第186回国会 法務委員会 第24号
平成二十六年六月十七日(火曜日)
   午後一時一分開会
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   委員の異動
 六月十二日
    辞任         補欠選任
     馬場 成志君     柳本 卓治君
 六月十六日
    辞任         補欠選任
     森 まさこ君     三木  亨君
     行田 邦子君     山田 太郎君
 六月十七日
    辞任         補欠選任
     石井 準一君     長峯  誠君
     山田 太郎君     行田 邦子君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         荒木 清寛君
    理 事
                山下 雄平君
                若林 健太君
                小川 敏夫君
                真山 勇一君
    委 員
                石井 準一君
                長峯  誠君
                三木  亨君
                溝手 顕正君
                宮沢 洋一君
                柳本 卓治君
                吉田 博美君
                有田 芳生君
                江田 五月君
                前川 清成君
               佐々木さやか君
                行田 邦子君
                山田 太郎君
                仁比 聡平君
                谷  亮子君
   衆議院議員
       法務委員長代理  ふくだ峰之君
       法務委員長代理  階   猛君
       法務委員長代理  西田  譲君
       法務委員長代理  遠山 清彦君
       法務委員長代理  椎名  毅君
   国務大臣
       法務大臣     谷垣 禎一君
   副大臣
       内閣府副大臣   岡田  広君
       総務副大臣    上川 陽子君
       厚生労働副大臣  佐藤 茂樹君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫟原 利明君
   政府参考人
       警察庁長官官房
       審議官      宮城 直樹君
       警察庁長官官房
       審議官      荻野  徹君
       警察庁生活安全
       局長       辻  義之君
       総務省総合通信
       基盤局電気通信
       事業部長     安藤 友裕君
       法務省民事局長  深山 卓也君
       法務省刑事局長  林  眞琴君
       法務省人権擁護
       局長       萩原 秀紀君
       外務大臣官房参
       事官       山田 滝雄君
       文部科学大臣官
       房審議官     有松 育子君
       厚生労働大臣官
       房審議官     鈴木 俊彦君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び
 児童の保護等に関する法律の一部を改正する法
 律案(衆議院提出)
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○委員長(荒木清寛君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、馬場成志君、森まさこさん及び行田邦子さんが委員を辞任され、その補欠として柳本卓治君、三木亨君及び山田太郎君が選任されました。
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○委員長(荒木清寛君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省刑事局長林眞琴君外九名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(荒木清寛君) 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○山下雄平君 自由民主党の山下雄平です。
 今週も質問の機会をいただき、誠にありがとうございます。他委員会も含めて今日の質問で今通常国会で十回目の質問となります。本当にたくさんの機会をいただき、ありがとうございます。
 今回の児童ポルノ法改正案は、現行法が児童ポルノを作ること、渡すこと、広めることに着目して罰則を設けていたわけですけれども、今回はいわゆる加害者というか実行犯側だけではなくて、そもそも利用する側も問題ではないのかということで、改正案では単純所持、つまり持っているだけで罰せられるということになるわけですけれども、今回の改正で処罰対象を広げる理由はどういったところにあるんでしょうか、お聞かせください。
○衆議院議員(ふくだ峰之君) 山下議員の御質問にお答えさせていただきます。
 現行法におきましては、児童ポルノの製造や提供、提供目的の所持等を処罰をしておりますけれども、供給側を中心とした処罰対象とするだけでは児童ポルノを根絶するということはなかなか厳しいものがございます。児童の権利を守るためには需要の側の行為をも処罰対象とすることが必要であると考えまして、今回の、自己の性的好奇心を満たす目的での所持罪の創設を盛り込んだものでございます。
 なお、児童の権利の擁護に関する国際的な動向を見ましても、この児童ポルノの規制はいわゆる単純所持罪を処罰対象とすることも含めまして多くの国で必要なものと捉えられておりますので、今般の改正はこのような国際的な動向にも合致するものであるということを認識しております。
○山下雄平君 この児童ポルノ法というのは平成十一年に成立して、平成十六年に対象を広げ、厳罰化する改正がなされました。
 さきのこの委員会の遠山議員の趣旨説明では、インターネットの発達により児童ポルノの被害に遭う児童の数が増え続けているというふうに指摘されましたけれども、これまでの児童ポルノに係る事件の推移というのはどうなっているんでしょうか、お聞かせください。
○衆議院議員(ふくだ峰之君) 平成十六年の児童ポルノ禁止法の改正以降、児童ポルノの事犯の送致件数は増加をしております。平成十七年の送致件数は四百七十件でありました。それに対しまして、平成二十五年の送致件数は千六百四十四件と過去最多となっております。
 さらに、ファイル共有ソフト利用事犯は、前年比に僅かに減少しましたけれども、依然として高い水準にございます。また、平成二十五年中に事件を通じて新たに特定されたものである被害児童の数も六百四十六名と過去最多となっております。その内訳につきましては、スマートフォンを使用して被害に遭った児童が二百十一名で、前年比約四倍に増加をしています。インターネットの発達によりまして、被害に遭う児童の数は増え続けているという状況にあるということでございます。
○山下雄平君 一問目の私の質問の議員の答弁の中で、単純所持を禁じている国も多いという趣旨の答弁がありましたけれども、では、G8など主要国ではこの単純所持というものを禁じているんでしょうか、お聞かせください。
○衆議院議員(ふくだ峰之君) G8でございますが、現時点で掌握している限りにおきましては、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、イギリス、アメリカでございます。
○山下雄平君 諸外国でもやはり多くの国がこの単純所持を禁じている、だからこそやはり日本もそこに踏み出すべきじゃないかということで、今国会での改正という運びになろうという今動きがあるんだろうと認識しております。
 これまでも、ただ、単純所持を禁じる法改正が度々国会に提出されてきたとは思いますけれども、いずれもこれまでは廃案になってきております。これはどういった慎重論があったために成立しなかったんでしょうか、その経緯をお聞かせ願えればと思います。
○衆議院議員(ふくだ峰之君) 他人に提供する目的を伴わない児童ポルノの所持につきましては、児童ポルノの提供等の行為と比較して児童の心身に有害な影響を与える程度に相当の差異があり、直ちにいわゆる単純所持についてまで処罰するということになりますとプライバシーを侵害するおそれがないとは言えませんでしたし、社会一般にこの法律の趣旨を十分徹底するよう努力した上で社会認識の状況を見て検討すべきものと考えられたということが、立法の改正の経緯があったということを認識しております。
○山下雄平君 これまでなかなか改正できなかったのは、程度の問題であったり、若しくはプライバシーの侵害という観点があって慎重論が消えなかったために改正できなかったという御説明だと思うんですけれども、そういった懸念に今後どう対応していくのか、どうやってその懸念を払拭していこうと考えていらっしゃるのか、お聞かせ願えればと思います。
○衆議院議員(ふくだ峰之君) この懸念というのはやっぱり解決していかなければならないんだと思いますね。先ほど答弁少し削ってしまいましたが、このほかにも捜査機関の権限の濫用のおそれというものも一方ではあったんだと思います。
 まず、今回の改正によりまして、七条一項、自己の性的好奇心を満たす目的での所持罪という新しい処罰類型を設けることによりまして、私的領域に過度な規制が及ぶことへの懸念が指摘されていたことから、三条の適用上の注意規定を詳細かつ具体的に規定をするということにいたしました。
 また、いわゆる三号ポルノの定義に、「殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、」との文言を追加をすることによりまして、画像等の客観的な状況から三号ポルノの該当性の判断を行うとの趣旨を明確にしまして、処罰の範囲を明確化をしたということでございます。
 さらに、改正法第七条一項の所持罪の規定の処罰対象につきましては、自己の性的好奇心を満たす目的で児童ポルノを所持、保管した者のうち、自己の意思に基づいて所持、保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限るとすることによりまして、所持、保管開始の時点での自己の意思に基づいて所持、保管するに至ったことを立証することを要するとともに、その自己の意思に基づいて所持、保管するに至った時期あるいは経緯などにつきましてもできるだけ客観的、外形的な証拠により確定すべきであるとの趣旨を明らかにすることで、処罰の範囲を限定をさせていただきました。提案者といたしましては、以上のような改正を行うことによって懸念を払拭していきたいと考えています。
 例えば、冤罪とか意図的な陥れ等が生じますと、日本の場合は裁判での判決が出る前に社会的な制裁を受けてしまうということが度々にしてございますので、日本のこうした社会風習を念頭に置くことも重要ではなかろうかと考えております。
○山下雄平君 先ほど、ふくだ議員から処罰対象の厳格化、明確化という説明がありましたけれども、法務当局にお聞かせいただきたいんですけれども、単純所持、つまり、インターネットに載せたり人に渡したりということではなくて、ただ持っているというだけの人を把握するというのは、これまでの対象に比べてそれを把握するというのは非常に難しいんだと思います。一方で、その把握するのを一生懸命頑張ると、逆に捜査機関の濫用だったり私的な部分に公権力が過度に干渉するということにもつながって、なかなか非常に難しい問題ではあると思うんですけれども、この単純所持をどうやって摘発して、処罰対象、この法改正を実効性を担保していくんでしょうか。この点について法務当局にお聞かせ願えればと思います。
○政府参考人(林眞琴君) この罰則の実効性の担保ということになりますと、まず捜査の端緒の把握というのが重要になると思います。その場合、捜査の端緒としてはもちろん様々なものが考えられるわけでございますが、児童ポルノの例えば所持罪についていえば、例えば一般論として申し上げますと、児童ポルノを販売している者に対する捜査の際にその者が児童ポルノを販売した客のリストなどが発見されて、それが端緒となって児童ポルノを所持している者が判明すると、こういったことも考えられると思います。
 いずれにしましても、この改正法案で新設されることとなっている罪を含めまして、今後、捜査機関において、この法の趣旨を十分に踏まえて捜査の端緒の把握に努めるなどして適切に対処するものと考えております。
○山下雄平君 最後に再びふくだ議員にお聞かせ願えればと思うんですけれども、主要国の中には漫画やアニメの児童ポルノを禁じている国があるとも聞いておりますけれども、今回の改正では漫画やアニメというのは禁止の対象に入っていないわけですけれども、それを対象としなかった理由をお聞かせ願えればと思いますし、また、今後の検討の方向性としてどういうふうにお考えなのか、それもお聞かせください。
○衆議院議員(ふくだ峰之君) 児童ポルノ禁止法が児童ポルノの提供、製造等の行為を規制するのは、このような行為が児童ポルノに描写されました児童の心身に長期にわたって有害な影響を与え続けるものであり、このような行為が社会に広がるときには、児童を性欲の対象とする風潮を助長することになるとともに、児童一般の心身の成長に重要な影響を与えるからであります。
 このような現行法では、第一義的には実在の児童の権利を保護することを目的としており、実在しない児童を描写したポルノにつきましてはこの法律で言う児童ポルノには該当をしないこととされております。
 御指摘のように、実在をしない児童を描写した漫画やアニメ等のいわゆる疑似児童ポルノにつきましては児童を性欲の対象とする風潮を助長するおそれがあると言われていますが、その一方で、その規制には表現の自由に関わる問題がありますし、疑似児童ポルノと児童の権利を侵害する行為との関連性については必ずしもまだ今のところは明らかになっていないという指摘もございまして、その規制の必要性については当法案とは別枠で十分に議論をする必要があると考えまして、今回の改正におきましてはその禁止の規定を置くことはしませんでした。
 漫画、アニメ、CGを検討事項から外したからといって、じゃ、何をやってもよいということでは私はないと思うんですね。表現の自由といいますのは、民主主義国家の運営において最も大切な国民の権利であることは間違いありません。だからといって、何を表現してもよいということとは異なるのではないかなと思います。児童ポルノに類する創作物は、創作者あるいは関係団体等の自主的な取組によりましてまずは対応すべきものであると認識をしておるところでございます。
○山下雄平君 終わります。
○小川敏夫君 民主党・新緑風会の小川敏夫でございます。
 山下委員から大分基本的なことの質問がございました。なるべく重ならないように質問させていただきますが、やはり今回、単純所持罪というものの処罰規定を設けたということが一番大きな柱だと思いますが、この中で、今までは違法ではなかったから合法ということで所持していた、それが所持していた状態で今度は禁止されるわけでございます。これについて、この本法では一年間を猶予するような規定になっておりますが、これまで言わば違法でないという状態において持っていたものが、違法となったことによってこれを廃棄するなり何らかの処分をしなくてはならないわけですが、この法律の改正を知らなかったとか、あるいは処分をしたつもりがまだ残っていたとか、そんなような状況も考えられると思うのであります。
 それで、本法施行前から所持するものに対してどのような扱いをこの改正案でしているのか、御説明いただけたらと思っております。
○衆議院議員(階猛君) 小川委員の御質問にお答えします。
 今委員が御指摘されたように、本法が施行されて一年間の猶予期間が過ぎた後、過去に遡って所持されてきたものを処罰するとなると、例えば何十年も前に自己の意思に基づいて取得したものが家のどこかにあった場合、これも必死で探し出して処分していないと処罰されるのではないかということが問題になります。さすがにそれは酷であろうということで、今回、一年間の猶予期間を設けましたけれども、その一年間の猶予期間が過ぎた後であっても、罰則適用開始後に引き続き自己の性的好奇心を満たす目的がある場合に限って処罰するということで我々は考えております。
 なお、自己の性的好奇心を満たす目的ありやなしやというところについては、やはり不合理な弁解で処罰を免れるということも避けなくてはいけないということで、立件対象となる所持の時点において、所持者の内心についての供述だけではなく、児童ポルノの所持の態様、分量、所持している対象の内容等の客観的事情からの推認により認定されるものであります。
 したがって、例えば、かつては自己の性的好奇心を満たす目的を持って児童ポルノを収集していて、現在も家のどこかに児童ポルノが保管されていると認識している場合であっても、罰則適用開始後の所持の時点において自己の性的好奇心を満たす目的がないと認められるときは処罰されないということで、過去に遡って処罰されることにより不当に処罰範囲が拡大することを防ごうとしております。
○小川敏夫君 そうすると、くどいようですが、過去に持っていた、そして本法が適用された後、これが処罰されるという場合においては、本法施行後においてもなお自己の性的好奇心を満たす目的で持っていると、そういう状態で、そういう意図で持っているということがこの犯罪の構成要件であるということであるわけですね。
○衆議院議員(階猛君) そのとおりでありまして、適用開始後、つまり、本法施行後一年たった時点で自己の性的好奇心を満たす目的がなければ処罰されないということであります。
○小川敏夫君 では、次の点についてお尋ねします。
 先立って山下委員の質問の中で、いわゆるアニメ、実在しない児童を描写したものについては本法の適用外ということがございました。言わば、児童の保護というようなことでございます。
 それで、実在しないという意味で、では、例えば、もう既に過去に死んで亡くなってしまっている児童の死体の写真が、これを表示したような場合にはこれは当たるんでしょうか。これは、実在する児童になるのか、あるいは実在しないからアニメと同じようにそれは対象外なのか、これはどちらになるんでございましょうか。
○衆議院議員(階猛君) まず、この児童ポルノ禁止法の趣旨からしますと、児童ポルノを規制対象としているのは、児童ポルノが描写された児童の心身に長期にわたって有害な影響を与え続けるものであるから規制しましょうと、こういうことであります。したがって、客体となる児童については生存していることを要するというのが、これはもう法の趣旨からの帰結になります。
 ただ、だからといって、死体はもう無制限にはびこらせていいということを我々も認めるわけではありませんので、こうした行為についてもちゃんと適切に規制していくようなことは立法府としてこれから取り組むべきことではないかと思っております。本法については、今申し上げたとおりでございまして、実在する児童についてのポルノを処罰するということであります。
○小川敏夫君 では、別の質問をさせていただきます。
 附則第三条二項でございます。質問としては、この必要な措置を講ずる者は誰かという趣旨での質問でございますけれども、要するに、「検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。」という規定がなされておるんですけれども、そうすると、誰が検討して、誰が必要な措置を講ずるのか。政府だと思うんですが、あるいは事業者なのかとか、ちょっとそこら辺を確認したいものですから、これはそもそも、検討する者、それから必要な措置を講ずる者は誰だという趣旨なんでございましょうか。
○衆議院議員(階猛君) 今、委員からの御質問は、附則三条二項の必要な措置を講ずべき主体が誰かということだと思いますが、まず、三条の一項の方で、技術の開発の促進について十分な配慮をする主体は政府とされておりまして、同条二項においても一項と同様、主体には政府が含まれますが、これに限られず必要な措置には立法措置も含まれるということで、立法機関である国会も含めた国が必要な措置を講ずる主体になると考えられます。
○小川敏夫君 そうですか。政府だけではなくて、国という意味で立法機関も含まれるということでございますね。承知いたしました。
 また、そうした検討を加えていく中で、やはり、特にインターネットに関しましては事業者団体の協力というものが特段に必要だというふうに思っておりますが、この点について、事業者団体の協力というものをどのようにして受けていくのか。これは、この法案の所管大臣である法務大臣に、政府の立場から、より一番基本的なことをちょっと御説明いただけたらと思いますが。
○国務大臣(谷垣禎一君) 附則三条二項にございますインターネットによる閲覧の制限について、これ、現在におきましても、関係省庁、法務省も含めまして、警察であるとかあるいは総務省も場合によっては含まれるわけでございますが、事業者団体の協力を得ながらブロッキング等の技術開発に関する検討を現在でも進めているところでございます。
 そして、こうした検討に当たりましては、省庁だけでやるということは非常に困難でございまして、事業者団体の協力、現に受けておりますが、これは不可欠でございます。したがいまして、関係省庁は、今後とも引き続き、こういう事業者団体との協力関係といいますか、その専門的知見を生かしながら必要な検討を行うなどいたしまして、児童ポルノの撲滅に向けて連携して対応していくべきものと考えております。
○小川敏夫君 事業者団体の方も自主的にそうした社会的な役割というものを意識して取組を行っておると思うんでありますが、そうした意味で、やはりこれは表現の自由とも関わるものですから、事業者団体の自主的な取組というものも非常に重要だと思うんですが、しかし一方、事業者団体の取組に全てお任せで国が全く関与しない、政府が関与しないということでもないと思います。
 そこで、この事業者団体の自主的な取組とそれから政府の役割との立場について、私の認識のとおりでよろしいのかどうか、ちょっと説明をいただければと思いますが、どうでしょうか。法務大臣、要するに、事業者団体の自主的な取組は尊重するけれども、全てをそれに任せるわけではなくて、やはりきちんと国が責任を持って対応をするんだということだと思うんですが、それについて確認をお願いします。
○国務大臣(谷垣禎一君) 小川委員がおっしゃいますように、表現の自由等々と非常に関係がございますので、やはり事業者と事業者団体、こういうところで自主的ないろいろな努力をしていただくことがまずあるべきであり、望ましいと思います。
 ただ、委員がおっしゃるように、じゃ全てそれに任せておけばいいのかというとそうではございませんで、やはり先ほど申しましたように、協力しながら政府として立てなきゃならない措置もいろいろあるんだろうと思います。事業者団体との協力の結果、例えば政令等を作らなければならない場合もあり得ると思いますし、そういう事業者団体の努力、それに加えて我々も、政府関係者も検討していかなきゃいけないという構造だろうと思います。
○小川敏夫君 今、実際に事業者団体との協力の在り方、そうしたことについては総務省が詳しいかと思いますが、そこの状況について総務省の方から御説明いただきますようお願いします。
○政府参考人(安藤友裕君) お答え申し上げます。
 児童ポルノのブロッキングにつきましては、今いろいろと先生と大臣とのやり取りございましたけれども、このブロッキングについてはまず民間における自主的な取組が非常に重要であるということで、平成二十三年の三月に設立されましたインターネットコンテンツセーフティ協会、いわゆるICSAという団体や、プロバイダー事業者などの民間の自主的な取組によりましていろいろ進められておりまして、平成二十五年八月時点でブロッキングを実施している事業者の国内インターネット利用者カバー率は八〇%というふうになっておるところでございます。基本的にはこういった民間の取組がまず自主的に進められているところでございます。
 それに加えまして、私ども総務省といたしましても、この児童ポルノのブロッキングの一層の普及に資するべく、平成二十三年度から平成二十五年度までの三年間にわたりまして、プロバイダーなどの規模に見合った精度の高いブロッキング方式の開発と実装の実証実験、これは民間団体の御協力もいただきながら進めてきたところでございます。
 総務省といたしましては、こうした民間による自主的な取組の成果や実証実験の成果を踏まえまして、今後ともプロバイダーの事業者団体でございますとかICSAなどの協力を得つつ、引き続き児童ポルノのブロッキングの一層の普及を後押ししてまいりたいというふうに考えているところでございますし、また、その際必要となる具体的な取組につきましては、実務の実態に詳しいICSAなどの団体の協力を得て、その専門的知見を生かしながら検討し、民間における自主的取組が一層促進され効果が上がるよう連携して対応してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○小川敏夫君 技術がすごい勢いで進歩する中でこれを一〇〇%完璧にというのはなかなか難しい面があるかもしれませんが、やはり事業者団体の協力は不可欠でございますので、そこのところの協力関係をしっかり築いて、実効ある対応、体制を築いていただきたいというふうに思っております。
 では、これで質問を終わります。
○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。よろしくお願いいたします。
 限られた時間でたくさん聞きたいことがありますので、早速質問に入らせていただきます。
 今回の法改正で一般的禁止規定である三条の二が新設をされました。これは重要な意味を有するものであります。何人も、児童買春をし、又はみだりに児童ポルノを所持し、若しくはこれに係る電磁的記録を保管することその他児童に対する性的搾取又は性的虐待に係る行為をしてはならないと規定をされております。
 ここにいうみだりに児童ポルノを所持してはならないというのは、有体物として二条三項各号の児童ポルノをみだりに持っていてはならないということであり、本、DVDなどのほか、動画や画像をダウンロードして自分のパソコンに保存する場合も、そのパソコンを持っているという意味でこの禁止に該当をします。そして、これに係る電磁的記録を保管することをしてはならないというのは、児童ポルノの動画や画像を自分のパソコンには保存しないけれども、レンタルサーバーなどに保管をすることを禁止をするものであります。
 他人に提供すること、またその目的で所持をすること、以下は保管を含みますけれども、これは従来も違法とされ、罰則が科されていましたけれども、単に持っていることも禁止する、違法であるということを今回明確に宣言したことが重要であります。こうした理解でよろしいでしょうか。
○衆議院議員(遠山清彦君) 佐々木さやか委員にお答え申し上げます。
 先ほど引用もされましたが、今回の法改正で三条の二が新設をされました。それによりまして、他人に提供すること、またその目的で所持、これは保管も含みます、することは従来も違法とされ、罰則が科されておりましたが、今回の法改正によりまして、単に児童ポルノを持っていることも禁止をするということになるわけでございます。
 ただ、この三条の二は総則に置かれておりまして、そのことを理念として宣言をする趣旨でございます。理念として宣言をする趣旨ということは、この規定から直ちに何らかの法律上の作為義務が生ずるものではございません。ただし、本条において、みだりに児童ポルノを所持、保管する行為が児童ポルノ禁止法の理念に反する行為であることを規定したことは、委員がおっしゃったように、重要な意義があるものと考えます。
 また、先ほど委員が違法という表現をお使いになりましたが、この趣旨がこの法律の理念に違背しているということであれば、まさに委員のおっしゃるとおりだと考えております。
○佐々木さやか君 この所持の一般的禁止規定、私は非常に重要なものであると思いますが、特に七条一項の単純所持罪の場合と異なりまして、自己の性的好奇心を満たす目的でという要件がありません。どのような目的であってもみだりに持っていてはならないと、児童ポルノを持っていること自体を禁止を宣言をしております。
 児童ポルノは虐待の記録であり、被害児童は、その写真、映像が存在する限り、永遠に想像を絶する苦痛と更なる被害を受け続けることになります。被害児童の人権の保護、被害からの回復のために、所持の禁止は重要なことでありますが、この点、この三条の二が目的により限定をせず、所持を広く禁止した趣旨というのは何でしょうか。
○衆議院議員(遠山清彦君) お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、児童ポルノの存在は、児童ポルノに描写をされた児童の心身に長期にわたって有害な影響を与え続けるものであると認識をいたしております。
 こうした点を踏まえ、第三条の二は、自己の性的好奇心を満たす目的の有無を問わず、児童ポルノをみだりに所持、保管する行為が許されるものではないという理念を宣言をしたものと理解をしております。
○佐々木さやか君 他方で、被害の告発ですとか捜査のために弁護士や警察が所持するなど、正当な理由がある場合にもこの禁止規定が適用されては不都合であります。これについては「みだりに」という要件が関係すると思いますが、この「みだりに」の意味、そして要件として設けた趣旨は何でしょうか。
○衆議院議員(遠山清彦君) お答え申し上げます。
 法令におけるこの「みだりに」という表現の意味は、一般的には、社会通念上正当な理由があるとは認められない場合をいい、正当な理由がなくという表現とおおむね同義のものと考えております。
 御指摘のように、児童ポルノを所持等する場合でありましても、警察が、例えばですけれども、捜査の過程で所持するに至った場合や、被害者の立場に立って被害告発のために弁護士が児童ポルノを所持する場合などは、正当な理由があるものとして、この規定の対象ではないことを明確にする必要がございました。そのため、この「みだりに」の要件を設けた次第でございます。
○佐々木さやか君 それでは、例えば出版社が自己の出版物を歴史的な意味で保存している場合、それから図書館の蔵書に存在する場合はどうでしょうか。この三条の二に反することになるのでしょうか。蔵書されているとなりますと、自己の性的好奇心を満たす目的で借りる人がいる可能性もあると思いますが、いかがでしょうか。
○衆議院議員(遠山清彦君) お答え申し上げます。
 出版社が過去に合法的な形で児童ポルノを出版するということはあり得るわけですが、その出版社が歴史的な資料等として児童ポルノを保存している場合、あるいは図書館の蔵書の中に児童ポルノが存在する場合は、正当な理由があるものとして、第三条の二に言うみだりに所持していることには当たらないというふうに認識をいたしております。
 しかしながら、図書館や出版社が所蔵する児童ポルノを貸し出す場合、この当該行為は児童ポルノ提供罪の構成要件に該当し得るものでございまして、これらのものは、当該児童ポルノが自己の性的好奇心を満たす目的でこれを所持等しようとする者の手に渡ることがないように適切な管理をすることが望ましいと考えております。また、図書館の蔵書につきましても極めて慎重な扱いをすることが望ましいと、このように考えております。
○佐々木さやか君 極めて慎重な扱いをということでありますので、貸出禁止の措置をとるなど適切な管理をする必要があるということであると理解をいたしました。
 三条の二は、正当な理由がなければ、性的好奇心を満たす目的がなくても所持してはならないという規定であります。この規定の趣旨に照らせば、この法律の禁止に違反する所持が行われることのないよう、正当な理由がない限り、適切に児童ポルノ、これは廃棄をされることが望ましいのであって、広く所持自体の違法性、三条の二の趣旨を周知、そして啓発していくことが重要ではないかと思いますが、この点、発議者とそれから法務大臣にお聞きしたいと思います。
○衆議院議員(遠山清彦君) お答え申し上げます。
 先日の趣旨説明の中でも申し上げましたとおり、これは第七条一項の罰則の関係ではございますけれども、本法におきまして一年間の経過措置を設けた趣旨は、その一年間の間に法施行前に所持に至った児童ポルノを適切に廃棄等していただきたいという趣旨でございます。
 一方、この第三条の二は、児童に対する性的搾取又は性的虐待に係る行為が児童の権利を著しく侵害することから、当該行為が許されるものではないことを理念として宣言をしたものでございます。この趣旨に照らしまして、児童ポルノをみだりに所持、保管してはならないことを広く周知啓発していくべきとの御指摘は極めて重要と考えます。
○国務大臣(谷垣禎一君) 遠山衆議院議員から御答弁がございましたように、児童に対する性的搾取あるいは性的虐待、これが児童の権利を著しく傷つけるというだけではなく、その健全な成長も、何というんでしょうか、阻害してしまう。こういうことから、単純所持等々、そこに書いてある行為をしてはいけないということを理念的に宣言したものと私どもも理解をしております。
 したがいまして、法務省としても、児童ポルノを撲滅していく観点から、こういう趣旨を広く周知啓発していくことが大事だと考えておりまして、関係省庁と連携してそのことに努めていきたいと考えております。
○佐々木さやか君 是非よろしくお願いをいたします。
 次に、七条一項の単純所持罪について質問をします。
 今回の改正では、所持のうち、自己の性的好奇心を満たす目的を有する者について、特に罰則をもってより厳格に規制をいたしました。この規定については、自己の性的好奇心を満たす目的の有無によって罰則の適用があるか否か、違いが生じます。
 そして、当初は性的好奇心を満たす目的を持っていたけれども、途中で興味はなくなってその目的を失ったという場合、法施行から一年が経過し、当該規定が適用されるようになった後で目的を失ったのであれば、目的を持って所持をしていた時点で単純所持罪が成立しますから、そこに罰則の適用があることになります。しかし、目的を持って所持を開始したけれども、法の施行後一年を経過する前に目的を失ったという場合は罰則の対象にならないということが、衆議院の法務委員会の質疑、また今日の小川委員からの質疑でも確認をされました。
 そうなりますと、所持をしている者が施行後一年が過ぎる前に性的好奇心を満たす目的は失っていましたと、このように言えば罰せられないようにも思えますけれども、この点、不当な言い逃れが生じるおそれというのはないのでしょうか。
○衆議院議員(遠山清彦君) お答え申し上げます。
 委員が御指摘になりましたとおり、この第七条一項の所持罪の処罰の対象となるためには、法律の施行の日から一年が経過した後に、その後の所持の時点において自己の性的好奇心を満たす目的を有していることが必要になるわけでございます。よって、その目的を失っていた場合には処罰の対象にならないということは衆議院の審議でも明確に答弁をしてまいりました。
 そうなりますと、委員御指摘のとおり、本当は自己の性的好奇心を満たす目的をまだ持っていて所持もしているんだけれども、持っていなかったと言い逃れをする可能性というものは理屈上あり得るわけでございます。
 これにつきましては、先ほどの階議員からの御答弁の一部にもありましたけれども、自己の性的好奇心を満たす目的があるのかないのかということについては、本人が私は持っていませんと言うだけで言い逃れはできないと。つまり、児童ポルノがその当該者によってどのような態様で所持をされていたのか、どれぐらいの分量を持っていたのか、また、所持に至った事情、そういったものを客観的な事情から、これはもちろん立証責任は捜査当局にあるわけでございますが、客観的事情から推認をされて認定をされるものでございまして、自らの内心についての御本人の供述だけで言い逃れができる、処罰から逃れるということではないと、このように思っております。
○佐々木さやか君 それから、三条でございますけれども、この三条には、この法律の適用に当たって、学術研究、文化芸術活動、報道等に関する国民の権利及び自由を不当に侵害しないように留意しとあります。学問の自由、表現の自由は重要な人権であり、不当に侵害してはならないことは当然であります。罰則の対象となる所持は、自己の性的好奇心を満たす目的を有する場合でありますので、純粋に学術研究などの目的であれば罰則の適用はありません。
 しかしながら、児童ポルノの中でも、例えば明らかに児童への性的虐待のむごい記録としか言いようのないものもあります。表現の自由は非常に繊細な権利でありますが、被害児童の被る権利侵害の程度、被害児童の保護、権利擁護の必要性という法の趣旨も十分に考慮をする必要があると思います。
 この点、学術研究や文化芸術活動だと言い張って処罰を不当に免れる者が出てはならないと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
○衆議院議員(遠山清彦君) 佐々木委員にお答えします。大変重要な、また難しい面も含む質問だと思います。
 原則としては、この第七条一項の罰則の対象となる所持か否かというものは、先ほど来繰り返し申し上げておりますとおり、目的要件である自己の性的好奇心を満たす目的での所持であるかどうかということで判断されることでございます。
 御指摘の学術研究や文化芸術活動の目的で児童ポルノを所持する場合には、もちろんこれはどういう内容の児童ポルノについて判断をしているかによるわけでございますし、個別具体的な証拠関係によりまして実際には認定すべき事柄でございますけれども、通常は、自己の性的好奇心を満たす目的がない者と認められて、七条一項は適用されないと考えます。
 しかしながら、先ほど来繰り返し申し上げておりますとおり、客観的に積み上げられた証拠等からの判断によりまして、その所持の態様、分量、内容において、仮にその児童ポルノを所持していた者が学術研究や文化芸術活動だという内心上の理由を申し述べただけで実際に自己の性的好奇心を満たす目的がなかったと即判断されるとは限らないと、このように考えております。
 また、この問題は表現の自由との関わりがあるわけでございます。もちろん、これは表現の自由、学問の自由、文化芸術活動の自由等々、基本的人権に関わる問題でございますので常に慎重な判断が求められるわけでございますが、この児童ポルノの対応やその中身いかんによりましては、もちろん先ほど来申し上げておりますとおり個別に客観的証拠で判断をしなければいけないということでございますので、原則論として申し上げることはできませんけれども、やはりこの法律の保護法益が、児童の心身を守る、有害な影響がないようにするという趣旨が三条の二で理念として宣言されているわけでございますから、そういったことも勘案しながら総合的に適切な対処をすべきと、このように考えております。
○佐々木さやか君 最後に、いわゆる三号ポルノと着エロについてお聞きします。
 例えば、十八歳未満の少女が非常に露出度の高い水着を着用して、着たままでわいせつ性が高いポーズを取っている画像、映像などのいわゆる着エロは三号ポルノに当たるのでしょうか。
 着エロは現在も非常に多く出回っていて、適切な取締りがなされていないという声も聞きましたが、どうなんでしょうか。法務省に通告させていただいているかなと思いますけど。
○政府参考人(林眞琴君) 一般論として申し上げますと、今御指摘の着エロというもの、いわゆる着エロであるか否かにかかわらず、法の二条三項三号の要件を満たせば児童ポルノに該当するものと考えられます。そして、実際、捜査当局においても、この着エロであるか否かにかかわらず、児童ポルノ事犯についてその取締りに努めて適切に対応しているものと認識しております。
○佐々木さやか君 適切に取締りをお願いしたいと思います。
 以上で終わります。
○真山勇一君 日本維新の会・結いの党、真山勇一です。
 今回の審議の過程で本当に私は感じるのは、子供、児童がこうしたポルノの犠牲になって大きな影響を受ける、心が傷ついたり、そして将来いろいろ問題を起こすというようなことを、いろんな意味でそういうことが今心配されているということが審議でとてもよく分かり、そういう意味では、規制というのはやっぱりしていかなければもういけないときに来ているということは重々感じる。その一方で、規制が行き過ぎちゃって表現の自由というのが奪われる、あるいはそれが作る側に自主規制するとかそういうことになってきてしまう、萎縮してしまうということになってくると、いわゆる文化の発展ということに関しても障害が出るとか、いろいろやはりこの問題というのは、大変複雑な、まさに現代の私たちの社会の悩みを表しているものというふうに私は感じております。
 前回、この児童ポルノ禁止法が改正されたのが平成十六年ということで、今回の改正は十年ぶりということなんですね。その間、私たちの社会というのを見てみると、やっぱりインターネットというのはもう爆発的にこれは広がってきているということが一つありますし、それから、今の法案では、児童ポルノの定義というものが非常に曖昧で、やはりその辺りをもう少し整備すべきではないかという声があったと思うんです。そういう辺りが今回の改正のポイントになってきているというふうに私は理解をしております。
 まず、現状というのをちょっと、何というんですか、基礎的なデータ的にきちっと把握したいというふうに私は思うんです。断片的にはマスコミなどにも伝わっておりますし、いろいろなところで数字は、データは出ているんですけれども、ここ近年の摘発された事件の件数、そしてそのうち児童の被害数はどうなのか、あるいは年齢、やはり児童でも十八歳以下のどういうような年齢が、どの辺が多いのかということ、それから今申し上げたように、インターネットがもう大変普及しているわけですから、インターネット関連の事件というのはどういうふうになっているのかという、この辺り、警察庁になると思うんですが、ある程度具体的に、細かいちょっとできる限りのデータでお願いしたいと思います。
○政府参考人(宮城直樹君) お答え申し上げます。
 まず、過去三年間の児童ポルノ事犯の送致件数と被害児童数をお答え申し上げます。
 平成二十三年が千四百五十五件の六百人、平成二十四年が千五百九十六件の五百三十一人、平成二十五年、昨年でございます、これが千六百四十四件の六百四十六人となってございます。これを児童ポルノ法が制定された翌年の平成十二年と比べますと、平成十二年は送致件数で百七十件、被害児童数百二十三人ということでございます。ですので、送致件数にあっては約十倍、被害児童数は約五・三倍と、こういうふうに増えてきておるところでございます。
 一方、さらに、御質問ございました過去三年間の被害児童の年齢でございます。我々はこれ、統計を学職別、いわゆる小中高と、こういった形で取ってございます。まず、平成二十三年の数字を申し上げます。平成二十三年は、小学生以下が百一人、中学生が二百三十三人、高校生が二百二十八人、その他が三十八人となってございます。次に、平成二十四年でございます。これが、小学生以下が七十三人、中学生が二百人、高校生が二百三十三人、その他が二十五人になってございます。さらに、昨年でございます、平成二十五年でございますが、小学生以下が九十二人、中学生が二百七十二人、高校生が二百五十六人、その他が二十六人ということで、最近は中学生が中心になってきているというふうに考えることができるかと思います。
 さらに、御質問がございました児童ポルノの事件の送致件数のうちのインターネットの利用に係るものでございます。これにつきましては、平成二十三年につきましては八百八十三件で全体の六一%、平成二十四年、これが一千八十五件で全体の六八%、平成二十五年でございます、千百二十四件で六八%となってございます。なお、これをやはり先ほど申し上げた平成十二年と比べますと、平成十二年は百十四件、六七%ということで、実はインターネットの利用に係るものについては余り大きな変化はないと、こういった状況になってございます。
 以上でございます。
○真山勇一君 ありがとうございました。
 やはり、マスコミなどで伝えられているように、それから、私たちが理解しているような傾向の数字がはっきりというふうにこれ見えるわけですけれども、全てで今お話ありましたように増加しているし、それから、年齢は中学生、それから小学生なんかも非常に多いということも分かりますし、何よりもインターネットですね、やはりこれが非常に大きな比率を占めていると。
 これ、前のときでも余りインターネットの割合でいうと変わらないというのは、やはりインターネットというのは使う人というのは限られているから、その辺というのは数字の上でこういうふうに出てくるのかなという、ただ、現実のボリューム、数字、総数としてはやはり増えてきているなという、そういう印象を受けました。
 で、やっぱり、本当にみんな理解していると思うんですけれども、インターネットというのは一旦アップしてしまうとあっという間に拡散をしてしまうと。これがインターネットの一番特徴であり、同時に怖いところであるということで、子供たちにとってはこの辺りをどういうふうに理解されているのかということがあるわけなんですけれども。
 先ほどもちょっとお話が出ましたけれども、その防止ということについては、ネット事業者の協力というのはやっぱり欠かせないというふうに思うんですね。ネット事業者との連携協力、それからその効果が上がっているのかどうか。やる以上はやっぱり効果があるのかどうかということも気になるんです。この辺りを、捜査の現場というふうな立場から、捜査の方ですから警察庁になりますかね、もう一度これはお伺いしたいと思います。
○政府参考人(宮城直樹君) お答えを申し上げます。
 まず一番目のインターネット事業者との協力関係といいますか、こういったものについてでございます。まず、インターネット事業者につきましては、捜査について協力いただくと、こういった局面がございます。これにつきましては、我々が捜査に関しましていろんな照会をいたします。そのときに保有している情報を適切にいただくという話でありますとか、あるいは、我々はさらに捜索、差押えをいたします。そのときにきちんと協力していただくと、こんな形でまず対応していただいているところでございます。
 さらに、より大事なお話といたしまして、被害の防止でありますとか被害の回復についてのお話がございます。これにつきましては、例えば我々警察でありますとかあるいはインターネット・ホットラインセンター、こういった組織がございます。これからの要請あるいは情報提供によりまして、違法なコンテンツをプロバイダーにおいて削除していただく、あるいはさらにブロッキング、見えないようにしていただく、こういったことの取組をしていただいているところでございます。
 さらにでございますが、最近は、こういった削除要請とかブロッキングでは対応できないファイル共有ソフト、ウィニーとかシェアとかございます。こういったものを使った児童ポルノの拡散がございます。こういったものにつきましては、プロバイダーの方から利用者に対しまして、あなたの端末に児童ポルノが入っていますよ、ですからこれをアップしないようにしてくださいと、こういった形の連絡メールを送信していただくと、こういった取組をしていただいているということでございます。
 こういったことでございまして、これは数字はちょっと申し上げられませんが、一定程度の国内プロバイダーの協力によりまして効果が上がっていると、このように考えてございます。
 以上でございます。
○真山勇一君 やはりこれ、かなりインターネットの取締りの難しさというのを今伺えたというふうに思うんですけれども、ただ、もう一つ、インターネットというのは次から次へと新しいサイトができてしまって、取締りがイタチごっこというのは先ほども話出たようなんですけれども、ネット犯罪というのは、使われるサーバー、これは国内だけでなくて海外、国境を越えて海外へ広がっていってしまうということで、この辺り、サーバーということから取締りを考えると、やっぱり国際的な協力とか連携、これもまた重要になってくると思うんですけれども、この辺りについてどんなふうなことを対策として考えておられるのか、伺いたいと思います。
○政府参考人(宮城直樹君) お答えを申し上げます。
 いわゆる国際的な取組ということでございます。
 まず一つは、国際機関との連携がございます。これは、我々の世界ではICPO、国際刑事警察機構がございます。ここを通じまして、今質問にございましたようないわゆる国を超えた形での捜査を行う場合の協力あるいは情報交換を行っているところでございます。
 さらに、外国政府との連携がございます。これは条約等に基づくものでございます。こういったものにつきましては、その条約に基づきまして、いわゆる国際捜査共助というものを行っております。さらに、そういった条約がない国につきましても、外務省にお願いいたしまして、ここを通じてやはり同じような共助を行っているという状況にございます。
 なお、一つ特徴的な取組について申し上げます。
 いわゆる児童ポルノの画像、これが海外のサーバーに置かれているケース、日本の国内ではなく海外のサーバーに置かれているケースでございます。この場合については、INHOPEという組織がございます。これは国際的な連絡組織でございます。ここに警察庁あるいは警察庁から業務委託を受けましたインターネット・ホットラインセンターが通報いたしまして、その児童ポルノの削除、たとえ海外にあるものでも削除していただくと、こういった取組をしていただいておるものでございます。
 なお、海外事業者の直接のやり取りとなりますと、これはやはり主権の問題がございますので、そういった場合につきましては、国際機関でありますとかその国の政府、ここを通じてお願いをすると、こういった形の取組になってございます。
 以上でございます。
○真山勇一君 やはり難しさ、今後の課題というのは残っているんじゃないかなという気はいたします。
 児童ポルノの話をしてくると、具体的にやらないとなかなか、今回の焦点になっている単純所持ですとか三号ポルノというのはどういうものなのかということは、もう大変いろんな角度から議論されてきたと思うんです。
 何点か発議者の方にお伺いしたいなというふうに思っているんですが、重ならないように質問していきたいと思うので。
 先ほど、検討事項になっていた漫画、アニメ、コンピューターを利用して作成された映像というものが規制の対象から外れたと、これは疑似児童ポルノであるということから外したという説明を受けたんですが。私は、そのうちのコンピューターを利用して作成された映像、つまりCGですね、これについてちょっと外したということに関連してお伺いしたいんですが、CGというのは今技術がどんどんどんどん進んでいるし、実在の写真とか映像とCGを合成して作るということは可能なわけですね。そうすると、ベースはCGです、だけれども、その中に実在の人物がはめ込まれているというようなものもあるのではないか、そうした創作物があるんじゃないかというのですが、これはどういうことになるのか、伺いたいと思います。
○衆議院議員(西田譲君) お答え申し上げます。
 CG等の創作物であったとしても、実在の児童の姿態を描写したと認められるものであれば、これはもう児童ポルノとして規制の対象になり得ると考えられます。
 ただ、じゃどの程度の描写という話になってきますと、これはどうしても個別事案になってきますので一概に申し上げられないところでございます。
○真山勇一君 つまり、CGでも、実在の人物そしてそれなりの容疑があるような映像ならば対象になるということですね。
○衆議院議員(西田譲君) はい。たとえCG等の創作物であっても、実在の児童の姿態を描写したものであればなり得ると考えられます。
○真山勇一君 それからもう一つ、単純所持ということなんですけれども、定義に「殊更に」という言葉が付いていますね。殊更に露出されているものというふうに加えられているんですが、その性的な部分、恐らくそこが問題になるんだろうというようなところにモザイクが掛けられた映像、静止画、こうしたものはどういうことになるんでしょうか。
○衆議院議員(西田譲君) お尋ねの趣旨というのは、恐らく三号ポルノの定義の部分をどう読むのかといったところでございまして、これは改正前の法律から、衣服の全部若しくは一部を着けない児童の姿態にそれが当たるのか、あるいは一般人から見て性欲を興奮させ又は刺激すると言えるのかといったことで総合的に判断をしていかなければならないということでございますが、今回の改正では、それに加えて処罰の範囲を明確化しなければなりませんので、今委員御指摘のとおり、三号ポルノの定義で、「殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、」との文言を加えさせていただきました。
 そこで、今例示をされましたモザイクに関してでございますけれども、これも一概にどの程度であればというのは個別の事案になってきますので非常にお答えづらいんでございますが、やはりそのモザイクのきめの細かさや粗さがどうかとか範囲がどうかと、そういったことを含めて判断していかなければならないものでございます。
○真山勇一君 もう少し具体的にちょっと伺っていきたいなと思うんです。
 児童の定義が十八歳未満ということになっているので、赤ちゃん、乳児も当然含まれてくるというふうに思うんですけれども、乳児の裸の写真というのはどうなんでしょうか。
○衆議院議員(西田譲君) これもやはり三号ポルノの定義のところでございますが、これに当たるか否かということにつきましては、一般人から見て性欲を興奮させ又は刺激すると言えるか否かの基準によってやっぱり判断されるものでございます。
 今委員御指摘の一歳未満の乳児ということでございますけれども、その画像の内容が性欲の興奮又は刺激に向けられていると評価すべき特段の事情がない限りは児童ポルノには当たらない場合が多いのではないかと考えられます。
 以上でございます。
○真山勇一君 いろいろ考えてみたんですけれども、またもう一つ伺いたいのは、余りふだん使わない言葉なのでちょっと言いにくいんですけれども、例えば女子高生、おしゃれにそろそろ興味を示す年頃の女子高生がTバックをはいたという、そのTバックを着けた女子高校生、そういう写真、映像というのはどうなのか。それからもう一つ、ポルノというのは女の子ばっかりじゃないですね、男の子も対象になるところです。そうすると、今、児童を対象にした、子供のお相撲大会なんというのが盛んですけれども、その相撲、これ、まわし姿の男の子なんという、こういうものについてはどうでしょう。
○衆議院議員(西田譲君) 本当に委員御指摘のごもっともな事例だと思うんでございますけれども、やはり、どうしてもこれは個別具体的な事由になってきますので、一概的にこの場で当たります、当たりませんということを判断するのは非常に困難でございますし、総合的にやはり判断しなければいけないところでございます。水着の問題に関しましても、その着用している水着の種類もそうでございますし、露出の度合いがどうかと、そういったこともあります。様々なことを総合的に判断していかなければいけません。
 それと、女児に限らずというお話もございました。大事なのは、たとえ自分の子供であっても成長の記録等でないという場合であれば、自分の子供をそうやって描写した場合であっても、これは児童ポルノになり得る場合があるということをお答えしておかなければならないと思います。
○真山勇一君 ありがとうございました。
 幾つか例を発議者の方から伺ったんですけれども、つまり、私も疑問に思っているのは、何が三号ポルノになるかという辺りの、そのやっぱり定義というのはとても難しいなと。お答えを伺っていても、総合的にという、総合的にというのはどういうのかなと、またこれも伺いたくなるんですけれども、事ほどさようにやっぱり微妙で難しいという感じは受けたんですが。
 そこで、今度は法務大臣にお伺いしたいんですけれども、つまり、自己の性的好奇心を満たす目的でということで、今総合的という答えもありましたけれども、自己の性的好奇心を満たす目的でという単純所持についての限定をしているんですけれども、これやっぱり総合的にといっても、どんなふうに立証するんでしょうか。その辺りというのは非常に何か曖昧さも残っていて不安を感じるのと、それからもう一つは、やはりそういうことによって自白の危険性なんというのもあると思うんですね。これを実際にやはり取り締まる側の立場からして、この辺はどういうふうにお考えになっているでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) 今お尋ねの自己の性的好奇心を満たす目的というのは、これ目的犯における目的というものをどうやって立証するかというお尋ねだと思いますが、まず一般論で申し上げますと、まず具体的な事案がございますが、その具体的な事案における客観的な事情を基本としつつ、被疑者でありますとか被告人を含む関係者の供述を踏まえて行うと、こういうものだと思います。
 したがいまして、御指摘の自己の性的好奇心を満たす目的につきましても、まずは児童ポルノを所持するに至った経緯でありますとか、所持している児童ポルノの内容や量、それから所持の態様などの、まずこういった客観的な諸事情を基本としまして、その上でこれに関係者の供述などを考慮して、全体を総合して立証するということになると考えております。
○真山勇一君 もう時間なくなったので済みません、ちょっとまとめさせていただきますけれども、私は、やはり表現の自由というのはこれは守らなくちゃいけないというふうに思っています。私、特にマスコミの出身ということなので、この表現の自由を守るということはこれは大事なことだというふうに理解しています。その一方で、今子供たちが性的な虐待などに遭っているのを見ると、やはりそれはそのままに放置してはおけないという、そういう気持ちがしております。
 そこで、法務大臣に最後にお伺いしたいんですが、これは法務省ですと、そういう子供のポルノに関わることとかインターネットとか、それから人権ということで、これ、そういうの、どういうのありますかと言ったら、こんなにいっぱいいろいろパンフレットと冊子をいただいたんですけど、これ非常にいいこと書いてあるんですが、なかなかこれ子供が読むかなという感じがするのと、どうやってこれ啓発するのかなというような感じがするんですね。
 この「あなたは大丈夫?」という、これ多分中学生、小学生向けぐらいなんだと思うんですが、非常に中身は濃いです。今の児童ポルノあるいはインターネットのスマホ、非常によく書いてある。こういうものを、もう少し何か啓発するようなことを是非法務省やっていくべき、やってほしいというふうに思うんですが、これ最後にお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
 もしできましたら大臣にお願いします。
○委員長(荒木清寛君) 谷垣法務大臣、簡潔にお願いします。
○国務大臣(谷垣禎一君) 人権擁護機関ですね、法務省、それ持っております。
 これまでもいろんな形で、インターネット利用者等に対して、個人の名誉あるいはプライバシー、こういうものに正しい理解をしていただくように、インターネットを悪用した人権侵害をなくそうというのを啓発活動の年間強調事項の一つとして掲げておりまして、今お示しいただいたようなパンフレットとかあるいは講演会等々も全国で開いてきております。
 それで、その一環として、青少年、若い方々に対して、インターネットと人権というものをテーマにした啓発教材、今お示しになった「あなたは大丈夫? 考えよう!インターネットと人権」というもの、それから人権啓発DVD、ビデオ等々を作成しておりまして、全国の法務局あるいは地方法務局、それから都道府県、政令指定都市、あるいは小中学生を対象とした人権教室を開くと、そういう場で活用をしているわけでございます。
 それから、人権啓発のDVD、ビデオにつきましては、ユーチューブ法務省チャンネルというのがございまして、そこで配信しまして、青少年に限らず、多くのインターネット利用者の目に触れるようにしております。
 それから、インターネット上のソーシャル・ネットワーク・サービス・サイト、それからブログサイトに、人権に関する正しい理解を深めるとともに、相談先や救済手続を案内すると。特に、インターネットに関してはどうやって対応していいか分からない方も多いものですから、そういう対応の仕方を、何というんでしょうか、御相談に応ずると、そういうバナー広告などを載っけたりしております。
 いろいろこれからも工夫を重ねていかなければいけないなと思っております。
○真山勇一君 ありがとうございました。
○山田太郎君 みんなの党の山田太郎でございます。本日はよろしくお願いします。
 本日は、この委員会、差し替えをさせていただきました。関係者の方々には大変御努力いただきまして、本当にありがとうございます。
 私自身、子供の性虐待の防止というのはこれは非常に今重要だということで、本法案の趣旨は分かるんでありますが、これまで議論の過程において、漫画とかアニメがその関連性において検討事項に入っているということについては大変おかしいというふうに、ずっと、実は私の当選の公約、それから議員になってから主張しておりまして、まさにこの問題、まずは漫画とアニメ、附則が落ちたということについてはほっとしております。ただ、この問題自身が抱えている問題、それから限界のようなものもあると思っておりますので、今日はその辺りしっかり質疑させていただきたいと思います。
 実は、本法の議論に当たって、私の方は、非常にいろんな方々から関心が高いということで、ツイッターですとかニコ生、その他ホームページで、どんなことを聞いてほしいかという意見を求めましたところ、ちょっとこれ手元にあるんですけど、千二百通ぐらい届きまして、特に若者の大変に関心の高い領域であるということだと思います。この声を踏まえまして、千二百個全部聞いていきたいんでありますが、時間の許す限り、今日は厳選した質疑させていただきたいと思います。その意味でも、是非、御答弁される方、簡潔にお答えいただければ、たくさんいろんな問題が質疑できると思いますので、そのように御協力よろしくお願いしたいと思っております。
 さて、今回、まず児童ポルノの定義という辺りから行きたいと思いますが、資料を配付させていただいております。本法律で、十八歳未満の児童に対して、例えば、ちょっとなかなか一つずつ読んでいくと、余りこういう権威のある議会ではどうかなと思うような内容でありますが、確認していきますと、例えば性的な虐待が実際に行われているが、顔だけを写した動画でありますとか、あるいは、精液を顔に掛けられたが、服を着ている裸ではない写真ですとか、服を着ている状態でありますが、例えば動物の性器に無理やり触れられている写真ですとか、又は、服の上からロープでむちを打っている状態であるSMの写真、特にこれは性器の強調がない、それから、性的虐待中の音声ファイル、こういった例えば性的虐待の事実の記録物というものも存在しているかと思います。
 本法は、こういったものに対する禁止事項、当たるのか当たらないのか、簡潔にお答えいただけますでしょうか。
○衆議院議員(遠山清彦君) 山田太郎委員にお答えを申し上げます。
 大変重要な、しかし答えるのが難しい御質問からいただいたと思っております。
 まず、本法の第二条の一号から三号の児童ポルノのいずれかに該当するか否かということについては、先ほど来様々な答弁で申し上げておりますとおり、個別具体的な事例に応じた証拠関係に基づいて判断すべき事柄であるという原則を確認をしたいと思います。その上で、今御指摘のありましたところ何点か、法文に則して判断を少し申し上げたいと思います。
 まず、性的虐待が実際に行われているが、顔のみを写した動画ということでございますが、顔のみが描写をされていて性的部位が描写されていない場合には、本法に基づく児童ポルノには該当しないということになります。二つ目の、衣服を着けた児童に精子が掛けられているということでございますが、これもこの一事だけをもって児童ポルノに該当するとは判断ができません。三番目、動物の性器を触っているという例でございますが、これは、法律の中には「他人の性器等を触る」という表現がございますが、これににわかに該当するということはありませんので、この一事をもってだけで児童ポルノに該当するとはなかなか判断しにくいということでございます。それから、服の上からロープで縛られているということで、性器等の強調がないということでございますけれども、これも同じように、この一事だけをもって児童ポルノに該当するとは判断がしにくいと。最後の、性的虐待中の音声ですけれども、これも、「視覚により認識することができる方法により描写したもの」というのが児童ポルノの定義に入っておりますので、これもこのことだけをもって該当しないものと考えます。
 しかしながら、委員御承知のとおり、今申し上げた事例というのはそれぞれの事例を一つだけ切り出してどうですかという判断でございまして、これらが例えば重なり合って、そしてその動画であれば、動画全体の中に法律で規制対象になるような要素が含まれていれば、それは総合的かつ客観的な判断、評価として児童ポルノとみなし得る場合もあろうかと思います。
 また、本法に基づく児童ポルノではありませんが、ここで書かれている事例を私個人的に見まして、明らかに児童虐待に当たる証拠になり得る画像である場合もあるわけでございますから、その場合は、児童虐待も違法行為でございます、処罰もございます。その関係法令に基づいての必要な措置というものは考えられるというふうに思っております。
○山田太郎君 先ほど真山議員の方からもありましたが、その他にも、例えばモザイクを掛けて、一種裸の部分が隠れているというんですかね、性的部位が隠れている部分については微妙だなんていう答弁もありました。
 この法律、本来、児童を性虐待から守るというはずの法律でありながら、実際には、例えばですよ、このように虐待が明らかに行われているという場合においても取り締まれないケースが実はかなりある。
 何でこんなふうになっちゃっているのかなというふうに考えたんですが、この法律が、実は、子供を性的虐待から守ろうとする個人法益なのか、それとも性の社会的風潮に秩序を持たせようとする社会法益なのか、どうも議論がぐちゃぐちゃになってしまっているんではないか。入口としては子供を守るということだったんだけれども、出口としては取り締まる対象物が児童ポルノになってしまっていると。つまり、裸かどうかということが非常に論点の中心になってしまっていて、衆議院段階からも、私、質疑を拝見させていただきましたが、ずっとそういった議論が続いてしまっていると思うんですね。
 本当に子供の性虐待を守ろうということであれば、そういった記録物が頒布されないよう、あるいは単純所持も含めて取り締まっていこうということでなければ、この法律には大きな問題をまだまだ抱えているというふうに思いますが、発議者の方はいかが考えますでしょうか。
○衆議院議員(遠山清彦君) 委員の御主張は、私もかなり共感をする部分がございます。
 ただ、この法律自体は、法律の名前にありますとおり、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰、また児童の保護に関する法律でございまして、それを超える児童に対する虐待あるいは人権侵害等については他の関連法案で対処している部分も多かろうというふうに考えておりまして、委員、御指摘するまでもございませんけれども、本法の目的が第一条で書かれておりますし、また、先ほど来答弁で出させていただいております第三条の二の総則において、一番最後の部分を見ていただきたいんですけれども、「児童に対する性的搾取又は性的虐待に係る行為をしてはならない。」と。それが客観的に証明し得る児童ポルノという形で出ているものについて、その提供罪や所持罪を処罰化したものという整理をしております。
 委員の考え方については、私ども全く異論はないところでございます。
○山田太郎君 もう一つ、ちょっと細かいんですけれども、コスプレーヤーの方から結構今回質問が多くて、非常に心配であると。先ほど着エロなんという話も佐々木議員の方からもあったんですけれども、例えば自画撮りでこの三号ポルノの要件に該当するような写真をホームページでアップした場合に、例えば提供罪としてこの法律で取り締まられる可能性があるのかどうか、この辺り、これは法務省になると思います、お答えください。
○国務大臣(谷垣禎一君) これは、先ほどから御答弁がありますように、証拠に照らして個別に判断しなければ該当するかどうかというのは申し上げにくいんです。
 ただ、一般論として申し上げれば、いわゆるコスプレ写真であるか否かにかかわらず、この二条三項三号の要件を満たす写真等々をネット上にアップロードしていく、こういう行為は、被写体となっている児童本人がこれを行う場合も含めて、児童ポルノの提供罪あるいは公然陳列罪が成立し得る場合があるというふうに考えております。
○山田太郎君 まさにそうなんですね。この法律は、被害者である子供を守るはずが自ら加害者になってしまうケースもあるということで、やはり個人法益なのか社会法益なのか、本来、法律の立て付けをきちっと議論してスタートするべき部分もあったんじゃないかなというふうに実は思っています。
 次に、いわゆる興奮の主体という辺りも少し質疑させていただきたいんですが、衆議院の議論の段階で國重委員に対する政府参考人の答弁としまして、現行法の二条三項二号及び三号にいいます「性欲を興奮させ又は刺激するもの」といいますのは、これは一般人を基準に判断するべきものと解されていると承知しますという御答弁がありました。
 一般的に三歳の児童に対して性的興奮するということは実は考えにくいわけでありまして、仮に、三歳の子が例えば犯されていて、一般人が普通にそれを見て、私は目を覆いたくなることはありますけれども、決して興奮することはないんでありますけれども、そうなってくると、例えば三歳の児童は本法律の対象外となってしまうのかどうか、この辺り、お答えいただけますでしょうか。
○衆議院議員(階猛君) お答えいたします。
 個別の事案に関して収集された証拠に基づいて判断されるべき事柄ではありますけれども、一般論としてお答え申し上げますと、児童の裸体等が人の性欲を興奮させ又は刺激するかどうかについては、個別具体的な事案に応じて、性器等が描写されているか否か、動画等の場合に、児童の裸体等の描写が全体に占める割合、児童の裸体等の描写方法と諸般の事情を総合的に検討して判断すべきものであります。三歳だからという児童の年齢のみをもって判断すべきものではないということであります。
○山田太郎君 三歳だからということを主張しているんではなくて、一般人というのは何なのかということを是非御答弁いただきたいんですね。
 まさに、その対象物を見た場合に、一般人が性的興奮をするものであるというんですが、その一般人というのがよく分からなくて、誰か一人でも興奮したらこれは児童ポルノになってしまうのかどうか、そういったことも含めてもう一度御答弁いただけますでしょうか。
○衆議院議員(階猛君) 一般人というのはどういう人を指すのかということを問題にされるのかもしれませんけれども、そこはなかなかこういう人が一般人だということは言えないわけでありまして、外形で見ていくしかないと。つまり、その問題となっている児童ポルノとされるものの外形で見ていくしかないということで、先ほど申し上げたような、性器等が描写されているか否か、動画等の場合に、児童の裸体等の描写が全体に占める割合がどうなっているか、それから、児童の裸体等の描写方法、こういったものを総合的に検討して判断するしかないのではないかと考えます。
○山田太郎君 今回、冤罪というか、犯罪の対象が広がるかどうかということは、まさに、この性的に興奮するというものに対する定義がちょっとこんなに曖昧でありますと、非常に不安も残るところであります。
 ちょっと先に行きたいと思いますが、これ、もう一つ、そういったこと、何で起こるかというと、やっぱり名称等の問題、この法律の目的性というのをもう一度考え直す必要があるんではないかなと。
 例えばインターポール、国際刑事警察機構も、児童ポルノという呼称を使って児童に対する性的搾取や虐待ということが実は矮小化されてしまっていると。児童ポルノとか幼児ポルノという用語は犯罪者が使用するものであって、警察、司法機関、公共機関、メディアが使用する正当な用語であってはならない。こういうことを国際的に言っているわけであります。
 まさに、児童の性的虐待を示す素材というふうにすれば、虐待がされているというものに対して取締りを行うということに変わるわけでありますから、余り、ポルノであるとかないとか、裸が見えているとか見えていないとか、そういったことでもって虐待が定義されるというのはおかしいと思うんですね。
 そういった意味で、この辺り、名称を変えるべきだ、実はこういった投書もありまして、各議員の先生方の方にも行っていると思いますが、これも一万三千名ぐらいの実は投書が集まって、非常に、しっかり子供の性虐待を、守るという形に名称を変えたらどうかと、こんな議論があるわけでありますが、この辺、発議者の方、名称変更をするということはいかがでしょうか。
○衆議院議員(遠山清彦君) 御質問にお答えをいたします。
 名称変更の要望等につきましては、今回の実務者に参加した五名、ここに今答弁者として立っておりますが、この五名にも各種団体から送付をされておりましたため、実務者協議の場でも議論になりました。児童ポルノという呼称よりも、性的虐待あるいは性的搾取が記録されているものを取り締まる法律だという趣旨を明確にすべきではないかという御意見については、余り異論が出なかったところでございます。
 他方で、今回、改正案を諮っておりますこの児童買春、児童ポルノ禁止法が制定されましてから既に十五年が経過をしておりまして、この児童ポルノという用語に対していろんな御意見があることは事実でございますが、既に社会の中に児童ポルノが何を指すかということについては、一般国民の皆様の理解について定着性が見られるのではないかという認識に至ったものでございます。
 すなわち、この児童ポルノというものが児童に対する性的虐待を記録したものであるという認識が社会に浸透しておりまして、そういった観点から、今回、児童ポルノという呼称を直ちに変更すべきであるとは考えないという合意に至りまして、そのまま法律の名前は維持させていただいたところでございます。
○山田太郎君 私自身は、この法律がきちっと、変な方向に行かないように、名称と目的も合致するようなものにしてもらいたいなと。そうであれば、例えば漫画とアニメの議論なんかも附則で検討するというようなナンセンスな話にはならなかったはず。虐待があるかどうかということに対して説いていけば、ポルノの定義に終始することはなかったんではないかなというふうに思っております。
 さて、ちょっと次に行きたいと思いますが、警察庁にお伺いしたいと思います。単純所持の問題であります。
 所持していることが明らかであっても、性的目的があるかどうか、合理的な理由があるかないか分からない段階で、本法に違反するかの捜査を実際行うケースというのはあるのかどうか、この辺り、明確にお答えください。
○政府参考人(辻義之君) お答えいたします。
 刑事訴訟法第百八十九条第二項は、「司法警察職員は、犯罪があると思料するときは、犯人及び証拠を捜査するものとする。」と規定しておりまして、御指摘のような場合には、そのような目的があるのかどうかということにつきましてまさに捜査をしていくということになると承知をいたしているところでございます。
○山田太郎君 じゃ、次に、事前の廃棄命令の辺りも少しお伺いしていきたいんですが、京都や栃木県の児童ポルノに関する条例というのがあるのは御存じかもしれませんが、児童ポルノの単純所持については、行政による事前の廃棄命令というものが実は存在しているんですね。本法による例えば冤罪ですとか萎縮効果を防ぐために、今回の改正案の中で事前廃棄命令についての検討はされなかったのかどうか、この辺りも発議者の方にお伺いしたいと思います。
○衆議院議員(椎名毅君) お答えをいたします。
 委員御指摘のとおり、いわゆる京都府方式、いわゆる栃木方式という形で、児童ポルノに相当する文書について単純所持を規制する際に、行政による事前の廃棄を命令するというものを介在させる例がございます。栃木県では、県の公安委員会によって、子供ポルノの廃棄命令を出し、それに違反した場合に処罰をするという構成になっております。
 これについても実務者協議の中で検討はいたしました。しかし、諸外国における単純所持規制の中で、事前の廃棄命令を課さずに直罰としている例が多いこと、もう一点が、自己の性的好奇心を満たす目的での児童ポルノの所持規制に関しても、仮に事前の廃棄命令を介在させたとしても実効性の点で問題があるということから、今回はこの件について採用するということにはならなかったものでございます。
○山田太郎君 海外でないといっても、国内の条例には幾つかあるわけですから、本当はしっかりこの法案の中でももうちょっと審議していただければよかったなと、こういうふうにも思っております。
 さて、次も質問が非常に多かった中から取り上げていきたいと思いますが、PCフォルダの中にあるいわゆる単純所持という辺りも伺っていきたいと思います。
 パソコンの中に保有する画像ファイルに、個別のケースで伺いたいと思うんですが、性的目的の単純所持が、施行後、成人ポルノ画像が例えば大量に集められたそのフォルダ内に一部児童ポルノに該当するファイルが含まれていた場合、この児童ポルノ禁止法で処罰される可能性があるのかどうか。
 先ほど、実際に、目的が、その量等も鑑みるということだったんですが、逆に一個二個存在しているんであればいいのか悪いのか、そんなようなところも含めて御答弁いただけますでしょうか。
○衆議院議員(遠山清彦君) お答え申し上げます。
 委員の御質問の趣旨は、PCのフォルダの中にたくさんの画像が入っていて、そのうち一点二点が児童ポルノに該当するものだった場合どうかというお話だというふうに思います。
 これも、済みません、一般論として申し上げるしかないわけでございますけれども、基本的には、多数の画像の中の一つ二つにすぎない画像について、その所持している方が自己の性的好奇心を満たす目的を持って所持していることが当局によって客観的に証拠関係から推認されるという状況でないと処罰はされないという整理でよろしいかと思います。
○山田太郎君 今の場合は非常に難しいと思っておりまして、持つ側が十八歳未満なのかどうかというのを意識しなければ、成人のものを見ていたり、たまたま児童のものを見ていたりということでありますが、もしかしたら総体においては性的興奮の目的を満たすということになりかねないと思うんですが、その点いかがでしょうか。
○衆議院議員(遠山清彦君) それも個別具体的なケースだと思いますが、これ実際に衆議院の答弁でも私言及しておりますけれども、いわゆる外見上一体何歳なのか判別をすることが困難な女性なり男性なりというのは、委員も御承知のとおり存在するかと思います。
 よって、例えば、触れ込みが二十歳であっても実年齢は十代であるということもありますし、逆に、触れ込みが十代であるけれども実年齢は二十歳以上ということも十分あり得るわけでございまして、その辺につきましては、私の理解では、実際にそれが事件化された場合に、捜査当局の方におきまして、慎重に科学的にその年齢等を判断できる専門家の意見も踏まえながら判断をしていくというふうに当局からは伺っておりますし、また、もちろん所持している本人の供述だけでは判断できないわけですから、客観的に、それらが自己の性的好奇心を満たす目的で自己の意思に基づいて所持したものであり、かつ、それらの画像等が総体として、先ほど来御議論がありました一般通常人の感覚からいって性欲を興奮したり刺激するものであるかどうか、そういったものの総合的判断によって判断されるべきものと考えております。
○山田太郎君 今、遠山議員の方からお話しした内容の中にちょっと重要な問題が隠れておりまして、いわゆる対象物がまさに年齢が分からない場合であったとしても、そう見える場合に関しては逮捕され、起訴される可能性があるのかどうかということに逆に言及されましたので、ちょっとその辺りも確認させていただきたいと思いますが、それはいかがなんでしょうか。
○衆議院議員(遠山清彦君) 基本的には、被写体の児童が身元が特定されていることが要件ではないということでございますけれども、画像から十八歳未満であると証拠上認められている場合等で、かつ、児童ポルノ該当性についての要件を含む所定の要件を満たす場合には、この児童ポルノ禁止法違反の罪で起訴されることもあり得ると、こういうことでございます。
○山田太郎君 結構そのことは何か怖いなというふうにも思っておりまして、対象者が分からない、実際にはいわゆる児童なのか児童じゃないのか、ぎりぎりの線に置いたとしても、捜査、起訴され、裁判になってそこで証明をされていく。実際には、その少女が最終的には誰だか分からなくても問題になるということはちょっと大きな問題も抱えているのかなというふうに思っております。
 もう一つ、質問ですごく多かった議論の中に、PC上で削除したと。ただ、ごみ箱に入れているだけでは駄目で、ごみ箱からちゃんと削除したということでないと、要は捨てたと、一年以内にやってくださいというような条文があるようですけれども、ただ、これはレクの中でお伺いしたんですが、ごみ箱から削除された状態でも、削除ファイル復元ツール等をインストールしている場合には削除とみなされないというような話もありましたが、この点いかがでしょうか。
○衆議院議員(椎名毅君) お答えいたします。
 まず、定義から入りますけれども、冒頭、所持をするということがどういうことを意味するのかということですけれども、自己の事実上の支配下に置くことをいうということです。この所持罪にいう所持に該当するかどうかについては、まさにこの自己の事実上の支配下に置いているかどうかという観点から、証拠関係で認定できるかどうかについて判断いたします。
 この点、まず、ごみ箱に入れるだけという意味であれば、この行為だけをもって所持していないとは断言できないということです。今御指摘の点、ごみ箱から削除した上でファイル復元ソフト等を入れている場合という話でしたけれども、ごみ箱から削除した場合については、原則として、特段の事情のない限りその当該ファイルを自己の事実上の支配下に置いているとは認められないというふうに考えます。
 では、おっしゃるこのファイル復元ソフト等を持っている場合が特段の事情に当たるのかどうかというところでありますけれども、復元できるような特殊ソフトを保有した上で、これによって復元する意思を明確にしているというような事情があれば特段の事情に該当する可能性があるものと考えます。
○山田太郎君 今のもなかなか証明しにくい問題で、非常に法律上曖昧なところもあるなと思っています。
 さて、ISP、インターネットのいわゆる捜査協力義務のような話にも移っていきたいと思いますが、十六条の三におけるインターネットの利用に係る事業者には捜査機関への協力やファイルの削除についての努力義務を課されております。
 そこで、楽天市場とかヤフーショッピングさんに代表されるようなオンラインショッピングサービスを提供する会社にも、本法による捜査機関への協力義務が負われるのかどうか、この辺りを教えてください。
○衆議院議員(椎名毅君) ありがとうございます。お答えいたします。
 条文上、この十六条の三を見ると、主体は「インターネットを利用した不特定の者に対する情報の発信又はその情報の閲覧等のために必要な電気通信役務を提供する事業者」というふうに定められておりますので、この条項が適用されるか否かについては、当該事業者が提供している電気通信役務がインターネットを利用した不特定の者に対する情報の発信、閲覧に必要なものかどうかというところについて判断されるものというふうに理解をしております。
 御指摘の楽天市場その他のオンラインショッピングサービスについては、一般に、当該事業者が提供する電気通信役務がインターネットを利用した不特定の者に対する情報の発信、閲覧に必要なものに該当するというふうに考えられ、十六条の三の事業者に含まれるものというふうに理解をしております。
○山田太郎君 もう一つ、これも事前にレクでお伺いしていたんですが、ドロップボックスとかエバーノートに代表されるようなオンラインストレージサービスで、かつ日本にサーバーがあるような場合なんですが、アップロードされたファイルをインターネット上で広く公開ができる機能を持っているサービス、これが本法の対象になるということをお伺いしています。
 ファイル削除及び捜査機関への協力についての協力義務、この辺り、それからもう一つ、まさにプロバイダーやサーバー管理者にこの削除義務を課すのであれば、こういったオンラインストレージサービスを運用する会社にもサーバー上のファイルを随時監視し、削除を行う必要が出てくるのかどうか、この辺りをお答えいただけますでしょうか。
○衆議院議員(椎名毅君) ありがとうございます。御質問にお答えをいたします。
 まず、オンラインストレージサービスに関してはですけれども、まず、御指摘のとおり、提供する電気通信役務がインターネットを利用した不特定の者に対する情報の発信、閲覧に必要なものに該当するということで、一般論としては十六条の三の事業者に含まれるというふうに理解をしております。
 他方で、事業者が国内の事業者かそれとも海外の事業者かという点で申し上げますと、基本的に、本法十六条の三はあくまでも努力義務を規定したものにすぎず、刑罰法規ではないので、これは行政法規だというふうに理解をしますが、そうだとすると、一般的に、我が国の行政法規の効力の及ぶ範囲というのは日本国内に限られるものというふうに理解をしています。
 そういった観点からすると、ドロップボックス、それからエバーノートといった御指摘の海外の事業者により運用されるオンラインストレージサービス業者に関しては、本法の事業者に該当をしないというふうに理解をしております。
 その上で、国内の事業者に関してですけれども、やるべきことという意味で申し上げますと、このオンラインストレージサービス事業者に課される、あくまでも努力義務ですけれども、この努力義務の内容という意味で申し上げますと、当該事業者が管理権限に基づく画像等の情報送信防止措置を実施し得る立場にあるかないかというところで区別がされるものというふうに考えておりますけれども、もし仮にこれに当たる場合には、当該管理権限の範囲内で情報送信防止措置を講じるように努力をしていただくことになろうかというふうに理解をしております。
○山田太郎君 削除の努力義務を課すということは、中のクラウド等にたまっているデータを実は検閲、閲覧をするということにもなります。そういう意味で、本法が、例えばインターネット通信に対する通信の秘密を制約するもしかしたら最初の立法になるかもしれないという重要な問題も抱えているかと思っています。
 まさに、電気通信事業者に対して通信記録に関する情報を提出させるというようなこと、その努力義務は、電気通信事業法の第四条、又はそもそも憲法の二十一条の通信の秘密を侵すことにならないのかどうか。重要な問題ですので、法務大臣、お答えいただけますでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 議員立法で今審議中のものに法務大臣がお答えするのは適切かどうかということがございますが、私は、今までの御議論を聞いておりまして、この十六条の三の趣旨は、椎名衆議院議員が答弁されましたように、努力義務を負わせているものである、捜査機関の捜査権限を拡大する趣旨ではないというふうに、今の御議論を聞いて、また条文を読んでそのように理解しておりますので、捜査機関の捜査権限を拡大して、今の御不安がそういうところにあるのだとすれば、必ずしもそういうことではないのではないかというのが私の今までの議論を聞いての感想でございます。
○山田太郎君 本件に絡んで、警察庁の方にもお伺いしたいと思っています。
 プライバシーが詰まったストレージをもしかしたら令状なく警察が丸ごと見る、そういうのは下手をすると捜査権の濫用に当たるのではないかという危惧もあるかと思っています。そういった意味で、仮に、児童ポルノの捜査の過程で他の犯罪に結び付くものが見付かった場合、容疑を切り替えて捜査を進める可能性はあるのかどうか、それは別件捜査につながらないのかどうか、お答えください。
○政府参考人(辻義之君) お答えいたします。
 犯罪捜査の過程で新たな犯罪があるというふうに思料されました場合には、刑事訴訟法の手続にのっとりまして適切に対応させていただきたいというふうに考えております。
○山田太郎君 実は、そういった意味で、児童ポルノの規制をするに当たっての努力義務そのものが、いろんな情報を見られてしまうのではないかというような有権者からの非常に不安があります。これを行き過ぎた形にならないように、どうしたら逆に通信の秘密というものを守っていけるのか、信用できるお互い社会にできるのか、そういったことを是非考えていく必要が残っている法律ではないかなと、こういうふうにも思っております。
 さて、もう一つ先に進んでいきたいと思いますが、漫画、アニメに対する規制につながる可能性があるかどうかということについても少し確認をしたいと思っております。
 社会保障審議会、犯罪被害者等施策推進会議というのがこの中で定義付けられております。それぞれの会議体において、漫画、アニメ等が、性的被害との因果関係、相関関係について研究が行われる可能性があるのかどうか。さらに、付け加えて質問させていただきますと、政府全体としても、漫画、アニメと性被害との関連についての調査研究について今までに実際に行ったことがあるのかどうか、また今後行う予定があるのかどうか。内閣府、厚労省、それぞれお答えいただけますでしょうか。
○副大臣(岡田広君) お答えいたします。
 犯罪被害者等の施策推進会議は、平成十六年十二月に成立いたしました犯罪被害者等基本法に基づき内閣府に特別の機関として置かれた会議であり、犯罪被害者等のための施策の実務を推進し、並びにその実施の状況を検証し、評価し、及び監視することとされております。被害に遭わないための取組については、基本的には同会議の検証対象とはならないものと考えております。
○副大臣(佐藤茂樹君) 山田委員の御質問にお答えいたします。
 今般の改正案では、社会保障審議会は、被害児童の保護施策について定期的に検証及び評価を行うものとされておりまして、今御指摘の漫画、アニメの検証、評価については、この規定上、社会保障審議会の事務として想定されていないと考えております。
○山田太郎君 これ、内閣府の方なのか官房の方なのか分からないですけれども、政府全体として、漫画とアニメの性被害との関連についての調査について今までに行った事実があるのか、今後も行う予定があるのか、この辺り、内閣府だと思いますが、お答えください。
○副大臣(岡田広君) お答えいたします。
 児童ポルノの蔓延防止を、食い止め、排除を進めていくため、現行法に基づいた総合的な対策として、昨年の五月に第二次児童ポルノ排除総合対策を策定し、国民、事業者、関係団体等の連携の下、各府省において施策を推進しているところでありますけれども、この第二次児童ポルノ排除総合対策に係る関係省庁の施策として、山田委員御指摘のような調査研究が実施されたとは承知をしておりません。
 また、現時点において、関係省庁において御指摘の調査研究を実施する予定があるとは承知しておりません。
 以上です。
○山田太郎君 次に、まさにこの本法の本来の目的である児童虐待というのをどう防止していかなきゃいけないかという方向性について、最後になるかもしれませんが、質疑していきたいと思います。
 実は、現行の法体系では、児童の虐待を防止するというのがなかなか法律として作られていないんではないかと。今日、今さんざん質疑してきましたが、児童ポルノ禁止法においてもいろんなケースではみ出ちゃっているというか対応できない。それから、児童虐待の防止法という法律がありますが、これも実際には性虐待について取り締まる規定はありません。親が虐待をした場合に、例えばそれを保護しなければいけない団体が怠慢をこいていた場合に罰則があるという立て付けでありまして、実際に児童の、特に性虐待の防止ということについてはありません。それから、児童福祉法も組織法でありまして、この中にも罰則規定がありません。
 そういった意味で、実は我が国は、この児童ポルノのたとえ禁止法を改正したとしても、なかなかまだまだ児童の性的虐待を取り締まるということができないと思っています。ここで是非、関連法案を一度整理していただいて、あくまでも児童の虐待を取り締まるべき法律を整理した方がいいんではないか。
 先ほどポルノ対策会議というようなことを岡田さんの方からも御指摘あったようですけれども、全体として、国は、もうちょっと、児童ポルノというポルノの定義にかまけているんではなくて、あるいは取り締まるということを一生懸命我々もやるんではなくて、あくまでも性虐待あるいは虐待行為に対して取り締まっていくということをしっかり考えるべきだというふうに思っておりますが、まず、関係省庁としては厚労省、いかがお考えでしょうか。
○副大臣(佐藤茂樹君) 山田委員御指摘のとおり、幾つかの法案がございまして、具体的に確認で申し上げますと、児童ポルノ禁止法というのは、児童買春、児童ポルノに係る行為により心身に有害な影響を受けた児童の保護等について規定をしております。他方で、児童虐待防止法は、性的虐待を含め保護者による虐待の防止及び被害児童の保護等について規定しているわけでございます。
 その上で、児童相談所、今全国に二百七か所ありますけれども、ここで、児童福祉法に基づき、児童ポルノの事案、虐待事案のケースに限らず、児童の福祉の観点から性的被害を受けた児童に対して必要な支援を行っております。
 具体的には三つぐらい施策を行っておりまして、一つは、児童心理司によるカウンセリング、児童福祉司による指導、援助、こういうものを行っております。二つ目には、緊急的な保護を必要とする場合は一時保護。三つ目には、子供の生活の立て直しが必要な場合には児童福祉施設への入所措置などの支援を行っているわけでありまして、今後とも、厚生労働省としては、どのような事案であっても被害児童の適切な保護、支援の確保にしっかりと努めてまいりたいと考えております。
○委員長(荒木清寛君) 山田君、時間が来ておりますのでおまとめください。
○山田太郎君 じゃ、最後にまとめたいと思います。
 まさに児童の被害の防止をするための法律にするべきでありまして、当たり前のことながら、性虐待された児童を保護すると同時に、特に表現の自由、この児童ポルノという定義をめぐっていわゆる拡大解釈され、やっぱり特に若者が萎縮等をしないように、是非最後までこの法律をしっかり審議していきたいというふうに思っております。本日は質疑、これで終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 児童ポルノは、児童に対する最悪の性虐待、性的搾取であって、政府を先頭に、社会全体がその根絶のために断固たる姿勢を示して対策を強める必要があるということは明白であると私どもも考えております。そうした意味で、単純所持の禁止規定を置いて社会全体にその違法性を広く宣言すると、こうしたありようは適切だと考えています。
 しかしながら、本法案による単純所持の処罰化条項、具体的に言いますと、七条一項とその構成要件となります三号ポルノも含めた児童ポルノの定義規定が規制目的を達するために必要最小限のものと言えるのかと、この点についてまず議論をしていきたいと思うんですね。
 これまでの質疑におきまして幾つもの例が出されましたが、その質疑、答弁を伺っておりましても、本罪が成立するとされ得る事案というのはこれ相当広範に及んで、かつその外延が曖昧なのではないかという疑問を私も拭えないわけです。
 そこで、本法案の保護法益についてまず確認をしたいと思うんですが、その前提として法務省刑事局長に、現行法にも定義をされています性欲を興奮させ又は刺激するものというこの法の要件は構成要件ということだと思いますが、先ほど来、これは一般人を基準に判断すべきという答弁が衆議院でもあったという紹介がありましたが、改めて、この性欲を興奮させ刺激するものという定義、そしてこれがどのように判断されるのかという基準についてお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(林眞琴君) 今御指摘の性欲を興奮させ又は刺激するものというものでございますが、御指摘のとおり、これは一般人を基準に判断すべきものと解しております。
 その判断につきましては、個別具体的な事案の内容にはよるものの、一般論として申し上げれば、その判断要素といたしましては、性器等が描写されているか否か、あるいは動画等の場合にその児童の裸体等の描写が全体に占める割合、あるいはその児童の裸体等の描写方法、こういった諸般の事情を総合的に検討して、それを一般人に当てはめて、その基準で、性欲を興奮させ又は刺激するものに当たるかどうかを判断するものと解しております。
○仁比聡平君 そうしますと、先ほど山田議員始めとした方々の議論にもありましたけれども、一般人が性欲を興奮させ又は刺激されないものであれば、たとえそれが性的虐待あるいは性的搾取という観点から見たときに許されないものであったとしても、この構成要件には該当しないということになるわけでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) 性的搾取あるいは性的虐待、こういったものを防止するという法の趣旨があるわけでございますが、その中で個々具体的な刑罰を科す条文を見ますと、それぞれに例えば今の性欲を興奮させ又は刺激するというものが構成要件としてございます。したがいまして、これに当たらなければ刑罰は科せられないということになります。
○仁比聡平君 例えば、イングランド、ウェールズのこうした児童ポルノに関する事件の量刑について量刑諮問委員会というのがあるそうで、もちろん前提とする法制度が改正案のような趣旨かはいろいろ、国それぞれだと思いますけれども、この中でも参考とされている欧州におけるペドファイル情報ネットワークの闘いという、コパインスケールと言われている、児童ポルノと今のところ申し上げておきますけれども、この中身を分析している基準があります。この中で、例えば下着姿、水着姿などの子供を写したものだと、エロティックでも性的でもないというレベル一、暗示的なものに始まってレベル十まで、最も厳しいあるいは許し難い、そうした画像としてレベル十、こんなふうな定義が示されているわけです。子供が縛られ、拘束され、殴られ、むち打たれ、又は痛みを暗示するその他の行為を受けているところを写した写真、子供を対象とした何らかの形態の性的行為に動物が関与しているところを写した写真。これは、ウェールズにおいては、つまり量刑事情として重く見られなければならないという考え方かと思うんですけれども。
 先ほど山田議員の質問にもありましたけれども、私もこうした画像というのは吐き気がする思いだと思います。一般人がそうした画像によって性欲を興奮させ、刺激されるのかという基準でいうと、これはそれには当たらないということになりかねないわけですが、これ、一般人の性欲をということで基準とすると、そういうことになるのではありませんか。局長。
○政府参考人(林眞琴君) 今御指摘の外国のコパインスケールでございますか、こういったもので幾つかの分類があるわけでございます。これについては、詳細は承知していないわけでございますが、外国の研究者が児童ポルノをその虐待性の観点から幾つかの段階に分けた指標であろうかと思います。
 したがいまして、これがどういう形で日本の今回のこの児童ポルノ禁止法に当てはめになるのかというのは、具体的な詳細な対応関係というのはもちろんないわけでございまして、結局のところ、そういった各外国での分類のものがこの児童ポルノに該当するか否かにつきましては、こういった個別具体的な証拠関係に基づいて判断すべきでございまして、結局、そういった写真等が法の二条三項各号の要件を満たすかどうか、そういった場合には児童ポルノに該当することとなり、全ての場合にそれが児童ポルノに該当するわけではないというふうに理解しております。
○仁比聡平君 結局、性的虐待あるいは性的搾取による児童の自由や人格、あるいは身体、生命の安全が保護法益、それが保護されなければならない、ここに対する侵害を抑止しなければならない、そういう立法の意図が貫かれるのであれば、別の定め方が私は十分あり得ると思うんですね。
 御存じかどうか、インターネットアーカイブを参照しますと、インターポールが、この児童ポルノという今国際的に使われている名称はこれは不適切ではないのかと。実際に保護されるべき児童の虐待やあるいは性的搾取という、ここの実態を表していないのではないのかという批判がされています。既に二〇一一年の十月にそうした認識がインターポールのホームページに掲載をされておりまして、呼び方として、チャイルドアビューズ・イズ・ノット・ポルノグラフィー、ポルノではなく児童に対する虐待物と認識を一致させるべきではないかという趣旨が示されているわけです。
 本法をめぐっても、我が国でも児童性虐待描写物という表記を使ってはどうかという議論もあったように思うんですけれども、そうした考えを取らなかったというのはどうしてなんでしょうか。提案者。
○衆議院議員(遠山清彦君) 仁比委員にお答えを申し上げます。
 先ほども山田太郎委員から類似の御質問がございました。おっしゃるとおり、ポルノという言葉だけ考えますと、成人の場合はそれは認められているわけでございまして、それが対象が成人ではなくて児童になった場合に児童ポルノということでございますから、委員が御指摘のとおり、ポルノという言葉イコール性的虐待という含意がないのではないかという御指摘についてはそのとおりでございますし、恐らく、インターポールが、そういった意味でチャイルドポルノグラフィーという英語の中にはアビューズという、虐待という意義が必ずしも入っていないのではないかと、そういう趣旨からの御提言と私どもも理解をしております。
 他方で、今回、法律の名前を児童ポルノのまま、つまり十五年前の制定時のまま維持をするとした理由につきましては、既にこの児童買春と並びまして児童ポルノを、今回の本改正前にも提供罪等は既に処罰化の対象にしてきた、つまり犯罪化してきたわけでございまして、そういった意味で、児童ポルノという用語が、その字義の元々の意味を考えれば必ずしも虐待という意味を含んでいるとは言えなかったものの、この法律が制定されてから十五年間の間に社会で定着また浸透していく中で、今回の法律の三条の二にも明確に書かれておりますとおり、誰人も児童に対する性的搾取あるいは性的虐待に係る行為をしてはならないという精神の下にこの児童ポルノ禁止法が作られているという趣旨が社会に十分浸透しているという点に鑑みまして、実務者協議におきましても本法律の名前の変更は取らなかったと、こういうことでございます。
○仁比聡平君 今の御答弁にありますように、改正案三条の二において児童に対する性的搾取又は性的虐待に係る行為を禁ずるのだと、抑止するのだということが現行法も含めたこの法の趣旨であるということが明確にされるのだという御答弁なのであれば、今回の案ではないんですけれども、その趣旨を明確にするという法改正や、あるいは広報、周知も含めて検討をこれからすべきではないかと申し上げておきたいと思います。
 趣旨はそうなのだというふうにおっしゃりながら、けれども現実の構成要件は、先ほど指摘をしたように、性欲を興奮させ又は刺激するものという要件があって、これを一般人を基準として判断をする以上、例えば公然わいせつなどにおけるわいせつ性という概念と厳密には一致はしていませんが、ですが、わいせつ性と似通った判断を捜査機関そして裁判所が行うということになるんだと思うんです。しかも、七条一項に言う「自己の性的好奇心を満たす目的」という目的規定にしたことによって、限定されていないとは言いません、限定されていないとは言わないが、しかし主観的要素がこの犯罪の成立に関わるということになるということなんですね。
 そこで、まず警察庁にお尋ねしたいと思うんですけれども、性欲を興奮させ又は刺激するものか否かというこの判断は捜査の段階においてはどうやって行うんですか。
○政府参考人(宮城直樹君) お答え申し上げます。
 先ほど法務省の方からも、この性欲を興奮させ又は刺激するものについての答弁がございました。その判断の要素といたしまして、例えば性器等が描写されているか否か、あるいは、例えば動画等の場合ですと、その動画の占める割合の問題、それから児童の裸体の描写方法、こういったものを総合的に検討して判断をすると、こういった考え方に基づいて個別の事件の摘発をしてまいると、このように考えてございます。
○仁比聡平君 個別の事件において、そうした性欲を刺激するなり興奮させるなりというふうに言えるかどうかを判断するんだと。これは捜査機関のまず判断に委ねられるということになるわけなんですね。
 いわゆる三号ポルノについて、今回の改正案で付加されようとしている「殊更に」とかあるいは「強調」というこの構成要件というのはどう判断されるのか。警察庁に引き続き伺いたいと思いますが、強調されているかどうかというのは、これはもちろん一つ一つの画像の個別具体的な判断でしょうから、結局その現場での判断ということになるのではありませんか。
○政府参考人(宮城直樹君) お答え申し上げます。
 この法の二条三項三号の「殊更に」というのは、一般的には合理的な理由がなくわざわざと、この意味でございます。これは、例えばその画像の内容が性欲の興奮や刺激に向けられているかどうか、また、そういったふうに評価されるかどうかと、こういったことを判断するために加えられたものというふうに考えてございます。
 したがいまして、その判断でございますが、例えば性的な部位が描写されているかどうか、児童の性的な部位の描写が画像で占められるのはどの程度になっているか、こういったことを個別のその映像、画像に基づきまして判断して摘発してまいると、こういうふうに考えてございます。
○仁比聡平君 その判断というのは極めて曖昧で、今日質疑で出た議論ですので通告はしていないんですが、答えられればでいいんですけれども、先ほど真山議員がCGの例を挙げられました。実在の児童を描写していればこれに当たるのだと。CGは当たらないが、CGが実在の児童を描写するものであればこれに当たるのだという提案者の御答弁だったと思うんですが、警察庁、これどんな場合に実在をしている児童を描写しているという判断がされますか。
○政府参考人(宮城直樹君) 実際の児童を描写するということでございますが、例えばですが、まさに普通のアニメーションから作られたようなCGというのがございます。一方で、本当にその実際の、実在の画像から作られたもの、CGがございます。ですから、その中で、実在するその写真から作られた、それを加工して作られたもの、それにどれぐらい近いかと、こういったことで個別の判断をしてまいると、このようになろうかと思います。
○仁比聡平君 例えば顔が特定できるとか、体つきが特定できるとか、何か示せますか。
○政府参考人(宮城直樹君) いわゆる児童であるか、恐らく今のお話は児童であるかどうかということに関連するかと思います。
 我々の摘発する側といたしましては、仮に児童で、その児童の人定といいますか、どこの誰さんだということが分からなくても、要するにその画像がまさに児童に係るものであると、もう児童ポルノであるということが分かればそれは摘発するものでございます。
 したがいまして、その場合には、例えば、先ほど他の答弁にございましたですけれども、いわゆる医学的な方法を用いまして専門家の方に鑑定をしていただいて、そういった中でこれが児童に係る画像であると、こういったものを判断して摘発すると、こういうふうになるかと考えてございます。
○仁比聡平君 その実在する児童との特定さえされれば当たるのだということになれば、十八歳未満の例えばアイドルの顔を使ったCGというのも当たり得ると、当たると決め付けませんけれども、当たり得るというふうになると思いますが、先ほど御答弁された提案者の方、そういう趣旨ですか。
○衆議院議員(西田譲君) 先生の問題意識は本当に大切なところだと思います。
 あくまで実在の児童を描写したものであるかどうかということでやはり判断をしなければなりませんので、たとえCGであったとしても、仮にそうであるのであれば児童ポルノに当たる場合があり得るということでございます。
○仁比聡平君 という御答弁であれば、全く構成要件としては外延は明確ではないでしょう。
 自己の性的好奇心を満たす目的という七条一項の主観的要件について伺いますけれども、これについては、先ほど来、客観的に表れている事実を見て判断するのであるという趣旨の御答弁が刑事局長からもあっているんですが、改めて、この目的とは何か、どう判断するのか、お聞かせください。
○政府参考人(林眞琴君) 一般論として申し上げますと、これは目的犯でございまして、目的犯におけるこの目的、自己の性的好奇心を満たす目的、これを立証する場合には、当該の具体的事案におけるまず客観的事情を基本といたしまして、かつ、被疑者、被告人を含む関係者の供述をも踏まえて行うものと考えております。
 したがいまして、この自己の性的好奇心を満たす目的につきましては、児童ポルノを所持するに至った経緯、所持している児童ポルノの内容や量、また所持の態様など、これらが客観的な諸事情となりますが、こういった客観的な諸事情を基本としながら、それに関係者の供述を総合して判断することになると考えます。
○仁比聡平君 そうした事情を総合して判断をするというのも、まずは警察の判断に委ねられてしまうということは指摘を先ほどしたとおりですが、例えば先ほど例として出された、一旦所持をしていたものを削除したが復元プログラムを持っていた場合に、復元する意図があるかどうかということが判断要素として述べられました。
 そうした点も含めて、この主観的要件を満たすかどうかというのは、つまりは捜査を遂げてみないと分からないということですね。児童ポルノ一、二、三号とに該当し得る画像を自己の支配に置いているという人を見付けたときに、この自己の性的好奇心を満たす目的で所持をしているのかどうかというのは、つまり様々なことを調べてみないと分からないということになるわけです。
 となると、その行為者が、このまま自由にしていると証拠を隠滅するのではないか、あるいは逃亡をするのではないかというおそれが捜査機関によって判断され裁判所が令状を出すということになれば、逮捕され得る、勾留され得るということになりますよね。たとえ、裁判で後になって、いや、そういう目的はなかったということで無罪にされるとしても、そういう意味で処罰されないとしても、そうした捜査機関の強制捜査の対象となる。当然、自宅ないし立ち回り先のパソコンなどはガサ入れの対象になる。そういう理解でいいですか。刑事局長。
○政府参考人(林眞琴君) あくまで、その捜査におきまして、刑事訴訟法の要件に従いまして、あるいは逃亡のおそれ、あるいは証拠隠滅のおそれ、こういったものを、令状請求したときにそれを、裁判所にそういうものがあるということが認定される、そういった資料を提供するまず必要がございます。その上で、刑事訴訟法の要件を満たすとなれば令状が出されて、それに基づいて捜査が行われるということになると思います。
○仁比聡平君 私は、必ず濫用されるというふうに言っているつもりはないんです。そういう規定でしょうと、この改正案はと申し上げているんですが。
 三条について伺います。
 適用上の注意という表題になっているわけですが、「学術研究、文化芸術活動、報道等に関する国民の権利及び自由を不当に侵害しないように留意し、」という規定ですけれども、これは、構成要件該当性や違法性阻却あるいは責任を阻却するというものではなくて、こうした行動であっても犯罪としては成立するのだと昨日、法務省のレクチャーで伺いましたけれども、刑事局長、そういう理解でいいですか。
○政府参考人(林眞琴君) この三条の規定でございますけれども、基本的にこういった本法の適用上の注意をしたものでございます。特に、学術研究、文化芸術活動、報道といった、こういった本法の規制と密接な関係を有する国民の権利、自由を今回の法改正で例示として追加して、かつ、その追加されたものを考慮して本法の全般の適用上の注意を規定としてここに掲げられたものと理解しております。
○仁比聡平君 つまり、犯罪としては成立すると。つまり、児童ポルノ一、二、三号に当たり、それを所持をしており、そのときに自己の性的好奇心を満たす目的であるというふうに認定をされれば、それは犯罪としては成立するということですよね。
 当然、自己の性的好奇心を満たす目的と、学術研究、文化芸術活動、報道等ということが、その自由、権利が両立し得ないというのであれば犯罪の成否は明確だということになるのかもしれませんけれども、先ほど来の議論でも、それが混在するなり、厳密に切り分けられないなり、そういう場合は逃れさせてはならないというような御答弁もありましたよね。例えば学生が、あるいは大学院生が、こういう児童ポルノや虐待ということについての研究を行おうという目的で世界中に流布されている画像をその資料として蓄積しているという場合を、先ほどの議論では、学術目的だからという言い訳だけで逃れさせてはならないという趣旨の御答弁がありました。
 これは、つまり、そうした場面でも、七条の一項の要件を満たすのではないのかということが厳密に捜査の対象になるということなんでしょう。発議者。
○衆議院議員(遠山清彦君) 法務省の刑事局長からも御答弁があったかというふうに思いますけれども、この学術研究の目的で集めていても、実際には、客観的証拠から自己の性的好奇心を満たす目的を持って自己の意思に基づいて所持するに至ったと立証された場合は処罰の対象になり得るという理解でございますので、これ、先ほども佐々木さやか議員からも御質問ありましたけれども、正当な目的の中に学術目的は当然に入るわけでございますから、もし正当な業務行為であるとすれば、刑法三十五条上、違法性が阻却されるという解釈も私ども理解をしておりますので、そこは、それぞれの個別な事例における客観的な証拠で、本当に学術目的で所持に至ったのか、そうではないのかということを、やはり収集した証拠に基づいて当局が立証されない限り処罰はされないと、こういう理解でいるところでございます。
○仁比聡平君 そうした御答弁でも犯罪成立の外延が明確になったと私には思えないんですね。
 アメリカやカナダの児童ポルノをめぐる規制については、例えば恋愛関係にある男女の間の性的行為の記録という概念が議論されているようでございまして、例えば日本でも、婚姻適齢を、婚姻要件の年齢を考えても、十八歳未満の女性と男性がそうした性的行為に及ぶ、それを自分の記録として保管するということはあり得ることで、これだけインターネットや動画撮影も可能になっている社会において、そうしたら、それを全て単純所持だといって禁ずるのか、そういう議論さえ起こり得るわけですが、私は、そういう場合、つまり個人の私的領域に刑罰をもって立ち入るということは、それはすべきではないのではないかと思いますけれども、提案者、いかがでしょうか。
○衆議院議員(遠山清彦君) 仁比委員、これも個人的な、今おっしゃったような恋愛関係とかあるいは法律上婚姻している関係の男女においての性的行為を自らの意思で記録に撮ったものの所持についてどう扱うかということでございますが、特に今回の場合、児童ポルノでございますので、女性あるいは男性どちらかが十八歳未満というケースに限られるとは思いますけれども、これは、私的な記録として所持をしている場合と、それを他の目的、つまり、例えば他者に頒布する場合には、その他者の性的好奇心を満たす目的というところに該当するような形態の中でそういう事案が出てきた場合には、当然に児童ポルノの所持という定義に合致するケースもあり得るかと思います。
 しかしながら、単に婚姻関係にある男女が私的に記録で撮ったビデオを所持していることだけをもって、即この児童ポルノの禁止法の処罰対象になるとは考えにくいかと思っております。
○仁比聡平君 その御答弁はもっともだけれども、それは法文上は明確でないと思います。
 児童ポルノを根絶するという観点で少し議論を進めたいと思うんですけれども、イタリアの児童虐待・児童ポルノ防止団体に虹の電話というふうに呼ばれているNGOがありますが、二〇一一年二月の報告によりますと、九六年以来、インターネット上で流通している児童ポルノや虐待の動画像というのは三十三万五千件以上に上ると。その流出元はヨーロッパが五四%、北米が四三%であるというのです。つまり、ほとんどが欧米だという調査なんですね。その報告では、日本発のものは二〇一〇年で順位でいうと十七位、ワーストワンは米国で、二位はドイツ、そういった報告もされているわけです。二〇〇九年の段階でこの団体が確認したサイトというのはおよそ五万件で、日本はそのうち五十四件で〇・一%であると。
 そうした指摘がありまして、こうした欧米諸国では単純所持を罰則化すると、そうした規定が先行しているわけですが、この単純所持を処罰化したからといって、製造やあるいは流出、提供といった、とりわけインターネット上の拡散を防止するという効果があるとは言えないのではないのか、処罰規定はむしろ成功していないのではないのかという意見もあるんです。
 これ、警察庁にお尋ねしたいんですが、日本政府として、世界のインターネットを中心にした、国際的に児童ポルノというのがどんな実態にあって、その中で日本の行為者やプロバイダーなどがどんな役割を果たしているのか、そういった調査というのは行ったことがあるんですか。
○政府参考人(宮城直樹君) お答えいたします。
 児童ポルノに係る電磁的記録でございますが、これはインターネットを通じてオンラインで流通するということでございまして、その全貌を把握することは極めて困難というふうに考えてございます。
 ただ、我が国について言いますと、これは捜査の現場の感触でございますが、外国の捜査機関からの積極的な情報提供や捜査協力の申出が増えてございます。こういったことから、日本に関わるものが増加しつつあるのではないかと、このような認識はしてございます。
 いずれにしましても、国際的な捜査協力を推進することによりまして、我々としては児童ポルノの事犯に的確に対処してまいりたいと、このように考えてございます。
○仁比聡平君 今の答弁でお分かりのように、そうした調査はないんですよ、していないんですよ。現場の肌感覚で増えているというのは、先ほどの統計の数字でも、それは私もそう思いますよ。だけれども、どうやって根絶するかということを真剣に考えるには、その調査をしないと、実態をと思います。
 もう一つ、先ほども話題になりましたが、昨年五月に第二次児童ポルノ排除総合対策が犯罪対策閣僚会議として出されているわけですね。
 ここで、私、特に捜査の中でも被害児が特定されていく、六百数十人というお話が先ほどもありましたが、その一人一人の児童がその後どう保護されているのか、その点は極めて重要なことだと思うんですが、どうも、昨日来伺いますけれども、昨年の五月以降、そうした関係省庁の間での連携、例えば警察が、そうした被害児が特定されたときに例えば児童相談所に通告をする、そうした行動がどうなっているのか、実情が。その通告をされた後、児童相談所でどんな苦労があっているのか。あるいは、被害児にPTSDを始めとしてどんな苦しみが発現しているのか。そうした意味での連携ということが着目されていないのではないのか。
 それぞれの機関が一生懸命やっておられるのは私は信じたいと思いますが、だけれども、連携して児童ポルノの被害児に対してどう臨むべきかという認識はないのではないかと思うんですけれども、厚労省、おいでいただいていますが、いかがですか。
○政府参考人(鈴木俊彦君) お答え申し上げます。
 児童ポルノ事犯は多くの場合、御指摘のように、警察の捜査を通じて把握されることになります。警察におきましては、少年サポートセンターにおきましてカウンセリングの実施が行われていると承知いたしております。そのプロセスにおきまして、その児童について保護者による監護が不適当な場合など、児童相談所の関与が必要と警察が判断した場合には児童相談所への通告が行われているところでございます。
 そこで、児童相談所におきましては、こうした通告を受けた場合に、児童心理司によるカウンセリングでございますとか、あるいは児童福祉司による指導、援助を行う、医療ケアが必要な場合には病院等の専門機関をあっせんする、さらに、緊急の保護を必要とする場合には一時保護、生活の立て直しが必要な場合には、場合により児童福祉施設に入所させるなどの支援を実施しているところでございます。
○仁比聡平君 児童相談所に引き続き私は頑張ってもらいたいと思いますけれども。
 大臣に、時間が参りましたので、二点だけお尋ねを最後にしたいと思うんです。一つは、今の児童ポルノの加害被害の実態の国際的な調査をすべきじゃないか、加えて連携を強めるべきじゃないかという点が一つ。もう一つは、この児童ポルノ法も今度対象範囲に拡大しようという通信傍受についてなんですけれども、これ、どうも警察庁にお尋ねをしても、この中身を聞かせてはもらえないような現況になっておりまして、ちょっと今日質疑をする時間はなくなっているんですが、この政府の今の案には、現行法で処罰対象となっている行為についての通信傍受も対象にするという提案なんですね。
 これ、今度の改正で七条一項が新設されるとなれば、これも含めて通信傍受の対象犯罪という提案を、進んでいく方向があるんですか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今回の改正法案、それからいろいろなその対応、議員立法でやっておられる最中、法務大臣としてお答えが大変しにくい、ですから踏み込んだことは私は申し上げません。
 ただ、私自身、平成十一年にこの法案ができる前、当時、準備の段階は自社さ政権だったと私の記憶では思います。私、その与党の児童ポルノ・児童買春法を作るときの座長を務めておりまして、法案を提出するときは閣僚になっておりましたので提案者にはなっておりませんが、私自身としても非常に思い入れのある法律、今日改正を審議していただいているんです。当時、私どもが気付いていなかったこと、それから、当時にはそういう事態がなかったこと等々についていろいろこの委員会でも熱心に御議論されていることにまず心から敬意を表したいと思っております。
 その上に、やはり、先ほど警察からの御答弁もございましたけれども、特に当時は意識していなかったインターネット上のものが非常に出回ってくることになりますと、国際的な連携というのは、委員の御指摘のように、これは極力図っていかなければ効率的な児童ポルノの根絶というのはできないだろうと思います。どういうふうに実態を調べていくかということはこれは工夫をしなければなりませんが、この犯罪実態がどこにあるかということは我々も今後十分関心を持って取り組んでまいりたいと、このように思っております。
 それから、今、通信傍受のお話がございました。これは今法制審で御審議中でございますので、私は、法制審でどういう結論を出していくか、バランスの良い結論を出していただきたいと思っておりますが、今私の立場で御報告できる段階ではまだございません。
○仁比聡平君 終わります。
○谷亮子君 生活の党、谷亮子です。
 本日の議題につきまして伺ってまいりたいと思います。
 平成十一年に超党派の議員立法によりまして児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律が成立いたしております、いわゆる児童ポルノ禁止法でございますけれども。そして、平成十六年に法改正が行われまして、本年、平成二十六年に十年を経過いたしまして、今回改正が行われるわけでございますが、その背景には、インターネット等の普及や発達、そしてまた急速な発展によりまして、児童が児童ポルノの被害に遭うということが年々増え続けてきているということもございます。
 また、児童ポルノの被害は国際社会におきましても大変深刻化いたしておりまして、G8加盟国のアメリカ、イギリス、イタリア、カナダ、ドイツ、フランス、ロシア、日本は、これまでも、二〇〇七年のミュンヘン会議、そして二〇〇八年の東京会議、二〇〇九年のローマ会議におきまして、司法・内務大臣会議で毎年、児童ポルノを非難、弾劾し、G8加盟国は闘うということを宣言していらっしゃいます。
 そして、先日、フランスのAFP通信は、今回の改正案が衆議院を通過した時点での報道の中で、日本が今日、児童ポルノ所持の禁止に近づいた、日本はまだ禁止していない先進国で最後の主要国だと報じられたと伝えられておりました。
 そこで、発議者の方にお伺いさせていただきたいと思いますが、児童ポルノ単純所持罪を設けるべきとの国際社会からの強い要請もある中で、今回の改正によって期待できるところはどのようなところでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
○衆議院議員(遠山清彦君) 谷委員にお答え申し上げます。
 まず、先ほどのAFP通信の報道は私は知らなかったものですから、御指摘いただいてありがとうございました。是非この参議院におきましてもしっかりと成立をさせていただければと思っているところでございます。
 先ほど委員のお話の中にも御指摘がありました国際社会の動向につきましては、G8のうち単純所持規制を設けている国はロシアと日本以外の国々でございまして、そういう意味でかなり長い間、日本は他のG8諸国、ロシアを除く諸国から、あるいは国連関係の委員会等から、早くこの単純所持を処罰化するように求められてきたところでございます。
 一例だけ挙げますと、平成二十二年の六月十一日には、国連の児童の権利委員会による報告書が出されまして、これは元々日本が、日本政府が児童の権利に関する条約議定書に基づいて出した報告書に対する審査報告書でございますけれども、この中で、日本において児童ポルノの所持が依然として合法であることに懸念が表明をされて、児童ポルノの所持を犯罪化すべきであるということが指摘をされておりました。
 私ども提案者といたしましては、先ほど来答弁繰り返しておりますとおり、自己の性的好奇心を満たす目的での児童ポルノの所持を罪とするということにいたしまして、今申し上げたような国際社会の要請に少々遅まきながらしっかり応えていくということを考えております。
 そして、この今回の改正案が成立することによりましてどのようなことが期待されるかということでございますが、やはり児童買春の相手にさせられた若い女性の皆様方のお話や、あるいは、まだ自分で余り考えが及ばない年齢のときに、いろんなケースがございます、私個人的に相当怒りを持って聞いたケースもあるわけでございますが、親戚のおじさんにだまされて、数年間にわたって幼い頃から裸にさせられて写真を撮らされたり動画を撮らされたりということが中学校入る前まで継続的に続いて、そして途中でこれはおかしいのではないかということをその相手に言ったところ、今度、親にばらすぞと、学校にばらすぞと脅されてそのまま黙っていたけれども、自分自身が成人期を迎えて、自分が子供の頃にどんなことをされていたのかということで、自殺未遂に至ったり、あるいはその当時撮られた写真とか動画等がインターネットを通じていろんなところにばらまかれているのではないかと、そういうところに思いを致しただけで死にたくなってしまうと、そういうような方々が残念ながら日本でも実際にいらっしゃるということからいたしますと、今までももちろん、谷垣大臣が先ほどおっしゃっていたように、平成十一年の制定時から、例えば児童ポルノを製造したり提供したりすることは罪であったわけでございますが、そういうサプライサイドはきちんと処罰の対象にしてきたわけですけれども、所持することを罰してこなかった。つまり、英語で言うとデマンドの方ですね、需要の方を処罰してこなかったという不備があったわけでございまして、これが今回の法改正によりまして所持も原則として処罰化されると。
 そして、その理念につきましても、法律の三条の二で、先ほど来議論されておりますとおり、児童に対する性的搾取、性的虐待は誰人もしてはならないということを理念として明確化したということでございまして、先ほど来、山田委員始め様々な方々からまだまだ不備があるという御指摘があって、そこは今後また、議員立法でございますから立法府の議論を踏まえて検証していかなければいけないと思いますが、しかし、今回の改正によりまして大きな改善が図られると、児童の権利を守るための大きな改善が図られると考えております。
○谷亮子君 ありがとうございました。
 今お話を伺っておりまして、やはり児童の心体的立場に立った改正でなければならないということが、これもう大前提であるというふうに思いますし、国際社会の中においても、やはり児童ポルノに対する深刻化、また課題というのが今後も続いていくということが明らかでありますので、そうしたことで今回、日本においては法改正が行われ、自己の意思に基づいて所持するに至った者に対しましては一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処するという単純所持罪が新たに改正案の中に盛り込まれているということで、やはりこうした単純に所持している場合に対しても罰せられることがなかったということで、今回新たに改正されるということで一歩前進かなというふうに受け止めさせていただいております。
 そして次に、インターネット上におけるブロッキングについて総務省にお伺いさせていただきたいと思います。
 インターネット上の児童ポルノ画像の流通、閲覧防止策であるブロッキングにつきましては、犯罪対策閣僚会議におきまして、政府が、事業者によるブロッキングの主導的導入に向けた環境整備を積極的に行うとされておりまして、優先度の高い事業となっております。
 そこで、総務省におかれましては、平成二十三年から平成二十五年度までに約十四億円の予算を計上し、ISP、インターネットサービスプロバイダーの規模に応じたブロッキング方式の開発、実証実験を行い、その成果として報告書を取りまとめられております。また、このことに基づきまして、プロバイダーがブロッキングを円滑に導入するための事業者によるガイドブックを策定するとともに、ブロッキングの導入に慎重な地域のISP等を中心に、これらを活用して、普及啓発活動を積極的にこれは実施されていらっしゃいます。また、実証実験連絡会には、多くのユーザーを持つ多数のISPや通信事業者団体、児童ポルノサイトアドレスリスト作成管理団体等、幅広く関係者がこちらの方には参画されていらっしゃいます。
 そこで、インターネット上の児童ポルノの画像や動画の閲覧を防止するブロッキングに関する取組につきまして伺いたいと思いますし、もう一点、実証実験の成果につきまして、総務省に併せてお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(安藤友裕君) お答え申し上げます。
 児童ポルノのブロッキングにつきましては、平成二十三年三月に、ブロッキングを行うプロバイダーなどの民間事業者により構成されるインターネットコンテンツセーフティ協会、いわゆるICSAが設立され、同協会がブロッキングの対象となる児童ポルノ画像の判断をするなど、民間における自主的な取組として進められてきているところでございます。
 こうした中、今委員御指摘のとおり、総務省では、プロバイダーの規模などに見合った精度の高いブロッキングを導入可能な環境を整え、事業者による自主的導入を一層促進するため、平成二十三年度から平成二十五年度までの三年間、実装に適したシステムの開発でありますとかその実証を行ってきたところでございます。
 具体的には、ブロッキング方式には、ドメイン、これはインターネット上の通信の相手方を特定するために付けられる名称のことでございますけれども、このドメイン単位で児童ポルノ画像にアクセスする通信を検知しブロックするいわゆるドメインネームシステムブロッキング方式や、ドメイン単位でのブロッキングと、URL、これはインターネット上に存在する画像等の場所を示す記号のことでございますけれども、このURL単位でのブロッキングの混合方式でありますハイブリッド方式などがあるところでございますが、それぞれ、ドメインネームシステムブロッキング方式の場合、技術面及びコスト面での実装が容易である一方、児童ポルノ以外の適正なサイトなどをブロッキングしてしまうといういわゆるオーバーブロッキングを発生させるおそれがあるという課題があり、また、ハイブリッド方式の場合には、よりきめ細やかなブロッキングが可能であり、オーバーブロッキングの発生を抑制できるものの、多額の設備投資などを要するといった課題が挙げられていたところでございます。
 実証実験においては、これらの課題を踏まえ、ブロッキングの精度の向上に向けたシステムの開発を行うとともに、ネットワークに過大な負荷を与えないかどうかや、共同利用による導入、運用コストの低減化の実現可能性などについて検証を行ってきたところでございます。
 その結果、ブロッキングの精度が高いハイブリッド方式についても、ネットワークへの過大な負荷を与えることなく、かつ、複数のプロバイダーでシステムを共同利用することなどにより比較的低廉なコストで導入することが可能であることなどが確認されたところでございます。
 このように、総務省といたしましては、児童ポルノのブロッキングに関し、民間による自主的な取組を支援しつつ、必要な環境整備を図ってきているところでございます。
○谷亮子君 ありがとうございました。詳しく御説明していただきました。そのとおりであるというふうに思います。
 そして、やはり民間による協力というのが非常に重要であるということと、さらにはその開発、実証実験によってそれらに対する課題という、先ほどもお話ありましたけれども、オーバーブロッキング等の課題、こちらの方にも今後さらに実証実験、そして開発、さらには支援等、やはり国がしっかりとその辺を拡充して更なる取組というものも私、期待してまいりたいと思っておりますし、応援してまいりたいとも思っております。
 そして、やはりブロッキングについて国際社会に目を向けてみますと、G8では、ドイツ以外の日本を含む全ての国で何らかのこれはブロッキングの対策が行われておりますけれども、イタリア、ロシア、フランスではブロッキングに対しましては法律に規定が既にございまして、その他の国では、これはブロッキングに対しては自主的に実施されているということがG8諸国における児童ポルノ対策に関する調査におきまして平成二十五年三月に報告されておりました。
 また、日本におきましては、ファイル共有ソフトネットワーク上の流通、閲覧防止対策の推進はなされておりますけれども、通信の秘密に不当な影響を及ぼさない運用等にもこちらは配慮されつつ、児童の権利を保護するとの観点から、こちらは関連事業者との連携をして、そして更に取組を進めていっていただきたいなというふうに思っています。
 そこで、総務省に続けてお伺いさせていただきたいと思いますが、ブロッキングに関する取組、ただいま御説明いただきましたけれども、今後更なる取組というのがまさに今必要とされておりますので、その展望等ございましたらお聞かせいただきたいというふうに思います。
○委員長(荒木清寛君) 安藤電気通信事業部長、簡潔に答えてください。
○政府参考人(安藤友裕君) お答え申し上げます。
 児童ポルノブロッキングにつきましては、先ほど申し上げましたような民間による自主的取組などの結果、平成二十五年八月時点で、このブロッキングを実施している事業者の国内インターネット利用者カバー率は八〇%となっているところでございます。
 こうした中、総務省といたしましては、今後、児童ポルノブロッキングの一層の普及を図っていく上で、特に中小のプロバイダーにおける自主的なブロッキングの導入が促進されることが重要であると認識しているところでございまして、こうした観点から、これまでの三年間の実証実験の成果を踏まえ、実証実験で得られた各ブロッキング方式の有効性やブロッキングの精度、導入、運用コストなど、ブロッキングの円滑かつ的確な導入に必要な情報を取りまとめたガイドブックなどを中小プロバイダーなどに広く普及することで、プロバイダーの規模に合った精度の高いブロッキング方式の自主的な導入を一層促進してまいりたいと思っておりますし、こうした取組による普及促進、あるいはその後の技術の進展、いろいろあろうかと思います。そういったところについては、またその必要に応じて的確な対応について関係団体とも協力しながら、専門的な知識を持っている団体いっぱいございますので、そういった団体とも協力、連携しながらしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
○谷亮子君 ありがとうございました。
 やはり、これからは更にそうした中小のプロバイダーの皆様、協力してくださる事業者の皆様の協力と、またそうした推進していくという姿勢が必要なのだということでございますし、またさらには、そうしたインターネット上の制度の問題であったり高技術な問題というのが年々発展してきていますし、日に日にこれは変わってきているという状況がありますし、取り消されてもまた更に再生していくというようなことで、非常に複雑多様化しているという現況がありますので、その辺も引き続き御検討と更なる取組をお願いしてまいりたいというふうに思っています。
 そして次に、警察庁にお伺いさせていただきたいと思います。
 警察庁の発表によりますと、二〇一三年度中の児童ポルノ事犯の送致件数は千六百四十四件と、前年よりもこちらは四十八件増加をいたしておりまして過去最多となっております。このうちファイル共有ソフトを利用した事犯の送致件数は五百七件を占めておりました。
 そこで、警察庁にお伺いさせていただきますが、総務省のブロッキング対策の実証実験において得られた成果などを踏まえた上で、ファイル共有ソフトの現況と課題、そしてまた今後の方針につきまして、その後どのように取り組んでいかれるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(宮城直樹君) お答えをいたします。
 インターネット上の児童ポルノでございますが、これにつきましては、まず削除ということを我々は考えてございます。これは警察による削除、それから警察の委託を受けたインターネット・ホットラインセンター、これより削除の依頼をするということでございます。
 その次に出てまいりますのが、今委員から御紹介ありましたブロッキングでございます。いわゆるこれはインターネットサービスプロバイダーによる自主的なブロッキングということでございまして、警察庁あるいはインターネット・ホットラインセンターでは、児童ポルノを掲載するアドレスの情報をこれらの団体に、あるいはISPにお伝えすると、そしてそこでブロックしなさいと、こういった形で支援をするという形をやってございます。
 しかしながら、先ほど委員からも御紹介ございました、このブロッキングによる対策が非常に困難なものとしてファイル共有ソフトがございます。P2Pでございます、ウィニー、シェアでございます。こういうものにつきましては、まずはこれは取締りだろうということで考えてございまして、先ほど委員からも数字の御紹介ございましたですが、最近では平成二十五年中に五百七件、二十四年中に五百十九件、二十三年中に三百六十八件と、どんどん数が増えてまいりますが、こういった数の摘発しておるところでございます。
 さらに、この取締りに加えまして、ファイル共有ソフトにつきましては、今ありました総務省、あるいはインターネットコンテンツセーフティ協会と連携いたしまして、プロバイダーの自主的な協力を得まして、このファイル共有ソフトのキャッシュフォルダからの流出、これは要するに、ファイル共有ソフトを入れているそれぞれの人のそのソフトの中にありますフォルダの中に児童ポルノが入っているという状況でございます。これを自ら削除してくださいと、こういったお願いをインターネットサービスプロバイダーについてお願いするという形の取組にしてございます。
 ただ、この児童ポルノでございますが、他の犯罪と同様、捜査手法でありますとか各種対策、ブロッキングもございました、こういったものの進展に対応して、向こう側といいますか、相手方も手口をいろいろ変えてございます、高度化してまいります。こういったものに対しまして、警察といたしましても、総務省を含め他の関係団体あるいは機関と協力いたしまして、時機を失せずに的確に対応できるように努力してまいりたいと、このように考えてございます。
○谷亮子君 ありがとうございました。
 やはりアップされた時点で警察としては削除していくということがまず取られる方法であるということが分かりましたし、今後、関係団体さらには関係省庁がやはり連携をして、警察庁とまた更に連携を密にして、その取組というのが行われていくということを期待申し上げてまいりたいというふうに思っています。
 そして、次に発議者の方にお伺いさせていただきたいと思いますが、今回の改正案では、七条一項に児童ポルノを所持した場合の罰則が新たに設けられましたけれども、所持をしている場合の罰則、刑罰についてはどのようになりますでしょうか、改めてお聞かせいただきたいと思います。
○衆議院議員(遠山清彦君) お答え申し上げます。
 刑罰、罰則の中身でございますが、これ、委員も先ほどの御質問の中で自らおっしゃっておりましたけれども、改正案七条一項は、自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持あるいは保管した者につきましては、そう認定された場合には、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処するという規定でございまして、いろんな見方あるかと思いますが、厳罰化させていただいたというふうに思っております。
 ただ、一点留意していただきたいのは、自己の性的好奇心を満たす目的に加えまして、この本罪が成立するためには、処罰されるという状況になるためには、今回の条文の括弧書きに、自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者ということで、自己の意思に基づいて児童ポルノ所持に至った場合に限定する、明確化するということもはっきりとさせていただいているところでございます。
 また、今回の法律は、施行されてから一年間はこの七条一項の罰則を適用しないということになっております。これは、立法者の趣旨といたしましては、今回の法改正の施行前から持っている児童ポルノにつきましては一年間罰則が適用されません、罰せられませんので、その間に廃棄等の処分をしていただきたいということでございますが、この一年間の経過措置の後に自己の性的好奇心を満たす目的を持って児童ポルノを所持をしていると、そしてそれが自らの意思で所持するに至ったということが客観的に証拠関係で推認される、認定されるということになった場合には、冒頭申し上げました罰則が適用されて処罰をされると、こういうことでございます。
○谷亮子君 改めて御説明いただきまして、ありがとうございました。
 今回一年の猶予があるということで、さらに、ただいま御説明していただいたとおりに、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金ということで、単純所持罪がこうして新たに設けられたという現況でございますが、もう一点伺いたいんですけれども、実務者協議におきまして、その点で、先ほどお話の中にありましたけれども、厳罰化についても十分話がされたというふうに思いますけれども、厳罰化というよりも適正化ですね、につきましては、こちら、実務者協議におきましてどのような議論が行われたのか、少し御紹介いただければと思います。
○衆議院議員(ふくだ峰之君) お答え申し上げます。
 衆議院法務委員会の理事会の下に置かれました児童ポルノ禁止法改正に関する実務者協議会、私たちでございますが、におきましては、自己の性的好奇心を満たす目的での所持罪のほか、実は盗撮による児童ポルノの製造罪というものも新設をしておりまして、こうした議論も行いました。
 既存の罪の法定刑の引上げに関する議論は、実は深く、深くといいますか、なされなかったのが現実でございます。これは、前回改正から十年が経過いたしまして、この間、インターネットの発達によりまして、先ほど来議論に出ておりましたが、児童ポルノの被害に遭う児童の数が増えているわけですよね。それで、児童ポルノの単純所持罪を設けるべきだという国際世論の要請もございました。ですから、一刻も早くこの単純所持罪を創設すべきという立場で実は私たちは議論を行っておりましたので、まずそれを早く解決しようということを先行させていただいたわけでございます。
 もっとも、先生も御指摘いただきましたけれども、この既存の罪の法定刑の引上げという問題は、私たちは認識していなかったわけではございません。ただ、この必要性を含めまして、この法案が通った後にでもまた、重要なテーマでございますので、今後の検討課題と認識をさせていただいているところでございます。
○谷亮子君 ありがとうございました。
 やはり協議の中ではいろいろな角度から、この厳罰化についてもそうですし、盗撮に対しても議論が行われたということで、今回、改正案が成立した場合には、その後にまた更にそうしたいろいろな部分での議論というのが深められて、そしてまたより良い法律ができていくということを期待申し上げてまいりたいというふうに思っております。
 そして、今後のそうした議論の中にも関係してくるとは思いますけれども、こちらは刑事局長に伺いたいと思うんですけれども、最近のこれは事例でございますが、栃木県の女児殺害事件の事例では、犯人とされる者が児童ポルノの画像等を所持しており、殺害した女児の写真を撮影しておりました。また、二〇〇四年に発生した奈良県小学校一年生の女児殺害事件におきましては、犯人が自宅に児童ポルノビデオを八十本から百本所持をしておりましたし、二〇一〇年に長崎県で女児五人に対して強制わいせつ罪で逮捕された犯人は、わいせつ画像を撮影し製造しておりました。また、二〇一一年に発生した熊本県の幼児殺害事件におきましては、犯人の自宅から少女の、こちらは服を着用していない姿を描いたポルノ漫画が多数押収されるなど、他の児童ポルノ画像を所持しているということも分かっておりました。そして、いずれの事件におきましても、わいせつ事件の強制わいせつ罪と殺人事件でございましたが、殺人罪のみが問われていたという事例もございます。
 そこで、児童ポルノの製造、所持などにつきましても一括して刑を量定し、併合罪として処断されるべきと私は考えるんですけれども、法務省としてはどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか、お伺いします。
○政府参考人(林眞琴君) お尋ねのような場合に、殺人罪の捜査の過程で例えば児童ポルノの製造でありますとか所持等が発覚すると、こういった場合があります。あと、こういったときにその両者の関係は併合罪という形になるわけでございます。
 こういった一連の複数の犯罪、併合罪をどのように捜査し処理するかというのは、もちろん個別の事案でその証拠等を踏まえて判断すべきことでございまして一概にお答えはできませんけれども、いずれにしましても、こういった一連の犯罪について犯罪ありと思料すれば、それを捜査を遂げまして法と証拠に基づいて適切に対処すべきものと考えております。
○谷亮子君 やはり併合罪として認めていくためには、児童ポルノとして被害に遭った児童、そして児童ポルノの被害に遭った児童が殺害されたということを何らかの形で立証しなければ、つながらなければ、それは一つずつの罪に問われるということになって個別の事案になるということでございましたけれども、やはりそうした併合罪ということが、それぞれによって法と証拠に基づいてそれは刑が決まっていく、罪が決まっていくということになっていくというふうに思います。
 私は、こうした立証をするということは、やはり児童を対象としておりますので、その児童がどれだけ話をするときに立証できるのか、きちんと的確にあったことを話ができるのかといったことにも非常に心配もしているし、疑問もあるわけでございます。
 そして、さらには、身体に障害のある児童である場合には、そうした児童ポルノの被害に遭った場合であったら、やはりなかなかそういったことを立証するには非常に難しい観点も出てくるということも考えておかなければならないというふうに思っています。
 ですから、この児童ポルノに対する今回の改正案でございますけれども、児童ポルノから更に殺人事件につながったというような本当に重大な事件に対しましては、やはりそうした併合罪、そしてさらには、またそうした立証の在り方、児童が実際に立証していかなければならないということに対して配慮が今後なされていかなければならないなというふうに改めて感じているところでございます。
 そして、今回、衆議院でも議論がなされまして、参議院の方でも議論がなされているわけなんですけれども、最後に谷垣大臣にお聞かせいただきたいと思います。
 現行の児童ポルノ禁止法は議員立法によって提出をされまして、谷垣大臣におかれましては、提出当時に閣僚をされていらっしゃいましたので提出者にはおなりにならなかったとはいえ、その基本設計に多大なる御貢献をされたというふうに理解をいたしております。今回の法改正につきまして様々な思い入れがおありであるというふうに思いますし、私といたしましては、児童が児童ポルノによって被害に遭った現実、そしてさらには殺人事件にまで発展したというようなことが今後やはりあってはならないというふうに考えておりますし、今回この改正案が成立した際には、今回の改正案が実効性ある法律として機能していくということを望んでまいりたいというふうに思っているわけなんですが、谷垣大臣の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 法務大臣としては、こうして国会で熱心に御議論をいただいた成果、法律となりましたら、それを誠実に執行していくというのが、もうこれ以外のお答えはないんでございますが、今、谷委員から触れていただきましたように、私も当初からこの問題には関心を持ってまいりました。
 先ほど遠山衆議院議員から御答弁がありましたように、当初は、サプライサイドとおっしゃいましたが、供給者側ですね、供給者側をどう取り締まっていこうかと。これは当時は、子供の商業的性的搾取と闘う武器が欲しい、こういう気持ちが非常に強うございまして、子供の商業的性的搾取と闘うにはまずサプライサイドをどうするかという意識でございました。
 しかし、これだけインターネットが発達してまいりますと、いわゆるサプライサイドを、何というか、それに対して闘う武器を持つというだけでは必ずしも十分ではない。ですから、単純所持のようなものを取り締まるということができますと、より効率的な児童ポルノとの闘いができるのではないかと、私はこう思っているところでございます。
 今お話がありましたように、そういう小児虐待あるいは性的虐待を受けた子供たち、いつまでも児童ポルノというようなものがあると、そういう対象になった子供たちの健全な成長を阻害することはもちろんでございますけれども、子供を性の対象とするような風潮が広まるということは、谷委員が言われましたように、小児性愛者の凶悪な犯罪というもの等が起こってくるということと必ずしも無関係ではないのではないか、これは法務大臣としてそう思っているというよりも、私は一人の政治家としてそんなふうに思っているわけでございます。
 もちろん、今回御議論をいただきましたように、表現の自由とかそういう問題にも十分配慮していかなければなりませんけれども、やはり、こういう子供を性的商業的に搾取していく、性愛の対象として弄んでいくという風潮には私どもは断固として闘わなければいけないのではないかなと、こんなふうに感じているところでございます。
○谷亮子君 ありがとうございました。
 谷垣大臣からのお話の中からも伝わってくるように、今回の改正は未然の対策の改正でもあるということで理解をいたしましたし、さらには、やはり児童の立場に立った法改正であるということが明らかになったというふうに思います。
 私も、今回の改正案が成立した際には、実効性ある法律として機能していただくことを期待申し上げまして、質問を終えたいと思います。
 ありがとうございました。
○委員長(荒木清寛君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
    ─────────────
○委員長(荒木清寛君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、石井準一君及び山田太郎君が委員を辞任され、その補欠として長峯誠君及び行田邦子さんが選任されました。
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○委員長(荒木清寛君) これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○仁比聡平君 私は、日本共産党を代表して、今回の児童ポルノ法改正案には反対の立場から討論を行います。
 児童ポルノは児童に対する最悪の性虐待、性的搾取であり、政府を先頭に社会全体がその根絶のため断固たる姿勢を示し、対策を強める必要があることは明白であります。その製造過程は無論のこと、インターネット社会において画像の流出は被害児童を著しく傷つけ苦しめ続けるものだからです。所持の禁止規定を置き、社会全体にその違法性を広く宣言することは適切だと考えます。
 しかしながら、本法案による単純所持の処罰化条項が、規制目的を達するために必要最小限のものと言えるか、その妥当性には疑問を持たざるを得ません。いわゆる三号ポルノの規定は、本法案で一定の明確化を試みられたものの、依然として不明確さを残しています。その単純所持を処罰することは恣意的な捜査を拡大するおそれが大きく、処罰する必要のないものにまで広範に捜査の網を掛けることが否定できないものです。個人の私的領域にまで捜査機関が踏み込み、冤罪を生むことも懸念されるからです。
 インターネット上の児童ポルノ画像のほとんどは単純所持を刑罰で禁止している欧米諸国から流出しているとの調査があり、それらの国々での処罰化は必ずしも効果的な歯止めとなっているとは言えません。
 今必要なことは、インターネット上への流出など、提供目的の行為を徹底して摘発すること、流出や被害実態の適切な把握と被害に遭った児童の手厚い保護です。警察による摘発と被害児童保護の連携を強化することを始め、政府の対策充実を求めるものです。
 本法の保護法益は実在する児童の自由と人格であり、この観点から、今後、法の名称についても、ポルノから被害実態をより適切に表す児童性虐待描写物などを検討し、その規定も、わいせつ性や主観的要素を構成要件とするのではなく、児童への被害の重大性を評価する必要があります。
 また、今後とも、表現物に対象を拡大することはあってはならないことを指摘し、反対討論を終わります。
○委員長(荒木清寛君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(荒木清寛君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、行田さんから発言を求められておりますので、これを許します。行田邦子さん。
○行田邦子君 私は、ただいま可決されました児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本維新の会・結いの党、みんなの党及び生活の党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
 一 児童を性的搾取及び性的虐待から守るという法律の趣旨を踏まえた運用を行うこと。
 二 第七条第一項の罪の適用に当たっては、同項には捜査権の濫用を防止する趣旨も含まれていることを十分に踏まえて対応すること。
 三 第十六条の三に定める電気通信役務を提供する事業者に対する捜査機関からの協力依頼については、当該事業者が萎縮することのないよう、配慮すること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(荒木清寛君) ただいま行田さんから提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(荒木清寛君) 全会一致と認めます。よって、行田さん提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、谷垣法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。谷垣法務大臣。
○国務大臣(谷垣禎一君) ただいま可決されました児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
○委員長(荒木清寛君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十六分散会