第186回国会 本会議 第14号
平成二十六年四月四日(金曜日)
   午前十時一分開議
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○議事日程 第十四号
  平成二十六年四月四日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の報告に関する件(「国家安全
  保障戦略」、「平成二十六年度以降に係る防
  衛計画の大綱」及び「中期防衛力整備計画(
  平成二十六年度〜平成三十年度)」に関する
  報告について)
 第二 所得に対する租税に関する二重課税の回
  避及び脱税の防止のための日本国とアラブ首
  長国連邦との間の条約の締結について承認を
  求めるの件
 第三 所得に対する租税に関する二重課税の回
  避及び脱税の防止のための日本国とスウェー
  デンとの間の条約を改正する議定書の締結に
  ついて承認を求めるの件
 第四 所得及び譲渡収益に対する租税に関する
  二重課税の回避及び脱税の防止のための日本
  国とグレートブリテン及び北アイルランド連
  合王国との間の条約を改正する議定書の締結
  について承認を求めるの件
 第五 所得に対する租税に関する二重課税の回
  避及び脱税の防止のための日本国政府とオマ
  ーン国政府との間の協定の締結について承認
  を求めるの件
 第六 貿易保険法の一部を改正する法律案(内
  閣提出、衆議院送付)
 第七 建設業法等の一部を改正する法律案(内
  閣提出)
 第八 建築基準法の一部を改正する法律案(内
  閣提出)
 第九 公共工事の品質確保の促進に関する法律
  の一部を改正する法律案(国土交通委員長提
  出)
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○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
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○議長(山崎正昭君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の報告に関する件(「国家安全保障戦略」、「平成二十六年度以降に係る防衛計画の大綱」及び「中期防衛力整備計画(平成二十六年度〜平成三十年度)」に関する報告について)
 内閣総理大臣から発言を求められております。発言を許します。内閣総理大臣安倍晋三君。
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 政府は、昨年十二月十七日、国家安全保障会議及び閣議において、国家安全保障戦略、平成二十六年度以降に係る防衛計画の大綱及び平成二十六年度から平成三十年度までの中期防衛力整備計画を決定いたしました。
 以下、これらについて御報告申し上げます。
 国家安全保障戦略は、我が国で初めて策定した国家安全保障に関する基本方針であります。我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しており、脅威は容易に国境を越えてきます。どの国も一国のみでは自国の平和と安全を守ることはできず、国際社会と協力して平和を確保していくことが不可欠です。
 このような認識の下、本戦略においては、国際協調主義に基づく積極的平和主義を基本理念として掲げております。我が国の安全と地域の平和と安定を実現しつつ、国際社会の平和と安定、そして繁栄の確保に、これまで以上に積極的に寄与していくとの考えであります。
 この基本理念の下、我が国の国益を明確にした上で、国家安全保障の目標として、次の三点を示しています。
 第一に、必要な抑止力を強化し、万が一我が国に直接脅威が及ぶ場合には、それを排除し、被害を最小化すること、第二に、日米同盟や域内外のパートナーとの信頼・協力関係の強化等により、地域の安全保障環境を改善すること、第三に、普遍的価値やルールに基づく国際秩序の強化、紛争の解決に主導的な役割を果たし、グローバルな安全保障環境を改善することであります。
 その上で、国家安全保障上の課題を特定しつつ、それらを克服し、目標を達成するため、我が国自身の外交力、防衛力等の強化を始めとする戦略的アプローチを示しております。本戦略は、エネルギー等国家安全保障に関連する分野の政策に指針を与えるものであります。
 政府としては、国家安全保障会議の司令塔機能の下、本戦略に従って、国家安全保障に関する政策を一層戦略的かつ体系的に実施し、国家安全保障に万全を期す考えです。
 次に、いわゆる新防衛大綱について御報告申し上げます。
 新防衛大綱は、国家安全保障戦略を踏まえ、今後の我が国の防衛の在り方について新たな指針を示すものであります。
 我が国の防衛力については、多様な活動を統合運用によりシームレスかつ状況に臨機に対応して機動的に行い得る実効的なものとしていくため、幅広い後方支援基盤の確立に配意しつつ、高度な技術力と情報・指揮通信能力に支えられ、ハード及びソフト両面における即応性、持続性、強靱性及び連接性も重視した統合機動防衛力を構築することとしております。
 この考え方の下での体制の整備に当たっては、統合運用の観点からの能力評価を踏まえ、各種事態における実効的な抑止及び対処を実現するため、その前提となる海上優勢及び航空優勢の確実な維持に向けた防衛力整備を優先し、機動展開能力の整備も重視することとしております。
 最後に、いわゆる新中期防について御報告申し上げます。
 新中期防は、新防衛大綱に定める我が国が保有すべき防衛力の水準を見据え、当初五年間に達成すべき計画であります。統合機動防衛力を構築するための主要事業を掲げており、その実施に必要な金額は、平成二十五年度価格でおおむね二十四兆六千七百億円程度を目途としております。その上で、調達改革等を通じて、一層の効率化、合理化を徹底した防衛力整備に努め、各年度の予算編成に伴う防衛関係費は、おおむね二十三兆九千七百億円程度の枠内とすることとしております。
 以上の国家安全保障戦略、新防衛大綱及び新中期防の下、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、国民の生命と財産、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くとともに、地域と国際社会の平和、安定、繁栄の確保に、これまで以上に積極的に寄与してまいります。
 皆様の御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
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○議長(山崎正昭君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。佐藤正久君。
   〔佐藤正久君登壇、拍手〕
○佐藤正久君 自由民主党の佐藤正久です。
 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました国家安全保障戦略、防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画について質問をいたします。
 昭和三十二年に策定された国防の基本方針に代わる国家安全保障戦略の策定は、戦略性を持った防衛力整備を行う上で長く待望されていたものであります。昭和三十年代から現在まで、冷戦の終結、中国の台頭、北朝鮮の核・ミサイル開発など、我が国の安全保障を取り巻く環境は大きく変わりました。そして、何より我が国自身が大きく成長し、成熟しました。五十年以上という時の長さを考えると、新たな戦略の策定はむしろ遅過ぎたと言えます。
 一昨年の総選挙で、総理は、民主党によって大きく傷つけられた外交を取り戻すと主張し、国民の信任を得ました。確かに、民主党政権時、時の総理が日米中正三角形論を公に唱え、日米と日中の辺の長さが同じなのはおかしいと指摘されると、必ずしも三角形の辺の長さが同じとは認識していないと変節。辺の長さが違う三角形は正三角形とは言いません。
 普天間飛行場移設もそうです。当てもなく、国外だ、最低でも県外と公言し、迷走の末に、学べば学ぶにつけ沖縄海兵隊の抑止力の意義が分かりましたと辺野古に戻った。これでは沖縄県民も自衛隊の現場もたまりません。私も連隊長時代、隊員に、君たち一人一人の汗と頑張りが日本の抑止力につながる、耐えろと言っていたのに、最高指揮官の総理が抑止力が分からなかったら、組織は成り立ちません。
 総理は、一昨年の総選挙時、民主党の外交・安全保障政策の何が問題だと考えたのか、また、それを解決すべく、どのような方向性を今回の安保戦略に入れ込んだのか、お聞かせください。
 また、安保戦略には、国家安全保障政策を支える社会的基盤の強化として、我が国と郷土を愛する心を養うことを掲げています。愛国心を安保戦略に入れ込んだ理由と、それを涵養するための具体的な方策について、総理のお考えをお聞かせください。
 総理は、今年の年頭所感で、強い日本を取り戻す戦いは始まったばかり、これまで以上に世界の平和と安定に積極的な役割を果たすと明言されました。その中心にあるのが国家安全保障会議であると思います。国家安全保障会議は、昨年十二月四日の設立から四か月がたちましたが、設立以前と何がどう変わったのでしょうか。国家安全保障会議のこれまでの活動に関する評価をお伺いします。
 次に、防衛大綱、中期防について伺います。
 民主党政権下で策定された前大綱、中期は、情報収集、警戒監視を過度に強調したもので、抑止力という観点では疑問がありました。抑止力は、やられたら痛いと相手が思わなければ抑止にはなりません。すなわち、警戒監視だけでは痛くもかゆくもなく、警戒監視から対処力まであって初めて抑止が効いた防衛力と言えます。また、目玉であった動的防衛力の考え方も判然としませんでした。防衛力を単に保持するだけではなく、運用水準や活動量を高めることが抑止力になるという説明でしたが、そんなことは当たり前です。そもそも防衛力は動的なものであって、動的でない防衛力など存在しません。
 前大綱、中期で防衛予算や定数を削減したことも大きな過ちです。中国が二十年以上にわたり国防予算の二桁増を続け、米国は国防予算の大幅な削減を行おうとする中、思い切った効率化、合理化を掲げるのは時代錯誤であり、我が国の安全保障を危機に陥れるおそれがありました。現在の大綱、中期が示す防衛力の質と量を必要かつ十分に確保するという考え方こそが現状にふさわしいものだと考えます。
 また、現行の大綱、中期には、各種事態にシームレスに対応して領土、領海、領空を守り抜くと、強い決意が示されています。この方針について全く異論はありません。ただ、グレーゾーンの事態を含め、我が国の主権を侵害し得る行為に対して実効的かつ機動的に対処するとの記述だけでは、国民に対して現行の態勢で十分対応できるのだという誤解を与えるおそれはないのでしょうか。警察力を超え、防衛出動に至らないグレーゾーン事案に対する法制、態勢については更なる整備が必要だと考えますが、総理の御認識と対応方針を伺います。
 南西諸島の防衛では、部隊の事前配置に加えて、航空・海上優勢の下で、焦点となる地域や島に戦力を集中することが必要です。そのために鍵となるのが輸送力です。この点で、現行の大綱、中期は統合輸送力の強化や民間輸送力の積極的な活用が明記されており、以前よりはるかに良くなっています。しかし、それでも自衛隊の輸送力には限界があります。民間の輸送力についても、情勢緊迫時や有事の利用には制約が出ます。輸送力の確保について具体的方策をどうお考えか、総理にお伺いします。
 また、南西諸島防衛では、離島に住む国民の保護が重要課題になります。尖閣のような無人島ばかりでなく、有人離島も多いのが実情です。しかし、大綱、中期には、国民保護に関する具体策が余り書かれていません。南西諸島の港や空港のインフラは脆弱で、自衛隊の艦艇や航空機が運用できないところも多くあります。南西諸島における国民保護に関する課題と、それを解決するための具体策を総理にお伺いします。
 現行の大綱、中期では、編成定数について、二十五年度末の定数で現状維持、つまり下げ止まりとされました。前大綱、中期と比べると大きな改善です。しかし、現状維持では、既存の部隊の廃止、縮小をしなければ部隊の新編はできないことになり、実質的な要員確保は困難です。
 例えば、海上自衛隊の潜水艦は十六隻体制から二十二隻体制となりますが、海自の人員は増えず、今いる隊員の中でのやりくりであり、艦艇部隊の中には充足が七〇%で運用しているものもあるようです。また、新装備の導入にあっては、第一線部隊から要員を抜いて教育訓練を行うため、部隊の人員不足が常態化するおそれもあると考えます。
 これらの点についてどう対応していくのか、防衛大臣の御説明を願います。
 現中期防の予算水準は、二十四兆六千七百億円程度とされました。三期ぶりの増額は大変喜ばしいことです。しかし同時に、調達改革などを通じておおむね七千億円程度の実質的な財源の確保を図るとされております。装備品の調達については、これまでも様々な効率化が図られてきました。この七千億円の捻出のために行われる部品などのまとめ買いは、確かに単価の低減となるものの、継続的な調達ができないため、生産基盤の弱体化につながるおそれもあります。また、スペックダウンや器材整備の次期中期への先送りなども危惧されております。これは、装備の可動率低下につながり、戦力の低下にもなりかねません。
 こうした調達に関する問題をどうお考えか、防衛大臣の御見解をお聞かせください。
 最後に、隊員の処遇について伺います。
 安倍政権になってから、厳しい財政状況にもかかわらず、隊員の実員数は二年連続の増となりました。現大綱、中期、そこにおきましては、隊員の処遇に関わる事項も充実し、初めて栄典についても記載されました。現場の隊員は、名誉と誇りがあれば、それがたとえ危険な任務でも、総理の命令に従い、任務完遂に全力を尽くします。隊員に焦点を当てたのは画期的なことであり、安倍総理の御英断だと思います。
 そこで、隊員の名誉、処遇の充実に関し、我々自民党が求める統合幕僚長の認証官化を含め、更なる措置を訴えるとともに、総理のお考えをお伺いして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 佐藤正久議員にお答えをいたします。
 総選挙での外交を取り戻すとの主張についてお尋ねがありました。
 一昨年の総選挙では、失われた日米同盟の信頼を取り戻すことを始め、民主党政権の下で危機的状況に陥った我が国の外交を立て直すことを訴え、国民の支持を得ました。
 国家安全保障戦略では、日本の外交を立て直すため、国際協調主義に基づく積極的平和主義を基本理念として掲げ、我が国の国益とは何かを明確にしつつ、国家安全保障の目標を明示するとともに、これらの目標を達成するため、日米同盟の強化を始め、多岐にわたる戦略的アプローチを示しました。今後とも、国家安全保障会議を司令塔として、政府一体となって機動的、戦略的な外交・安全保障政策を展開してまいります。
 国家安全保障戦略に掲げられた社会的基盤の強化に関するお尋ねがありました。
 国家安全保障に関する政策を中長期的観点から支えるためには、国民一人一人が、地域と世界の平和と安定及び人類の福祉の向上に寄与することを願いつつ、国家安全保障を身近な問題として捉え、その重要性や複雑性を深く認識することが不可欠であります。
 かかる認識の下、我が国と郷土を愛する心を養うことを国家安全保障戦略に記述しました。そのような心を育むために、適切な教育や広報が行われるよう、政府一体となって取り組んでまいります。
 国家安全保障会議の活動についてお尋ねがありました。
 国家安全保障会議は、昨年十二月の発足以来、これまで十八回開催されており、国家安全保障戦略の決定や防衛装備移転三原則の決定等を行ったほか、東アジア情勢やウクライナ情勢等について戦略的観点から充実した議論を行っています。
 国家安全保障会議では、外交・安全保障に関する諸課題につき、関係省庁の垣根を越え、迅速かつ戦略的な政策決定を行ってきており、まさに我が国の国家安全保障政策の司令塔として機能していると考えております。
 グレーゾーン事態への対応についてお尋ねがありました。
 我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しており、領土や主権、海洋における経済権益等をめぐり、グレーゾーンの事態が増加する傾向にあります。このため、様々な事態にシームレスに対応することが不可欠であります。
 御指摘の、警察機関の能力を超え、防衛出動に至らないような事態における自衛隊の行動や態勢の在り方を含め、国民の生命、財産、我が国の領土、領海、領空を守るために必要な課題については、国家安全保障会議も活用して、政治の強力なリーダーシップの下、しっかりと検討を行い、実効的な措置を講じてまいります。
 また、憲法に関わる法的な課題については、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会の報告を踏まえ、対応を検討してまいります。
 輸送力の確保についてお尋ねがありました。
 島嶼部に対する攻撃や大規模災害等へ対応するためには、自衛隊の部隊を機動的に展開、移動し得るよう、迅速かつ大規模な輸送能力を確保することが不可欠です。このため、新防衛大綱においては、平素から民間輸送力との連携を図りつつ、統合輸送能力を強化することとしています。
 具体的には、ティルトローター機の導入や輸送機の整備、輸送艦の改修等により自衛隊の航空・海上輸送力を強化するとともに、予備自衛官の活用も含め、民間輸送力の積極的な活用について検討を行い、十分な輸送力を確保することを考えています。
 国民保護に関する課題と取組についてのお尋ねがありました。
 議員の問題意識のとおり、離島については、島外避難となる場合、その輸送手段に大きな制約があると考えています。地方公共団体においては、あらかじめ全住民の避難も視野に入れ、関係機関と連携した体制の整備や船舶等の運送事業者との連携強化に努めるなど、住民の輸送手段の確保を図っていると承知しています。
 政府においても、船舶等による島からの避難に主眼を置いた国民保護訓練を実施するなどしているところであり、今後とも、体制整備への支援や事態発生時の運送事業者との調整、国の船舶等を用いた輸送など、必要な取組を進めてまいります。
 自衛隊員の名誉、処遇についてのお尋ねがありました。
 自衛隊員の名誉、処遇については、御指摘の統合幕僚長の認証官化を含め、昨年、自民党から提言をいただいており、これも踏まえて、新防衛大綱、新中期防においては、栄典、礼遇に関する施策を推進する旨明記しているところであります。
 自衛隊が任務を遂行するためには、隊員の名誉や処遇に係る施策の充実が極めて重要であると考えており、幅広い観点から検討し、着実に実施していきたいと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣小野寺五典君登壇、拍手〕
○国務大臣(小野寺五典君) 佐藤正久議員にお答えします。
 まず、潜水艦等の増勢に必要な定員の確保及び教育訓練の実施についてお尋ねがありました。
 新防衛大綱において、潜水艦は十六隻体制から二十二隻体制へ増勢することとしていますが、新中期防期間中においては、現状の十六隻から十九隻程度に増勢する予定です。
 増勢が行われる潜水艦等の新たに必要となる要員については、除籍する予定の艦艇や能力の向上により装備数が減少する予定の哨戒機の定員などを活用しつつ、今後とも、質の高い教育訓練等により、第一線部隊の運用に支障が生じないよう要員の養成を図って計画的に行ってまいります。
 次に、中期防の予算水準と調達に関する問題についてお尋ねがありました。
 防衛省としては、新中期防で掲げられたおおむね七千億程度の実質的な財源の確保を達成するため、これまでの取組に加えて、様々な施策を講じていく必要があると考えております。
 具体的には、装備品のライフサイクルを通じたプロジェクト管理の強化、装備品のまとめ買いや、更なる長期契約の導入の可否の検討、装備品の維持整備方法の見直し、民生品の活用、仕様の見直し等、様々な効率化、合理化施策に取り組んでおります。
 他方で、これらの施策を進めるに当たっては、戦略の策定を含めた防衛生産、技術基盤の維持強化や、装備品の質を保持しつつ可動率を向上するとの観点にも十分配慮してまいります。(拍手)
    ─────────────
○議長(山崎正昭君) 北澤俊美君。
   〔北澤俊美君登壇、拍手〕
○北澤俊美君 民主党の北澤俊美です。
 私は、ただいま議題となりました国家安全保障戦略、平成二十六年度以降に係る防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画につきまして、民主党・新緑風会を代表して質問をいたします。
 さて、総理、耳障りなことも言うと思いますが、これから私が述べますことをどうか心に刻んでいただきたい、私はそう願っております。
 冒頭、今は亡き元日本興業銀行頭取西村正雄さんが、亡くなる直前の二〇〇六年、ある月刊誌に載せた論文について紹介をいたします。西村さんは、故安倍晋太郎元外相の弟であり、安倍晋三現総理の叔父さんに当たられる方であります。
 西村さんは、まず、一九九八年八月に小渕総理が就任したとき、唐の太宗の帝王学から、「偏信を捨て兼聴せよ」という言葉を贈ったと述べておられます。偏信とは一人の言うことだけを信用することであり、兼聴は多くの人の率直な意見に耳を傾けることであります。
 続いて、西村さんは、政治の基本理念である経世済民の原点に立ち、格差是正に心を致すことを次の総理に望むと主張しておられます。けだし的を射た至言であります。そして最後に、西村さんは、日中首脳会談の再開を強く望んで筆をおかれています。
 この論文は、西村さんによる我が国の政治に対する遺言であり、自民党総裁選に出ることすら心配していたおいの安倍晋三総理への遺言となりました。その中身は今日の我が国の政治にも通用するものと考えます。お身内の警鐘をどのように受け止め、目の前の政治にどう向かわれるつもりか、総理の御所見をお聞かせください。
 国家安全保障戦略から質問をしてまいります。
 国家安全保障戦略では、積極的平和主義が強調されています。しかし、これがどうもうさんくさい。なぜうさんくさいのか。総理は、戦後レジームからの脱却をうたい、国家主義、軍事力への憧憬を隠そうとしていません。総理の側近である衛藤晟一補佐官は、総理の靖国訪問に失望したと述べた米国政府に対し、こっちこそ失望したと述べています。さらに、萩生田光一自民党総裁特別補佐の発言などもあり、幾ら積極的平和主義という言葉を弄んでも、うさんくささが付いて回るのは当然であります。
 総理に質問をいたします。戦後レジームから脱却した後にどんな国家があるのでしょうか。新しい国家像があるなら、是非語っていただきたいものであります。
 外交・安全保障は国家存立の中心であります。それは、相手国との究極のリアリズムに立脚して構築されなければなりません。ところが、今日の安倍政権は、近隣諸国、なかんずく韓国、中国とは本格的な首脳会談も開けず、同盟国米国に仲介の労を煩わせても展望が開けておりません。しかも、自身の靖国参拝をめぐってはその米国からも失望したとのコメントを出され、また、ロシアとの間で活路を見出そうとしたものの、クリミア情勢で身動きが取れず、まさに八方塞がりの状態であります。
 外務大臣には、現下の日本外交に関する基本認識を伺います。なぜこのような状態に至ったのでありましょうか。
 私に言わせれば、答えはまさに身から出たさびであります。今日、安倍政権は、総理の個人的信条を優先させ、さらには、身辺のブレーンが偏狭なナショナリズムに基づいた発言を繰り返しています。安倍総理が幾ら前言を翻し、官房長官がブレーンの発言を打ち消しても、国際社会は安倍総理の本心は別ではないかという疑心暗鬼を抱いています。安倍内閣のダブルスタンダードは見抜かれているのであります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 思えば、吉田茂総理を始め、戦後歴代の自民党内閣は苦労を重ね、大きな戦略的判断として決めたのが専守防衛と平和主義でした。先人たちは、忍び難きも忍びながら、それでも我が国の国益を見据えてぎりぎりの決断を下したのです。だからこそ、国民の大多数はそれを支持し、国際社会も日本の姿勢を高く評価してきました。
 吉田総理たちの根底にあったのはリアリズムであり、それは、忍耐、歴史に対する深い洞察力、そして心に響く誠実さに支えられていた。だからこそ、敗戦によって主権を失った国家と国民を導き、戦後を乗り越える力となったのです。
 一方で、総理のブレーンやNHK会長や一部経営委員の歴史認識は、私に言わせれば、今だから言える的な浅はかなものであります。そこにはリアリズムを見出すことはできません。そんなものでは戦後を乗り越える力とはなり得なかったし、現代を乗り越える力にもなり得ません。
 総理に助言するとしたら、今やこの袋小路から抜け出すための第一歩は、政府の方針と異なる発言を繰り返すブレーンを更迭することであります。さきに引用した別の週刊誌のインタビューでも、晋ちゃんは人がいい、人がいいから他人に利用されやすい、偏狭なナショナリストと離れろ、国家を誤らせる偏狭なナショナリストとは一線を画すべきじゃないかと述べております。総理のお考えを伺います。
 三日前、安倍内閣は、防衛装備移転三原則を閣議決定しました。これにより、従来の武器輸出三原則が持っていた平和国家としての基本理念を踏み外すことになるのではないかと私は心配をいたしております。私の心配は杞憂でしょうか。例えば、新しい仕組みの下では、現在紛争の当事国になっている国、例えばイスラエルに対し、我が国の防衛装備品等が移転しないことをどうやって担保するおつもりか、菅官房長官にお伺いをいたします。
 次に、防衛大綱、中期防について質問します。
 本日議題となっている防衛大綱は、昨年十二月に安倍内閣の下で制定されました。その三年前の平成二十二年十二月、当時の菅内閣は、通称二二大綱と呼ばれる防衛大綱を制定し、私もその任に当たりました。連日連夜、防衛省内及び政府内で激論を繰り返したことを今もはっきり覚えております。
 当時の我々の問題意識は、冷戦時代の安全保障体制の残滓を乗り越え、新しい時代にふさわしい防衛体制を打ち出すことにありました。その結果が、三十四年間続いた基盤的防衛力構想から動的防衛力構想への大転換でありました。極東ソ連軍を念頭に置いた態勢から、南西重視を打ち出し、厳しい財政制約の下での防衛力の実効性を高めるため、情報力と展開力を強化することとしました。今思えば、防衛大綱を通じ、新時代の国家安全保障戦略を提示していたのだと自負しております。
 以上を念頭に置いて今回の防衛大綱を読んだ感想は、一言で言えば肩透かしであります。安全保障環境の変化に対応したといううたい文句にもかかわらず、北朝鮮のミサイルも、中国の海洋進出も、災害対応の重要性も、そして複合事態へのシームレスな対応や統合運用の重要性も、全て二二大綱に盛り込まれていました。
 今次大綱の目玉である統合機動防衛力も、我々が打ち出した動的防衛力と何が違うのか。少なくとも、名前を変えなければならないほどの違いを見付けることはできません。民主党が作った大綱だから面白くない、せめて看板だけでも掛け替えたいという子供じみた思いが透けて見えます。現に米軍は、呼び方は変わってもその前と変わらないと解釈している、そう聞き及んでおります。
 戦略環境その他の事情に重大な変化がない限り、防衛政策は継続性、安定性が重要であります。総理を始め、関係閣僚にはこのことを肝に銘じていただきますようお願いを申し上げたい。子供じみた発想より、当時政権を担った民主党が大綱を作ったことで、我が国政治勢力の八〇%以上が日米同盟とともに防衛政策の継続にコミットした重要性こそ意を用いるべきではないでしょうか。
 防衛大臣に対し、二二大綱で掲げた動的防衛力と今次大綱の統合機動防衛力はコンセプトや戦略的背景の面で何がどう違っているのか、質問をいたします。
 新中期防衛力整備計画では、二十四兆六千七百億円の経費総額となっており、一つ前の計画より一兆円を超える増額だと安倍内閣は胸を張っているようであります。ところが、この二十四兆六千七百億円は仕掛けがあり、まとめ買いなど調達改革を通じて五年間で七千億円もの合理化を実現することが前提となっています。いわゆる真水の額は二十三兆九千七百億円にとどまるわけで、あとは自衛隊が毎年平均で千四百億円もの合理化努力をしなければ、新計画は絵に描いた餅になるわけです。
 防衛大臣に伺います。
 自衛隊は、調達改革等を通じて本当にこれだけの巨額の財源を捻出できるのか、現在どのような取組を行っているのか、また今後行う予定であるのか。効果ごとの具体的な見込額も含めて明らかにしていただきたい。
 残りの時間は、現在、安倍内閣で検討している安保法制の見直しについて質問をいたします。
 先般、集団的自衛権行使について民主党の見解をまとめました。我々は三つの原則に立ちます。第一は立憲主義による制約、第二は法治主義に基づく限界、第三は法的安定性確保の要請、この三つであります。
 内閣自らが憲法解釈を変更する余地は、いかに諸情勢の変化とそれから生ずる新たな要請があったとしても、従来の解釈との整合性が図られた論理的に導き得る範囲に限られ、内閣が便宜的、意図的に変更することは、立憲主義及び法治主義に反しています。集団的自衛権の行使について、憲法第九条に違反し許されないという内閣の解釈を正面から否定し、集団的自衛権の行使一般を容認する解釈に変更することは許されない、こう集約いたしました。
 以上の見解をまとめた我々にとって、総理が集団的自衛権の行使に関わるような重大な憲法解釈の変更について、最高の責任者は私だ、私たちは選挙で国民から審判を受けると述べられたのは、まさに聞き捨てならない一言です。総理大臣であっても従来の解釈と整合性の取れないような変更を加えることは立憲主義に反します。また、選挙は様々な争点で戦われるのであり、選挙結果をもって自分の憲法解釈が国民に信任されたと言うのは、たちの悪い強弁であります。
 また、内閣の判断次第で我が国の武力行使が許される範囲が恣意的に伸縮、変化し、過去に適法であったものが将来違法と評価されるといった状況が起きるということになれば、武力の行使という極めて重い任に当たる自衛隊員にとっては死活問題となります。端的に言えば、ある内閣が唐突にやってもよいと決め、その命令に基づいて行った隊員の行為が、後の内閣によって否定され、糾弾されかねないのであります。そんなことは絶対に許されません。
 最近、砂川判決を集団的自衛権行使の根拠にする説が出ています。しかし、これは個別的自衛権について述べたものであり、集団的自衛権を正当化することはできません。しかも、その後の政府見解で、集団的自衛権は保有すれども行使せずと明らかにしており、既に決着済みであります。
 今、憲法審査会では国民投票法について与野党の協議が進み、その成立が視野に入ってきました。大変喜ばしいことだと思います。集団的自衛権の行使について、国民投票法に基づいて史上初の憲法改正を国民に問うのであれば、その内容にもよりますが、総理は政治指導者として王道を行くと言ってもよいでありましょう。しかし、選挙での勝利に酔い、有無を言わせずに解釈変更を進めるのであれば、あなたは政治指導者として覇道、邪道を行くことになる。よもや与党がそのようなことを認めるとは考えたくありません。
 以上述べた上で、総理にまとめて質問をいたします。
 ここまで申し上げても、総理は、憲法解釈は自分がやろうと思えば好きにできると開き直り続けますか。政府が行う解釈変更には限界があり、このようなおそれを生じ得るような法的安定性を損なう解釈変更は許されるべきではないことに同意されませんか。そして、集団的自衛権の行使について、なぜ憲法改正でなく解釈変更でやろうというのでありましょうか。
 私は、戦前に生を受け、終戦時は小学校の低学年でありました。ゆう子ちゃんのお父さんが戦死した、富夫ちゃんのお兄さんが戦死した、匡ちゃんのお父さんはシベリアへ連れていかれたらしい。それぞれの家庭に押し寄せる悲しみと貧しさも記憶しております数少ない国会議員の一人であります。
 その私がつくづく思いますには、国家が戦争をしないための最後のとりでは国会であります。安倍総理が委員長の議事整理権を無視し、半ば切れかかった調子でやじを黙らせる行為を見るにつけ、過去の国会の自滅、国家の崩壊の歴史が脳裏をよぎります。宰相に求められる泰然自若の風格と謙虚さを備えた総理の成長を切に願うとともに、我々議会人も責任の重さを改めて自覚したいものであります。
 今生きる私たちが悲惨な歴史の教訓を忘れないために、最後に、戦争の非情を伝える二つの歌を紹介して、私の質問を終わります。
 「我が妹は母しなければとつぐ今日誰が帯結び粧いするらむ」、「我が妹は母しなければとつぐ今日誰が帯結び粧いするらむ」。松本光憲。上智大学生、昭和二十年五月十五日戦死、享年二十五歳。「きけわだつみのこえ」より。
 「出征きて還らぬ友垣十四人並べて齢は二十二なりき」、「出征きて還らぬ友垣十四人並べて齢は二十二なりき」。小口凪海。同級生中一人だけ生還した胸中を詠む。松本市在住、現在九十二歳。信濃毎日新聞より。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 北澤俊美議員にお答えをいたします。
 私の叔父、西村正雄が書いた八年前の論文についてお尋ねがありました。
 七年前、私は突然病のために総理大臣を辞し、国民の皆様に大きな御迷惑をお掛けをいたしました。あのときの大きな挫折は今も私の胸に深く刻み込まれています。叔父の言葉も、挫折を経験した今だからこそ理解できる部分もたくさんあると考えています。
 自民党もまた、五年前の総選挙で歴史的な惨敗を喫し、三年三か月の厳しい野党生活を経験しました。私たちは、こうした過去を率直に反省し、教訓として心に刻みながら、様々な国民の声に謙虚に耳を傾け、国民が求める経済の再生を最優先に真摯な政権運営を行っております。
 叔父が引用した貞観政要には、「古自り国を失うの主は、皆安きに居りて危うきを忘れ、理に処りて乱を忘るるを為す」という言葉もあります。今後とも、気を緩めることなく、緊張感を持って、激変する国際情勢など現実を見据えながら、日本の未来を切り開いていく覚悟であります。
 積極的平和主義と新しい国家像についてのお尋ねがありました。
 憲法を始め、教育、安全保障など、国の基本的な枠組みは変えられないと諦める精神を打ち捨て、私たち日本人が自らの手で国をつくり上げていく気概を持つ、こうした気持ちこそが新たな日本を切り開く原動力となると信じます。
 戦後六十八年を経て、日本の社会も日本を取り巻く国際情勢も変わりました。こうした現実を踏まえ、日本の国の将来をどうするか、今こそ国民的議論を深めるべきであります。
 我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しており、国境を越える新しい脅威も増大しています。このような状況の下では、もはやどの国も一国のみでは自国の平和と安全を守ることはできず、自国の平和と安全を守るためには、国際社会と協力して地域や世界の平和を確保していくことが不可欠であります。
 このような認識の下に、我が国はこれまで以上に積極的に国際社会の平和と安定及び繁栄の確保に寄与していく、これが積極的平和主義であり、我が国の国家安全保障政策の基本理念であります。積極的平和主義に対しては、多数の国から、これを歓迎し支持するとの反応を得ており、国際協調主義の下で、日本はこれまで以上に積極的な役割を果たしてまいります。
 安倍内閣のブレーンについてお尋ねがありました。
 安倍内閣においては、補佐官などの任命についても、閣僚の任命と同じく、能力、経験、職務内容など様々な観点を検討し、総合的に判断し、適切に行ってきています。
 戦後、我が国は、自由で民主的で、基本的人権や法の支配を尊ぶ国をつくり、六十八年にわたり平和国家として歩んでまいりました。その歩みは今後も決して変わることはありません。国際社会に対しても、その日本の決意をしっかりと発信してまいりたいと考えております。
 集団的自衛権の問題に関するお尋ねがありました。
 集団的自衛権等と憲法との関係については、現在、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会において検討が行われており、まずはこの懇談会における議論を待ちたいと考えています。
 その上で申し上げれば、懇談会では、そもそも憲法には個別的自衛権や集団的自衛権についての明文の規定はなく、個別的自衛権の行使についても、我が国政府は憲法解釈を固めることによって認められるとした経緯がある、そうであれば、個別的自衛権に加えて集団的自衛権の行使が認められるという判断も、政府が適切な形で新しい解釈を明らかにすることによって可能であり、憲法改正が必要だという指摘は当たらないという意見も表明されております。
 政府としては、懇談会から報告書が提出された後に、内閣法制局の意見も踏まえつつ、与党とも相談の上、対応を検討した後、仮に憲法解釈の変更を行うこととなる場合には、閣議決定を行い、国会で御議論をいただくことを考えております。
 さらに、仮に憲法解釈の変更が行われても、集団的自衛権を実際に行使するためには関連する一連の法律を改正する必要があり、国会で御議論をいただくこととなります。したがって、このような方法が法的安定性を損なうとは考えておりません。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣岸田文雄君登壇、拍手〕
○国務大臣(岸田文雄君) 現下の日本外交に関する基本認識についてお尋ねがありました。
 安倍政権発足後、地球儀を俯瞰する観点から戦略的な外交を展開してまいりました。その中で、日米同盟の強化に取り組み、ASEANを始めとするアジア太平洋諸国、ロシア、欧州、中南米、中東、アフリカ等の関係強化に努め、成果を上げてまいりました。
 日米関係は揺るぎないものであり、来るべきオバマ大統領訪日の際には、力強い同盟を確認し、更なる具体的な協力を打ち出す考えであります。
 韓国とは、先般の日米韓首脳会談を第一歩とし、引き続き、意思疎通を図り、大局的観点から、重層的で未来志向の日韓関係の構築に向けて一層協力してまいります。
 中国とは、日中関係が厳しい状況にあるからこそ、様々な分野、レベルでの対話や交流を着実に積み重ね、高い政治のレベルでの対話につなげたいと考えております。
 ロシアとは、今後とも、政治対話を重ねつつ、我が国の国益に資するよう関係を進めてまいります。
 いずれにせよ、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、国益とそして世界全体の利益を増進するために、これまで以上に積極的に貢献していく方針であります。(拍手)
   〔国務大臣菅義偉君登壇、拍手〕
○国務大臣(菅義偉君) 防衛装備移転三原則についてお尋ねがありました。
 新たな原則の下では、紛争当事国、すなわち、武力攻撃が発生をし、国際の平和及び安全を維持し又は回復するため、国際連合安全保障理事会がとっている措置の対象国への移転となる場合を始め、移転を禁止する場合を明確化いたしております。
 ただし、移転が禁止される場合に当たらないことをもって直ちに移転が可能となるわけではなく、移転を認める場合は、平和貢献・国際協力の積極的な推進又は我が国の安全保障の観点から積極的意義のある場合等に限定をされます。また、移転を認める場合であっても、移転先の適性や安全保障上の懸念の程度を厳格に審査をし、さらに、目的外使用や第三国移転についても適正な管理を確保していくことになります。
 特定の国への防衛装備の移転については、このような新たな原則の下で個別具体的に判断することとなりますが、我が国として、国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念と、これまでの平和国家としての歩みを引き続き堅持することに変わりはなく、これまで同様、厳正でそして慎重に対処する方針であります。(拍手)
   〔国務大臣小野寺五典君登壇、拍手〕
○国務大臣(小野寺五典君) まず、動的防衛力と統合機動防衛力の違いについてお尋ねがございました。
 前防衛大綱は、従来の基盤的防衛力構想に比較して、運用を重視した動的防衛力を構築し、南西地域の防衛態勢を充実することとしておりました。しかしながら、前防衛大綱以降、一層厳しさを増す安全保障環境等を踏まえれば、活動量を下支えする防衛力の質と量の確保が必ずしも十分とは言えない状況になっておりました。
 このため、新防衛大綱の統合機動防衛力は、動的防衛力と比較して、統合運用をより徹底し、海上優勢、航空優勢の確保や機動展開能力の整備を優先、重視するという方向性を明確にしております。
 さらに、東日本大震災の教訓等も踏まえ、災害対応時に防衛力が最大限効果的に発揮できるよう、人事教育、地域コミュニティーとの連携など、後方支援基盤を幅広く強化してまいります。
 次に、調達改革を通じての七千億の合理化についてのお尋ねがありました。
 防衛省としては、新中期防での決定を踏まえ、これまでの総合取得改革推進プロジェクトチーム会合における取組に加えて、更に厳しく効率化、合理化を徹底した防衛力整備を追求する必要があるところ、大幅な節減を実現するための更なる施策等を講じていく必要があると考えております。
 現時点で確かな見込額は申し上げられませんが、例えば、装備品のライフサイクルを通じたプロジェクト管理の強化、装備品のまとめ買いや更なる長期契約の導入、装備品の維持整備方法の見直し等の施策についての検討を引き続き実施することにより、今次の中期防期間中に約七千億円の節減を目指してまいります。(拍手)
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○副議長(輿石東君) 石川博崇君。
   〔石川博崇君登壇、拍手〕
○石川博崇君 公明党の石川博崇でございます。
 私は、ただいま議題となりました国家安全保障戦略、防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画に関して、公明党を代表して、安倍総理大臣及び小野寺防衛大臣に質問させていただきます。
 ウクライナ情勢をめぐる激動の国際社会、北朝鮮情勢を始めとする我が国を取り巻く厳しい国際環境の中、我が国は、自公連立政権が積極的平和主義を掲げて、各国との友好と我が国の国益増進のために日々奮闘していることを国民の一人として評価申し上げたいと思います。
 豊かで平和な日本社会を今後とも維持発展させ、同時に、地域及び世界の平和と安定にこれまで以上に貢献するために、我が国として初めて国家安全保障戦略を取りまとめることができたことは大変に意義あることです。特に、我が国を取り巻く諸課題に対する戦略的アプローチの第一に、国家安全保障の要諦として外交力の強化を掲げていることに、我が意を得たりとの思いであります。
 その意味で、まず、今月下旬に予定されている米国オバマ大統領の訪日について伺います。
 十八年ぶりとなる国賓待遇での米国大統領の訪日は、我が国の国家安全保障の基軸である日米同盟を一層深化させるとともに、自由と民主主義、基本的人権の尊重、法の支配といった普遍的価値や戦略的利益を共有する両国が、北朝鮮問題など安全保障上の課題、サイバー、気候変動、経済連携などに一層緊密に連携して取り組む姿勢を国際社会に示す好機としていかなければなりません。この来るオバマ米国大統領の訪日についての総理の御所見をまずお伺いいたします。
 最近の北朝鮮によるミサイル発射、韓国との南北軍事境界線上での射撃の応酬などを踏まえれば、我が国は、中国、韓国とも一層緊密に連携して取り組む必要があり、現在必ずしも順調ではない両国との関係改善は、我が国の国家安全保障にとって最優先課題の一つと言えます。
 この点、去る三月二十五日、オランダのハーグにおける核セキュリティ・サミットにて日米韓の首脳会議が開催され、私ども公明党が従来から主張してきた安倍総理と朴槿恵韓国大統領との直接的な対話が初めて実現したことを高く評価いたします。今月末の米国大統領のアジア訪問は、日韓両国共に歴訪することとなることから、日米韓の連携を一層強化する好機であり、最大限生かすべきと考えます。
 今後、日韓関係を進めていく政府の方針と、また懸案である日韓両国の首脳会談を早期に実現すべきと考えますが、併せて総理の御所見を伺います。
 核兵器のない世界を提唱してノーベル平和賞を受賞したオバマ米国大統領の訪日に際しては、日米両国で核軍縮・不拡散に一層積極的に取り組むことを主要な訪日成果の一つとして位置付け、また核兵器の非人道性に関する米国の理解も深めるべきと考えます。明年は、広島、長崎に原爆が投下されてから七十年の節目を迎えます。我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器の非人道性について世界のどの国よりも強く訴えていく責任があります。
 従来より、私ども公明党は、原爆投下七十年の明年に核保有国を含む核廃絶サミットを広島、長崎で実施することを提案しておりますが、来週広島で開催される第八回軍縮・不拡散イニシアチブ、NPDI外相会合やオバマ米国大統領の訪日などを通じ、国家安全保障戦略に掲げる核兵器のない世界の実現と核兵器の非人道性に関する国際社会の理解促進を積極的に進めるべきではないでしょうか。総理の御決意を伺います。
 次に、政府開発援助、ODAについて伺います。
 我が国は、これまで、ODAを活用して、世界各地の貧困削減、保健、教育、水など、人間の安全保障分野に積極的に取り組み、国際社会から高い評価を得るとともに、日本に対する信頼と確固たる地位を築き上げてまいりました。本年は我が国がODA事業を開始してから六十年の佳節を迎えます。
 先週、ODA大綱の見直しが発表されましたが、ここで申し上げておきたいことは、見直し後のODA大綱におきましても人間の安全保障を我が国のODA政策の柱として掲げるとともに、軍事的用途と国際紛争助長への使用を回避するとしてきたこれまでの原則は、今後とも引き続き堅持すべきと考えます。総理の見解を求めます。
 今回策定された新防衛大綱では、これまでの「節度ある防衛力を整備する」という表現がなくなったことで、際限なく我が国の防衛力が増強され、地域がより不安定になるのではないかと懸念する声があります。しかしながら、今回の新防衛大綱においても、格段に厳しさを増す財政状況を勘案し、防衛力整備の一層の効率化、合理化を図るとされており、これまで節度ある防衛力と表現されてきた精神は堅持されていると考えます。
 また、これまでの防衛大綱は、特定の国を仮想敵国や脅威とみなして、軍事的に対抗するいわゆる脅威対抗に基づく所要防衛力整備の考え方には立ってきませんでしたが、今回規定された統合機動防衛力の概念でもこの点は堅持されているのかにつき、併せて防衛大臣の御所見を伺います。
 最後に、防衛装備品の移転に関する新原則について伺います。
 これまでの武器輸出三原則等は、東西冷戦構造時の共産国圏が禁輸対象とされるなど、今日の国際環境にはそぐわないこと、また、これまで場当たり的に計二十一回にもわたる官房長官談話による例外化がなされてきておりますが、無原則に例外を増やすというこれまでのやり方を改め、移転を禁止する場合を明確化するとともに、厳格な審査を行う新たな体制を定める必要がありました。
 これまで政府と自民、公明両党の間で精力的に議論を積み重ね、去る一日、新たな防衛装備品の移転原則が閣議決定される運びとなりました。折しも、この閣議決定が我が国憲政史上初めてとなる議事録作成対象となったことも、国民への情報開示を徹底する姿勢を示したものとして歓迎したいと思います。
 この新たな移転原則においては、公明党の主張も踏まえ、これまでの武器輸出三原則等が果たしてきた役割に十分配慮するとともに、これまで以上に厳格な審査体制と情報公開の体制を新たに構築することができたと考えます。
 今後、この新たな原則に基づく厳格かつ慎重な移転の運用を求めたいと思います。この点につき総理の御所見を伺い、以上で私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 石川博崇議員の質問にお答えをいたします。
 オバマ大統領の訪日についてお尋ねがありました。
 今朝の閣議において、オバマ大統領を国賓としてお迎えすることを決定いたしました。オバマ大統領との首脳会談でいかなる議題を取り上げるか調整中でありますが、安全保障や経済といった二国間の課題のみならず、朝鮮半島情勢等の地域情勢、さらにはグローバルな課題等について、普遍的価値と戦略的利益を共有する日米同盟の首脳として率直な意見交換を行いたいと考えています。
 オバマ大統領の訪日を通じて、アジア太平洋の平和と繁栄に貢献してきた日米同盟の役割を強調するとともに、力強い日米同盟を確認し、更なる具体的な協力を打ち出す考えであります。
 日韓関係についてお尋ねがありました。
 韓国は、基本的価値と戦略的利益を共有する最も重要な隣国であります。日韓の間には難しい問題もありますが、韓国と意思疎通を図っていくことは、北東アジアの平和と安定にとって有意義であります。
 先般、核セキュリティ・サミットの際に行った日米韓首脳会談は、朴槿恵大統領との初の会談となりましたが、このような観点から非常に有意義な会談となりました。
 日韓首脳会談については現時点で何ら決まっていませんが、日本側の対話のドアは常にオープンであります。先般の日米韓首脳会談を第一歩として、未来志向の日韓関係の構築に向けて互いに努力していくことが重要と考えています。
 核兵器のない世界についてお尋ねがありました。
 我が国は、核兵器の悲惨さを最もよく知る唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界に向けて世界を主導していく道義的責任を有しています。
 来週、広島で政府が主催する軍縮・不拡散イニシアチブ、NPDI外相会合は、被爆地にNPDIメンバー国の外相を招き、核兵器のない世界に向けて政治的決意を表明する大変重要な機会であります。この会合では、核兵器の非人道性に関する国際社会の理解促進を始め、現実的かつ実践的な取組を着実に積み上げていく上で、我が国として有益な提案を積極的に行ってまいります。
 また、我が国は、オバマ大統領による核兵器のない世界に向けた取組を支持しており、米国とも引き続き協力しつつ、国際社会の議論を主導していく考えであります。
 ODA大綱の見直しについてお尋ねがありました。
 ODA大綱の見直しについては、前回、二〇〇三年に改定して以降の環境の変化や、ODAの果たす役割についての様々な期待を踏まえ、ODAを一層時代の要請に合うものにしていくべきであるとの観点から行うものであります。
 ODA大綱の見直しについては、外務大臣の下に設置された有識者懇談会で今後御議論をいただくと承知していますが、人間の安全保障や、平和で安定した社会を実現するためのODAなど、御指摘の点を踏まえ、政府として検討を行うことになります。
 防衛装備移転三原則についてお尋ねがありました。
 新たな防衛装備移転三原則は、国連憲章を遵守するとの平和国家の基本理念と、これまでの平和国家としての歩みを引き続き堅持し、また、武器輸出三原則等がこれまで果たしてきた役割に十分配意した上で、防衛装備の海外移転に係る具体的基準や手続、歯止めを今まで以上に明確化し、内外に透明性を持った形で明らかにしたものです。
 これにより、国家安全保障会議における審査を含め、政府全体として厳格な審査と適正な管理を行う体制が構築されたものと考えており、今後、政府としては、本原則に従い、個別の案件ごとに厳正かつ慎重に対処するとともに、しっかりと情報公開を図ってまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣小野寺五典君登壇、拍手〕
○国務大臣(小野寺五典君) 新防衛大綱における防衛力整備に関する精神や考え方についてお尋ねがありました。
 新防衛大綱においても、格段に厳しさを増す財政事情を勘案し、国の他の諸施策との調和を図りつつ、経費の抑制に努めるといった精神に変更はありません。
 また、我が国の防衛力整備は、従来から、特定の国を仮想敵国や脅威とみなし、これに軍事的に対抗していくという発想には立っておらず、この点は統合機動防衛力においても変更はありません。(拍手)
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○副議長(輿石東君) 井上義行君。
   〔井上義行君登壇、拍手〕
○井上義行君 みんなの党の井上義行です。
 ただいま議題となりました国家安全保障戦略、平成二十六年度以降に係る防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画に関する総理の報告について、みんなの党を代表して質問をいたします。
 まず、複合事態への対応について伺います。
 前回の防衛計画の大綱及び前回の中期防衛力整備計画では、複合事態への対応という項目に言及していますが、今回の新防衛計画の大綱、新中期防衛力整備計画では、新防衛大綱に、複数の事態が連続的又は並行的に発生する場合においても、事態に応じ、実効的な対応を行うなどの記載はありますが、項目自体は落とされております。
 複合事態への対応の項目を削除したことにより、諸外国から、複合事態への対応について日本が主体的に対応できないのではないかと受け止められてしまうのではないでしょうか。なぜ項目を削除したのか、その理由を防衛大臣、お聞かせください。
 次に、敵基地攻撃能力の保有について伺います。
 弾道ミサイル防衛システムの装備水準について、将来のミサイル迎撃体制についての調査研究費として〇・四億円を計上しており、新規装備品も含め、最も効果的で効率的な将来のBMD体制をシミュレーション等により探求するとしております。
 一方、敵基地攻撃能力について、新防衛大綱では、「日米間の適切な役割分担に基づき、日米同盟全体の抑止力の強化のため、我が国自身の抑止・対処能力の強化を図るよう、弾道ミサイル発射手段等に対する対応能力の在り方についても検討の上、必要な措置を講ずる。」との表現で、検討を続ける姿勢のみに言及しています。
 ミサイル防衛強化よりも敵基地攻撃能力保有政策の方が財政的にも現実的だと考えております。
 これまで我が国は、敗戦を意識し過ぎて、外交に配慮する余り相手に隙を与えてしまったのではないでしょうか。ボクシングでいえば、何もパンチを打ってこない選手ほどやりやすい相手はいません。パンチを打ったらカウンターパンチが返ってくると思えばちゅうちょするのです。そこに間ができます。それこそが抑止力なのです。日本は何もできない、米国さえ抑えておけば何とかなると見下されているのではありませんか。
 敵基地攻撃能力の保有は、我が国の最低限の防衛能力だと考えます。これまでの我が国は、国民の生命、財産を守ると言いながら、しかし、現実には、国民に被害が出てもなお相手の基地をたたく兵器もないのが現実です。
 歴代の内閣総理大臣が憲法上持てると答弁し、また、内閣法制局もその答弁を政府は継承していると認め、我が国として保有することができるにもかかわらず、これまで持つこともしてこなかったのであります。国民の生命、財産を全て米国に委ねてきたのです。その米国が攻撃されても、我が国は、米国を助けることも憲法を理由に逃げてきたのではないでしょうか。それでもなお、政治家に国民の生命、財産を守るという言葉を使う資格があるのでしょうか。
 総理に伺います。集団的自衛権を認めるお考えと、敵基地攻撃能力を保有するお考えをお聞かせください。
 また、敵基地攻撃能力を完全に使用できるまでには、日米の協議のすり合わせや実施訓練等に数年掛かることが予想されます。そこで、来年度調査費を計上するお考えはありませんか。総理の御認識を伺います。
 次に、グレーゾーン事態への対応について伺います。
 新防衛大綱では、純然たる平時でも有事でもない事態としてグレーゾーン事態が増加する傾向にあるとの記述が見られます。新防衛大綱においてのグレーゾーン事態とは何か、具体的にどのような事態を指しているのか、また、現在グレーゾーン事態が発生しているのか、防衛大臣に伺います。
 次に、将来の防衛省組織について伺います。
 防衛省改革の方向性が発表され、部隊運用業務を統合幕僚監部へ一元化し、内局は運用に関する法令の企画立案機能等を所掌することにより、実際の部隊運用に関する業務について、国会対応を含む対外説明に起因した、内部部局と統合幕僚監部間の実態としての業務の重複を改めるとされておりますが、具体的にどのような組織を目指しているのか、防衛大臣、お聞かせください。
 次に、領海侵犯罪創設について伺います。
 外国船舶が領海に侵入し、無害でない通航を行った場合の取締りについては、行為の態様ごとに様々な法律の関連条文を適用し、規制しておりますが、完全な取締りとは言えません。そこで、無害でない航行を包括的に取り締まることのできる領海侵犯罪を創設すべきだと考えますが、総理の御認識をお伺いいたします。
 次に、武力攻撃に至らない侵略行為への対応について伺います。
 現在、自衛権行使としての武力行使が可能となるのは、我が国に対する外部からの組織的、計画的な武力の行使が発生し、防衛出動が発令される場合であります。例えば、正規の外国軍が尖閣諸島に侵攻するのではなく、武装した漁民等に変装して尖閣諸島に上陸、占拠した場合、治安出動ではなく防衛出動を発令できるのか、総理にお尋ねいたします。
 次に、集団的自衛権と個別的自衛権のグレーゾーンについてお伺いします。
 例えば、尖閣諸島の警備に関し、外国公船が警備に当たる海上保安庁警備艇をくぐり、領海内に侵入し、領海内と公海をジグザグに航行しながら自衛隊と共同で警備するアメリカ艦船に攻撃を加える事態が発生した場合に、自衛隊艦船が外国公船に発砲する行為は個別的自衛権か、それとも集団的自衛権かをお聞かせください。また、その都度、内閣法制局に三百メートルなら可能かどうか判断を仰ぐのですか。総理にお伺いいたします。
 次に、朝鮮半島有事について伺います。
 朝鮮半島有事又は北朝鮮内乱の際、南北軍事境界線付近が無政府状態にあるか、又は第三の勢力が実効的に支配している場合や、国連決議に基づく暫定施政当局が一定の施政権限を認められている下において入国が承認されたとき、その地点まで自衛隊が輸送任務として派遣されている状態において、邦人を輸送している米軍あるいは警備員の集団が敵軍に攻撃されている状況の中で、邦人を救出するためにやむを得ず自衛隊員が任務以外としてそれを援護、攻撃した場合、法律違反として罰せられてしまうのですか。総理にお伺いいたします。
 現場の混乱を防ぐのも政治の仕事であります。現場に責任を負わせるのではなく、国家が責任を背負う法整備を求めます。総理のお考えをお聞かせください。
 いまだ多くの拉致被害者、特定失踪者の方々が北朝鮮に残されております。このような事態になる前に、一日も早く救出していただきたいと思います。
 最後に、机上の空論をそろそろ日本は卒業しませんか。
 国民の生命、財産を守ると言うなら、責任を持って政治家が集団的自衛権の行使容認、敵基地攻撃能力を保有できる国にしていくことこそが政治の役割だと考えます。
 憲法改正が必要なら、議論を尽くし改正を実現するべきだと主張し、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 井上義行議員にお答えをいたします。
 集団的自衛権の行使及び敵基地攻撃能力の保有についてお尋ねがありました。
 集団的自衛権等と憲法との関係については、現在、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会において、安全保障環境が一層厳しさを増す中、国民の生命を守り、我が国の平和と安全を確保するためにいかにすべきかという観点から検討が行われており、まずはこの懇談会における議論を待ちたいと考えています。
 また、弾道ミサイル攻撃への対応については、新防衛大綱において、北朝鮮の弾道ミサイル能力の向上を踏まえ、我が国の対処能力の総合的な向上を図ることとしております。
 弾道ミサイルの発射手段等に対する対応能力の在り方についても、日米間の適切な役割分担に基づき、日米同盟全体の抑止力の強化のため、我が国自身の抑止・対処能力の強化を図るよう、様々な観点から検討を行った上で、必要な措置を講じてまいります。なお、これに関する調査費を来年度に計上するか否かについては、現時点では未定であります。
 外国船舶の領海侵入への対処についてお尋ねがありました。
 外国船舶が我が国の領海において無害でない航行を行った場合には、海上保安庁等の関係機関において、国際法及び国内法に基づき適切な対応を行っているところです。他方、領海を含む領域保全の在り方については不断の見直しを行うことが必要であり、様々な角度から議論が行われることは大変重要です。
 政府としては、引き続き、関係機関が緊密に連携しつつ、我が国の領域を保全するために万全を期してまいります。
 防衛出動の発令の可否についてのお尋ねがありました。
 一般論として申し上げれば、我が国の領土、領海、領空に対する侵害行為が武力攻撃に該当する場合には、内閣総理大臣は、自衛隊に防衛出動を命じ、事態に対処することとなります。
 特定の事態が武力攻撃に該当するか否かについては、個別の状況に応じて判断すべきものであり、限られた与件にのみ基づいてお答えすることは困難ですが、いずれにせよ、我が国に対する侵害行為が発生した場合には、国際法及び国内法令に従い、事態の状況に応じて適切に対応してまいります。
 集団的自衛権と個別的自衛権に関するお尋ねがありました。
 一般論として申し上げれば、御指摘の外国公船による攻撃が我が国に対する武力攻撃と判断される場合であれば、個別的自衛権を行使すべき事態でありますが、米国のみに対する武力攻撃と判断される場合には、集団的自衛権に関わる問題と考えられます。
 特定の事態について、限られた与件のみに基づいてお答えをすることは困難であります。いずれにせよ、自衛隊が防衛出動を始めとする様々な部隊行動を行うに当たっては、現場において判断に迷うことのないよう、内閣総理大臣や防衛大臣は、事態の状況に応じた適切な命令により、明確な任務と権限を付与すべきであり、命令を発出した後、部隊による個別具体的な対処に際して、その都度、内閣法制局の意見を聞くといったことはあり得ないものと考えています。
 在外邦人の救出についてお尋ねがありました。
 自衛隊法に基づく在外邦人等の輸送の実施に当たっては、自衛官自身に対する危険が存在しない場合に、その所在地から離れた場所に駆け付けて武器を使用することはできません。なお、この場合の法的責任の有無については、個別具体的なケースに即し、事実関係を調査の上、判断する必要があります。
 現在、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会において、いわゆる駆け付け警護についても検討が行われており、まずはこの懇談会における議論を待ちたいと考えています。
 いずれにせよ、派遣された隊員が与えられた任務を実施する上で現場で判断に困ることのないよう、政府全体として派遣の枠組みを整備することが重要であると考えています。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣小野寺五典君登壇〕
○国務大臣(小野寺五典君) まず、複合事態への対応についてお尋ねがありました。
 厳しさを増す我が国周辺の安全保障環境を踏まえれば、複数の事態が連続的又は同時並行的に発生する場合においても、実効的な対応を行うべきことは当然であります。
 このため、新防衛大綱においては、複合事態への対応については、島嶼部に対する攻撃や大規模災害といった個別の事態と同列に扱うのではなく、これら各種事態への対応に関する基本的な方針として明記しております。したがって、諸外国から御指摘のような誤解を招くことは考えておりません。
 次に、いわゆるグレーゾーンの事態についてお尋ねがありました。
 新防衛大綱においては、我が国を取り巻く安全保障環境における安全保障上の課題の一つとして、領土や主権、海洋における経済権益等をめぐる、純然たる平時でも有事でもない状況をいわゆるグレーゾーンの事態と位置付けています。その上で、これが長期化する場合に、現場における不測の事態の発生等を通じ、より重大な事態へエスカレートする可能性が懸念される旨の認識を示しています。
 なお、グレーゾーンの事態は、法的な概念ではなく、また、その言葉の意味どおり、幅広い状況を端的に表現したものであることから、個別の状況が当該事態に該当するか否か確定的に述べることはそもそもなじまないものだと思っております。
 次に、自衛隊の運用に関する防衛省の組織の将来像についてのお尋ねがありました。
 現在、いわゆる防衛省改革の一環として検討を行っている自衛隊の運用に関する組織の具体像については、いまだお示しできる段階にはありませんが、内部部局と統合幕僚監部のそれぞれの業務を整理することで、防衛大臣の意思決定について、的確性を確保した上で、より迅速化することができる体制を目指してまいります。(拍手)
    ─────────────
○副議長(輿石東君) 井上哲士君。
   〔井上哲士君登壇、拍手〕
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 私は、国家安全保障戦略、防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画について、日本共産党を代表して質問いたします。
 初めて作られた国家安全保障戦略には、積極的平和主義が掲げられましたが、国の最高法規である日本国憲法への言及は一切ありません。憲法に反する集団的自衛権の行使を容認し、従来の専守防衛の建前さえ投げ捨てて海外での武力行使に踏み出すものではありませんか。
 この間、総理は、集団的自衛権行使を容認するため、一九五九年の砂川事件の最高裁判決を持ち出しています。しかし、砂川判決が述べた固有の自衛権に集団的自衛権が含まれているという議論は通用しません。砂川裁判とは、在日米軍の駐留の違憲性が争われたものであり、当時、検察、弁護団、裁判官のいずれも、自衛権とは日本が侵略された場合の個別的自衛権であることを当然の前提として議論していました。
 一審では違憲判決が下り、異例の最高裁への跳躍上告が行われました。その際、判決に驚愕した駐日米国大使が最高裁長官と秘密裏に話し合っていたという、司法の独立を揺るがす事実が二〇〇八年以来、アメリカの解禁文書で明らかになっています。その下での最高裁判決は、在日米軍が憲法九条二項の言う戦力に当たるかどうかを判断したものの、日本独自の自衛力の保持については判断していません。しかも、集団的自衛権は行使できないという政府の憲法解釈もこの判決以降に確立したものであります。その判決を集団的自衛権行使の容認に利用するのはもってのほかではありませんか。
 戦争放棄、戦力不保持、交戦権否定を定めた憲法九条の下で、集団的自衛権行使など認められません。それを閣議決定で覆すのは立憲主義を否定するものであります。直ちに憲法解釈変更の検討を中止することを求めます。
 次に、防衛大綱について伺います。
 大綱は、米国の海兵隊をモデルとした水陸機動団を創設するとし、水陸両用車両やオスプレイなど、米海兵隊と同様の装備を導入するとしており、一四年度予算に経費を計上しています。既に、昨年五月には陸上自衛隊三十名が米海兵隊の研修を受け、部隊創設の準備をしていると報道されています。
 そもそも海兵隊機能とは何でしょうか。モデルとしている米国の海兵隊は、過去の戦争の事例が示すように、真っ先に敵地に攻め込む殴り込み部隊です。なぜ自衛隊がそのような機能を持つことが必要なのでしょうか。島嶼防衛といいますが、軍事には軍事というのは、軍事的緊張の拡大と悪循環をもたらすものでしかないのではありませんか、お答えください。
 敵基地攻撃能力の保有の検討について聞きます。
 新大綱は、いわゆる敵基地攻撃能力の保有の在り方について、検討の上、必要な措置を講ずるとしています。日米間でどのような役割分担をし、我が国がどのような攻撃能力を保有しようというのですか。
 そもそも、敵基地攻撃能力は憲法の下に認められるはずがありません。政府も、従来、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とならないとの方針の下、攻撃的兵器、侵略的兵器は持たないとしてきたのであります。仮定の事態を想定して、その危険があるからといって、平生から他国を攻撃するような攻撃的な脅威を与えるような兵器を持っているということは、憲法の趣旨とするところではない、これが政府の見解です。
 もし日本が敵基地攻撃能力を保有することになれば、周辺諸国は日本の方針の大転換だとみなすのではありませんか。憲法に反して軍事的緊張を高める危険な検討は直ちにやめるべきではありませんか。明確な答弁を求めます。
 新大綱は、グレーゾーンの事態に度々言及し、シームレスかつ機動的に対応し、持続的に対応し得る態勢を確保するとしています。グレーゾーンとは一体何ですか。
 総理も出席した安保法制懇の会合では、潜水艦の領海侵入で退去要求に応じないケースや、領海内の海上や離島で武装集団が船舶や民間人に不法行為に及んだケースを議論したといいますが、実際に一体どのような事態があるというのですか。仮定の事態を基に自衛隊の軍事的対応を広げることなど許されません。周辺諸国との様々な問題は、話合いによる平和的、外交的手段で解決を図るべきではありませんか。
   〔副議長退席、議長着席〕
 今必要とされているのは、北東アジアに平和的環境をつくる外交努力です。日本は、元々、中国、韓国とは経済的にも文化的にもつながりの深い、切っても切れない関係です。にもかかわらず、総理の歴史認識に端を発する問題で両国とは十分に話合いもできない事態に陥っていることをどう認識され、どう打開するつもりですか、お答えください。
 政府は、一日、武器輸出を全面的に禁じてきた武器輸出三原則等を廃止し、武器輸出を包括的に推進する防衛装備移転三原則を閣議決定しました。武器輸出三原則は、政府も、憲法の平和主義にのっとったものと繰り返し答弁し、一九八一年の衆参本会議で日本国憲法の平和理念に基づくものと決議し、国是としてきたものです。
 総理は、新原則で平和国家の理念は変わらないと言いますが、新原則では、基本理念から日本国憲法が消え、国連憲章を遵守するとなっています。これは国連加盟国として当然のことであり、日本は、単に国連憲章を守るだけでなく、更に先駆的な憲法九条に基づく平和国家として武器輸出を禁止してきました。基本理念は根本的に変わっているのではありませんか。
 新原則では、紛争当事国や国連決議に違反する場合は輸出を認めないとしています。この新原則で輸出が禁止されるのはどの国ですか。一方、従来の三原則では輸出が禁止されてきた国際紛争のおそれのある国が削除されたのはなぜですか。世界各地で武力行使をしてきたアメリカや軍事紛争を繰り返してきたイスラエル等にも、現に国連決議がないとして輸出を可能にするためではありませんか。
 総理は、これまでの三原則に例外が認められ、穴が空いてきたと予算委員会で答弁されました。新原則では、これまで積み重ねてきた例外の実例を踏まえ、新たなルールを決めたといいます。しかし、やるべきことは、抜け穴を塞ぎ、国際紛争を助長しないために武器輸出を禁止するという原則に立ち戻ることです。
 武器輸出三原則の撤廃は、財界の一貫した要求でした。政府は、昨年、初めて防衛産業の国際競争力の強化を掲げました。この間、例外措置も積み重ねながら、F35戦闘機の共同開発への参加、イギリスの艦船へのエンジンの提供、インドへの救難飛行艇の輸出を進め、トルコ軍戦車のエンジンの共同開発も浮上しました。新原則による武器輸出の解禁は、防衛産業の要求に応え、武器輸出で成長する国を目指すものにほかならないのではありませんか。
 日本は、戦後、武器を輸出してこなかったことで小型武器の輸出規制の論議でも国際社会をリードしてきたと外務省自身が繰り返し強調してきました。防衛産業の要求に応え、武器輸出を拡大することは、こうした積極的役割や国際的信頼を掘り崩すことになるのではありませんか。答弁を求めます。
 憲法の平和原則を乱暴に踏みにじり、軍拡と海外派兵を推し進め、海外で戦争をする国をつくろうとする時代錯誤のこの危険な戦略と計画に厳しく反対し、その撤回を強く求め、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 井上哲士議員にお答えをいたします。
 国家安全保障戦略と集団的自衛権に関するお尋ねがありました。
 集団的自衛権等と憲法との関係については、現在、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会において検討が行われており、まずはこの懇談会における議論を待ちたいと考えます。
 いずれにせよ、我が国は、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないとの基本方針を堅持してきました。国家安全保障戦略にも明記しているとおり、このような平和国家としての歩みは引き続き堅持していきます。
 集団的自衛権に関するお尋ねがありました。
 昭和三十四年のいわゆる砂川事件に関する最高裁判所判決は、憲法第九条の規定によって我が国が主権国として持つ固有の自衛権は何ら否定されたものではなく、我が国が自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとり得ることは、国家固有の権能の行使として当然であるということを明白に認めたものであり、政府としてもこのような見解を従来から取ってきたところであります。
 集団的自衛権等と憲法との関係については、現在、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会において検討が行われており、まずはこの懇談会における議論を待ちたいと考えます。
 政府としては、懇談会から報告書が提出された後に、内閣法制局の意見も踏まえつつ、与党とも相談の上、対応を検討した後、仮に憲法解釈の変更を行うこととなる場合には、閣議決定を行い、国会で御議論いただくことと考えております。
 水陸機動団と島嶼防衛についてお尋ねがありました。
 数多くの島嶼を有する我が国にとって、島嶼防衛態勢の強化は極めて重要な課題であり、新防衛大綱、中期防においては、万が一島嶼への侵攻があった場合の対処に不可欠な水陸両用作戦能力を有する水陸機動団を創設することとしています。
 この水陸機動団の創設を含め、島嶼防衛のための施策は、安全保障環境が一層厳しさを増す中、あくまでも我が国防衛を目的とするものであり、敵地に攻め込む殴り込み部隊であるとか、軍事的緊張をもたらすといった御指摘は当たりません。
 敵基地攻撃能力の保有についてお尋ねがありました。
 新防衛大綱においては、弾道ミサイル攻撃への対応について、北朝鮮の弾道ミサイル能力の向上を踏まえ、我が国の対処能力の総合的な向上を図ることとしております。
 弾道ミサイルの発射手段等に対する対応能力の在り方についても、日米間の適切な役割分担に基づき、日米同盟全体の抑止力の強化のため、我が国自身の抑止・対処能力の強化を図るよう、様々な観点から検討を行った上で、必要な措置を講じてまいります。
 こうした検討は、専守防衛の範囲内で、国民の生命、財産を守るために行うものであり、もとより憲法に反するものではなく、また、軍事的緊張を高める危険な検討であるとの御指摘は当たりません。
 グレーゾーン事態についてお尋ねがありました。
 新防衛大綱におけるグレーゾーンの事態とは、純然たる平時でも有事でもない事態を端的に表現したものです。
 安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会においては、我が国に対する武力攻撃に至らない侵害に対し、警察や海上保安庁だけでは速やかに対応することが困難な場合、自衛隊が十分な権限でタイムリーに対応できるのかといった観点から、法整備において埋めるべき隙間がないのかといったことについて議論が行われています。
 具体的には、例えば、我が国領海内において、外国潜水艦が水中に潜ったまま航行し、退去の要求に応じず徘回を継続する場合などに際して、どのような実力の行使が可能か、国際法の考え方も踏まえつつ検討する必要があるのではないかといった議論が行われております。このような事例は、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中においては想定され得る事態であると考えています。
 これらの検討は、いずれも、国民の生命を守り、我が国の平和と安全を確保するためにはいかにすべきかといった観点から行われているものであります。
 話合いによる問題の解決及び中国、韓国との関係についてお尋ねがありました。
 周辺国との様々な問題や課題を話合いを通じて平和的、外交的に解決すべきことは言うまでもありません。
 韓国の朴槿恵大統領とは、先般のハーグでの日米韓首脳会談で初めて会談することができました。これを第一歩として、未来志向の日韓関係に向けて、互いに努力していくことが重要であります。
 日中関係は引き続き厳しい状況にありますが、困難な課題であるからこそ、前提条件を付することなく率直に話し合うべきです。戦略的互恵関係の原点に立ち戻り、大局的な見地から、関係の発展に互いに努力することが重要であります。私の対話のドアは常にオープンであり、中国にも同様の対応を望んでいるところでございます。
 防衛装備移転三原則の基本理念に関するお尋ねがありました。
 従来の武器輸出三原則等は、国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念に基づくものであります。新たな原則にも明記しているとおり、我が国として、国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念と、これまでの平和国家としての歩みを引き続き堅持することには変わりはありません。
 防衛装備移転三原則の下で移転が禁止される国等に関するお尋ねがありました。
 移転を禁止する場合を明確化している第一原則の下、現時点で移転が禁止される国や地域としては、国連安保理決議で武器等の移転が禁止されている北朝鮮、イラン、イラク、ソマリア、リベリア、コンゴ民主共和国、スーダン、コートジボワール、レバノン、エリトリア、リビア及び中央アフリカが挙げられます。
 御指摘の国際紛争のおそれのある国については、最終的に国際紛争に至るまでの経緯は千差万別であり、おそれについての明確な判断や定義は困難であることから、移転を禁止する場合の明確化を掲げる第一原則に明記はしておりません。
 ただし、第一原則で移転が禁止される場合に当たらないことをもって直ちに移転が可能となるわけではなく、第二原則の下、移転を認め得る場合には、平和貢献・国際協力の積極的な推進又は我が国の安全保障の観点から積極的意義のある場合等に限定されます。また、移転を認め得る場合であっても、移転先の適切性や安全保障上の懸念の程度を厳格に審査し、さらに、第三原則の下、目的外使用や第三国移転についても適正な管理を確保していくこととなります。
 特定の国等への移転については、このような三原則の下で個別具体的に判断することとなりますが、我が国として、国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念と、これまでの平和国家としての歩みを引き続き堅持することに変わりはなく、これまで同様、厳正かつ慎重に対処する方針です。
 防衛装備移転三原則策定の意図や日本が果たしてきた役割等への影響についてお尋ねがありました。
 新たな防衛装備移転三原則は、国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念と、これまでの平和国家としての歩みを引き続き堅持し、また、武器輸出三原則等がこれまで果たしてきた役割に十分配意した上で、防衛装備の海外移転に係る具体的基準や手続、歯止めを今まで以上に明確化し、内外に透明性を持った形で明らかにしたものです。
 したがって、積極的に武器輸出する方針に転換したというものではなく、これまで同様、厳正かつ慎重に対処する方針です。このため、武器輸出で成長する国を目指すといった御指摘は全く当たりません。
 また、我が国は、国際平和協力や小型武器を含む軍縮・不拡散の分野において、これまで同様、主導的な役割を果たしてまいります。(拍手)
○議長(山崎正昭君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
○議長(山崎正昭君) 日程第二 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアラブ首長国連邦との間の条約の締結について承認を求めるの件
 日程第三 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とスウェーデンとの間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件
 日程第四 所得及び譲渡収益に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件
 日程第五 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とオマーン国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件
 以上四件を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。外交防衛委員長末松信介君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔末松信介君登壇、拍手〕
○末松信介君 ただいま議題となりました条約四件につきまして、外交防衛委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、アラブ首長国連邦との租税条約は、二重課税の回避を目的とした課税権の調整を行うとともに、配当、利子及び使用料に対する源泉地国課税の限度税率等について定めるものであります。
 次に、スウェーデンとの租税条約改正議定書は、現行条約を改正し、投資所得に対する源泉地国における限度税率の更なる引下げ、税務当局間の徴収共助の手続の整備等の措置を講ずるための規定等を設けるものであります。
 次に、英国との租税条約改正議定書は、スウェーデンとの租税条約改正議定書と同様の改正を行うほか、事業利得に対する課税に関する新たな規定を導入するものであります。
 次に、オマーンとの租税協定は、アラブ首長国連邦との租税条約と同様、二重課税の回避を目的とした課税権の調整を行うとともに、配当、利子及び使用料に対する源泉地国課税の限度税率等について定めるものであります。
 委員会におきましては、四件を一括して議題とし、中東二か国との租税条約締結の意義、今後の租税条約締結の方針、日英租税条約における事業利得課税に関する改正の意義、タックスヘイブン等を利用した多国籍企業の租税回避行為の現状と防止策等について質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終え、討論に入りましたところ、日本共産党の井上委員より四件に反対する旨の意見が述べられました。
 次いで、順次採決の結果、四件はいずれも多数をもってそれぞれ承認すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
○議長(山崎正昭君) これより四件を一括して採決いたします。
 四件の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(山崎正昭君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(山崎正昭君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百三十  
  賛成            二百十九  
  反対              十一  
 よって、四件は承認することに決しました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
○議長(山崎正昭君) 日程第六 貿易保険法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。経済産業委員長大久保勉君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔大久保勉君登壇、拍手〕
○大久保勉君 ただいま議題となりました法律案につきまして、審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、本邦企業の国際的事業展開を取り巻く環境の変化を踏まえ、貿易保険の制度の整備を図るため、出資外国法人等による販売若しくは賃貸、仲介貿易又は技術提供に伴う危険を保険する出資外国法人等貿易保険を新設するとともに、普通輸出保険、輸出代金保険及び仲介貿易保険を普通貿易保険及び貿易代金貸付保険に再編する等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、海外事業環境の変化に対応した貿易保険の在り方、中小企業等に対する海外展開支援策、日本貿易保険と民間保険会社との役割分担、海外におけるテロ被害者等に対する救済措置の拡充等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して倉林理事より反対する旨の意見が述べられました。
 次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対して附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
○議長(山崎正昭君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(山崎正昭君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(山崎正昭君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百三十  
  賛成            二百十四  
  反対              十六  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
○議長(山崎正昭君) 日程第七 建設業法等の一部を改正する法律案
 日程第八 建築基準法の一部を改正する法律案
  (いずれも内閣提出)
 日程第九 公共工事の品質確保の促進に関する法律の一部を改正する法律案(国土交通委員長提出)
 以上三案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告及び趣旨説明を求めます。国土交通委員長藤本祐司君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔藤本祐司君登壇、拍手〕
○藤本祐司君 ただいま議題となりました三法律案のうち、建設業法等改正案及び建築基準法改正案の二法案につきまして、国土交通委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
 まず、建設業法等改正案は、許可に係る建設工事の種類に解体工事を追加するとともに、公共工事の入札参加者に対し入札金額の内訳の提出を義務付ける等の措置を講じようとするものです。
 次に、建築基準法改正案は、構造計算適合性判定の対象となる建築物の範囲の見直し、木造建築物に係る制限の合理化、建築物等についての国の調査権限の創設等の措置を講じようとするものです。
 委員会におきましては、両法律案を一括して議題とし、入札契約方法の見直しの在り方、建設業の担い手の確保策、建築物における木材利用の促進、建築物の安全性に係る調査体制等について質疑が行われました。その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、順次採決の結果、両法律案はいずれも全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両法律案に対して附帯決議が付されています。
 次に、公共工事品質確保法改正案につきまして、委員会を代表して、その提案の趣旨及び主な内容を御説明申し上げます。
 建設投資の減少によりダンピング受注などが生じ、地域の建設企業の疲弊、下請企業へのしわ寄せ、就労環境の悪化に伴う若年入職者の減少といった深刻な問題が発生し、公共工事の品質の確保に大きな懸念が生じています。
 本法律案は、これらの課題に対応するため、所要の改正を行おうとするもので、その主な内容は次のとおりです。
 第一に、目的規定に、公共工事の品質確保の担い手の中長期的な育成確保の促進を明記するとともに、将来の公共工事の品質確保の促進を図ることを規定することとしています。
 第二に、発注者の責務として、公共工事の品質確保の担い手の中長期的な育成確保に配慮しつつ、予定価格の適正な設定、不調不落による再度入札等の場合の速やかな契約の締結、ダンピング受注防止のための措置の実施等に取り組むべきこととしています。
 第三に、発注者は、段階的選抜方式、技術提案交渉方式など多様な入札契約方法の中から適切な方法を選択することができることとしています。
 以上が本法律案の提案の趣旨及び主な内容です。
 なお、本法律案は、国土交通委員会において全会一致をもって起草、提出したものです。
 何とぞ、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
    ─────────────
○議長(山崎正昭君) これより採決をいたします。
 まず、建設業法等の一部を改正する法律案及び公共工事の品質確保の促進に関する法律の一部を改正する法律案を一括して採決いたします。
 両案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(山崎正昭君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(山崎正昭君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百三十  
  賛成            二百三十  
  反対               〇  
 よって、両案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
○議長(山崎正昭君) 次に、建築基準法の一部を改正する法律案の採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(山崎正昭君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(山崎正昭君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十九  
  賛成           二百二十八  
  反対               一  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
○議長(山崎正昭君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時八分散会