ということを強調することは、やはり国際関係から見て、日中なり日韓に余り好ましくないことだと思うんですね。
 少なくとも国民の方々が、それぞれ私人の方々が御自分の意思でそれは参拝することについては何も申し上げません。私は何の異議もない。しかし、政府が、あるいは政府を構成している、内閣を構成している方が、やはりそうした歴史を持つ、あるいは一宗教法人である靖国神社に行くということは、やはりこれはいろんな意味で差し控えた方がいいのではないかなと私は思うんですが。
 例えば、この間、麻生財務大臣でしたか、こういうふうに言いました。靖国神社に参拝するのは国民として当然のことだと、こういうふうにおっしゃられたんですが、総理、どうですか、総理も同じ考えですか。靖国神社に参拝することは国民として当然のことだと、こういうふうに思いますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 言わば靖国神社は元々招魂社として造られたわけでございますが、これは御一新以来、国のために戦った方々の霊が眠っているわけでございます。
 つまり、あの明治維新のときにも、確かにこれは官軍側しか祭られていないという指摘もあるのは事実でございますが、それ以来、日清、日露から今日に至っているということでございまして、では、そこに戦犯と言われた人たちが眠っているからどうかと、また、今、アジアの方々にとって侵略した兵士ではないかという御意見でございますが、例えばアーリントン墓地には南軍、北軍それぞれの兵士が眠っているわけでございます。大統領はそこにお参りをして御冥福を祈る。となれば、では南軍が掲げていた奴隷制度を維持するという価値観に対してこれを肯定する行為かどうかということでありまして……(発言する者あり)
○委員長(石井一君) 静粛に願います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これはまさにジョージタウン大学のケビン・ドーク教授が言うように、そこにはそうした理念ではなくて、ただ単に国のために戦った兵士の魂があるだけであると、私はこのように思うわけでございまして、政治家として、政治家であるからこそそこに参るべきだと、このように考えることを否定するものではないということは申し上げておきたいと思います。
○小川敏夫君 私は靖国神社に参拝することは国民として当然のことだという財務大臣の発言について感想を求めたんですが、それについて直接の話はありませんでした。
 これは大変に問題がある言葉だと思いますよ。国民として当然だというと、じゃ、参拝しない人は国民として当然とは認められない人になっちゃいますよね。これは戦前の言葉で言うと、靖国神社に参拝しないのは国民として当然のことをしないんだから非国民だと、こんなような背景が根っこにあるんじゃないかというふうに思いますがね。私の感想を述べさせていただきましたので、答弁は要りません。
 実は、この日韓関係について、私は平成十年に参議院議員になったんですが、その直後、小渕恵三総理大臣でございました。その年の十月に韓国の金大中大統領が来日しまして、小渕総理と金大中大統領との間で二十一世紀に向けた新たな日韓パートナーシップということの共同宣言を発しております。
 その要点だけ読みますと、我が国が、これは小渕総理大臣の言葉ですね、我が国が過去の一時期韓国国民に対し植民地支配により多大な損害と苦痛を与えたという歴史的事実を謙虚に受け止め、これに対し、痛切な反省と心からのおわびを述べたと。これに対して金大中大統領が、両国が過去の不幸な歴史を乗り越えて和解と善隣友好協力に基づいた未来志向的な関係を発展させるためにお互いに努力することが時代の要請である旨表明したと。
 まさに、過去のことを日本が反省して、そして韓国はその反省を受け止めて、そして未来志向でいこうというこの共同宣言がなされました。私は大変に日韓関係に意義深い共同宣言だったというふうに思っておりますが、こうした未来志向の日韓関係が大変、安倍政権の、安倍総理の言動なり、あるいは直接植民地支配ということに向かい合わない、そうした一連の行動、まあ村山談話、河野談話、靖国神社問題等があります。いろいろ言い分はあるでしょうけれども、しかし、日韓関係がぎくしゃくしているということ、大変に残念に思っておりますが。
 小渕財務副大臣、ちょうど私が今引きました小渕恵三元総理大臣のお子様でもございますが、ずっとこの予算委員会に出席していらっしゃいますが、どうでしょう、この未来志向の日韓関係を築こうと言ったこの共同宣言のこの意義等について、あるいは現下、日韓関係が余り、ぎくしゃくしているように私は感じるんですが、何か、財務副大臣としての立場で結構ですが、御感想がありましたら御披瀝いただきたいんですが。
○副大臣(小渕優子君) 一九九八年のこの日韓の共同宣言につきましては、二十世紀のことは二十世紀に一区切りを付けて、二十一世紀には新たな日韓のパートナーシップをつくっていきたい、構築していきたいという両首脳のまさに覚悟と責任を持った大変強いメッセージが込められた宣言だというふうに思っています。
 この宣言を機に、例えば日韓関係においては、日韓の国民レベルでの交流が進み、文化の開放が行われ、また共同でサッカーを開催したりと、いろんなことが前に進んできたというふうに思っています。
 あわせて、この宣言というものは、日韓の両国だけでなく、アジア太平洋地域、また、ひいては国際社会の平和と繁栄に寄与していく日韓関係でありたいというかなり未来に向けた強いメッセージも含まれていたというふうに承知をしております。そしてあわせて、そのためには、この宣言をすることだけが大事なのではなくて、それから先の政治家、指導者、そして国民がみんなでその実現のために努力をしていかなければならないということも併せて述べられているというふうに承知をしております。
 安倍総理が昨日も、朴大統領との信頼関係の構築、そして対話を重視するという考えに、全くそのときの流れと変わったものはないと思っておりますし、やはりそうしたものを一人一人が努力をしていくことによりその信頼関係というものは強化されるものだと考えております。
○小川敏夫君 いただいた答弁でほとんどはすばらしい答弁だと思っておりますが、安倍総理がその精神を受け継いでいるというところだけはちょっと私賛成できないということを述べさせていただきます。
 残り時間が少なくなりました。本当は憲法のことをたくさんやりたかったんですが、では、何点かだけ取り出して行います。
 この日本国憲法改正草案、今日は九条のこと、人権規定のことについてお尋ねすると言いましたが、自民党の憲法草案のこの国防軍、第九条の二ですね、この五項に国防軍に審判所を置くと。読みますと、「国防軍に属する軍人その他の公務員がその職務の実施に伴う罪又は国防軍の機密に関する罪を犯した場合の裁判を行うため、法律の定めるところにより、国防軍に審判所を置く。」という規定が新設されております。
 これは、分かりやすい言葉で言うと軍法会議ですよね。すなわち、軍法会議を設置するというのがこの自民党の憲法草案だということでよろしいですね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 自民党の憲法草案について、私、行政府の長でありますから、お答えする立場には基本的にはないわけでございますし、まだこれは国会に提出もしていないものでございまして、言わば我が党としては一つの考え方として一石を投じたわけでございますから、基本的に私はここでお答えする立場にないということはまず申し上げておきたいと思います。
 しかし、小川委員の強い御意向でございますから答えさせていただきますと、一項は、日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和と、誠実に、誠実に希求し、国権の発動としての戦争を放棄し、武力による威嚇及び武力の行使は、国際紛争を解決する手段として用いないということを規定はしているわけでございまして、前項の規定は自衛権の発動を妨げるものではないということも付してあるわけでございますが、そこで、第五項、九条の二の五項でございますが、国防軍に審判所を置く、この場合においては、被告人が裁判所へ上訴する権利は、保障されなければならないと、こう書いてあるわけでございまして、基本的には言わばこの字面どおり、今申し上げたとおりでございまして、国防軍に裁判所を置くということを規定しているものでございます。
○小川敏夫君 総理、今、我が国の現行憲法では徴兵制というものは許されないというふうに解釈されております。憲法のどの条文によって徴兵制は許されないというふうに考えておられるでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 本人の意に反する苦役を課すということはできないという条文に反するものであるというふうに私は理解をしております。
○小川敏夫君 十八条でございますね。何人も、犯罪による処罰の場合を除いては、その意に反する、失礼しました、現行憲法ですね、今、現行憲法のことについてお尋ねしましたですね。その意に反する苦役に服させられないと。そして、新しい自民党の憲法草案にも、何人も、犯罪による処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服されないと、同じような条文がございますが。
 一つここで総理に確認したいんですが、この憲法草案の前文では、国を守ることが国民の義務だということに規定されております。そうすると、国の義務を守る行為、これは苦役なんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 徴兵制については、現憲法でも今引いた条文において規定されているわけでありますし、また、同じ十八条で、それは自民党憲法においてもそのまま、ほぼそのまま残っておりますので、自民党憲法においてもそれは、徴兵制度については認められないという考え方であります。これは答弁してきたとおり、昨日答弁したとおりでございますが。
 そこで、国を守るということについて、言わば意に反する苦役でありますが、国を守るということについては、例えば現行の国民保護法制等についても言わば武力攻撃事態には様々な協力をお願いをすることになっているわけでありまして、そういう意味においては、言わば自由や民主主義、これは何が担保しているかといえば日本国という存在によってそれを担保しているわけでございまして、それそのものが危機に瀕したときには、言わば自由や民主主義や法の秩序を守るためにも様々な協力をしていただく、しかしそれは兵役ではないということでございます。
○小川敏夫君 どうも、自民党の憲法草案、この徴兵制を解釈によって認めるような道があるのではないかという点があって、十分な議論をしたいんですが、私の質問時間は二分しかないのでこの点についての質問は、議論はまた改めてさせていただきますが、ただ、やはり今、総理自らの御発言で、自民党の憲法草案のこの案によっても徴兵制は憲法上許されないという御発言をいただきました。これは重い言葉として受け止めております。
 残り僅かとなりました。一点だけお伺いします。
 聖域なき関税撤廃ならTPPに参加しないということでございました。端的にお伺いします。米は聖域なんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 我々は、食の安全、安心もしっかりと守っていくということを申し上げているわけでございますが、まさにお米については日本の田園風景そのものでありますし、日本は瑞穂の国でありまして、当然、米については、稲作についてはしっかりと守っていきたいと、このように決意をしているわけでございまして、つまり、聖域なき関税撤廃を前提条件とする以上、我々は交渉参加には反対する、その聖域の中には当然お米は含まれているわけでございまして、ですから、それが前提条件ではないということを我々は確認した上において交渉に参加をするという判断をしたところでございます。
○小川敏夫君 しかし、聖域だと言うんだったら、もう米については交渉する余地なんかないと、これはもうそもそも交渉の範囲の対象外だということが本来の聖域だと思いますよ。でも、総理の言葉は、あるいはこれまでの関係閣僚の発言は、これからの交渉で努力していくと。これからの交渉で云々というんだったら、私は聖域じゃないと。ですから、聖域と言ったこれまでの自民党の公約はやはりうそか若しくはうそと見られてもしようがない発言だということを述べて、私の質問を終わります。
○委員長(石井一君) 以上で小川敏夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(石井一君) 次に、川上義博君の質疑を行います。川上君。
○川上義博君 実は昨日、今日の朝刊でも、これ通告していませんけれども、飯島さんが訪朝されたということでありまして、私の立場は、外交全てそうなんですけれども、対話なくして合意なし、対話がない限り合意がないんですね。だから、対話をするために努力をするということは全てのスタート、北に限ったことではない、そのように思っています。圧力一辺倒では合意に至りません。そういう立場で私は今までやってきたわけでありますけれども。
 そこで、今回の訪朝について、参与ですから、総理は事前にこれはもう知っていたと、あるいは了解したということを、そういうことで飯島さんは行ったんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 報道されている飯島内閣参与の訪朝の件については、総理大臣としてノーコメントでございます。
○川上義博君 実際、APだとか、行っている事実が北朝鮮側から流されているんですよ。あれだけのカメラが事前に知っていてあるわけです。それがノーコメントだと言うその総理の姿勢というのは、これはおかしいですよ。これはもう言ってもらわないと困るんですよ。そういうことを言ったら、全てノーコメントで通用しますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この飯島参与、報道されている飯島参与の訪朝については、政府はノーコメントでございます。
○川上義博君 これは知っていたか知らないかだけの話で、何でノーコメントになるんですか。(発言する者あり)全然大事じゃありませんよ。当たり前の話じゃないですか。参与が行っているんですよ。政府関係者ですよ。それをノーコメントと言うのはどういうことですか、一体。
 ちょっと理事、はっきりやってくださいよ。これ以上ノーコメント繰り返したらおかしいでしょう。(発言する者あり)
○委員長(石井一君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(石井一君) 速記を起こしてください。
 質疑を続行してください。
○川上義博君 それじゃ、少なくとも単独行動ではないと、単独行動でやったら国益を損なうという今までのことがあるでしょう。単独行動ではないんですか、勝手に行ってしまったんですか、どうなんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、川上委員のせっかくの質問でございますが、政府としては先ほど申し上げておりますようにノーコメントでございます。
○川上義博君 これは、国会でこれだけの質問をしているのにそれに答えないというのは、一体どういうことなんですか。
 飯島さんが、あるいは政府サイドか分かりませんけれども、要求して、行きたいと要求して、受け入れたと。向こうが要求しているわけじゃないと思うんですよ。こちらが要求しているんですよ。それで、その中で、多分、これは想像なんですけれども、向こうは今の日本の政治状況とか安倍内閣の対北に対する外交姿勢、そういうものを知りたがっておるんですよ。当然なんです。このまま、私は成果が出ることを望んでいますよ、当然。要するに、外交、日本の安倍内閣の対北朝鮮に対するどういう外交をするのかということを聞きたがっておるんです、向こうは。そのことについて何にもコメントがないというのは一体どういうことになるんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 安倍政権の対北朝鮮外交の基本的な姿勢というのは北朝鮮も承知をしているはずであろうと、このように思います。拉致問題、そして核問題、ミサイル問題、こうしたものを解決をして、言わばまさに日朝平壌宣言にありますように、日朝の関係を改善をしていくということでございます。そして、その中において、基本的に、拉致問題、特に拉致問題を解決していく上においては対話と圧力の姿勢において完全解決を目指していくと、これが安倍政権における不動の姿勢でございます。
○川上義博君 努力の一環として、拉致、核、ミサイルを解決するという努力の一環として今回は飯島さんが行っているということでよろしいですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この報道されている飯島参与の訪朝については、ノーコメントでございます。
 いずれにせよ、拉致問題の解決については、拉致被害者の全員の生還、そして拉致問題の真相の解明及び実行犯の日本への引渡し、これが基本的な方針でございます。
○川上義博君 外務大臣、これのことを知っていましたか、事前に。あるいはまたノーコメントですか。政府は全てノーコメントですか。意思統一しているんじゃないんですか、ノーコメントで貫こうといって。
○国務大臣(岸田文雄君) 本件につきましては、私もコメントは控えさせていただきます。
○川上義博君 全てノーコメント。そのくらいのことは答えてもいいと思うんですけどね。
 尖閣の問題、これちょっと質問をいたしますけれども、民主党政権で尖閣国有化宣言をした、国有化をいたしました。このことを安倍総理は、正しい、あるいは正しくなかった、余計なことだったのか、この国有化について、これは、総理、どう思いますか、良かったと思いますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この尖閣の国有化につきましては、まず、これは私は野党の総裁のときにも一貫して申し上げておりますが、尖閣諸島は歴史的にも国際法上も疑いのない我が国固有の領土であり、現に我が国はこれを有効に支配をしております。尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題はそもそも存在をしないということでございまして、当時の野田政権の判断について申し上げれば、言わば我が国固有の領土でありますから、その所有権が移転されることについて他国から批判されるものでは全くないということでございます。
○川上義博君 いや、だから批判されることはないと。だから国有化というのは良かったということなんですね。どうですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、私も野党の総裁当時、野田さんがこういうタイミングで国有化したのは中国に対してまさに誤ったメッセージを出した、タイミングとして間違っていたのではないかという私に質問がございました。それに対する私の答えは、今申し上げましたように、まさにこれは日本の歴史的にも国際法的にも固有の領土であり、そもそも領土問題が存在しない中において、この尖閣を国有化する野田総理の判断が間違っているという批判は全く当たらないということは申し上げたわけでございます。
○川上義博君 そこで、じゃ、国有化したからといって、要するに、今まで現状を変更したことはないと、日本側としては現状を変更したつもりはないということなんですね。要するに、中国側は力でもって現状を変更しようとしていると外務大臣はおっしゃったんですけれども、日本は現状を変更したつもりはない、国有化で現状を変更したつもりはないということなんですね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは野田政権による国有化以前も国有化後も同じように、これは我が国固有の領土であり、領土問題は存在しない、一貫した立場であり、これは全く変わっていないということでございます。
○川上義博君 今日、アジア局長、杉山さんおいででございますが、私は先般も質問をいたしましたけれども、中国側は新しい合意、新しい尖閣に対する合意を得るために新しいルールを作ろうじゃないかと、そういう提案を中国政府がしていると。それについて外務大臣は明確な答えがなかったんですけれども、そういう提案は、昨年の十一月ごろから提案が私はあったように聞いていますが、そういう中国政府からの提案はあったのかなかったのか、これをお伺いしたい。またノーコメントじゃ困りますよ、局長。
○政府参考人(杉山晋輔君) ただいま川上委員の御質問でございますが、繰り返しになって恐縮でございますけれども、総理、外務大臣から度々御答弁申し上げているとおり、尖閣諸島についての我が国の主張、これは繰り返す必要がないと思います。我が国としては、尖閣諸島をめぐり解決すべき問題というのは、そもそも領有権の問題はない。それから、このようなかかる我が国の立場が一貫している中で、中国側との間で尖閣諸島について棚上げとか現状維持を合意したという事実がないし、棚上げすべき問題も存在しない、これがまず大前提でございます。
 その上で政府の方から御答弁しているのは、現実問題として中国側が、我々は全く理にかなわない主張だというふうに思っていますけれど、現実問題として中国が一定の独自の主張をしている、そこに外交上の問題があるので、そういう外交上の問題について我々は対話をオープンにして話合いをする用意がある。実は、公表されている部分、公表されていない部分、対話というのを継続しているということはお答えすることができると思います。
 そういうことを申し上げた上で、今委員御指摘の、その中で中国からどのような提案があるのか、我が方としてどのような意見を開陳していくかというのは、まさに今私が申し上げたような外交上の問題についての日中間で話合いをしている内容ということでございますし、それについての一定の合意が出ているということは残念ながら今の時点ではないわけでございますから、そういう中で先方の主張あるいは我が方の主張というのをこの場でつまびらかにするというのは適切ではないというふうに存じております。
○川上義博君 要するに、中国の主張は日本は認められないと、しかしながら、中国が主張していることは知っていると、中国が主張していることは知っていると、だから尖閣は外交問題になっているんだということでよろしいですか。
○政府参考人(杉山晋輔君) いつどこでどういう答弁をしたか、私ちょっと手元にありませんけれども、日本政府の考え方は今委員が御指摘になったこととほぼ同様の考え方を持っているということはお答えできると思います。
○川上義博君 そこで、今後、この尖閣を中心にして、日中関係をどのように進めていくのかということが物すごく大きな問題になるんです。これがある限りは日中関係は多分進まないと思うんです。
 そこで、これは、総理、提案なんですけれども、戦略的互恵関係を再構築しようじゃないかと、戦略的互恵関係を、それはもう安倍総理がスタートしたことですよね、その再構築をしながら、途中で尖閣の議論というものがなっていくと思うんですよ。最初から尖閣やったら双方とも突っ張り合いですから、だから、戦略的互恵関係を再構築、もう一度やろうじゃないかということを呼びかけたらどうですか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、日中関係において、この尖閣の問題につきましては、我が国の基本的な立場、先ほど来答弁させていただいておるとおりでありますし、この基本的な立場において譲ることは決してありません。
 しかし、その上で、こうした個別の難しい局面が日中関係全体に影響を及ぼさないようにしっかりコントロールしていく、そして戦略的互恵関係の原点に基づいて大局的な見地からこの議論をしていく、委員の御指摘、そのとおりだと思います。
 そうした考え方に基づいて、我が国としては、今、様々な具体的なテーマにおいて日中間で意思疎通を図っています。先日も環境大臣会合を開催し、日中そして韓、この三か国間で意思疎通を図ったわけでありますし、また防衛の部門におきましても事務的な意思疎通、日中間で図っているところでありますし、日中韓FTA交渉も今進んでいるところでありますし、また今週末は東アジア低炭素パートナーシップ対話、日本で開催することになっております。中国からも参加が予定されています。
 こうした具体的な、実務的な対話を積み重ねることによって、政治レベルにおける対話にしっかり結び付けていきたいと考えています。
○川上義博君 先ほどから侵略の話が出ていましたけれども、総理、アメリカが日本に侵略しましたか。侵略だと思いますか、思いませんか。どうですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 突然の御質問でございますが、基本的に、言わば、先ほども申し上げましたように、歴史認識についてはこれは歴史家に任せるものであるという考えでございます。
○川上義博君 歴史家に任せるって、過去、ドイツの大統領にしたって、いろんな各国の首脳が歴史のことは直視しているんで、日中共同声明にだって歴史を直視しようという文章があるんじゃありませんか。歴史家に任せるというのは極めておかしいですよ。
 それは、全ての歴史は、じゃ歴史家に任せるんですか。総理、どうなんですか。全ての首脳はある程度の歴史観というのを持っているじゃありませんか。歴史観がないんですか、あなたには。全て歴史家に任せていいんですか、それで。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 累次ここでお話をさせていただいておりますように、まさに歴史について語ることそのものが外交問題あるいは政治問題に発展していく中において、基本的には我々は常に自らの歴史に対して謙虚でなければならないと、このように考えているわけでございまして、今、私がここで神のごとく裁断を下すべきものではないだろうと、このように思っているところでございます。
○川上義博君 国際法上、定義が定まっていないと、侵略の定義が定まっていないということを総理はおっしゃったんですけれども、じゃ、政府として、この侵略の定義、政府として、何ですか。政府として考える侵略の定義というのはあるんですか。ありませんですか、ないですか、ありますか。
○国務大臣(岸田文雄君) 侵略の定義につきましては、御承知のとおり、学術的に様々な議論が行われております。
 そして、我が国として、この侵略の定義、明らかに、明確にしたことはないと思いますが、しかし、いずれにしましても、我が国として侵略ということを否定したということは一度もない、これが現状であります。
○川上義博君 だから、要するに、官房長官が記者会見で、侵略の歴史を否定したことは一度もないと、全体を引き継ぐということだと。
 じゃ、この侵略は否定したことはないというのは、侵略は認めているということなんですか。侵略は認めていないけれども否定してはいないと。どっちなんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、川上委員の御質問は、どういう意味なんでしょうか。侵略というか、過去の日本の侵略ということで御質問でしょうか。
○川上義博君 もちろんそうです。だから、もちろん、要するに、安倍内閣として侵略の歴史を否定したことは一度もないとおっしゃったんです、長官が。だから、否定したことは一度もないということは、侵略の歴史を認めているということですかということなんです。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、累次申し上げているわけでございますが、侵略についても、またあるいは植民地支配についても、否定したことは一度もないわけでございます。そして同時に、今申し上げましたように、歴史についてはこれはまさに歴史家に任せるものであろうと、このように思うわけでございまして、我々は常に歴史に対して謙虚でなければならないと考えているところでございます。そして、歴史において踏み込んでいくことによって外交問題そしてあるいは政治問題にすべきでないと、こう考えている次第でございます。
 当然、我々安倍政権として、過去において多くの国々、そして特に近隣諸国に対して多大な被害と苦しみを与えた、この痛切な反省の念は変わらないわけでございますし、その中において、その深刻な反省の上に立って戦後の日本の歩みがあるわけでございまして、自由で民主的な、そして法の支配を尊ぶ日本という国をつくってきたわけでございまして、国際社会においても平和に対しても貢献してきた国であろうと、このように思います。
○川上義博君 もうこれ以上は言いませんけれども、そういうことを繰り返すと、ますます近隣諸国は、安倍総理という人は一体ぬえみたいな人でよく分からぬ人だなと、そういうふうな評価が定着しますよ、本当に。そういう同じような答弁なんですね。あきれて物が言えなくなるんですよ。どうですか、本当に。
 もう一つは、プーチン大統領が要するに二等分方式という、北方領土に関して、そのことをどうも言及されたようなんですけれども、そのときに総理は何かお感じになったことはありますか。そのことについて反論とか、それはもうやはり四島一括だと、あるいはその考えは検討に値するとか、そういうことをお考えになりましたか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 北方領土の問題については、また日ロ関係については、北方四島の帰属の問題を解決をして平和条約を交渉する、これが我が国の基本的な姿勢でございます。そして、今委員が指摘されたようなそうした発言はなかったということは申し上げておきたいと思います。
○川上義博君 最後よく分からなかった。もう一度、最後の話がよく分からなかったんですが。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 言わば、北方領土について二等分するという、そういう話はなかったということははっきりと申し上げておきたいと思います。
○川上義博君 要するに言及はなかったんですね。二等分というのは、二等分方式でというのは何も、北方領土に関してではなくて、こういう過去の歴史がありますよということも一切なかったんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 北方四島について、言わばそれを二等分するという話はまずないということははっきりと申し上げておきたいと思います。
 そして、これは首脳会談において相手方の首脳の発言を紹介することはできませんので、発言は控えさせていただきたいと思います。
○川上義博君 トルコに原発の輸出という、先般私も質問しましたけれども、エルドアン、トルコの首相が、その後に、締結の後でエルドアン首相が発言されたんですね。それは、第三ボスポラス橋、人工ボスポラス海峡の建設、新しいイスタンブール空港の建設、これを進めたい、これは日本側に原発を輸入する代わりにこれを協力を期待をしているというふうに考えるわけなんですけれども、そのことについて総理は御承知ですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、質問通告がない御質問でございますので、既に公表しているやり取りについて確認をさせていただきたいと、このように思う次第でございますが、いずれにせよ今ここで答弁できることは、例えば排他的な交渉権を日本に与えるからこれをやってくれという話は、もちろん全くそれはないわけでありまして、つまり、今申し上げられることは、日本の技術に期待をしていると、ああした過酷事故を経験した中において高められた安全に対する知見も含めて、日本の技術にトルコとしては信頼を置いているという趣旨の発言はあったということは申し上げておきたいと思います。
○川上義博君 それじゃ、終わります。
○委員長(石井一君) 以上で川上義博君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(石井一君) 次に、大河原雅子さんの質疑を行います。大河原さん。
○大河原雅子君 おはようございます。民主党の大河原雅子でございます。
 五月八日に、テレビは中継がございませんでしたが、この予算委員会で質疑をさせていただいて、あれから一週間でございます。総理が、侵略の定義については学説定まっていないというようなお答えがありまして、非常に総理の歴史認識について多くの方々が関心を持つ、日本国内に限らず近隣諸国、国際的にも注目をされております。
 私は五月八日の質問で、まず、戦争とは何だったのか、ユネスコ憲章から説き起こして総理にお尋ねをいたしました。総理、ユネスコ憲章、覚えていらっしゃいますか。戦争とは何でしょうか。もう御自分の言葉で、戦争とは何か、御感想なり御意見なり、まず承れればと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさに、戦争とは何かという重い問いかけでございますが、まさにこれは、戦争とは国家と国家が戦火を交えることであり、そしてそれは、近代においてはその結果、多くの無辜の民、両国の国民を始め多くの無辜の民が戦争に巻き込まれ死傷していく、そしてその結果、その戦後も含めて塗炭の苦しみの中に落とされてしまうということであって、まさに近代、現代の人類にとって、この戦争を廃絶をしていくことこそ私たちの努力の言わば目的であろうと。そのために国連をつくり、いかに戦争を防止するかという努力をしてきているところであります。
○大河原雅子君 私は、この国連憲章で、戦争は人の心の中で生まれる、だから人の心の中に平和のとりでを築かなければならない、私はこの国連憲章大好きだというふうに、ごめんなさい、ユネスコ憲章大好きだと申し上げました。
 日本は国連に加盟をする前にこのユネスコの加盟を認められました。私たちのこの国が父や母の世代に本当に厳しい戦争で他国を巻き込み、そしてこのユネスコ憲章に表れているように、二度と戦争を起こさない、それはもちろん国連憲章もそうですけれども、その二十世紀が戦争の世紀であった、そのことをやっぱり一番重く受け止めなければならない、そういう立場に総理もおられるし、私も、一議員ではありますが、その立場に立っていると思います。
 総理よりも私は一つ年上ですけれども、昭和二十年代の最後の方の生まれでございますから、そういう意味では戦後十年もたたないうちにこの世に生をうけました。私は、父が職業軍人を目指していて、幼年学校から士官学校へ行って、そして父は八月十五日を、士官、少尉になる手前で戦地に行かない立場で迎えました。その後、本当にこの戦争が何だったのか、言わば人間不信に陥るような、そういう心の葛藤がやはり二十歳、二十一、そんな世代の若者たちの中にありました。
 お立場によって、また育つ環境によっていろいろ考え方は変わってくると思うんですが、一人一人が親から受け止めた歴史、これが自分の歴史認識、他の大きな歴史の中でどういうふうに自分自身の歴史認識として育っていくのか、そのことは非常に私は重要だと思います。恐らく同じ時代ですから、例えば教科書から学ぶことや、様々な情報の、取り方は違うかもしれないけれども、その時点であった情報は恐らく同じだろうと思います。そして今、総理がお立場として、この国の総理として今この歴史認識を問われているとき、歴史認識は個人的には完璧に一致することはないと思います、しかし、その歴史認識は違うんじゃないか、あるいはそこに疑問を持たれて痛みを感じていらっしゃる方たちがおられるときに、その方たちの痛みを理解できるかどうか、そのことは極めて重要だと思っています。
 ユネスコそしてまた国連に加盟をしている国々は、そういう意味では一つの歴史認識を共有しています。二十世紀の戦争は起こさない。侵略戦争であっても植民地の戦争であっても、本当にこの戦争で正しいという戦争はない。そして、その中に、被害を被った方たちを極力救済をしていく、そういうところに必ず立っているものだと私は確信をしています。
 そこで、今日も、今朝もやり取りがありましたけれども、総理の歴史認識について海外からも危惧をされています。特に総理が大事になさっている日米同盟のパートナーであるアメリカからも非常に厳しい関心の目を向けられていると思います。
 ここで、村山談話、河野談話をしっかり継承していくと、すっきり国民に向けてお答えをいただきたいんですが、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今委員からユネスコ憲章についてのお話もございました。
 戦争についての認識は先ほど申し上げたとおりでございますし、委員のお父様のことをお話をされましたが、私の父方の祖父は安倍寛といいまして、翼賛選挙に言わば反対をして、翼賛会ではなく非翼賛会として当選をした数少ない議員でもございましたし、反東条政権を貫いた議員でありました。そして、私の父は滋賀航空隊において特攻隊の予備軍であったわけでございます。そういう話を父からも私は受け継いでいるわけでございますが。
 そこで、村山談話については、これは過去の政権の姿勢、これは村山談話に対する姿勢として小泉政権があったわけでございますし、今、小泉談話が出されているわけでございますが、これはもう官房長官からお答えをさせていただいているように、言わば政権としては全体としてこれは受け継いでいくということでございます。そして、官房長官談話につきましては、これは官房長官からお答えをするのが適切であるというのが政権としての考え方、立場でございます。
○大河原雅子君 総理談話、官房長官談話で分けて総理お答えになるんですが、安倍内閣、安倍政権として閣内は一つの意見にまとまるというふうに思っております。今、お答えは別々だったんですが、村山談話、河野談話、共に継承していくというのが安倍政権の統一見解ということでよろしいでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、累次お答えをさせていただいておりますように、村山談話につきましては、我が国はかつて多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた、その認識においては安倍内閣としても同じであり、これまでの歴代内閣の立場を引き継ぐ考えであります。いわゆる村山談話は戦後五十年を機に出されたものであり、また、戦後六十年に当たっては当時の小泉内閣が談話を出しているわけでございまして、当然、累次に出された談話についてはその時々の内閣が出された談話でございまして、これまでの歴代の内閣を安倍内閣としても引き継ぐ立場でございます。
 そして、その上において、しかるべき時期に二十一世紀にふさわしい未来志向の談話を発表したいと考えているわけでございますが、そのタイミングと中身につきましては今後十分に考えていく立場でございます。
 そして、河野談話につきましては、いわゆる慰安婦問題につきましては筆舌に尽くし難いつらい思いをされた方々のことを思い非常に心が痛むわけでございまして、この点についての思いは私も歴代の総理と変わりはないわけでございまして、いずれにせよ、私としてはこの問題を政治問題、外交問題化させるべきではないと考えております。このいわゆる河野談話は、当時の官房長官、河野官房長官によって表明されたものであり、この点については総理である私から申し上げるのではなくて官房長官からお話をさせていただきたいと、このように思うところでございます。
○大河原雅子君 総理にお答えいただきましたので、内閣の皆様はそういった意味では総理の今の言葉でしっかりと統一されたというふうに思いたいです。ただ、大臣の中には、例えば稲田大臣は、政治家として村山談話と河野談話の撤回を最大の課題としているというふうにおっしゃっていまして、私は、やはりお一人お一人の政治家の信念というものはあろうかと思いますが、今の総理の答弁がそれをきちんとカバーをしていく、そのように理解してよろしいでしょうか。
 そして、高市政調会長も村山談話の侵略という部分についてはしっくりこないというふうにおっしゃっていましたけれども、それは政府としても、そしてまた与党自民党の中でもどのように扱われているのか、教えていただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) もちろん私は今内閣総理大臣としてお答えをしておりますから、これは安倍内閣の考え方を申し上げているわけでございます。
 高市政調会長の発言について、私もつまびらかには承知はしていないわけでございますが、いずれにせよ、内閣としての考え方は今申し上げたとおりでございます。
○大河原雅子君 なかなかこれまでの御発言もあるので、今のことでみんなすっきりというふうにはなかなか実はならないです。それでも、やはり国際的な評価というものはされてしまうわけなので、その意味では、極力、今日の答弁あるいはこれから先の答弁も変わっていくんじゃないかなと私は期待をさせていただきます。
 ところで、これは昨日来、非常に安倍政権にとっても有り難迷惑というか、変な援護射撃になっているんじゃないかと思うんですが、憲法改正問題では協調されると聞いております日本維新の会の代表の橋下共同代表、非常に物議を醸す発言をされております。
 従軍慰安婦は必要だとか、あるいは米軍に対して風俗業の活用を図ったらどうかというふうに言っていますが、総理、このことはどのように感想をお持ちですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 慰安婦の問題についての立場は、今申し上げましたように、慰安婦の方々がされたであろう筆舌に尽くし難いつらい思いに対して心から同情している立場でございまして、この橋下代表の発言、私も新聞で読む限りでございますが、もちろんこれは我々と立場が違うわけでございます。
 その上において、一々これは他党の党首の発言についてコメントする立場にはないということは申し上げておきたいと思います。
○大河原雅子君 私も、他党のということはよく分かります。しかし、憲法改正、基本的人権、平和主義、そして国民主権、このことをやはりしっかりと守っていかなければならない、その意味合いが込められている憲法を一緒に変えようとしていらっしゃる、そういう政党の方々にやはりどのぐらいの差別があるのかということが私は問題だと思っているんです。(発言する者あり)
○委員長(石井一君) 静粛に願います。
○大河原雅子君 橋下共同代表、石原共同代表は私は都議会議員をしておりましたので以前から女性蔑視の発言は目に余っております、そして、今日ここにその橋下共同代表をかばうような御発言もあって、本当に……(発言する者あり)石原共同代表がですね、私はもう本当にこの問題取り上げたくありませんが、女性蔑視、人権無視、そしてこれは男性にとっても非常に侮蔑的な発言だったと思いますが、どう思われますか、その点は。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど申し上げましたように、私の、また安倍内閣の、あるいは自民党の立場とは全く違う発言であるということをはっきりと申し上げておきたいと、このように思います。
 その上において、言わば他党の代表あるいは共同代表の発言について私はコメントする立場にはないわけでありまして、申し上げなければならないことは、まさに二十世紀というのは戦争の世紀であり、あるいは女性の人権が著しく侵害もされた世紀であると、二十一世紀はそういう世紀にはしないというのが私たちのまさに決意であるわけでありまして、我々もその決意を持っているということでございます。
 そして、その中において、私の発言に問題があったということであればいろいろなお話もさせていただきたいと、ここで答弁をさせていただくところでございますが、今、正確な石原共同代表の発言も私も知りませんので、ここで論評することは適切ではないだろうと思います。
○大河原雅子君 総理と橋下共同代表、維新の会の共同代表の価値観というのは違うんだろうと、違ってほしいというふうに思います。
 次に移りたいと思います。
 総理は、激論を闘わせても最後はまとまるのが自民党、これが伝統だともおっしゃいました。それが良いところともおっしゃいました。しかし、ともすれば、国民に対してちゃんと説明ができるかどうかはどこで問われるのかということがあると思うんです。
 パネルをお願いします。(資料提示)「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。」、これは主に北海道で撮った二枚の写真、ポスターです。昨年の総選挙に向けて立てられていたものです。上は農村地域、そしてまた工業地域があるところでは、「TPPへの交渉参加に反対!」ということで、聖域なき関税撤廃には反対ということで、J―ファイルにも書いてあるよとおっしゃっておりますが、下はマニフェストどおり、上はそういう意味では全然公約と違うことを掲げておられました。
 それで、この「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。」のところですが、総理が先日、オバマ大統領と確認をされてきたことの、聖域がない、要するに、TPPの原則というものを実は変えさせてきたというような印象を持つ発言あるいは報告をされているわけなんですね。
 TPPの原則とは、総理、何でしょうか。総理に伺っています。
○委員長(石井一君) それじゃ、まず一言、どうぞ。
○国務大臣(甘利明君) 当時、私は政調会長をやっておりまして、広報にもきちんと目配り、気配りしていたつもりであります。そこに書いてありますTPP、こういう前提とするTPPには反対ということでありまして、それは、聖域なき関税撤廃が大前提になっていると、最初からなっている、そういうものについては反対という意味で、それを道連なり県連としてお書きになったんだというふうに思っております。
 TPPの原則は、参加国がお互いに歩み寄って、できるだけ高いレベルの通商交渉をするということであります。
○大河原雅子君 私は、TPPを慎重に考える会という議員の集まりで事務局長をしてきました。二年にわたっていろいろな勉強をさせていただきましたが、まず、このTPPというのは、これまでにない経済協定。それは、十年間のうちに関税をゼロにする、そして全てのサービスや非関税障壁もなくしていく、そのために関税をいつの時点でゼロにするかを交渉の中で決めていく。そして、もう一つ許される交渉次第の中身は、関税を段階的になくしていくその時期と、それからセーフガード、緊急の輸入阻止、それを発動する、その設定であると、私はUSTRから直接伺ってきておりますので、これはもう大原則で、これまで交渉してきた方たちはこの原則に乗ってやっています。
 事前の協議で日本が約束をしてきたことについて、これはアメリカは勝利宣言をしたかのように、様々、入場料を払ってもらったと言っていますが、日本は何か取れたものがあるんですか。
○国務大臣(甘利明君) 日米間でもTPP交渉は始まってまだいないんであります。二国間の通商対話ということの延長線上でアメリカの関心事項について提示をされました。それをTPP交渉が始まったときから具体的にやりましょうということになっています。
 自動車関税につきまして、じゃ何が取れたかといいますと、それはもう、アメリカの自動車の関税が最終的にはゼロになるということはアメリカ側が約束したことであります。私どもが、じゃ何を約束したかと、よく言われますけれども、自動車の輸入の簡易手続措置についてであります。これ二千台から五千台に拡大をした。別にこれはアメリカに対してだけやったわけじゃないわけでありまして、ヨーロッパ、EUに対しても同じようなことをやっているわけでございまして、TPPの中でこれを日本はこうしたということはまだございません。ただ、両国が関心ある事項を協議していきましょうと、その結論をTPPが決着するときまでに鋭意努力して出しましょうということであります。
○大河原雅子君 それでは、まだTPPに入っていないわけです、もちろん。そうすると、この二国間の協議の中身というのは法的な拘束力がありますか。そして、あるとすればそれはいつから発効するんでしょうか。
○国務大臣(甘利明君) 並行協議であります。TPPが始まったとき協議し、終わったとき協議が終わるようにしていくと。基本的にこのTPPと関連してこの並行協議があるというふうに理解をいたしております。
○大河原雅子君 では確認ですが、万が一TPPが壊れてこの二国間協議だけが残る、二国間で決めたことだけが残るということはないんですね。
○国務大臣(甘利明君) 常識的に言いますと、その時点でもう一度再協議ということになるんではないかと思います。TPP自身が全く機能しないということになった場合、じゃ、この二国間はどうするんだという議論になろうかと思います。
○大河原雅子君 ちょっとパネルを出してください。
 次、総理に伺います。
 オバマ大統領はこのTPPは非常に大事ということで、アジア太平洋地域の経済連携はTPPだけではありません。これは新聞の中から取らせていただきましたが、市場の規模が書いてございますので、ちょっと金額が入っているところでこの図を使います。
 日本は、例えば中国や韓国やインドや様々なところとも関係があるわけで、総理も一番大事に思っていらっしゃるのはどれでしょうか、どの経済連携でしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) TPP交渉参加とアジア全体の経済連携についての御質問だと、このように思いますが、TPP交渉への参加はアジア太平洋地域の成長を日本に取り込むことにつながるものでありまして、我が国の成長戦略の柱と言ってもいいと思います。
 御指摘のアジアということについていえば、いわゆるRCEPがございますが、RCEPについてはASEANプラス3や6の構想を踏まえたものでございますが、五月九日から十三日まで第一回の交渉会合が開催をされました。RCEPもTPPとともに、更にFTAAPという広い地域を包み込む、包括的な、かつ高いレベルの協定を目指して精力的に交渉を進めていきたい、つまりFTAAPの実現に寄与する地域的取組であると、こう考えております。
○大河原雅子君 総理は先日の答弁の中で、このTPPでも食の安全をしっかり守る、遺伝子組換えの表示も守り切る、そのために指示を出したとおっしゃいました。韓国の例でいえば、米韓FTAの中では、交渉の中に、本体の中には直接入ってきませんでしたが、それ以前に、実は遺伝子組換えに関する覚書というのがFTA妥結直前にアメリカから示されて、これをのまなければ妥結はしないと言われて韓国はそれをのみ、全ての食品に表示をするというふうに実は立法予告までしていた事柄を実施できなかった。これはもう内政干渉の最たるものだと思いますが、自分の国で決められなくなるわけです。
 よもや、今、この覚書など日本が受け取っていることもなければ、事前に、そのことがTPPの妥結寸前に出てきたときにどうするのかということが問われますが、総理はこれ、どのように体制を、反論をする、打ち返していく体制を整えておられるんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは経済交渉ですから、最後まで自分の国益を最大限に確保しようと厳しい交渉をしてくるわけであります。
 しかし、このTPPにおいては、自由民主党はJ―ファイルにおいても食の安全をしっかりと守っていくということを国民の皆様にお約束をしているわけでございまして、食の安全、安心や消費者の健康、まさにこれは日本にとって最大の国益であると、私はそう考えています。交渉当事者について、この点については絶対に譲るべきではないという指示をしておりまして、私の指示を念頭に日本の強力な交渉チームは交渉をいたします。
○大河原雅子君 ありがとうございました。
 日米同盟を基準にすると何でものみ込むことになります。是非国民に開示をした議論をしていただきたいと思います。
○委員長(石井一君) 以上で大河原雅子さんの質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(石井一君) 次に、西田昌司君の質疑を行います。西田君。
○西田昌司君 自民党の西田昌司です。
 総理、実は私は、五月八日、一時間にわたって予算委員会でTPP、外交、安全保障の問題について質問する予定だったんですが、残念ながら例の川口委員長の解任騒動で質問ができなくなりました。今日は十分という限られた時間です。それで、国民の皆さんにも、総理の事前通告でも申し上げたんですけれども、私がしようと思っていた質問内容は、実はユーチューブ上で上げておりますので、幻の予算委員会で見ていただきたいと思うんです。
 そして、今日の質問は、まずこのグローバルトレンド二〇三〇という本なんですが、これは、アメリカの情報会議が四年に一度、新しい大統領に対して、これから先の近未来、アメリカはこういうような戦略を考えているということを報告しているんですが、これについての報告を総理は受けておられますでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) グローバルトレンド二〇三〇でありますが、米国国家情報会議が作成をいたしましたグローバルトレンド二〇三〇では、あり得る将来のシナリオの一つとして融合を挙げているわけでありまして、そこでは様々な課題について中国、米国、欧州が協力することが記述をされているというふうに承知をしております。
○西田昌司君 今総理がおっしゃったとおり、ちょっとここに私がまとめましたけれども、(資料提示)グローバルトレンド二〇三〇が示している世界観といいますのは、要するに、これから二〇三〇年までの間というのは過去の変革の時代と並ぶ非常に大きな変革の時代だと、その一番大きいのは要するにアメリカの一極支配が終わると、アメリカはトップグループの一つの国にすぎなくなってくると、だから中国との協調をしていくのが最善のシナリオだというふうに書いてあるわけなんですね。
 そう考えますと、今、いわゆるTPP交渉なんですけれども、これはアメリカと日本が一緒になって自由主義諸国のアジア太平洋の貿易のルールを決めていこうと、こういうことで、中国をある意味でいうと排除するかのような形で言われる方おられるんですけれども、私は決してそうじゃないと思うんです。アメリカ自身は実は中国を排除するつもりになっていないと思うんですけれども、総理はどうお考えであられますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、前提の、TPPが中国を排除するためのものではなくて、これは、まさに日本、米国、自由、民主主義、そうした価値観を共有する国々が新しい貿易のルールを作っていこうとするものであろうと、このように思うわけでございます。
 そして、今後とも予測できる期間の間、日米においては何といっても日米安全保障条約があって、これは米国が日本を守るためのものでありますし、米国に日本を守る義務が課せられておりますが、同時に、まさにこの同盟によってアメリカは前方展開戦略を可能にしているわけでありまして、このきずなは大変固いものであると、このように思います。
○西田昌司君 今総理がおっしゃったように、TPPは中国を排除するものじゃもちろんないんですね。しかし、同時に日米のきずなが非常に大事であるとおっしゃっているんです。私もそう思うんですが、しかし、アメリカがこの中で言っているのは、要するに、排除するつもりもなければ、中国と協調していこうと、そうなってきたときに、日米関係、米中関係というのは非常にまたアメリカにとっては難しいものになってくるんですね。
 そう考えますと、ちょっとこの表を見ていただきたいんですけれども、要するに、冷戦時代の日米同盟、それから冷戦後の日米同盟、これとは意味が変わってきていると思うんですよ。
 つまり、冷戦時代においては、まさにアメリカは日本を守ることによって西側諸国の盟主としての義務を果たすことができて、それが国益であるし、日本もそのことによって大きな利益を受けられたと。ところが、冷戦後の日米同盟というのは必ずしもそうじゃないと。日本にとっては、本来は、冷戦が終わった後、自主防衛路線を私ははっきり目指すべきであったと思うんですけれども、それができないままに今日アメリカに防衛を受け持ってもらうことで、逆にアメリカから年次改革要望書なる様々なこういう要望が突き付けられる。日本をある意味でいいますとアメリカの中に押さえ込む仕組みに私はなっているんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさに今、西田委員が御指摘になったように、冷戦時代というのは、二極化をしている中において日本はその最前線、西側の最前線の地理的な立場にあったわけでございますが、その中において、日米同盟において、米国はもちろん日本の在日米軍基地を極めて重視をしておりましたし、日本は米国の果たすべき防衛義務を重視していたわけでございます。
 しかし、その中においてソビエト連邦が大きく崩壊をし、大きく変わったわけでありまして、新しい非対称的な脅威も現れてくる中において、言わば日本の立場においても、全てこれは外交、大きな戦略、安全保障戦略において、米国に乗っていればいいという時代ではなくなったのは事実であります。日本もしっかりと二本の足で立ちながら日本国あるいは地域の平和と安定にしっかりと寄与していかなければならないし、それをまた実は米国も求めていることであろうと思います。
 ただ、もちろん、日米同盟の重要性については、質は変わってまいりましたが、その重要性そのものはこれは低減したものではないと、このように思っております。
○西田昌司君 今、安倍総理そういうふうにお話しになりまして、実は安倍総理が総理になられる前ですね、我々自民党の中でも、このTPPどう考えるのかというので総理ともお話をしたことがございます。
 その中で、要は、日本は総理がおっしゃるように瑞穂の国で、強欲の資本主義を認めるものじゃないと、そのとおりだと思うんです。アメリカにとっても、このTPPで例えば農産物でアメリカの雇用を増やすなんてこと以前に、日本が例えば自立をして防衛力を増強していくと、日本が防衛力を増強することによってアメリカから例えば兵器を輸入すればアメリカの雇用はもっと増えるわけですね。そして、アメリカの駐留経費も減ると。そして、日本は、沖縄のあの普天間問題始め、米軍がその分だけ減るんですから、沖縄の負担も減ってくると。まさに自主防衛というものを目指していけば一番いいんじゃないのかということをお話ししたことがあるんですけれども、総理もそういうお考えをお持ちだと思うんですけれども、これはオバマ大統領とお話しされた際に、その中身はつまびらかにすることはもちろんできないでしょうけれども、私のこの基本的な考えについて米国側は同意しないんでしょうか。どう思われるでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 大胆な御提案でございますが、言わば米国も、アジアに対してリバランシングということで、言わばアジアを重視をしていくということになっております。
 一方、中国が軍事力を驚異的に増やしているわけであります。これは通常兵器あるいはまた核兵器もそうである中において、当然日本は日本だけで防衛する限界がいずれにせよ経済力と鑑みこれはあるわけでありまして、日米同盟によってしっかりと抑止力を効かして地域や日本の安全を守っていく、これが私は基本的に合理的な考え方なんだろうと思います。しかし、その中において、日本も日本の努力を積み重ねていくことについては基本的にアメリカ側の理解はあるだろうと、このように思うわけでございます。
○西田昌司君 今、大事なことをお話しいただきまして、やはり、まず自分たちの国は自分たちで守っていくと、憲法改正の話も元はといえばそのところが一番大事なところだと思うんです。
 それで、もう時間がなくなりましたので、最後に、ちょっと飛びますが、WTOの規定によって例の大店舗法というのがなくなったと言われているんですね。今、地方のことを見ますと、シャッター街といいますけれども、大店舗法がなくなったのはWTO協定のためなんですよ。それを考えると、あのシャッター街がいいとは誰も思わないと思うんですね。同じように、TPPによって国内法が変えられちゃうと農業やほかの産業においてもそういうことが起こりかねないと思うんですよね。だから、このことについて我々は非常に懸念しているんです。
 こういうことが起こらないというふうに交渉される、また、それがそういう条件になってしまうんだったらこれは交渉には乗れないと、その辺の覚悟を総理からお聞かせいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) シャッター街についても、残念ながら私の地元の商店街も一部そういう状況になっていて、これは極めて残念なことであって、これは地域コミュニティーの崩壊にもつながっていくわけでございます。我々はそういう経験を生かしながら、やはり真の豊かさは何かということをしっかりと念頭に置きながら国柄を守り、この交渉において国益をしっかりと守っていきたいと思います。
○西田昌司君 終わります。
○委員長(石井一君) 以上で西田昌司君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(石井一君) 次に、谷合正明君の質疑を行います。谷合君。
○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
 総理、連日の集中審議、大変お疲れさまです。
 私もいただきました十分でまず質問させていただきますのは、これまで我が国が国際社会でイニシアチブを発揮してまいりましたESDの取組、また人間の安全保障の取組について伺いたいと思います。
 来年の十一月に、名古屋、岡山市におきまして、ESD、国連持続可能な開発のための教育の十年が最終年を迎えることを受けまして、ESDに関するユネスコ世界会議が開催されます。ESDの十年というのは、二〇〇二年、ヨハネスブルク・サミットにおきまして当時の小泉総理が提案したもので、持続可能な開発のために何といいましても教育が極めて重要であるというものであります。
 実は、岡山の京山地区では、一人の百歩より百人の一歩を合い言葉に、公民館を拠点とした地域密着型の環境教育活動などが展開されています。また、被災地でも、東日本大震災の経験や教訓をESD推進に生かす試みもあります。このポストESDをにらみまして、日本が独自の取組というものを積極的に今後国際社会にアピールする必要もあると考えております。
 しかし、そうした一部自治体で積極的な取組も行われているんですが、ESDという言葉自体がほとんど国民に浸透していないというのが実情であります。我が国がサミットにおいてこのESDを提案したときに、安倍総理は当時官房副長官として実際に現地に行かれてこのESDの実現に尽力されたというふうに承知をしております。
 そこで、質問いたします。
 来年のESD世界会議におきまして、名古屋また岡山会合におきましては、関係閣僚の出席を要請するとともに、総理のリーダーシップの下、広報啓発等、国民の関心を高めるなど、これまで以上に政府一丸の取組をするべきであると考えておりますが、総理の同会議成功に向けた決意を伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、谷合委員が御指摘になったように、確かに二〇〇二年、ヨハネスブルク・サミットに私も同行しておりまして、ESDの十年という提案を会場で聞いておりました。そのときには確かに報道もされたわけでございますが、残念ながら、現在では認識が高いとは言えない状況、残念なことだと思います。
 持続可能な開発のための教育の十年は我が国が提唱して国連総会決議が採択されたものでありますが、その最終年となる来年、我が国で開催される、名古屋市、岡山市で開催される世界会議に向けて、今後とも引き続き政府を挙げて周知、普及活動にしっかりと取り組んでいく考えでございます。
 来年の世界会議では、この十年間を総括をし、その先の取組の進め方について議論を行う予定でございます。会議を主催する我が国として主導的な役割を果たせるように、関係大臣の出席も含め、しっかりとした対応をしてまいります。
○谷合正明君 動きを是非加速化していただきたいと思います。
 人間の安全保障について伺います。
 個人の生命と尊厳を守ることに主眼を置きました人間の安全保障は、我が国の国際協力の基本方針の一つとなっております。貧困や飢餓、感染症から人間を守ることや防災等の分野で支援を着実に推進していくことは、我が国のODAが相手国の人々にとって真に裨益するものとなるだけでなく、我が国の外交基盤の強化につながると私は考えております。
 この人間の安全保障という概念が報告書によって世界に発信されてから、実は今年でちょうど十年の年になります。人間の安全保障委員会の共同議長の緒方貞子さんも、先週、国連でまさにこの人間の安全保障についてスピーチをされまして、今後ともこの理念の普及と実践を主導する決意を述べられております。
 そこで、安倍政権の外交の重要な柱としてこの人間の安全保障を今まで以上に強く推し進めていくと、それとともに、ポストミレニアム開発目標を作っていく際にも、日本がイニシアチブを発揮していくという必要があると考えております。総理の見解を伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 人間の安全保障は、人間一人一人に焦点を当て、人々が持つ豊かな可能性を実現させることを目指す、日本がまさに育んできた理念であります。安倍政権においても、人間の安全保障を外交の重要な柱として積極的に推進をしていく考えでございます。
   〔委員長退席、理事小川敏夫君着席〕
 ポストMDGsの策定は、今後の国際協力の在り方に大きな影響を与えるものであります。我が国は、全ての人が基礎的な保健・医療サービスを受けられるようにすることや防災を主流化していくことを人間の安全保障に直結した新たな課題として重視をしています。これらの課題に対応可能な効果的なポストMDGsの策定を目指し、日本として国際社会の議論を主導していかなければならないと、このように決意をいたしております。
○谷合正明君 外交上、この財政的貢献だけでなく、国際協力ですね、この理念とかアイデアというものが我が国からの貢献ということでますます着目されておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それで、六月の一日から横浜で第五回アフリカ開発会議、TICADXが開催されます。これは五年置きに開催されておるんですが、日本とアフリカの連携を進めていく上で今最も重要な会議であります。アフリカは、御案内のとおり今大変急速な経済成長を遂げております。経済的なパートナーとしての重要性が一層高まっている。ただ、一方で、依然として様々な開発課題抱えております。
 そこで、三点強調したいと思います。一つは、アフリカへの投資を促進すると同時に、先ほどの人間の安全保障に基づいた支援、協力を強化していくこと。もう一つは、実は日本の総理はこの七年間アフリカを訪れておりません。この総理のアフリカの外遊というものを実現していくべきであります。そしてもう一つ、NGOや企業といった連携強化が必要でありまして、是非、現地で汗を流す、そのような民間の方々に直接会って生の声を聞いていただきたいということであります。
 そうした私の要望を踏まえまして、TICAD会議を目前に控え、総理のアフリカに対する思い、今後のアフリカ外交の在り方についての所見を伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) TICADの開催が六月に予定されているわけでございますが、このTICADX、残念ながらこのTICADXも十分に国民的な関心が高いかと言われたらそうではないわけでございますが、まさにアフリカは、豊富な資源と、そして今目覚ましい成長が期待されている地域であります。と同時に、今委員が御指摘になったように、様々な課題が集中している地域でありまして、言わばこうした地域、我が国の企業も高い関心を寄せているわけでございますが、日本がこういう地域においてこそしっかりと存在感を示して、そうしたアフリカの地域が抱えている様々な課題を解決をしていくために大きな貢献をしていく必要があるだろうと思います。こうしたアフリカとの関係強化は我が国の国益にも資するものであろうと、このように思います。
 TICADは、二十年に及ぶ長い伝統と、国際機関、NGOなどの市民社会、民間企業にも広く開かれた世界的に比類なきフォーラムとしてアフリカ各国の首脳も高い期待を寄せておりまして、我が国の対アフリカ外交の最大の行事であります。TICADXに向けては、官民連携の推進に向けた民間企業との対話を重ねております。また、NGOなどの市民社会との対話も重視をしております。TICADXでは、人間の安全保障の考え方をも踏まえた日本ならではの対アフリカ支援の具体的方策を示し、会議を成功に導きたいと、このように思います。
 七年間、残念ながら日本の、前安倍政権も含めてアフリカを訪問しておりません。その後、私も含めて一年間という短い期間になっておりましたので、どうしても外交訪問先として後になって結局行けないということになってしまいましたので、是非私はアフリカを訪問したいと、このように考えているところでございます。
○谷合正明君 最後、森の防潮堤構想をお伺いしたいと思ったんですが、時間が切れましたので、しっかりこれを推進していただくことを要望して、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。
○理事(小川敏夫君) 以上で谷合正明君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○理事(小川敏夫君) 次に、行田邦子君の質疑を行います。行田邦子君。
○行田邦子君 みんなの党行田邦子です。
 前回の質疑では、日本の国土、土地について経済的資源という側面で質問いたしました。今日は、国土を自然資源の保全、また安全保障の視点からとらえてみたいと思います。
 国土の三分の二を占めるのが森林です。そして、農地は国土の一三%、農地と森林を合わせると約八割というふうになっています。この森林、農地というのは、土、水、空気という自然資源を培っている重要な役割を果たしていて、特に森林についてはCO2の吸収源となっています。
 こうした森林、そしてまた農地について、国土交通省は興味深い調査を行っています。森林や農地を相続してその市町村に住んでいない人がどれだけ手続を行っているのかといった調査です。
 国土交通大臣に伺います。この調査結果をお教えください。
○国務大臣(太田昭宏君) 人口減少、高齢化の急激な進展の下で、所有者不明の土地が増加すれば国土管理や地域づくり等の障害になるということで、国土交通省としまして、居住地とは異なる市町村に農地や森林を所有しているいわゆる不在村所有者の実態を把握しようということで、御指摘のように、二十三年度でありますけれども、インターネットを活用したアンケート調査を実施しました。
 その結果、農地や森林の不在村所有者のうち、相続時に登記や届出の手続を行っておらず所在の把握が難しい者が約一六・四%であるとの結果が得られました。この数字を基に推計しましたところ、所在の把握が難しい農地所有者は約十二万人、そして森林所有者は約十六万人との結果が得られたということでございます。
○行田邦子君 一六・四%の方が相続をしても何も手続をしていないということです。これを放置しておきますと森林や農地の幽霊地主が増える一方だと思います。
 林農水大臣に伺います。森林・林業の再生、また農業の振興という視点でどうお考えになりますか。
○国務大臣(林芳正君) 今国土交通大臣からお話がありましたように、一六・四%の方が手続をしていなかったということで、例えば森林について言えば不動産登記、森林組合への届出、こういうことはしていなかったということがこの中に含まれているわけでございます。したがって、森林の方で所有者が不明な方が増えますと、施業を集約化していく、こういうことをやる場合に非常に支障になりかねない問題であると、こういうふうに思っております。
 平成二十三年に森林法改正をいたしまして、創設された森林所有者の届出制度、こういうことがございますし、それから、二十五年度の予算案の中には、市町村が中心となって所在不明な森林所有者の探索などの取組を行う新規予算計上しておりますので、こういうものを適切に実施しながらこういう把握に努めてまいらなければならないと思っております。
   〔理事小川敏夫君退席、委員長着席〕
 それから、農業の方も併せてお尋ねがございましたが、農地法三条で農地の権利移動は基本的には農業委員会の許可制ということですが、相続による所有権の取得は許可の対象外ということで今の不在村所有者が増えていくと、こういうことでございます。したがって、二十一年の農地法改正で農業委員会への届出、これを義務付けまして、農地のあっせんなど必要な措置を講ずると、こういうふうにしております。
 ただ、所有者が分からない農地が耕作放棄地になった場合は、その旨を公告して知事の裁定で利用権を設定できるというふうにしてあるんですが、全員分からない場合ということで、一人でもその中で分かっている場合は公告制度が使えないと、こういう制約もありますので、ここをもう少し使いやすいようにするように検討していかなければいけないと。
 いずれにしても、こういう場合に関係省庁ともよく御相談しながら解決策を検討していく必要があると、こういうふうに考えております。
○行田邦子君 所有者が不明な農地や森林があると農業振興、また森林・林業の再生に支障を来すということです。
 谷垣法務大臣に伺います。何も手続をしていないということは、先ほどもありましたが、登記をしていないということです。なぜ登記をしなくなってしまうんでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) まず、登記制度の仕組みでございますが、権利変動自体は当事者の意思で、契約で権利を変動させることができるけど、取引の安全のために登記を第三者の対抗要件としていると、私的自治の原則から登記をするかどうかは当事者の自由に委ねられているという、そういう制度設計がまず基本にございます。
 そして、実態的にそれが、登記をすることで対抗要件を得ることがメリットがあるというならば皆さん登記をされるんだと思いますが、なぜしないかということをいろいろ考えてみますと、権利者が売却による処分というようなことをおよそ考えていないのでインセンティブがないということもあると思います。
 それから、登記申請する場合の登録免許税、あるいは登記申請手続をどなたか司法書士さんなんかにお願いをするということがコストが掛かるなと思われる方もあると思います。それから、御自分でやるとしても、なかなかそれは大変だというようなことがあってほっておかれるということが多いのではないかと、このように思っております。
○行田邦子君 土地を所有しても、登記というのは第三者への対抗要件ということで義務ではないと、それゆえ登記をしない人も出てきてしまうということです。
 こうした中で、森林については、森林の所有者をできるだけ把握したいということで、先ほど大臣の答弁もありましたが、森林を新たに取得した方の届出制ができています。これで一定程度市町村が把握できるようになったとは思いますけれども、まだ十分ではありません。自治体の中には、森林などの水源地について、その取得の事前届出制を設けるといった条例が制定されるところが相次いでいます。昨年の十月には北海道と埼玉県でこうした届出制が始まりました。
 こうした動きというのは、市町村において、外資、外国人などによる森林取得の問題に対しての不安の表れとも言えますけれども、総理、どのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) 今お話がありましたように、森林法改正は、届出が義務付けられまして、四月の一日、去年施行されまして、去年の九月末まで原則五千件という届出があるわけですが、これの上乗せということで、今お話がありましたように、北海道など十一道県で二十五年四月現在で条例がございます。
 この土地の売買等について、水源地域におきまして事前届出の義務を課して、そして所有者等に水資源の保全の重要性などを説明する、こういう中身になっておりますので、地域の特性に応じながら水源林等の保全の取組として評価ができるというふうに考えております。
 我が省におきましても、水源地域等の森林を適切に保全していくために、森林法に基づく保安林制度、それから林地開発許可制度、こういうものの規制措置をやりながら、また、今申し上げました届出制度、こういうものを活用して、外国資本による森林買収の動向を含めて森林所有者の移動の的確な把握を努めて、そういうことをやりながら森林の有する多面的機能が十全に発揮されるように努めてまいりたいと思っております。
○行田邦子君 私は、外資であろうと外国人であろうと、日本の国の法律を、ルールを守って土地を所有する、また経済活動を行っていくことは、これは全く問題ないと思っています。けれども、問題なのは、こうした貴重な資源とも言える森林などの土地を誰が所有しているのか、誰が買ったのかを行政が的確にとらえることができない、この法制度に問題があると思っています。
 例えば、市町村が保有している固定資産課税台帳も含めて、行政が持っている土地所有者の情報をうまく共有化すること、今この制度を構築すべきと思いますけれども、総理はどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(新藤義孝君) 固定資産税台帳に記載されている情報、そのうちの市町村が調査により知り得た情報につきましては、これは法律に規定する秘密になりますので、これは原則情報提供はできないんですね。なんですが、委員が今問題意識をお持ちでございますが、この森林に関しては、平成二十三年の森林法の改正がございました。これによって、基本的に、まず森林の土地保有者を把握するために、新たな所有者、これは市町村への届出の義務があります。それと、その当該市町村長が所有者の把握に関して必要な情報提供を他の行政機関の長に請求できるようになっているわけであります。ですから、これによって固定資産税課税台帳の情報も提供可能になったと、こういう制度を活用して管理に努めていただければいいんじゃないかと、このように考えています。
○行田邦子君 今大臣が御答弁されたのは、森林の土地を新たに取得した方の情報のみでありますので、既に持っている方の情報は利用はできないと理解しています。
 総理、今までの質疑を聞いて、どのようにお考えでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 水源地の保全に関して、北海道などでは条例を制定して水源地における土地の売買等の事前届出義務を課しているものと承知をしておりまして、地域の特性に応じた水源林保全に向けた取組と受け止めております。
 また、今答弁をさせていただきましたように、平成二十三年の森林法改正において、この改正において自民党の中でも様々な議論がございまして、委員が御指摘になったような問題意識を多くの議員も共有をしていたわけでございますが、固定資産課税台帳の情報については、まさにこの法律の改正によって、自治体間で提供可能とされるようになっているということでございます。
 また一方、不動産登記は、取引の安全等のため自らの権利保護を図りたい者が登記手続を行うことができるという制度でありまして、土地の所有者情報を明らかにするために登記を義務化することは、制度の目的等との関係で慎重な検討が必要であると考えております。
 いずれにせよ、外国資本による我が国の土地取得については、関係省庁が連携し情報収集に努めているところでございまして、水資源の保全の必要性や個人の財産権の保護の観点等の諸事情を総合的に勘案した上において、必要な対応についてはしっかりと研究をしていきたいと思います。
○行田邦子君 固定資産課税台帳の情報については、森林を新たに取得した方の情報のみ今利用できるようになっているということを改めて申し上げます。
 次の質問に移ります。安全保障上、気になる土地があります。陸の話ではなくて海の話であります。
 日本の国土面積は世界で第六十一位と、決して広くはありません。けれども、領海と排他的経済水域、EEZを含めると世界第六位になります。この排他的経済水域を根拠付けるための重要な区域というのが、国においては低潮線保全区域ということで百八十五指定されています。
 そこで、担当の山本大臣に伺いたいと思います。この低潮線保全区域、百八十五の区域の土地の所有者についてどのように把握されていますか。
○国務大臣(山本一太君) 海洋政策担当大臣としてお答えをしたいと思います。
 低潮線保全法に基づいて、平成二十三年の五月に百八十五の区域を指定をいたしました。現在、当該区域で保全及び監視を行っています。百八十五のうち百三十七は九十九の離島にありまして、そのうち公有地が六十二、私有地が七、私有地と公有地が混在しているところ等が三十ということになっています。残りの四十八は日本の本土にありますけれども、この土地の所有状況については現在調査中と、こういうことになっております。
○行田邦子君 この保全区域のうち本土にある、本州などにある区域について、四十八ですね、これについて調査中ということは、国有地なのか私有地なのか、誰が所有しているのかまだ分からないということでしょうか。
○国務大臣(山本一太君) 低潮線保全区域についても、本土にある部分とそれから離島にある部分があるんですけれども、なかなか目の届かないやはり離島の方を優先して調べておりましたので、本土の方も今調べておりまして、これについては現在は調査中でございますが、できるだけ速やかに結果を出したいと思っております。
○行田邦子君 EEZというのは国の主権的権利がどこまで海の上において及ぶのかという設定をする重要なものでありますので、国家の主権的権利が及ぶ範囲にかかわることであります。
 そこで、総理に伺いたいと思いますけれども、やはりこの低潮線保全区域、本土にある保全区域についても、国有地なのか私有地なのか、誰が管理をするべきなのか、ここを把握するべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) EEZ、排他的経済水域を根拠付ける土地を保全することは、我が国の海洋を管理をし、海洋権益の確保などの様々な観点から重要であるというふうに認識をしております。このため、所有者や所有権移転の状況についてしっかりと把握をしていきたいと考えております。
 日本の主権が及ぶ海域に影響を与える重要な土地における外国人等の土地所有の在り方については、国の主権、安全保障及び海洋資源利用活用上の必要性や個人の財産権の保護の観点等の諸事情を総合的に勘案した上でしっかりと研究していきたいと考えております。
○行田邦子君 低潮線保全区域はEEZを根拠付ける重要な区域でありますけれども、それ以外にも領海を根拠付ける島々というのがあります。これは国の主権が海においてどこまで及ぶのか、その基点となる重要な島々でありますけれども、山本担当大臣に伺いますけれども、こうした領海を根拠付ける島々というのは何島あるんでしょうか。
○国務大臣(山本一太君) まず最初に申し上げますが、EEZの方でいうと、EEZの外縁を根拠付ける離島のうち名称のなかった四十九、九十九のうちの四十九については平成二十四年の三月までに名称を決定をいたしました。
 今先生のおっしゃった領海の外縁を根拠付ける離島の話ですが、これも名称のない離島に今名前を付けるべく作業に取り組んでおります。離島の数、今調査中なんですけれども、数百程度というふうに考えておりますが、現在更に調査を継続中でございます。
○行田邦子君 離島に名称を付けるというのは、これはいいことだと思いますし、地図、海図に載せるということは、それを内外に示すという、必要なことだと思いますけれども、それだけではなくて、やはり領海を根拠付ける離島がどこにあって、所有者が誰なのか、国有地であればそれはきちんと国有財産台帳に載せて、そして私有地であれば所有者を把握するということがやはり必要かと思いますけれども、総理、いかがでしょうか。
○国務大臣(山本一太君) 領海の外縁を根拠付ける離島、これを特定すべく今現在調査を行っております。これ急いでやりたいと思っているんですが、地図と海図を照合しながら関係各省において慎重に作業を進めておりまして、地図は国土地理院、海図の方は海上保安庁ということで、地図と海図の方では、用途、測量方法、記載方法等、それらの内容に違いもあるところもありまして、その確認に時間を要しておりますが、できるだけ早くこれは作業を終えるべく関係各省に海洋政策担当大臣として働きかけてまいりたいと思いますし、今委員のおっしゃった、この離島も含めた土地所有の状況を把握をすると、この重要性についてはしっかりと認識をしております。
○行田邦子君 領海を根拠付ける離島について今調査中ということでありますけれども、ということは、領海を根拠付ける離島がどれだけあるのか答えられないということなんでしょうか。
○国務大臣(山本一太君) 先ほども申し上げましたけれども、EEZの基点を有する島と、今委員のおっしゃった領海の外縁を根拠付ける島と二種類あると思うんですけれども、領海を根拠付ける離島等々については比較的目が届きやすいということで、まずはEEZの外縁にある島の方の調査を先行してやってきたということでございまして、現時点においては、数百ということなんでございますけれども、まだ全体が判明しておりませんけれども、できるだけ作業を急いでやりたいというふうに考えております。
○行田邦子君 領海を根拠付ける離島というのは領海基線や基点があるところで、そこから十二海里が領海であるという、日本の主権がどこまで及ぶのか、その根拠となる離島である、島であるわけですから非常に重要だと思うんですけれども、それがなぜ、今、何島あるのか、所有者が誰なのか国として言えないというのはおかしいと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(山本一太君) 委員のおっしゃるとおり、国としてはしっかり把握をしなければいけないと思っております。
 ただ、先ほど申し上げたとおり、名称のない離島に名称を付与すべく作業に取り組んでいるんですけれども、いろいろと先ほど申し上げた地図、海図の問題等々もありまして、いろいろまだ作業に時間が掛かっておりますが、海洋政策担当大臣として関係各省にできるだけ早く作業を進めるように働きかけてまいりたいと思います。
○行田邦子君 領海を根拠付ける離島が幾つあるのか言えないというのは全くおかしいと思います。これで本当に国土が守れるんでしょうか、疑問を感じます。
 調査が大変だというのは理解しました。けれども、じゃ、その調査はいつまでに終わる計画なんでしょうか。
○国務大臣(山本一太君) 先ほど申し上げたとおり、地図と海図の用途の違い等々で測量方法、記載方法の内容に差異のある箇所もあるんですが、今理由にならないというふうにお叱りもいただきましたけれども、できるだけ早く作業を終えるべく、関係各省に私、海洋政策担当大臣として働きかけていきたいと思います。二年ぐらい掛かるというような話もありますけれども、これを一年にするとか、できるだけこの時間を短くするようにしっかりと働きかけてまいりたいというふうに考えております。
○行田邦子君 国として、領海を根拠付ける離島があるのかないのか、どのぐらいあるのかが分からないということは、所有者が誰なのか、国有地なのか、誰が持っているのか分からないという状況は全くおかしいと思っていますけれども、総合海洋政策本部長を務める総理として、いかがお考えですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 残念ながら、まさに日本はそういう状況であったわけでありまして、まさに我々はこの海洋権益、しっかりと守らなければいけないという認識を持ったわけでありまして、安倍政権においては。それまではずっとやってこなかったんですよ、余りしっかりと、はっきり言って、残念ながら、自民党政権時代も民主党政権時代も。ですから、我々はしっかりとこれに取り組んでいきたいし、こういう予算をしっかりと確保していきたいと、このように考えております。
○行田邦子君 前の民主党政権でもやってこなかった、でも、その前の自民党政権でも怠ってきたということだと今の答弁で思いましたけれども。
 それでは、もう一回、山本大臣に伺いたいと思いますけれども……(発言する者あり)
○委員長(石井一君) 静粛に願います。
○行田邦子君 仮に、この領海の根拠となる島が私有地の場合、売買の制限があるんでしょうか。外資、外国人が買えるんでしょうか。
○国務大臣(山本一太君) これらの島の売買を制限する特別な制度はないというふうに承知をしております。
○行田邦子君 再び総理に伺いたいと思いますけれども、先ほどはEEZの話をしました。そして、今は領海の方の話をしています。領海は、もうまさに日本の主権が及ぶ、海においてどこまで及ぶのか、その根拠付けるものでありますから、これはしっかり把握するべきだと思いますけれども、国家の主権そして安全保障、また海洋資源の利活用という視点から、どのように問題意識をお持ちでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほどこの質問の冒頭に委員が御指摘になったように、日本は、この排他的経済水域においては世界で六番目、大きな海洋権益を持っているわけでございます。しかし、その中においても、実はここは私たちのものだということを主張している国もあるわけでありまして、そうした地域も含めて世界で六番目になっているわけでございますが、まず、私たちのこの海洋権益はしっかりと、断固としてこれを守っていくのは当然のことでありますが、同時に画定の作業もしっかりと進めていくのも必要だろうと思います。
 そしてまた、所有権の問題でございますが、これは質問通告にはございませんでしたが、外国人の、あるいは外国の企業を排除できるかどうかということについては、これはWTO上の課題もあるわけでございまして、そこで、では外国人ということで排除はせずに、まさに国境離島としてどう考えるかという視点から自由民主党あるいは与党においても今対応の研究がなされているところであるというふうに承知をしております。
○行田邦子君 この問題は、是非TPPなどの経済連携協定と併せて考えていただきたいというふうに思っております。
 例えば諸外国を見ると、アメリカでは外国投資・国家安全保障法によって事後的規制という伝家の宝刀を持っています。それから、シンガポール、オーストラリアは外国人等の土地取得に一定の条件を付けています。ベトナムは外国人等の土地所有は認められていません。メキシコについては、日本・メキシコEPAにおいて外国人の土地取得の内外無差別を留保しています。これらは全てTPPの参加国であります。
 私は、国を開いて、そして外からの投資を促して経済成長へつなげるということは私は大いに進めるべきだというふうに思っています。そして、日本の土地が外から見たときに魅力的な投資対象であるということも好ましいと思っています。そしてまた、投資環境として開いていない国については開かせるということもすべきだと思っています。
 けれども、一方で、安全保障上守るべきものはしっかりと守っていく、ガードをすべきことが必要だと思っています。その点からすると、今の日本の土地法制というのは全く無防備であると言わざるを得ません。投資環境を世界標準にするのであれば、それと同時に安全保障の備えも世界標準にすべきと考えますけれども、総理、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私たちも委員の問題意識は共有をしているわけでございまして、その中において、今、自民党においてどのように守っていくかということについて今検討がなされているところでございます。
○行田邦子君 この点については協力したいと思っていますので、是非よろしくお願いいたします。
 それでは、時間が来ましたので終わります。
○委員長(石井一君) 以上で行田邦子さんの質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(石井一君) 次に、平山幸司君の質疑を行います。平山幸司君。
○平山幸司君 青森県選出の平山幸司です。
 早速ですが、TPP問題について質問をいたします。
 昨年暮れの総選挙で自民党は、TPPに関する選挙公約六項目を掲げました。二月の二十日、総理の訪米前ですね、前日、オバマ大統領との会談を予定し、交渉参加に踏み切るのではないかといった緊迫した場面でも、この本予算委員会で質問をさせていただきました。
 改めまして、この自民党のTPPに関する選挙公約六項目について、非常に大事な部分ですので、総理にその箇条書を簡潔にお答えいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、聖域なき関税撤廃を前提とする限り、交渉参加に反対する、これは自由民主党の政権公約であります。
 そして、その上に立ってJ―ファイルも発表しているわけでございますが、これは政策集でございます。このJ―ファイルには、自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない、そして国民皆保険制度を守る、次に食の安全、安心の基準を守る、そして国の主権を損なうようなISD条項は合意しない、そして政府調達、金融サービス等は我が国の特性を踏まえる、以上であります。
○平山幸司君 今、政権公約と政策集というふうに分けましたが、この点は後ほどやりたいと思いますけれども、パネルを御覧ください。(資料提示)
 聖域なき関税撤廃、一番、二、自動車関連、三、国民皆保険、四、食の安心、安全、五、ISD条項、六、政府調達、金融サービスというものです。よって、これらが最低限守られなければTPPには参加しないという、現在は日本国家としての私は判断基準、参加の前提条件だと理解しております。
 そこでまず、この六項目については、総理又は林農水大臣とも前回の予算委員会や農林水産委員会でも度々確認をさせていただいております。手元に議事録をしっかりと持っておりますけれども、この六項目がTPP交渉参加の前提条件という認識でよろしいか、確認の意味も含めて、これは林大臣の方にお答え願いたいと思います。
○国務大臣(林芳正君) 今お示しいただいたものは、自民党の選挙公約ということで掲げていただいておりますが、この一項目め、すなわち「「聖域なき関税撤廃」を前提とする限り、交渉参加に反対する。」と、まさにここが交渉参加に対してどう判断するかと。読んでいただければ分かるように、最初から全部撤廃するという前提なら、これは難しいでしょうねという公約になっているわけでございます。
 それ以外の二から六というところは、私も何度も平山先生とも農林水産委員会でやらせていただきましたし、会見でも申し上げてきたところでございますが、こういうことがあらかじめ明白な場合は、まあ交渉参加という判断は難しいだろうと。
 したがって、そういうことではないということですし、それから、今後も正式な交渉ということになってくれば、これをきちっと守っていくべく交渉で努力すると、こういうことだと思います。
○平山幸司君 今の林大臣のお話で、この六項目はしっかりと守るものだということで理解します。
 そこで、総理にお伺いしたいんでありますが、しっかりと確認したいのは、この六項目、交渉参加の前提条件であると同時に、今、林大臣もお話しになりました、現在では当然、TPP参加を決断する際の前提条件、判断基準ということでよろしいですね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、もう既に委員会等でお示しをしている、答弁をさせていただいているわけでありますが、我々はさきの衆議院選挙において、聖域なき関税撤廃を前提にする限りTPP交渉参加に反対するという公約を掲げ、また、先ほど申し上げましたように、それ以外にもJ―ファイルに五つの判断基準を示して政権を復帰したわけでございまして、私は選挙における約束をたがえてはならないと、このように考えているところでございます。
 そこで、先般の二月の首脳会談において、聖域なき関税撤廃が前提とされるものではないとの認識に至ったわけでございまして、それ以外のJ―ファイルで掲げた五項目については、交渉参加の条件ではなくて、交渉を通じて必ず守っていかなければならないものであると、念頭に入れておくべきものであり、交渉の中において、私たちは実現していくべく強い交渉力を持って臨んでいきたいと、このように考えているところでございます。
○平山幸司君 今のお話で、TPP参加の、決断する際の前提条件、判断基準というものが一番と、二から五に分けてお話しになっておりますけれども、私は、少し総理の、この二から六の部分を分けて言っている、それで、そこをこれまでの答弁でいくと努力していくというような話もあるんでありますけれども、これはおかしいと思うんです。これは確実に前提条件、判断基準として参加を決断する際に必ず守るということが必要であると、こう考えております。
 それはなぜかといいますと、先ほど来言いましたように、自民党の選挙公約、J―ファイルの中にしっかりと書いております。安易な妥協を繰り返さぬよう我が党として判断基準をと六項目を示しています。しかも、昨年十一月の二十一日、安倍総裁時代の記者会見では、公に向かってこうも言っております。これが私たち自由民主党の政権公約であります、私たちの政権公約を貫くものは、できることしか書かない、できることしか書かないということでありますと断言しています。それが、いざ交渉に参加したら、二から五は努力はするけれども、交渉の中で何とかして守られなければこれはしようがないんだという考えは、私は違うと思うんです。
 六項目は、TPP参加を決断する際の前提条件、判断基準であります。守るべきものは守る、勝ち取るべきは勝ち取ると繰り返し、日本の強い交渉力をもって最低限この六項目をクリアするのが国民との約束、政権公約ではありませんか。いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 交渉参加と参加は違うわけでありますから、まず交渉参加については、聖域なき関税撤廃を前提条件とする以上交渉には参加できないというこの公約を守らなければならないわけでありますから、この公約は果たせるという認識を持ち、交渉参加をするという決断をしたわけでございます。まさに交渉に参加をし、その交渉の中においてこの残りの五項目については実現をしていく、必ず実現をしていかなければならないと、こう考えているわけでございます。
○平山幸司君 その六項目は、そうしますと、TPP参加の条件なんでしょうか、条件じゃないんでしょうか、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ですから、再三申し上げておりますように、交渉の中において、我々はこの五項目について必ず実現をさせていくということを申し上げているとおりでございます。
○平山幸司君 これは、守られなくても交渉で、守られなくてもTPPには参加するという考えですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 再三申し上げておりますように、我々は強力な交渉力をもって、まさにこの五項目について、これも、位置付けは違いますよ、公約とJ―ファイルでありますから、政策集とはね。しかし、その中においてお示しをしているように、また、再三もうこれは国会答弁でお話をさせていただいているわけでございますが、必ずこの交渉の中においてこれを実現させていくということであります。
○平山幸司君 今総理が位置付けは違いますよと言ったんですが、私は非常にこれはおかしいと思うんです。
 というのは、ここに自民党が、私の手元にありますけれども、昨年十一月二十二日に発行したメールマガジン、これは自民党のホームページから持ってきました。その中で安倍総裁は、我が党の選挙公約を発表しましたとメールマガジンに書いてあります。そして、政権公約ダイジェスト版でホームページのURLが書いてある。これが今言う総理の政権公約。そして、次に政権公約詳細版とあります。これが今で言うJ―ファイルのことだと思いますが、同じくホームページのURLが張って、そこにリンクがあります。それをクリックすると、政権公約詳細版としてJ―ファイルが出てくるんです、J―ファイルが。今でもホームページに、私は探して、ありました。J―ファイルは、選挙直前に発表した政権公約を国民に向かって発信した。その後の経過がどうであれ、自民党としてのこれは選挙公約であるというのは明らかなんです。
 これは選挙公約ということでよろしいですね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 言わば法的な地位としては、総務省に届出してマニフェストとしてお配りするものとしては、最初に申し上げましたように、J―ファイルではありません。政権公約としてお示しをしたものが、これは総務省に届出をしているものであろうと、このように思います。そして、その上においてJ―ファイルとして政策集を私たちはお示しをしているというふうに理解をしております。
○平山幸司君 これは詭弁だと思うんです。私は、ホームページに今でもあるんですよ、政権公約詳細版としてURLが張ってあって、そのURLをクリックするとJ―ファイルが出てくるんです。政権公約詳細版で、J―ファイルということで、これは選挙公約ですよね、違いますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 言わばこの詳細版については、詳細版というのは公約したものを更に詳細にブレークダウンしたというものではなくて、自民党の言わば様々な部会においてこれは目指すべき方向性だということについて議論したものを、これは政策の目指すべき方向性として載せているものでございます。
 いずれにせよ、今申し上げていることとは別に、この六項目についてはしっかりと今この場でやっていくということをお約束をしているではありませんか。このテレビを通じて国民の皆様に、これは交渉を通じてしっかりと私たちは実現をしていくということはお約束をしたいと、このように思います。
○平山幸司君 午後の質問に回したいと思います。
○委員長(石井一君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。
 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十五分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
○委員長(石井一君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 平成二十五年度総予算三案を一括して議題とし、外交・内政の諸問題に関する集中審議を行います。
 休憩前に引き続き、質疑を行います。平山幸司君。
○平山幸司君 午前の議論でも明らかなように、自民党の選挙公約、TPPに関する六項目、パネルにありますけれども、これは、総理はできることしか書かないと、公約がいつの間にかそれが目指すべき方向性に変わってしまっております。結果として、安倍内閣の選挙公約である六項目は、私は、ただの掛け声、自民党の選挙公約六項目が守られなくてもTPPに参加すると、こういう午前中の理解でありますが、いかがでしょう。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私が申し上げたことを正確に言っていただきたいと思いますが、まず正確に申し上げますと、自民党の選挙公約に掲げたものはその六項目のうちの一番最初のものでありまして、聖域なき関税撤廃を前提条件とする以上交渉には参加できないと。これはまさに自民党の政権公約としてお配りをしているものでありまして、これは御党もそうだと思いますが、各党は、まあ御党はその前の、前身の段階で選挙を打っておられますから今の党名ではないと思いますが、総務省に言わば届出を行って、これを公職選挙法上の公約として、そして選挙中にこれは配れるものになるわけでございます。
 一方、J―ファイルはそういう位置付けではないわけでございます。J―ファイルについては、これは、選挙の以前から既に自民党は政策集として作っている、言わば自民党の政策集でありまして、私は、その位置付けはそういう意味において違いますよということは申し上げております。
 しかし、いずれにいたしましても、私はもう既に予算委員会で申し上げておりますように、この六項目において、まず最初に、最初の第一項目め、今申し上げた点については、これは交渉に参加する前提条件でありますから、聖域なき関税撤廃ではないということを私は確信いたしましたので交渉に参加するということになったわけでございます。
 そして、第二項目から第六項目にかけましては、これはJ―ファイルに書かれたものではありますが、しかし、この項目、食の安全等ですね、安心、安全等をしっかりと守っていくということにつきましては、これは交渉を通じて、参加をするまでにおいて、あっ、交渉を通じてしっかりとこれは確保していくということはお約束をしているとおりでございます。
○平山幸司君 今、交渉を通じて確保していくということでありますけれども、それが守られないときは、そうしますとTPPに参加しないということですね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ですから、私は交渉を通じて、私はしっかりとそれを実現をしていくということを申し上げているわけでございます。
○平山幸司君 交渉を通じてそれをしっかりと実現をしていくと。実現されない場合は、これは参加しないということですね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) しっかりとした、まだ交渉には我々、交渉自体に正式には参加をしていないわけでありますが、既に私たちは様々な努力をスタートし、そして交渉チームをしっかりと構成しております。強力な構成チームをつくり、首席交渉官そして担当大臣の下にしっかりとした交渉チームをつくり、その強力な交渉力の下に我々はこの六項目、言わば二項目めから、二、三、四、五、六ですね、これをちゃんと実現すべく我々は交渉していくということであります。
○平山幸司君 今も最後の語尾が、実現すべく交渉していくと。これが守られない場合は参加しないという確約がいただけないんですね。よって、私、青森県選出ですが、国民の理解もこういうことだと思うんです。
 これ、三月十二日、東京都内で行った青森県選出国会議員への要請書がこの手元にあります。こう書いております。
 安倍総理がTPP交渉参加を決断することは、国民との約束を破る背信行為であり、許されない暴挙であると言わざるを得ず、農業と地域を守る立場にあるJAグループ青森としてはこれを認めるわけにはまいりません。地域の民意を受けて当選した議員はTPP交渉参加に反対すると訴えていたものであり、その過半数が反対しているにもかかわらず政府が交渉参加することは、議会制民主主義を無視する暴挙であります。我々JAグループ青森は、政府の交渉参加への前のめりの姿勢に大きな憤りを覚える中で、消費者団体、医療関係団体などとの地域における連携を一層強化し、TPP交渉参加に断固反対して闘っていく覚悟でありますと、こう言っているわけです。
 総理、これが国民の声であり理解です。よって、この時点ではまだ交渉参加ですけれども、この政権公約、先ほど掲げた六項目というのは参加の前提条件という国民は理解なんです。判断基準でもしないとすれば、国民との約束をたがえる、総理がこれまで言ってきた、それが国民との約束をたがえることになりますけど、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 公約において私たちは、再三申し上げておりますように、聖域なき関税撤廃を前提条件とする以上交渉参加には反対する、この公約を掲げて我々国会議員は選挙を戦い、そして当選をしてきたわけであります。だからこそ、二月の首脳会談において、この公約をたがえることにはならない、聖域なき関税撤廃を前提条件としていないということですねということは、首脳会談においても私は確かめたわけでございまして、ですから、まさに私たちは選挙でお約束をしたことは決してたがえないということは申し上げておきたいと思います。
○平山幸司君 今の総理の答弁では、この六項目に対してはたがえないと、必ず守るという理解でよろしいですか。それとも、交渉参加後は、交渉参加までが公約で、交渉参加後はそれは公約ではないんだという今のお話ですか、どちらでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) つまり、今、六項目の一番最初のものは、聖域なき関税撤廃を前提条件とする以上交渉参加には反対すると、これが私たちの公約であります。これはまさに総務省にお届けをした公約でございまして、だからこそ日米首脳会談においてここを確認し、聖域なき関税撤廃を前提条件とはしていないということを私は確認し、そして交渉参加を決意したわけであります。
 まだ正式に交渉に参加をできておりません。まさにこれからであります。そして、交渉に参加をし、そしていよいよこのTPPがどの国においても発効していくわけでございますが、その上においては、しっかりと交渉の中において、この二項目めから六項目めまでに至るもの、食の安心、安全をしっかりと守っていきますよ、あるいは皆保険を守っていきますよというものについては、私たちはしっかりと実現をしていくということは再三この質疑においてもお約束をしているとおりでございます。
○平山幸司君 今、総理の方から明確に、この二項目めから六項目め、必ず実現していくとテレビの前でもしっかり話したということで、約束をいただきました。ここが大事です。
 もう一つ確認します。
 林大臣が、三月三十一日、NHKの番組で、日本の主張が受け入れられない場合の対応に関し、その場で席を立って帰ることだって視野に入れればいいと指摘したと報道されています。これは交渉参加の表明後の発言ですから、私は非常に重いものであると思います。一部では、農林水産業者を安心させるためのリップサービスではないかと、こうも言われているわけですが、私は、尊敬する大臣ですから決してそんな軽々しい言葉は言わないと、こう思っています。当然、大臣は、国民との約束をたがえては、政権公約の六項目の約束が守られなければ、その場合は席を立って帰ると、この覚悟があると私は示したものだと思います。
 総理にもお伺いします。総理にも、この六項目が守れなければ、席を立つ、脱退をするという覚悟があるということでよろしいですか。
○国務大臣(林芳正君) 私のNHKでのものがございましたので、ちょっとその番組の内容を今、ちょっと御通告なかったものですから思い出しておりましたが、たしか評論家の方との対談という中で、お二人おられたんですが、一方の方がもう最初から、もうこれは負けが決まっているかのようなお話がありましたので、過去の例も引きまして、あらゆる交渉というのは、もう一方的に最初から決まっていて、もうこれにサインしなければあなたは入れませんよと言って、唯々諾々と入ってしまうしかないんだと、こういうようなものではありませんと。したがって、過去の例においても途中で脱退したということはありますし、そういう最初から決められていて全く交渉の余地がないということであれば、今先生がおっしゃったようなこともきちっと視野に入れてやらなきゃいけないと、こういう趣旨で多分申し上げたことだったというふうに思っております。
○平山幸司君 全く交渉の余地がないということであれば脱退するということです。全く交渉の余地がないというのは、政権公約であるこの一から六、これが守られるということであって、これが全く交渉の余地がないということであれば、これは国民との約束をたがえる、政権公約の六項目が守れないということで席を立って脱退する、その覚悟があるということで、総理、よろしいですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、まさにこれから交渉するわけですね。言わば交渉当事者、我々当事者ですが、まさに最前線で交渉するのは、林大臣もその中の一人でありますが、当然そういうような覚悟を持ちながら交渉していくという姿勢を見せていくことについては、これは交渉力を高めていくことにも事実上つながっていくわけであります。
 まさに、これから交渉していくという中において、一方、私は総理大臣でありますから、その私が最初からこのTPPについて、それは日本が壊しますよということを今この場で申し上げるのは適当ではないと、こう考えるわけでありまして、まさに内閣として、これは総合的なメッセージということを相手に伝えていくことによって全体として交渉力をしっかりと確保し強化していきたいと考えております。
○平山幸司君 今の答弁では、全然、政権公約を守る、その覚悟がないと言っているようなものです。
 ここで私は言いたい。これまで議論してきたTPPですけれども、総理は国民的議論を行えないまま、忘れもしない三月十五日、多くの反対を振り切って単独で交渉参加の表明をしてしまいました。交渉参加を表明してしまった以上、農林水産業のみならず、日本の将来像、国家の根幹にかかわるTPP参加の是非は私は最重要課題であると考えます。
 甘利大臣はTPP参加に関し成長戦略実行の第一弾となるものだと強調したと報道されているように、TPPはアベノミクスの財政、金融、成長戦略という三本の矢の最後の一つに位置付けられており、何が何でもTPPに突き進むという政府の姿勢が透けて見えます。
 一方で、昨年暮れの衆議院選挙で、先ほどのJAグループの認識のとおり、国民は自民党のTPP反対を信じて投票しました。しかしながら、実は、実際は、舌の根も乾かないうちにTPP参加がアベノミクスの成長戦略の柱になっている以上、自民党は堂々とTPP推進を掲げ、七月の参議院選を戦うべきであります。
 数ある重要課題の中でも選挙のときはTPP反対、少なくとも国民はそう理解していますし、としながらも、結局は交渉参加に踏み切った自民党の背信行為により、結局はいまだに国民的議論が行われていないTPP参加問題の是非です。
 政府・自民党はTPP推進、我々は明確にTPP参加反対、これで七月の参議院選挙の最大の争点にすることが、国民の声を聞くことなく参加を表明した総理の役割、総理の最大の責任、責務であると思いますが、いかがでしょうか。
○委員長(石井一君) 時間です。どうぞ、一言でお願いします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) しっかりと参議院選挙を戦っていきたい。その際には、私たちが進めていく政策をお示しをしながら戦っていきたいと思います。
○平山幸司君 終わります。
○委員長(石井一君) 以上で平山幸司君の質疑は終了いたしました。(拍手)
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○委員長(石井一君) 次に、井上哲士君の質疑を行います。井上君。
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 総理に歴史認識の問題で質問をいたします。
 総理は、日本の植民地支配と侵略について謝罪をしたいわゆる村山談話について、安倍内閣としてそのまま継承しているわけでないとこの場で答弁をされました。これに対して米国も含めて様々な懸念の声が広がる中で、菅官房長官は十日の会見で、安倍内閣として侵略の事実を否定したことは今まで一度もない、談話全体を歴代内閣と同じように引き継いでいくと、こういうふうに述べられました。ところが、十二日には自民党の高市政調会長は、侵略という文言を入れているのは私自身しっくりきていないと全く逆のことを言われたわけですが、安倍政権は一体どちらの立場なんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私の立場でありますが、日本は過去多くの国々、特にアジアの国々に対して多大の損害を与えたことについて反省をしているわけでありまして、痛惜の念を持っているわけであります。そうした安倍内閣は歴代の内閣の立場を引き継いでいるわけでありまして、引き継いでいるということについては、これまでの歴代の立場の全体を引き継いでいるわけでございまして、これについては今までも申し上げてきたとおりでございます。
 高市政務調査会長の発言について、私は詳細については掌握をしていないわけでございますが、今、内閣としての立場は今述べたとおりでございます。
○井上哲士君 じゃ、確認しますが、村山談話全体を引き継いでいるという菅官房長官の発言どおり、植民地支配と侵略という言葉も含めて受け継いでいると、こういうことでよろしいですね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 繰り返しになりますが、私は今まで侵略とかあるいは植民地支配について否定したことはないわけでございます。
 一方、歴史認識については、これは歴史家が決めるものであって、それを政治問題、外交問題化するべきではないと、このように考えているところでございまして、今ここで私がそういう認識について神のごとく判断をするべきものではないと、我々は謙虚に考えなければならないという立場であるということも申し添えておきたいと思います。
○井上哲士君 別に総理に神になれなんて私は言っておらないわけで、村山談話そして小泉総理のときも表明されたこの言葉を曖昧にする、むしろ後退をさせるということがむしろ今政治問題になっているわけです。そして、この植民地支配と侵略への反省ということと、閣僚による靖国参拝というものは本来相入れません。
 総理は、国のために命をささげた人に敬意をささげるんだと、こういうふうに言われますが、靖国神社というのは普通の戦没者の慰霊施設とは違います。(資料提示)靖国神社には遊就館という軍事博物館が併設をされておりますが、今、特別展、大東亜戦争七十年展というのをやっております。その趣旨を見ますと、アジア諸国の解放と共存共栄の新秩序を確立すると、こういう先人たちの御事蹟、つまり成し遂げたことを参拝していただくと、こういうふうに書いているんですね。つまり、あの戦争はアジア解放の戦争だったと、こういうふうに美化するということを存在意義とする特殊な施設なんですよ。こういう神社を閣僚が訪問をするということは、自らを侵略戦争肯定という立場に身を置くということになるんじゃありませんか。いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ここには、この機会に是非御拝観いただきたく存じますと、こう書いてありまして、これは参拝してくださいということではなくて、これを是非見てくださいということなんだろうと思いますが、いずれにせよ、これは靖国神社の場所にある遊就館の展示でございまして、私はこの展示は拝見はしていないわけでございますが、まさにこうしたことについてコメントをすべきではないだろうと、こういうことでございまして、歴史については歴史家に任せるべきであって、歴史とは、まさに長い歴史の中において様々な年輪とそして試練を経ていく上において、歴史家の中において明らかになっていくものであろうと、このように思うところでございます。
○井上哲士君 この特別展だけじゃないんですよ。遊就館というのは明らかに特定の歴史観に立っているわけですね。この図録の中でも靖国神社の宮司が、自存自衛のため、アジア解放のための正しい戦争だったと、そういう歴史観を述べているわけですね。こういう神社を閣僚が参拝をするということは、事実上、この主張に政府としてお墨付きを与えることになるんですよ。そのことをよく認識をしていただきたいと思います。
 そして、この侵略戦争の中で起きたのが従軍慰安婦の問題であります。
 日本維新の会の橋下代表が、戦場での軍人の休息のために慰安婦制度というものが必要なのは誰だって分かると、人間に、特に男性に性的要求を解消する策が必要だと、こういうふうに述べました。従軍慰安婦制度を公然と正当化をされたわけであります。女性を男性の性のはけ口、道具だと、これが当然だと。そして、戦争を進めるための道具として当然だと。これは二重の意味に異常でありますし、今なお大きな苦しみを抱えて日本の政府の謝罪を求めている、この日本軍による性的被害者の尊厳を更に傷つけるものです。そして、女性全体の人権を踏みにじって、人間の尊厳をおとしめる暴言だと私は思います。許せない。
 そして、公的立場にある人としてのまさに資格が厳しく問われますが、総理はこの見解についてはどういうお考えでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 安倍内閣としては、慰安婦に対しては、もう既に累次お話をさせていただいておりますように、慰安婦の方々の苦しみに対して心から同情をするものでありますし、胸が痛むわけでございます。二十世紀は、戦争、あるいは女性の人権が著しく侵害された時代であり、日本もその中にあったわけでございますが、二十一世紀はそういう時代にしないという決意の下に我々は今日の歩みがあるわけでございまして、これは安倍政権の方針でございます。
 橋下市長の発言につきましては、これはまさに他党の代表の発言でございまして、今御紹介をいただきましたが、全体について、私は詳細について存じ上げる立場ではございません。論評する立場にはないと、このように思っております。
○井上哲士君 各党の党内問題じゃないんです。重要な政治問題なんですね。
 今のお話では、従軍慰安婦制度が必要だったということについては見解が違うのか同じなのか、全く分かりませんでした。
 昨日、この橋下発言に対して各大臣が会見で述べております。下村文部科学大臣は、歴史認識における日本の政治家の発言が世界で誤解されている中で、橋下氏の発言はタイミングが非常に悪く、あえて発言することにプラスの意味があるのかということでありました。そして、谷垣法務大臣は、従軍慰安婦は橋下氏の言うように当時は必要性を感じていたからこそあったんであろうと思う、しかし今の時点で必要性を強調する必要があるのかは大変疑問だと、こういう発言ですよ。
 これは、橋下氏の発言は、タイミングは悪いけれども中身は問題はないということになるじゃないですか。これは安倍内閣の立場なんじゃないですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほどの質疑の中におきましても、私や安倍内閣とは立場が違うということは申し上げているとおりでございます。
○井上哲士君 何が違うんですか。明確に言ってくださいよ。
 じゃ、当時、従軍慰安婦が必要だったということは立場が違うのかということを明確に述べていただく必要があるんですね。(発言する者あり)言っていないですよ、全く。
 いいですか。何か他党の代表のコメントだからといって人ごとのように言いますが、世界はそう見ておりません。韓国のKBSは、日本政界の妄言はここまでひどいのかという水準だと言いました。アメリカのワシントン・ポスト、日本の戦争を美化する一連の日本人政治家の発言に続くものと書きました。今朝の毎日新聞、「強制連行認めず 安倍首相の認識踏襲」と、こういう見出しの記事を書きました。つまり、この橋下氏の発言というのは総理の言動と連動、一体のものだと世界は見ているんですよ。
 しかし、慰安婦問題というのは、これは、軍がつくった慰安所で女性を拘束して軍人の性行為の相手を強いたというものであります。国連人権委員会なども、このこと自体を問題にして、女性を人間として扱わず、人権を著しく侵害した犯罪行為として、日本政府に加害者の追訴、謝罪と補償などを求める勧告を出されているわけですよ。
 こういう従軍慰安婦制度が当時必要だったという発言は間違いだと、そういう立場ならはっきり述べてください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ですから、既に何回も述べておりますように、私も、また安倍政権の立場も、この橋下党首、橋下代表ですか、の言わば発言している内容、私は詳細全て把握をしているわけではございませんが、今委員が指摘されている点とは立場は異なるということでございまして、これが政権としての立場でございます。
○井上哲士君 先ほど言いましたように、各大臣が言っているのは、タイミングが悪いとか今の時期強調する必要があるかということであって、従軍慰安婦が必要だったということに対しては誰も述べていないし、今も総理も述べていないんですよ。当時従軍慰安婦制度というものが必要だったということは間違いだと、なぜ言えないんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) もう既にこれは述べているとおりでございまして、そもそもこれは他党の党代表の発言でございまして、我々とはそもそも立場が違うわけでございまして、これは再三申し上げているとおりでございまして、これは是非委員は橋下代表とそういう議論をしていただきたいと、このように思うわけでございまして、基本的に、申し上げておりますように、我々は立場が違うということでございますし、何回も申し上げておりますように、慰安婦の方々のそのときのつらさ、苦しさを思うと胸が痛むわけでありますし、痛惜の念も抱いているわけであります。そうした我々の立場については繰り返し述べているとおりでございまして、繰り返しになりますが、立場は違うということは申し上げておきたいと思います。
○井上哲士君 従軍慰安婦が必要だったということを否定する発言は結局、総理からは一度もありませんでした。
 今この従軍慰安婦を肯定することと侵略戦争の否定とは一体ですよ。戦後の国際政治はこの侵略戦争を否定するということに成り立っているわけでありまして、そのことを否定するということは、日本が今後世界で生きていく足場をなくしていくことになる、そのことを私は厳しく指摘をいたしまして、質問を終わります。
○委員長(石井一君) 以上で井上哲士君の質疑は終了いたしました。(拍手)
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○委員長(石井一君) 次に、舟山康江さんの質疑を行います。舟山さん。
○舟山康江君 みどりの風の舟山康江です。
 前回、先週の質問に引き続きまして、今日もTPPを取り上げていきたいと思っております。
 前回の質問の中で総理に対して、明確に除外が勝ち取れると先方に確認したのでしょうかという質問をさせていただきました。それに対しては、具体的に確認はしていないということだと思います。そして、今日も様々な質問の中で、除外が取れなかったら脱退するのかということに対しても、とにかく交渉の中で頑張っていくんだというお答えしかありませんでした。
 私、いろいろと総理の発言を総合して考えますと、つまり、交渉で除外が取れるかどうかというよりは、入口で関税撤廃を求められないことをもって入ると、これをもってこれは公約に違反しないということを言っているのかなという感じを最近持っているわけですけれども、もう一度確認させてください。そういう認識なんでしょうか。入口で約束しないことをもって、もうこれは公約には違反をしないということなんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 自由民主党の公約は、聖域なき関税撤廃を前提条件とする以上このTPP交渉参加には反対ということでありまして、この中において私たちは交渉参加するかどうかという判断をするわけでございますが、首脳会談において、オバマ大統領との首脳会談において、聖域なき関税撤廃を前提条件とはしていないということの確信を得ることができたので、交渉参加という判断をしたわけでございます。
○舟山康江君 それでは、総理が考える聖域とは何でしょうか。聖域というのは、何をもって聖域なんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 日本の国益、まさに国柄でもあるわけでございますが、そうしたものを守っていく、守らなければいけない分野を聖域と考えているところでございます。
○舟山康江君 自民党の公約等では、関税撤廃に関して聖域を求めるということだと思いますけれども、この関税撤廃に関しての聖域というのは何を指すんでしょうか。
○国務大臣(甘利明君) 具体的にこれとこれとこれとこれということを特定して交渉に入っているわけではありません。交渉の中で、我々がこの分野については絶対譲れない、あるいはこの分野についてはこういう方法ならばここまでは譲れる、それは交渉の中で決まっていくことだと思います。
 もちろん、いろいろな試算がありますし、いろいろな国内対応も併せてしていくことになろうかと思います。交渉の過程の中で、TPP交渉、ここまではこうだけれどもここまではこうだということも次第に明確になってくることだと思います。この交渉事というのは、最初から、これとこれはここまではこうですと決めて全く交渉に入るということではなくて、FTAもEPAも交渉の中で最終的な結果というのは出てくるものだと承知をいたしております。
○舟山康江君 私が今お聞きしているのは、これは一般的に聖域なき関税撤廃といった場合には、ああ、一部の品目に関しては除外をしてくれるんだなと、言わば重要五品目と言われている米、麦その他の品目に関しては関税撤廃をしない、ここだけは絶対に守るということが聖域だと理解しておりますけれども、そういう理解でよろしいんでしょうか。聖域というのは、関税撤廃をしない、そういった品目をきちんと勝ち取るんだということなんでしょうか。
○国務大臣(甘利明君) 関税の部分について、当然ここはここまで、これ以上は譲れないというのは、交渉の中で我々が表明してくることだと思います。
 ただし、最初から、これとこれはこうでこうですよということになりますと、全く交渉の手のうちを示すということにもなるわけであります。それぞれの国にはそれぞれの国の国柄があり、守るべきものはあります。しかし、それは最初から、交渉の前段階から、我々まだ入っていないわけですから、入る前から提示して、こうやっていくという国は恐らくないと思います。
○舟山康江君 つまり、もう交渉に入って、何がどこまでどう取れるのか、交渉に入らなければ何も分からないってことですよ。
 一般の方々は、今回の自民党の、安倍政権の交渉参加へ踏み切ったその背景には、除外品目が取れる、だったらまあしようがないかなと、そういうことなわけです。米とか麦とか乳製品、肉類、砂糖、こういったものに関しては除外にしてくれる、だったらしようがない。そこが今のお話ですと、聖域というのが何かもよく分からない、もう全ては交渉次第、前提条件、とにかく入口で関税撤廃と宣言しなかったから入ってもいいということであれば、これ取れるものも本当に取れないですし、全くこれこそ公約違反の何物でもないと思います。
 そしてもう一つ、四月十二日の日米合意というものがありました。そして、その日米合意に関しましては、パネルを用意いたしましたけれども、(資料提示)日本側の発表とアメリカ側の発表というものの内容が随分と違っております。私はやはり、両国間できちんと認識を共有していかなければ交渉で成果を上げることもできませんし、交渉で予想もしないような妥協を迫られることになっていくんだと思います。やはりしっかりと強い姿勢を見せ、そして妥協を受け入れないような、その誤解を解いていくような、溝を埋めていくようなことをしていかなければいけないと思います。
 まさに、関税撤廃の除外があるかのようなことを国内で言いながら、実は海外に対しては関税撤廃の例外はもうないというのが共通認識でありますし、こちらの概要ペーパーを御覧ください。もうこれは全く内容が大きく違っております。例えば、大きく言いますと、自動車の中に輸入自動車特別取扱制度、アメリカの文書には、これを日本は決定した、しかも日本側が一方的決定を発表したと書いております。日本が一方的に、その輸入特別制度の枠を広げますと日本が表明したとなっております。
 そして、保険に関しては、項目そのものが我が国の発表にはありません。しかし、アメリカ側の発表には保険についても事細かく書いてありまして、とりわけかんぽ生命、かんぽ生命に関しては新商品の販売は見送るということを、これも日本が一方的に発表したとなっております。相当、結局、この四月十二日の日米合意の中で、この文書を見る限り、日本側が一方的に幾つかの分野で妥協をしているということですね。
 しかも、その一番頭のところを見ますと、結局これは、この事前協議というのは何だったのか。日本とアメリカでどういう条件をすり合わせるかということよりも、実はこれ、このTPPに入るための日本の用意に焦点を当てている。とにかく高い分野の基準を満たすために日本が何をしてくれるのか、日本の用意に焦点を当てているということでありますし、アメリカにとっては、アメリカから日本への輸出を妨げる様々な制度についてその見直しをここで検討していこうという、こういった表明になっております。
 これだけ認識がずれているということ、つまり、このアメリカの文書を見ると、この交渉に当たっては日本側が幾つも妥協をしなければTPPには入っていけないという、しかも、TPP本体だけではなくて事前の二国間協議の中で様々ないろんな妥協をしていくということ、それを迫られているということですけれども、これだけ認識が違う、文書が違うということに対して、やはり今後交渉でしっかりと日本の立場を説明していくに当たっては、事実関係を整理して、違うものは違う、これはアメリカ側の発表が間違っているということを、もし違うのであれば言っていかなきゃいけないと思いますけれども、総理、いかがでしょうか。総理にお聞きします。
○委員長(石井一君) まず甘利担当大臣、簡潔にお願いします。
○国務大臣(甘利明君) はい。日米の合意文書が全てであります。あと、アメリカ側が国内の議会対策としてどういうふうに説明しようと、それは我々が干渉することではありません。
 保険の件は、記者の質問に答えて財務大臣がその答弁をされた、それが発表されたわけでありますし、自動車に関していえば、簡易手続で二千台入るというのはアメリカ向けだけではありません。しかも、アメリカは二千台の消化ができていないわけであります。丼半分しか食べる食欲のない人に丼三杯までお代わり自由ですと言ったって、定食屋の営業には余り影響ないと思います。
○舟山康江君 少なくとも保険、自動車に関して、日本が一方的に、これだけをやります、開きます、かんぽ生命は販売しません、そういう宣言をしてしまっているわけです。相手に塩を送っているというんでしょうか、相手に与えているわけですよね。こういうことで、交渉でしっかりと勝ち取りますということが本当にできるのか。そのことに対して抗議も何もしていないというのも、やはり交渉が有利に進むとは私は到底思えません。
 そしてもう一つ、この非関税措置に関しましては、TPP交渉と並行して取り組むということを約束しているようであります。そして、そのことは補足のファクトシートを参照となっていますけれども、かなり内容も詳細に書かれています。例えば、国際規格を受け入れる、政府調達に関して入札過程を改善すること、食品添加物のリスク評価を簡素化する、ゼラチン、コラーゲンに関する事項、こういったもの、相当詳しく書いてありますけれども、これもそのとおりなんでしょうか。
○国務大臣(甘利明君) これ、アメリカ側の関心事項を、こういうものを二国間で協議をしてほしいという関心事項を並べたわけでありまして、これに関して結論が出ているわけではありません。真摯に協議をいたしますということを決めたわけであります。
 そもそもこのTPPというのは、先に入会している人たちの全ての国の了解を取らなきゃならないというルールになっています。みんなの党さんがもっと民主党さんにハッパを掛けて早く入っていればよかったなと思った次第でございます。(発言する者あり)あっ、みどりの風、済みません。みどりの風さんが民主党さんのしりをたたいてもっと早く入っていれば了解を取る国の数は減ったということでございます。
○舟山康江君 今の発言は全く認識違うと思います。前段は正しいと思いますよ。後から入る国というのは、その既存の参加国の了解を得なければいけない。そしてもう一つ、今まで決まっているものに関してはそのまま受け入れなければいけないというわけなんです。仮に二年前、民主党政権のときに入ったとしても、もう既に大枠が決まっていて、そこに対して後から入っていかなければいけなかった。ほとんど決まっていたわけですよ。基本は関税はゼロですし、ルールは統一化していくということですから、ほとんどあの状況から変わっていません。民主党のとき、二年前と今、何が変わっているんでしょうか。大枠の基本理念は何にも変わっていません。高いレベルの協定を目指す、そして関税はゼロにする、ルールはできるだけ統一化していくという、そういったことであります。
 しかも、今申し上げましたとおり、二国間の事前の法的拘束力を持つものも受け入れる。まさに日米の条約というのも併せてここで締結することになるわけじゃないですか。TPPというものを人質に取られて二国間で今までの懸案を全て解決をするという、まさにその手口に乗っているという今のやり方に対しては、私は国益を守ることには全くつながらないということを最後に申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
○委員長(石井一君) 以上で舟山康江さんの質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(石井一君) 次に、山内徳信君の質疑を行います。山内君。
○山内徳信君 社民党・護憲連合の山内徳信でございます。
 今日は時間が十分ちょっとでございますから、総理の答弁は極めて簡潔にお願いしたいと思います。
 さて、ずっと続いておる質疑の中で、村山談話についての質疑と、それから侵略をめぐる見解、さらに大阪の橋下市長のあの発言、それに同調するかのごとく石原慎太郎議員の発言、これがどれほど日本に対するアジアを始めアメリカも含めて日本の品位を落とさせておるかということに本人たちは気付いておるのかということをまず申し上げます。
 私は、四月二十二日の参議院予算委員会で総理が村山談話についてそのまま継承しているというわけではないという発言についても、極めて問題発言だと思っております。さらに、侵略という定義は学問的にも国際的にも定まっていないと、これは極めて総理が若いときからこの侵略問題、植民地問題の研究不足を露呈しておると思っております。既に植民地解放宣言は国連では戦後早い時期に国際社会の合意として発表されております。そして、侵略問題についても多くを語る必要はないと思います。なぜ戦前の朝鮮は、あるいは台湾は植民地ではなかったのか、その北の方にあった満州という国は元々日本の固有の国であったのか、違うでしょう。広く東南アジアに目を移していくともっとありますよ。時間ありませんからこの程度にしておきますが。
 そこで、既に台湾だとか朝鮮の植民地の問題については、戦前、既に学会では植民地の観点から研究論文が出ていたわけです。そういうのをきちっと踏まえて総理大臣は政治を進めてもらわないと、あなたの発言の影響が橋下市長にも及んでおると思います。
 そういうふうにして、もっと総理の答弁は謙虚であってほしいと思います。
 どのぐらいの謙虚が必要かといいますと、第二次世界大戦終わって後、ドイツの、戦後四十年を迎えたとき、一九八五年の五月八日でございますが、ドイツ連邦議会で荒れ野の四十年という有名な演説をされたヴァイツゼッカー大統領を思い出します。彼は、過去に目を閉ざす者は未来に対してもやはり盲目となると、こういうふうな、国際社会、そしてドイツによって大変な目に遭った国々やあるいは人々も、こういう言葉でもって理解が進んでいくわけです。したがって、ドイツは、ヨーロッパにおいて、EUにおいても中心的な国家として今頑張っておるわけです。
 したがいまして、歴史認識とか戦後のこの問題をおろそかにしていたら、アジアにおいて日本は孤立をしていくと、そういうふうな危惧の念を、私一人ではないと思います、ここにいらっしゃる国会議員を始め国民の間にも、どうしてこういうふうにこういうことが起こるんだろうと。早く来てほしいと私は思っていましたが、韓国の新しい大統領もまだ日本にはいらっしゃいません。アメリカへ行かれて、その他の国々に行っていらっしゃるわけですね。
 したがいまして、アジアと友好関係を結んでいかなければいけないのに、皆さん方の、責任ある人々の発言でそういう友好な関係が崩されてきておるのが実態だと私は考えております。それに対する答弁は求めませんが、一応私の見解をお伝えをしておきたいと思います。
 そして、これは質問しますよ。
 五月十日の記者会見で官房長官は、歴代内閣と同じように村山談話全体を引き継ぐと安倍内閣の立場を官房長官は説明していらっしゃいます。この官房長官発言を踏まえて、村山談話を踏襲すると、こういうふうに受け止めておるわけです、私は。それでよろしゅうございますね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 累次申し上げておりますとおり、我が国はかつて多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えたわけでございます。その認識においては安倍内閣としても同じであり、これまでの歴代内閣の立場を引き継ぐ考えであります。
 いわゆる村山談話は戦後五十年を機に出されたものであり、また、戦後六十年に当たっては、当時の小泉内閣が談話を出しているわけでございます。その上において、しかるべき時期に二十一世紀にふさわしい未来志向の談話を発表したいと考えており、そのタイミングと中身につきましては今後十分に考えていきたいと思っております。
 韓国や中国を始めとする近隣の国々は日本にとって重要なパートナーでもあり、これらの国々との関係強化に引き続き努力をしていくとともに、地域の平和と繁栄に積極的に貢献をしていく考えでございます。
○山内徳信君 私は、憲法九十六条の問題に入る前に一言、憲法制定の経緯について申し上げておきたいと思います。
 憲法改正したいという立場の人々は、えてして、この憲法はマッカーサーに押し付けられた憲法だと、こういうふうに言われる方がいらっしゃいます。
 私はそうは思わぬのです。この憲法を、いわゆる憲法九条の戦争の放棄、武力の不保持、これを提案をしていったのは日本の当時の総理大臣幣原喜重郎であったと、こういうことをこの場で明確に申し上げておきます。そして、これは一九四六年一月、幣原・マッカーサー会談で提案されております。
   〔委員長退席、理事小川敏夫君着席〕
 そしてさらに、一九五一年のアメリカの上院での聴聞会でマッカーサーが証言しております。さらに、五五年の在郷軍人会でのマッカーサーのスピーチの中でも、幣原喜重郎が訪ねてきた、そのことをスピーチで発表しております。さらに、一九六四年のマッカーサー回想録というのがございます。その中でも、幣原喜重郎がやはり、日本は軍備を持たない、そういう方向に行かなければ再び戦争のそういう危険性があると。幣原喜重郎のいろんな本を読んでみますと、幣原喜重郎は、あの八月十五日のあの光景、広島、長崎原爆投下のあの光景等々、いっぱい頭に浮かんでおるんですね。
 したがいまして、そういう体験を通して提案されていったのが現在の憲法九条だということであります。この九条を守り抜いて、過去になかった全く新しい平和国家をつくっていったときに日本の未来は輝くんです。今の中国を相手にして、あるいは北朝鮮の動きを理由にして日本がどんどんどんどん軍備増強していっても、それは惨たんたる状況になる以外にないんです。
 したがいまして、今までの二十世紀型の発想、そういうものを乗り越えて新しい日本の平和国家をつくっていっていただくことを私は安倍総理に期待をしたいと思っております。
 さて、あと時間もありませんから、私はここで、自民党の政調会長の高市さんの発言についても時間があればと思っていましたが、指摘だけしておきます。戦後世代だから自分たちには責任はないんじゃないかという発言は、これは総裁から注意を促してほしいと思います。
 そこで、維新の会の共同代表、大阪の橋下徹氏の慰安婦問題についてのこのことを、そして、そういう旧日本軍の従軍慰安婦問題発言と、さらにそれだけでは止まっていないんです。わざわざ五月一日は沖縄まで行って、海兵隊の司令官たちに風俗営業の活用を提案するがごとき、地方自治体の首長ですよ、一つの政党の共同代表ですよ、そして人々の人権を尊重すべきはずの弁護士ですよ、そういう人がこういうふうな発言をするということは、これは人権感覚なし、人間の尊厳を傷つけるような発言です。それが外国から見たときに、これは非常に日本というのはこんな国なのかと、こういうふうに言われてしまうわけでございます。
 したがいまして、私はこの場で、こういう国民全体、日本の政治を陥れるような発言を是非撤回をしてほしい、橋下徹さんに撤回せよということを私は求めて、時間でございますから終わりたいと思います。
 以上です。
○理事(小川敏夫君) 以上で山内徳信君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○理事(小川敏夫君) 次に、水戸将史君の質疑を行います。水戸将史君。
○水戸将史君 日本維新の会の水戸将史でございます。
 総理、若干間が空いてしまいましたけれども、四月二十九日のロシア・モスクワ訪問、お疲れさまでありました。十年ぶりに日本の総理大臣として、小泉首相以来の訪ロであったということでありますけれども、今回のロシア訪問を振り返りまして総理自ら御自身はどのような形で今回の成果を自己評価されているのか、簡潔にお答えください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私は、日本の総理大臣としては十年ぶりにロシアを公式に訪問をいたしました。そして、北方領土の問題については、プーチン大統領との間で戦後六十七年を経て日ロ間で平和条約が締結されていない状態は異常であるとの認識を確認をいたしました。その上で、双方に受入れ可能な解決策を作成する交渉を加速化させていく、私とプーチン大統領、両首脳の間でそれぞれの役所に、外務省にそれぞれ加速化をさせていくという指示を与える、共同で与えていくということで一致をしたところでございます。
 今後、その都度交渉者同士から、これは次官級でありますが、報告を受けながら、そしてまた私とプーチン大統領が様々な、マルチの会議もありますから、そうした会議も利用いたしまして会談を行い、そしてまたその会談を受けて再び各交渉者に指示をしていくという形でしっかりと交渉を前に進めていきたいと、こう考えているところでございます。
 数年間、ずっと日ロの関係、特に平和条約交渉は停滞をしていたわけでありますが、それを再開し、そして加速化させていくということで合意できたことは成果であったと、このように考えているところでございます。
 また、経済分野における協力につきましても、日ロ関係全体の発展を図りながら、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結すべく、腰を据えて基本的に交渉に取り組んでいきたいと、このように考えております。
○水戸将史君 今総理がるるお話をいただきましたとおり、そもそも今回の訪ロの主目的は、日ロ平和条約締結に向けて大きな懸案事項である北方領土交渉を再開をし、そして加速化していくということが、それを合意するためであるという話がございました。
 しかし、さはさりながらも、一九五〇年代からずっとこの古くて新しいテーマである北方領土の問題、いろんな形で国としても、まあ相手があるわけでありますものですから、いろんな取組をしてきた経過がありますが、しかし両国間の立場の隔たりが大きいわけでありますし、両国に受入れ可能な解決策を見出すのは非常に容易ではないという状況でありますが、現時点において、安倍総理自身は、この領土問題に関しての御認識はいかがでしょうか。
   〔理事小川敏夫君退席、委員長着席〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 日本の基本的な姿勢としては、四島の帰属問題を解決をして平和条約を締結をしていくという立場であります。しかし、御承知のように、これは相手のあることでありますから、そう簡単なことではございません。戦後六十七年を超えて、なおかつこれは全く解決をしていないわけでありますから、これは簡単に解決をさせるような魔法のつえはないわけでございます。だからこそ、これは、数年間これはずっと停滞をしていたわけでございますが、まずはこの平和条約を結ぶべきだ、言わば平和条約がないというのはこれは異常な状況であるということで両首脳は一致をしたわけでございますし、これからまさに最終的には両首脳がこれは決断をしなければ解決はしないということにおいても認識を一つにしたところでございまして、その上において、決断をするためにもこれは両国が受入れ可能なものでなければならない、これが大変難しいところでございますが、しっかりとまずは両国で交渉していく、日本としては交渉していきたい、このように考えております。
○水戸将史君 まさに今総理がおっしゃったとおり、決断が必要、政治的な決断というのはやはり大所高所からいろんなことを想定をしながらしていく必要はある、政治家の責務でありますよね。
 今、その日ロ平和条約締結に向けてというお話がありましたけれども、やはりそこの前に立ちはだかっているこの領土問題、領土問題なくして日ロ平和条約の締結に向けてこれを進めていくのか、やはりこの解決なくして平和条約の締結はないと思っているんですけれども、それはいかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 当然、言わば領土問題の解決があってこれは初めて平和条約の締結になる。ですから、四島の帰属問題を決めて、そして平和条約を締結をすると、四島の帰属を決めて平和条約を締結をしていくというのが日本の基本的な立場でございます。
○水戸将史君 我が国の政府の立場として、その帰属問題、帰属が確認をされるならば実際の返還の時期や態様については柔軟に対応する。例えば二島返還を先行するということもあり得ると思うんですけれども、こういうことについてはいかがでしょうか、総理は。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これからまさに我々、交渉をスタートするところでございますから、中身について一々申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
 何といっても、基本は、今申し上げましたように、この北方四島の問題が解決をしなければ平和条約は締結しないわけでございまして、まさに四島の帰属を決めて平和条約を締結をすると、これが基本姿勢でありまして、この基本姿勢の下に、これから平和条約交渉を再スタートさせて、そして更に加速をさせながら解決を図っていきたいと、このように考えております。
○水戸将史君 若干角度を変えてお聞きしますけれども、いわゆるこの北方領土の帰属の確認という話でございますけれども、四島が基本的には我が国の帰属である、帰属する、それを確認しているということでありますけれども、これを立場を変更することはよもやありませんよね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 申し上げているとおり、四島の帰属を解決をして、そして我々は四島の帰属問題を解決をして平和条約を締結をする、これが国の基本的な立場であるということは累次申し上げているとおりでございます。
○水戸将史君 当然、国の基本的なスタンスをしっかり示しながら、そして交渉に臨む。しかし、相手があることでございますものですから、相手もあのような形で我が北方領土を占領しているという状況でありますものですから、なかなかこちらの言うことに耳を貸さないという状況がずっと続いているわけですね。
 森元総理が、去る二月二十一日の段階で、安倍総理の親書を携えてプーチン大統領にそれを渡してきたという、総理の特使として訪ロされておりますけれども、森元総理の帰国後のインタビューにおきまして、これから半年か一年間の間において、両国の外務省に北方領土問題の解決策を検討させることで合意すべきだという、期限を決めてそのような解決策を検討させるべきだということを両国の外務省にやらせるべきであるということを、そういう形でインタビューには答えているわけでありますけれども、実際、プーチン大統領と安倍総理がお会いになりまして、この領土問題解決への道筋についての具体的な期限、じゃ、この期限までに解決策の検討をしましょうというような話合いは持たれたんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まずは、先ほど申し上げましたように、六十何年を経て平和条約がないのは異常であるという認識を一致をさせ、そして平和条約交渉を再開をし、さらには両首脳がいずれかの時点で決断しなければならないという覚悟の下に両国の外交当局に指示を出して、交渉し、更に交渉を加速させていると、こういうことでございます。
○水戸将史君 今言ったのは、いわゆる期限を決め、森元総理はどういう形でプーチン大統領とのお話をされたかは、それはよく分かりませんが、しかし、帰国後のインタビューに答えて、やっぱり半年か一年後の間において領土交渉に対するいわゆる道筋というものを付けていく必要があるという、期限を決めてやるべきであるということを言及されておりますけれども、そういうことを、実際安倍総理が向こうに行かれて期限的な話をされたかどうかということです。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 会談の中の中身について一々紹介させていただくことは差し控えさせていただきたいと思いますが、プーチン大統領とともに共同声明を発出をしているわけでございまして、そして両首脳がモスクワで記者会見に応じているわけでございまして、それが全てであるということでございます。
○水戸将史君 この領土問題、確かに大きな大きな、本当に日ロ安全保障条約の締結の本当にこの一丁目一番地であるわけでありますんで、やっぱり相手があることでありますから、やっぱり緩急織り交ぜながらも我が国の主張はしっかりとしていくというスタンスで是非臨んでいっていただきたいと思っておりますが。
 また、総理の、その会談におきまして、外務・防衛担当閣僚の安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2ですね、これを設置していくんだということをここで合意をしたという話がありますけれども、今までも、米国やまたオーストラリア、日本と非常に関係の深い両国におきましては2プラス2の会議が持たれているわけでありますけれども、ロシアは今までそんな、余りそういうような関係はなかったという中において唐突感は否めないんですけれども、今回なぜこのようなことになったんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今回のプーチン大統領との会談において、防衛・外務閣僚におけるこれは2プラス2の会合の設立について合意することができました。
 委員は唐突感というふうにおっしゃったわけでございますが、恐らく、なかなか日ロではそれは難しいだろうという、そういう認識の方は多かったのではないかと思います。だからこそ、これは私は画期的だったと、このように思うわけでございますが、アジア太平洋地域の戦略環境が今大きく変わりつつあるわけでございまして、その中において、この2プラス2によって安全保障、防衛分野における両国の協力水準が飛躍的にこれ高まっていくわけでございまして、その意味においては私は極めて有意義なものになっていくと、このように考えております。
○水戸将史君 もちろんお互いの、相互の信頼関係を構築をしていくんだということで、2プラス2をこれから進めていくということに関しては私も一定の評価はしてもいいと思っております。
 であるならば、そういう協議を行っていくならば、昨今もよく言うように、ロシア軍機による領空侵犯とか北方領土への軍備の強化など、やはり我が国へのロシアの敵対行為を速やかにやめさせて、そして、それからやっぱりこの2プラス2に対していろんな協調関係をつくっていくことが筋ではないかと思っているんですけれども、こういうことに関して総理からプーチン大統領に、今言ったような領空侵犯とかいわゆる軍備の強化をやめるべきであると、しっかりとおっしゃっていただいたでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) プーチン大統領との間においては様々なやり取りがございました。中身につきましては、先ほど申し上げましたように既に共同声明で発表いたしておりますし、共同記者会見でお答えをさせていただいたとおりでございまして、これ以上のことにつきましては、会談内容のことにつきましてはここで発言することは差し控えさせていただきたいと思います。
○水戸将史君 お世話になりました。
 是非これから、ロシア、隣国でありますし、また様々な日本を取り巻く近隣の諸情勢がある、そういう中において、一定の理解と信頼の下においてロシアとの協調体制をしいていくことは日本の国益にかなっていくと思います。ですからこそ、是非今後とも、是非そういうことを含めてロシア外交をしっかりと踏まえてやっていただくことを強く要望して、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
○委員長(石井一君) 以上で水戸将史君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(石井一君) 次に、荒井広幸君の質疑を行います。荒井広幸君。
○荒井広幸君 新党改革の荒井です。
 今日は、生活に関して、そして景気に関して一番重要な参議院の採決のときを迎えます。今日、五月十五日は、平成三年だと思いますが、総理のお父様の晋太郎先生の御命日でございます。また、私はこの日に生を受けておりまして、そういう意味でもこの採決の日、非常に思いがございますが。
 総理、映画で「リンカーン」を御覧になったということです。仄聞しますと、いろいろ考えるところがあったということですが、どんな思いでどんなところに関心があったんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさに一国の指導者が、国論を二分する、これはまさに南北で戦争になった、内戦になった、至ったわけでございますが、この中で重い判断をするわけであります。これは、建国の理念ともかかわる、自由と平等という理念をいかにこれは守っていく、あるいは確立をしていくかという中において憲法を修正をしていくわけでございますが、やはりこれは政治家の判断は極めて重たい、そして重たい判断を指導者はしなければならないと、こんなことを感じた次第でございます。
○荒井広幸君 総理は人一倍、命とか人権、国を守るという、そういう正義感が強い方であります。そうした思いがあったと思います。
 私は淡々とした気持ちで、アメリカも三分の二の憲法でございます。三分の二の賛成がないと通りません。これをリンカーンはかたくなに、一回目失敗します、下院で。二回目に挑戦するところから、この「リンカーン」は、スピルバーグは描き始めるわけでございますが、そこも非常に私は興味深く見ておったというところでございます。
 さて、総理がおっしゃいましたまさに奴隷制というもの、人権でありました、自由と平等でありました。そのために、幸福追求権というのは同じ十三条、合衆国憲法の修正十三条なんです、あれは、当時。
 我々、十三条は、いわゆる幸福追求権です。幸福追求する。生命、自由、そして幸福を追求する権利は国民皆さんにあるんだと、こういうことでございますが、今の福島県の被災している人たちにそうしたことがあるでしょうか。そして、二十二条には、皆さん、居住、移転あるいは職業選択の自由というのがあるんです。今の福島県の被害者の方に、そういう状況に今なっているでしょうか。そして、二十五条は生存権そのものです。最低限の文化的な営みが、営む権利があるんだと。そういう中に今福島県は置かれている。こういうことで、私は、ひとつ透析患者の皆様方のこの被害という状況をもう一回見詰める中で、全ての被害者のことに思いを巡らせていただきたいと総理にお願いをいたします。
 まず、その賠償をする原子力損害賠償紛争審査会というのがあります。これは九名の皆さんで、いわゆる原発事故の賠償をする基準を決めていきます。そうした方々、あの当時は受け手がなかったです、実際は。しかし、そういう中においても受けていただいたので私は大変感謝をいたしますが、残念な事実、私もうかつでした。この、原賠審と言いますが、委員会の皆さん、委員長さん始め、避難区域、避難指示の出た市町村で、実は今年のつい三日前、五月十二日に初めて現地調査を行ったんです。被害者の皆さんの賠償を決める委員会の親委員会の皆さんが初めて、今年の、三日前に行かれたということなんです。ただし、去年の一月に郡山市でヒアリングはしていますが、現地調査はしていません。この二度なんですね。これで、現地調査を、余りにも少ない、その中で、被害をきちんと受け止めて、被災者の皆さんの声を十分に受け止められたか。そうしていただいていると思いますが、果たして十分であったかと、こういうことを考えますと、私はいわゆる賠償の基準、この根拠が薄らいできたんではないかなというふうに思うんです。
 そこで、今日も、衆参両院全ての政党党派がお願いをした国会事故調査委員会、歴史問題が先ほどからお話しになっていますが、初めてこの国会が今までの原発、この責任は誰にあるかということを考えようということで、十名の方にお願いをしたんです。その皆さんが六か月でこの報告書、もっとあるんですが、お出しになった。
 そのお出しになった中で黒川委員長さんに御説明をいただきたいと思ったのは、まさに、この透析患者の皆さんを例にしては誠に申し訳ありませんけれども、どんなにこの病気を持った人が大変であったかということを見ていかなければならないためには、黒川委員長に来ていただかなくちゃいけなかった。ところが、残念ながら、これは自民党さんを始めとしてなかなか参考人として呼ぶということを了解できないということで、残念でありました。
 そこで、どういうことを言ってあるかというと、ちょっとこれは文科大臣に読んでいただきたいとお願いしたのは認識を共通にするためですから、私が申し上げると、この国会事故調では、原子力災害に特有の事情があるということを明確に指摘しているんです。例えば、病院の患者さんの避難においては、医療関係者が不足した、そして輸送手段が限定された、長距離、長時間であった、避難先確保が優先したので病院を当たることができなかった。
 そういう中でこの透析の皆さん、ここに書きましたけれども、(資料提示)県内に避難され、あるいは東京、新潟、千葉に避難されて、大勢の方が週三回透析をしなくてはならないところを飛ばしたり、あるいは行った先の方も三回しなくちゃいけないところを二回にしてもらって、お互いが切り詰めて命を守っていくんです。
 これが原発災害の、総理、副総理、現実なんですよ。これを国会事故調は明確に言っているんです。これだけでも私たち国民と我々国会は、原発事故の特有な事情を見逃していませんか。民主政権からもう私は何遍も言ってきたんです。
 そこで、話を飛ばしますが、東電に、この透析患者の皆様方は、お金ではないが、命をすり減らすような思いの、それを国の責任として評価してくれ、行き場は、国に行きようないです、東電にしかないんです。賠償という形しかないんです。それを再三断っているんです、東電は。
 この間も私は、テレビ中継じゃないところでやりました。お聞きいただいたと思います。今までも民主政権で言ってきましたが、できません。これを安倍政権で、この実態をきちんと受け止めて、原発には特有な事情があるんだ、これを認識して、おわびのあかしとして賠償を、これをする、そのためには見直しをするべきと私は考えているんです、賠償基準。文科大臣、どう思われますか。
○国務大臣(下村博文君) 原子力損害賠償紛争審査会が策定された指針におきましては、事故により避難等を余儀なくされたことにより負担が増加した診断費、治療費、薬代等は賠償すべき損害と明記されているほか、避難により生命・身体的損害を被った場合には、それによって失われた逸失利益のほか、治療費、精神的損害等が賠償すべき損害と明記されてございます。
 実際の賠償については、個々の方々が受けられた損害の事情に応じて判断されることになりますが、原子力損害賠償紛争解決センターにおける和解事例の中には、人工透析等を受けなければならない状況を考慮して精神的損害に対する賠償額が増額されたものもございます。
 御指摘のように、同センターによる和解の仲介等の体制を強化しながら、文部科学省として、より迅速、公正、適正な賠償が実現できるよう、より全力で取組をしてまいりたいと思います。
○荒井広幸君 総理始め閣僚の皆さん、だんだん福島原発が遠のいてきたんでないですか。まだまだ終わってない。この透析の皆さんが、厚労大臣にお尋ねしたいと思ったけれども、民主党時代からもお願い再三したが、十分に把握しておられないんですよ。それは、規制委員会だとか復興庁だとか、そういうことでは駄目なんですよ。皆さんが国の責任としてきちんと賠償という形でやっぱりおわびをしてもらいたいという気持ちなんです、お金じゃないんです。そういうところを、この原賠審の委員の皆さんも初めて三日前に福島入りをしたと、現地調査をしたと、こういう問題、安倍内閣でなければ直せないんじゃないですか、総理。私はそれを申し上げたい。
 そして、同時に、この国会事故調の第三者が報告をした、黒川委員長を始め、この調査報告には、今回の事故は、これまで何回も対策を打つ機会があったのにもかかわらず、歴代の規制当局及び東電経営陣が、それぞれ意図的な先送り、不作為、あるいは自己の組織に都合の良い判断を行うことによって、安全対策が取られないまま三月十一日を迎えたことで発生したものである、こう言っています。明確に安全対策に対する国の不作為を言っているんです。この不作為を認めない限り、本当の心の復興はできない。
 そして、国の責任として、生活再建あるいは除染の問題もやっていただいています。今まで以上にやってもらって感謝はしますが、本当のずれが出ているところのところは、国が政治責任があったと、国の安全対策の失敗でこのようになったんだということを認めていただくことなんです。
 どうぞ、総理、今、人権が憲法問題として扱われてきています。国の安全保障そのもの、命、人権であります。どうぞ、透析患者さんの一例を出させていただきましたけれども、こうした精神的、肉体苦痛は癒やされることはありませんが、少なくとも安全対策を国が怠ってきたという国の責任を認めて、そして一から出直した対策を、安倍内閣だからこそできます、やっていただきたいと思っております。
 総理、最後にいかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 被災者の皆様を始めとする国民の皆様に多大な御苦労をお掛けをしておりますこと、いまだに多くの方々が自分の家に戻れない、元の生活に戻れない、そういう状況になっておりますこと、心からおわびを申し上げる次第でございます。
 原発の安全性について国会事故調や政府事故調からも指摘されているとおり、複合災害という視点が欠如していたことや、規制組織の独立性が十分でなく、いわゆる安全神話に陥ってしまった点、政府として深く反省しなければならないと考えております。
 こうした反省を踏まえ昨年九月に原子力規制委員会が新たに設置をされ、原子力安全規制の抜本的な見直しが今進められているところであります。その中において、私たちは、原子力規制委員会において、各種の事故調査でこれまで明らかにされた情報を踏まえ、海外の規制基準も確認しながら、世界最高レベルの安全水準となる新規制基準の策定を行っていかなければならないと、このように考えているところでございます。
 また、安全の追求には終わりはないわけでございまして、継続的な安全向上が重要であります。それが原子力規制委員会のまさに規制姿勢でございまして、私たちはしっかりとそうした検討、見直しを行っていく考えでございます。
○荒井広幸君 終わります。
○委員長(石井一君) 以上で荒井広幸君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 これにて外交・内政の諸問題に関する集中審議は終了いたしました。
    ─────────────
○委員長(石井一君) これより締めくくり質疑に入りますが、この際、委員長として一言申し上げます。
 理事会の合意に反し、約二十分審議が遅れております。委員におかれましては、時間を十分厳守して行っていただきたいと存じます。
 本日は、これから締めくくり質疑を行い、そして動議の提出があり、修正動議を議論し、その後、各党の討論があり、その次に採決があり、そしてその後に本会議が延々と開かれると、こういうことなのであります。
 委員に対しまして、質問者に対しましても厳重に今回は注意いたしますが、同時に、閣僚席におかれましても答弁は簡潔に直截に、片道方式でやっておりますので、できるだけ時間を考えながら、中身はしっかりやっていただきたいのですが、お願い申し上げたいと思います。
 それでは、締めくくり質疑に入ります。櫻井充君。
○櫻井充君 民主党・新緑風会の櫻井充です。
 昨日、十四日に飯島内閣官房参与が平壌入りされました。これは総理の任を受けてでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 報道されております飯島参与の訪朝につきましては、政府の立場としてはノーコメントでございます。
○櫻井充君 参与が行かれているのに総理がノーコメントと。非常に重要な問題でございまして、委員長、是非私の同僚の白眞勲に質問をお願いしたいと思いますが、取り計らい、よろしくお願いします。
○委員長(石井一君) 承りました。
 白眞勲君、関連質疑を許します。
○白眞勲君 委員長、ありがとうございます。
 官房長官にお聞きいたしたいと思いますが、飯島内閣官房参与の渡航費というのはどの予算、内閣官房の予算から出ているのかどうか、お答えください。
○国務大臣(菅義偉君) 今総理がこの件についてコメントを控えさせてもらうということでありましたけれども、今の段階では私も控えさせていただきます。
○白眞勲君 これ、予算委員会なんですね。予算の執行状況について調べさせてもらうのにコメントを差し控えるってなると、これはその先、進めなくなっちゃうんですよ。もう一度お聞きいたします。お答えください。
○国務大臣(菅義偉君) 事柄の性質上、コメントは控えさせていただきたいと思います。
○白眞勲君 いや、これ、予算委員会なんです。官房長官、今、外交に関することというんですけれども、行ったか行かないかなんですよ。内容について私、聞いているわけじゃないんですね。
 飯島内閣官房参与が平壌で何をしているかということを聞いているわけじゃなくて、その渡航費について聞いているんです。もう飯島内閣官房参与が平壌に到着したことは分かっているんです。ですから、その予算については、その渡航費についてお聞きしているんです。お答えください。
○国務大臣(菅義偉君) 事柄の性質上、現時点においては、これは控えさせていただきたいと思います。(発言する者あり)
○委員長(石井一君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(石井一君) それじゃ、速記を起こしてください。
 それでは、もう一度質問者の発言を許します。
○白眞勲君 では、もう一度お聞きします。
 予算はどこから執行されていますか。
○国務大臣(菅義偉君) 今の時点では、事柄の性格上控えさせていただきたいと思います。(発言する者あり)
○委員長(石井一君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
○委員長(石井一君) 速記を起こして。
 それじゃ、再度政府の答弁を求めます。菅内閣官房長官。
○国務大臣(菅義偉君) 同じ答弁で恐縮でありますけれども、現時点においては、事柄の性格上、答弁は控えさせていただきたいと思います。
○白眞勲君 じゃ、それだけ言えないというその事柄の性格って一体何ですか。それをお答えください。
○国務大臣(菅義偉君) 委員は十分承知の上の質問だと思います。
 まさに事柄の性格というのは、事柄の性格上であります。
○白眞勲君 そこまでしゃべらないという方が私は不思議でしようがないんですよ。
 じゃ、ちょっと質問のやり方変えますね。
 普通、外交交渉というのは、今回のこの北朝鮮の渡航については、政府の方で、ミサイル発射事案だと、それぞれ様々の、今までの経済制裁等の北朝鮮に対する様々な制裁の中に、我が国国家公務員の渡航を原則として見合わせるということが書いてあるわけですね。で、内閣官房参与は、これ公務員ですよね。
○国務大臣(菅義偉君) 特別職の公務員です。
○白眞勲君 私は、原則として行っちゃいけないといっても、国益に関する以上、行っていいと思っているんですよ、私は、平壌に。だから、そういう面では、ただ、こうやって国民に向かっても我が国からの北朝鮮への渡航自粛を要請しているわけですね。だから、国民に対しての説明というのがあるんです。原則を外して、例外として今回渡航されたわけですから、その例外として渡航された、それ相当の理由だけは説明をこの場でしていただきたいと思います。総理、ちょっとお願いいたします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、日本と北朝鮮の間には、拉致問題、そして核問題、ミサイル問題があるわけでございまして、そうした問題を解決をして、平壌宣言にのっとって国交を正常化するというのが基本的な方針でございます。
 その中において、彼らは挑発的な行動を取っている、拉致問題についても誠意ある姿勢を示さない中で、累次の制裁を科しているわけでございます。圧力を掛けていきながら彼らの政策を変えて、対話によって問題を解決をしたいということでございます。
 その中において様々な努力をしているわけでございますが、今報道されているこの飯島参与の訪朝につきましては、まさに今官房長官が答弁させていただいたように、事柄上、コメントを控えさせていただいているわけでございまして、これは一般論として申し上げれば、外交交渉をしている中において、その人物の立場、これは国際社会全体の立場というものがございますので、その立場をどういう立場としてとらえているかということの表明ということについては、これは慎重でなければならないと、これ一般論として申し上げているわけでございます。
 そして、その上において、今の御質問について、予算とのかかわりでございますが、その予算とのかかわりについてコメントすることも政府とのかかわりについてコメントすることに結果としてなっていくわけでございますので、コメントとして差し控えさせていただきたいと、こういうことでございます。
○白眞勲君 そういうふうに答えてくれればいいんですよ、安倍総理。口をとんがらかしてノーコメントと言われちゃうと、こっちもかわいそうなんです。
 ですから、逆にそういう、国民に向けては、やっぱりこうやって飯島参与が行かれたと。そうしたら、私も含めて国民の大多数は拉致問題の解決に一歩前進するんじゃないかという期待感は出てくるわけなんですね。それに対するやはり思いというのを絶対伝えておいてもらいたいと思うんですよ。それをお答えいただきたい。もう一度お願いします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 特に、これは飯島参与の件とは別でありますが、拉致問題、核問題、ミサイル問題、特に拉致問題については我が国と北朝鮮との間の問題であり、我が国が自主的に、これこそまさに国際社会の理解と支持を得ながら我が国が解決をしなければならない問題であると、こう考えているわけでございまして、もちろんしっかりと圧力を掛けて、彼ら自体にこの問題を解決をしなければならないという認識を持たせなければ問題が解決するわけではございませんが、同時に対話については、対話を行いながらも解決をしていく、圧力を掛け、その上において対話によって最終的には解決をしていくわけでございますから、そうした努力は第一次政権のときにもしておりましたが、今回も我々は様々な努力をしていくということは当然のことであろうと、こう考えているところでございます。
○白眞勲君 最後に一つだけお聞きしたいと思いますけれども、朴槿恵さんはCBS放送のあれで、機会があれば会うだろうが、今はそんな状況ではないと、金正恩さんとですね。総理はお会いするつもりはあるんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、会うことそのものは目的ではなくて、結果を出していかなければならないわけでありまして、北朝鮮は国際社会に認められている状況をつくりたいという、そういう考え方もあるかもしれないという中において、はっきりと日本が、まず少なくとも国際社会とともに核問題あるいはミサイル問題を解決をしようとしています。そして、我が国には拉致問題が解決をしなければならないという中の判断において、もちろんそれは首脳会談をやることが重要な手段であれば、それは当然、かつて小泉総理が訪朝して五人の被害者の方々が日本に帰国できて、御家族の方々もその後もう一度訪朝して帰国できたわけでございます。そうしたことも当然我々は考えながら交渉をしていかなければならないと、このように思っております。
○白眞勲君 委員長、ありがとうございました。関連質疑、ありがとうございました。
○櫻井充君 それでは、アベノミクスについて質問させていただきたいと思いますが、まず、今日は日銀の黒田総裁にお越しいただいています。日銀の戦略として、どのようなプロセスで物価を上昇させようとしているんでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 三つのルートが考えられると思いますが、まず第一に、マクロ的な需給バランスの改善が重要であると思います。需給バランスはここのところ緩やかに改善をしておりますけれども、なお供給超過の状況にございます。先行きにつきましては、潜在成長率を上回る成長を続けることで需要超過に転じ、その後、需要超過幅を拡大させていくというふうに考えております。
 第二に、中長期的な予想物価上昇率の上昇というのがございます。これは、量的・質的金融緩和の下で上昇傾向をたどっておりまして、物価安定の目標である二%程度に向けて次第に収れんしていくのではないかと思っております。
 第三は、輸入物価の上昇でございます。輸入物価につきましては、為替相場の動きが当面の上昇要因として働く上、国際商品市況が世界経済の成長に沿って緩やかな上昇基調をたどるという想定の下で上昇を続けていくだろうというふうに考えております。
○櫻井充君 今、三番目の、円安によってということでしたが、これは想定の範囲内でしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 為替相場の水準あるいはその動向について具体的なコメントは差し控えさせていただきますが、先ほど申し上げたように、為替相場が円安に振れたことが輸入物価の上昇を通じて物価上昇の一部を形成していくだろうということは言えると思います。
○櫻井充君 輸入物価が上昇する場合に、これコストプッシュ型の悪い物価上昇になるかと思いますが、その点についてはいかがでしょう。
○参考人(黒田東彦君) 物価上昇というのは、二%の消費者物価の上昇という物価安定の目標でございますが、これは一時的なものでなくて持続的に達成すべきものと考えておりますので、輸入物価がエネルギーの価格の上昇その他で一時的に上昇していくというようなことを特に目指しているわけではございません。あくまでも目標の達成に当たっては、経済が持続的に成長していくということで、企業収益あるいは雇用、賃金の増加を伴いながらバランスの取れた形で物価上昇率が徐々に高まっていくという好循環をつくり出していくことが大切であると考えております。
 先ほど申し上げたように、私どもの展望レポートでも国際商品市況が緩やかな上昇傾向をたどると想定しているわけですが、この背景には、世界経済が緩やかながらも次第に成長率を高めていくことと整合的な想定と考えておりまして、一言で言えば、バランスの取れた形で物価上昇が続くであろうというふうに期待しております。
○櫻井充君 済みません、答弁長くて何も答えてもらっていません。
 改めてお伺いします。三つ目のルートは、これは輸入物価が上がることによる物価上昇ですね。これはコストプッシュ型の悪い物価上昇ではないんですかとお伺いしています。
○参考人(黒田東彦君) 何回も申し上げますが、先ほど三つの要素に分けて御説明いたしましたけれども、実際はそれらが一緒になって回っているわけでございます。経済は生き物ですので、どれか一つだけ取り出して、これでコストプッシュでこうなってというふうになかなか言い難いところがございます。もし仮に、輸入物価だけが上がって、ほかの需給ギャップの縮小とか、あるいは一般的な物価上昇期待の上昇とか、そういうものがなくて、あくまでもコストだけ上がっていくということであれば、確かにコストプッシュインフレということになると思いますけれども、実際にはそうでなくて、既に需給ギャップも縮小してきて、それから物価上昇期待も上がってきているということでございます。
○櫻井充君 認識ちょっと違っているんですが、物価上昇、コストプッシュ型でも、とにかく物価上昇するためには、これは原材料費の価格転嫁、それの価格を転嫁していかなきゃいけないと思いますが、その価格を転嫁するということも織り込み済みですよね。
○参考人(黒田東彦君) 当然、一般的には織り込んでいるわけでございます。ただ、個々の商品ごとにそれぞれの需給関係とかそういうものが違いますので、一概に全てについて同じように転嫁されるというふうに言うことは難しいと思います。ただ、マクロ的に、全体的に見て適切に転嫁されていくであろうというふうに思っております。
○櫻井充君 いや、そうじゃないですよ。円安で輸入物価が上昇すると、そうすると、物価が上昇するためには、当然、価格転嫁しなかったら物価上昇しないじゃないですか。
○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げたように、当然、一般的には転嫁されて物価上昇につながっていく要素があるということは申し上げたとおりでございます。
○櫻井充君 そうすると、価格転嫁されていないと物価は上昇しないわけであって、日銀の政策目標として二%を掲げていますから、この価格転嫁まで、これは日銀が責任を負うんでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げたとおり、一般的に、マクロ的に見て当然価格転嫁されていくと思いますけれども、個々の商品ごとにどういう競争関係にあり、どういう需給関係にあるかということは違ってくる可能性がありますので、一つ一つの個々の輸入価格の上昇について、そのものが一〇〇%転嫁されるのか、あるいは一〇〇%に行かないのかということは、一般的に言うのは難しいと思いますけれども、全体として見て、過去の例を見ても、輸入物価の上昇というのは国内物価の上昇に転嫁されてきているというふうに思います。
○櫻井充君 答弁になっていません。
 改めてお伺いします。これは日銀が責任を持つんですね。
○参考人(黒田東彦君) 私どもが目指しておりますのは、二%の物価安定目標をできるだけ早期に、具体的には二年程度を目途に置いてこれを実現するということでございます。
○櫻井充君 それでは答弁していただけていません。本当は止めて、もう一度きちんと答弁いただきたいところですが、批判を浴びますので諦めておきますが。
 じゃ、甘利大臣、これは、政府としては価格転嫁には責任を持たれるんですか。
○委員長(石井一君) 質問に的確にストレートに答えてください。
○国務大臣(甘利明君) 例えば、燃料価格が高くなってその企業が価格に転嫁をしなければならないと、それをしないで下請にしわ寄せをすると、これは政府の責任で下請代金支払遅延防止法等でそれをやめさせなければなりません。ただ、企業が自分の判断、努力で吸収をできるということについて政府として立ち入るということはなかなかできないかと思います。
○櫻井充君 消費税のときにはちゃんと価格転嫁できるようにということになっていますね。これは、輸入物価の場合にはそういうことは考えていないということですね。
○国務大臣(甘利明君) 消費税のときには、消費税というのはきちんとルートを追って最終的に納めていただくものであります。それを還元をするというような表現については、これは本旨と違いますねということで指導していくということであります。
○櫻井充君 改めてですが、価格転嫁できなければ企業の利益率は落ちる、そうすると賃金は上がらないことになるんじゃないですか。
○国務大臣(甘利明君) ですから、正しい経済原則に従ってやっていただくと。企業が吸収するというのは、生産性の向上で吸収する際には賃金には跳ね返らないはずであります。それを賃金でしわ寄せをしようとすると、その行動は正しくないということになると思います。
○櫻井充君 済みませんが、町のパン屋さんとか総菜屋さんとか、そういうことは可能だと思っているんですか。
○国務大臣(甘利明君) これは、輸入物価が上がる、これは経済原則として価格に転嫁をしていくと。その環境がきちんと保たれる、つまり良好な循環になるように政府は環境整備を全力で行っていきます。ただ、個々の、どこどこのパン屋さんが上げなかった、どこどこのパン屋さんは上げた、これはけしからぬ、けしかるというところまで政府が介入できるかというと、これは消費税の話とは少し違うかと思います。
○櫻井充君 これ、皆さん、価格転嫁できない、それから利益が落ちるんじゃないかということを本当に不安に感じていらっしゃるんですよ。ですから、こういったことに対して政府としては、じゃ、どういう形で対応されるんですか。
○国務大臣(甘利明君) 例えば、燃油とか飼料の大量に使うところの高騰については事業官庁の方からいろいろな対応策を考えているところでありますし、中小企業でいえばセーフティーネット融資等々で対応していきます。我々としては、経済がしっかり回っていって、最終的に、タイムラグはあるけれども、みんなきちんと、一人が痛みをかぶることがないというようなことを理解をしてもらいたいというふうに思っております。
○櫻井充君 今の御答弁ですと、例えばこの間、林大臣から御答弁ございましたが、燃油対策をして何らかの補助金みたいなものを入れていくことによると、結果的には価格は上がらないんですよね。利益率を確保するためにそういうことをやっていくことになると、これ物価は上昇しなくなりますよ。
○国務大臣(甘利明君) 委員はよく御承知の上でおっしゃっているんだと思います。
 それは、短期的に急激な変化が来ると、大量にですね、そういうところは事業官庁として対応できるものはすると。しかし、経済全体としてはしっかり回っていくように、タイムラグはあります、ありますけれども、そのタイムラグをできるだけ短くして、下請の賃金とか下請の代金とか、あるいは従業員の賃金に影響しないように、環境整備、できる部分はしっかりしていくというところであります。
○櫻井充君 かなり大変になってきていて、じゃ、済みません、今賃金のお話がありましたが、賃金については誰がこれを責任を負うんでしょうか。
 雇用については、この場面で安倍総理から、雇用は日銀に責任を持ってもらいたいという話がありましたが、日銀はそれでいいんでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 日本銀行は米国のFRBと違いまして、米国の場合は物価の安定と雇用の最大化というこの二つのいわゆるデュアルマンデートというのが示されているわけですが、ほかのほとんどの中央銀行、日本銀行も含めてですが、あくまでも物価の安定ということが最大の目的であることは法律に定めてあるとおりでございます。
 ただ、日本銀行法自体も、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することを理念としておりますので、当然私どもも、二%の物価安定の目標の実現に当たって、企業収益とか雇用とか賃金、これが増加しながらバランスの取れた形で物価が上がっていくことを期待しているし、そういう好循環ができていくことが大切であるという点は恐らく委員と同じ意見だと思います。
○櫻井充君 結局、責任のことについては何も明言されませんでした。
 雇用については、総理、これは日銀に責任があるということですね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私の考えはいろんな場所で述べさせていただいておりますが、言わば日本銀行に物価安定目標に向けてしっかりとその責任を果たしていただくということでございますし、また、それを達成する中において、先ほど理念として表明していただいた、その中に是非雇用というものも念頭に置いてやっていただきたいというのが私の考えでございますが、しかし、それは、責任ということにおいては、まさに私たち政治の場、そして政府が雇用を、求人数を増やしていくための努力をしていきたいと、このように考えているところでございます。
○櫻井充君 そうしますと、雇用と賃金については、これは政治の責任、つまり政府の責任だということですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、雇用については、言わば我々はどこで責任を取るかということでございますが、責任はどこで取るかといえば、まさに選挙で国民に信を問い、そこで責任を我々は取らされるわけでございまして、そのときの経済水準、経済指標等が様々にこれを判断されるわけでございまして、その中において、当然、これは有効求人倍率、あるいは雇用の状況、そして賃金がどうかということも恐らく判断材料になるんだろうと思いますが、しかし、我々が責任と、さらに権限を持っているかといえば、これ賃金は私たちがこれを決めることはできないわけでございますので、経済界に是非とも賃上げを行ってもらいたいと、こう要請しているところでございます。
○櫻井充君 いや、総理、総理の経済対策を実現するためには賃金上がらないとどうしようもないんじゃないんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) もちろんこれは、まず、このインフレ期待が上がる中において経済が活況を呈し、そして企業が収益を上げる中においてしっかりと労働分配もしていただき賃金が上がっていく、そうすれば消費も増えていく、そういう状況をつくっていきたいと、こう考えております。ただ、これは直ちにということではなくて、どうしても、先ほど甘利大臣が答弁したように、時差の問題もありますが、なるべく早い段階で賃金が上がるように努力をしていきたいと、こう考えているところでございます。
○櫻井充君 いや、これまでは、結果が出たものについては、例えば輸出関連のところの企業はこれだけ利益が出たんだといって、随分この場面でも自慢されておられました。しかし、こうやって副作用が出てきたところについては途端にトーンダウンされるんですよ。しかし、ここについてどういう手当てをしていって、一体いつぐらいになったら賃金が上がってくるんですということを明示することが私は責任だと思いますけどね。その点についていかがですか。
○国務大臣(甘利明君) 経済は今更言うまでもなく生き物でありますから、何時何分にどうなりますというのはなかなか言えません。我々ができることは、好循環へのサイクルをできるだけ早めるという努力であります。
 もちろん、総理が経済団体に対して、まあ若干ルール違反じゃないかという御指摘もありました。給与を上げるというのは民民の契約に基づくものでありますから官が不介入のところでありますけれども、しかし、それは了解をしながら、余力が出てきたところについては上げてほしい。で、ベアを実施したところも増えました、一時金も増えました。もちろん、顕著ではないじゃないかと言われれば、これからだと思っております。その努力を、政府のやっていいこと悪いことのぎりぎりのところまで踏み込んで努力をしているというのが今の安倍内閣の姿勢だと御理解をいただきたいと思います。
○櫻井充君 甘利大臣、賃上げ率についてですが、これは昨年と今年とどちらがいいんですか。
○国務大臣(甘利明君) トータルでいいますと、若干今年の方がいいかと思います。そう大きく変わるところではありません。一時金とベア実施率等々で改善が見られているというふうに承知しております。
○櫻井充君 済みません、私は、これは日経新聞の一次集計の資料なものですから、もしそういうことであれば、きちんとした資料を提出していただきたいと思います。
○国務大臣(甘利明君) 提出させていただきます。
○櫻井充君 賃金についてここまで言っているのは、前回も申し上げましたが、年金生活者に物すごい影響が出てくるわけです。
 改めてですが、まず、私、総理の認識ちょっと違っていらっしゃると思っているのは、この間、海江田代表との党首討論で、物価が上がっていけば、物価スライドしますから年金は上がっていくわけですと、こうお答えになっているんですが、その認識で正しいでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 基本的に、物価が上がっていく中において賃金も上がっていくわけでございまして、そういう中においてスライドしていくということを申し上げたわけでございます。一方、物価が下がっていけば、まさにデフレの中で、これは年金生活者の収入が、年金が下がっていくのも事実でありまして、事実、我々、二・五%、民主党政権時代にこれは三年間で下げていくということを決めたわけでございます。
○櫻井充君 いや、また済みませんけど、こういう根拠に基づかない答弁されない方がいいですよ。物価が上がれば賃金も上がるんですか、本当に。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) つまり、物価が上がっていく中において我々は賃金も上げていきたいということを申し上げているわけでありまして、その中において、物価が上がっていく中において賃金が上がっていくという言わば好循環の中において、これはそのスライドによって年金が上がっていくということでございます。
○櫻井充君 済みません、希望的観測と事実をごっちゃにしないでいただきたいんです。
 繰り返しですけど、物価が上がっていったら本当に賃金は上がるんですね。
○国務大臣(田村憲久君) 物価が上がると賃金が上がるかということでよろしゅうございますか。
○櫻井充君 そうです。
○国務大臣(田村憲久君) 物価が上がると賃金が上がるか。年金じゃなくて。どっちが。
○櫻井充君 総理がそう言ったんです。今の答弁、そう言ったんですよ。
○国務大臣(田村憲久君) 物価が上がると賃金が上がるかどうかという話は、今まで例を見ますと、実質賃金というものは大体ゼロか、マイナスのときも若干あるかも分かりませんが、ほぼゼロで来ております。つまり、マイナスというところはほとんどありません。
 実質賃金がゼロということは、つまり物価上昇率に対して名目では物価上昇率と同じだけの分が上がっているということでございまして、その場合、年金に関しましては、御承知だと思いますけれども、物価上昇率を上限として賃金上昇率との丈比べでございますから、実質賃金が上昇率がゼロ%であれば、当然その物価上昇率分だけ年金も上がっていくということでございます。
 ただし、マクロ経済スライドでありますとか、一方で特例水準の解消という問題があることは別途でございます。
○櫻井充君 田村大臣、今総理が答弁されたんですよ。要するに、この間、海江田代表とのときに、物価が上がれば年金もそれに合わせてスライドすると言うから、それは違うんじゃないですかと申し上げたら──まあどうぞ、じゃ、総理。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) つまり、名目賃金が上がっていけば、ですから今答弁したように、当然物価が上がっていかなければ、事実上ゼロと考えれば、物価が上がらなければ名目も上がっていかないわけでありますから、それにスライドをしていくということを申し上げたわけでありまして、こんなことを一々説明せずに、基本的にインフレになっていけば、その物価が上がっていく中において、それがまさに公的年金の良さであると、こういうことでございます。
○櫻井充君 そこがちょっと違うんですよ。
 田村大臣、これ、賃金が上がればその年から、済みませんけど、全部賃金の上昇率とみなしますか。
○国務大臣(田村憲久君) 賃金が上がれば……(発言する者あり)済みません。
○櫻井充君 賃金が上がったその年の賃金の上昇率が、その年の上昇率がすぐ年金に反映されますか。
○国務大臣(田村憲久君) それは物価上昇率も同じでございまして、前年度の物価上昇率と比べてスライドが掛かるという話でございますから、その年、リアルタイムで年金がスライドするというものではございません。
○櫻井充君 済みません、これちょっと確認ですけれども、たしか前の三年間の平均じゃなかったですか。だって、賃金賃金って聞いているじゃないですか。
○国務大臣(田村憲久君) 賃金。賃金に関しては三年間の平均でございます。
○櫻井充君 済みません、ちゃんと制度を理解した上で御答弁いただきたいと思いますが、つまり、これだけそのタイムラグが全部あるわけですよ。そうすると、実際、実質経済が上がっている際に、実質経済が上がっている際に賃上げも遅れました、賃上げも遅れると今度は年金の給付が上がるというのも遅れるんですよ。そういうことでよろしいですよね。
○国務大臣(田村憲久君) ちょっとおっしゃっている意味がよく理解できていないところがありますが、ちなみに、先ほど申し上げました実質賃金の上昇率というものはほぼゼロ、マイナスに入っていることはほぼないわけでありまして、そういう意味からいたしますと、名目に合わせて今のところは賃金は同じような、物価と同じような形で動いてきておると。もちろん、若干の差はあるにいたしましても、そういう状況でございます。
○櫻井充君 こういう状況の中で、改めてですが、総理、年金生活者の方々の生活はかなり大変になると思われませんか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) そこで、言わば今までデフレ下にあった中においては、これは年金生活者の皆様にとっても年金の給付が減るわけですから、二・五%減らさなければいけないということを申し上げたわけでございます。そして、インフレになれば基本的にはスライドしていく、言わば名目賃金、そして実質賃金とこのインフレとの関係においてスライドをしていく。つまり、これはそういうスライドがあるからこそ公的年金ということについては、自分でただお金をためていくのとは違ってちゃんとスライドをしていきますよというのが公的年金の良さと言ってもいいんだろうと、こう思うわけでございます。
 いずれにせよ、経済が順調に成長していく、そして運用がしっかりと回っていくことによって年金財政は黒字になっていくわけでございまして、民主党政権時代の昨年、残念ながら一・五兆円マイナスであった年金の運用は今五兆円以上これはプラスになっているわけでありますから、そういう意味において基本的に年金財政はプラスになっているということは申し上げておきたいと思います。
○櫻井充君 済みません、過去の自民党政権下でも相当年金の運用利回り悪かった年もあるので、今回の単年度を取ってプラスになったということを強弁されない方が私はいいと思いますけれども。
 そうすると、もう一つ、この予算に関係したことですが、こうやって物価が上がっていくという中で、済みません、通告していませんが、生活保護費は下げるということなんですよね。
○国務大臣(田村憲久君) まず、先ほどの年金の話で申し上げれば、当然一般の労働者の方々、この方々も所得が減るわけでありますから、そのような中において、年金とやはり公平性というものを考えたときにどうするかということでございまして、要するに、賃金が下がったときに上がらないじゃないかと、物価スライドが掛からないじゃないかというような今お話がございましたけれども、当然労働者の方々も所得が減るわけでありますから、そことの公平性を考えれば年金だけ上げるというわけにはいかないという中において丈比べをするというようなシステムになっているところでございます。
 それから、今の生活保護のお話でございますけれども、これに関して申し上げれば、三年間掛けてこれから段階的に適正化を進めてまいります。
 一方で、物価が今年上がった場合、当然これ、民間の最終消費支出も増えるわけですね、普通で考えれば、物価の分だけは。そうなれば、それを一つの基準と見て、生活保護、特に生活扶助の基準に関しましては、来年度どうするかということを勘案してくるわけでございまして、そういう意味ではタイムラグは生じるわけでありますけれども、その分、三年間掛けて適正化をするという中において御理解をいただければ有り難いというふうに思います。
○櫻井充君 今の御答弁の中で、賃金が上がらなければ年金も上がらないと、それはそのとおりでいいんです。だけど、問題は、物価を上げると言っているわけだから、賃金が上がらないと大変になるんじゃないですかということを申し上げているんです。それは同じ認識ですよね。
○国務大臣(田村憲久君) それはそうですが、それは一般の労働者の方々も物価が上がるわけでございますから、同じように両方が大変であるということでございます。
○櫻井充君 ですから、物価が上がったときに労働者の方々の賃金が上がらないと大変だというのはそのとおりなんです。
 じゃ、そうすると、そこの手当てというのは、これは政府としては、あとは民民の関係だからほっておきますということなんですか。
○国務大臣(田村憲久君) これ、要は、物価を上げるのが安倍内閣の目的じゃないことはもう御理解をいただいておると思います。賃金を上げるというのが目的であります。賃金はどうやって決まるかも、これはもう御承知のとおり、民間の企業の業績でありますとか経済の情勢等々全般であるわけでございます。ちなみに、円安になれば、当然、コストプッシュ型のインフレになる可能性はありますが、一方で輸出業者の方は利益が出やすい体質になるわけでございまして、そこで働く方々の賃金は上がりやすくなる。
 つまり、全体まだら模様の中で、いいものが増えてくれば全体としてそこで需要というものが生まれてくるわけでございまして、そうなれば物価を上げられるという環境が整ってくるわけでございます。同時に、その中において賃金も上がっていくわけでありますから、そういう意味でもタイムラグというようなお話であったわけでありまして、それをなるべく円滑に、傷を浅くするためにいろんな施策があるということでございますし、先ほど来、甘利大臣等々からもそういうお話があったというふうに存じております。
○櫻井充君 物価が上がって、賃金が上がらないと需要は増えないんですよ。要するに、数を減らさなきゃいけないんで、実は需要は増えませんので、そこは誤解のないように。いい企業のところの分は増えるけれど、一方のところはイコールじゃないんです、下がりますから。ですから、それで相当の差が出てくるわけです。
 そうすると、何が起こってくるかというと、相当な格差が出てきて、確かに輸出関連の大企業はいいわけです。ところが、こういったものを材料にして商売をされている方々は大変苦労されるということなんだろうと思っていて、まあいいんです、なかなかこういう対策、十分打っていただけないということだけはよく分かりました。
 それで、もう一つ、先ほど購買層に働きかけていきたいという総裁からのお話がありましたが、どの購買層に働きかけていくんでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 御質問の趣旨を十分とらえているかどうか分かりませんが、二つ申し上げたいと思います。
 一つは、賃金と物価の関係につきましては、私どもが調査した限りでは、物価と賃金は比較的同じような動きをしておりまして、若干タイミングのずれとか何かは過去の例もあるわけですが、おおむね賃金の上昇のときには物価も上がっているし、物価が上がっているときには賃金も上がっているという関係が見出されるわけでございます。
 そこで、今御指摘のもう一つの点だと思いますが、インフレ期待がだんだん二%に向けて収れんしていくときにどういった購買層が消費を増やすかということですが、一番考えられるのは、もちろん消費財の中では耐久消費財は当然前倒しで買おうということになるわけでございます。これが恐らく消費全体の一割ぐらいあると思います。さらに、同じ家計でいえば、住宅投資も前倒しの効果がかなりあると思っております。
 その意味では、デフレの下で消費を先延ばししていた家計が、物価上昇が二%に向けて収れんしていくという中では、恐らく消費の前倒し効果が緩やかに出てくるのではないかというふうに思っております。
○櫻井充君 委員長、答弁長いんですけれども、答えていないんですよ。
 要するに、そうやってインフレ期待といって、消費を増やすような購買層が、まあ所得は、じゃどのぐらいの層を期待されているんですか。
○委員長(石井一君) ちょっと一言申し上げます。
 今中継されておりませんからちょっと申し上げますが、あなたの質問もなかなか答えにくいし、それから答弁が長いよ。これでやっていたらもう今日は日が暮れてしまいますから、もう少しお互いに歩み寄っていただきたいと思います。
○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げたように、インフレ期待で消費が前倒しされるものというのは耐久消費財であり、あるいは同じ家計の住宅投資だと思いますが、これらは特に高所得層に、特に耐久消費財でいいますと、消費バスケットの中で特に高所得層に偏っているというものでは必ずしもないと思います。
○櫻井充君 年収だとどのぐらいを想定されているんですか。
○参考人(黒田東彦君) 私ども、特に年収何百万円のところがどれだけ消費を増やすとかそういった計算はしておりませんが、耐久消費財の消費のデータを見る限りでは、比較的所得階層ごとに先ほど申し上げたような割合になっているということでございます。
○櫻井充君 それじゃ、実体経済を伴わないで今株価が上がっていますが、これはバブルですか。
○参考人(黒田東彦君) 現時点ではバブルと考えておりません。
○櫻井充君 今のように明確に答弁していただければいいんです。
 済みません、あとは今日はお伺いしても十分御答弁いただけないことはよく分かりました。あとは、日銀の総裁にはここで退出していただいて結構でございます。
○委員長(石井一君) それでは、黒田日銀総裁、退席いただいて結構であります。
 櫻井さん、今度予算委員会でもっとじっくりやってよ、これは。総括締めくくりですから。どうぞよろしくお願いします。
○櫻井充君 委員長、これはもうアベノミクスの最大のポイントのところですから。
 それでは、総理がこれまで答弁されてきた中で、前回、選挙制度のところで、自民党の案を提出されていると、そう答弁されました。それでいいんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) いわゆる国会との関係、国民の皆様にお示しをしているという意味で提出ということを申し上げたところでございますが、国会に対してはまだ提出はしていないわけでありまして、国民の皆様には提示をさせていただいているということでございます。
○櫻井充君 いや、ここ、ちゃんと提出しているわけですと、あとは国会において十分議論して決めていただきたいと、このように思っていますと。明らかに国会に提出しているとおっしゃっていますよ。違いますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) その後ですね、私、その後はずっと提示というふうに答弁させていただいておりまして、その答弁の中において、提出を、最初確かに提出というふうに申し上げまして、これ国民の皆様という意味で申し上げたところでございますが、国会にという誤解を与える危険性がございましたので、その中で既に提示というふうに申し上げているはずでございます。
○櫻井充君 言い換えているものが随分ありまして、最初のときの答弁と大分違うんです。
 じゃ、そうすると、あのとき私は国会に提出したんだと思っておりましたので了解しましたが、そうすると、野田総理との、あの当時の総理との党首討論での約束はどこで果たしたということになるんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさに与党として取りまとめを行い、もう既にお示しをしている、あとは国会において審議をいただきたいと、このように思うところでございます。
○櫻井充君 自民党の中で本当に取りまとめは終わっているんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは自民党だけではなくて、与党との中において取りまとめは終わっているということでございます。
○櫻井充君 余計なことかもしれませんが、これは総務会を通っておりますでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 基本的に、今申し上げたとおり、既に党において取りまとめは終わっているというふうに私は承知をしております。
○櫻井充君 確認だけしておきます。
 党においての取りまとめというのは、どの時点で取りまとめとおっしゃるんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 基本的に、党においては、今与党でやっておりますので、公明党との協議も終え、そして党の最終機関である、通常はですね、総務会において了承する、これは細田代行の下において協議をしておりますので、そこにおいては終わっているというふうに認識をしております。
○櫻井充君 分かりませんが、総務会まだ通っていないやにお伺いしておりますが、違うかもしれません。これは後で私の方も確認させていただきます。
 もしそうであって準備されているんであれば、我が党はもう提出しているので、国会に提出されるべきじゃないですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これについては、まさに議員立法でございます。選挙制度でございますから、民主主義の土台をつくるものでございますから、まさにこれは院において、しっかりと各党派においてこれは議論をし、そして提出するものだと、このように思っておりますので、私は党に今任せているところでございます。
○櫻井充君 党の総裁なんですから、党の代表として、ちゃんと提出するのかしないのか、ここは明言してくださいよ。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 提出ということについては、しっかりと提出をしていかなければならないと、このように考えております。
○櫻井充君 それは、済みません、確認しておきます。国会にちゃんと提出してくださるということですね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 既に国民の皆様にはお示し、提示をしているわけでございますが、国会に提出すべく今恐らく進めているんだろうと、このように思います。
○櫻井充君 済みませんが、明言は避けるということでよろしいんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この三十削減、そして比例代表制において変更するこの案について取りまとめを急ぐように指示したのは私でございまして、取りまとめた以上、提出するのは当然のことであると、このように思います。
○櫻井充君 ありがとうございます。非常に総理から重い答弁をいただいたと、そう思います。
 それから、前回も質問してちょっと愕然としたんですが、雇用者数と求人数と同じだという、ほぼ同じだという答弁をされましたが、これ、厚生労働大臣、同義語でございましょうか。
○国務大臣(田村憲久君) 労働力調査では、雇用者数は、会社、団体、官公庁又は自営業主や、また個人家庭に雇われて給料、賃金を得ている者及び会社、団体の役員の数というふうに定義されています。一方、求人数でありますけれども、職業安定業務統計によりますと、新規求人数は期間中に新たに受け付けた求人の数というふうに定義されております。
○櫻井充君 ですから、雇用と求人数と全然違うわけであって、これも、党首討論のときに三か月で四万人の雇用を生み出すことができましたと。これ、修正されるお気持ちないですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは今大臣が説明したように、既に雇われて賃金を得ている者ということでございますから、これはなかなか、それは三か月で、党首討論があったのは三月でありますから、これは三月の段階でそれは、そもそもそれはほぼ不可能な、四万人というのは不可能な話でございまして、つまり政治の役割としては、まず求人をつくらなければこれは雇用は生まれないわけでございまして、求人と雇用というのは厳密に議論すればそれは定義違いますよ、今申し上げましたように。これは全く違うわけでございますが、言わば国民の皆様に説明する上において、求人は雇用につながっていくわけでありますから、四万人の、しかも四万人のうち、四万人の求人のうち半数の二万人が正規でありますから、それをしっかりとつくったということを申し上げたところでございます。
○櫻井充君 済みませんが、求人数を増やしてきたのは、我が政権でもちゃんと増やしてきております。
 その上で、今、厳密にでしたっけ、厳格にですか、そういうふうに言えばというお話ですが、国会の場はきちんとした議論をするべきところじゃないんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) もちろん、きちんとした議論をする場だと思います。
○櫻井充君 違っていることについては違っているというふうにお認めになった方が私はいいと思いますが、総理、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今の議論については、四万人の雇用、四万人の求人と言ってももちろんよかったのかもしれませんが、それはしかし、ある意味、分かりやすく雇用をつくるという言い方をするわけでございまして、そういう意味において、正確には四月、党首討論は四月だったようでございますが、その中において我々はこういうことをしているということを申し上げたわけでございます。
○櫻井充君 でも、総理は自分の手柄のようにずっと言い続けたんですよ、あそこで。
 それからもう一つ、じゃ、パートタイマーの皆さんの時給は一定して下がり続けていましたと、これ何を根拠にそう説明されているんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今御指摘があった賃金については、これは、安倍政権ができて十七円これは上がったわけでございますが、その際、民主党政権のときの状況についてお話をさせていただいたわけでございますが、賃金については、一般労働者、パートタイム労働者の賃金はいずれもおおむね横ばいで推移をしておりますが、パートタイム労働者の比率が高まったこと等の影響によって、両者を合わせた全体としては減少傾向にあるということについて発言したものでございます。
○櫻井充君 済みません、ずっと下がり続けてきたというのは、何を根拠にそう説明されたんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今申し上げましたように、一般労働者そしてパートタイム労働者の賃金はいずれもおおむね横ばいではありますが、パートタイム労働者の比率が高まったこと等の影響によって、両者を合わせた全体としては減少傾向にあるということを念頭に置いて発言をしたものでございます。
○櫻井充君 済みませんが、私が内閣府から資料をいただいたものではずっと上がり続けていますが、違いますか。
○国務大臣(甘利明君) 大体同じくらいで推移していると記憶をしております。私も事前に資料を見ましたけれども、たしか横ばいで推移をしていたというふうに記憶しておりますが。
 ここに資料がありますけれども、パートタイム労働者、九三年辺りから大体横ばいでございます。ここにあるこの数字で、このグラフでございます。
○櫻井充君 私がいただいている資料とはちょっと違ってきているので、これは内閣府の資料なんで、後でもう一度詰めさせていただきたいと、そう思います。
 それから、経常収益、この間、経常収益ということもこれ党首討論でおっしゃいました。これは経常収支の間違いですよね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 済みません、私は間違いも犯しますので、それは経常収支の間違いでございます。
○櫻井充君 それで、経常収支はこれだけプラスになるという表現を取られていました。このプラスというのは、今までよりもプラスになるということですか、それとも黒字額がこれだけの額になるということですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、昨年の衆議院解散・総選挙直前の水準である一ドル七十八円から一ドル約百円まで為替が変動した場合の経常収支の改善幅について、経済分析において一般的に利用されている民間のマクロ経済モデルである日経NEEDS短期マクロモデルを用いて試算したものであるということでございます。
○櫻井充君 これはかなりいい数字が出ていて、多分それをお使いになったんだと思います。
 これは担当大臣にお伺いしたいんですけれども、主要経済指標ということで二月二十八日に閣議決定されていますよね。これはこの数字と全然違うんじゃないんですか。
○国務大臣(甘利明君) 政府が閣議決定したのは、為替の数値をたしか十二月の末から一月弱ぐらいの平均値を取って、八十六、七円でそこに固定して、それで算定していると思いますので、変化についての数値は取っていないと思っております。
○櫻井充君 そうすると、二十五年度の経済見通しは変わったということでよろしいんでしょうか。
○国務大臣(甘利明君) 政府としては年初に出すということでありまして、閣議決定したものはこのままであります。内閣府としてそれより少ない指標を年央に改定値として出すことはあると思います。
○櫻井充君 済みません、総理に改めてお願いしておきたいのは、それは分かりやすい表現とちょっと違うニュアンス、違うもので、テレビの前で発言されることと私は全然違ってきていると思いますので、是非正しく表現していただきたいということはお願いしておきたいと思います。
 その上で、改めて総理の歴史認識についてお伺いさせていただきたいと思います。
 これは、とある新聞の昨年の五月の十二日に、総理がインタビューでこう答えられていますが、かつて自民党は歴代政府の政府答弁や法解釈などをずっと引きずってきたが、政権復帰したら、そんなしがらみを捨てて再スタートできる、もう村山談話や河野談話に縛られることもない、これは大きいですよと、こう述べられていますが、これは真実でしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 現在の、私は内閣総理大臣として、安倍政権としての、総理としての立場は再々ここで申し上げているとおり、安倍内閣としてこれまでの歴代の内閣の立場を引き継ぐ考えでございます。
○櫻井充君 済みませんが、そうすると、この当時のインタビューの記事は、政権を、もう一度復帰したらこういうふうにしますというのは、これは違っていたということですね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさに今申し上げたことが安倍政権の立場でございます。
○櫻井充君 政権に就かれる前はこういう考え方だったけど、政権に就いたら考え方が変わったということですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 申し上げているとおり、内閣総理大臣として、安倍政権としての立場は今のとおりでございまして、歴代の内閣の立場を引き継ぐものであるということでございます。
○櫻井充君 じゃ、改めてお伺いしておきますが、村山談話、河野談話を引き継ぐということでよろしいんですね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま申し上げましたように、日本は過去多くの国々、特にアジアの人々に対して多大の被害を与えた、この痛切な反省の上に立って今日があるわけでございまして、このことにおいて、過去の内閣と、立場とは変わりがないということでございます。
 また、河野談話につきましては、これは官房長官から答弁するというのが安倍内閣の方針でございます。
○櫻井充君 これは米国の議会の調査局だけではなくて、シーファー前駐日米大使が、米国における日本の利益を大きく害すると、要するに総理の歴史認識がですね、このような趣旨のことを述べられていますが、その点については御存じですよね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 報道等で存じ上げておりますが、誤解を解くような努力をしていきたいと思います。
○櫻井充君 ですから先ほど申し上げたんです。答弁のところはきちんとしていただかないと、結果的には誤解を招くようなことになると思います。そして、それがひいては国益を損ねることにつながるんではないかと思いますが、総理の御認識をお伺いしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私はきちんと答弁しております。
○櫻井充君 総理、この間、韓国の大統領が訪米されました。韓国の大統領とそれから日本の総理と、私は随分扱いが違ってきたんじゃないのかなという感じを持ちましたが、総理はいかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 他国の大統領と私の立場を比較したことはございません。基本的には、大切なことは、日米同盟をしっかりと揺るぎないものにすることによって国益を守っていきたいと、こういう思いだけでございます。
○櫻井充君 それでは、TPPについてお伺いしておきたいと思いますが、稲田大臣はTPPに参加に賛成でしょうか。
○国務大臣(稲田朋美君) 現時点での総理の判断を支持いたしております。
○櫻井充君 それはいつから考え方が変わったんでしょうか。
○国務大臣(稲田朋美君) 考えは変わっておりません。状況が変わっただけでございます。
○櫻井充君 済みません、考え方は変わっていないと。じゃ、御自分のちょっと考えを述べていただけますか。
○国務大臣(稲田朋美君) 私は、野党時代に、民主党政権が普天間で日米関係ががたがたになった中で、何が国益であるかという判断基準を示さずにTPPに入ることについては反対をいたしておりました。自民党政権になってその国益の判断基準は公約に書かれております。それにのっとって交渉参加を総理が判断された、それを支持しているということでございます。
○櫻井充君 稲田大臣は、ISD条項について賛成ですか。
○国務大臣(稲田朋美君) 国益に反し、主権を損なうようなISD条項には反対いたしております。
○櫻井充君 そうすると、これはISD条項が含まれた場合には反対されるということですか。
○国務大臣(稲田朋美君) 主権に反する、また国益を守ることができないISDS条項には反対をいたしております。
○櫻井充君 そうすると、じゃ、もう一つ違う観点から申し上げておきたいんですが、民主党政権で、政権ごとにやはり違うんです。野田政権になってから私は日米関係改善したと思っていますが、その点についていかがですか。
○委員長(石井一君) 稲田国務大臣。(発言する者あり)
○櫻井充君 稲田さんですよ。だってそうおっしゃっているんだから。(発言する者あり)
○委員長(石井一君) 稲田国務大臣。(発言する者あり)いやいや、稲田さんの継続ですから、稲田さん、お答えください。
○国務大臣(稲田朋美君) 何と比較をするかについての質問をもう一度お願いいたします。
○櫻井充君 民主党政権と一口におっしゃるんではなくて、野田政権では日米関係は改善していたんではないですか。
○国務大臣(稲田朋美君) 具体的に何と比較して何が改善したという御指摘か、説明をいただきたいと思います。
○櫻井充君 委員長、済みません、反論権ありません。(発言する者あり)
○委員長(石井一君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
○委員長(石井一君) 速記を起こしてください。
○国務大臣(稲田朋美君) 民主党政権になって、普天間問題、日米関係はがたがたになり、たとえ菅政権から野田政権に移ったとしても、それは程度の問題だと思います。
○櫻井充君 野田総理はオバマ大統領と三時間ほど会談をし、非常に友好的に実は話合いを進めてきておりました。ですから、先ほどの御答弁でありましたけれど、状況が変わったということはちょっと違うんではないかと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(稲田朋美君) 見解の違いだと思います。
○櫻井充君 このことで分かりましたが、野党の時代にあれだけ強く言われていて、与党になってから変わってくるんだなということだけはよく分かりました。
 それで、小野寺大臣に、じゃ、お伺いしたいと思います。
 私、これすごく立派な質問だと思うんですが、平成二十三年の十月二十六日の外務委員会で、交渉に参加して途中で抜けることになってみたら、婚約破棄みたいになったら、これは日米関係は決定的な問題になるんだということで、TPPの交渉参加を決めたら離脱はできないということをこれは質問されているんですよね。
○国務大臣(小野寺五典君) 全ての趣旨がそのとおりではないと思いますが、この二十六日の外務委員会で私は質問をしております。
○櫻井充君 ですから、今申し上げたとおり、ここのところで離脱するようなことになったら決定的な問題になるから、ちゃんときちんとした形で整理をしてやりなさいねということなんじゃないんですか。
○国務大臣(小野寺五典君) これ、ここでの趣旨は、いずれにしても最終的には国会での承認、批准ということになりますので、それができないと大変なことになるという趣旨でお話をしたんだと思います。
○櫻井充君 まあ、いいです。
 そうすると、これは総理にお伺いしておきたいと思いますが、高市政調会長は、これはテレビ番組ですけどね、最悪のときにはこれは批准しないこともあり得るんだと与党の政調会長が発言されているんです、TPPに関して。これについてどうお考えですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) もちろん、我々、六項目を掲げて選挙を戦ったわけでございます。一つは公約、あとの五つはJ―ファイルでございますが、その中において、この項目を実現するために全力を尽くしていく。
 交渉でありますから、いろんなことが起こる、の中において、党の要職にある人たちが自分の考え方を述べられるのは自由でありますし、そしてまた、そういう言わば決意で交渉に臨んでいるんだということも、ある種これは交渉力にも加わっていくわけでございますが、私自身は、まさに日本の総理として交渉を進めていく上においてTPPを立派なものにしていきたいと、このように考えているところでございます。
○櫻井充君 いや、テレビ番組で御党の政調会長として出られていて、個人の意見ではないと思いますよ。こういう発言についてどう思われますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは確かに一つの見識だと思っております。言わば、国益が守れないのであればこれは交渉を離脱すべきだというのが一つの考え方だろうと思うわけでございますが、私自身は、まさに今交渉をスタートした中において、しっかりと国益を守る中で全ての国々がウイン・ウインになるものをつくっていきたいと、このように考えております。
○櫻井充君 今、ウイン・ウインという御答弁がございました。
 自動車の関税を、これはアメリカに相当一方的に譲ったんだと私は思っておりまして、日本のもう一度改めてメリットと、それから三・二兆円という試算は適切なのかどうか、御答弁いただけますでしょうか。
○国務大臣(甘利明君) 我々が経済効果を算定し得る客観基準はGTAPモデルであります。世界中の学者が集まって構築したモデルで、毎年アップデートしているはずであります。これを使って算定しますと、マクロの経済効果はGDP三・二兆円を押し上げる効果というふうに算定されます。
○櫻井充君 それは今回の関税の据置きということがない前提でそうなっているわけであって、そう変わったんですから、どうなっているんですか、試算は。
○国務大臣(甘利明君) これは、即時撤廃された状態がきちんと経済のシステムに組み込まれた時点で、つまり安定した時点で幾らということであります。アメリカのことをおっしゃっているんだと思いますが、これはアメリカも、最終的には関税がなくなるということをアメリカは表明したわけであります。途中経過についてこのGTAPモデルははじいているものではないと思っております。
○櫻井充君 まあ答弁になってないけど、仕方がないでしょう。
 もう一つ、なぜこれだけ前払をしてTPPに参加されたんでしょうか。
○国務大臣(甘利明君) TPPは、これが最終着地点ではないというふうに私どもは理解いたしております。RCEPやFTAAPとつながっていく、つまり、新しいアジア太平洋、極めて大きなエリアでの経済連携ができる。そこに対して我々がしっかり考えられるような価値観を共有するルールを作りたいと思っております。
 あわせて、アジア太平洋の政治的、経済的、そして安全保障の面も言っていいんだと思います。この安定化を図っていくためにアメリカのプレゼンスというのは必須だというふうに考えております。
○櫻井充君 最後に、憲法のことについて、総理は九十六条を緩和して憲法をどのように変えたいと、どの条項を変えたいとお思いなんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) よく、中身について議論せよと、このように言われるわけでございますが、自由民主党は昨年の四月の二十八日に党としての改正案をお示しをしているわけでございます。その中において、どれから改正すべきかということは今後の議論の中で考えていきたいと、こう思っているところでございます。
○櫻井充君 総理は、なぜ九十六条の要件、緩和しなきゃいけないと思っていらっしゃるんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それはまさに憲法を国民の手に取り戻すためでございます。
○櫻井充君 権力者側というのは絶えず二分の一を持っておりますから、二分の一というのは要件にならないんじゃないですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、我々、参議院においては二分の一持っておりませんから、今の段階では発議できないということではないかと思います。
○櫻井充君 それは三分の二と二分の一と全然関係なくて、ねじれの状態ではそうなんです。
 それからもう一つは、三分の二でも、例えば地方自治のところの九十何条とか衆参の在り方の五十九条とか、私は三分の二の要件でも十分発議できると思いますけれどもね。総理、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) いずれにしても、憲法についてはこれから更に国民的な議論を深めていかなければならないと、このように考えております。
○櫻井充君 遅くなると委員長にも怒られますので、もうこれでやめますけれども、しかし、今回のことで、経済対策に対して是非総理にお願いしておきたいことがあります。
 やはり、今コストプッシュ型の悪い面が随分出始めてきていて、ここをきちんとしていかないと日本の経済というのは本当に大変なことになるんだろうと思っています。それから、株価も実体経済を伴わずにあれだけ上がっていったら、バブルになって、これ崩壊したときに大変なことになってきたということを我々経験していますので、是非、そういう我々の心配がないように手当てをしていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。
 どうもありがとうございました。
○委員長(石井一君) 以上で櫻井充君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(石井一君) 次に、山崎力君の質疑を行います。山崎君。
○山崎力君 自由民主党・無所属の会の山崎でございます。
 締めくくり総括ということで全体のことを質問したいところですが、私の方の気持ちとしては、これだけの審議の中でちょっと抜けているんじゃないのかなというところを中心に質問させていただきます。
 まず、一連のこのアベノミクス、うまくいっているなと御同慶の至りなんですが、そこの成功の一つの要因として二%のインフレターゲットをびんといって、それで皆さん乗ってきたというところもあろうかと思っておりますし、それからプライマリーバランスを二〇一五年でしたか、半減にするというような、そういった明示的なことも出ております。
 そして、議論の中で、最終的に幾らアベノミクスが良くなって日本経済が良くなっても、現行のままの出生率だったら日本の将来、もう五十年、百年というタームで見れば、これ暗いものにならざるを得ない。ということは、今我々、この時期、それもすぐできるということでなければ、そろそろ出生率に関して数値的な目標を導入して、それに対して対応策を取っていく、それが安倍内閣のうちにやっていただけないかというのが今回の議論を通じての私の気持ちでございます。
 まず、少子化担当大臣にその辺のところを簡潔にお答え願いたいと思います。
○国務大臣(森まさこ君) 少子化、大変深刻でございますが、未婚、晩婚化が指摘されておりますところ、結婚や出産や、個人の選択の問題であることを踏まえながら、結婚したいという方、そして、子供を持ちたいというその希望の方の希望を実現させることが重要でありますので、様々、産科医不足とか待機児童対策やる中でその希望を実現させていくことが大切でして、仮に希望が全てかなったら、今、未婚で結婚したい人が九割、そしてそのうち子供が二人以上持ちたいという方が大方であるということですので、希望が全てかなったら一・七五という数値が試算をされておりますけれども、いずれにしても、出生をめぐる問題は個人の考え方や価値観と深くかかわっておりますことから、私の下のタスクフォースではそのありようも踏まえて今議論の最中であるということです。
○山崎力君 いろんな希望をかなえても一・七五というと、時間が先延ばしされるだけでということにもなり、やはり二以上にならなければ人口を保てない。しかも、ずっと下がるということが分かっている状況でございますので、そんな時間的な余裕が本当にあるのかなということが私自身思っております。
 産めよ増やせよという、そういったことの悪いイメージがあるんですが、元々をただせば、産めよ増やせよ地に満てよというのがこれ聖書の言葉でもある。そういった面もございますので、総理、その辺のところを今言っているんですが、いいアイデア出しても、それが実際にどの程度効果あったのかということを年次的にフォローしていくためには、これ、どうしてもある程度、オープンにするかどうかは別として、数値的なものが出生率の向上に資するのではないかと思うんですが、お考え、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 確かに私も委員と同じような問題意識を持つわけでございますが、他方、言わば子供を産むか産まないか、家庭で子供を持つか持たないか、これは個人の価値観に関する問題であって設定すべきじゃないという意見も強くあるわけでありますし、また当然、結婚や出産は個人の選択でございますから、強制するつもりは更々ないわけでございまして、その中において出生率を上げていく努力、森大臣を中心に様々なアイデアを集めながら、我々もしっかりと内閣として取り組んでいきたいと思います。
○山崎力君 次に、原発の問題をちょっと個々に御質問したいと思います。
 規制委員会の方に、活断層の活動期間を十二万年から四十万年に延ばしましたけれども、その理由は何でございましょうか。
○政府特別補佐人(田中俊一君) お答え申し上げます。
 新しい安全基準の骨子では、まず、活断層の定義は、十二万年から十三万年前、専門的には後期更新世時代と言うんですが、それ以降の活動が否定できないものとしております。その上で、調査の結果、後期更新世、いわゆる十二、三万年前までの地層がなくて活断層の判断が難しい場合には四十万年前まで地層を遡って検討するということを求めています。
   〔委員長退席、理事小川敏夫君着席〕
 この四十万年といいますのは、日本がプレートという、いわゆるプレートテクトニクス運動という、そういった運動によって日本列島に掛かっている力が四十万年前から大体現在に至るまで変わっていないということで、四十万年まで遡ることで活断層の存在を見逃すことがないだろうということでございます。
○山崎力君 ちょっと専門的過ぎてなんですが、十二、三万年の地層がないというのはどういうことなのか。その間、海食があってその地層が消えたというふうに理解してよろしいんでしょうか。
○政府特別補佐人(田中俊一君) 様々な自然の、まさに御指摘のように、現象によってそういった地層がない場所がございます。そういった場合を指しております。
○山崎力君 その辺は非常に大きな問題ですので、一般の方にも分かるようにこれからやっていただきたいと思いますが。
 その次に、いわゆる停止中の原発と稼働中の原発の危険性、事故の差というものは、安全性の問題というのはどこにあるんでしょうか。
○政府特別補佐人(田中俊一君) まず、原子炉、よく原子炉の安全を保つために何か起こったときに止めて冷やして閉じ込めるというようなことがありますけれども、まず、動いていないということは止めるという操作が必要ではありません。これは、制御棒を入れるという問題がないという点で少しリスクが下がります。
 それから、止まっている原子炉、その止まっている期間にもよるんですが、原子炉を止めた後、急速に中にある核分裂生成物が、半減期の短いやつがどんどん減ってきますので、発生する熱が大分減ってまいります。ですから、止まっている原子炉の場合には、全く冷やさなくていいというわけではありませんけれども、冷やすということについて時間的余裕もありますし、冷やすための手だても少し緩和できるという点で、大分運転中と止まっているものとの安全性の差はあるというふうに申し上げることができると思います。
○山崎力君 原子炉の専門家かどうかは別として、そうすると、いわゆる事故時といいますか事象時といって、今の制御棒をすとんと落とすと、今回全部成功したわけですが、それに対しての危惧がまだ多く残っているという理解でよろしいんでしょうか。
○政府特別補佐人(田中俊一君) 福島第一原発事故のことかと思いますが、今回は制御棒は地震動が来たことによって自動的に挿入されて、原子炉のいわゆる連鎖反応というのは止まっております。
○山崎力君 ですから、そこのところが危険性があるというふうにおっしゃったように聞いたんですが、その事実は知っておりますけれども、女川も含めてですけれども、そこのところでかなりやはり危険性があるというふうにお考えなんでしょうか。
○政府特別補佐人(田中俊一君) 一番心配されることは、何か起こったときに制御棒が入らないような事態が起こるということは原子炉の安全を保つ上で非常に重要なことですので、それについては幾つかの手だてをして、制御棒がきちっと入るようなふうに設計の段階から幾つかの手だてをしておりますので、今回もそれはきちっと機能したということでございます。
○山崎力君 そうすると、余り危険性が高まっていない、きちっとやれるというふうなお答えで、先ほどの最初のお答えとちょっとどうかなと思う点があるんですが、そこは詳しいときに譲りまして、時間の関係で。
 今、そういった関係で、再稼働できない場合、今の各社からの値上げ申請というのは、ある程度再稼働が前提のところまでの値上げなんですが、これからずっと再稼働がなしといった場合、どの程度電力料金に跳ね返ってこざるを得ないか、試算というものがあったら教えていただきたいんですが。
○国務大臣(茂木敏充君) 原発が再稼働しない場合におけます燃料費の増加については、総合資源エネルギー調査会需給検証小委員会において、我が国全体で平成二十五年度は三・八兆円増加すると、このように試算をされております。これを電気料金値上がりということで単純計算しますと、二五%のアップと、こういうことになります。
○山崎力君 二十五年ということですが、二十六年、二十七年ということは試算されていないんでしょうか。
○国務大臣(茂木敏充君) 為替等の要因が変わらない、そして新しいエネルギー源、安価なエネルギー源が大量に入ってこないということでありましたら、その幅で大きな変動はないと思っております。
○山崎力君 そういった状況の中で、これアベノミクスが経済問題、再生、活動していくのに非常に大きな要因になろうかと私自身危惧しているところです。
 そういう意味で、また安全性の問題それから被災者の問題を考えると、だからといって、すぐそれじゃ再稼働だというのもこれも非常に難しい。非常に難しい判断を安倍総理、これから近々、ここ二、三年のうちには最低しなければならない、こういう状況にあろうと思っております。
 そういった中で、先ほど来、ほかのいろんな議員からもお話ございましたけれども、TPP、そういった問題含めて、あるいは消費税の値上げのタイミングの問題、そういったものも含めて非常に大きな決断を次々に迫られる、そういう状況に安倍総理の時代といいますか、これからに懸かってくると思いますので、是非その辺のことの踏まえた上でのことをお願いしたいと思います。
 本来なら総理から一言いただきたいところですが、時間の関係もありますので、私の方から言いっ放しで終わらせていただきますが、本当に、地方への今度のいろいろな問題、先ほどの格差といいますか、そういった問題をどうするかとか、先ほど来のタイムラグの問題、そういったものを一つ一つやっていくためには、こっちからこっちという決断ではなくて本当にさじ加減が必要になってくると思います。そういった意味において、選挙も控えているわけでございますけれども、今、これからのことを考えれば、安倍総理の御自重と御自愛を切に願って、これからの政治を取り仕切っていただきたいとお願いして、私の質問を終わらせていただきます。
○理事(小川敏夫君) 以上で山崎力君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○理事(小川敏夫君) 次に、草川昭三君の質疑を行います。草川昭三君。
○草川昭三君 公明党の草川でございます。
 時間の関係で五点か六点に絞って総理から御答弁を願いたいと思います。
 エネルギー政策についての質問でございます。
 東京電力福島第一原発事故から早いものでもう二年が経過をしております。現在においてもエネルギーや原子力に関する正確な情報や知識を欠いたままの議論というのが多いんじゃないかと実は私なりに心配をしているわけでございます。多くの方々の価値観、それぞれ違うわけでございますし、客観的な検証が十分に行われていないわけでございますから、それぞれが都合のいい情報を取り上げ、いつまでも議論がかみ合っていないのではないかという感じがするわけでございます。
 私は、事故原因の究明、事故の教訓を踏まえた新しいエネルギーのベストミックスや原子力発電の在り方を可及的速やかに決すべきであるということが必要だという立場から質問をしたいと思います。
 一番。原子力発電が停止をして火力発電を増やしたことで燃料費が急騰しております。電力会社は、当たり前ですけれども、値上げを申請せざるを得ません。燃料費は事故以前に比べて、昨年度で約三・一兆円、今年度も三・八兆円増加する見込みです。経済や国民生活への影響は計り知れないと思うわけでございますが、これではせっかくのアベノミクスも悪影響を与えかねません。総理、どういうようにお考えですか、お尋ねします。
   〔理事小川敏夫君退席、委員長着席〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 原発停止に伴い、火力燃料費が平成二十五年度の推計で震災前に比べて年間三・八兆円増加すると試算され、複数の電力会社から料金値上げが申請されるなど、電力コストの上昇をもたらしております。経済再生は私の内閣の最重要課題でありまして、その際、低廉な電力供給の確保は極めて重要であり、電力コストの上昇は企業立地や設備投資に大きな支障となります。政府としては、電力会社の料金審査に際し、将来の燃料調達の効率化努力を先取りするなど厳正な査定を行い、値上げ幅を圧縮してきたところであります。
 また、燃料調達コストの引下げや電気料金の抑制に向けて、まず一つは、シェールガスにより天然ガス価格が低下している北米からのLNGの輸入の実現や、もう一つとして、競争による効率化と安定供給を両立する電力システム改革などに最大限取り組んでいく考えでございます。
○草川昭三君 総理は、十三日の当予算委員会で、全てを東電に押し付けているのは間違っているという趣旨の答弁をされております。しかし、今の法律は、原発事故に伴う巨額の関連費用のほとんど全てを東京電力に負わせる仕組みになっておるわけですね。事故の収束に一番大きな役割を担う東電が果たしてこのままでその責任を負い続けることができるのかどうか、率直に言ってそれなりの心配があるわけであります。果たしてこのままの状況でいいのかどうか。言葉が大変適切ではないかも分かりませんが、無期懲役の状況になっておると言っても差し支えがないと思うんです。
 衆参の復興特別委員会では、原発事故に際し、事業者だけに無限責任を負わせる是非についての議論もかなりありました。現場の社員が将来への見通しを持って働けるように法律などを見直す必要があるのではないかと思いますが、総理の率直なお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(茂木敏充君) 福島の一日も早い復興のためにも、国もしっかりと責任を果たす、国が前に出る部分については出ていかなきゃならない、委員御指摘のとおりだと思っております。
 例えば、廃炉に関します研究開発につきましても、平成二十四年度の補正におきまして八百五十億計上いたしまして、モックアップ施設等々、研究開発、国がしっかりとやってまいりたいと考えております。
 そして、現在の原賠法、そして原賠支援機構法、これにつきましては五兆円の枠で一日も早い賠償をということでやっておりますが、今後、我が国のエネルギー政策における原子力の位置付け等の検討、さらに現在進行中の福島の賠償の実情等も踏まえながら、事故収束そして賠償の加速化に向け、どのような対応が可能かと現実的に考えてまいりたいと思っております。
○草川昭三君 検討をするという御発言があったわけですが、やはり私は現行法に検討すべき課題が相当あると思うんです。そこは率直に取り上げて、我々政治の責任としても検討をする必要があると思うんです。
 そこで、総理は、十三日の参議院のこの予算委員会で、もう一つ、軽々に脱原発を決めることは責任あるエネルギー政策とは言えないという趣旨の答弁をされております。私は、安全性が確認をされたら責任を持って原発再稼働ということの趣旨を総理は御答弁なさっているのではないかと思いますが、この点の認識を再度お伺いします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 低廉で安定的なエネルギーの供給、これは日本が成長していく上においても不可欠でございます。
 一方、一昨年の過酷事故を経験した中において、まさに安全基準、世界一高い安全基準をしっかりと定めていくという中において、今規制委員会においてその安全基準を定めているところでございます。そして、その中におきまして、この規制委員会において専門家としての知見を結集して、安全と判断されたならば、当然これは原子力規制委員会の判断を尊重し再稼働を進めていきたいと、このように考えております。
○草川昭三君 今の御答弁にあったわけですが、安全性が確認されれば再稼働するという政治の決断をしているということで了解してよろしゅうございますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、もちろんこれは原子力規制委員会において、専門家の知見において高い安全基準に照らして安全だということになれば、それを尊重し再稼働を進めていきたいと、このように考えております。
 今後、原子力規制委員会によって新規制基準への適合性が確認された段階で、立地自治体等関係者の理解と協力を得るため最大限取り組むなど、新規制基準への適合性が確認された原発の再稼働へ向けて政府一丸となって対応し、できる限り早く実現していきたいと考えております。
○草川昭三君 それから、茂木大臣にもお伺いしたいんですが、多くの国民は低コストで安定的な電力を期待しつつも将来のエネルギー像が一体どうなっていくのかという不安を持っている中で、特にエネルギー基本計画について、大臣は年内に取りまとめるという趣旨のことを答弁をされていますが、私は、時間感覚としては遅過ぎるのではないか、一刻も早くエネルギー基本計画を取りまとめて不安を持っている国民に対し将来のエネルギー像を示すべきであると思うんですが、この点について大臣の見解、総理の見解を求めたいと思います。
○国務大臣(茂木敏充君) 御指摘をいただきましたエネルギー基本計画につきましては、現在、安定供給そしてコスト低減に重点を置いて鋭意検討作業を進めているところであります。できる限り早く取りまとめを行いたいと思っておりますが、まずエネルギーの調達、発電サイドで再生可能エネルギーの最大限の導入を図っていく、また世界最高水準の石炭、そしてまたLNGの高効率の発電、これを行っていく、多様なエネルギー源の開拓、そして多角的な調達先の開拓と、こういったことを実現していきたいと思っておりますし、一方で消費サイドにおきましても、今までは需要を所与として供給力を積み上げると、こういう発想から、よりスマートな、様々なメニューを提供することによって需要そのものを抑えていく、こういった発想が必要だ、そういう一環の中で電力システムを考えていきたい。
 こういった一連の検討を進めますと、若干の時間がやはり掛かってしまう。それでも年内にはしっかりこのエネルギー基本計画、まとめていきたいと思っております。
○草川昭三君 時間がもうありませんので、最後に一言私の意見を申し上げたいと思うんですが。
 実は、終戦の年は昭和二十年でございますが、その当時私は名古屋で勤労学徒として航空機の工場で働いておりました。米軍の焼夷弾、あるいは、何というんですか、執拗な爆撃が繰り返されまして、私の目の前で何人かの若い学生が随分死にました。
 そして、その日の夜ですが、八月の十五日の夜、灯火管制というのが解除されまして、どの家庭も全部電気に覆いがあったんですが、それを外したわけです。そのときの光景というのは本当に明るかったんですね。ああ、これが平和だなと思ったんです。
 私はそのときに、日本の将来は、このエネルギーというんですか、電気というもののすばらしさ、安定的な品質管理のすばらしさというものを身にしみまして、後輩の多くの連中に、日本の産業を発展させるには、こういう新しい時代が来るにはエネルギーが大切だということを言い続けてきたわけでございますが、どうかひとつ、これから総理におかれても、幅はあってもぶれない、地に足を付けた方針を持って日本のエネルギー政策を進められたいということを要望して、私は質問を終わりたいと思うんですが、最後に一言何かあったらお聞かせを願いたいと思います。
○委員長(石井一君) それじゃ、総理、締めくくってください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ちょうど草川委員、昭和三年で、私の母も昭和三年で、元気でやっているわけでございますが、まさに今委員が示されたように、この安定的な電力の供給、これは今、私たち当たり前だと思っているわけでございますが、これなしには文明的な生活は送れない、その中において総理大臣としてしっかりとその責任を果たしていく考えでございます。
○草川昭三君 ありがとうございます。終わります。
○委員長(石井一君) 以上で草川昭三君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(石井一君) 次に、小野次郎君の質疑を行います。小野君。
○小野次郎君 みんなの党の小野次郎です。
 総理、質問通告するいとまがありませんでしたけれども、私自身も横田さんの御両親始め拉致被害者の家族の方とお会いしたことがございますし、また、何しろかつて机を並べた同僚であった方が今内閣官房参与として北朝鮮へ、かの地に赴いておられるわけですから、国民の一人としても何とかこの膠着してきた拉致問題について進展の方向に前進が図られるように、心から私も祈っております。
 さはさりながら、ただ、もう平成というか昭和のころからですけれども、先方に弄ばれていたような結果に終わっている結果も多いですよね。次々といろんな方が行って、何かお米をあげたりいろんなことをしたけれども、何となく真実も見えないし結果にも前進が見られなかったという歴史でもあるので、是非その点は十分脇を締めて当たっていただきたいと思うし、特に、今、北朝鮮がミサイルであるとか核であるとかで、要するに周辺国というか、周りの国に対して脅威になっていることも事実ですから、それは日本だけが何か特別な方法でうまいポイントを上げるということができるような関係ではなくて、やはり国際社会からもきちんと正当な方法だというふうに言えるようなアプローチでなければいけないんだろうと思います。
 その辺について、基本的な北朝鮮との拉致問題解決に向けての対処方針、お話しいただければと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 確かに小野委員と飯島参与は机を並べて仕事をしていた関係でございますが、私も官房副長官として委員とは机を並べておりました。その割には厳しい御質問をいただいていることが多いわけでございますが。
 その上において、これは委員も御承知のとおりでございますが、小泉総理が訪朝する段階においても、実は北朝鮮はウランの濃縮計画を進めているんではないかという疑惑を強く米国側は持っていたわけでございます。その中において、核問題、ミサイル問題、特に核問題は日本は最も脅威を受けるわけでありますが、日本だけの問題ではない、国際社会とともに解決をしていかなければいけない問題であります。
 一方、拉致問題、これは日本以外にも拉致の被害に遭った国々はいるわけでございますが、残念ながら、やっぱりこれは基本的には日本の問題でありまして、日本が主体的にこれは解決に向かって進めていかなければこの問題は解決をしないわけでございまして、この中において、まさにしっかりと全体を見ながら戦略的にそして正しい戦術でもって、北朝鮮に翻弄されることなく解決に向けて努力を進めていきたいと考えているところでございます。
○小野次郎君 ドアのすき間から家政婦は見たじゃなくて秘書官は見たという話じゃないんですが、いろんな見返りを要求されてきた歴史でもあるんですね。
 今、多くの人は、多分聞いていいものかどうか迷っていることがあります。それは、朝鮮総連のあのビルが、落札した何かお坊さん、僧侶でしたけれども、その宗教法人、結局ギブアップして、入札やり直しになっていますね。報道によれば、あの方は北朝鮮に行って、かなり上の方から引受手になってくれと頼まれたという話まで流れているわけです。
 ですから、そういう過去の、いろんな思い出せば不愉快になるようなことの繰り返しにならないように、何かその特別な裏技というのはないんだということを、安倍総理自身昔から言っておられると思いますけれども、きちんと対話と圧力で解決を図るんだということについてもう一度お考えをお聞きしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 当時も官邸の中でも随分いろんな議論がございました。ですから、その中で私がどういう議論を展開をしていたかということは委員も秘書官としてよく承知をしていただいていると、このように思います。
 私も一九九四年以来ずっと日朝の交渉を見てきました。その中において、残念ながら、北朝鮮は誠意ある対応をしない、約束を守らないということの連続の中において、いかに成果を上げるかということの難しさは重々承知をしているところでございます。その中において、基本的にはやはり対話と圧力の姿勢において問題を完全に解決をしていきたいと、このように考えております。
○小野次郎君 是非、総理のリーダーシップでこの拉致の問題については前進が図られるように、私たち、私は野党議員でありますけれども、祈るとともに、また御協力できるところがあればしていきたいと思っております。
 さて、本来の質問に入りますが、総理と憲法改正の話をしたときに、総理は、不磨の大典としてはならないということを二度ぐらいおっしゃいました。憲法を不磨の大典にしちゃいけないというのは、戦前の明治憲法についてよく言われた言葉なんですよ、不磨の大典と言われたんですね。ですから、その言葉自体が何か、戦後レジームの脱却とおっしゃっている総理にしては古くさい表現を使っておられるなと私思ったんですが。
 それはちょっとおいておいても、指を触れることができないというものじゃないんだという意味であれば、私も全くそう思います。我が党もそうです。憲法改正については必要があるというふうに思っていますけれども、でも、総理は同じことを言っていながら、実は脱却すべき戦後レジームと決め付けているわけですよ。つまり、憲法とその下につくられた様々な制度全て脱却するんだとおっしゃっているので、指を触れることができないものじゃない、つまり、改正すべきところがあれば改正できるような憲法にしたいというお話と、日本国憲法の下につくられた諸制度は脱却すべきなんだというのとは全然違うことをおっしゃっていると思うんですが、もう一度お考えをお聞きしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは違うようでもありますが、そうでもないわけでありまして、これはまさに不磨の大典、指一本触れていいものではない、これはかつては明治憲法は欽定憲法と言われていたわけでございます。しかし、今の昭和憲法は、これは先ほど日本が作ったという議論もございましたが、しかし、事実として、昭和二十一年の二月の四日にホイットニー民政局長がケーディスに命じて二十五人の委員で約八日間で作ったものでございまして、原文は英語でできておりますから、日本側がそれを、英語を日本語に訳したものがまさにこの現在の日本国憲法の原型になっているということでございます。
 これを踏まえた上において、時代にそぐわなかったものもございますし、まさに私たち自身の手で新しい憲法を変えていくという精神こそ、これは新しい時代を切り開いていく、未来につながっていくのではないかということを私は申し上げているところでございます。
○小野次郎君 総理のそういうお話を伺うとまたお伺いしたくなるのは、それじゃ総理が目指しているのは、当然、論理的には現行憲法の廃棄ということになるんじゃないですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) そういうことを言う人はいますが、私は一度も、廃棄ということは申し上げたことは一度もないわけでございまして、言わばこの連続性について私は否定したことは、戦後における、言わば今の現行憲法の上において様々な法制度ができ上がり、現行憲法の上において私たちは今議員として選ばれているわけでございますから、それを否定するということは私は一度もしたことがないということは申し上げておきたいと思います。
○小野次郎君 そうであれば、六十何年たって改廃すべきところは憲法改正できるようにしたいというぐらいの言い方にされた方が、いろんな意味で私は国民の多くの人から理解されるんじゃないかと思うんですね。
 だって、その下でつくられた制度まで全部脱却するとおっしゃったら、答えは要りませんけど、例えば独禁法の私的独占の禁止に関する制度だって戦後レジームですよ、それから、警察に民間の方が入ってくる、公安委員会が管理するという制度も戦後レジームですよ。(発言する者あり)そんなこと私言っていませんけれども。刑事訴訟法の、戦前の糾問式というんですかね、それから弾劾式に変えたのだって戦後レジームですよ。全部否定されるんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私は全部否定したことはないわけでありまして、それを変えられないという言わばこの精神を変えていこうということでございまして、正しいものはしっかりと守っていくのは当然のことであろうと思うわけでございます。
 教育委員会の話が今委員ではない方から出ましたが、この教育委員会においても、これもやはり、果たしてそれはそのままでいいのかどうかということも議論していくこと、これはやはり戦後レジームからの脱却ではないかと、このように考えております。
○小野次郎君 締めくくりの質問なので、厳しめに聞こえる質問をして総理のその真意をなるべく引き出したいと思って聞いているので、その辺は御理解いただきたいと思いますが。
 九十六条、総理は九十六条含めて守っていますよと昨日おっしゃっていましたけれども、これはあくまでも、改正が行われた場合も現行憲法と一体のものとして公布されるというふうになっているんですね。ですから、総理が余り、家でいうなら、この憲法を作ったときの土台から腐っているんですよみたいにおっしゃると、一体のものというふうにならなくなるじゃないですか。その一貫性はどうなんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先般、委員とも御議論をしたわけでございますが、憲法のこれは私は尊重擁護義務を負っているわけでございまして、土台から腐っていると言ったことはないわけでございまして、まさにこの憲法の、どういう経緯でできたかということをファクトとして申し上げているわけでございまして、これを変えるということはずっとできなかったわけでございますので、これは相当の決意と、やはりこれは政治的な、これは言わば広範な支持がなければ難しいという中においてしっかりと取り組んでいきたいと、これは自由民主党総裁としてそう考えているところでございます。
○小野次郎君 集団的自衛権の行使について、我が党は慎重に検討すべきだという立場ですけれども、特にそれを憲法改正でやるのではなくて解釈改憲でやるという考え方、その議論について、総理としての認識をお伺いしたいと思います。解釈改憲で集団的自衛権の行使を認めるという考えについて。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 解釈改憲ということは全く考えておりません。
 解釈の変更ということはあり得るわけでございまして、いかに我が国の国民と国益を守っていくかということにおいて、今の解釈のままでいいかということを安保法制懇で検討しているところでございます。
○小野次郎君 内閣総理大臣は、九十六条を含めて守っていますというんじゃ駄目なんですよ。それは、学校の生徒が校則の例えば遅刻しちゃ駄目ですよというのを守っているというのは、それは守っているんです。だけど、総理大臣は、更に尊重して擁護しなきゃいけないんですよ。攻撃するものに対して、違うんだと、この憲法は大事なんだと言わなきゃいけない立場なんで、それを解釈を変えることはありますなんというのは、言わば憲法の番人の一人でもある総理がおっしゃるのは非常に不安になるんですけれども。
 その解釈改憲と解釈の変更とは、どう違うんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 解釈改憲というと、何か事実上改憲したことと同じことにしようというたくらみのように聞こえるわけでございますが、まさに解釈の変更は、実は今までも法制局の解釈において集団的自衛権の解釈においても変遷があったわけでございまして、その中において、今のこの解釈のままでいいのかどうかというのが、これは問題意識として、国民の生命と財産をしっかりと守っていかなければいけないという立場である私は、そういう問題意識は常に持っていなければならないのではないかと、このように思っているところでございます。
○小野次郎君 総理大臣が自らそんな解釈改憲、解釈の変更を指示するなんということになれば、それは擁護していることになりませんよ。そのことだけ申し上げて、私は、憲法について我が党も御協力できるところは御協力したいと思いますが、是非誤解を広がることのないように、総理には言動には十分に慎重にやっていただきたいと思います。
 終わります。
○委員長(石井一君) 以上で小野次郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(石井一君) 次に、森ゆうこさんの質疑を行います。森さん。
○森ゆうこ君 私、十二年前に初めて予算委員会で質問したときに、安倍内閣官房副長官だったと思います、拉致問題について質問をさせていただきました。あの内閣の中で、拉致問題がむしろ日朝の国交正常化の足かせになっているという雰囲気の中で、でも安倍総理が当時頑張っていらっしゃったということで、そのときの答弁も非常に真摯な答弁でございまして、そのときの印象を強く持っている次第でございます。北朝鮮に利用されないように、でも、できるだけ早く被害者を救出するために是非御健闘いただきたいと思います。
 アベノミクスについてお聞きをしたいと思います。アベノミクスによってデフレ脱却、そして給料が上がって国民生活が向上するという道筋と、そして時期をお示しいただきたいと思います。
○国務大臣(甘利明君) まず、日銀の大胆な金融政策によりましてデフレマインドを変えていきます。つまり、お金は持っていればいるほど価値が上がるから使わない方がいいという心理を変えていきます。次に、財政出動で種火としての火を付けて需要を起こします。需給ギャップを減らしていきます。次に、成長戦略を通じて民間の資金が投資や消費に回っていくような道筋を立てます。これによりまして、デフレのスパイラルを好循環のスパイラルに変えていくということでございまして、タイムラグがあると思いますが、全般に裨益するようにしていきたいと思っております。
○森ゆうこ君 資料をお配りをいたしました。一枚目はパネルにもさせていただいたんですけれども。(資料提示)
 小泉政権下において、平成十四年から二十年までイザナギ景気を超える戦後最長の景気回復が続いたんですが、結局、小泉改革の本質は、競争を強化し、規制緩和を行い、大企業の収益が拡大すれば、いずれは中小企業や労働者にも恩恵が及ぶという考え方だったんですが、結果は違いました。
 お配りをさせていただいた資料のとおり、六年間の景気回復の過程で所得階級別の人数がどうなったのか。二百万円以下の人たちは八百五十万人から千六十万人へと一・二倍に拡大し、ワーキングプアが大幅に増加した。一方、年収二千万円以上の者も一・三倍に増えているということで、六年間で起こったことは所得格差の二極化、つまり格差の拡大だったと、この表を見ていただければクリアだというふうに思うんですけれども。
 もう一回御答弁いただきたいんですけど、アベノミクスと小泉構造改革というのは一体どこが違うんですか。
○国務大臣(甘利明君) 小泉構造改革に関して、野党の皆さんからは批判的な意見が非常に多いと思います。しかし、小泉構造改革、まず最大の評価は、金融機関の不良債権処理をきちんとさせて、金融が金融としての機能を回復をさせていくと。お金が回っていきませんから、投資も消費も起こってこないと。これを金融機関に決断をさせて、公的資金も用意して処理をしたというのが最大の功績だというふうに思っております。
 それから、アベノミクスにおきましては、十五年間脱出をできなかったデフレを、三本の矢を矢継ぎ早に放つことによってこれを脱却し、健康体を取り戻し、そして経済効果が適切に現れるような環境をつくっていくということから始めているところであります。世界中がこの挑戦に極めて注目をしていると承知しております。
○森ゆうこ君 しかし、やろうとしていることは同じじゃないかなと、規制改革。
 昨日、規制改革、雇用ワーキング・グループのまとめ案の議論が行われたんですけれども、雇用の、雇用というか、解雇規制のルールの緩和が中心であるというふうに考えております。どのような結論が導き出されるのでしょうか。
○国務大臣(稲田朋美君) 昨日、ワーキング・グループで雇用について検討がなされましたが、解雇条件の緩和というような議論はなされておりません。そうではなくて、勤務地、それから職種等が特定されたジョブ型の正社員について、人事処遇等のルール整備について検討をされております。その趣旨は、多様な働き方、ワーク・ライフ・バランスに配慮した多様な働き方を基礎とした雇用形態を認めていこうということで議論がなされております。
○森ゆうこ君 それが問題だと言われているわけです。限定正社員が制度化されることによって勤務地や職務が消失した場合は、従来よりも解雇がしやすくなって労働者の雇用が不安定になるのではないかと指摘をされておりますし、ホワイトカラーエグゼンプションのまた導入ということで小泉構造改革の焼き直しではないかというふうに指摘されているんですけれども、この結論が出た場合に、厚労大臣、どうされるおつもりですか。
○国務大臣(田村憲久君) いずれにいたしましても、規制改革会議でどのような結論が得られるか、それに応じて、これ、労働者の非常に権利の重いところでございますから、厚生労働省の中におきまして、労働政策審議会の中におきまして御議論をいただくということになろうというふうに思います。
○森ゆうこ君 格差拡大政策を行ってはいけない、格差を解消する政策を行わなければならない、そして賃金に確実に結び付ける政策を行わなければいけないんですけれども、賃金を上昇させる政策の展開、具体的にどう、何をやられるおつもりなんでしょうか。
○国務大臣(甘利明君) 経済原則からいえば、経済の好循環の中で賃金を上げていくということであります。ただ、タイムラグを縮めるということに関して、従来からいえば若干ルール違反かもしれませんけれども、政府が要請するということを行っております。
 これは、民民の契約に介入していくつもりはありませんけれども、業績が上がってきたところについてはたとえ一時金であろうとも還元をする、それが経済の歯車を回してきて、結局、その支払をした人にまた回ってきますよという説得をしているわけであります。総理、私、経産大臣、手分けでやらせていただいておりますし、先般は、中小企業に対しましても、下請代金がきちんと支払われるような働きかけはしていきますから、業績が上がったところについては賃金に反映をしてほしいという要請もいたしております。ただ、いずれにいたしましても、経済のバックボーンを良くしていくということが大事であります。
○森ゆうこ君 物価が上がった場合に、賃金はそれについて上昇すると先ほど日銀総裁から答弁がありましたけれども、確かに同じ傾向だというふうに思いますけれども、でも、問題は、二%という物価安定目標を示しているわけですから、それに見合った賃金の上昇ということを確実に実施させる政策をもっとしっかりやらなきゃいけないと思うんですけれども、総理、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 大体各国の数値を見てみますと、大体物価が上昇していく中で賃金も上昇していく、名目GDPが上昇していく中で賃金も上昇していくわけでございますが、同時に私たちも、これはもちろん収益が増大をしていく中において企業の判断で賃金を上げていくわけでございますが、私たちとしては、できるだけ早い段階で賃金、一時金等に反映をしていただきたいということでお願いをしてきているわけでございますし、多くの企業がそれにこたえていただいていることは大変有り難いと、このように思うわけでございますが、これからもそういう働きかけを行っていきたいと考えております。
○森ゆうこ君 社会保障制度改革は全く進んでおりません。これはもう、八月二十一日までに法制上の措置を講ずるというのはもう絶望的じゃないんですか。
○国務大臣(甘利明君) 絶望的とは思っておりませんが、先般も、これまでの議論を五項目、座長が取りまとめて発表をされました。確実に前進をいたしております。
 ただ、年金の部分につきましては、三党間であらかじめ方向性を示すということであります。この方向性は必ずしも民主党の案に全員が乗るということではないと思っておりまして、三党で協議をして合意をした道を探ると。ただ、それをただ待って何もしないということではなくて、現行の制度の中で問題点とされていることについても改善をしていくという議論は入っていくことになっております。
○森ゆうこ君 本当に間に合うんでしょうか。
 年金特例水準の解消の問題については先般少し指摘しましたけれども、物価が上がる中ですから、しかも、これを決めたときにはこの物価安定目標という政策ではなかったわけですので、これは中止をすべきじゃないでしょうか。物価が上昇する中で特例水準を解消というのは年金生活者にとって厳し過ぎるんじゃないでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) 先ほど来御議論をさせていただきましたが、年金には物価に合わせてスライドする仕組みがございます。
 一方で、特例水準を、これを解消するということで三年間にわたって引下げをするわけでありますけれども、仮にそれ以上物価が上がった場合には、当然のごとく、その部分はスライドして年金が上がるということでございますので、それも含めて年金のスライドというものがあるわけでございます。
○森ゆうこ君 この十月から下がるんですよね。
○国務大臣(田村憲久君) これは民主党政権下において法律が提出されまして、それが成立したわけでございまして、十月からは確かに下がります。
 ただ、年金のスライドというものは、今年度の物価水準に合わせて、来年度それに合わせてスライドが掛かるということでございますから、特例水準の適正化との差引きの中において年金が引き上がることもあり得ると、来年の四月からでありますけれども。
○森ゆうこ君 もっと言いたいことはあるんですけれども、時間がありませんので、憲法改正について一言だけ総理と議論をさせていただきたいと思います。
 憲法九十六条の改正について伺いたいと思いますが、私は、憲法改正あるべしと、改憲か護憲かといったときには、必要な改憲はするべき立場、するべきであるというふうに思っておりますけれども、この九十六条の改正については反対であります。
 まず、総理に伺いたいんですが、内閣には憲法改正原案の提出権はあるとお考えでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これについてはいろんな議論があるわけでございますが、基本的に、今我が党としては、これは、一党だけにおいてはいずれにせよこれは三分の二を構成することができませんし、まさに院においてこれは提出をしたいと、基本的にはそういう議論になっております。
○森ゆうこ君 九十六条に「国会が、これを発議し、」と特に定めていることから、内閣に提出権はないというのが通説です、もちろん諸説ありますけれども。
 改正手続に両議院総員の三分の二の特別多数決としているその理由は何であると考えていらっしゃるでしょうか。今の改正要件。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私も今ちょっと、質問の通告もございませんし、意味がよく分からないわけでございますが、つまり発議要件を三分の二にし、そしてその後、国民投票があるわけでございます。
 その中において、言わばそのときの、これは元々、先ほど申し上げましたように、GHQの二十五人の委員が原案を作ったものでございますが、その中において改正条項が定められたものだと、このように思っております。
○森ゆうこ君 やはり、この改正手続が特別多数決ということで三分の二というふうに決められているのは、これはやはり憲法の基本原理をしっかり守ると。権力は腐敗し堕落する、だから憲法を改正するときにはもっと真摯な、抑制的な議論が必要であるということだと私は考えております。
 じゃ、総理は、憲法前文冒頭の「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」というふうにありますけれども、その意味についてはどのようにお考えでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさに日本は直接民主主義ではなくて間接民主主義によって、議院内閣制において政治を行っているということではないかと思います。
○森ゆうこ君 代議制民主主義ということで、そうしますと、国民の過半数が憲法を改正したいとの意思を国会両議院の三分の一超の議員が妨害できる制度は常識的ではないと繰り返される総理のこの発言は、この代議制民主主義、これを、何というか、否定するものであるというふうに私は受け止めて、非常に違和感を持っているんですけれども、そうではないんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさに今委員がおっしゃったように、三分の一を少し超える議員が反対をすれば国民が自分たちの意思を表明することができないのはおかしいと、こう申し上げているところでございます。
○森ゆうこ君 時間がなくて少しかみ合わない議論でしたけれども、少なくとも私は、権力を抑制的に行使するということをもう少しお考えをいただいて、しっかりと内閣を運営することをお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
○委員長(石井一君) 以上で森ゆうこさんの質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(石井一君) 次に、田村智子さんの質疑を行います。田村さん。
○田村智子君 福島第一原発の事故収束作業に延べ五百十人を違法に派遣したとして、長崎県内の三つの事業所に改善命令が出されています。本件の概要を御報告ください。
○国務大臣(田村憲久君) 福島第一原発の復旧作業に、長崎県を所在地とします大和エンジニアリングサービスという会社でありますけれども、一つは労働者派遣法違反ということで、建設業の配管工事、こういうものに対して派遣をした。これは派遣が禁止になっております。それからもう一つは、労働者供給事業ということでございまして、職業安定法に対しまして違反ということでございます。さらには偽装請負ということもございまして、平成二十五年四月の末に長崎労働局長より他の二社、それはアグレスという会社と創和工業、長崎市と佐世保市でありますけれども、これ合わせて三社に対しまして行政処分であります改善命令、これを実施いたしまして、事業の総点検とそれから併せて遵法体制の整備ということを講じるように指導したわけでございます、行政処分ですね、したわけでございます。
○田村智子君 これ、作業を請け負ったと見せかけて、実際は労働者を送り込んだだけの偽装請負、それから、今御報告になかったんですけど、もう一つ、自社に派遣された労働者を別の会社に派遣する多重派遣も、これ改善命令出されています。それから、派遣禁止の建設業への違法派遣と、これらが一度に行われていたということです。これは氷山の一角だと思います。
 東電が昨年十二月に公表した就労実態に関するアンケート、福一の下請労働者を対象にしたものですが、ここにも偽装請負が推測できる回答が見られると思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) これ東京電力が公表したものでありますけれども、就業実態に関するアンケート結果において、四七・九%の方から、給与を支給している会社と作業を指示している会社、これが違うという回答になっております。ということは、これがそのままそうであるということでございますれば、当然のごとく偽装請負等々の可能性があるということでございます。
 なお、アンケートにおいて、違法派遣や偽装請負について知らないという、そういう回答が七五%あったこともございますので、下請事業者でありますとか、また労働者の方々、こういう方々に対して講習会等々で、厚生労働省から職員を派遣をいたしまして、改めて関係法令の説明等々の徹底、これをさせていただいておるところでございます。
○田村智子君 このアンケートというのは東電から元請企業を通じて労働者に配付されたもので、言わば雇主の目がある下で実施されたという側面は否めないんです。それでも、今あったとおり、作業指示している会社と給与支払の会社が違うという回答が約五〇%だと、事故収束の作業の多くは派遣が禁じられている建設関連ですから、これは偽装請負、違法派遣が福一の中で横行していると、こういう認識で特別な対策が求められると思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) 今回の案件に限らず、当然のごとく違法派遣等々は許されるわけではないわけでございまして、こういうものをまず未然に防止することが必要でありますし、行われたならばこれに対して厳正な対処をするということは大変重要なことであるというふうに考えております。
 このため、今後とも、全国、これ、この被災地のみならず、全国の都道府県労働局挙げて、このようなことが起こらないように、事業主それから労働者の方々にやはり関係法令の周知徹底をしてまいると同時に、もし違反があった場合に対しましては、事実をまずしっかりと調査をした上ででありますけれども、行政処分等々も含めて厳正な対処をしてまいりたい、このように思っております。
○田村智子君 これ、例えば富岡労基署は月一回免震重要棟で雇用相談とか行っているんですけれども、これ東電の目がある下で労働相談を行っても、なかなか労働者は実態告発はできないですよね。私は、東電や元請企業が責任を果たすということは、これ当然のことなんですけれども、もっと政府が直接的に実態をつかんで違法行為の根絶策を講ずるべきじゃないかと思うんです。
 例えば、Jヴィレッジで返信封筒付きで労働者へのアンケートを配付して、企業を通じてではなく、厚労省が直接労働実態をつかむとか、入構証の会社名と給与明細や健康保険証の会社名が一致しているかどうかを確認するとか、Jヴィレッジでの放射線管理の講習というのは必ず行われるわけですから、その際に違法労働行為の具体例を示して、こういうことがあれば報告をしてほしいと、こういう周知を図るとか、すぐにできることあると思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) そういうことも含めて、とにかく法令というものをしっかりと御理解をいただかなければならないわけでございまして、これはもちろん労働者の方々、当然でございます。それから、下請等々の事業主の方々も含めてそういうことがしっかりと周知徹底できるように、説明会等々を行って御理解をいただけるようにということで実施をいたしておる次第であります。
○田村智子君 周知だけじゃ駄目なんですね。具体的にできることを今提案したわけですから、是非検討してください。
 それから、経産大臣にもお聞きしたいんですけれども、現場からは、東電は事故収束に必要な人員確保の予算をちゃんと組んでいるのかと、こういう疑問の声も起こっているわけです。是非、東電任せでない予算の監督、これ必要だと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(茂木敏充君) 一義的には、予算の確保、東電において行うものでありますが、当然、過酷な作業現場で本当に必死の復旧作業を行っている皆さんが適正な労働環境の下で仕事ができるように、法令遵守の下で行っていけるように、適切に東京電力へ指導してまいりたいと考えております。
○田村智子君 これ、一昨年も私、予算委員会で、突然人員削減の計画が発表されたという問題を取り上げて、しっかり見ていきたいということを、当時、民主党政権ですけど、経産大臣に答弁いただいています。是非具体的に進めていただきたいと思うんです。
 最後に、総理にもお聞きをしたいんですね。
 これ、すぐにできる対策とともに、やはり違法行為の温床となっている多重請負、ここの構造にメスを入れるべきじゃないかと私は思っています。東電と元請企業が全ての労働者を直接雇用するというぐらいの大胆な対策が必要ではないかと。そうしなければ、一つには労働者のピンはねがなくならないんです。福一は通常の原発とは別次元の作業なので、東電は危険手当とも言える人件費分の上乗せを行っています。これは危険と背中合わせで働く労働者に全額支払わなければおかしいのに、ところがこれさえ多重請負の中でピンはねがされています。
   〔委員長退席、理事小川敏夫君着席〕
 もっと重大なのは放射線被曝管理の問題で、事故収束・廃炉作業は三十年、四十年掛かるわけで、熟練労働者が福一にいなければ駄目なんです。そのためには、福一で長く働けるように放射線被曝管理が徹底されなければなりません。だけど、多重請負で末端の労働者が装備の不十分さが原因で被曝をする、そして被曝線量の上限を超えて原発ではもう働けなくなると、こういう事態が起きています。これでは事故収束作業に支障が出かねません。また、違法行為やずさんな放射線管理があっても労働者が物を言えない、違法企業を排除すると労働者も仕事を失うと、こういうことになってしまうんです。
 総理、是非、事故収束作業に当たる労働者を全力で応援するために、まず放射線被曝管理の徹底、危険手当のピンはねは許さない、労働者の使い捨てにつながる違法行為は一掃すると、あわせて、多重請負の解消に大胆に踏み出すと、これ是非検討していただきたいんですが、いかがでしょうか。
○理事(小川敏夫君) 安倍内閣総理大臣。なお、答弁は簡略にお願いします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 福一において、いわゆる偽装請負が行われていたのは遺憾であります。こうした偽装請負など法に違反する働き方が行われないよう、その是正を図る必要があると思います。
 このため、福島労働局等において、事業主に対する集団指導等を実施をし、派遣法の遵守、そして労働条件の書面による明示、線量管理の徹底等を求めるとともに、様々な機会を通じて労働関係法令の周知を徹底しているところであります。また、法令違反が行われた、行われる事実を把握した場合には、迅速に事実関係を調査した上で、違反が認められた場合には是正指導を行うなどにより、違法な働き方の根絶に向けて厳正に対処してまいります。
 なお、多重の請負をやめさせるべきだという御意見でございますが、多重の請負自体は法に違反するものではなく、いわゆる偽装請負などの法に違反する働き方を正していくことが必要であると考えております。
○田村智子君 根っこの改善が絶対必要だと思いますので、引き続き質問を続けていきたいと思います。
 終わります。
○理事(小川敏夫君) 以上で田村智子君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○理事(小川敏夫君) 次に、谷岡郁子君の質疑を行います。谷岡郁子君。
○谷岡郁子君 みんなではなく、みどりの風の谷岡郁子です。
 事故調の解散、今日も黒川元委員長をお呼びしようとしましたが、また呼べませんでした。国会自身がとりこの関係にあるのかなとも思えてしまうようなことで、その一員となることが恥ずかしいような事態を早く解消したいというふうに思っております。
 そこで、総理にお聞きしたいんですけれども、総理御自身は政府の長として、この国会のこの委員会に例えば元事故調の委員が来られたらお困りになりますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) その問題は、まさにこれは委員会において決めておられる問題でございますので、私がそれを評論することは差し控えたいと、このように思います。
○谷岡郁子君 では、政府として今度はお聞きをいたしますが、政府の事故調、民間事故調、国会事故調、本当に大変な労苦の成果というものが出ております。これを今の政府はどのように生かしていらっしゃるのでしょうかと。
 例えば、科学者の、専門家の選び方ですとか、彼らの腐敗の防止について、また、政府自身として安全規制を行っていくために具体的に何を生かしていらっしゃるのか。また、事業者との関係においていわゆる各省庁が癒着に陥らないためにどんなふうにしていらっしゃるのか。経産、文科等の規制、あるいは規制委員長等に今どのような生かされ方がどういう形でなされているのかということをお聞きすると同時に、後で総理に総括をお願いしたいと思います。
○政府特別補佐人(田中俊一君) 従前の原子力規制に当たってきました原子力安全・保安院は、原子力を推進する立場の資源エネルギー庁の中に置かれていたということが、まず一つそういった御指摘のような状況を生み出したということがあるかと思います。これについては、以前、IAEAのミッションからも指摘されていたところでございます。
 今回、私どもは、科学的、技術的な見地から意思決定を行うという規制機関に求められている役割を十分に果たすために、有識者とかそういった方については、その辺、これまで事業者とかそういうところとの関係等をきちっとチェックした上で選ばせていただいて、科学的な判断を仰ぐようにしているところでございます。
○国務大臣(下村博文君) 原子力施設を安全に維持運営していくために、それを支える幅広い分野における質の高い人材を安定的に育成確保する必要があると考えます。
 このため、文部科学省では、国際原子力人材育成イニシアティブによりまして、学生、若手研究者などを対象に、原子力の基盤と安全を支えるとともにより高度な安全性の追求を図るための幅広い原子力人材の育成を行っているところでございます。
 引き続き、原子力安全のために必要な人材の育成確保に向けまして、関係省庁と連携しつつ適切に対応してまいりたいと思います。
○理事(小川敏夫君) あと、次はどなたですか。質問者、どなたに答弁を求めますか。
○谷岡郁子君 経産大臣を出してください。
○国務大臣(茂木敏充君) 国会事故調等におきまして、複合災害という視点が欠落をしていた、また、規制機関の独立性が不十分であった、こういった指摘を受けまして、新たな規制委員会、独立性の高いものをつくらせていただきました。
 今、新しい安全基準を作っておりますが、そこの中でシビアアクシデント対策、そして最新の知見をこの規制に持ち込んでいく、こういったバックフィットの対策についても盛り込んでいると、そのように承知をいたしております。
○谷岡郁子君 ありがとうございます。
 それで、総理、とりこの関係というふうに言われているところが国会事故調から強く指摘されたことでありますけれども、そのとりこの関係というものから政府が脱するためにどのような決意をされているのかということを是非お伺いしたいと思っております。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 原発の安全性について、国会事故調において、複合災害という視点が欠如をしていたことは先ほど大臣からも答弁させていただきましたが、事業者のとりこと指摘されたように、規制組織の独立性が十分ではなく、いわゆる安全神話に陥ってしまった点、政府として深く反省しなければならないと考えております。
 こうした反省を踏まえて、昨年九月に原子力規制委員会が新たに設置をされました。原子力安全規制の抜本的な見直しを行っているところでございますが、原子力規制委員会において、各種の事故調査でこれまでに明らかにされた情報を踏まえて、海外の規制基準も確認しながら、世界最高レベルの安全水準となる新規制基準の策定を行っておりまして、本年七月に施行する予定であります。
 また、安全の追求には終わりがないという考え方の下に、継続的な安全向上が重要であると思います。それが原子力規制委員会の姿勢であり、七月の施行の後も継続的に基準の見直しの検討を行っていく考えでございます。
○谷岡郁子君 田中委員長、私は、この間のその事故調等の成果とかそういうものをずっと見ておりまして感じますのは、やはり、リスクを不当に限定して考えるというようなことがやはり本来想定すべきものを想定しないという結果に陥っているということが多かったというふうに思うんですけれども、いかがお考えでしょうか。
○政府特別補佐人(田中俊一君) 今御指摘のようなことを反省しまして、今回の新しい規制基準では、特に外的事象と私ども申しているんですが、地震とか津波とかいろいろ、火災も入りますが、航空機落下とか、そういったありとあらゆると申し上げてもいいと思いますが、そういったことのリスクというのをきちっと評価した上で、それについてきちんと対処できるようないわゆるシビアアクシデント対策を求めているというものでございます。
○谷岡郁子君 規制庁の安全基準についてはかなりそうなってきつつあると思います。しかしながら、この事故の結果の影響についてはリスクを限定して考える、甲状腺がんのみに絞って考える、セシウムのみにして考えて、ストロンチウムとかそういうところについてはほとんどモニタリングをしない、そして福島県内に限って、広げていかない、そして十八歳以下にして、例えば若い女性等の乳がん等の様々な広げ方をしていないということはやっぱり言えるのではないでしょうか。
 根本大臣にお聞きをしたいんですけれども、お答えいただけなかったらそれでも結構ですから。これ、今日、黒川さんいなくなっちゃったのでこの質問をあえてさせていただいておりますが、もしお答えいただけるようなら、もっと広い範囲にリスクを考えて、予防原理に立つべきだとはお考えになりませんでしょうか。
○国務大臣(根本匠君) 委員の趣旨に十分なお答えになっていないかと思いますが、予防原理に立つというのは、今の例えばICRPの考え方でも予防原理に立っていると思います。それから、個別の話ではストロンチウム等々の話が出ましたけれども、あれはやはりあの原発事故でどういうものが出たか、そこは私は十分な分析が必要であって、ストロンチウム等々の問題は、そこはチェルノブイリと私は違うと思っております。そこはきちんとあの事故の状況をしっかりと分析し把握する必要があると思います。
○谷岡郁子君 ほとんど測っておりませんから、ストロンチウムについての検討はできません。それから、ほとんど血液検査やっておりませんから、その可能性についてとかリスクについては検討ができません。それはちょうど、ほとんど津波についての検討はしなかったから津波に襲われたというのと同じでございまして、こういうことをずっとやっておりますと元のもくあみに戻るということを私は申し上げておるのです。
 ところで、パブコメというのがございましたが、これ野田政権で行われた大々的なパブコメ、今はこの政府ではこのパブコメに対する対応というのはどうなっておりますでしょうか。
○国務大臣(茂木敏充君) 過去に行われましたパブリックコメントも含め、国民の様々な意見、しっかりと踏まえて、これからのエネルギー政策、原子力政策、組み立てていきたいと思っております。
○谷岡郁子君 確認ですが、あのパブコメの国民の意見は生かされるということでございますか。
○国務大臣(茂木敏充君) パブコメで出てまいりました意見も含めて、国民各界各層の幅広い意見、これをしっかりと受け止めていきたいと思っております。
   〔理事小川敏夫君退席、委員長着席〕
○谷岡郁子君 総理にお聞きをいたします。
 世界で最も安全な技術という形で中東で売ってこられた原発ですが、これはかなり、機械工学の問題ではなく、オペレーションの問題でありレイアウトの問題であると、そういうことも含めて福島では明らかにこれを失敗したと。しかも、放射能の、原子力の問題については世銀もアジ銀も資金の融資というものを禁じている。OECD各国は原子力については融資をしないことを申し合わせている。ところが、しかもJBICはガイドラインをしかるべきアメリカやイタリアやフランスのように持っていない、そのことはずっと従来から私も指摘しましたが、それを売りに行くようなこういう姿勢自身が安全だと思われますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさに我々も、これはただ機械の問題ではなくて、レイアウト、またソフトの問題だと、こう思っているわけでございまして、原子力規制委員会において各種の事故調査でこれまでに明らかにされた情報を踏まえて、海外の規制基準も確認しながら世界最高レベルの安全水準となる新規制基準の策定を行っており、本年七月に施行する予定であります。この基準には、単なる機械だけではなくて、レイアウトなど広い事項を対象としているところでございます。
○谷岡郁子君 終わりますが、まだこれは今誇って輸出できるような状態にはないということを申し上げて、質問を終わります。
○委員長(石井一君) 以上で谷岡郁子さんの質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(石井一君) 次に、福島みずほさんの質疑を行います。福島さん。
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 総理、村山談話を踏襲しますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 本日、累次答弁をしておりますように、いわゆる村山談話は戦後五十年を機に出されたものであり、戦後六十年に当たっては当時の小泉内閣が談話を出しているわけでございますが、我が国はかつて多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。その認識においては安倍内閣としても同じであり、これまでの歴代内閣の立場を引き継ぐ考えでございます。
○福島みずほ君 どの部分を見直すんでしょうか。四月二十二日のこの委員会で、安倍内閣としてそのまま継承するわけではないと答弁をされています。どこを直しどこを変えないのか。侵略と植民地支配、この文言は変えないということでよろしいですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 内閣としての答弁は今答弁したとおりでございます。
○福島みずほ君 この委員会で継承するわけではないとおっしゃっているからなんです。何を継承し、何を継承しないのか。侵略、植民地支配、これは見直すんですか、見直さないんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 我が国はかつて多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。その認識において安倍内閣としても同じであり、これまでの歴代の内閣の立場を引き継ぐ考えであるということは申し上げているとおりでございます。
○福島みずほ君 高市政調会長が、侵略という文言を入れている村山談話にしっくりこないという発言をされました。どう思いますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それは高市政調会長としてのお考えを述べられたんだろうと思いますが、内閣としては今答弁したとおりでございます。
○福島みずほ君 不安だから、分からないから質問しているんです。決して総理は侵略と植民地支配を変えないとは言わないんですよ。小泉談話には入っています。これを変えないと言わないから、だからみんな不安になるんですよ。
 どこを変え、どこを変えないのか、今日は教えてくださいよ。侵略、植民地支配、これ変えないんですか。変えるんだったら変えると言ってください。変えないんだったら変えないと言ってください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま答弁いたしましたように、我が国はかつて多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた、その認識においては安倍内閣としても同じであり、これまでの歴代内閣の立場を引き継ぐ立場でございます。
○福島みずほ君 四月二十三日、侵略の定義は定まっていないと答弁しています。第二次世界大戦において日本が行ったのは侵略戦争ですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど来答弁をしておりますように、安倍政権の立場においては、我が国はかつて多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた、その認識においては安倍内閣としても同じであり、これまでの歴代内閣の立場を引き継ぐ考えでございます。
○福島みずほ君 侵略と植民地支配を変えないとなぜ言えないんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これまでも累次申し上げているわけでございますが、安倍内閣として歴代内閣の立場を引き継いでいるわけでございまして、私は安倍内閣として侵略や植民地支配を否定したことは一度もないわけでございまして、これまでの歴代内閣の立場を全体、立場を引き継いでいるということでございます。
○福島みずほ君 否定しないのであれば、侵略、植民地支配、この文言、この考え方は残るということでよろしいんですね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今答弁したことが全てでございまして、いずれにせよ、歴史については、これは歴史家に任せるべきだということも答弁しているとおりでございます。
○福島みずほ君 重要なことだから聞いています。あの戦争は侵略戦争ですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今答弁しているのが政府としての立場でございます。
○福島みずほ君 どうして答えられないんでしょうか。侵略戦争かどうか。そして、きっちり小泉談話も村山談話も侵略、植民地支配って書いているんですよ。それを総理がなぜかおっしゃらないんで、みんながやっぱり不安になるんですよ。それはなぜなのか。侵略戦争かどうか、じゃ、それはお答えください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今答えているとおりでございまして、歴代政権の立場を引き継いでいるということでございます。同時に、言わば歴史認識については、これは歴史家の手に任せるべきだというのが従来から答弁しているとおりでございます。
○福島みずほ君 いや、頭が悪いから分からないんですね。侵略と植民地支配、この文言変えないかどうか、これは重要なことです。それをなぜか総理はおっしゃらないんですよ。多大な苦痛を与えたとは言う。しかし、それを言わない。
 ですから、これがきちっと継承するのかどうか、文言について。教えてください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これまでも官房長官からも答弁しているとおりでございまして、安倍内閣としては歴代内閣の立場を引き継いでいるわけでございまして、同時に、歴史認識そのものについては、これは歴史家に任せるべきであろうというのが安倍内閣の立場でございます。
○福島みずほ君 総理の発言はこの委員会でも随分変わっているんですね。そして、この期に及んでなぜそのことを明言しないのか。そのことがやはり非常に、これを変えるんじゃないかという不安を抱かせる。なぜおっしゃらないのか。安倍総理の謎その一というふうに私は思います。
 次に、河野官房長官談話について、これを踏襲されますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 官房長官談話については、これは官房長官が答弁するということになっております。
○福島みずほ君 第一次安倍内閣のとき、政府として踏襲するとおっしゃっていますよ。麻生総理も、当時総理大臣のとき踏襲するとおっしゃっています。
 何で今言えないんですか。だって、衆議院選挙のときは見直すとおっしゃっていたじゃないですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この官房長官談話については、官房長官から答弁するのが適当であろうという判断でございます。
○福島みずほ君 官房長官、踏襲されますか。
○国務大臣(菅義偉君) この河野談話について私が一貫して申し上げていますのは、これまでの歴史の中で多くの戦争があり、その中で女性の人権が侵害されてきた。二十一世紀こそ人権侵害のない世紀にすることが大事であって、日本としてもそのために全力を尽くしていく。さらに、慰安婦問題について、これは筆舌に尽くし難いつらい思いをされた方々の思い、非常に胸が痛む思いである。この点については、歴代内閣と同じように、安倍内閣も歴代の内閣と同じであります。
 さらに、安倍内閣としては、この問題を政治問題、外交問題にさせるべきじゃないというふうに考えています。前回の安倍内閣においてこの問題について閣議決定をされたという経緯も踏まえて、内外の歴史学者、有識者の手により様々な問題について研究が行われている中で、この問題についても学術的観点から更なる検討が重ねられることが望ましい。このように私は答弁しています。
○福島みずほ君 今の時点では踏襲するが、その研究結果によっては見直すこともあり得るということなんでしょうか。
○国務大臣(菅義偉君) 今私自身が答弁をしたことに私は尽きるんだろうと思います。
○福島みずほ君 いや、答えてください。今は維持するが、その研究結果によっては変わるんでしょうか。
 では、官房長官、この河野官房長官談話、「その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた。」、この部分は維持されるんでしょうか。
○国務大臣(菅義偉君) 河野談話に対しての内閣の見解は、今私が申し上げたとおりであります。
○福島みずほ君 維持されるということでよろしいんですね。
○国務大臣(菅義偉君) 今申し上げたことに尽きます。
○福島みずほ君 これ、河野官房長官談話に関して、今は維持するが検討するというふうにおっしゃるから、これが変わるんではないかと多くの人が不安に思うし、私も不安に思うわけです。どこかを変えてしまうんじゃないか。
 でも、例えば、インドネシア、そしてフィリピン、インドネシアのオランダの捕虜のところから女性たちを連れていく、フィリピンや東ティモールやいろんなところで強制的に連れていったことがあります。そして重要なことは、強制、どうやって連れて、拉致もあるだろうし、欺罔もあるだろうし、人身売買もあるだろうし、そういうふうに直接連れていった場合もあるだろう、しかし総じて彼女たちの状況が人権侵害であった、ここがポイントです。その部分は変えないということでよろしいですか。
○国務大臣(菅義偉君) 私は、見直しを含め検討という内容のことを述べたことはありません。
○福島みずほ君 見直しをしないということで、改めてよろしいですね。
○国務大臣(菅義偉君) 私は、見直しを含め検討という内容のことを述べたことはいまだにありません。
○福島みずほ君 総理、それでよろしいんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この問題については官房長官から答弁することになっております。
○福島みずほ君 とても大事なことに関して総理が答弁をされないのは残念です。村山談話に関しても、どこを維持するのか維持しないのか、はっきりおっしゃらなかったことも極めて残念です。
 この大事な談話をきちっと維持するよう強く求め、私の質問を終わります。
○委員長(石井一君) 以上で福島みずほさんの質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(石井一君) 次に、水戸将史君の質疑を行います。水戸君。
○水戸将史君 日本維新の会の水戸将史でございます。
 この予算委員会におきましても、TPPに関しましてはいろんな形で取り上げてまいりました。今回やはりTPPのことを考えていくならば、やはりこの農政の問題は看過できない大きなテーマでございます。
 私もこの委員会でも何点か取り上げてきた経過がありましたけれども、やはり一九五〇年代から、自民党の農政の歴史と言っても過言ではありませんけれども、昔からあの農業基本計画を見てみましても、やっぱり競争力の強化とか生産性の向上、後継者の育成みたいな今でも通用できるようなことがもう三十年も四十年も前から語られております。また、農地の集積や流動化を図ろうという、そういうこともずっと言われてきたんですけれども、なかなか思うように進んでこなかったというものがあります、過去の経過がありますけれども。
 聡明な農水大臣、このいわゆる思うように進んでこなかった農地の集約や流動化についてどのような形で分析をされているでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) 農地の集積というのが特に土地利用型では大変大事になってくると、こういうふうに思いますし、委員御指摘のように、今までもやってきたわけですが、今回はこれを、農地集積、集約化と同時に、耕作放棄地の解消を更に進めていくために、県段階に農地の中間的受皿として、これまだ仮称でございますけれども、農地中間管理機構というものを本格的に整備して活用していこうと、こういうふうに思っております。
 これ、農地利用を整理して、分散し錯綜しているものを集めていくということで、今まではどうしても売り買いをつなぐということしか、限られた予算でございましたし、なかったところを、リースも含めていろんな機能を、できれば予算、法律、いろんな手当てをしながらやっていけるようにしていくことによって、今回、本格的に機能するものにしていきたいと考えておるところでございます。
○水戸将史君 農水大臣が今触れられましたとおり、新しく中間管理機構をつくっていくんだと、従来の農業公社を衣替えしていくんだということでありますけれども、従来の農業公社とこの中間管理機構の相違点、どういう形でこれを変えていけばどうなっていくのかということで、今までなぜこれが機能してこなかったか、その理由は何でしょうか。
○国務大臣(林芳正君) 先ほどちょっと申し上げましたが、従来、全国で機構、機構といいますか、公社に対する予算が十億でございましたので、ざっと四十七都道府県で割っても一県当たり平均で五千万という規模の予算でございました。そういう予算の中で、売買するといってもなかなか受け手も見付からないということで、今回、リースも活用しながら、必要な場合には機構の負担で基盤整備も行って、少し集約をして基盤整備を行った上で、法人経営体や大規模家族経営、企業などの担い手に集約した後の農地をリースという形でやっていくと、こういうことをやることによって今までと違った進め方をしていきたいと考えておるところでございます。
○水戸将史君 今のお話になると、売買は非常にお金が掛かるけれども、リースだったら貸す借りるのような関係で、お金はそれほど掛けなくてもそれなりの効果があるというような、そういうような御答弁でしょうか。
○国務大臣(林芳正君) いろいろと統計を見ますと、やっぱり売買代金とリース代の関係が非常に、何というんですか、差がかなり大きいものですから、リース代でやっていくことによって一件当たりのものが非常に低廉になるということと、それからもう一つのポイントは、中間管理機構が一旦リースをして集めた上で、それを面的に少し集約をしてから、したがって、分散錯綜したものを一個ずつ受け手と出し手の間でやり取りをするのみにとどまらず、この中間管理機構自体が一つの主体となってその中で集約をするという機能も付加するということも併せてやっていきたいと考えております。
○水戸将史君 農水大臣自らが、さきの産業競争力会議におきまして、この中間管理機構に関しましても十分な国費を投入する必要があるというふうに述べられております。売買と違って賃貸借の方がお金が掛からないという話もありましたけれども、十分な国費を投入するという御意思があるならば、どの程度の予算が確保が必要だと考えていらっしゃいますか。
○国務大臣(林芳正君) これは、今からこの機能をどうやって拡充していくかということを詰めていきまして、そして、どれぐらいのニーズがあるかということを検討していく中で決まっていくものということでございますが、先ほど申し上げましたような今の各県当たり一億を切るようなベースの予算では、なかなかはかばかしく物事が進んでいかないのではないかなというふうに考えております。
○水戸将史君 これから十分に検討されて、国費をどの程度使うかということを具体化していくという話でありますけれども、実際、農地の集約につきましては、当然、地域間との話合いによって作成される人・農地プランというものを作って進めていくというふうに承っているわけでありますが、地域の話は結構でありますけれども、やっぱり地域の中においてはどうしても村社会になってしまいますので、外部の人間が入りづらいんじゃないかという懸念もあります。
 こういうことに関して障害とならないのか、またそのマッチングの在り方ですね、出し手と受け手ですね、そういうことを含めてその新しい機構が担うような予定なんでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) おっしゃるところは大変大事なところでございます。
 先生まだ民主党にいらっしゃったころだと思いますが、民主党政権で人・農地プランを始めていただきまして、これ各地で始まっておるところでございますので、その中でやはりよく話し合っていただいて、中心経営体はどの人になっていくかなと。集落単位程度の話合いをよくやっていただくということが、後でちょっと話が違うんじゃないかということにならないというためにも大事だと、こういうふうに思っておりまして、そういう中で、いろんな方が入ってくる可能性も排除せずにやってもらうということもあるんではないかなと思っておりますし、そのことも含めて、人と農地プランの話合いを、検討をよく見ながら、全体的に県の段階で、いろんな可能性をこの中間管理機構ができましたら見ながら、両々相まってこの集積化を進めていくということが大事だと考えております。
○水戸将史君 是非、この中間管理機構、新しくできるものに関しまして、多面的な機能を取りそろえて農地の集積とか流動化について大きなる貢献をしていただくことを強く要望したいと思っていますし、また、いろんな機関を通じていろんな形でこの農業の振興を図っていく必要がありますね。
 その中の一つといたしまして、農林中金の取扱いについても、もっともっとこれ真剣にやっていかなきゃならないと私も思っておりますが、実際、農林中金、農業の振興、農家の事業継続、発展にどれだけ融資が行われているか、その現状について農水大臣はどのような御認識でしょうか。
○国務大臣(林芳正君) この農協系統というのは農業者の協同組織でございますから、そもそも農業の発展や農業者の地位向上、これがこの使命でございまして、したがって、農林中金も当然ながら金融機能の発揮によって農業の発展に貢献をする必要があると、こういうことでございます。よく言われているような有価証券の運用の収益を会員である農協や農業者に還元する、これも貢献の一つだというふうに思いますが、やはり農協や信連との役割分担も踏まえながら、農業振興に資する金融業務、これを展開していくことが大事だと、こういうふうに思っております。
 二十五年の四月、この四月でございますが、融資枠一千億で創設をいたしました農業法人サポートローンという、これは大規模農業法人向けの低利運転資金を融通する仕組みですとか、それから、大規模農業法人等にアグリビジネス投資育成会社というものを介して出資をする担い手経営体応援ファンドの創設、これは六月に予定しております。それから、今度できましたA―FIVEというものの農協系統のサブファンドをつくるなどの取組も行われておるところでございます。さらに、日本農業経営大学校、この四月に開校いたしましたが、アグリフューチャージャパンを設立するなど、そういうことも農業振興のためにやっていただいておるわけでございますので、こういう方向で必要な指導を行っていきたいと思っております。
○水戸将史君 いろいろなことをおっしゃるわけでありますが、しかし、全体の九十兆円を超える農林中金の預金残高に比べて、農業の振興とか発展に資するお金というのは大体その一%ぐらいだと言われているわけでありまして、もっともっとやはり農家、農業から集めたお金をうまくこれをバックできるような、フィードバックできるような体制の強化をしていく必要があると思うんですね。
 そういう中において、やっぱり金融庁も監督庁として、農林中金は両省が所管しているわけでありますけれども、なかなか金融庁が入りづらいということが今までも指摘されておりましたので、いま一度監督庁として厳しい姿勢で臨んでいただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○委員長(石井一君) 簡潔に締めくくってください。
○国務大臣(麻生太郎君) 農林省と一緒にきちんといたします。
○水戸将史君 よろしくお願いします。
 ありがとうございました。
○委員長(石井一君) 以上で水戸将史君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(石井一君) 最後に、荒井広幸君の質疑を行います。荒井広幸君。
○荒井広幸君 幾つか質問通告をしましたが、総理のみにお尋ねをいたします。
 世界には約四百五十の原発があるんです。この日本の技術移転、今進めている中で、廃炉の技術、廃炉のノウハウ、また先ほど申し上げましたが、福島の皆さんが被害者として様々な面でつらい思いをしています。人生が切れてしまったんです。そういうものも含めて救済していく、そういうことを救済していくという被害者救済の施策や法体系、今全く駄目ですから、それも直していく。そういうものを合わせて、総理、世界に日本が提供していくことのこの意義というのは、まさに尊敬を集め、安全保障としても日本が守られていく、我が国の国益にかなうものと思いますが、どのようにお考えになりますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 福一の事故の経験と教訓を世界に共有することにより世界の原子力安全の向上に貢献していくことは、今委員の御指摘のように、我が国の責務であると考えております。
 我が国としては、まずは原発の廃炉や土壌等の除染、長期避難者の生活支援、被災地の復興への取組などに全力で取り組みたいと思います。その上で、これらを通じて得られる技術を、そして知見を世界と共有をして、各国の原子力施設における万が一への備えの充実に役立てていきたいと考えております。
○荒井広幸君 総理がおっしゃるように、まさに廃炉をもって、そして救済策や法整備、そういったものの体系全体で我が国が奉仕をしていく。人に人柄があるように、国家に国柄というものがあるんでしょう。我が国はそういう国を目指していくべきだと思います。
 先ほどからお話がありましたけれども、私たち、野党でございますが、野党の皆さんから安倍外交についてございました。私は思い出すんです。小泉総理が、まさに中国、韓国について、凍り付いた、そうした状態をつくってしまった。そのときに、皆さんも思い出していただきたいんです、安倍内閣は、安倍総理は、真っ先にこの氷を解かすために中国と韓国に行ったんです。私は、国益を守り、主権を守るというところ微動だにせずに、しかし大胆かつ柔軟な外交政策が取れるという、その安倍総理、当時のその対応を高く評価をしております。恐らく各国とも驚いたことだと思いますよ、あの対応については。ですから、私は、もうしばらくどんな対策をされるのか見守っていきたいと、期待を持って見守っていきたいと思います。
 足下の中韓の問題解決せずして、やはり日本の主権そして国益は守れないなと私は思っている次第です。どうぞ、賢い知恵と包容力を持って安倍流の外交を進めていただきたいと思います。
 最後になります。
 財政再建への強い決意がやっぱり総理、必要ですね。三本の矢と同時に財政再建をきっちりやっていくと、安倍流の強い決意をいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 経済の再生なくして財政再建も国も将来もないという考え方の下に、三本の矢によって経済を成長させることを通じて税収を増加させていかなければならないと考えております。
 他方で、民間企業の投資と消費を喚起する持続的な経済成長を促すためにも、歳出の効率化等によってプライマリーバランスの改善を図りながら、消費税率の引上げを含む社会保障・税一体改革を着実に推進をし、持続可能な財政構造を構築していくことが重要であります。これにより、増大する社会保障の持続性と安心を確保するとともに、市場の信認を確保し、長期金利の急激な上昇のリスクに対応をしていきたいと考えております。
 このように、経済再生が財政健全化を促し、逆に、財政健全化の進展が経済再生の一段の進展に寄与するという好循環を目指し、経済再生と財政健全化の両立を図っていかなければならないと、このように考えております。
 政府としては、今後、諮問会議において財政健全化と経済再生との双方を実現するための道筋について検討を進めることとしておりまして、こうした検討を踏まえて、年央の骨太方針において、経済再生の道筋と併せ、各歳出分野の取組など財政健全化の基本的方向を示してまいります。
 こうした取組によって、財政健全化目標に向けてしっかりと取り組みながら、早期のデフレ脱却を実現し、必ずや日本経済を再生していく考えでございます。
○荒井広幸君 必ずやそうしてください。どうぞ、慎重な国政運営、おごらずに進めていただき、そして国民の声を聞いて寛容な政治を進めていただくことを期待して、締めくくり総括の終わりといたします。
○委員長(石井一君) 以上で荒井広幸君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 これにて質疑通告者の発言は全て終了いたしました。
 以上をもちまして、平成二十五年度総予算三案に対する質疑は終局したものと認めます。
    ─────────────
○委員長(石井一君) 平成二十五年度総予算三案の修正について小野次郎君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。小野次郎君。
○小野次郎君 私は、提案者を代表して、ただいま議題となりました日本維新の会及びみんなの党の共同提案に係る平成二十五年度一般会計予算、平成二十五年度特別会計予算及び平成二十五年度政府関係機関予算に対する修正案について、提案の趣旨及び概要を説明いたします。
 まず、提案の趣旨について申し述べます。
 政府提出の平成二十五年度予算は、本年一月の緊急経済対策に基づく大型補正予算と一体的ないわゆる十五か月予算として編成されており、安倍政権は、経済再生に向けた機動的な財政政策を体現したものとして位置付けておりますが、その実態を見れば、不要不急の公共事業までもが計上されていることは明らかであり、ばらまきとのそしりを免れません。
 また、公共事業費を全国的に大盤振る舞いすることで、大震災の影響がいまだに色濃く残る東北において、人材不足や資材価格の高騰に拍車を掛け、復興を更に停滞させることにもなります。まず復興という選挙公約はうそだったのでしょうか。
 国民の生命、財産を守る防災、減災のために必要な公共事業は実施すべきです。しかし、官僚主導の予算編成に逆戻りし、従来型の公共事業に偏重しているようでは、日本が成長国家に生まれ変わることは困難です。成長なくして財政再建も不可能です。私たちは、従来型の公共事業拡大路線とは異なる、民間の競争力強化に重点を置いた成長路線を目指すべきであると考えます。
 予算とは、国の進むべき方向性を財務面で表現したものです。私たちは、党是である維新八策やアジェンダの実現に向けて、この国のあるべき姿を予算としてお示しするため、ここに修正案を提示いたします。
 以下、修正の概要について申し述べます。
 まず第一に、統治機構改革です。
 地域主権型道州制への移行を前提とし、消費税を全額地方へ移管するとともに、地方共有税基金一・二兆円を創設し、地方交付税に代わる新たな水平的財政調整制度を試験的に行うこととしております。地方政府が自らの施策のための財源を持たないいわゆる三割自治から脱却し、これまでの官僚統制、中央集権国家から、民間主導、地域主権の国家への転換を目指します。
 第二に、行財政改革です。
 私たちは、小さな政府かつ強く賢い中央政府をつくり上げることを目標としております。徹底した行財政改革なくしてその実現は不可能です。修正案では、交付金、補助金、委託費等の移転的支出を一律二割削減し、大幅に増加した公共事業費の伸びを抑制するとともに、国家公務員の人件費も一割削減することとしております。
 第三に、世代間格差の是正、社会保障制度改革です。
 民自公の三党合意により成立した社会保障制度改革推進法では、年金、医療、介護においては、社会保険制度を基本とし、国及び地方公共団体の負担は、社会保険料に係る国民の負担の適正化に充てることを基本とすると書かれています。にもかかわらず、年金、医療、介護の三分野で巨額の一般財源が保険制度の外側から社会保障給付のためにつぎ込まれています。これらは基本的に、現役世代、若者世代から高齢者世代への所得移転であり、結果として負担と受益の世代間格差を生み出しています。
 修正案においては、公的年金制度の積立方式への移行により、払った保険料は返ってくる全世代に公平かつ納得感のある年金制度の構築を目指し、同時に、一般会計から年金特別会計への繰入れを三兆円減額することとしております。また、医療保険については、被用者保険の一元化に伴う歳出削減を行うほか、高齢者医療における自己負担を本則の二割に戻し、負担の公平を図ります。
 第四に、科学技術への投資と競争力の強化です。
 日本経済の復活を成し遂げるためには、経済成長の担い手である民間の事業意欲を喚起する成長戦略が何よりも重要です。世界をリードする新産業及びそれを支える未来の技術者等の人材を育成するためにも、ここまで減額されてきた科学・研究に関する予算等の三〇%増額を行うこととしております。
 また、民間の投資意欲を喚起するための償却期間を自由に設定できる自由償却制度の導入などにより法人税の減税を行います。
 最後に、防衛力の整備です。
 我が国の平和と安全を守ることは国の責務であります。今日の国際状況に鑑み、対ミサイル防衛力の強化のため、必要な武器購入費を増額しております。
 結果として、私たちの修正案では一般会計ベースで新規国債発行額の五兆円削減が可能となっており、消費税増税を償還財源とする年金特例公債の発行は不要となっております。
 以上が、修正案の提案の趣旨とその概要であります。
 何とぞ、議員各位の御理解を賜り、本修正案に御賛同いただきますようお願い申し上げ、私の趣旨説明といたします。
○委員長(石井一君) それでは、これより平成二十五年度総予算三案並びに小野次郎君外二名提出の修正案に対する討論に入ります。
 討論の通告がありますので、これを許します。なお、発言者は賛否を明らかにして、割当て時間の範囲内でお述べいただきたいと存じます。徳永エリさん。
○徳永エリ君 大変長時間にわたる委員会での審議、お疲れさまでございました。民主党・新緑風会の徳永エリでございます。
 私は、会派を代表いたしまして、平成二十五年度予算案に反対の立場から討論させていただきます。
 今、我が国は少子高齢化、そして人口減少問題、また自殺や貧困などの多くの深刻な社会問題を抱えております。また、東日本大震災の被災者、いまだ三十万人を超える方々が先の見えない避難生活を強いられておられます。福島第一原発の事故は収束しておりません。多くの方々が放射能による健康への影響や風評被害に不安を抱きながら暮らしておられます。
 そして、政府・与党は、多国籍企業の利益拡大のために国民の権利や暮らしが奪われてしまうTPP交渉への参加を表明しました。私の地元北海道では、いまだ具体的に示されない国益のために多くの道民が犠牲を払うことになりかねません。アベノミクス効果に浮かれている場合ではないんです。
 本院の一員として、参議院自民党の皆様に申し上げたいことがございます。
 参議院は再考の府、良識の府であります。本来、衆議院の審議において不足した点を補い、国益のために国民の立場に立った熟議を重んじなければなりません。最後はまとまる自民党かもしれませんが、今の参議院自民党は政府にただ追従するだけの役割しか担っていないのではないでしょうか。
 さらに、審議における安倍総理は、特に憲法問題や歴史認識に関する質問に関しては大変に熱心に、時には語気を荒げて御自分の言葉で語られますが、国民の関心の最も高い社会保障に関する質問への答弁には全く心がこもっていない官僚答弁であって、都合の悪いことには答えない、このような姿勢は極めて遺憾であります。
 さて、平成二十五年度本予算につきましては、これまで多くの委員が様々な問題点を指摘してまいりました。とても容認できる内容とはなっておりません。
 以下、私が反対する理由を申し上げます。
 第一に、政府・与党は、平成二十四年度補正予算とともに十五か月予算とすることで、経済再生と景気回復に役立てるとともに新規国債の発行額を減らして財政規律を守った点を殊更主張しておられましたが、実際には明らかに粉飾の予算でありました。
 財務大臣は、国債発行額四十二兆九千億円が税収見込み四十三兆一千億円を下回ったと何度もおっしゃっておられましたが、補正予算に計上した五兆円の建設国債発行額を足せば四十八兆円となり、税収分を上回っているのが実態であります。また、景気対策に機動的に対処するための予備費である経済危機対応・地域活性化予備費九千百億円を計上させず、支出額を切り詰めたり、借金の返済に充てる国債費の金利を二%から一・八%に切り下げて返済額を減らすという財務省マジックを駆使したのがそのあかしであります。
 第二に、弱者切捨ての予算であることです。その典型が、生活保護費の日常的な生活費部分に相当する生活扶助基準の見直しによる削減です。現行の水準と比べると七・三%の大幅削減、九年ぶりです。生活保護家庭だけではなく、就学援助や住民税非課税限度額が引き下げられれば、負担増や給付カットになる制度がたくさんあります。また、申請の厳格化も検討されているということですが、究極のセーフティーネットに綻びが出るということは、命にかかわる重大な問題であります。
 第三に指摘したいのは、地方公務員の給与を削減して、地方自治体の財源である地方交付税を四千億円もカットして、いわゆる一括交付金制度を廃止し、政官業の癒着や霞が関支配につながるようなひも付き補助金を復活させるなど、地域主権改革に逆行した予算となっています。全国の自治体から猛反対の声が上がって当然であります。
 北海道も、先日、国の要請に応じ、道職員の給与を今年七月から来年三月までの九か月間、平均七・八%削減する方針を固めざるを得ませんでした。北海道は平成十二年度から独自に平均五・六%の給与削減を行っており、既に限界と言っていい状態なんです。地域経済にも大きな負の影響が出るのではないかと大変に心配しています。
 地方切捨て、生活者切捨て、弱者切捨ての政治には決して戻すわけにはいかないんです。我々民主党は、切捨ての政治が反映された予算案には全く賛同できません。
 以上の理由から、私は本予算案に断固反対し、私の反対討論を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
○委員長(石井一君) 渡辺孝男君。
○渡辺孝男君 私は、公明党及び自由民主党・無所属の会を代表して、平成二十五年度予算三案に対し賛成の立場から、また、みんなの党及び日本維新の会共同提案の修正案には反対の立場から討論を行います。
 賛成の第一の理由は、日本経済再生のための取組に予算が重点配分されている点です。日本経済再生のためにも、被災地の復興は最優先に行われなければなりません。二十五年度予算案においては、被災地復興を加速させる交付金が盛り込まれるなど、より潤沢な財源を確保し、被災地の再建を加速する内容となっております。また、将来を見据えた成長による富の創出も重視されています。すなわち、iPS細胞などを利用した医療イノベーションの推進、中小企業への支援、省エネルギー、再生エネルギーの研究開発などの予算が大幅に増額されております。そして、暮らしの安心にも配慮した予算となっております。喫緊の課題である防災・減災対策の強化、保育所定員や保育ママの増加による待機児童解消など、国民の命と暮らしを守り、雇用の創出を図る取組が盛り込まれております。
 第二の理由は、歳出の各分野において大胆な見直しと適正化に取り組んでいる点であります。国家公務員給与等の引下げや定数削減を実施するとともに、今後増大が見込まれる社会保障関係費については、生活保護の適正化を図ると同時に、生活困窮者に対する自立支援や生活保護世帯の子供に対する学習支援の予算が増額されました。また、地方財政についても地方の行政改革の努力を考慮し、節約分に見合った予算を地域の経済活性化事業などに配分することとしております。
 第三の理由は、持続可能な財政構造を目指した予算となっている点であります。我が国の債務残高はGDPの二倍に達しており、財政健全化の取組が急を要することは言うまでもありません。本予算では、一般会計の歳出において四年ぶりに税収が公債発行額を上回りました。歳出歳入を一体的に改善することで日本経済の再生と財政健全化を同時に進めていく第一歩となったと評価するものであります。
 以上、本予算に賛成する主な理由を申し上げました。
 今こそ、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略から成る三本の矢により、デフレを脱却して日本経済を再生し、雇用や所得の増加を伴う景気回復を図るときです。そのためにも、本予算成立後の迅速かつ適切な予算執行を政府に対して強く要請して、賛成の討論といたします。
 なお、みんなの党及び日本維新の会共同提案の修正案に対しては、国民の暮らしと安全を守るための真に必要な公共事業までも過度に削減するなど見解が異なるため、反対の意を表明して、私の討論を終わります。(拍手)
○委員長(石井一君) 中西健治君。
○中西健治君 中西健治です。
 私は、みんなの党を代表し、政府提出の平成二十五年度予算三案には反対、日本維新の会及びみんなの党共同提案の修正案には賛成の立場から討論を行います。
 安倍政権の一本目の矢である金融政策については、総理自らが衆議院の予算委員会で、最終的には渡辺喜美説が正しいと考え金融政策を変換したと答弁されたとおり、これまでみんなの党が主張してきたことと同様の政策を実行されており、デフレ脱却に向けて、株価上昇、円高是正等、その効果が出てきていることは大変高く評価するものであります。
 しかしながら、大胆な金融緩和によるデフレからの脱却を進めようとアクセルを踏んでいる真っ最中に消費税を増税するという大ブレーキを踏もうとしていることには理解に苦しむところです。幾ら秋に経済状況を総合的に勘案して最終判断すると口で言ってみても、消費税増税を担保にした年金特例公債を財源として見込む予算となっていては、最初に増税ありきであることは明らかであり、景気回復に大きく水を差すものであります。
 また、安倍政権の二本目の矢である機動的な財政出動、三本目の矢である成長戦略についても、本予算案を見る限り、まるで期待ができない内容となっています。
 財政政策は、政権交代前はばらまきと批判していた施策を見直すことなく、復興予算の流用も止められないまま、精査も十分に行われていない公共事業を全国にばらまく結果、東日本大震災の被災地の復興のための公共事業にしわ寄せが行き、復興を遅くしてしまうという本末転倒な結果になっています。
 成長戦略についても、脱原発のための一歩を進めることなく、漫然と従来どおりの予算を原子力関連予算として計上し、農業、医療、電力への新規参入の完全自由化といった抜本的な規制改革について何ら具体的な予算の裏付けもされていない内容となっています。
 みんなの党と日本維新の会が共同で提案した修正案は、統治機構改革、行政改革、脱原発、社会保障制度における世代間格差是正、民間活力を引き出す自由償却制度や成長産業を創造するための基礎研究の強化等、従来のやり方にとらわれない抜本的な改革を反映したものであり、まさに安倍政権が取り組むべき正しい第二、第三の矢の在り方を示すと同時に、結果として一般会計ベースで五兆円新規国債発行額を削減する財政健全化にも留意した内容となっています。
 是非、皆様方にも御賛同賜りますようお願い申し上げて、私の討論とさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
○委員長(石井一君) 荒井広幸君。
○荒井広幸君 私どもは、是々非々でやってまいりました。デフレ脱却と経済再生に向けた予算が今までにない次元、意気込みをベースにして構成されている点を評価し、今この景気上昇ムードに水を差すと再びチャンスが来るかどうか分かりません。このため、新党改革は、平成二十五年度予算三案に対し賛成をいたします。修正案には、御努力に敬意を表しつつも反対をいたします。
 安倍内閣が打ち出した大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略、すなわち景気を良くしようというアベノミクスは国民に好感され、期待されています。現在、実体に見合った円高の是正や株価の回復といった成果がまず現れています。今後は、実効性ある成長戦略の実施に努め、副作用等への対策を講ずることを求めます。
 さらに、雇用や所得などの実体に波及させ、民需主導の経済成長に結び付ける工夫が必要です。そして、何より家庭を取り巻く経済環境が良くなる、それこそ異次元の取組も求めます。これらの一助となる我が党の政策提言を是非取り込んでもらうよう求めます。
 国民の皆様にも申し上げたいと思います。
 国民各位には、所得、雇用といった効果が現れるには、事が事だけに、しばらく時間が掛かることを御理解いただきたく思います。
 次に、被災地の本格的復興に向かうための必要経費が盛り込まれています。
 東日本大震災から二年がたちました。前政権下では解決し得なかった様々な問題も、少しずつではありますが解決に近づいています。岩手、宮城では復興のための早期の大胆な支援が望まれます。福島においては、除染などまだまだ復旧の段階にとどまっている問題も多くあります。被災者や被害者の側に立ったきめ細やかな物財、インフラ支援とともに、特に心のケア、心の復興施策の充実、実施を求めます。
 原発事故災害については、安全対策をしてこなかったことによって起きた国の責任を認め、被害者に寄り添っていただくよう願います。
 本予算においては、インフラの老朽化対策や事前防災対策など、国民の命と暮らしを守る公共事業予算や国民の安心のための防衛予算を充実させるなど、多様な国民のニーズにこたえる姿勢に賛意を表します。予算の重点化と無駄の排除に努め、従来型の予算配分を見直そうとした試みも見て取れますが、まだまだ不十分でありますので、財政再建については、安倍流の、やるぞという強い信念による創意工夫を加えた実行を強く要請します。
 以上、注文を付けつつ、賛成討論といたします。(拍手)
○委員長(石井一君) 平山幸司君。
○平山幸司君 青森県選出の平山幸司です。
 私は、生活の党を代表して、平成二十五年度予算三案に対し、反対の立場から討論を行います。
 足下の円高修正や株価の上昇について、安倍政権は、金融緩和と大型の補正予算、いわゆるアベノミクスの成果と盛んに誇示していますが、期待先行で実体経済の回復を伴っておりません。国民生活の現実は、むしろ急速に進む円安によりガソリンや食料品の価格が上昇傾向にあり、厳しさを増しているのが現状であります。
 本予算は、消費税率引上げを見込む一方、高校無償化の見直しを検討する経費を計上するなど、国民生活から目を背けた予算となっており、決して認めることはできません。
 反対の第一の理由は、消費税率引上げを前提とした年金特例公債を計上している点であります。そもそも消費税増税は年金など社会保障制度の抜本改革が前提のはずですが、自公民三党協議は暗礁に乗り上げており、改革推進法で定めた本年八月二十一日までに法制上の措置を講ずることはもはや絶望的であります。社会保障制度の抜本改革もないまま消費税増税に突き進むことは、国民に対する背信行為であり、改めて強く反対いたします。
 反対の第二の理由は、地域自主戦略交付金を廃止している点であります。いわゆる一括交付金は、改善の余地はあるものの、地方の裁量で比較的自由に使えることから評価する声が多く聞かれました。国が使途を限定するいわゆるひも付き補助金の復活は地方分権の動きに逆行するものであり、到底容認できません。
 反対の第三の理由は、公共事業に偏重した予算となっている点であります。二十四年度補正予算と合わせた十五か月予算で七兆七千億円に達した公共事業関係費は、国土強靱化の名の下行われる全国へのばらまきであり、かえって復興事業への妨げとなっていることが委員会で指摘されました。むしろ、待ったなしの子育て支援や教育など、人への投資を拡充することが最優先であることは論をまちません。
 物価は上がる、給料はいつ上がるか分からない、年金は減額される、社会保障の抜本改革は行われない。国民の窮状から目を背け、ひたすら消費増税やTPP参加、原発再稼働に向け邁進する総理に改めて猛省と一刻も早い政策転換を強く促し、私の反対討論を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
○委員長(石井一君) 田村智子さん。
○田村智子君 日本共産党を代表して、二〇一三年度予算三案に反対の討論を行います。
 理由の第一は、消費税増税を前提とした予算だからです。安倍内閣は消費税一〇%への大増税を進めようとしていますが、これは国内消費を冷え込ませ、経済の停滞、税収減を引き起こし、我が国の財政危機を一層深刻にすると言わざるを得ません。ところが、本案では、基礎年金国庫負担二分の一の財源に年金特例公債を充て、その償還財源を消費税増税で賄うこととしています。このようなやり方は許されません。
 第二に、国民生活を支える予算にも、日本経済を立て直す予算にもなっていないということです。大企業の利益最優先の成長戦略、経済政策は既に破綻しています。今必要なことは、大企業の内部留保を国民所得と中小零細企業に還元すること、人間らしい労働のルールを確立して雇用の安定を図り、内需主導の経済政策に転換することです。また、TPP参加は、農業を始め国内産業に大きな打撃を与え、地方経済と雇用を破壊し、社会保障制度の土台を危うくするものであり、認めることはできません。
 第三に、社会保障経費は、自民党の削減ありきの公約により、生活保護費六百七十億円を始め、年金保険給付費一千五百億円、児童扶養手当七億円など、とりわけ低所得世帯を直撃する削減が強行されようとしています。社会保障財源を口実に消費税増税を押し付けながら社会保障の根幹部分まで削減するなど、断じて容認できません。
 第四に、沖縄辺野古への新基地建設のための予算が計上されていることです。普天間基地は即時無条件返還すべきです。また、思いやり予算など米軍経費負担、F35、ミサイル防衛等の軍事費の増加は、周辺諸国との軍事的緊張を高め、東アジアの平和的環境づくりに逆行するものです。
 第五に、東日本大震災で被災した方々の生活再建予算は余りに不十分です。福島第一原発事故の被害から国民の暮らしと健康を守るためにも、事故収束宣言は撤回し、事故収束、除染、賠償など、東電と政府の責任ある対応が急務です。また、原発再稼働方針を撤回し、原発からの即時撤退、再生可能エネルギー政策への転換を強く求めるものです。
 なお、みんなの党、維新の会共同提出の修正案は、軍事費増額、大企業優遇税制の温存、またTPP推進の立場であることなどから反対だと申し上げ、討論を終わります。(拍手)
○委員長(石井一君) 谷岡郁子さん。
○谷岡郁子君 みどりの風を代表して、政府からの提案がありました平成二十五年度一般会計予算、同特別会計予算並びに同政府関係機関予算に対し、反対の立場から討論申し上げます。
 政府提出予算は、その本質的な在り方として大企業、団体優遇予算であり、国民生活を応援するための必要性を軽視するものであります。政府は、インフレターゲットを設定し、アベノミクスを通じて大企業を中心とする輸出型産業を応援する一方で、円高で苦しむ内需型の中小企業や農林水産業者、そして消費者たる国民に対しては冷淡な姿勢を取り続けています。
 また、全国各地で復興予算が土木事業等に流用されて、予算としてそれが正当化される一方、被災者の生活の復興、人生の再建は遅れています。とりわけ、国会事故調査委員会が明確に人災と東電福島第一発電所事故を位置付け、これを防ぐために政府がやるべきことをやらなかったことに対する不作為を指摘しているにもかかわらず、被災者の生活や健康を守るための、また自由な主体、主権者としての人生を再開させるための予算が微々たるものであることは犯罪的でさえあります。支援するべき地域を不当に限定し、支援すべき人々を不当に限定し、勘案すべきリスクを不当に限定して予算を付けることを拒んでいるのは到底許せるものではありません。
 最後に、このような現状を明らかにするため、みどりの風ほか、国会事故調元委員をこの予算委に参考人として招致しようとしたことに対し、自民党がかたくなに拒み続けたことは国会史上の汚点であり、国会自身が原子力村の強い影響力を受けている現実を明らかにしたと思います。国会自身の速やかな自浄作用を呼びかけるものであります。
 以上です。(拍手)
○委員長(石井一君) 福島みずほさん。
○福島みずほ君 私は、社会民主党・護憲連合を代表し、二〇一三年度予算三案及び修正案に対し、いずれも反対の立場から討論を行います。
 第一の理由は、将来の消費税増税を担保とする年金特例公債の発行など、消費税増税に道筋を付けていることです。アベノミクスによって景気好転を実感できないという人々の声は八一・九%に上がっています。賃金がなかなか上がらず生活必需品が値上がりする中で、消費税まで上がることは、労働者、消費者に三重の苦労を押し付けることです。消費税増税は今すぐ撤回をすべきです。
 第二の理由は、人からコンクリートとでもいうべき大型公共事業ラッシュとなっていることです。全国で過大な公共事業が進められることによって、被災地の復興事業を遅らせることが懸念されます。政官業癒着型、利益誘導型の大型公共事業では、人々の暮らしは立て直せません。また、被災地の復興支援、被災者の支援に当たっては、阪神大震災以来しっかりと力を発揮してきたNGO、NPO活用型、自治体との協働型を推し進めるべきです。
 第三の理由は、セーフティーネットの最後のとりでである生活保護費に大なたを振るっていることです。また、心のノートの配付、高校授業料無償化予算の削減、奨学金事業の減額など、問題が山積をしています。雇用の規制緩和によって、働く人々の暮らしが不安定化してしまいました。生活保護引下げは、社会的弱者にとどめを刺す非道な政策と言わざるを得ません。
 第四の理由は、地方公務員給与の強制削減のための地方交付税の削減や、地域自主戦略交付金の廃止、省庁縦割り補助金の復活など、分権自治の推進に反することです。公務員も民間社員も、労働基準がしっかりと守られ、それぞれの暮らす地域で人間らしく安心して働き続けられる社会をつくり直さなければなりません。
 反対の第五の理由は、防衛関係費が十一年ぶりに絶対額が増額となり、自衛官も八年ぶりの増員となっていることです。自衛隊にオスプレイを導入させるための調査費、辺野古の環境現況調査経費、高江のヘリパッド建設関連予算、キャンプ・シュワブ内の陸上工事に対する経費も計上されています。
 重大事故が相次ぐオスプレイは、その安全性が確立されておらず、全国各地で反対運動が起こっています。飛行訓練についても、日本政府に対する事前通告が一切義務付けられておりません。オスプレイ配備は到底国民的理解を得られるものではありません。
 第六の理由は、「もんじゅ」関連予算や原発輸出関連予算を計上し、脱原発を求める国民の声に逆行をしていることです。史上最悪の原発事故を起こし、その収束もできず、汚染水の処理さえできない日本の原子力産業界が外国に原発を輸出することなど考えられません。
 第七の理由は、子ども・被災者支援法関連予算がほとんど計上されていないことです。福島県内だけでなく、東日本各地のホットスポットで子供たちの健康に対する不安が置き去りにされたまま、国は不安払拭のための有効な施策を行っておりません。子ども・被災者支援法の実現をし、子供を守り抜くべきです。
 以上のように、政府提出予算案は、公共事業費などに手厚い一方、福祉や地方を切り捨てるものであり、到底認めることはできません。
 また、みんなの党及び維新の会から修正案が出されておりますが、年金の積立方式への移行や消費税の地方税化、後期高齢者医療制度の負担増などの問題があり、残念ながら賛成できません。
 円安による燃料費高騰や生活品等の物価上昇、長期金利の上昇など、アベノミクスの弊害も現れ始めています。政府が閣議決定した世界で一番企業が活動しやすい国ではなく、世界で一番国民が安心して暮らせる国を目指すべきだと申し上げ、反対討論を終わります。(拍手)
○委員長(石井一君) それでは、討論の最後に、水戸将史君。
○水戸将史君 日本維新の会の水戸将史です。
 私は、日本維新の会を代表して、政府に対し、平成二十五年度一般会計予算、特別会計予算、政府関係機関予算の三案を撤回することを求めるとともに、日本維新の会及びみんなの党が共同で提案した維新八策・アジェンダ実現予算を採用することを要求します。
 この修正案は、地方にできることは地方に任せる仕組みを構築し、政府が外交、安全保障などに専念できるようにするために、思い切った地方分権を推進する案となっています。
 以下の理由から、この修正案を支持いたします。
 第一に、統治機構改革です。日本維新の会は、道州制移行を前提とし、消費税を全額地方へ移管するとともに、地方交付税に代わる新たな財政調整制度を行うこととしております。これまでの官僚主導、中央集権型国家から民間主導、地域分権型国家への転換を目指すべきであります。
 第二に、行財政改革です。修正案におきましては、大幅に増加した公共事業費の伸びを抑制し、不要不急の交付金、補助金、委託費等の移転的支出を二割又は一割削減、国家公務員の人件費につきましても一割削減としております。
 第三に、世代間の格差是正、社会保障制度改革です。働き盛り世代の負担が過大である一方、これが高齢者世代へと所得移転されている構図を一日も早く改めなければなりません。日本維新の会は、世代別勘定を設置した新たな公的医療保険制度とともに、将来世代を考えた新たな公的年金制度を導入するように求めております。
 第四に、科学技術立国、競争力強化です。日本維新の会は、一兆円規模の法人税減税を実施するとともに、世界をリードする科学技術開発のための予算を三割増加させる修正案を提案いたします。
 最後に、防衛力の整備です。日本維新の会は、バランス・オブ・パワー戦略に基づき、近隣諸国の軍事拡大に対応するため、情報収集体制の強化を中心に一千億円の増額を提案しております。
 以上の理由を踏まえ、我が国の転換点にふさわしい予算案は、日本維新の会、みんなの党の共同提案による修正案、維新八策・アジェンダ実現予算であることを確信し、この修正案を採用するよう強く政府に求めます。
 以上であります。ありがとうございました。
○委員長(石井一君) 以上で討論通告者の発言は全て終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 まず、小野次郎君外二名提出の平成二十五年度総予算三案に対する修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
○委員長(石井一君) 少数と認めます。よって、小野次郎君外二名提出の平成二十五年度総予算三案に対する修正案は否決されました。
 次に、平成二十五年度一般会計予算、平成二十五年度特別会計予算、平成二十五年度政府関係機関予算、以上三案全部の採決を行います。
 三案に賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
○委員長(石井一君) 少数と認めます。よって、平成二十五年度総予算三案は賛成少数により否決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石井一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時八分散会