第186回国会 本会議 第26号
平成二十六年五月三十日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第二十六号
    ─────────────
  平成二十六年五月三十日
   午前十時 本会議
    ─────────────
 第一 電気事業法等の一部を改正する法律案(
  趣旨説明)
 第二 行政不服審査法案(閣法第七〇号)、行
  政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等
  に関する法律案及び行政手続法の一部を改正
  する法律案(趣旨説明)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
○議長(山崎正昭君) これより会議を開きます。
 日程第一 電気事業法等の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 本案について提出者の趣旨説明を求めます。経済産業大臣茂木敏充君。
   〔国務大臣茂木敏充君登壇、拍手〕
○国務大臣(茂木敏充君) ただいま議題となりました電気事業法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 東日本大震災以降、我が国が直面している新たなエネルギー制約を克服し、現在及び将来の国民生活に責任あるエネルギー政策を構築するためには、電気の安定供給の確保、電気料金の最大限の抑制、需要家の選択肢や事業者の事業機会の拡大を目的とし、広域系統運用の拡大、小売及び発電の全面自由化、法的分離の方式による送配電部門の中立性の一層の確保を改革の三本柱とする電力システム改革を着実に実施していくことが極めて重要であります。
 このため、まず、三本柱の一つである広域系統運用の拡大などを実現することによって電気の安定供給の確保に万全を期すとともに、具体的な実施時期を含む電力システム改革の全体像を法律上明らかにする改革プログラムを附則で定めた電気事業法改正案を昨年の国会に提出し、昨年十一月に成立したところであります。
 今回提出させていただいた本法律案は、改革プログラムに基づき、電気の小売業への参入の全面自由化を平成二十八年を目途に実施するために必要な措置を講ずるものであります。
 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
 まず、電気事業法の改正に関するものであります。
 第一に、現行の電気事業法においては、一般電気事業者のみが家庭等に対する電気の供給を行うことが可能とされておりますが、今後は、経済産業大臣の登録を受けた小売電気事業者であれば、家庭等を含めた全ての需要家に対する電気の供給を行うことができることとし、これに伴い、一般電気事業を始めとする現行の電気事業法における事業類型を見直します。
 第二に、小売全面自由化を実施した後も電気の安定供給の確保に万全を期すため、現在の一般電気事業者の送配電部門に当たる一般送配電事業者に対しては、電圧及び周波数を維持する義務、どの小売電気事業者からも電気の供給を受けることができない需要家に対する電気の供給を最終的に保障する義務、離島における需要家が離島以外の地域と同程度の料金水準で電気の供給を受けることを保障する義務などを課することといたします。
 一方、これらの義務を着実に履行できるよう、一般送配電事業者に対しては、料金制度により、必要な費用を送配電ネットワークの利用料金から回収することを制度的に担保することとしております。
 また、小売電気事業者に対しては、契約により供給する相手方の需要に応ずるために必要な供給力を確保することを義務付けるとともに、我が国全体で供給力が不足すると見込まれる場合に備えて、広域的運営推進機関が、発電設備の建設に係る入札など、発電設備の建設を促進するための業務を行えることといたします。
 第三に、需要家保護を徹底するため、小売電気事業者に対しては、需要家に対する料金その他の供給条件の説明義務などを課すとともに、現在の一般電気事業者の小売部門に対しては、当分の間、経過措置として料金規制を継続することとしております。
 第四に、小売全面自由化を実施した後は、電気の卸取引の重要性が高まることが想定されることから、卸電力取引所を電気事業法において位置付けるとともに、商品先物取引法を改正し、電力の先物取引に係る制度の整備を行います。
 加えて、電気事業に係る事業類型の見直しに伴い、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法などの関係法律について、所要の改正を行います。
 以上が、本法律案の要旨でございます。(拍手)
    ─────────────
○議長(山崎正昭君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。小林正夫君。
   〔小林正夫君登壇、拍手〕
○小林正夫君 民主党・新緑風会の小林正夫です。
 冒頭、北朝鮮拉致問題について質問をさせていただきます。
 昨夜、日本人拉致被害者や拉致された疑いのある特定失踪者について、北朝鮮側が特別調査委員会を設け、再調査を行うことを約束し、日本側は経済制裁の一部を解除すると発表されました。
 日本人拉致問題が進展することは期待するところですが、北朝鮮の再調査について、どのように実効性を担保するのか、また調査内容の信憑性をどのように確認していくのか、政府として誠実に対応することを強く望みます。
 本日、答弁を求めましたが、お答えいただけないということなので、次の機会に答弁を求めたいと思います。
 それでは、電気事業法の一部を改正する法律案の質問を行いますが、質問の前に一言申し上げます。
 本来、この法案は、五月二十一日の本会議において議事として扱うことが決まっておりました。当日の本会議で、地域医療・介護確保法案の趣旨説明において、厚生労働省が前代未聞のミスを犯し、本会議が打ち切られ、この法案も審議できませんでした。また、そのとき、このひな壇で何が起きたのかもまだ分かっていません。大事な審議日程に大きな影響を与えたのは、安倍政権の緊張の欠如であり、政府の責任以外何物でもありません。国内外の難しい諸問題を抱える中で、気の緩みが出てきた安倍政権に我が国のかじ取りは任せられません。
 以上申し上げ、会派を代表して質問をいたします。
 二〇一一年三月の大震災で、首都圏を始めとした経済活動を支えてきた電力設備も被災しました。現場の作業員の必死の努力により早期の復旧が図られましたが、原子力、火力等の基幹発電所の被害、そして失った電気の供給力は余りに大きいものでした。
 東京電力と東北電力は、連鎖的な大規模停電を回避するため、計画停電という苦渋の選択をしました。実際に停電を行った地域では大混乱が生じました。医療機関や人工呼吸器等の医療機器などで在宅療養されている方への対策など、私は厚生労働大臣政務官として取り組み、停電の怖さと電力の安定供給がいかに大事かを思い知りました。
 このような、電気が止まるという社会の大混乱は二度とあってはなりません。国民生活を支える電気の安定供給の維持が最も重要であり、質の高い電力供給は国力の源です。こうした信念の下、質問を行います。
 小売全面自由化について質問します。
 自由化に当たっては、自由闊達に競争を促す上で、特定の事業者に対する非対称規制や過度の行為規制が講じられることのない、公正で中立的な競争環境を整備することが不可欠です。
 小売参入の全面自由化の実施時に、現行の一般電気事業者のみに課される小売料金規制並びに供給義務に係る経過措置については、あくまで暫定的な措置であるべきであり、発送配電分離が実施される第三段階において終了することが大原則と考えますが、経済産業大臣の所見をお聞きをいたします。
 本年一月の世界経済フォーラム、ダボス会議において、安倍総理大臣は、電力市場を完全に自由化します、二〇二〇年、東京でオリンピック選手たちが競い合う頃には、日本の電力市場は、発送電を分離し、発電、小売とも完全に競争的な市場になっています、日本では久しく不可能だと言われてきたことですと演説されました。しかし、電気の小売に係る料金の全面自由化については、第一弾の法律の附則においても、二〇一八年から二〇二〇年に適正な競争環境が整わなかった場合は、電力会社の規制料金を継続し、小売料金の全面自由化を延期するという規定が盛り込まれています。
 安倍総理大臣は、オリンピックの頃には完全に競争的な市場になっていると発言されました。これは、オリンピックの頃には完全に規制料金が廃止されているという国際公約でしょうか。経済産業大臣に伺います。
 原子力政策について質問します。
 現下の需給逼迫と電気料金の値上げの解消に向けては、長期停止が続く原子力発電所の再稼働が必要だと思います。
 政府は、エネルギー基本計画において、原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合は、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進めるとした上で、その際、国も前面に立ち、立地自治体等関係者の理解と協力を得るよう取り組むとしていますが、国は、どのような役割を担い、当該発電所の安全性やエネルギー政策上の必要性等について国民や関係自治体に対してどのように説明責任を果たし、前面に立つ考えか、そして突破力を持ってやっていく覚悟があるのか、経済産業大臣にお聞きします。
 エネルギー基本計画の中で、原子力事業者に対して、高いレベルの原子力技術、人材を維持し、今後増加する廃炉を円滑に進めつつ、安定的な供給に貢献することを求めています。電力システム改革後の競争進展下においても、原子力事業者が予見性を持って長期の事業計画を立て、こうした課題にしっかりと対応していくためには、少なくとも小売全面自由化の実施までにこれらを可能とする事業環境を整備することが不可欠です。
 エネルギー基本計画でも明記されているそうした原子力事業環境の在り方について、具体的には、いつ、どのような場で検討を開始し、措置を講ずる考えか、経済産業大臣に答弁を求めます。
 発電部門と送配電部門の分離について質問をします。
 我が国の停電時間が欧米諸国と比べて低い水準にあること、また未曽有の東日本大震災においても最も早く復旧を果たしたのが電力であることは御承知のとおりです。我が国の電力システムは世界に誇るべきものであり、現場の作業員の日々の努力により、発電と送配電部門がまさに一体となって、需要と供給を瞬時に一致させ、送配電網全体として周波数を一定にし、電圧を維持するというたくみの技に裏打ちされています。
 こうした電力体制をなぜあえて見直そうとするのでしょうか。先ほど申し上げたように、国民生活を支える電気の安定供給が最も重要であることは論をまちません。自然災害時も一貫体制であるがゆえ短時間で復旧して、国民に喜ばれています。
 電気は全て電線がつながっていないと送れません。今回の法案は、現在の発送配電一貫体制を変更し、発電、送配電、小売と三つの類型に分けるという大改革でありますが、発送電設備を分離して電力の安定供給は大丈夫でしょうか。経済産業大臣にお尋ねいたします。
 小売全面自由化は平成二十八年四月を目途に実施する予定になっておりますが、この実施状況を検証することなく、平成二十七年度中に送配電の法的分離を規定した法案を審議することとなっています。改正による実務面での影響や課題について、小売全面自由化を十分に検証した上で、本当に我が国において発電部門と送配電部門を分離することがふさわしいかどうか検討すべきではないでしょうか。経済産業大臣の考えをお聞きします。
 来年の通常国会に提出を目指している第三弾の法律案は、送配電部門を発電部門や小売部門から独立させ、別会社としようとするものであります。発電、送配電、小売がばらばらになってしまったら、誰が日本を支える気概を持って電力供給を堅持してくれるのでしょうか。
 老朽化し、型が古くなった発電設備を大切にメンテナンスする取組には人手もコストも必要となりますが、現在、こうした発電設備が再び第一線に復帰し、活躍しています。老朽化した火力発電設備の継続使用は決して好ましいことではありません。しかし、万が一の事態に備える、それは、供給義務があるからではなく、現場で働く人たちの気概が電力供給を支えているのです。電力の安定供給を誇りに思い、社会や国民に対する使命感がそうさせているのです。まさに電力マンの底力です。
 実態を見ずにシステム改革の議論を先行させれば、ただでさえ厳しい状況にある電力供給の現場を更に疲弊させはしないでしょうか。逼迫した状況下での小さな連絡ミスが大きな労働災害を引き起こします。送配電分離と電力供給の現場の安全確保について経済産業大臣にお聞きします。
 再生可能エネルギーについて質問します。
 本法律案では、事業類型の見直しに伴って、再生可能エネルギー特別措置法の改正もうたわれています。
 再生可能エネルギーの中心となっている太陽光と風力発電に関しては、天候によって発電量が目まぐるしく変化し、時には発電しないなど、その供給安定性に課題が残されています。再生可能エネルギーを大量に導入し、かつその発電を供給力として認めるためには相応のバックアップ電源が必要となりますが、その発電の運用に要する費用は誰が負担することになるのでしょうか。
 また、エネルギー基本計画では、これまでのエネルギー基本計画を踏まえて示した水準を更に上回る水準の導入を目指すとされています。この目標の実現には、さきに指摘したバックアップ電源のほか、送電線の増強などの新たな投資、また固定価格買取り制度による賦課金の拡大が必要となりますが、こうしたコストはどの程度になると試算しているのでしょうか。経済産業大臣に伺います。
 最後に、電力労働者の労働基本権について質問します。
 今般の法改正に伴う関連法制見直しの一つに、実質的に電力労働者のみが規制対象となっているスト規制法について、ライセンス制の導入に合わせた読替えの法整備を行う旨、法案附則第五十条で規定されています。
 今般の法案におけるスト規制法の扱いは、まさに現状を維持する内容となっていますが、政府は、第一弾法改正における附帯決議を踏まえ、自由な競争を第一義とする電力システム改革の趣旨と整合性を図る観点からどのような再検討を行ったのでしょうか。例えば、所管省内において公開の審議会等の場を立ち上げて、公労使など関係者の意見を聴取した上で結論を得て今般の法案提出に至ったのでしょうか。厚生労働大臣にお聞きをします。
 仮に、そうした経過もなく今般の法案提出に至ったとすれば、国権の最高機関たる立法府の附帯決議に対する行政としての不作為であるとともに、憲法に規定される労働基本権に制約を加える重い政策決定プロセスとして極めて問題があると考えます。
 政府として、法律家など第三者の専門家や労使団体など、関係者からの意見聴取を含めた公開審議の場を設けた上で、小売全面自由化に合わせた本規制の廃止に向け、検討を進めるべきと考えますが、厚生労働大臣の見解を求めます。
 以上で質問は終わりますが、最後に申し上げます。
 本法律案のテーマである小売事業への参入の自由化は、二〇〇〇年から段階的に実施されてきました。今回、完全自由化を目指すこととなっておりますが、こうした動きの中で、長年にわたって我が国が培い、誇りにしてきた高品質の電力供給を守らなければなりません。
 再生可能エネルギーの普及、適正な競争の促進は、国民の利益につながる必要な施策と受け止めています。他方、今回の電力システム改革の起源は、福島第一原子力事故が起こったことで電力に働く者が物を申しにくくなった状況の中で、一気に電力体制を見直してしまうという背景が見え隠れしているように思います。
 電力システム改革全体が真に国民の利益にかなう改革なのか、関係者等の意見や要望を十分にお聞きしながら冷静に議論する必要があることを訴え、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣茂木敏充君登壇、拍手〕
○国務大臣(茂木敏充君) 小林議員にお答えをいたします。
 最初に、料金規制及び供給義務に係る経過措置についてでありますが、料金規制及び供給義務の撤廃時期は、昨年成立をいたしました第一弾改正法のプログラム規定において、法的分離の実現と同時かそれ以降とされており、今後の競争環境の状況を踏まえて判断をしてまいりたいと考えております。
 次に、総理のダボス会議における電力システム改革に関する発言についてでありますが、電力システム改革は、広域系統運用の拡大、そして発電や小売の全面自由化、さらに送配電部門の一層の中立化といった三段階の改革をオリンピックの頃、すなわち二〇二〇年までをめどに段階的に実施することとしており、今後、自由化や競争環境の整備に向けて全力で取り組んでまいります。できる限り早期に適正な競争環境を整え、料金規制の撤廃を行ってまいりたいと考えております。
 続いて、原発の再稼働への政府の取組についての御質問でありますが、原発については、安全性を最優先し、原子力規制委員会によって新規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し、原発の再稼働を進めてまいります。また、立地自治体等関係者の理解を得るため、事業者だけでなく、国としてもしっかりと説明していくことが重要であると考えております。
 その際、例えば、原発の新規制基準への適合審査結果に関しては原子力規制委員会が、我が国の原子力・エネルギー政策に関しては経済産業省が、さらに原子力防災に関しては内閣府の原子力災害対策担当が説明をしていくことになると考えております。
 次に、今後の原子力事業環境の在り方についてでありますが、競争が進展した環境下においても、原子力事業者が、技術、人材の維持、円滑な廃炉、最善の安全対策、安定供給への貢献といった課題に対応できるよう、海外の事例も参考にしつつ検討を行ってまいります。
 具体的には、総合資源エネルギー調査会の下に原子力政策の再構築に向けた議論の場を設置し、原子力の事業環境の整備の在り方についても、平成二十八年をめどに電力の全面自由化が予定されていることを踏まえ、必要な措置について速やかに検討し、遅滞なく実施をしてまいります。
 続いて、発電部門と送配電部門の分離後の安定供給についてでありますが、今回の法案においては、これまで安定供給を担ってきた一般電気事業者の送配部門である送配電事業者に対し、引き続き高品質な電気の安定供給義務を課すことといたしております。
 また、電力の安定供給を実現する観点からは、改革の第三段階において法的分離を行った場合でも、災害時の迅速な停電復旧作業等を行うことが重要であり、発電事業者と送配電事業者とが協力して電力の安定供給のために対処するよう、具体的なルールを整備をしてまいります。
 次に、小売全面自由化の検証をした上で送配電部門の分離を検討すべきではないかとの御質問でありますが、改革を進めるに当たっては、事業者の予見性を高め、準備作業を加速化することが大切であると考え、昨年の改正電気事業法の附則において、改革の全体像に加え、三段階の改革について、関連法案の提出時期とその実施時期といったスケジュールをあらかじめ示した上で、具体的に法改正を行うこととしたところであり、そのスケジュールに従って着実に改革を進めていくことといたしております。
 また、小売全面自由化の検証については、第三弾の法律の施行までに検証、確認を行い、法律の枠組みの中で定める規則等において必要な措置を講じることで、改革に適切に反映していくことといたしております。
 続いて、現場の安全確保についての御質問をいただきました。
 電力の安定供給は、小林議員御指摘のように、電気事業に関わる方々の現場力や技術力、人材に支えられてこそ実現をするものであります。こうした方々の労働安全の確保は、改革後においても我が国の電力安定供給の大前提となります。このため、第三段階の法的分離の実施により労働災害が増えることがないよう、給電指示等を行う送配電事業者が多様な発電事業者と協調して災害時の対応や需給調整等を行えるよう、必要なルールの整備を進めてまいります。
 最後に、再生可能エネルギーの導入に係る費用とその負担の在り方についてでありますが、政府としては、今後、エネルギーミックスの検討の中で、再生可能エネルギーの将来の導入規模を想定しつつ、導入に必要なバックアップ電源の費用負担や送配電網の強化策、固定価格買取り制度に係る賦課金などの費用について検討してまいります。(拍手)
   〔国務大臣田村憲久君登壇、拍手〕
○国務大臣(田村憲久君) まず冒頭、医療・介護総合確保法案における配付資料の誤りによりまして、五月二十一日、参議院本会議を混乱させてしまい、あわせて、本法案の審議に大変御迷惑をお掛けをいたしました。深くおわびを申し上げます。
 それでは、答弁をさせていただきます。
 今般の電気事業法改正に伴う、いわゆるスト規制法の改正案の検討経過についてのお尋ねがございました。
 今回の電力システム改革による事業類型や事業の特性に応じた規制の見直しを踏まえたスト規制法の在り方については、公開の審議会等の場は設けておりませんが、様々な機会を通じて関係労使の考え方を承知した上で、厚生労働省において検討したものであります。
 その結果、改革後も争議行為により電気の正常な供給に障害が生じないようにするという必要性は変わらないため、現行と同様の考え方に基づいてスト規制の対象事業の範囲を定めることにいたしました。
 なお、今回の改正案は、電力システム改革の進展による発電事業の実態の変化に応じてスト規制の範囲を見直すことのできる仕組みとしており、改革の趣旨とも整合的であると考えております。
 次に、いわゆるスト規制法の今後の検討の進め方についてのお尋ねがありました。
 厚生労働省としては、衆議院経済産業委員会における本法案の附帯決議の趣旨を尊重し、電力システム改革に関する法体系の整備に併せ、有識者や関係者等から成る意見聴取の場を設けその意思を確認し、スト規制法の今後の在り方について検討を行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
○議長(山崎正昭君) 中野正志君。
   〔中野正志君登壇、拍手〕
○中野正志君 日本維新の会・結いの党の中野正志でございます。
 私は、会派を代表いたしまして、電気事業法の一部を改正する法律案につきまして、茂木経産大臣に質問をいたします。
 その前に、北朝鮮が拉致再調査を約束、日朝合意とのニュースがありました。過去だまされてきましたが、種々の絡まりを乗り越えて、今度こそ所期の成果が得られるよう期待し、安倍内閣頑張れと申し上げ、私たちも精いっぱいの協力を誓いたいと思います。
 さて、今回の法案は、電力の自由化に関するプログラム法案の第二段階に当たるもので、いわゆる電気の小売完全自由化を主たる内容とするものであります。
 この小売完全自由化は、消費者の視点からすると、自ら契約する電気事業者を選択することができるという仕組みであり、事業者の観点からすると、これまでの地域独占体制から、新規の小売電気事業者の数を増やすことで競争原理を市場に導入するということであります。
 しかしながら、ここで改めてこの自由化に向けた注意点を何点か明らかにした上で、国としてどのように考え、どのように対処していくのかという点をお伺いしたいと思います。
 まず、この電力システム改革が何のための改革なのかという点であります。一つには、電気事業者の数を増やして消費者としての選択の幅を広げるということが改革の目的の一つであると言えるかもしれません。しかし、事業者の数を増やすことで消費者に選択権を与えることはできるかもしれませんが、それによって実際の選択肢の幅が広がるわけではありません。
 実際、平成十二年に開始された電力小売の一部自由化によって達成された自由化部門における新電力会社による販売電力量の割合は、平成二十四年度の時点で全体の約三・五%にすぎません。また、契約電力が五十キロワット以上、つまり事務所ビルや商業施設のイメージとなりますが、そういった需要家に対して電気を供給する特定規模電気事業者は、平成二十三年三月には四十六社あり、平成二十六年五月二十六日現在では二百三十一社にまで増加しています。しかし、実際に電気の供給を行っている新電力会社による電力の総需要に占めるシェアは、平成二十四年度段階で二・二六%にとどまっています。
 このように、事業者の数が増えても実際に電気を供給する事業者が増えないという現実が既にあるわけですが、まずは、これまで新規参入が進まなかった理由はどこにあると考えているのかお伺いしたい。そして、これまでの自由化の流れを踏まえ、改めて、この電力システムの改革が何のための改革であり、何を目指そうとしているのかをお伺いしたいと思います。
 次に、これまで電気事業者が担ってきた供給責任についてでありますが、小売全面自由化の中で、誰が供給の義務を負い、誰が責任の窓口となるのかという責任の内容と所在の問題、そして、そういった重い責任を登録制で担わせることが適当かという点であります。
 言うまでもなく、今回の法改正で、これまで発電、送電、配電の一貫体制によって供給責任を担ってきた電気事業者が分断されることとなり、小売を担う事業者は消費者の窓口となります。例えば、一般家庭で自宅の新築をするときでありますとか、中小企業が工場を増築する場合に、契約容量を大きくしたい、夜中だけ工場を稼働させたいなどといった要請に対して、小売事業者は確実に対応しなくてはなりません。
 このような多種多様な消費者の需要に対応するために、相応の供給力を確保する義務を担い、供給の責任を負うという電気事業への参入を登録制で認めるというのが今回の改正案であります。
 この点、小売事業者が確実に供給力を確保しているか、供給責任を果たす体制を整えているかといったことをどこかできちんと把握していないと、万が一の事態に誰も対応できないということになりかねません。また、需要家サイドからしても、事業者を選択する際に最も知りたい情報が入手できないという事態にもなりかねません。
 そこで質問ですが、国としては、小売事業者にどのような供給責任を担わせ、どのように供給責任体制を確認するのか、そして、そのような供給体制の中で需要家をどのように保護していこうとしているのか、なおかつ、このような小売事業者を登録制とすることで、電力の安心、安全な供給体制が担保されると考えておられるのか、政府の検討状況とこれからの取組などについてその詳細をお伺いしたいと思います。
 さらに、供給予備率と自由化される電力市場の規模についてであります。
 これまで地域独占によって推進されてきた電力事業は、需要に対して確実に供給を行うことで市場を形成してきましたが、地域独占であるがゆえに価格が高くなるという経済原理が働いていたため、自由化を促進することで、競争原理を導入し、何とか電力料金を安くしていこうとされていたわけであります。
 一方で、車や家電製品とは違い、電力は在庫を持つことができない、貯蔵することができないという電気特有の性質があることから、需要に合わせて電力を生産し、直ちに供給し、同時に消費するというサイクルの中で、最低でも三%の供給予備率を確保しないといけないとされてきました。
 しかし、この三%という供給予備率は、電力の安定供給に最低限度必要とされる値として捉えられているもので、決して発電余力として捉えられているものではありません。実際、今年の夏の気温が記録的な猛暑を迎えただけでこの予備率では対応できなくなり、地域によっては電力不足が生じるという事態にもなりかねません。
 このため、電力会社間では融通によって不足電力を賄うというシステムができ上がっていますが、日本の東西を五十ヘルツと六十ヘルツで運用されている供給体制の実態からは、東西の融通規模は今日百二十万キロワットと限界があり、電力の供給体制という意味では決して余裕があるというものではなく、既存の九電力会社体制の中で何とか需給を賄える程度の余力でしかありません。今日、九電力会社の平均予備率は四・六%となっていますが、小売市場の開放がこの四・六%の予備率相当にとどまることはないだろうとは思います。
 そこで、最後の質問としてお伺いしたいと思いますが、今回の小売の自由化で、国は、実態的にどのくらいの数の新規小売事業者を想定しているのか、そして、その新規小売事業者によってどれぐらいの規模の電力が供給される市場を想定しているのか。また、国は、最終的に全体の需要に占める割合で何%ぐらいの市場開放を目指しておられるのかという点をお伺いしたいと思います。
 電気事業法の改正は、既存の電気事業者、そして新規参入する電気事業者の全てにとって魅力のあるものとならなくてはなりません。一方、電気を消費する国民や企業にとっても、これまで以上に便利で安心していられるものでなくてはならない、そんな国民の強い思いを込めて、私の質問とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣茂木敏充君登壇、拍手〕
○国務大臣(茂木敏充君) 中野議員にお答えをいたします。
 最初に、電力市場への新規参入が進まなかった理由についてでありますが、これまで、一般電気事業者による区域を越えた競争や卸電力市場の活用への取組が不十分であったこと、そして発電部門にも参入規制や料金規制があったこと、さらに送配電網へのアクセスの中立性確保に課題があることなどが考えられます。
 まさに、これらの課題に対応し、電力市場における競争を促すため、電力システム改革、具体的には、地域独占を撤廃する小売参入の全面自由化や既存電力会社の余剰電力を市場に拠出する取組の推進、発電の参入規制や料金規制の撤廃、そして法的分離方式による送配電部門の一層の中立化などの改革を進めているところであります。
 次に、電力システム改革の目的についてでありますが、東日本大震災や世界的なエネルギー需要の増大など激変する内外情勢の中、我が国は新たなエネルギー制約に直面をいたしております。電力システム改革は、このエネルギー制約の克服に向けた改革の中心を成すものであり、新規参入の促進や競争環境の整備により、電力の低廉かつ安定的な供給や、多様な電源の活用、料金メニューの多様化の実現を目指しております。
 続いて、小売電気事業者の担う供給責任の在り方についてでありますが、今回の法案では、小売電気事業者に対して空売り規制を課し、自らの顧客の需要に応ずるために必要な供給力を確保しなければならない義務を課しております。
 加えて、小売電気事業者には登録制を導入し、その登録時において国が小売電気事業者の供給力の見込みを確認するとともに、登録後も、小売電気事業者に対して毎年度供給力確保計画の届出を求め、国が確認を行う仕組みといたしております。
 続いて、小売自由化後の需要家保護についての御質問でありますが、今回の法案においては、需要家への安定供給を確保する仕組みとして、小売電気事業者に対する供給力確保義務や送配電事業者に対する需給バランス維持義務を課しております。また、競争が不十分な中でも電気料金の上昇を抑制する仕組みとして、小売参入の全面自由化後も、家庭等の小口部門については、競争環境が整うまで従来の一般電気事業者に対する料金規制は継続することといたしております。さらに、小売電気事業者に対して、消費者への契約条件の説明義務、そして契約締結後の契約書面交付義務、さらに需要家からの苦情や問合せへの対応義務を課すことで需要家保護を図る仕組みといたしております。
 次に、小売電気事業者を登録制とすることについてでありますが、今回の法案においては、小売電気事業を登録制とした上で、小売電気事業者に対して供給力確保義務を課しており、この義務に違反した者に対しては業務改善命令の発動や登録の取消しを行うことができることといたしております。
 これに加え、一般送配電事業者に対しても、各小売電気事業者の供給力確保の状況を踏まえ、エリア全体の需給バランスを維持する義務を課しており、これらの措置により電力の安定供給が確保される仕組みを早急に整えてまいりたいと考えております。
 最後に、小売自由化で新規に参入する小売事業者の想定と開放される市場の規模についてでありますが、小売全面自由化後の新規参入者の数や規模については、今後の市場環境によっても変わるため、現時点で具体的に見通すことは難しい側面もありますが、国としては、より多くの新規参入者が参入するよう最大限の事業環境整備に努めてまいります。
 また、今回の改革により、これまで自由化されている大口需要と併せ、十六兆円に上る全ての市場があらゆる小売電気事業者に開放されることとなります。(拍手)
    ─────────────
○議長(山崎正昭君) 渡辺美知太郎君。
   〔渡辺美知太郎君登壇、拍手〕
○渡辺美知太郎君 みんなの党の渡辺美知太郎です。
 ただいま議題となりました電気事業法等の一部を改正する法律案について質問いたします。
 さて、二〇〇〇年から電力の小売一部自由化が始まりました。一部といっても、現在では総電力量の六〇%が自由化部門に相当します。しかし、自由化部門のうち、新電力の販売量は三・五%にすぎません。つまり、実質自由競争が進んでおらず、九電力の寡占が続いているということであります。
 衆議院での茂木経済産業大臣の答弁では、競争促進策の一つに法的分離の方式による送配電部門の中立化が挙げられていました。しかし、企業グループ内での資本関係の残る法的分離の方式で中立性が保てるのか、甚だ疑問が残ります。まず、法的分離で中立性をどのように保つかを茂木経済産業大臣に伺います。
 次に、家庭等の小口需要について、これまで一般電気事業者が基本的には電気の供給を独占してきましたが、本法律案より新規事業者の参入が可能となります。しかし、個人家庭に新規事業者の存在が認識されなければ競争になりません。新制度の広報、手続の簡略化、また新規事業者の紹介など、どのような対策がありますか、大臣に伺います。
 小売事業者による空売り防止のため、供給力確保義務は必要です。しかし、過度の規制は新規参入を阻害するおそれもあります。そこで、適切な新規参入措置を教えてください。
 大口の電気の需要については、既に参入の自由化が行われています。その中で、一般電気事業者による供給区域を越えた供給は現時点では少ないものの、子会社などの形式で参入するケースが出てきました。今回、小口需要について参入の自由化が行われますが、一般電気事業者に対して期待する役割を教えてください。
 電気の小売参入全面自由化により、全く新しい分野から様々なプレーヤーが新規参入することが予測されます。例えば、何千万人という顧客を持つ携帯電話事業者が参入すれば、通信料金と電力料金とのセット販売が考えられ、ガス会社やケーブルテレビ会社の参入も一部で予測されています。
 プレーヤーたちは多様な方法で顧客を獲得するものと考えられますが、政府は、電力システム改革による新規参入に対しどのような期待をしていますか、大臣に伺います。
 次に、卸電力取引所について伺います。
 我が国の卸電力取引所としては、一般社団法人日本卸電力取引所が挙げられます。本法律案において卸電力取引所の法定化が行われますが、これまで私設、任意であった卸電力取引所を電気事業法に位置付けることでどのような効果を期待しているか、茂木経済産業大臣に伺います。
 二〇一三年度の卸電力取引のスポット市場の売り札量が一年間で約三・四倍に増えたそうですが、二〇一二年度の卸電力取引量が小売販売電力量の一%程度であったことを考えると、まだまだ微々たるものであると言えます。
 茂木経済産業大臣は、卸電力取引市場が大きくならないと実質的な自由化が進まないとおっしゃっていますが、取引量の水準はどの程度のものが望ましいでしょうか、伺います。
 また、茂木経済産業大臣は衆議院での答弁などで、需要家の選択肢が限定的になった場合は、海外で行われている強制的な電源拠出方法も参考に、制度的措置を伴う卸市場の活性化策を検討するとおっしゃっていましたが、具体的にはどのような制度的措置が考えられますか。
 さらに、電力会社が低コストの電源を確保することは当然であり、卸市場の活性化措置について原発再稼働の状況も一部加味すると報道にありましたが、卸市場の活性化のためには前向きな原発の再稼働も辞さないということなのでしょうか、伺います。
 原発に関連して、放射性廃棄物の処分場についても伺います。
 原発が再稼働すれば、使用済核燃料の問題に直面します。エネルギー基本計画では、国が前面に立って取組を進めるとの方針ですが、処分場選定にはいつ頃めどが立つのでしょうか。めどが立つまでは少なくとも原発の再稼働は控えるべきではないのでしょうか、大臣に伺います。
 原発一基当たりの建設費は同じ規模の火力発電の二倍以上掛かります。これまでは原発建設費を総括原価方式で五十年以上掛けて電気料金から回収していましたが、自由化が進んだ時点で総括原価方式は廃止となります。
 総括原価方式には、原子力バックエンド費用や、国や他の電力会社から原子力損害賠償支援機構を通じて援助金を受けている場合はその援助金の返済まで含まれます。これらのコストを含めた場合、自由競争では太刀打ちができないことが考えられますが、総括原価方式で賄っていたこれらの費用負担はどのようにして回収されるおつもりですか。
 海外では、原発を再生エネルギー同様に固定価格で買い取る、政府が債務保証をするなどの支援策がありますが、我が国では到底受け入れられないように思います。原発に係るコストを政府は一切保障しない場合は市場競争で原発が淘汰されることも考えられますが、これは我が党の市場メカニズムを用いた脱原発政策に通ずるものがあります。徹底した発送電分離、高度の独立性を有した電力事業の規制機関の設置など、経済的アプローチによる我が党の脱原発方法を採用されてはいかがでしょうか。
 一般担保付社債の発行維持について伺います。
 私は、本法律案の中で一番疑問に思うところが、二十七条の三十にある一般電気事業者の一般担保付社債の発行維持です。長期資金調達の円滑化を図るため、本法律案においても、引き続き一般電気事業者については一般担保付社債の発行が認められています。これは資金調達の面で一般電気事業者を優遇するものであり、他の事業者との公平性を欠くものではないでしょうか、茂木経済産業大臣に伺います。
 また、万が一原発事故が再度発生した場合は、被害者への賠償よりも債権者への返済が優先されることにはなりませんか。茂木経済産業大臣に伺います。
 また、附則四十一条は、次の第三段階での法案で一般電気事業者の一般担保付社債の発行継続についてゼロベースで検討するとありますが、次回からの検討では審議が不十分であるなどの理由で先送りになる可能性があります。一般電気事業者の一般担保付社債の発行継続については、今国会からも審議すべきではないでしょうか。
 我が党は、百八十五回国会において参議院で電力自由化推進法案を提出し、電気の需給に係る公平公正な競争環境の整備の観点から、関係省庁と切り離された電力自由化推進本部を内閣府に設置することを提言いたしました。このような関係省庁から切り離した機能の設置についてはいかがお考えですか。また、設置しないのであれば、どのようにして公平公正な競争環境を整備するおつもりですか、茂木経済産業大臣に伺います。
 最後に、もし本気で電力システム改革を推し進められるのであれば、発送電分離についても、法的分離にとどまらず、そう遠くない将来に所有権分離にまで踏み込んでいただけないものでしょうか。所有権分離移行について茂木経済産業大臣に伺います。
 中途半端な改革は百害あって一利なし。海外での大規模停電事故などは中途半端な規制緩和が原因でした。電力市場を完全に自由化し、消費者が自分たちで電力会社を選択できるよう徹底した改革が行われることを申し上げまして、私からの質疑を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣茂木敏充君登壇、拍手〕
○国務大臣(茂木敏充君) 渡辺議員にお答えをいたします。
 最初は、法的分離方式によります送配電部門の中立性確保についてでありますが、法的分離の方式で送配電部門の一層の中立性を確保するため行為規制を導入することとしており、また、他の発電・小売会社に比べ、グループ内の発電・小売会社を優遇しないよう、行政が監視をしてまいります。
 次に、電力自由化に関する制度の広報や、消費者が電力会社を選びやすくするための取引についてでありますが、まず、小売全面自由化を含む電力システム改革に関する情報については、経済産業省のウエブサイト、パンフレット等の広報資料、消費者団体を通じた説明会など、様々な方法で家庭や消費者への周知活動に努めてまいります。
 また、今回の法案においては、小売電気事業者に対して消費者への契約条件の説明義務などを課すことにより、消費者が電力会社や料金プランを選択するに当たって必要な情報を得られる仕組みとしております。さらに、消費者が小売電気事業者を変更する場合の手続を全国で標準化するなど、環境整備にも努めてまいります。
 続いて、供給力確保義務と新規参入の促進についてでありますが、今回の法案で、小売電気事業者に確保を求める供給力は、自ら電源を確保する以外にも、他の発電事業者との契約による発電の確保や卸電力市場からの調達も、その確実性がある限り認める予定であり、新規参入の妨げとなる過度な規制とはならないと考えております。
 次に、競争促進の観点から、一般電気事業者の役割についてでありますが、小売の全面自由化を進めるに当たり、現在電源の大半を保有する一般電気事業者には、区域を越えた競争や卸電力市場の拡大への取組を期待しております。また、小売の全面自由化を行った後も、現在の一般電気事業者への料金規制を経過措置として残すものの、需要家にとってメリットのある自由な料金メニューもつくれることとしており、一般電気事業者も様々な料金メニューやサービスを提供し、競争に積極的に参加していくことを期待いたしております。
 続いて、新規参入者に対する期待についてでありますが、小売全面自由化により、異業種からの参入も含め様々な事業者が電気事業に参入することが考えられます。新規参入により電気料金が抑制されることや、様々な料金メニューや新サービスの提供などが進み、需要家の選択が拡大することを期待をいたしております。
 次に、卸電力市場を法律上位置付ける効果についてでありますが、今回の法案では、これまで私設、任意であった卸電力取引所を法定化し、不正取引の防止や市場監視、取引所の適切性確保について国の関与を可能とするとともに、経済産業大臣が卸電力取引所に対して報告徴収を行うことができることといたしております。
 こうした仕組みを通じて、公正な市場と適切な価格形成を実現するとともに、既存の電力会社による余剰電力の卸電力取引所への供出が着実に実施されることを期待をいたしております。
 続いて、卸電力取引所における取引量についてでありますが、卸電力取引所が望ましい状態であるかどうかは、電力市場全体の需給の状況や取引所における取引価格なども踏まえて判断する必要があるため、一概に望ましい量の水準を申し上げることは適当ではないと考えております。
 国としては、単なる量の水準だけではなく、取引所の活用が実際に競争促進につながっているのかにも着目しながら、引き続き卸電力市場の活性化に取り組んでまいります。
 次に、卸市場の活性化策における制度的措置の具体的内容についてでありますが、制度的措置の要否については、現在行っている卸電力市場活性化の取組の成果などを見極めながら考える必要があり、仮に必要と判断した場合の具体策は、こうした市場の状況も踏まえ、今後検討してまいります。
 原発については、何よりも安全性が最優先であります。
 卸市場の活性化と原発再稼働の関係についての質問でありますが、原子力規制委員会においてこの安全性は確認されるわけでありまして、原子力規制委員会によって新規制基準に適合すると認められた場合にはその判断を尊重して原発の再稼働を進めてまいりますが、卸市場を活性化させるために原発の再稼働を促すということはございません。
 次に、最終処分場の選定と原発再稼働の関係についてでありますが、まず、高レベル放射性廃棄物の最終処分の問題については、原発の再稼働の有無にかかわらず、現世代の責任としてこの問題を解決していかなければなりません。そのため、国が科学的により適度の高い地域を提示し、その中で地域を絞って国が重点的な理解活動を行っていく等の方向性を新たに示したところであります。地元住民の理解を得るためには、期限ありきではなく、丁寧なプロセスが必要であると考えております。
 続いて、これまで総括原価方式によって賄われてきた原子力に関する費用の回収についてでありますが、今後、競争が進展した環境下においても、原子力事業者が円滑な廃炉、最善の安全対策、使用済燃料の処理、安定供給への貢献といった課題にしっかりと対応できるよう、海外の事例も参考にしつつ、政府として費用回収の在り方も含め検討してまいります。
 次に、経済的アプローチによる脱原発を採用すべしとの御指摘でありますが、再生可能エネルギーの最大限の導入や高効率火力発電など、エネルギー源の多様化、さらに、徹底した省エネ、ディマンドコントロールなどを進め、可能な限り原発依存度を低減するというのが我々の基本方針であります。原発依存度を含めたエネルギーミックスの実現については、全てを市場に任せるのではなく、その実現に向けて、国として、各エネルギー源ごとの取組を進めてまいります。
 続いて、一般電気事業者の一般担保付社債の在り方についてでありますが、今回の法案では、現在の一般電気事業者に、引き続き一般担保付社債の発行を認めることとしておりますが、その後、法的分離を規定する第三弾改正に際して、電力の安定供給に必要となる資金の調達に支障を来さないようにしつつ、事業者間の適正な競争を確保するという観点から、一般担保の在り方についてゼロベースで検討していくことといたしております。
 次に、万が一原発事故が発生した場合における債務弁済の順位についてでありますが、仮に電力会社の法的整理が行われるようなことがあれば電力債が優先弁済されることもあり得ますが、そういった事態にならないよう、原子力賠償支援機構法の枠組みの下で賠償や事故処理に万全を期すべく対処することといたしております。
 次に、一般担保規定の検討の時期についてでありますが、今回の法案の附則には、法的分離を規定する第三弾改正に際して、一般担保規定の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる旨の規定を盛り込んでおり、これに沿って準備を進めてまいります。
 次に、公平公正な競争環境を整備していくための組織についてでありますが、さきに成立した第一弾の改正電気事業法附則の改正プログラムでは、電気事業の規制に関する事務をつかさどる行政組織について、その在り方を見直し、平成二十七年をめどに、独立性及び高度の専門性を有する新たな行政組織に移行させる旨を定めております。
 この新たな規制組織は、自由化された市場における電力取引の適正な監視に加え、今後の第三弾における送配電部門の中立性確保のための厳格な行為規制などを実施するための機関であり、こうした目的を達成するために最もふさわしい組織形態を今後検討してまいります。
 最後に、将来的な所有権分離の可能性についてでありますが、所有権分離については、総合エネルギー調査会の専門委員会の報告書において、法的分離では改革の効果が不十分な場合の将来的な検討課題とされております。今回の電力システム改革においては、法的分離の方式により、送配電部門の中立性確保をしっかりと進めてまいります。
 以上十七問、お答えいたしました。(拍手)
    ─────────────
○議長(山崎正昭君) 倉林明子君。
   〔倉林明子君登壇、拍手〕
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 私は、日本共産党を代表して、電気事業法等の一部を改正する法律案について、経済産業大臣に質問いたします。
 本法案は、戦後六十年にわたる発送配電一貫体制、電力独占に対する電力システム改革の第二段階とされています。この改革は、東日本大震災と福島第一原発事故を契機としたものです。改革の前提として求められるのは、原発事故被害の実態を踏まえたエネルギー政策の抜本的な見直しではないでしょうか。原発ゼロこそ決断すべきです。
 ところが、先月閣議決定した新たなエネルギー基本計画では、原発を重要なベースロード電源と位置付け、再稼働を進めるために、国が前面に立ち、また輸出に突き進むともしています。これでは、原発を使い続ける宣言ではありませんか。
 事故から三年以上経過した今なお、家族、なりわい、ふるさとを奪われ、十三万人を超える人々が不自由な避難生活を強いられています。放射能汚染水対策も危機的状況が続いており、事故収束のめどは立っていません。
 政府は、原発被害者への思いや事故の反省というのであれば、福島県民の総意である福島第二原発を含む県内原発十基全ての廃炉こそ直ちに決断すべきです。また、審査を進めている九州電力川内原発は、火山の専門家が原発の立地は認められないと警告しています。
 今月二十一日、大飯原発の差止め訴訟では、国民の命よりもコストを優先する考え方をきっぱりと退けた判決が下されました。これは大飯原発だけでなく、全国の原発にも当てはまるものです。判決を正面から受け止め、原発の再稼働はきっぱり断念すべきです。答弁を求めます。
 安倍首相は、原発は事故対応費用も含め他の電源と比較して高くないと答弁しています。これは、広大な地域を放射能で汚染させ、人、子供の命、健康への影響が計り知れないものになることを無視した発言であり、断じて許せません。さらに、損害費用が約六兆円と見込まれていた当時の額をいまだに根拠に使い続けるなど、極めて無責任です。
 原発被害者に十分な賠償もされておらず、除染、汚染水対策、廃炉と、掛かる費用はこの先どれだけ増えるのか分かっていません。イギリスでは、原発はコスト高で民間では採算が合わないとの電力事業者の要望に応え、政府が原発エネルギーを固定価格で買い取ることを決めました。原発がコストの高い電源であることは明らかではありませんか。
 首相は、優れた安定供給性とは稼働した場合の特性を示したものと説明しています。現在、日本にある全ての原発が稼働しておらず、稼働していたときでさえ、地震や故障で度々停止してきた極めて不安定なのが原発ではありませんか。事故の可能性が否定できず、一旦事故を起こせば取り返しの付かない被害をもたらす危険な原発は、優れた電源とは到底言えません。
 また、温室効果ガスを出さないと言いますが、原発を最優先の電源に位置付けて再生可能エネルギー導入に真剣に取り組まず、トラブルのたびに化石燃料でその穴埋めをしてきました。結果として、温室効果ガス排出を増加させてきたではありませんか。原発依存から脱却し、再生可能エネルギー導入の高い目標を定め、実効ある施策に取り組むことこそ最大の温暖化対策ではありませんか。
 次に、東京電力の新・総合特別事業計画について質問します。
 新総特では、柏崎刈羽原発を再稼働させるとともに、二〇一六年度に東電を発電、送配電、小売事業と分社化し、持ち株会社グループ一体でのエネルギー企業との提携、再編を大前提としています。政府は、これが電力システム改革の先取りと位置付けていますが、とんでもありません。実質破綻している東電を今後も延命、存続するということではありませんか。
 東電会長は、賠償や廃炉の資金を稼ぐため、全国での販売に打って出るとして、他の電力会社の地域でも競い合うと表明しました。政府がやるべきことは、東電の原発を再稼働させて全国に手を広げさせることではありません。国と東電の責任で完全賠償を行うためにも、東電を破綻処理し、大株主、メガバンクの貸し手責任こそ問うべきです。
 法案では、電力会社の全財産の優先弁済権を認める一般担保付電力債の発行を新たに持ち株会社や子会社にも拡大して認めています。これは新総特の内容を法で後付けしたものであり、言わば東電の救済条項にほかなりません。
 一般担保付電力債は、原発など大規模集中電源の開発のための巨額の設備資金調達を保障するものであり、公益特権とも呼べるその役割を終えています。第三弾の法改正を待つことなく、今の段階できっぱりと廃止すべきです。明確な答弁を求めます。
 法案の柱となる小売参入全面自由化とエネルギー産業再編について質問します。
 今回の小売と発電の自由化により、既存電力大手と新規参入の鉄鋼、ガス、石油、総合商社や外資企業など、巨大独占企業間の再編が何ら規制なく進めば、市民、中小企業、地域の団体などの発電、小売事業への参入や事業の存続さえ危ぶまれます。十電力会社は、法改正後も、発電、送配電、小売と三事業を兼業し実質的に現行と同様の体制を維持し、電事連による規制なき独占が続くことが懸念されます。
 圧倒的に力に差がある小規模な新規参入事業者の保護、育成をどう担保するのでしょうか。中立性、独立性を担保した強力な権限を持つ電力システム全体を監視する民主的規制機関を創設し、電力市場の新たな独占状態とならない仕組みをつくるべきです。
 また、一般電気事業者を発電、送配電、小売の三つの事業に分けることに伴い、発電部門は届出制に規制緩和し、送配電部門は託送料金に係る公聴会を廃止するとしています。使用済核燃料再処理費や電源開発促進税などの原発付加金は、発電コストと混同しないよう、上乗せ分として請求書に分けて明記するとしていましたが、家庭などの小口料金の請求書には記載されていません。本改正案によって、発電コストに加え、託送料金などの原価情報が更にブラックボックス化するのではありませんか。徹底した原価情報の公開こそ必要だと考えますが、いかがですか。
 三・一一以後、危険な原発は嫌、環境に優しい電源を使いたいと望む消費者が増えています。この願いに応えるためには、いつでも再生可能エネルギーが選択できる電力システムの構築が求められています。現行の優先給電は、原発を優先しているため、再生可能エネルギー接続、受入れ量の限界を設け、利用可能な再生可能エネルギーさえ無駄にしています。再エネを最優先に位置付けて受け入れるドイツ始め欧州連合と同レベルの優先給電、送配電事業者に系統拡張を義務付けるべきではありませんか。
 今求められているのは、原発再稼働、推進を前提にした大規模集中型電力システムではなく、原発に頼らない再生可能エネルギーを中心とした小規模分散・地域経済循環型の電力システムへの転換、発送電分離、送電網の公的管理など電力の民主的改革です。全国で広がる声に応え、今こそ即時原発ゼロの決断をすべきであると重ねて申し上げ、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣茂木敏充君登壇、拍手〕
○国務大臣(茂木敏充君) 倉林議員にお答えをいたします。
 最初に、エネルギー政策の見直しと原発の取扱いについてでありますが、全体のエネルギー構成については、各エネルギーの特性を考えると、あらゆる面で優れたエネルギー源はなく、現実的かつバランスの取れたエネルギー需給構造をつくっていくことが必要であります。
 こうした中、原発依存度については、再生可能エネルギーの最大限の導入、高効率火力発電などエネルギー源の多様化、そして、徹底した省エネ、ディマンドコントロールなどを進め、可能な限り原発依存度を低減するというのが我々の基本方針であります。
 また、川内原発、大飯原発を含め、原発については安全性を最優先し、原子力規制委員会によって新規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し、原発の再稼働を進めてまいります。
 なお、福島第二原発については、今後のエネルギー政策の状況や地元の様々な御意見等を総合的に勘案しながら、事業者が判断を行うものと考えております。
 続いて、原発に関して、そのコスト、安定供給性、地球温暖化対策としての有効性について御指摘がございました。
 まず、コストに関してでありますが、各電源のコストは、化石燃料の調達価格など各国の事情によって異なるため単純に比較することはできませんが、我が国においては、東日本大震災後に行った試算で、原発の事故対応費用や使用済核燃料の処理コストも含めた上で、原発は他の電源と比較して必ずしも高くないとされております。
 なお、御指摘の英国での固定価格買取り制度は、原子力を含めた低炭素電源への投資収益を保証、平準化するインセンティブであり、一概にコストのみの観点から導入されたものではないと承知をいたしております。
 また、原発の安定供給性についてでありますが、原子力規制委員会の技術的、科学的な適合審査に加え、世界最高水準の安全性を不断に追求する事業者による取組を徹底することで原発の安定供給性という特性が発揮されるよう努めてまいります。
 さらに、地球温暖化対策としての有効性についてでありますが、新たなエネルギー基本計画においては、再生可能エネルギーと原子力発電は共に温室効果ガスを排出しない低炭素のエネルギー源と位置付けております。
 再生可能エネルギーを含む将来のエネルギーミックスに関しては、現実性とバランスが重要であり、原発再稼働の状況や地球温暖化に関する国際的な議論の状況なども見極めた上で、ベストミックスの目標を設定してまいります。
 次に、東電の新・総合特別事業計画についてでありますが、まず、東電を破綻処理し、株主や金融機関の責任を問うべきとの御指摘についてですが、仮に東電の法的分離を行うとした場合、電気事業法に基づき、内外の機関投資家などが保有する電力債が優先弁済される一方で、被害者の方々の賠償債権や現場で事故収束の作業に必死に当たっている関係企業の取引債権が十分支払われないおそれがあります。
 一方、金融機関に対しては、主要行を中心に、一般担保が付されている私募債方式についてできるだけ早期に見直しを行っていくこと、株主に対しては無配当の継続などの形で責任を求めることといたしております。
 また、一般担保付電力債についてでありますが、今回の法案で、持ち株会社や子会社にも一般担保付社債の発行を認めることとしたのは、電力システム改革を先取りした会社分割等の取組を妨げないようにしたものでありますが、今後、法的分離を規定する第三段階改正に際しては、電力の安定供給に必要となる資金の調達に支障を来さないようにしつつ、事業者間の適正な競争を確保するという観点から、ゼロベースで検討していくことといたしております。
 最後に、小売参入全面自由化とエネルギー産業再編について大きく三点の御質問をいただきました。
 まず、新規参入に関しては、これまでの部分自由化では競争や参入が必ずしも活発に行われてこなかったことを踏まえ、発電余力の売買による卸電力市場の活性化とその実施状況のモニタリング、さらに、スマートメーターの早期導入等によります需要家の選択への環境整備など、新規参入と競争を促す環境整備に取り組んでまいります。
 また、電気事業の規制に関する行政組織については、平成二十七年度をめどに、独立性と高度な専門性を有する新たな行政組織に移行させることにより、電気事業の監視機能を強化してまいります。
 二点目の原価情報の公開についてでありますが、今回の法案では、これまで届出制であった託送料金について、公平性及び透明性を高めるため、値上げについては認可制としており、料金認可の審査過程を通じて原価に関する情報が広く国民に公開されることになります。
 なお、現在の一般電気事業者の小売料金については、当分の間、経過措置として料金規制が講じられることから、その発電の原価情報についても、同様に審査経過を通じて情報公開が行われることになります。
 最後に、再生可能エネルギーに関する優先給電についてでありますが、揚水を除いた水力、地熱、原子力については、電源の特性上、出力調整に技術的制約があるため、御指摘の再生可能エネルギーと比較した優先給電ルールの対象にはなじまないものと考えております。
 再生可能エネルギーの生産地と消費地を結ぶ送電網の強化については、地域内の送電網整備実証への支援策を講じるなど、引き続きしっかりと取り組んでまいります。(拍手)
○議長(山崎正昭君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
○議長(山崎正昭君) 日程第二 行政不服審査法案(閣法第七〇号)、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び行政手続法の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 以上三案について、提出者の趣旨説明を求めます。総務大臣新藤義孝君。
   〔国務大臣新藤義孝君登壇、拍手〕
○国務大臣(新藤義孝君) 行政不服審査法案、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び行政手続法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、行政不服審査法案につきまして御説明申し上げます。
 この法律案は、行政庁の処分又は不作為に対する不服申立ての制度について、公正性及び利便性の向上等を図る観点から、その抜本的な見直しを行うものであります。
 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、審理の公正性の向上を図るため、原処分に関与した者以外の者の中から審査庁が指名する審理員が審査請求の審理を行うこととするとともに、裁決に当たっては、原処分又は裁決のいずれかの段階で他の第三者機関が関与する場合や審査請求人が希望しない場合等を除き、法律又は行政に関して優れた識見を有する者で構成される行政不服審査会等に諮問することとしております。また、審査請求人等が証拠書類等の写しの交付を求めることができることとするなど、審理手続における審査請求人等の手続保障を拡充することとしております。
 第二に、国民の利便性の向上を図るため、不服申立てをすることができる期間を現行の六十日から三か月に延長することとしております。また、審査請求及び異議申立てを審査請求に一元化するとともに、個別法における特別の定めにより、再調査の請求及び再審査請求の手続を設けることができることとしております。さらに、審査庁は、標準審理期間を定めるよう努めなければならないこととするとともに、審理を計画的に進める必要がある場合に事前に争点等を整理するための手続を設けるなど、審理の迅速化のための措置を講ずることとしております。
 なお、行政不服審査法案は、衆議院において一部修正されており、その内容は、政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすることであります。
 次に、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして御説明申し上げます。
 この法律案は、行政不服審査法の施行に伴い、三百六十一の関係法律について、審査請求及び異議申立てを審査請求に一元化すること等に伴う規定の整備を行うとともに、国税、関税等について、審査請求の前段階で処分庁が簡易に処分を見直す手続である再調査の請求を、社会保険、労働保険等について、審査請求の後に更に第三者機関等が審理を行う手続である再審査請求を設けることとしております。また、不服申立てに対する裁決を経た後でなければ訴訟を提起することができないこととする、いわゆる不服申立て前置について、不服申立て件数が大量にあるもの等を除いて廃止するとともに、二段階の不服申立てを経なければ訴訟を提起することができない仕組みは全て廃止するなど、所要の規定の整備等を行うこととしております。
 次に、行政手続法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 この法律案は、行政不服審査法の改正に併せ、国民の救済手段を充実、拡大させる観点から、不服申立ての対象とならない処分前の手続や行政指導に関する手続について所要の規定の整備を行うものであり、法令に違反する事実の是正のための処分又は行政指導を求めることができる処分等の求めの手続や、法令に違反する行為の是正を求める行政指導の相手方がその中止等を求めることができる、行政指導の中止等の求めの手続を新設することとしております。
 以上が、これらの法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────
○議長(山崎正昭君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。石上俊雄君。
   〔石上俊雄君登壇、拍手〕
○石上俊雄君 民主党・新緑風会の石上俊雄です。
 ただいま議題となりました行政不服審査法案、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、行政手続法の一部を改正する法律案について、会派を代表し質問をさせていただきます。
 この行政不服審査法は、行政の違法又は不当な処分に対し、簡易迅速な手続を通じ、国民の権利利益を救済することを目的として、私の生まれた昭和三十七年に制定されました。しかし、それから半世紀、その内容は本質的な見直しが一度もなされず、国民から、手順がばらばらで理解できない、不服の申立ても、審査を処分したのと同じ人が行うので救済見込みがないと、その驚くべき審理構造から同じ穴のムジナとやゆされ続けました。私もこの法律も今年で五十二歳になりますが、こちらはすっかり中年になったものの、一方はいまだに生まれたままという究極のアンチエイジング状態であります。
 それはさておき、さきの民主党政権では、このテーマに正面から取り組み、国民目線の行政に大転換することを念頭に、平成二十三年十二月、行政救済制度検討チーム取りまとめを策定し、法制化に着手し、政権最後の通常国会への提出を目指しました。しかし、衆議院の解散・総選挙などもあり、残念ながら実現しませんでしたが、その骨子を一部紹介させていただきます。
 一つに、新たな審理官制度を立ち上げ、審査の公平性、中立性を抜本的に向上させる。審理官は、外部登用を基本とし、処分官庁から分離、一括の採用とする。二つに、審理官制度を創設する以上、審査の二段目の諮問に当たる第三者機関は不要とし、救済までの手続を徹底的に合理化する。三つに、不服審査と裁判は、国民が自由に選択できるように審査請求期間は出訴期間と同じ六か月とする等でした。
 我々の民主党は、霞が関の判断に間違いがないとのおごり高ぶった行政の無謬性で泣き寝入りする国民の手に、当たり前の行政、当たり前の救済権利を取り戻すのだとの政治信念を今でもしっかり持ち続けておるわけであります。今回の審議に当たり、私自身、その政策集団の一員として、その矜持を懸けて全身全霊、政府の見解を伺わせていただきます。
 まず、制度が分野ごとにばらばらで分からないという点についてお伺いします。
 現行法は、その第四条で一般概括主義を掲げながら、例外を三百六十一本もの法律で認めています。そのため、一般原則を定めたはずの行政不服審査法の関与する不服申立ての割合は、平成二十三年度において全体の僅か一・九八%、まさにばらばらの極みであります。
 今回の法改正で、政府は、制度の基本を審査請求に一元化し、例外を許してきた全ての法律について行政不服審査法と同等以上の手続水準の確保を基本に、個別法の趣旨を踏まえた改正を行うとして、行政不服審査法整備法案を提出していますが、不服件数の特に多い国税通則法、社会保険審査官及び社会保険審査会法、労働保険審査官及び労働保険審査会法の三法律に関しては、またもや原則適用除外として、その上、用語の整理など形式的な改正のみとした法律は実に二百五十八本、全体の七割に及んでおります。半世紀ぶりの大改正と称しながら、この改正の内容で国民の権利救済の実効性はどれほど向上するのでしょうか。
 基本法たる行政不服審査法に服さず自らの縄張を謳歌する各省所管の法律に、総務省として今後どれだけ切り込んでいく決意をお持ちなのか、新藤大臣、その気概についてお聞かせいただきたいと思います。
 なお、今後の質問については、全て新藤大臣にお伺いさせていただきます。
 次に、本法案の目的に関する政府の基本姿勢についてお伺いします。
 行政不服審査制度は、国民の権利利益の救済に対する簡易迅速性と公正性という両立し難い課題を目標とする一方、現行法、改正案共に言及するように、行政の適正な運営も目的に掲げ、その文言を各種学術書では、行政にとって自己反省の機会と解説しております。ここまではよいのですが、永田町、霞が関かいわいでは、更に一歩進めて、自己反省なのだから自らが反省する、自らなのだから審理手続への外部登用は本筋でないとのへ理屈も仄聞します。
 この制度は、行政がどれだけ国民の目線に立てるか、納得感を得られるかが眼目であり、行政の適正な運営も、それが国民の権利利益の救済に資するがゆえに目的となると私は理解しておりますが、大臣も誠に同感とのお気持ちであるというふうに思いますが、念のため御確認させていただきたいと思います。
 次に、民主党案と政府案の優劣に関わる核心に入っていきたいと思います。
 政府案における審理の主宰者の公平性、独立性についてお伺いをします。
 政府案では、審理の主宰者は、原処分の決定に関与した者以外と規定されています。この意味は、処分の所管部局に所属するか否かの外形的基準になるんでしょうか、それとも実質的に処分に関与したか否かの実質的基準になるんでしょうか、お教えいただきたいと思います。
 また、政府案では、審理の主宰者は、審査庁に所属する職員から指名と規定されていますが、常勤職員に限らず、非常勤、任期付職員、外部登用もあり得るのでしょうか。中立性や公平さ、市民感覚への期待からは、外部登用を主とするべきというふうに思うのですが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
 さらに、昨年の六月、総務省取りまとめ、行政不服審査制度の見直し方針によると、審理員は内部基準等に拘束されるとのことであります。審理員が法律の解釈基準や裁量基準の示される通達等にがんじがらめになるならば、例えば、不服申立人が法令解釈で争いたい場合、救済される余地が本当にあるのでしょうか。
 一方、この見直し方針によると、審理員は内部基準等に拘束されるが、一定の独立性も有するとの記載もあるわけであります。内部基準に拘束されながら一定の独立性とは何を意味するのか、また国民の救済においてそれはどのような意義を発揮するのか、明確にお答えをいただきたいと思います。
 次に、民主党案への評価をお伺いします。
 冒頭申し上げましたとおり、民主党案は、公平性、独立性の高い審理官制度を創設し、外部登用、処分官庁からの分離、一括採用を基本とする、いわゆるセントラルパネル方式を取っております。行政不服審査制度は、行政訴訟と異なり、違法性のみならず不当性の審査も行うため、審理の主宰者が自らの所属組織に対して属人的な気兼ねをすることなく、独立して職権行使ができるサポート体制や、国民目線の救済におのずと力が入るインセンティブが制度化されてしかるべきであります。そうならば、主宰者の身分保障は、職務によりいかなる不利益の扱いも受けないと規定し、独立性を確保するには、審理の主宰者は法令と良心のみに拘束されると規定した方が、より国民の皆さんの信頼に応え得る仕組みになるのではないでしょうか。大臣、この案をどのように評価されますか、お聞かせいただきたいと思います。
 次に、政府案の審理プロセスにおいて特に不可解な三点についてお伺いします。
 まず一点は、審査請求期間についてであります。
 政府案は審査請求期間は三か月でありますが、なぜ行政訴訟法の出訴期間と同じ六か月にしないのでしょうか。訴訟は可能だが審査請求はできないというのでは、訴訟か不服審査かを国民の自由選択とする制度の趣旨を貫徹できないというふうに思います。
 二つ目は、不服申立人の質問権についてであります。
 法案では、口頭意見陳述に対し、申立人は、審理員の許可を得て処分庁等に対して質問を発することができるとありますが、処分庁に回答の義務はありません。なぜでしょうか。また、審理員が不服申立人の発する質問を不許可にするのはどのような場合なんでしょうか。これもお聞かせいただきたいと思います。
 三点目は、資料の閲覧、謄写についてであります。
 法案で新たに資料の閲覧、謄写が認められるのは、これはすばらしい前進だというふうに思います。しかし、その対象に審査庁の職員自らが処分庁に出向き収集した調査メモ等が含まれるのでしょうか。
 行政手続法第十八条には、文書等の閲覧では、行政庁に対し、当該事案についてした調査の結果に係る調書その他の当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができるとの規定があり、調査メモは閲覧対象に明確に含まれております。
 事前の救済法である行政手続法では認められていて、事後の救済法である行政不服審査法で認められないというのでは、制度の釣合いは取れておらず、全く理解ができません。
 以上三点について、その御所見についてお伺いしたいと思います。
 次に、政府案における審理の二段目、諮問を行う第三者機関、行政不服審査会についてお伺いをさせていただきます。
 政府案の基本設計は、審理員による審理、審査会による諮問と二段構えで、制度的には重装備、また官僚の天下りポスト確保をもくろんだ行政肥大化ではないかとの批判があります。審査会が受け持つ案件から国税や社会保険などは外されましたが、そのほか行政の全般を扱うこととなり、毎年数万件もの不服申立て件数のうち、一体何件、何分野を担当することになるのでしょうか。
 総務省の悲願とも伝え聞くこの行政不服審査会の設置でありますから、よもや百や二百程度の微々たる数の案件だけのためにあるとも想像できず、予定する委員九人の体制で本当に大丈夫なのか。私の杞憂でしょうが、データのある直近の一年などを事例として、審査会にどの程度の案件が持ち込まれるのか、具体的に示しつつ、審査会の対応可能性についてお答えいただきたいと思います。
 また、法案では、審査会の委員は、審査会の権限に属する事項に関し公正な判断をすることができ、かつ、法律又は行政に関して優れた見識を有する者のうちから任命するとありますが、選考過程においては、経歴や肩書を表面的に見るのでなく、例えば裁判官や弁護士ならば裁判で下した判決や弁護の内容、学者ならば執筆した論文の内容、また職員OBならば過去における組織防衛の行動の有無、権利救済への関心の強弱等、国民救済の観点において本質的な内容審査に注力すべきだと考えますが、御所見をお伺いしたいと思います。
 最後に、不服審査の最終段階である裁決についてお伺いします。
 法案では、審査庁の裁決書に、主文が審理員意見書又は行政不服審査会等若しくは審議会等の答申書と異なる内容である場合には、異なることとなった理由を含む事項を記載する旨の規定が置かれております。
 しかし、裁決とは、そもそも、それまでに得られた意見書や答申書の内容を十分に参酌して行うべきものであり、この基本精神がないがしろにされるおそれがあるならば、本法案に参酌規定をしっかりと明記するべきではないでしょうか。多大な政策資源を投入する以上、そのメリットを刈り取らなければ意味がないというふうに考えます。この参酌規定に関しても行政手続法に明文化されているわけでありますので、行政不服審査法も倣うべきと考えますが、御認識をお聞かせください。
 以上、つまるところ、政府案が真に魅力的であれば国民はコストの掛かる裁判よりも審理員、審査会のプロセスを進んで選択するはずであります。不服審査と行政訴訟の間には、ある種の制度的競合関係があり、行政不服審査法が国民の負託に応えられなければ、その優劣は必ずや明確な統計といった形で敗者にノーを突き付けることになります。
 政府におかれましては、行政における法の支配の重要性を真摯に受け止めていただきまして、率直で明快な答弁を求め、私の質問とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣新藤義孝君登壇、拍手〕
○国務大臣(新藤義孝君) 石上俊雄議員から十二点のお尋ねをいただきました。
 まず、行政不服審査法の特例を定める個別法についてのお尋ねであります。
 行政不服審査制度においては、各行政分野の特性を踏まえて、特に必要がある場合に一部の個別法で手続の一部に特例が定められておりますが、原則として一般法である行政不服審査法が適用されるわけであります。御指摘の国税や社会保険についても、専門の裁決機関が設けられていることなどを除き、手続の大半で行政不服審査法と同じ仕組みとなっております。
 今回の改正では、整備法において、行政不服審査法と同等以上の手続保障を確保することを基本として必要な改正を行っているところであり、行政不服審査制度全体として国民の利益の救済を図ることができると、このように考えておるわけであります。
 次に、行政不服審査法案の目的についてお尋ねをいただきました。
 行政不服審査法案においては、国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とすると定めているところであります。国民の権利利益の救済が重要な目的であることは当然のことでありますが、行政の適正な運営の確保についても、国民から信頼される公正な行政を実現するという点において重要な目的であると考えております。
 次に、審理員の要件についてのお尋ねをいただきました。
 どのような者が原処分に関与した者に該当するかについては、原処分の担当部局に所属しているかどうかではなく、実質的に原処分に関与したかという観点から、最終的に個々の事案ごとに判断することとなります。
 続きまして、審理員の外部登用についてのお尋ねもいただきました。
 審理員は、当該処分に関係する行政分野に専門性を有する職員であることが望まれますが、各審査庁の実情を踏まえ、特に、小規模な地方自治体等においては、必要に応じて外部の適当な人材を非常勤や任期付職員として任用し、審理員に指名することもあり得ると考えております。外部登用を主とするか否かは、この趣旨に即し各審査庁が適切に判断することになると考えております。
 次に、審理員の独立性についてお尋ねを頂戴いたしました。
 審理員は、行政不服審査法により固有の権限が与えられており、個別事案の権限行使について、大臣等の指示を受けることなく、自らの名において独立して審理手続を行うことになります。
 審理員が一義的に内部基準を踏まえて判断することは見直しの方針のとおりでありますが、実際の事案によっては、その根拠法令の趣旨に立ち返り、基準と異なる法令解釈により裁決を行うよう意見を述べることも可能であると、このように考えているわけであります。その意味においても、審理員が独立して審理手続を行うことは、国民の権利利益の救済を図る上で重要な意義を有するものと考えております。
 次に、民主党案の審理官制度の評価についてのお尋ねを頂戴いたしました。
 まず、議員提案されたものに対する評価ということであれば、国会において御議論されるものでありまして、私の方からのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
 一般論として、お尋ねのように、大臣から完全に独立した者が不服申立ての手続を行うことは、責任の所在が曖昧となるほか、専門性の面で課題が生じる懸念もあり、また独立した者をチェックする仕組みがない点で客観性が不十分ではないかといった問題があると思われます。
 次に、審査請求期間についてのお尋ねであります。
 審査請求は、簡易な審査請求書により申立てが可能であり、訴訟のように準備に長期間を必要とするものではありません。そのため、審査請求期間については、従来から一貫して出訴期間より短い期間となっております。
 今般の改正に当たりましても、各方面の意見も聞いた上で、請求者の利便性と行政の安定性、期間の長期化により生じる利益、不利益等を総合的に検討した結果、現行の六十日を三か月に延長することとしたものでございます。
 次に、口頭意見陳述における不服申立人の質問権についてお尋ねを頂戴をいたしました。
 不服申立人の質問に対しては、法律上の回答義務規定はございませんが、適切に回答がなされるものと考えております。また、審理と無関係な質問が繰り返される場合などには、質問が不許可とされることもあり得るわけでございます。
 次に、書類の閲覧、謄写についてのお尋ねをいただきました。
 処分庁が作成し、審理員に提出した調査メモについては、改正法案で閲覧、謄写の対象となりますので、行政手続法における取扱いと異なることはございません。なお、審理の過程において審理員自らが作成した記録のような調査メモは、改正法案では閲覧、謄写の対象とはしておりません。これは、審理員自らが作成する調査メモは、処分庁と申立人の双方の主張を聞いて意見書を作成するまでの途中段階のものであり、閲覧、謄写の対象とすることが適当ではないと考えられるからでございます。
 続きまして、行政不服審査会への諮問についてのお尋ねを頂戴をいたしました。
 行政不服審査会に対する諮問件数は、平成二十三年度の実績を踏まえると、個別法で第三者機関が関与する定めのあるものなどを除き、一年間に二百件程度が対象になると想定をしております。審査会には様々な法律に基づく幅広い分野の案件が諮問されると予想されますが、九人の委員の下、合理的な審議の進め方を工夫することで迅速に案件を処理してまいりたいと考えております。
 続きまして、行政不服審査会の委員の任命についてのお尋ねをいただきました。
 行政不服審査会の委員は、公正な判断をすることができ、かつ、法律又は行政に関して優れた識見を有する者のうちから、総務大臣が両院の同意を得て任命することとしております。
 委員の任命に当たっては、幅広い分野の申立て事件に対し、審理員による審理の公正性を客観的にチェックするという行政不服審査会に求められる役割に照らし、委員となるべき者の能力、経験に着目をして適切に判断をしてまいります。
 最後に、裁決についてのお尋ねをいただきました。
 審査庁は、その責任の下、審理員意見書や行政不服審査会等の答申書の内容を反映して裁決を行うものでございます。仮に、審査庁がこれらと異なる裁決をする場合でも、裁決書にその理由が記載されることにより、判断についての説明責任が果たされることから、御指摘のような参酌規定を置く必要はないと考えているわけでございます。
 以上であります。(拍手)
○議長(山崎正昭君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時四十八分散会