第185回国会 国家安全保障に関する特別委員会 第12号
平成二十五年十二月三日(火曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 十二月二日
    辞任         補欠選任
     荒木 清寛君     新妻 秀規君
     山田 太郎君     真山 勇一君
     井上 哲士君     山下 芳生君
 十二月三日
    辞任         補欠選任
     牧山ひろえ君     田中 直紀君
     清水 貴之君     中野 正志君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         中川 雅治君
    理 事
                佐藤 正久君
                島尻安伊子君
                西田 昌司君
                芝  博一君
                福山 哲郎君
                石川 博崇君
    委 員
                猪口 邦子君
                岩井 茂樹君
                宇都 隆史君
                江島  潔君
                北村 経夫君
                上月 良祐君
                佐藤ゆかり君
                二之湯武史君
                松山 政司君
                三宅 伸吾君
                大野 元裕君
                神本美恵子君
                田中 直紀君
                白  眞勲君
                藤田 幸久君
                牧山ひろえ君
                新妻 秀規君
                山本 香苗君
                小野 次郎君
                真山 勇一君
                仁比 聡平君
                山下 芳生君
                中野 正志君
                福島みずほ君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        五十嵐吉郎君
       常任委員会専門
       員        矢嶋 定則君
   参考人
       東邦銀行相談役
       元全国地方銀行
       協会会長     瀬谷 俊雄君
       弁護士
       日本弁護士連合
       会秘密保全法制
       対策本部本部長
       代行       江藤 洋一君
       新聞記者
       日本新聞労働組
       合連合中央執行
       委員長      日比野敏陽君
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  本日の会議に付した案件
○特定秘密の保護に関する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
○委員派遣承認要求に関する件
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○委員長(中川雅治君) ただいまから国家安全保障に関する特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日までに、山田太郎君、荒木清寛君、井上哲士君及び清水貴之君が委員を辞任され、その補欠として真山勇一君、新妻秀規君、山下芳生君及び中野正志君が選任されました。
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○委員長(中川雅治君) 特定秘密の保護に関する法律案を議題といたします。
 本日は、本案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。
 御出席いただいております参考人の方々を御紹介いたします。
 まず、東邦銀行相談役・元全国地方銀行協会会長瀬谷俊雄参考人でございます。
 次に、弁護士・日本弁護士連合会秘密保全法制対策本部本部長代行江藤洋一参考人でございます。
 次に、新聞記者・日本新聞労働組合連合中央執行委員長日比野敏陽参考人でございます。
 この際、参考人の方々に委員会を代表して一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ当委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。
 参考人の皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 議事の進め方について申し上げます。
 まず、お一人十五分程度で、瀬谷参考人、江藤参考人、日比野参考人の順に御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を受けることとなっておりますので、御承知おきください。
 なお、参考人の御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず瀬谷参考人にお願いいたします。瀬谷参考人。
○参考人(瀬谷俊雄君) それでは、瀬谷でございますが、この法案につきまして所見を申し上げたいと思っております。
 いろいろな利害というものがそれぞれのレベルにあってあると。企業には企業の利害がありますし、個人には個人のもあると。もっと突き詰めていきますと、省益があり、あるいは国益というやつがあると。そうすると、例えば今の国際的な緊張の問題、あるいはTPPにおいて議論が非常に厳しくなっております国際間の通商問題と、いろんなレベルでそういったものがあり得るんだと。それはやはり一つの、国家間の駆け引きといったらなんでございましょうけれども、そういうタクティクスの問題であると。したがって、こういう問題に携わる者は、非常に高度なレベルの国家としての機密を保たなくてはいけないと。もうこの辺につきましては、先生方も一様に御理解いただけているんだろうと思います。
 そういう意味合いにおきまして、本来この問題はわざわざこういう法案を作らなくてもいいんではないかと思うところもありますけれども、これだけいろいろな意味での外圧が強まっている中、やはりこれに対するペナルティーといいますか、秘密を守っていくということに対して規制が掛かってくるのはやむを得ないのではないかと。
 ちなみに私は、五回目ぐらいかな、もう参考人として出ておるんですけれども、ほとんどが金融経済あるいは金融に関する問題でございまして、今回の問題は全く言わば門外漢ではございますが、ただ、私は一市民として、一国民として発言の場があるならばそれは申し上げようと思っていたんですけれども、たまたま今日こういう機会を得たので申し上げている次第でございます。
 それで、この問題を深く掘り下げていきますと、結局は程度問題になってくるのではないのかなと。例えば、民間といえども、そういう重大な国家機密に関与する場合もあり得ないわけではないと。まあ余り具体的な例を挙げるのはどうかと思いますけど、例えば防衛産業に携わる社員さん、ここの会社は今我が国軍の使っている最新鋭のミサイルなんかやっているんだと、その設計に携わっていると。あるいは、もうちょっと分野を超えていいますと、今大変問題になっております原子力発電の問題につきましても、そのトップの技術者というのは、ある意味において非常に、何といいますか、私企業の一つの企業機密だろうけれども、それが結局国益と重なる部分が随分出てくるんではないかと、こういう感じがいたしております。
 そういう意味におきまして、その与件の変化といいますか、戦後何十年、私は今年七十七になりますから、年のことを言ってもしようがないんですけど、戦後の混乱とか、日本が占領された時代から現在まで考えますと、今までは日本というものの国の権益がやっぱり日米の傘の下に必要以上に保護されておったという感じがしないでもないと。じゃ、その弊害といいましょうか、そういう形として、やはりその国益、ナショナルインタレストに対して随分鈍感な国になっちゃったんじゃないかなという、そういう感じも実はいたしておるわけでございます。そんな意味で、今回そういうものを引き締めるためにこういうものはできてきたということはある程度時代的な流れかなと。
 ただ、先ほど程度問題と言ったのは、どこまでやるかということにつきましては、例えば国家権力によりまして我々民間の企業に携わっている分野、ものまでがそういうものの処罰の対象になり得ると、そういうことはどうなのかなと私は疑問を持っています。
 私は銀行員でございますから、銀行員の場合には、取引上知り得たお客さんの秘密、幾ら預金持っているとか、不良債権が何ぼあるとか、こういう問題は、これはもちろん現役の時代はお話も何もできませんし、退職後といえどもこの問題は守るべきだと。じゃ、これは、法律といえば法律なのかというと、そうじゃなくて、これは企業倫理の問題なんですよ。だから、その倫理でもって律しているんだと。それで、今まで何年かやってきまして、さほど大きな問題は起きないと。最近、都市銀行で反社勢力におきましてある問題が起きまして、やっぱりこの辺で何か呼ばれて参考人質疑があったようでございますけれども、ちょっとこれとはまあ別になりますけれども。
 結局、我々とすれば、そういうものは一つの企業の行動原理としてそれを律してきてやっているんだと。もしそれが毀損されると、いや応なしにその企業はお客さんから取引をやめられちゃうとか逃げられちゃうと、そういった意味の実質的なペナルティーを受けると。そこはあえて懲役何年なんという、そんなものまで設けてやる必要はないんではないかなと、そういうふうに思っております。
 ですから、私の方を見てうなずいていらっしゃる先生もいらっしゃるので大変心強いのでございますけれども、まあ私はこの問題についてはそれ以上でも以下でもないと。したがって、この法案に該当するそのナショナルインタレスト、それに該する範疇を極力絞って、そこに集中的に適用されたらよろしいんではないかと、このように思っております。
 私の意見は以上でございます。御清聴ありがとうございました。
○委員長(中川雅治君) ありがとうございました。
 次に、江藤参考人にお願いいたします。江藤参考人。
○参考人(江藤洋一君) 弁護士の江藤洋一でございます。
 本日は、一党一派のみならず、また選挙区のみならず、全国民を代表する先生方の前でこのようなお話をさせていただく機会を与えていただきまして、本当にありがとうございました。
 私は、法律家の立場からこの法案の問題点を指摘させていただきたいと思います。既に衆議院で修正されておりますので、そのことを前提の議論とさせていただきます。
 まず私は、国民の知る権利の重要性ということを強調させていただきたいというふうに思っております。
 この国民の知る権利と申しますものは、既に昭和四十四年十一月二十六日のいわゆる博多駅前事件の最高裁の決定において認められております。そこでは、憲法上認められている報道の自由、取材の自由が、この知る権利に奉仕すると明言されております。したがって、この国民の知る権利は、憲法上尊重されなければならないことは言うまでもございません。下級審の裁判例の中には、この知る権利は憲法上の権利であるとまで明言したものが散見されるほどでございます。
 いずれにいたしましても、国政の運営に当たりましても最大限の尊重をさせていただかなければならないと、このように考えております。
 ところが、この法案を見ますと、第二十二条、雑則のところに、国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分配慮すると、いわゆる配慮規定が入っているわけでございますが、いささかこの扱いが私は軽きに失しているのではないかというふうに考えます。まず第一条で、この知る権利こそ大事だ、この知る権利と国の安全保障上の秘密をどういうふうに調整させるかということが、まず述べられなければならないのではないかと、こういうふうに思うわけでございます。
 したがって、この知る権利と特定秘密の指定とのバランスを考えなければならない法案であるにもかかわらず、どうも特定秘密の保護の必要性が過剰に強調されているのではないかと、こういう懸念を持っております。
 政府の保有する全ての情報について国民がアクセスすることができ、秘密指定による制限はむしろ例外的なものであるということが、まず確認されなければならないのではないかというふうに考えております。実は、この点に関し、この六月、ツワネ原則というものが発表されまして、人権保障と安全保障上の秘密の保護との調整を考慮した国際水準の法原則として提起をされております。これは本当に尊重に値するものではないかなというふうに私ども考えております。それを直接この場で法案に盛り込めという趣旨ではございませんが、その趣旨は十分に生かされるべきであると、こういうふうに考えております。
 そこで、この国民の知る権利と特定秘密保護の必要性とのバランスの問題でございますが、先ほど瀬谷参考人からもございましたように、特定秘密の保護が我が国の安全保障上必要だということはそうかもしれませんが、その安全保障の受益者は文字どおり国民にほかなりません。したがって、安全保障を理由とする秘密であっても、それは究極的に国民の利益を守るという大義がなければならないと、このように考える次第でございます。したがって、憲法上保障されている基本的人権、ないしこれと同等の保障を要する国民の権利の侵害に関する情報、ないしそのおそれのある情報は秘密にされてはならないと考える次第でございます。
 安全保障上の利益は国の利益であり、それは政府の利益ではなく、各省庁の利益でもなく、またお役人の利益でもございません。違法秘密は、言うまでもなく、このような政府の利益、省庁の利益、お役人の利益を秘密指定してはならないということがまず確認されなければならないのではないかと、このように思う次第でございます。秘密指定をしてはならない事項を義務規定として明文で定めるべきではないでしょうか。本法案には秘密指定の禁止に関する義務規定が一切含まれておりません。行政機関に対する権限付与規定のみが突出しており、非常に均斉の取れていない法案となっているという気がいたします。
 秘密指定の方法とその有効期間についてでございますが、法案第三条に定める指定方法は、まず別表が広きに失し、特定性に欠けるのではないかと考えます。また、指定要件である我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため特に秘匿をすることが必要ということも、これまた抽象的であり、判断権者の恣意的な運用を免れないというふうに思います。
 指定の有効期間は六十年まで延長することができることとなっております。それ自体長きに失し、そもそも秘密指定の必要性すら疑わせる事態と考えられるところでございます。しかも、例外的に六十年以上秘密にできる事項がございますが、その中を子細に見ますと、第五号暗号を除き、むしろ悪用や弊害の懸念があるというふうに考えられます。
 秘密指定の解除に関しましても、単に要件を欠くに至ったときと定められておりますが、元々の要件が曖昧である以上、この解除もまた恣意的にならざるを得ないと考えられるところでございます。
 さて、そうはいいましても、この秘密指定されましたら、その秘密について保護措置が取られなければなりません。この秘密指定の保護に関し、法案では、秘密を取り扱わせる職員の範囲を限定し、それ以外には秘密指定、特定秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める措置を講ずると定めているにすぎないのであります。特定秘密の物的管理こそ秘密保護の要であるのに、これを政令に任せ、しかも白紙委任しており、物的管理に関し極めて責任感の希薄な法案となっております。
 平成二十三年八月八日に提出された「秘密保全のための法制の在り方について」と題する報告書がございますが、その中で立法事実とされた各種漏えい事件がございますが、いずれも秘密を扱う職員以外の者による漏えいでございました。つまり、秘密を扱う職員以外の者が容易に持ち出したことによって漏えいされたのであります。ならば、この管理こそ厳重であってしかるべきであるのに、この点の問題意識がこの法案には全く欠けていると言っても過言ではございません。
 最も大事な物的管理をなおざりにし、重罰により国民を威嚇する内容のこの法案は余りにも旧態依然としたものではないでしょうか。
 この物的管理の問題とともに、公務員の業務の過程で作成された文書やメール等の電子媒体の保存につき義務規定を設け、文書等の破壊行為を禁じる旨の明文の規定を置くべきであると考えます。そうしなければ、例えば相手国において開示されながら、我が国においては文書が存在しないので開示できないという主張が堂々とまかり通ってしまうことがございます。その危険を感じるわけでございます。
 なお、管理を行う職員についての適性評価に関しては、その適用範囲が余りに広過ぎ、プライバシー侵害や思想調査による思想介入が懸念されるところでございます。
 この特定秘密につきましては、これを提供できることとなっておりますが、その二つの場合について少しく意見を述べさせていただきたいと存じます。
 特定秘密を提供できる場合につき、外国政府に提供できる場合と国会に提供できる場合、九条と十条に記載ございますが、この外国政府に提供できる方が要件が軽く、いかにも国会軽視の感を否めないという気がいたします。国民に提供されない情報が外国政府にやすやすと提供されるということ自体、国民主権を空洞化させかねない危険をはらんでいると考えるところでございます。
 また、外国政府に対する場合も国会に対する場合も、いずれの場合も行政の恣意的判断を排除できていないということが問題でございます。とりわけ国会との関係では、秘密保護に関し行政優位の姿勢が保たれており、憲法の想定する統治機構の在り方をゆがめているのではないかとの懸念を払拭できません。後に述べるように、国会の行政に対する監視機能を強化すべきであるというふうに考えます。
 そこで、秘密指定の適法性、妥当性の検証について意見を申し述べさせていただきます。
 この秘密指定の問題点は、指定された秘密が果たして適法、妥当なものか否かが国民には分からないという点にございます。知らしむべからず、よらしむべしの姿勢は現代の民主主義国家にそぐわないものでございます。そこで、その検証が適切に行われなければならず、その手だてについて申し述べさせていただきます。
 まず第一に、検証のための第三者機関を新たに設けることが考えられます。第三者機関と言えるためには、完全に独立した第三者性が保持されなければなりません。したがって、内閣や行政庁の中に設けられたいかなる機関も第三者機関とは申せません。
 第二に、国会の国政調査権の拡充が考えられます。法案の第十条一項一号では不十分であります。そこでは提供する場合の要件も定めておりますが、それ以前の問題として、そもそも秘密指定したことの適法性、妥当性が問われなければなりません。行政が我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたときに情報提供できることとなっております。
 しかし、そのような情報など元々秘密にする必要などなかったものでございます。これは三条一項を見れば明らかでございます。つまり、第十条一項一号の文意は、行政から見ますと、元々秘密指定したのは安全保障上著しい支障があるからであって、そうである以上、国会にも提供できないと言っているにすぎません。この条項によって国会に提供できる場合とはいかなる場合か、私考えてみましたところ、恐らく、我が国の安全保障に著しい支障がなくなったにもかかわらず、いまだ秘密指定が解除されていないものに限られると、こういうことになろうかと思います。無条件で提供するのでない限り、国会の監視機能もおぼつかないものになるのではないかというふうに考えます。
 第三に、国民による直接の検証、監視が考えられます。そのために情報公開法がございますが、残念ながらその内容は必ずしも十分なものではございません。最低限、裁判所におけるインカメラ審理は不可欠であると考えます。また、公益通報者、内部告発者の違法秘密の通報、告発に対しては適切な法措置が講じられなければならないというふうに考えます。
 最後に、罰則のもたらす影響について一言申し述べさせていただきます。
 罰則による威嚇には大変甚大なものがあり、雑則に抽象的な配慮規定を挿入した程度では解消されません。また、第二十二条二項は、専ら公益を図る目的以外のものは正当の業務ではないと言っているに等しい状態になっております。専ら公益を図る目的というだけでは余りにも狭過ぎ、つまり処罰範囲を広げた結果になり、かえって萎縮効果を強めているのではないかということが懸念されます。
 刑事責任は、犯罪の構成要件該当性、違法性、有責性の三つがそろって初めて問えるものでございます。このうち、正当業務行為と申しますものは、このうちの違法性の阻却事由とされております。構成要件該当性まで阻害されることにはならないわけでございます。ところが、実際の司法の実務のレベルでは、この構成要件該当性のレベルで逮捕状、勾留状、捜索差押令状が発付されることが予想されます。秘密指定の要件そのものも曖昧でございますが、この刑罰規定も曖昧かつ広過ぎ、罪刑法定主義に反するのでないかが更に懸念されるところでございます。
 また、第二十五条に言う共謀、教唆はいわゆる独立犯でございます。刑法上の共謀、教唆とは異なり、本犯の実行行為がなくとも、それだけで独立に処罰の対象となる。加えて、未遂、過失が処罰されることとなっており、処罰の範囲の広がりが途方もなく、そのことだけでも計り知れない萎縮効果を与えるのではないかということが懸念されるところでございます。
 第二十四条の特定秘密の取得行為に目的を加え、目的犯としたことは半歩の前進であろうとは思います。しかし、そもそもの管理侵害行為なるものが曖昧であり、拡張的な運用が懸念されるということについては変わりございません。いずれの場合も実際の捜査段階ではほとんど顧慮されることなく令状が発付される可能性を否定できません。
 したがって、裁判において無罪になれば事足りるということではなく、逮捕、勾留され、あるいは捜索、差押えを受けるというそのこと自体が大変な不利益であり、しかもその損害は回復し難いものがございます。あるいは、さらに、逮捕や捜索さえ必要なくなる危険があります。逮捕するぞ、捜索するぞという文字どおりの威嚇が国民を黙らせ、萎縮させることになるのではないかということを恐れるところでございます。
 先日の自民党の石破幹事長のテロ発言は、第十二条に定めますテロリズムの定義の規定と関係しております。このテロリズムの定義をお読みいただけば分かりますが、単なる自分の意見を人に強要することが目的ではなく、それ自体がテロリズムというふうに読めるような文意、文章構造になっております。そうではないと森大臣は答弁はされておりますが、文章そのものを見ると、句読点の付け方を見ると、文字どおりそのように読める。政府はそうではないと、大臣はそうではないとおっしゃられますが、石破先生の御発言に沿った解釈がなされる以上、この法律が言論弾圧、政治弾圧に利用される可能性を示唆しております。
 以上の次第でございますので、私は、この法案は小手先の修正では是正できない重大な欠陥を有しており、廃案にすべきと思料するところでございます。
 御清聴ありがとうございました。
○委員長(中川雅治君) ありがとうございました。
 次に、日比野参考人にお願いいたします。日比野参考人。
○参考人(日比野敏陽君) こんにちは。日比野でございます。
 本日は、このような場に発言をする機会を与えていただきまして、誠に光栄であります。ありがとうございます。
 今日は、一新聞記者として、そして全国の多くの新聞記者が加盟する日本新聞労働組合連合の代表としてこの場に来ておるところです。日常的に取材、そして報道の仕事に携わる者として、この秘密保護法案には極めて問題が多く、国民の知る権利に奉仕する取材、報道の自由を大きく損なうものであるということを指摘させていただき、廃案にするように求めたいと思います。よろしくお願いいたします。
 まず初めに、この法案には、知る権利、取材、報道の自由が盛り込まれておりますが、その評価について述べたいと思います。
 法案第二十二条で、国民の基本的人権を不当に侵害することがあってはならず、国民の知る権利に資する報道又は取材の自由に十分に配慮しなければならないというふうにされております。当初の原案になかった知る権利への言及があり、政府答弁では、これで報道や取材が過剰に規制されることはないというふうに説明を受けておりますが、私にはとてもそうは思えません。
 同じ二十二条の二には、取材行為について、著しく不当な行為と認められない限りは正当な取材だとしております。この著しく不当な行為とは何でしょうか。極めて曖昧であります。
 これまでの政府の説明では、取材対象者の人格を著しくじゅうりんする、そういったものだと説明されております。また、森大臣は、衆院本会議で、単に酒席において情報を得る行為は不当な行為に当たらないというふうに答弁されています。しかし、こういった説明も極めて曖昧であります。著しくというのは何でしょうか。取材内容によっては私たち記者は、現実には、相手に対して厳しく迫る、言葉として厳しく迫ることは少なくはありません。また、単にというお酒の席とそうでないお酒の席があるのでしょうか。
 公務員の皆さんと、また関連の皆さんと、そして国会議員の先生方ともお酒を飲みながら取材をする、若しくは取材につながるようなお話をするということは、私にとっても、そして皆様方、先生方にとっても日本の中では普通にあることだと思います。新聞記者にとっても、そういったお酒の席というものは、単にだろうが単にではなかろうが極めて日常的なことであると思います。法案の内容や政府の説明は、こうした取材、報道の現場の事情からは極めて懸け離れた非常に非現実的な規定であるとまず指摘させていただきたいと思います。
 そもそも、この二十二条の配慮するというその主体は誰でしょうか。取材、報道する側の意向に関係なく捜査当局が配慮するわけですから、この規定は明らかに、捜査当局に配慮してもらうように取材中も自分でいい子になれ、規制しろと言われているというふうにしか思えません。
 率直に言って、私たちにとってどのような形で取材をするのか、その手法について当局にいろいろと指図される筋合いではありません。重要なことは、これは重要なことです、その取材によって国民、読者の知る権利にこたえられるかどうかであります。私たち新聞労連は、国際ジャーナリスト連盟、IFJに加盟しております。取材の手法について、このように言わば箸の上げ下げのように当局の介入を許すような法律は先進国ではほかにないというふうに聞いております。
 そもそも、知る権利、報道等、取材の自由が追加条項として盛り込まれたとしても、この法案が成立すれば、私たちの取材相手である、そして情報源でもある公務員の皆さんが、そして関連の皆さんがこれまで以上に萎縮して、国民そして読者に知らせるべき重要な情報も出てこなくなる、これは確実であると思います。報道の除外規定があったとしても、取材対象者が過剰に萎縮してしまう、それが全く機能していない、その例は既に個人情報保護法の施行によって明らかになっていると私は指摘をさせていただきたいと思います。
 二〇〇五年の個人情報保護法の施行以降、警察を筆頭に、全国で官庁の出す情報から個人名が消える傾向にあります。都道府県警は今、例えば交通死亡事故に関する発表で、AさんがBさんの乗用車にはねられて死亡したというような発表を当然のようにするようになっています。本当にこの事故があったのかというようなことも疑わざるを得ないような発表、情報提供が堂々となされているという実態が増えております。個人情報保護法には報道除外規定が入っております。しかし、情報を出す公務員が過剰に反応し、今やそれが当然のようになっている。それが様々な社会的支障を起こしていることは議員の皆様方も御存じのとおりではないかと思います。
 秘密保護法案は、秘密をもたらすよう教唆した人や扇動した人を処罰対象としております。これでは、実際には秘密情報を取得できなくても、そして報道に至らなかったとしても、秘密を取り扱っている相手に接触し、取材しようとしただけで教唆や扇動の罪が成立してしまう可能性が強く、重大な懸念を抱いております。また、形式的に犯罪に該当する、しかし、接触したことですね、公益目的、かつ正当な取材であれば許すというこの法案の構造自体が非常に問題であるというふうに指摘させていただきたいと思います。
 なぜなら、裁判で無罪になるかもしれないけれども、訴追はできるということであります。要するに、取材や報道の邪魔はすることが可能だということであります。ある問題の一番報道しなければならないタイミングでそういった圧力があれば報道はできません。そういったツールを時の権力が握るということになります。その恐ろしさを是非多くの皆さんに、議員の皆さんに自覚していただきたいなというふうに訴えたいところです。
 また、仮に記者、ジャーナリストが処罰対象にならなかったとしても、情報を記者に提供した人を逮捕、起訴してしまう、そして公判を維持しようとすれば、その記者は無関係ではいられないということです。捜査当局は、記者にどのような情報が提供されたのか立証するために、記者のメモや資料を押収したり、新聞社やテレビ局の捜索に入ることもあり得ます。こうなれば、仮に記者が逮捕されなくても、報道に対する事実上の弾圧が可能になるというふうに考えます。
 知る権利は、それを幾ら振りかざしても、国民、読者に伝えなければならない情報は出てきません。自動販売機にお金を入れれば缶コーヒーが出てくる、そのようなわけにはいかないのです。法案に国民の知る権利と報道、取材の自由を入れたら、国民にとって重要な情報が出てくるというわけではありません。これまでにも述べたように、取材、報道は、人間対人間の極めて泥臭い仕事であります。情報は人間から取るしかないのです。
 私は、こういった泥臭い新聞記者、ジャーナリストの営みが全国各地で行われているからこそ、日本の民主主義と民主主義の文化が成り立っているのだと思います。その意味で、この法案が成立すれば、主権者たる国民が正しい情報を得られず、正しい判断ができない、そして日本の民主主義を根底から脅かすものになると言わざるを得ません。
 秘密を取り扱う公務員と報道機関の接触に規範を設けるかどうかという議論についても考えを述べさせていただきたいと思います。
 結論から言いますと、このような倫理規程はどのようなものであっても不要だと指摘したいと思います。既に述べたとおり、取材や報道の現場は極めて個別そして具体的であり、人間くさい作業です。規程や規範を念頭に仕事をすることはあり得ません。規範などは取材現場に萎縮効果をもたらすだけだとここで強調させていただきたいと思います。
 また、新聞記者の立場として、同じ報道、表現に携わっているフリージャーナリストの皆さんの立場でも一言申し上げたいと思います。
 法案では、報道の業務に従事する者の取材行為については保護されるとなっております。報道の業務に従事するというのはどういった人なんでしょうか。誰が線引きをするのでしょうか。これも捜査当局になるわけです。今、日ごろは別の仕事をしながら取材活動を続けている、そういったフリージャーナリストはたくさんいらっしゃいます。新聞やテレビだけでなくインターネットメディアで様々な人が発信を続けているわけです。こういった人たちの中で一体誰が報道の業務に従事している者なのか、そういったことを常に捜査当局が監視するというようなことになるのは極めて不健全な社会になるのではないかなというふうに思わざるを得ません。
 健全なジャーナリズムは民主主義社会に不可欠な機能であります。私の尊敬する通信社のある記者は、最近の記事で、ジャーナリズムの本義は権力の監視にあると断言しておられます。そして、権力の不正に関する情報は外部からもたらされることはないんだと、内側にいて間違いを正したい、そういった内部告発者からこそもたらされ、それがジャーナリズムを機能させているんだというふうに指摘されております。
 全ての人や組織に矛盾があります。そのように、あらゆる権力も矛盾をはらんで必ず不正や腐敗があると思います。権力の内部にいる公務員の皆さんは時の権力に奉仕するわけではなくて国民に奉仕するわけですから、不正を通報するのは国民の義務としても当然ではないでしょうか。権力の内部で不正を告発する人の存在はジャーナリズムの健全な成長にとって不可欠なことであると思います。そして、それは民主主義社会にとって不可欠なものであると思います。秘密保護法案は、この民主主義社会にとって不可欠な存在を懲役十年の重い罰則で抑え込むことになる。これが日本社会と民主主義の健全な発展につながるとは到底思えないと指摘させていただきたいと思います。
 終わりに、国の政府の情報は誰のものかということに言及をさせていただきたいと思います。
 政府の情報は、主権者である国民のものであり、政治と政策に対し私たちが適切な意見を述べるためには、全てが公開されることが前提になっていると思います。私たち報道の仕事も主権者の判断に資することが重要な責務の一つだと考えております。もちろん、一定程度の秘密は一定期間は公開できない、そういったものがあることも現実であると思います。しかし、法案では六十年も秘密にできることになっている。六十年後では当事者の多くは生きておりません。それでは検証や、検証効果からより良い政治と政策を実現することも不可能になってしまうのではないかと思います。
 さて、自民党の石破幹事長は街頭デモをテロ行為と共通していると指摘されました。撤回をされましたが、事の本質が解決されたとは到底思えません。秘密保護法案ではテロリズムを、政治上その他の主義主張に基づく、国家若しくは他人にこれを強要するといったように定義しております。このとおりなら、新聞の社説やコラム、そしてあらゆるジャーナリストの原稿もテロ扱いされるのではないかという声が新聞記者仲間からも上がっております。まさに、この部分にこの法案の本質が隠れているのではないかと指摘せざるを得ません。
 この法案の審議を見る限り、私たち報道関係者の危機感は増すばかりであります。国会では、処罰対象となり得る取材方法について、質問に答える範囲でしか説明をされておりません。当局の恣意的な運用が起きることは確実だとほとんどの記者が考えております。政府・与党は今国会で成立を急いでおられますが、参議院は良識の府であります。衆議院のような強行可決は絶対に許されないと思います。
 このような問題が多過ぎる法案については廃案にすべきだと訴えさせていただきまして、終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○委員長(中川雅治君) ありがとうございました。
 以上で参考人の方々の意見陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○江島潔君 おはようございます。自由民主党の江島潔と申します。
 今日は、三人の参考人の先生方に本当にお忙しい中御出席を賜りまして、御意見を拝聴させていただきまして、ありがとうございました。
 それでは、順に参考人の先生方に質問させていただこうと思います。
 まず、瀬谷参考人にお伺いさせていただきます。
 先ほど御意見御陳述された中で、日本が米国の傘の下で長い間守られてきた分、少し日本人はこの秘密というものに対して鈍感になっているのではないかという御意見を伺いまして、私は、ああ、それはすごくあるんだろうなということを感じたところであります。
 近年は、御案内のように、非常に隣国との領土に関するあつれきというか、いろいろな圧力が掛かってきているところでありまして、それに対しまして日本国としては領土をしっかりと堅持するための様々な対応を取っているわけでありますが、実態としてはこれは、しかしやはり米国との同盟関係なくしては全く恐らく歯牙にも掛けられないだろうなというのが悲しいかな現状でございます。
 こういう中で、やはりこの日米の同盟というのは非常に重要だなということを改めて感じたところでありますが、一方で、日本独自としてどういうことができるのかということに対して今まで余りにも考えてこなかったというのは、もう御指摘のとおりではないかと私も感じるところであります。
 一方で、瀬谷参考人は金融界で長らく御活躍をいただいたわけでありますけれども、私も存じ上げている範囲では、非常にこの金融界というのは、例えば内部情報に対しての少しでも漏れるということが物すごく厳しく律せられる、あるいは場合によっては罰せられる、インサイダー取引なんかではもうどんどん逮捕者が出ると、厳しい世界だなということを私も外部にいて感じているところでありますけれども、それだけやはり情報が漏れると誰々が特定の不当な利益を得るとか、あるいは別のグループが特定の不利益を被るということが非常に明確になる世界であろうと思いますし、また、だからこそこの明確なルールがあり、あるいは厳しい罰則があるんだと思うんですが。
 この一方で、国益を守るための情報というものに関しましては、例えば我が国の国益を守るべき防衛情報が漏れた場合に、即座にそれが不利益となって現れるというよりも、むしろじわじわとボディーブローというような形で効いてきて、何年かにかけて日本の防衛技術であり、あるいは防衛体制に対する対策を取って、結果的に日本の防衛力が有効に働かなくなるというような形で効いてくる。なかなか目に見えてすぐ、その情報が漏れるということがどれだけの不利益になるかというのが分からない世界でもあると思います。
 そういうものに対する懸念を、今回は、厳しい公務員を主とするこの情報管理をする集団に対する特定秘密保護法案というふうに私は理解をしているところでありますが、瀬谷参考人の御視点から見て、この金融界のいわゆる情報管理、そしてそれに伴う様々な罰則規定に比べまして、今回のこの特定秘密保護法案の罰則規定を設けるということに対しては、どういうふうにお考えでございましょうか。
○参考人(瀬谷俊雄君) ただいまの江島先生の御発言は、誠に私は当を得たものであると。先ほどちょっと触れましたように、我々金融業というのは、今日から銀行を開きますといってオープンできるものじゃないと。必ずこれについては、許認可といいますか、我々とすれば金融庁の認可を得て仕事をしているし、業績についてもあるいは内部の不祥事件についてもあらゆる問題について管理監督を受けているわけでございます。もちろん銀行法という法規もございます。
 ですから、先ほど申し上げましたように、我々はその範囲内においてきちんと仕事を進めていって、もしよしんば何かそういった、今の秘密漏えいや何かにつきましては、先生おっしゃったように、法的に言えばインサイダーの問題もあり得ますし、あるいは再びの不祥事件もありますが、前者の場合には、いろいろな意味において、金融庁からの処罰という問題で業務改善命令なりなんなり出てきますし、物によってはこれは一つの刑法にも抵触いたしますので、そういうことで逮捕されると。もちろん新聞に報道されまして、レピュテーショナルリスクというものが大きく拡大すると。そういう意味で、何といいましょうか、そういうルールがうまくワークしていると私は思っております。
 ところが、今回のこの特定秘密、これは全く我々の民間のそういったビジネス上の問題とはジャンルが違うと。先生おっしゃったように、国益の問題にぶつかるわけです。じゃ、その場合、国益とは何ぞやと。国益と言えば全てがもう黙らざるを得ないほどあれなのかと。
 もう一つは、知る権利ということです。知るって、どこまで知りゃいいんだと。例えば、我々は何度か衆参両院の選挙をやらせていただいています。選挙は何だといったら、その政党が掲げる一つの政権運営に対する信任投票あるいは不信任投票であるかもしれないし、あるいは洗い替えかもしれないんですよ。そのとき、じゃ、どれほどまでの情報を全部開示しているかといったって、それは今の与野党、ここから先は少し言葉を差し控えますけれども。
 じゃ、そこのところは、例えば防衛に関する情報、あるいは今問題のTPPに対する、一センチ以上も譲れないとおっしゃっているその一センチの中身は何だと、こうおっしゃっても、それは政策当局は知っているけど、それをなぜ開示しないと。じゃ、それはマスコミの方々が一センチの中身をもっと開示しろと、せめて全部とは言わないけど九ミリぐらいまで開示しろとおっしゃるのかどうか。この辺の開示を迫る正当性とはどこにあるのだろうかと。つまり、だから知る権利というのは、一体何がどこまで、それを言わば当然知らしめて知るべきなんだろうかと、それが、そのルールが貫徹されなければその国はもう駄目なのかと、この辺について私は非常に疑問を持っております。
 あと、ついでに申し上げたいのは、今のお二方の参考人の御意見を拝聴していますと、やはり行政が、何というか、国政というか憲政に対する優越といいますか、やっぱり独走するんじゃないかと、そういう懸念といいますか、何というんですか、行政優位でどんどん事を運んじゃうと、それの懸念はあり得ると思います。そういう御懸念はあり得ると。このままこれが成立していくと、やはり場合によってはその恣意的な運用というものは出てきて、それがある種の弊害をもたらすかもしれないと。
 じゃ、私はこの日本のシステムというのは、政権というのは、まあ一つの政党が政権をお取りになってある政策を進められると。でも、それが何年か後には必ず衆議院の場合には解散総選挙となりますし、この良識の府といえども六年間たてば一応洗い替えが行われると。そこで、例えば今幾つか申し上げた、そういったTPPの問題にしろ日米安保の問題にしろ、もっと突き詰めて言えば沖縄というものの存在をどういうふうに定義付けるか、それをどう将来考えていくかと、この問題について私は十分過ぎる情報はもう開示されていると思う。それが不当に、何といいましょうか、抑圧されることはないと、こう思っております。
 だから、例えば、私は経済関係を主としてやってまいりましたから、いつも記者会見というのは日銀記者クラブでやるんですよ。日銀記者クラブというのは日銀の片隅にありまして、そこにマスコミの方が集まるのでございますけど、ここも実を言うとかなり閉鎖的でございまして、誰でも入れるわけじゃないんだ。その認めた人しか入れない。どうしてそうなっているか分からぬけどね、だから地元の秘書が来ても入れないというんですよ。なぜ入れないんだと言ったら、いや、そこはちゃんとそうなっている、全てがそうですと。全てがそうですということは、通産なら通産、大蔵なら大蔵でそういう記者クラブがあって、そこがそれなりのグループをつくっているから、そこが一つの、まあちょっと何というか、なれ合いみたいなところになっていてね、そこを声高にどうこう言いますけど、そんな問題はないと思う。
 だから、例えば言論の弾圧なんというのは、明治時代じゃあるまいし、そんなことで恐らく政府はもたないと、絶対もたないよ、いずれ潰れるんだから。だから私は、個々の問題があっても、最終的には選挙という洗い替えの制度がある以上、その点はもうちょっとおおらかに見ていいんではないかと。
 ただ、今諸先生がおっしゃったように、私も初めて耳にするお話がいっぱいあるんですけれども、これはやっぱりちょっと危ないなと。いや、決して笑い事ではない。だから、第三者機関設けるなら、俺も年だけど委員に立候補して出てみようかなと。
 そういう、何というか、要するにコモンセンスという枠で考えた場合に、私は、ちょっと瑕疵はあるだろうけど、まあいいじゃねえのかと、これは必要だよと。当然、この辺で、日本という国も少し情報音痴という面から独立して、日本としての主権をどう守るべきかということについてきちっとした対応をしたらいいと。
 例えば、中国が設定した例の領空の問題ですね。あれもかなり恣意的なお話でございまして、今日、総理と何かバイデンさんが話をするということらしいですけれども、あんなものもやっぱりこれは非常に許せない話でございますし、そういう事象が起きてくればくるほど、やっぱり我々としては、本来、国民が本当に知らなくちゃいけない問題、そういう問題の情報と、それから特殊なそういう防衛関係、外交関係、あるいは通商関係の情報については、その一部のところはやっぱりひとつシークレットにしておいていいんじゃないかと、こう思う次第でございます。
 ちょっと御質問の趣旨に沿ったかどうか分かりませんが、以上でございます。
○江島潔君 ありがとうございました。
 それでは、江藤参考人、日比野参考人に一つずつお伺いさせていただきます。時間の関係上で、もう簡潔なお答え聞かせていただければと思います。
 まず、江藤参考人には、弁護士の御専門の立場から大変にまた貴重な御意見いただきました。
 その中で、一点、六十年間というこの期間が長過ぎるという御意見ございましたのですが、これは私が今理解している限りでは、修正協議の中で、最長三十年、そこから先は五年ごとに時の内閣が延長するかどうかを調べながら、それでもマックス六十年。それで、六十年とした理由というのは、やはり人的情報になりますと、例えば二十歳のときにかかわった人が三十年だとまだ五十歳で十分存命なので、そういうものに関しましては非常に特殊な例として三十年延ばすという、私はこれに関しては非常に納得をしているところなんですが、この点に関して、この六十年というのは、私はある程度納得しているんですが、それに関しての御所見をお伺いできればと思います。
 それから、日比野参考人におかれましては、マスコミの立場から取材の正当性、そして民主主義の成り立ちが、そこが立脚しているというのは本当に私もそれは感銘を受ける御意見でございました。その中で、この取材の方法というのが、いわゆるその通常のというところなんですが、恐らく今回想定しているのは、通常というんじゃなくて、いわゆる飲ませ食わせとか、あるいは色仕掛けとか、そういうものも絡めた、おかしな、常軌を逸した取材というものを想定しているのか、そこの点に関してはどういう御所見でございましょうか。
○参考人(江藤洋一君) 確かに先生のおっしゃるような事態はあるとは思うんですが、そこだけを取り出すと確かにそういうふうに見られるかもしれませんけど、規定の運用の仕方、在り方から見ると、六十年というのはいかがかという意味で先ほど申し上げました。
 さらに、もう一つ言わせてもらえば、その例外の中を見ていただくとお分かりのように、結構たくさんありますよね、六十年を超えるものもあるということで、これは果たしてそれほどのものなのかどうなのかが国民に分からないままであるということの危険性ということを申し上げたわけでございます。
 例えば、外国政府との約束でそういうふうに言われたものと申しましても、例えばですよ、じゃ、そういうふうに、そういう提供の仕方をしてくれと言えば恣意的にそれが運用されるというのは幾らでも可能なわけでございます。つまり、ある種の黒船論のような話でございまして、外国から言われています、だから出せませんと。でも、その外国へ依頼したのはどなたですかということは分からないし、それが本当にそんなものなのかどうかというのは分からないというのが、根本に私は疑問があるというふうに思っております。
 その中で考えますと、確かに今言った、先生がおっしゃった例は、個人的な存命の期間にそういうことが明らかになる、それはそうでしょう。だけど、そこに書かれていることが全てがそうなるとは限らないし、むしろ危険の方が大きいのではないかという趣旨で申し述べさせていただきました。
○参考人(日比野敏陽君) ありがとうございます。
 取材の方法、手法について、常軌を逸したもの等についての御質問でありましたが、取材の手法、形というのは、何が常軌を逸しているのか、何が正当なのかというのは、やはりその時代によっても違いますし、その人の判断によっても違いますから、そういった取材の手法が問題にされるのではなくて、結果的にどんな手法であろうと国民に伝えるべき、本来伝えるべき、つまり、ある種の権力によって恣意的に隠されているような情報については伝えるべきものを伝える、その伝えるべきものが、その伝えたものが国民の知る権利に資していればそれは全然問題がないというふうに思いますし、そういった取材の形で判断されるということは本来あってはならないというふうに思います。
 何が常軌を逸しているのか、そもそも何が常軌を逸しているのか逸していないのかを誰が判断するのかというのは、この法案では捜査当局になるわけですから、それは私たちの立場としては到底受け入れられないというふうに言わざるを得ないというふうに思います。
○江島潔君 どうもありがとうございました。
○白眞勲君 おはようございます。民主党の白眞勲でございます。
 今日は、お三方に来ていただきまして、本当にありがとうございます。早速でございますが、質問の方させていただきたいと思います。
 江藤参考人、日比野参考人は、それぞれ廃案に、この法案についてすべきだというお話をされました。また、瀬谷参考人は、今のお話を聞いていますと、今のお二人の参考人の話を聞いていて、ちょっと危ねえなと思ったよというお話をされたと思うんですね。
 つまり、やっぱり私、そこが本質だなと思っているところがありまして、この法案の重要性とか、この、今まさに瀬谷参考人がおっしゃいましたように、危ねえなとみんな思っているんですよ。秘密を国が持つのは当たり前じゃないかと、その管理する法律については当たり前じゃないかというのは、我々民主党でも、恐らくここにいる議員の皆さん、あるいは傍聴人の皆さん、見ていらっしゃる皆さん、みんなそれは思っていらっしゃる。しかし、内容的にはもっともっと議論をしなければいけないんじゃないのかという部分、そしてまた、国民の皆様がそれをしっかりと把握して判断をしていただくような議論をしていかなきゃいけないというふうに私は思っているんですね。
 そういうことの中で、瀬谷参考人にちょっとお聞きしたいことがあります。この前、福島の公聴会で七人の、御存じのように意見を述べられた方の中、賛成者、この法案についての賛成者は一人もいらっしゃらなかったと。慎重に国民のために議論を尽くすことが大切だとか、あるいは原発事故の経験の関係で、一番大切なのは情報公開だというふうに語った方もいらっしゃったということでして。ところが、その翌日に衆議院ではもう可決をされてしまったんですね、我々は強行採決と言っているわけなんですけれども。
 つまり、福島の公聴会は単なる儀式にすぎなかったんじゃないか、こういう非常に厳しい意見も相当あるわけなんですけれども、瀬谷参考人は福島との御関係も非常に深いわけですし、それからまた、第二次世界大戦も御経験されているという、戦前のそういう日本の状況もよく御存じの中で、やはりこういう議論というものについてどういうふうにまずはお考えになっているのかをお聞きしたいと思います。
○参考人(瀬谷俊雄君) 私も、この問題については非常に遺憾に思っています。普通、何かいろんな問題があって、例えば消費税導入のときもそうでございましたけれども、各界からパブリックオピニオンを募って意見を聞くんですよ。私は、消費税のときにはそれをやりまして、そのときは、それの元請と言っちゃなんですけれども、どんな人を選んでどんな意見を開陳すべきかと。私は、単に銀行という立場を離れて、何というんですか、福島の一つの識者として委託されたと思って、一生懸命選びました。大体それで、賛否両論では半々に分かれましたね。それはもちろん、お願いするときからある程度予期しているわけです。
 ところが、今回の問題は、全然私の知らぬことに、誰が決めたか知らないけれども、私は関与していないんですよ。それで、こうなっちゃったんで、某先生に申し上げたんです。あれは一体何ですか、あの問題は。少なくとも、県民二百万いたらば、その中でこの問題についてどうこうといろいろ賛否両論あってしかるべきだ、それが全く全部反対になっちゃったと。その翌日に、先生おっしゃるように強行ですかね、あれはね、採決が行われて、ああなっちゃった。私自身も非常にこの問題については違和感を持っております、これは率直なところ。
○白眞勲君 ありがとうございます。
 瀬谷参考人は、秘密については、これは重要性な部分というのはあるんだというふうにおっしゃっておりますけれども、やはり国益と知る権利が、何がどこまで、国民の知る権利と国益との関係について疑問を持っているんだということを、今おっしゃった中での、行政が独走する懸念というものを今御指摘されました。まさに私はその部分が今回非常に重要な部分でして、今、民間の銀行としてのその倫理、銀行員の倫理というのはこれは大したものだということをおっしゃいましたけれども、あえて言わせていただければ、公務員の皆さんの倫理も非常に高いものが私はあると思っております。(発言する者あり)
 ええ、私、日本は世界一だというふうに瀬谷参考人おっしゃっていただきましたが、まさにそのとおりで、そしてまた、今も特別管理秘密という形できちっとそういうものを管理されているという中で、そういう部分ではほとんどは大丈夫だという中で、あえてここでこういったまた厳しい刑罰を処すというものについての御意見がもしありましたら、瀬谷参考人、お聞かせいただきたいと思います。
○参考人(瀬谷俊雄君) 先生の御指摘はもうごもっともでございます。
 ついでに、不祥事件が多いというのは、広い金融界で、金融証券で、証券業も結構多いんですよ。私は、何年か前に頼まれまして、日本証券業協会の下に倫理委員会というのがあるんです、英語に直すとコード・オブ・コンダクトというんですけれども、それを何年やりましたかな。例えば、金融庁の検査とか、そこで発見された事犯とか、こういうのは非常にレベルが低い話だと、やっぱり、それは皆さん、証券業界としてこういう不正な取扱いはいかぬということを一つの倫理規程として厳しく縛らないといかぬということで、締め付けをしたわけですね。これは非常に有効に私は機能していると思います。
 それと同じように、今先生御指摘のとおり、日本の場合には、自衛隊法もあったかな、いろいろ各省ごとに法律ありますけれども、かなり厳しいそういう縛りがあると。にもかかわらず、なぜこの場に及んでこういうものを出してきたかと。それは、やっぱり一つは状況の変化だろうと思います。
 状況の変化というのは、国際的な緊張であるとか、あるいはいろいろな、例えばテロ行為に結び付きかねないような、例えば原発関係の機密情報とか、こういうものをどうにかされてしまうというリスクというのはやっぱり潜在的に高まっているんじゃないかと。ですから、平和日本として戦後何十年やってきたとき、高度成長の時代は誰もそんなこと考えなかったと。でも、ここへ来てそれがどうやら現実の問題になりかねないという危惧の念があるから、やはり政府としてはそれを急いだんではないかと、こう思われますけれども。そんなことでございます。
○白眞勲君 ありがとうございます。
 瀬谷参考人も御存じだと思うんですけれども、原発については、警備状況については特定機密には入るけれども、原発自体は秘密には入りませんというふうに森大臣おっしゃっているんですね。ただ、我々としては原発も入れるのではないんだろうかという懸念を持っておりまして、そういった部分でもっともっと慎重にその辺りはきちっと審議をしていかないと、国民に本当の意味でのこの法案の意味というのが分かってこないのではないのかなというふうに思っているんですけれども。
 時間もなんでございますので、江藤参考人にお聞きしたいと思うんですけれども、先日、十一月二十九日のこの委員会で、宇都さんいらっしゃらないですね、ちょうど宇都議員が質問したんですね。日弁連が出したこれについて、宇都議員が、ミスリードのような気がしますというふうにおっしゃいまして、日弁連のいらっしゃらないところでそういうことを言われたら、やっぱりそれは反論の機会をちゃんと持ってもらわないといけないんじゃないかなと思いましたが、ちょっと聞きたいなと思っているんですけれども、何で宇都さんいないの。委員長、ちょっと止めてください、これ。(発言する者あり)
 じゃ、まあいい、後で議事録見てもらうように私の方から言うにしても、公務員はもちろん取扱業務者にも含まれますけれども、特別秘密に指定された事柄を偶然研究の対象にしていた研究者や関係企業の技術者、仕事上、特別秘密に当たる事柄を知らされた労働者なども広く処罰の対象にされます、何か、あたかも正しいような書きぶりをしているんですけど、いきなりこんなことが起きることはあり得ないわけですねと言っているんですが、この辺りについて、江藤参考人、言いたいことがあったらちょっと言っていただきたいなと思います。
○参考人(江藤洋一君) それは、可能性として絶対に間違っている話ではなくて、起こり得ることですので、それは常に最初から全てきちんとそういうふうになるという意味ではなくて、情報というのは流れていっているわけですから、誰かが漏らす、漏らされた人は取得する、取得した人がまた漏らす、こういうプロセスの中にありますから、その連鎖の中に入った人はそういうことが起こり得るということは決して間違いではないというふうに考えます。
○白眞勲君 まさにそうでして、我々法案を扱うというか、法案を我々審議する立場としては、やっぱり最悪の状況、一体、これもしかしたらこうなるんじゃないかということも含めながらやはり考えていかなきゃいけないのであって、そんなこと起こるわけないじゃないですかと言ったら何でもかんでもそれで済んじゃう話になるわけですから、そこはしっかりと文案と実際にどうなんだということを慎重に審議することこそが一番重要なのではないのかなというふうに私ども思っております。
 そういう中で、日比野参考人にお話を聞かせていただきたいと思います。
 私も新聞社の片隅にいた人間として、日ごろからそういうものにも接しておったときに感じることは、我々何げなく記事を見たときに、たったの一行でも記者たちは本当にその記事を、そこの一行を書くために大変な思いをして取材活動をしている。なおかつ、一人の記者が一つの記事を書いているわけじゃありません。一つの記事、その一行の中に多くの記者たちが集まってきて最終的にその記事が成り立っているということも多々あるわけなんですね。
 そういう中で、今回、特定秘密のこの法案ができるという中で、ちょっとその前の段階として私聞きたいんですけれども、今までも様々なスクープというような記事があった、あるいは政府関係者はとか、そういう言い方で記事を書いている場合も多々見受けられますけれども、それに、今までそういった中で様々なところからこの記事を書いた人は誰なんだとか、あるいはどこから漏らしたんだというようなことは働きかけはあったのかどうか、現場の実際にやっていらっしゃる方から聞きたいと思いますので、お話聞かせてください。
○参考人(日比野敏陽君) 御質問ありがとうございます。
 私自身として立派なことを語れる経験は余りありませんが、個人を特定するような事例はなかなか出せませんけれど、最近の、本当に最新の記事で、ある記者が、これは全国の新聞に掲載されておりますけど、このように述べておられます。この方は、歴代の外務次官経験者を取材して、米軍による核兵器の持込みについてのいわゆる核密約の管理実態を明らかにしたことがあると書いておられます。記事を書いた直後に政府高官から呼び出され、そして元公務員、次官経験者が取材対象者とはいえ、国家機密を聞き出し暴露したため、国家公務員法違反の教唆犯になると直言されたと書いておられます。何とも言えぬ不気味さが臓腑に沈殿したのを覚えておると。まさに、この秘密保護法ができれば、こういった記者の活動が訴追対象になることは明らかだというふうに思います。
 このような明らかなものだけではなくて、私たち記者仲間でも、つい先日も私、あるところで書かせていただいたんですが、在日米軍基地の取材をずっと日常的にしている記者が、ヘリコプター、航空機の一部の外形、燃料タンクなどがちょっと違うと、いつもと違うということについて、あれは何ですかと当局者に伺ったところ、少し説明があったと。しかし、その日のうちに、あれについては書かないでくれという電話があったと、かなり厳しい口調であったというふうな体験を私に話してくれた記者がおります。
 明らかにこれも、私たちは、何が秘密か、それが秘密というやつだなというふうに思っておりますが、そういったことは、実際に逮捕とかそういったことには至っていなくても日常的に各地で行われていて、新聞記者だけではなくていろんな、ジャーナリスト等含め多くの方がそういった現実に現場でぎりぎりとはね返して報道しているというところが現実だと思います。
 したがって、こんな法律ができたら、そういった現場での何とかはね返して伝えるという仕事がかなりやられてしまうのではないかなというふうに懸念をしております。
○白眞勲君 私自身、韓国の新聞社におった関係で、当時の独裁政権と言われている時代からいろいろ聞いていますと、相当やっぱり私の先輩の記者の皆さんというのはその中で本当に命懸けで取材をしていると。
 でも、私は日本というのはそこは、何というんですかね、もっともっと国民の知る権利ということを基本にやっているという部分が、やっぱり記者が伸び伸び取材ができ、そして国民が伸び伸びそれを知ることができ、そして最終的に判断ができるような国にしていくべきだと。秘密は秘密として国民へは理解を得なければいけない、その部分だと思うんですけれども。
 瀬谷参考人、最後にもう一つ、この法案について、これはもう一回考え直した方がいいんじゃないかというふうに、思いはあるでしょうか、お聞きしたいと思います。
○参考人(瀬谷俊雄君) 私は、これは通過させてよろしいのではないかと。なぜならば、いろんな、立法とかいろんなルールができますけれども、初めからそれでパーフェクトなんかないですよ。やっぱりやってみて、試行錯誤ということは当然あり得るべきでしょうし、これだけの問題でございますので先生方の御懸念も分かりますけれども、私は、これがさほどその知る権利というものを大きく侵害するという事態にはならないと、こう思っておりますので、私は、結論から申し上げますと、この法案は成立させてよろしいのではないかと思っております。
○白眞勲君 今、成立させてもよろしいと。でも、やっぱり慎重審議は重要だということは、最後に一言だけお願いします。
○参考人(瀬谷俊雄君) それは、慎重審議はやっぱり必要でございましょう。今日耳にした幾つかの事例は私初めて伺いましたけれども、それが本当に現実のリスクとして顕在化するという懸念があるならば、それを防ぐような何らかの手だては講ずべきではないかと思います。
 以上でございます。
○白眞勲君 ありがとうございました。
○新妻秀規君 公明党の新妻秀規でございます。
 瀬谷先生、江藤先生、日比野先生、大変貴重な御意見、ありがとうございました。私自身も、この国と国民の安全を守るために一定程度の情報を保護すること、これは必要だと考えております。これは多くの党が、全てではないにしても、必要だと感じていることではないかなと感じております。同時に、行き過ぎた情報の保護ということが知る権利の侵害につながるので、この両者のバランスを取るということがこの衆参を通した国会での審議だったのかなというふうに理解をしております。
 今の参考人の皆様の御所見を拝聴いたしまして、様々な論点があるなということも改めて実感をさせていただきました。
 今日は、まず、知る権利、先ほどからも話になっております知る権利についてお尋ねをしたいと思います。
 今、日比野先生からもるるありましたし、また江藤先生も触れられたように、知る権利、大変重要な権利でありまして、ただ、この知る権利については、当初、政府案に、政府の法文にはなかった知る権利が与党内の協議の中で盛り込まれまして、またさらには、衆議院の修正において、法文の二十四条に、特定秘密の取得罪が目的犯に限るということで通常の取材行為が処罰の対象とはならないということが明らかになったと理解をしております。
 ここで、知る権利、また報道の自由について、今、日比野先生がおっしゃったことはきちんと理解しましたが、瀬谷先生また江藤先生に御所見を伺いたいなと思います。
○参考人(瀬谷俊雄君) 知る権利というのはなかなか厄介な権利でございまして、じゃ一体どこまで、どの程度まで知ったらいいのかという問題が当然起きてきます。先ほどどなたかの、白先生でございますか、核の持込みの問題についてお話がありましたけど、私に言わせりゃ、冗談じゃないよと、こんな非核三原則などといったって建前だけで、入っているのは百も承知だという程度の問題でございましょう。だから、そんなこと言っちゃちょっといけないかもしれないけれども、そういう意味で、じゃ何をどこまで、例えばエンタープライズには、プルトニウムの爆弾を何発積んであるとか、それから積んである艦載機の飛行距離は片道五千キロまでオーケーだから十分北京、上海はその射程に入るとか、そんな生々しいものを聞いてみてもしようがないと。そこにいるというだけの存在がもう一つの情報開示ですから。
 だから、私は、今言ったとおり、国民生活に直結するという意味からいいますと、ナショナルディフェンスといいますか国防という、国土が侵害されないと、それから、外交的にはそれ相応の最恵国待遇でやると、通商も同じであるということが主であって、あとほとんどの問題は国民生活のそれ自身ですよね、直接かかわるもの。例えば、年金制度がどうなるの、介護の問題がどうなるの、医療、福祉はどうなるのと、こういう問題でございます。これについてはほとんど非開示情報みたいなものは私はないと思いますよ。
 だから、それが一番の関心事であるなら、国民の知る権利というのはどこにどうあるべきかといった場合には、やはり自分の身近な、言わば実際の生活に直結するような、こういう情報が十分に開示されておればそれでいいんではないかと、こう思っているわけでございます。だから、ほかのものは、やっぱりそういった意味では当然限定されたある特殊な情報でございますし、それにかかわる人たちもごく一部の人でございますから、一般市民がそんなことでアウトということはまず現実の問題として起き得ないと思っておりますから、私はこれでいいんだろうと思っています。
○新妻秀規君 同じ問題についてです。江藤先生、御所見をお願いいたします。
○参考人(江藤洋一君) 私は、知る権利というものにアプローチするとき、二つの角度があると思っております。一つは、民主主義社会において健全な意思決定をするためには十分な情報がなければならない、だから知る権利は認められるべきだと、これ伝統的な考え方でありますが、これからはちょっと私独自の考え方でございますが、憲法上、国民は幸福追求権というのが認められております。ここからも十分な情報を得るということの意味が出てくるんではないかなというふうに思うわけでございます。国政に参加するという観点ではなくて、自分の生活を切り開くという意味で情報が必要なんだと。
 例えば、あのSPEEDI1、原発の放射能がどちらへ流れたかということが明らかにされませんでした。避難した方は放射能がたくさん流れた方向に避難するという結果が起こった。こういうことが起こり得ると。やはり、国が最大の情報収集機関となっているということはあるんだろうと思います。そしてまた、いわゆる国が集めた情報というのは、基本的には税金の成果物であるというふうに考えられるところでございますので、そこからも国民は原則としてアクセスできるということが確認されなければならないというふうに思っております。
 ただ、国の利益というものがございますから、国益というものがございますから、その範囲で限定的にそれは制限されることがあり得る。しかし、それは未来永劫ではなくて、何らかの形でチェックされなければならない。その秘密が本当に妥当なものか、適法なものかというチェックがなければいけないということだろうというふうに考えております。
 以上です。
○新妻秀規君 今、江藤先生からお話が出ました特定秘密の指定に係るチェックについて次はお尋ねをさせていただこうと思います。これは三人の先生全ての方に御所見をちょうだいしようと思っております。
 これは、先生方御案内のとおりなんですが、特定秘密は、法文上、別表に示される四分野、外交、防衛、スパイ、そしてテロについて限定されて、また衆議院における修正において「その他の重要な情報」という文言も削除されまして、何でも秘密というような指定が回避されるような状況ができたものかなと、法文上縛りができたものかなというふうに理解をしております。さらに、特定の秘密の指定に当たっては、有識者会議の作った基準に基づいて行政機関の長が指定をする。その指定については総理がチェックをする。さらには、これまでの答弁の中で、この運用に当たって第三者機関によってチェックを入れることを検討すると総理が明言をしております。
 こうしたところで三重ないし四重の網掛けがこの恣意的な秘密の指定に対しては掛けられたものと理解をしておるんですけれども、参考人の皆様に、この恣意的な秘密の指定を避ける仕組みについて十分かどうか、ここら辺の御所見を日比野先生、瀬谷先生、江藤先生、それぞれ伺いたいと思います。
○参考人(日比野敏陽君) まず、もう既に江藤先生が指摘されておられますけど、内閣総理大臣がチェックをするということは、どのような説明をされても、行政機関の長の上には総理大臣がいらっしゃるわけですから、内輪で点検をするということにしか国民、有権者には映らないと思います。それが第三者機関と果たして言えるのかということを指摘させていただきたいと思います。
 したがって、私としては、恣意的な秘密指定を回避する仕組みには到底なっていないというふうに指摘をしたいと思います。
 以上です。
○参考人(瀬谷俊雄君) 今先生おっしゃったように、二重三重のチェックは一応形としてはあるわけでございますね。だから、そこで例えばその他重要と思われるものを仮にやる場合に、どういうふうにこれを定義するのか。個別限定列挙的に、例えばTPPにかかわる最終的な品目の問題とか、こういうふうにまで明示されるならいいけれども、漠然としたそういう使い方になりますと、おっしゃるように、いたずらに行政府が突出してしまうリスクはあるんではないかと。できればそれを指定するというか、二重三重のチェック機能を果たしていくそのプロセス自身をやはり明確にしていかないと、これはなかなか支持を得られないんではないかと思います。
 以上です。
○参考人(江藤洋一君) やはり民主主義社会と申しますものは、基本的に公権力の行使というものに対し、適度の不信と申しましょうか、適度のチェックを入れるということが前提になっている、そういう政治、統治の在り方なんだろうと思います。ですから、全面的に信頼するということはやはりよろしくない。先ほど申し上げましたように、知らしむべからず、よらしむべしというのはやはり間違いなんだろうというふうに思います。
 先ほど来議論がございましたように、日本の公務員は大変質も高く優秀でもございます。私の友人も皆さんすばらしい人たちばかりです。ですが、やはり人間として共通の弱点を持っている。チェックが入らないということになると一体どういうことになるかということは、我々が日常生活で経験しているところでございます。それは、優秀な官僚であろうと庶民であろうと私は変わりないように思うんです。
 そしてまた、官僚の皆さんが大変な使命感を持って業務に当たっているということもそのとおりだろうと思うんです。ただし、使命感というのはえてして独善に陥る可能性もないわけではない、やはり何らかの外からのチェックというのがどうしても必要なんだろうというふうに思います。
 新妻先生が挙げられたチェックのシステムというのには、先ほど来申し上げていますように、やはり第三者性というのが欠落している。全く違う第三者が見るからこそそれはチェック機能として働くし、それが日常の業務に一つの、何というんですか、抑制になるということはあるんだと思います。チェックが実際に行われなくても、チェックする、そういうシステムになっていますということだけでも公務員の行動パターンは変わってくるんだろうというふうに思うんですね。それが必要なんではないかというふうに思っております。
 ですから、先生が二重三重に挙げられたチェック機能というのは多分余り機能しないんではないかなというふうに思います。
○新妻秀規君 貴重な御所見、ありがとうございます。
 次に、情報公開についてお尋ねをします。
 御案内のとおりですが、特定秘密に指定された情報は、保護の必要がなくなったときには情報を速やかに公開するのは国民主権の観点からも当然であると、このように考えております。
 特定秘密については、それこそ御案内のとおりですけれども、三十年を超えて指定の有効期間を延長することが内閣によって承認されなかった場合には、文書は全て国立公文書館に移管すると明記されております。また、衆議院の質疑にて安倍首相は、三十年を超えて指定の有効期間が延長された文書について、行政機関の長が自ら解除する場合にも全て国立公文書館に移管するという旨約束をされております。これらによって行政機関の都合の悪い情報を廃棄されないようにするという仕組みができたというふうに考えておるんですけれども、これについて三人の参考人の先生の御所見をお願いしたいと思います。
○参考人(瀬谷俊雄君) それは、随分時間の経過したものを後から公開すると言ってみても、果たしてそれが今の社会にどれほどの意味を持つかという、そういう尺度から考えるべきでございましょう。
 大変恐れ多いけれども、戦後間もなく日本の天皇制をどうするかというとき、連合国側と日本政府でどういうやり取りがあったのかとか、こういう問題もありますし、それは日本をもう一度一〇〇%平和国家として、もう戦争を、戦いをしないという、戦争放棄という条文を迫ったと、そのときのやり取り、にもかかわらず、それから警察予備隊をこさえて自衛隊を持ってきたと、その間アメリカ側とどういう問題があったのかとか、そういうのは一部の歴史学者とかそういう人たちについては非常に興味があるでしょうけど、まず我々の今の日常の生活からいうと、ほとんど意味を成さないと。ましてや、東京裁判なんかあったけど、何ゆえあれだけの人がやっぱり絞首刑に処せられたのか、戦犯というものの定義は何なんだと、何も分からないまま来ちゃって、今公開してもそれは、強いて言えば靖国問題に結び付くのかもしれませんけど、ほとんど意味がないと。
 だから、何というんですかね、私自身は、非常に歴史の皮肉といいますか、その当時はトップシークレットだったものが、時間の経過とともにほとんど意味を失っていくと。強いて言えば、今の、現在の座標軸の上で、時間軸の上で振り返ってみて、じゃ、今後、我々の、立憲君主制といいましょうか、こういう皇室なんという存在をどう考えるべきかということについては幾ばくかの参考になるかもしれませんけれども、それ以上、以下でもないと、こう思っております。
 私は以上です。
○参考人(江藤洋一君) 情報を保存するということは大変大事なことだというふうに思います、それが知る権利の出発点になりますので。ですが、もしそうであるならば、それは大臣の約束ということではなくて、先ほど来申し上げていますように、法律の中にその明文規定を置くべきだろうというふうに考えております。
 この法律の大変特異なところは、役所の、行政庁の権限規定ばかりがあって、今申し上げましたような、情報を取得、保存、管理するということに対する義務規定が全くないわけでございます。大臣がどのような約束をされても、それは行政官僚を縛ることにはならない。やはりそれは法律の中に明文で規定されるべきだというふうに思います。そこの部分が抜け落ちて刑罰だけが重いというところがこの法律のいびつなところではないかというふうに考えております。
○委員長(中川雅治君) 日比野参考人、簡潔にお願いいたします。
○参考人(日比野敏陽君) 秘密情報が安易に捨てられることはない仕組みがあるというふうに説明をいただいておりますが、そもそも私たち国民は、主権者は何が秘密かが分からないままに秘密指定が行われるわけですから、それが三十年後、六十年後、どのようになっているのかということを私たちが検証することは不可能であります、まずそれが一つ。そして、法案の御説明で足りているかというと、それは全く足りていないと思います。
 例えばアメリカでは、今情報の問題がいろいろありますけれど、公文書館には情報保全監察局というのがありまして、いわゆる過剰な秘密指定についてはきちんとこれを正す、オーバークラシフィケーションみたいなものを規制する機関もあります。これが外部にあるわけですね。そういった仕組みも全くないままに、行政機関の内部で点検していく仕組みだけがあっても、これは機能するとは到底思えないと思います。
○新妻秀規君 貴重な御所見、大変にありがとうございました。
 以上で質疑を終わります。
○小野次郎君 みんなの党の小野次郎です。
 今日は三人の方にお越しいただいて、大変有益な話を聞かせていただきました。私の方から何問か質問させていただきます。
 まず、瀬谷参考人にちょっと幾つか聞かせていただきますが、この国会で、参議院での議論の中で、やっぱり各党、党派を超えて出ている問題は、こういったかなりがちっとした秘密保護の仕組みをつくる中で、行政機関の長、大臣の側が不適正な指定を禁止すべきだと、そういうことを行われないようにという議論が出ているんですね。やみからやみに葬るという話とか、臭い物には蓋だということをどうやって防止できるだろうかという問題提起が各党から出ています。
 ちょっと法案から離れますけど、瀬谷参考人は企業で、特に金融機関で経営の責任も取っておられたと思うんですが、そういう大きな組織の中で、トップの側がやみからやみ、臭い物に蓋というふうにしないような仕組みというのはどういう形でビルトインできるんでしょうか。
○参考人(瀬谷俊雄君) 大変難しい問題でございます。
 やはりこれは、今も某メガバンクで何か不祥事件といいましょうか、反社勢力との云々が取りざたされておりますけれども、やはり私は、基本的にこれをどう担保するかといったら、まさにトップの倫理観、識見でしかないと思います。だから、端的に言ってしまえば、企業経営は人であると、人格であると、このような形なんでございますね。それを今度、一般の企業ではなくて、一つの公権力とか国会とかあるいは議会、政党というふうに場所を移した場合にどうなんだと言われましても、これもまたやっぱり同じようなことしか申し上げられないと、こう思うのでございます。
 どうも、お答えにならないようなお答えでございますけど。
○小野次郎君 ありがとうございます。
 その問題提起をした一つの理由は、私、先日、実は財政金融委員会でみずほの反社の問題について頭取にも質問させていただきました。その過程で明らかになっていることは、この反社との契約の関係でも、担当部局は、問題のある契約だ、二百数十件、これをちゃんと書類にして役員会まで上げていて、頭取も、代替わりしていますけれども、八回まで頭取や役員を入れている会議で書類が置いてあったと。だけど、最初の段階で手を打たないと、ずっとそのまま置かれていたというのが現実なんですね。まあ、みずほの場合には、弁解になるかどうか分かりませんが、頭取がしょっちゅう替わっていたものですから、最初のころの人が手を付けなかったものは二代目も今の方も手を付けないままだったというのが現実なんですが。
 そういった組織の中で、今度は秘密指定の話ですけれども、一旦指定にされてしまって、ちょうど、二百何十件積んであるけど役員会にはかかっているという状態で放置されるというか、手を打たれない事態というのがすごく心配。さっきの話につながっていくんですが、そういうことというのは防止する方法って何か企業トップを経験された方として考えありますか。
○参考人(瀬谷俊雄君) 一つだけありますね。
 これはやっぱり内部告発なんですよ、基本的には。そうなんですよ、上げたんだということで。それなら内部告発は誰がどこに対してと。例えば、銀行でございましたら金融庁であると。いろんなところ、やっぱり手段はありますので、そういうやり方はあり得ると思います。だから、幾ら本法で縛ってみても、やはりこういうリスクというのは避け得ないものだと、ちょっと蛇足でございますけれども感じておる次第でございます。
○小野次郎君 ありがとうございます。
 ところで、この反社との取引というのは誰もが反社会的だと思うんだけれども、でも罰則はないんですね。ないんですよ、罰則は。
 これからまた次の質問に移りますが、今回、国と特別な契約関係にある企業の関係も秘密指定があり、それが漏れれば公務員の場合と同じような罰則が掛かってくるわけですが、よく考えてみると、これってそもそも企業と国との関係は利益を上げようとしている企業の契約関係ですよね。つまり、金を借りたら返すという義務と同じ関係なんですね。もっと言えば、同じ企業が別の民間会社と契約した場合の義務と同じものなんですよ。ところが、これは公務員と同じように罰則が掛かってくるということについて、民間セクターで働いておられた瀬谷さんにとって何か違和感、感じませんか。
 というのは、もう一つは、その義務というのは会社が負っているんだし、会社のトップもあるかもしれません、経営者も。だけど、さらに本当に犯罪容疑に問われるのはその社員なんですよ。社員になると今度は雇用関係ですよね。つまり、だから国との契約関係に基づく私的利益の追求のための義務と、さらにその雇われている人となると、今度は雇用の関係でその服務規律みたいなのがあるんだと思う、社員の。その関係、二重にそういう私的関係でつながっている人が公法上、公の法律上の義務と同じように、普通十年以下なんていうのは、そんな罰則なかなかないんですけれども、そういう罰則科せられるということについて、民間企業におられた瀬谷さんとして御意見があるかなと。
 というのは、どんな技術もやっぱり民生技術として商品化して売りたいという気持ちはあるわけですけれども、そういうのって当然の民間企業にとっては考えだと思うんですね。国から仕事取って利益上げるか、民間に売って利益上げるか、それは民間企業のもちろん経営の裁量の範囲だと思うんですけれども、ところが、その一部について極めて重い罰則掛かってくる、社員についてもまた罰則掛かってくる、そういう関係について、民間の代表と言っちゃ失礼ですけれども、経験の長い瀬谷さんとしてお考えはおありではありませんか。
○参考人(瀬谷俊雄君) 先生の御懸念はごもっともでございます。
 しかし、私は、例えばある特定な、何といいますか、ウエポンといいますか武器を、戦車でも航空機でもよろしいです、それを委託して製造している企業が、これ全くもうけになるからやるというだけではないと思います。つまり、我々はそういう大事な国防産業としてそれを担っているんだと、だから戦闘機にしろ戦車にしろ、あるいは装甲車両にしろ、特殊な仕様がいっぱいあるはずですよ。それを請け負って造っているメーカーの方々は少なくともそういう意識は十分おありになるし、さればこそ、そういうところのトップ企業が日本防衛産業協会かな、の会長さんもなさっておりますし、いろんな意味で防衛意識というのを社員にも植え付けているはずだと。
 ただ、おっしゃるような問題が将来生じてくるとなれば、そのリスクに対するコンペンセーションはどこかでやらなくちゃいけないとなれば、そこの職場における特殊な技術やあるいは錬磨の度に応じて相当高い報酬を払っているということだろうと私は思いますけれどもね。それだったらリスクが多くてやれない、いや、やらないということでね。
○小野次郎君 おっしゃるとおりだと思いますが、ただ実際には医薬品であったり遺伝子のことであったり通信機能であったり、見た目が大砲や何かだったらそれは誰でも分かるんですけど、そういうものではないということもありますので、ちょっとその辺は参考人にも御配慮いただきたいと思いますが、ちょっと私の関係は今日はこの程度にしますけれども。
   〔委員長退席、理事佐藤正久君着席〕
 江藤参考人、日比野参考人に今度は聞きますが、修正された二十四条というのは御案内のとおりだと思うんです。これで目的犯になったわけですけれど。
 まず日比野さんにお伺いしますけれども、実は私、元々警察出身ですから、二十代のころから、報道から厳しく取材を受ける立場をずっとやってきました。最初は社会部。そして、官邸に入って、その後政治家になっていますが、後は、この十年ぐらいは政治部。いずれもいろんな形で取材を受けて、やはり、この目的犯になっている、頭から外国の利益を図るとか国民の生命、身体を害するなんという目的で取材に応じるということは心ある人はないと思うんですけれども、他方でお伺いしたいのは、取材ってどうやって、じゃ公務員から情報をもらえるかということなんですね。
 僕の経験では、やはりいかにその問題が社会性があるかということをすごく懇々と記者さんから言われます。もう一つは、絶対小野さんの名前出ませんからと匿名性についての保証が言われます。それ一回じゃなかなか信用できませんから、幾つかのその支えになるものを確認して信頼関係ができてきて、絶対に名前が出ないということと、もう一つは、いかにこの問題が、世の中に訴えることが、社会性があるのかということについて確信がいったときに機微な情報を提供することがあるんですよ。別にこれ特定秘密の話じゃないですよ、一般論で言っているんですけれども。
   〔理事佐藤正久君退席、委員長着席〕
 それによって新聞の紙面はできていると思いますよ、私は。そういうものじゃないかと思うんですが、日比野さん、新聞記者として現場やってこられて、どういう形で、だって、大したことないから見せてよなんという取材はないですよ。取るに足らないことだから見せてよなんという取材はあり得ないので、どうやってその相手方に納得させて取材が成功しているのか。その取材方法についてお話しいただきたいと思います。
○参考人(日比野敏陽君) 私の経験だけを話すわけにもいかないと思いますので、一般論になると思いますが。
 基本的に、今、小野先生がおっしゃったように、取るに足らないことだから教えてくれというふうにして取材する記者は誰もいないと思います。やはり、あなたの持っている情報は社会的に、そして歴史的にも非常に重要だから教えてくれと。そして、取材源の秘匿というのは、これは記者の鉄則ですから、言うまでもなくあなたの名前は言いませんということで取材をする。それは常に取材のイロハであり、かつ永遠の原則でありますから、そういったことで取材をするわけで、目的外で、ある種、何といいますか、だまくらかしたりとかいうことで、本意を伝えないで取材をするということは、それはあり得ないというふうに思います。
○小野次郎君 全く私もそのとおりだと思います。今までの三十年以上の経験の中で、そんなことでだまされる公務員はいないと思うんですよ。また、それはあってはならない取材方法だと思います、まさにトリック使うみたいなのはね。
 そうだとすると、今度、江藤参考人に伺いたいんですが、二十四条で、目的犯で情報取得行為について犯罪に問われるケースを絞ったと言われていますけれども、二十五条で教唆や共謀は常に処罰の対象になる。そうすると、二十三条で漏らす方はこの目的犯で絞っていませんから、常に、今おっしゃったみたいに、日比野さんが、懇々とその匿名性について納得いかせ、また社会性、歴史性について相手方が共感するわけですよ、取材される側とする側。その結果として出てきたものというのは、刑法上で評価するならば、漏えいについて共謀したか教唆したことになるんじゃないですか。
○参考人(江藤洋一君) なると思います。
 それで、ここを見ていただきたいんですが、先ほど申し上げましたように独立犯としての共謀と教唆がございますが、同時にまた刑法の適用を妨げないと、こういうふうになっています。ですから、本犯の刑法的な意味での教唆、共謀が成立し得ると、二重に成立する余地があるというふうになっておると思います。
 それから、先ほどの目的犯の件でございますけれども、私、先ほど半歩前進だと申し上げましたのは、特に後段の方が少し気になるところでございまして、こういう後段の目的というのは罪体そのものの中から推認されてしまうということが世上しばしば起こり得るので、果たしてそれほど目的犯として独立しているか否かというのに若干の疑問が残るという趣旨で申し上げたのが一つ。
 それともう一つ。小野先生はよく御存じだと思いますけれども、逮捕状を出すときあるいは捜索差押令状を出すときは、その被疑者から意見陳述を聞くわけでも何でもございません。捜査機関の書類審査だけでこれが出てくるということになります。そうしますと、たとえ有罪にならなくても、目的の規定を充足しないために有罪にならなくとも逮捕や捜索差押えはなされる可能性が十分にあるということがあって、しかも、それで終わってしまうということがしばしば起こり得ます。
 その起こったときにどうなるかというと、そのような捜索を受けた人は、いや、これは不当な逮捕であり不当な捜索差押えだと国家賠償をよく求めますけれども、これが認められた例というのはほとんどない、そういうことを申し上げたかったわけです。
○小野次郎君 もう一問、江藤さんにお伺いしたいんですけれども、対向犯という言葉ありますよね。やっぱり情報なんかもある種の対向犯的な要素があると思うんです。ですから、私はこの二十四条の修正を、まあ意味がないとは言いませんが、本来でいえば、二十三条についても同じようにその目的を絞ることで初めてさっき言った二十五条なんかの関係も絞られてくるわけで、出の方というか、二十四条だけ絞っても、二十三条の教唆や共謀だってことで掛かる可能性があるんだと、何か、正面の玄関は狭くしたけれども脇の入口は開いたままみたいな感じがするんですが、この目的犯を片っ方だけ付けたということについて、何か御批判ありませんか。
○参考人(江藤洋一君) その目的犯自体がどの程度本当に機能するかという疑問はさておくとして、これによって犯罪の絞りを掛けたというんであれば、この二十三条についても同じようにすべきであったかなというふうに思います。そうすることによって、これが本当にテロだとかスパイに対する防止になるという意味が国民にも知らされることになるんではないかなというふうには思います。
○小野次郎君 貴重な御意見、皆様どうもありがとうございました。
○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。
 お三方、ありがとうございました。
 まず、日比野参考人に伺います。
 これまで、核持込み密約あるいは沖縄返還密約など、日米安保をめぐって国の在り方にかかわる重要な問題が政府によって長い間国民に秘密にされてきました。今もこの状態は継続しております。こうした秘密に挑み、国民に真実を明らかにするのは、これまでもこれからもジャーナリストの重要な社会的使命だと思います。先月二十一日、当委員会に出席された元毎日新聞の記者西山太吉さんの意見陳述からもそのことを痛感した次第であります。
 そこで、日比野参考人、この法案でそのジャーナリストの社会的使命が果たせなくなるのではないかと私は危惧しますが、いかがでしょうか。
○参考人(日比野敏陽君) 西山太吉さんのおっしゃっていることは、この法案ができたら、やはりますます取材の萎縮、そして情報源の萎縮が激しくなり、情報公開、もう既にある情報公開法も空文になってしまう、そのような状況になるというふうにおっしゃっておりますが、取材現場としても同じように、使命を果たそうと思っても果たせなくなることは明らかであると思います。
 日本では、戦後一貫して、情報を取得することについては、つまり探知、アクセスすることについては処罰がなかったというふうに解釈しておりますが、これが初めてこの法案によって探知罪をつくるわけですから、これまでできたあらゆる報道、私たちの先輩によって行われてきた掘り起こし的な取材活動が政府の恣意的なその運用によってできなくなるという可能性は相当程度あるというふうに思います。
○山下芳生君 続いて、日比野参考人に伺いますが、先ほど、法案二十二条で報道、取材の自由について配慮しなければならないと書かれたので、政府はこれで報道、取材が過剰に規制されることはないと言うが、日比野参考人は、私にはそうは思えないと、こう述べられました。
 この点を更に詳しく伺いたいんですが、特に、この法案が成立すれば、取材相手、公務員その他の方が萎縮して取材に応じなくなるのは確実だとおっしゃったんですが、この辺りも含めて、少し御心配な点を述べていただければと思います。
○参考人(日比野敏陽君) 少し重なるかもしれませんが、私たちの取材というのは、先ほど小野先生にも申し上げましたけど、社会的かつ歴史的に重要であるということで相手を説得して取材をすると。だまして、ある種ごまかして情報を得るということはあり得ません。私、最初に述べましたけど、情報は自動販売機に知る権利を入れたら出てくるものではないので、人対人の、ある種人間対人間の泥臭い営みだと思っています。
 その相手が、最初からもうこの法律によって同じ土俵にも上がらないということになるのは確実ですから、そもそも取材ができなくなる。取材に応じたとしても、いや、それ以上はもうしゃべれません、こういったことが日本全国各地で起きることは確実ではないかなというふうに懸念しております。
○山下芳生君 ありがとうございました。
 続いて、江藤参考人に伺います。
 まず、少しちょっと大きな視点で、この法案は国民主権あるいは基本的人権始め日本国憲法の根本原則を踏みにじるものではないかと私は考えるんですが、この点での江藤参考人の御意見、伺いたいと思います。
○参考人(江藤洋一君) 私も全く同意見でございまして、日本国憲法の下では国会が国権の最高機関とされておりますが、この法案を見ますと、その国会の上に行政が乗っていると、こういうふうに思えてなりません。先ほどの法案十条一項の規定もそうでございますが、行政が何をやっているかということに対するチェック機能が、国会がそれをチェックする機能が働いていないというところがやはり一番大きいのだろうというふうに思います。
 加えて、憲法上のいわゆる基本的人権、知る権利を侵害すると。知る権利って、先ほど瀬谷参考人も言いましたけれども、俺は十分だという考え方もあって、十分分かっているよと、それはいろんな人がいますけれども、これは権利ですから、最大限いったらどこまでのものが得られるかという視点から考えなければいけないという意味でいいますと、秘密が多くなるということは、この知る権利の範囲がだんだんだんだん狭まっているということを意味します。それはやはり民主主義社会にとって健全ではないという意味で危険性を感じるところでございます。
○山下芳生君 続いて、江藤参考人に伺います。
 特定秘密を取り扱う公務員あるいは民間人に対する適性評価について、政府は本人が同意しているから人権侵害に当たらないというふうに述べておりますけれども、この点、いかがでしょうか。
○参考人(江藤洋一君) 私ども仕事でよくあるんですけれども、あなたはそれを知っていますかと聞かれたときに、守秘義務がございますから、知っているとも知っていないとも答えられませんと、こういうふうに答えるわけでございます。
 全く同じことで、本人が同意しているからいいといったら、じゃ、拒否したら一体そのことがどういう影響を持つのかということについての配慮がないように思います。拒否したら、それだけで、いや、おまえは話せないことがいろいろあるんだねという評価につながるのだとしたら、あるいは、それは非公式なものであったとしてもそういう可能性があるんだとしたら、それは同意があるというだけでは済まされない問題があるんだろうというふうに思います。
○山下芳生君 続けて、江藤参考人に伺います。
 同じく適性評価についてですが、昨日、政府は、行政機関からの照会を受けた病院には過去の通院歴などを回答する法的義務があると見解を示しました。これでは医師と患者の信頼関係が成り立たないなど様々な問題が発生すると思いますが、この点についての、照会を受けた様々な機関がそれに応じる法的義務がある、回答しなければならない、この点についての御意見を伺いたいと思います。
○参考人(江藤洋一君) それは、専門職とその依頼者の関係あるいは患者さんとの関係でよく生じることでございまして、お医者さんと患者さん、私ども弁護士と依頼者、あるいはサイコセラピストあるいは臨床心理士とそこに通ってきている方と、そういう関係というのはやはり保護されなければならないというふうに思います。
 私どもの常識で考えた場合には、それはその患者さんがうんと言った場合にのみ出せるわけで、そうでない場合は、ノーと言った場合、あるいは分からない場合には、それは出すべきではないというふうに考えます。
○山下芳生君 そういう常識的な判断が通用するのかなと思っていたら、昨日の答弁はそうではない、法的義務があるんだと、安全保障に資するかどうかにかかわる問題だというふうに言われますと、そういう常識の判断が作用しない危険性があるということを私は感じた次第ですが、その点、いかがでしょうか。
○参考人(江藤洋一君) つまり、そうやって悪法というのはだんだんだんだん広がっていって市民の生活を苦しめることになると、こういうことなんだろうと思います。
○山下芳生君 続いて、江藤参考人に伺います。
 秘密の指定期間が六十年に延長されたわけですが、しかも、過去の秘密にはこれは遡及されないということであります。また、六十年の例外もあるということでありまして、これでは永久秘密になるのではないかと危惧があるんですが、この点の御見解はいかがでしょうか。
○参考人(江藤洋一君) 私も全くそう考えておりまして、先ほど申し上げた点もその点でございます。その六十年のチェックすら利かない幾つかの項目を見ましたけれども、私は暗号はやむを得ないんではないかと先ほど申し上げましたけれども、六十年前の暗号なんてほとんど子供だましのような内容かもしれないし、そんなことを本当に守る必要があるのかなという疑問があるわけでございます。
 やはり、先ほどの質問にもございましたけれども、六十年たったときというのは、一つのもう歴史的時間という感じがいたします。それでもなお明かせないものって本当にあるのかなと、私にはちょっと想像の範囲を超えておりますが。
○山下芳生君 ちょっと日比野参考人にも、これにかかわって、先ほどの核密約、沖縄返還密約などを果敢に取材されたジャーナリストの方はたくさんいらっしゃいますが、そういう方々が、その取材対象者である例えば元外務次官などに接触する際に、どうしてもその外務次官の方も、現役のときには秘密を秘匿しなければならないという作用が働いたとしても、退職されてから、自分がもういよいよ人生の最後の段階に掛かったときに、これは、国民にこの情報は提供して国民の判断を仰ぐ必要があるんではないか、そういうお考えで真実語られた方も少なくありません。
 それが、この六十年というふうになりますと、もう寿命との関係でそういうことができなくなるんじゃないかということも危惧されるんです。そういう点でのこの六十年問題について、これまでそういう取材をされてきたジャーナリストの立場から見解があれば伺いたいと思います。
○参考人(日比野敏陽君) 私たちの先輩の皆さんが、特に核密約を含めて歴史の検証を行ってきておられると思います。もちろん取材対象者の方も、最後に、こう言ってはなんですが、もうそろそろ随分な年になったからということでお話になりたいと、それは悔いを残さないとか、いろいろな思いがあると思います。そういったものが歴史をつくっているわけでありますから、ジャーナリズムは、やはり歴史を記し、検証していくという役割が第一義であると思いますから、六十年、それ以上ということになると、もう何もそれができなくなるということです。
 アメリカでも、これもまた情報公開ではよく引き合いに出されることですけれども、アメリカでは原則二十五年ということで、つまりそれは二十五年で歴史だということの解釈だと思うんですね。そういったことを前提にして、国民の側、有権者の側が、政策そして政治を検証していく、これが、どのような党が政権に就こうと、それは関係なく検証されていくことがしかるべきであるというふうに思います。
○山下芳生君 再び江藤参考人に伺いますが、秘密の範囲が恣意的に拡大されるとの批判に対し、第三者機関をつくってチェックするということが今言われているんです、検討されようとしておりますが、この点についていかがでしょうか。
○参考人(江藤洋一君) ですから、第三者機関の一番の問題点はその第三者性にあるということでございます。我々はなぜ裁判官の判断に従うか、公正な裁判所とは何かということをよく言われるんですけれども、それは構成が、裁判所の構成が公正なものでなければいけない。つまり、当事者と一定の関係にある人はその裁判所から排除される、排除される第三者だからこそその判断は手続的に公正なものだと、こういうふうに認められる。それは常識的な見方だろうと思います。
 同じように、それが適否を判断するときに、それに利害関係のある人が判断に加わったのでは妥当な判断には至らないというふうに思います。ですから、首相はいかに第三者的に振る舞うとおっしゃられても、私も日々総理の一日というのを拝見していますけれども、それはそんな、時間的にも多分難しいし、立場的にも難しいんだろうというふうに思います。
○山下芳生君 最後に、江藤参考人に、法案が国会で審議され始めてからまだ一か月もたっておりません。これだけの短期間にこれだけ反対世論が高まってきていることについて、御意見を伺いたいと思います。
○参考人(江藤洋一君) それは、根底に国民がこの問題に対する不安感を持っているんだろうと思います。確かにそれは漠とした不安だろうと思いますが、その実態が分からないからこそますます不安になっているという現実があるように思います。
 私ども、二年前からこの問題を指摘させていただきました。開示を求めましたが、その法案の中身は全て黒塗りでございました。おっしゃるように、やっと一か月足らずの間にこうなったわけですが、その前にこの法案の概要について意見募集が行われました。それも僅か二週間ということでございます。その七割、八割が反対意見であったと伺っております。ならば、そのパブコメの内容を分析してそれを国民に知らしめるというその手続があってもよかったと思うんですが、それも全く行われませんでした。なぜこのようにやみくもに急ぐのかということについて、国民の多くが疑問に思っているところではないかというふうに思います。
○山下芳生君 ありがとうございました。
○中野正志君 日本維新の会の中野正志でございます。実は、同じ時間に経済産業委員会が行われておりまして質問に立ったものでありますから、もしかしてダブりの質問があったときにはお許しをいただきたいと存じます。
 まず始めに、よく言われる第三者機関について、お三方に御質問をいたしたいと思います。
 十八条は、内閣総理大臣が特定秘密の指定、解除等についてチェック機関としての役割を果たすことに資する組織と、こういう形で、どうしたっていわゆる内閣総理大臣あるいは内閣官房ということになるわけでありますけれども、それはないだろうということで、私たち維新の会も四党協議の中で申入れをさせていただきまして、附則の第九条に、附則の第九条でございます、政府は、行政機関の長による特定秘密の指定及びその解除に関する基準等が真に安全保障に資するものであるかを独立した公正な立場において検証し、及び監察することのできる新たな機関の設置その他の特定秘密の指定及びその解除の適正を確保するために必要な方策について検討し、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすると。
 いわゆる第三者機関。イメージで言いますと、一つには法律によって設置する場合がある。例えば会計検査院法を改正する。あるいは、二つ目には、内閣府設置法改正で三条機関、通称の三条機関とする。こういう二つの方法もありますし、もう一つは政令によって設置する場合。これは、政令によって、例えば内閣府にそういう局を設ける、あるいは総務省にそういう局を設けるという考え方もあります。
 いずれにせよ、検討に当たっては、有識者と言われる方々の御意見をお伺いをしながら、諸外国の制度、とりわけ昨日は、森大臣は、アメリカの省庁間上訴委員会や情報保全監察局を参考とすると、こういう答弁がございました。
 このアメリカの上訴委員会というものを調べてみますと、国務省、国防総省、司法省、国立公文書館、国家情報官室、国家安全保障問題担当大統領補佐官から同委員会の構成員として任命された幹部レベルの代表者により構成、行政機関からの自動秘密指定解除の適用免除についての申請に対し、その認容、棄却又は変更を行う組織であります。
 もう一つが情報保全監察局でありまして、情報保全監察局長は公文書管理官が指名をして、大統領の承認により任命をされることになります。各省庁視察をして、秘密保全体制の運用、秘密指定の実施、研修の実施等が適切に行われているか監査を行い、その監査内容を各省庁に報告をして改善の勧告などを行う。
 こういった、例えばアメリカなら二つのいい組織、あえていい組織と申し上げますけれども、組織があるわけでありますけれども、この附則第九条について、先ほど日比野先生からは完全な第三者機関でなければ駄目だという御指摘もあったようでありますけれども、こういった第九条附則について、それぞれの先生方の御意見をお伺いをしたいと思います。
○参考人(瀬谷俊雄君) 今先生がいろいろとおっしゃいましたけれども、日本においては本当に公正中立的な第三者委員会を設けるということは、実は至難の業ではないかと。じゃ、どういうメンバー選ぶんだと。よく言いますでしょう、政官財とか、あと学とか、それぞれ、強いて言えばあとは市民団体から選ぶかと、そういうことで何名ぐらいの構成になるか分かりませんけれども、いずれにしても、ざっくり言えば、体制側と反体制側という言い方はおかしいのかな、こういう区分けもあるでしょうし、政と官、それから官と民、民の中でも今言ったとおり財界もあるし、それから一般の市民レベルでのそういう集合もあると。その中からどういう形でそれを選ぶかと。しかも、選ばれる人たちは、この情報とかこの問題について相当程度の御自身で知見を持っていなかったら話にならないです。そうすると、やっぱりどうしてもある程度もう対象は絞られちゃうのであろうと。
 やっぱり私は、一つのキーとしては、先ほどおっしゃった会計検査院とか、私もそちらの命令に服している者でございますけれども、あるいは法曹界の方々なんかが一つの、裁判所の延長じゃないけれども、そういう役割を果たし得るんではないかと、こう思っております。
 いずれにいたしましても、この法案自身が、大体私、初めて今日、その全容というか、ある程度を耳にしたわけでございますけれども、相当程度のチェックという機能が入らないと、やっぱり危ういということは拭い去れないものでございますから、ここをきちんと選ぶ、要するに人を選ぶことが一番の要点ではないかと思っております。
 以上でございます。
○参考人(江藤洋一君) まず、中野先生方始めこの第九条に御尽力いただいて、私は大変敬意を表するものでございます。国民が一番不安に思っておられるところをどうやって条文に盛り込もうかという御努力の結果ではないかというふうに思っております。
 ただ、第三者機関制ということには、先ほども申し上げたような問題性がございます。ですので、そこは重ねて申しませんが、さらにもう一つ、この九条で少し気になりますのは、特定秘密の指定及び解除について検証するというのであれば分かるんですが、そうではない、指定及び解除に関する基準等がとあって、基準について審査すると言っているわけで、解除、指定そのものを審査できるわけではないというところが恐らくこの条文の、妥協の産物と言うと語弊がございますが、その結果であろうかと存じます。だから、そこが少し私は足りないかなというふうに思っております。
○参考人(日比野敏陽君) この附則について盛り込まれる御努力をされたことについては、心から敬意を表したいと思います。
 しかしながら、根本的にこの法案の問題であるそもそも秘密の範囲が余りにも広範囲過ぎるということ、そして、秘密が何か、どこにあるのか、どういった秘密なのかということについて国民、有権者は誰も知らされない、こういった問題をおいたまま、今、江藤先生がまさにおっしゃったように、秘密の指定及び解除の基準ですから、中身については誰も、第三者であったとしても検証することはできないということが言えると思います。したがって、第三者機関の第三者性も問題ですが、この附則の内容では、やはりどこに秘密があり、それがどんな内容なのかについて国民に知らされないという原理は変わっていないというふうに思います。
 もう一つ、所定の措置を講ずるということでありますが、これが一体いつ、どのようにということが全く担保されていないと思います。こういった法案は、やはりできてしまえばもう何が秘密か、それが秘密なわけですから、独自に動き出してしまう中で、この附則の部分だけが、担保措置がいつとられるのかということは、恐らく、今までのいろんな法律で後で適切な処置を講ずるといった附則とか附帯決議とかいったものについて、余り私たちはうまくそれが履行されたという実例を知りません。したがって、これでは、この部分では第三者機関については私たちとしては不足しているのではないかというふうに指摘をさせていただきます。
○中野正志君 日比野参考人から、施行までできるのかどうかということでありますけれども、本法案成立後施行まで一年、言ってみれば来年中に必ずこれを設置をさせる、する、こういう約束でありますので頑張りたいと、当然ながら、お約束でありますからやらせていただきます。
 また、瀬谷参考人から、そういう第三者機関、人材をどうかと、江藤参考人も一部あられました。確かに、私たちも議論の中で大変に悩みました。純然たる民間人ということであれば、もう二股の仕事をするわけにいきませんからこれに専業ということになる。そうしますと、その方をどういう基準で選ぶか。あるいは、その方、もしかして外国のいろいろな勢力から狙われたりする可能性もある、そのときのセキュリティーをどうするかとか、その家族の方々どうするか、いろいろな実はプラス面、マイナス面を考えまして、さっき申し上げましたように、結局は法律によって施行するか、あるいは政令によって設置するかということになるわけでありますけれども、議論としては、私たちは、内閣府にあるいは総務省に情報安全監察局、仮称でありますけれども、これを設置をするということの流れで今議論は終わりました。
 続いてお伺いをいたしますけれども、第二十三条であります。
 第二十三条に、元々は二十四条の条文でありますけれども、人を欺き、人に暴行を加え云々の前に、第二十三条、我が国及び国民の安全を害すべき用途に供する目的若しくは外国の利益を図る目的を持ってと、こう前提を置きました。ある意味、私たちは特定秘密を違法な手段で取得するスパイ行為を何としても取り締まるのでなければならない、また、その構成要件化はこれで図れるのではないだろうか。逆に言えば、スパイ目的ではない通常の取材行為については不可罰だということでこの二十三条の条文を私たちなりに作らせていただいたわけでありますけれども、こういった、私たちの国が今までとかくスパイ天国だとやゆされて、アメリカ、イギリスを始め同じ自由主義国家群からも余りいい印象を持たれていない、また、かつてはスパイ防止法の議論もありました。
 この二十三条について、短くて結構でありますから、それぞれの参考人に御評価をお願いをいたします。
○委員長(中川雅治君) 簡潔にお願いいたします。
○参考人(瀬谷俊雄君) ただいま先生の御質問につきましては、私はもう本当にそのとおりだと思っております。
 事は国家安全保障に関する問題でございますから、当然ではないでしょうか。私はそういうふうに入れていただいてよかったと思っております。
 以上でございます。
○参考人(江藤洋一君) 先生がおっしゃっているのは現行の二十四条のことだろうと思いますが、先ほど申し上げました問題点があることに加え、確かにその犯罪が成立するまでには長い道のりがあるなというふうには感じます。
 いずれにしろ、こういう目的があるか否かということは裁判でようやく明らかになってくることでございます。捜査の段階では、この辺がまだ曖昧なまま進む可能性がないわけではございません。ですので、特に捜索を受けたり、あるいは逮捕されたりという危険性がこれで払拭されることにはなっていないのではないかというふうに思います。
○参考人(日比野敏陽君) この点については幾つか、私たちとしては、私たち新聞記者の立場としても指摘をさせていただきたいと思います。
 この部分が、目的ですね、目的の部分が入ったということでありますけれども、これは、ようやく八四年の国家秘密法と言われた時代のレベルに戻っただけではないかなというふうに思います。つまり、その当時の法案も、各党から、こういった内容がなくて問題があるということで盛り込まれたと。しかし、その法案は実現しておりません。
 そして、もう一つ、この部分が、こういった、もちろん外国の利益とか自分の利益のために、国民の生命を害すべき用途にということで普通の記者は取材をしません、そんなことでは、それはある種の人なわけですけれども。しかし、こういう外国の利益のためだとかいうことで容疑を掛けることは、捜査機関にとっては可能なわけですよね。
 したがって、先ほども述べさせていただきましたけれども、容疑を掛けて裁判に持ち込まなくても、容疑を掛けること、そして逮捕するぞ、捜索するぞと言うことは可能なわけですよね。この、人を欺いたり暴行を加えたりとか、外国のためにとかいうことを立証する必要がなくても、日米安保の問題だとか米軍基地の関係について重要な情報を知らせようと思った記者がこの容疑で弾圧を受けることは十分に可能だというふうに思います。
○中野正志君 貴重な御意見の数々、ありがとうございました。
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 今日は三人の参考人、ありがとうございます。
 この秘密保護法案は希代の悪法だと私は考えております。情報は民主主義社会の血液です。その民主主義社会の血液を情報統制し、物の言えない社会にすれば、それは民主主義社会ではありません。自由と民主主義を標榜する日本社会は、この法案を絶対に通してはならない、そう考えております。
 今日、江藤参考人から、ツワネ原則にこの秘密保護法案が反するという指摘がありました。そのとおりです。そして、ピレイ国連人権高等弁務官、国連の中での人権のトップ、これはもう一人しかおりません。メアリー・ロビンソンさん、アイルランドの政治家を始め、この人権高等弁務官を務められた方たちは人権について世界でもトップの人たち、たった一人です。
 ここの国連人権高等弁務官、ピレイさんがジュネーブで記者会見し、安倍政権が進める特定秘密保護法案について、何が秘密を構成するのかなど幾つかの懸念が十分明確になっていない、国内外で懸念がある中で成立を急ぐべきではないと政府や国会に慎重な審議を促しました。日本国憲法や国際人権法で保障されている表現の自由や情報アクセス権への適切な保護措置が必要だとの認識を示しました。
 これについて、江藤参考人、御意見をお聞かせください。
○参考人(江藤洋一君) それは文字どおり、私ども日弁連が常々申し上げてきたところとおおむね一致をしております。
 やはり、国民が情報にアクセスできないということの危険性、それは、大丈夫だと言われても、そのこと自体が分からないというところに最大の問題があるわけでございまして、知らされなければいけないのは当然ですが、仮に秘密にしなければいけないとしても、それをどういう形で制約するかということがまず考えられなければいけないんではないかと思います。
 その意味で、今の国連の高等弁務官の御発言は適切な御発言ではないかと思います。
○福島みずほ君 韓国でも秘密保護法案は二度提出されて、二度成立しませんでした。南アでも何度も何度も議論をしてツワネ原則に近づけるという努力をしました。
 国際的に、とりわけ国連の人権のトップが日本の秘密保護法案についてこういう言及している。日本は常任理事国や非常任理事国に入りたいと本当に思っている国なんでしょうか。法の支配がない、民主主義について理解がない、あるいはそういう価値観を共有していない国だと世界に対して宣言しているようなものだと思いますが、江藤参考人、いかがですか。
○参考人(江藤洋一君) 我が国では、多分、法の支配とか法治主義というのが、その本来の意味と違った意味で用いられているのではないかというふうに思います。すなわち、法治主義とは国民を法で縛るものだという理解がどこかにあるんではないかなという危惧を抱くところでございます。しかし、そうではなくて、政府の公権力の行使を法で縛るというところに法の支配、法治主義ということの意味があるんではないかというふうに思うわけでございます。
 その辺の履き違えがないようにしなければいけないなというふうに感じて、今の先生のお話を伺った次第でございます。
○福島みずほ君 先ほど日比野参考人から、第三者機関というものについて検討となっても懸念が表明をされました。私もそのとおりだと思います。
 この秘密保護法案は、現時点においても、修正を経ても、根本的な欠陥は全く払拭されておりません。とりわけ、第三者機関について検討するということであれば、第三者機関についてどういう中身のものかをしっかり議論した上で法案を練り直して提出をし直すべきではないでしょうか。全て、検討する、検討する。第三者機関、私は大事だと思います。だとすれば、検討するではなく法案を作り直せと言いたいのですが、日比野参考人、いかがでしょうか。
○参考人(日比野敏陽君) 私も福島先生とその点については全く同じ意見であります。
 そもそも、この法案について、いろいろ問題点が原案から出てくるたびに、知る権利が追加されたり、非常に、憲法の一番重要な基本的人権である知る権利が追加されたり、それから審議中も政府側からは良識、ある種の良識で判断するといったような答弁が続いておりますが、そういったことが果たして表現の自由につながるのか。表現の自由にある種の試行錯誤みたいなものはあり得ないと思います。一度壊れた表現の自由を元に戻すことは、過去の歴史から見ても相当に難しいということですから、最初の立て付けからこの法案が非常に悪過ぎるというふうに言わざるを得ないと思います。
○福島みずほ君 そのとおりだと思います。
 知る権利や表現の自由、基本的人権尊重すべきだというのは、危ない危険な法律に限って載せると。こんなの何の役にも立たない。こんなことをやったからといって、表現の自由の侵害に何の役にも立たないというふうに考えております。
 根本的に欠陥があって穴があるわけですから、検討するではなく法案は練り直せというふうに、それが入っていない限り、第三者機関は重要なことですから、これは検討ではなく改正案に盛り込むべく努力をして出し直すべきだというふうに考えております。
 次に、江藤参考人にお聞きをいたします。
 この法案、先ほども議論になっておりますが、共謀、教唆、扇動を独立して処罰する、これは日比野参考人からも意見がありました。
 しかも、この共謀、教唆、扇動については二十四条と二十三条についてがあります。二十四条には目的に限定があるんですが、二十三条にはありません。つまり、公務員が情報を出すことについて何にも目的で限定していないんですね。つまり、共謀、教唆、扇動は、主体も目的も手段も一切限定がありません。
 私たち国会議員が、あるいは市民の皆さんが、ジャーナリストが、あるいはインターネットをやっている本当に市民の人が、市民活動家が、秘密かもしれない、しかし、でもこれは大事なことだ、暴かなくちゃいけない、資料を入手しよう、公務員に働きかけようと共謀しただけで共謀罪なんですね。まだ何にももらっていないんですよ。
 このことの問題点について御指摘をください。
○参考人(江藤洋一君) 先生がただいまおっしゃられたことは、いわゆる独立教唆、独立共謀のことだと思います。
 それは先生の御指摘のとおりだというふうに思います。大変危険な条文なんですが、それ以上に問題なのは、今先生がおっしゃられたように、これは秘密かもしれない、分からない、しかしそれは、実際の裁判においては未必の故意といって、故意があるという認定に傾く可能性を秘めております。ですから、そういう意味でもまた危険な内容になっているというふうに思います。
○福島みずほ君 秘密会はハウスの問題であって、個々人の国会議員は国政調査権を持っております。国政調査権にのっとって資料要求したりする。これが、秘密かもしれないが、でもこれは大事だと言えば故意犯になっちゃうわけですね。ほかの国会議員あるいは市民とジャーナリストと共謀すれば共謀罪、こんなばかな話はないと思いますが、いかがでしょうか。
○参考人(江藤洋一君) それは先生のおっしゃるとおりだと思います。
○福島みずほ君 共謀、教唆、扇動の問題点は、まだ秘密が明らかになっていないということです。秘密が明らかになっていないにもかかわらず、捜索が始まる、逮捕が起きるわけです。私は一体何に触ろうとしたのか、どの地雷を踏んだのかさえ分からない。
 江藤参考人、この捜索そして逮捕、捜査ですね、それから起訴、政府はインカメラでと言いますが、裁判所は、インカメラでやったことを、公判廷に出ませんから、証拠採用できません。また、外形立証で足りるというのが担当大臣なんですが、これ、戦前の軍事機密法と本当に似てくるんじゃないか。何によって処罰されるか分からないのにという点の、この裁判手続あるいはその危険性について御指摘をお願いします。
○参考人(江藤洋一君) 逮捕状にも捜索差押令状にも、また起訴状にも、起訴状はまた後でお話しします、令状には犯罪事実というものが記載されなければなりません。その記載の内容というのはできる限り具体的であることが望まれるわけですが、今おっしゃったように、その秘密を公にすることができませんので、その記載もなされないまま恐らくそういう令状実務が執行されるだろうというふうに思われます。ですから、分からないままだというのはおっしゃるとおりだと思います。
 また、裁判になりましても、起訴状の公訴事実の中において訴因を明定しなければならない、できる限り特定しなければならないとされておりますが、これも先ほど先生がおっしゃられたように、その秘密が特定されませんのでそのまま進行せざるを得ないという、被告人にとっても弁護人にとっても大変防御のしにくい刑事裁判が考えられる、予想されるということでございます。
○福島みずほ君 日比野参考人にお聞きをします。
 最大の問題点は萎縮効果ではないか。つまり、先ほどもありましたが、あるメディア、あるジャーナリスト、ある市民、市民活動家に一旦、例えば捜査が入る、逮捕される、捜索令状が執行されれば、その後、これは知る権利だったのか、あるいは正当業務行為だったのかというふうになりますが、一旦それが一か所でも起きれば、もう秘密かどうか、あるいは安全保障に関する、あるいは原発についての取材はやめようとか、危険なものには近寄らない、こうなってしまうんじゃないか。それは民主主義のまさに危機だと思いますが、いかがでしょうか。
○参考人(日比野敏陽君) もちろん職業的ジャーナリスト、職業的記者がそう簡単にひるむということはないというふうにまず私の立場としても申し上げたいと思いますが。
 しかし、何度も申し上げるように、取材する側が萎縮することは確実だと思います。そして、何よりも取材源が萎縮することによって私たちの取材活動ができなくなってしまう、事実上不可能になると。それは、聞き出す能力とか記者の力量だとかいうことではなくて、法的に十年の重罰で情報源を押さえ込むということですから、事実上、取材活動、ジャーナリズムが機能しなくなってしまうということは明らかだと思います。
○福島みずほ君 適性評価についてなんですが、病院がこの人の病気の病気歴を義務として出すと。そうなると、公務員の皆さんも民間の皆さんも、例えばうつ病や精神的な疾患というのはもちろんあるわけです。そうすると、病院に通うのをやめようとか、むしろずっと手前の段階で、もう行かないという形になる。むしろそれは病気の治療にとっては良くないわけで、そういう萎縮効果が本当に起きるんではないか。例えば配偶者の国籍について、帰化した後の、元の国籍も聞くということになれば、例えば、この委員会でも出ておりますが、外国の人と結婚するのはやめよう、帰化した人と結婚するのはやめよう。ずっと手前の段階で、この社会が、あるいは個人が非常に萎縮してしまうというふうに思いますが、江藤参考人、そういうことについてどう思われますか。
○参考人(江藤洋一君) 今の先生のお話はいろんな角度から検証されるべき問題だと思いますが、自由闊達な民主主義社会というのは、やはり思想的な自由、そしてその思想的な自由は何によって維持されるかといえば、環境あるいはそういうふうな監視の目が自分に働いていないということによって維持されるんだろうというふうに思います。そういう意味で、大変危険な内容になっているかと思います。
○福島みずほ君 石破幹事長のテロ発言というのは極めて問題ですが、この特別委員会との関係でいえば、テロに対する定義が条文ではよく分からないということです。殺傷まで考えてなくても、人に意見を強要するということもテロかというふうに条文上は読みかねない。つまり、欠陥法案だというふうに思い、やり直せというふうに思いますが、江藤参考人、いかがでしょうか。
○参考人(江藤洋一君) 今先生の御指摘の点は、法案第十二条の中に出てきますテロリズムの定義にかかわることだろうと思います。そこにはどう書かれているかと申しますと、「政治上その他の主義主張に基づき、」、ここで点が打たれております、「国家若しくは他人にこれを強要し、」、ここでまた点が打たれております、「又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、」が一固まりになって、ここでまた点が打たれております、そしてまたその後に、「又は重要な施設その他の物を破壊するための活動をいう。」と、こうなっております。ですので、「又は」で三つが並列に並んでいるそういう文章構造、文章技術からして、先ほどのような、福島先生のような解釈は成り立つということであると思います。
 森国務大臣は確かに、そうではなくて全て「目的」に係るという趣旨のことをおっしゃられておりますが、それにしてはこの文章はいかにもそうなっていないというところが問題かなというふうに思います。
○福島みずほ君 私たちはローメーカーですから、この法案の条文が命です。その法案の条文上、やはり大変欠陥がある。第三者機関にしろ今のテロリズムの定義にしろ、いろんなところが本当に欠陥があると。今国会で成立をすべきではないということを、まあ参考人の質疑で言うのも何か変ですが、でも、参考人の皆さん、今日は、私は、瀬谷参考人ですら、これを危険な面があるというふうにおっしゃった点が……(発言する者あり)あっ、ですらって大変失礼しました、瀬谷参考人がこの法案について危険な面があると、三人そろってやっぱり危険性を御指摘されたことを重く受け止め、国会の中で頑張ってまいります。
○委員長(中川雅治君) 参考人に対する質疑はこの程度といたします。
 この際、参考人の方々に一言御礼を申し上げます。
 参考人の方々には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 午後六時まで休憩いたします。
   午後零時三十五分休憩
     ─────・─────
   午後六時一分開会
○委員長(中川雅治君) ただいま……(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)委員の異動について御報告いたします。本日……(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)選任されました。(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)……の保護に関する法律案について意見を聴取するため……(発言する者多く、聴取不能)賛成の方の起立を求めます。(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)……派遣地、派遣期間……(発言する者多し)につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、賛成の方の……(発言する者多く、聴取不能)……よって、さよう決定いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時二分散会
     ────・────
  本日の本委員会における再開後の議事経過は、
 次のとおりである。
  ○特定秘密の保護に関する法律案(閣法第九
   号)
    右案の審査のため委員派遣を行うことを
   決定した。