第186回国会 予算委員会 第13号
平成二十六年三月十四日(金曜日)
   午前九時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月十二日
    辞任         補欠選任
     小川 敏夫君     石上 俊雄君
     小西 洋之君     安井美沙子君
    佐々木さやか君     河野 義博君
     矢倉 克夫君     新妻 秀規君
     若松 謙維君     杉  久武君
     和田 政宗君     松沢 成文君
     大門実紀史君     辰已孝太郎君
     儀間 光男君     藤巻 健史君
     浜田 和幸君     平野 達男君
 三月十三日
    辞任         補欠選任
     石井 正弘君     有村 治子君
     大野 元裕君     徳永 エリ君
     金子 洋一君     野田 国義君
     田中 直紀君     藤末 健三君
     難波 奨二君     牧山ひろえ君
     安井美沙子君     小林 正夫君
     河野 義博君    佐々木さやか君
     杉  久武君     荒木 清寛君
     松田 公太君    渡辺美知太郎君
     井上 哲士君     倉林 明子君
     辰已孝太郎君     小池  晃君
   アントニオ猪木君     東   徹君
     藤巻 健史君     中野 正志君
     吉田 忠智君     福島みずほ君
     平野 達男君     浜田 和幸君
 三月十四日
    辞任         補欠選任
     小林 正夫君     安井美沙子君
     徳永 エリ君     小西 洋之君
     福山 哲郎君     森本 真治君
     藤末 健三君     小川 勝也君
     牧山ひろえ君     蓮   舫君
     倉林 明子君     田村 智子君
     小池  晃君     大門実紀史君
     中野 正志君     清水 貴之君
     浜田 和幸君     平野 達男君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         山崎  力君
    理 事
                青木 一彦君
                宇都 隆史君
                大家 敏志君
                片山さつき君
               北川イッセイ君
                大塚 耕平君
                那谷屋正義君
                秋野 公造君
                中西 健治君
    委 員
                有村 治子君
                猪口 邦子君
                大野 泰正君
                古賀友一郎君
                佐藤 正久君
                佐藤ゆかり君
                二之湯 智君
                堀井  巌君
                丸川 珠代君
                三木  亨君
               三原じゅん子君
                三宅 伸吾君
                山下 雄平君
                山田 俊男君
                渡辺 猛之君
                石上 俊雄君
                石橋 通宏君
                小川 勝也君
                小西 洋之君
                小林 正夫君
                徳永 エリ君
                野田 国義君
                福山 哲郎君
                藤末 健三君
                森本 真治君
                安井美沙子君
                蓮   舫君
                荒木 清寛君
               佐々木さやか君
                新妻 秀規君
                松沢 成文君
               渡辺美知太郎君
                倉林 明子君
                田村 智子君
                大門実紀史君
                東   徹君
                清水 貴之君
                福島みずほ君
                平野 達男君
   国務大臣
       内閣総理大臣   安倍 晋三君
       財務大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(金融)
       )        麻生 太郎君
       総務大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(国家戦
       略特別区域、地
       方分権改革))  新藤 義孝君
       文部科学大臣   下村 博文君
       厚生労働大臣   田村 憲久君
       農林水産大臣   林  芳正君
       経済産業大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(原子力
       損害賠償支援機
       構))      茂木 敏充君
       環境大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(原子力
       防災))     石原 伸晃君
       国務大臣
       (内閣官房長官) 菅  義偉君
       国務大臣
       (復興大臣)   根本  匠君
       国務大臣
       (国家公安委員
       会委員長)
       (内閣府特命担
       当大臣(防災)
       )        古屋 圭司君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(経済財
       政政策))    甘利  明君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(規制改
       革))      稲田 朋美君
   内閣官房副長官
       内閣官房副長官  世耕 弘成君
   副大臣
       外務副大臣    岸  信夫君
       財務副大臣
       復興副大臣    愛知 治郎君
       厚生労働副大臣  佐藤 茂樹君
       経済産業副大臣
       内閣府副大臣   赤羽 一嘉君
       国土交通副大臣  高木  毅君
       環境副大臣
       内閣府副大臣   井上 信治君
   大臣政務官
       総務大臣政務官  藤川 政人君
   政府特別補佐人
       原子力規制委員
       会委員長     田中 俊一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小野 亮治君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官       中垣 英明君
       内閣官房内閣参
       事官       佐々木裕介君
       内閣府政策統括
       官        日原 洋文君
       総務省自治財政
       局長       佐藤 文俊君
       財務省理財局長  林  信光君
       文部科学省スポ
       ーツ・青少年局
       長        久保 公人君
       厚生労働大臣官
       房審議官     新原 浩朗君
       経済産業大臣官
       房長       日下部 聡君
       経済産業大臣官
       房地域経済産業
       審議官      加藤 洋一君
       資源エネルギー
       庁電力・ガス事
       業部長      高橋 泰三君
       中小企業庁長官  北川 慎介君
       環境大臣官房廃
       棄物・リサイク
       ル対策部長    梶原 成元君
       環境省水・大気
       環境局長     小林 正明君
   参考人
       独立行政法人日
       本スポーツ振興
       センター理事   鬼澤 佳弘君
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  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○平成二十六年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○平成二十六年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○平成二十六年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
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○委員長(山崎力君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 平成二十六年度総予算三案審査のため、本日の委員会に独立行政法人日本スポーツ振興センター理事鬼澤佳弘君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山崎力君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(山崎力君) 平成二十六年度総予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。
 本日は、経済財政・行政改革・歴史認識に関する集中審議を行うこととし、質疑は往復方式で行い、質疑割当て時間は四百十四分とし、各会派への割当て時間は、自由民主党百四分、民主党・新緑風会百九分、公明党四十六分、みんなの党四十五分、日本共産党三十五分、日本維新の会三十五分、社会民主党・護憲連合二十分、新党改革・無所属の会二十分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。
    ─────────────
○委員長(山崎力君) 平成二十六年度一般会計予算、平成二十六年度特別会計予算、平成二十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、経済財政・行政改革・歴史認識に関する集中審議を行います。
 これより質疑を行います。有村治子君。
○有村治子君 自由民主党の有村治子です。
 今週の火曜日、三月十一日には、東日本大震災発災からちょうど三年がたちました。現在この瞬間も、被災地の寒い中で復興の一線に立っていただいている同胞、被災地の各地で、また仮設住宅においてこの国会を見てくださっている方々、そうでない方々も含めて、共に心を添わせて頑張りたいという思いを胸に本日質問に立たせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 まず、今日の集中審議のテーマでございますが、歴史認識、行政改革、そして経済財政についてでございます。本日は歴史認識からお伺いをさせていただきたいと思います。
 まず、個別の歴史認識を伺う前に、私自身、政治という文脈において歴史認識を語る場合、どのようなことに気を付けなければならないのかということを、二期十二年、参議院比例区、全国区で議席をお預かりさせていただく中で、本日に向けて考えることが多々ございました。そして、今日はその経験則の一部をまず御報告させていただくことから始めようというふうに思っております。
 まず、歴史認識について。
 それぞれの国には、各々の国民や民族が生きてきたあかしとして命を紡いできた、そういう歴史がございます。そして、その国民の歩みや成り立ちが異なれば、おのずからその歴史認識というものも特徴的な固有なものになってまいります。先祖や父祖に対する敬意やあるいは評価というものが高くなれば高くなるほど、時として歴史認識というのは、民族意識の高揚や、あるいは国威発揚、あるいは国民の心を一つにする国民統合の手段にもなり得るというものでありましょう。
 どの国にも誇りと愛着を持って育まれた歴史があり、よって、独自の歴史認識がある以上、異なる国々の間で歴史認識が完全に一致することはあり得ません。ましてや、戦火を交えた国々、戦争で勝った国、負けた国、占領をした国、された国の間で歴史認識というのは当然距離感のあるものになってしまいます。それゆえに、国際社会において歴史認識を語ること自体、そもそもとてもデリケートでハードルが高いものだと私は心得ております。
 一人の人間の人生においても、栄光の時代があると同時に、人には触れられたくない恥部、影の部分、あるいはとても思い出すのもつらいような修羅場の部分というものを背負って、それでも人々は生きています。であるならば、組織としての歴史、なかんずく国家としての歴史にも、当然ながら光と影の部分があります。その歴史を卑下もせず、美化もせず、謙虚に向き合い、歴史の先人が残した知恵も教訓も両方背負って、その学びから未来を確かにしていくことこそが、国のかじ取りを担う政治の大事な本分の一つだと私は思っています。
 特に、歴史を振り返るとき、私たちが気を付けなければならないことがあると思います。それは、当時の世界の趨勢や国際情勢の中で、我が国が置かれた立場、当時の価値観やあるいは社会通念というものを視野に入れずして、現在の、暖房が効いて、冷房が効いて、一日三食の、衣食住が足りている中で当時の極限の歴史認識ということを見たときには、現在の価値観だけでは、そのときの物差し、そのときの現状ということを正確に計り知ることはできないと思います。現在の物差しだけで歴史を見ようとすると、ともすると、近視眼的な歴史のタコつぼに入る、これはフェアなことではないというふうに思っています。
 一国のリーダーは、その志の中に確固たる歴史観、歴史認識を持つことが求められます。しかし、ともすると、政治家による歴史認識は、すぐに外交問題、政治問題、国際問題になるリスクが常に付きまといます。ゆえに、現在、安倍総理を始めとする日本の政府に、狙うべきストライクゾーンというのはそう広いとは思いません。
 すなわち、ストライクゾーン、日本と米国の同盟を強固にしながら、米国を始めとする世界の世論に共感と支持をされ、かつ同時に、米国に内政干渉をする隙を与えず、近隣諸国とも共存していく。特に韓国と中国と仲よく共存していかなければならない。と同時に、日本の尊厳と誇りある威厳というものも外交の中で守っていかなければならない。この歴史認識の中での連立方程式を解くというものは、まさに安倍総理を始めとして、ガラス細工を丁寧に丁寧に、本当に一生懸命に作り上げていくような精緻な政治判断が求められてくるものだと私は思っています。
 そこで、総理にお伺いをします。一般論としてお伺いします。日本の内閣総理大臣として歴史認識を語られる上で、経験則としてお持ちになっている知恵、心掛けておられることなどにはどのようなものがおありになるでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 基本的に、この歴史にどう向き合うかということでありますが、基本的に、我々政治家、特に行政のトップにある者としては歴史に対しては謙虚でなければならないと、このように思っているところでありまして、その観点から、歴史は事実も含めて歴史家に任せるべきであると、謙虚でなければならないと、このような認識を持っているところでございます。
○有村治子君 大事なことだと思います。そして、やはりいいことも、また不名誉なことも含めて、特に近現代史は史実に基づいて冷静に語られなければならないということも大事なことだと私も思っています。
 そこで、個別の歴史認識についてお伺いをします。河野談話についてです。
 菅官房長官、宮澤内閣のときの河野洋平官房長官が出されたいわゆる従軍慰安婦に関して、これを検証するというふうに言及をされています。同時に、この安倍内閣は歴代の政権と同じようにこの河野談話を継承しているともう何十回も国会で答弁をされていらっしゃいますが、では、その河野談話の内容、かなり強い表現が河野談話にはるる出てくるわけですが、その内容の一つ一つを歴史的事実として安倍内閣、受け止めていらっしゃるのでしょうか、お答えくださいませ。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず私から、安倍内閣の言わば歴史認識についての立場について述べさせていただきたいと思います。
 歴史認識につきましては、戦後五十周年の機会には村山談話、六十周年の機会には小泉談話が出されています。安倍内閣としては、これらの談話を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいます。
 慰安婦問題については、筆舌に尽くし難いつらい思いをされた方々のことを思い、非常に心が痛みます。この点についての思いは私も歴代総理と変わりはありません。この問題については、いわゆる河野談話があります。この談話は官房長官の談話ではありますが、菅官房長官が記者会見で述べているとおり、安倍内閣でそれを見直すことは考えていないわけであります。
 先ほども申し上げましたように、歴史に対して我々は謙虚でなければならないと考えております。歴史問題は政治・外交問題化されるべきものではありません。歴史の研究は有識者や、そして専門家の手に委ねるべきであると、このように考えております。
○委員長(山崎力君) 補足されますか。
○国務大臣(菅義偉君) 河野談話については、第一次安倍政権で閣議決定をされた答弁書に示しておるとおり、政府の基本的立場は官房長官談話を継承するということであります。
○有村治子君 河野談話を継承すると改めておっしゃっていただきましたが、それを歴史的事実として受け止めていらっしゃるのかということはこれからも考えていかなければならないことだと思っています。
 河野談話が作成された当時、その内容を、本当にそうだったのかどうかという歴史的根拠がないにもかかわらず、韓国とすり合わせを行い、政治的決着を図ったと今でも思われていることが日韓双方にとって不信感を助長する不幸になっていると思います。
 そして、河野談話にはかなり内容に突っ込んだ、国の命として、国の意思として本当にそういう徴用があったのかどうかということが分からないままに、子々孫々にその不名誉を日本が背負うことになるかもしれないというリスクを冒してまで政治的配慮をされたというふうに言われています。そんなリスクの重さは当時の官邸だって当然に理解したはずでございます。にもかかわらず、そのリスクを冒してまで日本はこの河野談話ということを発して、どんな国益、いかなる果実を得ようとされていたことだったんでしょうか。そして、実際に河野談話が発表されてから、そのことによって日本は何を得たのでしょうか。河野談話が発表されることによって韓国は一体何を得たのでしょうか。
○国務大臣(菅義偉君) これについては、去る二月二十日、衆議院の予算委員会に当時の事務方の責任者でありました石原元官房副長官が出席をされて、その件について証言をされました。
 石原官房長官の証言によれば、この河野談話を作成する過程の中で、韓国側との間ですり合わせが行われた、その可能性を指摘した上で、次のように証言されているんです。この河野談話によって過去の問題は一応決着をしたと、そしてこれから日韓関係は未来志向で行きましょう、そういうことで取りまとめが行われ、当時はそれによって韓国政府はこの問題を再び提起することはなかったということです。しかし、最近になって韓国政府からこの問題が再び提起される状況を見て、当時の日本政府の善意が生かされておらず非常に残念であると、そういう証言があったわけであります。
 ですから、政府としては、こうした石原副長官の証言を受けて、河野談話作成過程においてその実態を把握することが必要だというふうに思っていますし、しかるべき形で明らかにすべきだというふうに思っています。
○有村治子君 官房長官、ありがとうございます。
 誤解のないように明確に申し上げておきますが、私は、日本にとって臭い物に蓋をしろ、都合の悪い過去に基づいた談話を撤回すべきと軽々に申し上げているわけでは全くありません。今官房長官がおっしゃっていただいたとおり、そして石原元官房副長官の証言が二月に国会であったとおり、河野談話が出された前後、一体何があったのか、国民はまず真実がどうだったのかを知りたがっているのだと思います。
 先月末の世論調査、新聞社が敢行した世論調査でございますが、実に六六・三%、過半数をはるかに超える世論の方々が河野談話に至った調査や経緯などについて検証すべきだというふうに世論を発表されています。
 この数字、六六・三%ということをどのように官房長官はとらえていらっしゃいますでしょうか。そして、こういう世論を背景に検証をするとおっしゃっていますが、具体的にどのような検証を進められるお考えなのか、お聞かせください。
○国務大臣(菅義偉君) 御指摘の世論調査は承知をいたしております。また同時に、本件については様々な議論がある、このことも事実だというふうに思います。したがって、先ほど総理が述べましたけれども、政治家はやはり歴史に謙虚であるべき、政治家の仕事の評価は歴史家や専門家に委ねるべきであるというふうに考えております。
 さらに、この検証についてでありますけれども、去る二十日の石原官房副長官の証言の中で、やはり三点が大事だったというふうに思うんです。一点は、元慰安婦の聞き取り調査結果について裏付け調査を行っていないということを証言をされました。二点目は、この作成過程で韓国側との意見のすり合わせがあった可能性がある旨も証言されました。そして三点目は、この河野談話の発表により、先ほど申し上げましたけれども、一旦決着した日韓関係、それが今になってまた韓国政府から提起される状況を見て、当時の日本政府の善意が生かされておらず非常に残念である、こういう証言があったわけであります。
 こうしたことを踏まえて、やはりこの検証の中で、韓国側との意見のすり合わせ、どうだったかというその可能性についてはやはり検証する必要があるだろうというふうに思います。そしてまた、元慰安婦からの聞き取り調査、これについては、個人を特定しない、非公開ということが前提で実は行われたという経緯もあります。我が国はやはりそうした約束は守るべきだというふうに思っております。そういう中で、この点につきましては、機密を保持する中で政府として確認をすることは必要だろうというふうに思います。
○有村治子君 是非、納税者、主権者たる国民の知る権利、真実を知る権利、それは結果がどうであれ史実に基づいた検証がなされるべきことを私も心から願っております。
 そこで、歴史認識に関連する外交通訳の問題についてお伺いをさせていただきます。
 日本の外交、在り方を考えるきっかけとなった私自身の経験をまず最初に少しだけ御報告させていただきたいと思います。
 今から十二年前に初当選をさせていただいた程ないとき、在日の東京にある英国大使館から自民党の総裁選について取材をさせていただきたいというお申出があり、これを快諾してイギリス大使館の外交官とお目にかかる機会がありました。三十歳代から四十歳代、ちょうど私ぐらいの女性の外交官だったんですけれども、私の目の前に現れたその英国の女性の外交官が、非常に非常に流暢な日本語で自民党総裁選についてこういうふうに言われました。党内で主戦論者は幅を利かせていないのですか、有村さんは今回、非主流派ですよねと。
 幅を利かせる、非主流派、主戦論、こんな難しい言葉をイギリスの駆け出しの外交官が日本語で尋ねてくる、難しいニュアンスの語句をよどみなく使っていることにびっくりしました。日本育ちでもない、漢字圏の出身でもない彼女の日本語の練度の高さに私はびっくりして彼女に尋ねました。聞けば、英国大使館は鎌倉に二十四時間日本語の集中漬けにする語学研修施設を持っているということを教えてくれました。
 それ以上に驚いたのは、彼女が日本に着任する前の前、前任者と私が話した、この映画が好きなんだということを彼女が知っていた。前々任者と話した私の映画の好みまで彼女が引き継いでいたのです。当選して間もない駆け出しの国会議員の一議員についてすらそれぞれのデータベースを在日英国大使館が着々とプロファイリングとして構築をしているということに、私は、さすが世界に冠たる海洋国家、第二次世界大戦で情報・諜報戦、心理戦に勝利したチャーチルのイギリスだな、007のお国柄というのはこういうところから出てくるのかなとある意味で思いました。
 同時に、イギリスを支える外交官の地道な努力に心からの敬意を払うと同時に、私は、ちょっぴり警戒感を抱き始めました。日本の国会議員として、翻って我が国の外交力はどうだろうかということを考え続けるきっかけになったわけでございます。
 今年一月に開催されましたダボスでの世界経済フォーラムで総理が講演されました。その後、各国メディアとの懇談、意見交換の中で、日本と中国の軍事衝突の可能性を聞かれた際、総理は日本語で、イギリスとドイツは大きな経済関係を持っていたにもかかわらず第一次世界大戦に至った、日本と中国が質問のようなこと、つまり軍事衝突が起こってしまえば日中にとってプラスではないし、また世界にとってもこれはマイナスが多い、こういうことが起きないようにしなくてはならないと、明確にその可能性を否定されています。
 しかし、残念なことに、日本側が用意した通訳が、第一次世界大戦の英独関係と似た状況に今あるというふうに受け止められる発言を英語でしたため、海外メディアは一斉に誤報されて問題化したということがございました。まさに先ほど申し上げた国際社会における歴史認識という、そもそも難しい、そもそもデリケートなシチュエーションで首脳の通訳者による不適切な失敗が出てしまったわけです。
 それは通訳ミスによる誤解ですと即座に反論すべきところですが、同時通訳が英語で何と話したのかを外務省は録音していなかったと報じられています。録音の有無を、あるなしを含めて、事実関係をお教えいただきたいと思います。
○副大臣(岸信夫君) 有村委員の御質問にお答えしたいと思います。
 まず、先ほどからも総理も述べられておられますとおり、歴史に対しましては我々は謙虚でなければならないという考えでございまして、これはまさに政治・外交問題化されるべきではないと。これは当然ながら、海外に発信をされる際、あるいは通訳を介しても当然配慮されなければいけない大切な点だというふうに思っています。
 その上で、ダボス会議で総理が述べられたのは、二度と戦争はいけないということでありまして、これはまさに当たり前のことでございます。このような誤訳があってはならないのは言うまでもないわけではありますけれども、総理の実際の発言内容と趣旨が正確に理解されますように、各国のメディア及び有識者に対して大使館から幅広く説明をさせたところでございます。
 今後とも、我が国の歴史認識に関して国際社会の正しい認識を、理解を得られるように、戦略的な観点から対外的な広報活動を一層強化して、効果的な発信に努めてまいりたいと思っております。
○有村治子君 すなわち、通訳が何を話したかの録音を我が方外務省が取れていなかったと思われます。これは外務省とも事実確認をしております。
 今や三千円もあれば量販店で小型のボイスレコーダー、かなり性能のいいものが、三千円で録音機材が手に入る時代です。今回の事件のように、総理が日中の軍事衝突の可能性を明確に否定されていらっしゃるにもかかわらず、その可能性を否定しなかったと通訳のミスによってフィナンシャル・タイムズなどに載ったこと、まさに通訳の上手下手によっては国際問題に発展することもあり得るということを教訓にしなければなりません。
 我が国の総理大臣が通訳を通していかに国際社会に聞こえているか、記録すら取っていない現状を案じますが、危機管理大丈夫なんだろうかという点に関して総理の御所見をお伺いします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま例として挙げられたのは、ダボス会議における世界各国の記者との懇談のときでございました。そこでは、逐語ではなくて、逐語というのは、私が日本語でしゃべって、それを横にいる通訳が英語にするという方式でありますが、ではなくて、同時通訳であったものでありますから、逐語の場合は普通、首脳会談等々は基本的には、たまに逐語でない場合もありますが、通常は逐語で行われるわけでございます。
 大体、主要国であれば、私がしゃべることは日本側の通訳、そして相手国がしゃべる場合は相手国の通訳がしゃべるわけでありますが、たまに明らかな誤訳が発生する場合は、事実、私も経験から、何回かそれを経験をしております。その際は、こちら側に、英語の場合は、それは大体、英語を多くの外務省側は理解をしておりますので、その場で指摘をして修正をする場合もありますし、相手側が明らかに通訳を間違えて先方の首脳の発言を訳している場合もあります。その場合は私の横で、今の発言はこうですと、そういう修正がなされることもあるわけでありますし、時によってはほとんど逆の表現になっていることもあるわけでございまして、その意味におきましては通訳の存在は極めて重要であり、通訳の訳し方、能力によってはこれは大きな誤解が生じてくる場合もあるんだろうと、このように思います。
 ダボス会議の場合は、これ同時通訳であったために、会場にいる日本側は私が日本語でしゃべっているときにはイヤホンを付けておりませんから基本的に英語を聞いていないと。相手の英語のときにこちら側が日本語のチャネルに合わしているということでございまして、ですから、こちら側がその場で修正できなかったということであります。
 その場には、読売新聞、朝日新聞、NHK等々の論説の人々もいたわけでございますが、その方々は誰一人私の発言について問題視した人は実際いないわけでありまして、報じ方も、私の発言が問題であったということではなくて、ファイナンシャル・タイムスが問題にしているという記事しか発していないということでこの中身がどういう事実であったかということは明らかではないかと、このように思うわけでありますが、いずれにいたしましても、そうした誤訳、あるいは、あのときは誤訳というよりもしゃべっていないことを通訳がしゃべってしまったという問題であったわけでございますが、そうしたことはしっかりと後で検証できるようにしておくということも大変重要ではないかと、このように思った次第でございます。
○有村治子君 総理の重要な発言はリアルタイムで瞬時に世界を駆け巡ります。今や報道関係者のみならず、インターネット、スマートフォンの普及で一般の人々が世界中でフェイスブックやあるいはユーチューブやツイッターなどで一人一人が放送局を持てるような状態にあります。我が国の総理の発言が敬意と拍手をもって世界中から共感されるか、あるいは脅威や嫌悪感を与えてしまうのかというのは、その英語の発信力が大きな鍵になっております。
 今、安倍総理がわざわざおっしゃっていただきました逐語通訳とそれから同時通訳のこともありましたけれども、ポイントは、総理の発言がどのように海外に英語で発信されているかという、その通訳の録音をしていないというところに危機管理意識の欠如はなかったのかどうかということです。三千円でボイスレコーダーが買える、そして、歴史認識という今なかなかに難しい状況にあるという今の状況を考えれば、当然にこれは、各国の日本大使館にワインの数がある、日本の調理人を連れていくと一人幾ら掛かるということよりもはるかに大事な外務省の基本のキだと思いますので、是非これは教訓を生かしていただきたいと思います。
 今回使われました、二泊三日の安倍総理に付かれましたダボス会議での通訳の方は外部発注というふうに承っております。二泊三日の中で実働時間がどのくらいあったのか私は分かりませんが、二十万円以上の国費がその通訳の報酬として使われていると調べました。日本語と英語に卓越した通訳はこんな大事な会でも外部発注に頼らざるをいけないのが日本の現状なんでしょうか。自前で、世界に向けて、国際会議における、しかも重要な内閣総理大臣の通訳というのを外部発注に頼らざるをならない日本の現状ということを私は憂います。
 TPP交渉や沖縄の基地返還問題など極めて機微にわたる難しい問題を通訳を介してトップ同士で交渉を打開していかなきゃいけない、そのときに、自前で国家公務員でその洗練した通訳を、少なくとも日本語と英語の同時通訳を省内で育てる、維持するということは極めて大事だと思いますが、外務省、いかがでしょうか。
○副大臣(岸信夫君) お答えいたします。
 委員おっしゃるとおり、この特に同時通訳の技能というのは大変高い能力が必要なわけでございます。限られた時間内に公開で行われる記者会見の場合の同時通訳は更に当然ながら高い能力を求められる、こういうことでございますが、この特殊な技能、また卓越した力量が必要なこの分野ですけれども、なかなか適性を有する人物が少ないというのも現実でございまして、外部の専門家が通訳を行ってきているのが現状でございます。
 そのような通訳を行う外務省の職員の育成、養成の可能性につきまして、外務省の限られた人員、また職員の適性と技量を見ながら、見極めつつ、また検討をしてまいりたいと思います。
○有村治子君 今回、よもやで日中の軍事紛争の可能性を総理が否定しなかったという、一時だけですが、そういう表現が世界に出回ろうとして、日本は、外務省はその後、それを事実とは異なる通訳のミスだったんだということで一生懸命回復をされたことにも、私はそのことも報告をさせていただきます。
 通訳ミスというのは起こります。残念ながら誰にでもミスというのは起こります。しかし、国際政治の極めて大事な総理の発言において犯してはいけないときに犯してはいけないミスもあると思います。今回、非常に際どい通訳の誤訳をされた方に対しては外務省から注意があったというふうに理解をしていますが、外部発注の時間給なり日給で雇われる通訳が間違いをして、総理の発言の間違いをしたときに、済みませんでしたと彼女は責任を取れる人なのかということを考えれば、やはり私は高い能力の、少なくとも、アフリカの特定部族の同時通訳をしてくれと言っているわけではありません。フィリピンの特定言語の通訳を自前でつくってくれと言っているわけではありません。少なくとも、日本語と英語の世界に通じる同時通訳ができる人間を日本として持っておくというのは当然のことだと、是非生かしていただきたいと思います。
 日本は、戦後、紛争解決する手段として戦争を選ばずという不戦の誓いを立て、熾烈な国際環境の中にあっても粘り強い国際交渉を重ねて、繊維交渉やオイルショックやオレンジ・牛肉の交渉、自動車交渉を乗り越えて現在の安定と繁栄が築かれてきました。確かな外交というのは我が国の存立の生命線そのものだと言っても言い過ぎではないと思います。国益が激しくぶつかり合う外交において言論はまさに勝負であり、通訳は日本が持てる外交の平和的武器そのものだと思います。通訳の問題に関し、危機管理の在り方に関して、日本の外交の在り方、総理にあるべき姿をお伺いします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほども述べさせていただきましたが、基本的には首脳会談は同時通訳ではなくて逐語で行われておりまして、そうした逐語の通訳を行う通訳は全て外務省の職員でございますし、極めて高い能力を持っていると、このように言えると思います。
 他方、マルチの会議等においては同時通訳で行われるわけでありますが、この同時通訳者は非常に特殊な能力が必要であり、外務省でその能力を持つ人物を養成するというのは、それは容易なことではない、コストの面において、その中におきまして言わば外部との契約を行っているということであります。
 ダボス会議の場においては、これは言わばマルチの会議ではなくて、記者との、当時は最初は同通ではなくて逐語だったわけでありますが、それが途中でマルチ、途中で言わば同時通訳に変わっていった中において契約ということになったわけでございますが、むしろそういう際には、同時通訳は時間的にはこれは制約が、ある程度時間的には有効に使えるわけでございますが、しかし重要なケースの場合は逐語にした方がこれはチェックできますし、人間は誰しも間違えることがあるわけでありますが、その際もチェックを入れることができるということもございますので、逐語が適切な場合、あるいは同通の場合は言わばより能力の高い方々を選んで使うと同時に、後ほどその通訳自体が正しく行われていたかどうかをチェックしていくということが大切ではないかと、このように思っております。
○有村治子君 内閣総理大臣の発信の真意を国際社会にそごなく伝えて、日本国民を代表される総理の言葉の信用を守り、日本の威信を守るために、英語での発信強化、是非強化にお努めいただきたいと思います。そして、同時通訳というのは大変な練度を要する極めて高度な特殊な技能だということも私も理解します。そういう方を国家公務員として迎えられるのか、育てられなかったらそういう方を国家公務員として日本の政府のために働いてもらうのかどうかということもお考えいただければ有り難いと思います。
 次に、終戦七十周年の歴史認識についてお伺いします。
 昭和二十年、一九四五年に敗戦を迎えました。それから、終戦四十周年、五十周年、六十周年と十年に一度、終戦から何十周年というときには、特に中国、韓国などから日本の歴史認識を話題にして、その歴史認識を外交カードとして日本を揺すぶらせる、そういう手段になり得るんだということ、その圧力が強まっていくのが一九八五年、九五年、二〇〇五年、そして来年の二〇一五年、終戦七十年の年だと思っています。
 実際に、ロシアのプーチン大統領に対して、報道によりますと、中国の習近平国家主席が来年には、中国とロシアで第二次世界大戦戦勝七十周年の行事を大々的に開催して、そしてこれを祝おうというような提案が中国からロシアに対してなされていると報道があります。まさに日本が外交的に歴史認識を軸にして狙い撃ちされるおそれが否定できない状況にあります。
 そこで、安倍総理にお伺いします。我が国はそうはいっても同時に同じ歴史の中で、ここに苦しい歴史があった、だけれども、同時に戦後一貫して平和国家としての歩みを重ねてきたと総理もよくおっしゃいますが、その平和国家として地道に重ねてきた歩みというのには例えばどういうものがあるでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 戦後、我が国は、自由で、そして民主的で、基本的人権や法の支配を尊ぶ国をつくり、戦後六十八年にわたり平和国家としての道をひたすら歩んできたわけでございます。そして、戦後間もない頃から世界に支援の手を差し伸べてきており、多くの国際貢献を行っています。
 例えば、我が国は、ODAを通じ、アジアを始めとする途上国の開発と成長、国づくり、人づくりを支えてきました。途上国の経済社会の発展に多大な貢献を行ってきたのも事実でございます。その実績は過去六十年で総額三千百三十二億ドル、OECD開発援助委員会の為替レートで換算しますと四十兆円になるわけであります。つまり、それは国民の税金によって行われてきたわけでございます。
 国連に対しましては大きな財政的貢献を行ってきておりまして、通常予算については、一九八六年から、またPKO予算については一九九二年から我が国は世界第二位の分担金を負担をし、そしてその活動を支えてきているわけでございます。国連の分担金においては、いわゆる常任理事国、P5と言っているわけでありますが、P5のアメリカを除く他の四か国の総和に匹敵する分担を我が国、常任理事国でないにもかかわらず行っているということも指摘されているわけでありますが、安保理の非常任理事国には加盟国中最多の十回選出をされておりまして、PKO活動への参加などを実績として積み上げてきています。こうした実績はまさに我が国の平和国家としての歩みを具体的に示すものであり、今後とも、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、世界の平和、安定及び繁栄にこれまで以上に積極的に貢献をしていく考えであります。
○有村治子君 今まさに総理がおっしゃっていただいたとおり、国連に対しての日本の貢献は、世界で最も貢献している国の一つでございます。直近の国連分担金はアメリカが二二%、日本は、二百か国近い国が国連に加盟する中で日本はその一割、一〇%を超える負担金を国民の血税を使って負担をしています。そして、まさにアジアの支持を得て非常任理事国ですけれども安保理に十期も参画しているというのは、日本が世界の安定また貧困対策、技術供与などで本当に揺るぎない貢献をしてきた戦後の日本の国柄、国民性を表していると思います。
 平和国家の歩みを重ねてこれだけ国連に貢献しているのに、ちなみに中国は国連の負担金五・一%、韓国は二%を負担をされています。日本は、これだけ血税を使ってODAも、経済がいいときもそうじゃないときも歯を食いしばって世界の安定と平和のために貢献をしている。にもかかわらず、国連憲章には現在も旧敵国条項と呼ばれる条項が残っています。第二次世界大戦中、連合国の敵であった旧枢軸国、すなわち日本やドイツやイタリアやブルガリア、ハンガリー、ルーマニア、フィンランドの国々を指すと思われますけれども、その旧敵国条項というのが国連憲章に残っています。
 平成七年、一九九五年には国連の総会において、この旧敵国条項は既に時代遅れで、これが国連憲章より削除されるための改正が早期になされるべきだという決議がなされていますが、その一方で、この決議が出てから二十年たつ今も実はこの敵国条項は憲章に残ったままであります。
 終戦七十年を向けて、改めて国際社会に対して平和国家日本の戦後の歩みと貢献ということを訴え、国連総会が決議したように、旧敵国条項を削除するための努力をすべきだと思いますが、総理の御見解をお伺いいたします。
○副大臣(岸信夫君) 旧敵国条項につきましては、今委員からも御指摘がございましたとおり、一九九五年の国連総会で既に死文化をしているとの認識を示す決議が採択をされているところで、二〇〇五年の首脳会合、国連首脳会合では、憲章上の関連する条項における敵国への言及を削除するとの加盟国の決意が示す成果文書が採択をされたところでございます。ただ、死文化したとはいえ、まだ日本としては引き続きこの旧敵国条項の削除を求めてまいりたい、こう考えております。
 一方で、この旧敵国条項の削除につきましては、国連憲章の改正が必要でございます。これは非常にハードルが高いもので、加盟国の三分の二の賛成また安保理の全ての常任理事国を含む加盟国三分の二による批准という極めて困難な手続が要するわけで、これを実現するということを考えますと、決して容易ではないという状況でございます。
 同時に、同様に国連憲章の改正が必要となる安保理改革についても、我が国は実現に向けて取り組んでいるところでございます。我が国として、ただいま申し上げたような憲章改正の厳しい手続を踏まえまして、安保理改革を含む憲章改正を必要とするほかの課題との関係を十分考えながら、今後とも旧敵国条項の削除も求めてまいりたいと考えております。
○有村治子君 私は、外交問題はすぐれて国内問題であるとも思っています。すなわち外交問題と内政問題というのは表裏一体の関係にあるのではないかと見ています。北方領土の交渉、領土交渉も、やはりTPPの交渉であっても、相手国は外交政策のその背景になる日本の国内世論の支持がどれだけあるのかということを、足下を必ず見てきます。そういう意味では、世論を形成する中間層、どんなときも安倍自民党を応援するぞと言ってくださる核の層がいます。どんなときも安倍自民党は苦手だという層もいらっしゃいます。その右から左まで、その両方が意見がある、そういう多様な意見がある民主主義国家であることを私は誇りに思いますけれども、やはりこの六割を成す中間層が総理のお考えを理解し、納得し、共感して支持していただいてこそ、難しい外交問題も打破できるのではないか。
 そういう意味では、その両端のお話にしっかり耳を傾けると同時に、この中間層に丁寧にお考えを伝えていくこともとても重要な政策だと思いますけれども、安倍総理、この六割を成すと言われる中間層にどのように働きかけていらっしゃるのでしょうか、お聞かせください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 外交問題につきましては、これは内政の延長線上でもあるわけでございますが、様々なTPPを始め貿易交渉も行っているわけでございますが、これはまさに内政の様々な課題に直結をしている、そして大きな影響を及ぼすわけでございますから、そういう課題を含む外交交渉におきましてはどういう影響が出てくる、あるいはどういう対策をそれに対して打っていくかということについては丁寧に説明を行っていくことが極めて重要ではないかと、このように思います。
 また、安全保障に関わる外交的な課題につきましては、様々な国と情報交換をしたりあるいは交渉していく上において、なかなかこれは外部に全て御説明はできないわけでございますが、しかし、基本的な姿勢等々についてはしっかりと説明をしていく必要もあるでしょうし、あるいは世界でどういう出来事が起こっている中において、日本は国益を確保していく上において、このような活動を行っていくということを説明をしていく必要があるんだろうなと思います。
 その上におきましては、先般、日本は初めて国家安全保障戦略を策定をいたしました。これは、日本の外交・安全保障政策を高い透明性を持って内外に示すものであります。この基本姿勢についてはしっかりと国民の皆様に分かりやすく説明をしていきたいと、このように思っております。
○有村治子君 ありがとうございます。以上で外交あるいは歴史認識についての話題を終えます。
 がらっとテーマを変えて、次に行政改革の一環として、色弱者への対応について質問をさせていただきます。
 私が小さい頃には、色弱の方々は、いわゆる一般的には色盲、カラーブラインドという言葉が一般的には使われていましたが、近年は、最近の一部差別的な含みもあるのではないかという指摘も受けて、現在は色盲という言葉は余り使わずに色弱、色弱者という言葉が支持されるようになってきています。そこで、今回はそのことにも配慮をした上で、色の判別が付きにくい方を色弱者と、色弱と呼ばせていただきます。
 さて、日本にこの色弱の方々はどのくらいいらっしゃるのでしょうか。昨日、質問通告で政府に聞きましたら、どんな問題にも何らかの球を返してくださるはずの日本政府各省庁だったんですが、ここで問題にぶち当たりました。日本にいらっしゃる色弱者の数、統計を教えてくださいと質問通告したのに、どの省も答えられる省がなかったわけでございました。まさに、色弱者対策が省庁間のはざまで、障害者でもない、手帳が交付されているわけでもないということで、まさにこの色弱者対策の配慮が行き届いていない日本の行政をかいま見た象徴的な事象だと思います。
 色弱は、先天的、遺伝的特徴で男性に発現することが多く、およそ日本の男性の五%、二十人に一人が発症をするというふうに見られています。それに基づくと、日本は約三百二十万人の色弱者、女性も含めています、色弱者がいらっしゃると統計的には試算される。そういう意味では、色弱の方というのは、たまにいらっしゃるというわけではなくて、本当によくいらっしゃる、大変大きな数の国民を抱えているというのが現状です。
 しかし……(発言する者あり)僕もそうですと後ろから声が聞こえてきましたけれども、男性に非常に多いんですね。私の身近にもたくさんいらっしゃいます。でも、自らがなかなか、私は色弱なんだよということを言うと不利益も多かった、就職差別もある時代もあった。そんな中で……(発言する者あり)ありましたよと、今後ろから聞こえています。応援ありがとうございます、十分でございます。ということで、なかなか言い出せないために対策が進みにくいということがあります。
 色弱というのがどういうふうに見えるのかということを、今日、配付資料の一番、御覧になってくださいませ。(資料提示)実は皆様、配付資料で同じ資料を見たいとおっしゃっていただく方は、私、有村のホームページのトップページにこの配付資料をダウンロードできるようにしてありますので、御関心のある方は見てください。
 この上の帯がいわゆる虹色で、通常の健常者の方々に見える色でございます。それが、色の判別が付きにくい色弱者の方々には同じ色がこのように見えます。健常の方には赤と緑が全く違う対比できる色ですが、見てみますと、色弱の方にはこれが黄土色として同じ色にしか見えないという現状があります。同じように、星印が一緒に見える、四角印の紺や青と紫も同じようにしか見えないというような色弱者の見え方の特徴があります。
 そういう意味では、学校の健康診断で行われていた色弱の検査というのが必須でなくなりまして十年以上が過ぎました。私たちが小さい頃には必ずこの色弱検査というのを受けなければならなかったんですが、就職差別などのことがあって撤廃をされて、必須ではなくなりました。しかし、そういう検査を受けなかった子供たちが今、自分が色弱であるということに気付かぬまま成長して、就職時に初めて自分が色弱であることに気付き、希望した職種、例えばパイロットや警察官、運転士ということを断念しなきゃいけないという事例も報告されています。
 そういう意味では、本人の希望、保護者の希望に基づいてプライバシーを確保した上で検査環境を整えて、子供のうちにその色弱かどうかの検査をする機会をしっかりとつくることも道ではないかと思いますが、学校の健康診断、色弱検査のあるべき姿はいかなるものでしょうか、文部科学省にお伺いします。
○国務大臣(下村博文君) お答えいたします。
 学校では色弱でなく色覚検査というふうに言っておりますが、この色覚検査については、色覚異常の有無及び程度を明らかにすることを目的に、昭和三十四年度から平成十四年度まで、学校における定期健康診断の必須項目として実施してまいりました。しかしながら、この色覚検査において異常と判別されるものであっても大半は支障なく学校生活を送ることが可能である、また文科省としても手引を作成し、色覚異常を有する児童生徒への配慮等を指導してきた、そういうことによりまして、平成十五年度からは色覚検査は学校における定期健康診断の必須項目から削除され、希望者に対して個別に実施する、そういう項目に変更になりました。
 その後、最近になりまして、自身の色覚の特性を知らないまま卒業し、就職に当たって初めて色覚による就業規則規制に直面するという、そういう実態が報告されたことを踏まえまして、日本眼科医会から希望者に対する検査の実施の推進を要望されてきたところであります。
 これを受けまして、文科省に設置した検討会において昨年十二月にまとめられた意見書で、色覚検査においてより積極的に保護者への周知を図ることが大切であるというふうにされ、今後は積極的な色覚検査に対する周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
○有村治子君 下村大臣、ありがとうございます。
 実は、私たちの小さい頃にはこの検査が必須でございました。同級生がいっぱいいる中で検査をされて、同級生がこんなのもおまえ読めないのかよとからかわれたりして、色弱の方は非常に屈辱的な思いをして、一部のハンディがある方はその検査そのものを撤廃するという運動を起こされたぐらいに自尊心が傷つけられるという深い傷を負っていらっしゃるのも、これまた現実でございます。(発言する者あり)いじめられたというお声もありました。そういう意味では、是非にその児童生徒のプライバシーを確保して、そして、その同級生からやっぱりからかわれることのないように、そしてその告知の場合も本人にプライバシーに確保して通知される、その環境の徹底に、是非色弱者の方々のお気持ちをやっぱり大事にする行政であっていただきたいと思います。
 そして、自治体のホームページ、御紹介をする資料の二を御覧になってくださいませ。
 これは、中部地方にある、ある市のホームページから取ってきたものでございますが、何々市のホームページのトップページでございます。そして、緑の中で赤でようこそ何々ホームページへというふうに書かれていて、この市が悪いというわけではないので名前は今日は明らかにしていません。けれども、そして、これは地下鉄の乗り場の表示でございますが、これが色弱の方々にはどのように見えるのかということをお伝えをしますと、緑の地に赤というのは、黄土色の中でほとんど字が見えない、どこにカーソルを置いていいのかも分からないという現状になります。そして、地下鉄のこの新宿都営線、千代田線、丸ノ内線、健常者には明らかな色の違いがありますが、それも黄土色の濃淡にしか見えないという現状があります。
 学校で、まさにこれ黒板の状況なんですね。緑の黒板に赤のチョークで先生が文字を書いても、色弱の方には書かれている文字がほとんど読めないという現象が起こってまいります。今、健常者にもみんなにも分かりやすくするために、小学校の教科書は全部カラーになりました。山道の案内図、標識もカラーになっているところがあるんですが、カラーになると、見えやすいことを意図しているにもかかわらず、実は色弱者には全く見にくいものに悪化しているという現状もあります。
 そういう意味では、行政としてどのように配慮していかれるのか、文部科学省、国土交通省、厚労省からお伺いをさせていただきます。残りの時間が極めて少ないので、本当に短い中で、これをこうしますと具体的に短くおっしゃっていただければ大変有り難いです。
○国務大臣(下村博文君) 文科省としては、まず教職員が自覚をする必要があると思います。この色覚異常について正しく自覚をする。そのために、平成十五年五月に「色覚に関する指導の資料」を作成、配付し、その中で、学習指導に際しての板書や掲示板等における留意点、進路指導における留意点などについて具体的に示しております。
 また、平成二十五年度より、主に養護教諭や保健主事を対象にした研修会等において周知徹底を図り、各学校における適切な対応を促しているところでありまして、今後とも、色覚異常の児童生徒が安心して学校生活が送れるよう各学校に対して適切な指導をしてまいりたいと思います。
○副大臣(高木毅君) 国土交通省が所管をいたしております公共施設等の分野におきましては、施設等のそれぞれの特性に応じて色覚異常のある方への配慮として見分けしやすい色の組合せをするなどの対策を講じているところでございまして、例えば先ほど御指摘いただきました駅などの旅客施設につきましても、バリアフリー整備ガイドラインにおきまして、案内設備の表示方法として、色覚異常の利用者に配慮し、見分けしやすい色の組合せを用いる。すなわち色の明度、明るさでございます、色相、色合い、又は彩度、鮮やかさでございますけれども、そうしたものの差をはっきりとして色覚異常の方にも分かるようにというふうな配慮をいたしております。
 また、気象庁におきましても、ホームページ上で図表示について注意警戒レベルの配色、統一性を持たせるような配慮をいたしましたけれども、その際に色覚異常のある方にも配慮した配色をさせていただいたところでございまして、国交省といたしましては、色覚異常のある方も安心して生活できるように様々な配慮をしているところでございます。
○副大臣(佐藤茂樹君) 厚生労働省の所管しますハローワークでは、企業に対しまして従業員を雇い入れる際に、色覚異常は不可などというそういう求人条件を付けるのではなくて、色を使う仕事の内容、どういうふうな仕事の中身なのかということを求人票の中に詳細に記述するように指導をしているところでございます。
 また、例えばその採用選考時の色覚検査について相談が事業主からあった場合には、本当に必要なのかどうなのかということを、そういうことを確認した上で、事業主の工夫によってちゃんと仕事ができないのかどうなのか、そういうこともしっかりと事業主の方に啓発指導をしているところでございまして、今後とも、そういう色覚異常も含め、就職差別のない、そういう公正な採用選考が行われるように取り組んでまいりたいと考えております。
○有村治子君 東日本大震災のときに、その緊急現場の修羅場においてこのようなトリアージタグというものが使われました。これは、一挙に、瞬時に多くのけが人、被災者の方が出た場合に優先的に誰を治療することによって救える命を救うのかというときに、多くのけが人あるいは病気の方にこうやって右手に付けるものでございます。今日は消防庁からお借りしてきました。
 これも色弱の方が見えにくい、黒、赤の判定が付きにくいという指摘が東日本大震災でも出されました。是非厚生労働省さん、これは国際的な統一の色だということを理解しておりますが、例えば色と色の間に白線を設けるだけでも色弱者の方にも分かりやすくなります。妊婦さんの項目がないということも震災で指摘を受けました。是非改善をしていただきたく、お願いを申し上げたいと思います。
 最後に、やはり色弱者にも優しい、そして今パラリンピックがロシアのソチで行われていますが、六年後には日本でパラリンピック・オリンピックが行われます。やはり、どの方にも優しい、そして障害がある、ハンディがある、事情があるなしにかかわらずそれぞれが輝いていく、そういう心の先進国としての国づくりが求められている中で、安倍総理、色弱の方々も含めてのユニバーサルデザインの先進国になる国づくりの抱負を最後にお聞かせください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会におきましては、施設整備に当たって全ての競技施設をユニバーサルデザイン、言わば障害のある方々にとってバリアのないデザインにすることを決めております。会場へのアクセスに関わる道路や駅などについてもユニバーサルデザイン化する計画であります。この中で、標識についても見やすく分かりやすいものにするよう、サイズ、色、コントラストなどについても配慮するものといたしております。
 東京大会には世界からたくさんの方々がやってこられるわけでありますが、その際、我が国が、政府としては今色弱という言葉ではなくて色覚異常という言葉を使っておりますが、の方々にとってもバリアのない国であることを理解していただけるよう、大会組織委員会や東京都とも連携しながら取り組んでいく考えであります。
○有村治子君 以上で、私、有村治子の質問を終了いたします。ありがとうございました。
○委員長(山崎力君) 以上で有村治子君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(山崎力君) 次に、渡辺猛之君の質疑を行います。渡辺猛之君。
○渡辺猛之君 自由民主党の渡辺猛之でございます。
 本日は、このような貴重な質問の機会をお与えをいただきまして誠にありがとうございました。関係者の皆様方に心から感謝を申し上げたいと思います。
 私は、二十六歳で岐阜県議会に初当選をさせていただいて、今年で政治生活二十年を迎えます。県議会に当選をして間もない頃、ある先輩から、渡辺君、政治家と役所と有権者、これはグー、チョキ、パーの関係なんだと言われました。政治家は役所に物申すことができる、有権者たる国民、県民、市民はどうしてもお役所はやっぱり敷居が高い、そして政治家は有権者によって選挙で落とされるから、やっぱり政治家より有権者の方が強い、このグー、チョキ、パーの関係が成り立っているからこそ世の中はうまくいっているんだ、だから、政治家はしっかりと有権者の、現場の声を聞いてそれを役所に届けていかなあかんよ、そう一番最初に教えていただきました。今日は、その現場の意見を基に、総理以下各大臣に質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 さて、総理、今年の安倍内閣の一番のテーマは、アベノミクスの恩恵を地方にも、中小・小規模企業にも、私はこれに懸かっていると思っています。昨年暮れの秘密保護法、あるいは先般も集中審議行われましたけれども、NHKの会長問題等、その報道を眺めておりますと、悪意とまでは言いませんけれども、一部意図的な報道があるのも事実だと思います。しかし、それでも今なお安倍内閣の支持率が過半数を超える高い支持を維持している、その原因をどこにあるかということを考えますと、これはもうひとえにアベノミクスで、既に大企業は数字に表れておりますように、業績が回復をしています。二十年近く続いたデフレ不況、ようやく今度は地方の俺たちにも、中小・小規模企業の俺たちにもその景気回復の恩恵が回ってくるんじゃないかという期待感があると思うんですね。事実、それは各種世論調査を眺めてみましても、安倍内閣に期待すること、そのトップは依然として景気回復であります。
 さて総理、まずお尋ねをしたいと思うんですけれども、総理御自身は安倍内閣の支持率、どのように分析されておられるでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 内閣の支持率につきましては一喜一憂しないというのが基本姿勢でございます。同時に、それはそのときの政府に対する国民の声であることも事実でございますので真摯に受け止めたいと、こう思っている次第でございますが、基本的には今、渡辺委員がおっしゃったように、国民の安倍政権に対する期待は、デフレから脱却をして、そしてしっかりと日本を成長させ、景気回復、この実感を全国津々浦々に届けてもらいたいということではないかと、この期待にしっかりと応えていきたいと、このように決意をしております。
○渡辺猛之君 そこで、先般閣議決定をされました小規模企業振興基本法案、この法案については、我が党参議院の小規模企業政策のエキスパートであります松村祥史参議院議員や、あるいは昨年夏当選をさせていただきました宮本周司議員始め、多くの先輩、同僚の皆様方とも一緒になって、私も当初から携わらせていただいたところでございます。
 実は、この小規模基本法なんですけれども、二〇一二年、総理が自民党の総裁に就任をされました。まだ当時は野党自民党の総裁であります。その野党自民党総裁のときに商工会の全国大会に総理が御出席をいただいて、商工会員の皆さん方の目の前で私たちは小規模企業のための基本法を作りますよと高らかに明言をされました。その後行われた衆議院選挙で政権を取り戻し、そして昨年の夏の参議院選挙でねじれを解消し、そして今般、小規模基本法を国会に提出をいただいたところであります。まさに有言実行、その形の一つが私はこの小規模基本法ではないかと、そのように認識をいたしております。
 そこで、今回、閣法としてこの小規模企業振興基本法、国会に提出をされた意義について、総理のお考えをお聞かせください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 全国三百八十六万社の企業の約九割を占める小規模事業者、まさに地域の経済を支えている、日本の経済を支えていただいていると言ってもいいと思います。極めて重要な存在でありまして、委員が今御紹介をいただきましたように、自民党総裁就任以来、野党時代から一貫して小規模事業者振興の重要性を訴えてまいりました。政権に就きましたから、法律、予算、税制など小規模事業者の振興策を渡辺委員の御協力もいただきまして矢継ぎ早に実現をしているところでございます。
 昨年の通常国会におきましては、小規模事業者に焦点を当てまして、八本の関連法案を一括で改正する小規模企業活性化法を成立をさせました。今回の小規模企業振興基本法案はこれを更に一歩進めまして、小規模企業の振興に関する施策について総合的かつ計画的に、そして関係者が一丸となって戦略的に実施するための新たな施策体系を構築をする大切なものであります。
 本法案と併せまして、中小企業投資促進税制の拡充、ものづくり・商業・サービス革新補助金や資金繰り対策などを実施をいたしまして、小規模事業者支援に万全を期していきたいと、このように思います。
 そして、小規模事業者の皆さんがまさに日本の成長の中核となって、そして景気回復の実感をこの小規模事業者の皆さんにもしっかりと受け取っていただけるように我々も全力を尽くしていきたいと、このように考えております。
○渡辺猛之君 ありがとうございました。
 力強い総理からのお言葉をいただいて、まさに小規模事業者の皆さん方も、よし俺たちも頑張ろう、そういう気持ちになっていただけると思っております。
 改めて確認をいたしておきますけれども、中小企業基本法におきまして、日本の中小企業というのは、資本金で三億円以下、従業員三百人以下と定義をされております。もちろん、日本全体から見れば、この規模の企業というのは中小企業と言ってもいいと思いますけれども、皆様方の地元、御想像いただきたいと思うんですが、地元で資本金三億、従業員三百人といえば、それはまさに地域を代表する大企業と言っても過言ではないと思っております。
 そんな中、中小企業基本法においては、小規模企業とは、製造業で従業員二十人以下、そして小売・サービス業で五人以下と定義をされておりますが、まさに地域経済、いや、地域を支えているのはこの小規模企業であると言っても私はいいと思います。なぜならば、この小規模企業の代表の皆さん方が消防団に入って地域を守ってくれたり、あるいはPTAの役員やったり、地元の神社のお祭りを守ってくれている、まさに地域を守っているのは私はこの小規模企業だと思っております。
 地域を支える小規模企業にとりまして、今回の基本法の成立は長年の悲願でありますし、そしてまた、その効果に大きな期待を寄せているところであります。政府におかれましては、一月二十日の産業競争力会議におきまして、成長戦略進化のための今後の検討方針を定められ、その中の三本柱の一つとして、成長の果実の地域、中小企業への波及と持続可能性のある新たな地域構造の創出、その中で中小企業・小規模事業者の活性化を打ち出されました。そして、いわゆる三本目の矢であります新成長戦略を六月をめどに取りまとめる方針と伺っております。
 そこで、基本法の制定を見据え、安倍内閣が小規模企業政策に本腰を入れて乗り出したと、そう中小企業・小規模企業経営者の皆さん方に実感できる新たな具体策を早急に検討していただき、そしてそれを新成長戦略に盛り込むべきと考えております。茂木経産大臣にお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(茂木敏充君) 渡辺先生、松村先生、宮本先生とともに商工会青年部の三羽がらすとして活躍をされまして、先生らしい御質問だなと伺ったところでありますけれども。
 先ほどもありましたように、経済産業省としてこういった基本法提出するのは戦後二本目、一九六三年に中小企業基本法を制定して、五十一年ぶりに小規模企業振興基本法という形でありまして、これは今先生の方からお話ありましたように、本当に地域の雇用や経済を支えている小規模事業者の皆さんにとって大きなメッセージになるものだと、こんなふうに考えております。
 その上で、今年一月の成長戦略の改訂方針において、中小企業・小規模事業者政策を、関係省庁の施策を糾合するとともに、地方自治体や支援機関も協力して総力を挙げて進めるべく、その在り方について検討を行う、こういう方針が示されたところであります。商工会からも長年にわたりまして強い御要望を受けまして、安倍総理の決断で今回国会に提出をいたしましたこの振興基本法、まさにこうした考えに立つものでありまして、小規模事業者の事業の持続的発展を図る、こういう基本理念を踏まえて成長戦略の中に組み込んでいきたい、こんなふうに考えております。
 また、昨年二月から、全国の中小企業・小規模事業者の生の声を聞くちいさな企業成長本部、開催をしているところでありますが、本年は特にこの小規模事業者政策について重点的に意見を聞くこととしております。六月までにその結果についても取りまとめを行い、成長戦略の中に反映をしてまいりたいと、このように考えております。
○渡辺猛之君 今、新成長戦略に盛り込んでいきたいと大変温かい御答弁を経産大臣からいただきました。
 今、予算委員会には、茂木経産大臣、答弁者としての出席要求、何度も何度もお声掛かっておりますけれども、大臣、この予算委員会の会議室にお出かけをいただいてもなかなか大臣まで質問が回らなくて、たまに空振りも、結構この予算委員会、見られております。今日は茂木大臣には大いにかっ飛ばしていただきたいと、その思いで次も質問させていただきたいと思いますけれども。
 小規模企業にとりましては、税や社会保障に対する負担感、これも非常に大きなものがあります。先ほども申し上げましたとおり、アベノミクスの恩恵が行き届いていない、まだ行き届いていない中小企業あるいは小規模企業にとっては、雇用拡大どころか、正直賃上げすらも厳しい状況が続いております。
 今後、新成長戦略の一環として税制改革も検討の対象とする方針と伺っておりますが、法人税の抜本改革を行うのであれば、中小法人特例より一歩踏み込んだ小規模企業に対する特例創設なども検討の対象とするべきではないでしょうか。
 本来ならば麻生財務大臣にお伺いをするところでございますが、私は、是非応援団になっていただきたいという意味を込めて、茂木経済産業大臣にお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(茂木敏充君) 中小企業・小規模事業施策、これは、予算、税、そして資金面、あらゆる側面からの対応が極めて重要だと、こんなふうに考えておりまして、現に平成二十六年度の税制改正におきましては、中小企業投資促進税制につきまして、資本金が三千万以下、このような小規模な事業者に対しまして、税額控除の割合、七%から一〇%に引き上げる、こういう措置もとったわけでありまして、こういったきめ細かい対応をしてまいりたいと思っております。
 また、予算面でも、ものづくり補助金、これにつきましては、単に製造業だけではなくて流通、サービスにも分野を拡大し、そして試作品だけではなくて業務や生産プロセスにも補助金の対象を拡大する、そして申請書類はこれまでの三分の一に簡素化をする、こういった小規模事業者の皆さんにとっても使い勝手のいい制度を様々な面で工夫をしてまいりたいと考えております。
 更なる税制の特例の問題につきましても、中小企業対策のより一層の充実化の観点から検討を進めてまいりたいと思っております。
 法人税全体につきましても、日本の企業にとって今後の見通しを示していく、世界で一番企業が活動しやすい国に、そのためにどういう法人実効税率の在り方が必要かと、こういう議論も重要だと思っております。同時に、そこの中で、その根底を支えている小規模事業者に対して更なる措置がとれないか検討してまいりたいと思っております。
○渡辺猛之君 よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 安倍内閣になりまして、中小企業・小規模企業政策、非常に充実してきたと私も認識をしているところであります。特に経産大臣におかれましては、いろんな会合で御挨拶を聞かせていただきますと、中小企業の後にちゃんと小規模企業の、この言葉も付けていただいている、まさにこのメッセージはしっかりと届いていると思います。
 もちろん、小規模企業経営者の皆さん方も、あぐらをかいて、天を見上げて、口を開けていれば何か入ってくるんじゃないか、そんな期待感を持っておられるわけではありません。政府がいろんなメニューを用意しても、それをしっかり自分から取りに行ってもらわなければいけないわけであります。
 そこで、一点だけ指摘をさせていただきたいと思うんですけれども、確かに政府が用意をしてくれたメニューを自分で取りに行きたい。しかし、小規模企業の経営者の皆さん方にとっては、まさに日々の経営のことで手一杯なんですよね。難しい書類を書いたり、あるいはそのために時間を費やすとなかなかそれが取れないというのが私は小規模企業の皆さん方の実態だということを思っています。となると、やはりいろんなメニューを用意してもらって、それをサポートする人材の育成、これも非常に大事になってくると思います。
 この点は通告をしておりませんので、もしお答えいただけたらお答えいただきたいと思うんですけれども、私は、その中小・小規模企業をしっかりとサポートする人材あるいは組織の育成、もし経産大臣、お考えがあれば一言コメントをいただければと思います。
○国務大臣(茂木敏充君) 大変重要な御指摘だと思っておりまして、我々も、小規模企業の経営者の皆さんには経営に、事業に専念をしてほしい、そういった観点から、申請書類等々も大幅に簡素化をいたしました。また、今中小企業のミラサポといいますホームページ、これも本当に一般の方から、事業をやられている方から見て分かりやすいものに相当、実際に私も使ってみまして、工夫を加えたりしているところであります。
 同時に、様々な意味での経営に対するノウハウの提供であったりとか支援、必要だと思っておりまして、地域においては商工会、商工会議所、また地域の金融機関等々を支援機関としながら、そういった支援策の充実、図ってまいりたいと考えております。
○渡辺猛之君 ありがとうございました。
 安倍内閣は、企業の業績回復の果実を内部留保にとどめておくのではなくて、新たな設備投資や特に賃金の上昇に回すべきという力強いメッセージを発してこられました。それは、この春闘の回答にもその結果が出ていると思っております。経済の好循環、この好循環という言葉が示すとおり、やっぱりお金というのは回っていかなきゃ意味がないと思います。その点において賃金の引上げ、これはアベノミクスの成否の一つの鍵を握っていると、そう認識をしています。
 もう一つ、中小・小規模企業にもアベノミクスの恩恵が行き渡るための鍵があると私は思います。それは、大企業の業績回復の果実が下請、孫請企業にも届いていくということであります。下請代金支払遅延等防止法では親事業者の禁止行為を幾つか定めております。例えば、下請事業者に責任がないのにもかかわらず下請代金の額を減ずること。例えば、通常支払われる対価に比べ著しく低い下請代金の額を不当に定めること。このように法律によってはっきり明文化されておりますが、実際下請業者が泣かされているのはまさにこの部分だと思います。
 消費税の転嫁対策も危惧される中で、下請業者に対して一層の注意をしていく必要があると思いますけれども、経産大臣、どうお考えでしょうか。
○国務大臣(茂木敏充君) アベノミクスの成果、これをまさに全国津々浦々に行き届かせる。そのためには、賃上げと同時に、そういった大企業と取引をしている中小企業におきまして取引状況が改善される、極めて重要なポイントだと思っております。
 今週は春闘の集中回答日ということでありまして、昨日までの結果を見ますと、主要な五十四業種のうち、自動車、電機始め五十三業種でベースアップと。九割以上の企業がベースアップというのは六年ぶりということでありまして、明らかに成果が出てきている、それがきちんと中小企業・小規模事業所まで還元をされる、こういったことが大切だと思っておりまして、委員から御指摘をいただきました下請代金の支払遅延等防止法でありますが、厳正な取締りが必要だと考えておりまして、下請代金の減額であったりとか買いたたき、こういった違反行為を行っていると見られる事業者に対しましては、立入検査、そして改善指導を行っているところでありまして、今年の実績で申し上げますと、三月の十三日現在で立入検査件数が千七件、うち改善指導件数が九百二件でありまして、消費税の転嫁状況も含めて今後とも厳正な取締りを行っていきたい。
 さらに、影響が重大な案件につきましては、公正取引委員会に是正勧告を求めると同時に、中小企業庁より事業名の公表と、こういったことも厳正に行っていきたいと思っております。同時に、前段の部分の大企業に対してもきちんとそういう還元をしてほしいということで、昨年の十一月に親会社、二十万社になるわけでありますけれども、に対しまして、下請代金支払遅延防止等の法令遵守はもとより、収益の改善を適正な下請取引という形で下請中小企業に還元するよう、私の方から文書も発出しているところであります。
○渡辺猛之君 下請代金の引上げについては、これはもう政府からもお願いをしていく立場だということは重々承知をいたしております。
 ただ、この安倍内閣において、やっぱり日本の景気回復、デフレからの脱却のためにはとにかく賃金が上がることが重要ですよという本当に力強いメッセージを出していただきました。そして、それが今形になりつつあります。同じように、是非この下請代金の引上げについても政府として力強いメッセージを出していただきたいと思うんですね。
 日本の大企業は世界の大企業を相手に戦っています。時には厳しいコスト競争に勝ち抜いていかなければならないために下請の皆さん方に協力をお願いする、これを私は全否定するつもりはありません。ただ、アベノミクス効果によって実際業績が回復してきたのであれば、その一部が賃金上昇に回っているように、もうその一部をしっかりと下請代金の引上げにも充てていただきたい、そう思います。なぜならば、この下請代金の引上げも実現してこそ、私が今年の安倍内閣の最大のテーマであると申し上げたアベノミクスの恩恵を地方にも中小・小規模企業にも、これが実現できる鍵だと思っているからであります。
 総理、是非力強いメッセージ、一言お願いします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 政府が市場の取引に、あるいは従業員の賃金等の決定においてどこまで関わっていいか、今私たちの行っている呼びかけについて様々な御批判があるわけでありますが、デフレから、十数年続いてきたデフレから脱却するというのはそう簡単なことではないわけでありまして、デフレマインドが一番こびりついているのは企業経営者でありまして、なかなか内部留保があったとしてもそれを賃金の上昇やあるいは設備投資、ましてや下請の企業に対する様々な対応には回さないという中にありましては、ここは、やはりこのデフレから脱却をするためには国もしっかりとその責任を果たしながら企業にお願いする。異例なことではありますが、今回は異例であるということを認識をしながらお願いをさせていただいているわけでございまして、この下請代金の引上げによって中小企業・小規模事業者の利益を確保していく、そして、それはさらに中小・小規模事業者で働いている方々の賃金につながっていく、賃上げにつながっていく、ここが大変重要なところだと思います。
 政労使の会議におきましても、企業は下請関係を含めた企業間取引において物価や仕入価格の上昇に伴う転嫁にしっかり取り組むこと、そして、中小企業・小規模事業者を調達先とする企業は取引価格の適正化に努めるという認識も、これは賃上げとともに共有したところでございます。そして、先ほど大臣からお答えをさせていただきましたように、下請代金支払遅延等防止違反がある場合は、勧告や指導などによって適正な取締りを行う。まさにこれはデフレから脱却をしてこの恩恵をみんなが受け取ることによって景気回復の好循環に入れば、それを行う言わば企業、大企業にとってもこれは間違いなくプラスになるわけでありますから、この認識とともにそれぞれしっかりと今申し上げましたような方向に向かって進んでいくように政府としても全力を尽くしていきたいと、このように思います。
○渡辺猛之君 ありがとうございました。
 小規模企業に元気が出てくることはまさに地域に元気が出てくることだと思います。地域に元気が出てくることは日本に元気が出てくることだと思います。是非とも安倍内閣、これからも力強い中小企業・小規模企業政策、進めていただきますようにお願いを申し上げたいと思います。
 さて次に、人口減少社会における公共事業の在り方についてお尋ねをしたいと思います。
 現在、国土交通省ではコンパクトシティーという観点で新たな町づくりのビジョンを描かれております。今通常国会に提出をされております都市再生特措法の改正あるいは地域交通活性化法の改正を通じて、今後都市部でも進んでいきます人口減少あるいは高齢化社会に対応していこうという方向性、これは私はまさに時宜を得たものだと思っております。
 しかしながら、コンパクトシティーの言葉どおり、都市再生特措法は都市計画区域に適用されるものであり、実は人口減少、高齢化、この切実な課題を抱えているのは地方、特に中山間地域あるいは過疎地なんですよね。コンパクトな地域づくりというのは都市に限ったものではなく、今後日本全体で取り組んでいかなければならない課題だというふうに考えますけれども、この点について国土交通省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○副大臣(高木毅君) 今委員御指摘いただきましたけれども、中山間地あるいはまた過疎地域などにおきましては、人口減少あるいはまた高齢化というものが急速に進展をいたしております。非常に深刻な状況だというふうに思いますし、これから更にそれが加速されるというふうに考えるところでございまして、実際にそうした地域では、例えばガソリンスタンドが撤退をする、あるいは商店や農協も撤退してしまう、そして路線バスの便が減少するなど、地域での生活の維持が非常に困難になっているという事態も生じているところでございます。
 一方、これに対して既に先進的な地域におきましては、地域住民の方々などが中心となって商店やガソリンスタンドなどの日常生活に不可欠な施設機能を歩いて動ける範囲に集めた小さな拠点というものを形成いたしまして、例えばデマンドバスなどの交通手段で各集落とつなぐことなどによりまして持続可能な地域づくりを推進する取組が既に始まっているというところもあるわけでございまして、こういったコンパクトな地域づくりというものは、先ほど委員御指摘のとおりでございまして、都市に限ったものではなくて、中山間地やあるいは過疎地におきましても日常生活に必要な機能をコンパクトな拠点に集約する、そしてそれをネットワークでつないでいくという、そういう考え方が今後の基本になると考えておりまして、国交省といたしましても、こういった取組を応援することなどを通じまして中山間地あるいはまた過疎地などの集落の生活サービスの維持に努めてまいりたい、そのように考えているところでございます。
○渡辺猛之君 今日、なぜこのお話をさせていただくかと申しますと、インフラの老朽化にどう取り組むかを考えたいからでございます。パネルをお願いします。(資料提示)
 資料を御覧になっていただきますと分かりますけれども、建設五十年を経過したインフラ施設、道路橋で現在一八%、トンネルで二〇%、そして河川管理施設で二五%となっております。これが二十年後にはどうなるかといいますと、道路橋で六七%、トンネルで五〇%、そして河川管理施設では六四%のインフラ施設が老朽化をしていくと予想されるわけであります。また、維持管理や更新に掛かる費用というのも二〇一三年度は三・六兆円でありますけれども、二〇三三年には約四・六兆から五・五兆円ぐらい掛かるんじゃないかと予測も出されているところであります。
 この予測を受けまして、これからの公共事業というのは新規建設事業は全て諦めてもう維持管理に徹底していくべきじゃないか、こういう議論が今出ておりますが、私は真っ向から反対をさせていただきたいと思います。
 公共事業の経済的効果がなぜあるのかというと、例えば渋滞のひどい道路がある、この渋滞解消のためにバイパス造ろうじゃないか、バイパスを造ったら交通の流れが変わる、旧道で商売をされておられた方は、だんだんちょっとお客の通りが少なくなってきたな、もうここはひとつ清水の舞台から飛び降りてこっちのバイパスの方に新しい店を建設しようじゃないか。これによって民間のお金が回っていく、だからこそ公共事業というのは経済波及効果があるというふうに思っております。
 中山間地や過疎地につながる道路一本についても、もちろん第一の目的は命を守る生活道路という側面が大きいのかもしれません。しかし、その集落に道路が通ることによって農業や漁業の六次産業化が進んでいったり、あるいは新たな観光戦略が生まれてくる可能性もあると思っております。
 だからこそ、公共事業というのは、維持、メンテナンスだけに特化してしまっては、そこから派生をする経済的波及の二次、三次の効果というのはほとんど期待できなくなってしまうわけであります。だからこそ、新規建設事業とそして維持管理事業、これをしっかりと私は両方やっていかなければいけないというふうに思いますけれども、この点、国交省、についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○副大臣(高木毅君) お答え申し上げます。
 今委員御指摘でございます高度成長期以降に整備したインフラが今後急速に老朽化していく、そういったことを踏まえましてインフラ長寿命化計画を策定いたしまして、インフラの点検やあるいは修繕、更新を進めるなど老朽化対策にしっかりと取り組む、これは非常に大事なことだというふうに思っております。
 一方で、我が国は地震、台風、豪雪などの災害が多い脆弱な国土であって、巨大地震や気候変動に伴う巨大台風、集中豪雨等の災害に備えるため、十分な事前防災対策や減災対策を講じて、ソフト施策と連携しつつ命を守る公共事業を進めていくという、こういった必要もあるわけでございます。
 また、今先生がまさに御指摘いただいたように、高速道路の整備によりましてインターチェンジ付近の工場立地が進むなど、地域の活力を維持強化するため、地域の産業、経済を支えるインフラの整備や都市と地域を結ぶ鉄道や道路等の交通ネットワークの整備等にもしっかりと取り組む必要があると考えておりまして、先生のお地元でございます東海環状自動車道東回り区間、平成十七年三月に豊田東ジャンクション―美濃関ジャンクションの開通があって、この岐阜県の年間工場立地件数が約四倍になったという実績もこれあるわけでございます。
 そうしたことを踏まえて、こうしたことに取り組んでいくために、いわゆる新規事業とそしてまた維持管理事業の両方についてバランスを取りながら、厳しい財政制約がある中ではございますけれども、まさに真に必要な予算を安定的に確保しながら計画的かつ着実な社会資本の整備に取り組むことが重要だと、国交省としてこのように考えているところでございます。
○渡辺猛之君 地元岐阜県のことにも触れていただきましてありがとうございました。
 今副大臣御指摘をいただきましたように、東海環状の東回りルート、非常に大きな経済効果がございました。そして、残念ながらまだ西回りルート、今工事途中でございますので、環状自動車道、全部つながってこそやっぱり意味があると思いますので、是非東海環状自動車道西回りルートもよろしくお願いを申し上げたいと思っております。
 今御答弁をいただきましたように、私は、やっぱり公共事業には新規建設事業と維持管理事業、両方必要だというふうに思っております。先ほどの数字に戻っていただきたいんですけれども、このままいけば将来的に四・六兆から五・五兆の費用が維持管理だけで掛かっていくわけでありますけれども、人口減少社会に突入をしていく中で、これから公共事業の予算を青天井でどんどん増やしていこう、これはもう現実的には不可能だと思います。そんなことをしたら財政健全化が達成できないことは火を見るよりも明らかであります。だから、これからのインフラの維持更新についてはある程度取捨選択をして進めていかなければならない、これには国民全体が総論賛成いただけると思うんですね。
 じゃ、具体策に入りましょう。三本架かっている橋のうち、二本はしっかりと維持更新をしていきますけれども、残念ながら一本はもう撤去しますよ、この話を持ち出した途端に、いや、うちの近所の橋だけは残してくれ、こういう陳情合戦がすぐ始まってしまうのも容易に想像ができることであります。
 そこで、財務大臣にお伺いをしたいんですけれども、老朽化したインフラを計画的に維持更新をしていくために何らかの財源を確保すべきだとは思われませんか。かつて、道路特定財源廃止の議論のときに、特定財源などという使い道の決まった財布があるから予算を消化するために無駄な公共事業が起きるんだ、そんな意見が噴出したことは重々承知をいたしております。その失敗を繰り返さないために、二つの条件が必要だと思っています。
 一つは、これから我が国は人口減少社会を迎えるというその現実を踏まえて、全てのインフラの更新を図っていくのではなくて、維持更新すべきインフラとそうでないものをはっきり分けて、そこに今お話しいただいたコンパクトな町づくり、これもリンクをさせて考えていくということ。そしてもう一つは、これはみんなで知恵を絞っていかなければならないと思いますけれども、かつての道路特定財源のように、予算があるから消化するというような本末転倒の無駄遣いに陥らないチェック機能を持たせること。この二つの条件をクリアできたならば、何らかの、特定財源も含めてしっかりとした維持管理のための財源を確保していかないと我が国のインフラの維持と財政健全化という両立は不可能に思えるのですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) 人口減少というのは、これは渡辺先生、物すごく大事なところだと存じます。この点を考えておかないとインフラの整備というのはなかなか難しい、観点を考えておかないとなかなか難しい。
 現実問題として、一昨年でしたか、あの笹子トンネルの崩落事件、事故というのがありましたけれども、やっぱり老朽化が進んだ。簡単に言って、東京オリンピック前に造った公共工事というのはほぼ五十年を経過しますので、軒並みそういったところはメンテナンスをきちんとしておかないと、かつて一九八〇年代、荒れるアメリカという言葉がありましたけれども、あれはいずれも一九三〇年代、ニューディールのときに造った橋がちょうど五十年ということでああいうことになっていったというのはもう既に例があるわけなので、私どもは、高度経済成長以降に造られたそういったものに関してはきちっとしていかにゃいかぬということで、建設省としてはメンテナンス元年という言葉も使っておられると思いますので、そういったことをやっていくということで、二十六年度の予算におきましてもこの老朽化対策というののための予算を重点的にしておりますし、また、特にこれは土地を新たに購入するわけではありませんので、少なくとも補正予算等々にはすぐ間に合うということも考えてこういった対策をさせていただいております。
 同時に、今言われましたように、新しいものができることによってミッシングリンクだったところが全部つながることによって、人の流れ、物の流れ、金の流れ、情報の流れも速くなるということは、これは経済成長に資することになりますので、やっぱり更新すべき社会資本を厳選する。人がいなくなったり人口減少している、全く使える人がいなくなってきているというところはメンテナンスというのの程度問題。また、維持管理業務というものも、センサーのおかげで随分これ新しい技術が進んでおりますので、このセンサーなどを使うとかなり安く、早いところこれはやった方がいいとか、これはまだ当分大丈夫というのは随分分かりやすくなってきておりますので、そういった意味で、我々としては、限られた資本というものを効率的に使って、きちっとした社会資本の充実、メンテナンスのきちっとした維持管理、そういったものはこれはもう十分に考えて、今後の社会資本の充実、またインフラの整備というものに取り組んでいかねばならぬと考えております。
○渡辺猛之君 ありがとうございました。
 それでは、時間も押してまいりましたので、最後の質問をさせていただきたいと思います。
 防災対策、あるいはそれと首都機能移転の議論を関連してお尋ねをしたいと思っております。
 この首都機能移転の議論というのは、今パネル御用意をさせていただきました、既にこの予算委員会におきましても、今日私のお手伝いをいただいている大野泰正委員、そしてまた先般は維新の室井委員からも質問がありました。
 首都機能移転のことをお尋ねをするというよりも、なぜこの首都機能移転が出てきたかというと、これはやっぱり日本の防災力を高める、そのときはそういう言葉はありませんでしたけれども、今の言葉で言えばまさに国土強靱化、そのための首都機能移転論議ではなかったのかなと思います。
 簡単におさらいをさせていただきたいと思いますけれども、一九九〇年の十一月、衆参両院で国会等の移転に関する決議が採択をされました。このとき反対したのは共産党さんだけでありました。一九九二年十二月、国会等の移転に関する法律が施行されまして、このときも反対会派は共産党だけだと伺っておるところであります。
 私の出身県である岐阜県も候補地の一つとして手を挙げました。栃木・福島地域、岐阜・愛知地域、そして三重・畿央地域と、この三つの候補地がしのぎを削ったわけでありますけれども、結局、最終的には二〇〇三年五月の衆参の特別委員会におきまして、直ちに移転すべきかどうかについては議論が収れんするには至らなかった。そして、二〇〇四年の十二月には、政党間の両院協議会座長とりまとめとして、大局的な観点から検討し、意思決定を行うべきものであるとの意見が多くを占めた、当協議会としては、今後は、上記意思決定に向けた議論に資するため、分散移転や防災、とりわけ危機管理機能の中枢の優先移転などの考え方を深めるための調査、検討を行うこととするということでまとまったわけであります。
 そこで、古屋防災担当大臣・国土強靱化担当大臣にお伺いをしたいと思いますが、古屋大臣のお地元はまさに首都機能移転候補地でございました。恐らく大臣は、当時の地元の盛り上がりと、そして永田町というよりも候補地以外の地域だと思いますけれども、この温度差に随分戸惑われたことと思います。首都機能移転論議の失敗というのはどこにあったとお考えでしょうか。そして、我が国の防災、国土強靱化ということを考えたときに、東京が何らかの災害に被災したときに日本の機能まで麻痺してしまうことがないように何らかの対策は必要だと私は思いますが、御所見と今後の議論の進め方についてお聞かせください。
○国務大臣(古屋圭司君) 同じ岐阜県人として今御質問だと思いますけど。
 かつて、首都機能の移転の理念というのは非常に立派だったんですね。でも、現実に何が行われたかというと、結局誘致合戦なんですよ。橋造る、道路造る、建物を誘致する、こういう非常にある意味では誘致合戦に徹したということが結果として、本来なら要するに国家四百年の計で考えなきゃいけないものがそうならなかった。これは大きな反省点ですし、教訓ですよね。でも、一方では、やはりこれから首都直下地震等々があるので、首都の、やはり政府の機能等々をしっかり維持していくというのは極めて重要でございますし、当然、あらかじめ業務継続計画等々を策定をしていく、政府機能のバックアップ機能というのをつくっていく、極めて重要だと思っています。
 そのために、昨年十二月には、政府のBCP、業務継続計画取りまとめまして、そのときには、官邸等々が被災等によって使用できない場合は三つの場所、まず内閣府の五号館、五月からは八号館ができますのでそちら、あるいは防衛省、そして立川の広域の防災基地の三か所を政府の代替拠点として位置付けました。それ以外にも、東京圏外を含むほかの代替拠点についてもこの政府BCP計画の中で検討課題としました。
 そのときに、やはり考え方としては、平時にも活用できて発災時にバックアップ拠点としての機能を発揮をするということ、それから既存の施設の活用をする、それからやはりアクセス等の優位性、こういったものを念頭に置いて、同時被災の可能性が低いということを一定の要件として、もちろん民間資金の活用等々も徹底的に図る、こういうようなことで検討を進めていくべきだと思います。
 この考え方は、首都直下地震のワーキンググループの最終報告あるいは国土強靱化大綱にもしっかりとその中身が記されています。
○渡辺猛之君 もう時間がありません。一点だけ。
 今の大臣の御答弁を聞いておりまして、アクセスの優位性ということでありますが、例えばリニア中央新幹線というのはこのアクセスの優位性に当てはまるものだと思われますか。
○国務大臣(古屋圭司君) 国土強靱化大綱の中にもこのアクセスの優位性、それは道路であろうが鉄道であろうが、あるいは空路、入っていますけど、特に今御指摘のリニア中央新幹線については国家的プロジェクトとして推進をするという、そういう位置付けをしましたので、今のそのリニア中央新幹線は入っているのかという御質問については、それはファクターのうちの一つであるということは申し上げておきたいと思います。
○渡辺猛之君 ありがとうございました。終わります。
○委員長(山崎力君) 以上で渡辺猛之君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(山崎力君) 次に、蓮舫君の質疑を行います。蓮舫君。
○蓮舫君 民主党・新緑風会の蓮舫です。
 まずは、二〇二〇年に予定されている東京オリンピックについて、パネルを御覧いただきたいんですが、(資料提示)文部科学大臣にお伺いをいたします。
 メーン会場が予定されている新国立競技場、一千八百億円を掛けて実に巨大なものを造ろうとしている。これは国民の中で賛否が今なおありますが、まず確認をします。これは造るんでしょうか。
○国務大臣(下村博文君) 現在の国立競技場、建て替えをいたします。
○蓮舫君 壊して二百億、建てて千八百億、足して二千億の箱物事業です。その財政負担を現段階で誰が幾ら担うかまだ未定と聞いておりますが、これ、見通しはどうなるんでしょうか。
○政府参考人(久保公人君) 国立競技場の改築に係る費用負担につきましては、政府といたしましては、国の財政状況に鑑み、多様な財源を確保していくことが必要であると認識しておりまして、昨年、二十五年五月には議員立法によりましてスポーツ振興投票の実施等に関する法律等が改正されまして、スポーツ振興くじの売上げの一部をこの国立競技場の改築等の財源に充てることができることもしていただいたところでございます。また、東京都に対しまして費用の一部負担も要請しているところでございまして、実務的に費用分担の協議を進めているところでございます。
 したがいまして、国、スポーツ振興センター、東京都、どういう費用分担でいくかということについて、いつ、どう決定するかということの具体的な時期は現段階ではまだ申し上げることはできないわけでございますけれども、合意に向けまして引き続き関係機関との協議を進めてまいりたいと考えているところでございます。
○蓮舫君 totoの売上げの一部といっても、売上げの五%上限がこの財源に使われる。totoの去年の年間売上げは一千億ですから五億しか使えない。それで二千億を造ろうとして、東京都が幾らか、国が幾らか、どういうふうに負担をするか、実はまだ決まっていないんですね。
 東京オリンピックそのものは私は成功させたいと思います。(発言する者あり)ごめんなさい、五十億。それでも二千億には足りない。ごめんなさい、訂正します。五億ではなく、五十億です。ただ、財政の面から見て、なぜこの二千億の新築なのか。改築とか修繕では駄目だったのか。新競技場を建てた後にも、オリンピックとパラリンピック後、箱物は維持しないといけない。
 新競技場を保有している独立行政法人日本スポーツ振興センターに聞きます。新競技場のオリンピックの後の収支見通しはどうでしょうか。
○参考人(鬼澤佳弘君) お答えいたします。
 オリンピック・パラリンピック終了後の収支見込みということにつきましては、現在、第三者機関を含めて精査をしているところでございますけれども、現時点では、収入として約五十・四億円、支出として約四十六億円の収支計画と見込んでございまして、約四・四億円の黒字を見込んでいるところでございます。
○蓮舫君 ありがとうございます。
 収入が五十億、支出が四十六億、その差額四・四の黒字が出るという計算です。一番収入が大きいのが企業賃貸スペース十四億、会員シート・迎賓事業十四億。これ、細かな数字もいただきました。中を見ると、最も利益率が高いのが会員シート・迎賓事業、売上げが二十二億あるという試算です。どういう計算でしょうか。
○参考人(鬼澤佳弘君) お答えいたします。
 会員シート・迎賓事業、これは年間で顧客に対しましてシートあるいは観戦ボックスを販売するという事業でございます。十四・三億の収益を見込んでございますけれども、これは、現在既存のスタジアムあるいは野球場、こういったものの年間シート、ボックスの単価を前提にしながら、マーケティング費用あるいは人件費等を差し引き、十四・三億円の収益を見込んでいるものでございます。
○蓮舫君 一年を通じて貴賓室を貸切りで使えるいわゆるボックスシート、それを一室一千万円で六十七室買ってもらう。それで年間売上げが六・七億。そのほかに年会費二十万円、十二万円の特別席を会員シートで一万席買ってもらう。これだけで売上げが十五億。合わせて二十二億という実にざっくりとした収支見通しなんですが、想定年間事業計画という内部資料があります。
 これを見ると、年間に想定されている大規模イベントは四十八日のみ。その中身は何か。サッカー二十日、ラグビー五日、陸上競技十一日、コンサートなどの文化イベントが十二日間。つまり、ボックス席は一千万円を出して買っても、文化イベント以外、通年使えると言うんですが、大規模イベントがない三百二十九日、誰がこのボックス席使うんでしょうか。誰がそのシートをわざわざ二十万、十二万で買うんでしょうか。
 文科大臣、この収支、もう一回厳しく精査をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(下村博文君) これは、委員が資料を出していただいていますが、ほかのところに比べても、それだけ言われると相当高いのではないかと、買う人がいるのかという話のように聞こえますが、ほかのところでもほぼ完売しているということの中で、平均的な中での新国立競技場については設定したということでございますので、相場感からいえば、これは特別高いというふうなことではないというふうに承知しております。
○蓮舫君 野球は年間七十二日間あります。一種類の競技をボックスや必ず席が取れるシートで見るという需要は確かにあると思う。ただ、新国立競技場で行われるのは三種類、陸上、サッカー、ラグビー、合わせて三十六日。
 その中で、大規模大会に陸上競技を入れているんですが、これ大臣、確認しますが、国際ルールでもある日本陸上競技連盟の規則では、新競技場に造るメーントラック以外に常設のサブトラックコースがないとその大会は開けないんじゃないんですか。端的に。
○政府参考人(久保公人君) 御指摘のとおりでございます。
○蓮舫君 つまり、二〇二〇年オリンピック用の常設サブトラック建設、二百七十億円の費用、用地買収が掛かるから、高いから、だから十四億で整備できる仮設になったんですね。
 オリンピックの後、この仮設トラックは撤廃をしますので、この新国立競技場だけでは十一日と予定をしている陸上競技は開催できないんではないですか。センター、何でこれを計算に入れているんですか。
○参考人(鬼澤佳弘君) 私ども、このスポーツイベントに対する使用日数あるいはその収益の見通しを算定するに当たりましては、陸連ほか関係の競技団体からヒアリングを受けております。
 その中で、基本的には、私ども今常設のトラックがないという状況でございますので、その常設のトラックを附属させることによって陸連の規定を満たし、より大規模大会での利用を目指したいとは考えてございますけれども、その開催が見込めない場合でも代替の同規模の大会が開催できるという形で御意見を承っていますので、その日数としては算定しているところでございます。
○蓮舫君 いや、開催できないんですよ、二百七十億を掛けて用地買収して常設のサブトラックを造らないと。でも、それがないのに、ほかで収入が見通しできる、実に甘い試算だと思うんですが。
 確認をしますけれども、この収支の見通しは、フィージビリティースタディー、FS、事業可能性は検証しましたか。
○参考人(鬼澤佳弘君) この収支の計算に当たりましては、現在、第三者機関の御意見をいただきながら精査しているところでございます。今後、文科省の中にも検証をいただきながら今年度中にその成果を見ますが、現時点でも、お示ししたこの収支の見通しにつきましても、第三者の一定の御意見をいただきながら算出したものでございます。
 以上でございます。
○蓮舫君 いや、私が伺っているのは、第三者の意見ではなくて、FS、事業可能性検証はしましたかと伺っているんです。
○参考人(鬼澤佳弘君) お答えいたします。
 これにつきましては、様々な競技団体のヒアリングあるいはコンサルの御意見も聞きながら、その実現可能性について精査しているところでございます。
○蓮舫君 通常、大規模な施設を造るとき、企業とか、自治体も国もそうなんですけれども、事業可能性は検証します。その場合、十年、二十年、あるいは、耐用年数を考えたときに改修費等も出てきますので、それも含めて投資をして、設備投資をして回収できるかという長期見込みを収支で見ていく。
 一年以上の見込みで収支見ていますか。
○参考人(鬼澤佳弘君) これはおっしゃるとおり、単年度の収支ではなく長期的な収支、センターとしての長期的な維持管理、そういうことも含めて検討しているところでございますが、その中で重要な点はやはり修繕等の経費をきちっと見込むということでございますが、これについても見込んだ上で長期的な収支の見通しが成り立つよう検討しているところでございます。
○蓮舫君 事前にヒアリングをしたときは、一年限りの収支見通しで見ていますと言われました。どっちが本当ですか。
○参考人(鬼澤佳弘君) 単年度ではなくて、中長期的な視点で収支を見るということは重要であるということは認識してございまして、今申し上げたように、その維持管理費を適切に見込むことでそういった長期的な見通しが立つものと考えております。現在の収支見通しには、一般的な修繕費について盛り込んだ上で長期的に安定な収支見込みが成り立つよう検討しているところでございます。
○蓮舫君 委員長、資料を請求します。
○委員長(山崎力君) ただいまの資料の中身をもう少し教えていただけますか。
○蓮舫君 新国立競技場の長期にわたる収支見込みの資料の請求をお願いいたします。
○委員長(山崎力君) 後刻理事会で協議し、対応したいと存じます。
○蓮舫君 ありがとうございます。
 なぜここにこだわるかというと、二千億の箱物を建てて、実にざっくりとした収支見通しで毎年四億の黒字が出るから大丈夫と。ただ、その二千億の財源はまだ決まっていない。本当にこれは私は、造ってしまっていいのかどうなのか立ち止まりたいと思う。
 なぜか。実は二〇二〇年、今から六年後なんですが、そのときの人口構成です。次のフリップ。二〇二〇年、そのとき、都市部の高齢化は一気に進みます。東京は確実に四人に一人が六十五歳以上の高齢者になります。そこに八万人の収容、財源が見えない二千億の箱物、維持していくための収支見通しが実にざっくりしている。私、やっぱり造っていいのかどうなのかというより、この人口構成を見ただけで考えざるを得ないと思うんです。
 一九九八年、長野オリンピックがありました。次のフリップなんですが、市と県は競技施設をオリンピックの後に指定管理者制度を活用して維持をしています。ところが、見ていただければ分かるように、ずっと赤字です。黒字にならないんですよ。競技場は途中、国からナショナルトレーニングセンターに指定をされて、年間一億の財政補助を受けているけれども、それでも赤字が改善をしない。長野市は、高額市債をオリンピック前に借り入れて、二十三年度の市債残高は千四百億、当時の倍近くに膨れています。
 オリンピックの感動は私は尊いと思います。子供たちの夢をつくるのも大事だと思います。だけれども、うたげが終わって残ったのは財政赤字、そして大きな箱物、そして借金でそれを埋めていく、こういうことを私たちは長野オリンピックからいい意味での経験として学んで、東京でどんなオリンピックを開催するのかをしっかりと世界に提出していく、それをちゃんと訴えていくべきものだと私は思っているんですが、総理、東京オリンピックはコンパクトオリンピックとうたいました。でも、このコンパクトの意味は選手の移動距離だけで、財政規模は大規模なんです。いま一度見直していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) このオリンピックにつきましては、二〇二〇年のオリンピック、まさに世界から多くの人々がやってくるスポーツの祭典にしていきたい、このように思うわけでございますが、その際、我々も昨年のブエノスアイレスのプレゼンテーションにおきまして、オリンピック精神を世界に広げていくのは日本であるという意味のことも申し上げたわけでございます。趣旨にかなうオリンピックを開催をしていきたいと、こう思う次第でございますが、もちろん、そうした施設等の整備に当たりましては国民の皆様の税金等を充てるわけでございまして、そうした中において効率性も十分に考慮をしながら検討していくのは当然のことであろうと、このように考えております。
○蓮舫君 検討だけなら誰でもできます。是非これは行革の視点で見直していただきたい。ギリシャがアテネ・オリンピック以降に財政破綻に向かった道というのも世界には前例がありますので、これは引き続き私は追いかけていきたいと思います。財源は無限ではありません。安倍内閣で大変な努力をされて税収が上がっているのは、これはもう率直に評価をします。ただ、労働生産人口が減って高齢化が進んでいく日本では、税収が増えるという視点だけではなくて、歳出をどうやって削減していくかという努力も同時にやらなければいけないと思う。
 安倍内閣においては、残念ながら歳出増の事業というのはもう至るところで見付けることができます。ただ、歳出削減の事業というのが残念ながら目に付かない。二十五年度補正、二十六年度予算、基金として二・六兆円積んでいます。基金というのは利点もあるんです、年度を超えて使える。ただ、他方で一度出してしまったら、実態がどうなっているかが見えないから、むしろ財政規律が緩んでいるという実態もある。
 その中の基金の一つで、津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金というのがある。これ、復興財源で被災地域に企業が工場とか物流施設を造ったら、それを支援して雇用を生み出そうという非常にいい中身の事業です。復興庁の予算事業なんですが、執行は経済産業省、これ予算総額を教えていただけますか。
○政府参考人(加藤洋一君) お答え申し上げます。
 ただいま御指摘いただきました補助金につきましては、平成二十五年度当初予算におきまして一千百億円、平成二十五年度補正予算におきまして三百三十億円、合計一千四百三十億円の措置がなされているところでございます。
○蓮舫君 一千四百三十億円に更に補正で三百を乗せていませんか。
○政府参考人(加藤洋一君) 御指摘のとおり、平成二十六年度当初予算におきまして三百円を更に計上しているところでございます。
○蓮舫君 千七百三十億円の基金です。財源は復興増税です。この千七百三十億円が一つの法人が預かって、補助する企業が採択されたらその企業にその基金から補助金が支払われる。この基金設置法人はどこに委託されましたか。
○政府参考人(加藤洋一君) お答え申し上げます。
 本事業の基金の設置に当たりまして、本補助金は復興特別会計によって措置されておりますことから、復興庁、そして実際に執行を行います経済産業省、両省において定められた公募要領に基づきまして、平成二十五年四月に基金設置法人の公募を実施いたしました。結果、三社から応札がございまして、外部有識者により構成されます基金設置法人審査委員会によりまして厳正な審査をいただきまして、平成二十五年五月、一般社団法人地域デザインオフィスが採択ということになりました。
○蓮舫君 厳正な審査で一般社団法人地域デザインオフィスに落札された。デザインオフィス、フリップ御覧いただきたいんですが、この事業の基金設置法人公募が掲載された昨年の四月の十日、その日に登記を変更して、法人の事業に基金管理事業を新たに追加をしています。
 そして、元々いた理事、これ、独法の都市再生機構と大変近い会社、URリンケージの役員を務めている人がいるんですが、そこに新たにもう一人代表理事が追加をされました。この人物は、一般財団法人日本立地センター専務理事。日本立地センターは経産省のOBが理事長を務めていて、過去、事業仕分において原発の広報事業で問題等が指摘されている法人です。
 落札した法人の業務、これ大変大きいんです。千七百三十億円の基金の管理はもちろんなんですけれども、この事業で三十億とか五十億の上限で補助を受ける企業が本当に適正にこの事業を行っているか、雇用を生んでいるかをチェックしなければいけない。で、全ての事業を把握できる管理体制が当然求められます。
 経産省に伺います。
 基金設置法人の募集における公募要領というのがあります。その中で、法人採択基準の一から四までを簡単に御説明いただけますか。
○政府参考人(加藤洋一君) 公募要領におきまして、採択基準が定められてございます。四点でございますけれども、基金の管理が適正に行えるか、実務を行う事務局の指導監督を適正に行えるのか、これらの事務を適正に行うために事務・管理体制を整えられるか、そして法人の信頼性や公益性という四つの視点を設けているところでございます。
○蓮舫君 デザインオフィスはその四つの条件全てを満たしていますか。
○政府参考人(加藤洋一君) 一般社団法人地域デザインオフィスにつきましては、本事業の基金設置法人審査委員会におきまして採択基準に照らして最も高い評価が得られましたので採択がなされているところでございます。
○蓮舫君 実際に経済産業省に提出された所在地を調べました。地域デザインオフィスの所在地は、シェアオフィスのビルでした。しかも、実際の事務所スペースはありません。何があったか。ポストです。メールボックスしか借りていないことが分かりました。千七百三十億円の国民の税金を預かるその法人にポストだけの法人を選択した、この事実は経産省は御存じでしたか。
○国務大臣(茂木敏充君) そのお示しいただきました写真は間違っております。実際に、基金管理事業につきましては、この地域デザインオフィス、別途千代田区神田神保町二丁目十三番地にきちんとした貸し事務所、専有スペースです、それに入居して事業を行っております。
○蓮舫君 経産大臣、公募が行われた四月十日のときの登記をしている事務所は、このメールボックスです。大臣が今おっしゃったレンタルオフィスは、五月の二十日に借りられています。四月十日の時点でこのレンタルポストだったということは御存じでしたか。
○国務大臣(茂木敏充君) 五月の十六日に採択の内示をいたしました。そして、その際には適切な事務所を構えるということでありまして、五月の二十日、実際に事務所を構えております。
○蓮舫君 公募で審査をする段階で適切な事務所があることと要領に書いてあるのに、あなたに落とすからちゃんと借りてくださいというようなことを言えば、どんな法人にでも、千七百三十億の膨大な国民の税金を預けるところとして適切なんでしょうか。(発言する者あり)
○国務大臣(茂木敏充君) 冷静にやりましょう。
 四つの項目につきまして、四つの項目につきまして先ほど申し上げました。それにつきまして、外部審査委員、これが審査を行った結果、最も高い評価でありました。コスト的にも最も安い、そしてさらには地域の立地等に知見のある人物、経験の長い人物がこの事業に携わっていると、こういう評価であったと承知をいたしております。
○蓮舫君 済みません。ほかに手を挙げた二社は、じゃ、事務所もなかったんでしょうか。
○政府参考人(加藤洋一君) 地域デザインオフィスが公募申請をしましたときには、新たに専有スペースを借りるという前提で公募申請がされておられましたので、それを含めての評価で採択をされたところでございます。
○蓮舫君 公募要領を見ると、前提で事務所を借りればいいという審査基準、ないんですよ。
 じゃ、次に伺います。
 この公募要領では、ほかにも、法人の信頼性があるか、あるいは基金管理の安全性と透明性が確保されるかと。当然です、大変大きな額ですから。ただ、一般社団法人地域デザインオフィスを、登記簿には記載されているんですが、検索で引っかかるホームページがありません。どうやってこのお金を預かっているかというのが、情報公開が極めて閉ざされている。
 わざわざ登記を取りに行ってそこに載っているURLを調べました。たった二枚のホームページです。そこには財務諸表、業務実績、情報公開、一切ありません。どこに財務管理の透明性、国民の信頼性が得られるという担保があるんでしょうか。
○政府参考人(加藤洋一君) 資金管理の運用の適切性の確保、非常に大事でございます。
 この団体につきましては、入札で選定をした信託銀行に信託をするという、そういう内容でございます。また、その信託された資金の引き出しにつきましては経産大臣の了解がなければ引き出せないということで、保全措置が図られておりますので、安全確実な運用ができるというふうに考えております。
○蓮舫君 もう公募で採択された時点から国民の疑惑を招いているんですよ。
 法人の信頼性に疑義がある、そして誰もが簡単に、その信託のどこに預けているか、別に特別的に会計で、別途会計で管理されているかというのは誰も見ることができないんですね。そういう部分で私は極めて情報公開に後ろ向きな団体だと見るんです。
 何でこの基金が立てられたかやっぱり分からない。千七百三十億円って、一年間預かると、大体今は年利〇・〇一だとすると二千万近くのお金、利益が出るんですが、一応要領を見ると、その運用利回りはこの法人の事務経費と、使っていいとなっている。じゃ、そうなると、わざわざ、その経費で事務所が成り立つから、そのためにつくられた法人じゃないかという疑いを持ってしまうんですね。
 改めて経済産業大臣に、一度これ調査をしてもらえませんか。どんなに安全でどんなに大丈夫だと言われても、ポストだけで申請されて、それが受かって、落札したら事務所を借りて、はいオーケー、ホームページの情報公開はないけれども大丈夫です、それだけでは信頼できないから、国民に分かるように調査をして説明をしていただきたいと、お願いします。
○国務大臣(茂木敏充君) 基金についてはきちんと入札を行い、信託銀行で管理をいたしております。そして、出納に当たりましては経済産業大臣の了解が必要であります。その点、基金の管理はしっかりしていると。
 また、先ほどるる御説明申し上げましたが、本事業の基金設立法人、これは公募要領に基づきまして外部の審査委員会によって厳正に審査の上、低コストで、そして本補助金の趣旨を踏まえた効果的な事業が実施できる団体として適正に選定をされ、基金の管理を始め適正に運営をされていると、このように認識をいたしております。
 その上で、実際に被災地におけます企業立地を支援いたします本事業、昨年の第一次公募において百五十一件、六百六十六億円の事業を採択し、今まさに事業の準備が被災地で進んでいるところであります。また、現在審査中の第二次公募においても約百七十件、八百四十億円の申請を受けておりまして、事業は着実に進展をしていると考えております。
 このような状況におきまして、いたずらに時計の針を戻すかのような対応ではなく、当該法人に対する指導監督を徹底しながら本事業を更に前に進め、被災地における企業立地を通じた新たな産業そして雇用を創出することが被災地の復興の加速につながる、このように考えておりまして、今後とも全力で取り組んでまいりたいと思います。
○蓮舫君 話をそらさないでください。事業そのものを止めろと私は言っていません。六百六十六億円の百五十一件の事業は既に採択をされているけれども、事業が終わった後に補助金が来ますから数年の時差があります。これに対して私は、しっかりと進めることに対しては全面的に支援をするし、止めろとは言っていません。
 その上で私が言いたいのは、何でこんな不透明な、不明朗な公募のやり方で……(発言する者あり)
○委員長(山崎力君) 御静粛に願います。質問も聞こえませんので御静粛に願います。
○蓮舫君 こんな住所の実体のないところに千七百三十億円の基金設置法人を委託をしたのか、その流れを調査していただいて、その上で大臣がおっしゃるように問題ないという結果を出していただければ我々も納得はします。復興のためにそれは当然だと、そこは引き下がりたいと思います。そこは調査をしませんか。
○国務大臣(茂木敏充君) まず、被災地においてこの事業、恐らく今年からもうスタートいたします。数年も掛かると。それはやっぱり被災地の皆さん待っているんですよ。そこは無責任にそういう話をされないでください。事業は実際に今年から始まります。(発言する者あり)
○委員長(山崎力君) 御本人、まずその辺。手を挙げていらしたから。蓮舫君。
○蓮舫君 もう一回言います。事業を止めろとか復興を遅くさせようなんて私は一言も言っていない。大事な事業だということも最初から丁寧に言っています。ただ、そのお金を預かった基金設置法人の公募のその流れに疑義があるから調べてください、ただそれだけをお願いしているんです。
○国務大臣(茂木敏充君) 先ほどから申し上げておりますように、本事業の基金設置法人、これは公募要領に基づきまして外部の審査委員会によって厳正に審査が行われました。コストも最も安い案件でありました。そして、外部の立地等について知見の極めてある方、こういった方が事業に携わられている。こういった基金の趣旨を踏まえて効果的な事業が実施できる団体として適正に選定をされました。そして、基金の管理につきましては、入札によりまして信託銀行に信託が行われております。そして、その資金を引き出すためには経済産業大臣の了解が必要であります。
 このように適正に運営がされていると、このように考えておりまして、そういった下で、もう一度申し上げますが、今年にも実際に事業が始まります、これは。始まります。こういった事業を進めることによって復興を前に進めたいと、このように考えております。
○蓮舫君 今大臣、コストが最も安いと言いました。それはそうでしょう、事務所がレンタルポストなんですから。それよりも信頼のある中身、法人の大切さを私たちは重視したい。これは行革に対する姿勢が、今の政権、私たちと全く違うということで、もうこれは終わらせていただきます。
 次に、公益法人について伺います。
 宝くじ、過去、仕分を受けて、総務省内で大臣主導で改革を行ってくださいました。平成二十三年十二月に普及宣伝事業の見直しをしました。これ、簡単に、どんな見直しでしたか。
○政府参考人(佐藤文俊君) 平成二十二年度に事業仕分が実施されまして、宝くじの普及宣伝事業については、助成金の交付形態が複雑ではないか、あるいは無駄な広報事業があるのではないかということが問題だという指摘がなされました。これを受けまして、同年、総務省とそれから全国宝くじ協議会、これは発売団体で構成する団体ですが、それぞれに検討組織が設けられまして、問題の改善に向けた検討を行いました。その結果を踏まえて、発売団体においては、従来の普及宣伝事業をゼロベースで見直し、社会貢献広報事業として再構築をいたしました。
 その主な内容ですが、従来、普及宣伝事業には発売団体自体に対する助成もありましたが、これを廃止して、宝くじの公共性を広報するという役割に純化するということにしています。それから、発売団体によるガバナンスを強化するために、発売団体内にプロジェクトチームを設置して、助成金交付の事前に基準方針を示す、それから事後に検証すると、こういう仕組みを導入いたしました。あわせて、全体の事業費を半分にいたしまして、その分、発売団体の収益金や当せん金の増額を図りました。
 以上が主な内容でございます。
○蓮舫君 ありがとうございます。
 宝くじ売上げから行う広報事業が自動的に二つの、国と地方公共団体の天下りがいる公益法人に流れて、そこから、法人からまた自治体に戻して、あるいは更に天下りがいる公益法人にお金が流れる、こういう構造がおかしい、中抜きではないか、かなり豪華なオフィス、あるいは高額な人件費、それは正すべきではないかという指摘を受けて、当時、片山総務大臣が省内でPTを設けて改革をしてもらった。それで結局浮いた経費を、今御指摘ありましたが、当せん金を拡充しよう、当然です。中抜きよりも買ってくれた人に還元をしましょう、あるいは、自治体が被害があった、災害があったときに財源を調達できる新しい宝くじの仕組みをつくりました。この仕組みが一番最初に適用されたのは東日本大震災です。そういう意味では、改革は前に進んできた。
 三年に一回定期的見直し、実はこの見直しが昨年行われて、今年の二月一日、再委託承認基準が官報に掲載されました。この承認基準はどうなりましたか。
○政府参考人(佐藤文俊君) 再委託の承認基準は、発売団体が受託金融機関に委託した宝くじ発売事務の一部を再委託する場合にどういう相手方が適当なのかということを定めたものでございまして、この中で、この社会貢献事業に関しましては、基本的に従来と変わっていないと思います。
○蓮舫君 従来と変わっていない。
 承認基準は、宝くじの健全な発展のための社会貢献広報を行うことを目的とする公益法人、財団法人であること。この目的に担う従来委託を受けていた二法人以外の法人というのはありますか。
○政府参考人(佐藤文俊君) 全国協議会にも確認しておりますが、現在、この従来から再委託をしている二法人以外には承知をしておりません。
○蓮舫君 つまり、中身は改革を行ったと言いながら、実は問題と指摘された二つの公益法人に仕事がこれからもずっと独占受注される基準になったんですよ。
 総務省担当者に事前にヒアリングをしました。広報事業の中身は検討したが、どの法人に再委託するかは実は検討していない、既存の法人が前提との回答でした。これ、総務大臣、総務大臣は宝くじの年間発行計画の承認、発効許可という権限を持ちます。片山総務大臣は、その権限を持った問題意識から、天下りなんかにずっと金が流れるのはおかしいと改革を行ってくれた。三年たって、骨抜きになっています。もう一回、承認基準、見直していただけませんか。
○国務大臣(新藤義孝君) この宝くじのそういった今の課題につきましては、これまで行革が非常によく行われてきたと、いい例だと思いますね。そして、国民からのお金が非常に適正に回るようになったという意味において私もそれは継承していきたいと、このように考えております。
 そして、ルールに沿ってまた三年ごとの見直しをしましょうという中で、今回も見直しがなされたわけであります。この全国協議会の中で社会貢献広報事業についてもPTができて、再委託の在り方も含めて見直しを行った、承認基準も含めてやったわけであります。
 しかし、その中で、今、決定内容を大きく変えるような検討には、判断にはならなかったということでありまして、これは発売団体の判断というもの、これはそもそもが地方の自主財源でありますし、こういった発売団体の自主的な決定というもの、これを尊重しながら、一方で、私どもとすれば、これは厳正にこの法律が、この制度がきちんと運用されているかどうかはこれは注視してまいりたいと、このように考えております。
○蓮舫君 よく分かりました。改革は行わないということですね。非常に残念です。
 もうまさに、あと二週間ぐらいしたら消費税が五%から八%になります。増税です。これは、この人口構造の日本の中で次の世代の負担を緩和をして、高齢者と子育てを全ての世代がひとしく支えていくことによって社会保障制度を持続可能なものにしよう、お願いをしなければいけないと思います。
 ただ他方で、党を割ってでもこの決断をした野田前総理が当時、安倍自民党総裁と約束をしたのは、身を切る改革もしようじゃないかと、納得してもらわなければいけない、そのためには国会議員の定数削減もしなきゃいけない、行政も政治も歳出削減努力をしなければいけない。
 改めて問わせていただきます。安倍総理の内閣で国民に消費税増税を納得していただける身を切る改革、行革、何があるでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 安倍政権としてはもちろん、この消費税を控えまして、当然行政改革を進めていく、身を切る改革を進めていかなければならないと、このように思っております。と同時に、行政改革というのは常にこれは念頭に置きながら改革を永続的に進めていかなければならないものであります。
 安倍政権としての行政改革においては、行政機能や政策効果を最大限向上させるとともに、政府に対する国民の信頼を得るために重要な取組であると、こう考えておりまして、不断に取組を進めていくことが不可欠だろうと思います。こうした考え方に立ちまして、安倍内閣としては、行政改革推進本部等を立ち上げまして、これまでに行政事業レビュー等による無駄の撲滅や独立行政法人改革や公益法人制度改革等に取り組むとともに、国家公務員制度改革についても取組を進めているところであります。
 行政事業レビューにつきましては、政権交代後、基金シートの作成、公表を行いました、これは初めてのことでありますが。そして、秋のレビューによる事業の公開検証の実施など、従来の取組に更に改善を加えましてより効果的な取組を実施をしていったと、このように確信をしているところであります。
 さらに、本年の取組といたしまして、各府省における自律性、ここを我々は重視をしているわけでありますが、これは確かに省庁をしっかりと外の目から見ていくことも大切なんですが、そこで働いている人たちがしっかりと自律性を持って自分たちを見詰め直すと、こうならなければいつまでたってもモグラたたきになってしまうと、こう考えているところでありますが、こうした自律性を重視をしながら、外部有識者による点検の強化、点検対象とする基金の拡充など更なる改善策を講じていきたいと思っております。
 また、独立行政法人改革については、スリム化を図りつつ国民の皆様に対しまして質の高い行政サービスをお届けしていくことが大切であると考えておりまして、このため、制度と組織の両面にわたりまして抜本的な改革を行うこととしておりまして、昨年末、見直し方針を閣議決定をいたしまして、今国会に関連の法案を提出することとしております。
 また、公益法人でございますが、公益法人につきましては、裁量に基づく各府省ごとの主務官庁制を廃止をいたしました。主務官庁制を廃止をし、そして法律に公益認定基準を明確に定めまして、民間法人としての自主性、自律性を確保する公益法人制度改革を平成二十年から進めており、現在、旧公益法人はおおむね新制度へ移行済みであると、こう考えております。限られた資源をできる限り有効に活用し、効率的、効果的に行政を実施できるよう、今後とも行政改革に全力で取り組んでいく決意でございます。
○蓮舫君 丁寧に長い答弁でしたが、中身が全く分かりませんでした。何をやったかというのが分からない。
 行政事業レビューと言いましたけれども、確かにやっていただいた。これ継続していただいていることには感謝をしますが、去年、行政事業レビューで四千八百億円が非効率だと省庁自らが判断して、二十六年度、今審議している予算案から削除したものの八割が二十五年度補正予算で全部ゾンビ復活しているじゃないですか。国会議員の定数を私たちは八十削減しよう、それに対して自民党から法案は出ていない。あるいは、復興財源として国家公務員の給料は八%下げていました、でも、これは今年の春から、消費税が上がる四月から元の八%プラスに、元に戻ります。
 一体どんな行革を行っているのか残念ながら姿が見えないんですが、その中で安倍総理は、二年続けて補正予算と当初予算、十五か月予算として一体的に編成をされていますが、これはなぜでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 議員定数の削減につきましては、今御指摘がございましたが、我が党としては、我が党の案は既に提出をさせていただいております。その中におきまして、実務者の協議が行われている中におきまして、議長の下に、これは私の方からも述べさせていただいたところでありますが、議長のところにおいてこの議論を進めていくということについて各党各会派で今議論が進みつつあるわけでありまして、まさに今日そういう取組がスタートするかもしれない、こういうことなんだろうと。このように、これは私が申し上げたわけではなくて、言わばまさに現場の責任者がやることでありますから、私が限定的に言うことは差し控えさせていただいたということでございます。
 そこで、十五か月予算についてでございますが、政権発足当初、これは最初の補正予算とのことかもしれませんが、政権発足当初、日本に蔓延するこのデフレマインドを払拭をしてデフレから脱却をすると、こういう要請が国民的な要請であったと、このように思います。
 こうした観点から、平成二十四年度補正予算は、三本の矢における第二の矢といたしまして、景気回復の暖かい風をできるだけ早く速やかに全国津々浦々にお届けをしなければいけないと平成二十五年度予算と一体として編成し、そして早期の実施に努めたところでございます。
 こうした対応によりまして、例えば、安倍政権発足後の一年間である二〇一二年十―十二月期と二〇一三年十―十二月期を比べますと二・六兆円の成長を実現することができたわけでございまして、この予算規模におきまして大きな成果を発揮することができたわけでございます。
 そして、今のこの予算につきましては、我々は十五か月予算という考え方は取ってはいないということでございます。
○蓮舫君 安倍内閣の予算編成、補正も含めて四回あったんですが、これを見ると、本来当初予算に盛り込まなければいけない予算を補正に先倒しすることによって当初予算の上限値を下げているように使われているんではないかと思えるんです。補正予算と当初予算は財政法的には別ですから。私、こういうことをやってしまうと財政規律が緩むと思う。
 中でも、補正予算で執行し切れない事業が基金に潜り込ませられることによって、本当は補正予算は年度末、緊要な使われ方をしなければいけないのが、年度を超えて複数年度使えるようになっている。本来これは当初予算に盛り込むべきもので、その当初予算がプライマリーバランスでどうなのかという比較をしていかなければいけないと思うんですが、残念ながら安倍内閣ではこの部分が私は曖昧になっていると思います。
 特に、二十五年度補正では、文科省とかは五百五十億の基金を平成三十年度まで使えるようにする、こういうものを盛り込ませている。五・五兆のうちの一・二兆が基金になっている。私はやっぱりこういうお金の使い方は、財政規律を守ることが難しいと思うので是非改めていただきたいんですが。
 そんなときに、財務省の主計局長から一通の通知が各省の官房長に出ました。それは、二十五年度補正予算を早期実施に努めてくださいとお願いをする。過去、公共事業においてこういう通知はありましたが、一般事業においてまでこんな通知は出したことない。当たり前です、補正予算は早期実施が前提なんですから。
 でも、こういうふうな通知を出してしまったのは一体何か。早く使えと後押しをするとどういうことになるかというと、むしろ予算消化のためにばらまかれるんではないか。財務省主計局は、事業が無駄かどうか査定をしなければいけないところは早く使え。無駄があるかどうか分からないけど使えということを出すのは、私は問題だと思う。
 それの象徴的なのが、今民主党が問題を指摘している厚労省と所管の独法JEEDにおける契約問題、短期集中特別訓練。公募情報を発注者の厚労省がわざわざ、受注者となる独法、高齢者・障害・求職者雇用支援機構、JEEDに行って、仕様書、金額を全て漏らし、公示の日は、JEEDに要件が合うように公示情報を差し替えました。そして、結果、この独法に二十億の事業を落札をさせました。
 公示前日の厚労省と独法、発注者と受注者の会話が全て議事録で残っています。これを見ると、一者応札になるが問題ないかとのJEEDの問いに、問題にならない、外部から問われたら厚労省で説明する。さらに、JEEDができないところがあれば、言ってもらえば対応する、基準作成はJEEDに相談させていただくと。公示前ですよ。そこまで受注者に話している。さらに、JEEDは、ロッカーと備品を用意する必要もありと言うと、厚労省は、買えなかった備品は検討する。補正事業なので、JEEDが一年限りかと聞くと、ここ限りの話だが、今後は恒久化したいと厚労省答えている。財源は税金です。そういう問題意識は全くない上に、この後、厚労省担当者、JEED担当者は一緒に食事に行って、二次会のカラオケに行って、お金はJEEDが多く払っています。
 総理、官官接待であり、官製談合でないですか。公正取引委員会に調査を命じるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 答弁する前に、私、先ほどGDPで、二・六%かなと言うべきところを二・六兆円と言ったようでございますので、これをちょっと訂正させていただきます。
 そして、今の御指摘の入札問題につきましては、去る三月十一日に厚生労働省が中間報告を公表いたしまして、入札手続において極めて不適切な対応が認められたものと承知をしています。
 貴重な予算の執行に当たりまして、国民の皆様の信頼を損ねるような行為があったことは極めて遺憾でございます。
 今後は、内部調査にとどまらず、外部の有識者を加えまして、御指摘の官製談合に関する法令との関係を含め、徹底的な事実関係の調査を行い、違法な行為が確認されれば、法に基づき厳正に対処すべきであると、このように考えておりますし、今委員の御指摘のことが事実であるとすれば、極めて私もこれは遺憾なことであり、しっかりと厳正に対処していきたいと、こう考えております。
 また、本件にとどまらず、厚生労働省の予算執行に関するガバナンス体制につきまして、改めて再点検するように厚生労働大臣に指示をしたいと、このように思います。
○委員長(山崎力君) 麻生財務大臣。(発言する者あり)
○国務大臣(麻生太郎君) 委員長の仕切りですから。言いっ放しになられると、話が込み入りますので。
 平成二十五年度の補正予算の話を最初されておりまして、いろいろ通達が出たという話ですが、先ほど総理の方からも話がありましたように、きちんとした、十五か月予算ではありませんと、二十四年と今年度は違いますから。二十五年度の補正予算は、四月からの消費税の引上げに伴う反動減の緩和と、その後まで続きます七月以降の成長軌道への早期の復帰、これを目的としたいわゆる好循環実現のための経済政策を実施するための補正予算というのが大前提です。
 こうした対策の目的を踏まえて、来年度前半に的確に経済効果を発揮させませんと、少なくとも、御存じのように、地方議会でやる場合はどういう手続になるか、地方議会を知っていれば御存じと思いますけれどもね。そういったことを考えれば、一日も早くきちんとやるようにしなきゃ話がおかしいでしょうが。いかにも、我々の方がばらばら、いいかげんな予算をやっているような、作られるようなイメージづくりだけはやめてください。
○蓮舫君 いいかげんな予算とは一言も言っていません。財務省が出した平成二十六年度予算のポイントで二十五年度補正予算と一体的に編成と書いてあるから、その部分について伺ったんです。それはいいです。時間がありません。
 総理、ありがとうございます。
 調査のみならず、私、これ告発の問題だと思っています。JEEDと厚労省の話。完全な官製談合の疑いがある。さらに、厚生労働省が中間報告をした後に新たに明らかな事実も出てまいりました。それは、さっきの会話は二月十七日、公示の前日。新たな議事録は十二月九日に遡ります。このときにも厚労省の担当者はJEEDに行って受注者になる方と説明をしている。
 どんな説明をしているか。これは、短期集中特別講座を受託してもらいたい、厚労省が切り出している。機構が当事業を受託できる法的根拠はどう考えるかとJEEDが問うたら、そうしたら、能開局、つまり厚労省の担当部局で整理すると答弁している。しかも、基金を管理するJAVADA、中央職業能力開発機構の調整はできているかと聞いたら、厚労省、JAVADAの会長の了解はいただいていると答弁しています。補正予算の閣議決定はこの三日後です。つまり、もう企画段階から、厚労省、天下り団体のJAVADA、そしてこれも関連の深いJEED、三者の完全な政官の癒着、出来レースができ上がっていた。昨今だけの問題じゃないんです。
 これはすぐさま、私は、公取も調査すべきだし、警察の調査も動かせるべきだし、総理は指示をしていただけませんか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今委員が御指摘の点について、これはまさに事実であればとんでもないことだと私も思います。
 ですから、先ほど申し上げましたように、徹底的に事実関係を調査を行いまして、違法な行為があるかどうか確認がなされれば厚労大臣にもしっかりとこれは対応するように、国民の皆様から、今これはまさに御質問をいただきました、注視されているわけでありますから、しっかりと対応させたいと思います。
○蓮舫君 ありがとうございます。
 私は、補正予算を多く積み過ぎることが今回の全ての発端だと思っています。使い切れない、消化しなければいけない。今年の補正予算は二月六日に成立しました。そこからいわゆる公募を掛けて、相手を落として、全国で展開できる集中訓練事業、できないから、民間が手を挙げないから、不落にならないように関係者に落とさせていたんじゃないか。適切な予算編成が行われていたら、こういう問題は私は起きなかったと思っています。
 是非そういう部分でも、これからは税収増だけじゃなくて歳出削減の部分において、私たちは行革の民主党だと思っていますので提案をさせていただきますので、引き続き内閣の中でも努力をしていただきたいということを改めて申し上げ、私の質問を終わります。
○委員長(山崎力君) 以上で蓮舫君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(山崎力君) 次に、野田国義君の質疑を行います。(発言する者あり)一応、最初、礼儀ですから、手を挙げて。
 野田国義君。
○野田国義君 民主党・新緑風会の野田国義でございます。どうぞよろしくお願いをしたいと思います。
 本日午前二時頃、愛媛を震源とする地震が起きました。四国、中国地方、九州と大きな被害が出ておるようでございます。被害に遭われた皆様方に心からお見舞いを申し上げたいと思います。
 改めて我が国は地震国なんだなということを思ったところでございます。そして、あの地震、津波、原発事故から三年がたちました。被災者の皆様方に改めてお見舞いを申し上げるとともに、しっかりとこれから復興に向けて与野党を問わず心を一つにして取り組んでまいらなくてはならない、そのように考えております。
 そこで、総理、私は、三年たって、いろいろなメディアが調査をしております。その中で、約八割の被災者の皆さんが復旧が遅れていると満足をされておりません。変わって、政権、党の方については、いやいや、復興は進んでいるんだと、そういう言葉ばかりが聞こえてくるわけでございます。この乖離は何なんでしょうか。私は、やっぱり、被災者にもっともっと寄り添って、そして被災者からの声をしっかりと聞いていく、この謙虚な姿が必要なことではないか、そのように思うわけであります。
 今回の予算委員会の質問に立つことになりまして、安倍総理との共通点は何か考えておりました。生まれは大分違いますけれども、一九九三年に安倍総理は衆議院議員に初当選されております。私も市長に一月に当選をし就任をいたしました。そして、四期十六年間、市役所のマネジメントをやらせていただきました。総理は潰瘍性大腸炎になられました。悔しかったと思います。私も、市長四年目、三十九歳でがんの手術をいたしました。改めて、健康あっての物種、命あっての物種、お互い健康に気を付けて頑張っていこうではありませんか。
 安倍総理は最近よく責任野党ということを言われますけれども、私は与党に協力するだけが責任野党だとは思いません。それは大政翼賛政治ではありませんか。私は、責任野党とはやっぱり政権を目指して与党を倒そうという気概を持って闘う政党ではないでしょうか。私も市長時代、逃げずに議会とちょうちょうはっしやってまいりました。しかし、それが市民のため、民主主義のためであり、私も成長させていただいたと思い、今は感謝をしているところであります。
 それでは、質問の方に入らせていただきます。
 総理は、平成二十四年十一月十四日、あの歴史に残る党首討論、覚えておられると思いますけれども、野田総理が衆議院解散に踏み切ることを明らかにした党首討論でございました。まあ、私個人としては、個人力、人間力は野田総理が勝っていたなと思っておりますけれども、その中で、時の安倍自民党総裁は、民主党が編成した予算が規模が膨れ上がっていると主張をされました。自民党政権のときは八十兆円台、私のときは八十一兆円が民主党政権で九十五兆円になったと指摘をされました。リーマン・ショックのような特別なときではなく平時の予算のことを言っているのだそうですが、この言葉をお返ししたい。
 再び自民党政権になってからの財政規模の拡大は何だ。平成二十四年度補正と二十五年度当初予算、二十五年度補正と二十六年度当初予算、これら十五か月予算はいずれも百兆円を超えているではありませんか。消費税引上げに対応したためと言うが、東日本大震災のような未曽有の状態に比べれば平時ではないでしょうか。それでも百兆円もの予算を組んでいる、しかも四十兆円以上の国債を発行をいたしております。他の政党のことは平然と批判するのに、自分のことは全く顧みない。
 総理、このことについてどう思われるでしょうか。総理にお願いいたしたい。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 野党は常に与党に取って代わるという気概を持つのは私は当然のことであろうと、このように思います。同時に、政策におきましては、より政策をいいものにしていこうという姿勢も必要なのではないかと、このように思うわけでありまして、さきの国会におきましても、我が党は、多くの法律案につきまして修正を受け入れ、成立をさせているということも付け加えさせていただきたいと思います。
 そして、党首討論において私が申し上げましたのは、単に当初予算の歳出額の大きさだけを問題にしたわけではありません。自民党政権における借金について当時の野田総理から指摘がございましたので、私の方から、民主党政権においてどうだったんですかと、このように返したわけでございまして、デフレから脱却できていない、ずっとできていないではないですか、そして、その中におきまして、できていないにもかかわらず、子ども手当や戸別所得補償、高校無償化、高速道路無料化といった、いわゆるばらまき四Kによって歳出が膨らむ一方だったではないですか、そうしたものをやっても全然デフレから脱却できていないじゃないですかということを申し上げたわけであります。私は事実を指摘させていただいたんだろうと今でも思っているわけでございます。
 そして、税収を超える公債発行をするなど、予算の半分以上を借金で賄っていたことについて問題としたものであります。これに対しまして、第二次安倍政権においては経済再生と財政再建の両立を図っております。安倍政権発足後の一年間を見ますと、二〇一二年十―十二月期と二〇一三年十―十二月期を比べますと二・六%の成長を実現をしているわけでございまして、まさにデフレ脱却に向けまして、今現在のこの状況は、デフレ脱却はしていませんがデフレではないという状況まで来たのも事実であります。
 こうした中におきまして、平成二十五年予算、平成二十六年度予算とも、公債発行額を上回る税収を確保しているわけでございます。特に、今御審議をいただいております平成二十六年度予算におきましては、経済成長に伴う税収増を反映をし、その結果、公債発行額は第一次安倍政権以来となるマイナス一・六兆円の国債発行額の減額を行ったわけでございますし、プライマリーバランスにおきましても各年度四兆円程度の改善を目標としていたわけでありますが、それを上回る五・二兆円を達成しているわけでございまして、今のような野田委員の御指摘は全く当たらないということは申し上げておきたいと思います。
○委員長(山崎力君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。
 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十三分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
○委員長(山崎力君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 平成二十六年度総予算三案を一括して議題とし、経済財政・行政改革・歴史認識に関する集中審議を行います。
 休憩前に引き続き質疑を行います。野田国義君。
○野田国義君 安倍総理にはいろいろと言い訳を言っていただきましたけれども、総理は結果責任ということであります。結果的にはこの大きな予算を組まざるを得なかったということでございますので、国民に対してあの党首討論でうそをついたということになるのではないかと思っております。
 それから、先ほど蓮舫議員とございましたけれども、もう一つ、野田総理との平成二十四年の十一月十四日の党首討論での約束が、大きな約束があります。これは議員の定数削減であるわけであります。そして、そこでおっしゃった後に、さらに昨年三月の予算委員会で安倍総理は発言をされております。消費税を引き上げていく上で国会も身を切るべきであり、その中で定数削減をしていく、二つの目標を合体をさせていくことだと答弁をなさっております。
 政権を担っている与党が本気で進めれば定数削減は実現するのではないか。四月からは消費税だけは引き上げながら、国会議員の定数削減は進めようとしない御都合主義としか思えないわけであります。大体一年間何をやってきたかということでありますが、お答えいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほどうそを言ったと言われましたが、それは看過できない発言でありまして、二十五年、二十六年とも公債費の額を税収は上回っておりまして、民主党政権時代は公債費の方が上回っているではないかと私は批判したわけであります。それに対して野田さんは返事をできなかったということであります。
 私は事実を今淡々と述べさせていただいているわけでありますが、この事実に対して、うそという言葉は余りにも弱々しい反論でしかないと申し上げておきたいと思います。
 そして、その上において申し上げますと、ただいま選挙制度についてお話があったわけでございます。議員の定数に関する問題は、これはまさに議会政治の根幹に関わる重要な課題であり、与党がリーダーシップを発揮をして各党各会派と真摯に議論を行い、早期に結論を得ることが大切であります。
 衆議院の選挙制度改革については、与党からは、比例代表制について、比例代表について定数を三十削減するとともに、小選挙区の行き過ぎた民意の集約機能を是正をして、より民意を反映した制度とする案を我々は提示をしているわけでございまして、この案は、前回の選挙結果に照らしてみますと、議席配分上我が党が最も不利になる案でございます。あえて私たちの党自身が身を切る覚悟でもって、なるべく与野党が歩み寄りできる案を出したわけでございます。
 この言わば民主主義の土俵を決めるとも言える選挙制度に関わる案については、我々がやみくもに案を出して、それを議決して通せばいいということを考えるべきではないと、こう思うわけであります。だからこそ皆さんに言わば歩み寄りを呼びかけているわけでございますが、残念ながら、この一年間そうはならなかったわけでございます。
 現在、この膠着状況を打破するために、私から既に国会の下に民間有識者による第三者機関を設けることを提案したところでございます。従来からは政府の下にそうした第三者機関を置いていたのでございますが、これは国会議員の定数の問題でありますから本来は国会に置くべきところでございまして、現在、第三者機関設立に向けまして各党各会派による協議が進められているというふうに承知をしているわけでございまして、二月の二十七日に野党五党、民主、維新、みんな、結い、生活の実務者協議が終わり、衆議院議長の下に有識者等による第三者機関を設置すべきということになったというふうに承知をしております。そして、三月の五日に与野党七党の実務者協議を開催をいたしまして、野党五党から衆議院に第三者機関を設置する提案がなされたわけでありまして、与党からは前向きに検討すると、基本的に異論はないと。
 当然、これはまさに第三者機関を置くというのは私の提案でもあるわけでございますから、そして本日三月十四日に、十三時から第十二回与野党選挙制度実務者協議が開催する予定であると、このように承知をしているところでございまして、この中におきまして、御党にも御協力をいただきまして、各党が、これは一つの党がいきり立ってもできないわけでありますから、これは各党各会派が今の状況を冷静に、しかし真摯に受け止めつつ、しっかりと議論を前進させ結論を得ることが大切ではないかと、このように思います。
○野田国義君 結局、この定数削減の問題もうそじゃないですか。結果責任なんですよ、結局。去年の通常国会までにやるという約束をやらないわけですから、やっていないわけですから、もう四月から消費税は上がるということなんで、国民は怒っていますよ、本当に。
 それから、次に参りますが、TPPでの自民党の公約は、TPP断固反対、ウソつかないでしたよね。安倍総理は、昨年二月の日米共同声明後の記者会見で、オバマ大統領との会談でTPPは聖域なき関税撤廃が前提でないことが明確になったと胸を張って述べておられます。一方、甘利大臣は、今年二月のTPP交渉に臨むに当たり、二月十八日の閣議後の記者会見で、重要五分野のタリフラインが微動だにしないのは交渉にならないと述べ、歩み寄りも視野に入れる発言をされております。
 国民には重要五分野は死守すると大見えを切る一方で、外国との間では譲歩の余地を残して交渉する。国民を欺きながらこのまま交渉を続けようとされているんですか。総理。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 言われなくても私がお答えいたします。
 野田さんは勝手に私たちの主張を解釈して、間違った印象を国民に与えようとしておられるということをまずはっきりと申し上げておきたいと思います。こうした議論は、確かなファクトを見ながらちゃんとした議論を、かみ合う議論をしていくことがとても大切だろうと、このように思うわけであります。
 我が党の公約、我が党の公約というのは、これは総務省にお届けをする公約でございます。この公約におきましては、聖域なき関税撤廃を前提条件とする以上、TPPの交渉参加はしないという考えであります。これが我が党の公約でございます。
 これとは別に、言わば五品目については、これは公約とは別に我が党の言わば目指すべき方向性として示しているJ―ファイルにおきまして、五品目について、これを守るべく努力をしていくということが書かれているわけでございまして、まさに我々は公約をたがえてはならないと、こう考えているところでございまして、そして昨年の二月の日米首脳会談におきまして、この聖域なき関税撤廃ということが交渉に参加する前提条件であれば交渉に参加できないと言ったところ、それはそうではないと、米国には工業製品、そして日本には農産品というセンシティブな分野があるということをまさに文書で書いたわけであります。つまり、これは聖域なき関税撤廃ではないということがここで文書をもって確認がなされたわけでございまして、そこで私たちは交渉に参加をしたわけでございます。
 そして、この交渉をする中におきまして、もちろん衆議院、参議院の農林水産委員会で決議がなされた。この五品目に対する決議をしっかりと受け止めながら、今厳しい交渉を行っているところでございます。その中におきまして、守るべきものはしっかりと守りながら攻めるべきものはしっかりと攻めて、国益にかなう最善の道を目指していきたいと、こう考えている次第でございます。
○野田国義君 本当に自民党の方々は、今、安倍総理がいろいろおっしゃったけど、そのとおりですか。私は違うと思いますよ、恐らく。うそつきじゃないですか、まさしく。私はそう思いますけれどもね……(発言する者あり)そうですよ、そうじゃないですか。みんなが、うそじゃないですか、全く。
 それから、次に参ります。
 資料三を御参照いただきたいと思います。二月十七日の衆議院予算委員会で、安倍総理は……(発言する者あり)
○委員長(山崎力君) 質問を続けてください。
○野田国義君 二月十七日の衆議院予算委員会で、安倍総理は我が党の山井委員の質問に対して、平均賃金が名目で若干のプラスにとどまると答弁をされました。しかし、厚生省からの翌日発表された確定値ではマイナスであった。給与は三年連続して減少しているという事実であります。
 生活実感に最も近いのは、実質の値ではなくて名目の値であります。いわゆる現金の給与額が、名目の賃金が三年連続して減少しているということでありますけれども、これはどういうことでしょうか、御説明をお願いしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ですから、先ほども申し上げましたように、しっかりと私の答弁、議事録も読んでいただきたいと、このように思います。
 何と私が述べたかを正確に述べさせていただきながら御答弁をさせていただきたいと、このように思います。(発言する者あり)静かにしていただかぬと答弁しにくいんですが。
○委員長(山崎力君) 総理、答弁続けてください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) よろしいでしょうか。よろしいでしょうか。
 二月十七日の予算委員会で私が勤労者一人当たりの平均賃金が名目で若干のプラスと申し上げたのは、平成二十五年後半、七月から、十八日のことであります。それは前後の関係から見れば明らかなことでありますが、具体的には、二月五日に公表されました毎月勤労統計調査の速報値に基づきまして、一般労働者一人当たりの賃金は、昨年後半はプラス〇・八%、パート労働者の時給についても昨年後半はプラス〇・七%であります。他方、相対的に賃金の低いパート労働者の割合が上昇しているため、勤労者一人当たりの平均賃金は若干のプラスにとどまっているとお答えしたものでありまして、これはその後の二月十八日に公表された速報値においても傾向は同じでありまして、私の答弁は、首を振っておられますが、これはまさに事実ですよ。この事実が違うんですか。(発言する者あり)事実ですよ、これは。何が違うのか言ってもらいたいと思いますよ。
 一方、年間の賃金動向については、平成二十四年は勤労者一人当たりの平均賃金はマイナス〇・七%であったが、平成二十五年は勤労者一人当たりの平均賃金はマイナスから横ばいになった、このことをもしかしたら言っておられるのかなと思うわけでありますが、このことを言っておられるんですか。
 だから、プラスではなくて、平均賃金はマイナスから横ばいになったというふうに申し上げているわけでありますが、と申し上げましたが、これも速報値と確定値で傾向は基本的には変わっていないわけでありまして、年間の平均賃金について若干のプラスとは申し上げていないということは、再度これはしっかりと確認をしていただきたいと思いますよ。このことははっきりと申し上げておきたいと、こう思うわけであります。
 そして、そもそも、今そういうことをおっしゃっておられますが、一昨日、自動車、電機など各産業の大手主要企業において、労働組合の要求に対して一時金の回答がなされたわけでございまして、金属労協の速報によると、金属労協の速報によりますと、月例賃金については……(発言する者あり)賃金の、賃金の動向について申し上げているんですから、皆さんにとって都合の悪い数字が出て、皆さんにとって都合の悪い数字が出てくる、出てくるからといって妨害をしないでいただきたいと思いますが、月例賃金については、これまでに回答のあった五十二社のうち四十九社でベースアップ又は賃金改革を実施しているわけでございまして、まさに六年ぶりの事実なんですよ。
 皆さん、こういうことは厳粛に受け止めた方がいいですよ。我々も、我々も野党になったときには、どこが悪かったかということを真摯に受け止めたんですよ。そして、政権に復帰をした。こういう事実についてはしっかりと受け止めた方がいいということは申し上げておきたいと思います。
○野田国義君 もう聞いていないことばかり総理がおっしゃるから、何か時間稼ぎされているんじゃないかなと思いますね、本当。ちょっといいかげんにしていただきたいなと思いますよ。
 じゃ、次に参ります。
 資料四を参照していただきたいと思います。二月十七日の衆議院予算委員会で安倍総理は……(発言する者あり)
○委員長(山崎力君) お静かに願います。御静粛に願います。質問が聞こえないので御静粛に願います。
○野田国義君 派遣労働者は増やすべきだと全く考えていないとの考えを述べておられます。しかしながら、昨年十月―十二月期の派遣社員数は百十七万と、その前の七月―九月期よりも七万人増えている。昨年一年間で見れば、前の年よりも二十六万人も増えたのが実態であります。
 さらに、派遣法改正案は三月十一日に国会に提出をされ、派遣先企業は受入れ期間の三年が経過しても、労働組合や従業員代表の意見を聞くだけで派遣社員を三年ごとに交代すれば派遣を無期限に使えるようにする改正であります。(発言する者あり)改悪ですかね。これが成立すれば、派遣社員は減るどころか、逆に増えるのは明白であります。
 派遣労働者を減らすと考えていいんですか。お答えいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、今は正式に、正確に引用していただいたように、私の答弁は、派遣労働者を増やすべきだとは考えていないという考えを述べたわけでございまして、それはもちろん今も変わりがないわけでございます。
 そして、この一両年の傾向を述べられましたが、景気が回復局面に当たっては、当然これはパート労働者、あるいは派遣労働者の数は増えます。しかし、もちろん全体の労働者の数は、前年度よりも昨年は失業者の数が減っているわけでございますし、働いている人の数は増えているわけでございます。
 その中におきまして、先ほどの中で御説明したのは、最初はだんだん短期間のパートの人も増えていくわけであります。企業はどうしても、本当にこの景気が本物かどうかと認識する上においては臆病でありますから、まずはパートを含めて雇い始めるわけですね。ですから、最初の場合はどうしても短時間のパートが増えていくわけでございますから、そういう方々を平均してならしますと、賃金においては、一般労働者の賃金が上がっていても、それはどうしても足が下の方に、下方になるということ、補正されてしまうということになるわけでございますが、雇用形態のいかんを問わず、働く方々が生きがいを持って仕事に打ち込めるという環境を整備していくことが重要であると、このように考えております。
 このために、派遣労働者の方々についても、雇用の不安なく、希望すれば正社員を含めキャリアアップを可能とする仕組みをつくっていくことが必要であるというふうに考えておりまして、今国会に提出をいたしました労働者派遣法の改正案は、労働者派遣事業を全て許可制とし、そして事業の質の向上を図ることといたしました。
 そして、中身におきましては、派遣会社に対しまして、派遣労働者の方々の希望を踏まえた計画的な教育訓練等の実施を義務付けることにしたわけでございまして、今まではなかったことが義務付けられたということであります。そして、賃金、教育訓練、福利厚生施設の利用などの面で派遣先企業の責任をこれは強化をしたわけでございます。
 派遣先の労働者との均衡待遇の推進を図ることなどを行うものでございまして、また、働き方が多様化していく中におきまして派遣という雇用形態を選択する方々もおりまして、育児などで仕事から離れていた方が職場復帰のステップとしてまず派遣という形で仕事を得る場合もあるわけでございまして、こうしたニーズにも対応いたしまして、正社員を希望して努力をされておられる方々にはキャリアアップの支援を行い、しっかりと道が開かれていく、こういう状況をつくっていくために努力をしていきたいと、このように思うところでございます。
○野田国義君 また長々としゃべっていただきましたけれども、本当に総理は道徳教育を非常に重んじられております。ですから、そういった言い訳とかうそは大嫌いだと思うんですね。そういう意味において、私は非常に、人間が、人間性ということになるんじゃないですか。しっかりと私の聞いていることにお答えいただきたいと、そのように思います。国民はちゃんと聞いて、見ていますよ。私はそういう中で判断をしておると思います。
 それじゃ、次に参ります。
 パネル及び資料の五を参照いただきたいと思います。今年に入りまして安倍総理が要職に任命した方々の発言がここにずらっと書かれているところでありますけれども、総理が任命する経営委員から任命されたモロイ勝人NHK会長は今年の一月二十五日……(発言する者あり)籾井会長は今年の一月二十五日の就任記者会見の際、従軍慰安婦の問題について、どこの国にもあったということではないかと思うと発言をされ、また、昨年の十一月に総理が任命したNHK経営委員の百田尚樹氏は、二月三日に東京都知事選の応援演説に立ちまして、米軍による東京大空襲や原爆投下をごまかすための裁判だったと主張をされました。
 また、このパネルにはございませんけれども、長谷川三千子NHK経営委員は、昨年十月十八日、都内で開催された会合に、朝日新聞社東京本社で拳銃自殺を図った右翼団体元幹部を礼賛する追悼文を……(発言する者あり)追悼文を発表をされました。
 NHK会長の服務準則や経営委員会委員の服務準則には、日本放送協会の名誉や信用を損なうような行為をしてはならないと明記をしてあるはずでございます。公共放送の中立性と信頼を損ねたのではないかと思いますけれども、総理、NHKを統制しようとされているんですか。その辺りのところをしっかりお答えいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) NHKをどうしようとしているかということですか。
 どうしようとしているか。私がどうしようということではなくて、しっかりと経営委員会の方々あるいはNHKの会長以下の方々については、公平そして公正中立の観点から公共放送としての役割を果たしていただきたいと、こう願っているところでございます。
○野田国義君 そして、次に衛藤晟一総理補佐官、それから本田悦朗内閣官房参与の発言でございますけれども、この発言、萩生田補佐官ですか、の発言もありますけれども、本当にこの発言を聞いておりますと、国際的なあつれきを更に引き起こすような発言ばかりであります。
 お友達を任命しているのではないか、安倍総理は、自分の側近の発言がもたらす外交への影響をどのように考えておられるのか、答えていただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 衛藤補佐官の発言につきましては、本人が既に撤回をしているというふうに承知をしております。
 そして、本田参与の発言に関する報道については、発言の趣旨をたがえて報じられているといたしまして、取材した記者に対し強く抗議を本田参与が行っているというふうに承知をいたしております。
○野田国義君 大体こういった人事、総理の人事を見ておりますと、私も市長時代、多くの人事をやらせていただきましたけれども、信念として我々が持っておかなくちゃいけないのは、友達や親戚あるいは選挙を応援してくれた人は要職には就けないというようなことがバランス感覚として大切だと私は思います。そして、総理はわざわざ、結局、そういったトラブルを助長するような人事をわざわざされているということでありますので、私は到底理解できないことであるということを申し添えさせていただきたいと思います。
 次に参ります。
 昨年十二月十八日、天皇陛下はお誕生日に際して記者会見をされ、陛下は八十年の道のりを振り返って、特に印象に残っている出来事としてさきの戦争のことを挙げられ、戦後、日本は、平和と民主主義を守るべき大切なものとして日本国憲法を作り、様々な改革を行ってきたとおっしゃっております。
 本年二月二十一日には、皇太子殿下がお誕生日に際して記者会見をされました。殿下は、今日の日本は、戦後、日本国憲法を基礎として築き上げられ、現在、我が国は平和と繁栄を享受しているとおっしゃっております。
 私は、日本国憲法により我が国の平和と民主主義が根付き、我が国の平和と繁栄のために日本国憲法の根幹とも言える平和主義と民主主義はこれからも堅持していかなければならない。現在、集団的自衛権の行使をめぐって様々な議論が出ておりますが、私は、閣議決定などで政府の一存で安易に解釈の変更を行ってはならないと考えておりますけれども、総理の御見解をお願いいたします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この問題につきましては、これは正確に答弁させていただきたいと、このように思う次第でございますが、いわゆる集団的自衛権の解釈についての御議論だと、このように思います。
 この集団的自衛権の問題につきましては、第一次安倍政権のときに四分類の分類をいたしまして、この集団的自衛権を含み、あるいはまた集団安全保障における海外での武器使用等々についての現在の法制局による解釈でいいのかどうかということについて議論をしたところでございます。
 そもそも問題意識としては、世界は大きく変わり、我が国を含む、我が国をめぐる安全保障環境は大きく変わったわけでございまして、脅威は簡単にサイバーを含めまして国境を越えるわけでございますし、どの国も一国のみでその国の国民を完全に守ることができないという中におきましては、国相互の関係、あるいは国々との関係が直接その国の国民の生命そのものに影響を与えるわけでございます。そうした観点から、言わば幾つかの分類に分けまして真摯な議論が行われてきたところでございます。
 御承知のように、現在も安保法制懇におきましてそうした議論が行われているわけでございまして、我々はこの結論を待ちまして、この結論が出された時点におきましてもし解釈の変更が必要であれば、そのことについてまずは法制局を中心に政府としての解釈を固めていく中におきまして、与党との協議を進め、そして協議が成立をしたところにおきましては閣議決定をすると。しかし、それによって自衛隊が直ちに行動できることにはつながらないわけでございまして、その法律は自衛隊法等々を始め改正が当然必要になってくると、こういうことではないかと思います。
○野田国義君 昨年十月には、皇后陛下がお誕生日に際して宮中記者会の質問に文書で回答をされております。皇后陛下は、東京都あきる野市の五日市を御訪問された際、明治憲法の公布に先立ち、地域の人々が寄り合い、討議を重ねて作り上げた五日市憲法草案を御覧になった。これに触れられ、近代日本の黎明期に生きた人々の政治参加への強い意欲や自国の未来に懸けた熱い願いに触れ、深い感銘を覚えたとお答えになっております。
 私も、憲法について盛んに議論が行われていることは大変望ましいと思います。しかし、現在、憲法をめぐって、かつて五日市で行われたような熱い議論が国民の間で起こっていると言えるのでしょうか。憲法の見直しは国民的な議論を得て慎重に検討していくべきであり、政府が国民に押し付けるものではないはずだと思います。現状を見ると、国民の思いや意識とは別に、政府だけが先走って憲法見直しを言い出しているような気がしてなりませんけれども、総理の御見解をお聞きしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、憲法見直しというのは憲法改正のことでしょうか。
 憲法改正。憲法改正につきましては、これは今、我々は憲法改正を具体的に議論しているわけではありません。自民党としての案は出しているわけでございますが、憲法改正につきましては、いずれにいたしましても、この三分の二、衆参それぞれの発議によって憲法改正案が発議されたとしても、国民の二分の一の賛成を得なければ、これは当然、憲法改正はできないわけでございますから、当然、国民的な議論は必要になるというのは自明の理ではないかと、このように思います。
○野田国義君 何かまた、解釈も含めて当然お答えいただくと思いましたけれども。
 じゃ、次の方に移らせていただきたいと思います。
 私の家庭も遺族会であります。祖父、父も地元の遺族会長を長く務めたところでありますけれども、祖父、祖母からも、特攻隊で亡くなった伯父、父の兄でございますけれども、よく話を聞いたものであります。国を守る大切さ、あるいは親としての悲しさを聞きました。私も静かに一人で靖国神社には参拝をさせていただいております。ところが、昨年十二月二十六日の安倍総理の靖国神社参拝が国内外で波紋を呼んでおります。中国、韓国のみならず、アメリカからも失望の声が上がったことを深刻に受け止めるべきであります。安倍総理は、友好関係を築きたいと願望を述べるだけで、そのためにどう行動を起こすかを明確にされません。
 安倍総理は、一月二十八日の衆議院本会議における我が党の海江田代表の質問に対し、小泉内閣のときに検討された国立追悼平和祈念施設について答弁を行っておられます。外国の意向をそんたくして決めるものではなく、遺族の皆様を始め多くの国民の皆さんに理解され、敬意を表されるものであることが重要であります、様々な御意見があり、慎重に見極めていきたいと答弁をされております。また、二月二十七日の衆議院予算委員会でも、我が党の篠原委員の質問に、靖国参拝について、現実問題として非難があることは承知している、非難を解いていくため様々な努力をしていきたいと答弁をされております。
 私は、もうそろそろ靖国参拝問題に結論を見出すときに来ていると思います。天皇陛下はもちろんのこと、国の内外を問わず、みんながわだかまりなく追悼の誠をささげることができるよう国として真剣に考えていかなければならないときが来ていると思いますけれども、総理はいかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど委員から、私が言わば、中韓のことだと思いますが、関係を改善したいと言うだけで何もしていないという御批判でございました。しかし、私は、何か課題があったとしても、そうした課題があるからこそ首脳会談を行うべきだと、こう申し上げているわけでございます。
 一方、相手国からは、こうした課題について日本はこうしなければ首脳会談を行わないと、こう言ってきているわけでございます。例えば、尖閣についてであります。しかし、それについては、我々は国益を損なうわけにはいきませんから、首脳会談を行うということについて、会うことについて、そうした課題あるいは条件を付けるのは間違っていると私は申し上げているわけでございまして、私のこの姿勢は果たして間違っているんでしょうか。私はそうは思わないわけでございます。
 その上において、例えば我々は、昨年、防空識別区を一方的に設定されたとしても、他の交流を止めるようなことは一切していないわけでございまして、ひたすら対話のドアを開いているわけでございまして、むしろ私は、相手側にも、中国にも韓国にも同じ姿勢を取っていただきたいと、こう願う次第でございます。
 その上で、靖国に代わる追悼施設という趣旨なんだろうと、このように思うわけでございます。委員の御質問はそういう趣旨だと思いますが、私は、靖国神社を参拝し、国のために戦って尊い命を犠牲にした方々に対して、尊崇の念を表し、そして御霊安かれなれと御冥福をお祈りをしてきたところであります。これは国のリーダーとしては当然のことであり、世界共通のリーダーの姿勢であろうと、このように思うわけであります。
 また同時に、戦争で亡くなられた靖国神社に合祀をされていない国内及び諸外国の人々を慰霊する鎮霊社にも参拝をしたわけでございまして、参拝に際して、二度と人々が戦争の惨禍に苦しむことがない時代をつくるとの決意を込めて不戦の誓いをしたところでございます。私は、今もこの姿勢は決して間違っているとは思わないわけでございまして、その中におきまして、こうした私の考え方が理解されるように努力を積み重ねていきたいと、こう思う次第でございます。
 戦後、我が国は自由で民主的で、そして基本的人権や法の支配を尊ぶ国をつくり、戦後六十八年間にわたり、ひたすら平和国家の道を歩んできたわけでありまして、今後もこの歩みは変わらないわけでありまして、このことをしっかりと国際社会に対して丁寧に説明をしていきたいと思います。
 そして、御提案の国立の追悼施設につきましては、これは御遺族の皆様を始め多くの国民の皆様に理解をされ、そして敬意を表されるものでなければならないと、そこがまた重要な点であろうかと、こう思うわけでありまして、様々な御意見もあり、慎重に見極めていきたいと思います。
○野田国義君 私は、小泉元総理のときに懇談会を官房長官の下につくられたと聞いております。そういった懇談会をつくって、しっかりとそこで論議を重ねていくということが大切なことではないかと。総理は、ああ言ったああ言ったということだけをおっしゃっているだけで、具体的には全くこの話は解決をしないということになっていくのではないかと非常に懸念をしているところでございます。
 そこで、サンフランシスコ平和条約でございますけれども、二月の二十日、衆議院の予算委員会の質疑の中で、第一次安倍内閣で掲げていた戦後レジームからの脱却について、報道機関が枕言葉のように使っているのであって、今使っていませんが、捨てたわけではなく、変わらないと強調をし、戦後体制からの脱却ともおっしゃったと。
 総理の言う戦後体制からの脱却とは何なのか。総理が脱却しようとしている戦後体制とは何を意味しているのか。長年にわたって築き上げてきた平和国家のことでしょうか。それとも、憲法九条のことでしょうか。東京裁判のことでしょうか。あるいは、東京裁判を受諾して結ばれた、我が国の独立のきっかけとなった、お隣にいらっしゃる麻生副総理の祖父吉田茂全権大使が結ばれたこのサンフランシスコ平和条約から脱却するということなのか。そうであれば、サンフランシスコ平和条約を否定することになると思いますけれども、このことについてどうお考えになっているか、お聞きしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今様々な御質問があったのかなと、このように思います。
 まず、戦後レジームからの脱却についてお答えをさせていただきますと、もう来年、戦後七十年、敗戦から七十年を迎えるわけでございます。日本は昭和二十年に敗戦を迎えたわけでございます。そして独立を果たす、まさに吉田茂総理のときに。独立を果たしたのはその七年後であります。言わば、当時としては異例に長い長い占領期間を経た上において日本は独立を果たしたのでございます。
 しかし、果たしてこの独立を果たしたという認識を当時しっかりと持ったかどうかという点にも私は問題意識を持っているわけでございます。七年間がそのままその後の戦後になったのではないか。もちろん、先ほど申し上げましたように、憲法の持つ平和主義、基本的人権そして主権在民、この大切な価値というのは今後も変わることがないわけでございますし、我が党の憲法改正案の中にも脈々と当然生き続けているわけでございます。
 しかし、この七年間の間に、例えば教育基本法が制定をされ、そして憲法が制定をされたわけでございます。そして、教育基本法におきましては、旧教育基本法もある意味立派な教育基本法ではあったわけでございますが、これは日本国の教育憲法という、まさに日本国としての薫りには欠けるわけであったと言わざるを得ないだろうと、こう思うわけであります。
 その中におきまして、第一次安倍政権におきましてこの教育基本法を根本からほぼ全面改正したところでございまして、教育の目的をしっかりと位置付けたわけでございます。教育の目的の中には、例えば公共の精神というものを位置付けたところでございますし、日本の文化や伝統を大切にしていくということも書き込んだわけでございます。まさに、そういう意味におきましては、明確に私たち国民の、日本国民自身の手でどういう目的で教育を行っていくかということを書き込んだと言ってもいいと思いますし、また、家庭が第一義的に子の教育においては責任を持っているということにつきましても、これはしっかりと書き込んでいるわけでございます。
 また、憲法につきましても、先ほど申し上げましたこの三つの原則というのは、当然これは大切な原則であり、そのことによって日本は平和国家としての道を歩み続けてきたわけでございますが、しかし同時に、この憲法自体が占領軍の手によって作られたことは明白なこれは事実でございます。その中におきまして、私は、戦後レジームから脱却をして七十年がたつ中におきまして、今の世界の情勢に合わせて新しい、みずみずしい日本をつくっていきたいと、こう申し上げているわけでございます。
 そして、サンフランシスコ平和条約につきましても質問がございました。
 たくさんいろいろと私に問いかけをされたから、根本的な問いかけでありますから、今答弁がどうしても長くなるわけでありますが、我が国はサンフランシスコ平和条約を受諾することによって主権を回復をし、国際社会に復帰したのであり、この条約は今日に至るまで戦後秩序の基本的な枠組みを提供しているものと認識をしております。
○野田国義君 本当にいろいろと論議してまいりましたけれども、何か言い訳というか、長々と言い訳をされるということでありまして、恐らくこれ、この間、あれは西田自民党の委員でしたでしょうか、議員でしたでしょうか、今、安倍政権、確かに経済がうまくいっているということ、もうこれで支持率が高いということなのかもしれません。しかし、この暴走する安倍政権に対しては、非常に多くの国民が心配をしておるということでございまして、責任野党として、しっかりとこれから先も安倍総理にただしていきたいと思っているところでありますので、よろしくお願いしたいと思います。
 ありがとうございました。
○委員長(山崎力君) 以上で野田国義君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(山崎力君) 次に、秋野公造君の質疑を行います。秋野公造君。
○秋野公造君 公明党の秋野公造でございます。お役に立つことができるように頑張ってまいりたいと思います。
 社会保障と税の一体改革が進みます。社会保障、中身の議論も大事でありますけれども、入口の議論も大事かと思います。
 それは、財政再建と持続可能な社会保障ということを両立するときに、その制度を構築するために、社会保障の入口の議論というものは決して、日本の誇る社会保障のアクセスを抑制するよりも、社会保障を使わなくてもいい、すなわち、予防や早期発見、早期治療を進めて健康に生きていくことが社会保障費の抑制につながり、財政改革につながる、そういった観点から今日は質疑をさせていただきたいと思います。
 昨年の二月の二十一日に命を守る大きな決定がなされました。それは、胃がん予防のためのヘリコバクター・ピロリ菌を除菌すること、これが慢性胃炎の段階まで保険適用となったからであります。フリップを出してください。(資料提示)
 資料をお配りをさせていただいております。A3の資料、@と書かせていただいておりますけれども、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、それから胃の過形成ポリープ、そして胃がん、こういったものも結果として全てヘリコバクター・ピロリ菌が原因でありました。図のBを見ていただきますと、ピロリ菌の感染率でありますが、六十代は八割の方が感染をしております、五十代の方は六割が感染をしているということを考えますと、多くの国民がそのリスクを負っているということになります。
 国会で二〇一一年の二月の十日に胃がんの原因がピロリ菌ではありませんかと質疑をさせていただいてから僅か二年間で、たった二年間で薬事承認、そして保険適用まで進めていただいたということにうれしく、そして感謝の思いでいっぱいであります。
 我が国は、二分の一の方ががんにかかり、そして三分の一の方ががんで亡くなるということになります。命を守る取組は重要であります。そういった意味で、この今回の保険適用は、内視鏡を行わないとピロリ菌の除菌さえも保険適用になっていないという背景で、自覚症状もない方も含めて内視鏡を受けることによって早期の胃がんも見付かるという効果も生んでいる状況であります。
 それを踏まえて、まずは厚生労働省に伺いたいと思います。
 医療機関でもしっかり除菌をし胃がんを予防することができる環境が整ってきておりますが、厚労省において、早期発見と早期治療の観点から、ヘリコバクター・ピロリに関する検査と除菌による胃がん予防の必要性についてお答えをいただきたいと思います。
○副大臣(佐藤茂樹君) 秋野委員の御質問にお答えいたします。
 今、秋野委員述べられましたように、これまで秋野議員を含めた公明党の議員の方々を中心に、慢性胃炎又は萎縮性胃炎に対するヘリコバクター・ピロリ菌除菌の効能追加と保険適用の御提案をいただいておりました。
 特に、具体的な動きとしては、秋野議員におかれては、ヘリコバクター・ピロリ菌に関し、平成二十三年二月に質問主意書を提出され、同年十二月には御党のがん対策推進本部から要望書の提出をいただいたという、そういう事実があります。
 質問の中でも述べられておりましたように、昨年の二月に慢性胃炎、萎縮性胃炎に対するヘリコバクター・ピロリ菌除菌の効能追加、保険適用がなされたとおりでございます。
 御指摘のヘリコバクター・ピロリ菌に関する検査と除菌による胃がん予防の必要性について、厚生労働省としても、この胃の症状のある方が医療機関を受診されて、そして内視鏡による診断とヘリコバクター・ピロリ菌に関する検査を受け、必要な除菌治療を受けられることは胃がんの克服という観点からも極めて大事であると、そのように厚生労働省としても考えておりまして、そういう環境を更に整えてまいりたい、そのように考えております。
○秋野公造君 ありがとうございます。
 今、佐藤副大臣から御答弁いただきましたように、症状がある方が進んで医療機関を受診して、どうか胃がんを予防してほしいと思いますが、問題は症状がない方であります。
 そういった意味では、どうこの薬事承認と保険適用の事実を国民に普及啓発をするかということと、あるいは市町村のがん検診、特定健診などでしっかりピロリ菌の感染の有無とかいったことを調べていくことが私は必要ではないかと思っています。
 ピロリ菌の研究の第一人者であります北海道大学の浅香教授と一緒に、「胃がんは「ピロリ菌除菌」でなくせる」という本を出版をさせていただきました。この中で浅香教授が提案していらっしゃるのは、この除菌の効果をしっかり進めていくことができるならば三千億円の経済効果があるということであります。
 お金のことばっかり言ってもとても嫌らしいんでありますが、三千億円の抑制ができるだけでなく、手術が手遅れになる人よりは手術できた方がいい、開腹よりは内視鏡で治療できた方がその人たちの生活も担保できる、内視鏡治療よりも予防した方がもっといいということで、こういった取組はしっかり進めてほしいと思いますが、先ほど申し上げた内視鏡治療につきまして質問をしたいと思います。
 新藤大臣に伺いたいと思いますが、私は自民党と公明党のワクチン議連の事務局長を務めさせていただいておりまして、古屋衆議院議員、ワクチン議連の幹事長でありますけど、一緒に今回の成人用高齢者肺炎球菌ワクチンとそれから水痘ワクチンの定期接種化について、総務大臣であります新藤大臣のところにお願いに行かせていただきました。あのとき大臣は知恵を出し合いましょうといって、非常に厳しい状況の中で御決断をいただいたということをここでお礼を申し上げたいと思いますが、成人用肺炎球菌ワクチンの効果は五千百二十億円もの経済効果があるということ、それから水痘ワクチンは二百九十億円の経済効果があるというだけでなく、それぞれの患者さんにとっては日常の生活をそのまま送ることができるという健康に関わるものでもあります。
 そして、この日本の内視鏡医療というもの、パネルに示させていただいていますのは、胃がんあるいは大腸がん、様々ながんを内視鏡で切り取る、上に書いてあるのがEMRといって内視鏡的粘膜切除術、がんを膨らませ表に出して、スネアという金属のもので縛って焼き切る手法。下のESD、内視鏡的粘膜下層剥離術というのは、内視鏡の先からメスを出して、そのメスを使ってそのがんを剥ぎ取る、そういう手法でありまして、こういった医療が全国どこでも均等に受けることができるのは日本だけであります。ほかの国でも一つや二つの病院、代表的な病院では行われているのかもしれませんが、我が国においては、保険適用というルールの下に、どこでも同じように医療を提供することができるというのはこの我が国の優れた医療制度、そして優れた医療従事者の存在があればということでありますが、こういったことこそが国家戦略と位置付けて、更に力を入れていくべき内容ではないでしょうか。
 資料の裏のページを見ていただきますと、国立がんセンターの内視鏡治療室の斎藤先生のところの教室の絵が出ております。たくさんの外国人が研修に来てこういった手技を覚えて帰っていただくわけでありますが、残念ながら、母国に帰りますと、例えば機械のメンテナンスができていなかったり、あるいはそういう人の手当てができていなかったりして、なかなか進んでいないというのが現状であります。
 もちろん、世界の最先端の医療を入れていくことも大事でありますが、この内視鏡医療というのは日本だけしかできません。日本が最先端の医療を持っているものでありまして、早期治療を受けたい外国の方にもこういったことをどんどん展開をしていくということ、必ずしもお帰りにならないで、修練制度を利用しながら、外国人のお医者さんが外国人に対してこういう日本にしかできない最先端の医療というものを提供していくということは国益にもかなうことだと思います。
 そして、こういった治療は、先進医療を通じて保険適用になった背景から、五センチより大きいがんを切り取ることは、今後、それを認めるスキームはありません。しかしながら、実態としては六センチでも八センチでも十センチでもできるお医者さんはたくさんいるわけでありますから、こういうことを特区で認めていくと、それは国民に対してもメリットがあるということであります。
 規制緩和によって国民の健康を守り、そして海外展開を行い、経済効果もあるこういう内視鏡医療を国家戦略にしっかり位置付けて展開していくべきではないかと思いますが、新藤大臣の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(新藤義孝君) とても良い提案をいただいていると思っています。
 まさにそういった我が国が誇るべき最先端のいろいろな技術、それは医療の分野、教育の分野、あらゆる分野にあると思いますけれども、それを受け入れながら、そして新しい経済も、そして皆さんの健康も含めて良い結果が得られるように、まずはその扉を開こうというのが国家戦略特区であります。
 現在、総理の御指示の下で、三月中に第一弾の特区の決定をしたいと、このように思っているわけでありまして、それはどこが決まるか、どういう内容になるのかはその結果をお待ちいただきたいと思いますが、いずれにしても、この特区の基本計画において、国際的なイノベーション拠点の整備、医療等に係る国際的イノベーション拠点の整備というものは基本方針に定められております。
 ですから、そういった中でこの特区が決まり、それは規制緩和だけではなくて、そういう特区の中にいろんな方たちが入ってきていただいて、そのプロジェクトを膨らませていただきたいと、このように思っているわけでありまして、是非、みんなのために役に立つことであります、そして私たちの国の将来が開いていくような、こういったものをしっかりと取り組んでまいりたいと、このように考えます。
○秋野公造君 ありがとうございます。
 優れた日本の医療の中でも、機械を使って行う医療というのは更に優れているということが言えるかと思います。
 もう一つ提案をしておきたいのが、睡眠時無呼吸症候群に対する治療であります。配付資料のとおり、このFの上にありますが、これ日本人の男性、日本人の肥満度というものは上がっている状況でありまして、この疾患というのは今後も増えてくることだと思います。
 そして、下の資料、トラック協会の運転手の方の頻度でありますけれども、一割の方が中等症以上の状況であるということを考えると、これはもう慢性疾患として捉えるべき状況に来ているのではないかと思います。
 そして、右上にありますそういった機械を使って治療をしていくわけですが、ちょっとめくっていただきますと、ずっと圧力を気道に掛け続けることによって気道を開いて、呼吸をしっかり確保することによって安定した深い睡眠を得ることによって睡眠時無呼吸症候群の治療が行われているわけでありますが、先ほどの、戻っていただきますと、八ページのところに様々な、高脂血症や高血圧やそういった様々な、ひいては死亡をしてしまうようなことにも起こり得るような睡眠時無呼吸症候群の治療体制をしっかり整えるということは、予防にもやはりつながる話であります。アジアにおいても肥満度は増えてきている状況でありますから、この日本の機械が必要になりますと、アジアでもしっかり経済効果があるんだろうと思います。
 そして、規制緩和の観点から申し上げますと、この治療を受け続けるためには一か月に一回外来受診をしなくてはなりませんが、実態としては機械の管理が中心になるということを考えると、必ずしも病院受診、対面で行う必要はなく、例えばインターネットを使ったり、電話とかそういったような、あるいは遠隔医療などの対象として検討をしてみるということもあるのではないかと思います。それが可能であれば、日本人の一%が今海外でビジネスマンとして暮らしたり海外で住んでいる状況であります。海外で頑張るビジネスマンでこういった疾患を持って、日本にいれば治療が受けられるのに海外にいるから受けられないような方々に対しても適用を拡大する可能性があるんじゃないかと思います。
 今、もう既に御答弁をいただいたところでありますが、こういったことも国家戦略に位置付けられるのではないでしょうか。改めて答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(新藤義孝君) 私も、その無呼吸症候群というんでしょうか、迷惑を受けたこともありますし、もしかしたら自分も迷惑を掛けているのかもしれません。
 しかし、そういう医学的にきちんとした処置をしていただけること、また、そういう今の委員のお話は楽しい話でもありますよね、健康ですけれども、健康につながる話ですが楽しい話でもあります。こういったものをやっぱり国がどんどんと取り入れて、より使いやすくする。また、特区というのはまずはそれを試してみようと、こういうことでもあります。大いなる実験場でもあるわけでありまして、今後、特区が決まり、そうするとその事業ごとに特区会議というのができます。そういう中でこの計画を更に深掘りしていく、その際には是非検討をさせていただきたいと、このように考えます。
○秋野公造君 外国人の方が特区に来て、例えば、この睡眠時無呼吸症候群の診断をしっかりしていただいて、機械をお持ち帰りになって、その国で活躍をしていただく、こんなことも友好にもつながるのではないかと思います。
 次のページの資料十一を見ていただきますと、この方は私の友人で北九州市に住む、先天性ミオパチーの会の伊藤亮代表であります。先天性ミオパチーは、難病ではありませんが小児慢性特定疾患ということでありまして、手足の筋力が落ちていくのではなく、体の体幹の筋肉が落ちていくということでありまして、心臓や肺には異常はないのですが、呼吸をさせるための筋肉が弱ってきますと呼吸の能力が落ちてくるということであります。
 改めて、手や足の力というのは必ずしも落ちないといったような状況を考えるときに、こういう、日本は気管切開、気管に穴を空けて人工呼吸器につなぐ割合が海外と比較しても多いということが言われていますが、この伊藤代表が付けているようなこういうマスク型の人工呼吸器がありますと、こういったものが更に軽量化、小型化できますと、外にも、例えば腰に付けるような形で外出も可能になったり、そして日本でこういう機械が、なかなか日本製でないことから、日本人に、顔に合うマスクができていないという状況もありまして、なかなかこういう患者さんへのフォローというものができていないのが現状であります。
 日本版NIHも発足しようかとしています。いきなり元気な方が気管切開に陥ってしまうような現状を何とか乗り越えさせてあげたいと思います。日本は、小型化やあるいは軽量化する能力というものは技術的に非常に高い能力があります。NIHなどができましたならば、こういうようなところに、こういう野心的な医療機器の開発にも是非力を入れていただきたいと考えますが、官房長官の決意を伺いたいと思います。
○国務大臣(菅義偉君) 今委員御指摘のような気管切開を伴わない人工呼吸器を始め、医療現場には様々なニーズがあるということは承知をいたしております。このようなニーズに対応可能な革新的医療機器を開発することは、健康長寿社会の実現や我が国医療機器産業の国際競争力の強化、ここにつながるものだというふうに承知をいたしております。そういう中で、今般政府は、健康・医療戦略推進本部という法案、さらには日本医療研究開発機構を設置するための法案、この二つの法案を提出をさせていただいております。
 まず、健康・医療戦略推進本部、この本部の下にこの機構を新たに設立をするわけであります。そこで、それぞれの省庁を横断的にまとめ上げて、一体となってこうした革新的な機器を一日も早く日本の中で製造し、そして多くの治療の皆さんに有益なものであると同時に、さらに海外にもこうしたものの展開、そうしたものを心掛けていきたいというふうに思います。
○秋野公造君 ありがとうございます。
 総理に伺いたいと思います。
 日本はこれまで国民皆保険の下、極めて優秀な医療人材を背景にして、そしてこの保険制度に支えられて、様々な世界にできない技術というものがあります。今、予防の観点、あるいは国家戦略の観点、あるいは日本版NIHの観点から様々実例を挙げて御提案をさせていただきましたが、日本はこの優れた医療、そして技術を国内と海外にしっかり展開をしていくべきだと私は信じます。日本こそ医療で世界をリード、牽引すべきであると思います。総理の御所見と決意を伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 委員のおっしゃるとおり、我が国は世界に冠たる国民皆保険制度の下に、世界最高レベルの健康寿命、そして保健医療水準を達成をいたしました。これは、我が国が戦後、健康増進や予防医療を推進するとともに、多くの人が医療サービスを受けられる環境を整備をしてきた成果であろうと思います。
 今後は、日本は、再生医療の実用化等を世界に先駆けて進めていくとともに、長年培ってきた日本の経験と知見を生かして医療の分野で国際貢献を果たしていくことが重要な課題であると思います。
 具体的には、先端医療の移転や医薬品、医療機器の供給だけではなくて、国民皆保険制度そのものや、あるいは薬事規制のノウハウの移転など、法制度全般の整備を含めてパッケージで輸出をしていく、そしてそれは世界の人々の健康増進にも寄与するということではないかと思います。
 昨年十一月にカンボジアを私は訪問した際、日本の協力による国立母子保健センターを訪問をいたしました。日本から派遣された、そして活躍をしている医師や看護師の方々にもお目にかかったところでございますが、このように相手の国の皆さんに喜んでいただけるような医療の国際展開を進めていきたい。カンボジアにおきましても乳幼児の死亡率が低下をしているという顕著な我々の貢献の成果も出ているわけでございまして、アジア各国に貢献をいたしまして、国際社会において我が国が尊敬と信頼を得ていくことにもつながります。しっかりと取り組んでいきたいと思います。
○秋野公造君 ありがとうございます。
 規制緩和によって国民の健康を守りながら海外に展開をして、それが結果として国力につながるということがすごく大事だと思います。
 リサイクルと防災の観点から、少し提案を一つだけしてみたいと思います。
 最後の資料を見ていただきますと、これは私が毎日素振りをしております竹の、木刀の形をしていますが、これは竹で、竹の木刀であります。長崎県諫早市の防具メーカー、三恵さんの商品でありまして、大変重たいものでありますが、木刀の代わりになりますから非常に堅さも担保されております。
 今日お持ちをしたかったんですけれども、危ないので持ってきませんで、今日は小さい、これも竹を圧縮することによってできた建材の見本でありますが、この木刀も、竹刀も一本の竹を圧縮することによってできたものであります。こういったものを使うことができないかという提案であります。
 北部九州豪雨災害というのは、間伐材が山に残ったことによって、それが川に流れ出して上流を詰めて、流れるところを失った水が水害を起こしました。それによって、今、様々な国産材を使う、あるいは木材ポイントなどの導入もしていただいて大変に喜んでいただいているところであるかと思いますが、もう一個考えなくてはいけないのは、竹林が増えてきているということであります。根っこが非常に浅いので保水力が非常に下がってしまって、里山が荒れているような現状もあるんだろうと思います。
 こういった竹山を少し減らすという意味で、防災対策と掛け合わせることによって、そして長年掛かって育つ木とは異なり、すぐに育つ竹でありますので、非常に様々な経済的な効果もあるのではないかと思います。
 木材ポイントの次には竹ポイントを提案をしたいと思いますが、林大臣の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(林芳正君) 竹の有効利用を推進することは、今委員がおっしゃっていただいたように、森林の適正な整備図る上でも非常に大事だと、こういうふうに思っております。私の印象でも竹林は進むのが速いものですから、森林がやや押されるようなこともございますので、しっかりと利用していくと。
 竹木刀、ちょっと見せていただきまして、こんなものを素振りをされているんだなと思いましたけれども、かなり重い、堅い、しっかりできたものでございましたが、そこに作られている圧着加工技術、これは木刀にとどまらず家具やフローリング、今お見せいただきましたけれども、そういうものにも使われておりまして、ちょっと私の地元の例で恐縮ですが、山口県の萩市では、竹集成材の曲げ加工による家具なんかを製造してヨーロッパにも進出していると、こういう例も出てきておるようでございまして、こういう新たな用途で利用拡大が図られるように、木材輸入品に比べてちょっと割高だと言われておりますこの材料、竹材について、流通構造の改善に向けた取組等への支援を行っているところでございます。
 竹の利用ポイント制度については、どういうような施策が効果的なのか検討したいと思いますので、まずは事務方に検討を指示したいと、こういうふうに思います。
○秋野公造君 大臣、言っていただきましたが、竹を扱うことができる職人がもうほとんど減っている状況であります。剣道の必修化もできた時期において、粗悪な竹刀あるいは粗悪な防具が入ったことによる事故なども起きているようでありまして、やっぱり優秀な職人さんの腕というのはキープしておかなくてはいけないのではないかということを申し添えておきたいと思います。
 様々な施策を通じて国力を高める努力をしていただきますよう改めて政府にお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○委員長(山崎力君) 以上で秋野公造君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(山崎力君) 次に、荒木清寛君の質疑を行います。荒木清寛君。
○荒木清寛君 公明党の荒木です。
 私は、中小企業対策を中心に何点かお尋ねいたします。
 まず総理に、昨年六月に決定されました日本再興戦略では、五%以下にとどまっております日本の開業率を米英と同レベルの一〇%台にまで引き上げるとしております。もう是非やっていただきたいんでありますが、これも黒字企業倍増と同じように目標年次を定めていただきたいということと、どうやってこの開業率倍増に取り組んでいくのか、その総理の強い決意をお尋ねします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 成長戦略の実現に向けまして、新事業の創出は極めて重要であります。政府一丸となって、起業家に資金や経営ノウハウを提供する仕組みづくりを始め様々な施策に取り組んでいるところでございまして、例えば、新たに創業を行う方が、創業補助金によってそういう方を支援をするとともに、個人保証偏重の慣行も改めて、これはもう日本において、日本の特徴なんですが、個人保証があるがために、万が一うまくいかなかった場合はもうこれは大変な運命が待っているということで、慎重になってしまうということもあります。
 開業率一〇%という目標の達成時期については、政府の施策だけではなくて社会の起業に対する意識の改革も必要とされるため、あらかじめ期限を決めているものではありませんが、できる限り早い目標の達成に向けまして、起業家教育を通じた起業意識の醸成を含め、我が国をベンチャー精神あふれる起業大国にしていきたいと、このように決意をしているところでございます。
○荒木清寛君 総務省の就業構造基本調査によりますと、起業希望者、創業希望者が、一九九七年と二〇一二年で比べますと半減しているわけですね。これはもう創業したいという人がそもそも少なくなっているわけですから、そういう希望を持つ人を育てなければいけないという意味では、もう初等教育からそういう起業教育を考えなければいけないと私は思うんです。
 スウェーデンにおきましては、もう小学生からそうした起業教育をしておって成功しておるという話でありますから、そうした先進事例も参考にしながら、早い段階でそういうチャレンジ精神を養うような教育をすべきだと考えますが、いかがですか。
○国務大臣(下村博文君) 御指摘のように、我が国の経済活力の源泉を創造する上で起業家の育成は不可欠であり、起業につながる教育を初等教育段階から発達の段階に応じて体系的に実施することは重要であるというふうに思います。
 荒木委員御指摘のとおり、スウェーデンにおいて基礎学校、日本の義務教育でありますが、教育課程においては、子供たちの好奇心や創造力、自尊心、決断力を高めることを重視し、高等学校の教育課程においては、法律、会計、マーケティングや新たな発想やビジネススキル、焦点を当て、各学校段階における起業家教育の重要性と起業家教育の推進に必要な取組、盛り込んだ戦略が策定されているというふうに聞いております。
 我が国においては、現行の学習指導要領において、学校の教育課程全体を通じて、児童生徒の思考力、判断力、表現力や学ぶ意欲等の育成を特に重視するとともに、初等教育段階において例えばキャリア教育に取り組むことにより、一人一人の社会的、職業的自立に必要な基盤となる能力や態度の養成に努めているところでありますが、まだまだ率直に言って不十分なところがあるというふうに思います。
 今後とも、このスウェーデンの事例も参考にしつつ、起業につながるような教育の充実に更に努めてまいりたいと思います。
○荒木清寛君 先ほど総理は、この創業・起業支援として、個人保証に依存をしない、そうした融資の普及ということを言われまして、賛成でございます。経営者保証に関するガイドラインが二月一日から適用開始となりました。これは、中小企業庁、金融庁も関与しまして、商工会議所と金融機関で研究会を立ち上げてガイドラインとして決めたものでございます。
 このガイドラインでは、法人と個人が明確に分離されている場合等に経営者の個人保証を求めないことを決めまして、中小企業の活力を引き出すことを目的としております。この点は公明党もマニフェストでうたい、私も何回か国会で質問したことでありまして、個人保証、経営者保証の段階的廃止ということに取り組んでいきたいと思います。
 ところで、二月一日にガイドラインが適用開始となりました。その後、一か月半たっております。これまでの利用状況、これは、新規に借りる場合だけではなくて既存の経営者の保証も抜いてもらいたいと、こういう申出をした場合にも適用するとなっておるんですが、現在における利用状況はどうなっておりますでしょうか。また、私、現場に行きましてこの話をしましても、ほとんど社長さん知らないわけでありますけれども、このガイドラインの周知状況についてどうなっておるのか、大臣から御説明を願います。
○国務大臣(茂木敏充君) せっかくの機会ですから、今日テレビ中継もあるようなのでもう一度周知をしたいなと思っておりますけれど、今年の二月から運用を開始しました御指摘の経営者保証に関するガイドライン、これは、お話しいただきましたように、個人と法人の資産等が明確に切り分けられている、こういった一定の条件を満たす場合には経営者の個人保証を求めないということでありまして、これまでの個人保証に依存してきた従来の融資慣行、これを改善する画期的な取組だと考えております。
 経済産業省としては、まず、政府系金融機関に対しまして本ガイドラインを踏まえた積極的な対応を要請しているところでありまして、日本政策金融公庫及び商工中金では、経営者の個人保証を免除、猶予する特例制度を実施をいたしております。
 この一か月の実績でありますが、二月一日以降、二月末までの一か月で全体で三百九十三件、三百五十四億円の実績を上げております。なお、この中で、委員御指摘の既存の経営者保証の解除、これが三十四件、六十四億円、これを含んだ数字となっております。
 政府系の金融機関に対しては、民間金融機関の模範となるように、引き続き積極的な対応に努めてもらいたいと考えております。
 その上で、このガイドラインの周知でありますが、これからも続けていきたいと考えておりますが、一月から二月にかけまして、金融庁と合同で中小企業・小規模事業者、さらには金融機関などを対象にしまして、全ての都道府県で説明会開催をいたしました。また、中小企業庁のウエブサイト特設ページ、ここも開設して、そこでも御覧いただけるような状態になっております。
 また、このガイドラインを御紹介申し上げるパンフレット、これも四十五万部刷りまして配布を行っているところでありまして、その周知にこれからも努めてまいりたいと考えております。
○荒木清寛君 一部にはこのガイドラインのハードルが少し厳しいのではないか、こういう声もありますので、今後の運用状況をしっかり見極めて、また対応をお願いいたします。
 次に、総理に、六月になりますと成長戦略が改訂されるわけでありますが、私は、その大きな柱に人材の育成、教育ということを位置付けていただきたい、このことを訴えたいと思います。もちろん、政府は、総理は、このグローバル人材の育成ということをこの成長戦略の改訂の重要な政策にする、このように聞いておりまして、それは大賛成でございまして、しっかりやっていただきたいと思います。
 ただ、現実には、グローバル人材になるという人は全部ではないわけでありまして、全員の方が英語を使って仕事をするようになるわけではないわけです。したがって、この人材全体の底上げ強化をするには、やはり早い段階の初等中等教育の強化ということをこの成長戦略の中にも私は位置付けていただきたいということを今日問いたいわけでございます。
 今、政府では教育再生実行会議も行われておりまして、私も注視をしておるわけでありますが、そういう初等中等教育における基礎教育の充実、また、先ほど一部文科大臣からもございましたけれども、キャリア教育といいますか、社会に出ての実践的な職業訓練の基礎となるような教育の充実ということをこの成長戦略の中にも私は是非、私はもう最大の柱がそこではないかと、そういう信念を持っているわけでありますが、この点、文科大臣と、また総理からも見解を伺いたいと考えます。
○国務大臣(下村博文君) ありがとうございます。
 まさに成長戦略は、やっぱり人材育成がキーだというふうに思いますし、そのように是非位置付けるように努力をしていきたいと思います。
 昨年六月に閣議決定されました日本再興戦略におきまして、グローバル化に対応する人材力の強化のため、初等中等教育段階からまずは英語教育の強化が盛り込められたということを受けまして、文部科学省として、昨年十二月に英語教育改革実施計画を発表いたしました。初等教育段階からグローバル化に対応した教育も進めていく必要がやはりあるというふうに思います。
 また、この初等教育は、一人一人の有する能力を伸ばしつつ、社会において自立的に生きる基礎を培うとともに、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うことを目的としているわけでございます。このことを踏まえ、各小学校では、学習指導要領に基づいて基礎的、基本的な知識、技能の習得や思考力、判断力、表現力等の育成、学習意欲の向上等に取り組み、子供たちの確かな学力の育成に努めているところでもございます。あわせて、委員御指摘のように、早い段階からキャリア教育にも取り組む、一人一人の社会的、職業的自立に必要な基盤となる能力や態度の育成に努めることも必要であるというふうに思います。
 今後とも、各学校におけるこれらの取組を支援しつつ、初等教育の一層の充実を図ってまいりたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさに御指摘のとおりでありまして、我が国の成長そして発展を目指していく上におきまして、可能性に満ちた若者たちがグローバルな舞台で活躍できる、そういう人材を育てていくことは極めて重要だと思っております。
 安倍内閣におきましても、安倍内閣の下で設置をいたしました教育再生実行会議において、大学教育の在り方に関する検討の中で、グローバル人材の育成についても議論を深め、昨年五月に提言をいただいたところでありますが、この提言を踏まえまして閣議決定をいたしました日本再興戦略では、早くから英語教育をというところでございますが、小学校で英語教育の開始学年を早める、そして中学校の英語教育では英語を使って授業を行う、そしてさらに、意欲と能力のある高校生、大学生等に留学機会を与えると政策を記載をしているところでございまして、このようなグローバル人材の育成は今後も成長戦略として重要な政策になると、このように思います。
 また、英語教育の充実や留学の促進のみならず、世界トップレベルの学力と規範意識を身に付けることも重要であるのは当然でございまして、将来子供たちが社会において自らの夢を実現できるよう、教育再生に取り組んでいきたいと思います。
○荒木清寛君 また改めて申し上げますが、初等中等教育におきましては、貧困による学習環境の格差ということが今大きな問題でありますから、そうしたお子たちへの支援もしっかりと位置付けてもらいたいと考えます。
 次に、今日も何回か議論になりました。私は、復興特別法人税の前倒しの廃止、現在参議院で審議をしておりますけれども、これは英断であった、このように思います。しかし、その前提は企業の賃上げということでございまして、まさに今春闘がこの山場を迎えておるわけでございますけれども、現時点で復興特別法人税の前倒し廃止の前提となる賃上げの状況について総理、政府としてどう評価をしておるのか、お尋ねします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 荒木委員、そしてまた御党にも御協力をいただきまして、我々は昨年、復興特別法人税一年前倒しの廃止を決定したところでございます。国民の皆様からも御批判をいただいたわけでございますが、デフレから脱却をするためには、どうしても四月から賃金が上がっていく、この景気の好循環をつくっていかなければなりません。それにはやはりきっかけが大切でありまして、我々は様々な御批判がある中におきまして、これを思い切って決断をする中におきまして、これはしっかりと企業の皆様には、皆さんの企業の収益の改善を賃金に結び付けていただきたいと強く要請をしたところでございまして、昨年、政労使の懇談会におきまして、そうした認識を共にすることができたわけでございます。
 一昨日、自動車、電機など各産業の大手主要企業において、労働組合の要求に対しまして賃金及び一時金に対する回答が一斉に示されたところでございます。今般の回答は、例えば金属労協の速報によりますと、月例賃金につきましては、これまでに回答のあった五十二社のうち四十九社でベースアップ又は賃金改善を実施するものであります。一部においては労働組合の要求に満額で回答した企業もあります。年間一時金につきましても前年比増の回答がほとんどの企業で行われており、労働組合の要求に満額回答した企業も出ているという内容でございます。
 この数年間ベアという言葉はほとんど死語であったわけでございますが、近年まれに見る給料アップが実現をしたわけでございまして、更なる賃上げの風がしっかりと、これは中小・小規模事業者にもしっかりとこれは吹いていくように我々も努力をしていきたいと、このように思います。
○荒木清寛君 しかし今、全体として見ればまだ一部という評価になると思うんですが、今総理がおっしゃった中小企業にまでそれが及んでいくフォローアップというのは、今後どう取り組んでいかれますか。
○国務大臣(茂木敏充君) 今総理の方から答弁させていただいたように、いい形のスタートアップにはなっていると思っております。トヨタ二千七百円、そして日産三千五百円、ホンダ二千二百円、電機主要六社がそれぞれ二千円という形でありまして、これが今度は中小企業にも広がっていくということが大切でありまして、我々として政労使の会議におきまして、また個別の企業に対しても企業収益の改善、こういったものを賃上げと同時に取引先中小企業との取引条件の改善につなげてほしい、こういう要求も行っておりますし、既に親会社二十万社に対しまして、書面で私の方からそういった要請も行っているところであります。
 今後のフォローアップについてでありますが、主要企業千八百社につきましては既に調査票をお送りをしているところでありまして、それを取りまとめまして、収益の改善状況、そして賃上げの状況、五月には企業名も含めて公表できればと考えております。中小企業・小規模事業者の場合、どうしても大企業の動きを見てから交渉が始まったりいたしますので若干タイムラグが出てまいりますが、アンケート調査等々を行いまして夏には適正な形でその結果も御報告できればと、こんなふうに思っております。
○荒木清寛君 茂木大臣にもう一問お聞きしますが、中小企業の先ほど取引条件の改善とおっしゃいました。仕事はあるんですけど、原材料が高騰している又は輸入エネルギー価格が高騰しているということで収益が圧迫されているという企業は多いわけでありますが、こうした取引条件の改善には更に一層取り組んでいただきたいのですが、どうしていただけますか。
○国務大臣(茂木敏充君) 製造業を中心にいたしまして、下請中小企業・小規模事業者が燃料費、原材料費の仕入価格の上昇分を十分販売価格に転嫁できない、こういう声があることは御指摘のとおりだと思っております。このため、経済産業省といたしましては、今年の一月から三月にかけまして自動車産業等十三業種の下請適正化ガイドラインの改訂、これを行っているところであります。この改訂では、各業界の取引実態を踏まえて、原材料価格等の上昇分の価格転嫁について下請代金法上の問題となる具体的な事例、盛り込んでいるところであります。
 さらに、これを実効性を持たせるということが極めて重要だと考えておりまして、そのための周知活動、それから企業ごとの個別の御相談にも丁寧に応じるようにいたしますし、違反行為に対しましては立入検査も含めて厳正に対処したいと、そのように考えております。
○荒木清寛君 終わります。
○委員長(山崎力君) 以上で荒木清寛君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(山崎力君) 次に、松沢成文君の質疑を行います。松沢成文君。
○松沢成文君 みんなの党の松沢成文でございます。
 私は、先日の予算委員会で、この席で、国が多くの株を持つ、財務省の監督下にあるJT、日本たばこ産業株式会社、この経営内容について様々な問題があるということを御指摘させていただきました。そして、その質問の最後に、やはりJTの社長さんをこの委員会に参考人でお招きして様々質問をしないとJTの実態は分からないということで、参考人の招致をお願いしましたが、理事会で協議が調わずに、残念ながら今日、JTの社長さんはいらしていただいておりません。ただ、今日は行政改革が一つのテーマでありますので、やはり私は、このJTという会社、今のままではまずいと思いますので、更に質問をさせていただきたいと思います。
 先日の委員会で、JTの社長の報酬が一億五千六百万円、この中にはストックオプションまで付いていると。同じ国の特殊会社である日本郵政あるいはNTTの社長さんの給与は一億円行っていません。断トツに高いんですね。そして、取締役の平均報酬も六千二百七十万円、これもNTTや日本郵政よりもぐんと高い。JTはすごい高額な報酬を役員や社長に出しているわけなんです。
 さて、もう少し伺いますけれども、これ財務省の方に伺いますが、JTの顧問あるいは相談役の人数、あるいは勤務日数、合計の報酬額及び平均の報酬額を教えてください。
○政府参考人(林信光君) JTに確認したところ、現在、まず相談役はいないということでございます。顧問でございますが、役員経験者の顧問が七名、専門知識や職歴を生かしたアドバイザーとしての顧問が二十七名、合計三十四名が顧問として在籍しているということでございます。
 勤務日数について確認いたしましたところ、役員経験者の顧問のうち報酬を得ている三名についてはほぼ毎日勤務実態がある、その他の専門知識等を生かしたアドバイザーとしての顧問については、勤務形態や契約内容がまちまちであるため、平均的な勤務日数を示すことは困難ということでございました。
 また、顧問の報酬につきましてJTに確認したところでございますが、役員経験者の顧問七名のうち報酬を得ているのは三名であり、合計報酬は二千四十万円、平均いたしますと六百八十万円、それ以外の顧問二十七名の合計報酬額は二億三百十九万円、平均報酬額は約七百五十万円と聞いております。
○松沢成文君 顧問が何と二十七人。日本郵政の顧問の数が二十三人でかなり議論になりましたけれども、これだけたくさんの顧問がいる。その中で、役員経験者といいますか、社長、会長の経験者、私が把握するところ五人ですね。そのうちの四人が旧大蔵省あるいは財務省のOBであります。俗に言う天下りの方なんですよね。顧問の平均報酬等とは、たくさんいろんな種類の顧問がいるのでそんなに多くないようでございました。
 さあ、そこで、今日は官房長官にお出ましをいただいております。先般、官房長官は、日本郵政グループ三社の顧問が二十四人もいて、それで報酬の総額が二億三千万、一人当たりにすると一千万近い報酬を得ていると、これは高過ぎるということでありました。それで、それを総務大臣に指示して、総務大臣の指示もあったのでしょう、顧問の方は全員辞めたということでございます。
 さあ、そこで官房長官、顧問の平均の報酬額は、JTは日本郵政よりも高くなかったですね。ただ、社長が何と一億五千六百万円、ストックオプションまで付いている。それから、役員の平均が五千百九十万円ですね。JTを監督する財務大臣の報酬は三千万ないそうです。監督されるJTの社長の報酬が何と一億五千六百万円、役員の報酬、平均報酬ですら五千百九十万円。財務大臣や官房長官の報酬よりもぐっと多いわけですよね、監督されるJTがね。
 これ、官房長官どう思いますか。私は、やはりこれは多過ぎると。だって、国が監督する特殊会社ですから、そういう意味じゃJTもNTTも同じ現業を担当する特殊会社なんですね。ですから、ここは、総務省に顧問の数も給与も多過ぎると、しっかり改革せいと官房長官言ったわけですから、ここは、今度財務大臣にJTの社長もあるいは役員の報酬も多過ぎると、改革せいと一言言っていただくと、私は改革が進むんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(菅義偉君) 私はさきの予算委員会の中で、いわゆる日本郵政については今委員の指摘のようなことを申し上げました。それは、日本郵政は一〇〇%国が株式を保有をしております。そして、これから株の上場を目指している、そういう会社でありますから、経営の効率化だとか透明化というのは強く求められる会社である、そのように考えておりましたので、幾ら何でもそこはしっかりと、国民にとって大切な会社ですから、説明する責任があるということを私は申し上げました。
 一方、JTでありますけれども、平成六年に株式を上場し、既に民間の方が三分の二株式を所有をしております。そして、市場にさらされているわけでありますから、長年会社としてのやはり経営判断というものは、そこは尊重されるべきだろうというふうに思います。日本郵政とは全く違うというふうに私は考えておりますので、必ずしも同列に議論することは、これはやはり違うんだろうというふうに思います。
 しかし、このJTといえども、特別な、今言われましたけれども、この法律に基づく会社であることはこれ事実でありますので、その経営が適切に行われていくよう会社の状況に応じて所管大臣に必要な指導監督が行われるべきであろうというふうに思います。
○松沢成文君 まあ、株式上場を目指して経営の効率化を図らねばいけないときに、大勢の顧問や高額報酬を得ているのは全く国民に理解されないと、こういうふうに先般言っているんですね。確かに、まだ日本郵政は全部国が株を保有しています。一方、JTは三分の一ですね。こっちの方が民営化が進んでいるといえば進んでいるんです。
 ただ、経営の効率化を図らなければいけないのは、株を何%保有しているからじゃないんです。JTだって経営の効率化を図ってもらわないと、国は筆頭株主ですから、非効率な経営をしていて株価が下がれば損をするのは国民なんです、三分の一の株を国が持っているわけですから。ですから、そういう意味では、全部上場していない会社と、国が持っている会社ともう民間に上場している会社、ここは違わないんですね。経営の効率を図らなければいけないのは、これ両方ともそうなんです。株価が下がれば政府の保有する株式の資産としての価値も下がるので、これは国が利益を損なうことになるわけですね。
 私、ある文書を発見したんですけれども、昨年、JTの株を、政府保有株を二分の一から三分の一に下げました。これは復興財源に使っていこうということだったんですけれども、そのときに、財政審議会、財政制度審議会ですか、JT株の政府保有義務見直しに関する留意事項というのが出ているんですね。その中で、政府が株式を保有している以上は、JTの事業運営が適切に行われるよう株主としての権利を適切に行使する必要があると、こう出ているんです。ですから、政府が株式を持っている以上、JTの放漫経営は許されないんだと。株主として、社長の報酬高過ぎるんじゃないか、役員の報酬高過ぎるんじゃないか、これ厳しく指摘しなきゃいけないんです。そういう意味では、株をどれだけ持っているかという問題ではなくて、政府が株を持っている以上、特殊会社なんですから、しっかりと指導していただきたいなというふうに思います。
 委員長、官房長官お忙しいでしょうから、ありがとうございました。
○委員長(山崎力君) よろしゅうございますか。それでは、御退席いただいて結構でございます。
○松沢成文君 さて、総理、今官房長官からお話もありました。今、日本政府が株を持っている現業の大きな特殊会社というのは、日本郵政、そしてNTT、それからJTと三つございます。それで、私は日本郵政に対して、顧問が多いとか、あるいは顧問報酬の総額が多いとか、こうやって政府を支持しているわけですね。改革を支持しているわけです。そうであれば、同じ特殊会社、政府が監督権限を持っている会社、これについてはやはりしっかりと同じ基準で改革を促さなければ私は不公平だと思うんですよ。
 実は、JTの顧問の中に総理の少年時代の家庭教師であった本田勝彦さんもいらっしゃるんですね。こうやって関係者もおられますけれども、私は、JTの役員あるいは顧問、相談役も含めてしっかりと、国の特殊会社としては余りにもやり過ぎじゃないかとこれ訴えていくのが私は総理大臣のリーダーシップだと思いますが、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 日本郵政もJTも資本の全部又は一部が国による出資を受けている特別な会社であり、より高い社会的責任を負う会社であるという点においては共通性があるというふうに考えております。
 他方で、日本郵政はこれから株式上場を目指していく会社であり、株式上場を果たしてから二十年以上市場の評価を受ける中で会社としての経営判断を重ねてきたNTTやJTとは必ずしも同列に論ずることはふさわしくない面もあるのではないかと、このように思います。このため、NTTやJTに対して、その顧問の在り方等について政府として直ちに見直しを求めるといった考え方は持っておりません。
 いずれにいたしましても、NTTやJTについては引き続き市場による評価を受ける中におきまして適切な経営判断がなされていくことを期待をするとともに、それぞれの会社の置かれた状況に応じまして、各所管大臣において必要な指導監督が適切になされていくものと考えます。
○松沢成文君 まあそういう答えですけれども、先ほど言ったように、政府が株式を保有している以上、JTの事業運営等が適切に行われるよう政府が株主としての権利を適切に行使する必要がある、きちっと経営指導をせよというふうに政府の財政審議会の方からこういう方針が出ているわけですね。今後、是非ともその方針にのっとってやっていただきたいと思います。
 総理、私は、郵政事業、電気通信事業、たばこ事業、これ、それぞれ特殊会社でやってもらっているわけですね。郵政事業や電気通信事業、つまり郵便の配達とか電話の事業というのは、これユニバーサルサービスとして公共性があると、民間の論理だけで経営させると過疎地なんかでサービスが滞っちゃう可能性もある。だから、公共性があるから、国も関与して特殊会社をつくってやってもらっているんですね。
 じゃ、それに対してたばこ事業、たばこ事業のどこに公共性があるんでしょうか。私は、たばこは今健康に悪いから消費を抑えて規制をすべき商品なんですよ。それは、昔は税金たくさん取れたし、これ、みんなでやればたばこ事業が国にいい効果をもたらしてくれるというような、そういう時代、専売公社の時代、あるいは専売事業としてやっていた時代、分かります。もう今時代は変わっちゃっているんです。もう世界では、たばこは健康に悪いから規制してできるだけ消費を抑えよう、そういう財なのに、これを国が関与してたばこ事業をやり続けなければいけない公共性がどこにあるのか、私は全く分からないんです。
 総理、それを国民に分かりやすく、たばこ事業の公共性、説明していただけますか。
○国務大臣(麻生太郎君) たばこのお話を今されておられましたので、まずは、仮にも上場している会社に対して、給料が高いのはどうだという話を民間会社にやるのは、給料を上げるという話も今度、やりましたばかりですけれども、どうですかね、仮にも上場している会社ですよ。三分の二の人たちはこの株を持っているわけですから、その人たちが認めた株主総会でこれは多分通っているはずですから、当然のことなんじゃないんですかね。と、まず基本的に、私、監督官庁じゃなくても普通にそう思うと、まずはそう思います。
 それから、税金をとおっしゃいますけど、失礼ですけど、これ、どれくらい税金を納めておられるかというと、神奈川県というのはきっと豊かな県なんでしょうけれども、少なくとも地方ではまず一兆円以上をここから地方税としてみんなたばこから頂戴していると思います。国税としても一兆円はあると思いますね。
 そのほかにも、昔はどうでしょう、少なくともJRもこれ一千億円ずつずっともらっていて、たばこを禁煙にされましたものですから、あなた、金をもらって禁煙にするという、ふざけているじゃないかという話を当時総務大臣か何かとしたような記憶がありますんですが。
 とにかく、いずれにしても、ここらのところが役に立っておらぬのじゃないかというお話ですけれども、間違いなく多額の税金を納めていただいているというのが我々の立場であることもひとつ御理解をいただいておかにゃならぬところだと思います。
 もう一点言わせていただければ、ここはたしかスタートのとき、いわゆる国会議員が差し込んでこのようにしてくれという話で、たしか山中貞則先生だったと思いますけれども、やかましくみんな言われたはずですよ、これ。あの当時、断固差し込むなという話で、これ自由にさせてやれという話だった。
 それで、皆何となくそうなったんだと思いますが、その代わり、葉たばこを作っておられる農家というのがおられるんですが、その葉たばこのあれは全量買い取れと。ところが、御存じかと思いますが、日本の葉たばこはうまくない、そういう評判なんだ。バージニアの方がうまい、安い。みんなあっち買いたいというのは駄目だと、必ず日本のたばこの葉たばこを使ってやるんだという条件も付けられて、葉たばこ業者は今どれくらいいるんだか知りませんけれども、それぐらいの数の補償を全額日本たばこが請け負ったという記憶もありますので、多分そのままになっているはずだと思っております。
 いろんな意味で、これはそんな簡単な話だとは思いません。
○松沢成文君 たばこの公共性の説明には全くなっていないような気がしますけれども、ちょっと先に進みますね。
 それでは、JTというのはたばこ事業を独占的にやるという形でやってきているわけですが、このJTが何と言っているか。
 小泉社長はこう言っているんです。世界ナンバーワンたばこメーカーを目指す。いやあ、勇ましいですね。国際競争力を高めるためには完全民営化が不可欠だと、こうも言っているんですね。現在も、新株発行、たばこの販売価格などの様々な面で国の許可を得る必要があり、国内市場の減少が続く中、経営の自由度を高めなければ生きられないとの危機感を強めている。もうJTは民営化してくれと言っているんです。
 それから、総理の元家庭教師、本田顧問。やっぱり先生だけあっていいこと言っていますよ。問題なのは、国の関与が残っていると社内でエクスキューズに使われるおそれがあることだと。確かにそのとおりだと思います。加えて、JT株放出は国家財政の貢献にもつながると。現在のJTの株は四十万前後で推移しており、政府が保有株式を全て売却すると二兆円ものお金が国庫に入って国家財政にも役立つと言っているんですね。
 木村会長も同じようなことを言っています。JTがたばこの国内生産を独占しているため、こんなことはJTにとって何のメリットもないと。JTが競争力を維持するには、政府は関税の復活とか、ちょっと時代遅れなこと言っていますが、完全民営化に向けた議論を急ぐべきだと、こう言っているんですね。
 今まで、政府の現業を民営化するときに反対していたのはその本体の人たちなんですよ。郵政事業民営化だって、改革派の方か分からないけどこういう議論があると。そうすると、郵政公社が、いやいや、民営化なんかにしちゃ駄目だと、国が関与してやらないと郵政のユニバーサルサービスが守れない。道路公団の民営化だというと、いや、道路こそ公共性があるんだと、道路公団しっかり守らなきゃいけないといって、本体が反対していたんです。
 ただ、これ、たばこについては、本体のJTは、国の関与があるから自由な経営ができないんだと、とにかく早く完全民営化させてくれと本体のJTが言っているのに、それを民営化させない理由がどこにあるんでしょうか。
 たばこ農家とおっしゃっていた。もうたばこ農家は、JTができたとき七万八千軒あった。今財務大臣、何軒だと思いますか。三千軒しかないんですよ。(発言する者あり)あっ、今六千軒しかないんです、六千軒。これ十分の一以下に減っちゃっているんですね。ですから、もうたばこは内外価格差が三倍から五倍ありますから、これをJTに高いお金で買わせて経営しろというのもJTもかわいそうなんです。たばこ農家というのはみんな兼作ですから、たばこだけ作っている農家じゃないんです。ですから、たばこをやめてもほかの農作物でやっていける農家が多いんですね。ですから、こんな古い利権を守り続けていても、これ全く日本のたばこ改革は進まないんですね。
 大臣、本田顧問も言っています。一刻も早く民営化してくれと。やっぱり、一民間会社として世界の中で勝負させてくれと、こうJTの方が言っているんですよ。今、たばこの公共性というのはもう全くなくなって、たばこは規制すべき製品なんです。是非とも、大臣、JTの民営化の方針、これこそが構造改革です。出していただきたいと思いますが、そこは総理大臣として答えていただきたい。
○国務大臣(麻生太郎君) 資産を売ったら二兆円。毎年二兆円入っているんですよ。一回売っちゃったら二兆円で終わりですか。そんな数字違うでしょう、その数字の前提も。毎年二兆円入っているのよ。そうしたら、今売ったらたった二兆円って、それ一回で終わっちゃうじゃない。(発言する者あり)違うじゃない、今の言っている話は。毎年二兆円入ってきているんですよって、それは大きなものですよ、もう。毎年二兆。ちょっと待ってくださいよ、これは。上がるのは、上がるのは……(発言する者あり)もちろんそうですよ。すごく大事なことを言っているつもりなんだから、大事なことを理解するほど小川さん頭悪くないと思いますので。
 はっきり言って、私ども、少なくとも、間違いなく農家というものを見捨てろという話にはなかなか簡単には乗れません。それがまず一つです。
 二つ目。やっぱりたばことして、毎年二兆の収入というのは、この財政厳しい折に二兆を失うということになりかねない。民営化されたら間違いなく潰れないという保証はありませんから。二つ目。
 当然海外からどんどん入ってきますから、それは当然競争をしてもらわなきゃいかぬことは確かですよ。しかし、今間違いなくその競争をした上で、この条件下で間違いなく黒字を出して、利益出しているわけでしょう、利益を。少なくともそれで、これは赤字になるから、大変だからみんなで保護しろと最初に言ったのが、経営能力があったおかげでこの十年間で黒字になったんです、立派な。しかも、国内市場だけでなく海外に出ていった。日本のたばこの売上げが三千億本ぐらいだったものが今二千億本を切ったと思いますけれども、それでも今、黒にしている。
 そして、三千億本が二千億本に減り、喫煙者の、成人男子の約七八%が吸っていたものが今三〇%前後というところまで来たんですが、がんは減りましたかね、肺がんというのは。どれぐらい減ったんです。教えてくださいよ。(発言する者あり)いや、健康に悪いからと言っているから。健康に悪いって、肺がんが悪いからという話だったんでしょう。だから、肺がんってどれぐらい減ったんです。是非僕は教えてもらわないと、これは説得力を持たぬと思いますけれどもね。
○松沢成文君 今の大臣の議論だと、国民の健康よりもたばこ税収とJTからの配当金の方が重要だと言っているんですね。
 今、日本国はWHOのたばこ規制枠組条約に入っているんです。この条約というのは、たばこは健康に悪いから、日本もそれを認めて入っているんですよ。だから、たばこの消費を減らして禁煙化を進めようという条約に入っているんです。その国が、たばこの今までの利権があるから、だから税金も上がってくるし、株の配当金もあるから、そっちの方が大事だからたばこの健康の問題なんか何にもやらなくていいと、こう聞こえますよね。
 ちょっとたばこ利権の構図というのを作りました。(資料提示)これ、皆さんよく見てください。財務省、JT、葉たばこ農家あるいは小売店、そして族議員、この四つがもう完全にたばこ事業法、JT法の下で癒着しちゃっている。財務省は、JTに監督して、製造独占を許し、小売許可を与え、天下りを送っている。JTは、たばこ税を納付して、株の配当金も財務省に納付して、天上がりも送っている。JTとたばこ農家とたばこ小売の関係は、葉たばこの全量買上げ、あるいは小売や自動販売機の許可手続、ここで完全にくっついちゃっているわけです。そして、これを応援する議員の皆さんはJTから選挙で応援してもらい、たばこの農家から、小売商の方々から選挙で応援してもらい、そしてたばこ事業法をみんなで守って利益のたらい回しをしていこうというんですね。
 ですから、これはたばこという財について、社会主義体制でみんなで利益を守っていこうと。だって、生産独占ですもの。社会主義体制ですよ。こんなことをやっている国、日本だけですから、中国以外。今、たばこというのは自由に国際的にたばこ会社が競争しているんです。でも、たばこ規制枠組条約の下で厳しいたばこ規制の中で商売しているんです。日本は、このたばこ利権があるから、まずたばこ税収、それからみんなの既得権益保護で、全くたばこの健康なんということを考えられない状況になっているんですね。これ、岩盤規制という言い方ありますが、岩盤利権ですよ。これこそ利権じゃないですか、皆さん。みんなで、だってたばこと健康の問題なんかどこも考えられていないんですから。
 総理、こういう利権をぶっ壊すのが構造改革なんです。小泉元総理も、道路利権、郵政利権、頑張ってぶっ壊してきたんですよ。もうたばこ、たばこなんかは国が守る公共性は全くないんです、残念ながら。だから、世界の国々では条約を作ってたばこの消費を減らしているんですよ。この構造改革、是非とも総理、やっていきましょう。いかがでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) 残念ながらという言葉は、今のところは不適切な言葉だから取り消されておいた方がいいですよ。
 それから、労働組合による選挙応援というのは、これはそちらは選挙応援してもらっているの。こちらはない。(発言する者あり)みんなの党にはないという話ですね、これは。ああ、そういうことですか。いや、労働組合による選挙応援、自民党には余りないなと思った記憶があったものですから、ちょっと正直、私らにとりましてはなかなか付いていかないところがあったので、民主党の方はあるのかなと思いながら、羨ましいなと思いながらちょっと伺いましたけれども。
 いずれにいたしましても、私どもから見ますと、今のお話で、これが全てたばこ利権の構図として全てでき上がったような話になりますけれども、一番肝腎なことは、私どもは、健康やら何やらに関しては、もうたばこの広告はできなくなった、いろんな形で日本たばこが協力をしてきているのはもう御存じのとおりですよ。
 だから、どんどんどんどんいろんな形でたばこを減らされてきて、現実問題たばこの数量の絶対量は減っていることも確かですから、そういった意味では、私どもとしては、こういったものが、そういった前提でありながら、こういった嗜好品としてこれがまだ少なくともここに存在しておりますので、これを私、愛好している方、二千億本吸っておられる方が世の中におられるわけですから、日本の国内だけで。それで国外でもということになっておりますけれども、私どもとしては、こういったものから確実に得られる、嗜好品から得られる二兆円というお金は極めて私どもにとっては大きなお金だと思って、財政構造改革をやる立場上からいうと、これをぽいという気にはとてもではないけどなれる状況にはございません。
○松沢成文君 このチャートを見てください。たばこ事業法、これに基づいてたばこ利権ができているわけですが、これは、我が国のたばこ産業の健全な発展を図り、もって財政収入の安定的確保及び国民経済の健全な発展に資することを目的とする。そしてまた、日本が二〇〇四年に入ったWHOのたばこ規制枠組条約、その三条の目的はこう書いてあるんです。たばこの消費及びたばこの煙にさらされることが健康、社会、環境及び経済に及ぼす破壊的な影響から現在及び将来の世代を保護することを目的とする。
 これは厚生労働省の担当かもしれませんが、最後はちょっと総理、答えてください。たばこ事業法とたばこ規制枠組条約、これ目的が百八十度違うんです。片やたばこ産業の発展、そして片や国民の健康を守るためにたばこを規制しなきゃいけないとなっているんです。これ、両方やろうとするからダブルスタンダードなんですよ。もしたばこ事業法を守り抜きたいなら、日本は条約から撤退をすべきだし、もし条約に入ってやるんだったら……
○委員長(山崎力君) そろそろおまとめください、質問を。
○松沢成文君 たばこ事業法を廃止すべきなんですよ。総理、これは一国の総理大臣としてどういう方向を目指すのか、答えていただきたいと思います。
○委員長(山崎力君) 時間ですので、総理、簡便にお答え願います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今委員が御指摘になられましたたばこ規制枠組条約は、たばこの健康に対する悪影響を減らして人々の健康を改善することを目指しているものでありまして、各国の実情に応じまして、実情を踏まえ、受動喫煙の防止のほか、健康に関する警告告示、そして広告規制等を行うことを定めたものでありまして、我が国におきましてもこの規制が行われているところであろうと思います。
 一方、たばこ事業法においては、条約に定められた表示や広告等の規制をたばこ事業者に対して実施するための規定が置かれているところでございまして、たばこ事業法はこうした点を、たばこ産業の健全な発展を図るという政策目的を有するものでありますが、こうした点を踏まえれば、条約に矛盾するとは考えておりません。
○松沢成文君 以上で終わります。
○委員長(山崎力君) 以上で松沢成文君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(山崎力君) 次に、渡辺美知太郎君の質疑を行います。渡辺美知太郎君。
○渡辺美知太郎君 みんなの党の渡辺美知太郎です。この度、初めて予算委員会での質問の機会をいただきました。これまで私を御指導くださいました地元栃木県の皆様、日本全国の皆様に感謝申し上げまして、早速質問に入ります。(資料提示)
 こちらは放射線量のマップになります。マップを見るまでもなく、放射性汚染は福島県だけでなく、宮城県、栃木県、茨城県、地図にはありませんが千葉県や群馬県にも汚染は広がっています。このように、放射性物質は地域を選んでおりません。しかし一方で、御存じのとおり、放射性物質の除染や原発被災者の健康を守る子ども・被災者支援法の支援対象適用地域は、県境あるいは市町村単位になって格差が生じています。
 このように、現状と支援体制がかみ合っていない現状をどのようにお考えでしょうか。安倍総理に伺います。
○国務大臣(石原伸晃君) 子ども・被災者支援法の問題につきましては復興大臣の方から御答弁があると思いますが、私からは、いわゆるその県内、県外でメニューが違うかという御指摘に対してまず御答弁をさせていただきたいと思っております。
 特措法に基づきまして、基本的に空間線量が毎時〇・二三マイクロシーベルト以上の地域を指定して除染計画を作る市町村となっております。この地域内では、市町村が実施する除染について、特措法の基本的な方針を踏まえて、環境省がその地域での線量に応じて補助を行っているところでもございます。
   〔委員長退席、理事北川イッセイ君着席〕
 今委員が御指摘されましたような福島県外でも、子供さんの生活環境や線量が比較的高い地域では土の剥ぎ取りや高圧洗浄といったようなものを可能にしております。今現在で見ますと、福島県以外においては、放射能の自然減衰等によりまして線量が比較的高い地域は現在既になくなっているという認識を私どもは持っているところでございます。
○渡辺美知太郎君 御答弁いただきました。
 確かにそのようには聞いております。しかし、環境省の見解では、年間五ミリシーベルト程度の地域であれば福島県外であっても除染ができると、そのように聞いております。しかし、この年間五ミリシーベルトというのは福島県の中でも二〇%にも満たない地域なんです。一方で、福島県であれば年間五ミリシーベルト未満の地域であっても高線量メニューで除染ができるわけです。また、一般的に、国際的に一般人の年間許容被曝というのが一ミリシーベルトになります。
 つまり、福島県外について、今年間五ミリシーベルトの地域は存在しないという理由から、県外では民家について高線量メニューを一切実施していません。しかし、三ミリや四ミリでも高いわけです。制度としては高線量も考えているけど現実としてはやらないと言っているに等しい。国民目線でいえば、これはニーズに合っていないと思うのですが、どのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(石原伸晃君) この問題は、やはりリスクコミュニケーションというものも非常に私は重要だと思ってきております。もっと線量を落としてくれ落としてくれ、そういう御希望がただいまの委員の御指摘のとおりあることも存じておりますけれども、同じ方法で除染を行いましても、やはり物には限度があるということもこれまでの実証で明らかになってきております。そういう不安にしっかりと応えられるようなリスクコミュニケーションを図ることによりまして、今の政府のやり方等々についての御理解を深めていくということが肝要ではないかと思います。
○渡辺美知太郎君 確かに、除染をやっていくと切りがないというのは分かります。でも、もう震災から三年が経過しておりまして、実際にもう各自治体で自腹を切って高線量メニューを適用している、自腹を切ってやっている地域があるわけであります。
 例えば、栃木県北部には那須塩原市という人口十一万人程度の町があります。そこでは、十八歳以下のお子さんがいる、あるいは妊婦さんがいる戸建て住宅では表土除去を自治体が自腹を切っているわけです。この費用ですが、年間八億円程度でありまして、人口十一万人の自治体では八億という金額は大きい。しかし、国全体で考えれば十分支援できる金額ではないのかなと思っております。もちろん、切りがないというのは分かりますが、より柔軟に対応していただければそんなに大きな金額は掛からないと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(石原伸晃君) 放射線に対して本当に国民の多くの方々が不安に思っていらっしゃるということは、私も、福島県以外の地域でもお話を聞かせていただくと、ただいまの渡辺委員の御質問のとおり、あることは承知しておるんです。しかしその一方で、やはりこういうものにはどこかに科学的な根拠というものも一つ重要なファクターとして私は入ってくると思っております。
 その科学的なファクターとして一つ御紹介させていただきますと、IAEAの国際フォローアップミッションの助言を受けまして、除染を実施している状況において、一ないし二十ミリマイクロシーベルト・パー・イヤーという範囲内でいかなるレベルの個人被曝線量も許容し得るものであって、国際基準等に整合したものであるということというようなお話も実は国際機関の中から伺っております。
 また、一ミリシーベルト・パー・イヤーの追加個人被曝線量が長期の目標であり、これは国の長期目標とも一致しておりますけれども、例えば除染活動のみによって短期間に達成し得るものでないことを国民の理解いただくために、先ほどお話をさせていただきましたけれども、そういう話はしっかりさせていただいて、これで大きな障害はないんですよということをやはり理解していただかない限りは、どんなに線量が下がろうともやっぱりこれまでと違うから何とかという御不満、御不安というものがあるものは事実でございますので、そこのところをしっかりと説明、御理解をいただくということが肝要かと存じます。
○渡辺美知太郎君 時間の都合上、次の質問に入ります。
 放射性指定廃棄物最終処分場候補地選定問題について伺います。
 宮城県、茨城県、群馬県、栃木県、千葉県の五県に保管されている放射性指定廃棄物については、放射性物質汚染対処特措法に基づく基本方針により、それぞれの県内で処分されていると思います。現段階では宮城県のみが詳細調査を実施する候補地として県内に三か所挙がっていますが、ほかの県についてはまだ候補地が決まっていません。前政権から引き続き、議論のスタート時点から県内処分でやれという指示について強い反発があります。宮城県内でも今強い反発があり、最終処分場の設置までは難航することが予想されています。
 最終処分場は国の責任で設置するということですが、国としてはいつまでに最終処分場を設置するおつもりですか、いわゆるデッドラインの存在はありますでしょうか、総理に伺います。
○副大臣(井上信治君) 指定廃棄物の問題につきましては、デッドラインということは現在特に設けておりません。むしろ、安倍政権になりましてから、具体的な選定プロセスをゼロから見直そうということで、市町村長会議でありますとか有識者会議を立ち上げて、今丁寧に手続を踏みながら、そして地元の意向を最大限に尊重する形で進めております。そういう中で、なるべく早く結論を出し、しっかり最終処分場を設置するように努めてまいりたいと思います。
○渡辺美知太郎君 選定プロセスということですが、県内処分ありきの姿勢は変わっていないと思います。
 次に、この県内処分について、放射性物質汚染対処特措法には明記されておらず、基本方針に明記されています。この県内処分を行えという指示について、法的な拘束力はないですよね。
○副大臣(井上信治君) この県内処分につきましては、おっしゃるとおり、法律に基づく基本方針、これを閣議決定して、その中に述べているところであります。ですから、これは法律に基づく閣議決定ということで非常に重い決定だというふうに考えておりますので、この基本方針に基づいてしっかり取り組んでいきたいと思っています。
○渡辺美知太郎君 特措法の附則の五条には三年の検討条項がありますが、これ、見直すこともあり得るということですか。
○副大臣(井上信治君) これもおっしゃるとおり、特措法は附則で施行後三年以内に見直しを検討するということになっております。施行後二年余りが過ぎておりますけれども、まずはこの特措法に基づいてしっかりと施策を進めるということで、現時点において具体的な見直しは考えておりません。
○渡辺美知太郎君 ただ、状況によっては処分場の決定プロセスについても見直される可能性があるということでよろしいでしょうか。
○副大臣(井上信治君) 現時点ではそのプロセスについて見直すことは考えておりません。むしろ、安倍政権になって、そして新しく出したそのプロセスに基づいてしっかり進めていくということが一番重要だと考えております。
○渡辺美知太郎君 御答弁いただきました。
 続いて、次の質問に入ります。
   〔理事北川イッセイ君退席、委員長着席〕
 今子供の健康対策に格差が生じております。子供の健康対策、福島県では子供の甲状腺がん等の未然防止のため県民健康管理調査を行っていますが、福島県外で福島県並みの線量の地域に住んでいる子供たちについては、そのような今健康支援が国から受けていません。子供の健康対策に格差が生まれてしまっている現実について、例えば福島県内の子供たちに実施しているような県民健康管理調査と同等の検査と調査をしていただけないでしょうか。環境省に伺います。
○国務大臣(石原伸晃君) こういう御質問は度々頂戴しているわけでございますが、栃木県を含めまして、福島県外についても、やはり専門家の方々のアドバイスというものを政府も受けております。国際的なWHOや国連科学委員会、UNSCEARですね、そちらの専門家の方々が、がんなどの健康影響の増加が認められる見込みはないと、それらの地域ではないと実は評価をされておりますし、また栃木県を始めといたします近隣県のつくられた有識者会議でも、科学的には特段の健康調査の必要はないと、これは専門家の医療に携わる方々がそのような結論を出しております。
 しかし、やはり不安というものは、先ほど来御議論がありますように、不安を持たれている方は不安である以上は、やはり福島県に隣接している県の住民の方々も含めて、現在、将来の健康に不安を抱いておられる方に対して、安心していただくための説明、リスクコミュニケーション事業等々を充実することによって委員の今の御指摘にしっかりと応えてまいらなければならないと考えております。
○渡辺美知太郎君 今回は時間になりましたので質問は終わらせてもらいますが、県境や市町村の枠組みを超えての包括的な支援は国しかできません。是非とも、国だけが最後のとりででありますので、包括的かつ柔軟な支援をお願い申し上げまして、私からの質問といたします。
 ありがとうございました。
○委員長(山崎力君) 以上で渡辺美知太郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)
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○委員長(山崎力君) 次に、大門実紀史君の質疑を行います。大門実紀史君。
○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史でございます。
 今日は、税制と雇用問題について質問をいたします。
 四月一日からの消費税増税が目前に迫ってまいりました。我が党は繰り返し増税中止を求めてまいりましたけれども、安倍内閣は強行するということでございます。国民の皆さんの多くは収入が増えないのに負担だけが増えると。テレビのニュースでもやっていましたけれども、食費を含む生活費を切り詰めてこの消費税増税に対応しようという方がかなりいらっしゃるということでございます。
 一方で、アベノミクスがつくり出した金融バブル、株高で、今お金持ちは更にお金持ちになっております。庶民に増税するより、お金持ちにもっときちんと税金の負担をしてもらうのが当たり前ではないかと思います。
 今日は、まずお金持ち、特に超富裕層への課税問題から質問をいたします。
 パネルを作りましたけれども、(資料提示)これは所得階層別に所得税の実際の負担率がどうなっているかを示す資料でございます。本来は、所得税というのは累進課税が原則でありますから、所得が増えるほど負担率が増えるはずなんですけれども、所得一億円を超える辺りから負担率がだんだん下がってきております。麻生大臣、この原因はどこにありますか。
○国務大臣(麻生太郎君) 大門先生の御指摘のように、合計所得金額に占める所得税負担は、この図にありますように、一億円を超えたところで低下しているという状況にございます。これは、基本的には上場株式などの譲渡所得などについて一〇%のいわゆる軽減税率が適用されていたことを含めまして、金融所得課税の在り方が影響している面があると思われております。なお、この上場株式の譲渡所得等に関わります軽減税率については、平成二十五年、昨年の十二月三十一日をもって廃止をさせていただいております。
○大門実紀史君 おっしゃるとおりでございまして、特にお金持ちは所得の大半が株の配当とか譲渡所得になるわけで、その部分のおっしゃっていただいたように税率が低いので負担率が下がってきている、こういうカーブになっているということでございます。
 この資料、私が最初に国会で示したのは第一次安倍内閣のときでございまして、二〇〇六年、尾身財務大臣のときに初めてこの資料をお示しして、今ありましたけれども、証券優遇税制、本来一五%のものをわざわざ七%に下げていたものをやめるべきだということを再三繰り返し要求をして、そして二〇一三年限りでやめるということになったわけでございます。
 このグラフ見てもらえば分かるとおり、日本のお金持ちの実際の負担率は、最高税率のいわゆる所得税の四〇%どころか、実際は一五から二五、これに地方税加えても二〇%から三〇%にすぎないわけでございまして、これは証券優遇税制だけ取っても、二〇一四年から一五%に、本則に戻りましたけれど、地方税合わせても二〇%ですけれども、これでも欧米諸国に比べたらかなり低いんですよね。
 例えばドイツは二六%、株の譲渡所得は二六%です。イギリスは二八%、フランスもアメリカも最高税率三〇%を超えております。ですから、お金持ちの税金を高くすると海外に逃げてしまうというふうな話が横行しておりますけれども、逃げるどころか、日本は既に大株主、大金持ち天国になっているということでございます。
 麻生大臣に伺いますけれど、我が党は、この証券優遇税制、先ほど言いましたとおり、七%を一五にちゃんと戻すべきだということを申し上げてまいりましたが、一五、まあ地方税合わせて二〇でも外国に比べてかなりまだ低いわけですから、これはやっぱり、我が党はそもそも総合課税、合算して累進の掛かる総合課税にすべきだという提案をしてきましたけれど、少なくともこの証券優遇税制、まだまだ低いわけですから、やっぱり分離課税のままとしても見直すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) 所得税において、できるだけこれは包括的に所得というのを捉えて累進税率を適用するという、これは総合累進課税の原則なんですが、金融所得につきましては、これまでその特性に鑑みて例外としているものであります。
 特に、金融所得につきましては、今言われましたように海外への金融資産の移転が極めて容易であって、総合課税による累進課税がそれを助長する可能性があること、また一般投資家にとって簡素で分かりやすい税制が望ましいこと、また外国でも分離課税を採用している国も多く見られることなどの観点から、原則として分離課税といたしております。
 このように、所得税については総合課税を原則としつつも、所得の性質等によって分離課税を組み合わせるという形が適当なんだと思って、私どもはやらさせていただいております。
○大門実紀史君 済みません、ちょっと順番変えたので混乱されていると思うんですけれど、申し上げたいのは、分離課税のままとしても一五は低過ぎるのではないかと、これは見直すべきではないかと。ちょうど政府税調でも何かその見直しといいますか、検討課題に入ったみたいですけれども、その点、いかがでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) 今御質問のあれですけれども、近年の税制改正で、これは二十四年度の税制改正で高所得者についての給与所得控除の上限というのを設定して二十五年から適用させていただいておりますが、さらに平成二十六年度の税制改正において、給与所得の上限額が適用される給与収入の引下げというものを今御審議をいただいておるところであります。
 平成二十五年度の税制改正において所得税の最高税率の引上げをやらせていただいておりますけれども、議員御指摘の証券優遇税制の終了といったことを見直しを行ってきておるところでして、高所得者に一定の負担を求めていることについて御理解をいただきたいところでもあります。
 今後の所得税の改革につきましては、消費税等を含めた税制全体の中で、収支の安定性の確定、またそれぞれの基幹税のバランス等々を考えるといった観点から、これはいろいろ今後引き続いて考えていかないかぬ必要があると私どもとしても考えております。
○大門実紀史君 是非、まだまだお金持ち優遇ですので、考えていただきたいと思います。
 今の話で、一五%に、本則に戻る、七%だったのが戻ると。その一五%も低いのに、それさえもけちって二〇一三年に駆け込みで株の譲渡を行うということが行われました。巨額の株の売却が行われました。それがこのパネルでございまして、これは特に百億円を超える大株主の括弧付きの節税、私はもう合法的な課税逃れと思っておりますけれども、それを金融庁に提出されました大量保有報告書に基づいて、数字が出ておりますので計算をしてみました。十五人合計で四百二十九億円、一人当たり二十九億円もの節税といいますか、まあ合法的な課税逃れをしたわけでございます。
 こういうときでございまして、大金持ちで、しかも今どんどんもうかっているんだから、こそこそこういう駆け込み譲渡なんかせずに、当たり前の税金を当たり前に払ってほしいなと思います。しかも、これ、もう名前は分かっちゃいますけれども、もうそうそうたる有名人ばかりですね。
 ソフトバンクの日本人トップの方ですね、資産トップですね。保有資産二兆円近いのをお持ちですから、こんなこそこそ節税することないと私は思いますし、楽天のこのMさんという方は特に政府の産業競争力会議で自分たちの企業のもうけのためにさんざん要求をされている方ですね。偉そうに言うなら税金ぐらいちゃんと払えと言いたくなる方でございます。ブラック企業の代名詞と言われた光通信もあれば、今ちょうど全国で話題になっておりますが、カジノ、賭博場を全国につくろうというようなことで動き回っているセガサミーホールディングスの会長さんもおられると。こういう方々が、みんなが苦しくて国の財政も苦しいときに、こんな駆け込みで節税といいますか税逃れをやるのかというふうに思います。
 総理、感想で結構なんですけれど、こういうときにこういう節税といいますか税金を払わないという方々について、いかが思われますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今例としていろいろと挙げられたわけでありますが、基本的に節税をしておられると。こういう節税努力をしているからお金持ちになったという人もおられるわけでありますが、基本的には、この動きにつきましては、節税が終了する直前の平成二十五年十二月の投資主体別売買動向によりますと、個人投資家の売買動向は約一兆九千億円の売り越しであったというふうに承知をしておりまして、これは個人の、個々の投資家において証券優遇税制終了も含めまして様々な要因に基づいて投資判断を行った結果であると、このように考えておりまして、そのことが問題であるというふうには考えてはおりません。
○大門実紀史君 庶民は消費税から逃れようはないわけでございます。
 しかも、その手口がこそくでございまして、次のパネル。節税というよりも、これは明らかに私は課税逃れだと思っております。今、先ほど名前書いた方、ほとんどがやっている手法でございますけれど、その前に、オーナー株主というのは株式分割を繰り返していますから、取得した株価というのは安いんですよね。それを今売ると大変な金額になる、莫大な利益が出る、したがって税金もたくさんになるということで、譲渡益を早めに出して、取得価格を改めて、取得価格を上げておくというようなことを考えるわけでございます。しかし、実際には人に株を譲渡したくないと。そこで、あの手この手で考えておりますけれど、一番多いのがこの資産管理会社を使った課税逃れという仕組みでございます。
 資産管理会社という、まあペーパーカンパニーでございますけれども、これをつくるわけですね。オーナー株主自身が自分でつくるわけです、資産管理会社を。で、いろんな課税逃れに使うわけですけれども、一つは、今ありました七%のうちに譲渡益を出して、税率の安いうちに譲渡益を出しておこうということで、自分の会社に売った形にするということでございます。
 二つ目は、株式保有というのはその保有率が三%を超えますと分離課税じゃなくて総合課税と、高い税率が掛かるということがありまして、三%を超える分をこの資産管理会社の名義にするわけですね。そうすると、自分は高い四〇%以上じゃなくて、先ほどありました、前であったら七%、一五%で済むと。この会社、ペーパーカンパニーを使ってそういうことをやるわけでございます。
 そして、子供の相続税対策も、子供名義の資産管理会社をつくりまして、そこに株を移していくということを通じて相続税を逃れるというふうな対策をしているわけでございます。
 この資産管理会社は上場企業でも何でもありませんから、ほとんど資料が公開されませんので実態が分からないところが多いのは確かでございますが、本当に全て合法的なのかということも改めて問われるべきだと私は思っております。
 麻生大臣にお聞きいたしますけれども、外国にペーパーカンパニーをつくって課税逃れをするというのはもう随分問題になって、所得を合算して課税しようということになってきているわけですね。これは国内の資産家たちのやり方ですけれども、やっぱりこの問題もこれからちょっと実態を調べて必要な措置をとっていくべきだと私は思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(麻生太郎君) 今、二つのお話があるので、一つが、海外のいわゆるこれBEPSと言われる問題ですけれども、このBEPSにつきましては、今これは日本が租税委員長を、OECDの租税委員長はこれ選挙で選ばれて日本人がなっておりますので、この者が担当して、これをOECDでも今原案を作っている最中で、ほぼそれができ上がりつつありますので、いずれ出てまいることと存じます。
 二つ目の、この紙に書いた一、二、三ですけれども、これは、一の場合は、七%はこれは国税なんですが、これ地方税を含めれば二〇%、現行ではこれは上がったから二〇%になっていると思いますが、そういうので譲渡益を出すという話であります。
 そして、次のこの三%の個人保有の話というのは、これは三%以下であれば分離課税が適用課税ということになるんですよね、これ。したがいまして、現行は同じくこれも二〇%になっていますけれども、これも分離課税を適用可能になるというんで、これいずれも合法的であります。
 そして、子供への相続税対策。これは、法人への出資の場合は、相続税の評価額は法人税の益からは相当額を差し引いたものになりますので、相続税がその時点では小さくなる形になるんだということだとこのあれは思いますけれども。
 私ども、正直言って、現時点でこうした、この会社がこうなっているというのを、何というの、個別の事態を承知しているわけではありませんので、この実態の把握を今後努めろという御指摘なので、努めてまいりたいと存じます。
○大門実紀史君 様々な手法を使って富裕層は税金を払わない払わない払わないということをやっているわけですよね。
 総理に先ほどもお聞きしましたけれども、全体としてやっぱりこういう資産家優遇、お金持ち優遇をこれ以上続けていいのかと。証券税制のこともありますけれども、その辺の御感想を伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) どのような所得の方からどの程度の所得税を御負担いただくかということは、これは確かに大きな論点であろうと思いますので、よく議論していく問題であると思っています。
 いずれにいたしましても、近年の税制改正におきましては、高所得者の給与所得控除について平成二十四年度税制改正において上限を設定をいたしまして、さらにその引下げを平成二十六年度税制改正において提案し、審議をしていただいているほか、平成二十五年度税制改正において所得税の最高税率の引上げ、そして証券優遇税制の終了といった見直しを行っているところでございます。
 高所得者に一定の負担を求めてきているという方向性につきまして御理解をいただきたいと、このように思います。
○大門実紀史君 こういうお金持ち優遇を放置して消費税の増税なんかは、私はとんでもないというふうに思います。経済の底割れを防ぐためにも、やっぱり消費税増税は中止された方が賢明な判断だということは、繰り返し改めて申し上げておきたいと思います。
 こういう超大金持ちが更に資産を増やしている中で、貯蓄ゼロの世帯は全体の三割を超えました。過去最多という割合になっております。また、貯蓄どころか借金を増やしている、特に若者たちは増えております。
 パネルにしましたけれども、これは消費者金融、サラ金からの借入れの年代別、上の方がですね、内訳でございます。アコムの場合ですけれども、簡単に言いますと、二十代、三十代の若者が借り手の約七割を占めるという実態でございます。なおかつ、下の方ですが、派遣社員、契約社員の方々がこのサラ金から借りる理由は、生活資金不足が半分以上を占めるという事態でございます。
 したがって、生活資金が足りなくてサラ金から借りざるを得ないということになりますと、これは大変なことでございまして、返せなくなってくるわけですね。返すためにまたほかのサラ金から借りると、いわゆる多重債務者に陥っていくわけでございます。そういうことがこの派遣、契約社員の中で今進行しているという深刻な実態でございます。
 一言申し上げれば、このアコムは東京三菱UFJグループですよ。もう一つのサラ金大手のプロミスは三井住友の資本ですよ。昔のサラ金の世界と違って、大銀行が、今、日銀からじゃぶじゃぶに金融緩和で調達金利、もうほとんどゼロみたいな調達金利で調達したお金でこういう若者たちに最高一八%の金利で貸し付けていると。大変な問題が起きていると私は思います。これは別途追及したいと思いますけれども。
 この派遣労働者、契約社員の人たちは、生活費が足らなくてこういう事態になっているという実態について、総理、いかがお考えになりますか。ちょっとこれは総理に。感想でいいですから。
○委員長(山崎力君) それでは、まず田村厚労大臣。なるべく簡潔に。
○国務大臣(田村憲久君) 総務省の労働力調査等々で一千九百六十七万人ほど、足下、昨年の十二月辺りでこの非正規で働く方々がおられるという中において、今言われました契約社員の方々が約二〇%、多分三百九十万人ぐらいおられるんでありましょう、派遣労働者の方々が六・一%ぐらいですから百二十万人ぐらい。全体の中でこういうような方々に対して、今委員がおっしゃったような非常に所得が低いというお話があります。
 もちろん、非正規で働く方々は、所得が低いだけではなくて、なかなかキャリア形成していく、そういう機会もないわけでありますので、わかものハローワークでありますとかキャリアアップ助成金、さらには今般の雇用保険法の改正の中において中長期のキャリア形成の教育訓練でありますとか、さらには労働者派遣法の改正でキャリアアップ、さらには均等・均衡待遇、こういうものの確保等々もしっかりと政策の中で盛り込まさせていただきたいと、このように考えております。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま厚労大臣から答弁をさせていただきましたが、もちろん、なるべく多くの方々が正規の雇用の形態において仕事をすることが望ましいわけでございますが、グローバルな競争の中におきまして、またあるいは労働において多様化している中においてこうした形態があるわけでございますが、今大臣が述べましたように、基本的にはキャリアアップを図る方々についてはキャリアアップ助成金等の拡充によってキャリアアップを支援していく、あるいは非正規雇用の方々が雇用の安定や処遇の改善を確保できるように支援してまいりたいと思います。
○大門実紀史君 時間が余りないので、田村大臣、後でちゃんと声掛けますので、ちょっと落ち着いて座っていてくださいね。
 次のパネルを。今あった非正規雇用の拡大がやっぱり賃金を下げておりますし、個々の若者たちの生活も大変なところに追い込んでいるということでございます。これは、その非正規雇用が大企業ほど拡大していると、内部留保があって一番余裕のあるところのはずなのに、そういうところが非正規雇用を拡大しているという図でございます。
 総理は、アベノミクスの評価は賃金が上昇するかどうかに懸かっているということを繰り返し御答弁されてきておりますし、非正規雇用が拡大をして国民の賃金全体が上がるということはあり得ないわけですよね。賃金を上げるには、とにかく非正規雇用を増やすんじゃなくて、これ以上増やすんじゃなくて、正規雇用を増やす方向に転換すべきだと思いますし、昨年九月のG20でも、総理が参加されたG20の首脳宣言にも、私見てびっくりしたんですけれども、非正規の雇用の減少と。G20でももうテーマになったのかと驚きましたけれど、世界的にこの非正規雇用問題が問題になっているんだというふうに思います。
 そういうときに、何と今週の十一日に非正規雇用派遣労働を固定化、拡大するような派遣法の改定案が閣議決定をされました。これは労働界、日弁連などから一斉に反発の声が出ております。派遣法改定案の仕組み、全部じゃないですが、その一部ですけれども、申し上げたいところは非正規雇用がどうなるかという点なんですが、その点で、仕組みをパネルにいたしました。
 現行は、例えばこれでいうとAさんですね、これは今の現行でございまして、派遣は原則一年、最長三年と。派遣は一時的、臨時的なものだという前提から、三年たてば本来は希望者を正社員への道を開いていこうというのが、実際はどうかは別として、一応今までの政府の建前だったわけですよね、だったわけですね。ところが、今回の改定案は大分違いまして、派遣会社の中でも有期契約のBさんは、三年間、派遣先企業に行きます。三年でいろいろ制約掛けているとは言いますけれど、例えば労働組合の意見を聞いて、そしてBさんが違う課とか違う部署に移れば更に三年そこで働くと、また三年後に課を変えれば、部署を変えれば働くということで、ずうっと働かされることが可能になる仕組みになっております。派遣会社Cさん、無期契約の場合は、もう期間制限なしでなるということでございます。
 ちょっと時間の節約のために、この議論、衆議院でちょっとありましたですね。いやいや、そうじゃなくて、正社員化も考えておりますということを総理も田村大臣もおっしゃっておりまして、その根拠が何なのかなということで議事録を見てみましたら二つありまして、三年目の区切りで派遣会社が次の就労あっせんをすると、次の仕事をちゃんと紹介、あっせんするんだと。その中にはひょっとしたら正社員もあるかもしれないと。それはあるかもしれないけれど、それだったら今だって正社員になれるわけですよね。それは何の保障にもなりません。
 二つ目には、派遣会社を今度許可制にして、いいかげんなところは排除する、しっかり教育やるところにすると。だから、教育訓練やる、キャリアアップできるようにすると。そういうことをやるんだから、キャリアアップすれば正社員になる道も開けるんではないでしょうかということをおっしゃっていますね。今日も先ほどほかの質問の方へおっしゃっていましたね。ところが、実態知らないなと思うんですけれども、今大変高いキャリアを持っても十年間ずうっと派遣の仕事しかない方がいっぱいいらっしゃるわけですね。キャリアアップすれば正社員になれるなんて、そんな夢みたいな話、しないでほしいというふうに思います。
 だから、先に答弁について、答弁言っているようなものですけれど、要するに正社員化もあり得るんだというのは絵に描いた餅の制度だと。だから、労働界あるいは日弁連だけではなくてマスコミの評価も、立場は違っても、日経新聞のように経済界側の立場としても、評価は同じなんですよ、評価は。だから、日経新聞だって、事実上無期限に派遣を使えると、企業のコストダウンにつながるという報道をしているわけでございまして、これは余りエキサイトしないでくださいね。冷静に考えて、普通に考えて、どう考えたって派遣労働が固定化されて、企業の方は、逆に言うと、こうやって長く使えるようになるとすると、どうしてもインセンティブとして、ああ、そんなに長く派遣のところで同じ人にやってもらえるんだったらば今正社員やっている業務を切り替えていこうと、どうしてもそういうインセンティブが、コストダウンが一番ですから働きますから、どうしても派遣労働者が増える方向にこれ誰がどう見てもなる制度ではないんですか。違うんですか、田村大臣。
○国務大臣(田村憲久君) 若干誤解がございますので御説明いたしますが、現行は、業務が変われば同じ人が違うところへ、同じ会社であっても業務が変われば働けるんですね。ですから、係が違えば働けるという状況です。今度は課が違えば働くですから、現行よりかは厳しくなるということでございます。
 これはそういうことでございますので、事実上、今業務違っていれば、同じ会社でそのまま三年たって違うところで、業務で働いておられますので、それは係が違えば業務が違いますから、現行、引き続き働けるという状況になっております。今回は課を変えなきゃいけないという話でありますが、現行よりかは厳しくなるということでございまして、御認識をください。
 それから、現行は二十六業務、専門二十六業務は、これはずうっと変えなくてもそのまま派遣でいけるわけでありますけれども、あの二十六業務をなくしますので、今回は三年ごとに一応これは期間制限が掛かってくるわけでありまして、同じ人は働けないということでございますから、現行よりも厳しくなるということでございます。
 あわせて、三年たった後に、さらにその業務を派遣という形にしようと思えば、もう御承知だと思いますけれども、労働者側の過半数、そこの代表者とこれは意見を聞いた上で、その意見を聴取した上で、反対があれば対応方針を事業主が示さなければならないというふうになっておりますので、ここにも一定の制約を掛けておるということでございます。
○大門実紀史君 まず、その労組の意見を聞くと言いますけれど、今までだって大手労組というのは、正社員のリストラを一定認めながら、非正規雇用の拡大について合意してきたんですよ。だから、これが広がっているんですよね。だから、労組の意見を聞けば歯止めになるというのは、もう事実上、私、もうこの非正規雇用問題、国会で多分取り上げたの最初から二番目ぐらいですよ。それ、ずうっとやっているんですよ。ずうっと流れから見て、そういうのはあり得ないんですよね。あり得ない一つなんですね。
 それと、どうして厳しくなるのか全然分からないんですよ、なぜ今までより厳しくしたか。多分、こういうことをおっしゃっているんじゃないですか、こういうこと。田村大臣が想定されているのは、今もいらっしゃいますよ、もちろん、ずうっと私は派遣で働き続けたい、派遣がいいんだと、別に正社員望まないという方がいろいろ続けてそこで働きたいなと思ったときに制限があると、そういう方にとっては、いろいろやってもらえばずうっと働けるようになると。
 何かそういう、私が問題にしているのは、正社員を望む、いわゆる六割ぐらいの正社員を望む不本意非正規という方々の話をしているわけですね。だから、当たり前です、それがずうっと問題になってきたんだから。だって、派遣でずっとやりたい人のことは問題になっていないですよ。正社員になって働きたいという方がずうっと政治の場でも問題になってきたんですよね。
 大臣おっしゃっているのは、ずうっと派遣でやりたいという方のことをおっしゃっているんですか、やりやすくなるというか、その方のためになるというのは。何を言っているのか全然分からないんですけど。
○国務大臣(田村憲久君) 現状は、業務に着目して、三年たったらその業務は派遣では駄目になるわけですよね。ところが、業務を変えればその人はその会社で働けるわけであります。働けるというか、不本意派遣であっても働くわけでありますよね。
 ところが、今回の場合は、課を異動した場合には働けるようになるわけでありますけれども、今までは業務が変わればいいわけでありますから係が違っていれば働けたわけでありますが、今回はそれは駄目になるわけでありまして、少なくとも課を異動しなければ働けないという話であります。
○大門実紀史君 大臣、担当なんだからもっと勉強してくださいよ。もっと現場のリアリティーを知ってくださいよ。
 今、現行は三年が原則なんですよね、ここで。その後、本来は、本来政治が、私たちが目指すべきは、本来この派遣というのは世界的にいってもテンポラリーなんですよね、一時的。二次的なんですよ、この派遣労働というのは世界的にも。だからこそ、正社員への道どう開くかということは、この国会でもずうっと議論になってきたわけでしょう。みんなでどう努力するかもあったわけでしょう。それをおいておいて、その業務を変えるよりも課に変えた方がとか、そういう話じゃないでしょう。正社員に……(発言する者あり)違うんだ。私が言っているのは、厳しくないですよ、全然厳しくないですよ。課を変えれば、それはリアリティー、現場のリアリティーからいって、ずうっとその会社でこの人やってもらいたいと。本人も、本人は分かりませんよ、本人は本当は正社員になりたくても、ほかの仕事がなければ仕方がないという場合多いと思いますけれども、その課を変えればなんていうのは、それは会社の判断でしょう。ずうっとやれるわけですよね。なぜそれが厳しくなると言われるんでしょう。全然分かりませんね。
 それで、法案の審議はこれから詳細に各当該委員会でやられると思いますが、基本的に本来目指すところは、希望者を正社員へというところが政治が目指すべきところであって、ずっとやれるような仕組みに変えるというのは、これは逆行だということでございます。まあ法案についてはこれからでしょうから、やりますけれど。
 総理に申し上げたいんですけど、総理は、今日もありましたけれど、非正規雇用を増やそうとは思っていないと。思っていないと思っていらっしゃるならば、これそう簡単に大丈夫なんて言わないで、本当に総理としてもこれ研究してもらいたいですよ。これで増えていったら大変なことになりますから、賃金も上がらなくなりますからね。
 先ほどの答弁だって、もう議論余りするのもなんですけれど、この間ベアが出てきていると。私は、二〇〇四年から二〇〇七年を思い出します。竹中平蔵さんと議論いたしました。あのときも大企業を中心に景気回復があって、大企業の一部ではベアが上がりました。みんなベースアップやりました。ところが続かない。続かない、なおかつ波及しないと。賃金全体は、だから結局下がり続けたんですよね。企業の利益はたまるばかりで内部留保になったと。
 この経過も振り返ってもらって、尋常なことでは企業利益は、簡単には、自動的には、特に非正規雇用や全体賃金には波及いたしませんので、この問題一つ、あるいは最低賃金を引き上げる問題一つ取っても、本当に政府としてよく研究されて今までにないことをやらないと、なかなか難しいというふうに思います。
 最後に、総理のお話を聞きたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 大門委員と問題の認識、同じところもありますし、違うところもあるわけでありますが、基本的には、言わば七年前のときにも、安倍政権のときにも今おっしゃったような状況、企業が大きな収益を上げて、一部の大企業においてはベアが上がったということがありました。しかし、それが続かなかったことは確かに事実であります。
 あのときと違うのは二つございまして、一つは、あのときは、デフレが続いている中において、これは企業はどうしても賃金を上昇させていこう、あるいは設備を投資していこうという気持ちにはならなかった。その今デフレ状況を変えつつあると、ここが一番大きな違いの点でございます。
 それと、我々もそうした問題意識を共有をいたしまして、政労使の会議を開きまして賃上げを要望しているところでございますが、それが更に中小企業あるいは小規模、さらにはもちろん非正規の皆様にも波及していくように努力をしていきたいと、このように思います。
○大門実紀史君 こういうやり方では賃金上がらないということを厳しく指摘して、質問を終わります。
○委員長(山崎力君) 以上で大門実紀史君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(山崎力君) 次に、清水貴之君の質疑を行います。清水貴之君。
○清水貴之君 日本維新の会の清水貴之と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 今日の集中審議ですけれども、経済財政・行政改革・歴史認識ということで、私は、特に今の日本の財政状況、国の借金は一千兆とも言われていますけれども、この額に大変な危機感を持っております。まだ我々の世代はこの借金をつくった世代としていいとしても、次の世代、次の次の世代にその負の遺産を残してしまうということに大変な危機感を覚えておりますので、まずはこの日本の財政状況についてから質問をさせていただきたいと思います。
 最初の、ではパネル、資料もお配りさせていただいております。(資料提示)
 まずは、最初は内閣府の中長期の経済財政に関する試算ということになっています。もちろんこの数字、もう総理や大臣の皆さんもよく御存じの数字であると思うんですけれども、今日はNHKの中継もあってテレビを御覧いただいている方もたくさんいらっしゃると思いますので、日本の財政状況、改めて皆さんと共有をさせていただきたいなという思いで、まずはこの国・地方の財政の姿、経済再生ケースというのを示させていただきます。
 この表なんですが、上の部分が基礎的財政収支、いわゆるプライマリーバランスです。上の単位が兆円です。三角が付いていますからこれはマイナスです。その下の括弧の中が名目GDPに対する割合、単位はパーセンテージになります。その下の部分が公債費等の残高、単位は兆円ということなんですが、まず上の方の基礎的財政収支を御覧いただきたいと思います。
 政府が財政再建の指標としているこのプライマリーバランスなんですが、御覧いただきますと、二〇一二年度から載っておりまして、二〇一五年度まであって、少し飛んで二〇二〇年度なんですが、赤字は続いているんですけれども、この赤字の幅というのは徐々に減ってきてはいるんですね。
 安倍政権の経済財政運営において目標としている数字というのが、二〇一五年度までにこの赤字の対GDP比を二〇一〇年度に比べて半減させるというのを、これを目標にされています。二〇一〇年度、ここに載っていないんですけれども、二〇一〇年度はマイナス六・六%です。ということは、このまま順調に進んでいきますと、二〇一五年度はマイナス三・二%ですから、この半減という目標、まず最初はクリアすることになるんです。
 ところが、その後なんですね、五年たって二〇二〇年度。二〇二〇年度の安倍政権の目標はプライマリーバランスの黒字化ということをおっしゃっています。ところが、この上の三角の部分ですが、二〇二〇年度十一・九兆円のこれこのままいきますと赤字になるということなんです。
 この数字なんですが、経済再生ケースというふうにいいまして、今後十年の平均成長率を名目三%と見込んだ数字なんです。つまり、アベノミクスがこのまま順調にうまくいき続けた場合の数字であるんですね。下の公債費等の残高というのももう減ることはなく、これもどんどんどんどん積み上がっていってしまっています。
 まずは総理、この現状に関する所見、御意見をお聞かせいただけますでしょうか。
○国務大臣(甘利明君) 今日初めて答弁させていただきます。
 確かに、二〇一五年までは半減を達成できます。それから先、ある種自然体で置いておりまして、社会保障の自然増、それからほかの経費は物価上昇に比していくとこうなるということでありまして、ですから特段の努力が必要だと、この二〇二〇年、目標を達成するには更なる特段の努力が必要だということを認識いたしております。
○清水貴之君 そうなんだと思います。特段の努力がないと、これかなり順調にいってこの数字ですから。
 ただ、目標は、二〇二〇年度、総理、黒字化ということをおっしゃっております。ただ、現時点でいきますと、このままですとかなり厳しいんじゃないかなと思いますが、その数字目標を変えるおつもりはないのか。それとも、このまま更に努力を続けていくのか、頑張っていくのか。どうなんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま甘利大臣から答弁させていただいたとおりでございますが、現状は確かになかなか厳しい状況でございますが、何とかこの目標に到達できるような経済財政運営を行っていきたいと、このように考えております。
 経済再生と財政健全化を促して、財政健全化の進展が経済再生の一段の進展に寄与するという好循環を目指していきたいと、こう思うわけでございますが、ここでやはり難しいのは、経済成長をしっかりとしていかない限りこの目標には到達をしないという中におきまして、経済は生き物でございますから、この目標ありきということではやはりそれはないわけでありますが、この目標に向けて努力を進めていくことは当然であろうと、このように思います。
 今、生き物と言ったのは、様々な海外的な要因もあるわけでございまして、その中におきましてやっとつかんだこのデフレ脱却のチャンスを逃してもならないし、しっかりと今経済成長が達成されているわけでございますから、この流れを確かなものにしていくことも大切でありますし、同時に、先ほど申し上げましたように財政健全化の道も進んでいく。これは大変なかなか難しい運営ではありますが、しっかりとこの目標は持ち続けていきたいと、このように考えているところでございます。
○清水貴之君 今、生き物とおっしゃいましたけど、まさにそのとおりだと思うんです。いいときばかりではありませんので、悪くなることを想像はもちろん我々もしたくはありませんけれども、でも、それも想定の上でいろいろ考えていかなければいけないと思うんです。
 そういった中で、先日補正予算が、五・五兆の補正予算が通りました。そのとき、麻生大臣の答弁といたしましては、やはり消費税の増税があるので景気の腰折れを起こしてしまってはいけないと、そのための景気対策だという説明だというふうに理解をしているんですけれども、やはり確かに税収は上がってきている。ですから、その分を景気対策に使うというのもそれはそれで分かるんです。分かるんですけれども、でも税収が上がっているから、そういうときこそ財政赤字、これを減らす努力の方に回していく、これも考えるべきではないかなというふうに思っているんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) これは今総理からも御答弁があったとおりですけれども、これは清水先生、最も難しいところで、これはG20で一番話題になったのがここです。
 基本的には、財政のバランスというものを財政の支出削減、いわゆる縮小均衡だけでそれがやれるかといった場合は、ほとんどの国は不景気になってどうにもならなくなった。その中にあって、日本の場合は全然逆で財政は出動、そして結果としてこの一年間の答えをここで出してきておりますので、そういった意味では、去年の二月のG20、四月のG20、十月のG20で、その内容を読んでいただいたら分かりますけれども、間違いなく、財政は出動して経済を成長させて、その果実で税収を得て財政再建というのがG20の最終的な八か月間の間の大きな変化だったと思います。そういった意味で、私どもはそれの先頭を走っていることになるんですが。
 今回も、今言われましたように、上がった分の税収を全部五・五兆円の補正にというのは、これは四月―六月のことを考えれば当然そこに突っ込みますけれども、同時に、我々は財政再建もやらなければならぬという二兎を追うことになりますので、いわゆる毎年、二〇一五年までにPB、プライマリーバランスを半分にしますというののうちでは、目先四兆円、来年四兆円というものを、今回これだけ上がったんだから五兆二千億先に払いますと、だから来年具合悪くても三兆でいけますというようなことを考えて、今、先にということで、いろんなことを考えながらやらせていただいておるというのが現状であります。
○清水貴之君 ただ、そうなりますと、そのときそのときによって大分状況は変わってきてしまうので、私としてはある程度歳出の上限を設ける必要もあるんではないかなというふうに思っております。
 民主党政権のときは、民主党の皆さん、財政運営戦略とそれに基づく中期財政フレームにおいて基礎的財政収支の対象経費を七十一兆円に抑えるという歳出の大枠を示しておられました。これ、申し訳ないですけれども、守られた、守られていないは別にしまして、大枠、ちゃんと上限は示されていたわけですね。こう考えますと、中期財政計画は、財政再建の道筋を示すものとしてはこれはやっぱり曖昧じゃないかなと、不明確なんじゃないかなと思ってしまうんですね。
 この上限を定めるということに関してはいかがでしょうか。
○国務大臣(甘利明君) 先ほど財務大臣から答弁させていただきましたとおり、安倍政権の財政再建のやり方は歳出カットだけではなくて歳入を増やす、その見合いでやっていくんです。つまり、成長戦略で歳入が増えれば、その分歳出カットは緩くできるわけです。
 かつてギリシャが財政危機に陥りまして、IMFの指導で歳出カットをすると。カットをしたら、次年度は歳入はもっと減ってもっとカットをするという悪循環に陥ったんですね。そこの問題は、成長戦略がなかったからということの反省なんです。ですから、カットするだけだと、今年の税収が来年も確保されればいいですけれども、それも落ちて余計悪循環になると。
 ですから、成長戦略で税収を伸ばしながら歳入を見合っていくという。つまり我々は、歳出だけで管理するんじゃなくて歳出歳入両方の収支で、つまりPBの赤字幅をどう減らしていくかという管理によって財政再建をしていこうということを考えています。ですから、成長と財政再建、好循環ということを申し上げているわけであります。
○清水貴之君 ただ、この中期財政計画を見ますと、公債費等がもう一向に減っていかないわけですよね。この公債費、借金ですけれども、これは増え続けているわけですね。これは一体、じゃ、いつ、どう減る方向に変わっていくんです、ずっと増え続けるんですか。
○国務大臣(麻生太郎君) 基本的にはおっしゃるとおりです。これはPB、プライマリーバランスだけの話ですから、金利はそのまま残っておりまして、金利分の負担がまた出ますという話をしておられる。全くおっしゃるとおりです。
 これをきちんとやれる範囲のところまで日本の今、財政の再建化は進んでいない。はっきりしています。二〇二〇年になっても、仮に成功したとしても、まだそこの、金利の赤はまだそこに残っていますから、それを消すまでには、まだ財政再建の道のりにそこまで乗っていないと、私どもはそういう前提で考えております。
 したがって、まずは二〇二〇年の目標、なかなか難しいと思いますよ、しかしそれでもきちんとそれを掲げて、それが達成した次の段階として金利という、元金の方まで手を付けないといかぬのだろうと思っております。
○清水貴之君 今日はテレビということで、テレビ意識しましてもう一枚パネルを用意いたしまして、これもよく出てくる話ではあるんですけれども、財務省が作っている資料ですので、改めてテレビを御覧の皆様とも共有をさせていただきたいなと思うんですが、我が国の財政、これを家計に例えたらという話ですね。
 右が一か月分の家計に例えた場合ということで、一世帯の月収が大体四十万円、年収が四百八十万円なのに、必要経費が七十九万円も掛かっていると。毎月毎月三十九万円の赤字。その借金が積み重なっていきますと、もう一家庭当たりローンの残高が七千六百三十一万円。とてもとてもこの収入が続いたとしたら返せる額ではないわけですね。かといって、急に収入が増えるとも考えられません。
 こうしますと、大変分かりやすい、もう相当大変なんじゃないかなと、大丈夫なのかなと本当に思ってしまうんですが、この数字、総理、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど累積債務は増えていくではないかと、それは確かにそのとおりでありまして、プライマリーバランスを黒字化した段階において、これは金利と成長率が、名目がこれミートした段階においては、黒字になればその黒字になった部分を借金の返済に充てていくことによって累積債務は減少に転じていくわけでございます。それを目指していきたいと、こういうことであります。
 もちろん一度に全部返していく必要は全くないわけでございまして、それは当然、どの家庭においても例えば住宅ローン等のローンはあるわけでございまして、長い年月を経て返していく。あるいは、企業においても、設備投資をして企業の生産性を上げて、利益を上げながらだんだん返していくということになるわけであろうと思います。
 いずれにいたしましても、この家計である側面においては大変分かりやすくなっているんだろうと思いますが、これは、我が国財政というのは我が国政府の財政ということでございますが、我々は財政の健全化を目指していきたいと。言わば金利の払いがこれたくさん増えていくわけでございまして、金利の払いが増えれば政策的な経費に回す分がこれ減っていくわけでありますから、だんだん硬直化が進んでいってしまうということになるわけでもあります。そういう意味におきまして、だからこそ我々はプライマリーバランスをまず半減し、そしてさらには黒字化して、将来に向けてだんだん累積債務が減少していくという方向を目指していきたいと、こう考えている次第でございます。
 あと、付け加えさせていただきますと、基本的に国の、私たちの債務におきましては、この債務を持っている債権者は基本的に多くは日本人ということになるわけでありまして、私たちの借金を返す相手も日本人を対象にしていくということにおきましては、言わばデフォルトになった国々とはそこは決定的に違う点でもあるということは付け加えさせていただきたいと思います。
○清水貴之君 今のお話聞いていますと、借金はこのままうまくいったら減っていくだろうというふうなことを信じたいわけですが、ただ、どれぐらい掛かってしまうのかなという、それも思ってしまうわけですね。どれだけ先の世代にまでこのツケを残してしまわなきゃいけないんだろうと、この不安というのがありまして。
 そこでなんですけれども、一九九七年の橋本内閣の下での財政構造改革法は、各分野の歳出改革の基本方針と主要経費の量的縮減目標、これを具体的に明示していたということです。このような財政健全化へコミットする例えば法律のようなもの、こういったものを制定する、これについてはどう思われますか。(発言する者あり)
○委員長(山崎力君) 済みません、それじゃ、ちょっともう一度。
○清水貴之君 法律の話。
○国務大臣(麻生太郎君) 今御指摘のあったように、財政健全化法というのは、先ほど申し上げましたように、一五年までに半分に、二〇二〇年までにはという話をさせていただいたんですが、これがいわゆる中期財政目標なんですが。この中期財政目標に基づいて平成二十六年度の予算を編成して、一般会計のプライマリーバランスというのは、先ほど申し上げましたように、四兆円の返済のところを五・二兆円までの改善をしたり、また国債の発行残高というものも昨年より一・六兆円減らしたりして、確実に今財政健全化を進めることができておりますので、今法律でそれを決めちゃうという必要があるかどうかといえば、現実問題、確実に返して減ってきておりますので。そういった意味では、今の段階で更にいきなりどんどんどんどん、四兆円だ、五兆円だ、増やしているわけでは全くありません、毎年減ってきておるわけですから。
 そういった意味では、私ども、今すぐ法律の制定を具体的に検討しているという状況ではございません。
○清水貴之君 根本大臣にも来ていただきましたので、復興債についてもお聞きしたいんですけれども、今朝、午前中にも蓮舫委員からまたその復興予算の使い道、指摘がありました。流用が明らかになるもっと早い段階からチェックをするべきじゃないかと。きっちり返還要求をしていくのか、既に契約を済ませている案件、どう扱うのか。予算としては計上されているけれども使い切れていないお金があったりとか、様々な問題がまたここに来て出ているというふうに認識をしております。根本大臣、どのように考えていらっしゃいますでしょうか。
○国務大臣(根本匠君) 復興関連予算の適切な執行、これについては昨年一月十日の復興推進会議において、流用などの批判を招くことがないよう使途の厳格化を行うことという総理の指示を受けて、二十四年度補正予算及び二十五年度当初予算について使途の厳格化を図りました。
 一方、二十三年度第三次補正予算及び二十四年度当初予算、これについては、復興とともに日本経済の再生という緊急性の観点から、全国向け事業を行う基金、これが造成されていました。二十四年十一月に前政権下で行われた使途の厳格化、これにおいては、国から支出済みのものは除かれたので、その時点で全国向けの基金、これは対象外と整理されました。
 しかし、我が国の経済状況、これは震災直後と大きく変化していますし、復興関連予算は被災地の復旧復興に直接資するものを基本とする、こういう考え方を踏まえて、我々、これらの基金についても更なる使途の厳格化を行うことにいたしました。
 具体的には、昨年七月に、十六基金二十三事業のうち、執行済み及び執行済みと認められるもの、これを除くものについて、復興庁及び財務省から、基金を所管する府省に対して基金の執行を見合わせて国へ返還する、これを要請いたしました。この結果、二十五年度補正予算において、これらの合計額一千五十四億円、これを税外収入として計上されているところであります。
 復興関連予算、これについては流用などの批判を招くことがないよう、使途の厳格化を行っております。二十五年度補正予算、二十六年度予算の編成においても引き続き使途の厳格化を図っているところであり、これからも復興関連予算の適切な執行に努めていきたいと思います。
○清水貴之君 是非厳しくお願いをしたいと思いますが。
 続いて、国家公務員の制度改革、これについてお聞きしていきたいと思います。改革、改革といいますと、人を減らしたりとかコストをカットしたりと思われがちなんですけれども、違うんです。やる気のある公務員の皆さん、頑張る公務員の皆さんがもっともっと職務に邁進できるような制度につくり変えるべきだというふうに思っています。
 こちらの国家公務員制度改革関連法案の比較という表を作りましたので、こちらを御覧いただきたいんですけれども、黄色く色分けされている、右から二番目のところが政府提出法案です。今まさに提出されている法案です。今日、お昼の衆議院の方で、衆議院は通過しております。その横、右側に我々日本維新の会とみんなの党とが共同でさきの臨時国会に対案として出しました、今回規定を少しまた追加しまして再度提出したもの、これを載せております。これは、残念ながらお昼の衆議院では通過はしておりません。
 今回、我々が提出した法案なんですが、御覧いただきたいんですけれども、政府提出法案の左二つ、甘利法案と書いてありますけれども、甘利大臣のときの法案ですね。あとは、自民・みんな提出法案ということで、これは自民党が野党のときの法案になりますけれども、このときに出している法案、これが大変中身が改革色の強い、もうああこれはすばらしいものだということで、我々、平成二十一年に政府が提出しました通称甘利法案に含まれていた国家戦略スタッフ及び政務スタッフを政治任用する規定を平成二十二年に自民党、みんなの党が共同で提出したものに加えまして、それを我々がみんなの党と一緒に提出したものなんです。ですから、以前、自民党の皆さんが提出された法案と同じものを今回出しているんです。野党時代の自民党さん、改革色の強い、いい法案出されていたわけなんですよ。ただ、今回、この改革の部分というのがかなり大分弱まっているんじゃないかなというふうに見て取れるわけなんですね。
 当時の法案には安倍総理とか稲田大臣も賛同されていたわけなんです。林農水大臣も提案者の一人として参議院に提出された法案なんですけれども、もう御覧いただいて一目瞭然だと思うんですけれども、この我々が出した維新提出法案というのは、本当に平成二十二年、自民・みんな提出法案とほぼ同じです。ただ、政府提出法案、この黄色の部分になりますと、例えば幹部人事でしたら、二番目、特例降任の導入のところに幹部の範囲内で直近下位までとか、公募制度、法定化していたものを今回は法定はしないとか、内閣人事局におきましては、人事院の機能を温存したまま内閣人事局をつくるというような感じで、一番下、退職管理の適正化、これも当初は、あっせん規制違反に対しまして刑事罰の導入というのも当初の自民党案には入っていたんですが、今回の政府提出法案にはこれが入っておりません。なくなっております。
 この変わってしまった理由、これを教えていただけますでしょうか。
○国務大臣(稲田朋美君) ありがとうございます。
 本日、行革集中審議で初めて行革担当大臣としてお答えをさせていただきます。
 この国家公務員制度改革ですけれども、内閣人事局をつくって幹部人事六百人の人事を一元化する、そして縦割り行政の弊害を排するというこの改革は、本当に内閣人事局構想は戦前からあり、また戦後、人事院がつくられて、その後、日本が独立した後に、人事院から級別定数を内閣に戻そうということで、何回も法案を出して廃案になり、ようやく第一次安倍政権で改革に着手をして改革基本法が二十年にできて、それで自民党で一回、民主党で二回出して廃案になり、ようやく今回、臨時国会提出をし、先生御指摘のように、今日のお昼の衆議院本会議で衆議院が通過したということでございます。そういう意味において、大変画期的な法案だというふうに考えております。
 今先生は維新提出法案との差異をおっしゃっているわけでございますけれども、まず、幹部職をなぜ一般職にしたのか。これはやっぱり、幹部職といえども国公法の公正中立というような原則は適用すべきであるというところから一般職にいたしました。また、公募制度ないじゃないかとおっしゃいましたけれども、公募についてもちゃんと法律の中に書いて、指針を作るということにいたしております。
 じゃ、数値目標はなぜやめたのかといいますと、やっぱり無理やり何%公募しなければならないというのは私はナンセンスであり、むしろそういう数値目標を設定しないことの方が適材適所が図れると思います。また、人事院、総務省から、今申しました人事院から級別定数を引っぺがして持ってきたんです。そして、総務省からも機構、定員を持ってきました。
 ここには書かれていませんけれども、国家公務員の基本的な人件費の方針というのは、今までどこでも策定していなかったのを内閣人事局で策定することになりました。今、人事院の意見を十分に尊重する、これも今まで人事院との間でそういった協議ができていなかった。今回初めて協議をして、公正性を担保する部分の人事院の意見はきっちりと尊重しましょうということでございます。
 また、なぜ、天下りの刑事罰のことがおっしゃいましたけれども、あっせん、不正な行為を伴う場合には刑事罰が第一次安倍内閣で国公法を改正して規定をいたしております。しかし、今回、そういう不正な行為を伴わないときにまでわざわざ犯罪にして刑事罰を科することが果たして妥当かどうか慎重に検討すべきということで、維新の法案とは違う点ができているということでございます。
○清水貴之君 大臣、維新の法案というふうにおっしゃっていますが、元々は、これもう元々の自民党法案ということですから、そこを御理解をいただきたいと思うんですけれども。
 今おっしゃって、変わってきた部分というのが、やはり我々からしますと、旧来の仕組みを維持したい幹部職員が受け入れやすいような仕組みに和らげていったんじゃないかなと思ってしまうわけですね。でも、今のこの公務員制度改革、国家公務員制度というのはそれぐらい強くやらなければそう簡単に変わるものではないと思っているから、元々の自民党案、それはよくできている、だったら、今回またこの案でいったらいいんじゃないかと思うんですが、この部分が変わってしまっていたということなんです。
 多分、イエスとはおっしゃらないと思いますけれども、どうなんでしょう。もう、この法案変わるに当たって官僚の反対あったんじゃないですか。
○国務大臣(稲田朋美君) まず、内閣人事局をつくって幹部人事を一元化するということでも、かなりな抵抗があって今までできなかったわけであります。今回、級別定数を持ってきて、機構、定員を持ってきて、内閣の重要な政策、先ほどから先生が御指摘になっているような、財政再建というもう省庁横断的に取り組まなければいけない政策を、人事の面で戦略的な人事を実施するということはこの内閣人事局の設置でできると思います。
 また、行政改革、規制改革、もう省庁縦割りの、また既得権益を廃してでも規制を緩和し、予算を削り、そして事業を廃止した、そういった官僚がきちんと登用される仕組みをこの内閣人事局で実現してまいりたいと思いますので、是非とも早期の法案の成立をお願いしたいと思います。
○清水貴之君 我々対案を出させていただいて、衆議院には出させていただきましたので、しっかりと今後もチェックをさせていただきたいと思うんですが、まだあと二つお聞きしたいことがありまして、ちょっと時間もありませんので、福島第一原発の事故、そして東京電力について続いてお聞きいたします。次のパネルなんですけれども。
 費用負担ですね、中間貯蔵、除染、賠償、この辺りはどのようにして負担をするか。国が電促税から払うのか、東電の株を売るのか、東電が負担するのか、この辺が大分見えてきた、いい悪いは別にしてです、額も大変な額ですから。
 ただ、見えてはきているんですが、見えない部分が下二つです。汚染水問題、そしてこの廃炉の問題なんですが、これは、今後、幾らぐらい掛かって、どれぐらいのスパンでやっていくものなんでしょうか。それが見えているものなんでしょうか。いかがでしょうか。
○副大臣(赤羽一嘉君) この福島の原子力災害からの復興の加速を進めていくという観点から、東電任せにするというのではなくて、国も前面に出てやっていくというのが今の自公政権、安倍内閣の大きな方針転換でございます。
 その中で、国と東電の役割分担、費用負担を明確にしていかなければいけないということで、今委員配付をいただいている図表のとおり、賠償、除染、中間貯蔵施設については、その表のとおりでございます。
 今御質問の、廃炉・汚染水対策についてはどうかということだと思いますが、この廃炉・汚染水対策につきましては、もちろん国も前面に出てということで、私も定期的に参っておりますし、政府からの常駐者も現地事務所を設置しまして体制を構えておりますが、しかし実施主体はあくまでも炉の設置者でありますし、また現場に精通し、これまでも様々な作業に取り組んできた東京電力が実施主体としての責任をしっかり持っていくということが大前提でございます。
 そして、この廃炉・汚染水対策の費用につきましては、これまで東京電力は特別損失の引き当てとして約一兆円を用意しておりますし、また、それに加えて、昨年九月、安倍総理が福島第一原発の現地訪問された際に、今年度から十年間の総額として更に一兆円を東電自身が確保するということでございまして、この約二兆円で向こう十年間、当面の対策としては賄っていけるのではないかと、こう考えております。
 それに加えて、やはり人類史上初めての挑戦とも言うべき大変難しい作業でもございますので、技術的難度が高い取組への財政措置というのは国がしっかりとやっていくと。もう御承知のことだと思いますが、凍土式の遮水壁ですとか高性能の多核種除去設備、また廃炉・汚染水対策に関する研究開発、またモックアップ施設といった拠点整備、ここにももう国の予算を計上しているところでございます。
 今お答えできるところは、こういうところでございます。
○清水貴之君 ただ、このままですと、本当に幾らお金が、税金が入っていくか分かりませんので、いつかの段階で法的処理も考えるのか、東電の在り方というのは考えていかなければいけないというふうに思っているところです。
 最後になんですが、河野談話についても質問をさせていただきたいと思います。
 河野洋平官房長官談話、いわゆる河野談話なんですけれども、先月の二十日です、衆議院予算委員会で、我々日本維新の会の山田宏議員です、この談話の作成に関わった石原元官房副長官に質問をいたしました。その作成に当たっては、元慰安婦十六人の聞き取り調査の事実関係の裏付け調査は行われていないと証言をされまして、それを受けて、政府として河野談話の作成経緯を検証するという話も菅官房長官から出てきたりしていたんです。
 ただ、ここに来てちょっとまた流れも変わってきたような感じもするんですが、検証はするんでしょうか、しないんでしょうか。
○内閣官房副長官(世耕弘成君) お答えいたします。
 御指摘の、今、二月二十日の衆議院予算委員会で石原元官房副長官から、そもそもこの元慰安婦の聞き取り調査については裏付け調査を行っていなかったということ、それに加えて、この河野談話の作成過程で韓国側と意見のすり合わせを行った可能性があるということ、そして、最近になって再びこの日韓間の過去の問題について韓国政府から提起をされている現状を御覧になって、当時の日本政府の善意が生かされておらず非常に残念であると、こういうことをおっしゃったわけです。
 我々は、それを受けて確認作業をやろうと、この石原副長官の証言を受けて、政府として河野談話の作成過程について実態を把握して、そしてしかるべく形で明らかにしていくべきだというふうに考えて検証することに決めたわけです。
 具体的には、この談話の作成過程で韓国側との意見のすり合わせがあったのかどうかの可能性については、政府の中に極秘の検討チームをつくって、実態を把握した上でその取扱いについて検討していきたいと思います。
 また、元慰安婦からの聞き取り調査については、これはそもそも非公開を前提として実施をされてきたものでありますから、日本政府としてはこれは約束を守るということは非常に重要でありますので、機密を保持する中で政府として確認をしていきたいというふうに思っております。
○清水貴之君 ということは、日韓両政府によるすり合わせがあったかどうかは検証するけれども、その聞き取り調査の信憑性については、これは検証はしないということでしょうか。
○内閣官房副長官(世耕弘成君) この作成過程で韓国側との意見のすり合わせがあったかどうかについては実態を把握したいと思っていますし、元慰安婦からの聞き取り調査については、先ほど申し上げたように、機密をしっかり保持する中で政府として確認をしたいというふうに思っております。
○清水貴之君 その確認作業、検証作業の中でもしこの談話を覆すような何か問題点が出てきたりとか、そういった場合の対応というのはどう考えていらっしゃいますか。
○内閣官房副長官(世耕弘成君) あくまでも確認をしていきたいということであります。その上で、官房長官はこれ既に述べてきておられますが、河野談話を見直す考えはないという形でございます。
○委員長(山崎力君) 清水貴之君、時間ですのでおまとめください。
○清水貴之君 確認作業をしても、でも、もし違っても見直すことがないというのは何のための本当に検証作業かなと思ってしまうんですが、時間が来ましたので質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○委員長(山崎力君) 以上で清水貴之君の質疑は終了いたしました。(拍手)
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○委員長(山崎力君) 次に、福島みずほ君の質疑を行います。福島みずほ君。
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 まず初めに、復興特別税についてお聞きをいたします。(資料提示)
 フリップを作りましたが、東日本大震災からの復旧復興目的で、復興特別法人税と復興特別所得税が課せられております。復興特別法人税は、二〇一四年までの三年間の予定でしたが、二年に短縮するかどうかというのが今議論中です。市民に対する、国民の皆さんに対する復興特別所得税は、所得税に二・一%上乗せされ、二十五年間です。
 三年間と二十五年間、そして、今度一年間前倒しで二年でやめれば、そしてこっちは二十五年間、国民は所得税に二・一%掛け続けられ、法人の方は二年で終わり。この金額も、結局、一八とそれから八五ぐらいで、これは一・六兆円と七・三兆円。国民の皆さんに広く薄く負担をする、しかも二十五年間。復興のためには頑張ろうと思っても、これ、アンフェアじゃないでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) 東日本震災からの復旧復興のための財源につきましては、まず二つ前提ができていまして、一つ、現役世代で賄うという観点、二つ、経済の影響に配慮するという観点、この二つを前提にして、特別法人税に関しましては三年間で二・四兆円、復興特別所得税に関しては二十五年で七・三兆円の負担を求めることとしております。
 今般の復興特別法人税の一年前倒しの廃止によって更に均衡を損なうのではないかというのが福島先生の御主張なんでしょうと思いますけれども、この一年前倒しでの廃止というのは足下の経済成長の賃上げにつながる、すなわち法人に対して復興特別法人税を一年前倒しで廃止する代わりに、賃上げ等々を通じて被災地を含む日本経済再生のためにしかるべき役割を果たすように求めたと。これ、物すごくいろいろ問題があったところなんですけれども。
 いずれにいたしましても、個人と法人のどちらを大事にするのかといったような観点ではなくて、企業の収益改善が結果として個人の所得拡大とか消費の拡大につなげて、そして経済の自律的な好循環というものを実現するというのが目的で、個人にも法人にも裨益するということで、まあ例を挙げれば、昨日、自動車、電機等々いろいろ一斉に回答が出ていますけれども、問い合わせてみましたけれども、金属労協でも五十二社のうち四十九社でベースアップ等々全部回答しておりますので。
 そういった意味では、こういうベアなんて単語は、私のせがれに聞いたら、父さん、ベアって何ですかと聞かれたので、おまえサラリーマンならそれぐらい覚えておけと言ったんですけど、全然通じなかったので、もう二十五年たってベアなんて言葉は全然通じないんだということは分かりましたけれども。近年まれに見る給料のベースをアップするんだからベアと言うんだという話をしたんですけれども、賃上げの風が少しは吹き始めてきたかなと思っておりますので、丸々個人だけ割食って、法人がいい思いしているというような二極では考えられないような形かなと思っております。
○福島みずほ君 ベアも大事です。でも、個人の需要を拡大するのであれば、所得税を二・一%加算して二十五年間やるのを見直せばいいじゃないですか。国民の懐を暖かくするんだったらこっちも考える。私は両方とも二十五年か、両方とも三年だったら分かるんです。それが一方は二年で、一方は二十五年、やっぱりこれ消費税に似ていますよね、と私は思うんです。広く薄く取りやすいところから取る、でも法人税については引下げなどを議論する。
 ベアって言いますが、今回出ているの皆大企業ですよ、非正規雇用や中小企業、賃金まだ上がってない。最近の、近々の賃金でも上がっていない。社民党は消費税増税には反対なんです。でも、せめて消費税上げるときに賃金が上がっているというのは要件にすべきだとずっと思ってきました。
 今、賃金は上がっていないんです。いや、大手は上がっているし、今回の春闘の結果、大手や正社員、上がるところがあるでしょう。でも非正規雇用や中小企業が上がっていない。だとしたら、べったり国民から二十五年間二・一%、法人の方は二年じゃなくて、このアンフェアなこと、取りやすいところから取るぞ、これ考え直すべきじゃないですか。
○国務大臣(麻生太郎君) 今おっしゃられている意味は、復興特別所得税の税率二・一%を引き下げれば個人の可処分所得の増加につながると、掛ける二十五、二・一掛ける二十五ね。所得と消費の持続的な拡大のつながりによる好循環を実現するということ言っておられるんだと思いますが、これは企業のやっぱり積極的な賃上げを促しませんと、やっぱり勤労者というもののいわゆる稼ぎ出すお金も大きいですし、やっぱり企業収益の拡大というものが結果的に今まではため込んでいたものが、今度は少なくとも賃金というものの方に一部回ったことは間違いありませんので、そういった意味では、その一環として私どもとしては復興特別法人税の一年前倒しを決めさせていただいておりますけれども、これが中小企業に行くには、福島先生、もう少し時間が掛かると思います。
○福島みずほ君 所得税に二・一%、二十五年間掛かるということは賃下げのようなものですよね。消費税が三%上がる、これもやっぱり賃下げというか、要するに収入が、可処分所得が減るわけですから、これはやっぱり見直すべきだと、考え直すべきだと思います。
 次に、雇用、派遣労働についてお聞きをいたします。
 今日も派遣についてありました。三月十一日、派遣労働者の改正法が閣議決定をいたしました。
 派遣についてはすごく思い入れがあります。派遣切り、派遣村、何とか労働法制を規制強化するべきだ、非正規雇用の実態についてずっと国会でやってきました。みんなの力で、三年間派遣をやれば申し入れれば権利として正社員になれる、これを獲得しました。
 しかし、今回の閣議決定された法案では、私が派遣元で無期雇用であれば、私は四十年ある銀行で勤めてもずっと派遣のままなんですよね。それから、私がAという会社で勤めている、相手は人を替えれば三年置きに派遣労働者を雇うことができるから、私はどんなに頑張っても、だって今までだったら三年働いたら申し入れて正社員になれる権利があった。でも、今回の改正、私は改悪法だと思いますが、これでは正社員になる道が閉ざされるんですよ。
 この点については、私はここで、二月七日、予算委員会で質問しました。総理は一生派遣で働く労働者が増大するという指摘は当たらないと言いましたが、正社員になる道を閉ざしているんだったら、非正規雇用、派遣のままじゃないですか。どうですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほどその議論が相当あったわけでございますが、雇用形態のいかんを問わず、働く方々が生きがいを持つことができる環境を整備していくことが重要であります。このため、派遣労働者の方々についても、雇用の不安なく、希望すれば正社員を含めてキャリアアップを可能とする仕組みをつくっていく必要があると考えております。
 この国会に提出をいたしました労働者派遣法の改正案は、労働者派遣事業を全て許可制にするものであります。事業の質的な向上を図るものであります。そして、派遣会社に対しまして派遣労働者の方々の希望を踏まえた計画的な教育訓練等の実施を義務付ける、今までになかったものでございますが、これを義務付けることになります。そして、賃金、教育訓練、福利厚生施設の利用などの面で派遣先企業の責任を強化することで派遣先の労働者との均衡待遇の推進を図っていくことになるわけでございます。
 また、働き方が多様化する中におきまして、派遣という雇用形態を選択している方々もおります。また、育児などで仕事から離れていた方々が職場復帰のステップとしてまず派遣という形で仕事をスタートする、仕事を得る場合もあるわけでありまして、こうしたニーズにも対応しつつ、正社員を希望して努力されている方々にはキャリアアップの支援を行っていく。しっかりと、道が閉ざされることがないように、道が開かれるようにしていきたいと、このように考えているわけでございます。
○福島みずほ君 総理、全く私の質問に答えていないですよ。キャリアアップだどうのこうのというのは前も答弁されました。しかし、それでは非正規雇用のままなんです。
 今の派遣労働法は、三年私が派遣で働いたら正社員の道があるんですよ。しかし、これからは人を入れ替えれば三年置きに人を雇い続けることができるから、正社員の道を閉ざすんですよ。(発言する者あり)キャリアアップは必要です。しかし、そうだというやじが、声援、エールのやじが飛んでいますが、そのとおりで、非正規雇用を増やすから、私たちはこの法案に反対です。
 今、新卒の人たちの四割が非正規雇用です。五年たって、四分の一も正社員になれないんです。高校の女性たちは三十数%しか正社員になっていません。若い人たちがとにかく初めから非正規雇用、これだと女性や事務職は派遣のままですよ。派遣増やして、非正規雇用を増やして、賃金上がらなくて、雇用を壊して、何がアベノミクスですか。雇用を壊して何だと思いますよ。これは、どんなことがあってもこの派遣法の改悪は断固阻止するということを国民の皆さんにお約束をいたします。雇用を壊す安倍内閣は駄目ですよ。
 次に、集団的自衛権の行使についてお聞きをいたします。
 イラク戦争について総理が岡崎久彦さんと一緒に対談されているのや、本を改めて読みました。岡崎さんは、このイラク戦争、米国のイラクに対する武力行使への確固たる支持は近来にない快挙だと述べていらっしゃいます。でも、あのイラク戦争の本質は何だったでしょうか。大量破壊兵器がなかった、アメリカ、イギリス、オランダで検証作業が進みました。
 私は、あのイラク戦争に日本の若者が行って、武力行使をしてイラクの人々を殺し、殺されなくて本当によかった、それは本当に思っています。日本の若者が戦場に行って、中東で人を殺して、そして恨まれる、殺される、そんな戦争をやらなくて本当によかったと思っています。だから、集団的自衛権の行使の解釈改憲、大変なことだと思っています。
 昨日、この参議院の予算委員会で公聴会がありました。安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会有識者、いわゆる安保懇の主力なメンバーである西修さんがこう答えました。旧ソ連のアフガニスタン、ベトナム戦争など集団的自衛権を大義として掲げた戦争を例に、これ質問は、時の多数によって参加することは、この解釈を変えることによって可能になるか、実際行使するかどうかは別として。西さんの答えは、もし解釈を変えるということになったら、やっぱり結果的にはそうならざるを得ない。
 つまり、今まで国連が発足して集団的自衛権の行使が援用された戦争は、というか武力行使、十四件です。ソビエトのチェコ侵攻、ハンガリー侵攻、アメリカのベトナム戦争、そしてニカラグア侵攻など、あるいはアフガニスタン侵攻、どれも大義あるいは正当性、集団的自衛権の行使、被援助国、自分が攻撃されている側の要請があったかどうかも含め問題があり、どれも泥沼の、すさまじい、泥沼の、本当にひどい、ある意味侵略戦争だと思います。
 これに日本は参加をしてこなかったわけですが、総理、この西修さんの、もし解釈を変えるということになったら結果的にそうならざるを得ない、ベトナム戦争やアフガニスタンの戦闘に、行使するかどうかは別にして、解釈を変えることによって可能になる、このことについては総理も同感ですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、まさに今様々な議論を行っているわけでございますが、言わば解釈を変えるということについても様々な解釈の変更があるわけでございまして、基本的に、累次私も委員会で答弁させていただいておりますように、自衛権の行使そのものにつきましても我々は九条の制約が掛かっていると。その中で、必要最小限という中においての自衛権の行使になっているわけでございますが、その自衛権の中には個別的自衛権があり、そして個別的自衛権については行使できるということになっているわけでございますが、集団的自衛権については、それは必要最小限を超えるという考え方になっているわけでございます。
 今、福島委員が指摘をされたような事案について、言わば典型的な例としての一つとして挙げられたことだろうとは思いますが、海外の、例えば外国の領土の中に入っていって武力行使をするということについては、事実上我々は分類の中においては議論をしていないわけでございます。私どもが議論しておりますのは、まさにこれも累次述べていることでございますが、言わば公海上におきまして日本に対して弾道ミサイルが発射されるという中において、警戒をしている米国のイージス艦が、それは弾道ミサイルを警戒するためにイージス機能を上空に設定をしていることによって自分の身の回りについてのこれは防衛力がおろそかになる中において、このイージス艦に対して例えば対艦ミサイルが発射された場合、それを近傍のイージス艦が察知して、それを撃ち落とすことができるという能力を持っていたときに撃ち落とさなくていいのかと、こういうことについてまさに議論をしているわけでございまして、福島議員が指摘されたようなことをやるということについては議論をしていないということは申し添えておきたいと思います。
○福島みずほ君 イラク戦争で自衛隊が武力行使をしなかった、できなかったのは、憲法九条があるからです。
 憲法九条は海外での武力行使を禁止しています。他国防衛のために武力行使はできない。ですから、他国の領土に行こうがどうかは別にしても、日本国憲法九条がとにかく禁止している最大のこと、これは、他国防衛のために武力行使をしない、いわゆる集団的自衛権の行使はできないということですよ。
 総理はそんな典型的な例はやりませんと言うけど、どこに歯止めがあるんですか。歯止めがないですよ。つまり、集団的自衛権の行使は憲法九条でできない、これは確立された、今でも戦後の自民党の、戦後の日本政治の獲得点です。これはみんなでずっと獲得し、そして昨日も小西さんからありましたが、参議院でも海外で武力行使をしないという決議があります。にもかかわらず、それを部分的に、こういうのは認めます、こういう集団的自衛権の行使は認めますということを、時の内閣がそれぞれ、これは認める、これは認めない、そんなことはできないんですよ。集団的自衛権は、一般論であれ、個別であれ、集団的自衛権は憲法が禁止しているんです。それをやろうとしているから大問題なんです。
 総理、一つ、この安保法制懇第一次、第二次のメンバーの中で、集団的自衛権の行使、解釈改憲に慎重な人や反対の人は入っていないですよね。その人たちが出す報告書、第一次安保法制懇を作った人とほぼ同じ人たちが第二次安保法制懇を出そうとしている。悪いけれども、自作自演みたいなものですよ。総理の諮問機関で出して、それで閣議決定で解釈改憲する。これ大問題ですよ。自作自演じゃないですか。
 で、小松長官です。私は、去年、ここで山本長官に聞いて、集団的自衛権の行使は違憲だという答弁をもらいました。その山本長官の首を切って小松長官を据えました。小松さんは、第一次安保法制懇のときの、これの国際局長としての役割を果たしていらっしゃいます。総理、小松さんの答弁、びっくり仰天するものが多い、あるいは聞いていないのにいろんなことを答える。昨日の外交防衛委員会もひどいというふうに思います。
 それで、総理、国家安全保障基本法を出さないということでよろしいですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 国家安全保障基本法ですか。これについては、まだ我々、提出ということについては、提出するしないということについては決めていないわけでございますが、いずれにいたしましても、累次にわたってこの委員会において答弁させていただいておりますように、例えば、国家安全保障基本法におきましては、集団的自衛権を行使するということについて、この法律に事実上それを示唆することが書き込まれているわけでございますが、現在の解釈ではそれは行使できないという解釈でありますから、その解釈を変えることなくこの基本法を出すということはできないわけでございます。ですから、そういう意味におきまして、野党時代に提出を考えていたときとは状況は変わっているということは申し添えておきたいと、このように思います。
 また、福島委員も、先ほど来から解釈についていろいろと述べておられますが、福島委員のおられる社民党、以前は社会党でありますが、社会党におきましては、個別的自衛権についても違憲という考え方、自衛隊そのものが違憲だということで来たわけでございますが、その個別的自衛権については合憲という立場に変えられたというふうに私は承知をしております。
○福島みずほ君 小松さんは、国家安全保障基本法を総理は出さないと思いますよとおっしゃったんです。おかしいじゃないですか。総理がまだ決めていない、今日の答弁でも出すか出さないか議論すると言っているのに、何で長官が先回りして総理は国家安全保障基本法を出さないということを言えるんですか。それは内閣法制局長官ののりを越えていますよ、やり過ぎですよ。辞めるべきだと。総理の任命責任が問題になりますよ。違憲だという人間の首をちょん切って、合憲という人間を首に据えて、その人間が先回りして……
○委員長(山崎力君) そろそろ福島委員、おまとめください。
○福島みずほ君 国家安全保障基本法を出さないなんて余計なことを言う。こんな法制局長官、辞めさせるべきだと申し上げ、私の質問を終わります。
○委員長(山崎力君) 以上で福島みずほ君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(山崎力君) 次に、平野達男君の質疑を行います。平野達男君。
○平野達男君 平野達男でございます。
 今日は、三たびか四たびか分かりませんが、原発関係の、関連しての質問をさせていただきたいと思います。
 その原発でありますけれども、再稼働に向けた審査がかなり進んでいるようでありまして、新聞等々によると、もう稼働の日程まで決まったような、そんな報道もされているようであります。今回の再稼働の申請の中では、特徴的なことは火山の影響評価が入ったということでございまして、火山影響評価ガイドに基づいて評価をするという体制をつくったということは、これは私は大いに評価をしなければならないと思います。
 御案内のとおり、日本はもう世界に冠たる火山国でありまして、当委員会には火山噴火予知連絡会の藤井先生にも来ていただきまして、様々なお話もお伺いをいたしました。いわゆる大噴火と言われるようなもの、これは二十世紀は有珠山の噴火以外はほとんど少なかったんですが、過去においては幾らでも大噴火というのがあった。それは今、日本の中ではいつ起こってもおかしくないという状況にあるという話。
 それからもう一つは、特にこれはここにきちっと入れておかなくちゃならないのは、十センチとか十五センチというふうな降灰が起こるようないわゆる大規模火山というのは、この近代文明が起こってからは経験していない。だから、どういう影響があるかということについての実体験が極端な話をすると全世界においてないという、そういう状況の中で火山の影響を評価しなくちゃならないということでありまして、このことに関しましては原子力規制委員会の田中委員長を始め皆様方といろんな議論をさせていただきましたけれども、火山の問題の認識についてどうしてもどうしても私とちょっとずれがありまして、その後、規制庁の職員ともいろいろやり取りさせていただきましたが、最終的にお手元に二枚紙の火山影響評価ガイド及び基準適合審査についてということでペーパーを出していただきました。詳細は省かせていただきますけれども、最後に、火山灰の物理的・化学的特性を十分に考慮した上で、影響を及ぼし得る事象を幅広く検討すると言っていますから、もうこの言葉を信用するしかないです。
 ただ、田中委員長に二点だけちょっと確認をさせていただきたいと思います。
 まず一点目は、マスコミもいろんなことをちょっと報道していますけれども、例えばカワウチ原発の再稼働の時期なんかについての見通しなんか今出せるわけないでしょう。(発言する者あり)失礼しました、川内原発です。失礼しました。鹿児島の川内原発、見通しなんか出せるわけないですね。そして、再稼働の時期なんというのは審査が終わって初めて決まる話ですから、そういった意味で慎重の上にも慎重にまずやるということはこれ当然の責務だということで、これがまず一点目の確認ですね。
 それから二点目は、審査をやるに当たりましての火山の影響。この火山の影響につきましては、先ほど言いましたように、かなりのシビアな状況を想定するためには、地震とか津波と違いまして実体験がない、実経験がないという中で、かなりの想像力と、あるいは場合によったら実験をするとか、様々なその影響評価をまずやるということが大事だと思います。そのためにも、規制委員会がやるというだけではなくて、これは規制委員会が当然中心になってやるんですけれども、火山の専門家の知見をできるだけ集積するということ、それから意見を聞くということ、それから提言があればそれを受け入れるということ、これを徹底してやっていただきたいというふうに思います。
 まず、この二点をちょっと確認をさせていただきたいと思います。
○政府特別補佐人(田中俊一君) まず、第一点目の川内一、二号機について、昨日の規制委員会で基準地震動、基準津波について大きな論点の審査が一応合意を得たということで、先生御指摘のとおり、これで審査が終わったわけではありませんで、この後、事業者から申請の補正がありまして、それに合わせて私どもの審査、どういうふうな判断をしたかという審査書案の作成の準備に入ります。また、その後、引き続き工事認可、それから保安規定の認可というようなことがありますので、まだまだその先はあります。
 それから、その中で火山対策に対しては、先日もお答え申し上げましたけれども、設計などで対応できないような場合には、これは立地不可能ということです。それで、一応今回の評価、島崎委員を中心にして専門家の御意見も伺いながら、火砕流、今回発生する火災事象というのは十分設計対応ができないというような状況ではなかろうというような判断をさせていただきました。さはさりながら、火砕流のシミュレーションとか火災活動のモニタリング、それから火山灰に対する対策の妥当性等についての論点は残っているので、引き続きそれについては厳正に審査を続けていくということでございます。その際には、もちろん専門家の御意見、協力を得てやっていくということで、今対応を進めているところでございます。
 それから、火山灰についても、一応、川内の場合は十五センチの火山灰が積もるということを想定して、それについての対策がきちっとできるかどうかということについて、今、工学的な意味も含めて評価をさせていただいております。
 これについても、実は十五センチなのか、もっと降るのか降らないのかも実際には分からないというのも正直なところですから、それについてはそれなりの安全裕度を見て判断をさせていただきたいというふうに思っております。
○平野達男君 いずれ、十五センチの降灰というのはかなりのやっぱり厚さということで、大規模噴火中の大規模噴火ということで想定しなくちゃならないと思います。繰り返し言いますけれども、そんなものをこういう文明になってから誰も経験していないという中での、そういう状況の中でいろいろこういうことを考えていかなくちゃならないということですから、慎重の上にも慎重にやっていただきたいというふうに思います。
 それから、内閣府に一点確認します。
 大規模火山災害対策への提言を、これ、かなりいい提言を受けました。火山対策は、検討がちょっと遅れたというのは、防災担当大臣の私の一人の責任も少し感じなくちゃならないと思っています。津波、地震等々についてはかなりの対策、検討の体制はつくったつもりですけれども、この提言を受けてこの対策の検討をすぐやるということでよろしいですね。簡単に答えてください。
○政府参考人(日原洋文君) お答えいたします。
 内閣府では、御指摘の提言を踏まえまして、本年度から火山灰による過去の災害事例の収集や火山灰の性質を踏まえた建築物、交通機関等への影響に関する基礎調査を始めたところでございます。
 今後、この調査結果を活用して、関係機関等によりまして、実験による定量的な影響の把握、個々の分野における影響が複合した場合の社会に及ぼす影響の調査研究、あるいは事業者等による対策を促進してまいりたいと思っております。
○平野達男君 是非その後、成果も、規制庁とも連携を取ってやっていただきたいというふうに思います。
 あと、田中委員長と日原政府委員さんは、私はもう質問ありませんので退席していただいて結構です。──政府参考人。間違えました。
○委員長(山崎力君) 政府参考人の方、結構でございます。
○平野達男君 引き続き、茂木大臣にお尋ねをしたいと思います。
 私の長所は粘り強いでありまして、だけれども短所はしつこいんです。趣味はちょっと嫌がらせときていまして、引き続き使用済核燃料の話について、お話をちょっと伺わせていただきたいと思います。
 まず第一点、MOX燃料、これはウラン燃料系から出てきた使用済燃料からプルトニウムを分離して、それでそのプルトニウムを燃やすという核燃料棒でありますけれども、このMOX燃料をプルサーマルの中でこれから使うということにこのエネルギー基本計画ではなっております。このMOX燃料の使用済核燃料、これ再処理しますかしませんか。
○国務大臣(茂木敏充君) 非常に粘り強い御性格ということでありまして、経済財政の関係なのか行革の関係なのか歴史認識なのかよく分かりませんが、使用済燃料の処理、すなわち使用済MOX燃料を再処理してプルトニウムとウランを回収するプロセスについては、委員も御案内のとおり、既にフランスでも六十トンの実績がございます。我が国におきましても、実験的な取組実績、約三十トン行っているわけであります。我が国における使用済MOX燃料の処理技術の確立に向けて、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
○平野達男君 この計画では、使用済燃料は全部再処理するといっているんです。今質問に答えていないんです。
 MOX燃料を使って、これも使用済燃料になります。そのMOX燃料を全量再処理するんですか、どうですかというのを聞いているんです。答えてください。
○国務大臣(茂木敏充君) お答えしたと思うんですが、先ほどの質問には。
 改めて御質問の件、お答えをさせていただきますと、今の質問ですね、我が国の電気事業者が保有しております核分裂性のプルトニウム、海外で保管しているものを含めて二十六トンございます。こうしたプルトニウムの利用につきましては、原子力委員会において余剰プルトニウムを持たないと、こういう原則を示しているわけでありまして、その上でプルトニウムは、当面、軽水炉で利用することとしております。
 電気事業者がプルトニウム利用計画を公表して、その妥当性を原子力委員会が確認をしていく、そしてMOXとして燃やします。それの再処理につきましては、先ほど申し上げましたように、既に実績がフランスにおいてもあります。そして、日本におきましても実験的に行わせていただいている。その技術確立に向けましてしっかりとした取組をしてまいります。
○平野達男君 全く答えていないですよね。いいですか。使用済核燃料というのはウラン系の燃料棒、分かっていてはぐらかしているからあれなんだけど、茂木大臣、そういう答弁していますと原子力政策全体に対する不信感増しますよ。あなたは今、全然誠実な答弁していないよ。分かっていて答弁をはぐらかすのはやめた方がいい。
 使用済核燃料については、あなたも分かっているように、ウラン系燃料の使用済核燃料もあれば、MOX燃料を使えばMOX燃料の使用済核燃料も出てくるでしょう。そのウラン、MOX燃料の使用済核燃料を全部再処理するかどうかというのを聞いておるんですよ。ウラン系の使用済核燃料が出てくればプルトニウムは〇・九%、MOX燃料の使用済核燃料が出てくれば更にプルトニウムは五%ぐらい出てきますよ。それから、マイナーアクチノイドというのもたくさん出てくる。そんなものは全部あなたは分かっているでしょう。この問題を、再処理をどうするかというのを聞いているんですよ。
 繰り返すけれども、そういう答弁をやっている限り、だから原子力政策というのは不透明で、担当大臣ですら真面目なことを答えられないというのは、これは問題だと思いますよ。ちゃんと答えてください。
○国務大臣(茂木敏充君) どちらの答弁を申し上げればいいのか。最初は、使用済みのMOX燃料の処理の話を答弁をさせていただきました。それでは足りないというので、プルトニウムの分も答弁をさせていただきました。それに併せて、再度、MOX燃料、使用済みのMOX燃料の処理の問題につきまして、フランスの実績、それから日本の実験的な取組、そして今後の技術的な取組についてお答えを申し上げました。
○平野達男君 もう片道だったらここで止めたいんですけどね。
 だから、MOX燃料は、日本でやるMOX燃料は全部再処理するんですね、そうしますと。
○国務大臣(茂木敏充君) 再処理に向けまして今技術的な取組を行っております。
○平野達男君 じゃ、それはまだ未定だということですね、話が。そうですね。
 だけど、この基本計画の中には使用済燃料は再処理すると書いてあるんです。だから、MOX燃料については、このエネルギー基本計画の中ではまだ未定なんです。そのことを言いたいんです。だから、再処理をするかどうか、全量再処理をするかという答えというのはまだ未定なんですよ。だから、そういう意味での検討中ということだと思います。
 それから、ちなみに、MOX燃料の再処理をするためには、今、六ケ所村で建設している、間もなく竣工しますけれども、あの六ケ所村の中の再処理工場で処理できますか。
○国務大臣(茂木敏充君) MOX燃料につきまして、六ケ所再処理工場におけますMOX使用済燃料の再処理、現時点におきましては想定をしてございません。
 そして、今もおっしゃられた核燃料サイクルに関する諸課題につきまして、今回のエネルギー基本計画、政府の原案におきましては、中長期的な対応が必要な課題も多い、また技術の動向やエネルギー需給、国際情勢等様々な不確実性に対応する必要があると。使用済MOX燃料の処理は、こうした中長期的に対応すべき課題の一つと認識をいたしております。今後、プルサーマルの導入の状況、そして使用済MOX燃料の発生の状況、再処理技術に関する研究開発動向等を踏まえて、その処理の方策、具体化に向けて取り組んでまいりたい。
 申し上げますが、お聞きいただいたことについて、今の段階の知見等々でお答えできることはきちんと誠実にお答えさせていただいているつもりであります。
○平野達男君 今のお答えはよく分かりました。
 要するに、もしMOX燃料を再処理するためには第二処理場の建設が必要だということなんです、今の処理場じゃなくて。ということは、そういったことが結局この中にどこにも書いていないんです。
 それから、先ほど、私の質問に先駆けてプルトニウムの話をしました。もしウラン系の使用済みの核燃料を全部再処理しますと、今一万七千トンですから、百五十六トンぐらいのプルトニウムが出てきます。これの需給計画も作っていないはずです。でも再処理だけをするということなんですね。
 それで、このペーパーの中に、このエネルギー基本計画の中に、総理、ちょっとよろしいでしょうか、対策を将来へ先送りせず、着実に進める取組って書いているんです。MOX燃料はプルサーマルで進めると言っている。だけど、出てきた使用済核燃料はどうするか分からない。これ、本当に再処理するにしたって、再処理工場を造らなくちゃなりません。そもそもやるのかどうかも分からない、技術的にはうんと難しいです。じゃ、もしそれ再処理しなければ、地層処分をそのまましなくちゃなりません。そんなことには全くここで触れていないですよ。
 それから、プルサーマルの計画を進めるにしても、プルトニウムを分離します。そのプルトニウムそのものの需給計画もこの中には入っていない。何も要するに決めないまま、とにかくずっと進めましょうというのがこの基本計画のような感じがするんです。
 これは、日本の原子力政策というのは一九五六年ぐらいから、五〇年代から始まりますけれども、当時はプルトニウムを使って高速増殖炉を使うという、それができるだろうということで、ざあっと進むわけです。再処理計画も再処理工場もそれじゃ進もう進もうということで、造ろうということで、東海の実験炉から六ケ所村の建設も始めました。これはやれるだろうって来たんです。やれるだろうって来て、いろんな今や問題が出ています。高速炉の問題はほとんどストップしていますね。今回、今そういう反省を踏まえて、まずやらなくちゃならない、できるだろうと走るんじゃなくて、反省すべきところは反省してやっぱり止まるということも大事じゃないでしょうか。
 私は、再稼働は反対じゃないです。でも、再稼働をやるにはうんと慎重にやらなくちゃならない。同時に、だけど、使用済核燃料はすぐに今どうするかということを決めなくちゃならない問題でもないです。まだ時間があります。じっくり考えた方がいいと思います。
 総理に、この対策を将来に先送りせず、着実に進める取組、ちょっと違うんじゃないかと思いますけれども、簡単でいいですから御見解を伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 核燃料サイクルにつきましては、資源の有効活用、そして高レベル放射性廃棄物の減容化や有害度の低減などの意義があるのは事実であります。他方、六ケ所再処理工場の竣工遅延や「もんじゅ」のトラブルなどが続いてきたのも、これは委員の御指摘のとおり、事実でございます。
 このような現状を真摯に受け止め、そして直面する問題を一つ一つ解決をしていかなければならないと、このように認識をしております。
 このため、エネルギー基本計画の原案では、これまでの経緯等も十分に考慮し、そして関係自治体や国際社会の理解も得つつ再処理やプルサーマル等を推進するとともに、中長期的な対応の柔軟性を持たせるとしたところでございまして、今後、与党としっかり調整の上、方針を決定していきたいと考えております。
○平野達男君 一九五六年に原子力基本法に基づく原子力委員会が設立されまして、そこには湯川秀樹さんが入るんです。湯川秀樹さんは、日本で原発やるためには基礎研究が不足しているから、まず基礎研究をやってくれということをうんと主張して、聞き入れられなかったんです。それで辞めちゃいました。
 そのときに、これ、ある本から出したことですが、湯川さんはこう言っています。情勢の急変が今後も予想されるがゆえに、発電炉に関しては慌ててはいけない、我が国には急がば回れという言葉がある、原子力の場合にはこの言葉がぴったりと当てはまる。今もこの言葉はぴったりと当てはまると思います。そのことを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
○委員長(山崎力君) 以上で平野達男君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 これにて経済財政・行政改革・歴史認識に関する集中審議は終了いたしました。
 次回は来る十九日午前九時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時九分散会