第185回国会 本会議 第4号
平成二十五年十一月六日(水曜日)
   午前十時一分開議
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○議事日程 第四号
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  平成二十五年十一月六日
   午前十時 本会議
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 第一 消費者の財産的被害の集団的な回復のた
  めの民事の裁判手続の特例に関する法律案(
  趣旨説明)
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○本日の会議に付した案件
 一、永年在職議員表彰の件
 以下 議事日程のとおり
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○議長(山崎正昭君) これより会議を開きます。
 この際、永年在職議員表彰の件についてお諮りいたします。
 議員田中直紀君は、国会議員として在職すること二十五年に達せられました。
 つきましては、院議をもって同君の永年の功労を表彰することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山崎正昭君) 御異議ないと認めます。
 同君に対する表彰文を朗読いたします。
   〔田中直紀君起立〕
 議員田中直紀君 君は国会議員としてその職にあること二十五年に及び常に憲政のために力を尽くされました
 参議院は君の永年の功労に対しここに院議をもって表彰します
   〔拍手〕
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○議長(山崎正昭君) 溝手顕正君から発言を求められました。発言を許します。溝手顕正君。
   〔溝手顕正君登壇、拍手〕
○溝手顕正君 祝辞。私は、皆様のお許しをいただき、本院議員一同を代表して、ただいま永年在職のゆえをもって表彰されました田中直紀先生に対しまして、一言お祝いの言葉を申し述べさせていただきます。
 田中先生は、昭和五十八年の第三十七回衆議院議員総選挙において初当選をされて以来、三回の当選を重ねられ、九年五か月にわたり衆議院議員として御活躍をしてこられました。その後、平成十年の第十八回参議院議員通常選挙において当選され本院議員に転じ、連続して三回の当選を重ねられ、この度、国会議員として在職二十五年に達せられたのであります。
 この間、田中先生は、外交防衛委員長、政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員長及び国際問題に関する調査会長等の重責を担われ、また、外務政務次官、農林水産政務次官及び農林水産副大臣を経て、野田内閣の防衛大臣として国政の中枢に参画され、その卓越した政治手腕を遺憾なく発揮してこられました。
 このように、田中先生は、高い見識と豊かな政治経験に基づき、我が国の議会政治発展のため多大な貢献をしてこられました。
 ここに、我々議員一同は、先生の二十五年間の御功績に対しまして、深甚なる敬意を表しますとともに、本日、栄えある表彰を受けられましたことに対し、心から祝意を表する次第であります。
 現在、我が国を取り巻く内外の諸情勢は誠に厳しく、克服すべき諸課題が山積する中にあって、国民の負託を受けた国会の責務は重く、参議院が果たすべき役割に対する関心と期待は高まるばかりであります。
 田中先生におかれましては、どうか、今後とも御健康に留意され、国民のため、参議院のため、そして我が国議会制民主主義の発展のため、なお一層の御尽力を賜りますよう切にお願いを申し上げまして、お祝いの言葉といたします。
 おめでとうございました。(拍手)
○議長(山崎正昭君) 田中直紀君から発言を求められました。発言を許します。田中直紀君。
   〔田中直紀君登壇、拍手〕
○田中直紀君 ただいま院議によって在職二十五年の永年在職議員としての表彰を受けましたことは、誠に光栄の至りであり、心から御礼申し上げます。
 また、溝手顕正先生より、身に余るお祝いの言葉をいただき、感謝いたしております。誠にありがとうございます。
 私は、衆議院約十年、参議院十五年と国会に送っていただき、今回、両院を通算しての表彰となりました。国権の最高機関である参議院で本日まで国会活動を続けることができましたのも、ひとえに長年にわたる先輩、同僚議員の皆さんの御指導、御交誼のおかげであり、また、これまで私を支えてくださった多くの方々の御支援のたまものであります。この機会に改めて厚く御礼を申し上げます。
 選挙は、福島県と新潟県でお世話になりました。当初の選挙区は中選挙区の福島三区で、相馬、双葉、いわきの太平洋沿岸の浜通りでした。「暁の船出つぎつぎ国の春」と詠まれた漁港の多い土地柄であります。
 二年八か月前の東日本大震災により未曽有の大災害に見舞われましたことは、私にとりましても痛恨の極みであります。私の父親の生家が津波で流されましたが、それ以上に、多くの知人を失い、今なお原発事故により多くの住民が避難を余儀なくされて帰郷できずにいることは誠に残念であります。
 今後も、私は、東電福島第一原発の事故の処理や放射能汚染水漏れを早期に解決すること、原発事故で被災した子供たちを始め、住民、被災者への支援強化、そして地域再生のため、いわき―南相馬間の常磐自動車道延伸の供用開始を急ぐなど、引き続き全力で取り組みたいと思います。
 一方、新潟県には現在でも約五千人の方々が福島から避難されており、将来への不安を早急に解決しなければなりません。
 私の参議院での選挙区であります新潟県では、ここ数年で三回の大地震に見舞われました。特に忘れられない出来事は、九年前の十月に発生した中越地震であります。当日は土曜日で、私は地震の震源地近くの小千谷市妙見堰におりました。激しい揺れの中、何とか長岡市に避難し、その後数日間、現地で災害本部とともに復旧活動に奔走いたしました。
 また、その三年後には、田中家の実家のある柏崎市で中越沖地震が発生。さきの地震の教訓を基に、被災者生活再建支援制度の改正を実現させ、被災者の住宅再建を促進したことは忘れられない事実であります。
 日本海に臨む長い海岸線、信濃川と阿賀野川の両大河、越後山脈に抱かれた広大な平野と穀倉地帯、そして冬は寒さ厳しく、「荒海や佐渡によこたふ天の川」と詠まれた新潟県であります。
 中国、韓国、ロシアなど北東アジアの国々との玄関口として、日本海交流拠点地域として重要性が増大しております。日本海側と太平洋側との連携、日本海沿岸地域を縦貫する日本海国土軸の形成の推進に引き続き全力を尽くしてまいります。
 私は、参議院では、外交防衛、農林水産、財政金融の委員会で主に活動してまいりました。そして、外務政務次官、農林水産副大臣、防衛大臣で政府の一員として職責を遂行してまいりました。参議院が熟議の府としてその機能を存分に発揮できるよう更に努力してまいります。
 最後に、我が国をめぐる内外の情勢は、国民生活の安定向上のため、緊急かつ的確に解決すべき多くの課題が存在いたしております。
 私は、この表彰の栄に浴したことの意味を重く受け止め、我が国議会制民主主義の発展のため、一層精進、努力してまいります。
 本日は誠にありがとうございました。(拍手)
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○議長(山崎正昭君) 日程第一 消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案(趣旨説明)
 本案について提出者の趣旨説明を求めます。国務大臣森まさこ君。
   〔国務大臣森まさこ君登壇、拍手〕
○国務大臣(森まさこ君) ただいま議題となりました消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
 消費者の市場に対する信頼を通じた消費の拡大は、経済の成長を促すものであり、消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展を図るための施策を講じることが求められております。
 特に、消費者契約に関して相当多数の消費者に生じた財産的被害については、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差により、消費者が自らその回復を図ることは困難を伴う場合があるため、その被害回復の実効性を確保することが積年の課題となっていたところです。
 こうした認識の下、制度の濫用等によって経済活動に悪影響を与えないよう措置を講じつつ、消費者の財産的被害を集団的に回復するため、内閣総理大臣の認定を受けた特定適格消費者団体が訴えを提起して、事業者がこれらの消費者に対して金銭を支払う義務を負うべきことを確認した後に、これを前提として消費者の財産的被害の回復のために事業者に請求を行うことを可能とする民事の裁判手続の特例を定めるとともに、特定適格消費者団体の認定及び監督等について所要の規定を整備する必要があることから、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、消費者契約に関して相当多数の消費者に生じた財産的被害について、事業者が、これらの消費者に対し、共通する事実上及び法律上の原因に基づき、金銭を支払う義務を負うべきことについて、特定適格消費者団体が共通義務確認の訴えを提起することができることとしております。
 第二に、当該特定適格消費者団体は、消費者に対し、共通義務確認訴訟の確定判決の内容等を通知・公告し、共通義務確認の訴えの結果を前提として、個々の消費者から授権を受けて具体的な請求を行い、相手方の認否等により、個々の債権の内容を確定することとしております。
 第三に、特定適格消費者団体は、相当多数の消費者の債権の実現を保全するため、仮差押命令の申立てをすることができることとしております。
 第四に、内閣総理大臣は、消費者契約法上の適格消費者団体の中から一定の要件を満たした団体を、その申請に基づき、特定適格消費者団体として認定することができることとするとともに、その監督等について所要の規定を設けることとしております。
 政府は、以上を内容とする法律案を提出いたしましたが、衆議院におきまして、以下の規定を附則に追加すること等を内容とする修正が行われております。
 第一に、政府は、特定適格消費者団体がその権限を濫用して事業者の事業活動に不当な影響を及ぼさないようにするための方策について、事業者、消費者等の意見を踏まえて、速やかに検討を加え、必要な措置を講ずること。
 第二に、政府は、被害回復関係業務の適正な遂行に必要な資金の確保、情報の提供その他の特定適格消費者団体に対する支援の在り方について、速やかに検討を加え、必要な措置を講ずること。
 第三に、政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律の施行の状況等を勘案し、その被害回復関係業務の適正な遂行を確保するための措置並びに共通義務確認の訴えを提起することができる金銭の支払義務に係る請求及び損害の範囲を含め、この法律の規定について検討を加え、必要があると認めるときには所要の措置を講ずること。
 第四に、第三に定める事項のほか、この法律の施行の状況についての検討の年限を施行後五年から施行後三年に改めること。
 第五に、政府は、この法律が適用されない請求に係る金銭の支払義務に関し、独立行政法人国民生活センター法に規定する重要消費者紛争解決手続等の裁判外紛争解決手続の利用の促進その他の必要な措置を講ずること。
 第六に、政府は、この法律の趣旨及び内容について、広報活動等を通じて国民に周知を図り、その理解と協力を得るよう努めること。
 以上、消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
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○議長(山崎正昭君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。森本真治君。
   〔森本真治君登壇、拍手〕
○森本真治君 民主党・新緑風会の森本真治です。
 七月の選挙において民主党の一員となり、本日、こうして歴史と名誉ある参議院の演壇に立たせていただき、改めてその責任の重さに身の引き締まる思いです。
 民主党は、本年二月に制定されました新たな綱領におきまして、生活者、納税者、働く者、そして消費者の立場に立つ党であると再確認されました。国民の暮らしを守る力となっていくという決意を持って、ただいま議題となりました消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案につきまして、会派を代表して質問いたします。
 まず、消費者被害の防止が成長戦略につながるという観点からお伺いします。
 本法律案は、多人数にわたる消費者被害を救済するためのものであると承知いたしております。消費者被害につきましては、平成二十年版国民生活白書では、最大約三兆四千億円と見積もっております。三兆円という金額は、平成二十五年度政府経済見通しにおける民間最終消費支出の一%程度の金額であり、この金額が消費者被害ではなく健全な消費に回れば、その経済効果は極めて大きいものと考えます。
 消費者被害の防止こそ、景気浮揚、成長戦略の第一に掲げられるべきものではないでしょうか。消費者被害を防止、回復して健全な消費を拡大していくという点において、本法案は安倍内閣の提唱する成長戦略に大いに資するものとも言えます。消費者被害の防止の経済効果についての認識を森大臣にまずお伺いします。
 次に、本法案の審議が遅延していることの認識についてお伺いします。
 先述のような重要な法案にもかかわらず、安倍内閣においては、本法案の国会提出が自民党の党内調整がまとまらずに四月十九日まで遅延し、しかも、衆議院での審議も進まずに二国会で継続審査となった後、やっと本院に送付されてまいりました。法案提出から既に半年が経過しております。このような遅延状態を見ると、安倍内閣は本当に本法案を成立させる意思があるのかと疑わしくなります。
 森大臣に、本法案の審議がここまで遅延したことについての反省を求めるとともに、今国会での成立に向けた意気込みを改めてお伺いします。
 次に、具体的な消費者被害の防止についてお伺いします。
 本法案による制度は、消費者被害が生じてから、それを事後的に回復させるというものであります。もちろん、事後の救済をしっかり行うことも重要ですが、起きてしまった消費者被害への対応という意味では、本制度は最後に出てくる伝家の宝刀ともいうべきものであります。望ましいのは、事前に消費者被害を防止することであり、この法律が使われない状態が最善であることは論をまちません。
 しかし、消費者被害の状況は依然深刻であり、先日発表されました消費生活年報では、高齢者の消費生活相談が十年前の約二・五倍となり、トラブルの内容も多様化しているとの分析がなされております。
 このような高齢者における消費者被害の増加傾向に対し、政府はどのように分析し、どう対応しようとしているのか、森大臣にお伺いします。
 次に、地方消費者行政と国民生活センターの充実強化についてお伺いします。
 消費者被害の防止については、地方自治体の第一線で活躍する消費生活センターなどでの相談業務の充実強化を図る等、地方消費者行政への支援、てこ入れが不可欠と考えますが、地方消費者行政に対する支援について森大臣の考えをお伺いします。
 あわせて、衆議院の修正におきましては、本法施行前に生じた消費者被害については、消費者の被害が積極的に回復されるよう、国民生活センター、地方の消費生活センター、消費者被害救済委員会等による裁判外紛争解決手続の利用促進を図る旨の規定が追加されております。本修正により、これら裁判外紛争解決に携わる諸機関の連携を図ることが求められ、また、国も積極的にこれらの機関を支援する必要があると考えますが、この点について森大臣の見解をお伺いいたします。
 なお、消費者相談の中枢である国民生活センターにつきましては、裁判外紛争解決機能のほか、最近では直接相談を復活させるなど、被害防止に向けた体制を強化しており、その重要性が更に高まっております。国民生活センターにつきましては、その組織形態について検討中と承知しておりますが、当面、国としてセンターをどのように拡充強化していくのか、森大臣にお伺いします。
 次に、具体的な法案の中身について伺います。
 本制度において特定適格消費者団体は極めて重要な位置を占めておりますが、特定適格消費者団体に指定されるであろう現存の適格消費者団体の財務能力等は極めて厳しいものがあります。
 そもそも、全国では現在、十一しか適格消費者団体はありません。また、それらの団体の多くは年度の経常収入が二千万円にも満たず、常勤の職員を置いている団体も少ないことが財務諸表から見て取れます。本制度につきましては、乱訴のおそれが一部指摘されておりますが、適格消費者団体の現状からすれば、乱訴のおそれよりも、本来起こされるべき訴訟すら提起されない懸念の方がむしろ大きいのだろうと思われます。
 衆議院での修正におきましては、特定適格消費者団体への支援の在り方について速やかに検討を加える旨の条項が附則に加えられましたが、政府におきましては、どのような体制でどのような検討を加えるのか、また、検討の内容として、適格消費者団体のより一層の設立を促す施策についても検討してしかるべきと考えますが、この点についても検討を加えるのか、森大臣にお伺いします。
 なお、消費者契約法に基づき、適格消費者団体は消費者全体の利益擁護のために差止め請求訴訟を起こせることとなっていますが、消費者被害の未然防止の観点からは、差止め請求訴訟の遂行に係る部分についても国は一層の支援を行うべきと考えますので、その点につきましても併せて森大臣にお伺いをいたします。
 次に、支払義務に係る請求及び損害の範囲等の見直しについてお伺いします。
 本制度で被害回復の対象となる損害からは、いわゆる拡大損害、逸失利益、人身損害、慰謝料が除かれております。これらの損害につきましても、今後、本制度の対象としていくか検討する旨が修正で追加されました。政府としてはどのような体制で検討していくのでしょうか。また、検討に当たりましては、裁判事例、被害事例を集積して、それを分析していくことが不可欠と考えますが、そのようなデータベースを構築して一般に公開していく考えはあるのか、併せて森大臣にお伺いいたします。
 次に、個別の被害消費者に対する債権確定手続段階での通知の費用についてお伺いします。
 共通義務が確認された後、特定適格消費者団体は被害消費者に対して様々な形で債権確定手続に参加するよう通知・公告を行うわけですが、この費用は特定適格消費者団体の負担となります。既に申し上げましたように、適格消費者団体は財政力が弱いものが多く、通知費用負担が大きいために訴訟提起を諦めるような事案が生じては本末転倒と考えます。
 債権確定手続で通知・公告が行われるということは、消費者被害の発生が確定し、事業者側に責任が認められている状態ですから、その内容が広く国民に承知されて被害者救済が図られることは当然であると考えます。その点からも、通知・公告費用については国が支援することには十分な理由があると思われますが、この点についても検討していくのか、森大臣にお伺いいたします。
 次に、本制度に基づく仮差押えのための担保金についてお伺いします。
 特定適格消費者団体が、損害回復のために事業者の資産を差し押さえるに際しては、民事訴訟での通例によれば、差押資産額の二、三割程度の担保を立てる必要があるとされております。被害額が大きければ、当然差押資産額も大きくなり、その結果、必要となる担保金も多額に上ることとなります。その結果、被害総額が大きい、救済の必要性がより高い事案ほど担保金が跳ね上がって差押えがしにくくなるという矛盾した状態になります。
 訴訟当事者の公正を図る意味から、担保を立てる必要性は理解しますが、担保を立てるに当たって、国が無利子融資する等の何らかの支援をしないと、仮差押えの制度の実効性が損なわれ、ひいては消費者の被害回復が不十分になる懸念があります。
 こうした点について、森大臣はどのように考え、また今後の検討事項に入れていくのか、お伺いします。
 次に、悪質業者による財産の隠匿・散逸防止及びそれらに対する行政による経済的不利益賦課制度の創設についてお伺いします。
 冒頭、本制度は消費者被害回復のための伝家の宝刀と申し上げましたが、実のところ、本制度だけでは悪質事業者による消費者被害の回復は極めて難しいと考えます。本制度により消費者被害を回復できる相手は、ほとんど善良な事業者だけではないでしょうか。そういう意味では、悪質事業者からの消費者被害回復が更に検討されてしかるべきと考えます。
 悪質事業者の財産の隠匿を防止し、それらに対して懲罰的な課金を行うことは、被害者救済以上に、悪質事業者に対する抑止効果という点で大変威力を発揮するものと考えますが、このような制度の検討、さらに導入に向けての森大臣の見解をお伺いします。
 以上、質問してまいりましたが、消費者被害が少額であっても着実に回復できる制度の導入は、国民経済に大変良い影響を与えることが確実であり、本法の速やかな可決、成立を強く望みます。
 ただ、最初に申し上げましたとおり、消費者被害は生じないようにすることが最善であり、そのためにも、消費者庁、国民生活センター、地方の消費生活センター等で消費者行政を推進する体制の一層の充実が望まれるところであります。
 消費者被害の根絶に向けた体制整備についての森大臣の決意を最後にお伺いし、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣森まさこ君登壇、拍手〕
○国務大臣(森まさこ君) 森本議員にお答えをいたします。
 消費者被害の防止の経済効果についてのお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、本法案に基づく消費者被害の回復や防止の取組も活用しつつ、健全で活気と厚みのある消費市場を構築することは、安倍内閣が成長戦略、日本再興戦略で目指す、消費が増え、新たな投資を誘発するという好循環の実現に不可欠であると認識をしております。
 消費者庁においては、消費者の不安を払拭し、安全、安心を確保するための消費者安心戦略を推進することといたしております。
 本法案の国会における審議の経緯及び成立に向けた意気込みについてお尋ねがありました。
 本法案に限らず、国会での審議の在り方につきましては、国会の御判断によりなされているものと承知しております。これまで泣き寝入りをしてきた消費者の被害の回復を可能とする制度の創設は積年の課題となっており、私としては、一日も早い御審議の上、本法案に速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げる次第であります。
 高齢者における消費者被害の増加傾向に対する対策についてお尋ねがありました。
 目下、高齢者における消費者被害は増加傾向にあり、今後、高齢化の進展が見込まれる中、この傾向は続くものと認識しています。こうした被害を効果的に防止するためには、消費者それぞれのリスクの状況に応じて、消費生活センターと地域の関係者が重点的に見守る必要があると考えています。
 このため、消費者庁としては、地域の幅広い関係者が参画する見守りネットワークの構築や、具体的な見守り活動の先進的な取組事例の収集、提供等を行うことといたしました。関係府省庁とも連携して高齢者の消費者被害の防止に取り組んでまいります。
 地方消費者行政に対する支援についてお尋ねがありました。
 消費者の安全、安心を確保するためには、消費者がどこに住んでいても消費生活相談を受けられる体制の整備が重要であり、これまで地方消費者行政活性化基金を通じてその充実強化を推進してきたところです。
 平成二十六年度以降においても、地方消費者行政に積極的に取り組む地方公共団体を引き続き支援し、消費生活相談の一層の質の向上を含め、地方消費者行政の充実強化に向けて更なる支援に努めてまいります。
 本法律施行前の事案に関する裁判外紛争解決機関との連携や、当該機関への支援についてお尋ねがありました。
 同一の事案が施行前後にわたって発生した場合には、施行後の事案に関する一段階目の判決の内容を国民生活センターや消費生活センター等の関係機関に周知することを検討しています。また、消費者の被害回復の実効性を確保するため、重要消費者紛争解決手続、具体的には、国民生活センターに設置された紛争解決委員会において多数の集団的な事案の処理について十分な対応が可能となるよう、必要な措置を講じてまいる所存です。
 国民生活センターの拡充強化についてお尋ねがありました。
 国民生活センターの在り方については、現在、消費者行政の体制整備のための意見交換会を開催し、検討を進めているところです。本年七月に公表した同意見交換会の中間整理を踏まえ、まずは本年七月二十九日より、試行的にお昼の消費生活相談を開始いたしました。
 今後につきましては、同中間整理において、国民生活センターの各機能の一体性を確保し、それぞれの機能を維持、充実すべく、消費者行政の推進の視点に立った検討が必要とされたことを踏まえて、引き続き検討を進めてまいります。
 特定適格消費者団体に対する支援及び適格消費者団体の設立の促進に関する施策についてお尋ねがありました。
 特定適格消費者団体の業務の適正な遂行に必要な資金の確保等、支援の在り方について、関係者の御意見を踏まえ、法案成立後速やかに検討を開始いたします。また、適格消費者団体設立の促進に関しては、平成二十五年度予算において、地方消費者行政活性化基金を活用した事業を推進しております。現在七県で取組が行われており、今後もこうした事業を引き続き促進してまいります。
 適格消費者団体に対する支援についてお尋ねがありました。
 消費者契約法に基づく適格消費者団体は、消費者団体訴訟制度の担い手として、消費者契約法等に違反する不当な行為の差止めにつき実績を上げてきており、同団体に対する支援は重要であると認識しております。具体的には、制度の計画的な周知、認定NPO法人制度の活用促進、地方自治体による地方消費者行政活性化基金事業を通じた支援を行っております。
 今後も、適格消費者団体等の意見を伺いつつ、どのような支援が可能かについて引き続き検討してまいります。
 損害の範囲等の見直しの検討体制及び裁判事例等の公表についてお尋ねがありました。
 本制度の施行後、その施行状況を踏まえて訴訟の対象とできる請求及び損害の範囲等を検討する際には、消費者や事業者など幅広い関係者の意見を反映できるような体制で検討したいと考えております。本法案では、本制度に係る裁判事例を一般に公表するものとしております。なお、典型的な被害類型については、国民生活センターが発行する消費生活年報において公表しております。
 いずれにしても、幅広く御意見をいただけるよう、必要な情報を分かりやすく整理してまいります。
 通知・公告費用を国が支援することの検討についてお尋ねがありました。
 本制度では、特定適格消費者団体が通知・公告に要した費用について、事後的に消費者から支払を受けることができるようになっておりますが、通知・公告に必要な資金の確保等、支援の在り方については、関係者の御意見を踏まえ、法案成立後速やかに検討を開始してまいります。
 仮差押制度に関する支援についてお尋ねがありました。
 仮差押制度は、民事保全法によって我が国民事訴訟制度において一般的に認められているものです。本制度においても、事業者による財産の散逸を防ぐ必要性があるのは同じであるため、本制度に見合った特則を置いたものです。
 消費者庁としては、本制度の運用を含め、特定適格消費者団体の業務の適正な遂行に必要な資金の確保等、支援の在り方について、関係者の御意見を踏まえ、法案成立後速やかに検討を開始いたします。
 悪質事業者の財産の隠匿防止及び懲罰的な課金制度の検討についてお尋ねがありました。
 消費者に財産被害を与える悪質な事業者に対しては、いわゆるやり得を剥奪する効果的な抑止策や実効性のある財産の隠匿・散逸防止策が必要です。具体策としては、課徴金などの賦課金制度や供託命令や行政庁による財産の保全・凍結命令制度等の導入の可否を検討してきております。
 克服すべき課題を一つ一つ解決しながら、法的な制度設計に取り組んでまいります。
 消費者被害の根絶に向けた体制整備についての決意についてお尋ねがありました。
 森本議員の御指摘のとおり、消費者の被害を回復するための制度の創設と併せて、消費者の被害を未然に防止するための施策についても引き続き強化していく必要があります。このため、現場である地方の消費者行政関係部局と、司令塔役を担う消費者庁及び中核的な実施機関である国民生活センター等が一体となって強力に施策を推進できるような体制を構築するべく全力を尽くしてまいります。(拍手)
○議長(山崎正昭君) ただいま理事が協議中でございますので、しばらくお待ちください。
 これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十時四十九分散会