第185回国会 厚生労働委員会 第9号
平成二十五年十二月二日(月曜日)
   午前十時六分開会
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  出席者は左のとおり。
    委員長         石井みどり君
    理 事
                高階恵美子君
                古川 俊治君
                山本 順三君
                長沢 広明君
    委 員
                赤石 清美君
                大家 敏志君
                大沼みずほ君
                木村 義雄君
                島村  大君
                滝沢  求君
                武見 敬三君
                羽生田 俊君
                浜田 昌良君
                川田 龍平君
               薬師寺みちよ君
                小池  晃君
                東   徹君
                福島みずほ君
   国務大臣
       厚生労働大臣   田村 憲久君
   副大臣
       厚生労働副大臣  土屋 品子君
   大臣政務官
       厚生労働大臣政
       務官       高鳥 修一君
       厚生労働大臣政
       務官       赤石 清美君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小林  仁君
   政府参考人
       国税庁徴収部長  伊藤  誠君
       文部科学大臣官
       房審議官     永山 賀久君
       厚生労働大臣官
       房年金管理審議
       官        樽見 英樹君
       厚生労働省医政
       局長       原  徳壽君
       厚生労働省健康
       局長       佐藤 敏信君
       厚生労働省医薬
       食品局長     今別府敏雄君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局長       石井 淳子君
       厚生労働省社会
       ・援護局長    岡田 太造君
       厚生労働省老健
       局長       原  勝則君
       厚生労働省保険
       局長       木倉 敬之君
       厚生労働省年金
       局長       香取 照幸君
       厚生労働省政策
       統括官      唐澤  剛君
   説明員
       会計検査院事務
       総局第一局長   鈴木 繁治君
   参考人
       目白大学大学院
       生涯福祉研究科
       客員教授     宮武  剛君
       恵泉女学園大学
       大学院平和学研
       究科教授
       NPO法人あい
       ・ぽーとステー
       ション代表理事
       子育てひろば「
       あい・ぽーと」
       施設長      大日向雅美君
       全国保険医団体
       連合会会長    住江 憲勇君
       鹿児島大学法科
       大学院教授    伊藤 周平君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○持続可能な社会保障制度の確立を図るための改
 革の推進に関する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
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○委員長(石井みどり君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 この際、申し上げます。
 民主党・新緑風会所属委員の出席が得られておりませんので、出席を要請いたしたいと存じます。しばらくお待ちください。
 速記を止めてください。
   〔午前十時六分速記中止〕
   〔午前十時十七分速記開始〕
○委員長(石井みどり君) 速記を起こしてください。
 民主党・新緑風会所属委員に対して出席を要請いたしましたが、出席を得ることができませんでしたので、やむを得ず議事を進めます。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省政策統括官唐澤剛君外十一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石井みどり君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(石井みどり君) 持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○川田龍平君 みんなの党の川田龍平です。
 まず冒頭、この委員会運営について、与党の筆頭理事、そして委員長に対しまして、先週の水曜日の理事懇立て、それから木曜日の委員会立ても委員長職権でやるということになってしまったことに対して、まず抗議を申し上げます。
 そして、まず冒頭、やはり本会議で本来であれば趣旨説明、質疑をやるべきところをこうした委員会に強引に議運で通してしまったということ、さらには、その後の理事懇、理事会での話合いをしっかりとしないままにこうした暴挙とも言える暴走をしているこの委員会運営に対しては、まずもって抗議をしたいと思います。しっかりとこの委員会での運営をやっていただけるように、特に与党筆頭理事には猛省を促したいと思いますので、よろしくお願いいたします。そして、やはり説明をしっかりとするということが与党としてできるように、与党内でもしっかりこれは調整していただくようによろしくお願いいたします。
 それでは質問を始めます。
 この社会保障制度改革プログラム法案の質疑に入る前に、HIV、特にヒト免疫不全ウイルスに感染した人の献血した血液が、今年の二月、日本赤十字社の安全検査を擦り抜けて二人に輸血をされ、このうち六十代の男性が感染してしまったことについて伺います。
 HIV感染の治療法はこの十年で大きく進歩しました。薬の服用を発症前から始めれば、発症せずに通常の生活、社会生活を送ることができるようになります。しかし、この感染の発見が遅れてエイズを発症してしまった場合には、治療はいまだに困難であり、命を落とす可能性も依然高いものであります。
 現在、献血された血液の核酸増幅検査の精度は百万分の一とされ、まさか自分が感染するとは思っていなかったと、この輸血により感染した人も思っていなかったと思いますが、不幸にもこの感染をされた方への補償はどのようになるのでしょうか。
○政府参考人(今別府敏雄君) これは、この方の検査結果等がまだ詳細分かっておりませんので、ですから一応専門家の先生方の判定を得るという手続を踏みますが、一般論として申し上げれば、この方の場合には、エイズ発症予防に資するための血液製剤によるHIV感染者の調査研究事業の対象になって、健康管理手当として月額、これは免疫機能によって三万五千三百円ないし五万一千三百円の給付対象になると考えております。
○川田龍平君 補償の方をしっかりしていただきたいと思います。
 今回の事案では、この四十代の男性が十一月上旬に二度目の献血をした際にHIVの感染が確認されたため、今年二月に同じ人物が献血をしていた血液を精度の高い方法で調べ直したところ、このウイルスが検出されたということです。なぜ、二月に検出できなかったのに今回の凍結した保存の血液からは検出できたのでしょうか。
 そして、来年の夏からは検査精度を更に高めることを、今回の事案が起こる前から計画したとのことですが、これによって、今回のような感染初期のウイルスが少ないケースでも検査を擦り抜けることはなくなるのでしょうか、お答えください。
○政府参考人(今別府敏雄君) 今のHIVの検査でありますけれども、まず抗体検査というものをやっております。これは、ただし、抗体ができるのは大体五十日ぐらいたってからでありますので、感染してから五十日を経るまでの間にはなかなかうまく見付けられないということで、これが擦り抜け期間となっております。核酸増幅検査によって十日程度早く見付けるということができますけれども、それにしても四十日程度の擦り抜け期間があるということでございます。
 今回は、献血をされて、その方は抗体検査で見付けました。抗体検査で見付けたので、遡って、その方が以前献血した時点で擦り抜けた可能性がないかということで、改めて核酸増幅検査をその方の血液のみで行って発見をしたと、こういう経緯でございます。
 今後、今これは、核酸増幅検査というのは二十人まとめてやっておりますけれども、来年の夏からは一人ずつやるというような方向で検討しておりますが、いずれにしても、今申しましたように擦り抜けの期間というのがありますので、こういう感染をされた方が献血をされないようにということをいろんな機会を通じまして、また、きめ細かな対策を通じて徹底をしてまいりたいというふうに考えております。
○川田龍平君 つまりは、この検査の精度を高めるだけでは献血による感染は完全に防げないということです。
 他方、今回の事案では、献血時の問診で、感染リスクの高い性的接触が二週間前にあったことを回答していなかったということで、やはり検査目的で献血をしてはいけないんだということを、無料で匿名のエイズ検査を保健所などで受けられるということをもっと広報、教育していく努力が必要だということだと思います。
 同性間の性的接触以外でも感染リスクがあることも踏まえると、この広報の対象を拡大するべきと思います。エイズ検査周知の広報予算は毎年、年々削られており、電車内の広告などで見かけることもなくなっているように思いますが、今回の事案を契機に広報予算を増やしていくべきではないでしょうか。また、献血会場へ立ち寄った方に対するエイズ検査の案内にもう少し工夫をしていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(佐藤敏信君) お答えをいたします。
 今、委員の御指摘にありましたように、検査目的の献血をなくすということは重要なことでございまして、何よりも保健所等において無料で匿名の検査を受けられるということを効果的に周知することが必要だと考えておりまして、その際には、広報を行う対象者の特性に合わせるということも重要だと思います。
 具体的には、検査普及週間とか、あるいは十二月一日がそうでしたけれども、ワールドエイズデーに合わせた啓発を通じて、一般国民向けに無料匿名検査が受けられるんだということを周知しなければいけませんし、またNGOなどへの支援事業も実施しております。これ具体的には、同性愛者への普及啓発活動を実施している全国七か所のコミュニティーセンターなどの支援もやっているところでございます。
 御質問のポイントになりますけれども、献血時にどういうふうに対応しているかということですけど、現行でも問診票とかあるいは各種のパンフレットの中で検査目的の献血はしないでくださいと、お断りしますということを書いておりますし、献血の後ないしは献血に関連して、エイズ検査を希望の場合は最寄りの保健所に問い合わせるようにということでお伝えはしているんですけれども、今後パンフレットの内容等を考えていく上で、例えば文字を大きくするとかもっと目立つようにするとか、そういう工夫をしていきたいと思います。
 いずれにしても、HIV検査のより効果的な広報については、今後とも検討とそれから充実に努めてまいりたいと考えております。
○川田龍平君 もっとはっきり予算が足りないと言ってください。そうすれば応援もしますので、同じ健康局の難病対策の財源が消費税に移ることでその分予算が浮くわけですから、局長、エイズの広報予算にも回してください。
 同性愛の方々に話を聞くと、匿名とはいえ、保健所などのエイズ検査会場の敷居がまだまだ高く、行きづらいということで、例えば一般の病院での匿名の無料検査をできないかという意見もあります。根底には、性マイノリティーに対する差別の問題があるわけですが、もっとこういったゲイコミュニティーの声をNPOを通じるなどして検査体制の改善に生かしていくべきではないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) HIVの検査目的で献血をされたらこれたまったもんじゃないわけでありまして、そもそも結果を原則伝えないということでありますから検査にはならないと。ましてや、今回のようなウインドーズピリオド、ウインドー期間の問題、これはそもそも出ないわけでありますから、そんなときに献血してもらったら困るわけでありまして、そこは十分に献血をするときに周知徹底を更に我々していかなきゃならぬというふうに思っております。
 今、保健所等での検査でありますが、全体といたしまして七百六十六か所でやっておるわけであります。夜間が百九十、休日五十か所と。受けやすいという意味からすると、夜間や休日で検査できる、そういう場所をもう少しやっぱり増やしていかなきゃならぬのではないかということも議論、検討させていただきたいと思いますが。
 今言われました同性愛者の方々のNPOといいますか、そういうところにもひとつこれお願いをさせていただいておりまして、今、実際問題検査をやっていただいております。二十四年度で一千七百万円のこれは支援をしておるわけでありますが、一般の病院でHIV検査をやるのがいいのかどうか、それはまた一方で、一般の病院ですとなかなかまたそこに行きづらいということもあろうと思います。
 こういうことに関しては、やはりNPOの方々にいろいろとお聞きをさせていただいて、どういうようなやり方が一番敷居が高くなくなるか、行きやすくなるかということをやはりいろいろと我々も学ばなきゃならないというふうに思いますので、いろいろと御意見を伺う中で、より検査がしやすい、そういうような環境をつくってまいりたい、このように思っております。
○川田龍平君 これは通告していないんですけど、赤石政務官、いかがですか。
○大臣政務官(赤石清美君) 私も大臣と同じ考えでありまして、今の検査方法を、PCRを使ってやっているわけですけれども、やっぱり限度がありまして、今二十件に一回、二十件まとめて一回テストしているわけですけれども、これを一件一件チェックしていこうということで、今後体制を築いていきたいというのが一つと、もう一つは、保健所の検査体制については、私も聞いているところによりますと、やっぱりなかなか窓口に行って自分でサインして簡単にすっと入れるような雰囲気ではないということも聞いておりますので、私も何か所かの保健所をこれから視察をして、どういうふうに改善したらいいかということをしっかりと見ていきたいと、このように思っております。
○川田龍平君 是非よろしくお願いします。
 中学生や高校生などの学校教育現場において、無料で匿名のエイズ検査が存在するということは全く教えられていないのではないかと思うんですが、現状はいかがでしょうか。
○政府参考人(永山賀久君) 中学校それから高等学校におきましては、学習指導要領に基づきまして、保健体育科を中心にエイズそれから性感染症の予防、それから保健医療機関等の有効活用に関して指導を行うということになってございますが、特にエイズ検査につきましても、まず教科書におきまして、早期治療や感染拡大防止のためにはエイズ検査が重要であること、それから、先ほどお話がありました保健所等ではエイズ検査とエイズに関する相談を無料かつ匿名で行っているということなどについて記載されております。
 それから、文部科学省におきましても、エイズ検査を含む健康問題につきまして総合的に解説いたしました啓発資料、これを中学校一年生あるいは高等学校一年生の各段階で全ての生徒に行き渡るように作成、配付などいたしているところでございます。
○川田龍平君 大臣、これ是非、文部科学大臣とも御協議いただいた上でこのエイズ検査についての学校教育を実現していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。そしてその中でも、献血によってHIV検査をしないでいただきたいということもやっぱりしっかり教育の中で入れていただきたいと思います。
 それでは、法案の質疑に入らせていただきます。
 今回の社会保障制度改革プログラム法案は、団塊の世代八百万人が二〇二五年に七十五歳、つまりは後期高齢者となり、高齢者人口が三千五百万人を超えるいわゆる二〇二五年問題に対し、この国の社会保障を支え抜くための道筋をしっかりと示しているとは思えません。医療や介護・福祉サービスを受けることで地域で自立した生活を送っている方々からも政府の進める社会保障改革について不信、不安の声が届いています。その観点から、この関連した事項について質問していきたいと思います。
 まず、難病対策の法制化について伺います。
 十一月五日の厚生労働委員会で、私は田村大臣に自己負担額の見直しについて強く要望をしたところですが、二十四日にソウルで厚生大臣が、重度で高額な医療費が長期間続く皆様には一段の軽減策を示したいと述べられたそうで、これはまず感謝を示したいと思います。本日も、これから参議院の議員会館の講堂で難病・小慢患者家族の大集会が予定されています。増税の一方で自己負担を増やすことのないよう、改革案の大幅な見直しを期待しています。
 さて、この二〇一二年度ないしは二〇一三年度、難病対策の事業費並びに都道府県の超過負担分は幾らになっているでしょうか。
○政府参考人(佐藤敏信君) 難病の医療費助成でございますいわゆる特定疾患治療研究事業の額について御説明いたします。
 御質問のありました二〇一三年度、平成二十五年度は、予算ベースで事業費が約千三百四十億円ですけれども、本来国が負担すべき額はその二分の一ですから六百七十億円となるべきところなんですけれども、国の予算額は実際には四百四十億ということですから、約二百三十億円が都道府県の超過負担となっております。
 参考までに、二〇一二年度、平成二十四年度を申しますと、同じく予算ベースで事業費が約千二百八十億円ですから、本来国はその二分の一である六百四十億円を支出すべきところですが、国の予算額は三百五十億円となっておりまして、約二百九十億円が都道府県の超過負担となっております。
○川田龍平君 この新制度の予算は全額消費増税で賄うとのことですが、消費税は地方分もあるので、これで都道府県の超過負担分と財源を一緒にすることとなった小児慢の事業費をも賄うという理解でよろしいでしょうか。
○政府参考人(佐藤敏信君) 今御質問にありましたように、難病及び小児慢性特定疾患に係ります新たな医療費助成制度におきましては、社会保障給付の制度ということで事業費全額に消費税増収分が充てられるということが想定されております。
○川田龍平君 この超過負担分、都道府県の超過負担分、先ほど二百九十億とおっしゃいましたけれども、この小慢の事業費が二百六十億、これらを新制度でのみ込めば、現在の自己負担レベル、そして現在の限られた対象疾患だとしても約一千六百億円が必要となりますということでよろしいでしょうか。
○政府参考人(佐藤敏信君) 恐らく委員の御質問の趣旨というのは、現行の難病それから小児慢性特定疾患の医療費助成で公費負担の総額、すなわち総事業費がどの程度かという御質問だと思います。
 現行の医療費助成における二〇一三年度の総事業費の見込みですけれども、大人の難病、すなわち特定疾患治療研究事業で約千三百四十億円、そして小児慢性特定疾患治療研究事業で約二百六十億円ですので、足し合わせまして合計で約千六百億円というふうになっております。
○川田龍平君 つまり、患者、家族が求める対象疾患の拡大を実現するには千六百億円からどれだけ予算を上積みできるかということでよろしいでしょうか。
○政府参考人(佐藤敏信君) 御質問のとおりでございます。
○川田龍平君 これは、ところが、二〇一四年度の予算を見ますと消費増税分三百億円となっておりまして、これは二〇一五年一月から三月までの三か月分とされています。これを四倍にして一年分としても一千二百億円にしかなりません。つまり、消費増税分は都道府県分の超過負担分の解消にさえ足りないのではないでしょうか。
○政府参考人(佐藤敏信君) 八月の社会保障制度国民会議の報告書を踏まえまして、平成二十六年度の社会保障費のうち難病分ということで、委員の御質問にありましたような三百億円程度という額が明示をされているわけです。これは二〇一五年、つまり平成二十七年の一月から実施をするという仮置きになっておるところでございます。
 ただし、委員は一月から三月の三か月分ということでこれを計算されて、十二か月分、つまり四倍をして千二百億円ということで計算なさったんじゃないかと思います。委員の御質問のように、仮に平成二十七年一月から新たな難病等の医療費助成を施行したとしましても、医療費の請求が結果的には一か月遅れになりますので、これは二か月分とみなせばよくて、つまり二か月分でこれを十二か月分に戻しますから六倍をするということになります。
 元々この三百億円に程度という、なかなかこういう予算の世界ではないような言葉が付いておりますが、三百億円程度ということで非常に幅のある数字というふうに理解をしております。そうしたことはあるとしても、単純推計をしますと、これが二か月分ということですから六倍をしまして、千八百億円は単純計算でもあるだろうということが言えると思います。
 そういうことですから、先ほど申し上げました平成二十五年度の事業費よりは少なくとも単純計算でも多い額となっておりまして、直ちに超過負担分の解消にさえ足りないということではないだろうというふうに考えます。
○川田龍平君 ということは、単純計算すると三百億掛ける六の千八百億円ということですので、これは地方分も含め消費税からいただけるということですね。
○政府参考人(佐藤敏信君) あくまでもこの三百億円は程度ということでございまして、単純に六倍をして一千八百億かどうかはちょっとおくとしましても、御質問の趣旨についてはそういうことでございます。
○川田龍平君 私には、これどう計算しても、この消費増税分は対象疾患の拡大に充てることができないのではないかと心配をしています。
 これは大臣に是非大丈夫だということを言っていただきたいと思います。対象疾患の拡大に必要な予算は自己負担の増額だけで賄わないですよという大臣のお約束をいただけますでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) 今回の難病の医療費助成の問題でありますけれども、議論をいただく中で幾つかポイントがありました。
 一つは所得に応じた負担というものをどう考えるかということ、それからその中においても低所得者の方々にどう配慮するか、さらには、高額で長期間医療が必要な方々に対してどのような配慮をするかでありますから、一定程度所得に応じて負担をお願いするということはあるにいたしましても、他の部分、いろいろと配慮をしていきながら、一方で、対象者を今の五十六疾患から三百ということを一つ大きな目安に置いております。細かく三百になるかどうかということは別にいたしまして、そのような形で大幅に対象疾患を広げていくということでございます。
 結果、今委員がおっしゃったように、負担が増えた分だけでそれを賄うということ自体不可能でありますし、そんなことをやったら、何のために今回消費税の財源を導入するかということはこれが意味がないわけでございますので、その点はしっかりと、それ以上の部分を確保した上で今回の難病対策の見直しをさせていただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、予算編成過程でしっかりと御議論をさせていただきたいというふうに思います。
○川田龍平君 ありがとうございました。
 終わります。
○薬師寺みちよ君 みんなの党の薬師寺みちよでございます。
 本日も質問の機会をいただき、本当にありがとうございます。時間もないので、早速質問に移らせていただきます。
 本法案は、超高齢化社会、人口減少社会を急速に迎えつつある中で、受給と負担の均衡を図り、持続可能な社会保障制度を確立するため、改革の検討項目、改革の実施時期を明らかにしていくことを目標としていることは理解をいたしております。我が党もかねてから、社会保障制度の抜本的改革が必要だと認識を持っております。
 しかし一方で、増税の前に、増税による税収を当て込んだ社会保障制度改革を行う前にやるべきことがあるだろうとも訴えてまいりました。やるべきことの第一は、歳入庁設置により、保険料の徴収漏れの防止、収入の増加、給付と負担の適正化を図っていくことです。我が党は、衆議院において再三、歳入庁設置について質問をさせていただきました。しかし、社会保険料だけではなく、ほかにも多くの徴収漏れが発生しているのではないでしょうか。
 そこでお尋ねをいたします。
 国全体で現在、税金の滞納額はどのくらいあるのでしょうか。また、今後どのようにして徴収していくのでしょうか。お答えいただきたいと思います。
○政府参考人(伊藤誠君) お答えいたします。
 国税の滞納残高は、平成二十四年度末、一兆二千七百二億円であり、平成十一年度以降、十四年連続で減少しております。過去最高であった平成十年度末の二兆八千百四十九億円の四一・五%という状況になっております。
 国税庁では、適正公平な課税の実現を目指して、まず、納税義務のある方に期限内に納付していただくための広報、周知などの施策を行うことによりまして滞納の発生を未然に防止するというようなことを徹底する、次に、滞納となった場合には、滞納者個々の実情に即して、法令に基づき適切に滞納処分を行うなど、組織を挙げて取り組んでまいったところでございまして、引き続きこうした取組を推進していきたいと思います。
 済みません、ただいま読み上げるときに、私、緊張しておりまして、ピークであった平成十年度末の四一・五と申し上げましたが、四五・一%となっております。申し訳ございませんでした。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございました。私も緊張いたしております。
 今、一兆二千七百二億円という滞納の巨額な額を御報告いただきました。
 また、先日滋賀県でも、事業所名で契約していた個人事業主について、源泉徴収の必要がない法人と誤認したために所得税約四千万円の徴収漏れがあったと報道がなされております。
 「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」。納税は、勤労、教育の義務と並ぶ国民の三大義務の一つとして、日本国憲法第三十条に国民の義務としても定められているものです。税金を納めることは、社会保障を充実させ、持続可能とするためには欠かせないことです。今後とも、正しい申告と納税についての知識の普及と、是非歳入庁についても検討を進めていただくこと、よろしくお願いを申し上げます。
 次の質問に移らせていただきます。
 昨年発覚した復興予算の流用問題の報道以来、真面目に納税してもその使い道が的確ではないではないかと、政府に対する国民の不信感は急速に高まっております。先日発表されました平成二十四年度の決算報告において、税金の無駄遣いや不適切な経理は何件で、どのくらいだったんでしょうか、お答えください。
○説明員(鈴木繁治君) お答え申し上げます。
 平成二十四年度決算検査報告に掲記いたしました事項等の総件数は六百三十件であり、指摘金額は計四千九百七億四千五百十万円でございます。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 では、お答えいただいた中で、話題になりました復興予算の十六事業に係る指摘はどのようなものだったんでしょうか。
○説明員(鈴木繁治君) お答え申し上げます。
 御質問の十六件は、会計検査院が参議院からの検査要請を受けまして、二十五年十月三十一日に御報告いたしました「東日本大震災からの復興等に対する事業の実施状況等に関する会計検査の結果について」に掲記した十六件でございます。
 その十六件は、復旧復興事業等の執行が被災者や被災地に直接資するものとなっているかについて、透明性が十分確保されていなかったり、その効果が十分に発現されていなかったりしているものが二件、そして、復旧復興事業等に係る経費の積算や算定が適切とは認められないなどのものが五件、さらに、復旧復興事業等の執行等に当たり会計経理や制度等について是正改善や改善の要があると認められるなどのものが九件となっております。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 被災地のためになるならと長年にわたる増税を受け入れた国民にとって、政府のずさんな予算の使い道はまるで詐欺行為だとも評されております。それらの事業について、今後どのようなフォローを行っていくのでしょうか、教えてください。
○説明員(鈴木繁治君) 会計検査院といたしましては、検査報告に掲記するなどした事項につきましては、フォローアップを行うことにより検査成果の実効性の確保に努めております。
 具体的に述べますと、不当事項につきましては、その是正措置の状況を検査報告に掲記しており、また、意見を表示し又は処置を要求した事項については、その後の処置状況を検査し、翌年度以降の検査報告に要求等をした全ての改善の処置等がとられるまで毎年掲記しております。
 御指摘のありました事業につきましても、今後しっかりフォローアップをしてまいる所存でございます。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 税金の無駄遣いの改善は、財源を確保する上でも、社会保障制度改革の実現には欠かせないものとなってまいります。今後とも、増税の前に税金の無駄遣いを改善すべきだろうと訴えてまいりたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 では、社会保障制度改革本体についての質問に移らせていただきます。
 WHOにおきまして、健康とは、身体的、精神的、霊的、社会的に完全に良好な動的状態であり、単に病気あるいは虚弱でないということではないと定義をされております。日本の医療を語る上でも、健康を目指し治療を行ってまいります。そのために、検査などでは正常値の範囲を設定し、正常又は異常の判断の上、治療を行ってまいります。
 しかし、今、我が国は超高齢化社会となり、健康そのものの定義をどのように位置付けるか、大きな問題となっているんではないでしょうか。例えば、二十代の若者と八十代の高齢者を同じ数値目標で本当に治療を行ってよいものなんでしょうか。各年代に合わせた老いを加味した健康が人間のあるべき姿ではないんでしょうか。
 そこで、高齢化社会における健康をどのように考えていらっしゃるのか、お答えいただけますでしょうか。
○政府参考人(佐藤敏信君) 今委員の御質問の中にございましたWHOの憲章の前文というのは大変高邁なことが書かれておりまして、肉体的にも精神的にも、そして社会的にも全てが満たされた状態ということですから、超高齢社会の我が国において、特に高齢の方にこれを当てはめるとなかなか難しい問題があるかと思います。膝が痛いとか腰が痛いとか、あるいは目まいがするとか、いろんな病気を抱えていたり異常を抱えていたりということだろうと思います。
 そういう意味で、超高齢社会においては何がしかの疾病や異常や、そういうコンプレイントと申しますか、そういうものを、訴えみたいなものを抱えたまま上手に病気と付き合っていくと、いい言葉かどうかは分かりませんけれども、折り合いを付けていくということが重要になってくると思います。
 そうした中で、今御質問がありましたように、正常値というものが一本の正常値でいいのか、年齢別にあるのかどうなのか。それから、仮にそういう中でそれでも異常値を示した場合に、それで治療を開始するのかどうか。若い人と同じように高齢者においても治療を開始するのかどうか。いろいろな問題提起がなされておりまして、学会とか専門家の間でこういった問題が議論されていると思いますので、私どももこうした考え方に沿って行政は担当してまいりたいと思います。
 また、健康づくりという観点では、ちょうど健康日本21が平成二十五年度から、今年度からスタートをしておりまして、この中でも健康寿命の延伸、つまり、単に長生きということではなくて、やっぱり生き生きと生きがいを持って暮らしていただけるということを掲げております。
 これは、やっぱり先ほど申し上げましたように、もしかすると、WHOの憲章の前文のように、完全に満たされた状態ではないかもしれませんけれども、そうした中で生き生きと暮らしていくということでございまして、あわせて、健康格差の縮小ということで、地域差の問題、あるいは生活習慣病、高齢になられた方で生活習慣病といいましてもなかなか難しい点もありましょうけれども、生活習慣病の発症予防、そして社会生活を行うために必要な機能の維持向上ということでメンタルヘルスの充実だとか、あるいは社会環境の整備として、社会全体が相互に支え合いながら健康を守る環境などを整備していきたいと考えております。
 このほか、歯や口腔、そういったことについても高齢者の特性に合わせて対応していくということになろうかと思います。
○薬師寺みちよ君 丁寧な御回答、ありがとうございました。
 長寿社会における健康の定義というのは、今後の社会保障制度を考える上で非常に大切な概念となってまいります。ゴールが違えば、そこに至る過程、いわゆる工程表も変わってくるはずです。
 例えば、信号機の歩行者青信号の最低秒数は、一メートルを一秒で歩くことを基準に定められております。高齢者は身体能力も低下し、歩行速度も遅くなってまいります。そのためか、高齢者が巻き込まれる交通事故や踏切事故の報道もよく目にするようになりました。また、医薬品の用法、用量は、体重が六十キログラムの成人男性を基準として定められていると聞いております。高齢化とともに腎臓、肝臓の機能も低下し、減量も必要となってくるんです。OTC医薬品などにおいても、高齢者向けの新たな表示も必要とされるんではないでしょうか。
 今回の法案を考える上においても、まず高齢化社会における健康の定義こそ必要であり、社会保障制度だけではなく、高齢化に向けた社会環境の整備にも影響を与えてくることになります。高齢化社会先進国の日本として、世界に向けてこのような定義を発信していくことこそ重要なのではないんでしょうか。この問題については、是非省庁を挙げ取り組んでいただきますことをお願いを申し上げます。
 では、次の質問に移らせていただきます。
 人材確保について、時間もありませんので、質問を二問まとめさせていただきたいと思います。
 地域の偏在、まさに医師の地域の偏在という問題はますます深刻化いたしております。医療過疎の地域において医師が確保できず、診療所や病院の閉鎖も起こり始めている現状です。また一方で、女性医師も増加し、今や全医師数の二〇%、医学部入学者の三分の一が女性です。今後、ますますワークシェア等の新たな勤務体系も必要となり、医師の絶対数も増やしていく必要があるかと思います。看護師においては更に深刻で、看護師不足は潜在化し、そのため、病床数を減らす、患者の受入れを制限する等の現状なんです。
 国として、医師、看護師の増員に向け、どのような政策を計画中であるのか、お答えください。
 また、一朝一夕で医療従事者の増員は難しく、女性医師や看護師など、女性医療専門職の復職支援などが効果的であると考えられます。特に看護師では、国家資格を持ちながら仕事に就いていないとされる方が五十万人以上いるとされております。できれば、医師、看護師などだけではなく、医療専門職の復職支援についてもお答えいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○政府参考人(原徳壽君) まず、医師確保対策で増員のことをお話をいたします。
 医師の増員につきましては、医学部定員を平成二十年度から、文部科学省と連携をいたしまして、現在まで千四百十六人増加しております。平成二十五年度の入学定員は過去最大の九千四十一名となっております。また、平成二十二年度から、特定の地域等での勤務を条件付けることができる地域枠を活用した医学部入学定員の増員も行っておりまして、平成二十五年度は地域枠入学定員が四百七十六名となっております。この分につきましては、将来、地域偏在の是正につながるものと考えております。
 また、看護職員の確保対策につきましては、やはり定着を促進すること、離職をできるだけ減らすということと、それから離職された方の再就業支援、この柱と、さらには養成所の運営補助などの養成の促進、この三つの柱で取り組んできているところでございます。
 また、女性医療従事者についての御質問でございますが、まず女性医師数につきましては、平成二十二年時点での全医師に占める女性医師は一八・九%でございますが、直近の、今年の二月に行われました医師国家試験の合格者に占める女性の割合は三二・七%、近年増加をしているところでございます。このため、女性医師が安心して勤務の継続や復職ができるような、出産や育児といった様々なライフステージに対応した環境の整備が重要であると考えております。
 このため、出産や育児等により離職している女性医師の復職支援のための受付・相談窓口を都道府県に設置をいたしまして、就業のための研修の受入れ医療機関の紹介や復職後の勤務形態に応じた研修の実施をする女性医師等就労支援事業、また、ライフステージに応じて働くことのできる柔軟な勤務形態の促進を図るため、女性医師バンクにおける就業あっせん等の再就業支援を女性医師支援センター事業として行っているところでございます。また、子供を持つ女性医師や看護師の離職防止、また復職支援のためにも病院内の保育所の運営が必要でございまして、このための財政支援を行っているところでございます。
 さらに、特に看護職員につきましては、御指摘のように、潜在看護職員が今現在で七十万人近くいるのではないかと推計されておりますが、この方々をどう活用するかという就業の、再就職のことを考える必要がありますが、そのためにも、看護師の資格を持っている方々を、離職をされるときに復職のためにまずは都道府県のナースセンターへ連絡先などの届出をしてもらってはどうか、このようなことについて、今現在、社会保障審議会医療部会で検討を進めていっていただいております。
 今後とも、こうした取組を着実に実施することで女性医師や看護職員が安心して就業の継続や復職ができるような環境の整備に努めてまいりたいと思います。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 時間もないので、次の質問に移らせていただきます。
 本年六月に日本外科学会から厚生労働大臣あてに、外科医の労働環境改善のために中間職種の創設、養成についての要望書が提出されております。日本外科学会の調査では、平均労働時間が週七十八・五時間、三十歳未満では九十九・八時間と、過労死の認定基準に達するものが実に全体の七〇%を超えると、こういう現状でございます。当直明けの手術参加も日常化し、多くの外科医が疲労による医療事故、インシデントを経験いたしておりました。外科医の過重労働について、この調査は氷山の一角です。外科医以外についても、勤務医の過酷な労働環境改善については、つい先日、十一月九日、医師会が岡山宣言としても取り上げているところなんです。
 労働環境改善の観点から、勤務医の過重労働についての改善策についてお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(原徳壽君) お答えいたします。
 医療の高度化、多様化の進展や若い世代の職業意識の変化などで、外科医を始めとして医療機関の人材確保も困難になっているものと認識しております。こうした中で、質の高い医療スタッフを確保し、定着を促進するためには、医療機関の働きやすい環境整備が不可欠であると思っておりまして、これまでも診療報酬改定の中で医師の事務作業補助体制を評価したり、あるいはそのほかの負担軽減や処遇の改善に向けた取組を講じてきたところでございます。
 また、さらに各医療機関における勤務環境改善に向けた取組を推進する観点から、まず、国の指針に基づいて各医療機関で勤務環境改善に向けた取組を行うための仕組みの創設、また、労務管理、医療分野など、医療機関の勤務環境改善活動に対する支援体制の構築、これらにつきまして、現在、社会保障審議会医療部会で次期通常国会での制度改正に向けて検討を進めているところでございます。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 この問題につきましては、中間職種の創設等々について新たに質問をさせていただきたいと思っておりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。
 時間も迫ってまいりましたので、最後に診療報酬についての質問をさせていただきたいと思います。済みません、幾つか質問を飛ばしております。
 医療費抑制の取組といたしまして、医療の標準化、適正化策というものが重要となってまいります。しかし、現在、外来診療は出来高払が中心のために過大な診療がなされる可能性が残されております。今後、医療提供者に対し医療の適正化を図るため具体的な方策はあるのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(木倉敬之君) お答え申し上げます。
 今の医療保険制度の中では、入院につきましては急性期のDPC病院であるとか療養病棟であるとか、包括的な評価ということを進めてまいっておりますが、外来の方につきましては、これまでの取組といたしましては、二百床以上の一般病床を有する病院における再診のときの処置、検査等を包括化をする、これは元々特定機能病院から始めたものでございますが、これ二百床以上ということで拡大をして機能分化を進めるとともに、包括的な評価を進めるということで取組を進めております。また、小児科の方では、三歳未満の乳幼児さん、いろんな検査、処置等をされると思いますけれども、これに対しまして包括的な評価ということで進めてきております。
 こういう取組、更に検討を進めてまいりたいと思いますが、一方では、全ての外来患者さんの評価というものを包括的にすると診療というものが過小になるおそれもあるんじゃないかという御指摘もある中でございます。よくよく議論をしなきゃいけないと思いますが、現在、来年の診療報酬改定におきまして、中医協におきましては、これから慢性疾患を複数持たれるような患者さんが多くなる中で、主治医の方が服薬の管理あるいは健康管理なども含めて総合的に患者さんを診ていただくような際の評価を更に高めていくべきじゃないかというふうな議論も進めさせていただいています。
 しっかりと議論を進めてまいりたいというふうに思っております。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございました。
 今お聞きしただけでもやはり枝葉の改革で、消費税増税を正当化するためのアリバイ法案のようにも見えてまいります。超高齢化社会にどのような社会保障が必要であるのか、更に今後も議論を深めていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 本日はありがとうございました。
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 長野市で生活保護の文書、親族の扶養を前提とするという違法な文書が出ていたことについて取り上げましたが、全国調査結果、明らかにしていただきたいと思います。どれだけの市町村で使われていたんでしょうか。
○政府参考人(岡田太造君) 御指摘のように、長野市が使用しています生活保護に係ります扶養照会書などに扶養義務が保護を受けるための要件であると認識させるおそれのある表現がございました。その後、同様の文言を使用しています事例がほかにもあることが判明したことから、全国の自治体に対して十一月八日付けで、同様の表現をしている場合には改善するように指示するとともに、十一月十四日付けで改善状況について調査を実施したところでございます。
 調査の結果、速報値でございますが、改善指示をしました十一月八日の時点で千二百六十三か所の福祉事務所のうち四百三十六か所から、扶養が保護の要件と誤解され得る文言を使用したと報告がございました。同時に、改善指示を受け、当該四百三十六か所の福祉事務所のうち三百十四か所は、十一月十四日付けの調査時点で既に改善が図られたところでございます。さらに、システム改修に時間を要するなど、十一月十四日時点の調査時点で改善が図られていない百二十二か所においてもその後の状況を確認いたしました。その結果、既に改善した扶養照会書を別に作成し照会するなど、全ての福祉事務所において適切な対応が取られていることが確認できたところでございます。
○小池晃君 対応はしているというのは当然だと思うんですが、やはり全国四百三十六市町村で言わば違法な文書が使用されていたということは極めて重大だというふうに思います。これはもう是正徹底することは当然ですが、やはり私は生活保護行政の抜本的な見直しが必要だというふうに思うんです。そんなときに扶養義務を強化するような法案については、やはりこれは改めて廃案にすべきだということを申し上げておきたいというふうに思います。
 法案に入りますが、このプログラム法案は、医療、年金、介護など社会保障の様々な分野で改革メニューを列記して、それぞれ日程表を法文化して実施を義務付けるという中身ですが、そもそも、やっぱりこの法案、確認をしたいんですが、大臣、これは政府が目指す方向を宣言したものであって、それぞれ法案に列記されているメニューというのは、それぞれは個別法の改定や予算上の措置によって初めて実施されるものであると、これは間違いありませんね。
○国務大臣(田村憲久君) 受益と負担というもの、これのバランスを取りながら持続可能な社会保障制度、これを構築するために、改革の検討項目、それから実施時期、さらには法案の提出時期の目途、こういうものをこの法案の中に書き込んでおるわけでありまして、今言われたような医療や介護の提供体制の整備でありますとか、また保険制度、その改革等々に関しては、それぞれ別途の法案等々を提出をさせていただくということでございまして、それに向かっていろんな議論をさせていただくということになってこようと思います。
○小池晃君 だとすると、こんな法律必要ないんですよ。閣議決定で済む話じゃないですか。何でこんな法律を、だって立法措置は別途必要だということであれば閣議決定でいいじゃないですか。何でこんな法律が必要なんですか。
○国務大臣(田村憲久君) 国民会議の報告書にのっとって、やはり改革を必ずやり遂げるというような一つ方向を示すためにこの法律案を出させていただくと。同時に、やはり、そこは推進法の中で法制度上の措置を講ずるということでございますから、一年を目途ということでございましたけれども、国会をやっておりませんでしたので、閣議決定等々をなして、その上でこの法律を提出をさせていただくと。
 やはり方向性を示すということは、国民の皆様方にしっかりと約束をするということと同時に、ある程度の改革の検討項目というもの、中身というものを国民の皆さんに示すということによって、一方で消費税を増税することをお願いをしてくるわけでございますから、それと社会保障との充実というものをここで国民の皆様方に十分に御理解をいただくための法案であるというふうに考えております。
○小池晃君 いや、やっぱり個々の改革というのはそれぞれ国民の生活、健康、命にかかわるわけですから、やはり広範な国民の意見を聞いて、徹底した国会審議によって一つ一つの法律を作っていくのが筋であって、それを一方的にスケジュールをまずもって国会で議決をして、そして既成事実化していくというやり方は、私は国会の運営からしても非常に疑問だというふうに思うんです。
 しかも、その法案が成立したらば、そこに書いたスケジュールというのはこれは実施義務付けられていって、そのために推進本部を常設し改革の進展を検証していくということで、これは結局、こういうやり方になってしまうと国会の軽視になりますよ。大臣、そう思いませんか、こんなやり方、いいと思いますか。
○国務大臣(田村憲久君) なかなかしゃべりづらいところがあるわけでありますけど。
 やはり元々は、このスタートは昨年の三党合意からスタートをいたしました。当時、社会保障の制度のいろんな見直しも含めてでありますけれども、政権交代ごとにころころ変わったのでは、国民の皆様方の生活の一番根本を成す社会保障制度というものに対してやはり信頼感というものが持てないということがございました。そういうことで、当時、政権与党であった民主党の方から要請を受けて、自民党、公明党がそれを受けての三党合意、そしてその後の推進法というふうになっていくわけでございまして、そのような考えの下に今般の法律を出させていただいております。
 ただ、方向性は示しておりますが、中身はもちろん、今委員がおっしゃったとおり、これからいろんな議論をしていくわけでございまして、そのような意味からいたしますと、十分に国会でも中身は御議論いただけるというふうに思いますし、それ以前に国民の皆様方からいろんな御議論というものもしていただけるというふうに思っておりますので、国会軽視というふうには思っておりません。
○小池晃君 三党合意、三党合意と言うけれども、ほとんど壊れているじゃないですか。しかも、今日、これもう非常に残念です、やっぱり。私は与党に努力していただいて正常化してほしいと思うけれども、やっぱりこんなのもう前提が崩れているんだからもうやめましょうというふうに思います。(発言する者あり)まあそれはそういう面もありますけれども。
 個別のことをちょっと聞きたいと思うんですが、医療ですが、七十歳から七十四歳までの窓口負担二割にすることによって、給付費、国費、患者負担、そして医療費への影響は二〇一九年度の姿でどうなりますか、お示しください。
○政府参考人(木倉敬之君) お答えをいたします。
 七十歳から七十四歳の患者負担でございますが、法律上は二割のところを予算措置で一割としておりますが、国民会議報告書では新たに七十歳になった方から段階的に見直しを進めることが適当とされておりまして、プログラム法におきましても低所得者への負担に配慮しつつこの検討を進めるということで書き込ませていただいております。
 仮に今の御指摘のように来年二十六年から七十歳に到達する方から二割負担として一歳ずつ進んでいくと、全ての七十五歳までの方が、七十四歳の全部が二割負担になります平成三十一年、二〇一九年度におきますと、まず国費、予算で今措置しておりましたものが約二千六百億円減ると推計をしております。それから医療費でございますが、受診行動の変化、負担が増えることによる受診行動の変化がございますので、同じく三十一年度を見れば医療費は約二千百億円減ると。そのうちで給付費は千四百億円減るというふうに見ております。患者の負担でございますが、これらの中で三十一年度におきましては千九百億円程度増えるというふうに推計しておるところでございます。
○小池晃君 今御答弁あったように、一割を二割に引き上げたとすると患者負担増千九百億円、受診抑制は二千百億円、こういうことになっていくわけですね。二〇一九年度における七十歳から七十四歳の人口は九百三十万人というふうに言われていますので、一人当たりにすると年間二万四百三十円の窓口負担増、そして二万二千五百八十円の受診抑制ということになるわけですね。
 私は、これが高齢者の生活と健康に深刻な打撃を与えることは間違いないと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(木倉敬之君) 今の二割負担、本来二割負担のところを一割に凍結しております現状を見ますと、六十九歳までの世代の方、それから七十五歳までの世代の方に比べまして、負担が七十から七十四歳の方が少ない状況が見られます。その中で、国民会議におきまして世代間の公平という観点からこれを是正すべきではないかと。その際にも、やはり今御指摘のように、高齢者の方々の今の状況にも配慮しなきゃいけないということで、特に低所得者の方の負担に配慮しながら、新たに今まで六十九歳で三割負担をお願いしておったような方について二割負担というふうなことで、七十歳になった方から段階的に進めることが適当であるというような御指摘もいただいておるところでございます。
 今の議論の中では、七十歳になる方々、それまで三割だった方々の負担が増えない二割ということ、それから、既に七十歳に到達されている方々は一割負担で変わらないというふうなことでどうだろうかということを審議会でも議論をいただいております。
 それから、あわせて低所得者に配慮ということで、高額療養費制度でございますけれども、これは本来二割の場合とかにはより高い額が設定をされておったんですが、今、一割の中で四万四千四百円ということで低い額で設定をされております。審議会におきます議論ではこれを四万四千四百円、二割負担になりましても四万四千四百円の月の上限に据え置くことも含めて検討をいただいておりまして、必要な受診を抑制することのないように十分な配慮が必要だろうというふうに考えておるところでございます。
○小池晃君 高額療養費は、高齢者のこの部分、変わらないんですよ、今と。配慮したと言うけど。
 大臣、この一割負担に据え置いたこと、これやったときに、当時、公明党の太田昭宏代表が衆議院本会議でこうおっしゃっています。一口に高齢者といっても、その生活実態は様々であり、年金収入や就労状況、借家で家賃負担がある方、そして介護費用などを勘案すると、厳しい生活を余儀なくされている高齢者が数多くございますと。で、窓口負担の引上げを凍結するよう求めているわけですね。それに対して当時の福田康夫首相は、高齢者の方が置かれている様々な状況に配慮しながらきめ細かな対応に努める必要があると、そう答えて、それで予算措置をとることになった。
 私は、この厳しい生活を余儀なくされている高齢者は数多いという状況はいまだに続いていると思います。そして、きめ細かな対応と言ったけれども、七十歳から七十四歳までの高齢者にきめ細かな対応なんてしていないじゃないですか。どんな対応をしたというんですか。これだから大丈夫だと言えるような根拠があるんですか。どうかお答えいただきたい。
○国務大臣(田村憲久君) 世代間の公平ということと、一方で、今言われたような高齢者の状況に応じたきめ細かな対応というものをいろいろと考える中において、一割負担というものを、それ以前の高齢者医療保険制度を継続して、本来二割であるにもかかわらず、暫定措置のような形で一割負担を続けてきておるわけであります。これは補正予算で対応してきております。
 一方で、後期高齢者医療保険制度でありますが、当初いろいろとお叱りをいただきましたが、例えば天引きと言われたものに関しても、これを選択制にするでありますとか、それから……(発言する者あり)いえ、まあそうなんですけれども、要するに、いろいろなことを対応する中でやってきたわけでありまして、後期高齢者医療保険制度に関してはある程度理解と定着が進んでおるというふうに思います。
 今の七十から七十四歳のところでありますが、これはいろいろと分析してみますと、例えば医療費に係る一人当たりの負担、それから収入に対する一人当たりの負担というものを高齢者の中でもこれいろいろと比べてみますと、ちょっと我々も調べてみたんですが、ちょうどこの一人当たりの医療費に対する患者負担割合でありますけれども、六十五から六十九歳が八・九万円なんですね。七十五歳以上が七・六万円。しかし、今、一割凍結している七十から七十四歳は四・五万円なんですよ。これを二割にしますと、ちょうどこれが大体八・二ぐらいになるんですかね。でありますから、そういう意味からすると、このような意味から、あっ、ごめんなさい、七・四ですね、ごめんなさい、七・四万円。そうなると、これを見ましても、まあ大体七十五以上また六十九歳以下と同じぐらいな割合になると。
 同じようなことが一人当たりの平均収入に対する患者負担割合に関しましても、今、七十から七十四歳は四・五万円、六十五歳から六十九歳が八・九万円、七十五歳以上は七・六万と。これも同じような割合になるわけでございまして、両方から見ましても、やはり二割にした方がというか、言い方がよろしくないんですが、二割の本則に戻した方が、六十九歳以下と七十五歳以上の方々の自己負担割合と大体同じところになってくるということでございまして、今ちょうど七十歳から七十四歳の方々が二割を凍結していることによって負担割合が低くなっておるということを含めまして考えましても、高齢者の中においても世代間の格差といいますか、そういうものがこれによって一定程度緩和されるというふうに認識いたしております。
○小池晃君 高い方に合わせて公平化するという考え方が間違っているんですよ。
 これは実態として、やっぱり七十歳前半というのは、リタイアしてその後の生活に入る、やっぱり会社を辞めたりしていろいろな病気が出やすいような、そういう時期ですと。日本医師会の調査によれば、一割から二割に増やした場合に、一番受診抑制が出てくるのはやっぱり七十歳から七十四歳だという話もあるわけで、これは私は、今の説明でも、かつて、じゃ、何で一割に据え置いたんですか。高齢者の生活実態はこうだからということでやった、それを今変えるという理由には全くなっていないというふうに思うんです。
 それから、入院の食費負担について聞きたいんですが、法案には在宅療養との公平を確保する観点からの入院に関する給付の見直しとありますけど、これは急性期病床での食事負担の導入を想定したものなんですね。ちょっと、長く答えないで、もう端的に言ってよ、イエスかノーかでいいから。
○政府参考人(木倉敬之君) プログラム法案への記載ぶりは今御指摘のとおりでございますが、この背景といたしましては、今の保険給付としての入院時食事療養費、これが急性期を含む一般病床におきましては、在宅との負担の公平化ということから一食当たり二百六十円、食材料費相当のものを御負担をいただいていると。これにつきまして今御指摘のような検討の規定がありますが、この中身につきましては社会保障審議会におきまして今後十分に検討いただきたいというふうに考えております。
○小池晃君 これは参議院選挙の自民党の選挙公約、J―ファイル見ますと、保険給付の対象となる療養範囲の適正化の具体例としては、ただ一つ、給食給付の原則自己負担化というのが書いてあるわけですね。これ、大体計算してみますと、やっぱり今の国民医療費では入院時食事・生活医療費八千二百九十七億円で、その大半は食事療養費というふうに考えられます。入院時食事療養(T)では、例えば、患者の標準負担額を除く保険給付はおよそ六割ということになりますので、これ全体に当てはめると、入院給食の保険給付は現在およそ五千億円程度と、これが原則自己負担というふうになれば莫大な負担になると思いますが、こんなことを検討しているんですか。
○政府参考人(木倉敬之君) 御指摘のように、二十二年度で私どもの事業者の調査で見ましても、入院時食事・生活医療費に係る医療給付費は約四千八百億円程度でございますが、これは医療上必要な方もいらっしゃいますでしょうから、これ、中身を議論するにいたしましても、全額当然自己負担ということではないでしょうが、これについては十分社会保障審議会の御議論をいただきたいというふうに思っております。
○小池晃君 大臣、急性期病床の食事というのは治療の一環であって、食材費部分がたとえ自己負担になったとしても、人件費については保険給付にするというのが従来の立場だったと思うんですね。この考え方変えるんですか。
○国務大臣(田村憲久君) 今言われたとおり、与党の中でのいろんな公約、J―ファイルの中でもいろんなことを御議論をいただいておる中において、これに関しましては、食事というものは自宅で御生活されておられても食費は掛かるわけでありますね。そういうことを念頭に置きながら、今一方で言われた食事自体が治療の一環であるというようなものが、どういうものがそうであるかということは、これはいろいろと検討しなければなりませんけれども、そういうような方々にどういう配慮をするのかということも含めて、これからいろいろと社会保障制度審議会の方で御議論をいただくということになってくると思います。
○小池晃君 私は、急性期病床における食事は治療だというふうに思います。これはやっぱり保険給付から外すのは間違いだというふうに思います。このことを改めて強調したいというふうに思います。
 介護保険ですが、これも大幅な改悪プランが入っているわけですけれども、介護保険利用料の二割への引上げによる給付減、それから介護施設の補足給付の縮小による給付減、これはどれだけになりますか。
○政府参考人(原勝則君) 介護保険の利用者負担を二割に引き上げる基準につきましては、今社会保障審議会介護保険部会で御議論いただいておりまして、一応二案私どもの方からは提案しています。一つの案は、個人の所得が第一号被保険者全体の上位二〇%以上に該当する合計所得金額百六十万円でございます。これ年金収入に換算しますと二百八十万円という水準になります。また、第二案として、第一号被保険者のうちの住民税課税者の上位五〇%に該当する合計所得金額ということで百七十万円と、年金収入換算ですと二百九十万円といった案をお示ししております。
 また、高額介護サービス費の限度額につきましては、医療保険の現役並み所得に相当する方について、現在三万七千二百円でございますけれども、世帯の合算額でございますけれども、これを四万四千四百円に引き上げる案をお示ししております。
 これらの案によりましてどのくらいの給付の減になるかということでございますけれども、一応審議会にお示ししました財政影響の試算では、平成二十七年度から二十九年度までの年間の平均ということでございますけれども、第一案でいいますと約七百五十億円、第二案でございますと約七百十億円の給付費減を見込んでいるところでございます。
 また、補足給付でございますけれども、配偶者が住民税課税者である場合には、世帯分離していても配偶者所得を勘案して補足給付の対象外とする、あるいは預貯金等が単身で一千万円、夫婦で二千万円超の場合に補足給付の対象外とする、遺族年金等の非課税年金を所得段階の判定に勘案すると、こういった案を示しております。これらによる効果でございますが、審議会にお示しした試算では、平成二十七年度から二十九年度までの年間平均で約七百億円の給付費減になると見込んでおります。
○小池晃君 今数字もお示しあったんですが、これ、利用料二割負担の対象として検討されているものの中には、単身者の年金収入で二百八十万円以上、高齢者の二割だということが有力案というふうに報道もされているわけですが、これ、高齢者医療における現役並み所得者の基準は三百八十三万円ですよね。
 大臣、これ、介護の方がはるかに対象が幅広い。二割の高齢者が二割負担になる高所得者とはとてもこれは呼べない基準じゃありませんか。大臣、こんなことをやっていいんですか。
○国務大臣(田村憲久君) 消費支出のデータも踏まえながらいろいろと検討をいただいておるわけでありますけれども、単身で二百八十万というのは大体高齢者の中での所得上位二〇%ぐらいだというふうな判断の下にこの二百八十万というものを今御議論を、これ決まったわけではありませんけれども、これを一つ基準にしながら御議論をいただいておるということであります。
 その高所得者というものが医療と比べて違うではないかという話でありますが、そもそも医療は御承知のとおり三割負担になります。こちらは二割であります。さらに申し上げれば、七十五歳以上は一割負担、今七十歳以上も一割負担でありますけれども、これを、今、七十から七十四は二割負担にすべきではどうかという議論を、本則に戻そうかという議論をしておる最中である。
 つまり、制度が違うわけでありまして、当然のごとく、所得を幾らにするのを基準にするかというのも、医療は三割、こちらは二割ということでございますから、そもそもの制度が違うわけでございまして、それに関して同じ基準を使わなければならないというようなものではないというふうに認識いたしております。
○小池晃君 別に同じ基準を使えと言っているんじゃないけれども、高所得者の概念が何で医療と介護でこんなに違うのかと言っているわけですよ、三割が異常なんですから。これ、一割から二割に介護の利用料を増やしたら、本当にやっぱり利用抑制はますます進みますよ。必要な介護を受けられなくなればますます重度化するということになるわけですから。私は、こういうやり方は断じて認められないと思います。
 それから年金ですが、今年十二月支給分の年金から始まるいわゆる特例水準の解消による年金額の削減は幾らですか。
○政府参考人(香取照幸君) お答え申し上げます。
 特例水準の解消でございますが、これは御案内のように、過去、平成十一年から十三年にかけまして物価が下落いたしましたときに、国民生活への影響を配慮するということで、特例法をもちまして年金額を据え置きました。その後、何回か様々な年金額の改定を行いましたが、結果的に二十四年度段階では本来の年金額と比較いたしまして二・五%高い水準になっておるということで、昨年の社会保障・税一体改革におきまして、二十五年度から三年間掛けてこの特例水準の解消を行いまして本来の水準にするということでございます。
 影響額でございますが、物価スライド特例の影響を受けますのは、国民年金、厚生年金、共済年金、まあ全体でございますが、二十三年度の年金額の給付額の総額が約五十兆円弱ということでございますので、おおむね二・五%ということになりますと、特例水準によって高くなっている額がおおむね約一兆円程度ということになりますので、一兆円程度の影響額があると見ております。
○小池晃君 さらに、そのいわゆる特例水準解消後に、現行制度でも物価が一定程度上昇すればマクロ経済スライドが発動されることになるわけです。マクロ経済スライド発動された場合に、特例水準解消後の二十八年度から三年間で、マクロ経済スライドを発動した場合と発動しない場合には約三%程度の格差が生じると思います。そうすると、公的年金の給付総額を五十兆円とすると、この格差は一・五兆円程度になるというふうに私は思いますが、これは大体こういう計算ですね。イエスかノーかでお答えください。
○政府参考人(香取照幸君) マクロスライドでございますが、今後の経済状況によりまして実際の効果は変わってまいりますので、ちょっと現時点で確定的な影響額をお答えすることはできないわけでございますが、議員御指摘のように、特例水準解消の後に物価、賃金が上昇いたしまして、想定されているマクロスライドが三年間完全に発動されたという前提を置いた上で、またこのスライド調整率も、実は次の財政検証で数字が動く可能性がありますので、この数字も確定的ではないわけですが、二十一年度財政検証のときのスライド調整率をそのまま適用すると考えますと、約三%、御指摘のように三%になりますので、そういう前提を置いた上で計算しますと、約一・五兆円の給付の抑制があるということになります。
○小池晃君 プログラム法案に盛り込まれているのは実はこれだけではないわけで、検討事項としては、年金支給開始年齢の先送り、あるいは一定以上の収入がある人の受給額削減、公的年金控除の縮小。介護では、要支援者を保険給付から外していくことや特養ホームの入所基準を厳しくする。そういったことも含まれるわけですが、それは数字としてちょっと出しにくいということであると。出せるものだけで、今いろいろ言われたものを足し合わせれば、このプログラム法案に盛り込まれている負担増、給付減の総額というのは、二〇一八年度には三兆円を超える規模になっていくのではないかというふうに思うわけです。
 社会保障と税の一体改革というのは、社会保障の充実、安定化と、そのための安定財源確保と財政健全化の同時達成を目指すものということで、充実分に回るのは二・八兆円というふうに政府は言ってきたわけですけれども、結局、この法案で盛り込まれているものは、中にはこの中に入っているのもありますけれども、その外枠のものもありますよね。そうすると、結局、これを総体として実行すれば、その規模は二・八兆円の充実分を超える負担増、給付減になっていくということになるんじゃないですか。大臣、いかがですか、これ。
○国務大臣(田村憲久君) 年金の特例水準の解消というのは本来の姿に戻す話ですから、これ、今までやらなかったこと自体がやはり特例であったわけですね。ですから、本来の水準に戻すという行為でございます。
 あわせて、マクロ経済スライドも、本来もう発動されていなければならなかったものが、物価が上がらなかったということで発動ができなかった、物価、賃金が上がらないから発動できないというものを発動する話でございまして、これは今般のプログラム法と本質的にはかかわりはないといいますか、それ以前の十六年改正の中において決められたことでございますので、それを実行するだけの話であります。
 あわせて、七十から七十四歳に関しましても、本来は二割負担であったものを補正予算等々で特例的に一割負担を続けてきたわけでございますから、これも今般の、本来、社会保障制度改革というよりかは、それ以前の元に戻すという話でございます。
 なお、社会保障制度改革、今回のプログラム法の中においてメニューに書かれているものに関しては、これはもちろん効率化、重点化したものの部分はそのまま充実の方に回すということで二・八兆は確保してまいりますし、それ以外の部分のものに関しましても、これは財務省との話合いになると思いますけれども、なるべく社会保障の充実に充ててまいりたいというふうに思っております。
○小池晃君 今までやるべきことをやっていなかっただけなんだと言うけど、国民から見ればそんな理屈は通用しないわけですよ。負担増、給付減なんですよ、これ実態としては、年金額は減るんですから。それはそうでしょう。これは、前やらなかったことが今やられたんだなんてみんな思いませんよ。
 で、消費税増税します、それで社会保障に回しますと。社会保障充実二・八兆円ですと言われながら、実態としては三兆円を超える負担増というのは同時期に来るわけですよ。これは国民から見れば、結局、消費税増税したけれども、その時期に社会保障はどんどん悪くなっているじゃないかと、そういう実感を持たれるのは当然じゃないですか。そういうことになるじゃないですか。これは私は事実の問題として聞いているんですよ。
○国務大臣(田村憲久君) 消費税とは全く関係ない議論ですね、これは。消費税が上がろうが上がるまいが、そこは本来のところに戻すわけでありまして、今までその分を、それこそ赤字国債等々を発行しながら対応してきたわけでございまして、その分に関して本来のところに戻すということでありますし、年金財政に関して申し上げれば、年金財政が毀損を本来の計画よりするわけでありますから、それを本来の制度の運営に戻すということでございますので、そこはやはり我々丁寧に国民の皆様方に御説明をしていかなければならないというふうに思っております。
○小池晃君 私は、それは納得を得られないと思うし、実際、財務省なんかが今何を言い出しているか。財政制度等審議会なんかではこういうふうに言っているわけですよ。当面、今般の社会保障・税一体改革において公費負担の追加を行ってまで社会保障の充実を図っていることの国民的な意義は問われ続けなければならないと。所期の政策効果の実現が見込まれない場合には公費投入を見直すこともちゅうちょすべきではなく、金額ありきで政策効果が曖昧なまま公費投入が行われることはあってはならないと。
 財務省のやっぱりそういう方向が今出てきているわけで、私は、そういう意味でいうと、結局、社会保障と税の一体改革といいながら、全く社会保障の充実ということを国民には実感できないようなそういう事態になりつつある。そして更にそれが悪化しかねない。診療報酬の問題だって、財務省からいろんな発言出ているわけですよ。こういうことをやっぱり許していいのかと。本当の意味で社会保障の充実ということを取り組んでいくという、そういう方向に今なっていない、だんだんやっぱり変わってきていると私は率直に思いますよ。こんなやり方でいいんだろうかと。しかも、後期高齢者医療保険料の引上げ、介護保険料の引上げもこれからあるわけで、やっぱり国民から見るとこれは話が違うというふうになってきますよ。そういうやり方でいいのかということを改めて私は指摘をしたいと思います。
 それから、国保についてちょっと残る時間でやりたいんですが、法案では、財政運営を始め都道府県が担うことを基本に、都道府県と市町村において適切に役割を分担するとしていますが、これは国保財政の都道府県単位化で市町村の一般会計繰入れ解消を進めるということを意味するものであると思うんですが、簡単に答えてください。そうですね。
○政府参考人(木倉敬之君) 国保制度、国民皆保険の基盤でございますので、しっかりとした役割を果たしていかなきゃいけないと思っております。
 その構造的な問題として、低所得者の方が多い、高齢で医療の必要な方が多いということですので、財政基盤の強化を図る必要があるということで、このプログラム法でも、まずは財政支援の拡充等によって国保の財政上の構造的な問題を解決する、これを図ることとした上でと書いてありますが、その上で財政運営を始めとして都道府県が役割を担う、また都道府県と市町村の適切な役割分担について検討を行うこととされております。
 今御指摘の、市町村が決算補填目的のために行っておられます一般会計繰入れ、これは計画的、段階的に解消できる努力をお願いしたいものでございますけれども、そのためには、まずもって収納率の向上あるいは医療費適正化をしっかり取り組んでいただく、さらに、国保の赤字の原因、運営上の課題をしっかり我々も共に分析した上でこの財政支援をしっかり行っていくなどの取組を進めていくことが必要だと思っております。
○小池晃君 そういう一般会計繰入れ解消ということを進めていくんだというんですが、実態どうかというと、資料お配りしましたけれども、これは、所得二百五十万円の自営業者で四人家族の場合の国保料、政令市で大体どうなっているか。こういう数字なんですね。札幌市四十八万一千百円、さいたま市四十万九千百円、東京二十三区四十一万五千八百円、新潟市四十五万二百円、京都市五十万五千三百円、大阪市四十六万八千三百円、岡山市四十五万三千六百円、福岡市四十九万二千八百円。これが今の実態ですね。
 こういう中で都道府県単位化で市町村の一般会計からの三千九百億円の繰入れをなくせば、更にこれが値上がりをし、住民の生活を圧迫し、保険料滞納逆に増えて国保財政悪化するという悪循環になるだけではないですか。大臣、いかがですか。
○国務大臣(田村憲久君) 医療も介護も負担が増えると、そうおっしゃられましたけれども、介護保険料も、低所得者ではその負担を軽減しようということで保険料自体下げようというようなことも入っておりますし、それから高齢者医療制度、国保に関しましても、これ国保絡みますけれども、これに関しましても保険料軽減者の対象を増やそうということもここの中に入っております。高額療養費に関しましても所得に応じた形にしようということでございますから、委員、負担の増えることばかりおっしゃられますけれども、そうでないということを申し上げた上で、この国保でありますけれども、もちろん今一般会計から導入している部分、この解消に向かって計画的に進めていかなきゃなりませんが、ただし一方で、それは保険料を上げるだけではなくて、例えば収納率の向上でありますとか医療費の適正化ということもやらなければならぬわけであります。
 国といたしましては、今申し上げました保険料、低所得者の方々に対してそれをやっぱり軽減していくための国費も投入しなきゃならぬと思っておりますし、そもそも低所得者が多い、そういう保険者に対しての財政支援、こういうことも考えているわけでございます。都道府県化をするといっても、そこは都道府県と市町村との役割分担というものをじっくりと話し合っていただく上においていろいろとこれは議論をしなきゃいけない話でございまして、保険料、これ都道府県化イコール保険料が上がる方向に動くというような、必ずしもイコールではないわけでございますから、そこのところは十分に我々も配慮しながら制度の設計をしていかなければならないというふうに思っております。
○小池晃君 低所得者の保険料対策やるとおっしゃるんですけれども、五割、二割の法定軽減の対象を広げるとおっしゃるわけですが、保険局長に聞きますけれども、私が示した所得二百五十万円、自営業者、四人家族というのは今検討されている拡充予定の減額制度の対象になりますか。
○政府参考人(木倉敬之君) 今の七割、五割、二割、これの拡大ということ、これそのものは今のお示しをいただいたケースは対象にならないというふうに思っておりますが、大臣も答えましたように、全体のこの割合が増えること、七割、五割、二割軽減の方が増えることに伴います国保に対する全体の財政支援は更に拡充を図っていく、これはもう地方とも約束をしている事項でございます。
○小池晃君 対象にならないわけですよ、こういうクラスの自営業者であると。事業所得二百五十万円というと、月の平均収入二十万八千三百円になります。
 社会・援護局長に聞きます。
 四十歳代の夫婦、中学生、小学生の子供がいる四人世帯で、生活保護費は月額幾らですか。
○政府参考人(岡田太造君) 一級地の一、例えば大阪市で御指摘のような四人世帯で一月当たりの生活保護基準ですが、生活扶助で二十一万三千三百八十円、住宅扶助、これは大阪市の四人世帯の住宅扶助の二十三年の平均実績で見ますと、四万七千七百七十四円、教育扶助で一万三千二百二十円となっておりまして、合計で二十七万四千三百七十四円でございます。
○小池晃君 生活保護基準以下でも国保では減額を受けられないわけですね。年間四十万円を超える国保料が賦課されるわけですよ。これ自営業者だけじゃないですよ。私もいろいろとケース見ましたけど、例えば給与収入月二十三万円のシングルマザー、中学生、小学生と三人世帯、この場合も年間給与収入二百七十六万円ですから減額には掛かりません。しかし、生活保護基準を下回る水準ですね。これは、やっぱり実態はこうなんですよ。
 私は、現役世代の国保加入者では、生活保護基準以下のワーキングプアでありながら国保料の重い負担に苦しめられている人が多数いる。本来は、こうした層は保険料、国保料を免除されてもおかしくないわけです。しかし、今の制度上でいうと、法定減額と条例減免はありますが、免除となるのは一時的な、例えば災害時、事業の休廃止などの場合で、恒常的な低所得者の保険料を免除する仕組みはないわけです。これ、根本的な制度の欠陥ではありませんか。
○国務大臣(田村憲久君) これ、国保はやはりそれぞれ加入されている方々が相互に支え合っている制度であります。でありますから、やはり負担能力に応じて払っていただく部分と、それからまた世帯割、人数割、資産割というようなもの、これを組み合わせて保険料を設定しておりますから、全国中一律ではございませんけれども、それぞれの保険者によって設定しているわけですね。
 でありますから、そのような意味からして、必要なものに関しましては保険料としてこれをいただくというような形になっておるわけでございまして、今委員がおっしゃられたようなことも含めて、やはりこの保険者、国保というものがセーフティーネットであることは間違いありませんから、これをどう維持していくんだということに我々も大きな課題を感じておるわけであります。
 そこで、今まで脆弱であった非常にちっちゃい保険者も含めて、財政的に不安定であるということもございますから、都道府県単位でこれを財政的な一定の責任を負っていただこうということで今議論を始めておるところでございますし、国も低所得者の多い保険者に対しては財政支援を拡充しようという方向で今議論をいたしておるわけでございまして、いろんな手だてを講じながらこの国保の制度というものをしっかりと守ってまいりたいというふうに思っております。
○小池晃君 私は、やはり抜本的な解決が求められていると思いますよ、この国保制度については。今のこういう事態、生活保護基準以下であっても減額が受けられない、あるいは免除制度というのが存在しない、恒久的な制度として。やっぱりこれは根本的に見直す。社会保障の抜本改革というのであれば、まさにそういう事態に対して正面から切り込むことが必要なんですよ。そのためにやっぱり公費負担をしっかり増やしていくということをやるべきなんですよ。それをやらずに本当にびほう策でやっていくようなやり方では、私は、日本の社会保障制度に対する信頼はますます揺らいでいくばかりだということを申し上げたいというふうに思います。
 ちょっと後にも質問残っていたんですが、時間なので。ちょっとこの法案については、やっぱり社会保障の全分野にわたる改革のプランを示したものだけに、私は徹底した審議が必要だと思いますし、民主党にも是非出てきていただいて、やっぱり正常な形できちっと参議院としての責任を果たしていくということをやるべきだというふうに思います。
 是非、委員長にも、そして与党の皆さんにも格段の御配慮をお願いしたいというふうに思いますし、徹底的な審議をやっていくことを改めて求めて、質問を終わります。
○東徹君 日本維新の会の東徹でございます。
 前回に引き続き、年金のことについてもう少しお伺いしたいというふうに思っております。
 今回のプログラム法案の第六条は、基礎年金の国庫負担割合を恒久的に二分の一に引き上げるものということで、二〇〇九年までは国庫負担割合が三分の一だったのを二分の一に上げますよということだけが書かれておるということで、また、国民会議におきましても、年金のことについて余り抜本的に改正すべきというような議論がなされていなかったというふうに思っております。
 それで、大臣も前回の質問でも答えていただいた年金の世代間格差、今の賦課方式は世代間格差には弱いというようなことをおっしゃっておりました。この世代間格差というものが、本当に今一番若い人たちには、年金の制度に対する不信感を思うのはやっぱりこの世代間格差ではないのかなというふうに思っております。年金保険料と年金給付について世代間損得勘定で計算すると、一九四〇年生まれと二〇一〇年生まれとでは六千二百九十万円の格差が生じるというふうに言われております。
 まず、このことについて大臣はどのようにお考えになられるか、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(田村憲久君) 年金の格差のみならず社会保障制度の中での格差という話でありましたが、どういう前提に立って推計されているのか、ちょっと私は分かりませんが、今ある国債、これからも出ていく国債の累積の残高を全て次の後世にそれをおいねかした場合にそのような形になるのかどうか、ちょっと理解できないんですけれども、今おっしゃられたことはもちろん我々も認識を持たなければならないというふうに思っております。
 ですから、世代間のやはり公平性という観点に立って、今般、この社会保障制度改革を行おうということでございますので、全世代対応型の社会保障制度にしていきたいという中において、一つは、難病等々も医療費補助の、助成の枠を広げていこうということをやるわけでありますし、それから、子ども・子育て対策に関しましても、これも今までよりもしっかりと財源を確保して、待機児童の解消に向かって頑張っていかなきゃなりませんし、あわせて、放課後児童クラブ等々の整備もやっていかなきゃならないということでございますので、そういうような御意識があられるということを我々も十分に理解をさせていただく中において、この社会保障制度改革の中において、国民の皆様方にしっかりと御理解いただけるような制度改革をやってまいりたいと、このように思っております。
○東徹君 どういう数字か分からないということではありますけれども、ただ、これはいろんな研究者がある程度の前提条件を基に調べていったということであります。
 例えば、現在の大卒の男性の生涯賃金を三億円というふうに見積もって、生涯純受給率に掛け合わせて計算していってこういう数字を出していったりとかあると思うんですが、ここは、結構大臣もこういった数字、今までも見られたことがあると思うんです。厚生労働省としても、やはりこういう試算があるとか多分把握されていると思うんですけれども。
 では、世代間格差が今どうなっているのかというところを一度やっぱり厚生労働省としてもシミュレーションしてみてはどうなのかなというふうに思うんですが、その辺はいかがですか。
○国務大臣(田村憲久君) 全体、どういうふうな前提に立つかによって変わってくると思うんですね。
 例えば、先ほど言いましたように、国債の発行額、累積債務の全体を次の世代に負担というような形になれば、かなりの額が上がってくる可能性はあると思いますが、一方で、国債というものは、世界中見て、全て返そうとしている国はないわけでありまして、これは国内総生産に対する累積残高の割合、GDP比、これをまず低めていかなければならない。これは逆に言えば、要は名目経済成長率を増やしていき、一方で国債の発行額を減らしていくということにおいて、これがだんだんだんだん低くなっていくわけでありまして、財政の発散というもの、拡散というものを、これを止めていくということが必要なわけでありますから、そういうことにはしっかりと努力をしていかなきゃならぬと思いますけれども、全てを返すということは基本的には前提には立っていない。返すんですよ、返すには返す、六十年償還で返すんですから、それは返すんですけれども、そういうことであろうというふうに思います。
 財政を、プライマリーバランスを均衡化させる中において財政の発散を拡散させずに安定した国家の財政政策を運営していくということが必要だと思うんですが、今言われている部分に関しましては、既に今の年金制度はそれを導入を一部しておりまして、保険料は一八・三%で頭止まりであります。
 その上で、じゃ、少子化にどう対応していくのか、高齢化にどう対応していくのかということを考えれば、給付を下げるということでマクロ経済スライドというものを導入しているわけでありまして、先ほど小池先生からお叱りをいただきましたけれども、そこはまさに今の世代間という部分に関しては公平性をある程度担保しなきゃいけないということでございまして、給付を、給付水準を、正確には水準でありますけど、水準を引き下げていくということがこの年金制度の中にビルトインされているというような制度であります。
○東徹君 私、国債を全部返せというふうなことは全く言っておりませんでして、やはり社会保障制度というこれからも持続可能な制度をつくっていくということはもう当然大事だというふうな観点。もう一つは、財政等の問題、ここにも、財政破綻しないように、そこはやっぱり大事に守っていかなきゃならないというふうな思いで質問させていただいております。
 ただ、年金については、先ほどからの話をいうと、給付を下げていく、そして恐らくこれ、これからの少子化対策に対応していこうと思うと保険料を上げざるを得ない、そういう状況も出てくるんじゃないのかなというふうに思っておりまして、給付が下がれば下がるほど生活が、じゃ、維持できるのかというような問題は当然出てきますので、やはりこういった年金制度についてはしっかりと見直していかなきゃならないんじゃないのかなというふうに思っております。
 それともう一つ、昨年度の国民年金保険料の納付率、五九%になっているということで、また、無年金見込み者を含めた無年金者、最大百十八万人というふうなことが推測されております。四一%もの人たちが年金保険料を払わなくなっているということ、特に、若い二十五歳から二十九歳の世代の人たちは約五三%が年金に加入をしていないというような状況になっております。
 このようなことに対して大臣はどのように認識されているのか、お聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(樽見英樹君) 国民年金保険料の納付率についてのお尋ねでございます。
 御指摘のとおり、直近の平成二十四年度の実績において、納付率五九%というふうになっております。前年に比べますと久しぶりに下げ止まったという状況になっておりますけれども、依然として厳しい状況というふうに認識してございます。
 国民年金保険料の納付率ということについては、年金制度に対する国民の信頼を確保する、あるいは国民皆年金を堅持するという上で大変重要な課題というふうに考えてございますので、未納者の属性に応じた形できめ細かな対策に取り組んでいるところでございます。
 具体的に申し上げますと、例えば低所得の方への文書や電話による免除制度の周知、勧奨、あるいは短期の未納者の方への戸別訪問といったようなものについては、民間に委託する市場化テスト事業、これを強化する。一方で、負担能力がありながら一定期間納付しない未納者については特別催告状というようなものを送りまして強く納付を促す。さらに、高所得者に対しては差押え等の強制徴収を強化するといったようなことで対策に取り組んでいるところでございます。
 なお、本年八月に社会保障・税一体改革担当大臣の下に設置されました検討チームにおいて、年金保険料の徴収体制強化等に関する論点整理というものが取りまとめられております。これに沿いまして、現在、社会保障審議会年金部会の下の専門委員会におきまして具体的な納付率の向上策等について検討を進めているところでございますので、そうした議論なども踏まえながら一層の納付率の向上に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○東徹君 今、年金の徴収のことについていろいろと説明をいただきましたけれども、現在の年金制度の前提条件でありますけれども、平成二十一年の財政検証では、年金保険料の未納率というのは二割ということが前提条件になっているということで間違いないでしょうか。
○政府参考人(樽見英樹君) 平成二十一年度財政検証における国民年金第一号被保険者の納付率につきましては、当時の社会保険庁の平成二十年度社会保険事業計画における目標を踏まえまして、平成二十一年度以降八〇%というふうに設定をしているところでございます。
○東徹君 ということは、大幅にこれ前提条件が全く狂っておるということなんですね。平成二十一年の財政検証では、年金保険料の未納率は二割で計算されておって、現在は未納率は四一%、倍ということですね、そのような状況になっているということなんです。
 では、本来、年金制度、皆年金ですから一〇〇%加入していかなきゃならないんだと思いますけれども、前提条件である保険料未納率が二割というこの数字を、じゃ、いつまでにどう達成しようと考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(樽見英樹君) 国民年金の保険料の現年度納付率につきましては、先ほど申し上げたように、二十四年度で五九%ということで厳しい状況でございますけれども、現在、私どもとしては、先ほど御答弁申し上げたような収納対策全般につきまして強力に取り組むということで、差し当たり六〇%台への回復を目標としまして、現在努力を重ねているというところでございます。
   〔委員長退席、理事古川俊治君着席〕
○東徹君 それはいつまでに達成しようという目標なのか、教えていただきたいと思います。
○政府参考人(樽見英樹君) 繰り返しになりますけれども、この六〇%台への回復ということが、現在、日本年金機構の中期計画に規定をしております目標として、平成二十一年度の現年度納付率の実績を上回るということにしておりまして、これをできるだけ早く回復させるということで取り組んでいるというところでございます。
○東徹君 やっぱりいつまでに回復していくという年次的な計画というのは必要じゃないのかなと思うんですけれども、大臣、そう思われませんでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) 余り高い目標を置いても実現できないということも今までもございました。その反省に立って、着実にこの納付率を上げていくということが重要でございまして、今まで、どちらかというと年金記録問題の方、これがクローズアップされることが多かったわけでありますけれども、年金記録問題も今一定のピリオドが来ているわけです。もちろん、この後も判明していないものに関しましては、持続してこれは記録解明やっていくわけでありますが。
 そのような意味からいたしましても、国民年金の納付率の向上というものを更に推し進めていかなければならない、そういう時期にも来ておるわけでございまして、現実的な数字ではありますけれども、一歩ずつこの納付率を高めるように努力してまいりたいというふうに思っております。
○東徹君 是非、いつまでにどれぐらいという数字的な目標を持たないと、やっぱりそこはできないというふうに思いますね。
 ここは大臣もよく御認識されていると思いますけれども、国民年金の未納者が将来無年金や低年金の状態に陥った際には生活保護に陥る可能性がやっぱり非常に高いわけですから、そうなれば、生活保護は全額が国民の税金で賄われる制度でありますから、ここはしっかりとやっぱり納付率を上げていく努力をしていかなかったら、この制度は成り立たないというふうに思います。
 もう一つ、年金の積立金のことについてでありますけれども、二〇一二年度は昨年末からの株高で十一兆円以上の収益を上げましたけれども、過去十二年間の平均は約一・五%という低い数字であります。年金積立金についても、早ければ二〇三〇年代には枯渇するというような言われ方もしております。
 政府は、大幅な給付カットと保険料負担を増加させていけば現在の年金制度を将来的にも運用できると考えておられるのかもしれませんが、国民の間では、今の賦課方式に対して不信感はやっぱり増す一方でありますし、今後も保険料を支払わず年金に加入しない人は増える傾向にあるというふうに思います。また、年金の財政検証についても、五年ごとに見直していたのでは時代の変化に対応できるものでもなく、保険料を払っても将来年金をもらえるかどうか分からないと国民誰もが不安を持っているに違いないというふうに考えます。
 今回のプログラム法案では、現行の年金制度は問題ないということが前提になっております。これほど年金制度に対して様々な問題点を指摘されているわけですから、抜本的に見直そうとしないこと自体がおかしいというふうに考えております。
   〔理事古川俊治君退席、委員長着席〕
 政府としては抜本的に見直しはしないということなのか、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○大臣政務官(高鳥修一君) 東委員にお答えを申し上げます。
 年金制度を持続可能なものにするには、どのような制度体系であっても何らかの形で給付と負担の均衡を図る必要がございます。
 こうした観点から、平成十六年の年金制度改正におきまして、現役世代が負担をする保険料の上昇をできる限り抑制しつつ上限を固定いたしまして、その得られた財源の範囲内で給付を自動調整する仕組み、いわゆるマクロ経済スライドにより長期的な給付と負担の均衡を図るとしたものでございます。
 さらに、昨年の一体改革におきまして、特例水準の解消を通じたマクロ経済スライドの発動条件を整えることなどにより、この年金財政のフレームが発動できることとなったところでございまして、この仕組みの下で制度を持続的に運営することができると考えております。
 一方で、長期間の社会経済の見通しには限界がございますので、定期的な検証とそれから状況の変化に応じた見直しは必要と認識をしております。このため、政府といたしましては、国民会議の報告書を踏まえ、必要な改革に取り組んでまいりたいと考えております。
○東徹君 財政検証においてのそういう前提条件ですけれども、そこをまずは現実的なものを、甘い数字ではなくてやっぱり現実的なものに置いて計算し直していくということがまずは大事だと思います。
 今の制度であれば、この保険料の未納率も二割ということをやっておりますし、そして賃金上昇率も二・一から二・五というような高いところで想定もされております。そういった観点からも、是非とも財政検証においてはきちんと、まずは甘い数字を置くのではなくてやっぱり厳しめの数字を置いてやるべきだというふうに思いますが、その辺の認識はいかがでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) 厚生労働省で勝手に数字作っているわけではありませんでして、内閣府の数字を使わせていただくことが多いわけでありますけれども、政府が考えておるといいますか、政府が推計しておる数字を使っておるということでございますので、恣意的に甘い数字を置いているわけではございません。
 その上で、ただ、年金というものは、賃金が思ったよりも高くても低くても、要は財政均衡という意味からすればそこは余り影響が出ない制度でありますので、賃金が高くなれば当然もらう年金金額が増えるわけでありますし、低ければその分だけもらう年金金額が下がるわけでありますから、そういう意味では、全く影響ないかというと、全くとは言いませんけれども、影響が非常に少ないという部分、そしてそれから、これは余りよろしくないんですけれども、国民年金の納付率が高く推計しているじゃないかというお話もございますが、これも財政的には、保険料を払わなかった方々は将来もらえませんから、ですから財政的にはほぼ中立に近いわけであります。
 問題は、生活保護に行かれますとほかの部分でお金が掛かると。まあ国庫負担二分の一は助かるのかも分かりませんが、生活保護がその分増えた場合には大変なことになりますから、その部分がございますから、今言われましたとおり、国民年金の納付率を上げるためには、一つは、本来、自営業というところを目的に国民年金というものは大きなところを設計されてきたわけでありますが、今、非正規雇用の方々も含めて、働いている方々、被用者の方々が実は国民年金というような方々が結構おられるわけでございまして、こういう方々を被用者年金にどのように誘導していくか、これが大きな課題でございます。これに関しては我々も国民的な議論をしなければいけないと思いますけれども、その方向性でしっかりと議論をして進めてまいりたい、このように思っております。
○東徹君 もう一つ、社会保険料の徴収漏れについても大変大きな問題があるというふうに思っております。
 社会保険料の徴収漏れの対象者数は約一千万人というふうなことも言われており、その金額は十兆円という試算をする専門家もおります。徴収漏れの対策として、マイナンバー制度を活用し、国税庁の納税対象者データを保険徴収にも転用することで、社会保険料の徴収漏れを相当程度なくすことができるものと考えます。
 先ほども薬師寺委員の方からもちょっとこの件については質問がありましたけれども、先進国の中で税と社会保険の徴収組織を分けている国は少数派であるというふうにも聞いております。徴収組織を歳入庁に一元化することで二度手間を解消して行政と納税者のコストを削減することもできるというふうに考えます。歳入庁の創設を検討すべきというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○大臣政務官(高鳥修一君) お答えをいたします。
 歳入庁につきましては、内閣官房の検討チームが取りまとめました論点整理におきまして、例えば、日本年金機構の職員は非公務員であり、歳入庁を創設すると非公務員が行っている業務を公務員に行わせることになるということから、これは行革との関係でございますが、問題が指摘をされております。
 また、年金保険料は税と異なり納付された保険料が給付に反映されるなど、制度上の相違がございます。そして、それぞれの制度に基づく執行を行っているということでありますので、単に組織を統合して歳入庁を創設すれば年金保険料と税を一括して徴収できるようになるというわけではないと考えております。
 委員御指摘のとおり、厚生労働省といたしましても、厚生年金の適用漏れを防ぐことは重要と考えておりまして、厚生年金に加入していない事業所に対する調査や加入指導などを積極的に取り組み、適用促進に努めてまいりたいと存じます。
○東徹君 メリット、デメリットあると思うんですけれども、デメリットの分だけを多分言えば、そういうことも言えるのかもしれません。でも、ここはやはり政治的に、リーダーとして大臣がこういうことを検討してみるということを言うことによってやっぱり組織は動くんじゃないのかなというふうに思うんですが、やはりここは一元化していくことによって、二度手間を解消するとか行政と納税者のコストをやっぱり削減することもできるというふうに考えますけれども、大臣はどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) メリットが全くないというふうには思っておりませんが、行う労力がすごいということは大変で、これも事実であります。その労力とメリットとをどう比較するかという話なんだというふうに思います。
 ただ、これ、私の一存でやれる範囲ではございませんでして、多分、我が省は我が省で年金機構というものを所管しておりますが、一方で財務省の方が大変大きな役割を担っておるところも所管をされておるわけでございまして、それも含めて官房副長官のところで御議論をいただいて、関係政務官が入っていろんな今般の報告書をいただいたわけでございますので、それは一つといたしまして、我々としては、その報告書を含めて真摯に検討させていただきたいというふうに思います。
○東徹君 ちょっと時間もありませんので、次に質問を移らせていただきます。
 厚生労働省として、社会福祉法人についてなんですけれども、内部留保金というのは総額は幾らなのか把握していないということだそうなんですが、やっぱり社会福祉法人の財政状況が一体どうなっているのかということを検討していくためにも、これからの介護保険とかそういったことも検討していくためにも、やっぱりその辺の社会福祉法人の財政状況ということでは非常に重要ではないのかなというふうに思っておるんですが、この点についてはいかがでしょうか。
○政府参考人(岡田太造君) 社会福祉法人の内部留保につきましては、社会福祉法人会計基準上明確な定義はございませんが、社会福祉法人が行っていただいています事業から生じている累積剰余金が何年かにわたって積み重なってきたものだというふうに考えています。これは基本的には社会福祉事業を実施するための例えば建物の修繕であるとか職員の人件費などに活用していただくことが適当ではないかというふうに考えております。
 さらに、社会保障制度改革国民会議におきましても、社会福祉法人の社会福祉事業は非課税扱いとされておりますので、それにふさわしい地域貢献を行うべきという提言をされていることもありますので、剰余金がある場合にはこうした地域貢献のために活用していただきたいとも考えているところでございます。
 このため、厚生労働省といたしましては、現在、財務諸表の公表など社会福祉法人の運営の透明性の確保を図りつつ、地域の社会福祉の担い手であります社会福祉法人が更に地域貢献に積極的に取り組んでいただけるよう、外部有識者などで構成します社会福祉法人の在り方等に関する検討会を開催しておりまして、そこで取組を推進するための方策などについて検討をお願いしているところでございます。
○東徹君 社会福祉法人の地域貢献にお金を使うべきというふうなお話でありますけれども、社会福祉法人の地域貢献って、どういうイメージなんでしょうかね。
○政府参考人(岡田太造君) 社会福祉法人は、例えば特別養護老人ホームであるとか障害者の施設とか、地域でいろいろと様々な社会福祉事業を、本来的な社会福祉事業等をやっていただいているところでございます。こうした本来的な社会福祉事業のほかに、例えば大阪市の社会福祉協議会では、生活困窮者に対するいろんな支援を各法人がお金を拠出して、それをプールした形で実施しているというような例もございます。
 そういうことを想定いたしまして、地域での貢献というようなことをもっとやっていただいたらどうかということを考えているところでございます。
○東徹君 非常に社会福祉法人の財務諸表の透明性というのはやっぱり大事だというふうに思っておりますし、そして、どれだけが内部留保としてあるのか、これはやっぱり把握していくことも必要だと思いますし、地域貢献、まあそれは、全くそれを否定するつもりはありませんけれども、地域貢献にお金を使うということもいかがなのかなというふうにも思います。やはり本来はそこの特別養護老人ホームなり療護施設なり、そういったところでしっかりと働いている人たちと利用者のために使うべきお金だというふうに思います。
 時間となりましたので、以上で終わらせていただきます。
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 今、日本社会が直面する最も重大な問題である社会保障制度の今後の在り方を議論する法案を、衆議院は僅か五日間、二十五時間の審議で強行採決をしました。このような拙速な審議で高齢化社会の問題に対応する重要な法案を審議してよいのでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) 我々行政が衆議院の委員会の運営に関して口を挟むような余り大胆なことはできないわけでございますが、十一月六日に六・七五時間、十一月の八日に五時間、十一月の十二日、参考人質疑で三時間、十一月十三日に七時間、十一月十五日に三時間ということでございまして、五日間、二十五時間に及ぶ審議が行われたわけでございまして、いずれにいたしましても、これからも我々は丁寧に御説明をさせていただきたいというふうに思っております。
○福島みずほ君 参議院では本会議でこの趣旨説明がされなかったということもあり、共産そしてみんな、社民は初めて今日ここで質問です。
 極めて重要な法案で、というか、そもそもこのプログラム法案とは何ぞやというのがよく分からないんですが、しかし、よく読むと、細かいことをかなり決めている。日本の社会保障の在り方を、将来を決めて、方向性を決めてしまう中身で、拙速で審議をしては絶対にならない。もちろん、これは国会の問題ですが、厚労省、こんな重要な法案、きちっと審議すべきだ、よろしいですね。
○国務大臣(田村憲久君) 参議院の厚生労働委員会の御方針に従って、しっかりと御説明をさせていただきたいと思います。
○福島みずほ君 これ、医療も介護も、そして年金も難病も全部入っているんですね。ですから、この方向性を、やはりこの法案、あのときこういう法案作ったじゃないかというふうに後で効いてくるんじゃないかというふうに思っておりまして、しっかりこの参議院で議論をしていきたいと。もう継続でもいいじゃないかというふうに個人的には思いますが、しっかり議論していきたいというふうに思っております。
 そもそもこのプログラム法案の位置付けは、社会保障の各四分野の政策方針決定にどのように影響し、拘束するんでしょうか。
○政府参考人(唐澤剛君) プログラム法案でございますけれども、受益と負担の均衡が取れた持続可能な社会保障制度を確立するという観点から政府に義務を課すというものでございます。具体的な内容は、一つは改革の検討項目、これは検討すべきという項目でございます。それから、改革の実施時期、関連法案の国会提出の時期の目途と、こういうものを定めて、政府に必ず検討を行うことを義務付けております。
 政府といたしましては、この法律に基づく義務といたしまして、様々な検討項目につきまして関係者の皆様の御意見等も伺いながら検討を進め、予定に従って個別制度の法案を提出することを目指して検討を進めてまいりたいと考えております。
○福島みずほ君 ただ、この法案、医療や介護のところを細かく読むと、いろんな方向性が決めてあるんですね。つまり、これがもし成立してしまうと、各四分野、極めて重要な点の方向性を決めてしまうというもので、やはりこの一つ一つの見直しと例えば入っているものが、一体厚労省はどういう考えでやろうとしているのかという丁寧な議論が必要だと思いますが、どうですか。
○政府参考人(唐澤剛君) この法案の中には、国民会議の報告を踏まえて一つの考え方というのがもちろんあるわけでございますが、ここで設けられております項目は検討すべき項目ということでございますので、そのテーマに従って検討をしなさいと。このままやりなさいということを義務付けているわけではございません。
 そして、個別の制度につきましては、それが最終的に検討した結果どういう成案になるかということは、これは今予断を持つことはできないところでございますので、いろんな関係者の皆様の御意見もいただき、そして国会でしっかりと御審議をいただくということであろうというふうに考えております。
○福島みずほ君 例えば介護について言えば、改革プログラム法案、介護保険分野の予防訪問介護を介護保険から切り離し、地域支援事業に移すということについては、これは地域格差を拡大し、介護保険制度そのものの国民の信頼を根底から揺るがすものです。
 また、介護保険法創設時の要支援者も介護が必要な対象者とされてきましたが、審議会の中では、介護において要支援者の保険外し、施設からの要介護一、二の追い出し、利用料引上げなど議論されています。
 私が分からないのは、このプログラム法案と、審議会でどんどん進んでいる、私は介護保険の改悪だと思いますが、要支援者は介護から、必要な対象者から外すとか、こういう議論ってどういう関係があるんでしょうか。つまり、審議会できっちり審議をして方向性を出す、これなら分かります。しかし、こっちで方向性示して、審議会で今審議中じゃないですか。どう拘束するんでしょうか。
 私は、これは審議会でどんどんいろんなことを切り下げる、切り捨てることをこのプログラム法案がお墨付きを与えるという形にだけなるというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(唐澤剛君) このプログラム法は、来年提出する法案ももちろん視野に入っているわけでございますけれども、念頭に置いておりますのは、消費税の引上げに伴って税収が段階的に増加をしてまいりますので、おおよそ今後五年くらいの年度の期間だと思いますけれども、その期間の改革すべき、検討すべき項目ですね、そういうものを明らかにする。そして、それに従って全体の社会保障改革の姿、安定化と充実という姿を国民の皆様に御覧をいただくという趣旨を果たしていくべきものと考えております。
○福島みずほ君 社会保障の充実と今おっしゃいましたが、私はこのプログラム法案、読んでおりますと、抑制、いろんなサービスの切捨てというものが結構行間の中ににじみ出ているというか、これ、切り捨てられるんじゃないかというところが多々あります。
 例えば、社会保障制度一体改革に伴う所要額は、機能の充実、これはプラス面ですよね。しかし、この法案の中では、例えば介護サービスの効率化、重点化というふうに、重点化、効率化という言葉が使われています。この重点化、効率化ってマイナス分じゃないですか。差し引いて見積もりを出しております。財政審では、重点化、効率化の成果は未知数なので、機能の充実を先行させるなという意見すら出ております。
 結局、効率化、重点化の下に介護サービスを例えば切り捨てるという方向に行くのであって、社会保障の充実ではないんじゃないですか。
○政府参考人(唐澤剛君) 私どもは、この一体改革のフレームの中で消費税一%分の充実を実施をするということを、三党合意に従ってその実施をしてまいりたいと考えているわけでございます。
 これは、二十九年度のベースで二・八兆円というふうに見込んでおりますけれども、効率化、重点化ももちろんこれは実施をするわけでございますけれども、それだけではなくて、最終的には消費税一%程度の充実を実施をするということをお約束をしているというふうに考えております。
○福島みずほ君 消費税三%引上げ時、消費税五%引上げ時、それぞれ消費税増収分と社会保障の充実分について答弁してください。
○政府参考人(唐澤剛君) 消費税の三%のときのまず充実でございますけれども、これは税収が順次増えていくわけでございますが、来年度、二十六年度におきましては〇・五兆円程度の充実というふうに考えております。それから二十七年度でございますけれども、これは三%の引上げの八%のベースで一・三五兆円程度。それから一〇%、五%引き上げて一〇%になったベースで一・八兆円強。それから二十八年度でございますが、これは二・七兆円程度。二十九年度でございますが、二十九年度には満年度化をいたしまして二・八兆円程度というふうに見込んでいるところでございます。
○福島みずほ君 社会保障の充実に使われるのが少ないんですね。今、言っていただきましたが、二十六年度の消費税増収分は五兆円程度のうち、社会保障の充実は〇・五兆円程度。そして二十八年度、消費税増収分は十三兆円程度、しかし社会保障の充実は二・七兆円程度。二十九年度は消費税増収分は十四兆円程度、社会保障の充実は今答弁されたとおり二・八兆円程度。ちびっとじゃないですか。少しじゃないですか。
 だから、社会保障の充実というけれども、消費税使われないじゃないですか。
○政府参考人(唐澤剛君) これは大きなフレームで決められているわけでございますけれども、私どもといたしましては、例えば来年度、二十六年度は〇・五兆円で少ないじゃないかという御指摘はいろいろいただいております。
 ただ、私どもの考え方といたしましては、これは五兆円程度の税収がありまして、そのうち、まず基礎年金の国庫負担二分の一というものにきちんと財源を充てていって国民の皆さんの年金制度に対する安心というものをお持ちいただきたいということで、ここに二・九五兆円という金額を充てることを考えているところでございます。
 残りの部分につきまして、この四経費の中で消費税の引上げに伴う跳ね返りの物価上昇の増というのがありますので、それは〇・二兆円なんですが、残りのものを満年度のときの姿と、この充実分と安定化分というものを比例的に案分をするという考え方に今は持っておりまして、それに伴いますと〇・五兆円というふうなことになるわけでございます。
 ちなみに、満年度になりましたベースのこの充実分二・八兆円でございますが、この安定化の分の中には、やはり基礎年金の国庫負担二分の一の財源三・二兆円という非常に大きな金額が含まれておりますので、この基礎年金の国庫負担の安定化ということで、それは充実のフレームとは違いますけれども、これは社会保障制度全体をきちんとした確かなものにしていくために非常に重要なことであると考えております。
○福島みずほ君 二十九年度消費税増収分十四兆円程度、社会保障の充実が二・八兆円程度、今の答弁で年金へ充てるために三・二兆円。でも、これだって十四兆円の中の半分にも満たないじゃないですか、六兆円ですから。あと何に使うんですか。
○国務大臣(田村憲久君) 委員もよく御承知だと思いますけれども、今、社会保障のよく四経費と言われておりますけれども、消費税はまさにそこに使うわけでありますが、その分だけ取りましても、財源が全く足らない中で赤字国債で対応しております。
 その累積債務の問題がいろいろと議論をされておるわけでありまして、これ社会保障を持続可能にしていくためには、やはりいつまでも赤字を、どんどんどんどん赤字国債を増やしていくということになれば、やがては社会保障のベース自体がこれ崩れていくわけでございまして、消費税を上げる部分の中において、たしか満年度分で七・三兆円ぐらいだったと思います、三、四兆円だったと思いますが、そこはその部分、つまり社会保障を維持するための今まで赤字国債を出していた部分にも充てていかないと、これは将来、我々が大切に大切にしてきた社会保障制度が崩壊をしてしまうわけでありまして、そこの部分に充てながら持続可能な社会保障制度というものを進めてまいりたいというふうに考えているわけであります。
○福島みずほ君 今、消費税を上げることの是か非かという議論をしているわけではないんです。赤字国債を減らすことも重要だと思います。しかし、消費税増収分十四兆円のうち、社会保障の充実が例えば二・八兆円だと、年金の充実のために三・二兆円と言われても、社会保障の充実、一部じゃないですか、本当に使っているの。つまり、赤字国債のために充てますと言われても、もっと社会保障のために本当に使ってくれと。
 このプログラム法案を見る限りは抑制やいろんなことが入っていて、本当に社会保障のために、充実の広義概念ですが、使われるのか。つまり、企業向け法人減税分や国土強靱化計画、今のだって、赤字国債の補填のために使われるという説明なので、社会保障のためじゃないんじゃないですかということを聞いているわけです。
○国務大臣(田村憲久君) 一方で、財政的には、これはプライマリーバランスの均衡というものを我々も目標に挙げておりますから、今言われたようなことをやっていけば今度はプライマリーバランスと均衡の問題も出てくるわけでありまして、そこはそちらでしっかりと担保をしながら、消費税を上げた部分は、これはもちろん機能の充実の部分もありますけれども、持続するための部分もあります。これも社会保障のために使っているわけでございますから、そちらの方にちゃんと充てるということでございまして、十四兆何がしかという部分に関しましては、これは全て社会保障財源として使わさせていただくということでございます。
○福島みずほ君 これはまた今後も議論していきますが、お金に色付いていないので、結局十四兆円分が社会保障のためにと言われても、この新たに十四兆円増収する分が本当に使われているのかという点について、今後もしっかり質問をさせていただきます。
 この法案の二条では、公助という考え方から自助自立のための環境整備へ中心が移っております。これが公的な社会保障制度の在り方を示す基本コンセプトならば大問題です。公助という考え方を切り捨てるもの、国の責任を後退させるものではないでしょうか。
○政府参考人(唐澤剛君) 御指摘いただきましたこの自助・自立のための環境整備等という規定をしているわけでございますけれども、この規定は、高齢者の方も若い方も健康で希望する方は働くことができる、持てる力を最大限発揮できるような環境こそが活力ある長寿社会につながるという考え方に基づくものでございます。
 これは、健康増進に例えば関しまして、国民の皆さんお一人お一人の主体的な行動を喚起するために、事業主や保険者あるいは自治体等が創意工夫を凝らして行っている保険事業のような取組を国が支援するというようなことを念頭に置いたものでございまして、国の責任を後退させるような意味合いのものではございません。
 私どもとしましては、こうした誤解を払拭をしつつ、自助自立に共助と公助というものを適切に組み合わせて、弱い立場の方にはしっかりと援助の手を差し伸べることを基本として社会保障政策を推進してまいりたいと考えております。
○福島みずほ君 健康管理が重要なことは理解できますが、冒頭の二条に自助自立、健康寿命の延伸と出てくるんです。これはやっぱりおかしいですよ。だって、社会保障ってたくさんあるわけで、少子化対策、保育園の問題だとか全部入っているわけでしょう。健康寿命だけではないし、自立自助だけの問題でもないじゃないですか。自立自助したくても、ハンディキャップを持つかもしれない、あるいは難病になるかもしれない、高齢者になって認知症になるかもしれない。ばあんとまず二条で自立自助が出てくるというところにすごい違和感があるんですよ。この立て方はおかしいですよ。二十五条を本当に後退させるというふうに思います。
 健康管理のために自立を助けると後でささやかに出てくるなら理解できるけれども、このコンセプトが、自助自立が二条に出てきて、公助すら落ちているんですよ、公助すら落ちている。これはおかしいじゃないですか。
○政府参考人(唐澤剛君) この自立自助というのは、個人のお一人お一人にそれぞれの責任を全部押し付けてしまうというようなことは全く私ども考えているわけではございませんで、ただ、やっぱりこれからの健康長寿社会ということを考えてまいりますと、それぞれの方がやっぱり御自分の健康に気を遣っていただいたり、あるいは働く場を持っていただいたり、そういうことに関心を持っていただくということが重要だということでここに規定をしたわけでございます。
 この法案そのものは社会保障制度改革推進法の規定を全部受けて、それをのっとった形でこの法案を提出しておりますので、先ほど先生のございました公助も共助もきちんと適切に組み合わせるという考え方に立っているわけでございます。
○福島みずほ君 社会保障制度改革推進法は、公助、自助、三つ入っていたんですよ。公助、共助、自助、三つ入っていたんですが、それが、この二条では公助が落ちているというところがやっぱりおかしいというふうに思っています。やはり社会保障に関するこれであれば、私は、自助や、それを強調することは抑制になって問題であると思いますが、公助を落としているというのがおかしいじゃないですか。これは、二条がまず総則の次に出てくるもので、公助を落としている、これがこのプログラム法案の極めて大きな問題点だというふうに思います。
 受益と負担の均衡が取れた持続可能な社会保障制度の確立という考え方の受益とは何でしょうか。障害者自立支援法の審議の際に受益とは何かというのが議論をされました。介護を必要とする人、障害を持つ人にとって、受益とは、トイレに行くこと、食事を取ることなのかと応益負担の考え方について批判が渦巻きました。受益と負担の均衡という言い方が極めて問題ではないか。この受益について公的に支援していくことが生活保障であり、その支える仕組みが社会保障なのではないでしょうか。
○政府参考人(唐澤剛君) この受益というふうに使っております今回の法案でございますけれども、これはもちろん、個々人の方のそれぞれについて受益と負担が均衡するということを申し上げているわけではございませんで、制度全体として受益と負担というものが均衡をしていくと、そういう考え方に立っているわけでございます。
 特に、少子高齢化が急速に進んでおりますので、現在の世代の負担というものをできるだけ次の世代にたくさん送っていかないというようなこともきちんと考えながら制度の設計を考えていく必要があると考えております。
○福島みずほ君 ただ、受益と負担の公平ということでいえば、世代的なこともあるけれど個人レベルでもあるわけじゃないですか、受益があって負担があるわけですから。そうだとすると、これ各個人のレベルに下りてきませんか。
○政府参考人(唐澤剛君) 私どもがここで考えております受益と負担の均衡ということにつきましては、これは制度全体ということでございます。
 個人の問題をどう考えるかということについては、これはいろんな御意見あると思いますが、これは例えば、世代内であるとか世代間の公平とか、そういうものをどう考えていくかということの方が重要ではないかと思います。
○福島みずほ君 受益と負担の公平が個人のものでなければ、どのレベルの話なんですか。
○国務大臣(田村憲久君) これ社会保障制度改革国民会議でも、負担能力に応じた負担ということを言っているんですよね、負担能力。ということは、やはり負担能力というものがある方にはしっかりと負担をしていただこうという精神が入っておりますので、受益と負担というと何か応益というような、そういうようなイメージに多分なられるんだと思いますけれども、そうではなくて、一つの考え方は、負担能力のある方々には負担をしていただこうという考え方が一つあるということは御理解いただきたいというふうに思います。
○福島みずほ君 ということは、やっぱり個人レベルの話じゃないですか。
 応益負担の考え方ではないということなんですが、これが強調されるとまた応益負担の議論を思い出すので、公助も取ってしまっているので、やっぱりその公助も大事だという趣旨でよろしいですね。
○国務大臣(田村憲久君) もちろん自助、共助、公助でございます。これがしっかりとバランス取れていないと社会保障制度は成り立ちません。でありますから、自助、共助、公助という中においてしっかりと我々は社会保障制度改革を進めてまいりたいというふうに思っております。
○福島みずほ君 しつこいですが、何で公助を落としたんですか、二条で。
○政府参考人(唐澤剛君) いや、これは決して落としたわけではございませんで……
○福島みずほ君 落ちてるじゃないですか。
○政府参考人(唐澤剛君) これは実務的なことをちょっと申し上げて恐縮なんですが、この法律の目的の中に、社会保障制度改革推進法の基本的な考え方にのっとりということが規定をされておりまして、その基本的な考え方の中に、今大臣からもお話を申しました公助と共助と自助というものをきちんと適切に組み合わせるということが規定されておりますので、既に法律の中に明確であるというふうに私ども考えております。
○福島みずほ君 いや、やっぱり怪しいですよ。
 つまり、一条がこの法律はと書いてあるけど、二条で項目、法律のタイトルが自助・自立のための環境整備等、公助じゃなくてこれが出てきているんですよ。これがこのプログラム法におけるやはり社会保障を抑制的にしてしまうんじゃないかというふうに読める、そうでなければこのプログラム法、もっと違う形のプログラム法があり得たんですよ。
 難病患者の医療費助成の対象疾患を増やすための財源、社会保障の充実策として消費税増税分が充てられるのは結構なんですが、大幅な負担増となる難病患者も出るのなら充実とは言えません。新たな制度の対象外となる患者がいれば、やはり不公平感が残ります。一人でも多くの難病患者が安心して暮らせる対策を検討すべきだ、この点、いかがですか。
○副大臣(土屋品子君) 福島委員がおっしゃるように、公平かつ安定的な制度とすることが必要であると考えております。
 そういう中で、いろんなところで御質問いただいておりますけれども、難病患者の今五十六という指定から三百ぐらいまで持っていこうと、これは一人でも多くの人を救おうという考え方でございます。
 難病対策委員会の一月の提言や、社会保障制度改革国民会議の八月の報告書においても、医療費助成を社会保障給付の制度として位置付け、対象疾患の拡大を図るとともに、対象患者の認定基準の見直しの検討や、所得等に応じて一定の自己負担を求めることなどが盛り込まれておりまして、現在、難病対策委員会で新たな医療費助成の在り方について御議論いただいているところでございます。
 あわせて、長期にわたり高額な医療費が掛かる場合、軽症者であっても高額な医療を継続して必要とする場合等、配慮すべき難病の特殊性についても検討がなされているところでございまして、今後、自己負担の在り方についても検討を進めていきたいと思っています。
○福島みずほ君 難病のこの問題については、いろんな方たちから是非充実してほしいという声が大変出ておりまして、厚労大臣は難病について物すごくやってこられた方なので、これは制度の、要するに負担増に余りならないように、これは是非よろしくお願いします。
 この法案の中でいろんな言葉がすごく気になるんですが、重点化、効率化というのは、これは抑制ということなんでしょうか。(発言する者あり)
○政府参考人(唐澤剛君) いや、これは財源というものを効果的に使用するという意味だと思っておりまして、抑制というのは、抑え付けると、そうではありませんで、実施方法を工夫したりすることによってコストダウンができたということだと思っております。
○福島みずほ君 自民党から、そのとおりとさっきから応援のやじが飛んで大変有り難いんですが、効率化、重点化って、今コストダウンとおっしゃったわけじゃないですか。やっぱりコストダウンがすごくちりばめられているんですよ。
 例えば、病床の機能の分化とか、言葉でもいろんなところで分化するとかかかりつけ医をもっと出すとか、そういうふうに読める。これがだからあっさり通るととんでもないことになるんじゃないかと思っているんです。そうだと言ってくださってありがとうございます。そのコストカットのために、実はコストダウンと今おっしゃったけれど、コストダウンのためにこの法案が使われてしまうんではないか、それがいろんなところに散らばっている。
 一言、これの中に、私は医療従事者の労働条件というのが入っているのは良いと思っているんですが、なぜ介護労働者あるいは保育の労働者は入っていないんですか。
○大臣政務官(赤石清美君) 福島委員にお答えいたします。
 介護従事者の処遇改善についてはプログラム法案では直接規定されておりませんけれども、質の高いサービスを提供していく上で重要な課題であるというふうに認識しております。このため、これまで、介護従事者の処遇改善に重点を置いた平成二十一年度介護報酬改定、さらには平成二十一年度十月からの介護職員処遇改善交付金の実施、さらには時限措置の処遇改善交付金から安定的な効果を継続させるための介護職員処遇改善加算を新設した平成二十四年度介護報酬改定、こういった施策によって、二十一年度以降、介護職員の給与を三万円相当引き上げる効果を持たせてあります。
 今後、社会保障・税一体改革の中で必要な財源を確保し、更なる処遇改善に取り組むとともに、キャリアパスの確立に向けた取組を進めること等により、介護に必要な労働力を安定的に確保していきたいと、このように思っております。
○福島みずほ君 この厚生労働委員会の中で党派を超えて介護労働者の労働条件を上げようと努力をしてきました。ただ、全ての国会議員さんそうでしょうが、地元に行くと、やっぱり介護労働者の労働条件が悪いとか保育労働者の皆さんの労働条件が悪い、本当に聞きます。だから、まだ本当の意味で私たちは有効な手を取っていないんだと思います。
 でも、先ほど政府の答弁でコストダウンと言葉が出たように、介護の審議会の中でもやはりいろんな改悪が議論されている中で、果たして働く皆さんの労働条件が上がるのか、それを大変懸念をいたします。
 ただ、その点についてはしっかり実現していかなければならないということを申し上げ、プログラム法案は大変問題があるということを申し上げ、質問を終わります。
○委員長(石井みどり君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時四十分に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時四十三分休憩
     ─────・─────
   午後二時四十分開会
○委員長(石井みどり君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案を議題といたします。
 これより、本案の審査のため、四名の参考人から御意見を伺います。
 御出席いただいております参考人は、目白大学大学院生涯福祉研究科客員教授宮武剛君、恵泉女学園大学大学院平和学研究科教授・NPO法人あい・ぽーとステーション代表理事・子育てひろば「あい・ぽーと」施設長大日向雅美君、全国保険医団体連合会会長住江憲勇君、鹿児島大学法科大学院教授伊藤周平君でございます。
 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ当委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。
 参考人の皆様から忌憚のない御意見をお述べいただきまして、本案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 次に、議事の進め方でございますが、まず、参考人の皆様からお一人十五分以内で順次御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず宮武参考人にお願いをいたします。宮武参考人。
○参考人(宮武剛君) 宮武でございます。
 国民会議の十五人のメンバーの末席に座って、この間、論議と報告書作りに携わった責任と義務がございますので、本日参上いたしました。もちろん、このような機会をいただいたことに深く感謝をしております。
 お手元にレジュメ兼資料、計二十枚を配っていただいておりますので、それを御覧になりながら私なりの報告を聞いてくだされば幸いでございます。
 二ページ目から参ります。
 国民会議報告書のサブタイトルは、「確かな社会保障を将来世代に伝えるための道筋」とございます。このスローガンに込められた意味は、一つは、全世代型の社会保障へ変えていきたいという提案でございます。二番目は、社会保障関係費をより若い世代にもうツケ回すことはやめなきゃいけないという決意でございます。三点目は、世代間と世代内における公平性を図る社会保障にしたいということでございます。
 次のページに参ります。
 日本の少子長命化、それは社会の高齢化を意味するわけでございますが、次代を担う子供たちがどんどん少なくなっていくというのは容易ならざる事態でございます。このままであれば、二〇三〇年には十五歳未満の年少人口は千二百万人、総人口の一割程度に落ち込んでまいります。そうしますと、子供を産んでみたいと思える社会、子育てが楽しいと思える社会というものをつくるということが我々に課せられた最大の課題であるかと思います。国民会議の報告書、各論の冒頭に少子化対策を掲げましたのは、委員全員の危機感の表れと考えていただきたいと思います。
 次のページ、働く女性が多いほど実は出生率が高いというのは各国のデータで裏付けられております。
 さらに、次のページに参ります。
 少子化の中でこれから働き手を確保するためには、当然ながら、年齢に関係なく働ける社会、あるいは子育てしながらでも働ける社会をつくっていかなければなりません。労働政策研究・研修機構の適切な労働力率が維持できる場合を見ますと、男性で六十代の前半で、二〇三〇年代には、働く意欲があれば九割強の方が働ける社会をつくっていかなければいけない。女性にとっては子育てになるとどうしても労働現場から離れざるを得ない方が多くおられるわけでありますが、これも子育て支援をすることによって、二〇三〇年には、二十代の後半から三十代にかけて八割の方が働きたいと思えば働けるという環境をつくっていかなきゃいけない。実に難しい宿題でありますが、これを解かなきゃいけないのだろうと思います。
 次の六ページ目に参ります。
 国民会議の議論において最も議論が集中したのは医療と介護の分野でございました。一九六一年度から始まる国民皆保険体制がちょうど半世紀たってきたわけでありますが、その歴史を検証することによって次の半世紀はいかに切り開くのかという課題が出てくるかと思います。
 七ページ目に参ります。
 皆保険体制というのは、市町村の国民健康保険という地域保険が言わば北海道から沖縄まで大地状に広がっていて、そしてその上に職域保険がビル群のような形で並び立っているというのがイメージかと思います。市町村の国民健康保険に亀裂が走ったり地盤が緩んできますと、このビル群も傾いたり倒壊するおそれがあるという、そういう相互関係にあるかと思います。
 半世紀の歩みの中で大きな変化は、七十五歳以上の方々を高齢者医療制度というところに引っ越しをしてもらったという、これは大きな変化ではありますが、基本的な皆保険体制の構図は依然として変わっておりません。
 そうしますと、皆保険の基盤である市町村の国民健康保険はどういう現状にあるのか、八ページ目を御覧ください。
 自営業者向けにつくられた市町村の国民健康保険でございますが、現在の状態を見ますと、無職というのは大半の方は年金生活者、この方が加入者の中のほぼ四割を占めております。次いで多いのは零細な事業所従業員であるとか非正規労働者、本来ならば勤め人であるけれども、勤め人扱いされない方々が次に多いという状況であります。必然的に高齢化が激しく、一般的に所得の低い人たちが目立ち、病気の確率は高いという三重苦にあえいでおります。
 次のページでございますが、市町村の国保の保険者は千七百余りございますが、その四分の一は加入者三千人未満の小規模な保険者でございます。暮れにインフルエンザでもはやってしまうと、あっという間に赤字に陥るというふうに、リスク分散が難しい規模に追い込められております。
 次の十ページ目でございますが、先行きの市町村の将来推計人口が出ております。二〇四〇年には人口が五千人未満の自治体が全体の二割を超えてまいります。高齢化率が四〇%以上の自治体がほぼ半分に達します。こういう状況から見ると、更に市町村の国民健康保険は零細化をし、リスク分散が難しくなるのは必至であります。
 十一ページ目でございますが、そのため国民会議では、市町村の国民健康保険を四十七の都道府県単位に再編成してはどうかという提案をいたしました。都道府県は保険者として財政責任を持ってもらい、市町村は保険料を集めたり、資格管理をしたり、健康づくりなどの保健事業を今と同じように続けていただくという分権型の言わば共同作業でございます。もちろん、難しい問題が多々ございまして、最大の難問は保険料率をいかに決めるかでございます。この点については、時間がございませんので、後で質疑があれば私なりの回答をいたします。
 十二ページ目に参ります。
 では、皆保険体制の中でどういう医療サービスが提供されてきたのか。ざっくり言いまして、半世紀の前半は病院医療の普及、充実の歴史でありました。後半の方は、余りにも病院に頼り過ぎている現状を是正しなければならないという機運が高まって、在宅医療の推進のトライ・アンド・エラーが現在も続いております。
 次のページでございます。十三ページ目です。
 日本の医療の特徴でございますけれども、ちょっと恣意的にオランダとスウェーデンと比べてみました。
 オランダは医療保険面では日本と同じように皆保険体制を取り、介護保険ははるか日本より先に導入しております。体制が非常に似ております。スウェーデンは御承知のように公費で医療、介護を運営している国でございますが、オランダ、スウェーデンの共通点は、国民は自分の受診する家庭医を選んで登録をする。そこに受診をして、その紹介で、必要があれば専門の医療機関なり病院に入院をするという体制を取っています。この家庭医は、外科や内科だけではなく、耳鼻咽喉科とか眼科の検査や処置もできるという、まさに総合医でございますので、ここで多くの患者さんたちは様々な相談に応じてもらうことができます。
 その差が日本と比べてどこに出ているのかといいますと、年間の外来の平均受診回数は、日本の十三回に比べまして、オランダが約六回、スウェーデンが約三回ということでございます。何も通院回数が少なければいいというわけではございませんけれども、例えば七十五歳以上で現在既に病院や診療所に受診をされている方の平均回数は年間四十四・四回に達しております。これでいいのかなということでございます。
 下段の方で病院の死亡率が書いてございます。
 日本は、ベッド付きの診療所を含めれば八割の方が病院でお亡くなりになります。オランダ、スウェーデンは四割前後でございます。これもまた、これでいいのかということでございます。
 次のページです、十四ページ目。
 総死亡者数に占める自宅での死亡というのは、全国平均でいいますと一二・五%でございます。総死亡者数ですので若い方もおいでになりますが、日本の場合、総死亡者数の八五%は六十五歳以上の方でございますので、高齢者の亡くなる場所の平均と考えていいかと思います。この四、五年、激変が起こりまして、御覧いただくと分かりますように、東京、兵庫、大阪がむしろ自宅死が増えております。従来は三世代同居の多い地方でもって自宅死、自宅でみとるケースが多かったのですが、なぜこんなふうに変わったのかでございます。
 正確な分析をしたわけではございませんが、推定として言えることは、大都市部では病院はもう余裕がなく、最後に高齢者をみとるだけの医療はとてもできなくなっている、引き受けられない状態になっている。一方で、在宅療養支援診療所や訪問看護ステーションが一部の地域では活躍し、自宅でもみとる活動をしている、その効果もあるかと思います。
 十五ページに参ります。
 先行きの高齢化を考えますと、七十五歳以上の方たちが飛躍的に増えていく中で、医療、介護のニーズが高まってまいります。その方たちに、病院や施設に頼り過ぎるのではなくて、自宅や、あるいは医療機関ではない様々な福祉サービスでもって支えていくという体制が不可欠になるかと思います。余りにも病院頼み過ぎる状況、余りにも福祉施設頼みの状況から脱却をするということが大事な課題になってくるかと思います。
 十六ページ目でございます。
 病院の方も再編成が促されていると思います。法律上は、病床は一般病床と療養病床の違いしかございませんが、これを目的・機能別に再編成をしていく。高度急性期の病院、一般急性期の病院、亜急性期、回復期と言っていいかも分かりませんが、そういうところに人と金と物を集中的に投入して、早く治療をし、早く退院できる体制をつくる。そのことによってベッドの回転率を高め、病床の数は増やさないで受け入れることができるようにしていこうと。
 そのためには、当然ながら様々な仕掛けが必要になるわけでございますので、都道府県が主導をして、診療報酬だけではなく、消費税引上げ分の一部を使って各県に基金をつくり、共同事業なり連携をする病院に対して、あるいは統廃合を進める病院群に対して助成金も含めて出して再編成を促していこうという、そういう提案をいたしました。
 十七ページ目でございます。
 日本の皆保険体制、一言で言いますと、毎月保険料を自分の支払能力に応じて払っていれば、誰でも、いつでも、どこででも重い負担なく医療サービスを受けられるという体制を築いてまいりました。誰でもいつでも受診できるということはこれからも守っていかなければなりませんが、どこででも受けられるというフリーアクセスはある程度見直さなきゃいけない時期に来ているのではないか。かかりつけのお医者さんにまずかかって、その紹介でもって専門医に行くという、そういう流れをつくっていくべきだという提言をいたしました。
 そのためには、下段に書いてございますように、在宅療養支援診療所の普及、総合診療医の育成、あるいは患者さん側には、いきなり病院に行く方には多少負担を重くしてブレーキを掛けるという措置も必要かと思います。
 十八ページ目でございますけれども、では早く退院した方たちをどこで引き受けるのか。病院に頼らないで地域で療養し、あるいは介護のサービスを受けていくためには、厚生労働省が打ち出しております地域包括ケアシステムというのがやはり大事だということを、確認を会議ではいたしました。大変難しい言葉ですので、私は、地域ぐるみの支え合い、ネットワークというふうに言った方が分かりやすいかと思います。
 次のページでございます。十九ページ目になります。
 粗い計算を厚生労働省の側がしておられますけれども、右側の改革シナリオというのが今のところ目指すべき方向性だと思います。介護予防などで要支援者、要介護者を減らしたとしても、飛躍的に対象者は増えてまいります。その方たちをなるべく自宅、あるいは自宅に近い環境の中で介護していく、施設の方も増やさないわけではありません、多少増やしますけれども、その内容はユニットケア型と呼ばれているような自宅に近い環境でお暮らしになれるようにしていこうという、こういう流れが確認をいたしました。
 最後でございますけれども、一言で申し上げれば、二十一世紀型のコミュニティーの再生、地域の再生を目指すということが国民会議の報告書の主眼でございます。
 以上、大変駆け足というよりも全速力で説明いたしましたので、後ほど御質問があればお答えいたします。また、時間がありませんので、年金部門についてはプレゼンテーションをはしょりました。これも御質問があればお答えいたします。
 以上であります。ありがとうございました。
○委員長(石井みどり君) ありがとうございました。
 次に、大日向参考人にお願いいたします。大日向参考人。
○参考人(大日向雅美君) 恵泉女学園大学の大日向と申します。
 本日は、参考人としてお招きをいただきましてありがとうございます。
 私は、社会保障制度改革国民会議に少子化対策の立場から委員として加わりまして、報告書の起草委員も務めました。本日は、主に少子化対策の観点から、社会保障制度改革と本法案について考えを述べさせていただきます。
 なお、お手元の資料は国民会議の折に使用したものでございます。御参考までに御覧いただければ幸いでございます。
 さて、この度の社会保障制度改革国民会議は、昨年の税と社会保障の一体改革関連法案の審議の過程で取りまとめられた改革推進法に基づいて設置されたものですが、ここには二つの大きな歴史的な意義があると思います。まず一つは、自民、公明、民主の三党合意で成立したことです。持続可能な社会保障の確立に向けて、超党派で共に歩もうとした画期的な一歩と考えます。もう一つは、医療、介護、年金に加えて、少子化対策が社会保障の根幹に位置付けられまして、消費税引上げによる恒久財源の確保が図られたことです。
 この背景には、社会保障をめぐる社会経済状況の変化があります。現行の社会保障制度は、右肩上がりの経済成長の下、終身雇用の夫といわゆる専業主婦の妻というモデルを基にした一九七〇年代型で、高齢化率も低い時代のものでした。ところが、一九九〇年代以降、少子高齢化が急速に進み、社会経済環境も大きく変化いたしました。現役世代には非正規雇用の労働者の増加、雇用の流動化、そして若い世代には子育て困難現象、貧困格差等の問題が深刻化しております。七〇年代のような、給付は高齢者、負担は現役世代という社会保障はもはや通用いたしません。
 こうした認識と危機感を皆が共有し、全ての世代が安心感と納得感の得られる全世代型の社会保障制度をつくらなくてはならない、これが今回の国民会議の一貫した方向性でございました。とりわけ、若い世代、子育て世代が夢と希望を持って社会保障の維持に積極的に参加できる制度の構築が必要です。少子化対策は医療、介護、年金の各制度を支える土台、社会保障制度の基本と考える点で全ての委員が一致したところでして、それは報告書の各論の筆頭に少子化対策が置かれていることにも示されています。
 次に、少子化対策の必要性ですが、少子化対策、中でも子ども・子育て支援とは、すなわち次世代の育成支援です。全ての子供が健やかに成長するために、妊娠から出産、子育てに至るまで連続的な支援を行って、出生前から乳幼児期、就学後まで一貫して切れ目なく良質な生育環境を保障することです。
 これまでも、九〇年の一・五七ショック以来、二〇〇七年の子どもと家族を応援する日本重点戦略を経て昨年の子ども・子育て関連三法まで、長年の議論を経て着実に施策が積み重ねられてきています。しかし、少子化傾向は一向に歯止めが掛かっておりません。子育てをめぐる状況が依然として厳しく、課題が山積しているからです。育児不安に悩む親が急増し、児童虐待や社会的養護が必要な子供も増えています。
 また、女性たちは相変わらず仕事か子育てかの二者択一に悩み、約六割の女性が第一子出産を機に仕事を辞めています。長時間労働の職場が多く、両立支援が不十分で、男性の育児参加も決して進んではいません。待機児問題も深刻です。
 さらに、貧困からくる格差問題、とりわけ一人親家庭の貧困は看過できません。子供のときの貧困格差は、教育や学習等の機会の格差となって、大人になってからの貧困につながるという事実を直視しなければなりません。このほか、小児慢性疾患、難病の子供とその家族も大変苦しい状況に置かれています。
 子供や子育てをめぐるこうした厳しい実態を放置するとしたら、少子化を加速させるだけでなく、そもそも社会の成熟度が問われると私は考えます。困難に苦しむ子供と子育て世代を一人も残すことなく見守り、支えていく、それも全世代参加で支援ができる社会を築くことが社会保障の役割にほかならないと考えます。
 このための方途として用意されたのが子ども・子育て関連三法であり、三法に基づいた子ども・子育て支援新制度です。この新制度は、全ての子供の健やかな成長の保障を目指して、幼児期の教育、保育の量的拡大と質の向上を目指し、さらに、地域の子ども・子育て支援の充実を進めるものです。
 就学前の発達環境は、子供の生涯にわたる人間形成の基礎となります。子供の今を保障することは社会の未来につながるという観点から、OECD教育委員会は、既に一九九八年に幼児教育・保育政策に関する調査プロジェクトを発足させ、スターティングストロングを実施しています。
 日本では、従来から就学前の子供が過ごす場は、学校教育法に基づく幼児期の教育を提供する幼稚園と、児童福祉法に基づく保育を提供する保育所があり、主に親の就労状況によって子供の通う施設が分かれ、それぞれに所管官庁や根拠法等が異なってきました。しかし、幼児期の子供には学校教育と保育の両方を同じ施設で受けられる環境が保障されるべきです。また、子育て世代の生活環境は変化が激しく、親の働き方も多様化しています。もはや従来の二つの制度のままでは変化に対応できなくなっています。認定こども園法に基づいて所管も一元化した幼保連携型認定こども園など、認定こども園の普及促進が必要です。
 また、親はどの親も慣れない子育てに苦労し、知識や技術も必ずしも十分ではありません。働いている親だけでなく、在宅で子育てしている親も含め、幼児教育及び保育の専門職のサポートが必要です。地域の子育て支援の機能に重要な役割を果たす認定こども園等の充実を始めとして、地域の子育て支援施策の一層の推進が不可欠です。これは、全ての子供の健やかな成長を目指して、全ての家庭の力を支援するという視点からです。
 また、地方では、子供の人口減少が進み、従来の施設型の幼児教育や保育環境の維持が困難となっております。子供同士が集団で過ごす健全な生育環境が阻害されています。認定こども園等との連携を図るなどして質を確保しながら、小規模保育、家庭的保育の充実など、地域の実態に即して柔軟に対応できる制度への移行が必要です。
 一方、大都市部を中心とした待機児童問題の解消は、子供の生育環境の整備とともに、親の就労継続の観点からも喫緊の課題です。今年の四月に総理が待機児童解消加速化プランを打ち出されましたが、新制度のスタートを待つことなく、プランに基づく保育所の整備、小規模保育、家庭的保育の充実、保育の量拡大を支える保育士の人材確保のための着実な取組を期待したいと思います。
 また、親が安心して子育てができる環境づくりのため、そして子供たちの健やかな成長を保障するためにも、放課後児童クラブの充実も喫緊課題です。共働きや一人親家庭の増加に加えて、地域の治安にも懸念が多くなっている今日です。小学校と放課後児童クラブの連携の促進、指導員の研修の整備、さらには地域の人々が積極的にかかわって支援していく体制の構築が急務です。
 こうした少子化対策の推進においては、新制度の着実な実施に加えまして、父親、母親が共に育児にかかわれるワーク・ライフ・バランスの実現を車の両輪として取り組むことが必要かと思います。先ほど第一子出産で約六割の女性が離職すると申しましたが、就業希望者は三百四十二万人おります。仮にこの女性たちが全て希望どおりに就業できたとしたら、単純試算ではございますが、約七兆円、GDP比で一・五%の付加価値の創出が見込まれています。女性の就労継続支援がいかに重要かが言えるかと思います。
 そのためにも、ワーク・ライフ・バランスの見直しと促進が必要ですが、このワーク・ライフ・バランスは、女性にだけ手厚くするのではなく、子供の健やかな成長発達と親子関係の形成のためにも、男女が共に育児にかかわれることを目指すべきだと思います。そのためには、育児休業の取得、短時間勤務や在宅勤務も含めた多様な勤務形態の保障、さらに保育所整備、放課後対策の充実など、選択を可能とする両立支援施策を整備していく必要があります。
 なお、育休の取得に関しましては、中小企業、非正規労働に加え、取得率の低い男性の取得促進に注力するなど、企業の社会的責任も大きいと思います。また、育児休業給付の水準など、育児休業期間中の経済的支援の強化の検討も必要と思います。
 こうしたワーク・ライフ・バランスの促進は、全ての世代の生き方と社会保障制度全体に大きく影響いたします。事業主に行動計画の策定を義務付ける次世代育成支援対策推進法は、平成二十六年度までの時限立法ですが、仕事と子育ての両立支援を推進するための強力なツールですので、今後の十年間を更なる取組期間として位置付け、延長の検討が必要と考えます。
 以上、全ての子供の健やかな成長を保障し、子育て世代の活躍を促進し、社会保障の持続可能性を担保する重要性について述べてまいりました。
 今年の四月から内閣府に置かれた子ども・子育て会議で新制度の施行に向けた具体的な検討が進められていますが、量の拡充を図る際には質を確保しながら行う必要があることは幾ら強調しても足りません。そのためには財源確保が欠かせません。
 今回の社会保障と税の一体改革で、消費税引上げによる財源である〇・七兆円程度が少子化対策に充てられることとされていますが、少子化対策には一兆円超が必要とされています。新制度の施行状況を踏まえながら、更に幅広い観点から十分な財源確保に向けて御努力いただきたいと思います。
 社会保障の充実は社会の活力の基盤です。若い世代の将来への不安を安心と希望に変えることこそが社会保障の役割であり、本質です。子ども・子育て支援が真に成果を結ぶためには、実は、人が生まれてから高齢期を迎えるまで、人生のあらゆるリスクに対応できる社会保障制度の構築が欠かせません。
 人は、幼少期、学童期、青年期、壮年期、老年期、それぞれの人生の各段階において様々なリスクに直面します。生まれてくる子や自分自身が将来にわたって人としての暮らしが保障される社会でなければ、子供を産み育てる希望があったとしても、踏み切ることはできません。出産や子育ての直接的な不安を取り除くことはもとよりですが、病気、介護、収入など、高齢期に至るまでの人生の数々の不安を取り除くことも少子化対策にとって必要な視点であって、社会保障は決して世代間対立の問題とすることがあってはならないと考えます。
 全ての世代が今の困難を分かち合って、未来の社会に協力し合うという哲学を広く醸成し、全ての子を全世代の人間がネットワークを組んで支えることができる社会の構築に向けて、国民会議では議論を行ってまいりました。本法案が国民会議の提案を尊重し、受け入れてくださったことに感謝いたします。
 未来は変えられるとの意思を持って、確かな社会保障制度の構築のために、とりわけ若い世代の希望を実現するために、施策の実現に向けて是非とも御注力をいただきたいと願っております。
 私からは以上でございます。ありがとうございました。
○委員長(石井みどり君) ありがとうございました。
 次に、住江参考人にお願いいたします。住江参考人。
○参考人(住江憲勇君) 全国保険医団体連合会会長の住江でございます。
 本日、こういう機会を与えていただいたことにまず感謝を申し上げます。
 そして、全国保険医団体連合会、保団連という団体は、国民の命、健康、暮らしに携わる、そういう医療と社会保障制度を改善、充実させ、そして、保険医の経営と生活、権利、そういうところを守るために様々な活動、運動をさせていただいている団体でございます。
 本日、本法案の、そういう立場から、第一条、第二条、第四条、第五条で反論させていただきます。
 第一条では、社会保障制度改革推進法、それにのっとったという表現がございます。もとより、社会保障制度改革推進法第一条で目的、第二条で基本的な考え方という、そこに集約されております。そして本法案の第二条、ここに、個人がその自助努力を喚起される仕組み、そしてまた、政府は、住民相互の助け合い、自助自立のための環境整備等の推進を図る、そういうところで自立自助、自己責任論が展開されております。
 もとより、資本主義社会の中でこの自立自助、自己責任論を問えるのは、やはり賃金を保障し、そして雇用を保障し、そしてなおかつ所得再分配が徹底される、そういう下でこそ自己責任が問えるものでございます。そこを全く放棄された今日、雇用と賃金、所得再分配を破壊した結果、今国民の生活実態はどうでしょうか。二千万人を超す方々が非正規、一千八百万人を超す方々が二百万以下の年収、そして、せんだっても発表されました一二年度のジニ係数〇・五五三六、そして、いまだに三・一一の被災、仮設住宅で避難されている方が二十八万人、そして、生活保護受給額以下の生活を余儀なくされている方々が七百万世帯。片や大企業は空前の内部留保、富の蓄積、そういう事態に陥っている、そういう状況でございます。
 ですから、国民会議の報告書は、自助の共同化としての社会保険が基本であり、社会保険方式は保険料を支払った見返りとして受給権を保障する仕組みと、そういう記述になっておるわけですけれども、社会保険制度とはそもそもどういうことでしょうか。共済制度とか民間の営利保険と違いまして、そういうことであれば拠出責任です。その拠出責任だけでは、やはり働く人々、国民の生活困難、これが打開し得ない。そういうことで、その拠出責任にプラスして社会的扶養原理が加味された、それが社会保険制度です。
 ですから、国民の拠出責任が脆弱であればあるほど、社会的扶養原理、国と企業の責任、そういうところが肥大化させる、そういうことこそが今必要なことではないでしょうか。
 そして、第四条第二項に、個人の健康管理、疾病の予防等の自助努力、個人の主体的な健康の維持増進への取組を奨励する。個人の健康や疾病には社会的、経済的な要因も大きく影響されます。個人責任、自助努力だけ押し付けることなく、国と地方自治体がその責任を果たすべきでございます。
 そして、第三項には、外来受診の適正化の促進という言葉が見えます。一体改革成案の工程表では外来患者五%少なくする、そしてまた、産業競争力会議の民間議員が、風邪などを軽い疾病と規定して窓口負担を七割負担にするという、そういう暴言が出ております。これでは早期発見、早期治療の大原則が大きく崩れ、疾病の重症化を招くことになります。
 そして、第四項の一のロでは、地域の医療提供体制の構想の策定及び必要な病床の適切な区分の設定、都道府県の役割の強化という言葉が見えます。国民会議の審議では、高齢者の増加に伴う医療ニーズの拡大に対しては病床を増やすことなく対応する必要があると、そういう意見が表明され、厚生労働省の医療・介護の長期推計によれば、急性期を担う病床を削減し、そこで余った病床は亜急性期や慢性期の病床に振り向けるとともに、これらの病床も集約化していく方向ということが示されております。急性期病床の削減により重度の患者がそれ以外の病床に移行すれば、そこでの医療、看護の負担が増大します。在宅や外来にも重度患者が増加することになります。
 財政制度等審議会に提出された資料では、入院医療のサービス量の削減で四千四百億円削減を見込んでおられます。必要な入院が制限され、低所得者層を中心に多数の行き場のない入院難民、介護難民、みとり難民が増大することは必至でございます。
 そして、DPC対象病院の、これ二〇〇四年度の平均在院日数は十五・〇一日で、治癒の割合は八・七二%でございました。これ、八年後の二〇一二年度の平均在院日数は十三・四三日と短縮する中で、治癒の割合は四・三%と半減しております。高齢化社会のピークに向けて、機械的な平均在院日数の短縮化はやめ、急性期病院のみならず、地域で幅広い医療機能を担っている中小病院、有床診療所を充実させる、そういう施策こそが推進されるべきでございます。
 そして、第五項では、患者の意思がより尊重され、人生の最終段階を穏やかに過ごすことができる環境の整備という、これは在宅死を当然視してこういう記述になっているんですけれども、在宅死は選択肢の一つでございまして、福祉施設などを含めいろんな選択肢を用意する必要がございます。とりわけ、そういう住宅事情、そして今の核家族化、そういうところのいろんな事情がございます。大事なことは、質の高い終末期ケアを保障することこそが大事ではないでしょうか。
 そして、第七項一のロでは、国民健康保険の運営について財政運営を始めとして都道府県単位化すると、そういう記述がございます。そして、今、全国最大の国保の保険者である横浜市、これは約五十六万世帯なんですけれども、九十三万人、これの収支決算、二〇〇九年度でございますけれども、百七十八億円の赤字でございます。ですから、単に規模を大きくしたらいいという問題でもないですし、国保財政がそもそも不安定なのは、現在のやっぱり貧困と格差拡大社会のこの矛盾が国保にしわ寄せされているからであって、小規模保険者であるためでは決してございません。都道府県化によって市町村間の保険料の格差は高い方に均一されることになり、国の責務が実質放棄され、地域間格差が一層拡大することが大きく懸念されます。
 そして、三のイでは、七十歳以降七十四歳までの一部負担金の取扱い、そして高額療養費の見直しの言葉が出ております。複数の疾病に同時にかかることが多いのが七十歳代でございまして、これは医療費統計から見まして、七十から七十四歳の外来受診率は一四・三%で、六十五歳から六十九歳の一一・一%に比べて三ポイント増加しております。そして世界保健機構の専門雑誌でも、そしてまた二〇一二年度東大大学院などの研究チームの研究報告では、七十歳以降一割に軽減されていることで精神面での健康状態が七十歳を境に急速に良くなる、医療サービスを受けていない人も精神的な負担の軽減につながっていることはそれはもう明らかでございますと指摘されております。
 現在の患者負担でも高齢者層に受診抑制が起きております。さらに、医療の必要性の高い人に負担を重くすることは、やはりそういうことのなきようにしていただきたいと思います。
 そして、高額療養費の見直しで厚労省が示した案は、一般所得区分のうち下位層のみ負担上限を引き下げるが、それ以外は負担上限の引上げか据置きでございます。高額療養費の適用を受ける者の多くが負担増となる結果になっております。そしてまた、一%の定率負担を廃止せずに残していることも問題がございます。
 そして、ここでも盛んにおっしゃるんですけれども、負担能力に応じた窓口そして利用負担を増やすという、そういう論法ですけれども、そうならば、そういう窓口そして利用負担を増やすことじゃなく、税や社会保険料の負担について応能負担の原則を徹底すべきでございます。
 そして、ロでは、外来に関する給付の見直し、入院に関する給付の見直しという言葉が出ております。これはまた、必要な医療を制限することになります。そしてまた紹介状のない患者の一定病床数以上の病院の外来受診に定額自己負担を導入するということはフリーアクセスの阻害になります。
 そして、九項では、高齢者医療制度の在り方、必要に応じた見直しということをおっしゃっているんですけれども、必要がないとなれば、依然として見直しはしないという、そういうことにもなることになりますので、是非とも、二〇〇八年の六月の参議院本会議の議決にのっとって現行制度の廃止を求めるものでございます。
 そして、第十項では、難病及び小児慢性疾患に係る新たな公平かつ安定的な医療費助成の制度として、社会保障給付としてきっちり位置付けられる。そしてまた、対象となる疾患の拡大、これについては評価させていただくんですけれども、患者の認定基準の見直しということで、希少性と認定基準により対象疾患と患者の振り分けされるということについてはやっぱり問題があります。医療費をやっぱり全額助成すべきでございます。難病患者の生活実態を踏まえ、自己負担は大幅に引き下げる、そして自己負担額は患者本人の所得をベースとすべきでございます。また、特異的な治療が継続中で状態が安定している患者が軽症と判断されて対象から外されることのなきようにしていただきたいと思います。
 そして、第五条です。
 これは介護保険の項目でございますけれども、介護予防等の自助努力が喚起される仕組み、そして負担能力に応じた負担を求めるの名で二割負担化、そしてまた、低所得者でも預貯金があれば施設費の補足給付ですね、そういうところを補助しないという、そういうことについては問題がございます。
 そしてまた、訪問介護、通所介護を市町村事業に移行する。地域支援事業の対象となる軽度の認知障害は四百万人でございまして、五年間放置すれば半数が認知症になると言われております。市町村事業では、軽度認知障害の人たちには有効なサービスとは言えない、そういう現実がございますので、これについても問題があります。
 そしてまた、特別養護老人ホーム、要介護一、二では入れないという、そういう問題がございますけれども、一、二でさえ、要支援認定者でも在宅での生活が困難な人は現実に存在されております。そういうことの改悪がなされますと、まさに保険あって介護なし、やっぱりそういう拡大をもたらす懸念がございますので、是非ともの改善をよろしくお願いしたいと思います。
 最後に、診療報酬と消費税について意見を述べさせてもらって終わりとします。
 まず診療報酬。これは、患者、国民の受ける医療の質、量、方法、水準を規定するもので、そしてまた、私ども医療担当者としては医療の再生産のための原資でございます。そういう立場で的確な診療報酬引上げの策をよろしくお願いしたい。
 そしてまた消費税。消費税自体については反対の立場ですけれども、この本法案、税と社会保障一体改革の論議、消費税増税は社会保障のためという、そういう名目があったと思います。これでは、この本法案であれば、そういう言葉がどこへ行ったのか、やっぱりそういう問題になりますので、是非ともの再度の御検討をよろしくお願いしたい。
 消費税増税、やはり安倍首相も今、四月から三%増税しては経済腰折れということが懸念される、そういうことは認めざるを得ない。そうならば、経済対策、大企業支援策じゃなしに、やはりファーストチョイスは、消費税増税を中止することこそファーストチョイスであると改めて述べさせていただいて、経済対策を取らざるを得ないというのは国民一人一人の購買力、消費力の低下でございますので、何とぞよろしくお願い申し上げて、発言を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○委員長(石井みどり君) ありがとうございました。
 次に、伊藤参考人にお願いをいたします。伊藤参考人。
○参考人(伊藤周平君) 鹿児島大学の伊藤と申します。本日は、意見をこういう場で述べさせていただく機会を与えていただいて、ありがとうございます。
 早速、意見行きます。お手元に資料があると思うんですが、端的に言うと、持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案、長い名前ですけど、廃案を求める立場から意見を述べます。
 先ほどもお話があったように、そもそも消費税を上げるのに、なぜ生活保護基準を引き下げて年金を引き下げるのか。そこにも書いてあるように、児童扶養手当も連動して減額されていますから、多くの国民にとっては消費税だけ上がって社会保障の給付が減ると。本当に、社会保障のために消費税を使うと言っていたのに、これは全く違うというふうに多くの人は感じるんじゃないでしょうか。
 そもそも私は、今回のいわゆるプログラム法案ですが、これは社会保障制度改革推進法に基づいて制定されたということですが、そこに書いてあるように、改革の内容が非常に分かりづらい。そして、徹底した給付抑制と患者・利用者負担増なので、私はこれは憲法違反だと思っています。このまま改革が実行されれば、貧困や格差がますます拡大し、したがって、特にこの基になっている改革推進法、これ自体も私、憲法二十五条のいわゆる解釈改憲ではないかと思っています。
 まず、基本的考え方、二条のところに問題がありまして、本法案は、一ページの下ですが、受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度の確立を図ることを目的としていますが、さらに、自助・自立のための環境整備等の推進を図るとなっていますね。これ自体が、社会保障制度改革推進法の、書かれたことそのまま言っているんですが、受益と負担の、二ページのところですが、均衡が取れた持続可能なというのは、社会保障の給付を受けるのは受けた本人の受益であって、それに応じた負担をすべきという考え方ですね。だから、負担しないやつには給付はないという考え方。これは私は間違っていると思います。社会保障の給付を受けるのは権利です。
 社会保障、これは憲法二十五条一項に言う健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を実現するための人権です。歴史的に見ても、社会保障制度は保険原理を扶助原理によって克服した、そういうことで確立してきた経緯があるわけで、この自助とか共助、公助という言葉もよく分からないんですが、まあ日本語にないですね、公助というのは。これが、改革推進法は、そういうふうに適切に組み合わされるように、国民が自立した生活を営むことができるようというふうに書いてありますが、恐らく改革推進法で何か自助という言葉が、社会保障という名前が付いている法律で自助という言葉が使われたのは初めてだと思うんですが、これは違うだろうと。
 憲法二十五条一項、それから二十五条二項をよく読めば、国はと書いてあるんですよ。国は、全ての生活部門について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。最低限度の生活じゃないですよ、健康で文化的な生活です。これ、私も学生に教えているんですけど。
 この憲法の規定を踏まえて社会保障を定義すれば、失業しても、高齢や病気になっても、障害を負っても、どんな状態にあっても全ての国民に健康で文化的な最低限度の生活を権利として保障するのを社会保障と言うんです。助け合いや支え合いの仕組みを支援することではありません。そもそも定義から間違っています。制度改革推進法や本法案に見る社会保障のとらえ方は、国家責任の原則をまさに打ち捨てて、まあ歪曲しているんですね、社会保障概念を。
 日本弁護士連合会も、会長声明の中で、これは改革推進法ですが、憲法二十五条に抵触するおそれがあると言っているんです。私もまさにそのとおりだろうと思いまして、こんな法案を通したら国民の生活はもうぼろぼろになってしまいます。
 まず、子ども・子育て支援、少子化から個別に見ていきますが、三ページのところですが、この子ども・子育て三法案が通った、でもこの内容も非常に難しい。保育関係者の人が読んでも十分で眠くなると言っていました。法律の専門家の我々が読んでもよく分からない。弁護士が読んでも分からないと言っていました。それだけ難しい中で、問題点が隠されています。一言で言うと、今回の子ども・子育て支援新制度というのは、介護保険と同じような仕組みにすると。今まで自治体が責任を持っていたのが、お金さえ出せばいい。利用者に対する補助制度になる。
 まあ、これ難しいのでもういいんですが、三ページの方に書いてありますが、新たに認定を受けなきゃいけない。保育園を利用するにも、要介護認定みたいな認定を受けなきゃいけないし、その認定によって保育の必要量が決まってしまう。短時間区分の子供と長時間区分の子供が出てしまって、それで短時間区分の子供が多い保育園では保育所減収になる。確実に保育士の労働条件は悪くなりますね。
 そして、待機児童解消といいながら、児童福祉法の五十六条の二が改正されて、保育所整備の補助金制度を廃止しました。これはどういうことですか。保育所はもうつくれないんですか。前は、社会福祉法人がつくるときに四分の三ぐらい国や自治体の補助があったわけですが、それもなくなって、給付金の中に入れると言い出しました。老朽化した保育所の建て替えや改築も難しくなります。これで待機児童解消になるんですかね。
 次のページですが、四ページですが、そもそも国民会議報告書が、OECD、先ほどもお話がありましたが、教育委員会の幼児教育・保育政策に関する調査プロジェクト、スターティングストロングというのを見ると、利用者補助方式、つまり新制度の仕組みよりも現行の保育園の仕組み、つまり施設に対して委託して補助するという仕組みの方が質の面で統計的に有意に優れていると言っているんですよね。だから、利用者補助方式を取る新制度で幼児教育や保育の質の向上が図れるとは到底言えません。もうこれ実証されているわけですね。
 そういったものが全く知られないまま、待機児童解消問題もそうです。今回の待機児童解消加速化プランを着実に実施すると法案に書いてありますが、これが、じゃ、どういう形で実施されるのか。つまり、保育園をつくるんじゃなくて、受皿とされている地域型保育事業、非常に小規模の保育でそれはいいんですが、例えばB型の認可基準をこの間子ども・子育て会議が決定しましたが、保育者の半分は無資格でもいいと言っているんですね。これどういうことですか。
 厚生労働省が発表した保育施設における事故調査報告によると、認可外保育施設で、昨年ですか、十二件死亡事故が起きて、そのうち三分の一に当たる四件は無資格者だけの施設で発生しているんです。資格があればいいというものではないけど、保育の専門性をやっぱり担保する、それが欠如していたら子供の命が危なくなるんです。
 先ほどお話があった横浜市の、五ページのところですが、待機児童をゼロにした。だけど、企業が入ってきて、鉄道の高架下に保育所を設置するとか、川崎市では産業廃棄物の処理置場の横に保育園。信じられますか。こんなところで保育して、まあもちろん、最低基準というのはそこはないんですけど。で、詰め込んで、それで待機児童を解消すりゃいいのか。そこで事故が起きたり問題が起きたらどうするんですか。子供の命を守れないんじゃないですか。こういう新制度は私は凍結すべきだと思っているんですが。何よりも、非常にこれ現場の声です。
 私も鹿児島のある市で子ども・子育て会議の座長をやっているんですが、市の担当者が非公式の場でも言っていましたが、とても間に合わぬと、これ、せめて一年延ばしてくれと。こんな重要なところを余り知らせないで、どんどんどんどん準備ばかり進めているというところに大きな問題があると思います。
 医療制度、五ページのところですが、四条関係ですが、先ほど住江参考人の方からもかなり問題点の指摘はあったので、もうここは時間がないので省きますが、一言で言うと、六ページのところですが、医療提供体制改革の方向は、病床削減によって医療費を抑制、削減しようと。病院で診ないでなるべく地域に帰す。先ほどの地域包括ケアシステムですが、でも受皿は整っていません。で、早期退院をと。次のページですが、十分な医療や介護を受けることができない患者が続出すると思います、私は。
 さらに、医療保険の保険給付の対象となる療養の範囲の適正化、七ページのところですが、これも、七十歳から七十四歳までの一部負担金を二割にするとか紹介状のない大病院の外来受診について定額の負担を求めるとか、何でもかんでも負担増ですね。負担能力に応じた負担じゃなくて、負担能力以上の負担を医療の場合には課そうとしている。受診抑制を狙っているんだろうと思うんですが。
 そして、TPPのところは省きますが、八ページのところですが、介護保険の場合も要支援の保険給付外し。これは余りにも世論が高まったので、結果的には訪問介護と通所介護だけいわゆる地域支援事業に移行させるということになったようですが、でも、それでも問題の解決にはなっていません。
 利用者負担も、一定以上の所得のある者の介護給付に係る利用者負担の引上げ。前は高所得者の利用者負担の引上げと言っていましたが、九ページの二行目にあるように、年金収入で年間二百八十万円の人が高所得者とは言えないので、一定以上所得者と変えましたけど、まあひどいものですね。これでまた要介護三以上を特別養護老人ホーム。
 そもそも、介護保険では保険料を払っているわけですよ。要支援になったら受給権が剥奪されるんですか。保険給付の権利が剥奪されるということですね、地域事業になるということは。
 その辺でも大きな問題があるし、特に今回、重い利用者負担のために、また軽度と認定されたために必要なサービスが利用できない高齢者が出てきて、あるいは施設を追い出されて介護難民が増える。そんな中で、今ですら介護心中、自殺事件は、二〇〇六年以降ですが、毎年五十件を超えています。毎週一回のペースで起きています。こんな状態がまさに加速するんじゃないでしょうか。
 公的年金制度についてもそうですが、六条ですが、マクロ経済スライドを発動する、デフレでもないのに。でも、そもそも年金給付引き下げているんですよ、十ページですね。その引下げの根拠もよく分からないんですが、もらい過ぎって、どこがもらい過ぎなんだと思うんですが。そもそも年金の給付水準が低過ぎるじゃないですか、今。月四万円以下の年金生活者が五百万人を超す、特に女性の年金受給者三二%が年間年金額五十万円以下、百万人近い無年金、これを放置して年金水準を下げるということをやればますます生活が困難になりますし、先ほどお話があったOECD諸国の中で最悪水準です、一人親世帯の貧困率は。二〇〇〇年代半ばで五八%。で、児童扶養手当を削減するんですか。
 まさに、何でもかんでも削減、それで消費税を上げるか。私は信じられないんですが。こういうことを平気でやって、政治が今問われていると思うんですね。こういう状況で国民の生活を追い込んでいって景気が良くなるとは到底思えないんですが。
 十一ページのところです。消費税の問題です。二十八条を見たときに、この法案の二十八条、何て書いてあるか。びっくりしましたね。社会保障目的税にするんじゃなかったんですか、消費税を。全然違うことが書いてありまして、経緯についてはずっと見ていただければ分かるんですが、十三ページのところですね。何と、制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に係るものについては消費税の税収を活用すると書いてあるんです。同時に、社会保障の給付の重点化及び制度の運営の効率化によって、つまり社会保障費を削って財源確保すると言っているんです。これは完全に国民に対する公約違反じゃないかと思うんですけど。
 それはともかく、もう時間がないので最後ですが、十四ページのところですが、多分皆さん方のお手元に届いていると思うんですが、日本弁護士連合会が十一月二十一日に社会保障制度改革国民会議報告書に基づき進められる社会保障制度改革の基本的な考え方に反対する意見書を出しています。私もこの作成にかかわりました。この意見書も是非読んでいただいて、慎重な審議を尽くしていただいて、くれぐれも衆議院のような強行採決はやめてほしいと思っています。是非、本法案を廃案にしていただきたい、これが私の意見です。
 以上です。
○委員長(石井みどり君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○島村大君 自由民主党の島村大でございます。
 本日は、四人の参考人の皆様方、お忙しい中おいでいただき、本当にありがとうございます。また、それぞれの立場から御意見をいただきまして感謝申し上げます。
 私からは、宮武教授と大日向教授、お二人に御質問させていただきたいと思います。
 まず、宮武教授には、先ほどお話ありましたように、この国民会議の委員として、また大日向教授もそうですけど、約十か月間、計二十回の委員会に出席いただきまして御発言をいただき、本当にお疲れさまでした。また、四十六ページに上る報告書を作成していただきまして、敬意を表します。
 さて、この報告書の最初に、清家議長の方から国民へのメッセージということが書かれております。このメッセージは、日本を世界一の長寿国にした、またWHOも認めています世界に冠たる社会保障制度を将来の世代にしっかりと伝えるために、現在の世代はどのような努力をしたらよいかということを考え抜いた私たち国民会議の結論であると書かれております。
 私もこの報告書を読ませていただきまして、確かに厳しいことも書かれておりますが、しっかりと真摯に受け止めて今後の我々の施策に反映させていただきたいと考えております。
 それでは、質問を宮武教授にさせていただきます。
 国民会議、また社労士の月刊誌の今年の一月号にも書いておりましたが、我が国の国民皆保険制度は一九六一年に発足し、半世紀を超えております。また、二〇〇〇年度に実施されました中高年皆保険であると言われています介護保険制度も十四年目を迎えております。これらはいずれも病院頼みや施設頼みだと言われており、現状から抜け出し、地域ごとに在宅医療、在宅介護の再構築と連携に迫られると言われております。この成否が二十一世紀前半の医療、介護の持続可能性を左右すると宮武教授はおっしゃっております。
 もちろん、国民会議でも議論されたと思いますが、現在、人口減少社会また超高齢化社会、人口構造がいびつ化されているこの中で、医療、介護の病院完結型から在宅医療や在宅介護等々の地域完結型への方向転換をしなければならない、これは私も大変理解はできるところでございますが、残念ながら、今、日本の状況では、大都市とか、地方とは違いますけど、核家族の問題や地域社会の崩壊だと言われています。
 このようなところで地域完結型へ導くことが、これは理想としては私も分かりますが、実際的には本当にこのいわゆる介護を、家族の方々の負担や、それから親を面倒見るということで職場を離れるとか、やはり現実的にはそのようなこともあると思いますけど、その辺を先生の本当の御意見を、是非見解を伺いたいと思いますが、どのようでしょうか。よろしくお願いいたします。
○参考人(宮武剛君) おっしゃるとおりで、大変な難しい作業になるかと思います。
 ただ、それを乗り越えていかなければ先が見えないということも言えるわけでございますので、家族が介護をすることをある程度当てにして介護保険制度というのはやっぱり成り立っているわけですが、これから先行きは認知症の高齢者が予想以上に増えていく、また独り暮らしの御高齢の方、それから御夫妻共に御高齢の方が増えて、しかも七十五歳以上の方が都市部で爆発的に増えていく、そういう状況の中では、何とかして地域で、営利組織も非営利組織も、アマチュアもプロも、あるいは資格や経験を問わずに地域の資源を掘り起こして地域ぐるみの支え合い体制をやはりつくっていくしかない。
 それが実に難しいことであることは私も感じておりますけれども、それ以外に道がないということと御理解いただければと思います。
○島村大君 ありがとうございます。
 私どももそこは重々承知しているつもりですけど、やはり国民にこれはしっかりと私どももPRしていかなくちゃいけないと思いますし、日本国国民の国民性というのはやはりそれはできる国民だと思っていますので、是非ともそこはしっかりと私ども協力させていただきたいと思います。
 そして二番目としましては、国民会議の報告書に書かれておりますように、いわゆる医療、介護に関しては、病床機能報告制度とか地域医療ビジョンの策定、それから地域包括ケアのシステム構築といった医療提供体制の改革のほかに、市町村国保の都道府県移行などの医療改革などが、現行制度の具体的な見直しについてこの報告書は列記されております。
 ただ、一方で、社会保障改革のプログラム法案に関しましては、この項目はもちろん盛り込まれていますが、それに先立ちまして、疾病の予防や介護予防、健康管理といった取組に関しての規定が書かれております。
 進展する高齢社会に対応する際に、これからはやはり、単に平均寿命を考えるだけでなくて、健康寿命を考慮していかなくちゃいけないと思っています。この健康寿命の延伸のために、やはり予防・健康管理、それから重症化予防等々をしっかりと、私は大切なことだと思っていますけれども、これに関しまして、健康寿命を延伸するためにはどのようなことを制度として考えていくべきかということを参考人の方からできたら御見解を伺いたいんですが、どうでしょうか。
○委員長(石井みどり君) 宮武参考人にでしょうか、島村大君。
○島村大君 ああ、済みません。そうです。
○参考人(宮武剛君) お答えいたします。
 またまたとても難しい質問をいただきまして戸惑っておりますけれども、健康というのは、単純に病気でないというわけではなくて、生きがいを持って地域で暮らしていかれる、そういうこの場合は御高齢の方たちをどうやって増やしていくかということでございます。
 長野県はよく長野モデルと言われていて、医療費は非常に適正化され、そして御長寿の方が多い。しかし、そこで長野モデルが示唆しているのは何かというと、あそこの県は一番高齢者らの就業率が高い地域でございます。年を取っても働ける、もちろん働くだけではなくて社会に参画する機会をつくっていく、生きがいがなければ健康は精神面でも肉体面でも保てない、そのことを政治や行政がどうやって環境整備をしていくのかという、その努力に懸かっているかと思います。
 以上でございます。
○島村大君 ありがとうございます。
 もう一点、ちょっと別の視点から見ますと、例えば今お話ししました健康寿命延伸のために、重症化予防とか予防、それから健診等々を医療保険制度にある意味では組み込んでもいいんじゃないかというお話もよく聞くんですけれども、そういう考えはどうでしょうか。
○参考人(宮武剛君) 現在でも当然ながら医療制度の中には健診が入っておりますし、また健診の高いところには例えば加算金を払うとか、低いところには減額をするとか、ここは是非論がいろいろございますけれども、現実には健康づくり、予防から健康保険制度は始まっていると私は理解しております。
○島村大君 ありがとうございます。
 それでは、大日向教授に御質問させていただきます。
 今回、社会保障と税の一体改革で、自公民三党による修正協議を経まして、子ども・子育ての新制度関連法が成立させていただきました。また、消費税税収の使途が、医療、介護、年金の三経費から少子化対策を加えた社会保障四経費に今回は広げさせていただきました。さらに、国民会議報告書やプログラム法案においては、全世代型の社会保障への転換が挙げられていると言われております。
 こういう状況で、今回政府は、平成二十六年度の消費税増収分に充てる社会保障の充実分のうち、約五千億のうちの三千億程度を子ども・子育て支援に充てる方針だと言われております。
 これらに関しまして、大日向教授から見てどのように評価していただけるか、それをお伺いしたいと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
○参考人(大日向雅美君) ありがとうございます。
 この度の税と社会保障の一体改革で子供の問題、少子化対策が医療、年金、介護に並んで明確に位置付けていただき、しかも消費増税分から確実な経費を、財源を注力してくださるということをお決めいただいたことは、子供のこと、親の子育ての問題を考えている日本中の人たちにとってこんなに有り難いことはありません。そこはまず本当に感謝いたします。
 今回は、平成二十六年は〇・三兆円、三%ですので、社会保障の充実には〇・五兆円程度ということでございますが、その中からも子供のことには〇・三兆円を充ててくださった。これは今非常に喫緊課題である待機児童解消加速プランを強力に進めることに役立てていただけるということを期待しております。
 平成二十五年、二十六年で、二年間で二十万人分の保育の受皿が確保されるであろう。さらに、認可保育所の定員増に対応した運営費も確保していただき、小規模保育、幼稚園の長時間預かり保育、認可を目指す認可外保育施設に対する運営費の支援、あるいはここも大変大切なことだと思いますが、保育の質は働く方々の処遇改善でございます。そこにも割り当てていただけることを大変期待をしております。同時に、待機児問題だけではなくて、地域の子ども・子育て支援事業も対象としていただく、あるいは社会的養護の必要な子供たちのためも財源を注入していただくということです。
 もちろん、〇・三兆円で決して十分ではございません。今後とも財源確保は必ずしていただいて、子供のために、そしてその子供の傍らで懸命に子育てをしている親のために財源確保に注力をお願いしたいと思います。
○島村大君 ありがとうございます。
 我々も頑張りますので、是非ともいろいろと御指導いただきたいと思います。
 それから最後に、時間も少なくなりましたので、大日向教授が、NPOと行政が連携して、地域の子育て支援者を養成し女性の社会参加を援助していると伺っております。いわゆる人生の少なくない年数を掛けて子育てをしたお母様方の経験を、是非とも社会に活躍する場をつくっていただき、有償の活動としての働く場を創設すべきだとおっしゃっていますけど、これに関しまして、私も本当にそのとおりだなと思うんですけど、今、先ほど少しお話ありましたように、例えば待機児童ゼロの問題で、横浜方式とかいろいろとお話あります。私の地元ですので、私もよく理解しているつもりなんですけど、そういうところに是非とも有償での女性の働く場としてこのお母様方を活用することがどういうふうにすればできるかなと思うんですが、その辺を是非最後教えていただければと思います。
○参考人(大日向雅美君) ありがとうございます。
 子育て支援は、地域の育児力の向上、創設に当たると言っても過言ではないと思っております。もちろん、箱物を造ったり、きちんとした給付が必要なことは言うまでもありません。でも、それだけで子供の問題あるいは親の問題は解決いたしません。地域にはすばらしい社会的資源となる人々がいらっしゃいます。子育てを経験した方、あるいは、子育てを経験していない方でも長年働いたり様々な人生経験のある方々が、しかしながら、何も研修を受けなくて子供の問題にかかわれるということではないと思います。
 私どものNPOでは、基礎自治体からの補助ももちろんいただいておりますが、非常に高度なレベルの研修を、養成講座をさせていただいております。そんなことをしても、こんな時代に自分の時間を使ってそんな研修を受ける人はいるだろうかと、今から八年前に危ぶまれました。
 しかし、実際にやってみましたら、本当に尽きない泉のごとく、次から次へと皆さん参加してくださいます。そして、活動してくださって異口同音におっしゃることは、私の人生の、まあ大体が中高年世代でいらっしゃいます、第二ステージに、こんな地域の方に役に立ち、感謝される時間があったということは何物にも代え難い喜びだと。また、利用者の親御さんは、御実家が今遠い方も多いです。遠い実家よりも地域の支援者さんという形で、非常に相互扶助の形が展開されています。
 これは、女性だけじゃなくて、今年の春からは、団塊世代の男性を対象とした講座もスタートさせていただきました。団塊世代の男性たちがすばらしい御経験、企業人として、組織人としての経験や知識、そうしたものを今まさに地域に生かそうとしてくださっています。地域でそういう方々をどれだけ掘り起こし、活性化できるかということは、一つは基礎自治体の力もあります。でも、そこに、各地にたくさん今増えているNPOと共同でできることではないかと思います。
 私がやっておりますNPO法人あい・ぽーとステーションはこの八年間……
○委員長(石井みどり君) 時間を過ぎておりますので、答弁をおまとめください。
○参考人(大日向雅美君) はい、済みません。
 千五百人の認定者が誕生しました。
 以上でございます。
○島村大君 ありがとうございました。
○長沢広明君 公明党の長沢広明でございます。
 今日は、参考人の皆様方、大変お忙しい中、このようにお時間をいただきまして貴重な御意見をいただきまして、大変ありがとうございます。
 私の方からも、宮武参考人と大日向参考人に御意見をちょっと伺いたいと思います。少し大ざっぱな話になりますが、いわゆる国民会議を設置してこの法案につながったということの意味というものをどうとらえられているかということをちょっと伺いたいんです。
 およそ半世紀前に国民皆保険、皆年金という制度を創設をして、国民の暮らしを守り、社会保障の拡充に私たちの先達の皆様方が大変な苦労をされてここまでつくり上げられてまいりました。しかし、雇用、働き方が変わり、家庭や地域という関係も変わり、社会基盤、経済基盤、様々なものが大きな変化をしてきたがために、持続可能な社会保障制度を本当にこの後続けていけるのかどうかという大きな議論がこの数年特に強くなってきました。
 以前の自公政権においては、社会保障国民会議あるいは安心社会実現会議と、こういう会議があり、議論がされました。その後政権交代があり、民主党政権においても社会保障改革に関する有識者検討会、こういうものが開かれて、政権が替わったとしても何らかの場でこの社会保障制度改革の議論がずっと続けてこられました。そして、特に様々な有識者の皆さん、この議論にかかわってきた皆さん方は、政権が替わっても、その改革の方向性というか流れというものは一致する部分が多いというふうに見ていると、こういう声があったということが、一つ、私、大きな意味のあることだと思います。
 昨年からの税と社会保障の一体改革の議論において、自民党、公明党、民主党の三党で改革推進法案を成立させました。そのときの三党の合意を踏まえて社会保障制度改革国民会議が設置をされた。一年近くに及ぶ検討の結果、大部の報告書を出してくださったわけでございます。この中には、国民皆保険、皆年金の堅持ということがうたわれ、ある意味では、この社会保障がスタートしたときとまた違う二十一世紀型の新しい日本型のモデルというものをつくるべきだという転換を示された、非常に大きな意味のある報告書だったというふうに思います。社会保障四分野の内容と、また全世代型の社会保障への転換とか、あるいは年齢でなく負担能力に応じた負担による支え合いという、全世代型の支え合いと、こういう方向性を打ち出したという点に特徴があると思います。
 そこで、宮武参考人、大日向参考人、それぞれ御意見を伺いたいのは、一つは、今回こうして一年近くに及ぶ議論を受けたいわゆる国民会議が設置されたことの意義、どのように取られて御自身はこの国民会議に参加をし、その議論を通じてこの国民会議の意味、それをどのようにとらえられたかということ。そして、その結果この報告書が出され、報告書に基づいてこのプログラム法案が今審議をされているわけでございますけれども、この法律案がこの国会にこの形で出されたことの意味をどのようにおとらえになっていらっしゃるか、御意見をいただきたいと思います。
○参考人(宮武剛君) お答えいたします。
 三党の合意で社会保障制度改革推進法が成立をし、それに基づいて国民会議が設けられました。話合いによって社会保障制度の在り方を考えていこう、変えていこうということは、深い意義がございます。
 国民会議の委員十五名は、利害関係のある団体の代表では全くなく、研究者であったり専門職であったりと、個人の形で参加をいたしました。利害関係が全くない立場でフリーハンドで議論ができたことは、非常にこれもまた意義が深かったと思います。
 まとめ上げました報告書についても、その報告書に基づいて法制化が行われ、さらには消費税引上げの一定程度の部分が制度の持続可能性のために、あるいは制度の改善のために使われるという、そういう裏付けまであるということで、大変そういう意味では参加をしたことに意義がございます。
 報告書が作文の形で終わらないで現実に政策を動かしていけることに参加したことに大変意義を感じております。
 以上でございます。
○長沢広明君 ありがとうございます。
 じゃ、大日向参考人にもお願いします。
○参考人(大日向雅美君) ありがとうございます。
 私は少子化対策の観点からお答えしたいと思います。
 少子化対策は、先ほども申しましたように、九〇年から二十年余りを掛けて子ども・子育て関連三法ができました。ここは超党派で、しかも多くのいろんな方々がかかわって、長年の悲願として作った三法でございます。これを社会保障の中に明確に位置付けていただいたこと、そして社会保障の基本が少子化対策だと全委員がひとしく言ってくださったことを大変有り難く思っています。そして、この成果を若い世代、将来を担う世代に伝えていこう、この思いで国民会議の報告書がまとめられたことを、会議に参加させていただいて大変有り難いと思っております。
 以上です。
○長沢広明君 ありがとうございます。
 少し関連して、一つ大日向参考人にお伺いをしたいと思っております。
 先ほど島村委員の方からも質問がありました、いわゆる地域の子育て力をどうアップするかという課題です。この一体改革の一つの大きな意味は、今参考人もおっしゃいました、年金、医療、介護という三つの柱に加えて子育てという分野が社会保障の一つの大きな柱としてきちんと位置付けられた、これは非常に大きな意義があると。そういう中で、いわゆる子ども・子育て支援法を始めとして、具体的な支援策がこれからスタートすると。先ほど、冒頭の意見陳述の中でも大日向参考人は、そうした支援策を具体的に確実にスピード感を持って進めることがまず第一であり、そして、これから子育て力を高めていくためにはワーク・ライフ・バランスに配慮したことが必要であるというようなこともお述べになりました。
 この法律と、あるいは支援策ということにも関連をしますけれども、私自身も、地域の子育て力をどこに求めるかということはいろんな分野が必要になってくると思います。先ほどお答えになられましたいわゆる研修を含めて、いろんなところから地域の子育て力を出していかなきゃいけません。地域から子育ての人を育てることというのは非常に大事なテーマだと思いまして、地域の子育て力をアップするためにどこに人材を求めていくか、どういう人たちに子育てのまた新しい力となってもらうか、その点について、もし御意見があれば伺いたいと思います。
○参考人(大日向雅美君) ありがとうございます。
 子育ては非常に喜びもありますが、大変なこと、苦労もたくさんあります。子育ての苦労を経験した人たちが自分たちが経験した苦労を次の若い世代に経験させたくない、そんなことはしてはならないんだという思いで今私のかかわっている活動には皆さん参集してくださっています。それは、一言で言ってしまいますと、支え、支えられて、お互いさまのこの哲学をいかに私たちが地域の中に広げていけるか、その一言に尽きると思います。地域力といいましても、ただ単に地域、地域と言っているのでは全然その力は高まらないと思います。地域のそういう方々の思いをいかに組織化できるか、そこにも一つ懸かっているかと思います。
○長沢広明君 ありがとうございます。
 もう一問、今度は宮武参考人、大日向参考人、それぞれまたお伺いしたいと思います。
 この社会保障改革プログラム法案の一つの大きなテーマとして、医療と介護の連携ということが挙げられております。この法律案で、それまである意味では一種概念のようなものだった地域包括ケアシステム、これがきちんと法律上定義がなされ、地域包括ケアシステムをどう組み上げていくかという具体的な方策がこれからまたつくり上げられていくことになると思います。これによって、住み慣れた地域で高齢者が安心した暮らしを続けることができるようになり、また医療や介護のみならず、介護予防とか生活支援とか住まいの問題に至るまで、包括的な問題への確保ということが、これを目指すべき流れになっていくと思います。
 ただ、それには医療を提供する体制をどう整備するか、町づくりに至るまでいろんな幅広い施策が必要になりますし、市町村とか都道府県という自治体の役割とそして国との協力、様々な問題もあると思います。私は、国からの押し付け的なやり方ではなくて、市町村や都道府県とよく話し合いながらこれを進めていくことが非常に大事だというふうに思っておりますけれども。
 そこで、この医療と介護の連携において今後こういうふうに進めるべきだ、あるいは望ましい方向性、こういう方向へ進むべきだ、あるいはこういうところに注意をしながら進めるべきだという御見解があればお伺いしたいと思いますので、宮武参考人と大日向参考人、それぞれお答えをいただければと思います。お願いします。
○参考人(宮武剛君) 高齢期の方に限って言いますと、慢性の病気を抱えて、完全には治らないけれども病気と折り合いを付けながら暮らしていかれる、晩年を過ごしていかれる方たちにとってみると、治療よりも介護、キュアよりもケアの方が大事であることは誰もがある程度分かることでございまして、そういう意味では、医療をむしろスリム化してでも介護のサービスを拡充していくという、そういう基本的な視点で、地域ぐるみでその地域に合った医療と介護の連携体制をつくっていくしかないわけでございますので、先ほど島村先生からも御質問があったように、その作業というのは、国民皆保険体制をつくったり介護保険体制をつくったときに匹敵するか、あるいはもっと難しい問題でございまして、政治や行政が号令一下でやれというわけではなく、各地域で自分の地域に合った形の連携の仕方をやるしかないわけでございます。
 ただ、幸いなことに、まだ僅かではありますけれども、先行事例が各地でぼつぼつ出ております。国民会議では、そういう事例をなるべくたくさん集めて具体的なサンプルとして皆さんに見せてくださいということを要望いたしました。
 以上でございます。
○参考人(大日向雅美君) ありがとうございます。
 今先生からいただきました御質問は子育てとも非常に重なるものだと思います。人は地域で生まれ地域で育ち、そして地域で人生を終えていく。その中で、今、宮武先生もおっしゃいましたが、今回の報告書は医療のスリム化と介護の拡充、拡大ということをうたっております。これは、私自身、家族に要介護五の者を抱えておりまして、非常に実感として分かります。高齢になりますと治癒が望めない状態になることもあります。でも、最後まで人間らしく生きたい。そのときに、地域の人々のいろんな力をお借りしながら最後までその地域で生きていく。もちろん医療も適切なものを受けさせていただいておりますが、包括支援システム、これは本当に必要なものだと思いますし、介護保険はいろいろ批判されておりますが、私自身経験しておりまして、介護保険があって初めてこういう仕事も続けさせていただけると。もちろん課題も多いと思いますが、その課題を是正しながら、なおいい方向で地域包括支援システムが充実することを個人的にも願っております。
 以上です。
○長沢広明君 ありがとうございました。
 これで終わります。
○薬師寺みちよ君 みんなの党の薬師寺みちよでございます。
 今日はお忙しい中おいでいただきまして、様々な御意見いただきましたこと、ありがとうございます。
 私どもみんなの党は、以前から、増税の前にやるべきことがあるだろうというフレーズを訴えさせていただいておりますけれども、今回の法案につきましても、やはり増税による税収アップ、それを当て込んだ社会保障制度改革を行う前にまだまだやるべきことがあるんではないかと考えているところでございます。
 そこで、四人の先生方にちょっと、プレゼンテーションの内容と違うかもしれません、しかしちょっとお答えいただきたいんですけれども、税収を当て込んだ社会保障制度改革ではなく、さらに知恵と工夫を生かしていく、まさに日本人の一番得意分野だと思うんですね。そういう分野を生かしながらいい制度をつくり上げていくような方策はないものなんでしょうか。そのアイデアをいただきたいと思っております。
 例えば、縦割り行政の弊害、まさに幼保一元化もそうだったと思うんですけれども、そのようなものを解消することによって更に現場のサービスが充実するんだというお声や、規制緩和によって解決できるようなものが更に広がっているよと、そういうことでも結構でございます。是非四人の先生方にお願いできればと思います。
○委員長(石井みどり君) 宮武参考人からでしょうか。
○薬師寺みちよ君 はい。
○参考人(宮武剛君) お答えします。
 基本的には、満足できるサービス、納得できるサービスというものがまず提供され、それでそれに見合う負担をしていくという、そういう給付と負担の関係というのは必ず守っていかなきゃいけないということでございます。ただ、その負担をする場合に、おっしゃるように、無駄がないか、もっと効率化できないかということは常に考えていかなきゃいけませんので、私ども国民会議の報告書でも制度の効率化、重点化は挙げております。
 ただ、給付に見合う負担をしなければ、天から何かお金が降ってくるわけではございませんので、それぞれ個人、企業、団体が応分の負担をしなければいけないということだけははっきり申し上げられると思います。
○委員長(石井みどり君) 次は大日向参考人でよろしいですか。
○薬師寺みちよ君 はい、お願いいたします。
○参考人(大日向雅美君) 子供の問題に関しましては、これ本当にお金が必要です。保育の量の拡大は、同時に保育の質の確保がなくてはいけない、そのためには消費増税から七千億ではとても足りない、ほかからも三千億をどうにかして工面していただいて一兆円超が必要ということは、これはどうしても譲れない点でございます。高福祉を受けるためには高負担、この哲学も私たちは醸成していくことが必要だと思います。
 以上です。
○参考人(住江憲勇君) こういう本法案以前にもっとやるべきことがあるとおっしゃる。その議論は大いに結構なんですけれども、それがこういう本法案のような悪法を審議することをストップしていただいてそういう議論が保障されるならばそれでいいんですけれども、それを保障しようという片一方でこういう悪法が同時進行で今だあっとやられようとしています。それに対してやっぱりストップを掛けることも我々としては大事ですので、今日の参考人質疑もそういうふうになったと思うんですけれども。
 ですから、おっしゃることは全くそのとおりで、本当はそれをやっぱり徹底的に保障し、そしてその代わり、同時に悪法も一旦議論もストップしようと、それぐらいの議員の先生方の覚悟を決めていただきたいと思います。
○参考人(伊藤周平君) 社会保障は、さっき言いましたように、やっぱり国や自治体がちゃんと国民の生活を保障するということで成り立っているわけですから、無駄を削減して財源を確保するという点もあるんですが、ただ私は、負担は能力に応じて、給付は必要に応じてというのが社会保障の大原則だと思っているので、ある程度の負担をしなきゃいけないと思います。
 でも、それは消費税に求めるのは間違いだと思います。消費税は能力に応じていません。消費税じゃなくて、私は法人税や所得税を上げるべきだと思います。何よりも、世界の、論文にも書いたんですが、特に社会保険料における事業主負担が非常に低い、日本は、ほかの国に比べて。それを、事業主負担をEU並みの負担額に引き上げれば、社会保険料は二十六兆円程度の増収になるんです。つまり、負担すべきところが負担していない。
 どういうことかというと、つまりお金のあるところから取っていないわけですよ。それは、やっぱり法人税を上げると何か海外に逃げちゃうとか、そういうふうに言われますけれども、そういうことはないです。もうけに掛かるお金です。法人税というのは、七割の事業者が赤字だから払っていないんです。でも、消費税は赤字でも掛かるんです、年商で売上げが一千万円以上あれば。そういう税制を社会保障の財源と求めるのはそもそも間違いなんです。それだったら、社会保障を充実するためには消費税上げなきゃいけなくなって、消費税上げられませんよ、国民の反対が多くて。じゃ、社会保障を削るしかなくなる。
 私は、ちゃんと所得再分配、先ほど言いましたように、負担は能力に応じて、給付は必要に応じてすべきであるから、それは当然所得税、法人税のような累進性のあるものを増税してそれを財源にすべきだと思います。
 以上です。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございました。
 では、大日向先生に質問をさせていただきたいと思います。
 実は私、大日向先生、二十年前に母親学級で講演をしていただきました。その際に、先生に御自身のヒストリーを語っていただきながら、私もそのときに医師として勤務をいたしておりましたので、働く女性はどのように今後生きていけばいいんですかという質問をさせていただきました。残念なことながら、二十年たってもまるで変わっていないというこの現状でございます。
 そこで先生にもお尋ねをしていきたいと思うんですけれども、まずこの少子化対策というものを語る前に、残念ながら児童福祉法二十四条、保育に欠けるという言葉が一向に訂正されることはないんです。私も、保育園に入れるときに、保育に欠けると言われた瞬間に罪悪感に悩まされました。この少子化対策というのは、やはり社会的な要因も多いんではないかと思うんです。女性が働くことに対するバッシングもございますし、子供を預けることに対する様々なまだまだ批判の声も残っております。
 家庭の就学前の児童を親に代わって保育をするのが保育所であり、しかしこの現状は、この保育に欠けるという言葉がために、問題を抱えた家庭に対する行政の援助と位置付けられてしまう。ですから、まずこういうところから根底を変えていかなければならないのではないかと思っているんですけれども、先生の御意見をいただけますでしょうか。
○参考人(大日向雅美君) ありがとうございます。
 おっしゃるとおりだと思います。保育に欠けるという言葉でどれだけこれまで女性たち、働いている女性たちが苦しんできたかということは、本当に先生がおっしゃるとおりだと思います。今回の新制度では、保育に欠けるという言葉を使いません。保育の必要度の認定という言葉にいたします。
 また、働く親たち、女性たちの働き方、今多様化しています。そうしますと、フルタイムで働く方も短時間の方も、いろんな方がいろんな働き方ができるようにその必要度に応じて認定をしていく、しかも、働いていない、在宅で子育てをしているお母様たちも必要に応じて一時預かりを使ったりできる、あるいは働くだけでなく、女性が勉強したいとか社会参加したい、そういうことも大いに認めていこうということでございます。ですから、先生が長年味わわれた、闘ってきてくださったようなことは、この新制度以降改善の方向に向かうと私は信じております。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 さらに、ちょっと大日向先生に教えていただきたいんですけれども、私も子供たちを預けながら働く中で一番感じたのが小一ギャップでございます。いわゆる、保育園に預けている間はすごく手厚く様々な制度を利用することができるんですけれども、小学校に上がった途端にやはりそういう制度がなくなってしまう。いわゆる放課後児童クラブ、待機児童以上に問題になっているというような報道もなされております。
 今回のいろんな報告を見ましても、かなり保育園の部分若しくは幼保一元化については御努力いただいているのが分かるんですけれども、これから女性が継続的に働きながらキャリアを積んでいく上では、やはりこの学童の問題というものは避けて通れないかと思うんですけれども、そういったところにおいて、今回のこのプログラム法案、欠けている点はないのか、そして更に充実しなければならない、ここに入れ込まなければならないことはないのか、先生の御意見をいただきたいと思います。
○参考人(大日向雅美君) 先生がおっしゃるとおりだと思います。
 放課後児童クラブは、九七年に児童福祉法に位置付けられたんですが、質、量共に課題を多く残しております。女性が働き続けるために、そして子供が安心して育つことができるために、この放課後児童クラブの充実は欠かせません。この点に関しましては、今回の新制度では地域子ども・子育て支援事業に明確に位置付けられています。そこに給付も付きます。そして、必要な指導員の研修、整備等々いろんな形で整備の方向に向かうような工夫を盛り込んでおります。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 では、最後に宮武先生にお伺いしたいと思います。
 先生の書かれたものを拝見いたしておりましたら、今回の病院群の機能別編成というものにつきまして、先生の中では、やはり医療法の改正ということになれば全国各地の民間病院を巻き込むことになってしまう。公的病院であれば編成は簡単だと思うんですけど、やっぱり民間病院を巻き込みながら、本当にこの計画が絵にかいたもちに終わらないようにしていくためには更にどういうことが必要なのか。基金化ともいわれておりますけれども、先生も大変ここが難しいというふうに書いていらっしゃったかと思いますけれども、更に追加して御意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○参考人(宮武剛君) お答えいたします。
 本日も参考資料の十六ページに少し概念図を出しておりますけれども、高度急性期、一般急性期、亜急性期のような形で機能別に病院を再編するということは、そこに実は人も物も金も集中的に投入をして、そして機能を高めていくという作業と同時並行になります。
 そして、日本の病院の八割方は医療法人、民間の団体でございますので、号令しても動いてくださるわけではないわけでございますので、診療報酬上で誘導をする、あるいは各県に設けた基金で助成をしていくという、県が中心になって、現在は医療計画というのを各県が立てておられますけれども、あれはベッド数の制限程度のやっぱり状況でありますので、今現状の病床が幾らあって、どんな機能を持っているのか、将来その地域の医療ニーズに合わせてどういう病院をどれだけ確保していくのか、そういう医療ビジョンをつくっていただいて、十年、二十年掛けた形で次第に病院の再編成をしていくという、そういう大変長期的な、なおかつ難しい作業になるかと思います。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございました。
 やはり私も、医師としてプロフェッショナルオートノミーというものだけに頼っていく、これはかなり難しいのではないかと思うんですね。前回の一般病床、療養病床のときもやはりこれは機能するまでに時間が掛かったということと、機能しているのかどうかさえもまだまだ分からない現状でございます。
 今後とも、先生方、しっかりと現場も御覧いただきながら、更に厳しい御意見をいただければと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 私からは以上でございます。本当にありがとうございました。
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 参考人の皆様、本当にありがとうございました。
 まず、宮武参考人、大日向参考人にお伺いしたいんですが、私自身の立場で言うと、この社会保障制度改革国民会議の報告書を是とする立場ではありません。これは、応能負担の原則や所得再配分の原則を壊して、やっぱり社会保障の土台を掘り崩す内容になっているというふうに私は思って読んでおります。
 ただ、この報告書の中には、やはり自助、共助、公助の最適な組合せとありますね。ところが、提出された法案の中には、共助、公助という、まあそもそも言葉変なんですけれども、この言葉すらないわけですね。あるいは、この国民会議の報告書の中には、社会保障の機能強化という言葉が何回か出てまいります。あるいは、能力に応じた負担という言葉もあるし、低所得者への配慮ということも、何回かそういう言葉があるんですね。ところが、提出された法案の中には社会保障の機能強化という言葉は全くないわけです。
 私は、率直に言って、この社会保障制度改革国民会議の報告書から見ても、この提出されているプログラム法案というのはかなりやっぱり社会保障の根幹である公的責任というのを後退させた法案になっているのではないかというふうに、そういうふうに思っているんですが、国民会議で議論された中身がきちんと反映されたというふうにお考えかどうか、議論に参加されてきた両参考人にお伺いしたいと思います。
○参考人(宮武剛君) お答えいたします。
 支払能力に応じて負担をし、そしてその広がりと深まりが共に助け合うという共助につながる、しかし、支払能力のない方、支払能力に乏しい方の場合には当然ながら公で支える公助というものが付いて回るという、それは国民会議ではそういう認識で議論を進めてまいりましたので、その議論を踏まえた法律でございますので、理解はちゃんとしていただいているのだろうと、私は期待をしております。
○参考人(大日向雅美君) 私は少子化対策の観点からお答えいたします。
 子供の自立あるいは親が自立すること、自助は最終的な目標だと思います。その自助を支えるためのいろいろな地域の仕組み、あるいは給付の仕組みということを少子化対策の分野ではきちんと書かせていただきました。それは、今回のプログラム法案でもその理念は明確に尊重していただいたと思っております。
 以上です。
○小池晃君 国民会議に参加されていたので、それは反映されていないとちょっと言うわけにはいかないと思うので、それはそういうお答えになるのかもしれませんが、私はやっぱり、何かじわりじわりと後退しているような印象を拭えないんですね、この法案を見て、それ率直に思うんですが。
 住江参考人は、ちょっとその国民会議との関係で、今度の法案の中身、どのように見ていらっしゃいますか。
○参考人(住江憲勇君) その国民会議の基というんですか、社会保障制度改革推進法、この第二条第一項に、自助、共助及び公助が最も適切に組み合わされるよう留意しつつ、国民が自立した生活を営むことができるようと、ここにきっちり共助、公助というのは出ているわけですね。そして国民会議の報告にも一定そういうことで報告書にも出ています。それがこのプログラム法案には一切欠落し、自助だけが躍っていると。
 結局、冒頭、最初の陳述で言わせてもらいましたように、自立自助、自己責任論を問えるのは、今のこの社会においてだったら、やっぱり雇用が徹底的に保障され、賃金が保障され、そして所得再分配が十全に機能する、そういうような下でこそ国民にやっぱり自立自助、自己責任論が問える、そこで初めて問えるものだと思っております。ですから、これは国民会議の報告からも逸脱したプログラム法案と言わざるを得ないと思います。ですから、この法案については撤回、廃案にしていただきたいと思っております。
○小池晃君 私も、国民会議の報告も決して共助や公助、公的責任を強調している中身ではないとは思います、これは。やはり自助を中心、自己責任論というのが基本的な立場だというふうにこれも読んで思うんですが、ただ、その記述から見てもやはりかなり後退しつつあるのではないかなというふうに思うわけですね。
 引き続き、住江参考人に、この際、先ほど陳述のときに診療報酬について一言お触れになりましたが、やはり全体として、来年の診療報酬改定に向けて今議論がやられていますけれども、私は非常に心配をしております。財務省の方からは、これはマイナスというような方向を出すような議論もあります。そういう中で、やっぱり今の地域医療の危機を打開するためにはどうしてもこの問題できちっと診療報酬、地域の医療が支えられるような仕組みが必要ではないかと思っていますが、保険医の団体としてこの問題についての御意見をお伺いしたいと思います。
○参考人(住江憲勇君) 診療報酬、これは一九八四年を一〇〇とします、一九八四年を診療報酬一〇〇、そして賃金一〇〇、物価が一〇〇と計算しまして、一九九七年、九八年まで物価そして賃金、これは一四五前後まで上がりました。その間、診療報酬は一〇七まで上がりました。しかし、それ以後、とりわけ二〇〇〇年に入って二〇〇二年、四年、六年、八年、マイナス改定で、これで一九八四年の一〇〇が九三ぐらいにまで落ちたんですね。これによって大きく医療崩壊というのが地域で起こったわけです。そこに危機感を持って二〇一〇年、一二年、まあマイナスにはならなかったんですけれども、しかし微々たるプラスでしたから、決してこれが一〇〇にまで回復もしていない。そういう下で、私どもとしてはそれを一〇〇に、せめて一〇〇にまで戻すためでしたら一〇%以上の引上げを要求しているんですけれども、しかし、なかなか困難な面もございます。
 ですけれども、少なくとも、今、物価そして人件費が下がっているから、これを今、診療報酬はプラスに持っていく余地はないという、そういう議論は全く成り立たないと思っておりますし、そういうことになりますと、本当に地域での医療崩壊、更に加速するという危機感を抱いております。
 以上です。
○小池晃君 ありがとうございました。
 財政審の建議も非常に気になる中身になっております。その点ではやはりこの問題で是非現場からの発信を強めていただきたいというふうにお願いしたいと思います。
 伊藤参考人にお伺いしたいんですが、伊藤参考人の先ほどのお話の中で、消費税のこの法案における扱いがこれは大問題ではないかというお話がありました。私も、ここもかなり変わってきているんじゃないかなと。改革推進法では公費負担部分については消費税収を主要な財源というふうに言っていたのが、このプログラム法案では社会保障給付のために消費税の収入を活用するというふうに変わっています。しかも同時に、社会保障の給付の重点化及び制度の運営の効率化、いわゆる社会保障削減で財源を生み出すと。これは全く違う、まあ元々そういう路線ではあったと思いますが、やっぱり何かこれもじわじわじわじわと変わってきているという印象を私ここを見て思うんですが、この点についていかがでしょうか。
○参考人(伊藤周平君) おっしゃるとおりだと思います。
 私も、先ほどの自助、共助の問題もそうなんですが、この条文読んだときびっくりしました、二十八条ですが。活用するというのは、使われるか分からないし、社会保障の費用を削減して財源を確保するとはどういうことなんですか、これは。元々言っていたことと全く違うわけですね。社会保障・税一体改革のときは、少なくとも一体改革の大綱を見る限りでは、消費税収は目的税化するとまで言っているわけです。それが消費税の改正法案を見ると、充てるとしかならなかった。主要な財源にするが社会保障制度改革推進法。そして今回のプログラム法案では活用する。おまけに社会保障費を削減して財源を捻出する。
 一体何に使うつもりなんですかね。消費税は、じゃ、国土強靱化のために使うんですか。附則の十八条の二項で入りましたね、そういうところは。だから、そういう意味でおっしゃるとおりで、じわじわと骨抜きにされている。社会保障・税一体改革の国民会議があれだけ言っていた社会保障の機能強化もなくなってきた。
 国民会議自体は割と良心的なところがあったと思うんですね。ただ、あくまでも基になっている法律が制度改革推進法なので、あの法律自体が社会保障を削減するということをもう既に言って、そういう形で書かれていたわけですから、社会保障制度改革推進法に基づいて、あれ自体が私は憲法違反だと思っているので、つくられてきた、もう既に路線は引かれていたわけで、それを国民にちゃんと知らせないまま、説明しないままやっているということ自体が非常に大きな問題だと思います。
 余りここで言ってはあれなんですけど、特定秘密保護法案もそうなんですけど、内容が全く分からないまま、国民に知られないままどんどん進められて骨抜きにされていく。まさにこういうような法案を私は通してはいけないと思っています。
○小池晃君 財源論で伊藤参考人にお尋ねしたいんですが、「世界」の論文の中でも指摘されていますが、社会保障の財源というのは消費税ではないんだと、所得税あるいは法人税と。私も全く同感なんですね。
 日本のやはり消費税に該当する付加価値税で社会保障目的税にしている国はヨーロッパ諸国では存在しないと。だから、そういう点でいうと、やはり今のもう消費税しかないかのような議論、これちょっと住江参考人にもお答えいただきたいんですが、こういう議論はやっぱりちょっと余りにも世界の流れとも違うんではないかというふうに思うんですが、この点、いかがでしょうか。
○参考人(伊藤周平君) 私も、消費税を社会保障に使う、それで実際は使っていなくて、消費税を今度は目的税化するという形でこれ始まった議論ですし、それがこういうふうに骨抜きにされてくるということ自体が問題なんですが、私は、元々は消費税というのは、先ほど言いましたように、もうけのないところにも掛かるわけですよね。赤字であっても掛かるわけで、しかもあれは、事業主はだから価格に転嫁できない場合は全部赤字で、自分で自腹で払わなきゃいけない。だから一番滞納が多いですよ、国税の中で。
 それはある意味で私は消費税ってすごい欠陥税制だと思っていて、ましてや輸出還付金まであって非常に大企業有利というふうになっていますので、やはり消費税じゃなくて所得再分配、お金のあるところから取って社会保障に回す、これは当たり前のことですよ、能力に応じて負担をしてもらう。やっぱり能力に応じて負担していない、大企業というのはそうだと思うので、やっぱりそこから取れば幾らでも社会保障の財源はあると思うし、消費税は能力に応じて取っていないんですよ。だから、これは社会保障の財源にすべきではないと思うし、まあ仮にするとしても、かつての物品税のような形にしないと、今の消費税は問題があり過ぎると思うんですね。日本の消費税は付加価値税とも違いますから、ヨーロッパの。その辺はちょっとここの議論ではないんですが、やはりおっしゃるとおりで、ちゃんと所得税や法人税、社会保障は全ての税収でやるべきですよ、憲法二十五条の規定に基づけば。何で消費税だけ使わなきゃいけないのかというのはおかしな話です。
 以上です。
○参考人(住江憲勇君) 消費税については、医療機関でも損税ということで、医療機関にとっても厳しい問題がございます。大体、一般的な内科の診療所でも、年間二百二十万から二百三十万、そして歯科診療所においては七十万から八十万負担しております。それは、財務省に言わせれば、三%導入のときと五%に引き上げるときで一・五三%診療報酬で補填しているということは言われるんですけれども、しかし、その補填した項目、三千とも四千とも五千とも言われる診療報酬の項目の中の一部にのり付けされたわけですね。ですから、全くそれに、点数を取れない診療科もございますし、そしてまた、この十何年の間に包括化、マルメ、そういうところでもう雲散霧消した、そういうふうな診療報酬の項目もあるわけです。
 ですから、一・五三%で補填したというところについての議論については、それは一応私どもが言っているゼロ税率ということも要求として出しているんですけど、その議論にいよいよ乗っていただくときについては、またその議論もしてもいいと思うんですけれども、しかし、それで補填済みということは、もう全く現場の実感としてはございません。
 ですから、消費税が八%、一〇%になっていく段において、これが本当に厳しい問題。そして今、財務省とどう八%に上げたときに対応するかということで、これはまた診療報酬でという議論があるんですね。これは、五%時点までに補填済みだという議論をまた繰り返すことで、そもそも診療報酬で補填するということは非課税の原則をやっぱり逸脱していると思うんです。診療報酬で上乗せするということは患者負担になるわけですから、やっぱりそれはもう非課税という理屈が通りません。
 そういうことからいいまして、きっちりゼロ税率で解決していただくことを要望したいと思いますし、そして、消費税自体、これは三%、来年四月、増税というのは十月一日、安倍首相、決められました。しかし、やっぱりあのときは四月、五月、六月の対GDP比の年換算率が三・八%、それを論拠にされたんですけれども、しかし、せんだって発表された七月、八月、九月、これはもう一・九%と、半減しているんですね。この先、来年四月からの増税を見越した需要、そういうところが消えていくと、更にやっぱり悪い率とならざるを得ない。やっぱりそこに大きく経済の停滞を危惧します。
 それのための経済対策として安倍首相がおっしゃっているのは、四兆円、五兆円の企業の法人税減税、そして特別復興税の廃止、そういうところをおっしゃっているんです。しかし、経済腰折れという原因は、やっぱり国民一人一人の購買力、消費力の低下によるんです。そこで、根治療法としては……
○委員長(石井みどり君) 時間が過ぎておりますので、答弁は簡潔に願います。
○参考人(住江憲勇君) はい。
 根治療法としては、やっぱり消費税増税を中止、この一点に限ると思います。
 以上です。
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。どうも本当にありがとうございます。
 まず、伊藤参考人にお聞きをいたします。
 今日、対政府質疑をやりまして、消費税増収分が二十六年度では五兆円程度、社会保障の充実が〇・五兆円程度、それぞれ聞いていきまして、二十九年度、消費税増収分が十四兆円程度、一〇%のとき、ただ、社会保障の充実は二・八兆円程度という答弁がありました。もちろん、年金の基礎を固めるとか、あと赤字国債の解消のためというのがあったんですが、赤字国債の解消はした方がいいけれども、それは社会保障の拡充とは違うので、それは一般論として言えることであって、消費税増税分を目的税化ということとやっぱり食い違うと思いますが、この消費税についての議論について、御意見をお聞かせください。
○参考人(伊藤周平君) 先ほども言いましたが、やはり消費税を社会保障に使うということ、特に目的税にするということは非常に大きな問題があって、結局これやってしまうと、先ほどの社会保障四経費ですね、少子化を含んで、少子化対策、医療、年金、介護、その目的税になってしまうことで、それが膨らめば、もうほかから持ってこれないので消費税率を上げるしかない。
 だから、そういう意味で目的税自体にも問題があるんですが、先ほどもお話ししましたが、今回この法案見ていても、目的税なんというのはどこにも出てこない。そもそも社会保障制度改革国民会議の段階で社会保障目的税という言葉が出てこなくなった。その段階からもう既に、まあ最初からそのつもりはなかったのかなとも勘ぐるんですが、社会保障のために消費税の増税分は使わない。
 よく考えたら、先ほどの、おかしいと思うんですが、三%今度上げますよね。それで、社会保障の充実分には五千億、〇・五兆円。ですが、これは結局、五%上げて一〇%にしたときに二・七兆円使って、何で三%上げたときには五千億しか使えないのかと。計算が合わないと思うんですよね。
 そういう意味で見ても、非常に何か政府の方は説明責任を果たしていないと思います、特にこの社会保障と消費税の問題については。私は、元々社会保障目的税にも反対なんですが、仮に社会保障目的税にしても、社会保障のために使われるのならいいと思っていた人たちに対する裏切りですよ、これは、この法案は。まさにそういう人たちに対する背信行為だと私は思っています。
○福島みずほ君 住江参考人と、それから伊藤参考人にお聞きをいたします。
 このプログラム法案が、私は何か実は余り意味が分からないのは、現実に介護や医療や、審議会がどんどん進んでいて、介護についてもかなり切下げというか、要支援と要介護を分けたらどうかとか、いろんな議論が出ています。ですから、このプログラム法案が目指しているものと審議会で議論していることがどうなのか、審議会でどんどんやっているのに、こちらで方向性を出すことの関係性がよく分からないんですね。
 逆に言うと、審議会でコストカットをしていくことのお墨付きを全体として与える、あるいはここに様々なことを盛り込むことによって、将来、社会保障の抑制にいろんな角度で、効率化とかいろんな言葉で使われてしまうのではないかと思っているんですが、この審議会で今進んでいる介護や医療についての議論とこのプログラム法案の関係や、この目的についての御意見を教えてください。
○参考人(住江憲勇君) 福島みずほ先生が分からないものは私も分かりませんけれども……
○福島みずほ君 いや、そういう意味じゃないですよ。御意見をお聞かせください。
○参考人(住江憲勇君) あらゆる審議会でもう本当に先行して議論もされています。極端な例でいいますと、TPPで混合診療とか医療機関に営利と配当を認める、そういうところが、TPPを見越したように、あらゆる、産業競争力会議とかそして規制改革会議、様々な審議会でそういうところが議論される、そういうパターンが今この国会ではびこっていると言ったらあれですけれども、そういう政治手法が取られていることについては大きく危惧を感じます。
 そういうことで、本当にこの社会保障制度改革推進法から始まって、国民会議、そして今回のプログラム法案、全く、税と社会保障の一体改革の中で言われたように、消費税増税して社会保障制度を改悪する、これは結局、国民にとったら所得再分配の二重の、ダブルでの否定と言わざるを得ないと私は思っておりますので、そういう立場でこれについても本日の意見陳述をさせてもらったつもりです。
○参考人(伊藤周平君) 審議会、確かに介護保険部会でも今度、二十七日ですかね、意見書案を出して、実際にそこで要支援の人については訪問介護と通所介護について外すというような方向、あるいは特別養護老人ホームでは要介護三以上が原則というようなことが言われているわけですが、やはり、もちろん、先ほどおっしゃったように、そういう審議会での議論にお墨付きを与える、そのための法案という側面もあるんでしょうが、一方で、よくよく考えてみると、この法案を廃案にしちゃったらその審議会でのもう法案は出せないわけですよね。まあ出せないことはないか。だから、そこら辺の議論がよく分からないんですが、私も。法案は法案として出すわけです。ただ、この法案が成立すれば必ずその法案は出さなきゃいけなくなりますからね、関連法案は。そういう意味でのお墨付きというか、仮にこの法案が廃案になっても出すときは出すとは思うんですが、そういう正当化の意味があるのかなと思うのと、もう一つ、やはりこれは、先ほども小池議員の方からも指摘がありましたが、自助の強調とか、特にこれは私がかかわって作った日本弁護士連合会の意見書でも書いてあるんですが、二条の一項とか四条の二項、五条の一項という、自助努力を非常に強調していると。ある意味で社会保障に対する考え方を、社会保障制度改革推進法がそういう役割を果たしていたんだけど、更にそれに続けて、社会保障に対する考え方を変えてしまおうと、理念を変えてしまおうというような意図を持った法案だと思うんですね。
 だから、その意味でも私は通しちゃいけないと思うんですが、よくよく考えると、いわゆる自己責任論ですよ。自分のことは自分でやれと、社会保障に頼るなというようなことを言っているような法案だし、何よりもびっくりしたのは、もう既にそれは介護保険にあるんですね。介護保険法第三条に、我々には要介護状態にならない義務があるそうです。そんなの余計なお世話ですよね。だけど、そういう健康増進義務とか疾病を早期発見して積極的にそれに対処する、でもそれは無理なんですよ。幾ら暴飲暴食してもころっと亡くなる人はいるし、そうでなくて、どんなにダンベル体操をやっていても、寝たきりになる人もいるわけです。それは、神様は不公平なんです。だけど、そういう状態になったときに健康で文化的な人間らしい生活を保障するのが社会保障なので、個人の努力義務とかそういうのを書くべきじゃないんですよね、こういうところに。社会保障はやっぱり権利を書くべきです、給付に対する、社会保障の法律は。だから、そういう意味でも、私は、すごい倒錯したというか逆転した法案だと思っています。
 是非廃案にしてください。
○福島みずほ君 宮武参考人にお聞きをいたします。
 自助、公助、共助で、社会保障推進法は自助、共助、公助とあって、私は自助が強調されていると実は思っていたんですが、今回のプログラム規定では二条のところが自助自立のための環境整備と、自助自立がばんと二条に出てきていると。大日向参考人も全てそうですが、社会保障に長く本当に携わってきた立場からすれば、自助が非常に強調されるというのはやっぱり変というふうに思われるんじゃないかと思うんですが、これって本当に国民会議が思っていたものなんでしょうか。
○参考人(宮武剛君) お答えします。
 私の理解としては、どんな時代でも、自分が努力するということはどの社会でも大事なことでございますが、共助というのは、そういう意味では、制度でいえば社会保険を軸にして日本は社会保障制度を確立してきたわけで、社会保険は民間保険とは違って私的なリスクではなくて社会的なリスクを対象にする。そして強制加入になっていますね。さらに、保険者は非営利団体が運営をしている。それを基に共に助け合うという体制をつくってきたわけでございますので、何かお隣同士で助け合うというような意味合いではなくて、システムとして貧しくなるのを防ぐ、防貧のシステムとして成り立っている。しかし、それでは救い得ない方に対しては生活保護に代表されるような公助で対処する、その理解は国民会議では十五人の委員全員が理解を深めてまいりました。それが今回の法案と先行きの施策に生かされるように願っていると言うしかありません。
○福島みずほ君 じゃ、伊藤参考人にお聞きをします。
 現状における医療制度改革、介護保険改革についての見解を教えてください。
○参考人(伊藤周平君) 一応レジュメに書いたとおりなんですけど、まず医療制度改革については、先ほども言いましたように、病床機能を全部報告させて、病床機能ごとのそういう計画を作った上で、特に急性期の病床を削減しようという、そういう意図が見られます。これをやってさらに、先ほどもお話がありましたが、診療報酬も上げないというようなことになったときに、本当にちゃんとした医療が賄えるのか、医療崩壊がますます進むんじゃないかというふうに思っていますし、何よりも、能力に応じた負担を求めると言いつつ、何で七十歳から七十四歳までの高齢者の一部負担金を法定の二割に戻すのかがよく分からないです。低所得の人も二割になるわけでしょう。これ能力に応じていないですよね、全然。
 だから、そういう意味で非常に、一言で言うと負担増と、それから給付を、給付の適正化とかいろいろな言い方していますが、療養の給付の適正化という方向も出していますが、結果としては給付の範囲を縮小してそれを削減していくということになるので、十分な医療が受けられなくなる。国民皆保険というのは守るとTPPの交渉でも言われていますけど、原則として医療保険に加入するというような言い方もしていますし、非常に何か、医療保険の国民皆保険は残ったとしても、空洞化していくんじゃないかというような危惧を抱いています。
 介護保険についても先ほどお話ししたとおりで、要支援の人を外したり、要支援の人を外したところで介護保険給付費の五%ですよね。だから、そういうのを考えると、本当に政策的にむしろ要支援の人を外すことで重度化していくんじゃないかと、だから給付費が増えるんじゃないかと思うんですが。
 すると、何か最近、ある現場で聞いたところで、要介護認定が厳しくなっていると。要介護の人が要支援に認定され続けている、そういうことまでやられていると。これで本当に高齢者、ますます、特に低所得な高齢者の、私は餓死とか本当に孤立死が多発すると思います、このままいくと。そういう意味でも、私は命が危ないと思っています、今の改革は。
 だから、改革じゃないですね、もう改悪ですね。だから、これを後押しするような法案というのは、私は、本当に憲法二十五条違反です。国民の健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を国が侵害していると思っています。
 そういう法案はもう断じて私は廃案にすべきだと。そればかり言っていますが、ごめんなさい、以上です。
○福島みずほ君 本当にどうもありがとうございました。
 ありがとうございます。
○委員長(石井みどり君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十八分散会