第183回国会 厚生労働委員会 第9号
平成二十五年五月二十八日(火曜日)
   午前十時三分開会
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   委員の異動
 五月二十四日
    辞任         補欠選任
     藤川 政人君     林  芳正君
 五月二十七日
    辞任         補欠選任
     武見 敬三君     長谷川 岳君
     林  芳正君     石井みどり君
 五月二十八日
    辞任         補欠選任
     大久保潔重君     小見山幸治君
     牧山ひろえ君     山根 隆治君
     石井みどり君     熊谷  大君
     長谷川 岳君     石井 浩郎君
     行田 邦子君     寺田 典城君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         武内 則男君
    理 事
                足立 信也君
                津田弥太郎君
                赤石 清美君
                高階恵美子君
                渡辺 孝男君
    委 員
                石橋 通宏君
                小西 洋之君
                小林 正夫君
                小見山幸治君
                櫻井  充君
                山根 隆治君
                石井 浩郎君
                大家 敏志君
                熊谷  大君
                長谷川 岳君
                藤井 基之君
                丸川 珠代君
               三原じゅん子君
                浜田 昌良君
                川田 龍平君
                行田 邦子君
                寺田 典城君
                田村 智子君
                福島みずほ君
   国務大臣
       厚生労働大臣   田村 憲久君
   副大臣
       総務副大臣    坂本 哲志君
       厚生労働副大臣  桝屋 敬悟君
   大臣政務官
       厚生労働大臣政
       務官    とかしき なおみ君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        松田 茂敬君
   政府参考人
       内閣府規制改革
       推進室長     滝本 純生君
       外務大臣官房参
       事官       山崎 和之君
       文部科学大臣官
       房審議官     山野 智寛君
       厚生労働大臣官
       房総括審議官   生田 正之君
       厚生労働大臣官
       房総括審議官   妹尾 吉洋君
       厚生労働省医政
       局長       原  徳壽君
       厚生労働省健康
       局長       矢島 鉄也君
       厚生労働省労働
       基準局安全衛生
       部長       宮野 甚一君
       厚生労働省職業
       安定局長     岡崎 淳一君
       厚生労働省職業
       安定局高齢・障
       害者雇用対策部
       長        小川  誠君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局長       石井 淳子君
       厚生労働省社会
       ・援護局障害保
       健福祉部長    岡田 太造君
       厚生労働省保険
       局長       木倉 敬之君
       国土交通大臣官
       房審議官     坂   明君
       国土交通省鉄道
       局次長      田端  浩君
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  本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠選任の件
○政府参考人の出席要求に関する件
○障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改
 正する法律案(内閣提出)
○精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一
 部を改正する法律案(内閣提出)
○参考人の出席要求に関する件
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○委員長(武内則男君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、藤川政人君及び武見敬三君が委員を辞任され、その補欠として石井みどり君及び長谷川岳君が選任されました。
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○委員長(武内則男君) 理事の辞任についてお諮りいたします。
 中村博彦君から、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(武内則男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(武内則男君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に高階恵美子君を指名いたします。
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○委員長(武内則男君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長小川誠君外十四名の政府参考人の出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(武内則男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(武内則男君) 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 両案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○足立信也君 皆さん、おはようございます。民主党の足立信也でございます。
 今日の我が党の割り振りは、二法案ございますので、私の方から精神障害福祉法、そして後の石橋委員の方から障害者雇用促進に主たる部分を置いた後に精神障害福祉法という形で質問していきたいと、そのように思っております。
 ではありますけれども、やっぱり前回の余韻がまだ残っておりますので、ちょっとそこだけ確認したいと思います。
 生田さんは即座に抗議したいというふうに最後におっしゃいました。大臣はヒューマントラスト社の方に抗議をしなければならないと発言されました。丸川さんからは抗議を申し上げたいなとの発言がありました。先日の流れでは、ヒューマントラスト社に丸川さんがだまされて、それに厚労省が巻き込まれたという印象になっております。
 そのことで、即座に抗議したいということも含めて大臣から抗議したいとありましたので、じゃどのような抗議をされたのか、あるいはこれからするのか、その点についてお聞きしたいと思います。
○国務大臣(田村憲久君) おはようございます。
 今、足立委員の方からヒューマントラスト社に対する抗議のお話をいただきましたが、実は昨日、ヒューマントラスト社、厚生労働省にお呼びをいたしまして、事務方からまず事情説明をお聞きをいたしました。我々もちょっとびっくりしたことに、実は先般の委員会に出されました日経側からのあの文書とは若干違っていることをおっしゃられまして、特に企画の発案がどちらだったかというのに関して、この間のあの文書では、これはヒューマントラスト社の方から持ち込んだものだというようなお話でございましたが、どうもそうではないというようなお話でございました。
 そういうことでございますから、主張が食い違っておりますので、今度また、大変僣越なんですけれども、日経新聞社の方に事実確認をさせていただいた上で、その後事実を整理して抗議をするというような対応、これはそういう状況ならばさせていただきたいというふうに思っております。
○足立信也君 前回の委員会でも、私、最後にそういう指摘をしましたが、私は、それだけに頼っていくと大きな過ちを犯す可能性があると思ってそう言ったんですね。
 それは、前回、その前までは、これは政務官としてではなく丸川議員個人の話だということになっていて、しかしながら行政文書として企画書骨子案が出てきたわけですね。これは、その前まではもう日経クロスメディアの企画でという形でずっと通されていたのが、たった一枚のファクスでこれががらっと変わった表現に皆さんなられたわけですね。私は、そのたった一枚のファクスを根拠にやるのはやはり良くないと思っておりまして、多分違う言い分があるだろうと。それから、今までおっしゃっていたこととがらっと変えるというのは、本当にそれが正しいのかどうかというちょっと疑問を持っています。
 この件につきまして、今大臣がそういう経緯をおっしゃいましたが、この委員会としてもこれはしっかりその両者の言い分をやっぱり聞かないとはっきりしたことは言えないんですね。この何らかの手段は講じなきゃいけないと私は思っておりますし、それは委員の方皆さんの総意だろうと思うんです。それがないと、たった一枚のことでころっと変えられると、この委員会そのものの意義も極めて薄くなりますし、厚労省のこの重みというものはかなり薄まった気が私はするんですよ。ですから、これはしっかり両者の言い分を、丸川さんも含めて三者の言い分をしっかり検証する必要があると私は思っています。そのためには、厚労省としても何らかの検証チームを立ち上げるぐらいのことがあるかもしれません。その点も含めてお願いしたいと思います。
 余り長くこの件で引っ張りたくはないんですが、一点だけです、最後に。
 今回の件は、今までの段階だと、一社の人材派遣会社の宣伝に政務官が出て、派遣労働者の方々を辱めて、厚生労働省が日雇派遣を推進しているという誤解を全国民に与えてしまったという一件です。
 大臣は、参議院厚生労働委員会に対して迷惑を掛けたことに責任を感じていると最後に発言されました。その後、処置をするということだったと思うんですが、私は、やっぱり国民に対して疑惑を与えた責任というものがまだはっきりされていないような気がするんですね。その点も考慮いただいて、詳細に調べられた後にふさわしい抗議なり説明なりをしてもらいたいと、そのように思っております。
 今日はもう法案の方に早速移るようにしたいんですが、ちょっと私、気になっていることだけ最初にお聞きしたいと思うんです。それは、今、八月二十一日までの設置期限である社会保障国民会議でもあるいは経済財政諮問会議でも、国民健康保険の運営、これを、市町村ではもうもたない、市町村でやると格差が非常に大きい、五、六倍になってしまう、これは都道府県に移すよう提案をされていると。こんな中で、自民党の道州制基本法案、これには都道府県の廃止と書かれてあるんですね。
 今、参議院選挙を前にして道州制の議論というアンケートもいろいろなところから来ます。これ、道州制のとらえ方というのは議員個人個人で相当違うんですが、少なくとも自由民主党は都道府県を廃止って書いてある。これと、大臣として、この社会保障分野、特にこれは国民健康保険でございますけれども、これを都道府県に移すべきだという意見とどう整合性が付くのか、大臣自身はどのように考えているのか、それをちょっとお聞きしたいと思います。
○国務大臣(田村憲久君) 国民健康保険制度でありますけれども、保険者自体が、今おっしゃられたとおり、非常に規模の小さいものもございまして、保険料の格差がある等々、財政基盤の不安定さというのが指摘されていたわけでありまして、各般の今までも県単位での財政調整といいますか、進めてまいったわけでありまして、高額部分の共同化事業でありますとか財政基盤安定化の共同化事業でありますとか、今回、三十万円以上というやつも元から全部財政基盤の安定化のために共同化事業をやったらどうだというような、そういう制度改正も進めてきたわけでありまして、全体としては、今までもそれをやってきたわけでありますが、今委員がおっしゃられましたとおり、昨今、各、いろんな議論の中で、保険者を県にしたらどうだという御議論もありますし、県までする必要はないけれども更に財政調整をしたらどうだというような御意見もあるわけでありまして、私個人が大臣として、県単位に財政統合を全くするんだというような、保険者を県にするんだということまではまだ私は申し上げているわけではないんで、その点は御理解をいただきたいと思いますが、どういう御議論になるか、これは都道府県知事ともこれからしっかりと議論をしながら、これからのこの財政というもの、県単位でどのような形で財政調整していくかというものを考えていかなきゃなりません。
 一方で、おっしゃられるとおり、今自民党の中で道州制の議論があるわけでありまして、これでは県を廃止するというふうに言っております。もちろん、その中にある機能をどうするかというのはこれから考えていくということでございますから、全てが全て、県がなくなって、それに、県に付随する機能というものをどのような形にするのかまでは決めているわけではないわけでございますので、ここと整合性を合わせながら、一方で財政調整をどうするんだという議論と並行しながらこれからいろんな検討をさせていただきたいというふうに思っております。
○足立信也君 ありがとうございます。
 少なくとも、都道府県を廃止する自民党の道州制基本法案にはいかがなものかという感覚があるというような答弁と受け止めました。
 それでは、精神保健福祉法について質問をいたします。
 ちょっと長い時間の議論になるかと思いますので、まず私の方から沿革、どういう流れで、今どういう考え方で国としては進んでいっているのかなということを、ちょっと時間掛かりますけれども、復習の意味で申し上げたいと思います。
 調査室の方々が作ってくださったこの参考資料を基に沿革について説明いたします。
 御案内のように、戦前は、精神障害者にとっては暗黒時代です。これを、精神障害を持った方を隠す、閉じ込める、隔離すると、こういう方向性だったわけですね。
 昭和二十五年、精神衛生法が制定されて、明治時代の精神病者監護法及び大正時代の精神病院法は廃止されて、そのときに措置入院制度が創設された、それから保護義務者の同意入院制度も創設された、昭和二十五年です。しかし、この法律は公衆衛生の観点であったために、やはり精神障害者に対しては隔離、収容に偏っていたということです。昭和四十年、この精神衛生法の改正で入院から地域でのケアへと。しかし、この言葉はいいんですが、施設が足りないという関係もあって、そこから社会的入院というのが増加してきた。そして、昭和六十二年、精神衛生法から精神保健法へ、このときに任意入院制度が創設された、そして先ほど申し上げました同意入院を医療保護入院と改名した、そして指定医の判定を入院の要件としました。これがポイントなんです。
 それから、平成になって、平成五年、障害者基本法が成立して、精神障害者が対象となりました。これを受けて、平成七年に精神保健法から精神保健福祉法へ福祉施策の強化という形で変わっていったという流れです。平成十七年、障害者自立支援法が成立して、身体、知的、精神の三障害を一元化した。平成二十三年、障害者基本法の改正で発達障害が精神障害の中に含まれた、私は余り賛成できない部分があるんですが、その中に含まれた。去年、平成二十四年、五疾病五事業に位置付けられた、つまり政策医療にこの精神科疾患というものが位置付けられたと、こういう流れです。
 これを簡単にまとめますと、精神障害を他の障害と同様に扱おうじゃないか、やろうじゃないか、そして精神科疾患をほかの疾患と同じようにやろうじゃないか、しかも、医療の部分よりも福祉に重点を置いたようにそれを変えていこうじゃないか。そして、精神科疾患は五疾病五事業になったわけですから、国民病になったという認識です。こういうのが今までの、明治、大正から始まって、流れだというふうに思います。そこで、この流れに沿って、今、日本が世界と比較してどういう特徴があるのか、そしてその特徴は、いい部分あるいは悪い部分、これをいかに直していくかという検討がずっと続けられているという認識です、現状はですね。
 そこで、まず最初に、ほかの国と比較して日本の精神科病院への入院というものはどういう特徴があるのか、これをちょっと聞いていきたいと思います。
 まず、ほかの国と比較して年齢の差はどうなんでしょうか。
○政府参考人(岡田太造君) 平成二十二年度に行われました厚生労働科学研究の調査によりますと、精神科病院に入院します患者さんの平均年齢は六十・〇歳でございます。国際比較ということですが、精神科病院に入院しています患者の平均入院の国際比較というのはちょっと把握できる資料はございません。しかし、平均の在院日数で見ますと、OECDの各国の平均在院日数が約百日以内となっていることと比べて、日本は約三百日と長くなっているという現状にございます。
○足立信也君 各国との年齢の比較はできないということですが、在院日数が長いと。恐らく年齢は高いだろうという、皆さんも想定の下だと思います。
 では次に、精神科疾患単独ではない、身体合併症というふうに言いますが、私も以前外科医でしたので、精神科疾患を併存している悪性腫瘍の患者さんはほとんど私が手術をしておりました。この身体合併症、これは逆もあると思うんですね、精神科疾患を持った方が身体合併症になる場合と、例えば悪性腫瘍で見付かった方が精神科疾患を持っていた、どちらもあると思うんですが、この割合、他国と比較をしてどうなんでしょうか。
○政府参考人(岡田太造君) 平成十九年度に行われました厚生労働科学研究の調査によりますと、精神科病院に入院する患者のうち、約半数の方が特別な管理や日常的な管理が必要な身体合併症を有しているという調査結果でございました。
 この精神科病院、身体合併症の状況についての国際比較も、これもちょっと関係する資料がございませんが、関連するという意味でちょっと見付けてみますと、総合病院の精神病床への入院患者数の国際比較というのが取れますのでそれで見てみますと、先進国の平均で人口一万単位で百七十五・四であるところ日本では九十九・九二と、割合が低くなっているという現状でございます。
○足立信也君 日本は約半数だけれども、今の総合病院の入院の数からいくと外国の方としてはそれほど多くはない、一割弱ということですかね。うなずいてくれないんですけれども、そういう感じかなと。日本はかなり割合が高いという特徴がある。
 じゃ、三点目ですね。精神科病院への入院患者さんの中で認知症の占める割合というのが日本とほかの先進国と比較してどうなんでしょうか。
○政府参考人(岡田太造君) 精神病床に入院しています患者数につきましては、平成二十三年度の患者調査で約三十万人でございます。そのうち約一八%の約五万三千人が認知症であるという結果でございます。
 外国との比較につきましては、各国ごとの医療システムや福祉システムの制度が大きく異なっておりますので、精神科病院に入院している患者のうち認知症の割合について比較することは難しいと考えているところでございます。
○足立信也君 難しいということですが、日本は一八%だと。実際もう少し高いような気がしますし、トレンドから見ると恐らく増えているということだろうと思います。
 次は、じゃ、先ほどの歴史、沿革の中で私申し上げましたが、任意で、自分から、自ら入院される任意入院と、日本は措置入院と医療保護入院とありますけれども、強制入院の割合ですね、任意と強制、これは日本と他の先進国と比較してどうなんでしょうか。
○政府参考人(岡田太造君) 任意で入院されないという意味では日本では措置入院と医療保護入院というのがございますが、精神科病床に入院しています患者さん、平成二十二年で約三十一万人でございますが、そのうち約四二%の約十三万人が措置入院、医療保護入院などの非自発的な入院でございます。
 他国との関係につきましても、これも単純に比較はできませんが、日本を含めた十六か国の調査をしました平成二十三年の厚生労働科学研究によりますと、日本の非任意入院、措置入院及び医療保護入院でございますが、これは四一・七%と最も高く、次いでスウェーデンの三〇%に続き、最も低いのはポルトガルで三・二%となっているというような報告を受けているところでございます。
○足立信也君 私もその比較の表を持っておりますが、任意入院よりも強制入院の割合が大体平均すると倍、高いところの倍ぐらいはあるということだと思いますね。
 以上をまとめますと、平均年齢は高い、身体合併症の割合もかなり高い、認知症の割合は、他国との比較は難しいけれども、二割ぐらいがあって、これも恐らく高いんであろう、そして強制入院の割合が多いという特徴が日本にはあるということは皆さん共通に認識していただけるんだと思います。
 以上の問題を改善しようとしていろいろ取組がこれまでやられてきた。平成二十一年九月に「精神保健医療福祉の更なる改革に向けて」という報告書が出されました。これ二十一年九月ですから、まさに政権交代の、私としては、そのしょっぱなにこの報告書があるということでございます。そして、二十二年、翌年の五月に新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チームというのを設置しました。私が初代の担当でございます。そこから、一ラウンド目は地域精神保健医療体制について、二ラウンド目は認知症と精神科医療について、三ラウンド目が保護者制度と入院制度についてという形で丸々二年以上掛けて検討してこられました。その集大成と申しますか、それが去年の六月に、入院制度に関する議論の整理という形で出てきたわけですね。特にこれは三ラウンド目の保護者制度と入院制度ということに重点が置かれておりますけど、もちろん、一ラウンド目と二ラウンド目の意見も反映された形でなっていると、こういう経緯になっているわけですね。つまり、政権が替わってしょっぱなからこの議論の整理があり、それについて、一ラウンド、二ラウンド、三ラウンドと検討してきたと。
 その議論の整理のポイントを私なりに四点だけ抜き出して申し上げます。それが果たされているかどうか、どう検討されて法案に反映されているかというのが今のまさに議論だと思いますので、ポイントを整理して四点だけ申し上げます。
 まず一点目、保護者の義務規定を全て削除すべきであるという点。それから二番目、医療保護入院は維持すべきだが、保護者の同意を要件としないとすべきであると。三番目、精神科医療は入院から地域へ、精神障害者のケアは医療から福祉へというのが三点目。そして四点目、精神障害者の自己決定を尊重し、それを支援することが重要である。この四つだと私は自分なりに思っています。
 この四つが、今申し上げましたように、どれだけこの改正案に反映されたのか、されていないとすればその理由は何なのかという観点で質問していきたいと、そう思います。
 まず、入院時になりますけれども、入院時と入院中、それから退院へ向けて、退院後と、この四段階で考えた方が分かりやすいと思いますので、まず入院時ですね。
 今、保護者、この制度を削除すべきだという議論の整理の中で、この保護者のうち、じゃその保護者となる方々、同意をされる方々の中で家族というのはどれぐらいの割合を占めているんでしょうか、家族等というのは、今回の法案のですね。
○政府参考人(岡田太造君) 医療保護入院の保護者の内訳でございますが、兄弟が三〇%、両親が二六・二%、配偶者一六・五%、子供が一四・七%となっていまして、トータルで約九割ぐらいだと思います。
○足立信也君 約九割というか、ほぼ一〇〇%というか、一〇〇%に近いというか。
 それでは、保護者制度を削除して家族のいずれかというふうになったということですが、何が違うんでしょうか。どこに違いがあるんでしょうか。削除したことになるんでしょうか。保護者、同意する保護者のほとんど全てが家族等である、その家族等が残ったということは、その制度を削除したということになるんでしょうか。どこが違うんでしょうか。
○政府参考人(岡田太造君) 今回の法改正におきまして、保護者の、先ほど先生歴史を振り返っていただきましたが、昭和二十五年にできました法律で、保護義務者という形で新しく精神障害者に対して保護者というのを定めるという仕組みを導入されたわけです。
 その精神障害者に対する保護者制度というのは、先生も先ほど御指摘ございましたが、他の疾病であるとか他の障害者にはない制度として、精神障害者固有の制度として設けられたところでございます。保護者につきましては、精神障害者一人について一人の方を保護者という形にして、その方に財産の保護であるとか医療の治療を受けさせる義務とかいうものを掛けるという形でさせてきていただいたところでございます。
 現状で、家族会なども大変御要望されているところでございますが、やっぱり保護者一人に掛かる負担が非常に大きいというようなこと、高齢化する中で非常に大きいということ、それから保護者の同意なければ退院できないというようなこともありまして、地域移行についても非常に大きな問題になっているんじゃないかというようなことがございまして、今回の法案で保護者制度を廃止するという形にさせていただいたところでございます。
 一方、先生、先ほど御説明ありましたように、検討会の検討では、指定医一人の判断で入院させると、医療保護入院ができるということでございましたけれども、これにつきましては、インフォームド・コンセントというのが医療の中で重要になっているというようなことで、そういった点で、やっぱり家族に対するインフォームド・コンセントというような視点、それから患者を権利擁護するというような視点から、指定医一人だけの判断でなくて、何らかの家族などの同意を設ける方が適当じゃないかということを総合的に判断させていただいて、今回の法案に沿う形の条文とさせていただいているところでございます。
○足立信也君 私がお聞きしているのはそういう言葉の問題ではなくて、議論の整理では、医療保護入院について保護者の同意を要件としないということが先ほど私が挙げたポイントの二番目だったわけです。ですから、その言葉をなくす、なくした条文ですとおっしゃるわけですが、その同意をしていた保護者の一〇〇%に近い方々が家族等であって、その家族等が、そのうちのいずれかが今度同意が必要になると。実態として何が変わったんですかという質問をしたんです。何が変わったんですか。
○政府参考人(岡田太造君) 従来、現行法では、保護者というのは、精神保健福祉法におきまして保護者というのが決められて、それぞれ、先ほど申しましたような財産であるとか医療を受けさせる義務というのが精神保健法上の義務として法律上に書かれております。
 それから、保護者というのは、誰か精神障害者一人について一人を選ぶという形で、家族の中の特定の一人の方が保護者になっていただいて、その方が、入院に当たっての同意であるとか、それから退院するときの同意というようなものを取るという形で、全てにその方に負担になっているというようなことでございます。
 今回は、精神保健福祉法上の保護者という制度を廃止しまして、同法で家族などに課されていました義務規定は廃止されます。それと同時に、一人というような形で保護者を決めていたものでございますが、それも保護者制度がなくなることによってなくなっていくということでございます。
 それに伴いまして、法律上の整理としましては、家族等の同意ということを、医療保護入院に当たっての同意を求めましたけれども、その同意をする家族などに対して特別の義務を今回法律では課しておりませんので、その点、普通の一般医療であるとか他の障害者と同じように精神障害者の方を家族が支えられると思いますが、そういう形に役割が変わっていくということだというふうに認識しています。
○足立信也君 なぜ、岡田さん、二度私が聞いたかといいますと、そちらの方がいいと判断されたんだろうと思いますが、違ったのは、実際の誰かということについては今までの保護者と家族等というのはほとんど変わらない、今までは一人だったけれども、家族等の中で誰でもいいということになった。誰でもいいということがいいと判断されたんだと思うんです。そういうことだろうと思います。誰でもいい。
 でも、ごめんなさい、自分のことを言いますが、私、外科医としてやってきて、私はいつも、一人だけは必ずいる人をいつも決めてくださいね、その人がどなたを一緒に呼んでもらっても結構です、外来で病気の説明をし、治療方針の説明をし、入院をしたら手術方針の説明をし、退院の前に、こういうことを注意して、これからどういう形で診ていきます、一人の人は必ずいつもいてください。本来、守秘義務というのは患者さん自身に掛かっているわけであって、本来は患者さんだけに説明すればいいんです。でも、それができない状況であるから一人の人に決めていただいて、あなただけはいつもいてください。そうじゃないと方針が決められないんですよ。
 例えば、入院の同意、ここで一人の方が、家族等の一人の方が同意された、じゃ、次に治療方針、こういう形でやっていきますよという説明はほかの誰でもいいんですか。さらに、その治療が進んで、これから退院へ向けてどういう注意が必要です、退院後はどういうふうな形でケアをしていきますという説明は誰でもいいんですか。そこに混乱が生じるんじゃないんですか。
 インフォームド・コンセントという話がありましたが、一番大事なのは信頼関係ですよ。その対象となる方々が誰でもいい、その方がいいという判断なんですかということを聞きたいんです。どうなんですか。
○副大臣(桝屋敬悟君) 精神障害者の医療に関してずっとお取り組みをいただいております委員に敬意を表しながらお答えを申し上げたいと思います。
 先ほどから議論が出ておりますように、今回の改正案では、精神障害者本人と家族との関係、あるいは、委員からもお話がございましたが、家族内の関係についても様々な状況があるということから、医療保護入院の同意ができる者については、一律に順位を設けずに、家族等のうちいずれかの者の同意、先生は誰でもいいのかと、こういう御指摘をされましたが、いずれかの者の同意があれば入院をさせることができるというふうにしたわけでございます。実際には、医療保護入院に当たっては家族の誰かが患者本人に付き添って受診をするということが考えられるわけでありまして、その家族が入院の同意を行うのではないかと、こう思っております。
 先生、医療というお立場からお尋ねがございました。私は個人的に医療を受ける方の保護者をやっているわけでありまして、先生のお悩みもさることながら、今回、保護義務者を廃止する、保護制度を廃止するということは、やはり一人の方に大変な負担を掛けるという、先生からすれば誰かにきちっと管理をしてもらいたいというお気持ちもよく分かるわけでありますが、やはり一人の方に負担が掛かるという家族会等の長年の思いもございまして、今回、家族のいずれかの者の同意ということでございます。実際の医療は、今申し上げたように、恐らく一人の方が付き添う形で行えるんじゃないかと。
 一方で、先生からもお話がございましたが、医療保護入院の同意に当たっては、入院患者の退院に向けての環境整備、あるいは退院後の治療継続のためには家族の協力が一方では不可欠であるということを勘案いたしますと、入院治療の必要性、緊急性を考慮しつつも、可能な限り広い範囲の家族が了解した上での入院を勧めると、この入院が望ましいと考えているわけであります。
 今述べましたような運用上の考え方につきましては、医療現場等における混乱が起きることのないよう、改正法の施行に当たりましては通知等で示していきたいと思っております。なお、併せまして、医療保護入院の入院手続の在り方につきましては、改正法の施行の状況等を勘案いたしまして、施行後三年をめどとして検討を行うというふうにしている次第でございます。
○足立信也君 私、冒頭で、今までの精神科の疾患を始めとする精神障害者の方々の沿革みたいなことを申し上げて、これは特別視しないという流れになっていて、他の疾患と同じようにというふうな、根底に流れているわけなんですね。精神科疾患以外のほかの疾患でも、意識不明の状態でただ一人で運ばれてきたとき以外を除けば、みんな同意は取っているわけですよ。当たり前のことなんですね。当たり前のことなんですが、ですから、最初に家族のいずれかの同意が要るというのはこれは当たり前になっていて、まあノーマライゼーションと言えるのかどうか分かりませんが、それはそうなんです。
 ただ、先ほど私が議論の整理でポイントで四つ挙げましたが、四つ目の、精神障害者の自己決定を尊重し、それを支援するという考え方の中で、やはり、最初はいずれでもいいと言うけれども、その後は自分の意思を支援するためにその代わりとなる方、そこに家族がまた寄り添えば一番いいわけですが、ということは、その支援をするあるいは代わりをするという方々は私は先ほどの治療の一貫性の中から考えると欠かせないんですよ。この点は、当然、議論の整理の中で、自己決定の支援のためにも、それをまた代弁される方とそして家族と意見を整えられる存在、代弁者、これが絶対に必要だということは議論の整理の中でもあるわけですね。なぜこれを今回の法案、条文、この改正の中で入れられなかったんでしょうか、理由があるんでしょうか。
○副大臣(桝屋敬悟君) これも委員がお取り組みいただきまして、昨年の六月、検討チームの報告では、御説明がありましたように、本人の権利擁護のための仕組みとして、入院をした人は、自分の気持ちを代弁し、病院などに伝える役割をするいわゆる代弁者、アドボケーターを選ぶことができる仕組みを導入するべきであると、こういう提言をいただいているところであります。
 これ検討に当たりまして、この必要性は十分認識をするわけでありますが、法律上に代弁者を位置付けるためには、その実施主体、一つは、それから活動内容などにつきまして明確にやはり規定をする必要があるのではないかと。一方で、代弁者の実施主体、活動内容等につきましては、関係者の間に様々な意見があるのではないかというようなことも随分議論いたしまして、今回の法改正には盛り込まないというふうにしたところでございます。
 御指摘のように、精神障害者の意思決定に対する支援は極めて重要でございまして、引き続き代弁者については調査研究を行いまして、その結果も踏まえて十分な検討をこれからも行ってまいりたいと思っている次第でございます。
○足立信也君 その代弁者のことはちょっとこの先にまたお話ししますけれども、その前の段階の先ほどの家族のいずれかということについて、意思決定の前の話をもう一回させていただきたいんですけれども。
 先ほど海外との比較において、日本の特徴というのを四点ほど挙げていただいた中で強制入院が多いと、まあ倍以上だと。ここにかかわっているのは医療保護入院、措置入院はやむを得ざるところがあるでしょうから医療保護入院の割合ということになると思うんですが、ここは少なくというか、一般的に海外と同じようになるためには、この医療保護入院はできるだけ任意の方になるべきであるということだろうと思います。それが、保護者、一人に限定した保護者から家族のいずれかとなった場合は、この全体の方向性として、これで医療保護入院が、つまり非任意の入院が増えると考えているんですか、減ると考えているんでしょうか。
○政府参考人(岡田太造君) 議論されていますように、今回の改正で保護者制度を廃止することに伴いまして、精神保健指定医の判断に加えまして、家族などのうちいずれかの者の同意により入院を開始できるということにさせていただいております。これによりまして、保護者一人でなくて、家族などであれば医療保護入院の同意が行うことができることになりますが、精神保健指定医の診断が必要だということは改正前後で変わっておりません。そういうことで、真に入院治療が必要な患者が医療保護により入院するということは変わっていないというふうに考えております。
 また、医療保護入院に当たりまして、現実問題としまして、患者本人に病識がないというような特性がございます。そういうために、なかなか御自分で受診するということがなく、家族の方などが医療機関などに連れていくというような状況がございますので、今回の改正によって、医療保護入院によって患者数が格段に増えるということはないのではないかというふうに考えているところでございます。
○足立信也君 格段に増えることはないだろうということですが、私は変わらないか若干増えるかなという感じを持っていますが、それは、先ほどの世界と比べた場合での、日本はこう変えていこうということと私は方向性がちょっと違うんではないかなということを指摘する意味で今の話をしたわけです。
 何よりも自己決定を尊重しそれを支援するという仕組み、これはもう欠かせない。ところが、今副大臣のお話では、検討が恐らく間に合わなかったというような話だろう、あるいは不十分だったという話だろうと思うんですが、私はここは物すごく大事なところだと思うんですよ。ここをクリアしてこそ法改正があるんではなかろうかと、私はそう思っているんです。
 今日、矢島局長いらっしゃっているので、ちょっと違う部分ですけれども、意思決定の支援というのが極めて重要な場面、今、昨今報道等でよく言われているのは終末期であるとか緩和ケアのところですね。厚生労働省の緩和ケア推進検討会、この中で、患者の意思決定を支援する仕組みの提案というのがもうなされておりますね。私は絶対に必要だと思います。
 そのときに何が必要なのか。先ほど指定医のお話がありましたけど、意思決定の支援というのは、私は多職種ほどいいと思っております。いろんな職種の方がそこで、その職固有の意見もあるでしょうし、そしてほかの職の方を見ていて感じるところもあるでしょうし、そこを総合して決めていくということでは、私はチーム医療の真髄はそこにあると思っているんです。
 今緩和ケア推進検討会の話になっているんですけれども、ここで、患者の意思決定を支援する仕組み、この提案、これはいつごろ具体化するというスケジュールになっている、あるいは今後どう検討して具体化に持っていきたいのかどうか、その点について局長からちょっとお聞きしたい。
○政府参考人(矢島鉄也君) がん患者さんの緩和ケアでございますけれども、厚生労働省では、がん患者の緩和ケアを一層推進するために、緩和ケア推進検討会を平成二十四年四月に設置をいたしまして、これまで十回開催をさせていただきました。
 今月の八日の検討会でございますが、そのときに、がん患者の意思決定の支援については、特に療養場所の決定という観点から、主治医のみならず看護師や社会福祉士などの多くの職種、多職種により患者と療養場所について話し合い、できるだけその希望をかなえていくことの重要性が指摘をされたところでございます。
 引き続き、患者とその家族などの関係者から御意見をいただき、本年八月をめどに検討会の提言をまとめていただく予定としておりまして、それを踏まえて具体的な意思決定の支援策を検討をしていきたいと考えております。
○足立信也君 今のスケジュール感でいきますと、恐らく来年度の診療報酬改定にも影響してくる話だろうと推察します。
 今、尊厳死の法案についていろいろ議論が活発にされている部分がありますが、私は、いたずらに終末期だけではなくて、これは医療全般に通じる、特に今回の精神保健福祉法等で自己決定の支援とそこに多職種が加わったチーム医療でやるということがどの分野、どの場面でも必要だ、最も必要な部分だろうというふうに思っておりますので、是非ともそこを反映、まあ八月にまとめられるということで、それをまた見させていただきますけれども、そこを反映させていただきたいなと思います。
 という流れで、これ、精神科疾患の方に戻りますが、自己決定の支援として、私は今、多職種という表現をしましたけれども、これはもう明らかに、精神科疾患においては、精神保健福祉士やあるいは作業療法士等々、この方々のかかわり方というのは極めて大事です。
 今、入院時から入院中、これから退院に向けてという話をしているわけですが、退院後の訪問支援事業、これはあります。それから、訪問看護の報酬というのはあります。しかし、入院中に意思決定、自己決定の支援のためのもの、あるいはこれからどういう退院の方針を決めていくのか、家族と寄り添いながら決めていくのか、そして地域に出た場合にどういう支援体制を整えていくのか、こういう議論は入院中にしっかりやらなきゃできない話で、この部分の報酬というのはやっぱりないんですね。
 先ほど来年度の診療報酬改定を視野に入れた話ですねと申し上げたのは、この部分も、是非とも、チーム医療の推進、それから自己決定、患者さんの意思決定の支援というものを必ず評価をしていただきたいと私は思っているんですが、その点についてはどうでしょうか。
○大臣政務官(とかしきなおみ君) お答えさせていただきます。
 精神科におけるチーム医療のことはとても重要でありまして、特に、臨床心理士や精神保健福祉士、こういった方々にかんでいただくというのはとても重要だと考えております。このチーム医療の推進は、やはり質の高い医療の提供と、さらに医療関係の従事者の皆さんの負担軽減の観点からもとても重要であるというふうに考えております。
 お尋ねの評価のことなんですけれども、平成二十四年度の診療報酬の改定におきまして、それぞれ新設をさせていただいておりますものをまず紹介させていただきます。
 まず、チームによる診療の評価を新設させていただきました。こちらは、精神科医、看護師、精神保健福祉士、さらに作業療法士、薬剤師、臨床心理技術者、これらが連携した場合は、これはチームによる診療の評価を新設させていただいております。また、訪問看護ステーションで精神保健福祉士と同行した場合に、訪問看護の評価も、こちらの方もさせていただいております。また、委員御指摘のとおり患者の支援のために相談体制、これとても重要でありますので、これも窓口を設置し、専門の看護師、さらに精神保健福祉士を配置している場合の評価、こちらもさせていただいております。
 今後も、チーム医療の診療報酬上の評価につきましては、必要に応じて中医協で御議論をいただいていきたいと、このように考えております。
 なお、平成二十三年度からモデル事業といたしまして、医師、看護師、精神保健福祉士等の専門チームを組みまして、必要に応じて精神障害者アウトリーチ推進事業、例えばおうちの中での、受診を中断なさった方とか、長期入院の後、退院して病状が不安定な方とか、その後診療を受けられていない方、引きこもり状態の方々、こういった状況を救っていこうということで、精神障害者のアウトリーチ推進事業を実施させていただいておりまして、こちらも二十五年度の予算で六・八億円、二十四自治体、三十七機関に御協力をいただいているということで、いろいろな形でサポート体制を整えていこうというふうに考えております。やはり、御家族の方々とそして患者の皆さんの連携をしっかり取りながら支えていく体制をつくっていきたいと考えております。
○足立信也君 おっしゃるとおりで、二十二年度、二十四年度の診療報酬改定は私も主体的にやらせていただいているので、その内容については、今のはそのとおりなんです。アウトリーチ事業もありますが、チームを組むという、まあリエゾン機能なんですかね、それから訪問というのはあるんだけれども、入院中の意思決定そのものに対してどういう支援をやっているかということに対する評価がない。実は、私はそこをやり残しているところだなと思っていますもので、是非ともそこを評価していただきたいなということで申し上げました。
 最後に、附則の八条、検討のところに入るわけですが、私は先ほど、保護者制度はなくなるけれども家族のいずれか、それから、入院の段階はそうだけれども、入院中やあるいは退院に向けては誰がそこに同意をするのか、あるいは違った意見が出た場合の混乱はないのか等々、はっきり申し上げてすぐに問題が起きてくると思うんです。混乱がすぐに起きてくると思うんですね。
 ですから、三年の法の施行の状況を見て、それを待ってというのではなくて、例えば代弁者の問題は、これはまだ残っていてちょっと解決できなかった問題なわけですから、副大臣おっしゃるように。これ、もう混乱が起きた場合にすぐ受皿となる検討の場は今すぐにでもつくっておいた方がいいですよ、前もって。そのことが私は大事だと思っておりまして、三年間待って、いろんな問題が出てきました、さあ整理しましょうではなくて、これはもうあり得る、混乱がある意味想定できるわけですから、前もってその受皿となる検討の場をつくっておいた方が私はいいと、今すぐにでも、それを思っておりますので、その件について、大臣、今までの問題意識の中で多分混乱が起きると思いますので、是非その検討の場をあらかじめ設定しておくということについてはいかがでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) 今委員のお話をお聞きをさせていただいておりまして、確かに保護者制度というものはいろいろな責任が過重だということで今回なくしたわけでありますが、家族の誰かの同意というようなものの中で、それで意見が分かれた場合どうなるんだというような御議論もあろうと思いますし、それに対しては指定医の先生方がいろいろと十分な説明をしていただく必要はあろうというふうに思いますが、いずれにいたしましても、その入院に至るいろんな状況等々をこれから動き出した中で判断していかなきゃなりませんし、一方で、今先生おっしゃられましたように、退院したときにどうやって地域の受皿を、これはそれこそ多職種が連携しながらこれ動かしていかなきゃいけないわけですね。
 そのためには、まずは計画を作らなきゃいけないわけでありまして、退院のときにそういうものを評価するような診療報酬も他にはあるわけでありますけれども、この場合にどのようなものが当てはまるのかということも診療報酬改定の中において検討する参考に今の先生の御議論をさせていただきたいというふうに思いますが、アドボケートする方、要するに擁護するといいますか、代弁をする方が必要であるというのは確かに検討会でも御議論いただいたわけであります。
 今先生おっしゃられたとおりに、実施主体の問題でありますとか活動内容ではいろんな御議論があったわけでありますけれども、これ動き出したときに多分すぐにいろんな問題が出てくる可能性があると思います。そういうものを拝見をさせていただいて、三年後というんじゃなくて、その段階ですぐに検討を始めるような、そういうようなスタートをさせていただきたいというふうに思っておりますので、おっしゃられるとおり、ちゃんとこれが動いていくような、次の改正に向かっての準備はさせていただきたいというふうに思っております。
○足立信也君 傍聴席にいらっしゃる方々も、これまでいろんな問題を取り組んできながら、今回で解決するんだと、みんなが願う方向で一遍に行くんだという気持ちが十分あるのは分かりますが、私、冒頭で明治からの流れを申し上げました。これはある程度時間を掛けて、お互いに納得しながら一歩一歩進んでいく、そういう重要な問題であると思いますので、今回も、半歩かもしれませんけれども前に進んだととらえて、しかしいろんな混乱が起きるであろうから、それにはすぐに対処できる体制をつくると今大臣がおっしゃっていただいたので、その方向性で我々も前に進めていきたいと思います。
 以上で終わります。
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○委員長(武内則男君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、大久保潔重君が委員を辞任され、その補欠として小見山幸治君が選任されました。
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○石橋通宏君 民主党の石橋通宏でございます。
 今日は百分間の質問時間をいただいております。大変重要な議題、二法案でございますので、しっかりと思いを込めて質問をさせていただきたいと思いますし、是非大臣始め皆様方もしっかりと御答弁をいただければということを冒頭お願いをさせていただきたいと思います。
 今日最初に、二法案、議題となっております質疑に入らせていただく前に、ちょっとこの間、大きな国際関係の案件で大事な動きがありましたので、この件について最初に、大臣、お考えをお聞きしておきたいと思いますが、まず一点目は、先般、ILOのガイ・ライダー事務局長が日本を事務局長としては初めて訪問なさいました。五月十六日、十七日であります。
 私ども、超党派の議員連盟で十六日に国際シンポジウムの開催をさせていただいて、大変大勢の方々に御参加をいただいて、政府代表して桝屋副大臣にも御参加をいただき、政府を代表してのスピーチ、そしてまた、ガイ・ライダー事務局長の基調講演もお聞きをいただいていろいろとお感じになったこともあると思いますし、またその後、田村大臣も直接ガイ・ライダー事務局長と懇談をされて様々に課題について意見交換をされたというふうに聞いております。
 今日、是非大臣にお伺いしたいのが、中でもとりわけガイ・ライダー事務局長が強調されたのが、やはり三者構成主義の重要性ということについてとりわけ強調されてお話があったというふうに伺っておりますし、大臣もガイ・ライダー事務局長に対して、日本での状況なりこれからの大臣としての、政府としての取組についてお話しになったと伺っておりますが、まずこの点について、大臣、三者構成主義の重要性、どんなお話があって、大臣御自身どんな決意をガイ・ライダー事務局長に述べられたのか、その点、是非ここで御披露いただければと思います。
○国務大臣(田村憲久君) 大変光栄にもガイ・ライダー事務局長、お越しをいただきまして、少しの間ではございましたけれども、いろいろと意見交換をさせていただきました。
 いろいろとアベノミクス等々評価をいただいておるわけでありますが、ただ、労働規制といいますか、そういうものに対して今市場の改革のような話がいろいろ出ておるけれども、それに対してやはりこの三者構成原則といいますか主義といいますか、これはしっかりとお守りをいただきたいというような御意見をいただきました。
 私の方はもちろんそのとおりであるということでございまして、我が省は特に労働者の皆様方の権利を擁護するというのが大きな仕事でございますので、そのような意味からもしっかりとこの三者構成原則、主義というものを守りながら、当然のごとく、労働政策審議会というのがその主な大きな役割を果たす場所になりますから、そこで何事においても議論をいただいて、それぞれの理解の下で労働政策を進めてまいりたいと思っておりますと、こう申し上げましたら、ガイ・ライダー事務局長は非常に御評価をいただきまして、意見が合うということでその後いろんな話が盛り上がったというような次第であります。
○石橋通宏君 ありがとうございます。
 実は、大臣がガイ・ライダー事務局長とお話をなさった、十七日、翌日に、私もう一度事務局長とお話をさせていただく機会がありまして、まさにそのときにガイ・ライダー事務局長も、大臣から大変力強い三者構成主義についてお言葉をいただいた、実は心配していたんだけれども、大臣からそういう強い言葉をいただいたので、今後しっかりやってくれるものと思っていますということで話をされておりました。是非、大臣、そのときにお話をされたこの三者構成主義、しっかりと守りながらやっていくんだということを、今後とも政府全体の中で認識を合わせながら進めていっていただければと思っております。
 ちょうどその後ですけれども、今度は国連の社会権規約委員会、これ新聞報道で我々も知ったわけですが、皆さんのお手元に資料として新聞報道の記事を参考までにお配りをさせていただいておりますが、国連の社会権規約委員会から日本政府に対する勧告が出されております。この勧告の中身、この新聞記事によりますと、長時間労働や過労死、まさにこの委員会でも度々議論をさせていただいておりますが、この大変残念な実態について懸念が示されているということで、とりわけ長時間労働を防ぐ措置を強化をして実効性ある対応をすべきであるというような勧告をいただいたということでございますが。この記事によりますと、厚労省国際課として、尊重する義務がある、内容をよく確認したいというふうな発言があったという記事ですが、ちょっとこの事実関係も含めて、この社会権規約委員会からの勧告に対して、厚労省として、外務省を含めた他の関係省庁とも連携してということになると思いますが、具体的にどういう対応をされる方針であるのか、この点について確認をさせてください。
○国務大臣(田村憲久君) まず事実関係でありますけれども、五月十七日に国連社会権規約委員会の方で公表いただきました社会権規約第三回政府報告に対する審査の最終見解というものが出ました。それにおいて長時間労働を防止する方策の強化等について記載をされておられたわけでございます。
 もう当然のごとく、過重労働等に関しましては我々はしっかりとこれを防いでいかなきゃならないというふうに思っておりますが、ちょうどと言ってはなんなんですけれども、本年四月から時間外労働等の実態を把握する、そういう全国調査をやっております。これは前回の法改正に伴ってこういうことをしっかりやるということになっておったわけでございまして、月六十時間超の割増し賃金を引き上げた前回の労働基準法改正において中小企業の適用猶予が設けられたときに、しっかりこの実態調査をやるというような話があったわけでございまして、これ六月末までに大体調査を終わりまして、九月ぐらいには審議会の方にこれを御報告をさせていただくというような方向になろうと思います。それを踏まえた上で労働政策審議会の中においてしっかり御議論をいただいて、次に向かっての対応、対策というものをお考えをいただくというふうな段取りになってくるのではないかと、このように思っております。
○石橋通宏君 つまり、勧告についてはやはりこれは尊重すべきなので、しっかり重く受け止めて、今大臣御説明のあった労働時間の全国調査、その結果も踏まえながら、今後の実効性ある対応について労政審にも諮りながら御検討いただくということでよろしいですね。
○国務大臣(田村憲久君) そういうことでございます。
○石橋通宏君 是非よろしくお願いをします。
 それで、ちなみに私の手元にその委員会の勧告があります。大臣、これ全文お読みになりましたか。確認です。
○国務大臣(田村憲久君) 申し訳ございません、正直、全文読んでおりません。申し訳ありません。
○石橋通宏君 これ、厚生労働省としてこの勧告、日本語に翻訳をされてこれを周知する、いわゆる国民の皆さんにもどういうことが書かれているのか、そういうことをきっちりと周知して、そして今大臣おっしゃられたような対応についてもしっかりと国民の皆さんに広く広めていくと、そういうことで対応される予定なんでしょうか。
○政府参考人(妹尾吉洋君) お答えを申し上げます。
 今、石橋先生がお尋ねは、国連の社会権規約委員会の勧告に関してでございますけれども、その勧告も含めまして、そのほか例えばILOもございます。ILOなどが作成する文書につきましては、国会への上程や報告が必要となる国際労働基準を設定する条約あるいは勧告についてのみ、関係省庁と協議の上、政府として正式な和訳を作成しておりますけれども、御指摘の勧告などについては訳は作成をしておりません。
○石橋通宏君 今御説明をいただきましたように、今日、今私が聞いたのはこの勧告ですが、妹尾総審からは、ILOが日本に対して行っている累次の勧告等々についても実は翻訳をされていないという状況です。これは、私も反省を込めて、民主党が政権にいた時代にこういうことに対して私もちゃんと把握をしていなかったということもありますが、実は日本語の翻訳というのが存在しないわけです。条約、勧告、国会への報告義務があるものについてはありますが、翻訳されるということですが、それ以外、大変重要な指摘を受けている部分について翻訳をされておりませんので、国民の皆さんに周知してないわけです。これ、とても大事なことだと思います。
 例えば、この社会権規約委員会、これたまたま新聞報道で長時間労働についての話は報道されたので国民の皆さんも知ることができました。しかし、これを全部読むと、ほかにも様々大変重要な指摘があるんです。ILO条約未批准の中核条約の、批准すべきだというのも入っております。そして、有期雇用の濫用を防止するべきであるというのも入っています。最低賃金の件、男女間の賃金格差の問題、セクシュアルハラスメントの問題、外国人労働者の問題、高齢者の貧困の問題、ドメスティック・バイオレンスの問題、震災復興における社会的に弱い立場にあられる方々への支援の話、こういう大変重要な指摘を国連の社会権規約委員会からいただいている。しかし、これが、残念ながら国民の皆さん、気付かれて、英文読める方で直接英文入手されて読まれる方はこれを知ることができるけれども、大多数の日本の国民の皆さんは残念ながらこれを知ることができないわけです。
 この状況は私は大変やはり問題だと思っておりまして、今、そういう基準でこれまでやってこられた。是非、今後は何らかの形で、こういう大変重要なILOなり国連なりの勧告等々文書については、全文一〇〇%翻訳しろということはなかなか難しいかもしれませんが、少なくともその要点、要旨は政府の責任で日本語にして周知をするような、何かそういう制度を検討いただきたいと思いますが、これ、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) 今、和訳の件は、委員おっしゃられましたとおり、例えば条約でありますとか国会に必要なもの、こういうものに対しては和訳をやっておるわけでありますけれども、他のものに対しては全てやっておるわけではないわけでありまして、その理由は何かと聞かれれば、端的にお答えすれば、もう委員御承知のとおり、和訳というものは非常に難しい部分もございまして、どのような解釈の仕方かによってかなり関係する方々にとって考え方が変わるという部分があります。
 特に個別の企業などというものが入っている場合には、そこのところ、いろんな御議論があるわけでありまして、全てやっておったのではかなりの手間と時間が掛かるという部分があるわけでありますが、しかし、今委員がおっしゃられましたとおり、そうはいいながらも、日本国に対してされたもので、これは国民的にかなり関心があるようなものですよねということに関しましては、その概要版も含めて、ちょっとこれから検討させていただきたいというふうに思います。
○石橋通宏君 検討していただけるという大臣の御答弁でしたので、是非検討していただきたいと思いますし、確かに、和訳、大変なのは重々分かっておるんですが、逆に一方で、新聞は報道するわけです。その新聞のじゃ和訳が正しいのかどうか、これまた問題になることもあるわけです。ですから、むしろちゃんと政府の責任において、仮訳でもいいから、これはきちんと出していくべきだということだと思いますので、その点は、今大臣、検討すると言っていただきましたので、是非これから我々もしっかりフォローしていきたいと思いますので、是非よろしくお願いを申し上げます。
 以上、国際関係について触れさせていただきまして、いよいよ今日の議題であります二法案、とりわけ、先ほど足立委員から精神保健及び精神障害者福祉法について様々に懸念点、問題点、課題について質疑がございました。若干、後ほど残された私自身の問題意識含めてお伺いをしたいと思いますが、最初に私は障害者雇用促進法改正案の方について集中的に質疑をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
 まず、今回の障害者雇用促進法、これ大変非常に大きな意味と意義を持った改正だというふうにとらえております。是非、冒頭、大臣から、今回の改正というのが具体的にどれほど大きな目的の変更、より深く言えば、意義の変更、これまでの雇用促進法と新たな改正案雇用促進法と、大きな変化がこの中に込められているというふうに理解をしております。まず、その大きな意義について、大臣のお言葉で御説明をいただければと思います。
○国務大臣(田村憲久君) もちろん障害者の方々の雇用というものを促進すること、これはもう当然必要なことでありまして、障害者の方々がそれぞれ地域社会で生活される上において、その糧を得、そして社会に参加をされ、幸福を感じていただく、そういう意味では以前からもこの障害者雇用というものを我々は促進をしてきたわけであります。
   〔委員長退席、理事津田弥太郎君着席〕
 今回、この改正法案の中で、では、どういうような大きな意義がそこに加わったのかという意味からいたしますれば、一つはやはり、障害者ということを理由にして差別をしておる、そういうものに対しては禁止をするという大きな一つ項目が入ったこと、差別を禁止すること、それからもう一つは、合理的配慮、これを提供することの、企業に対して、それぞれ職場に対して言うなれば義務付けをするということでございまして、この二つが大きく今回盛り込まれたわけでございまして、そういう意味からいたしますと、そのままこれは障害者基本法の、まあこの法律がなければ批准できないかというとそうではありませんけれども、この法律の中にこれを盛り込むことによってそれがより明確化されて、我が国も国際社会の中で一つ大きな約束を果たしていけるという方向になってこようというふうに思うわけであります。
○石橋通宏君 今大臣から目的、そして意義についてお話がありましたけれども、私自身はもう少し深い意義を感じているわけですが。
 大臣、今、権利条約の話に言及をいただきました。
 皆さん、資料としてお手元に権利条約の条文、第一条とそれから労働、雇用にかかわる第二十七条について資料をお配りをしております。
 権利条約の第一条、目的のところにはこのように書いてあります。「すべての障害者によるあらゆる人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有を促進し、保護し、及び確保すること並びに障害者の固有の尊厳の尊重を促進することを目的とする。」と。まさに、今回の雇用促進法の改正案、目的規定、第一条の改定というのは、この障害者権利条約に記載された目的、つまり、障害のあるなしにかかわらず全て国民に同様の労働における権利を保障するんだと。残念ながらこれまでは、障害のある方、様々な障壁がある、様々な差別がある。それを今回この雇用促進法によって、労働、雇用の分野においては障害があっても障害がない方々と同じ権利、これを享受できるようにするんだと、それをまさに具現化するための改正案だというふうに理解をしております。それだけ大きな意義があるということで私たちは理解をすべきだというふうに思っています。
   〔理事津田弥太郎君退席、委員長着席〕
 そこで、大臣、今、権利条約の話、これなくても批准できるのではないかというような話もありましたが、私たちはむしろ、この今回の改正をやっていただく、雇用、労働における差別の禁止と合理的配慮の義務をしっかりと法的に位置付けていただくことによって、権利条約の批准に向けて、とりわけこの二十七条、労働及び雇用の分野における条約の規定がございます。これ全てではないですが、促進法の中に、範疇に含まれる事項については、今回の改正案によってこれしっかりとクリアしていただいて、今後の、いよいよ差別解消法も国会審議が始まりますけれども、総体的に権利条約の批准に向けて大きな一歩を踏み出していただけると、そういう理解で今回の改正案とらえてよろしいかどうか、改めて、大臣、確認をお願いします。
○国務大臣(田村憲久君) そういう意味では、差別解消法という法律案が出るわけでありますが、これの特別法的な意味合いでこの法律の中に、まさに今委員がおっしゃられたとおり、労働分野に関しての差別を解消するという意義が入ったわけでありまして、それはそのまま障害というものに着目して労働分野で差別しちゃいけないという、そういうような意味合い、と同時に、それを補完する形で合理的な配慮というものをしっかりとしなきゃならないというような部分が入るわけでございまして、まさに今委員がおっしゃられたとおり、これは障害者権利条約を批准する上において大変重要な部分でございますので、それがこの法律によって今回盛り込まれることによって、我が国としてはその環境整備というものがしっかりと進むわけでございまして、いよいよ批准に向かって進んでまいるということになるということでございます。
○石橋通宏君 ありがとうございます。
 今大臣から批准に向かって大きく進んでいくんだという御答弁をいただきましたので、是非そういう観点で今後更なる推進を図っていただければと思っております。
 その上で、今差別解消法についても言及がありました。差別解消法、これから先に衆議院の方で審議が始まってくると理解をしておりますが、この差別解消法案とそれから今回議題になっております雇用促進法案、厳密に比べてみますと、若干、語句の違いとかそれから法的な効果の違いとかが見受けられます。
 例えば、定義のところも微妙に語彙が違ったりしております、表現が。せっかく両方やるんだから合わせりゃいいのになと思うんですけれども、微妙に違うんです。そしてまた、合理的配慮の義務についても、向こうの規定と、こちらの、むしろこの雇用促進法の方が更に一歩踏み込んだ義務規定をしていただいている、そういう違いがあります。
 これ、両法案の関係からいって、現実的にどういう整理を我々として理解をすればいいのか。万が一これ両法案成立、施行された後に、現場で混乱が起きないように配慮、ちゃんと対応しなければいけないわけですが、この先ほど言った定義の違いとかその辺の微妙な違い、我々どう理解をして現場で混乱ないように対応すればいいのか、政府の答弁をお願いします。
○政府参考人(小川誠君) 障害者の定義につきましては、両法案共に心身の機能の障害がある者であって継続的に社会生活等において相当な制限を受ける者を対象としており、同じ概念でございます。
 次に、合理的配慮につきましては、障害者差別解消法案では努力義務としております。これは、同法が事業分野を特定せずに包括的に事業者に対して障害者に対する合理的配慮を求めるものでありますけれども、障害者とそれから事業者との関係は事業分野ごとで異なって様々でございますので、求められる配慮も多種多様であるということから、同法案におきましては、まずガイドラインによって自発的な取組を促すということと承知しております。
 一方、本法案におきましては、雇用分野が、先ほど先生も御指摘がありましたように、障害者権利条約において「職場において合理的配慮が障害者に提供されることを確保すること。」とされていること、それから障害者の自立や社会参加にとって雇用分野が極めて重要な分野であること、それから労働者、事業者は雇用契約における継続的な関係にある、又は一般的に労働者が従属的な立場にあるということなどを踏まえて、事業主等の合理的配慮の提供を義務としたものでございます。また、雇用分野における事業主と障害者たる労働者の関係につきましては、本法案の規定が適用されます。
 以上でございます。
○石橋通宏君 済みません、定義のところ、確認ですが、定義、若干文言は違うけれども、意味、そして法律上の効果、これは全く同じであるという理解でいいですか。そこを確認してください。
○政府参考人(小川誠君) 多少文言は違いますが、基本的には同じ概念でございます。
○石橋通宏君 ありがとうございます。
 合理的配慮義務については、両法の性格の違いから、この促進法においてはしっかりと義務規定にしていただいたということだったと思います。この辺、今後、差別解消法案の中でも様々に議論があると思いますが、今御答弁いただいたとおり、しっかり確認してまいりたいというふうに思います。
 その上で、具体的な条文のところに入っていきたいと思いますけれども、まず、三十六条の二の関係、障害者からの申出を募集及び採用についての要件にしている点についてです。
 三十六条の二ではこういう規定になっています。募集、採用について、「労働者の募集及び採用に当たり障害者からの申出により当該障害者の障害の特性に配慮した必要な措置を講じなければならない。」と。ここで問題になるのが障害者からの申出を配慮措置の要件としていることです。まず、これ、なぜ障害者からの申出を要件にしなければいけないのか、この点について御説明をいただきたいと思いますし、あわせて、これどういう問題が生じ得るかといいますと、当然障害者の中には、御自分から、本人から申し出ることができない方々もおられるわけです。こういう方々へのこの条文の規定がどう影響するのかという問題が現実問題で生じると思います。
 そしてもう一つは、こういうことは現実問題としてないように願いたいですが、でも起きるんじゃないかと思いますが、事業主側から見たときには、本人からの申出がなければ何もしなくていいんだというような大変消極的な行為義務に取られかねないおそれがあるのではないかというふうに思うわけです。そして、現実的な世界では、これ障害者の方々と様々にお話ししても、なかなか障害者の方々から、いや、ここをこうしてくれ、あそこをああしてくれ、そういう機会が特別に設けられていればあれですけれども、現実の世界でなかなかそういう状況も難しいという声も聞いたりします。そうすると、本人からの申出ということを発動の要件にすることによって、この部分への促進がむしろ積極的な意味合いで進んでいかないのではないかという心配もあるわけです。
 だから、改めてお聞きするわけですが、なぜ申出を要件とするのか、そして、今具体的に取り上げた二つの問題点、起き得る問題点についてどういう具体的な対応を考えておられるのか、そこについて御説明をお願いします。
○政府参考人(小川誠君) 募集、採用時についても、障害者と健常者の方の均等な機会が確保されるように、事業主に合理的な配慮の提供を義務付けております。
 なぜ申出かということでございますけれども、結局のところ、募集、採用した段階において、どういう方が、どういう障害特性を持たれる方が応募するか事前に分からないということでございますので、逆に事業主にとってどういうふうな合理的配慮の提供をしたらいいか分からないという状況なわけでございまして、例えば身体障害の方が来た場合とかそれから精神の方が来た場合、当然違ってくるわけでございましょうから、分からないと。したがって、募集、採用時につきましては、求人に応募する障害者からの申出を契機として事業主は合理的配慮の提供義務を負うということにしております。
 あと、先生御指摘のように、例えば自分がなかなか言いづらい若しくは言えないような方はどうかということでございますけれども、例えば知的障害者の、自らコミュニケーションを図ることが困難な方もおられるということは我々も認識しておりますけれども、そうした場合におきましては、その家族とかハローワーク等の就労機関等が申出があって補佐をするということによってそういった問題は解消し得るのではないかというふうに考えております。
○石橋通宏君 どういう障害がある方が応募してこられるか分からないので、応募してこられた方に申出をいただいて、申出をいただければ事業主側には具体的な措置を行う、対応を行う義務があるという理解だと思います。
 確かにそのとおりなんだと思うんですが、ただ、一般的にこの法律の目的、先ほど言いました目的は、障害ある方も障害ない方々と同じように御自分のやりたい職、御自分の可能性を追求する、様々に、今まで以上に広く職業にチャレンジをできるようにするというのが目的です。であれば、もちろん個別具体的な、その方に特性のあるものについてはそれはやっぱり申し出ていただかなければ分かりませんが、より一般的な、採用、募集における、障害ある方々、例えばバリアフリーへの対応だとか、例えば、より多く、こういう手話通訳者の手配は必要じゃないかとか、様々に、より多くの一般的な対応ができる分野については事業主側により積極的な対応をいただけるような、そういう促進的な意味合いがあってもいいのではないかというふうにも思ったりするわけです。
 差別禁止規定というのが置かれておりますので、それは差別禁止規定の方でやられるんだというふうなことも理解できますけれども、是非、今後の運用の中でそこについてはしっかりと、入口のところ大変重要ですので、この法律によってその入口の部分でより広く門戸が開かれる、そういう対応がされるようにしっかりと対応いただければというふうに思っておりますので、是非よろしくお願いをいたします。
 次に、同じ三十六条の二、そして三のところで、これ募集、採用とそして就職後の合理的配慮義務の規定がありますが、ここにただし書で、事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなるときは、この限りではないという規定があります。この過重な負担というのが何なのかということについて確認をさせていただきたいんですけれども、過重な負担というのは、どういうレベルが過重なのか、これ、財政的な話だけをされているのか、若しくは、例えば支援スタッフを始めとした人的なものとか、例えばその他の様々な要素、いろんなものが加味されるという話になるのか、また、それが合理的なレベルなのかどうかというのは誰がどのような基準でどう判断をされるのか、ここについて、本法案では過重な負担としか書いてないのではっきりしません。
 ここについて、もし万が一これが拡大解釈を、しかも事業主の独自の判断で拡大解釈ができるようになってしまったら、この規定自体が有名無実化してしまう可能性、懸念がすごくあるわけです。これ、あくまで限定的にとらえるべきだと思うし、その決定については本当の合理性、そこが最大限考慮されるべきだと思いますが、それをどう担保するのか、政府としてのお考えをお聞かせください。
○政府参考人(小川誠君) 御指摘の過重な負担の考え方につきましては、今後、公労使それから障害者団体の四者が構成員であるところの労働政策審議会で議論した上で作成する合理的配慮の指針において、合理的配慮の内容とともにお示ししたいというふうに考えております。
 具体的にどういうことかと申し上げますといえば、例えば措置に必要となる費用が企業にとって過度であるかどうか、また、提供する措置が手段として過剰であるかどうかなどを総合的に判断することになりますけれども、いずれにしても、職場において合理的配慮が適切に提供されるような指針を今後策定してまいりたいと考えております。
○石橋通宏君 法案成立後に労政審、この場合は三者だけでなく当事者団体の方、これまでどおり当事者団体の方々も含めた四者で、その指針、この過重な負担の中身については、定義についてはしっかりと議論をいただいてガイドライン作っていくんだという御答弁だったと思います。
 議論の仕組みについては是非そういうふうにお願いをしたいと思いますが、先ほど言いましたように、これ拡大解釈にならないように、この規定自体が有名無実化することのないように、これは是非そこは担保いただきたいと思いますが、ここ、済みません、大臣、そういうことでいいですよね。
○国務大臣(田村憲久君) もちろん、過重な負担というかそういうものがある場合には、これは合理的配慮といいながら対応できないという、現実にあるんだと思いますが、法の精神は、まさに障害者の方々がしっかりと同じように職場で働ける環境を整備してくださいということでございますから、その法の精神にのっとって四者構成の労政審で御議論をいただいて、その結果を基に我々対策を講じてまいりたいと、このように思っております。
○石橋通宏君 法の精神にのっとってということでありましたので、是非そういう方針で御議論をいただければと思いますが。
 今、さすがにやっぱり過度の負担をというのは難しいというお話もございました。それでは、確かに、やっぱりそこに対して何らかの支援をするべきではないのかと。例えば、現在の雇用率制度の下では障害者雇用納付金制度というのがあって、様々な取組について助成をするという制度がつくられているわけです。今回のこの合理的配慮義務、義務化していただいた。しかし一方で、なかなか財政的に厳しいところについては過重な負担というのが生じ得る可能性がある。やっぱり、そこで踏みとどまって駄目だと言ってしまうのではなくて、じゃ、それに対して御努力をいただけるように、やっぱり一定の支援措置があるべきではないのかというふうに思いますが、この議論の話で、そういう、政府として、現在の障害者雇用納付金制度を拡大するような助成制度をこの合理的配慮のところにも持っていくようなことも今後検討されていくということでよろしいでしょうか。
○政府参考人(小川誠君) 御指摘のとおり、何らかの公的支援がなければ過重な負担によってしまって合理的配慮の提供が進まないということも想定されるわけでございまして、その場合は、障害者の職業の安定にとって好ましくないということでございますから、御指摘の納付金制度とか他の公的支援の活用も含めて、その支援の在り方については検討してまいりたいと考えております。
○石橋通宏君 是非、そこのところの財政上の支援策についてもしっかりと御検討いただければと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 続いて、この改正法の法的な効果についてお伺いをしたいと思います。
 今回、これで差別禁止、そして合理的配慮義務が法律事項として規定をされるわけです。しかし一方で、現実的にこの差別禁止、そして合理的配慮について違反が認められた場合、実際に違反が起こった場合、障害ある方々がどういう法的な対応をすることができるのかという点、これ非常に重要なところで、それが、実効ある対抗措置がなければ、これまた現実的にはなかなか進んでいかないということになり得るわけです。
 そこで、例えば、この改正案の三十六条の六には事業主による違反行為に対して行政措置の規定があります。厚労大臣による助言、指導、勧告を行うことができるというふうに規定はされております。しかし、本法案にはいわゆる私法上の効果についての規定がございません。じゃ、障害ある方々が事業主に対して、この今回の改正に基づいて、差別が行われている、合理的配慮がなされない、そういうことに対して、この法律上、何らかの法的措置をとることができるのかどうか、それが明確に規定をされておりません。ここがはっきりしないと、やはりこの実効性が担保できないという話になると思います。
 ここのところ、どうなんでしょう。法律上、私法的な効果、明示されておりませんが、これがどう担保されるのか、確認をさせていただきたいと思います。
○国務大臣(田村憲久君) 委員おっしゃられましたとおり、この法案ですけれども、差別禁止や合理的配慮の提供等々に関していろんな問題が起こったときに、厚生労働大臣が事業主に対して助言、指導、勧告が行えるというふうになっております。これは、つまりどういうことかというと、紛争が起こったときに、その事業主とそれから障害者の方々の間に入って、私がという話でありますが、これは都道府県労働局長という話になるんだと思いますけれども、助言、指導、勧告が行えるというふうになっております。
 同時に、紛争調整委員会等々で調停等々の対応をしていただくということになろうと思いますが、あくまでもそれでとどまらず、いよいよという話になったときにどうかというお尋ねであったというふうに思うわけでありますが、基本的には、これは私法上の効果という意味からいたしますと、民法に頼らなければいけないところになるわけでございまして、民法の不法行為ですよね、これは法律違反をしているわけでありますから、もちろん公序良俗に反するというような意味合いの中での一つのこのような法の中身になっておるわけでございますので、それを実行しなかった、法律違反をしたと、これは不法行為でございますから、そういう意味からすると損害賠償の対象になるわけでございまして、これは私法上そのような形で対応をいただくと、民法にのっとって対応していただくということになろうというふうに思います。
○石橋通宏君 本来であればこの法案の中に私法上の効果についても書き込んでいただくのがベターだったのかなという思いでいっぱいでありますけれども、様々な御議論を受けて、今大臣が言われたように、民法の規定にのっとってと。これ具体的には、労政審の意見書でも、私法上の効果については、民法第九十条、そして民法第七百九条等の規定にのっとって個々の事案に応じて判断されるということで意見書の中では規定されておりますが、こういうことでよろしいですね。民法第九十条、そして七百九条等の規定にのっとって個々の事案に応じて判断されるものだということでよろしいでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) まさにそのとおりでございます。
○石橋通宏君 ありがとうございます。御確認をいただきました。
 続いて、公務員の扱いについて確認をさせていただきたいと思います。
 本改正案では、差別禁止、合理的配慮義務、ちょっと複雑な規定になっておりますけれども、公務員が適用除外という扱いになっています。先ほど触れた差別解消法ですが、この差別解消法案の中では、第十三条でこういう規定になっています。行政機関が事業主としての立場で行う障害を理由とする差別の解消措置については、障害者雇用促進法で定めるという規定になっています。つまり、解消法案の方で、公務員の扱いについてはこっちに任せるよという規定になっているわけです。ところが、この法案では、いや、公務員については適用除外だよというふうになっているわけです。ですので、これだけ読んでしまうと、じゃ公務員はどうなるのかと。国家公務員、地方公務員、その他広く公務員全般において、このまさに趣旨である差別禁止とそして合理的配慮義務と、法律上どこでどう担保されているのかということが非常に不明確です。
 この点について、今日は総務副大臣においでをいただいておりますので、この公務員、公務の職場における差別禁止と合理的配慮義務が法律上今現在担保されているのか、又はそうでないならば、国公法、地公法の改正含めてこれ同様の規定をしっかりとしていただけるのか、そこの点、確認をお願いをいたします。
○副大臣(坂本哲志君) お答えをさせていただきます。
 公務員への任用や公務員としての職務遂行に当たって差別禁止や合理的配慮の提供をいかに確保するかにつきましては、国家公務員法や地方公務員法等の現行規定や今回新たに追加されます障害者雇用促進法の規定によって適切に対応することといたしております。
 具体的には、雇用に当たりましての差別禁止につきましては、国家公務員法第二十七条及び地方公務員法第十三条、これは平等の取扱いの原則でありますが、その中に定められております。不当な差別的取扱いの禁止につきましては、既にこの両公務員法で措置をされているということであります。
 また、職場環境等を改善するための合理的配慮の提供につきましては、国家公務員に関しましては、今後厚生労働大臣が定めることとされています指針等を踏まえて、国においても、国家公務員法七十一条、これは能率の根本基準を定めたものでありますけれども、七十一条等や人事院規則等により対応することとしております。また、地方公務員に関しましては、障害者雇用促進法第三十六条の二から第三十六条の五までの規定を直接適用することとしておりまして、これらの規定を根拠として各地方公共団体が対応することというふうにしております。
○石橋通宏君 今御説明をいただきましたけれども、ということは、国家公務員、そして地方公務員含めて、公務員の皆さんの中でも、今回の障害者雇用促進法の趣旨、法律の規定、そして障害者の皆さんに保障される権利、これはしっかりと担保されているんだと、同様の条件で担保されているんだという理解で、改めて、済みません、確認ですが、よろしいですね。
○副大臣(坂本哲志君) 現在の国家公務員法あるいは地方公務員法を含めて今後担保されていくというふうに理解します。
○石橋通宏君 今後担保されていくということですか、済みません。
○副大臣(坂本哲志君) 既にそのことにつきましては担保をされております。
○石橋通宏君 ありがとうございます。
 そこで、これは確認なんですけれども、当然、公務の世界で、国家公務員においても地方公務員においても、今後、募集、採用においても、そしてまた就職後の職場での対応についても、本法で規定されておるような趣旨にのっとって様々に具体的な措置をしていただく、対応していただくということになるわけだと思います。しかし、それには間違いなくいろいろな財政負担が掛かってきます。国の方もそうだと思いますし、とりわけ地方自治体で様々な御努力をいただく分野においては、様々に新たなハード面での措置、そして支援者を含めたソフト面での対応含めて、しっかりやっていただく上では様々な財政措置を講じていただく必要があると思います。
 この財政措置はどうなるんでしょうか。これは、例えば地方の場合、地方自治体頑張れという話になるのか、いや、それは地方自治体で真摯に御努力をいただく、であれば、そこで新たに生じてくる財政的な負担については、これはしっかりと国の方でも応援するよと、今、どういう、具体的な措置というのはないのかもしれませんが、これは具体的な措置が生じてくれば、これはしっかり国の方でも財政的な支援、今後やっていくよということでよろしいかどうか、そこを確認をお願いします。
○副大臣(坂本哲志君) 現在の地方財政措置のうち、障害を持つ職員にも効果が及ぶものといたしまして、現在施行されているものといたしましては、庁舎を始めとした公共施設のバリアフリー化につきまして地域活性化の事業債の対象としておりまして、元利償還金の三〇%を基準財政需要額に算入して交付税措置をしております。それから、手話通訳者等の経費につきまして、国庫補助事業の地方負担分を基準財政需要額に算入しているところでございます。
 総務省といたしましては、今後、厚生労働大臣が定めます指針の内容がどのようなものになるかについて十分に注視をしてまいります。これらの補助事業や地方財政措置を通じて地方公共団体におきまして合理的配慮が適切になされるよう、厚生労働省とも相談をしながらしっかりと対応をしてまいりたいと思っています。
○石橋通宏君 今しっかりと対応をいただくという御答弁をいただきました。
 是非、厚労大臣の方からも、両省連携をしてしっかり具体的な対応、そして財政的な措置も御検討いただいて、まさにこの合理的な配慮の中身が公務の世界でもしっかりと促進をされるように、むしろ公務の世界で民間に対する模範を示していただけるような、そういう取組を政府全体として積極的に推進をしていただきたいというふうに思います。
 済みません、もう一点公務の関係で、紛争解決について確認をさせてください。
 今回の雇用促進法では、その紛争解決について、一番先に自主的な紛争解決というものをある種促進をしていくんだ、職場で一番近いところで当事者が話し合っていただいて、そして紛争解決をしていただくんだ、そのために苦情処理機関を職場に設置をいただくという組立てにしていただいています。これ、私、とっても大事なことだと思います。
 それが、じゃ今度、今お話のあった公務の世界ではどうなるんでしょうか。これ、公務の世界でも同様に、やはり職場で一番近い現場で、まさに当事者の皆さんでしっかりと話し合っていただいていろんな措置を講じていただく、問題があればなるべくそこで処理をいただく、そういう仕組みが必要だと思いますが、これ、公務の世界でも同じようにそういう、まあ苦情処理機関と言うのかどうか分かりませんが、同様のつくりができるような立て方になっているのかどうか、そうするのかどうか、確認をさせてください。
○副大臣(坂本哲志君) 紛争の解決につきましては、一般職非現業の国家公務員の場合、勤務条件に関する行政措置の要求、不利益処分につきましての不服申立て及び苦情相談など、第三者機関としての人事院によります紛争解決の仕組みが現在整備をされているところであります。
 今後、障害者雇用の促進を図る観点から、公務部門における障害者雇用に係る実務担当者連絡会等でも本法案の趣旨について徹底するとともに、各府省とも連携をいたしまして、苦情等を未然に防止するため、総務省として必要な措置をとってまいりたいと思っております。
○石橋通宏君 今の御説明だとなかなか苦情処理機関のようなものとイコールのものではないのかなという気がいたしますが、これ是非そういう職場内で、当事者でしっかりと対応を検討いただく、一義的にそういうことが可能になるような仕組みというのは重要だと思いますので、今後具体的な措置が図れるよう、これ労使含めて御検討をいただければと思いますので、是非そこはよろしくお願いをいたします。ありがとうございます。
 それでは、続きのところにいきたいと思いますが、労働者派遣法との関係について確認をさせていただきたいと思います。
 今回のこの差別禁止、そして合理的配慮義務、これがいわゆる派遣契約の中でどういう法的な対応になってくるのかということです。これ、派遣契約においては、今回のこの差別禁止、合理的配慮義務、これ派遣元、派遣先、どちらに義務が掛かってくるのか、両方に義務が掛かってくるのか、そこのところをまず確認をさせていただければと思います。
○政府参考人(岡崎淳一君) 労働者派遣の場合につきましては、派遣元の方が雇用主でございますので、今回の障害者の関係の法律も派遣元の方に義務付けるという形になっております。
○石橋通宏君 その前に、総務副大臣、もう質問は先ほどので終わりですので、もし、委員長、よろしければ御退席いただいて結構です。
○委員長(武内則男君) 坂本総務副大臣、御退席していただいて結構でございます。ありがとうございました。
○石橋通宏君 今、派遣契約においては派遣元に適用があると。ということは、派遣先は何にもしなくてもいいということ、全く今回の差別禁止、そして合理的配慮義務、適用は免れるというか全くないということなんでしょうか。
○政府参考人(岡崎淳一君) 先生からの御指摘は、多分、派遣先の方がしっかりと合理的配慮等をしないと実際に障害をお持ちの派遣労働者の方が働けないんではないかと、こういう御指摘だろうと思います。
 この点につきましては、雇用主であります派遣元に義務を掛けつつ、元々派遣法のスキームの中で、派遣元事業主は派遣労働者の適正就業を確保するという義務がありますし、派遣先はこれに対応しなきゃいかぬ、そしてそういう考え方の下に派遣元責任者、派遣先責任者が置かれているということでございます。したがって、この派遣法のスキームの中でしっかりと必要な措置を派遣先にとってもらうように派遣元がしっかりと対応していくと。こういう中で、障害をお持ちの派遣労働者の方が働けるようにしっかりと対応していきたいというふうに考えております。
○石橋通宏君 つまり、こういうことですか、派遣先の事業場に派遣元の担当者が行って、そこで合理的な配慮義務が現実的にされているのかどうか、派遣元の責任においてそれを確認をしながら現場で派遣先と実効ある対応を求めるようなことができるという理解ですか。現実的に本当にそんなことができるんですか。
○政府参考人(岡崎淳一君) 派遣契約に基づきまして派遣労働者を派遣する場合、特に障害をお持ちの労働者を派遣する場合には、当然のことながら、派遣元としてその方が働けるような配慮を派遣先に求めるということになると思います。常に派遣先に行かなきゃいかぬということではありませんが、それを派遣労働者は派遣先にも派遣元にも苦情の申立てはできると。そして、派遣先に苦情があった場合には、派遣先の責任者はしっかりと派遣元と協議しなきゃいかぬということにもなっておりますので、そこから先は派遣法のスキームの中でしっかりした対応ができるように対応していきたいというふうに考えております。
○石橋通宏君 そうすると、先ほどもちょっと触れた職場での苦情処理機関の設置、これはあくまで派遣元に設置されるものであって、つまり派遣労働者が派遣先で何らかの問題が生じた場合にはその派遣元に訴える、そして苦情処理機関で検討されるというような組立てになるという理解でよろしいんでしょうか。つまり、派遣先には苦情処理機関はその派遣労働者のためには設置はされないということでよろしいんですね。
○政府参考人(岡崎淳一君) そこは、むしろ派遣元責任者が派遣先の責任者としっかりとした対応をする中で、派遣労働者がお持ちの苦情を派遣先の中でどうやって解決していくか。したがいまして、そこは派遣元の責任者がしっかりした対応をしていただくと。ここのところを派遣会社の方にも我々としてもしっかりと周知して対応させるようにしていきたいというふうに考えております。
○石橋通宏君 済みません、さっきの確認ですが、そうすると、派遣元に苦情処理機関はつくられる、で、苦情処理機関で派遣元の方でしっかりとした議論がされるべきだということ、この法律上、そういう要請になるということでよろしいですか。
○政府参考人(岡崎淳一君) おっしゃるとおりでございます。
○石橋通宏君 例えば、派遣先が派遣労働者を送ってほしいと言った場合に、障害がない方に限定して派遣元に要請を掛けるとか、逆に、派遣元が派遣先からのこれこれこういう人という要請に基づいて、その能力は十二分に満たしているんだけれども何らかの障害のある方を送ります、派遣しますというふうに言った場合に、派遣先がそれを拒否するような場合、これは全て違法であるという理解でよろしいですか。
○政府参考人(岡崎淳一君) 義務自体は派遣元に掛かっておりますので、派遣先がこの障害者の雇用促進法の違反という形に直接的にはなりませんが、ただ、派遣契約につきましては、基本的に必要な、どういう能力、どういうことができるかということでやっておりますので、それとかかわりのないような理由で拒否するということにつきましては本来の派遣契約の仕組みの中ではあってはならないことだというふうに思っていますし、仮にそういうことになった場合には、第一段階としては派遣元でしっかりとした対応をしていただくというのが原則でありますが、なおその形でうまくいかない場合には、この法律に基づくということとは別として、私ども障害者雇用一般を促進をしていく立場におきまして、一般的な周知啓発活動についてはそこは対応していきたいというふうに考えております。
○石橋通宏君 済みません、こだわりますけれども、ちょっとそこがはっきりしないのは、今回、募集、採用における差別は禁止されるわけです、法律事項として。つまり、派遣先が、これ募集、採用というか、派遣元に対して募集、採用の要請を掛けるわけです。つまり、その時点で差別は禁止されるわけです。そうじゃないですか。とすると、先ほどから、岡崎さん、派遣元に元にという、責任があると言っているけれども、派遣先の採用において、募集、採用において、つまり先ほど私が例示で言った派遣元に対して障害ある方は駄目だよと言うようなことは、これは明らかに差別の禁止に違反するのではないかと思いますが、それは適用されないということですか、今回、派遣契約においては。
○政府参考人(岡崎淳一君) 派遣労働者の募集、採用は、あくまで雇用主であるその労働契約の契約対象者であります派遣会社、派遣元の方になります。むしろ、労働者派遣法の中では派遣先が労働者を特定する行為をむしろ禁止しているわけでありますので、そこのところは、派遣先が派遣元の採用行為に口を出すということは、派遣法の考え方からしても基本的にあってはならないことだろうというふうに考えております。
○石橋通宏君 今の御説明でいくと、派遣先というのは労働者を特定する行為はしてはいけないということなので、障害のあるなしということを条件に付してはいけないということで、現行上もそれは禁止をされているという理解だということですね。うなずいておられる。じゃ、ちょっと済みません、そこ、確認お願いします。
○政府参考人(岡崎淳一君) 派遣法の考え方の中では、おっしゃるように、基本的に派遣契約の中でどういうことができる労働者かということで契約するわけですから、その基本的な考え方にのっとって対応していただきたいというふうに考えております。
○石橋通宏君 つまり、現行の派遣法上も労働者は特定できないし、基本的には派遣元からこういう方でと来た場合にはそれは合理的な理由なしに拒否できないということなので、障害あるなしで差別することはできないように現行も対応しているという理解でいいかと思います。
 そういうことなんだと思うんですけれども、今回の法律の趣旨を考えれば、このやっぱり派遣契約において、この差別禁止、合理的配慮義務、もう少しきちんと、ちゃんとやられるべきだと、運用もしていくんだという、そこは分かるんですが、しかし、何らかの取決め上の具体的な、明らかなものが、明文化されたものがないと、なかなかそうはいっても現実的には運用されていかないと思いますけれども、これ、何か厚労省として具体的な措置は検討されていかないんでしょうか。
○政府参考人(岡崎淳一君) その点につきましては、基本的には派遣元事業主を通じてということにはなるわけでありますが、そこのところがしっかりと対応できるように、業務取扱要領等を含めて、今御指摘もありましたので、何らかの対応を考えていきたいというふうに考えます。
○石橋通宏君 業務取扱要領の改正を含めて具体的な検討をいただけるということでしたので、是非、派遣労働においても今回の趣旨がしっかりと現実的に実効的にやられるように対応をお願いをしたいと思います。
 続いて、ちょっと条文上は戻るんですが、今回の改正で、ふと、十条の一項が削除されている、全面的に削除されているということに気付いたわけですが、これハローワークに関するところですけれども、今回の法案の趣旨に鑑みれば、これむしろ、十条一項を削除するのではなくて、明文的にハローワークは本法の趣旨に反する求人は受け付けてはならないという禁止規定にしてしまった方が分かりやすいのではないかと思うんですが、なぜこれ十条一項を削除してしまったのか、そこの説明をお願いします。
○政府参考人(小川誠君) 現行法の十条第一項は、障害者について不当な差別的取扱いを行う求人に対して職業紹介を行うことが適当でないために、ハローワークは、正当な理由なく、身体又は精神に一定の障害がないことを条件とする求人の申込みを受理しないことができるという規定でございます。
 今回の改正によって第三十四条が新設されました。それで、事業主は労働者の募集、採用について、障害者に対しては均等な機会を与えなければならないということでございますので、これを違反する求人の申込みというのは要するに法律違反の求人でございますから、職業安定法五条の五に基づきまして受理しないことができるとなりますので、今回その十条一項を削除するということでございます。
○石橋通宏君 分かりました。法的にはきちんと担保されているのでという御説明だったと思いますので、ここはハローワークでもしっかりと対応いただきたいというふうに思います。
 続いて、特例子会社等の関係についてお伺いをします。
 皆さんもう御承知のとおり、現行雇用率の制度の下において特例子会社制度等ありまして運用されているわけですが、今回の差別禁止と合理的配慮義務というのが、この特例子会社制度を採用している親会社、グループ企業、これに対する適用がどうなるのかと。若干ここに混乱があるようなんですが、今回、趣旨としては全ての事業主にこれ適用されるんだという理解だと思います。そうすると、特例子会社制度を持っていても、これは関係なく全ての事業主に適用されるのではないかと思ったりもするわけですが、ここ、政府、しっかりと見解をお願いします。
○政府参考人(小川誠君) 御指摘のとおり、本法案に基づく差別の禁止とか合理的配慮の提供義務は全ての事業主に対して適用されます。したがいまして、特例子会社を活用している親会社等につきましても、他の事業主と同様に対象となります。
○石橋通宏君 つまり、全て対象になると、親会社も、そしてグループ会社も、特例子会社そのものでないほかの企業も対象になるんだということだったと思いますので、ここは若干誤解があるかもしれませんので、しっかりとその周知徹底を図っていただきたいというふうに思います。
 続いて、精神障害者の雇用義務化のいわゆる経過措置について確認をさせていただきたいと思います。
 今回の改正で、精神障害者の方々も雇用義務の対象ということで法律上位置付けられたわけですが、しかし、附則の四条で、この精神障害者の方々も含めた障害者雇用率、基準雇用率、これは今後、施行日から五年までの間に、これは規定上、対象障害者の雇用の状況その他の事情を勘案して定めることというふうに附則に規定をされています。
 これが具体的に何を意味するのかということを確認をさせていただきたいわけですが、これ、精神障害者の雇用義務化に関する激変緩和措置のような扱いなのかなというふうに思うわけですが、五年後までの間にこれは具体的に何を勘案して何を決めるというふうに読めばいいんでしょうか、是非説明をお願いします。
○政府参考人(小川誠君) この平成三十年の四月の見直しの際に勘案すべき事情としてこの雇用の状況その他の諸事情でございますけれども、具体的には、企業の障害者の雇用状況、その時点においてどれぐらい障害者が雇用されているか、また、障害者雇用に関する行政の支援状況等、どれくらい行政がサポートしているのかということなどを想定しております。
○石橋通宏君 ちょっと分かりにくいんですけれども、そのときに確認することですね、今回新たに精神障害者を雇用義務の対象としましたと、施行後五年の間にその辺の状況を見て雇用率を改めて検討しますよということなんですが、じゃ、例えば、今現在の身体・知的障害者のみに考えた場合、今回四月から雇用率が上がったわけです。五年後の見直しがこれはもちろんあるわけですね。とすると、一旦精神障害者の方をちょっとおいておいて、身体・知的障害者、現在の二%、対象になっている身体・知的障害者の方の法定雇用率というのも、今後の動向を見て五年後、つまり、ここの部分だけ取っても、今後状況においては二%が二・二%になる、これまでの経過でいけば、だんだんだんだん雇用率を増やしてきていただいた、前進させてきていただいた、当然五年後の見直しにおいても、身体障害者のみを考えたとしても、二%からプラスの方向に行く可能性が十分にこれはあるわけです。
 とすると、今お話があった精神障害者の皆さんの義務化によるところは、これはあくまでそこの更に上積みの部分、つまり身体・知的障害者のみを考慮しても二%から恐らく二・一、二・二という前進があるだろう、そして、更に今回精神障害の方々を義務化することによって、そこから更なるプラスアルファをどのぐらいの幅にするのかということをそのときに検討するんだと、そういう整理でいいかどうかを確認させてください。
○国務大臣(田村憲久君) 法定雇用率は、公労使、それから障害者の方々御本人に入っていただく四者構成で労政審で御議論いただいてこれは決めてくるわけでありますけれども、今お話があったとおり、それぞれ障害者の雇用状況でありますとか行政の支援の状況という、非常に分かりづらいというお話がございましたけど、そういうことを勘案して決めるわけですね。
 今回、激変緩和措置を講ずるというのは、精神障害者の方々の実はこの法定雇用率というもの、これを算定基礎に入れるということによってこれ上がるわけですね、上がるわけです。上がるのが激変緩和というものを一定程度入れなきゃならないという議論でございますので、あくまでもこれは精神障害者の方々を算定基礎に加える部分において、本来上げなきゃいけないものに対してその幅の中で激変緩和措置を講じようというものでございますから、身体障害者の皆様方でありますとか知的障害者の皆様方でありますとか、もう既に母数に入っている方々に関してはそれは激変緩和が掛かるものではございませんので、あくまでも精神障害者の皆様方の雇用という部分に着目をしておるというふうに御理解をいただければ有り難いというふうに思います。
○石橋通宏君 大臣から今答弁をいただきましたので、そこのところはクリアになったのではないかというふうに思います。
 それでは、続きまして、先ほどもちょっと触れたんですけれども、紛争解決手段、手続についてもう少し補足的に確認をさせていただきたいと思います。
 今回、紛争解決については、先ほど言いましたように、なるべく自主的な紛争解決を促進をするんだということで、まずは職場に苦情処理機関を置いていただいて、そこで当事者の方々含めてしっかりと議論をいただくという対応、作りにしていただいております。
 しかし、この点について、募集と採用の段階でこの苦情処理機関の対象というところから外れています。募集と採用がその対象になっていないというのが法律上の規定です。さらに、その後、調停という手段もあるわけですが、この調停というところも募集と採用については対象から外されています、法律上。これ、なぜ募集と採用を外すのか。
 先ほど私議論しましたとおり、入口のところです。入口のところで様々に恐らく課題が出てくると思うんです。その入口のところで出てくる様々な課題について、いや、職場における自主的な紛争解決の促進からも外されていて、そしてまた調停の対象からも外されていて、これをそのまま読むと、唯一可能なのがあっせん等々、労働局長によるいわゆる助言、指導、勧告のみという形になっています。
 これ、何でこういう作りにするんですか。まさに一番大事な、一番大事な募集、採用の入口のところにおいて、本来もっときちんと苦情処理というか、様々な紛争解決の対応が手段として講じられるべきではないのかというふうに思うんです。なぜ外してしまうのか、その点についてしっかりとした説明をお願いします。
○政府参考人(小川誠君) 募集、採用についてでございますけれども、募集、採用はそもそも労働契約締結以前の問題でございますので、その企業の従業員ではないと。そういう中で、企業内の自主的解決になじむものではないということでございますので、企業内の苦情処理からまず外しているという点でございます。
 それから、調停についてでございますけれども、そもそも契約関係がないということに加えまして、採用につきましては、企業の人員配置上の観点から、では両当事者が納得するような調停がなされるかどうかというのが非常に難しいということがございますので、調停制度になじまないのではないかということで、他の労働法令の取扱いと同様に、募集、採用につきましては調停の対象から除外しております。
○石橋通宏君 技術的な説明はそれで分かります。
 ただ、現実的に、繰り返しておりますが、法の精神、今回の改正法の趣旨、精神にのっとれば、やはり入口の募集、採用のところでより積極的な前進が図られること、これをどう担保するのかということが大事だと思います。
 そこで、例えば今、苦情処理については、企業の従業員ではないので苦情処理の対象にはしないという話をしました。でも、募集、採用というのは企業のまさに従業員を選ぶための、自分たちの仲間を選ぶための非常に大切なプロセスでもありますし、そこの、先ほど言いましたように、入口のところで大きな壁が残ったままになっていては、まさにそこで障害ある方が障害ない方々と同じような権利を享受することができないわけです。
 であれば、より積極的な意味で、まあ法律事項としてそれをやるのは厳しいでしょう。ただ、それで止まってしまうのではなくて、むしろやっぱり職場で、いかに募集とか採用の段階で、採用方法の在り方とか募集の在り方とか、そこで職場の労使が一緒になって改善策を協議するとか、具体的、積極的な措置をとるとか、そういうものを促進するような方法があってもいいのではないかと思うんですが、そこは、じゃ法律事項にはしないけれども何らかの促進的な働きかけを厚労省としてはやっていくということで思いがあるかどうか、これ、大臣、どうですか。
○国務大臣(田村憲久君) なぜ制度に乗らないかというのは、今委員も御理解を、まあいただけないのかも分かりませんが、制度上仕方がないのかなというような、そういう御理解だったのかなというふうに思います。
 労働契約がないという中においてどこまでやれるかということが大変大きな問題でもあるんですが、一方で、法の趣旨というのは、今おっしゃられましたとおり、募集、採用に関しましても差別がないようにということでございます。そのような意味からいたしますれば、それぞれの職場で労使がやはりしっかりと話し合う中で自主的に、募集、採用に関してもこういう方向で進めていこうじゃないかというようなことを、その法の趣旨というものは我々も周知をしていかなければならないというふうに思っておりますので、自主的にそのような形で進めていただけるように、これから我々としてもお願いをしてまいりたいというふうに思っております。
○石橋通宏君 ありがとうございます。是非、一緒に、この法の趣旨にのっとって、そういう現場で実効性ある環境をつくっていくためにみんなで努力をしていくんだということを促進をいただければというふうに思いますので、是非よろしくお願いをいたします。
 そこで、いっぱい時間があると思っていたら時間がなくなってきましたので、あと雇用促進法については二点だけこれ確認をさせていただきたいと思いますが、一つは福祉的就労の現場への適用がどうなるのかということです。
 福祉的就労の現場については、これまでも労働者性の問題ですとか労働法規の適用問題ですとか様々に問題が現にあるわけですけれども、今回、まさに差別禁止、そして合理的配慮義務、福祉的就労の現場については、ほぼ障害のある方々を念頭に置かれた就労の場ですので、様々なもう配慮が行われているんであろうということはそれはそれであるわけですが、しかし一方で、やはり法の精神に鑑みれば、そういう現場でも労働者性が認められるような雇用については、これはやっぱりしっかりと法の適用が及ぶべきだというふうに思いますが、そういう理解でよろしいのか、確認をお願いします。
○国務大臣(田村憲久君) 今もう委員のおっしゃられましたとおり、当然、福祉的就労に関しましては、福祉の部分がございますから、合理的な配慮というか、もうそもそも福祉的対応というものがなされておられるわけでありますから、十分に障害者の方々が労働をされる環境は整っているとは思いますが、しかし、この法の精神という意味からいえば、当然、福祉的就労であったとしても、その労働性というものが認められればこの法の精神がそのまま適用されるわけでございますので、合理的配慮義務も含めてそこは当然適用になってくるということでございます。
○石橋通宏君 今確認をいただきましたので、理解をさせていただきました。
 最後に、これは施行日ですが、三年先の施行日ということで設定をされています。では、この三年間、具体的に何をしていくのか。三年間何もしなくてもいいということでは当然なく、様々な取組、営みが必要だからこそ三年後の施行ということにされているんだと思いますが、これ具体的に三年間どういう対応をし、そしてしっかりとした施行につなげていくということになるのか、そこのところの確認をお願いいたします。
○副大臣(桝屋敬悟君) 委員から施行日に関するお尋ねをいただきました。
 二十八年四月一日と、こういうことでございますが、法案成立後何をするのかと、こういうお尋ねでございますが、まずは指針作成に向けて労働政策審議会における議論を重ねる必要があるというふうに思っております。加えまして、合理的配慮の具体的な内容等について事業主に対して十分な周知を図る、その時間を確保する必要があるというふうに考えてございまして、先ほどから委員が様々な具体的な問題を御提起いただきましたが、そうしたことも含めまして十分な周知をしなきゃならぬと思っておりまして、そうした観点から二十八年四月一日施行としているところでございます。
○石橋通宏君 しっかりとこの期間に指針の策定、そして周知徹底を含めて準備をいただいて、この法の精神、三年後の施行時にしっかりと実現されるように今後対応いただければと思いますので、どうかよろしくお願いをいたします。
 以上、雇用促進法に関連をいたしまして質疑をさせていただきました。
 残りの時間を使わせていただいて、足立委員に続きまして、精神保健及び精神障害者福祉法の改正案について、かなり足立委員の質疑を通じて問題点、懸念点、政府の答弁もいただいたわけですけれども、何点か補足的に確認をさせていただきたい点がありますので、よろしくお願いをします。
 まず、私自身、一つ確認が、強制入院制度の在り方についてです。
 強制入院制度、そもそも、これはやっぱり人権保護という観点、これは非常に大事だと思います。人権保護の観点からいっても、この強制入院というものは、これは措置入院にしても医療保護入院にしても、これはやっぱり本当にごくごく限定的、必要最低限、本当に真に必要な場合、それが疑いない場合に限定されて運用されるべきだというふうに思うわけです。
 患者さんの医療を受ける権利をそれによってしか保障できない場合、そういうような判断をしっかりと、お医者さん、できればお医者さんだけではなく、当事者、そして患者さん御本人、また第三者の方々、そういった方々を含めて判断されるべきだというふうに思うわけですが、まずこの強制入院の在り方について、これは、今私が申し上げたように、本当に人権保護の観点からいってもごくごく限定的な運用であるべきなんだと、そうしなければいけないんだということは、政府としてももちろんその思いは共有であって、それも今回の改正法の中に趣旨としては入ってくるんだという理解でよろしいでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) この医療保護入院、措置入院もそうなんでしょうけれども、今回、この医療保護入院でありますけれども、大きく入院の手続等々が変わってくるわけでありまして、その心はもうまさに今委員おっしゃられたとおりでございます。
 本来は御本人の意思で治療していただくのが一番であるわけでありますが、その障害の特性上、御本人がどうしても病気をお持ちだという御認識がない中において、医療を受けないという状況が起こるわけであります。そのような意味からしたら必要な医療を受けていただいた方がいいわけでありますし、保護的な意味合いもあるわけでございますが、そこで本人の人権との絡みが出てくるわけでありまして、もちろん、その病状というものは指定医の先生に診ていただいて入院が必要かどうか、保護入院が必要かどうかということをお決めをいただくわけでありますが、そこだけですとやはりなかなか、御本人は意思が伝わらないにしましても、一人だけで決めるというのはなかなかやはり問題もあるであろうというような中において、家族の方々の同意というものを今回入れさせていただいて、そこはある程度、人権というものに対してある程度のチェックの目というものを入れさせていただくということになるわけでありますが、ただ、そうはいっても、御本人にとってみれば求めない入院であることは間違いないわけでございまして、その後、やはりいかに早く退院をいただくかということが重要になってくるわけでございます。
 そこで、これは、医療機関の管理者に早期の退院というものをしっかりと進めなきゃいけないというようなそういう義務を課しておるわけでございまして、必要な医療でありますから、ある程度そこは保護入院という形で入っていただきますけれども、その後出やすい環境というものを早く整えた上で、病状を安定させて、安定をしていただきながら退院につなげていくというような、そのような趣旨で今回の法改正をさせていただくということでございます。
○石橋通宏君 今大臣から幾つか重要なポイントも答弁の中であったわけですけれども、人権擁護の観点からも、その指定医一人だけではなく、家族のというお話もありました。しかし、その家族等に合意を求めることの問題点は先ほど足立委員も御指摘をされたとおりでありますが、これはむしろ、人権擁護の観点からいくのであれば、この問題の多い、そして御家族の方々にも負担の多い家族の同意を求めるのではなくて、例えば、今ある審査会のところの対応を含めて第三者がこの医療保護入院の入院の可否についてきちんと審査をして、人権を制限する、制約する、それでも本人の医療を受ける権利を保障するためにこれは必要であるということを判断をさせるような仕組みをむしろ決めるべきであって、それをせずに、今回、保護制度はなくなりましたけれども、しかし、結局はほぼ同じような重さ、責任の重さを家族等の同意を残すことによって持たせてしまった。これは明らかに方向が違うのではないかというのが私どもの共通した問題意識なんです。
 なぜ、患者さんの権利をしっかり考えられるのであれば、むしろ第三者の確認、審査を厳格化するようなそういう方向に行かなかったのか、そこを説明いただけないでしょうか。
○副大臣(桝屋敬悟君) 今委員から、精神科医療、特に入院についてのお話で、中立的な第三者がしっかり判断をするという体制にどうして行かないのかと、こういうお尋ねでございます。
 今日ずっと議論出ておりますが、医療保護入院につきましては、精神科病院の管理者は十日以内にその患者の入院届を都道府県知事等に提出をいたしまして、中立的な第三者機関として精神医療審査会が審査を行っているわけであります。退院等についても、精神科病院の管理者が年に一回提出する定期病状報告、あるいは患者本人からの退院請求についても精神医療審査会が審査を行っていると、こういう状況でありますが、今回の法改正では、この精神医療審査会、この中に精神障害者の保健あるいは福祉に関して学識経験を有する者を明示的に規定をすることによりまして精神障害者の保護や福祉の観点からも入院の必要性について判断をするということにしているわけでございます。
 医療保護入院について、精神保健指定医二名で判断をすると、それだけでもいいではないかというふうな議論もありますけれども、検討チームにおいてもそんな検討もあったようでございますが、ここはやはり入院のアクセス、医療へのアクセスということを考えますときにこういう改正案になったと、こういうことでございまして、御理解いただきたいと思います。
○石橋通宏君 なかなか理解できないわけですが。
 といいますのも、今副大臣から、審査会があってそこで審査をするようになっていると。今日資料で出しておけばよかったんですが、私も、改めて、じゃ審査会の体制ってどうなっているのかなと。現在、都道府県と政令市に設置をされておりますが、その審査会の下に合議体というのがあって、基本的には合議体で様々に、今副大臣が言われたような入院時の審査とか定期的な審査とか行われていると。
 数、計算してみたんです、合議体の数。各都道府県別に設置をされている合議体の数と年間どれだけのその審査の要請があるのかということで、医療保護入院届出件数、それから定期報告、これを各合議体別に割り算して都道府県別に出してみたら、これはとんでもない数ですよ、とんでもない数です。例えば、北海道、一番多いのはこれは神奈川県か、一合議体当たり医療保護入院の審査は三千二百二十六件です。三千二百二十六件ですよ。これ、一合議体当たりですよ。一合議体が毎日二十四時間三百六十五日働かれるのかどうか分かりませんが、それで計算してもとんでもない数です。それだけじゃない。定期報告もある、退院申請に対する審査もある。これ、どれだけの審査を合議体、とてもじゃないですけれども、実効性ある審査が行われるとは私は思えません。
 今副大臣、この審査会があるからという話されましたが、現行では残念ながらこの第三者による審査というのは私は実効性ある形にはなっていないと思います、残念ながら。人数、今回増やしていただいたところありますけれども、それでは全然足らないという状況だと思います。
 なので、これは三年後の見直しのところで、先ほど足立委員から三年後の見直しについて、既にこれ附則で規定をされています。その中で、今日問題になりましたいわゆる家族等の同意の在り方、これは本当にもう廃止すべきだということで、しかし今回はなかなか人権擁護の観点等々で間に合わなかった。そしてまた、代弁者の制度についても、それは必要だと先ほど答弁もありました。でも、今回なかなか細かいところも必要なので間に合わなかったと。こういうことも含めて、三年後の見直しに向けて、足立委員から御指摘もありました。既にもう、今回成立したらすぐいろんな議論を始めていただいて、三年後、その議論のときにはきちんと適切な対応がしていただけるようにやっていただけると。つまり、三年後の見直しのところでは、家族等の同意要件の廃止を念頭に、代弁者制度の導入、具体的な導入も含めて、これは三年後の見直しの検討に入ってくる。
 そして、あわせて、今私が指摘をさせていただいたこの審査会の、本当の実効性ある第三者機関として、より独立性と、あと合議体、もうこんなんじゃ全然機能できませんよ、大臣。なので、その数を増やしていただく、しっかり専門性あるサポートスタッフも含めて対応いただく、予算措置もする、こういうことも含めて、御本人方、患者さんの人権擁護を真に実現する観点で三年後のこの見直しという附則の中に盛り込んでいただく、そういうことでよろしいでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) 今委員がおっしゃったこと全て入るかどうかというのはなかなかこれからの議論、検討の中次第だと思いますけれども、その心は、なるべくやはり障害をお持ちの方の意思というものがある程度反映される中でどのような医療行為を受けていくか、そしてまたどのような形で退院をしていくかということでございますから、そのような観点から今後検討させていただいて適切な対応をさせていただきたいというふうに思っております。
○石橋通宏君 具体的な方向性については検討の中でということですが、少なくとも今指摘をしたような論点は検討に含めていただけるということだと思いますが、そこはよろしいですね。
○国務大臣(田村憲久君) 貴重な御意見でございますので、検討の参考にさせていただきたいというふうに思います。
○石橋通宏君 参考じゃ駄目ですね。検討の項目の中に入っているということで、検討の項目ですから、論点ですから、そこのところには入れ込んでいくという、そこは確認ください。
○国務大臣(田村憲久君) まだこれ検討会すぐに立ち上がるわけじゃなくて、施行と同時に状況を見ながらという話でございますから、検討の項目自体まだ決めているわけではございません。ですから、今日いただいた意見をその検討の参考の中に入れさせていただきたいということでございますので、御理解をいただければ有り難いというふうに思います。
○石橋通宏君 参考にしながらも入れ込んでいただけるということだと思いますので、そういうふうに受け止めさせていただきたいというふうに思います。
 あと時間が数分ですので、一つ、これ費用負担の在り方についてちょっと確認をいただきたいわけですが、現在、医療保護入院に係る費用というのは、これ患者さん御本人若しくはその御家族が負担義務を負っているというふうに理解をしております。しかし、強制入院という制度、いわゆる御本人の意思が介在しない強制入院制度だという前提の下で考えれば、これを患者さん御本人若しくは御家族の負担にしているという現行制度、これはかなり問題が多い。ここは、強制入院という制度であるからには、これはやはり公費負担でこの費用は見るべきだというふうに思うわけですが、ちょっとこの点について問題だと思っていらっしゃるのかどうか。これ今後、今申し上げた三年後の見直し、ここのところも含めていただいて御検討いただきたいと思うわけですが、そこのところ、答弁お願いします。
○政府参考人(岡田太造君) 強制入院のうち措置入院の費用につきましては、基本的には本人又はその扶養義務者が費用を負担できると認めたときを除いて、都道府県が四分の一、国が三分の四を負担する仕組みになっているところでございます。
 しかし、医療保護入院につきましては、これは行政処分で行う入院ではなく当事者間の契約に基づく入院であるということから、その費用は一般の入院と同様に医療保険及び本人負担によって支払われるという扱いになっているところでございます。(発言する者あり)
○石橋通宏君 今、大丈夫ですか、答弁。
○政府参考人(岡田太造君) 済みません、ちょっと訂正させていただきます。
 措置入院の費用は、都道府県が四分の一、国が四分の三を負担する仕組みになっているところでございます。
○委員長(武内則男君) 質疑時間を切っておりますので、お願いします。
○石橋通宏君 はい。
 今、医療保護入院については一般の入院、でもそれはおかしいですよ、一般の入院と同じじゃないんですから。これはやっぱり区分でいけば強制入院なんです。であれば、やはりそこも、医療保護入院についても費用の負担の在り方というのはやはり公費で負担すべきだと思いますし、これ是非今後の検討の中に加えていただきたいということも要請をさせていただきまして、質問を終わりにさせていただきます。
 ありがとうございました。
○委員長(武内則男君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時三十六分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十分開会
○委員長(武内則男君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
 この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、長谷川岳君、石井みどり君及び牧山ひろえ君が委員を辞任され、その補欠として石井浩郎君、熊谷大君及び山根隆治君が選任されました。
    ─────────────
○委員長(武内則男君) 休憩前に引き続き、障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○田村智子君 発言の順番に御配慮をいただきましてありがとうございます。感謝申し上げます。日本共産党の田村智子です。
 この障害者の雇用の促進等に関する法律、そして精神保健及び精神障害者福祉に関する法律、この二つの法律は内容が大変異なるものです。前者は、障害があっても差別されることなく働ける社会を目指すもので、障害者の権利行使を支援するもの、一方、後者は、精神障害者の方の意に反する入院にかかわることを定めるもので、当事者の権利制限という内容を含んでいるわけです。これらを一緒に審議するというやり方は問題が大きいというふうに私は思っておりまして、それぞれの法案について十分な審議時間が保障されるよう、まず冒頭求めて質問に入りたいと思います。
 まず、障害者雇用促進法の一部改正法案についてお聞きをいたします。
 今回、精神障害者を法定雇用率に含めることを義務化するという、こういう改定が行われますが、これは長年にわたる当事者とその家族の方々からの要望にこたえる改正だと思います。ところが、この施行が五年後の二〇一八年四月一日、さらに、五年間雇用率算定を低く抑えることを可能とする猶予期間が設けられています。知的障害を法定雇用率に含める義務化を行ったときは、法改正の翌年に施行をして義務化をして、猶予期間も一年半というふうにしていました。これと比べても精神障害者の雇用義務化の実施が余りに先送りされていると思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) 今回の法定雇用率でありますが、五年に一度これ法定雇用率は見直すと、基本的にはそうなっておるわけでありまして、これ、この四月に見直しになったわけであります。そういう意味からいたしますと、次回は平成三十年四月ということになるわけでございまして、五年ごとが原則ということから考えますと、当然五年後になるわけであります。
 もう一つ、今回も実はこの法定雇用率引上げということになりました。一・八%から二%へと見直しになったわけでございまして、これは大変重要なことであるわけでありますが、過去を見ますと、なかなか二回連続引上げというふうなことはなかったわけであります。
 ちなみに、今言われた知的障害者の方々の雇用の義務化でありますけれども、このときの引上げは十年ぶりであったということを考えましても、二回連続引上げというものはなかなか企業側からとってみれば大変だということもあろうということでございまして、激変緩和措置を講ずることも可能であるというような形にさせていただいたわけでございまして、あとは諸般の状況を見ながら判断をさせていただくということになろうと思います。
○田村智子君 精神障害者に対する雇用率制度の適用は既に八年前の改正で行われていて、法定雇用率をクリアしているかどうかと、これ見るときの実数には既に精神障害者の方も含まれているわけです。実際、この改定が行われた翌年、ハローワークにおける就職件数を見ると一千八百九十件、これが二〇一一年度には二万三千八百六十一件と、やはり十二・六倍にまで増加をしています。
 先ほど法定雇用率の見直しは五年ごとという御説明だったんですけれども、これ法律で定めているというわけではないわけですから、ならば、私は義務化はもう来年度施行する、そして激変緩和措置を五年掛けて行っていくというようなこともこれ無理難題ではないんじゃないかというふうに考えていますので、このことは指摘をしておきたいというふうに思います。
 この精神障害者を義務化するということにかかわってもう一点お聞きをしたいんですが、精神障害者の方を雇用率に義務付けると。そうすると、事業主が雇用率を達成するために、例えばうつ病で治療を受けている労働者に対して障害者手帳を取りなさいということを直接的であれ間接的であれ暗に求めて、カウントするためにと、こういうような対応があってはならないと思うんですけれども、確認したいと思います。
○政府参考人(小川誠君) 精神障害者の雇用率算定に当たりまして、手帳の取得が強要されないようにするということは重要であると考えております。
 そのため、厚生労働省では、先ほども委員から御指摘がありましたように、十八年四月から精神障害者が実雇用率の算定に入ったということでございますが、その前に、特に在職している精神障害者の把握、確認の際に障害者本人の意に反した制度の適用が行われないように、プライバシーなどに配慮した障害者の把握・確認ガイドラインというのを定めまして、事業主の指導に取り組んでいるところでございます。引き続き、制度の適切な運用に努めてまいります。
○田村智子君 これは権利侵害が行われないように、しっかりと実施していただきたいと思います。
 次に、差別の禁止についてお聞きをいたします。
 法案では、雇用にかかわって、障害を理由とした差別的取扱いを禁止するという条項が新たに加えられました。そして、この条文では、募集、採用、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇についての差別的取扱いを禁止というふうにされています。ここで例示をされていない解雇、雇い止めも含まれるのかどうか、これも確認したいと思います。
○政府参考人(小川誠君) 解雇、雇い止めも含めまして、雇用に係る全ての事項が不当な差別取扱いの禁止の対象でございます。
○田村智子君 大切な御答弁だったと思います。
 法案では、この差別的取扱いの禁止を実効あるものとするために、事業主に対して障害の特性に配慮した合理的な措置を講じなければならないと定めていますが、同時に、この合理的な措置については、事業主に過重な負担を及ぼすこととなるときは、この限りではないという例外規定を置いています。
 午前中の質疑でもありましたけれども、この過重な負担がどのような場合が考えられて、大臣が定める合理的な配慮についての指針の中でこれちゃんと示されるのかどうか、もう一度確認をしておきたいと思います。
○政府参考人(小川誠君) 過重な負担につきましては、企業規模、また企業の置かれている財政状況等が考慮要素になると考えておりますけれども、この考え方につきましては、公労使、障害者団体の四者構成であります労政審の場で議論した上で策定する合理的配慮の指針においてお示しをしたいと考えております。
○田村智子君 これは経営状況を全く無視しろとは言わないんですけれども、障害者の差別禁止というのは、本来経済状況に左右されることなく保障されていかなければならない基本的な権利ということになっていくと思うんです。
 そうなると、すぐに障害者の方が求めるような対応、一〇〇%はできないと、だけれども、使用者の方と障害者が話し合って何らかの形で前に進んでいくような方向が必要だと思うんです。例えば、うつ病を発症された方が是非短時間勤務にしてほしいんだというふうに申し出ても、うちにはそういう余裕はないと、話合いも行われず、経営上の過重な負担を理由にゼロ回答と、こういうことのないように、やはり事業主への周知や努力を促すということは非常に大切になってくると思いますが、いかがでしょうか。
○副大臣(桝屋敬悟君) 今話が出ております合理的配慮、個々の障害者の障害の状況や職場の状況等に応じて適切な措置を講じるべきものであるため、当事者間で、今委員がおっしゃったように、相談しながら決めることが極めて重要だと思っております。事業主が合理的配慮の内容を一方的に決めるのではなくて、障害者の意向を十分に尊重しなければならない旨を規定しておりまして、障害者と事業主の話合いにより、過重な負担とならない範囲で合理的配慮が適用されることになるものと考えております。
 なお、合理的配慮の内容につきましては、公労使障の四者構成である労働政策審議会において議論をした上で、その具体例等を示した指針を作成してまいりたいと思っております。
○田村智子君 この使用者が行うべき措置についてもう一点お聞きをしたいんですけど、これ、事業主が直接障害者に対して何かということだけでなく、職場の同僚や上司などによる差別的な言動が行われないようにと、こういうことも事業主が講ずべき措置として重要な内容だと思いますけれども、これも、どうぞ。
○副大臣(桝屋敬悟君) 全く委員の御指摘のとおりでありまして、障害者の雇用の促進に当たっては、事業主や職場で働く上司や、今同僚とおっしゃいましたけれども、そうした方々の障害に対する理解を深めることが必要だと考えております。
 このために、事業主等を対象に障害者の職場実習の受入れを促すことで事業主と他の従業員が実際に障害者とともに働くことについての理解を促すということのほか、ハローワークで事業主指導等を行う際に障害者雇用の先進企業の事例等を同時に提供することで、障害者が有効に働くことができるよう促す等の取組を行っているところであります。
 引き続き、こうした取組を続けることによりまして、障害者が働くことについて事業主や職場の理解を深めてまいりたいと考えております。
○田村智子君 次に、この法律による障害の範囲のことについてお聞きをしたいと思います。
 難病、慢性疾患の患者の皆さんは、障害者基本法によって障害者の範囲に含まれることになりました。今回の法案では、障害者雇用促進法が施策の対象とする第二条一項に定義する障害者に「その他の心身の機能の障害」という文言を加えています。これは、障害者基本法の定義に合わせたものだというふうに理解をしております。この障害者と定める範囲は、差別の禁止等を定めた第二章の二の対象を限定する重要な規定となるので、これはちょっと正確に確認をしたいと思います。
 障害者基本法の質疑では、障害者の範囲に難病など幅広い障害が含まれること、その際、継続的、固定的な障害だけでなく、断続的、周期的に状態が変化して日常生活、社会生活に制限を受ける場合も対象であるというふうに明確に答弁をいただいています。
 今回の障害者雇用促進法における障害者の範囲も同じ理解でいいかどうか、お答えください。
○政府参考人(小川誠君) 難病患者の方につきましても、障害者手帳を所持しているかどうかにかかわらず、難病に起因する障害によって職業生活上相当の制限を受けている場合には差別禁止等の規定の対象になります。
○田村智子君 ここ、済みません、断続的、周期的ということが入ってくるかどうかというのは難病患者の皆さんにとって大変重要なところなので、そこについても御答弁ください。
○政府参考人(小川誠君) ですから、そういった断続的な、周期的な障害によりまして職業生活上相当な制限を受ける場合には対象となります。
○田村智子君 対象になるということで確認ができました。
 実雇用率の算定には現在も雇用義務がない身体障害者を加えて算定していますけれども、精神障害の方加えていますけれども、身体障害者に難病を加えたと。そうすると、この難病、慢性疾患の方々も雇用率算定に加えていくということが必要だと思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。
○政府参考人(小川誠君) 雇用の義務制度につきましては、雇用の場を確保することが困難な方に対して、社会連帯の理念の下で企業に対して雇用義務を課すというものでございます。したがって、企業側が社会的責任を果たすための前提として、企業がその対象者を雇用できる一定の環境が整っているということと、対象が明確であって公正、一律性が担保されているということが重要だと考えております。
 難病をお持ちの方であっても、例えば障害者手帳をお持ちの方につきましては既に雇用義務の対象となっているということでございますけれども、障害者手帳をお持ちでない難病患者の方について雇用義務の対象とするかにつきましては、先ほども申し上げました雇用義務制度の趣旨、目的を踏まえると、現時点では困難であると考えております。
○田村智子君 難病や慢性疾患の患者さんは、一部、内部障害者として障害者の手帳をお持ちの方もいらっしゃるんですけれども、これなかなか対象にならないという方がいらっしゃるんですよ、本当に重症化しないと。例えば、肝炎の患者さんは、事実上もう肝臓が機能しないという程度にならないと手帳の交付が受けられないわけです。これはもう支援も受けられないような状態ですよね。
 同時に、今、難病対策委員会では新たな難病制度について提言をまとめていこうということで、難病医療登録者証とかあるいは難病手帳というようなことも検討されていると聞いています。ただ、雇用の義務の対象とすることは消極的だというような議論もあるとも聞いているんですけれども、是非、やっぱり障害の定義の中に難病、慢性疾患の方入れたと、差別も禁止したと、働く権利を保障するということを考えると、障害者手帳ということだけでなく、やはり難病手帳なども含めていくということも今後是非検討いただきたいということは要望しておきたいと思います。
 法案に戻ります。
 法案では、障害の特性に配慮をした必要な措置を行われないとき、事業主が行わない場合ですね、厚生労働大臣は事業主に助言、指導又は勧告することができるとしています。しかし、こうした指導や勧告に従わなかった場合の企業名の公表という措置は今回の法案の中には盛り込まれていません。
 例えば、男女雇用機会均等法では、男性である、あるいは女性である、女性の方が多いのか、そういうことを理由にした差別的な取扱い、これがなかなか正されないというような場合には企業名の公表もできるというふうになっています。今回の法案ではそれが盛り込まれなかったのはなぜでしょうか。
○副大臣(桝屋敬悟君) 委員今お尋ねの公表制度につきましては、それが対象者にとってはまさに制裁的な意味を持つわけでございます。今般規定する不当な差別的取扱いあるいは合理的配慮が新たな概念でありまして、その具体的内容が指針等において具体化されていくことを踏まえますと、まずは厚生労働大臣による助言、指導、勧告によりその実効性を確保すべきというふうに考えている次第でございまして、委員からお話がございました均等法のときも二段階でやらせていただいたということでございまして、御理解いただきたいと思います。
○田村智子君 先ほど指摘をした、例えばうつ病を発症した労働者が短時間労働を申し出ても認められない、これ現実にある問題ですし、ハローワークで障害者に対する求人情報と実際の労働条件が異なっている、これ指導されても正されないというようなケースというのも私たちも聞き及んでいるわけです。ですから、今後、やはり悪質だというような事例は未然に防ぐためにも厳しい措置を是非検討していただきたいというふうに思います。
 次に、具体にこの障害者の皆さんを支援する体制についてお聞きいたします。
 障害を理由とした差別的取扱いの禁止、また精神障害者を雇用率に算定するための取組、これ進めていくためにも、今後、事業主、障害当事者、どちらに対しても本当にきめ細やかな支援策というのが求められていくことになると思います。その最前線に位置するのが、まずはハローワークだと。その質、量共の充実というのは急務だと思うんですが、今年度予算ではハローワークの常勤職員は二百四十一人減、非常勤の相談員も二千二百三十五人減と。厚労省の説明では、非常勤職員のうち障害者への支援を行う人員は減らしていないと、若干微増のところもあるという説明も受けているんですが、法改正に伴って業務は当然拡大をするわけです。
 大臣、ここはもう大臣にお答えいただきたい、私もう何度もこの定員削減の問題はいろんな場面で取り上げています。やはり求められる役割、それから実態、これを見たときに、今の定員削減の方針というのはもうそぐわない、矛盾を激しく来していると。定員削減の方をもう見直すときに来ていると思うんですけど、いかがでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) 定員削減の件は全体内閣の中で議論をさせていただきながらどうするかということを決めていかなきゃいけないことであろうと思いますが、特にこの障害者雇用に関しましては当然ハローワークというのは大きな期待をいただいておるわけでありまして、障害特性に応じたきめの細かい就労支援ということを当然障害者の方々に対応していくと同時に、一方で、障害者雇用を促進していただくような企業に対しても支援をしていくことが大事であろうというふうに思っています。
 そこで、平成二十五年度から、今定員の話もございましたけれども、例えば精神障害者雇用トータルサポーター、これPSWの方々を中心にこういうような形で精神障害者の方々や企業双方に支援をしていこうということで、これ拡充を図っております。それから、発達障害の方々に関しましては、コミュニケーションが非常に困難であるということもございますので、就職支援ナビゲーターというものを全国展開をしながら、これ求職者に対する専門的な支援を行っていこう。そしてまた、難病患者就職サポーターという形でございまして、今難病のお話もございました。これ、難病相談・支援センター等とも協力をしながら、こういう難病の方々に対しての専門的な知識を持つ対応ができるような方々、こういう方々に就労支援等々に加わっていただこうということで、これは新規配置という形で考えておるわけでございまして、そういう意味では、今人員の話がございましたけれども、こういうような形の中で二十五年度、障害者の方々、精神障害者の方々も含めてでありますけれども、対応をすべく準備、準備といいますか、予算に応じて今動きを始めておるということでございます。
 いずれにいたしましても、ハローワークというのは、今委員から御期待をいただいたとおり、大変大きな役割を果たすべきものだというふうに我々は思っておりますので、充実のほどを図ってまいりたい、このように思っております。
○田村智子君 今御説明いただいたのは非正規、定員外の職員の皆さんだと思うんですね。これは、事業主に対して雇用率達成の指導を行うとか、あるいは障害者から求人情報と実態が違うという相談があった場合に事業主を指導するとか、これはやっぱり常勤職員の任務なんですよ、役割なんですよね。
 この間、求職者支援制度ができたり、それから震災対応があったり、ハローワークの業務というのは本当に拡大をしていて、だけど定員が減らされていると。このまま行きますと、やっぱりきめ細やかな系統的な支援ということを行っていくのに支障も来しかねないというふうに思うわけです。やはり、定員をどんどん減らして、常勤職員を減らしていくと、この方針は、是非閣内で、これは真剣に実態を見ながら見直しを私改めて求めておきたいと思います。
 現状では、今お話あったとおり、かなり非常勤の職員にいろんなことを担っていただいています。今御説明のあった精神障害者雇用トータルサポーター、これも三百人ちょっと超える規模で配置するということなんですけれども、これはたまたま静岡県三島市のハローワークが現在募集を行っておりまして、この募集要項を見ると、精神障害者のカウンセリング、同行紹介、一緒に事業主まで行くんですね、それから就職後の職場定着への支援、事業者訪問による情報提供や求人開拓まで、非常に専門的な業務を行っているんですね。その資格要件も、精神保健福祉士又は臨床心理士など、これ、資格が必要だという募集要項になっているんです。ところが、その勤務条件を見ますと、週三日なんですよ、三日。毎日いるわけじゃないんです。それで、手当を見ると、通勤費支給しないと書いてあるんですよ。しかも、これ一年契約、継続任用は最長三年、その後は公開公募となるので、引き続き働くこと、任用となるのかどうかという保障もないわけなんですよ。せっかく御説明いただいたトータルサポーターがこういう条件なんです。
 私、これは、やっぱり必要な職員が当面非常勤というのは、定削の方針覆してというのがすぐに難しかったとしても、やはり三年でもう任用できなくなるような在り方とか、通勤手当も出されないとか、週三日とか、これでいいんだろうかというふうに思うわけです。こういうところについては見直し検討していただきたいんですけど、いかがでしょうか。
○政府参考人(小川誠君) 障害者に対してきめ細かな支援をするためには専門的な知識が必要であるということは間違いないわけでございまして、このため現在ハローワークにおきましては、精神保健福祉士とか臨床心理士等の専門的人材を、委員御指摘があったように、採用して活用しているとともに、正規職員の専門性向上に関する専門的研修を定期的に実施するなどの取組も行っているというところでございます。
 今後とも、正規職員、また非常勤職員にかかわらず、ハローワークにおける障害者雇用の促進に向けた取組など、万全な体制を実施できるように支援体制の確保等を図っていきたいと考えております。
○田村智子君 いずれにしましても、本当に支援をやっていく体制が取れるかどうかというのがこの法改正が生きるかどうかということに懸かってくると思うんですね。今指摘しました問題、是非検討いただきたいというふうに思います。
 もう一つ、支援の体制ということで、就業・生活支援センターのことについてお聞きをいたします。
 精神障害者の雇用の義務化に当たっては、これ、就職支援ということだけでなくて、就労後の継続的な支援とか、あるいは生活面での支援ということが非常に求められていくことになると思います、体調に波があるというようなことに使用者の側が不安を感じているという指摘もあるだけにですね。これは非常に重要になってくると思います。こういう就業支援と生活支援を一体的に行うという役割を担っているのが全国に三百十七か所置かれている障害者就業・生活支援センターなんですね。
 その一つの滋賀県彦根センターは、働き・暮らしコトー支援センターという名前で活動しているんですが、その事業報告書を見ました。そして、本当に、例えばお金の管理とか、妊娠している女性が出産後の生活のイメージができるように支援をするとか、あるいは企業への実習の受入れをお願いに行く、職場の開拓をする、特別支援学校の高等部との連携を取るなど、本当に多面的な支援に取り組んでいます。そうやってやった支援を実践レポートにまとめて、どういう課題があるのか、どうやって解決していくのか、これも集団的に取り組んでいます。
 利用登録している方を見ますと、精神障害、発達障害、高次脳機能障害、難病の方など、障害者の先ほどの手帳ですね、これ、交付を受けていないような方も多く登録をしているとお聞きをします。また、特別支援学校の卒業者だけでなくて、一般の高校や専門学校を中退した発達障害の方とか、そういう方も利用している。医療機関や児童相談所、ハローワーク等、多方面から紹介を受けて、相談業務にも応じていると。
 これだけ多岐にわたる業務が一体何人で行われているかと。センター長を含めて八人です。今、年間八十人以上登録者が増えているそうです。職員一人どれぐらいの方を見ているかというと、百人以上は当たり前と、中には三百人見ているという方もいらっしゃるそうなんです。
 しかも、これ、どういう予算かというと、単年度の国と都道府県からの委託事業になるものですから、報酬は一年後払うわけですよ。レポートを受けて、実績報告書が提出されてからなので、一年間事業所が費用を立て替えているわけです。これ、固定資産税の支援もありません。
 ですから、これ、職員を正規で雇うのは非常に難しいと。これだけ専門性の高い仕事でありながら、一年ごとの契約で雇用せざるを得ないということになるんですね。
 これ、今後センターに求められる役割、一層大きくなるわけで、このような不安定な運営でいいのかということが検討求められると思うんですけれども、いかがでしょうか。
○副大臣(桝屋敬悟君) 障害者就業・生活支援センター、今委員から大変な御評価をいただきました。全国で三百か所以上頑張っているわけでありますが、お話がありましたように、障害のある方、手帳のない方もそうでありますが、地域において就業面と生活面、これを一体的に行う機関として、福祉教育から雇用への移行を促進するなど実績も上げているわけであります。
 その運営費等の中身でありますが、厚生労働省といたしましては、障害保健福祉圏域の人口、それから実績等の状況に応じて、就業支援担当者あるいは職場定着支援担当者等について委託費を追加配付するなど、体制強化を図っているところであります。ただ、委員からお話がありましたように、補助金と委託費で運営しているものでありますから、どうしても委員から御指摘のあったような状況もあろうかと思いますが、今後とも障害者就業・生活支援センター事業の運営に必要な予算の確保にしっかり取り組んでまいりたいと思っております。
○田村智子君 これは、大臣、問題あるなというお顔でお聞きになっていたようなので、ちょっと何らかの検討が必要だと思うんですけれども、どうですか、一言。
○国務大臣(田村憲久君) この障害者就業・生活支援センター、今の現状をお聞きをいたしますと、確かにかなり大変な状況の中で対応していただいているなというふうに思います。ただ、これに限らずいろんな施設が、やはり今非常に人が少ない中で御苦労いただきながら、いろんな福祉事業も含めてやっていただいておるという現状があるわけでございます。
 どのような形でそういうものをエンカレッジしていくのか、これは我々厚生労働省にとっては大きな役割だというふうに思っておりますので、またいろんなお声をお聞かせをいただきながら、どのようなお手伝いができるのか考えてまいりたいというふうに思います。
○田村智子君 もう一点だけ支援体制についてお聞きします。
 社会福祉法人が第一号ジョブコーチ、これは事業所に派遣したりいろんなところに派遣して、就労を継続できるようなお手伝いとか、あるいは就職するときのお手伝いとか、いろんな活動を行っています。こうした派遣については独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構から助成金が支給をされているんですが、二〇一二年度の一月から三月分の助成金申請が、昨年度分ですね、今年度の請求に繰り越されたとお聞きをしています。なぜこのような事態になったんでしょうか。
○政府参考人(小川誠君) 民間企業の障害者雇用率の上昇に伴いまして、障害者雇用納付金収入が大幅に減少するということが見込まれているところでございます。このため、平成二十五年度における助成金の支給額を抑制するため、ジョブコーチの助成金の支給時期を繰り延べることとしたということでございます。
○田村智子君 これ、雇用納付金が減少していると。雇用納付金というのは、法定雇用率を達成しなかった、できなかった企業が支払っている納付金なんですよね。これが減っているということは法定雇用率を達成する企業が増えているということで、喜ばしいことなんです、障害者の雇用が進んでいるということは。
 ところが、そうなると納付金を納める企業が減少して、こういうジョブコーチに対する派遣の費用などが助成ができなくなるという非常に矛盾した事態が起きているわけですね。ジョブコーチというのは継続就労のための支援担当していますから、今後ますます、まさにいろんなトラブルの解決していく上でもやはり外からの力として必要となってくる方々で、体制の強化というのが求められている分野なんですよ。そうなりますと、この障害者雇用の拡大と支援体制の充実というのが矛盾するような構造でいいのかと、双方が前進していくようなことがこれは抜本的な問題になってくるんですけど、検討必要だと思うんですけど、いかがでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) 今委員おっしゃられましたとおり、法定雇用率を守っていただければ守っていただくほど有り難いんですけれども、一方でこの納付金自体が入ってこなくなるわけでありまして、財政的には非常に厳しくなってくると。単年度の支出で見ると赤字と今現在なっておるわけでございますから、積立金等々を崩しながらいろんな事業をやってきておるわけであります。
 そこで、一つは、支援企業、元々この障害者の皆様方の就労を一生懸命やっておられる、そういう企業に対して支援するわけでありますが、そこを重点化をさせていただくということ、それから、あわせて、この納付金等々を活用するだけではなくて、納付金以外の財源といいますか、例えば雇入れ助成金など、こういうものを活用しながら支援をしていくということも一つでございますから、総合的にいろんな支援の方法を考えながら対応していく必要があろうというふうに思っております。
○田村智子君 是非、財政的な構造の矛盾ですので、これは踏み込んだ検討を行っていただきたいと思います。
 次回の委員会で取り上げようと思っているんですけど、精神保健福祉法についても今日一部お聞きをしたいと思います。
 この法案では、午前中にもありました、保護者制度は廃止をされたと、これは精神障害の家族の方々からも切望されていた問題だと思います。しかし、その一方で、医療保護入院について家族等の同意の仕組みというのを新たに整備をしてしまったと。これは、保護入院については実態として保護者制度が残されたのと同じようなことになるのではないかというふうに私は考えます。
 これまで医療保護入院についての保護者の同意というのが、精神障害の当事者が家族によって強制的に入院させられたと、こう思い込んでしまう要因にもなっていた。そこから家族に対する被害妄想のようにつながっていってしまったり、あるいは家族の関係が悪化してしまったり、そのことからこじれて入院が長期化につながっていくなど、本当に多くの問題点が指摘をされてきたと思います。
 私、お聞きしたいのは、今回の法改定で今言ったような精神障害者当事者と家族の抱える問題というのが本当に解決できるのかということなんです。この点についていかがでしょうか。
○副大臣(桝屋敬悟君) これは午前中も随分議論があったところであります。今委員から言われたように、今回の改正で、一人の保護者が担っておりました義務、保護義務、これをいろいろ問題点があったので解消したと、これを見直したということであります。ただ、同時に、保護者制度を廃止することに伴い、医療保護入院については、保護者の同意要件をなくす一方で、家族等のうちいずれかの者の同意を必要としているわけであります。これは、インフォームド・コンセントあるいは精神障害者本人の権利擁護という観点もあるんだろうと思います。
 今委員からもお話はございましたけれども、例えば入院の必要性があるという場合、これ、今までは一人の保護者が、保護義務者がどうしても入院はさせないということであればなかなか医療にアクセスできなかったというケースもある、そこはしっかりこれからどなたか一人が同意すればこれはアクセスできるようになるということでありますし、逆に退院の場合は、本人以外で退院等の請求を行うことができる者の範囲もこれは広げたわけでありますから、家族等が退院等の請求を出すことで、精神医療審査会において医学的な観点等から入院の必要性等について判断が行われることになるということでございます。
 いずれにしても、医療保護入院の入院手続の在り方につきましては、改正法の施行の状況等を勘案して、施行後三年をめどとして検討を行うということにしておるところでございます。
○田村智子君 当事者の方の苦しみというのは、これはやっぱり私たちには分からないほど深いものがあると思うんですよね、家族の関係ですから。そういう問題が解決できるという、そういう保障に見えてこないわけですよ。
 私、一つ重大だなと思っているのは、やはり、どういう法改正を行うかということでは、検討チームが慎重に議論を重ねてきたわけですよね。その検討チームの結論は、保護者制度を廃止することと、それから指定医による判断で医療保護入院ができるようにするということ、それから事後審査を充実をさせ、家族を含む代弁者を選任するものと、こういう中身だったと思うんです。なぜこの結論が法律というふうになっていかなかったのかと、この点ではいかがでしょうか。
○政府参考人(岡田太造君) 御指摘の検討チームにおきまして医療保護入院の在り方について検討されたわけですが、その中で、例えば精神保健指定医二名の判断ですべきではないかというような御提案もあったわけですが、この提案につきましては、入院を厳しくするより、入院をさせた上で適切な医療を提供し、早期に退院させることを目指すべきじゃないかというようなことであるとか、医療保護入院が年間十四万人にも上っている現状で精神保健指定医の確保はできないなどの意見が出されて、現時点では困難とされたところでございます。
 今回、検討チームの御提言になかった家族などの同意を設けたところでございますが、これにつきましては、先ほど桝屋副大臣からも御答弁させていただきましたが、一般医療においてもインフォームド・コンセントがますます重要になっている中、患者本人に病識のない精神障害者を本人の同意なく入院させるに当たっては、やっぱり患者の身近にいらっしゃる家族などに十分な説明を行った上で、家族などが同意をする手続を法律上明記すべきではないか、それから、本人の意思によらず身体の自由を奪うことになる入院を精神保健指定医の判断のみで行うことは患者の権利擁護の観点から見て適切かというような点を総合的に考慮して設けたものでございます。
○田村智子君 これ、患者の権利擁護という観点で、だったら指定医一人じゃなくて二人にしたらどうかと。今人数が非常に足りなくて大変だという御答弁もされたように聞こえたんですけど、そうですよね。
 そうしたら、例えば日弁連などは、それだったら、入院の措置のときは一人になったとしても、事後的であっても別の病院機関の指定医がそれについてチェックができるようにするなど、やはり医療上入院が必要だということなんです、措置入院ではないわけだから。医療上必要だという判断はやはり指定医でいいんじゃないかという、これは私は非常に重要な指摘だったと思うんですよね。
 改正後も、そうなると家族は、医療保護入院の同意と、本人の意向に反する強制的な入院の同意をやはり求められてしまうと。一方で、本人の意向を代弁するのも家族なわけですよ。入院中のいろんな措置であるとか、あるいは退院にかかわることなんかでの判断をするのも家族なわけですよ。非常に矛盾するわけですよ。強制的に、本人は嫌だと言っているのに入院させることに自分は同意したと、だけど代弁者という立場も取ると。
 これは、引き続き、家族に対しては、保護者制度をなくしたというのは負担を軽減するためだったはずなのに、そうではなくて、家族の負担というのは軽減されなくなってしまうんじゃないかと。最初の質問に戻っちゃうんですけど、どうですか。
○副大臣(桝屋敬悟君) 私は、この精神科医療の在り方については、やはり患者本人とそれから家族の関係というのは本当に様々な問題があるんだろうと思います。
 今委員から言われるように、指定医師の判断だけで、措置入院以外はですね、あっ、ごめんなさい、医療保護入院の場合も指定医師だけでというお気持ちも私自身分からなくもないんでありますが、やはりその後の少しでも入院を短くして地域社会にということを考えますときに、どうしても家族とのつながりといいましょうか、家族の支援ということは、地域の相談支援体制と同時に、やはり家族の役割というのは、私は、保護制度がなくなったとしてもこれはあるんだろうと思います。多くの精神障害者の場合は、やっぱり家族の方がこれからもかかわっていくことはこれは間違いないわけでありまして、そうしたことを、状況をまずは見ながら、今後ともまた三年をめどに検討してまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○田村智子君 じゃ、次回引き続き質問したいと思います。
 ありがとうございました。
    ─────────────
○委員長(武内則男君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、行田邦子君が委員を辞任され、その補欠として寺田典城君が選任されました。
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○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。順番を変えていただきまして本当にありがとうございます。感謝します。
 まず、精神保健福祉法改正法案について御質問をいたします。
 二〇〇四年から二〇一〇年までの六年間で医療保護入院は十一万五千二百九十七人から十三万千九十六人に増加しました。うち入院一年以上の長期入院患者は七万六千九百八人から八万三千五百九十三人へと、こちらも増加しています。長期入院者を減らすための有効な施策を怠ってきたと言っても過言ではありません。また、人口百万人当たりの強制入院者数は、日本が約二千人なのに対してヨーロッパは十数人から百数十人というレベル、まさに桁違いであり、人権侵害として国際的にも大きな非難を浴びています。入院患者を都道府県別やいろいろ調べても非常にアンバランスなんですね。ですから、本当に強制入院必要なのか、入院はどうなのか、恣意的に行われていないのかという検討が必要です。
 五月二十一日、二十二日に開かれた国連拷問等禁止条約の日本報告書審査において、委員から日本の強制入院の多さ、入院患者の多さ、隔離と身体拘束の多さが問われました。また、強制入院が増加していること、隔離、拘束が増加していることが問題にされています。この事態を厚生労働省はどう見ていらっしゃるでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) 今委員おっしゃられましたとおり、長期的な入院非常に多い、我が国はそういう状況になっております。
 そういう意味では、この対応ということで医療面、生活面等々を含めまして体制整備してきたわけでありまして、例えば医療チーム、これ病院内の医療チームが訪問支援を行えるようなアウトリーチ、こういうものを充実をさせてきたりでありますとか、精神科救急医療体制の整備を進めてまいりましたりでありますとか、また、精神疾患を医療計画に記載すべき疾病に追加するということ等で精神科医療体制の計画的整備、こういうものも進めてきておるわけであります。
 あわせて、地域の相談支援の強化ということで、これは総合支援法の中に位置付けられておるわけでありますけれども、やはり相談支援業務等々をしっかりと充実させていく中においていろんな福祉サービスにも対応できるような、そのような形で進んできたわけでありまして、これはこれからも地域移行ということ、これ大きな我々の目指す世界、目指すべき方向性でございますから、この地域移行というものを進めてまいりたいというふうに思っています。
 なお、今法律改正におきまして、医療機関の管理者の皆様方、精神科病院等々の管理者の皆様方に、やはりこれ、早期退院をするということで各種義務を課してきたわけでありまして、そのような意味からいたしますと、今委員がおっしゃられたような長期入院という形で大きな課題を我々持っておりますから、これを地域の方に移行していくということ、これを進めてまいるという方向性の中での今回の法律であるというふうに御理解をいただければ有り難いというふうに思います。
○福島みずほ君 今年度予算で、地域移行・地域定着支援などの精神障害者施策の推進は二百六十二億円、そのうち何と心神喪失者等医療観察法予算が二百十三億円、八割以上が心神喪失者等医療観察法予算で、どこが地域移行・地域定着支援でしょうか。もっときちっと地域移行・定着支援のための予算を獲得して頑張るべきだと思いますが、これはおかしいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(田村憲久君) 全体として、そうはおっしゃられますけれども、総合支援法の流れの中でももう地域移行と、これは精神障害者の方々だけではありませんけれども、やっぱり障害者の皆様、全般的に地域移行の中で、社会の中でしっかりと生活を送っていただくというようなことを方向性として出しておるわけでございまして、これからその整備のためにしっかりと対応してまいりたいと、このように考えております。
○福島みずほ君 心神喪失者等医療観察法にこんなに二百十三億も掛けるのではなく、本当に一人一人の方が地域で暮らせるように、とりわけ日本の入院の多さというのは指摘をされていますので、しかもいろんな事件もたくさん起きていますので、是非取組をすることが必要だというふうに考えています。
 それで、社会的入院、精神病院の中への社会的入院は二二%だと聞いておりますが、それでよろしいでしょうか。
○政府参考人(岡田太造君) 平成十一年だと存じますが、患者調査におきまして、退院の条件が整えば退院が可能だという患者さんが約七万人いらしたというふうに記憶しております。
 先生御指摘の点はその七万人の数字だと思いますが、その後、直近の数字ではその数字が五万人に減少しているというような状況でございます。
○福島みずほ君 ありがとうございます。
 やはり、社会的入院があるということと、今日の質問の中でも、認知症の方が一八%占めているという答弁がありました。
 確かに、何らかの事情で精神病院に入院せざるを得ない方もいらっしゃるかもしれませんが、認知症の方をどう扱っていいか分からなくて、本来だったら特養やいろんなところかもしれないのに精神病院に入院させてしまうという現状もあるのではないか。これもいろんなところで問題になっていて、入院患者を減らそうという動きもあるものの、むしろ認知症の患者さんなどを、どんどん精神病院を取り込んでしまうという両方の問題が指摘をされています。
 でも、長期の入院が本人にとっていいわけもありませんし、とりわけ若い世代に、長期間入院していれば奪われた人生ということにもなるわけですから、何としても入院を減らしていくために、厚労省、努力していただきたい。いかがでしょうか。
○政府参考人(岡田太造君) 精神科病院の入院を短縮、短くするということについて我々としてもできるだけ取り組んでいきたいというふうに思っておりまして、今回の法律案におきましても、そのために精神科病院の管理者に対して、地域に患者さんが帰るに当たってのいろんな支援をするような方を新しく設置してもらうであるとか、それから、そういうような地域でいろんなサービスを提供できるような支援の事業者がございますので、そういう方と、きちっと紹介するような義務を設けるというふうなことを精神科病院の管理者に義務付けるなどの改正を盛り込んでいるところでございますので、そういうことも含めて、入院の短期化に向けて取り組んでいきたいというふうに思っているところでございます。
○福島みずほ君 大臣、この十年間の間、新規の医療保護入院が増加しているんですよね。ちょっと繰り返しになりますが、こういうことがいいとは思えない。どうですか。
○国務大臣(田村憲久君) 新規の医療保護入院というものがこれからどういうこの法律改正において増加傾向になるのか、それとも変わらないのかというのは我々もよく注視していかなきゃなりませんが、しかし一方で、医療が必要な方々がその治療をするためにやっぱり医療にアクセスするということが大事でございます。
 問題は、長期化しちゃうことが一番の問題でありまして、仮に保護入院になったとしても、短期で、比較的短期で退院をされて地域の中でしっかりと御生活がいただけるような、そんな環境整備が必要でございますから、今ほど来もお話がありましたとおりに、精神科病院等々の管理者に対して各種の義務を課す、またそれぞれの職種の方々が連携して、地域移行、地域で生活した場合のいろんな課題点等々をそれこそ勘案しながら支援をしていくということが大事なんであろうというふうに思っておりますので、そのような方向性の改正であるということを御理解をいただければ有り難いというふうに思います。
○福島みずほ君 今日も委員会でずっと議論になっておりますが、保護者同意から家族等の同意へ、確かに保護者のみというのが負担であるというのは理解ができるんです。しかし、家族で誰か一人承諾すればいいということが果たしていいのか、家族間で意見が異なったらどうなるのかと質問をしたら、厚労省は、家族の中のいずれかの者の同意があればいいというお答えだったんです。もう家族の中で意見が分かれるじゃないですか。そうしたら、兄弟の中でも意見が分かれるかもしれない。入院していいよという人を一人つかまえれば、つかまえればというと言葉は悪いですが、入院させてしまうことができる、これは問題じゃないでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) 今委員おっしゃられましたとおり、保護者制度が今回これをやめたことによって一人に、保護者一人に全ての責任が掛かるということはこれでなくなるわけでありまして、財産の管理でありますとかいろんな大きな負担があるわけでありますし、高齢化の中で年老いられたお父様、お母様が大変な思いをされるという意味からすると、その負担感というものはこれによってある程度緩和されるというふうに思います。
 ただ、一方で、家族というものを課しているじゃないかという話でありますが、これは一方で、本当に指定医の判断だけでいいのかどうかという御議論も一方であるわけでございまして、御本人のやはり権利擁護という意味、それから、そもそもどういう状況でこの保護入院が必要なのかということも含めて、その症状等々を含めて、インフォームド・コンセントというような形で家族全体で共有していただく必要があるわけですね、情報を。
 そういう意味からいたしましても、家族の中でいろいろとお話し合いいただく中で、最終的にお一方の判断で入院ができると。もちろん、それで意見が合わなくなったらどうするんだということもありますから、そこはやはり医療機関と十分な話合いをしていただく中で、とにかく治療していただく、医療にアクセスしていただくということが大変重要なことでございますので、医療にアクセスをしていただいて、そのうちもし何か問題があれば、そのときには退院の要求をしていただければ、審査会の方で御議論をいただいてどういうふうな判断になるかということでございますが、そこは担保されておるわけでございますので、とにかく医療にアクセスをしていただく中において、家族の中でなるべく合意形成をしていただいたりいい治療を受けていただくということが重要であろうと、このように認識いたしております。
○福島みずほ君 医療へのアクセスということでいえば、入院だけが全てではない、もちろん入院を嫌がる人もいるかもしれないんですが。
 家族の中で意見が異なった場合、家族のうちの一人の承諾でこれ今度入院させることができるわけですよね。それは、私自身はやっぱり入院の要件の規制緩和だというふうに思うんですよ。つまり、せっかく世界の潮流は、イタリアやいろんなところもそうですが、入院をできるだけしないで地域で暮らそうというふうに、とりわけヨーロッパなどはやってきた。ところが、日本は全然入院件数も減らない。そして、今回、保護者じゃなくて家族の一人の同意がいいということになれば、兄弟姉妹で意見が違っても一人の人の同意を得ればいいわけですから、やっぱり入院が増えてしまうんじゃないかという危惧を大変持つんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) 今までも入院が多いという話でございますので、これがお答えになっているかどうかちょっと分からないんですけれども、基本的には入院の正当性というものは指定医の先生が御判断をいただくわけでございますから、必要がない方が入院になるということはまずないわけでございます。
 ただ、一方で、指定医の先生だけでいいという御議論もありましたが、それで本当にいいのかと考えたときに、やはりそこは御本人の権利の擁護という意味からすれば、ほかの目が入った方がいいのであろうと。もちろんそれ以外にも、先ほど来お話がございますとおり、最終的にはずっと入院というわけではございません、やはり退院をされるということが前提でございますから。すると、その後の生活ということを考えれば、家族の支援ということが必要になってくるわけでございますので、そういう意味では、やはり家族も御理解をいただく中においてと。それは全員というわけにはいかないですけれども、やはり一部でも御理解がいただく中においてそういうような入院というものをしっかりとお決めをいただくということが必要になってくるのではないかということでございまして、今回、お一方家族の方の意見が必要だという形にさせていただいたわけであります。
○福島みずほ君 家族の、例えば父、母の胃瘻をするかどうか一つ取っても、家族間で意見が対立したりしますよね。一人の同意だけでいいということは極めて問題も生むんではないかと思います。
 また、デュープロセス、適正手続が本当に保障されているのか。刑事被疑者、被告人だと国選弁護人やいろいろケアが付くわけですが、そういう形になっていない。適正手続、国際社会が、人権条約が要求する適正手続が果たして保障されているのかという点も極めて問題です。
 今日も議論が出ておりますが、やはり私も指定医を現行の一名体制から二名体制に変えたらどうかと。医療保護入院する患者が年間約十四万人、全国で精神保健医が一万三千人、うち病院常勤勤務は六千七百人にすぎず、二名体制への移行は負担が大き過ぎると聞いているんですが、しかし、毎月七、八人の患者を受け持つと二名体制もできるんではないか。つまり、一人の人間だけが自分の患者さんとかでやるんじゃなくて、もう一つの、もう一人のセカンドオピニオンの判断ももらいながらきちっとやっていくということが必要ではないか。いかがでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) 先ほど来もそういう御指摘があったわけでありますが、確かに措置入院に関してはそのような形で進めておるわけでありますけれども、どうしてもこれ二名という話になると、今言われた人数、六千七百人で本当にできるかどうか、ほかにもいろんなお仕事がある中において果たして対応できるかどうかということを考えますと、いきなりこれ何の体制も整備されていない中で二人対応という形になると、現場の方が混乱するということもございます。
 いずれにいたしましても、施行後三年を待って入院体制も含めて検討するわけでございますので、スタートをしてみてどういう状況が起こるのか、本当に問題が起こるのか、どういうところに問題があると指摘が起こるのかということも勘案させていただきながら、検討の方は、先ほど来申し上げておりますとおり三年で検討するわけではありませんでして、動き出していろんな状況を見ながらまた検討の方もさせていただきたいというふうに思っておりますので、御理解いただきたいと思います。
○福島みずほ君 医療保護入院では、精神保健指定医と保護者の同意によって、法改正されれば家族ですが、強制入院が認められてしまうため、権利擁護者や代弁者が不在となってしまいます。二〇一一年度精神医療審査会において、二千五百七十件の退院請求がなされたが、入院は不適当と患者の主張が認められたのは七十二件にすぎませんでした。
 日本でも、例えば国費による弁護士、代弁者選任などを法制化するとか、もっと権利擁護のための手続が取られるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) これも昨年六月の検討チームの報告で、本人の権利擁護のための仕組みとして、入院した人は自分の気持ちを代弁し病院などに伝える役割をする代弁者、アドボケーターを選ぶことができる仕組みを導入すべきであるという提言がなされたというふうに承知いたしております。
 一方で、この代弁者がどのような実施主体で行うのか、それから、実際問題、活動内容がどのようなものであるかと、これいろんな御議論があるわけでありますし、実施主体をどうするかによって、実際問題、障害者、精神障害者の方々の人数に近い数だけ用意をしていかなきゃいけない、準備をしていかなきゃいけないという形にもなってくるわけでありますね。
 ですから、そういうことを考えてまいりますと、これ、すぐにやはり対応しようと思いますとなかなか準備が進まないという中におきましてこのような形で法律を提出させていただいたわけでありまして、これも三年を目途に見直しがあるわけでございますので、その中で、いろいろとこれから動いていく中において、どのような形態が要るのか、必要なのか、また本当にこのようなアドボケーターというような形が実施可能なのかどうか、こういうことも含めていろんな御議論をいただくものであるというふうに思っております。
○福島みずほ君 これは是非必要だと思いますので、よろしくお願いします。
 次に、障害者雇用促進法改正についてお聞きをします。
 障害者雇用をめぐる現状認識について大臣にまずお聞きいたします。
○国務大臣(田村憲久君) 障害者の皆様方の雇用の状況ですけれども、年々数が増えてきておるわけでありまして、九年連続、雇用者数、過去最大を更新をいたしてきております。
 そういう意味からいたしますと、この障害者の方々の働く環境というもの、こういうものはだんだん整備もされてきておる、理解も深まってきておるというふうに思うわけでありますけれども、中でも精神障害者の方々の伸びというものは著しいものがございまして、現在、雇用者数一万六千六百七人、前年対比で二七・五%。これ二十四年六月一日現在の数字でありますけれども、非常に高い伸びを示しておるわけでございます。また、ハローワークにおける障害者の就職件数も過去最高の、三年間これを継続をしておると、連続で更新しておるということでございますので、非常に今大きな勢いで障害者の方々に対する雇用というのが伸びてきておるというような認識でございます。
○福島みずほ君 雇用する上での課題にはどのようなものがあるんでしょうか。
○政府参考人(小川誠君) 精神障害者を雇用するときの課題でございますけれども、企業ヒアリングによりますと、障害者を雇用したときの課題としては、個々の障害特性に対応した雇用管理方法の構築、また体調を崩したときの対応などが挙げられております。
 こうした課題に対応するために、企業においては、雇用管理方法の相談などハローワークなどの外部支援機関の活用、また、定期的なカウンセリングによる体調等の把握や、本人の状況に合わせた勤務時間や始業時間の設定等の取組が行われております。
 このため、厚生労働省においても、企業が精神障害者の雇用に円滑に取り組むことができるように、引き続き、精神障害者を雇用する際に生じる課題について適切に相談支援できる体制の整備、また精神障害者の雇用管理ノウハウの蓄積、普及等に取り組んでまいりたいと考えております。
○福島みずほ君 障害者雇用の促進のために具体的にどのような取組を行っているんでしょうか。
○政府参考人(小川誠君) 障害者雇用の促進につきましては、地域の関係機関との連携の下、障害者本人に対する障害特性に応じたきめ細かな支援とともに、障害者雇用に取り組む企業に対する支援を実施するということが重要でございます。
 このため、平成二十五年度は、障害者の身近な地域において就業面及び生活面における一体的な相談支援を行う障害者就業・生活支援センターの設置箇所の拡充、また、福祉施設や特別支援学校、医療機関等との連携による職場実習や事業所見学会等の推進事業、また、精神障害者の雇用促進を図るために、医療機関と連携し、医療機関における就労支援の取組や連携を促進するためのモデル事業の実施等を実施しております。
 今後とも、これらの取組とともに、ハローワークを始めとする地域の関係機関との連携によって障害者雇用の促進を図ってまいりたいと考えております。
○福島みずほ君 企業が合理的配慮を提供するために、例えば視覚障害者のためのパソコン上のソフトを購入する場合に行政として支援を行う必要があると考えられるんですね。
 障害者差別解消法案が今後議論になりますが、合理的配慮がというのが非常に入りますけれども、今後ますますその合理的配慮をして応援していくということが雇用の場面でも必要だと考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(小川誠君) 合理的配慮につきましては、過重な負担にならない範囲で事業主が行うべきものということでございますので、基本的には事業主負担において実施するものであると考えております。
 ただ、何らかの公的支援がなければ合理的支援が進まないということも想定されるわけでございまして、その場合は、障害者の雇用にとって好ましくないということから、納付金制度でございますとか他の公的支援の活用も含めまして、その支援の在り方については検討してまいりたいと考えております。
○福島みずほ君 先ほど精神障害者の人たちの雇用がすごく進んでいるという、それは薬が良くなったとかいろんな事情も聞いているんですが、是非、障害者雇用の重要性について大臣の決意をお聞かせください。
○国務大臣(田村憲久君) 障害者の皆様方に温かい社会をつくっていくという意味では、やはりこの障害者雇用というものを促進すること、大変重要であります。
 自発的に障害者の方々が社会に参加するという意味ではやはり雇用というものは一番大きな役割を果たしますし、もちろん生活の糧も得ていくわけでありますから、そのような意味で、障害者の皆様方が充実した生活を営んでいただくためにこの雇用というのが基本にあるわけでございますから、これを更に厚生労働省が先頭を切って、もちろん厚生労働省しかやるところがないとは言いません、ほかのところも強力にやらなきゃいけないわけでありますが、厚生労働省が先頭を切って障害者雇用の促進、これを進めてまいりたいというふうに思っております。
○福島みずほ君 よろしくお願いします。
 これは質問通告していないんですが、大臣の感想をお聞かせください。
 母子が変死をしていて、餓死ではなかったかというので、大阪市北区の天満のマンションで母子と見られる二人の遺体が発見されて、三歳の男の子とお母さん、いいものを食べさせたかったというお母さんの室内のメモがあって、餓死ではないかと言われています。
 この日本でやっぱり餓死で亡くなる人たちが続くということに関して、これは衆議院で今、子どもの貧困防止法案が議論になり、生活保護の問題が議論になっておりますが、まさに貧困の問題、あるいはどうしてこういうことがこの日本で起きるのか、厚生労働委員会でこのことは聞かざるを得ないので、いかがでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) 本当に痛ましいことだというふうに思います。
 本来ならば生活保護制度もあるわけでございますから、それを申請いただけないどういう状況であったのか、アクセスするための情報がなかったのか、また生活保護等福祉サービスにアクセスする、何といいますか、方法が分からなかったのか、そういう方々が近くにいなかったのか、つまり、民生委員の皆様方でありますとかケースワーカーの皆様方でありますとか、そういう方々が近くにいなかったのか。
 とにかく日本の国はそうならないような仕組みはつくってあるはずなんですけれども、こういう事柄が散見されるわけでございまして、そういうようなことが起こらないように、どうすれば餓死が起こらないか、こういう方法がありますよということを更に周知徹底できるように我々としては尽くしてまいりたいというふうに思っております。
○福島みずほ君 子供の貧困防止法の次には、私は女性の貧困防止法を作りたいぐらいだと思いますが、貧困の問題は確かにとても大きいです。
 ただ一方で、ある自治体が、生活保護受給者がパチンコに行ったりいろいろしていたら通報するようにという条例を作る。つまり、生活保護を受けるのがスティグマ、何か悪いことのように、あるいは引下げということが議論になって生活保護バッシングが報道も含めてすごく起きる。そうすると、もちろん不正受給はいけないけれども、件数からすればそんなに多くない。生活保護を受けることが何かやっぱりいけないというか、その場所にも行けないし、その場で何か言われたら怖いとか、やはり今の生活保護バッシングは悪い面も生んでいるというふうに思いますが、いかがですか。
○国務大臣(田村憲久君) 生活保護制度というのは、憲法で定められた健康で文化的な最低限度の生活を営むための、そういう意味では国民の権利であることは間違いないわけでございまして、その生活保護という制度を受けられる方はいろんな事情があられると思います。例えば、そこから自立に向かって頑張れる方も当然おられるわけでありまして、そういう方々には自立支援策というものをしっかりと我々は組んでいく中において就労いただいて自立をいただきたいと、こう思っております。一方で、どうしてもお体がお悪い、なかなか回復されないということで自立がなかなか難しいという方々もおられるわけでありまして、そういう方々は生活保護制度の中でしっかりと御生活をいただくということになろうというふうに思います。
 いずれにいたしましても、今回我々が考えております改正は、悪いというんじゃなくて、悪い人たちはそれは駄目ですよということでありますし、しっかりと自立ができる方々にはいろんな応援をさせていただきたいというふうに思っておりますし、一方で、生活困窮者支援法でありますけれども、こちらの方は、生活保護に入る一歩手前の方々は生活保護に入らずに自立をいただきたいというのを応援しようということでございます。生活保護制度に対して信頼感というものがしっかりと取り戻せれば、生活保護に、生活保護で生活されておられる方々に対して悪いことをしておるというようなそんな認識にはならないはずでございますから、これは国民の権利として、やはり最低限度の生活が守られるための一つの制度である、セーフティーネットであるということを我々は宣伝していかなきゃなりませんし、本来、受ける権利のある方々を受けさせないというのもこれは問題がありますから、その点は誤解のないような運用をしてまいらなければいけないというふうに思っております。
○福島みずほ君 次に、猪瀬東京都知事が突如として都営交通の二十四時間運行を打ち出しました。地方公営企業等の労働関係に関する法律七条の規定により、このような労働時間の変更は労働組合との団体交渉を経た労働協約の締結をもって行うべきものと解しますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) 東京都交通局の職員の皆様方の労働時間等の労働条件については、今委員おっしゃられました地方公営企業等の労働関係に関する法律第七条の規定、これによりまして、使用者である東京都の交通局と労働組合が団体交渉を行い労働協約を締結することができるというふうになっておるわけであります。
 二十四時間構想がどのようなものか、具体的にちょっと私も聞いておるわけではございませんので分かりませんが、当然そのような形で、この都の労働者の方々がその中において労働条件というものが変わるという話になってくれば、当然その中において話合いがなされていくものであろうというふうに推察をさせていただきます。
○福島みずほ君 これ、二十四時間地下鉄を動かすとなると保守点検ができなくなるため問題ではないか、あるいは二十四時間バスが走るとなるとタクシー業界はもう壊滅的になるんではないか、いかがでしょうか。
○政府参考人(田端浩君) 鉄道にまずつきましては、主に最終列車の運行後から始発列車の運行までの深夜時間帯に、列車運行の安全性にかかわります線路、信号、電気等の各設備の保守作業、更新工事を行っております。そのため、鉄道については、このような保守点検の問題といった制約があり、安全面を含めて検討すべき課題があると考えています。
 国土交通省といたしましては、東京都交通局から具体的な相談があった場合には必要な助言などを行っていきたいと考えております。
○政府参考人(坂明君) 乗り合いバスの二十四時間運行については、適切な運行管理や運転者の配置等がなされれば実施することは可能となっております。
 国土交通省といたしましては、東京都交通局からのこの乗り合いバスに関します具体的な相談を踏まえまして必要な助言などを行っていきたいと考えておりますし、また、関係の業界の動向についてしっかりと検討をしてまいりたいと考えております。
○福島みずほ君 これ、二十四時間やりますと、働いている人も、終電という概念がなくなると無限に働くことになるのではないか。これは労働者にとってはゆゆしき事態と思って、やっぱり厚生労働委員会で何かやはりこれは質問しておこうというふうに思いましたので、是非よろしくお願いします。
 次に、こどもの城の閉鎖計画についてで、青山劇場、青山円形劇場、こどもの城がありますが、厚生労働省は二十六年度末で閉館すると発表しました。しかし、多くの子供たちが本当に利用していて、こういう施設の総本山なんですよね。ですから、もったいないというか、改修費用にお金が掛かると言われていますが、一社からしか見積りを取っていないので、改修費用を安く上げるか、何とかこの児童館の総本山、研修も多くされていますし、維持してほしいというお母さんたちの声も強いんですね。
 何とかならないですか、局長。
○政府参考人(石井淳子君) 大臣ともよく相談しながらでございますけれども、こどもの城は、委員御指摘のように、大変大きな役割を果たしてきたというのは事実だろうと思います。昭和五十四年の国際児童年、これを記念をして昭和六十年に国が設置したものでありまして、やはり当時、子供を取り巻く環境が必ずしも整っていなかった、その時代に遊びのプログラム、これを開発をして、地方公共団体に情報提供して子供の健全育成に資するという役割を果たしてきたものと認識をいたしております。
 ただ、この設置から今二十七年を経過をいたしまして、昨今、子供を対象とした民間施設、大変増えてまいりましたし、また、地方でも児童館、そして子育て支援拠点などの整備が進み、様々な活動が展開されるようになってきております。そして一方、建物の老朽化が進んで、現在の機能を維持するために、近いうちに多額な費用を要する大規模改修工事を避けられないということになっております。
 一社見積りというふうにおっしゃいましたけれども、元々この建物を建設したところの設計でございますので、一番堅いところというふうに思っておりますが、多分大きな差は出ないんだろうと思っておるところでございます。
 こうした事情を総合的に勘案しまして、国の果たすべき役割、費用の問題もございますが、国が自ら建物を運営して、箱物を運営していくのではなくて、今後は地方の取組を支援していく、そういう方向に変えていくべきではないかというふうに考えまして、平成二十七年三月末での閉館を決定したところでございます。ただ、その間、閉館に至るまでの間、丁寧な対応をしていく必要はあろうと、このように考えております。
○福島みずほ君 昔も今も子供を取り巻く環境は余り良くなくて、とりわけ大都会におけるこういうこどもの城のような存在は本当に大きいと思います。女性手帳なんか配るより、子供を本当に楽しく遊ばせる場を増やすことほどよっぽどみんなのためになると思っておりまして、是非、優しい大臣、ちょっとこれ考えていただけませんか。
○国務大臣(田村憲久君) これは、一つは利用状況をちょっと私も見ました。すると、全国的な広がりは余りないんですよね。つまり、これ全国の総本山とおっしゃられましたが、国がやるからにはやはり全国的な広がりが重要であって、元々は先駆的な遊びなんかを情報発信してきたわけでありますけれども、実際、利用状況を見ますと、入館状況、それからホールの利用状況、これも、中を見ますと、じゃ全てが子供のためだけのホールの使い方なのかというと、余り子供と関係ないような劇をやっていたりしているとか、いろんなこともあるんです。
 そういうことを考えると、確かに利用されている方々にとってみれば必要だというのは分かるんですけれども、百二十億使って子供のためといって全国展開をするものとしてはどうなのだろうかという中において、やはりなかなか国民の皆様方に理解いただけないなという中においてこのような判断をさせていただいたわけでございまして、今までのその役割というものは非常に大きかったということで我々も思っておりますけれども、これは更に改修、建て直しなどをしながら同じような形で運営していくということになりますと、なかなか、御理解をいただけるのかなという中においてこのような判断をさせていただいたということでございまして、忍びないわけでございますけれども、ひとつ御理解をいただければ有り難いというふうに思います。
○福島みずほ君 でも、関東域では非常に使われていますし、多くの人も使っていますし、それからママやパパもたくさん来ているし、やっぱりこういう先駆的なものや、私は何か、もう少子化が日本苦しんでいるんだから、子供のことではけちけちするなというふうに思うんですね。是非御検討をお願いします。
 この間に、前回に続いてまたまた規制改革会議に来ていただいて済みませんが、今日もすがりたいというか抗議したいというか、何でやはり突然、前回でも取り上げましたが、第十回会議五月二十二日、同会議雇用ワーキング・グループ第六回会議五月十四日、同会議エネルギー・環境ワーキング・グループ第六回会議五月十三日の資料が突如ホームページに掲載されなくなりました。秘密会議になっていると。
 この間は答申が出た後御議論くださいと答弁されたんですが、答申の前に議論すべきじゃないですか。何か突然出さなくなると、こちらも、答申に向けての議論していることを何で隠すのかと、こう思うんですよ。どうですか。
○政府参考人(滝本純生君) 済みません、報告書を最近公表しておりませんのは、前回の委員会でもお話し申し上げましたように、答申にそのままつながっていくものですから、それで……
○福島みずほ君 だったら出してくださいよ。
○政府参考人(滝本純生君) いや、で、答申の中には、今後、答申を受けて我々が政府として閣議決定をして取り組んでいく規制改革の具体的な項目も入っています。それは閣議決定経ますので、与党プロセスなども経なくてはいけませんので、そういう関係で答申まで待っていただきたいということで、私どもも情報公開の重要性というのは十分認識しておりますけれども、そういう事情がございます。
 特に、雇用関係で申し上げれば、何か一つのでき上がったものがあってそれを公表していないというよりも、むしろ原稿といいますか草稿なんです。ですから、今後、委員の審議の過程で加筆修正といいますか推敲されていくものでありますので、その不確実なものを逐次公表していきますと不確定なものに対する無用の議論を呼ぶといいますか、それがひいては自由な審議をできなくなるというふうなこともございまして、それで公表はちょっと答申までお待ちいただきたいということにいたしております。
○福島みずほ君 驚くべき答弁ですよ。経済産業省のエネルギー基本計画だって、あのシビアアクシデントのときだって耐震指針や活断層の委員会だって公開していきましたよ。障がい者制度改革推進会議なんてインターネットでやって、みんなが来るようにやっていたじゃないですか。答申作るまでぎりぎりまでみんな大いに議論していますよ。だって、審議会ってそういうものじゃないですか。議論して最後に答申出すんでしょう。突然何で出さない、何で出さない。おかしいですよ、誰が考えても。
○政府参考人(滝本純生君) 答申までといいますが、もう既に答申の起草に入っている段階なものですから、ですから前回も申し上げましたように、答申出ましたらそれをよく読んでいただいて十分御議論いただきたいということと、それから、もう既にこれまで私どもも、厚労省等始め、いろいろ必要な場合にはヒアリングを何回かやりまして、それからまた、議論に必要な素材といいますのはそれ以前にもう既に出ておりますので、それをベースに議論をしていると、そういう事情にございます。
○福島みずほ君 いや、これもう厚生労働委員会としては許しませんよ。みんなの発言聞いているでしょう。だって、何で突然出さないの。起草の段階で私たちは何でその議論を知ることができないの。おかしいじゃないですか。だって、とっても重要なことを議論されているわけですよ。だから出してくださいよ。秘密会にするんだったら、怪しいことをやっているとしか私たちは思わない。
 答申出して議論してくれというのもおかしいじゃないですか。その過程そのもののプロセスにみんなの意見を反映させるのだし、国会議員が資料を要求して出ないのもおかしい。しかも、突然やるのもおかしい。何で突然秘密会になるんだ。答申やる前に会議公開して、資料も出してください。(発言する者あり)原発の方がまだ公開しています。
○政府参考人(滝本純生君) 事務局として申し上げますけれども、もう既に起草の段階に入っておりまして、私、幅広く全てを存じ上げているわけではございませんが、起草の段階になれば非公開で会議をする審議会等もあると思っておりますし、そういう意味で、規制改革会議は会議としてもう起草の段階に実質入っているので、答申までは公表を差し控えると、そういう扱いで決定したということでございます。
○福島みずほ君 制度改革推進会議の皆さんたちがどんな意識でこれをやっているのかと思いますよ。今はもう公開の時代じゃないですか。大いに議論をして、どういう制度がいいのかと議論をする、議論をすればするほど良くなるというふうに思うんですよ。一切それを排除して秘密会議でやるって、厚生労働委員会はこれを許さないというか、おかしいですよ。
 国民にとって雇用は大事なことで、ほかのテーマもそうですが、秘密会にして突然資料を出さずにやって、答申出したら議論をしてくれというのは傲慢ですよ。その審議会のメンバー自身も問題ですし、事務局もおかしいと思います。
○委員長(武内則男君) 時間も過ぎておりますので、おまとめください。
○福島みずほ君 はい。
 私自身は出せと。出してください。こういう議論も持ち帰ってください。大いに議論をしてやらない限り、悪いけれども、制度改革推進会議は国会にけんか売っとんのかというふうに思いますので、よろしくお願いします。
 終わります。
○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男です。
 本日は、障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案に関しまして質問をさせていただきたいと思います。
 本法律案は、雇用の分野における障害者に対する差別の禁止及び障害者が職場で働くに当たっての支障を改善するための措置、いわゆる合理的配慮の提供義務を定めることを大きな改正の目的の一つとしております。
 そこで、まず差別禁止等の対象とする障害者の範囲について、田村厚生労働大臣にお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(田村憲久君) 今、範囲というお話がございましたけれども、障害者に対する差別の禁止、それから合理的配慮の提供義務でありますけれども、これに関しては、障害者手帳の有無に関係なく、職業生活上相当の制限を受ける、そういうような障害者の皆様方、幅広く対象といたしております。
○渡辺孝男君 次に、事業主が、雇用している者が障害者に当たるか否かの判断に迷った場合の行政などからの支援について、厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(小川誠君) 御指摘のような場合につきましては、必要に応じてハローワーク、地域障害者職業センター等の就労支援機関が助言を行うことを想定しております。
 また、改正法施行前の間には、都道府県労働局等を通じて事業主に対する説明会等を行ってまいります。
○渡辺孝男君 次に、本法律案は、精神障害者を法定雇用率の算定基礎に加えることをもう一つの大きな改正内容としているわけでございますけれども、そこで、精神障害者を雇用義務の対象とする場合に精神障害者福祉手帳の交付を受けている者に限ったその理由につきまして、田村厚生労働大臣にお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(田村憲久君) 先ほどは、差別禁止でありますとか、それから合理的配慮の提供義務等々に関しましては、これは障害者手帳の有無関係なかったわけでありますけれども、こちらの方は障害者手帳を持っているということが前提ということでございます。
 一つの考え方といたしましては、これ、障害者雇用ということを考えたときに、やはり社会連帯の理念の下で全ての企業に雇用義務を課すという形になっております。そのような意味では、一定の障害者の皆様方を雇用する、そういう環境が整っていること、あわせて、対象範囲が明確であり、公正、一律性が担保されること、これが重要でございまして、やはり一律性が担保できなければなかなかこれカウントする中においては難しい部分があるわけでございまして、障害者の皆様方の、その障害の、何というのでありましょう、状況みたいな話になってくるわけでありますけれども、そう考えたときに、やはりこの公正、一律性という観点も必要でありますし、一方で、それをある程度調べるなんて話になると、これ、プライバシーの問題がそれぞれ起こってくるわけでございますので、各企業間等々でそういうこともなかなか難しいわけでございまして、そこで、障害者の皆様方の特性やプライバシーに配慮する中において、このような障害者手帳というものを一つ大きな規定といいますか、目安にさせていただいた、条件にさせていただいたような次第でございます。
○渡辺孝男君 その際に、本人の意に反し手帳の取得が強要されないようにすべきであると、本年の三月十四日の障害者雇用分科会意見書、今後の障害者雇用施策の充実強化についての中で述べられているわけでありますけれども、この点に対する対応につきまして厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(小川誠君) 精神障害者の雇用率算定に当たりまして、手帳の取得が強要されないようにするということは重要だと考えております。
 このため、厚生労働省では、平成十八年四月から精神障害者が実雇用率の算定に入りました。それに当たりまして、特に在職している精神障害者の把握、確認の際に障害者本人の意に反した制度の適用が行われないように、プライバシーなどに配慮した障害者の把握・確認ガイドラインというのを平成十七年十一月に発しております。これによって事業主の指導に取り組んでおるところでございますけれども、引き続き制度の適切な周知に努めてまいりたいと考えております。
○渡辺孝男君 次に、これも確認なんですけれども、障害者手帳を所持しない発達障害者あるいは難治性疾患患者等に対しても、障害特性に応じて適切な支援が受けられるようにすることが重要との意見、これは障害者雇用促進制度における障害者の範囲等の在り方に関する研究会の報告書、昨年の八月三日でございますけれども、こういう意見が述べられているわけでありますけれども、これに対する対応としまして、田村厚生労働大臣からお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(田村憲久君) 障害者手帳をお持ちじゃない発達障害の皆様方や難治性疾患患者の皆様方も、現在、ハローワークで求職者として年々増加をしてきておるわけでありまして、数が本当に増えてきております。これはまさにこの就労支援に対するニーズというのが非常に高まってきておるということでありまして、数を拝見しますと、平成二十二年度、発達障害者の方々の職業紹介状況であります、これはハローワークでありますが、九百十四人であったのが、二十四年度には千九百十人、難治性疾患患者の皆様方も、二十二年度一千二百七十二人が二十四年度二千四百三十三人と、これ二年で倍増してきておるわけでございます。
 そのような意味から、やはりハローワークの中においてこれ支援の強化というものをしっかりしていかなければならないということでございまして、具体的には、発達障害の皆様方には、先ほども申し上げたんですが、コミュニケーション、これが非常に困難なところもございますので、これに対する専門的な支援というものを全国的に展開をするということ、それから難病をお持ちの皆様方に関しましては、難病に関する専門的な知識を持っておられる方、こういう方々に難病患者就職サポーターというお役割を担っていただいて、これは新規配置でありますけれども、そのような形でこの難病の皆様方や発達障害の皆様方に対して就労支援というものをしっかりとハローワークにおいてさせていただこうというふうに準備、準備といいますか、今体制を強化をさせていただいておるような次第でございます。
 いずれにいたしましても、各地域ハローワークで、この障害者手帳をお持ちじゃない皆様方に関しましても、障害者、難病者、それぞれの方々にしっかりとした対応ができるように、これからも体制の方を整備をしてまいりたい、このように思っております。
○渡辺孝男君 次に、精神障害や発達障害、あるいは高次脳機能障害あるいは難病など、なかなか今までの対応では就労支援等が難しい、非常に、何といいますか、苦労をしているような場合も見受けられるわけでございますけれども、このような方々に対する就労支援に当たる人材の育成というのが非常に大事だと、そういう方々が確保されなければなかなか具体的な就労に就いていけないということも当然あり得るわけでありまして、このような専門的な知識、あるいは病気をよく理解をしておられると、そのような人材を育成し確保するための対応につきまして、桝屋厚生労働副大臣にお伺いをしたいと思います。
○副大臣(桝屋敬悟君) 先ほどからお話が続いておりますが、精神障害者あるいは発達障害、それから難病などの障害者に対する就労支援につきましては、個々の障害特性に応じたきめ細かな対応が必要でございます。このため、障害者の就労支援に当たる人材につきましては、障害特性に関する専門的な知識から、福祉、教育、医療等の関連分野の取組状況の把握に至るまでの幅広い知見が、知識、経験が必要になるだろうと、こう思っております。このような人材の育成確保に向けて、現在、ハローワークの専門窓口の職員に対する専門的研修を定期的に実施する、あるいは地域障害者職業センターにおきまして、地域の就労支援、機関の専門性向上に係る研修などに取り組んでございます。
 今後とも、これらの取組とともに、ハローワークを始めとする地域の関係機関における支援体制の確保に努めるとともに、その専門性の向上等を図ってまいりたいと考えてございます。
○渡辺孝男君 次に、障害者に対する差別の禁止や雇用促進のためには、その大前提となる障害に対する理解の推進、あるいは障害者に対する支援策の周知、そういうものが重要だと、そのように考えております。以下、これらに関しての質問をさせていただきたいと思います。
 精神障害者の理解を進めるためには、事業所において、「心の健康問題の正しい理解のための普及啓発指針」、「こころのバリアフリー宣言 精神疾患を正しく理解し、新しい一歩を踏み出すための指針」と、そういうものが作られておるわけでございますけれども、そのほかにもいろんな資料等はあると思うんですけれども、このような資料等を従業員への周知を行っていくことが望ましいのではないかと、そのように推奨されておるわけでありますけれども、このような資料あるいはこころのバリアフリー宣言等をどのように今周知をされておるのか、その現状につきまして、またその結果に基づきまして更なる推進を図っていくことも重要と思いますので、この点も厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(小川誠君) 委員御指摘の心の健康問題の正しい理解のための普及促進指針につきましては、先ほども御紹介を申し上げましたプライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドラインの中で紹介しております。そのことによって、職場における従業員への周知を行っております。
 これにつきましては、今後とも、ハローワークの窓口でございますとか障害者雇用に関するセミナーの場等におきまして、事業主を案内するなどによってその周知について図っていきたいと考えております。
○渡辺孝男君 次に、障害者雇用に重要な役割を果たしていますジョブコーチによる職場定着支援の成果及び現在生じておるような課題について、また、今後のこれを解決するための対応等について、桝屋厚生労働副大臣にお伺いをしたいと思います。
○副大臣(桝屋敬悟君) お答えを申し上げます。
 ジョブコーチによる職場定着に関する支援、平成二十四年度で四千五百八十五件実施してございます。また、支援終了後六か月後の定着状況を見てみますと、八六・七%が引き続き継続雇用しており、一定の成果を上げていると感じております。これは、ハローワークにおける職業紹介により就職した精神障害者の職場定着状況、これが四九・一%、これは六か月以上でありますが、比べますと、本当に大きな成果だと思っております。
 ただし、今回の制度改正に伴いまして、支援を必要とする精神障害者の数が大幅に増加するということが想定をされることから、ジョブコーチの量的、質的な拡大が大きな課題となっております。今後、その充実に向けて検討してまいりたいと考えてございます。
○渡辺孝男君 本当に、ジョブコーチ制度、できてからもう大分時間もたつわけでありますが、その有効性というのは証明されているところでありますので、その人材確保、しっかりやっていただきたいと思います。
 次に、今国会で審議中の道路交通法の一部を改正する法律案が成立した場合には、雇用者が、一定の病気、例えば統合失調症やてんかん、躁うつ病、無自覚性の低血糖症あるいは再発性の失神などの発病や重症化によりまして自動車運転免許取消しや停止になることが想定されておりますけれども、そのような場合に、疾患や障害を理由に理不尽な解雇とか職場転換が行われないように、あるいは、障害者や有病者に対する不当な差別を禁止して雇用の安定に資するというのがこの法案の目的でございますので、そのような対応が必要となると考えているわけでありますが、この点に関しまして桝屋厚生労働副大臣にお伺いをしたいと思います。
○副大臣(桝屋敬悟君) 今回の道路交通法の改正でありますが、厚生労働省といたしましても、今回の道交法の改正に伴いまして、職場において今お話がございました一定の病気等を理由に解雇など雇用管理上の不利益な取扱いが行われることを防止するため、警察庁を始めとした関係省庁とも連携をしつつ周知啓発に努めてまいりたいと考えてございます。
 特に職場に対しましては、今回の法改正を踏まえて、改めて、一定の病気等を持つ者であっても適切な配慮があれば十分能力を発揮していくことが、発揮して働くことができるということにつきまして、関係省庁と連携しつつ、リーフレットを作成することも含めて、周知に取り組んでまいりたいと思っております。
○渡辺孝男君 関連でもう一問質問をさせていただきたいと思います。
 先ほども、一定の病気での免許の停止あるいは取消し、そういうことが起こり得るというようなお話がございましたが、そういう場合に、やはり通勤とかあるいはお仕事で大変苦労される方が出てくるということでありますけれども、そういう場合に、そういう障害を持っていても、あるいは一定の病気を持っていても、交通手段が確保されていればお仕事等も十分できるわけであります。
 そういう意味では、公共交通機関の環境づくりが非常に、バリアフリーの環境づくり、あるいはそういう交通手段を使う場合の支援等が必要と考えているわけでありますけれども、そういう点で、一般乗り合いバスでは、平成二十四年七月三十一日の標準運送約款の一部改定で、これまでの身体障害者や知的障害者に加えて精神障害者に対しても運賃割引がなされるようになったと聞いておりますけれども、そのような事業者の実施状況につきまして国土交通省にお伺いをしたいと思います。
 また、今後、鉄道会社等の公共交通事業者でも同様の割引の対応が実現できるよう、国土交通省及び厚生労働省として要請や働きかけをお願いをしたいと思うわけでございますけれども、この点に関しましても桝屋副大臣並びに国土交通省にお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(坂明君) 先生御指摘の昨年七月三十一日改正の標準運送約款でございますが、これは九月の三十日に施行となっております。
 この九月の三十日時点の調査では、乗り合いバスを運行する一般乗合旅客自動車運送事業者千八百十九社のうち、三七・二%に当たります六百七十六事業者が精神障害者の皆様に対して無料化を含む運賃割引を実施しております。また、これらの事業者の一部は、同乗して介護を行う方に対しても無料化を含む運賃割引を実施しておるところでございます。
○政府参考人(田端浩君) 現在実施されております鉄道運賃における障害者の方に対する割引は、鉄道事業者の自主的判断に基づき実施されているものでございます。精神障害者割引を実施している鉄道事業者は、本年四月現在で公営地下鉄を始め五十五の鉄道事業者となっております。
 国土交通省といたしましては、これまで機会をとらえて鉄道事業者に対し精神障害者に対する割引制度の導入検討について理解と協力を求めてきたところでございます。今後も、鉄道事業者に対し、引き続き理解と協力を求めてまいりたいと考えております。
○副大臣(桝屋敬悟君) 精神障害者保健福祉手帳、これはもう委員からもお話がございましたけれども、身障手帳、療育手帳に比べて非常に運賃割引の制度が遅れたと、こういうことがございます。手帳の制度そのものが新しいということもありますが、写真の貼付等も始めまして、十八年十月からそのようにいたしまして、やっと動き出しているわけでありますが、今国土交通省の方から御答弁があったとおりでございまして、とりわけ鉄道会社等の公共交通機関、まだまだ一部にとどまっているわけでありますから、しっかりと、ここは大臣を先頭に、厚生労働省といたしましては、運賃割引等の各種サービスの実現に向けて、関係者の御理解を得られるようにしっかり働きかけてまいりたいと思ってございます。
○渡辺孝男君 私からも再度お願いをしたいと思います。
 以上で質問を終わります。
○川田龍平君 よろしくお願いいたします。今日、座って質問させていただきます。よろしくお願いします。みんなの党の川田龍平です。
 私も、先ほど石橋委員からお話ありましたこの過労死の問題について、私も過労死対策基本法若しくは過労死予防法のようなものをやっぱり是非作るべきではないかと思いますし、過労死に対する対策を一日も早く厚生労働省の方にも取っていただくように私も要望いたします。
 それでは、質問に入ります。
 精神保健法改正法案において論点となるのは、既に罹患してしまった方のケア、家族の関与の在り方です。最も重要な対策の一つは病状を悪化させないことであり、精神的な健康を維持し、精神疾患にかかる前に未然に防げる環境をつくっていくことも重要です。
 そこで、予防と重症化予防について確認させていただきます。
 そもそも精神疾患の主たる原因は、多くが労働環境によるものだと思いますが、働く環境とメンタルヘルス問題の関係について現状はどのようになっているのでしょうか。労働者の精神保健環境に重点を置く労働安全衛生法が政権交代されてからなかなか提出されませんが、どのようになっているのでしょうか。
○政府参考人(宮野甚一君) お答えをいたします。
 先生御指摘の働く環境とメンタルヘルスの関係でございますけれども、労働者のメンタルヘルスの不調につきましては様々な要因があると考えられますが、働く環境がメンタルヘルスに与える影響は少なくないと私どもも認識をしております。
 このため、職場におけるメンタルヘルス対策の一環として、労働者のストレスの程度を検査し、必要な場合には就業上の措置につなげる等の対策を盛り込んだ労働安全衛生法の改正案を一昨年の臨時国会に提出をいたしましたけれども、残念ながら昨年の臨時国会において廃案となっております。
 この法案については、メンタルヘルス対策を含めまして重要な課題が含まれていると認識をしておりますけれども、国会への提出から時間もたち、本年二月には第十二次労働災害防止計画が策定されるなど状況の変化もあることから、メンタルヘルス以外の内容についても改めて検討した上で再提出を目指したいというふうに考えております。具体的には、十二次防の検討事項について法案に追加すべきものがないかなど、この六月から労働政策審議会において議論をお願いしたいと考えております。
○川田龍平君 この法案提出は来年の通常国会を目指すということも聞いておりますが、法律が未整備の状態で放置しているとなれば、その間に心の病に苦しむ国民がどんどん増えていくことになるんではないでしょうか。
 この法案は、言わば既に罹患している患者さんをケアする法案ですが、それだけでは不十分です。心の問題、精神疾患への入口の部分でしっかりとシャットアウトをして、心の健康に常日ごろから関心を払うことができる社会環境を今から用意しておかなければなりません。この法律を適用しなければならない国民をどんどん増やしていくことになりかねません。心と労働の問題を直視して、労働環境の改善とメンタルヘルスの問題を早期からきちんと対処できるような抜本的な精神保健事業の改革が必要です。
 その意味でも労働者の心の健康管理は重要だと思いますが、現在のメンタルヘルス対策に併せて、来年の法案提出までに具体的にどのようなことを考えているのかお示しください。
○政府参考人(宮野甚一君) お答え申し上げます。
 厚生労働省では、平成十八年に労働者の心の健康の保持増進のための指針を策定し、不調者の早期発見、適切な対応、職場復帰支援等、一次予防から三次予防まで事業場における基本的なメンタルヘルスの取組事項を示しております。この指針に基づきまして、職場におけるメンタルヘルス対策を推進するため、都道府県労働局、労働基準監督署による事業場に対する指導等の実施、全国のメンタルヘルス対策支援センターにおける相談対応、個別事業場に対する訪問支援等の実施、ポータルサイトこころの耳を通じた情報提供等の取組を行っております。さらに、今年度は産業医を対象とした研修を実施することとしております。
 今後とも、こうした取組を進めまして、職場におけるメンタルヘルス対策を推進してまいりたいと考えております。
○川田龍平君 労働安全衛生法では産業医の活用がうたわれていますが、産業医が十分にメンタルヘルスの知識があるかどうか疑問です。産業医のメンタルヘルス対策についてどのような研修体制が用意されているのかお示しください。
○政府参考人(宮野甚一君) 職場のメンタルヘルス対策を推進する上では、産業医等が適切な役割を果たすことが重要であると認識をしております。このため、産業保健推進センターを設置して、産業医を含む産業保健スタッフに対してメンタルヘルス対策等の具体的な取組手法に関する研修を実施をしております。さらに、先ほど申しましたとおり、今年度はこれに加えて、産業医に対してストレス症状を有する労働者への面接、指導の実施方法等の研修を全国で実施することとしております。
 厚生労働省としては、産業医等に対しこれらの研修の受講を勧め、今後とも産業医等のメンタルヘルスに関する知識の向上を図ってまいりたいと考えております。
○川田龍平君 産業医にはゲートキーパー的な役割を期待しているということだと思いますが、そうであれば、産業医にはきめ細やかな気遣いが必要でしょうし、過重労働が続いているような場合には、心の健康が損なわれないように使用者に毅然と物を言えるようにしなければいけません。また、使用者もそういった配慮ができるようにしていただきたいと思います。
 さて、現在、産業医の数は十分とは言えません。産業医が十分に機能できないのであれば開業医や専門医の活用も考えているのでしょうけれども、メンタルヘルス専門医の開業数が十分ではなく、いわゆる一般に開業されている診療所などでメンタルヘルスの問題を解決しようとする国民が多いのが現状だと思います。
 しかし、こうした精神科を本来専門としていない開業医の医師が安易に精神科の薬剤を処方している現状は好ましい状態とは言えないのではないでしょうか。ベンゾジアゼピン系の薬剤などは習慣性、依存性が高く、耐性が現れやすい場合もあり、十分な経験と臨床知識がなければ上手に使えないこともあるのではないかと思います。また、臨床の現場で安易にこうした薬剤を処方してしまう傾向があるのではないでしょうか。睡眠導入剤もそうですが、患者がつらいので処方するのでしょうけれども、必要なものを必要なだけにしなければ、薬剤に依存してしまう国民をどんどんつくり出してしまいます。
 メンタルヘルス系の薬剤を安易に処方できる現状を何とかできないものなのか、大臣の答弁を求めます。
○政府参考人(岡田太造君) 我が国の精神科医療では、諸外国に比べて多種類の薬剤が大量投与されている実態があると指摘されているところでございまして、厚生労働省としても問題意識を持っているところでございます。
 このため、一般診療所を含みますレセプトデータを対象に向精神薬の処方状況を調べた調査を行ったところでございまして、その結果、一部の患者で多種類の薬剤が処方されるケースがある、一方で九割以上のケースで二種類以下の処方であったというような結果が出ているところでございます。患者さんの病状によりまして使われる薬というのは多種類の薬剤が必要な場合もありますので、この結果から一概に適切、不適切ということを判断するのは非常に難しいのではないかと考えております。
 なお、平成二十四年度の診療報酬改定におきまして、睡眠薬又は抗不安薬を三種類以上処方した場合には診療報酬を減算するということとして適正な処方を促しているというようなところでございます。
 また、今年度、向精神薬の処方実態について更に調査を行うこととしまして、その結果を踏まえて必要な対応について検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○国務大臣(田村憲久君) 答弁、全部答えられちゃったんですけれども、要は、薬というのは、効くのは効くんだと思います。ただ、問題はその使い方の問題であって、今委員おっしゃられたとおり、耐性のあるものを余り使っちゃいますともうそれで効かなくなってくると。そうすると、また大量に使うか違う薬を使うということで多剤投与だとか大量投与につながっていくわけでございますので、そこも含めて、本当にどういう使い方がいいのかということはこれは研究をしなければならないというふうに思いますし、今答弁にありましたとおり、実態調査をちょっとさせていただきながら対応の方を考えさせていただきたいというふうに思います。
 こういう問題があるという認識は厚生労働省も持っておりますので、しっかりとした対応をさせていただきたいというふうに思っております。
○川田龍平君 薬剤投与によって副次的に精神疾患が生み出されるようなことは絶対にあってはならないことです。医師が処方した薬剤が原因となってメンタルヘルス問題が悪化したり発病したりするのは最もひどいことです。ここはしっかりと教育研修制度を充実させるとともに、使用の適正化に向けて努力を怠らないように政府にお願いしたいと思います。
 レセプト上で少なくとも常習性や依存性が疑われるものや明らかな倍量投与などは、診療報酬上の返戻措置をとっています。少なくとも、よほどの理由がある場合にはレセプト上に特記事項として医師が記載したりするべきでしょうし、それがない明らかな過剰投与が疑われる場合にはきちんと対処するように何らかの処置をとっているのかどうかをお答えください。
○政府参考人(木倉敬之君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、レセプトにおきまして医学的に明らかに過剰な投与あるいは不適切な投与ということにつきましては、審査支払機関におきまして査定を行って返戻をさせていただくということは当然であります。
 また、患者さんが複数の医療機関を重複受診をされておるような場合にはなかなか審査上それが不適切と一概に言えないと、その一個一個のレセプトを見た場合はですね、そういう場合もあろうかと思います。こういう場合につきましても、今度は、保険者の側におきましては、まだ取組が始まったばかりではございますが、加入されている被保険者さんのレセプトを分析をいたしまして、やっぱり不適切な受診をなされている、あるいは投薬に重複が見られるというふうなことにつきましては、その方の健康上の問題、保健指導の問題として適切な受診を促すというふうなことの取組も始まっておるところでございますが、まだこれからでございます。
 このようなものにつきましても、我々も積極的な事例を普及させるなどによって取組を促してまいりたいというふうに思っております。
○川田龍平君 次に、降圧剤バルサルタン、商品名ディオバンの論文問題について関連して質問いたします。
 先ほどから繰り返し申し上げていますように、昨今の精神科治療においては薬剤の担う役割は重要性を増しております。効き目の鋭い新薬もどんどん投入され、患者さんのQOLも向上しているという話も聞かれるようになりました。つまり、薬剤が正しく使われる環境が用意されなくては患者の予後は決して良くならないということになります。
 そうした観点から見ますと、今回のディオバンの論文の問題は、治療薬の使用の前提となる臨床研究の信頼性を失墜させ、薬剤使用のバイブルといってもよい添付文書の中身にも影響を及ぼしかねません。そうなれば、臨床現場で何を信じて治療薬を選べばよいのか分からなくなってしまうのではないでしょうか。そうなれば、精神を病んでしまってもなかなか良い薬に出会うことができないようになり、結果的に患者の不利益につながりかねないのです。
 まずは、事実関係として、厚生省はどういった指導をされたのでしょうか。昨日、医政局の研発課と経済課が当該製薬会社を呼んで注意喚起を行ったというような話も聞いておりますが、当該研究論文を発表した京都府立医科大学への指導があったのかなかったのかも含めて教えてください。
○政府参考人(原徳壽君) お答え申し上げます。
 昨日十六時から、ノバルティスファーマ株式会社の担当者を厚生労働省に呼びまして事情をお聞きいたしました。その事情を聞いた後、同社に対して、現時点で判明している利益相反の問題についての厳重注意、また、今回の事案に関する全体像の更なる検証、再発防止策の策定、また、検証結果と再発防止策の厚生労働省に対する早期の報告について、担当課より口頭で指導を行ったところでございます。今後新たな事実が判明すれば、それを踏まえ、また必要な対応を検討することとしております。
 また、京都府立医科大学においては今回の事業について更なる調査を実施していると聞いており、まずはその調査結果の報告を聞いた上で、今後の対応について検討していきたいと考えております。
○川田龍平君 製薬企業が意図的に関与し、結果を何らかの形で捏造したり有意なものにしたりするような統計的処理を行ったなどということになれば、それは犯罪ですし、日本の臨床研究自体をおとしめる行為ですから看過できません。
 このディオバン臨床研究については、いわゆる製薬企業などが主導する臨床研究とは異なり、医師が主導して実施する臨床研究として意味のあるものであり、また日本初の大規模臨床研究だったと聞いています。つまり、日本の治験を変えると言っても過言ではない第一歩のはずでした。その第一歩からしてこういう不手際があったとなると、臨床研究を活発化させ日本発の創薬を推進していくと政府は言っていますが、本当に大丈夫なのかと言いたくもなります。
 当該製薬会社が意図して関与をしたのかどうかということも気になりますが、それ以上に、この臨床研究を主導した京都府立医科大病院の無責任さは、命を預かる医師を養成する大学としてこれで良いのかと怒りを感じます。京都府立医科大学では、このディオバン問題を理由にしてディオバンを製造して販売している会社を取引停止にしたといいますが、そもそも問題となった論文を公表したのはこの大学の教授です。この大学の教授が自らの責任で行った臨床研究において利益相反の開示義務違反があったのであって、どうして被害者のように振る舞って、あたかも製薬企業に責任があるかのような顔をするのは、余りに当事者意識がなさ過ぎるのではないでしょうか。
 医師主導の臨床研究なのですから、研究グループの誰がどのようにかかわっているかを把握するべきなのは当然のことではないでしょうか。それとも、どこの誰だか分からないような人に研究の中核部分である統計解析を任せた結果を学会誌に発表したとでも言うのでしょうか。仮にそうだとすれば、そんな臨床研究でいいのでしょうか。京都府立医科大学の当該製薬会社への取引停止勧告は、日本医学会の高久会長も京都府立医大の行為は行き過ぎと断じており、京都府立医科大学のような大学が臨床研究をしていくことは将来的に大きな禍根を残すのではないかと不安に思います。
 そもそも医師は、臨床研究の手順や治験の手順などは国際ルールを含めて熟知しているのでしょうか。手順も知らない状態で臨床研究をやられては人体実験です。世界標準のルールを遵守して行った臨床研究だからこそ、世界的に評価され、その結果を用いて医学が発展していくのです。
 京都府立医科大は当然ですが、過去に臨床研究の手順がきちんと理解されていなかった慶應義塾大学病院なども含めて、学内や病院内における臨床研究や治験に対する理解が深まっているのか再点検をしっかりしていただきたいと思いますが、政府の答弁を求めます。
○政府参考人(原徳壽君) 早期・探索的臨床試験拠点に選定されております慶應義塾大学病院におきまして、昨年、患者の同意を得ずに三十一名から手術中に骨髄液を採取するという臨床研究に関する倫理指針に反する研究が実施されていたことが判明いたしました。これを受けまして慶應義塾大学病院では、関係職員の教育や同意書の電子的確認システムの導入などの再発防止策を取りまとめたところでありまして、厚生労働省ではその進捗を確認することとしております。
 また、他の早期・探索的臨床試験拠点や臨床研究中核病院に対しても、この臨床研究に関する倫理指針を遵守した臨床研究が実施されているかの調査を実施いたしましたが、その他のところでは特段の問題は認められなかったところでございます。
 これらの医療機関におきましても、適切に臨床研究が実施されるよう、今後とも進捗管理をしっかりと行っていきたいと考えております。
○川田龍平君 さて、医学教育において臨床研究や治験がどのように扱われているかについても併せて質問いたします。
 政府も臨床研究を推進する施策を進めていますから、当然、次世代教育という意味で、学部教育でも臨床研究の手順や治験の在り方などについて一定の配慮がされているかと思いますが、現状はどのようになっているのでしょうか。文部科学省の見解をお答え願います。
○政府参考人(山野智寛君) お答えいたします。
 委員御指摘のように、やっぱり医学部の教育の中で治験の在り方であるとか臨床研究のやり方とか、その際にやっぱり留意すべきことであるとか倫理性ということについてきちんと教育するということは非常に重要なことだと思っています。
 それで、医学部の教育、医学部というのはいろいろな大学あるわけなんですが、やっぱりそれぞれの大学で教え方については創意工夫はあるものの、全ての大学の医学部生がきちんとこのことについては勉強するんだというベースになるものとして、医学教育モデル・コア・カリキュラムというものを作ってございます。その中で、御指摘のような医療と医学研究における倫理の重要性であるとか、治験を含めた研究目的での診療行為に要求される倫理性等についてきちんと学ぶということが明記されてございまして、委員御指摘のように、この分野、重要ですので、各大学がきちんと取り組むように促していきたいと思っています。
○川田龍平君 医師については、理念としてきちんと教えていると理解をしました。若い医師が高い意識を持って医師主導臨床研究や治験を担える知識と高い倫理観を持ってくれれば、彼らが卒業して現場に立ち、数年がたてば状況は改善してくると信じています。
 ただ、文部科学省も、京都府立医科大学のように当事者意識の欠けている大学もあるのですから、こういった大学にはしっかりと指導をしていただきたいと思います。コアカリキュラムがしっかりしていても、教える者の意識が低ければ、学生は十分な学習機会を得たとは言えません。この分野は、日本が創薬・医療イノベーション立国を目指すのであれば核となる分野の一つですから、文部科学省としてしっかりとフォローアップをお願いしたいと思います。
 併せて確認しますが、現在策定中の薬学コアカリキュラムでは、臨床研究、治験などレギュラトリーサイエンス分野の取扱いはどうなっていますか。今回の京都府立医大の取引停止問題でも、薬剤部長が談話を発表されたり、あるいは治験や臨床研究の評価を担当するPMDAなどには薬剤師が多く勤務し、審査体制の強化を図っているようですから、今回のような事例を未然に防ぐような厳しい目を持った薬剤師養成を企図されていると考えてよろしいでしょうか。文部科学省の答弁をお願いいたします。
○政府参考人(山野智寛君) お答えいたします。
 今、医学部のコアカリキュラムの説明をしましたが、薬学部についても同様のコアカリキュラムを作ってございます。
 それで、今、特に薬学部は六年制になったということで今改訂作業を進めてございまして、その中で御指摘のような項目につきましては、例えば大きな項目として、薬剤師に求められる倫理観というような項でありますとか、臨床研究デザインと解析というような一つの項目を作りまして、その中で一連の物事を教えていくというようなことを考えてございます。また、そういう医薬品とかに係る法規範という中でも、レギュラトリーサイエンスの必要性と意義について説明できるというような内容まで書いてございまして、今この改訂中のものは、今ドラフトができて、今各大学であるとか薬剤師会とか関係機関に意見を求めているところでございますが、そこで必要な修正をして、今後はまた広く国民の意見をパブコメで求めることによって内容の充実したものを作っていきたいというふうに考えてございます。
○川田龍平君 医師養成教育ではその重要性を認められ、医師主導治験という方向性を敏感に感じられてコアカリキュラムにしっかりと導入しているようですが、薬剤師については、通称コアカリ検討会における議論の推移を見ていると、アカデミアから消極的な話ばかりが出ているようです。医師養成教育とは異なり、国家戦略が全く見えていないのではないかと思うような発言だと気になりました。これから薬事法の改正もあり、審査の迅速化と安全性評価の充実が図られるのですから、ますますこの分野の知見を有した専門家が必要になってくるのです。薬学でもきちんと教えていただくようにお願いしたいと思います。
 ところで、今回のノバルティス問題では、論文の共著者の所属大学に臨床研究中核病院に指定されている病院も入っているようですが、国家戦略として指定されている病院については、早期・探索的臨床試験拠点病院も含めて、こういう病院群では医師の教育や倫理委員会の独立性の担保などは大丈夫なのでしょうか。政府の答弁を求めます。
○政府参考人(原徳壽君) 厚生労働省としましては、日本発の医薬品、医療機器の創出などを目的として臨床研究中核病院や早期・探索的臨床試験拠点の整備事業を進めております。これらの整備事業では、その補助要件の中で、まず臨床研究に係る専門職種の配置のほか、臨床研究を実施する医師等の関係者へ必要な教育を行うこと、これは倫理のことや、あるいは臨床研究を進める具体的な話、それから倫理性、科学性、安全性、信頼性の観点から、適切かつ透明性の高い倫理審査ができることを要件として求めております。
 これらの医療機関において適切に教育がなされ、また透明で独立性が担保された倫理審査が実施されるよう、今後とも進捗管理をしっかりと行っていきたいと考えております。
○川田龍平君 ところで、この論文問題なのですが、文部科学省に確認させていただきますが、そもそもこういった不手際やプロトコル違反のある臨床研究を実施しているような大学のアカデミアとしての信頼性についてどうお考えなのでしょうか。今回の事例は日本の研究の信頼性を失墜させるものであり、日本の国際競争力をおとしめる恥ずかしい行為です。利益相反を開示しなかった大学側の責任は責任として十分に処理した上で、製薬企業の関与がどれほどあったのかを検証し、そこに捏造などの行為があったと認定された場合には、製薬企業の利益優先のための行為を非難するべきだと考えます。
 ですから、データの捏造や解析における恣意的な介入の有無が確認されていない現状では製薬会社を責めることはできないと考えていますが、その上で大学と研究の在り方について文部科学省にお尋ねしますが、医学論文や薬学論文というのはおよそ国際的に信頼できるものなのでしょうか。
 例えば、病院薬剤部長が学位を取得して大学薬学部で教員になる例が多いと聞きます。今回のような事例を見ていると、これは、医薬業界、医療業界全体の構図ではないかと不安になります。人の命にかかわる分野です。不正が横行して、名義貸しのような研究が医師主導研究という名の下で実行されては困ります。医学・薬学分野の研究論文の質の確保という点から、また学位取得の公正性という面からも、文部科学省の見解を求めます。
○政府参考人(山野智寛君) お答えいたします。
 まず、一般論でございますけど、今回の医療とか薬学にかかわらず、全ての分野の研究者には高い倫理性、具体的に言いますと、例えば研究論文を書くときにはデータを捏造したら駄目だとか盗用したら駄目だとか、あと、それとか、利益相反には適切に対応しないと駄目だとか、あと、医学系の論文であれば患者のプライバシーをきちんと守るとか、そのような高い倫理性が全ての研究者に求められてございまして、それは今までのそういう研究者のいろいろな分野の歴史の中で、研究者コミュニティーを中心に、国内だけじゃなくて国際的にもやっぱりきちんとしたガイドラインを作るとか、そのようなところでそういうことの徹底というのが図られてきておるところでございます。
 そのような中で、もう委員御指摘のように、特に医学の研究とか薬学の研究はやっぱり命に直結する部分があるということですから、より一層やっぱりそういう高い倫理性が求められるんだと思います。そういう意味で、今回、このような事案が起きたということは、全体のそういう信頼性を損なう、臨床研究の、損なわせるということで、非常に遺憾であるというふうに考えています。
 ただ、若干、委員が言われたのでちょっと申し上げますと、我が国の医学の研究者とか薬学の研究者が、先生の言葉で言うと、やっぱり基本的にはほとんどの人は真面目に研究しておる研究者でございますので、日本のそういう医学論文が国際的に信用されないというようなことはないというふうに考えています。ただ、今回の事例は事例としてきちんと調査をして、こういう物事に対する対応は、原則はまず研究者がきちんと自浄作業をやるんだというのがあって、その周りの、当然、研究者コミュニティーであるとか大学とかが自律に基づいて自浄作用を発揮してやっぱりきちんとやっていくということで、そういうことで各大学とか関係企業なんかにおいて今調査が行われてございますけど、そこらの結果も踏まえて、やっぱり教訓にすべき内容、改善すべきポイントとかにつきましては各大学、各研究コミュニティーなんかに周知して、やっぱり適切な対応を今後取っていきたいというふうに考えてございます。
○川田龍平君 やはり臨床研究の倫理指針、指針という段階では、やっぱりこれが非常にまだ問題があることが繰り返されているという段階におきましては、やはり法制化も含めてしっかりやっていくべきだと思います。
 次に、精神保健改正法案について、さっきの議論の繰り返しになる部分もあるかと思いますが、幾つか原則的なことを再度確認させていただきます。
 まず、任意入院が原則であり、強制入院は例外であるということをきちんと認識されているでしょうか。
○政府参考人(岡田太造君) 精神疾患は本人に病識がないことも多いという特性がございまして、本人の同意に基づかない医療保護入院や措置入院という制度が設けられているところでございます。このような本人の意思によらない入院については、患者本人の権利擁護の観点を踏まえて、最も適切な形態で行われるように留意が必要だというふうに考えています。
 こうした観点から、これまでの法改正におきましても、できるだけ本人の同意により入院させるよう努めるとともに、任意入院が難しい場合に初めて医療保護入院が行われることを法律上明確化させていただいているところでございます。
 また、今回の法改正では、医療保護入院が本人の意思によらない入院であることを踏まえまして、その入院期間の短縮化を図るという観点から、精神科病院の管理者に新たに早期退院を促すための各種義務を課しているところでございます。
 引き続き、措置入院や医療保護入院に関する法令の適切な運用に努めてまいりたいと考えています。
○川田龍平君 障害を理由に強制入院させられることと障害者権利条約十四条との整合性は付くのでしょうか。
○政府参考人(岡田太造君) 障害者権利条約第十四条は、自由の剥奪が障害の存在により正当化されないことを確保することを規定しているというふうに承知しています。
 精神保健福祉法に置かれています非自発的入院に関しましては、措置入院は、自傷他害のおそれがある患者に対する医療の提供や保護を通じて、他害を防止したり患者本人の自傷を防止するという本人の利益の保護を図るためのものでございます。また、医療保護入院も、入院の必要性について本人が適切な判断をすることができない状態の場合に、あくまで本人の医療及び保護を図るためのものだというふうなことで考えております。
 精神障害者であることのみを理由として適用されるわけではないというようなことでありますので、権利条約の十四条上問題はないというふうに考えているところでございます。
○川田龍平君 今回の改正案で、より医療保護入院その他の入院数についてそれぞれ減少すると想定しているのでしょうか。数字的目標があれば、それもお示しください。
○政府参考人(岡田太造君) 今回の改正で保護者制度を廃止することに伴いまして、医療保護入院につきましては、精神保健指定医の一名の診断に加え、保護者ではなく家族などのうちいずれかの者の同意で入院を開始できるという形にさせていただいているところでございます。
 このように、改正前は保護者一人の同意でございましたが、改正後は家族などであれば医療保護入院の同意ができるということになりますが、精神保健指定医の診断が必要だということは改正の前後で変わらないということでございますので、真に入院治療が必要な患者が医療保護入院により入院することになるというふうに考えているところでございます。
 医療保護入院に当たりましては、患者本人に病識がないという特性からなかなか医療機関の受診につながりにくいという状況がございまして、今回の改正によりまして医療保護入院となる患者が格段に増えることは考えづらいんじゃないかというふうに考えているところでございます。
○川田龍平君 厚労省としては入院を減らしていくという方針のはずですが、違いますでしょうか。減らすための改正になっていないんではないでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) 世界的に見て入院の期間が長いという現状があります。そうはいいながらも、入院期間は若干なりとも短縮はしておるわけでありますけれども、そういう長期入院患者が多いという現状においてどう対応していくかということで、例えば、急性期のところに手厚い対応ができるように精神病床の機能分化というものを図っていく、これにおいて急性期のところに手厚い医療を提供できるようにしていく。それからまた、患者の家族だけではなくて、地域で支えられる、こういう仕組みをつくっていくということも大変重要であります。
 あわせて、退院をしたときにやはり、先ほど来お話が出ておりますとおり、多職種の方々がかかわり合って、そこで例えば、もちろん外来医療もそうでありますけれども、訪問支援等々をしっかりとしていくと。そういう体制整備を整えることによって、一度入った方々が早く退院してそして地域で生活できる、地域移行ができる、こういう準備を進めていくことも大変重要でありまして、そういうものも含めて、今後、指針をこの法改正の中において策定するということになっておりまして、これは、先ほど言いましたような機能分化、病床の機能分化でありますとか、多職種の方々の一つの方針みたいなもの、指針みたいなものを作っていくと。
 いずれにいたしましても、先ほど来話が出ておりますとおり、保護者制度というものはこれを廃止をする、それはいろんな御意見はあられるんだというふうに思いますけれども、保護者の方一人の責任というものをこれを解放するといいますか、そうじゃなくて家族全体でしっかりと受皿になっていただけるというようなことを進める中において家族の方の中の同意というような形を進めるということでありますが、一方で、退院に対しましては、逆に家族の方々の方から申出があればこれは審査会の方で議論をしていただきながら退院ということもございます。
 先ほど来話出ておりますとおり、精神科病院の管理者には、これはやはり早期退院というものの義務といいますか、各種義務を課しているわけでございますから、先ほど来言っておりますとおり、入院は、それは医療にアクセスするという意味では入院という方法もあるわけであります。それは保護入院という方法もあるわけでありますけれども、入ったらやはりなるべく早く退院をいただいて病気を治していただく、若しくは軽くしていただいて地域で生活をいただくというのがこの法律の趣旨でもございますから、そのような形で体制を整えてまいりたいというふうに思っております。
○川田龍平君 OECDの国際的なデータにおける精神病院の平均在院日数と人口千人当たりの精神病床数について、一九六〇年代からの推移、そして最新データについて、各国と日本の状況を示していただこうと思っていたのですが、石橋委員の資料にも、ここにありますとおり、ここに十か国の精神医療の国際比較のグラフを石橋委員がお示ししてくださっておりますが、日本の精神科病院は強制入院が乱発されていることが分かったと思います。
 強制入院として、主に措置入院と医療保護入院がありますが、全精神科医療のうち強制入院が占める割合は四〇%以上で、そのほとんどが医療保護入院となっており、先進各国がおおむね一〇%程度なのに対して、強制的入院の発動が乱発されている状況と言わざるを得ません。
 日本にだけ強制入院が必要な重症の人が多いのでしょうか。大臣の見解を伺います。
○国務大臣(田村憲久君) 日本だけ多いかどうかといいますと、それはそのようなことを十分に検証したわけではないわけでありますけれども、実態といたしまして、非自発的な入院というもの、これが多いということは事実でございます。
 そういう状況の中において、とはいいながら、今、更に大きな問題として入院期間が長いという問題がございますから、これに対してしっかりと対応していくということを念頭に置いておるわけでございます。
 なお、先ほど来申し上げておりますとおり、悪化させないためにも早く医療機関にアクセスしていただくということは大事でございますから、これは保護入院にかかわらず、やはり医療機関にアクセスするためのいろんな我々は対応をしていかなければならないというふうに考えております。
○川田龍平君 OECDの中でも日本がぬきんでてやっぱり在院日数と病床数共に多いという中で、この保護者制度を廃止したことは一定の前進だと評価できますが、廃止によって家族の負担はどう変わると見ているんでしょうか。負担は減るのでしょうか。
○政府参考人(岡田太造君) 外国との比較で先生から御指摘がございますが、歴史的な背景もあろうかと思いますが、保護者制度につきましては、保護者制度は明治時代におきましては精神病者監護法で監護義務者というものに端を発して、保護義務者となりましたのは、さきの昭和二十五年に法律ができまして、そういう形で保護者が、一人の家族のみが保護者として様々な義務を負うという制度が設けられていたところでございまして、これは他の障害者や他の疾病の患者さんにはない精神障害者の独自の制度でございます。
 この保護者が担う義務は、治療を受けさせる義務であるとか医師の診断に協力する義務、医師の指示に従う義務、財産上の利益を保護する義務などがありまして、精神障害者の家族の高齢化に伴いまして、家族の方々が非常に負担感が高まっているというようなことでございます。今回の改正では、こうした精神保健福祉法に規定されています義務に関する規定を含め、保護者に関する規定を全て削除させていただくということにさせていただいております。
 しかし、精神障害者の家族の方々には、法改正後も引き続き、一般の医療であるとか他の障害者の方の御家族と同じように治療や社会復帰について重要な役割を果たしていただくことになると考えているところでございます。
○川田龍平君 精神科医療は、病院内精神医療から地域精神医療へと展開するのが国際的な常識となっており、厚生労働省もそれを目指しているはずです。精神障害者も、障害者総合支援法の下ではサポートを受けながらも、自己決定によって自立すべき存在です。日本の現状はこれと懸け離れています。
 そこで、新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム第三ラウンドが設けられ、精神保健福祉法から保護者の義務規定を全て削除すべきだとし、さらに、強制入院としての医療保護入院を保護者の同意を要件としない入院制度に改めるべきだという結論を昨年六月に出しています。
 ところが、この度の改正法案では、医療保護入院に家族等のうちいずれかの者の同意を必要とし、現行二十条で保護者となり得る者を家族等としています。これは検討チーム第三ラウンドの結論とは全く異なるものです。従来は保護者に限定されていた同意者が家族等のうちの誰でも同意できることになって、その負担を負う者が拡張される結果となっています。結果として、強制入院を発動しやすい形に制度を変えてしまっているのです。これでは、日本の精神科医療の問題を更に悪化させ、国際的にも日本の精神科医療の異常性が更に際立つものになってしまうことが予想されます。
 そのため、検討チームのメンバーが座長の町野上智大学教授を筆頭に田村大臣にあてて意見書を提出するという前代未聞の事態となっていますが、意見書を受け取った大臣はこの事態をどうお考えでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) 検討チームの報告ですね、昨年六月に、今委員がおっしゃられたように、保護者制度を廃止した上で精神保健指定医一名の診断で入院ができるようにするというような、そのようなことを提案をいただいたわけでありますけれども、一方で、やはり一般の医療でもインフォームド・コンセント等々言われる中において、やはり今どういう状況なのかということを、御本人がなかなか自分の病状等々御理解をいただけないという障害の特性がある中において、やはり御家族にはそれはちゃんと御理解をいただく必要があるのであろうと。そうなったときに、やはり御家族のどなたかにはやはりそこのところの御理解をいただく中での入院という、そこは担保を取らないと、一方で、患者の方が自発的に入院されるわけではございませんので、ある意味、権利の擁護という問題もございます。
 今までは、そういう中において、保護者制度でありましたからお一方に全て責任が行っていたわけでありますが、それは家族の中のどなたかということにおいてはそこはちょっと薄まったんだろうとは思うわけでありますけれども、いずれにいたしましても、そのような問題があることは我々も認識しつつも、措置入院であっても二名、これは指定医の方々が入院の診断をされるわけでありますから、そこをこの医療保護入院で指定医の方々一名の診断でという部分もどうなのかなという部分もございまして、最終的に、退院した後の対応のこともございますから、やはり御家族に御理解をいただくという意味で、今回、御家族の同意というものを入れさせていただいたということでございまして、私に対していただいた内容に関しましては真摯に受け止めさせていただきますけれども、三年後の見直しに向かっていろんな御議論をさせていただきたいというふうに思っております。
○川田龍平君 次に参考人の質疑もあって、その後質疑もありますので、内容については次の質疑にまたやりたいと思いますが、最後に、この改正法案は精神科病院の経営安定のためのものではないかというふうに考えてしまいます。
 といいますのは、日本精神科病院協会の山崎会長は、民主党政権下において、日本精神科病院協会は野党になった自由民主党の先生方と精神医療保健福祉を考える議員懇談会を通して地道に精神科医療提供体制に関する議論を重ね、今回、安倍内閣で重要な役職を務めることになり、安倍晋三内閣総理大臣、田村憲久厚生労働大臣ら、これまでの精神科病院協会の歴史にないような豪華な顔ぶれが政府・自由民主党の要職に就任しており、日本精神科病院協会アドバイザリーボードメンバーである飯島先生と丹呉先生も内閣官房参与として参画されて、頼もしい限りと述べておられます。
 協会からは、この政治団体からは総理や大臣にも数百万円の献金がありますが、患者の立場を考えない癒着の構造があるのではないかと疑われても仕方がないように見えますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) もうこれは御承知のとおり、我々が政権を握っておる前に検討会を打ち立てていただいて骨格をお作りをいただいた案でございます。そういう意味では、どういうおつもりでそういう文章をお書きになられたか分かりませんけれども、少なくとも、退院を早期にするための各種の義務を課すなどというのは、多分、自由度という意味からすれば、どういう思いの中でその条文をお読みになられておられるか分かりませんけれども、そうウエルカムじゃないと言うとこれまた問題が起こるのでそうは言えませんから難しいわけでありますが、そこは公平なる法案審査をいただく中において御理解をいただける部分ではないのかなというふうに思っておりますので、決してそのようなことはございませんので、御安心をいただきますようによろしくお願いいたしたいと思います。
○川田龍平君 ありがとうございました。
○委員長(武内則男君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ─────────────
○委員長(武内則男君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、来る三十日午前十時に参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(武内則男君) 御異議ないと認めます。
 なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(武内則男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十三分散会