第186回国会 農林水産委員会 第9号
平成二十六年四月二十二日(火曜日)
   午後一時開会
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   委員の異動
 四月十七日
    辞任         補欠選任
     榛葉賀津也君     羽田雄一郎君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         野村 哲郎君
    理 事
                猪口 邦子君
                山田 俊男君
                小川 勝也君
                紙  智子君
    委 員
                金子原二郎君
                古賀友一郎君
                中泉 松司君
                馬場 成志君
                堀井  巌君
                舞立 昇治君
                山田 修路君
                郡司  彰君
                徳永 エリ君
                羽田雄一郎君
                柳田  稔君
                平木 大作君
                横山 信一君
                山田 太郎君
                儀間 光男君
   国務大臣
       農林水産大臣   林  芳正君
   副大臣
       内閣府副大臣   西村 康稔君
       外務副大臣    岸  信夫君
       農林水産副大臣  吉川 貴盛君
       経済産業副大臣  松島みどり君
   大臣政務官
       内閣府大臣政務
       官        小泉進次郎君
       財務大臣政務官  山本 博司君
       農林水産大臣政
       務官       横山 信一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        稲熊 利和君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官       澁谷 和久君
       内閣官房総合海
       洋政策本部事務
       局長       長田  太君
       外務大臣官房参
       事官       下川眞樹太君
       外務大臣官房参
       事官       相川 一俊君
       外務省国際法局
       長        石井 正文君
       財務大臣官房参
       事官       松村 武人君
       農林水産大臣官
       房総括審議官   松島 浩道君
       農林水産省消費
       ・安全局長    小林 裕幸君
       農林水産省生産
       局長       佐藤 一雄君
       農林水産省経営
       局長       奥原 正明君
       林野庁長官    沼田 正俊君
       水産庁長官    本川 一善君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○農林水産に関する調査
 (日豪EPA交渉大筋合意に関する件)
 (環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交
 渉に関する件)
 (高病原性鳥インフルエンザ対策に関する件)
 (豚流行性下痢(PED)対策に関する件)
 (今後の鯨類捕獲調査の実施方針に関する件)
 (日中漁業協定に関する件)
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○委員長(野村哲郎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十七日、榛葉賀津也君が委員を辞任され、その補欠として羽田雄一郎君が選任されました。
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○委員長(野村哲郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 農林水産に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官澁谷和久君外十一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(野村哲郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(野村哲郎君) 農林水産に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○馬場成志君 自由民主党の馬場成志でございます。
 この度、熊本県球磨郡で発生いたしました高病原性インフルエンザは、十一万二千羽の殺処分をしました。発生農場はもとより、今現在も搬出を厳しく制限させている十キロ圏内の全四十七農場に対しまして、まずは心よりお見舞いを申し上げる次第であります。ここまで日々懸命に肥育してきた鶏を殺処分、埋却という悲劇に見舞われた養鶏農家の皆様の心痛は察するに余りあるものがあります。また、不眠不休で防疫措置に従事いただいた多くの関係者の御努力に深く敬意を表する次第であります。
 また、政府を代表して小里政務官には早々に熊本入りをしていただき、林大臣の言葉として、やり過ぎるぐらいやってくれとハッパを掛けていただきました。現場では何よりも元気の出る言葉だったというふうに思っています。ありがとうございました。重ねて感謝を申し上げます。
 また、本日質問の機会をいただいたことにも感謝をいたしながら、まずは改めて鳥インフルエンザとはどのようなものなのか、そして今回、政府、農林水産省としてどのような対策を打たれたのか、お尋ねをいたします。
○副大臣(吉川貴盛君) 馬場議員におかれましては、熊本県、御地元ということでございまして、大変なるこの対策にも御尽力をいただきましたことに敬意を表させていただきたいと存じます。
 まず、四月の十二日の日に熊本県の肉用鶏農場におきまして、死亡羽数が平時に比べまして増加したことから遺伝子検査を実施した結果、十三日に疑似患畜と判明をいたしました。同日、総理からの指示の下、農林水産省におきましては、農林水産省鳥インフルエンザ防疫対策本部を開催をいたしまして、発生農場を中心とする移動制限の実施を含む今後の防疫方針等を決定をいたしたところでもございます。政府といたしましても、鳥インフルエンザ関係閣僚会議を開催をいたしまして、本病の関係省庁間での連携を確認をさせていただきました。その後、十六日に全ての防疫措置が完了したところでございまして、今後、周辺農場での異常が確認されなければ、早ければ五月の八日に全ての移動制限が解除される見込みでもございます。
 また、発生農家におきましての家畜の殺処分に要した費用や移動制限等により生じた損失等につきましては、家畜伝染病予防法に基づきまして国が支援をすることとなっております。
 更に関係府省庁と十分な連携を図りつつ、生産者、消費者、流通業者等への正確な情報提供を行うためには、本病に関する正しい知識を普及するための通知を都道府県、さらには団体等に発出をさせていただきましたし、小売店舗等で不適切な表示が行われないよう監視を開始をいたしたところでございます。
○馬場成志君 ありがとうございました。本当に早速の手を打っていただいたというふうに思っております。
 今は全ての処置については完了いたしましたけれども、地元では人の出入りが多い大イベントなどはやっぱり自粛する形になっています。これはもう仕方ないことだというふうに思います。地域を守るため、あるいは蔓延を防ぐためということで仕方ないことでありますけれども、やっぱり間違った情報が発信しないように、またお力をいただきたいというふうに思います。以前よりは相当誤解はなくなって、食肉の消費なども止まっていないということで、ある程度安心しておるところでありますが、万全を期していただくようにお願いを申し上げます。
 去る四月十三日日曜日、熊本県において発生した鳥インフルエンザは、今は埋却処理まで完了し、措置完了後二十一日を待っての制限解除、これは五月八日、今もお話にあったとおりでありますけれども、たどり着けるように万全を期しているところであります。しかし、この鳥インフルエンザについてはまだまだ韓国にも大きな火種が残っておりますので、いつどこにおいてもその可能性は免れないと改めて感じております。
 今回発生した熊本県、南九州は、これまでの経験の上に様々な想定と訓練を重ねてきております。そのことが迅速かつ的確な対応につながっていると思いますので、少し振り返りながら経過を紹介して、その上で質問に入りたいと思います。
 資料をお配りしておりますけれども、疑似患畜が確定いたしましたのは、資料の四ページにありますように四月十三日日曜日の午前でありまして、即座に農林水産省において鳥インフルエンザ防疫対策本部を設置、開催し、政府としても関係閣僚会議を開催し、連携を確認していただきました。
 午前八時の確定後、午前九時三十分に第一回熊本県鳥インフルエンザ防疫対策本部会議を開催。初動体制、封じ込め、監視・調査、正確な情報伝達を徹底するよう、知事の訓示の下、十時には県の建設業協会が埋却のための掘削作業を開始。十時三十分には、養鶏場において防疫作業に着手。十二時三十分には地域に出入りする車両を始めとして、感染拡大を引き起こさないよう、一か所目の消毒ポイントの運用を開始しました。十九時までに主要道路十一か所の設置を完了しております。
 十時三十分に着手した相良村農場の全五万六千羽の殺処分が、夜通しの作業の中、翌十四日月曜日の午前三時五十分に終了いたしております。また、十五時三十分までに消毒ポイント六か所を追加しております。そして、十九時二十分に多良木町農場の全五万六千羽の殺処分を終了し、七十二時間後の十六日午前八時を前にして、七時三十分、埋却の完了までこぎ着けました。
 ここまで昼夜を問わず努力された現場の皆様方とバックアップしていただいた皆様に対し心から敬意を表したいと思います。県、町、近隣市町村、JA、建設業界、警察、自衛隊、国交省、環境省、厚労省、消費者庁、そして農林水産省と、ほかにも本当に多くの皆様方に御苦労をいただいております。初日は大雨にも見舞われまして、悪天候も重なる中で、よくぞここまでやっていただいたと、率直に評価いたします。自らの職業に限らず地域を守ろうとする皆様方の力を、やり過ぎるぐらいやれと言っていただいた小里政務官の言葉が支えていただいたものだと、重ねて感謝をいたします。
 しかし、突然鳥インフルが出たといって、どの地域においても同様の対応ができたかということが、これからの質問になってまいります。
 いっときでもちゅうちょすれば、インフルエンザは瞬く間に燎原の火のごとく燃え広がり、下手をすれば韓国のような状況をつくり出してしまいます。先ほどから申し上げているとおり、十三日午前八時に確定し、九時三十分対策本部会議、十時からあらかじめ準備していた埋却地においての掘削作業、十時半から防疫作業に着手するなど迅速な対応は、これまでの並々ならぬ訓練と、疑いの段階、通報の段階から初動体制まで、周到な準備のたまものであります。過去には、埋却地の確保に時間を要し、被害が拡大した例があります。
 遡って四ページの頭からもう一度見ていただきたいのですが、確定前日の十五時三十分に家畜保健衛生所での通報の時点で、発生農場と関連する二か所から一切の搬出を制限し、現地調査の上、二十一時三十分に県の農林水産部準備会議、そして休日にもかかわらず、早朝四時十分には県庁から第一陣九十六人が出発し、七時四十分には第二陣九十六人が出発しております。この深夜から早朝にかけての動きは、まだ患畜確定前であります。
 今回のここまでの対応について、大臣の感想をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(林芳正君) 今回の熊本県の事例においては、ほかの農場に広がる前に発生農家から通報があって、今委員からお話がありましたように、十三日の疑似患畜発生の確認から防疫指針に沿って七十二時間以内に疑似患畜とされた鳥の殺処分及びその死体の埋却、畜舎の消毒等の防疫措置が完了したわけでございます。
 やはり、迅速に対応できた理由、幾つかあると思いますが、まずは、発生農家から家禽の異常について早いうちに県の方に通報がなされたということであります。それから、今お話あったように、熊本県の方で事前に準備を整えた上で、市町村のみならず地方農政局、自衛隊等々とも密に連携しまして、延べ四千人に上る作業員を動員して夜を徹して作業に当たっていただいた、そのことが大きな要因であると、こういうふうに考えております。
 本事例の鎮静化が確認されるまでは気を抜かないようにしっかりとやりたいと、こういうふうに思っておりますし、熊本県等と連携して全力で対応してまいりたいと、こういうふうに思っております。
○馬場成志君 ありがとうございました。今大臣から評価もいただいたというふうに思いますが、熊本だからできてほかの県だったらできないなんて言うつもりはありませんけれども、全国どこでこのような事態になっても、同様あるいはそれ以上の対応ができることが求められております。
 先ほども申し上げましたけれども、南九州三県は、これまで本当に、二十三年の鹿児島での鳥インフル、あるいは二十二年三月の宮崎での口蹄疫と、幾度となくその試練を味わってまいりました。そのつらい経験の下に今の体制があるというふうに思っております。
 本当にこれで収まってくれよというふうに誰もが思うわけでありますが、これで収まったらもう安心かというと、韓国ではその火種がまだ燃え盛っているわけでありまして、どこに飛び火するかは全く予断を許さないというふうに思っております。
 そこで、現在、全国の防疫体制と今後の取組について、韓国などの外国の状況も踏まえてお尋ねをいたします。
○政府参考人(小林裕幸君) 今委員からお話ありましたように、この病気は全国どこででも発生し得るということの性質を持っております。したがって、全ての都道府県でしっかりした準備と発生した場合の対応を取ることが最も重要なことでございます。
 このため、高病原性鳥インフルエンザが発生した際の防疫のやり方につきましては、家畜伝染病予防法に基づき農林水産大臣が防疫指針という指針を定めております。その中で、発生に備えた家畜防疫員や重機などの事前の準備、それから異常家禽発生時の早期通報の徹底、それから三つ目が迅速な殺処分、埋却などの防疫措置、こういったことをしっかりやるという基準というのをはっきり示しております。
 また、農林水産省におきましては、高病原性鳥インフルエンザが発生した場合に、迅速かつ的確に初動が図られるよう、毎年全国一斉の防疫演習というものを実施しております。さらに加えて、各都道府県におきましては、高病原性鳥インフルエンザあるいは口蹄疫、こういったものの発生を想定した防疫演習も実施していただいております。
 また、今お話しいただきましたように、アジアにおきまして鳥インフルエンザ、発生をしております。こういった情報について常に遅れることなく迅速に情報収集をし、情報交換をしつつ対応していくということも重要でございます。しっかりやっていきたいと思います。
 今回の経験、今先生お話しいただきましたように、迅速な対応でございました。こういったことの経験を各都道府県と共有し、参考として各都道府県で体制整備をしっかり取っていく必要があるというふうに考えております。
 ありがとうございました。
○馬場成志君 四月十六日付けの熊本の地元紙でありますけれども、養鶏場経営者が、なぜうちなのかという心境を語ったと書いてあります。さらには、近隣の養鶏農家も、対策を怠っている農家なんていないんだということを言っております。
 これは、予防策を徹底しても絶対安全ということはないということだと思います。そして、一旦事が起きましたら、地域が一丸となって何よりも封じ込め最優先であることが求められるわけであります。くどいようでありますけれども、今回の熊本県は、患畜確定前から様々な行動を開始して体制を整えてきたことは先ほど述べたとおりであります。これは知事の英断であったというふうに思っております。
 鳥インフルエンザ等の家畜伝染病の対応については、影響が広範囲に及ぶことを防止する観点から、迅速かつ大胆な防疫措置が必要であります。例えば、疑似患畜の決定を待たずに防疫に向けた初動対応をスタートさせ、仮に検査で陰性であったとしても初動対応経費は国で支援するといった制度設計ができないか。今でも、以前からすると格段に充実していただいておることは理解をいたしております。しかし、地方の安心感はそれで全く違ったものになってくるというふうに思っています。首長の判断で対応が遅れるようなことがあってはならないという点からも、万全の制度設計と財政支援の仕組みをお願いしたいというふうに思います。
 また、海外の状況も決して対岸の火事では済まないことを考えると、発生国に対しましては、先ほどもいろんな意味での連携というものはしていただいておるということでありますけれども、もう気持ち的には本当に厳しく、早く鎮圧してもらうことをやっぱり言ってもらわなきゃいかぬなというふうに思っておりますので、そのことも申し上げながら次の質問に入らせていただきたいというふうに存じます。
 今年は大雪の災害がございましたけれども、雪害から二か月が経過をいたしました。その後の復旧というものは順調に進んでおるかということをお尋ねしたいというふうに思います。
 先月の災害特、私自身は災害の特別委員会にも入ってございまして、長野県と群馬県を視察いたしました。また、出身の熊本県でも一部豪雪被害がございました。
 そういった中で懸念されていたのは、まあ幾つもありますけれども、潰れたハウスの撤去を始めとして、資材不足と調達の状況、そして育苗と植付けの状況、その後、育苗の苗は間に合うのか、ハウスは間に合うのか、そういったことに関連して、ハウス等の再建に当たる人材の確保についても心配する声が随分あったと思います。この委員会の中でもその論議はされたところでありますが、現時点でこれらの諸課題の進捗状況を含め、お尋ねをしたいというふうに思います。
○政府参考人(佐藤一雄君) 馬場先生の御質問にお答えいたします。
 まず、資材のうちハウスのパイプでございますが、今回の大雪による被害のあったハウスを全てこれを再建いたしますと、通常年の年間需要量が約五、六万トンございますが、これと合算して約二倍のパイプ需要が見込まれている状況でございます。このため、農林省では、農業用パイプメーカーに対しましてこの円滑な供給についての協力要請を行いまして、パイプメーカーにおきましては、四月から六月にかけての需要に応えるべく、三月、四月は、通常年、月五千トンですが、これを六割増の月八千トンの増産に取り組んでいるというふうな状況になっております。
 先ほど先生の方から御指摘ございました参議院災対特委の先生方の現地調査先の群馬県でございますが、四月上旬以降このハウスのパイプが順次納品が開始されておると。また、長野県では三月中旬に納品が開始されているというふうな状況に相なっているところでございます。
 また、二つ目の水稲あるいは野菜等の苗の確保でございますが、これにつきまして被災県からの聞き取りによりますと、被害のなかったハウスの活用や、あるいはトンネル育苗等によりまして県内で苗を融通する、また種苗業者等からの苗の購入等により当面必要な苗は確保できる見通しと、このような報告を受けているところでございます。
 さらに、ハウスの解体あるいは施工に当たりまして必要な人材の確保でございますが、農業関係団体や関連業界あるいは普及員のOB等に対しまして人的な協力を当方の方でお願いしますとともに、また、都道府県に対しまして現場におけるボランティアの募集の有無を伺いましてホームページ等で情報提供する等の取組を進めているところでございます。
 また、ハウスメーカー等におきましては、他の地域から再建に必要となります技術者を派遣するといったようなことが行われているというふうに聞いておりますし、また全国農業協同組合連合会におきましては、パイプハウスの建て方の動画をこれを公開しまして自主施工を技術面で支援しているといったようなことになっているところでございます。
 今後とも、被害状況の詳細な把握に努めまして、パイプメーカー等と情報共有することにより雪害からの復旧について万全を期していきたいと、このように考えているところでございます。
○馬場成志君 ありがとうございました。引き続きよろしくお願いを申し上げます。
 また、そういった中で、潰れたハウスの話をいろいろ聞かせていただく中で、連棟式ハウスが雪の重みで潰れてしまった農家の中には、資材調達の具合とは関係ない部分でも単棟式ハウスの設営を考えているというところもあるというふうに聞いております。
 また、本来は連棟式ハウスの方が耐久性に優れて堅牢であるはずでありますけれども、今冬のようなめったにない豪雪では強風や大雪に弱いと言われる単棟パイプハウスの方が暖房の効果もあって残ったというような現象も生まれておるということです。この点を踏まえますと、単棟式ハウスの雪を落とすことで強い部分、あるいは無理なく堅実に経営拡大ができるという利点にも着目して、単棟ハウスに対して助成を、補助を厚くすることができれば、若い人たちの新規参入にしてもそうでありますけれども、経営の多角化とかにもつながっていくのではないかというふうに思っております。
 今回、災害復旧に関しましてはそのことも勘案していただいておるということでありますし、通常も三〇%の補助というものはあるわけでありますけれども、そういったことも御検討いただけないかということをちょっとお尋ねします。
○政府参考人(奥原正明君) パイプハウスの支援の関係でございます。
 今回の大雪の対策では、経営体育成支援事業、これは災害向けに特別に発動しておりますけれども、この経営体育成支援事業は被災農業者向けのものと一般的な事業と両方持っております。一般的な経営体育成支援事業、これにつきましては、地域の中心となる経営体の経営の発展を促すという性格のものでございまして、この方々の経営改善に必要な農業用の施設等の整備を支援をするということになっております。したがいまして、新規の就農者を含めて地域の中心的な経営体が経営改善を図るためにパイプハウスの整備を行うということであれば、単棟、連棟を問わず本事業により支援することが可能でございます。
○馬場成志君 最後の方はちょっと私がお願いしたことについて答えがあったか、もう一回お願いします。
○政府参考人(奥原正明君) 一般的な経営体育成支援事業は補助率は十分の三というふうになっております。災害のときは、今回特別に国の方で十分の五まで見るということにいたしましたけれども、通常は十分の三でございます。
 先生から御指摘いただきましたことも含めまして、今後検討させていただきたいと思います。
○馬場成志君 時間もありませんので、今後しっかりと検討していただくということで、次の質問に入らせていただきたいというふうに思います。
 日豪のEPAについてお尋ねをさせていただきたいと思います。
 日豪EPAについては、大筋合意の後、細目についても追加で農林水産省からペーパーをいただいております。今後の影響については、予想といってもこれは逆に混乱するというような旨の答弁もあっておりますし、また悪影響が出ないように対策を打っていただかなければ、最終的には批准はできないという結論になります。そのことは十分お分かりのことだというふうに思います。
 その上で、今農業の下支え策の原資としても使われておりますが、まあ直接ではないかもしれませんが、関税が減ること、これは明らかなことでありますから、まず影響額についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
○政府参考人(松村武人君) 日豪EPAの実施が我が国の関税収入に及ぼす影響につきましては、今後の貿易動向や為替変動などについての予測が困難でございますので正確に見積もることは困難でございますが、一定の仮定の下、機械的な試算を行いましたところ、EPAの発効初年度で百二十億円程度、最終年度では三百億円程度の減収と試算されるところでございます。
○馬場成志君 今お話あったように、百二十億、そして最終的には三百億、もちろん為替の変動やらいろんな条件が変わればその額も動くわけでありますけれども、その分の手当てはどうするんでしょうか。これは農林水産省にお尋ねをいたします。
○国務大臣(林芳正君) この関税収入を関連の対策の財源に充てるとされておりますのは牛肉だけでございます。畜産関連の対策のための予算については、これまでも、この牛肉等の関税財源のほかに一般の財源も活用してきたところでございますので、今後とも必要な予算をしっかりと確保していく考えでございます。
○馬場成志君 会計法上という言葉がちょっと正確かどうか分かりませんけれども、もちろんその関税を特会でそのまま入れているということではないかもしれませんけれども、結局、肉を食べない人たちの税金もやっぱりその分にぶち込まなきゃいかぬというようなことになるのはもう当然のことであります。その辺り含めまして、まずは十分な下支え策がなければ、今のままで大丈夫だというふうに思っておられる方はどこにもいらっしゃいませんので、先ほど申し上げましたことをしっかりと御理解をいただいて今後に当たっていただきたいというふうに思います。
 そしてまた、御案内のとおり、あした、オバマ大統領が来日をされるわけであります。昨日はニッショーホールにおいて、TPPに関する国会決議の実現を求める緊急全国要請集会も開催されております。TPPは約束を守ることを大前提として交渉が進められるものでありまして、EPAについても同様であります。約束を守ったのか守らなかったのか、これでまた政治が信頼を傷つけるようなことがあれば、国政選挙において現政権には厳しい結果が出ることになります。その結果、また政権が替わって日本の混乱につながらないように対応をしていただきたいというふうに思います。そうでなければ、TPPであおりを食らう分野だけではなくて、安倍政権の目指す経済政策や安全保障政策も元も子もなくなる結果になってしまうということであります。
 同様の質問はこれまで何百回もあっているというふうに思いますけれども、明日を前にして、大臣からの御答弁を聞かせていただきたいと思います。
○国務大臣(林芳正君) このTPP交渉、これは、御案内のように、日豪EPAは大筋合意をいたしましたが、基本的には別の交渉であると、こういうことでございますので、日豪EPA交渉の合意内容いかんにかかわらず、ほかの十一か国とTPP交渉においてはそれぞれ合意に至る必要があると、こういうことでございます。
 御案内のように、TPP交渉では厳しい交渉が続いておりますが、重要五品目など聖域の確保については、この農林水産委員会、また衆議院の農林水産委員会の決議を踏まえて、国益を守り抜くように全力を尽くす考えである、これをここでも申し上げたいと、こういうふうに思います。
○馬場成志君 政府全体はもちろんでありますし、その中でも農林水産省の役割というものは、役割というか使命は重いというふうに思っております。しっかりと対応いただきますようによろしくお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○中泉松司君 自由民主党の中泉松司でございます。
 本日は、質問の機会をいただきまして、基本的には、様々について確認をさせていただければと思っております。TPPについて、そして昨今大変流行しております豚流行性下痢、PEDについてお伺いをしたいと思っております。
 その質問の前に、一つ、林大臣に御礼を申し上げなければいけないと思います。去る四月十二日に、林大臣、大変公務御多忙の中、秋田県に足を運んでいただいて、秋田県の農業関係者、農協さんであったり農業委員会であったりでありますけれども、に加えて、農業従事者の皆さん、自治体の皆さん、多くお集まりの中で要請を受けていただいて、それに対して応える形で御講演をいただくこととなりました。県内の農業関係者の方々は大変喜んでおりまして、また直接我が国の農業をつかさどる大臣にお話を申し上げるという機会はなかなかないものですから、大変感激をいたしておりました。
 ただ、要請を受けてそれでセレモニーだけで終わりというわけでは困りますので、もろもろの要請を受けられたと思いますけれども、実際に秋田県にお入りになって農業者とお話をされ、どのような感想を持たれたか、そしてまたどのような取組をしていく必要があるとお考えか、御所見をお伺いいたします。
○国務大臣(林芳正君) 四月の十二日に秋田にお招きをいただきまして、農業の関係者の皆さんと意見交換をすることができて大変感謝をしております。秋田県の関係者の皆様、市長会、町村会、農業会議、中央会、共済連、土地改良事業団体連合会からそれぞれTPPそれから農政改革に関する御提案をいただくとともに、中泉先生を始め秋田県選出の国会議員のほか、県会議員の皆様や県下の市町村長、農業会議、JAほかの多くの参加者の皆様と大変有意義な意見交換をさせていただきました。
 その中で、農地維持支払制度について、たしか中央会の会長さんからもお話がありましたが、やはり農家の所得向上に資するように弾力的に取り扱っていただきたいと、こういうようなお話で、その場で御回答申し上げたわけでございますが。やはり直接お聞きすると、我々はこういうふうに設計をしてこういうふうにやろうと、こういうふうに思っておりますが、受け取る方が今どういうふうに認識をしていらっしゃるか、また運用でどういうふうにしていくことが実際には現場のためになるのかと、こういうことが非常によく分かったわけでございまして、そういう意味でも大変有意義であったと、こういうふうに思っております。
 私が毎週のように秋田に出かければいいんでしょうけれども、なかなかそういうわけにいきませんので、中泉先生におかれては、そういう現場の要望を引き続きくみ上げていただきまして、制度の設計はもちろんでございますが、一旦決まったことの運用についても不断のフィードバックをお願いをできればと、こういうふうに思っておるところでございます。
○中泉松司君 ありがとうございます。まさに私も、現場に関わっている方々のお話を伺うような部分、しっかりと受け止めていただいたんだなと今のお話を伺って感じさせていただきました。今後とも、私も地元を一生懸命回って農家の声というものを集めていきたいと思っておりますので、御指導よろしくお願いをいたします。
 それでは、質問に入ります。
 初めに、TPPについて。先ほど馬場委員からもお話がありましたけれども、いよいよ明日、オバマ大統領が来日をされ、あさって二十四日には日米首脳会談が行われることとなりました。何といっても、注目はTPP交渉における日本の農産物が守れるのかどうかという点であると感じております。
 一部報道では、重要五品目のうち牛肉の関税について現行の三八・五%から九%程度以上とするということで折り合ったという報道もあり、現場では大変混乱をいたしておりました。これも先ほどの話にありましたが、昨日の、日米首脳会談を前にTPPに関する国会決議の実現を求める緊急全国要請集会でも、皆さんそういったところに関して非常に不安を覚えておられたというものを私も感じさせていただいたところであります。
 今日の報道では、菅官房長官も否定をされたというふうな報道をされておりますけれども、改めてこの報道の真偽について確認をさせていただきたいと思います。
○国務大臣(林芳正君) 先ほども申し上げましたように、TPP交渉、これは日米の間で今引き続き厳しい交渉を続けておるところでございます。牛肉を含めて、いわゆる重要五品目等の関税率等について現段階で日米間で決まったものは何もないと、こういうことでございます。したがって、今お話のあった報道、これは九%以上というような見出しであったと思いますが、こういう事実はないということを申し上げておきたいと思います。
○中泉松司君 ありがとうございます。
 それで、報道の在り方に関しては、昨日もその会に出席をした際に我が党の西川TPP対策委員長等からも言及されていたところでありましたけれども、しっかりとした報道をしていただくということが大切だと思っております。報道が過熱するということによってまた交渉にも影響してくる、そういった悪い影響が出るということは避けなければいけません。ただ、一方でしっかりとした報道をしていただくという必要はあるかと思います。そういったことも踏まえて、今回の件もでありますけれども、今後、大詰めを迎えている状況でありますので、しっかりとそういった対策を取っていただきたいということをこの場でお願いをさせていただきます。
 そして、牛肉に限らず、具体的な数字は出ないまでも、豚肉や乳製品といったところ、また工業製品でいうと自動車の安全基準などについて日米間で極めて厳しい協議を進めているという報道があります。昨日からは日米間の実務者協議も再開され、二十四日に向け、まさに今ぎりぎりの攻防が繰り広げられているんだと拝察をいたしております。
 そういった中にあって、現在の日米協議の状況について林大臣の御見解をお伺いいたします。
○国務大臣(林芳正君) 先週の十六日から十八日、これは現地時間でございますが、米国において、甘利大臣とそれからフロマンUSTR代表、この間で重要五品目の取扱いを含む日米間に残された課題について交渉を行ったと、こういうことであります。
 今回の交渉の結果、一定の進展はあったが、双方の立場には依然として相当の距離があると、こういうふうに承知をしております。現在、事務レベル協議において、日米の残された課題について、この隔たりを埋める作業を行っているところであります。
 これは繰り返しになりますが、この交渉に当たっては、衆参両院の農林水産委員会決議も踏まえ、国益を守り抜くように全力を尽くしてまいりたいと、こういうふうに思っております。
○中泉松司君 特に畜産農家を始めとして、多くの農業従事者、関係者の皆さんが現在固唾をのんで見守っているというのが現状であると思います。
 先ほど馬場委員の質問に鳥インフルエンザの件がありましたが、そしてまた私がこれから伺うPED、豚流行性下痢の話もありますけれども、そういうTPPといったこととは別の分野で非常に農業従事者の方々が不安を感じるという事案が続いておりまして、本当に率直に今後の農業について不安な思いを持ちながら見守っていられる方々というのがたくさんいらっしゃるんだと思います。そういった不安を少しでも解消するために、我が党の農林水産関係の幹部の方々も安倍総理や甘利大臣に対して、我が党の決議はもちろんでありますけれども、衆参農林水産委員会の決議を踏まえていただくように訴えさせていただいたところでもあります。
 交渉等は相手があるものということを林大臣もよくおっしゃっておりまして、相手がある交渉事で我が国の主張をただただ押し通すというのは困難であると私も認識をしております。しかしながら、今回、オバマ大統領が国賓として見えられ、大統領が来たという事実のみで一気に交渉が進んでいって譲歩せざるを得ないような情報がつくり出されるということは決してあってはならないと思います。
 また、EPAとTPPは違うというのはもちろんでありますけれども、日豪EPA、非常にぎりぎりのラインでセーフガードの発動要件等で相当な努力をしていただいたんだと思いますけれども、一定の、ある意味農業に対するボディーブローのようなものにはなるんだと思います。それに加えてもう一発大きいボディーブローが来ると、一発で倒れるアッパーカットではないにしても、大きい二発のボディーブローというのは重いダメージをもたらすと思いますので、そういった点も踏まえて、しっかりと強い決意を持って交渉に当たっていただきたいと思います。
 改めて、大臣の決意のほどをお聞かせ願います。
○国務大臣(林芳正君) オバマ大統領が明日からいらっしゃると、こういうことでございますが、大統領の訪日、これが一つの節目であることは事実でありますけれども、今委員からもお話がありましたように、この交渉の妥結に当たっては我が国の国益を実現する、これが一番重要なことでありますので、特定の期限を切って交渉をすると、これをやれば相手が足下を見るわけでございますので、そういうことではないということであります。TPP交渉に当たっては、この決議を踏まえ、国益を守り抜くように全力を尽くす考えでございます。
○中泉松司君 日本は最後に折れるんだですとか、日本は大統領が来たら折れるんだですとか、そういった話にはならないように、是非とも私たちも期待をして見守っておりますので、よろしく改めてお願いをして、このTPPについては終わらせていただきます。
 次に、豚流行性下痢、いわゆるPEDについてお伺いをいたします。
 昨年十月に、我が国で七年ぶりの発生を見ました。四月十八日現在というところで伺っておりますけれども、現在三十二県で三百件を超える発生が確認されているということであります。七年ぶりということでありますので、平成十八年、二十五年から遡って七年前は平成十八年ですのでそれが発生を確認されたときでありますけれども、そのときには比較的小規模で収まったというお話を伺っております。
 ここまでの規模になったのは、平成八年、十七年前の九州地方を中心に広がり四万頭程度が死亡したとき以来で、現在は発症頭数で二十七万五千頭、死亡頭数は七万頭というふうに伺っておりまして、今なお感染経路ははっきりと確認されていない。非常に大きい被害と、そしてまた大きな不安を養豚業者の方々が持っているというのが現状であるかと思います。
 秋田県の例で恐縮ですが、秋田県でも、平成八年以来十八年ぶりに今回PEDが確認をされました。子豚四百九頭の発症が確認され、うち百五十六頭が死亡しております。
 私も緊張するたちでありまして、質問をするというと腹下したりするんですが、成人男性というのは、まあ大人は下痢をしても薬を飲めば治ったり簡単に収まるんでありますけれども、このPEDというのは、生後十日未満の子豚が発症をした際に亡くなる、逆を言えば、生後二十日以上を過ぎた子豚に関しては、親豚も含めて、発症はするけれども軽い症状で収まって死に至らないと、そこがまた難しいところだなというふうに感じておりますけれども。だからこそ、感染経路が分からない、どういうふうに対応を取っていいか分からないという状況にあるというのが非常に心苦しく私も感じております。
 今回、先ほど申し上げましたように、その十八年前よりも非常に大きな被害が出ているという現状でありますけれども、このまず全国的に広がった現状についての認識と今後の対策についてお伺いをいたします。
○国務大臣(林芳正君) 今お話がありましたように、昨年十月に七年ぶりにこのPED、豚流行性下痢ですが、発生が確認されて以降、御地元の秋田県も含めまして、現在三十三道県で発生が確認されております。直近、四月十九日の頭数の最終確認日ですが、秋田県では四百九ほど発症をしておりまして、そのうち死亡頭数が百五十六と、これが四月十九日現在でございます。
 全国の数も、発生件数が三百六十三、それから発症頭数が三十三万三千五百十七、死亡頭数が八万三千三百二十五と、こういうふうになっておりまして、まだまだこの発生が確認をされておると、こういう状況でございますので、これまでも都道府県等に対して飼養衛生管理の徹底等を指導するなど、本病の周知と発生拡大の防止、これを図ってきたところでございます。
 最近の発生状況を踏まえまして、より一層防疫対策の強化を図るために、四月八日でございますが、消費・安全対策交付金を活用しまして、畜産農家、屠畜場等の出入口での消毒機器の設置、それから消毒の実施に必要となる経費を支援するということ、もう一つはワクチンでございますが、昨年度の倍の量が供給される予定と、こういうふうになっております。これは我が省から依頼をしたことを踏まえていただいているわけですが、これについての需要見込みを把握して、これをワクチンのメーカーに伝達することによってこのワクチンの円滑な供給を図ると、こういう対応を追加的に行うことにいたしました。
 我が省としても、本病の対策に全力を挙げていきたいと、こういうふうに思っておりますし、現場の皆様におかれても、これらの支援を活用いただいて本病の発生予防、また蔓延防止に御協力をいただきたいと、こういうふうに思っております。
○中泉松司君 今後強化する対策ということで今二つ、消毒の強化とワクチンの安定供給という話がございました。
 実際に、私も週末、秋田に戻った際に、養豚業者、これは発症した場所ではもちろんありませんけれども、関係の方からお話を伺いたいということで話を伺ってきました。実際、農水省の方の方とやり取りをしていると、やっぱり、しばらく発生していなかったからという気の緩みもあるのかもしれない。確かにそれもあるかもしれないんですけれども、実際お話を伺うと、かなり気を遣ってはやっているし、当たり前のように消毒というものは徹底をしているんだけれども、それでも発生しているところは発生をしている、だから、本当に原因が分からなくて困っているんだという話で、いつうちにも来るか分からないということで困ったものだなという話をされておりました。
 そういった中にあって、原因についてはこれちょっと次も語りたいと思うんですけれども、その原因がちょっと不透明な状況の中でワクチンをやっていくというのは大切なことだと思います。実際に広がりを止めるためには一番重要な、地道かもしれませんけれども、重要な手だと私も感じさせていただきましたが、倍にして、伺ったところによると、百万回を二百万回分にすると。頭数にして五十万頭分増やして百万頭分のワクチン数を確保するという要請をされているということでありますけれども、それは今後広がりをもし見せた場合にしても十分な数字であるというふうに考えてよろしいものなのか、そこを確認させていただきます。
○政府参考人(小林裕幸君) ワクチンの需給についてのお尋ねでございます。
 現在、国内では九十万頭の母豚がおります。これが妊娠をしたときにワクチンを打って、そして母豚の体内で抗体ができて、それが母乳を通じて子豚に抗体が移る。そのことによって子豚の死亡率を抑えるというのがこのワクチンの仕組みでございます。豚は大体年二回妊娠をいたします。そういたしますと、全体で言いますと九十万頭掛ける四、もし仮に全頭がワクチンを打てば三百六十という形になります。
 今、二百万頭と申し上げましたけれども、大体、ワクチンの接種率、ほかにもいろんな病気ございますが、それから見て、恐らくおおむね十分対応できるだろうと見ておりますが、当面、第一・四半期、この四、五、六には七十万回分は供給できるというふうに考えております。
 したがいまして、全体として供給量はあるというふうに見ておりますが、全体の需給、よく見まして、しっかりと対応していきたいというふうに思っております。
○中泉松司君 ワクチンに関しては、ワクチンの保管に掛かる経費、これから増える部分の保管に掛かる経費に関して助成をしていくというような話も伺いましたが、一頭当たり二百円から二百五十円ぐらい掛かるというような話も伺いました。そこら辺の経費の部分というのも、今様々な要因で苦しい経営をしている中にあってはなかなか厳しいなという話も伺ったりもしておりますので、今後、そういった状況も見ながら検討をしていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
 そしてまた、原因が分からないという話なんですけれども、お話を伺うと、本当に本当に分からないなと私も感じざるを得ませんでした。例えば養豚のグループみたいなものが、秋田県の場合も二つ三つあるようなんですけれども、そのグループによって、例えばそのグループが取引をしているところが流行性下痢が発生しているところで、そういうのが来たんだみたいな考え方をする人もいますし、そうではないんだというような話をされる方、それでは説明が付かない県もあるんだというような話をされる方もいらっしゃいました。
 ここでちょっと気になるんですけれども、アメリカ、養豚の非常に盛んな国でありますけれども、アメリカでは昨年の四月に発生をして以来、大変な被害が出ているというふうに伺っております。これ、四月の六日の週ということなので四月の二週目なんだと思いますけれども、現在、二十九州で発生をしており、件数でしか出ていないようですけれども、五千七百九十件の陽性件数が出ていると。報道ベースでありますけれども、その被害は三百万頭とも四百万頭とも言われ、少なくとも数百万頭の規模で出ているというふうに言われております。
 いわゆる資材、例えば餌ですとか資材ですとか、そういったものをアメリカから輸入するというのが主流なようでありますけれども、そういったところの因果関係というものはないのか、ちょっとそこら辺について認識を伺いたいと思います。
○政府参考人(小林裕幸君) 今、PEDの感染経路につきお話がございました。先生今お話しいただきましたように、PEDにつきまして、例えば近隣の農場にうつっているようなものは、恐らく人の動きがかなり活発だったのではないかというふうに推定がある程度できるものもありますし、それから、飛び地になっていてなかなかその感染経路がどこなんだろうというのがはっきりしないという事例もあるのも事実でございます。それから、このウイルスがどこから来たのかということにつきましても、現時点でははっきりしておりません。アジアにも発生しておりますし、今お話ありましたように、アメリカにも発生をしております。
 そういった中で、取り得る対策精いっぱい取るということで、一つは海外からの持込み、国内で仮に早期に撲滅できたとしても海外から更に入ってきては仕方がありませんので、水際対策をしっかりやる。こういったものにつきましては、海外から入ってくる豚だとか、あるいは資材、そういったものについての検疫をしっかりやっていくというのが一つ大きな柱でございます。
 それから二つ目は、国内各地での伝播、これを防ぐということでございます。このウイルスは下痢を通じてうつるものですので、ふん便の中にウイルスが排出されて、それが何らかの形で運ばれていくということでございます。したがって、人や物にくっついて動いていくという形になります。
 そういったことから、先ほどもお話し申し上げましたけれども、やっぱり衛生管理というものをしっかりやっていくということが重要でございます。そして、このウイルスを、できるだけ被害を少なくするためにワクチンを接種する、こういったものの組合せでやっていく必要があるというふうに考えております。
 ただ、最初の話に戻りますが、感染経路、まだ不明な点が多々ございます。今専門家に、その疫学的な調査も含めて、また都道府県の協力も得て、今現在、調査、分析を進めているところでございます。できるだけ早期に結論を出したいというふうに思っております。
○中泉松司君 済みません、できるだけ早く検証をしていただきたいと思います。
 先ほどお話ありましたけれども、アジア、米国という話がありましたが、伺ったところによると、東南アジア等のウイルスもアメリカのウイルスも、この今回の日本のウイルスも非常に、似たものという表現が適切なのかどうかは分かりませんけれども、類似したものであるというふうなお話も伺いました。
 ちょっと新聞報道でしかこれは見ていないんですけれども、今後に向けて本当に実効性のあるものとなっているかどうかは検証する必要があるというようなことを農林水産省の職員の方がされたというのを、日本農業新聞だったと思いますけれども、拝見をいたしました。
 今後に向けて検証をしていくというのは、原因の究明も含めて、そしてまた今後再発防止を進めていくためにも必要だと思うんですけれども、先ほど申し上げましたように、アメリカ、養豚の非常に盛んな国という話でありますけれども、例えば餌であったり、餌箱であったり、あと資材の段ボールであったりといった様々なものが入ってくるんだと思います。そういったところで、ちゃんとしっかりやられているんだとは思いますけれども、現実として今、日本にもこうやって入ってきて、原因が分からない広がり方をしているわけですから、そういったところも、今後の検証に向けては視点として持って進めていく必要があるんではないかと私は感じております。
 そこに関して所見を、どのようにして取り組まれるおつもりか伺います。
○政府参考人(小林裕幸君) 先ほど申し上げましたように、現時点では感染経路ははっきりしておらず、今一生懸命調査をしているということでございます。したがいまして、いろいろな調査におきまして、余り予断を持たずにしっかりと調査をしてやっていく必要があるというふうに考えております。
 ただ、ふん便を経由してうつるということでございます。また、熱に弱い。それから、一定の日数がたちますと、やはりウイルス自体が死滅するというふうなこともございますので、客観的に見てかなり可能性の低い物資、物というのも多々ございますが、予断を持たずに検証してまいりたいというふうに思っております。
○中泉松司君 次に、いわゆる収入対策というか、経営を継続するための対策についてお伺いをしたいと思います。
 先ほど来お話をしているように、農業従事者の、特に養豚業者の方々が非常に不安な思いをしながら経営をしております。実際に発生してしまうと、生後十日未満の豚というのが亡くなってしまうと。変な言い方ですけれども、亡くなってしまうと餌をやる必要もなくなりますので、そういう意味では、掛かるお金というものも、そこの部分はマイナスになるのかもしれませんけれども、将来売るというときになったときに収入がなくなるというふうなところがありまして、そういう意味では、サイクルに穴が空いてしまうというのは、これは今後収まったとしても起こってくることなんだと思います。
 共済制度について事前に御説明をいただいたんですが、日本の共済制度では、二十日を超えたものでなければ、こういうような亡くなり方をした豚に対する支援というものはないというふうに伺っておりまして、今回、冒頭申し上げたように、PEDの豚というのは十日未満の豚が大半で亡くなっているということでありますので、この制度の支援は受けられないということになります。
 そういった中にあって、今回ほどの、この非常に大きい規模で発生している状況でありますので、これは何らかの支援、対策というものが取れないのか。そしてまた、制度に乗らないようであれば、しっかりと融資ですとかそういったところで経営継続に支障が出ないように丁寧にやっていく必要が百歩譲ったとしてもあるのではないかと感じておりますけれども、そこについてお考えを伺います。
○政府参考人(佐藤一雄君) お答えいたします。
 このPEDの場合でございますが、口蹄疫等の家畜伝染病ほどの伝染力は強くないということで、家畜伝染予防法に基づく家畜の移動制限というものは行われず、仮にこのPEDが発生している農場であっても、下痢等の異常が見られない豚については出荷がこれが可能となっておるところでございますが、他方、今御指摘いただいていますように、異常が見られる豚については出荷自粛が行われるということと、子豚といいますか哺乳豚を中心に下痢、死亡等の被害が生じるといったことから、これらによりまして経営の悪化といったことが懸念されるところでございます。
 この経営維持に必要な運転資金といたしましては、一つには、日本政策金融公庫の農林漁業セーフティネット資金と、こういったものがございます。また、これ以外に、畜産特別資金ということで、負債の償還に支障を来す方に借換え資金を提供する資金制度が用意してございまして、こうしたものが活用可能というふうに考えているところでございます。
 また、先ほどからお話がありますように、やはり本病の予防には適正な飼養管理の徹底といったものが必要だと思っておりまして、このために必要な家畜の飼養管理、あるいはふん尿処理等に必要な機械、装置等につきまして畜産環境整備リース事業というものを措置してございまして、こうした支援策を周知徹底を図りまして今回の対応に十分活用していきたいと、このように考えているところでございます。
○中泉松司君 是非積極的にお願いをしたいと思います。
 今回の件に限らずなんですけれども、政策金融公庫ですとかそういったところに相談をしたときにスムーズに話が進んでいるかというと、必ずしもそうでないようなお話もちらほら伺ったりしておりまして、そこは丁寧に、特にこういう御時世でありますので、やっていただかなければいけないんだと思っております。そこはしっかりと指導なり助言なりしていただいた上で、スムーズに、これによって諦める、これによって離農する、これによって経営を諦めるということがないように、是非とも前向きに取り組んでいただきたいと思っております。
 先ほどの馬場委員で最後にEPAの話がありましたので、私、EPAの話もちょっとしたかったんですが、最後に捕鯨について一つお伺いをして、質問を閉じさせていただきたいと思います。
 先週十八日、今後の鯨類捕獲調査の実施方針についての林農林水産大臣の談話の中で、北太平洋における調査捕鯨について規模を縮小し実施するとの発表がありました。私自身、捕鯨については是非進めていただきたいという立場なんですけれども、一方で、反捕鯨国を中心に、先般の判決を受けた内容ということで批判をされるということはあるんだろうなというふうに心配をいたしております。
 そこで、来年度以降の調査の内容についてまずお伺いをいたします。
○国務大臣(林芳正君) 来年度以降の調査については、まず、鯨類がほかの水産資源と同様重要な食料資源であり、科学的根拠に基づいて持続的に利用されるべきと、この基本的認識に基づきまして、商業捕鯨の再開、これを目指して、そのために必要な科学的情報の収集を目的に鯨類捕獲調査を実施してまいりましたし、今後も実施していくと、こういうことでございます。
 この基本方針を堅持しつつ、二十七年度以降の南極海及び北西太平洋における鯨類捕獲調査については、IWCの科学委員会に計画を提出する、六か月前と、こういうルールがございますので、本年の秋頃までに、今回の判決で基準が示されておりますので、それを反映させた新たな調査計画をIWC科学委員会に提出したいと思っておりまして、関係府省連携の下で全力で検討を進めることとしております。
○中泉松司君 済みません、最後に。
 今般の、今御説明をいただきましたけれども、決定に関しては、自民党捕鯨議員連盟の幹事長でもありました林大臣の強い思いが示されたものと拝察をいたしております。そこで、今後、どのような姿勢で捕鯨問題について取り組まれるか、林大臣の思いを伺って質問を終わらせていただきます。
○国務大臣(林芳正君) 私も長い間これをやってまいりました。農林水産大臣を拝命する以前からIWCの会議にもたしか六回ぐらい行ってきたと、こういうふうに思っております。
 四海を、四海というか四方を海に囲まれた我が国にとって、やはり海からたんぱく質を摂取するということは大変大事なことであると同時に、海の生態系の中で食物連鎖の一番上にいる鯨、このものがきちっと資源の量に応じて持続的に利用されるということは大変漁業にとっても大事なことであると、こういうふうに思っておりますので、そういう基本的な姿勢を堅持してこれからもやってまいりたいと思っております。
○中泉松司君 ありがとうございました。
○徳永エリ君 民主党・新緑風会の徳永エリでございます。
 日豪EPAが大筋合意をし、そしてTPPがどうなるか分からないという中で大変に重苦しい気持ちでいるんですが、その中で唯一の朗報でありました、まずは調査捕鯨について伺いたいと思います。
 国際司法裁判所の判決を受けて政府内に慎重な意見があったんですが、鯨の捕獲頭数を減らし、調査捕鯨は継続実施をするということが決まりました。私の地元北海道でも、釧路では沿岸捕鯨を実施いたしておりますので、本当に良かったなとほっといたしました。
 しかし、北西太平洋での捕鯨の継続によって、オーストラリアや米国など反捕鯨国が日本の方針に反発を強めることも考えられます。新たに問題を指摘されないように政府としてしっかり取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○大臣政務官(横山信一君) 国際司法裁判所の判決は、第二期北西太平洋鯨類捕獲調査の中止は求めていないというふうに認識をしております。他方、将来の特別許可の発給に際しまして、本判決に含まれる理由付け及び結論を考慮することが期待をしているという部分がございます。そのため、本年度の北西太平洋鯨類捕獲調査につきましては、判決に照らし、調査目的を限定するなどして規模を縮小して実施することとしております。さらに、平成二十七年度の調査計画策定を踏まえ、判決の趣旨を考慮し、北西太平洋におけるDNAの採取など非致死的調査の実行可能性に関する検証を実施することとしております。
 今回の対応は、このように判決において示された審査基準を最大限考慮した内容になっていると考えております。今後、この点を関係国に丁寧に説明をし、理解を求めていく考えでございます。
○徳永エリ君 二十六年度は、南極海は捕獲調査は行わず目視調査を実施するということですので、加工職員を中心に乗組員の雇用が守られるかどうか大変に心配であります。政府として、乗組員の生活を守るということについてもしっかりと対応していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(本川一善君) 現在、南極海の捕獲調査につきましては、母船が一隻、それからキャッチャーボートが三隻、それに水産庁の監視船として一隻、計五隻の船に従事をしていただいております。南氷洋の調査、捕獲調査を中止することは決定しておりますけれども、これがどのような影響を与えるかについて、今後の対応の検討の中で精査をし、対応してまいりたいと考えております。
○徳永エリ君 ありがとうございます。
 また、今回の判決において目標サンプル数と捕獲数の乖離を指摘されましたが、それは反捕鯨団体シーシェパードによる妨害行為によるものであります。昨年、サンフランシスコの連邦高裁は、日本の調査捕鯨団に対して妨害行為をしてきたシーシェパードを海賊と認定いたしております。シーシェパードの暴力による一方的な妨害行為は決して許さないんだという厳しい態度を内外に向かって発信していかなければ、日本の調査捕鯨の正当性が伝わらないと思います。政府は、二十七年度の南極海での新たな調査実施に備えて、妨害行為への対策を具体的に示していただきたいとお願いいたします。
 さらに、国内外に向けて捕鯨が日本の伝統文化であるということをしっかりと訴えて理解してもらう努力をすること、それから、関係国に対するロビー活動というのも今まで以上にしっかりやらなければならないと思いますが、この点はいかがでしょうか。
○政府参考人(長田太君) 先生御指摘の反捕鯨団体シーシェパードの関係でございますが、これらの行為は我が国の調査捕鯨船への違法な暴力行為でありまして、船員の生命を脅かすとともに海上の安全を損ねる行為でございまして、極めて遺憾であると考えております。
 このような遺憾な暴力行為に備えまして、政府といたしましては、関係省庁で協力をしまして、水産庁の監視船の派遣あるいは海上保安官の警乗等を通じまして安全対策を強化をするとともに、シーシェパード船舶の旗国や寄港国に対しまして実効的な措置を講じるよう働きかけてきているところでございます。
 二十七年度の南極海での調査捕鯨に関しましては、新たな調査計画を踏まえまして、安全対策を関係省庁連携の下でしかるべき対応をしてまいりたいと考えております。
○徳永エリ君 具体的な対策にしっかりと取り組んでいただきたいということを重ねてお願いを申し上げたいと思います。大変危険な行為でありますし、今後の流れにも大変に影響してくると思いますので、よろしくお願いいたします。
 また、調査捕鯨は科学調査でありますので、鯨肉を販売するなどの副産物収入で調査研究を賄うことには限界があるということはもう既にお分かりのことと思います。国が全額負担をする、国費で賄う、安定的な財政支援をするべきと考えますが、下関が御地元の大臣、いかがでしょうか。御決断いただけないでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) 先ほど伝統文化についてもお尋ねをいただいておりましたので、そのことと併せてお答えをしたいと、こういうふうに思います。
 この捕鯨、鯨食は我が国の伝統文化でございまして、そもそもIWCができたときの経緯は、鯨を捕る国が集まって数量を調整しよう、そして資源を持続的に活用しようと、こういうことだったわけでございますが、捕る国の中で、我々のように伝統文化として、いただいて、きちっと骨もひげも残さずに使って、最後、私の地元の長門というところに墓がございますけれども、供養まですると、こういうきちっとした文化を我々で持っている国と、単に油のために鯨を捕っていて、油がほかのものに代替されるようになって鯨自体要らなくなったと、こういう国に分かれるようになってきたというのが今のモラトリアムへつながるIWCの変質と我々は思っているわけでございまして。したがって、たんぱく質を海から取る、捕鯨及び鯨食という文化をしっかりと我々自身がまず受け継いでいく、これが大変に大事だと、こういうふうに思っておりまして、子供向けや一般向けのパンフレットや、消費者の部屋、子ども霞が関見学デー、こういうあらゆる機会を捉えて情報発信に取り組んできたところでございますし、また全国の自治体が全国鯨フォーラムというのを始めとする各種イベント、やっていただいております。これを後援することによって努力をしてまいりたいと、こういうふうに思っております。
 それから、財政の話でございますが、鯨肉の販売収入によって調査経費を賄うということを基本としながら、継続的にそれに必要な経費を国が支援をしてきたところでございます。妨害活動への対応、それから目視調査、国内流通鯨肉のDNA調査の経費に対し国が支援をしてきているところでございます。
 来年度以降の捕獲調査については先ほど申し上げたとおりでございますが、与党並びにこの委員会からの決議でも今先生がおっしゃられたような御意見が、明示的に賜っておりますので、そのことも踏まえて検討してまいりたいと、こういうふうに思っております。
○徳永エリ君 しっかりと御答弁いただきましたので、是非とも全額賄うということを御検討いただきたいということを重ねてお願いを申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。
 さて、いよいよといいますか、明日三年ぶりにオバマ大統領が来日ということになりますけれども、TPPについてお伺いをしたいと思います。
 一昨日、韓国での大規模なTPPの反対集会に参加した米国のパブリック・シチズンの貿易担当のロリ・ワラックさんと、それからオークランド大学のTPPの研究者でありますジェーン・ケルシー教授が来日いたしました。私も情報をいただきながら意見交換をさせていただきました。日豪EPAについて、豪州にとってEPAによる牛肉の関税の段階的引下げはTPPがまとまらなかったときの担保になったとおっしゃっていました。しかし、TPPで関税撤廃を求めている米国、ニュージーランドなどは、豪州が関税をゼロにするという黄金律を破ったと大変に憤慨しているということであります。ですから、TPPでの交渉は日本にとってますます厳しくなると。日豪EPAよりも高いレベルを求めてくる。そうなると、豪州もTPPの枠内で更に厳しい要求をしてくるのではないでしょうか。
 TPPの交渉をしている中で、果たしてこの日豪EPAを先行させたことがよかったのかどうか、この点に関してどうお考えでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) この日豪EPAとTPPの関係についてでございますが、これは前回たしかお答えをしたという記憶がございますが、日豪EPAは二〇〇七年から始まっておりまして、長きにわたって交渉をしてまいりましたが、TPPの方は二〇一〇年に交渉開始で、我が国が参加したのは二〇一三年ということで、基本的に別の交渉であるということと、それから日豪はバイでございまして、日豪の間で交渉をして合意に至ると、こういうことですが、TPPは十二か国、日本以外に十一か国ございますので、それぞれで合意に至る必要があると、こういうことでございます。
 したがって、この日豪EPA、バイの日豪の合意内容がTPP交渉へどのような影響を及ぼすか予測することは困難でありますけれども、今お話のあった米国、ニュージーランド等は従来から包括的で高い水準の協定を目指して、重要五品目については日本の市場開放を求めてきていると、こういうふうに承知をしております。
 我が国としては、この衆参両院の農林水産委員会決議も踏まえて、国益を守り抜くように全力を尽くす考えでございます。
○徳永エリ君 別々のものであるということですけれども、日豪EPAで合意をしたということが、やはり関税撤廃を求める国にとってはますます態度を固くするというか、そういうことにつながっているということは否めないというふうに思っております。
 TPPの二国間の関税協議について、新聞報道では、米、麦、甘味作物は現行の関税率をほぼ維持できた、MA米の米国の輸入枠の拡大、また読売新聞は一面で、牛肉関税九%以上、TPP歩み寄りと。関税が撤廃にならない、日本は頑張って交渉しているなというような、事情が分からない人にはともすると誤解をされるというか、そういった印象を与えるような気がします。
 新聞報道がまず事実なのかということと、それから、よく澁谷審議官がおっしゃっていますが、新聞報道、マスコミ報道は全て誤報であるというふうにおっしゃっておりますが、誤報なのか。それから、国民感情を誘導する政府のある意味戦略なのか。昨日、澁谷審議官が報道内容について記者会見を開かれたそうですが、政府の御見解を伺いたいと思います。
○大臣政務官(小泉進次郎君) 昨日、澁谷審議官がマスコミに対して発表したことは、本来であれば澁谷審議官御本人から答弁できればよかったんですが、答弁できるような今回呼ばれ方をしていないということですので私からお答えをさせていただきますが、今、徳永先生が言及をされた読売新聞の件ですが、今日は午前中、私は参議院の外交防衛委員会にも答弁をさせていただきました。誤報であって、今、甘利大臣の下に読売新聞の記者は事実上出入り禁止となっております。
○徳永エリ君 出入り禁止になっているということは、これは誤報だというふうに受け止めてよろしいんでしょうか。
○大臣政務官(小泉進次郎君) 誤報と申し上げました。
○徳永エリ君 ただ、それこそ先ほどお話しいたしましたロリ・ワラックさんとか、それからジェーン・ケルシー教授辺りから、この読売の報道に大変近い数字について、この辺でまとまるんじゃないかというような話も聞こえてきていますので大変心配しておりますし、先ほどもお話がありましたけれども、やはり秘密協議ということでなかなか情報がない中で、新聞報道というのは大変に現場を混乱させるものでありますから、出入り禁止とおっしゃっておりましたけれども、しっかりと厳しく対応していただきたいというふうに思います。
 それから、まさに今日なんですけれども、ホットな書簡が届きました。これは、貿易問題に権限を持つ米国の下院歳出委員会の議員が同僚議員に呼びかけて出した書簡でありまして、賛同者が六十人から更に超える可能性があるというふうに言われているものであります。
 既に、TPPやファストトラックに反対してきた議員は五人だけで、他の大多数はTPPとファストトラックの支持者たちです。署名者の中には強力なTPP支持者がいます。オバマ大統領がファストトラックやTPPを通過させようとして貿易の権限を持とうとするならば特に必要な票田の議員たちであるということなんですが、この書簡の中で何を求めているかというと、センシティブな農産品に関する特別な扱いは、これまでの貿易協定における米国による要求や日本がTPPに招かれた際に与えられた約束に反するだけではなく、他の十一か国が慎重に応じた譲歩も否定することになる。そして、日本が関税と農業の非関税障壁の撤廃に合意しない限り、日本の参加に関するTPP交渉を停止しないという確約を求めるものである。
 つまり、日本が関税と農業の非関税障壁の撤廃に合意しない限りTPPは妥結できないよと、交渉はずっと続きますよ、ともすると漂流しますよというようなものであります。そして、先週辺りアメリカから聞こえてきている内容とは違って、今日のこの書簡は、牛や豚だけではなく米や麦も対象にしているわけであります。
 こういうようなものが私の手元に今日届いたわけでありますけれども、オバマ大統領はTPAを米国議会からいまだに付与されていません。ですから、日米協議が首脳間で大筋合意しTPPが妥結し署名をしても、議会から承認を得られることができないというのは今までも申し上げてきたところでございます。再協議が求められる可能性があるわけです。
 しかし、TPAがなくても妥結した二国間FTAもあるということでありますから、米国サイドが米国議会の要求を最大限に日本にのませるということができれば、以前予算委員会でも申し上げましたけれども、TPP馬車論というお話がありまして、日米の関税協議は馬車の馬であると。何頭立てなのか、どのくらい馬力があるのか、これが決まることによってルールという荷物を積み込んでTPPは走り出すことができるということでございますから、TPPが走り出して、TPAがなくてもTPPが妥結する可能性というのがあるのだろうかということが大変心配になってくるわけであります。日本政府は、米国に対してオバマ大統領のTPA取得に関して何か言及をしているのか、この点についても伺いたいと思います。
○大臣政務官(小泉進次郎君) 御指摘のTPAでありますが、日本がTPP交渉に参加した当時、TPAが失効していたことは御存じのとおりでありまして、また、TPA法案が本年一月の九日にアメリカ議会に提出されたところであります。TPA法案はアメリカの国内法案でありますので、法案の審議はこれからだと承知をしております。
 引き続きアメリカの動向を注視をしていきたいと思いますが、他国の国内法案についてですので、コメントはしないということであります。それぞれの国内で議会の承認を得て国民に説明するのは各国がそれぞれの責任で負うべきところだと、そういうふうに考えております。
○徳永エリ君 先ほども新聞報道のことにちょっと触れましたけれども、米国議会は日本が牛肉の関税を一〇%まで削減すれば納得するようだというような情報も入ってきています。大変に心配しております。これが即時撤廃を求められるのか、どのくらいの年数を掛けての段階的な削減を要求しているのか分かりませんけれども、これもし牛肉の関税が一〇%まで削減されるということになりましたら、本当に畜産、酪農への影響は大きなものになると思います。さらに、日豪EPAの合意内容で明らかになったように、豚肉の関税なども二・二%まで削減されたとか、それから五項目以外の農水産物にも大きな影響が心配されるわけであります。
 そんな中で、二十四日に首脳会談が行われます。安倍総理は交渉を加速化するように指示し、事務レベルでの交渉が続いています。この加速化するように指示するということは、先ほど大臣から、交渉は期限を切ってするものではないと。期限を切ると、じゃ、おまえが譲れということになる、これは交渉のイロハのイである、そんなことはしないと以前もおっしゃっておりましたけれども、しかし、この日米の首脳会談に向けて加速化しろということは、これは期限を切って交渉しているんだというふうにも受け止められると思いますが、この点に関してはいかがなんでしょうか。
○大臣政務官(小泉進次郎君) これは、度々、林大臣からも御答弁をいただいていると思いますが、あくまでも日米首脳会談は一つの節目ではありますが決してデッドラインではないと、お互いあしたから日本で会う中で、それまでにどこまでお互い前向きな姿を表していけるのか、しっかりとそれぞれのカウンターパート同士で協議をしていこうと、そういった意味でのオバマ大統領と安倍総理での加速化の指示ということですので、これからまさに今日も午前中の十時から大江大使とカトラーさんと協議をやっておりますので、引き続き、ぎりぎりまでしっかりと交渉協議をやっていきたいと思います。
○徳永エリ君 このTPPですけれども、日米の首脳会談でまとまる可能性もあるということでしょうか。
○大臣政務官(小泉進次郎君) これは甘利大臣もおっしゃっているとおり、先週アメリカに甘利大臣が行かれて交渉した結果、一定の進展はあったもののまだ相当距離はあると。
 そういった厳しい状況ではありますが、交渉事ですので、予断を許さない中で可能な限り、日本からすれば衆参の農水委員会の決議をしっかりと守ったと、整合性が図れるような形と、そしてTPPの高いレベルの目標を達成すると、そういった双方を達成できるようにしっかりと取り組んでいきたいと思っております。
○徳永エリ君 オバマ大統領は中間選挙に向けてTPPの成果を何としてでも持って帰りたい。安倍総理も先日、細かい数字をめぐって今交渉していると思う、お互い数字にこだわることも大事だが、TPPには大きな意味があるという高い観点から最終的に結論を得て妥結を目指したいとおっしゃっています。
 TPP、これそもそもの目的は投資と金融であります。安倍総理のおっしゃる国益とは、私たちが考えている国益とは異なります。多国籍企業の利益の拡大であります。何とか国会決議との整合性を付けて、最後は政治的な判断をするのではないかと大変に心配であります。
 今朝、民主党の経済連携・農業再生調査会で、内閣官房TPP政府対策本部から、TPPにおける日米協議の現状についてペーパーが配付されました。その中に、米国側からはTPPが高いレベルの自由化を目指していることを、日本側からは衆参農林水産委員会の決議と整合的な成果を得る必要があることを繰り返し主張したとあります。
 この決議との整合的な成果とは一体どういう意味なんでしょうか。
○大臣政務官(小泉進次郎君) まさに、この衆参の農林水産委員会の決議へ照らし合わせたときに、これが整合的だなと、そういうふうに受け止めていただける、そんな結果を出すことが整合的な結果だと思っております。
○徳永エリ君 大分苦しい御答弁だと思いますけれども。
 経済連携でいうところの除外とこの国会決議の除外と、この解釈が同じではないということなのかもしれませんけれども、私たちはこの経済連携でいうところの除外と国会決議の除外は同じだと思っていますから、関税撤廃も段階的な関税削減も、それから関税削減も、こういったものは全て除外というふうに思っていますから、そもそも日豪EPAもこれは決議違反だというふうに思っております。
 また、西川TPP対策委員長は、与党の聖域を守るという公約がレッドラインだとおっしゃっているようですし、それから石破幹事長は、五品目の関税撤廃はしないとおっしゃっています。しかし、またこれも繰り返しになりますけれども、国会決議は関税撤廃をしなければいいということではありませんので、しっかりとそういった姿勢でもって国会決議を守っていただきたいというふうに思います。
 先ほど自民党の議員の方からもお話がありましたけれども、これはやっぱり国会決議はとても重要だと思うんですね。私も、北海道の農業地帯を回って歩いておりますと、今、日本は譲歩案を持って米国と交渉しているんだと、そもそも譲歩案があってはいけないんだと言っても、いやいや、うちの地元の自民党の先生がしっかり約束守ると言ってくれている、甘利TPP担当大臣も本当に厳しい交渉を一生懸命やってくれている、絶対に自分たちの思いを受け止めて約束を守ってくれるんだということを信じている方がたくさんいらっしゃるんですね。
 ですから、この国会決議を守ることができなくて、ましてや日豪EPAよりも厳しい状況になった場合には、これは本当にそれぞれ与党の先生方、御地元に戻ったときに大変なことになると思いますし、それから、政権もこのTPPの行方によっては大変に危うい状況になるのではないかというふうに思っております。
 この点に関してはいかがでしょうか。
○大臣政務官(小泉進次郎君) 公約を守れなかったときにどうなるかというのは、民主党もそして自民党自身も野党の時代からまざまざと感じてきたところでありますので、公約で約束したことと、それをどういう形で果たしていくかと、これについてもしっかりと踏まえて、大臣も決議を踏まえながら、だけれども、日本の戦略的なこれから将来を、この地域をどういう地域にしていかなくてはいけないのかという大きな観点と、様々なまさに複合的な観点で厳しいぎりぎりの交渉をやっていると、そういうことですので、是非この交渉、一丸となってお支えいただきまして、最終的に整合的な結果だと受け止めていただけるよう、これからも努力をしてまいりたいと思います。
○徳永エリ君 先ほど、林大臣が秋田に行かれて農業関係者の方々と意見交換をしたと、自治体の首長さんたちにもお会いになったということですけれども、非常に積極的に林大臣、全国各地の農業地域を回られて、そして意見交換をしていただいておりますけれども、いろんな声をもう一度思い浮かべられて、またいろんな方々の思いを受け止められて、しっかりと最後の最後まで国会決議を守るという気持ちで臨んでいただきたいというふうに思っております。
 私も、ここ数か月間、毎週毎週、TPPの勉強会ということで一時間半の勉強会を北海道の農業地域に行ってさせていただいておりまして、その後意見交換をしたり、それから懇親会をさせていただいたりしながら皆さんの思いをいろいろ聞かせていただいておりますけれども、日豪EPAが合意したということもあって、この委員会でも何度も申し上げましたけれども、本当に今北海道の農業の現場は重苦しい雰囲気が漂っているんですね。これで、先ほどボディーブローという話もありましたけれども、TPPまでまとまってしまったら、しかも大変に厳しい条件で、合意内容でまとまってしまったら一体どうなるんだろうかと、本当に心配な気持ちでいっぱいであります。
 そこで、大きな山場を迎えているこの日米首脳会談を前にして、多国籍企業の利益のために農業や国民の暮らしを犠牲にすることがあってはならないと思いますので、最後に林大臣の思いのたけを伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
○国務大臣(林芳正君) 今、お地元は先生は北海道でいらっしゃいますので、北海道の方との勉強会のお話を聞かせていただきました。
 この委員会は、北海道の方が大変多い、多数派でありまして、我が省内にも吉川副大臣は北海道でいらっしゃいますので、私もお話をいつも聞いておるところでございますし、秋田へお邪魔した後、その次の週は久しぶりに地元に帰らせていただきまして、地元のいろんな方ともお話をすることができて、本当に今お話のあったようにいろんな方の声を生で聞くことができました。やはり我々政治家の原点であろうと、こういうふうに思っております。そういう声を受けて、先ほど申し上げましたように、衆参両院の決議ができていると、こういうふうに思いますので、これをしっかり踏まえて全力を尽くしたいと、こういうふうに思います。
○徳永エリ君 終わります。ありがとうございました。
○小川勝也君 続きまして、民主党・新緑風会、北海道選出の小川勝也でございます。
 順次お尋ねをしてまいりたいというふうに思っております。
 冒頭、馬場委員から質疑がありました鳥インフルから導入をさせていただきたいと思いますが、民主党にも鳥インフルエンザ対策本部が設置されておりまして、先週の金曜日になりますけれども、篠原孝対策本部事務局次長を団長とする熊本県への調査団を派遣をいたしました。
 篠原事務局次長につきましては、宮崎県において口蹄疫が発生したときに、私も内閣総理大臣補佐官ということで宮崎市に派遣をされておりまして、山田正彦副大臣に次いで派遣をされました篠原孝副大臣、当時でありますけれども、一緒に仕事をさせていただいたのを昨日のように覚えているところであります。隣に野村委員長がおられますので、おべっかを使うわけではありませんけれども、宮崎では当時の指導者のこともありまして大変な事態になっておりました。
 鹿児島県は、畜産王国として県境から一頭たりとも口蹄疫を県内には絶対に入れないんだという確固たる決意、これを視察もさせていただきましたし、結果としてそれを成就をいたしました。
 ですから、それぞれの地域においての心構えとか対策が非常に重要だというふうに私も篠原さんも肝に銘じて帰ってきたわけであります。そんな中で、先ほど馬場委員からも御指摘がありましたように、熊本県挙げて今回のことはしっかり対策をしていると対策本部も評価をさせていただいているところであります。
 冒頭付け加えさせていただきますけれども、口蹄疫とかBSEは、発生そのものは許されないわけでありまして、発生はさせちゃいけません。しかし、鳥インフルエンザに関しましては、今のところ野鳥を介して、いわゆる空を飛んでいる鳥からということでありますので、一〇〇%の防護、防除は大変難しいというふうにされておりますので、発生するのは、本当はない方がいいけれども、起こるべくして起きたときは仕方ない、しかしそれを次にうつさないというのがこの鳥インフルエンザ対策の要諦だというふうに思っているところでありますが、そんな中で調査団は、いわゆる今回の熊本県の対応、大変高い評価をもって帰国報告をさせていただいておるところであります。農林水産省としても同じ評価がなされているのかどうか、あわせて、現在までの終息の状況についてお尋ねをしたいと存じます。
○副大臣(吉川貴盛君) 小川議員の御党におきましての対策に対しましても心から敬意を表させていただきたいと思いますし、熊本県との政府側の連携というものも十三日に鳥インフルエンザ防疫対策本部を我が省で行いました折にも大変重要視をした部分でございまして、先ほどの馬場先生からも時系列的に取組を御説明をいただきましたけれども、しっかりと県と政府間におきましてもこれに対する取組というのが私どもはできたと思っております。
 もう細々とお話をする必要はないと存じまするけれども、十三日に疑似患畜と判明をして以来、対策本部としてしっかりと対応してまいりました。十六日に全ての防疫措置が完了したところでございまして、今後、周辺農場での異常が確認されなければ、早ければ、連休後になりますが、五月の八日に全ての移動制限が解除される見込みでございます。
 さらに、発生農家においての家畜の殺処分に要した費用や移動制限等によりました損失等につきましては、これは国が支援をすることとなっておりまして、さらには、正確な情報提供を行うためにも、今後、本病に関する正しい知識を普及するための通知を都道府県、団体等にも発出をいたしましたし、小売店等での不適切な表示が行われないように監視も開始をしたところでございまして、今後またしっかりと対応を進めてまいりたいと存じております。
○小川勝也君 この経験をやはり次に生かしていくということが大事だというふうに思います。授業料という言葉がありますけれども、かつてBSE、口蹄疫、そして数次にわたる鳥インフルエンザ、本当に高い授業料を払い続けているわけでありますので、今後、この熊本県での事例も生かしながら、全国でいわゆる蔓延を食い止める対策を確固たるものにするという思いを込めて、今回の熊本県でのこの鳥インフルの発生を教訓にするという観点から再度御答弁をいただければと思います。
○政府参考人(小林裕幸君) 今、小川委員から今回の事例を教訓としてしっかり対策を取り組むようにという御指摘でございました。
 先生御指摘のとおり、我が国ではBSEもありました、口蹄疫もありました、鳥インフルエンザもありました。それぞれの事例でたくさんの農家の方が大きな被害を受けられ、我々行政としても汗をかいてきたところでございます。そういった教訓の積み重ねが今回熊本の対応にも生かされてきたというふうには考えております。
 ただ、最初に小川委員言われましたように、鳥インフルエンザ、全国どこで発生してもおかしくないという病気でございます。そのためには、各都道府県、常に緊張感を持って対応を取る、そういう心構えで準備を重ねていくということが何よりも重要でございます。
 今回の熊本県での事例も少し落ち着いた段階で十分我々も検証をして、どういう点が良かったのか、反省する点はなかったのかという点を各都道府県で共有をして、次に更に良い対応を各都道府県で取れるようにやっていきたいというふうに考えております。
○小川勝也君 しっかりと未来につなげていただきたいというふうにお願いをする次第でありますが、そのことに比べまして最も情けないのが、先ほど来御質疑にあります、豚の流行性の下痢の症候群であります。
 当委員会の理事会で報告を受けたときには、当然のことながら私の地元には発生をしておりませんでした。事前に御説明に来られました農林水産省の担当者には、少し冗談も含めまして、津軽海峡を絶対越えさすなよというふうに申し上げておりましてから数日後、北海道でも発生をしたわけであります。本州あるいは九州は、当然これは地つながりでありますので、蔓延、伝染の仕方という意味でいうと、あらゆるツールがあるわけであります。しかし、ブラキストン線ではありませんけれども、津軽海峡を越えてということになりますと大変遺憾な思いでいっぱいであります。
 ましてや、口蹄疫は、大変高い高度の法律によって縛られる法定伝染病でありますので、殺処分が義務付けられております。今回の場合は、生まれたての子豚だけが死に至るということで、軽く見られている部分もあるかもしれません。しかし、我が国の酪農、畜産の発展と、いわゆる病気をどう予防していくのかという観点から、ゆるがせにしていい話ではないというふうに私は思う次第であります。
 先ほど来申し上げているとおり、高い授業料を数度、数次にわたって払っている、そしてまた、いわゆる、先ほど来局長からの答弁にありますとおり、鳥インフルエンザはまさにやむを得ぬ場合はあるというふうに仮定をさせていただきますけれども、今回のこのPEDの場合は防ぐ対策があるわけでありまして、これを全てのいわゆる畜産農家がしっかりとやれば防げるということがはっきりしているわけでありますので、なぜこれだけの多くの道県にまたがって発生してしまうのか。そして、衆議院でも参議院でも厳しい指摘が繰り返されている、それに加えて農林水産省からあるいは農政事務所からも各県や各地域に厳しい指導がなされていることが容易に想像できるにもかかわらず、まさに津軽海峡まで越えてしまうのか。
 今回のこの豚の下痢症候群に対して、どういう今までのところ評価と、いわゆる困難性を評価しておられるのか、改めて答弁をいただきたいと思います。
○政府参考人(小林裕幸君) PEDについてお尋ねでございます。今、小川委員言われましたように、今全国に広がりつつございます。現在三十三道県ということでございますので、三分の二の県に広がっているということでございます。私どもとしましても、県と連携をして精いっぱい感染の拡大の防止に努めてきたつもりではございますが、結果としてこのようなことになっているということは大変私にとっても残念でございます。
 この感染につきましてですが、先ほども御説明申し上げましたが、厳密な意味での感染経路、全ての事例について判明しているわけではございません。
 それから、続きまして、この防止方法ですが、現在のところ、大きく二つの方法。一つは、まず一番基本的なことでございますが、飼養管理の徹底でございます。これはふん便を経由してうつりますので、そのふん便をしっかり処理をして次につながらないようにするというのがまず第一でございます。これができない限りは、ほかの措置は付け加えても効果はほとんど出ないということでございます。
 続きまして、ワクチンの接種です。ワクチンの接種は、これも先ほど御説明申し上げましたが、母豚に接種をして子豚の損耗を減らすということで、ウイルス自体を殺してしまうという性格のものではございません。こういった措置を組み合わせてしっかりやっていくということが今現在取り得る最善の方法でございます。
 各農家、特にこのPEDの問題が大きく報じられて以降、かなり一生懸命取り組んでいただいております。各都道府県も一生懸命やっていただいております。ただ、残念ながら、まだ蔓延が、広がるのが止まっているという状況にはございません。今日も実は各県の担当者を集めて会議やって、しっかりやるようにということで打合せしておりますけれども、できるだけ連携を取って対策について力を入れていきたいというふうに思っております。
○小川勝也君 北海道で事例が出ましたのは渡島管内の森町というところであります。そして、本日の情報でありますけれども、少し離れた場所で疑わしき事例が出てきているという報告を受けています。
 これはまだ検査結果が出ておらないわけでありまして、確固たる御判断をいただけないというのは承知しております。もし仮にということになりますと、いわゆる文化圏もあるいは経済圏も離れたところということになりますと、逆に言いますと、感染のいわゆるルートを判明しやすい事例が、データが入手できるということにもなろうかと思います。仮定の話でありますけれども、もしそういう知見が得られることになりましたら、これからの事案でありますけれども、しっかりと感染ルートの特定などに心血を注いでいただくことができれば有り難いというふうに思っているところであります。
 いずれにしても、先ほど鹿児島県の不断の取組について御紹介をさせていただきました。県も畜産県という大きな旗を掲げ、それぞれの市役所も、そしてそれぞれの農家も大変意識の高いところでやむなく感染に至ったということでありますと、いわゆる発生農家の方々がふだん意識している感染阻止のやり方では防ぎ切れない事例や事案やルートがあるということにもつながりかねませんので、早めにそのルートの解明、よろしくお願いをしたいというふうに思います。
 さて、徳永委員から日豪あるいはTPPのお話がございました。昨日北海道では道民会議、緊急アピールをまとめ、安倍総理、甘利TPP担当大臣、そして林芳正農林水産大臣にアピールを郵送するというふうに新聞に出ておりますので、今日辺りそれが届くだろうというふうに思います。全国各地でTPP反対の旗は上がっているわけでありますけれども、事北海道は、予算委員会で、当委員会で再三、大臣にも御理解をいただくためにアピールをさせていただいておりますけれども、若干様相を異にしています。それは、北海道の経済団体連合会がその旗の中にしっかりと入っている、そして、四十七都道府県に医師会があって、おおむね医師会も反対を掲げていますけれども、その反対の活動の度合いが北海道は極めて高いということであります。
 このTPPの本院を含む衆参の決議の中に、いわゆる農産物の品目が羅列されております。御案内のとおり、もう耳にたこができるほど聞いておられるかと思いますけれども、米、麦、牛肉、甘味資源、乳製品であります。言うまでもなく、米、麦の生産量は北海道は大変高い数値、そして砂糖は北海道と鹿児島県と沖縄県だけが関係する、そんな作物であります。乳製品は、御案内のとおり、酪農は全国にあるわけでありますけれども、おおむね飲用乳は本州が多く、加工原料乳の製造を北海道が傾斜配分的に多くするということから、すなわち、チーズ、脱粉、バター、この乳製品に大きく影響を受けるのが北海道であります。そして、前回の委員会のときにも申し上げました、牛肉の関税が下がるということで最も影響を受けるのは、黒毛和種と呼ばれるいわゆる和牛ではなく、ホルスタインの雄であったり、冷凍の分野であってはいわゆる廃用牛、ホルスタインのいわゆる搾乳を終えた雌肉、これが競合するということで、北海道が大変強い関心を示しているということであります。
 TPPのことは後で触れますけれども、まずは、この日豪EPAの中でいわゆるチーズの関税割当てであります。一年目四千トンから最終年度二万トン、すなわち段階的に割当てが増えていくということであります。今まさに私たちの北海道では、オバマ大統領が来るのでTPPどうなるのだろうということで、そちらに高い関心を奪われておりますけれども、チーズのことは死活問題であります。
 御案内のとおり、スーパーで買うチーズのほかに、様々な外食産業や既製品の中で使われているチーズには競争力がありません。すなわち、競争力のない品目に私たちは非常に高い関心を持っているんだということを何度も何度もこの委員会で申し上げております。すなわち、バレイショから作られるでん粉粉、あるいはビートからできる砂糖、あるいは脱脂粉乳や、いわゆる出来合いの冷凍食品の上に乗っかっているピザ用のチーズ、これは競争力がありません。すなわち、日本人の胃袋が爆発的に増えない限り、輸入国からチーズが入ってくる量が増えれば、国内で産出できるチーズの数が減るということになります。このことはこの酪農地帯の北海道にとっては大変死活問題であります。
 このチーズの関税割当てが増えていくということと、北海道のチーズの生産がどういう影響を受けるのかということについて、御答弁をお願いしたいと思います。
○政府参考人(佐藤一雄君) 小川先生の御質問にお答えいたします。
 今回の大筋合意におきましては、今後のチーズの需要の伸びが見込まれるナチュラルチーズにつきまして、まずこの対象を、プロセスチーズ原料用と、先ほども出ましたが、ピザやなんかに掛けますシュレッドチーズ原料用にこれ限定しております。その中で、国内のナチュラルチーズ生産の伸びを妨げない範囲で、プロセスチーズ原料用として四千トンから二十年かけて二万トン、シュレッドチーズ原料用につきましては一千トンから十年かけて五千トンの関税割当てを設定したところでございます。
 さらに、国産ナチュラルチーズを一対三・五の割合で使うといった枠内の輸入の要件とするということで、国内の生乳生産に影響を及ぼさない範囲での合意内容となっているものと考えているところでございます。
○小川勝也君 どうも、先ほど来、徳永委員もいわゆる生産現場の苦悩について何週にもわたってこの委員会で披瀝をしています。まさに、日豪のEPAからTPPに、この流れの中で、いわゆる酪農分野での投資が激減をしています。これから本当に搾れるのだろうか、いつまでも続けていていいのだろうかという思いに駆られているところであります。
 また、皮肉なことでありますけれども、借金がなくなったところでやめたいという方が多いです。借金が残って返せないのでやめられない、こういう事情も横山政務官などはよく御案内だというふうに思っているところであります。生産現場にもしっかりとしたメッセージを伝えていただきたい、前回、林大臣にもお願いをしたところであります。
 さて、このEPAやTPPのときに、いろいろないわゆる日本の農業についての議論が附帯的にされることが多い状況であります。すなわち、日本の農業は規模が小さく、そして後継者が少なく、従事者の平均年齢が高く、これから担い手が不足していく、だから日本の農業も構造改革をしなければならないんだ、変えていかなければならないんだという議論が必ず付いてまいります。
 しかし、時間を掛けて説明をさせていただいた北海道の農業は、他の都府県に先駆けて規模拡大の実験の大地となりました。どんどんどんどん規模拡大を余儀なくされて、どんどんどんどん離農者を出し、地域の人口を激減させ、集落の学校を統廃合し、人口をどんどん減らしているのが北海道であります。
 私は、この農業の構造改革を否定するわけではありません。府県の小規模な経営体を担い手に集中させてオーストラリアやカナダと闘うということはできませんので、もう少し効率的な農業にするということはあってもいいかと思います。しかし、北海道はこれ以上農家が少なくなると集落の維持ができなくなる。だから、これ以上の離農農家を出しちゃいけないんだというふうに私は訴えているところであります。
 あした、オバマ大統領が来日されます。そして、今衆議院の方では、いわゆるところの農政二法、いよいよ正念場ということで採決を迎えるかもしれません。そして、そのときに運命で変わってしまうのが農業政策であります。
 私たちは、大きな農家だけが生き残ればいいというふうに思っておりませんので、農業者戸別所得補償制度を中心に様々な農業者が、農業経営体が集落を維持していく、農村コミュニティーを守っていくということを想定して戸別所得補償政策をつくり、そして、法律には至りませんでしたけれども、政策として実施をさせていただきました。しかし、あした衆議院でもし我々の民主党が提出している法案が否決されますと、参議院に送ってこられませんので、大変この農業者戸別所得補償制度の未来が怪しいものになってまいります。すなわち、小さな農家がどう生きていくのかという指標がなくなっていくわけであります。
 私は、豪州やアメリカ合衆国のような農業を否定するわけではありません。しかし、多くの方々がヨーロッパの農業やデカップリング、国土保全と農業政策がいかに美しくマッチングしているかという事例を知っているはずであります。私たちが目指すのは、アメリカ型の農業ではなく、オーストラリアのような農業ではなく、ヨーロッパのような、いわゆる国土保全や多面的な機能を守りつつ農業生産をしていただく、そしてその農業生産のアイテムは、安心、安全、国民に本当に安心してもらえるものを作る、そのことが食料安全保障につながる、このように考えているわけであります。
 ですから、今まさに日豪EPA、そしてTPPの議論はデマも含めて様々喧伝をされています。政府の統一見解は一つでありましょう。まだ何も決まっていないというふうにお答えになると思います。しかし、私はこのTPPには大反対でありますけれども、いかなる日本が選択を取っても、多種多様な農業が、農村集落や国土をしっかり守っていかなければならないということは、これは変わらない定理、事実でありますので、様々な農業がこの地域で営農を続けられるように、特段の配慮が必要だと私は考えています。
 そんな中で、仮定の話は抜きにして、様々な農業体が地域を守っていく、そのために施策を切磋琢磨してつくっていかなければならない、そのことに対しての林大臣の御見解をお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(林芳正君) 委員が今おっしゃったように、衆議院の委員会でこの二法、閣法二法及び衆法の審議を今ずっとやってきたところでございまして、今委員がおっしゃったような基本的な方向ということについては、実はこれは民主党の御質疑をいただいた方からもそういうお話があったんですが、目指すべき方向はそれほど大きく違っていないのではないかということの御指摘もいただいたところでございます。
   〔委員長退席、理事山田俊男君着席〕
 それは、先生がおっしゃるように、規模が大きければいいということにしますと、アメリカはうちの数百倍、オーストラリアは千倍と、こういうところと張り合っても致し方ないわけでございまして、まさに今度閣法で出させていただいている我々のものも規模要件を外しまして、そして担い手と、意欲と能力のある方なら規模にかかわらずやっていこうということにいたしましたのと、それに加えて、これは選挙の公約でもお約束したとおり、多面的機能に着目した多面的機能払いと、こういうものも新たに創設をすると。こういうことになっているわけでございまして、これは私から言うべきかどうか分かりませんが、もし今おっしゃったように、衆法の方がこちらに来なかった場合は答弁の機会もないかと思いますので、多分、議事録見ていただければそういう御答弁があったと思いますが、その機能を、岩盤とおっしゃっておられましたけれども、それによってやっているんだと、こういう御説明もあったところでございますので、今委員がおっしゃったような、いろんな規模の農業が意欲と能力を持って頑張っていける、そして産業としての農業ということだけにとどまらず、多面的機能というものが非常に大事であるという大きなところは共有しながら議論を進めさせていただいていると、こういうふうに思っております。
○小川勝也君 再三提案もさせていただいております。どんどんどんどんトーナメントで隣の経営体を駆逐して離農に追い込んで規模拡大を余儀なくされてきたのが北海道の農業経営であります。酪農についても、最初は三頭、四頭、六頭のいわゆる手搾りからスタートをしてどんどん大きくなってまいります。そんな中で、最も大きな投資をして多頭数を肥育しているところの方がいわゆるコスト削減に資するわけでありますので、どんどん自分のところの経営が厳しくなってまいります。そのことをずっと繰り返してきた歴史をどこかでやめなきゃならないというのが私の持論であります。ですから、その政府の政策の光が当たる規模というのがあって、そこにそれぞれの皆さんの安心経営が向かい、それ以上ファイトがあって投資したい人はその施策の外で大きな経営を目指す、こういった畜産や酪農の姿を私は思い描いております。
 仮定の話は抜きにして、いつまでもいつまでも規模拡大を続けていくというのは、畜産にしろ酪農にしろ限界があります。ヨーロッパの持続可能な農業に学ぶ、そんな提案もさせていただきたいと思っているところであります。
 最後、一くさり言って終わりますけれども、今日も林野庁長官にお越しをいただきましたけれども、質問の機会はありませんので、次に譲ります。
 情報がありませんので新聞は好き勝手書く、私のところにもいろんな情報が寄せられてきております。徳永委員から指摘がありましたとおり、いわゆるところの、オバマ大統領と大統領府にいわゆる権限がありません。譲歩する権限のない相手と今私たちの国は闘っています。むしろ、いわゆる議会は、その大統領の意を受ける交渉者の手足を縛る立場で米国の上院、下院の議会は役割を果たしています。ですから、全く譲歩のできない相手に、日本は、加速をせよ、来日するまでに何らかの形を付けろ、こういうふうに内閣総理大臣が指示をしています。まさに交渉になっていないんです。
 今日の朝の経済連携といわゆる農業との合同会議では、こういった表現になりました。いわゆる攻めと守りがある野球の中で、日本は九回裏表ずっと守っているだけじゃないか。たまにショートのファインプレーやライトがすばらしいキャッチをするかもしれない、しかし、いつまでたっても点数は入らないんです。
 自動車の面で何か取ったのか、輸出促進する分野で何か取れたのか。皆無であります。そして、農業の分野で譲歩して、本州の農業経営が担い手の目が輝くものになるというのであれば百歩譲ってオーケーですが、最も主業的で、そして規模拡大をして、日本の中で最も効率的だと言われている北海道の農業が打撃を受けるようなTPPであれば、それこそ脱退というカードを持たないで交渉すべきじゃない。
 そのことを申し上げて、私の質問を終わります。
○平木大作君 公明党の平木大作でございます。
 私からは、先日、国際司法裁判所で示されました南極海における日本の調査捕鯨に関する判決を受けて、今後日本がどのようにして調査捕鯨を継続していくのか、さらには将来的な商業捕鯨の再開に向けてどのような取組を行っていくのかについてお伺いをしたいというふうに思っております。
   〔理事山田俊男君退席、委員長着席〕
 この南極海における日本の調査捕鯨を争った訴訟に関して、国際司法裁判所、ICJの判決は、一部において日本の外交的な敗北だ、このような総括をされております。しかしながら、私自身もこの判決を読んでみたりですとか、様々勉強させていただく中で、これ単純に外交の話ではないんじゃないかというふうな今思いでおります。これまでのこの日本の調査捕鯨の取組、これを全般的に見渡したときに、負けるべくして負けた、こんな面もあるんじゃないか、ちょっと厳しい言い方になりますけれども、そんな問題意識を今持っております。
 今後、この捕鯨の伝統と日本の鯨食文化、これを守るために、今、その場しのぎのびほう策に終始するのではなくて、抜本的な取組の転換、これを促していただきたい、このような思いで今日質問に立たせていただきたいというふうに思います。
 そして、まず最初の問いになるわけですけれども、これは先ほど来答弁にもございましたけれども、当初、今日二十二日に予定をされておりました北西太平洋における調査捕鯨、計画を修正の上実施すると先週金曜日に大臣談話、発表があったわけでありますけれども、改めて現時点での政府としての方針をお示しいただきたいというふうに思います。
○国務大臣(林芳正君) 三月三十一日の国際司法裁判所による南極における捕鯨裁判の判決を受けまして、これは大変残念な判決であったわけでございますが、この判決は遵守をするという立場から、具体的な対応について、判決の内容、今委員からは、委員も読み込んでいただいたということでございましたが、大層分厚い判決でございました。慎重にこの判決の内容を精査した上で、真摯に検討を行ってきたところでございます。
 その結果、北西太平洋の鯨類捕獲調査については、金曜日に私、談話を出させていただきましたけれども、平成二十六年度は、判決に照らして、調査目的を限定するなどして規模を縮小して実施をする、それからDNA等の採取など目視調査以外の非致死的調査の可能性について検証すると、こういうことにいたしました。それから、二十七年以降については、IWCの科学委員会に調査計画を出す、これが科学委員会の六か月前と、こういうルールがございますので、本年秋頃までに判決で示された基準、これを反映させた新たな計画をIWCの科学委員会に提出をするために、関係府省連携の下で全力で検討を進めていきたいと、こういうふうに考えております。
○平木大作君 今回の司法裁判所、最大の争点となったのは、日本の調査捕鯨が実態を伴った科学的調査であるのかどうか、この点でございました。
 そもそも、国際捕鯨取締条約、この第八条で、科学的な調査については権利として認められたものでございます。しかしながら、判決の中で、読んでいきますと、日本は二〇〇五年から研究プログラムという名目で三千六百頭ものミンククジラを捕殺してきたが、その後の科学的研究の結果は限定的であったと。データに基づく研究論文は僅か二件、そしてそれも捕殺した鯨九頭のデータしか使っていない、こんな指摘もされてしまっているわけでございます。
 水産庁として、この調査捕鯨の科学的調査としての質と量、どう評価されているのか、御答弁お願いいたします。
○政府参考人(本川一善君) 我が国の調査捕鯨では、質量共に十分な成果が得られているというふうに認識をしております。
 まず一点、南極海のミンククジラが北西太平洋に生息するものとは別種であるということが調査捕鯨で分かっておりますし、新たにクロミンククジラと名付けられたわけでございます。また、このクロミンククジラにつきましては、資源管理に不可欠な自然死亡率が調査を通じて特定されたほか、調査海域には異なる二つの系群のクロミンククジラが生息することが明らかにされ、系群ごとの管理が中心となっておりますIWCによる管理に大いに貢献しているというふうに言われております。
 それから、北西太平洋におきましても、当初ミンククジラは十以上の系群が存在するという仮説があったわけでございます。系群が多いということは、商業捕鯨に移行したときに捕獲枠が小さくなるという問題があるわけでございますけれども、そういう仮説がございましたけれども、従来の我が国の主張どおり、二つの系群しか存在しないということが明らかになっております。
 また、鯨類と漁業との競合の状況についても解明が進み、特にミンククジラは沿岸漁業の対象種であるサンマとかカタクチイワシ、イカナゴ、こういったものを大量に捕食し、漁業と激しく競合している可能性が示唆されております。
 これらの成果は、IWC科学委員会に毎年報告をされておりますし、鯨類資源管理の改善に用いられているほか、例えば漁業と鯨類との競合については、国連食糧農業機関、FAOにも報告をされて、更なる研究の推進が勧告されるなど、その他の国際機関でも反捕鯨国を含む多くの国から称賛を得ているところでございます。
 先ほど、論文が少ないという御指摘もございましたけれども、この調査捕鯨自体はそもそも科学論文を執筆させるためのものではございません。必要な情報収集をするということでありますので、一般的な科学調査と比べてどうしても論文が少なくなりがちであるということ。さらには、反捕鯨国が多数を占める欧米諸国の学術誌では、反捕鯨の立場から、調査捕鯨で得られた情報を用いた学術論文の受入れが拒否される。こういったような実態にもありまして、調査捕鯨による成果が少ないという誤解が生じているのではないかと考えておるところでございます。
○平木大作君 内容と、質量共にしっかり頑張っていらっしゃるという御答弁でございました。
 しかしながら、これIWC、今政治的な争いの場になってしまっているというところもあると思うんですけれども、そこで認められない。さらには、今回ICJにおいても、日本の調査捕鯨というのは、ある意味アウトプットとして不十分であり、科学的でないと言われてしまった。そうなりますと、今おっしゃっていただいたような主張、これまでとやはり同じやり方をやっていたのでは、なかなかこれを覆すといったところは難しいのかなというふうに思うわけでございます。
 様々この成果も出ているということでありますので、是非ともここはもう一歩、その成果をしっかりと外交的な力に変えるような、そういった取組をお願いしたいというふうに思うわけでありまして、それを考えるとき、やはり現状の科学調査の体制について、これも改めて見直す必要があるのかなというふうに考えております。現状、この調査捕鯨については財団法人日本鯨類研究所が一手に担っているわけでありまして、今後、日本として商業捕鯨の再開を目指すのであれば、質量共に科学調査の拡充、また行動が欠かせないわけでございます。
 調査データの外部への提供ですとか、あるいは海外の大学、研究所、こんなところも巻き込んで、より一層、積極的な研究の共同化あるいは拡大、こういったものに取り組むべきと考えるわけでありますけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(本川一善君) まさに御指摘、そのとおりだと思っております。
 調査捕鯨で得られた情報につきましては、鯨類研究所のみならず、水産総合研究センターであるとか東京海洋大学、帯広畜産大学、国立極地研究所などとの共同研究にも利用しております。
 さらに、今年四月、日本鯨類研究所は、昭和六十二年度から実施してきた調査捕鯨で得られた海洋環境情報を一般の研究機関にも公表することとして、共同研究を進めたいということで行うこととしております。
 また、外国の研究者に対しまして調査捕鯨の参加を広く呼びかけておりまして、これまで韓国やロシアなどの研究者が我が国の調査捕鯨にも参加していただいております。さらに、調査捕鯨で得られたデータを用いて、ノルウェー、アイスランド、米国、豪州、南ア、韓国、ロシアなどの研究者との共同研究が進められてきておりまして、今後ともこのような取組を加速してまいりたいと考えております。
○平木大作君 ありがとうございます。
 この鯨類研究所、ここ自体は本当に三十人ちょっとの大変小さな世帯、小さな機関でございまして、やはりここだけでやろうとすると無理がある、どうしてもこれから質量共に研究調査体制拡充していくためにも、こういった連携、引き続き取り組んでいただきたい。
 あわせて、今日ここに来る前に鯨類研究所のホームページですとかそういったところも拝見してきたんですけれども、このアウトプット、研究成果についてのところがやはり見た目が大変貧弱、余り論文を書かないというような一つ理由があるということの御答弁ありましたけれども、成果がやはり見えにくいんですね。ここについて、今のその取組、連携している話ですとか、様々もっともっとアウトプットを充実させていただきたい、まずはホームページの更新ですとか、そういったところからも取り組んでいただきたいことをお願いを申し上げます。
 この調査捕鯨の実態なわけでありますけれども、ここについて、南極海における第二期調査、いわゆるJARPAUの開始に当たりまして、鯨の捕獲枠自体が拡大をされております。これ具体的に、どの鯨を何頭多く捕るとしたのか、また、なぜ捕獲枠拡大を行ったのか、御説明いただけますでしょうか。
○政府参考人(本川一善君) 第一期の南極海鯨類捕獲調査によりましてはミンククジラの生物情報の収集などを行ってまいりましたが、その結果、ミンククジラと他の鯨との関係について調査する必要が出てきたということでございまして、これを受けて第二期の調査では、南極海の生態系において複数の鯨がどのような役割を果たしているかを解明し、それらを一括して管理するモデルの開発、こういったことを主な目的として立てたわけであります。これに伴って調査項目が拡充されたことから、ミンククジラについては最大捕獲頭数を九百三十五頭に拡充をする、それと新たに競合する鯨種として、調査対象としてナガスクジラ及びザトウクジラをそれぞれ五十頭ずつ捕獲対象としたということでございます。
 なお、最大捕獲頭数については、このような調査目的を達成するために必要最小限の値を統計学的に算出をしたものでございます。
○平木大作君 ありがとうございます。
 今の御答弁によりますと、結局、しっかりとまず科学調査の目的を設定して、その目的達成のために、科学的ないわゆるサンプル数として必要なものをしっかり割り出して頭数設定されているというふうに今お伺いをいたしました。
 このようにして、ある意味しっかりと科学的な調査と整合性を持った上で枠を設定して、ところが、今回、ICJの判決の後に指摘されていることとして、結局この主な敗因、これは鯨の捕獲数を意図的に削減したことにあると、こんなことが指摘をされているわけであります。
 これは要するに、どちらかというと捕獲数の削減といったものが需給調整にあったんじゃないか、このような指摘でありまして、この点、配付させていただきました資料にも目を通していただきたいんですけれども、赤い線ですね、これが南極海における捕獲枠、そしてこれに対して実際の南極海における捕獲頭数、青いバーで示されているわけでありますけれども、まさにこのJARPAUが始まってからどんどん乖離が大きくなってきているという実情があります。
 こういったものを、この数字だけを見ておりますと、これ需給調整に実際に使われてしまったんじゃないか、そういったものが主な原因だったんじゃないかという指摘が上がってくるのも当然かなと思うわけでありますけれども、ここについて、実際に捕獲枠を拡大しておきながら捕獲頭数自体が大幅に下回ってしまったと、この理由について御説明いただけますでしょうか。
○政府参考人(本川一善君) 判決において、実績が上がらなかったということについてそういう御指摘を受けております。今から申し上げますが、シーシェパードによる妨害に負うところが極めて大でございまして、非常に不本意な指摘であるというふうに考えております。
 これ資料にありますように、二〇〇五年度より第二期の調査が始まったわけでありますけれども、従来はグリーンピースがいろいろと活動しておられましたけれども、この年からシーシェパードが妨害活動に参入をしております。ただ、この年は船速の遅い大型船一隻で妨害をしておったということでありまして、何とか八百五十三頭を捕獲し、計画頭数を達成できたわけでありますが、二〇〇六年度から、今度はシーシェパードのみで、大型船とそれから大型ゴムボート二隻、こういったものにより本格的な妨害活動が開始をされたわけであります。また、この二〇〇六年は、たまたま日新丸が火災を起こして途中で調査を切り上げるというようなことがありまして、五百五頭となったわけでございます。
 その後、二〇〇九年には、大型船二隻と高速艇三隻によりシーシェパードが妨害を実施する、シーシェパードの活動家二名が船内に侵入したため調査を中断するという事態に相至って、五百六頭となったわけであります。
 二〇一〇年度は、酪酸入りの瓶などを多数投擲するなど、妨害内容を非常に過激化させた年でありまして、これによりまして調査を途中で切り上げるという結果になり、捕獲頭数は百七十頭となったということでございます。
 さらに、二〇一二年度には、シーシェパード側は更に大型船を一隻増隻をいたしまして、調査母船の改修による調査期間の短縮ということもあって、大型船が母船に対して執拗に妨害活動を行って、捕獲頭数は最低の百三頭になったと。
 今年も、二〇一三年度も、母船への直接的な妨害はなかったわけでありますけれども、キャッチャーボートに対する妨害が繰り返されて、捕獲頭数は残念ながら二百五十一頭にとどまったということでございまして、このように、捕獲頭数の減少はやはりシーシェパード側の妨害船の増隻、妨害内容の過激化、火災、こういったものによるものでありまして、鯨肉の需給調整のため意図的に捕獲頭数を減少させたものでは決してないということでございます。
○平木大作君 今詳細に御説明いただきました。大変、これ本当に、国際的にも海賊行為だと言われているシーシェパードの活動によってこれだけの打撃を受けている。この乖離が、例えば昨年だけあったですとかそういうことであればまだいいんですけれども、やはり問題なのは、二〇〇六年以降、実質的にもうおよそ八年間にわたって実効的な打開策が何ら打てていないというところにやはりあるのかなというふうに思っております。
 先ほども御答弁いただきましたけれども、この捕獲枠自体は科学的な調査をするために必要な頭数なわけですから、これ捕らないと、そもそもアウトプット自体が質の高いものあるいは量もしっかり上がっていかないということでありますので、ここを達成するためのやはり最大の今ボトルネックになっているのがこのシーシェパードへの対応であると。であるのであれば、本当にここについては、先ほど来も多々御注文あったわけでありますけれども、真剣に取り組んでいただきたい、このようにお願いをいたします。
 これに関連してでありますけれども、やはりこれから、日本の調査捕鯨を科学調査であるとしっかり示して、また国際世論の中にも認めさせていく、このためにはやはり有意な研究成果をしっかり出していくとともに、調査方法の抜本的な見直し、これもやはり考えなければいけないんじゃないかというふうに思っております。判決の中でも、日本は殺さずに調査する可能性を十分に検討していない、このように指摘をされているわけでありますけれども、この点、どう受け止められておりますでしょうか。
○大臣政務官(横山信一君) 十八日に発出をいたしました農林水産大臣談話において述べられているように、国際司法裁判所の判決の趣旨を考慮し、平成二十七年度以降の南極海及び北西太平洋の鯨類捕獲調査については、新たな調査計画を国際捕鯨委員会科学委員会へ提出すべく検討を進めることとしているところでございます。
 その際には、一つ目として、計画の検討の際に、内外の著名な科学者の参加を得るということとしております。二つ目に、国際捕鯨委員会科学委員会のワークショップにおいての議論をしていくと。そして三点目として、他の関連する調査との連携を図っていくと。こうしたことを通じて、国際的に開かれた透明性の高いプロセスを確保しようとしているところでございます。
 また、平成二十六年度の北西太平洋鯨類捕獲調査におきまして、DNAの採取などの非致死的調査の実行可能性に関する検証を実施をしてまいります。可能であれば、新たな調査計画へ反映することとしております。
○平木大作君 ありがとうございます。やはりこの秋、IWCの方に出される新たな調査捕鯨の計画、これが本当に大事な意味を持ってくるんでないかなというふうに思っております。
 今回、先週金曜日に発表していただきました大臣談話の中で、やはり私は残念でしようがないのは、取り急ぎ規模を縮小するとしてしまったところであります。これは、判決を受けて、現状では致し方ない御判断であったんじゃないかなというふうに思っているわけですけれども、同時に、これ規模を縮小してしまいますと、当初掲げていたそもそも調査目的自体も変更しなければいけない、このまま小さいままでは、そもそものこの目的を完遂できないということになるわけでありますので、この秋の再提出の際にしっかりと、いわゆる今の非致死的な調査方法も含めて再度検討していただく。広く国際世論にも受け入れられるようなそんな調査目的、テーマも掲げていただいて是非取り組んでいただきたいというふうにお願いを申し上げます。
 次に、今日、せっかく外務省の方からも来ていただいておりますので、ICJの訴訟についてちょっとお伺いをしたいというふうに思います。
 これ、結局、日本の調査捕鯨が科学的な調査であるのかどうか、本件の審理とは別に、ICJにおける管轄権の問題、そして、そもそもオーストラリアが当事国として提起すべき問題だったのかどうか、これICJが受理して審査すること自体がそもそも争点になったというふうに認識をしております。この点について日本政府のお立場を御説明いただきたい。
 さらには、戦術として、そもそもこの管轄権、そしてオーストラリアがそもそも当事国として名のり出ることがどうなのか、ここを先に徹底して争うべきだったんではないかと考えているんですが、この点も御説明いただけますでしょうか。
○政府参考人(石井正文君) 御指摘どうもありがとうございます。お答え申し上げます。
 今回の裁判につきましては、当然でございますけれども、農林水産省、外務省一体となりまして、内外の有力な専門家の協力も得まして誠実かつ真摯な姿勢で臨み、日本の立場と考え方を最大限明確に主張したつもりでございます。ただ、結果は先ほど大臣からもお話ありましたとおり極めて残念なものになっておりますので、私どもの取りました戦術が唯一無二のものだというふうに強弁するつもりは全くございません。いただきました御指摘も含めまして、なぜこういう結果になったのかということを真摯に検討いたしまして、その上で今後の教訓に生かしたいと思っております。
 御指摘の点につきましては、私どもは、結局のところ、管轄権の問題と本案をまとめて取り扱うということをいたしました。豪州に訴えの利益がないという主張は結局のところはいたさなかったということでございます。
 おっしゃいましたように、管轄権の問題だけを取り外して先に主張するという可能性はもちろんあったと思います。それにつきましては、実は、これは若干技術的になりますが、まず豪州が日本の捕鯨というのは八条一項に反したものだという分厚い陳述書を出します。その上で、こちらは別途、管轄権の問題を取り出して先に議論するか、それとも本案と一緒に議論するかということを決めるわけでございます。その時点で私どもが管轄権の問題を扱うということになりますと、豪州側の分厚い主張が公表されて、日本の捕鯨に対するいろんな非難が公表される中で、私どもの主張は管轄権に関わるものだけに限られるということになる可能性がございました。それに加えまして、管轄権の問題というのがどれだけ強い主張であるかどうか、その辺のことを内外の専門家にもいろいろ伺いまして、その結果として、結論的には両方併せて主張したということでございます。
○平木大作君 そういったいわゆる訴訟の進め方、そういったところにも原因はあったというふうに今お伺いしたわけでありますけれども、これ、管轄権のことはさておいて、それにしても、結局のところ、裁判の中で裁判官からオーストラリアはいかなる損害を被ったのかと、この質問に対して、オーストラリアは明確に損害被っていないと言った上で訴訟を起こしているわけでありまして、これはある意味、民衆訴訟みたいなことをやってしまっているということなわけですね。これまでのICJの判決の中でもいわゆる民衆訴訟自体は明確に否定されているものでありまして、やはり敵の敷いたレールの上あるいは土俵の上で闘ってしまった、そんな側面がやはりあったんじゃないかな、残念な思いでいっぱいでございます。
 と同時に、結局、今回日本側を弁護していただいたのは全て海外の、どちらかというと国際法の大家の先生だったのかなというような印象を今持っておりまして、やはりこれから、今回、日本が、これ私も知りませんでしたけれども、ICJにおいて初めて自身が当事国となって争った事例であるというふうにお伺いをいたしました。そうする中、やはりこれから日本の国益を背負ってしっかりと闘っていただく、そういったいわゆる弁護士の養成、そういったところも引き続き取り組んでいただきたいなということをお願いを申し上げます。
 この判決自体はもう出てしまったわけでございます。一つ改めて確認なんですけれども、このICJの判決自体は、調査の目的とまた実施方法が適切であれば調査捕鯨自体は合法であり問題がない、このような内容であったというふうに受け止めておりますけれども、その認識でよいのかどうかということ。しかしながら一方で、南極海における第二期捕鯨調査、中止命令が出てしまったわけですけれども、ICJ自体は一審制でいわゆる控訴することができません。今後将来的に再開するための方途、これ国際法のルールにのっとって打開策といったものがあるのかどうか、これについてお伺いをいたします。
○政府参考人(相川一俊君) お答え申し上げます。
 今回の国際司法裁判所の判決におきましては、第二期南極海鯨類捕獲調査の計画及び実施が国際捕鯨取締条約第八条一項にあります科学的な研究のためという目的を達成するに合理的であることを証明していないという指摘でございまして、その際、合理的であることを判断するための具体的な基準、例えば非致死性の手法の実施に関する検討でございますとか、目標サンプル設定に関します検討のプロセスの透明性でございますとか、こういう具体的な基準を指摘しているところでございます。
 これを踏まえまして、政府といたしましては、二十七年度以降の南極海の鯨類捕獲調査に関しましては、本年秋頃までに、先ほどお話もございましたが、判決で示された判断基準を反映させた、国際法にのっとった新たな調査計画を国際捕鯨委員会科学委員会へ提出すべく、ただいま関係府省連携の下で全力で検討を進めていると、こういうことでございます。先ほど大臣政務官からもお話がありましたが、その際に、内外の著名な科学者の参加を得るとともに、国際捕鯨委員会科学委員会のワークショップでの議論でございますとか他の関連する調査との連携において、こういう国際的に開かれた透明性の高いプロセスを確保することが大変重要ではないかと思っております。
○平木大作君 今御答弁いただきましたとおり、やはり次のステップは、この秋にIWCにどんな形でまた調査計画を出して、またこれからも引き続き国際世論の中でどうやって信認を得ていくのかと、こういった取組になっていくのじゃないかなというふうに思っているわけです。
 次のテーマなわけですけれども、このIWC、さきの衆参両院のこの農水委員会においても、脱退も辞さないと、大変強い言葉をもって決議されたこの国際捕鯨委員会なわけでありますけれども、近年、機能不全自体が指摘されております。
 商業捕鯨再開に向けて、これは遠い目標かもしれませんけれども、日本は今後どのような取組をIWCにおいて行っていくのか、御答弁いただけますでしょうか。
○政府参考人(本川一善君) 私どもはIWCにおきまして、鯨類は他の水産資源と同様に重要な食料資源であり、科学的根拠に基づき持続的に利用されるべきとの基本的認識に基づきまして、商業捕鯨の再開を目指し、そのために必要な科学情報の収集を目的に調査を実施してきたわけであります。
 今後とも、関係府省連携の下で、国際法及び科学的根拠に基づき、鯨類資源管理に不可欠な科学情報を収集するための鯨類捕獲調査を実施をし、商業捕鯨の再開を目指してまいりたいと考えておるところでございます。
○平木大作君 本当に、脱退も辞さないという大変強い決議を行ったわけでありますけれども、一方で、じゃ脱退して勝手に捕り始めるのかと、これで許されるわけでは当然ないわけで、現実的なオプションというのはこのIWCの中でどう世論をつくっていくのかということになるかというふうに思っております。科学的な根拠を無視する議論だとか様々言われておりますけれども、反捕鯨国の一覧を見ますと、米国ですとか欧州二十七か国、こういったところですので、全く議論が通じない相手でもやはりないんじゃないかなというふうに思っております。
 ここは、当事者として参加された中ではなかなか難しいものを感じていらっしゃるわけでありますけれども、しかし、昨今、機能不全ですとか議論が停滞しているということで、例えば二〇一三年以降、結局、これまで毎年開いていたものを隔年にしようですとか、より議論自体をペースダウンするようなそんな動きもあるわけでありまして、ここは何とか逆に踏みとどまっていただいて、日本がこの議論を活発化する方にしっかりリードしていっていただきたい。これはお願いして、次の質問に移りたいというふうに思います。
 最後の質問になりますが、今回、今、日本の調査捕鯨が大変危機にあるということ、これを私自身も、例えばツイッターですとかフェイスブックですとか、そういったところでこの間つぶやいてみたんですね。そうしましたら大変面白い反応が返ってきまして、それは、私よりも少し上の世代の方からは、大変おなかをすかせていた時代に揚げ物といえば串カツだったですとか、いわゆる鯨の揚げ物だった、あれでおなかを満たしたんだみたいな、すごくノスタルジックな、もっと頑張ってほしいといった声もたくさんいただきました。一方で、私よりももう少し下の世代からは、正直鯨には余り関心がありません、もっとほかの問題に取り組んでくださいというような、大変厳しいというか、残念な反応というのもたくさんあったんですね。結局、ちょうど私ぐらいの世代が学校給食で鯨を食べていたぎりぎり最後の世代になるのかなというふうに思っておりまして、今、特に二十代の若者を中心に、そもそも鯨になじみがない、鯨食文化と言われても、いまいちぴんとこないというのが実態であるというふうに思っております。
 やはり調査捕鯨の最終的な目標は、商業捕鯨につなげて、また日本の文化、伝統を守っていくということであるかというふうに思っていますので、その根っこである、そもそもこの若い世代にもしっかり文化として引き継いでいかなければ、取組をなくしてしまったら、この取組自体に支持自体得られないんじゃないかなというふうに思っております。
 この点、鯨食文化普及、また捕鯨の伝統をつないでいくということについて、更に取組、力を入れていただきたいんですが、この点、いかがでしょうか。
○政府参考人(本川一善君) まさに御指摘のように、若い世代への鯨食文化の普及を図るということが非常に急務だと思っております。今朝もある新聞社の世論の調査で、非常に鯨肉を食べてから久しいという方が随分多いというのを拝見させていただいて、力を入れていかなきゃいかぬなと思った次第でございます。
 特に、学校給食への販売というのを最近力を入れてやっております。それから、若い世代が集まる居酒屋とかすしチェーン、こういったところへの外食への販路拡大、こういったものをやっておりますし、先ほど来大臣からも御答弁いただいておりますが、市民を対象にした定期的なフェスティバルだとか様々なイベントを開催して、そういう宣伝や試食を通じて幅広い年齢層への鯨食文化の普及を図ってきております。
 農林省としても、こうしたイベントを後援するなど、引き続き鯨食文化普及に向けた取組を支援をしてまいりたいと考えておるところでございます。
○平木大作君 時間が参りましたので、私の質問は以上とさせていただきます。
 ありがとうございました。
○山田太郎君 みんなの党、山田太郎でございます。
 今日は、日豪EPA、それからTPPについて質疑させていただきたいというふうに思っております。
 懸案の日豪まずEPAでありますけれども、大変重要な豪州との経済協定でありまして、中身をできる限り今回政府には明らかにしていただきたいと。去る四月七日、首脳同士での大筋合意に至ったということでありますので、是非これからは国民的議論も内容重要だと思っておりますので、そこの中身を明らかにしたいんですが。
 まず最初に外務副大臣にお伺いしたいと思いますが、次のステップとして協定の署名というものがあるかと思います。署名はいつ頃になるか、又はいつぐらいを目指すのか、お答えいただけますでしょうか。
○副大臣(岸信夫君) 今般、大筋合意をいたしました日豪EPAにつきましては、今後、大筋合意した内容に沿って日豪間で協力して法的チェックを行い、協定案文を確定する作業を行ってまいります。その後、なるべく早いタイミングで協定案文が両国代表間で署名されることを目指してまいりたいと考えております。
 ただ、具体的なタイミングにつきまして、現時点で確たることを申し上げることはなかなか難しい状況でございます。署名されますと、その後、各国が締結のためのそれぞれの国内手続を経まして、その後、その完了を相互に通知し合い、本協定が発効することとなりますが、この具体的なタイミングにつきましても現時点で確たることを申し上げることは困難でございます。
 豪州との間でもなるべく早いタイミングで協定の署名を目指すという立場は共有をしておるというところでございます。我が国としては、署名に至る作業を豪州側と協力しつつ、迅速に進めてまいりたいと考えております。
○山田太郎君 このなるべく早くというのが三か月間なのか六か月間なのか、はっきりしていただきたいと思うんですね。非常に日本の農業でも影響を受けます。これは政府の作業だけの問題ではなくて、一番影響を受ける現場の人たち、それから国会での審議というのをしっかりやらなければいけない。いつからこの議論ができるのか、いつから手を付けるのか、政府の作業等の都合で分からぬということでは、それによる混乱というのも非常に大きいと思います。
 私どもみんなの党、自由貿易協定、是非進めようということを掲げておりますが、最近の政府の動きを見させていただきますと、特定機密保護法もそうですし、集団的自衛権もそうなんですけれども、スケジュールが分からないとか情報が出てこないとか、詳細はしゃべれないというようなことがありまして、これでは、いいものであったとしてもプロセス上大きな問題が発生して国民の信頼が得られないままに混乱を生じると、こういうふうにも思うわけであります。
 そういう意味で、もう一度繰り返し御答弁いただきたいんですが、なるべく早くというのは三か月間なのか六か月間なのか、どの程度のものなのか、是非踏み込んででも御答弁いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○副大臣(岸信夫君) 御質問の件でございますが、また繰り返しになりますけれども、このなるべく早くということにつきましては先方とも、豪州とも首脳間で合意をされているところでございますので、政府としてもできるだけ努力をしてまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。
 過去の例をいろいろ調べましたけれども、なかなか、じゃ、どれぐらい掛かっているかということを一概に申し上げるわけにもいかないようなところでございます。できるだけその中で迅速に締結、署名に持ち込んでいきたいと、こういうふうに考えておるところです。
○山田太郎君 是非、本当はいつまでにというのを目標でもいただきたかったわけでありますが、前回のTPPも、年内妥結を一生懸命やると言っておいて、こういう状況で今はいつになるか分からないと、こんな話になったわけでありまして、その辺のスタンスというか、まさに議論の過程というのはとっても、中身も大事ですけれども、我々国民に対しても大切にしていただきたいと、こう思っております。
 もうちょっと中身についても入っていきたいと思いますが、まさに署名と国会承認を経まして発効した場合に、中身がどうなっていくのかということを明らかにしたいと思います。
 まず、この協定が発効いたしますと輸入関税が下がる品目はどれぐらいの数になるのか、全体の品目数と併せて、簡単で結構でございます、お答えいただけますでしょうか。
○大臣政務官(山本博司君) 全体の品目数は約九千三百品目、うち無税の品目は約三千七百品目、有税の品目は約五千六百品目でございます。そのうち、日豪EPAで関税撤廃、引下げの対象となりますのは約四千八百品目でございます。
○山田太郎君 結構無税の品目が三分の一ぐらいあるんだなということで驚いてもいるんですけれども。
 もう一つ、その品目に関して関税の引下げが行われるわけですが、金額についてはどうなのかということも見ていきたいと思います。
 資料の方を拝見していただきたいんですが、これも事前に財務省さんの方から資料をいただきましてまとめたものであります。農産品、鉱工業品、それから合計について発効初年度とそれから最終年度、これについても、財務大臣政務官、お答えいただけますでしょうか。
○大臣政務官(山本博司君) 日豪EPAの実施が我が国の関税収入に及ぼす影響につきましては、今後の貿易動向でありますとか為替の変動等についての予測が困難でございますので、正確に見積もることは困難でございます。
 ただ、一定の仮定の下で機械的な試算を行ったところ、お手元の資料にありますように、発効初年度で約百二十億円程度、最終年度で三百億円程度の減収と試算されます。
○山田太郎君 自由貿易協定ですから、輸出についても見ておきたいと思います。輸出関税についてもお伺いしたいんですが、この協定が発効しますと輸出関税が下がる品目はどれぐらいになるのか、鉱工業製品、多分経産省さんが担当だと思います、それから農水省さんは農林水産品だと思いますが、それぞれお願いできますでしょうか。
○副大臣(松島みどり君) オーストラリア側の鉱工業品の総品目というのはおよそ五千二百品目あるんですが、そのうちおよそ二千二百品目は既に無税です。そして、残っているおよそ三千品目、これは今税金掛かっておりますが、このEPAの発効によりまして、協定発効が八年目までにはほぼ全てが関税撤廃されることになっております。
○国務大臣(林芳正君) 農産品についてでございますが、豪州側の農産品が約千品目、これは六桁ベースの分類でございますが、二百品目が即時に関税撤廃されることになっております。残りの八百品目については既に無税ということでございますので、日豪EPA発効後は豪州の農産品の関税は全て無税になるわけでございます。
 どれぐらいの関税かと、こういうお尋ねでございますが、先ほど財務省からもお話があったように、貿易動向、為替変動等がありまして予測は困難でございます。各品目の輸入量が一定という仮定を置いて機械的に試算をしますと、関税支払減少額が九千二百万円程度と、こういうふうに試算をされます。
○山田太郎君 これも事前に求めた資料によりますと、九千二百万の中にはうどん、そば、そうめん、スープブロス、それから清涼飲料水が入っているということであります。数は少ないものの、日本からも幾つか農産品がオーストラリアの方に輸出されているんだなということが分かりました。
 あわせて、金額についてもお伺いしたいと思います。輸出関税の引下げが行われる場合に金額がそれぞれどうなるか。
 細かい話も、これも事前に資料をいただいておりますので、お手元の資料を見ながらお答えいただきたいと思います。経産省さんには、鉱工業品の発効初年度の数字と最終年、農水省さんは今お答えいただきましたので、よろしくお願いします。
○副大臣(松島みどり君) お配りになられました資料のとおり、今農林水産大臣が前提を行ったようなことで今までのペースで参りますと、初年度だけで既に、鉱工業品は即時撤廃という品目が非常に多くございますので、発効初年度で四百二十七億円、そして八年たった後にはそれが五百七十八億円まで拡大する、このような具合になっております。
○山田太郎君 やっと数字が出たという感じで、中身について議論できるのが今回の話だと思いますが、一つ、農水大臣、お伺いしたいんですが、今回のまさに影響を受けるという牛肉と、特に乳製品、これぐらいの関税額がいわゆる減収するということ、逆にこれがどれぐらいの国内の生産に影響を与えるのか、そんな試算があるのかないのか、数字は結構でございます。そして、それに対する対処、対応を今後どのように考えているのか、考え中ということでもいいでしょうし、ということを是非お伺いしたいんですが。
○国務大臣(林芳正君) 先ほど、ちょっと私六桁と申し上げました、九桁ベースでございますので、訂正をさせていただきたいと思います。
 今度の牛肉についてどういう影響が出るのかと、こういうことでございますが、まさにこれも、先ほど申し上げましたように、貿易動向、これ実需によって左右されますので、景気の動向、それからもう一つは為替の動向によって左右されるということでございますので、まさに非常に難しい、この予見をすることは困難であると、こういうふうに思っております。
 したがって、これは生産者等に影響がどういうふうに出てくるのか出ないのか、こういうところに留意しながら、万全の対応、したがって影響が出た場合には必要な対策を検討したいと、こういうふうに考えております。
○山田太郎君 私も国会議員になって一年半ぐらいになりましたが、何となく、今の農水大臣の発言は結構驚きなんですね。
 これだけのいわゆる交渉をしていたわけでありますから、どれぐらいの影響があってその後どういう対策を取るのかというのは、やっぱりセットで交渉するというのが政府の在り方なのかなと。また、その対応に対してはやっぱり予算というものも伴うことになると思っております。その辺りの議論が、じゃ、これからまた急に補正を取るのか。もうすぐに、最終段階に来ているということは、しっかりもう国民の間で国会の間で議論をして、これがやっぱり現場の農林水産者、農業者に不安を与えないという、さすが政府はしっかりやっていると、こういうことだと思っております。
 これ、実はTPPに関しても同じことが影響として出てくると思います。我々は自由貿易に関してはできるだけ推進ではありますが、ただ、それによる影響をどのように対処していくかということも併せて考えていくということがやっぱり政策だと思っておりますが、その辺、大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) 今、影響の試算はしておられるかという御質問でしたのでそういうふうにお答えいたしましたが、前回もお答えしましたように、今回の日豪EPAについては、まず冷蔵、冷凍について差を付ける、それからセーフガードをそれぞれについて張ると、それから冷蔵については十五年、冷凍については十八年と、長期間にわたって引き下げていくと。こういう柔軟性を豪州から得ることができたということで、我が国の畜産業の発展と両立し得るぎりぎりのラインを確保できたと、こういうふうに申し上げております。そのことがまずあって、そして試算については先ほど申し上げたとおりと、こういうことでございます。
○山田太郎君 この辺り、TPPも含めて今後どうしていくのかという議論で、ちょっと移っていきたいと思いますが、もう一つ、国民との対話ということにおいては、やっぱりこれ、TPPのいわゆる農水委員会での決議、実は我が党は反対したために賛成に回っておりませんが、ただ、決まったことを、国民との対話というのを守るということは我が党も実は同じ考えであります。
 そんな中で、もう一つ、最後のこの資料の方も見ていただきたいんですが、日豪EPAに関する国会決議等というのが、当時の政府といわゆる国会、それから各大臣等の答弁をまとめたものであります。
 まず一つは、平成十八年十二月十二日に、やっぱり参議院の農水委員会で、米、小麦、牛肉、乳製品、砂糖などの農水産物の重要品目が、除外又は再協議の対象となるよう、政府一体となって全力を挙げて交渉することという政府に求めた決議をしているんですが、日豪EPA交渉開始に関する決議ということでまとめられています。採決に当たっては、この資料のように、その趣旨を尊重し、今後、最善の努力を尽くす所存でまいりますという大臣の発言がされていまして、さらに、この決議を受けた上で、大臣談話ということで、米、小麦、牛肉、乳製品、砂糖などの農林水産物の重要品目が、除外又は再協議の対象になるよう粘り強く交渉に当たる覚悟でありますと、こういうふうに決意を述べられているわけであります。
 そこで、大臣にお伺いしたいんですけれども、今回の日豪EPAの合意結果は農林水産物の重要品目や委員会決議、大臣談話に沿った関税撤廃の除外又は再協議となったものなのかどうか、この辺りを教えていただけますでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) この平成十八年十二月の日豪EPA交渉開始の合意に当たりまして、当時の松岡農林水産大臣が日豪EPAの交渉入りに当たってと題する談話を公表しているということは承知をしておりますし、今その一部を示していただきました。
 この談話においては、日豪EPA交渉に対する大臣の考え方、決意が、衆参農林水産委員会の国会決議の表現を引用しつつ示されておりまして、これを踏まえて平成十九年四月から開始された日豪EPAの農林水産分野に関する交渉に臨んだと、こういうふうに認識をしております。
○山田太郎君 今の結果が、じゃ、TPPにおける決議、どうなっていくのかということも含めて、今後国会としては注視していく必要があるのかなというふうに思っております。
 もう一つ、ちょっと前に話を進めていきたいんですが、実はこの通商交渉は負の部分だけでもないと思っております。先ほど、金額はごく僅かではありますけれども、要は麺類等の日本の農水産物が輸出できるという環境もあるわけでありまして、今度は対豪輸出振興策というものがどうなのかということも含めてお話しいただきたいと思います。
○国務大臣(林芳正君) 昨年における豪州向けの農林水産物・食品の輸出額でございますが、対前年比約二割増の約八十億円でございまして、世界第九位ということでございます。
 先ほどちょっと示していただいたかもしれませんが、輸出品目の主要なものは、ソース混合調味料、それから清涼飲料水などの加工食品、それから二番目がホタテガイと、こういうことになっております。
 豪州の人口は二千三百万人でございまして、人口はそれほど多いというわけではございませんけれども、一人当たりのGDPが六万八千ドルということで、日本や米国などの主要先進国と比較しても高いということでございますので、この日本産の農林水産物・食品の輸出が見込まれる国の一つと、こういうふうに認識しておりまして、この日豪EPA、今回はこういう形になりましたけれども、この市場を取り込むことが大変重要だと考えております。
○山田太郎君 まさに政府も食品の産業強化策、輸出強化策等を含めて三億七千五百万、予算を付けたりとかしています。また、今、国内食品の九十五兆三千億の市場規模を平成三十二年までには百二十兆にすると。こうなってくると、輸入食品、加工品というものも一つ非常に重要になってくるわけでありますから、決して関税が下がるということがトータルの国内需ということを考えた場合にマイナスばかりではないというふうに思っておりますので、私自身は少しフェアな議論がもうちょっとあってもいいのかなというふうに思っております。
 是非、政府の方は、日豪EPAに関しては決まったことをどんどん公開して、逆に言うとその前にきちっと政策を決めて提示していただいて、現場に混乱がないように、そして通商のメリット、デメリットをフェアに議論していただいて、伸ばすべきものは勝ち取っているわけですから伸ばしていただきたいなと、こんなふうにも思っているわけであります。
 もう一つTPPについても少し伺ってまいりたいと思いますが、今、TPPの今後のスケジュールということに関しては、閣僚会合、首席交渉官などの会合が未定だということで、次にオバマ大統領が来ると、こういうスケジュールだということであります。細かいところは調整中ということでありますが、日米首脳会議の日時というのは決まったのかどうか、それから日米首脳会談そのものは何時間行われるのか、それからもう一つ、TPPも非常に重要な話題として出るんでしょうけれども、どんなテーマが議論されるのか、是非その辺り、お答えいただけますでしょうか。
○副大臣(岸信夫君) オバマ大統領は国賓として四月二十三日から二十五日まで我が国に滞在をする予定になっておりまして、二十四日の午前の歓迎行事を始めとしまして、宮中行事に出席し、日米首脳会談及び共同記者会見を実施するほか、米側の主催行事への出席を予定をしておるところでございます。
 日米首脳会談につきましては、今、二十四日の午前中に予定をされておるところでございます。この首脳会談の中身につきましては、両首脳からアジア太平洋地域の平和と繁栄に貢献してきた日米同盟の役割を強調し、安全保障や経済といった二国間の課題や、あるいは朝鮮半島情勢等の地域情勢について議論したいと、こういうふうに考えておるところでございます。
 現時点でそれ以上の詳細につきましてお答えすることは差し控えたい、このように考えておるところでございますが、今回のオバマ大統領訪日の機会に両首脳間で力強い同盟を確認いたしまして、更なる具体的な協力を打ち出したいと考えておるところでございます。
○山田太郎君 日米の首脳会談の会談時間、昨日のレクの方では一時間程度ではないかというふうにお伺いしたんですけれども、大体そんなものになりそうでしょうか。
○副大臣(岸信夫君) 時間につきましては、まだ今のところ調整中ということでございます。
○山田太郎君 いろんな懸案事項があると思いますし、TPPの件に関しても相当突っ込んだ議論があるのであれば、一時間というのは通訳を含むと三十分ということにもなりますので、ちょっと短いのではないかなと、こんなふうにも思っております。
 そういう意味で、逆に話が出てきてということではなく、やっぱり伝えるべき方針というのがあると思いますが、これは内閣府副大臣にお伺いしたいんですけれども、特にTPP、今日議題になっておりますので、どんな方針で臨まれようとされているのか、是非教えていただけないでしょうか。
○副大臣(西村康稔君) 私が承知している限りでは、TPPも首脳会談の一つのテーマになるというふうに認識をしております。その中で、ハーグで三月に安倍総理とオバマ大統領が会談をされまして、短い時間であったようでありますけれども、そのときにこのTPPの交渉を加速しようということで話をされましたし、それから、安倍総理からは、日本の農業が壊滅的になるような政治的判断は受け入れられないということをおっしゃられたというふうに甘利大臣も記者会見でも述べられておりますので、私もそういうふうに認識をいたしております。
 ただ、TPPは、このアジア太平洋で自由な貿易、投資の経済圏をつくっていく、知的財産を守る、あるいは政府調達も国際的にオープンにしていく、そういう新しい経済圏をつくっていこうという、日米これは共通の利益にもなるわけでありますので、交渉は加速していくということで両首脳で既に一致をしておりますので、事務的に今詰めているところでございます。
○山田太郎君 林農水大臣にもお伺いしたいんですけれども、今回、総理のオバマ大統領との直接交渉、どんなことを総理に期待しているのか、その辺り率直な、今、明日以降に迫っておりますが、御意見いただけますでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) 今委員は直接交渉というふうにおっしゃられましたが、総理とオバマ大統領が直接交渉されるのかどうかは別として、今、西村副大臣からお話がありました、これについて、TPPも含めて様々な協力関係について議論をされるものと、こういうふうに思っております。
 総理もかねがね言っておられますように、このTPPの重要性とともに、これはたしか、この交渉に参加を決めたときに記者会見をされておられますが、この日本の美しい風景、農山漁村の景観、こういうものもしっかりと守っていくと、こういうことも一方でおっしゃっておられますので、私としては、この五品目などの聖域確保を最優先することなど、衆参両院の農林水産委員会の決議、これを踏まえてやっていくと、これが総理にも共有をされているというふうに理解をしております。
○山田太郎君 この後、なかなか林大臣も総理とこの内容を詰められるかどうか分からないのでもう一度お伺いしたいと思うんですが、林大臣として、これは特にオバマ大統領ときちっと交渉しておいてもらいたいと、こういうことがあれば、もう一度御発言いただけないでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) 今申し上げたとおりでございますので、今私は農林水産の分野以外は所管をしておりませんので、総理がしっかりとした決断、交渉、交渉といいますか協議をしていただけるものと信じております。
○山田太郎君 もう一つ、今回、オバマ大統領は、滞在中、宮中での晩さん会が予定されているとお伺いしております。この晩さん会で、例えば日本食をお出しするとか、あるいは日本の食材を使った料理をやると、こういうようなことが企画としてあるのかどうか。日本の食文化を発信するという意味においても一ついいチャンスにはなるのではないか。これもアメリカのマスコミの方にも伝わると思います。一方で、TPP交渉で甘利大臣の方はアメリカで牛肉を食べてきたという報道もされたわけですから、是非その辺り積極的に、情報というか、日本食文化発信という辺りもしていただきたいんですけど、いかがでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) 前回、オランド大統領がいらっしゃったときは、宮中での晩さん会に加えて総理主催の昼食会というのがございました。これは官邸でございましたが、ここでは、オランド大統領のお地元の食材と日本の食材を使って、それぞれクロスして、フランス料理風の日本の食材と、和食風の向こうの食材を合わせたようなことをやって大層好評だったわけでございまして、日本食、食文化の魅力を海外発信する、これは大変大事だと、こういうふうに思っております。今回は宮内庁がこの晩さん会を担当しておりますが、日本の魅力を生かしたおもてなしがされるというふうに聞いておるところでございます。
 今後とも、戦略的に日本食、食文化を発信するということで関係省庁とも連携を密にしてまいりたいと思っております。
○山田太郎君 生産調整と減反についても触れたいと思ったんですが、時間がなくなりましたのでまとめていきたいと思います。
 今回、日豪EPA、それからTPP、まあ中身の問題もあるんですが、まずは政府の進め方という辺り、国民との約束、信頼、この辺が非常に重要だと思っております。こういった交渉による政策の変更がありますと、やっぱり農業は産業としての弱い部分もあって実際影響を受けるということでありますから、できるだけ早くスケジュールどおりに進めていく、それで前向きないわゆる通商交渉をしていただきたいということであります。
 これまでのように、冒頭申し上げましたけれども、特定秘密も集団的自衛権もそうなんでありますけれども、何か国会での議論が前後してしまったりとか、ぐちゃぐちゃになっちゃったりとか、伝えるものが伝わってなかったりとかということになりますと、もう政府としての信頼がなくなってしまうというふうに思っておりますから、是非その辺りについては、スケジュール、先ほど日豪EPAなんかは早く早くと言っておりますが、これからはできるだけ日にちも切っていただいて、じゃ国会でどうやって話していくのか、予算はどうするのか、そういったことも含めて議論ができるようにしっかりお願いしたいと思っております。
 私からは以上です。ありがとうございました。
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 日豪EPAの基本合意についてまずお聞きをしたいと思います。
 今回の基本合意を受けて、日本自動車工業会会長の豊田章男氏は、大筋合意したことを歓迎する、自動車業界としても、本協定を生かし、お客様のニーズに合った商品、サービスをより幅広く提供するという談話を出されました。一方、北海道の農業団体は、これにより、道産牛肉の価格の低下など本道の牛肉生産や酪農などに大きな影響が及ぶことが懸念されると見解を表明しました。
 これまで、農産物の輸入自由化の歴史でいうと、自動車などの工業製品の輸出のために日本農業が犠牲になるという歴史が再び繰り返されようとしているわけです。農林水産大臣として、このようなことについてやむを得ないと考えているのかどうか、まずお聞きしたいと思います。
○国務大臣(林芳正君) この日豪EPAでございますが、この四月、二〇〇七年に交渉を開始して以来、大輸出国であります、いわゆるケアンズ・グループの中心でありますオーストラリアと、向こうの要求は関税撤廃でございました、全品目について。これに対して我々は、決議を踏まえて、政府一体となって、交渉期限を定めず、粘り強く全力で交渉を行ってきたというところでございます。
 まず、米については関税撤廃等の対象から除外、食糧用麦、それから精製糖、一般粗糖、バター、脱粉については再協議と、こういう一定の柔軟性を得ております。牛肉についても、先ほど申し上げましたように、冷蔵、冷凍、四%の税率差、セーフガードそれから長期の関税率削減期間ということで一定の柔軟性が得られまして、国内畜産業の健全な発展と両立し得る関税削減の約束となったと、こういうふうに考えております。
○紙智子君 私が今お聞きしたのは、これまでもそうだったんですけれども、自動車などの工業製品の輸出のために日本農業が犠牲になるというようなことを仕方がないと思うかどうかというふうに聞いたんです。
○国務大臣(林芳正君) したがって、今申し上げましたように、今回、牛肉についても国内畜産業の健全な発展と両立し得る関税削減の約束になったと、こういう認識でございますので、犠牲になったという認識ではないということでございます。
○紙智子君 両立し得るというふうにおっしゃるんですけれども、私は、何を根拠にしておっしゃっているのかよく分からないわけですよね。
 今し方もちょっと議論ありましたけれども、やはり貿易というのはもちろん大事なところはあるけれども、今回やっぱり非常に問題になるのは、工業製品と同列視して、それで食料や農業について、こっちが良ければこっちは少し低くなっても、全体それで均衡取れて、国民、日本の利益になるかどうかという考え方じゃないと思うんですよ。食料、農業をどう位置付けるのかというのは、これは国の在り方に関わる基本的な問題で、やっぱり位置付けの問題というのは非常に大事だし、農林水産委員会というのはやっぱりそのことをしっかりと発信していく委員会なんじゃないかと思うわけですね。
 そこに立って更にちょっとお聞きしますけれども、今回の合意内容を見ると、極めて日本の酪農、畜産に厳しいものがあるというのが分かるわけです。冷凍牛肉の関税率は、締結後二年間で一〇%も引き下げられると。冷蔵牛肉の関税率も、締結後二年間で七%も引き下げられるわけです。
 このことについて、豪州の、オーストラリアの方の食肉畜産生産事業団がどう言っているかというと、こう言っています。豪州産冷凍及び冷蔵牛肉への関税削減は前倒し的に実施されます。つまり大幅な引下げが協定後の最初の数年間で導入されることになります。また重要なことは、豪州産冷凍牛肉に関わる関税は協定一年目に八%、冷蔵牛肉においては同じく一年目に六%引き下げられます。これは日豪貿易協定発効の最初の年に貿易環境に大幅な変化がもたらされることを意味していますというふうに言っているわけですよ。極めてこれ端的に述べているんですね。
 これが今回の日豪EPAの本当の意味じゃないかと、日本の酪農、畜産に深刻な打撃を与えるというふうに思うんですけれども、いかがですか。
○国務大臣(林芳正君) 既に発表させていただいておりますように、この牛肉については段階的に関税を削減し、冷凍については十八年目に一九・五%まで削減、冷蔵については十五年目に二三・五%まで削減と。
 一年目に三〇・五、二年目に二八・五、三年目に二七・五、三年目二七・五%から十二年目二五・〇%まで直線的に削減、十二年目二五・〇から十八年目一九・五まで直線的に削減と、これが冷凍でございます。それから、冷蔵は、一年目三二・五、それから二年目三一・五、三年目三〇・五、三年目三〇・五から十五年目まで二三・五%まで直線的に削減と、こういうことでございますので、その最初のところを、どなたか今お触れになった方はおっしゃっておられるんだろうと、こういうふうに思いますが、先ほど申し上げましたように、こういう長期間にわたって削減ということに加えて、一定量を超えた場合には譲許税率を引き上げて元の三八・五%に戻すセーフガードを措置したところでございます。
○紙智子君 長期間掛けて段階的に下げるから影響が少ないということなんですか。この豪州の方が言っているのは、最初の一、二年の間、数年の間に大きく掛けるんだと、そこで大分変化が出るんだという話をされているわけですよ。
 しかも、今、セーフガードがあるという話をしたんですけれども、セーフガードによって価格下落は止められるんでしょうか。価格下落は止められないと思いますよ。その影響というのは、いや、止められるというふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) 先ほど申し上げましたように、一年目、二年目、三年目と三年目以降、差を付けておるというのは申し上げたとおりでございます。
 セーフガードの内容でございますけれども、先ほど申し上げましたように発動の基準というのがございまして、初年度、冷凍については十九・五万トン、十年目に二十一・〇万トンと、こういうことでございます。冷蔵については十三・〇を十年目に十四・五万トンと、こういうことでございます。
 ちなみに、冷蔵の豪州からの輸入は二十四年度が十二・七ということでございますから、もうほぼそれと同じ水準でセーフガードが掛かっているということでございます。したがいまして、このセーフガードによって関税率が元に戻ると、こういうことでございます。
 どういう影響が出るかというのは、先ほど申し上げてまいりましたように、貿易の動向、これは需給によって随分変わってくると、こういうふうに思いますし、また為替の動向によっても変わってくるものでございます。したがって、どういう影響が出るか注視をしながら、必要があれば必要な対策を検討したいと、こういうふうに考えております。
○紙智子君 今の説明を聞いていても誰も分からないと思いますよ。数字ただ並べて、これからいろいろな動向によってしか分からないんだと、無責任な話だと思うんですね。私は、セーフガードをやったところで価格下落には歯止めは掛けられないと思いますよ。間違いなくこれ響いてくるんですね。
 問題は、関税の引下げによる冷凍牛肉とこの冷蔵牛肉の価格の下落ということですよ。締結した直後、二年間で約一〇%の関税下げですから、その分オーストラリア産の安い牛肉が輸入されてくる、したがって日本の価格が下落することになるわけです。当然、競合しているホルスタインの国産牛肉の価格も下落せざるを得なくなると。国内の畜産、酪農生産者は、この協定締結の初年度から二年間でこういう価格下落に直面することになるわけです。
 今でも、肥育農家の人もそれから酪農経営の人も非常に厳しい経営状況で頑張っているわけですよね。そういう中で、こういう価格下落圧力に耐えられなくなったら、これは離農に追い込まれる農業者がどんどん増えてくるということが想定されるわけです。さらに、冷凍牛肉は十八年後には関税が半減する、冷蔵牛肉は十五年目に一五%の削減が決められていますから、肥育農家、酪農生産者にとってみれば全く明るい展望が見えないわけですよ。そうすると、新たに投資をしようとかそういう気にもならないわけで、離農圧力がもっと強まって、経営の負債が、これ以上傷が広がる前にじゃ撤退するかということにならざるを得なくなるじゃないかと。そうならないという保証があるんでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) これは繰り返しになりますが、やはりこれをこういうふうに決めさせていただいたわけでございます。したがって、今御説明したように、どういう影響が出るかというのは実際の貿易の動向、為替の動向、こういうものによって影響されるわけでございますので、今の段階でこういうふうになるということを逆に断定的に申し上げることがいろんな影響を与えかねないと、こういうふうにも思っておりますので、そこはしっかりと留意しつつ、必要に応じて対策を検討していきたいと、こういうふうに申し上げているところでございます。
○紙智子君 ですから、先ほど来も議論になっていますけど、どうなるか分からない、これからだという話自体が本当に無責任なんですよね。今までだって、農水省は、もしこうなった場合どうなるかということを試算したりしてきたわけですよ。そうやって、そういう影響が出たら困るから対応策も考えなきゃいけないと、やっていないけれども、その先に立って今までは試算して出してきたと思いますよ、その影響については。
 今回、乳製品も、プロセスチーズの原料用のナチュラルチーズの関税割当てで、四千トンから結局二十年間掛けて二万トンに、五倍にするというわけですよね。それから、下ろしチーズ及び粉チーズ、これ二百トンから十年掛けて一千トン、これも五倍にすると。アイスクリームも百八十トンから十年掛けて二千トン、十一倍にすると。こうやって関税割当てを導入することになったわけですよね、これ決めているわけですよね。
 これらは直接、日本の酪農経営にマイナスの影響を与えるわけです。日本におけるプロセスチーズの原料用のナチュラルチーズの生産量というのは、二〇一二年度で二万五千七十一トンです。ですから、結局、二十年間でプロセスチーズの原料用国産ナチュラルチーズというのは、全てこれオーストラリア産に置き換わることになるわけです。結局、日本の酪農チーズの生産からの撤退に日本が追い込まれかねないということです。それが日本の酪農生産者に非常に深刻な影響を与えるということは、これ明確なんですね。
 大臣、この影響について、本来やっぱりちゃんと、どうなるかという予想も含めて、どうなるか分からないじゃなくて、調べるべきじゃないんですか。
○国務大臣(林芳正君) ちょっと今のお話は御通告をいただいておりませんでしたが、先ほど佐藤生産局長から御答弁させていただいたように、今回の大筋合意、今後の需要の伸びが見込まれるナチュラルチーズについては、対象をプロセスチーズ原料用それからシュレッドチーズ原料用に限定をすると。それから、国内のナチュラルチーズ生産の伸びを妨げない範囲で、プロセスチーズ原料用として四千トンから二十年掛けて二万トン、シュレッドチーズ原料用として一千トンから十年掛けて五千トンの関割り、関税割当てを設定したところでございます。さらに、国産ナチュラルチーズを一定割合で使用するということを枠内輸入の要件とすると、こういう合意になっておるところでございまして、したがって、国内の生乳生産に影響を及ぼさない範囲の合意内容となっていると、こういうふうに考えております。
○紙智子君 今おっしゃったことが、大丈夫なんだという保証にはならないわけですよ。やっぱりどうなるか分からないでそう言っているというのは、本当に私は農水省は無責任だなというように思うわけです。
 それで、日本の生産量と同じ量に置き換えられていくということは、生産者にとってはやっぱり、何か今回はぎりぎりで柔軟性を確保できたなんという話あるけれども、そういう話ではないんですね。生産者の立場に立って考えたら、ぎりぎりで何とか確保できたという意識にはないですよ。もう本当にぎりぎりのところで今までやってきているわけで、それを、農水大臣が、ぎりぎりのところで柔軟性を確保できたなんていう話はやっぱりすべきじゃないなと思うわけですよね。
 重要な問題はやっぱり国会決議でありまして、これも何度もこの委員会でも質問してきましたけれども、米、それから小麦、牛肉、乳製品、砂糖などの重要品目は除外又は再協議の対象となるように政府一体となって交渉することと。それから、万一我が国の重要品目の柔軟性について十分配慮が得られないときは、交渉の中断を含めて厳しい姿勢で臨むと。
 だから、この重要性について十分配慮がされないと言っているわけだけれども、これ、されていると思わないわけですけど、この間の政府の答弁は、柔軟性がある程度確保できたなんて話をしているんだけれども、これは違うと。やっぱり国会決議見たときには、今までちょっと私が述べてきたように、これは明確に反するというふうに思うわけです。
 牛肉は、除外どころか関税の引下げで畜産や酪農に深刻な影響を与えるし、乳製品では、プロセスチーズの原料用のナチュラルチーズの生産が丸ごとオーストラリアに置き換わろうとしているわけで、これで国会決議に反しませんというのであれば、国会決議そのものが一体何のためにやったのかと、ないに等しくなると思うんですね。
 やっぱり、議会制民主主義ということでそれぞれ衆参で議論して、それを踏まえて作ったものを根底から壊すことになりやしないかというふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) この決議との関係性についても何度かここでも御答弁してきたところでございますが、まず決議の一号、それから三号の関係でございます。
 二〇〇七年四月の交渉開始以来、豪州、これは農産物の大輸出国でありますが、全品目の関税撤廃要求に対して、衆参両院の農林水産委員会の決議を踏まえ、政府一体となって交渉期限を定めずに粘り強く全力で交渉を行ってきたということでございます。この三号の関係でございますが、米については除外、それから麦、精製糖、一般粗糖、バター、脱脂粉乳については将来の見直し、再協議と、こういう豪州側から一定の柔軟性を得たため、今回大筋合意に至ったと、こういうところでございます。
 それから牛肉でございますが、これは先ほどと繰り返しになりますけれども、一号と三号関係で、冷蔵と冷凍の間に、初めてでございますが、四%の税率差を設けたということ、それから効果的なセーフガードを付けたと、それから長期の関税率削減期間を確保したという一定の柔軟性が得られまして、国内畜産業の健全な発展と両立する関税削減の約束となったところでございます。
 それからもう一つ、世界で五番目の農産物輸入先である豪州側に対しまして、食料の安定供給を図るための規定を設けることができたわけでございます。重要な食料について、輸出国内の生産が不足した場合にも輸出規制を新設、維持しないように努めることを確認するものでございまして、今後、中長期的に国内生産、備蓄、輸入を組み合わせて国民に対する食料の安定供給を図っていくと。これは基本計画、基本法にも書いてある観点でございますが、そういう観点からも意義のあるものと、こういうふうに考えております。
 決議の四号でございますが、今後、日豪EPA締結の効果、影響に留意しながら、生産者の皆様が引き続き意欲を持って経営を続けられるよう、農畜産業について構造改革や生産性の向上による競争力の強化、これを推進するなど農林水産政策の改革を進めてまいりたいと、こういうふうに思っております。
○紙智子君 全然かみ合っていないなと思いながら聞いているんですけど、私は、やっぱり農林水産大臣なわけですよね、それで農業を本当に守ろうというふうに思っているんだろうかというふうに思うんですよ、この間のいろいろ発言を聞いていると。
 最初は決議を守るとおっしゃっていたわけですよ。それがいつの間にか国会決議を踏まえてというふうに変わってきたんですね、踏まえてと。その次に、いや、国会決議の整合性はどうなるんだという話になったら、今度は政府としてはこの決議の評価についてはいろいろ言う立場にないと、衆参の議会でそれは評価してもらいたいと、つまり批准のときに決めればいいんだという話になってきているわけですよ。それって、農水大臣の立場なのかなと思うんですね。
 私、今まで二〇〇一年から国会に来て、ずっと農林水産委員会だったんですけれども、一回数えてみたことがあるんですけれども、十七、八人替わっているんですよ。それで、やっぱりいろんな農水大臣おられたけれども、ここぞというときにはやっぱり閣内でちゃんと発言して、守ろうということで頑張っていたと思うんですね。私は、率直に言いまして、林大臣は確かに温厚で人柄もいいという話もありましたけれども、でも本当に農業をそれこそ政治生命を懸けて守る気があるのかということでいうと、そこが見えないんですよ。何を発言しているんだろうかなというふうにいつも率直に思っています。
 それで、これは四月八日の北海道新聞の社説で、ちょっと長いんですけれども、読ませてもらいます。
 日豪EPAが交渉入りする直前、衆参両院の農林水産委員会は決議で、米、麦、牛肉、乳製品、砂糖などの重要品目を協定から除外し、交渉期限を定めないことを政府に求めた。牛肉の関税引下げはもとより、アボット氏の来日を事実上の期限とし、合意を急いだことも決議に違反していると。しかも、この決議は、環太平洋経済連携協定、TPP交渉に際し、自民党や衆参農林水産委員会が重要五農産物を聖域とする決議のひな形となったものだと。オーストラリアは、日本の牛肉市場で米国と激しいシェア争いを繰り広げている。一方、米国はTPP交渉で日本の聖域を認めず、関税撤廃を求める姿勢を崩さない。甘利TPP担当大臣は、TPP日米交渉を加速させないと米国産牛肉がオーストラリア産に劣後すると述べて、今回の関税引下げをTPPで米国から譲歩を引き出す手段にしようとしていると。これでは、牛肉を含む重要五農産品はもはや聖域ではなく、駆け引きの材料にすぎない。政府・与党の信用は損なわれ、国内の農業者は営農の展望を描けなくなる。聖域の約束をなし崩しにほごにするようなやり方は断じて許されないというふうに言っているんです。
 私、まさしくそのとおりだというふうに思うんですけれども、大臣、どう受け止めますか。
○国務大臣(林芳正君) ちょっと最初、聞き損じまして、どなたがおっしゃっていたか、ちょっと聞き損じましたが、いろんな方がいろんな……
○紙智子君 北海道新聞の社説。
○国務大臣(林芳正君) はい。報道からも、いろんな報道もありますし、いろんな御意見もあると、こういうふうに存じております。
 紙委員からも、一部お褒めもいただいたような気がいたしましたが、何をやっているんだと、こういうことでございますが、結果が全てでございますので、しっかりと御意見は御意見として受け止めたいと思います。
○紙智子君 それで、国会決議に対する安倍総理の対応というのは、TPP交渉でも更にひどいことになっていると思います。
 現在、TPPの日米交渉が行われていますけれども、マスコミ報道では、米は現在のミニマムアクセス米以外に主食用米として米国枠を設けて輸入を認めると、牛肉関税は一桁台まで認めるなどの合意があったとの報道がされています。これは、まさに国会決議に抵触するばかりか、日本農業に深刻な打撃を与えるもので、こういう妥協案が平然と提示される現在の日米TPP交渉というのは国会決議に背信するんじゃないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) 報道はいろいろこの委員会でも、また今日午前中の衆議院の委員会でも御質疑があったところでございますが、どの報道を指しておられるか、ちょっと今判然といたしませんけれども、まだTPPの交渉においては、いわゆる農産物の市場アクセスについて何も決まっていないというのが事実でございます。
○紙智子君 甘利担当大臣が先週の金曜日に日米TPP交渉から帰国をして、その後、官邸に報告に行かれて、安倍総理と菅官房長官と甘利担当大臣の三者で今後の交渉について協議を行ったことが報道されています。
 林農水大臣はその協議には呼ばれていませんよね。国会決議どころか、農水相自身が交渉の当事者から外されているんじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) それも報道でございますので一々コメントいたしませんけれども、しっかりと政府一体となって交渉を進めておるところでございます。
○紙智子君 私は、やっぱり今の現状を打開するためには、農水大臣は、私を入れなかったら駄目だと、協議の中に、大きく農業問題に関わるものなんだから、その三者だけでやるんじゃなくて私を入れなきゃ駄目だというふうにむしろ言っていかなきゃいけないんだと思いますよ。そうじゃなかったら本当に守られないと思うわけですね。
 それで、米国政府は、TPPは関税撤廃であるという原則を堅持して今までもやってきています。これは、米国政府に限らず、最初のスタートをした四か国もそうですよね。例外なき関税撤廃が元々の原則だったわけで、四か国もそうだし、そのほかのTPP交渉の参加国もその立場を維持してきていると。今回、日米二国間交渉においても、フロマン代表もその原則の確認を甘利担当大臣に求めて、甘利さんは激高したということが、まあこれも報道されていたわけですけれどもね。元々それが実はTPPの原則で、当たり前のことだったわけです。だから、私たちも何度も今まで、そのTPP交渉に参加するべきじゃないというふうに言ってきましたし、国会決議も重要五品目の除外ないしその再協議をしなきゃいけないんだと明記をして、それができないときは撤退をするべきだと明記しているわけですよ。
 ところが、日本政府はこの間、様々な妥協案を用意して、そしてこの交渉に臨んできたと。その妥協案自体が日本の農業に深刻な打撃を与えるというのはこれ日豪EPAでももう端的に示されているわけで、何でそういう状況が明らかになっているのに撤退を検討できないんでしょうか。いかがですか。
○国務大臣(林芳正君) 日豪EPAの話は先ほど申し上げたとおりでございますが、TPP交渉については、今、報道を基に御質問をされておられますが、報道についてコメントすることは差し控えたいと思いますし、この交渉についてまだ決まったことは何もないと、こういう状況でございます。
 オバマ大統領が来られるというのは、これはもう決まっておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、大統領の訪日が一つの節目であることは事実でありますけれども、交渉に期限を設けて何かやるということではないということを申し上げておきたいと思います。
○紙智子君 二十四日、もう間もなくですけれども、日米首脳会談で、TPP合意を優先して安倍総理が牛肉関税の一桁台への引下げや豚肉の差額関税制度の撤廃に応じかねない、そういう危険が指摘されている中で、自民党の石破幹事長は、有権者に公約をたがえたと判断されれば政権の正当性が揺らぐというふうに言って、関税を撤廃するような交渉は断じて行わないというふうにおっしゃっているわけですね。
 林大臣は、この日米首脳会談で、安倍総理はTPP合意を優先して妥協することをさせないというふうに断言できるでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) この決議においては、農林水産分野の重要五品目などの聖域の確保を最優先し、それが確保できないと判断した場合は、脱退も辞さないものとすると、こういうふうに書かれております。この国会決議も踏まえて、重要五品目の聖域の確保も含め国益を守り抜くように期限を定めずに粘り強く交渉を行っているところでありますので、現段階で交渉からの撤退について申し上げることは適当ではないと、こういうふうに考えております。
○紙智子君 もうはっきりと農水大臣としては言ってほしかったわけですけれども、余りそういうことではなかったと。
 それで、昨日、先ほど小川議員も触れられましたけれども、北海道では、農業だけではなくてオール北海道で、医師会や生協や商工会や、道民会議というのがあって、この五団体が共同で記者会見を開いてアピールを発表しました。道経連の近藤会長は、こういうふうに言っています。TPP参加となれば、独立国家として最低限確保すべき食料の自給力を失い、取り返しの付かない甚大な影響を受けるおそれがあるというふうに指摘をして、工業優先で農業が脇に置かれることがあってはならないというふうに指摘しているんですね。それから、JA中央会の飛田会長も、TPP参加で中心的な役割を担ってきた専業農家が一番打撃を受ける、大変な危機感を持っている、安直な合意はすべきではないというふうに語っているわけです。
 もう時間なので、私は、やっぱり農業も、農業だけじゃないですね、地域も含めて、これを崩壊させるようなTPP、断固としてこれはもう即時撤退をするべきだということを強く申し上げて、質問を終わります。
○儀間光男君 あと三十分のお付き合いです。よろしくお願いしたいと思います。
 日本維新の会の儀間光男でございます。
 今日は、今回はタイムリーに、本委員会、多くの抱えていた課題が一挙に噴出してきたような状況にあって盛りだくさんの問題がありますが、私は、TPPに関する問題から全て皆さんがやってくださったので、地域を特化して、また日台、日中に再度挑ませていただきたいと思います。それもこれも、時が経過し、いろいろ結果を見てみますというと、協定の段階でいろんな矛盾が見えてくるんですね。それを少しずつ整理をしながら政府の姿勢を伺いたいと、こう思っております。
 質問に入る前に、大臣あるいは外務省の皆さん、先週十六日、沖縄県から知事以下関係者が要請、陳情に上がったと思いますが、お会いしておりますか、それぞれ。お会いしていませんか。何かよく分かりませんが、うなずきましたから会ったものだと思って質問させていただきます。
 まず、日中の話からさせていただきますが、これ、いろいろ見ていますと、こんな協定ってあるのかなと思うぐらいひどい話があるんですね。まず、これは平成九年に署名をされて平成十二年に発効している日中漁業協定でありますが、協定のほかに大臣書簡などが出ていて、この中国との漁業協定は、沖縄周辺の水域、これを日中漁業協定から外して自由な水域にしますよという協定に読めるんですね。なぜなら、北緯二十七度線以南の沖縄周辺は協定の適用外水域にいたしますと、こうなっているんですね。
 例えば、皆さんのお手元に資料が行っておりますが、船の絵の入った資料があると思います。北緯二十七度線というのは、上の黄色い点線です。これの右端を見ると、沖縄本島のかなり上の方、これはいつかの委員会でも言いましたが、復帰前の日本政府とアメリカの軍政府の行政ラインですね、ここから以南が琉球ですよ、以北が日本ですよと。この端の点状の中にある小さな点の状態に見える島がありますが、これが私が育った島でございますけれど。これからずっと沖縄側に、沖縄島から点線で下りてきて、宮古島から直線で南に下っておりますが、ここの間は日中漁業協定から外して自由な海域にしますよという条約なんですよ。
 その結果、何が起こっているかというと、これも申し上げましたが、この協定、黄色い点線の西側、この側に中国の違法操業するサンゴ船あるいはその他の船が入り込んでまいりまして、自由勝手に操業できるんですよ。これを協定の中で、我が国の漁業関係の法律は適用しませんよ、どうぞ自由勝手にしてくださいと言わんばかり、いや、言わんばかりじゃなしに、言っているんですね。これがこの協定なんですよ。二十七度線。
 これが協定の大臣書簡、これを見ますとこういうふうに書いてある。日本国政府は、日中両国が同協定第六条(b)の水域における海洋生物資源の維持が過度の開発によって脅かされないことを確保するため協力関係にあることを前提として、中国国民に対して、当該水域において、漁業に関する自国の関係法令を適用しないとの意向を有している。しかも、これはこうも書いているんです。この六条の(b)はどういうことかというと、今申し上げましたけれども、北緯二十七度以南の東海の協定水域及び東海より南の東経百二十五度三十分以西の協定水域(南海における中華人民共和国の排他的経済水域を除く。)、つまり我が国の排他水域、沖縄ラインは、東経百二十五度三十分、北緯二十七度から、この間の以西は中国に我が国の排他的水域を開放するけれども、中華人民共和国の排他的経済水域はその限りにあらずなんですね。
 何でそういう協定になるんでしょうか。中華人民共和国のEEZもこれはこの中に入れ込んで、日本側の船が向こうへ行って自由勝手にできるというのであれば話は別なんですけれども、それはそうされていないんですね。
 そもそも一体こういうことになったのは、何が背景にあってそういうことになったのか、外務省、ちょっと答えていただけますか。
○政府参考人(下川眞樹太君) 今委員から御指摘のありました現行の日中漁業協定は、平成八年に日中両国が国連海洋法条約を締結したことに伴いまして、それまでの公海を対象とした旗国主義に基づく旧協定を改めまして、日中両国の排他的経済水域全体を対象水域として資源の保存や合理的利用を確保するために締結されたものでございます。
 先ほど御指摘がございましたいわゆる北緯二十七度以南水域、日中漁業協定第六条(b)で言われている水域でございますが、この水域につきましては、漁業実態が複雑で錯綜しておりますため、基本的に新たな規制を導入しないということとし、我が国の外務大臣と駐日中国大使との書簡により、日中双方が、これは海洋生物資源の維持が過度に脅かされないことを確保するための協力関係にあることを前提として、それぞれ相手国の国民に対して自国の漁業関連法を適用しないということにしたところでございます。
 他方、先ほど委員から御指摘のございましたこの地域におけます沖縄県の漁業関係者の皆様の懸念につきましては、今月十六日、仲井眞沖縄県知事、沖縄県漁業協同組合連合会、それから漁連、協同組合会長連名による要請書を大臣の方で受け取っているところでございまして、外務省としても重く受け止めているところでございます。
 現行の日中漁業協定は、日中漁業共同委員会において操業秩序の維持や海洋生物資源の保存に関する事項について協議することとされておりまして、その水域には北緯二十七度以南の水域も含まれてございますので、こういった関係者の懸念につきましてもこれまでも中国側に伝えてきているところでございます。今後ともこの委員会で対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○儀間光男君 そうはおっしゃっても、あなたね、海洋生物資源の維持、過度の開発によって云々がありますけれど、現在、海が荒らされっ放しになっているわけですよ、資源が荒らされっ放しになっているんですよ、沖縄島から宮古島の間に。
 私どもの地方では、沖縄では、ウミジー、ウミジーしておったんですが、正式な名前は宝山曽根というようですけれど、この曽根に、報道によると、中国の違法操業しているサンゴ船、多いときは二百杯も集まって、底引き網でサンゴを根こそぎ持っていっている。これ、日中両方の法律から、操業ルール違反なんですよ。ところが、今あるように、我が国の艦船、皆さんが取締り指導できないから野放しになっているんですね。そこはしかも、あの海域というのは、ハタ類やマチ類や、そういう底物魚の宝庫なんですよ。そこにああいう網を入れ込んで引っ張っていく、時として網を残す、ロープを残す、これが県内ウミンチュの船のスクリューに絡まったり、糸掛かりをしたり縄掛かりをしたり、それを外すためにサンゴが折られたりという様々な乱獲に遭っているわけですよ。それを取締りできないような形になっているから、あの海域の漁民のそういう人だけじゃなしに、私は国益を損ねていると、こういうふうに指摘をしたいと思うんですね。
 どうですか。県から要請のあるのも、そういうことを見直した条項にしてくださいということだと思うんですね。大臣書簡を見直し、撤廃をしてくださいと、そして我が国が違法操業者に対しては取締りのできるような条項にしてくださいと、こういうことの要請だと認識しますが、どうお答えいたしますか。いま一度お答えください。
○政府参考人(下川眞樹太君) 御指摘のお話でございますが、仲井眞県知事ほか沖縄の漁連の関係者の方々から度重ねていろいろと要請を受けておるところでございまして、私ども外務省としましても大変それを重く受け止めているところでございます。
 御指摘の書簡自身を含めて、日中漁業協定を直ちに見直すという予定はありませんけれども、現場における個別具体的な問題については、今後とも日中漁業共同委員会等を通じて中国側に対してしっかり問題提起をしてまいりたいというふうに考えてございます。
 先ほど申し上げましたとおり、日中漁業協定に基づいて設置されております日中漁業共同委員会におきましても、北緯二十七度以南水域における操業秩序の維持、海洋生物資源の状況及び保存並びに両国間の漁業についての協力ということについて話し合うことになっておりますので、これまでも農林水産省、水産庁さんと緊密に連携しながらこういった問題を取り上げてまいりましたし、これからもあらゆる機会を通じて取り上げていきたいというふうに考えているところでございます。
○儀間光男君 取り上げていただくのは結構な話ですが、これが決着を見ないと、沖縄の漁業関係者だけの話じゃないですよと言っているんですね。日本国の領海あるいはEEZ内にある資源が危うくなっている。しかも二十七度線以南において、東経百二十五度三十分以西において、つまり沖縄の西側の海域をすっぽり提供したということになるんですよ。その上に日台がかぶさってくるんですね。そうなんですよ。
 それと、もう一つ不思議でたまらぬのは、ここに私、日韓協定を持っているんですが、この日韓の漁業協定を見ますというと、これはきちっと書かれているんですよ。いいですか。自国の排他的経済水域で漁業を行う相手国漁船に対し、許可及び取締りができるって韓国はあるんです。ところが、日中はないんですよ。どうぞ勝手に、取締りしませんからやってくださいと。何でこんな違いが出るんでしょうか。
 私は被害妄想をいつも言うんですが、戦後、沖縄が施政権を米軍下に置いたときにできましたあの協定とよく似ているんですね。切捨て御免の状況なんですよ。安保条約からくる地位協定の片務的な締結、これだって、日韓を見るというと、何で日中の二十七度線以南、沖縄の周辺海域だけこうなるんですかと聞いているんですよ。御検討いただくんじゃなしに見直しをやってくれませんか。いま一度答えてください。
○政府参考人(下川眞樹太君) 日中漁業協定締結の経緯につきましては、先ほど申し上げましたとおり、日中両国が国連海洋法条約に加盟する中で東シナ海全体の漁業に関します協力をどうするかということで定められたものでございます。そうする中で、水域によっては相互入会措置をとる水域といたしまして、沿岸国が資源状況等を考慮して相手国漁船に対する漁獲割当量及びその他漁業条件を決定して許可、取締りをする、そういったような水域も設定しておりますし、それ以外に、排他経済水域及び大陸棚の境界画定までの暫定的な措置として、共同で海洋生物資源の量的な管理を行う海域の設定なども行っているところでございます。
 そういった東シナ海全体の日中間の漁業協力、漁業秩序を構築していく中で、北緯二十七度以南水域に関しましては、先ほど申し上げましたように、漁業実態が複雑で錯綜しているという状況も踏まえまして、現在のような規定ぶりになっているところでございます。
 いずれにしましても、今御指摘のあった点、それから知事から要請を受けている件、これは大変外務省としても重く受け止めまして、水産庁さんとまた協議しながら取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○儀間光男君 水産庁の話、今出ましたけれども、水産庁、どうなんですか、こういう類いの、類いと言っては失礼ですが、こういうケースの場合、皆さん合い議をして、水産庁は水産業者のために、漁業のために、あるいは資源確保のために、合い議をして自分たちを主張して、ここは相入れないぞというようなぐらいの、口角泡を飛ばした議論の結果が外務省に押し切られた感じの形になっているのかどうか。合い議はされているんですか。
○政府参考人(本川一善君) 日中の漁業協定それからこの北緯二十七度以南の扱いに関する外務大臣書簡の一連の経緯につきましては、私どもも共に協議をし、中国側と交渉し、結ばれたものであるというふうに思っております。
 御指摘のサンゴ船の問題でございますが、まさに御指摘のように、このサンゴ船が宮古島東方の宝山曽根に大挙して出没しておるという事態については我々も十分把握をしておりまして、非常に重く受け止めておるわけでございます。中国の国内法でも違反でありますので、この根絶を図らなければならぬ重要な問題であるというふうに認識をしております。
 このため、先ほど来外務省からも御答弁ありますが、昨年八月の日中漁業共同委員会におきまして、沖縄の強い懸念を伝えながら精力的に意見交換を行って、その結果、サンゴの不法採捕を根絶するため双方が協力して取り組むと。中国側もそういう問題意識を持って取り組むということに合意をいたしておりまして、そのための具体的な方策として、サンゴ船を視認した場合に通報して調査する仕組みの導入などについて合意をしております。
 日本側としては、取締り船を配備して、視認した情報、たくさん船がおりますので、それを写真に収めたりして中国側当局に通報して対応を強く求めているところでありまして、中国におきましても、サンゴ船の検挙、摘発、さらには船のスクラップ、違反者の処分、こういうことを行っていると承知しておりますが、依然としてその数が何せ多うございますので、中国サンゴ船の活動が見られることでありますので、引き続き、日中漁業共同委員会を通じて、サンゴの不法採捕の根絶に向け粘り強く取り組んでまいりたいと、私どもとしても何とかこれをしたいという思いで現在も取り組んでいるところでございます。
○儀間光男君 これがそのサンゴ船です。たった四杯入れてあるんですが、二百隻ぐらいおるんですね。
 これは、このルール違反は、我が国側は取締りできないんですが、中国側はできるんですよ、向こうの国内法違反、ルールも違反しているから、やろうと思えばできると思うんです。ところが、それをさせるわけにはいかぬでしょう。中国よ、おまえのところの船が我が方で操業違反しておるから来て取り締まってくれぬかと言って、あっちの船が、ああ、そうですか、待っていましたといって来てこの辺を航海するようになると、実効支配される可能性がありますから、そういうことも言えない。だから、将来にわたって国益を損ねてしまいますよ、あの海域の漁民だけの話じゃないんですよ、国益に大きく関わる日本の国の問題ですよと。
 沖ノ鳥島を見てください。あんなに危険で、命をも落とすぐらいに危険なところに何とか桟橋を造ろうと。あれ何ですか、経済水域を確保したいためでしょう。あれぐらいの努力をするのに、こんないとも簡単に国益が損なわれるような協定の作り方というのが解せないと、こういうふうに申し上げておるんであります。ひとつしっかりと今後ともやっていただくことを期待したいんですが、必ず成果を出していただきたいと思いまして、次は日台に移りたいと思います。
 日台も始まったばかりで、いろんなことがありますが、私、昨日、午前七時半頃、八重山の石垣市、沖縄県の石垣市の新川漁港におりました。それは別の調査で八重山地方へ入ったんですが、時たまその前の晩に、未明にマグロ船一杯入るというような情報が入りましたから、八時に荷揚げをするというんで行ってみましたよ。行ってみたら、案の定、入って、揚がり始めたんですが、船主や乗組員二人に聞いてみましたら、八重山北側海域行きましたか、つまり日台のラインへ行きましたかと言ったら、こういう返事です、危なくてあんなところ行けませんから、ずうっと南、波照間島の沖へ行って一週間やってまいりましたと。それで釣果は、クロマグロ、本マグロですね、三百五十キロ一本、それから百キロ一本、あとはほかの値の安い魚が揚がっておりましたが、この二本を揚げていましたよ。それで一週間掛かって三名でこれだけですと。なぜ北方へ行かぬのかと言ったら、向こうも船の数が多くて、大きくて、圧倒されて怖くてやっていけない。
 しかも、一月二十一日から二十四日のルール作りの中で、時間調整して、昼間はやってくださいよ、日本の船ですよ、夜は台湾の船ですよとルールを分けたんですが、彼たちは、じゃ、昼間入れて夜になったら揚げるかといったら、揚げないんですよ。昼夜兼行で一週間、十日も従事するんですよ。だから、そういう分け方ではなかなか難しい。
 幸い、おととい、二十日からかな、試験操業が始まるというお話でありましたから、この結果は出てくるかも分かりませんが、事ほどさように好漁場を他の方々に譲って引かざるを得ない。しかも、現場の船の体制も、乗組員の体制も、それも理解したとは思われないぐらい、我々に言わせると、いとも簡単に合意をしてしまったと。好漁場を追われてしまった、漁場を追われてしまったというようなことになっているわけでありますが。
 これについて、十三日付けのプレスリリースだったと思いますが、台湾の馬総統がこういうコメントを寄せているんですよ。昨年、日台漁業協定ができて、尖閣海域に我が漁船が出るようになってクロマグロの漁獲高三・六倍になったと、こう言うんですよ。発表していますね、三・六倍。量、総トン数は言ってなかったですから、前年に比して三・六倍、幾らに当たるかは取っておりませんが、実に三・六倍。裏を返せば、沖縄八重山の方々はそれぐらい減ったと言ってもいいでしょう、ほとんど行っていませんから、ゼロに近いですから。
 そういうことも踏まえて、いま一度あの海域に対する決意を伺いたいですね。基金の百億を積んだのは感謝しますよ。大いに活用していただきますが、いま一度コメントをいただきたいと思います。
○政府参考人(本川一善君) 日台漁業取決めにおきまして、八重山のいわゆる北方の逆三角形の水域を適用水域から除外するようにということで見直しを強く求められておるということは十分認識をしております。十六日も仲井眞知事が来られまして、林大臣と面会された際にもそのような御要請をいただいており、これを重く受け止めておるところでございます。
 先ほど来御指摘ございますが、本年一月に、この水域の一部の水域において、日本側が通報したときには日本側のルールで、四マイル間隔で操業するというルールを一月には作りました。その後、漁業者の方々がお話合いをなされて、この二十日から、それぞれ通報した場合には、昼間は日本側が操業し、夜、台湾側が操業するという自主的なルールを試行的に試してみるといったようなことで、二十一日には沖縄側の十隻のそういう試行に参加される船を先方に通報したというふうに認識をしております。
 まだ始まったばかりでございます。まさにそういう形で、好漁場に日本と台湾がそれぞれ入り会って適切な操業ができるように私どもとしても支援をしてまいりたいと思いますし、それから、先ほど来御指摘あるように、違法操業を行う船が仮に出てきた場合には、本年度、沖縄に水産庁・沖縄総合事務局外国漁船合同対策本部を設置をさせていただきました。更に去年よりも一隻増加して六隻体制を取り、四月以降のマグロの最盛期には、更に他の海域から応援を派遣して集中取締りを実施することとしております。
 いずれにしましても、沖縄の漁業者の方々がきちんと操業ができ、安全操業ができる、そのような体制を是非とも確保して支援をしてまいりたいと考えておるところでございます。
○儀間光男君 しっかり頑張っていただきたいと思いますが、それにもう一つ、東経百二十五度三十分から東側とその南側の水域には、もう協定などという話には応じないでくださいというようなこと等も要請としてありますが、それも含めて、林大臣、いかが反論されるか。是非とも積極的な御発言をいただきたいと思っております。
○国務大臣(林芳正君) 今、水産庁の長官から答弁いたしましたように、この間、沖縄の知事、また関係者の皆様がおそろいになって大臣室へいらっしゃいました。今委員がおっしゃったようなことを正式な要請書として受け取ったところでございまして、重く受け止めてしっかりと対応していきたいと思っております。
 中国、韓国、ロシアと、こういう国と我々は海によって接しておりまして、沖縄の皆さん、特に漁業者の皆さんは国境の最前線で、海域でございます、海でございますけれども、そこで経済活動を行うということで、領土、領海、実質的に守って監視をする、こういう重要な機能を結果として果たしていらっしゃると。こういうふうに考えておるわけでございまして、農林水産省、特に水産庁としては、こうした我が国漁業者の重要な役割を踏まえて、引き続きその操業が適切に確保されるように、経営の安定、先ほど基金のお話もありました、資源管理などの漁業振興対策、これをやりながら、一方で周辺諸国との協議、それから違反外国船の取締り、これしっかりと取り組んでまいりたいと、こういうふうに思っております。
○儀間光男君 ありがとうございました。もうおっしゃるとおりで、そのラインで漁業を営んでいる人々がおるから、我が国の領海、水域、確保できていると思うんですね。
 去る十六日の北海道新聞の情報によると、オホーツク海でもロシアの毛ガニの器具らしい違法器具が日本側に相当流れ着いて、七百幾つか上がったという情報ですね。ですから、日台、日中、日韓、ロシアとの間のこの辺の漁業は大変厳しいものがありますから、挙げて頑張ってくださるようにお願いをし、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○委員長(野村哲郎君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時散会